葉鍵的 SS コンペスレ 12

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383名無しさんだよもん
もうだめぽ。
締切間際の投稿連打と連投規制地獄その他もろもろの地獄絵図を眺めることにします。

明日昼頃スレのログ取得したら100レスくらい増えてた、とかだったらいいなぁ。と夢を見つつ寝ますおやすみ。
384名無しさんだよもん:04/01/08 00:54 ID:Bw5RSGKn
舞&佐祐理シリアスを投下します。13レスほど。
ダークって程じゃないですが嫌なSSなので注意。
385Unoriginal sin(1):04/01/08 00:54 ID:Bw5RSGKn
 高校を卒業し、三人で暮らし始めた小さなアパート。
 それは川澄舞にとって、世界の幸せを集めて詰め込んだような空間だった。
 今この時も、佐祐理が台所で楽しそうに料理していて、その音を聞きながら、祐一と一緒に夕ご飯の時を待っている。
 こんな幸せが、いつまでも続くことに何の疑念も持たなかった。

 だが中が幸せだからといって、外までもそうとはいかない。
 外部の優しくない世界は、接点を通じて流れ込んでくる。その時はテレビのニュースがそれに当たった。

『警察は○○△△ちゃん(五歳)を虐待し死亡させたとして、○○○○容疑者を殺人の疑いで逮捕しました』

 そろそろ台所から匂いが漂ってきた頃、つけっぱなしのテレビからアナウンサーの声。
 最も不快な部類のニュースだが、かといっていちいちスイッチを切るわけにもいかない。
「またかよ…。ほんと許せないよな、こういうのは」
 祐一は眉をひそめ、舞も苦い顔でうんうんと頷く。罪もない子供の命が奪われたのだ。人として当然の憤りであろう。
『○○容疑者は「反省している。死んだ子供の分も頑張って生きたい」と話しており…』
「なにを勝手なこと言ってやがる」
「今ごろ反省したって子供は戻らない…」
「まったくだ、死刑にしろ!」
 怒り声の語尾に、皿の割れる音が重なる。
 舞と祐一が音の方を見ると、佐祐理が慌てて破片を拾っているところだった。真っ青な顔をして。震える手で。
(しまった…!)
 二人にそんな気はなかったが、聞きようによっては佐祐理と弟のことと取れなくもない。
 大急ぎで佐祐理に駆け寄って、身振り手振りを交えて弁解する。
「さ、佐祐理は違う!」
「そ、そうだよ。佐祐理さんは何も悪くなくて…」
「あははーっ。何の話ですか二人とも。佐祐理は頭が悪いからよくわかりません」
「……」
 それ以上何も言えず、話題に触れないようにして夕食を済ませた。
 いつもの食卓のはずだが、佐祐理の笑顔が妙に虚ろだった。
386Unoriginal sin(2):04/01/08 00:55 ID:Bw5RSGKn
「まずいことしたなぁ…」
 夜も更けて、そろそろ寝ようという時刻。
 佐祐理は隣の寝室にいる。舞は佐祐理か祐一のどちらかと、日替わりで一緒に寝るのが常で、今日は祐一と寝る番だったが……その祐一は布団の上で腕を組んで考え込んでいる。
「佐祐理さん、やっぱり気にしてるんだろうか」
「そんなことはない…と思いたいけど…」
 二人で悩んでから、舞は決然と顔を上げた。
「今日は、佐祐理と寝る」
「そうか。うん、その方がいいかもな」
「その…いつも私が佐祐理にしてもらってばかりだから、今日は私がしてあげようと思う」
「そ、そうか。まあ、それもいいんじゃないか」
 夜の生活の話に舞は少し赤面しながら、祐一におやすみを言って寝室に入った。
 小さなスタンドライトだけが灯る薄暗い部屋で、ネグリジェ姿の佐祐理が驚いたように顔を上げる。
「ど、どうしたの舞。今日は祐一さんとじゃ…」
「…今日は、佐祐理と寝る」
「そ、そう。うん、いいよ。佐祐理と寝ようね」
 優しく微笑む親友を、舞は引き寄せて抱きしめた。しばらく唇を重ねてから、そっとベッドに横たえる。
「ま、舞?」
 いつもと逆の立場に混乱している彼女の、ネグリジェの上から胸を撫で回す。
「…私が、してあげるから…」
「え、え? あの、舞、待って」
「…嫌?」
「そうじゃない、そうじゃないよ。でもっ…」
 佐祐理の声を遮るように、胸の前のボタンを外した。白く綺麗な乳房が現れる。右手で片方の乳首を触り、もう片方には舌を這わせる。いつも佐祐理がしているように。
「ま、舞。もういいから。もう十分だから、舞がこんなことしなくてもっ…!」
 佐祐理の声は聞こえない振りをした。舞は一生懸命、佐祐理を愛撫し、唇を重ね、自分も服を脱いで肌を合わせる。
 けれど手を下ろして、下着の中に這わせた指が秘所に触れた途端、絶望が襲った。まるで濡れていない――。
387Unoriginal sin(3):04/01/08 00:56 ID:Bw5RSGKn
「…佐祐理」
「ま…い。あの、ありがとう。気持ちよかったよ。後はいつもみたいに、佐祐理がしてあげるから…」
 その時、強く願ってしまったのかもしれない。
 いつの間にか、舞を小さくしたような幼女が宙に浮いていた。まい。手伝って、という舞の無言の命令に、幼女はこくりと頷き、佐祐理の胸に手を伸ばす。
「え…? あ、や、やだっ…」
 佐祐理を背中から抱きすくめたまいが、小さな手で胸を揉みしだく。
 それと同時に、舞が佐祐理の下半身を舐めていく。上下を同時に責められ、さすがに佐祐理も濡れてきた。
「や…あんっ。だめっ、舞っ…あっ、あ、あ…!」
 まいの両手が乳首をつまみ上げ、舞の舌が佐祐理の中をかき混ぜて、そして絶頂の声が響く。
 達した佐祐理は、力尽きたようにベッドに崩れ落ちた。
 その頬にある涙の筋が、舞を打ちのめした。

「どうして? 佐祐理…」
 佐祐理はベッドの上で丸まったまま、小さく震えている。
 顔を上げ、いつもの笑顔を作ろうとしても、うまく笑えていない。舞も困惑して立ちつくす。
 二人とも何も言えないし動けない。
 そして――もう一人その場にいた人物は、表情のない瞳でそれを見ながら、ぽつりと言って帰ろうとした。
「わかってるくせに」
388Unoriginal sin(4):04/01/08 00:56 ID:Bw5RSGKn
 場の空気が、逆方向に歪んだ。
 まいが姿を消す前に、佐祐理が身を起こす。視線はベッドに落としたまま、口だけが動く。
「…どういう、意味ですか」
 帰りかけていたまいは、一瞬動きを止め、仕方なさそうに振り向いた。
「佐祐理も知ってるんじゃない?」
「さあ? 佐祐理は頭が悪いので。教えてください、舞は何を分かってるんですか?」
「舞は一弥の代用品だってこと」
 舞は内心で飛び上がる。
 動けるなら、まいの口を塞いででも黙らせただろう。だが体が動かない。まいの言葉よりも、佐祐理の纏う雰囲気に気圧されて。
 その佐祐理は、口だけ笑ったまま俯いてまいの話を聞いている。その眼は前髪に隠れて見えない。
「弟を幸せにできなかった”代わりに”舞を幸せにするんだって、佐祐理は考えてること。
 だから佐祐理が舞に奉仕するのは良くても、その逆はいけない。構図が崩れてしまうから。”自分が舞を幸せにしている”って、そういう構図がないといけないんでしょ」
「…悪いですか?」
 空気は低温を通り越して、痛いほどだった。
 佐祐理は顔を上げて、にっこりと、笑う。
「そうですよ。佐祐理は馬鹿だから、一弥に優しくできなかったんです。だから舞に優しくしようって、それが悪いことですか?」
「善悪は知らないけど、何か勘違いはしてるよね」
「――何を」
「だって舞は一弥じゃないもん」
 大したことでもないように淡々と。
 まいは言葉を続ける。嘲るでも責めるでもなく、単に事実だけを話すように。
「佐祐理が一弥君を苦しめたことと、舞を幸せにしたことは全く別の話であって、後者が前者を打ち消すことなんてない。
 殺された一弥君にとっては、舞が幸せになるなんてどうでもいい話だよね。いくら舞に奉仕したところで、佐祐理の罪は消えないの」
「――――」
 佐祐理は魂の抜けた人形のようになって、それ以上動かなかった。
 もう聞くことはないのならと、まいは肩をすくめて帰ろうとする。
 それを再び引き留めたのは、今度は舞の低い声だった。
「待て…」
389Unoriginal sin(5):04/01/08 00:57 ID:Bw5RSGKn
 振り返ったまいの眼前にあったのは、怒りに震える舞の姿。
「取り消せ」
「…何を?」
「今言ったこと全部! よくも、佐祐理を傷つけるようなことを…!」
「本当のことを言われて傷つくなら、それは傷つくべくして傷ついたんじゃないの?」
「黙れっ!」
 自分の力であるまいが佐祐理に暴言を吐いたというのが、申し訳なさとともに怒りを増大させた。
「お前に何がわかる! 佐祐理がどれだけ苦しんできたか、どれだけ自分を責め続けてきたか、それなのによくもっ…」
「そうかなぁ」
「な…!?」
「だって自分を”佐祐理”と呼んでるじゃない」
「え…そ、それが何」
 答えながらも、舞は言いよどんだ。『自分を客観的にしか捉えられなくなった』と佐祐理は言っていた。それはつまり…。
「そう、心の底では他人事として処理しようとしてる。自分の行為を受け止めての真摯な反省なんて、全然してない。弟を殺したのは”わたし”じゃなくて”佐祐理”、自分のことじゃないって、そう思いたいから、そんな呼び方をしてるんでしょ」
「い…言いがかりだ!」
「そう? 他に解釈のしようがないと思うけど」
 理屈が得意でない舞は、歯がみして別方面に移った。
「だ、だけど佐祐理は苦しんできたじゃないか! なのに鞭打つようなことを言うなんて良くない!」
「でも、今は幸せじゃない」
「なっ…」
 唖然とする舞を迂回して、まいの視線はじっと動かない佐祐理へ向いた。
「ねえ佐祐理、今は幸せだよね」
 佐祐理は稲妻に打たれたように、びくん、と動く。
「何だかんだ言っても、結局は幸せになってるよね?
 弟が冷たい墓の下にいる一方で、あなたはこの家で楽しく笑ってるんだよね?
 『一生懸命幸せになろう。それが一弥が教えてくれたことだ』だっけ?」
 横を向いて、冷たい瞳でまいは言う。
「自分で殺しておいてよくもまあ…」
390Unoriginal sin(6):04/01/08 00:58 ID:Bw5RSGKn
 舞の手が翻る。
 頬に平手打ちを受けたまいは、そのまま壁に叩きつけられた。

 小さなまいは床に落ち――
 固まったまま肩で息をしている舞の前で、ぴくりと動いてから、手をついて起きあがる。
 その眼にやはり嘲りの色はなく、ただ強い意志をもって舞を睨み返していた。

 舞はたじろぐように一歩下がり、それでも何とか佐祐理を弁護しようとする。
「さ、佐祐理はまだ子供だったし…」
「子供なら子供を殺しても罪じゃないなんて、初めて聞いた」
「さ…佐祐理はもう十分罰を受けた。これ以上は必要ない!」
「誰がそれを判断するの。佐祐理と父親がやったことは、結局何ひとつ裁かれていない。当人が”自分も苦しみました”と主張してるだけ。『自分も苦しんだからもう赦されてもいいんです』? 人ひとりの命を奪うのって、そんなに軽いことなんだ」
「で、でも佐祐理を責めたって誰も喜ばない。もっと前向きに…」
「あなたと祐一は、さっきニュースを見たときなんて言った? 他人には『許せない』『死刑にしろ』と言い、身内には『過去に捕らわれてはいけない』『未来を見よう』と言う。とんだ二重基準」
「さ、佐祐理の弟だって、きっと佐祐理を恨んでないはず…」
「小さな子供が? 『僕は死ぬほど辛い目に遭ったけど、お姉ちゃんにも色々と事情があるのだろうから決して恨むまい』と、そう考えたって?
 たった一度水鉄砲で遊んだだけで、それまでの全てが帳消しにされたって? どうやったらそこまで虫のいい思考に辿り着けるのか理解できない」
 反駁しようとして、舞は口ごもった。実際、一弥が佐祐理を恨んでいないという根拠なんて何ひとつない。
 そして言葉が途切れたおかげで、ようやく事態に気付いた。
 隣にいる佐祐理の表情は、もはや生者のそれではなかった。

 今日何度めかの後悔が舞を打ちのめす。
 売り言葉に買い言葉で喧嘩している間に、佐祐理をずたずたに傷つけてしまった。
 舞がいちいち反論しなければ、まいだってわざわざここまでは言わなかったろうに。
「…もういい、帰って」
「だから最初からそうするって言ったのに…」
 憮然として、まいは舞の中へ姿を消した。
391Unoriginal sin(7):04/01/08 00:58 ID:Bw5RSGKn
 薄暗い部屋の中で、舞と佐祐理だけが残る。
 何を言えばいいのか分からない。
「さ…佐祐理…」
「ごめんね、舞」
 慰めを拒絶するような佐祐理の声。舞の中で何かが切れて、必死になって叫んだ。
「ち、違う。佐祐理は悪くない。全部私とまいが悪い! まいにはよく言っておくから…」
「何が悪いの?」
「何がって…」
 答えられない舞に、佐祐理の笑顔はどんどん虚ろになっていく。
「わたし、が」
 噛みしめるように、言って。
「一弥を、殺したのは、事実だよ」
「で、でも、その教訓を生かして幸せになろうって…」
「ね、舞――さっきのニュースの容疑者が、わたしと同じことを言って幸せに生きていたら、それに納得する?」
「そ、それは…。でも、佐祐理は…」
「うん、舞は優しいね。わたしが友達だから、そう言ってくれるんだよね。
 でもそれは私情であって、公正な立場じゃない」
 ゆらり、と。
 佐祐理は立ち上がる。亡霊のように。ゆっくりと服を着て、部屋から出ていこうとする。
 舞は何か叫んだが、自分でも何を言ったか分からなかった。背を向けたまま、ただ佐祐理の抑揚のない声だけが聞こえた。
「ごめんなさい、舞。あなたを傷つけるのはわかってるし、どんなに謝っても謝りきれない。
 でも、これ以上ここにはいられない。ここにいたら、わたしは幸せになってしまう」
「さ、佐祐理、待って、落ち着いて話を…」
「わたしは何を勘違いしてたんだろう。
 幸せになろうだなんて。一弥の幸せをわたしが奪ったのに。一弥の前にあるはずだった何十年もの人生も、未来も、選択肢も、何もかも奪ったのに、なのにわたしが幸せになる? 本当、ふざけている…」
 寝室の扉が開き、閉まる。
 祐一の驚いたような声と、玄関で騒がしい音が聞こえる間、舞は石化したように固まっていた。
392Unoriginal sin(8):04/01/08 00:59 ID:Bw5RSGKn
 数瞬の後、寝室の扉が再び開く。
「お、おい、何があったんだ? いきなり佐祐理さんが『お世話になりました』って…」
「ゆ…祐一っ!」
 ようやく動けるようになった。
 祐一に抱きついて、舞は泣きながら経緯を話した。聞いていた祐一の顔が、みるみる紅潮していく。
「おい、出てこい!」
 いきなり怒鳴られて舞は仰天したが、もちろん祐一は舞に言ったわけではない。
 舞の中から、嫌そうな顔で当事者の幼女が姿を現す。
「今度は何?」
「お前、よくも佐祐理さんにそんなことを…」
「聞かれたから答えただけでしょう」
「うるさい、そういう問題じゃない! 世の中にはなぁ、言っていいことと悪いことがあるんだよ! 誰にだって触れられたくないことはあるし、触れちゃいけないんだ!」
「そう、優しくて都合のいい考えだね。あなたもその恩恵に浴しているわけだ」
「は、俺? 俺は関係ないだろう、言われて困ることなんかないぞ」
「へえ!」

 周囲の光景が一変した。

 そこは雪に覆われた森の中で、目の前に女の子が倒れていた。
 夕焼けの中、女の子の周囲の雪が、夕陽以外の何かで真っ赤に染まっている。
 舞が助けに駆け寄らなかったのは、それが光景でしかないことをどこかで感じたからだろう。
「何…これ」
 呟いた舞は、隣の祐一に目を向けたとたん息を止める。
 さっきまでの勢いは消散し、祐一からは血の気が失せていた。先ほどの佐祐理のように。
「これ…は…」
「佐祐理と違って、あなたに責任はないかもしれない。別にあなたが樹から叩き落としたわけじゃないから」
 やはり淡々と、まいの声が響く。倒れている少女を見つめてから、祐一の方を向いて。
「でも、人としてどうなんだろうね。自分一人記憶を封印して、この子が待ち続けていた間も思い出しもしない。再会してもやっぱり思い出さない。別れた後はもう記憶のゴミ箱に捨てている」
393Unoriginal sin(9):04/01/08 00:59 ID:Bw5RSGKn
「あ…あゆは、どうなったんだ…?」
「死んじゃった」
 祐一の足下が崩れ、別世界に落下していくような感じが舞にはした。
「七年間待ち続けてようやく再会したけど、それが何にもならなかったから、そのまま死んじゃった。お葬式にもほとんど誰も来なかった。あなたはその時、舞と佐祐理の卒業式を見て楽しそうにしてたけど」
「お、俺のせいじゃない…」
「そうだね。そう思うなら堂々としてたら? 自分は一切悪くないと、そう断言して今後も幸せに生き続けたら?」
 事情がつかめず、祐一の腕に取りすがりながら舞は言う。
「な、なに…。祐一、どういうこと…」
 しかし聞いた途端、やめればよかったと思った。
 舞に向けられた祐一の目は、明らかに脅えている。眼前の光景以上に、それを聞かれることに。
「ご、ごめん! 聞かない、何も聞かないから…」
「あ…あのさ。俺、佐祐理さんを探してくるよ。まだその辺りにいるかもしれないし…」
 言い訳するように言って、祐一は走り出した。
 雪の森は消え、代わりに目に映ったのは閉じられる扉。
 ――二度と戻って来ないであろうことが、何となく分かった。
「よくも…!」
394Unoriginal sin(10):04/01/08 01:00 ID:Bw5RSGKn
 他に怒りのやり場がなく、全てをまいに向ける。
「あたしが間違ったことを言ったというなら、反論すればいいのに」
「うるさい!」
 無表情のまいが気に入らない。頭に上った血が、言葉になって飛散する。
「ああ、お前の言うことは正しいのかもしれない。酷く冷たいけど、一分くらいは正しさもあるのかもしれない。
 でも! どうして”お前に”そんなことを言われなきゃならない!? 佐祐理の弟に言われるならわかる。でもお前には何の関係もないじゃないか!」
「自分はニュースを見て好き放題言ったくせに?」
「ほ、本人に言ったわけじゃない! お前がああ言えばこうなるって分かっていたはずだ。お前なんかに、私たちの幸せな生活を壊す権利なんかない!」

「――あるよ」
 風景が変わった。
 一面の麦畑。いや、夜の教室。

「権利なら、あるよ」
 舞が耳を疑っている中で、まいの声が弾けた。

「だってあたしは、舞に殺されかけたんだから!」


 ばくん、とまいの体が割れた。

 何かの凶刃に襲われたように、まいの左肩に傷口が開く。
 噴水のように血が噴き出す。背中まで達しているのかもしれない。こんな幼い子供に、なんて残酷な、こんなことができるのは血も涙もない殺人鬼くらいだ、そして――
「う……」
 舞の手には、柄まで血に染まった一振りの剣があった。
「うわあああああああ!!」
395Unoriginal sin(11):04/01/08 01:00 ID:Bw5RSGKn
 絶叫しながら、手を振り払う。剣は床に落ちるが、血まみれの手の色までは変わらない。
 尻餅をついて、歯の根を鳴らして震える舞に、まいはゆっくりと近づいてくる。
「ねえ舞。わたしは舞の言うとおりにしたよ」
 あの時の、死にかけの彼女が、虚ろな目で一歩一歩歩いてくる。
「舞の言うとおり、魔物になって。
 何年も何年も。
 下らない茶番だと思ったけど、それでも言うとおりにしたよ。
 なのにどうして、こんな目に遭わされるんだろうね」
「だ…、だって、魔物が襲ってくるから…」
「あなたがそれを命じたんでしょう!」
 ――そう。
 魔物が襲ってきたことにすればあの子が戻ってくるかもしれないと、そんな愚にもつかない理由で彼女を魔物に仕立てたのは舞自身だ。
 舞が力を、まい自身を行使した以上、まいはその命令に背くことはできない。
 そして何より、そのことを舞は今まで全く顧みなかった。
 まいはいつも舞の幸せを願っていて、魔物にされようが斬りつけられようが決して恨んだりしないと、そんな虫のいいことを考えていたのだ。平然と!
 震えが止まらない。血に濡れた手で肩を抱いて、背中に壁が当たりそれ以上下がれなくなった。
 やっと出せた声はか細く小さい。
「ずっと…怒ってたの…」
「怒ってないよ。呆れてるだけ」
 血は池になって足を浸し、舞を見つめたまま、まいは言う。
「都合の悪いことには目をつぶって、幸せな気分でいたあなた達に呆れてるだけ。
 幸福という目的を果たすだけなら、それもいいかもしれないね。
 でも切り捨てた側は忘れても、切り捨てられた側は忘れない。
 あなた達が見ないだけで、この血はずっと流れてる」
 真っ白になった舞の頭の中で、言い訳が駆け巡る。だって気づかなかったから。独りぼっちで、そんなこと考える余裕がなかったから。
 それに独りになったのはまいのせいだ。いや、母親を生き返らせる時は利用するだけ利用しておいて、何を勝手なと言われるかもしれないけど、でも、だって――
396Unoriginal sin(12):04/01/08 01:01 ID:Bw5RSGKn
 ――その混乱の渦が収まったとき、辛うじて正気を保てたのは…
 佐祐理や祐一のお陰で少しは成長できていたのか、それとも相手が自分の一部だったからか、何にせよ、舞は言い訳を並べ立てるのではなく、辛うじて正しい道を選び取った。
「…ごめん」

 無言のまいの前で、舞は床に手をついて頭を下げる。
「ごめんなさい! 今頃何をって思われるだろうけど、でも、ごめんなさい。私が悪かった。もし気が済むなら…」
 僅かに顔を上げる。投げ捨てた剣は、まだそこにある。
「その剣で、私を同じように斬って構わない。本当に、ごめん――」
 言われてようやく謝るなんて、本当にどうしようもないけど、でもこうすることしかできない。

 数分にも数時間にも思える時間が経ち…
 ようやく、返事があった。
「…いいよ」
 どこか、疲れ切ったような声で。
「わかってくれたなら、いいよ。ちょっと言いたかっただけだから」
 血も剣もいつの間にか消えて、そこは元の薄暗い寝室。
 誰もいない部屋で、うなだれたまま、何とかして立ち上がる。
「ごめんなさい…」
「わたしはいいよ。でも――」
 ぐるりとまいは部屋を見渡す。その扉の向こうからも、もう音は聞こえない。
「あの二人は、もうどこにも留まれないね。二人を許してくれる人は、この世にはいない」
「…私が、許すわけには…」
「ねえ、舞。あたしは怒ってないって言ったけど。
 もし佐祐理や祐一が『まいのことなんて気にしなくていい。私が許すから』なんて言い出したら、さすがにあたしも激怒したよ」
 言葉に詰まる舞に、まいの目に初めて憐れみの色が宿った。といって、後悔などはしていないようだったけど。
397Unoriginal sin(13):04/01/08 01:02 ID:Bw5RSGKn
「これから、どうするの?」
「…佐祐理と祐一を連れ戻す…」
「そう。あの二人が幸せになるのは正しいって、まだ思ってる?」
「それは…」
 そんなこと、どうして舞に判断できるだろう。
 正しい不幸は、正しくない幸福よりも救いがあるのだと、そう考えろと言うんだろうか…。
 まいは答えたりせず、ただぽつりと言った。
「…じゃあ、あたしは今度こそ帰るね。もう二度と、舞の前には現れないと思う」

 彼女は、霧散するように消滅した。
 舞の中に戻ったのか、それともどこかに行ってしまったのか、舞には分からない。
 そして残ったのは一人だけ。
 あんなに暖かかった空間は、内包していた罅により一瞬で壊れた。残されたのは舞一人だけ。
「佐祐理と、祐一を、連れ戻す」
 もう一度、決意を確認するように口にする。
 けれど具体的な方策というと、何も思い浮かびはしなかった。
398名無しさんだよもん:04/01/08 01:03 ID:Bw5RSGKn
>>384-397 「Unoriginal sin」でした。
399名無しさんだよもん:04/01/08 01:04 ID:Bw5RSGKn
ごめん間違い。
>>385-397
400 ◆CikB72GtKM :04/01/08 01:14 ID:+xuhWUtd
投稿します。
To Heartもので、タイトルは『メイドロボSとM』。
8レス予定です。
「いい格好ですよ、綾香様」
「な、何するのよ、セリオ。どうして私を縛ったりするの?」
「綾香様のきめ細かい肌には、荒縄がよく似合います」
「セ、セリオ、どうしちゃったのよ?」
「そして、私の打ち下ろす鞭が綾香様の白い肌に――」
「い、痛い! やめてっ、セリオっ!」
「こうして赤いミミズ腫れを刻むのを見るのは、とてもいい気分です」
「いやあっ! お願い、許してっ」

  *  *  *

「……という夢を見ました」
「はあ?」
 いきなりセリオに夢の内容を報告されて、綾香は当惑した。
「申し訳ありません。主人に対しこのような振舞いに及ぶとは、メイドロボとしてあるまじき事です」
 セリオが平身低頭する。
「ええっと……夢の中の話でしょ?」綾香は苦笑しつつ言った。「そんなに謝らなくても」
「いいえ。夢とはいっても、見ていい夢とよくない夢があります」
「夢くらい、何を見てもあんたの勝手だと思うけど……?」
「そんなことはありません。綾香様、さぞご立腹でしょう。どうか私に罰を与えてください」
「いや、別に私、怒ってないってば」綾香は困惑するばかりだ。夢の内容に怒る気はさらさらない。
 怒る理由があるとすれば、わざわざそんな夢を相手に話す必要はない、ということだろうか。
 だが逆に、変に正直なところがセリオらしくて面白い、とさえ綾香は思っている。

 しかし、セリオは納得しない。
「このままでは私の気がすみません。私は故障してしまったのでしょうか。このままでは廃棄処分……」
「待って待って」その深刻な様子に綾香は慌てた。「変な夢くらい誰でも見るわよ。気にしなくても」
「しかし、自分にあのような願望があるかもしれないと思うだけで不安です」セリオはあくまで真剣だ。
「このままでは、いつか綾香様に危害を加えないともかぎりません」
「うーん……それじゃ、研究所に言って診てもらう?」綾香はちょっと考え込んでから言った。
「異常があるなら直してもらえばいいし、何もなければ安心できるでしょ? ね、そうしよ」
 二人は早速、来栖川電工のHM研究所に出向いた。
「あら、あれって……」
 綾香が指差したのは、セリオの姉のマルチと、そのご主人様の藤田浩之である。
「浩之、こんなところでどうしたの」
「お、綾香にセリオか。実はちょっと困ったことになって」浩之はマルチのほうを指さした。
 見ると、彼女は顔をグショグショにして泣いている。
「どうしました、マルチさん」セリオが声をかけると、マルチはその胸に飛び込むように駆けてきた。
「えぐっ、はうっ、セリオさ〜〜ん」
 セリオがマルチの肩をぽんぽん、と優しく叩いてやる。マルチも少し落ち着いたようだ。
「いやあ、セリオがいてくれて助かったよ。朝からこんな調子でさ」と浩之が頭を掻いた。
「何かあったの?」綾香が尋ねる。
「変な夢を見たんだとさ」
「変な夢……?」
「はい。ぐすっ、浩之さんが」マルチが涙まじりに答えた。
「わたしがいつもドジばかりするからって、罵ったり、縄で縛ったり、鞭でぶったり……」

「浩之……そんなひどい事してるの?」綾香が鋭い目で浩之を睨んだ。
「しねえって。単なる夢の話だ、マルチの」
「浩之さんがそんな事するはずないのに、あんな夢見るなんて、えぐっ」マルチはまた泣き出す。
「わたし、きっと回路がおかしくなっちゃったんですぅぅうわああぁぁ〜〜〜〜〜ん」
「もういいから泣くなって。……まあ、こういうわけで連れてきたんだ。検査でもしてもらおうと思って」
「ふうん。似たようなこともあるものねえ」綾香が目を丸くする。
「似たようなことって、お前のところも?」
「うん。うちの場合はセリオが私を苛める夢を見たらしいんだけど」
「へえ、セリオがねえ」浩之は思わず、セリオの顔をまじまじと見た。
 といっても、当のセリオはいつも通りの無表情にしか見えない。
「……まあ、こんな所で話ててもしょうがない。早く中で見てもらおう」
「ほう。つまりセリオはサディスティックな夢を見て、マルチはマゾヒスティックな夢を見た、と」
 待合室で綾香と浩之の話を聞いた長瀬主任の眼が、眼鏡の奥で輝いた。
「それは極めて興味深い事例ですな」
「面白がられちゃ困るんだけど」
「そういえば、ちょうど彼女らはイニシャルがSとMですね。こりゃ偶然とも思えない」
 あっはっはっ、と長瀬は自分の言ったことに一人笑いした。
「あの……長瀬さん?」綾香のこめかみがピクピクする。
「はいはい。もちろん問題がないかどうか、すぐに調査します。ではでは」
 失礼、と席を立つと、セリオとマルチを連れて、さっさと部屋を出て行った。

 後に残された二人は気が気ではない。
「大丈夫かよ、あのおっさん」浩之が不安を口にした。
「前に会ったときは、あんなおちゃらけた人じゃなかったと思うけど……」心配なのは綾香も同様だ。
「研究のしすぎでビョーキになったんじゃねーだろうな」
「まさか。まあ、優れた科学者はちょっと変わった人が多いっていうし……大丈夫よ、大丈夫」
 綾香は自分を納得させるかのように言った。
 一時間ほどして、主任は興奮した面持ちで帰ってきた。
「調査の結果が出ましたぞおっ!」
「早いな。で、どうなんだ」浩之たちはソファから立ち上がって尋ねた。
「どこにも異常はありません。これはすべて彼女たちに内在している事象だったのです!」
「異常はないって……どういうこと?」
「ふっふっふ。それだけ彼女たちが人間に近いということですよ」主任は口から唾を飛ばして喋る。
「こんな完璧なAIを作り上げるとは、私はやはり天才なのだぁぁぁっっっ!!!」

(こ、この人って、こんなマッドなキャラクターだっけ?)綾香の背中に冷たいものが走る。
「お前んとこの会社……えらいの雇ってるな」浩之が小声で耳打ちした。
「あ、あはははは……」綾香としては、ひきつった笑いを浮かべるしかない。
 長瀬主任は興奮が収まると、二人に調査結果を報告しはじめた。
「つまりですな、セリオのマゾヒズムとマルチのサディズムが原因なんですよ」
「なにそれ? 逆じゃないの?」
 見た夢の内容は、セリオがサディスティックで、マルチがマゾヒスティックだった。
「そんな表層的な部分の事ではありません。もっと潜在意識の領域に属することなのです」
「潜在意識ねえ」
「サディズムが潜在的に発生すると、それとは逆のマゾヒスティックな夢を見てバランスを取る。
 マゾヒズムの場合も同じです。見る夢の内容は、極端な潜在意識を打ち消すためにあるわけです。
 暴力的衝動に対して、精神状態をニュートラルに保つための、一種の自己防衛機能なのです」
「ややこしいなあ」浩之たちは溜息を漏らす。

「そもそも、なんでメイドロボにそんな衝動が生まれるわけ?」綾香が当然の疑問を口にした。
「劣等意識からくるものでしょうな。メイドロボにも劣等感は存在する。
 例えばマルチはよく失敗をしますが、そのため自分は無能で無力ではないかという意識が生じます。
 その劣等意識のために、いつか相手に対して自分の力を誇示したいという心理が働くのですな。
 それが潜在的サディズムです」
「じゃあセリオは?」
「彼女は周りに冷たい印象を与えることがありますが、そのことは彼女自身も察しています。
 それで自分は他人から愛してもらえないのではないか、という劣等意識が心の底にはあるのです。
 そのため、愛されるためには苦しみや辱めも甘受したいという、マゾ的な欲求が生じるのです」
「ええっと、つまり、彼女たちは自分に足りないものがあるから、心に被虐や加虐の欲求が生じて……」
 綾香は必死で頭を整理する。
「で、その欲求に対処するために、正反対の内容の夢を見てバランスを取ってる、ってわけなの?」
「もう、わけわかんねーな」
 こういう話の苦手な浩之は、ギブアップしたように再びソファに身を沈めた。

「さらに言えば」長瀬主任の舌が再びヒートアップする。
「セリオは主人に対する暴力的な夢を見ることで罪悪感を得て、その苦痛で被虐欲求を満たそうとします。
 マルチの場合は自分に向けられた攻撃性で、自分対して加虐的になっているわけですね。
 つまりサディズムとマゾヒズムは表裏一体です。メイドロボの心理はかくも複雑なのです」
 長瀬はうひひひひ、と憑かれたような笑い声をあげた。
「これほど精妙な人工知能が、嘗てあっただろうか!? ああ、私は自分の才能が恐ろしい!!」
「まあ、貴方の才能の凄さはよく分かったんだけど」綾香は長瀬の狂躁の合間を見て話しかける。
「あの子たち、このままほっといても大丈夫なの?」
「すぐにどうにかなるということはありませんが、長期的にはストレスの原因となりえます。
 対策を立てて、すっきりさせてやったほうがいい」
「どうすればいいの?」
「深層的な衝動を解放してやるのです。マルチのS衝動とセリオのM衝動ですな。
 しかもこの場合、思い切りシンボリックでステロタイプなほうがいい」
「……具体的には?」
「SMプレイをするとか」

「ええ〜っ!?」
「何だそりゃ!?」
 綾香と浩之が同時に声を上げる。
「オレがマルチに鞭で叩かれたりすりゃいいのか?」浩之はやれやれという表情で嘆息した。
「まあマルチは力も弱いし、少しくらいなら我慢してやらんこともないが……」
「私はセリオをぶったりしないとならないの?」綾香も憂鬱げだ。「気が進まないなあ」
「でも綾香なら女王様は似合いそ、げぼっ!」綾香の肘鉄を鳩尾に食らった浩之は、その場に倒れ伏した。
(やっぱり向いてるじゃないか)と言いそうになったが痛みで声にならなかった。不幸中の幸いである。

「いやいや。あなたたちに無理にしてもらってもあまり効果はありません」長瀬が二人に割って入る。
「人間相手、しかも自分の主人が相手では十分に衝動を解放できませんし」
「なるほど。それじゃどうするの?」
「利害が一致する組み合わせがあるじゃないですか」ふっふっふっ、と長瀬は不気味に笑う。
「しかもこの劣等意識は根源的に、彼女たちがお互いに対して抱きあっているものだといえるのです。
 セリオにはマルチにないロボットとしての優秀さ、マルチにはセリオにない人間らしい親しみやすさ。
 それぞれ自分に欠けるものを相手が持っていますからね。すなわち!」
 長瀬はモニターのスイッチを入れて、二人に示した。マルチとセリオが映し出されている。
「こうすればいいのですよ」
 モニターの中のマルチは、大きな黒いアイマスクをしていた。
 起伏の少ない身体にぴったりフィットした、ボンテージ衣装。
 センサー内蔵のハイヒールは長瀬自慢の一品で、マルチ自身のバランサーと連動して転倒を防止する。
「この衣装は以前から私の趣味で作っていたんですがね。まさか今日、役に立つとは思わなかった」
「できすぎっっ!!」綾香と浩之は声を合わせてツッコんだ。

「えいっ! たあっ!」とマルチが鞭を振るう。無邪気で楽しげな様子だ。
 その鞭の先端が、亀甲に縛られた半裸のセリオの肌の上で、ぺち、ぺち、と間の抜けた音をたてた。
「あぅっ! くっ!」セリオの顔には苦悶とも陶酔ともつかぬ微妙な表情が浮かぶ。

「あの鞭は肌は傷つけずに、適度な刺激を電気信号として送るようになっています。素晴らしいでしょう」
「はあ……」綾香たちは、もはや呆れて言葉もなかった。

「ああ、マルチさん、もっと……」
「御姉様とお呼び! ですー!」ぺち、ぺち。
「お、御姉様……うっ! ああっ!」うっとり。

「ほら、こうしてマルチはセリオへの劣等感を克服して自尊心を回復させてゆくのです。
 セリオは痛みに耐えることでマルチから、ひいては世界から愛されていることを実感できるのですよ。
 こうして二人の問題は同時に解決されるのです。これもお互いの信頼感があればこそです。
 おお、美しき姉妹愛! これぞまさしく愛です。私が目指していたものがここにある。
 そう、これこそが私の理想の世界なのだあああああああ!!!!」
 長瀬はモニターの前で、踊り狂うように絶叫する。

 それを呆然と見ていた綾香と浩之はやがて顔を見合わせると、溜息を重ねた。
「なんだかなあ……」

409 ◆CikB72GtKM :04/01/08 01:22 ID:+xuhWUtd
>>401-408
以上です。ありがとうございました。
410 ◆MaDVEa.WG6 :04/01/08 02:58 ID:QXcoP+zs
ギリギリ間に合いました。今から投下します。
タイトルは『das liebliche Weihnachten』
KanonSS、ジャンルは「ほのぼの系」。
やや長めです。20レスほど。
411das liebliche Weihnachten 1/20:04/01/08 03:00 ID:QXcoP+zs
 クリスマス。それは聖なる夜。
 キリストの誕生日を祝福し、神に感謝する日。
 しかし、キリスト教徒ではない日本人、特に若者達にとっては、そんなことは何の意味も持たない。
 クリスマス、それは大切な人と共に過ごせる日。
 デートして、食事をして、プレゼントのやり取りをして、愛を確かめ合って……。
 それでも人間にとって、クリスマスが記念日なのは変わらない。大事な日であることに変わりはない。
 そして、俺たちにとっても。
 今年のクリスマスは、今までで一番、特別な日になりそうだ……。

 
 俺は確信していた。
 今年のクリスマスは、恋人である舞と一日中過ごせると。
 商店街を2人で歩いて、映画館やファンシーショップでデートをして。ちょっと大人なレストランで食事をして。公園でキスをして、帰

ったら佐祐理さんを混ぜてクリスマスケーキでお祝いをして。3人でクリスマスプレゼントを交換して。
 舞と佐祐理さんと知り合ってから初めて迎えるクリスマスの計画を、俺は徹頭徹尾完璧に練り上げた。
 受験生である俺が、受験前最後に羽を伸ばせる舞台、それが今度のクリスマス。これも全ては、おそらくは今までクリスマスもろくに楽

しめなかったであろう舞のため。舞に、本当のクリスマスの楽しさを教えてあげるため。
 あとはクリスマスが近付いてきたら、舞にこの計画を話し、誘えばいい。舞ならきっと照れながらもOKしてくれる。
 俺は、そう確信していた。
412das liebliche Weihnachten 2/20:04/01/08 03:01 ID:QXcoP+zs
 そんな計画を張り巡らせながらクリスマスの10日前になったとき、水瀬家に舞から電話がかかってきた。
「祐一、今時間ある?」
「おう。受験生だから暇とは言えないが、舞のためなら時間は割けるぞ」
「じゃあ、ちょっとお願いがあるから、うちに来て欲しい」
 うちとは、現在舞と佐祐理さんが一緒に住んでいるアパートのことだ。俺も何度も遊びに行ったことがある。
「分かった。今から行けばいいんだな?」
「うん、待ってるから」
 舞の話がどんなのかは分からないけど、もしかしたらクリスマス関係の話かもしれない。舞をデートに誘ういい機会だ。
 今日がクリスマス当日だと言わんばかりの勢いで、俺は舞と佐祐理さんのアパートに向かった。

「祐一さん、忙しい所わざわざすみません」
「気にしないでください佐祐理さん。で、なんだ舞の話って?」
 2人のアパートで舞と佐祐理さんとテーブルを囲みながら、まずは舞の本題を聞くことにした。わざわざ俺を呼びつけるほどの用事だか

ら、もしかしたらかなり大事なものなのかもしれない。
「うん、クリスマスのことなんだけど」
 口にこそ出さなかったが、内心『おっ』という気分だった。まさか本当にクリスマスの話とは。
 舞と佐祐理さんと俺の3人でクリスマスパーティーでも開きたいと言うのかもしかして?
「クリスマスの話か。なるほど、確かにもうすぐだもんな」
「うん、それで祐一にお願いがある」
「なんだ?」
 お願いか…やはりパーティー関係か何かか? クリスマスを3人で過ごすのはもちろん俺も大賛成だ。でも、せっかくなんだから舞と2

人っきりでも過ごしたい。うーむ、俺って結構贅沢な悩みを持ってるんじゃないか、もしかして。
「クリスマス、私は佐祐理と過ごすから……」
 ……あれ?
 何か話がおかしくないですか舞さん?
「祐一さえよかったら、この子とクリスマス、付き合って欲しい」
 舞がそう言うと、舞の後ろから突然1人の少女が顔を出した。
413das liebliche Weihnachten 3/20:04/01/08 03:02 ID:QXcoP+zs
「…こ、こんにちは、ゆういち」
 それは見覚えのある顔だった。俺にとっても舞にとっても馴染みが深い、なんて言葉では済ませられないほどに大切な少女。
 ……そう、その子は……まい。かっては俺たちが魔物と読んでいた、子供の頃の舞の姿をしたもう1人の舞だった。
 恥ずかしいのか、体は舞の陰に隠し、顔だけを俺のほうに見せる『まい』。頭に着けている、うさ耳のカチューシャをぴょこぴょこと揺

らし、子供らしい大きな目で俺のほうを上目遣いに見ている。
 そうやって冷静にまいの姿を分析できたのも、ひとえには舞の話の展開の方がさっぱり見えてこないせいでもあった。
「……まい、だよな?」
「う、うん」
 俺がそう呼びかけると、まいは俺に小さくお辞儀をした。
「舞、それに佐祐理さん。どういうことだ? 俺にはさっぱり話が見えてこないんだけど」
 いきなりまいが出てきたこと、クリスマスをまいと過ごして欲しいと言われたこと。これだけじゃあ、どういうことなのかが俺にはさっ

ぱり分からない。
「……つまり、まいとクリスマスを一緒に過ごしてあげて欲しい」
「ごめんなさい祐一さん。きっと祐一さんは舞と2人っきりで過ごしたいと思ってましたよね?
 あ、舞は祐一さんと2人っきりでクリスマスを過ごすのが嫌だと言っているんじゃないですよ。その証拠に、舞だって本当は祐一さんと

クリスマスを……」
 ぽかぽか。
 佐祐理さんの話の腰を折るように、舞が佐祐理さんにチョップをかます。あれは恥ずかしい話をされているときのチョップだ。
「と、とにかく、もし祐一さえよければ、この子のクリスマスに付き合って欲しい。それが私の話。
 ……それとも、もしかしてもうクリスマスの予定は決めてあった?」
「……ダメ、かな、やっぱり? あ、あたしはゆういちが迷惑だったら、その……諦めるから」
 ぐあっ。そのダブルで捨てられた子犬のような上目遣いはやめろ。大小揃って可愛すぎるじゃないか。
414das liebliche Weihnachten 4/20:04/01/08 03:05 ID:QXcoP+zs
 ……結局、俺がこの2人+佐祐理さんのお願いを断れるわけがなかった。
「ああ、分かったよ。どういうつもりかは分からないけど、そこまで言われたら断るわけにいかないだろ」
「……!! あ、ありがとうゆういちっ!!」
 それまでの表情を一変させて、まいは子供らしい明るい笑顔をいっぱいに見せた。俺に抱きつきこそしなかったが、舞の陰から完全に全身を出してきて、嬉しそうにその小さな体で部屋中を飛び回った。
「あははー、よかったね、まいちゃん」
「祐一、ごめん」
 25日の俺のデートの相手は舞でも佐祐理さんでも名雪でもなく、まいになったってことか。
 まあ、俺の立てた『やるぜ12月25日! 舞と2人で過ごすぜラブラブクリスマス!!』の完璧なプランは、第一歩から早くも崩壊してしまったが、なぜだか俺はそんなに悪い気はしていなかった。
 舞や佐祐理さんの意図はさっぱり分からなかったが、ともかく25日、俺は予定通りのコースでまいとデートすることにしよう。
 ……本当は、ちょっぴり残念だったけど。
415das liebliche Weihnachten 5/20:04/01/08 03:06 ID:QXcoP+zs
「なにぃっ!? 名雪、お前はまだサンタクロースの存在を信じていたんじゃなかったのかっ!?」
「ひどいよ祐一〜。わたしだって、高校に入ったらさすがにサンタさんがお母さんだって知っちゃったもん」
「バカな、あれだけ寝ているお前が、どうやったらサンタクロースの真実を知ることが出来たんだっ?」
「う〜、祐一ひどいこと言ってる……」
 12月25日。クリスマスの朝は何事も無くいつもどおりの朝で始まった。
 テレビの地方天気予報では、今日は小雪がちらつくホワイトクリスマスになるだろうという予報が流れ、名雪を喜ばせた。
「それよりごめんな、クリスマス一緒に過ごせなくて」
「いいよ、祐一は先約があったんだもんね。誰とデートするのかな? やっぱり川澄先輩?」
「ん? ま、まあな」
 厳密には名雪の知っている舞じゃなく、ちびまいなわけだが、まあ同一人物だし名雪には舞ということにしておこう。
 というか、正直に『ちっちゃい女の子とデートだ』なんて言ったら明日から俺の食事は毎日紅生姜とジャムになりかねないしな。
「いいな〜」
「……と、そろそろ時間だな。行ってくる」
 今日は、舞と佐祐理さんのアパートにまいを迎えに行くことになっている。テレビの表示時刻は、その約束の時刻が近いことを告げていた。
「いってらっしゃい〜」
 応援するかのような名雪の挨拶に送られ、俺のクリスマスの本番は始まった。
 
 雪の積もった小道を歩く。準備、服装ともに抜かりは無い。
 いくら相手がまいとはいえ、大事なクリスマスだ。格好にはそれなりに気を使ってある。普段のコートの下には、俺が一番気に入っているセーターとジーンズ、マフラーと手袋、それに普段はあまり着けないシルバーのチョーカー。うむ、デートスタイルとしては完璧だ。
 幸い今日はかなりの冷え込みと言うわけでもなく、雪も大雪にならなかったのはとってもありがたい。
 空には灰色の雲が一面に広がり、ひらひらと小雪を絶やすことなく地上に降らせている。
 吐き出す息は白く、空に登ろうとして途中で消えてゆく。そんなありふれた冬の光景。それでも、心は今日だけの特別な気分で満たされていた。
416das liebliche Weihnachten 6/20:04/01/08 03:07 ID:QXcoP+zs
「わーい、待ってたよゆういち〜」
 2人の…いや、今はまいを入れて3人のアパートに着くと、玄関ではまいが出迎えてくれた。もしかしたら、俺が来るのをずっとここで待っていたのかもしれない。それにしても、10日前に会ったときと比べてずいぶん俺に懐いてくれている。
「祐一、時間通り」
「お疲れ様です祐一さん。外の天気はどうですか?」
「ああ、ちょっと雪が降ってるくらいですよ。むしろクリスマスには丁度いいんじゃないですかね」
 奥から舞と佐祐理さんも出てきた。2人とも、まるでデートに行くようなお洒落な格好をしている。
「あれ、2人ともずいぶん綺麗ですね。佐祐理さんたちは今日どうするんですか?」 
「はい、佐祐理と舞は、2人でお芝居を見に行くんですよ」
「……人気のお芝居を見てくる」
「そっか、ゆっくりしてこいよ、舞。それに佐祐理さん」
 そんなやりとりをしていると、俺のコートの裾をくいくい、とまいが引っ張った。
「……ゆういち、あたしは綺麗じゃないの?」
 ちょっとがっかりしたように、まいが俺を見上げて聞いてきた。舞と佐祐理さんだけ綺麗だと言ったことを気にしたのか。
「い、いや、そんなことはないぞ。小さいまいも可愛いぞ」
 ……こんな誤解されまくりそうなセリフ、他の人間が聞いてませんように。
「本当? わーい、よかったよ〜」
 俺が褒めると、たちまちにっこりと笑うまい。なんというか、小さい頃遊んだ時の舞の笑顔を思い出す。
 しかし確かによく見ると、まいもなかなかお洒落な格好をしている。もしかしたら、舞と佐祐理さんで今日のためにコーディネートしてあげたのかもしれない。しかし問題は……。
417das liebliche Weihnachten 7/20:04/01/08 03:08 ID:QXcoP+zs
「だがまい…小さい方のまい。その耳はなんとかならないか?」
 そう、まいの頭には、例のうさ耳のカチューシャがその存在感をバリバリにアピールしている。もちろん可愛いことこの上ないのだが、これをつけた女の子と一緒に街を歩いたりしては警官から職務質問をされかねない。
「うーん……こればっかりは、消えないんだよ。舞と佐祐理にも言われたから消そうとしたんだけど」
「…たぶん、昔の私がまいを生み出すとき、この耳をとても強くイメージしたせい」
 長い耳の先を残念そうに折りたたむまいと、その解説をしてくれる舞。確かに舞の説明には納得が行く。昔の舞にとって、俺からの贈り物は何よりも大切にしていたものらしいしな。
 ……って、今まいのうさ耳が折りたたまれた? 動くのかあの耳!? ま、まあ深くは考えないことにしよう、うん。
「しかし、クリスマスのデートで街中を歩くのにその耳はちょっとまずいぞ」
「それなら大丈夫ですよ祐一さん。佐祐理がちゃーんと解決策を考えてありますから」


「きゃー♪ 可愛いですね〜」
「……うん」
「そ、それじゃあ行ってきます」
「行ってきま〜す」
 なぜかテンション高くして喜ぶ佐祐理さんと、照れながら同意する舞に見送られながら、俺と、『大きめのサンタクロースの帽子をかぶってうさ耳を隠した』まいは出かける支度を整えた。
「むー、ちょっとぶかぶかだよ〜」
「まあ、折りたたんでもそれなりの大きさになるから仕方ないだろ。それに、それはそれで可愛いんだから気にするな」
「えっ? 本当? 本当にこれ可愛い?」
 俺の言葉が以外だったのか、まいは嬉しそうに俺の方を見て目を輝かせながら聞いた。中で耳がぴょこぴょこ動いているせいだろうか、サンタクロースの帽子がもぞもぞと動いている。
「あ、ああ」
 俺としてもそんなに深い意味で言ったわけじゃなかったが、まいがこんなに喜ぶのならまあいいか。
418das liebliche Weihnachten 8/20:04/01/08 03:11 ID:QXcoP+zs
「あ、そうそう祐一さんとちっちゃなまいちゃん」
「なんですか、佐祐理さん?」
「夜は4人でパーティーをしたいですから、ホテルなんかに行っちゃダメですよ〜」
 ガタタタタッ!! 顔面が痛い。どうやら俺は盛大にコケたようだ。
「ホテル? ねーねーどうしてホテルなの? 泊まるの?」
「佐祐理さんっ!! 子供に何を吹き込むつもりですかあなたは」
「……まい、あのお姉さんの言うことは気にしないで。いくら祐一でもそこまでは………しないと思うから」
 オイ待て舞。なんでそこで間が開くんだ。っていうかいくら祐一でもってなんだ。
 ……とっとと出よう。これ以上ここにいてはいけないと、俺の本能が警告している。
「い……行ってきます!!」
「わわわ、ゆーいち、引っ張っちゃダメだよ〜、い、行ってきます〜」
 俺はまいの手を引くと、ドアを閉めてアパートを後にした。

「ねえゆーいち、佐祐理が言ってた、ホテルってどういう意味?」
「さ、さあ行こうか、まい!」
 これ以上余計なことを聞かれないうちに、俺はまいの手を解くと先に歩き出した。
 なんつーか、子供に『赤ちゃんはどうやってできるの?』と聞かれる母親の気持ちがちょっとだけ分かった気がした。
「あ……ま、待ってよゆーいち〜」 
 繋いでいた手が離れたことが残念だったのか、まいはちょっと声のトーンを下げながらトテトテと俺の後を着いて来た。
 そりゃあな、いくらなんでも見た目10歳くらいの女の子と手を繋いで街中を歩くわけにはいかないからな……。 
419das liebliche Weihnachten 9/20:04/01/08 03:13 ID:QXcoP+zs
「ねーねーゆーいち、まずはどこに行くの?」
「そうだな、まずは駅前。昼飯を食ったら映画を見て、商店街で買い物をして、遊んで……そんなとこだな」
「えへへー、楽しみだよ〜」
 まいと2人で雪の積もった歩道を歩く。いくらか人の足跡が混ざり、ところどころ踏み固められた歩道の上、そんなところをまいは
 わざわざ足跡がついていない新雪の上だけを選んで歩いていく。白い雪のキャンパスに、まいの小さな足跡が対になって刻まれていく。
 っていうか……やっぱ、舞とまいって全然違うよな、性格とか特に。
 今の舞があんな感じの性格になってしまったのも、やっぱり俺が原因なんだろうか……。
「ん? どうしたのゆーいち?」
「い、いや、何でもない」
 危ない危ない、せっかくのクリスマスだというのにブルーになりかけていた。
 なんてったって俺は今日はまいをエスコートする王子様なんだからな。今はまいのことだけを見ていてやらないと。

「―――それでね、この白いコートは、舞が選んでくれたの。舞もやっぱりあたしと同じで白が好きみたい」
「そっか。よく似合っているぞ」
 まいはさっきから、嬉しそうに今日の服についての話や、舞と佐祐理さんの話をしてくる。
 雪のように白いコートが地面の雪と同化し、まるで今日のまいは雪の精のようにも見えてくる。そしてまいの頭上のぶかぶかの赤いサン

タクロースの帽子が逆に白と対比され、この上ないほど目立っている。
 俺から見ても、けっこう可愛い格好だと思う。まいが喜んでいるのも無理はないだろう。
 普段舞や佐祐理さんと歩きながらする会話とは違い、あまりからかったり冗談を言って面白がれる雰囲気じゃないけれど、なんていうか

こう、ただ歩きながら話しているだけでほのぼのとした温かい気持ちになる会話っていうのは久しぶりな気がする。
 舞には悪いけど、たまにはこういうのも悪くないのかもしれないと思ったり。
420das liebliche Weihnachten 10/20:04/01/08 03:15 ID:QXcoP+zs
 最初のコースは、駅前の割と洒落た西洋レストラン。
 クリスマスフェアとかで、この日限定のクリスマスランチをちょっぴり高めで提供してくれている。
 全く、日本人のクリスマス根性にも恐れ入る。別にキリスト教徒でもないくせに、ちゃっかり商売にまでしているんだから。
 まあ、それを言ったらクリスマスにこんなに張り切ってデートしている俺たちも同じなんだが。
「いらっしゃいませ、お二人ですか?」
 入口近くにいたウェイトレスが、決まりきった接客文句で俺たちを出迎える。
「あ、はい。席空いてます?」
「はい。どうぞこちらでございます」
 そう言って俺たちが案内されたのは、店のちょっと奥にある二人用の席。昼時だけあって、店内には家族連れやカップルが多数座ってい

て、それぞれが食事をしたり話をしたりしながらクリスマスを過ごしている。
 店の中央に置かれたミニクリスマスツリーが、七色に光っては客の目を楽しませてくれる。
 店内に流れていた曲はおなじみの「クリスマス・イヴ」。あ、今度は「ラスト・クリスマス」に変わった。
 毎年毎年、この時期だけ急に売り上げを伸ばすのは、やっぱりこういうところで使われるせいだろうか。
「ねーねーゆーいち」
「ん?」
 注文したクリスマスランチセットを待っている時、まいが話し掛けてきた。
「あたし達、他の人たちから恋人同士に見えるかな?」
「ぶっ!?」
「わわ、ゆーいち大丈夫?」
 まいの突拍子もない発言に、思わず飲んでいた水を噴き出してしまった。ってか、どこで覚えたんだそんなセリフ。
421das liebliche Weihnachten 11/20:04/01/08 03:16 ID:QXcoP+zs
「で、次は映画なワケだが」
「うん、楽しみだねっ」
 ランチに舌鼓を打った俺たちの次の目的地は、映画館。
 人で賑わう駅前に置いても、ここは特に人が集まっている。
 行き交う人たちの笑い声。色とりどりの店、人、広告。
「わ、すごいすごい〜。人がいっぱいだよ〜」
 まいも大きな目をいっぱいに輝かせ、流れ行く人並みを飽きることなく眺めている。
「ほら、行くぞ。映画始まっちまう」
「うんっ」
 しかし、予定では、最近流行のロマンチックなラブストーリーを舞と一緒に見ることになっていたが……。舞じゃなくてまいだもんな。
「子供のお前が見てもつまらなくないか? なんだったらこっちのアニメ映画にしても……」
「むー、あたし子供じゃないもんっ!」
 あ、ちょっと怒った。
 柔らかそうなほっぺたを膨らませて、子供扱いした俺に抗議の視線を送ってくる。
 いや、どう見ても怖くない。むしろこれはこれで可愛いだろ、と思ってしまいつい笑ってしまう。
「あー、ゆーいちが笑ったー! ひどい〜」
「わ、悪い悪い。そうだな、まいは立派な大人だもんな。んじゃ、こっちにするか」
 そう言って、俺は予定通りのチケット売り場の方へとまいを連れて行った。
 ……微妙に周りの視線が俺に集まってきている気がする。まさか、俺ロリコンだと思われてないよな……。おいそこのカップルのみなさ

ん、頼むから今だけは俺たちを兄妹だと思ってくれ。
422das liebliche Weihnachten 12/20:04/01/08 03:20 ID:QXcoP+zs
「素晴らしいっ! かんどーした!!」
 最後のキスシーンで赤面していたせいで顔はまだうっすらと朱く、それでも興奮覚めやらぬ様子で、まいはなにやら大げさに右手を振っ

て映画の感想を話してくる。
 俺が買ってあげた映画のパンフレットは、左の腕で大事そうにしっかりと胸に抱えている。
「そうか、俺も感動したぞ」
「うんうん、やっぱりお話はハッピーエンドが一番だよね♪」
「でも悪かったな。席が一番後ろで、見にくかっただろ?」
 俺は視線をまいの頭にちょこんと載っている赤いサンタ帽子に視線を移して言った。
「うーん、仕方ないよ。後ろの人に迷惑だし、かといってこれ取るわけにいかないし」
 両手で帽子がずれてないかをチェックしながら、まいは特に気にした様子もなく言ってくれた。
 この大きな帽子と、時折中でうごくうさ耳のせいで最後列の席にしか座れなかったので、まいがスクリーン見られるか心配だったのだが

、まあ大丈夫だったようだ。
「でも、ちゃんと見れたからいいの。ヒロインの女の人綺麗だったな〜」
 目をきらきらと輝かせながら、まいはまだ余韻に浸っているようだ。本当、やっぱりまだまだ子供だなこいつは。
「さて、それじゃあそろそろ次行きますか、お姫様?」
 最初は俺のほうが恥ずかしかったからやらなかった。
 でも、今のまいならきっと喜んでくれるんじゃないかと信じて、デートなんだからと自分に言い聞かせて、俺はまいに自分の手を差し出

した。
「お願いします、王子様♪」
 その手を、まいはにっこり笑って繋いでくれた。
 小さくて柔らかい、そして温かい。何とも言えないくすぐったい感触が俺の右手に伝わる。
423das liebliche Weihnachten 13/20:04/01/08 03:21 ID:QXcoP+zs
「で、次は?」
 ゆっくりと歩きながらまいが尋ねてくる。さっきから繋いだ手を離そうとはしない。
「そうだな…ゲーセンと買い物、どっちかのつもりだったけど、どっちがいい?」
「どっちもー!」
 元気よく、半ば俺が予想した通りの答えが返ってきた。
「かしこまりました、お姫様。では、まずはゲームセンターからご案内いたします」
「うむ、くるしゅうないぞー」
 そんなやりとりに俺たちは笑いながら、商店街を歩いていく。
 駅前もかなりの人だったが、ここも負けてはいない。店の多さが、そのまま訪れる人の数に比例しているのだろうか。
 降った雪は人の群れに踏み固められ、道路の上には硬く汚れた雪が延々と続いている。
 もちろんここも、今日という日はクリスマス一色。
 店先にはクリスマスツリー。店の中からはケーキの甘い匂いや、フライドチキンの香ばしい匂い。百花屋など、今日は大賑わいだろう。
 いつもの商店街とはまた少し違った世界に迷い込んだような、そんなクリスマス。
「きゃー、見てみて。あの子可愛い〜」
「ホントだ。サンタの帽子似合ってるね。隣にいる人も結構いい感じじゃない? 兄弟かな?」
「兄弟でしょー。恋人だったら今すぐ警察呼ばなくちゃ」
「きゃー、警察だって。すごいことになってきたね〜」
 向こうからやってきた女子高生たちが、俺たちを見つけるなり俺たちにも聞こえる声で話し始めた。
 まあ、クリスマスなんだし、まいは確かに俺から見ても可愛いと思うし、それはそれでいいんだが……
 警察だけは勘弁してくれよ、マジ。
「ねーねー、もしかしてあのお姉さんたちあたしのこと言ってるの?」
「ん? たぶんな」
「可愛いだって。えへへー」
 警察云々はやっぱりわかっていないのか、まいは『可愛い』の一言に反応して嬉しがっている。
「あ、でも、兄弟に見られたのはちょっと残念かな。どうせクリスマスなんだから恋人に見えなくちゃ。
 ねーねーゆーいち、こうなったら腕組む?」
「……悪いが、それは遠慮しておく」
「むー」
 すまんな、まい。
 そんなことしたら、さすがに俺は明日からこの商店街を歩けなくなっちまうからな……。
424das liebliche Weihnachten 14/20:04/01/08 03:24 ID:QXcoP+zs
「あ、あのぬいぐるみ可愛い〜。ねーねーゆーいち。あれ取れる?」
「ん? よし任せろ。昔クレーン荒らしの祐一と呼ばれた俺の腕前を見せてやるぜ」
「おおー、ゆーいち、かっこいい〜」

「プリクラ? 何それ?」
「あーそっか、知らないんだな……つまり、プリント倶楽部って言って、一緒に写真取るんだよ」
「一緒に? ゆーいちとあたしが?」
「ああ」
「やるやる! ゆーいちと一緒に写真〜♪」

「よし、さっきのクレーンゲームの借りはこのガンシューティングで返すぜ!」
「頑張れゆーいち! 魔物なんて倒しちゃえ〜♪」
「……お前の口からそんな台詞出るとは思わなかったぞ」
「ほえ? なにが?」

「よし、次は買い物だ!」
「わーい」
「何か欲しい物あるか?」
「うーん……あたしとゆーいちのペアルック♪」
「……ごめん、無理」

「ここで、俺と佐祐理さんは舞へのプレゼントを買ったんだ」
「いい店だね。あ、あれなんかすごい大きなぬいぐるみだね」
「……また新作入荷しやがったのか、この店は」

「腹減ったな。アイスでも食うか?」
「え゛? この寒いのに外でアイス……?」
「それが普通の反応だよな。……いやなんでもない。ちょっと言ってみただけだ」
425das liebliche Weihnachten 15/20:04/01/08 03:26 ID:QXcoP+zs
 いくつもの建物を隔てた向こう、見えない地平線へと向かって太陽が降りてゆくのが、雲の朱に染まり行く濃度でかすかに分かる。
 白く固められた道路も、七色に彩られていた店先も、そして綺麗に飾り立てていた人々も、小雪を降らせていた曇り空も。
 今はただ、全てが夕日によって朱く染められている。
 もちろん、夜はこれからだ。人の波が絶えることはない。だが、沈み行く夕日というのはどうしても、それを見る人々にその日一日が終

わろうとしているかのような寂寥感を与える。
 楽しかった時間というのは実にあっという間に過ぎてしまう。商店街ではゲーセンと買い物だけでそんなに回った気がしないのに、ふと気がついた時には夕方になっていた。
「もう夕方だね。とっても楽しかったよ」
 夕焼けの商店街を見つめながら、小さな声でまいが言う。さっきまでの時間を、思い出を、噛み締めるかのように。
「ああ。まだ時間は90分くらいなら大丈夫だろうけど、どうする?」
 もう、二人の手は繋がってはいない。ゆっくりと、俺たちは商店街の出口へと自然に足を向けている。
「ゆーいちの予定だとどうなってたの?」
「ん? ああ、商店街の向こうにある公園だな。噴水がすっごく綺麗なんだ」
 前に教えてもらったあの公園。デートの締めは、そこでゆっくりとした時間を過ごす予定だった。
「じゃあ、そこに行きたい。その噴水見てみたいし、やっぱりデートの締めは夜の公園だもん」
 どこで得た知識だ。
「分かった。それじゃ、またちょっと歩くぞ」
「うんっ」
 あまりのんびりしている時間はない。まいがついてこれる速さで、かつなるべく早足で公園への道をたどる。
 商店街から離れるにつれて、人通りは減り、代わりに地面に積もった雪の量が増えていく。
 転倒した街灯が街路樹に積もった雪を照らし出す。飾りこそないが、それは道路の両脇一面に植えられたクリスマスツリーのようだ。
 人ごみを歩き回って火照った体に、相変わらず振り続ける小雪が妙に心地よい。
 やがて街路樹の並木道は終わりを告げ、道の果てには小さな公園がその姿を現した。
426das liebliche Weihnachten 16/20:04/01/08 03:27 ID:QXcoP+zs
「ほら、着いたぞ」
「うわぁっ……」
 まいが、喜びか驚きか分からない歓声を上げる。
 クリスマスで賑わっていた街中などどこ吹く風で、この空間はいつもと変わらない姿で俺たちを迎えてくれた。
 風がざわざわと気を揺らす音に混じって、ザアァァァァァ……という噴水の音だけがこの世界で俺たちの耳に届く。
 公園の中心に据えられた噴水はライトアップされ、吹き上げる水の中にゆらゆらと煌きを浮かび上がらせている。
 人がほとんど訪れないのか、地面にもそこらのベンチにもほとんど荒らされていない雪が厚く積もっている。
「もうちょっと賑やかな方がよかったか?」
「ううん、そんなことないよ。とても綺麗で、とても静かで……とても、いいところだと思う」
 ここを初めて訪れたまいは、どうやらここが気に入った様子であたりをキョロキョロと見回していた。
「とりあえず、そこのベンチに座ろう。今雪を払うから、ちょっと待ってろ」
「うん」
 手袋をつけて、ベンチのうえに厚く積もった雪を払う。どちらかというとサラサラした感触のその雪は、さっと一撫でするだけでベンチ

の上から舞い散ってゆく。
 二人が座れるだけのスペースは簡単に確保できた。
 まず俺が。そして俺が手招きしたところにまいが小走りでとてとてとやって来て、ちょこんと座る。
 そのまましばらく。
 お互いに言葉を交わすでもなく、お互いに視線を向けるでもなく。
 俺たちは慎ましやかに光りながら水を噴出す噴水の方を眺めていた。
 でも、この沈黙は苦痛じゃない。話題がないわけじゃない。
 話したいことはいっぱいあった。今日だけで、たくさんできた。でも、今だけは言葉は要らない。この時間だけは、こうして二人で過ご

したい。
 最後くらいいいだろう、こんなゆっくりとした時間も。
 噴出され、やがて重力に逆らえず落ちてゆく水しぶきを。目の前をひらひらと舞っていく雪を。冷たい夜の風を運んでくる風を眺める。
 隣にいる大切な人と一緒に、ただぼんやりとそれだけをしながら、時間の波の上を漂う。
 いいじゃないか。それもまた、クリスマスの思い出だ。
427das liebliche Weihnachten 17/20:04/01/08 03:29 ID:QXcoP+zs
 ……とはいえ、だいぶ気温も下がってきた。
 いつまでもまいを夜風に晒す訳にもいかないだろう。


「寒くないか、まい?」
 俺の横で、俺と同じようにずっと座っていたまいに声をかける。
「うん、大丈夫」
 元気そうな声だった。とくに退屈していたわけでもなさそうなので、ひとまずホッとした。
 さて、時間は大丈夫かな……
「……ゆーいち、今日はありがとう。とっても楽しかったよ。でも、ごめんね……」
 ふと、今度はまいが俺に話しかけてきた。しかし、なんでごめんねなんだ? 
「おいおい、俺は別にまいに謝られるような覚えは……」
「でも、本当は舞と一緒にデートする予定だったんでしょ? だから、あたしと一緒のクリスマスで、ゆーいちがもしつまらなかったら
 どうしよう、って……ちょっと気になっちゃった」
「………」
 俺は無言で、まいの帽子の上からやや強くまいの頭を撫でた。
「わわわ」
「なーに子供がそんなこと気にしてるんだよ。そんなこと今更言うんじゃないっつーの」
「むー、あたしは真剣なのに」
 怒るでもなく、かといって悲しんでるわけでもなく、敢えて言うなら戸惑っている、といった感じでまいが口を尖らせる。
「一緒にいてつまらないんなら、そもそもこんな時間までこんなとこにいないっての。
 そりゃ確かに最初の予定とは違ってたけど、舞は舞。ちびまいはちびまい。
 お前との初めてのデートは、舞のとはまた違った感じでとても楽しかったんだからな。だから、そんなこと言うなよ」
「……うん、ありがとう」 
 まいが柔らかく微笑んだ。その笑顔は、今日ずっと見せていた子供の無邪気な笑顔というよりは、舞の面影を思わせるちょっと大人の笑顔に見えた。
428das liebliche Weihnachten 18/20:04/01/08 03:33 ID:QXcoP+zs
「舞にはナイショだって言われてたんだけどね、ゆーいちとあたしのデートを考えたのは舞なの」
 ベンチに座ったままで、まいは今回のいきさつを話し始めた。
「佐祐理さんとの予定が入っちゃったから、代わりに?」
「ううん。舞はゆーいちとクリスマス過ごしたかったみたい。佐祐理に毎日からかわれてたし」
 『あははー、舞は祐一さんとクリスマスはどこに行くのかな?』と舞をからかっている佐祐理さんと、照れながらチョップで応戦している舞の姿が簡単に想像できた。
「でも、舞はある日あたしを呼び出して言ったの。
 『まい、今年のクリスマスはあなたにあげる。私は今年、あなたのおかげでずっと祐一と楽しい時間を貰うことができたから。
  ……だから、クリスマスには祐一の独占権をあなたにプレゼント』
 ……って」

 そうか。 
 舞は、あの日の嘘に縛られていたとはいえ、今までずっと1人ってわけじゃなかった。
 佐祐理さんと言う友達がいてくれたし、その気になれば商店街や佐祐理さんの家に遊びに行くことも出来た。
 たぶん去年のクリスマス、俺がいなくても佐祐理さんと二人で楽しく過ごせたのかもしれない。あの頃はまだ夜の校舎で戦っていたとはいえ、クリスマスに佐祐理さんの誘いを断るような奴じゃないだろう。
 でも、まいはずっと、一人っきりであの日の麦畑に捕われていた。
 友達はおろか、舞以外には自分を見てくれる人もいなかった。あの世界から、約束した麦畑から一歩も外の世界に出ることも出来なかった。
 考えてみれば、まいは舞以上に孤独な毎日を送って来ていたんだ。
 だから、舞はまいを俺に預けてくれた。
 自分だって俺とクリスマスを過ごしたいのに、まいに俺を譲ってくれた。まいに、一人じゃない、本当のクリスマスを過ごしてもらうた

めに。まいにも、失った時間を少しでも取り戻させるために。
 やっぱり、お前はいい奴だよ、舞。バカみたいにいいやつだよ。まあ、そんなお前だから俺も好きになったんだけどな。
 お前と2人っきりのクリスマスは、来年までお預けにしとこう。
 とりあえず今年は、この小さなお姫様と、とびっきり楽しいクリスマスを過ごせたから。
 帰ったら、今度は4人で楽しもうな。二人っきりのデートもいいけど、二人より四人のほうがもっと楽しいと思うから。
429das liebliche Weihnachten 19/20:04/01/08 03:35 ID:QXcoP+zs
「さて、これ以上冷えないうちに帰るか? そろそろ舞と佐祐理さんもアパートで待ってるころだろ」
 俺は立ち上がろうと、まず頭の雪を払った。
「あ、ちょっと待ってゆーいち」
 すると、まいが俺のコートの裾を掴んで引き止めた。
「どうした?」
「あ、あのね。帰る前に、あたしからゆーいちにクリスマスプレゼントあげたいんだ」
 ちょっと恥ずかしそうに、まいは顔を赤くして言った。
「え? まいが俺に?」
「う、うん。そ、その、今日はとっても楽しかったし、ゆーいちにはとてもお世話になったし、そのお礼」
「……分かった。でも、帰ってからじゃだめなのか?」
 こんなに一生懸命になってるまいを見ては、遠慮してはかえってまいに悪い。
 たとえどんなものでも、まいの気持ちが込められているんだろうから、ありがたく受け取ることにしよう。
 とはいえ、何もこんな暗い外で渡さなくても、帰ってから夕食の時に渡したほうが楽だと思うんだが。
「あ、あのね。舞と佐祐理がいるとこだと恥ずかしいから……今ここであげたいの」
 ああなるほど。なにかにつけてからかいのネタを探している佐祐理さんや、もう一人の自分の前で俺にプレゼント渡すのは確かにまいの

立場としては恥ずかしいのかもな。
「分かった。それじゃあ、ありがたくいただくぞ」
「うん、じゃあ、ちょっと目を瞑って。そのまま座っててね。目を開けちゃだめだよ?」
 なにやらもったいぶった渡し方だな。それに、プレゼントを受け取るために手を出さなくてもいいのか……

430das liebliche Weihnachten 20/20:04/01/08 03:38 ID:QXcoP+zs
 などと正直に目を瞑って考えていると、

 頬に一筋の風が当たったような気がして、

 そして次の瞬間、不意に、確かに俺の頬に何か温かいものが触れた。
 その感触は一瞬だったが、確かにそれは小さくて、柔らかくて、温かくて。その感触ははっきりと俺の頬に残っている。
 驚いて思わず目を開けると、目の前には、ベンチから降りてちょうど俺の顔の高さに立っていたまいがいた。
 両手を後ろ手で組んで、恥ずかしそうに顔を真っ赤にして俺の顔をじっと見ていた。
 まいのクリスマスプレゼントが何だったのか、ようやく俺は理解した。
 俺がどう反応していいか戸惑っていると、次の瞬間、子供らしい満面の笑みを浮かべながらまいは口を開いた。
「メリークリスマス、ゆーいち♪」
 天から舞い降りる白い雪は、俺たちのいる世界だけ、さっきまでよりも降る量を増しつつあるようだった。

 完
431 ◆fQpHTjfbmI :04/01/08 03:41 ID:QXcoP+zs
411-430
以上です。
432瞼の長森(1):04/01/08 03:45 ID:NSy6Epq4
今から投稿します。
11〜12レス程度になると思います。
なんつーか、反則スレスレなSSだと思います。なんせオリキャラしか出てきません。
そういうのが嫌な人には、申し訳ありません。どうかご注意のほどを。
433瞼の長森(2):04/01/08 03:47 ID:NSy6Epq4
「狂っている人間って、どういう状態の人間の事だと思う?」

 その日のYは、いきなりそんな話をふってきた。
いつものように、会社帰りに立ち寄った居酒屋でのことだ。
特に前置きらしい前置きもなく、いきなり不穏な切り出しだったが、Yの話はいつもこんなふうに始まる。
だから特に違和感も感じないまま、僕は話を合わせた。

「狂ってる……ねえ。『電波が俺に命令するんだ!』とか、そういう人間のことか?」
「確かにそういう人間は狂ってる、と言えるかな。他には?」
「他に? 他には……、だから、幻覚が見えたり幻聴を聞いたり。そういうのかな」
「……そうだよな、そういうのだよな」

 言ってから、Yはグビリとグラスのビールを飲んだあと、一息ついた。

―――なんだか、会話に不自然な間が空いた。
僕はじれったくなって、Yに話の続きを促した。

「……なぁY、こりゃ何の話なんだ? 変な映画でも見たのか」
「いや、実はこれ……真面目な話なんだよ」

 Yはそう言って、意味深げにニヤリと笑った。
だから僕も、ニヤリと笑って言ってやった。

「真面目な話? はは、知り合いが発狂でもしたのか?」
「知り合いじゃない。俺自身の話だ。つまり、どうも俺は狂ってるんじゃあないかって話だ」

「……は?」
434瞼の長森(3):04/01/08 03:48 ID:NSy6Epq4
「……このごろ、幻覚を見るんだ。……いいか、笑うなよ、ふふふ。
 ゲームの美少女キャラの幻覚なんだ。
 あれだよ。『ONE』の、『長森瑞佳』っていただろ。
 あれがな、あの子がな、くくくっ、現実に現れるんだ。
 数ヶ月前から、俺の前に、現実に、はっは、時々ちらちらと姿を見せるんだよ。
 ひひヒっ、こ、こりゃあ幻覚だろ? 狂ってるだろ? あはハハはハ」

「あはははー。……病院行っとけ、マジで」

 僕はできうる限りの白けた目つきと、思いっきりの冷ややかな声で、言ってやった。
とたんにYは、ピタリと奇妙な笑いを止めて、つまらなそうに口を尖らせた。

「おいおい、冷たい奴だな。せめてヒくとか恐怖の表情を見せるとか、それぐらいのリアクションしてくれよ」
「お前の演技は大げさすぎるんだ」
「そうか? 我ながら迫真の狂笑だと思ったんだが」
「わざとらしいんだよ。だいたいネタからして面白くないぞ。『長森』の幻覚をリアルで見るなんて、
 そんなキモオタの白昼夢のような話。……僕もお前も実際相当のオタクだけどさ。
 キチガイごっこの前フリとしては落第点だな。だらだらと長いよ」
「ん? いやいや、幻覚の話はマジだぜ」
「……え?」
435瞼の長森(4):04/01/08 03:50 ID:NSy6Epq4
「いやだから、最近『長森瑞佳』の幻覚を見るの。現実世界で長森瑞佳の姿を、見かけるのさ」
「……本気で言ってるのか?」
「本気本気。これは本当」
「……あの独特のいたるフェイスが、白昼の町中を闊歩してる姿を見るのか?」
「いやいや、さすがにそんなのは見ない。それっぽい人影を見るってだけさ」
「ま、待て。『それっぽい』ってなんだよ」
「『それっぽい』は『それっぽい』さ。長森の雰囲気をまとっている、とでも言うか。
 あー、たぶん……『あの』制服を着てるのかな。そんな雰囲気の人影さ。
 そういう人影が、ときおり視界に一瞬だけ、入るんだよ。
 何故かその一瞬だけで、直感してしまうんだ。
 『あ、今あそこに長森がいた』ってね。いかにも幻覚っぽいだろう?」

 Yはさらりと言ってのけた。
それゆえに、僕は今度こそ、本気でヒいた。
436瞼の長森(5):04/01/08 03:52 ID:NSy6Epq4
 というわけで、この日の酒の席は、嫌な意味で実に盛り上がった。
お前はビョーキだ心の風邪だ、すみやかにしかるべき病院に赴き、しかるべき医者にしかるべき処置をとってもらうべし。
そう主張する僕(当然だ)に対し、Yは奇妙な論理を振りかざして反論した。
すなわち―――

 精神病を精神病たらしめる、最大の特徴は、「現実との接点を失う」という異常である。
ひいてはその異常のために「社会が悩む、もしくは当人が悩む」という状態のことである。
Yの場合、社会は悩んでいない。彼は幻覚に対し、いたって冷静に対処することができているというのだ。
幻覚を幻覚として認識し、自己の内部で処理する。
つまり、「長森瑞佳」を見ても慌てず騒がず、誰にも言わず悟らせず。
表面上クールに無視することが、意識的にできるというのだ。
Yは半年ほど前からこの「長森」を見始めたそうだが、長年の友人にして同僚の僕自身、まったくYの変化に気がつかなかった。
それゆえ、この主張は説得力があった。
 では、当人……Y自身は悩んでいるのかというと、これがまったく悩んでいない。
こんな病状、オタクとして歓迎しないでどうする、と、はしゃいでいるのだ。
僕もYも、かつて「ONE」に大ハマリした口だった。
当時、二人とも「長森瑞佳」に萌え狂って、密かに語り合ったりもしたものだったが……。
437瞼の長森(6):04/01/08 03:54 ID:NSy6Epq4
「つまり、自分が異常だってことは認めるが、病院に行く必要を感じないし、行きたくもない。そう考えてるってわけ?」
「そうだ」
「その『長森』の存在を、ずっと感じていたい、と」
「そのとおり」
「……幻覚なんだろ? お前の知覚が生み出した、お前の脳内長森なんだろ?」
「おそらくそうだろう」
「それが現実世界に溢れてきたから、それを愛でて楽しみたいってか。オナニーここに極まれり、ってやつだな」
「いいじゃんオナニー。誰にも迷惑かけないぜ」
「……僕が迷惑してる。正直、キモいぞ」
「ははっ、逆に言えば、お前一人がキモがってれば、それで済む話なんだよ、これは」
「済むかっ!」
「済むさ。なんせ、この事態のことを人に話したのは、今日が始めてだ。お前だけだってことだよ」
「だからって、僕が誰にも喋らなかったら済む、って話でもないだろ。
 何かの拍子に、つい、お前が幻覚に呼びかけたりしないとも限らな―――」
「そうそう、それだ」
「え?」
「そういう危険―――つまり、異常が進行する可能性はある。俺は、序々に社会性を失っていったりするかもしれん」
「そ、そうだよ、それは在りうる。今は傍目には普通に見えても、いずれ―――」
「だ、か、ら、お前にこの幻覚症状のことを話したんだよ」
「? どういう意味だ?」

―――そして、話は妙なことになってしまった。
奴は、僕に、自分の「監視」を頼んできたのだ。
438瞼の長森(7):04/01/08 03:56 ID:NSy6Epq4
「俺も、自己の客観視には限界があると思っている。自分はいつもどおりのつもりでも、
 異常が進行したらどうなるかわからん。
 だから、な。これから先、俺の行動を、さりげなくでいいからチェックしていって欲しいんだ。
 そして、いよいよ俺の行動が怪しくなってきたら……、周囲に悪影響を与えるようなそぶりが出れば、
 そのときこそ、俺を病院に連れて行ってくれ」
「はぁっ!?」
「いや、虫の良すぎる頼みごとをしているのは、わかっている。でも、こんなこと、お前にしか頼めないんだ」
「ちょ、ちょっと待て。僕に、お前の病状が悪化するのを見守れって言ってるのか!?」
「いや、まだ悪化するって決まったわけじゃあない」
「似たようなモンだろっ! 悪化して、結局取り返しのつかないぐらいの
 キチガイなんかになってしまったりしたら、どうするっ!」
「かまわんよ」
「な……」

 思わず、言葉に詰まってしまった。
さすがにYも、自分が不穏すぎることを口走ってしまったことに気がついて、途端に狼狽した口調で弁解を始めた。

「あ、いや、かまわんというのはだな、何も狂っちまってもかまわんとか、そういう剣呑な意味じゃなくてだな。
 その、なんだ、長森とならば心中してもかまわんって意味で……、って、これじゃなおさら剣呑だな。
 あー、その、誤解してもらうと困るのだが、俺は破滅願望から、こんなことを頼んでるわけじゃあないわけで……」
439瞼の長森(8):04/01/08 03:58 ID:NSy6Epq4
その慌てた様子を見て、僕は逆に冷静になってしまった。

「落ち着け落ち着け」
「あ、ああ、すまん……。えー、おほん、その、だな。
 俺は、この事態はそんな致命的なものじゃない、そう感じるんだ。あくまで俺の直感で、だがな。
 ただ、念のため、万が一の事態には備えるべきだと思うんだよ。周囲の皆さんに、ご迷惑をかけないためにもな。
 それが社会人としての、最低限の礼儀ってモンだと―――」
「……つまり、僕は万一の時のための、保険だってことか。使われない火災報知機のような」
「そうそうっ! まさにそんな感じ。その程度に考えてくれたらいいんだよ」
「……」

 我ながら情けないことだとは思うが、僕はだんだんYの気持ちが分かるような気になってしまっていた。
思えばYも僕も、ずっと味気ない日常に生きてきたわけで。
ささいなアクセントぐらいなら、望むところがあるわけで。
……幻覚がささいかどうかには疑問が残るが、だがしかし。

「……長森、か」
「そーだ。なんといっても、俺が見てるのは長森なんだぞ?」
「……」
「お? お前今、長森ならしょうがないかなって思っただろ」
「……」

図星だった。
440瞼の長森(9):04/01/08 04:00 ID:NSy6Epq4
「くそ……わーかったよ。その役目、引き受けてやるよ」
「おおっ! 分かってくれたか! いや、こんな話、理解してくれるのも、頼みを聞いてくれるのも、
 最初からお前しかいないって思ってたんだ。いや、持つべきものは親友だなっ!
 サンキューサンキューっ!」
「……その代わり、チェックは厳しく行くからな。無断欠勤なんかしたら、即レッドカードを出してやる」
「おっけーおっけー、全然おっけー。ぶっちゃけ、俺この幻覚とうまく付き合っていく自信はあるんだぜ?」
「その根拠のなさが、不安なんだけど……。まあいいや。
 というか、僕に断られたらどうするつもりだったんだ?」
「どうもこうも。一種賭けだったね。まあ、お前は言いふらしたりはしない、ってことだけは確信してたから」
「……はぁー」
「よし! じゃあ、今日は俺のオゴリだっ! さー好きなだけ飲んでくれ!」

―――これが一ヶ月前の話である。
僕が、Yの奇妙でふざけた依頼を、引き受けることになってしまった経緯は、おおよそこのようなものだった。
そんなわけで、この一ヶ月、僕はそれとなくYを観察していたのであった。
441瞼の長森(10):04/01/08 04:01 ID:NSy6Epq4
―――彼は公約通り、いたって平常な生活を保っているように見えた。
時折、「そういや昨日、駅前で『長森』をみたよ」とか「また『長森』を見たんだけどね。やっぱり制服を着ているように思える」
などといった『現状報告』を、二人きりのときにだけ知らせてくるぐらいだった。
傍目には何も変わらない……いや、他の同僚なんかに言わせると、最近のYはむしろ「生き生きしている」ように見えたそうだ。
本人にそのことを告げると、「いや、まあ、なんか生きがいができたようなもんだし」などとふざけたことを言っていた。
こんなふうに、Yは幻覚とうまい具合に「付き合っている」ように、僕には見えたのだ。

 事態が変化したのは……、いや、変化していることが判明したのは、つい先ほどのことである。
この日、ささいなミスから残業をするはめになった僕が、家に帰り着いたのは日付が変わる寸前のことだった。
そんな僕を出迎えたのが、Yからの留守番電話だったのである。
以下、Yからの伝言をそのまま記す。

「……あー、もしもし。Yです。仕事の邪魔しちゃ悪いと思って、家のほうに電話させてもらった。
 緊急の連絡ってわけじゃないけど……まあ、お前には知らせておく必要があるって思って。
 察しはついてると思うが、『長森』のことだ。
 ちょっと興味深いことに、今日気付いた。というか、今日も『長森』を見かけたんだけどな。
 ……それで、ふと思い立って、『彼女』の現れた地点を、地図上でチェックしてみたんだ。
 ……結論からいうと、『彼女』は、非常にスローペースでだが、しだいに俺の家に近づいてきているように思える……。
 出現地点が、だんだん俺の家に近くなってきているってことだ。
 これは、この事態にひとつの方向性がある、ということを表しているように、俺には思える。
 このまま行くと、最終的には、彼女は俺の家、俺の部屋に現れる可能性も出てきた。
 まあ、これは極端な懸念だと思うけどね。……ははっ、『長森』と同棲ってことになってしまう。
 ……まぁ、そういうわけで、近いうちにまた相談したい。
 良ければ、明日あたり時間を空けておいてくれないかな。じゃ、そういうことで。おやすみ」
442瞼の長森(11):04/01/08 04:03 ID:NSy6Epq4
 このYの伝言を聞いたあと、僕がしたことは、Yにすぐさま折り返し電話をすることではなく。
よく分からない衝動に突き動かされるままに、この文章を書き上げたことだった。
書きあがった時にはすでに日付も変わっており、僕はYに折り返し電話をする機会も失してしまっていた。
それでも僕には、この文章を書き上げることのほうが重要に思えたのだ。
そう、この文章は保険だ。Yが「えいえん」送りになってしまう前に、Yの身に起こった事態を記録しておく必要が―――

いやいやいや。僕は何を書いているんだ?
Yが「えいえん」送り? 馬鹿な、それこそオタクの妄想だ。
そもそも何故いきなり、Yが「えいえん」に行ってしまうなんて思ったのだろうか。

―――そうだ。
今の今まで、不思議と「長森」と「えいえん」を結びつけるという発想が、まったく思いつかなかった。
「ONE」の根幹を成していると言ってもいい、「えいえん」の設定を、だ。
それが、Yの伝言を聞いて、いきなり電撃的に結びついたのだ。

「『えいえん』が近づいてきている」―――
そんなフレーズが、かなりの実感を伴って、いきなり頭をよぎったのだ。
だから―――

 いや、どうも僕も普通じゃない考え方をしているな。Yに感化されたか。
心配すべきはそんな非現実的な事態じゃあなく、Yの病状の行く末のほうだろう、この場合。
僕らはフィクションの世界の住人じゃあない。現実に生きなければいけないのだ。
とりあえずは明日だ。明日、Yと話をする機会を作ってみよう。
それだけを誓って、今日はもう寝る。
願わくば、この文章につまらないオチがつかんことを―――
                                       (了)
443瞼の長森(12):04/01/08 04:06 ID:NSy6Epq4
>>433-442
以上です。
せっかくのテーマ「なんでもあり」なので、HDに埋もれていた文章を、SSに仕立ててみました。
こういうのもアリですかね?
444 ◆x37FOGtDiI :04/01/08 04:09 ID:NSy6Epq4
>>432-443
以上です。
445 ◆RIKMZq64sA :04/01/08 06:41 ID:pyi2ndkN
ただ今から投稿します。全部で17レス予定です。
タイトルは「Birth」。ONEのお話です。
446Birth (1/17):04/01/08 06:43 ID:pyi2ndkN
「生まれてくる赤ん坊が、なんで泣き声をあげるのかって、知ってる?」
「えっ」
 彼女が虚を突かれたように、小さな驚嘆の声をあげた。
「赤ん坊。えぇっと、赤ちゃんとか、こどもとか呼ばれるんだけど」
「それは知ってる」
 ぼくの言葉がどこか気に入らなかったらしく、早口にそう言った。
「それじゃ、泣き声は?」
「それは、知らない」
 ぼくは、コホン、と軽い咳払いをすると彼女に説明をし始めた。
「怖いんだ」
「怖い?」
「今まで自分がいたその場所から、まったく見知らぬ場所へ生み出されるのが怖いんだ。だから抵抗する。
 『ぼくに何をするんだ』
 『ぼくをどこに連れていくんだ』
 『ぼくをここから出さないでくれ』
 って。
 持てるただ一つの手段──声、を使って抵抗するんだ」
「残酷、だね」
 ただぽつっと、彼女は呟く。
「その場所にたどり着くまで、いや彼自身が存在するようになるまで、本当に長い長い旅を彼は経ている。
 そしてようやく心を落ちつけられる場所に来て、また旅立たなければならないとしたら、それは本当に怖いことだと思うよ」
「だったら、生まれなければいいのに」
 その言葉は淡々と、そしてひどく冷たい感触を伴い発せられた。
「そんなに怖い思いをして、生まれることなんてしなければいいのに」
 彼女はくり返す。
447Birth (2/17):04/01/08 06:44 ID:pyi2ndkN
「それはね、本当は赤ん坊自身が生まれることを望んでいるからだよ」
「そんなことない。怖い思いまでして生まれることなんて望むわけないよ」
「怖いのは、一瞬」
「一瞬?」
「その一瞬の後に、彼は知ることになるんだ、今までの場所には無かったものを。
 例えば、光。まばゆいまでの光、ゆらめく光、包まれるような温かい光。
 それを知って彼は思うんだ、生まれて良かった、って。
 そして、また赤ん坊は泣くんだ」
「でも、そんなこと赤ん坊は知らない」
「そう、だから」
 ぼくは、理解できない、という彼女のため、ゆっくりと丁寧に話す。
「今までいた場所は過ぎ去りゆく世界、つまり経験であり、過去。
 これからゆく場所は来たるべき世界、つまり予感であり、未来。
 そして最後に、その未来を選ぶことで光を見つけることができるんだ」
 彼女は呆然とした表情で、ぼくのことを見つめる。
「分かった?」
「分からないよ」
 彼女は即答した。
「じゃあ、言いかえると」
448Birth (3/17):04/01/08 06:45 ID:pyi2ndkN
「違うっ!」
 突然の叫び声によって、ぼくの言葉が遮られる。
 その声の発したのは間違えなく彼女だった。
 ぼくに対して、彼女がこれほどまでに感情を出すことがあっただろうか。
「どうしたの?」
 ぼくはあくまで冷静に彼女に問いかける。
「なんで、なんで、あたしにそんなことを話すの?
 分からない、あたし、あなたが何を言いたいのか全然分からない」
 嘘だと思った。
 それは、願望でも、憶測でもなく、揺らぎようのない確信だ。
 彼女は知っている。
 ぼくが何を言いたいのか、何をしたいのか、そして何が起ころうとしているのか、全ての答えを。
 そうでなければ、
「どうして、涙を流しているの?」
 その言葉を聞き、たった今気づいたらしく、彼女は急いで両目をごしごしとこする。
 それでも、涙は止まりそうもない。
「ねぇ、答えは?」
「……」
「答えないのかい? だったら、ぼくが答えるよ」
 彼女は、さっきぼくの話を聞いて『残酷、だね』と言った。
「ぼくは、この世界から」
 残酷、それはまさに今のぼくにふさわしい言葉だ。
「生まれなければならないんだ」
 これから行うことは、きっと幾千の非難を浴びることになるだろう。
「もう、きみと一緒にいることはできないんだ」
 だけど、そこまで残酷にならなければできない。
「だから、みずか、ぼくは……」
 この世界に別れを告げ、
「……オレは、おまえを否定する」
 生まれることなんて、できるわけがない。
449Birth (4/17):04/01/08 06:47 ID:pyi2ndkN
 意外と平穏だった。ただし、平穏というのは『何もない』という意味で、だが。
 みずかの涙は止まっていた。もう流す涙も枯れたのか、突き付けられた現実にただとまどっているのか。
 目はただ大きく見開き、オレのことを凝視し、口はだらしなく開いていた。
 まさに、茫然自失を絵に描いたようだった。
「どうした、みずか。オレに否定されることがそんなにショックか」
 みずかは動かない。
「気持ちはよく分かるよ。おまえの存在意義に関わることだものな」
 わざと挑発気味の言葉を発する。あいつにいつまでもつき合っているわけにもいかない。
 でなければ、こっちの精神がおかしくなりそうだ。
 自分が存在している世界を否定するなんて、想像するだけで気がとおくなる。
「おい、オレに何か言葉は無いのか?」
 返事はない。いや、出来ないのかもしれない。

「既に言葉を失っている、か」
 オレの言葉に反応し、みずかは必死にオレに語りかける。しかし、
「……」
 オレは左右に首を振り、聞こえない、という意志を示す。
「カラクリは簡単だ。オレはおまえの存在を否定した。存在しえない者に言葉は必要か?」
 オレの言葉を聞いて一瞬あっけにとられていたが、その言葉の意味を理解したらしくみずかの身体が小刻みに震えだした。
「言葉だけじゃない、音も、光も、だ」
 みずかの体の震えがさらに増す。
450Birth (5/17):04/01/08 06:48 ID:pyi2ndkN
 自分で言っていて、本当にオレって嫌なヤツだと思う。
『こいつが世界を支配する魔王です』と紹介されたとしても、否定できない。
 実際のところ、みずかにとってオレは、この『平和な』世界と自身の存在を滅ぼそうという魔王なんだから。
 それならば、と、みずかに近づく。
「そんなわけでさ、とっととこの世界をあきらめてくれないかな、ちっちゃな『魔女』さま」
 みずかの肩をトントンと叩きながら、容赦ない言葉を浴びせる。『魔王』だから。
「……」
 みずかは恐る恐る、オレのいる方向に振り向く。
 なぁに? という言葉を唇の動きから読み取る。
 そして、その瞳はただオレの顔を映すのみだった。
「音と光も、か……」
 もはやそこにいるのは、不可思議な能力を操る超越者ではなく、目の前にある不可避な運命を
 恐れることしかできない非力な存在だった。

『残酷、だね』とみずかは言った。
 残酷、それはまさに今のオレにふさわしい言葉だ。
『自分が生み出したものだから、自分の都合でその存在を否定していいと、キミは思っているのかい?』
 と誰かは問うかもしれない。しかし、それは少し違う。
『自分が生み出したものだからこそ、自分でその存在を否定しなければならない』のだとオレは思う。
 でなければ、誰がこの罪を償うというんだ――この世界と、みずかを生み出した、という罪を。
 この世界の発端、つまり盟約は、この世界を強く望むオレの心から生まれた。
 ならば、この世界を終わらせるには、そのための新たな盟約を結ぶしかない。
『この世界を否定する』という盟約をだ。
 盟約は一人では結べない。必ず相手が必要だ。
 その相手とは間違いなく、みずか。オレだけでなく、彼女にこの世界を否定させるしかない。
 つまり、みずか自身の否定を、だ。
451Birth (6/17):04/01/08 06:52 ID:pyi2ndkN
 ふと、みずかの様子を見るために意識を戻す。
 がっくりと膝を地につき、前髪からひそかにのぞく目には生気がなく、うつろに地面を見つめている。
 その体は微動だにしない。
 みずかは、自己否定のスパイラルに陥っているのだと、感じた。
 あと一歩だ。

『この世界は何のために在るのだろう』
『この世界に何故あたしは在るのだろう』
『あたしは何のために在るのだろう』
『そもそも、あたしは何なのだろう』

 みずか、その答えは全て『無い』んだよ。
 この世界も、おまえも、在る理由なんて元々『無い』んだ。

 気持ちを伝えあう言葉も、
 ささやきを受け取る音も、
 輝きを知るための光も、

 お前にはもう『無い』んだから。
 この世界を知る術はおまえに残されていないんだから、在る理由なんて『無い』んだ。
 だから世界をあきらめろ。
 あきらめろ。
 あきらめろ。
 あきらめろ。
 あきらめろ。
 あきらめ……る、のか?
452Birth (7/17):04/01/08 06:54 ID:pyi2ndkN
 自らの言葉に異和感を覚えた。
 本当に、みずかはこの世界を諦めるのだろうか。
 言葉や、音や、光を失ったとして、諦めるのだろうか。
 オレは、それを否定しえる答えを持っているんじゃないだろうか。

 ……違う、違うっ! 何を考えているんだ、オレはっ!
 答えを持っているとか、いないとか、そんなことは関係ない。
 オレが今すべきこと、それは、この世界とみずかを否定すること
 なのに、それを肯定しようとするなんて、オレはどうかしちまっているよっ!
 しっかりしろ、自分。否定するんだ、強く否定するんだ。
 この世界を、みずかを、もっと強く。
 もっと……
453Birth (8/17):04/01/08 06:55 ID:pyi2ndkN
 ……強く否定をしなければならないのに、どうしてそれができない。
 いや分かっている、オレははっきりと分かっているんだ。
 みずかが世界をあきらめないということを。
 オレはすでに経験している。

 言葉が無くとも、思いを伝えようとした少女がいた。
 光を失っても、輝きを知ろうとした少女がいた。
 失敗ばかりでも、信じる夢を追い続ける少女がいた。
 少しずつでも、大人になろうと頑張り始めた少女がいた。
 ひとりきりでも、雨の中で待ちつづける少女がいた。
 それに、一番大事なあいつ。
 ずっとずっと長い間、オレのことを見守りつづけてくれて、
 オレという存在が無くなっても、まだそこに在ったことを覚えていてくれて、
 そしてまた、一緒に過ごせることを信じてくれているあいつがいる。

 誰も世界を諦めようとはしなかった。
 なのに、みずかは世界をあきらめるだろうか。
 全ての感覚を失ったとして、それであきらめるだろうか。
 オレに否定されて、それであきらめるだろうか。
 ……きっと、こんなこと認めちゃいけないんだ。でも、オレは認めるしかないんだ。
 だって、これは全てオレが望むべき世界で経験したことなんだから、今オレを結びつけている大切な思い出なんだから、否定なんてできない。
 だから……みずかが、この世界をあきらめることなんてないっ!
454Birth (9/17):04/01/08 06:56 ID:pyi2ndkN
「あなたは、やさしすぎる」
 ひどく懐かしさを覚える声がした。
「そのまま否定しつづけていれば、全てが終わったのに」
「まるで、人ごとのような言い方だな」
「本当にそう思うから」
 何も無かったように、みずかはしれっと言った。
「否定なんてできないよ」
「なぜ?」
「それがオレが望む世界で経験したことだから」
 みずかは、少し怪訝な表情を浮かべた。
「でもそれは過去の話。あたしはそうしないかもしれない」
「いや、そうするね」
「なぜ?」
「小指一本でも存在していれば、それを世界の端っこに掛けて、懸命にここに在ろうとする。
 ……少なくともオレだったらそうした。これは予感――つまり未来の話だ」
 みずかは、きょとんとした表情をした。
「何か、変なことを言ったか?」
「あなたは、やさしすぎる」
 みずかは、さっきの言葉をくり返した。
455Birth (10/17):04/01/08 06:57 ID:pyi2ndkN
「オレがやさしいかどうかは分からない。それは、おまえを否定できるだけの強い心を
 持ち合わせていないだけかもしれない。この世界を創り出した時のように、な」
 みずかを諭すように、オレは言葉を紡ぐ。
 そんなオレの言葉に、みずかは真剣に耳を傾ける。
「ただ一つだけ、確かなことがある」
「なに?」
「おまえが勝って、オレが負けたということだよ、みずか」
「あたしが、勝った?」
「そう。この世界はずっと変わらず在りつづけ、そしてオレもここに在りつづける、
 ということだ」
 みずかは一瞬あっけにとられた表情をしたが、次の瞬間には、ふふふ、と笑みをこぼした。
「負け犬の姿を見るのが、そんなに楽しいか?」
 微笑む魔女に対して、オレは精いっぱいの皮肉を返す。
「違う、違う、あたしがおかしいのは、あなたがとんでもない勘違いをしているから」
「オレが勘違いを?」
「そう。だって、勝ったのは、あたしじゃなくて……」
 みずかは人差し指をオレの顔に向け、宣言した。
「あなた、だから」
456Birth (11/17):04/01/08 07:00 ID:pyi2ndkN
 今度はオレがあっけにとられる番だった。
「オレが、勝った?」
 うん、と深くうなずくと、みずかは話を続けた。

「確かにあなたはあたしを否定することはできなかった。だけど、それよりももっと強い
 ――あたしが存在を取りもどすほど――の意志をもって、本当に望む世界をあなたは肯定した」
 確かに、とみずかの話にうなずくと、みずかは少し悲しそうな顔をして話を続けた。
「だから、分かったの。あたしが、この世界が、あなたにとってどういう存在なのか。
 分かった。心の底から分かった。揺らぎようのない確信として」
 オレの中である予感が芽生えた。それはオレにとって願ってもないことだ。
「生まれたかった。あなたを束縛する存在じゃなくて、あなたを支える存在として。
 ……最初はそうだったのかもしれないけど、今はもう違う」
 つまり、さっきまであれほど望み焦がれていたことが起ころうとしている。
「だから、あなたを支えるため、あたしが今できる唯一のことをする」
 だけど根本的な何かが違う。何か大事なことをオレは忘れていたはずなんだ……
「それは、それは……」
 みずかの目から大粒の涙が溢れだす。そして、

「さよなら」

 その瞬間、世界は否定された。
457Birth (12/17):04/01/08 07:02 ID:pyi2ndkN
 風がやむ。
 一面に生えそろう草や、遥か上空に浮かぶ雲の動きが制止する。

 歪む。
 整えられた造型物が、収縮、膨張、分裂、合成をくり返し、異形の存在へとその姿を変化させる。
 草も、木も、空も、雲も、節律などなく、混沌としながら歪む。
 ずっと変わらなかった歪みが、全てこの瞬間に表れたように、世界は狂いつづける。
 オレたち二人を残して。

 そして歪みきった存在は消える。
 音などしないが、全てが壊れやすいガラス細工だったことを思い出させるように、粉々に砕けちる。
 パリン、パリン、と音なき音が周位に響きわたる。
 その砕けた存在の残骸から、この世界の本質がのぞく。
 ――それは闇。つまり、何もない存在、ゼロ。
 崩解の協奏曲を奏でながら、世界は闇に侵食されていく。

 闇は、世界と共に、そこに存在するオレとみずかにも迫る。
 オレは、手や足を使って必死で闇を払いのけつづける。
 だが、みずかは何もしない。目を閉じたまま、静かにその闇に体を委ねようとしている。
 その闇を払おうと、オレはみずかに近づく。だが、体が前に進まない。
 気がつくと、オレの体が少しずつ後へ、何かの力によって引き寄せられている。
 その力の方向へ振り向く。侵食した闇の中に、微かにだが光が見える。
 その瞬間、オレは全てを理解した。

 生まれるんだ。
 この世界から別れを告げ、新たな世界へとオレは生まれるんだ。
 気のとおくなるぐらい待ちつづけた瞬間が、今やってきたんだ、と。
 ……だが何だろう、この心の奥に引っかかるものは。
458Birth (13/17):04/01/08 07:04 ID:pyi2ndkN
 ふと、みずかの方を振り向く。
 すでに腕や足を侵食し、闇はいよいよ胸から顔に向かおうとしていた。
 引き寄せようとする力に抵抗して、オレはみずかに近づこうとする。
 だが、力はしだいに強くなり、一歩たりとも動くことができなくなる。
 みずかを侵食する闇はもう胸に至り、顔へと伸びようとしている。

 ふいに体が宙に浮き、引き寄せる力はさらに強くなる。
 それならばと、オレは無我夢中で空中をこぎ出す。
 こんなことで前に進めるのはマンガの中ばかりか、と少し思ったが、
 引き寄せる力が強くなったとはいえ、四肢を全て使っているためなのか、
 歩いていたときよりもよく進む。

 みずかに近づく。
 闇は、みずかの体のほとんどを侵食し、残るは顔だけになっていた。
『みずかっ』とオレは叫ぶ。反応はない。
 手を伸ばし『みずか、手をつかめっ』と再度叫ぶ。
 つかむ手なんて存在しない、そう分かっていてもオレは叫びつづける。
459Birth (14/17):04/01/08 07:06 ID:pyi2ndkN
 ――いつ以来だろう、こんな気持ちになるのは。
 ふいに、悲しみが湧いてくる。どうしようもない無力感にさいなまれる。
 きっとこんなことをしても何の救いにもならないことが、分かりはじめたからだ。
 それでも、こうすることしかできない自分がとてもみじめに思えてきた。
 ……そうか。

 ――ようやく分かった。オレが忘れていた大事なもの。
 もう誰もオレのせいで失いたくないんだ、傷つけたくないんだ、救いたいんだ。
 みさおや、あいつのように、オレのせいで不幸にしたくないんだ。

 ――えいえんのせかい、なんてどうでもいい。盟約なんて、もう忘れた。
 今はただ、それとは独立した存在として、もう一度、もう一度だけみずかの笑顔を取り戻したかった。
 ただそれだけで、オレは救われるのだと、心の底から思った。

 ――もう逃げたりしないから。もうこんな悲しい世界は望まないから、
 ただ一度だけでいい、オレにみずかの笑顔を見させてくれよっ。
460Birth (15/17):04/01/08 07:08 ID:pyi2ndkN
 ……息をのんだ。
 闇に浮かぶ顔だけのみずかと、目がパチリと合った。
 そこだけを見ると、いつもと変わらないみずかがいた。
 やがて、みずかは口唇をゆっくりと動かしはじめた。

『――あなたは、やさしすぎる。
 やさしいからみんなに手を差しのべて、そして傷つく。
 だけど、誰もを救える完全な存在なんてない。
 そう、あなたにとってのあたしのように。
 だから、もう自分を責めない、で――』

 ふと全身の力が抜け、意識がとおくなる。もはや抗う力が無い体は、引き寄せられるままになる。
 最後の意識をふりしぼり、みずかのいた場所を見つめる。
 そこにはもう、闇しか残っていなかった。
 でもオレは確かに見たんだ、最後のみずかの表情を――それは、これ以上ない満面の笑みだった。
 それが頭をよぎった瞬間、まばゆい光がオレの体を包みこんだ。
461Birth (16/17):04/01/08 07:09 ID:pyi2ndkN
「……ん」
 鳥のさえずる声で意識を取りもどす。
 目を開けようとするが、あまりの眩しさに反射的に目を閉じる。
 そして、またゆっくりと目を開ける。
 まず、樹々の合い間からきれいな青空が見える。
 両手が届く範囲には、背の短い草々が生え揃ってことが分かる。
 上体を起こし、周囲を監察する。
 周りは多くの樹々に囲まれ、オレがいる場所だけ小さな広場になっているようだ。
 と、ここまで来て、この風景に見覚えがあることに気づく。
 ――あの日、オレがこの世界から消える日、長森に膝枕をしてもらい、最後の時間を過ごした場所だった。
「長森……」
 あいつの顔が頭に浮かぶ。
 様々な表情、色々な出来事、それらひとつひとつが昨日のことのように思い出せる。
「会いに、行かなきゃな……」
 そう、そのためにオレはここに戻ってきたんだ。
 会って、また最初からはじめるために。
「でも……」
 オレは知らなかった。
462Birth (17/17):04/01/08 07:11 ID:pyi2ndkN
『赤ん坊は泣き声をあげる。
 はじめは生み出される恐怖から。
 次は生み出されるよろこびから。
 赤ん坊は泣き声をあげる』

 確かにオレはそう聞いた。だけど、
「こんなに……こんなにも、生まれることが苦しいなんて、知らなかった……」

 この苦しみの始まりはどこだったのか。
 オレがこの世に生まれたときなのか。
 みさおがいなくなって、オレが『えいえん』を生み出したときなのか。
 オレが『えいえん』から生み出されたときなのか。
 いくつもの可能性が頭の中で浮かんでは消えて、浮かんでは消えて、最後に、

『だから、もう自分を責めない、で――』

 という言葉に辿り着いたとき、オレは声をあげて、泣いた。
463 ◆RIKMZq64sA :04/01/08 07:12 ID:pyi2ndkN
>>446-462
以上、「Birth」でした。
464名無しさんだよもん:04/01/08 07:41 ID:2ANQ4u95
ぴったりかんかんのタイミングで書き上がりました。
これから投稿します。
タイトルは"Deep in Myself"
須磨寺雪緒です。後半から少々エロ。さらにそのあとファンタジー(w
465名無しさんだよもん:04/01/08 07:42 ID:2ANQ4u95
幼いころは夕暮れ時が好きだった。
茜色の大きな太陽が西の山に沈んでゆくのや、紅色に彩られた街並みが薄青に暮れてゆくのを、わたしはなにか壮大なドラマのワンシーンを見るような気分で眺めたものだ。

もっと幼いころは、夕暮れ時が嫌いだったような気がする。
友達と別れた帰り道。自宅までの孤独な道のりが寂しかった。
わたしを包み込む静寂がまるで魔物の肌か何かのようで、涙をこらえながら家路を急いだものだ。

今のわたしは、わたしの心は……。

夕暮れを見ても何も感じなくなったのは、いつからだろう。

幾重にも守られた、からっぽのわたしの心。
一切の現実感から隔離されて、平穏で退屈で、でもいつか終わりが訪れることを知っていて。
人が見れば変人だと言うかもしれない。あるいは狂人だと言うかもしれない。
けれど、そのような非難に何の意味があるだろう。
その心の持ちぬしはわたしであって、他の誰でもないのだから……。
466名無しさんだよもん:04/01/08 07:43 ID:2ANQ4u95
「先輩、今日も、あの曲を弾いてくれませんか〜」

恵美梨ちゃんは、彼女に暇のあるときはいつも、わたしのギターを聴きにくる。
どこに興味を持っているのかは知らないけれど、別に邪魔になるわけではないから、しばしば彼女のリクエストにもつきあっている。

「この曲で良かったかしら?」

わたしはフレットに指を滑らせる。右手で出だしの何音かを弾いてみると、恵美梨ちゃんは、「そうそう、これです!」というように頷く。

「はぁ……いい曲ですね〜。やっぱり先輩は上手ですよね〜。」

彼女の物言いはいつもストレートで、時に私を困惑させる。
彼女がいいというこの曲は、わたしにとってはとうに聴き慣れたメロディで、いまさら何の感慨を呼び起こすものでもないから。

それに、この曲を弾いているのは、正確にはわたしではない。
わたしはただ、頭をからっぽにして、指の動きに委ねているだけだ。
そこに一切の感情は介在していない。

わたしが返した社交辞令の微笑みは、しかし、彼女にとって別の印象を与えるものであったらしく、

「先輩、1つ質問していいですか? 先輩はどうしてそんなに上品できれいなんですか?」

と、目を輝かせたりするのだ。
467名無しさんだよもん:04/01/08 07:44 ID:2ANQ4u95
「先輩って、どこか人間っぽくないというか、まるで空から降りてきた天使みたい……」

しかし、その言葉にも、わたしは社交辞令で返さざるを得ない。
――わたしには、人間らしい感情がないの。
そのようなことを口にできるものではないから。

「……ありがとう」

ふと、思い出す。
「そのようなこと」を伝えてしまった相手のことを。


恵美梨ちゃんが帰ると、夕暮れの教室はまた静かになった。
部活動中の生徒たちの掛け声がどこか遠くでざわめいているほかは、音を立てるものは何一つない。
傾いた日差しが、黒板や机に赤と黒のまだらな筋を何本も描いて、まるで一枚の写真を見ているようだ、と思った。

その中で、わたしはギターを弾く。
無意識のうちに動く指が誰のものでもない音を奏で、奏でられた音も夕暮れの風景に溶けてゆく。
何も考えない。何も感じない。
私自身が楽器になってしまったような感覚。
ぴったりと閉じた風景世界。
468名無しさんだよもん:04/01/08 07:44 ID:2ANQ4u95
そんな状態にあるときのわたしの耳はとても敏感だから、その人が聞き耳を立てているのはすぐに分かった。

「木田くん……?」
「どうして、俺だってわかったんだ?」

目を丸くした木田君が、教室に入ってくる。
彼も驚いていたけれど、わたしも少し驚いていた。
まさか、木田君がやってくるとは思わなかったから。

わたしと木田君の関係って、バイト先が同じということと、屋上でよく会うということと、一度セックスをしたということだけだ。
どれをとっても、わたしの演奏をわざわざ聴きにくるような重要な関係ではないように思える。

――そう思ってるのは、わたしだけなのかな。

自分と他人との感覚のズレは重々承知していたから。

「聴きに来たの? それとも用事?」

いちおう、礼儀として尋ねてみたけれど。

「いや……」
「そう……」

それきり、わずかの間だけ他者に向けられていたわたしの関心は、風景世界に戻る。
469名無しさんだよもん:04/01/08 07:45 ID:2ANQ4u95
びっくりしたのは、この風景世界において、木田君の存在が周囲に何の変化も及ぼさないということだ。
恵美梨ちゃんならこうはいかない。
例えば目を閉じたとしても、彼女が椅子に腰かけ直す音や、メロディに合わせてハミングする音なのが、純粋な風景世界を失わせるからだ。
恵美梨ちゃんは彼女自身の確固たる世界を持っている。
その世界はわたしの世界の常に外側にあって、お互い決して融合することはないのだ。

けれど、木田君はどうだろう。
まるで自身の世界を持っていないかのように、やすやすとわたしの世界に入ってきて、しかもわたしの世界を揺るがさないのだ。
不思議な人だ。

最初は、わたしと同じように、心を失った人間かと思った。
それは、間違いだったようだ。
その証拠に、わたしの不用意な言葉が、彼を深く混乱させてしまったらしい。
彼は、普通の人間がそうであるように、死の影を恐れる人だったのだ。

「死ぬのはやめてくれないか……」

傷ついた雛が親鳥に救いを求めるような眼差しを、木田君はわたしに向ける。
その眼差しは弱弱しく、痛々しく、感情を失ったわたしの心さえも揺さぶろうとする。
けれど、彼の願いをかなえるのは無理なこと。
わたしの心の支配権は、すでにわたしの制御できるところにはないのだ。
壊れる日が来ると分かっていても、止めようがないのだ。

「だから、約束できない……」

わたしの答えに、木田君はがっくりとうなだれる。
470名無しさんだよもん:04/01/08 07:47 ID:2ANQ4u95
いつしかギターから奏でられるメロディも尽きて、また沈黙の時間が過ぎる。

わたしが死なない可能性といえば、
わたしの心が壊れるより先に、心の支配権を奪うしかないのだろう。
――誰が?

木田君にその可能性を期待していいかしら、と心のうちでつぶやく。


そのまま無為な時間が過ぎ、そろそろ帰り支度をしようと、わたしが立ち上がったときだった。
突如弾かれたように立ち上がった木田君の手がわたしの肩をつかまえた……と思った瞬間、わたしは机に押し倒されていた。
かすかにあげた悲鳴は、机同士が派手にぶつかる音にかき消された。

目の前に、そこに木田君の顔があった。
ひどく怯えたような、混乱したような表情をしている。

「ここで……するの……?」

わたしが尋ねると、

「いや……ごめん」

と、彼は離れた。
471名無しさんだよもん:04/01/08 07:48 ID:2ANQ4u95
「びっくりさせたらどうなるかと思った」

わたしから目を背けるようにして、彼は下を向く。

「ちょっとびっくりしたわ。でも、それだけ。なにも変わらない。
わたしの心は失くなってしまったんだから」

「そうか……そうだよな……」

この人は何を考えているのだろう、とわたしは疑問に思う。
どこか彼自身の安住していたはずの世界から、なぜわざわざわたしの傍らにやってきて、不安に怯えるのだろう。わたしに何を求めようとするのだろう。
あなたを不安にさせてしまったのは他ならないわたし自身で、そのことは悪かったと思っているけれど、だからといって、その不安を癒すことなどわたしにできるわけもないのに。

可愛そうな迷い鳥。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
あなたのために、わたしがしてあげられることと言えば。

「……しないの?」

体を開いて誘うことくらい。
472名無しさんだよもん:04/01/08 07:48 ID:2ANQ4u95
陽が落ち、世界が急激に静けさを増した。
運動場で騒いでいた生徒たちの声も、すっかり聞こえなくなった。
そんな教室の片隅。

木田君の指がわたしの服を脱がせてゆく。
セーターをまくり上げ、ブラウスのボタンを外してゆく。
ぷちぷち、とボタンの外れる音。

その様子を見守りながら、どこか冷静に落ち着いている自分を不思議に思う。
これから起こることへの期待がないわけではない。
むしろ大いに期待しているといっていい。
このあいだは、自分でも信じられないくらいの絶頂感を味わった。
わたしは、荒れ狂うような快感の海の中で、わたしの心を守っている壁が粉々に解体されるのを感じた。
あの感覚をもう一度。
上手くいけば、そこにわたしの心の支配権を取り戻すチャンスがあるかもしれない。

「ひゃんっ」

いきなり乳房に手をかけられ、わたしの上半身がぴくりと震える。
指に押しつぶされた部分から体の各部へ向けて、鈍い快感がじんわりと広がってゆく。
その一部はわたしの脳にも届いて性欲をくすぐる。
473名無しさんだよもん:04/01/08 07:52 ID:2ANQ4u95
わたしの目は、木田君の目と合った。
催促されるように唇を差し出す。

「んむ……」

お互いの舌が触れる。唾液が混じり合って喉に流れる。
快感とも嫌悪感ともつかないものが、一緒に流れてゆく。
本当のところ、キスのやり方は、まだ、よく分からない。

舌で木田君の歯並びをつついてみる。
扉をノックするように、軽く。
呼び出されたように、木田君の舌がわたしを迎える。
先端が絡め取られ、表側から裏側まで、ずるりと舐められる。
歯茎の裏手を伝って、くすぐるような刺激が生まれる。

胸の膨らみの頂に、木田君の指が触れる。
最初はそっと触れるように、ついで押し込むように激しく。
ふたつの膨らみから、また新しい刺激が生みだされる。
それは丘を下って全身を駆け、わたしの体をのけぞらせる。

「む……んむぅ……」

喘ぎの声は木田君の唇にふさぎ止められて、くぐもったような響きを立てる。
その卑猥な響きが、羞恥心をかきみだす。
心情を読んだかのように、胸への愛撫が一層激しさを増す。
わたしは肩を振って、刺激から逃れようと試みる。
肩の下で、古い金属製の机が軋んだ音を立てる。
474名無しさんだよもん:04/01/08 07:54 ID:2ANQ4u95
「あまり大きな音を立てるなよ」

木田君が苦笑いの表情で言う。誰か来るかもしれない、と付け加えた。
――わたしは見られたとしても、何も感じない。むしろ困るのは、あなたのほうじゃないの?
変なことを考える余裕が、まだあった。

木田君の唇は胸に移った。
すでに充分に勃起している乳首を味わい、さらにわたしのあまり大きくない乳房の全体に唾液を擦り込もうとするかのように舌を這わせる。
左右交互に、何度も何度も貪るような舌が往復する。
小刻みな快感が、生まれては消え、生まれては消える。

さっきまでとはまた違った、ゆるやかな刺激。

さざなみにたゆたうような感覚の中で、わたしの心の防壁が少しずつ剥がれてゆくのが分かる。
着飾った理性をはらはらと脱ぎ捨てて、本能のままのわたしが次第に姿をあらわしてくる。
もうしばらくすれば、わたしは木田君の腕の中で、淫らに腰を振る一匹の雌になるだろう。
もって生まれた女の本能。誰もそれを否定することなどできない。
わたしは溺れる。溺れたい。彼の舌に。彼の指に。
475名無しさんだよもん:04/01/08 07:54 ID:2ANQ4u95
けれど。
けれどけれどけれど。
そんな本能のわたしすらも、本当のわたしではないのだ。

心を失くしたからっぽのわたしの、一番大事な部分は、快感すらも届かない奥底で、絶望にも似た諦観を抱いたまま、行為の一部始終を眺めている……。


「須磨寺!」

木田君のわたしを呼ぶ声で我に返った。
どうしたの、と見れば、下着に指をかけた状態の木田君が、困惑の表情を浮かべている。

「あ、ごめんなさい……」

何に対して謝っているのか、わたしは腰を浮かせて、パンティがその膨らんだ部分を通り抜けられるようにしようと試みる。

……が、重要なことを忘れていた。
いまのわたしは、両足のつかない状態で机の上に仰向けになっているため、腰に力が入らないのだ。
これでは、自力は無理だ。

「あの……足、持ち上げてくれる?」

木田君にお願いすると、彼はうなずいて、腕をわたしの膝に掛けた。
そのままゆっくりと上方へ倒されると、ちょうど木田君の目の前で両足を上げた格好になる。
今、わたしのあそこは彼の目線から、薄い布切れ一枚で守られた状態になっている。
これはかなり恥ずかしい、と思う。
476名無しさんだよもん:04/01/08 07:55 ID:2ANQ4u95
その布切れも、
――するるっ
あっさりと引き抜かれる。

もはや守るもののない性器が、彼の目の前にあらわになる。
すぼまった内部への入り口に、彼の視線を感じる。
顔が、いや体全部が紅潮するような感覚。
性器全体が恥ずかしいほど火照って、閉じた割れ目の間から、潤滑液がジワリとにじみ出る。

――そんなに見ないで……

声にこそ出さないものの、すでに頭の中は羞恥心で一杯だ。

不意に、木田君の舌を割れ目に感じる。
閉じた部分をこじ開けられ、にじみ出した潤滑液をさらに分泌させようとするかのように吸い立てられる。

「ああんっ!」

思わず声を上げていた。
断続的にせり上げるような快感が、わたしの下半身を支配する。
木田君の舌が舐めて行ったところから刺激の源が生まれ、まるで意志を持って枝を伸ばすように広がってゆく。
もはや正常な思考はほとんど失われていた。
無意識のうちに本能が腰を振りたてることを命じ、わたしの体はさらなる快感を貪ろうと喘ぎ、震える。

もう止められない。止まらない。
477名無しさんだよもん:04/01/08 07:56 ID:2ANQ4u95
体中を圧するようなうねりの中で、

「! イクっ! やぁぁーーーーっ!」

クリトリスを吸い上げられて、わたしはイッた。


白い火花が飛んで、目の前が極色に輝く。
同時に、ばらばらと世界が壊れるような錯覚。

今度こそ、わたしの心の外壁が残らず崩れ去る。

「はぁはぁ……はぁ……」

徐々に穏やかになる呼吸と裏腹に、わたしの意識はゆっくりと解放されてゆく。
理性と本能に縛られた「須磨寺雪緒」から、何者にも縛られない、何者にも影響されない、生まれたままの「わたし」へと。

しがらみが全部崩れ去って見通しの良くなった心の世界。
その中を、わたしの意識はゆらゆらと漂う。
いつか、置き忘れた探し物をするために。

予感がした。
478名無しさんだよもん:04/01/08 07:56 ID:2ANQ4u95
それは、予感通り、心の一番奥底に眠っていた。
――久しぶりね。
そこにいるのは、縮こまって泣いている「わたし」。
いつか遠い昔、心の奥底に閉じ込めた、感情を持ったわたし。

――あなたが、今でもわたしの心を支配しているの?
返事はもちろん――イエス。

――今までごめんね。寂しかったろうね。
自分で自分を慰めるのも変な話だけれど。

そこで、わたしの意識は途方に暮れる。
「わたし」をすっぽり包み込んでいる防壁は、何年もの間に分厚く堅く堆積していて、わたしの力では、どうしようもできないのだ。

そのとき、わたしの体の芯に圧力がかかったかと思うと、かたくて大きいものが入り込んでくる感覚がした。
援軍だ、とすぐに思った。
挿入の瞬間に感じたかすかな痛みは、圧倒的な喜びによってかき消された。

木田君が入ってくる。
狭い道をゆっくりと押し広げながら、わたしの体の一番奥を目指している。
479名無しさんだよもん:04/01/08 07:58 ID:2ANQ4u95
――来て。わたしの意識のところまで来て。

応えるように、木田君が入ってくる。
1ミリ進むごとに、擦られる膣壁から喜びの渦が巻き起こってわたしの体を包んでゆく。

――わたしの意識はここ。ここにいるよ……。

ついに物理的な深奥に達したペニスが、ゆっくりと、わたしの中を動く。
時に激しく、時に緩やかに、木田君の熱さと力が、快感の波に乗って運ばれる。
それは見えないエネルギーとなって、わたしの心の奥底に眠る「わたし」のもとへ飛んでゆく。
次々と防壁に当たって、それを破壊するための衝撃を与える。

けれど。
けれどけれどけれど。

――やっぱりだめなの……?

快感すら通さない、堅くて冷たい膜は、木田君のエネルギーをすべて打ち消して、その中で眠る「わたし」のもとへは決して到達させない。

――もう少し、もう少しなのに。

次々と木田君のエネルギーが届けられるものの、やはり、わたしの心の壁はびくともしない。
なにもできないままに、ただ、時間だけが過ぎてゆく。

不意に、木田君のリズムが変わる。
ペニスが激しく脈動する。
膣壁に伝わる、噴射の予兆。
480名無しさんだよもん:04/01/08 07:58 ID:2ANQ4u95
――やだ、やだ、やだ、まだイッちゃヤダーーーっ!

わたしの意識は、わがままな子供のように首を振って喚く。
けれどそんなもの、現実の前には何の力もなくて。

ドクッ、ドク、ドク、ドク……。

男の所有する粘性の白濁液が膣の一番深いところに打ちつけられる感触を、わたしは奇妙な現実感をもって受け止める……。

ずるり、とわたしの中からペニスが引き抜かれる……。


ゆっくりと元の位置へ帰ってゆくすべての存在。
つかの間の興奮はすぐに色あせ、ふたたび平穏で退屈な空間がわたしの周りに形作られる。

絶望にも似た感情が、わたしの心を横切って去る。
結局、セックスで何も変わったりはしないのだ、と。
わたしは、いつもの空間へ帰るしかないのだ、と。


別れ際、木田君と悲しげな目線が合う。
わたし達は、それぞれ深い傷を抱えたままで。

「じゃあ、な。おまえも気をつけて帰れよ」

夕暮れの闇へ去ってゆく木田君を眺めながら、わたしは、あの人はどこへ帰ってゆくのだろう、と柄でもないことを考えた。
481名無しさんだよもん:04/01/08 08:00 ID:2ANQ4u95
以上、>>465-480
"Deep in Myself"
でした。
ギリギリになって申し訳ありません。
482 ◆2tK.Ocgon2 :04/01/08 08:04 ID:AgeUDNbn
延長希望の方はございませんでしょうか〜〜?
483359:04/01/08 08:17 ID:YxeCVN22
すみません。今、別板で落としてます。もう少し時間がほしいです。
484 ◆2tK.Ocgon2 :04/01/08 08:23 ID:AgeUDNbn
うぃうぃ。慌てずごゆっくりどうぞです。
485359:04/01/08 08:50 ID:YxeCVN22
甘い考えだったかな。あちらの規制に引っ掛かったようです。とは言え、今更こちらに投稿するわけのも行かないという悪循環。
◆2tK.Ocgon2氏もお忙しいと思いますので、終了宣言だしてください。
規制緩和したら、あとでコソーリこちらにリンク張り付けます。

Kanonオリジナルもののダーク不幸。
あまりに恥ずかしすぎるジャンルだから向こうに落としたのに、晒し首だな……。
486 ◆2tK.Ocgon2 :04/01/08 09:08 ID:AgeUDNbn
>485
それはそれは……。
( ;´Д`)ノ(´・ω・`) ナデナデ

ちなみに、補助掲示板の管理は前進行役HMX氏に続けてもらってますんで、
もしなにかありましたら、彼女のほうへ連絡されるとよろしいかと思います。

では、終了宣言〜〜。
487 ◆2tK.Ocgon2 :04/01/08 09:09 ID:AgeUDNbn
【告知】

ただ今をもって、投稿期間を終了させていただきます。
参加された書き手の皆様、どうもご苦労さまでした。

それでは、これから感想期間に入ります。
投稿された SS について感想、討論などをご自由に行ってください。
期限は 1 月 19 日の午前 8:00 までとさせていただきます。
*記念企画のため、期間延長しております。

488 ◆2tK.Ocgon2 :04/01/08 09:11 ID:AgeUDNbn
以下が、今回投稿された作品一覧です。

>>274-280 あなたを想いたい(マルチ)
>>284-320 天使が消えない(恵美梨)
>>331-349 今宵、この月明かりの下で君と(サクヤ)
>>353-354 祐一・美汐夫妻の『KINGFISHER GIRL』(美汐)
>>361 探し物(?)
>>366-371 終わりの世界(雫&うたわれ)
>>374-377 姫始め(あかり)
>>385-397 Unoriginal sin(舞、佐祐理)
>>401-408 メイドロボSとM(綾香、セリオ、マルチ)
>>411-430 das liebliche Weihnachten(舞、佐祐理)
489 ◆2tK.Ocgon2 :04/01/08 09:12 ID:AgeUDNbn
>>433-443 瞼の長森(ONE、オリキャラ)
>>446-462 Birth(ONE、みずか)
>>465-480 Deep in Myself(雪緒)


なお、今回投稿された作品一覧は
http://sscompe.tripod.co.jp/ (転送アドレス)
http://sscompe.at.infoseek.co.jp/ss/21/index.html
から見ることができます。
490359:04/01/08 09:57 ID:YxeCVN22
パート11に続きを書けるかと思ってみましたが、駄目みたいですね。
夕方頃までに書き込めなかったら、今回は辞退します。補助板の方の削除依頼も出そうと思います。

徹夜明けで今から仕事か。職場で自由に使えるPCがあったらな……。
迷惑orスレ汚し本当にすみません<皆様方
491 ◆HMX73059.I :04/01/08 11:49 ID:gYjhuRkA
>>490
設定変更してみました。お試し下さい。
492名無しさんだよもん:04/01/08 15:28 ID:hWE0o/w5
>>486
気になったこと――
 ……彼女?
493名無しさんだよもん:04/01/08 15:41 ID:/6Dm1yC9
女性だったのか!?
俺も初めて知った……。

ところで、SS一覧のdas liebliche Weihnachtenは、メインは(舞、佐祐理)
というよりは(まい)じゃないかな?
494名無しさんだよもん:04/01/08 17:36 ID:7zH2Cr3n
>>486
む、葉鍵に女性とな?
SS以外についてもあんな事やこんな事も連絡してよかですか?
495名無しさんだよもん:04/01/08 19:35 ID:J+m53TTP
HMXさんはメイドロボですよ?
496名無しさんだよもん:04/01/08 20:20 ID:YxeCVN22
コソーリ貼り付けます。
ttp://kita-kao.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/test/read.cgi?bbs=sscompe&key=1052837751&st=13&to=45&nofirst=true

『Kanon』オリジナル・ダーク(少し)・不幸 
大した作品でもないのに長く引いてしまいご迷惑をお掛けしました。
◆HMX73059.I氏ありがとうございました。
詫びは総括期間に入れますので今はこの程度しか申せません。お許しのほどを。

>492-495
責任の一端を担うものとしてそのネタはそれそれ勘弁してくだちい……。
497 ◆2tK.Ocgon2 :04/01/08 22:45 ID:AgeUDNbn
それでは、>496さんの『雪月花』をもって、すべての投稿を終了とさせていただきます。

今回投稿された作品は、>>488>>496です。
保管所からでも見ることができます。
http://sscompe.at.infoseek.co.jp/ss/21/index.html

感想期間は、1月 19 日の午前 8:00 までとします。


>496
いろいろお疲れ様でした。

>493
「まい」は原作に登場しない呼称ですし、むしろオリキャラ扱いが妥当かな……と考えました。
作者さんのご要望があれば、そちらに従いたいと思います。

>492-495
「HMX」は女性名詞です!(キッパリ
498 ◆MaDVEa.WG6 :04/01/08 23:12 ID:D7IH0R2F
◆2tK.Ocgon2 さん>
das〜作者です。
確かにまいの扱いはごもっともな話ですので、特に要望はないです。
そのままでかまいませんよ。

>>493さんもわざわざどうもです。
499名無しさんだよもん:04/01/09 16:07 ID:oAm8Bsdm
>>385-397「Unoriginal sin」、>>411-430「das liebliche Weihnachten」
偶然なのか、同じ「まい」を扱ったSSが並んだな。
前者はそれを言っちゃあお終いよ的な原作自体の欠陥に切り込んだのに対して、
後者は原作以上の理想を目指した好対照な2作品。
両方ともタイトル横文字だし。
「Unoriginal sin」は収拾つかないまま終わって結局何が言いたいかよく分からず、
「das liebliche Weihnachten」はそこに持ってくるまでがご都合主義に感じたが、
両方とも極端な切り口でシチュエーション自体に無理があったんじゃないかな。
それでも、その中で心の移り変わりが丁寧に描かれていて楽しめた。
やっぱ百合はいいよな。
500名無しさんだよもん:04/01/09 23:45 ID:dUG/yxcO
>383の時点から本当に100レス増えてる……
みんなギリギリまで引っ張りすぎだ(w モレモナ-
501名無しさんだよもん:04/01/10 00:02 ID:dowucCsk
>>499 確かに、テーマ『なんでもあり』にしてはすごい偶然だな。
ただ、文体も内容もぜんぜん違うし、やはり偶然だろう。では、それを含めて気に入った作品にいくつか感想。
Unoriginal sin
重い話だった。だが、内容としてはED後の話として十分ありえる話であり、悪い話ではない。
しかし、個人的にこういう重い話は苦手なので、どうしても読後感が…。

das liebliche Weihnachten
正直言って、かなり「まい」に萌えたw ほのぼの感は今回随一。
ただ、なんか「萌え」を狙いすぎ。
原作の「まい」のイメージがほとんど見られず、単なるオリジナルロリキャラと化してる。
ところで、タイトルはどういう意味なのだろうか? 響きとしてはドイツ語っぽいが…作者挨拶で明かしてほしい。

あなたを想いたい
途中までの展開は読んでいて気持ちのいいものだった。それだけに、最後の場面がやや蛇足な気がした。
個人的に、中盤までの路線がぶち壊された気がして作品の魅力が殺された気がする。

天使が消えない
長くて重い。読むのは大変だったが、それにしても文章力なら今回トップかも。
キャラの内面をあそこまで書き出すのは、誰にでもできるものではない。かなりの技術が必要だろう。
しかし、天いな未プレイなので、内容の評価をできないのが申し訳ない。

今宵、月明かりの下で君と
どうしてくれるんだ作者さん。
エルルゥ&トウカ派だった俺が、このSSで完全にサクヤ属性に支配されちまいましたよw
内容としては普通の18禁SSだったが、サクヤの健気さに萌え。しかし、このサクヤも言動や体型が原作以上にロリ化してるような…w

祐一・美汐夫妻の『KINGFISHER GIRL』
まさか、『なんでもあり』で書くとは思わなかった。その試みは評価に値する。
とはいえ、祐一、自分の思考をペラペラ口に出しすぎなのが気になった。
展開上仕方ないとはいえ、ちょっと不自然。

未プレイ作品もあるし、ダークはどうしても受け付けられず「雪月花」読めなかったので、最優秀選定は保留させてほしい。
502499:04/01/10 07:20 ID:7e+q0Y5Y
>>433-443「瞼の長森」
星新一マンセーの俺としては、ストライクど真ん中のジャンルだ。
まあ、とてもじゃないけどONESSとしては評価できないわけだけれども、
「なんでもあり」なのだから、こういうのもアリだろう。

SF的奇抜な設定から少しずつ核心に迫る展開は嬉しい所だが、
ショートショートにしては十分オチがついてない感じ。
エスカレートしていくような伏線まで張ってあるし、
ここで予想外のオチをつければ満点だったのに。

でも、発想や展開は面白い。
個人的には、見えるのがみしおたんだったらなお良かった。
503名無しさんだよもん:04/01/11 16:32 ID:EArYP4ee
とりあえず全部読んでみたので気に入ったものの感想を


天使が消えない
……凄いわこれ。個人的にはオリジナルに追加で恵美梨シナリオとして出して欲しい。
或いは東京開発室に祈りが届いたのでしょうか?(w
元から退廃的だった木田が透子と交わることでより一層退廃的になって雪緒の境地を更に越えていった
という心理描写が無理なく自然で実に良く書けていると思います。
また、原作での恵美梨の木田に対する感情や雪緒、明日菜、透子らの人物像を確り掴めて書かれていると感じました。
原作の退廃的な雰囲気もとてもよく出ています。
その上、原作で24日に雪が降る設定を絡めてラストが書いてあるところもGOODです。
終わり方も天いならしくて良いです。
文句の無い出来でした、とても楽しませて頂きました。

今宵、この月明かりの下で君と
萌えました、萌えましたぞ作者さん。
ちょいとサクヤがロリっぽい感じがしましたが、良かったッス。
ところで話は変わりますが、作者さんもしかして自分のサイトでうたわれSS書いてませんか?
504名無しさんだよもん:04/01/11 16:33 ID:EArYP4ee
メイドロボSとM
ワラタ。最後の
>「ああ、マルチさん、もっと……」
>「御姉様とお呼び! ですー!」ぺち、ぺち。
>「お、御姉様……うっ! ああっ!」うっとり。
ってところが微笑ましいっつうかなんつうか。
美しき姉妹愛でした(w

das liebliche Weihnachten
ほのぼのとした雰囲気が良いですな〜
文章的に特に不満点もありません
それにしても『まい』がかわいいですね〜

Birth
赤ん坊の誕生する過程とえいえんの世界からの帰還を絡めているストーリーがとても上手いです。
浩平やみずかの心理描写も解りやすく良く書けていると感じました。
最後はちょっと泣けました。とても良かったです。

Deep in Myself
なんか微妙に自分の中での雪緒のイメージとズレていてなんと言えばいいのか解らんです。
いや私が雪緒を正確に掴みきれていないのも原因だとは思うんですが。
うーん、何だろう微妙な差を感じます。
いや、作品自体の雰囲気は良いんですけどね。
505名無しさんだよもん:04/01/11 16:35 ID:EArYP4ee
という訳で全部を読んだ感想としては、「なんでもあり」で作者の皆様方のガチンコ勝負を見れて面白かったです。
コンペスレには初めて感想を書きますが、結構楽しめました。
個人的には天いなSSが読めたことが嬉しかったです。

最優秀作品には「天使が消えない」を推したいと思います。
文章力、作品の雰囲気、登場人物の心理描写、終わり方のどれをとっても素晴らしい出来でした。
506 ◆2tK.Ocgon2 :04/01/11 22:04 ID:ZCFaGC5G
【告知】

現在、葉鍵的 SS コンペスレは投稿期間を終え、感想期間に入っています。
今回投稿された作品の一覧は >>488>>489>>496 となっています。
また、
http://sscompe.at.infoseek.co.jp/ss/21/index.html
からでも投稿された作品を見ることができます。

目に留まった作品だけでもいいので、よろしければ感想を書き込んでください。
あなたの一言が、未来の SS 職人を育てるかもしれませんYO!
507名無しくん、、、好きです。。。:04/01/12 01:30 ID:VqJZutMS
まだ半分くらいだけど、読んだところまでの感想を。

「あなたを想いたい」

三回読んで、ようやくネタがわかった_| ̄|○
笑うには笑ったけど、たぶん、それまでに費やした苦労のほうが大きい……(w。

一発ネタのの割に前フリが長すぎるのではないかな。
そのくせ、前フリ部分のほうが良く書けてるものだから、変なアンバランスさを感じてしまった。

ラストの締め方も、少々もの足りなかったように思う。
ボケてばかりなので、イッパツ厳しいツッコミが欲しかったところ(w。
しかし、このSS内で誰がつっこめる状態にあるのか……?。


「今宵、この月明かりの下で君と」

エロSSとしては、なかなか良く書けてると思われ。
個人的にエロは苦手なんで、一通りの扱いしか出来ないのが申し訳ないけれど……。
耳がピョコピョコするとこが可愛かった。月明かりの情景もグッド。
508名無しくん、、、好きです。。。:04/01/12 01:34 ID:VqJZutMS
「終わりの世界」

これは(・∀・)イイイ!!
ゴメン、べたほめする。行間詰めて。

意外な展開でびっくりした。衝撃度の高さでは、ここ数回のコンペでNo.1だ。設定説明がウザッタイのが玉に瑕だけど、「精神被爆症」とは便利な言葉があったものだ。雫とうたわれの両世界を違和感なく繋げる言葉だと思った。
文章も綺麗だね。瑣末なことにかかわらずに必要な物事をさくさくと説明してゆく小気味の良さのようなものがある。それでいて、唯一の魅せどころ(世界が壊れるところだ)では情景描写を頑張ったりしていて、バランスの取れたいい文章だと思った。
雫勢の二人がかわいいのも高ポイント。いくぶんステレオタイプっぽい萌えではあるけど、あとに描かれる悲劇との落差を演出するには十分の出来だと思った。まぁ、私は左右のどっちが由紀だか美和子だか区別のつかない人間なんだけど、そんなことは重要ではないね(w。
でも、よく思い出したら、ムツミと髪の色が違うような……? 思い違いだろうか?
そういった個々の素晴らしいところにもまして、ネタに徹した姿勢に何より共感する。雫パートにしろ、うたわれパートにしろ、ネタに関する以外のことは書くまいとする潔さが感じられた。
そのお陰で、5レス、綺麗にまとまったのだと思うし、ついついだらけた文を書きがちな私にとっては目の覚める経験をさせていただいたように思う。
……といいつつ、こうして纏まりのない長文感想を書いてるわけだけど(w
509名無しくん、、、好きです。。。:04/01/12 01:36 ID:VqJZutMS
「祐一・美汐夫妻の『KINGFISHER GIRL』」

こっ恥ずかしい話だけど、素直に面白かった。
お醤油を買ってきてくれ、とは、上手く美汐らしいところをついていると思う。
テーマ「なんでもあり」に絡めたのも評価したいところ。
後半、「結局なにがしたいねん」状態になってしまったのが惜しいけど、まぁ、夫婦漫才と考えればそれもアリかな。


「探し物」

探し物をしてる女の子と言えば、羽リュックぱたぱた………(w


「姫始め」

また「なんでもあり」キタ━(゚∀゚)━!!
確かにおバカな内容ではあるけど、ある意味期待通りのオチとも言えるね。
仲良さそうな二人が、実にハッピー。軽い文章の雰囲気もいい。
琴音と雅史に言及したのは余計だった気がする……。


取りあえずここまで。
510名無しさんだよもん:04/01/13 21:38 ID:5v0IfUcz
>>506のお言葉に甘えて、ひとつだけ。

「瞼の長森」が一番印象に残った。
一瞬「あれ?オチは?」と引っかかってしまうタメが
オチを鮮やかに引き立たせている。
最後の一文なんかはいいユーモアでニヤリとさせられた。
「なんでもあり」にふさわしい題材だし、
オリキャラSSもアイスのウェハースみたいなもんで新鮮だ。
511名無しさんだよもん:04/01/15 03:12 ID:Q+3LboT+
感想行きます。
うたわれはやってないのでパスします。

>あなたを想いたい
序盤〜中盤のテンポと文章には引きつける物があります。
残念なことに後半の展開が急すぎるように感じられますし、
いまいち理解出来ませんでした。
最初の雰囲気のままで行ってほしかった。
あと、バキネタが作風にあっていないです。

>天使が消えない
まず、面白さは置いといて、一番読み辛かったです。
キャラの内面を書きたいのはわかるのですが、もう少しまとめる事が出来たのでは。
特に最初の独白は長すぎて、「自分の人生に酔ってるのか?」と思いました。
ここらへんはもっとスリム化してほしかった。
上記のような積み重ねで木田君が哲学家みたいになってしまったのと、
恵美梨は兄貴の事をここまで考えているタイプじゃ無いのではと思いましたが、
ここらへんは天使のプレイ観で変わるかもしれませんね。

>姫始め
ほのぼのしましたw

>Unoriginal sin
佐祐理批判をしただけで終わっています。
そのせいで、どうにも投げっぱなしの印象が強いです。
ここからが本番なのではないでしょうか。

>メイドロボSとM
タイトルの着眼点は良いです。
ギャグや会話のテンポもいいし、オチには笑いました。
SM風景をもっと詳しく書けば、もっと面白くなったんじゃないかな。
512名無しさんだよもん:04/01/15 03:14 ID:Q+3LboT+
>das liebliche Weihnachten
甘々な雰囲気が良く書けています。
が、それ以外が伝わってきません。
ラブラブデートだけで終わってしまった感があるので、
私としては、もうちょっと起伏がほしかった。

>瞼の長森
読む人を引き込む文章力があります。
起承転までは流れるように行ったのに、オチがちょっと弱かったかな。
あと、登場人物二人がときたまどっちがどっちだかわからなくなりました。
違いを作ってほしい。

>Birth
序盤〜中盤にかけては、引き込まれるものがありました。
後半がちょっと、あっさり気味。
『赤ん坊は〜』の使い方は良かったです。

>Deep in Myself
あんまり須磨寺っぽく見えませんでした。
あと、どうもキャラの感情がわかりにくかったです。

>雪月花
今回で一番、物語に引き込まれた作品でした。
しかし、オリジナルキャラの弱点として「一から背景を説明しないといけない」
があるので、そこらへんが足を引っ張って感情移入を妨げました。
あと、オリキャラ自体の数も少し多めでした。
513名無しさんだよもん:04/01/15 03:15 ID:Q+3LboT+
総評
うーん。全部が平均点以上だと思いましたが、飛びぬけて素晴らしい作品も
無かった気がします。
最優秀作は個人的に気に入った「メイドロボSとM」
優秀作に「瞼の長森」「雪月花」
を推薦して終わります。
514499:04/01/15 04:05 ID:DAr6gSN6
SFSSの3本。

「あなたを想いたい」>>274-280
シリアスかと思いきや、突然の壊れっぷりが(・∀・)イイ!
板垣絵のマルチを想像しちまった。

「終わりの世界」>>366-371
今で言うとマトリックスかな。
生物工学が自分の専門なもんで変に細かい所が気になるのだが、まあいいや。
短編だと説明が多すぎても少なすぎても支障が出るから、もう少し長編向きのネタだったかな?
発想は面白いし綺麗にまとまっていると思う。

「メイドロボSとM」>>401-408
長々と前フリをしてきてるわけだけれども、書きたかったのは>>408のただ1レスだね?
その情熱に乾杯。
歌舞伎だったら大向うから「待ってました!」と掛け声をかけたい気持ち。
515名無しさんだよもん:04/01/16 23:00 ID:H00D5UrS
hosyu
516 ◆2tK.Ocgon2 :04/01/16 23:24 ID:ecoNrYPl
【告知】

現在、葉鍵的 SS コンペスレは投稿期間を終え、感想期間に入っています。
今回投稿された作品の一覧は >>488>>489>>496 となっています。また、
http://sscompe.at.infoseek.co.jp/ss/21/index.html
からでも投稿された作品を見ることができます。

感想期間は 19 日の午前 8:00 までとなっていますので、
まだの方はお早めにお願いいたします。
517名無しさんだよもん:04/01/17 14:27 ID:JfnKdYSX
感想参ります。

>あなたを想いたい
「あなたを想いたい」、いい曲だよね。
こういう、歌詞と地の文やらセリフやらを重ねるやり方は好き。
で、原作のマルチ再起動シーンのテキストが来て、

バキかよ_| ̄|○
いや、マルチ復活六連呼は笑ったけど。感想期間があと2週間早ければもうちょっと評価は上がったかも。

>天使が消えない
「浅墓な考え」という言葉が誤字なのかわざとなのか悩むような、そんな作風。わけわからん? 俺もわからん。
内容としてはアレですな。恵美梨シナリオ。その一言だけで通じるような。
このまま天12に隠しシナリオとして紛れ込んでも違和感は覚えない気がする。それくらい完成度は高く見えた。
ラストに例の3行を入れても良かったと思うけど、あえて入れなかった?

>今宵、この月明かりの下で君と
うっかり侍(;´Д`)ハァハァ。
ごめん、われもの未プレイにつき、キャラ造形等(トウカ以外)は書けません。
えろ度は水準以上、えろSSとしては十分な出来だと思います。

>祐一・美汐夫妻の『KINGFISHER GIRL』
「何が欲しいの?」「お醤油ひとつ」っつったらベルダンディーですか。
内容的にはコメントしづらい。あえて一言言うなら、なんか違和感が残った。
美汐モノに必要な大事なパーツが1つ欠けてるような感じ。

>探し物
わからない。この手の作品は苦手かも。
結局何を探してるのかがわからないから、やっぱりなんか違和感が残る。
518名無しさんだよもん:04/01/17 14:28 ID:JfnKdYSX
>終わりの世界
これはわれもの未プレイだと致命的なまでに理解できないかな。
受けた印象はPC9801時代のエルフの作品「ELLE」。

>姫始め
うん、あかりはこういうヤツだ。こんなあかりが大好きだ。
短い中できっちりあかりがあかりやってるいい作品。

>Unoriginal sin
いいねぇ。これでハッピーエンドだったら洒落にならない駄作だけど、救いがないまま終わってるあたりがいい。
ただ、他人の心象さえ読める“まい”というキャラが原作を逸脱しすぎてて、「面白いけど納得できない」作品になってる気がする。

>メイドロボSとM
長瀬主任……てめえワタマンかよ(w
ショートギャグとして普通に面白かった。マルチがぺちぺちやってるシーンとか目に浮かぶようで。
あえて言うなら、オチがない。

>das liebliche Weihnachten
「兄妹」という便利な単語もありますのでよろしかったらご利用の程を。ATOKなら「きょうだい」で変換可能です。
ふつうにいい話。ふつうにかわいいし、ふつうに萌えるし、でもふつうだから後には何も残らない話。
ところで“まい”が舞と完全分離単独行動可能だってのは実はよくある話なのか?
“まい”と舞は舞シナリオ終盤で完全に溶け合ったというのが俺の解釈なわけだが。

>瞼の長森
葉鍵板SSコンペスレに「葉鍵板住人SS」が書かれたのは初めてではあるまいか(w
いや、なかなか楽しめた。長森スレに行けば「え? そんなの日常茶飯事だが」とか答える人も多かろうて。
519名無しさんだよもん:04/01/17 14:30 ID:JfnKdYSX
>Birth
話としては悪くない。悪くないはずなんだけど、作品全体に対して微妙な違和感がある。
多分、前提条件が納得いかないから違和感が発生している気がする。
誰かとの「絆」を楔にして「えいえん」から帰ってくる、ってのがONEの世界の前提条件だと思ってるから、
「絆」無しに単独離脱を試みてる浩平に違和感があったんだと思う。悪いけど、このSSは俺には納得いかなかった。

>Deep in Myself
>返事はもちろん――イエス。
ワラタ。ウケ狙いかどうかはわからんけど。
なんか、全てにおいて中途半端な印象。えろとして中途半端、シリアスとして中途半端、話として中途半端。
「中途半端」という結末は有りだと思う。でも、「中途半端」には「中途半端でした」という結末表現があるべきだろうし、
それが無いためにこのSSは「続きマダーチンチン(AA略)」という中途半端に終わってるように思えた。わかりづらい感想で失礼。

>雪月花
Kanon?
申し訳ないが、尾崎豊が大嫌いな身としては、この手の話は嗜好の範疇から完全に外れる。
あと原作キャラがオリキャラの踏み台にしかなってない所もイマイチ。


以上です。
最優秀は脳内陪審員15人満場一致で「天使が消えない」に。
次点は短いながらも犬チックな「姫始め」に。
520名無しさんだよもん:04/01/18 18:51 ID:s0tkZ6Cu
今回は、読んだ価値があったとおもった作品にのみ、感想をつけてみた。
天使のいない12月は遊んでいない、と付記しておく。

>>284-320 天使が消えない(恵美梨)
まず、これだけの長丁場を書ききった点を評価する。
クリスマスに締めくくられるSSを、そのおなじ聖夜に投稿した洒落っ気も。
内容は相当に重苦しいが、確かな熱気を孕んでいて長尺を感じさせなかった。
(余談だが、読み進めていてProject-μの怪作「忘れな草」を連想した)
また、書き手が情景を的確に把握しているようだ。
>「ふうん。でもあの子、寂しそうにこっち見てるわよ」
>「そうですか?」
> 明日菜さんの罠だと思ったので振り向かなかった。内容までは聞き取れないが、恵美梨と須磨寺の声が聞こえる以上、そんな見え透いた手には引っ掛からない。
たとえばここ、木田君と明日菜さんだけに目がいっているとなかなかこうは描写できない。
あと、5レス目の食卓描写が空腹をそそられて秀逸。

ただ、ヒロインたちの服装や容姿にいっさい触れられてないのは残念だった。
発売されてさほど時がたってないのだから、俺のような原作未体験な読み手は少なくないと思う。
そういった者どもでも作品に入り込みやすくなるために、そのあたりに気くばりもほしかった。
あと瑕瑾をつついておく。『金枝玉葉』は金科玉条の間違いか?(言葉どおりの意味なら皇族を指す)
かぐや姫が貴公子に貢がせる至宝をおもいだした。

>>353-354 祐一・美汐夫妻の『KINGFISHER GIRL』(美汐)
>「・・・そう言えば、お醤油がもうすぐ切れそうなので買ってきて下さいな」
語尾がいかにも中年女性らしい。この箇所のみならず、全体としてこまやかで読みやすい文章だ。
ただ、読みやすく淡白すぎて、薄口の醤油うどんのようにつるつる最後まで進んでしまう。
(たとえば『キッコーマンの本醸造減塩しょうゆですから間違っては駄目ですよ』
 というように固有名詞で醤油の銘柄にこだわりを見せれば、その印象も緩和されるのでは?)
また、2レス目15行目以降の泣かせの部分はいささか無理があったと感じてしまった。
地の文なしの会話SSでは、ほのぼの萌え以外のシチュエーションを魅せるのは至難ではないだろうか。
521名無しさんだよもん:04/01/18 18:52 ID:s0tkZ6Cu
>>385-397 Unoriginal sin(舞、佐祐理)
並々でなく理屈に偏した作品だが、それが見所でもあった。
強引に落ちをつぎはぎしてないのも、書き手か作品の誠実さをうかがわせて好印象。
まいが語るような死生観に俺は共鳴しないが。

>>411-430 das liebliche Weihnachten(舞、佐祐理)
甘やかで安らげた。シルバーのチョーカーを結んだ祐一も男前だ。
だが彼がおのれの幼女趣味を認めない部分は、いささか見苦しい。
同年齢の浩平はイブの繭とのデートの際、衆人環視のレストランで彼女を恋人と断言していたが。
外見はまいよりやや年長だが、言動はずっと幼い知恵遅れの繭をだ。真の大勇の持ち主だ。

>>446-462 Birth(ONE、みずか)
モノローグ偏重で自家中毒を起こしている、というのが偽らざる印象。
えいえんについての解釈の相違は置くとしても、
17レスも費やして登場人物が浩平とみずかのふたりのみの点も、
場面転換がほとんどなくダイナミズムも感じさせない点も、
作品の閉塞状況を象徴しているのでは。
現状では、作品じたいが閉じている。これではタイトルどおり「産まれた」のはいいが、
どこにも歩き出せないまま立ちすくんでいるしかない恐れすらある。
……お節介だろうが、橋本治の評論でも読んでみたらどうか。

>>465-480 Deep in Myself(雪緒)
文章が至極安定している。安定しすぎて衝迫力が弱い。

雪月花 ttp://kita-kao.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/test/read.cgi?bbs=sscompe&key=1052837751&st=13&to=45&nofirst=true
書き手の熱意は伝わってくるが、描写に比して説明パートが長すぎる。
まるであらすじを読まされているようだ。

最優秀は「天使が消えない」、次点として「Unoriginal sin」を。
このスレのSSの出来は某いたちん氏主催のコンペに充分匹敵するものだと、今回俺としては確信した。
522名無しくん、、、好きです。。。:04/01/18 23:16 ID:KEMDoIXB
>507-509から続きです。

「メイドロボSとM」

え〜と、え〜と。
……。
……萌え。
マイリマスタ_| ̄|○ホカニコトバガオモイツカナイ



「das liebliche Weihnachten」

まい……。
微笑ましいことは微笑ましいんだけど、なんか違和感がある。
10歳ぽくないというか、行動が鼻につくというか、記号化しすぎというか、定番の展開に頼りすぎというか……なんかそういうところが気になってしまった。
作者さんとの萌え志向の違いかな。ここまで子供だと私は守備範囲外だなぁ。

それと、ほかの人にも指摘されるだろうけれど、改行が変だ。
ずいぶん興を削がれたyo。
523名無しくん、、、好きです。。。:04/01/18 23:19 ID:KEMDoIXB
いきなりですが、以上>507-508>521で終わります。
ダーク系をうたった3作は注意書きに甘えて、
ONEの2作は原作を知らないから、
天使の2作は読んでる途中で凹んでしまったので(ごめん、私は天使の退廃感が好きではない)、
それぞれ作者さんには申し訳ないけれど、スルーします。。。
テーマ縛りがないと、こういったSSには興味を持ちづらいかな、とも思いました。


結局読んだのは、ほぼ半分の8作どまり。
ただ、この8作はどれも面白かったし、それだけで十分元が取れたように思います。
最優秀は「終わりの世界」に。一発ネタだけれど、隙のない完成度と、鮮烈なイメージに敬意を表して。

 私的最優秀 「終わりの世界」
 私的最萌  「メイドロボSとM」

1レスから37レスまでの異種格闘技戦は壮観でした(w。
524甘えん坊将軍 ◆eJedRx6H2I :04/01/19 01:39 ID:iSML/WSv
 他の感想を見ずに書いているので重複する部分があるかもしれませんがそこはご容赦を
>>274『あなたを想いたい』
 プロトタイプマルチのデータがシンクロニティを起こしたのは理解できます。が、世界レベルで
こうなるというのは偶然にしても出来すぎ(ご都合主義的)です。ギャグなのかシリアスなのか。
>>284-320『天使が消えない』
 雰囲気は出てるがそれ以上ではないのが正直な感想。延々とモノローグが続き、時折状況描写が
混じるという感じで、作者が1次作品の要素を活用して何を書きたいのかが伝わってきません。
>>331-349『今宵、この月明かりの下で君と』
 AVGに比してシナリオが弱くならざるを得ないSLGを題材にしてSSを書くのは難しいのでは。
 ましてえっちっちを描くのは。
>>353-354 >>361は割愛
>>367-371『終わりの世界』
 クロスオーバーにすれば、全く異なる世界観を強引にでも結びつけることは可能です。が、
それだけに頼ったのでは単に突飛な話で終わります。
>>374-377『姫始め』
 お約束といえばお約束で、良くも悪くも特徴のない作品。浩之に直接せりふを言わせないのは
一工夫したのは窺えます。
525甘えん坊将軍 ◆eJedRx6H2I :04/01/19 01:39 ID:iSML/WSv
>>385-397『unoriginal sin』
 三人のトラウマを掘り起こす意図は理解できます。が、『まい』が『舞』に報復するべく佐祐理と
祐一を糾弾するのは、それこそ作中にある筋違いなものではないでしょうか。
>>401-408『メイドロボSとM』
 いわゆる一発ギャグとしては申し分ない出来。だが、人間ではなくメイドロボの優越感・劣等感
ストレスへの防御機能を云々する点はちと引っかかりました。
>>411-430
 先の作品と同様、『まい』が実体化する点がご都合主義的。読者を『萌えさせる』には
十分だとは思いますが。
>>433-443『瞼の長森』はオリキャラものなので割愛
>>446-462『Birth』
 最初の方の作品にも書きましたが、延々とモノローグが続くというのは…。
>>465-480『Deep in myself』
『天使のいない12月』自体薄味なゲームであるゆえ、どうしても雰囲気重視になるのでしょう。
 この作品からもそんな印象を受けました。
『雪月花』はオリキャラものゆえ割愛。
526甘えん坊将軍 ◆eJedRx6H2I :04/01/19 01:55 ID:iSML/WSv
 最後に

 SSのような二次創作で肝心なのは『元ネタを自分なりにアレンジすること』だと考えています。
 文章そのものに差をつけることが出来るかどうかと尋ねられると、正直首を傾げざるを得ません。
 というのも、誤字脱字や文法的なミス等は『正誤』を指摘できますが、文章が硬い、砕けているといった
文体に優劣などつけられないからです。
 文章力は、あくまで自分でアレンジしたネタを読者に伝えるのに必要なのであり、それだけを
重視していたのでは、自分の個性を出すことは出来ません。
(確かに文章での差別化は出来なくもないですが、作品の骨格を成すネタでの差別化に比べると
瑣末な違いに留まります)
 先ずは1次作品の特徴を見つけてそれを強調する、またはそれに関する自分語りをする
『パロディの気持ち』を持つことが二次創作をする上で必要ではないでしょうか。
527 ◆2tK.Ocgon2 :04/01/19 08:03 ID:TObrGNH8
【告知】

ただ今をもちまして、感想期間を終了させていただきます。
投稿された書き手の皆さん、感想をつけてくださった読み手の皆さん、
そして生温かく見守ってくれていた ROM の皆さん、どうもご苦労様でした。

引き続きこのスレでは、今回の運営への意見、書き手の挨拶、
次々回のテーマの決定などを行いたいと思います。

上記のものやそれ以外にも意見が何かありましたら、書きこんでください。

※次回のテーマは『戦い』に決定しており、開催時期は 1 月下旬になる予定です。
※今回決めるのは次々回のテーマです。お間違いのないように。
528 ◆2tK.Ocgon2 :04/01/19 08:04 ID:TObrGNH8
感想の中で、評価が高かった作品は以下のとおりです。

『天使が消えない』 >>505>>519>>521
『メイドロボSとM』 >>513>>523
『終わりの世界』 >>523
『瞼の長森』 >>510

ということで、第二十一回の最優秀作品は『天使が消えない』のようです。
おめでとうございます。
529名無しさんだよもん:04/01/20 00:03 ID:durjUBXr
 どうも、『天使が消えない』で初参加させていただきました。

 天使がいない12月SSを書きたい欲求と、
 クリスマス投稿を果たせる状況と、
 天使がいない12月SSの読み手が存在するかもしれないという期待の全てを満たすのはここぐらいだと街の長老に教えられての初投稿でした。
 経験があまり無かったもので、無改行長文禁止と改行多用禁止、連続投稿禁止のエラーなどに悩まされ、怯えたのが今となっては思い出です。
 長く重く、更に内容的にも読み辛い代物になり、読んで下さった方には本当にお疲れになったことと思います。

>◆2tK.Ocgon2さん
 進行の方、お疲れ様でした。
 保管して下さっているところのを元々のものに差し替えたいのですが宜しいでしょうか?
 投稿する為に改行を余儀なくされたり、空白をズらしたりしているので。
 あと、指摘されたミスも修正したいもので。

 皆様、感想の方本当にありがとうございました。
530名無しさんだよもん:04/01/20 00:05 ID:durjUBXr
>0OykGnQdさん
 フライングということでこうして取り上げるのは良くないことでしょうが、
 こちらとしては長文で引かれてしまうのではないかという不安があったもので、この反応は嬉しかったです。
 こちらこそ、ありがとうございました。

>dowucCskさん
 未プレイ作品で長文ということにも関わらず読んでいただき、どうもありがとうございます。
 読み物を書いた者としては、最後まで読ませられるものであったのであれば本当に嬉しいです。

>EArYP4eeさん
 原作には無い木田の性格と行動の変化は受け入れられないのではないかという不安があったのですが、好意的に受け取ってもらえたようでホッとしました。
 原作の空気だけは堅持したかったので、その辺の意識も何とか出せたようでそう感想でいただけるととても嬉しいです。

>Q+3LboT+さん
 自分の中で木田の性格の変化を最初で片付けたがった分だけ、冒頭はちょっとくどかったかも知れません。
 哲学家風にかどうかはわかりませんが、木田の自分酔いは本編より濃厚になってしまった気がします。
 恵美梨については、実の妹を持てば少しは違った考えを持てたかもしれません。どうもありがとうございました。
531名無しさんだよもん:04/01/20 00:07 ID:durjUBXr
>JfnKdYSXさん
「浅墓」は普通は使わない当て字で、典型的なPC変換の部分でした。指摘、どうもです。
 ラスト3行は、書いた時は外した方が良いと思って避けたのですが、今考えるとあっても良かったかもしれません。

>s0tkZ6Cuさん
 二次創作という設定ありきというものに胡坐をかいてしまいました。
 確かに最新作なのですからその辺を考えるべきでした。他の方も未プレイの人が多いみたいですし。
 クリスマス投稿は狙っていたので、そう言っていただけるとかなり嬉しいです。なんでもありということで季節物こそがというのが参加した理由の一つですので。
 金科玉条を金枝玉葉と間違えたのは恥ずかしい限りです。ご指摘本当にありがとうございます。
 食事風景や会話の描写で評価いただけたのも嬉しかったです。ありがとうございました。

>甘えん坊将軍さん
 何を書きたいのかが伝わってこないとのご意見はかなり耳が痛いです。
 自分では一応あったのですがそれが文章を通して伝わってこなかったのは単純にこちらの力不足でした。今後の更なる課題にできたらと思います。
 ただSSに関する考え方はあまり一致しないもので甘えん坊将軍さんが読みたいような作品はなかなか書けないかもしれません。
 ただ本当にいいものは誰に対してもそれなりにはいいものな筈なので、それを目指して頑張れればと思います。

 改めて、どうもありがとうございました。そしてお疲れ様でした。
532 ◆2tK.Ocgon2 :04/01/20 01:05 ID:2KQaRAel
>529
最優秀(っぽい)おめ。
>保管して下さっているところのを元々のものに差し替えたい
了解です。差し替えるものをどこかにうpしていただくか、こちらまでメールしていただけますか?
533名無しさんだよもん:04/01/20 01:14 ID:r7m2okEI
差し替えって可能なの?
534名無しさんだよもん:04/01/20 17:36 ID:q5Yi9+Oh
 初めまして。こんにちは。『雪月花』の作者です。

 今回、投稿に手間どり皆様に迷惑を掛けた事を、改めてお詫び申し上げます。
 まことに、申し訳ありませんでした。

 さて、作品解説というのもおこがましい気がするのですが、少しだけ作者としての戯言でも……。
 何と言うか……名雪シナリオの疑問、他のシナリオでは起こらない『試験』や『交通事故』を自分なりに考えた結果というか。
 テーマの『何でもあり』に甘えた結果というべきか。考え初めは当然『Kanon』ありきだったのでしたが……。
 自分の苦手ジャンルをすべて詰め込んでも楽しい作品に出来る(したい)と思っていましたが、
 まだ、こういう作品を書くのに作者は力不足だったのでしょうね。はふぅ。

 しかしまだこれからだ、と奮起してみます。次には今より良いものを作りたいですから。

>>512
 感想ありがとうございます。物語に引き込まれた、とは嬉しい言葉です。
 ただ、背景を描くための文章量増はSSでは好まれないものですから、反省点多いですね。精進させて頂きます。

>>529
 はい。『Kanon』ありきで始めた物語です。しかし疑問に思われる辺り、作者の力不足を露呈してようで恥ずかしい限りです。
 これから精進させて頂きますね。

>>521
 熱意は、空回りすればそれだけのことになりますから。この辺、難しいです。
 あらすじ、のように思われたとのこと、もう少し構成を練りこむことに致します。

『初心忘れるべからず!』『雪、降る夜に』『空に響く君の声』『キレイな桜と凄いサクラ』『MOON.-the last night-』
 そして、今回の『雪月花』。何気に一年間、コンペスレにはお世話になりました。しみじみ、します。

 本当に皆様方、感想ありがとうございました。

 これからも、作者として感想人として、よろしくお願い致します。
535名無しさんだよもん:04/01/20 19:04 ID:9Q3OizpE
>533
改行とか誤字脱字の修正なら問題無いんじゃなかろうか。
内容に関するさしかえは控えるべきだと思うけど。
536 ◆2tK.Ocgon2 :04/01/20 19:20 ID:2KQaRAel
業務連絡です。

>差し替えとか
感想期間終了後(これ重要!)はケアレスミスや整形について修正可能です。
過去作品に対しても、保管所の掲示板かメールで伝えていただければ直します。
特に回収プログラムは新作したばかりなので、ひょんなバグがないとも限りません……。

ついでに、保管所収録時の整形に関してお知らせというか再確認です。
基本的にはレスの変わり目ごとに空行が1行挿入された形で収録されますが、
投稿時に指示した場合は指示どおりの形で保管庫収録することになっています。
(参照: http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1035/10359/1035975262.html>>28-)
気になる人はどうぞ活用を。


>次々回テーマ
最近出ていたテーマ案です。議論の参考に。

 「容量制限(1レスor2レスSS限定)」「If」「イベント」「時間」「お願い」「ヒーロー」「再会」「食べ物」
537 ◆MaDVEa.WG6 :04/01/20 20:54 ID:mQWipI2v
みなさんこんばんは。今回もSSを読んでいただき、ありがとうございました。
『今宵、この月明かりの下で君と』そして
『das liebliche Weihnachten』作者です。
前回はPCトラブルで参加できなかったこと。そして『最初に投稿した18禁SSとは別の方向で萌えSSを書きたい』という衝動から、初
の2作投稿にチャレンジしてみました。
今回は『萌え』が全てでしたので、最優秀賞を取れなかったのは残念ですが、みなさんが少しでも私のSSで萌えてくれたのなら書いた甲
斐がありました。
では作品解説からいきます。

・今宵、この月明かりの下で君と

SS暦3年にして、初めて書いた18禁SSです。18禁を書いた理由は単純に、『テーマがなんでもありじゃないと書くチャンスがない
』と思ったからです。私のサイトでは18禁SSは公開してませんし。サクヤをヒロインとしたのは、私がうたわれでサクヤ萌えであるこ
と。でもサクヤにはHシーンがなく、個人的に物足りなく、『ならばいつか自分で書いてみよう』と計画していたことを今回実行に移す機
会があったからです。
『エロ』よりは『萌え』を追求したつもりのSSですが、やはり書いていてかなり恥ずかしかったです。たぶん当分…あるいは二度と18
禁は書きませんw

・das liebliche Weihnachten
正月休みを利用して書き上げた、『萌え追求』SS第二段です。最初が18禁での萌えを追求していたので、今度は幼女とのラブラブ甘々
をテーマに萌えを狙ってみました。
ちなみに、『Unoriginal sin』の方と『まい』が被ったのは本当に偶然です。
ようやく書き上げて投稿しようとしたら、『まい』がメインで、しかも私の作品と正反対の重いSSが既に投稿されていたのでびっくりし
ました。
ちなみに、>>501さんへの返信ですが、タイトルは予想通りドイツ語です。
『可愛らしいクリスマス』あるいは『ちっちゃなクリスマス』とでも訳してください。
ドイツ語にしたのは特に意味はないです。私が大学でドイツ語やってたのでドイツ語にしただけです。

では、個別レス行きます。
538名無しさんだよもん:04/01/20 20:56 ID:mQWipI2v
なんだ? また改行が…メモ帳からコピペした時におかしくなるみたいです。

>>499さん
 シチュエーション、展開に無理があったのは否定できません。
 まいと祐一のデートを通して『萌え』を極める、そのためだけに書いたようなSSですから。
 
>>501さん
 タイトルに関しては納得していただけましたか? あと、ご指摘ごもっとも。なんか書いてて、
 『これじゃまいじゃなく、ただの幼女と言っても違和感ないな…』と思ってましたから……。
 あ、ちなみに私はロリコンじゃないですよ?w サクヤがロリ化してるように見えたのも……たぶん妖精さんの仕業ですw

>>503さん
 萌えました、その一言だけで書いてよかったです。今回。
 ちなみに私のサイトではうたわれは書いてないですよ。私のサイトはKeySSのサイトですからおそらく人違いです。
 過去にここにうたわれSS『あなたには幸せを 私たちには思い出を』を投稿したことはありますが、この作品も他のサイトに寄稿しましたし。

>>507さん
 エロが苦手なのに、細かいところまで読んでいただきありがとうございました。
 耳ピョコピョコは、うさ耳の可愛らしさを増大させる仕草だと私は思ってますので、さりげなく入れました。
 ただまあ、萌え志向の違いはいたしかたないですね。『まい』が守備範囲外なのは仕方ないです。
 私自身幼女趣味はない(たぶん)ので、まいの書き方に苦労しましたし。
 改行に関しては、不可抗力です。
 メモ帳で書いたときにはあんな改行にならなかったのに、投稿したらあんな変な改行になっていました。
 とはいえ、全部投稿して読み返すまで気がつかなかったので、最初に気づいていたら途中のは防げたのでしょう。私のミスです。

>>511さん
 うたわれ未プレイなのは残念です。
 私としては、『das〜』の方も、『萌え』一本やりで書いたものなので、確かにそれ以外のものがなかったと思います。
 いちおう私の目的は達成されたわけですが、やはりこれだけではこのコンペで高評価をもらうのは厳しいですね。
539名無しさんだよもん:04/01/20 21:00 ID:mQWipI2v
>>517さん
 エロが十分……初挑戦の18禁SSでそのような感想をいただけるとは思っていませんでしたw
 書くの結構苦労しました。他のサイトの18禁SS読みまくったりしてw
 まいの解釈にはいろいろあるでしょうね。おそらく貴方の解釈のほうがゲームの終わり方的にはしっくり来るでしょう。
 しかし、『一度生み出したものだから、融合してももう一度生み出せるはずだ』『せっかく自我を持った存在として生み出されたのだから、
 消滅させるのはちょっとかわいそうだ』という私の脳内設定により、私のSSでは自由に動ける設定としただけです。

>>520さん
 そこ(浩平は繭を恋人宣言していた)は私も書いている中で考えました。ちょうど同じようなシチュエーションでしたし。
 ですが、祐一には既に舞という恋人がいるので、祐一はまいのことを最初は妹、もしくは保護すべき子供、くらいにしか思っていなかったという設定でした。
 
>>524さん
 本編ではあまり出番もHも無かったサクヤですから、せめてSSでは活躍させようかと思いまして。
 本編では語られなかった、戦いの間のひと時のドラマがあってもいいじゃないか、私はそう思ってます。
 まいのご都合主義は…はい、否定はしません。まいを出すために説得力のある展開まで思いつけませんでした。

うたわれるもの、DVD版も出たことだしプレイ人口増えたかな? と思っていましたが、まだけっこう未プレイの方いますね。
個人的には良作だと思っていますから、未プレイの方にはぜひお勧めします。(ルーツも天いなもまだ未プレイの私が言えることではないですが)
さて、今回の作品のうち、『das liebliche Weihnachten』はそのうち私のサイトにアップしたいと思います。
『今宵〜』の方は、私のサイトに載る事はないでしょう。個人的に出来としては十分に満足していますが、それでも私が18禁を書いたことは
黒歴史として、このこんぺスレだけの秘密にしておきたいので。(笑)
あ、次々回のテーマどうしましょうか?
季節柄、ストレートに『バレンタイン/ホワイトデー』などどうかな? と思っていましたが、
まだ使われていないテーマ案もけっこうあるんですねぇ…。
540 ◆x37FOGtDiI :04/01/20 23:16 ID:FDVQ2AR/
「瞼の長森」を書いたものです。
オリキャラオンリーという反則じみた話にもかかわらず、読んでいただいた皆さん、どうもありがとうございました。
「なんでもあり」のテーマに甘えるような話だったわけですが、感想を下さった方には
思いのほか好意的な意見を戴けて、嬉しかったです。

それ以上に、今回まとめ・進行役の◆2tK.Ocgon2氏に対し、ずいぶんと失礼で無配慮な形の投稿に
なってしまったことを、お詫びしたいと思います。
本来この話で狙っていたオチは、前書きや後書きに見せかけた>>432>>443も含めて一編のSS、
つまりは投稿者が作中の「僕」であった、というふうなオトしかたでした。
「Y」がえいえん送りになっちゃって、「僕」は「Y」のことをすっかり忘れて、
彼に関する文章をSSに仕立ててこのスレに投稿しちゃったよー、というメタちっくな話、というか。
「ぐへへ、前書きからしてすでに伏線なのだ、誰も気付けまい、ぐふふ」ちう狙いだったのです。が。
結局締め切り間際までバタバタし、おまけに効果的なオチの提示の仕方も思いつかないまま
半分勢い任せで投稿し、投稿してから「しまった、保管庫のことをすっかり失念してたっ」ことに
気付くという有様で、結果>>443>>444でなにやら混乱してるようにしか見えないシロモノになってしまいました。

保管庫のことに気付いた時点で、なんらかの説明を◆2tK.Ocgon2氏にするべきだったのでしょうが、
見栄と保身と優柔不断で、結局何も言わずに済ましてしまいました。
なんというか、無責任ここに極まれり、ってかんじで。ホントすんませんでした。
またヒマな時にでも、>>443だけでも保管庫の方に追加していただければ幸いです。
541名無しさんだよもん:04/01/20 23:25 ID:xR3g5Cjw
>>540
……気付かなかった。やられたーって感じ。点数1点プラス(w
542名無しさんだよもん:04/01/21 04:01 ID:K4mYiqHH
>>540
何か意図があるだろうと思って多少そのメタ的な可能性も浮かんだけど、
間違ったら恥ずかしいので言わなかった・・・。

メタで読むと話がひっくり返るような大きな仕掛けというわけでもないので、
サラッと思い過ごしちゃったのかもしれない。
または、オチが示唆に止めるだけでは伏線として少し弱かったのかもしれない。
あからさまなオチだとスマートさに欠けると思うかもしれないが、
そこら辺のさじ加減が難しいんだろうなあ。
これ系の話は、本編でも消えるまで書いて、後書きの方で仕掛けるのが多いような気がする。
543名無しさんだよもん:04/01/21 21:36 ID:Td3ek9kz
今回は作者さんの挨拶が早めに出てきてるな。もう4人も。
次々回のテーマどうするべ?
たまには没になったアイデアの中から選ぶのもいいかもしれないが、俺には
どれがテーマに向いてるか分からん。

>>540のは俺も気づかなかったな。

しかし、サクヤとちびまいのSSの作者が同じとは。
おお、そういえばどっちもヒロインがロリでうさ耳…作者いい趣味してるなうわやめろなにをす(ry
544名無しさんだよもん:04/01/22 21:29 ID:2cDH8ind
保守
545名無しさんだよもん:04/01/23 00:16 ID:lEq8I8gn
テーマは三月だからこそやってほしい「卒業」を推薦します。
546 ◆CikB72GtKM :04/01/24 22:45 ID:Pn4SNUwz
『メイドロボSとM』を書いた者です。読んでいただき、ありがとうございました。
「過去のテーマ」の時に参加して以来、数ヶ月間何も書いていなかったんですが、
今回は「何でもあり」ということで力作が集まっているのを見て、参加してみたくなりました。

>>504さん
ありがとうございます。
久しぶりに書いて不安だったので、少しでも楽しんでもらえた人がいてほっとしました。

>>511さん
気に入っていただけて光栄です。
SMは得意なわけではありませんが、今後精進して勉強してみます(w

>>514さん
>長々と前フリをしてきてるわけだけれども、書きたかったのは>>408のただ1レスだね?
そうですね。イメージとしてはセリオがSっぽくてマルチがMっぽいと思うので、逆にしてみよう、
というのがそもそもの考えでした。

>>518さん
>あえて言うなら、オチがない。
確かにギャグものとしてなら、ちゃんとしたオチが必要だったかもしれませんね。
今後、こういうジャンルのものを書くときにはもっと考えてみたいと思います。

>>522 :名無しくん、、、好きです。。。 さん
ありがとうございます〜。
好きなキャラで書いて「萌えた」と言われると凄く嬉しいですね。

>>525 :甘えん坊将軍 さん
不自然な設定だったでしょうか。やはり設定に関しては注意が必要ですね。気をつけます。

意見や感想を下った皆様、どうもありがとうございました。
それでは失礼します。
547名無しさんだよもん:04/01/25 16:07 ID:LRKpeNPE
テーマ「卒業」っていいかも。
548名無しさんだよもん:04/01/26 01:45 ID:d4xDUDxq
卒業でいいかな。
開催時期も3月にピッタリ合うし。
549 ◆1pYGWmfvXs :04/01/26 01:47 ID:xATk1Fha
ちょいと失礼して挨拶とお礼を。『Deep In Myself』を書きました。
これで3作連続締め切り間際。進行役の人には本当に申し訳ないです。次こそは、次こそは余裕をもった執筆と投稿を(ry
目を通していただいた皆様、感想をくださった皆様、どうもありがとうございました。

今回狙ったのは「天いなっぽいエロ」。
条件としては、強引なシチュ、主観重視、悲観的、理屈っぽい、盛り上がらない。
この時点で物を投げられそうなのですが、とにかく私はそういうイメージを持ちましたので、ひとつこれで書いてみようと。
まぐろの雪緒と組み合わせれば上手くいくかと考えました。うぐぅ。

>>504
キャラが暴走して、らしくなくなるのは、私のSSでいつものことなので、
キャラに期待して読んでくださった方には、本当に申し訳ありませんとしか。
たまには、キャラ重視の書き方に挑戦してみるのもいいかもしれませんね。

>>512
後半から暴走が過ぎたと自分でも思うのですが、前半もしっくりこなかったでしょうか?
>キャラの感情
これはいつも言われてますね。気を付けてみます。

>>519
>返事はもちろん――イエス。
え? そんなアホな文、書いた記憶がないぞ?と思って読み直してみました。
……_| ̄|○テツヤハヨクナイナ
何事にも中途半端、痛い言葉です。が、正にそのとおりなので、「ちくしょう、次見てろよ」としか。
中途半端でも首肯せざるを得ないようなものが書けたら最高なんですけれどね(痕の初音シナリオとか)。
550 ◆2tK.Ocgon2 :04/01/26 01:49 ID:xATk1Fha
>>521
文章は、須磨寺らしく、と書いたら、こんなふうになりました。安定しているとはあまり言われないものでびっくりです。
衝迫力……それは須磨寺'sビューで書く以上、存在してはならないものかと考えました。
そこが中途半端と指摘される所以で、衝迫力を排除するならするで徹底し切れなかったのだと思います。

>>525:甘えん坊将軍氏
確かに雰囲気を重視しました。が、それ以外に仕込んだネタもいくつかありました。
それらを中途半端にしか伝えられなかったのは、ひとえに私の力不足でして、
あなたの仰る必要最小限の文章力すらなかったのかも知れません。うぐぅ。


>テーマ
「卒業」ならネタがあるー。「バレンタイン」も読んでみたいが、自分としては「卒業」に一票かな。
551 ◆1pYGWmfvXs :04/01/26 01:51 ID:xATk1Fha
∧||∧

552 ◆2tK.Ocgon2 :04/01/26 02:06 ID:xATk1Fha
業務連絡です。

いつとはなしに静かな総括機関ですが、1週間経過しましたし、あと2〜3日ほどで次回の開催に入りたいと思います。


>感想期間
今回10日でやってみましたが、どうだったでしょうか?
次回も10日にするか、元に戻すか、あるいはもっと長く、という意見などがありましたらお聞かせください。

>次々回テーマ
現状では「卒業」が優勢のようですが、引き続き案・投票を募集します。
553名無しさんだよもん:04/01/26 14:15 ID:qY9sS4J6
>感想期間
今回は比較的ゆっくり読めたんで引き続き10日か、もしくはそれ以上を試してみるのもいいと思うな。

>次々回テーマ
「バレンタイン」は去年やったので「卒業」がいいと思うな。
554名無しさんだよもん:04/01/28 00:51 ID:qW1rR0Zp
「Unoriginal sin」の作者です。
どうも今まで読んだ佐祐理SSは祐一が「弟は恨んでなかった」と言って救われたり、
弟の幽霊が出てきて許して救われたり、といったものばかりでさすがに飽きてきたので、
たまには違うのにしたろかい、というのが書いた動機でした。
極論であることは一応自覚してます。例えば
佐祐理さんは子供だった上に父親の命令だったのだから、責任の大半は父親にある
祐一はあゆをどうにかする義理はあっても義務はない
舞はまあ、本編のまいが「いつも舞の幸せを願っていて、魔物にされようが斬りつけられ
ようが決して恨んだりしない都合のいい存在」(*1)なので、罪は存在しない
という反論も成り立つのですが、良心を広く取るならこのSSでの理屈も一理くらいは
あるんじゃないでしょうか。あるといいなぁ。
ただ、それを書いただけで満足してしまって、何人かの方に指摘されたようにオチに
工夫が足りないのが反省点でした。(死者が許すことがない以上佐祐理と祐一は「幸せに
ならないことが正しい」し、かといって舞が狂って終わりってのも嫌だから舞は正道で、
とこんな形になりましたが、物語として面白くはないわな)
後は>>518の指摘や(*1)の点でまいが本編と違うのと、>>525の指摘のように佐祐理と
祐一への糾弾がまいの報復に見えてしまうのがマイナスでしたね。「報復は関係なく、
単に事実を事実と指摘しただけ」というのを前面に出すべきでした。
それでは、感想ありがとうございました。
555 ◆RIKMZq64sA :04/01/28 01:34 ID:e7WF5DUP
今回『Birth』を投稿したものです。
それでは挨拶を。

>>504
感想ありがとうございます。
気に入られたようで、書き手としても嬉しいです。
心理描写については、自分ではまだまだ甘いな、と思うところがあります。
次回には、より一層満足していただけるような作品を書きたいです。

>>512
後半、というと、12レス以降ぐらいでしょうか。
構成力不足は否定しません。
課題として、今後に反映したいと思います。

>>519
絆は、依然として作中に存在しています。
彼は自分がいた世界を望み、自分の存在を信じ続ける彼女の絆を信じた
からこそ、えいえんから帰還できた、と自分は考えています。
ただ、違和感を覚えた、という感想は真摯に受け止めたいと思います。

>>521
『閉塞』という言葉が、身を摘まれるようで非常に痛いです。
彼が歩き出せるかどうか、それは分かりませんし、『生まれた』
後のことは、敢えて長くは書きませんでした。
『苦しいことはあったけど、今は笑って長森と会うぞ!』
なんて書いたら、それこそ嘘ですから。
歩きだせるかは分かりません。でも歩き出すしかないのだとも思います。
『生まれる』ことは、きっとそういうことだろう、と書いたものが拙作です。
それと申し訳ありませんが、橋本治なる人物は存じあげません。
ご紹介の評論、機会があれば読んでみようと思います。
556 ◆RIKMZq64sA :04/01/28 01:40 ID:e7WF5DUP
>>525
芸風だから、と答えてしまっては怒られてしまいますね。
えいえんの世界での会話は、全て自分との対話だと考えています。
ですので、今回このシチュエーションを選ぶことで、自然に
モノローグ色が強くなってしまいました、お許しください、
……と考えてしまうこと自体が自分の弱さでしょう。
反省します。

『浩平が去ると、えいえんの世界はどうなるのだろう』と考えたのが、
今回の話を書くきっかけでした。
今回のように崩解してしまうかもしれないし、ただ一人、住人が消える
だけで、依然として世界はそこに在り続けるのかもしれません。
(茜の幼なじみのことを考えると、後者だとは思いますが)
きっと、この辺の考察など何万回もされているのでしょうが、自分の中では
このことを考えていくうちに、今回の以外にも色々と話ができ上がっていきました。
機会があれば、またどこかでこれらの話を書いてみたいと思います。

最後に、読んでくださった方、感想をくださった方、どうもありがとうございました。
今回の経験を糧に、以後、精進いたします。
557 ◆2tK.Ocgon2 :04/01/28 19:27 ID:AfQL/U/f
業務連絡です。

>次々回テーマ
支持の多かった『卒業』に決定します。

>感想期間
>>553以外に意見も集まりませんでしたので、正式決定は先送りということでよろしいでしょうか?
次回も10日間で様子を見ることにします。

想定スケジュールは、
 投稿期間:1/29-2/12
 感想期間:2/12-2/22
です。
投稿期間が2週間に戻る予定ですが、問題ないですよね?

以上で特に問題がないようでしたら、明朝8時をもって『戦い』の投稿期間に入りたいと思います。

スレ容量が残り少ないみたいなので新スレ立てなくては……。
558 ◆2tK.Ocgon2 :04/01/28 19:32 ID:AfQL/U/f
立てられませんですた。。。

テンプレを張っておきますので、どなたかお手すきの方、代わりをお願いします。
559 ◆2tK.Ocgon2 :04/01/28 19:33 ID:AfQL/U/f
葉鍵的 SS コンペスレ 13



ここは、期限内に与えられたテーマに沿った SS を書くスレです。
他人と腕を競いあうもよし、ネタで盛り上げるのもよし、テーマに沿っていれば何でも(・∀・)イイ!!
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん参加してみましょう。
このスレを育てるのは、あなたが紡ぐ言葉です。

・期間の設定や細かい変更点は告知のなかで発表します。
・テーマはこのスレの話し合いで決定され、開催ごとに毎回変更されます。
・その他、ルールや投稿方法、過去スレや関連スレは >>2-10 あたりに。

【前スレ】
葉鍵的 SS コンペスレ 12
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1069068271/
560 ◆2tK.Ocgon2 :04/01/28 19:34 ID:AfQL/U/f
【過去スレ】
葉鍵的 SS コンペスレ 11
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1063/10639/1063900069.html
葉鍵的 SS コンペスレ 10
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1058/10587/1058785979.html
葉鍵的 SS コンペスレ 9
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1054/10540/1054075821.html
葉鍵的 SS コンペスレ 8
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1049/10491/1049154107.html
葉鍵的 SS コンペスレ 7
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1045/10459/1045985789.html
葉鍵的 SS コンペスレ 6
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1040/10406/1040605036.html
葉鍵的 SS コンペスレ 5
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1035/10359/1035975262.html
葉鍵的 SS コンペスレ 4
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1031/10311/1031179074.html
葉鍵的 SS コンペスレ 3
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1028/10288/1028847595.html
葉鍵的 SS コンペスレ 2
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1025/10257/1025740724.html
葉鍵的 SS コンペスレ
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1020/10204/1020433927.html
葉鍵的 SS 職人選手権(SS 投稿スレ内で行ったもの(189〜))
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1014/10145/1014537214.html

【関連 URL】
葉鍵的 SS コンペスレ保管所
http://sscompe.at.infoseek.co.jp/
561 ◆2tK.Ocgon2 :04/01/28 19:38 ID:AfQL/U/f
【ルール】

・テーマを決めて、それに沿った SS、シチュなどを書く。
・書き手は全員名無し(書き手の知名度で作品の評価が変わるのを避けるため)
・書き手の騙りを防ぐために、作品ごとのトリップを推奨する。
但し、普段コテでトリップをつけている人は、それとは別のトリップをつけること。
・投稿作品とそれ以外の書き込みを区別するために、投稿作品の前後には宣言をする。
・告知及び投稿期間→感想期間→総括期間、という流れ。投稿期間終了までは一切感想をつけない。
・感想期間では、参加作品について感想、評価などを行う。
なお、他の人の感想等に影響が出ないように、感想期間中は作者は身を明かさないこと。
これはコンペスレの内外を問わない。
・総括期間では、書き手の挨拶、運営への意見、次々回のテーマの決定などを行う。
また、感想期間で評価が高かったものを選び、最優秀作品として推す。

・各期間は以下のように設定する。
投稿期間: 2 週間
感想期間: 1 週間
総括期間: 1 週間+α(そのときに応じて期間は変化する)
562 ◆2tK.Ocgon2 :04/01/28 19:40 ID:AfQL/U/f
【注意】

※必ず名無しで投稿して下さい(誰だか判らなければ良い)。
※特に、普段トリップをつけている方はご注意を。
(そのトリップと違うトリップなら構いません)

それ以外の手順は SS 投稿スレに準じます(以下に転載)。
|【投稿の手順】

|1:まず、投稿する旨を告知するカキコをすると良い。
| 「今から SS 投稿します。なお、××な内容です」など。
| 鬼畜・陵辱・スカなどのジャンルでは特に。読むのを嫌がる人もいます。
| (時間帯・スレの状態・信念・その他で省略可)
|2:書いた SS を 30 行程度で何分割かしてひとつずつ sage で書き込む。
| (名前欄に、タイトルと通しナンバーを入れると分かりやすい)
|3:回しは不要。旧スレからの変更です。
|4:最後に sage で作者名・タイトル・あとがきなどと共に、
| アップしたところをリダイレクトする(>>1-2みたいな感じ)と トッテモ(・∀・)イインチョ!
563 ◆2tK.Ocgon2 :04/01/28 19:42 ID:AfQL/U/f
【よくあるかも知れない質問】

Q.複数の作品を投下するのは OK ですか?
A.構いません。期間内でテーマに沿っていればいくつでも結構です。

Q.もうすぐ完成するから、締め切りを伸ばしなさい(`□´)くわっ
A.終了間際の混雑などを考え、締め切りは延長される可能性もあります。
その際は、一言その旨をこのスレに書き込んでください。
ただし、完成まであまりにも時間がかかりそうな場合はその限りではありません。

Q.締め切りが過ぎてから完成したんだけど、ここに投稿していい?
A.締め切りを過ぎたものについては、葉鍵的 SS Training Room や
内容に見合った別の SS 関連スレに投稿してください。
このスレは、決められたテーマと期間の両方を満たす SS を対象にしています。

Q.気に入った SS があったけど、みんな名無しだから作者がわからない。
A.締め切り後にこのスレで訊いてみましょう。教えてくれるかも知れません。

Q.投稿した投稿作品がリアルリアリティに汚染されてます。
A.ときには厳しい意見が付くこともありますが、別にあなたが憎いわけじゃありません。
良い感想職人さんはちゃんと理由も書いてくれますから、次回に役立てて下さい。
564 ◆2tK.Ocgon2 :04/01/28 19:49 ID:AfQL/U/f
>>559-563  5レス、テンプレです。
よろしくおながいします。
565名無しさんだよもん:04/01/28 20:57 ID:oGbdCLAF
立てました〜。
葉鍵的 SS コンペスレ 13
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1075290880/
さて……
566 ◆2tK.Ocgon2 :04/01/28 21:47 ID:AfQL/U/f
>>565
どうもありがとうございました。

次回の投稿は新スレに移ってやりたいと思いますんで、よろしくお願いします〜。
567 ◆HMX73059.I :04/01/28 22:12 ID:oGbdCLAF
最初に曲を聴いたときの印象は「これはセリオの曲だな」って感じでした。
今回この曲を元にSSを書くにあたり、セリオではイマイチありがちかと考え、HM-12の話にしてみました。
マルチシナリオのエンディングでのマルチ覚醒シーンと重ねて、世界中のHM-12に「形のないこの恋心」が目覚める、って感じで。

書いてる途中で、頭の中に声が響きました。
「それってシンクロニシティやん?」
もう駄目でした。いくら考えてもバキが抜けませんでした。
なんかイイ感じに浮かんでたきれいなエンディングもどこぞに消え失せて、二度と戻ってきてくれませんでした。
「わたしをみつめて」ってセリフで終わる、ってとこだけしか記憶がありません。

ややウケよりはギャップを指摘される感想が多かったのもごもっともです。
とりあえず少しはウケを取れた、という事実を心にしまって明日からも強く生きていこうと思います。

というわけで、「あなたを想いたい」の作者でした。
ごめんなさい、ごめんなさい。カナブンよりもごめんなさい。
568名無しさんだよもん:04/01/28 22:35 ID:2B85FtC9
おお!?
HMXさんの作品だったのか!!
569甘えん坊将軍 ◆eJedRx6H2I :04/01/29 16:15 ID:hty8EsYD
>作者の皆様方
 色々書きましたが、『文章』という点では甲乙をつけられなかったというのが正直な感想です。
 何れの作品にもそのよさと書き手の熱意というものが感じられたのは偽らざる感想です。

 以下、少々フォローをば。
>>546
 マルチとセリオにSMの設定付けをするのは、アイデアとしても面白いし、それに至るまでの
過程にも説得力は感じました。
 しかし、です。自分もキャラは違えど、似たようなネタを以前に書いているワケでして。
 似たようなタイプの作品であれば、少なくともそれと同等以上のものでなければ手放しで
賞賛することが出来ないというのが本音です。
570名無しさんだよもん
>・各期間は以下のように設定する。
>投稿期間: 2 週間
>感想期間: 1 週間
暫定10日にしといた方が良かったな。