1 :
名無しさんだよもん :
03/11/17 20:24 ID:A4GsojTI ここは、期限内に与えられたテーマに沿った SS を書くスレです。
他人と腕を競いあうもよし、ネタで盛り上げるのもよし、テーマに沿っていれば何でも(・∀・)イイ!!
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん参加してみましょう。
このスレを育てるのは、あなたが紡ぐ言葉です。
・期間の設定や細かい変更点は告知のなかで発表します。
・テーマはこのスレの話し合いで決定され、開催ごとに毎回変更されます。
・その他、ルールや投稿方法、過去スレや関連スレは
>>2-10 あたりに。
【前スレ】
葉鍵的 SS コンペスレ 11
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1063900069/
【ルール】
・テーマを決めて、それに沿った SS、シチュなどを書く。
・書き手は全員名無し(書き手の知名度で作品の評価が変わるのを避けるため)
・書き手の騙りを防ぐために、作品ごとのトリップを推奨する。
但し、普段コテでトリップをつけている人は、それとは別のトリップをつけること。
・投稿作品とそれ以外の書き込みを区別するために、投稿作品の前後には宣言をする。
・告知及び投稿期間→感想期間→総括期間、という流れ。投稿期間終了までは一切感想をつけない。
・感想期間では、参加作品について感想、評価などを行う。
なお、他の人の感想等に影響が出ないように、感想期間中は作者は身を明かさないこと。
これはコンペスレの内外を問わない。
・総括期間では、書き手の挨拶、運営への意見、次々回のテーマの決定などを行う。
また、感想期間で評価が高かったもの選び、最優秀作品として推す。
・各期間は以下のように設定する。
投稿期間: 2 週間
感想期間: 1 週間
総括期間: 1 週間+α(そのときに応じて期間は変化する)
【関連スレ】
第八回顔文字選手権大会
http://choco.2ch.net/kao/kako/1015/10156/1015675389.html
【注意】
※必ず名無しで投稿して下さい(誰だか判らなければ良い)。
※特に、普段トリップをつけている方はご注意を。
(そのトリップと違うトリップなら構いません)
それ以外の手順は SS 投稿スレに準じます(以下に転載)。
|【投稿の手順】
|
|1:まず、投稿する旨を告知するカキコをすると良い。
| 「今から SS 投稿します。なお、××な内容です」など。
| 鬼畜・陵辱・スカなどのジャンルでは特に。読むのを嫌がる人もいます。
| (時間帯・スレの状態・信念・その他で省略可)
|2:書いた SS を 30 行程度で何分割かしてひとつずつ sage で書き込む。
| (名前欄に、タイトルと通しナンバーを入れると分かりやすい)
|3:回しは不要。旧スレからの変更です。
|4:最後に sage で作者名・タイトル・あとがきなどと共に、
| アップしたところをリダイレクトする(
>>1-2 みたいな感じ)と トッテモ(・∀・)イインチョ!
【よくあるかも知れない質問】 Q.複数の作品を投下するのは OK ですか? A.構いません。期間内でテーマに沿っていればいくつでも結構です。 Q.もうすぐ完成するから、締め切りを伸ばしなさい(`□´)くわっ A.終了間際の混雑などを考え、締め切りは延長される可能性もあります。 その際は、一言その旨をこのスレに書き込んでください。 ただし、完成まであまりにも時間がかかりそうな場合はその限りではありません。 Q.締め切りが過ぎてから完成したんだけど、ここに投稿していい? A.締め切りを過ぎたものについては、葉鍵的 SS Training Room や 内容に見合った別の SS 関連スレに投稿してください。 このスレは、決められたテーマと期間の両方を満たす SS を対象にしています。 Q.気に入った SS があったけど、みんな名無しだから作者がわからない。 A.締め切り後にこのスレで訊いてみましょう。教えてくれるかも知れません。 Q.投稿した投稿作品がリアルリアリティに汚染されてます。 A.ときには厳しい意見が付くこともありますが、別にあなたが憎いわけじゃありません。 良い感想職人さんはちゃんと理由も書いてくれますから、次回に役立てて下さい。
【告知】
現在このスレは、第二十回投稿テーマ:『友達』の投稿期間に入っています。
投稿期間: 11 月 17 日の午前 10:00 から 12 月 1 日の午前 10:00 まで。
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん投稿してみましょう。
それが終わった後は、感想期間に入ります。
面白い作品だったら、感想がたくさんついてきて(・∀・)イイ!!
もちろん、その逆もあるだろうけど……(;´Д`)
※投稿される方は
>>2-5 にある投稿ルール、FAQ をよく読んでください。
※特に重要なのが
・テーマに沿った SS を*匿名*で投稿する
・投稿期間中は作品に対して一切感想をつけない
※の二点です。他の各種 SS スレとは異なりますのでご注意を。
保守
>1 お疲れさまです。
即死回避支援〜
>>1 乙でした〜&ありがとうございました&お手数おかけしました。
さて、次々回テーマですが、「なんでもあり」にしたいと思います。
「『なんでもあり』ならクリスマスネタもイベントネタも書けるよね」という、ひどくアバウトな理由で(w
年末年始のお祭りってことで、個人的にも楽しみにしています。
うーん、半年振りぐらいに書こうかしらん。 気楽な気持ちで。
私は初投稿に挑戦中。完成するといいなぁ…。
即死回避カキコ。
もひとつ。
ほしゅ〜ほしゅだよ〜16getして、ほしゅするよ〜
強力
次々回はなんでもありか。どうしようかな…。 冬コミ本用のSSの進行しだいですかね俺は。 即死回避&かのんSSこんぺ短編部門終了記念にちょっと聞いてみます。 このスレの参加者(SS、感想問わず)の中で、かのんSSこんぺに参加した人って どのくらいいるんですかね? 「動物」の回のとき、かのんSSこんぺのために作品・感想数が少なかったかもしれないと聞きましたし。 ここの住人の方々が参加したとして、どのくらいまで行ける(た)のだろうか?
まこみし感想隊なら見かけたけどなw
いましたねまこみし感想隊w 伏字の時点からバレバレでしたがw って、俺のID、U1になってるw
即死回避っていくつ?
諸説あって定説はない。とにかくたくさん書いておくのが吉。
新スレ記念パピコ
新スレおめ
協力します。
テーマ「なんでもあり」キタ────(゚Д゚;)────!! 最近のテーマでなかなかネタが思い浮かばなかった…… という人はとりあえずいま書きたいもの、書けそうなものを 気楽に書いてみる、でいいんじゃないかな。 一回ぐらいならこういう回もいいと思う。 自分は向こうのこんぺは参加できなかったから、 やっぱり盛り上がってるのを見ると、うらやましい。 参加できなかったヤシが小規模でも祭りを味わうとしたら、 自力でSS自体の面白さでちょっと人を呼ぶぐらいじゃないと いかんのだろうな。大変だけど。
テーマ「なんでもあり」なら製作条件は向こうとイーブン以上になるし、 (Kanon限定じゃないし、クロス等もありだし、容量制限ないし?エロ描写もOKだし) 「規模は及ばなくても、SSそのものでは向こうのこんぺに出しても けっこういい勝負できるよ?」 ぐらいに思われるようなすごい勝負球も欲しいね。 特に、向こうに参加できなかった人、もともとしなかった人。 「コンペスレには向こうで上位に入れるような書き手はひとりもいない」 なんて、たいして見てもいない人にまたそんなこと言われるのもヤだし。 「テーマがないんじゃ意味ない。つまらない」人も、 このぐらいのハードルを設ければやりがいは出るんじゃないかな。 逆に、向こうに出した人も、もし不本意に終わった人がいたら リベンジって感じでどうだろ。
>>18 かのんSSこんぺで、「名無しさんだよもん」という人が感想書きの中にいたな。
あと、作者の中で「名無しさんだよもんM」って人もいた。
この人たちはもしかしたらここのスレの人かもしれない。
あと、短編参加者の公開してるサイトを回ってみたが、
前回『動物』で「式神の白」を書いた人のサイトを見つけた。
中編に参加してる人もいるんじゃないかこの中には?
最近、ここのSS、長めになる傾向にあるっぽいし。
鍵SSは苦手だと言う人は、ぜひこっちで葉SSでもなんでもいいから
自由に書いて欲しいな。
最優秀の評価がやり辛いかもしれないが、元々最優秀作品を選ぶのが目的じゃないんだから、
むこうのこんぺの短編部門上位に負けない良作が出てくるかもという期待も持てる。
むう、ついにきたか「なんでもあり」。 キボンヌしていた人間としては書かねばなるまい。 ……いい加減無気力スレから脱却せねば_| ̄|○
「なんでもあり」で盛り上がるのはいいが 「友達」を忘れないでくれよw
>29 ポジティブも、ネガティブも、伝染するものだということに気がついた。 以来恐くなってあのスレは半年見ていない。 >18 このスレもKanonこんぺも住人がそれぞれ完全に固定してるわけじゃないんだから、 気が向いた時にどっちも見てる、参加してるという人もいるはずだよ。 既出だけど、ここの第一回の最優秀(っぽい)人はガテラー星人さん。
いま書いてるにゃう。中盤過ぎくらいかにゃ。
1レス 『すすむとき』
34 :
すすむとき :03/11/22 20:08 ID:gYqE04JX
「天野、年賀状送るから住所教えてくれ」 「え?いえ、私は別にそんな、気を使わなくても・・・」 「どうして?年賀状ぐらい送るだろう?親しき仲にも礼儀ありって・・・」 「でも、あの、家族の人とかにも見られてしまいますので・・・」 「見られると何か問題があるのか?」 「ですから、その、私は男の人からそういうのは貰った事ないので、驚くと言うか、絶対勘違いされると思うんです・・・」 「勘違い・・・か」 「あ、いえ、あの・・・」 「天野が迷惑ならやめる」 「あ、ま、待ってください」 「・・・」 「住所、教えます・・・」 「・・・ありがと」
終わり。
おねの繭After、3レスぐらいの予定です。
「本当に、あたしが付いていってもいいんですか?」 「ああ。その方がこいつも喜ぶし。な、繭?」 「みゅー!」 あ、今のは肯定のみゅーだ。繭も賛成してくれてるみたい。 少し気になることもあるし、思いきってついていっちゃおうかな。 さりげなく繭の表情をうかがい、笑顔であることを確認して、あたしは決意を固めた。 「それじゃあ……折原さん。今日は一日、宜しくお願いしますねっ」 「おう。こっちこそよろしくな」 こうしてあたし――みあは、二人のデートに同行することとなった。 「ほらほら。口の周りにソースがついてるぞ」 「ほぇ?」 まず向かった先はハンバーガーショップ。店に着くなり繭は、照り焼きバーガーを三個、注文した。 ちょっと多すぎじゃないかな? とか思ったけど、一緒に並んでいた折原さんは満足そうに頷いている。 なんでも以前は十個近く買うこともあったそうで、その時に比べると格段に成長している、とのこと。 それでもやっぱり余っちゃったんだけど、それを見越してか折原さんが自分の分を少なめに注文していたので、あたしたちは残すことなく全部食べきることができた。 そうして今、折原さんが繭の口もとをふいている。卒業直前になると、繭もこぼさないで給食を食べれていたのに、やっぱり折原さんの前だと気が緩むのかなぁ。 そんなふうにぼんやり見ていると、ふと折原さんがこちらに目を向け、悪戯っぽく微笑んだ。 「みあの口もふいてやろうか?」 「い、いえ、いいです、結構ですっ!」 慌てて断ってしまったけど、もし受け入れていたらどうなっていたんだろ。 ……どうもしないよね。 たぶん、なんのためらいもなく、その言葉通り実行していたはず。 まだ会って数回しか話していないけれど、なんとなくそれは確信できた。
軽食の後は映画。ジャンルはアクション。繭はちょこんと座り、スクリーンの方を食い入るように見つめている。 折原さんは……本人の名誉のために伏せておこうと思う。でも、銃撃戦のシーンとかはうるさくなかったのかな? その後はファンシーショップを冷かしたり、ゲームセンターに寄ったり、ボーリング場で遊んだりした。 今日1日同行してわかったこと。それは、折原さんが繭を一人の女性として見て、その意志を十分に尊重していること。 それと、繭が心から折原さんを信頼し、だけど頼りっきりにならないよう努力していること。 「オレは繭の彼氏として合格か?」 「……なんでそう思ったんですか?」 最後に向かったレストラン。お手洗いに立った繭を見送った後、おもむろに折原さんは口を開いた。 「そりゃあな。あんなにじろじろ見られてたら、誰だって気付くだろ」 「あたしが折原さんに一目ぼれしたという可能性は?」 「オレはそこまで自信過剰じゃないぞ」 そう言って肩を竦める。 「で、どうなんだ?」 「……正直、ずっと折原さんを疑っていました。なにも知らない繭を騙し、その体を弄んでるんじゃないかって」 「年下趣味とか陰口叩かれたことはあったが、そこまで言われたのは初めてだな」 複雑な表情で苦笑い。 「す、すいません」 「今でもそう思ってるのか?」 遠目でこちらに戻ってくる繭を確認し、軽く手を振りながら折原さんが尋ねてきた。
「いえ。繭の相手がこの人でよかったな……ううん。この人じゃないと駄目だろうな、と。そう思っています」 「えらい極端だな。買かぶり過ぎだと思うぞ」 照れ隠しのためか、すこしぶっきらぼうに答える。 「そうですね。ちょっとお世辞、言いすぎちゃいました」 「みあ、どーしたの?」 冗談めかして返した所で、繭が席に帰ってきた。 「うん、繭が羨ましいなーってお話。こんなに素敵な彼氏さんがいてくれて」 咄嗟に口にしたあたしの言葉を真に受けたのか、繭は困ったように俯いてしまう。 慌ててフォローを入れようとした所、繭はぱっと顔を輝かせてこちらに向き直った。 「こーへー、はんぶんこする?」 「あはっ、それもいいかも」 「おいおい、オレの意志は無視なのか?」 憮然とした折原さんと、にこにこしている繭。 対照的な二人を見て、あたしは、これから先も長い付き合いになりそうな。 そんな予感が、した。
>37-39 以上、『ともだち』でした。
1日空くと怖くなるんで
俺も保守るか。
【告知】 締め切りまで一週間を切りました。 作品の執筆は計画的に。 今回のテーマは『友達』で、締め切りは 12 月 1 日の午前 10:00 です。 また、次回のテーマは『なんでもあり』で、開催時期は 12 月下旬〜 1 月上旬になる予定です。 「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの 執筆に力を注いでもらっても構いません。ただし、投稿は次回の募集開始までお待ちください。
44 :
メンテ :03/11/27 02:34 ID:E2HFppYp
しんじょうさおり「えーん!えーん! うちの猫が木に登って、 降りてこられなくなっちゃったのお!」 浩之「ちょっと待ってろ…」 浩之は木に登り、猫の脇の下を抱えると、もっと高いところに置いて さおりのところに降りて帰って来た。
45 :
メンテ :03/11/27 02:40 ID:E2HFppYp
浩之「来栖川先輩、その猫、魔術のいけにえにするつもりなのか!? かわいそうじゃねえか!」 芹香「……」 後日 浩之「なんだ結局飼うことにしたのか。よかったなあ」 芹香「(こくこく)」 猫 「にゃぁ」 綾香「姉さん、あの後輩の子、魔術のいけにえにするつもりなの!? かわいそうじゃない!」 芹香「……」 後日 浩之「なんだ結局付き合うことになったの。よかったわね」 芹香「(こくこく)」 後輩「おっす、藤田浩之です」
後日の浩之。後輩の藤田浩之。似てる。でも違う。 つまり――宇宙は一巡したのか!?
保守しておこう。 ネタはないけど。
「…この世界が嫌い?」 そう呟いた。 「……」 「……この葉鍵板は、あなたにとって意味のないものなんですか?」 「…どうして」 それだけしか言葉が繋がらなかった。 「あなたも同じだから…」 「……」 「あの人と同じだから…」 自虐的に呟く。 「どういうことだ……」 「……この場所で、私をおいて消えてしまったシナリオライター。 …あの人と一緒なんですね」 「消えたって…」 「…はい」 「一緒なのか…オレと…」 「…はい」 そのとき、すべてが分かったような気がした。 一緒だったんだ。 葉鍵板を捨てて、永遠を求めて、そしてこの世界から消えた。 それは、オレだけではなかったんだ。
「私は幸せでした。 萌えで埋め尽くされたこの掲示板を、ゆっくりと穏やかに歩む。 煽りあいばかりで代わり映えがしなくて。 そんな困ったさんな二重隔離板の毎日が、でも幸せだった。 側にいつもあの人がいたから。 私と、准さんと、そしてあの人。 顔を合わせると、いつもシナリオ練りこみの討論で。 2人が、私たちONEの女の子のために、一緒に活発な企画会議を開いて。 競い合いながら物語を書き進めていくが当たり前で、それが当然だと思っていました」 オレと他のリーフの仲間と志保たちの関係と一緒だな…。 そう思った。 「私は幸せでした。 だから…一緒にいるあの人も幸せだとばかり思ってた…。 永遠にこの幸せが続くと思ってた…。 でも…」 一度言葉を区切り、目を伏せる
「最初は准さんでした」 『この人……茜の、生みの親?』 「准さんがあの人のことを忘れて…。 それから他のスタッフもあの人のことを憶えていなくて」 それも、オレと同じだな…。 「気がついたら、あの人のこと憶えていたのは私だけでした」 「……」 「…そして、今日と同じく突然、 …今日と同じ、板のお祭スレッドのただなかで、 私の目の前で、あの人は消えたんです」 『待ってるんです』 「……」 『この場所で、子供を見捨てたシナリオライターを待ってるんです』 その言葉の本当の意味に気づいて。 オレはどうしようもない無力感に苛まれて、言葉を返すこともできずに雨に打たれていた。
訃報を聞いたその瞬間に心を捉えたのが、脱力感とともに 「これってSSの材料になるかも……」 だった自分が嫌になる。スレ違いは承知だがともあれ黙祷しておく。
今回は事情が事情だし締め切り延ばせないものかな?
>52 そんなこと言われても…
>52 安心しる。そんな時のためにも、次のテーマ「なんでもあり」だ。
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレでは投稿作品を募集しています。
今回のテーマは『友達』です。
投稿の締め切りは 12 月 1 日の午前 10:00 までとなっています。
テーマを見て、思いつくネタがあればどんどん参加してみましょう。
その際に
>>2-4 のルール、FAQ に一度お目通しを。
また、次回のテーマは『なんでもあり』で、開催時期は 12 月下旬〜 1 月上旬になる予定です。
「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの
執筆に力を注いでもらっても構いません。ただし、投稿は次回の募集開始までお待ちください。
今から投稿します。全15レスほど。Kanonのコメディです。
「きりーつ!」 「礼!」 「解散!」 と、今日の授業が滞りなく終わったのは良いが、俺に話し掛けようという生徒は見られない。 ――今更だが、俺って友達少なくないだろうか? よくよく考えたら、名雪と同じクラスになったのが運の尽き。 友人を作る努力を放棄して、名雪と香里の両手に華という状態だったから、クラスの男子からの視線は冷たいものがある。 栞が弁当作って持って来た時の視線も痛いしな。 そうそう、佐祐理さんや舞が教室まで俺を迎えに来るのも、ちくちくと痛いものを感じる。 先日、生徒会では、多重異性交遊禁止運動の決議が採られたとか、どうとか。 しかも、それに賛同している男子生徒も少なくないらしく、生徒会では臥薪嘗胆が座右の銘になってるらしい。 良い迷惑だが、反省せねばならないだろう。 この命、あるうちに! このままでは、後ろから刺されるのも時間の問題だ。
『イッツ・心友』 お前のものは俺のもの。俺のものも俺のもの。 「オーケー。それだ!」 拳を天高く振り上げて、『我が生涯に悔いなし』の文字が背景に刻み込まれる。 オーグレイト。ついでにイナズマも迸らせてくれ。 ピカ。ゴロゴロゴロ。 「なに、やってんの?」 「青天の霹靂だ。気にするな。で、何の用だ。カエルマニア」 「……か、カエルマニア」 不服そうに、名雪は顔を引きつらせるが言い返される覚えもない。 こいつは、人間のくせして両生類に手をだすような危ない奴だ。 そんなに粘々がいいのか。しつこそうじゃないか。どうせ俺はそんなに濃くはないよ。 「か、カエルマニアって……ひどいよ、祐一」 「なんなら、イチゴオタクでもいいぞ。もしくはキャットオアスノー」 「キャットオアスノー?」 「猫か人間か、問題はそれだ! って感じだ」 「わたし、人間」 「早く人間になりたいのか?」 「違うよ。というか、文法ヘン。絶対にヘン」 「黙れ、物の怪。今は冬だからいいが、きっとお前は夏になった溶ける。そりゃあもう、すっごくな。ベッドはヌレヌレだろ」 「わたし、溶けないもん。人間だもん」 「何言ってんだ。騙されるか! 考えてみたら、俺の周りはロクなやついねー」
例えば、死から甦った生霊うぐぅ。 さらには元祖物の怪姫、あうーっ。 リビングオブザデッド、嫌いです。 魔物ハンタ−、はちみつくまさん。 「どうだ。お前だけ、違うとは言わせん」 「説得力あるけど、わたしは違うもん」 「逃げるな、現実から。というわけ命名」 「…祐一、お願いだから人の話聞いて」 「イチゴ・ザ・ひっきー。どうだ、いい名前だろ?」 「ひっきーって…」 「香里に言わせれば、言葉通りよってやつだ」 引き篭もるイチゴ。 引き篭もっては、一期一会は有り得ない。 おう、名言。 「うっ。横暴だよ、そんなの。いいよ、祐一にも付けるもん。祐一の名前は、これから紅しょうが」 「べ、紅しょうがって。あんた、また無茶を…」 もし、あゆと吉野家に行ったら…。 「ねえ、紅しょうが君、紅しょうが取って」 「おう、いいぞ。ほれ」 全然、良くねー。
「…嫌すぎるぞ」 「紅しょうがが嫌なら、花らっきょ」 「くっ、花らっきょだと? すっげー嫌な気分になるぞ。食い物の名前って」 「花らっきょ。花らっきょ。花らっきょ」 「うおー、呼ぶな。呼ばないでくれ。ひっきー名雪ー!」 「花らっきょ。花らっきょ。花らっきょ」 「ひっきー。ひっきー。ひっきー」 「花らっきょ。花らっきょ。花らっきょ。付け合わせだよー!」 「ひっきー。ひっきー。ひっきー。こんにちは、新聞の勧誘でーす!」 「良い加減にしなさい、あんたたち! 「わ、ごめん。香里」 「わー、ごめん、かおりん」 ぐしゃ。 「止めてよね、そういう綽名で呼ぶの…」 「おい、香里。その手にあるカイザーナックルは何なんだ?」 「味わった通りよ」 ああ、どうりで頬が痛いわけだ。 頭がぼうっとして来た。 視界に白い靄が掛かって、何か薄ら寒くなってくる。
あ、あゆじゃないか。どうしたんだ、こんなところで? え? この川を渡って、一緒に遊ぼう? し、栞もそこにいるのか? 早く? 早くそっちに行かないと、どうだっていうんだ? なんで、手招きしてんだよ、青い顔してさ。 「あゆさん、早く止め刺さないと、祐一さん戻っちゃいます!」 「そうだね。雪に石を入れて、祐一君に当てなくちゃ」 「配分は、七対三の割合でお願いします」 「七が石の量だね」 「はい」 「――って、ここ三途の川か!」 あの二人がいるってことは、地獄か? 地獄に落ちるのか、俺は? ええい、気合を入れて腹筋だ! 起きるぞ、俺は! がばっ。 「香里、俺を殺す気か!」 「概ね、そんなとこ」 「意外と、しぶといね。祐一も」 「名雪、さらりとひどいこと言ってないか?」 「わ、もうすぐ部活、始まっちゃう」 「誤魔化すな」
「まあまあ、痴話喧嘩はそれくらいにしなさい」 「事の元凶、黙ってろ」 ぐちゃ。 「わははは、二度も同じ手を喰うか。必殺☆名雪バリアー」 「……はぅ」 崩れる、名雪。 お前の力は、所詮、そんなもの。 「名雪、お前の仇はきっと取って見せるぜ!」 夜空に輝く一番星に俺は誓いを立てる。 誰のための誓いだ。 そんなこと決まってる、亡き心友のため。自分のために。 この死闘、負けられません。 相沢祐一の名に懸けて。 「そういうわけで、いち抜けた」 「あたしも、飽きたわ」 「ひどいよ、二人とも」 バタン。 頭から血を流しつつ、名雪リタイア。
「というか、話進まんだろう!」 世の中の柵に抗議を込めた、地団駄を踏んでしまう。 ダンダンダン。 「祐一、傲慢……」 「我侭って言うのよ。こういうのは」 名雪、無傷。 人のことは言えんし、今更、突っ込まんがな。 とりあえず―― 「理不尽な展開は分かったから、もういいだろ。俺は友達を作るという使命に燃えてるんだよ」 「……友達?」 二人して、何だか人を馬鹿にしたような視線。 いや、名雪は唇を吊り上げてヒクヒク笑いを我慢しているみたいだった。 な、なぜだ? 「ねえ、祐一。今度、祐一の誕生日、金魚買ってあげるよ。仲良くしてあげてね」 「ちょっと、待てーい! 何故に、ペット。いやさ、金魚」 「そうよ。名雪、せめて亀とか」 「ぐわ、すっげー微妙なラインだが、そっちは下だろう。下がってるだろレベル」 「じゃあ、犬」 「まあ、それなら……」 「……の、ぬいぐるみ」 「わ、もう生きてねーし。動かないし。って、言うな! 皆まで言うな! アイボだったら良いとか言ってねー」 ダンダンダン。 地団駄、ここに極まり!
「人間だ、人間様だ。俺が欲しいのは、人間の友達だ。強いて言うなら、強敵と書いて友と呼ぶくらいが理想的だ」 「無理ね」 「祐一、もっと自分のことよく見てよ」 なぜ、涙目で訴えるんだ名雪? 俺は、そんなに友達できなさそーな顔してるのか? 「くそう、見てろ」 俺は教室を見回して、帰り支度をしている男子生徒の中からひとりでいる奴をピックアップし、声を掛けようと前に回りこんだ。 土台、友達なんていうのは、自分から進んで作らないと始まらない。 そして、大事なのは一言目だ。 在り来たりの科白ではすぐに打ち解けてはくれないだろう。 こうなったら、俺の取って置きを見せてやる。 男子生徒のこちらを見る目は不審そのものだったが、これでいちころ。 心友、間違いなしだ! 「好きとか、嫌いとか、初めに言い出したのは……一体、誰なんでしょうね?」 「はい?」 ぐわ、しまった。 これは、微妙にメモラーと思われる人間を見出して鎌を掛けるための高等テクじゃないか。 しかも、なんで、そんなこと知ってるんだ、俺は。 「あ、いえ……何でもないです」 そそくさと、危ない人を避けるように男子生徒は、俺から離れて帰っていった。 何となく、冷たい風が屋内に流れていた。 まあ、一度や二度の、失敗に懲りる俺じゃないんだが、けっこう堪えるな。 仕方ない。次こそ、本当の勝負だ。
例えば、着メロ。 相手の着メロを聞いて、自分の知ってる曲だったら、話の魚になるだろう。 狙い目は、一般よりはズレたマニアックな曲。 これは、相手にとっても、知ってる人間に話しかけて貰いたいという心理が有るはずだ。 いや、無かったとしても、クラスメートの俺なら、そこそこフレンドリー。 街中で話しかけられるのとは、わけが違う。 それから、大海に進み出る。 これだ、これしかない。 さあ、かもーん。 「〜〜〜〜♪」 おう、都合よくどこからか、着信メロディが。 まだ、小さくて聞こえないが、俺の知ってるメロディのようだ。 しかも、また、レアな……。 何だっけ、これ? 確か一度だけ聞いて、インパクトがあって、忘れれない曲だった気が……。 もう少し聞いたら、思い出せるかも……。 CHU! CHU! CHU! CHU! CHU! CHU! CHU! CHU CHU! CHU! CHU! いち、に、さん――ハイ☆
「あ、メールだ」 「貴様か! 北川!」 バシン! 俺の拳が真っ赤に燃えて北川の頬を打ち付ける。 北川は、もちろん壁まで吹っ飛んだ。 脇役の定めを充実にこなしているのに、そこそこ好印象。 「まったく。落ち的にはお前が、オレ達いつまでも友達だよな、で締めくくるはずだろ? どうして、話の流れを読まないんだ! しかも寄りにもよって、恋愛CHU!かよ。ダウトだ、ダウト!」 「む、無茶言うな……」 そう零して、北川は逝った。 ころり、と。 貧弱すぎる。ブルワーカーで鍛え直さないと、香里の拳はこの程度じゃないぞ、北川。 戒めるために、額に『肉』と油性ペンで書いてやる。 「しかし、これで……振り出しに戻ってしまった」 香里と名雪に視線を戻して、俺は言った。
「これで分かったでしょう? 相沢君に友達を作るのは無理なのよ」 「今の北川君への仕打ちを見たら、誰も近寄らないもんね」 くそ。言いたい放題で頭に来るが、反論できん。 「ふう。認め難いことだが、俺の友達と言えるのは、結局、名雪と香里だけか……」 遠くの空を見つめて、俺は溜息を吐き出した。 まあ、こいつらでも居ないよりはマシだと自分を慰めてみる。 妥協するとは、俺も随分と落ちたもんだが。 「何ですって!?」 「香里、怖いよ。祐一、わたし達のこと友達だと思い込んでるよ。犯罪への一歩だよ」 「相沢君、あたし達から離れなさい。三メートルは距離を取るのよ。ええ、悪いようにはしないわ」 「そうだよ、祐一。香里、いいお医者さん知ってるから」 「――待てい! どこをどう取ったらそうなるんだ!」 「名雪、相沢君の目を見なさい。ほら、血走ってるわ」 「犯罪の臭いがぷんぷんするよっ」 「あれは、攻撃色ね。しまったわ。精神病院じゃなくて、動物病院に電話するべきだったのね!」 「祐一は友達いないから、せめて動物たちと仲良くするんだね?」 「そうよ」 「違うわ。即答するな!」 ダンダンダン! 地団駄だ。究極の地団駄を踏んでやるぞ。
俺は、名雪を指差して問い掛ける。 「名雪、お前は俺の何だー!?」 「従兄妹だよ?」 次に、香里を指差して問い掛ける。 「香里、お前は俺の何だー!?」 「親友の家に益体もなく住み着いて喰う寝る遊ぶしている猫の手よりも役に立たない単なる居候と認識してるわよ?」 句読点もなくひと息で言い切る香里。 「そそそそそそそそそ、そのまんまじゃねーか。馬鹿やろうコンチクショウ!」 「だって、他に言い様はないよ、祐一?」 「何を勘違いしてたのか知らないけど、友達ではないわ。迷惑よ」 このまま言わせたい放題でいいのか? いや、良いわけがない。 もう、こいつらは友達どころか、敵だ。敵。 絶対に、見返してやる。 俺にも友達くらい居るところを見せ付けなくては―― 「あははーっ、どうしたんですか、祐一さん」 そこに、天使の声が聞こえた。
「佐祐理さん!」 俺は、教室の入り口のところに振り返る。 ぴかぴか。きらーん。 眩しい。後光すら射し込んで見える。 まさしく天使の微笑。 「早く帰りましょう。祐一さん」 「……今日は、百花屋に行く」 おう。舞もいるのか。よしよし。これで形勢は一気に逆転だ。 「佐祐理さん、舞。俺たちってアレだよな。友達だよな?」 この際、女友達だけでもいることを名雪と香里には見せておきたい。 俺は主人公。お前ら数いるヒロイン。 その違い特と思い知らさせてやらねばならない。 俺が舞ルートに流れたら、どうする? 奇跡は起きないぞ。わはははっ。 「……え? 祐一さん、そんな」 ピカ。ゴロゴロゴロ。 わ、また素敵な晴天の霹靂ですこと。背景さん頑張ってます。 ってか、何気に不穏な雰囲気。 どうして舞は俺のことを、「佐祐理を泣かしたら許さないんだから!」という眼で見てるんだ?
「佐祐理と過ごした日々は、単なる戯れだったんですね?」 潤んだ瞳で見つめてくる佐祐理さん。儚く健気にハンカチを手にとって頬を拭う。 しかし、俺にはわけが分からない。 佐祐理さんは、この二人と違って悪趣味な冗談は言わないはずだが。 それとも俺は、何かとんでもない勘違いをしているのか? 「なのに、ただの友達なんて……祐一さんの馬鹿、嫌いですよー!」 タタタタタと走り出して教室を後にする佐祐理さん。 『サユリハシンユウダトオモッテイタノニ』 涙混じりのせいか、小声で呟く佐祐理さん。 なるほど。 合点行きましたが……。 「どうして、肝心なところだけ小声なんだよ!?」 「……祐一、佐祐理を泣かせた」 ぐるぐると布で包まれている剣を、舞は解き出す。 「戯れで遊んだ? 最低ね、相沢君」 「祐一の晩御飯は、紅しょうが。お茶碗に紅しょうがを盛って、紅しょうをオカズに食べるの」 何か誤解している、二人。 「くはははは、喜びたまえ。本日の生徒会役員会議にて、多重異性交遊禁止の罰則が設けられたぞ。 相沢祐一……君を拘束する。罰則は、ある生徒の提案により紅しょうがを一升瓶ごと喰らうことだー!」 教室に入り込んでくる、目をぎらつかせた久瀬と、多数の男子生徒。 だが――
「……そうか。そうか。そんなに、俺に友達を作らせたくないか……。 どうしても、舞に誤解でやられて、お前らにボコられて、名雪たちに悪態を吐かれるオチにしたいのか……」 俺は、掃除用具入れの前に立って、宣言した。 「『どうしてこうなるんだよ!』――とかいう有り触れたオチで今時のお茶の間が納得すると思うなっ!」 掃除用具の中に隠していた多い日も安心、夜用の木刀を俺は取り出す。 それを見て警戒を強める舞。 カイザーナックルを嵌める香里。 そそくさと逃げ出そうとする名雪。 俺の周りを固める久瀬と愉快な仲間達。 「――掛かってこいや!」 「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ――――――!」 「倉田さんは僕のものだ――!」 戦わなければ生き残れない! そして。 廊下でその様子を見守っていた、二人の女の子は……。 「……ねえ、美汐。この『ドッキリ』のプラカードはいつ出せば良いの?」 「真琴、とても残念ですが……手遅れです。とりあえず、周りに被害が及ばないよう教室の鍵を閉めときましょう」 そこで、名雪と目が合う。 逃げようとしているらしい。が、天野は見なかった事にして鍵を閉めた。 「そ、そんな〜!」 もう一度、言おう。 ――戦わなければ、生き残れない! フレンズ 〜青春の輝き〜 完
以上
>>57-71 です。深夜は連続投稿規制に掛かり難いみたいですね。
良いことです。
寒い。
To HeartのギャグSSを投下します。5レスくらい。
やっほー、みんなのアイドル志保ちゃんよ。 突然だけど命がピンチなの。学校でこんなサバイバルを味わえるとは思わなかったわね。 「HuHuHu…。脅えてないで出てきなサイ? 哀れな獲物タチ…」 「うわ、来た!」 ヒュンヒュン!と眼前を矢が飛んでいく。タイミングを見計らい、隠れていた柱の陰からあかりの手を握って走り出す。 「さあ逃げるわよあかり! 追いつかれたらおしまいよ!」 「ねえ志保…。どうしてわたしまで巻き込まれてるのかな…」 「いやー、暇だったからレミィの前に五円玉吊して『ユーアーハンター、ユーアーハンター』って言ってみたんだけどさぁ。まさか本当にああなるなんてね、あっはっは」 「神さまお願いします。この件が終わったら志保とは縁を切ります。だからわたしだけでも助けてください…」 「なによ、友達がいのない奴ね。あたし達は昔から一連託生じゃない!」 全力で廊下を駆け抜け、手近にあった理科室に逃げ込んで鍵をかける。ふー、これでしばらく時間を稼げるわね。 振り返ると部屋の隅であかりがしくしく泣いている。 「いい加減諦めなさいよ。あたしの親友になった時点でこうなる運命だったのよ」 「そんな運命いやだぁー」 「でも、こうして二人でいると初めて会った時のことを思い出さない? あかりが調子に乗って引き受けた造花造りを、あたしが手伝ってあげたのよね…」 「逆でしょ逆! 手伝ったのはわたし!」 「そうだっけ? まあ色々と懐かしいわよね。修学旅行中に抜け出したり、授業サボって遊びに行ったり…」 「そのたびにわたしも巻き添えにされて一緒に怒られてたよね…」 などと回想にふけっている時だった。いきなり扉の方で大きな音がしたのは。 見ると曇りガラスの向こうに、体当たりしているらしきレミィの影が! 「そんな! もうこの場所がバレたっていうの!?」 「クックックッ…ハンターの嗅覚をナメてもらっては困りマース」 「しまった! しかもこの部屋は出口が一つしかないわ!」 「そ、そんなわざわざ逃げ込んどいて今さら…」 連続する体当たりで扉がきしみを上げる。このままじゃ突破されるのは時間の問題よっ! 「ああーもう! こんなことになるなら素直にヒロに告白しとくんだったーっ!」
「…志保?」 あ゛。 あかりが目の前で笑ってる。にっこりと。殺意をみなぎらせて。 「ねえ志保、志保はわたしの親友だよね? 今までわたしと浩之ちゃんの仲を応援してくれたし、これからもずっとそうだよね?」 「くっ…あんたのその『自分は弱いから周りが助けてくれて当然』って態度が嫌いなのよ! もういい、善人ぶるのもこれまでよ。フフ…。しょせん男の前じゃ女の友情なんて紙っぺらよね…」 「ひどい、ひどいよ。わたしが昔から浩之ちゃんを好きなの知ってるくせに…。この裏切り者!」(パシン!) 「痛いわねぇ、何すんのよ!」(バシン!) そしてビンタの応酬…にはならなかった。あたしの方が強いし。 「オラオラオラオラオラオラオラオラ!」 「うごふぅ!」 あかりのハエが止まりそうなパンチをかわして、ラッシュを叩き込むあたし。 「あんたもう少し反射神経鍛えなさいよねー」 「ううう…暴力反対」 「さてあたしが勝ったことだし、ヒロはあたしのものってことでOK?」 「そ、そんな〜。ね、親友を裏切って男をゲットしても幸せになんかなれないよ? ここはひとつ友情に殉じてみんなの称賛と尊敬を…」 ダギューン! 扉を破って飛んできた銃弾が、あたしの鼻先をかすめた。 ゆっくりと首を横に向けると、ガラスに映るレミィの影の、肩のへんからライフルげな棒状のものが…。 「ウフフ…、待ってなさイ獲物ちゃん達…。ハチの巣にしてあげマース」 「武器が変わってるー!」 ガンガンガン! 鍵に向かって数発。さらに蹴り、で扉は盛大な音を立てて吹っ飛ぶ。 慌てて机の下に隠れて覗き込むと、目をらんらんと光らせたレミィが口から白煙を吐いていた。 「小便は済ませたか? 神様にお祈りは? 部屋の隅でガタガタ震えて命乞いをする心の準備はOK?」 「くっ、調子に乗りゃあがって…。かくなる上は仕方ないわ。あかり、あんたがレミィの注意を引きつけるから、あたしはその間に逃げるのよ」 「うん、わかった…って、ええ!? 引きつけるのはわたしの方!?」
「トロいあんたじゃ逃げ切れないでしょっ。だいじょぶだいじょぶ、ちゃんと助けを呼んでくるから」 「ホントかな〜。一時間くらい経ってからのんびりやって来て、『あんたの死はムダにしないわ。ヒロはあたしに任せて天国へさようなら永遠に』とか言う気じゃあ…」 「何てことなの、あかりがそこまで友達を信じない奴だなんて…。学校中に言いふらしてやる」 「そんなっ、わたしの純朴なイメージが台無しじゃない! わかったよぉ、行ってくる…」 誰が純朴やねん、と言いたくなる台詞を残し、渋々隠れ場所から出ていくあかり。 「Target!」 銃口を向けるレミィの前で、素早く両腕で頭上に輪を作る。 「なんちゃってー」 「……」 ズガガガガガガガ 「きゃあああ!」 銃弾の雨から飛び逃げて、あたしのところへ戻ってきた。 「わたしの芸が通用しないなんて! やっぱりメリケン人は笑いの感覚が違うんだね」 「あんたと友達になったことをかなり後悔したわよ…」 「ううっ!」 「あ、あかり!」 ああっ、制服の肩のとこに穴が空いてる! まさか今の銃撃で!? レミィの足音が近づいてくる中で、あかりが弱々しく笑う。 「ごめんね志保、もうダメみたい…。さっきはあんなこと言ったけど、志保と友達でいられて楽しかったよ…」 「バカッ、何を弱気になってるのよ! しっかりしなさいよ!」 「志保、わたしが死んでも浩之ちゃんとはくっつかないでね…。ムカつくから…」 「聞かなかったことにしとくわ! ねえ、目を開けてよ! あかり、あかり…?」 そんな、どうしてあかりがこんな目に遭うの!? 『お前のせいだよ』とは言わないでね! 神さまお願い…。あたしはどうなってもいい、あかりを、あかりを助けて! 最後にどうか奇跡を…!! カチャッ 「ア、弾が切れましタ」 ……。 「今だぁぁぁぁぁっ!!」
一気に飛び出して、炸裂するあたしとあかりのツープラトン! 「志保ちゃんキーック!!」 「あかりちゃんキーック!!」 「GYAAA!!」 レミィはアメコミ風の顔になって倒れた。 た…。 助かった…! 「あかり…」 「志保…」 夕焼けの理科室の中で、あたしとあかりは手をがっしりと握り合う。 「は、ははは…」 「あはははは…」 変ね、こんなにおかしい気分だなんて…。ついでにあかりは制服に穴が空いただけだった。 「ねえ志保、浩之ちゃんのことだけど…」 「ああ、あれ? 冗談に決まってるじゃない。あたしがヒロなんか好きになるわけないでしょ」 「だ、だめだよ我慢するなんて。正々堂々と勝負しよう?」 「バッカねー、そんなことしたらあたしが勝っちゃうじゃない。いいのよ、あたしはあかりさえ幸せなら…」 「だめだってば、そんなことされても嬉しくないよ」 「いいから」 「だめ」 「あーっもうしつこいわね。あんたは今まで通り犬っころみたいにあたしの言うこと聞いてりゃいいのよ」 「ひ、ひどい、わたしのことそういう目で見てたんだ…。たまねぎ頭の分際で」 「ああ!? なに人のオリジナリティ溢れる髪型にケチつけてんのよこの赤頭! トマト! パプリカ!」 「ううう〜! 志保なんて志保なんてー!」 泣きながら腕をぐるぐる回して攻撃してくるあかりを、再度タコ殴りにしようと身構えたその時…
「ストップストーップ。ケンカはよくないヨ」 「レミィ!?」 正気に戻ったレミィが、あたし達二人の肩を抱いていた。 「な、なによ、あんたには関係ないでしょ…」 「ノー、そんなことないデス。だって二人はアタシの憧れなんだモノ」 「え…?」 「ずっと羨ましかったノ。日本に知り合いもいないアタシには、シホとアカリみたいに何でもわかり合えるBest Friendが…」 「レミィ…」 あたしは鼻をすすり上げてから、レミィの肩を抱き返す。 「バカね。あんたもとっくにあたし達の親友に決まってるじゃない」 「Really、ホントウ?」 「当たり前だよ。これからもずっと仲良くしようね?」 「シホ…、アカリ…」 あたしが差し出した右手に、あかりとレミィが手を重ねる。一人はみんなのために! みんなは一人のために! ガチャッ そしてレミィには手錠が…え、手錠? 「銃刀法違反その他で逮捕する!」 「ワッツ!? これモデルガンデスヨー? いやホント」 「話は署で聞こうか」 「Noooooo!!」 いきなり現れた警官にしょっ引かれていくレミィ。 それをしばらく見送ってから、あかりが恐る恐る目を向ける。 「ど、どうしよ志保…」 「あたし達は決して忘れないわ…。宮内レミィという偉大な友人がいたことを…!」 「ええー!? も、元はといえば志保のせいなんじゃあ…」 「まあ気を取り直して街にでも行きましょ! 今日は新作のCDが出る日なのよー! アハハハ…」 「うわー! 逃避してるー!」 夕陽の中、爽やかな笑顔で駆け出すあたしとそれを追うあかり。 でも結局バレて、次の日三人揃って目一杯怒られましたとさ。 「だからなんでわたしまで…」 「友達、友達!」
扉の開く音のすぐ後に見慣れる人間が入ってきた。 心理学の道に進んだ卒業生が心理テストを実施しに来る日だったのを思い出した。 長瀬祐介、と見飽きた漢字の羅列を配られた紙に書きとめてから質問に答えていく。 質問23.友達は必要だと思いますか?はい・いいえ 黙々と答えていた僕だったけどこの質問に手が止まる。 瑠璃子さんたちに会う前、二ヶ月前の僕だったら迷わず、いいえと答えてるだろう。 そして一ヶ月前の僕なら迷わず、はいだ。 今の僕は……、・に丸をつけた。最後まで答えて外を見る。 窓の外の黒い太陽白い空、運動場を行きかう影と同じ色の人々。 その中に見える赤い髪の女生徒。 あの兄妹が居なくなってから徐々に色が失われていった世界で唯一見える赤。 それが嬉しいと同時に……重い。 過去の楽しい思い出、現在の楽しい会話、未来への不安。 いつかは離れることになるんじゃないかと思うだびに色があせてくる。 不安を共有してくれる友達なんて居るはずも無い。 電波を使える人なんて居ないんだ、同じ境遇の人なんて居ない。 ふと、居るはずの無い人の声が聞こえてくる。 「……こっちにきちゃえば?みんな長瀬ちゃんたちを一緒だよ?」 思わず周りを見渡すがすぐに気付いた扉の向こうからだと。 「そうだね、扉を開くだけだ。毎日悩んで生きていくよりずっと楽だ」 頭の中に浮かぶ扉のイメージ。向こう側に居るであろうみんなに呟く。 友達というものが悩み、感情などを共有できる仲というなら彼らがまさにそうだ。 何時も笑顔を向けてくれる彼女と離れたときの不安を感じることも無い。 「これ片付けたらすぐ行くから少しだけ待っててね」 窓の外を見るとあの赤い髪は分からなくなっていた。 友達は必要だと思いますか?最初につけた丸を消すと迷わず、はい、に丸をつけた。
【告知】 締め切りまで残り 12 時間を切りました。 最後の追い込みがんばっていきましょう。 今回のテーマは『友達』で、締め切りは 12 月 1 日の午前 10:00 です。 締め切りギリギリまたは少し越えて投稿をしそうな方は、 前もってお伝えください。それについて考慮いたします。 また、締め切りを過ぎても即、投稿期間終了というわけではありません。 締め切り間際で他の方の作品と交錯する恐れや、最悪の場合、アクセス禁止が かかる可能性があります。焦らず、落ち着いて投稿してください。
佐祐理と舞のSS投下します。 シリアス+ギャグものです。
私達はさよならする。 今までの思い出も、月日も忘れていく。 これは運命だから。 人間と人間が会ったときに発生する運命だから。 祐一が都会の大学へ行くため、この町を引っ越すと言ってきた。 私も一緒に来て欲しいという、 私は佐祐理と離ればれになるのも、寂しくなるのも嫌だから 「止めて欲しい」と言いたかった。 でも、その時昔のことを思い出した。 昔のようになりたくない。 だから、わがままはもう言えない。 もう、昔に言ってしまったから。 同じ過ちは繰り返すべきでないと思う。 私達が出発する日。 佐祐理は二人で思い出を作ろうと言い出した。 「二人がいた最後の思い出の時間を作ろうよ。」 そう言って、最後の思い出を作る場所に手を引いて連れられていった。 こげ茶色の壁が続く階段。 それをつかって2階へと上っていく。 白い煙のようなものが階段中に充満し、その煙の匂いが鼻をつく。 そんな暗い階段の中に明るいものがぽつんと光る。 そこには【雀荘国士無双】という文字が書かれた看板があった。 「舞。ここだよ!ここで麻雀打ってさよならしようね♪」 私には佐祐理の言ってる意味がわからない。 佐祐理は壊れてしまったんだろうか。
汚い作業服の男、はたまた何日も髪を切っていない大学生、 そして小指の無い男達。 入ってみるとそんな奴等ばかりが麻雀を打っている。 耳を澄ませば、支那の言葉や、朝鮮の言葉が聞こえてくる。 「ね。わくわくするでしょ?」 しない。 そう思ったけど、言っても無駄そうなので声に出すのは止めた。 何処に座ろうかと思ったら丁度、女の人が二人座っているのが見えた。 近頃は女の人も麻雀をやってるらしい。 私は佐祐理が今度どんな奇行に走るかわからなかったので、 そのおとなしそうな席に急いで座った。 私が座ったら場代も払ってないのにしょうがないな。 と言って佐祐理も同じ席に座っていた。 二人の女は私達の様相を見て、笑っていた。 どうせこちらをみくびって、負けないとでも思っているのだろう。 だけど、私はお母さんとの思い出があった。 夜、暇で暇で毎日看護婦さんと一緒に徹満していた日々の思い出が。 佐祐理もこれだけ飄々としているんだから。 さぞかし強いんだろう。 私はとりあえずサイコロを振る。 その時、佐祐理が私の耳の近くに来てあの恐ろしい言葉を言ったのは忘れない。 「えっと、どれとどれあげるの?」 まさか・・・
「佐祐理・・・麻雀何回目?」 「一昨日と昨日あわせて、祐一さんと二回もやってるよ。あはは」 私は一瞬、佐祐理がにははとかいってるように聞こえたような気がする。 それはそれとして、さぞ二人の魔物は佐祐理をうまそうな鴨に見えたに違いない。 二人の女はまたにやりと笑って、こんなことを言った。 「えぇっと、ここ普通のとこのレートの2倍なんだよ。」 「ほえーそうなんですか」 「了承と受け取っていいですね。」 佐祐理はいつのまにかぽけぽけキャラになっていた。 いや、最初からかもしれない。 「ロン」 「あ、また当たっちゃいました。」 これで連続6回。 いくら素人でも、ここまで当てられる牌を持つのも中々難しいだろう。 佐祐理がぽんぽん危なそうな牌を出すたびに、私は塞がったばかりの傷口が痛くなってくる。 幸いにも、敵があがった役は安目ばかりで大したことはなかったが、 いつ、佐祐理に大きな目が当たるかわかったものではない。 今のうちに私が勝って、佐祐理の負け分を補っていかなければならない。 私達の今の所持金は、あわせて3000円ほどだから。 もし、役満にでも当たったら、とても払えきれるものではない。 私が負けて、どんな責め苦を受けようともいいけれど、 絶対に佐祐理を酷い目にあわす事はできない。
だから、私はこの作りかけの清一色を、是が非にでもあがらなければならなかった。 その決死の覚悟が運を呼んだのか。 はたまた流れが偶然きただけなのか、 私の欲しい牌、5、6、9ピンはまだ誰も溜めていない。 そう、ここでこの無駄牌である九萬を切れば、一瞬であがり、すぐに六役の完成。 そんな私の甘い夢想はことっと牌を切った瞬間、 腹を空かした狼によって打ち砕かれた。 鋭い牙を持つ餓狼は一瞬のすきをつき、私の持っていた牌めがけて、 殺気を放って襲い掛かかってきた。 「ロン。混老頭ドラ付き」 背中からどっと出る冷や汗。 もし、餓狼が息を潜めていたのに気付いていれば、 私はこの九萬を何の吟味もせずに切らなかったろう、 違う役へ替えていれば、 もっと早くあがれば、 そんな次から次へと出てくる後悔を考えるいとまに、横に置いておいた点棒は女の手によってごっそりと取られていった。 そして、慙愧の念に駆られ、こうべを垂れて私は佐祐理に謝った。 「すまない・・・佐祐理」 「運が悪かっただけだよ。舞。」 佐祐理は天使のような微笑みを浮かべ、軽佻な口調で励ましてくれた。 「次に佐祐理が役満とって、点棒取り返すから。」 私は凄まじい傷口の痛みに歯を食いしばりながら、じとーっと佐祐理を見つづけた。 さすが、私の一人だけの親友である佐祐理は表情を見ただけで真意を悟ってくれたよう、 さきほどの明るい表情から一転、顔を俯かせて謝ってくれた。 「ごめん。佐祐理の実力じゃ取れないよね。 でも、今だけ。佐祐理の好きな通りにさせて、最後のお願いだから。」 佐祐理の表情の裏には信念があった。 さっきからのおどけた表情とは違う真の顔。 先ほどの佐祐理は、まるでいつもの佐祐理でないくらい楽しそうにしていた。 別れの日にわざと楽しそうにして、自分を励ましていたように、 佐祐理がやっと、本当の顔を見せてくれたのが嬉しくて、 私はどんな結果になろうと、今は佐祐理のすることを見ていたかった。
「好きなようにしていい」 「いいの舞?」 佐祐理と同じように手を握る。 「ありがとう。舞」 突然、その二人の空間を女の声が切り裂く。 「あの、すいません。早くしていただけますか?」 二人はおちついて女の方を見て、軽く頭を縦に振った。 「リーチ」 佐祐理は小さく言っていた。 これで終局。 自分の牌はとてもじゃないが見られたものではない。 ここは佐祐理にかけるしかない。 そして、運が良いのか悪いのか場に流れる字牌が少ない。 そう、誰かが大きい目を隠し持っているのは間違いなかった。 私には見えない佐祐理の牌が、その大きな役だと信じて祈るしかなかった。 「ねぇ・・舞。このたくさんある牌の中に、どうやったら目的の牌を見つけられると思う?」 誰もが思う疑問。たくさんの方法や技法を編み出し人が近づこうとする境地。 私はそんな恒久的な議題には答えられない。だから押し黙ってしまう。 佐祐理は私が答えないうちに、どんどんと話を続けていった。 「私は麻雀を余りやったことないから、ただただ牌が来るまで待ちつづけるしかないの。 もし、山の中に欲しい牌がなくても、 もし、誰かが手放そうとしなくても、 もし、先に上がられてしまっても、 来ると信じつづけて待つしかない。 ここに集まった牌もほとんど奇跡で集まったものだから」
私は急に佐祐理に反論したくなった。 「奇跡じゃない。頑張って作り上げたもの。」 「そうだよね。 牛丼を食べあった出会いの瞬間も、いつも屋上で食べたお昼のお弁当も、舞がいつも負けていたしりとりも、そして祐一さんとの思い出も、みんな作り上げたもの。 未来に例え会えるかわからなくても、信じつづけて動かなければ会えない。 だから、ずっとずっと信じて待ちつづける。」 佐祐理は山から牌を取ると、すーっと右から順に牌を倒していく、 すると、そこには役満が揃っていた。 「リーチ一発大三元。」 そして、場が騒然とする中。 佐祐理は私の点棒を取り上げて言った。 「ツモっちゃったから。終わりだけど、舞にはいっぱい点棒の貸しがあるから。 その負け分は今度の麻雀で取り返してね」 佐祐理はそのまま握り締めた手を離すことは無かった。
以上です。
今から投稿します。6レスを予定。 ONEで、タイトルは「あたしは境界線」です。
「あっかね〜、お待たせっ。山葉堂、人がいっぱい並んでたからさ」 「詩子、ありがとう」 「いいの、いいの。こんなに寒い日は焼きたてのワッフルに限るよね〜」 「はい」 ――あたしは柚木詩子。ごく普通の高校二年生。 そして目の前にいる可憐な少女はあたし自慢の幼馴染の茜で、今は学校の帰り道。 道草途中のあたし達はたった今買ってきたばかりのワッフルを片手に商店街を歩き始めた。 「やっぱり山葉堂のワッフルはどこか違うわよね」 「おいしいです」 「あはは、茜ってホント美味しそうに食べるよねー」 「おいしいですから。それに、それを言ったら詩子だって」 「あはは、あたしは……うん、まぁねっ」 茜が美味しそうに食べるのを見ているだけであたしは嬉しくなるから。 木枯らしが吹く季節になったけど、茜と一緒にワッフルを食べているだけで暖かくなれる。 あたしはこういう時間が一番好きだった。
「あれ、茜、なんだろう」 すこし先で人が集まっている。多分、広場の辺りかな。 「どうやら……木を立てているようですね」 「もしかして、クリスマス用かな?」 そうでしょうね、と言って茜は歩くのを止めた。 茜、何考えてるんだろう。もしかしてクリスマスのことかな? 「どしたの、茜?」 「いえ……なんでもないです」 「ははーん、さてはクリスマスをどう過ごすか考えてたな?」 「そんなことありません」 けれどあたしは茜がちょっと顔を赤らめたのを見逃さなかった。 「もしかして〜、折原君と?」 「……」 茜の反応はひとつひとつが面白い。みんなは反応なんてないって言うけど、そんなことはない。 茜の反応が楽しめないなんてまだまだね、なんて思ってるけど、さすがに黙られちゃあたしも困っちゃう。 からかうだけのつもりだったのに、まさか本当に折原君と……? 内心焦った。本当はおめでたいことなのかもしれないのに。 「えと……あーかーね?」 「……詩子、公園に行きませんか?」 「え、公園? もちろんいいけど……」 「ちょっとだけつきあってください」 つきあってくださいという言葉が、もちろん普通の意味だとわかってたけど少し嬉しかった。
公園までにあたし達に会話はなかった。 茜から話し掛けてこないのはいつものことだけど、なんとなくあたしも緊張感でしゃべれなかった。 これから何があるのかな……。 あたしらしくもない。茜といて不安になるなんて……。 「この公園はいつ来ても人が少ないよねー」 だから公園についたらすぐに話し掛けた。 公園なら茜も……。そんな思いがあった。 でも。 「……」 「茜、さっきからどうしたの?」 「……」 沈黙。 いつもなら慣れているはずの静寂も、今は不安を募らせる一方だった。
「詩子……」 「ん、なぁに?」 茜のおかげで静寂は破られた。 でも、何より茜の声がやわらかかったので、あたしは少し安心することができた。 そして一呼吸おいてから茜は下唇を動かした。 「私は、詩子のことが好きです」 えっ…… えっ、今なんて……? あたしの聞き間違い? あ、あ、あかねがあたしのことをす…… 「詩子は私にはない色々なものを、ずっとずっとくれました」 あたしの大事な幼馴染から、あたしの大好きな大好きな幼馴染からの告白。 嬉しくないはずがない。何度も夢の中で思っていた空想、あたしが茜に告白するシーン。 けれど今目の前では全く逆の立場。 あまりの驚きに声も出なかった。 「詩子……」 しどろもどろしていたあたしを、茜はゆっくりみつめている。ゆったりとした笑顔。 茜の綺麗な髪が夕日に透ける。 その髪が宙を舞う。茜は夕日の方を向いた。 その背中をあたしはほうけて見ているしかできなかった。 再び茜はこっちを向いた。笑顔に代わって真っ直ぐな瞳。
「私は……」 真剣な眼差しからゆっくりと紡ぎだされる言葉。 「浩平のことも好きなんです」 ……ショック死っていうのはこういう時に起こるんじゃないだろうか。 心臓がドキドキしている時に、さらなるその衝撃……。 思わず体が震える。 あたしは何をしゃべるでも、何ができるでもなかった。 まして茜がどんな思いでいるかなんて全然わからなかった。 それでも茜は続ける。 「浩平は……私を救ってくれました」 「浩平は……詩子とは違う大事なものを、たくさんくれました」 「浩平は……私がいなきゃ……ダメなんです」 茜から零れ出す言葉、涙。 そのひとつひとつがあたしの心を揺さぶる。 けれど茜の言葉は全部、あたしも既にわかっていたことだった。 最近の二人の様子を見ていれば、全部わかることだった。
……あたしも決心のしどきなのかな。 あたしは茜の幼馴染で親友で。 そう、茜の一番の親友、詩子ちゃんよ。 それに何より、これ以上茜に困った顔はさせられない。 「よかったね、茜っ」 私にできる精一杯の笑顔で茜を見返した。 「詩子……」 「ふふ、最近の茜、とっても可愛かったもん。やっぱり男の子がいると違うね〜」 茜に近寄って抱きしめる。 「大丈夫、折原君が変なことしたらあたしがこの世から追放しちゃうから」 「詩子……ありがとう」 茜の恋人になりたいといつも思ってた。けれどそれは適わないとだとも思ってた。 女の子同士だから恋人同士にはなれない……そんなことはわかってた。 わかってたけど、好きって気持ちだけは本当だった。 好きに理由なんてない、本当にそう思う。 それは多分、友達であることに理由がないのと同じ。 友達も、恋人も、同じだよ……ね。 今あたしは茜に一番近い距離にいる。 そしてどんな時だってあたしはこの距離を感じられるはず。 だってあたしと茜は――親友なんだから。
いまから投稿します。17レスくらいの予定です。 雫ラブコメ系SSですが、ちょい役でホワルバキャラも出てきます。 タイトルは『あなたを想う音』です。
あの事件からしばらくたった。 太田さんはたくましくも学校に復帰し、真面目な一生徒として勉学に励んでいる。 最初はみんな遠巻きに見ていた感じだったが、授業中に叫んだりしないし、言動におかしいところもないので、 誰もあのことには触れぬまま、いつしかクラスに馴染んでいた。 もちろん藍原さんも彼女の支えとなって、仲睦まじく過ごしているようだ。 時折、一線を越えているだの何だのと妙な噂も流れてくるが、僕は見てない聞いてない。 しーちゃんと透子さんの関係に似てるよね、なんて思ったりしていませんってば。 そんなこんなで季節は過ぎ、僕は進級し、クラス替えもあり、今、授業を受けている僕の隣には――、 「なに考えてるの、長瀬ちゃん?」 と、小声で囁いてくる瑠璃子さんがいるわけだ。 「あ、ううん、なんでも」 「そう?」 ふわりとした瑠璃子さんの笑顔。 僕はもう、授業中に危険な妄想に興じることはない。 瑠璃子さんは妄想の中ではなく、手を伸ばせばすぐ届く距離にいるから。 体温も息づかいも感じられるし、僕の視線に気づけば笑みを返してもくれる。 そう、瑠璃子さんは帰ってきてくれた。 元々、儚い雰囲気を持つ人だけに、また僕の妄想なんじゃないかと疑って、 髪に触れ、頬に触れ、その温かさを感じて、やっと現実だと認識したくらいだ。 帰ってくるなんて思わなかったから、僕は当然その再会を嬉しく思ったし、瑠璃子さんもそれは同じだった。 感激のあまり、思わず抱きしめてしまったことも、若さ故と理解して欲しい。 今も思い出せばはっきりと、瑠璃子さんの柔らかい感触が腕の中に――。 と、甘美な記憶に身を浸していたとき。 僕の背中に、錐のように鋭く尖ったプレッシャーが突き刺さった。
左斜め後方。僕のいる教室中央からはやや離れた、窓際最後列という誰もが羨むベストポジション。 そこには沙織ちゃんがいるのだ。 恐る恐る振り向くと、燃える怒りのオーラが、背中に立ち上っているのがはっきり見える。 愛想笑い混じりに小さく手を振ると、そっぽを向いてしまう。 その横顔も赤く染まっているのが、またかわいいのだけれども。 ……説明せねばなるまい。 えー、合意の上でないとはいえ、色々してしまった僕と沙織ちゃんは――まぁ僕としては役得と思わないでも――げほごほ。 そのなんだ。電波で記憶は消したはずなんだけど、沙織ちゃんの心の奥になにかが残っていたのかいないのか、 ほどなくして僕たちは話す機会を持ち、僕も例の件があるから少し心配で、色々話したりしているうちに親しくなった。 と言っても、友達の領域を出るものではなかった……はずなんだけど。 正直、僕は女の子との接触経験が少ないから、親密さの度合いがよく分からない。 よし、沙織ちゃんとの行動の数々を思い返し、分析してみよう。 誘われて、バレーの応援に行きましたか? イエス。 学校帰りにヤクドによったりしましたか? イエス。 2人仲良く映画などを見に行きましたか? イエス。 それを世間一般ではつき合っていると言いませんか? もちろん……イエス。 しまった。 いや、むしろ困った。肯定してどうする僕。 もちろん、沙織ちゃんが彼女として不足とか不満とかそういうわけではない。 僕とは正反対の、元気で明るい前向きなスポーツ少女。 時に振り回されることもあるが、それはそれで楽しかったりもする。 と思いきや、意外と奥手で純情で、赤くなってもじもじしてたりしてるとたまらんですよ旦那。 顔ももちろんかわいい方だけど、なによりも魅力的なのはくるくる変わるその表情だ。 だけどその分、感情の振幅も激しく――。 久しぶりに屋上で瑠璃子さんと再会し、抱き合っている瞬間を、偶然沙織ちゃんに目撃されたあの時。 突如、沙織ちゃんの瞳で燃えさかった、嫉妬という名の激しい炎。 そう、あの日僕は、人生初めての修羅場を迎えたんだ。
「……えっと、月島さんだっけ?」 疑いと嫉妬と行き場のない怒りとを混ぜ込んだような沙織ちゃんの声色。 睨みつけるような視線は、瑠璃子さんの体に回された、僕の手の甲を貫いていた。 慌てて手を離すと、今度は少し困り顔になってしまった瑠璃子さんに罪悪感が。 「長瀬ちゃんのお友達?」 沙織ちゃんは瑠璃子さんのことを知っていたようだけど、瑠璃子さんは沙織ちゃんを知らなかった。 それもまた沙織ちゃんのなにかを刺激してしまったらしい。 「<<祐くん>>の……友達の、新城沙織です」 なぜか強調表現される祐くんという愛称。 だけど彼女とは断言できないところが微笑ましい。 それはもちろん、2人の間には約束も誓いも関係も、結ばれていなかったからだけど。 「そうなんだ」 瑠璃子さんは笑顔で受け流しているけど、分かっているのかいないのか。 襲いかかる怒りのオーラをさりげなく電波の壁で受け流している。 「あ、こ、こちら月島瑠璃子さん。去年、僕とクラスメートで……」 「よろしくね」 瑠璃子さんはぺこりと頭を下げた。 「……っと、よろしく」 丁寧な挨拶に、戸惑いながら沙織ちゃんも軽く一礼。 その様を瑠璃子さんは微笑みながら見ていた。まさに本妻の余裕だ。 なにせ沙織ちゃんとは、えー……口までで、しかもその記憶は沙織ちゃんの中からは消えてしまっているが、 瑠璃子さんとは完全に合意の上で、いくところまでいってしまっている。これは強い。 沙織ちゃんは瑠璃子さんが姿を消していた間に、僕と交流を深めているというアドバンテージがあるが、 やはりゼロからの再出発となってしまったのはきつい。
って、のんきに解説している場合じゃない。 無言で牽制の火花を散らす2人の間で、なにか共通の会話と言えば……僕自身のことくらいしかない。 しかしその話題をこの場で口にするのはあまりに危険だ。 僕の制服を掴んだままの瑠璃子さんに対抗するように、歩み寄り、僕の手をぎゅっと握りしめる沙織ちゃん。 よく考えたら、こういう風に手を握られるのは生まれて初めてだった。 力が籠もっているのに柔らかい、不思議な感触にぼーっとしそうになる。 すると、瑠璃子さんは触れていただけの体を微かに傾け、僕に体重を寄せた。 僅かな重みと温もりと柔らかさ。そして制服を掴む小さな手のひら。 もっと凄いことをしたはずなのに、なんでこのような状況だと、些細な接触に鼓動が高鳴るのだろう。 だがしかし、2人は僕と同じ幸せモードに突入するどころか、ますます対抗意識を燃やしているように見える。 そして2人の腕に込められた力は、心なし徐々に強くなっていっているような――。 助けて大岡越前。 ――第一次修羅場大戦は、タイミング良く鳴り響いたチャイムによって中断された。 ほっとけばいつまでも続きそうだったけど、瑠璃子さんが名残惜しそうに体を離すことで、ひとまず休戦状態となる。 ほどなくして春休みに突入し、結論を先延ばしできたことにほっとしつつ、短い平穏な日々を享受する。 そして、久しぶりに学生服に手を通したその日に、新しい教室で僕は2人と再会したのだった。 その時以来、僕を挟んだ第二次修羅場大戦が開戦直前の雰囲気を維持している。 なにかきっかけがあれば思わず引き金を引いてしまいそうな、緊張感を孕んだ、オーラと視線と電波による牽制合戦が恐い。 沙織ちゃんも瑠璃子さんも、単独では気のいい女の子だと思う。 だけど――特に沙織ちゃんは、後から現れた(ようにしか見えない)瑠璃子さんに、なにかと対抗意識を燃やしている。 僕と親しげなことも、学年で群を抜く美少女だと名高いことも、いつも静かに微笑んでいることも、 どうにもこうにもなんだか良く分からないけど苛立つのっ……らしい。 ほとんど言いがかりのような感じもするが、恋する乙女の前にはどんな理屈も無力だ。
ただ沙織ちゃんなりの仁義?があるのか、僕と瑠璃子さんが話していても、そこに割り込むようなことはしない。 遠くから睨むだけで。 逆に、瑠璃子さんは何も言わないし何も求めない。ただ、時折じっと僕の目を見つめる。 動揺した僕が「な、なに?」と問い返すと、「見てるだけだよ」と言ってくすくす笑う。 ただ見ているだけでも楽しいし、そんな些細なやり取りはもっと楽しい、らしい。 そしてそんなことをしていると、沙織ちゃんからはいちゃついているようにしか見えないわけだ。 さらに、翌日行われた席替えで……今の席に収まったことが、沙織ちゃんの嫉妬の炎に盛大に油を注いだ。 レートからすれば、沙織ちゃんの席は教室中央部とトレードするに十分なものだったが、 担任が不正を許さないお堅い性格だったため、それもままならなかった。 そして、うっかり教科書を忘れたりしようものなら、もう大変だ。 ベキ。 こんな感じで、鉛筆の折れる音がする。左斜め後方から。 僕の心労は絶えない。 ただ、沙織ちゃんも、そういう風に瑠璃子さんを敵視してしまうのは、けして本意ではないそうだ。 『ホントだよ』 受話器の向こうの沙織ちゃんは、やや弱気な口調で言う。 ベッドの上でしょぼーんとしている沙織ちゃんの姿が目に浮かぶ。 不思議とこういうことは、顔を合わせるよりも、電話の方が上手く言えるものらしい。 「うん、分かってる」 『あのね……自分でも、よく分からないの。なんだか、イライラするって言うか……かーっとなっちゃって、 ああいう態度取っちゃうけど、祐くんはもちろん、月島さんのことも嫌いってわけじゃないの。 ただ、あの……』 沙織ちゃんらしからぬ、はっきりしない声。 自分でもうまく気持ちをまとめられない焦燥感とかが伝わってくる。
『えーと……だから、その……イヤな子だって、思わないでね』 「大丈夫」 むしろ沙織ちゃんの、意外に可愛らしい側面を見られたとさえ思う。 「瑠璃子さんも、沙織ちゃんのことを嫌ってなんかいないと思うよ」 『うん、いい人だよね……あたしが怒っても根に持ったりしないし』 「うん」 『あたしも、仲良くできたらなぁ、って思う』 「うん」 『美人だし』 ぐっ。危うく頷き返しかけた。 どことなく皮肉が混じっているように聞こえたのは、僕の気のせいですか沙織ちゃん。 『うん』と返していたらどうなっていたことやら。 沙織ちゃんは忍び笑いして、 『あのねあのね、それで次の日曜日なんだけど……』 バレーの試合があるから、応援に来て欲しい、というお誘いに、僕はこう答えた。 「瑠璃子さんも、一緒でいいよね?」 沙織ちゃんは、ほんの一瞬ためらって、 『……うん、もちろん』 中途半端な元気で答えた。 やっぱり色々複雑みたいだな、と思いつつ、電話を切った。
僕としては、2人に仲良くなって欲しい。太田さんと瑞穂ちゃんくらいまでとは言わないけど。 そりゃあ、どうせなら2人とも仲良くおつきあいをしていきたいという欲望もないではないが、 やっぱりクラスメートだし、仲違いするようになっては悲しい。 だけど具体的にはどうすればいいのかはよく分からない。ましてや女の子同士。色々複雑だ。 男同士だったら殴り合ったりして友情が芽生えることもあるのに。 ――芽生えるか? 僕は月島さんと自分が殴り合っているところを想像し、拳で友情論を却下することにした。 なにせ友情というものに関してはもっとも縁遠い僕だ。 自慢ではないが、携帯の登録件数が極度に少ないことからもそれは窺える。 沙織ちゃん、瑠璃子さん、瑞穂ちゃん……って、あの事件関係者がほとんどなのか……。 空しくジョグダイヤルをくるくる回して……はた、と一件のナンバーに目が留まった。 あまり親しくはないけど、歳も近いし、相談にくらい乗ってくれるだろう。 「自慢?」の一言で切られるかも知れないけど。 僕は今までろくにかけたこともなかった、そのナンバーを呼び出した。 『――はい』 「あ、彰兄さん? 祐介ですけど」 『祐介君?』 電話の相手は親戚の七瀬彰さん。僕とはやや遠縁だけど、おとなしくて内向的な性格は、僕に似ている。 良くある親戚の集まりで何度か会ったくらいだけど、歳が近くて話の合う人はこの人だけだった。 恋愛とかには弱そうだけど……頼れそうな相談相手、と言うと、他に思いつかない。 『どうしたの?』 「実はちょっと相談があって……2人の女の子が、僕を巡って微妙に対立しているのですがどうしたらいいと思います?」 『……自慢なら切るよ』 「ああ、待って待って!」 僕はどういう経緯で知り合ったかをぼかしつつ、かいつまんで事情を話した。 『……やっぱり自慢じゃない』 僕もそう思います。
「いや、でも本当に困っていて……」 『僕だってそういうの疎いんだけど……』 「あ、やっぱり」 『――切っていいよね?』 「ごめんなさい、切らないで下さい」 『まったく……』 そういいつつも切らないでいてくれるのが、この人のいいところだ。 『……それで、祐介君はどっちが好きなの?』 「え?」 『だって、それが一番大事じゃない?』 言われてみれば。だけど、どっちも選べないと言うか、どっちも選びたいから仲良くして欲しいと思うわけで。 『……やっぱり切るね』 そんなこと言われても。じゃなくて。 「いや、でもとりあえず恋人づきあいとかは置いておいて、対立関係をまず解消しておきたいと……」 『だけどその対立も、祐介君がはっきりしないから起きているんじゃないの?』 ぐ。痛いところを突かれた。 彰兄さんはため息をつくと、諭すように語り始めた。 『僕の知り合いにもそういう人がいてさ、まだ破綻していないけど……やっぱり色々苦労しているみたいだよ』 はぁ、そうですか。やはり世の中そんなに甘くないみたいだ。 『二兎を追うもの一兎を得ずって言うし、どちらか一人を選んだ方がいいと思うけど……』 そうだなぁ……今はいいけど、その内エスカレートしていって、あげくに愛想を尽かされちゃったりしたら……。 『絶対に周りの人が傷つくんだからさ』 妙に感情のこもった声には、強い説得力があった。 「わかりました、考えてみます」 『うん、それじゃあ――』 電話は切れた。でも、解決策を得られたわけじゃなかった。 彰兄さんの言っていることは正しい。正しいけど……それで選べれば苦労しないから、対処法を聞いたのに。 「どっちが好き、か……」 神様、今までもてたことのない僕にとって、それはあまりに過酷な選択です。
次の日曜日。 待ち合わせていた駅前では、ちょっとおめかしした瑠璃子さんが待っていた。 暖かい色のブレザーに、ニット帽を頭に乗せている姿が凶悪にかわいい。 「今来たとこだよ、長瀬ちゃん」 見とれていたら、先手を取られた。おかげで誉め言葉を挟むタイミングまで逃す。 「あ、うん。ごめんね、待たせちゃって」 「だから待ってないよ」 瑠璃子さんはくすくす笑う。 「あ……あはは、行こうか」 「うん」 電車に乗って揺られること数駅。さして大きくもない街だが、何度か来たことがあった。 試合会場の某高校体育館は、駅から歩いて数分。 体育館にはすでに沙織ちゃん達は到着していて、練習を始めていた。 ボールが床に叩きつけられる音が、四方八方から鳴り響いていた。 僕たちが角の辺りに陣取ると、顔見知りのバレー部員と目があった。 会釈すると目を見張り、少し意地の悪い笑みを浮かべた。 えーと、すみません。 なにか誤解というか、いえ、誤解しかしようのないような状況かもしれませんが、それでも誤解してませんか? 彼女は沙織ちゃんの肩をつついて、僕たちを示した。 気づいた沙織ちゃんが手を振る。少し引きつった笑顔で。 やがて試合が始まった。
最初は僕たちがいる側が沙織ちゃん達の陣地。ほとんど背中しか見えない状況だ。 しかしこうして見ていると、ブルマというものが教育上悪いというのもなんだか分かるような気がする。 目が行きます。どうしても。どこにとか聞かないで。 「凄いね」 「え!? いや、なにが?」 「今のスパイク」 あ、なんだ。って、試合も見ずにどこを見ているんだ僕は。 なんでもこの学校は強豪校らしく、沙織ちゃん達はやや苦戦気味。 「なんだか、新城さん、あんまり集中できていないみたい」 そうだね、どうもミスが目立つし、いつもよりもジャンプが低いような気がする。 時折不安そうに、ちらりと僕たちを見るし……あ、それが原因か!? 気づいたときには遅く、沙織ちゃん達は善戦はしたものの、一セット目を落としてしまう。 ここでコートチェンジし、沙織ちゃんのサーブから二セット目が始まる……って、え? 「瑠璃子さん?」 きゅっと、僕の腕を瑠璃子さんが掴んだ。 途端、対戦チームの人達が一瞬びくりとするほどの殺意じみた闘志が、沙織ちゃんから放出される。 「どーーーーーーりゃあーーーーーーーっ!」 勇ましすぎる掛け声と共に放たれたジャンプサーブは、凄まじい勢いでネットを越え、 それでもバレー部員の本能か、きっちりコートの隅を直撃し、高く跳ねて僕のところまで飛んできた。 危うくキャッチするが、両手で挟んでいる間も、なにか凄い音を立てて回転している。 一瞬、静まりかえる場内。 その呪縛を打ち破ったのは、審判の吹いたホイッスルだった。 「効果抜群、だね」 「あはは……」 瑠璃子さん、僕の寿命が縮むんですけど。
怒りゲージマックスになった沙織ちゃんは、必殺の『火の玉スパイク』が冴えに冴え、 さらには『火の玉サーブ』も『火の玉レシーブ』も、親の敵とばかりにコートを縦横に貫いてゆく。 って、レシーブにはあんまり火の玉関係ないような。 セットごとに、沙織ちゃんから見えるように居場所を変える瑠璃子さんの策が功を奏し、終わってみれば3-1の快勝。 チームメイトは沙織ちゃんを褒め称え、瑠璃子さんも笑顔で拍手を送る。 そして僕は身の縮む思いをした。 「勝てて良かったね」 「そうだね、あはは……」 でもなんだか後が恐い、と思っていたら案の定、チームメイトの輪から抜けてきた沙織ちゃんが、据わった目つきで、 「校門で待っててね」 と、有無を言わせぬ口調で宣告した。 「はい……」 言われたとおり、校門でしばらく待っていると、チームメイトを置き去りにした沙織ちゃんが駆けてくる。 「抜け出てきて大丈夫なの?」 「いいのっ!」 沙織ちゃんは強引に僕の腕を取って歩き出した。 大丈夫かなぁ、と後ろに目をやると、みんな腹を立てるどころかニヤニヤしてこっちを見ていた。 無責任な励ましや、冷やかしの声すら聞こえる。 きっと明日には、色々噂が流れるんだろうなぁ……。 瑠璃子さんは別に奪うでもなく、自然に腕を絡ませる。 僕は引きずられるようにして、2人の美少女に連行されていった。
――さて、どうしたものか。 だが、この長瀬祐介、こんな事態を想定して、多少の策は考えておいた。 三人切りだからいけないのだ。間にもう一人挟めばクッションになって、多少は緩和されるはず。 まさか、今日の試合が偶然、彰兄さんの住む街で行われていたとはお釈迦様でも思うまい。 こうして否応なしに彰兄さんを巻き込みつつ、なんとか取り直してもらおうという作戦だ。 そんなわけでやってきたのはここ、『喫茶・エコーズ』。彰兄さんがバイトしている喫茶店だ。 両親に紹介するわけではないが、僕の身内だ、きっと沙織ちゃんも普段よりおとなしくなるに違いない。 ひょっとしたら痕の耕一×梓×かおりのような状態になって、彰兄さんが気まずい思いをするかも知れないけど。 あったあった、この店だ。 「いらっしゃいませ」 ……あれ? 彰兄さんじゃない? 「えーと、すみません。こちらで七瀬彰さんが働いていると思うんですけど……」 「七瀬ですか? 今日は来ていないんですけど……なにか言づてがあるなら、承りますが」 しまった、想定外の事態だ。 「あ、なんでもないです」 くっ、不意を突いて、逃がす隙を与えまいと考えたのが徒になったか。 こんなことなら素直に話して、待っていてもらえば良かった。 拳を握って立ちつくしていると、瑠璃子さんが袖を引く。 「長瀬ちゃん、とりあえず、座ろう」 「え?」 ウェイターのお兄さんが、急に声を上げた。 「あの、長瀬って言っていたけど、彰の親戚かなにか?」 「あ、はい。長瀬祐介です。兄さんと、ここのマスターとは遠い親戚で」 「そっか。でも悪いけど、今マスターもいないんだよなぁ」 「いえ、別に約束していたわけじゃありませんでしたから」 「今日はちょっと忙しいから、俺が代わりに相手するってわけにはいかないけど……ゆっくりしていってよ」 ウェイターさんは営業スマイルとはちょっと違った笑みを浮かべ、仕事へと戻った。
さて、困った。 その日エコーズは混んでいた。 テーブル席は全部埋まり、後はカウンターに席が3つ……ただし、並んで座れる席は、2つまで。 後の一つはお客さん2人を挟んだ向こうだ。 瑠璃子さんと沙織ちゃんが、左右から僕の顔を覗き込み、無言で「どっち?」と聞いてくる。 「えぇと……2人がこっちに座って……」 「だめ」 こんな時だけ息を合わせなくても。 一緒に座るのが嫌なわけではなく、この際どっちを取るかはっきりしてほしいと瞳が訴えている。 さぁ、どうする? どうする、長瀬祐介……っ。 と、その時、座っていた女性2人組の片方が席を立ち、隣の空席に移ってもう片方の袖を軽く引いた。 引っ張られた方は、ちょっとぼけた感じで「?」と首を傾げていたが、 ようやく僕たちに気づいて「ごめんなさい」と言って、横にずれてくれた。 やたらと綺麗で印象的な2人……あれ? どこかで見たような。 一人は室内なのに、サングラスをかけていてよく分からないけど……。 「ありがとうございます」 と瑠璃子さんが頭を下げ、慌てて僕もお礼を言って座った。
はふぅ。 ピンチの後にはチャンス有りと誰が言ったのか。 「良かったね、勝てて」 「……別に、ただの練習試合だもん」 チャンスどころか、僕を挟んで飛び交う舌鋒の応酬。 「それはないよ、一生懸命応援したのに」 「ただ祐くんとくっついていただけじゃないっ!」 せっかく親切なお姉さんたちが気を利かせてくれたのに、まだまだ火種は残っていたようだ。 「うーん、作戦だったんだけど。大成功だったし」 「作戦? 大成功? なにが?」 僕は無駄にコーヒーをかき混ぜながら、なにかうまい話題転換はないかと脳細胞をフル回転させる。 「あのね……」 「なっ……そんなの応援って言わないっ!」 フォローを入れてるかのような瑠璃子さんの発言は、ますます沙織ちゃんを怒らせてしまった。 「いけない、いけない、怒らせちゃったよ」 「怒るよっ!」 「ちょっと沙織ちゃん。そんな大声出したら……」 「祐くんは黙っててっ」 「はい……」 僕、弱すぎ。 でも、沙織ちゃんは浮かせかけていた腰を落ち着かせ、うつむいて――沈んだ横顔で呟く。 「やっぱり……やっぱりね、どうしても、だめだよ。月島さんと祐くんが仲良くしてると、すごく、胸が苦しい。 二人を見ていると、嫌な気持ちがどんどん膨れあがって、おかしくなっちゃいそうだよ……。 そんな風にイヤな子になったら、祐くんに嫌われるかも……って思うのに、止められないの」 「沙織ちゃん……」
僕は、自分が沙織ちゃんをこんなに不安にさせていたなんて知らなかった。 胸が痛むけど、でも沙織ちゃんは僕の何倍も、辛かったんだろうと思う。 なにか言いたくて、でも言えなくて、自分の不甲斐なさを苦々しく思うだけ。 沙織ちゃんの手が、きゅっと胸元のリボンを掴む。 「だって……あたしは祐くんが好きだから、あたしのことも好きになって欲しい。でも……」 沙織ちゃんが真っ直ぐに瑠璃子さんを見た。瑠璃子さんはその視線を受け止め、寂しそうに笑う。 「私も、そうだよ」 「え?」 「長瀬ちゃんが、新城さんのことをいつも心配しているの見て、いつも寂しく思ってた」 「……」 「だって、私はそばにいるのに、遠くの新城さんを見ているんだもの」 ――ああ、そうか。僕は確かに、瑠璃子さんがそばにいることに、安心していたような節がある。 いつも微笑んでくれているから、それだけで瑠璃子さんが満たされていると、勘違いしていたんだ。 「宙ぶらりんのままが一番辛いよね」 「――そうだね、ホント」 沙織ちゃんは泣き笑いのような表情で、同意した。 ……はっ。いつの間にか2人が意気投合している。 これは僕が望んだ展開に違いない。だけど前以上に追いつめられているような気がしてならない。 これじゃ答えを出せずに、2人を泣かせている僕が極悪非道じゃないか。 だけど、2人の想いを知ってしまうと、それはそれで片方の思いを踏みにじるということが非常に困難だ。 僕は左右からの視線を感じつつも、どちらに合わせることもできないままでいた。 ひょっとしてこのエコーズは鬼門どころか大殺界クラスだったのではないだろうか……。 その時、パァンと高い音が、店内に響いた。
喫茶店全ての視線がそちらに向く。 その音は沙織ちゃんの真後ろ……さっきのお姉さん達が発したものだった。 「どうして……どうして、私と冬弥くんのこと知っていたくせに……この、泥棒猫っ!」 またパァンと平手が頬を叩く音。だが、今度はやられた方もやり返す。 「どうして、いつも……あなたのものなのよ! いつもいつも……こんな天然あーぱー娘にっ!」 男の僕でも、喰らったら吹っ飛びそうな平手が頬を直撃する。 だが、彼女は踏みとどまり、相手をきつく睨みつけ、もう一発反撃の平手。 その後はもう、無茶苦茶だった。 「地味っ!」「ブラコンっ!」「落ち目っ!」「ぽっと出!」「寝取られっ!」「高校中退っ!」 連続して響く、平手の乾いた音。その合間に挟まる罵詈雑言。 「2人とも、落ち着いて……」 ウェイターさんが慌てて2人を止めようとするが、 「どっち!」 どうやら当事者だったらしく、2人に選択を迫られる。 ウェイターさんは言葉に詰まり、そして――僕達は本当の修羅場というものを目の当たりにした。 外はすっかり暗くなっていた。 「ああは……なりたくないね」 「そうだね」 瑠璃子さんと沙織ちゃんがしみじみ頷く。 人のふり見て我がふり直せとはよく言ったもので、あの惨状を見た後では、ああはなるまいと誰しも思う。 僕だってまっぴらごめんだ。 「ねぇ月島さん。とりあえず……気持ちの整理をもう少しつけるまでは、休戦、ってことにしない?」 「いいよ。私達と言うよりは長瀬ちゃんの気持ち次第だと思うけど」 「……善処します」 「あははは。――そうだね、私も、どっちにしても、2人と気まずくなるのは嫌だし、しばらくはこのままでいいや」 「うん。それじゃ、仲直り」 瑠璃子さんが手を差しだし、沙織ちゃんは、少し照れながら、その手を握った。
僕はと言えば、両方の腕は2人に掴まれて動かせなかったので、ただ見守る。 「よかった。あのお姉さん達に触発されて、2人が大喧嘩始めたら、僕じゃ止められない」 「やだなぁ、人前でそんなことしないよ」 「そうだよ」 店内で、あの二歩手前くらいまでは行っていたような気もするけど……。 沙織ちゃんは絡めた僕の腕に頬をよせた。 「やっぱり恋人とか恋愛とか、私達にはまだ早いのかな……いつかは結論出さなくっちゃいけないんだろうけど」 「とりあえず、受験が終わるまでは、解答を保留したいな」 「うあ、そんなものもあった……」 沙織ちゃんが頭を抱える様に、僕と瑠璃子さんは笑った。 「このままこうして三人で仲良くできたら、一番いいけど……」 瑠璃子さんが星を見上げながら、しみじみと言った。 沙織ちゃんも同じように空を見上げ、同意したいのか否定したいのか、複雑な顔を見せる。 僕も同じ星を見上げながら、考えた。 ……一夫多妻制を認めている国って、どこだったかなぁ。 かくして2人の間には休戦協定が結ばれ、僕の心労も軽減したはず、だったけど。 「っと」 ころんと机の上から転がり落ちた消しゴムを、瑠璃子さんが拾い上げる。 「はい、長瀬ちゃん」 「あ、ありがと」 瑠璃子さんの指が微かに触れ、くすぐったさが手のひらの上を掠めてゆく。 それだけでなんとなく幸せな気分になれる。 そんな僕の脳天気な空気を嗅ぎ取ってか、 ベキ。 今日もまた、鉛筆の折れる音が聞こえる。
>>100-116 「あなたを想う音」でした。
>>101 の行頭がなんかでこぼこしていると思ったら半角スペース2つでした……。
見苦しくてごめんなさい。失礼します。
申し訳ないですが、30分ほど延長お願いします。
それでは投稿します。 まじアンで「友達の輪」。8レス予定です。
120 :
友達の輪 :03/12/01 10:21 ID:HZAlcf7q
晩秋の長閑な日、早くも引っ張り出してきた炬燵に入りながら、 俺はテレビを見ていた。 スフィーに殺されて以来、波乱万丈の毎日だった俺にも、こんな幸せがやってきた。 ちっぽけな幸せ。ささやかな幸せ。それなりの幸せ。 ああ、俺にもようやく春が来た。 「ねえ、けんたろ!」 唐突に春から現実に引き戻された。 スフィーがやたらと大きいリングを持ちながら、 “ぷんぷん”と言う擬音が似合いそうな表情をしている。 「な、なんだ、そのでっかいリングは。もしかしてまた俺を殺す気か!?」 「けんたろ……自分から言って忘れちゃったの?」 あ、思い出した。 「ついに完成したのか、スフィー?」 「うん、出来たよ“友達の輪”」 俺は思わずスフィーの手を取って、深く頭を下げた。 「でかしたぞスフィー! これで問題は解決だ!」 「えへへ…何か照れるね」 「お祝いに今日はご馳走だ。ホットケーキ何枚でも食べていいぞ」
121 :
友達の輪 :03/12/01 10:22 ID:HZAlcf7q
この“友達の輪”は正確には首輪である。 俺がスフィーに『装着していると周りの人が打ち解けて互いに友達になる』 という効力を持つアイテムを注文して出来たのが、これだ。 何故、これをスフィーに作らせたかというと、 最近店の雰囲気が常連さん同士がギクシャクしていて悪化しているからだ。 というのも、俺は五月雨堂を骨董好きの人が和気あいあいと話せる アットホームな店作りを目指していたのだが、 和気あいあいが度を越して、“忌憚無き意見交換所”になってしまった。 マニア同士が熾烈な討論を交わし、常連さんは喧嘩状態。 一見さんは怖くてとても入れない。 そのせいで業績は悪化の道を辿っている。 ここ最近はなんとかみどりさんに茶碗をボッタクリ値段で売って生活費を稼いでいたが、 それもそろそろ限界だ。 というわけで、打開策としてスフィーにマジックアイテムを作ってもらったというわけだ。 開店直前。さっそく、その場で友達の輪を装着してみる。 「意外ときついな……」 「あれ? サイズを間違えちゃったかな」 「まあ、別にかまわないけど」 骨董品の店主である以上、首輪は似合わないのでタートルネックを着て隠す。 これで準備はOKだ。 「スフィー。そっちの準備はどうだ?」 「ばっちしだよ〜」 「良し、来るならこい!」
122 :
友達の輪 :03/12/01 10:22 ID:HZAlcf7q
暇だ。客が来ない。 「うりゅ〜」 スフィーも、だれ気味だ。 無理も無い。バニー姿で開店前から気合を入れていたのに二時間も客が0では。 「良く考えればさ。評判が悪化してるところに平日の朝から客は来ないよな」 「失敗しちゃったね」 「しょうがない。少し早いけど昼飯にしよう……」 「うん……」 暇だ。客がまったく来ない。 「うりゅ…」 スフィーも、疲れ気味だ。 無理も無い。メイド姿で昼から気合を入れていたのに六時間も客が0では。 「良く考えればさ。評判が悪化してるところに平日の昼間から客は来ないよな」 「失敗しちゃったね」 「しょうがない。少し早いけど夕飯にしよう……」 「うん……」
123 :
友達の輪 :03/12/01 10:23 ID:HZAlcf7q
暇だ。客は絶滅したのか。 「う…り…ゅ…」 スフィーが、死に気味だ。 無理も無い。体操服姿で夕方から気合を入れていたのに日が変わっても客が0では。 「良く考えればさ、客が0の日は初めてなんだよな」 「け、け…んたろ…の…ば、か」 「しょうがない。かなり遅いけど寝よう」 「た、たす…け…て。魔力が…」 その後、一週間客は来なかった。 ますます暗くなった店の中で俺らは顔を付き合わせていた。 「夜逃げしよっか…スフィー」 「けんたろ……」 「くそ! 俺のせいでお前にまで苦労かけて」 「言わないで、けんたろ! あたしは幸せだったよ!」 「スフィー!」 「けんたろ!」 「結花やリアンともお別れだな……」 「一目会いたかったけど、しょうがないよ……」 俺たちは互いに抱きしめあった。もう二度と離さないようにと。 どんなに世間が俺たちを引き離そうとも、負けはしない。
124 :
友達の輪 :03/12/01 10:24 ID:HZAlcf7q
「…って、何やってんのよ」 せっかく俺とスフィーが現実逃避していたのに、 またしても現世に引き戻す、呆れた声が聞こえた。 結花とリアンがやたらと大きい荷物を持ちながら、 “ついに狂った?”と言う疑問が似合いそうな表情をしている。 「結花か…すまないな。こんな不甲斐無い幼馴染で」 「まあね。だいたいの事は知ってるわよ」 「そうか……」 「だから、はい」 「ん?」 ふと前を見てみると、結花が封筒、リアンが貯金箱を俺たちに向かって差し出していた。 「まあ、困った時はお互い様だしね。少ないかもしれないけど足しにしてよ」 「こちらに来て貯めたものですので、微々たるものですが…」 あ、やばい。心に沁みた。泣きそう。 横を見れば、スフィーも泣きそう。 つーか、二人とも泣いてます。 「ほら、メソメソしないで! お弁当作ってきたから一緒に食べよう。ね?」
125 :
友達の輪 :03/12/01 10:25 ID:HZAlcf7q
お弁当は一口に言えば上手かった。 味も上手かったが、心が上手かったのだ。 俺は作ってくれた二人に感謝しようと向き直ったが、 リアンがこちらを心配そうに見ていることに気づいた。 「どうした、リアン?」 「その首輪のことなんですけど…もしかして姉さんが作りました?」 そういえばタートルネックは何時の間にか脱いでいた。 「うん。私が作ったんだよ」 俺が答える前に横からスフィーが答える。 何故かリアンの顔が曇る。 「もしかして、それは“友達の輪”ですか?」 「うん」 「王家の秘伝書にあったアレですか?」 「うん」 スフィーが「うん」と言うたびにリアンの顔がひきつる。 「ちょっと、リアン。あんた、何か知ってるの?」 スフィーが堪らず問いただすと、リアンは溜息と共に白状した 「姉さん。これは王家の補助アイテムなんです」
126 :
友達の輪 :03/12/01 10:31 ID:HZAlcf7q
リアンの話を要約するとこうだ。 王家の人間たるもの、信頼できる友、上辺だけの友を見分ける能力を持たなければならない。 その補助アイテムとして、作りだされたのが、この“友達の輪”だ。 これをして、来てほしい人の事を思うと、 装着者のことを大切に思っている人以外は、 半径10mの“輪”の中には一切寄り付かなくなる。 その効力は絶対である。 そしてこの首輪をしていても会いに来てくれた人こそ、 “信頼できる友”と言うわけだ。 つまり、友達をふるいにかけるアイテムなのだ。 「たぶん、姉さんは名前で勘違いをしたのでは」 「じゃあ、客が寄り付かなくなったのは……」 「その首輪のせいでしょう。いくらお客に来てほしいと願っても、親友とは違いますから」 「首のサイズが合わなかったのは……」 「元々、王家以外の人間は使用していなかったので、 アイテムのほうが姉さんのサイズと合わせてしまったのだと思います」 その後、俺とスフィーは本気で喧嘩した。
127 :
友達の輪 :03/12/01 10:32 ID:HZAlcf7q
店はなんとか軌道修正を果たし、夜逃げに困らないだけの黒字は出るようになった。 常連のいざこざはこちらが緩衝材になって和らげることにした。 胃薬が絶えない毎日だが、俺とスフィーのコンビーネーションでなんとか毎日を暮らしている。 「しかし、本当に大変な目にあったな」 「うぅ〜反省してるってば」 「でも、何時も一緒にいたスフィーと助けに来てくれた結花とリアンは大切にしなくちゃな」 「そ、そうだよ。本当の親友なんだからね」 「まあな。ずっと親友でいてくれよ」 「……ずっと“親友”でいる気はないな〜」 「うわ、ショック」
以上です。ありがとうございました。
遅れまして申し訳ありません。 【告知】 ただ今をもって、投稿期間を終了させていただきます。 参加された書き手の皆様、どうもご苦労さまでした。 それでは、これから感想期間に入ります。 投稿された SS について感想、討論などをご自由に行ってください。 期限は 12 月 15 日の午前 10:00 までとさせていただきます。
乙。 それでは、一番乗りで感想書かせていただきます。4レスくらい? >34 すすむとき 美汐タンの口調に違和感あるかな。彼女はもっとおばさんくさいような気がする。 しかしこれ、討論スレを目にしていなければ分からないネタだなぁ…… >37 ともだち ほのぼのSS。(・∀・)ニヤニヤ ONE未プレイなんであんまり言えないけれど、友達よりも友達の恋人を描いている印象のほうが強い…… >44-45 メンテネタ 浩之は猫と同等の扱いですかい! >48 追悼 駄目だよ……もう笑うことしかできないよ……。
>57-71 フレンズ 〜青春の輝き〜 このノリは楽しいな。 文章も読みやすくて、15レスという長さを感じない。 内容はお約束ものなんだけど、ノリが良ければすべて良し、って感じ。 しかし恋愛CHUて、なぜ葉鍵でないものが堂々と。って、そんなこといったらタイトルもそうか……。 ともかく、意外なネタ組み合わせで驚いた。 その着メロの持ち主が仮に香里だった日にはどうなったかなぁ……。 あと、個人的な意見だけど、まんまのパクリタイトル(・A・)イクナイ!! お互いに関係ないし。あゆと真琴が関係あるとか言わないで(w。 >75-79 飛び出せ、友情! わー、萌える。 もはや定番ともいえるこの黄金コンビ、王道ネタともあいまって、徳川副将軍を見るような安心感がある。 以前だれかの感想でも言った気がするけど、何をやらかしても「志保だから」で万事解決。この話、いちばんの被害者はレミィなんじゃ……。 >ビンタの応酬…にはならなかった。 >「オラオラオラオラオラオラオラオラ!」 (www。葉っぱが好きな人にはたまらないー。
>81 無題 木田君に受けさせたら迷わず「いいえ」をつけそうなテストだ……。 祐くんの一面を上手くとらえた一作と思う。こういうネタの使い方があるとは予想しなかった。ちょと感激。 答えをぼかしたようなまとめ方なんだけど、祐くんにとってはどちらがハッピーエンドなのだろうか。私としては背中を押して扉の向こうに叩き込んでやりたい気分だけど、作者さんの意図としてはどうだったのかな。 短いぶん押しも弱いんで、もう少し書いてもらえたら、と思う。 タイトルに「岐路」と付けたくなった。なんとなく。 >84-89 リーチ一発大三元♪ ご都合主義もきわまれりって感じだが(w。まぁ、ネタSSなんで許す。 佐祐理の強運は、舞もさぞかし頼もしく思うことだろう。 相手の女性がなんで晴子さんやないんや、と突っ込んだのは秘密。 >92-97 あたしは境界線 (´∀`)ホンワカー 見てるこっちが恥ずかしい。 私の目にする茜x詩子って、大抵がこのような関係だなぁ。 目新しさはなかったけれど、ごちそうさまでございました。
>100-116 あなたを想う音 怖いタイトル……。 これは友達というより三角関係。ドロ沼ですな。祐くんに解決能力ゼロだし。 彼女たちそこまで嫉妬深いかなぁ?(というか相手を押しのけるタイプか?)という疑問が残るけど、祐くんがグズグズしていたらこうなってもおかしくはないかもね。合掌。 痕の耕一x梓xかおりって、もしかして沙織ちゃんと見に行った映画ってのがそれかな。 上映後、「4姉妹のなかで誰が好き?」と上目遣いに聞く沙織ちゃん(;´Д`)ハァハァ 「やっぱり楓ちゃんかな〜」とか答えて張り倒される祐くん(;´Д`)ハァハァ ↑私が楓ひいきなだけで、他意はありませんよ? しかし、あい変らず蚊帳の外のみずぴ。彼女が一番幸せな気もします。 って、瑠璃子さんが帰ってきたってことは、兄貴も帰ってきて、太田さんが取られてしまうではないかっ。 クライマックスが弱いように感じたんで、ちょっと評価は低め。 >120-127 友達の輪 まじあんはこのスレでしか知らないはずだけど、キャラクターに詰まることなく読み進められる自分がいる……。それだけ、作者さんの筆が上手いんだと思う。 8レスというわりと短い容量にもかかわらず、状況を説明して、ネタ振って、危機をつくって、感動的な脱出!、そしてオチまで、全部書けてる。原作を知らないからと言う理由以外に不満に思うところがない。脱帽。 おおかたそんなとこだろーと思ったとおりの結末だったんで、話のインパクトはなかったけど、筆の上手さに惚れました。 >夜逃げに困らないだけの黒字は出るようになった さらっと書いているようで、キツイ文章だな(w。
以上です。5レスになりました。あとがきのこと忘れてました。 今回はコメディタッチのSSが多かったですね。一気に読んでしまうのがもったいないくらいだけど、まぁ、それは仕方がないでしょう。ネタ的にも、王道的なものが多かったように思います。面白かったー。 長編シリアスの1、2個はあると思っていたけれど、それがなかったのも意外。友情とはなんぞや、という問いに、軽軽しく答えは出せないということでしょうか。 さて、最優秀はどれも上手いしギャグも笑ったんだけど、1つに絞って「友情の輪」に。唯一まともに友達やってる気がしたんで。 というわけで、今回は、 私的最優秀 「友情の輪」 私的最萌 「飛び出せ、友情!」 作者の皆さんに感謝。
ちょこっと文章修正。 さて、最優秀はどれも上手いしギャグも笑ったんだけど、1つに絞って・・・ →さて、どれも上手いしギャグも笑ったんだけど、最優秀は1つに絞って・・・
さらに失礼しますた。 「友情の輪」じゃなくて「友達の輪」やん。 感想投下する前には、ちょこっとでも推敲しませう。
>>130 やっぱり何を「作品」とするかは曖昧なんだな。
>>140 煽るだけの奴に言われたくないな。
理由も無くころころルールが変わるようではダメだろ。
>>140 煽りに構うのは止めようぜ。
こいつメンテと書いているネタ見てないで発言してるよ。
>>142 ただの煽りはお前の方だろ。
普通に話し合う事すらできんのか。
>>143 「話し合う」気があるのなら、まず何が不満なのか具体的に言ってみてはどうかね?
少なくとも俺は
>>130 の作品一覧の選出は妥当だと思うがどうか?
・投稿作品とそれ以外の書き込みを区別するために、投稿作品の前後には宣言をする。
>>80-82
カットされた作者が不服申し立てしてるならともかく。 それ以外なら、総括期間か外部板でやってくれ。 今は感想を書いてやれよ。
メンテ
全然ないな。かのこん中編の投票締切間際だから仕方ないか…。 そういう俺も中編読み終わってないので土曜まで無理だが。
だから、かのんSSこんぺ中は中止にしようと。
>だから、かのんSSこんぺ中は中止にしようと。 それじゃぁ、東鳩SSこんぺや痕SSこんぺの時も中止にするのかい?
1つ質問なのだが、次回のテーマ「なんでもあり」って、18禁もあり? まだ書くと決まったわけではないが、なぜか18禁のアイデアも浮かんできてしまって…
今まで十八禁作品は投稿されてたし、最優秀を取ったものだってあるのだが。 てーか「夏だ! 外でHだ!」の時はどうすればいのかと小一時間(略 だが、内容によっては投下前にそのことに触れておいた方が無難かも知れない。
>18禁もあり? そもそもここ21禁板だしw 全然あり。
よく考えたら「猟奇的」という意味で聞いてきたのかも知れない。 まぁそれはそれで。
なんかまた極端に感想が少ないので参加します。 深く考えない事を推奨。 >うごくとき 友達から恋人へと進む時を書きたかったのでしょうか? もし、そうだとしたら。それを伝えるには、文章量不足だと思います。 あと、美汐にしては「…」を多用しすぎかと。 >ともだち 雰囲気は良いですし、みあのキャラ立ても違和感ありません。 けれども、友人の恋人を見た。それだけで終わってしまってるのが残念。 物語としての起伏もほとんど無いです。 締め切りまで時間があったし、もう少し作品に肉付けをしてほしかった。 >フレンズ 〜青春の輝き〜 ところどころに笑える箇所はあります。 しかし、あまりに祐一君がアッパー化してしまい、読むこっちが振り回されてしまうw しかも15レスをハイペースで突き進むので、読み終わった時は疲れてしまいました。 >飛び出せ、友情! 暴走系ながらもキャラの暴走をギリギリで抑えて、話を破綻させずにテンポ良く進行する。 この手腕はお見事。 問題点としては、To Heartが発売されて何年も経ちますが、このパターンは超がつくほどの王道ネタですので、 既存を打ち破り新しさを獲得する、何かもう一つがほしい。 テーマである「友達」も馬鹿騒ぎに埋もれて今ひとつ不足。 そこを強化すれば、さらに良くなるかと。
>無題 心理テストから始める手法は上手い。 ただ、やはり短すぎかと。 祐介の独白内容は悪くないだけに、そこから膨らましてほしかった。 >リーチ一発大三元♪ 舞よ。徹マーしてたら駄目やんw ネタSSなんで細かい事いいませんが、 「kanon」と「麻雀」と「友達」をくっつけるのはかなり強引じゃないかな。 せっかくだからつばめ返しとかの売人技が見たかった。 >あたしは境界線 茜と詩子のこういう関係のSSは多いですが、 このタイトルと雰囲気。非常にイイ!です。 前半から中盤にかけては、キャラが生き生きと書かれている。 >……あたしも決心のしどきなのかな。 ここからのくだりがちと不満。ものわかりが良すぎ、決断も早すぎる。 茜と詩子のこういう関係だからこその葛藤が見たかった。
>あなたを想う音 内容は面白いです。全体的にギャグのテンポと質はかなり上質ですし、文章力も高い。 >「地味っ!」「ブラコンっ!」「落ち目っ!」「ぽっと出!」「寝取られっ!」「高校中退っ!」 これには爆笑しましたw ・・・ですが、テーマである友達が薄いです。 この作品では瑠璃子と沙織は終始恋敵であって、友達では無いと思います。 最後に仲直りするシーンがあるもののも、オチを見るからには恋敵から変わってないですしね。 祐介と彰は親戚だけあって、友達の印象は薄い。 作品が上質だけに、余計にテーマが薄れています。 ぶっちゃけ、「なんでもあり」に出してほしかった。 >友達の輪 テーマである友達を作品全体に上手く使えていること。 これは大きなアドバンテージだと思います。 だいたい2レス前後で起承転結がきっちりと存在しているのもOK。 困った時に助けてくれる友達というのは好印象。 インパクトは無いけど、手堅くまとめた良い話でした。 総括。 テーマ「友達」に苦戦している。これが今回の全体印象。 作者側が持て余しているのが多かった気がします。 個人的に楽しみにしてたテーマなので、ちょっと残念。 そんな中で唯一上手くテーマを料理していた「友達の輪」を最優秀。 「あたしは境界線」「あなたを想う音」を優秀作に認定して終わります。
んじゃ感想落とすよ。3レスで。
>>34 すすむとき(美汐)
なんとなく、読んでいて阿呆な改変をしたくなったな、こんな風に……なぜだろ。
「天野、電話でその・・・したいから、TEL番教えてくれ」
「え?いえ、私はそんな、だって更衣室でさっき頂かれちゃったばかりなのに・・・」
「どうして?一日一膳じゃ満たされないだろお互い?青い性の暴走って・・・」
「でも、あの、家族の人とかにも聞かれてしまいますので・・・」
「聞かれると何か問題があるのか?」
「ですから、その、私は男の人と交際した経験がないので、驚くと言うか、絶対勘違いされると思うんです・・・」
「勘違い・・・か」
「あ、いえ、あの・・・」
「天野が迷惑ならやめる」
「あ、ま、待ってください」
「・・・」
「電話番号、教えます・・・」
「・・・ありがと」
「・・・」
「ん、どうした?」
「今夜、待ってますから」
改変してみて腑に落ちた点がいくつかある。
>「でも、あの、家族の人とかにも見られてしまいますので・・・」
要するに、家族のモラルや好奇の視線を気にかけて思うさまふるまえない=露出プレイに近似。
>「住所、教えます・・・」
自分(=祐一)の誘いの前に、みしおたんの潔癖な心が手折れる「喜び」がある。
>「勘違い・・・か」
>「あ、いえ、あの・・・」
>「天野が迷惑ならやめる」
>「あ、ま、待ってください」
みしおたんの純情を、言葉でもって存分にゆさぶり、弄ぶ愉悦。
(下へ続く)
(上のレスからの続き)
>「ですから、その、私は男の人からそういうのは貰った事ないので、驚くと言うか、絶対勘違いされると思うんです・・・」
自分以外に男を知らない箱入りぶりが、劣情を誘う。
その他いろいろ。
萌えとぇちってほんと、盾の両面だなと思った。
その意味では読者のツボを見極めた、優れた萌えシチュSSでしょう。
>>37-39 ともだち
繭やみあや浩平に対する書き手の想いが届いてくるね。
>卒業直前になると、繭もこぼさないで給食を食べれていたのに、やっぱり折原さんの前だと気が緩むのかなぁ。
こういう描写をしっかり盛り込むことができているSSは、俺としては好感度がかなり高い。
ただ、みあの顔や服装がよく読者に想像できないのはマイナスかな。
春物の薄手のカーディガンを羽織っているとか、印象深い二重まぶたの黒瞳とか、
原作のイメージを壊さないていどに作者のオリジナル設定をつけくわえたほうがいいかも。
>>44 −45
? いまいち筋がつかめない
>>48-50 葉鍵板か……超先生にとっては受難の地だったろうな。
だーはらという自分より力量が上のライターの企画を、じぶんなりに消化して
作品という形に仕上げる――それはけっして楽な仕事じゃないはずだが、
あまりそういった方面からの指摘は、この板じゃ見なかったな。
>>57-71 フレンズ 〜青春の輝き〜
ごめん、正直趣味じゃない。
ギャグもそこそこ面白いパートと滑っているパートが併存していて、
結果的に「……」な印象しか残らなかった。
>>75-79 飛び出せ、友情!
これからも元気なあなたでいてください!(苦藁
>>81 祐介の気質が的確に描き出されている。Good
>>84-89 リーチ一発大三元♪
雀荘に足を踏み入れるまでのシリアスパートは、よくかけている。
それ以降は、その、ナニですな。
舞というクソ真面目なキャラの一人称でギャグを見せようとするのが
そもそものつまずきだったとしか思えない。
>>92-97 あたしは境界線
詩子さんの性格がさあ……ちょっと内に籠もりすぎてない?
彼女は原則として行動のひとなはずだが。
>>100-116 あなたを想う音
祐介、なんか頼りなさ杉。いくらラブコメとはいってもさー。
原作における瑠璃子トゥルー・ハッピールートの彼って、
なかなかの硬骨漢だったりもするわけだけどね。
さおりんと初対面のときに、彼女をおばあちゃんっ子だと見抜いた洞察力。
瑠璃子さんと夕焼けの屋上であったとき、むりに相手に話を合わせなかった誠実さと自我。
生徒会室に突入する直前、おのれの短所と恐怖を自覚して、それを克服しようとした知性と意思の力。
それらがなーんも見えてこないSSは、雫ものとしては俺は認めません。
>>120-127 友達の輪
悪くはない。でもかといって、積極的に面白いと断言できるかというと、それはまた別の話かも。
最優秀は「飛び出せ、友情!」、次点として「すすむとき」「ともだち」の二作を。
(´-`).。oO(短いレスのひとたち、感想を書いてあげてるのかなぁ……)
ほっしゅ
ところで感想いつまで?明日で終わりなら今晩書かんと……。
明日の10時までだろ。
簡単だけど感想です。
>>34 すすむとき(美汐)
友達がテーマの回に「友達ではなくなる話」はなんか違う気がする。
>>37-39 ともだち(繭After)
保護者的なみあが良いですな。浩平はんぶんこも笑った。
すんなり終わりすぎなので、浩平がいつものようにバカをやって不信感を持たれかけるが…なんて波乱があったら面白かったかもしれん。
>>44 メンテ
ひどっ!(w
>>45 メンテ
猫を可哀想がってる浩之がその可哀想な立場に、という皮肉がいい。
>>48-50 超先生、一年後に戻ってきてくれないかな…。
>>57-71 フレンズ 〜青春の輝き〜(Kanon)
ちょっと寒かったな…。全体的に…。
多少面白かったのは11,12レス目くらい。
×好きとか、嫌いとか、初めに言い出したのは
○好きとか、嫌いとか、最初に言い出したのは
メモラー失格。
>>75-79 飛び出せ、友情!(To Heart)
ワロタ。
ただ良くも悪くも小ネタ的。
>>81 無題(雫)
友達のイメージを正負ひっくり返したのは上手い。
1レスなのに「あなたを犯人です」並の誤字があるのはどうかと思うが。
>>84-89 リーチ一発大三元♪(佐祐理・舞)
麻雀を抜かせばいい話なんだが、麻雀の色が強くて他がかすんでしまってるなぁ…。その麻雀自体は大して面白くないし。
> 信じつづけて動かなければ会えない。
> だから、ずっとずっと信じて待ちつづける。」
??? 理屈がよくわからん。
「二人の魔物は佐祐理をうまそうな鴨に見えたに違いない」は誤字か。
>>92-97 あたしは境界線(詩子・茜)
4レス目の詩子がおいしい。
けどやはり6レス目があっさりすぎ&説明的すぎ。もうちょい盛り上げてほしい。
しかし茜の言い方…期待持たせておいて叩き落とすのはヒドイな(w これがないと話が成立しないから仕方ないけど。
>>100-116 あなたを想う音(雫)
うーん、さおりんのイメージじゃない…。もっとカラっとした子だと思うんだけど。
逆に瑠璃子さんは良いね。涼しい顔で「応援」するところとか。
「友達」はあまり感じられなかった。いっそさおりん一人称にして、瑠璃子さんと仲良くなる話にすれば友達話になったんだが。
>>115 は笑った。
>>120-127 友達の輪(まじかるアンティーク)
みんないい奴だ(´Д⊂
最後の方、説明だけでばたばたと終わらせてしまった印象があるので、もう一工夫ほしかったかな。
まじアン知らなくても普通に読めたのは高評価。
最優秀は特になしで。
フレンズ 〜青春の輝き〜 話の中で使われているネタは、どこかで見た感があるものが多かったですけど、 軽い文章と次々に繰り出されるネタでテンポよく読めました。 飛び出せ、友情! キャラ配役の勝利という奴でしょうか。志保もあかりもレミィも微妙に壊れて いるのに、「この女たちならやりかねない」と思わせるものがありました。 楽しかった高校時代を回想させる良作だと思います。
168 :
167 :03/12/08 07:40 ID:NWfQvnlu
あなたを想う音 雫で女の戦いがメインのラブコメは珍しいですね。まずそこで目を引きました。 瑞穂タンは定番のズレンド役なのが、少し寂しい感ありです。人気ないですね…… 瑞穂タン。 長めの話ですが、緩急のつけ方が上手く最後まであっさり読み通せました。 冬弥と由綺、そして理奈の、修羅場の行方が非常に気になってしまいます。WA 本編以上にずるずると二股を続けていたんでしょうね。二人とも過激になってますし。 と、文章でちょっと気になったところがありまして、挙げさせてもらいます。 >111の「三人切り」は「切り」をひらがなにするか、「だけ」にした方がよかったような。 いえ、瑠璃子、沙織、香奈子の三人を食っちまったんで「三人切(ぎ)り」という フレーズがとっさに浮かんだもので……Σ(゜д゜)瑞穂タン忘れてた! >115の「地味っ!」「ブラコンっ!」「落ち目っ!」「ぽっと出!」「寝取られっ!」 「高校中退っ!」は、理奈、由綺、由綺、理奈、理奈、由綺の順番だと思うのですが、 リズムを考えると、理奈、由綺、理奈、由綺、理奈、由綺にした方がよかったような気が します。 面白くて何回も読み返してしまったので、ちょっと引っかかってしまいました。 コメディ好きの私には、今回の作品たちは嬉しい限りでした。 で、私的最優秀は、友情というテーマが生きていた「飛び出せ、友情!」に。 文章と面白さで見ると、「あなたを想う音」の方が好みなのですが、こちらはテーマが 若干弱めでしたので。
かのんコンペやっと終わったんで感想。 時間ないのでやっつけ仕事。 雫はやってないのでパス。 すすむとき(美汐) 短すぎてよくわからない。 ともだち(繭After) みあが付添い人で終わっている。 友達らしいところをもう少し見せてくれ。 フレンズ 〜青春の輝き〜(Kanon) 俺には付いていけません。 読み進めるごとにギャグがつらくなってきた。 飛び出せ、友情!(To Heart) アンソロジーにたくさんある暴走物の一つとしか見れない。 ヘルシンクギャグはもう旬を過ぎていると思う。 擬音は多発すると萎えます。 リーチ一発大三元♪(佐祐理・舞) これなら麻雀はカットしたほうがいい。 タイトルと内容がかけ離れている。 あたしは境界線(詩子・茜) 詩子の思考がジェットコースター並に上下してる。 友達と恋人は別物だと思うけどなあ。 友達の輪(まじかるアンティーク) このままだとオチが人によってバラバラに解釈される。 オチの入り方が強引でリズムを崩している。
みんながやさしい感想なので辛口でいった。 順位を言えば。 1 友達の輪 2 ともだち 以上で終了。 ギャグが多いからかもしれんが、薄っぺらい友達関係が目に付いた。
>>37-39 ともだち
分量のわりにまとまりが良くて、好印象。しかしながらストーリーがやや
素直過ぎるかなと思った。初めは浩平の悪いところばっかり目に付いて、
ちょっと良いところを見つけて見直して、さらに他の女の子が登場して話が
こじれて……ああ、これでもやっぱりありがちだ。
>>57-71 フレンズ 〜青春の輝き〜
佐祐理さんが自分で親友と言ってる時点で、もう問題は解決してるような
気が……。今回のテーマでは王道とも言える、「友達がいない」という話で
ついでにギャグやネタも王道、というか既視感がありありだったので、残念
ながら評価は低め。
>>75-79 飛び出せ、友情!
今度は「友達がいがない」という話。これも基本的には良くある展開とは
思うが、ギャグが意外なところを突いている部分もあったので面白い。テンポ
良くまとめたこともあって、なかなかの佳作でしょう。
>>81 無題(雫)
短いながら雫らしいなと感心した。原作の持つ精神性をうまく再現して
いるね。
>>84-89 リーチ一発大三元♪
昔、麻雀ネタの葉鍵SS書いて叩かれたなあ……。という懐古はさておき。
さすがに別れ際の麻雀は強引過ぎて、佐祐理の言葉も遠くに感じる。
佐祐理さん、君が何を言っているか全然分からないよ……。
作り込みをもう少し丁寧にすれば、無理矢理さ加減も大分減少するかと。
>>92-97 あたしは境界線
コンペでは珍しい、せつない系の綺麗な作品。ただし色んな意味で
あっさりし過ぎているので、もう少し肉付けは必要かと思う。読んだ後、
「結局友情よりも愛情なんだね」と思った自分はたぶん汚れている。
>>100-116 あなたを想う音
これは何とも長所と短所の分かれた作品ですな。導入部のさりげない状況
説明から、祐介の置かれた危機的な状況によって読み手の心をガッチリ掴み
あとはグイグイと話を引っ張りラストまで持っていく……。その演出力、
ストーリーテリングの手腕は今回の作品中でも際立っている。文章も軽快で
由綺と理奈の喧嘩のくだりは面白かった。
しかし話の都合で祐介と沙織の性格が変わってしまっているのが痛い。
女二人の恋の争いという普遍的なお話と、電波使いという設定があまり生きて
いないという事を考えると、雫キャラじゃなくても成立しそうに思える。
まあ、電波はストーリーの説得力を破壊しかねないので雫という作品自体、
SSにはあまり向かないのだが……。ともあれ、出来は良かったので今後に期待。
>>120-127 友達の輪
テーマ性とオチのしっかりついている点はポイント高い。しかしながら
ストーリーの展開のさせ方がどうもぎこちないように思える。リングを付けて
客が来なくなったら、まず首輪の効能について疑念を抱くと思うのだが。
そこで読み手をミスリードさせて、ラストで意外性があれば……という方が
良かったかもしれない。
>そういえばタートルネックは何時の間にか脱いでいた。
こういうのも御都合主義に見えてしょうがない。脱いだ瞬間に他の二人から
突っ込みが入るでしょう。
第一印象は良かったのだが、読み返していると首をひねりたくなるような部分
が見受けられ、残念。
今回良いと思った作品は2つ。 第一位 友達の輪 第二位 あなたを想う音 以上です。
#28gouiiiii 感想締め切り? すまねえ、感想いってよろしいですか? 感想少ないから不作の回なのか?と思って読んだら、 めっちゃ豊作の回やん(´∀`) 個人的に81から先は、どれを最優秀に推していいか迷うほどでした…… 一回に集まっちゃうのは、もったいないというか、ぜいたくというか。 まず感想は気にいったものと最優秀いきます。
トリップまでコピペするな俺w
まあ、識別用の臨時トリップだからいいけど。てわけでトリップ変更↑
>>81 無題(雫)
上手い。ふつう祐介なら「いいえ」につける話作っちゃうよなあ。
読んだ時はこれが俺の今回の際優秀かなと思いました。
>>84-89 リーチ一発大三元♪(佐祐理・舞)
なぜ麻雀……w というネタSSなのに、それで終わらず
舞と佐祐理のキャラ、そして関係は、もすごくまっとうに、らしく、
シリアスによく書けている、というあたりが、
かなり毛色が変わったSSでプラスポイント。
しかも麻雀とふたりの関係描写がちゃんと関っていて、
それで上手く締めてるし。
こういうの、なんか、昔SS投稿スレに投稿された
MOON.ヒロインたちのファミコンバトルSSなんかも思い出しました。
読んだ時はこれも最優秀か……?と強い迷いが生まれました。
>>92-97 あたしは境界線(詩子・茜)
この組み合わせつぃては、最初から最後まで、ベタ。最後の行もベタ。
だから駄目?とんでもねえ、読んでる間ずっと、とても胸に響いてきた…。
ネタがベタでそういう思いを読み手にいだかせるあたり、
本当に作者の力量を、SSの出来の良さを感じる。
ますます迷う俺。
>>120-127 友達の輪(まじかるアンティーク)
これも上手いし面白ーい。
>その後、一週間客は来なかった。
でワロタw ホントうまいなあ。
ちょっとオチパートは弱いかな。
「友達の輪」の意外な効用。そして本当の友達がわかる……。
で、けんたろとスフィーの会話。
というネタはいいから、もっと盛り上げられそうな気はする。
「テーマを一番上手く処理している」というのには、俺も同意。
でも、途中がすごく面白くて最後はテンション上げずマターリ終わる。
書き手さんのこういう作風なのかもしんない。
>「……ずっと“親友”でいる気はないな〜」 > >「うわ、ショック」 最後、このオチだけよくわかりませんでした。 恥ずかしいけど、どなたか解説きぼん…… スフィーのは、「いつかけんたろと……♪」って意味だよね? そして迷った末の際優秀は……
>>100-116 あなたを想う音(雫)
自分はこれが一番面白かったなあ。もうホントに…(´∀`)
祐介も沙織も瑠璃子もらしく生き生きと描かれてるし、
文も上手いし、構成も上手い。ネタにも何度も笑いました。
クロスものだけど、これなら楽しい。
いったいどうなるやらと先へ先へと読み進んでしまい……そしてあのクライマックスw
どうやってオチを付けるのかと思ってたけど。
最高w
「あれこれと恋の鞘当てといったりきたりを繰り返した末に、
『……友達でいこう』という結論になりました……」という話だよね。
テーマの処理もグッド。
祐介の右往左往ぶりも、「しっかりしろや」よ言いたくなるものの、
ラブコメだしなあ。
原作であんな初期境遇&心境の祐介に突然別世界の☆∴・.゚春.゚.・゚.が来たりしたら、
このぐらいの「どうすればいいんだ」になる可能性はあると思ったからw
>ヤクド
関西ですか?w
>待ち合わせていた駅前では、ちょっとおめかしした瑠璃子さんが待っていた。
>暖かい色のブレザーに、ニット帽を頭に乗せている姿が凶悪にかわいい。
兄さん、想像したらマジかわいいです……
> ひょっとしたら痕の耕一×梓×かおりのような状態になって、
ここは……もう少しうまい方法はないだろうか?
素で「なんで祐介が知ってるの?」になっちゃいました。
……と思ったら映画? もしそうだとしたら、そう書いておいてくれれば。
でとりあえず一端幕〜。続きは後ほど。 まあとにかくグッドな回ですたよ。 某こんぺで精力を使って今回はまだ読んでないという人にもw たとえ感想書けなくても読むのをおすすめしたい回ですた。 とくに、コメディ好きの人。
「では本日も、細かいところをちくちくつついていこうかと思います」
「自分たちで言うのもなんですが、趣味悪いですよねぇ」
「今日はできるだけサクサクいこうと思います」
「と思って書いてみましたが、やはりあんまりサクサクいきませんでしたー」
>>34 すすむとき(美汐)
「天野様がすっかり恋する乙女モードに入っているのが見え見えですので、少し友情としては弱いです」
「微笑ましい話なんですけどね。あと短いわりには三点リーダーが目立つのが少し気になりました。歯切れが悪いです」
>>37-39 ともだち(繭After)
「この話も関係が、カップルとその保護者に終始していて、友情にはあまり見えません」
「ほんわかした雰囲気は素敵ですけど、ちょっと山も谷もないって感じでしたね」
「どうでもいい話ですが、銃撃音が響くアクション映画でも寝てしまう浩平様は、
いったいどんな映画だったら起きていられるんでしょうか」
>>57-71 フレンズ 〜青春の輝き〜(Kanon)
「別に祐一様が全員にもてるのは構いません。非道な態度や口調になるのも構いません。
ですが、この祐一様のどこが良くて、親友だと思ったり、弁当を届けたりするのでしょうか?
例えば届けられたお弁当に毒が盛られていたり、舞様が来たのは消火器をぶつけるためだった、
などの理由があるのでしたら分かるのですが」
「一応、ドッキリだったらしいですけど」
「どこからどこまでがドッキリだったんでしょう。名雪様や香里様が、祐一様を嫌っているのがドッキリだとしたら、
やはりこのような態度の祐一様が好かれる理由が分かりません」
「それにドッキリを企んでいたとしても、勝手にアクションを起こしたのは祐一さんですしね」
「ギャグはクスリとするものもあったのですが、滑ったものも多かったです」
>>75-79 飛び出せ、友情!(To Heart)
「ギャグだから流しますけど、銃撃から倒れるまで妙に間があったり、制服に穴が空いただけというのが気になるので、
定番ですが生徒手帳に当たってたり、BB弾だったりというごまかしをして欲しかったです」
「流してないですー」
「理科室は普通前後に入り口があり、理科準備室と繋がっていることも多いので、資料室にでもした方が良かったですね」
「別に場所に意味はありませんでしたし」
「最期のレミィさんの復活&いい話が、なにか気になると思ったら顔面に蹴りを叩き込まれているのに、
そのことをおくびにも出してないところですね。なにか別キャラが出てきたかのような唐突感があります。
志保さんあかりさんが、細かいところを気にしまくり、友情の罅を自ら入れているだけに」
「ただ、そこらを除けばギャグはなかなか笑えました。テーマ的にもオッケーなんじゃないでしょうか」
>>81 無題(雫)
「のっけから誤字は応えますね」
「『、・に丸をつけた』ここが最初文字化けかと勘違いしたのは秘密です」
「短いわりには深い話だと思います。このあとを想起させる終わり方も良いです」
「読者の想像力をいい意味で刺激していますね。短いからこそ際だっていると思いますー」
「沙織様なら無理にでも太陽の下へ引きずっていってくれそうな気もしますが……雫ならではの恐さが良く出ている作品です」
>>84-89 リーチ一発大三元♪(佐祐理・舞)
「いい話に持っていっているんですけど、ギャグとシリアスのギャップがきついです。
タイトルからはギャグのような雰囲気を与えているのに、オチがああですから違和感があります」
「珍しくまともな舞さんと、若干壊れ気味の佐祐理さん、という感じで開幕したのに、
佐祐理さんが最期はまともになっちゃっていますねー」
「そうですね。コンセプトがきついんです。それぞれの素材はいいのですが、
和風と洋風の食材を無理に集めて一つの料理を作ってしまったような感じです」
「話の節々で笑えはするんですけどね。ところで佐祐理さん、サマでもかましたんですか?」
「かましましたね。やりますよ、あの女は」
>>92-97 あたしは境界線(詩子・茜)
「ふぅ……そこであっさり身を引いてしまうとは。いけません。愛は奪うものです。女性同士大いに結構。むしろ推奨」
「セリオさん、ほんわかぽえーで素敵な話が急激にドロドロしちゃいます。テーマから外れます」
「むしろほんわかぽえーよりも、最期は一人になった詩子さんが、ひっそりと泣くという手法も有りですね」
「セリオさん、妙に詩子さんに感情移入していませんか?」
「なんばいいよっとですか。コホン。越えようと頑張ったけれど、結局越えられない壁。
分かってはいたけれど、でもかなわない。この切なさ炸裂の状況を生かすべきです。
それでも甘んじて親友としてのスタンスを守る。美しい話です。そもそも……(以下演説)」
「ふぅ……ワッフルでも食うか」
>>100-116 あなたを想う音(雫)
「見ましたか、マルチさん。愛はやっぱり奪うものです」
「いや、無理に奪うとこじれるから、とりあえず友達としてやっていこうという話なのでは?」
「確かにキャラに違和感はあります。が、雫のヒロインは接点が異常に少ないため、
可能性としてこういう展開もあり得た、と思えます。許容範囲かは微妙ですが」
「リーフファイトやおまけシナリオでは仲良さそうでしたけど」
「あれはパラレルです。月島様とみずぴーやさおりんが本当に仲良くパーティーを組めると思いますか? 答えは否です」
「まー、そーでしょうね」
「天いなネタが入っていたのにも笑えましたが、ひょっとして祐介様、高校生の分際でエロゲに手を染めやがりましたか?」
「痕どうこうとか言ってますしね。いかにも正統派ラブコメで長さも気にならず面白いんですけど、
やはり友情というよりは三角関係と感じてしまいます」
「愛情の深さを鉛筆の音に例えたタイトルは、沙織様の心境を的確に表せていたと思います」
>>120-127 友達の輪(まじかるアンティーク)
「この作品の一番の問題点はここです。
>常連のいざこざはこちらが緩衝材になって和らげることにした。
――最初からやれ」
「まったくですー」
「首輪完成の折り、どう考えてもスフィー様は例の得意げな立ち絵でふふーんと胸を張ると思うのですが、
なぜ怒っているのでしょう。就業時間ではないようですし、コタツに入っていてもいいではないですか」
「ところでみどりさん&なつみさんは親友失格なのでしょうか」
「たまたま来なかっただけかも知れませんが、やはり排除されてしまったのかと勘ぐってしまいますね」
「時々店に売りに来る兄ちゃんやおじさんも、裏では虎視眈々と、ふふふ……この骨董の原価も知らずに、
とほくそ笑んでいるかと思うと人間不信になりそうです」
「そう、実はこれは友情のありがたさを教えるSSではなく、
裏では人間どんな風に自分を見ているか分からないというアンチテーゼな話だったのだよ!」
「な、なんだってー!(AA略)」
「あと、首輪であった理由も不明です。腕輪だったら妙に思われることもなく、発見されるのも自然です。
あるいはリアンさんが魔力を感知したということにすれば、あの説明文も必要なかったと思います」
それに効果範囲が狭すぎる気がします。これでは店の前まで来て、くるりと反転してしまいそうです。
そうなったら変だと気づくでしょうし……もう少し広げるか、いっそぼかすかした方が良かったかと」
「セリオさん、急に素に戻らないでください」
「オチの「うわ、ショック」これはむしろない方が良かったのではないでしょうか。
そういってスフィーはいたずらっぽく微笑んだ。ぐらいでしめた方が良かったかと」
「お話自体は結構面白かったです。弱っていくスフィーさんとか、本気で喧嘩する2人とか」
「間違いなく健太郎様が瀕死になって終わりそうですが」
「最期に、貧乏なお店を建て直すため、伝説のレアアンティーク、来栖川重工HM-12付属ほうきを差し上げますー」
「……ゲーム内価格5000円のアイテムで、どうしろというのですか」
「では今回はこんなところで」
「最期だけ妙に長くなっちゃいましたけど、勘弁してくださいー」
ところで、感想期間はいつ終わるんですか。>進行役さ〜ん
何らかの理由で終了宣言を書き込めないだけで、時期的にはもう終わっていると考えて良いと思うのだが。
そんじゃ俺が代理でやろうか?>終了宣言 10時まで待つけど。
>129では、15日までって書いてますね……。 今回、2週間に伸びてるのでしょうか。
たんなる間違いかと思ったけど、今回から二週間って話出てた?
【告知】 ただ今をもちまして、感想期間を終了させていただきます。 投稿された書き手の皆さん、感想をつけてくださった読み手の皆さん、 そして生温かく見守ってくれていた ROM の皆さん、どうもご苦労様でした。 引き続きこのスレでは、今回の運営への意見、書き手の挨拶、 次々回のテーマの決定などを行いたいと思います。 上記のものやそれ以外にも意見が何かありましたら、書きこんでください。 ※次回のテーマは『なんでもあり』に決定しており、開催時期は 12 月中〜下旬になる予定です。 ※今回決めるのは次々回のテーマです。お間違いのないように。
遅くなりまして申し訳ありません。
3日前に急遽用事が入りまして、携帯の電波も届かないような所に行ってました。
今回の総括期間でやらなきゃいけない事とか、自分への疑問に対する返答などは、
1日時間を頂きたく思います。重ねて申し訳ありません。
1つだけ。
>>188 すみません、コピペミスでした。伸びてないです。
>携帯の電波も届かないような所 地下の強制収容所でつるはしとスコップで肉体労働させられているモララーを想像してしまった俺。 いやほんと、それはご苦労様でした。
20回を記念して、今までを振り返ってみました。 第1回『花』 コンペSSの常連であるガテラー星人氏が書いた『フラワー乙女』が最優秀に。 『エーデルワイス』は歌との相乗効果を上手く使い、多くの人に印象を与えた。 第2回『走る』 「情景が浮かんでくる」と評された『坂を越えた向こうに』が最優秀。 戦記物である、うたわれSS『伝令』も評価は高かった。 第3回『雨』『サッカー』 4票:五月雨堂奇譚(スフィー) 1票:突然の、雨と出会いと肩すかし(沙織) 雨に降られたら(茜) 無題(美汐) 発露(マルチ) 梅雨時(kanon) ここから投票形式が始まる。 ダブルテーマとなったこの回は、 名作ホラーである『五月雨堂奇譚』が多くの支持を得た。 『発露』は人を選ぶが、「心に残る」という感想も多い。 第4回『夏だ! 外でエッチだ!』 7票:命(痕) 6票:海の音楽(瑠璃子) 4票:イノセンスの代償(長森) 2票:空の下の恋人(雫) 1票:真夏の夜の 冬の夢(真琴) 星々の過ぎ去った季節──偽りの契り─―(WHITE ALBUM) 票数では『命』が上回ったものの、マイナス意見も考慮して『海の音楽』 が最優秀となった(当時は今程ルールは徹底していない) ちなみにこの二つは同じ作者。 力作が集まった結果が、次回の盛り上がりに続いていく。
第5回『嘘』 4票:逃げ水と(敬介・晴子) 3票:居酒屋にて(晴子) 嘘の世界(ONE) うそつきドラマ(栞) 2票:決別(楓) 1票:満月の夜 (舞) 嘘つきメイドロボ(セリオ) 27作が集まったコンペスレ史上最大の激戦を制したのは『逃げ水と』 Airの最優秀作は後にも先にもこれだけである。 最高の回だと言う人も多く、その他にも傑作が集まっている。 特に3票の三作品は一読の価値あり。 第6回『絶体絶命』 4票:生贄(美咲) 3票:希望と言う名(みさき・雪見) バッヘルベル砲(kanon) 1票:国崎往人、絶体絶命!? (国崎・美凪) 二人の力で (祐一・舞) 悪戯心と乙女心(綾香) 18禁SSの名作『生贄』が不条理ギャグの『バッヘルベル砲』と 感動作『希望と言う名』に競り勝った。 『生贄』はコンペスレを通じても非常に評価が高い。 第7回『夢』 2票:沈黙を暴くために(久瀬・舞) 白昼夢(浩平) 夢の奥にひそむもの(マルチ・セリオ) 久瀬と舞の一つの可能性を書いた『沈黙を暴くために』 夢と現実を書いた『白昼夢』 メイドロボの悲哀と心理を書いた『夢の奥にひそむもの』 史上初の三作品同時受賞となった回。
第8回『キス』 三票:しあわせになる方法(マルチ・セリオ) キッスのアドバイス(真琴・秋子) 二票:秋月灯 (志保) 『しあわせになる方法』と『キッスのアドバイス』が同時受賞。 それぞれ秋子が真琴に、セリオがマルチにキスを教える作品だった。 志保の心理を正面から書いた『秋月灯』が次点。 第9回『旅』 四票:空を繋ぐ声(セリオ) 二票:旅立ちの季節(浩之) 一票:No future(ToHeart) 犬耳娘細腕奮闘記@旅情編(うたわれるもの) 異色のSF作品『空を繋ぐ声』が最優秀。 『旅立ちの季節』は馬鹿馬鹿しさで好評を得た。 これでセリオは三度目の受賞に。 上記四作品中三作品をTHがしめ、全体でも葉が独占した。 第10回『初め』 四票:柏木家の初夢(痕) 三票:初心忘れるべからず!(祐一・名雪) 一票:初めての買い物(痕) 空と君のあいだに(浩平・茜) 無茶苦茶でうらやましい柏木一家の夢を書いた『柏木家の初夢』が最優秀 何かがおかしい『初心忘れるべからず!』が次点
第11回『プレゼント』 三票:パンツ物語(痕) 二票:泣いて、笑って(梓) 一票:真夜中の午前二時(痕) 美汐の賜り物(美汐) 必殺バレンタイン計画(美汐) せめて、よい夢を(Air) パンツを主人公にした異色作、『パンツ物語』が最優秀を勝ち取った。 これで耕一の夢精物は二連勝。 痕が好調の回であり、温かい話である『泣いて、笑って』が次点。 第12回『耳』 二票:シンデレラはもういない(名雪) 一票:空に響く君の声(こみパ) こんなふたりですけれど(浩之・綾香) きみのみみのみかた(圭子) 最後のどんでん返しが好評だった『シンデレラはもういない』が 頭一つ抜け出し最優秀に。 第13回『桜』 二票:でんぱのさくら(瑠璃子) 桜の下で(浩平・祐一・往人) 一票:ある晴れた日に(耕一・千鶴) 瑠璃子と頭に生えた桜との交流を描いた『でんぱのさくら』と、 クロスオーバーとしては初受賞の『桜の下で』が最優秀となった。
第14回『風』 二票:思い出は風と共に(kanon) 一票:あいにくの風で(祐一・あゆ) 屋上には紅い風が吹く(瑠璃子・みさき) 風を祈る二人の姉妹(綾香・芹香・セリオ) 木の独白形式が話題となった『思い出は風と共に』が最優秀に。 ゲームキャラが一人も出てこない試みが当った。 第15回『結婚』 投票無し 第16回『海』 三票:ありふれたなつやすみ(kanon) 二票:蒼に溶ける(誰彼) 一票:何も変わらない夏の海(痕) 前回のショックの余波か、作品投稿数は歴代最低の8作。 「悪意たっぷり」と表現された『ありふれたなつやすみ』が最優秀。 「綺麗」と表現された『蒼に溶ける』は及ばなかった。 第17回『過去のテーマ』 二票:闇に閃く鈴の音(誰彼) 一票:夢の迷宮(痕) いつかなくしたもの、だけど見つけたもの、そして再び会えた人(雫&?) 「耳」をテーマに選んだ『闇に閃く鈴の音』が最優秀。 コンペスレでは珍しい戦闘物だった。 誰彼は念願の初受賞。
第18回『復讐』 一票:帰ってきた柳川(痕) MOON.― the last night ―(MOON.) サクセサーズ・ルーツ(宗一・皐月) 三作が痛み分けで、二回目の該当作無し。 『MOON.― the last night ―』と『サクセサーズ・ルーツ』 はMOON.とRoutesの初受賞を期待されたが… 第19回『動物』 一票:迷走(天使のいない12月) Self High Five!’(WHITE ALBUM) ねこねこマーチ猫の街(まじかるアンティークとか) 楓(痕) Nine Cats(ONE) 五作が痛み分けで、三回目の該当作無し。 『迷走』は初めての天いなSS。 猫が一番人気であり、全11作品中7作品に出演した。 第20回『友達』 四票:友達の輪(まじかるアンティーク) 三票:飛び出せ、友情!(To Heart) 一票:あなたを想う音(雫) 双方ともコメディである『友達の輪』『飛び出せ、友情!』の事実上の一騎打ちは 『友達の輪』が死闘に競り勝ち、二開催ぶりの最優秀となった。 『飛び出せ、友情!』は王道ネタで堂々の三票を獲得して、次点に。
>>194-199 おつかれさまです。でも、
>第8回『キス』
>三票:しあわせになる方法(マルチ・セリオ)
> キッスのアドバイス(真琴・秋子)
キャラが逆ですYO!
良く気づいたな。作者の中の人か?
>>200 すまんです。
あと20回に抜けたところがあって正しくは
>読みやすさでまじアンを知らない人からも票を得た
>『友達の輪』が死闘に競り勝ち〜
でした。
ああ、ついに交代か。 なんか寂しいな。
おつかれさま。 また書き手か読み手としてでも参加して下さいね。
進行役の方、お疲れ様でした。 あなたがいたから、我々SS職人がこの場で作品を発表できたのです。ありがとうございました。 歴史をまとめてくださった方もご苦労様でした。 私が参加する前の歴史なんかも知ることが出来てためになりました。 このまとめられた中に自分の作品が入っていたりすると、なんか嬉しいですね。(笑) 今回はPCの故障で参加間に合いませんでしたが、次回のなんでもありにはなんとか 出られるように頑張ります。 次々回のテーマは今決めるんですよね? なんとなく最初に思いついたのは「戦い」ですね。 マジなバトル物、ヒロイン達の主人公を巡る壮絶な戦い、脇役の不毛なギャグバトル、コミケ締め切りとの戦い…(笑) いちおう私はプロット思いついたので挙げておきます。
まとめ乙! 進行役さんも乙! 前スレで返事しておきました。 まとめ懐かしかった。やる気が出ますた。
スレ史見て思い出したけど、またダブルテーマってやってみたいな。
たまには趣向を変えて、テーマ制限じゃなく容量制限ってのはどうだろう? 『1レスor2レスSS限定』とか。
超短編コンペか?
Kanonこんぺに先にやられちゃったねw こっちは3レスこんぺとかはどうだって意見が前出てた。
議論の途中ですが作者挨拶を。
「飛び出せ、友情!」を書きました。お読みいただきありがとうございます。
進行役様はお疲れさまでした。
超先生の訃報を知りしばらく呆然としていましたが、色々お世話になりましたので何かしないわけにはいきません。
「追悼として俺ができることといったら、志保のSSを書くことくらいだ!」
湿っぽいのは嫌なのでギャグで。うまい具合に&あかりネタを思いついたので、コンペに出させていただきました。次点という評価をいただき感謝です。
あらためて超先生のご冥福をお祈りします…。VFBのお嬢魔女攻略が好きだったなぁ。
>>132 さん
あんなに崩したのに萌えてくださるとは(w、嬉しい誤算であります。
志保はつくづくいいキャラですねー。志保の前に志保なく、志保の後に志保なし。
>>156 さん
テンポは特に気を付けました。
やはりありがちネタなのが最大の問題ですねー。特にレミィ暴走なんて嫌になるほど見てるしなぁ…。
>>161 さん
超先生がいなくなっても、志保は我々の心に元気に生き続けます!(涙
>>165 さん
ストーリーはないに等しいので、その意味ではそうでした。
>>167 さん
志保はともかく(^^;、あかりファンに怒られずに済んで良かった良かった。
こんなの書いてますが女の子の友情は大好きです。楽しかった高校生活…まさにそういうものが書きたいので、有り難い感想でした。
>>169 さん
う…今アンソロ読み返したら類似点のある話が二つも…。確かにあかんですな。
ヘルシングも確かに。ブラッド・ウォーあたりにしとけば良かったか。(誰もわかんないよ)
>>171 さん
友達ネタは書きたかったので色々いじってみました。
辛うじて私のギャグの泉も枯れていなかったようで一安心です。
ちなみに2レス目の修正前。
「ね、親友を裏切って男をゲットしてもアニメ君望の水月みたいになるよ?」
シャレにならんので没。
>>182 (セリオ&マルチ)さん
がはぁ! 全てごもっともであります。
物語上仕方ないならまだしも、少し工夫すれば回避できる欠点を残してしまったのは悔しいなぁ…。投稿前にもっと自分にツッコミを入れねば。
------
以上、感想ありがとうございました。
続いて、「あたしは境界線」を書いた者です。
読んでくれた方、感想をくれた方、ありがとうございます。
内容はベタもベタですが、友達というテーマを見た時から書きたいと思っていたので思い切って投稿しました。
そんな中で
>>177 のような感想をいただけたのは嬉しいです。
ですが、ほとんどの方が指摘した通り、最後が問題ですね。
実は
>>183 でセリオさんが言っているように詩子が一人で泣くという展開を考えていたんですが、
どことなく冗長な感じになるような気がして、かつ
>>161 でも指摘の通り、女々しい詩子は似合わないかなと。
そう判断してラストはあっさりと締めました。
……が、これだけの批評を受けているということは、私の判断は間違っていたわけですねぇ。
そういうのも含めて話に肉付けできるよう意識してみます。
最後になりましたが、進行役氏、お疲れさまでした!
では
>>209 と
>>210 の意見を足し、ダブルテーマで『1レス限定SS』と『2レス限定SS』を。
てのは冗談だが、片方を超短編にするというのはありかもと思った。
レス限定は簡単そうに見えて難しいぞ。 あと、超短編したいなら別スレ立ててやってほしい。
>別スレ んなことで一々新スレ立てたら、潜水艦&レーススレみたいに 片方が潰されその余波がこっちにも及ぶとかなりそうだからやめたほうがいい。
でもなあ。 わざわざ一回分を超短編に費やすことは無いと思うのだが。 テーマ以外の縛りが無いからこそ、このスレは好きだったけど。
こんばんはです。今回「あなたを想う音」を書きました。 感想ありがたく拝見させてもらいました。では、少々言い訳兼解説兼感想返しを。 ラブコメと言うこともあって少し極端なキャラ付けはしてありますが、 雫ヒロインは基本的に独立していて、他の女の子と絡んだらどうなるか、ということが描写されていないんですよね。 本編だけでは会話すらろくにありません。だから逆に、こういう反応もあるかも知れない。と、考えて書きました。 恋愛要素というのは、本来、祐介にとってはほぼ未知の境遇だと思うので、戸惑い幅を大きく取ってあります。 あと本作では狂言回しのポジションだけに、情けない役どころが回ってしまったのもありました。 それに加え、さおりんには悪いと思いつつも、瑠璃子さんとのドラマチックな再開を目撃、席替え、腕組みと、 かなり意地悪気味に追い込んでいったのですが、どちらもまだ説得力が足りなかったようです。 ある程度はシナリオの都合でブーストをかけたのも確かですが。 ただ、いざこのような状況に陥ったときに、沙織が嫉妬し祐介がヘタレる、という可能性はありうると思います。 それに基本的にこの話でのさおりんは不利なんです。 瑠璃子さんが帰ってきた、というのと沙織ちゃんとは口だけ(正確には+胸)、というところから分かるように、 これは瑠璃子さんグッドエンド後が前提ですから。 ラブコメとは書きましたが、ギャグ要素も強いということを強調するため、 あえて一旦消した1レス七行目を再挿入したりもしました。もちろん……イエスや痕云々も、あまり深く考えてません。 セリオさんの言うとおり、ゲームプレイ済みなのかも知れませんw テーマが薄いっていうのは書きながらも感じていましたが、ちっとリカバーが利きませんでした。 オチをもうちょっと別の方向に持っていけば、また違ったんだろうなぁ……とは思います。 タイトルもそっち方面に持っていってしまいましたしね。
みずぴーと太田さんは……別に書かなくてもよかったかなと、書き上げたあと思いましたw
時間軸に逆に制限を付けてしまっているんですよね、これで。
瑠璃子さんの帰還は、実はそう遠くない出来事だったようなので。
あと
>>168 で指摘されたセリフ順は、完全にミスです。
途中、理奈と由綺の発言順を入れ替えた際に、二回入れ替えたのか、それとも入れ替えなかったのか……ごめんなさい。
正直、ここはちょっと外したかな、と思っていたので、好評のようでほっとしました。
>>173 で雫でなくても……と言われてますが、無理です。確かにコンセプトは良くある話かも知れませんが、
最初の状況設定自体は、瑠璃子帰還がきっかけで始まっていますし、
七瀬彰と連絡を取って、アイドル二人のバトルシーンを目撃するのは長瀬祐介以外では不可能です。
状況&キャスティング的には、むしろ、かなりの縛りが利いていると思います。
別のカップルが偶然エコーズに入って……とかまで考えていたら、似ても似つかない話になりますし。
ヤクドは単に、私がマックではパソの方と区別がつかない理論を非常に合理的だと判断したからで、
別に私自身は関西人ではありませんw なぜか阪神ファンでもないのに大阪びいきですが。
瑠璃子さんデートルックには私も萌えました。自分で書いていてなんですが。
ところで瑠璃子さんの作戦は、実はちょっとした優越感が含まれていたのかも……知れません。本当は。
瑠璃子さんも年頃の女の子ですから。
いいかげん長くなるのでここら辺で。どの意見もありがたく拝聴しました。
ではまた次回……と言いたいところですが、どうやら今年もWAコンペが開催されるようで、
そっちにかかりきりになりそうな雰囲気です。開かれなければ「なんでもあり」なのをいいことに、
こっちで「始めるか……俺の一人WAコンペ」とかやろうと思っていたのですがw
時間があったらなにか書くかも知れません。では、失礼します。
『友達の輪』の作者です。 最優秀はとても嬉しいです。 前回書いた『迷走』とは違って、肩の力を落として気楽に書いた作品なので、 自分にはそっちの方が合っているのかもしれません。 みなさんの感想を見ると良かった点は “まじアンを知らなくても普通に読める”“起承転結がしっかりしている” “テーマを上手く処理している”“良い友達関係” 悪かった点は “インパクトが無い”“オチに問題がある” “読み込むとアラやおかしい箇所が出てくる”“もっと盛り上げられる” こんなところでしょうか。 前回が自分の主張と情熱が煮えたぎる作品だったので、 今回は“誰でも気楽に読めてわかりやすくて面白い作品”にチャレンジしました。 反応を見る限り“誰でも気楽に読めてわかりやすくて”の部分はある程度成功したと思います。 ただそれを実行しようとするあまり、細部がおざなりになってしまいました。 ここらへんは“気楽に”の部分に甘えて、 説明除去してしまったことに問題があるかも。
テーマや起承転結、けんたろ達の友情関係には多くの支持を得られて嬉しいです。 その他の悪かった点は自分の練りこみ不足につきると思います。 ここらへんを次回に生かしたいと思います。 それとオチに関してですが、読む人によって解釈が違うのは狙って書きました。 “いつかは恋人へ”でも“いつまでも親友でいられると思わないでよ!”でも 好きなふうにとってください。 感想を下さった皆様ありがとうございました。 そして最後に、進行役の方、お疲れ様でした。
WAのコンペか。 こっちのが書き上がって余裕があったら出てみようかな……。 天いなのほうは、そういう企画ないのかなぁ。
前から思っていたけど、書き手としては、もう少し書きやすい題材選んで欲しい。 いっその事、点数制を導入して、書き手が挨拶の時に書いた次々回の候補の題材には2点。 それ以外の人が推薦する候補の題材には1点。 つまり、書き手重視で次々回の題材を選んでみてはどうかな。
いや、いまの候補もほとんどが書き手があげてるような気がするんだけど、 違うかな〜。 225も、とりあえず自分で書きたいテーマ、、ネタがあるテーマを 自分で提出したうえ、他の人を説得してみれ。 でも「難しいテーマにみんなで挑戦」っていうのもアリだとは思うけどね。
いや、だから自分でプロットぐらいは思いついてから挙げるのがベストかと・・・
具体的にどういった傾向のが書きづらい、と言うのを提出すれば、読み手サイドも考慮するのではないかと。
オーソドックスなのはひねりにくいので面白いものにしにくい。 今回のテーマである「友達」も、より直接的に「友情」がテーマだったら書きにくかった。 個人的に。
業務連絡です〜。 コンペスレの今以降の進行役を◆2tK.Ocgon2さんにお願いいたします。 ◆2tK.Ocgon2さん、あとはよろしくお願いします。 今までお世話になりました&いろいろご迷惑おかけしました。 自分も、今後もまた違う形でこのスレに参加していけたら、と思います。 次回は書き手として参加します。多分すると思う。するんじゃないかな。まちょっと覚悟(ry それでは、コンペスレの今後の繁栄を祈りつつ。 いろいろありがとうございました。
乙華麗
なんかひとつの時代が終わったーてな感じがするねぇ。 ともかくお疲れさん。
次々回のお題、「 If 」で書いてみたい。
◆HMX73059.I 氏、長らくの進行役お疲れさまでした。 あなたのおかげで、この企画も順調に回を重ねることができました。スレの一住人として心より感謝します。 そして、あなたを生み出した来栖川の叡智にも。 //////// それでは、以後しばらくのあいだ、私が進行役と補完HPの管理を勤めさせていただきます。 どうぞ、よろしくお願いします。 早速ですが、業務連絡です。 次回以降の投稿開始・終了時刻を朝8時に戻したいと思いますが、いかがでしょうか。 10時では、私の都合がつかないためです。 差支えがありましたら、意見をお聞かせください。
>終了時刻を朝8時に戻したい 差支えないですー。
8時でいいと思う保守
私も8時で構いませんよ。新しい進行役の方、よろしくお願いします。 次回のテーマ決め、難航してますね。 私はもうすでにテーマ案挙げたので出せないですが…。
次って1月だっけ? じゃあ「正月」でいいじゃん。 そんな事より投稿期間を1週間に、感想期間も1週間で、総括期間も1週間にして、 どの後インタバル期間を設けるのはどうでししゃろ? 投票と関係無い感想や作者挨拶などはマターリとできた方が。 理由は曜日で周期が決められるように。 土曜に徹夜して朦朧とした頭でナージャの実況をするわけですよ。 総括期間だけだとやる事が多すぎてテーマ決めもままならない。
「投稿期間なんてもっと短くていいじゃない」「そう、三日でいい」 なんて声も何度か出てるけど、過去ログを読むと、 「結局ほとんどのみんなが、『投稿期間はじめ!』といわれると同時に 書き始めていた…」ってことだったみたい。気分的なもの? >マターリとできた方が。 マターリとできるなら、いいんだけどね……。これも過去ログを読むと、 一番大荒れになってきたのが、たいがいいつもこの時期だったりする。 投稿期間がはじまると一旦中止だから、泥沼が延々続くことを 巧まず避けられていたという面もある。 続きはとりあえずコンペスレ保管所のjbbs板でできるし、 あそこなら個人BBSで管理人さんがいるし。
議論のゆくえによって多少フレキシブルに一、二日伸びたりすることも あったから、「週単位で正確に運行」とは、なかなかいかないかも。 あと、感想期間は「一週間では短い」「10日間にしない?」 という声もあったと思うけど、これはどうなったんだっけ。
ネタを思いついた。「戦い」に一票。
勝負事全般にOKだよね?
>>242 一度10日間にしてみたけど、あまり変化がなかったので元に戻ったような。
事実上、投票の期限と言うだけで、感想自体はその後でも書けるし……。
業務連絡です。 次々回のテーマは、「戦い」が優勢でしょうか? >期間 現状、変更するだけの積極的理由に乏しいように思います。 議論を次回に先送りということでよろしいでしょうか? >周期性 保つことは可能でしょうが、統括期間は時間的な長さでよりも議論の内容で区切るほうがよかろうと思いますので。 >投稿意思の明示を欠くSS 状況に応じて判断すべきという意見が多数でしたので、これまで通りの扱いを引き継ぎます。 詳しくは前スレに。 以上で特に問題がなければ、明日一杯でテーマ投票を締め切り、 18日の8時より投稿期間に入りたいと思います。 見事に年末進行になりますが……。
>次々回のテーマ じゃあ俺も「戦い」でいいや(w >期間 原則から変えなくてもいいけど、出来れば次回だけでも10日、あるいは2週間くらいにして欲しい。 「過去のテーマ」の時みたく、じっくり感想を書かせてもらいたいところ。 >投稿期間 18日からだと締切は……元旦!?(((((((( ;゚Д゚)))))))ガクガクブルブルガタガタブルガタガクガクガクガクガク と、投稿期間も3週間くらいにしてみませんか?(w
めっちゃWAコンペと被るな(;´Д`)
せめて12/28〜1/3が締め切りに重ならないようにしてください。 年末年始の行事やらコミケやらで書き手の人が集中できなくて、 せっかくの「なんでもあり」が盛り下がってしまうと思います。
年末進行って聞くと逆に投稿期間が短くなるような気がするなw
>18日からだと締切は……元旦!?
ワロタw
それはさすがになあ……。こういう場合はフレキシブルに延長を希望するよ。
今回書くつもりの人の都合を聞いて決めてもいいんじゃないかな。
何日締め切りなら書けるのか。
あと感想人さんにも。
書く人、具体的に何人かから意見聞けるぐらいの規模のスレだし。
俺はコミケも帰省もないからいつでもいいけど。
>ホワルバこんぺ
向こうの日程はこれで本決まりなのかな?
向こうの日程と被る被らないって話題もあったし。
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1053470580/822 向こうに参加するけど、何日シメならこっちにも参加できるよ、
って言う人の声も聞きたいところ。
年賀状も作らなくてはいけないし、冬コミ遠征もしますし、何より正月は実家に帰省… 正直、厳しいですね。 まあ、プロットは出来てるので急げば一週間で書くことは可能ですが……。 WAは未プレイなので、向こうのコンペには参加しないのがいちおう救い(?)ですが。 延長は…もしあと一週間で書けなければ、1月7日くらいまで延長希望するかもしれませんね。
元旦締め切りをズラすために・・・「期間変更」についてしばらく議論しとこうか? 「投票開始の合図から考える人がいる」って言うか、どうせ皆本格的に書くのは締め切り3日前からだろ? 救済措置は1ヶ月間しっかり取ってるんだから、投票期間は2週間も要らないと思うよ。
投票期間はもともと一週間だよ。投稿期間のことかな。
今までうまく回ってきたのにわざわざ変える必然性を感じないが。 約一ヶ月に一回という周期は悪くないと思う。
業務連絡です。 むむ、年末パワーを甘く見ていました……。 延長キボンヌという声が多数上がっているようなので、 申し訳ありませんが、総括期間を一日延長する形で再議しましょう。 と言いましても、数日ずらすだけではあまり意味がないでしょうし、 >245>250あたりの意見を汲んで大幅延長、1/8締めではいかがでしょうか? 投稿 12/19-1/8 (年末年始を挟んで20日間) 感想 1/9-1/18 (休日を2回挟んで10日間) という感じで。 上記の期間案について、少なくとも明日一杯意見を募集したいと思います。 次々回テーマについては「戦い」に決定としますね。 とりあえず、明朝予定の投稿開始宣言は延長になります。 重ね重ね申し訳ございません。
初回からトラブルに見舞われる2tK氏萌え。
>>254 さんせー、だいさんせー。
今回のみの暫定措置って感じで、そーゆー流れを熱烈キボンヌ。
もう「投稿しちゃうよ? 自分の作品にも感想書いちゃうよ?」ってなくらいにやる気出るし。
それでも書ききれないのが漏れなわけだが_ト ̄|○
>>252 ・・・それ。
>>253 なんとか回ってきてるとは思うけど、上手く回ってきてるとはとても思えない。
そこで約37日の執筆期間を生かせればいいなあと。
前にも似たような意見が出たときにもいったのだが、具体的な期間案と、そのメリットを書いてくれ。
その前に、 >上手く回ってきてるとはとても思えない。 ここ、どこが「とても上手く回ってきてるとは思えない」ほど 現状問題あると思てるのかを具体的に説明しないと、 現状でいいと思ってる人=上手く回ってると思ってる人たちは 説得できないんじゃないかな。
>>259 投稿1週間→感想2週間→総括1週間。
メリットはゆっくり読んで感想が書ける。
急に増やしすぎと思うなら間を取って10日→10日→10日とかも考えられるけど、
土日を挟むかどうかは結構重要だしなあ。
>>260 作品数も感想数も減っているが、これを手っ取り早く増やすには時間を増やすのが良いと考えた。
書く時間は1ヶ月延ばしたので、あとは読む時間が延びれば感想数が増え、
感想が増えれば作品も増えるんじゃないかと単純に思った。
無理に反対する理由もよく分からない。
一つ聞いておく。あなた書き手? 読み手?
>>262 落ち着け。このスレの住人の大半は書き手であり読み手でもあるだろう。
そうやって無理にカテゴリ分けするのはよくないぞ。
業務連絡です。 特に異議がないようですので、>254のスケジュールに従い明朝の8時より 「なんでもあり」の投稿期間に入りたいと思います。 >感想期間の見直し とりあえず今回は10日間でやってみます。 その結果を見て考えましょう。
【告知】
第二十一回投稿テーマ:『なんでもあり』
(テーマ縛りは特に設けません。何でもщ(゚Д゚щ)カモーン!!)
投稿期間: 12 月 19 日の午前 8:00 から 1 月 8 日の午前 8:00 まで。
*年末年始を挟むため、3週間となっています。
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん投稿してみましょう。
面白い作品だったら、感想がたくさんついてきて(・∀・)イイ!!
もちろん、その逆もあるだろうけど……(;´Д`)
※投稿される方は
>>3-5 にある投稿ルール、FAQ をよく読んでください。
※特に重要なのが
・テーマに沿った SS を*匿名*で投稿する
・投稿期間中は作品に対して一切感想をつけない
※の二点です。他の各種 SS スレとは異なりますのでご注意を。
それでは、投稿開始っ!
# また、次回のテーマは『戦い』で、開催時期は 1 月下旬になる予定です。
# 「三週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの執筆に力を
# 注いでもらっても構いません。ただし、投稿は次回の募集開始までお待ちください。
hosyu
いつもテーマからとっかかりを考えているせいか、何でもありだとうまく書き出せない。 すっかり自分がテーマ縛りされているw 今さらだが、前回、テーマが弱いと言われていた「あなたを想う音」は、 「友達」になれない話だと思うと、テーマ的にも大して問題ない気がしてきた。 誰かが別の話で言っていたけど、「友情」じゃないからな。
まだ投稿もないだろうし、ちょっと雑談でもしますかい? あまりスレ消費しない程度に。 俺が最近気になったのは、このコンペでSS投稿してる人たちって自分のSSサイト持ってるか、 ってことなんだよ。 けっこうここのレベル高いと思うんだけど、少なくとも俺のお気に入りのサイトの中には ここで投稿している人たちのサイトと思わしきものは1つも無いし。 それとも、大半はサイトは無いけどSS書くのが好きな、投稿専門の作家さんが多いのかな? いや、あっても別に晒さなくてもいいっすけどね。 機会があればここの作家さんの他の作品も読んで見たいとちょっと思っただけだし。
俺2chつーか葉鍵板でしかSS書いてないや。 最萌終わった後は、ここがメインで、たまにキャラスレネタスレに、突発的ゲリラチックにちょこちょこと、って感じかな。 ここの締め切りとテーマというのが、俺の執筆意欲の方向性とマッチしている。 サイト開こうかな、と思ったことはあるが、書いたSS整理しようとしたら、面倒くさくなって(;´д`) そうだ、締め切りとテーマを設けてSSサイトコンペを開けば怠惰な俺も(略 嘘ですごめんなさい。
>>268 第一回コンペ最優秀かもしれない作品の題名でググると
もしかしたらHITするかもしれない。
後はまぁ、第五回の最優秀かもしれないSSとか。 他にもいくつか。結構あるよ。 常連さんでHP持ちの人もいるし。
そうそう。作者あいさつ等で、改訂して自HPにうぷしましたって報告も けっこうあるしね。気に入ったSSがあったら、タイトルでぐぐってみるのもよいかも。 自分も一度ハンドル晒してるから、 もしそこから葱板とかエロ漫画板とかあちこち辿ればいろいろ出て来ます。かも。 常連とそうじゃない人の区別も難しいけどね。 自己申告がないとわからないし。 今回の第三回Kanonこんぺで一桁順位の人の中にも 過去のここの投稿者はいたよ。
/⌒ヽ / ´_ゝ`)雑談中すいません、ちょっとSS落とさせてもらいますよ・・・ | / | /| | // | | U .U To Heartマルチアフター、7レス予定です。
冷たい雨が降り始めて、街を闇に浸していく。 きっとそのせいなのだろう。傘を持たない客が店に入り、温かい飲み物を注文している。 「マルチー」 厨房から私を呼ぶ声が聞こえた。直ちに厨房に向かう。 「はい、何でしょうか?」 この喫茶店のマスター、つまり私のマスターでもある方は忙しそうに、私の方を振り向きもせず言った。 「カウンター5番さんにモンブランとカフェラテ、3番テーブルにブルマン2杯とミルクティ持ってって」 「はい、畏まりました」 私はトレーを持ち、カウンターで待つお客様の方へ歩く。 「お待たせしました、こちらモンブランと、カフェラテになります。ご注文は以上でよろしかったですか?」 お客様にご注文をお届けした時のルーティン。でも、 「ん、ありがと」 お客様に、見たことがない表情で答えられた。CPU内で瞬時に検索して瞬時に答えが出る。 恐らく、これは「微かな笑顔」という表情であろう。 「伝票はこちらに置いておきます。ごゆっくりどうぞ」 一礼してその場を離れ、小さな違和感を抱きつつ、3番テーブルに向かう。
3番テーブルでも、いつもと同じルーティンだったにも関わらず、いつもと違うお客様の反応 ……つまり「微かな笑顔」で「どうも」と言われた。これは初めての経験である。 私を始めメイドロボの接客に対し、普通のお客様は冷淡ないし無関心の反応を返す。 これは当然のことである。メイドロボはあくまでロボであり、人間の温かみを持たない存在である。 ゆえに人間はメイドロボに対し、温かみある対応をすることは基本的にありえない。 違和感を胸に厨房に戻る。 「カウンター5番さま、3番テーブルさま、終了しました」 私の報告に、マスターは振り向いて、 「おう、じゃあ次……」 そしてデミカップを手に、一瞬動きを止める。私を見て動きを止めたのだから、私が原因なのだろう。 「どうかなさいましたか、マスター?」 私の問いかけに、マスターは複雑な表情で答える。今まで見たことのない、迷いのある表情だった。 「いや……まあクローズしてからでいいや。とりあえず次持って行ってくれ」 「はい、畏まりました」 作業を続行しながらも、微細な内部処理の変化を感じた。 今までは「厨房にある注文品をお客様の所に持って行くだけ」だった作業。 それが何故か、今日は何故か、「厨房にある注文品をお客様の所に持って行くだけ」ではない気がした。 注文品に、私が何かを付加して、お客様に届けなければならない、そんな気がした。 「気がした」などという不確定な処理が自分の中で行われていることに、多少の不快と、僅かな満足を感じた。 そして、形のないこの何かをもう少し感じていたいと考えていた。 もう少しこのままで。 ──────────
冷たい雨はいつのまにか消えて、闇は流される。 夜空を埋める星を見ていた私の耳に、赤ん坊の泣き声が聞こえた。 直ちに私は泣き声の元に向かい、赤ん坊を抱いてあやそうとする。だが、私はこの作業が不得意であった。 人間の乳児や幼児は、大人に比べて本能でいろんなことを判断することが多いらしい。 恐らくはそのために、生物ではないメイドロボに対して拒絶反応があるのだろう。 しかしそれでも、泣いている赤ん坊を放置せよとの命令は受けていない。私はその子を抱き上げた。 せめて一瞬でも早く、安らぐ母親の元へと運んであげようと。 いつもと違い、私が軽く抱いてあげると、赤ん坊は泣き止んだ。 この子の泣き声を聞くと、直ちにマスター……つまりこの子の母親であるが、彼女がやってくる。 私ではこの子を泣き止ませることが出来ないと知っているからである。だが、今日はそうではなかった。 「あらあらしおりちゃーん……ってあれ? マルチちゃん、しおり、泣き止んじゃったの?」 「はい、何故なのでしょうか?」 簡易セルフスキャンプログラムを走らせても、私にはなんら異常は発見されなかった。ならば別の要因なのだろう。 そのため、私はマスターにそう聞いた。 するとマスターは私の顔を見て、何かに気付いたようにこう言った。 「んー……そうね、マルチちゃん、1回ディープスキャンしてみて」 「はい、畏まりました。しばらくお待ち下さい」 そう言って私はディープスキャンプログラムを起動する。 簡易セルフスキャンは毎日起動して前日との差異をチェックするが、ディープスキャンは初期設定時との大きな差異をチェックする。 そのため、かなりの時間を要する。それゆえ待機時以外はマスターの許可がないと行えないことになっていた。
「ディープスキャン終了……初期設定時との大きな差異は存在しませんでした」 「そう? じゃ、いいよ」 私は不安に駆られ、マスターに尋ねた。 「マスター、私に何らかの異常が生じている可能性があります。何らかの処理を取った方がよいと思われますが」 私の問いに、マスターはあっけらかんとした表情で答えた。 「マルチちゃん、もし自分が人間だったら、って考えたことある?」 「いいえ、ありません」 私は即答した。 「じゃ、ちょっと考えてみよっか。そしたら多分、答えが見つかるよ」 満面の笑顔でそう言って、マスターは赤ん坊に授乳を始めた。私はマスターの言葉を深く考える。 マスターの子を泣き止ませることが、私には出来ない。今まではこれはプログラムの不十分であると考えていた。 だが、今日はそうではなかった。この事実を認識して私は、今までの不十分に対して胸の痛みを感じた。 今まで何が不足していたのだろう。今日は何が出来ていたのだろう。それを考えると胸に痛みを感じた。 胸の痛み。メイドロボである私の胸の周囲に痛覚は存在しないはずだった。それでも胸の痛みを感じた。 そして私は、その胸の痛みを、とても切なく、わずかに楽しく感じていた。 マスターの娘を見ていると覚える、その胸の痛みを。 もう少しこのままで。 ──────────
世界に打ち込まれた小さなくさび、そこから広がる小さな、しかし無数のヒビ。 否、そのくさびは彼女たちが製造(うま)れる以前から存在していたのだ。 そして今、くさびはさらに深く打ち込まれようとしていた。 その舞台はとある中流家庭。そこにいるのは一人の青年と一人の『マルチ』。 ──────────
「ははっ、開発のオッサン! なかなか粋なことするじゃねーか!」 オレは麦わら帽子をかぶり、DVDロムを手に、マルチの前に座った。 つながったままのメンテ用ノートにDVDロムを組み込む。 そして、画面が立ち上がるのを、イライラしながら待った。 ようやく画面にクルスガワの文字が出る。 オレはあせる指で、画面にふれた。 解凍されたデータが、少しずつマルチ本体へと流れ込んでゆく。 やがてインストールが終わり、ゆっくりと本体が起動し始めた。 ぶうぅぅん…。 「――……」 「………」 「――……」 「マルチ…?」 オレはおそるおそる、ささやくように声をかけた。 「――……」 「マルチ…!」 不安になり、強くその名を呼んだ。 すると――。 「…浩之さん…」 「マルチ…」 「…あ、会えた。また、会えました…」 「マルチ!」 「浩之さあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!」 くさびは打ち込まれ、ヒビは広がり大きくなり、そして世界は崩壊する。 ──────────
シ ン ク ロ ニ シ テ ィ !! 一見無関係に隔絶された物質や生物、果ては思想が地球規模で同時同様の変化を起こす、 そのような現象をそう呼ぶ。 そう、その瞬間、世界中(ちなみに国内81%、海外19%と言われている)のHMX-12が 「はわわーっ、ごめんなさーい!」 と叫んだのだ。 この年、HMX-12の99.7%に何らかの不都合が生じたものの、返品交換修理の要請が出たのは そのうち60%程度であった。その要請の70%は「ドジられては困る接客業」からのものであった。 あるHMX-12の個人オーナーはこう言う。 「ウチのマルチが『はわわーっ』と言った瞬間、射精していたのだよわたしは!」 彼が翌日老衰死したという記録は残されていない。 そんな未曾有の混乱の中、藤田家では、 「復ッ」 「活ッ」 「マルチ復活ッッ」 「マルチ復活ッッ」 「マルチ復活ッッ」 「マルチ復活ッッ」 「マルチ復活ッッ」 「マルチ復活ッッ」 浩之は素直に喜び、 「したい……お掃除したいですぅ」 マルチは新たな使命感に燃えていたという。
保守。 ついでに上の話題だが、グーグルで、「葉鍵SSコンペ」「葉鍵板SSコンペ」などで検索すると いくつか見つかる。 検索サイトは最大限有効利用すべし。
天いなの木田兄妹のシリアスSS 無茶苦茶長いので、数十分は放置お願いします。
ちょっとばかり疲れた。 何かをやって疲れたとか、何かがあって疲れたとかではない。 ただ、気がついたら疲れていた。 強いて原因を挙げるのであれば、この十数年生き続けたことに対して疲れを覚えていた。 木田時紀としてこの世に生を受けて以降、自分という存在を持ち続けていることに疲れを感じていた。 何もかも億劫で、面倒で、退屈で、厄介で、無為そのものだった。 苛立ちを覚えている間はまだ良かった。 現在に不満を感じているというのは、現在にまだ未練と希望を持っていたということだろうから。 でも今はせいぜい諦めぐらいしか残っていない。 そんな状態だから、疲れたと思ったのだ。 その言い方が正しいのか、考え方が合っているのか、そんなことはどうでもいい。 もう、全てに、飽きていたのだ。 自分自身に。
俺がどんな抵抗をしようともこの世というのは存在し、支配下にある俺を時の枠組みへと組み入れていく。 人間で、十代で、日本国民で、と社会というものが親会社となって、常識という法律を楯に、俺をこの世界の一部に括りつける。 幾らかは反抗はできるだろうが、笑われる程度の些細なことしかできないし、反抗しても反抗した者への役割という形でまた縛りつけられるので、逃れることなどできやしない。 そんなことが判らないほど馬鹿ではないし、それに対して何かをしようと考えるほど意欲に満ちた人間ではない。 適当にお茶を濁し、適当に悪口を言い、適当に時間を過ごす、しかない。 現実という偉いものから少しでも目を背け、極力考えないことで為されるささやかな逃避。 この僅かな恩恵を得て、多大な時間を費やすことで、自分を保つ。 そんな人間は大概において、駄目人間と蔑まれる。 勿論、支配されるがままに生きるだけではなく、要領よく自分の楽しめることを見つけたり、楽しむフリで自分を誤魔化したりする、人生を楽しむと呼ばれる人間の生き方も世間的には賞賛されるのだろうが、どちらにしろ世界に妥協した生き方でしかない。 時に支配された人間という概念そのものを捨て去るだけのものがない。 勿論、そんなことは可能ではないということは理解しているので、諦めるしかないのだが。
そんな人間という存在の中で、俺は極めて馬鹿な位置にいる。 何もしたくないのだ。 怠惰に過ごしたいという意欲すらない。 本当に何もしたくないのだ。 朝起きなくて済むのなら起きずにいたい。 眠らずに済むのなら寝ずにいたい。 食べなくていいのなら食べたくない。 動かないでいいのなら動きたくない。 見なくていいのなら見たくない。 聞かなくていいのなら聞きたくない。 幾らでも挙げられるが、結局のところは存在しなくていいのなら存在していたくないというところだろうか。 死にたいとかというのともちょっと違う気がする。 別に死んでしまいたいと思ったことは無いから。 どうでもいいのだ。俺の生も俺の死も。 何もしたくない。 だから、生きていたくないと言えばその意味に少しは近づける気もした。 そこまで思うようになったのは最近の気がする。 きっかけは覚えていないのだ。 それまでは、この世に退屈したり、人生にケチをつけたりしながらも、生きてはいた筈だった。 それがいつの間にこうなったのかがわからない。 しかも考えるのも億劫だから考えていない。 どうでもいいじゃないか。 今、俺がこう思うことに対して俺が納得しているのだから。 そんな公式見解で、俺は仕方なくこの世に存在を続けていた。
俺はまだ学生をやっていて、学校に通うことを続けていた。 授業を受ける確率は半々よりは少々分が悪いぐらいのところで、殆どの授業時間を屋上と路上で費やしていた。 時間を使うことも億劫で、流れるのをただ待つだけだったから教室で自分の椅子に座っていたって構わないのだが、あそこは屋上や路上と違って他人から干渉される可能性が高い。 何もしたくないし俺は何もされたくない。 だからこそ、人のいない場所へいない場所へと選んでそこでのみ存在することにしていた。 そんなわけで学校自体にも行きたくないのだが、行かないでいると別の何か存在する為の状況を作らないといけなくなる事態が発生するだろうから、それが面倒で辛うじての学生というのを続けている。 働きたくなんかないし、家に引き篭もっているのも煩わしくなくことになるに決まっているからこその妥協だった。 学校がそんな理由があるからこそ仕方なく通っているのと同じ理由で、幾つか俺は何かしない為に何かをすることが多い。矛盾しているが、しないで済む方が、仕方なくする方に比べて断然面倒だったり厄介だったりする以上、仕方がなかった。 そんな生き方を暫く続けてきて、漸く至ったものが「疲れた」だった。 全てに、疲れた。 勿論、投げ出せないことなどわかっている。 だからこそ、疲れが溜まっていっているのだ。 そんなことを理解するのに、これだけの年月を生き続けたのかと思うと、多少呆れてしまった。何て間抜けな話だと思わざるを得ない。俺がそう思う以上に、きっと世の人間は思うのだろう。 まあ、他人はどうでもいい。 問題は、この疲れをどうするかということだった。
「お兄ぃ……」 「ん……おはよう」 「う、うん……おはよ」 毎日の日課のように俺に対してキャンキャン騒いでいた恵美梨が、腫れ物に触るようになっていったのは、俺が疲れという存在に向き合っていた最中のことだった。 「今日も弁当は用意できるが、どうする?」 「いい……学食で食べるから」 「そうか」 「うん……」 居心地悪そうに答える恵美梨。 起きて身支度をして降りてくると、椅子に座って俯き加減でずっと黙り込む。 まるで覚めることの無い悪夢にどっぷりと浸ってしまって抜け出すことを諦めたかのような元気の無さだった。 「今日は起きるのが少し遅くなったから、昨晩の残り物中心でいいか?」 「うん……」 冷凍しておいたご飯を解凍してそれぞれの御飯茶碗に盛ると、豆腐となめこの味噌汁に目玉焼き、秋刀魚の塩焼き、大根とタコの煮物にポテトサラダなどをテーブルに並べる。 梅干とピーマンだけでなく、食わず嫌いが多い恵美梨には他の食べ物で栄養分をまかなう様に考えるのが一流の料理人なのだろうが、流石にそこまでは気が回らないので、嫌がるものを退けるぐらいでしかない。 「じゃあさっさと食べるか」 「……いただきます」 向かい合ったテーブルで黙々と咀嚼するだけの二人。俺も必要以上に喋りかけることもないし、恵美梨の方は少し怯えるぐらいになってきていて、今ではこれが普通の状態になっている。 「……あのさ、兄ぃ」 「ん?」 「本当に、無理してない?」 「気にするな。そうしたいから、しているだけだ」 嘘だけどな。 「……」 何度も聞かれた質問だ。 いきなり本を片手に料理を始め、朝晩の食事を作るようになった俺に初めは仰天しながら尋ね、何かを企んでいるのではないかと躍起になって、今では掃除洗濯と雑用をほぼこなすようになっている俺に対しては、得体の知れないものに対する恐怖を持っているようだった。 勿論、俺は突然勤労意欲に目覚めたわけではない。 頼まれもしなければ、特になることも何ひとつないこれらのことをやるのは、面倒でしかない。 退屈に押し潰されそうな自分を忘れたいとか、押し寄せる疲れを紛らわそうとか、そんないい加減な理由が一番近い。
実際のところ、何もしないようにしないように生きてきて疲れたのであれば、逆にできそうなことを色々としてみたらどうだろうという逆転の発想みたいなものを思いついて実行してみているだけだった。 本気でそう信じてやっているのなら殊勝な話かも知れないが、所詮はただの思いつきの延長だ。いつ終わるかしれないし、終わることは間違いない試みだった。 ただそれでも、お手並み拝見と高を括っていた恵美梨が、不安げな表情を浮かべるぐらいにはマメに徹底していたし、続いていた。 一人暮らしをしていると思えば、それほど大層なことをしているわけではない。 だから恵美梨がどう思おうとも、全然凄いことでもなんでもない。 せいぜい、今までの俺からすれば考えられないというだけの話だ。 それが恵美梨にとっては大事なのかもしれないが、そこまで思いやるだけの甲斐性は持ち合わせていない。無愛想にならないぐらいに応対するぐらいの改善が限界のところだろう。それ以上馴れ馴れしくするということは考えてもいないし、できそうにもない。
逃げるように出て行った恵美梨の分と自分の分の食器を水に浸けると、俺も軽く身支度を整えて学校に向った。 真面目に勉強をするということはなかったが、屋上でタバコで時間を潰すという機会もなくなった。 真帆ちゃん経由で恵美梨から家での変貌振りと合わせて知っている功ぐらいは驚いていたり茶々を入れていたりもしてきているが、大多数の他人は別に気にした素振りも無く、最初からそうだったかのように対してきた。 そうして過ごしてきた中で気づいたのは、結局殆ど何も変わらないということだった。 無関心でいられる存在には変わらず無関心でいられたし、関わりあう存在に対しても恵美梨に至っては会話がずっと減ったぐらいで、助かるぐらいだ。言い争っていた頃の鬱陶しいと感じていた自分を思うと、馬鹿らしい。 逃げるから追われるというのと一緒で、下手に関わりを曖昧にしようとするから突っかかられるのだ。普通に過ごせば、最低限で済む。勿論、俺のほうから無駄を増やさなければの話だが。 功の軽口も以前よりスムーズにあしらえた。そこそこ向き合うだけで、それ以上は踏み込んでこない。下手に一歩も踏み込まれるのを拒絶するからこそ、相手も余計に強く足を踏み出そうとするのだ。
一事が万事なのか、橘も会うたびに嫌味の数が減っている。互いに無関心でいられるので関係は良好と言えよう。 ついでに言えば榊もそうで、下手にからかわずにさっさと謝ってさっさと改善すると何も言わなくなる。向こうはそれでどう思っているのかは知らないが、うざったい時間も回数も減るのだから、万々歳だ。 それでも、結局は何も変わらない。 タバコ片手に空を見上げる時間の代わりに、夕飯の材料を始めとした買い物リストを練り上げる時間が入り、部屋でぼんやりしている時間の代わりに、家事に精を出す時間が入る程度だ。 心身共に疲れるが、時間が潰れるという意味合いで言えば同じことだし、それが俺にとっての全てなのだから全く変わりが無い。 他人からどう思われ、どう見られているかというのはあるかも知れないが、それは俺自身のものではない。興味はなかった。 俺は俺の為に存在しているのだから。 別に家事手伝いなどせず、勉強の真似事などせずとも良かった。 路上で刃物を振り回し、ゲーセンに入り浸っていても良かった。 それらは全く同じことだから。 ただそうしなかったのは、その方がより面倒にならず、より楽になれるのではないかという浅墓な考えでしかなかったのだ。 そして、何をどうやっても変わらないと気づき始めた時、より一層の疲れが身体に溜まってきていた。
生きているということだけで、疲れるのだ。 そんな漠然としたことでさえも、今となっては金枝玉葉な格言に思えてしまうから始末に終えない。 つまるところ、俺は人よりも大分馬鹿で、そんな当たり前のことでさえもこうして実感しないとわからないということだった。 不真面目と言われそうなことと、真面目と言われそうなことのどちらにどう偏ろうとも、俺は俺でしかない。結局は疲れたと感じる俺は変わらない。 何もかにもが馬鹿らしい。 それでも以前の日々に戻らなかったのは、退屈を紛らわすことの方が今の状態を続けることよりもより厄介で面倒だと感じたからに過ぎない。そして他人からの干渉も少ないという現在の境遇にも多少の魅力はあった。 こうして、少しでも疲れるものが減るようにと楽な方に傾く努力だけはしているのだった。 何とか生きていくだけの自分に対して、何の魅力を感じない。 それでも、死ぬということに対しての羨望もさしてない。 どっちでもいいから生きているだけ。 死ぬことの方が生きていることよりも楽だとわかったら、死ぬことにしよう。 それに死ぬことはいつでもできる。 一方、死ぬ方が厄介だったからじゃあ生きるかというわけにもいくまい。 それに痛いのはマゾではないので、好きではない。 死ぬ時にどれほどの痛みや苦しさを伴うのかは判らないのだけれども、安易に選ばないだけの理由の一つぐらいにはなる。
自分様というものに向き合うようになって以降、少しは正直になれたと思う。 安易に物事を他人や社会のせいにしないだけの、悲劇の主人公ぶるまでにはいかないまでの、甘ったれが甘ったれであると自覚できる程度の判断力はある、と思う。 だからこそ他人がどうでもいい。 以前の俺はずっと他人に依存してきた。仕方がないだのなんだのと最後の逃げ道を自分以外のものに向けて、安寧を図っていた。 自分は屑以下の存在で、それが大袈裟な自己卑下だったり傲慢さの裏返しだったりしないだけの自意識を持てるように、それだけは何とかしようと思った。 自分の問題は、自分で片をつけるべきだった。 それさえ判っていれば、死ぬのもメンドくさいと思えることはなくなるだろう。 死ぬ時は、普通に死ぬ時だった。当然の選択として。 人生は完結していても、死体であっても、誰かのお荷物になっている以上は、この世では他人様以下な屑でしかない。
校門が見え、学校に辿りついたことに気づく。 この学校に行くまでの道、通学路を覚えていて覚えていない。 数え切れないほど通い続けていて、何処に何があるのか知り尽くしているようで、実は何も覚えてない。 道の一部分が突如変わった時にその変化に気づけても、電柱の上に何が増えようとも、家のレンガ塀から出ている樹木が違うものになっていても、常に見続けている視野の外にあるものの変化には気づかない。 何度その道を通ろうとも不必要な情報は一度も頭には入ってこない。 この世界の他人にとって俺の存在とはそういうものだ。 卑下でもなんでもない。 俺がどう変わろうとも、それらの人間に影響を及ぼすことは滅多に無い。 「あ、あの……木田くん、おはよう」 「ん」 滅多のひとつ、栗原透子が教室に入ってきた俺に気づくと席を立ち、わざわざやってきて朝の挨拶をしてきた。 無視すると挨拶のやり直しが続くし、普通に接すれば更に余計な会話が続く可能性もあるので、目で見て微かに反応するだけに留める。 そのぞんざいな態度に普通の人間なら気を悪くするだろうに、この女は嬉しそうな顔をして自分の席に戻った。毎日毎日わざわざ律儀なヤツだ。 この頭の足りなさそうな――もとい足りない女こそ、不愉快だが全てのきっかけだった。 このバカを見ていて、自分の馬鹿に気付いたという点ではきっかけと言っても間違いはないだろう。
言葉で説明するにはそれこそあまりに馬鹿馬鹿しいぐらいに間抜けなきっかけで、俺は自分の苛立ちを全て曝け出して、この女にぶつけた。 それがわからずに苛々だけが募って更に当り散らして、その自分の醜態に腹が立ってと、散々繰り返した。 自分が周りから笑われるバカだと知っていて、それから少しでも逃れようとした結果、俺という逃げ場所を見つけてしまったコイツ。 俺という人間に期待を持って接するというコイツに怖気が走り、こんなヤツに舐められたくないという意地と、自分の中の鬱屈したものを晴らせるならばと関わってしまった俺。 後戻りしたくないと貪欲に先へ先へと掻き進もうとするアイツに、何もしないことで苛立ちに包まれた俺の退屈の世界は掻き乱された。 自分を騙そうとして騙しきれなかった、悟ったつもりの俺のあさはかさをこのバカは、俺の世界への苛立ちや自分へのムカツキなど全てを自分に徹底的に向けさせることで、暴き立てたのだ。 無論、意図があってやったわけではないだろう。そしてコイツが望んだこともそんなことではなかったのだろう。 お互い、あのままではどうしようもないぐらいな状態だっただけのことだ。 諦めるしかないのに諦めきれない未練が残った空気が、アイツを自棄にさせ、俺をムキにさせた。 一度きりの過ち――そんな言葉は適切ではないが、結果的に俺があのバカ女とセックスをしたのはあの時限りだ。
それからは暫く、俺は混乱と迷走を重ねていた。 初めて知ったセックスで得た快感への余韻と、その相手という栗原透子の存在だけが、俺の頭から離れなかった。 向こうも意識していたお陰で、自分は悪くないという自己弁護に走ったり、殺意と性欲がそれぞれ更なる欲求として膨らんだりしながら、振り回され続けた。 そんな状態で辿りついた回答が、考えることの馬鹿らしさだった。 全て深く考えることを放棄して得たものが、仮初の安寧の地である退屈な気持ちだったのだと気づいたのだから、思い悩むことで消えてしまうのは当然なのだ。 退屈と思えてきたことが、自分で退屈にしようとしてしていただけということに気づければ、何も問題は無かった。 それ以降こっちから彼女に声を掛けたことは無い。 自分の持っていた世界を更に磨き上げることに終始した。 漠然とやっていた頃とは違い、ある程度自分がわかっての行動だったので、退屈を退屈とできるだけの、最低限思い込むというだけの努力もあって掻き乱されることはなくなった。 それなのに、このバカは未だに何か期待するように未だに俺に接触を求めてくる。 犯すぞと言えば喜んで尻を振るだろう。 恥ずかしいだのなんだのという感情を持ちながらも、自分が求められる、何か人の為にできるという、自分という存在が他人から認められ、許さるという状況に喜びを覚える。 そこまで不遇な人生を送ってきたのが栗原透子という女だ。 だが、だからこそ馬鹿な女なのだが。 別に必死になってまで他人から求められようとする必要がどこにあるんだ。 そんな馬鹿を横目に、俺は退屈を覚えることに対してまで疲れを感じていた。 そして漸く、俺は全てに対して疲れという感情を持っていることに気づいたのだった。 だからこそ、きっかけと言える。この女に掻き乱されなければ気づかなかっただろうから。
何事も無く午前中の授業、昼休み、午後の授業と時間割通りの進行をこなし、バイト先で言われるがまま仕事をこなし、商店街で考えておいたままの買い物をして帰宅する。 恵美梨は先に帰っていたようだが、部屋にいるらしい。特に俺を出迎えてくることも無い。そのまま部屋で簡単に着替えると夕飯の支度を始める。 「超ブキミ」と言いながらアイツが様子を窺うこともないので、誰に干渉されることも無く時間を費やすことが出来る。 俺にしてみれば部屋で引き篭もるのと何ら変わりがない。頭と腕を使うか、愚痴を聞かされるかの二択で前者を選んだだけだ。少なくても自分自身は自分の不快さをかき立てない。 時間を貴重だと思ったことはない。 今というこの瞬間を大事にしたことはない。 タバコを吸うことで潰すように、フライパンを振って時間を過ごす。 作るという充実感はそこにはない。 だから出来たものが本当に美味しいのかどうかはよくわからない。 不味くなければいい。不味ければ文句が出る。面倒なコミュニケーションのきっかけにしてしまう。 昔のように向こうの言葉に食ってかかったり、大仰に聞き流す素振りをして挑発することはないが、それでも厄介事は御免だった。そうなりたくないが故の選択の結果なのだから当然なのだけれども。 疲れを紛らわせる生活を選ぶことで、俺は本当の人付き合いの仕方を知ることができた。 恵美梨との関係もそうだ。 いつしか暴力を振るうことがなくなったように、諍いを持つことがなくなった。
自分のことは自分で、二人のこともできるだけ自分でやる。向こうからやりたがったことは全て譲り、ぶつかる部分をなくしていった。 こちらからは話しかけない代わりにアイツの話は適当に聞き流すことに終始した。 どうでもいいという態度をあからさまにして反感を得るのではなく、向こうから俺にとって自分の事などどうでもいいのだと気づかせることのほうが上手くいった。 顔を見て話を聞きながら、顔を記憶しない。 たとえ恵美梨の顔ではなく、へのへのもへじやのっぺらぼうがそこに立っていようとも気づかないだろう。視覚していないから。相手の顔という認識を最低限持つだけだった。 その甲斐あってコイツの好物であるハンバーグが献立であっても、特にはしゃぐでもなく静々と席に着き、黙々と食べ、早々と席を立つ。 最初に出した時は、ケチをつけていた気がしたが、どういう理由だったかは覚えていない。もう言わなくなったということはその問題点は片付いたのだろう。 結構なことだ。まだ数少ないレパートリーの中から一つ献立を減らさなくて済むのは助かる話だ。 洗い物をして、少し居間でそのまま寛いで、自分の部屋に戻る。 勉強でもすべきなのだろうが、授業中とテスト直前以外で教科書を開きたくは無いので、そのままベッドの上で寝転がる。天井の汚れを眺めながら全身の力を抜いた。 入れ替わるように階下の方からTVの音が聞こえてくる。入れ替わりに恵美梨が居間に降りたのだろう。毎週この時間はドラマを見ているらしい。 こうして俺は家の中では恙無く、上手くいっていた。 同じ行動の繰り返し。 僅かに土曜日と日曜日が違うだけで、朝の義務をこなし、学生の義務をこなす。 栗原も、無理には近寄ってこない。 相変わらず功と馬鹿話をしたものの、特に厄介な気分になることはない。 自分で弁当を作っていることに関して最初は散々笑われ、今でも時折からかいの種にはするが、俺が乗ってこないので話としてそれほど発展しない。 一度、真帆ちゃんに大層感心されたことを僻んでいるのかもしれないが、知ったことではない。
バイト先の維納夜曲でもそれは変わらない。おやっさんには覇気が無いだの、明日菜さんにはつまんないだのとそれぞれ事ある毎に好き勝手言われるので、仕事で忙しい方が助かる程度だ。 もう一人、バイト仲間に須磨寺がいるがこれはどんな奴かは良く知らない。けれども、こちらからも向こうからも必要以上に関わらない一番理想的な関係を彼女とは築けていた。 最初に言い出した明日菜さんの評によれば俺と彼女は相当に似ているらしい。 何にせよ時間を費やすことが出来るという点では、元々は渋々始めたに近かったこのバイトはもっと職場の人間関係がどうこうあるものでない以上、嫌じゃなかった。 「……」 さっきから二度ほど店の前を通り過ぎていたように見えた制服が、入店してきた。 入り口に一番近い俺が、マニュアル通りの応対をする。 「いらっしゃいませ。お一人様ですか?」 「……お兄ぃに会いに来たんじゃないからね。先輩がいるって聞いて」 須磨寺に会うのに俺が邪魔だったので躊躇していたのだろう。それだったら学校の中ででも会えばいいのにとも思ったが、関係のないことなのでそれ以上は考えなかった。 「かしこまりました」 「え?」 何にせよコイツの目的は須磨寺だ。彼女も別段忙しいわけではないので、後ろを向いて須磨寺を呼ぶ。 「須磨寺」 「はい? あ、恵美梨ちゃん……」 俺に呼ばれて来た須磨寺が恵美梨に気づいて声を掛けてくる。 「先輩」 「こちらのお客様の案内を」 「……お兄ぃ?」 以前、恵美梨に言われていたことを思い出し、務めて他人顔でその場を離れた。 「え?」 「う、ううん。いえ、何でもないんです」 「そう? じゃあ席に案内するわね」 恵美梨と須磨寺の声を背に、店の奥へと引っ込むことにした。 忙しくないし、奥でおやっさんの手伝いでもあればしにいこうと決めたからだ。 のんびりしていると先ほどから手招きしている明日菜さんに捕まるし、恵美梨も須磨寺に用があるのなら俺がいない方が気が楽だろう。
「彼女、キミの妹さん?」 結局、そう都合よくはおやっさんから仕事もなく、須磨寺と話をしていたらしく暇になった明日菜さんに捕捉される。 「何でです?」 「だってお兄ぃって呼んでたじゃない」 「そうでしたか」 明日菜さんの位置まで聞こえる声とも思わなかったのだが、元から知っている筈は無いので嘘ではないのだろう。 恵美梨が須磨寺の知り合いだと知ったのはいつだったか忘れてしまった。 恵美梨の方から聞いた気もするし、須磨寺から木田の姓で尋ねられたのがきっかけだったかもしれない。 元から人間に関心がない須磨寺だから、俺たちに対してそうであるように恵美梨にも関心はないだろう。 部活が一緒なわけでもない恵美梨がどうして須磨寺と知り合ったのかも聞いた気がしたが覚えていない。まあ、俺に厄介なことがないのならそれで良かった。 「でもそれにしてはさっきは随分とあんまりな態度だったんじゃないの」 「公私のけじめをつけた方がいいと思いましたので」 無論、嘘だ。 「ふうん。でもあの子、寂しそうにこっち見てるわよ」 「そうですか?」 明日菜さんの罠だと思ったので振り向かなかった。内容までは聞き取れないが、恵美梨と須磨寺の声が聞こえる以上、そんな見え透いた手には引っ掛からない。 「……もう」 「あはは」 作り笑いが上手くなったのは接客業のお陰かも知れない。これは大層便利なので、助かっている。明日菜さんには通用しないが。 「キミ、少し斜に構え過ぎじゃない。それじゃあ誰の気持ちも伝わらないわよ」 「そうですね……」 そのままだと開き直っているように見られると思い、下を向いて答えた。 後は勝手に向こうが解釈してくれる。 気持ちが伝わる? だとしたら、それは厄介なことだ。 俺の望むものではない。 疲れを、少しでも和らげたいだけの俺にとっては不要なことだった。
そのまま明日菜さんと他愛無い話をしていた頃には須磨寺が加わった。 どうやら恵美梨は帰ったらしい。 須磨寺は俺と恵美梨が兄妹ということは知っているが、俺に対して特に何も言ってこなかった。 いつも通り明日菜さんが話題を振って、それぞれ相槌を打ったり、軽く切り替えしたりするだけの時間。 明日菜さんの話を聞くことは苦痛ではない。特に好きでもなかったが。 時間通りにバイトが終わる。 バイトの日は今まで通り恵美梨が夕飯の支度をする。 昨日ハンバーグだったのは失敗だったかも知れないと帰りながら気づいた。 実に、今更だった。 だが、帰ってみると夕飯の支度はできていなかった。 それどころか、家の中の電気もついていない状態で、恵美梨がまだ帰っていないのではないかと思ったが、靴はあった。 二階に上がる前に居間を覗くと、そこに恵美梨がいた。 ソファーに寝ているようにも思えたが、俺が入ってくるとすっと立ち上がって俺の方にやってきた。 「夕飯は俺が作るのか?」 「お兄ぃ」 俺の言葉は聞こえていないようだった。 薄暗がりの中、恵美梨の身体は緊張しているように見えた。 制服姿のままで、まだ着替えてもいないようだった。 その割には、帰ってきたばかりという感じでもない。 「ん?」 「あたし、お兄ぃの気に障ることした?」 「してないと思うが……なんでだ?」 「じゃあ、今日はなんで……っ!」 「今日?」 朝はいつも通りだったし、学校では会っていない。だとすると思い当たるのは夕方の維納夜曲での事ぐらいしかない。
「どうしてアタシのこと他人みたいに扱ったのよ!」 「へ? ……ああ。だってオマエ、俺の身内って思われたくないって」 「っ!」 一瞬だけ驚いたような表情をしたが、 「ア……アホアホお兄ぃのクソバカっ!」 そう怒鳴って、恵美梨は足音荒く俺の横を通り抜けてそのまま二階の自分の部屋に引っ込んでいった。 「変な奴」 何か臨機応変に対応して欲しかったのかも知れないが、それを俺に望むのは間違っている。 どうやら流れとして夕飯は要らないと言うことになるだろうから、俺は冷凍庫からご飯を取り出して余りものと混ぜてチャーハンを作ることにした。 その前にと自分の部屋に戻って着替えるが、恵美梨の部屋からは病気の犬が呻いているようなくぐもった声が聞こえてくる。 別に泣くほどの事をしたとは思わないが、もしかしたらしていたのかも知れない。長引くのであればと思うとため息が出る。全く、他人というのは厄介だった。 夜中に腹が減って冷蔵庫を漁る可能性を考えて、一食分余計に作ってラップに包んで保存しておく。食べなければ明日の朝飯にすればいい。 「そう言えば……」 野菜や漬物を刻みながら、ふと思い出す。 あんな風に怒鳴られたのも久々な気がした。 「二人とも、心がないのよ」 そう明日菜さんは言う。 俺と須磨寺に足りないものらしい。 「いいこと、ここはこの皆のお姉さんであるアタシが――」 明日菜さんの独壇場に須磨寺が苦笑で応対する様を眺めながら、俺は少しも減ることの無い自分の疲れについて考えていた。 今の日々を選択しているのは、どう過ごしても変わらないからだ。 出来るだけ楽で、マシな過ごし方を求めているだけだ。 疲れそのものをどうすることもできない。 それは生きている限り、ずっと続いていくのだろう。 一つづつ重なっていくのだろう。 生きていくことに疲れたのではなく、存在し続けることに疲れるということ。 俺を維持することに、疲れを覚えるということ。 だからこそ絶望的だ。
どうしようもないのだから。 人間だからなのだろうか。 この時代だからなのだろうか。 木田時紀だからなのだろうか。 わからないし、どうだっていい。 原因がわかったところで解決策が見当たらなければ意味が無い。 「時紀クン!」 「はい」 明日菜さんに呼ばれ、意識を戻した。 「ほらほら〜、ぼんやりしてないで、働く働く!」 久しぶりに聞き流すのではなく、話を聞いていなかった。 思考を目の前の現象にピントを合わせると、明日菜さんの背後に肩を怒らせたおやっさんが太い腕を組んで立っている。 一席ぶっていたら見つかって叱られかけたというところだろう。いつの間にか須磨寺も空いたテーブルを布巾で拭いていた。俺も他にすることが思いつかなかったので、彼女に倣って他のテーブルを拭いて回る。 「木田くん」 「ん?」 暇つぶしに念入りに拭いていると、須磨寺が声を掛けてきた。 客でも来たのかとも思ったが、店内には他には誰もいない。明日菜さんとおやっさんの姿も無いのは奥に引っ込んだのだろう。 だが、二人きりでも須磨寺が声を掛けてきたことは珍しかった。 「もしかして、困ってる?」 「……え?」 「わたしの勘違いかも知れないけど、困っているように見えたから」 困っている、か。 確かに、困っているのかも知れない。 だが、それは須磨寺が思っているものと同じものかどうかはわからない。 第一、思いつきで言っているだけかも知れない。 占い師や似非超能力者のあてずっぽうに似た引っ掛け。 さっき明日菜さんの話を聞いていなかったことに気づいていれば、それぐらいの予想は容易にできる。 「わからないな」 どうとともとれる返事でお茶を濁す。
俺たちの会話は、それきりだった。 本当は「どうしてそう思った?」という問いかけをすべきだったのかもしれない。 けれども、聞きたくも知りたくもなかった。 ただ、須磨寺らしくないように思えた。 須磨寺のことなど知りもしないし、知ろうともしてないのに、何故かそう思った。 恵美梨が俺の前に極力顔を出さない日々が続いていた。 別に困ることではないので、その努力を無駄にしないように心がけている。 偶然家の中で鉢合わせても素通りするだけで、声もかけなかった。 それを向こうが願っているのであれば、そうした方がいいのだろう。 特に俺が厄介にならないですむことであれば、問題は無かった。 今日はバイトのない日だったので、年末に向けて忙しいらしい功にタバコを分けてもらって屋上へと向った。 かつての『天国』へ行くのは随分と久しぶりだった。 恵美梨の都合をあわせて時間を何処かで潰そうと考えた結果、そこぐらいしか思いつかなかったのだ。 屋上はそれまで、俺にとって一番望んだ世界に近い場所だった。 限りなく何もない、誰もいないただ空だけの世界。 未来にたどり着くことのない、俺が望んだ仮初の世界がそこにあった。 それが、子供じみた砂上の楼閣だと気づいてからは足を向けていなかった。 栗原がこの屋上に足を踏み入れた時、自分の世界が侵害されたと思い込んだ。 だが、それは違う。 俺の世界はいつだって俺の傍にある。 俺が周りを締め出すことが大事で、この場所が大事なわけではなかった。 それだったら寒さに震えつつ、空を眺めて目の前の世界の終わりを欲し続けるよりも、あれこれと雑務に紛れて時間を潰す方が遥かにマシだと気づいたのだ。 だから、別にここが駄目という訳でもない。 久しぶりに足を運ぶことに躊躇いは無かった。 ただ栗原だけはいてくれるなとは思ったのは否定しないが。
ドアを開けた時、先客がいるのに気づいた。 そのまま引き返そうと思ったが、それは栗原ではなかった。 欄干のむこう。 「……須磨寺」 須磨寺雪緒が立っていた。 「木田くん?」 ドアの開く音か呼びかけた俺の声で気づいたのだろう、顔だけこっちに向けて須磨寺は微笑んだ。 「良かった」 「良かったのか」 意外な顔と、意外な行動を見て驚いた筈だったが、そう答える頃には冷めていた。 「……あれ?」 「どうかしたの?」 「いや、なんでもない」 明日菜さんが、どうして須磨寺と俺が似ていると言ったのかわかった気がした。 須磨寺が屋上にいたことも、須磨寺が欄干の向こうに立っていることも、それ自体では驚くことではなかったことに気づいたのだ。 驚いたのはそれまで、会っていなかったことぐらいだ。 「先生とかだったら、叱られちゃうかも知れないって思って」 良かったの理由らしい。 秀才と聞いていたが、間は抜けている。 「見つかったら叱る前に落ちるなよ。後でそいつが責められるんだから、せめてそれぐらいは聞いてやるのが筋ってもんだ」 今では功ぐらいにしか向けない軽口を叩いていた。 「木田くんも、良くここに来るの?」 須磨寺はよいしょっと、と声を出して欄干を乗り越えてから尋ねてくる。 「久しぶりというところだ。最近は家事に励んでいたからな」 言いながら気づいた。 俺は実はもう死んでいるのかも知れない。 目の前の須磨寺があのまま落ちて死んだとしても、取り乱せたかどうか自信がない。 むしろ厄介ごとに巻き込まれて舌打ちでもしたのではないだろうか。
もしこれが栗原だったら……そこまでで考えるのをやめた。 やはり俺は死んでいない。 栗原だったら取り乱しただろう。 必要以上に罵って、馬鹿を連発しそうな自分の姿が想像できた。 やはりまだ死んでいない。 「恵美梨ちゃんと二人暮し?」 「家庭内別居という感じではあるがな」 最近はまさにそうだろう。 「……オマエ、須磨寺か?」 珍しく質問の多い須磨寺に、そう問いかけてみる。 「え?」 その質問の真意が判らなかったのだろう。ちょっと目を丸くしてから、 「そうね。ちょっと今日はわたしじゃないかも」 あっさりと須磨寺はそう答えた。 「それじゃ、わたし、そろそろ行くから」 「ああ」 少しだけ話してから、須磨寺の姿が扉の向こうに消える。 それから少し経って 「……いや、須磨寺だったよ」 自然に思ったことが口に出ていた。
今更タバコを吸う気にもなれない。 あれは俺じゃない。須磨寺だった。 「はは……」 足に力が入らず、その場に座り込んでいた。 「やべー、やべー」 脚が震えていた。 アイツはここから落ちることに、特に強い意志を必要としないだろう。 イカれてる。 だが、これで安心できた。 同時に、笑いが止まらなくなっていた。 「はは、ははははは」 可笑しくて堪らない。 久しぶりに、腹の底から笑っていた。 安心が愉快に思えるのも悪くなかった。 それからも無駄に日々を重ねていった。 恵美梨の機嫌は直ったのかどうか良く判らない。 いつしか有耶無耶のうちに元に戻っていた。 それをあげつらう気もないし、意識することも無い。 それこそ俺が望む関係だったのだから当然だった。
「……お兄ぃ」 それでも、夕飯を食べている時に呼びかけられたのはやや意外だった。 「ん?」 「今年のクリスマスイブだけど……」 「ケーキか? それなら予約して貰ってるから心配要らないぞ」 「う、うん……そうだけど……」 「帰りが遅くなるのか? だったら……」 「そうじゃなくて、そ、そうじゃ……」 確か先輩と一緒に過ごすとか言っていたが、その先輩は須磨寺のことなのだろう。 最初に聞いた時は彼氏なのかとも思っていたのだが。 「お兄ぃは、家にいるよね」 「……ああ」 少し返事が遅れた。 実のところ、バイトしてからそのまま行こうと思っていたが、家に一度戻ってもいいと考えていた。 「アタシ、やっぱり止めたから、その……」 言いよどむ恵美梨の言葉は要領を得ない。 「何がだ」 言いたいことがあるらしいので合いの手を入れる。 特に聞きたいわけでもないが、聞かないわけにもいくまい。 「出かけるの……だから、その日は」 「ああ、わかった」 以前、恵美梨はその日は出かける予定だと言っていたことを運良く思い出した。 「あ、う……うん!」 珍しく嬉しそうな顔で頷いた。 両親もいないらしいし、ウチの方が良かったのだろう。 俺としては何の問題は無い。
「台所はアタシが使うから……」 「OK。その日は近寄らないから」 「うん。ありがとう、お兄ぃ」 須磨寺と家で二人きりで過ごせるのが嬉しいのだろう。 この分だと須磨寺は泊まりになるのかも知れない。 どっちにしろ俺には関係ない。 ただ、終わった後に須磨寺がどう思うかなとは思った。 年の瀬に迫る十二月の末。 ケーキ屋にとってクリスマスは年に一度の大忙しの日だった。 特注の限定ケーキは予約分のみで完売済みだが、代金と引き換えるのは今日一日だし、他のケーキも飛ぶように売れていく。 明日菜さんも須磨寺も俺も、無駄口を叩く暇も無くおおわらわで働き通す。 いつも通りの就業時間が、いつもの数倍の長さに感じた。 疲れたが、気分は悪くなかった。 身体の疲れは、心の疲れと違って明瞭だ。 それにこれが最後だと思うと、初めて俺の中に充実したというものを実感できていた。我ながら現金な気がして、可笑しかった。 「須磨寺」 「なに?」
「もし、なんならケーキお前が持っていくか?」 「え?」 俺の言葉に帰り支度を終えた須磨寺が不思議そうな顔をする。 もし須磨寺がこのままケーキも持って行ってくれるなら俺は家に戻る必要が無い。 そう思って聞いたのだが、通じなかったようだ。 「ケーキって、何のこと?」 「いや恵美梨が予約していたウチのケーキ。このまま家に行くんだろ。それとも一度自分の家に帰るのか?」 「恵美梨ちゃんと?」 何だかちょっと変な気がした。 まるでそんなことは知らないと思っているような反応だった。 「木田くん。わたし、恵美梨ちゃんとそんな約束はしてないけど……」 本当にそうだった。 須磨寺と見せかけて実は違う誰かいるのだろうか。 真帆ちゃんという可能性もある。 どうも功の計画は上手く行っていない風でもあったし、ありえる話だった。 それとも、本当に男でもいるのか。 まさかとも思ったが、自信を持って否定はできなかった。 所詮、恵美梨は俺じゃない。 俺の知らない部分の方が遥かに多いのだ。 そういうことがあってもおかしくはない。
色々考えながらも結局、片手にケーキを持って俺は一人で帰宅することにした。 須磨寺と話している際、明日菜さんからは「それってクリスマスデートのお誘い? だったら現在フリーで寂しいお姉さんが立候補しても良いかな。それとも雪緒チャンじゃないと駄目?」とからかわれたが、明日菜さんと一緒に帰るわけには行くまい。 「一度、着替えてからにするか」 一度汗だくになった洋服よりは着替えた方が良いかも知れない。その前にシャワーぐらい浴びる時間が有れば浴びておこうか。いや、湯冷めすると拙いか。でも今更関係ないか。 つまらないことを色々考えながら、家に辿りついた。恵美梨は何か作っているらしく、外までその匂いが漂ってくる。働き通しで食事をしていないので空腹感が増す。合鍵を使ってドアを開け、居間に向う。 「あ、お兄ぃ、お帰り」 湯気の立つ鍋を前にしていた恵美梨が嬉しげに振り返った。 「約束のケーキ、持って来たぞ」 「うん。ありがと」 恵美梨の機嫌を見ていると、須磨寺のことは言い出す必要はなさそうだ。 まだ来ていないだし、俺もさっさと着替えて家を出てやった方がいいだろう。 鼻歌が聞こえそうな雰囲気の恵美梨を残して、自分の部屋に向った。 そして手早く、服を脱ぐ。 タオルで殆ど乾いていた汗を拭っただけで、我慢することにした。 その一方で着替えはトランクスまで変えることにした。 別にどうでもいいのだろうが、この辺は気分の問題だった。 そして着替え終わってから一度部屋を見渡した。 そこには、特に何もなかった。
財布をズボンの尻ポケットに突っ込むと、そのまま玄関に向かう。 靴を履きながら、どうやら恵美梨の待ち人に鉢合わせする前に出かけられそうだなと思った時、 「……あ、あ兄ぃ?」 ひどく、狼狽したような声を背中に聞いた。 ずっと台所に詰めているだろうと思っていたので、油断した。 「……どこ、行くの?」 できれば気づかれる前に出たかったが、こうなると止むを得ない。 「ん。そこら辺をぶらついてくる」 行く場所は決めていたが、わざわざ正直に言うこともないだろう。そう思って言った返事に、恵美梨の声は震えていた。 「…………何で?」 そこで俺は今にして、自分が何か思い違いをしているのではないかと思い至った。 「何でって―― 「そんなに、嫌なの?」 俺の言葉など聞こえていないように、ポツリとそう呟く。 「アタシが嫌なの?」 ああ、やっぱり。俺は少し勘違いしていたようだった。 「お兄ぃはアタシが嫌いなの?」 一言一言、自分の言葉を噛み締めるように恵美梨が綴っていく。 背中で聞く俺は振り返ることができなかった。
「いいや」 肩を竦めて呆れたような否定の声を作る気にもなれず、事実だけを答える。 「だったら!」 恵美梨の声に悲壮感があった。 「だったら、なんで……なんで……」 今、言うべきだろうか。 俺が恵美梨をどう思っているかということを。 どう願っているのかということを。 俺自身を語るべきなのだろうか。 そうしなければ完全に誤解が解けることはないだろう。 しかし、誤解を解く必要があるのか。 俺は誰からも切り離されたかった。 親の脛を齧りながら、国家社会の庇護を受けながら、常識という偏見に縛られながら、その全てを厭っていて、それらから逃れるだけの意欲もなかった。 だからこそそんな自分が嫌で、自分が存在し続けることで疲労感を溜めていった。 今までただ反発し、目に見える程度のどうでもいいところで達観したつもりになっていい気になることで保ってきた自分も、栗原という馬鹿女とのセックスによってそれがいかに滑稽で欺瞞でしかないかということを改めて突きつけられた。 気づいても更に自分が望むものに目を向けた結果が、自分が逃避して世界から目立ってしまうおではなく、周囲に溶け込み埋没して消えていくことだった。 誰からも個として存在認識されることのない自分。 木田時紀というものから逃れるにはそれぐらいしか方法が無かった。 そうして木田時紀の妹である木田恵美梨から、俺は解放されるように願った。 だが向こうは違ったらしい。 憎まれ口を叩く恵美梨は、両親が不在がちな家を寂しく思っている。俺に突っかかるのも、気軽に話せる唯一の肉親だからという事情があるのだろう。 そんな俺がアイツの肉親を止めたことで、アイツは俺に話しかけるきっかけを失っていた。 その時、俺はようやくアイツの本当の他人になることができた。 しかし、それは恵美梨にとって望むものではない。 わかっていた筈だが、考え付かなかった。 それだけで自分の事だけでいっぱいいっぱいだったのだろう。 同時に俺の興味範囲外だった。 しかしそのことで今、厄介なことになるのであればもっと上手くやるべきではなかったのか。 これから最後にしようと思うことへの支障になるのであれば、もう少し丁寧に取り除けるべきではなかったのか。
微かな苦味を覚えた。 このまま俺が家を出たら、恵美梨はどうなるのだろう。 そのまま消えたら、恵美梨はどう思うのだろう。 自分じゃない存在のことなど判るはずは無い。 それなのに、躊躇いが生じた。 くそっ。 久々に、苛立った。 「……」 一度、息を吸う。 そして吐く。 こんなとき、脳裏に浮かぶのはいつもあの眼鏡だ。 必死でこの世をもがくあの馬鹿の姿が思い浮ぶ。 もがいたところで報われることのない、アヒルでしかないアヒルの中の劣等種。 アイツに何度死ねと言ったところで、死ぬことはないだろう。 「もう……死んでよ……死んじゃってよ、お兄ぃ……」 俯いているのだろう。鼻を啜る音と、しゃくりあげる声が背中越しに聞こえる。 「お兄ぃなんかに、アタシ……もうヤダよ……」 「少し、困る」 「……え?」 この後、俺がこのまま学校へ行ったら恵美梨はどうなるのだろう。 多少はホッとするのかも知れない。しかし、その一言は拙い。 俺はともかく、恵美梨にとって辛いことになりはしないだろうか。 やはり気づかれる前に出て行くべきだった。 「オマエは何も関係ない。だからそう、気にするな」 それだけ言って、すすり泣く恵美梨を置いてドアを開けた。 最後まで逃げ出し通しだったなと思いながら、 「お兄ぃ!」 俺は家を後にした。
それは、須磨寺を見た時に決められた。 生きていることを休む。 世界の方は何も変わらず、終わることは無い。 だとすればこの流れを断つには、俺の方が終わるしかない。 きっと須磨寺はそれを知っている。 知っている上で、いつ終わろうか考えている。 けれども、恐らくアイツは終わらない。 きっかけがあれば簡単に終わせるのだろうが、彼女が考えるきっかけは恐らく訪れることはない。 彼女は踏み止まっているから。 欄干の向こう側で空を見上げていたから。 そこだけは、俺とアイツの違いだ。 学校に辿りつく。 こんなクリスマスイブの日にこんなところに来る奴はいない。 未練はあるのだろうが、考えているとキリが無いのでやめておいた。 根性も度胸もなければ、素で現実を達観しきれる強さも、死に縋るだけの弱さも何ひとつもっていない。 ならばなるべく機械的にコトを行なう方が良い。 恵美梨のこともある。 失敗や後悔はもう、いい。 屋上の扉を開けると薄暗かった筈の外は、真っ暗になっていた。 凍えるほどに寒い空気が肌に刺さるようで痛い。 特に決めていたわけではなかったが、先日須磨寺が立っていた場所に向かう。 立ち止まらないようにしよう。 そこに道があるように、焦らず、遅れず、自分の歩幅で歩いていく。 欄干に手を掛ける。 片足つづ、乗り越えて向こう側に降りる。 着地で少し縺れたもののあと数歩。 軽くズボンを叩いて、歩こうとして――――足が、止まった。
「……え?」 空は望まないので、空なんか見上げなかった。 だから、見つけてしまった。 栗原透子という存在を初めて知覚した場所。 屋上から覗けるコンクリートのタイルで覆われた校庭。 植え込みの側、人が座ることなどあまり無いベンチのすぐ前。 そこに両膝に手をつき、息を切らせている恵美梨がいた。 俺の後をつけたわけではないだろう。 だとすれば下にいるわけが無い。 遅れて追ってきたというところか。 上を見上げない限り、屋上にいる俺には気づかないだろう。 このままやり過ごすべきだろう。 まさかアイツの目の前で落ちるわけにもいくまい。 そう思って、引っ込もうとした時、 「……!」 目があった。 上を向く理由などない筈の恵美梨が、俺を見ていた。 「あ」 理由はあった。
空から白いものが舞い降りてくる。 雪が、降っていた。 この時期に雪が振ることなんて滅多にない。 そんな十何年ぶりの雪が舞い降りてきて、屋上にいる俺と校庭にいる恵美梨を繋いでいった。 下にいる恵美梨の口が動いた。 恐らく「お兄ぃ」と言っているのだろう。単純な奴め。 「よっ」 そう呟いて、軽く片手をあげる。 間抜けな遭遇ゆえに、間抜けな挨拶もいいだろう。 「どうして学校に?」 「功ちんにお兄ぃのいそうな場所聞いて……」 なるほど電話して聞いてから着たのか。恵美梨にしては冴えている。 「本当に屋上にいるとは思わなかったけど」 俺が屋上を降りて、今は恵美梨が立っていたすぐ側のベンチに座っている。 「そう言えば……」 「何?」 「何で来たんだ?」 「なっ」 「いや口喧嘩は久々だったが、別に仲良し兄妹ってわけでもないし……」 落ちた後に自分のせいだと思い込んで後悔とかされるのは悪いなとは思ったが、別にあの時点で何か感づかれるものがあったとは思えない。 そう考えると不思議だった。
「お兄ぃの目、先輩に似てたから……」 「須磨寺に?」 また、須磨寺か。 俺もコイツもアイツにどうかしちまったとでも言うのか。 「傍にいても、全然アタシを見てないで……どっか行っちゃいそうで……」 そう呟く恵美梨の口から白い息が見える。 「結局、一度もアタシを見てくれなかった」 俺より後に出たくせに室内着のままだった恵美梨にコートを貸してやった。 お陰でかない寒い。 「先輩は出会った時からそうだったし……多分、今のアタシじゃ何をやっても駄目だと思う」 須磨寺だからな。 でも、きっとまだ須磨寺は戻れる。 「でも、お兄ぃは……お兄ぃは最初からそうだったわけじゃない!」 そこできっと恵美梨は俺を睨んだ。 「急に料理とか始めて、なんだろうって思ってた……もしかしたら心を入れ替えて真面目になったのかって思った……」 そしてまた再び、自分の指先に視線を戻した。 「どういう理由にしろ、ただの気紛れに終わると思った」 恵美梨は指先を擦り合わせ、息を吹きかけながら寒さを凌ぐ作業に戻る。 「それが続いて、お兄ぃとアタシが家にいる時、アタシは何もすることがなくなってきたとき、変だと思った。もしかしたら家を出て一人暮らしの予定でもあるのかと思った。でも違った。お兄ぃはどっか遠くに行こうとしてるんだって気がついた」 もしオマエがそうだったとして、俺は気づけただろうか。 どこか冷たく生気のない須磨寺の顔を思い出す。 彼女と同じ顔を俺はしていたのだろうか。 「それには、アタシが邪魔なんだなって……」 「……」 「お父さんもお母さんも要らないように、アタシも要らないんだってお兄ぃに思われているんだって……」
違う、そう言い掛けて言えなくなった。 違わない。 全く、その通りだった。 俺は、俺すら要らなかった。 何一つ要らなかったのだ。 「……寒いな」 雪はもう暫く止みそうに無い。 このままここに座っていることもないだろう。 「お兄ぃ……」 一度空を見上げて、軽く反動をつけるようにしてから立ち上がった俺を恵美梨は不安そうに見ていた。 馬鹿。 そんな顔するなって。 「ああ……」 恵美梨は今、素のままの弱さを曝け出している。 そしてその弱さを武器にして、俺に迫ってくる。 それは、栗原透子だ。 不安そうに、俺の後をついていく。 跳ね除けられて泣かされても、叩かれて追い払われても、結局は俺の側を離れないのは、子供の頃の恵美梨の癖だった。 昔から両親が不在がちで、頼れるのは兄である俺一人しかいなかったから。 俺は一人になりたかった。 けれど恵美梨は誰かにいて欲しかった。 栗原に、須磨寺にお互い出会う前から、俺たちはこんな状態だったのだ。 栗原の前に俺は一度はその勢いに挫け、更に募ってきた時には払いのけた。 ギブアンドテイクと称してそれまでべったりだった恵美梨を払いのけたように。 なんだ。 少しも変わっていないじゃないか。 俺は。 恵美梨は。 「お兄ぃ!」 ベンチに座ったまま動けないでいた恵美梨を置いて、俺は一歩二歩と雪で濡れた地面を踏み歩く。
人はいつでも一人で歩ける。 だから人が二人で歩くのは馴れ合うからじゃない。 支え合うからじゃない。 それは、 きっと、 「――帰るぞ、エミ公。腹が減った」 差し出した手に恵美梨の手が重なった。素直なやつめ。 立ち上がった恵美梨が何か言い、俺も何も考えずに言い返した。 今日は何もかにも、疲れさえも忘れて、 たまには、二人で帰ろう。 了
>>284-320 「天使が消えない」でした。
改行エラーが多くて長引いてしまいました。
読みづらくてスミマセン。
> hmWQ7p75 乙〜天いなSSで長文系で個人的におもしろかったよ ありがd
>322
>>265 > ・投稿期間中は作品に対して一切感想をつけない
冬、だな。
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレでは投稿作品を募集しています。
今回のテーマは『なんでもあり』です。
投稿の締め切りは 1 月 8 日の午前 8:00 までとなっています。
思いつくネタがあればどんどん参加してみましょう。
その際に
>>3-5 のルール、FAQ に一度お目通しを。
また、次回のテーマは『戦い』で、開催時期は 1 月下旬になる予定です。
「三週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方は、こちらの執筆に
力を注いでもらっても構いません。ただし、投稿は次回の募集開始までお待ちください。
>>325 テーマ「なんでもあり」で「テーマが難しい」とはこれいかに。
こんな難しいテーマは他にないと思うのだが……
他こんぺと同様ノンレギュレーションで自分の全部の力を出せる回である とも言えれば テーマとか考えないでただ思いついたSSネタを気楽に投稿できる回 でもあると言える
ノンレギュレーションは違うなあ……なんて言えばいいんだろ
明日から帰省するので、今日のうちにSS投下します。 「今宵、この月明かりの下で君と」 うたわれるもの、純愛18禁です。17,8レス予定。
「ふう、今日は多かったな」 「聖上、お疲れ様でした」 最後の一つの書筒の処理を終え、トゥスクル皇ハクオロはようやく安堵の息を漏らした。 すっかり冷めてしまったお茶の残りを飲み干すと、立ち上がって背筋を伸ばす。 「では、私ももう下がってもいいな?」 「はい。明日も忙しくなりそうですから、ごゆっくりお休みください」 何気にハクオロに精神的打撃を与える一言をさらっと口走りながら、ベナウィは一礼して部屋を出た。 「……明日も忙しく、か。はぁ……」 明日ハクオロの前に山と詰まれた書簡を想像し、ハクオロはその日の疲労が一気に襲ってきたかのように急激な脱力感に襲われた。 「……寝るか」 せめて体をゆっくり休めよう、と考えながら、灯りを消し、ハクオロは寝所へと向かった。 もはやどの部屋も灯りを消している真夜中。城内は闇で染まり、夜の冷たい空気と静寂、コツコツと廊下の上で立てられる足音だけが支配する世界をハクオロは歩く。 「……む?」 皇城の一番奥にある寝所に向かう途中、ハクオロは1つの部屋の前でふと足を止めた。 わずかだが、戸が開いている。それに、中からはまだ人が起きている気配がする。見回りの兵を除けば、もうほとんどの人間は寝ている夜更けだと言うのに、である。 「この部屋は……サクヤとクーヤの部屋か」 何度か訪ねた部屋であるから、当然誰の部屋かもハクオロは分かっている。この部屋は、トゥスクルでもつい最近住人が増えた部屋――元クンネカムンの皇クーヤと、その付き人のサクヤの部屋であった。 ハクオロも、夜更けに女性の部屋に無断で入るほど礼儀を知らない人間ではない。だが、部屋の戸が半開きになっていたのがつい気になって、かすかに漏れる月明かりを頼りにハクオロはこっそりと中を覗き込んだ。 「……サクヤ?」 その視線の先にあったサクヤの姿に、ハクオロはつい声を出してしまった。 「……え? あっ、は、ハクオロ様!? どうなされたのですか、こんな夜更けに?」 名前を呼ばれ、驚いて振り返った少女・サクヤは、突然の来客がハクオロと知って若干安堵した表情を見せた。 「いや、ちょうど通りかかっただけなのだが、この部屋の戸が開いていたのでな。気になってつい覗いてしまった」 「わわ、完全に閉めてなかったんですね。ご、ごめんなさいっ」
よく見ると、サクヤは1人で窓の側に佇んでいた。サクヤといえばたいていはクーヤの世話をしている姿が見られるだけに、こうして1人で窓辺に佇む姿は珍しい。 「いや、それは別に構わないんだ。それよりサクヤこそ、こんな夜更けにまだ起きて何をしていたのだ?」 「あたしですか? その、ちょっと月を見ていたんですよ。よろしければハクオロ様も見てみませんか? ほら、今夜は満月なんですよ。お月様がとても綺麗です」 そう言って、サクヤはハクオロに向けていた顔を再び窓の外へと向けた。窓から差し込む月光がサクヤの横顔を照らし、いつもよりも魅惑的な雰囲気を放たせている。 「……ふむ、満月か。では少しだけお邪魔しよう」 元々すぐに寝るつもりのハクオロだったが、なんとなくその気が失せてしまい、音を立てないように戸を開けると静かに部屋に立ち入った。 「ところで、クーヤは寝たのか?」 サクヤの横に見えないこの部屋のもう1人の住人のことを思い出し、ハクオロは小声で尋ねた。 「はい。あちらでよくお休みになっています」 サクヤの指す方を見ると、確かにその先ではクーヤが寝具に包まってすやすやと眠っていた。無邪気に、そして無防備に眠り込んでいるその姿を見て、ハクオロは微笑を浮かべる。 「さっきまで、クーヤ様といっしょに見ていたんですよ。最初はあたしも満月だったって知らなかったんですけどね。 クーヤ様が、『つき、つき〜』とはしゃいでいましたから。クーヤ様、まるで初めてお月様を見たみたいにはしゃいでいました」 「……ならば、昔もサクヤはクーヤと月を見たことがあるのだな」 クンネカムンの一件で、クーヤの過去の記憶は失われ、人格は生まれたての赤ん坊となんら変わらないほどに退行してしまっていた。 そのせいかは知らないが、サクヤの微笑の中に、ほんの僅かではあるが寂しさが隠されていたことにハクオロは気がついた。 「はい。クンネカムンにいた頃は、クーヤ様はたびたび寝所を抜け出しては、お城の屋根に登ってあたしと一緒に見ていました。 そして、いつもおじいちゃんに見つかっては二人で怒られて……それでも、とっても楽しかったです。 クーヤ様が、ああして無邪気に笑えるようになったのはいいのですけど……」
「やはり、昔の楽しかった思い出まで失ってしまったのは寂しい、か?」 「……寂しくない、と言えば嘘になります」 今度は寂しさを隠そうとするでもなく、サクヤは答えた。 しばしの無言。2人はただ、黙って夜空を見上げる。 その先には、月。欠けたる所の無い真円を描きながら、ぼんやりと光を放っている。 あんなに大きく見えるのに、どんなに手を伸ばしても決して届かない、遠くて高くて、でも美しい存在。 今宵は、満月。
「……サクヤ、すまないな」 先に沈黙を破ったのはハクオロだった。 「え? わ、わ、どうしてハクオロ様が謝るのですか?」 突然の、しかも皇からの謝罪に、サクヤは取り乱してしまった。 「……いや、私は結局、何も助けられなかったと思ってな。 サクヤとクーヤが帰るべきクンネカムンは無くなってしまった。ゲンジマル殿もヒエンも私は救えなかった。 私はサクヤとクーヤの大切なものを何一つ守れなかった。今夜の月を見ていると、そんな自分がどうしようもなく情けない存在に思えてきてしまってな。 本当に、サクヤにもクーヤにも、そして私にサクヤを預けてくれたゲンジマル殿にも、私はなんと言って詫びたらいいのか分からん」 月は人の本性を、あるいは抑えていた感情を、時としてその光の下に晒し出す。 結局は戦うことしか選べなかったこと、そして戦いの果てに何も守れなかったこと。人の死に行く様を、国の滅び行く様を見ながら何も出来なかったこと。 そんな無力な自分自身を省み、ハクオロは普段なら誰にも見せないような弱気な一面を不意に覗かせた。 そんなハクオロの姿を見るのは初めてだったのか、サクヤもなんと言っていいか分からずハクオロを見ていたが、やがて言うべき言葉が見つかったのか、慌てて口を開いた。 「そ、そんなことないですっ! ハクオロ様はあたし達のために精一杯やってくれました! おじいちゃんも、お兄ちゃんも、最後は 武人としての誇りを持って死んでいったと聞いています! クーヤ様だって、あたしだって、ハクオロ様に感謝こそしても恨んだりなんて全然してませんから!! 今でもハクオロ様をお慕いしていますからっ!!」 つい大声を出してしまい、ハッとなってクーヤの方を見るサクヤ。幸い、クーヤは起きなかったようだ。 が、今度は自分の口走った言葉を思い出し、一気にサクヤの顔が朱で染まった。勢いとはいえ、「お慕いしています」などと言ってしまったのだ。 「あわわ、ご、ごめんなさいごめんなさいっ! そそそ、そういう意味ではなくてですね、あのあの、なんと言うか……」 オロオロと慌てふためくサクヤ。だが、その混乱は突然のハクオロの抱擁によって中断された。
「は、ハクオロ様……?」 ハクオロは無言でサクヤを抱きしめる。サクヤの華奢な身体がハクオロの両腕にすっぽりと収まり、互いの体温を伝える。 ハクオロの大きな身体。与えられる温もり。初めて間近で感じたハクオロの身体に、サクヤの鼓動が高まってゆく。だがそれと同時に、サクヤはあることに気付いて…… 「……はっ!?」 だが、ハクオロに身体を預けようとサクヤが身体の力を抜こうとしたとき、ハクオロは急に我に帰ったかのようにサクヤの身体を引き離した。 「すすす、すまんサクヤ。私は今何を……」 自分のしたことが信じられないと言うように、ハクオロは慌てて謝罪の言葉を述べる。そんなハクオロを、サクヤはただじっと見つめている。 「コホン、す、すまなかった。今のは忘れてはくれないか? この満月のせいかは知らぬが、今夜の私はちょっとおかしいようだ」 その仮面の奥に、申し訳ないような、ちょっと恥ずかしいような表情を浮かべ、ハクオロはサクヤに背を向けた。 「ではサクヤ、おやす……」 おやすみ、と言いかけたところで、ハクオロの腰に回されたサクヤのか細い腕によってその言葉は中断された。 今度はサクヤが、背後からハクオロに抱きついていた。 「サク……ヤ?」 「そ…その……おかしいのは、あたしも同じです……。ハクオロ様さえ嫌でなければ、このまま……」 サクヤの腕に力が込められる。ハクオロからは見えないが、サクヤの顔は真赤ながらも、冗談を言っている顔ではなかった。 「ハクオロ様も……不安だったんですね……。いつもは皇として一生懸命頑張っていますけど、ハクオロ様だってあたし達と同じ。 悲しいことがあれば悲しむし、辛いことがあったら苦しむ。 あたしはあまり頭はよくないですけど、でも、さっきのでそれだけは分かりました」 先ほどのハクオロからの抱擁のとき。密着した2人の身体は、ハクオロの身体の僅かな震えをサクヤに伝えた。 それは寒さや緊張のせいではない。それは恐れや不安からの震え。 過去に守れなかった、大切な人たちのために、自分はこれから何が出来るのか。 果たして自分は、この先大切なものを守りきることが出来るのか。また守れなかったら、自分はいったいどうすればいいのか。 それは月光に映し出された、普段は胸の奥に封じ込めていたハクオロ自身の不安。
「ですから、こうすることで少しでもハクオロ様が安心できるのでしたら……あたしは全然構いませんから」 普段のサクヤなら言えないような恥ずかしいことのはずなのに、今夜はどうしてかサクヤの口からすんなりと出てきていた。 サクヤの心の扉の鍵を開いたのは満月の光か、ハクオロの温もりか、それともサクヤ自身の勇気か。 ハクオロはそのサクヤの言葉に、正面から向き合っての抱擁で応えていた。 時間が止まる。 立場上は皇と室。だけどもこの夜ようやく初めて触れ合った身体と身体。 互いの温もりが伝わり合い、互いの思いが伝わりあう。お互いの視線が交差する。 愛のためでも欲のためでも、逃避のためでもない。 この行為に2人が抱くは、安らぎ。そして癒し。 この瞬間不安も恐れも過去も未来も全てを忘れ、ただ永遠のように感じられる時を感じ合う。 「あの〜、は、ハクオロ様……」 「どうした?」 先に沈黙を破ったのはサクヤだった。 「あ、あの、あたしは……その、立場上はハクオロ様の室ですから、その……」 恥ずかしさのせいか、かなり小声になってしまっていたが、それでもハクオロにその意は通じた。 「し、しかしだな。別に私はサクヤにそんな扱いをするつもりは……」 「か、構いません。あたしは、クーヤ様やエルルゥ様や、みなさんと同じくらいに……ハクオロ様をお慕いしていますから」 ハクオロの顔をまともに見られないのか、サクヤはハクオロの腕の中で下を向きながら言った。 「……いいのか?」 「はい」 若干硬くなるサクヤの身体。しかしそれが逆に、サクヤが本気であることをハクオロに伝える。
「……分かった、私の部屋に行こう」 「え? でも、別にここでも……」 と言いかけて、サクヤはようやくこの部屋で寝ているクーヤの存在を思い出した。短い時間であるとはいえ、存在を忘れてしまっていたことを、サクヤは心の中でクーヤに対して猛省した。 「す、すみません、さすがにクーヤ様も起きちゃいますね……」 「うむ、さすがにそれはいろいろとまずいからな。では、ちょっとの間我慢してくれ」 「え? ……わわっ!?」 突如として視界が反転したことにサクヤが動転する。だがすぐに、ハクオロが自分を抱き上げたのだと分かった。 背中と両膝の裏に手を回し、両手で抱き上げる。いわゆるお姫様抱っこである。 「わわわわわっ、は、恥ずかしいですよこんなの〜」 「ははは、サクヤは軽いな。では行こうか。廊下では声を出さないほうがいいぞ」 サクヤの抗議の声は無視して、ハクオロはクーヤを起こさないように静かに廊下に出た。もちろんこの抱っこは、人質として足の健を切られ、満足に歩くことの出来ないサクヤへの配慮である。 サクヤもそれに関しては分かっているのか、廊下に出てからは大人しくハクオロに身を預けていた。 口にこそ出さなかったが、この抱っこが嬉しかったのか、サクヤのシャクコポル族のやや長い耳がピョコピョコと小刻みに揺れていた。 (……しかし、衛兵やトウカに見つかったらこの状況をどう説明すべきか……) 内心見つかったときのことに不安を覚えていたハクオロだったが、奥の自分の部屋に着くまで誰にも声をかけられなかった。 (ふぅ、杞憂だったか。しかし、衛兵は寝ているのか? きちんと仕事をして欲しいものだが、まあいいか) いや実は、見回りの兵たちはちゃんと起きていて、ハクオロとサクヤの姿もきちんと目撃していたのだが、そこはさすが好色皇ハクオロ警護の衛兵たち。 心の中でハクオロとサクヤの今晩の応援などしながら、見なかったことにしていたのである。 まあこのことは、ハクオロとサクヤの名誉のためにも黙っておくことにするが。 ちなみにトウカは本当に寝ていたのだが、それも本人の名誉のために黙っておこう。
「では、脱がすぞ?」 「お、お願いします」 そう言うと、ハクオロはサクヤの服の帯を解いた。しゅるっ、という音と共に、帯が解け、服が一気に脱がされる。 ハクオロの予想通り、その下からはサクヤの細く白い裸身が姿を見せた。 「はうぅ、恥ずかしいです……」 その身体を隠せばいいのか、それとも隠さないほうがいいのか分からず、サクヤはただ硬直して横たわっている。 『かちーん』という擬音すら聞こえてきそうなほどのサクヤの硬直状態がおかしかったのか、ハクオロはついふき出してしまった。 「そんなに固くなることは無い。綺麗だぞ、サクヤ」 「で、でも、あたしの胸小さいですから」 確かに、エルルゥよりはやや大きいとはいえ、サクヤの胸はお世辞にも大きいとはいえない。が、それでもサクヤの胸はハクオロが思わず見入ってしまうほどに美しく整っていた。頂点では、綺麗な桃色をした突起が控えめにその存在を主張している。 「そんなことは関係ないさ。では、触るぞ」 ハクオロはサクヤの胸に右手を伸ばした。手が胸に触れた瞬間、はじめて感じた感触にサクヤは”ぴくんっ”と身を震わせた。なおもハクオロは優しくさする様に胸の上で右手を動かす。柔らかくすべすべした感触がハクオロには心地よかった。 「はうっ…んっ……」 「どんな感じだ?」 「あ、あのあの、初めてでよく分からないですけど…ちょっとくすぐったいような気がします」 「そうか」 それならば、とハクオロはさするのを止め、軽く胸を揉むという戦法に変えた。ふにふに、と小さなサクヤの胸が面白いように形を変えていく。 「ふあっ!?」 「敏感だな、サクヤは」 「だ、だって〜」 戸惑っているサクヤの反応が可愛らしかったのか、ハクオロは空いている左手もサクヤの左の胸に伸ばした。こっちは右のように揉むのではなく、胸の先にある乳首を指で責めるという戦法を取った。 「きゃうっ! は、ハクオロさまぁ〜。両方はダメですよぉ〜」 「サクヤがあまりに可愛らしいからいけないのだ」
「はぁっ、あんっ、ふやぁ……」 慣れない刺激に、半べそをかきながら耐えるサクヤを、ハクオロは両の手で休むことなく攻め立てる。あまり強くしないように、優しく、優しく、胸への愛撫を続ける。そのたびに、サクヤは可愛らしい声をあげ、ハクオロをますます興奮させていく。 「ふむ、そろそろいいか」 「ふぇ?」 そう言うと、ハクオロは手を止め、目線をサクヤの下半身に向けた。その先には、今のサクヤの体を唯一覆い隠している下着が月明かりに照らされてぼんやりと白く光っていた。 「次はこっちに行くぞ」 「あっ、やっ、そこは……」 サクヤの静止は聞かなかったことにして、ハクオロは下着の上から指でサクヤの秘所に触れる。 「ふわぁっ!?」 突然の新しい刺激に耐えられず、サクヤの背中が仰け反った。ハクオロは右手の人差し指で、下着の上からでも分かる縦筋を上下にゆっくりとなぞって行く。 「はうっ、んっ、ふわぁっ」 胸への愛撫以上にさらに強く体を襲う電気のような刺激に、サクヤの口からは喘ぎ声が留まることなく漏れ出す。既に下着は湿り気を帯び始めているのだが、サクヤはそんなことにまで気付く余裕は無かった。 「ふむ、濡れてきているぞ、サクヤ」 「ええっ、本当ですか……ひゃぁっ」 「本当だとも、そんな可愛い声ばかり上げているのならまあ当然だな」 「そ、そんなぁ〜」 「別に悪いことではないさ。サクヤが感じてくれているのなら、私だって嬉しいぞ」 そう言いながら、ハクオロはまた手を止め、今度は両手をサクヤの質素な下着にかけた。 「わわ、ハクオロ様、まさか……」 「うむ、脱がす」 「そんな真面目な顔で言わないで下さい〜よけい恥ずかしいじゃないですかぁ〜」 顔を真っ赤にしで抗議しつつも、体に力が入らないのかサクヤは抵抗らしい抵抗を見せない。それを見てハクオロは慣れた手つきで下着をすっ、と膝下まで下ろした。
「……ふぇぇ〜」 ハクオロは、下ろした下着からサクヤの下半身へと再び目を移す。 「あうあう、見ちゃダメですハクオロ様ぁ〜」 先ほど触れたときにハクオロにはその感触から予想はしていたが、サクヤの股間には産毛すら生えていなかった。しかし、その縦筋一本だけの子供のような恥丘が、かえって妙に扇情的な雰囲気を醸し出している。 「ハクオロさまぁ〜」 半べそどころか涙目になりながら、サクヤは視線を部屋のあちこちへと移した。 恥ずかしいやら困ったやらで、ハクオロの目を正面から見ることが出来ないようだ。 「ふふ、本当に可愛いな、サクヤは」 ハクオロは微笑みながらサクヤの頭に一度、ポン、と手を置き、安心させるようにニ、三度サクヤの頭を撫でてやった。 「……はう」 たったそれだけのことなのに、恥ずかしさのあまりだいぶパニック状態に陥っていたサクヤの思考がどんどんと落ち着いていった。さっきまでの体を責められるのとはまた違った気持ちよさと暖かさが、サクヤに安心を与えてくれる。 「少しは落ち着いたか?」 「え? あ、はい」 「ふむ、ならば続けよう」 「はぇ?」 頭なでなでの余韻から抜け切らないサクヤの不意を突く様に、ハクオロは右手人差し指をサクヤの秘所に伸ばした。 「ひゃうっ!?」 先ほどのように下着越しから触られるのではなく、今度は直に直接触られる。その刺激に今までで一番大きな声を思わずサクヤは上げてしまった。 「うむ、かなり濡れてきたな」 「あうっ、あんっ、あっ、そ、そんなぁ」 割れ目を指の中腹でこすり、指の第一関節を曲げてほんの少し指を入れたりしながら、ハクオロは自分の指がサクヤの愛液で次第に濡れていくのを感じていた。 もちろん、サクヤ自身もハクオロの指から感じてゆくぬるっとした感触に、自分のそこがどんな状態にあるのか嫌でも思い知らされる。
「どうだ、サクヤ?」 「んっ、ゆっ、指がっ、感じ……ます。ふあぁっ、こんな……の、はじめて…で……やんっ!」 ハクオロがサクヤの未成熟な少陰茎に触れたとたん、さらにサクヤは大きく背中を仰け反らせた。 「やぁっ、そ、そこはダメです、か、感じすぎちゃって、あ、あうっ、ひゃんっ」 「そうか、ここが感じるのだな。では、もう少し可愛い声を聞かせてもらうぞ」 あまり強く攻めすぎるとかえって痛がるかもしれない。ハクオロはそう考えて、突起の部分を指の先で優しくクリクリと転がす。 今まで自分でも触れたことの無いそこを責められ、サクヤの体はすでに耐えられるリミットをオーバーしようとしていた。 「あう、あう、は、ハクオロっ、さまっ、ダメです、あ、あたし、なんだか、体が、ヘンで……はあっ、何かが、来ちゃう、ような…」 サクヤの息はどんどん荒くなる。それが絶頂が近いことを理解したハクオロは止めようとせず、さらにリズムよく突起の周りを攻め立てる。 「サクヤ、それはもうすぐサクヤが達しようとしているのだ。怖がることは無い。一度絶頂を迎えておくほうがいいだろう」 「ひゃうっ、ああっ、ひうっ、だ、ダメですっ、あっ、あっ、ああ―――――っ!」 びくんっ、と体全体を震わせ、サクヤは人生初めての絶頂を迎えた。 サクヤが達したときの大声で衛兵かトウカが様子を見に来ないかと一瞬ヒヤヒヤしたハクオロだったが、だれかが寝所に近付く気配はどうやら無い様だ。もっとも、実際の所は衛兵は聞こえている上で気を利かせているのだが。 「……ひゃうぅ」 小さな胸を上下させて、サクヤは絶頂の余韻に浸っていた。もっとも、気持ちよさよりも、ハクオロの前であんな恥ずかしい姿を見せてしまったと言う羞恥心の方が強かったのだが。 しかし、そんなサクヤの想いとは関係なく、ハクオロに責められ感じた秘所からは、透明な愛液が止まることなく溢れ続ける。 「大丈夫か?」 サクヤの頭を膝の上に乗せ、右手でなでなでと撫でながら、ハクオロが心配して尋ねる。 「……ひゃい(はい)」 頭がボーっとして、舌もうまく回らない。なかば夢心地で、ハクオロにされるまま体を預ける。
なでなで、なでなで……。 サクヤの体中が敏感になっている中で、優しく撫でてくれるハクオロの手の感触だけは、丁度心地よく感じてゆく。 それどころか、熱くなった体は冷めることなく、ハクオロの手によってさらに熱を帯びていく。 後頭部に感じるハクオロの膝枕と、頭の頂点を撫でている手の暖かさが、サクヤを満たしていく。 「……だいぶ、落ち着きました。やっぱり、ハクオロ様のお側にいると安心できます」 一糸纏わぬ姿であることも忘れ、サクヤはハクオロに微笑みを見せる。 「そうか。クーヤやアルルゥもこうして撫でられるのが好きなのだが……そんなによいものなのか?」 「はいっ。とてもいいものですよ」 「……ふむ。まあ、みんなが好きなのなら構わぬのだが」 「……もしかしてハクオロ様、クーヤ様やアルルゥちゃんとも、その……夜のお相手の合間にこうやって?」 一瞬サクヤの言っている事が分からなかったハクオロだが、それもすぐにサクヤの言わんとすることを理解し、慌てて首を振った。 「ち、違うぞサクヤ。いくらなんでも、クーヤとアルルゥは娘のようなものだ。頭は撫でても、そこまではしないぞ」 「……ということは、クーヤ様とアルルゥちゃん以外には……」 言葉のアヤを突かれ、ハクオロの頬を冷や汗が一筋流れた。 「あー、その……わ、私自身そんなつもりはなかったのだいや本当。半分以上は不可抗力と言うか、成り行きと言うか……。 や、やはりこんな好色皇ではダメか?」 「……いえ、大丈夫ですよ」 クスッと可愛く笑い、サクヤは体を起こした。 「あたしがハクオロ様をお慕いしているように、きっとみなさんも同じようにハクオロ様を慕っているんだなぁ、と思いますから」 「そ、そうか」 サクヤのような純情な少女に正面から向かい合って言われると、やはりハクオロにも照れくさいものがある。 「ですから、その、あの……」 だが、サクヤはいきなり顔を真っ赤にして下を向いてしまった。 「あ、あたしも……さ、最後まで……お願いします」 最後の『お願いします』は恥ずかしさのためかかなりの小声だったが、それでもサクヤの勇気を振り絞った一言は確かにハクオロの耳に届いた。
「さっき達したばかりだが、大丈夫か?」 「は、はい。が、頑張りますから」 「分かった。では、そこに横になって」 言われたとおり、サクヤは床に敷いてある寝具の上に再び横たわった。再びちょっとの期待と大きな緊張がサクヤを襲う。 「ふむ……だいぶ準備は出来たようだが」 「んっ」 サクヤの秘所に指を伸ばし、その濡れ具合を確かめる。感覚が敏感になっているサクヤには、その指一本ですら大きな刺激となる。 「初めてだからな。もう少しゆっくり行こう。」 「ど、どうするんですか?」 「うむ、すまんが失礼するぞ」 「きゃあぁっ!?」 ハクオロはサクヤの両の足首を掴むと、大きく左右に開いた。結果的に、サクヤの秘所はハクオロに丸見えとなる。 「はははははハクオロさま? こ、こんな格好は恥ずかしいですよ〜」 「大丈夫だ。私に任せて」 「ふぇぇ、大丈夫じゃないです〜」 涙目のサクヤの抗議を他所に、ハクオロは顔をサクヤのまだ開いていない蕾へと近付ける。間近で見るそれは、ほとんど閉じた状態で愛液を滴らせていた。 「あ、うぁ、そ、そんな近くで……」 「綺麗だぞ、サクヤ」 「……ぐすん」 「では、これではどうだ?」 「ふわ? ……ひゃああぁんっ!!」 ハクオロはサクヤの縦筋に沿って、舌を伸ばして下から上へと舐め上げた。硬く、それでいてぬるっとしたハクオロの舌がサクヤの最も敏感な所をさらに攻め立てる。 「はうっ、やっ、そんなところ舐めたら、ダメ、ダメですってばぁ〜、ひゃうっ!」 身をよじって逃れようとするが、体に力が入らず抵抗できない。そんなサクヤの状態を知ってか知らずか、ハクオロは舌での愛撫を続ける。
「んんっ、あっ、はうっ、あんっ、くふんっ……あううっ」 ハクオロの舌には、新しく分泌されるサクヤの愛液がねっとりと絡みつく。 「ひゃあっ、ふあっ、はんっ、やぁ……ふわぁっ!」 ハクオロの舌が最後に、既に硬くなっていたサクヤの小さな突起を責めたところでサクヤは体を震わせ、全身の力が抜けたように大人しくなった。どうやら、また軽く達してしまったらしい。 「……ふむ、そろそろか」 ハクオロは、すでに硬くいきり立った自分のモノを取り出すと、サクヤの秘所に擦り付けて溢れ出す愛液を塗りつける。 サクヤはそのハクオロが持つものを、驚いたように見入っていた。 「見るのは初めてか?」 「あ、えっと、その、おじいちゃんやお兄ちゃんと小さい頃にお風呂に入ったときに見たことはあるんですが…… そ、そんなに大きくなっているのは、その、初めて…です」 顔を真赤にしながらも、これから自分の中に入ろうと言うそれから目を逸らすことは出来ない。 「怖がることはない。優しくするから、力を抜いて……」 ハクオロは自分の手で自分のモノを固定させる。そして一度だけサクヤの頭を撫でると、ゆっくりと正常位で腰を押し進めていった。 「あうっ……!」 初めて感じる異物感に、まだ先のほうしか挿入されていないというのにサクヤが驚いたように声を上げる。 「大丈夫か、サクヤ?」 「は、はい。つ、続けてください」 サクヤが安心できるように、ハクオロはもう一度頭を優しく撫でた。そして再び進入を開始する。しかし、進んでいくうちに最初の異物感とは明らかに異なる『痛み』が、サクヤの下半身を襲い始めた。 「ふわっ……あううっ……!!」 覚悟していたとはいえ、それは予想以上の痛み。思わずサクヤはハクオロの体にしがみ付いてしまう。 「やはり痛いか?」 「は…はいっ……うぁ…」 「嫌ならここで止めるが……」 「だ…大丈夫です。大丈夫ですから、最後まで……」 目に涙を浮かべながらも、ハクオロを心配させまいと、笑おうとするサクヤ。そこまでされては、ハクオロももう止めようとは思えない。
「分かった。サクヤが望むのならそうしよう。難しいとは思うが、力を抜くんだ。初めてだから必ず痛いのではない。初めてのことで体が緊張してしまい、うまく男を受け入れられぬから痛いのだ」 「は、はい」 ハクオロの言葉は気休めにしかならなかったのかもしれないが、それでもサクヤにとってはハクオロの気づかいが嬉しかった。 ハクオロは一度、サクヤの唇に口付けをすると、再び腰を動かし始める。 「んっ……んんっ……」 いくら力を抜こうとしても、やはり初めての事に対する恐怖心というものはなかなか拭いきることは出来ない。相変わらずの激痛がサクヤの全身を駆け巡っていく。だが、今度はハクオロもやめるようなことはしない。少しずつ、ゆっくりと進入を続けていく。 「は…ハクオロさまぁ……」 「もう少しの辛抱だ、サクヤ」 息を荒げながら、サクヤは必死に堪える。すでにハクオロとサクヤは半分ほど繋がっている。 「あうぅ…ああっ……………ふわあっ!?」 ついにハクオロがサクヤの純潔を破り、一番奥まで達した瞬間、それまでで最大の痛みがサクヤを襲った。思わず抱きしめていたハクオロの背中に爪を立ててしまったが、ハクオロはそんなことは気にするでもなくまたサクヤの頭を撫で始める。 「ひう……んんっ……ハクオロ……さまぁ」 「よく頑張ったな、サクヤ。お前の一番深いところに届いたぞ」 「は、はいっ……」 2人が繋がった部分からは、サクヤの純潔の証であった赤いものがつぅ、と一筋流れ、サクヤの白い太腿を伝ってゆく。 痛みと、温もり、そして達成感をいっぱいに感じながら、サクヤはハクオロの胸の中にいた。 「大丈夫か?」 「はい。嬉しいです……あたし、やっとハクオロ様と結ばれたんですね……」 「そうだ。私も嬉しいぞサクヤ。もう動いてもいいか?」 「は、はいっ。ハクオロ様のお好きなようになさってください」 サクヤがそう言うと、ハクオロはゆっくりと腰を引き、また進ませ、前後への運動を開始した。
「はぅっ、んくっ……」 まだ痛みは完全に取れておらず、ハクオロが動くたびにサクヤは体を貫かれるような痛みを感じる。だが、今となってはハクオロがくれるその痛みすら、自分に力をくれる愛しいものに感じられるだけの余裕がサクヤには生まれて来た。 「うむ、サクヤの中はとても狭くて、温かいな」 「んんっ……ほ、本当ですか……?」 「ああ。気持ちいいよ、サクヤ」 「あ…ありがとうございます……くうんっ」 ハクオロがちょっと腰の動きに変化を与えただけで、サクヤはまた可愛らしい喘ぎ声を上げる。 「あっ、あっ、ふわわっ……」 「痛むか?」 「はい、その、痛いには痛いですが……少しずつ、我慢できるようになってきました」 「そうか。なら、もう少しだけ強く行くぞ」 さっきまでより若干動きを強め、ハクオロはサクヤの中に何度も何度も自分のモノを打ち付ける。と同時に、先ほどから控えめに揺れているサクヤの胸に右手を伸ばすと、最初のときよりはやや強めに愛撫し始める。 「や、やぁっ、ハクオロ様、む、胸はぁ〜」 秘所と胸を同時に攻められ、痛みと快感が交互にサクヤを襲うようになる。 「む? 胸はダメだったか?」 「だ。ダメじゃないですけど〜」 ただでさえ体全体が敏感になっていたところでまた胸を責められ、サクヤの体には次々と刺激が襲い掛かっていく。 「ならば、こちらはどうかな?」 胸を攻めていた手をさらに先へと伸ばし、ハクオロの動きにあわせてピョコピョコと動いていたサクヤの長い耳に伸ばす。 「きゃうっ!? み、耳はもっとダメですよ〜」 さわさわ、なでなで。 痛くしないように、耳を優しく触っていく。
「あううぅぅ」 耳が弱いのか、触られるたびにサクヤは弱々しい声を漏らした。しかも、それと同時にサクヤの締め付けがどんどんきつくなってゆき、ハクオロ自身をも刺激させる。 「ひゃあっ、ああっ、んんっ、はあっ」 サクヤの喘ぎ声と、2人の性器が擦れ合う音。月明かりの下、寝所の静寂の中にサクヤとハクオロが交わる音だけが静かに響き渡る。 「はぁ、はぁ……どうだ、サクヤ?」 「あうっ、ハクオロ様、んっ、あっ、大丈夫です、きゃんっ」 ハクオロの腰の動きも徐々に早まっていく。 「はっ、はっ、あっ、あっ、んっ………あああっ」 「サクヤ、そろそろ行くぞっ……!」 狭く温かいサクヤの中の心地よさに、早くも限界が近付いたことを察したハクオロは、最後に向けてさらに動きを強める。 「んっ、あっ、んっ、んっ、あっ、あう、はぁっ、はあっ、ふぁ……ああぁぁぁぁぁ―――――っ!!」 「っ!! サクヤっ!!」 寸前でサクヤの中から己自身を引き抜き、最後はサクヤの割れ目にそって己自身を擦り付け、ハクオロも限界に達した。 どくん、どくんっと、ハクオロのモノから精が勢いよく放出され、サクヤの体にかかって行く。 「はぅ……熱い……です」 最も飛んだものはサクヤの顔にまで飛び、桃色に染まっていたサクヤの頬を白く汚した。
「少しの辛抱だ。今後始末をするから」 全ての力を出し尽くし、緊張の糸が完全に切れてぐったりとしているサクヤを寝かせたまま、ハクオロは枕元に置いてあった清潔な布でサクヤの体を拭き始めた。 汗ばむ胸、大量の精が残ったままのお腹、やや朱が混じった愛液がいまだ溢れてくる秘所……それらを、隅々まで丁寧に拭いてゆく。 布が敏感な所に触れるたびにサクヤは小さく可愛い声で喘いだので、全身を綺麗にするのにはやや時間がかかった。 「大丈夫か?」 「……は、はひ」 脱いだ服を着なおしながら、ハクオロはサクヤに話し掛ける。 「よく頑張ったな」 「あ、ありがとう……ございまふ……」 疲労のせいか、それとも先ほどの行為の余韻が残っているせいか、サクヤの返事はやや呂律が回らないものとなってしまっている。そんなサクヤの返事もまた、ハクオロは可愛らしいと思った。 「疲れたか?」 「………ふぁい」 「もしよかったら、ここでしばし休んでいっても……」 「……………く〜」 よほど疲れたのか、サクヤはハクオロの寝具の上で寝てしまっていた。そこらに服を脱ぎ散らかしたままで、先ほど見たクーヤと同じような少女の顔で無邪気に眠っている。 「……ふふ、可愛いものだ」 サクヤの肩の上まで寝具をかけてやりながら、さすがにハクオロも疲れたのか、着衣を正してサクヤの隣に一緒に入った。 明日の朝起きたら、果たしてサクヤはどんな反応をしてくれるのだろうか。 そんなことを楽しみに思いながら、ハクオロも間もなく眠りに就いた。 寝所の窓からは、大きな満月がひとつ、2人を照らしながら見守っていた。
安息の日々は、まだ遠い。 失ったものは、二度と還らない。 そして彼らはこれからも、もしかしたら大切な何かを失ってしまうかもしれない。 それでも彼らは、明日からもまた生きてゆく。 創るために。見つけるために。そして、手に入れるために。 止まることもできないままに、運命に従い、時には逆らい、一生懸命、足掻き、苦しみ、傷つき、それでも信じながら生きていく。 だから、どうか彼らに今だけは、ひと時の幸せと安らぎを。 せめてこの満月の月明かりの下、静かな眠りを……。 完
mennte
2レス予定で。 「祐一・美汐夫妻の『KINGFISHER GIRL』」
12月6日、仕事を早めに切り上げて家に帰る祐一 今日は美汐の誕生日、二人でささやかなパーティーを開いた 「さて、プレゼントも渡したし、最後に例のものを聞こうかな」 「はい」 「では一つだけ、何でも美汐の言うことを聞こうじゃないか」 「そうですねえ・・・」 「何でもいいぞ」 「・・・そう言えば、お醤油がもうすぐ切れそうなので買ってきて下さいな」 「はい?」 「あ、もちろんお徳用ですよ?」 「あのなあ美汐・・・なんか去年の誕生日もそんな感じのお願いじゃなかったか?」 「いけませんか?」 「いや、そうじゃなくて・・・」 「何でしょう?」 「そういうのは別に今日じゃなくても、言えば買ってきてあげるからさあ」 「ええ」 「せっかく『何でも言うことを聞く日』と決めてるんだからさ、もっといつもは言えないわがままでもいいのに」 「そう言われましても、特にそういうのは無いんですけど・・・」 「ほら、俺の誕生日の時は美汐にアレさせただろう?」 「い、言わないで下さいっ、あれは本当に恥ずかしかったんですから」 「だから美汐も俺に何させてもいいんだぞ?一つだけ」 「ですから、お醤油を買いに・・・」 「うーむ、なんかそれって俺の存在は使いっ走りでしかないような感じが・・・」 「と、とんでもありませんっ、ただ私は、祐一さんが傍にいてくれるだけで十分満たされているのです」 「そんなもんかあ・・・?」 「ですから他に望みなんて無いので・・・では、こうしましょう」 「ん?」 「私が祐一さんにしてもらいたいと思っていることを、祐一さんが考えて実行して下さい」
「美汐がしてもらいたいことを、俺が考える?」 「そうです、これが今年の、一回きりのわがままです」 「これじゃわがままとは言わないような・・・しかし、難しい問題だなあ」 「これはつまり、祐一さんが私にとってどういう存在でありたいかを考えて、実行すればいいんです」 「存在?」 「例えば、お金を稼いでくれる存在であればお金をくれるのが望まれることでしょう?」 「なるほど」 「肉体関係のみの存在であればそのような要求をするのでしょう」 「ちょ、ちょっと待った、この間のアレは望みの一つであってそれだけじゃなくてだな・・・」 「フフフ、わかってますよ」 「でも、どういう存在かなんて考えもしなかったよ・・・やっぱり美汐は凄いな」 「そ、そんなことありませんよ」 「うーむ・・・俺は美汐にとってどういう存在か・・・」 「フフフ、どういう存在でしょうか?」 「・・・俺にとって美汐はどういう存在か・・・」 「?」 「俺にとって美汐は大恩人であり、全てを受け入れて一緒になってくれた、最も大切にすべき存在だ」 「祐一さん・・・?」 「『強くあってください』というあの約束が無ければ、俺は今のように笑うこともできなかったかもしれない」 「・・・」 「だから美汐には少しでも恩返しがしたいし、俺も美汐にとってそういう存在になりたい」 「祐一さん・・・」 「美汐がいつも笑っていられるような存在になりたいんだが・・・どうすればいいのかがわからないな」 「そんなこと・・・」 「今も笑うどころか泣かせてしまってるし・・・」 「だって・・・これは嬉し泣きです・・・こんなに・・・こんなに嬉しいプレゼントはありません・・・」 「美汐・・・」 相沢家の台所には夫婦して涙を流しながら手を取って見つめ合う奇妙な光景が広がっていた 外は雪がちらついている
>>353-354 「祐一・美汐夫妻の『KINGFISHER GIRL』
おわり。
ちなみに、「なんでもあり」をテーマにしてみました。
保守
【告知】 締め切りまで一週間を切りました。 作品の執筆は計画的に。 今回のテーマは『なんでもあり』で、締め切りは 1 月 8 日の午前 8:00 です。 また、次回のテーマは『戦い』で、開催時期は 1 月下旬になる予定です。 「三週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの執筆に 力を注いでもらっても構いません。ただし、投稿は次回の募集開始までお待ちください。
一本書けたヽ(´ー`)ノ 久しぶりに投稿できるなぁ(汗
今のまま書き続けると50レス超えそうだ。 投稿期間の長さと正月休みで久し振りにじっくり出来たのはいいんだけど……。 流石にこれはどうなんだろう? コンペスレの補助板で落としてリンク張るのは駄目かな?
>>359 いいんじゃない、そっちでも。こっちの方だと規制で大変だし。
ま、それはそれとして。
対照的ではあるが、1レスの短いの、ふっと思いつきで書いてしまったから投下します。
クロスオーバーで、タイトルは「探し物」。
361 :
探し物 :04/01/04 02:38 ID:zkObtNbD
道の脇で。 交通量が激しい道の脇で、メイドロボが右往左往していた。 道に飛び出そうとして、車にクラクションを鳴らされて、その度に飛び退いて、またおろおろして。 見かねて、トラックを止めた。 ブレーキの音と、悲鳴が重なった。 暴れるように彼女が飛び込んだ先に、トラックの鼻先に、血だまりがあった。 彼女は血だまりを抱きかかえる。 赤く、冷たく、引き裂かれたモノ。それを、2人で公園に埋めた。 ごめんね、仕事があるからと、泣いていたメイドロボの頭を撫で、後ろ髪を引かれながらも、立ち去った。 何度振り向いても、彼女は泣いていた。ずっとずっと。 白と赤の制服の袖が、紅で汚れていた。 帰り道。 同じ場所を反対向きに通った。 赤い染みは乾いて踏まれて擦られて、ほとんど見えなくなっていた。 だけど注意してよく見れば、確かにまだそこにあった。 その脇を、少女がなにかを探しながら、なにかを呼びながら、駆けていた。 すぐそばの歩道橋を駆け上がる。 真ん中で立ち止まって、身を乗り出して、見下ろして、諦めてまた走ってゆく。 少女がトラックの横を抜けたけど、声は掛けなかった。 サイドミラーで小さくなってゆく少女の影。 多分、自分は知っている。 彼女の探し物は、きっともうどこにもないんだと。 どこにもどこにもどこにもどこにも。 そして永遠に見つからない。
>359 長さということでは、いくらでも問題ないと思う。 混雑や規制が心配というなら、とりあえず補助板に落としておいて、 締め切り後にでもマターリとココに転載しておくのはどうかな。 リンクのみって、読み飛ばしそう……
まずは書き上がれ。 話はそこからだ。
>>359 最終日に投稿するのだけは勘弁してくれ(w
【告知】 締め切りまで三日を切りました。 作品の執筆は計画的に。 今回のテーマは『なんでもあり』で、締め切りは 1 月 8 日の午前 8:00 です。 また、次回のテーマは『戦い』で、開催時期は 1 月下旬になる予定です。 「三週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの執筆に 力を注いでもらっても構いません。ただし、投稿は次回の募集開始までお待ちください。
書き上がりましたので、投稿いたします。 タイトルは「終わりの世界」、5〜6レス予定です。 内容は雫ネタ……に見せかけて、うたわれるものとの クロスオーバー物。
367 :
終わりの世界1 :04/01/06 02:47 ID:juYLlgpd
吉田由紀は伸ばした手を、ふと風にさらしてみた。 指先を抜けるひんやりとした風。 五指をゆっくりと曲げ、開く。確かに自分の指だ。 なぜだろうか。突然、自分の手がまるで作り物の様な 歪んだ感覚を覚えたのだ。 「どうしたの?」 傍らを歩く桂木美和子が、三つ編みを揺らしながら首を 傾げた。定期テストも近い今週は、生徒会の仕事も 早上がりなのだ。 (こんな妄想、言ったら笑われるだろうなぁ) 「なんでもない。ちょいと運動不足かなって思ったのよ。 デスクワークばかりだからねぇ」 おどけた由紀の言葉に美和子がくすくすと笑う。由紀と 違って彼女は笑い方も控えめだ。 「デスクワークをしない生徒会なんて見たことが無いよ。 それとも、新城さんみたいに体育会系で仕事する?」 「まさかぁ」 何気無いやり取り。たわいの無い会話。だが次の瞬間、 由紀の表情が何かに気付いて凍りついた。 風が冷たく吹きぬけ、髪を揺らす。泣きそうな瞳で 由紀が美和子へと振り向いた。 震える唇が、ゆっくりと世界を壊す言葉を紡ぐ。 「美和子……。新城沙織をなぜ私達が知っているの?」
"情報エラー・コード103:誤った時系列ならびに認識外の情報の 提示によりエミュレイターシートにエラーが生じました" 慣れた手つきで、キーボードを叩きモニターに表示された 警告ウィンドを閉じた。エミュレーションプログラムは前回 セーブした所から再開すれば問題ない。眠り姫は再び、前回の 続きから夢を見続けるだろう。 かつて現実であった世界を夢見続ける少女。外界から一切の 干渉を遮断された白い部屋。研究員が「子宮」とも呼ぶ部屋で彼女 は、自分が生まれるずっと以前より眠り続けている。 「ミズシマ主任。ナンバー63のプログラムが停止した様ですが」 管理室から問い合わせの内線が入る。状況はモニターして いる向こうも判っている筈だ。まあ、確認の儀式の様な物だろう。 「プログラムの進行にエラーが出た。精神波の乱れは誤差の範疇だ、 憑代の適性数値には変化無し。子守唄はまた明日歌って上げる ことにしよう」 ナンバー63の名で呼称される彼女が、医療機関から研究施設へ と移されたのは20世紀末と記録されている。『精神被爆症』とも 例えられたその特異な症例は、大量のオゾム電波パルスを受けた事 による物と推測された。当時の技術では、回復の見込みの無い彼女の 復活を未来に託し、冷凍冬眠を施されたのだ。
「アイスマン計画に彼女を憑代にする?そんな無茶な!」 恩師からの説明を受けた時に、私は思わず声を上げた。 自らの引き起こした愚かな厄災により、地表で生きられなくなった 人間。地下に逃げ込み、数百年も兎の様に暮らした我々は、その過程で 各種細菌・ウィルスなどへの抵抗能力を退化させてしまった。地上へ 戻る為に始められた人工進化計画。その鍵となるのがアイスマンだった。 「アイスマンをサンプルにした亜人間は出来ても、アイスマン自体の レプリカを作る事が出来ない。恐らく、即製の自我では肉体を制御でき ないからだと思うわ」 白衣のポケットに手を入れつつ、恩師は出来の悪い生徒をにやりと 笑って見据えた。 氷漬けで発掘された20世紀の人間―アイスマン。環境に対する抵抗力も 適応力も高い彼を元に数千体のサンプルが作られた。しかし、彼自身と同じ ポテンシャルを持った人類は未だに作り出せてはいなかったのだ。 「ならば、彼女の眠る自我をアイスマンのレプリカ体に移す事で、 肉体と自我のバランスが取れはしないかしら?同じ時代の者同士、相性は 悪くないでしょう?」 「イシハラ博士、恩師に意見するのは失礼かもしれません。しかし、彼女は 未来へ復活を託され、この時代まで眠り続けたのですよ?そんな彼女を 結果も判らぬ憑代に供するのは……」 彼女をサンプルとしか見ない様な恩師の言葉に、胸の奥で嫌悪感が渦巻く。 「ミズシマ。そんな事は判っているのよ。あなたよりもずっと長く私は、彼女 を見てきたから……」 眼鏡の奥の瞳に浮かぶ憐憫の色。才媛と称される恩師は、時折ひどく 年老いた表情を見せる。千年の時を生きたかのような、賢さと疲れの入り 混じった複雑な表情をだ。 「けどね、もう肉体が持たないのよ。長年クローンを繰り返し、細胞の分裂 上限も遺伝子の自殺因子も限界まで押さえつけている。肉体の抵抗能力は 現在の脆弱な人類のさらに6割以下しかない。まだ、精神が生きている内に まったく新しい肉体に移し替えないと彼女は存在を残さずに死んでしまう」 「しかし、その場合に、眠りながら夢見る現在の自我は……」 「20世紀に生きた彼女の記憶は消える。新しい肉体に合った自我が形成されるわ」
ひらひらと桜が舞い落ちる。暖かい春の日差しが講堂から出てきた 由紀を包み込んだ。胸元に抱え込んだ紙筒にふわりと花びらが乗った。 彼女は指先で、その花びらをつまむと掌に載せ、柔らかな風に飛んで ゆく様を見送った。 「あ、いたいた。ひどいよ、出口で待っていてくれるはずでしょう」 美和子が小走りに校門へ続く桜並木の坂道を駆け下りてくる。 「うん、ごめんね、あまりにも春の陽気が気持ち良くてね〜」 「置いてけぼりした理由にしては、随分杜撰だと思うな」 ぷうとほほを膨らませた美和子を見て由紀は微笑んだ。 「卒業か……」 抜けるような青空。門出にはふさわしい天気だろう。 「色々あったね由紀」 「うん、色々あった。美和子、あなたは大丈夫だったんだね」 いたわる様に、慈しむ様に、安堵する様に言葉が紡がれる。 美和子はゆっくりと頷いた。大好きな彼女の心が不安の闇に 閉ざされぬように。 「大丈夫、私は幸せになれたよ。それは残っている記録から間違い無いから」 「そっか。じゃあ心残りはなーしっ!」 由紀はスカートを翻して、顔を蒼空へと向けた。手元の紙筒の蓋を引き 抜く。卒業証書が入っているはずの紙筒からは、艶やかな黒の羽根が 陽の光にキラキラときらめきながら舞い上がった。 由紀の姿を舞い散る羽根が覆い隠してゆく。 「由紀っ!」 美和子の表情が泣きそうに歪んだ。 由紀を覆った舞い散る羽根の中から黒い翼が広がった。 世界がゆっくりと終わりを告げてゆく。風に舞う桜の花びらは澄んだ ガラスの様な音を立てて光の粒となり。青い空は砕けて螺旋を描き、 一点へと収束する。 そして、最後に涙を浮かべた美和子の姿が透明になって消えた。
漆黒の空間に一人の少女が立っていた。背中の黒い翼は光無き世界でも その美しさを損なう事は無い。 「トウサマ」 孤独な世界、自分しかいない闇。己の肉体を生み出した存在の名を 呼び、生まれたばかりの少女は不安を打ち消そうとする。 「私は……」 体に湧き上がる力に比べて、この心の寂しさはなんなのだろう。生まれた ばかりの筈なのに、何か大切なモノを失ったような喪失感があるのはなぜ なのだろう。 「行こう。トウサマが待っている」 闇を見上げた赤い瞳から熱い雫がこぼれ落ちた。 「あ……?」 生まれたゆえに失った大切な何か。その思い出すことの無い大切な何かの為に 痛む心を抱いて彼女は生まれた。 (バイバイ美和子) 彼女のなくした、彼女の知る誰かへの別れの言葉が世界に広がり消えてゆく。 そしてムツミと言う名前を与えられる少女は、新しい世界へ向かって飛び立つ。 もう、その瞳に涙は無かった。
以上です。当方のミスによりageてしまった事を 深くお詫びいたします。 ミスに気がつき、アワ食って投稿した369には タイトルを入れ忘れました。369は「終わりの世界3」です。 あかん、グダグダだ(泣)
意味深と意味不明は違いますよ
ひとりで過ごした年越しは、楽しかったと云えば楽しかった。 テレビで見ていた格闘技は面白かったし、年越し蕎麦も美味かったけど、やはり少し寂かったと云わなければ嘘になる。 本当はあかりと一緒に年越しを迎えたかったのだけれど、家族とは疎遠の俺とは違って、彼女には家族というものがあり、一緒に歳を越すのが通年の儀式と化しているとのこと。 「浩之ちゃんも一緒にどう?」なんて神岸一家からの誘いもあったのだけれど、明るい家族の団欒に混ざるのは気が引けたし、気を遣うのもなんなので、俺は遠慮させてもらうことにした。 だって、娘を傷物にしてんだぜ。お父様に会わす顔が無いって訳でもないが、やはり気まずいって。その辺りは、読者の諸君に察して欲しいところだ。 「……にしても、寒いなぁ……おい」 真っ暗な空の下。コートを羽織って外に出たのだが、寒いものは寒い。気温は多分氷点下。手と手をいくら擦りあわせても暖かくならない。手袋とカイロ持ってくれば良かった、今から取りに帰ろうかと思うが、もうあと5分で待ち合わせの五時になってしまう。 「年越しは一緒に出来ないけど、初日の出は一緒に、ね」 あかりは志保と一緒にという、いつもの手を使って(これを使うのは何度目だ? もう親にバレバレのような気がするのだが)、家から出てきてくれるとのこと。嬉しいことは嬉しいし、心も温まる。
「浩之ちゃん?」 空に向かって白い息を吐き出しながら、星のカービィの氷のやつみたいなんて思っていたら、声をかけられた。目の前に、着物に身を包んだ、あかりが居ることに気付く。 「もう。ぼーっとして。何考えてたの?」 「もちろん、お前のこと」 嘘。思いっきり嘘。 「……浩之ちゃんは新年になっても変わらないね」 「俺は何があってもかわんねーよ」 人間、そう変われるもんじゃないしな。三つ子の魂百までってんだ。それにしても、ばればれの嘘でもスルーしてくれるお前も変わらないな。 「そうだね、何があっても、浩之ちゃんは浩之ちゃんだもんね」 寒さの所為か、赤くなった顔で笑って、あかりは俺の腕をとり、自分の腕に絡めた。ちょっと大胆だな、おい。付き合って以降、だんだんとあかりの態度がでかくなっているような気もするが、これはこれで悪くは無い。 「そういえば、まだ新年の挨拶してなかったね」 「……ん、ああ……そうだな」 そういえばそうだった。ってことで、改めまして。 「あけましておめでとうございます」とあかり。 「あけましておめでとう」と俺。
二人して、この街一番の高台に向けて歩き出す。 高台はよく朝日が見えるだけに、俺たちと同じ目的をもって、他のカップルもたくさん歩いていた。 その中に雅史と琴音ちゃんも見つけた。あいつもやることやってんだな。邪魔しちゃ悪いし、声をかけるのやめとくか。 こっちもこっちで楽しんでるんだしな。 「浩之ちゃん」 「……なんだ?」 「初日の出見たら、初詣にも行くんだよね」 「ああ、その予定だしな」 「初日の出で、何をお願いするの?」 「ん、秘密だな」 ちょっともったいぶってみる。本当は、何も考えてないのだけど。 「うー、浩之ちゃん、ひどいよ」 そんなこと云われても。 「わたし、浩之ちゃんが何をお願いするのか聞きたいな」 だから、そんなこと云われても。 「もし、浩之ちゃんが今教えてくれたら、神岸大明神がそのお願い叶えてあげる」 「……マジか?」 「うん、マジです」 「それって、なんでもあり?」 「うん、なんでもあり」 マジな顔で答える。 その言葉に嘘偽り無いな。 着物に身を包んだあかりを一瞥する。 こうして見ると、着物に身を包んだあかりはいつもより一層、そそる。 よし、それじゃ……。
俺が云った言葉。 それは……。 空が、だんだん明るくなってきた。 今年初の太陽があがっていく。 街が赤く染まっていく。 隣には、赤くなったあかりの顔。 そして、赤くなった俺の頬。 「せめて新年最初くらい空気は読んで欲しいよ…」 あかりは大きく溜息をついて云った。
>>374-377 「姫始め」でした。おバカな内容であります。
通しナンバー(2)を間違って(1)のままUPしてしまいました。
カキコする前に書くのも忘れてたし。
あわせて申し訳ありません。
トリップ忘れてた。
【告知】 締め切りまで残り 14 時間くらいです。 最後の追い込みがんばっていきましょう。 今回のテーマは『なんでもあり』で、締め切りは 1 月 8 日の午前 8:00 です。 締め切りギリギリまたは少し越えて投稿をしそうな方は、 前もってお伝えください。それについて考慮いたします。 また、締め切りを過ぎても即、投稿期間終了というわけではありません。 締め切り間際で他の方の作品と交錯する恐れや、最悪の場合、アクセス禁止が かかる可能性があります。焦らず、落ち着いて投稿してください。 *今回から締め切り時刻が、午前 8:00 になっています。お間違えなく!
>359 どうなりましたでしょうか? 補助板に落とされるのであれば、私が転載を引き受けましょうか?
382 :
359 :04/01/07 20:42 ID:IXO1X3ez
感想期間以外は匿名なので無個性を通したくレスを付けませんが、皆様には感謝しております。 今は、補助板に落とした方が現スレの進行に滞り出ないと考えています。 >◆2tK.Ocgon2氏 読み忘れられるもまた一興。 仕方なしと思いますので、試行というプラス思考を持ちてリンクを張るだけ、というのはいかがでしょうか?
もうだめぽ。 締切間際の投稿連打と連投規制地獄その他もろもろの地獄絵図を眺めることにします。 明日昼頃スレのログ取得したら100レスくらい増えてた、とかだったらいいなぁ。と夢を見つつ寝ますおやすみ。
舞&佐祐理シリアスを投下します。13レスほど。 ダークって程じゃないですが嫌なSSなので注意。
高校を卒業し、三人で暮らし始めた小さなアパート。 それは川澄舞にとって、世界の幸せを集めて詰め込んだような空間だった。 今この時も、佐祐理が台所で楽しそうに料理していて、その音を聞きながら、祐一と一緒に夕ご飯の時を待っている。 こんな幸せが、いつまでも続くことに何の疑念も持たなかった。 だが中が幸せだからといって、外までもそうとはいかない。 外部の優しくない世界は、接点を通じて流れ込んでくる。その時はテレビのニュースがそれに当たった。 『警察は○○△△ちゃん(五歳)を虐待し死亡させたとして、○○○○容疑者を殺人の疑いで逮捕しました』 そろそろ台所から匂いが漂ってきた頃、つけっぱなしのテレビからアナウンサーの声。 最も不快な部類のニュースだが、かといっていちいちスイッチを切るわけにもいかない。 「またかよ…。ほんと許せないよな、こういうのは」 祐一は眉をひそめ、舞も苦い顔でうんうんと頷く。罪もない子供の命が奪われたのだ。人として当然の憤りであろう。 『○○容疑者は「反省している。死んだ子供の分も頑張って生きたい」と話しており…』 「なにを勝手なこと言ってやがる」 「今ごろ反省したって子供は戻らない…」 「まったくだ、死刑にしろ!」 怒り声の語尾に、皿の割れる音が重なる。 舞と祐一が音の方を見ると、佐祐理が慌てて破片を拾っているところだった。真っ青な顔をして。震える手で。 (しまった…!) 二人にそんな気はなかったが、聞きようによっては佐祐理と弟のことと取れなくもない。 大急ぎで佐祐理に駆け寄って、身振り手振りを交えて弁解する。 「さ、佐祐理は違う!」 「そ、そうだよ。佐祐理さんは何も悪くなくて…」 「あははーっ。何の話ですか二人とも。佐祐理は頭が悪いからよくわかりません」 「……」 それ以上何も言えず、話題に触れないようにして夕食を済ませた。 いつもの食卓のはずだが、佐祐理の笑顔が妙に虚ろだった。
「まずいことしたなぁ…」 夜も更けて、そろそろ寝ようという時刻。 佐祐理は隣の寝室にいる。舞は佐祐理か祐一のどちらかと、日替わりで一緒に寝るのが常で、今日は祐一と寝る番だったが……その祐一は布団の上で腕を組んで考え込んでいる。 「佐祐理さん、やっぱり気にしてるんだろうか」 「そんなことはない…と思いたいけど…」 二人で悩んでから、舞は決然と顔を上げた。 「今日は、佐祐理と寝る」 「そうか。うん、その方がいいかもな」 「その…いつも私が佐祐理にしてもらってばかりだから、今日は私がしてあげようと思う」 「そ、そうか。まあ、それもいいんじゃないか」 夜の生活の話に舞は少し赤面しながら、祐一におやすみを言って寝室に入った。 小さなスタンドライトだけが灯る薄暗い部屋で、ネグリジェ姿の佐祐理が驚いたように顔を上げる。 「ど、どうしたの舞。今日は祐一さんとじゃ…」 「…今日は、佐祐理と寝る」 「そ、そう。うん、いいよ。佐祐理と寝ようね」 優しく微笑む親友を、舞は引き寄せて抱きしめた。しばらく唇を重ねてから、そっとベッドに横たえる。 「ま、舞?」 いつもと逆の立場に混乱している彼女の、ネグリジェの上から胸を撫で回す。 「…私が、してあげるから…」 「え、え? あの、舞、待って」 「…嫌?」 「そうじゃない、そうじゃないよ。でもっ…」 佐祐理の声を遮るように、胸の前のボタンを外した。白く綺麗な乳房が現れる。右手で片方の乳首を触り、もう片方には舌を這わせる。いつも佐祐理がしているように。 「ま、舞。もういいから。もう十分だから、舞がこんなことしなくてもっ…!」 佐祐理の声は聞こえない振りをした。舞は一生懸命、佐祐理を愛撫し、唇を重ね、自分も服を脱いで肌を合わせる。 けれど手を下ろして、下着の中に這わせた指が秘所に触れた途端、絶望が襲った。まるで濡れていない――。
「…佐祐理」 「ま…い。あの、ありがとう。気持ちよかったよ。後はいつもみたいに、佐祐理がしてあげるから…」 その時、強く願ってしまったのかもしれない。 いつの間にか、舞を小さくしたような幼女が宙に浮いていた。まい。手伝って、という舞の無言の命令に、幼女はこくりと頷き、佐祐理の胸に手を伸ばす。 「え…? あ、や、やだっ…」 佐祐理を背中から抱きすくめたまいが、小さな手で胸を揉みしだく。 それと同時に、舞が佐祐理の下半身を舐めていく。上下を同時に責められ、さすがに佐祐理も濡れてきた。 「や…あんっ。だめっ、舞っ…あっ、あ、あ…!」 まいの両手が乳首をつまみ上げ、舞の舌が佐祐理の中をかき混ぜて、そして絶頂の声が響く。 達した佐祐理は、力尽きたようにベッドに崩れ落ちた。 その頬にある涙の筋が、舞を打ちのめした。 「どうして? 佐祐理…」 佐祐理はベッドの上で丸まったまま、小さく震えている。 顔を上げ、いつもの笑顔を作ろうとしても、うまく笑えていない。舞も困惑して立ちつくす。 二人とも何も言えないし動けない。 そして――もう一人その場にいた人物は、表情のない瞳でそれを見ながら、ぽつりと言って帰ろうとした。 「わかってるくせに」
場の空気が、逆方向に歪んだ。 まいが姿を消す前に、佐祐理が身を起こす。視線はベッドに落としたまま、口だけが動く。 「…どういう、意味ですか」 帰りかけていたまいは、一瞬動きを止め、仕方なさそうに振り向いた。 「佐祐理も知ってるんじゃない?」 「さあ? 佐祐理は頭が悪いので。教えてください、舞は何を分かってるんですか?」 「舞は一弥の代用品だってこと」 舞は内心で飛び上がる。 動けるなら、まいの口を塞いででも黙らせただろう。だが体が動かない。まいの言葉よりも、佐祐理の纏う雰囲気に気圧されて。 その佐祐理は、口だけ笑ったまま俯いてまいの話を聞いている。その眼は前髪に隠れて見えない。 「弟を幸せにできなかった”代わりに”舞を幸せにするんだって、佐祐理は考えてること。 だから佐祐理が舞に奉仕するのは良くても、その逆はいけない。構図が崩れてしまうから。”自分が舞を幸せにしている”って、そういう構図がないといけないんでしょ」 「…悪いですか?」 空気は低温を通り越して、痛いほどだった。 佐祐理は顔を上げて、にっこりと、笑う。 「そうですよ。佐祐理は馬鹿だから、一弥に優しくできなかったんです。だから舞に優しくしようって、それが悪いことですか?」 「善悪は知らないけど、何か勘違いはしてるよね」 「――何を」 「だって舞は一弥じゃないもん」 大したことでもないように淡々と。 まいは言葉を続ける。嘲るでも責めるでもなく、単に事実だけを話すように。 「佐祐理が一弥君を苦しめたことと、舞を幸せにしたことは全く別の話であって、後者が前者を打ち消すことなんてない。 殺された一弥君にとっては、舞が幸せになるなんてどうでもいい話だよね。いくら舞に奉仕したところで、佐祐理の罪は消えないの」 「――――」 佐祐理は魂の抜けた人形のようになって、それ以上動かなかった。 もう聞くことはないのならと、まいは肩をすくめて帰ろうとする。 それを再び引き留めたのは、今度は舞の低い声だった。 「待て…」
振り返ったまいの眼前にあったのは、怒りに震える舞の姿。 「取り消せ」 「…何を?」 「今言ったこと全部! よくも、佐祐理を傷つけるようなことを…!」 「本当のことを言われて傷つくなら、それは傷つくべくして傷ついたんじゃないの?」 「黙れっ!」 自分の力であるまいが佐祐理に暴言を吐いたというのが、申し訳なさとともに怒りを増大させた。 「お前に何がわかる! 佐祐理がどれだけ苦しんできたか、どれだけ自分を責め続けてきたか、それなのによくもっ…」 「そうかなぁ」 「な…!?」 「だって自分を”佐祐理”と呼んでるじゃない」 「え…そ、それが何」 答えながらも、舞は言いよどんだ。『自分を客観的にしか捉えられなくなった』と佐祐理は言っていた。それはつまり…。 「そう、心の底では他人事として処理しようとしてる。自分の行為を受け止めての真摯な反省なんて、全然してない。弟を殺したのは”わたし”じゃなくて”佐祐理”、自分のことじゃないって、そう思いたいから、そんな呼び方をしてるんでしょ」 「い…言いがかりだ!」 「そう? 他に解釈のしようがないと思うけど」 理屈が得意でない舞は、歯がみして別方面に移った。 「だ、だけど佐祐理は苦しんできたじゃないか! なのに鞭打つようなことを言うなんて良くない!」 「でも、今は幸せじゃない」 「なっ…」 唖然とする舞を迂回して、まいの視線はじっと動かない佐祐理へ向いた。 「ねえ佐祐理、今は幸せだよね」 佐祐理は稲妻に打たれたように、びくん、と動く。 「何だかんだ言っても、結局は幸せになってるよね? 弟が冷たい墓の下にいる一方で、あなたはこの家で楽しく笑ってるんだよね? 『一生懸命幸せになろう。それが一弥が教えてくれたことだ』だっけ?」 横を向いて、冷たい瞳でまいは言う。 「自分で殺しておいてよくもまあ…」
舞の手が翻る。 頬に平手打ちを受けたまいは、そのまま壁に叩きつけられた。 小さなまいは床に落ち―― 固まったまま肩で息をしている舞の前で、ぴくりと動いてから、手をついて起きあがる。 その眼にやはり嘲りの色はなく、ただ強い意志をもって舞を睨み返していた。 舞はたじろぐように一歩下がり、それでも何とか佐祐理を弁護しようとする。 「さ、佐祐理はまだ子供だったし…」 「子供なら子供を殺しても罪じゃないなんて、初めて聞いた」 「さ…佐祐理はもう十分罰を受けた。これ以上は必要ない!」 「誰がそれを判断するの。佐祐理と父親がやったことは、結局何ひとつ裁かれていない。当人が”自分も苦しみました”と主張してるだけ。『自分も苦しんだからもう赦されてもいいんです』? 人ひとりの命を奪うのって、そんなに軽いことなんだ」 「で、でも佐祐理を責めたって誰も喜ばない。もっと前向きに…」 「あなたと祐一は、さっきニュースを見たときなんて言った? 他人には『許せない』『死刑にしろ』と言い、身内には『過去に捕らわれてはいけない』『未来を見よう』と言う。とんだ二重基準」 「さ、佐祐理の弟だって、きっと佐祐理を恨んでないはず…」 「小さな子供が? 『僕は死ぬほど辛い目に遭ったけど、お姉ちゃんにも色々と事情があるのだろうから決して恨むまい』と、そう考えたって? たった一度水鉄砲で遊んだだけで、それまでの全てが帳消しにされたって? どうやったらそこまで虫のいい思考に辿り着けるのか理解できない」 反駁しようとして、舞は口ごもった。実際、一弥が佐祐理を恨んでいないという根拠なんて何ひとつない。 そして言葉が途切れたおかげで、ようやく事態に気付いた。 隣にいる佐祐理の表情は、もはや生者のそれではなかった。 今日何度めかの後悔が舞を打ちのめす。 売り言葉に買い言葉で喧嘩している間に、佐祐理をずたずたに傷つけてしまった。 舞がいちいち反論しなければ、まいだってわざわざここまでは言わなかったろうに。 「…もういい、帰って」 「だから最初からそうするって言ったのに…」 憮然として、まいは舞の中へ姿を消した。
薄暗い部屋の中で、舞と佐祐理だけが残る。 何を言えばいいのか分からない。 「さ…佐祐理…」 「ごめんね、舞」 慰めを拒絶するような佐祐理の声。舞の中で何かが切れて、必死になって叫んだ。 「ち、違う。佐祐理は悪くない。全部私とまいが悪い! まいにはよく言っておくから…」 「何が悪いの?」 「何がって…」 答えられない舞に、佐祐理の笑顔はどんどん虚ろになっていく。 「わたし、が」 噛みしめるように、言って。 「一弥を、殺したのは、事実だよ」 「で、でも、その教訓を生かして幸せになろうって…」 「ね、舞――さっきのニュースの容疑者が、わたしと同じことを言って幸せに生きていたら、それに納得する?」 「そ、それは…。でも、佐祐理は…」 「うん、舞は優しいね。わたしが友達だから、そう言ってくれるんだよね。 でもそれは私情であって、公正な立場じゃない」 ゆらり、と。 佐祐理は立ち上がる。亡霊のように。ゆっくりと服を着て、部屋から出ていこうとする。 舞は何か叫んだが、自分でも何を言ったか分からなかった。背を向けたまま、ただ佐祐理の抑揚のない声だけが聞こえた。 「ごめんなさい、舞。あなたを傷つけるのはわかってるし、どんなに謝っても謝りきれない。 でも、これ以上ここにはいられない。ここにいたら、わたしは幸せになってしまう」 「さ、佐祐理、待って、落ち着いて話を…」 「わたしは何を勘違いしてたんだろう。 幸せになろうだなんて。一弥の幸せをわたしが奪ったのに。一弥の前にあるはずだった何十年もの人生も、未来も、選択肢も、何もかも奪ったのに、なのにわたしが幸せになる? 本当、ふざけている…」 寝室の扉が開き、閉まる。 祐一の驚いたような声と、玄関で騒がしい音が聞こえる間、舞は石化したように固まっていた。
数瞬の後、寝室の扉が再び開く。 「お、おい、何があったんだ? いきなり佐祐理さんが『お世話になりました』って…」 「ゆ…祐一っ!」 ようやく動けるようになった。 祐一に抱きついて、舞は泣きながら経緯を話した。聞いていた祐一の顔が、みるみる紅潮していく。 「おい、出てこい!」 いきなり怒鳴られて舞は仰天したが、もちろん祐一は舞に言ったわけではない。 舞の中から、嫌そうな顔で当事者の幼女が姿を現す。 「今度は何?」 「お前、よくも佐祐理さんにそんなことを…」 「聞かれたから答えただけでしょう」 「うるさい、そういう問題じゃない! 世の中にはなぁ、言っていいことと悪いことがあるんだよ! 誰にだって触れられたくないことはあるし、触れちゃいけないんだ!」 「そう、優しくて都合のいい考えだね。あなたもその恩恵に浴しているわけだ」 「は、俺? 俺は関係ないだろう、言われて困ることなんかないぞ」 「へえ!」 周囲の光景が一変した。 そこは雪に覆われた森の中で、目の前に女の子が倒れていた。 夕焼けの中、女の子の周囲の雪が、夕陽以外の何かで真っ赤に染まっている。 舞が助けに駆け寄らなかったのは、それが光景でしかないことをどこかで感じたからだろう。 「何…これ」 呟いた舞は、隣の祐一に目を向けたとたん息を止める。 さっきまでの勢いは消散し、祐一からは血の気が失せていた。先ほどの佐祐理のように。 「これ…は…」 「佐祐理と違って、あなたに責任はないかもしれない。別にあなたが樹から叩き落としたわけじゃないから」 やはり淡々と、まいの声が響く。倒れている少女を見つめてから、祐一の方を向いて。 「でも、人としてどうなんだろうね。自分一人記憶を封印して、この子が待ち続けていた間も思い出しもしない。再会してもやっぱり思い出さない。別れた後はもう記憶のゴミ箱に捨てている」
「あ…あゆは、どうなったんだ…?」 「死んじゃった」 祐一の足下が崩れ、別世界に落下していくような感じが舞にはした。 「七年間待ち続けてようやく再会したけど、それが何にもならなかったから、そのまま死んじゃった。お葬式にもほとんど誰も来なかった。あなたはその時、舞と佐祐理の卒業式を見て楽しそうにしてたけど」 「お、俺のせいじゃない…」 「そうだね。そう思うなら堂々としてたら? 自分は一切悪くないと、そう断言して今後も幸せに生き続けたら?」 事情がつかめず、祐一の腕に取りすがりながら舞は言う。 「な、なに…。祐一、どういうこと…」 しかし聞いた途端、やめればよかったと思った。 舞に向けられた祐一の目は、明らかに脅えている。眼前の光景以上に、それを聞かれることに。 「ご、ごめん! 聞かない、何も聞かないから…」 「あ…あのさ。俺、佐祐理さんを探してくるよ。まだその辺りにいるかもしれないし…」 言い訳するように言って、祐一は走り出した。 雪の森は消え、代わりに目に映ったのは閉じられる扉。 ――二度と戻って来ないであろうことが、何となく分かった。 「よくも…!」
他に怒りのやり場がなく、全てをまいに向ける。 「あたしが間違ったことを言ったというなら、反論すればいいのに」 「うるさい!」 無表情のまいが気に入らない。頭に上った血が、言葉になって飛散する。 「ああ、お前の言うことは正しいのかもしれない。酷く冷たいけど、一分くらいは正しさもあるのかもしれない。 でも! どうして”お前に”そんなことを言われなきゃならない!? 佐祐理の弟に言われるならわかる。でもお前には何の関係もないじゃないか!」 「自分はニュースを見て好き放題言ったくせに?」 「ほ、本人に言ったわけじゃない! お前がああ言えばこうなるって分かっていたはずだ。お前なんかに、私たちの幸せな生活を壊す権利なんかない!」 「――あるよ」 風景が変わった。 一面の麦畑。いや、夜の教室。 「権利なら、あるよ」 舞が耳を疑っている中で、まいの声が弾けた。 「だってあたしは、舞に殺されかけたんだから!」 ばくん、とまいの体が割れた。 何かの凶刃に襲われたように、まいの左肩に傷口が開く。 噴水のように血が噴き出す。背中まで達しているのかもしれない。こんな幼い子供に、なんて残酷な、こんなことができるのは血も涙もない殺人鬼くらいだ、そして―― 「う……」 舞の手には、柄まで血に染まった一振りの剣があった。 「うわあああああああ!!」
絶叫しながら、手を振り払う。剣は床に落ちるが、血まみれの手の色までは変わらない。 尻餅をついて、歯の根を鳴らして震える舞に、まいはゆっくりと近づいてくる。 「ねえ舞。わたしは舞の言うとおりにしたよ」 あの時の、死にかけの彼女が、虚ろな目で一歩一歩歩いてくる。 「舞の言うとおり、魔物になって。 何年も何年も。 下らない茶番だと思ったけど、それでも言うとおりにしたよ。 なのにどうして、こんな目に遭わされるんだろうね」 「だ…、だって、魔物が襲ってくるから…」 「あなたがそれを命じたんでしょう!」 ――そう。 魔物が襲ってきたことにすればあの子が戻ってくるかもしれないと、そんな愚にもつかない理由で彼女を魔物に仕立てたのは舞自身だ。 舞が力を、まい自身を行使した以上、まいはその命令に背くことはできない。 そして何より、そのことを舞は今まで全く顧みなかった。 まいはいつも舞の幸せを願っていて、魔物にされようが斬りつけられようが決して恨んだりしないと、そんな虫のいいことを考えていたのだ。平然と! 震えが止まらない。血に濡れた手で肩を抱いて、背中に壁が当たりそれ以上下がれなくなった。 やっと出せた声はか細く小さい。 「ずっと…怒ってたの…」 「怒ってないよ。呆れてるだけ」 血は池になって足を浸し、舞を見つめたまま、まいは言う。 「都合の悪いことには目をつぶって、幸せな気分でいたあなた達に呆れてるだけ。 幸福という目的を果たすだけなら、それもいいかもしれないね。 でも切り捨てた側は忘れても、切り捨てられた側は忘れない。 あなた達が見ないだけで、この血はずっと流れてる」 真っ白になった舞の頭の中で、言い訳が駆け巡る。だって気づかなかったから。独りぼっちで、そんなこと考える余裕がなかったから。 それに独りになったのはまいのせいだ。いや、母親を生き返らせる時は利用するだけ利用しておいて、何を勝手なと言われるかもしれないけど、でも、だって――
――その混乱の渦が収まったとき、辛うじて正気を保てたのは… 佐祐理や祐一のお陰で少しは成長できていたのか、それとも相手が自分の一部だったからか、何にせよ、舞は言い訳を並べ立てるのではなく、辛うじて正しい道を選び取った。 「…ごめん」 無言のまいの前で、舞は床に手をついて頭を下げる。 「ごめんなさい! 今頃何をって思われるだろうけど、でも、ごめんなさい。私が悪かった。もし気が済むなら…」 僅かに顔を上げる。投げ捨てた剣は、まだそこにある。 「その剣で、私を同じように斬って構わない。本当に、ごめん――」 言われてようやく謝るなんて、本当にどうしようもないけど、でもこうすることしかできない。 数分にも数時間にも思える時間が経ち… ようやく、返事があった。 「…いいよ」 どこか、疲れ切ったような声で。 「わかってくれたなら、いいよ。ちょっと言いたかっただけだから」 血も剣もいつの間にか消えて、そこは元の薄暗い寝室。 誰もいない部屋で、うなだれたまま、何とかして立ち上がる。 「ごめんなさい…」 「わたしはいいよ。でも――」 ぐるりとまいは部屋を見渡す。その扉の向こうからも、もう音は聞こえない。 「あの二人は、もうどこにも留まれないね。二人を許してくれる人は、この世にはいない」 「…私が、許すわけには…」 「ねえ、舞。あたしは怒ってないって言ったけど。 もし佐祐理や祐一が『まいのことなんて気にしなくていい。私が許すから』なんて言い出したら、さすがにあたしも激怒したよ」 言葉に詰まる舞に、まいの目に初めて憐れみの色が宿った。といって、後悔などはしていないようだったけど。
「これから、どうするの?」 「…佐祐理と祐一を連れ戻す…」 「そう。あの二人が幸せになるのは正しいって、まだ思ってる?」 「それは…」 そんなこと、どうして舞に判断できるだろう。 正しい不幸は、正しくない幸福よりも救いがあるのだと、そう考えろと言うんだろうか…。 まいは答えたりせず、ただぽつりと言った。 「…じゃあ、あたしは今度こそ帰るね。もう二度と、舞の前には現れないと思う」 彼女は、霧散するように消滅した。 舞の中に戻ったのか、それともどこかに行ってしまったのか、舞には分からない。 そして残ったのは一人だけ。 あんなに暖かかった空間は、内包していた罅により一瞬で壊れた。残されたのは舞一人だけ。 「佐祐理と、祐一を、連れ戻す」 もう一度、決意を確認するように口にする。 けれど具体的な方策というと、何も思い浮かびはしなかった。
投稿します。 To Heartもので、タイトルは『メイドロボSとM』。 8レス予定です。
「いい格好ですよ、綾香様」 「な、何するのよ、セリオ。どうして私を縛ったりするの?」 「綾香様のきめ細かい肌には、荒縄がよく似合います」 「セ、セリオ、どうしちゃったのよ?」 「そして、私の打ち下ろす鞭が綾香様の白い肌に――」 「い、痛い! やめてっ、セリオっ!」 「こうして赤いミミズ腫れを刻むのを見るのは、とてもいい気分です」 「いやあっ! お願い、許してっ」 * * * 「……という夢を見ました」 「はあ?」 いきなりセリオに夢の内容を報告されて、綾香は当惑した。 「申し訳ありません。主人に対しこのような振舞いに及ぶとは、メイドロボとしてあるまじき事です」 セリオが平身低頭する。 「ええっと……夢の中の話でしょ?」綾香は苦笑しつつ言った。「そんなに謝らなくても」 「いいえ。夢とはいっても、見ていい夢とよくない夢があります」 「夢くらい、何を見てもあんたの勝手だと思うけど……?」 「そんなことはありません。綾香様、さぞご立腹でしょう。どうか私に罰を与えてください」 「いや、別に私、怒ってないってば」綾香は困惑するばかりだ。夢の内容に怒る気はさらさらない。 怒る理由があるとすれば、わざわざそんな夢を相手に話す必要はない、ということだろうか。 だが逆に、変に正直なところがセリオらしくて面白い、とさえ綾香は思っている。 しかし、セリオは納得しない。 「このままでは私の気がすみません。私は故障してしまったのでしょうか。このままでは廃棄処分……」 「待って待って」その深刻な様子に綾香は慌てた。「変な夢くらい誰でも見るわよ。気にしなくても」 「しかし、自分にあのような願望があるかもしれないと思うだけで不安です」セリオはあくまで真剣だ。 「このままでは、いつか綾香様に危害を加えないともかぎりません」 「うーん……それじゃ、研究所に言って診てもらう?」綾香はちょっと考え込んでから言った。 「異常があるなら直してもらえばいいし、何もなければ安心できるでしょ? ね、そうしよ」
二人は早速、来栖川電工のHM研究所に出向いた。 「あら、あれって……」 綾香が指差したのは、セリオの姉のマルチと、そのご主人様の藤田浩之である。 「浩之、こんなところでどうしたの」 「お、綾香にセリオか。実はちょっと困ったことになって」浩之はマルチのほうを指さした。 見ると、彼女は顔をグショグショにして泣いている。 「どうしました、マルチさん」セリオが声をかけると、マルチはその胸に飛び込むように駆けてきた。 「えぐっ、はうっ、セリオさ〜〜ん」 セリオがマルチの肩をぽんぽん、と優しく叩いてやる。マルチも少し落ち着いたようだ。 「いやあ、セリオがいてくれて助かったよ。朝からこんな調子でさ」と浩之が頭を掻いた。 「何かあったの?」綾香が尋ねる。 「変な夢を見たんだとさ」 「変な夢……?」 「はい。ぐすっ、浩之さんが」マルチが涙まじりに答えた。 「わたしがいつもドジばかりするからって、罵ったり、縄で縛ったり、鞭でぶったり……」 「浩之……そんなひどい事してるの?」綾香が鋭い目で浩之を睨んだ。 「しねえって。単なる夢の話だ、マルチの」 「浩之さんがそんな事するはずないのに、あんな夢見るなんて、えぐっ」マルチはまた泣き出す。 「わたし、きっと回路がおかしくなっちゃったんですぅぅうわああぁぁ〜〜〜〜〜ん」 「もういいから泣くなって。……まあ、こういうわけで連れてきたんだ。検査でもしてもらおうと思って」 「ふうん。似たようなこともあるものねえ」綾香が目を丸くする。 「似たようなことって、お前のところも?」 「うん。うちの場合はセリオが私を苛める夢を見たらしいんだけど」 「へえ、セリオがねえ」浩之は思わず、セリオの顔をまじまじと見た。 といっても、当のセリオはいつも通りの無表情にしか見えない。 「……まあ、こんな所で話ててもしょうがない。早く中で見てもらおう」
「ほう。つまりセリオはサディスティックな夢を見て、マルチはマゾヒスティックな夢を見た、と」 待合室で綾香と浩之の話を聞いた長瀬主任の眼が、眼鏡の奥で輝いた。 「それは極めて興味深い事例ですな」 「面白がられちゃ困るんだけど」 「そういえば、ちょうど彼女らはイニシャルがSとMですね。こりゃ偶然とも思えない」 あっはっはっ、と長瀬は自分の言ったことに一人笑いした。 「あの……長瀬さん?」綾香のこめかみがピクピクする。 「はいはい。もちろん問題がないかどうか、すぐに調査します。ではでは」 失礼、と席を立つと、セリオとマルチを連れて、さっさと部屋を出て行った。 後に残された二人は気が気ではない。 「大丈夫かよ、あのおっさん」浩之が不安を口にした。 「前に会ったときは、あんなおちゃらけた人じゃなかったと思うけど……」心配なのは綾香も同様だ。 「研究のしすぎでビョーキになったんじゃねーだろうな」 「まさか。まあ、優れた科学者はちょっと変わった人が多いっていうし……大丈夫よ、大丈夫」 綾香は自分を納得させるかのように言った。
一時間ほどして、主任は興奮した面持ちで帰ってきた。 「調査の結果が出ましたぞおっ!」 「早いな。で、どうなんだ」浩之たちはソファから立ち上がって尋ねた。 「どこにも異常はありません。これはすべて彼女たちに内在している事象だったのです!」 「異常はないって……どういうこと?」 「ふっふっふ。それだけ彼女たちが人間に近いということですよ」主任は口から唾を飛ばして喋る。 「こんな完璧なAIを作り上げるとは、私はやはり天才なのだぁぁぁっっっ!!!」 (こ、この人って、こんなマッドなキャラクターだっけ?)綾香の背中に冷たいものが走る。 「お前んとこの会社……えらいの雇ってるな」浩之が小声で耳打ちした。 「あ、あはははは……」綾香としては、ひきつった笑いを浮かべるしかない。
長瀬主任は興奮が収まると、二人に調査結果を報告しはじめた。 「つまりですな、セリオのマゾヒズムとマルチのサディズムが原因なんですよ」 「なにそれ? 逆じゃないの?」 見た夢の内容は、セリオがサディスティックで、マルチがマゾヒスティックだった。 「そんな表層的な部分の事ではありません。もっと潜在意識の領域に属することなのです」 「潜在意識ねえ」 「サディズムが潜在的に発生すると、それとは逆のマゾヒスティックな夢を見てバランスを取る。 マゾヒズムの場合も同じです。見る夢の内容は、極端な潜在意識を打ち消すためにあるわけです。 暴力的衝動に対して、精神状態をニュートラルに保つための、一種の自己防衛機能なのです」 「ややこしいなあ」浩之たちは溜息を漏らす。 「そもそも、なんでメイドロボにそんな衝動が生まれるわけ?」綾香が当然の疑問を口にした。 「劣等意識からくるものでしょうな。メイドロボにも劣等感は存在する。 例えばマルチはよく失敗をしますが、そのため自分は無能で無力ではないかという意識が生じます。 その劣等意識のために、いつか相手に対して自分の力を誇示したいという心理が働くのですな。 それが潜在的サディズムです」 「じゃあセリオは?」 「彼女は周りに冷たい印象を与えることがありますが、そのことは彼女自身も察しています。 それで自分は他人から愛してもらえないのではないか、という劣等意識が心の底にはあるのです。 そのため、愛されるためには苦しみや辱めも甘受したいという、マゾ的な欲求が生じるのです」
「ええっと、つまり、彼女たちは自分に足りないものがあるから、心に被虐や加虐の欲求が生じて……」 綾香は必死で頭を整理する。 「で、その欲求に対処するために、正反対の内容の夢を見てバランスを取ってる、ってわけなの?」 「もう、わけわかんねーな」 こういう話の苦手な浩之は、ギブアップしたように再びソファに身を沈めた。 「さらに言えば」長瀬主任の舌が再びヒートアップする。 「セリオは主人に対する暴力的な夢を見ることで罪悪感を得て、その苦痛で被虐欲求を満たそうとします。 マルチの場合は自分に向けられた攻撃性で、自分対して加虐的になっているわけですね。 つまりサディズムとマゾヒズムは表裏一体です。メイドロボの心理はかくも複雑なのです」 長瀬はうひひひひ、と憑かれたような笑い声をあげた。 「これほど精妙な人工知能が、嘗てあっただろうか!? ああ、私は自分の才能が恐ろしい!!」
「まあ、貴方の才能の凄さはよく分かったんだけど」綾香は長瀬の狂躁の合間を見て話しかける。 「あの子たち、このままほっといても大丈夫なの?」 「すぐにどうにかなるということはありませんが、長期的にはストレスの原因となりえます。 対策を立てて、すっきりさせてやったほうがいい」 「どうすればいいの?」 「深層的な衝動を解放してやるのです。マルチのS衝動とセリオのM衝動ですな。 しかもこの場合、思い切りシンボリックでステロタイプなほうがいい」 「……具体的には?」 「SMプレイをするとか」 「ええ〜っ!?」 「何だそりゃ!?」 綾香と浩之が同時に声を上げる。 「オレがマルチに鞭で叩かれたりすりゃいいのか?」浩之はやれやれという表情で嘆息した。 「まあマルチは力も弱いし、少しくらいなら我慢してやらんこともないが……」 「私はセリオをぶったりしないとならないの?」綾香も憂鬱げだ。「気が進まないなあ」 「でも綾香なら女王様は似合いそ、げぼっ!」綾香の肘鉄を鳩尾に食らった浩之は、その場に倒れ伏した。 (やっぱり向いてるじゃないか)と言いそうになったが痛みで声にならなかった。不幸中の幸いである。 「いやいや。あなたたちに無理にしてもらってもあまり効果はありません」長瀬が二人に割って入る。 「人間相手、しかも自分の主人が相手では十分に衝動を解放できませんし」 「なるほど。それじゃどうするの?」 「利害が一致する組み合わせがあるじゃないですか」ふっふっふっ、と長瀬は不気味に笑う。 「しかもこの劣等意識は根源的に、彼女たちがお互いに対して抱きあっているものだといえるのです。 セリオにはマルチにないロボットとしての優秀さ、マルチにはセリオにない人間らしい親しみやすさ。 それぞれ自分に欠けるものを相手が持っていますからね。すなわち!」 長瀬はモニターのスイッチを入れて、二人に示した。マルチとセリオが映し出されている。 「こうすればいいのですよ」
モニターの中のマルチは、大きな黒いアイマスクをしていた。 起伏の少ない身体にぴったりフィットした、ボンテージ衣装。 センサー内蔵のハイヒールは長瀬自慢の一品で、マルチ自身のバランサーと連動して転倒を防止する。 「この衣装は以前から私の趣味で作っていたんですがね。まさか今日、役に立つとは思わなかった」 「できすぎっっ!!」綾香と浩之は声を合わせてツッコんだ。 「えいっ! たあっ!」とマルチが鞭を振るう。無邪気で楽しげな様子だ。 その鞭の先端が、亀甲に縛られた半裸のセリオの肌の上で、ぺち、ぺち、と間の抜けた音をたてた。 「あぅっ! くっ!」セリオの顔には苦悶とも陶酔ともつかぬ微妙な表情が浮かぶ。 「あの鞭は肌は傷つけずに、適度な刺激を電気信号として送るようになっています。素晴らしいでしょう」 「はあ……」綾香たちは、もはや呆れて言葉もなかった。 「ああ、マルチさん、もっと……」 「御姉様とお呼び! ですー!」ぺち、ぺち。 「お、御姉様……うっ! ああっ!」うっとり。 「ほら、こうしてマルチはセリオへの劣等感を克服して自尊心を回復させてゆくのです。 セリオは痛みに耐えることでマルチから、ひいては世界から愛されていることを実感できるのですよ。 こうして二人の問題は同時に解決されるのです。これもお互いの信頼感があればこそです。 おお、美しき姉妹愛! これぞまさしく愛です。私が目指していたものがここにある。 そう、これこそが私の理想の世界なのだあああああああ!!!!」 長瀬はモニターの前で、踊り狂うように絶叫する。 それを呆然と見ていた綾香と浩之はやがて顔を見合わせると、溜息を重ねた。 「なんだかなあ……」
ギリギリ間に合いました。今から投下します。 タイトルは『das liebliche Weihnachten』 KanonSS、ジャンルは「ほのぼの系」。 やや長めです。20レスほど。
クリスマス。それは聖なる夜。 キリストの誕生日を祝福し、神に感謝する日。 しかし、キリスト教徒ではない日本人、特に若者達にとっては、そんなことは何の意味も持たない。 クリスマス、それは大切な人と共に過ごせる日。 デートして、食事をして、プレゼントのやり取りをして、愛を確かめ合って……。 それでも人間にとって、クリスマスが記念日なのは変わらない。大事な日であることに変わりはない。 そして、俺たちにとっても。 今年のクリスマスは、今までで一番、特別な日になりそうだ……。 俺は確信していた。 今年のクリスマスは、恋人である舞と一日中過ごせると。 商店街を2人で歩いて、映画館やファンシーショップでデートをして。ちょっと大人なレストランで食事をして。公園でキスをして、帰 ったら佐祐理さんを混ぜてクリスマスケーキでお祝いをして。3人でクリスマスプレゼントを交換して。 舞と佐祐理さんと知り合ってから初めて迎えるクリスマスの計画を、俺は徹頭徹尾完璧に練り上げた。 受験生である俺が、受験前最後に羽を伸ばせる舞台、それが今度のクリスマス。これも全ては、おそらくは今までクリスマスもろくに楽 しめなかったであろう舞のため。舞に、本当のクリスマスの楽しさを教えてあげるため。 あとはクリスマスが近付いてきたら、舞にこの計画を話し、誘えばいい。舞ならきっと照れながらもOKしてくれる。 俺は、そう確信していた。
そんな計画を張り巡らせながらクリスマスの10日前になったとき、水瀬家に舞から電話がかかってきた。 「祐一、今時間ある?」 「おう。受験生だから暇とは言えないが、舞のためなら時間は割けるぞ」 「じゃあ、ちょっとお願いがあるから、うちに来て欲しい」 うちとは、現在舞と佐祐理さんが一緒に住んでいるアパートのことだ。俺も何度も遊びに行ったことがある。 「分かった。今から行けばいいんだな?」 「うん、待ってるから」 舞の話がどんなのかは分からないけど、もしかしたらクリスマス関係の話かもしれない。舞をデートに誘ういい機会だ。 今日がクリスマス当日だと言わんばかりの勢いで、俺は舞と佐祐理さんのアパートに向かった。 「祐一さん、忙しい所わざわざすみません」 「気にしないでください佐祐理さん。で、なんだ舞の話って?」 2人のアパートで舞と佐祐理さんとテーブルを囲みながら、まずは舞の本題を聞くことにした。わざわざ俺を呼びつけるほどの用事だか ら、もしかしたらかなり大事なものなのかもしれない。 「うん、クリスマスのことなんだけど」 口にこそ出さなかったが、内心『おっ』という気分だった。まさか本当にクリスマスの話とは。 舞と佐祐理さんと俺の3人でクリスマスパーティーでも開きたいと言うのかもしかして? 「クリスマスの話か。なるほど、確かにもうすぐだもんな」 「うん、それで祐一にお願いがある」 「なんだ?」 お願いか…やはりパーティー関係か何かか? クリスマスを3人で過ごすのはもちろん俺も大賛成だ。でも、せっかくなんだから舞と2 人っきりでも過ごしたい。うーむ、俺って結構贅沢な悩みを持ってるんじゃないか、もしかして。 「クリスマス、私は佐祐理と過ごすから……」 ……あれ? 何か話がおかしくないですか舞さん? 「祐一さえよかったら、この子とクリスマス、付き合って欲しい」 舞がそう言うと、舞の後ろから突然1人の少女が顔を出した。
「…こ、こんにちは、ゆういち」 それは見覚えのある顔だった。俺にとっても舞にとっても馴染みが深い、なんて言葉では済ませられないほどに大切な少女。 ……そう、その子は……まい。かっては俺たちが魔物と読んでいた、子供の頃の舞の姿をしたもう1人の舞だった。 恥ずかしいのか、体は舞の陰に隠し、顔だけを俺のほうに見せる『まい』。頭に着けている、うさ耳のカチューシャをぴょこぴょこと揺 らし、子供らしい大きな目で俺のほうを上目遣いに見ている。 そうやって冷静にまいの姿を分析できたのも、ひとえには舞の話の展開の方がさっぱり見えてこないせいでもあった。 「……まい、だよな?」 「う、うん」 俺がそう呼びかけると、まいは俺に小さくお辞儀をした。 「舞、それに佐祐理さん。どういうことだ? 俺にはさっぱり話が見えてこないんだけど」 いきなりまいが出てきたこと、クリスマスをまいと過ごして欲しいと言われたこと。これだけじゃあ、どういうことなのかが俺にはさっ ぱり分からない。 「……つまり、まいとクリスマスを一緒に過ごしてあげて欲しい」 「ごめんなさい祐一さん。きっと祐一さんは舞と2人っきりで過ごしたいと思ってましたよね? あ、舞は祐一さんと2人っきりでクリスマスを過ごすのが嫌だと言っているんじゃないですよ。その証拠に、舞だって本当は祐一さんと クリスマスを……」 ぽかぽか。 佐祐理さんの話の腰を折るように、舞が佐祐理さんにチョップをかます。あれは恥ずかしい話をされているときのチョップだ。 「と、とにかく、もし祐一さえよければ、この子のクリスマスに付き合って欲しい。それが私の話。 ……それとも、もしかしてもうクリスマスの予定は決めてあった?」 「……ダメ、かな、やっぱり? あ、あたしはゆういちが迷惑だったら、その……諦めるから」 ぐあっ。そのダブルで捨てられた子犬のような上目遣いはやめろ。大小揃って可愛すぎるじゃないか。
……結局、俺がこの2人+佐祐理さんのお願いを断れるわけがなかった。 「ああ、分かったよ。どういうつもりかは分からないけど、そこまで言われたら断るわけにいかないだろ」 「……!! あ、ありがとうゆういちっ!!」 それまでの表情を一変させて、まいは子供らしい明るい笑顔をいっぱいに見せた。俺に抱きつきこそしなかったが、舞の陰から完全に全身を出してきて、嬉しそうにその小さな体で部屋中を飛び回った。 「あははー、よかったね、まいちゃん」 「祐一、ごめん」 25日の俺のデートの相手は舞でも佐祐理さんでも名雪でもなく、まいになったってことか。 まあ、俺の立てた『やるぜ12月25日! 舞と2人で過ごすぜラブラブクリスマス!!』の完璧なプランは、第一歩から早くも崩壊してしまったが、なぜだか俺はそんなに悪い気はしていなかった。 舞や佐祐理さんの意図はさっぱり分からなかったが、ともかく25日、俺は予定通りのコースでまいとデートすることにしよう。 ……本当は、ちょっぴり残念だったけど。
「なにぃっ!? 名雪、お前はまだサンタクロースの存在を信じていたんじゃなかったのかっ!?」 「ひどいよ祐一〜。わたしだって、高校に入ったらさすがにサンタさんがお母さんだって知っちゃったもん」 「バカな、あれだけ寝ているお前が、どうやったらサンタクロースの真実を知ることが出来たんだっ?」 「う〜、祐一ひどいこと言ってる……」 12月25日。クリスマスの朝は何事も無くいつもどおりの朝で始まった。 テレビの地方天気予報では、今日は小雪がちらつくホワイトクリスマスになるだろうという予報が流れ、名雪を喜ばせた。 「それよりごめんな、クリスマス一緒に過ごせなくて」 「いいよ、祐一は先約があったんだもんね。誰とデートするのかな? やっぱり川澄先輩?」 「ん? ま、まあな」 厳密には名雪の知っている舞じゃなく、ちびまいなわけだが、まあ同一人物だし名雪には舞ということにしておこう。 というか、正直に『ちっちゃい女の子とデートだ』なんて言ったら明日から俺の食事は毎日紅生姜とジャムになりかねないしな。 「いいな〜」 「……と、そろそろ時間だな。行ってくる」 今日は、舞と佐祐理さんのアパートにまいを迎えに行くことになっている。テレビの表示時刻は、その約束の時刻が近いことを告げていた。 「いってらっしゃい〜」 応援するかのような名雪の挨拶に送られ、俺のクリスマスの本番は始まった。 雪の積もった小道を歩く。準備、服装ともに抜かりは無い。 いくら相手がまいとはいえ、大事なクリスマスだ。格好にはそれなりに気を使ってある。普段のコートの下には、俺が一番気に入っているセーターとジーンズ、マフラーと手袋、それに普段はあまり着けないシルバーのチョーカー。うむ、デートスタイルとしては完璧だ。 幸い今日はかなりの冷え込みと言うわけでもなく、雪も大雪にならなかったのはとってもありがたい。 空には灰色の雲が一面に広がり、ひらひらと小雪を絶やすことなく地上に降らせている。 吐き出す息は白く、空に登ろうとして途中で消えてゆく。そんなありふれた冬の光景。それでも、心は今日だけの特別な気分で満たされていた。
「わーい、待ってたよゆういち〜」 2人の…いや、今はまいを入れて3人のアパートに着くと、玄関ではまいが出迎えてくれた。もしかしたら、俺が来るのをずっとここで待っていたのかもしれない。それにしても、10日前に会ったときと比べてずいぶん俺に懐いてくれている。 「祐一、時間通り」 「お疲れ様です祐一さん。外の天気はどうですか?」 「ああ、ちょっと雪が降ってるくらいですよ。むしろクリスマスには丁度いいんじゃないですかね」 奥から舞と佐祐理さんも出てきた。2人とも、まるでデートに行くようなお洒落な格好をしている。 「あれ、2人ともずいぶん綺麗ですね。佐祐理さんたちは今日どうするんですか?」 「はい、佐祐理と舞は、2人でお芝居を見に行くんですよ」 「……人気のお芝居を見てくる」 「そっか、ゆっくりしてこいよ、舞。それに佐祐理さん」 そんなやりとりをしていると、俺のコートの裾をくいくい、とまいが引っ張った。 「……ゆういち、あたしは綺麗じゃないの?」 ちょっとがっかりしたように、まいが俺を見上げて聞いてきた。舞と佐祐理さんだけ綺麗だと言ったことを気にしたのか。 「い、いや、そんなことはないぞ。小さいまいも可愛いぞ」 ……こんな誤解されまくりそうなセリフ、他の人間が聞いてませんように。 「本当? わーい、よかったよ〜」 俺が褒めると、たちまちにっこりと笑うまい。なんというか、小さい頃遊んだ時の舞の笑顔を思い出す。 しかし確かによく見ると、まいもなかなかお洒落な格好をしている。もしかしたら、舞と佐祐理さんで今日のためにコーディネートしてあげたのかもしれない。しかし問題は……。
「だがまい…小さい方のまい。その耳はなんとかならないか?」 そう、まいの頭には、例のうさ耳のカチューシャがその存在感をバリバリにアピールしている。もちろん可愛いことこの上ないのだが、これをつけた女の子と一緒に街を歩いたりしては警官から職務質問をされかねない。 「うーん……こればっかりは、消えないんだよ。舞と佐祐理にも言われたから消そうとしたんだけど」 「…たぶん、昔の私がまいを生み出すとき、この耳をとても強くイメージしたせい」 長い耳の先を残念そうに折りたたむまいと、その解説をしてくれる舞。確かに舞の説明には納得が行く。昔の舞にとって、俺からの贈り物は何よりも大切にしていたものらしいしな。 ……って、今まいのうさ耳が折りたたまれた? 動くのかあの耳!? ま、まあ深くは考えないことにしよう、うん。 「しかし、クリスマスのデートで街中を歩くのにその耳はちょっとまずいぞ」 「それなら大丈夫ですよ祐一さん。佐祐理がちゃーんと解決策を考えてありますから」 「きゃー♪ 可愛いですね〜」 「……うん」 「そ、それじゃあ行ってきます」 「行ってきま〜す」 なぜかテンション高くして喜ぶ佐祐理さんと、照れながら同意する舞に見送られながら、俺と、『大きめのサンタクロースの帽子をかぶってうさ耳を隠した』まいは出かける支度を整えた。 「むー、ちょっとぶかぶかだよ〜」 「まあ、折りたたんでもそれなりの大きさになるから仕方ないだろ。それに、それはそれで可愛いんだから気にするな」 「えっ? 本当? 本当にこれ可愛い?」 俺の言葉が以外だったのか、まいは嬉しそうに俺の方を見て目を輝かせながら聞いた。中で耳がぴょこぴょこ動いているせいだろうか、サンタクロースの帽子がもぞもぞと動いている。 「あ、ああ」 俺としてもそんなに深い意味で言ったわけじゃなかったが、まいがこんなに喜ぶのならまあいいか。
「あ、そうそう祐一さんとちっちゃなまいちゃん」 「なんですか、佐祐理さん?」 「夜は4人でパーティーをしたいですから、ホテルなんかに行っちゃダメですよ〜」 ガタタタタッ!! 顔面が痛い。どうやら俺は盛大にコケたようだ。 「ホテル? ねーねーどうしてホテルなの? 泊まるの?」 「佐祐理さんっ!! 子供に何を吹き込むつもりですかあなたは」 「……まい、あのお姉さんの言うことは気にしないで。いくら祐一でもそこまでは………しないと思うから」 オイ待て舞。なんでそこで間が開くんだ。っていうかいくら祐一でもってなんだ。 ……とっとと出よう。これ以上ここにいてはいけないと、俺の本能が警告している。 「い……行ってきます!!」 「わわわ、ゆーいち、引っ張っちゃダメだよ〜、い、行ってきます〜」 俺はまいの手を引くと、ドアを閉めてアパートを後にした。 「ねえゆーいち、佐祐理が言ってた、ホテルってどういう意味?」 「さ、さあ行こうか、まい!」 これ以上余計なことを聞かれないうちに、俺はまいの手を解くと先に歩き出した。 なんつーか、子供に『赤ちゃんはどうやってできるの?』と聞かれる母親の気持ちがちょっとだけ分かった気がした。 「あ……ま、待ってよゆーいち〜」 繋いでいた手が離れたことが残念だったのか、まいはちょっと声のトーンを下げながらトテトテと俺の後を着いて来た。 そりゃあな、いくらなんでも見た目10歳くらいの女の子と手を繋いで街中を歩くわけにはいかないからな……。
「ねーねーゆーいち、まずはどこに行くの?」 「そうだな、まずは駅前。昼飯を食ったら映画を見て、商店街で買い物をして、遊んで……そんなとこだな」 「えへへー、楽しみだよ〜」 まいと2人で雪の積もった歩道を歩く。いくらか人の足跡が混ざり、ところどころ踏み固められた歩道の上、そんなところをまいは わざわざ足跡がついていない新雪の上だけを選んで歩いていく。白い雪のキャンパスに、まいの小さな足跡が対になって刻まれていく。 っていうか……やっぱ、舞とまいって全然違うよな、性格とか特に。 今の舞があんな感じの性格になってしまったのも、やっぱり俺が原因なんだろうか……。 「ん? どうしたのゆーいち?」 「い、いや、何でもない」 危ない危ない、せっかくのクリスマスだというのにブルーになりかけていた。 なんてったって俺は今日はまいをエスコートする王子様なんだからな。今はまいのことだけを見ていてやらないと。 「―――それでね、この白いコートは、舞が選んでくれたの。舞もやっぱりあたしと同じで白が好きみたい」 「そっか。よく似合っているぞ」 まいはさっきから、嬉しそうに今日の服についての話や、舞と佐祐理さんの話をしてくる。 雪のように白いコートが地面の雪と同化し、まるで今日のまいは雪の精のようにも見えてくる。そしてまいの頭上のぶかぶかの赤いサン タクロースの帽子が逆に白と対比され、この上ないほど目立っている。 俺から見ても、けっこう可愛い格好だと思う。まいが喜んでいるのも無理はないだろう。 普段舞や佐祐理さんと歩きながらする会話とは違い、あまりからかったり冗談を言って面白がれる雰囲気じゃないけれど、なんていうか こう、ただ歩きながら話しているだけでほのぼのとした温かい気持ちになる会話っていうのは久しぶりな気がする。 舞には悪いけど、たまにはこういうのも悪くないのかもしれないと思ったり。
最初のコースは、駅前の割と洒落た西洋レストラン。 クリスマスフェアとかで、この日限定のクリスマスランチをちょっぴり高めで提供してくれている。 全く、日本人のクリスマス根性にも恐れ入る。別にキリスト教徒でもないくせに、ちゃっかり商売にまでしているんだから。 まあ、それを言ったらクリスマスにこんなに張り切ってデートしている俺たちも同じなんだが。 「いらっしゃいませ、お二人ですか?」 入口近くにいたウェイトレスが、決まりきった接客文句で俺たちを出迎える。 「あ、はい。席空いてます?」 「はい。どうぞこちらでございます」 そう言って俺たちが案内されたのは、店のちょっと奥にある二人用の席。昼時だけあって、店内には家族連れやカップルが多数座ってい て、それぞれが食事をしたり話をしたりしながらクリスマスを過ごしている。 店の中央に置かれたミニクリスマスツリーが、七色に光っては客の目を楽しませてくれる。 店内に流れていた曲はおなじみの「クリスマス・イヴ」。あ、今度は「ラスト・クリスマス」に変わった。 毎年毎年、この時期だけ急に売り上げを伸ばすのは、やっぱりこういうところで使われるせいだろうか。 「ねーねーゆーいち」 「ん?」 注文したクリスマスランチセットを待っている時、まいが話し掛けてきた。 「あたし達、他の人たちから恋人同士に見えるかな?」 「ぶっ!?」 「わわ、ゆーいち大丈夫?」 まいの突拍子もない発言に、思わず飲んでいた水を噴き出してしまった。ってか、どこで覚えたんだそんなセリフ。
「で、次は映画なワケだが」 「うん、楽しみだねっ」 ランチに舌鼓を打った俺たちの次の目的地は、映画館。 人で賑わう駅前に置いても、ここは特に人が集まっている。 行き交う人たちの笑い声。色とりどりの店、人、広告。 「わ、すごいすごい〜。人がいっぱいだよ〜」 まいも大きな目をいっぱいに輝かせ、流れ行く人並みを飽きることなく眺めている。 「ほら、行くぞ。映画始まっちまう」 「うんっ」 しかし、予定では、最近流行のロマンチックなラブストーリーを舞と一緒に見ることになっていたが……。舞じゃなくてまいだもんな。 「子供のお前が見てもつまらなくないか? なんだったらこっちのアニメ映画にしても……」 「むー、あたし子供じゃないもんっ!」 あ、ちょっと怒った。 柔らかそうなほっぺたを膨らませて、子供扱いした俺に抗議の視線を送ってくる。 いや、どう見ても怖くない。むしろこれはこれで可愛いだろ、と思ってしまいつい笑ってしまう。 「あー、ゆーいちが笑ったー! ひどい〜」 「わ、悪い悪い。そうだな、まいは立派な大人だもんな。んじゃ、こっちにするか」 そう言って、俺は予定通りのチケット売り場の方へとまいを連れて行った。 ……微妙に周りの視線が俺に集まってきている気がする。まさか、俺ロリコンだと思われてないよな……。おいそこのカップルのみなさ ん、頼むから今だけは俺たちを兄妹だと思ってくれ。
「素晴らしいっ! かんどーした!!」 最後のキスシーンで赤面していたせいで顔はまだうっすらと朱く、それでも興奮覚めやらぬ様子で、まいはなにやら大げさに右手を振っ て映画の感想を話してくる。 俺が買ってあげた映画のパンフレットは、左の腕で大事そうにしっかりと胸に抱えている。 「そうか、俺も感動したぞ」 「うんうん、やっぱりお話はハッピーエンドが一番だよね♪」 「でも悪かったな。席が一番後ろで、見にくかっただろ?」 俺は視線をまいの頭にちょこんと載っている赤いサンタ帽子に視線を移して言った。 「うーん、仕方ないよ。後ろの人に迷惑だし、かといってこれ取るわけにいかないし」 両手で帽子がずれてないかをチェックしながら、まいは特に気にした様子もなく言ってくれた。 この大きな帽子と、時折中でうごくうさ耳のせいで最後列の席にしか座れなかったので、まいがスクリーン見られるか心配だったのだが 、まあ大丈夫だったようだ。 「でも、ちゃんと見れたからいいの。ヒロインの女の人綺麗だったな〜」 目をきらきらと輝かせながら、まいはまだ余韻に浸っているようだ。本当、やっぱりまだまだ子供だなこいつは。 「さて、それじゃあそろそろ次行きますか、お姫様?」 最初は俺のほうが恥ずかしかったからやらなかった。 でも、今のまいならきっと喜んでくれるんじゃないかと信じて、デートなんだからと自分に言い聞かせて、俺はまいに自分の手を差し出 した。 「お願いします、王子様♪」 その手を、まいはにっこり笑って繋いでくれた。 小さくて柔らかい、そして温かい。何とも言えないくすぐったい感触が俺の右手に伝わる。
「で、次は?」 ゆっくりと歩きながらまいが尋ねてくる。さっきから繋いだ手を離そうとはしない。 「そうだな…ゲーセンと買い物、どっちかのつもりだったけど、どっちがいい?」 「どっちもー!」 元気よく、半ば俺が予想した通りの答えが返ってきた。 「かしこまりました、お姫様。では、まずはゲームセンターからご案内いたします」 「うむ、くるしゅうないぞー」 そんなやりとりに俺たちは笑いながら、商店街を歩いていく。 駅前もかなりの人だったが、ここも負けてはいない。店の多さが、そのまま訪れる人の数に比例しているのだろうか。 降った雪は人の群れに踏み固められ、道路の上には硬く汚れた雪が延々と続いている。 もちろんここも、今日という日はクリスマス一色。 店先にはクリスマスツリー。店の中からはケーキの甘い匂いや、フライドチキンの香ばしい匂い。百花屋など、今日は大賑わいだろう。 いつもの商店街とはまた少し違った世界に迷い込んだような、そんなクリスマス。 「きゃー、見てみて。あの子可愛い〜」 「ホントだ。サンタの帽子似合ってるね。隣にいる人も結構いい感じじゃない? 兄弟かな?」 「兄弟でしょー。恋人だったら今すぐ警察呼ばなくちゃ」 「きゃー、警察だって。すごいことになってきたね〜」 向こうからやってきた女子高生たちが、俺たちを見つけるなり俺たちにも聞こえる声で話し始めた。 まあ、クリスマスなんだし、まいは確かに俺から見ても可愛いと思うし、それはそれでいいんだが…… 警察だけは勘弁してくれよ、マジ。 「ねーねー、もしかしてあのお姉さんたちあたしのこと言ってるの?」 「ん? たぶんな」 「可愛いだって。えへへー」 警察云々はやっぱりわかっていないのか、まいは『可愛い』の一言に反応して嬉しがっている。 「あ、でも、兄弟に見られたのはちょっと残念かな。どうせクリスマスなんだから恋人に見えなくちゃ。 ねーねーゆーいち、こうなったら腕組む?」 「……悪いが、それは遠慮しておく」 「むー」 すまんな、まい。 そんなことしたら、さすがに俺は明日からこの商店街を歩けなくなっちまうからな……。
「あ、あのぬいぐるみ可愛い〜。ねーねーゆーいち。あれ取れる?」 「ん? よし任せろ。昔クレーン荒らしの祐一と呼ばれた俺の腕前を見せてやるぜ」 「おおー、ゆーいち、かっこいい〜」 「プリクラ? 何それ?」 「あーそっか、知らないんだな……つまり、プリント倶楽部って言って、一緒に写真取るんだよ」 「一緒に? ゆーいちとあたしが?」 「ああ」 「やるやる! ゆーいちと一緒に写真〜♪」 「よし、さっきのクレーンゲームの借りはこのガンシューティングで返すぜ!」 「頑張れゆーいち! 魔物なんて倒しちゃえ〜♪」 「……お前の口からそんな台詞出るとは思わなかったぞ」 「ほえ? なにが?」 「よし、次は買い物だ!」 「わーい」 「何か欲しい物あるか?」 「うーん……あたしとゆーいちのペアルック♪」 「……ごめん、無理」 「ここで、俺と佐祐理さんは舞へのプレゼントを買ったんだ」 「いい店だね。あ、あれなんかすごい大きなぬいぐるみだね」 「……また新作入荷しやがったのか、この店は」 「腹減ったな。アイスでも食うか?」 「え゛? この寒いのに外でアイス……?」 「それが普通の反応だよな。……いやなんでもない。ちょっと言ってみただけだ」
いくつもの建物を隔てた向こう、見えない地平線へと向かって太陽が降りてゆくのが、雲の朱に染まり行く濃度でかすかに分かる。 白く固められた道路も、七色に彩られていた店先も、そして綺麗に飾り立てていた人々も、小雪を降らせていた曇り空も。 今はただ、全てが夕日によって朱く染められている。 もちろん、夜はこれからだ。人の波が絶えることはない。だが、沈み行く夕日というのはどうしても、それを見る人々にその日一日が終 わろうとしているかのような寂寥感を与える。 楽しかった時間というのは実にあっという間に過ぎてしまう。商店街ではゲーセンと買い物だけでそんなに回った気がしないのに、ふと気がついた時には夕方になっていた。 「もう夕方だね。とっても楽しかったよ」 夕焼けの商店街を見つめながら、小さな声でまいが言う。さっきまでの時間を、思い出を、噛み締めるかのように。 「ああ。まだ時間は90分くらいなら大丈夫だろうけど、どうする?」 もう、二人の手は繋がってはいない。ゆっくりと、俺たちは商店街の出口へと自然に足を向けている。 「ゆーいちの予定だとどうなってたの?」 「ん? ああ、商店街の向こうにある公園だな。噴水がすっごく綺麗なんだ」 前に教えてもらったあの公園。デートの締めは、そこでゆっくりとした時間を過ごす予定だった。 「じゃあ、そこに行きたい。その噴水見てみたいし、やっぱりデートの締めは夜の公園だもん」 どこで得た知識だ。 「分かった。それじゃ、またちょっと歩くぞ」 「うんっ」 あまりのんびりしている時間はない。まいがついてこれる速さで、かつなるべく早足で公園への道をたどる。 商店街から離れるにつれて、人通りは減り、代わりに地面に積もった雪の量が増えていく。 転倒した街灯が街路樹に積もった雪を照らし出す。飾りこそないが、それは道路の両脇一面に植えられたクリスマスツリーのようだ。 人ごみを歩き回って火照った体に、相変わらず振り続ける小雪が妙に心地よい。 やがて街路樹の並木道は終わりを告げ、道の果てには小さな公園がその姿を現した。
「ほら、着いたぞ」 「うわぁっ……」 まいが、喜びか驚きか分からない歓声を上げる。 クリスマスで賑わっていた街中などどこ吹く風で、この空間はいつもと変わらない姿で俺たちを迎えてくれた。 風がざわざわと気を揺らす音に混じって、ザアァァァァァ……という噴水の音だけがこの世界で俺たちの耳に届く。 公園の中心に据えられた噴水はライトアップされ、吹き上げる水の中にゆらゆらと煌きを浮かび上がらせている。 人がほとんど訪れないのか、地面にもそこらのベンチにもほとんど荒らされていない雪が厚く積もっている。 「もうちょっと賑やかな方がよかったか?」 「ううん、そんなことないよ。とても綺麗で、とても静かで……とても、いいところだと思う」 ここを初めて訪れたまいは、どうやらここが気に入った様子であたりをキョロキョロと見回していた。 「とりあえず、そこのベンチに座ろう。今雪を払うから、ちょっと待ってろ」 「うん」 手袋をつけて、ベンチのうえに厚く積もった雪を払う。どちらかというとサラサラした感触のその雪は、さっと一撫でするだけでベンチ の上から舞い散ってゆく。 二人が座れるだけのスペースは簡単に確保できた。 まず俺が。そして俺が手招きしたところにまいが小走りでとてとてとやって来て、ちょこんと座る。 そのまましばらく。 お互いに言葉を交わすでもなく、お互いに視線を向けるでもなく。 俺たちは慎ましやかに光りながら水を噴出す噴水の方を眺めていた。 でも、この沈黙は苦痛じゃない。話題がないわけじゃない。 話したいことはいっぱいあった。今日だけで、たくさんできた。でも、今だけは言葉は要らない。この時間だけは、こうして二人で過ご したい。 最後くらいいいだろう、こんなゆっくりとした時間も。 噴出され、やがて重力に逆らえず落ちてゆく水しぶきを。目の前をひらひらと舞っていく雪を。冷たい夜の風を運んでくる風を眺める。 隣にいる大切な人と一緒に、ただぼんやりとそれだけをしながら、時間の波の上を漂う。 いいじゃないか。それもまた、クリスマスの思い出だ。
……とはいえ、だいぶ気温も下がってきた。 いつまでもまいを夜風に晒す訳にもいかないだろう。 「寒くないか、まい?」 俺の横で、俺と同じようにずっと座っていたまいに声をかける。 「うん、大丈夫」 元気そうな声だった。とくに退屈していたわけでもなさそうなので、ひとまずホッとした。 さて、時間は大丈夫かな…… 「……ゆーいち、今日はありがとう。とっても楽しかったよ。でも、ごめんね……」 ふと、今度はまいが俺に話しかけてきた。しかし、なんでごめんねなんだ? 「おいおい、俺は別にまいに謝られるような覚えは……」 「でも、本当は舞と一緒にデートする予定だったんでしょ? だから、あたしと一緒のクリスマスで、ゆーいちがもしつまらなかったら どうしよう、って……ちょっと気になっちゃった」 「………」 俺は無言で、まいの帽子の上からやや強くまいの頭を撫でた。 「わわわ」 「なーに子供がそんなこと気にしてるんだよ。そんなこと今更言うんじゃないっつーの」 「むー、あたしは真剣なのに」 怒るでもなく、かといって悲しんでるわけでもなく、敢えて言うなら戸惑っている、といった感じでまいが口を尖らせる。 「一緒にいてつまらないんなら、そもそもこんな時間までこんなとこにいないっての。 そりゃ確かに最初の予定とは違ってたけど、舞は舞。ちびまいはちびまい。 お前との初めてのデートは、舞のとはまた違った感じでとても楽しかったんだからな。だから、そんなこと言うなよ」 「……うん、ありがとう」 まいが柔らかく微笑んだ。その笑顔は、今日ずっと見せていた子供の無邪気な笑顔というよりは、舞の面影を思わせるちょっと大人の笑顔に見えた。
「舞にはナイショだって言われてたんだけどね、ゆーいちとあたしのデートを考えたのは舞なの」 ベンチに座ったままで、まいは今回のいきさつを話し始めた。 「佐祐理さんとの予定が入っちゃったから、代わりに?」 「ううん。舞はゆーいちとクリスマス過ごしたかったみたい。佐祐理に毎日からかわれてたし」 『あははー、舞は祐一さんとクリスマスはどこに行くのかな?』と舞をからかっている佐祐理さんと、照れながらチョップで応戦している舞の姿が簡単に想像できた。 「でも、舞はある日あたしを呼び出して言ったの。 『まい、今年のクリスマスはあなたにあげる。私は今年、あなたのおかげでずっと祐一と楽しい時間を貰うことができたから。 ……だから、クリスマスには祐一の独占権をあなたにプレゼント』 ……って」 そうか。 舞は、あの日の嘘に縛られていたとはいえ、今までずっと1人ってわけじゃなかった。 佐祐理さんと言う友達がいてくれたし、その気になれば商店街や佐祐理さんの家に遊びに行くことも出来た。 たぶん去年のクリスマス、俺がいなくても佐祐理さんと二人で楽しく過ごせたのかもしれない。あの頃はまだ夜の校舎で戦っていたとはいえ、クリスマスに佐祐理さんの誘いを断るような奴じゃないだろう。 でも、まいはずっと、一人っきりであの日の麦畑に捕われていた。 友達はおろか、舞以外には自分を見てくれる人もいなかった。あの世界から、約束した麦畑から一歩も外の世界に出ることも出来なかった。 考えてみれば、まいは舞以上に孤独な毎日を送って来ていたんだ。 だから、舞はまいを俺に預けてくれた。 自分だって俺とクリスマスを過ごしたいのに、まいに俺を譲ってくれた。まいに、一人じゃない、本当のクリスマスを過ごしてもらうた めに。まいにも、失った時間を少しでも取り戻させるために。 やっぱり、お前はいい奴だよ、舞。バカみたいにいいやつだよ。まあ、そんなお前だから俺も好きになったんだけどな。 お前と2人っきりのクリスマスは、来年までお預けにしとこう。 とりあえず今年は、この小さなお姫様と、とびっきり楽しいクリスマスを過ごせたから。 帰ったら、今度は4人で楽しもうな。二人っきりのデートもいいけど、二人より四人のほうがもっと楽しいと思うから。
「さて、これ以上冷えないうちに帰るか? そろそろ舞と佐祐理さんもアパートで待ってるころだろ」 俺は立ち上がろうと、まず頭の雪を払った。 「あ、ちょっと待ってゆーいち」 すると、まいが俺のコートの裾を掴んで引き止めた。 「どうした?」 「あ、あのね。帰る前に、あたしからゆーいちにクリスマスプレゼントあげたいんだ」 ちょっと恥ずかしそうに、まいは顔を赤くして言った。 「え? まいが俺に?」 「う、うん。そ、その、今日はとっても楽しかったし、ゆーいちにはとてもお世話になったし、そのお礼」 「……分かった。でも、帰ってからじゃだめなのか?」 こんなに一生懸命になってるまいを見ては、遠慮してはかえってまいに悪い。 たとえどんなものでも、まいの気持ちが込められているんだろうから、ありがたく受け取ることにしよう。 とはいえ、何もこんな暗い外で渡さなくても、帰ってから夕食の時に渡したほうが楽だと思うんだが。 「あ、あのね。舞と佐祐理がいるとこだと恥ずかしいから……今ここであげたいの」 ああなるほど。なにかにつけてからかいのネタを探している佐祐理さんや、もう一人の自分の前で俺にプレゼント渡すのは確かにまいの 立場としては恥ずかしいのかもな。 「分かった。それじゃあ、ありがたくいただくぞ」 「うん、じゃあ、ちょっと目を瞑って。そのまま座っててね。目を開けちゃだめだよ?」 なにやらもったいぶった渡し方だな。それに、プレゼントを受け取るために手を出さなくてもいいのか……
などと正直に目を瞑って考えていると、 頬に一筋の風が当たったような気がして、 そして次の瞬間、不意に、確かに俺の頬に何か温かいものが触れた。 その感触は一瞬だったが、確かにそれは小さくて、柔らかくて、温かくて。その感触ははっきりと俺の頬に残っている。 驚いて思わず目を開けると、目の前には、ベンチから降りてちょうど俺の顔の高さに立っていたまいがいた。 両手を後ろ手で組んで、恥ずかしそうに顔を真っ赤にして俺の顔をじっと見ていた。 まいのクリスマスプレゼントが何だったのか、ようやく俺は理解した。 俺がどう反応していいか戸惑っていると、次の瞬間、子供らしい満面の笑みを浮かべながらまいは口を開いた。 「メリークリスマス、ゆーいち♪」 天から舞い降りる白い雪は、俺たちのいる世界だけ、さっきまでよりも降る量を増しつつあるようだった。 完
411-430 以上です。
今から投稿します。 11〜12レス程度になると思います。 なんつーか、反則スレスレなSSだと思います。なんせオリキャラしか出てきません。 そういうのが嫌な人には、申し訳ありません。どうかご注意のほどを。
「狂っている人間って、どういう状態の人間の事だと思う?」 その日のYは、いきなりそんな話をふってきた。 いつものように、会社帰りに立ち寄った居酒屋でのことだ。 特に前置きらしい前置きもなく、いきなり不穏な切り出しだったが、Yの話はいつもこんなふうに始まる。 だから特に違和感も感じないまま、僕は話を合わせた。 「狂ってる……ねえ。『電波が俺に命令するんだ!』とか、そういう人間のことか?」 「確かにそういう人間は狂ってる、と言えるかな。他には?」 「他に? 他には……、だから、幻覚が見えたり幻聴を聞いたり。そういうのかな」 「……そうだよな、そういうのだよな」 言ってから、Yはグビリとグラスのビールを飲んだあと、一息ついた。 ―――なんだか、会話に不自然な間が空いた。 僕はじれったくなって、Yに話の続きを促した。 「……なぁY、こりゃ何の話なんだ? 変な映画でも見たのか」 「いや、実はこれ……真面目な話なんだよ」 Yはそう言って、意味深げにニヤリと笑った。 だから僕も、ニヤリと笑って言ってやった。 「真面目な話? はは、知り合いが発狂でもしたのか?」 「知り合いじゃない。俺自身の話だ。つまり、どうも俺は狂ってるんじゃあないかって話だ」 「……は?」
「……このごろ、幻覚を見るんだ。……いいか、笑うなよ、ふふふ。 ゲームの美少女キャラの幻覚なんだ。 あれだよ。『ONE』の、『長森瑞佳』っていただろ。 あれがな、あの子がな、くくくっ、現実に現れるんだ。 数ヶ月前から、俺の前に、現実に、はっは、時々ちらちらと姿を見せるんだよ。 ひひヒっ、こ、こりゃあ幻覚だろ? 狂ってるだろ? あはハハはハ」 「あはははー。……病院行っとけ、マジで」 僕はできうる限りの白けた目つきと、思いっきりの冷ややかな声で、言ってやった。 とたんにYは、ピタリと奇妙な笑いを止めて、つまらなそうに口を尖らせた。 「おいおい、冷たい奴だな。せめてヒくとか恐怖の表情を見せるとか、それぐらいのリアクションしてくれよ」 「お前の演技は大げさすぎるんだ」 「そうか? 我ながら迫真の狂笑だと思ったんだが」 「わざとらしいんだよ。だいたいネタからして面白くないぞ。『長森』の幻覚をリアルで見るなんて、 そんなキモオタの白昼夢のような話。……僕もお前も実際相当のオタクだけどさ。 キチガイごっこの前フリとしては落第点だな。だらだらと長いよ」 「ん? いやいや、幻覚の話はマジだぜ」 「……え?」
「いやだから、最近『長森瑞佳』の幻覚を見るの。現実世界で長森瑞佳の姿を、見かけるのさ」 「……本気で言ってるのか?」 「本気本気。これは本当」 「……あの独特のいたるフェイスが、白昼の町中を闊歩してる姿を見るのか?」 「いやいや、さすがにそんなのは見ない。それっぽい人影を見るってだけさ」 「ま、待て。『それっぽい』ってなんだよ」 「『それっぽい』は『それっぽい』さ。長森の雰囲気をまとっている、とでも言うか。 あー、たぶん……『あの』制服を着てるのかな。そんな雰囲気の人影さ。 そういう人影が、ときおり視界に一瞬だけ、入るんだよ。 何故かその一瞬だけで、直感してしまうんだ。 『あ、今あそこに長森がいた』ってね。いかにも幻覚っぽいだろう?」 Yはさらりと言ってのけた。 それゆえに、僕は今度こそ、本気でヒいた。
というわけで、この日の酒の席は、嫌な意味で実に盛り上がった。 お前はビョーキだ心の風邪だ、すみやかにしかるべき病院に赴き、しかるべき医者にしかるべき処置をとってもらうべし。 そう主張する僕(当然だ)に対し、Yは奇妙な論理を振りかざして反論した。 すなわち――― 精神病を精神病たらしめる、最大の特徴は、「現実との接点を失う」という異常である。 ひいてはその異常のために「社会が悩む、もしくは当人が悩む」という状態のことである。 Yの場合、社会は悩んでいない。彼は幻覚に対し、いたって冷静に対処することができているというのだ。 幻覚を幻覚として認識し、自己の内部で処理する。 つまり、「長森瑞佳」を見ても慌てず騒がず、誰にも言わず悟らせず。 表面上クールに無視することが、意識的にできるというのだ。 Yは半年ほど前からこの「長森」を見始めたそうだが、長年の友人にして同僚の僕自身、まったくYの変化に気がつかなかった。 それゆえ、この主張は説得力があった。 では、当人……Y自身は悩んでいるのかというと、これがまったく悩んでいない。 こんな病状、オタクとして歓迎しないでどうする、と、はしゃいでいるのだ。 僕もYも、かつて「ONE」に大ハマリした口だった。 当時、二人とも「長森瑞佳」に萌え狂って、密かに語り合ったりもしたものだったが……。
「つまり、自分が異常だってことは認めるが、病院に行く必要を感じないし、行きたくもない。そう考えてるってわけ?」 「そうだ」 「その『長森』の存在を、ずっと感じていたい、と」 「そのとおり」 「……幻覚なんだろ? お前の知覚が生み出した、お前の脳内長森なんだろ?」 「おそらくそうだろう」 「それが現実世界に溢れてきたから、それを愛でて楽しみたいってか。オナニーここに極まれり、ってやつだな」 「いいじゃんオナニー。誰にも迷惑かけないぜ」 「……僕が迷惑してる。正直、キモいぞ」 「ははっ、逆に言えば、お前一人がキモがってれば、それで済む話なんだよ、これは」 「済むかっ!」 「済むさ。なんせ、この事態のことを人に話したのは、今日が始めてだ。お前だけだってことだよ」 「だからって、僕が誰にも喋らなかったら済む、って話でもないだろ。 何かの拍子に、つい、お前が幻覚に呼びかけたりしないとも限らな―――」 「そうそう、それだ」 「え?」 「そういう危険―――つまり、異常が進行する可能性はある。俺は、序々に社会性を失っていったりするかもしれん」 「そ、そうだよ、それは在りうる。今は傍目には普通に見えても、いずれ―――」 「だ、か、ら、お前にこの幻覚症状のことを話したんだよ」 「? どういう意味だ?」 ―――そして、話は妙なことになってしまった。 奴は、僕に、自分の「監視」を頼んできたのだ。
「俺も、自己の客観視には限界があると思っている。自分はいつもどおりのつもりでも、 異常が進行したらどうなるかわからん。 だから、な。これから先、俺の行動を、さりげなくでいいからチェックしていって欲しいんだ。 そして、いよいよ俺の行動が怪しくなってきたら……、周囲に悪影響を与えるようなそぶりが出れば、 そのときこそ、俺を病院に連れて行ってくれ」 「はぁっ!?」 「いや、虫の良すぎる頼みごとをしているのは、わかっている。でも、こんなこと、お前にしか頼めないんだ」 「ちょ、ちょっと待て。僕に、お前の病状が悪化するのを見守れって言ってるのか!?」 「いや、まだ悪化するって決まったわけじゃあない」 「似たようなモンだろっ! 悪化して、結局取り返しのつかないぐらいの キチガイなんかになってしまったりしたら、どうするっ!」 「かまわんよ」 「な……」 思わず、言葉に詰まってしまった。 さすがにYも、自分が不穏すぎることを口走ってしまったことに気がついて、途端に狼狽した口調で弁解を始めた。 「あ、いや、かまわんというのはだな、何も狂っちまってもかまわんとか、そういう剣呑な意味じゃなくてだな。 その、なんだ、長森とならば心中してもかまわんって意味で……、って、これじゃなおさら剣呑だな。 あー、その、誤解してもらうと困るのだが、俺は破滅願望から、こんなことを頼んでるわけじゃあないわけで……」
その慌てた様子を見て、僕は逆に冷静になってしまった。 「落ち着け落ち着け」 「あ、ああ、すまん……。えー、おほん、その、だな。 俺は、この事態はそんな致命的なものじゃない、そう感じるんだ。あくまで俺の直感で、だがな。 ただ、念のため、万が一の事態には備えるべきだと思うんだよ。周囲の皆さんに、ご迷惑をかけないためにもな。 それが社会人としての、最低限の礼儀ってモンだと―――」 「……つまり、僕は万一の時のための、保険だってことか。使われない火災報知機のような」 「そうそうっ! まさにそんな感じ。その程度に考えてくれたらいいんだよ」 「……」 我ながら情けないことだとは思うが、僕はだんだんYの気持ちが分かるような気になってしまっていた。 思えばYも僕も、ずっと味気ない日常に生きてきたわけで。 ささいなアクセントぐらいなら、望むところがあるわけで。 ……幻覚がささいかどうかには疑問が残るが、だがしかし。 「……長森、か」 「そーだ。なんといっても、俺が見てるのは長森なんだぞ?」 「……」 「お? お前今、長森ならしょうがないかなって思っただろ」 「……」 図星だった。
「くそ……わーかったよ。その役目、引き受けてやるよ」 「おおっ! 分かってくれたか! いや、こんな話、理解してくれるのも、頼みを聞いてくれるのも、 最初からお前しかいないって思ってたんだ。いや、持つべきものは親友だなっ! サンキューサンキューっ!」 「……その代わり、チェックは厳しく行くからな。無断欠勤なんかしたら、即レッドカードを出してやる」 「おっけーおっけー、全然おっけー。ぶっちゃけ、俺この幻覚とうまく付き合っていく自信はあるんだぜ?」 「その根拠のなさが、不安なんだけど……。まあいいや。 というか、僕に断られたらどうするつもりだったんだ?」 「どうもこうも。一種賭けだったね。まあ、お前は言いふらしたりはしない、ってことだけは確信してたから」 「……はぁー」 「よし! じゃあ、今日は俺のオゴリだっ! さー好きなだけ飲んでくれ!」 ―――これが一ヶ月前の話である。 僕が、Yの奇妙でふざけた依頼を、引き受けることになってしまった経緯は、おおよそこのようなものだった。 そんなわけで、この一ヶ月、僕はそれとなくYを観察していたのであった。
―――彼は公約通り、いたって平常な生活を保っているように見えた。 時折、「そういや昨日、駅前で『長森』をみたよ」とか「また『長森』を見たんだけどね。やっぱり制服を着ているように思える」 などといった『現状報告』を、二人きりのときにだけ知らせてくるぐらいだった。 傍目には何も変わらない……いや、他の同僚なんかに言わせると、最近のYはむしろ「生き生きしている」ように見えたそうだ。 本人にそのことを告げると、「いや、まあ、なんか生きがいができたようなもんだし」などとふざけたことを言っていた。 こんなふうに、Yは幻覚とうまい具合に「付き合っている」ように、僕には見えたのだ。 事態が変化したのは……、いや、変化していることが判明したのは、つい先ほどのことである。 この日、ささいなミスから残業をするはめになった僕が、家に帰り着いたのは日付が変わる寸前のことだった。 そんな僕を出迎えたのが、Yからの留守番電話だったのである。 以下、Yからの伝言をそのまま記す。 「……あー、もしもし。Yです。仕事の邪魔しちゃ悪いと思って、家のほうに電話させてもらった。 緊急の連絡ってわけじゃないけど……まあ、お前には知らせておく必要があるって思って。 察しはついてると思うが、『長森』のことだ。 ちょっと興味深いことに、今日気付いた。というか、今日も『長森』を見かけたんだけどな。 ……それで、ふと思い立って、『彼女』の現れた地点を、地図上でチェックしてみたんだ。 ……結論からいうと、『彼女』は、非常にスローペースでだが、しだいに俺の家に近づいてきているように思える……。 出現地点が、だんだん俺の家に近くなってきているってことだ。 これは、この事態にひとつの方向性がある、ということを表しているように、俺には思える。 このまま行くと、最終的には、彼女は俺の家、俺の部屋に現れる可能性も出てきた。 まあ、これは極端な懸念だと思うけどね。……ははっ、『長森』と同棲ってことになってしまう。 ……まぁ、そういうわけで、近いうちにまた相談したい。 良ければ、明日あたり時間を空けておいてくれないかな。じゃ、そういうことで。おやすみ」
このYの伝言を聞いたあと、僕がしたことは、Yにすぐさま折り返し電話をすることではなく。 よく分からない衝動に突き動かされるままに、この文章を書き上げたことだった。 書きあがった時にはすでに日付も変わっており、僕はYに折り返し電話をする機会も失してしまっていた。 それでも僕には、この文章を書き上げることのほうが重要に思えたのだ。 そう、この文章は保険だ。Yが「えいえん」送りになってしまう前に、Yの身に起こった事態を記録しておく必要が――― いやいやいや。僕は何を書いているんだ? Yが「えいえん」送り? 馬鹿な、それこそオタクの妄想だ。 そもそも何故いきなり、Yが「えいえん」に行ってしまうなんて思ったのだろうか。 ―――そうだ。 今の今まで、不思議と「長森」と「えいえん」を結びつけるという発想が、まったく思いつかなかった。 「ONE」の根幹を成していると言ってもいい、「えいえん」の設定を、だ。 それが、Yの伝言を聞いて、いきなり電撃的に結びついたのだ。 「『えいえん』が近づいてきている」――― そんなフレーズが、かなりの実感を伴って、いきなり頭をよぎったのだ。 だから――― いや、どうも僕も普通じゃない考え方をしているな。Yに感化されたか。 心配すべきはそんな非現実的な事態じゃあなく、Yの病状の行く末のほうだろう、この場合。 僕らはフィクションの世界の住人じゃあない。現実に生きなければいけないのだ。 とりあえずは明日だ。明日、Yと話をする機会を作ってみよう。 それだけを誓って、今日はもう寝る。 願わくば、この文章につまらないオチがつかんことを――― (了)
>>433-442 以上です。
せっかくのテーマ「なんでもあり」なので、HDに埋もれていた文章を、SSに仕立ててみました。
こういうのもアリですかね?
ただ今から投稿します。全部で17レス予定です。 タイトルは「Birth」。ONEのお話です。
「生まれてくる赤ん坊が、なんで泣き声をあげるのかって、知ってる?」 「えっ」 彼女が虚を突かれたように、小さな驚嘆の声をあげた。 「赤ん坊。えぇっと、赤ちゃんとか、こどもとか呼ばれるんだけど」 「それは知ってる」 ぼくの言葉がどこか気に入らなかったらしく、早口にそう言った。 「それじゃ、泣き声は?」 「それは、知らない」 ぼくは、コホン、と軽い咳払いをすると彼女に説明をし始めた。 「怖いんだ」 「怖い?」 「今まで自分がいたその場所から、まったく見知らぬ場所へ生み出されるのが怖いんだ。だから抵抗する。 『ぼくに何をするんだ』 『ぼくをどこに連れていくんだ』 『ぼくをここから出さないでくれ』 って。 持てるただ一つの手段──声、を使って抵抗するんだ」 「残酷、だね」 ただぽつっと、彼女は呟く。 「その場所にたどり着くまで、いや彼自身が存在するようになるまで、本当に長い長い旅を彼は経ている。 そしてようやく心を落ちつけられる場所に来て、また旅立たなければならないとしたら、それは本当に怖いことだと思うよ」 「だったら、生まれなければいいのに」 その言葉は淡々と、そしてひどく冷たい感触を伴い発せられた。 「そんなに怖い思いをして、生まれることなんてしなければいいのに」 彼女はくり返す。
「それはね、本当は赤ん坊自身が生まれることを望んでいるからだよ」 「そんなことない。怖い思いまでして生まれることなんて望むわけないよ」 「怖いのは、一瞬」 「一瞬?」 「その一瞬の後に、彼は知ることになるんだ、今までの場所には無かったものを。 例えば、光。まばゆいまでの光、ゆらめく光、包まれるような温かい光。 それを知って彼は思うんだ、生まれて良かった、って。 そして、また赤ん坊は泣くんだ」 「でも、そんなこと赤ん坊は知らない」 「そう、だから」 ぼくは、理解できない、という彼女のため、ゆっくりと丁寧に話す。 「今までいた場所は過ぎ去りゆく世界、つまり経験であり、過去。 これからゆく場所は来たるべき世界、つまり予感であり、未来。 そして最後に、その未来を選ぶことで光を見つけることができるんだ」 彼女は呆然とした表情で、ぼくのことを見つめる。 「分かった?」 「分からないよ」 彼女は即答した。 「じゃあ、言いかえると」
「違うっ!」 突然の叫び声によって、ぼくの言葉が遮られる。 その声の発したのは間違えなく彼女だった。 ぼくに対して、彼女がこれほどまでに感情を出すことがあっただろうか。 「どうしたの?」 ぼくはあくまで冷静に彼女に問いかける。 「なんで、なんで、あたしにそんなことを話すの? 分からない、あたし、あなたが何を言いたいのか全然分からない」 嘘だと思った。 それは、願望でも、憶測でもなく、揺らぎようのない確信だ。 彼女は知っている。 ぼくが何を言いたいのか、何をしたいのか、そして何が起ころうとしているのか、全ての答えを。 そうでなければ、 「どうして、涙を流しているの?」 その言葉を聞き、たった今気づいたらしく、彼女は急いで両目をごしごしとこする。 それでも、涙は止まりそうもない。 「ねぇ、答えは?」 「……」 「答えないのかい? だったら、ぼくが答えるよ」 彼女は、さっきぼくの話を聞いて『残酷、だね』と言った。 「ぼくは、この世界から」 残酷、それはまさに今のぼくにふさわしい言葉だ。 「生まれなければならないんだ」 これから行うことは、きっと幾千の非難を浴びることになるだろう。 「もう、きみと一緒にいることはできないんだ」 だけど、そこまで残酷にならなければできない。 「だから、みずか、ぼくは……」 この世界に別れを告げ、 「……オレは、おまえを否定する」 生まれることなんて、できるわけがない。
意外と平穏だった。ただし、平穏というのは『何もない』という意味で、だが。 みずかの涙は止まっていた。もう流す涙も枯れたのか、突き付けられた現実にただとまどっているのか。 目はただ大きく見開き、オレのことを凝視し、口はだらしなく開いていた。 まさに、茫然自失を絵に描いたようだった。 「どうした、みずか。オレに否定されることがそんなにショックか」 みずかは動かない。 「気持ちはよく分かるよ。おまえの存在意義に関わることだものな」 わざと挑発気味の言葉を発する。あいつにいつまでもつき合っているわけにもいかない。 でなければ、こっちの精神がおかしくなりそうだ。 自分が存在している世界を否定するなんて、想像するだけで気がとおくなる。 「おい、オレに何か言葉は無いのか?」 返事はない。いや、出来ないのかもしれない。 「既に言葉を失っている、か」 オレの言葉に反応し、みずかは必死にオレに語りかける。しかし、 「……」 オレは左右に首を振り、聞こえない、という意志を示す。 「カラクリは簡単だ。オレはおまえの存在を否定した。存在しえない者に言葉は必要か?」 オレの言葉を聞いて一瞬あっけにとられていたが、その言葉の意味を理解したらしくみずかの身体が小刻みに震えだした。 「言葉だけじゃない、音も、光も、だ」 みずかの体の震えがさらに増す。
自分で言っていて、本当にオレって嫌なヤツだと思う。 『こいつが世界を支配する魔王です』と紹介されたとしても、否定できない。 実際のところ、みずかにとってオレは、この『平和な』世界と自身の存在を滅ぼそうという魔王なんだから。 それならば、と、みずかに近づく。 「そんなわけでさ、とっととこの世界をあきらめてくれないかな、ちっちゃな『魔女』さま」 みずかの肩をトントンと叩きながら、容赦ない言葉を浴びせる。『魔王』だから。 「……」 みずかは恐る恐る、オレのいる方向に振り向く。 なぁに? という言葉を唇の動きから読み取る。 そして、その瞳はただオレの顔を映すのみだった。 「音と光も、か……」 もはやそこにいるのは、不可思議な能力を操る超越者ではなく、目の前にある不可避な運命を 恐れることしかできない非力な存在だった。 『残酷、だね』とみずかは言った。 残酷、それはまさに今のオレにふさわしい言葉だ。 『自分が生み出したものだから、自分の都合でその存在を否定していいと、キミは思っているのかい?』 と誰かは問うかもしれない。しかし、それは少し違う。 『自分が生み出したものだからこそ、自分でその存在を否定しなければならない』のだとオレは思う。 でなければ、誰がこの罪を償うというんだ――この世界と、みずかを生み出した、という罪を。 この世界の発端、つまり盟約は、この世界を強く望むオレの心から生まれた。 ならば、この世界を終わらせるには、そのための新たな盟約を結ぶしかない。 『この世界を否定する』という盟約をだ。 盟約は一人では結べない。必ず相手が必要だ。 その相手とは間違いなく、みずか。オレだけでなく、彼女にこの世界を否定させるしかない。 つまり、みずか自身の否定を、だ。
ふと、みずかの様子を見るために意識を戻す。 がっくりと膝を地につき、前髪からひそかにのぞく目には生気がなく、うつろに地面を見つめている。 その体は微動だにしない。 みずかは、自己否定のスパイラルに陥っているのだと、感じた。 あと一歩だ。 『この世界は何のために在るのだろう』 『この世界に何故あたしは在るのだろう』 『あたしは何のために在るのだろう』 『そもそも、あたしは何なのだろう』 みずか、その答えは全て『無い』んだよ。 この世界も、おまえも、在る理由なんて元々『無い』んだ。 気持ちを伝えあう言葉も、 ささやきを受け取る音も、 輝きを知るための光も、 お前にはもう『無い』んだから。 この世界を知る術はおまえに残されていないんだから、在る理由なんて『無い』んだ。 だから世界をあきらめろ。 あきらめろ。 あきらめろ。 あきらめろ。 あきらめろ。 あきらめ……る、のか?
自らの言葉に異和感を覚えた。 本当に、みずかはこの世界を諦めるのだろうか。 言葉や、音や、光を失ったとして、諦めるのだろうか。 オレは、それを否定しえる答えを持っているんじゃないだろうか。 ……違う、違うっ! 何を考えているんだ、オレはっ! 答えを持っているとか、いないとか、そんなことは関係ない。 オレが今すべきこと、それは、この世界とみずかを否定すること なのに、それを肯定しようとするなんて、オレはどうかしちまっているよっ! しっかりしろ、自分。否定するんだ、強く否定するんだ。 この世界を、みずかを、もっと強く。 もっと……
……強く否定をしなければならないのに、どうしてそれができない。 いや分かっている、オレははっきりと分かっているんだ。 みずかが世界をあきらめないということを。 オレはすでに経験している。 言葉が無くとも、思いを伝えようとした少女がいた。 光を失っても、輝きを知ろうとした少女がいた。 失敗ばかりでも、信じる夢を追い続ける少女がいた。 少しずつでも、大人になろうと頑張り始めた少女がいた。 ひとりきりでも、雨の中で待ちつづける少女がいた。 それに、一番大事なあいつ。 ずっとずっと長い間、オレのことを見守りつづけてくれて、 オレという存在が無くなっても、まだそこに在ったことを覚えていてくれて、 そしてまた、一緒に過ごせることを信じてくれているあいつがいる。 誰も世界を諦めようとはしなかった。 なのに、みずかは世界をあきらめるだろうか。 全ての感覚を失ったとして、それであきらめるだろうか。 オレに否定されて、それであきらめるだろうか。 ……きっと、こんなこと認めちゃいけないんだ。でも、オレは認めるしかないんだ。 だって、これは全てオレが望むべき世界で経験したことなんだから、今オレを結びつけている大切な思い出なんだから、否定なんてできない。 だから……みずかが、この世界をあきらめることなんてないっ!
「あなたは、やさしすぎる」 ひどく懐かしさを覚える声がした。 「そのまま否定しつづけていれば、全てが終わったのに」 「まるで、人ごとのような言い方だな」 「本当にそう思うから」 何も無かったように、みずかはしれっと言った。 「否定なんてできないよ」 「なぜ?」 「それがオレが望む世界で経験したことだから」 みずかは、少し怪訝な表情を浮かべた。 「でもそれは過去の話。あたしはそうしないかもしれない」 「いや、そうするね」 「なぜ?」 「小指一本でも存在していれば、それを世界の端っこに掛けて、懸命にここに在ろうとする。 ……少なくともオレだったらそうした。これは予感――つまり未来の話だ」 みずかは、きょとんとした表情をした。 「何か、変なことを言ったか?」 「あなたは、やさしすぎる」 みずかは、さっきの言葉をくり返した。
「オレがやさしいかどうかは分からない。それは、おまえを否定できるだけの強い心を 持ち合わせていないだけかもしれない。この世界を創り出した時のように、な」 みずかを諭すように、オレは言葉を紡ぐ。 そんなオレの言葉に、みずかは真剣に耳を傾ける。 「ただ一つだけ、確かなことがある」 「なに?」 「おまえが勝って、オレが負けたということだよ、みずか」 「あたしが、勝った?」 「そう。この世界はずっと変わらず在りつづけ、そしてオレもここに在りつづける、 ということだ」 みずかは一瞬あっけにとられた表情をしたが、次の瞬間には、ふふふ、と笑みをこぼした。 「負け犬の姿を見るのが、そんなに楽しいか?」 微笑む魔女に対して、オレは精いっぱいの皮肉を返す。 「違う、違う、あたしがおかしいのは、あなたがとんでもない勘違いをしているから」 「オレが勘違いを?」 「そう。だって、勝ったのは、あたしじゃなくて……」 みずかは人差し指をオレの顔に向け、宣言した。 「あなた、だから」
今度はオレがあっけにとられる番だった。 「オレが、勝った?」 うん、と深くうなずくと、みずかは話を続けた。 「確かにあなたはあたしを否定することはできなかった。だけど、それよりももっと強い ――あたしが存在を取りもどすほど――の意志をもって、本当に望む世界をあなたは肯定した」 確かに、とみずかの話にうなずくと、みずかは少し悲しそうな顔をして話を続けた。 「だから、分かったの。あたしが、この世界が、あなたにとってどういう存在なのか。 分かった。心の底から分かった。揺らぎようのない確信として」 オレの中である予感が芽生えた。それはオレにとって願ってもないことだ。 「生まれたかった。あなたを束縛する存在じゃなくて、あなたを支える存在として。 ……最初はそうだったのかもしれないけど、今はもう違う」 つまり、さっきまであれほど望み焦がれていたことが起ころうとしている。 「だから、あなたを支えるため、あたしが今できる唯一のことをする」 だけど根本的な何かが違う。何か大事なことをオレは忘れていたはずなんだ…… 「それは、それは……」 みずかの目から大粒の涙が溢れだす。そして、 「さよなら」 その瞬間、世界は否定された。
風がやむ。 一面に生えそろう草や、遥か上空に浮かぶ雲の動きが制止する。 歪む。 整えられた造型物が、収縮、膨張、分裂、合成をくり返し、異形の存在へとその姿を変化させる。 草も、木も、空も、雲も、節律などなく、混沌としながら歪む。 ずっと変わらなかった歪みが、全てこの瞬間に表れたように、世界は狂いつづける。 オレたち二人を残して。 そして歪みきった存在は消える。 音などしないが、全てが壊れやすいガラス細工だったことを思い出させるように、粉々に砕けちる。 パリン、パリン、と音なき音が周位に響きわたる。 その砕けた存在の残骸から、この世界の本質がのぞく。 ――それは闇。つまり、何もない存在、ゼロ。 崩解の協奏曲を奏でながら、世界は闇に侵食されていく。 闇は、世界と共に、そこに存在するオレとみずかにも迫る。 オレは、手や足を使って必死で闇を払いのけつづける。 だが、みずかは何もしない。目を閉じたまま、静かにその闇に体を委ねようとしている。 その闇を払おうと、オレはみずかに近づく。だが、体が前に進まない。 気がつくと、オレの体が少しずつ後へ、何かの力によって引き寄せられている。 その力の方向へ振り向く。侵食した闇の中に、微かにだが光が見える。 その瞬間、オレは全てを理解した。 生まれるんだ。 この世界から別れを告げ、新たな世界へとオレは生まれるんだ。 気のとおくなるぐらい待ちつづけた瞬間が、今やってきたんだ、と。 ……だが何だろう、この心の奥に引っかかるものは。
ふと、みずかの方を振り向く。 すでに腕や足を侵食し、闇はいよいよ胸から顔に向かおうとしていた。 引き寄せようとする力に抵抗して、オレはみずかに近づこうとする。 だが、力はしだいに強くなり、一歩たりとも動くことができなくなる。 みずかを侵食する闇はもう胸に至り、顔へと伸びようとしている。 ふいに体が宙に浮き、引き寄せる力はさらに強くなる。 それならばと、オレは無我夢中で空中をこぎ出す。 こんなことで前に進めるのはマンガの中ばかりか、と少し思ったが、 引き寄せる力が強くなったとはいえ、四肢を全て使っているためなのか、 歩いていたときよりもよく進む。 みずかに近づく。 闇は、みずかの体のほとんどを侵食し、残るは顔だけになっていた。 『みずかっ』とオレは叫ぶ。反応はない。 手を伸ばし『みずか、手をつかめっ』と再度叫ぶ。 つかむ手なんて存在しない、そう分かっていてもオレは叫びつづける。
――いつ以来だろう、こんな気持ちになるのは。 ふいに、悲しみが湧いてくる。どうしようもない無力感にさいなまれる。 きっとこんなことをしても何の救いにもならないことが、分かりはじめたからだ。 それでも、こうすることしかできない自分がとてもみじめに思えてきた。 ……そうか。 ――ようやく分かった。オレが忘れていた大事なもの。 もう誰もオレのせいで失いたくないんだ、傷つけたくないんだ、救いたいんだ。 みさおや、あいつのように、オレのせいで不幸にしたくないんだ。 ――えいえんのせかい、なんてどうでもいい。盟約なんて、もう忘れた。 今はただ、それとは独立した存在として、もう一度、もう一度だけみずかの笑顔を取り戻したかった。 ただそれだけで、オレは救われるのだと、心の底から思った。 ――もう逃げたりしないから。もうこんな悲しい世界は望まないから、 ただ一度だけでいい、オレにみずかの笑顔を見させてくれよっ。
……息をのんだ。 闇に浮かぶ顔だけのみずかと、目がパチリと合った。 そこだけを見ると、いつもと変わらないみずかがいた。 やがて、みずかは口唇をゆっくりと動かしはじめた。 『――あなたは、やさしすぎる。 やさしいからみんなに手を差しのべて、そして傷つく。 だけど、誰もを救える完全な存在なんてない。 そう、あなたにとってのあたしのように。 だから、もう自分を責めない、で――』 ふと全身の力が抜け、意識がとおくなる。もはや抗う力が無い体は、引き寄せられるままになる。 最後の意識をふりしぼり、みずかのいた場所を見つめる。 そこにはもう、闇しか残っていなかった。 でもオレは確かに見たんだ、最後のみずかの表情を――それは、これ以上ない満面の笑みだった。 それが頭をよぎった瞬間、まばゆい光がオレの体を包みこんだ。
「……ん」 鳥のさえずる声で意識を取りもどす。 目を開けようとするが、あまりの眩しさに反射的に目を閉じる。 そして、またゆっくりと目を開ける。 まず、樹々の合い間からきれいな青空が見える。 両手が届く範囲には、背の短い草々が生え揃ってことが分かる。 上体を起こし、周囲を監察する。 周りは多くの樹々に囲まれ、オレがいる場所だけ小さな広場になっているようだ。 と、ここまで来て、この風景に見覚えがあることに気づく。 ――あの日、オレがこの世界から消える日、長森に膝枕をしてもらい、最後の時間を過ごした場所だった。 「長森……」 あいつの顔が頭に浮かぶ。 様々な表情、色々な出来事、それらひとつひとつが昨日のことのように思い出せる。 「会いに、行かなきゃな……」 そう、そのためにオレはここに戻ってきたんだ。 会って、また最初からはじめるために。 「でも……」 オレは知らなかった。
『赤ん坊は泣き声をあげる。 はじめは生み出される恐怖から。 次は生み出されるよろこびから。 赤ん坊は泣き声をあげる』 確かにオレはそう聞いた。だけど、 「こんなに……こんなにも、生まれることが苦しいなんて、知らなかった……」 この苦しみの始まりはどこだったのか。 オレがこの世に生まれたときなのか。 みさおがいなくなって、オレが『えいえん』を生み出したときなのか。 オレが『えいえん』から生み出されたときなのか。 いくつもの可能性が頭の中で浮かんでは消えて、浮かんでは消えて、最後に、 『だから、もう自分を責めない、で――』 という言葉に辿り着いたとき、オレは声をあげて、泣いた。
ぴったりかんかんのタイミングで書き上がりました。 これから投稿します。 タイトルは"Deep in Myself" 須磨寺雪緒です。後半から少々エロ。さらにそのあとファンタジー(w
幼いころは夕暮れ時が好きだった。 茜色の大きな太陽が西の山に沈んでゆくのや、紅色に彩られた街並みが薄青に暮れてゆくのを、わたしはなにか壮大なドラマのワンシーンを見るような気分で眺めたものだ。 もっと幼いころは、夕暮れ時が嫌いだったような気がする。 友達と別れた帰り道。自宅までの孤独な道のりが寂しかった。 わたしを包み込む静寂がまるで魔物の肌か何かのようで、涙をこらえながら家路を急いだものだ。 今のわたしは、わたしの心は……。 夕暮れを見ても何も感じなくなったのは、いつからだろう。 幾重にも守られた、からっぽのわたしの心。 一切の現実感から隔離されて、平穏で退屈で、でもいつか終わりが訪れることを知っていて。 人が見れば変人だと言うかもしれない。あるいは狂人だと言うかもしれない。 けれど、そのような非難に何の意味があるだろう。 その心の持ちぬしはわたしであって、他の誰でもないのだから……。
「先輩、今日も、あの曲を弾いてくれませんか〜」 恵美梨ちゃんは、彼女に暇のあるときはいつも、わたしのギターを聴きにくる。 どこに興味を持っているのかは知らないけれど、別に邪魔になるわけではないから、しばしば彼女のリクエストにもつきあっている。 「この曲で良かったかしら?」 わたしはフレットに指を滑らせる。右手で出だしの何音かを弾いてみると、恵美梨ちゃんは、「そうそう、これです!」というように頷く。 「はぁ……いい曲ですね〜。やっぱり先輩は上手ですよね〜。」 彼女の物言いはいつもストレートで、時に私を困惑させる。 彼女がいいというこの曲は、わたしにとってはとうに聴き慣れたメロディで、いまさら何の感慨を呼び起こすものでもないから。 それに、この曲を弾いているのは、正確にはわたしではない。 わたしはただ、頭をからっぽにして、指の動きに委ねているだけだ。 そこに一切の感情は介在していない。 わたしが返した社交辞令の微笑みは、しかし、彼女にとって別の印象を与えるものであったらしく、 「先輩、1つ質問していいですか? 先輩はどうしてそんなに上品できれいなんですか?」 と、目を輝かせたりするのだ。
「先輩って、どこか人間っぽくないというか、まるで空から降りてきた天使みたい……」 しかし、その言葉にも、わたしは社交辞令で返さざるを得ない。 ――わたしには、人間らしい感情がないの。 そのようなことを口にできるものではないから。 「……ありがとう」 ふと、思い出す。 「そのようなこと」を伝えてしまった相手のことを。 恵美梨ちゃんが帰ると、夕暮れの教室はまた静かになった。 部活動中の生徒たちの掛け声がどこか遠くでざわめいているほかは、音を立てるものは何一つない。 傾いた日差しが、黒板や机に赤と黒のまだらな筋を何本も描いて、まるで一枚の写真を見ているようだ、と思った。 その中で、わたしはギターを弾く。 無意識のうちに動く指が誰のものでもない音を奏で、奏でられた音も夕暮れの風景に溶けてゆく。 何も考えない。何も感じない。 私自身が楽器になってしまったような感覚。 ぴったりと閉じた風景世界。
そんな状態にあるときのわたしの耳はとても敏感だから、その人が聞き耳を立てているのはすぐに分かった。 「木田くん……?」 「どうして、俺だってわかったんだ?」 目を丸くした木田君が、教室に入ってくる。 彼も驚いていたけれど、わたしも少し驚いていた。 まさか、木田君がやってくるとは思わなかったから。 わたしと木田君の関係って、バイト先が同じということと、屋上でよく会うということと、一度セックスをしたということだけだ。 どれをとっても、わたしの演奏をわざわざ聴きにくるような重要な関係ではないように思える。 ――そう思ってるのは、わたしだけなのかな。 自分と他人との感覚のズレは重々承知していたから。 「聴きに来たの? それとも用事?」 いちおう、礼儀として尋ねてみたけれど。 「いや……」 「そう……」 それきり、わずかの間だけ他者に向けられていたわたしの関心は、風景世界に戻る。
びっくりしたのは、この風景世界において、木田君の存在が周囲に何の変化も及ぼさないということだ。 恵美梨ちゃんならこうはいかない。 例えば目を閉じたとしても、彼女が椅子に腰かけ直す音や、メロディに合わせてハミングする音なのが、純粋な風景世界を失わせるからだ。 恵美梨ちゃんは彼女自身の確固たる世界を持っている。 その世界はわたしの世界の常に外側にあって、お互い決して融合することはないのだ。 けれど、木田君はどうだろう。 まるで自身の世界を持っていないかのように、やすやすとわたしの世界に入ってきて、しかもわたしの世界を揺るがさないのだ。 不思議な人だ。 最初は、わたしと同じように、心を失った人間かと思った。 それは、間違いだったようだ。 その証拠に、わたしの不用意な言葉が、彼を深く混乱させてしまったらしい。 彼は、普通の人間がそうであるように、死の影を恐れる人だったのだ。 「死ぬのはやめてくれないか……」 傷ついた雛が親鳥に救いを求めるような眼差しを、木田君はわたしに向ける。 その眼差しは弱弱しく、痛々しく、感情を失ったわたしの心さえも揺さぶろうとする。 けれど、彼の願いをかなえるのは無理なこと。 わたしの心の支配権は、すでにわたしの制御できるところにはないのだ。 壊れる日が来ると分かっていても、止めようがないのだ。 「だから、約束できない……」 わたしの答えに、木田君はがっくりとうなだれる。
いつしかギターから奏でられるメロディも尽きて、また沈黙の時間が過ぎる。 わたしが死なない可能性といえば、 わたしの心が壊れるより先に、心の支配権を奪うしかないのだろう。 ――誰が? 木田君にその可能性を期待していいかしら、と心のうちでつぶやく。 そのまま無為な時間が過ぎ、そろそろ帰り支度をしようと、わたしが立ち上がったときだった。 突如弾かれたように立ち上がった木田君の手がわたしの肩をつかまえた……と思った瞬間、わたしは机に押し倒されていた。 かすかにあげた悲鳴は、机同士が派手にぶつかる音にかき消された。 目の前に、そこに木田君の顔があった。 ひどく怯えたような、混乱したような表情をしている。 「ここで……するの……?」 わたしが尋ねると、 「いや……ごめん」 と、彼は離れた。
「びっくりさせたらどうなるかと思った」 わたしから目を背けるようにして、彼は下を向く。 「ちょっとびっくりしたわ。でも、それだけ。なにも変わらない。 わたしの心は失くなってしまったんだから」 「そうか……そうだよな……」 この人は何を考えているのだろう、とわたしは疑問に思う。 どこか彼自身の安住していたはずの世界から、なぜわざわざわたしの傍らにやってきて、不安に怯えるのだろう。わたしに何を求めようとするのだろう。 あなたを不安にさせてしまったのは他ならないわたし自身で、そのことは悪かったと思っているけれど、だからといって、その不安を癒すことなどわたしにできるわけもないのに。 可愛そうな迷い鳥。 ごめんなさい。 ごめんなさい。 あなたのために、わたしがしてあげられることと言えば。 「……しないの?」 体を開いて誘うことくらい。
陽が落ち、世界が急激に静けさを増した。 運動場で騒いでいた生徒たちの声も、すっかり聞こえなくなった。 そんな教室の片隅。 木田君の指がわたしの服を脱がせてゆく。 セーターをまくり上げ、ブラウスのボタンを外してゆく。 ぷちぷち、とボタンの外れる音。 その様子を見守りながら、どこか冷静に落ち着いている自分を不思議に思う。 これから起こることへの期待がないわけではない。 むしろ大いに期待しているといっていい。 このあいだは、自分でも信じられないくらいの絶頂感を味わった。 わたしは、荒れ狂うような快感の海の中で、わたしの心を守っている壁が粉々に解体されるのを感じた。 あの感覚をもう一度。 上手くいけば、そこにわたしの心の支配権を取り戻すチャンスがあるかもしれない。 「ひゃんっ」 いきなり乳房に手をかけられ、わたしの上半身がぴくりと震える。 指に押しつぶされた部分から体の各部へ向けて、鈍い快感がじんわりと広がってゆく。 その一部はわたしの脳にも届いて性欲をくすぐる。
わたしの目は、木田君の目と合った。 催促されるように唇を差し出す。 「んむ……」 お互いの舌が触れる。唾液が混じり合って喉に流れる。 快感とも嫌悪感ともつかないものが、一緒に流れてゆく。 本当のところ、キスのやり方は、まだ、よく分からない。 舌で木田君の歯並びをつついてみる。 扉をノックするように、軽く。 呼び出されたように、木田君の舌がわたしを迎える。 先端が絡め取られ、表側から裏側まで、ずるりと舐められる。 歯茎の裏手を伝って、くすぐるような刺激が生まれる。 胸の膨らみの頂に、木田君の指が触れる。 最初はそっと触れるように、ついで押し込むように激しく。 ふたつの膨らみから、また新しい刺激が生みだされる。 それは丘を下って全身を駆け、わたしの体をのけぞらせる。 「む……んむぅ……」 喘ぎの声は木田君の唇にふさぎ止められて、くぐもったような響きを立てる。 その卑猥な響きが、羞恥心をかきみだす。 心情を読んだかのように、胸への愛撫が一層激しさを増す。 わたしは肩を振って、刺激から逃れようと試みる。 肩の下で、古い金属製の机が軋んだ音を立てる。
「あまり大きな音を立てるなよ」 木田君が苦笑いの表情で言う。誰か来るかもしれない、と付け加えた。 ――わたしは見られたとしても、何も感じない。むしろ困るのは、あなたのほうじゃないの? 変なことを考える余裕が、まだあった。 木田君の唇は胸に移った。 すでに充分に勃起している乳首を味わい、さらにわたしのあまり大きくない乳房の全体に唾液を擦り込もうとするかのように舌を這わせる。 左右交互に、何度も何度も貪るような舌が往復する。 小刻みな快感が、生まれては消え、生まれては消える。 さっきまでとはまた違った、ゆるやかな刺激。 さざなみにたゆたうような感覚の中で、わたしの心の防壁が少しずつ剥がれてゆくのが分かる。 着飾った理性をはらはらと脱ぎ捨てて、本能のままのわたしが次第に姿をあらわしてくる。 もうしばらくすれば、わたしは木田君の腕の中で、淫らに腰を振る一匹の雌になるだろう。 もって生まれた女の本能。誰もそれを否定することなどできない。 わたしは溺れる。溺れたい。彼の舌に。彼の指に。
けれど。 けれどけれどけれど。 そんな本能のわたしすらも、本当のわたしではないのだ。 心を失くしたからっぽのわたしの、一番大事な部分は、快感すらも届かない奥底で、絶望にも似た諦観を抱いたまま、行為の一部始終を眺めている……。 「須磨寺!」 木田君のわたしを呼ぶ声で我に返った。 どうしたの、と見れば、下着に指をかけた状態の木田君が、困惑の表情を浮かべている。 「あ、ごめんなさい……」 何に対して謝っているのか、わたしは腰を浮かせて、パンティがその膨らんだ部分を通り抜けられるようにしようと試みる。 ……が、重要なことを忘れていた。 いまのわたしは、両足のつかない状態で机の上に仰向けになっているため、腰に力が入らないのだ。 これでは、自力は無理だ。 「あの……足、持ち上げてくれる?」 木田君にお願いすると、彼はうなずいて、腕をわたしの膝に掛けた。 そのままゆっくりと上方へ倒されると、ちょうど木田君の目の前で両足を上げた格好になる。 今、わたしのあそこは彼の目線から、薄い布切れ一枚で守られた状態になっている。 これはかなり恥ずかしい、と思う。
その布切れも、 ――するるっ あっさりと引き抜かれる。 もはや守るもののない性器が、彼の目の前にあらわになる。 すぼまった内部への入り口に、彼の視線を感じる。 顔が、いや体全部が紅潮するような感覚。 性器全体が恥ずかしいほど火照って、閉じた割れ目の間から、潤滑液がジワリとにじみ出る。 ――そんなに見ないで…… 声にこそ出さないものの、すでに頭の中は羞恥心で一杯だ。 不意に、木田君の舌を割れ目に感じる。 閉じた部分をこじ開けられ、にじみ出した潤滑液をさらに分泌させようとするかのように吸い立てられる。 「ああんっ!」 思わず声を上げていた。 断続的にせり上げるような快感が、わたしの下半身を支配する。 木田君の舌が舐めて行ったところから刺激の源が生まれ、まるで意志を持って枝を伸ばすように広がってゆく。 もはや正常な思考はほとんど失われていた。 無意識のうちに本能が腰を振りたてることを命じ、わたしの体はさらなる快感を貪ろうと喘ぎ、震える。 もう止められない。止まらない。
体中を圧するようなうねりの中で、 「! イクっ! やぁぁーーーーっ!」 クリトリスを吸い上げられて、わたしはイッた。 白い火花が飛んで、目の前が極色に輝く。 同時に、ばらばらと世界が壊れるような錯覚。 今度こそ、わたしの心の外壁が残らず崩れ去る。 「はぁはぁ……はぁ……」 徐々に穏やかになる呼吸と裏腹に、わたしの意識はゆっくりと解放されてゆく。 理性と本能に縛られた「須磨寺雪緒」から、何者にも縛られない、何者にも影響されない、生まれたままの「わたし」へと。 しがらみが全部崩れ去って見通しの良くなった心の世界。 その中を、わたしの意識はゆらゆらと漂う。 いつか、置き忘れた探し物をするために。 予感がした。
それは、予感通り、心の一番奥底に眠っていた。 ――久しぶりね。 そこにいるのは、縮こまって泣いている「わたし」。 いつか遠い昔、心の奥底に閉じ込めた、感情を持ったわたし。 ――あなたが、今でもわたしの心を支配しているの? 返事はもちろん――イエス。 ――今までごめんね。寂しかったろうね。 自分で自分を慰めるのも変な話だけれど。 そこで、わたしの意識は途方に暮れる。 「わたし」をすっぽり包み込んでいる防壁は、何年もの間に分厚く堅く堆積していて、わたしの力では、どうしようもできないのだ。 そのとき、わたしの体の芯に圧力がかかったかと思うと、かたくて大きいものが入り込んでくる感覚がした。 援軍だ、とすぐに思った。 挿入の瞬間に感じたかすかな痛みは、圧倒的な喜びによってかき消された。 木田君が入ってくる。 狭い道をゆっくりと押し広げながら、わたしの体の一番奥を目指している。
――来て。わたしの意識のところまで来て。 応えるように、木田君が入ってくる。 1ミリ進むごとに、擦られる膣壁から喜びの渦が巻き起こってわたしの体を包んでゆく。 ――わたしの意識はここ。ここにいるよ……。 ついに物理的な深奥に達したペニスが、ゆっくりと、わたしの中を動く。 時に激しく、時に緩やかに、木田君の熱さと力が、快感の波に乗って運ばれる。 それは見えないエネルギーとなって、わたしの心の奥底に眠る「わたし」のもとへ飛んでゆく。 次々と防壁に当たって、それを破壊するための衝撃を与える。 けれど。 けれどけれどけれど。 ――やっぱりだめなの……? 快感すら通さない、堅くて冷たい膜は、木田君のエネルギーをすべて打ち消して、その中で眠る「わたし」のもとへは決して到達させない。 ――もう少し、もう少しなのに。 次々と木田君のエネルギーが届けられるものの、やはり、わたしの心の壁はびくともしない。 なにもできないままに、ただ、時間だけが過ぎてゆく。 不意に、木田君のリズムが変わる。 ペニスが激しく脈動する。 膣壁に伝わる、噴射の予兆。
――やだ、やだ、やだ、まだイッちゃヤダーーーっ! わたしの意識は、わがままな子供のように首を振って喚く。 けれどそんなもの、現実の前には何の力もなくて。 ドクッ、ドク、ドク、ドク……。 男の所有する粘性の白濁液が膣の一番深いところに打ちつけられる感触を、わたしは奇妙な現実感をもって受け止める……。 ずるり、とわたしの中からペニスが引き抜かれる……。 ゆっくりと元の位置へ帰ってゆくすべての存在。 つかの間の興奮はすぐに色あせ、ふたたび平穏で退屈な空間がわたしの周りに形作られる。 絶望にも似た感情が、わたしの心を横切って去る。 結局、セックスで何も変わったりはしないのだ、と。 わたしは、いつもの空間へ帰るしかないのだ、と。 別れ際、木田君と悲しげな目線が合う。 わたし達は、それぞれ深い傷を抱えたままで。 「じゃあ、な。おまえも気をつけて帰れよ」 夕暮れの闇へ去ってゆく木田君を眺めながら、わたしは、あの人はどこへ帰ってゆくのだろう、と柄でもないことを考えた。
以上、
>>465-480 "Deep in Myself"
でした。
ギリギリになって申し訳ありません。
延長希望の方はございませんでしょうか〜〜?
483 :
359 :04/01/08 08:17 ID:YxeCVN22
すみません。今、別板で落としてます。もう少し時間がほしいです。
うぃうぃ。慌てずごゆっくりどうぞです。
485 :
359 :04/01/08 08:50 ID:YxeCVN22
甘い考えだったかな。あちらの規制に引っ掛かったようです。とは言え、今更こちらに投稿するわけのも行かないという悪循環。 ◆2tK.Ocgon2氏もお忙しいと思いますので、終了宣言だしてください。 規制緩和したら、あとでコソーリこちらにリンク張り付けます。 Kanonオリジナルもののダーク不幸。 あまりに恥ずかしすぎるジャンルだから向こうに落としたのに、晒し首だな……。
>485 それはそれは……。 ( ;´Д`)ノ(´・ω・`) ナデナデ ちなみに、補助掲示板の管理は前進行役HMX氏に続けてもらってますんで、 もしなにかありましたら、彼女のほうへ連絡されるとよろしいかと思います。 では、終了宣言〜〜。
【告知】 ただ今をもって、投稿期間を終了させていただきます。 参加された書き手の皆様、どうもご苦労さまでした。 それでは、これから感想期間に入ります。 投稿された SS について感想、討論などをご自由に行ってください。 期限は 1 月 19 日の午前 8:00 までとさせていただきます。 *記念企画のため、期間延長しております。
490 :
359 :04/01/08 09:57 ID:YxeCVN22
パート11に続きを書けるかと思ってみましたが、駄目みたいですね。 夕方頃までに書き込めなかったら、今回は辞退します。補助板の方の削除依頼も出そうと思います。 徹夜明けで今から仕事か。職場で自由に使えるPCがあったらな……。 迷惑orスレ汚し本当にすみません<皆様方
女性だったのか!? 俺も初めて知った……。 ところで、SS一覧のdas liebliche Weihnachtenは、メインは(舞、佐祐理) というよりは(まい)じゃないかな?
>>486 む、葉鍵に女性とな?
SS以外についてもあんな事やこんな事も連絡してよかですか?
HMXさんはメイドロボですよ?
それでは、>496さんの『雪月花』をもって、すべての投稿を終了とさせていただきます。
今回投稿された作品は、
>>488 >>496です。
保管所からでも見ることができます。
http://sscompe.at.infoseek.co.jp/ss/21/index.html 感想期間は、1月 19 日の午前 8:00 までとします。
>496
いろいろお疲れ様でした。
>493
「まい」は原作に登場しない呼称ですし、むしろオリキャラ扱いが妥当かな……と考えました。
作者さんのご要望があれば、そちらに従いたいと思います。
>492-495
「HMX」は女性名詞です!(キッパリ
◆2tK.Ocgon2 さん>
das〜作者です。
確かにまいの扱いはごもっともな話ですので、特に要望はないです。
そのままでかまいませんよ。
>>493 さんもわざわざどうもです。
>>385-397 「Unoriginal sin」、
>>411-430 「das liebliche Weihnachten」
偶然なのか、同じ「まい」を扱ったSSが並んだな。
前者はそれを言っちゃあお終いよ的な原作自体の欠陥に切り込んだのに対して、
後者は原作以上の理想を目指した好対照な2作品。
両方ともタイトル横文字だし。
「Unoriginal sin」は収拾つかないまま終わって結局何が言いたいかよく分からず、
「das liebliche Weihnachten」はそこに持ってくるまでがご都合主義に感じたが、
両方とも極端な切り口でシチュエーション自体に無理があったんじゃないかな。
それでも、その中で心の移り変わりが丁寧に描かれていて楽しめた。
やっぱ百合はいいよな。
>383の時点から本当に100レス増えてる…… みんなギリギリまで引っ張りすぎだ(w モレモナ-
>>499 確かに、テーマ『なんでもあり』にしてはすごい偶然だな。
ただ、文体も内容もぜんぜん違うし、やはり偶然だろう。では、それを含めて気に入った作品にいくつか感想。
Unoriginal sin
重い話だった。だが、内容としてはED後の話として十分ありえる話であり、悪い話ではない。
しかし、個人的にこういう重い話は苦手なので、どうしても読後感が…。
das liebliche Weihnachten
正直言って、かなり「まい」に萌えたw ほのぼの感は今回随一。
ただ、なんか「萌え」を狙いすぎ。
原作の「まい」のイメージがほとんど見られず、単なるオリジナルロリキャラと化してる。
ところで、タイトルはどういう意味なのだろうか? 響きとしてはドイツ語っぽいが…作者挨拶で明かしてほしい。
あなたを想いたい
途中までの展開は読んでいて気持ちのいいものだった。それだけに、最後の場面がやや蛇足な気がした。
個人的に、中盤までの路線がぶち壊された気がして作品の魅力が殺された気がする。
天使が消えない
長くて重い。読むのは大変だったが、それにしても文章力なら今回トップかも。
キャラの内面をあそこまで書き出すのは、誰にでもできるものではない。かなりの技術が必要だろう。
しかし、天いな未プレイなので、内容の評価をできないのが申し訳ない。
今宵、月明かりの下で君と
どうしてくれるんだ作者さん。
エルルゥ&トウカ派だった俺が、このSSで完全にサクヤ属性に支配されちまいましたよw
内容としては普通の18禁SSだったが、サクヤの健気さに萌え。しかし、このサクヤも言動や体型が原作以上にロリ化してるような…w
祐一・美汐夫妻の『KINGFISHER GIRL』
まさか、『なんでもあり』で書くとは思わなかった。その試みは評価に値する。
とはいえ、祐一、自分の思考をペラペラ口に出しすぎなのが気になった。
展開上仕方ないとはいえ、ちょっと不自然。
未プレイ作品もあるし、ダークはどうしても受け付けられず「雪月花」読めなかったので、最優秀選定は保留させてほしい。
502 :
499 :04/01/10 07:20 ID:7e+q0Y5Y
>>433-443 「瞼の長森」
星新一マンセーの俺としては、ストライクど真ん中のジャンルだ。
まあ、とてもじゃないけどONESSとしては評価できないわけだけれども、
「なんでもあり」なのだから、こういうのもアリだろう。
SF的奇抜な設定から少しずつ核心に迫る展開は嬉しい所だが、
ショートショートにしては十分オチがついてない感じ。
エスカレートしていくような伏線まで張ってあるし、
ここで予想外のオチをつければ満点だったのに。
でも、発想や展開は面白い。
個人的には、見えるのがみしおたんだったらなお良かった。
とりあえず全部読んでみたので気に入ったものの感想を 天使が消えない ……凄いわこれ。個人的にはオリジナルに追加で恵美梨シナリオとして出して欲しい。 或いは東京開発室に祈りが届いたのでしょうか?(w 元から退廃的だった木田が透子と交わることでより一層退廃的になって雪緒の境地を更に越えていった という心理描写が無理なく自然で実に良く書けていると思います。 また、原作での恵美梨の木田に対する感情や雪緒、明日菜、透子らの人物像を確り掴めて書かれていると感じました。 原作の退廃的な雰囲気もとてもよく出ています。 その上、原作で24日に雪が降る設定を絡めてラストが書いてあるところもGOODです。 終わり方も天いならしくて良いです。 文句の無い出来でした、とても楽しませて頂きました。 今宵、この月明かりの下で君と 萌えました、萌えましたぞ作者さん。 ちょいとサクヤがロリっぽい感じがしましたが、良かったッス。 ところで話は変わりますが、作者さんもしかして自分のサイトでうたわれSS書いてませんか?
メイドロボSとM ワラタ。最後の >「ああ、マルチさん、もっと……」 >「御姉様とお呼び! ですー!」ぺち、ぺち。 >「お、御姉様……うっ! ああっ!」うっとり。 ってところが微笑ましいっつうかなんつうか。 美しき姉妹愛でした(w das liebliche Weihnachten ほのぼのとした雰囲気が良いですな〜 文章的に特に不満点もありません それにしても『まい』がかわいいですね〜 Birth 赤ん坊の誕生する過程とえいえんの世界からの帰還を絡めているストーリーがとても上手いです。 浩平やみずかの心理描写も解りやすく良く書けていると感じました。 最後はちょっと泣けました。とても良かったです。 Deep in Myself なんか微妙に自分の中での雪緒のイメージとズレていてなんと言えばいいのか解らんです。 いや私が雪緒を正確に掴みきれていないのも原因だとは思うんですが。 うーん、何だろう微妙な差を感じます。 いや、作品自体の雰囲気は良いんですけどね。
という訳で全部を読んだ感想としては、「なんでもあり」で作者の皆様方のガチンコ勝負を見れて面白かったです。 コンペスレには初めて感想を書きますが、結構楽しめました。 個人的には天いなSSが読めたことが嬉しかったです。 最優秀作品には「天使が消えない」を推したいと思います。 文章力、作品の雰囲気、登場人物の心理描写、終わり方のどれをとっても素晴らしい出来でした。
まだ半分くらいだけど、読んだところまでの感想を。 「あなたを想いたい」 三回読んで、ようやくネタがわかった_| ̄|○ 笑うには笑ったけど、たぶん、それまでに費やした苦労のほうが大きい……(w。 一発ネタのの割に前フリが長すぎるのではないかな。 そのくせ、前フリ部分のほうが良く書けてるものだから、変なアンバランスさを感じてしまった。 ラストの締め方も、少々もの足りなかったように思う。 ボケてばかりなので、イッパツ厳しいツッコミが欲しかったところ(w。 しかし、このSS内で誰がつっこめる状態にあるのか……?。 「今宵、この月明かりの下で君と」 エロSSとしては、なかなか良く書けてると思われ。 個人的にエロは苦手なんで、一通りの扱いしか出来ないのが申し訳ないけれど……。 耳がピョコピョコするとこが可愛かった。月明かりの情景もグッド。
「終わりの世界」 これは(・∀・)イイイ!! ゴメン、べたほめする。行間詰めて。 意外な展開でびっくりした。衝撃度の高さでは、ここ数回のコンペでNo.1だ。設定説明がウザッタイのが玉に瑕だけど、「精神被爆症」とは便利な言葉があったものだ。雫とうたわれの両世界を違和感なく繋げる言葉だと思った。 文章も綺麗だね。瑣末なことにかかわらずに必要な物事をさくさくと説明してゆく小気味の良さのようなものがある。それでいて、唯一の魅せどころ(世界が壊れるところだ)では情景描写を頑張ったりしていて、バランスの取れたいい文章だと思った。 雫勢の二人がかわいいのも高ポイント。いくぶんステレオタイプっぽい萌えではあるけど、あとに描かれる悲劇との落差を演出するには十分の出来だと思った。まぁ、私は左右のどっちが由紀だか美和子だか区別のつかない人間なんだけど、そんなことは重要ではないね(w。 でも、よく思い出したら、ムツミと髪の色が違うような……? 思い違いだろうか? そういった個々の素晴らしいところにもまして、ネタに徹した姿勢に何より共感する。雫パートにしろ、うたわれパートにしろ、ネタに関する以外のことは書くまいとする潔さが感じられた。 そのお陰で、5レス、綺麗にまとまったのだと思うし、ついついだらけた文を書きがちな私にとっては目の覚める経験をさせていただいたように思う。 ……といいつつ、こうして纏まりのない長文感想を書いてるわけだけど(w
「祐一・美汐夫妻の『KINGFISHER GIRL』」 こっ恥ずかしい話だけど、素直に面白かった。 お醤油を買ってきてくれ、とは、上手く美汐らしいところをついていると思う。 テーマ「なんでもあり」に絡めたのも評価したいところ。 後半、「結局なにがしたいねん」状態になってしまったのが惜しいけど、まぁ、夫婦漫才と考えればそれもアリかな。 「探し物」 探し物をしてる女の子と言えば、羽リュックぱたぱた………(w 「姫始め」 また「なんでもあり」キタ━(゚∀゚)━!! 確かにおバカな内容ではあるけど、ある意味期待通りのオチとも言えるね。 仲良さそうな二人が、実にハッピー。軽い文章の雰囲気もいい。 琴音と雅史に言及したのは余計だった気がする……。 取りあえずここまで。
>>506 のお言葉に甘えて、ひとつだけ。
「瞼の長森」が一番印象に残った。
一瞬「あれ?オチは?」と引っかかってしまうタメが
オチを鮮やかに引き立たせている。
最後の一文なんかはいいユーモアでニヤリとさせられた。
「なんでもあり」にふさわしい題材だし、
オリキャラSSもアイスのウェハースみたいなもんで新鮮だ。
感想行きます。 うたわれはやってないのでパスします。 >あなたを想いたい 序盤〜中盤のテンポと文章には引きつける物があります。 残念なことに後半の展開が急すぎるように感じられますし、 いまいち理解出来ませんでした。 最初の雰囲気のままで行ってほしかった。 あと、バキネタが作風にあっていないです。 >天使が消えない まず、面白さは置いといて、一番読み辛かったです。 キャラの内面を書きたいのはわかるのですが、もう少しまとめる事が出来たのでは。 特に最初の独白は長すぎて、「自分の人生に酔ってるのか?」と思いました。 ここらへんはもっとスリム化してほしかった。 上記のような積み重ねで木田君が哲学家みたいになってしまったのと、 恵美梨は兄貴の事をここまで考えているタイプじゃ無いのではと思いましたが、 ここらへんは天使のプレイ観で変わるかもしれませんね。 >姫始め ほのぼのしましたw >Unoriginal sin 佐祐理批判をしただけで終わっています。 そのせいで、どうにも投げっぱなしの印象が強いです。 ここからが本番なのではないでしょうか。 >メイドロボSとM タイトルの着眼点は良いです。 ギャグや会話のテンポもいいし、オチには笑いました。 SM風景をもっと詳しく書けば、もっと面白くなったんじゃないかな。
>das liebliche Weihnachten 甘々な雰囲気が良く書けています。 が、それ以外が伝わってきません。 ラブラブデートだけで終わってしまった感があるので、 私としては、もうちょっと起伏がほしかった。 >瞼の長森 読む人を引き込む文章力があります。 起承転までは流れるように行ったのに、オチがちょっと弱かったかな。 あと、登場人物二人がときたまどっちがどっちだかわからなくなりました。 違いを作ってほしい。 >Birth 序盤〜中盤にかけては、引き込まれるものがありました。 後半がちょっと、あっさり気味。 『赤ん坊は〜』の使い方は良かったです。 >Deep in Myself あんまり須磨寺っぽく見えませんでした。 あと、どうもキャラの感情がわかりにくかったです。 >雪月花 今回で一番、物語に引き込まれた作品でした。 しかし、オリジナルキャラの弱点として「一から背景を説明しないといけない」 があるので、そこらへんが足を引っ張って感情移入を妨げました。 あと、オリキャラ自体の数も少し多めでした。
総評 うーん。全部が平均点以上だと思いましたが、飛びぬけて素晴らしい作品も 無かった気がします。 最優秀作は個人的に気に入った「メイドロボSとM」 優秀作に「瞼の長森」「雪月花」 を推薦して終わります。
514 :
499 :04/01/15 04:05 ID:DAr6gSN6
SFSSの3本。
「あなたを想いたい」
>>274-280 シリアスかと思いきや、突然の壊れっぷりが(・∀・)イイ!
板垣絵のマルチを想像しちまった。
「終わりの世界」
>>366-371 今で言うとマトリックスかな。
生物工学が自分の専門なもんで変に細かい所が気になるのだが、まあいいや。
短編だと説明が多すぎても少なすぎても支障が出るから、もう少し長編向きのネタだったかな?
発想は面白いし綺麗にまとまっていると思う。
「メイドロボSとM」
>>401-408 長々と前フリをしてきてるわけだけれども、書きたかったのは
>>408 のただ1レスだね?
その情熱に乾杯。
歌舞伎だったら大向うから「待ってました!」と掛け声をかけたい気持ち。
hosyu
感想参ります。 >あなたを想いたい 「あなたを想いたい」、いい曲だよね。 こういう、歌詞と地の文やらセリフやらを重ねるやり方は好き。 で、原作のマルチ再起動シーンのテキストが来て、 バキかよ_| ̄|○ いや、マルチ復活六連呼は笑ったけど。感想期間があと2週間早ければもうちょっと評価は上がったかも。 >天使が消えない 「浅墓な考え」という言葉が誤字なのかわざとなのか悩むような、そんな作風。わけわからん? 俺もわからん。 内容としてはアレですな。恵美梨シナリオ。その一言だけで通じるような。 このまま天12に隠しシナリオとして紛れ込んでも違和感は覚えない気がする。それくらい完成度は高く見えた。 ラストに例の3行を入れても良かったと思うけど、あえて入れなかった? >今宵、この月明かりの下で君と うっかり侍(;´Д`)ハァハァ。 ごめん、われもの未プレイにつき、キャラ造形等(トウカ以外)は書けません。 えろ度は水準以上、えろSSとしては十分な出来だと思います。 >祐一・美汐夫妻の『KINGFISHER GIRL』 「何が欲しいの?」「お醤油ひとつ」っつったらベルダンディーですか。 内容的にはコメントしづらい。あえて一言言うなら、なんか違和感が残った。 美汐モノに必要な大事なパーツが1つ欠けてるような感じ。 >探し物 わからない。この手の作品は苦手かも。 結局何を探してるのかがわからないから、やっぱりなんか違和感が残る。
>終わりの世界 これはわれもの未プレイだと致命的なまでに理解できないかな。 受けた印象はPC9801時代のエルフの作品「ELLE」。 >姫始め うん、あかりはこういうヤツだ。こんなあかりが大好きだ。 短い中できっちりあかりがあかりやってるいい作品。 >Unoriginal sin いいねぇ。これでハッピーエンドだったら洒落にならない駄作だけど、救いがないまま終わってるあたりがいい。 ただ、他人の心象さえ読める“まい”というキャラが原作を逸脱しすぎてて、「面白いけど納得できない」作品になってる気がする。 >メイドロボSとM 長瀬主任……てめえワタマンかよ(w ショートギャグとして普通に面白かった。マルチがぺちぺちやってるシーンとか目に浮かぶようで。 あえて言うなら、オチがない。 >das liebliche Weihnachten 「兄妹」という便利な単語もありますのでよろしかったらご利用の程を。ATOKなら「きょうだい」で変換可能です。 ふつうにいい話。ふつうにかわいいし、ふつうに萌えるし、でもふつうだから後には何も残らない話。 ところで“まい”が舞と完全分離単独行動可能だってのは実はよくある話なのか? “まい”と舞は舞シナリオ終盤で完全に溶け合ったというのが俺の解釈なわけだが。 >瞼の長森 葉鍵板SSコンペスレに「葉鍵板住人SS」が書かれたのは初めてではあるまいか(w いや、なかなか楽しめた。長森スレに行けば「え? そんなの日常茶飯事だが」とか答える人も多かろうて。
>Birth 話としては悪くない。悪くないはずなんだけど、作品全体に対して微妙な違和感がある。 多分、前提条件が納得いかないから違和感が発生している気がする。 誰かとの「絆」を楔にして「えいえん」から帰ってくる、ってのがONEの世界の前提条件だと思ってるから、 「絆」無しに単独離脱を試みてる浩平に違和感があったんだと思う。悪いけど、このSSは俺には納得いかなかった。 >Deep in Myself >返事はもちろん――イエス。 ワラタ。ウケ狙いかどうかはわからんけど。 なんか、全てにおいて中途半端な印象。えろとして中途半端、シリアスとして中途半端、話として中途半端。 「中途半端」という結末は有りだと思う。でも、「中途半端」には「中途半端でした」という結末表現があるべきだろうし、 それが無いためにこのSSは「続きマダーチンチン(AA略)」という中途半端に終わってるように思えた。わかりづらい感想で失礼。 >雪月花 Kanon? 申し訳ないが、尾崎豊が大嫌いな身としては、この手の話は嗜好の範疇から完全に外れる。 あと原作キャラがオリキャラの踏み台にしかなってない所もイマイチ。 以上です。 最優秀は脳内陪審員15人満場一致で「天使が消えない」に。 次点は短いながらも犬チックな「姫始め」に。
今回は、読んだ価値があったとおもった作品にのみ、感想をつけてみた。
天使のいない12月は遊んでいない、と付記しておく。
>>284-320 天使が消えない(恵美梨)
まず、これだけの長丁場を書ききった点を評価する。
クリスマスに締めくくられるSSを、そのおなじ聖夜に投稿した洒落っ気も。
内容は相当に重苦しいが、確かな熱気を孕んでいて長尺を感じさせなかった。
(余談だが、読み進めていてProject-μの怪作「忘れな草」を連想した)
また、書き手が情景を的確に把握しているようだ。
>「ふうん。でもあの子、寂しそうにこっち見てるわよ」
>「そうですか?」
> 明日菜さんの罠だと思ったので振り向かなかった。内容までは聞き取れないが、恵美梨と須磨寺の声が聞こえる以上、そんな見え透いた手には引っ掛からない。
たとえばここ、木田君と明日菜さんだけに目がいっているとなかなかこうは描写できない。
あと、5レス目の食卓描写が空腹をそそられて秀逸。
ただ、ヒロインたちの服装や容姿にいっさい触れられてないのは残念だった。
発売されてさほど時がたってないのだから、俺のような原作未体験な読み手は少なくないと思う。
そういった者どもでも作品に入り込みやすくなるために、そのあたりに気くばりもほしかった。
あと瑕瑾をつついておく。『金枝玉葉』は金科玉条の間違いか?(言葉どおりの意味なら皇族を指す)
かぐや姫が貴公子に貢がせる至宝をおもいだした。
>>353-354 祐一・美汐夫妻の『KINGFISHER GIRL』(美汐)
>「・・・そう言えば、お醤油がもうすぐ切れそうなので買ってきて下さいな」
語尾がいかにも中年女性らしい。この箇所のみならず、全体としてこまやかで読みやすい文章だ。
ただ、読みやすく淡白すぎて、薄口の醤油うどんのようにつるつる最後まで進んでしまう。
(たとえば『キッコーマンの本醸造減塩しょうゆですから間違っては駄目ですよ』
というように固有名詞で醤油の銘柄にこだわりを見せれば、その印象も緩和されるのでは?)
また、2レス目15行目以降の泣かせの部分はいささか無理があったと感じてしまった。
地の文なしの会話SSでは、ほのぼの萌え以外のシチュエーションを魅せるのは至難ではないだろうか。
>>385-397 Unoriginal sin(舞、佐祐理)
並々でなく理屈に偏した作品だが、それが見所でもあった。
強引に落ちをつぎはぎしてないのも、書き手か作品の誠実さをうかがわせて好印象。
まいが語るような死生観に俺は共鳴しないが。
>>411-430 das liebliche Weihnachten(舞、佐祐理)
甘やかで安らげた。シルバーのチョーカーを結んだ祐一も男前だ。
だが彼がおのれの幼女趣味を認めない部分は、いささか見苦しい。
同年齢の浩平はイブの繭とのデートの際、衆人環視のレストランで彼女を恋人と断言していたが。
外見はまいよりやや年長だが、言動はずっと幼い知恵遅れの繭をだ。真の大勇の持ち主だ。
>>446-462 Birth(ONE、みずか)
モノローグ偏重で自家中毒を起こしている、というのが偽らざる印象。
えいえんについての解釈の相違は置くとしても、
17レスも費やして登場人物が浩平とみずかのふたりのみの点も、
場面転換がほとんどなくダイナミズムも感じさせない点も、
作品の閉塞状況を象徴しているのでは。
現状では、作品じたいが閉じている。これではタイトルどおり「産まれた」のはいいが、
どこにも歩き出せないまま立ちすくんでいるしかない恐れすらある。
……お節介だろうが、橋本治の評論でも読んでみたらどうか。
>>465-480 Deep in Myself(雪緒)
文章が至極安定している。安定しすぎて衝迫力が弱い。
雪月花
ttp://kita-kao.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/test/read.cgi?bbs=sscompe&key=1052837751&st=13&to=45&nofirst=true 書き手の熱意は伝わってくるが、描写に比して説明パートが長すぎる。
まるであらすじを読まされているようだ。
最優秀は「天使が消えない」、次点として「Unoriginal sin」を。
このスレのSSの出来は某いたちん氏主催のコンペに充分匹敵するものだと、今回俺としては確信した。
>507-509から続きです。 「メイドロボSとM」 え〜と、え〜と。 ……。 ……萌え。 マイリマスタ_| ̄|○ホカニコトバガオモイツカナイ 「das liebliche Weihnachten」 まい……。 微笑ましいことは微笑ましいんだけど、なんか違和感がある。 10歳ぽくないというか、行動が鼻につくというか、記号化しすぎというか、定番の展開に頼りすぎというか……なんかそういうところが気になってしまった。 作者さんとの萌え志向の違いかな。ここまで子供だと私は守備範囲外だなぁ。 それと、ほかの人にも指摘されるだろうけれど、改行が変だ。 ずいぶん興を削がれたyo。
いきなりですが、以上>507-508>521で終わります。 ダーク系をうたった3作は注意書きに甘えて、 ONEの2作は原作を知らないから、 天使の2作は読んでる途中で凹んでしまったので(ごめん、私は天使の退廃感が好きではない)、 それぞれ作者さんには申し訳ないけれど、スルーします。。。 テーマ縛りがないと、こういったSSには興味を持ちづらいかな、とも思いました。 結局読んだのは、ほぼ半分の8作どまり。 ただ、この8作はどれも面白かったし、それだけで十分元が取れたように思います。 最優秀は「終わりの世界」に。一発ネタだけれど、隙のない完成度と、鮮烈なイメージに敬意を表して。 私的最優秀 「終わりの世界」 私的最萌 「メイドロボSとM」 1レスから37レスまでの異種格闘技戦は壮観でした(w。
他の感想を見ずに書いているので重複する部分があるかもしれませんがそこはご容赦を
>>274 『あなたを想いたい』
プロトタイプマルチのデータがシンクロニティを起こしたのは理解できます。が、世界レベルで
こうなるというのは偶然にしても出来すぎ(ご都合主義的)です。ギャグなのかシリアスなのか。
>>284-320 『天使が消えない』
雰囲気は出てるがそれ以上ではないのが正直な感想。延々とモノローグが続き、時折状況描写が
混じるという感じで、作者が1次作品の要素を活用して何を書きたいのかが伝わってきません。
>>331-349 『今宵、この月明かりの下で君と』
AVGに比してシナリオが弱くならざるを得ないSLGを題材にしてSSを書くのは難しいのでは。
ましてえっちっちを描くのは。
>>353-354 >>361 は割愛
>>367-371 『終わりの世界』
クロスオーバーにすれば、全く異なる世界観を強引にでも結びつけることは可能です。が、
それだけに頼ったのでは単に突飛な話で終わります。
>>374-377 『姫始め』
お約束といえばお約束で、良くも悪くも特徴のない作品。浩之に直接せりふを言わせないのは
一工夫したのは窺えます。
>>385-397 『unoriginal sin』
三人のトラウマを掘り起こす意図は理解できます。が、『まい』が『舞』に報復するべく佐祐理と
祐一を糾弾するのは、それこそ作中にある筋違いなものではないでしょうか。
>>401-408 『メイドロボSとM』
いわゆる一発ギャグとしては申し分ない出来。だが、人間ではなくメイドロボの優越感・劣等感
ストレスへの防御機能を云々する点はちと引っかかりました。
>>411-430 先の作品と同様、『まい』が実体化する点がご都合主義的。読者を『萌えさせる』には
十分だとは思いますが。
>>433-443 『瞼の長森』はオリキャラものなので割愛
>>446-462 『Birth』
最初の方の作品にも書きましたが、延々とモノローグが続くというのは…。
>>465-480 『Deep in myself』
『天使のいない12月』自体薄味なゲームであるゆえ、どうしても雰囲気重視になるのでしょう。
この作品からもそんな印象を受けました。
『雪月花』はオリキャラものゆえ割愛。
最後に SSのような二次創作で肝心なのは『元ネタを自分なりにアレンジすること』だと考えています。 文章そのものに差をつけることが出来るかどうかと尋ねられると、正直首を傾げざるを得ません。 というのも、誤字脱字や文法的なミス等は『正誤』を指摘できますが、文章が硬い、砕けているといった 文体に優劣などつけられないからです。 文章力は、あくまで自分でアレンジしたネタを読者に伝えるのに必要なのであり、それだけを 重視していたのでは、自分の個性を出すことは出来ません。 (確かに文章での差別化は出来なくもないですが、作品の骨格を成すネタでの差別化に比べると 瑣末な違いに留まります) 先ずは1次作品の特徴を見つけてそれを強調する、またはそれに関する自分語りをする 『パロディの気持ち』を持つことが二次創作をする上で必要ではないでしょうか。
【告知】 ただ今をもちまして、感想期間を終了させていただきます。 投稿された書き手の皆さん、感想をつけてくださった読み手の皆さん、 そして生温かく見守ってくれていた ROM の皆さん、どうもご苦労様でした。 引き続きこのスレでは、今回の運営への意見、書き手の挨拶、 次々回のテーマの決定などを行いたいと思います。 上記のものやそれ以外にも意見が何かありましたら、書きこんでください。 ※次回のテーマは『戦い』に決定しており、開催時期は 1 月下旬になる予定です。 ※今回決めるのは次々回のテーマです。お間違いのないように。
どうも、『天使が消えない』で初参加させていただきました。 天使がいない12月SSを書きたい欲求と、 クリスマス投稿を果たせる状況と、 天使がいない12月SSの読み手が存在するかもしれないという期待の全てを満たすのはここぐらいだと街の長老に教えられての初投稿でした。 経験があまり無かったもので、無改行長文禁止と改行多用禁止、連続投稿禁止のエラーなどに悩まされ、怯えたのが今となっては思い出です。 長く重く、更に内容的にも読み辛い代物になり、読んで下さった方には本当にお疲れになったことと思います。 >◆2tK.Ocgon2さん 進行の方、お疲れ様でした。 保管して下さっているところのを元々のものに差し替えたいのですが宜しいでしょうか? 投稿する為に改行を余儀なくされたり、空白をズらしたりしているので。 あと、指摘されたミスも修正したいもので。 皆様、感想の方本当にありがとうございました。
>0OykGnQdさん フライングということでこうして取り上げるのは良くないことでしょうが、 こちらとしては長文で引かれてしまうのではないかという不安があったもので、この反応は嬉しかったです。 こちらこそ、ありがとうございました。 >dowucCskさん 未プレイ作品で長文ということにも関わらず読んでいただき、どうもありがとうございます。 読み物を書いた者としては、最後まで読ませられるものであったのであれば本当に嬉しいです。 >EArYP4eeさん 原作には無い木田の性格と行動の変化は受け入れられないのではないかという不安があったのですが、好意的に受け取ってもらえたようでホッとしました。 原作の空気だけは堅持したかったので、その辺の意識も何とか出せたようでそう感想でいただけるととても嬉しいです。 >Q+3LboT+さん 自分の中で木田の性格の変化を最初で片付けたがった分だけ、冒頭はちょっとくどかったかも知れません。 哲学家風にかどうかはわかりませんが、木田の自分酔いは本編より濃厚になってしまった気がします。 恵美梨については、実の妹を持てば少しは違った考えを持てたかもしれません。どうもありがとうございました。
>JfnKdYSXさん 「浅墓」は普通は使わない当て字で、典型的なPC変換の部分でした。指摘、どうもです。 ラスト3行は、書いた時は外した方が良いと思って避けたのですが、今考えるとあっても良かったかもしれません。 >s0tkZ6Cuさん 二次創作という設定ありきというものに胡坐をかいてしまいました。 確かに最新作なのですからその辺を考えるべきでした。他の方も未プレイの人が多いみたいですし。 クリスマス投稿は狙っていたので、そう言っていただけるとかなり嬉しいです。なんでもありということで季節物こそがというのが参加した理由の一つですので。 金科玉条を金枝玉葉と間違えたのは恥ずかしい限りです。ご指摘本当にありがとうございます。 食事風景や会話の描写で評価いただけたのも嬉しかったです。ありがとうございました。 >甘えん坊将軍さん 何を書きたいのかが伝わってこないとのご意見はかなり耳が痛いです。 自分では一応あったのですがそれが文章を通して伝わってこなかったのは単純にこちらの力不足でした。今後の更なる課題にできたらと思います。 ただSSに関する考え方はあまり一致しないもので甘えん坊将軍さんが読みたいような作品はなかなか書けないかもしれません。 ただ本当にいいものは誰に対してもそれなりにはいいものな筈なので、それを目指して頑張れればと思います。 改めて、どうもありがとうございました。そしてお疲れ様でした。
>529 最優秀(っぽい)おめ。 >保管して下さっているところのを元々のものに差し替えたい 了解です。差し替えるものをどこかにうpしていただくか、こちらまでメールしていただけますか?
差し替えって可能なの?
初めまして。こんにちは。『雪月花』の作者です。
今回、投稿に手間どり皆様に迷惑を掛けた事を、改めてお詫び申し上げます。
まことに、申し訳ありませんでした。
さて、作品解説というのもおこがましい気がするのですが、少しだけ作者としての戯言でも……。
何と言うか……名雪シナリオの疑問、他のシナリオでは起こらない『試験』や『交通事故』を自分なりに考えた結果というか。
テーマの『何でもあり』に甘えた結果というべきか。考え初めは当然『Kanon』ありきだったのでしたが……。
自分の苦手ジャンルをすべて詰め込んでも楽しい作品に出来る(したい)と思っていましたが、
まだ、こういう作品を書くのに作者は力不足だったのでしょうね。はふぅ。
しかしまだこれからだ、と奮起してみます。次には今より良いものを作りたいですから。
>>512 感想ありがとうございます。物語に引き込まれた、とは嬉しい言葉です。
ただ、背景を描くための文章量増はSSでは好まれないものですから、反省点多いですね。精進させて頂きます。
>>529 はい。『Kanon』ありきで始めた物語です。しかし疑問に思われる辺り、作者の力不足を露呈してようで恥ずかしい限りです。
これから精進させて頂きますね。
>>521 熱意は、空回りすればそれだけのことになりますから。この辺、難しいです。
あらすじ、のように思われたとのこと、もう少し構成を練りこむことに致します。
『初心忘れるべからず!』『雪、降る夜に』『空に響く君の声』『キレイな桜と凄いサクラ』『MOON.-the last night-』
そして、今回の『雪月花』。何気に一年間、コンペスレにはお世話になりました。しみじみ、します。
本当に皆様方、感想ありがとうございました。
これからも、作者として感想人として、よろしくお願い致します。
>533 改行とか誤字脱字の修正なら問題無いんじゃなかろうか。 内容に関するさしかえは控えるべきだと思うけど。
業務連絡です。
>差し替えとか
感想期間終了後(これ重要!)はケアレスミスや整形について修正可能です。
過去作品に対しても、保管所の掲示板かメールで伝えていただければ直します。
特に回収プログラムは新作したばかりなので、ひょんなバグがないとも限りません……。
ついでに、保管所収録時の整形に関してお知らせというか再確認です。
基本的にはレスの変わり目ごとに空行が1行挿入された形で収録されますが、
投稿時に指示した場合は指示どおりの形で保管庫収録することになっています。
(参照:
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1035/10359/1035975262.html の
>>28 -)
気になる人はどうぞ活用を。
>次々回テーマ
最近出ていたテーマ案です。議論の参考に。
「容量制限(1レスor2レスSS限定)」「If」「イベント」「時間」「お願い」「ヒーロー」「再会」「食べ物」
みなさんこんばんは。今回もSSを読んでいただき、ありがとうございました。
『今宵、この月明かりの下で君と』そして
『das liebliche Weihnachten』作者です。
前回はPCトラブルで参加できなかったこと。そして『最初に投稿した18禁SSとは別の方向で萌えSSを書きたい』という衝動から、初
の2作投稿にチャレンジしてみました。
今回は『萌え』が全てでしたので、最優秀賞を取れなかったのは残念ですが、みなさんが少しでも私のSSで萌えてくれたのなら書いた甲
斐がありました。
では作品解説からいきます。
・今宵、この月明かりの下で君と
SS暦3年にして、初めて書いた18禁SSです。18禁を書いた理由は単純に、『テーマがなんでもありじゃないと書くチャンスがない
』と思ったからです。私のサイトでは18禁SSは公開してませんし。サクヤをヒロインとしたのは、私がうたわれでサクヤ萌えであるこ
と。でもサクヤにはHシーンがなく、個人的に物足りなく、『ならばいつか自分で書いてみよう』と計画していたことを今回実行に移す機
会があったからです。
『エロ』よりは『萌え』を追求したつもりのSSですが、やはり書いていてかなり恥ずかしかったです。たぶん当分…あるいは二度と18
禁は書きませんw
・das liebliche Weihnachten
正月休みを利用して書き上げた、『萌え追求』SS第二段です。最初が18禁での萌えを追求していたので、今度は幼女とのラブラブ甘々
をテーマに萌えを狙ってみました。
ちなみに、『Unoriginal sin』の方と『まい』が被ったのは本当に偶然です。
ようやく書き上げて投稿しようとしたら、『まい』がメインで、しかも私の作品と正反対の重いSSが既に投稿されていたのでびっくりし
ました。
ちなみに、
>>501 さんへの返信ですが、タイトルは予想通りドイツ語です。
『可愛らしいクリスマス』あるいは『ちっちゃなクリスマス』とでも訳してください。
ドイツ語にしたのは特に意味はないです。私が大学でドイツ語やってたのでドイツ語にしただけです。
では、個別レス行きます。
なんだ? また改行が…メモ帳からコピペした時におかしくなるみたいです。
>>499 さん
シチュエーション、展開に無理があったのは否定できません。
まいと祐一のデートを通して『萌え』を極める、そのためだけに書いたようなSSですから。
>>501 さん
タイトルに関しては納得していただけましたか? あと、ご指摘ごもっとも。なんか書いてて、
『これじゃまいじゃなく、ただの幼女と言っても違和感ないな…』と思ってましたから……。
あ、ちなみに私はロリコンじゃないですよ?w サクヤがロリ化してるように見えたのも……たぶん妖精さんの仕業ですw
>>503 さん
萌えました、その一言だけで書いてよかったです。今回。
ちなみに私のサイトではうたわれは書いてないですよ。私のサイトはKeySSのサイトですからおそらく人違いです。
過去にここにうたわれSS『あなたには幸せを 私たちには思い出を』を投稿したことはありますが、この作品も他のサイトに寄稿しましたし。
>>507 さん
エロが苦手なのに、細かいところまで読んでいただきありがとうございました。
耳ピョコピョコは、うさ耳の可愛らしさを増大させる仕草だと私は思ってますので、さりげなく入れました。
ただまあ、萌え志向の違いはいたしかたないですね。『まい』が守備範囲外なのは仕方ないです。
私自身幼女趣味はない(たぶん)ので、まいの書き方に苦労しましたし。
改行に関しては、不可抗力です。
メモ帳で書いたときにはあんな改行にならなかったのに、投稿したらあんな変な改行になっていました。
とはいえ、全部投稿して読み返すまで気がつかなかったので、最初に気づいていたら途中のは防げたのでしょう。私のミスです。
>>511 さん
うたわれ未プレイなのは残念です。
私としては、『das〜』の方も、『萌え』一本やりで書いたものなので、確かにそれ以外のものがなかったと思います。
いちおう私の目的は達成されたわけですが、やはりこれだけではこのコンペで高評価をもらうのは厳しいですね。
>>517 さん
エロが十分……初挑戦の18禁SSでそのような感想をいただけるとは思っていませんでしたw
書くの結構苦労しました。他のサイトの18禁SS読みまくったりしてw
まいの解釈にはいろいろあるでしょうね。おそらく貴方の解釈のほうがゲームの終わり方的にはしっくり来るでしょう。
しかし、『一度生み出したものだから、融合してももう一度生み出せるはずだ』『せっかく自我を持った存在として生み出されたのだから、
消滅させるのはちょっとかわいそうだ』という私の脳内設定により、私のSSでは自由に動ける設定としただけです。
>>520 さん
そこ(浩平は繭を恋人宣言していた)は私も書いている中で考えました。ちょうど同じようなシチュエーションでしたし。
ですが、祐一には既に舞という恋人がいるので、祐一はまいのことを最初は妹、もしくは保護すべき子供、くらいにしか思っていなかったという設定でした。
>>524 さん
本編ではあまり出番もHも無かったサクヤですから、せめてSSでは活躍させようかと思いまして。
本編では語られなかった、戦いの間のひと時のドラマがあってもいいじゃないか、私はそう思ってます。
まいのご都合主義は…はい、否定はしません。まいを出すために説得力のある展開まで思いつけませんでした。
うたわれるもの、DVD版も出たことだしプレイ人口増えたかな? と思っていましたが、まだけっこう未プレイの方いますね。
個人的には良作だと思っていますから、未プレイの方にはぜひお勧めします。(ルーツも天いなもまだ未プレイの私が言えることではないですが)
さて、今回の作品のうち、『das liebliche Weihnachten』はそのうち私のサイトにアップしたいと思います。
『今宵〜』の方は、私のサイトに載る事はないでしょう。個人的に出来としては十分に満足していますが、それでも私が18禁を書いたことは
黒歴史として、このこんぺスレだけの秘密にしておきたいので。(笑)
あ、次々回のテーマどうしましょうか?
季節柄、ストレートに『バレンタイン/ホワイトデー』などどうかな? と思っていましたが、
まだ使われていないテーマ案もけっこうあるんですねぇ…。
「瞼の長森」を書いたものです。
オリキャラオンリーという反則じみた話にもかかわらず、読んでいただいた皆さん、どうもありがとうございました。
「なんでもあり」のテーマに甘えるような話だったわけですが、感想を下さった方には
思いのほか好意的な意見を戴けて、嬉しかったです。
それ以上に、今回まとめ・進行役の◆2tK.Ocgon2氏に対し、ずいぶんと失礼で無配慮な形の投稿に
なってしまったことを、お詫びしたいと思います。
本来この話で狙っていたオチは、前書きや後書きに見せかけた
>>432 や
>>443 も含めて一編のSS、
つまりは投稿者が作中の「僕」であった、というふうなオトしかたでした。
「Y」がえいえん送りになっちゃって、「僕」は「Y」のことをすっかり忘れて、
彼に関する文章をSSに仕立ててこのスレに投稿しちゃったよー、というメタちっくな話、というか。
「ぐへへ、前書きからしてすでに伏線なのだ、誰も気付けまい、ぐふふ」ちう狙いだったのです。が。
結局締め切り間際までバタバタし、おまけに効果的なオチの提示の仕方も思いつかないまま
半分勢い任せで投稿し、投稿してから「しまった、保管庫のことをすっかり失念してたっ」ことに
気付くという有様で、結果
>>443 と
>>444 でなにやら混乱してるようにしか見えないシロモノになってしまいました。
保管庫のことに気付いた時点で、なんらかの説明を◆2tK.Ocgon2氏にするべきだったのでしょうが、
見栄と保身と優柔不断で、結局何も言わずに済ましてしまいました。
なんというか、無責任ここに極まれり、ってかんじで。ホントすんませんでした。
またヒマな時にでも、
>>443 だけでも保管庫の方に追加していただければ幸いです。
>>540 ……気付かなかった。やられたーって感じ。点数1点プラス(w
>>540 何か意図があるだろうと思って多少そのメタ的な可能性も浮かんだけど、
間違ったら恥ずかしいので言わなかった・・・。
メタで読むと話がひっくり返るような大きな仕掛けというわけでもないので、
サラッと思い過ごしちゃったのかもしれない。
または、オチが示唆に止めるだけでは伏線として少し弱かったのかもしれない。
あからさまなオチだとスマートさに欠けると思うかもしれないが、
そこら辺のさじ加減が難しいんだろうなあ。
これ系の話は、本編でも消えるまで書いて、後書きの方で仕掛けるのが多いような気がする。
今回は作者さんの挨拶が早めに出てきてるな。もう4人も。
次々回のテーマどうするべ?
たまには没になったアイデアの中から選ぶのもいいかもしれないが、俺には
どれがテーマに向いてるか分からん。
>>540 のは俺も気づかなかったな。
しかし、サクヤとちびまいのSSの作者が同じとは。
おお、そういえばどっちもヒロインがロリでうさ耳…作者いい趣味してるなうわやめろなにをす(ry
保守
テーマは三月だからこそやってほしい「卒業」を推薦します。
『メイドロボSとM』を書いた者です。読んでいただき、ありがとうございました。
「過去のテーマ」の時に参加して以来、数ヶ月間何も書いていなかったんですが、
今回は「何でもあり」ということで力作が集まっているのを見て、参加してみたくなりました。
>>504 さん
ありがとうございます。
久しぶりに書いて不安だったので、少しでも楽しんでもらえた人がいてほっとしました。
>>511 さん
気に入っていただけて光栄です。
SMは得意なわけではありませんが、今後精進して勉強してみます(w
>>514 さん
>長々と前フリをしてきてるわけだけれども、書きたかったのは
>>408 のただ1レスだね?
そうですね。イメージとしてはセリオがSっぽくてマルチがMっぽいと思うので、逆にしてみよう、
というのがそもそもの考えでした。
>>518 さん
>あえて言うなら、オチがない。
確かにギャグものとしてなら、ちゃんとしたオチが必要だったかもしれませんね。
今後、こういうジャンルのものを書くときにはもっと考えてみたいと思います。
>>522 :名無しくん、、、好きです。。。 さん
ありがとうございます〜。
好きなキャラで書いて「萌えた」と言われると凄く嬉しいですね。
>>525 :甘えん坊将軍 さん
不自然な設定だったでしょうか。やはり設定に関しては注意が必要ですね。気をつけます。
意見や感想を下った皆様、どうもありがとうございました。
それでは失礼します。
テーマ「卒業」っていいかも。
卒業でいいかな。 開催時期も3月にピッタリ合うし。
ちょいと失礼して挨拶とお礼を。『Deep In Myself』を書きました。
これで3作連続締め切り間際。進行役の人には本当に申し訳ないです。次こそは、次こそは余裕をもった執筆と投稿を(ry
目を通していただいた皆様、感想をくださった皆様、どうもありがとうございました。
今回狙ったのは「天いなっぽいエロ」。
条件としては、強引なシチュ、主観重視、悲観的、理屈っぽい、盛り上がらない。
この時点で物を投げられそうなのですが、とにかく私はそういうイメージを持ちましたので、ひとつこれで書いてみようと。
まぐろの雪緒と組み合わせれば上手くいくかと考えました。うぐぅ。
>>504 氏
キャラが暴走して、らしくなくなるのは、私のSSでいつものことなので、
キャラに期待して読んでくださった方には、本当に申し訳ありませんとしか。
たまには、キャラ重視の書き方に挑戦してみるのもいいかもしれませんね。
>>512 氏
後半から暴走が過ぎたと自分でも思うのですが、前半もしっくりこなかったでしょうか?
>キャラの感情
これはいつも言われてますね。気を付けてみます。
>>519 氏
>返事はもちろん――イエス。
え? そんなアホな文、書いた記憶がないぞ?と思って読み直してみました。
……_| ̄|○テツヤハヨクナイナ
何事にも中途半端、痛い言葉です。が、正にそのとおりなので、「ちくしょう、次見てろよ」としか。
中途半端でも首肯せざるを得ないようなものが書けたら最高なんですけれどね(痕の初音シナリオとか)。
>>521 氏
文章は、須磨寺らしく、と書いたら、こんなふうになりました。安定しているとはあまり言われないものでびっくりです。
衝迫力……それは須磨寺'sビューで書く以上、存在してはならないものかと考えました。
そこが中途半端と指摘される所以で、衝迫力を排除するならするで徹底し切れなかったのだと思います。
>>525 :甘えん坊将軍氏
確かに雰囲気を重視しました。が、それ以外に仕込んだネタもいくつかありました。
それらを中途半端にしか伝えられなかったのは、ひとえに私の力不足でして、
あなたの仰る必要最小限の文章力すらなかったのかも知れません。うぐぅ。
>テーマ
「卒業」ならネタがあるー。「バレンタイン」も読んでみたいが、自分としては「卒業」に一票かな。
∧||∧
業務連絡です。 いつとはなしに静かな総括機関ですが、1週間経過しましたし、あと2〜3日ほどで次回の開催に入りたいと思います。 >感想期間 今回10日でやってみましたが、どうだったでしょうか? 次回も10日にするか、元に戻すか、あるいはもっと長く、という意見などがありましたらお聞かせください。 >次々回テーマ 現状では「卒業」が優勢のようですが、引き続き案・投票を募集します。
>感想期間 今回は比較的ゆっくり読めたんで引き続き10日か、もしくはそれ以上を試してみるのもいいと思うな。 >次々回テーマ 「バレンタイン」は去年やったので「卒業」がいいと思うな。
「Unoriginal sin」の作者です。
どうも今まで読んだ佐祐理SSは祐一が「弟は恨んでなかった」と言って救われたり、
弟の幽霊が出てきて許して救われたり、といったものばかりでさすがに飽きてきたので、
たまには違うのにしたろかい、というのが書いた動機でした。
極論であることは一応自覚してます。例えば
佐祐理さんは子供だった上に父親の命令だったのだから、責任の大半は父親にある
祐一はあゆをどうにかする義理はあっても義務はない
舞はまあ、本編のまいが「いつも舞の幸せを願っていて、魔物にされようが斬りつけられ
ようが決して恨んだりしない都合のいい存在」(*1)なので、罪は存在しない
という反論も成り立つのですが、良心を広く取るならこのSSでの理屈も一理くらいは
あるんじゃないでしょうか。あるといいなぁ。
ただ、それを書いただけで満足してしまって、何人かの方に指摘されたようにオチに
工夫が足りないのが反省点でした。(死者が許すことがない以上佐祐理と祐一は「幸せに
ならないことが正しい」し、かといって舞が狂って終わりってのも嫌だから舞は正道で、
とこんな形になりましたが、物語として面白くはないわな)
後は
>>518 の指摘や(*1)の点でまいが本編と違うのと、
>>525 の指摘のように佐祐理と
祐一への糾弾がまいの報復に見えてしまうのがマイナスでしたね。「報復は関係なく、
単に事実を事実と指摘しただけ」というのを前面に出すべきでした。
それでは、感想ありがとうございました。
今回『Birth』を投稿したものです。
それでは挨拶を。
>>504 感想ありがとうございます。
気に入られたようで、書き手としても嬉しいです。
心理描写については、自分ではまだまだ甘いな、と思うところがあります。
次回には、より一層満足していただけるような作品を書きたいです。
>>512 後半、というと、12レス以降ぐらいでしょうか。
構成力不足は否定しません。
課題として、今後に反映したいと思います。
>>519 絆は、依然として作中に存在しています。
彼は自分がいた世界を望み、自分の存在を信じ続ける彼女の絆を信じた
からこそ、えいえんから帰還できた、と自分は考えています。
ただ、違和感を覚えた、という感想は真摯に受け止めたいと思います。
>>521 『閉塞』という言葉が、身を摘まれるようで非常に痛いです。
彼が歩き出せるかどうか、それは分かりませんし、『生まれた』
後のことは、敢えて長くは書きませんでした。
『苦しいことはあったけど、今は笑って長森と会うぞ!』
なんて書いたら、それこそ嘘ですから。
歩きだせるかは分かりません。でも歩き出すしかないのだとも思います。
『生まれる』ことは、きっとそういうことだろう、と書いたものが拙作です。
それと申し訳ありませんが、橋本治なる人物は存じあげません。
ご紹介の評論、機会があれば読んでみようと思います。
>>525 芸風だから、と答えてしまっては怒られてしまいますね。
えいえんの世界での会話は、全て自分との対話だと考えています。
ですので、今回このシチュエーションを選ぶことで、自然に
モノローグ色が強くなってしまいました、お許しください、
……と考えてしまうこと自体が自分の弱さでしょう。
反省します。
『浩平が去ると、えいえんの世界はどうなるのだろう』と考えたのが、
今回の話を書くきっかけでした。
今回のように崩解してしまうかもしれないし、ただ一人、住人が消える
だけで、依然として世界はそこに在り続けるのかもしれません。
(茜の幼なじみのことを考えると、後者だとは思いますが)
きっと、この辺の考察など何万回もされているのでしょうが、自分の中では
このことを考えていくうちに、今回の以外にも色々と話ができ上がっていきました。
機会があれば、またどこかでこれらの話を書いてみたいと思います。
最後に、読んでくださった方、感想をくださった方、どうもありがとうございました。
今回の経験を糧に、以後、精進いたします。
業務連絡です。
>次々回テーマ
支持の多かった『卒業』に決定します。
>感想期間
>>553 以外に意見も集まりませんでしたので、正式決定は先送りということでよろしいでしょうか?
次回も10日間で様子を見ることにします。
想定スケジュールは、
投稿期間:1/29-2/12
感想期間:2/12-2/22
です。
投稿期間が2週間に戻る予定ですが、問題ないですよね?
以上で特に問題がないようでしたら、明朝8時をもって『戦い』の投稿期間に入りたいと思います。
スレ容量が残り少ないみたいなので新スレ立てなくては……。
立てられませんですた。。。 テンプレを張っておきますので、どなたかお手すきの方、代わりをお願いします。
葉鍵的 SS コンペスレ 13
ここは、期限内に与えられたテーマに沿った SS を書くスレです。
他人と腕を競いあうもよし、ネタで盛り上げるのもよし、テーマに沿っていれば何でも(・∀・)イイ!!
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん参加してみましょう。
このスレを育てるのは、あなたが紡ぐ言葉です。
・期間の設定や細かい変更点は告知のなかで発表します。
・テーマはこのスレの話し合いで決定され、開催ごとに毎回変更されます。
・その他、ルールや投稿方法、過去スレや関連スレは
>>2-10 あたりに。
【前スレ】
葉鍵的 SS コンペスレ 12
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1069068271/
【ルール】 ・テーマを決めて、それに沿った SS、シチュなどを書く。 ・書き手は全員名無し(書き手の知名度で作品の評価が変わるのを避けるため) ・書き手の騙りを防ぐために、作品ごとのトリップを推奨する。 但し、普段コテでトリップをつけている人は、それとは別のトリップをつけること。 ・投稿作品とそれ以外の書き込みを区別するために、投稿作品の前後には宣言をする。 ・告知及び投稿期間→感想期間→総括期間、という流れ。投稿期間終了までは一切感想をつけない。 ・感想期間では、参加作品について感想、評価などを行う。 なお、他の人の感想等に影響が出ないように、感想期間中は作者は身を明かさないこと。 これはコンペスレの内外を問わない。 ・総括期間では、書き手の挨拶、運営への意見、次々回のテーマの決定などを行う。 また、感想期間で評価が高かったものを選び、最優秀作品として推す。 ・各期間は以下のように設定する。 投稿期間: 2 週間 感想期間: 1 週間 総括期間: 1 週間+α(そのときに応じて期間は変化する)
【注意】
※必ず名無しで投稿して下さい(誰だか判らなければ良い)。
※特に、普段トリップをつけている方はご注意を。
(そのトリップと違うトリップなら構いません)
それ以外の手順は SS 投稿スレに準じます(以下に転載)。
|【投稿の手順】
|
|1:まず、投稿する旨を告知するカキコをすると良い。
| 「今から SS 投稿します。なお、××な内容です」など。
| 鬼畜・陵辱・スカなどのジャンルでは特に。読むのを嫌がる人もいます。
| (時間帯・スレの状態・信念・その他で省略可)
|2:書いた SS を 30 行程度で何分割かしてひとつずつ sage で書き込む。
| (名前欄に、タイトルと通しナンバーを入れると分かりやすい)
|3:回しは不要。旧スレからの変更です。
|4:最後に sage で作者名・タイトル・あとがきなどと共に、
| アップしたところをリダイレクトする(
>>1-2 みたいな感じ)と トッテモ(・∀・)イインチョ!
【よくあるかも知れない質問】 Q.複数の作品を投下するのは OK ですか? A.構いません。期間内でテーマに沿っていればいくつでも結構です。 Q.もうすぐ完成するから、締め切りを伸ばしなさい(`□´)くわっ A.終了間際の混雑などを考え、締め切りは延長される可能性もあります。 その際は、一言その旨をこのスレに書き込んでください。 ただし、完成まであまりにも時間がかかりそうな場合はその限りではありません。 Q.締め切りが過ぎてから完成したんだけど、ここに投稿していい? A.締め切りを過ぎたものについては、葉鍵的 SS Training Room や 内容に見合った別の SS 関連スレに投稿してください。 このスレは、決められたテーマと期間の両方を満たす SS を対象にしています。 Q.気に入った SS があったけど、みんな名無しだから作者がわからない。 A.締め切り後にこのスレで訊いてみましょう。教えてくれるかも知れません。 Q.投稿した投稿作品がリアルリアリティに汚染されてます。 A.ときには厳しい意見が付くこともありますが、別にあなたが憎いわけじゃありません。 良い感想職人さんはちゃんと理由も書いてくれますから、次回に役立てて下さい。
>>565 どうもありがとうございました。
次回の投稿は新スレに移ってやりたいと思いますんで、よろしくお願いします〜。
最初に曲を聴いたときの印象は「これはセリオの曲だな」って感じでした。 今回この曲を元にSSを書くにあたり、セリオではイマイチありがちかと考え、HM-12の話にしてみました。 マルチシナリオのエンディングでのマルチ覚醒シーンと重ねて、世界中のHM-12に「形のないこの恋心」が目覚める、って感じで。 書いてる途中で、頭の中に声が響きました。 「それってシンクロニシティやん?」 もう駄目でした。いくら考えてもバキが抜けませんでした。 なんかイイ感じに浮かんでたきれいなエンディングもどこぞに消え失せて、二度と戻ってきてくれませんでした。 「わたしをみつめて」ってセリフで終わる、ってとこだけしか記憶がありません。 ややウケよりはギャップを指摘される感想が多かったのもごもっともです。 とりあえず少しはウケを取れた、という事実を心にしまって明日からも強く生きていこうと思います。 というわけで、「あなたを想いたい」の作者でした。 ごめんなさい、ごめんなさい。カナブンよりもごめんなさい。
おお!? HMXさんの作品だったのか!!
>作者の皆様方
色々書きましたが、『文章』という点では甲乙をつけられなかったというのが正直な感想です。
何れの作品にもそのよさと書き手の熱意というものが感じられたのは偽らざる感想です。
以下、少々フォローをば。
>>546 マルチとセリオにSMの設定付けをするのは、アイデアとしても面白いし、それに至るまでの
過程にも説得力は感じました。
しかし、です。自分もキャラは違えど、似たようなネタを以前に書いているワケでして。
似たようなタイプの作品であれば、少なくともそれと同等以上のものでなければ手放しで
賞賛することが出来ないというのが本音です。
>・各期間は以下のように設定する。 >投稿期間: 2 週間 >感想期間: 1 週間 暫定10日にしといた方が良かったな。