葉鍵ファンタジーVI +感想スレッド

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511あぼーん
あぼーん
512あぼーん:あぼーん
あぼーん
513あぼーん:あぼーん
あぼーん
514あぼーん:あぼーん
あぼーん
515あぼーん:あぼーん
あぼーん
516あぼーん:あぼーん
あぼーん
517あぼーん:あぼーん
あぼーん
518名無しさんだよもん:03/02/02 22:14 ID:v+PTYBLq
ここも爆撃されてるわけだが。
519名無しさんだよもん:03/02/04 02:24 ID:937Nvoqb
うにゅう。激しく非ファンタジー的な爆撃……
520名無しさんだよもん:03/02/05 00:48 ID:+hBgyH0A
遅感想〜。

> 人間の証明

不気味な敵との緊迫した戦闘!……約一名変な反応してますが。
御堂の回想は伏線ですかね?御堂と銃はいずれは見たい組み合わせではあります。
瑞希は繭を庇うのに精一杯で今の所戦闘に直接絡んではいませんが、
力持ちという設定もあることですし、はてさてどうなりますか。
521雲丹:03/02/05 21:39 ID:l2ejWar8
時に上げてみたりする。
522名無しさんだよもん:03/02/05 23:29 ID:lZ+st8KA
>>519
夢も希望も無いなw
523名無しさんだよもん:03/02/05 23:53 ID:mCoeEgiK
>>520
和樹や大志に力持ちって言われるんだから、やっぱななせと同等以上の人外パワー??
524名無しさんだよもん:03/02/07 00:17 ID:RUOjV/z5
>523
夢がお嫁さんなあたり、七瀬より乙女ちっく度は上なんでしょうな。
525名無しさんだよもん:03/02/07 21:50 ID:NjfiwEJk
>>524
やっぱ、攻撃方法が岩石投げとか……。
526名無しさんだよもん:03/02/07 22:19 ID:f/bRKe85
イメージ的には天道あかね。
527名無しさんだよもん:03/02/08 15:02 ID:Hkle4g6x
別れた三人の中で一番出番少ないのが和樹な罠。
528名無しさんだよもん:03/02/08 23:11 ID:oAW7EoJo
>525
想像してワラタ。
529Uスレの1:03/02/09 01:47 ID:4qCXQZnn
コミック版準拠だとどいつもこいつも人外になってしまう罠w
530名無しさんだよもん:03/02/09 01:49 ID:d+SQC2OY
>527
大志は目立ってたからなぁ。
531名無しさんだよもん:03/02/09 23:10 ID:kk7pE5Nk
まあ、ここでは原作の強さはあんまり関係ないですし。
532名無しさんだよもん:03/02/10 23:35 ID:oAkS3a0O
>527
和樹は微妙な組にいるから……。
533名無しさんだよもん:03/02/12 23:18 ID:xzyUJLJE
最後のSSから一ヶ月近いな。
ほしゅ。
534名無しさんだよもん:03/02/13 02:03 ID:XsSRxIzQ
>>533
まだ3週間ってところだよ。

…まだ?
535名無しさんだよもん:03/02/15 00:38 ID:b6neAHIp
Datは無しの方向で。保守。
536名無しさんだよもん:03/02/15 14:23 ID:mOlaQ1PC

537名無しさんだよもん:03/02/15 14:24 ID:KTfCubuC
538:03/02/17 22:13 ID:RtQMcdNh
 オキロ
 何を言っているんだ? 俺は傷が痛いんだからもう少し休みたいんだ。
 オキロ
 五月蝿いなぁ。あんだけの数の狼と戦ったんだ、少しは休ませろ
 オキロ
 だから五月蝿いっての! …あーそういえば、さいかちゃんと栞ちゃんはどうしてるかなぁ?
 オキロ……オマ……ニ……クラ…
 あ? 何言ってるんだ? わかんねーよ。
 オキロ…。オマエノ…ケモノ……クラエ…
 は? 俺の獣? そりゃ、俺だって男だから狼になったりするぞ。夜限定だけどな。
 オマエノチヲ…ヨビサマセ。チヲ…ニクヲ…
 …さっきからぐちゃぐちゃとうるせぇなぁ! 姿を見せろ!
 オキロ。チヲヨビサマセ
 うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!

 そこに立っているのは、自分。体の中心から左が、狼になっているというシュールな自分の姿。
 そして、彼は目覚める。
539:03/02/17 22:29 ID:RtQMcdNh
「わぁぁぁぁぁぁ!」
 目覚めは最悪だった。自分が寝て居たのは病院と思わしきベットの上。飛び起きた瞬間、体中についた傷の痛みに顔をしかめる。いや、そう思い込んだだけだった。
「…痛く、ない?」
 自分の体中についた傷。それが痛みを発することはなかった。ためしに、腕に巻かれた包帯を解いてみる。
「…ハハハ。マジかよ」
 腕の傷は殆ど癒えていた。わずかに小さな後が残っているのみだ。確か、ここは狼の爪でかなり深くえぐられたはずだった。
「俺は、そんなに長いこと眠って居たのか?」
 そういって彼、住井護は自分の手を見つめた。その時、病室に誰かが入ってきた。
「あっ! 住井さん! 目が醒めたんですか?」
「すみいー。だいじょうぶー?」
 顔を出したのは美坂栞としのさいかであった。思わず顔がほころんだが、気を取り直して気になって居たことをたずねた。
「俺は、どれぐらい眠って居た?」
 突然の質問に驚きつつも栞は答える。
「えっと、丸一晩。大体10時間ぐらいじゃないですか?」
「10時間…」
 彼は自分で自分を問い詰める。人間というものはあそこまで深い傷を10時間で癒すことができるのか? 答えはNO。
 自分は、元々治りが異常に早かった。これもNO。そんな体質なら、今まで苦労はしていない。
「…俺は、どうなってるんだ?」
 住井は自分の手を見つめた。さいかと栞はそんな住井を不思議に見ていた。そんな時、扉が開いた。
「おっと、お目覚めかね。調子はどうだい?」
 そこには、白衣を着た中年の男性がたって居た。
「…あんたは、医者か?」
「そ。名前は石橋。君の主治医だよ」
 そういって白衣のポケットに手を突っ込んで住井のそばに近づく。
「大分、自分の体のことで面食らってるんじゃないか?」
「…俺の体のこと、わかるのか?」
「一応な。これでも医者の端くれだ…おっと、お嬢さん二人は出て行ってくれないか。患者のプライベートな部分になるから」
 栞とさいかは呆然としながらも言われるままに出て行った。
540:03/02/17 22:57 ID:RtQMcdNh
 二人が出て行った後、住井は口を開いた。
「…一体どうなってるんだ俺の体は? あんだけでかい傷がほとんど治っちまってる。俺はそんな異常体質じゃないんだが」
「異常体質だよ、君は。正確には異常体質になった、と言うか」
 石橋は、歯に衣を着せず、ありのままで言った。住井はぽかんを口を開いている。
「さて、これから先の話を聞きたくないのだったら、聞かないで結構。色々とショッキングな内容だからね」
 住井は、ため息をついた後苦笑して、
「…そんなこと言われたら聞きたくなるだろうが。ほんとに医者かよあんた?」
「医者だよ。ほんの少し、腕の悪い、ただの医者さ。さて、何から話すかね…」
「回りくどいのは苦手なんだ…率直に頼む」
 石橋は、ふむと頷いた後、腕を組みながら言った。
「わかった、率直に言おう。君は、獣化症、ライカントロピィだ」
「…は? ライカントロピィって言うと御伽噺に出てくる狼人間とか鷹人間とか獣に変身出来るって言うアレか? …冗談きついよ」
 石橋の言葉を一笑する。だが、石橋は何も言わない。住井は徐々に不安になってきた。
 確かに自分は狼にかまれた。しかしそれぐらいで? だが、自分の身に起こっている異常な回復力を考えると、真実味が出てくる。そして、先ほどの夢。
「そう。確かに、狼に噛まれたぐらいでは獣化症になりはしない。獣化症が流行したのは過去の話だ。恐らく、歴史の中で獣化症の因子に対抗するモノが体内で生まれたんだろう」
 ぽつぽつと石橋は語る。住井の考えを悟っているように
「…君は、最近何か変わったものを口にしたとか、妙な薬を飲んだとかは?」
 ふと思い出す。出発したときから妙に体の調子がよかった。そして、出発前の夜に女に薦められた酒を思い出す。
(…何か、盛られたのか? 俺は)
541:03/02/17 22:59 ID:RtQMcdNh
「心当たりがあるようだな。ちなみに、その心当たりを探し出して、君がそうなった原因をみつけてもその体質は治らないよ」
「…何故?」
「もはや君の体は設計図が「書き換わって」しまっている。今更原因を見つけたところで手遅れさ。言い方は悪いが君は、「人間じゃない」のだから」
 矢次に来る言葉に住井は頭を抱えた。ライカントロピィ関係の昔話なんて腐るほどある。内容はほとんど同じだ。悪い狼男が悪さをして猟師や勇者に打ち倒される。その狼男と自分を重ね合わせるとぞっとした」
「そうだね。治すとしたら「秘宝」ぐらいじゃないか? どんな病でも治す「秘宝」。その辺に転がっていそうな話だろ?」
「…秘宝」
 住井は、頭を抱えた。もはや、自分に受け止めきれる事実の範疇を超えている。
「残念ながら、私が医者として君にできることはこれまでだ…。後は幸運を祈るしかない」
 そう言って、石橋は出て行った。後は、頭を抱える住井が残された。

【住井 真実を突きつけられてショック】
【医者(石橋) 真実を告げる】
【美坂栞、しのさいか 何も知らない】

長文スマソ
542名無しさんだよもん:03/02/17 23:10 ID:Gs4zvLh0
かなり面白いので期待&保守
543名無しさんだよもん:03/02/17 23:58 ID:Qzr+CGlW
お、久々新作は住井組でしたか。
なるほど。そういう所から秘宝と絡めてくるわけね。
さて、彼らはどこを目指すことになりますか。
544名無しさんだよもん:03/02/18 01:12 ID:mFQJ7Uf1
ポストとしては、エルクゥ寄りの位置にいるみたいだね。
ファンタジーの柏木家はエルクゥの血に苛まれる事はないみたいだけど、
果たして住井はどうなるのやら。
545「血」作者:03/02/18 07:33 ID:GyHXbXls
むぐっ、住井パーティのネタならちらほらと思いつくのにほかのパーティのネタは殆ど思いつかない…。
やっぱり、同じパーティの話ばかり書くのは問題でせうか?
546名無しさんだよもん:03/02/18 10:14 ID:ACLpZthC
リレーされる様子がなかったら自己リレーしてでも進めた方がいいのでは……
と俺は思ってるけど。でも振り返ってみると俺もかなり自己リレーばっかりだ。いいんだろうか……
547名無しさんだよもん:03/02/18 22:59 ID:gwcLi6Mu
>>545
書き手が少ないので、贅沢言ってられない。
皆で自己リレーすれば怖くない(ぉ
548名無しさんだよもん:03/02/18 23:57 ID:KN8LAWwo
住井人狼化…
どこぞのSSの北川を思い出して背筋が寒くなったぜw
549名無しさんだよもん:03/02/19 22:38 ID:O5bPMT85
まあ、今はどんな形であれ作品が欲しい時期だから……
550名無しさんだよもん:03/02/19 23:50 ID:3qHE01+r
そういえば以前タイムテーブルまとめてた人がいたがどうなったのかな。
551名無しさんだよもん:03/02/20 23:39 ID:4bY7k/fb
> 血
そう言えばここの組も晴香の薬とか青いビー玉とか、
いろいろ伏線有りましたね。ともあれまずは病状告知。
住井も不幸やな〜。しかし一方がこういう状況の時に彰は
何をやってるやら。ま、本人の預かり知らぬことではあるけど。
552名無しさんだよもん:03/02/21 13:53 ID:fvBl7LWW
近日中に圧縮きそうな予感……
553名無しさんだよもん:03/02/21 23:12 ID:weQsc18L
 どれぐらい、頭を抱えて居たのだろうか? 気が付くと、横に栞が心配そうに自分の顔を覗き込んで居た。
「あの…住井さん。お怪我は?」
 正直、誰とも話したくなかった。だが、彼は持ち前の明るさで無理やり笑顔を作って答えた。
「あぁ、不思議とよくてね。実は俺って超人なのかも?」
 少々、引きつって居たかもしれないが笑みを浮かべる。まだ自分自身、状況を上手く把握できていない。
「そうですか…よかったです。いきなり倒れちゃってビックリしました」
 そう言って栞は笑った。その笑顔を見ると、なんとなくモヤモヤしていた自分の心が少しだけだが、楽になった気がした。
「さいかちゃんは?」
「住井さんが気が付いたと知って、待合室のソファで寝ちゃいました。さいかちゃんも殆ど寝てないで住井さんを心配していたんですよ」
 そっか、と短く言って少し考えた。
「栞ちゃん。取り合えず俺の仕事、君たちをホワールに送り届ける任務は終了したけど…これからどうするんだい?」
「えっと…取り合えず街中の病院を探し回ります。聖先生か彰さんの手がかりがつかめるかもしれませんから。それで見つからなかったら…魔法学校を当たってみます」
 そういってにっこりと、微笑んだ。しかし、その笑顔は住井の言葉に凍りついた。
「じゃあ、俺はもう用済みだ。ここでお別れだ」
「住井…さん?」
 住井は顔を伏せる。今は、一人になりたかった。そして、自分の正体を知られたくなかった。自分に恐ろしい爪がある、それでもし二人を傷つけてしまったら…。
「俺は冒険者。依頼主は君たち。…仕事は終わったから俺たちの間には何の関係も無い」
 わざと、突き放すように冷たく言う。
「そんな、住井さん…いきなりお別れって」
 栞にとっては、納得ができなかった。確かに、短い付き合いだった。確かに雇用者と労働者と言う関係だったかもしれない。それでも、住井は命をかけて二人を護った。それなのに、お別れはこんなにあっさりと、冷たいものなのだろうか?
554名無しさんだよもん:03/02/21 23:13 ID:weQsc18L
「もう、これ以上君たちに縛られる理由はないよ。契約は切れているんだ」
 栞の顔を見ない。顔を見ると、無様に泣きながら胸にすがり付き、自分の置かれた状況をぶちまけて、彼女に当たってしまいそうだった。
「住井さん…あの、やっぱり怒ってるんですか? あの、私があの時…」
 ビー玉を、と言おうとした栞の台詞は住井の叫び声にかき消された。
「五月蝿い!」
「!」
 栞は思わずびくっと体をすくませる」
「さっきからゴチャゴチャと! 仕事が終わったんだからさっさと解放してくれ! 迷惑なんだよ!」
 言いながら、自分は最低だと心の中で自分を野次る。栞の顔は見えないが、どんな様子なのかは想像できた。
「…そうですよね。ごめんなさい。私、最後まで住井さんに迷惑かけてばっかりでした」
 声が震えている。恐らく泣いているのであろう。それでも、住井は彼女の顔を見れない。
「本当にごめんなさい。さようなら……ありがとうございました。護ってくれて、嬉しかったです」
 その台詞が聞こえたと同時に、扉が閉じられた音が聞こえた。

「さて、スッキリしたな。取り合えず、彼女たちが街中の病院を当たっている間に魔術学校にでも行って、治療法や秘宝の手がかりを探さないとな」
 無理矢理、心にも無いことを言った。
「やれやれ、やっぱり俺は一人で居たほうがいいのかもしれないな。自由が冒険者の最大の特徴なのにな」
 二人は、自分を頼ってくれた。
「全く、厄介な仕事だったぜ」
 彼女は、自分に何度も謝った
「こんな体になっちまうしな」
 彼女は、最後にありがとうございますと言った。
「だいたい、なんで俺が他人の恋路の手伝いをしなくちゃいけないんだ?」
 彼女は、護ってくれて嬉しかったと言った。あれだけ酷いことを言ったのに。
「…あれ?」
 目に伝う、涙。それは、彼がまだ人間であると言う証明。
「チクショウ、何で、泣けてくるんだよ」
 そして、彼は一人声を殺して泣いた。
555名無しさんだよもん:03/02/21 23:17 ID:weQsc18L
【住井護 栞たちを拒絶。取り合えず、魔術学校に手がかりを探しに】
【美坂栞 住井と別れる。取り合えず、街中の病院をあたる予定】

…ぐわっ。目に伝う、じゃなくて、頬に伝う涙…だ。吊ってくる。
…そしてやっぱり住井編を書いてしまった。やっぱり吊ってくる。
ちなみにタイトルは、「拒絶の痛み」です
556名無しさんだよもん:03/02/22 01:13 ID:YMwugPN/
お、住井編。進み出しましたね。
なかなか今後に期待できそうな雰囲気。

>555 乙〜。ついでにファイズおめ。つかイキロ。
557名無しさんだよもん:03/02/22 23:25 ID:GlPBI0ht
住井……何気にいい男だ(w
558名無しさんだよもん:03/02/23 23:01 ID:kJdUxGPN
>557
うむ。いい場面ですな。
559夜訪―訳― (琴音):03/02/25 00:25 ID:ydHgF/8q
「ふぃー、やっと着いたわね」
私達がレフキーに到着したのは、すでに辺りがすっかり暗くなってしまった後だった。
「もう足がパンパンよ」
「晴香さんは宗団からここまでずっと歩きっ放しでしたもんね」
「そういう琴音だってもうフラフラじゃない」
「私は晴香さんと違って剣士じゃないからあまり体力無いんですよ。ふぅ……」
巳間晴香と私こと姫川琴音はFARGOというとある宗教団体に所属しているテンプルナイトと呼ばれる者である。
FARGOは表向きは単なる宗教団体だけど、その実、裏では異能力者と呼ばれる人とは異なる力の持ち主を保護する活動も行っている。
私達二人は今回、異能力Aランク分類者、川澄舞という少女の保護の任務を受けたのだが、保護対象が発見された場所から
すでにレフキー共和国に連れて行かれたという情報が入ったため、それを追ってレフキーに行く事にしたのだった。
秘宝塔からここまで休み無しで歩き続けて、いい加減疲れも溜まっていた所で晴香さんが一つ提案をした。
「もう暗いし、今日は宿屋で一泊して、川澄舞の捜索はそれからにしましょうか」
「賛成です」
そういうわけで私達はまず旅の疲れを癒す宿を探す事にした。
「でも一晩眠ったら気合入れて探すわよ」
「はい、わかってます」
「見つけたらなんとしても説得して、場合によっては力ずくで引っ張っていくわよ」
「え……強引ですね?」
「こうなったら意地よ!私の一日が無駄に終わったなんて事になるの、我慢ならないわ」
と、なぜか一人憤慨している晴香さんに、私は長い間の疑問を問い掛けてみる事にした。
「晴香さん」
「んー?」
「宗団……いえ、郁未さん達はどうして私達みたいな人達を保護して、力の使い方まで教えてくれるんですか?」
「あれ?琴音をFARGOに連れて行く時に言ってなかったっけ?」
「異能力者を狙う者から守ったり、力の暴走を防ぐため、でしたよね?」
「なんだ、知ってるんじゃない」
「いえ、そういう事じゃなくて。なんで宗団がそういう事をしているのかって事です」
「そっか……琴音にはまだ話してないんだ」
晴香さんはそう意味有り気に呟いて、続けた。
560夜訪―過去― (琴音):03/02/25 00:26 ID:ydHgF/8q
「郁未が宗主になる前のFARGOが、どんなだったか知ってる?」
その時突然苦々しくなった晴香さんの口振りから、前のFARGOがあまり良くないものだという事がなんとなく感じられた。
「以前のFARGOはね、今のFARGOとは全然別物だったのよ」
「別物……ですか?」
「そ。異能力者を誘拐、拉致はもちろん、あらゆる手段を使ってかき集めて無理矢理覚醒させたりして、
 それこそ世界征服なんかを本気でしようとしてた組織だったのよ」
「まさか」
「いえ、それ以上の事を企んでた。そんな所に私達は集められた……」
そこで晴香さんはふっと遠くを見る様な眼差しをした。
「私達を待っていたFARGOの歓迎は……口に出せないほど酷いものだったわ」
「………………」
「それでも私達はそこで生きるのに精一杯だった。逃げる事もできなかったわ。そんな時にあの娘、郁未が来たのよ」
「郁未さんが?」
「そう。自分の母親を探しに来たらしいわ。結局、最後まで見つからなかったけどね」
「お母さんを……」
「ま、私も最初は兄に会いに来たんだけどね。それから郁未がしばらくしてから立ち上がったのよ。このままじゃいけないって」
「クーデター……ですか?」
「ま、似たようなものね。それに私達も賛同して、皆でFARGOと戦った」
……知らなかった、今の宗団が郁未さん達のクーデターによってできたものだったなんて。
「幸か不幸か、その時FARGOは権力争いの真っ最中でね。私達はその隙を上手く突いてFARGOを倒す事ができたの」
「勝てたんですか?」
「ええ、結果として私達の大勝利だったんだけど、その代償も大きかったわ……
 たくさんの仲間が死んだ……私達の同胞が敵同士になって、互いに殺し合わなければいけない事もあったわ」
異能力者同士で殺し合う、私にはとても想像もできない事だった。
「だから最後に皆で誓い合ったのよ。もう二度とこんな悲劇は繰り返させないってね」
「……私、知りませんでした」
「なんだか湿っぽくしちゃったわね。ごめん、自分で言っててちょっと恥ずかしかった」
そう言って晴香さんは暗い雰囲気を明るく笑い飛ばした。
それで、私はなんだか救われた様な気分になった。
561夜訪―今― (晴香):03/02/25 00:27 ID:ydHgF/8q
FARGO宗団の壮絶な(郁未達が聞いたら大げさだと笑うだろうか)過去を聞いて、すっかり落ち込んでしまった
琴音を元気付けるために私は笑ってみせた。
「もう済んだ事なんだから、琴音がそんなに悩んだってしょうがないでしょ」
「……そうですね」
気を取り直して軽く微笑む琴音を見て、ほっと胸を撫で下ろした。
しかし、私はその胸の中で、固い決意を新たにした。
帝国や共和国が秘宝集めに乗り出した今、いつそれらが異能力者の力に目を付けるかわからない状態だ。
そうなってしまったら、第二第三のFARGOが軍隊規模で創られてもおかしくはない。
それだけはなんとしても避けたい。
そして最近耳にした、最高に不吉な噂。最低最悪の男、元FARGOの高槻が生きているという情報。
FARGO内乱時代に私達と数々の死闘を繰り広げたあの忌まわしき男が生きているという、それもロードという肩書きのオマケ付きで。
あの男だったらFARGOを再建する事も有り得る。新たに異能力者を集めて私達に挑んでくるかもしれない。
あの悲劇を繰り返さないためにも、高槻より先にできる限り異能力者を確保しなければならない。
そして、もし途中であの男を見つけたら、郁未達の手を煩わせる事も無い、私のこの手で……
「晴香さん?宿屋に着きましたよ」
そこまで考えていた所で、琴音の言葉が私の思考を中断させた。
「えっ?あ、ああ、やっと着いたのね」
すっかり街を包み込んだ夜の闇にお別れをするために、私達は宿の戸を開いた。

【巴間晴香&姫川琴音:川澄舞捜索のためレフキーに入り、ひとまず宿屋へ】
562名無しさんだよもん:03/02/25 00:30 ID:ydHgF/8q
>>559-561
タイトル横の( )内は文章の主観になってるキャラでつ。
途中で代わってるからわかりにくいかと思って。
563名無しさんだよもん:03/02/25 00:53 ID:ny2A3hHF
新作乙〜ってうおぉっ琴音に晴香!?
めっちゃ久々やん!
FARGOの事なんてすっかり忘れてたよ〜。
各レフキー組にいろいろ絡んできそうで今後に期待ですなぁ。
564名無しさんだよもん:03/02/26 06:03 ID:w+3bYYdW
本当になつかすぃ。
前の話がいつだったかも思い出せないw
565名無しさんだよもん:03/02/27 01:50 ID:k4WXg39i
おおっ!久々!……過去ログ読み返さねば。
しかしやるな郁未ん。意外な所とも繋がってるし。
566名無しさんだよもん:03/02/27 03:44 ID:UMkdIpEp
過去ログ調べてみたところ、前回出たのが去年の6月26日。
8ヶ月ぶりの登場でしたw
567新たな闇(1):03/02/28 00:43 ID:FWTb9X42
「今日も手がかりなしか……」
 沈み行く太陽を見つめながら、千堂和樹は思わずため息をついた。
 ここ数日、彼は人を見つけるためにただひたすら歩き回っていた。
あちこちの店で聞き込みを続け、それらしい人がいれば声をかけた。
 もっとも原始的だが確実と思っていた捜査方法。しかし苦労を重ねれば重ねるほどそれと反比例するかのごとく、
情報の数は日に日に少なくなっていった。
「和樹さん」
 横合いから声を掛けられる。そこにいるのは青い髪の少女、リアン。
彼女もまた彼と同じく人探しのために街中を歩き回っていた。
「やあ、どうだった?」
「どうでした?」
 声が重なる。二人はお互いの顔を見合わせた後、同じタイミングでため息をつく。
「やっぱダメか」
「見かけたことはあるっていう人はいっぱいいるんですけどね」
「ああ、だけど見かけただけで肝心の居場所とかに通じる情報がまったく無いんだよな」
「いったいどこにいったんだろ、姉さん……」
 そう言ってリアンは手に持っていた紙を見る、そこには一人の少女が描かれていた。
 彼女の名はスフィー、彼らが探している人物であり、リアンの実の姉であった。
568新たな闇(2):03/02/28 00:44 ID:FWTb9X42
 結局この日の捜査はここまでで打ち切り、宿に帰ることとなった。
「あの、ありがとうございます」
 その途中、不意にリアンが話しかけた。
「なんだいいきなり」
「本当ならレフキーまでの護衛だったのに姉さん探しまで手伝ってもらって」
「別に礼を言われるほどのことじゃないよ」
「でも……」
「そういやさ」
「はい?」
 突如和樹が話題を変えた。リアンは困惑しつつも、話の続きを待った。
「彼女が最後に目撃されたのは一週間前なんだよ」
「それがどうかしたんですか?」
「これは俺の推測だけど、彼女はもうこの街にはいないのかも」
「え? でもそれならとっくに帰ってきているはずです」
「もしかしたら何かの理由で滞在が長引いたのかもしれない。
 で、心配になったリアンが彼女を追いかけるのとすれ違いになった。そういう可能性もあるんじゃない?」
 ふと和樹がリアンを見ると彼女は硬直していた。どうやら思い当たる節があるらしい。
「え、えーと、あの、その……」
「とりあえずさ、明日リアンの家に連絡してみよう」
「そ、そうですね……」
 その言葉を最後に二人の間は沈黙した。
 リアンはうつむいており、僅かに見える頬は真っ赤になっている。そこに和樹が声を掛けた。
「見つかるといいね、お姉さん」
 不意に掛けられた言葉、その言葉にリアンは嬉しそうに頷いた。
569新たな闇(3):03/02/28 00:45 ID:FWTb9X42
「すまない、ちょっと忘れ物をしたようだ」
 宿まで後少しというとき、和樹はリアンにそう告げた。彼はリアンに先に宿に帰るよう指示すると、踵を返し走り出した。
 リアンはその遠ざかる背中に、なにか例えようの無い不安を感じた。

 5分ほど走り、和樹は街外れの広場に辿り着く。日は落ち、既に人影は無くなった広場。その中央で、和樹は背後を見据える。
「かくれんぼにも飽きたし、そろそろ姿を見せたらどうだ?」
「気づいていたのか」
「そんだけ胡散臭い気配ばら撒いてれば嫌でも気づくさ」
 視線の先の闇の中から男が現れる。一見すると普通の戦士だが、その身に纏う気は明らかに常人とは異なっていた。
「同族の、負の気配を感じたので追ってみたのだが……貴様、人間だな」
「なに言ってんだ? 当たり前じゃねーか」
 だが男は答えには耳を傾けず、腰の剣を抜く。
「この肉体もそろそろ限界だ、貴様が我の肉体に相応しいか否かを確認するとしよう」
「よくわかんねーが、敵なのは間違いないようだな」
 それに応じて和樹も刀を抜く。それが戦闘開始の合図だった。
 男は一気に間合いを詰める。それと共に和樹も正面に駆け出す。2つの影が一瞬重なる。次の瞬間、男の右腕が宙を舞った。
 飛ばされる腕を見て和樹は刀を下げた、しかし男は出血を止めようともせず残った左腕で剣を拾い上げた。
「おいおい、冗談だろ」
 冗談ではなかった。男は剣を構えると再び突進し、斬りかかってきた。和樹はそれを刀で受け止める。
 金属同士がぶつかる甲高い音が響く。数度の激突の後、和樹が男の腹を凪いだ。
 大きく開いた腹から臓物を撒き散らした男は地に突っ伏し、まったく動かなくなった。
 そこまで確認して和樹は刀を収めた。だが、それで終わりではなかった。男は細かく痙攣していた。
 それは次第に大きくなる。それと同時に男の体中から黒い霧のようなものが立ち上る。

 そんな光景が数分ほど続いた後、それは姿をあらわした。
570新たな闇(4):03/02/28 00:46 ID:FWTb9X42
 それは異様な代物だった。月明かりに照らされてなお周囲の闇に解けこむような黒き体。
 巨大な二本の角と一対の黒い翼を生やしたそれは、まさに悪魔と呼ぶべき存在だった。
 目の前で繰り広げられた異常な光景。そしてそれが終わった瞬間、和樹に一瞬の隙が出来た。
 悪魔はその一瞬で間合いを詰め、爪を振り下ろす。和樹はかろうじて受け止めたものの、すざましい衝撃が体を襲った。
 次の瞬間、横からの攻撃が和樹を襲う。和樹は避けることが出来ず、吹き飛ばされる。
 地面を数度転がり、木に激突したところで止まった。激突の衝撃で肺から息が搾り出される。
 和樹は態勢を立て直すため立ちあがるが、既に目の前に悪魔がいた。
 次々と繰り出される攻撃。避けるのは無理だった。
 なんとか受け止めるがその衝撃は体中に響き渡り、体力はみるみるうちに削られていく。そして限界が訪れる。
 腹への一撃。
 もはや受けきる力も残っていなかった和樹は、その攻撃をまともに食らった。
 指先に生えた鋭い爪は鎧で止まったとはいえ、衝撃は内臓を圧迫する。
 前のめりになる体を刀で支えたが、動くことすら出来なかった。
 これで終わりか。そう思った瞬間、攻撃が止んだ。
571新たな闇(5):03/02/28 00:48 ID:FWTb9X42
 止めを刺すには絶好の機会だったはずだ。それなのに攻撃が止んだ理由を和樹は考えようとしたが痛みでそれどころではなかった。
 まあ考えるまでもなく、答えは目の前に存在していた。
 目の前の悪魔は自らの体を黒い霧に変えていた。それが和樹を包み込んだ瞬間、和樹は全てを理解すると共に、激しい苦痛に襲われた。
(コイツ、俺を乗っ取る気か!)
 それは精神の痛みだった。例えるなら心を黒い炎で焼かれる。そんな痛みだった。
 炎が翻るその度に和樹は絶叫した。後少しで精神が焼き尽くされる。そう思った時、衝撃と共に痛みが消えた。
 和樹が目を開けると、悪魔は薄い光の膜のようなものに捕らわれていた。さらにその奥には一人の少女がいた。リアンだった。
「和樹さん、逃げてください!」
 リアンの声が聞こえる。だが消耗した和樹は立ちあがるのがやっとだった。
 駆け寄ってきたリアンに肩を借り、その場を去ろうとしたとき、光の膜が弾け飛んだ。
 束縛から開放された悪魔は再び霧に姿を変えた。もはや逃れることは出来ない。
 再び黒い霧が和樹を包み込もうとしたとき、リアンは和樹を突き飛ばしていた。
572新たな闇(6):03/02/28 00:49 ID:FWTb9X42
「リアン…?」
 黒い霧はリアンを包み込み、彼女の体内に侵入する。
「かず…きさ…ん、逃げ…て……」
 そして全ての霧がリアンに侵入すると、彼女は崩れ落ちた。だがすぐに立ちあがる。
 しかしそこにいたのは今までのリアンではなかった。
「大丈夫…か…リアン…」
 立ちあがった和樹が声を掛ける。だがリアンは一瞥すると、和樹に向かい右手を掲げ、なにやら呟く。
 次の瞬間、右手からすざましい風が発生した。和樹はかろうじて体を支えると、リアンに呼びかける。
「リアン、どうしたんだ。リアン!」
「この力、素晴らしい。これは思わぬ収穫だな」
「なんだと……」
「この体は私が支配した。この娘の魔力は相当なものだ。ガディムの復活によい捧げものが出来た。
 それにこの記憶、スフィー、芹香…まだまだいるな。これならガディムの復活も遠くはない」
 リアンがまた何か呟く。すると和樹は見えない力に吹き飛ばされた。
 リアンは和樹に背を向けると、市外とは逆方向に歩き出した。
「まて、リアン!」
 和樹が叫ぶ。だがリアンは歩みを止めず、そのまま闇の中へ消えていった。



 僅かな時が流れた後――和樹の叫びが響く。

 そして和樹も、リアンとは別の闇の中へ消えていった。

【リアン、ラルヴァに乗っ取られる】
【和樹、失踪】
573名無しさんだよもん:03/02/28 02:25 ID:C37vkzZs
おおっ。こっちも久しぶりですな。
なるほど。こう来ましたか。
574名無しさんだよもん:03/02/28 05:05 ID:iSwiHARy
失踪したのか(笑
575名無しさんだよもん:03/02/28 05:48 ID:f8beryry
おぉ、停滞していた連中が次々と進み出しましたな。
しかし、結局スフィーの件はリアンの思い違いになったのだろうか…

アホだなリアンw
576名無しさんだよもん:03/02/28 18:42 ID:3aTZBSDs
名前:坂上蝉丸
職業:王立騎士団特務部隊隊長
技能:剣術
備考:

名前:長瀬源之助
職業:王立図書館館長
技能:自然術など
備考:元・王立騎士団特務部隊。彩の師匠。詠美とは何か因縁がある様子。別名:鬼魔術師。

名前:長谷部彩
職業:王立騎士団特務部隊隊員
技能:自然術
備考:

名前:保科智子
職業:神官(白魔術&戦士)
装備:板金鎧 丸盾 戦槌
技能:戦槌を操る
備考:みさきと一緒に行動。猪名川とは知り合い?

名前:川名みさき
職業:剣士
装備:中近東っぽい服 双刀
技能:双刀術、気配出た辺りの状況を察知、早食い、大食い
備考:たまに目が見えるようになるらしい。

名前:上月澪
職業:ルーンユーザー
装備:スケッチブック、魔術師風のローブ
技能:ルーンマジック
備考:言葉がしゃべれない代わりに、ルーンマジックと言う黒魔術の一種を使う。現在、ラルヴァ憑き。
577名無しさんだよもん:03/02/28 18:43 ID:3aTZBSDs
名前:里村茜
職業:白魔術師
装備:杖 フードつきの白ローブ
技能:白魔術
備考:高レベルの白魔術師。アカデミーにおいて何らかの役職に就いている。澪のスケッチブック所持

名前:南明義
職業:剣士
装備:長剣 板金鎧 円形盾
技能:剣術
備考:そこそこの場数を踏んでいます。

名前:国崎往人
職業:言霊使い 旅芸人
装備:腰に長剣、他は軽装
技能:剣術、高速言語(言霊による魔術)、人形を動かす
備考:現在みすずの呪いを解くための秘宝を追っている。

名前:御影すばる
職業:合気使い
装備;無し
技能:大影流合気術
備考:酒に弱い。

名前:宮田健太郎
職業:戦士
装備:ディバインアーマー・無明(初代次郎衛門の作) 自分も熱い炎の剣
技能:剣術、目利き
備考:本人はかなり弱いが鎧は強い。目利きに関してはかなりのもの
578名無しさんだよもん:03/02/28 18:43 ID:3aTZBSDs
名前:七瀬留美
職業:戦士
装備:飛翔の剣(度重なる戦闘で壊れる寸前) 軽鎧装備
技能:剣術、斧術
備考:かなりの腕力を所持

名前:北川潤
職業:銃使い
装備:散弾 ライフル ハンドガン
技能:集中力、370m先からの狙撃、皿洗い
備考:

名前:水瀬秋子
職業:武具屋兼宿屋の主人
技能:武器の生産及びカスタマイズ、調理
備考:

名前:千堂一樹
職業:剣士
装備:魔剣阿修羅(刀)
技能:剣術
備考:魔剣阿修羅の、修羅場モードにより驚異的な力を出すが、反動で倒れる。

名前:七瀬彰
職業:町医者/ホワール魔法学園生徒
技能:白魔術、医療技術
備考:腕はウィザード級
579名無しさんだよもん:03/02/28 18:44 ID:3aTZBSDs
名前:しのさいか
職業:町医者助手?
技能:医療技術、白魔術
備考:腕は、さほどでもないと思われ。白魔術を勉強中

名前:住井護
職業:剣士
装備:白銀の剣
技能:剣術 超回復力
備考:そこそこの場数を踏んでいます。ライカントロピィ

名前:月宮あゆ
職業:盗賊
技能:
備考:

名前:折原浩平
職業:盗賊ギルドの長
技能:
備考:通称"闇の王"。瑞佳とは結婚している。

名前:折原みさお
職業:
技能:永遠の構築、精神体を飛ばす
備考:精神体は端末であり不死身

名前:長森瑞佳
職業:
技能:
備考:死んでるか植物状態か精神異常。浩平とは結婚している模様。
580名無しさんだよもん:03/02/28 18:44 ID:3aTZBSDs
名前:大庭詠美
職業:具現化絵師 女王
技能:「ある条件下で描いた絵を、完全に具現化させる能力」、芸術(絵画?)、いろんな物に対する先見の明
備考:王宮には魔封じの部屋がありそこでなら絵が描ける。

名前:柏木梓
職業:摂政兼衛兵隊長
技能:詠美を宥める、政務
備考

名前:日吉かおり
職業:衛兵隊/梓直属の部下/治安維持隊分団長
装備:レザーメール
技能:
備考:

名前:藤田浩之
職業:町民
技能:「何でもそこそここなす」、忍術(マスタークラス)、機転
備考:ピンチを知恵で切り抜けるタイプ。

名前:倉田佐由理
職業:議員の娘
装備:羽根飾りの剣
技能:
備考:特技はないがいくつかのアイテムを所持
581名無しさんだよもん:03/02/28 18:45 ID:3aTZBSDs
名前:ルミラ・ディ・デュラル
職業:魔界貴族
技能:魅惑、アンチマジック、宝石獣の作成、霧化 ゴーレム召還
備考:魔族の保護や条約に違反する魔族の殲滅

名前:長岡志保
職業:放浪の歌姫/情報屋
技能:呪歌 情報収集・管理能力 情報操作 剣術 魔術 体術 長瀬ネットワークへのアクセス
備考:剣術、魔術、体術ともに中途半端

名前:森川由綺
職業:白の歌姫
技能:呪歌
備考:

名前:高瀬瑞希
職業:
技能:怪力
備考:夢はお嫁さん

名前:九品仏大志
職業:魔術師
装備:魔術を込めて任意に発動出来るメガネ
技能:黒魔術、テレポート
備考:呪文は大志オリジナル?

名前:美坂栞
職業:街娘
技能:図鑑で得た知識
備考:晴香お手製の対野犬用丸薬所持 色々な図鑑を所持
582名無しさんだよもん:03/02/28 18:47 ID:KrOQinYN
名前:霧島聖
職業:白魔術師
技能:白魔術、メス投げ、医療技術

名前:柏木初音
職業:調理人
技能:声真似(千鶴の)、変身(白リス)
備考:偽善者一歩手前

名前:柏木耕一
職業:鍛冶屋
技能:鍛冶、戦闘技能
備考:秘宝塔と関係のある"魔族の剣"を所持。元戦士。何に変身するか不明

名前:久瀬
職業:旅芸人一座団長
技能:
備考:長瀬ネットーワークを必要としている

名前:広瀬真希
職業:旅芸人一座副団長
技能:

名前:椎名繭
職業:旅芸人一座のマスコット的存在
備考:みゅー(フェレット)を飼っている。
583名無しさんだよもん:03/02/28 18:47 ID:KrOQinYN
名前:天野美汐
職業:旅芸人一座のマネージャー
技能:白魔術
備考:

名前:矢島
職業:旅芸人一座のパシリ
技能:ふられること
備考:

名前:御堂
職業:旅芸人一座パシリ兼用心棒
技能:銃(但し所持はしていない) 剣術
備考:元王立騎士団。真希に多額の借金あり

名前:セリオ
職業:クルス商会の者
技能:
備考:クルス商会の製品を常に持ち歩き、ドラえもんの様に出しては売りつけます。

名前:水瀬名雪
職業:体術家
技能:体術 100m、7秒フラット 助走無しで10メートルジャンプキック
備考:常人を遙かに凌駕する身体能力を保有。助走無しで10メートルジャンプとか

名前:月島拓也
職業:傭兵
装備:鞭
技能:鞭術
備考:何か能力を隠している模様
584名無しさんだよもん:03/02/28 18:48 ID:KrOQinYN
名前:柳川
職業:傭兵
装備:吸血の魔剣
技能:剣術、生命の輝きを見る
備考:筋肉で血止めができる特異体質。他人の血を吸い傷を癒す魔剣を所持

名前:河島はるか
職業:王立騎士団特務部隊員
技能:
備考:

名前:天沢郁未
職業:FARGO宗主
技能:不可視の力、剣術
備考:大剣を所持

名前:巳間晴香
職業:テンプルナイト"パラディン"
技能:薬学(化学?)の知識、白魔術、剣術
備考:周期的に、殺戮衝動が訪れる。段々その間隔が短くなっている模様。三ツ目の化け物?

名前:姫川琴音
職業:テンプルナイト"シスター"
技能:白魔術、超能力
備考:超能力は万物を簡単に破壊出来るらしい。

名前:鹿沼葉子
職業:宗団患部
技能:暗殺術、毒や、精神に対する魔術、肉体的・性的苦痛に対してかなりの耐性
備考:郁未に対して歪んだ愛情を抱く
585名無しさんだよもん:03/02/28 18:48 ID:KrOQinYN
名前:深山雪見
職業:ソードマスター
装備:双剣 真っ黒なローブ
技能:剣術
備考:「剣聖ゆきちゃん」の異名を持つ。みさきを追っている。

名前:篠塚弥生
職業:傭兵
装備:軽鎧 槍
技能:槍術
備考:高槻のおもり 由綺とは知り合い

名前:高槻
職業:ロード
装備:護身用の拳銃(ただし今は取り上げられている)
技能:
備考:元FARGOの幹部。

名前:緒方英二
職業:盗賊ギルドの長(近隣都市の)
技能:
備考:通称、闇の声。浩平の盗賊としての養育者

名前:柏木楓
職業:盗賊ギルド幹部(浩平の秘書?)
技能:変身(黒猫)、黒魔術
備考:シェイプシフター
586名無しさんだよもん:03/02/28 18:49 ID:KrOQinYN
名前:岩切花枝
職業:浩平直属の部下/盗賊ギルド員”闇の牙”/元王立騎士団特務部隊員/暗殺者
装備:短剣
技能:
備考:耕一には戦場で救って貰った恩があるらしい。誰かと因縁あり。

名前:岡田
職業:レザミア帝国特務機関三銃士が一人
技能:剣術、銃、魔導剣、指揮
装備:レイピア 銃
備考:現在暴走気味

名前:吉井
職業:レザミア帝国特務機関三銃士が一人
装備:レイピア 銃
技能:剣術、銃、戦略
備考:

名前:松本
職業:レザミア帝国特務機関三銃士が一人
技能:
備考:

名前:小坂由起子
職業:シスター
技能:
備考:
587名無しさんだよもん:03/02/28 18:50 ID:KrOQinYN
名前:長瀬源一郎
職業:
技能:長瀬ネットワークの管理
備考:元・旅芸人一座の団長。長瀬ネットワークは世界中の長瀬のネットワークを束ねたものらしい

名前:砧夕霧
職業:魔術師
装備:呪いのメガネ 睡眠を不要とする指輪
技能:魔術
備考:魔術の腕前はウィザード級。但し種類は不明。現在メガネの呪いにより言葉が話せないため使用不可

名前:牧村南
職業:レフキー執政官
装備:レイピア
技能:高い行政能力
備考:

名前:雛山理緒
職業:侍従
技能:
備考:帝国スパイ?

名前:遠野美凪
職業:
技能:他人に自由に夢を見せる
備考:まだ力が弱いため、不思議な羽により力を制御 父親を捜している。
588名無しさんだよもん:03/02/28 18:50 ID:KrOQinYN
名前:みちる
職業:
技能:武術 シャボン玉作成
備考:武術とシャボン玉作成を修行中

名前:長瀬祐介
職業:
技能:電波、スキャニング(物質の情報を読みとる)、簡易医療技術(整体など)
備考:

名前:セバスチャン(長瀬源四郎)
職業:剣士
装備:ライトアーマー レイピア。
技能:剣術
備考:芹香と綾香を捜している。国崎の名前に聞き覚えがある模様。

名前:長瀬源五郎
職業:学者
技能:算術、魔法倫理学、歴史学、古代研究学、新技術研究
備考:

名前:橘敬介
職業:陰陽師
装備:和風の甲冑、刀(鞘は朱色で塗られている)
技能:陰陽術、刀術、式神使役
備考:才能はないが、知識だけならマスタークラス。知識を託す者
589名無しさんだよもん:03/02/28 18:51 ID:KrOQinYN
名前:氷上シュン
職業:
技能:永遠の操作。記憶の消去
備考:緋愴の槍を所持

名前:柚木詩子
職業:フィルムーン自警団
装備:警棒
技能:警棒による戦闘術 体術
備考:

名前:阿部貴之
職業:フィルムーン自警団隊長
技能:人員指揮
備考:

名前:ジョージ
職業:宮内貿易公司社長
技能:
備考:

名前:シンディ
職業:宮内貿易公司秘書
技能:
備考:

名前:宮内あやめ
職業:宮内貿易公司副社長
技能:
備考:
590名無しさんだよもん:03/02/28 18:51 ID:KrOQinYN
名前:相沢祐一
職業:海賊・相沢一家キャプテン
装備:シミター
技能:剣術
備考:戦闘能力は低い。

名前:藤井冬也
職業:キャプテン補佐
装備:シミター
技能:剣術
備考:

名前:神尾晴子
職業:相沢一家服キャプテン
装備:青竜刀『酔虎』『雫龍』 鉄扇
技能:鉄扇、東洋系体術、刀術
備考:

名前:神尾観鈴
職業:相沢一家一員
技能:魔力無効化
備考:観鈴の能力は呪いの副産物だと思われ。

名前:沢渡真琴
職業:相沢一家一員
技能:魔力の暴走
備考:祐一にその力がむく事はない。普段は鈴で封印。
591名無しさんだよもん:03/02/28 18:52 ID:KrOQinYN
名前:坂口好恵
職業:一家の戦闘部隊長
技能:体術
備考:綾香とは知り合い。

名前:犬飼俊伐
職業:ミラクルカノン号操縦役
技能:生命の魔石の研究による知識、算術、魔法倫理学、歴史学、古代研究学、新技術研究
備考:知能を持つ動物の研究をしていた。

名前:観月マナ
職業:忍者
技能:忍術
備考:麗子暗殺任務を負うが失敗。忍者としての能力を含めた記憶を失う。

名前:石原麗子
職業:女医
技能:忍術、医術
備考:元忍者。現在レフキーで医者を営む

名前:高倉宗純
職業:忍軍頭目
技能:
備考:
592名無しさんだよもん:03/02/28 18:53 ID:qzUFe6gH
名前:きよみ
職業:一般人
装備:先端に即効性睡眠薬付き針
技能:
備考:

名前:小坂由起子
職業:孤児院のシスター
技能:
備考:

名前:川澄舞
職業:
技能:魔物を生み出す、血のうさぎを生み出す、気配察知
備考:魔族の血が混じった少女。現在佐由理と同行。

名前:巳間良祐
職業:
技能:
備考:高槻の領地にて白竜を飼育?

名前:リアン
職業:魔術師アカデミー生徒
技能:魔術
備考:半人前。過去にレザミア帝国と因縁。現在ラルヴァ憑き。

名前:牧部なつみ
職業:賞金稼ぎ
装備:ナイフ 拳銃
技能:射撃 物質の具現化(炎の出るナイフなど)
備考:拳銃を所持。住んでた町が化け狐に襲われたらしい。理奈とは旧知の仲
593名無しさんだよもん:03/02/28 18:53 ID:qzUFe6gH
名前:ピロ
職業:
技能:人語がしゃべれる
備考:犬飼によって創られた? 名前を付けてくれた少女と倒すべき男を捜している。

名前:柳也
職業:
装備:刀
技能:
備考:神奈とは許嫁らしい。

名前:裏葉
職業:
技能:穏形
備考:柳也や神奈とは幼馴染み

名前:神奈
職業:
技能:
備考:観鈴や翼人の呪いとの関係は不明

名前:美坂香里
職業:戦士
装備:デスサイズ(カラクリ式でコンパクトにまとまる)
技能:鎌術
備考:
594名無しさんだよもん:03/02/28 18:54 ID:qzUFe6gH
名前:新城沙織
職業:王立特務部隊員
装備:長槍
技能:二重身、幅広い知識(薬学を含む)
備考:往人達には王立特務部隊員であると言う事は内緒にしている。

名前:佐藤雅司
職業:アーチャー/ホワール魔法学園生徒(黒魔術コース)
装備:白いローブ 弓
技能:弓術
備考:

名前:月島瑠璃子
職業:
装備:外套
技能:電波
備考:

名前:少年
職業:
技能:
備考:黒きよみと共に行動

名前:橋本
職業:城郭都市ニノディー伯
技能:
備考:志保に言い寄った過去あり。現在ラルヴァ付き香奈子により紂王状態
595名無しさんだよもん:03/02/28 18:54 ID:qzUFe6gH
名前:清水なつき
職業:カオスロード
技能:直視の魔眼?
備考:現在レフキーに

名前:髭
職業:ロウロード
技能:
備考:聖銃を所持

名前:澤倉美咲
職業:ホワール魔法学園生徒(黒魔術コース)
技能:黒魔術
備考:

名前:名倉友里
職業:魔術師アカデミー保安部主任
技能:風系魔術を詠唱無しで使用
備考:風使い。

名前:ダリエリ13世/ぽてと
職業:レザミア帝国皇帝
技能:変身(犬?)
備考:柏木一族との関係は不明。

名前:まいか
職業:レザミア帝国皇女
技能:
備考:大帝ダリエリ12世の実娘。
596名無しさんだよもん:03/02/28 18:55 ID:qzUFe6gH
名前:コリン
職業:盗賊
技能:盗賊としてのスキル全般
備考:ギルドに属さない盗賊。羽が生えている。翼人との関係は不明

名前:霧島佳之
職業:魔法ショップの店長
技能:黒魔術
備考:ちなみに、魔法ショップは開店休業状態。何でもかなう魔法を探し求める。

名前:城戸芳晴
職業:司祭
技能:神聖魔術、医療技術
備考:コリンとは幼馴染み。

名前:イビル
職業:ホワール魔法学園の客員
技能:呪符による炎術、メス投げ、変身(青い猫)
備考:

名前:桜井あさひ
職業:魔術アカデミー生徒
技能:黒(召還?)魔術、ほうきで飛行
備考:

名前:神岸あかり
職業:魔術アカデミー生徒
技能:魔術、ほうきで飛行
備考:
597名無しさんだよもん:03/02/28 18:55 ID:qzUFe6gH
名前:スフィー=リム=アトワリア=クリエール
職業:魔術アカデミー生徒
技能:魔術、ほうきで飛行
備考:あかりや、あさひよりは能力値が高いらしい

名前:来栖川芹香
職業:魔術アカデミー生徒
技能:魔術、ほうきで飛行
備考:成績は優秀だが素行が悪い(街の人をさらって人体実験を強行した過去あり)。家出中

名前:神岸ひかり
職業:魔術アカデミー職員
技能:
備考:茜の上司

名前:藍原瑞穂
職業:帝都関係者
技能:
備考:

名前:太田香奈子
職業:帝都から来た軍事顧問
技能:
備考:ラルヴァ憑き

名前:立川雄蔵 
職業:皇帝の側近
技能:
備考:
598名無しさんだよもん:03/02/28 18:56 ID:qzUFe6gH
名前:シケリペチム公ニウェ
職業:レザミア帝国宰相
技能:
備考:戦争狂

名前:縦 『修復』担当
職業:魔法使い 御座瑠南棚 古本屋 店主
技能:
備考:

名前:横 『保存』担当
職業:魔法使い 御座瑠南棚 古本屋 店主
技能:
備考:

名前:伯斗龍二
職業:倉田家護衛
装備:黒のプレートアーマー
技能:探偵技能
備考:

名前:石橋
職業:医者(ホワール)
技能:
備考:
599名無しさんだよもん:03/02/28 18:57 ID:qzUFe6gH
SS書くの苦手なのでとりあえず人物一覧。
誤字、や抜けている人がいたら補完お願いします。
600名無しさんだよもん:03/02/28 20:28 ID:d4fi7k25
>>591で坂下が坂口になってます<誤字
601出発:03/02/28 21:14 ID:cTb0YkKs
「ふぅ、遅いなぁ…」
 七瀬彰は、魔術学園の校門前に居た。あの後、以外にもあっさりと学園長の許可を得た。自分が入学して間もないのにだ。少々驚いたが、そうと決まってからは話は早かった。数日をかけて旅の準備をし、そして今は待ち合わせの最中だ。
「イビルや美咲さんは女性だからわかるよ。だけど、何で雅史まで遅いんだが」
 足元には、様々なものが入ったリュック。医療道具一式は大分かさばったが、自分の役割はこれだということで結局持ってきた。
「しかし、遅い…ん?」
 その時、まだ完全に日が昇りきってないホワールの町を、一人の見知った影が近づいてきた。
「あれは…」
 記憶の糸を必死でたどった。そう彼は…
「オッス、彰先生」
「住井君…か?」
 そう、彼は自分が治療した剣士、住井護だった。
「どうしたんだい? こんな所に? 仕事かい?」
「まぁ、そんな所。仕事は終わったけどね」
 にやっと笑って住井は言った。彰は、ふと疑問に思う。
(…おかしい。前にあったより雰囲気が違う?)
「彰先生、魔術学園に入学してたんですか? そりゃ驚きだ」
「いや、成り行きでね。と言っても、これから課題でレフキーまで行くんだけど」
「へぇ、忙しい人っすね」
 やはり、なんとなく彼は変わったような気がする。
「でも、それならいけないな。彰先生」
 少し、顔を伏せた後彼は言った。
「栞ちゃんとさいかちゃんが来てる。出発前に会ってあげてくれないか?」
602出発:03/02/28 21:44 ID:cTb0YkKs
「えっ?」
 彰は絶句した。心の中で、追ってこないよな? と思って居たが、まさか本当に…。
「まさか住井君、君の仕事って…?」
「そうです、彼女二人の護衛です。全く、大変でしたよ」
 いろんな意味で、と一言付け加えて苦笑した。
「それは…すまなかったね。いろいろ迷惑かけただろう?」
「いや、別に構いませんよ。あぁ、ちなみに彼女たちは町中の医者を当たって貴方の消息を探していますし、いずれここも探しに来ますよ」
 住井は、笑いながら言う。彰は、栞たちが自分を探している、と言うより彼の雰囲気の違いに驚いている。
「住井君…君、何かあったのかい?」
 そう言うと、住井はいきなり真顔に変わった。
「……わかりますか?」
「これでも、医者の端くれだよ? いろんな人を見てきたからね」
 空にツバメが飛んでいる。今日は、いい天気だった。
「狼に噛まれましてね。まぁ、それで済めばよかったんですね」
 淡々と語る住井。彰は何も言わない。
「ちなみに噛まれたのは昨日です。かなりの大怪我。それなのに俺はピンピンしている。何故?」
「…まさか、住井君。いや、でもそんなありえない……あんな過去の病気」
「いや、そのまさかですよ。人生、何が起こるかわからないですね」
 そういって、住井は再び苦笑する。彰は、苦しそうに言葉を吐き出す。
「なんと言ったらいいか……本当にすまない。まさか、君がライカントロピィに…」
「いいですよ。別にさいかちゃんや栞ちゃんが悪くないですよ。全て、俺の未熟さが招いた事故です」
「…それで君は」
 そう尋ねると、息をついて住井は空を見上げる。
「取り合えず、この魔術学園で治療法を探します。まぁ、秘宝関連の胡散臭い治療法だと思いますがね」
 そう言って、再び苦笑して、歩き出す。
「それじゃ、栞ちゃんとさいかちゃんをよろしくお願いしますね」
 住井は歩き出す。
603出発:03/02/28 21:49 ID:cTb0YkKs
「住井君…」
「なんすか?」
 もう学園の敷地に入っている住井は振り返らずに返事をした。
「………」
 しかし、何も言えない。彰は、自分の無力さを痛感する。
「……何も無いなら行きますね」
 住井は、そう行って、立ち止まることなく学園の中に入っていった。彰は、その間ずっと住井の後姿を見つめて居た。

【七瀬彰 レフキー出発決定。待ち合わせ中に住井と出会う。栞たちと会うかはまだ未定】
【イビル、美咲、雅史 待ち合わせに遅刻】
【美坂栞、しのさいか ただいま待ちの医者を当たっている(?)】
【住井護 学園で治療法の手がかりを探す】

 うーん、取り合えず伏線張り…かな?
604名無しさんだよもん:03/02/28 22:03 ID:Q7wO8P7/
やっぱり、色々あって栞達は彰に会えず、レフキーまで住井が再度護衛にしたりする展開?
605名無しさんだよもん:03/02/28 22:18 ID:H6Gkw3ij
まとめ乙。
各人の目的、現在地なども分かればなお良かったが。
あと取りあえず浩之の忍術(マスタークラス)は外そうぜ。
606名無しさんだよもん:03/02/28 22:59 ID:pRML2SfQ
>>605
あの忍者マスターって設定消えたの?
607598:03/02/28 23:03 ID:Q7wO8P7/
まあ、みんなで忘れてれば良いんじゃない?
事実一度きりで二度と使われてない設定だし。
608名無しさんだよもん:03/02/28 23:09 ID:K6bKED7a
キャラまとめ&新作乙かれ〜。
レス数だけ見て最初ノーマッドの爆撃かと思たw
609名無しさんだよもん:03/02/28 23:14 ID:385k96N1
当時も非難号々だったけな。
確かあの設定にはもう触れない事って感じで治まったんじゃなかったけか。
一応話自体はスルーされたが設定は限りなくNGなのだろう。
610名無しさんだよもん:03/03/01 00:42 ID:8PKcDTNE
久々に伸びてると思ったら普通に盛り上がってたのかぁ。
やっぱりリレー小説スレは新作が来てなんぼやね。
……保守に協力して来て良かった。(つдT)
611名無しさんだよもん:03/03/01 01:26 ID:fYpIj2eq
まとめ乙。
せっかくだから書いてみようかなあ。
やってみたいという気持ちだけはあって、経験は薄いけど。
(その状態のまま数ヶ月が経過していたり)
612断ち切れぬ絆:03/03/01 05:22 ID:4mRIDoSm

 空は何処までも蒼い。
 何時までも広く、果ても無く飽きる事も無く続いている。

――上空からの眺めはそれを酷く実感させる。

「……なんかペース落ちてるんじゃないの?」
 スフィーがピンクの髪の間からそのジト目で後方を睨む。
「えっ!? だっ、だって……その……」
 一方、睨まれてしまったあさひは言い淀む。
「う〜ん……仕方ないんじゃないかな。今まで休憩もなしでずっと飛びっぱなしだったし……」
 困った感じの笑みでフォローを入れるあかり。
「………………」
「えっ? そろそろ休憩でもしますか? って、う〜ん……まぁ芹香が言うならそうしよっか」
 一同の表情に喜色が浮かぶ。
「それじゃランチタイムに突入しますかーッ!」

 そうして四人の空飛ぶ魔術師達は人気のない場所にゆっくりと下降していく――。

               …

 既に、日は暮れていたのだがスフィー率いるアカデミー出身のメンパーは未だに上空を舞っていた。それでもレフキーは視認できる位置にある。
「うわ〜〜結局レフキーに到着するの大分遅れちゃったじゃないの……」
 あれから結局、ペースは乱れに乱れ時間は掛かり体力を使い果たしてしまったスフィーが呟く。
 長時間の連続飛行は魔力よりも体力を著しく削る。集中力は欠け、疲労も増す。それでも半端じゃない実力を保持するスフィー=リム=アトワリア=クリエール一人ならば予定通りにレフキーに着いていただろう。
 しかし哀しいかな。計画は彼女の思い描いた通りにはいかなった。何故なら、ほぼ半日以上の連続飛行などの経験さえもない、魔術師のタマゴたる桜井あさひと神岸あかりには、この工程は少々辛過ぎた。
 それでも面倒見の良い――というか放っておけない性格なのか――スフィーは一人で先行していたかと思えば、遅れているあかりを引っ張り、弱音を吐くあさひを叱咤激励したりしていながら、自身のペースは全くと言っていい程省みていなかった。
 第一にアカデミーの窓をぶち破って幕を終えた、彼女の長旅の疲労さえ蓄積している上に睡眠すら満足に取っていないのだから、その疲労困憊具合は想像を絶しているハズだ。
613断ち切れぬ絆:03/03/01 05:26 ID:4mRIDoSm

 そこまで無理を重ねるには勿論理由があり、この秘宝探索特別課題という一同の表向きの理由でレフキーにまで集団飛行しているのも、その理由に拠るものだ。
 そう、スフィーは妹――リアンが心配だったのだ。ちょっと抜けているリアンの事だから今頃悪漢や変な奴に目を付けられていやしないかと心配で堪らない。
 だが、今回は無茶が過ぎた。妹が心配で心配で周りも己も見えていなかった。
 スフィーは自覚していなかったが、かなり限界だった。正直やばかった。極めてキツイ。もうだめぽ。控え目に言って、死ぬ。
 先行していたスフィーが、突然ふらふらとしていたかと思うと段々と失速し、少しづつ徐々に下降速度を上げながら結構なスピードで落下していく。
 その様子を見て残りの三人は慌てて後ろから応援を送るが、スフィーは飛行制御が上手くできないようだった。一応の目的地が見えてきたので集中力が切れたのかもしれない。
 端から見ても何でもないように見える芹香も内心焦っていた。魔力になら自信のある彼女も長時間に及ぶ連続飛行の為に体力が尽きかけている。今までもマイペース飛行を保っていたからこそ、なんとか持ちこたえていられると言っても過言ではない、かも知れない。
 とにかく三人が何とかしようと試行錯誤している間に、スフィーはもう手の付けられないようなスピードでレフキーの街並みに落下していく。
「………………」
「えっ? 通常の三倍の速度で下降しています、って言ったの?」
「えー!? それってかなり危ないんじゃ……」

 三人が見守る中でスフィーは――ピンクい彗星と化してレフキーの何処かに落下していく――。

               ◇

「なんか嫌な予感がする……」
 宿の一室にて『案内してください』とセリオの即答に気圧されて休む暇もなく宿を一歩出た瞬間の第一声がこの一言である。
 ちなみにセリオはチェックアウトの手続きか何かでまだ宿から出ていない。
 気付けばもうすっかり日は暮れていた。高価なワインなんか飲むもんじゃないな――と思いながら一足先に夜風にあたろうとして宿から出るまでは良かったのだが……不思議な感覚が彼に危険を告げていた。言葉にするならW白羽の矢が立った”という感じか。
614断ち切れぬ絆:03/03/01 05:28 ID:4mRIDoSm

 思えば武器を失くし、かなり変な連中に絡まれたりとあんまり嬉しくない出来事ばかりが浮かんでくる――走馬灯のように。
 次の瞬間、健太郎は焦った素振りで辺りを見回す。だが周囲に人影はなかった。この通りは人通りが少ないのだろうか……と安堵する。右にも左にも前にも後ろにも誰もいないのだ。これなら安心だぜ! と、気を抜いた瞬間にWそれ”は空から降ってきた――。

               ◇

 なんとか人気の少なそうな通りを見つけ、スフィーは其処に突入する覚悟を決めた。
 ここで下手に持ち直してこの最悪の状況を長引かせるよりは、人がいないような場所に降りた方が賢明だった。
 下降速度を抑えながら、地面に直撃する直前にホバリングの要領で最大出力の風圧を地面に叩き込んで落下による衝撃をやわらげる、というかなりの度胸を必要とするテクニックを頭の中でトレースする。
 普段のスフィーなら絶対に有り得ないこの事態。ホウキを握る手にも自然と力が入る。正に一生の不覚である。
 そんな事を想い苦笑を浮かべた彼女の顔が、そのままの形で固まった。
 いきなり通りの建物から青年が出てきたのだ。そして何を思ったかいきなり辺りをキョロキョロ見回したかと思うと、安堵の溜息を吐くではないか。
 志保が見ていたなら『健太郎ー! 上! 上!」とか叫びそうな状況だったが、勿論そんな余裕はスフィーにはない。そんな事を叫んでも集中力が乱れるだけだし、何より――もう間に合わなかった。
 全力で身を捻りつつ直進コースを避ける為、回避行動を取るがホウキの後ろの部分がその青年の頭に直撃する――と思われる直前にスフィーは全力で風圧を叩き込む。それにより青年は前屈みになるが、それでもホウキが後頭部を掠めてしまう。

 でもまぁ、ただそれだけで、青年は死ぬほど吹っ飛んだ。しかも危険な事に頭から地面に突っ込んでしまった。

 一方スフィーの方もかなり危険な状況であった。身を捻りながら風圧を叩き込んだ所為で乱回転するホウキから投げ出されてしまう。
 もはや自分が上下左右、どの方向に飛んでいったかは判らないままスフィーは吹き飛んでいく――。

               ◇

 セリオが諸事を終え、出口に向かうとピンク色の何かが水平に飛んできた。
615断ち切れぬ絆:03/03/01 05:30 ID:4mRIDoSm

 もの凄いスピードだったが、セリオはそれが人であると認識した瞬間に身構えた。
 大きさは成人女性のそれだったがセリオは上手く衝撃を殺しつつ弾かれないように受け止めようとする。
 結果、セリオは一メートル程勢いにより後退したところでそのピンク色の成人女性――スフィーを受け止めきった。後ろで宿の主人が唖然としていた。
 セリオはスフィーを床に下ろしたアトに、言った。
「どうしたのですか?」
「……………」
 まだ状況が上手く把握できていないのか、スフィーはぼんやりとした視線を彷徨わせる。
「どうしたのですか?」
 二度目のその声に今度はハッとした表情を向ける。
「し」
「し?」
「しぬかとおもった」
「……そうですか」
 変わらぬ表情でセリオは応える。スフィーはそんな事に気付く間も無く、またも重大なことを思い出す。
「うあ! さっきの人大丈夫かなッ!?」
 錯乱気味に叫んで出口から飛び出し、青年がうつ伏せに倒れている――持ってきていた荷物も散乱していた――場所に駆けよる。
 だが……青年は死んだように動かない。意識もなさそうだ。
 そんな青年を見て慌てふためくスフィーとは対照的にセリオは倒れている青年――健太郎に近寄り抱き起こして首筋に手を当てる。

「……止まっています」

 何が? とは聞けなかった。
「そ、そんな……ッ!? だって軽く接触しただけなのに……」
 力なく呟くスフィー。余程打ち所が悪かったのか、健太郎はイイ感じに白目を剥き出しにしたままだった――のだがセリオが異変を察知する。
「……これは? 脈が……微弱ながらもあるようです」
 だが、淡々と言い放つセリオもスフィーも十分に承知していた。彼の生命が尽きるのはもはや時間の問題で、意識不明の上に瀕死の重体であることには変わりがないという現実を。
「生きている……」
 そう、生きている。しかしスフィーの専門は黒魔法である。白魔法は当然の如く無理な訳だし、蘇生なんて神業は夢のまた夢だ。まぁ、ひっとしたら別次元の世界でなら扱えたかも知れないが。
 しかもこれだけの重体を回復させるだけの白魔法の使い手となると限られてくる。
 しかしだからといって諦める訳にはいかない。この結末を招いたのは自らの所為なのだから。
616断ち切れぬ絆:03/03/01 05:34 ID:4mRIDoSm

 自分の力で無理ならば――と散乱している荷物に視線を走らせる。

 彼女の故郷。今となっては遥かに遠くなってしまった彼女が生まれ育った地。
 戦争の危機が迫る前にと長瀬源之助の紹介でリアンと共にアカデミーに在籍する事になり、その時に譲り受けた僅かな別れの品々。
 そして、不意に目に留まる、一対の銀色の腕輪。――これもその時の至高の逸品の一つだ。
「これなら!」
 そう言いつつ腕輪の片方を力の入っていない健太郎の腕に通す。
「どうするのですか?」
 セリオが事を起こす寸前に、不可解な行動に走ったスフィーに訊ねる。
「いいから――大丈夫。必ず助けてみせるから!」
 そして自らの腕にも腕輪を通す。
 準備は揃った。アトは――膨大な魔力消費に己の身体がどれだけ保つか、だ。
 流石に飛んでいる状況よりは幾分楽だが、それでも疲労が回復した訳ではない。はっきりいって、立っているのもキツイのだろう。だが休む訳にはいかない。
 その雰囲気に気圧されたのかセリオは口出ししなかった。
 そして彼女は静かに、しかし厳かな口調で契約の詠唱を口から紡ぐ。

 この腕輪は使用者から対象者へと契約して初めて効果を発揮する。契約といっても別にお互いの同意が必要、という訳ではない。
 要するに使用者――この場合のスフィー――のW魔力そのもの”を一対の腕輪を通して対象者――この場合の健太郎――に生命力として転換して送りつけるという代物だ。
 だが第一に効率が悪い。故に莫大な魔力が必要であり、しかもこの腕輪では完全に治癒できず、常に魔力供給を続けなければ死んでしまうのだ。最低でも何十日かは使用者と対象者は近くにいなければならない。
 何故なら離れてしまうと魔力の供給効率が極端に落ち、最悪死んでしまうからだ。目安としては使用者から半径五十メートルぐらいなのだが、この腕輪は使用者の魔力を蓄える性質があるので、ある程度制限距離を越えても暫くの間なら生存可能である。

 そして契約を結んだ瞬間――強烈な脱力感がスフィーを襲った。いや、脱力感などという生易しい表現では足りない。全てが奪い尽くされるような、全身が凍り付くような感覚が細胞レベルでスフィーの身体を蝕む。
617断ち切れぬ絆:03/03/01 05:36 ID:4mRIDoSm

 やはりあれ程の瀕死の重体を回復させるにはスフィーの魔力を持ってしても無理だったのか。だが、それでもスフィーは全身を燃やし尽くす勢いで魔力を絞り尽し――そして、彼女の意識は唐突に闇に落ちていった――。

               ◇

 先行していたスフィーが凄い勢いで落下していくものだから三人の魔術師達はスフィーを見失ってしまった。
 どの辺りに落ちたのかは見当は付くがスフィー本人を捜すのに手間が掛かった。それに三人とも疲労が限界にきている。これでは第二、第三の彗星が生まれてしまう。
 それでも数分後にやっと、特徴的なピンクが目に付き、三人は一様にその場に降り立った。
 だが、様子がおかしかった。やる時にはやるスフィーだったから深い事態を予想していなかった三人に衝撃が走る。
 散乱している荷物。倒れている青年。知らない女性に、倒れているスフィー。何より――スフィーが一回りどころか三回りぐらい縮んでいた。一同は流石に驚きを隠せない。
「スフィー……先輩?」
 あさひが、確かめるように呟く。スフィーから返事はなかったが応える声があった。
「気を失っているようです。良ければ込み入った話はそこの宿で行いたいのですが」
 そしてスフィーが突っ込んできた宿を指差す。セリオは立て続けに驚きの連続に出会っているだろうに動じない。クルス商会のセリオは動じない。
 勿論三人に異論はなかった。こんな通りで立ち話をする趣味もなかった。体力も尽きかけていたので宿を探す手間を省けるというものだ。。
 そうして三人は散乱した荷物と小さくなったスフィーとホウキを担ぎ宿に入っていく。一方存在感の薄い健太郎はセリオが担ぐ。今に至っては心拍も安定しており、顔色も良くなっている。しかしその代償にスフィーは……

 先程チェックアウトを済ませたにも関わらず数分も経たない内に戻ってきた――しかも人数が増えている――セリオに対して、宿屋の主人はクールに言い放つ。
「部屋なら万全の状態だぜ?」
618断ち切れぬ絆:03/03/01 05:38 ID:4mRIDoSm

 誰もそれには応えずに差し出された宿帳に、全員分を記入する。そのアトに部屋に案内された。一応二部屋分取ってもらったが全員が同じ部屋に入り、まず10歳くらいの幼女になってしまったスフィーをベッドに寝かせる。
 だが服がだぶだぶだった。しかし、着替えは勿論無い。どうすればいいんだ。
 迷った末に、仕方ないので余った部分を捲り上げる。その間にセリオが健太郎の鎧を外し終え、もう一つのベッドに寝かせた。
 それからセリオと三人のアカデミーの生徒は、お互いに支障の出ない程度に情報交換を行う。だが、三人とも疲れているのかどうにも話が噛み合わない。
 結局、スフィーの身体の変化には生命の危険がなさそうなのと、原因は本人から聞くしか判らないという事で今日の所は解散、という事になった。明日にでも詳しい事情を本人から聞くのだそうだ。
 セリオも縮んだ原因と健太郎の回復との因果関係には興味があった。それに健太郎がこの状態では動くに動けないが……勝手に出て行ったからには志保や七瀬達に心配を掛けているかもしれないとも思った。

 ふぅ――とセリオはらしくない溜息を吐き、窓を見上げる。窓越しの月はまだ、落ちそうにない――。

               ◇

【スフィー/魔力大量消費の所為で身体が縮む/就寝中】
【芹香・あさひ・あかり/お疲れのご様子】
【セリオ/どう行動するべきか思案中?】
【健太郎/死にそうになるがなんかとか回復/就寝中】
619名無しさんだよもん:03/03/01 05:49 ID:4mRIDoSm
お話としては「夜空に舞う少女達」と「Gauntlet and Leggings」(>>65-67)の続きですかね。

長くなってしまった……うぐぅ。
設定に無理がないようにしているつもりですが、ヤパイ部分があればどうぞ遠慮なく。
620名無しさんだよもん:03/03/01 22:07 ID:RgN7Gczy
健太郎とスフィーってすでに出会ってるのでは?
いや、名前は出てなかったかな? 
621名無しさんだよもん:03/03/01 22:55 ID:BHNmKX/O
そう言えば、健太郎が旅に出るきっかけは「ピンク色の髪の大食い少女」だったな。
まぁ、スフィーとは明記されてなかったけど。
622名無しさんだよもん:03/03/01 23:21 ID:RgN7Gczy
1 この時点では焦りと疲労のあまりスフィーが相手が健太郎だと気付いてないだけ
2 健太郎が旅に出るきっかけになった人はただの似た人
3 健太郎が旅に出るきっかけになった人は髪を染めたみさき先輩(爆)
4 その他

どれにする?
623名無しさんだよもん:03/03/02 00:11 ID:f4cTc4Jx
あっ、個人的には1ね。
624名無しさんだよもん:03/03/02 00:56 ID:H8cv4Fop
おお、また難しいところを。
リアン組に続いてここが動き出すと、
また一つの新たな流れになりそうで期待大。

>622
3に惹かれる気もしないではないものの(w
普通に1でいいんではないですかね。
まあ、基本的には続編の作者に任せればいいと思うけど。
625名無しさんだよもん:03/03/03 02:20 ID:zyripw8j
なるほど。スフィー達はセリオ組と合流か。
626名無しさんだよもん:03/03/03 12:21 ID:WuBzqna2
芹香とセリオの面識はどうなんですかね?
627名無しさんだよもん:03/03/03 12:56 ID:AiAX+OZk
あってもなくてもおかしくは無いな
628Uスレの1:03/03/03 21:48 ID:0v8Lb632
 ログ、停滞しててごめんなさい。
 今週末には更新します〜
629名無しさんだよもん:03/03/04 13:32 ID:e+t3h5C6
無理なきように頑張ってください……

630名無しさんだよもん:03/03/04 18:16 ID:lIc4a33p
このままのペースで走ってくれれば非常に嬉しいのだがな…。
631名無しさんだよもん:03/03/05 21:04 ID:3bUMv0if
3週間考えたプロットが、見落としていた過去の話と矛盾することに気付いた……。
鬱だ死のう。
632名無しさんだよもん:03/03/05 21:09 ID:3N1T7id2
イ`
633名無しさんだよもん:03/03/05 22:34 ID:X9AaWvk7
ルーツで筆が止まる……のか?
634名無しさんだよもん:03/03/06 23:12 ID:uhRp5Ug9
>628
お待ちしてます〜。

>631
がんがって。
635Uスレの1:03/03/09 22:16 ID:tpxJzEYn
ログ編集完了しますた。
訂正漏れなど編集ミスありましたらご指摘くださいまし〜
636名無しさんだよもん:03/03/09 22:55 ID:z/m87MSu
出張中に落ちてなくて良かった。

>635
乙〜。
637名無しさんだよもん:03/03/11 00:48 ID:zvlTPaK4
上の方に出てるキャラ紹介を見てるだけでも結構楽しいことに気付く。
638名無しさんだよもん:03/03/11 20:40 ID:4jx2CeqU
それは同人ゲーム屋が絵もほとんど描かれていない、プログラムも
全然組まれていないという状況で
自分の頭の中だけで組み立てられたプロット・設定を想像して
悦に入っているのとあまり変わらぬ状態では……
639名無しさんだよもん:03/03/11 21:06 ID:VgzN1BQA
TRPGでキャラ作ってるときの方が楽しいという症状と……
640名無しさんだよもん:03/03/11 23:22 ID:Y47kIrYG
というか、まんまその状態で作るだけ作って放置されたキャラ多数。
641Uスレの1:03/03/12 00:15 ID:4SGZdWwq
やっぱり書かないとね……(汗
がんがろう。
642名無しさんだよもん:03/03/12 00:28 ID:jvacCrQC
643名無しさんだよもん:03/03/12 22:52 ID:gPeuhsoj
まあ、お話をあれこれ組み立てている段階が
一番楽しいというのはままあること。
そういう意味ではまだ序盤ということなのかなぁ。
644名無しさんだよもん:03/03/14 22:36 ID:XQTPLwcD
葉鍵板が潰れたら終了。
645名無しさんだよもん:03/03/16 23:59 ID:821PfJTz
>644
ま、そりゃそうだ。
646名無しさんだよもん:03/03/18 02:55 ID:DKFudiEe
うう、縁起でもない。ガクガクブルブル(((((((;゚д゚)))))))
647名無しさんだよもん:03/03/18 23:29 ID:26FBRxWm
リアン組とスフィー組が動いたんで、流れが出来そうな具合。
そう言えば秘宝塔に次ぐ秘宝争奪戦候補、浮島関連は停滞中ですな。
648名無しさんだよもん:03/03/19 01:52 ID:IMswFQyR
帝国辺境領とかも、今後の流れに対する影響という点では大きくなりそうな気も。

というか、ネタは幾つかあるんだけど……。
どうも収束させるピースが欠けてるので書くに書けない。
リレーだから気にしないで最初の方を投下するのもありなんだろうけど、
自分一人で書いたとしても収束させられないようなのを投げるのは何か気が引ける……。
……単にリレー参加経験がないだけかも。

モノ書くのも久しぶりなので、書き始めたらすぐできるというわけでもないです。
うだうだとどうでも良いレススマソ。
649名無しさんだよもん:03/03/19 04:25 ID:bIDdzGXN
停滞といえば北川組も止まってるし
秘法塔組も帰還してから一日も経ってないのかな。長い一日で全然進まない印象。
それに帝国といえば茜一向がニノディー近くに潜入してから停滞中ですな。
650名無しさんだよもん:03/03/19 22:47 ID:IfDTyGda
>648
今現在そんなに大きな流れがあるわけでもないし、
取り敢えず投下してみられては?

>649
確かに長い一日。
651名無しさんだよもん:03/03/20 22:18 ID:6W80vc3t
茜一行は結構核心に近いところにいるような気もしますな。
652名無しさんだよもん:03/03/21 00:09 ID:XDJLpVem
653冒険の終わりと始まり:03/03/21 08:58 ID:1jlS2IcE
今から数千年前に遡ろう。そう、今は失われた文明が最盛期を向えた頃。
今と変わらぬ命の営みがあった頃。そして、神々をも巻き込んだ闘いがあった頃に。

発端は、暗き深淵で生まれた一つの命。
それは周囲のあらゆるものを飲みこみ、大きく、大きく膨れていった。
巨大に成長したそれは、無限に沸く食欲に突き動かされ動き出した。
それを野放しにしておけば、遠からず世界は失われてしまうだろう。
神々はそれを阻止する為、人、動物、精霊、この世界に生きる全ての命と協定を結び迎え撃った。

闘いは熾烈を極めた。世界の半分が失われ、闇の神までもが飲みこまれた。
全ては無と帰す定めであろうか。命は疲弊し、諦めが蔓延した。
そこで、神々は一人の英雄を選び出した。燃えるような赤毛の美青年であったという。
そして彼に大いなる力を秘めた宝剣を与えた。
それこそが、光の神と闇の神が己の命を削って創り出した至宝、フィルスソードである。
その刃閃く時、闇は塵となり、光は砂と化し、魔は消え失せた。
英雄はその剣の力でもってそれを討ち、世界に暖かな昼と安穏な夜をもたらした。
彼は祝福を授けられ、神々の座へと登ったという。

もう、成否を確かめる術も失われた、遠い過去の出来事である。

あれから店に戻った俺達は、待ち構えていた秋子さんにたっぷりと責め苦を与えられた。
そりゃあもう、言葉に洗わせられない程の。端的に感想を述べるとと死んだほうがマシ。
今回の仕事で得た賞金の大半は小麦の代金で消え、銃弾を補充したら金が尽き、
仕事もなく、進退極まった俺は皿洗いの日々に逆戻りとなった。
件の首輪は名倉さんが回収していった。厳重に保管する事を約束して。
654冒険の終わりと始まり:03/03/21 08:59 ID:1jlS2IcE
ようよう客も捌け、今日の労働はお終い。暇が出来た俺は
ここで一番安い酒をツケで呑みつつ大志の話しを聴いているのである。

「というわけだよ、同士」
「何が」
ころん、とタンブラーの氷がゆれた。
くい、と中の酒をあおると、大きく溜息を吐く。
「そんな5歳の子供でも知ってる御伽噺を聞かせて、何がしたいの?
 おひねりなんか出ないぞ、ただでさえ今月苦しいんだから」
「まったく、つれないなぁ同士北川よ。……我輩が何の意味も無い口を聞くと思うか?」
急に真面目な顔になる。どうせまた厄介事だ、適当に聞き流すに限る。
「これは我輩独自のルートで入手した情報だ。実はな……」
相変わらずもったいぶりやがる。
「いいからさっさと言えよ」
「……うむ、実はな、この話しに出てくる至宝、フィルスソードの在り処を掴んだのだよ!」
……前々からおかしな奴だとは思ってたが、ここまでとは。
「お前ホント馬鹿か? 至宝? ある訳ないだろ。
 仮にあったとしても冗談じゃない。この間の鼠、忘れたのか?
 俺はあんなのは二度と御免だ。秘宝の類には関わらないと決めたんだよ」
「マイ同士よ、お前はいつからそんな腰抜けになったのだ? 嘆かわしい!
 冒険者たるもの、己が野望の為には多少のリスクは厭わないものではないのか!?」
「あーそう。どうぞ、御自由にどうぞ。俺はやらない。秘法は無くても野望は果たせる」
「無駄だ、マイ兄弟。見ろ、二人分のフィルムーンまでの乗船チケット!
 ああ問題無い既に秋子女史とは話しをつけてある!」
「ちょっと待て、行かないって言ってるだろが。ってフィルムーンまで行くのかよ!」
655冒険の終わりと始まり:03/03/21 08:59 ID:1jlS2IcE
がしっと襟を掴まれ、ずるずると引きずられる。名雪がにこやかに手を振ってる。
「放せ! お前と二人旅なんて絶対に嫌だ!」
「ふはははは! 待っていろ秘宝よ、我が野望の礎にしてくれる!」
「聞けよ! 嫌だ、嫌だぁー!!」

【北川・大志、二人っきりでフィルムーンへ】
656名無しさんだよもん:03/03/21 09:06 ID:1jlS2IcE
>>286-291の続きって事で。
北川組を進めてみたけど、強引過ぎたか。
657名無しさんだよもん:03/03/21 11:10 ID:Kr1SsT0M
あれから数日後みたいだからみさき組とは出会わなかったのか。
つうかその数日後に他のキャラが追いつくのに時間掛かりそう……。
それは別にいいんだけど、マナが目覚めたのにリアクション無しの大志。ちょっとその辺フォローしてほしかった。
658名無しさんだよもん:03/03/21 12:05 ID:znfzfe4R
>>657
ごめん、すっかり忘れてた。
書いてみて駄目だったら星になる。
659選ぶ権利:03/03/21 15:38 ID:NcRzBqIG
少し時間を遡る。
やっと鼠の始末を終えた彼女――観月マナは、
ウエイトレスとして正に獅子奮迅の働きを見せていた。その表現の通り、
この仕事も彼女が想像していたのとはかけ離れた物であったのは言うまでも無い。

「嬢ちゃん、生姜焼き二人前だ!」
「おい! さっさと皿下げてくれ!」
「はいはいはい!」
落ちついた外観とは打って変わって、店内はこの有様である。
冒険者と言えば聞こえは良いが、所詮はゴロツキ。
怒声と笑い声に満ちた店内は、活気があるというよりもむしろやかましい。
「お皿お下げします! はいこちら生姜焼き、お待たせ致しました!」
「遅ぇぞ!」
「申し訳ありません! はい、中生ジョッキですね、少々お待ち下さい!」

からん、とドアにつけられたベルが鳴る。来客だ。
また忙しくなる、と彼女は心の内で舌を打つ。勿論、接客用の笑顔は崩さずに。
そうしながら、この仕事はなかなか自分向きらしい、などと考える。
「ただいま……」
入ってきたのは満身創痍の冒険者三人。
ただいま、と言ったことから宿泊客でもあると思われる。
その中の一人、ローブを着た、魔術師風の男と目が合った。次の瞬間、
「目覚めたのか、マイシスタァァ!!」
「え?」
違った。変質者だったらしい。いきなり飛びついてきやがった。
「き、きゃぁぁあああ!!」
思わず手にしていたトレイを後ろ頭に思い切り振り下ろした。
がこん、と鈍い音がした。変質者はがくりと頭を垂れ、動かなくなった。
元々疲弊していた様子だったし、止めを刺した形になる。
660選ぶ権利:03/03/21 15:39 ID:NcRzBqIG
「はあ、はあ、はあ……」
「あら、おかえりなさい」
「あ、秋子さ……」
言いかけて、止める。激しい殺気。全ての技能を失っているマナにも伝わる程の。
周囲の空気が凍りつく。ワルキューレの騎行が聞こえてきた気がした。
「マナちゃん、何か?」
ふっと話しを振られ、少々戸惑いつつも答える。途端に怒気が失せた。
「い、いえ……。あ、この人たちは?」
「ああ、まだ顔は合わせてなかったわね。そちらの方がこの宿に泊まっている北川さん。
 それからそっちは私の娘の名雪。それから……」
何かを探しているのか、周囲を見渡す。そして、彼女の足元に目を向けて、
「あ、いたいた。そこに寝ているのが九品仏さん。あなたを介抱してくれた方よ」
ときた。それはつまり、もしかしなくても、あれか。着替えをさせてくれたのも、
身体を拭いてくれていたのも、この、変質者だったと言う事なのだろうか。
「ふふふ、なかなかやるではないか。それでこそ我が妾に相応しい」
もう目を覚ましやがった。しかも、とんでもない事を口走りながら。
どうやら本格的に止めを刺しておく必要があるらしい。
ゆっくりとトレイを振り上げ、ひゅん、と打ち下ろす。
スコーン、という小気味良い音を響かせ、大志はまた、眠りについた。

【観月マナ、大志の印象最悪】
【彼女の身の回りの世話をしていたのは大志?】
661名無しさんだよもん:03/03/21 15:53 ID:NcRzBqIG
書けたけど、うん、まあ、どうだろ、これは。
編集サイトさんので言う所の167番、「温度差」の続きってことで容認してくれると嬉しい。
あと書き忘れ。【鼠、片付く】
662名無しさんだよもん:03/03/21 23:16 ID:Cf41V2SA
おつ〜

妾扱いですかw
拾得物は落とし主にきちんと返しやがれ大志w
663名無しさんだよもん:03/03/22 21:52 ID:yeK87r9R
おお、進んでる。
しかし、フィルスソードとはこれまた。
そう言えばフィルス関連は設定には顔を出すものの、
キャラはあんまり出てないですね。
664希望と隣り合わせの絶望:03/03/23 00:44 ID:Wj76GLV+
神の座へと着いた英雄が初めにやった事は、後に再び現れるであろう脅威に備え、
宝剣を三つの秘宝に分け、別々に封印する事だった。
その内一つ、宝刀闇の剣は、極寒の地の果てにあるという永久凍土へ。
その内一つ、霊薬神の血は、海に眠る数年に一度姿をあらわすという洞穴にそれぞれ安置された。
残りの一つ、宝刀光の剣は、英雄と共に多くの戦場を巡ったが、
彼の死後その側近の手によって何処かへ封印され、その場所を知る者はもう居ない。

「そして、我々が今向っているフィルムーンの沖に! それも今年!
 神の血が眠ると伝わる洞窟が現れるらしいのだよ!」
「へえ」
「それでだ、その封印を守っているというのがだな……」
665希望と隣り合わせの絶望:03/03/23 00:45 ID:Wj76GLV+
北川は、デッキから海を見ていた。
なし崩し的に引きずり込まれ、死地へ向う船に揺られている自分の運命を呪いながら。
「死ぬよ。仮に至宝があったとしても辿り着く前に死ぬよ」
大志から聞いた情報を整理した結果、その説がもっとも有力に思える。
場所とか由来とかはどうでもいいんで聞き流した。
大切なのは、そこに何が待っているか、ということ。
「シードラゴンなんか倒せる訳がねー」
どうせ死ぬんだし今ここで飛びこんでも死期が前倒しになるだけで大してかわんないかな、
なんて考えた所で、ふいに青の錫杖を出るとき皆にかけられた言葉を思い出す。
曰く、ハネムーンは死出の旅、なんて素敵。
曰く、来世でも幸せにね。
曰く、ねえねえ、やっぱり北川君ってば受け?
曰く、次の即売会では北川君総受け本で決まりー。

何としてでも生きて帰ろうと決めた。あの腐女子どもを止めなけりゃならない。
それに、シードラゴンの牙とか鱗とかは高く売れるらしいッスよ?
そりゃもう、一生遊んで暮せるくらい。一気に野望達成?
輝く未来を思い描く。命あってのなんとらやって言葉が浮かんだけど無視した。
666希望と隣り合わせの絶望:03/03/23 00:46 ID:Wj76GLV+
見渡す限り深い闇。夜行船は真っ黒に染まった水面の上を滑って行く。
もう5時間も船に揺られている。夜明けも近い。地面が恋しい。
ふい、と後ろを振り向く。
ポンポンと煙突から煙が吐き出されている。
「何で火力炉なんだよ」
いや、解る。解るよ。自分達は決して裕福じゃない。むしろビンボ人だ。
旅費は節約しなきゃな。うん。納得した所で寝室の扉を開ける。
「何でタコ部屋なんだよ」
いや、解る。解るよ。節約節約。でもさ、
「何でこんなに密度が高いんだよ!」
既に床が見えない。みっしりと人で埋められている。
生存競争は厳しい、とてもここでは眠れそうにはない。
「徹夜?」
徹夜。

【海龍退治するらしい】
【北川、徹夜】
667名無しさんだよもん:03/03/23 00:49 ID:Wj76GLV+
流石にいきなりフィルスソードはやば過ぎるかって事で、
原典に従い三つに分けてみたんだけれど、どうだろうか。
今のところ何もかも不確定情報なんで、その辺はほら、柔軟に。
668名無しさんだよもん:03/03/23 21:13 ID:65nGftre
おつかれ〜
そう言えば「魔族の剣」なんてのもあるから、フィルスソードとうまく絡ませれば、耕一や舞とも繋がるね。
669潜む復讐鬼と暢気な旅人:03/03/25 19:04 ID:6ojLqQ1x
くないを握り締め、暗がりの中息を殺して潜む少女――観月マナ。
「殺してやる。あのセクハラ野郎、今度こそ絶対殺してやる」
もちろん、気配はだだ漏れ。これではかくれんぼにもならない。
それは彼女の力不足ゆえか、はたまたあまりに濃い殺意の所為か。
それでも当人はいたって真面目に殺る気満々。
「思い切り苦しませて、命乞いを聞きながら殺す。あの変態に血の報いを……」
などと少々物騒なことを呟きながら、標的が戸を開けるのを今か今かと待ち構えている。
だがしかし、記憶を無くす以前ならまだしも今の彼女はただの一般人である。
大志とて変態なりに場数を踏んでいるのだ、そう易々と殺られはしない。
これまでも幾度と無く挑み、同じ数だけ撃退され、それでも復讐を諦めないのは何ゆえか。やっぱ愛?
まあ今回ばっかりは痛い目を見なくとも済むだろう。その変質者は今、海の上に居るのだから。
670潜む復讐鬼と暢気な旅人:03/03/25 19:04 ID:6ojLqQ1x
「リビドー……迸り……翼となれ……」
深夜、デッキに立ちぶつぶつと呪文を唱える怪しい影が一つ。
いつもならばあの大声量で朗々と唱えてのける所だが、彼とてTPOは弁えている。
「おーい、大志。なにやってんだー?」
北川だ。人懐っこい笑顔を浮かべ、とてとてと歩いてくる。
「何、まいはにーにメッセージをな。黙って出てきてしまったから心配しているかもしれん」
ぱっと光の翼が生まれ、彼の手から離れて飛び去って行く。
相変わらず魔法の腕だけは良い。しかし、
「まいはにぃ、ね……」
この間の事を思いだし、ちょっと苦笑い。
「ふ、あまり冷やかすな。照れるではないか」
「別に冷やかしてないぞ」
「まあそうひがむな。……さて、もう夜も晩い。眠るとしようか」
「ひがんでもない……。ってもうそれはいい。
 残念だが、タコ部屋はもう人が入れる状態じゃないぞ」
「ふん、我輩が一山幾らの凡愚どもと寝所を同じくするとでも思ったか?
 安心しろ、我々は個室だ。ただし……」
うっそ、やった。すごいぞ大志。天下人。お大尽。
これで徹夜か夜風に吹かれつつ甲板で眠るかなんていう地獄の二択からも開放された。
なんて喜ぶのはもう少し先を聞いてからでも遅くなかった。
671潜む復讐鬼と暢気な旅人:03/03/25 19:05 ID:6ojLqQ1x
もちろん北川だってデッキで眠るだとか、徹夜だとかは勘弁願いたい。けれど、
「ただし、ベッドは一つだ。同士北川、選びたまえ。ここで眠るか、それとも……」
こいつと同衾、なんてのも極力回避したいわけで。
眼鏡越しの瞳が妖しく輝いた。ように見えた。尻の穴がきゅっと締まった。

【マナ、暗殺計画空振り】
【大志、マナへメッセージを送る】
【北川、どうする?】
672名無しさんだよもん:03/03/25 19:11 ID:6ojLqQ1x
まあ、ね。取り敢えず保守代わりに。
時間はあんまり進んでないし、ある意味もないエピソード。
その広い懐でもって、ほら、ね。
673名無しさんだよもん:03/03/25 22:06 ID:kW06j3On
乙〜。
大志が妖しくていいなぁ(w
マナのへっぽこぶりも良いですな。
674遭遇:03/03/26 00:32 ID:/mdEBULa
歩き疲れた足を休ませるために私達は宿の戸をくぐった。
するとすぐ正面にカウンターがあり、宿の主人と思われる中年の男がカウンターの向こうに座っていた。
男は椅子にふんぞり返り、豪快にいびきをかいて眠っていた。
「ぐぅー……ぐぅー……」
「おーい、おじさん。二人、入るわよ」
「ぐぅー……ぐぅー……」
「おじさーん?」
「ぐぅー……」
……だめだこりゃ。
お手上げ、と琴音の方を振り返ると、琴音もしょうがないですねという風に肩をすぼめて見せた。
仕方がないのでカウンターの上に置いてあった、人呼び用のベルを取り上げて、男の耳元に持ってくる。
そして、
「起きろー!」
男の耳元でベルをチリンチリンと鳴り響かせながら怒鳴ってみる。
「ぐぉー……がぉー……」
いびきがさっきよりも大きくなった。
頭に来たので男の胸倉を掴んで、一発頬を叩いてみる。
パンッ!
小気味良い音が響いた。
「ぐ……ぐぅー……」
パンパンッ!
「ぐぐ……ぐぅー……」
スパパパパパパパ!
「ちょ、ちょっと晴香さん!」
もの凄い勢いで男の頬を往復ビンタしだした私の手を琴音が慌てて止めに入った。
「死んじゃいます!」
「まさか、そんなに力入れてないわよ」
「でも!」
「それに……いい根性してるみたいよ、このおじさん」
まるで赤い風船のように膨らんだ頬になった男は、それでもまだ豪快ないびきをかき続けていた。
675遭遇:03/03/26 00:33 ID:/mdEBULa
「おかしいわね」
「晴香さんが?」
「……ぶつわよ」
琴音が男の顔に回復魔法をかけながら、とても失礼な事を言ったので、睨みつけてやった。
それにしてもおかしい、どう考えてもおかしい。
普通の人間がここまでされて、それでもまだ眠っていられるなんて常識では考えられない。
これはむしろ……
「ちょっと琴音、このおじさんに魔力感知かけてみて」
「?」
琴音が訝しげな表情を浮かべながら、回復魔法を中断して、掌に意識を集中させた。
するとかなり強い光が琴音の掌から放出された。
「これは……!かなり強力な眠りの魔法がかけられていますね」
「やっぱり、ね」

「上の部屋も全て調べてみましたが、全部同じように強い反応がでました」
「そう……ここら辺一帯の人が皆眠らされているのかもしれないわね」
「でもどうして?」
どうしてこのように人を眠らせるのはどういう場合か。
人に知られずになんらかの行動を起こしたい場合が最も当てはまるだろう。
単なるいたずらか、誘拐か、暗殺か――誘拐?
「まさか……」
私は懐から川澄舞を探すのに使うために持って来ていた魔法の宝石を取り出した。
見ると宝石は淡い光を発していて、しかも弱弱しく点滅している。
「晴香さん、これって……」
「ええ、あの娘が危ない。行くわよっ!」
「行くってどこに!?」
「それはこいつが教えてくれるわ!」
そう言って私は秘宝を手に持ったまま走りだした。
676遭遇:03/03/26 00:33 ID:/mdEBULa
やられた。
川澄舞の情報を掴んでいたのは私達だけではない。
そんな事は当然のはずなのに頭が回らなかった。
つまりこれは先手を打たれたという事。
彼女は既に襲撃を受けているのだ。
そして彼女の同族が残した秘宝の今にも消えそうな光が、私の予感を悪い方へと導いていた。
急がないと。
だが、彼女の居所を示す手がかりは二つしかない。
一つは私が手にしている秘宝の光。
この反応が強くなる方へ進んでいけば、いずれ彼女に辿り着く事ができるだろう。
それからもう一つの手がかりである、ここら辺の人々が眠らされていたという事実が、彼女が襲撃を受けている場所がこの近くだという事を示していた。
レフキーは広大な街だ。この街全てを眠りにつかすなんて芸当は人間には不可能だろう。いくら広範囲魔法でも、せいぜい街の一角が限界だ。
とはいえ、手探りで探す事には変わりがない。
間に合うだろうか?

焦り、何度も道を間違え引き返しながらも、まるで見えない力に引き寄せられるように、私達はそこへ辿り着いた。
曲がり角の一つに差し掛かるや否や、私は身をを隠すようにして急停止した。
そのままの勢いで背中へ琴音が激突してくる。
「いたた……急に止まらないでください」
「しっ」
おでこを押さえながら抗議する琴音を静まらせ、向こう角を覗くよう指示する。
――そこには傷つき、蹲っている少女とそれを支える少女。
そしてその前に立ちはだかる巨大なモンスターの姿があった。


【巴間晴香&姫川琴音:オーガの襲撃現場を発見】


わかり辛い所を補足:実際は佐祐理が誘拐されそうになっているのだが、晴香達は佐祐理を知らないので勘違いしている。
677名無しさんだよもん:03/03/26 00:34 ID:/mdEBULa
投稿時期がかぶっちゃったけど、長い一日を終わらせるため、かなり強引に進めてみる。
678名無しさんだよもん:03/03/26 01:37 ID:mWKt20rS
>>677
あの一日を終わらせるにはみさき楓組も何とかしなきゃなー。
679名無しさんだよもん:03/03/26 01:47 ID:EUYH5VVd
一番はあの鶴来亭の連中じゃないかな。
680名無しさんだよもん:03/03/26 01:58 ID:EUYH5VVd
っていうか秘法塔とレフキーって方道歩いて何時間だっけ?
浩之は野宿してたみたいだし、どんなにはやくても半日はかかると思うけど。
その辺どうなのかな、と。
681名無しさんだよもん:03/03/26 10:46 ID:mQhlg5Xv
おおっ、新作二本。
最近は元気ですなぁ。
682名無しさんだよもん:03/03/26 11:26 ID:6+V9BuBZ
これまで自分で書いたものと過去の話しを照らし合わせてみると、
ごろごろ不整合が出てきて死にたくなった。ごめん。

>>677
いやっほう、新作来たー!
まだ彼女らは助けに入ってないから、佐祐理のピンチは続く訳ですか。
暢気に寝こけてる連中が居る脇で死にかけてる奴らもいる。これぞ複数ラインの醍醐味っすね。
ところで、眠りの呪文を使ったのは誰だろう。やっぱりあの間者かしら。
帝國よりで危険思想で高位の術者。……誰だろう。
683名無しさんだよもん:03/03/26 22:55 ID:CFXm1et5
確かに同じ出来事を別のラインから見られるのはリレーの醍醐味やね。
684名無しさんだよもん:03/03/26 23:52 ID:Pmn+fOQv
呪歌に似てるけど、こっちの方が遥かに便利で強力っぽいね……<周囲全体に及ぶ眠りの魔法
685名無しさんだよもん:03/03/27 03:37 ID:SBbaaCwr
作品うpが多くなってきたな
良き哉良き哉
686名無しさんだよもん:03/03/27 17:27 ID:EKerM6xz
わーい、新作だ〜

ところで、名雪は北川達を追いかけたりしないかな〜?
687名無しさんだよもん:03/03/27 23:23 ID:Lssi4txq
>684
相当高位の術者なんだろうね。
あるいは何かの秘宝の力という展開もあるかも。
688天使の見た夢と目覚め:03/03/28 23:21 ID:da8eG+4E
油断すると閉じそうになるまぶたを抑え、津波の様に襲い来る睡魔を跳ね除け、
復讐鬼マナはターゲットを待ちつづけた。そう、ちょうど今、この瞬間までは。
「……すー」
ああ、遂に力尽きた。彼女はそのまま、深く、深く眠りの中に沈んでゆく。
暇つぶしに読んでいたのだろうか、膝の上に開かれていた本を枕にして。


ちちち……。柔らかな鳥の囀りと、眩しい朝日。
それから、何処かからか漂うコーヒーの香り。理想的な朝の風景だ。
「ん、ううん……」
彼女も、こうなっては起きてこない訳にはいかない。
昨晩は床で眠ってしまったので、身体中が痛む。疲れも取れていない。
「……兎が、空を飛んで……。羊……キング?」
おまけに夢見も悪い。
けれど、いつまでもぼんやりしてはいられない。
えいやっと立ち上がり、朝の綺麗な空気を胸一杯に吸い込み伸びをする。
部屋を見渡す。仇敵、九品仏大志の姿は無い。もう起きたのだろうか?
ベッドを見る。シーツが乱れた様子は無い。どうやら昨日は帰ってこなかったらしい。
つまり、私の苦労はまるっきり無駄だったって事になる。
……次に顔見せた時は、覚悟しときなさいよ。
689天使の見た夢と目覚め:03/03/28 23:22 ID:da8eG+4E
自分の為にと用意してくれた部屋へ戻り、着替えながら考える。
普段からヘンなローブを着て出歩いてるあいつ。あいつが何をしているか、私は知らない。
秋子さんは冒険者で魔術師だって言ってたけど、あんなのが魔術師だなんて信じられない。
精々……って、なんで私はあんな変態の事なんか考えてるのよ!
あんな奴がどうなろうと知ったことじゃないし、何をしてようとも構わない。
帰ってこなかったのだって、ただ野垂れ死にしてるだけに決まってる。そう、それよ!

「あれ、こんなもの、昨日はなかったよね?」
テーブルに置かれた一通の手紙。
宛名を見ると、確かに私宛になってる。誰からだろう、急いで封を切る。
もしかしたら、無くした記憶の手がかりがあるかもしれない!

手紙の内容は、私を落胆させるには十分過ぎるものだった。
「誰がはにーよ、誰が!」

【マナ、大志からのメッセージを受け取る 疲れが抜けきっていない】
690名無しさんだよもん:03/03/28 23:28 ID:da8eG+4E
うん、まあ、あれだ。また時間が進んじゃった訳だけれども。
これは、他のパーティを置きっぱなしにして進んでるんじゃなくって、
北川組及びマナが他のパーティに追いついたって事にすれば。
ああ、駄目だ。上手くまとまらない。
まあ、何だね、誰か意訳してください。ごめん。
691名無しさんだよもん:03/03/30 22:16 ID:8AslGgSe
前の話と一つにまとめてもよかったんだろうけど、まぁ保守代わりに小出しにするのも一つの手だよね、乙。
692名無しさんだよもん:03/03/31 00:00 ID:oQVPeRQN
新作乙〜。
ますますマナが泥沼の方向に(w
各パーティーの時間の進行状況は無理に
合わせなくてもいいかと。多少意識しておけば。
693奇跡と紙一重の不条理:03/03/31 00:20 ID:JJQ5t9nS
耳をつんざく砲撃音。直後、船体のすぐ真隣に水柱が上がる。
「おおっと。へへ、めくらめっぽうどれだけ撃とうが、この船にゃかすりだってしないぜ」
――なんたって、ミラクルがついてるんだからな――

だが、どうしたってギリギリなのだ。一発でも当ったらそれでお終いなのだ。
口では大きな事を言っても、表情はすっかり強張っている。冷や汗だって流れる。
いや、まだ終わった訳じゃないじゃないか。頬を叩き、へたりそうになる己に活を入れる。
この船にはまだまだ隠し玉があるんだ。そりゃあもう、色々と。
「さーって、とっておきを見せてやろうかね……。アレを使う! 準備はいいかぁ!?」
ごぅん。返事の代わりに、耳障りな駆動音で応える。……おお、一発でかかるなんて珍しい。
魔力炉内で精製されたマナ・エナジーが燃焼、爆発を起こし、
その圧力でもってエンジンを駆動させ、無数の歯車がその運動をスクリューに伝える。
そう、これぞミラカノ百の秘密の一つ、超高出魔導エンジンである!

魔力炉は汎用性が高く、現在では火力炉に次いで広く用いられている。
しかし、それだけで船舶を動かせるだけの推進力を得られるものとなると難しい。
とにかく、重量があり過ぎるのだ。その上製造コストもとんでもない。
最近は、帆船にサポート用のごく小型の物を積んでいるものもあるらしいが、それが精々。
速度と燃費以外ならどう考えても火力炉の方が優秀だ。精度が低い物は暴走も多い。
しかしこの、よく解らない技術で犬飼さんが作り上げた魔導エンジンならば、
これまでのものよりもずっと小型サイズで、数十倍の推進力を得る事が可能なのだ!
金もアホほどかかってるぞ! もしかしたら船そのものよりも高価いかも!
……ただし、連続駆動実験の結果は余り芳しくなく、まあ、あれだ。長く動かすと爆発する。
その為一時的なブースターとしてしか使えないが、これだけの性能がありゃそれでも御の字よ。
694奇跡と紙一重の不条理:03/03/31 00:21 ID:JJQ5t9nS
海軍どもは、目の前で起こったミラクルにただただ目を丸くしている。
有り得ない。これだけの風に逆らって、これだけの速度が出せる船なんて、有り得ない。
その上なんだ、港を盾に取られては攻撃も出来ないじゃないか。
などと連中がまごついている内に、ミラクルカノン号は更に加速。
包囲を抜けみるみる遠ざかる船影は、ガレー船が全速力で追っかけても離れて行くばかり。
補助用の火力エンジンとクルーを限界まで酷使しても全然足りない。あ、船火事発生。


轟音、轟音、また轟音。ただし着弾地点はてんで的外れ。
執拗な砲撃をものともせず、追い風受けてミラクルカノンは海を行く。
「はっはー! 無駄無駄、届きゃしないよー!」
安全圏まで逃げきった安心感からか、本来の調子を取り戻したキャプテン祐一。
顔一杯に笑顔を浮かべ、鼻歌だって歌っちゃいそうな雰囲気だ。
確かに今は順風満帆、船は順調に進んでいる。が、船もクルーも傷だらけ。
さしもの彼らもしばらくの休息が必要だろう。エンジンの御機嫌も取らなきゃならない。

【相沢一家、逃走成功】
695名無しさんだよもん:03/03/31 00:29 ID:JJQ5t9nS
前々から書きたかった海賊団を進めてみた。まあ、なんだね。酷い。
我ながら汚ねえやり方だとは思う。よく解らないとか奇跡とか、凄く便利。ごめん。

なんて自己批判で予防線張ってみる。ホントにごめん。このとおり。
696名無しさんだよもん:03/04/01 00:25 ID:6NUE1bRR
まあ、肩透かしの感もないことはないけど、
長くなるのを避けて取り敢えずの解決を図るのは
それはそれで一つの方針だとは思う。
しばらく滞ってたしね。
697名無しさんだよもん:03/04/01 22:21 ID:vxg5D0iy
698名無しさんだよもん:03/04/02 00:17 ID:R0G56x9c
そういえばまだ告知されてなかった。不必要かも知らんが、一応。
リレー小説総合、最新スレッド
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1049041815/l50
699名無しさんだよもん:03/04/02 20:43 ID:z/Ydzv13
関西弁があやふやで鶴来亭は断念、後はまかせた…がくっ。
700Uスレの1@またぞろ出張中:03/04/02 23:47 ID:/oBSyKJf
>>680
レフキー=秘宝塔間は山一つ越えて、日にちにして一日の旅程だったはずです。
となると謎なのは、帝国(ニノディー)=レフキー間の距離ですなw
騎馬の強行軍で秘宝塔まで一昼夜なのか、夜間の強行軍で一日なのか……微妙。
701名無しさんだよもん:03/04/03 00:16 ID:sc6O15tG
となると晴香達が夜に出発してその日の夜にレフキーに歩いて着くのは無理っぽいけど……
その辺どうする?
702名無しさんだよもん:03/04/03 00:57 ID:rma+ivgq
>夜に出発してその日の夜にレフキーに歩いて着く
ぐぁああっ、すっげぇご近所物語だなぁオイ(w

て、テレポートしてきたとか…
あぁあ、言っててなんだが個人的に好きな展開じゃないなぁー。
ほいほいこれをやられると便利すぎる。
703Uスレの1@またぞろ出張中:03/04/03 01:22 ID:nNtYeq2p
セリオが山賊移送するときテレポートに近い術使ってたんで、いまさらという感もw
アカデミーが設置した特定の”点”のみに向けて転移する、個人呪法とか……
704名無しさんだよもん:03/04/03 01:38 ID:rma+ivgq
いやいやそういう前例があるからこその「ほいほいこれをやられると」なのよ。

しかしまぁ
>アカデミーが設置した特定の”点”のみに向けて転移する、個人呪法とか……
これが妥当だろうか。

儀式魔法とかにしてお手軽感は極力無くした方が良いかも…
って神経質すぎか(w
705名無しさんだよもん:03/04/03 01:49 ID:sc6O15tG
というかまず、通しかNGか決めた方が建設的な気がするが……基本的にNGはなしの方向でいきたいけど……
でも作品中に歩いてきたという表現が多々あるからどっちにしても改変は必要そうだけど。
それにテレポートっていっても二人とも白魔法専門だけど大丈夫なの?
706名無しさんだよもん:03/04/03 07:32 ID:C9kSos/Q
それより>>700の方が気になる。
武装した騎士団が隣国挟んで一日って…高速で空飛とんでるのか?
707名無しさんだよもん:03/04/03 10:28 ID:BSjPYzQI
>松本を捜しに行った岡田隊が、一昼夜を過ぎてまだ戻らない。
77から引用だけど……
俺の記憶が確かなら一昼夜ってのは約24時間だから、
描写されてないだけで本当はもの凄く時間掛かってるんじゃないのか。
少なくとも待ってるだけで一日費やしているのは事実だと思われ。
……ああなんかやばい雰囲気だなw
708名無しさんだよもん:03/04/03 10:57 ID:MNQRXnSb
>>705
ピオリムで素早さを上げて、ホイミで体力を回復させながら42.195km走ったw
>>706
途中で全員ペガサスナイトにクラスチェンジしたw >>707
帰りはさらに速くなってる。
ドラゴンナイトか?w
709名無しさんだよもん:03/04/03 11:06 ID:wKiV7PmO
実はこの世界では一日が100時間あるとか(w
710名無しさんだよもん:03/04/03 13:25 ID:BSjPYzQI
結局どうする? 決定権がないからどう意見しようが流されそうな気がするが……w
当時の作者さんがいれば意見欲しいけど……無理っぽいし。
まぁ『気にしないでおく』でもいいけど(ぉぃ 
こういう細かいところを野放しにしておくと後々苦労しそうだから、どちらにせよここできっちり決めたいんだけどね。
711名無しさんだよもん:03/04/03 14:32 ID:A8+LUoFM
時間的なまとめをあまりやってなかったのが痛いかな……。
今まとめ直そうとするとかなり前まで遡ってみないといけない予感。

ところで、ついでだけど、うたわれキャラって出さないことになってたりするんだっけ?
どうなってたかすっかり忘れてるんだけど、先日(今更だけど)遊び始めたので気になった。
712名無しさんだよもん:03/04/03 15:55 ID:MxXVqUct
>>711
実はニヴェのとっつぁんが帝国の宰相だかで出演済み。
ってまだニヴェはわかんないかな。

だが彼等の登場については結構物議をかもしたものだ。
もともと半ファンタジー、剣と魔法が本職な人たちなだけに絡ませ方が難しいのだ。
例えばカルラとかが剣聖みさき辺りと剣で互角、なんてシチュは倦厭されるだろう。
また魔法の使い手が結構凄い事出来たりするのよね。
ここらの理由から今のところ自粛の傾向にあるようだ。

まぁそれでも使っちゃいけないって事じゃなかったはずなので意欲ある物はチャレ
ンジするのも良いだろう。

ところで同様の理由からかフィルスノーン連中も今だ出ていない。
今のところフィルスノーンは神話の物語として語られるに留まっている。
713名無しさんだよもん:03/04/04 00:42 ID:7hmVXbbk
フィルス勢では前の戦争の時の黒幕として
ドーバンあたりが出てなかったかな?
まあ、原作がファンタジーな面々は、そのまま使うか、
伝説にするか、いっそLv1状態ということにするか、
いずれにせよ書き手の裁量でいいのではないかと思われ。
714名無しさんだよもん:03/04/04 19:49 ID:EBwILKWL
伝説扱いが一番妥当かと思うんだよな。
キャラクタ知らない奴も多そうだし。
715名無しさんだよもん:03/04/04 23:51 ID:jTcFI2SL
伯斗とか面白かったんで、マイナーキャラでも出すこと自体は
問題ないと思う。ただ、知名度の低いと思われるキャラは
出すなら原作での設定、性格、一人称、口調くらいは解説を
付けといた方がいいかもね。

ところで、>653の赤毛の勇者ってジーク?男装ティリア?
716名無しさんだよもん:03/04/05 01:13 ID:uZ3Y4SQT
ルミラご一行書ける人は、フィルスも知ってるんでないですかね?
いないこ繋がりで……

まぁ、とりあえず現行の死んでるキャラを生かす努力を優先すべきかもですが。
香里とか、凸と絡んだがために死にっぱなしってのもかわいそうですしw
717名無しさんだよもん:03/04/05 01:56 ID:i0uexm8w
>>715
あれ書いた奴っす。ジークにしてティリアを出しても、
ティリアって事にしてフィルスキャラを過去の人物にしても、
某メルビンみたいに現代に蘇った英雄って立場でティリアを出し、
間違った伝説って事にしてそれネタにからかっても面白いと思う。
要はほら、あれだ。他の書き手の方々にまるままぶん投げるって事で。
毎度適当な事ばっかやってごめんなさい、ほんとに。
718名無しさんだよもん:03/04/05 02:58 ID:7puX2RrP
んで晴香組どうすんの?
このまま見て見ぬふりして通すの?
辻褄合わす気も無いならないでいいから、結論をだしてくれ<書いた人(いるならだけど)
719名無しさんだよもん:03/04/05 20:41 ID:gKzSfY8l
>>718
そのうち修正版うぷするのでよろしく。
720715:03/04/05 22:05 ID:luvtqlsg
>717
いや、曖昧な書き方だったので、実はそうではないかと思ってました。
そう言えば原作のジークも詳しく語られてませんでしたな。
721Uスレの1@出張明け引継ぎ中:03/04/06 00:20 ID:iiTB7aOp
そろそろ、また設定まとめやったほうがいいでしゅな。
明日がんがります。
722名無しさんだよもん:03/04/06 01:15 ID:zKoEeSF6
話を書こうと思っていたらこんな物を書いてしまったので投下してみます。
色々集めてきた感じでしかないかも知れないですが。

【魔法】:魔法とは、古の失われた偉大な力である。
     魔法は、魔と法を合わせる事により発動する無限の力。
     術者が望むものはなんでも叶える事ができたという星の記憶を司ると言われた
     翼人にも匹敵する力であった。
     かつてはこの力によって今より遥かに高度な文明が存在していた。
     しかし、その巨大な力は争いを生み出す素にもなり、翼人の怒りに触れ、
     その文明は大陸と共に海に沈んでしまったのである。 (→216)


■自然術
術者:長谷部彩(ビギナーランク) 王立騎士団特務部隊員
術者の総称:特別な言及無し。
使用例a:燭台の炎からフェニックスを生成(→14)。
使用例b:森の木からトレントを生成、その後暴走(→172)。
希少度:「変わった魔術ね」との詠美の台詞がある(→14)が、帝国の一兵卒が暴走したときの結果について知っていたりもする(→172)。
・形などをイメージすることによって水や石や火などの自然物を変質させる術。
 例:火のイメージ+鳥のイメージ→フェニックス
・周囲に自然物がないと使えない。
・動物などの形に変質させた場合、術者が死んでも破壊されるまでは自律行動する。
 備考:ゴーレムは自然術の産物という説がある
・持続時間は魔力に応じる。彩では1時間程度。
・術者の力が足りない状態で無理に使用すると暴走し、生成した存在に取り込まれることがある(→181)。
私見:
召喚するか変質させて作り出すかの微妙な違いはあるにせよ、「精霊魔法」というイメージに近いかも。
制限、リスク、応用のしやすさなどではかなり面白い使い方ができそう。
723名無しさんだよもん:03/04/06 01:16 ID:zKoEeSF6
■ルーンマジック
術者:上月澪(駆け出し)
術者の総称:ルーンユーザー
使用例:炎の印を結んで火球を作り、命中した物を燃やす。
希少度:特に言及はない。
・呪文を唱えることなく、体の動きで印(ルーン)を結ぶことで発動させる。
・声を出せない状況でも使える。
・黒魔術の一派?
私見:
声を出せない澪のための魔法、と言えるかも。
効果のほどについては、唯一の術者である澪がラルヴァに取り憑かれている現状では特に出てくるシーンがない……。
724名無しさんだよもん:03/04/06 01:16 ID:zKoEeSF6
■黒魔術
術者:砧夕霧(ウィザード級※ウィザードは高レベルの称号らしい)
   九品仏大志(かなりの実力)
   澤倉美咲(生徒) ホワール魔術学園生徒
   スフィー(見習い) アカデミー魔術師見習い
   来栖川芹香(見習い?) アカデミー魔術師見習い
   神岸あかり(見習い) アカデミー魔術師見習い
   桜井あさひ(見習い) アカデミー魔術師見習い
   リアン(見習い) アカデミー魔術師見習い
  (霧島佳乃※明確な記述はないが、(→244)での魔法が黒魔術系に似ている 魔法屋)
術者の総称:黒魔術師(士)/黒魔導師(士)
使用例a:明かりとして光球を生成(→156)
使用例b:炎の壁を作り出す(→166)
使用例c:ホウキに乗って空を飛ぶ(→214)
希少度:言及はないが、数から見ても最もメジャーな系統の一つと思われる。
・アカデミーおよび学園には黒魔術コースがある。
・召喚術も黒魔術に含まれる(アカデミーに召喚術系がある)
私見:
「派手な攻撃魔法」として最も華のある魔法系統、としての一般的な位置づけは河原内っぽい。
ただし、実際に派手な魔法を使っているのは大志程度だったりする。
また、大志の場合は他にない特殊な詠唱を行っている等、様々な流派があると考えられる。
725名無しさんだよもん:03/04/06 01:17 ID:zKoEeSF6
■白魔術
術者:里村茜(一流) 魔術アカデミーの高い地位
   七瀬彰(ウィザード級※) 町医者
   天野美汐(特に言及無し。一般レベル?) 久瀬一座のマネージャー
   霧島聖(かなりの高位?) 彰の師
   姫川琴音(かなりの高位?) テンプルナイト
術者の総称:白魔術師(士)/白魔導師(士)
使用例a:傷の治療(→171など)
使用例b:魔法消去(ルミラの炎を妨害)(→190)
使用例c:魔族の探知能力を防御(→264)
希少度:言及はないが、数から見ても最もメジャーな系統の一つと思われる。
・治癒術は非常に高度な部類に入る。
・アカデミーおよび学園には白魔術コースがある。
私見:
治癒術は難しいとされているものの、それ以外の使用例は少ない。
治療のための術としての側面が強いようなので、他に上手い使い方を出して来られるかどうかが課題かも。


■陰陽術
術者:橘敬介
術者の総称:特別な言及はない。
使用例a:厄災を払うお守り【鎮宅霊符】を作る(→87)。
使用例b:易占によりこれから移動する方角が吉か凶か占う(→87)。
使用例c:式神<騰蛇>を召喚し、戦闘に使用(→95)。
・異国の文化体系に属する術系統(詳しくは→71など)。
・必ず反作用を伴う。式神の召喚は特に反作用が大きいとされる。
・式神の召喚では鬼神の意識を取り込んで従わせるため、失敗すると逆支配される。
726名無しさんだよもん:03/04/06 01:17 ID:zKoEeSF6
他の系統については追々ということで。
あと、ミスや追補があればよろしくお願いします。
727名無しさんだよもん:03/04/06 22:09 ID:xnAo/BAs
まとめ乙。こうしてみると魔法も結構いろいろですね。
ただ、やっぱり主流は黒魔術と白魔術という所ですか。
728名無しさんだよもん:03/04/07 15:08 ID:L9QyKWO7


こんなに可愛い子が?!
マジでアナルまでまる見えの過激グラビア(うんち、おしっこあり)
http://www.prettyhips.net/yukari/
729名無しさんだよもん:03/04/08 22:48 ID:+jBS8VQn
白黒魔術はアカデミーがあるから、それで多くなってる面はある。
730名無しさんだよもん:03/04/09 02:18 ID:vxqpYc+m
名倉友里ってもう出番ないのかな。
しかし、あの鼠って現実で例えると
信用されている研究機関で実験中のヤバイ物(細菌兵器等)がテチガイで、街中に散布されて人死にがでるのと同レベルなんだよね。
めっちゃ怖いよな……。
731Uスレの1:03/04/09 22:21 ID:yu/wNGyh
まとめ遅れてまつ。
ごめんなさひ……ログ更新と同時に、今週末には。
732名無しさんだよもん:03/04/09 23:52 ID:q4JDXBeq
>>730
なんかX−ファイルで出てきそうなネタだな、とふと思った(w
733名無しさんだよもん:03/04/11 01:04 ID:1D+EhJIZ
>732
確かにアメリカのサスペンス映画あたりにあってもおかしくない
感じのモチーフですな。そうだとすると友里の出番はまだまだ
考えられるはず。

>731
ゆっくりお待ちしてます。
734名無しさんだよもん:03/04/12 19:27 ID:37IoZzbk
>730
アカデミー内部の闘争が描かれるなら出てくると思われ。
735名無しさんだよもん:03/04/13 12:13 ID:XTY04JbK
首輪を回収していったから、また困った事が起きそうな予感。
普通ならあの場で壊した方が世の為だったろうけど、
研究中のサンプルを持ち帰ってるんだから結局、どうしようが元の鞘に納まるだけだと思うし。
736Uスレの1:03/04/13 18:06 ID:LizLLrJA
編集サイト、ログ更新しますた。

あと、まとめこんな感じでおいておきますですよー
http://isweb45.infoseek.co.jp/play/lefkey/text.txt

共和国、衛兵と書いてるとなんか特別共和国防衛隊とか書きたくなる罠w
737名無しさんだよもん:03/04/13 23:56 ID:KBSPKX4x
>736
ログ更新&まとめ乙。なかなかの労作ですね。参考になります。


ところで、サダムちゃん様?……ああっ!ごめんなさいごめんなさいx100
738名無しさんだよもん:03/04/14 00:28 ID:a3tzQvcc
>>736
わっ、まとめ凄いよ。
乙でしたー。
739名無しさんだよもん:03/04/14 01:38 ID:lJs5xeiM
>736
乙です。これで書きやすくなる……といいなあ。
740名無しさんだよもん:03/04/14 16:17 ID:freAUXWc
>>736
まとめ乙です。忘れかけてたことが結構あって助かりましたよー。

んで、ホワールにある魔法学園はアカデミーに属していると書かれているようですが、
これは本決定でしたっけ? たしか前にも話題になった記憶があるのですがその時はうやむやになっていたような。
個人的にはホワールにある魔法学園は独立していてほしいのですが、実際どうなんでしょうか?
やはりアカデミーの下部組織という事に誰も突っ込まない所をみると、皆納得しているのかな。
741名無しさんだよもん:03/04/15 01:23 ID:s8+aRDER
一応用心メンテ。

>740
うう。すっかり忘れてました。過去ログ読まないと。
742山崎渉:03/04/17 15:55 ID:ocEBuI9Z
(^^)
216.73.176.146 , ip-216-73-176-146.hqglobal.net , ?
743名無しさんだよもん:03/04/20 04:23 ID:QWIzzD/3
>720
ジークってサムスと組んで勇者と呼ばれた人だよね。
神聖大戦よりは大分下った時代の人で、確か魔人たんと
戦って人類と和解させた人だったかな?
744名無しさんだよもん:03/04/21 00:01 ID:DHFYYgKc
>743
ん?ああ、原作の話ね。
745名無しさんだよもん:03/04/23 01:07 ID:JKQhPUYM
そう言えばフィルスでもジークとサムスの防具は出てきてましたな。
秘宝まで行かないけど伝説的な武器防具とかはありかも。
746名無しさんだよもん:03/04/24 22:59 ID:mZogUoL1
黄金週間には新作が数本上がることを期待しつつ、保守。
黄金虫は着ませんように……
747名無しさんだよもん:03/04/25 22:51 ID:YuwHNG5s
748名無しさんだよもん:03/04/26 00:11 ID:m9AOnkAU
 あるリレー小説ファンの朝。

「今週はとんでもない事件ばかり起こった週だったな…」
 そういって家の中を歩いていた彼は、家具にぶつかりインテリアの壷をおとしてしまう。
 するとその中から煙が溢れ出て、そこに一つの人影が現れた。
「わたしはこの壷に宿っておりました妖精でございます。
 出してくれましたお礼にあなたの望みを一つかなえてしんぜましょう。」
 そこで彼は、今日のテレビで見た事件を思い出しこう答えた。
「今、紛争状態にある中東に平和をもたらしてください」
 ランプの精は戸惑いつつこう答えた。
「あの… あそこの地域は宗教やらなにやら複雑な問題が山積しておりまして…
 ほら、聖戦とかいって戦争や殺人を否定してないでしょ?
 そういった背景があるので、その願い事はちょっと… 」
 といって、他の願い事をするよう促した。
 そこでリレー小説ファンの男は考え直し、次の願い事を述べた。
「葉鍵ファンタジーに新作を投稿してください」
 壷の精はニュースを放送しているテレビを見つつ考えこんだ。そしてこう答えた。
「中東の平和の可能性を探ってみましょう」
749名無しさんだよもん:03/04/27 02:50 ID:BBDOPsUR
>748
ワラタ。その直後頭を抱えてしまったが。
750狂人の正義:03/04/27 04:56 ID:NekTOhl5
ひゅうと振り下ろされた斧が、その進路にある全てをなぎ払う。
テーブルは二つに裂け、跳ね上げられたグラスが甲高い音を立てて砕ける。
カウンターは一撃の元に粉砕され、床には巨きなクレパスが口を開いた。
「キカカカカカ、クキキキキキ」
ぶぅん、と風切り音を纏う凶刃でもって、目に映るものを片っ端から打ち壊して行く。
理性なんかとっくの昔に犬に食わせたとでも言うような瞳をして。

「ちぃっ、正に気違いに刃物だな……」
向こうに転がるレイピアを諦め、不気味に笑う男――いやあ、これはもう人ではなさそうだが――に向き直る。
先程肩に開けてやったでっかいピアスホールからは、今もだくだくと血が流れ続けている。
「人間相手なら、あとは放っておいても倒れてくれるんだがなぁ」
生憎、奴は出血を少しも気にかけず、にこにこ上機嫌で破壊を続けている。
ごうっと脳天目掛けて叩きつけられる斧を難無く回避。身代わりに床板がばりばりと裂ける。
こんな大振りの攻撃なんて避けるのは容易いが、あちらさんはまるでへたばる様子も無し、
いつまでも続く様じゃあ、少々アレだ。こっちは標準の人間、疲れだってするし傷つけば動きも鈍る。
「なあ矢島、……おっと、こいつを止めるにゃあ……よっ、どうすりゃいいと思う?」
「そうっすねぇ……ほっ、首でも……はっ、ちょん切って……おっと、やったらどうっすか?」
ぶち抜かれた肩で軽々斧を振り回す相手を見るに、確かにそれでも足りないくらいだ。
男は変わらず不愉快なにやにや笑いを浮かべたまま、楽しげに鉄柱を振り回している。
出血は致死量に達するかといったところだが、脳内麻薬のおかげか全然平気らしい。
「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すゥ〜」
不吉な歌詞にでたらめな節をつけて、へらへらと、心から破壊を愉しんでいる。
変なものぶらぶらさせながら鼻歌混じりに殺されては堪った物じゃない。
しかし首を刎ねるなんてのは流石に不可能だ。さて、どうしたものか。
「1滴残らず血を流し尽くしたら、止まりますかね?」
肩で息をする矢島が、ぼんやりと呟いた。

【御堂、丸腰 肩負傷】
【矢島、同じく丸腰 息切れしてきた】
751名無しさんだよもん:03/04/27 04:58 ID:NekTOhl5
壷の妖精頑張ったよ。編集さんところで言う、292人間の証明 の続きで。
752名無しさんだよもん:03/04/27 19:15 ID:Nxoy33fN
 深さに限りなく広さに果てしない、10万という溢れんばかりの人の海。
 レフキーという名のその混沌の海の中、深みに落とした指輪を探し当てるような奇跡―――

 誇張はある。
 だが、この大都市で一度足取りを見失った相手を短時間で捜し当てるなど、奇跡に等しいことに違いはない。
 ましてや一度よそ者が踏み込めば、そのまま景色の中に溶けて消えてしまうことも珍しくもないスラムの中のことであればなおのこと。

 もっとも、ようやくのこと見つけたその想い人も、うかとすればすぐにも掌中から失われてしまう危うさを見せていたが。

 片や遠めにも鮮やかな朱を抑えて薄汚れた路上にうずくまり、片やそれを庇うように覆いかぶさる一組の少女。
 庇う側の少女が決然と、しかし揺れる瞳に怯えを隠せぬ様子で睨みすえるのは巨大な鬼。
 その鬼の背中に、冷たく挑発的な笑みを湛えた一人の女。

 視界に入る人、人ならざるモノの姿は四つ。
 そのうち救うべきは一つ。
 見知らぬは三つ。
 討つべきは―――二つ。
 とりあえず、二つ。
 ”視界内の”敵としては、二つ。

 川澄舞を保護するためには、彼らを排除しなければならないが―――さて。
「どうする?」
「……そうですね」
 なにを?
 晴香は告げないし、琴音もわざわざ問い返したりはしない。
753闇の影に潜むもの:03/04/27 19:15 ID:Nxoy33fN
 二人にとって、何をなすべきかはあまりにも明らか。
 軽く目配せを交わし、互いの役割分担を確認する。

 よし、大丈夫。
 互いの意思疎通に問題はない。
 これから起こすべき行動、二人ともにそれをはっきり心得ている。
 抜き放った剣を右手に、淡く弱く輝く秘宝を左手に握り締め、晴香は琴音に頷きかけた。

「それじゃ、まずは―――」
「火の粉を振り払いましょう!」

 高らかに、二人が叫んだのと、二つの白光が薄暗い路地に踊ったのと、どちらが早かったことだろう。
 一瞬の煌きが過ぎた後、路地を朱が彩った。
 突如虚空から噴出した真紅の液体が壁に、土に、鮮烈な薔薇を咲かせ、続いて重たい麻袋のような何かが倒れこむ音が響く。
 返り血、そして第二陣の吶喊を避けるべく、軽やかに背後へ―――つまりは、舞たちの方角へ―――跳んだ二人がきっと眉を寄せた。
 手ごたえはあった。鮮血が宙に沸き、何かが斃れる音もした。

 晴香は確かに誰か、背後から襲いかかろうとした何かを殺した―――その何かの姿を、二人は未だに見ていないのだ。
「……ダークエルフ!」
 やがて、地表に滲み出すように現れた死体に、晴香が毒を飲んだかのような呻きをもらす。
 そのほとんど人と変わらない死体が持つ褐色の肌と銀の髪、何より特徴的なとがった耳。
 隠身術を使う術者など、魔術アカデミーにもそう数はいない。だから、予測は付いていた。

 その術を良く使うことで知られる、ラルヴァと同じ色の肌を持つ彼の種族。
 薙いだ刃の感触が、狙いたがわず見えない敵ののど笛を切り裂いたことを伝えたその時、すでにその確信は抱いていたのだが。
 できれば外れていたほしかった確信なのだが……
754闇の影に潜むもの:03/04/27 19:16 ID:Nxoy33fN
「やっぱり、帝国軍。共和国の首都で、公然と活動するなんて……」
 呆れたように、琴音が呟いた。
 容易く隠身術を破られたことで、欺瞞は無意味と悟ったのか。
 琴音の視線の先に、公然と姿をさらした二人のダークエルフ。
 そしておそらくその二人を指揮官とするのだろう、人間、オーク、ゴブリン、ドワーフ、相容れないはずの雑多な種族で構成された、十人ほどのならず者。
 いや、ならず者などではない。立ち振る舞いを見れば彼らが十分な訓練を受けた兵であることがすぐに知れる。
 公然と抜き身を引っさげ、魔術を警戒してか、一つところに固まらず、しかし相互に支援できるような距離を保って展開している。

 人間の町に潜むには、あまりに目立ちすぎるその一団。
 だが、この路地裏にはあまりにも自然に溶け込んでいる。
 無理もない。佐祐理たちは知らなかったが、ここは帝国移民、特に亜人の多く住まうスラム街。
 共和国の中の異国、レフキーの中の異郷、スラムの中の魔窟。

 いかなる異相の者でも自然に風景に組み込むこの街区で、晴香や琴音、そして今の川澄舞たちのような『まともな』装束の者こそむしろ異様な存在だ。
 街区の空気が称える昼も夜も変わらぬ闇、その中に多くの帝国の第五列が潜む―――そんな噂は前からあったし、おそらく事実だろうと誰もが悟ってはいた。
 無論、共和国の王宮や軍部とて例外ではない。
 知っていても、まったくの異界と化したこの街区に手が出せなかった……ただそれだけのことだ。

(計算外ね……)
 ぼやきつつ、晴香は壁際に無造作に積み上げてあった木箱を力任せに蹴り崩した。
 がらがらと物音を立てて地に落ちた木箱から内容物が毀れだし、地に広がった汚物がたちまち強い異臭を放ちだす。
755闇の影に潜むもの:03/04/27 19:17 ID:Nxoy33fN
 まったく、計算外のことだ。
 舞の身柄を保護するのに帝国や共和国と争うことがあるのはある程度予想していた。
 秘宝塔の村で見た両者の荒っぽい行動を見て、予想は確信に代わってもいた。
 だが、まさか、共和国の首都で剣を交える相手が帝国の部隊だとはさすがに彼女の想像力の限界を超えている。
 
 この街区のこの路地は、最初から封鎖された場所だったのだ。川澄舞を誘い込むため、誘い込んだ彼女を取り逃がさぬため、そして外からの、つまり共和国の干渉を断ち切るために。
 ふらふらとこの場に迷い込むような者は、問答無用で追い返される。
 やってくる者のうち、自分たちのようにあからさまにワケありの者は、情け無用で切り殺す。そんな手はずだったのだろう。
 こちら側を固めていたのが十一人、となると多分反対側の路地にも同数ほどは兵を伏せているはずだ。

 少なく見て、敵は二十名。それも先の山賊どものようなチンピラなどではない。
 天下にとどろく軍事強国、レザミア帝国の正規軍人。
 ちょっとどころではない、かなりの厄介ごとを抱え込んでしまったらしい。軽くこめかみを押さえ、ため息をつく。

 そのため息は一度途切れ、しかしすぐにより深く、より重い二度目へと続いた。
「晴香さん……あまり、道を汚さないでください」
 背中越しに聞こえる、非難がましい琴音の声。
 今から戦場とすべき場所の不潔さを嫌ったのだろう。そういえば琴音は良いとこの育ちだっけ、とどうでも良いことが脳裏をよぎった。
 先ほどまで傍らにいた彼女は後ろへと下がっている。
 前衛に剣士、後衛に術師。それだけなら順当なポジションだ。
 琴音が晴香に背中を預けるのではなく、目前の敵に向けて術を練っていたなら、の話になるが。
「……仕方ないじゃない、一応、多勢に無勢なんだから」
 まずいかな。渋面も焦りの言葉も、すべては胸の奥に押し込められる。
 向けられた抗議に軽く肩を竦めるのは、つくろわれた演技に過ぎない。焦慮というどんよりとした雨雲が、急速に心の中を覆いつくしてゆく。
 振り向かなくとも、事態は掴める。
756闇の影に潜むもの:03/04/27 19:21 ID:Nxoy33fN
 琴音の反応と、背後に現れた鮮烈な殺気。
 数と質、そのいずれも正面の敵とさして変わらない。

 二対二十。絶望的にも思える数。
 しかし、その戦力比は、二人になんの恐れももたらさない。
 獅子が豺狼を恐れる必要などどこにもないのだから。

 彼女たちの抱く焦慮の理由はただ一つ。 
 地面に転がる木箱を理想的な位置―――前方から迫る敵の動きを妨げるようなポジション―――に蹴り飛ばし、晴香は背中越しに一瞬の視線を保護対象へと向けた。
 庇い、庇われる少女たちは先ほどの姿勢からほとんど動かず、悠然と近づく女と鬼とを睨みすえている。
 相手の駒をいくつ倒しても、こちらのキングを取られてはお話にならない。
 視線を戻し、居並ぶ敵手の顔を一瞥した晴香の双眸がすっと細められた。
 その口元に、薄く笑みが浮かぶ。
「チェック・メイトになる前に……なんとかしなくっちゃね」

【巳間晴香 前門に虎】
【姫川琴音 後門に狼】
【まいさゆ 鬼が内ー】


 ども、Uスレの1です。>>674-676の遭遇のリレーになります。
 未だに帝国の女の正体わかりませんなw
 誤字脱字、流れにおかしなところがありましたらご指摘くださいまし。
757名無しさんだよもん:03/04/28 00:28 ID:uz2fvoxo
おお、新作!しかも二つも。

> 狂人の正義
妖精さん乙(w 久々の瑞希佳乃組ですか。
まあ、事態は進展無し、とりあえず状況の確認という感じですかね。

> 闇の影に潜むもの
ダークエルフキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!!
いや、やっぱりこの手の世界観では彼らは便利ですな。
迎撃側のレベルの高さも暗示できるし。
758名無しさんだよもん:03/04/28 10:08 ID:09JMEa45
ダークエルフつまんね。
お手軽悪役ですか。
759名無しさんだよもん:03/04/28 21:49 ID:zODR2e5T
お手軽悪役って意味わからんが。
Uスレ氏乙。久々の投稿だねw
帝国の女の正体云々は、もう誰か決めちゃっていいんじゃないかな。
出した人がまだ見てるんならともかく。
760559 一部修正:03/04/29 00:34 ID:Dbl4aLQW
「ふぃー、やっと着いたわね」
私達がレフキーに到着したのは、すでに辺りがすっかり暗くなってしまった後だった。
「それにしてもこれ。テレポートジャムって凄いのね」
「あの大きな魔方陣、なんでも魔術アカデミーが何十年も前にレフキーに作ってまだ動いてるらしいですよ」
「でもそのアカデミーっていうのでもかなり上の人じゃないと使えないんでしょ?なんでそれを琴音が持ってるのよ?」
「葉子さんが渡してくれたですよ。もう一回しか使えないけど、きっと役に立つって」
「ふ〜ん……なんか裏がありそうねぇ」
巳間晴香と私こと姫川琴音はFARGOというとある宗教団体に所属しているテンプルナイトと呼ばれる者である。
FARGOは表向きは単なる宗教団体だけど、その実、裏では異能力者と呼ばれる人とは異なる力の持ち主を保護する活動も行っている。
私達二人は今回、異能力Aランク分類者、川澄舞という少女の保護の任務を受けたのだが、保護対象が発見された場所から
すでにレフキー共和国に連れて行かれたという情報が入ったため、それを追ってレフキーに行く事にしたのだった。
そこで葉子さんに貰った道具を使って、レフキーの郊外に人知れずある転送魔方陣まで来たのだが……
761559 一部修正:03/04/29 00:34 ID:Dbl4aLQW
街に入った所で晴香さんが提案した。
「とりあえずもう暗いし、今日は宿屋で一泊して、川澄舞の捜索はそれからにしましょうか」
そういうわけで私達はまず旅の疲れを癒す宿を探す事にした。
「でも一晩眠ったら気合入れて探すわよ」
「はい、わかってます」
「見つけたらなんとしても説得して、場合によっては力ずくで引っ張っていくわよ」
「え……強引ですね?」
「こうなったら意地よ!私の一日が無駄に終わったなんて事になるの、我慢ならないわ」
と、なぜか一人憤慨している晴香さんに、私は長い間の疑問を問い掛けてみる事にした。
「晴香さん」
「んー?」
「宗団……いえ、郁未さん達はどうして私達みたいな人達を保護して、力の使い方まで教えてくれるんですか?」
「あれ?琴音をFARGOに連れて行く時に言ってなかったっけ?」
「異能力者を狙う者から守ったり、力の暴走を防ぐため、でしたよね?」
「なんだ、知ってるんじゃない」
「いえ、そういう事じゃなくて。なんで宗団がそういう事をしているのかって事です」
「そっか……琴音にはまだ話してないんだ」
晴香さんはそう意味有り気に呟いて、続けた。
762名無しさんだよもん:03/04/29 00:37 ID:Zg4h3Pjy
>758
個人的にはダークエルフ等=悪役って、その考えが少々引っかかるかなーなんて。
いいですか? その意識は黒人蔑視がベースとなっていてですね、そのような思想は……。
あー、なんですか、長くなりますから割愛しますが、つまり彼らをあなたの言うような
お手軽な悪役として扱って欲しくないと言いたい訳で。
なんていうか、帝國側なりの正義というか、大義名分というか、
あの二人を襲撃するだけのそれなりの理由が作ってあるんです。多分。
ダークエルフその他亜人種達が積極的に動くだけの理由が。
英雄がどうとか戦争がなんだとか、そんな我が侭みたいな理由でなくて、別の、
国の為にだとか種族の為にだとかの、言ってしまえばプロパガンダが、あって、欲しいな、と。
763名無しさんだよもん:03/04/29 00:37 ID:Dbl4aLQW
長らく放置してスマソ。
一応問題の>>559の修正版うぷ。
とはいえなんの説明にもなってないのでこれを伏線にして、もう一つ二つなんか書きます。
迷惑かけちゃってホントスマソ。
764名無しさんだよもん:03/04/29 00:37 ID:rPgu776g
つい最近このスレを見つけました。
始めから読んで気がつけば1日で此処まで読んでしまいました。

このスレに投稿されたSS職人さん、絵師さん、編集サイトさんに
最上級のありがとうを。

とは言っても、ど−も最近失速気味ですね。
SSなんて書いた事の無い俺ですが、
書いてみようと思います。

さし当って、誰か過去スレにあった「地図」を保管されている方はいませんか?
ちょっと地理関係が頭の中でこんがらがってしまったので。
765名無しさんだよもん:03/04/29 00:41 ID:Zg4h3Pjy
おっと、割り込んでしまった。すんません。
修正作業お疲れです。これで、それ以降を展開しても問題なくなる、と。
766名無しさんだよもん:03/04/29 00:53 ID:rl5BkUbM
テレポートジャム_| ̄|○

767Uスレの1:03/04/29 01:19 ID:b+1t8dtj
兵隊さんと偉いさんが考えてることは一緒とは限らないのでつ。
亜人たちの自由意志もまた然り。

などと適当なことをのたまいつつ、559氏乙でつ……テレポートジャムてw
お味のほうはどうだったのでしょうかw

しかし、地図ですか。
あれ、クラッシュするまではHDDの中に入ってたのですけどねー……(遠い目
どなたかお持ちでしたらうpしていただければ、サイトに掲載いたしますが……
768名無しさんだよもん:03/04/30 04:23 ID:au9gRr9T
Uスレの1さん、今更勝手ですみませんが、編集サイトの話数にして242話の、
>それじゃ、村から馬でも借りてさっさとレフキーに行きますかっ」
この一文から『村から馬でも借りて』の部分を削除してくさい。
誰も気付かない一文のようでしたし、どうやらテレポートジャムを使ってレフキーに行くのが本決定みたいなので。
769名無しさんだよもん:03/04/30 07:23 ID:uUlHTc32
魔術アカデミーの偉い人しか持ってないって書いてあるけど。
770名無しさんだよもん:03/04/30 23:07 ID:x0Zh4J2A
GW期待sage
771名無しさんだよもん:03/05/02 01:40 ID:ivmOVOTI
GW期待sage
772おだやかに:03/05/02 05:51 ID:y7QrS31q

 かくしてみさきと楓は青の錫杖へと踏み入った。
 中に入ると、誰もいなかった。気配が無いのである。普段の喧騒を知っている者なら、
「?」
 である。
 不思議に思いながらトコ、トコと規則正しく歩いてみる。異様な静けさの中を一人、歩く。
「あらあら、これは珍しいお客さんですね」
 憶えのある声。女主人は来客の気配を敏感に察知し、迎えるべく奥から出てきたらしい。けれど、隠し切れていない怒気が、敏感な二人に似たような感想を抱かせる。

(怒ってる……)
(怒ってますね)

――入る前に気付くべきだったな、と苦い笑いを噛み殺しながらみさきはカウンター席に腰を落ち着かせた。


「それで――今日はどういったご用件かしら」
「うん、このお店の味が、懐かしくなってね」
 その言葉に嘘はない。何故なら数あるレフキーの酒場の中から青の錫杖を選んだ理由がそれだったからだ。
 秋子は軽く微笑むとすぐに作りますからね、と言って手際よく動きながら黒猫に尋ねる。
「楓ちゃんはどうしますか?」
 猫の姿のままで、顔を背ける。
「残念ですが……仕事中ですから」
 その返答に真面目なんだね、とこちらも残念そうにみさきが呟いた。仕方が無い、その真面目さも彼女の良さでもあるのだから。
「そうですか。久しぶりに楓ちゃんの早食いが見られると思ったのだけれど、残念ですね」
 茶化すようなその言葉に、楓は猫の姿のまま、顔を俯かせてしまった。それが人の姿であれば、恥ずかしげに俯く少女が見れていたのだろうか。
773おだやかに:03/05/02 05:53 ID:y7QrS31q

 そうこうしている内に次々とみさきの前に料理の皿が並べられる。
 喜色満面を見事に浮かべるみさきから、楓は飛び降りる。

 流石に食べにくいだろうとの配慮と、ここでは仕事ができないという見切りをつけたのだ。
 昼間にちょっとした騒ぎがあったコトは楓も既に知っていたのだが、詳細までは流石に判らなかった、が。外の鼠と秋子の機嫌の悪さで大体察しはついた。そして、それをわざわざ秋子に確認するようなバカな真似は――楓にはとてもではないができなかった。
 この様子では暫くは客はこない――少なくとも外の鼠が片付くまでは。常連客なら尚更入りにくいだろう――それが楓の結論であった。

 降り立つ物音さえ響かせずに着地して、そろそろ失礼しますね――と、声だけを響かせる。
 みさきは、その声に体ごと振り返り、
「もう、行っちゃうんだ?」
 と、僅かに驚きを込めて言った。
「ええ、すみません。ほんの少しの間しか、ご一緒できなくて」
「ううん、気にしくていいよ」
 慈しむような、微笑。黒猫は、その瞳を限界まで見開く。――それは、数秒にも満たない一瞬の隙。
 楓が振り切るように踵を返す。その後身に、もっとゆっくりしていっていいのよ――と秋子が言う。
 その言葉に釣られて思案してみる。最高の料理が所狭しと並ぶ中。やはり食べる訳にはいかないので、それを眺めるだけの黒い、猫。
 ああ、そんな――

「――そんな酷な事はないでしょう」
 そんなさよならの言葉を呟いて、楓は青の錫杖を去る。みさきは黙ってその猫を見送った。

 例え、その猫の姿が見えなくても。
774おだやかに:03/05/02 05:54 ID:y7QrS31q

               …

 それからみさきは料理が冷めないうちに、いただきますの挨拶をして食べ始めた。
 品揃えは、秋子にお任せである。作る本人がどのような状態であろうが、大変美味しい料理の数々であった。
 清楚な顔立ちを子供のように輝かせながら食べるその様が、万言にも勝る賛美を秋子に送っていた。
 そうして軽めの食事を――無論、彼女の常識の中での表現だが――終えて、赤色の液体が満ちているグラスを眼前で弄びながら、彼女は考える。
――さて、そろそろだろうか、と。
 二時間程度で帰る、と告げた以上あの鶴来亭には一度戻らなければなるまい。
 正直、気は進まないのだが。

 ゆらゆらとゆれる、ちいさなみなも。よせてはかえす、ちいさななみ。
 みさきの眼前で繰りひろげられている筈の、空想のイメージである。

 そう揺れる心も揺らぐ心も――己に迷いを生みだすだけなのだ。
 眼前に水面と波を作っている筈の液体を一気に飲み干し、みさきはごちそうまの挨拶と勘定を済ませ、青の錫杖を出た。
 その立ち去る間際、少女のような――声音からして十代の――声が鼠の処理が終わりました――と、秋子に報告する声が聞こえてきた。
 これでお客もすぐに集まるだろう――と、みさきはほんの一瞬思い、それから夜の街を進みだした。
 踏み出す勇気に迷い無く、自分の信じた道を歩きながら。
775おだやかに:03/05/02 06:02 ID:y7QrS31q
【川名みさき/鶴来亭へ?】
【柏木楓/他の酒場へ】

お話としては「レフキーの夜」の続きです。
鶴来亭の方はどうなるんだろうか……
776名無しさんだよもん:03/05/03 19:28 ID:UPAf9C4o
(´ー`)y━・~~~
777名無しさんだよもん:03/05/03 20:35 ID:OddXz6MY
お、珍しく順調に新作が出てますな。
時間的には北川組帰還前ですか。
この二人の組み合わせ、なんかいいなぁ。
しかし、みさきはこれから大変そうだ。
778みさきと雪見のそんな関係:03/05/05 01:31 ID:u4/srS/2

 七瀬達の乱入によって水を注された格好になった雪見は、わざとらしく溜息をついた。
「……私とみさきは、この国の端っこにある、小さな田舎町の出身なのよ」
「ふぅん」
 どこか投げやりに、雪見は間をたっぷりとって、ゆるゆると話しはじめる。
 智子自身、みさきと何度か組んで仕事をした事はあったが、彼女の素性まで知ってはいなかった。
 事実、みさきに幼馴染の親友がいるなんて、今初めて聞いたのだ。
 傭兵の間にはいくつかの決まり事があって、その内のひとつに、相手の過去を詮索しないというものがある。
 智子自身は傭兵ではないものの、みさきが自分から語らない以上、あえて聞き出すような話ではない、そう思っていた。
 とはいえ、風変わりな傭兵であるみさきの素性に、興味が無いと言えば嘘になるだろう。
「子供の頃は、まるで姉妹みたいにして仲良く育ったんだけどね……
13歳の時、急にみさきが、冒険者になりたいなんて言い出したのよ。
正直言って……冗談じゃないと思ったわよ。
そりゃあ、最近あの子がいやに熱心に剣の修行をしていたとか、旅に必要な道具を集めていたとか…
そういうそぶりは見せてたけど、まさか本気だなんて思わなかった」
「それで、あの人を家に連れ戻すつもりなんか」
 足を組みなおし、眉を片方上げた智子は、胡乱げに雪見を見た。
 雪見がイエスと答えたら、そのまま酒場を出ようと思った智子だったが、意外にも彼女は首を横に振る。
「まさか。そりゃ、家に連れ戻せたらそれに越した事は無いけれどね」
「じゃあ、何が目的や」
「連れ戻しに」
 無言のまま席を立って、出ようとする智子に構わず、雪見は言葉を続ける。
「なんたってあの子、借金まみれなんだもの」
「………はぁ?」
 意外な雪見の言葉に、智子は思わず立ち止まって、変な声をあげた。
779みさきと雪見のそんな関係:03/05/05 01:32 ID:u4/srS/2

「借金まみれ……? あほ言いなや。あの人ほどの腕があったら、よほどの借金で無い限りすぐ返せるやろが」
「そうね。本人に返す気があれば、の話だけど」
「……踏み倒す気、って事なん?」
「さぁ? それも含めて、本人にきっちり聞きたいんだけれどね」
 テーブルの上の料理を口に運ぶ雪見を、智子は難しい顔で凝視する。
「……参考までに聞きたいんやが、みさきさんに金貸したん、どこの高利貸しなんや」
「なに、立て替えてくれるわけ?」
 面白そうな顔をする雪見に、智子は不機嫌そうに唇を尖らせた。
「そうやない。ただ、盗賊ギルドのマスターと知り合いなんや、よほどの金貸しでもない限り……?」
 そこでふと違和感をおぼえ、智子は雪見の顔を見詰めた。
 雪見は人差し指を伸ばすと、ひょいと自分の胸を指差す。
「金貸し」
「……ひょっとして、貸したんあんたかいな」
 どっと緊張感が吹き飛んで、智子は拍子抜けした顔になった。
「あの子、昔から大食いだったからね……それに、冒険の出発資金も、ほとんど私から巻き上げてったのよ」
 智子はこめかみを押さえ、頭痛を堪える様にうめいた。
「なんや、自分があほらしくなってきたわ……」
「というわけで、教えてくれるでしょ、みさきの居場所」
「……悪いけど、私も知らんのや。さっき出ていったばっかりやしな」
 智子の返事に、雪見は大きく息を吐き出した。
「はぁ……けどあなた、みさきのパートナーしてるんでしょ。じゃあまた戻ってくるまで、待たせてもらうわ」
「……好きにし」
 投げやりにそう言って、智子はぐいっと酒を煽った。
780期待外れ:03/05/05 01:35 ID:u4/srS/2

 隣の話が一段落した頃には、すでに七瀬と浩之は、あらかた料理を胃袋に詰め込み終えていた。
「ふぅ……食った食った」
「初音ちゃん、また料理が上手になったわね」
 満足げな二人に笑みを返しながら、初音はぱたぱたと皿を運び回っている。
 すでに夜もかなり過ぎている為、鶴来亭の中はかなりの人でごった返していた。
 店主の千鶴も、耕一の方も、すでにこの場にはいない。
「……う」
 急にがくん、と頭が崩れ落ち、浩之は慌てて手で支える。
「眠い?」
「あ……まぁ……」
 ほとんど寝る寸前の声音で、浩之は呟いた。
 いくら身体には自信があるとはいえ、ただの一般人には、ここの所の冒険は辛すぎただろう。
 無限の体力、とあだ名される七瀬はともかく、浩之の体力はすでに限界に来ていた。
 浩之がそのまま、机に突っ伏してしまったのを見て、七瀬はちょいちょい、と片手で初音を呼びとめる。
「初音ちゃん、まだ部屋空いてる?」
「えっと……ごめんなさい、もう全部埋まってて……」
 その時、急にどこからともなく耕一が現れた。
 何やら顔がげっそりしていたが、それでも七瀬に愛想を振るう。
「部屋を探してるのかい? だったら、俺の部屋を使っても構わないよ」
「えっ、いいんですか?」
「構わない、構わない」
「良かった。じゃあ、明日の朝までお願いします」
「そうか、それじゃあ……」
781期待外れ:03/05/05 01:35 ID:u4/srS/2

 と、さっそく自分の部屋に案内しようとした耕一より早く、七瀬はぐったりしている浩之を抱かかえた。
「はい、これお願いします!」
「………へ?」
 なんとも間抜けな顔になった耕一を見て、遠くで初音がくすくすと笑う。
「あ、七瀬さんは……」
「あたしは泊まるアテがあるので。で、浩之をお願いしますね。お金は明日払いに来るんで」
 七瀬はそれだけ言うと、さっさと浩之を耕一に持たせ、自分は背を向ける。
 ぐっすり寝こけている浩之を腕に持ったまま、耕一は呆然と呻いた。
「……どうすればいいんだ」


 お金を払い、鶴来亭を後にした七瀬は、とたんに鋭い瞳を夜の闇に向ける。
 家々や宿から漏れる灯りが、夜の街角を照らしていた。
 しかし、零れ落ちる小さな光は、かえって隙間に滞る闇を深める。
 傭兵としての勘が、たった今も自分を見詰めている者の存在を、教えていた。
「さて、と……」
 元々、追っ手を巻けるとは思っていない。
 むしろ本題は、足手まといになりがちな浩之を、どこか安全な場所で休ませる事にあった。
 七瀬は自分を見詰めている存在を重々承知しながら、ゆっくりと志保の家に向けて歩き出す。
(ふん……来るならきなさいよ。相手になってあげるわ)
 殺気も敵意も無いその気配は、普段なら気付かないほど、細く沈められていた。
 だが、移動に費やす僅かな動きと、相手を知っているという警戒感から、七瀬はその気配を見抜き出す。
 相手は恐らく、あの黒騎士……ただ一人。
 ならば取る作戦は、おびき出して捉える、そのひとつに限っていた。
782名無しさんだよもん:03/05/05 01:37 ID:u4/srS/2
【智子 雪見 話は一見落着】
【浩之 鶴来亭の耕一が使ってる部屋に】
【七瀬 鶴来亭を出て、志保の家に】


続きもの&短い話だったので連続で。
783名無しさんだよもん:03/05/05 02:57 ID:eGOOWdWq
新作乙〜。
二組進みましたか。とりあえずみさきの借金苦(wが明らかに。
伯斗も粘ってるようだし、どちらも続きが面白そうですな。
しかし耕一は一体何を期待していたのやら。
784名無しさんだよもん:03/05/05 22:49 ID:vDSeo61j
おお、久々に順調。
・・・平日忙しい書き手さん多いんやね。
お仕事頑張って下さい。
785名無しさんだよもん:03/05/06 23:24 ID:4jpigFIC
お、次は七瀬対伯斗とみさき対雪見ですか。期待期待。
耕一は災難というか自業自得というか……
786名無しさんだよもん:03/05/07 22:15 ID:K43IA5qE
大食いと早食いの対決は不発か・・・
787名無しさんだよもん:03/05/08 21:45 ID:UruO5Gr1
ま、そういうのは敢えてやらないのも風流かもしれん。
788名無しさんだよもん:03/05/09 02:04 ID:RsFRsVB6
つか、大食いと早食いってイマイチ噛み合わないような・・・
789名無しさんだよもん:03/05/11 15:09 ID:eQVO4SOT
保守
790もうじゅうちゅうい!:03/05/11 22:43 ID:oURJ4qq6
 彼女には、守るべき人々がいた。
 病に伏せる母、ひもじさを表に見せぬ弟妹。
 他の何にもかけがえのない、何に替えても養わなければならない大切な家族がいた。

 養えるのは自分だけ。
 助けを求める相手などいない。
 ましてや、病魔に苦しむ母の薬、今ある伝手を失えば手に入れる術はない。

 だから、彼女は今ここにいる。
 母を救い、弟妹の糧を得るためにここにいる。
 たとえ、それが彼女の望むことでなくても。

 しばらく屋敷を空けると告げ、宮廷に赴いた主の―――かりそめの主の下を離れ、その主に所用ありとの名目で、王城へと潜り込み。
 向かった先は、
 彼女の勤めを果たすため。
 本来の勤めを果たすため。

 もう三年になる。
 彼女と彼女の家族が、住みなれた町を追われてから。

 戦火の中に父を失い、その背中に迫り来る虐殺と略奪に怯えながらレフキーの城門に逃げ込んで。
 家を失い、畑を失い、家財道具の一切を捨て、都会に身一つで逃れきた田舎者。
 国境とレフキー街道沿いの数万人が、狂信者に集落を焼かれ都市に逃げ込んだご時勢に、彼女らのような境遇に気を払うものなどない。
 まともな市街に収容されることもなく、他の難民同様スラム街に転がり込み―――そこで迎えた過酷な生活に、母は二年で体を壊した。
791もうじゅうちゅうい!:03/05/11 22:44 ID:oURJ4qq6
 後で思えば、彼女にとっては誰でも良かったんだろう。
 そうでなければ、自分が選ばれた理由は思いつかない。自分と同じ年頃、同じ境遇の娘など、スラムに幾らでも転がっていた。
 街区に踏み入って最初に見かけたそんな娘が、たまたま母の薬を求めて駆けずり回っていた自分だったというだけの話。

 運命の転機ってものなのかな。
 漠然とそう思うことがあった。
 それが良い運命なのか、悪い運命なのかはわからない。
 彼女が薬といくらかのお金、そして彼女の身分には見合わぬ仕事を手にすることができたのと引き換えに、与えられた任務は新たな仕事の新たな主、絵に描いたような好人物である彼女を裏切るという行為そのものだった。

 身分の差、生まれの違い、そんなものに関係なく向けられる柔らかな笑み、暖かな心。
 誰もがこの人の従僕として使えることを喜ぶだろう、かりそめの主はそんな人だった。
 無論、それは理緒にとっても同じこと。願わくば、いつまでもこの主に仕えていたい。それは彼女の偽らざる願い。

 だが……母の病は、侵略者が持ち込んだ帝国の特殊な風土病。
 病自体が希な共和国に、その治療薬は存在しない。
 帝国においてすら高値の特効薬を得る唯一の伝手は、彼女の真なる雇い主たる帝国の女間諜に頼るほかないのだ。

 裏切りは、母の死を意味する。
 薬を手にする術を失う母だけではない。理緒も、弟妹も、無事では済むまい。
 帝国、というよりこの街に巣食うスパイ網は、裏切り者を黙って見逃すほど甘くはない。必ずや刺客が放たれる。
 いや、そもそも自身の素性が発覚した時点で共和国の厳しい詮議も免れないのだ。
 あの優しい主とて、自身を欺き続けたものを庇いはしないだろう。

 良くて、牢獄に放り込まれた後に国外追放。
 悪くすれば、王宮広場に引き出され、数万の市民の前で一家もろともギロチンにかけられる……

792もうじゅうちゅうい!:03/05/11 22:46 ID:oURJ4qq6
(そんなの…………)

 絶対に嫌だ。
 はっきりとした思惟が生まれ、遠のきかけた意識が急速に現実に戻ってくる。
 なんとかしなくちゃ。だめだ、だめだよ。
 このままじゃ危ないかも。
 っていうか、絶対に危ない。うん、なんとかしないと絶対に危ない。

(……で。何が危ないんだっけ?)
 フリーズした思考がそこまで全力疾走でカムバックところで、急速に色を取り戻した視界の一転点が警鐘を鳴らした。
 トップスピードからフルブレーキ。視線がその鈍色の点に集中し、焦点が間近に再設定されてぼやけた輪郭が収縮する。
 そして、その物体の正体に理解が及ぶと―――再び頭と体がフリーズした。

「貴様……何とか言ったらどうだ?」
 理緒の視線を絡め取った鉛色、その向こう。
 敵意が二つ、こちらをねめつけていた。
 彼らが理緒の鼻先に突きつけたのは、屋内での戦闘を考慮した柄の短いスピアの穂先。
 募る苛立ちを示すかのように、じりじりと迫るその鋭利な物体を凝視する理緒に弁明を試みる余裕もない。
「釈明もなしか? ……いい度胸だ」
 吐き捨てるように、衛兵の片割れが言った。
 視界の片隅で何かが跳ね上がった。ガツンという衝撃がこめかみを打ち据え、手にしたトレーから温かいスープと腸詰がぶちまけられる。
「あぐうっ……ぎゃっ!?」
 侍女の沈黙を無視、反抗と受け取ったのだろう。
 たった今汚された石床に倒れ伏す彼女の腹に、追い討ちとばかりに石突が叩き込まれた。くぐもった悲鳴とともにびくんっ、と理緒の触覚が跳ね上がり、そして全身から力が抜ける。
793もうじゅうちゅうい!:03/05/11 22:47 ID:oURJ4qq6
 あまりにもあっけない様には、煮立った衛兵たちの嗜虐心を満足させるには程遠かったものらしい。
 人気のない廊下に、なおも鉄棒が柔らかい肉を打つ音、口汚い罵声、そして悲痛な苦鳴が数度にわたって響く。
「……この、このっ! くそったれの、帝国の第五列め!」
 四度、五度、力任せに打ち据えて、なおも手を休めずに鋼の柄を振り下ろす。
 侍女はすでに身じろぎもせず、もはや悲鳴もなく、あちこちに青痣と出血を作って転がるばかり。
 それに気がとがめたというわけではない。ただ、単純な事実を自覚するのがわずかに片割れより早かった。
「お、おい……こんなことしてる場合じゃないぞ。隊長に連絡しないと」
 慄きもあらわに肩を揺する同僚の言葉に、なおもスピアを振りかぶっていた兵が、凍りついたようにその動きを止めた。
「そ、そうだな……」
 がくがくと、壊れた人形のように首を縦に振る……そして、しばし考えた。
 ―――読み書きがやっとの男の頭でも、このままだとどうなるか、ぐらいは流石にわかる。
 自分の想像にすっかり怯え、先ほど縦方向に運動したその首を、今度は横へと小刻みに振った。
「で、でも……せせ責任問題になったら、どうする?」
「このまま放置しておくほうが、よっぽど責任問題になるだろ!」
 泣きそうな声でわめく同僚をどなりつけ、彼はあわただしく腰を屈めた。
 侍女の襟首に手を掛け、手荒く力任せに引き起こす。

 そして槍を床に置き、腕を彼女の両脇に通したとき、誰かがすっと傍らを通り過ぎた気がした。
(何をうろうろしてるんだ―――)
 手を貸せばいいものを。何をしようとしているのか、見ればわかるだろうに。
 日ごろバカだとは思っていたけど、ここまでとは。苛立ちの余り思わず奥歯を鳴らし、彼は前方に回りこんだらしい同僚へと視線を上げた。
「バカやろう、手伝え。早く、詰所に戻る……ぞ……?」
 罵りの言葉が、中途で掠れてきれぎれとなる。
 ほんの少し、視線を上げたところで彼の脳裏に警報が鳴り響いた。
794もうじゅうちゅうい!:03/05/11 22:49 ID:oURJ4qq6
 同僚の兵士は、もう三十歳を超えた自分と同じむさいおっさんだ。
 体は無駄にごついし、顔はもっと無駄にいかつい……っていうより、自分よりも格段に野卑だ。
 もちろんそんなワケだから、足なんかは丸太とは言わないまでも、太目の枝ぐらいには太い。それに、毛も濃いし。

 つまり、ということは、だ。

 嫌な汗が、兵士のこめかみを流れ落ちた。
 今、自分がわずかに上へとずらした視線。
 その視界に飛び込んだ、誰がどう見たって若い女のものにしか見えない生足は―――誰のものだ?

 どさり、と重い音を立てて、彼の背後で何かが倒れた。
 何が倒れたのか、彼は確認しようとは思わなかった―――あまりにも、ソレが何であるのかの予測が簡単であったから。
 恐れ、ためらい、躊躇して、しかし何かに突き動かされるようにして、彼は顔を頭上へと向けた。
「えへへ……」
 そこにあったのは、確信と寸分たがわぬ女の顔。
 その視線の先に、まるで聖書を奉る聖女のように、分厚い何かの書物を高く高く振り上げた女が一人。
 だが、その力の抜けきった満面の笑みが、天上の神ではなく眼下の自分に向けられていることに気づいて―――そして、その本の見るからに硬い背表紙に、赤黒い染みが付着していることに気づき、彼は声にならない悲鳴を漏らす。
「じゃ、いっくよー♪」
 槍に手を延ばす間もない。
 空気の層を穿つ豪快な音がして―――兵士の思考は、永遠に絶たれた。


<糸冬>
795名無しさんだよもん:03/05/11 23:44 ID:eQVO4SOT
↑何これ?
796Uスレの1:03/05/12 00:25 ID:dJIzH6Gc
ぐあ。
あとがきどっかに誤爆したか?(汗

と、とりあえず場繋ぎ事故リレーってことで……(汗
797名無しさんだよもん:03/05/12 01:25 ID:Wd51Qj5N
いやあこう言う過去を絡めた話はなんというか広がりが出来る気が
して個人的には好きですぜ。

それはそうとあとがきは結局なしっすかw
798名無しさんだよもん:03/05/13 01:09 ID:F5EdO4ds
新作乙。
ほう、そっちで来ましたか。
しかし、理緒、こんなとこでも不幸。

ところで、その後書きがどんなだったか、
ひじょーに気になるんすけど・・・
799名無しさんだよもん:03/05/13 22:26 ID:Ku5CkXja
う〜ん。松本はいったい何を考えてるんだろうか?
相変わらず読めない奴。
800名無しさんだよもん:03/05/14 22:13 ID:7yQBnFxj
新作乙〜
801名無しさんだよもん:03/05/16 00:47 ID:sCkbOTyr
保守
802名無しさんだよもん:03/05/16 02:03 ID:6aa4f63l
レフキーにいる面子の時系列がいまいち把握しきれない・・・

大抵は浩之たちが帰還した日の夜または日中で

梓や岩切、あゆたちのパートがその翌日?
803名無しさんだよもん:03/05/16 04:51 ID:yR4slZmH
梓はわからないけれど、岩切志保あゆ組も帰還した当日。時間不明。
ってゆーか過去ログみて気付いたけど、久瀬がわずか10分の間に消滅していた。
話は飛躍するが、松本のは帰還した数日後の話でいいのか、それとも捕まった当日か翌日ぐらいなのか。いつ脱走したのかで梓関係の時間軸もある程度縛れると思う。
って、理緒……トレー二回落としてないか? 違う場面なの?
ついでに補足すると瑠璃子由宇郁未組は秘宝塔組が帰還した数日後の話で、今現在の北川も数日後が現実的。北川の独白も数日経過しているような口調だし。
804名無しさんだよもん:03/05/17 20:32 ID:VRn4nSOX
 トレー二回落とし……自分で書いたのに……首括ります(喀血
 時間軸、一度立ち止まってきちんと整理するか。
 まだ曖昧にしておいて、これからの流れを見ながら作中で理屈付けていくか。
 考え時かもですな。

 てか、その最大前提として誰か次を(略
805名無しさんだよもん:03/05/18 14:18 ID:LV4Mv/B8
(゚∀゚)
806名無しさんだよもん:03/05/18 14:21 ID:2l7cQVwa
女の子でも安心して買えるよ!
新品アダルトDVDが税込み900円〜!
http://www.dvd-yuis.com/
807名無しさんだよもん:03/05/21 01:52 ID:vLZJBfMR
結構入り組んでるなぁ。どうやって整理したらいいんだろ?
808名無しさんだよもん:03/05/21 02:22 ID:UKeORzSx
積み重なった矛盾、込み入った伏線。そんなものにウンザリしてはいませんか?
そんなあなたにぴったりの商品を御紹介しましょう。
『世界崩壊爆弾』
手にしたスイッチをぽちりと押すだけで、ありとあらゆるしがらみは一瞬で蒸発。
特許志願中の高速増殖炉によってそれだけの爆発力を得ているのですね。

そしてお値段ですが、うーんと勉強して14800円、14800円です!
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809名無しさんだよもん:03/05/22 16:29 ID:LHmjhcZ8
この頃新作が出ないな…。
810名無しさんだよもん:03/05/22 23:19 ID:f9c7HPYi
まぁ、マタ―――――リ、待つ。
811名無しさんだよもん:03/05/24 20:03 ID:yBZZiXgm
うし、久しぶりに点呼行くか。
寒い結果になりそうだがw

書く気まだある香具師ー
812名無しさんだよもん:03/05/24 22:36 ID:1GY2VQRU
書きかけのtxtファイルがあって、たまに情景を思い浮かべたりもするけど、
最終更新が4/27という駄目書き手ならここに……。
813764:03/05/25 00:24 ID:p3QgKGwX
地図待ってま――――――――――……。
814名無しさんだよもん:03/05/25 11:52 ID:ecs6+8vJ
懐かしき挽歌氏が書いたやつだっけ?<地図
悪いが俺は保存してないな。反応がないってことは皆持ってないんじゃないのか?
たしか、川を挟んで東が帝国でレフキーが西だったけ? うろ覚えにつき、もれなくフォローよろ。

確認したら作成日時が5/1、最終更新が5/2というtxtファイルが最後ですな(脱字で死にたくなる)
……書く気は一応残ってるけれど……やる気は微妙な書き手ならここに……
815Uスレの1:03/05/25 18:15 ID:ZcMDrHMR
 やる気はまだまだ……ありますけどー(笑
816名無しさんだよもん:03/05/26 00:56 ID:j+FkOwpS
>>813-814
ごめん、持ってる。
>764の地図の下り読み飛ばしてたよ(;´Д`)

ttp://banaga.axisz.jp/cgi-bin/hakagi/img-box/img20030526005409.jpg
817名無しさんだよもん:03/05/26 02:01 ID:LEdBukBf
うろ覚えどころか・・・…全然違ってた(汗 川は国境沿いだったか。
適当なことはいうもんじゃないな。とにかく提供サンクス。
818764:03/05/26 23:20 ID:2Ai3RiXk
>>816
おおおお、サンクスです。家宝にします。
暇を見つけてちょこちょこ書くぞー。
819名無しさんだよもん:03/05/27 23:05 ID:etSXCqAH
>816
なるほど、こうして見ると確かにレフキーって要衝ですな。
820Uスレの1:03/05/28 01:13 ID:Yginw4vy
 地図ゲトー(ズザー

 次回更新時(多分今週末。続編でてるだろうか?)にうpしまつ。
 でも……いくらか手を加えるべき点もありますにゃ。
 ほわーる、帝国共和国国境地帯の栞たちの故郷から一山(だっけ)の距離にあるのに、地図上反対方向になってますし。
821名無しさんだよもん:03/05/29 08:10 ID:GjxXSiEa
でも……誰が手を加えられるのだろうか? 地図書いた人以外無理っぽいけど……
現状ではあの地図は目安程度に捉えておくしかないかな。
822名無しさんだよもん:03/05/29 12:34 ID:aLiLg0kJ
地図自体、挽歌氏が即興で描いたネタみたいなもんだからね。
そこまでこだわらなくても良いかと。
823名無しさんだよもん:03/05/30 13:45 ID:vh2lDuK6
しかし、アレだな。続ける気がある書き手が四人しかいないとは……
824名無しさんだよもん:03/05/30 17:41 ID:8gxZXP67
んじゃ5人目挙手(-_-)ノ

でもネタが無いんです……
825名無しさんだよもん:03/05/31 00:32 ID:oDpBElzc
……書けない書き手に意味はあるんでしょうか?
826名無しさんだよもん:03/06/01 15:48 ID:HMLit3BN
枯れ木も山の賑わい。完全に氏んでなければ
もしかしたら新芽が吹くかもしれない。
827名無しさんだよもん:03/06/01 18:52 ID:QjycPwa/
http://members.tripod.co.jp/chiaki5555/

栗山千明 小○生当時の発禁写真集。
コラじゃない本物です!!!!
*URLの間違いと、画像のリンクが切れてたのを修正しました!!
(夜中は繋がりにくいかも・・・)


828764:03/06/02 12:17 ID:50BIrUk+
時間的には昼ですが、人生の夜を歩いている紳士淑女の方々、今晩は。
この間地図を欲した者です。
はじめてのSSで、敢えて割物に挑戦します。
では駄文ですが……
829仮面:03/06/02 12:18 ID:50BIrUk+
 闇の中に、幽かな気配。
『宰相閣下。かの者につけている同胞より、報告です』
 窓から差し込む月明かりとテーブルの手元を照らす燭台。帝国宰相ニウェ邸の自室兼政務室を照らす灯りはそれだけである。
 部屋の大多数を占める闇から、何所とも無く声が響く。

「終わったようだな」
 闇から響く声に、手元の書面に達筆な文字を書き連ねつつニウェ言葉を返す。
「何か変化はあったのか?」
 どんな内容かは聞かなくとも、把握はしている様である。
『今の所は、何も』
「そうか、引き続いて監視を怠るな」
 ニウェは幽かに嘲りを浮かべ、丁寧に折り畳んだ先ほどの書面を闇の中へと放る。
 かさ、という、紙特有の着地の音は無い。
『……確かに、承りました』
 これは彼からすれば、さっさと行け、という事なのだろう。
 闇の中の気配は消える。

 ふっ、と燭台の火を吹き消す。これで部屋を照らすのは月明かりのみとなる。
「やはり」
 しかし、窓から射し込む月明かりはニウェを照らしてはいない。
「良い獣には、もっと良い餌を与えねばならぬのう」
 その月明かりでさえも今は雲に隠れてしまい、闇が支配する世界となる。
「クク、クカカカカッ……」
 彼独特の、大気を振るわせるだけの哄笑は闇へと吸い込まれていった。
830仮面:03/06/02 12:21 ID:50BIrUk+
 その哄笑が、この男に届いたかどうかは定かではない。

 燃える街を背に仮面の男が山々の向こうに存在するニウェ邸の方を振り返っていた。
 正確には、その途中に居る犬の様な獣の耳を持つ少女に名を呼ばれたからである。
 仮面の男と少女は野営地のはずれ、燃える街を一望できる場所で対面していた。
 帝国軍の野営地にいるには、少々不相応な少女ではある。
「! アル……っ」
 その少女を見て名を叫びそうになったが、寸での所でその名を飲み込む。
 そこには、自分を義父と慕う少女の面影は無い。

 少女の手には先ほどの書面。
「宰相閣下からお前に、との事だ」
 もう、彼女は『少女』ではない。
「わざわざ、御使いとあろう方が……、恐れ入ります」
 彼女は『御使い』なのだ。
 いくら頭では理解しているとはいえ、
(何故だ……? 何故アルルゥが?)
 心はそれを否定している。

 仮面の男はギクシャクとした動きで、ニウェからの書状を受け取り、それを開く。
(……。…………。
 ……捕虜となった将の処断の為、手勢と共に引き連れ速やかに帝都へ凱旋する事。
 ……手勢以外の兵は、戦後処理と治安維持の為そこに留めておく事。 
 ……捕虜となった兵士はその場に留まらせ、処遇は替わりに送る将に任せる事。
 ……労いの言葉は、無し、か……)
 妙なものを感じつつも仮面の男は書面を折り畳み懐に入れた。
831仮面:03/06/02 12:25 ID:50BIrUk+
 それを見計らい、御使いが仮面の将に声をかける。
「思ったよりも、簡単な戦のようだったな」
 御使いの顔には、元の『少女』が決して浮かべる事の無い、邪な『御使い』の笑みを顔に浮かべている。
「……元々人心の無かった皇でしたからね。帝国に攻め込んだとあれば尚更です。兵の士気も低く、民も我々を歓迎したほどです」
 『少女』と『御使い』のギャップに戸惑いつつ仮面の将は言葉を返す。
 御使いは小さく鼻を鳴らし、
「その皇はどうなった? このみすぼらしい都と共に燃やしてしまったのか?」
 御使いは燃える都を一瞥して訊ねる。
「……いえ、首は討ってあります」
 丁度その頃、想像以上の大きい首に、やれ箱が小さい作り替えろ、やれこの妙な髪はどうする、やれ塩は足りるのか、とか何とか、作業班は四苦八苦していた。
「……御覧になられる、のですか?」
 いくら『御使い』とはいえ、流石にそれには堪えられないのだろう。仮面の将は顔を逸らす。
「いや、あのような醜い物は我とて見たくは無い」
 その言葉に、仮面の将は心なしかほっとする。
「……しかし、あの醜い豚のような皇の事、虚しく意味の無い抵抗をして生け捕りにされると思っていたのだがな」
 呟くような御使いの疑問に、仮面の将が答える。
「……最後の最後で、側近の将が皇の首を持参して我が軍に降ったのです」
 ふっ、と御使いは小さく嘲りを浮かべる。
「ハクオロよ、その将はどこにいる?」
「あちらに。他の捕虜と共に拘束してありますが、お会いになるのですか?」
 その問に答える変わりに、ハクオロと呼ばれた仮面の将が示した方へと御使いは歩み出す。

「御使いよ! 無礼を承知でお尋ねします。エルルゥは如何していますでしょうか?」
 柵の影に消えかかる御使いに問いかける。
 半身だけ振り返った御使いは「知らぬな」とだけ唇を動かし、消えていった。
 その時見えた少女の横顔には、邪な微笑が張り付いていた。
「……トゥクスルさん、すみません。私が、不甲斐無いばかりに……」
 空を仰いでいる仮面の男は誰とも無く呟いていた。

 振り仰いだ空は、焼ける臭いがした。
832764:03/06/02 12:27 ID:50BIrUk+
【ハクオロ:帝国軍の将、階級的には不明】
【ニウェ:ハクオロの監視を指示。ハクオロに関して何かに気付いている様子】
【アルルゥ:ラルヴァ憑き。ハクオロの監視をしている模様】
【エルルゥ:不明】

駄文過ぎてつまらん、というのは初挑戦ということでご容赦を。
ホントになんてモンかいたんだ俺。
こんな駄文でも、ネタの間口が広がるきっかけになればと思います。

 ∧||∧ ホントニマワリニハダレモイナイ。
(  ⌒ ヽ アカイイヌヨウノロープデクビヲツルナライマノウチ。 
 ∪  ノ
  ∪∪
833名無しさんだよもん:03/06/02 12:49 ID:EfNZVx0X



思わず股間にシャブりついてマンコを舐めまくる俺!現役コンパニオンの彼女
http://www.oshioki.net/video.html
834764:03/06/02 13:05 ID:eBEkMSQC
ああああ、なにやってんだ、俺。
>>832に追加します

【裏切った側近の将:不明】

マジでなにやっているんだか、俺。
では吊って来ます
835為すべきこと:03/06/02 23:09 ID:hl6z51Bj

 暴風のごとく斧を振り回す男に、追い詰められ、御堂と矢島は窮地に陥っていた。
(ちっ!ここまでか、せめて武器がありゃあな)
 御堂は舌打ちし、飛ばされたレイピアを悔しげに見やる。
(奴だって不死身じゃあるめえ、矢島の言うように首でも落としてやりゃ、さすがに死ぬはずだ)
 ふと視界の端に何かが見えた。そこに見えたのは反撃の兆しだった。
 勝つ為、何より生き残る為、御堂の脳が高速で答えを求める。
(落とした武器、さっきのスーパー何とか、火、酒……”あれ”が使えるか?)
(倒すのは無理でも、接近戦なら届くだろうし、隙くらいは出切るだろうぜ)

「おい矢島、俺様が合図したら、椅子でも何でも良いから、やつに投げろ」
「え?でも」
「説明してる暇はねぇ、とにかくやれ」
 矢島は御堂を信じた。
「わかりました!」
 言って矢島は、斧で壊された椅子を拾う。
 じりじりと後退しながら機をうかがう。
「今だ!」
「おりゃー!!」
 御堂の合図で、矢島が椅子を投げつける。
「無駄だぁぁぁーー!!」
 斧を持った男は、軽くそれを叩き割り、そのまま向ってくる。
 その顔は狂気と、勝利を確信した笑みで彩られていた。
 その時男の横から、何かが勢い良くぶつかって来た。
836名無しさんだよもん:03/06/02 23:10 ID:AUnwdffe
お疲れー
>【裏切った側近の将:不明】
普通に考えればヤツなんだろうけど……。あえて違うのをいくのも吉
837為すべきこと:03/06/02 23:12 ID:hl6z51Bj

          *          *          *

 高瀬瑞希はこの凶事が始まってから、ずっと店の片隅で震えていた。
 恐怖で過敏になっていたのだろう。小さな物音がして、そちらを見て、そしてギョッとした。
 隣にいた小さな女の子が、コップを投げようとしていることに気づいたからだ。
「な、何してるの。殺されちゃうわ!!」
 言ってその女の子、椎名繭を抱き止める。
「みゅー、おじさんを、助けるんだもぅん」
 そう言った繭は、瑞希以上に震え、目には涙を浮かべていた。
(こんな小さな子まで、戦おうとしている。なのに私は、ただ怯えて震えるだけなの?)
 その瞬間、瑞希の体の震えが止まった。
「おじさんは私が助けるわ。こう見えてもお姉ちゃん強いんだから!だから、そこで見ててね」
 そう言った瑞希を繭は見上げ、こくりと頷いた。

 斧男は御堂達に気を取られている。
 大丈夫、瑞希は自分に言い聞かせた。
 瑞希は気取られないよう、慎重に倒れていたテーブルに手をかける。

「今だ!」「おりゃー!!」「無駄だぁぁぁーー!!」
 三人の掛け声が次々上がり、続いてバキィと椅子が斧に割られる。
 そこへ瑞希がテーブルを抱えて、男に突っ込んだ。
「やーーーーーー!!!」
「ぐがあぁ!?」
 予想だにしない衝撃を受け、男は壁まで吹き飛ばされた。
「なんて力強い、流石は俺の運命の人」
 よくわからない矢島の賞賛。
「あ、あんたなんかに、私やこの子の夢を潰させやしない!」
 言って瑞希は繭に片目を瞑って見せる。
「みゅー♪」
 そして繭はコップを投げつけていた。
838為すべきこと:03/06/02 23:13 ID:hl6z51Bj

          *          *          *

「よくやった、胸のでけぇ姉ちゃん!矢島、急いでさっきの酒か、もっと強いの見つけろ!」
 言いながら、御堂は素早く、落としたレイピアを拾いに走る。
「何よそれ!」「は、はい!」
 瑞希と矢島は、それぞれ非難の声と返事を発する。

 御堂はレイピアを構えて、頭を振りながら起きあがろうとする斧男に向き直る。
「矢島、見つかったか?俺によこせ!」
「こいつは効きまっせ!」
 言って矢島は酒瓶を放る。
 御堂はそれを掴み取り、今度は佳乃に向って叫ぶ。
「さっきのスーパー何とか、もう一回やれるか?」
「スーパー何とかじゃなくて、ファイヤースーパーボールだよぉ」
「どっちでも良い、やれるか!?」
「で、出切るよぉ」
「なら俺に向けて撃ってくれ」
「えぇ!?」
「良いから頼んだぞ!」

 御堂は酒瓶のコルクを抜き、軽く口に含むとレイピアに吹き付けた。
「どうなっても知らないよぉ」
 佳乃は再び、かのりん特製ファイヤースーパーボール(自称)をポピュ〜♪ と発射した。
 その火の粉に御堂はレイピアをかざす。即席の炎の剣の出来あがりだ。
「おおカッコイイ!」「うわぁ君を炎の剣士一号に任命するよぉ」
「何、馬鹿なこと言ってるのよ!」
 矢島と佳乃の場違いな言動に、突っ込む瑞希。
「みゅー♪かっこいい」
 繭もだった……
839為すべきこと:03/06/02 23:15 ID:hl6z51Bj
          *          *          *

「そんなもんでぇえぇ俺がぁぁ倒せるとぉお思うのかぁぁあ」
「思ってるぜぇ」
 にやりと笑い、御堂はレイピアを振るう。だがそれは斧男が、躱すまでもなく届きそうにない。
「なんだそれはぁあぁ、ちっともぉお」
「いいや、届くぜぇ。俺の『火鞭』ならな」
 レイピアから火線が走り、斧男の顔に蛇のように撒きつく。
「ぐわぁ!」
「おら!」
 御堂は間髪入れずに、開いた口にレイピアを突き出す。
 レイピアが喉を突き抜け、首の後ろから刃先が顔を出すと、男はビクンと痙攣した。
 なんと男は、それでも斧を振ってきた。しかしさすがに勢いは落ちている。
「往生際が悪ぃぜ」
 御堂は軽くそれを躱し、腹に蹴りを入れ、レイピアを引き抜く。
 男はそのまま後方に倒れたが、信じられないことに、まだ起きあがろうとしている。
「末期の酒だ。こいつを飲んだら、もういい加減成仏してくれや」
 言いながら、御堂は斧を持ったほうの手を踏みつけて、先ほどの酒を男の口に流し入れる。
 そして手にしたレイピアを、動かそうとして止めた。
「おい、お前ら。後ろ向いとけ」
 意味がわからず、互いの顔を見合わせる。
「良いからこっち見るな。矢島!繭の目を塞いどけ」
(ま、今更って気はするがな)
 全員がそっぽを向いたのを確認して、御堂は燃える剣を男の口に入れた。
 体の内から焼かれ、ついに男は動かなくなった。
 各人が為すべきことを為し、手にした勝利であった。
840為すべきこと:03/06/02 23:17 ID:hl6z51Bj

【男 死亡】
【御堂 炎を操る能力『火鞭(かべん)』】
【矢島、繭、瑞希、佳乃 大変よくがんばりました】

同じく参加させて頂きます。
841名無しさんだよもん:03/06/03 01:34 ID:xTEYCSes
おお、新規書き手さん?二人も?す、すげー。

>仮面
なかなか意欲的な新章といった所ですかね。
とりあえず重要性の割に進みが遅いラルヴァ関連イベントの一つの
方向性として、あるいは少し前に話題になった帝国における亜人の
立場の問題なども含め、結構大事なエピソードになるかも。

ところで、うたわれ勢、どうしますかね?前回の議論からは時間が
たって知名度も上がったことだし、本格解禁します?とりあえず
今回新出のメンバーについては、この書き手さんにある程度責任を
持って進めてもらえるのであれば問題ないとは思いますが。

>為すべきこと
こちらはオーソドックスなリレー、瑞希佳乃組とりあえず危機を脱出の
巻ですな。ここまでに比べると多少展開が早かった気もしますが、
一つ一つちゃんと決着をつけていくことが当リレーに一番大事なことと
思えば、むしろ順当かと。しかし、彼ら自身にとっては、これはむしろ
何かもっと大きなことの始まりなわけで、その辺り次が楽しみ。
842名無しさんだよもん:03/06/03 01:39 ID:K9dZ3yKM
>>840
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1039184347/373
見覚えありますよね?

……次は熱血かのぅ(w
843剣聖:03/06/04 01:55 ID:tAuYOdJX

 ここは鶴来亭。レフキー街道を旅してきたものが、先ず最初に目にする宿である。
 客の入りもそれなりのようで、つい今し方も、髪を左右でまとめた少女と、異国風の衣装を着た
 黒髪の少女が、入り口ですれ違ったばかりである。
 その異国風の衣装の少女が鶴来亭に入ると、中にいたこれも少女の二人組が声を掛けてきた。
 入って来たのは川名みさき。二人組は神官衣を着ているのが保科智子、剣を背負っているのが深山雪見である。

「いらっしゃいませー。あ、さっきのお姉ちゃん」
 鶴来亭の看板娘兼調理人、柏木初音が愛らしい笑顔で入って来た客を出迎える。
「戻ってきたよ」
「えーと、あそこで二人が待ってるけど……」
 初音はそこまで言って、みさきに近づいた。
「お願いだから、お店壊さないでね」
 そして耳元に囁いてトテトテと奥の厨房に戻っていった。

「お帰り、みさきさん」
「ようやく会えたわね、みさき」
 智子と雪見は、それぞれの言葉で、みさきを迎えた。
「ただいま智子ちゃん。久しぶり雪ちゃん」
 何故かみさきは、そう言って立ったままでいる。
「座らんの?みさきさん」
「え〜と、雪ちゃん怒ってる?」
「どうして?それより久しぶりに会ったんだもの、ゆっくり話さない?」
 雪見はにっこりと微笑んで、隣の椅子を引く。
 気乗りしない様子で、みさきは勧められた席に座った。
 すると椅子に腰掛けた途端、雪見の手がみさきの顔に伸びて、頬をムニュッと摘まんだ。
「いひゃいよゆひひゃん。ひゃっぱりおこっへるよ〜」
 みさきが情けない声を出す。
「梃子摺らせてくれたわね、ようやく捕まえたわよ〜」
「あんたらほんまに、久しぶりに会うた親友同士かいな」
 名の通った剣士二人には到底見えない、その感動的な再会に智子は思わず洩らす。
844為すべきこと:03/06/04 01:55 ID:tAuYOdJX

          *          *          *

「で、一体この人に幾ら借りたんや?みさきさん」
 顔を撫でるみさきを見ながら、智子はさきほど聞いた借金の件を問い質す。
「え〜と」
「それは良いわ」
 借金の額をみさきが答える前に雪見が遮った。
「なんでや?そのためにわざわざ、みさきさん捜しとったんやろ?」
「勿論、後でちゃんと返してもらうわ。でも今すぐじゃなくても構わないのよ」
 特にお金に困ってるわけじゃないしね。と雪見は肩を竦めた。
 それを聞き智子は、やや目を細め、先ほどの話のもう半分を口に出す。
「なら連れ戻すほうか?」
「ええ、でも無理やりそうするつもりは無いわ」
 雪見は相槌を打ちみさきの方を向く。
「みさき、あなた街を出てから一度も帰ってないじゃない。別に私だって、街から出るななんて言わないわ。
 でも一度くらいは帰りなさいよ。帰れない理由があるわけでもないでしょう?」
 その真剣な眼差しが、みさきに見えるはずもないが、声からそれを感じ取れたのだろう。
 みさきは軽く頷いて言った。
「わかったよ。でも今すぐは無理だよ?ちょうど仕事が入ったばかりなんだ」
「そう、なら良いわ。それが終わったら一緒に一度帰りましょう」
(ああ、やっぱ親友同士ちゅうのはほんまなんやな)
 そのやり取りを見て、智子は一人杯を呷り納得した。
845為すべきこと:03/06/04 01:56 ID:tAuYOdJX

「ところでみさき」
「何、雪ちゃん?」
 雪見はコホンと小さく咳払いなどして続けた。
「私もあなたみたいに、通り名がついてるんだけど知ってた?」
「うん知ってるよ。『剣聖雪ちゃん』だよね」
 会話が進むにつれて、何故か雰囲気が悪くなるのを智子は感じた。
「そう、だけど初めは『剣聖雪見』だったのよ。これも知ってた?」
「うん知ってるよ。だから私が違うよ、雪ちゃんだよってみんなに教えてあげたんだよ」

「やっぱりあんたかー!!」
 言うなり雪見はみさきの胸倉に掴みかかり、前後に激しく揺らす。
「やめてよ〜ゆきちゃ〜ん」
 それを見て、智子は心の中で前言を撤回し、独り言ちた。
(もしかしてこれが理由かいな)

「あんたのせいで、私には世にも珍しい、ちゃん付けの通り名がついちゃったでしょうがー!!」
「ゆらさないでよ〜」

          *          *          *
846為すべきこと:03/06/04 01:58 ID:tAuYOdJX
「それでその仕事は何時終わるの?」
 ようやく落ちついた雪見が、当然の疑問を投げ掛ける。
「ああ、それなんや、けど……?あーー!!」
 突然智子は立ちあがり、その勢いで椅子を倒す。
「何よ突然?」「びっくりしたよ、どうしたの智子ちゃん?」
「どうしたのやあらへん、みさきさんあんたの懐にあるんはなんや!?」
「え?懐?」
 言われてみさきは胸元に手をやり、何か封書らしきものを取り出す。
「えーと、これは何だっけ?」
「クルス商会商隊長宛ての手紙やーーーー!!」
「そうそう、そうだったよ。忘れていたわけじゃないよ?本当だよ?」
 説得力と言う言葉がこれほどに合わない状況も珍しい。

「あなたも大変ねえ」
「あんたとは他人の気が、せえへんようなってきたわ」
 出会ったばかりの二人は、妙に気が合っていた。
 こちらは、共通の悩みや苦労と言ったものは、共感を呼ぶというのが良くわかる光景であった。
847為すべきこと:03/06/04 02:00 ID:tAuYOdJX

>>772おだやかに
>>780期待外れからのリレーです。

【川名みさき、保科智子 商隊長に手紙を渡しに行きます】
【深山雪見 ここで待つか付いていくか】
【柏木初音 何も起こらず、ほっ】
【柏木耕一 のろのろと藤田浩之を自分の部屋に運んでいます】
【川名みさき、深山雪見 後で一度故郷に戻る約束をする】



>>840
下記が抜けていました
>>750狂人の正義からのリレーです。
【御堂 肩に軽傷】

>>841
個人的には逆にこの戦闘は、時間が掛かりすぎていたと思います。
何故ならまだこれは、単なる遭遇戦の可能性もあり、そうで無くとも秘宝塔やネズミ退治での、
兎や宿襲撃になどの序盤に当るものだと思うからです。
一つのクライマックスなら確かに短すぎるでしょうね。

>>842
すみません、何のことか全くわかりません。
848名無しさんだよもん:03/06/04 02:05 ID:tAuYOdJX
う、題名ミスを……
>>844-847はもちろん剣聖です。
849Uスレの1:03/06/04 21:46 ID:Aelm+CtD
新人さんイラシャーイヽ(´∀`)ノ

……ログ更新は今週末必ず致しますゆえ、今しばしの御寛如を(汗
850名無しさんだよもん:03/06/04 23:34 ID:wxLJZ/E7
おお、久々に順調。

>剣聖
マイペースな人がパートナーだと苦労しますな。>二人。
「剣聖雪ちゃん」の由来にニヤリ。確かに言われてみれば
ちゃん付けの二つ名って変わってるかも。個人的には
「トテトテ」厨房に戻る初音たんが妙にツボ。

>847
序盤の一戦闘としては長過ぎるという判断は現状では
妥当かと。ともかく前に進まないことには。
851再会そして船出:03/06/05 02:30 ID:GCg0PWu5

「長瀬、祐……くん?」
 沙織のその声に全員が眼差しを集める。
 綾香は単純に知り合いなの?といった視線だったが、他のメンバーは違った。
 僅かな時間とは言え一緒に過ごした彼女から、今まで出たことの無い、消え入りそうな声だった。
「祐くんだよね?あたしよ、新城沙織。ほら子供のころ一緒に遊んだ」
 沙織は身を乗り出して、自分の存在を相手の少年に伝えた。
 祐介はぼんやりとした記憶の中にあった、あどけない少女が目の前の少女に重なるのを感じた。
(沙織……ちゃん?)
 それは暖かさを伴う懐かしい想い出だった。
 だが彼の口から紡ぎ出されたのは、冷淡とさえ言えるものだった。
「人違いじゃないかな、確かに僕の名前は祐介だけど」
 そう言って彼は視線を逸らした。

(こいつ、こんなしおらしい素振りもできたのか)
(ぱぎゅう、何か緊張しますの)
(ふむ、若さ故の修羅場か)
 往人、すばる、セバスが三者三様の感想を抱く。
「何?二人は幼馴染なの?」
 気まずい沈黙を気にも留めずに振り払う、綾香の明るい声が響く。
「いや、違うよ」
 だが祐介は頑なに否定した。
 ふうんと特に気にする風でもなく綾香は続けた。
「って彼は言ってるから、初めて会ったことにするとして。知り合いに似てるなら仲良くやれそうね」
 暗い雰囲気など、彼女には生涯無縁なのかもしれない。
 こうして総勢六人の新たなパーティーが生まれた。

 その中にあって彼女の心は、舞い落ちる木の葉のように揺れていた。
(祐君、どうして?)

          *          *          *
852再会そして船出:03/06/05 02:31 ID:GCg0PWu5

「あの船よ。ちょっと小さいけど、そんなに沖にでるわけじゃないし十分でしょ」
 そう言って綾香は波止場に浮かぶ船を指差した。
「マジか、あれで小さいのかよ」
「ぱぎゅう、往人さん立派な船ですの」
 往人とすばるは顔を見合わせた。
「へ〜良い船ね、そう思わない祐君?」
 さすがに気持ちの切り替えが早い沙織も率直な感想を洩らす。最も彼女は何時でも率直だが。
 沙織はさすがに王宮勤めだけあって、圧倒されることもなかったようだ。
 祐介はそうだねときのない返事をする。返事をしただけましと思うべきか。
(何があったか知らないけど、この冒険の間に必ず聞き出してやるわ)
 彼女は祐介が何と言おうと、彼は自分の幼馴染だと確信していた。
「さあ乗りましょう、冒険とそして秘宝が私達を待ってるわ」
 そう言って綾香は桟橋を渡ろうとした。
 そこへいかにも海の男といった風体の男が反対側から歩いてきた。

「来栖川のお嬢さんですね?話は聞いています。自分はこの船の船長です」
「よろしく船長さん、今日は御世話になるわ」 
 綾香は片目を瞑ってそう挨拶した。
 だが返って来た船長の言葉は意外なものだった。
「申し訳ありませんがそれは無理です」
「どういうこと?私達をあの島まで乗せて行ってくれる手筈でしょう?」
 何だか雲行きがおかしくなってきた。一行は不安げに成り行きを見守る。
「その島のせいです」
「勿体振ずに簡潔に答えて」
 綾香は腕を組み指で軽く叩きながら問い質す。
「沖合いに現われたあの島の影響で、海流に変化が生じています」
 まさか、と幾人かがその先の言葉を予想した。
 船長はその顔色を伺い大きく頷いた。
「そう、今あの島の回りは波が荒れに荒れ、近づくことは自殺行為です。おそらく明日か明後日には
 波も多少落ちつくでしょう。それまでは船上で命を預かる者として、出航を許可できません」
853再会そして船出:03/06/05 02:33 ID:GCg0PWu5

「つまり延期か?」
「うむ自然の猛威の前には為す術もない」
「ぱぎゅう、折角船に乗れると思ったのに残念ですの」
「まあ、仕方ないわね。ちょうど良いから、あたしはこの暇を利用して手紙でも出そうかな」
 祐介は例によって無言のままだったが、他の四人はそれぞれ受け入れたようだ。
 そして綾香は一瞬呆然としていたが、我を取り戻すと一言発した。
「何なのよそれ!」
 海の荒れはそのまま綾香の心を荒らした。
 いかに世界有数の財閥の令嬢とはいえ、無理なものは無理。
 円滑とは到底言えぬものの、一つの再会は果たされた。
 だがそれに続く筈であった一つの船出は、まだ今は果たされなかった。
 どうやら冒険と秘宝は、あまり彼らを歓迎していないようであった。

【島の周りの海は荒れ模様、収まるには1〜2日ほどかかる予定】
【六人組 足止め】
【長瀬祐介 心閉ざしたまま】
【新城沙織 開けてやる】

編集サイト266「パーティー」からのリレーになります。
遅れたものの何とか今日も執筆。
854名無しさんだよもん:03/06/05 02:49 ID:Yx/i5k/Z
で、そのメール欄はコテの代用のつもり?
855儀式:03/06/05 08:11 ID:Rcd3ehFr
ニノディーまで半日程度と近づいた村で、茜、明義、ルミラの三人は宿を取ることにした。
村に着いたのは夕方になる前だったが、夜に移動を続けて怪しまれてはごまかすのが難しくなると判断したためである。
途中で出会った農夫もこのあたりで休む予定だったと言い、同じ宿に泊まっている。

かすかな物音で、明義は目を覚ました。物音は隣の部屋から聞こえてくるらしい。茜が泊まっている部屋のはずだ。
『……何をしてるんだ?』
ゆっくりと体を起こしながら耳を澄ます。部屋はまだ真っ暗だったが、既に意識はほとんど覚醒していた。
冒険者として染みついた習慣というものだろう。休んでおいた方が良いとも思ったが、もう眠れそうにない。
ベッドから降りると、手早く上着を身につけ、剣を手に取る。そして、こちらも音を立てないように気を付けながら足音を追いかけた。
 宿の一階まで降りていくと、ちょうど扉が静かに閉じられるところだった。
一瞬、かすかな月明かりに、真っ白なローブと金色のおさげ髪が照らし出される。
茜であることを確信し、明義は後を追った。
 外はかなり冷え込んでいた。辺りを見回すと、茜が裏手の森の方へ入っていくらしいのが見えた。
月が出ているとはいえ、かなり暗い。足下に気を付けながらそちらへ向かう。
「……何をしているんですか?」
突然の光に、明義は思わず立ち止まった。杖の先に明かりを灯した茜が目の前に立っている。
「それはこっちの台詞なんだが……」
眩しさに目をこすりながら明義は疑問を返した。
「……一つ、今のうちに準備しておきたいことがありましたから」
答えて、森の奥へと歩き出す。明義もすぐに後を追った。
魔法の白い光で照らし出された森の中を歩いていく。道はなく、しばらく二人が下生えを踏み越えていく足音だけが聞こえていた。
ようやく光に慣れてきた目で見ると、茜は幾つか荷物を携えている。明義はその中に見覚えのある物を見つけた。
「それは、確か、澪の……何に使うんだ?」
茜の持つ袋からは、澪のスケッチブックが飛び出していた。
856儀式:03/06/05 08:11 ID:Rcd3ehFr
「準備です。澪を助けるための」
歩調を落とさず、振り返ることすらせずに茜が答えた。
そのまましばらく歩き続ける。山に近づいているのだろう、だんだんと道に起伏がつき始めた。
「普通、魔族のような者に魔法で十分な影響を及ぼすことはできません……魔族の抵抗力はかなり強いものですから。
でも、私になら……澪に取り付いた魔族になら、魔法をかけることができるはずです」
「なぜそう言えるんだ?」
答えが返るまでにはまた少し間があった。
「術者と相手とのつながりが強ければ強いほど、魔法はかけやすくなります。
魔族が取り憑いているとはいえ、澪のことはよく知っていますから……可能性はあります。
でも、それだけではおそらく足りないでしょう」
言って、茜は突然立ち止まった。懐からペンダントのような物を取り出して胸の前に垂らす。
少しの間そうしてから、再び歩き出した。
「他にも、相手の体の一部や関係の深い物を利用すれば魔法をかけやすくなります。
澪がずっと大切にしていたこのスケッチブックなら……多分、役に立つと思います……」
「それで、そのための作業をしようって言うんだな?」
今度は肩越しに頷きが返ってきただけだった。道はいつしか斜面になっており、茜はそこを降っていく。
しばらく進んで平坦になったところで、茜は手に持っていた荷物を置いた。明義が問いかける。
「ここでやるのか?」
「はい」
短く返事をして、茜は作業に取りかかった。まず白い布を取り出して1メートル四方ほどに広げ、地面に敷いた。
そして銀製の小さな盆と燭台2つを取り出して布の中央に置き、火を灯した。
「右手の方に進むと小川か何かあるはずです。水を汲んできてもらえますか」
明義は頷いて差し出された革袋と明かりが灯ったままの杖を受け取り、言われた通りの方向へと歩いていった。
すぐに小さな泉が見つかった。
857儀式:03/06/05 08:14 ID:Rcd3ehFr
明義が水を汲んで戻ると、茜は銀製の盆の前に跪いていた。
白い布には青い顔料で二重に魔法陣が描かれ、中央に置かれた盆には小石と燭台が乗っている。
盆の向こうに折り取られたばかりの小枝が横たえてあった。そして、茜の傍らには澪のスケッチブックが置かれている。
茜は戻ってきた明義に小さく礼を言い、水袋を手に取ると半分ほどを使って手を清めた。
そして盆に薄く水を張り、最後に口をゆすいでから、小さな水晶の破片を取り出して目の前に置いた。
「邪魔にならないように、その木の辺りで待っていて下さい」
茜の言葉に少し肩をすくめながら、明義は側の木に寄り掛かった。
そんな明義を気にした素振りもなく、茜は瞳を閉じた。森の静けさが辺りに満ちた。
初めは小さな声で、茜がルーンを唱え始める。囁き歌うような詠唱は次第に高くなり、それと呼応させるかのように茜は両手で印を切り始めた。
明義は知らず知らずのうちに儀式の様子を食い入るように見つめていた。これほど近くで魔術の儀式を見るのは初めてである。
魔法を使えない明義にも、茜の周囲に魔力が張りつめているのがわかるほどだった。
高まっていた茜の詠唱が不意に止んだ。印を解いた茜がゆっくりとした動作でスケッチブックを手に取る。
初めのページを破りとり、燭台の火を移した。燃え尽きるまでの微かな時間、片手でページを目の前に掲げて数語のルーンを囁き、空いている手で印を切る。
灰を盆の水に落とし、優しくかき混ぜるようにしてから水を手にとって。再びルーンを唱えながら水晶の上に垂らしていく。
それが終わると、またスケッチブックを破りとり、燃やしては灰を水に浮かべ、水晶へと注ぐ作業を続けた。
スケッチブックを全て燃やしきるまではたっぷり2時間ほどかかっただろう。
もう一度詠唱し、印を結ぶ。最後の音節が森の奥へ消えてから、やっと茜が立ち上がった。水晶を小さな布にくるみ、懐に収める。
そして今まで儀式を行っていた簡素な祭壇を手早く片づけた。
「終わりました」
茜にそう言われて、やっと明義は寄りかかっていた木から体を起こした。手足はすでにかなりこわばってしまっている。
「じゃあ、戻るか」
思い切り体を伸ばして、声をかける。
858儀式:03/06/05 08:16 ID:Rcd3ehFr
明義の目の前で、茜がふらりと膝をついた。
「大丈夫か?」
「……平気です……」
返事はさっきまでの詠唱とは比べものにならないほど微かだった。
「疲れたんだろ。肩貸すぞ」
「大丈夫です」
茜の言葉を無視して腕をとり、肩に回す。茜はほんの少し抵抗しようとしたが、それも弱々しかった。
さらに、明義は茜の荷物を取ると空いている肩にかけた。
「こっちで良いんだよな?」
「……あってます」
そうして、茜の歩調に気を付けながらゆっくりと歩き出した。
森の中はまだ完全に闇に包まれている。露が宿り始めたのか、下草が湿り気を帯びて歩きにくい。
「澪……悲しむでしょうね……」
茜がぽつりと呟いた。
「スケッチブック、無くなったからな……」
「……大事にしていましたから……許してもらえないかも知れません……」
沈んだトーンで言葉を継ぐ。
「でも、いいんです。澪が助かるなら……」
「こんなに無理をしてもか?」
「……少し無駄なおしゃべりをしすぎただけです」
視線を地面に落としながら茜が答える。そしてどちらからともなく黙ってしまった。
「ちょっと聞いて良いか?」
沈黙を破ったのは明義の方だった。茜が明義に視線を向けて先を促す。
「里村はどうしてそんなに魔法を修行しようと思ったんだ?
俺は魔術儀式をこんなところで一人で成功させるような魔術師なんて初めて見た。
しかも、俺とそんなに年は変わらないだろ……?」
言ってから、止めた方が良かったと明義は思った。茜の視線が少し険しくなっていた。
引っ込みがつかず、明義は適当に言葉を続けた。
「……生まれつきで才能があったとか……そういうものでも……」
「生まれつきです」
遮るように茜が言い捨て、そっぽを向いてしまう。
そうしたきり、二人は一言も言葉を交わさなかった。
859儀式:03/06/05 08:17 ID:Rcd3ehFr
「……ありがとう。助かりました」
茜が小さな声でそう言ったのは、宿の前まで来てからだった。
そのときも茜は明義に視線を向けなかった。

【里村茜 何か準備。澪のスケッチブックなくなる。疲労】
【南明義 茜を支えて帰る。まだ夜】
初参加ですが……長すぎました。以後気を付けます。
860シッポをつかむ?:03/06/05 09:08 ID:Rcd3ehFr
茜たちが宿を抜け出した頃。
宿では他にもまだ目を覚ましている者がいた。
茜たちを馬車に乗せてきた農夫である。
明義が出て行った後、少し眠そうに目をこすりながらこちらも一階に下りようとする。
「何をしているのかしら?」
はっとして振り返ると、ルミラが二階から見下ろしていた。
「あ、ああ。いつも畑仕事で暮らしてるからな。朝は目が覚めやすいんだ」
「まだ夜中よ?」
ルミラの返答に、農夫は一瞬言葉を詰まらせた。ルミラの顔には微かに笑みが浮かんでいる。
「いやぁ、あまりこんなところで寝ないからなあ。なかなかよく寝れなくて」
「私もよ。旅をするのは久しぶりなの」
さらりと言って、農夫の様子を見守る。
「……さて、もう一眠りしてくるか。明日も早いうちに出るからな」
少し間があってから、思い出したかのような調子で農夫が言い、階段を登り始めた。
「そうね。お休みなさい」
軽く手を振りながらルミラが答えた。
そして、男が部屋へ戻るのを見届ける。
(また何か絡んできたみたいね……)
一見しただけではわからないように隠されていたが、ルミラは男の様子が違うのに気付いていた。
(獣人……犬か何かかしら? ふふ……)
再び部屋へ帰るルミラの顔には楽しげな笑みが浮かんでいた。

「ふう……」
部屋へ戻ると、農夫――テオロは溜まっていた息を吐き出した。
(大事な頼みとはいえ、慣れないことはするもんじゃねぇなあ……)
少し冷や汗すら浮かんでいる。昼間は簡単に言ったが、運が良かっただけとすら思えてきた。
(ニノディーまで怪しまれずに送り届けろっていうんだから、それだけにしておいた方が良いかもな……)
そんな風に考えながら、あまり慣れないベッドに寝転がる。
無理に起きて疲れていたせいか、眠気はすぐに訪れた。
861シッポをつかむ?:03/06/05 09:08 ID:Rcd3ehFr
【ルミラ 農夫=テオロが獣人であることに気付いた様子】
【農夫=テオロ 誰かに頼まれて活動中。少し冷や冷や】
長すぎたので分割。
プロット自体は前から考えてはいたのですが、>764氏が書いた後で大丈夫かと不安……。
862名無しさんだよもん:03/06/05 13:26 ID:fNFqvhtw
っていうか、さ。
なんで綾香たちが島に行こうとしてるの?
マジでわけが分からないのだが。
863名無しさんだよもん:03/06/05 17:49 ID:XAwJwV0X
今現在、浮島を目指してるのは誰もいなんんだっけ。
まぁ、ちゃん様が探索を命じているし、裕介も秘宝狙いだから流れ的には
不自然じゃないけど、過程がすっ飛んでるのは疑い様がないな。
NGではないが補完キボンヌ。
864名無しさんだよもん:03/06/05 20:18 ID:fWmThlV+
>>862-862
祐介が青い石で島に導かれ、綾香はそれに協力することになったと、勘違いしていました。
今過去ログを確認しましたけど、そんな記述ないですね。
236と240あたりの記憶が、混ざっていたようです。
改訂版を考えてみます。

>儀式
雰囲気が上手く出ているんじゃないかと。
865再会そして船出-改訂版-:03/06/05 22:36 ID:QvYAdJIs

「長瀬、祐……くん?」
 沙織のその声に全員が眼差しを集める。
 綾香は単純に知り合いなの?といった視線だったが、他のメンバーは違った。
 僅かな時間とは言え一緒に過ごした彼女から、今まで出たことの無い、消え入りそうな声だった。
「祐くんだよね?あたしよ、新城沙織。ほら子供のころ一緒に遊んだ」
 沙織は身を乗り出して、自分の存在を相手の少年に伝えた。
 祐介はぼんやりとした記憶の中にあった、あどけない少女が目の前の少女に重なるのを感じた。
(沙織……ちゃん?)
 それは暖かさを伴う懐かしい想い出だった。
 だが彼の口から紡ぎ出されたのは、冷淡とさえ言えるものだった。
「人違いじゃないかな、確かに僕の名前は祐介だけど」
 そう言って彼は視線を逸らした。

(こいつ、こんなしおらしい素振りもできたのか)
(ぱぎゅう、何か緊張しますの)
(ふむ、若さ故の修羅場か)
 往人、すばる、セバスが三者三様の感想を抱く。
「何?二人は幼馴染なの?」
 気まずい沈黙を気にも留めずに振り払う、綾香の明るい声が響く。
「いや、違うよ」
 だが祐介は頑なに否定した。
 ふうんと特に気にする風でもなく綾香は続けた。
「って彼は言ってるから、初めて会ったことにするとして。知り合いに似てるなら仲良くやれそうね」
 暗い雰囲気など、彼女には生涯無縁なのかもしれない。
 こうして総勢六人の新たなパーティーが生まれた。

 その中にあって彼女の心は、舞い落ちる木の葉のように揺れていた。
(祐君、どうして?)
866再会そして船出-改訂版-:03/06/05 22:38 ID:QvYAdJIs

「であんたの言う当てってのは?」
 往人は早速とばかりに、秘宝について聞いた。
 綾香はそうねと前置きし、ちょっと考えるかのように間を空けて言った
「実は祐介が啓示、とでも言うのかしら?それを昨日受けてね。どうやら彼、秘宝に導かれているらしいわ。
 勿論それだけじゃ雲を掴むような話だけど、今この町に起きてる事件は知ってる?」
「海賊のことか?」
 昨日のマラソンを思い出し、往人はゲンナリしながら言った。
 綾香は首を軽く振り否定した。長い髪がそれに合わせて揺れる。
「それは昨日の話。驚かないでよ?今日になって沖合いに、突然新しい島が現われたの」
 言っていることの意味が理解できず、往人達は目を瞬かせた。

 あのーとすばるが手を上げる。
「島って出たり消えたりするものなんですの?」
「普通はありえないわね。だから事件なのよ」
 しかもこの島は、伝説に謳われる千年に一度現われる島だと言う。
 続けてくれと往人は先を促す。
「秘宝の啓示を受けた人の前に、突如現われた伝説の島。どう?この符合」
 往人は腕組みしながら言う。
「面白い話だが、単なる偶然じゃないか?」
「そうね、そうじゃないとは言えないわ。でも仮にも伝説の島なら、例えそれと無関係だとしても、
 秘宝の一つや二つ眠っていてもおかしくないわ。そうでしょ?」
867再会そして船出-改訂版-:03/06/05 22:40 ID:QvYAdJIs

 確かに千年もの間、語り継がれる伝説なら、それなりの秘宝財宝は期待できそうだ。
 それに今の自分たちには、他の情報があるわけでもない。
「わかった。その島とやらに行こうじゃないか。お前らもそれで良いか?」
 往人は承諾し、すばると沙織に同意を求める。
「はいですの」
「うん」
 すばるは元気良く、沙織はまだ何処か上の空で答えた。
「決まりね。それじゃ早速手配しましょう」
 綾香はそう言ってパチンと指を鳴らすと、従業員を呼び寄せる。

「手配?」
「船の手配に決まってるじゃない。あなた島に徒歩か何かで行くつもり?」
 セバスじゃあるまいし、綾香はやれやれと言った具合に付け加えた。
「お嬢様、無茶を言いなさいますな」
「冗談よ」
 綾香は悪戯っぽく笑って見せる。
「この装備では10メートルも渡れませぬ」
 そう言って目を瞑りながら首を振るセバスに、従業員を含めた全員が心の中で突っ込む。
(渡れるのかよ!)

          *          *          *
868再会そして船出-改訂版-:03/06/05 22:40 ID:QvYAdJIs

「あの船よ。ちょっと小さいけど、そんなに沖にでるわけじゃないし十分でしょ」
 そう言って綾香は波止場に浮かぶ船を指差した。
「マジか、あれで小さいのかよ」
「ぱぎゅう、往人さん立派な船ですの」
 往人とすばるは顔を見合わせた。
「へ〜良い船ね、そう思わない祐君?」
 さすがに気持ちの切り替えが早い沙織も率直な感想を洩らす。最も彼女は何時でも率直だが。
 沙織はさすがに王宮勤めだけあって、圧倒されることもなかったようだ。
 祐介はそうだねときのない返事をする。返事をしただけましと思うべきか。
(何があったか知らないけど、この冒険の間に必ず聞き出してやるわ)
 彼女は祐介が何と言おうと、彼は自分の幼馴染だと確信していた。
「さあ乗りましょう、冒険とそして秘宝が私達を待ってるわ」
 そう言って綾香は桟橋を渡ろうとした。
 そこへいかにも海の男といった風体の男が反対側から歩いてきた。

「来栖川のお嬢さんですね?話は聞いています。自分はこの船の船長です」
「よろしく船長さん、今日は御世話になるわ」 
 綾香は片目を瞑ってそう挨拶した。
 だが返って来た船長の言葉は意外なものだった。
「申し訳ありませんがそれは無理です」
「どういうこと?私達をあの島まで乗せて行ってくれる手筈でしょう?」
 何だか雲行きがおかしくなってきた。一行は不安げに成り行きを見守る。
「その島のせいです」
「勿体振ずに簡潔に答えて」
 綾香は腕を組み指で軽く叩きながら問い質す。
「沖合いに現われたあの島の影響で、海流に変化が生じています」
 まさか、と幾人かがその先の言葉を予想した。
 船長はその顔色を伺い大きく頷いた。
「そう、今あの島の回りは波が荒れに荒れ、近づくことは自殺行為です。おそらく明日か明後日には
 波も多少落ちつくでしょう。それまでは船上で命を預かる者として、出航を許可できません」
869再会そして船出-改訂版-:03/06/05 22:42 ID:QvYAdJIs

「つまり延期か?」
「うむ自然の猛威の前には為す術もない」
「ぱぎゅう、折角船に乗れると思ったのに残念ですの」
「まあ、仕方ないわね。ちょうど良いから、あたしはこの暇を利用して手紙でも出そうかな」
 祐介は例によって無言のままだったが、他の四人はそれぞれ受け入れたようだ。
 そして綾香は一瞬呆然としていたが、我を取り戻すと一言発した。
「何なのよそれ!」
 海の荒れはそのまま綾香の心を荒らした。
 いかに世界有数の財閥の令嬢とはいえ、無理なものは無理。

 円滑とは到底言えぬものの、かくて一つの再会は果たされた。
 だがそれに続く筈であった一つの船出は、まだ今は果たされなかった。
 どうやら冒険と秘宝は、あまり彼らを歓迎していないようであった。

【島の周りの海は荒れ模様、収まるには1〜2日ほどかかる予定】
【六人組 足止め】
【長瀬祐介 心閉ざしたまま】
【新城沙織 開けてやる】

編集サイト266「パーティー」からのリレーになります。
>>851-853改訂
これでどうでしょう。

>>854代用と言うかそのものです。
870名無しさんだよもん:03/06/06 00:48 ID:m1PYJnH5
おお! また新作ですか。 一体何が? と一瞬戸惑うほど順調ですな。

>儀式 >シッポをつかむ?
帝国の闇、ガディム教団の真実に一番近い所にいる茜パーティー、
久々に進展ですか。獣人の思惑まで絡んで来る展開になるんでしょうか?
茜の頑なさも、らしくていいですね。長さはこれくらいなら大丈夫と思います。

>再会そして船出-改訂版-
改訂版でのストーリーの流れ、とりあえずは大丈夫そうですかね。
全体的な方向性は順当と思うので。お話的には国家レベルの動きや
裏世界の動きがどう連動してくるか楽しみ。

ところで、ここまで浮島は「レフキー沖合」と描写されて来ましたが、
位置関係は大丈夫ですかね? 上の地図を採るならば、湾内の真ん中辺りと
考えれば一応OKかな?
871闇の世界へと続く道:03/06/06 18:31 ID:r/LfkRDl

「――って、けんたろじゃないの!? こんなところで何してんのよ!」
「お知り合いなのですか?」
「いや、こんなお子様は知らない……けど、なんか初めて会った気がしないかもしれなくもない」
「だから縮んだって言ってるでしょ……もしかして忘れたの!? スフィーよ、すふぃー」
「ああ! あの行き倒れていた魔術師か! あの時はまだ幼い少女って感じだったけど、今は本物の幼女だな〜」
「……クッ。数年経ったら人は成長するものよ……」
「いや、成長って言わないだろ。っていうか初めから俺だって、気付けよ」
「あはは。いや〜なんかさ、すっごく疲れてたり焦っていたせいもあるんだけど……あの頃のけんたろと比べると全然顔つきも雰囲気も違ってたから――今まで気付けなかったんだと思う」

 いきなり本人達が盛り上がっている展開だが、なんてことはない、朝食の風景の一コマだ。
 泊まった宿屋での質素な食卓。それを囲んでいるのは三人だけである。

「……まぁ、それは、あの頃の俺とは違うってゆーか、なんというか……あ、そんな事よりさ、スフィー達はアカデミーの秘宝探索なんとかかんとかでレフキーに来たんだっけ? セリオに聞いた限りでは四人組で飛んできたって話だけど」
「秘宝探索特別課題ね。それも進級に関わる大問題だけど、ほんとうの目的は妹――リアンを捜しにきたのよ」

 その発言で朝食は終わった。スフィーは良く食べ、健太郎は軽めに、そしてセリオは手をつけなかった。
 部屋に戻ってから、スフィーは己の目的を詳しく話した。

「そうか……そんな事があったのか。んで残りの三人は無茶な飛行の疲れで未だに眠ってるんだな。セリオが言うには名前を名乗る元気もないくらいに疲労してたって聞いたぜ」
「うん。見てきた様子ではまだ起きそうになかったから無理に起こさなかったんだけど……ねぇねぇ。それよりけんたろは今何してるの?」
「俺? ちょっと野暮用でな。セリオに店を紹介してやらなきゃならないんだ。レフキー内に存在してる店なんだが、これがまた特殊でな」
872闇の世界へと続く道:03/06/06 18:32 ID:r/LfkRDl

「ふ〜〜ん……じゃぁあたしも付いていくね」
「え? でも……妹さん捜しはどうするんだ?」
「はぁ、もう忘れちゃったの? けんたろはあたしから離れると死んじゃうんだよ。どのくらいで完治するかは判んないけど、あたしの課題終了期間までには治ると思うから安心しといて」
「しとしいて、ってそんな事言われも……大体お前の無茶が過ぎてこうなったんだろ!?」
「それは、ごめんって謝ったでしょ! あたしだって魔力の使いすぎてこんなに縮んじゃっただし、けんたろだってぼけーっと突っ立てたのがわるいんでしょ?」
「それを言われると少々辛いが……まぁ別に、俺に付いてくるのはいいんだけどさ。スフィーは妹を――捜さなくてもいいのか?」
「あーーうん。それはあたしもちょっと反省してるの。そりゃ心配だけど、けんたろには迷惑をもういっぱい掛けちゃったし、こっちの都合でふりまわすわけにもいかないしね。リアンを捜すのはあの三人に任せようと思うの」
「それじゃ、例の課題はどうするんだ?」
「ああ、あたしの勘だとリアンはすぐに見付かると思うの。あの子もあたしを捜しているはずだから、結果的に色んな場所に顔を出してることになるからね。見付けるのはそんなにむずかしくはないだろうし。
 それにね。あの課題は実は名ばかりなの。毎年毎年そんなにぽんぽんと秘宝が見付かる訳ないじゃないの。近年でも秘宝が発見された、なんて報告もないしね。精々秘宝に関係している場所の調査が主になるだけだよ」
「レフキーに近くて秘宝と関係ある場所ってなると、有名な『秘宝塔』か。そういえば俺達もつい先日に行ったばかりだったよな」
「はい。噂通りに秘宝もありました」
「へぇ〜けんたろも秘宝塔に行ったんだ。それで噂の秘宝まで発見したなんてすごいねぇ〜〜って、ぇぇぇぇええええええええ!?」
「ベタな反応だなぁ」
「ホ、ホントなの!? それって歴史的大発見じゃないのよっ!! なんでそんなにおちついてんのっ」
「ああ……まぁ、それには色々と訳があってな。話すと長くなるからできれば店に行く道中で話したいんだが――」
873闇の世界へと続く道:03/06/06 18:37 ID:r/LfkRDl

 このアト、誰かさんの大声で目覚めた三人組がスフイーの元に集まり、この現状の説明を、求めた。それはもう、熱烈に。
 その三人組を隣の部屋に押し込めてスフィーは簡潔に語った。それから今後の方針と指示を飛ばし速攻で健太郎の部屋に戻り、早く秘宝について語れ、語れと問い詰めた。部屋を飛び出すその勢いはまるで台風のようだった――とは、あかりの言葉である。

「――とまぁ、秘宝塔で起きた事はこんな感じかな」
「けんたろの話は主観的で時々感情的な私見が交ざっていて解りにくかったけど、セリオさんのフォローが所々にあったからすごく楽しめたよ」
「大したことではありません」
「ち、ちくしょう……」
「ところで、リアンさんを捜しに行かれた三人のお名前はなんというのでしょうか?」
「えっ!? ざんねんなんだけど、秘宝探索特別課題は公にできないんだ。アカデミーがそんな大っぴらに秘宝探索にのりだしているなんて思われるとレフキーや帝国が黙ってないからね。
 まぁ、両国も気付いてるから公然の秘密ってやつなんだけどね。そういうわけで極秘任務ってコトになってるからあたし達の素性は明かしてはいけない規則になってるの」
「その割にはスフィーはさっきからペラペラ喋ってるじゃないか」
「それはこれからしばらくの間いっしょに行動するんだから、あるていどの情報は公開しとかないといけないでしょ?」
「そういうことですか……ならば仕方ありません」
「ん? どうしたんだセリオ? そんなに残念そう顔して」
「いえ、ただ捜している人に似てる方がいらしたので名前を――と思ったのですが」
「ふーん。ま、似てる人なんて世の中には結構いるしな――っとここだここ。この路地の向こうに行けばすぐだ」
「ここってかなり街の中心からはなれてるよね――スラム街っていうのかな……うりゅ。せっかくけんたろに買ってもらった新しい服が汚れそう……」

「――ここですか」

               ◇

「――ここですね」
「ここ、らしい……ですね」
「…………」
874闇の世界へと続く道:03/06/06 18:38 ID:r/LfkRDl

 理不尽なまでに元気なスフィーの声で目覚めた三人。
 長旅の疲れがないかのように早口で縮んだ原因やらリアン探索の指示をまき散らし、秘宝探索特別課題のことはあたしに任せないと、ない――正確にいうとなくなった――胸を張り、突風のように昨日衝突してしまった青年と出掛けて行ったスフィー。
 寝起き直後のぼんやり感と疲労が蓄積した肉体では鈍い反応しかできなかったが、これだけは判ったいた。
 つまり、大事な妹の事を任せられたという事実。それだけは、判った。
 食欲のない三人はニヒルな笑顔を浮かべる宿屋の親父による朝食の誘いを丁寧に断り、早速リアンを捜し始めた。

 首都である。人は、多い。あさひの目には、あかりがやけにキョロキョロとしながら道行く人々を流し見ている姿が映っていた。
 緊急の用事がなければ逢いたい人がいるのだろう――と、あさひは気付いた。よく話にでてくる浩之という男の子と、偶然でもいいから出会いのだろうか。
 そんな想いをよそに、スフィーの予想通りにピンクの髪の女性を捜している青い髪のめがねっ娘を知っている、という人が結構いた。
 更にあかりの出身がこのレフキーという事で、迷うこともなく効率的に情報を探ることができ、予想以上にあっさりと、リアンの泊まっている宿屋まで辿り着けたのだ。
 だが、それとは別に気になる情報もあった。リアンの情報の影にちらほらと姿をみせる剣士のことだ。男の。
 スフィーが知ったならどうするのだろうか――と、思った芹香。彼女にも妹がいるが、もう何年も会ってはいない。何にせよその男のご冥福を祈るのは早計だ、と判断しておいた。
 中央広場から比較的に近い宿屋、その主人に適当な事情を話してリアンがいるかどうか尋ねたが、期待していた情報は得られなかった。
 つい先日から姿をみせなくなり、男の方だけは一度泥酔状態で帰ってきたが、またふらふらと出て行った、とのことだ。
 更に三人は入り浸っているらしい酒場の場所や男の名前まで宿屋の主人に教えてもらった。やけに愛想が良かったのは、溜まっていたツケを払ってあげたからだろう。
 そうして、三人はこの目の前の酒場に辿り着いたのだ。リアンの行方を知っているのはおそらく、その男だけ。

 ちなみにその男の名を――千堂和樹という。
875名無しさんだよもん:03/06/06 18:45 ID:r/LfkRDl
【スフィー・セリオ・健太郎/ショップ屋目前】
【芹香・あさひ・あかり/千堂和樹がいるらしい酒場の目の前】

リレーとしては「断ち切れぬ絆」(>>612-618)の続きです。
さくっと進めてみましたが……どうでしょう。
876名無しさんだよもん:03/06/06 21:15 ID:aNJ0DtY8
 新作乙です〜♪

 とりあえず、けんたろ&すふぃーは旧知路線で進むのですね。
 浩之をさりげなく捜し求めるあかり萌え。
 佐祐理なり七瀬なりと一緒のところ見かけられたりデモしたら、修羅場モード突入でせうか(今は一緒にいないから良いがw
 
877名無しさんだよもん:03/06/07 01:45 ID:4CItMhSt
本当に一体何が?と驚きつつ楽しむ日々。妖精さん、頑張ってるなぁ(w

>闇の世界へと続く道
個人的に気になってるパーティーなんで、キター!!ってな気分でつ。
しかし、なるほど、そういう風にパーティーが分かれましたか。
あかり達が茜組に続いて帝国の闇に挑むことになるのかな?
意外と言えば意外な展開だけど、面白そうですね。
878名無しさんだよもん:03/06/07 03:19 ID:ZQdbh5ix
お疲れー
なんかいっぱい新作が!!

ところで、セリオと芹香って面識あるのかな?
879剣の主:03/06/08 01:55 ID:c+B9dZfL

 体躯の良い男が、少年を抱えあげ階段を上っている。
 ここは鶴来亭。抱えているのは耕一で、抱えられているのは浩之だ。
 七瀬に頼まれて、彼に一夜の宿を貸すこととなったのだ。
「くっ、こんな筈じゃあ」
 ぼやきながらも耕一は、鶴来亭で普段自分が使っている部屋に浩之を運び込んだ。
 そして彼をベッドに横たわらせ、階下に戻る。

「あれ?初音ちゃん、皆は?」
 さっきまで人数の割に賑やかだった食堂は、人気がなくなりガランとしている。

「お姉ちゃん達なら出掛けたよ。何か用事が有るみたい」
 洗い物の途中だった初音が、ひょいと顔を出して答えた。
「ああ、そうなんだ」
 どうするわけでもなかったのだが、先ほどのことも有り何と無くがっくりする。

 そんなやり取りをしていると、上からドアの開ける音が聞こえてくる。
 二人の女性が階段を降りてきた。
 一人はこの鶴来亭の女主人柏木千鶴、もう一人は商談相手の篠塚弥生である。
「お疲れ様、商談は終わりですか千鶴さん」
「ええ、少し長引いてしまいましたけれど」
 と言ってにっこりと微笑む千鶴。
880剣の主:03/06/08 01:56 ID:c+B9dZfL

「篠塚さん、良ければ食事を御一緒しませんか?姉の私が言うのもなんですが、初音の料理は中々ですよ」
「お誘い有り難うございます。ですがこれからもう一件、仕事があるもので」
 小さなため息は残念さのためか、それとも憂鬱さか。
「御多忙なんですね」
「次の機会には是非、御相伴に与らせて下さい」
 弥生はそう言って出口に向う。

「それでは失礼します」
「ご苦労様でした」
 千鶴達に見送られ、弥生は次の仕事へと向った。

「さてと、俺も鍛冶場に一度戻るかな」
「あら耕一さんも帰っちゃうんですか」
「お客さんも引けたみたいだし、明日の準備をしないと」
 手伝いようの前掛けを外しながら、耕一はそう言う。
 すると いつの間にか厨房から出てきていた初音が声を掛ける。
「お疲れ様、またね耕一お兄ちゃん」
「初音ちゃんもお疲れ様」
「さようなら、耕一さん」
 じゃあまた明日、と耕一も鶴来亭を後にした。
881剣の主:03/06/08 01:57 ID:c+B9dZfL

          *          *          *

 鍛冶場に戻った耕一は、しばらくの間、仕事道具の点検をしていた。
 すると壁に立て掛けてあった剣から、また光が漏れ出した。
 そう以前にもその剣は光出したことが有った。
 それは例の“魔族の剣”である。
 耕一は壁を背に作業していたので気づかなかった。

 カランと乾いた音を立てて、壁に立て掛けてあった剣が床に倒れた。
 耕一はそこで初めて気づき後ろを振り向く。
(また光ってる……)
 そう思い、剣を掛け直そうと手を伸ばした耕一は、目を見張る。
 剣が鞘から独りでに抜け出した。
 しかもその輝きは先ほどより強くなっている。
 耕一が固まったように凝視していると、剣は一瞬さらに輝き、刀身を半分ほど抜き身にしたところで
力尽きたように輝きを失い、動かなくなった。

 我に返ると耕一は剣を拾い上げ、その倒れた方角を見つめ、剣に語り掛けた。
「もしかして、お前の持ち主が近くに、そっちにいるのか?」
 無性に胸騒ぎを覚えた耕一は、剣を鞘に収めるとその指し示す先へ走り出した。
882再会そして船出-改訂版-:03/06/08 01:58 ID:c+B9dZfL

          *          *          *

 FARGO宗団のテンプルナイト、巳間晴香と姫川琴音は焦りを感じ始めていた。
 最初の切り合いで、二人の実力を手強しと判断したのか、敵は自分たちからは仕掛けてこない。
 かと言ってそれを無視して進もうとすれば、五月蝿く背後や横から牽制する。
 これではわかっていても迂闊に動けない。
「拙いわね」
「少し派手に行きますか?」
「仕方ないわね、でもなるべく川澄舞には危害が及ばないようにね」
「晴香さんこそ」
 言って二人は魔術か何かを駆使するため、その力を集中する。
「待ってください、誰か来ます」
「新手!?」
 敵もそれに気づいたのか、走ってくる大柄な男に注意を向ける。
 帝国の援軍?それはない。敵に走った動揺がそれを示している。
 王国の衛兵?これもない。魔法で眠りにつき通報者のいない街区に、これほど早く現われるはずもない。
 では一体何者?

          *          *          *
883剣の主:03/06/08 01:59 ID:c+B9dZfL
 入り組んだ街路を耕一は走った。
 剣の示した方角は大よそのものであり、距離もわからない。
 だが鞘から漏れるその光は着実に強くなり、それは持ち主に近づきつつあることを確信させた。
 人気のない通りを走ることしばし、ついに耕一は現場に辿り着いた。

 蹲っている二人の女性、さらに別の女性二人、それぞれの女性を囲む亜人、亜人を従えているらしき女性。
 耕一はこの状況をそう受け取った。
 どう見ても、少女に襲いかかろうとしているようにしか見えない
 だがそれ以上はわからない。
 だから彼は叫んだ。
「おれはこの町に住む者だ。お前達は何者だ!ここで何をしている!」

 当然その場のほぼ全員から返事はなかった。
「私はこの町の議員の娘、倉田佐祐理です!」
 佐祐理は次々と現われた訪問者達の内、この男だけは他と違うものを感じた。だから助けを求めた。
「あちらの二人はわかりませんが、他の者達は」
「喋らせるな!」
 語気荒く帝国の女は命令を発し、それを受けて佐祐理の側にいた者が、殴りつける。
 悲鳴をあげ倒れる佐祐理。
「やめろーー!!」
 耕一は叫ぶ。だがそこで迷う。
 あの娘はこの町の住民と言った。だから助けるべきはあの二人だ。
 それにおそらく剣の持ち主は、あの倒れている二人のどちらかだ。
 持ち主に危機が迫った時、剣が光る。耕一はそう推論づけていた
 そう思うのだが、今になって剣の由来が耕一に躊躇させていた。
(これは魔族の剣、もしかしたら持ち主に渡すのは危険かもしれない。本当に渡して良いのか?)
 しかし耕一はその考えを振り払う。
(いいや、この剣はそんな邪悪なもんじゃない)
 耕一は自分の鍛冶師としての目と感を信じることにした。
(さてと、後はどうやって手渡すか……そうか、悩むこともない。こうすりゃ良いんだ)
 そして耕一は……剣を放り投げた。
884剣の主:03/06/08 02:00 ID:c+B9dZfL

          *          *          *

 また邪魔が入ったことに帝国の女は、苛立ちを禁じえなかった。
 ベラベラと余計なことを言ったのも拙かった。
 だがまあ良い、不幸な死体が増えるだけだ。
 そう思い襲わせようとした時、なんと男は自分の武器を投げた。
 呆気に取られたが、何か嫌な予感を憶え命令を下す。
「その剣を奪え!誰にも渡すな!」

「何を考えているの!?」
 晴香は自分たちに続いて現われた男が、唯一と思われる武器を投げ捨てたのを見て、驚くより呆れた。
 鞘ごと投げられた剣は、緩い放物線を描いていたが、巨漢のオーガーがそれを鷲掴む。
 しかし掴み取られたかに見えた剣は、滑るように鞘から抜け、そのまま一直線に飛ぶ。
「晴香さん、あの剣もしかして!?」
 琴音の言葉は途中で途切れる。
「!!!!!」
(行け、お前が仕える主の下へ)
 耕一は拳を固めた。

 剣は少女の元へ辿り着いた、その瞬間一際剣が明るく輝く。夜の路地はほんの一時真昼に変わった。
 その剣は倒れたままの舞の手に、しっかりと握られていた。
 光が収まると舞はゆっくりと目を開けて、自分の手の中にある剣を見た。
 剣と母の秘宝とが、舞に語り掛ける。
「お父……さん?」
885剣の主:03/06/08 02:06 ID:c+B9dZfL

【川澄舞 魔族の剣を入手、意識を取り戻す】
【倉田佐祐理 気絶】
【柏木耕一 丸腰】
【巳間晴香、姫川琴音 現状維持】
【帝国の女 謎のまま】

>>752 闇の影に潜むもの
>>843 剣聖 からのリレーです

また途中でタイトル間違えてるし……

>>870
あの地図はそのままでは使えないでしょうね。
湾の中では沖合いとは言えないでしょう。
描かれたころには、島なんて無かったはずですし。
自分はイメージの助けくらいに考えています。
正しい地図があればそれはそれで嬉しいですが。
886名無しさんだよもん:03/06/08 02:39 ID:2EaFSkES
自立がどうのと親の意向そっちのけで好き勝手やってる割に
「この街の議員の娘」と名乗る佐祐理。
計算高くて良いね(w
887名無しさんだよもん:03/06/08 03:18 ID:RRRGaQdT
>「おれはこの町に住む者だ。お前達は何者だ!ここで何をしている!」
この台詞には惚れるね(w
888楓、散る:03/06/08 21:53 ID:KJgLV3YB

 夜の闇にその身を溶かし、瞳だけを浮かび上がらせた一匹の黒猫が街を歩いている。
 街の名はレフキー。王国そのものと同じ名を冠するこの国の首都である。
 その中の通りの一つを行く黒猫――正確には猫ではない――柏木楓は疲れを感じていた。
 彼女は人を捜していた。同じギルドの岩切と、マルチの捜索をさせる雇うべき冒険者とを。

 ところが、捜すとなるとこれが案外見つからないものである。
 岩切は所在が知れぬ為、し方がないと言えなくもないが、まさかこの街で冒険者不足に悩むとは予想もしなかった。
 先ほど見た何か騒動があった酒場にも、冒険者は見当たらなかった。
 正確には三人いたのだが、二人は生前はと付けねばならなかったし、もう一人は先約有りの様だった。
 今夜はこの街で、冒険者が総出で駆り出されるようなことでも起きているのだろうか。
 そんなことを考えながら歩いていると、前方に見知った顔を見つけた。岩切である、ついでにあゆ。
 良かった、兎にも角にも仕事の一つは片付いたようである。

 篠塚弥生に伝言した岩切とあゆは、二人の情報屋と別れたその後、報告の為ギルドへ足を運んでいるところだった。
 ただしあゆの変装のために岩切が気絶させたメイドの服を着替えさせたり、志保が水晶の使用料を請求したので、
 またも不毛な値切り合戦が行われたりと、余計な時間が掛かってしまったが……

「……岩切さん」
「楓か、どうした?」
 物陰から楓が魔法を使い、岩切にだけ聞こえるように話す。
「うぐぅ、楓さん?」
 当然それは岩切にしか聞こえていないので、あゆは岩切を見上げる。
「捜しました。篠塚弥生さんですが……」
「ああ例の件なら、彼女には伝えた。今は鶴来亭にいるはずだ」

「おい、楓?」
 しばらくしても返事がないので、岩切は訝しんで声の主を捜す。
 路地裏を覗きこむと、そこに何やら落ちこんだ黒猫を見つけた。
 そう結局彼女は、二つとも仕事をこなせなかったのである。
889楓、散る:03/06/08 21:55 ID:KJgLV3YB

【岩切花枝、柏木楓、月宮あゆ 盗賊ギルドへ】

編集サイト290 合縁奇縁
>>772 おだやかに からのリレーです。

例によって、おかしな点があれば御指摘願います。

>>886
単なる身元保証のつもりだったんですが、それならそう書くべきでしたね、反省。
890Uスレの1:03/06/09 00:18 ID:XDM0b7G6
 ごめな……ログ整理……明日か明後日……(´・ω・`)
891名無しさんだよもん:03/06/09 00:28 ID:24Baypn8
>剣の主
ふむふむ。確かにありましたね、「魔族の剣」。いいところで
繋がりましたね〜。しかし、原作では圧倒的な戦闘力の耕一も
ここではそうでもないのかな?彼にとって初の戦闘シーン。
どうなりますやら。

>楓、散る
落ち込む黒猫の図にニヤリ。確かに言われて見れば弥生は
既に岩切達とコンタクト取れてましたな。
しかし、相性悪そうな組み合わせの三人ですね〜。
タイトルで一瞬びっくりしたのは秘密。
892名無しさんだよもん:03/06/09 02:33 ID:ExHYDqFW
耕一なんて舞の引き立て役位がちょうど良いんじゃない?
ここの耕一って鬼でもないんだしただの鍛冶屋だし。
なんか動物に変身できるらしいけどさ。

まぁエルクゥ厨のエルクゥ最強理論も何の意味もなさないから気が楽だ。
どう控えめに考えても剣聖である雪見やみさきの方が強くなるだろうしね。
893名無しさんだよもん:03/06/09 03:35 ID:T5YhB35v
最近アンチエルクゥの釣りをやたらと見かけるのはなぜだろう?
ここのところエルクゥ厨は大人しいのに。
ひょっとして一人でやってんのかな? 煽り方が似てる気がするが。

釣られてゴメン。
以下何事もなかったかのようにどうぞ。
894名無しさんだよもん:03/06/09 07:56 ID:96VwHYCH
>893
>892はアンチエルクゥではないと思われ。
むしろ他に引き合いに出されてるキャラへの皮肉では?
嫌SSスレあたりの発想に近い気がした。
895名無しさんだよもん:03/06/09 09:29 ID:MFUOeLzP
随分と遠回しな皮肉だな。
せっかく妖精さんたちが頑張ってるのに全く。
そう言うことなら嫌SSスレで愚痴ってろっつーの。
もっともマジでアンチエルクゥでもお引き取り願いたいところだが(w
896名無しさんだよもん:03/06/09 12:56 ID:ylrTY8yw
なんつうか……20対2だぞ? いくら強くても……なぁ? 
しかも2人ってまだ手抜いてるんだろ。余裕ありまりくで全然緊張感無いし。
敵は敵で20人以上もいながら誰も佐祐理と舞を連れさろうとしないし。何がしたいんだよ……。
敵の思考がキャラの都合のいい方にしか動いてないから(鼠の時もだし)素直に誉められないだよな。
897名無しさんだよもん:03/06/09 13:18 ID:tsRU8ifO
狭い路地だってことを忘れるべきじゃないんじゃ?
一度に一人二人しか突っ込めないんじゃ数的優位も薄れるし。
テルモピレーの時のスパルタ軍なんか(略
898名無しさんだよもん:03/06/09 13:58 ID:avnHPNQN
Uスレの1
899名無しさんだよもん:03/06/09 16:21 ID:HR72xRVQ
敵も雑魚じゃあるまいに…
仮にも敵の首都に潜入する精鋭が古代民族の不思議パワー&ミラクル剣技で一蹴なんてハッピーな展開ご免こうむるな。
900名無しさんだよもん:03/06/09 18:01 ID:avnHPNQN
一人で勝手に予想してブー垂れてたら世話ないよな(w

900ゲッツ!!
901名無しさんだよもん:03/06/09 18:42 ID:/fFMzpYa
>>899-900
そうやって先の展開をつぶすのはイクナイ!!
902名無しさんだよもん:03/06/09 19:54 ID:DIHU9q+j
でも、無傷ってのはそろそろ止めてほしい。
塔でもその帰り道でも浩之にしか目立ったダメージないし。その浩之ですら傷がないかの様な活躍。
鼠の時もノーダメ。海賊の時もノーダメ。傷を負った描写はあるけどないも同然な展開。そして何時の間にか傷がなくなっている。
そりゃいちいち傷を負ってたら動かしにくいのは分かるけど……それは結局作者の都合でしかない訳で。

>>897
まぁ、実際には2〜5人しか一度に相手にしてないと仮定しても、残りのやつは何してる? って話。
出される作品に全てマンセーしたいのは分かるけど、やっぱり書き手の人には頑張ってほしいし。
文章や描写、構成なんかは目を瞑るとしても、物語的な展開に不自然さが目立つときはやっぱり指摘したいと思う。
今回のは許容範囲だけどね。素直に誉められないってだけで。
903名無しさんだよもん:03/06/09 20:54 ID:YNsc4NMv
だったらそろそろ黙っておかないとただの粘着にしか見えないぞ。
大体、鼠だとか海賊だとか別の作品を今挙げてもどうしようもないだろう?
それとも同一作者による自作自演か?
だとしたら究極のマゾプレイだな。
904名無しさんだよもん:03/06/09 22:09 ID:Qum3fhJj
>>903
何が「だったら」なんだかw
理解できない意見はみんな粘着くんや煽りの類ってか?
>902は今までリスクの少ないお手軽な事件ばかりだったからここらで引きしめを図りたいって意見だろ?
わかった風な口利いて何が「別の作品今挙げてもどうしょうもない」だ、おめでたい奴め。



と言う訳で以下何事もな(ry
905Uスレの1:03/06/09 23:42 ID:SLpmtJ7F
 あー。
 とりあえず、『仮面』までログ生理&収録完了。
 後は明日になりますー。

 地図の扱いどうしましょ?
 公式の設定として掲載するか、参考資料に留め置くか。
 そこらへんの指示を希うものでありまする。

>>898
 ん?
 何か御用で?
906名無しさんだよもん:03/06/10 00:19 ID:YtEL9CXd

賑やかですね。
FARGOの二人が余裕綽々なのは、前回からの流れなのでいきなり変えたら
それこそ辻褄が合わなくなると考えたからです。
舞は帝国の標的ではないですし、帝国兵の足元で寝ている佐祐理も、捕まったも同然でしょう。
それと今回時間経過はほとんどしていません。
場面転換による別視点の同じシーンと、モノローグが多いので長く見えるかもしれませんが
それでもやはり変でしょうか。
もっともそれらが伝えられていないのは、文章力の無さのせいです。

精鋭云々についてですが、他の書き手方がどう考えているのかは知りませんが
自分は名前も無いようなキャラは、程度の差こそあれ所詮引きたて役、雑魚の類と考えています。
傷については治癒術の設定と、作品内時間の進行の遅さのせいでしょうね。
簡単に治せないのに時間は進まない、結果負傷しなかったり、してもほとんど無かった事にされている。
これが現状かと。
この二つは行き過ぎると拙いと思うので、個人的には何とかしたいところです。
でも厳しい戦闘で重傷者続出なんてことになると、動かせるキャラがいなくなりそうで困るんですよね。

>>905
更新ご苦労様です。地図は参考に一票です。
907名無しさんだよもん:03/06/10 00:27 ID:YtEL9CXd

>>仮にも敵の首都に潜入する精鋭が古代民族の不思議パワー&ミラクル剣技で一蹴なんてハッピーな展開
そんな展開を用意してみました。パクリですが。

電光石火 川澄舞!
第X話 不思議ミラクルパワー剣技
 舞は魔族の剣を手に入れた。
 その途端、体の奥底から不可思議な力が湧き上がりまくり。
 何だか気分も体調も良くなって、剣振り回しまくり。
 そのまま帝国の精鋭二十人余りを滅多切り。
「破地光熊斬」
 ズバァ。
「本歩弧狸斬」
 ズバァ。
 全滅。佐祐理も。――完――

などと新作が上げられなかったので、お茶を濁してみる。
908名無しさんだよもん:03/06/10 03:29 ID:v6WOmgKy
>905
更新乙〜。

>907
ワラタ。まあ、時代小説とか昔の軍記ものとかでも無茶なのは
いくらでもあるし、個人的には人数差云々はそれほど
気にならなかったりする。ただ、話に緊張感をというのも
正論だとは思うので、その辺りはバランス感覚が求められるところかな。
909855とか:03/06/10 07:37 ID:ujWub14C
>905
更新お疲れ様です。
すみませんが、856の最後から数えて4・5行目、857の最後から数えて7行目に
算用数字が混ざってしまったので、収録の際は漢数字に直していただけないでしょうか?
理系の癖でつい……。
910Uスレの1:03/06/11 00:06 ID:aWBtPOIV
ログ更新完了しますた。
ご意見も乏しく地図の収録は一時見送り、今回はログ編集のみに留めております。
週末、以前から自分を含め数人の方が上げられております設定まとめも掲載したいなとか。

ただ……html技能に乏しいので、テキスト形式になるかもしれないですが(だめじゃん

で、そろそろ新スレのヨカソ?
911Time of Arcane Things:03/06/11 02:09 ID:M48dVic+

 女王大庭詠美は少々不機嫌だった。
 突如現われた謎の島について、源之助から説明を受けたのだが、いきなり難しげな詩を聞かされて
その内容がさっぱりだったからである。
 ただそれをそのまま言うのも癪なので、その前後でわかった部分だけ聞くことにした。

「レフキーと同じなんて、ずいぶんでっかい島ね。この国だってそこまでちっちゃいってわけでもないのに」
「さすがにそこまで大きくはありません。レフキーの街と同程度と言う意味です」
 確かにそこまで巨大な島なら、もう少し早く発見されて良さそうなものである。
「だったら紛らわしい言い方しないで、始めからそう言いなさいよ!」
 苛々と詠美は声を荒げ、それを横にいる梓がまあまあとなだめる。
 ここでは極ありふれた光景だ。

「大体、その千年の迷宮?ってのが出るんだったら、もっと前に教えておきなさいよ」
「記録に残ってて千年に一度なら、今年だってわかってたんでしょ」
 むしゃくしゃした詠美は、源之助にそう言ってあたる。
「いいえ、千年の迷宮は千年ごとに決まって現われるわけではありません」
 それを聞いた三人がそれぞれの反応を示す。
「あんたさっき、千年前に現われたって言ったじゃない!」
「へえ、そうなんだ」
「む。そうなのか」
 詠美の反応だけが妙に強く、まるで源之助はわざと曖昧な言い方をして、それを楽しんでいるかのようだ。
 もっともそんなことをするのは、この老人くらいのものだろう。

「あれは伝承特有の比喩表現ですから。前回現われたのは、およそ八百年程前のことです」
 源之助はさらりと言ってのける。
「でんしょうとくゆうのひゆ?」
「例えのことです。つまりそれくらい長い年月に一度しか現われないと」
「そ、それくらいわかってたわよ」
 そう言って取り繕う詠美。
912Time of Arcane Things:03/06/11 02:10 ID:M48dVic+

「ここからが重要です、女王陛下」
「そ、そうなの?」
 源之助が改めてそう言うので、少し緊張する詠美。
「はい、先ほどの詩文にありましたように、この迷宮には間違いなく秘宝が眠っております」
「冒頭の『偉大なる宝』、とやらか」
「それに続く『神々より与えられし、至高の輝き』ってのもそのことだね」
 蝉丸と梓が口々に答え、源之助は軽くそれに頷く。

「文献によればこの秘宝自体、神の名を冠する強力なものですが、それ以上に重大な事実があります」
 果してゴクリと喉を鳴らしたのは誰だったのか。
「本来秘宝が滅多にお目に掛かれない、貴重なものであることは周知の事実です」
「しかし時に多くの秘宝が、次々と世に現われることがあります。これを『秘宝覚醒の時』と言います」
「秘宝覚醒の時……」
 呟きを受けて源之助はさらに続けた。
「秘宝覚醒の時には小覚醒と大覚醒があり、かの迷宮が現われたのは今が大覚醒である証拠」

「と言うことはつまり……」
「はい、今後も多くの秘宝がその姿を発見されるでしょう」
 源之助はそう締めた。
 つまりは秘宝奪取の機会が、多くもたらされると言うことだ。
 それこそ彼らにとって望むところだ。
 同時にそれは、秘宝争奪戦の更なる激化を意味してもいた。

「ふみゅーん、つまりどういうことなの?」
「女王陛下が自由に絵をお書きになれる日も、遠くないかもしれないと言うことです」
「だったら始めからそう言いなさいよ!」
 源之助と詠美はついさっきやったのと同じようなやり取りをした。
 案外この二人は楽しんでいるのかもしれない。
「むかつくっ!むかつくっ!ちょおむかつく〜〜っ!!」
 気のせいかもしれない。
913Time of Arcane Things:03/06/11 02:11 ID:M48dVic+

編集サイト272 円卓の間 からのリレーです。


>>884 剣の主 の最後から二行目にとんでもない間違いを発見。
下記の通り修正願います。

×剣と母の秘宝とが、舞に語り掛ける。
○剣が、舞に語り掛ける。

正直この手の間違いこそ指摘して欲しいです。
914名無しさんだよもん:03/06/11 03:34 ID:zB/cil7Z
『剣と母の秘宝とが、舞に語り掛ける。』
一般人の場合
( ´_ゝ`)フーン


>>913の場合

        _,..-───-- 、
     ,. '"  _ -−ニ二二`ヽ、
    /   /  _,.−'⌒ヽ,ノ``'ミ,、
  ,.'   /  /  ,,イ゙\ /入、ヾ,
. /  / // -‐''"_ヽ'、 l l′/`_''l}
 '  / ,.イii/ /∠´ `ヾ' l lレ'´ 'ヾ
   / ,.' ii/u i{,_,,  ゚ }! l li{,_,. ゚ }
.  / /ii i/u uヾく,_,ノ′ l lゞi-rイ
 ,' /-、 i| u    ' ' ` ,__〉〉  |    うわあぁぁぁぁぁぁあ
.  /l 「ヾ'i|   ,.r‐     `'U'U__,.ィ}|
 / | ー}.l| /,r 'T"丁 ̄| ̄ | l|'|
 }i iト、}( l! ,イ  |__, ⊥ _|__,l|.ト、
 `i iiiハ `| i l_/       _,ノノ|| \
.  }iij. |. l |Y/      ‐┴''" ||\ \
  ゙l!  | l|. 仁   _,__      ||  \ \
  /   | |l lニレ'´     `ヾ'、  ||  
  /   |. |ヽ 「]、       ヾ>、||   
    .|  |. ヽ`「ヽ        }H|\
      |  |  ヽ`「ヽ、、,__,,ノj‐||  ` ー─
   u  |    \`'〔`'T''''''T´ ,ノ|
            \ ` ̄ ̄ ̄ /
              `−──‐′
915代償の大きかった発想:03/06/11 04:58 ID:71RlMjz5
共和国城内・作戦会議室

「難しい話は後でいいから、とりあえずサッサと秘宝を取りに行きなさいよ」
「いえ、それがですね陛下、現在浮島周辺の海は大波でして、浮島に近付くことが難しく…」
「波なんて2〜3日も経てばおさまるじゃない」
「まぁ…そうなんですけど…」
「時化がおさまった途端、我先にと冒険者やトレジャーハンターの類が押し寄せるでしょうな」
「う…」
 浮島は、普通の人間から見れば不気味で、危険な場』に見えるのだろうが、
秘境や魔境、未開の地には財宝がツキモノと考える貪欲な探求者にとって、
浮島はまさに宝島のような存在であろう。
 現にいくつかの気が早い冒険者ギルドが港の船と交渉を始めているとの話だ。
 スタートで出遅れれば秘宝を手に入れる確率も当然落ちるだろう。
「じゃあさ、軍港にいっぱい並んでるでっかい船を使えばいいじゃない」
 詠美が意気揚々と提案する。
「共和国艦隊…確かにあれだけの規模の船なら時化にも耐えられるかもしれませんが…」
「でしょでしょ?」
「海軍の主力艦隊が動けば、嫌でも国民の不安を煽ってしまうでしょうな。
 それに、帝国との外交にも影響がでる恐れがあるかと」
「ふみゅ…」
 源之助が間髪入れずに問題点を突く。
 大型軍艦なら時化を乗り切ることも可能かもしれないが、目立ち過ぎる。
 民に不安感を与え、帝国にあらぬ誤解を抱かれるというリスクは、大きい。
「アレもダメこれもダメ…いったいどうすればいいのよっ!
 目立たないで大シケの海を進んで浮島に乗り込むなんてできっこないじゃないよバカっ!」
「だから今、我々がこうして議論しているのですよ」
 梓が乱心気味の詠美をなだめる。
916代償の大きかった発想:03/06/11 05:00 ID:71RlMjz5
 作戦会議は暗礁に乗り上げていた。 
 問題は大きく分けて3つ。

 ひとつはなるべく目立たないように浮島に上陸すること。
 もうひとつは荒れ狂う海の真っ只中にある浮島に接近すること。
 そして、誰よりも早く浮島に到着すること

 この3つの条件を満たす方法が今のところないのだ。
 生半可な民間船は大波の前ではあまりにも非力であるし、
 かといって軍艦を動かすには都合が悪い。
 モタモタしていたら冒険者やトレジャーハンターに先を越されてしまう。

 会議は詠美の突拍子もない発案、梓のアシスト、源之助の突っ込みの繰り返しであった。
「さて、どうしたものか…」
 すでに日付が変わり、城内で灯がともっているのはこの部屋だけだった。
 蝉丸は先ほどから議論に参加せず…というよりか、詠美・梓と源之助の応酬が激しくて口を挟めないでいた。
 …もっとも、口を挟めたとしても大層な意見など言えないため、この状況を甘んじて受け止めいていた。
 俺の出番はない…そんな安心感で気が緩みきっていたためか、
「ふぁ〜…」
 大あくびをしてしまった。
 慌てて口を閉じるが時すでに遅し。 ものすごい勢いで三人に睨みつけられる蝉丸。
「ほう…会議中に大あくびとは、隊長殿はずいぶんと余裕がおありのようですな」
「いや、違う」
「坂神ぃ、そういえばアンタさっきから全然会議に参加してないよねぇ」
「待て梓、それは寝てないから――」
「こっちだって寝てないわよっ!!」
「……すいません」
 詠美の一喝に縮こまる蝉丸。
「謝ったって遅いわよっ! “せーい”があるんならアンタもなんかいい案を考えなさいよっ!」
「む…」
917代償の大きかった発想:03/06/11 05:02 ID:71RlMjz5
 困る。先程から何も考えてない。
「ホラ、どうしたのよ。 何とか言いなさいよ」
 焦る。考えてないから何も言えない。
 どうする
 どうしよう
 どうすればいいんだ…

 ガチャ。

 ちょうどいいタイミングで会議室の戸が開き、彩とはるかが入ってきた。
「……あの…お茶がはいりました…」
「みんな、少し休憩すれば? 珍しい紅茶が手に入ったんだ」
 助かった……
 蝉丸の目には、彩とはるかが女神に見えた。
「あ」
 ガチャン。
 女神の一人がティーポットを倒した。
 溢れた紅茶は一直線に蝉丸のほうへ侵食していき、端から滝のように流れ―――
「む?」
 落ちなかった。
 紅茶の海は円卓の縁で凍ったように停滞していた。
 どうやらはるかがティーポットを倒したのを見て、とっさに彩が水に術をかけたようだ。
 止まった紅茶を手際よく拭き取る梓。
918代償の大きかった発想:03/06/11 05:05 ID:71RlMjz5
「おいはるか、せっかくのお茶が台無しじゃないか」
「あはは、ごめんね。蝉丸大丈夫? 濡れてない?」
「…………………」
 蝉丸は応えない。
「………あの、蝉丸さん?」
「彩、はるか、お前たちのおかげで小舟1艘で荒波を乗り越える方法を思いついた」
「えっ、ホント!? どうやんの?」
 詠美が身を乗り出して蝉丸に問いかける。
 他のメンバーも蝉丸の挙動に注目する。
「海を、止めるのです。こぼれた紅茶のように」
「ほう」 「なるほどね…」 「ふみゅ?」
 約一名理解できなかったようだが、とりあえず道は開けた。
 あとは行動するのみである。そう、浮島上陸に向けて。

「ところで、珍しい紅茶って、どんなの?」
「ん、よくわからないけど、高そうなの」
 そう言いながら、はるかは風格のある茶筒をふわふわと弄ぶ。
 蝉丸は、その茶筒に見覚えがあった。
「…はるか…それ、何処から持って来た?」
「蝉丸の部屋。暇だから彩と一緒に掃除してたら出てきた」
 やはり。実はこの茶葉は異国の最高級品で、レフキーでは滅多に手に入らない貴重品なのである。
 この茶筒一本手に入れるために、蝉丸は清貧を極め、コツコツとへそくりしてようやく手に入れた、いわば汗と涙の結晶なのである。
 ちなみに、まだ一口も飲んでいない。
「返せ、今、すぐにだ」
「いいけど、もう空だよこれ」
「中身は何処へ?」
「さっき倒したティーポットの中に全部入れたよ」
「…あの、ごめんなさい……勝手なことをしてしまって…」
 蝉丸の目には、彩とはるかが悪魔に見えた。
9191 ◆z2mYCw53h6 :03/06/11 05:20 ID:71RlMjz5
【 特務部隊  浮島上陸に向けて行動開始 】

長い間消息不明で申し訳ありませんでした。
1です。しかもトリップ微妙に忘れました。……もうダメダメですねw
久々に書いたもので多分矛盾とか誤字脱字とかいっぱいあると思います。

えーと、間違いとかはビシバシ指摘してくださいw

一応>>911-913の『Time of Arcane Things』からのリレーです。
戻ってきてからまだ日が浅いのでこれからログ読み返して話の流れを掴もうと思います。
920名無しさんだよもん:03/06/11 22:07 ID:4KFkiXkX
>×剣と母の秘宝とが、舞に語り掛ける。
>○剣が、舞に語り掛ける。
まぁ……実際に秘宝がすぐそこにあるわけだし、致命的な程間違ってるわけじゃないから
皆、脳内補完してたんだろ。

>正直この手の間違いこそ指摘して欲しいです。
自分のミスを棚に上げておいて、非難するような言い方ですなー(w
921名無しさんだよもん:03/06/11 22:26 ID:GlccXS7f
>>919
おかえりぃ。
以前作ってた流れのまとめ、まだ頑張るんだよね?w

しかし、なんか昨日一昨日あたりから変なのが一匹紛れ込ん
でるよな……
勢いがなけりゃ静かだが、ひさびさに活気付いたら荒れるっ
てのも困ったもんだ。
922名無しさんだよもん:03/06/11 23:24 ID:om86Nmi1
>>921
「一人」が「荒らしてる」と思っているのなら認識を改めるべきだろう。

というか合間に入る茶々に惑わされて批判をケチ付けられたくらいに受け
止めていてはいけないと思うのよ。
923名無しさんだよもん:03/06/11 23:36 ID:KbOiBZdT
>>921
わかってると思うけど、放置安定だから。
924名無しさんだよもん:03/06/12 00:27 ID:RlBiARRv
はて?舞の母の秘宝は、ラルヴァ憑き澪に奪われたはずですが?
925Uスレの1:03/06/12 01:30 ID:tvAsMRej
 流れを無視してカキコ。
 なんかびみょーに忙しくてさりげに今週末の再更新は微妙だったりしますが、少しばかりお伺いしたいことが。

 提案、ってのもおこがましい過去のリレー総合スレのアイデアの窃取なんですが、カノンSSリンクに登録するというのはどうでしょうか?
 ぶっちゃけ、今現在結構進んでるとはいえ書き手の数を見るとかなり限られてるわけで、新しい血を取り入れる努力をしてみるのもいいんじゃないかと……
 遅きに失した感もありますが(汗

 あわせて、葉鍵板各リレースレの編集サイトとの相互リンクも申し入れてみようかと思うのですが……
 なんにしても、皆さんのご意見を賜りたくー。
926名無しさんだよもん:03/06/12 02:18 ID:T+RGCQKP
kanonSSリンクか……
カンフルとして働くか、劇薬として働くか……

キャラの無敵化、出番の極端な偏りさえ気をつければ良いかもね。
927名無しさんだよもん:03/06/12 02:32 ID:m9M7ZPe9
KanonSSリンク。
たしかに、やってみるのも一つの手かもしれない。
けど、とりあえず書き手さんにはログ読みを義務づけないと……。
まあ、大半は読み手だからログを見に来るんだろうけど。
928名無しさんだよもん:03/06/12 02:50 ID:IVRuInwZ
更に流れを無視したカキコさせてもらいますが、Uスレの1さん。
編集サイトの話数にして316のタイトルがちゃいます。永遠ぢゃなくて道です。
それと307登場人物の名前が違います。
後は前にも言った憶えがありますが、242の「馬でも借りるかー」みたいな事を言っちゃってる一文の一部分を削ってください。
馬なんて誰も使ってないので。余裕のある時にでも修正願います。

>>925の提案については……kanonSSリンクは止めといた方が無難な気が。
相互リンクについては、反対する気はないです。
929名無しさんだよもん:03/06/12 15:55 ID:Go94QLC4
KanonSSリンク…
いつの間にか祐一がU-1化していたなんて笑える展開が容易に予想できますな(w
930名無しさんだよもん:03/06/12 23:05 ID:P2CLqbUk
上手いこと考えるね。
話がつまらなくなったら、全部KanonSSリンクから来た人のせいにすればいいってことか。
931名無しさんだよもん:03/06/12 23:36 ID:yRjOon2U
いやぁ、Uスレの1氏は文字通り新しい血=U-1ネタを求めてると見たねw
932名無しさんだよもん:03/06/12 23:37 ID:BgrWnld7
> Time of Arcane Things
ふむ。大覚醒ですか。魔族の蠢動と因果関係を絡めても良さそうだし、
直接の因果関係がなくても話を動かす方向に使えそうだし、上手く使えば
面白くなりそう。しかし、ちゃん様陛下の一々ふみゅーんな反応にはワラタ。

> 代償の大きかった発想
いよいよ秘宝争奪戦の様相を呈してきましたね。共和国、帝国、冒険者達。
次の焦点の一つに向って役者が出揃いつつある感じです。そして、今度は
蝉丸がとほほの巻。こういう強面がボケキャラやるのは和むなぁ。

>舞の母の秘宝の件
確かに澪=ラルヴァが持ち去ってますね。すっかり忘れてました。
ここも大分長くなってるので、細部まで無矛盾とは行きませんよねぇ。
まあ、気付いたときに適宜修正していくしかないのでは。
933Uスレの1:03/06/13 01:17 ID:XYw6LhfI
>>928
 承知です。
 次回更新時には、必ず。

>>931
 わたしゃwaffen-ssの吸血鬼じゃないので、一心不乱の大殲争は御免蒙りますw

 ……っかし、そうか。
 U-1現象という脅威があったんだ……
934事情聴取:03/06/13 02:06 ID:e2k5bJcM

 ようやく動かなくなったことを確認し、御堂は視線を男から持っていた斧に移した。
 それは乱闘の始めに見た通り、不気味な模様を浮かびあがらせ、男の手と一体化しているようであった。
(腕が斧に……いや逆か?斧が腕に貼り付いていやが……ん?)
 御堂がしばらく斧を眺めていると、刃に浮かんだ幾何学模様が薄れていきそして消えた。
 同時に一体化したかのように握られていた柄が男の手から離れる。
 御堂はレイピアの先で斧を突つく。何も起こらない。
 レイピアを置き、躊躇しつつも指先で斧に触れるが、やはり何も起こらない。
 意を決して拾い上げてみた。
(何ともねえな、てっきりこいつが原因だと思ったんだが)

 斧をしげしげと見つめていると、先程までなかった外の喧騒が聞こえてきた。
 入り口に目を向けると、何人か衛兵らしき姿が靴音を響かせ入ってくるところだった。
(そう言や、奴を倒せば元に戻るって言ってたな)
「おう、もう終わっちまったぞ。まあ後片付けが残ってるから、そいつは任せるぜえ」
 そう言って御堂は衛兵を迎えた。

 衛兵達は男を取り囲むと武器を構えて言った。
「ようし、そこを動くな!!」
「通報にあった斧で暴れた男だな。連行する!」
 衛兵達が囲んだのは御堂だった。
 斧を持ち、足元に人が倒れたその状況では無理も無い。
「ゲーック!俺は犯人じゃねー!!」
 御堂に言われて後ろを向いていた矢島や瑞希たちが、その叫びに振りかえる。
 そして口々に弁護?する。
「ちょ、ちょっと。御堂の兄貴は悪人面だけど犯人は倒れてるそいつッスよ」
「犯人に見えるかもしれないけど、その人は犯人じゃないよぉ」
「そうよ、人相も口も悪いけど悪い人じゃないわ。……多分」
「手前ら……」
 御堂は一言文句を言ってやりたかったが、これ以上余計な誤解をされないように、この場は抑えた。
935事情聴取:03/06/13 02:08 ID:e2k5bJcM

 衛兵達が顔を見合わせていると、その後ろから声が届く。
「その人達の言う通りです。犯人はそこに倒れている男です」
「あたしも証言するわ。足りなければ逃げ出した店員や他の客からも聞いてみて」
 事件が起こり店の外へ避難していた広瀬真希と天野美汐の二人であった。
「みゅー!」
「繭!良かった。無事だったのね」
 その姿を見て繭が広瀬に飛びつく。広瀬は繭を抱きしめた。
「ってことだ。物騒なもんは仕舞ってくれ」
 ようやく納得したのか衛兵達も武器を納めた。

「その凶器の斧は預からせてもらうぞ」
「ああ、当然だな」
 御堂はそう言って衛兵の一人に斧を渡そうとする。ふとその時、何かが聞こえたような気がした。
(……セ)
「ん?何か言ったか?」
「何のことだ?」
 空耳だったか、と御堂は斧を手渡す。
「ああ、すまねえ。気のせいみてえだ」
 見回すと他の連中もそれぞれ聴取を受けていた。
 斧の男とそれに殺された男の死体も運び出されようとしている。
 この事件はこれで終わった――その筈だ。

「おい」
「何だ?」
 斧を持ち去ろうとしていた衛兵は、御堂に呼びとめられて足を止めた。
「その斧、さっさと処分したほうが良いぜ」
「そうはいかん。大事な証拠だ」
 そう言って、その衛兵は斧を持ち去っていった。
(まあ、問題はねえ……よな)
 そう自分に言い聞かせながら、御堂はいつまでも胸の奥の不安を晴らせずにいた。
936事情聴取:03/06/13 02:08 ID:e2k5bJcM

【御堂、矢島、椎名繭、霧島佳乃、高瀬瑞希 異界化した酒場から解放】
【旅芸人一座 久瀬以外再合流】
【御堂 肩に軽傷、一抹の不安】

編集サイト311 為すべきこと からのリレーです

次スレは950ですか?

>>933
Story Jump やタイトルからのLinkもかなり違っているようなので
お手数ですがそちらもお願いします。
937名無しさんだよもん:03/06/13 16:11 ID:NuXLWj9M
あの、先ほどから疑問なのですが「U-1現象」て何ですか?
祐一最強化ネタのこと?
938名無しさんだよもん:03/06/13 17:05 ID:0J7Qm5HR
>>937
その通り、元は嫌SSスレで生まれた蔑称。
特徴としては重みのない強さ、お手軽な称号、なんだか凄いらしい武器、などを
好み祐一の髪が延び笑顔で人を魅了し始めたら赤信号っていうか手遅れ。


…あれ、既にかなりやばいな(w
まぁもっと広義でとると原作じゃあり得ない設定を添加してキャラを強化させる
事も該当するのでこのスレは始まりから既にU-1的であるとも言える。
939名無しさんだよもん:03/06/13 22:32 ID:NuXLWj9M
>>937
ありがとうです。疑問が解けました。

>まぁもっと広義でとると原作じゃあり得ない設定を添加してキャラを強化させる
>事も該当するのでこのスレは始まりから既にU-1的であるとも言える。
まあ、ファンタジーですからね。w
うたわれとフィルスノーンくらいしかオフィシャルのままじゃ使えませんよ。
痕やmoon、雫も特殊能力はありますがRPGじゃあ、雑魚〜中雑魚レベルですし。
940名無しさんだよもん:03/06/13 22:59 ID:7aSnVXV3
>>937
頭コチコチの原作依存者たちが、ちっぽけなプライドを満足させるために生み出したもの。

何かの原作を元に自分流の作品を作るってのは、二次創作のもっともシンプルな定義。
ところがこの板には、お客様根性だけ肥大して、
原作の設定を尊重しないSSなど二次創作と認めない、とわめいてる人達がいる。

それはそれで考え方の一つなんだろうけど、所詮何も生み出さないマイナス思考だから、
人の悪口言い合って、仲間同士でダベる程度のことしかできない。
(例のスレでも、これこそ原作に忠実なSSだという作品や紹介を誰も出してないしね。
 まあ出せないということなんだろうが)

ある意味哀れな人達だけど、あれはあれで楽しんでるみたいだから、放っておくが吉。
幸い他のSSスレを荒らす気は(今のところは)無いようだし。
941名無しさんだよもん:03/06/14 00:03 ID:AuTTJZ4u
ところで、残りバイト数がヤバげ。499kbと出てる。
>945あたりにお願いした方がいいかも。
942名無しさんだよもん:03/06/14 01:00 ID:nUuu8nLy
>>940
嫌SSスレはもともと文字通り嫌なSSをあげるだけのスレだから原作に忠実だと
あまり晒される事がないのでは無かろうか。
って言うかU-1作家か信者の方ですか(w
943名も無き語り部:03/06/14 01:18 ID:p1fxMaDQ
容量ヤバそうなので勝手に立てさせてもらった

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944名無しさんだよもん:03/06/14 01:21 ID:lCOJ3Djs
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945名無しさんだよもん
立ってました。

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