1 :
川名みさき:
4 :
4:02/09/04 16:26 ID:lVBdEfdE
5 :
川名みさき:02/09/04 16:27 ID:ZTdT1bDk
6 :
川名みさき:02/09/04 16:28 ID:ZTdT1bDk
〜 このスレの鉄の掟 〜
・選択権は大原則として「早い者勝ち」!
・でも、、あまりにも酷い展開になった場合、
特例「リコール」が適用される事もあるから、注意してね。
たとえ本人であっても選択肢の修正は「無効」だから、
選ぶ時は慎重かつ迅速に!!
・職人さんは書き込む前に『リロード』必須です!←重要です(泣
・荒らし流入を防ぐためsage進行でお願いします!
それと、わたしからのお願いだよっ☆
ひとつっ、喧嘩はしちゃだめだよっ
ひとつっ、職人さんは速さと技を磨くように競い合って精進してね
ひとつっ、とにかく好きな選択肢を選ぼうっ!
ひとつっ、文句があるときは自分で書いちゃおう!
ひとつっ、他人を思いやる気持ちを忘れないでね
ひとつっ、まわりの空気と流れはちゃんと読んで!
ひとつっ、とにかく楽しむことっ!
ひとつっ、気軽に参加してね!
ルールを守って楽しく参加しようね。約束だよっ♪
職人さんとプレイヤーさんと私たちみんなで力を合わせて、素敵なお話を作っていこうね!
「・・・いい話、嫌いじゃない・・・。」
誤爆したんで
>>2-5にはいらなかった
逝ってきます
;y=ー( ゚д゚)・∵.ターン
>>3-4のやりとりワラタ
>>1 乙〜
それにしてもギリシャ文字だと何スレ目か分かりづらいな(w
ごめん、なんて読むか教えてください
「ぜーた」
ありがとうございます。
>>1氏
・・・これでテンプレ貼り邪魔する人がいなければ、
もっと良かったんだけど・・・ね?
>>9 MSIMEかATOKかことえりかWnnか判りませんが、
多分JIS一覧から文字入力するモードがあると思います。
そこを覗いていけば判りますよ。
ちなみに、
ζ=Ζ=F=6、次はη=Η=G=7、θ=Θ=H=8となります。
個々のギリシャ文字は、大文字、小文字とも理科や数学で良く見る
(α、β、γ、δ=Δ、ε、θ、λ、μ、ν、π、ρ、σ=Σ、φ、ω=Ω等)
んだけど、一部アルファベットと字形は似てるんだけど
配置が違うってのがあるから、混同しやすいね。
>>1氏お疲れ様です
なんか平安編になってから書き手争いが減ってテレホタイムでも
楽々書けるようになった反面なんか寂しい所が。
他人が自分の書いたものを、選ばれた選択肢をどう繋いでいくか
かなり楽しみにしていたのですが…
ところで前スレのあらすじはやっぱり必要ですかな?
柳川もかなり長くなってきたので
ここらで息抜きをかねて初期のような短い話をやってはどうでしょうか
柳川ももう少しだろう。きっと。
今、公式支援サイトでアナザーシナリオやってますから、
息抜きしたい方は覗いてみるのも一興かと。
トリアーエズ・・・
A 前スレ埋め立て?なので速攻で柳川シリーズを。
B こうマターリと。
C ;y=ー( ゚д゚)・∵.ターン
D ちづるんのこれまでのおはなし
D。
19 :
名無しさんだよもん:02/09/05 18:00 ID:R3zfuLgM
ちーちゃんかぁ・・・
20 :
一書き手:02/09/05 18:05 ID:iOdqWERx
うたわれプレイし始めました。終わり次第戻れるかと。
はっきり言って、今の流れの悪さは「鉄鍋の詩子」以上な気がする。
だからあの時のように、ここで中断して新しい話を始めることを提言したいのだがどうか?
俺は賛成だな
選択肢だしてみたり
A柳川を続ける
B柳川は一休みして一旦他のに切り替える
読み手としては、多少進行遅くてもいいから、ここまで来たら完結して欲しい
ってことでA
24 :
一書き手:02/09/05 19:52 ID:UidH5h5e
では頑張りましょう
「……わかった。来い」
「国崎!」
柳也が叫ぶ。
「……考えてもみろ柳也。敵はここまで侵入してきたんだ。ならば、どこへ逃げても危険は同じ。
俺たちと行動を供にするのが一番だろう」
「む……確かに……」
頼光と晴明も同意する。
「なるほど……確かに、我らが去った後にここが襲われたらひとたまりもないな」
「ああ。それに貴族である道長が迂闊に動くわけにもいかないだろう。連中も神奈がいないとわかれば
無理してここを襲うこともないだろう」
「……決まったようだな。では、余たちも同行させてもらう。……柳也殿、頼む」
「……御意」
「さてそうなると次の問題は……」
道長が切り出す。
「襲撃の時間だな。物の怪の類が最も活動する時間は夜だという。戦うのなら昼間がいいだろう。
だが、昼だと発見される恐れも強い……さあ、どうする?」
A 昼間に襲撃
B 夜に侵入
B。
とりあえず、柳川3弾のタイトルですが、
A 時代(とき)の狭間で〜柳川的時空旅行〜
B それ以外(案をあげてください。決定にはなりません)
で選択よろしく〜
……編集関係の時だけ名乗ることにしました。
ちなみに今回のスレは僕が立てました〜
俺は考えてみる。
(……相手の規模がわからない以上、迂闊に戦いを挑むのは危険だな……
それに、こちらには神奈がいる。下手に混乱状態になってさらわれるのもまずい……
最悪、人質をとられたらこちらには打つ手がない)
「よし……夜を待って侵入しよう」
「了解した。では、今宵の日の入りと供に行動を開始する」
頼光の言葉で、会議はしめくくられた。
「時に……国崎殿。貴殿の連れていた……あの、剣を扱う少女と、盲の少女。
彼女らを連れてきてはもらえぬか?」
会議終了直後、俺は晴明から声をかけられた。
「ん……? かまわないが、どうしたっていうんだ?」
「彼女らには不思議な力がある……が、少々上手く扱えていないようだ。
私の力で解放できるかもしれぬ」
「……わかった。ちょっと待っててくれ」
「こんにちは……」
「はじめまして、晴明さん。映画、見ましたよ(見えてはいなかったけど)」
「これはこれは、可愛らしいお嬢さん方ですな」
とりあえずは和やかに始まった。
「……時にお嬢さん方、あなた方は少々変わった『モノ』が眠っておられますな」
「………」
「え……?」
「だがあなた方はそれを上手く扱えていないようだ。どうでしょう? 私めがお手伝いしますので、目覚めさせてはみませんか?
今宵の襲撃にも役に立つかと思われますが―――?」
舞は みさきは
A 承諾した 1.承諾した
B 拒否した 2.拒否した
ここはA-1だろう
「「わかった」」
二人の声がかぶった。
「先生を助けることができるなら……」
「私にどんな力があるかわからないけど……」
「相分かり申した。では……お二人とも、心を静めて、目を閉じてください……」
二人を正座させ、その前に立つ晴明。
「…………」
ブツブツと呪文を唱えながら、札を取り出す。
しかし……あの二人の力って……なんなんだ?
舞は「鼓動」を感じた。
自分の中から、五重の「鼓動」を。
そして、その「鼓動」が次第に一つになろうとするのがわかった。
それは今まで自身が拒み続けた行為だった。
だが、今は受け入れる。晴明のサポートもあるが、何より彼女にとって柳川の救出が最優先されたからだ。
その前にには、自身のわがままなど霞む。
五人の舞が、一つになろうとしていた。
そして、みさきは……
A 五感ならぬ四感(視覚以外)が超鋭敏になった。
B 次郎衛門の残留思念を呼び寄せた。
A
晴明は呪文を唱え、二人に手をかざす。
見たところ様子は変わっていないが……
やがて、長い呪文を終わらせると晴明はこちらに向き直った。
「……終わりました」
「……舞、みさき、何か変わったか?」
俺は二人に近づいてみた。
「……変わった」
「どう変わったんだ?」
「国崎にはわからない……私の、十年が終わった。……私は力を手に入れた。いや、捨てたものをもう一度拾い上げた。
私はもう迷わない。私にはするべきことがある。先生を救う。それは、希望だ」
「???」
わけがわからない。……今度はみさきに話しかける。
「みさき、お前は……」
「え? 私? ……ええっと……耳の調子がいい、かな?」
「耳ぃ?」
「というより、なんか周りの気配みたいのがわかるようになっちゃったと言うか……なんと言うか……」
「おいおい、大丈夫か?」
「心配ないでしょう」
「晴明?」
「今はまだ実感できていないだけです。いざとなれば、きっと彼女の力は役立ちます。では、私はこれで……」
そう言い残し、晴明は退室した。
さて……これからどうするか。
A 一人になって考えごとをする。
B 誰かに会いに行く(対象者指名)
C 観鈴に思いを馳せる(観鈴視点?)
D 〜たった独りの闘い〜 柳川脱出ルートへ
Dで
暗い…全てが闇に包まれ、目を開けても目には何も映らない…
微かに水滴が落ちる音だけがここがこの世だと言う事を認識させる。
(…捕まって意識を失ってどれ位経ったんだ?ここは何処だ?)
「クククク…お目覚めかな?どうだい、よく眠れたかい?」
暗闇の中から声だけが聞こえた・・・何者だ?クソッ、見えん。
すると、自分の意志を汲み取ったかの如く明かりがついた。其処に映ったのは
若い、見た目二十代中盤当りの男だった。髪は銀の長髪で釣り目と人を見下したような
顔つきの優男だった。
「アハハハハハ!無様だね!大人しく僕らの僕になっていればそのような姿に
為らずに済んだのにねぇ!愚か者の末路なんてそんなものさ!アハハハハ!!」
・・・追記、口煩い只の馬鹿のようだ。
A ・・・貴様は何者だ?
B ここは何処だ?
C 相手を挑発してみる
D ・・・沈黙
D
こういう優越感に浸りたいだけの奴は、
まともに相手をするよりしばらく無視をしてやった方が情報が掴みやすいだろう。
じらすべくD。
って、先越されてたね。同じだからいいんだけど。
>>36 漏れもそんな感じで選んだよ。
まぁまるっきりディーだったらそんなヘマは多分しないだろうけどね。
あ、ディーじゃ無いか。
赤いアヴ・カムゥに乗ったやつか。
さて、こんな大馬鹿は放っておいて、まずは状況の確認をせねばな。
「さぁて、君としてはどんな末路がお好みかな? そうだな、まずは―――」
ええと、まず俺が閉じ込められてるのは……洞穴……どうやらここは地面をくり抜いて作った地下牢のようだな。
入り口の格子以外は土壁が剥き出しになっている。
ジメジメしてあまり居心地はよくない。
「あんまり簡単にくびり殺すのもつまらないし―――」
手は……チッ、後ろ手に縛られてるな。
この程度……ハッ、セイッ! ……む、切れん。どうやら厄介な呪い(まじない)の類か何かがかけてあるようだな。
「やっぱり呪文で僕らの側に無理矢理引き込んで、仲間と殺し合いさせるのが―――」
馬鹿は変わらず戯言を呟いている。
A いい加減黙らせる。
B 放っておいて状況確認を続ける。
なんとなく嫌な予感がするがB
「ククク……そうだね、どうやら君のお仲間ははここに来るみたいだし、やっぱり君をぶつけるというのが面白そうだ―――」
ああうるさい。
とにかく俺はここを脱出することを最優先に考えねばな。みさき君や舞が心配していることだろう。
「さて、そうと決まれば早速……坊主どもを集めるか」
俺がまだ生かされているということは……まだ連中にとって俺は利用価値があるということだろうな。
チッ、どうせ人質だろう。だがな、俺を甘く見るなよ。言い換えれば今俺は敵の喉元にいるんだ。イザとなれば食い千切って……
『ん?』
ふと俺が顔を上げると、俺の牢屋の前に数人の袈裟を着た坊主どもが並んでいた。
だが、坊主だと判断できる材料はそれだけで、顔には黒い布が撒いてあり、表情は窺い知ることができない―――
『なんだ、お前ら?』
「クククク……」
あの馬鹿がその坊主共の真ん中で笑っている。
「喜べ。今から君を僕らの仲間にしてやる―――せいぜい君の仲間たちと殺しあって果てるがいい!」
『なんだと!? ……が、あ、あああっ!』
馬鹿の号令と同時に、坊主共が一斉に念仏を唱えはじめる。
いつかの夢と同じ、あまりにも不快な斉唱だ。
神経一本一本の末端から侵入して、一斉に脳に向かっていく。
体の感覚は激痛のみに支配され、あたりの気配を窺い知ることすらできない。
『うおあ……ああああっっ!』
のた打ち回るが、耳をふさぐが、それでもその念仏は頭に叩き込まれる。
「あははははははは!!!! やっぱりねぇ、君もやっぱり物の怪の類だったのか!
連中と同じ呪文が効くとは……ハッ、腐れ妖怪程度が僕に手向かうからこうなるのさ! もう謝っても許さないよ!」
馬鹿の高笑いも耳には入らない。次第に思考そのものが犯されていくのがわかる。
そして、やがてそれは思い出へと移っていった。
仲間たちの顔も、楽しかった出来事も、そして―――も消えていく。
俺は……
A 抗う
B 流される
A
まだだ! この程度……この程度で俺が倒れると思ったら大間違いだ!
幾多の修羅場を潜り抜けたこの精神力……なめるな!
『おああああああああっっっっっっっ!!!!!!』
俺は咆哮する。咆哮する。叫ぶ。
「チッ……なんてしぶとさだ! もっとだ、もっとやってやれ!」
「……………」
念仏集の声が強まる。それに比例するように激痛も倍化する。
『があああああああああああっっっっっっ!!!!』
岩に頭を打ちつけ、暴れまわり、なんとか呪文を振り切ろうとする。
「往生際が悪い!」
馬鹿がとうとう辛抱できず、牢の扉を開けた。
よく見えないが何やら武器らしきものを振りかざす……チャンスだ。
『おらあああああああっっっっっ!!!』
「なっ!?」
俺はそのまま体当たりをかまし、そいつが倒れたところで牢から飛び出した。
動揺して念仏を止めた坊主どもを蹴散らし、階段へ向かって……
シュッ……
「何か」が空気を切り裂く音が聞こえた。俺が把握できたのはそこまでだった。
変な言葉かもしれないが、気がつくと俺は気を失っていた。
―――馬鹿が。だから油断をするなと言ったのだ。こやつに半端なまやかしは効かぬ―――
【柳川 脱出失敗】
「準備はよいか?」
「ああ」
頼光・晴明・そして俺たちのチームは道長邸の前に集合した。
日はすでに傾き、空を赤く染め上げている。
「今回の作戦は隠密行動が主だ。我が部下たちは高野山の近くに配置してはおくが、実際に寺まで攻め入るのは我らだけだ。
各人、くれぐれも準備は怠るな」
頼光の指示が飛ぶ。
とりあえず今回のメンバーの確認をしよう。
まず、頼光と晴明。
そして、俺たちが……俺(国崎)・柳也・神奈・裏葉・セリオ・スフィー・綾香・舞・みさき
この中で直接戦闘ができそうなのは……柳也・舞・綾香と言ったところか。
索敵がセリオとみさきだな。
おっと、スフィーには魔法があったな。
……ともかく神奈の身をなんとしても守らなければ。
次は装備か。
そうか……装備の問題があったな。
『天神小太刀』『星屑の大太刀』『破魔棍』『翼の弓』
誰に渡すか……
あ、そういえばあの駄馬もいたな。
※ 柳也・舞・頼光・晴明の四人は剣と弓を扱えます。
棍は頼光しか扱えません。
A 各人の装備を決めてください
あれはどうしますか?
B 白い悪魔を 1.連れて行く
2.連れて行かない
A
柳也はもちろん太刀
舞はマンネリだが小太刀
棍棒は選びようがないやん(w
弓はサーチ能力と合わせて効果倍増を期待してセリオ
と、あえて書き手の意思に反してみる(w
んじゃ、追加で。Bは1で。
ついに白い悪魔の出番が(w
49 :
一書き手:02/09/07 01:35 ID:Oh1FzWTl
あ、そうか。考えてみりゃセリオなら武具の「扱い」に関しては完璧なはずか。
設定の見落とし、失礼しました。
「そうだな……この駄馬も連れて行くか。イザとなれば弓を避けるのにくらい使えるだろう」
「ぶししっ、ぶししっ」
「『なんてこと言いやがる。この野蛮人が』だそうです国崎様」
「………」
この場で馬刺しにして食っちまうぞ。この駄馬め。
「あー、そうだな……それじゃあ、とりあえず太刀はいつも通りのメンバーに使ってもらう。
弓は……セリオ、お前、弓は扱えるか?」
「はい、問題ありません。以前DLしたデータがまだ残っております。
お望みなら、波間の扇を打ってご覧に見せましょうか?」
「いや……いい。そこまで自身があるなら大丈夫だろう。……ってん?」
ふと気がつくと、俺の隣に白い悪魔がやって来て、なにやらぶしぶし言っている。
「おいセリオ、こいつ何て言ってるんだ?」
「はい。ええと……」
A 『その棍、持ち手がいないなら俺が持ってやる』だそうです。
B 『俺はセリオちゃんしか乗せないぞ。この三流芸人が』だそうです。
Aでw
「『その棍、持ち手がいないなら俺が持ってやる』だそうです。 」
ゴン!
俺は当然その駄馬に棍できつ〜いお灸を据えてやった。
「『何をするんだこの野蛮人』だそうです。」
「うるさい、手もないのにどうやって使うつもりだ。馬刺しにするぞこの駄馬が!」
「『お前の細腕で高野山まで持って行くのは辛いだろうから持ってやろうと思ったのに』だそうです。」
「ぬ、そうか・・・済まんな。」
「『セリオさんに免じて許してやる。』だそうです。」
「おい、国崎。そんな所で馬とじゃれ合っていないで出撃の準備をするぞ。」
「ん、ああ。」
「襲撃の際に三つの班に分けるその内訳は・・・」
壱班:陽動部隊 隊長:頼光
弐班が安全に行動できるように出来るだけ敵を引き付けておく。索敵用にセリオかみさきのどちらかを連れて行く。
弐班:救出部隊 隊長:柳也
柳川、神奈の母親を救出する部隊。結界、罠破りの為必ず晴明を、索敵用にセリオかみさきのどちらかを連れて行く。
参班:護衛部隊 隊長:国崎
神奈、裏葉の護衛を行う。
「しかし、今の人員では数が少なすぎるな・・・救出部隊はともかく護衛や陽動部隊には
もう少しいてもいい気がするのだが・・・」
「ならば私の配下を呼ぶか?四天王と呼ばれ誰もが一騎当千の強者だ。」
どうする?
A 呼ぶ
B そのまま部隊編成
A。
B
正直、オリキャラはもう勘弁(w
あ、オリジナルじゃないのか。読み間違えスマソ
「そうか、なら呼んでくれ。」
「邊那初(ベナウィ)、朧(オボロ)、華瑠羅(カルラ)、桐花(トウカ)!」
頼光がその名を呼ぶと四人の男女が現れた。
「ここに。」
「兄者、呼んだか?」
「お呼びになって?あるじ様。」
「はっ、ここに。」
「お前たちも今回の戦いに加わり、彼等の力になってくれ。」
「御心のままに・・・」
「兄者、俺に任せてくれ。」
「ふふっ、あるじ様が言うなら・・・」
「某にお任せあれ!」
それでは、メンバーを振り分けてください。
戦闘能力 探索能力 特殊能力
柳也 高 低 剣技
頼光 高 低 対魔攻撃、統率
晴明 低 中 陰陽術
舞 中 低 あの能力
みさき 低 極 超感覚
セリオ 高 高 狙撃、熱源探知
綾香 中 低 総合格闘技
スフィー 低 中 魔法
朧 中 高 隠密、二刀流
邊那初 高 低 槍技、統率
華瑠羅 極 低 怪力
桐花 高 低 抜刀術
国崎 低 低 法術
裏葉 低 低 なし
神奈 低 低 なし
壱班 陽動:頼光
弐班 救出:柳也
参班 護衛:国崎 裏葉 神奈
あれ?ずれたな・・・
戦闘能力 探索能力 特殊能力
みさき 低 極 超感覚
でお願いします。
あ!弐班に晴明入れるの忘れていた。
弐班 救出:柳也 晴明
で、お願いします。重ね重ね済みません。
オリキャラじゃないって言うから、「本物の」頼光四天王かと思ったのに。
ローチンとティンベー持った碓井とか。
>60
いや、流石に其処までは・・・只でさえオリジナル要素強すぎとか言われているのに。
62 :
名無しさんだよもん:02/09/07 03:11 ID:vjZ4r6qp
>ローチンとティンベー持った碓井とか。
『本物』ではない(w
壱班 陽動:頼光 朧 綾香 みさき
弐班 救出:柳也 晴明 セリオ 舞 桐花
参班 護衛:国崎 裏葉 神奈 華瑠羅 スフィー 邊那初
日もすっかり沈み、静寂の闇だけが支配する夜・・・
一行は高野山にの麓に到着した。辺りは虫の音一つ鳴らない不気味な静寂に包まれていた。
高野山からは禍々しいまでの瘴気が放たれている・・・・
「では、作戦の内容を話す。皆、心して聞いてくれ。」
皆は頼光の言葉に耳を傾けた。
「まずは壱班が寺に突入、ここで出来るだけ敵を引き付けるように派手に戦う。
その後、弐班が別の場所から時間を置いて突入。神奈の母親の捕われている所を
探索。同時に柳川殿の探索も行う。最後に、参班はここで待機していてくれ。」
「頼光殿一つ質問して宜しいか?」
質問をしたのは柳也だった。
「どうぞ。」
「敵の中に人が混じっている可能性がある。物の怪が人に化けていた場合どうやって区別すればいい?」
そうか・・・不殺の誓い・・・か。
「それについては晴明殿のこの符を張れば低級な物の怪ならばその変化を見破る事が出来るそうだ。」
「そうか、これはありがたい。」
「なるほどね、これで遠慮無しってことね。」
「・・・今回の目的は二人を救出する事が最優先だ。それが達成されれば後はここから撤退する。
例え失敗したとしても無理をせずに帰還を最優先にして貰いたい。死ななければ次がある。以上だ。」
・・・・・・・・皆決意を決めたようだ。その表情に迷いは無い。
「では・・・出撃する!!」
「「「「「応!!!」」」」」
A 壱班視点
B 弐班視点
C 参班視点
D 敵側視点
Dで
さて、どうやら敵方は翼人奪取のため晴明のみならず頼光までつれてきたようだな。
まったく、ご苦労なことだ―――
「誰か」が金剛峰寺の本殿でかがり火の明かりを受けていた。
その姿は影になっており、窺い知ることはできない。さらにその後ろには、柳川と話をしていたあの馬鹿が傅いている。
――それに関しては、僕にお任せください。
――お前がか? 先ほどはあの男に逃げられかけたではないか。
――ですから、その埋め合わせを奴らを屠ることで……
――いいだろう。お前に任せよう。で、奴らの居場所はわかっているのか?
――勿論ですとも。ここは我らが庭……既にこちらの第一隊は差し向けております。撃滅の便りを出せるのも、いま少しかと。
――フン、相手にはかの阿部晴明もいるのだぞ? 果たしてそう上手くいくかな?
――ご安心を。いざとなれば……こちらには切り札があります。異常な力を有した、あの男……『影』を抽出することに成功しました。
――ほう……それは興味深い。ならば、仲間と殺し合いをさせるのも一興……
――そういうことです……
――ならば、行け。
――御意……
馬鹿の姿は消えた。あとに残った男は一人ごちる。
「果てさて……翼人の力、我に御しきれるものかな?」
「よし……このあたりでいいだろう。柳也、国崎、お前たちはここでしばらく待っていてくれ。一暴れしてくる」
「ああ、頼んだぞ。頼光」
「……頑張ってくれ」
一向は高野山の中腹までたどり着くことに成功した。そろそろ隊ごとに別れての活動に入る頃合だ。
「では……朧、綾香、みさき、ついてこ……」
「……! 何か来るよ!」
その時、みさきが声を上げた。
「はい。複数の活動熱源体。真っ直ぐにこちらへ向かってきます」
セリオもそれに同意する。
「っ……! 皆、伏せろ!」
頼光の指示に従い、全員で藪の中に伏せ、少し先を望む。
「……なるほど。牛頭がいるからどこかにいると思ったが……馬頭(めず)か」
そこには、巨大な鉄棍を握った馬面の鬼と、それに率いられた十数匹の子鬼がこちらに向かってきていた。
「さて……どうやら連中はまだこちらには気づいていないようだな……今なら先制を仕掛けられる」
A 作戦通りに壱隊が撃滅し、他の隊は散らばる。
B ここは一発全員で襲い掛かる。
C すり抜ける方法を考える。
A
まぁこれで
「お前達は先に行け。奴らは我らで叩きのめす。―――なるだけ派手にな」
俺と柳也は互いに頷きあい、頼光の指示通りに森の奥へと静かに移動した。
ある程度距離が離れると、先ほどの場所から喧騒が聞こえてきた。
「どうやら始まったようだな」
「ああ、あれだけ派手にやればしばらく時間は稼げるだろう」
―――甘い
「ん?」
「どうした国崎」
「なあ、今お前何か言ったか?」
「いや――特に何も」
「セリオ、何か聞こえたか?」
「いえ……特に怪しい物音は何も聞こえません。ですが―――」
「ですが?」
「動熱源体、接近中です」
「国崎! 前だ!」
柳也の指示に従い、森の奥を見る。そこにいたのは―――
A 僧兵
B 物の怪
C 闇の男(柳川をさらった奴)
D 柳川(?)
B
「甘いわねぇ、甘いわよ、華瑠羅。」
其処に現れたは派手な化粧を施した男だか女だか区別の付かない中性的な
雰囲気の持ち主であった。周りには小鬼達を従えている。
「・・・・・ふふっ、久ぶりねぇ。何年ぶりかしら。貴方に会う事をどれだけ待ち侘びた事か。」
どうやら華瑠羅の知り合いのような口振りだが。
「華瑠羅、知り合いか?」
「ええ。久しぶりね諏奸雄(スカンオス)・・・いや、妖怪『土蜘蛛』と言うべきかしら。」
「え?妖怪『土蜘蛛』って確か・・・」
「ええ、我々が退治しました。確かに聖上の手によって討ち取られました。」
「ククク・・・『あの御方』の力で再び現世に甦ったのよ。こうして、華瑠羅に再び会う為にね。」
「あら、前にも申した通りわたくしはあるじ様の物なのよ。身も心も。」
「まぁ、貴方にも用事があるのは確かだけど、『あの方』は其処の翼人の娘を御所望なのよ。
大人しくついて来れば手荒な真似はしないわよ?」
そう言って諏奸雄は神奈を指差した。
「柳也・・・どうする?」
A 弐班は突入、参班のみで戦う
B 弐班、参班と一緒に戦う
C 神奈を引き渡すふりをして隙を突く
神奈が目当てなら弐班は無事突入できるだろう。
因縁の対決も見たいしここはAで。
「・・・柳也、行け!!」
合図と共に柳也達弐班が飛び出した。
「そう簡単に通さないわよ!あんた達、止めなさい。」
諏奸雄は小鬼どもに指示を出して柳也達を阻もうとするが──
「セリオ!」
「はい。」
セリオは懐から缶コーヒー大の金属の塊を取り出し上部に付いたピンを抜き
小鬼達の目の前に放り投げ───
カッッッ!!!!
凄まじい閃光が音も無く辺りを包んだ。その凄まじい閃光に小鬼たちは
思わず怯み、気付いた頃には弐班の連中はその場にはいなかった。
「やるじゃないの・・・・けどその人数であたしと戦うつもり?」
「その通りよ。わたくし達がお相手して差し上げますわ。」
「・・・ふふふ、うれしいわ華瑠羅。貴方の相手はあたし。他の連中はあんたたちが相手しなさい」
小鬼たちは華瑠羅を除く5人を取り囲んだ。
「其処の翼人の小娘以外は殺そうが食おう勝手にしてもいいわよ。」
「このスフィー様を甘く見ないでね。」
「御三方、下がっていてください。」
「もの共、やっておしまいなさい!!」
合図と共に小鬼が襲い掛かってきた。
A 壱班視点
B 弐班視点
C このまま参班視点
B
柳也たちは木々の間をすり抜け、一直線に総本山を目指した。
途中何度か敵部隊と鉢合わせかけたが、セリオの誘導と晴明の幻術により、大きな戦闘もなくたどり着くことができた。
「これは……俺にもわかる。あからさまにドス黒い瘴気が噴出してる……」
柳也が呟く。一行は、金剛峰寺の裏手……別館にまでたどりついた。
「あなた方は幸いです。私は……ほら、これを見てください」
促され、晴明の腕を見ると、一面に鳥肌が立っていた。
「ここまで濃密な負の力は私も初めてです。道満……どうやら、厄介なモノに手をつけたようですね」
「で、どうする?」
舞は先ほどからずっとソワソワしている。やはり柳川の身を案じているのだろう。
「……ここに道長から預かった図面がある。牢屋というものの場所はその構造上、いくつかの特徴があるものだ。
いくらなんでも本殿の近くには配さないだろう? ……で、いくつか俺の選んだ候補の場所には印をつけておいた」
広げられた地図を全員で覗き込む。
なるほど……確かに未踏査地域のいくつかに赤いマークがされている。
「中に侵入したら、敵の動きを確かめながらなるべく戦闘を避けつつ二人を探す。
人質にもとられたら面倒なことになるからな」
そんな中、セリオはジッと地図を眺めている。
「セリオ……どうした?」
「……地図データ保存、完了致しました。もし別行動をとることになった場合、私にお聞きください」
「頼りになるな」
「では、そろそろ行かれるか?」
「勿論……一刻も早く、先生を助け出す」
「よし……行こう!」
やれやれ、みんな役に立たないねぇ。あっさりここまで侵入を許すとは。
……ま、いいか。そうじゃなきゃアイツの出番が無くなってしまうからな。ええと、彼らは……別館に着いたのか。
よしよし、本殿からは遠いな。簡単にはたどり着けまい。
そうだね……よし、早速アイツをぶつけるとするか。
柳也たちは床下を外し、寺の別館に侵入を果たした。
どうやら幸いなことにこの当たりに敵の見張りはいないようだ。
……それは、「いない」のではなく「させなかった」のが正しいのだが。
「柳也殿、まずはどこから当たる?」
「ええ、まずここから渡り廊下を使って本館に移りましょう。着いた先の突き当りを左に行くと地下室と思しき区画があります。
まずはそこから調べましょう」
「なら…行こう」
舞は早速進もうとするが、柳也がそれを止めた。
「ダメだ。お前は殿を務めろ、舞」
「……っ、なぜだ」
「今お前は焦っている。そんな心持ちで進んでも罠にかかるのがオチだ。先頭は俺と晴明殿だ」
舞自身もわかっていた。今は焦るべき時ではないことを。こういう時こそ、冷静であらねばならないことを。
柳川がそうしているように。
だが、彼女の中には一刻も早く柳川を救いたい気持ちもある。その板ばさみの中、舞は柳也の指示に従うことに答えを決めた。
「……わかった」
「よし……では、言ったとおり俺と晴明殿で先頭を勤める。その後ろにセリオ、桐花、舞だ。
渡り廊下は矢面に立ちやすい。待ち伏せされている可能性も高い……各員、気をつけろ」
「「「はい!」」」
金剛峰寺の本館と別館を繋ぐ渡り廊下。それは廊下というよりも橋に近かった。
二つの館の距離もかなり離れているし、何よりも屋根すらなく、各所には風雨によると思われる侵食の痕も多かった。
それでも、かなり丈夫な造りであることに変わりはないが。
「どうやら、待ち伏せも無いようですね」
「……おかしい」
晴明と柳也は走りながらも会話をしていた。
「どうなされました? 晴明殿」
「あまりにも防備が薄すぎる……道満ともあろう者、既に私たちの侵入には気づいていてもおかしくない……
いや、よしんば気づいていないとしても、ここには彼としては何とも守りきらねばならない翼人が囚われている。
そこに全く見張りも立てないとは……」
その時、セリオが叫んだ。
「……! 動熱源体、高速でこちらに接近中です! 距離、……ゼロ!? 真上です!」
「なんだと!?」
その場にいた全員が空を見上げた。
……月明かりが逆光となり、その身体の細かい特徴はわからない。
だが、細かい特徴などどうでもよかった。それはあまりにも……
「大きい……!? 散れ! 散れみんな!」
全員が反射的にその場から飛びのく。柳也、晴明、セリオ、桐花は『前』に。
そして……舞は『後ろ』に。
ドグシャアッ!
五人の人間が走ってもビクともしなかった廊下の板に大穴が空く。
四人と、舞の間に。
それは『鬼』だった。あまりにも巨大な『鬼』だった。
そして、舞はその『鬼』に見覚えがあった。
「先生……?」
かつて、幾度となくあった戦い。その中で柳川が見せた『鬼』の姿だった。
確かに一般的な観点から言えばそれは『恐怖』の対象だったのかもしれない。だが、舞にとってそれは
何よりも誰よりも頼りになる、柳川の姿の一つでしかなかった。信頼することはあっても、恐怖を覚えることなどあろうはずがない。
だが、彼女の膝は震えていた。眼前に立つその鬼は、かつて無い程の強烈な殺気を舞に叩きつけていた。
「せん、せい……? やな、がわ、せん、せい……? え……?」
舞は―――
A パニクった
B 無理矢理頭を冷やした
C 刹那、柳也が鬼を背後から斬りつけた
Aかな
鬼は舞の方を振り向くとそのまま舞に襲い掛かった。
「せんせい・・・ぶじだった────」
舞は混乱してその場から動こうとしなかった、そして鬼は舞の
心臓目掛けてその鋭い爪を立て───
「舞殿!!」
シュッ!キィィィン!!ザシュ!!!
「ガァァァ!!」
前に飛び退いた四人の中でいち早く体勢を立て直した桐花が
その俊足を生かし、加速からの抜刀術で鬼の左脚を斬り付けた。
その為、鬼の狙いが逸れ舞は無傷だった。鬼はそのまま先にあった大木に突っ込んだ
「舞殿、何をしておられる。気を確かに!」
「あっ・・・済まない、桐花さん。」
「舞様、今確か先生と・・・あれは柳川様なのですか?」
セリオが尋ねた。
「うん・・・鬼化したところを何度か見た事があるから。間違いない。」
「まさか、奴等に操られているのでは・・・」
男は寺の別室から水晶玉でその様子を覗き込んでいた。
「・・・・ふん、上出来じゃあないか。糞坊主共じゃ洗脳できなかったから
僕自ら術を掛けてやったけど。ククク・・・そいつに勝てるかな?他にも
たくさん術や符を貼ってやったから生半可な攻撃にはびくともしないよ。
ククク・・・・アーハッハッハッハッハ!!」
「何とかして洗脳を解く事は───!!」
すると、鬼が再び襲い掛かってきた。その動きには先程の負傷を全く感じさせなかった。
「馬鹿な、某の刃は確かに奴の脚の筋を切り裂いたはず!?」
「治癒能力を高める符が貼ってあるようです。他にも色々身体能力を高める符を貼っています。
しかし、あれ程大量の符を貼るといずれ生命力を使い果たしてしまうでしょう。」
どうする?
A 晴明の力で洗脳を解いてみる
B まずはセリオの狙撃で体中の符を一つ一つ破壊していく
C 兎に角そのまま戦う
C
むしろ「先生……だったら私の手で……」な展開を。
どうにも死なせたい方向が好きな奴がいるな。
自分は死ぬ展開は正直嫌い(特に神奈のは・・・)なので、
あんまり・・・なあ。
月島兄はまだ納得できたけど。
まあ、とにかくやるっきゃない、な展開自体は異論はないんだが。
「ガ・ア・ア・アアアアァァァァァーーーーーー!!」
一際大きく咆哮し、鬼が舞・桐花に向かって駆け出した。
「チィィ……」
抜刀術の構えをとる桐花は自分の後ろを見る。舞がどれほどの戦力になるかはわからないが、
半ば呆けているこの状況では自分がやるしかない。
「……行くぞ、鬼めが!」
廊下を蹴り、浅く跳躍する。
生半可な攻撃が通用しない以上、狙うはただ一点。首だ。
「ハァァァァァァァァ!!!!」
それは鬼の目の前に踊りでる行為。攻撃を喰らう可能性が最も高い場所だ。
だが、彼女には自身があった。鬼の腕が振るわれるその前に、自らの斬撃が走ることを。
結果、失敗。
シュランと高速で剣を抜き放つが、その直前に鬼は屈みこみ、刃は空を切る。
「何ィ!?」
あるいは油断があったのかもしれない。彼女には、「獣」を相手にしていると。
大きな間違いだった。彼女が相手にしているのはまごうこと無き「鬼」だったのに。
鬼はそのまま自らの身体に捻りを加え、桐花の下腹を蹴り上げた。
「がはっ!?」
高々と上空に打ち上げられる桐花。直撃を食らえばあるいは内臓の一つや二つ破裂していたかもしれないが、直前、
彼女は自ら飛び上がり(それと同時に鞘を盾にして)ダメージは最小限に抑えた。
それでも、自らの意思以外で空中に放り出された。……それのもたらす結果は、彼女も、そして鬼もわかっていた。
(しまったぁ……某としたことが!)
鬼は彼女の予想通りの行動をとった。彼女を追い、跳躍した。
空中で体勢が崩れている今、避ける手段も捌く手段も何一つない。
「ここまでか……聖上、申し訳……」
舞は恐怖した。
生物が持つ最も原始的な感情に打ち震えた。
今まで自分が信頼していた存在。それが自分に牙を向くのだ。
(そんな……先生……先生……なにかの……なにかの間違い……だよ……ね?)
その問いへの答えは目の前の光景が示してくれている。「否」だ。
(先生に……先生に私が勝てるはずがない……私に、先生を殺せるわけがない……)
舞は動くことができず、半ば腰が抜けた状態にあった。
だが、「もう一人の彼女」は冷静に事態を観察していた。
(……違うよ)
(あ?)
(違うよ。あの人は先生じゃない。あれは先生なんかじゃない。あんなのはあたしたちの大好きな柳川先生なんかじゃない)
(え……?)
(見てよ。あの姿を。あの目を。あの心を。いくら先生が操られたって、あんなになるわけがないよ)
(た……確かに……)
よく見ると鬼の姿は、確かに柳川と同じではあったが……そう。纏う「オーラ」と言うべきか。
「気配」というべきか。三次元的な構成物質である「肉」。それをどこかで超越したようなものが明らかに違った。
(それじゃあ……あれは……?)
(あれは、たぶん、先生の「影」。きっと悪いやつが先生に何かやったんだよ)
(そうか……)
そこまで聞くと舞は立ち上がった。
今度は膝は震えない。しっかりと廊下の板を踏みしめる。
そして、キッと桐花を狙う鬼を睨みつけた。
「……この……鬼がァァァァァ!!!!!」
舞は叫ぶ。叫ぶと同時に、空中の鬼はバシィと何かに弾き飛ばされた。
「ガオ……オアッ!?」
ダメージには至っていない。だが、桐花をその爪から逃すには十分だった。
「ゲホッ、ゴホッ……ま、舞殿……今のは一体……」
うずくまり、自分の腹を抑える桐花。舞はそんな彼女の肩にポンと手を置いた。
「ありがとう……桐花さん。後は、私に任せてください」
「な……無茶を言われるな! 舞殿だけであのような化け物に……!」
「大丈夫……私は大丈夫」
(いや、しかし、先ほどの剣気……こんな少女にあそこまで凄まじいものが発揮できるものなのか?)
舞は叫んだ。鬼は先ほどの一撃が気になるのか、二人からはやや距離を取っている。
「柳也! 晴明さん! こいつは先生じゃない! こいつは先生の『影』だ! 私はこいつを倒す! だから、二人は一刻も早く先生を救い出してくれ!」
「な、なにぃ!?」
「影……影と……まさか!?」
「知っているのですか晴明殿!」
「『縛影術』……強制懐柔の術です。対象者の影を抽出、操作し……精が尽き果て死ぬまで使役する。
解除法は……影を殺すこと。本体を殺すこと。あるいは術者を殺すこと。だが、影の死は本人の死を意味する。
影を殺して取り返すには本体が影を倒すしかない……道満、外道めが!」
どうする?
A 柳川を探す
B 術者を探す
Bで
メンテ
「舞! 時間を稼げるか? 俺たちは術者を討つ!」
「……行け」
妙に偉そうな舞。
「わ、わかった。じゃあ、任せてもいいんだな!?」
だがその声は舞の耳に届かない。
彼女はキッと鬼を睨みつける。
「鬼め……許さん……キサマは狩る……よくも……よくも、先生を汚したな……」
低く唸ると正眼に剣を構える。その切っ先が向いている相手は、柳川の姿をした鬼だ。
柳川ではない。
「よし、それじゃあ後は任せたぞ! 桐花、お前はそこにいろ! その身体では無理だ!」
「ま、待たれよ柳也殿……ぐっ!」
何とか身体を動かそうとする桐花だが、下腹に力をこめると激痛が走る。
(チィ……あばらが何本か折れてしまったか……)
「では急ぎましょう! 晴明殿!」
「うむ……」
「柳也様?」
「む、セリオか」
「私に指示をお願いします。舞様の援護ですか? それとも柳也様をお手伝いしますか?」
A この場で舞の援護
B 柳也に同行
C 柳川の救出
A。
舞は怒っていた。いや、それすら生ぬるい。
激怒。そう、その辺りの言葉が正しいだろう。
その身体からは「何か」が立ち上っていた。
それを背後から望む桐花は、畏敬の念を覚えた。
(この少女は……一体……?)
一方、鬼は悦んだ。そして、高らかに笑った。
目の前の極上の雌が、極上の獲物の匂いを漂わせているのだ。
かつて無い程の興奮。彼が望むものが一つになり、そこにあるのだ。
「ゴアアアアアアアアアアア!!!!!!!」
一際高く吼えると鬼は突進する。舞に向かい。
そして舞はかわすことはせず、それを真正面から迎え撃った。
(無茶だ! 舞殿!)
細い渡り廊下の上、二つの影が交錯する。
舞とてなにも策が無いわけではない。怒りにその身を焦がしてはいたが、戦いは頭の中で「別の自分」が指示をしてくれた。
(くるよっ……!)
別の舞は、あるいは鬼の姿を観察し、あるいは動くべき方向を舞に指示し、あるいは攻撃すべき隙を舞に教えた。
鬼は、事実上五人の舞を同時に相手にしていた。
だが、本人以外にそれはわからない。
事実、桐花は目の前の光景が信じられなかった。明らかに体格でも、剣技でも自分より劣る目の前の少女が巨大な鬼と対等に渡り合っているのだ。
鬼がその豪腕を振るえば舞は身を捻り、正に紙一重でそれをかわす。
そして攻撃後のほんの僅かな隙を付き、一撃を見舞う。確かにそれ一つ一つは大したダメージには至っていないかもしれない。だが全ての攻撃は人体にとって致命的な急所を狙っており、
直撃があればあるいはそれだけで勝負がつきかねない攻撃だ。
戦いは、お互いに一撃必殺を狙う緊迫したものになっていた。
「ハァァ……!!!」
「オオオオ………!」
一瞬の交錯の後、舞と鬼は同時に間合いをとった。
桐花の隣に立つ。
「ま、舞殿……? 貴殿は……」
舞は質問には答えず、桐花を一瞥すると逆に聞き返してきた。
「……お腹、痛い?」
「え、あ、い、いや、少々あばらを痛めてしまったようで……このくらいは、平気……いぎぎぎぎ……」
強がり立ち上がるが、やはり激痛には耐えられない。
「……動かないで」
「舞殿……?」
舞はそんな桐花の下腹に手のひらを当てると、少しだけ力をこめた。
一瞬、手と触れた部分が光を放つ。
「……大丈夫」
「は……? あ、痛くない……」
試しに丹田に力を込め、数回刀を振ってみる。全く痛みはない。それどころかさっきより力が入る気がする。
「これは……一体……?」
その時、ドスドスと鈍い音が連続で聞こえた。
見ればセリオが本殿の屋根によじ登り、こちらに弓を構えていた。
「グルルゥ……」
鬼は鬱陶しそうに背中に手を回すと、刺さった矢を抜く。
「舞様! 大丈夫ですか!」
「セリオ……」
「私が援護します、どうぞ川澄さんはその隙に……」
「………わかった。桐花さん、行こう」
「え? は、はい! 助太刀いたします!」
(どうもこの少女は……掴みにくい……いや、それはともかく、今は……目の前の戦いに集中する時!)
闘気と供に刀を構える二人。
鬼は先ほどよりも楽しそうに二人を見つめる。
(オンナ……タタカイ……イノチノ……ホノオ……)
A 舞視点で闘いに決着をつける。
B 柳也視点で頭を探す。
C 壱班はどうしているんだ?
D 弐班は大丈夫なのか?
B
「なんだ?この静けさは?」
本館にたどり着いた柳也達を、ただ静けさのみが覆っていた。
気配はまるでなく、誰もいないかのようであった。
「妙だな・・・」
「まるで・・・私達を待ってるかのよう・・・」
「・・・何にしても行かねばなるまい」
柳也たちは、疑問に思いながら、本館を進んでいった。
暫くすると、本堂らしき広い場所に出た。
見ると、前の方に一人の男が座布団に腰掛けている。
「貴様・・・誰だ!?」
柳也はすでに刀を抜いていた。晴明も呪文を唱える構えに入っている。
「へぇ・・・なかなかやるようだね・・・
女はいないか・・・別に死ぬから変わらないけどね」
「戯言はそれまでにしろ!」
柳也が叫ぶ。
「貴様、早く柳川殿を元に戻せ!」
「ククク・・・ハッハッハッハッハッハ!
僕に勝てると思ってるのかい?やれるならやってみるがいいよ。」
最初に動いたのは・・・
A柳也が斬りかかった
B晴明が呪文を唱えた
C男が柳也たちを吹き飛ばした
D他の判は大丈夫なのか?
1壱班視点へ
2弐班視点へ
3舞視点へ
B
Aで
「誰だかは知りませんがどいていただきます! レイ・ジュラ・オン・レイデュラ!」
晴明が印を組み、札を投げつける。
「白虎招来!」
札は空中で巨大な虎へと変化し、男に襲い掛かる。
「甘い甘い甘すぎるゥゥゥゥゥ!!! 阿修羅罵! 怨! 怨! 怨!」
男が呪文を唱えると、牙をむく虎の幻影は凍りついたように固まってしまい、男は事も無げに札を破り捨てた。
「どぉしたんだい晴明ィィィ!!? 腕が落ちたんじゃないかぁぁぁ!?!?」
「……な、キサマ……まさか、道満!?」
「その通りィィィィィィ!!! いつかはとってもお世話になったよねぇぇぇぇ!?!?!? あの時のお礼がしたいなぁぁぁ!!!」
「バ、バカな……ならば、その身体は何だ! どうみてもまだ二十歳かそこら……」
「ああぁぁぁ? コレかいぃぃぃぃ?」
男は愉快そうに上着を脱ぎ捨てる。
痩せぎすではあるが、無駄な肉のない体があらわになる。
「『星の記憶』ってとっても便利でねェ……僕の魂の器を代えることもできちゃったんだよねぇぇぇぇ!!!!
この身体はあのお方に仕えてた……なんてったっけぇ……ハウ……エ……まぁどぉでもいいや! もう身体の名前なんてどうでもいいからね!」
「……外道め、そこまで堕ちたか!」
「そんなこと言っちゃってイイのかなぁぁぁぁ!? 今の僕はとっても強いんだよぉぉぉぉ!?
君にいつかの恨みを晴らしたいぐらいでねぇぇぇぇぇ!?!?」
柳也は気づいた。
目の前の男の身体が徐々に膨らんでいることに。
「お、お前……」
「あぁぁああああ! 君は確か柳也君だっけぇぇぇぇぇ!? 神奈の付き人のぉ、残念だったねぇぇぇぇ!?
彼女の元には既にあのお方が向かったよォォォォォ!!!」
「な、なんだと!?」
「おおっとぉ、逃がさないよ………君も、晴明も……」
瞬間、男の身体が爆発する……いや、爆発するように巨大化する。
その姿は、鬼……いや、確かに先の柳川とほぼ同程度の大きさではあるが、その姿は真っ赤な鎧兜を装備しており、両手には鋭利な鍵爪が括り付けられていた。
「ホォォォォラァァァァァァ!!!! トォッテモツヨソウデショォォォォォォォ!!!!! ウツクシイデショォォォォォォ!!!!!!
ソウイウワケで……シネ、シネ、コロシテヤルァ、クズドモガァァァァァァァァァ!!!!!」
「身体も魂も物の怪に売り渡したのか……哀れな……」
A 撃滅する。
B 撤退する。
C 頭で勝負。
D 晴明が応戦し、柳也が神奈の元へ向かう。
A
「シネヤコノクズガァァァァァァァァァァァァ!!!!!」
男が晴明に突進し、その両の爪を振るう。
「ムゥッ!」
晴明は札を投げつけるが、練られてない術では男に大した効果を与えることはできない。
「チィィィィ!」
柳也は晴明との間に滑り込み、大太刀で何とか受け止めた。
(ツゥ……ッ! 重い!)
体重差、それに伴う剣圧はあまりにも圧倒的だ。それでもまだ残っているのはひとえに太刀の力か。
男は面白そうに一旦距離をとる。
「ヘェェェェオモシロイカタナモッテルジャナイカァァァァァァァァ!!!!
ソレホシイナァァァァ、ウン、ボクモラウヨ。テメェブチコロシテナァァァァァァァァ!!!!」
(来た!)
赤い巨人の対象は今度は自分だ。
さて、いかにして闘うべきか。
A 柳也が攻撃を受け止め、晴明が術で攻撃
B 装甲のスキ間に一撃必殺
C かがり火に突き落とす
D 柳川(影)と殺し合わせる
D
Dってなんだ?
「さて、どうしますか柳也殿」
「……そうですね、ここは……」
柳也は太刀を構えたままじりじりと後ろに下がる。晴明もその横で札を数枚握りしめる。
「ホォォォォォォォラァ、ソロソロイクヨォォォォォォォォォ!!!!」
巨人が走りだす。
「退きましょう!」
「り、柳也殿!?」
踵を返し、弾かれたように部屋を飛び出す。
「アハハハハハハ!!! イイハンダンダネェ、ケドケドケドォ、ニガサナイヨォォォォォォ!!!!」
後を追ってきた、が、これは『作戦通り』だ。
「柳也殿! どういうおつもりか!? ここまで来て敵に背中を見せるとは!?」
「晴明殿、なぜ連中は別館周辺に見張りを配さなかったと思いますか!?」
走りながらも会話を続ける二人。後ろからは巨人が楽しそうに追ってきている。
「む……やはり、あの鬼に任せていたからか?」
「ええ、それもあるでしょう。けど、こっちが複数であることは予想できたはずです。
今回のように、二手に分かれられた場合はいくら鬼が強靭でも一人ではどうしようもありません。
つまり、あの影鬼は『単独行動しか出来ない』んですよ」
「……ということは……」
「ええ、おそらく、いや確実にあいつは敵味方の判別はつきません。
なればこそ、あいつをおびき寄せて同士討ちさせれば一石二鳥というもの!」
「なるほど!」
「マテェェェェェェェェ!!! クズドモガァァァァァァァァァァ!!!!」
床を踏み抜き、壁を崩しながらも巨人は猛スピードで二人を追う。
「ですけど……ちょっと向こうの方が足が速いですね……晴明殿、ここは自分が時間を稼ぎます。早く先に……って晴明殿!?」
見れば、晴明はすでに札を構え、巨人を迎撃せんと廊下の中ほどに立っている。
「晴明殿!」
「年には勝てませんな! 柳也殿、先に行きない、ここは私が!」
「そんな、無茶だ!」
「あなたの方が足が速い! ……そういうことです」
「晴明殿!」
「クククク……アーーーーッハッハッハッハッハ!!! ソウカイ、ハルアキ! キサマガサキカァァァ!!!!!」
高笑いを響かせながら、道満は晴明に迫る。
「……私は、お前の才は認めていた……」
「シネァハルアキ!!! ボクヲブジョクシタコトヲクヤミナガラ!!!」
「何を間違えたのだ、道満……」
「シネァ、シネァ、シネァ、シィネェェェェェェェ!!!!!」
「愚か者が! 陰陽道の心得を忘れた貴様に、私が殺せるものか!」
「晴明殿ォ!!!」
柳也が確認できたのはそこまでだった。
『死』をいざなう豪腕の嵐の中を、二人が踊る。
そう、人によってはそれは『舞』に見えただろう。
命と命のぶつかり合い。それは美しいかもしれなかった。
事実、『鬼』と『舞』は楽しんでいた。その命の削り合いを。
鬼は打ち震える命の炎を
舞は自分の師への挑戦を
一瞬と永遠は同義だという。
この場に居合わせたものなら迷い無く同意するだろう。
鬼が爪を振り下ろすその一瞬。
舞と桐花が身を翻すその一瞬。
反撃に転じるその一瞬。
セリオの矢が突き刺さるその一瞬。
咆哮が響き渡るその一瞬。
どの一瞬が一瞬ズレたとしても結果は永遠に変わったことだろう。
そこに新たな一瞬が加わる。
「舞! 桐花!」
柳也の叫び。
舞は一瞬柳也へと視線をやった。
一瞬目が合う。
その一瞬で全てを理解した。
「桐花、飛ぶぞ!」
「しょ、承知ッ!」
次の鬼の攻撃。その一瞬の隙を付き、二人は鬼の背中に飛び乗った。
そのまま背を蹴り跳躍する。
「行くぞ、柳也」
「お、おう」
今柳也が走ってきた廊下を進む。上に意識を集中させれば、瓦の乾いた音が聞こえる。
どうやらセリオも後ろを付いてきているようだ。
「今俺たちは道満と思しき人間……いや、人間と言えるのかはわからないが『そいつ』と接触した。
おそらくあいつが柳川をあんなにした元凶と見て間違いないだろう」
「…………」
舞の表情は前髪に隠れ、窺うことは出来ない。
「そして、柳川の影……俺の予想が正しければ、あいつは敵味方を判別することができない。
ただただ目の前の生命を『破壊』する。その衝動だけに駆られている。
ならば、二人をぶつけることができれば……鬼が勝てば、道満は死に、柳川は解放される。
道満が術を解除すれば、同じく柳川は解放される。どちらに転んでも俺たちに有利だ」
「わかった……」
その時、寺の内部から下卑た笑い声が聞こえてきた。
「リュウヤァァァァァァ!!! ドォコニイルノカナァァァァァァァ!?!?
コッチカナァァァァァァァァァァ!!!!」
「ソォォォォレェ!?」
道満は壁をブチ抜き、寺をぐるりと囲む廊下へと踊り出た。
「アレェェェェェ、ドコカナァァァァァァァ!?!?」
のしのしと歩いていく。
そんな彼の耳に、角の向こうからの足音が聞こえた。
「ソコカァァァァァァァァァァ!!!!」
両手を振りかざし、廊下をひた走る道満。
だが、彼の目に映ったのは
「グルゥァァァァァァァァァアアアアアアアアア!!!!!!!!」
「ヒ……ヒィッ!? ソンナ、ナンデオマエがここニ!?」
鬼は道満に飛びかかった。その頭には『破壊』しかなかった。
目の前のカタチあるモノを、破壊する。
「やめ、やめ、やめ、やめ、ヒィィィィィィィ!!!!!」
二人はそのまま廊下から落ち、斜面を転がっていった。
「フウ……」
よいしょと廊下に這い上がる一行。
「どうやら上手くいったみたいんだな」
「………」
柳也たちは廊下の縁に捕まっていた。注意深く探されたら見つかっただろうが、鬼を彼らと勘違いした
道満の目には止まらなかったようだ。
「さて、これからどうするか………」
「私は、先生を探しに行く。そっちは神奈の母親を。ではさらばだ」
「ってオイ! ちょっと待て!」
だが柳也の声も届かず、舞はつむじ風のように去ってしまった。
「……いかが致しましょうか、柳也様」
セリオも屋根から下りてきた。
「むぅ……神奈の身も危ないようだしな……晴明殿も気がかりだ……
……とりあえず柳川のことは舞に任せて問題あるまい。俺たちは……」
A 神奈の元へ急ぐ
B 神奈の母を捜す
C 晴明の無事を確認する
D 参班視点へ
D
どうでもいいけど
>どの一瞬が一瞬ズレたとしても
ってなんかRRっぽいな
詳しくは知らないんだが、
「晴明」は、そのまま「せいめい」と読むはずでは?
本名が「はるあき」じゃなかった?
吉田兼好(よしだけんこう)が卜部兼好(うらべかねよし)みたいな感じ。
その頃、参班は───
「凄い・・・あれだけいた小鬼達が・・・」
その場には諏奸雄以外に立っている者はいなかった。
皆、スフィー、邊那初、華瑠羅によって倒されていた。
「さて、残るは貴方だけですよ、諏奸雄。」
あれだけの小鬼を屠ったにもかかわらず邊那初は汗一つかいていない。
「ぜぇ、ぜぇ、ま、まいったか。これがあたしの実力よ。」
対するスフィーは息絶え絶えだがなんとか立っている。
(ガ━━━(;゜Д゜)━━━ン!!俺は何も役に立っていない。)
そして呆けていたいた男約一名。
「そろそろ、本性を現したらどうですの?いい加減、貴方とじゃれあう暇は無くてよ?」
「ふふふ・・・そうね、あの姿は醜いから美しいあたしとしては出来ればやりたくなかったけど
仕方ないようね。久しぶりに見せてあげるわ!あたしの真の姿を!!」
そう叫ぶと、諏奸雄の体が膨張し始めそれによって裂けた服の下からどす黒い
硬質の肌が、いや甲羅が出てきた。そして四肢は節足動物の脚へと変質し始め
その数も二対四本から四対八本へと増えていった。そして、その身を全長4mほどの
大蜘蛛へと変えた。その顔と思しきところに輝く赤い複眼は見ただけで恐怖を誘うに充分だった。
「ふふふふ・・・この姿を見た以上は生かしてはおかないわよ。」
「うげぇ、キモッ!」
「何を言うかぁ!小娘がぁ!!」
スフィーが思わず言葉を漏らした瞬間、諏奸雄の脚の一つがスフィー目掛けて襲い掛かるも
スフィーは寸前の所で回避、その攻撃は直ぐ後ろにあった木を叩き折った。
「・・・・マジ?こんなの喰らったら・・・」
「その上、こいつは妖術を操り知能も常人より遥か上です。こいつの為に
送られた討伐隊を何度も返り討ちにしています。聖上がいなかったら勝てたかどうか・・・」
「こいつを俺達だけで戦って勝てるのか?」
「判りません。ただ、戦い方次第でしょう。」
どうする?
A 華瑠羅の剛剣を中心にして戦う
B 邊那初の知力を中心にして戦う
C スフィーの魔法を中心にして戦う
B
ベナウィお得意の頭脳プレーで。
あと出来れば国崎にも何か見せ場を・・・
「・・・どうする、邊那初?」
国崎は邊那初に尋ねた。この中で一番知恵の回る人間でかつ冷静な判断の出来る人間だからだ
「我々の目的は作戦終了まであの二人を守り通す事です。故にいちいち
戦闘をする道理は無い、と言うことです。と、言うわけでスフィーさん、お願いします。」
「あいよ、まじかるフラーッシュ!!」
スフィーが呪文を唱えると同時に強烈な光が辺りを包んだ。その光を直視した
諏奸雄は目が眩んでしまった。
「ああっ!目がぁ!!目がぁぁ!!」
「三十六計逃げるにしかずです、皆さん逃げましょう。」
「よいのか?直ぐに追ってくるのではないのか?」
「どのみちまともに当たった所で返り討ちに合うのが落ちです。早く逃げましょう。」
諏奸雄が怯んでいる隙に六人は逃げ出した。
「くぅっ!逃がさないわよぉぉ!!」
視力が回復した頃には諏奸雄の目には映る一行は豆粒くらいの大きさになっていた。
そして諏奸雄はその巨体を躍らせ木を薙ぎ倒しながら一行を追い駆け始めた。
ズゴゴゴゴゴゴゴ!!メキメキ!!バキボキ!!
「げぇ!木を薙ぎ倒しながら追ってきたぞ。まるで台風みたいな奴だな。」
「どーすんの?二人がいるからいずれ追い付かれちゃうよ!」
「ここからがこの策の真髄です。皆さん、走りながらで良いので少し・・・ごにょごにょ・・・」
邊那初が皆に耳打し皆が肯くとスフィーは急にその場に停止し追い駆けてくる
諏奸雄の方を振り向き───
「同じ手は二度も喰わないわよ!」
「まじかるフラーッシュ!!」
諏奸雄はスフィーの閃光を目を瞑って防御した。だが、目を開けた瞬間その場には誰もいなかった。
(逃げられたかしら・・・いや、あの二人を抱えて逃げ切れる訳が無い。ならこの辺りに隠れている筈だわ)
諏奸雄は辺りを探し出した。そして、直ぐに茂みの中から突き出ている二対の翼を見つけ出した。
(くくくく・・・・それで隠れているつもり?頭隠して尻隠さずってところね。)
その翼はびくびく震えていた。その後ろに大蜘蛛がいるとも知らず。
(まずはこの子を捕まえて『あの方』に献上しないとね。華瑠羅達はその後にじっくり料理すればいいわ。)
「隠れても無駄よ。出てらっしゃい。」
だが茂みの中からは何の反応も無い。あるとしたらびくびく震える二対の翼だけだった。
「さっさと出て来いって───なっ!」
諏奸雄が茂みを掻き分けて見た物は二対の翼『だけ』であった。
そして、諏奸雄が其処に意識を集中したその瞬間───
「油断したわね、諏奸雄。」
その近くの木の上から華瑠羅が巨刀を立てて降り立ってきた。そして、諏奸雄の背にそれを突き立てた。
「ガァァァッ!!」
華瑠羅は大刀をそのままにし、その場から素早く離れた。そして───
「まじかぁるぅぅ・・・メガサンダァァ!!」
スフィーの呪文とともに天を切り裂かんばかりの大落雷が大刀目掛けて落ちた。
「ギェェェェェ!!ガッ、ガァァァァァァ!!」
大刀を伝って大電流が諏奸雄の体を中から焼き尽くしていった。絶叫、痙攣し、
そして諏奸雄はそのまま動かなくなった。
「どうやら決まったみたいだな。」
「ぜぇ、ぜぇ・・・あたしはもう駄目。頼むからもう終わって。」
魔法の連発でいつの間にかスフィーの体型はレベル1になっていた。
翼はスフィーが魔法で出し、震えは国崎の法術で動かしていた。
「華瑠羅に御執心の貴方がそれを後回しにしてでも狙う神奈様を囮にすれば掛ってくれると思っていましたよ。」
「・・・死んでいると思うのじゃが一応確認した方が良いのでは?」
誰が行きますか?
A 邊那初
B 華瑠羅
C 国崎
D スフィー
出番が少なめなのでCの国崎
「俺が行こう」
国崎が名乗りをあげた。
そのまま諏奸雄に近づく。
「ム、まだ虫の息だが確かに戦闘にはもう参加出来ないだけのダメージを受けてるようだな。」
「私の剣を受けて無事でいられる生物などそうそういません事よ。」
「こんな醜い姿になってまで強さを求めるか、哀れな奴だな・・・」
「色んな価値観を持った者がいるという事です、強さを求め血を求めた末にこうなってしまう者もいるのでしょうね。」
苦い表情をする国崎。
「まあこれだけのダメージなら生きていても、もう戦えないだろう、ほっといて先を急ぐか。」
国崎がそう言った矢先。
「マ、マテェェェ・・・・」
苦しそうなうめき声が発せられた。
「華瑠羅・・・死すならば貴女も一緒に・・・一人で死ぬのは嫌だぁ・・・」
もう自我が無くなりかけていて無意識に喋っているように見える。
「・・・・・気の毒ですが此処でトドメをさしておきましょう、手負いと言えども自己再生する可能性も否定出来ませんし。」
邊那初が冷徹に言い放つ、他の者達も依存は無いようだ。
誰が諏奸雄にトドメをさしますか?
A 邊那初
B 華瑠羅
C 国崎
D スフィー
E 視点変更(どの視点にするか指定する)
B ここは原作に忠実に
瀕死の土蜘蛛の眼前に華瑠羅が立つ。
「……嫌いでは、ありませんでしたのよ……」
「カ……ル……ラぁ………」
ほとんどもげかけた足を伸ばす。だが、それには最早人を貫くほどの力も残っていない。
「……逝きなさい」
大刀を振りかぶる華瑠羅。その一撃を脳天に……
「動くな」
それだけで人を切れそうな冷たい一言が空間に響く。
同時に、華瑠羅は……いや、その場にいた全員の身体が凍りついたように動かなくなった。
「なっ……!? これは!」
「か、身体が動きませんわ!」
空を見上げる。
一人の羽の生えた男が、後光を身に纏いながらゆっくりと降りてきた。
「神奈、やっと見つけたぞ」
「お、お主は!? ディー!?」
「さあ、私のもとへ来い」
羽の男は地面に降り立つと、凍りつく邊那初の隣をゆっくりと神奈へ向かって歩いていった。
「ま……待ちなさ……い……」
喉を震わせ、なんとかそれだけ言うが羽の男は一向に意に介さない。
「あの女、祝詞はお前にしか受け継がせない心づもりのようだ。ならば、『記憶』はお前が受け継げ。
そして、私のものになれ。永劫、私とともに過ごすのだ」
「断るッ!」
状況から判断するに、神奈だけは動けるようだ。
「ディー! さっさと母上を解放せよ! 柳川殿を解放せよ! どうせ貴様の仕業であろう!」
「その通りだ。あの女は、私には記憶を受け継ぐ資格がないなどと言った。だから、閉じ込めた」
「そんな……そんな理由で!」
「そんな……? お前はまだわかっていないようだな。星の記憶がどれほどの力を持つのかを。
どれほどの価値を持つのかを。そして、それを受け継ぐ我らの存在の意味を」
「な、なんだと……!?」
それをジッと見ていた国崎だが、慎重にタイミングを計っていた。
なぜだかはわからない。だが、今は理由などどうでもいい。
今重要なのは、『自分は動ける』ということだ。
その結果だけがあればいい。今あの羽の男はこちらに背を向け、油断している。
今なら俺でも何かできるかもしれない。否、今できるのは俺だけだ。
ならば、俺のすべきことは!?
A ディーに一撃を見舞う
B 神奈を担いで逃げる
C 壱班に助けを求めに行く
少し不安だが…A
(俺自身の法力では奴に大したダメージは与えられない・・・・)
(だが、この時代に来てから俺の人形に異常なまでに力が宿ってきている、これを利用すれば・・・!!)
「行け、相棒!!」
その言葉の直後、凄まじい勢いで国崎の人形がディーに突っ込む。
ドカァッ!!
「何!?」
人形の直撃をくらいよろけるディー。
「ぉぉぉおおおおおお!!!!」
国崎はその隙に一気に間合いを詰めディーを殴り飛ばした。
「ぐふっ!」
「国崎殿!お主動けるのか!?」
「ああ、何故かは知らんがな。それより今の攻撃で皆に掛かった術の枷が取れたんじゃないのか?」
「・・・・本当ですね、体が動くようになりました。」
国崎に殴り飛ばされたディーが起きあがった、只の打撃だった所為かあまりダメージは無さそうだ。
「貴様・・・国崎と言ったな。何故お前には私の術が効かないのだ。」
「だから俺だって知らないんだよ、だが折角動けるんだから精々利用させてもらうぜ。」
さて・・・これなら何とか応戦は出来そうだが・・・
流石にゴリ押しで勝てるほど甘い相手でも無さそうだ、どうしたものか・・・
A 敵の親玉が目の前にいるんだ、退くわけにはいかない!
B ここは退いて他の仲間と合流し一気に叩こう。
ここはA
(相手がどれほどの手練れだろうと・・・・敵を目前にして逃げられるかよ!)
「フン・・・たかが人間如きに不覚を取るとは思わなかったが、邪魔をするなら始末するまでだ。」
「・・・自分の力に陶酔する奴ほど見苦しいものは無いな。」
「何だと?」
「お前はその『たかが人間』に倒されるんだよ。」
「貴様・・・私を侮辱する気か。」
周囲に殺気が充満する。
「お前が何者だろうと俺には興味が無い、俺は一族が背負ってきた使命を果たす。それだけだ。」
「・・・・いいだろう、わざわざ術で枷を付けなくとも貴様らなど敵ではない。何人でもかかってこい、皆殺しにしてやろう。」
(よし・・・うまく挑発に乗ってくれたな、これで仲間に枷を付けられる心配が無くなった)
(だが全員で戦えると言えど相手は相当な腕の術者だ、何か策を立てないと返り討ちだ)
どうやって戦う?
A 全員で総掛かり攻撃
B 国崎の人形に更に力が宿る
C 肉弾戦に持ち込む
D 魔法を使って追い込む
E 視点変更
あ、一応選択肢を追加しておきます。
F 国崎が突如反撃のアイデアを思いつく(具体的な内容を書いて下さい)
Eで
>>124 どの班の視点にするかも指定して下さい。
壱班
「シャァァァァァァァァァァ!!!!!!!」
ズバビシュバシュドシュ!
朧の二刀流が生き物のように暴れ狂い、子鬼の一匹をズタボロに引き裂く。
「この程度か!」
ひるんだ子鬼は、もっと弱そうな綾香を取り囲む。
「……すっっっっっごく不愉快ね」
大木を背に、構えをとる綾香。
「私が強そうでってんならともかく、あちらのお兄さんより弱そうなんて理由で対象になるなんてね」
そして、突進。
「後悔しなさい。……エクストリームをなめるんじゃないわよっ!」
その間も頼光は鉄扇を構え、馬頭と睨み合っていた。
みさきはその背後に隠れている。
「みさき、付近の状況は?」
「うん、みんなこっちに集まってきてるよ。ここまでは作戦通り」
「よし……」
他の班への注意は逸らせたようだな。
「ぶしぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」
鼻息荒く、馬頭が鉄棍を振りかぶる。
「下がれ、みさき」
「うん、頑張ってね頼光さん」
「ふ、ふ……任せておけ」
ガシャァァァァーーーーーン!
金属のぶつかり合う甲高い音が響く。
なんと、頼光は巨大な鉄棍を鉄扇だけで受け止めた。
「甘いな」
そのまま扇を開き、内側から鋭い刃を露出させる。
「切り刻む……ッ!」
馬頭の懐に飛び込み、刃ごと鉄扇を振り回す。
扇の形と合いまり、それはまさしく能を舞っているようであった。
「セイ、ハッ、ヤッ、トウァッ!!!」
首、右腕、胸部、脛にビシバシと叩き込まれる扇、最後に一際高く
「ハァァァァァァーーーーーーーーーーーッ!!!!!!」
と叫び、脳天に一撃を見舞う。すると一条の閃光が空に煌き、馬頭の眉間に稲妻が降り注いだ。
「ぶるぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーー!!!!!!!」
絶命。完膚なきまでに。
「みさき、もういいぞ」
「うん」
「流石だな、兄者」
「やれやれ、この程度。ヒロの方がよっぽど強いわね」
身体についた土ぼこりを落としながら、綾香も頼光の元へ戻る。
後ろには気絶した子鬼が山になって倒れていた。
「さて、それでは……」
「! 待ってッ!」
不意にみさきが叫ぶ。
「どうした?」
「凄いスピード……こっちに、近づいてくるよ……これは……」
A 交戦中の参班
B 赤い巨人
C 柳川(影)
D 新しい敵
Aで。 (いまさらBとCを分けるのは辛いだろう。弐班は救出専念で。)
国崎達はディーの猛攻に押されていた。
「どうした人間共!その程度の実力で私と戦おうとは片腹痛いわ!!」
「チィ、迂闊に近づくのは危険だ。スフィー、魔法での攻撃は?」
「ごめん、諏奸雄との戦いで魔力を使いすぎたみたいで今はダメ・・・」
「クソッ、何か有効な策は無いか・・・・」
「・・・・!あれは神奈ちゃん達だよ、誰かと交戦してるみたい。」
「それなら助太刀しないといけないわね、彼女が死んだら過去へ来た意味が無くなってしまうもの。」
「・・・・・来る!!」
「・・・・あれは頼光達だ!丁度いいところに助っ人が来たな。」
壱班達へ駆け寄る参班。
「私達も戦うよ、国崎さん!!」
「頼む、アイツが神奈の母親と柳川を捕らえている張本人だ!」
それを聞いてみさきの表情が怒りに染まる。
「貴方が先生を・・・・許せない!」
頼光達が駆け寄る。
「人間共が何人集まろうと結果は変わらん、例外無く滅する。」
そこへ複雑な表情をした頼光がディーに向かっていく。
「それはどうかな?我々は幾度と無い修羅場を潜り抜けてきた一騎当千の者達ばかりだ、そう簡単にはいかんぞ。」
「・・・・・!?貴様は、我が空蝉・・・・・・こんな場所で邂逅するとは・・・・・・」
(・・・・・?頼光とディーって面識があるのか?)
A 頼光とディーが何やら急に話し出した
B これで戦力が増した、叩くなら今だ
C ディーと頼光が突如巨大な化け物に変貌する
なんとなくA
「我が空蝉よ・・・何故私の前に現れた!」
「空蝉・・・?私の事か?私は貴様の事など知らな───はッ!?」
(何だこの感覚は・・・奴が…憎い…奴を殺せ、倒せ!首を引きちぎれ!ヤレ!ツブセ!!)
「うッ・・・・」
何やら頼光が苦しみだした其処に朧達が駆け寄ろうとするが───
「ガァァァァ!!」
「来るか!我が空蝉よ!ならやむ得まい!」
突然の咆哮と共に頼光がディーと呼ばれたその翼人に向かって凄まじい勢いで襲い掛かっていった。
その動きは先程までの頼光の動きを遥かに超え朧達でも目で追うのがやっとの程であった。
「兄者ぁ!一体どうしたんだ!?」
ギィィン!チュィィン!ガン!ドン!
頼光は鉄扇をもって凄まじい連撃をディーに浴びせ、ディーは何らかの術をもって障壁を形成し
その連撃を凌いでいった。目まぐるしく動き回り辺りの建造物を破壊しなが数十秒戦い続けたところで
ディーの衝撃波が頼光を捉えた!そして頼光は皆の前に叩き落された。
「ぐぁぁぁッ!」
「兄者!」
「聖上!」
「あるじ様!」
三人が同時に叫び、頼光の元に駆けつけた。
「ぬぅっ!どうやらまだ記憶が戻っていないようだな…だが、ここで奴と共倒れになる訳には…丹餓(ニウェ)!」
ディーの呼びかけと共に突然頼光達の目の前に髭を生やした巨大な鎧を着た鬼が現れた。
その腕には巨大な青龍堰月刀を携えていた。
「クカカカカカ!!ワシを呼んだか、ディ−!!」
「奴等を任せた。其処の翼人の娘を捕らえろ。それ以外はどうしようと構わん。」
「ホゥ…!クカカカカ!!思わぬ獲物に出会えたわ!久しいな、頼光!!」
「お前は…酒呑童子『丹餓(ニウェ)』!お前は確かに私が…」
「クククク…確かに貴様に素ッ首落とされ地獄に落ちたがな。ディーによって再び現世に甦ったのよ!
そう、全ては貴様を刈る為だけに!」
「聖上、先程我々も甦った諏奸雄と戦いました。撃退しましたが…」
「ほぅ、諏奸雄を倒したか…少しは腕を上げたようじゃな。それでこそ狩り甲斐が有ると言うもの!」
「では任せたぞ、丹餓。」
そう言うとディーはその場から霞の如く消え去った。
「クカカカカ!人使いの荒い奴よのぅ。では…狩の開始じゃぁッ!!」
得物を構え、丹餓が襲い掛かってきた!
「来るぞ!」
A ガチンコ!
B 頼光&邊那初の知略!
C 朧&綾香の機動力!
D 鬼二人組戦闘中ながらも登場
Bで。
やはりコイツは頼光(ハクオロ)の手で死すべし。
丹餓は頼光に向かって襲いかかる。
「クッ、丹餓よ。何故お前は私に拘る!私に勝ったとしてもその先には何もありはしない!!」
「何故だと?知れた事を。貴様が強き獣だからだ!理由などそれだけで十分だ!!」
丹餓が繰り出す連激を避けつつ頼光は鉄扇を振るう。
「聖上、この者に説得など無意味です。ならば倒すまで!」
邊那初が横から援護しながら叫ぶ。
「その通りよ!貴様は只、戦い続ければよいのだ!!止めたければ力尽くで止めるんだな!!」
「・・・・そうか、死んでも後悔するなよ・・・」
頼光はかつて無い程に精神が高揚していた。
(あのディーという男・・・私を空蝉と呼んだ・・・私とあの男に一体何の繋がりがあるのか・・・)
(それにあの男と会ってから体が妙に熱い・・・体が血を求めている)
(私は戦闘狂になってしまったのか?ならばこのまま流れに身を任せてみるか・・・・・)
頼光は丹餓を捉える、確実に殺る為に・・・・
「聖上!危ない!!」
そう言って邊那初に横から突き飛ばされる、その直後に頼光のいた場所が丹餓の攻撃で吹っ飛んだ。
「何をしているのです聖上!今は目の前の敵を倒す事だけに集中して下さい!!」
一喝する邊那初、その一言で頼光の頭は急速に冷えていった。
「・・・済まない。よし、行くぞ!」
(やれやれ、部下に助けられようでは私もまだまだだな)
「さあ来い頼光!私に血を見せろ!!」
丹餓は頼光めがけて迫る。だが
「相手が一人と思わない事ですよ、自惚れは己を追いつめるだけです!」
邊那初の槍撃が丹餓に浴びせられる。
「ヌウゥゥッ!邪魔をするな雑魚がぁ!!」
「雑魚かどうか・・・自身で確かめなさい!!」
ヒュオッ!キィン!ドガッ!ビシュッ!
拮抗したやり取りだったが、丹餓の剛力で邊那初の槍が弾き飛ばされる。
「フハハハハ!どうやら勝負あったな。死ねィ!」
「武器を奪ったぐらいで勝った気に・・・・ならない事だっ!!」
そう言って邊那初は丹餓の顎を思いっきり蹴り上げた。
「グヌゥッ!だが徒手空拳で青龍堰月刀とは殺りあえ無い!貴様の負けだ!!」
だが邊那初は不敵な笑みを浮かべたまま言う。
「負けるのは貴方ですよ丹餓。さっきも言ったでしょう、『相手が一人と思わない事だ』と。」
「・・・・・!しまった、後ろか!?」
慌てて後ろを振り向く丹餓、だが後ろにも左右にも近くには邊那初しかいなかった。
「・・・・・やれやれ、助けてくれて礼を言うぞ邊那初。終わりだ、丹餓。」
その直後、丹餓の頭上から頼光が急降下してきて目にも止まらぬ連撃が叩き込まれる。
「グハッ!」
「まさか空中に跳び上がって身を隠すとは思わなかっただろう。丹餓、お前の負けだ。」
「・・・・クククク、流石だな頼光。やはり貴様は最高の獣だ。」
「・・・・・眠れ、二度と覚める事の無い永い眠りへ。」
ザシュウゥッ!!
それが丹餓の最後の言葉だった。
どうせリアルタイムで書いてるんだろうけどさ。
その間他の人が書けない、ってことは理解してくれな。
「結局は兄者と邊那初しか戦わなかったな。随分とあっさり終わってしまった」
朧がつまらなさそうに言う。
「それだけ腕が上がったという事です、武人(もののふ)としては良い事ですよ。」
邊那初があっさりと言ってのける。
「凄いわね・・・私の周りの連中も鬼だの魔法使いだの電波だので腕の立つ人は多いけど。」
綾香は感嘆のの息を漏らしていた、この時代の連中も化け物じみた強さを持ってるようだ。
「ま、何はともあれ敵は片づいた。ディーを追うぞ。」
国崎が促す。
「でも何処に行ったんだアイツ?逃げると言うよりは消えてしまったし。」
「それは問題ない。何故かは分からないがあの男の意思がが私の中に流れてくる。」
(やはり私とあの男は何か繋がりがあるようだな・・・)
さて、どうする?
A ディーを追う
B 弐班に視点変更
C 新たな敵に遭遇(誰かを指定)
でも言ってることはそう間違ってないと思われ。
B でお願いします。
SSはメモ帳とかに書いた奴をコピペするのが良いらしいですよ。
その方が、直接書くよりも推敲し易いそうです。
時間差もなくせますし。
(受け売りですが……。)
リアルタイムで書いた者です。
ご迷惑おかけしてすみません、今後から気を付けますので。
>>142さん、助言有難う御座います。
暫く自粛するので勘弁して下さい。
舞は風になった。
もちろん、物理的に風になれるわけがないが、傍から見れば今の彼女は間違いなく疾風だった。
暗い境内を縦横無尽に駆け回り、片っ端から部屋を探していく。
物の怪がいても全く意に介さない。彼女の進路を邪魔しない限りは。
邪魔した奴は……?
瞬断、だ。邪魔者にとっては彼女はまさしくデスゲイズであった。
「先生……ッ!」
今彼女を動かしているもの、それは『勘』だ。
だが、ただの勘ではない。
昔から彼女にあった不思議な力、それが今は全開になっていた。
『なんとなく』わかった。
『何かが』場所を指し示した。
その場所へ、走った。
「ギ!?」
鎧甲冑を着込んだ人影が見える。
腕は六本。手に手に錆の浮いた刀、槍、長刀を持っている。
『夜叉』だ。
夜叉は舞に気づくと戦闘体勢をとる、が、全くの無駄だった。
舞は何事もないかのように走り抜けると次の瞬間……夜叉の首が落ちた。
柳川は、近い。
>>143 自粛しなくていいですよ。書き方さえ変えれば問題無しですって。
だから頑張って書いてください。
「大丈夫ですか晴明殿」
「イタタタタ……歳には勝てませんな。若いころなら奴など一捻りだったものを……」
再度境内に突入した柳也一行は、瓦礫の下から晴明を発見した。
「全く、無理はしないで頂きたい」
「面目ない……して、奴は?」
「飼い犬に手を噛まれましたよ」
「上手くいったのですな?」
「ええ、完璧です」
「では、行きましょうか」
「はい。神奈の母親を探しに」
そして、本堂へと至る。
幸い本堂内部には他の物の怪の姿は無く、調査に専念することができた。
だが、柳也たちの使った(そして道満が壊した)出入り口以外にこれといった扉はなく、部屋は完璧に密室であった。
「おかしいですね……構造を考えると、最重要人物はこの辺りに監禁されているはずなんですが……」
その時、桐花が声を上げた。
「柳也殿、晴明殿……これは……何でしょうか?」
「む?」
早速彼女が調べていたかがり火へと向かってみる。……かがり火の裏の壁に文字が彫ってあった。
『世界に四つ』
『ここにも四つ』
『全てを調べるべし』
「……なんだこれは? 四つだと……?」
A [ ] 四つとは何のことでしょう?
B みんなで考える(ヒント)
C 他視点へ(1.舞 2.頼光一行 3.柳川)
C!そして視点は最近出番の無かった柳川!
バタバタバタ……
夜風に俺のスーツがはためく。
お気に入りの一張羅だったのだが、連戦にわたる連戦で既にボロボロだ。
『チッ……帰ったら買いかえなきゃな……』
「……その時は私も連れて行ってくれるとうれしい……」
俺の隣には舞が立っている。先ほど、彼女に助け出された。
……驚いたことに、解放された俺には『影』が無かった。
舞の話によると、連中は俺の影を奪い、鬼として使役したそうだ。
そして柳也の予想によると、術者が死ねばそれは解呪されるそうだが、俺にはわかっていた。それは無理だ。
『それは俺の影じゃない。……いや、影ではあるが、それだけではない。それは俺の……狩猟者だ』
そう。先ほどから奴の声が聞こえない。今奴は俺の中にいない。
それが何を意味するか。
……今の俺は鬼化することができない。確かに鬼の血により、常人を凌駕する身体能力は残っているが、それを具現化したともいえる
鬼の姿へ変身することはできない。
『だが、奴は俺の手で倒さねばならない。奴を超えねば俺はいつまでも鬼に縛られたままだ』
今俺たちは寺の屋根……あたり一体で一番高い場所から他の連中の位置を探している。
「先生……私は先生についていく。……まずどこへ行く?」
A 狩猟者のもとへ、決着をつけに。
B まずは任務が優先だ。国崎たちと合流しよう。
C 柳也が近くにいるらしい。柳也のもとへ。
Cで。
『柳也が近くにいるんだろう。ならばまずはあいつと合流しよう』
「……わかった」
瞬間、二人の姿は月下から掻き消えた。
「四つ……四つ……なんのことだ……」
「ううむ……」
「聖上ならばわかるかもしれませんが……」
「……結論へ至る材料が少なすぎます。私には判断できません」
柳也一行は本堂の片隅で頭を抱えていた。
「四……四……四か……」
本堂内部にここ以外怪しいものは何も無かった。
おそらく、いや確実にこれが何らかの鍵になっているのだろう。
そこに、二つの足音が聞こえてくる。
「……ッ!?」
すぐさま戦闘態勢を整える四人。入り口から死角になるよう位置を取る。
「………」
『……ここが本堂か』
先に姿を見せたのは柳川だった。
「っ!? やなが……」
「はぁぁぁ………ッ!」
桐花は飛び掛ってしまった。柳也は止めようとしたが間に合わず、柳川に向かって剣を抜き放つ。
「馬鹿! やめ……!」
『お……っと』
ぱぁんと澄んだ音がした。
柳川は身体をわずかに捻って桐花の斬撃をかわすと、その体勢のまま体当たりをぶちかます。
単純な攻撃ではあったが、体重差と相まり桐花の身体はボールのように反対側の壁に叩きつけられた。
「げほっ……げほっ……が……っ」
「と、桐花!? 大丈夫か!」
柳也が慌てて駆け寄る。
『ん? 柳也か。……ひょっとしてその女、仲間?』
「桐花……頼光の四天王の一人……」
柳川の質問には、後ろから歩いてきた舞が答えた。
「まっこと申し訳ない柳川殿! 某としたことが取り返しのつかないことを仕出かすところであった!!
お詫びとしてこの腹かっさばいて……」
すかさず短刀を取り出し、自分に突き刺そうとする桐花。それを柳川は何とか押しとどめる。
『っておいちょっと待て! 俺は全然気にしてないから!』
「お心遣い痛み入ります。ですが、武士としての責任は果たさねば……!」
『いや、お前頼光の部下なんだろ!? 主君に黙って勝手に自害するのはそれこそまずいんじゃないのか!?』
「いいえ! だからこそです! 聖上はお優しい方でありますから、おそらくご自分で私の代わりに責任を取ろうとするでしょう。
主君に迷惑をかけることなど家臣として許されぬこと! 某はここで……」
だああ! わかんねえ女だ!
A 柳也! 止めてくれ!
B 晴明さん! あなたからも言ってやってくれ!
C 舞! 何とかしろ!
D セリオ! お前の出番だ!
とくれば当然 d
『セリオ、何とかしてくれ・・・』
「はい、努力してみます。」
そう言って桐花に近付くセリオ。
「桐花様、どうか考え直して下さい、このような事で命を粗末にするべきではありません。」
「しかし柳川殿に対する無礼を詫びねばならぬ故・・・」
どうにも聞く耳を持たない桐花。
「それならばこれから先の戦いで柳川様を助ければ良いだけの事です、第一貴女が斃れたと知れば頼光様が哀しまれるでしょう。」
「し、しかし・・・・」
なかなかしぶとい桐花に対してセリオも痺れを切らしたのか、
「・・・・・どうやら言葉で説得するのは困難のようですね。時間を無駄にしない為にも実力行使に移らせてもらいます。」
「へ?セリオ殿?」
『じ、実力行使って何をするつもりだセリオ!?』
A 目からビーム
B 握撃
C 必殺!ダニエル・ド・ミテモガイジン!!
D 押し倒して(略
E サブミッション
C!どんな技だか見てみたい(w
セリオは有無を言わさず桐花にストレートをお見舞いした。
「必殺!ダニエル・ド・ミテモガイジン!!」
ボグシャアアアアァァァ〜〜〜^!!
「ぐぼあぁっ!」
何やら妙に間の抜けた効果音と共に桐花の体が宙に舞う。
『あ・・・あれは!!』
「・・・?先生はあの技を知ってるの?」
舞は怪訝そうに柳川に訊く。
『ああ、昔とあるアニメで見た技だ・・・まさかセリオが知ってるとは。』
「あにめ?・・・・先生ってオタクなの?少し幻滅した・・・・」
『何を言うか舞君!それは偏見というものだ。そもそもセクシーコマンドーというものはだな・・・・』
柳川がおもむろに訳の分からない事を喋っている内に桐花の体がベシャリと地に落ちる。
「とりあえず桐花様には暫くの間は眠って頂きます。軽く気を失ってるだけですからすぐに目を覚ますでしょう。」
「やれやれ・・・・さて、それではこの言葉の意味を考えるとしようか。」
柳也が促す。
『だが国崎や頼光達は無事だろうか、恐らく奴らも敵と交戦してるだろう。何人かはあちらに向かってみるか?』
どうする?
A このまま全員で言葉の謎を解く
B 誰かが壱・参班の元へ向かう(誰が行くか指定、何人でもOK)
ぐっ、誰がどこに行ったか分かんなくなった。
次の人に譲るか・・・
・・・マサルさんネタだったか・・・(w
道理で馬鹿馬鹿しい名前なわけだ。
とりあえず考えてからでもどうにかなるだろう。
スレ住人の現状の取りまとめの暇を作る意味でもA。
今の状態
壱班&参班
頼光 朧 綾香 みさき
国崎 裏葉 神奈 華瑠羅 スフィー 邊那初
合流し、丹餓との戦闘終了。
弐班
柳也 晴明 セリオ 舞 桐花 柳川
柳川救出され合流。ハケーンした密室の前で謎解き
道満&狩猟者
…戦闘中?行方不明。
ディー
撤退。寺の深部にいると思われる。
神奈の母親
寺の何処かに捕われている。
『さぁて、これを解かないとな……』
柳川は壁に彫られた謎の言葉を見つめる。
『世界に四つ』
『ここにも四つ』
『全てを調べるべし』
『う〜〜〜〜ん……たぶん、隠し扉の位置かなんかを指し示してるんだろうなぁ』
「…………」
舞は穴が空きそうなほど壁を凝視する。
『舞、こういうの得意なんだろ? 聞いてるぞ。神名子島でも翼人の遺跡でも謎解きはお前が解いたって』
「…………」
『で、お前としてはどう思う?』
「………四つ……四つ? 四つと言えば……」
A [ ] 解答を入れてくれい
B みんなで考えてみよう(ヒントが出ます)
C 頼光たちに視点変更
Bで。
・・・・分からん、漏れがアフォなのか・・・・
『舞、わかるか?』
「4……4か……4といえば……」
舞はその場に座り込み、本格的に悩み始めた。
「4……オリンピックが四年ごと……四天王……四神……四属性……火、土、水、風……」
『お、おい、そんな悩むなよ……』
「四……は五画……部屋は四角……四次元……4は"死"……曼荼羅……4は"世界"」
『もしもーし、舞さーん?』
「四季……季節は四つ……」
A わかった! 答えは[ ]だ!
B まだまだ考える(ヒント)
C 頼光たちへ視点変更
[東西南北の壁を調べる]
…間違ったらどうなるんだろ?
>>162 大正解♪
でも寝ます。おやすみなさい……
>間違ったら
何もおきませんて。
「晴明さん、この場で東西南北の正確な方向はわかる?」
「ん? あ、ああ……しばし待たれよ」
そういうと晴明は何やら棒状の道具を取り出し、手元にかざした。
「……驚いた。この部屋、四つの頂点がそれぞれ正確に四神の方向を指し示している
ん? 四神? ……そういうことか!」
「そういうこと。……世界に四つあって、ここにも四つあるもの、それは方角。
つまりは東西南北。そして、この部屋におけるその端を探せば……おそらく、何かあるはず」
『よくやったぁ! 偉いぞ舞!』
俺はごしごしと舞の頭を撫でる。
「先生……痛い……」
『よぉし、そうと決まれば早速手分けして調べるぞ!』
俺たちは眠ってる桐花を置いといて、それぞれが部屋の四隅へと向かった。
最初は何も見つからなかったが、よく見ると四聖獣の刻印とともに巧妙に隠されたレバーを発見した。
『! みんな!』
「ああ、これだな。間違いあるまい」
「では、同時に行きますか」
『ええ……せえ、のっ……!』
ゴリン!
鈍い音が部屋に響き、同時に……
ボワッ!!!
一際かがり火が大きくなったかと思った次の瞬間、掻き消えた。
慌てて寄って覗いてみると、火の底だった場所に下へと続く階段が見えた。
「幻影の炎だったのか……」
「さて柳川殿、いかがなされますか?」
A ここまで来てもう迷わん。突入!
B 壱班、弐班の連中を呼んできましょう。
C 俺が先行して様子を見てきます。みんなはしばらくここで待っててくれ。
間違い&修正
× B 壱班、弐班の連中を呼んできましょう。
↓
○ B 壱班、参班の連中を呼んできましょう。
Aで。
壱&参班はディーを追ってるし別々で良いでしょ。
『突入!』
俺の掛け声に合わせ、全員が一気に階段へ流れ込む。
『神奈の母親は、この先にいるはずだ!』
「おうよ!」
「もう少しですな!」
「むぅ……と、ともかく、某この任務の間はこれのみに集中いたします!」
「それがよいかと思われます」
「…………嫌な予感」
階段の先には、土壁が剥き出しになった廊下が長く長く続いていた。
ところどころに燭台が設置されており、なんとか見通しは聞くがそれでも薄暗い印象は拭えない。
そんな中、奥に佇む人影があった。
そいつは長刀をゆっくりと掲げ、口上を述べる。
「私の名前は飛燕(ヒエン)。ここから先、通すわけにはいきません。
通りたければ私を倒して―――」
A フクロにする。
B 俺が相手をする。
C 邪魔だ! どけ!
A
ヒエンは嫌いです。
たしか、サクヤのお兄ちゃん?
まあ、サクヤいないし、袋で良いんじゃないでしょうか。別に嫌いじゃないけど。
『舞!セリオ!ジェットストリームアタックを仕掛けるぞ!』
「…判った、先生。」
「了解しました。」
合図と共に柳川と二人は舞、セリオ、柳川の順に縦一列に並びそのまま飛燕に
向かって突撃していった。真正面の飛燕からは先頭の舞しか見えない状態になった。
「面妖な!一体これは!?」
そして、まずは舞が飛燕に向かって斬撃を加える。
「くっ、これしきの攻撃!真正面からならば!」
飛燕は舞の斬撃を悉く捌いていくがその舞の後ろから時間差でセリオが跳躍し
そのまま空中で飛燕に向けて矢を連射する。その狙いは正確で舞の攻撃の
隙間を確実に埋め飛燕は防ぐのに手一杯となる。
「ぐっ、こっ、これは?」
そして最後に間髪いれず柳川が舞、セリオの後ろから飛び出し天井を利用した
三角跳びで飛燕に急降下を仕掛ける。
『悪いが構っている時間は無いッ!!』
「何ィィィィィッ!?」
ゴキッ!!
柳川の強烈な膝蹴りをモロにテンプルに喰らった飛燕はそのまま昏倒し、倒れ、動かなくなった。
『ふぅ、あっさり終わったな。て、こいつはどうする?』
「その辺にふん縛っておけばいいだろう。」
「ん?奥に扉がありまするぞ。」
桐花が示した先に扉があった。頑丈そうな鋼鉄製であった。
『明らかに厳重だな。この奥に…』
「柳川様──」
A あの扉には何やら文様が刻んであります。
B あの扉の奥には何やら熱源反応があります。
C 先へは行かせん!ディー登場。
D その頃、壱班&弐班は…
うお、久々に先を越された(w
ここはAで。
今度はガンダムネタかい(w
まあ飛燕じゃ勝てないわな。
関係ないが、ふと学園のぞいたらちーちゃん進出しててビビったw
『なんだこれは?』
その鋼鉄の扉には、巨大なレリーフが彫ってあった。
『……鳥? いや、鳥にしては……』
おかしな形だ。羽もあるし頭もある。だがこれは―――
「頭が……二つ」
そう。頭が二つある巨大な鳥が、お互いをついばんでいる。
……どう考えても、どちらかが死ぬときはもう片方が死ぬ時だと思うのだが……
『……まあいい。今はこんなものを気にしている場合ではない。……開けるぞ』
「おう!」
鉄扉に手をあて、力を込める。多少重かったがこの程度、俺にはなんの問題もない。
ゴゴゴゴゴ・・・・・・
重低音が穴の中に響く。鉄扉は徐々に動いていく。
「っつ―――」
やがて扉の先から光が漏れる。薄暗い洞穴に慣れていた目が一瞬眩む。
そして、光の先には―――
A 高貴な雰囲気の漂う女性が牢屋に閉じ込められていた。
B 羽の生えた男がこちらに剣を向けていた。
A
ついに母上か
とりあえず、タイトルは
時代(とき)の狭間で〜柳川的時空旅行〜
で決定でよいのでしょうか〜
よければ、編集を開始します。
後トリップもつきました〜
その先には高貴な雰囲気の漂う尼風の格好の女性が牢屋に閉じ込められていた。
「…貴方方は何者ですか?」
「貴方を助けに来た者です。娘の神奈が貴方に会いたがっております。」
「!…来てしまったのですね。」
女性は重苦しい雰囲気…来るべき時がと言うような口振りだった。あまり喜んでいるようではない。
「ですが、わらわは神奈に会う訳にはいかぬのです。」
「何故です!神奈は貴方に会うために…」
「どのみち此処から動くのは無理でしょう。」
そこで晴明が割って入った。
「何故だ?牢屋の格子位なら…」
バチッ!!
柳也は牢屋の格子に触ろうとしたが不可視の力によって弾き返された。
「…強力な結界が張っております。私でも恐らく何時間も掛ってしまうでしょう。」
…どうする?
A 晴明が何とか解呪してみる
B ディー登場
C 取り合えず壱班&参班視点
すっかり忘れていたのでC
「さて聖上」
一息ついたところで、邊那初が口を開く。
「私たちはこれからどこへ向かいましょうか。とりあえず思いつくところとしてはこのまま彼を追うのと、
今回の主目的である柳川さん、及び神奈様の母君の救出の為本殿へと向かう選択肢があると思われますが」
「む……そうだな……」
顎に手を当て、しばし考え込む頼光。
「……………」
A 親玉を叩こう。ディーを追う。
B 救出優先だ。本殿へ向かう。
C 考える間もなく狩猟者&ハウエンクア登場
Aでさっさと進めましょう。
「……救出の方は柳也たちが上手くやっていることを祈ろう。我等は我等の仕事をする。 ディーを叩くぞ」
「御意に」
頼光は国崎たちに向き直る。
「異存はあるか?」
「………いや」
「ディー……」
俯いたままその名を呟く神奈。裏葉はそんな神奈に寄り添っている。
「神奈様……?」
「いや、余ももう迷わん。あの男を止めなければ」
「……私は、どこまでも神奈様に着いていきます」
「感謝する、裏葉」
「よし、では決まりだな」
頼光がパン、と手をはたく。
「なぜかはわからんが私には奴の居場所がわかる。そして、国崎と私にはあの奇妙な術も効果がないようだ。
ならばそれを使わない手はない。……奴との戦い、私と国崎が中心になる。邊那初、なにか意見は?」
「いえ、何も」
「よし、行こう」
「やはり来てしまったのか、我が空蝉よ」
頼光たちが森を進むと、高野山の中腹、少し開けた場所にディーが待っていた。
「お前もわかっていたことだろう。我等はお互いに惹きつけあうと」
「その通りだ」
ディーと頼光の2人は、お互いに多くの共通事項があるような会話を、なんの違和感もなく始める。
「お前の負けだ、ディー。翼人からは手を引き、さっさとこの場から立ち去れ」
「そ、そうだディー! 早く母上を解放せんか!」
「黙っていろ神奈! これは私と頼光の話だ!」
「……っ!」
口を挟んだ神奈だが、ディーの一喝で黙りこくる。
「……それは無理だな。そもそも星の記憶は私が受け継ぐべきだったのだ」
「星の記憶?」
「お前には関係ない……いや、そうとも言いきれんか。だが、今のお前には関係のないことだ」
「……?」
「確かにお前と戦うのはこの上ない悦び。……だが、今それを成すわけにはいかない。ムツミ」
聞きなれない名前をディーが口にした。その時、
「なっ!?」
一瞬の出来事だった。
「国崎様!?」
「な、なにをする!」
神奈に寄りそう裏葉を突き飛ばし、国崎が神奈を担ぎ上げた。
「く、国崎!? お前何を!」
ちょうど近くにいた朧がそれを止めようとするが
「邪魔」
「くッ!?」
国崎がその一言を口にしただけで、朧は『何か』に弾き飛ばされた。
そのまま一足飛びにディーの隣へ行く国崎。
「遅かったなムツミ」
「ごめんなさい、お父様」
「放せ! 放せ国崎!」
「ど、どういうことだディー!」
頼光が激昂する。
「この男、その中にムツミを宿している」
「なに!?」
「どこで手に入れたのかは知らんが、腕につけているこの羽……まごうことなきムツミのものだ。
ならば、せいぜい利用させてもらおう」
「ごめんなさいお父様。この方、思いのほか自我が強くて」
「ふむ……問題ない。その男が我が力に逆らってくれたおかげでお前の存在に気付けたのだからな」
「私は何をしましょうか?」
「とりあえず、その女を私に渡せ」
「はい」
「や、やめろディー!」
神奈も必死で抵抗するが、二人の力はあまりに強く、軽々とディーに担ぎあげられた。
「……そっちの連中を足止めしておけ。私は祝詞の準備をする」
「わかりました、お父様」
「放せ! 放せディー! 穢らわしい!」
翼を広げ、羽ばたこうとするディー。
「ま、待て!」
追いすがる頼光たち。だが、その間に国崎が立ちはだかる。
「行かせません」
「どけ国崎!」
やがて、ディーの体がふわりと浮き上がる。
「神奈よ、そんなに兄の腕の中が厭か?」
「!?」
A 国崎を倒し、ディーを止める。
B ともかく国崎を正気に戻す。
C ハクオロ、変身。
D 狩猟者乱入。
なんか、また変な方向に・・・。
軌道修正できるといいんだけど。
C。
白い羽取ってたらどうなってたんだろ
『ムツミ』と呼ばれた国崎と目があった時、頼光の中で何かが弾けた。
『それ』は徐々に体中に広がっていき、やがて指の先、神経の一本一本、血の一滴にまで満ちた。
「なん……だ……これ……は……」
「目覚めるの? お父様」
ムツミは頼光の眼前で静かにその変異を見つめている。
「聖上!」
「あるじ様!?」
「兄者!? 大丈夫か!」
「やめろわたシニチカ……ワタシ……ニ……ワタシニチカヅクナァァァァァァ!!!!」
轟音。それとともに広がる闇。
吹き飛ばされた面々が次に見た光景。それは、頼光のいた場所に……巨人が立っていた。
鬼に見えないこともない。
龍に見えないこともない。
人に見えないこともない。
だが、そのいずれでもなかった。
「あ、兄者!?」
「オオオオオォォォォォォォォォ!!!!」
『そいつ』は一声吼えると跳躍し、ディーを追って木々の合間を駆けていった。
「ダメ。行ってはダメ」
止めようとするムツミ。
残された連中は……
A ムツミと同じくハクオロを追う。
B ムツミを止める。
ハクオロって書いちゃってるし・・・
ここはAで
どうでもいいが、国崎がムツミになってるのを想像するとどうも笑っちまう。
「あ、兄者……? あの姿は一体……?」
いつもならこういう時、先陣を切って走り出す朧であったが、頼光のあまりの変貌に彼は困惑していた。
行動に移れない。
「どういうことだ……? 兄者は……」
「しっかりなさい」
バチン!
「いだっ!?」
華瑠羅の平手が朧の尻に飛ぶ。
「な、なにを」
「あなたの忠誠はその程度でしたの? どんな姿になってもあるじ様はあるじ様。違って?
私たちはただただあるじ様の命を守り、あるじ様の後について行く」
「……そういうことですね。さあ、聖上を追いますよ!」
邊那初の激が飛ぶ。これで一行のとるべき行動は決められた。
「私はこの娘を。朧、あなたはそちらのお嬢さんをお願いしますね」
スフィーを抱き上げながら、華瑠羅が言った。スフィーは魔法の連射で既に完全グロッキーであり、正体を失っている。
「あ、む、うむ……こ、来い、みさき……」
恐る恐る手を伸ばす朧。
「うん……よろしくお願いしますね、朧さん」
「う、うむ、任せろ!」
「どうしました朧、妹さんに似た可愛い娘じゃないですか」
「う、うるさいっ!」
「さあ、急ぎますよ」
A このまま邊那初たち視点で頼光を追う。
B 神奈視点になっちゃったりしてみる。
C 柳川たちの様子を見る。
A。
ムツミは朧達が戸惑っている間にディー達を追っていた。
「このままだと追い付けない…ごめんね、体を少し変えさせてもらうよ。」
そう宣言するとムツミはその場で立ち止まりその場から闇が吹き出した。
その暗闇が晴れた頃には国崎の体は銀髪の少女に変わっていた。
背中には光さえ吸い込まんばかりの黒い翼が生えていた。
「二人を…お父様たちを会わせてはいけない…」
ムツミは翼を羽ばたかせ闇夜に飛び去っていった。
邊那初達もムツミに遅れて頼光達をを追っていた。巨大な足跡と折れた木が頼光の軌跡を示していた。
「しかしあのディーとか言う奴…何者だ?今回の件の全てを知っているようなそぶりを見せていたが…」
「裏葉様、神奈様は我々に何か隠していませんか?貴方なら知っているのでは?」
邊那初は裏葉に問い詰めた。この中で一番神奈のことを知っている人物といったら彼女の他にいない。
「…以前『わらわには生き別れの兄がいる』と漏らした事がありましたがそれ以上は…」
「そうですか…」
走っているうちに先が見えてきた。どうやら森を抜けたようだ。その先には──
A 狩猟者VS道満のバトルの真っ最中だった
B 狩猟者&道満&ムツミが三竦み状態で睨み合っていた
C 何やら大きな洞窟があった
D 弐班の現状は?
E 神奈&ディー視点
Dで。
神奈は『余』!
195 :
名無しさんだよもん:02/09/17 00:58 ID:aP80bpIW
そういえばユズハも目が見えないんだっけ?
誰か反応してほしいな〜といってみるテスト。
賛成です。って、自分は以前それでOKといった記憶が…
>>194 すまん、また間違えてしまった…
俺もOKです>FARE‐M氏
>>197-198 そうでしたか。いや、選択形式で出したにもかかわらず無反応だった
記憶があるんですが……
わかりました〜そのほうこうで編集します。
こんにちは、貴方の隣にセリオです。今弐班は──
A 地道に結界の解除に勤しんでおります
B 仕方が無いので八百比丘尼様とお話をしております
C 壱班&参班を探しております
D 神奈様と翼人と思しき男と遭遇しました
C
俺たちはセリオの誘導に従い、多数の熱源を有する動体へと向かっていた。
現状、壱、参班として最も有力視されるグループだ。
……敵部隊ではないことを祈ろう。
「対象グループもこちらへ接近中です。あと30秒程で接触すると思われます」
先頭を走るセリオが言う。
『……みんな、一応いつでも戦闘に移れるよう準備はしておけ。敵部隊の可能性もあるからな』
「了解!」
「……5,4,3,2,1……contact」
「先生っ!」
対象部隊と鉢合わせたその時。真っ先に動いたのは相手方だった。
「……みさき君」
というよりも、みさき君に抱きつかれた。
「先生……先生……無事だったんだね……よかった……」
……ああ、なるほど。彼女の耳か。
「お疲れ様でした桐花。現状を報告していただけますか?」
向こうのグループを統括していると思わしき男が桐花に話しかけた。
「は……ハッ! 邊那初殿! 我々は柳川殿の救出は完了、八尾比丘尼殿も発見はしましたが強固な結界により救出は無理と判断、
ひとまず聖上たちと合流しようとこちらへ……聖上? そういえば、聖上は何処に?」
「……それについては、後で説明します」
「神奈?」
そんな中、柳也がポツリと呟いた。
「おい裏葉、神奈はどこだ?」
「神奈様は…………」
「それについても、まとめて説明いたします。今は、走りましょう」
『あ、ああ……』
俺たちはわけもわからず今まで走ってきた方向にまた走らされた。
そして道中、お互いの持つ情報を交換しあった。
「そんな……神奈……神奈が……」
「おそらく、国崎殿は敵方の何らかの工作により洗脳されたかと思われます。まずは彼(彼女?)を何とかしないと……」
そんな時、
「ッッ……!」
「これは……」
不意に、セリオとみさき君が同じような反応を示す。
「二つの巨大な熱源体、こちらへ接近してきます! ……おそらく、狩猟者と道満かと!」
「……いや……あの時と同じ……鬼……鬼だよ……鬼がくるよ……」
「お、おいみさき、しっかりしろ!」
朧の腕の中で、みさき君は震えている。
チッ、狩猟者め! こんな時に!
A 走ってふりきる。
B 俺が残る。
204 :
名無しさんだよもん:02/09/17 21:00 ID:Vty8FYmi
B
『皆、先を急いでくれ。俺はここで奴との決着をつける』
俺は一人その場で身を翻し、奴の方向へと体を向ける。
「先生……?」
「やめて先生! 無茶だよ!」
『急げ!』
舞とみさき君が止めるが、聞くわけにはいかない。これは俺の闘いだからだ。
「……柳川殿、件の鬼と貴殿がどのような関係かは私どもにはわかりません」
ゆっくりと邊那初が語りかけてくる。
「ですが、お一人で闘うというのはあまりに危険すぎます。せめて、誰か一人くらいは補佐にお付けください」
『…………』
A 腕力ダブルス・華瑠羅
B 未知なる力・舞
C 射撃&ナビゲート・セリオ
D 奴との決着は俺だけでつけねば意味がない
>>204 sageれ
Aで。
カルラ〜
『奴を倒したら俺も追いかける。皆、任せたぞ。』
「貴公も…御武運を。」
「「先生…」」
舞とみさきが同時に話し掛けてきた。
『心配するな…必ず後から追いつく。』
「・・・信じてるから。」
「…頑張ってね、先生。」
こうして邊那初達は頼光たちを再び追い駆け始めた。その場には華瑠羅と俺の二人だけが残された。
遠くから狩猟者と道満の戦いの音が聞こえる。そしてその音はこちらに少しづつ近づいて来た。
そんな中華瑠羅がこちらに話し掛けてきた。
「ふふふ…仲良くいきましょう。」
『此方こそ。華瑠羅さん──』
「華瑠羅でいいですわよ。いいお子さん達ですわね。どちらがお好みで?」
『いや、俺には想い人がいるので…』
「そうは言っても少しは心が動きませんこと?嘘は吐いてはいけませんわよ?」
『うーん、確かに最近は本当に…って、何を言わせるんだッ!!』
「うふふふ、怒ってはいけませんよ。」
…ふぅ、猫みたいな女だな。頼光も苦労しているのだなぁ…
「さて、お喋りはここまでのようですわ。」
放物線を描き狩猟者が手前50mほどの所に着地して来た。遅れて鎧鬼と化した道満も現れた。
二人は直ぐにこちらに気付いたようだ。
「…ヤガナワ」
狩猟者が呟いた。俺の存在に気付いたようだ。
「…ヘェ、ヨクデテコラレタネェ。イッショニカタヅケテアゲルヨ。アハハハハ…」
姿は変わっても相変わらずの馬鹿の様だな。
どうする?
A 柳川は狩猟者。華瑠羅は道満の相手をする
B 柳川は道満。華瑠羅は狩猟者の相手をする
C まず二人ががりで道満から倒す
D まず二人がかりで狩猟者から倒す
A
てかヤガナワってなんだよ(w
「私がお手伝いいたしましょう」
スフィーを抱いた女が名乗りでた。たしか……華瑠羅、とか言ったか。
「手応えのない相手ばかりで退屈していたところでしたの。その鬼と手合わせ願いたいところですわ」
「……わかりました。華瑠羅、お願いしますね」
「そちらもあるじ様のこと、頼みましたわ」
「はい。柳川殿もよろしいですか?」
『……相手は並の腕ではないぞ』
「なおさら楽しみですわ」
『……いいだろう』
そこまで言うのなら、この女も並の手腕ではないのだろうな。
「では、この娘のこと、よろしくお願いします」
「あ、ああ……」
スフィーは柳也に手渡された。
「では、我々は失礼します」
邊那初が先へ向かおうとする。そんな時に
「先生………」
舞とみさき君が心配そうな瞳でこちらを見つめていた。
『ム……』
どん
『っつ……』
いつの間にか俺の後ろに回りこんでいた華瑠羅が、肘でわき腹をつつく。
(男なら気の効いたセリフの一つでもかましてあげなさい)
『…………』
「先生……」
「先生……」
『ぬ……』
A 俺なら大丈夫だから、と励ます。
B 頭を撫でる。
C ………少し教師としてはまずいかもしれないことをやっちゃう。
ぅお、久々のリロード忘れ。油断してたぁ。
『華瑠羅、お前はあちらの鎧鬼を頼む。俺は奴と決着をつける。』
「ふふ…よろしくてよ。」
華瑠羅は道満に向かっていった。その場には狩猟者と俺だけが残った。
『狩猟者よ…長年の決着を付ける時が来たようだな。』
「グルゥゥゥ…オマエヲ…コロス!!」
狩猟者が向かってきた…奴との最後の決戦が幕を開けた。
気を利かせてくれたのか華瑠羅は俺達の場所から離れてくれた。
ある程度離れたところで華瑠羅は道満と対峙した。
「ククク…ニゲタッテムダダヨ。」
「あら、お二人の邪魔をしては悪いと思いましてね。貴方こそたかが女にやられる前に
尻尾巻いて逃げた方が良かったのではありませんこと?」
「ククク…タカガニンゲンガデカイクチキキヤガッテ!コロシテアゲルヨ!」
怒りと共に道満は飛び出した。華瑠羅と道満の戦いも同時に始まった。
A 狩猟者vs柳川から見る
B 道満vs華瑠羅から見る
>>208 ミスだ。スマソ…
>>209 確かに久しぶりだなぁ…カキコ争い
基本はA
「ヤァナァガァワァァァァァーーーーーー!!!!」
汚らしい叫びとともに、奴は豪腕を振りかざす。
『そう言えばキサマと直接相対するのは始めてだな! 狩猟者!』
一撃を横っ飛びでかわす。
シュパァッ……!
俺が背後にしていた大木が『斬れ』た。
『やるな……』
「ォォォォォオオオオオーーーーーーーーン!!!!!」
楽しそうな遠吠えだ。
『だがッ!』
俺は体勢を立て直し、奴に殴りかかる。
『キサマは既にかつて自身が掲げた狩猟者の理(ことわり)、それすら失っている!
高貴な狩猟者はどこへ消えた! 今のキサマはただの……』
木をぶった切ったままの奴の腕を足場に、飛びあがる。
『ただの獣だ!』
そしてそのまま、横っ面を殴りつけた。
「グオオオオオオォォォォォーーーーー!!!!!」
奴は少し足元がグラついたようだ。が、すぐさま立て直し、頭をニ、三度軽くふる。
そしてこちらを睨みつけ、ニヤリと笑った。
「グルルルル………」
……やれやれ。全然効いてないようだ。……そうか札の力か。
『あの馬鹿め……厄介な術を使いやがって……どうしたものか』
A 鬼の血を限界までたぎらせる。
B 破魔棍はどこだ!?
武器に頼るな、己を克服するんだ!
A
『フーーーーッ、フーーーーーッ、フーーーーッ、フーーーーーーーーーーッ………』
俺は浅く深く呼吸を繰り返し、自分の中に眠る力を引き出す。
鬼の誘(いざな)いが無い以上、全ての力は自分自身で引き出し、扱うしかない。
「ガッ……ガフゥ……グフフ………」
狩猟者も浅い呼吸を繰り返しながらこちらを眺めている。どうやら俺の様子が気になり、攻め倦んで……
いや、違うな。奴はわかっているんだ。俺が内側から引き出している力を。
今の奴が本能しかないと言うならば、それはただただ『闘い』の望みしかない。
より強い者との闘いを。
……それだけのことか・
『グ……うおぉぉぉぉあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』
毛細血管の隅々まで、体の全ての細胞まで、内に潜むの『熱いもの』をたぎらせる。
これが俺の力だ。他でもない『俺自身』の力だ。
ドクン、ドクン、ドクン、ドクン……
心臓が激しく脈打っている。鬼ではなく、俺の為に脈打っている。
灼熱の体液が体の内部を駆け巡る。
「グ……」
奴が下半身に体重を移動させた。
来る。来る……!
今の奴にはすさまじき再生能力がある。ならば……!
A 長期戦覚悟の体力勝負。
B 急所への一撃必殺。
C 攻撃を一ヶ所へ集中させる。
B
「ガ……ッ!」
狩猟者……いや、理を失った狩猟者など狩猟者にあらず。ただの『鬼』と呼ぶのが相応しかろう。
鬼の姿が弾けた。空(くう)の壁はおろか、自身の発した唸り声……音の壁すら破らんばかりの勢いでこちらに迫り来る。
俺は半身に構え、接触する瞬間……その瞬間に右腕をわずかに捻り、奴の体重が乗った突進の矛先を少しだけずらした。
それでも凄まじき重圧が体にかかる。だがそれは全て左足に流し、地面に食い込ませる。
やがて、勢いも止まる。
この瞬間を狙っていた。
『っオ……ラァッ!』
体の後ろに構え、力を溜め込んでいた左手を鬼の腹に叩きこむ。
「ゴフ……!」
やはりだ。再生能力はあろうと、ダメージ自体は食らうらしい。
ならば……
俺は腹部への衝撃によりうずくまる形になっている鬼から一歩離れ、両の手を揃えた手刀をその首筋にぶち当てた。
「ガアッ!」
地面に叩き落される鬼。……だが、奴もただではやられなかった。
『チィ……ッ!』
甘かった。俺としたことが甘かった。奴は片手で自身の首筋に当てられた俺の両腕を掴むと、腕力に任せたまま振りまわした。
バン! バン! バン!
ぼろきれを振りまわすかのように、俺の体を地面、木、そこら一帯に叩きつける。
可能な限り受身を取り、衝撃を和らげているがそれでもダメージは大きい。
だが、ただ一度のチャンスも見逃さない。俺とてこんなところでやられるわけにはいかない。
シュタッ!
奴が俺を地面に叩きつけようとしたその一瞬、俺は身を捻り、両足で着地することに成功した。
俺の両手首を握っている奴の手首を逆に締め返し、合気道の要領で投げ飛ばす。
「グォ……」
無様に叩きつけられる鬼。
俺はそのまま跳躍し、奴の腹部を思い切り踏みつけ、そのまま距離をとった。
奴は立ち上がる。全ての傷を癒しながら。
だが全ては布石。ただ目指すは最後の一撃。
A このまま柳川視点。
B ちっと華瑠羅の様子を見る。
C 先行した邊那初たちはどうしてる?
A
『さて……』
俺は改めて構えをとる。これで相手がどう出るか、それが問題だ。
獣は獣らしく、吶喊を繰り返してくれればそれは非常に楽だ。
だが……
「グルル………」
鬼は身を翻すと、ガサリと藪の間に身を潜めた。
やれやれ、やはりか。こういう時の俺の予想は必ず悪い方に当たるんだ。
ガサガサガサガサ………
上から下から真横から。あっちこっちから奴が駆け回る音が聞こえる。
狙いが定まらない。だがおそらく奴からはこちらの位置は丸見えだろう。当たり前だ。隠れるものなど何も無いのだから。
「ガアアッ!!!」
俺の後ろの藪から奴が飛び出した。何となく予想していた俺は一瞬早く構えを向け、迎撃する。
ヒュオ……ッ!
特大の刃と化した爪が振るわれる。それをスウェーでギリギリの位置でかわし、お返しにブローを下腹に叩きこむ。
「グハ……ァアッ!!」
奴は一瞬怯むが、俺の追撃が入らないうちにもう一度森の中へ逃げ込んだ。
『チィ……』
だがそろそろだ。そろそろ俺の打った布石が効果を発揮するころだろう。
おそらく、次の交錯が最後になる。
……しかし、今奴の襲撃に対応できたのも半ば勘に従ってのこと……はっきり言えば偶然の産物だ。
正直、この体勢は闘うのにはいいがほぼ確実に先制を取られるのは痛い。
どうするか。
A こちらも森に飛びこむ。
B 己の勘を信じ、この場で迎撃する。
C ノーガード戦法。
C
決着をつけろー
なんつーか、この闘いを見ると柳川がちゃんと主人公なんだなぁという実感が湧いてくる(w
いままで出番が足りなかったうっぷんが晴らされた気分。
『やれやれ……』
俺は手近な大木に背中を預け、体中の力を抜いた。
『……っと、そうだ』
試しにスーツの内ポケットを漁ってみる……おお、あった。
『男は黙って……っと』
タバコを口にくわえ、火をつける。奪われずにすんで運がよかった。
そういえば……みさき君や舞にはタバコを止めるよう言われてたな……
どうしよう。
A 体に悪いし、やめるか。
B いや、こればっかりは譲れん。
ガサリ……
……少し離れた位置の茂みが蠢いた。奴も俺の真意を謀りかねているのだろう。慎重に動くことにしたようだ。
俺はそんなことには構わず、タバコの煙をくゆらせる。
完全にガードも構えも解き、向こうから見ればいつでも殺せる故に、手が出せないのだろう。
……その通りだ。今襲われれば間違いなく殺られる。
『はてさて……』
俺がリラックスモードに入り、数分が過ぎた。
予想通り、しびれを切らしたのは奴の方だった。
(グルルル……)
わかる。
空気が奴の殺気でゆらめく。
『さて……』
吸いかけのタバコをプッと吐き出し、俺も体から闘気を放出する。
奴の気配も嬉しそうに反応する。「やっとやる気になったか」という感じだ。
それがお前の甘さだ。
ガサリ……
頭上の葉が鳴った。次の瞬間、
ヒュオッ……
ただただ空を切り裂く音とともに、奴が降り立った。そう、奴は俺の真上を襲撃場所に選んだ。
『甘いィィィィィ!!!!』
俺は両腕を頭上で組み、あの一撃を受けとめる。
ドゴ……ッ!!
腕から肘から肩から腹から腰から膝から足まで。強烈な衝撃が体を突き抜けた。
(まだ……動ける!)
足が少々地面にめり込んだが、まだ俺は大丈夫だった。体のどの部分にもさしたるダメージは無い。
「グオォォォォォォォォ!!!!!」
致命傷を与えるのに失敗ことを気付いた鬼が、咆哮と共にもう片方の腕を振り上げる。
ここだ!
『かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁつっ!!!!!』
一喝! 腹の底から叫ぶ。
空気は震え、木々は恐怖する。野生の獣も目を覚ます。
そして奴も……反射的に自身の『腹』を防御した。
そう。全てはこの一瞬の為に。いくら奴が驚異的な再生能力を身につけようとも、ダメージは受け、痛みは感じる。
なればこそ、今までの俺の攻撃は腹に集中している……『反射的に防衛するべきは腹』これが奴の脳裏に刻まれているはず。
事実! 奴は今そうした。
俺が狙っていたのは、まぎれもないこの瞬間!
『終わりだ狩猟者! 永劫、俺の中で眠るがいい!』
悲鳴を上げる四肢を無理矢理動かし、その場に跳躍。
全ての力を右手……右手の爪に込め、それ自身が鋭利な刃となる。
ヒュパッ!
木を蹴り飛ばす反作用を利用し、刃と化した爪で空を、そして奴の首を薙いだ。
空を切る浅い音、そして僅かな水音が俺の耳をくすぐる。
『まだだ!』
俺は身を翻し、空いた腕で狩猟者の頭を掴み、一回転して片側から同じように首を斬り裂いた。
ヒュパッ!
同じような音が聞こえる。これで奴の首は8割がた刻まれた。
『とどめだ!』
グリン!
奴の頭を捻りあげ、ちぎる。
俺は奴の肩を蹴り、頭を抱えたまま数メートル離れた場所へ降り立った。
手の中の奴の顔を見る。
「ヤ、ナ、ガ、ワ………」
首だけになりながらも、憎々しげに俺を睨みつける。
『おやすみ、もう一人の俺』
そして、踏み潰した。
【柳川 自力で鬼を克服。同時に影を取り戻す】
A 華瑠羅VS道満の様子を見る。
B 邊那初の様子を見る。
C 時間短縮の為、華瑠羅・道満戦は既に終わってたことにする。
当然Aで
あー……久々に柳川の活躍が書けたぁ。よかったよかった。
んじゃ! 俺は夏編やって寝ます。
華瑠羅VS道満は他の方に任せますんで、おやすみなさい。
柳川かっけぇ!
やっぱ柳川だよ(w
道満は両腕についた爪で嵐のごとき連続技を繰り返した。
華瑠羅は基本的に攻撃範囲を見切り、時に体重ほどもある大鉈でそれを迎撃した。
「アハハハハ、ソラソラソラァ!!」
道満には華瑠羅が逃げているようにしか見えない。調子に乗って追いかけた。
(やれやれ、ずいぶんと浮かれておいで。見切りも下手だし、攻撃も単純。しかも足下がお留守ですわ。
どうやら、強力な肉体を得て己の能力を勘違いしたようですわね)
華瑠羅はそう見抜くと、道満の大降りの一撃をそらして地を蹴った。
のらりくらりとした横方向中心の動きから、道満の視界から消える、足下への神速の突撃。
制動をかける気など全くない、回転、体重、バネ、すべてを乗せた大鉈の一撃が、
「あああああああああああっ!!」
膝の真っ正面にぶち当たる。
道満の右足が華瑠羅の振り抜いた方向に、小動物が逃げるがごとき勢いで吹っ飛んでいった。
支えを無くした道満はバランスを崩し、反射的に右足で身体を支えようとするが、それはもうない。
巨体が無様に転がった。
「……アレ?」
華瑠羅は迷わなかった。
(道満の本来の力は符術などのあやかしの力。
肉体の能力はだいぶ奪えましたけれども、それを思い出させてはまずいですわ。
足を失って気が動転しているうちに止めを)
A 華瑠羅が道満をしとめる。
B 負傷によって道満が冷静になる。
ここはそろそろさくっとAでトドメを
「ヒッ…ヒァァァァ!!タスケテ!タスケテ、ハハウエ!ハハウエェェ!!」
道満は何かを…過去の忌まわしき記憶と現状が重なったのか急に怯えだした。
禍々しいまでの殺気は消え、ただ怯えるだけの兎と化した。だが、華瑠羅は躊躇わず近づく。
「あら、命乞い?貴方はそうして助けを求めた者達を一度でも助けた事はあって?」
「クルナァァァ!!ヒィィィィ!!」
恐怖の絶叫と共に腕を無闇にやたらに振り回す道満。華瑠羅が近づくとともに後ろに下がる道満。
距離は一向に縮まらないが下がるに連れて後ろに断崖絶壁が見えてきた。このままいけば間違いなく道満は
奈落の底に落ちるだろう。強靭な鬼の肉体であっても受身も満足に取れない状態では死は免れないだろう。
「…辞世の句は出来たかしら?良ければ聞いて差し上げますわよ?」
「コナイデ…タスケテ…ハハウエェェェェェェェェェェ!!!!」
そうしている内に道満の足場が自重で崩れ落ち、何とか崖にしがみ付いた所を華瑠羅が見下ろす。
「覚悟は出来て?」
無慈悲に見下ろす華瑠羅。泣き叫ぶ道満。そして───
ブオォンッ!!ドガァッ!!
華瑠羅の剛剣が道満の命綱の両腕を砕く。暗闇に落下していく道満。
「ヒァァァァアァア!!ハハウエェェエェェェエ……!!」
数秒経ったころに肉が砕ける音がした。暫くうめき声が聞こえた…気がするがその内に聞こえなくなった。
「心の弱さ…それが貴方が晴明様に永遠に勝てなかった貴方の敗因ですわ…さようなら。」
道満が落ちた先を悲しそうに眺めながら彼女は思い立ったように歌いだした。
静かに訪れる 色無き世界 全ての時を超え 眠りに付く…
(可哀想な子…せめてもの手向けですわ)
漆黒の闇の中、華瑠羅の歌声だけが悲しく響いた。誰にも認められなかった一人の男の為に…
A このまま二人の視点で邊那初達を追いかける
B ディー&神奈視点
C 邊那初達の視点で
D 頼光視点で
A
柳川たちが追いついていくほうがいいかな
RRに気をつけろ。
>「心の弱さ…それが貴方が晴明様に永遠に勝てなかった貴方の敗因ですわ…さようなら。」
――ケッ、礼は言わねえぞ。
『フン、言われたくもない』
――大体、元を正せばテメェがあっさり捕まるから悪ぃんだ。
『ああそうだ。全くその通りだ。すまなかったなぁ』
――チッ、やっぱムカつくぜ、テメェ。
『別にキサマに好かれたくもない』
――………ハッ、わかったよ。勝てば官軍負ければ賊軍。俺はお前に負けたんだ。何も言わねぇよ。
――さっさと先を急ぎな。連中はお前を待ってるんだろう?
『言われるまでも……』
「ぶつぶつぶつぶつ、何をおっしゃってますの?」
『っつ!』
しまった。狩猟者との会話に集中しすぎた。
「独り言とは、なかなかいい趣味だこと」
『あ、いや……』
まずいな。どうやら思いきり聞かれていたようだ。
「……終わったようですわね」
幸いなことにそれ以上その話題については言及せず、華瑠羅は狩猟者の骸に視線を送った。
『まぁ、な。俺も幸いなことに影を取り戻せた』
「ふぅん……」
華瑠羅は舐めるような視線を俺に送る。
『な、なんだ?』
ニコリと微笑みながら
「さっきとはずいぶん雰囲気が変わりましたわ。もう少し会うのが早ければ惚れていたかも」
『なっ……!』
「冗談ですわ。先を急ぎましょう」
それだけ言うと、華瑠羅は邊那初たちが消えた方向に駆け出した。
『ち、ちょっと待て!』
慌てて俺もそれを追う。
暗い森の中、へし折られた木々をたどって突き進む。
しばらくの間はお互い黙って走っていたが、不意に華瑠羅が口を開いた。
「いい歳した男と女が二人で押し黙っているのも何ですわ。何か話してくださらない?」
『む……』
何かと言われてもな。
A 俺の過去について話す。
B 今の俺について話す。
C 学校と生徒のことを話す。
D 口説いてみる。
DもいいけどAでw
でも、この場合の過去って・・・どの辺からどの辺まで?(w
『そうだな……それじゃあ、俺の過去の話しでもしてやろう』
「面白そうですわね」
……ン、コホン……
『今を遡ること二十数年前、俺は母の腹からオギャッと』
ドゴーーーーーーーーーン…………
……轟音が一つだけ響いた。
俺の隣の大木が、華瑠羅の鉈によって一撃で薙ぎ払われた。
「私を馬鹿にして?」
『い、いやスマン。ちょっとつまらなかったか』
「もっと面白い部分を話してくださらない?」
『う〜む、面白い部分か……』
A 妾腹としての不遇の子供時代。
B 貴之との出会い。そして彼の崩壊。
C 狩猟者としての連続殺人、及び甥・姪との死闘。
D 教師になったあたり。
D なんか最後だけ投げやりな感じがワラタ
「もっとあなたの詳しい話が聞きたいところですわ。どうでしょう? 今回の件のカタがついたら、一杯ご一緒にいかが?」
『……考えておこう』
「楽しみにしてますわ。……ところで、そちらのお馬はお知り合いかしら?」
馬?
『馬って……のうわっ!!』
「ぶししっ、ぶししっ」
俺が華瑠羅の視線の先に振りかえると、昔懐かしの白い悪魔が俺たちと同じスピードで走っていた。
『お、お前なんでこんなところに……』
「ぶししっ、ぶししっ」
「なんでも、聞いた話によるとその方、あなたの武器を背負っていると……」
『ん? ……おお、破魔棍か』
白い悪魔の背中に棍を発見すると、早速手にとってみた。……うむ。やはりしっくりくる。武器とはこうでなくては。
「ぶししっ、ぶししっ」
『……おい』
「ぶししっ、ぶししっ」
俺に棍を手渡した後も、白い悪魔はピッタリと俺たちについてきた。
『こっから先は危険だぞ。さっさと帰ってろ』
「ぶししっ、ぶししっ」
……どうやらついて来るつもりのようだ。
どうする?
A まぁいい、死んでもこいつの責任だ。
B 邪魔だ。帰れ。
A
役に立つような気が。
邪魔だ。帰れ。
B
A!
『……死んでもしらんぞ。それでもよければついて来い』
「ぶししっ、ぶししっ」
悪魔は少し嬉しそうに俺によりそってきた。
『うわっ! 汚ねっ! ひっつくな!』
見れば、華瑠羅がクスクスと笑っている。
『な、なんだ?』
「お優しいですのね柳川先生は」
『……性分だ。ってお前はひっつくな! ンなことしても守ってやらんぞ!』
――わかってる。
『……っつ!?』
「どうなさいました?」
『……いや、華瑠羅……今なんか言ったか?』
「いいえ、何も」
『……気のせいか』
悪魔も華瑠羅も、変わらず走りつづけている。
「それよりも……そろそろ着くようですわ」
『とうとうか……』
お互いに手の中の獲物を握りなおし……
森を、抜けた―――――――
『これは!?』
そこで俺が見た光景は
A ディー&ムツミVS巨人VS邊那初一行が睨み合っていた。
B ムツミVS巨人の闘いだった。
C 邊那初たちは全員倒れており、その中に一人だけムツミが立っていた。
D ディーとムツミが闘っていた。
Aで。
248 :
状況整理:02/09/18 23:50 ID:PVHyL2Tu
柳川一行
柳川 朧 綾香 みさき 裏葉 華瑠羅 邊那初 柳也
晴明 セリオ 舞 桐花 スフィー 白い悪魔
巨人
ウィツ(頼光)
敵
ディー(神奈) ムツミ
スフィー:魔法の連続使用により戦闘不能
柳川:完全復活
柳川・柳也・舞・セリオ:それぞれが四神具を装備
スフィー:魔法の連続使用によりグロッキー
国崎:ムツミ化(自我無) 頼光:ウィツ化
神奈:ディーの腕の中 ディー:神奈を抱え、ムツミを従えている。
八尾比丘尼:祭壇の奥に捕われている。柳川一行は位置を把握している。
狩猟者:柳川の中に帰る 道満:死亡
飛燕:縛られてる 道長:平安京
その他の妖怪:その辺うろついてると思われ
あ、いけね。スフィーニ回書いちまった。
「先生……?」
「先生っ!」
「……ご無事でしたか」
(以下略)
『ああ、みんなありがとう。見る限りこの状況……なかなか切迫しているようだな』
神奈を抱えたディーが巨人によって崖に追い詰められており(いや、飛べるのだから追い詰められてる、というのは正しくないか)
二人の間にムツミがいて、彼女は巨人もそうだがこちらにも厳しい視線を向けている。
(人数ではこちらが圧倒的だが……はてさて)
まずは状況整理だ。手持ちの情報から推測するに、頼光の狙いはディーのみ。とりあえず目の前に割り込んだりしなければ襲われることはないだろう。
次にディー。奴の狙いは神奈らしい。『祝詞』という言葉の意味はわからないが、高確率で彼女を母親の元へ連れていくのだろう。
ムツミ。国崎が変身した姿らしい。彼女はディーと頼光が戦うのを止めようとしているらしいが、同時に俺たちに直接相対している存在でもある。
頼光は……どう扱ったものか。ムツミ……というより国崎、正気に戻せるのか?
いや、まずはディーから神奈を奪還するのが先決か……
そうだな。ディーが向かう先はわかってる。ならば、こちらで足止めして、本殿で決着をつけるのがいいだろうか。
A ディーと戦闘。
B ムツミと戦闘/説得する。
C 頼光を正気に戻す。
D 本殿へ先回り。
※ A〜Dを担当する人員を割り振ってください。
なお、部隊が分裂するのは(時間かかったりして)あまりよろしくないと思う場合、
これ以後の視点選択で一つに集中すればなんとかなると思われます。多分。きっと。おそらく。
切羽詰まってるなぁ(w
そんな事いわれても・・・
>>254、お前に任せる。
次の奴に同意を求めるスレになりかけてるぞ(w
しかし漏れもいいアイデアが出ないので
>>255に任せた。
俺に任せろ。
A 柳川 舞 みさき セリオ 華瑠羅
B 柳也 白い悪魔
C 清明 桐花
D 綾香 裏葉 邊那初
何か漏れてるのが居たら
>>256に任せる。
スフィーと裏葉が抜けているが非戦闘員なので構わないだろう。
それよりも清明→晴明。
次から何事も無かったように
>>257から続きをどうぞ。
……よし!
俺は瞬間的に全てを判断し、俺の考えうる中で最善と思われる作戦を立てた。
『舞! みさき君! セリオ! 華瑠羅! 俺についてこい! ディーと闘うぞ!』
「……わかったッ!」
「うん、私も出来るだけ手伝うよ」
「了解しました、柳川様」
「わかりましたわ」
『柳也! 白い悪魔を駆ってムツミ……ってーか国崎を何とかしろ! 親父の意地を見せてやれ!』
「ヒヒ〜〜〜〜ン!!!」
「俺はまだ独り身だ!」
朧がいない?
『晴明さん! 桐花! あの巨人を止めてくれ!』
「承知ッ!」
「了解ッ!」
『綾香、裏葉、邊那初……お前立ちは本殿へ先回りしておいてくれ。俺たちがディーを追いこむから、
隙を見て神奈を奪還、その後は挟み撃ちだ』
「オッケー♪ 任せといてよ。ていうか私、かなり久しぶりの発言ね」
「……私がですか……?」
「ご安心ください裏葉様。私どもがついております。神奈様を助け出してごらんにいれます……必ず」
「っておい柳川、俺は?」
朧が訝しげに訪ねてきた。
『……お前はこの作戦のジョーカーだ。少々損な役回りかもしれんが、引きうけてくれるか?』
「……?」
『……行くぞ!』
「「「「「応!!!」」」」
どこから見ますか?
A VSディー
B VSムツミ
C VSウィツ
D 待ち伏せ部隊
うお!割り込んじまってスマソ…
B
国崎は何しに過去に来たんだ。役にたってないぞ。ガンバレ。
ったくあの馬鹿息子が!
聞いてみれば俺の子孫は千年もの間神奈を探し続けたって言うじゃないか!
だのに奴は何やってるんだ!
柳也は白い悪魔に跨り、巨人と相対しているムツミに一直線に迫った。
「そこまでだ国崎!!!」
速度を落さず、そのまま二人の間を駆けぬける。
ブオン!
「クッ……!」
すれ違いざまに星屑の太刀による一撃を繰り出す、だが、ムツミは空中に回避した。
「オオオオオオオオオ!!!!!」
同時に、闘いに割りこまれた巨人が咆哮し……その腕を振り上げた。
「チィ!」
「聖上! 正気にお戻りください!」
だがその瞬間、横から走ってきた桐花の飛び蹴りが巨人の頭に直撃し、もんどりうって倒れた。
「グ、オ、オ、オ……」
「桐花か! 感謝する!」
「某のことはお気になさらず、柳也殿は国崎殿を!」
「応!」
「邪魔は、させない」
桐花に気をとられた一瞬、紫色の剣を具現化させ、ムツミが急降下して柳也に斬りかかる。
「クッ! ……って何ィ!?」
意外なことに、柳也が受けとめるより早く白い悪魔が飛びのき、斬撃は地面を削るに終わった。
「ぶししっ、ぶししっ」
「お馬さん……」
「お前……意外にやる?」
「ぶししっ、ぶししっ」
「…………」
無言のまま、ムツミはまた剣を構えなおす。
さてこの馬鹿息子、どうやって説得したものか……
A 厳父の激怒
B 慈父の愛
A
……さて。
俺は改めて手の中の太刀を握りなおした。確かに俺は剣の腕には少々自信があり、今まで色々な処を渡り歩いてきたが
こんな業物(わざもの)を手にしたのは始めてだ。
「……俺も昔は、悪戯したら尻ィひっぱたかれたもんだよな……」
そういうことだ。出来の悪い餓鬼には罰を……
「行くぞ往人! 我が息子よ!」
「………ッ!」
この白い悪魔とかいう馬、非常に具合がよい。
……確かに普段の気性は荒いかもしれない。だがこいつ、こと闘いになったらまるで俺の体の一部のように動いてくれる。
いや、むしろこいつ自身が歴戦の戦士のよう……
「ハァァァァァァァァ!!!!!」
カキィィィィン!!!
馬上からの攻撃は、馬自身の体重や加速と合いまり、それだけで人間の腕とは比べ物にならない威力を持つ。
にもかかわらずこの馬鹿息子(今は娘か?)は己の剣のみで受けとめた。
「さすがに翼人の力……ってことか?」
そのまま駆けぬけるが、往人は飛翔し、俺たちの後ろから襲いかかってきた。
「ハァ……ッ!」
「クソッ! 厄介な!」
ズザザザザッ!!!
「!?」
その時、白い悪魔が信じられぬ動きをした。
前足の蹄を地面に突き立て、それを中心に半回転。降下中の往人に向き合う格好になった。
それだけではない……
「なんだと!?」
その場に跳躍、地面にいた俺たちを狙っていた往人を眼下に見下ろす形となった。
「そんな……!」
さすがの奴もこれには驚愕したようだ……だが今ならチャンス! 奴はこちらに背中を向けている!
A 何だか大丈夫な気がするから脳天に一撃。
B 念のため峰打ち。
A
「反省しろこの馬鹿息子! セイアァァァァァァァァァッッッッ!!!!!!」
ブオン……パキィィィィィィィィィン!!!!
金属が弾ける音が響いた。
奴の後頭部へ振り下ろした一撃。あやまたず奴の奇怪な額当てを捕らえ、見事に打ち砕いた。
「がおあああああああああっっっっっっ!!!!!」
それでも衝撃は頭に直に当たる。あまりの激痛のためか、奴は絶叫しながらその場に倒れた。
「〜〜〜〜〜〜〜ッ! ッ! ッ! 痛えっ! 痛てっ! 死ぬほど痛えっ!!!!」
七転八倒とは正にこのことか。頭を抱えながらその場にゴロゴロと転がる。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!」
「というより、常人なら頭をかち割られるどころか二つに切り裂かれてるところなんだがな……」
「くふぅぅぅぅ〜〜〜〜〜〜ッ!」
「……………」
あまりにも痛そうにしているため、少々心配になってきた。
馬から下り、声をかけてみる。
「おい往人、お前大丈夫……」
倒れている往人の肩に手を当てた、その時
「何しやがるんだこのクソ親父ッ!」
バキィ!
……いいのを顔面にもらった。
後頭部を押さえながらも往人は立ちあがる。
「このクソ親父がッ! 本気でやるんじゃねぇよ! ああ痛え。死ぬとこだったぞバカヤロウ!」
俺も無言で立ちあがり
「人様に迷惑かけるんじゃねぇよこの馬鹿息子! その程度で騒ぐな!」
バキィ!
お返しの鉄拳。
「うるせえこのダメ親父が! 神奈を守れなかったクセに偉そうにするんじゃねぇ!」
ドガッ!
「お前こそあっさり敵の術中に落ちやがって! お前の為に俺らがどんだけ苦労したと思ってやがる!」
ベキィ!
……不毛な親子喧嘩は十分ほど続いた。
「はぁはぁはぁはぁはぁ………」
「ぜいぜいぜいぜいぜい………」
「ところで……お前……自分の姿、わかっているのか……?」
「あん? 姿?」
「見ろ」
俺はちょうどよく懐に持っていた手鏡を奴に投げわたす。
「姿って何だよ……ってはぁ!?」
ようやく気付いたか。
「なんだよこの黒タイツな格好は! なんだよこの変な色の髪は! うわっ、目ェ充血してる……っていうか誰だよこれ!
それ以前に女じゃねぇか!」
「気付いてなかったのか。お前、敵に操られてたんだぞ」
「操られてた……?」
だが、そんなことは今はどうでもいい。正気に戻ったんだからな。
俺は悪魔に跨り、言った。
「神奈があのディーとか言う奴に捕まった。奴は本殿に向かっているはずだ。柳川たちが追っている……後は頼光、奴がなんだかわからんが
巨人に変身してしまい、桐花たちが止めている。本殿には待ち伏せの部隊も張っている……ともかく、どこかと合流するぞ」
「おいちょっと待て! この姿で行けってのか? 第一馬の脚に走って追いつけるわけないだろう!」
「お前がさっきまでのムツミとかいう女と同じ能力があるなら飛べるはずだ。試してみろ」
「……?」
往人は恐る恐るといった様子で羽を動かした。……ふわりと体が宙に浮く。
「おお」
「問題ないな。急ぐぞ!」
さて、どこに向かう?
A 柳川隊
B 桐花隊
C 待ち伏せ部隊
迷ったがここはBで!
B
苦戦してるはず。
「桐花! 晴明殿! 大丈夫か!」
俺たちが二人のもとに駆けつけると、ちょうど桐花が弾き飛ばされてきた。
「往人!」
「……っと」
岩に叩きつけられる直前のところを、往人に受けとめさせる。
「ムゥ……か、かたじけない……ってああキサマッ!」
自分を受けとめた人間の姿を認め、すかさず剣を構える桐花。
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待て!」
以前の柳川の二の舞にならないうちに、慌てて二人の間に割り込む。
「落ちつけ桐花! こいつは往人だ。正気を取り戻した。……姿は女のままだがな」
「……本当か?」
「ああ、本当だ」
胸を張って答える往人。こいつ、意外に大きいかも……ってンなことはどうでもいい!
「桐花! 現在の状況は!?」
「ハッ、我々は聖上への説得は無理と判断。今は晴明殿の封印結界により一時的に聖上の動きを止めようと……って晴明殿!」
……忘れていたようだ。桐花は慌てて巨人の方へと走っていった。……晴明殿は巨人と相対しつつも、微妙な間合いを保っている。
やはり巨人にもわかるのだろうか? 彼の体からにじみ出る波動が。
……老獪、などと言うと失礼かもな。年の功、か。
「大丈夫ですか晴明殿!」
桐花と並んでいる晴明の元に俺たちも合流する。……凄い油汗だ。
やはりあれほどのものを封印するとなると彼でも厳しいのか……
「もう少しです。もう少しで結界が完成します。もう少しだけ奴の動きを止めれれば……」
「小サキ者ヨ………我ノ邪魔ヲスルナ………ドケ。サモナクバ、死ヌ」
「黙れ! 貴様こそ、聖上を返さんか!」
「さて……と……」
A 俺が行く!
B 往人、名誉挽回だ!
Bでお願いします。
「往人、頼んだぞ。お前がこの中で多分一番強い。」
「国崎殿、今の貴方なら法術の全てを使いこなせる筈です。自分の中の世界を
この世に実現させる…そのようにすればよいと思われます。」
「…わかった、任せてくれ。行くぞ!」
晴明を除いた三人+一匹は巨人と化した頼光に向かっていった。
「邪魔ヲスルナ…コノヨウナ術ナド…」
「やらせん!!」
柳也が巨人に一撃を入れる。巨人はすぐさま反撃をするが白い悪魔の駿足によって
そのまま反撃を避け離脱する。
「聖上!目を覚ましてくだされ!桐花に御座います!」
注意が柳也に向いた所に桐花が攻撃を仕掛ける、が効果は今ひとつ。そして───
(…世界を想像しろ…そう、そうだ…煉獄の炎よ…この世に姿を現せ!!)
往人が術を放つ。その巨体すらも焼き尽くさんばかりの業火が巨人を包む。
「ヌグッ…グオォォォ!!邪魔ヲスルナァ!!!」
ガァァァァァァァ!! ガキィィィン!!
「くッ何と!!」
巨人は咆哮と共に炎を掻き消し、結界を打ち破り往人に向かって突進した。
「往人!逃げろ!」
「なんて奴だ…!?何?体が?」
巨人が向かってきた所に往人の動きが急に止まる。
(…ごめんなさい、少しだけ…)
そして、巨人はその巨大な爪を振り上げ往人目掛けて──
ドガァッ!!
「お父様…目を…目を覚まして。私です、ムツミです…」
往人、いや、ムツミはそのまま巨人の爪をその身で受け止めた。深手かどうかは判らないが。
かなりの血が滴り落ちていた。
「ガッ…ム…ムツミ…」
「お父様の望み…それが私の望み…でも、二人を争そわせる訳には…くぅッ…」
「ワ…私ハ…グッ……グオォォォォォォ!!」
巨人は今までの殺気が嘘のように薄れ、往人に食い込んだ爪を引き離し頭を抱えながら苦しんだ。
「往人!!」
「往人殿、大丈夫で御座るか?」
「大丈夫だ…今一瞬だけ意識が流れ込んで来た…とても…悲しい意識が。愛情への餓え…」
(私に…お父様を任せて。お父様を止められるのは…多分私だけ…お願い。)
往人の意識にムツミの声が聞こえてきた。
どうする?
A 任せる
B 任せない
Aかな
A、信じるべ
ていうか柳也→国崎は「国崎」じゃないのか?
「…信じよう。任せた。」
「往人殿!」
「この二人の関係は只ならぬ物が有るようだ。俺達の出る幕はない」
(ありがとう…)
そして俺の意識は深い闇へと落ちていった…
「皆さん…下がってください」
皆は固唾を飲んでムツミと巨人の様子を見守った。
ムツミは蹲っている巨人の頭をそっと抱えながら巨人に語りかけた。
「お父様…いつもの優しいお父様に戻ってください。そして…全てを思い出して…」
「ムツミ…私ハ…私ハ…」
「私が手伝ってあげるから…」
(そう、私は───)
巨人の──いや、頼光の意識は過去へと遡っていった。
「ミコト…」
「とっても…とっても…うれしいでス」
「…名前?」
『トウサマ…ダイスキ…』
『トウサマ…むつみハ…ココ…ココニイルノ…』
「すぐに、ここから逃げなさい」
「な───何だそれは!?何故そんな事…」
「さよならだ…ミコト。私の可愛い娘…」
「行カナイデ…むつみヲ置イテイカナイデ…トウサマ…」
「ミコト…ムツミ…私は…」
寝る子は育つと言うからな。きっと元気な子に育つぞ」
「女の子だから、あまり元気すぎると困るですヨ」
「この子に…幸多からん事を…」
「返して…・返しテ…赤ちゃん、私の、私達の…!」
「ミコト!ミコトぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「あんなのが好みなら、同じものを十体でも二十体でも好きなだけ造ってやろうじゃないか」
『ソンナニ強イ肉体ガ欲シイカ…』
「ひいいいいぃぃぃぃッ!!」
(ヤメロ…誰カ止メテクレ…ソレガ叶ワヌナラ…滅セヨ。我ヲ滅セヨ!)
『ウン…いいよ…お父様…』
(そう、あれは10年以上も昔───)
「くぅッ…私とした事が…」
私は戦の最中深手を負い山中の洞窟に逃げ込んでいたあの時は既に助かりそうに無かった、だが…
「此処までか…妻よ…娘よ…済まぬ…せめて最後に…ぐッ…」
(ソレガ汝ノ望ミカ…小サキ者ヨ…)
「なッ…誰だ?…頭の中に…」
(生キテ妻ト娘に会ウ…ソレガ汝ノ望ミカ?)
「…そうだ…何者だ?貴様は…」
(我ト契約セヨ…サスレバ汝ノ望ミ叶エテヤロウ…)
「契約?一体何の…がぁッ!」
(早クセネバ汝ハ死ヌダケダ…ソレデモ我ハ構カマワヌゾ…)
「…判った。契約をすればよいのだな…して、お前の名は?」
(契約ハ成立シタ…汝ノソノ身、我ニ捧ゲヨ…我ガ名ハ…『ウィツアネミテア』)
そして私は生きて里へと戻った…何事も無かったように。そう、何故今まで忘れていたのだ?
この仮面の事を。まるで最初から着けいて外れない物と思っていた…そして誰も気付かなかった…
最初からこの仮面を着けていたと誰もが思っていた…
暗闇の中…いや、此処は私の心の中か…その場にはムツミと…私だけがいた。
「──お父様…思い出した?」
「ああ…全てを…だが…私は…こんな私を皆は…」
「大丈夫。私にはお父様だけ…けど、今のお父様には一杯信じてくれる人が…愛するべき人がいる。
だから大丈夫…きっと、みんな心配しているから…早く戻ってあげて」
「…手間を掛けたな、ムツミ…こんな父親だが許しておくれ」
「いいの、お父様。お父様の望みは私の望みだから」
「いい子だ。ご褒美をあげないとな」
そう言うと私はムツミの頭を撫でてやった。するとムツミは嬉しそうに笑い、顔を綻ばせた。
「じゃあね、お父様…またいつの日か────」
「ああ。またいつか───」
目の前に光が広がっていく…
「…ょう!聖上!しっかりして下さいませ!聖上!」
目を開けると桐花のすぐ顔が目の前にあった。心配そうな顔をして私を見ている。
「聖上!嗚呼…良かった…」
「此処は?」
「此処は高野山ですよ?大丈夫ですか?頼光殿」
起きた事が判ると晴明殿がこちらを覗き込んできた。
「…やっと起きたか」
…ムツミ?いや、この口調は…国崎殿か。しかし、この格好で喋られると思わず…いかん、失礼だったな。
「ムツミは?」
「疲れたから暫く休ませて貰うだと。後は任せるだとさ。それよりもその格好を何とかした方がいいんじゃないのか?」
国崎殿に言われて初めて自分の身の回りを見てみたが仮面以外は全裸だった。
「ぬわッ!な、何か服は?桐花!」
「はッ此処に。」
思わずいつもの通りに頼んでしまったが不思議な事に服や鎧、愛用の鉄扇を桐花が用意して来た。
私はすぐ近くの茂みに隠れ身なりを整えた。
「他の方々はどうした。奴は…ディーは何処に…」
「詳しくは移動しながら話しましょう。今は時間が惜しいですから」
さて、何処に向かう?
A VSディー
B 待ち伏せ部隊
A
「よし、こっちでやるべきことは全て終わった。ディー追跡部隊に合流しよう」
柳也の提案に全員が首を縦に振り、一路、本殿へと向かった。
走りながら、国崎と柳也は会話していた。
「それにしても国崎、お前、その格好はどうにかならんのか?」
「わからん。いや、何とかならんことも無い気もするが、ヘタにいじくってこの力を失ってもマズイ」
「ぅうむ……だが、ヘタをすれば合流先で仲間に攻撃されかねんぞ」
「ならばこれをどうぞ」
不意に、後ろから桐花が声をかけてきた。同時に国崎に何かを手渡す。
「何だこれは……」
「はちまきです」
「………はぁ?」
国崎が思いきり怪訝な顔をする。
「それに何か仲間であることを示すようなものを書き、頭に巻いてれば大丈夫ではないかと」
「はちまき、ねえ……」
何て書くか。
A ソーラーパワーで動いてます
B お茶のお供に最適です
C 宇宙からやってきた生き物です
D 国崎最高
E その他(※適当に)
もちろんD(w
「よし、それなら……」
どうやら国崎は何か決心したようだ。少し翼の角度を変え、減速すると晴明の横に並んだ。
「晴明さん、ちょっとこのはちまきに『国崎最高』と書いてもらえませんか?」
「『最高』……ですか。はい、わかりました」
晴明は国崎からはちまきを受け取ると、懐から筆を取り出し、サラサラとその上に文字を走らせた。
さすがは稀代の陰陽師と言うべきか。かなりの達筆だ。
「どうぞ。……ですが、なぜ『最高』なのですか?」
「俺の故郷ではこれが最大級の友愛と信用を意味するのです。どんな怒ってる人間でも、これを言われれば一発で黙ります」
嘘を言うな。嘘を。
「なるほど……」
「これは良いことを聞きましたな、聖上」
「うむ……今度我らも使ってみるか」
桐花と頼光がウンウンと感心している。
「………」
一人柳也が怪訝な顔をしていた。
「ん、あれは……止まれ! 全員止まれ!」
不意の柳也の号令。皆が慌ててブレーキをかけると、目の前から走ってくる二つの人影があった。
「あれは……神奈に裏葉! どうしたんだ!?」
「おお、柳也殿に……国崎殿か!」
(さすがは俺様最高。効果は覿面だな)
一人関心する国崎。
「柳也様……国崎様……よかった……」
裏葉もやや憔悴した顔だが、怪我はないようだ。
「大丈夫だったか……二人とも……」
二人は、柳也の胸に倒れるように飛びこんだ。
少し落ち着かせたところで聞いた状況はこうだ。
本殿における待ち伏せ部隊と追跡部隊による挟み撃ちは見事成功、神奈の奪取に成功した。
だがそれに激怒したディーの姿が突如豹変、頼光と同じくする巨人の姿となった。
危険を察知した柳川は裏葉に神奈を連れて逃げるよう指示、なんとかここまで逃げ延びてきた、とのことだ。
「そうか……」
「急ごう。いくら柳川たちとはいえあのウィツアネミティアを相手にしては分が悪い。俺たちも合流しなければ」
国崎の表情にも焦りの色が浮かんでいる。無理もない。だが
「神奈たちを連れていくわけにはいくまい。奴の目的は神奈、ここで取り返されたらもう後がない」
「ッ……」
「なら、彼女等は私がお守りしましょう」
晴明が手を上げた。
「晴明殿?」
晴明は静かに続けた。
「……守る、と言えば威勢がいいですが、正直、もう体が言うことを聞きませんで。
全く、歳は取りたくないものですな……あ、いや、ですが、お二人の身は保証しましょう。陰陽術師、安倍晴明の名に賭けて」
彼の語尾には形容し難い重みがあり、まるで後光が挿しているようでもあった。おそらく、これが彼の本当の姿なのだろう。
「わかりました、晴明殿……お任せします」
「任されよ」
神奈・裏葉・晴明と別れた柳也たちは、前以上のスピードで本殿を目指した。
「あれは……!」
「炎!? 金剛の寺が燃えている!?」
やっと視界に捕らえた本殿は、赤々とした炎で夜空を染め上げていた―――大火事だ。
「いかん! 中にはまだ神奈の母が!」
そのまま正門をぶち破り、中庭に流れ込んだ一行。
そこで見たものは―――炎の照り返しにより、毒々しいまでに赤く染め上げられたウィツの巨人。
それに相対する血だらけの柳川。
彼の後ろに守られるように震えているみさき、彼女に抱かれたままぐったりとしているスフィー。
そして―――
A 柳川&待ち伏せ部隊の人間で、戦闘可能な人間を指名してください。
柳川、みさき、スフィーは状態が確定か…
では、セリオ、舞、邊那初。
それともちろん、ジョーカーの朧!(どこにいるのかワカランけど)
…この場合、華瑠羅と綾香がKOってことになるのかな?
柳川を中心に、セリオ、舞、邊那初が巨人を取り囲み、今にも襲いかからんとしていた。
「……人数が、足りない?」
そう思って辺りを見まわすと、門際の壁に綾香と華瑠羅が苦悶の表情で寄りかかっていた。
「綾香! 邊那初! 大丈夫か!?」
慌てて駆け寄る。
「あら……あるじ様、元に戻られましたの……よかった……」
彼女は頼光に一瞬視線を送ると、ニコリと微笑んだ。
「華瑠羅……お前は……」
「私としたことが……あら、桐花みたいですわね。少々油断してしまいまして、ほら、これを」
そう言って両腕を突き出した。……あらぬ方向。曲がってはいけない方向へ曲がっている。
「さすがにこれでは剣は握れな……ッッ……!」
「華瑠羅! 大丈夫か!?」
「私は大丈夫ですわ……それより……」
「アンタ……カッコつけてんじゃないわよ……」
華瑠羅の横に倒れている綾香がうめき声に近い声をあげた。
「みさきと……スフィー庇って……そんなになったってんのに……カッコ……つけてんじゃ……」
「あら? そうことは自分で言っては格好がつかない。違って?」
「クスッ……そのとお……ッッ!」
綾香の顔が苦痛に歪み、油汗が流れる。
彼女は横になったまま、自分の下腹部を押さえている。
「まったく、油断なんてするモンじゃない……わね。いいのを一発もらっただけで……こうなるなんて……」
「大丈夫か、見せてみろ」
頼光は綾香に近づき、服を少し捲ってみた。
「失礼」
軽く手を当て、患部の状況を探る。
(……アバラが完璧にヘシ折れてるな。いや、それだけではない。ひょっとすると内臓にも……)
「はは、今回はちょっと……マズイかも……ね……」
(ともかく、一刻も早く医者に……っ!?)
頼光が顔を上げると、そこには厳しい顔をした国崎が立っていた。
「俺に任せろ」
その無言の重圧に気おされした頼光は綾香から離れた。代わりに、国崎が綾香の腹部に手を当てる。
「あら国崎、ずいぶんと可愛くなっちゃっちゃじゃない……ッつ!」
「どんな感じがする?」
「ちょっと寒いかも……ってあれ?」
見れば、綾香の下腹部に当てた国崎の手が淡い光を放っている。
「あった……かい?」
「『方』術の一つ、生の癒しだ。闘うのはちょっと無理かもしれんが、大人しくしてれば一晩もすれば治る」
「ずいぶんと……面白い能力ね……」
「お疲れ様。お前は寝ていろ。後は俺たちがやる」
「ちょっと……お言葉に……甘えさせて……もらおう……かし……ら……」
綾香はそのまま糸が切れるように寝こんでしまった。だが、その表情は安らかだ。
(疲れていたんだろうな……)
「華瑠羅、大丈夫か?」
「ええ、国崎さんのおかげで」
彼女の腕もすでに国崎の術で治療してある。青黒く変色していた骨折部分も、今は少々の痣になってるぐらいだ。
「華瑠羅、お前も休んでいろ」
「ですが、あるじ様……」
「命令だ」
「……はい、わかりました」
「状況は!? 柳川!」
柳也は抜刀しつつ、柳川の隣に並んだ。
『……あまり……よろしく、ないな。できれば、神奈の母を、助けに行きたいところ、だが、あいつが通してくれない。
今の、あいつは、怒り、に、我を、忘れて……いる。何とかして、奴を、かわさ、ないと……』
すでに柳川もかなりフラフラの状態で、棍を杖にしてやっと立っているようにも見える。
「おいお前大丈夫か? 血だらけだぞ?」
『この、程度……ともかく、俺たちが隙を、作る、から、お前たち、で、神奈の……母、を……』
「……わかった」
誰が神奈の母を救出しに行きますか?
A 白い悪魔を駆る柳也
B 帰ってきた国崎最高
C もう一人の巨人、頼光
(※ 結界を破らねばなりません)
難しい・・・。
頼光はディーと対戦させた方がいいとして、
翼を得た最高と、謎の意思を持つ(のか?)白い悪魔が気にかかるでのう・・・。
本当ならA&Bとしたいところだが・・・。
・・・使命に燃えよ。
柳也with白い悪魔、いざ駆らん!
俺は白い悪魔の首筋を軽く撫で、後ろ歩みに下がらせた。
「柳川、往人、頼光……一瞬でいい。奴を本殿正面から剥がしてくれ。
こいつの脚があれば……一瞬でいい。一瞬で十分だ」
『オーケイ』
「やってやろう」
「ではないか」
皆が手に手に武器を構えなおす。
「滅ボス……小サキモノヨ……我ガウツセミヨ……」
じりじりと間合いを詰める柳川たち。そんな中、彼の隣に頼光が近づき、囁いた。
「柳川殿。奴の名前は『ウィツアネミティア』。私にも詳しいことはよくわからないが、ただ一つだけ言えることがある。
……奴は、神だ」
『神? おいおいおい……』
「……だが、今の奴は半身にすぎない……勝てる。我らなら、勝てる。……必ず!」
重く、静かに。だが言いきった。
『やれやれ……古代の鬼ときて翼人ときて、最後は神様か……面白い』
そんな中、柳川は不敵に笑った。
………………しばしの沈黙。
『征くぞ! みんな!』
A 柳川視点でウィツと闘う
B 柳也視点で比丘尼を救出する
B
柳也と白い悪魔だけじゃ結界を敗れないんじゃないの?
「うおおおおおおおおお!!!!!」
まずは国崎が空からウィツに吶喊する。紫色の剣を具現化させ、急降下とともに一撃!
「ム……ツ……ミィィィィィ!!!!!!」
だがその斬撃は巨人の腕を掠めるに終わり、空いた腕を振り上げ、地上に降り立った国崎を狙う。
「邊那初!」
『セリオ!』
「「はい!」」
俺と頼光の号令に合わせ、槍の邊那初と弓のセリオが同時に攻撃を叩きこむ。
大したダメージには至っていないが、それでも攻撃を一瞬遅らせることはできた。
「ヌオオオ…………」
まだだ。今の目的はこいつを動かすことだ!
「次は私だ!」
「……討つ」
国崎に気をとられた瞬間を狙い、頼光と舞が跳躍、前後から同時に襲いかかる。
「我が空蝉よ、まだ我らの時は満ちていない! 眠れ! 今一度!」
「先生の敵……許さない……みんなを悲しませた……許さない……」
「グオオオオォォォォォォ…………!!!」
巨人は唸り声を上げ、二人を叩き落そうと腕を振りまわす。
だが、頼光は全て鉄扇で受け流し、舞は……
『……舞が、5人いる!?』
真後ろの舞に腕が直撃したかに見えたその瞬間、舞の姿が一瞬増えたように見え、気付いたら肩口に乗っていた。
「せい……あっ!」
ザシュゥッ!
「グガアッ!」
小太刀を逆手に持ち、肩に突き立てる。巨人すぐさま振り払おうとするが、舞は即座に離脱した。
……さて。
その時俺はというと、奴の側面に回りこんでいた。
足の裏に地面の感触をしっかりと確かめる。
『ふぅぅぅぅぅぅ………』
一回だけ深く呼吸を吐き、そして吸う。すでに俺の中で鬼の力は完全に掌握した。今なら……
『ハァァァァァ!!!!』
一瞬で完全に鬼化し、大地を蹴る。真っ直ぐにウィツへ向かい、そのまま体当たりをぶちかました。
どぉぉぉぉ……んというにぶい音が山間に響く。
いくら奴が大きかろうとも、加速のついた鬼の体当たり、よろめかないわけにはいかない。
『今だ柳也ァ!!!』
「応よ!」
ガッ、と悪魔が地を蹴り、走り出す。俺と、巨人の間にできた隙間めがけて。
「グオオオオオオオオオ!!!!!」
巨人が腕を振り上げるがすでに遅い。それを振り下ろす僅かな間に、一人と一匹はすり抜けた。
下ろした腕は空しく地を削る。
『さあ……ここからが本当の闘いだ!』
白い悪魔。この馬はもはや竜馬の名を冠してもいいぐらいであろう。
何度か名馬、と呼ばれる馬を見たことがある。だがそのほとんどはロクな実戦経験もなく、ただ脚が速い、
もしくは馬主が名士、というのがほとんどであった。
だが、こいつは違う。明らかに実戦のために存在する馬だ。
「……お前ともう少し早く会えてれば俺は将軍になってたかもなぁ!」
「ヒヒヒ〜〜〜〜ン!!!!!」
高らかな嘶き。
こいつは燃えさかる寺院の中を、全く恐れることなく突き進んでいく。
時々瓦礫が落ちてくるが、俺が指示するまでもなくかわしきる。
「大した奴だ!」
本堂入り口前に大きな穴が空いていたが、これも難なく飛び越えた。
「そこまでです」
「ッ!?」
本堂に飛び込んだ俺たち。それを出迎えたのは、先ほどふん縛ったあの男……確か……
「貴殿とは先ほどお会いしましたな」
「飛燕、とかいったか」
「はい。先ほどは不覚をとりましたが、今度は……そうはいきません!」
叫ぶやいなや、男の体は膨れ上がり、巨大な蒼い鎧鬼と化した。
「貴殿にはここで死んでいただく!」
A 応戦する
B 白い悪魔の脚を信じる
B
「……お前の脚を信じるぞ」
悪魔の首筋を軽くはたき、耳元で囁いた。
「ぶししっ、ぶししっ」
「では……参るッッッッ!!!!」
ゴウという風を切る音と供に、飛燕が突進した。
悪魔はそれを横っ飛びでかわすと、一気に祭壇に向かって走った。
「させん!」
だが奴は振り向きざまに長刀を俺たちの目の前に叩きつけた。
「チィ……!」
「この部屋から先、一歩も進ません!」
「ぶるるる……ぶるるる……」
悪魔は低く唸りながら部屋を見まわす。
「……………」
すでに火はこの部屋をも覆おうとしており、実質的な行動可能範囲もかなり狭まっている。
「行くぞ!」
飛燕が長刀を横に薙ぎ払う。悪魔はこれを飛び越え、部屋の中をグルグルと駆け回り始めた。
「小癪な!」
奴はぶんぶんと長刀を振り回すが、悪魔の脚はあまりに速く、捕捉しきれない。
そんな中、悪魔が急に脚を遅めた。
「ぶししっ」
「ってオイ! お前……!」
「もらった!」
奴はこの機を逃さず、全力を込めた突きを繰り出してきた。オイオイオイオイオイ!!!!
――奴はお前の心の臓を狙っている。逸らせ!
……っ!?
急に頭に声が響いた。だが今はそんなことを考えている場合ではない。俺は声に従い、ギリギリの位置でその突きを受けとめた。
ガキッ、キィィィィン!!!
金属のぶつかり合う甲高い音、俺から逸れた切っ先は俺たちの真後ろの支柱に突き刺さった。
「クッ、しくじった!」
悔しそうな奴の声。だが白い悪魔は奴への攻撃は選ばず、一直線に祭壇へと向かった。
「待て!」
即座に長刀を抜き放ち、こちらへ向かってくる飛燕。だが…………
メキメキメキメキメキ………
『軋む』音が聞こえた。
「な、なに!?」
振りかえった俺が見たもの。それは、焼け爛れた支柱が飛燕の一撃によって自重を支えきれなくなり、奴に向かって倒れこむ光景だった―――
すでに一回見た光景は流れるのが速い。こいつの脚なら尚更だ。
そのまま俺たちは母上の部屋に流れ込んだ。
煙はこの部屋にまで充満していたが、母上は顔色一つ変えることなくその身をさらしていた。
「母殿! 速くここからお出になってください! もうすぐここも火に包まれます!」
「……よいのです、柳也殿」
「なぜゆえに!?」
「……この身はすでに穢れております。今更神奈に会うわけにはいきません。
全ての穢れと呪いはこの身に残し、わらわは天に帰りましょう」
「……ふっ、ふっ……」
俺は思わず叫んでしまった。……失礼なのは承知の上だ。
「ふざけないでくれ! あんたはそれで満足かもしれない! だがな、神奈の気持ちはどうなる!?
神奈はここまであんたに会いたい一心で来たんだ! 俺は神奈に誓ったんだ、あんたと神奈を会わせるってなァ!
厭と言っても連れていく。無理矢理にでも連れていく!」
「……………」
だが、それにはこの結界を何とかせねば。
A 母殿になにか方法はないか聞く。
B 辺り一帯を調べてみる。
Aか
それにしても白い悪魔…ただの痩せ馬だと思ってたのに一体何者(w
ヒエン弱すぎだし(w
あと正確には『ウィツアルネミテア』。
>>303 「連邦の白い悪魔」だからな、きっと載っていた将軍の名前が安室玲とかだったんだよ(w
そろそろクライマックスか?
「母殿、この結界を破る手立ては無いのですか?」
「無理です…この結界は『方陣結界』と言って五芒星を描く中心に封じる結界…起点部分は術的には無防備でも
その代わり中央に閉じ込められている者には手も足も出ないのです…」
「クソッ!此処に来て…」
柳也が悪態を付くと何かが砕ける音が…何処から聞こえた気がした。
「…妙ですね…結界の力が弱まっている?」
「何?どう言う事ですか?」
一方、その頃朧は───
「此れで四つ目だ!」
ガキィン!!
朧の小太刀が台座にあった宝玉を砕く。朧には感知できないが方陣結界の術力がそれによって弱まる。
(なるほどな…俺にしか出来ない訳か…)
少し時を遡るが──
『朧、お前には母殿の結界を破って貰いたい。』
「何?俺は術の事はさっぱり判らんぞ。」
「いえ、母殿を封じている結界は『方陣結界』と言って結界を形作る部分は術的には無防備なのです
母殿の部屋が此処でこちら側が北だから恐らく…」
晴明は地図に五芒星を書き込みその起点を記していった。その起点は赤く彩られた未探索地域だった。
だがその点同士の距離はかなり離れていた。
「それとこの符を使ってください。『神速符』と言って一時的に驚異的な脚力を得られるものです」
晴明は朧に『急律如神速』と書かれている符を渡した。
『お前の隠密の力と俊足を信じる…お前がこの作戦の要だ』
「応!任せておけ!」
朧は結界の要を破壊すると風のように次の地点へと移動した。その動きは正に疾風であった。
先の結界の守護者も朧を目に捕らえる事無く討ち取られ、砕けた宝玉の側に横たわっていた。
(後一つ…それまでもってくれよ、俺の脚!)
「…今なら結界を内側から破れるやも知れません。柳也殿、下がってください」
八百比丘尼は柳也に退くように促すとその場で座禅を組み静かに瞑想しだした。すぐ側に死が迫っていると言うのに
明鏡止水を思い浮かばされるほどの落ち着き様であった。
「…御…律…戒……裂!!」
彼女が念を放つとその身から強烈な光が辺りにそれが満ちたと思うと凄まじいい轟音が…本来は聞こえるはずの無い音が
山中に響いた。柳也は思わず耳を塞いだがその音はまるで魂に直接響くような轟音であった。
ガキィィィィン!!!
そしてその音は離れた場所にいた晴明達にも聞こえていた。
「…なんじゃ?この音は?」
「結界が…母殿を閉じ込めていた結界が破れたようです」
「と、言う事は母上に…やっと会えるのじゃな?」
「それは…彼等次第です。神奈様…彼等を信じて待ちましょう」
「うむ…」
その音が山中に鳴り響く寸前に朧が最後の宝玉を砕いた。そして、その音は朧の耳にも入った。
「…どうやら結界は破られたようだな…ぐッ!脚が…」
朧の脚は限界を超えて酷使された為に既に限界に達していた。そして朧はそのまま腰を降ろした。
「ふぅ…俺の役割は此処までか…兄者…柳川…後は任せた…」
そう呟くと朧はそのまま大の字に寝転がった。
そしてその音はディーと相対する柳川達の耳にも聞こえた。
『この音は…どうやら朧が宝玉の破壊に成功したようだな。お前の負けだ、ディー!!』
「ヌゥゥゥ!!オノレ、塵共ガァ!!!」
「来るぞ!!」
「母殿、早く此処を───」
そう言った後、前来た道を振り向くと其処には全身に火傷を負いながらも迫り来る蒼い鎧鬼がいた。
「…行かせません!!」
くッ…どうする?
A おじいちゃんが不肖の孫を回収に来ました
B 八百比丘尼の力で…
C 白い悪魔の真の力が…
D 脇役は黙っていろ!柳也、怒りの一撃!!
A ゲンジマルだけに源氏の棟梁っぽいなw
うたわれネタなんだかわからんが、何でAだけ雰囲気が違いすぎるんだ?w
┌┬┬┬┐
―――┴┴┴┴┴―――――、
. . /  ̄ ̄ ̄//. ̄ ̄| || ̄ ̄ ̄||| ̄ || __________
./ ∧// ∧ ∧| || ||| || /
[/____(゚_//[ ].゚Д゚,,) ||___||| || < 不肖の孫を回収に来ました
. ||_. * _|_| ̄ ̄ ∪|.|. |ヽ.__|| \__________
. lO|o―o|O゜.|二二 |.| ゲンジマル ||
.| ∈口∋ ̄_l__l⌒l_|___|_l⌒l._||
 ̄ ̄`ー' ̄ `ー' `ー' `ー'
(くッ…早く出ねば此処も焼け落ちてしまう…)
そろそろ煙によって息苦しくなってきただが此処を出る道は飛燕が塞いでいる道しかない。
(母君殿を担いで白い悪魔のあの機動力が発揮できるか…)
「覚悟は宜しいですか?」
飛燕は長刀を大上段に構え今正に柳也に向けて振り下ろさんとしたその時───
「…?どうしたんだ?」
飛燕はその構えのまま動こうとせず、長刀を床に落とした。その後ろには初老の隻眼の男が立っていた。
「馬鹿者が…偽りの力に惑わされおって…」
「…あんたは何者だ?」
柳也は男に尋ねたがそれより先に母君殿に気付いてその場にひざまづいた。
「御久しゅう御座います、八百比丘尼様」
「ええ、あなたの方も息災でしたか?源次丸」
「げッ、源次丸?」
(源次丸…飛騨の山奥の武門に誉れ高い一族出身でその剣の腕一つで名を全国に轟かせ
その数々の軍功からその名に「源」のを付ける事を許された伝説の侍…こんな所で会えるとは…)
「して、そこの御人…不肖の孫がご迷惑掛けて申し訳ない」
そう言って源次丸は柳也に頭を深々と下げた。
「い、いえ。あなたに頭を下げてもらうなんて…それよりも二人はお知り合いで?」
「ええ…ちょっとした知己です」
「若い頃はお世話になりもうした」
「それよりも…彼には会わないのですね…」
「…はい。某はあの方に刃を向ける訳には行きませぬ。それよりも比丘尼様、この馬鹿者を叩き起こして下され」
「そうですね…では」
母君殿が仁王立ちしている飛燕に手を触れると飛燕の体が輝きだし
光が収まる頃には元の姿に戻っていた。
「それでは某は此処で…」
源次丸は飛燕を担ぐと出口に向かった。その場から去ろうとする前に柳也に話し掛けてきた。
「其処の若者よ…いい目をしているな。あの方を止めてくだされ…」
「…判りました。俺に任せてください」
柳也達が外に出て見た光景、それは───
A 柳川達がディーを押していた
B 柳川達がディーと互角に闘っていた
C 柳川達がディーに押されていた
C
母殿を悪魔の後ろに乗せ、燃え盛る寺院の中を出口に向かう。
「わらわに触れては……」
「何も言わなくていい。大体の事情は知っている。ともかく俺はあんたを神奈に会わせなきゃならないんだ」
「…………」
そこまで言ったところで、俺は貴婦人に対するあまりな言葉遣いに気づいた。
「っ……申し訳ありません母殿! あの、その……」
「フフ……」
だが、彼女は笑った。
「いえ、よいのです柳也殿。わらわも長く……あまりにも長く生きてきましたが、お主のごとき忠臣は初めてです」
「…………」
参ったねコリャ。
「外で暴れているのは……ディーですね」
不意に、彼女の言葉が重くなった。俺も思わず息を飲む。
「……あの子は、可哀想な子です……そもそも星の記憶は羽の巫女しか……女子(おんなご)しか受け継げません。
けれど、あの子は記憶を求めた……わらわは、あの子には普通の幸せを求めてもらいたかったのに……」
「…………」
「あの子はここで生まれ、ここで育った。記憶が受け継げぬのならせめて知識だけでも増やそうとあの子はここに存在する全ての
書物、経典を読み漁り、それでも足らぬと行脚僧を駆り出して情報を集めたがそれでも満足しなかった。……いつしかあの子はここを抜け出した。
まだ幼い、神奈を残して……」
彼女の懺悔するような独白は続く。
「そして、先日あの子は帰ってきた。出たときと変わらぬ姿で。……だが、変わらなかったのは姿だけだった。
あの子は……別人になっていた。いつも静かに本を読んでいたあの子とは思えぬ……所業。
彼に触れようとした僧兵は全て切り刻まれ、雷を操って反抗する寺々を焼き払い、何時しか物の怪を引き連れて高野山を奪い去った………
柳也殿、頼みがあります」
『その』瞬間、業火の中にいるにもかかわらず、俺はあたりの空気が凍りついた気がした。
「あの子を……いえ、ディーを殺してください」
「……ッ!!!」
「ディーはすでにディーではありません。これ以上その身を穢すのはあの子も望まないところでしょう。
……取り返しのつかないことになる前に、あの子、いえ、奴を、殺してください!」
俺は……
A わかりました
B なんとかする方法があるはずです!
Bで。
不殺の誓いは有効なはず。
彼女の悲痛な懇願。その心の痛みはどれぐらいものだろうか。
我が子を殺してくれ、などと頼むことは。
だが……
「断ります」
俺はそれを受け入れるわけにはいかなかった。
「な、何故です! あの子は、いえディーは神奈をも狙っているのですよ!?」
「その神奈の命令です。俺は神奈に誓いを立てましてね。この旅の途中、一切の殺生をしない、と。
ただの一人も殺さない、と」
「な……」
表情は伺えないが、おそらく彼女は文字通り絶句しているだろう。
「あ、あの子は、そんな誓いをお主と?」
「ま、ここまで何とかやってきたんです。幸い坊主もこの辺りにはほとんどいませんでしたからね。
こうなったらついでにディーも何とかしようじゃありませんか」
「…………」
もはや絶句を通り越して呆れているようだ。
「……お主、相当の痴れ者のようだな」
「よく言われます」
「嫌いではない」
「どうも」
ちょうどその時、俺たちの目の前に出口が見えた。
……だが、同時に巨大な柱が倒れ掛かり、それをふさごうとしている。
「悪魔!」
「うるさい! わかってる!」
……どうやら先ほどのは気のせいでなかったようだな。こいつは喋れるようだ。
「まあいい! 話しは後でゆっくり聞かせてもらうぞ! 未来人やら物の怪やら翼人やらで驚くものはもう何もない!」
「ああそうかい!」
針の穴を通すような動きで、悪魔はそれを潜りぬけた。
――ディーのこと、お願いします。
最後の言葉は空耳だったのだろうか。
「グ・オオオオオオオォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!」
外に出た俺たちを出迎えたもの。それはディーの唸り声だった。
「柳川!」
気がつけば目の前に柳川が倒れており、それをみさきが必死に揺さぶっている。
「先生! 先生! しっかりしてよ先生!」
俺も慌てて馬を下りる。
「おい柳川! 大丈夫か!」
『っ……その声は、柳也、か……どうだ、神奈の母、は……助け出した、か……?』
「わらわならここに」
俺が答える前に、母殿が柳川の顔に手を当てた。
「お主、目が……」
言われて気付いた。柳川が血の涙を流している……いや、目を負傷したのか。
『ちょっとドジ踏んじまってな……俺と、した、ことが……』
「チィ……」
程度の程はわからんが、これでは闘えんか……
『逃げろ……神奈の母を救出したのなら……ここにはもう用は無い……引け……』
「クッ、だが……!」
A ここはいったん逃げる。
B こいつを倒さねば、いや、救わねば終わらない。
C その時、みさきの耳が何かを聞きつけた。
C.
一体彼女は、何を聞きつけたのであろうか。
「……ッッ! みんな、静かに!」
その時、突然みさきが叫んだ。
一瞬固まる面々。ディーは自分を囲む連中が急に動きを止めたのを訝しがってるようだ。
「………どうした?」
「声が……聞こえる……大勢の人の………叫び声………ううん、唸り声?
それと……ひゅるるる……っていう笛みたいな……」
……しまった!
「鏑矢! それに鬨の声!」
翼人伝の記述にあったものだ! クソ、引き際を間違えたか!
『……あれか。お前の本にあった……』
「まずい……こいつを相手にして、しかも軍勢までもは……」
「おどきなさい」
不意に、母殿が凛とした声をあげた。
「確か……柳川殿、でしたな?」
『はい……』
その手でゆっくりと柳川の両目を覆う。
「……申し訳無い。このようなことに巻きこんだ上、怪我まで……」
『……気にしないでくれ。性分だ』
「……フッ」
母殿はクスリと笑うと、空いた手を服の中に入れ、背中に回した。
「何を……?」
「ツッ!」
小さな声を上げると、彼女は手を元通りに袖から出した。だが、その手には……
「羽?」
光る一片の羽が握られていた。
「わらわにはこの程度しかできません……」
そう言いながら、その羽を柳川の目の上に乗せた。一瞬強く輝く。思わず目が眩んだが、次に見たときは跡形も無く消えていた。
その代わり、柳川の目から流れ出る血が止まっている。
『……あ、え?』
呆けた顔の柳川。
「……せめてもの、礼です……」
『あ、ありがとうございます……』
よろよろと立ちあがる。そしてこちらを向いた。
『だが柳也、マズイぞ。もう軍勢が攻めこんでいるということは……』
言わんとすることはすぐにわかった。
「……神奈が危ない!」
A このままディーと戦う。
B 神奈の元へ撤退する。
C 今は晴明殿を信じるしかない(神奈視点へ)
Cで
「晴明様、今の声は……」
「どうやら、どこぞの軍勢が攻め入ったようですな。……結界解呪か」
三人は高野の山林の中を走っていた。
どこか安全な場所を探してのことではあったが……
「ならば、いったん柳也殿と合流した方がよいのではないか?」
神奈の言葉の中には、一刻も早く母と会いたい、という気持ちがありありと見てとれた。
だが
「……申し訳ありません神奈殿、正直あのディーと名乗る者、並大抵の実力ではありません。
しかもお話によると頼光殿と同じく巨人化したとのこと、あそこに戻るのは危険すぎます。
彼の目的は貴方なのです」
「……っ」
少し悔しそうに爪を噛む神奈。そんな中、裏葉が言った。
「ですが晴明様、このままでは我々も囲まれて……」
「伏せなさい!」
ビィィィィィン……
一瞬の内に、晴明は二人をねじ伏せた。
二人が立っていた空間の真後ろの木に、突き刺さった矢が震えて音を放っていた。
「チィ、外したか!」
「囲め囲め! 逃すな!」
辺りの藪の中から複数の声が聞こえる。
(話し合う余地はないようですね……)
晴明は自分の懐に手を入れ、札を数枚握り締めた。
「爺、何者だ」
おそらくこの隊を率いていると思われる男が、刀を構えながら歩いてきた。
あまりに酷い訛りの為、晴明にも一瞬何を言ったのか聞き取れなかった。
「安倍晴明……と言えばわかっていただきますかな?」
「知らん。まあいい、お前の後ろの娘子をよこせ」
周りからきりりと弓を引き絞る音が聞こえた。
(やれやれ、私の名前も都一円だけということですか……)
「断ります」
「なら死ね」
それ以上の警告も無く、男は斬りかかってきた。同時に辺りから矢も放たれる。
「玄武!」
晴明が叫ぶと半透明のドーム状のものが三人を囲み、斬撃も矢も全て弾き返された。
「朱雀!」
さらに追い討ちで札を掲げる。巨大な火の鳥の幻影が刀の男に襲いかかる。男は叫び声を上げる間もなく気絶した。
(ありがたく思いなさい。あなたの魂を食い尽くすこともできたのですから)
―――不殺の誓い。
「この男、奇怪な術を使うぞ!」
「……ッッ! 怯むな! 数ではこちらが勝るのだ!」
藪から狼狽する兵士の声が聞こえる。
(やれやれ……)
「射て! 射て……な、なんだキサマは! ギャアッ!!」
不意に一人の声が恐怖の叫びへと変わった。直後、その方向の藪の中から一人の騎馬武者が現れる。
「……貴殿、名は?」
その男は兜を脱いだ。中からは筋骨隆々の大男が現れる。
「源頼光が臣下、邊那初の部下で玄雨(クロウ)っていいやす。道長様の内偵が終わりやした。
マズイことになりそうなので、即刻引き上げよとのことです」
A 詳しく事情を聞く。
B ひとまずここを離れる。
C 本殿のバトルへ(柳也・柳川視点)
んー、
とりあえず、神奈の安全を図りましょう。
心強い護衛もいるし。
離脱しながら事情は聞くという事で。
B。
C
柳川がみたいから。
「わかりました。ご案内、よろしくお願いします」
「ま、待て貴様ら!」
「い、生きて帰れると思うなよ!」
先ほどの兵士の残りが藪から飛び出してきた。
玄雨はそれを睨みつける。
「死ぬぞ、テメェら」
「わ、我らとてここで退いたら後がないのだ!」
「進むしか、進むしかな(ガスッ)ギャアッ!!」
叫んでる最中であったが、森の奥から飛んできた矢が兵士の膝を砕いた。
「ま、まだいたのか!?」
「そういうこった!!!」
「な!?」
もう片方の兵士が仲間に一瞬気を取られた隙に玄雨は間合いに飛び込み、強烈な峰打ちを叩きこんだ。
「ドリィ、グラァ、遅いぞ」
「そ、そんな……」
「馬に追いつけって言う方が無理ですよ〜」
木々の間から同じ顔をした二人の弓兵が現れる。
「だから馬術の訓練もしとけ、っつったんだ。まぁいい、晴明殿の馬を」
「は、はい」
「こちらに」
玄雨が神奈を、晴明が裏葉を乗せ、山間の獣道をひた走った。
話によるとこの先に彼らの陣があるらしい。
「申し訳ありやせんね、本来ならあの程度の田舎武士ども駆逐してやりたいところなんですが、
なにぶん手勢しかいませんで」
「いえ……それより、何がどういうことか教えていただけませんか?」
「……くだらねぇ宗教戦争ですよ。朝廷の一派と藤原氏の一部か結託して、翼人を抹殺しにかかったんです」
「な、なんだと!?」
玄雨の背中で神奈が素っ頓狂な叫び声を上げる。
「うわわっ、お嬢ちゃん、暴れないでくれ……っと。だが当然連中だけでは動員できる兵力が限られてくる。
俺らに声をかけてもウンという確立は低い。んで連中は奥羽の傭兵団を雇ったんです」
「奥羽……そうか、先ほどの兵、どうも訛りが強いと思ったら」
「ええ。けど連中は見事に裏切り、翼人の私有化を各策、結界が消えたんで黒幕の言うことは無視して攻め入った、ってわけです」
「……しかし、なぜ……」
「わかりませんか? 晴明殿ともあろう人が」
「……神は一つ、か」
「ええ。連中としては神は一つで充分なんですよ。自分等の都合のいい、ね。その前では翼人なんてのはたぁだ邪魔なだけ、ってことでしょうね。
ここのところ大々的な戦もないことですし、もう役立たず、ってことで」
ゴツン!
その時、神奈のゲンコツが玄雨の後頭部に炸裂した。
「イチチッ、お嬢ちゃん、何を……」
「馬鹿な! 何を馬鹿なことを言っておる! 我らは……母上は戦の道具ではないのだぞ!
戦うために産まれたのではないし、ましてや使い捨てるなど!」
「けどねぇお嬢ちゃん、世の中そういうモンなんだよ。やったモン勝ちでやられたモン負け」
「な……」
「生き残りたいなら、自分を見つめなおすことだ。その上で、歩むべき道を決めな。あんたはもうただの『神奈』じゃない。連中から見れば、『最後の翼人・神奈備命』なんだ」
「余は……余は……」
「神奈様……」
【神奈・裏葉・晴明・玄雨 高野山脱出】
【ドリィ・グラァは退路確保】
キュイッ
セリオの熱源探知機が神奈の脱出を確認した。
「柳也様、神奈様たちはどうやら高野山の脱出に成功したようです。……いくらか人員が増えておりますが……」
「おそらく玄雨たちだな。もしもの際の時の為、近くに待機させておいたんだ」
「よし……」
とりあえず後ろの憂いは無くなった。
だが、問題はこれからどうするかだ。
『ディー……』
「オオオオオオオオォォォォォォォォォォ!!!!!!!」
巨人は今度は門を背にして柳川たちを見下ろしている。
『……さて』
「どうする? 柳川」
国崎はホバリングしながら柳川に並んだ。
誰を中心に戦いますか?
A 主人公の柳川
B 柳也with白い悪魔
C 空蝉の頼光
D 最高な国崎
E ひとまず撤退
素直にAで
Dワラタ
「……柳川殿、もしや貴殿が持っているそれは破魔棍ですか?」
母が俺の手を指差し、言った。
『はい……確かそうだよな、柳也』
「ああ。翼人の遺跡と思しき古寺で拾った……というより、与えられたんだ」
「……なるほど……」
彼女は目を伏せ、何か考え込んでいるようだ。
「……貴殿らは……始祖様に会ったのですね……」
始祖? 俺がその意味を訊こうとしたその時。
彼女はするりと衣を落した。
光だ。光が満ちた。真っ白い、一つの影もない光が満ちた。
「我らの始祖は仰った。
力は今を、知は過去を、そして道は未来を汝に示すだろう
朽ちるものには知を与えよ。
戦うものには力を与えよ。
生きるものには道を与えよ。
我らのために戦うものに、祝福を。
風よ満ちよ、我らに満ちよ。我を守る、力強き勇士たちに風の祝福を」
独特の韻を踏んだ呪文が彼女の口から滑りでた。
『なにィ!?』
突然、俺の手の中から先ほどと同じような光が発せられた。
いや、舞も、セリオも、柳也も同じような状態だ。
『四神具が……輝いている!?』
「四神具は……」
羽を広げたまま、母が言葉を紡ぐ。
「その四神具は、そもそも翼人守護のために作られた武器です。
始祖様はわかっていました。人が我らの力を目の当たりにした時、何を考えるかを。
ですが、同時に、彼女は知っていました。我らを愛するのもまた、人であると。
そして仰いました。『真の友たる人間に、この刃を与えよ』と。
今がその時です……さあ、力は全て解放しました。……戦うのなら、お使いなさい。
人に非ざる、その力を」
戦うのなら? ははっ、今更何を。
俺は軽く棍を振りまわしてみた……いい。非常にいい具合だ!
『上等! ならば俺はあんたの為に、神奈の為に戦ってやろうじゃないか!
舞、セリオ、柳也、国崎……行くぞォォォォ!!!!!」
「「「「応!」」」」
『うるぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!』
全体重と腕力を込め、棍をディーに叩きつける。
「グオオオオオォォォォォォォ! 砕ケヨ!!!!」
負けじと奴も、その装甲がまとわりついた腕を振りかざす。
バキィィィィィィィィン!!!!
『砕ける』音が響いた。
砕けたのは……奴の装甲だ!
『行ける! 行けるぞ!!』
「白い悪魔!」
「ヒヒヒ〜〜〜〜ン!!!!」
俺の直後に柳也が滑りこむ。白い悪魔を伴って。
「小サキモノガ、我ヲナメルナァァァァァ!!!!!」
その時、ディーの腕が光った。
国崎の剣に似た紫色で、光った。そして指先に集約し、巨大な爪と変わる。
『奴もか……!』
「うおおおおおお!!!!!」
だが柳也は(というより白い悪魔は)跳躍し、ディーの頭を越えた。
「ナンダト……ナ、キサマハ!!!」
「砕けろ! ディー!」
――古の神よ、キサマが出るにはまだ早いのだ。眠れ、今一度。
……喋った!? 悪魔が!?
ドガッ、グシャァッ!!!
重力を伴った強烈な一撃がディーの肩口に食い込む。
今までだったら少々皮膚を切るぐらいだったそれが、今度は肩を半分ほど斬り裂いた。
「ッッ……オオオオオオ!!!!!」
苦痛の叫びを上げながらも、奴は無事な腕を伸ばし、柳也を引っつかんだ。
「くッ、しまった!」
『柳也!』
―― 一応そやつは我が乗り手、みすみす殺させるわけにはいかん!
バシィィィィッ!!
何かを打ちつけたような音が響いた。
『今度は何だよ!』
……角だ。悪魔の眉間に、巨大な一つの角が出現していた。
同時に、ディーの右腕が焼け焦げている。
「ガァァァァ……ッ!!!」
「白い悪魔……助かった」
――その名前、なんとかならんか?
「ならん!」
「はぁぁぁぁぁっっ!!!」
間髪入れず、今度は舞が飛びかかる。
「援護します!」
セリオの援護射撃がディーの膝を砕く。舞を迎撃しようとしていたようだが、体勢がモロに崩れた。
「せい……やあッッ!!!」
袈裟切りが一回。
「まだッ!!」
逆袈裟にもう一撃。
パシャァァァと血が降り注いだ。舞の上に。シャワーのように。
「……ヌ……ゥゥゥ!!!!」
崩れ落ちるディー。
『行くぞ国崎! トドメだ!』
「応よ!」
俺が正面から奴の脳天を、国崎が背後から奴の心臓を。狙って俺たちは飛びかかった。
だがその時、みさき君が叫んだ。
「ダメ先生! 離れて!」
『!?』
A このまま一撃を見舞う。
B 無理矢理体勢を変える。
C よくわからんが破魔棍でガードする。
D そんなこと言われても
B
いちおう安全策。
『ぐ……ゥ……ッ!!』
何のことかはよくわからないが、ともかくこの中で一番感覚の鋭いみさき君の言うことだ。
従っておいた方がいいだろう。俺は破魔棍を振るう腕を無理矢理押しとどめ、体を全力で反らした。
……途中、見た。奴の口の中を覗きこむ位置まできたとき、そこが凛々と輝いているのを。
バシュゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!
一瞬前まで俺の上半身があった位置を、閃光が突き抜けた。
かすってしまった前髪の一部とメガネが「蒸発」(あるいは消滅)した。
奴は光線を吐き出したまま、こちらに顔を向ける。ヤバイ! ヤバすぎる!
「チィ……ッ! 大丈夫か柳川!」
だがすんでのところで国崎がディーの顔面を殴りつけ、角度を変えさせることができた。
地面に降りた俺は慌てて距離をとる。
『あ……危ねえ。直撃くらったら……俺でも即死するところだった』
「先生……大丈夫?」
『あ、ああ。みさき君のおかげだ』
ピカッ
……後ろから強烈な光が届いた。
厭な予感を押し殺して振りかえる……あっはっは。
向こう側の山が消滅してるよ、アンタ。
『あははーっ』
笑うしかない。
「先生、その笑い方……」
「来るぞ!」
呆けてる暇は無い。国崎の叫びが俺たちを再びディーに向き直らせた。
キィィンキィィンキィィンキィィン………
口が光っている……というより光を溜め込んでいる……
「次はさっきよりでかそうだぞ! どうする!? 直撃食らえば終わりだ!
というか次は逃げ場が無さそうだ!」
A その時、スフィーが目覚めた。
B 神奈の母が前に出た。
C 先手必勝! 発射前に倒してくれる!
D 鋼鉄天使来臨
何故Dじゃない!?
バッドエンドくさいけど。
>>342 それはDでOK?
……長瀬衆の会話をオモイダセ
>>342は339に対して言ってると思うんだが。
念のため確認よろしく。
どうすればいいんだ
とりあえず
>>342の書きこみ待ちか。
……けどID変わってたら面倒だな……
これをどう進めるべきか…
A
>>342のカキコを待つ
B マヂで鋼鉄天使登場。若しくは代替手段を用いる。
C 久々に禁断の一手「リコール」
一応、マヂで出す場合も考えていない事は無いのだが…大丈夫かなぁ…
>>342がちゃんと書けば、混乱はなかったと思われ。
多分リロードしてチェックを入れるのを怠ってるんだと思う。
#リロードしてたら、ちゃんと補足があるはず
突っ込みか選択か判りづらい書き方をするほうが悪い、という事で、
342は申し訳ないが無視して、
>>346を選択するのが無難だと思う。
349 :
348:02/09/22 04:22 ID:Wf+2QJcP
>>348は
>>347の発言を反映した書き込みではないので
予めお断りしておきます。
#タイムスタンプと長さで判るとは思うが
ほら、リロードしっかりしていれば、こういう対応ができる。
>>342を責める気は無いけれど、今度から気をつけて欲しいね。
とりあえず、僕も
>>346を採用するほうがいいと思う。
文脈から考えても多分……
こうなったら後腐れなく選択肢で決めないか?
A 鋼鉄天使現る。
B 神奈の母が前に出る。
リコールは必要ないだろう。荒らしじゃないし、物語を壊されたわけでもない。
うし。Bで。
はい再開。
354 :
342:02/09/22 19:05 ID:+04srL64
ごめん。
文脈から選択肢の「決定」「指定」は行ってないから荒らしにはならんと思ってたのだが。
リロード忘れ。レス番指定忘れはいけなかったな。猛省する。
キィィンキィィンキィィンキィィン……
ディーの口内で見る間に光は膨れ上がっていく。
「ど、どうする柳川!?」
『ど、どうするったって……』
俺の方が聞きたいわ!
「白い悪魔! なんかいい方法は無いのか!」
――無い。
「ああ使えねえ!」
『頼光、邊那初、何か無いのか!?』
「――ッッ、あれ程の力、一体どこから!?」
「この人数では……脱出は無理です」
ただでさえあの二人は怪我人を守っているからな……
「先生……」
「先生ッ!」
「柳川様……」
キィィィィンキィィィィンキィィィィィィィン!!
光が臨界点に!
『やば……』
「止めなさい、ディー」
その時、凛とした声が響いた。
力強さと儚さ、それが同居したような……そんな声が響いた。
神奈の母が、俺たちの前に一歩進み出た。
「もういいのです、ディー」
「ガ……グア………」
『!?』
(収束が止まった!?)
まだ奴の口内に光は溜まっているが、どうやら収束は止めたようだ。
「これ以上その身を穢してなんになるというのですか。もう止しなさい、ディー。
我が一族の理(ことわり)には何物も抗えません」
「……チ……ガ……ウ……」
『ッッ!? 声が……』
その時漏れでた声は、今までの奴のものとは明らかに違った。
「ディー?」
「ボク……ハ……スクイ……タカ……ッタ……カアサン……ヲ……カン……ナヲ……」
振り絞るような声は続く。
「ボク……デハ……キオク……ヲ……ツグ……コトハ……デキナ……イ……
カアサン……ノ……カワ……リニ……ナル……コトガ……デキ……ナイ……
ダカラ……シラベ……タ……ツバサ……ノ……レキシ……ヲ……カアサン……ヲ……カイホウ……
スル……ホウホウ……ヲ……」
「ディー……」
「ソシテ……アノ……ヒ……ボク……ハ……テラ……ヲ…………ヌケダシ……タ………
『契約』ヲ……スルタ……メ……ぐぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「ディー!?」
突如奴が苦しみ始めた。
そして、次に聞こえた声は奴の……そう、巨人の声だった。
「契約ヲ破棄スルノカ小サキモノヨ……キサマハ知トチカラヲ得ルカワリニ、ソノ血肉ノ一片マデ我ニ捧ゲルト
誓ッタデハナイカ………」
「チガウ……チガウ……ボクガホシカッタノハ……コンナモノジャナイ……コンナモノジャ……」
「ソウカ……ナラバ、我ガ滅ボシテヤロウ……キサマヲ惑ワス……コノ屑ドモヲ……」
同時に、あの光がまた一段と強く輝き始めた。
「ヤメロ……ヤメロ……ヤメロ!!!!」
「ヌゥ、邪魔ヲスルナァァァァァァァ!!!!!」
「ディー!」
波動砲は……
A 発射された
B 暴発した
そーかレス番号書いて選んだらいいのか
A
そして柳川か国崎あたりが何とかしてくれ
『母君殿!!』
そして、ディーの口から先程より一回り太い光線を母君殿に向けて放たれた。その後ろには他の皆がいる。
バシュゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!
母君殿はその光線を前にして避けようともせず両腕を前方に突き出した。心なしか手が輝いていた。
光線が眼前に来た所で彼女は両腕を左右に開き光線を二つに裂いた。裂かれた二つの光線は
後ろの山に着弾し、山の一部を削り取った。
「凄い…これが、翼人の真の力か…」
「造作もない事です。柳也殿、全てを叩き潰す暴力だけが強さの全てではないのです」
とは言うもののタイミング一つ間違えれば全員塵一つ残さなかっただろう。
『あらゆる力を凌駕する…全知の力「星の記憶」か…』
「大神様…退いて頂けないと言うのなら…再びお眠りして頂きます。始祖様、お手伝いお願いします」
そう言って母君殿は国崎に尋ねた。
「俺が?始祖?どういうことですか?」
「あなたのその姿、そしてその身に宿している方は我々翼人の始祖に当る方なのです。
そして、自らの父である大神『ウィツアルネミテア』を封じた方でもあるのです…」
「オン・リィヤーク…大封印か…」
頼光がその言葉を口にした。
「ええ…ですから、今しばらく時間を稼いでください」
「一体俺はどうすれば…」
(やり方は私が教える。私の言う通りにやって)
突如、国崎の中のムツミが話し掛けてきた。
「ならお前が代わりにやってくれ。俺だと自信が…」
(多分、無理。神具を媒介にして現世に存在しているから力を全力で行使できないの。
それに、私の人格が現世に存在するだけでも力を消耗するの。大丈夫、自分の力を信じて。)
「くっ、どうなっても知らんぞ」
「では…参ります…ЙЮ・・ЭЦП…Ч」
母君殿は術の詠唱を始めた。我々の世界の何処にも存在しない世界の法則そのものに干渉をする言葉を。
(いくよ…б…ёзы…жй)
「…б…ёзы…жй」
ムツミの詠唱に遅れる形で国崎も詠唱を開始する。
『いくぞ、みんな!出来るだけ動いて奴の的を絞らせるな』
「「「「応!!」」」」
A 頼光変身!
B 主人公!見せ場だ!
C 絶妙のコンビ。白い悪魔&柳也
D セリオ、ゴルゴ13モード
BBBBB!
『散れ』
柳川は一言だけ言い捨てた。
柳也・舞・セリオの三人は無言でうなづくと四方の壁の上に飛び乗った。
「オオオオオオオオ!!!!!」
ウィツはまたもや光を集めており、三撃目の準備に入っている。
(さて……)
柳川は腰を深く落すと、棍を構えなおした。
(分かっているな。大封印の術者である国崎と母君殿を狙うつもりか)
後ろでは国崎と母君殿が呪文を唱えており、さらに邊那初と頼光はそれと怪我人を守っている。
(とりあえず波動砲を何とかしないとな……)
先ほどの自分の判断は間違っていた。要するに、あれはごく強烈な銃弾だと思えばいいのだ。
ならば自分のとるべき戦法は何か。距離を詰めることだ。不用意に空中に踊り出ないことだ。
奴の口の角度を見ればある程度は軌道が予測できる。
などと考えているうちにも、ウィツの光はどんどん膨れ上がっていく。
「……滅ビヨ、小サキモノ」
今だ!
『行け!』
号令と同時に、ウィツの両側面から柳也(with白い悪魔)と舞が斬りかかる。
肉の裂ける音と共に、ウィツの体に深い刀傷が刻まれる。
だが、波動砲は止まらない。
「チィ、怯めよこいつは!」
「……到達します」
セリオがポツリと呟いた。同時に
ドゴッ!
鈍い音が響く。遥か上空から巨大な放物線を描いて落ちてきた矢が、ウィツの眉間に直撃した。
「――アマゾンの原住民の中には、亀を狩るとき、直接弓で狙うことはしないそうです。
一旦真上に打ち上げ、その落下速度を利用すれば甲羅を貫通させることもできるそうです」
「ヌオオオオ―――!」
さすがに脳天貫通というわけにはいかなかったが、ウィツの首が真下に折れた。
『チャンスッ!』
柳川は一歩前に出て、破魔棍を地面に突き立てた。
『そういう熱いキスは天にプレゼントするがいい!』
そのまま飛びあがり、なおかつ棍の先端部分に足をかけ、さらに加速する。
『ッオ……ラアっ!!!』
ばちこんという綺麗な音とともに、柳川はウィツの下がった顎を蹴り上げた。
ガクンとウィツの首が真上に跳ね上がる。
「ガアアア――――ッッ!!」
バシュゥゥゥゥゥゥーーーーーーー!!!!
一撃目よりも、ニ撃目よりも、さらに太い波動砲が今度は天空に向かって放たれた。
……雲が切り刻まれ、月が顔を覗かせる。
『っっシャア! 見たか!』
そして……
A 大封印が完成した。
B ウィツの切り札登場。
364 :
名無しさんだよもん:02/09/23 20:47 ID:jCgcYY6n
Aで。
「「オン・リィヤーク!!」」
国崎と母君殿の声が重なった。それと同時にウィツを中心に巨大な魔法陣が浮かび上がる。
「ヌッ!ガァァッ!サセルカァ!!!」
術に巻き込まれない為に全員が引いたところにウィツが波動砲を放とうとする。
その狙う先は──母君殿と国崎だ。
『まずい!』
その時──
A ディーがウィツを内側から止めた
B 頼光が変身してウィツを止めに走った
C セリオが口に向けて狙撃
D 術に巻き込まれる覚悟で柳川が飛び出した
E 白い悪魔がウィツを止めに走った
Eで行こう
「うおわっ!」
突如柳也が素っ頓狂な声を上げ、悪魔から落ちた。
「ッッ……突然なんだよ!」
――下がっていろ。
悪魔は吐き捨てるとゆっくりと歩いていった。
国崎と、母君殿の目の前……ウィツとの間へ。
そして美しき一角を振りかざし
――古代の神よ。退け。
……気のせいか? 悪魔の体が黄金色に輝いているような……
――キサマの時代は既に過ぎ、また遠い。今は人の世だ。キサマが出るには早すぎる。
「黙レ、若造ガ。ナラバ何故キサマハ小サキ者ニ手ヲカスノダ」
――……我らの母の、ご命令だ。
「母ダト……マサカ!?」
「それは……まさか!?」
ウィツと、母君殿が同じ反応を示した。
――そう、真なる八尾比丘尼様。
『八尾比丘尼だと!?』
俺は思わず振りかえり、母君殿を見てしまう。
『八尾比丘尼……って……貴殿がそうなのでは……?』
「それは……私に術法をかけた者たちが勝手にそう名づけただけです。
真なる母の比丘尼様は別にいらっしゃいます」
「奴メ……」
――そういうことだ。下がれ、ウィツアルネミティア!!
悪魔は、一喝した。
A ウィツアルネミティア、構わず波動砲発射
B 真なる八尾比丘尼、登場(あの人)
えー、B
だ、誰なんだ?
因みに八尾比丘尼→八百比丘尼。発音はあっているけど。
「いい加減にしなさい、ウィツアルネミティア」
巨人の背中から声がした。いや、門から誰かが入ってきた、と考えるべきか。
全員の視線がそこに集中する。
……一人の女性が、そこに立っていた。
「出番を間違えた役者ほど見苦しいものはないわよ? さっさと自分のあるべき場所へ帰りなさい」
「……キサマ」
巨人がその顔を女性に向けた。
「……私と戦うつもり? ……その深手で勝てるとでも思うの?」
「ッグ……」
その女性はウィツのことを気にかける様子も無く、俺たちに向き直った。
「あら? 確かあなたは柳川君だったかしら。初めまして、耕一君の様態はいかが!?」
『……はぁ?』
……何故俺の名前を? いや、それ以上に何故耕一の名前を?
『お、おいアンタ、なんで俺たちの』
「あのね、因果の流れっていうのは意外に脆いのよ。ましてや『観る』くらいなら」
『………』
ワケワカラン。
「ガァァァァァッ!! 構ウモノカ、キサマモホロボシテクレルワ!!」
ウィツはブチ切れたように、波動砲の照準をその女性に合わせる。
『あ、アンタ! 危ない……ぞ……って』
俺が警告しかけたその瞬間、ウィツの体が腰で二つに引き裂かれていた。
「馬鹿な子」
『…………』
「ガアァァァァァァァァァァッッ!!!!!」
激痛に吼えるウィツ。それでも死なないのは大したものか。
「さ、国崎君も翼の者も、さっさと封印しちゃいなさい。あ、息子は助けておいたから」
と言って自分の足元を指し示した。……そこには、裸のディーが転がっている。
「あ……」
思わず涙ぐむ母殿。
「ありがとう……ございます、八百比丘尼様……」
……さっきの一撃(見えなかったが)で助け出したのか!?
「ああ、お礼は後でいいから、さっさと封印しちゃいなさい」
「は、はい!」
「ああ……」
というより、白い悪魔と母君殿以外は全員ポカンとしている。
「よくわからんが、行くぞウィツアルネミティア!」
上半身だけで這いずる巨人の体を、巨大な魔方陣が囲んだ。
「Ι γομμανδ ψοφ , σευφσν υο ψοφσ πλαγε......」
この世の発音ならざる音を紡ぐ国崎。それに合わせ、無数の魔方陣が瞬きを繰り返す。
「我が空蝉よ……お前は早すぎたのだ……今はまだ我らが目覚めるべき時ではない………
眠れ、今一度。我もいずれそこへ行こう」
「まあ少なくとも人が人類として生きる間にはもう出番はないでしょう。
あなたも気をつけなさいよ、ハクオロ君」
「その名前を知っているとは……キサマは一体……」
「ヒ・ミ・ツ♪」
頼光にも見当がつかないようだ。
「ガ……オ……オオオ………記憶……星ノ……記憶……ワ……」
最後の抵抗でその身をふるわせるウィツアルネミティア。だが陣はビクともしない。
それどころか、国崎の詠唱に合わせて輝きを増す。
「Μακε α ηοοδ Δεαυθ Αμεν........」
国崎の真っ赤な目は輝き、ここではないどこかを見つめている。
あるいはそれは過去なのかもしれないし、未来なのかもしれない。
「……不可思議です。これほどのエネルギーはいかにすれば引き出せるのでしょうか?
にもかかわらず何故熱が発生しないのでしょうか? そもそもこれの源は何なのでしょうか?
……解答不能です」
「それはそうよ。世の中ゼロとイチだけじゃないのよ?」
「……私には、わかりません」
セリオにも今何が起きているのかはわからないらしい。
「……綺麗」
「……ああ。美しい」
柳也も舞も、呆けた様子でそれを眺めている。
その切っ先は既に下げられている。
『国崎……』
そう、その時の国崎(ムツミ)は……美しかった。その赤い瞳も、銀の髪も、そしてその漆黒の羽も。
輝きが全てを際立たせていた。
「……完成します」
「Αμεν,Αμεν,Αμεν....」
「グオオオオオオオォォォォォォォォ!!!!!!」
ウィツ断末魔のような叫びが響いた。
「大神様……お眠りください、今一度」
母君殿が呟いた。
光だ。
光が発現した。
巨大な光の柱がディーを囲むように立ち上り、天に突き刺さった。
たちこめていた雲は全て吹き飛び、月の光を遥かに上回る光量が山間を明るく照らし出した。
音は何一つ無い。だが、圧倒的は『存在』がそこにあった。
『これが星の力なのか……』
二次的なものであろう衝撃波があたり一面を薙ぎ払う。
本殿は火ごと跡形もなく消し飛び、当然全ての壁も、木も……いや、大地に立っている全てのものは薙ぎ払われた。
世界が白黒になる。俺はそんな光景を錆びた夢を見るような感覚で眺めていた。
俺たちの目の前にはあの女性が立ち、結界により衝撃波を止める。
「ありがたく思いなさい」
その間も、ウィツの姿は光の中でもだえていた。
しかしその影も徐々に足元から消えていく。
「ガオオオアアアアッッッッ!!!! 力ヲ、我ニ星ノチカラヲォォォォォーーーー!!!!!」
「ウィツアルネミティア……」
そして光は逆流。
全ては弾けた。
音は何一つしなかった。
俺耳はイカれたのか?
A 高野山戦、終局へ
B 撤退戦へ
超設定かよw そりゃ勝てんわ。
375 :
名無しさんだよもん:02/09/23 23:44 ID:UrPkD2/c
麗子を出すのかよ…其処まで読めなかったが…あっさり終わったなぁ。
A このまま素直に終わってくれれば…
377 :
コギャルとH:02/09/23 23:44 ID:5pwOQ6u0
『ま、それじゃ、乾杯……っと』
「乾杯ってどういう字を書くかご存知? ……『杯』を『乾かす』ですわよ」
『はい、はい……』
全ては終わった。
あの後、光が収まるとウィツの姿も、謎の女性の姿も、白い悪魔の姿も消え去っていた。
倒れていたディーも命に別状は無く、今は俺たちと同じくこの屋敷に身を寄せている。
……相変わらず神奈とは溝があるようだがな……
高野山に攻め入った兵士たちはあの光で戦意を失ったのだろう、蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
それを掃討するのは……俺の仕事じゃない。
『ん……ぐ……っ』
「あらあら、なかなかいい飲みっぷりですわね。私も負けてはいられませんわ」
母君殿は、今だ解呪が終わっていないため、屋敷の一角に社が設けられている。
晴明さんのお墨つきで、霊的に清められているようだからその中ならば呪いは抑えられるそうだ。
あとは、時間をかけて解いていけばいい。
……この時代の政治抗争には興味が無い。そういうところは道長が好きなだけやればいいのだろう。
どうせ後一年もあれば奴の独走体勢は固まるのだ。
『そろ、そろ……』
「あら、まだまだですわ。まだ始まったばかりではありませんか」
スフィーはあの後、しばらく寝こんでいたが今はブランクを埋めるように暴れまわっている。
よく食べ、よく遊び、よく寝ている。LV.1の姿とあいまって全く子供にしか見えない。
……現代へ帰るには、国崎の力を使うことになりそうだ。
ムツミの話によると、彼女の誘(いざな)いがあれば未来帰りの出力を引き出すことも可能だそうだ。
ただ、それには月齢の関係上次の新月まで待たねばならない。
『……もう、ダメだ』
「だらしないこと……」
お前が強いだけだよ、華瑠羅。
そう、俺たちは今頼光の屋敷に身を寄せている。
そろそろ夕飯だそうだ。それに合わせてお互いのメンバーを紹介する手はずになっている。
まだ少し時間があるな……
A みさき君のところへ行く
B 舞のところへ行く
C 国崎のところへ行く
D 頼光のところへ行く
DにしたいがあえてAで。
俺はとりあえずみさき君を探すことにした。
だだっ広い屋敷の中を、トコトコと歩き回る。
「柳川殿、どうなされました?」
不意に後ろから声をかけられた。
『ん? ああ桐花か。みさき君を見なかったか?』
「みさき殿でしたら、神奈様の部屋で先ほどお見かけしましたが」
『神奈の部屋? わかった。行ってみるよ、ありがとう』
一路神奈の部屋に向けて歩きだしたその時
「お、お待ちください!」
いきなり襟首引っつかまれた。
『ど、どうした?』
「あ、あの……」
桐花は真っ赤な顔をしてうつむいている。何やら言いにくそうなことのようだな。
「その……」
『どうしたんだ? 俺に何か訊きたいのか?』
「み、みさき殿と……」
『?』
彼女は意を決したように。
「みさき殿と、柳川殿は好きあっておられるのですか!?」
『ッッッ!』
何かと思ったら……
A Yes
B No
C 秘密
Bで。
B
俺が初音ちゃん派なのでB
「みさきさんと付き合ってるんですか?」
「No!No!No!No!No!No!No!No!No!No!No!No!No!No!No!No!No!
No!No!No!No!No!No!No!No!No!No!No!No!No!No!No!No!No!」
「じゃあ舞さんと付き合ってるんですか?」
「No!No!No!No!No!No!No!No!No!No!No!No!No!No!No!No!No!
No!No!No!No!No!No!No!No!No!No!No!No!No!No!No!No!No!」
「もしかして両方と付き合ってる?」
「Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!
Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!」
「もしかしてズンパンですかぁーっ!?」
「Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!
Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!
Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!
Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!
Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!
Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!」
Oh,my god!
すまん、ネタだ。流してくれ。
初音ちゃん云々以前にトウカのアタックがありそうだな
楽しみである
>385
ビビった
『な、何を言っているんだ桐花! お、俺とみさき君は師弟でありンな好き合ってるとかそういうことは……』
「なるほど……」
『何を納得している!』
「いえ、某めも参考にさせていただこうかと」
『……何の参考だよ』
「つまらぬことです。失礼しました。では、某はこれで」
……それだけ言うと、桐花は廊下の奥へと消えていった。
参考、ねえ……
『神奈、邪魔するぞ。みさき君は……っといたいた』
部屋の御簾をくぐると、そこではみさき君と神奈がお手玉をしていた。
「……みさき。お主、なぜそんな目で余より上手く出来るのだ」
「何となく。昔よくやってたから体が覚えてるんだよ。多分」
「裏葉より上手いやもしれぬ……って柳川殿!? いつからそこに!」
「今入ってきたところだよ。ね、センセ」
『あ、ああ……』
いや、二人はいいんだ。二人は。仲良くしてるのは。
それより、部屋の隅で……
「……………」
ディーが膝を抱えてこちらをジッと見ている。
……どうしよう。
A とりあえずディーに声をかけてみる。
B 放っておいて、神奈&みさき君と話をする。
A
『お、おいディー』
「あ、先生……」
俺はとりあえず、ディーに声をかけることにした。
色々あったが、とりあえず今は敵ではないし、神奈の兄である。
『お前もこっちにこな……』
「よい、柳川殿」
『え?』
神奈の冷たい一言。
「そやつは一人でいるのが好きなのだ。だろう? ディー」
「い、いや僕は……」
おずおずと俺たちの方へ進み出るディーだが
「お主は一人が好きなのだ。そうであろう? 外に散歩にでも行ったらどうだ?」
妙に怒気を孕んだ言葉……
「僕……外に出てるね……」
……ディーは行ってしまった。
A ディーを追う
B このまま二人といる。
そらもちろんAな訳だが……
このままさらりとエンディングまで行くんだろうかとちと気になったり。
この後は、金剛峰寺で待ちかまえてる川口さんとのバトルだろw
ってかいつ斎藤が出てくるかわくわくしてるのは漏れだけですか?
>>390 いやぁ、考えていたエンディングが使えなくなってしまったため
俺としては思いつくまでしばらくうたわれメンバーとマターリさせようかと考えてます。
>>391 やってないから無理(w
『おい、ディー』
「よいのだ、柳川殿」
と神奈は言うが無視するわけにもいくまい。俺はディーを追った。
あいつは中庭の真ん中にある池のほとりから、中を覗きこんでいた。
『おい、どうしたんだ』
「あ、柳川さん……」
振りかえった瞳は、虚ろだった。
「……僕、神奈に嫌われてるみたいなんです……」
二人、鯉にエサをくれてやりながら座る。
『そんなことは……』
……と言いながら、先ほどの神奈の様子と(ウィツに操られていたとはいえ)ディーのしたことを思い出す。
『………』
「あるんですよね……僕も仕方ないとは思うんですが……」
『いや……』
ぽいとエサを一握り池に放りこむと、鯉がばしゃばしゃと群がる。
「はぁ……僕、どうしたらいいんでしょう?」
A 誰かに相談しろ
B 何かプレゼントでもしたらどうだ
C 当たって砕けろ
D 時間が解決してくれるだろう
C!根性見せろ
『何言ってるんだよ! お前男だろ? 当たって砕けてみろ!』
「ええっ……?」
『どうせお前今まで神奈に引け目を感じてうじうじしてたんだろ。そんなことじゃ事件があったって無くたって
嫌われるに決まってる! 素直にぶつかって、「ごめん!」これでいいんだよ!』
「そ、そんな単純な……」
『単純? ンなこと言うぐらいならもう神奈にちゃんと謝ってるんだろうな』
「う……」
『そういうわけだ……行ってこい!』
「は、はい!」
よし、尻はひっぱたいた。あとはアイツがどうするか、だな。
……さて、夕飯までにもう一ヶ所ぐらいなら行けそうだな。
A 門前に行く
B 食料庫へ行く
C 水のみ場へ行く
D 渡り廊下へ行く
C
……なんとなく喉が乾いたな。水でも飲みに行くか。
「〜〜♪」
……先客がいた。黒い羽の女の子だ。胸が滅茶苦茶でかい。
「……ん? 誰?」
気付かれたか。いや、別にまずいことしてるわけじゃないからいいんだが。
『俺か?』
「うん、おじさん。新入り?」
言うにことかいておじさんかよ……
『違う。あ、いや、新入りには変わりないんだが……』
「私はカミュだよ。おじさん、名前は?」
『……柳川裕也だ』
「ふぅん……」
カミュと名乗った少女は見定めるような視線を俺に向ける。
「何してるの?」
『水のみ場に来た』
「……なるほど」
カミュの持ってる杯には水がなみなみとそそがれている。
『お前はどうしたんだ? 水を飲みに来たんじゃないのか?』
「ううん、ユズっちが水が飲みたいっていうから汲みに来ただけ。あ、ユズっちっていうのは私のお友達」
『……そうか』
「それじゃ、私は行くから」
そう言い残し、カミュは去っていった。
『……さて』
俺も水を飲むか。
……柄杓に水を汲み、口にあてていると、不意に後ろから声をかけられた。カミュの声だ。
「おじさんも……来る?」
A 行く
B 行かない
B
行かんのかいっ
もったいない…シクシク
「おじさんも……来る?」
『ん? いや、やめておこう』
「そう」
カミュは特に気を悪くした様子もなく、廊下の向こうへと歩いていった。
『さて……そろそろ夕飯か』
食堂に入ってみたが、まだまだ人数は少なかった。
まぁ、少し待てばみんな揃うだろう。
それまで……誰かと話しでもするか。
A 片隅で酒を飲んでる華瑠羅と話す。
B あわただしく食事の準備をしている少女に声をかける。
C 物陰からこちらをジッと伺っている女の子を発見した。
D 座席のド真ん中に陣取ってる舞。
B
エルルゥの事か?
たぶん。っていうかそれを希望。
意外な人物かもしれんが……。
『なあ、そこの君……』
「ああっ!? お椀いくつ出せばいいんだっけ? ええと……たしか予備のをどっかにしまい込んで……」
『少し話したいことが……』
「どうしよう、今日はお客様が多いっていうのに、食器が足りない……」
『あるんだが……』
「え? あ、はい。なんでしょ……」
ガッシャァァァァァン!!!!
ようやく話しかけたのに気付いてもらえたと思ったら、今度は持ってた皿を派手にブチ撒けた。
「あああっ! お皿が!」
『………』
しまった。やっぱり忙しい人間に声をかけるのはまずかったか……
『す、すまん、俺のせいで』
「いえ、そんなことは……」
とにかく手伝わんと。俺はその後しばらく割れた皿の破片を集めた……
「ありがとうございました」
『いや、もとを正せば俺が不用意に声をかけたのがまずかったんだからな。こちらこそすまなかった』
「いえ、そんな……あ、私はまだ食事の準備がありますので、これで失礼しますね」
『ああ』
そう言い残し、少女は厨房へと消えていった。
……あ。
『名前訊き忘れた……』
(名称不明の少女の好感度 +1)
さぁて、そろそろ人数も揃ってきたな……
見なれない顔も多い。
「よし、それじゃあみんな席につけ」
頼光の号令がかかる。
「……では、私と柳川でお互いの人間を紹介するとしよう」
『じゃ、最初は俺からいくか』
自己紹介……どうする?
A 「柳川裕也です。よろしくお願いします」と無難に。
B 「柳川だ。よろしく頼む」と少し怖い感じに。
C 「ヤッホー、ボクやなピー。これからしばらくご厄介になるYO!」と明るくフレンドリーに。
Aで。
『柳川裕也です。よろしくお願いします』
と、俺は無難に答えた。まぁ、おちゃらけた感じにやるのは俺の性に合わん。
皆から拍手が沸いた。そして次に頼光が自己紹介を始めた。
「そちらの方々は既に知っていると思うが私が源頼光だ親父殿は隠居しているので
私が畿内の源氏の棟梁と言う事になる…が、そんな事は気にせずに付き合ってくれ」
皆から拍手が沸く。頼光側の席から「流石、兄者」とか「流石は聖上。感服しました」等と聞こえる。
普通に自己紹介しただけだろ…と、思わず突っ込みたくなった。
そう言えば誰か足りない気が…それにさっきの…
A さっきから物陰から妙な視線を…
B ん?そう言えば国崎は何処に消えた?
C そんなこと気にせず自己紹介を続ける
Aで
B
ところで、頼光ってそんなに偉くなかったのでは?
武士というより、かなり貴族的な人だったみたいだし。
まあ、このスレではハクオロだからどうでもいいか。
「…………」
なんだアレは。
『…………』
向こうの自己紹介を聞いている折、それを発見した。
「…………」
『…………』
思わず「それ」と目が合ってしまう。
「う〜……」
『…………』
どことなくさっきの少女に似た雰囲気の女の子が、柱の影からこちらを凝視している。
「…………」
『…………』
どうすればいいんだ。
A 気軽に声をかける。
B エサで釣ってみる。
C 少し鬼化してみる。
D 頼光に尋ねる。
あえてC
>「ヤッホー、ボクやなピー。これからしばらくご厄介になるYO!」と明るくフレンドリーに。
・・・いい歳して先生の立場でそれやったらただの阿呆だろ・・・^^;
ズ………
俺は何となく怖がらせてみたくなり、少々鬼の力を解放した。
空気が重みを増し、異変を感じた一同がこちらを向く。
「柳川殿……?」
「先生、どうしたの……?」
怪訝な視線をこちらに向ける。だが、あの少女だけは目の輝きを増した。
「ん〜〜〜………」
喉を鳴らすような声を上げながら、こちらにトコトコと寄ってきた。
「ん〜〜〜………」
……抱きつかれた。
「あ、アルルゥ! お客様に何を!」
さっきの少女が声を上げる。
「ん〜〜〜……」
だがアルルゥと呼ばれた女の子は構わず、さらに俺に擦り寄ってきた。
『ああ、構わない構わない』
「キサマ……何をする……」
舞が怒気を孕んだ唸りを上げるが、俺はそれを制する。
『コラコラ舞、子供相手に大人気ないぞ』
「………っっ」
「ん〜〜〜……お名前は……?」
『いや、だからさっき言ったように柳川裕也だ』
「そんなのダメ。もっと可愛い名前つけてあげる……」
A ヤナっち
B ヤナヤナ
C ゲレゲレ
D [ ] ※お好きな名前をどうぞ
C
また随分と懐かしいネタを・・・・
「ゲレゲレ。」
『はい?』
「ゲレゲレ、今からおじちゃんはゲレゲレ。きゃっほぅ。」
『ゲ、ゲレゲレって…しかもおじちゃん……』
(まだ20代なのにおじちゃん呼ばわりとは…それに私はプックルの方が)
「ご、ごめんなさい。この子ったら変な名前を付けるのが好きなので…」
『い、いや。気にしていないから平気だ。あは、あはははは……』
「先生、笑い方が怖い。」
舞君に怖いと言われるのは何か不条理な気もするが、まあいいか。
『そういえば国崎は何処だ?』
「さっき外に行くのを見た。探せば見つかると思うけど?」
(そうだな…全てが終わった今、アイツには消えるという未来しか無いのか…)
(少し話しでもしてみるかな、でも此処でもう少し過ごすのも悪くないか…)
A 国崎を探して話しでもするか
B 華瑠羅と酒盛り対決
C この小さな子と遊んでやる
D そういえば現代の奴らは今頃どうしてるだろうか?
まずC
『で、君の名前はなんていうんだい?』
今度は出来るだけ優しく訪ねてみた。
「ん〜〜〜……アルルゥ……」
『そうか、アルルゥっていうのか……』
「ゴロゴロゴロ〜〜……」
よくわからない唸り声(鳴き声?)を上げながら、俺の膝の上で転がるアルルゥ。
しばらく好きにさせておこう。
(アルルゥの好感度 +2)
……鬼を解除できないのがいささかアレではあるが。
「む、すまないな柳川。アルルゥが迷惑をかけて」
頼光が頭を下げる。
『いや、構わん。どうせ俺も子供は好きだからな』
「ん〜〜……ゲレゲレ〜……」
……しかしこの名前はどうにかならんものだろうか。
「それよりもさっさと飯にしようぜ」
朧がいい加減しびれを切らしている。そうだったな。
「そういえばまだお互いの紹介が終わっていなかったな。手早く済ませるとしよう」
その後はつつがなく進んだ。
さて……お互いの紹介は終え、いざ歓談となったが俺はどうするか。
A まずはひたすら飯を食う。
B 柳川組の面々と話をする。
C 頼光側の人間に挨拶をしに行く。
B
みさき君×アルルゥきぼーん
…俺は夢でも見ているのか?一瞬そう思った。山のように積まれたお膳と皿。そして次々に
消えていく料理の数々。その渦中の中心にいるのは…みさき君とアルルゥだった。
「パクパクモグモグ…うーんこの料理美味しいね、アルルゥちゃん。モグモグ…」
「ん。エルンガー胸小さいけど料理上手い。ガツガツガツ…」
どうやら二人は既に打ち溶け合っているようだ。食べる事で。そんな中アルルゥが懐から何かを取り出した。
「これあげる」
それは紙に包まれた蜂の巣であった。蜂蜜の濃厚な香りが此方まで漂ってくる。
その様子を見て頼光達は驚愕した。
「…信じられん。アルルゥが蜂の巣を差し出すと言う事は最大の友情表現だぞ…」
…よく判らんが凄い事らしい。
「ん?〜いい匂い。これ美味しいの?」
「うまい。丸ごと食べるのが通」
よく見ると白い物が蠢いている…まさか幼虫?
『み…みさきくんちょっと…』
「そう、んじゃ、いっただきま〜す」
パクッ!
…食べちゃった。大丈夫なのか?
「お〜いっしぃ〜」
どうやら美味しいらしい。幸せそうに顔を綻ばせている。
「なんの迷いも無く食べるとは…」
更に驚く頼光達。そりゃ幼虫なんざ見えないからな。
「美味しい上に栄養たっぷり。これでエルンガーより胸大きくする。きゃっほ──」
「誰が貧乳ですって!!」
そこに彼女の姉が追加の膳を持って現れた。さっきの自己紹介では…エルルゥって言っていたな。
「それに勝手に倉庫から蜂の巣を勝手に持ち出して…今日と言う今日は許しません!」
「エルンガー怖い。怒るとしわ増える」
────プツッ────
…何かが切れる音がした。
頼光達が後ずさる。俺も何か殺気に近い物を感じて後ずさる。
「待ちなさぁい!」
エルルゥが飛び出す。
「ムックル!」
アルルゥの呼びかけとともに巨大な白虎が現れる。
「エルンガー怒った。一緒に逃げる」
「え?え?ちょっと…」
アルルゥは強引にみさき君をムックルと呼ばれた虎の背に乗せるとそのまま疾風のように去った。
「待ちなさぁぁぁぁぁい…」
エルルゥも怒声とともにアルルゥ達を追いかけその場から去った。
『…賑やかな家ですな』
「…面目無い」
A 朧と話す
B 頼光と話す
C 邊那初と話す
D カミュと話す
E 柚葉(ユズハ)と話す
Bで。
「……そうだな。柳川殿になら頼めるやもしれん」
残された俺たちがとりあえず食事の続きをとっていた折、いきなり頼光から話しかけられた。
『ん? なんだ?』
「……柳川殿、一つ頼みがある」
頼光は俺の目の前に座りこんだ。
『どうしたんだ?』
「アルルゥのこと、よろしく頼む」
ブッ!
……思わず口に含んでいた味噌汁を思いきり頼光に吹きかけてしまった。
「ゲホガハゴホゴホゴホッ!」
隣では舞が飯を喉に詰まらせ、茶に手を伸ばしている。
『だああっ! スマンスマン! ……しかし、いきなりよろしくと言われても……相手はまだ子供だぞ』
「……違う。遊び相手になってくれ、ということだ」
手ぬぐいで顔を拭きながら言った。
「あの子は以前、私が世話になった人物の孫でな。私に父親を重ねて懐いているのだ。
だが、私も公務が忙しい身。そうそうあの子の相手はしていられない。
……あの子も貴殿やみさき殿のことは気に入ったようだ。ここにいる間だけでもいい。あの子と遊んでやってもらいたい」
『構わんぞ』
特に断る理由もないので、俺は承諾した。
『みさき君も喜ぶだろう。あの子も子供は好きだから』
「……かたじけない」
『ああそれと』
俺には少し気になっていたことがあった。
『別に俺に敬語を使う必要はない。柳川、で構わん。お前もさっき言ったが、別に俺が何者であっても機を使う必要はない。
気軽に何でも申し付けてくれ』
「……わかった。ならば、こちらからも頼みがある」
『なんだ?』
「私のことは……ハクオロ、と呼んでくれ。正直源頼光というのは少々堅苦しい」
『OKだ。これからしばらく厄介になるぞ。ハクオロ』
「こちらこそ。柳川」
(ハクオロの好感度 +1)
さて
A 国崎はどうしているんだろう?
B 神奈とちょっと話してみるか。
C ディーはどうなったんだ?
D その時、オボロに話しかけられた。
Aで。
……そうだな。
少し国崎の様子が気になる……見に行ってみるか。
「? 先生、どこに?」
『少し国崎の様子を見てくる……気になるんでな』
「わかった」
俺は舞にそう伝えると、席を中座させてもらった。
……あるいは、国崎はもうすぐ消え去るかもしれないのだ。
全ての歴史から、思い出から。
……その胸中はいかがなものだろうか。
いた。
思いのほか奴は簡単に見つかった。
奴がいたのは……母君殿の社だ。
その前の階段に腰掛け、彼女と何かを話しているらしい。
……どうする?
A 少し悪いが、立ち聞きする。
B 盗み聞きはよくないな。国崎とはまた後で話をしよう。
C 声をかける
> ……その胸中はいかがなものだろうか。
これ見て鬼作スレ思い出したよw
Bでよろ
そういや、国崎は元の姿に戻っているのか?
……盗み聞きはよくないな。国崎とはまた後で話をしよう。
さて、それじゃ宴席に戻るか……っとその前に。
今の国崎の姿は
A ムツミのまま
B 元に戻った。
C 中途半端
Bで〜
クソッ!たまには書かせてくれよ…
では俺は一旦下がるとするか。
>>433 まさかここ最近の書き込み状況で3回連続で先を越されるとは思わなかったので…
現代沖縄編の時はもっと凄かったけど。(w
まぁ、早い者勝ちだからいいんだけど。あまり気にしないでくれ。
>>432 そんな下らんレス書いてる暇があったらとっとと短文でも書けばいいんだ。
436 :
書いた:02/09/25 23:45 ID:i6cRzJaX
国崎はいつの間にか元に戻っていた。自分でも気付かなかった…
「ムツミが『用があるなら呼んで。疲れたからそれまで寝てる』、ってさ。まぁ、あの格好のままで
いるのは正直嫌だったしな。頭では解っていてもみんな違和感全開な顔していたからな」
…確かに。あの格好で国崎だと思うと笑いが込み上げて…
「おい、笑うな」
『悪い、すまんすまん』
(そう言えばさっきカミュとか言う子を食堂で見かけなかったな…何処に行ってんだろう?)
『国崎、カミュってこう銀髪で黒い羽でやたらに巨乳の女の子を見なかったか?』
「知っていると言えば知っているが…会いたいのか?」
『いや、さっき食堂で見かけなかったものだから…』
「ん?カミュか。え?また外に出たい?柳川と話がしたいだって?」
突然国崎が独り言を喋りだした。一体なんなのだろうか?
(ん?待てよ…銀髪に…黒い羽って事は…)
『国崎…まさかカミュって子は…』
「多分、お前の想像どおりだ。さっき寝ている隙に俺の体を使って外に出たらしい。
友達が出来たって喜んでいたぞ」
『…マヂかよ』
「で、会うのか?あっちは興味津々だぞ」
…どうする?
A 会う
B 会わない
>でやたらに巨乳の女の子を見なかったか?』
ずいぶんと凄い事いうな(藁
B
結局会わないのかw
『いや、会わなくていい』
「そうか…あ、そんなに落ち込むなって」
『落ち込んでいるのか?』
「うむ」
『今は他の人と話すから、その後で』
「そうか…楽しみにしているってさ」
『ああ…』
さて、次は誰と話すか。
A 柚葉
B エルルゥ
C 桐花
D 朧
E スフィー
F 綾香
G セリオ
H 邊那初
F 神奈
Hで
「柳川殿、一杯お付き合い願えませんか?」
食堂に帰った俺を、意外な人物が出迎えた。
『邊那初?』
「心外ですね……私のたまには飲むのですよ」
『あ、い、いや。そういう意味じゃないんだ。それじゃ、一献』
「はい……」
邊那初と互いに勺を交わしながら、取り止めのない話をする。
「そもそも、私の出身は―――」
「私の前の主は―――」
「聖上との出会いは―――」
……ひょっとしてこの男、酔うと自分の過去を話すタイプか?
「―――殿、柳川殿」
『おおっと、スマンスマン。何の話だったか?』
「戦、ですよ」
『戦?』
「……あなたは、何故戦うのです? 話を聞くかぎり、あなたが積極的に戦いに見を投じる必要はないはずです。
なのに、なぜここまで来て」
『…………』
A 守らねばならない人がそこにいるから
B 血の衝動
C 神奈が俺に助けを求めたから
D 選択者が選び、書き手が書いたからだよバカヤロウ
Dね。きっちり始末つけてね。
『理由など無い。只、なるべくしてなった事だ。』
「……?どういう事です?」
『人は流れというモノの中で生きている。その流れに身を委ねれば良いのさ。』
『人の人生において、幾つもの選択肢が途中であるが、結局のところそれを選ぶだけの余地など殆ど無いのだよ。』
邊那初は良く分からないと言った表情をしている。
『私が今此処にいるのは何故か?何故私は戦うのか?簡単な事だ、そうすべきだからだ。』
「全ては最初から決定されていると?」
『まあ、そう言ってしまうのは少々軽率な気もするがな。人の人生なんて陳腐なシナリオみたいだと思う事も時折ある。』
(ま、私自身が狩猟者のおかげで好戦的になり易いという要因もあるんだがな…)
邊那初は黙って考え込んでいたがやがて、
「貴方はなかなか興味深い考えを持っていますね。そんな風に考えた事は今までありませんでした。」
『ま、回りくどい言い方をしたが、私だって守るべき人がいるし、成すべき事もあるからな。志半ばで倒れる訳にはいかん。』
『その為なら時には手を血に染めてでもやり遂げなければならない事だってあるだろうさ。それは君も同じでは?』
「ふっ、それもそうですね。聖上の為ならこの身が朽ち果てようと粉骨砕身の覚悟で戦うでしょう。」
なかなか恥ずかしい科白を簡単に言ってくれる青年である。
「なかなか楽しい時間を過ごさせてもらいました。それではまた。」
『ああ、またな。』
さて、どうしようか。
A 国崎達と話そう?
B 外に出て少し夜風にでも当たってくるか
C もう疲れたし眠るとする
○ A 国崎達と話そう
× A 国崎達と話そう?
殆ど変わり無いけど一応…
Aかな?
そうだな。今度は少しこっち側の人間と話をすることとしよう。
『なあ、みんな―――』
振りかえった俺が見たもの。それは、山になった空のお椀・お膳・その他もろもろだった。
『みさき君……それにアルルゥ……』
そう。いつの間にやら二人は帰ってきており、またしてもひたすら飯を食い続ける存在と変わり果てていた。
「ん、ん、やっぱりおいしね。エルルゥちゃん将来はぜったいいいお嫁さんになれるよ」
「みさきち、明日はアルルゥと森行く。ゲレゲレも一緒に行く」
『……二人とも、エルルゥはどうした?』
「……ムックルと」
「こらーーーー! 待ちなさーーーーーい!!!」
「ヴォフーーーーーーーー!!!(よく見ろよー! 俺の背中にはもう誰も乗ってないぞーー!)」
『……もぉいいや、突っ込む気も起こらん……』
頭痛の種が一つ増えたか……
さて、誰と話すか
A 舞
B みさき&アルルゥ
C 国崎
D セリオ&綾香
E スフィー
F 平安トリオ
G ディー
C
「はっはっはっは!」
国崎は笑いながら両手に神奈と裏葉をはべらせ、酒をあおっていた。
「こ、こらやめんか国崎!」
「往人、先ほどから酒ばかり飲んでいますが……」
「構わないさ裏葉。神奈を助けることができた俺は、血族千年の悲願を達成することができたんだからな。
酒の少しも飲みたくもなるさ!」
『…………』
国崎……
「おお柳川か、お前も飲むか?」
『国崎……』
「何だよシケた面しやがって。宴会なんだから……」
『少し話がある……ついて来い』
「のわっ! な、なんだよ……」
俺は半ば引きずるようにして、国崎を食堂から連れ出した。
「なんなんだよいきなり……俺はまだ飲み足りないってのに……」
『国崎、お前は本当にいいのか?』
「何がだよ」
『お前が消えちまうことだよ! 神奈が助かったってことは、お前の存在価値は消えるってことだ。
お前はそれでもいいのか? 消えちまうんだぞ!?』
「そんなの……」
奴は笑顔だった。極上の笑顔だった。
「当たり前だろう?」
『っぐ……!』
「俺は神奈を救うために産まれ、この力を与えられ、旅を続け、ここにようやくその悲願を達成することができたんだ。
ならば俺の存在にもう価値はない。俺はいつ消えても構わない。俺の命はこの為にあったんだ」
……その声には迷いも震えもない。こいつ、そこまで覚悟を……?
「話は終わりか? じゃあな、俺は戻るぞ。お前ももう少し素直に楽しんだらどうだ?」
奴は俺に背中を向け、食堂の方へと戻っていった。
俺は……
A 『そうか……そこまで覚悟しているのならもう何も言わん』
B 『誰かいないのか! お前の帰りを待ってる奴が!』
C 『バカヤロォォォォォ!!!!』と殴りつける。
Cで〜
『国崎ィィィィィィィ!!! 歯ぁ食いしばれェェェェェェェェェ!!!!!』
バキィ!
「な、ぐはぁッ!!」
気がつくと、俺は国崎を殴り飛ばしていた。
『バカヤロウ! 何が死んでもいいだ。勝手なこと言ってんじゃねぇ!』
「……っ」
『そんなセリフは人生を使いきった奴だけが吐いていいセリフだ。お前はまだ生きている。
そしてこれからも生きる。そんな奴が使っていいセリフじゃねぇんだよ!
あがけ、あがいてみせろ。自分の生を極限まで、使いきってみせろ!
諦めるんじゃない! 諦めたらそこで全てが終わる。
帰るんだ。俺たちは全員揃って帰るんだ!』
「…………」
壁際でうつむいたままの国崎。その表情は伺えない。
くいくい、くいくい。
……誰かが俺の服の裾を引っ張っている。
「……ゲレゲレ、喧嘩しちゃ、だめ」
『……アルルゥか』
「め」
「仕方……」
国崎が誰ともなく呟いた。
「仕方が……ないんだよ……」
そのまま壁を伝いながらどこかへと歩いていった……
「ごはん、いっしょに」
『ああ……そうだな……』
アルルゥに引っぱられ、俺は食堂へと戻った。
A もう少し誰かと話す(対象者指名)
B そろそろ寝るか……
Bで
「よし、それじゃあ今日はこのくらいにしておこう」
パン、とハクオロが一回手をはたく。
それにより、今回の宴はお開きとなった。
「っふあーぁ、食った食った」
「こんなに食ったのは久しぶりだな」
「オボロ、クロウ、後片付けはしっかりなさい」
「え? けど、姉さんが……」
「コラーーーー! 待ちなさーーーー!」
「ヴォフーーーーーー!(いい加減気付いてくれーーー!)」
「……なるほど」
「ドリィ、グラァ、あなた方は柳川殿たちを寝室の方へ」
「はい、わかりました」×2
『お、おい……』
そういうことなら俺たちも、と言おうとしたがベナウィの方が先だった。
「いえ、いいのです。今日まであなた方はお客様です……私たちにも多少のもてなしをさせてください」
『……そうか。そういうことならお言葉に甘えさせてもらおう。さ、みんな。さっさと寝るとしよう』
というわけで、俺たちは各人に割り当てられた寝室へ案内された。
……だが。ハクオロの奴めが、余計な気を使いやがって……
俺は……
A 舞と同部屋だった
B みさき君と同部屋だった。
C アルルゥと同部屋だった。
D カルラと同部屋だった。
うーあーうー
Aだ。
――いい? 舞、これは大チャンスよ!
――ふしどを共にするなんて、絆を最大限に深めよという神からの啓示も同義!
――ここで一気にポイントを稼いで、みさきを突き放すのよ!
(……わかった。がんばる、綾香……)
舞の頭の中には綾香から教えられた秘儀を反芻するので産め尽くされていた。
最後の方にいくと口に出すどころか考えるだけも憚られるほど過激な内容だ。
だが、それが柳川の為であるのならと自分に言い聞かせ、舞は待っていた。
この部屋に来るという、その人を。
(……拝啓、お母様。舞は今夜、女になります)
(……多分)
とにかく全ては準備万端整えた。
就寝用の装束の下には何も付けていないし、香油その他etcの小道具も枕もとにセットしてある。
汚れたときの為の代わりの布団も完璧だ。
(……綾香、それにしてもお前はなぜこんなことを知っているのだ……)
(……来た)
舞は感じ取った。まだ遠いが、廊下の向こうから歩いてくる柳川の足音を。
聞き間違えるはずもない、今まで何度も聞いたその音だ。
徐々に、徐々に近づいてくる。
途中何度か止まっているのはおそらくこの部屋かどうかを確かめているのだろう。
(あと三つ……)
三つ向こうの部屋まで来た。一旦止まり、中の様子を伺っているようだ。
(あと二つ……)
舞はもう一度思い返した。綾香の教えを。
(あと一つ……)
そして最後に、大きく深呼吸した。
(……来た)
舞の目から見て、月光が遮られた。
柳川の影により。
柳川は……
A 無言で布団に入った。
B 踵を返してどこかへ行った。
C 『お前、何してるんだ?』
A
先生はズンズンとこちらに歩み寄ってくる。
(ああっ、これからパンパンされてしまうのか……)
……だが、私の横に立ったと思ったらさっさと布団にもぐりこんでしまった。
『おやすみ』
一言だけ言うと、ゴロンと向こう側を向いて、それきり何も言わなくなってしまった。
「先生……?」
恐る恐る声をかけてみるが
『さっさと寝ろ』
それだけしか言わない……どうしよう。綾香の話ではこんな状況は想定してなかった。
「先生……」
軽くゆさぶってみる。
『寝ろって』
……それだけだ。
どうしよう。
A 大人しく寝る
B まだまだ粘る
C 綾香のところへ行く
D ブチ切れる
Aで。
これ以上引っ張る必要無いし。
「……はあ」
駄目……だったか。仕方がない……今夜はもう諦めよう……
「うん……おやすみ、先生……」
『ああ、おやすみ』
それでもこっちを向いてはくれない。
……少しムカついた。
ばっ!
『なっ!?』
ムカついたから、布団を思いっきり引っぱった。
『お、おい舞……』
知ったことか。
『……参ったな……』
参れ。
『……まあ舞、そう怒るな』
ポンポン、と私の頭に手を乗せる。
「………許さない」
『……今度、牛丼奢るからさ。一緒に吉野家にでも行こう』
ならば話は別だ。
「はい」
あっちを向いたまま、布団を半分投げてやった。
『ありがとよ……』
……さあ、寝ようか。
また明日が……ある……ん……だか…ら………
A ディーはどうなったんだ?
B 他の寝室の様子(対象者指名)
C さて、朝が来ました。
Cで。
そして翌朝。
『…………ふぅ、朝か。』
「おはよう、先生。」
舞も起きたようだが少し寝ぼけているようだ。朝は苦手なのだろうか?
『早く起きるようにな。』
「……うん。」
さて、まずは一つやらねばいけない事があったな。行くか。
「先生、何処に行くの?」
『綾香を成敗しに行く』
綾香の差し金のおかげで昨日の夜は舞君を宥めるのが大変だった。
(まったく、どうもあの女は一度キツい目に遭わせないといかんな……)
さて、どうやって修正してやろうか。
A 小一時間マジモードで説教
B エルクゥを解放して殺気を浴びせ続ける
C 石破天驚拳
D 女だろうと関係ない、引っぱたいてやろう
Aってところで。
とっとと終わらせたい読み手VS長く書き続けたい書き手、って感じ(w
466 :
壱書き手:02/09/27 05:03 ID:CNqYWF3Y
俺は終わらせたいぜ。
……いい終わらせ方さえあればな……
誰か終わらせるいいネタないかなぁ……
いくらなんでもこのまますんなり帰ってTHE ENDはあっさりしすぎてしなぁ……
漏れも早く終わらせたいんだがな。
現代に帰ったらもう終わりだし。
尻切れでいいからとっとと終わらせようよ
469 :
参書き手:02/09/27 09:40 ID:rPQQrLTo
正直、麗子登場でかなり腰を折られた。
470 :
名無しさんだよもん:02/09/27 16:10 ID:zEdImtHC
このままラブコメってのも良いよなぁ なんて
それは体が宙に浮くような感じだ。
苦痛は無い。……逆らわない限り。
それに逆らおうとすると地獄の苦しみを味あわされる。
脳みそが溶ろけだし、体の穴から漏れ出るような
内臓が空中に霧散するような
そんな「感じ」だ。
(……にさき、国崎!)
「……っっはっ!?」
国崎は誰かに呼ばれて目を覚ました。
「……またか」
高鳴る動悸を抑えつつ、今自分の身に起きたことを確認する。
発作だ。
神奈たちを助けて以来、断続的に繰り返されてきた発作のスパンスが最近徐々に短くなってきている。
それは存在の抹消だ。
歴史が自分を消し去ろうとしている。
……その度に、国崎は今まで自分が出会ってきた人々との思い出を噛み締め、どうにか現世にしがみついてきた。
最近はそれに加え、自分の中に潜むムツミの呼びかけも手伝い、己を保っている。
「……だが、近いな」
最後の刻は。
「おそらく、俺に残された最後の仕事は」
柳川たちを現代へと送り届けること
「それが終われば」
俺は消えるだろう。
そういえば柳川はどこだ?
「うぇぇ……」
その時、国崎の耳にうめき声のようなものが聞こえた。
廊下に視線を送ると、綾香がヘトヘトになって歩いてきている。
「国崎……助けて……」
「どうした?」
「お嬢様のちょっとした親切なのに……あの人本気にしちゃって……」
『待て綾香。まだ説教は終わっていないぞ』
綾香の後ろから手が伸びてきて、彼女の襟首をひっ捕まえた。
「柳川……?」
「勘弁して……」
『できん。さあ、こっちに来い』
「国崎……」
哀願するような目で綾香が国崎を見つめる。
(さて……)
A まぁまぁ、そのくらいにしておいたらどうだ、と諌める
B 放っておいてどこかへ行く
C 寝なおす
B
(…別にこの女を助ける義理も義務も無いな、それに今はあまり気分が良くない…)
「ま、諦めて大人しく説教されてろ。どうせ自業自得なんだろ?」
「そ、そんなぁ………」
『さあ、そこに直れ。話は終わっていない。』
どうやら柳川は相当にご立腹のようだ。
「あぁ、それと柳川。」
『ん、なんだ?』
「どうやら俺の体はもう長く持ちそうにない。現代に帰る手筈を急いで整えてくれないか。」
(色々と考えてみたが結局、俺も一緒に現代へ帰る手段は無さそうだしな、それに帰れたとしても誰も俺を憶えてはいない……)
その言葉を聞いて苦い表情をする柳川。
『どうにか……ならないのか?』
「残念だが……どうにもならないようだ。」
『……………ッ!』
悔しそうに歯を噛み締めているようだ、なかなか良い奴だな…
「俺は少し外を歩いてくる。準備が出来たら呼んでくれ。」
『………分かった。』
そう言って国崎は外へ歩いて行った。
『……国崎……』
A どうにか国崎を存在させ続ける方法が無いか仲間と相談する
B とにかく、まずは国崎に言われた通り現代へ帰る準備を始める
C 現代の奴らと通信して何か手段を考える
名前欄消し忘れた、鬱。
気にせずに。
Bかな?
最後に国崎と美凪を会わせて終わりでいいじゃん
梓とも会わしたれ
じゃあ書いてくれ…
『皆、現代に帰る時準備をしてくれ』
俺は皆を呼び集めた。皆、急な話で怪訝そうな顔をしていた。
「一体どういうこと?急な話しねぇ」
「次の新月まであと一週間はありますが…」
「えー、もうちょっと遊びたいよねー、アルちゃん」
「ん」
『…国崎の奴が…奴の存在が消えかかっている。長く持ちそうにないらしい』
「そう…何とかならないの?」
『それは…判らないが解決策が見つかるまで奴が持つかどうか…』
「あ、そう言えば歴史に関りまくっているけど…無事に現代に帰れるのかなぁ?」
スフィーの発言で思い出した。このままでは現代に帰れないかもしれん。
『セリオ、現代の座標を割り出せるか?』
「…今から計算をしてみます。30分ほど時間を頂けますか?」
『判った。すぐにやってくれ』
「了解しました」
セリオはタイムマシンの中に入っていった。現代の座標は割り出せるだろうか?恐らく…
「柳川殿、少し良いですか?」
考え事をしていると母君殿の解呪に来ていた晴明殿が話し掛けてきた。何やら深刻な顔をしている。
『構いませんが…何かあったのですか?』
「此処では話し辛いので場所を移して宜しいいですか?」
『…判りました』
俺達は話す場所を屋敷の近くの森に移した。
『一体どうしたのですか?皆に聞かれるとまずい事なのですか?』
「うむ…実は…母君殿の呪いは私の力では解呪出来なかった…済まぬ」
『…何だって?それでは…我々のやってきたことは…一体…』
「済まない…本当に済まない…」
「それは本当か!?」
「『誰だ!?』」
その時、近くの茂みから国崎が現れた。
「…本当に駄目だったのか」
「…済まぬ」
「なら俺がやる。ムツミ、何とかなるのか?」
(…判らない。けどこのまま力を行使し続けるとあなたの存在が消滅するかもしれないよ?)
「それでも構わない。例えこの身が滅びようと…祖先が…母さんが…柳川達が繋いだこの思い
此処で無駄にするわけにはいかない!!」
(…其処まで言うのなら私は止めない)
『…本当にやる気か?』
「くどい、同じ事を何度も言わせるな」
どうする
A 国崎に任せる
B 国崎を止める
もうこれしかないだろう。A
『…もうお前を止めようなどとは思わん。任せた』
「俺に任せろ」
国崎は母君殿がいる社に移動した。俺達もそれについて行った。
「こんにちは、国崎殿。一体何の用でございますか?」
「用があるのは俺ですが会って貰いたいのは俺ではありません…ムツミ」
国崎が呼びかけると国崎は翼人の始祖たるムツミへと変化をした。
「これは…始祖様。一体何の用で」
「あなたの呪いを…彼が私に解いて欲しいと頼んだの。」
「……判りました。お任せします」
ムツミは母君殿の頭に手を乗せ目を瞑った。その間に二人が僅かに光って見えた。
暫くするとその光は収まった。
「あなた…もう…」
「御察しの通りで御座います、始祖様」
『で…どうなんだ?』
「…解呪できる」
『本当か?』
「うん。けど、今の私には無理。」
「どう言う事ですか?」
「お父様や私はその強大な力を自らの為に使わないように制限されているの。お父様は契約を
媒介にしないと力を行使出来ないように。それは私にも同じ事なの」
『その割にはあの時は力を行使していなかったか?』
「私の場合は他にも『お父様同士が争うのを止める』と言う使命を持っているから。それにお父様
に比べて制限が弱いの。その代わりお父様の力には遠く及ばない」
『と、言う事はその力を最大限に発揮する為には…』
「契約を結ぶ…私と契約者の望みを同時に叶えられる者でなくてはいけない」
「で、それは誰で?」
「その前に神奈とディーを此処に呼んで」
『何故だ?』
「お願い…早く呼んで。あまり時間が無いから。晴明さんは術用の方陣を組んで」
『わ、判った』
「心得ました」
俺は神奈とディーを探して此処に連れてきた。晴明殿は社の外で方陣を組み始めた。
『連れてきたぞ』
「始祖様…一体何のようで?」
「何故私も呼んだのですか?」
「三人と話がしたいから…柳川さん、外に出てもらえるかな?」
『判った』
俺はムツミに頼まれ、外に出た。そろそろ30分経った頃だしセリオに聞いてみるか?
(さて…どうするかな?)
A セリオのところに行く
B 四人の会話を盗み聞きする
C 外で煙草でも吹かして待つ
B
気になります。
神奈とディーは結局仲直りできたのか……?
(四人には悪いが会話を盗み聞きさせてもらうか…状況次第ではこっちも現代に
帰れるかどうかの瀬戸際だからな。)
俺は壁に耳を当て会話を盗み聞きする事にした。鬼の力を持ってすれば衣擦れの音も判別可能だ。
「…私の望み…それは、貴方が星の記憶を受け継ぐ事。」
「なんじゃそれは。それなら容易な事じゃ」
「…ただし、貴方が最後…最後の翼人としての役割を全うする事。未来永劫生き続けて
星の記憶を守り通す事。それが私の条件」
「なッ…」
「始祖様、それは余りにも…」
(一体どう言う事だ?)
「翼人の血の力は既に限界まで来ているの。翼人に生まれながらその力を星の記憶無しでは
全く使えない貴方達二人が生まれたのが何よりの証拠。例え貴方方二人が子を生したとしても
翼人はもう生まれない。それに…貴方のお母さんはもう寿命がきているの」
「何じゃと!?」
「何だって!?」
(…そんな馬鹿な?)
「元々寿命が尽きかけていた所を貴方達を助ける為に力を使い尽くしてしまったの…もう長くはないわ」
「母上…本当で御座いますか?嘘だと言ってください!」
ディーの悲痛な叫びが聞こえる。だが、母君殿はそれに対して沈黙する。無言の肯定ってやつか…
「始祖様…この子には余りにも重責で御座います。それだけはご勘弁を…」
「駄目。星の記憶を守り通す…それが翼人の命を賭してでも守り通す
使命である事は貴方が一番知っている筈…」
社の中の四人が沈黙する。これだけ衝撃的事実と条件を突きつけられれば無理もない。
「この人に掛けられてる呪いの正体…知っているよね?このまま記憶を引き継げば
一緒に呪いも引き継いでその結果がどうなる事も」
(なんて条件だよ、これは。未だ十代半ばの娘に背負わせるにはきついぞ…)
そして神奈はこの条件に───
A 承諾した
B 拒否した
C 悩んだ
涙を呑んでAに
そうなると結局変わりがなくなるが・・・
まとまるんだろうか、これ。
「わかった、余が記憶を引き受ければ良いのじゃな」
「神奈!!」
その言葉を聞いた瞬間、俺は思わず物陰から飛びだしていた。
「柳川殿!? ひょっとして今の話を?」
「盗み聞きは悪いと思ったんだけどな……だが、それじゃあ国崎が存在をかけた意味がなくなるじゃないか!!」
翼人の呪いが解けないこと、それは何も変わらないこと。
「そうでもありませんよ」
答えたのはムツミだった。
「柳也殿も死なず、神奈の母も不意に命を落とすことはなかった。あなた達がこの時にやってきた時点で
因果の流れという物は大きく変わっているのよ」
目を伏し静かに言葉を紡ぎ続けるムツミ。
「連鎖する翼人の呪いを解するためには同じだけの強い願いの力が要るの。力を制限された私では無理、
この場にいる他の誰でもそれは同じ事。一つだけそれを可能とする物があるとすれば……」
「あるとすれば?」
「国崎殿の持つ人形。千年に渡り蓄えられた力なら、呪いを相殺する事も出来る」
──国崎の持つ人形──
それは変えられない歴史を変えるためのアイテム。だが、それを使って歴史を変えれば国崎の存在意義は
なくなり消滅する。
「彼は消えないわ」
そう言ってムツミは自らの体──国崎往人の身体──を片手で抱いた。
「道長殿が翼人を庇護しても彼が死ねば再び排斥の勢いは高まっていくでしょう。だから呪いを解いた後神奈は
母君の最期まで一緒に暮らす。そしてその後神奈には眠って貰うわ。みんなが翼人のことを忘れてしまうぐらい
長く。柳也殿と裏葉殿には人形を作ってもらい神奈の呪いをうち消すための力を蓄えさせて、未来で開放された
神奈は再びあなた達と出会うの。その時はあなた達の方が神奈のことを知らないだろうけど、何かの縁に従い千
の時を超えて再びこの地で私達と旅をする。ただ柳也殿と裏葉殿、ディーとは寄り添い続けることは出来ないの
だけど」
どちらにしろ翼人は彼らの数倍くらい長く生きるからねとムツミは薄く笑みを浮かべた。
「実は呪いを消すだけなら記憶を受け継がせず出来る。ただ術の反動は母君の残された命を容赦なく削るから。
あなた達と神奈にして貰う選択はただ一つ。柳也殿達と一緒に暮らし往人殿が消える流れか、往人殿達と暮らし
ディーや柳也殿達とは別れる流れを選ぶか」
選らぶのは自由よとムツミは言っていた。
どうするか……
A.神奈の意見を聞く
B.往人の意見を聞く
C.平安の人間の意見を聞く(人を選んでください)
D.ディーの意見を聞く
E.現代の人間の意見を聞く(人を選んでください)
(…どうするつもりなんだ、神奈…)
四人の間に緊迫した空気が流れる。外にいる俺にもビンビン伝わってくる…
何分経っただろうか…俺には何十分にも感じたが実際にはそう経っていないだろうが
そして、神奈はその答えを出した。
「…わかった」
「…それでいいのね?」
「……神奈!」
「始祖様…貴方を恨みますぞ…」
母君殿がムツミに泣きながら漏らした。彼女は神奈にこの重責を背負わせたくないが為に
永きに渡りその役目を背負って来たのだからその心中はいかなる物だろうか。
「…私を恨んでも構わないわ」
「母上…済みませぬ。私が…私のせいで…」
ディーが嗚咽を漏らす。元はと言えば彼に原因があるのだが
その重大さにやっと気付いたと言った所か。
「星の記憶の力が無くなれば恐らく貴方は死ぬ…暫く時間をあげるから…別れを済ませて」
ムツミが無情にも漏らす。しかし、これでは俺たちが現代から意味が無いのではないのか?
呪いが解けたから大丈夫な気もせんではないが…
どうする
A 「ちょっと待った!」、と乱入
B 素直にその場を立ち去る
C 「ちょっと待った!」、と柳也&裏葉が乱入
D 「ちょっと待った!」、とみさき乱入
494 :
493:02/09/29 01:25 ID:/P+WzO2C
げ、久しぶりにやっちまった…
C
>495
人物指定は?
ふむ
498 :
495:02/09/29 14:14 ID:Q7ScVcIR
493は後から書いた話なので無効。やっちまったって言ってるじゃん?
492にある選択肢を選んで下さい。
ここでも選択肢で決めますか。
A 495が再選択するのを待つ
B 次に選択肢指定した人のレスを有効にする
ややこしいんでBを選んでおくとするか
「神奈……」
その場にいた誰もが無意識にその名を呟き、彼女を見た。
当の本人は俯いたまま考え込んでおり、垂れた前髪で表情を伺うことは出来ない。
「しばらく……」
やっと口を開いた。
「しばらく……考えさせてくれ」
「構わない。何も一刻を争う自体というわけではないから……けど、いつまでも棚上げしておける話でもない。
それだけは覚えておいて」
「……わかった」
「それじゃあ……」
一瞬ムツミの姿が輝く。……気がつくと、彼女の姿は国崎の姿に戻っていた。
あいつの表情もまた、固い。
「話は聞かせてもらった」
国崎はしばらく押し黙った後、
「神奈」
「何だ?」
「話がある。……足りない俺の頭で考えた、最後のあがきだ。
……後で俺の元へ来てほしい。親父と母さんを連れて」
「……わかった」
その言葉を最後に、それぞれは散っていった。別々の方向へ。
さて、俺はどうするか。
A 国崎に何を企んでいるのか聞く
B ハクオロに今回のことを伝えに行く
C みんな(現代の人間)のところへ行く
D しばらくそのあたりをブラブラする
そろそろ読み手にも見捨てられたか?(w
あれだけ盛り上がってきたバトルのオチがあれだしねぇ……
盛り上がったまま一気に終わらせられれば良かったんだろうけど。
今の状況についていけないといというか戸惑っているというかです。
そして選択肢をどれ選べばいいんだかわからないです。
でも続きは気になるので
>>502 Cでお願いします。
偏頭痛に似た痛みを覚えながら、俺は割り当てられた部屋の方へと戻った。
……そこには、異常を察知したのだろう。現代のメンバーが勢ぞろいしていた。
皆不安げな瞳でこちらを見つめている。
そんな中、みさき君が一歩進み出た。
「あの、その……先生……さっきのお話……聞いちゃった……というより、聞こえちゃったん……だけ……ど……」
ああ……なるほど。彼女の耳か。予想以上だな。あの社での会話が聞こえるとは……
だが、それなら話は早い。
『みんな、聞いての通りだ。俺たちは近いうち帰ることになる……神奈がどちらを選んでもな。
今日明日の話ではないが、準備しておいてほしい。そう。準備と……覚悟を』
だが、みさき君は食い下がってきた。
「ひどいよ……先生ひどいよ! 神奈ちゃんにあんなことさせるなんて……」
彼女はどうしたらいいのかわからない、といった様子で首を左右に振っているとしている。
『仕方がないんだ。……もうあれは俺たちが口を挟める問題じゃない。
翼人、そして法術士一族の問題なんだ。俺たちはただ待つしかない。待つしか……ないんだ』
「……けど……けど!」
『舞、みさき君を頼む』
「う、うん……」
俺はそれだけ言い捨てると、部屋を出た。
ああそうさ。俺だって神奈にあんな選択はさせたくない。出来ることなら全て丸く収まる方法がほしい。
いや、俺だけならこの時代に残ったって構わない。それで上手くいくならな。
だが……みさき君や舞、さらに綾香たちをまきこむわけにはいかない。
俺には責任があるんだ。責任は果たさねばならない。彼らは帰さねばならない。
『……ん?』
自問自答していると、目の前にちんまいのがいた。
「一緒にはちみつとりにいく。ゲレゲレも一緒に来る」
……アルルゥだった。
A はちみつ採りに付き合う
B ハクオロと話をしに行く
C 国崎の言っていたことが気になる
D さあ、時は満ちた
ま、何はともあれ書かなきゃ終わらんし。終わらなきゃ次に行けないし。
チマチマとでも書いていこうと思う。
>>505 なんか行き詰まってるみたいだし、なごみそうなAにお願い。
C
ハクオロ達の力でなんか起こったりして
『そう……だな』
こんなイライラした状態で何か考えごとなどしたとしても大した結果は得られまい。
『行くか』
「ん」
俺はアルルゥをひょいと抱き上げると肩の上に乗せ、鬼の力を解放して塀を飛び越えた。
「きゃっほう」
風を切りながら、アルルゥに問いかける。
『アルルゥ、そういえばいつもお前と一緒にいるあの白虎はどうしたんだ?』
「エルンガーにおしおき受けてる」
「アルルゥ! どこに消えたの!? 今日という今日は許さないんだから!」
「…………」
ソロリソロリと抜け出そうとするムックル……だが
「ムックル! 待ちなさい!」
むんずと尻尾を掴まれた。
「アルルゥはどこへ行ったの!?」
「キャウーーーーーン………」
『……お前、ムックルを身代わりにしたな?』
「………あっち」
アルルゥは質問に答えず、俺の肩の上でやや遠い森を指差した。
「あそこの森、蜂がたくさんいる。ゲレゲレの脚なら遠くない」
『ま、それもそうだな。……掴まってろよ! 飛ばすぞ!』
「きゃっほう!」
大地を蹴り、空を舞い、森の入り口までひた走る。すれ違う旅人が驚いているが気にしない。
アルルゥの楽しそうな歓声を聞いていると、さっきまでのモヤモヤとした気持ちが晴れていくようだった。
「……ゲレゲレ」
『ん? どうした?』
さっきまでとは一転、森の中ではアルルゥが俺を先導した。しばらくはお互い黙っていたが、不意にアルルゥが振りかえった。
「ゲレゲレは……おとーさん、好き?」
お父さん……? ああ、ハクオロのことか。
『もちろんだ。いいヤツだし、いろいろ世話になってるからな。アルルゥはおとーさんのこと好きか?』
「……ん」
真っ赤になってうつむいて、それでも肯定の声を漏らした。
……参ったな。いくら俺が気に入られてるとはいえこんな反応は無理だろう。
「でも、ゲレゲレも好き」
……やっぱりな。もう表情が違う。
「ゲレゲレは、お父さんのこと好き?」
『あ? いやだからさっきも言ったように……』
「ん」
今度は首を横に振った。
「お父さん。ゲレゲレの、お父さん」
『……俺の?』
……俺と母さんを捨てた、あの男を?
A 『大好きさ』
B 『………』(沈黙)
C 『……もういない』
D 『捨てられたんだよ。俺は』
『捨てられたんだよ、俺は』
待て。
『俺の母親は妾だった。俺の親父は……母さんを弄び、俺が出来ると迷わず捨てた』
待て、俺。
『仕方のないことといえば仕方のなかったことなのかもしれない。俺の一族にはいろいろ事情があってな。
だが、親父が母さんを捨てた事実は変わらないし、俺は相応の子供時代を過ごした。それは間違いない』
こんな子供に何を言っている?
『そんな親父を許せるはずがない。母さんがあんな苦労をしたのは、あの男のせいだ。
たとえどんな事情があろうとも、俺はあの男を許すことはできない』
……言ってしまった。
「んん……」
アルルゥはキョトンとした顔で俺を見つめている。……それもそうか。彼女にこんな話をしたところで理解できるはずもないな。
『まぁ……世の中の親子にも色々ある、ということだ。長話してしまったな。さあ、先を急ごう』
今だ呆けているアルルゥを肩に乗せる。
『さて、どっちに行けばいい?』
「ん……」
だがアルルゥは何も言わずに、俺の頭を撫ではじめた。
『アルルゥ?』
「ゲレゲレ、可哀想」
……は?
「ゲレゲレ、可哀想。ゲレゲレのお母さんも可哀想。ゲレゲレのお父さんも可哀想」
『待て!』
思わず叫んでしまった。
『最後のは違うぞ! あんな男、何が可哀想なものか! 本家に連れ添いを残しながら俺の母さんを弄んだ、あんな男のどこが!』
「だって……」
アルルゥは悲しそうに言った。
「ゲレゲレに、嫌われちゃってる」
『……っ!』
「ゲレゲレに、嫌われちゃってる。可哀想」
『そんなこと……言ってもな……』
ややあって、
「私がお母さんになる」
アルルゥが信じられぬことを言った。
『……は?』
「私が、ゲレゲレのお母さんになる。だから、お父さん、許してあげて」
『……はい?』
アルルゥは俺の頭に抱きついてきた。
『……やれやれ』
……この子なりに気を使ってのことなんだろうな。
『ありがとう』
親父、とりあえず今は許してやる。今だけはな。……アルルゥに免じて。
「あれ」
『……でかいな』
俺の頭の上でアルルゥが指をさす。その先には、木の枝の根元にくくりつけられた巨大な塊があった。
塊の周りをあまり仲良くなりたくない連中がブンブンと飛びまわっている。
「あれはいいもの。早速採る」
『むぅ……』
A アルルゥに任せる
B カッコいいとこ見せるため、俺がやる
Aで
何気にマ・クベ口調なのがワラタ。
柳川は 蜂の巣を見て あることを思いついた
「これだ」
などというプロジェクトXみたいなことは起こらんだろうな うん
俺はその蜂の巣をジッと見つめていた。
何かが、何かが引っかかる。何か、重要なものがこの蜂の巣に隠されているような……
「ゲレゲレ」
アルルゥが俺の名を呼んだ。その時、頭の中でバラバラに組みたてられていたパズルのパーツは一つに繋がった。
『そうか。そうだったのか』
自分はこんな簡単なことを見逃していたのか。だが、これを使えば俺たち全員、なんの問題も無く現代へと帰れる。
神奈も封印されずにすむ……
『ンなワケあるかいっ』
ぺしっ、と自分の頭を軽く叩く。
まったく、そうそう都合のいいことがあってたまるか。だいたい最近の――
「ゲレゲレ」
もう一度アルルゥの声が聞こえた。そういえばさっきは妄想中で無視してしまったな。
『なんだい、あるる……』
ブブブブブブブブブブブブブブブブブ!!!!!
アルルゥの方向を向いた俺を出迎えたもの。それは群れをなし、すでに漆黒のカーテンと化した蜂の群れだった。
「逃げた方がいい」
無論、俺はその言葉を聞く前に脱兎の如く逃げ出していた。
『うおおおおおおお! なんだこいつら! しつこいぞ!』
鬼の力をまとった俺が全力で走っているのに、今だ蜂どもはついてきている。
いや、速度自体は俺の方がやや勝っている。だが、ヤツラはまるで組織化された軍隊のように正確に俺を追い詰めてくるのだ。
『うおわっ! こっちにも!』
いきなり目の前にカーテンが現れる。後ろからも追ってきている。仕方が無いので横に逃げる。またいる。
そんなことを何度もくり返した。
だがやがて……
『崖ェ!?』
森を抜けたはいいが、今度は目の前に断崖絶壁の岩壁が現れた。とてもヤツラを振りきって登れそうにない。
ブブブブブブ……
後ろの森からは逃げ場をふさいだ連中の羽音が聞こえてくる。
『ぬぐぐぐぐぐぐぐ……仕方がないッ! 狩猟者、へんっ、しーーーーーん!!!!』
破れないように服を脱ぎ、身体に力を込める。瞬間、全ての筋肉は爆発するようにふくれあがり、
俺は『鬼』となった。
『せいぁーーーーーーーっ!!』
正直、この姿は体力の消耗が激しいのであまり使いたくない……が、今はそうも言っとられん。
どぉぉぉぉ……ん
岩壁を何度も蹴り上げ、やがて頂上へとたどり着いた。
振りきったか、と安心した刹那、俺はその場に覚えのある気配を感じた。
『キサマ……!?』
「ハァイ、柳川さん。お元気?」
――久しいな。
あの日、高野山で出会った女性と白い悪魔だった……
とりあえず人間形態に戻り、俺は尋ねてみる。
『何をしているんだ? こんなところで』
「あら? 見てわからない?」
女に促され、足元を見る。……なべの中で粥がグツグツと煮立っている。
「食事よ」
『そのようだな』
ほのかな香りが俺の空腹感を刺激する。
「ご一緒にいかが?」
A 了承
B 却下
C アルルゥを連れてくる
来たな。C
『いや待て、実は連れがいるんだ。あの子を放っておくことは……』
「だそうよ、お願い」
女性が白い悪魔の首筋を軽く叩いた。
――相わかった。
(5秒後)
――戻った。
「ゲレゲレ、刺されなかった?」
獲物を確保したアルルゥが白い悪魔の背に乗っていた。なんつー早さだ……
『まずはアンタの名前を教えてもらえないか? 真の八百比丘尼……ではいささか呼びにくい』
「麗子とでも呼んでちょうだい」
『れいこ……』
麗子は俺に視線を合わせようとはせず、マイペースに茶碗に粥をとると、それをエルルゥに渡した。
「熱いから気をつけて」
「ん」
はふはふとそれを食べるアルルゥ。
『嫌に現代的な名前だな』
「私の名前にそんな重要な意味があるの?」
『いや……ないな』
「でしょう?」
この女の微笑みは、底が見えない。一体何を知っているんだ……?
その後しばらくは、麗子の他愛無い質問に答えていた。
別に隠す必要もないことなので、正直に答えていた。
そして……タイミングを見測り、今度はこちらから問いかける。
A お前は何者なんだ?
B 何故俺たち……いや、耕一のことまで知っている?
C 全部丸く治める方法はないのか?
D じゃあな、ごちそうさん
C
『なあ、麗子……全部、全部丸く治める方法はないのか?
俺たちのことも、神奈のことも、星の記憶のことも、すべて上手くいくやり方はないのか?』
「ないわね」
即答&断言された。ドきっぱりと。
麗子は粥を一口すすり、続ける。
「甘ったれるんじゃないわよ。全てを得ようなんてのはあまりにも都合がよすぎる。
何かを得るには、何かを捨てることが必要。何も捨てれない者は結局何も得ることが出来ないのよ。
たとえそれが、どんなに辛い選択だとしても……何かは捨てなくてはならない。
人はそうやって生きていくものよ」
「ん〜〜〜」
――コ、コラやめろ。鬣を引っ張るな。
俺たちの話がつまらないのだろう。粥を食べ終えたアルルゥは白い悪魔にじゃれついている。
『……何かを捨てる、か……』
「ま、気張って考え、行動なさい。せいぜい後悔の無いようにね」
麗子は立ちあがった。
『行くのか?』
「ええ。話は終わったから」
『……また、会えるか?』
「縁があれば、ね」
麗子は悪魔に跨ると、一瞬でどこかへと消えてしまった。
――まぁ、夢を思い出すことね。
去り際、そんな声が聞こえた気がした。
『……夢?』
「ゲレゲレ?」
気がつけばアルルゥが俺の顔を覗きこんでいた。その手には蜂の巣が入った袋が握られている。
『ああスマン、退屈だったか。蜂の巣は採れたみたいだな……帰るか』
「ん」
日は西に傾き始めていた。
「……………」
「……………」
屋敷に戻ると、正門前で舞と桐花が殺気バリバリで向き合っていた。
『どうしたんだ?』
「あ、先生」
二人から少し離れたところに腰掛けていたみさき君が寄ってくる。
『これはどうしたんだ? みさき君』
「なんか、桐花さんが舞ちゃんと手合わせしたい、って言って、それで二人で……」
なるほど、稽古か。そういえば二人の武器も木刀だしな。
「…………」
「…………」
桐花は抜刀術の、舞は正眼の構えを取り、両者睨み合ったまま一歩も動かない。俺が来たのにも気付いていないようだ。
さて……
A 桐花を応援する
B 舞を応援する
C 『二人とも頑張れよ』と一言残して去る
D しばらく無言で見ている。
d
526 :
525:02/10/01 08:02 ID:5O4q4Vsf
朝っぱらからご苦労様です。
・・・「夜中」かもしれないが。
チリチリと焼けつく空気が肌を刺す。
柳川の位置でもそのくらいなのだがら、当事者の二人が感じる気迫は凄まじきものだろう。
(………剣の勝負ならまだ7対3で桐花に分があるな)
柳川は瞬時に二人の実力差を見ぬいた。
じり……
舞が一歩桐花ににじり寄る。
(だが、あいつにはアレがある)
かつて、死した柳川と楓を蘇らせた、そして狩猟者と対等に渡り合った、アレが。
ヒュオン!
刹那、桐花の姿が掻き消える。
ガキィィ!!!
次に気がついた時には、桐花の抜き放った一撃が舞の柄によって受けとめられていた。
(初太刀しくじったか!)
「せあっ!」
舞は桐花の一撃を受けた剣はそのままに、一瞬屈みこんで足首への水平蹴りを見舞った。
が、彼女はすでに間合いをとりなおしていた。
改めて剣を構えなおす二人。
(長引けば不利……)
力を使えば勝機は十分にある。だが、舞はあえて剣のみの勝負に挑んだ。
「せ……いッ!」
今度は舞が先に動いた。
一足飛びに桐花との間合いを詰め、袈裟切りの一撃を繰り出す。
ざしゃぁっ!
桐花は構えを解かず、一歩後ろへ退いてそれをかわした
「ハァァァァ!!!!!」
攻撃直後を狙い、居合斬りを放つが予測していた舞は体をのけぞらせてこれをかわす。
今度は舞の蹴りが桐花を襲う。右腕が剣に持ってかれているため、桐花は左腕一本でそれをさばくことになる。
が、彼女はそうしなかった。舞の蹴りを腹にくらいつつも距離を詰め、二人の間合いは消えた。
桐花は返す刃で舞を狙い、負けじと舞は逆袈裟に桐花に斬りかかる。
結論を言おう。勝ったのは……
A 舞だ
B 桐花だ
C 引き分けだ
Cかな
ガキッ!
二人の体の間で、二本の木刀がぶつかり合い、弾ける。
その後の二人の行動は同じであった。
二人とも弾きあった一撃を切り返すことはせず、その勢いをそのままに剣を体の後ろへ下げる。
お互い、半歩ずつ下がりあい、そして………
『居合!?』
そう桐花はともかく、舞も彼女とまったく同じ動きで抜刀術の体勢に入った。
(なんだと!?)
驚愕する桐花。
だがお互いの剣は止まらない。鏡写しのように同じ体勢、剣線、速度、斬撃が走った。
当然の如く、それぞれが狙っている位置も同じであった。
バシィッ!!!!
にぶい音が響く。
二人の剣はそれぞれに綺麗に決まった。
お互い剣を握った手が伸びきった状態で、それぞれのわき腹に相手の剣がめり込んでいる。
そして二人の目線がまたしても同じ動きをとり、重なった。
「やるな、舞殿」
「……そっちこそ」
グラリと揺れる。
「「ぐ……っ……」」
そのまま倒れ、起きあがることはなかった。
『引き分けか……二人を医務室へ連れていこう。みさき君、手伝ってくれ』
「う、うん」
(それにしても……まさか剣術勝負で舞が桐花に引き分けるとはな……)
名前は忘れたが、たしか桐花はどこぞの戦いに長けた一族出身らしい。
その強さはこの辺りでも有名だとか……
(末恐ろしい娘だ、全く)
フフッ、と笑った。その恐ろしい娘は自分の胸の中で幼子のように眠っている。
さて、二人は運び終わったし……どうするかな。
A 神奈や国崎とこれからのことを話す
B ハクオロのもとに相談しに行く
C 現代組と雑談する
D ハクオロ組の様子を見る
E アルルゥと茶でもしばきながらはちみつを食べる
F エルルゥの二人への治療を手伝う
A
国崎の最後の悪あがきとやらが気になる。
俺は国崎たちと今後のことについて話し合おうと思い、あいつの部屋へと向かった。
……だが、はたと足を止める。そこに感じた気配は四つだ。
国崎、神奈、柳也、裏葉。今回の重要人物が勢ぞろい。
それなら手間が省けてちょうどいいのだが……そこにただよう気配が、そうさせなかった。
『…………』
廊下を渡り、国崎の部屋が見渡せる位置まで来る。
そこから眺めると、部屋の御簾を開け、四人が並んで夕焼けを見つめている光景が見えた。
表情はどれもが虚ろだ。
……そんな中、計らずも研ぎ澄まされた狩猟者の聴覚が四人の会話をとらえてしまった。
「なあ……神奈」
国崎が語り始める。自分自身に言い聞かせるように。
「……なんだ国崎」
「お前は……どうするつもりだ」
「……何をだ」
「選択、だよ。未来に生きるか、今生に生きるか」
「……………」
ほとんど国崎が一方的に語りかけてるだけだ。
「どちらにせよ、どちらにせよお前に翼人としての理……星の記憶があるかぎり、いずれお前は孤独になる。
それが幸せといえるか?」
「む……ぅ……だが、だが余には翼のある者としての使命がある……それを捨て去ることはできん」
……これに対し、国崎は一つの提案を示した。それは驚愕すべきものだった。
「なら、やめろ。翼人など、やめてしまえ」
「「「なっ!?」」」
国崎以外の三人の声が重なる。
「な、何を言っておるのだ国崎! そんな、そんなことができるわけ……」
「出来るんだよ」
断言した。迷いはない。
「いや、正確に言えば翼人をやめるということにはならないかもしれないがな、少なくともそのふざけた使命とやらからは逃れられる」
「一体……どうすると言うんだ」
会話に柳也も割ってはいる。
「………フゥ」
国崎は一呼吸置くと
「親父、母さん、俺があなた達から示された使命は『翼の少女を救う』ことだ。そこには一切『星の記憶』に関する話など存在しない。
正直な、俺にとって星の記憶なんぞどうでもいいんだよ。俺の目的はただ一つ、神奈を幸せにすることだ」
(それはつまり観鈴の幸せにつながる)
……ん? 今何か呟いたような気がしたが……気のせいか?
「星の記憶が、どうでもよい……? 記憶を捨てると言うのか。痴れ事を……星の記憶とはこの星の力そのもの。
迂闊に解放すれば何が起こるかわかったものではない」
「だろうな。そうだろうな。おそらく俺の提案にムツミや母君殿は大反対するだろうな。
だが、出来るんだよ。記憶の解放……確かに、現世で迂闊なことをすれば何が起こるのかわからない。現世……この世では、な。
しかしな、この世ではない場所……常世、それすら越えた場所。……例えば、因果の彼方、時の最果てとかならどうだ?」
「……っ!」
神奈の表情が驚愕に変わる。
「今の俺は一応翼人の始祖を身に宿しているらしい……ならば、俺が一時的に記憶を引き受けることぐらいはできるだろう。
そして柳川たちを未来に送り届ければ、俺は消える。記憶と共に、永遠にな。
そうすればもうこの世界のどこにもお前たちを縛りつけるものはない。三人、寄り添って慎ましやかに生きるがいい。
力が無ければもうお前たちが狙われる恐れはないだろう」
「待て国崎!」
柳也が激昂し、立ちあがる。
「それではお前が消えることに全く変わりはないぞ!」
「いいんだよ」
それは断言だった。
「何度も言うが、俺はこのために生を受け、ここまで来た。お前たちを救うためにだけ生きてきた。
この命で神奈の幸せが勝ち取れるのなら安いものだ」
「ふざけるな!」
国崎に柳也が掴みかかる。
「今までお前は一人だけで生きてきたというのか! いいやそんなはずはあるまい。お前にとって現代、俺たちにとって未来、
そこに誰かいないのか! お前に大切な人間はいないのか! お前を待っている人間はいないのか!?
そいつらのことも考えずに消えるだのなんだの言ってるんじゃあない!」」
「………」
それに対し国崎は
A 『俺は俺だけの力で生きてきた。そんなヤツないない』と答えた。
B ……沈黙した。
『俺は俺だけの力で生きてきた。そんなヤツはいない』
国崎は即答した。
一瞬、柳也の手に力が込められるがすぐに抜ける。そして、彼はその場にガクリと膝をついた。
「そう、か……」
嘘だとはわかっているのだろう。だが、それほどの覚悟を持つ国崎をどう説得したらいいのかがわからないのだ。
「馬鹿……ヤロウ……」
それだけ言うと柳也は国崎から離れ、崩れるようにへたりこんだ。
「……話は終わりだ。神奈、考えておいてくれ」
言い残すと国崎は部屋を去った。
後に残った裏葉が目元をおさえているのが印象的だった……
「なぜ……なぜ、このようなことに……」
A 国崎に声をかける
B 神奈たちの部屋に行く
C ここを離れる
D ハクオロに相談する
難しい選択だな・・・。
当事者達だけではどうにもならないことだろう。
借りられるだけの知恵と可能性は試してみよう。
D。
一部のメンバーが暗く沈んだ夕食の後、俺はハクオロの部屋に行ってみた。
俺たちだけではもう手詰まりの感が強い。ここは博識なあいつに相談してみるのも一つの手だろう。
『スマン、ハクオロに会いたい。通してもらえるか?』
ハクオロの部屋へと続く廊下。そこの衛兵に一言声をかける。
俺の顔を見るとすぐに承諾してもらえた。
松明の炎がユラユラと照らす部屋までの暗い廊下を歩いていく。空気はかなり冷たい。さすが平安時代というところか……
『!』
これは!?
背後にわずかな人の気配を感じた俺は前方に一歩飛び、即座に戦闘態勢をとった。
無論、ただの人の気配を察知しただけならこんなことは必要無い。エルルゥ・アルルゥなり他のメンバーなりが
ここに来る可能性も十分に考えられる。
だが、その気配は隠形……気配を隠そうとしているものが漏れたものだった。
夜、屋敷の主人の近くにおいて隠形を使う者……すなわち刺客!
『誰だ、そこにいるのは……バレているぞ。すぐに姿を見せろ』
廊下の奥の暗闇に向かい、一言警告する。すると気配が一瞬ピクリと反応を見せた。
その間にも戦闘態勢は崩さない。向こうが不穏な動きを見せれば即座に飛びかかれる。
『……五つ数える。その間に出て来い。さもなくば……』
5,4,3,2……とゆっくり数えていく。
やがて、現れたのは……
A 老人
B 少女
A だれかな(w
間違いなく長瀬源之助でしょう(w
『な……あなたは!?』
「初めまして、でしょうか。お久しぶり、でしょうか柳川さん」
なんと、暗闇から現れたのは現代にいるはずの長瀬源之助氏だった。
『一体……どうし……て?』
ワケがわからない。タイムマシン搭乗可能人数は俺たちだけで埋まっていたはずだ。
だのに、なぜ……
「まぁ突然のことで驚きとは思いますが、どこかでゆっくりとお話でもしましょうか」
『は、はぁ……』
突然のことに呆気にとられながらも俺は源之助氏に連れられ、中庭まで出た。
「では……そうですね。まずは私の正体から」
『はぁ……』
「確かに私は長瀬源之助です。あなたともお会いしたことと思います。……ここで『思います』というのは、私自身はあなたとお会いするのは初めてだからです。
……わかりやすく言いましょう。私は過去の長瀬源之助。……グエンティーナを通した、あなたの時代に存在する私の頼みで手助けに参りました」
『な、なるほど……』
そういうことか。まぁ、千年前になぜいるのかという疑問はわくが、魔法が使える彼にそんな質問は野暮というものだろう。
「まずは……申し訳ございませんでした」
突如、源之助氏は頭を下げた。
『ど、どうしたというのですか? 何を謝って……』
「並列世界を越えた通信はグエンティーナといえど少々手間取りましたので、ここまで駆けつけるのが遅れたこと申し訳ございません。
本来なら私ももっと早くからお手伝いするのが筋というものでしたのに……」
『あ、い、いえ。大丈夫ですよ。俺たちだけでも何とかなったんですし。そのお気持ちだけで十分です』
「お心遣い、感謝いたします」
そう言うと、氏はまたしても頭を垂れた。
『……して、何かよい方法はあるのですか?』
俺は本題に入った。
「……はい、あります」
彼は楽しげに唇を歪めた。
A 国崎たちを集め、早速話す
B まずこういう話はハクオロと相談するのがいい気がする
C さて、超がつくほど久々の現代視点へ
現代視点に戻りたがってますな(笑)
この流れなら不自然じゃないですね。
という事で、C。
源さん@現代にご説明願いましょうか。
ってホントに源之助かよ。
それなりの日常を、
それなりに楽しく、
それなりに悲しく、
それなりに生きていく。
「ま、こういう生活も悪くないよね」
お久しぶりです。僕、長瀬祐介。
ただ今授業真っ最中です。
この教科は結構好きです。……ってえ? なぜ僕がのんびり授業を受けているかって?
そんな、まさか柳川先生たちみんなが帰ってくるまで研究所で待ってるわけにもいかないじゃないですか。
メンバーの中には学生も多いことですし、みんなそれぞれの日常に戻っていったんですよ。
……と、話を戻しますがこの授業、僕は嫌いじゃありません。
なぜなら講師が面白く、同時に教えるのが上手だからです。教師によって勉強ってずいぶんはかどり具合が変わるんだなぁ……と実感させられます。
ブルルッ!
「!」
ズボンのポケットの中で、携帯が震えました。
先生の目を盗み、そっと覗いてみます。
『外を見ろ』
……文面に従い、窓から校門の方を伺います。そこには……
A 梓さんがバイクに跨っていた
B 来巣川のロゴが入った車があった。
C ちーちゃんがリムジンから降りてきていた
D 耕一さんが自転車に乗っていた。
D
とりあえず予想してみよう。
耕一さんがこんな急に僕を呼びつける。きっと何か重要な用事があるんだろう。
今の時期ならそれは柳川先生たちに関することの可能性が高い。
みんなが帰ってくる目処がついたのだろうか?
けど……けどさ、いくらなんでも自転車はないでしょ。自転車は。
体力馬鹿の鬼と違って僕の能力はデリケートなんだ。
そんな野蛮人みたいなマネは……
と授業に戻ろうとしたが、その時僕は耕一さんに向かって歩いていく人影を発見してしまった。
「……瑠璃子さん!?」
思わず立ちあがり、叫んでしまう。……教室中の視線が僕に集中する。
「どうした? 長瀬……」
「早退します! 後はよろしく!」
冗談じゃない。あんな男と瑠璃子さんを二人っきりにできるものか!
「………はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ………」
「なんだなんだ、だらしないな祐介」
「長瀬ちゃん……がんばって……」
瑠璃子さんを荷台に乗せて、僕は山道を進み続ける。
「なさけないぞ」
耕一さんは汗一つかいていない。……まあ、人間じゃないからな。
「だいたい、なんで、よりによって、自転車……なんです……か……」
「いやぁ、急な話だったもんでさ。俺免許持ってないし、鶴来屋の車使うわけにいかんし、あの研究所警備がきつくてバスも走ってないからなぁ」
あっはっは、と笑う。この男は……もっと別の方法を考えてみたりはしないのか……
「それにしてもかなり辛そうだなぁ祐介」
ツライんだよ。この能天気鬼が。
「どうだ? 瑠璃子ちゃんは俺が運んでやろうか?」
ニヤニヤしながら提案してきやがった……なるほど。本当の目的はそれか。
A 誰が瑠璃子さんに触らせるかぁ! 却下。
B 僕の体力にはかえられない……了承。
C 後ろから爆音が聞こえてきました。
Aかな、引っ掻き回すのもアレだし。
アナザーで良い思いしてるんだから、これ位の罰は受けて貰わないと(w
「つい……た……」
結局瑠璃子さんを乗せたまま山道十数キロ、完走してしまった。ていうか耕一さん、途中の検問所で車借りてくれよ……
「お疲れさま、長瀬ちゃん」
瑠璃子さんが近くの自動販売機で買ってきてくれた清涼飲料水を差し出す。が、脱力して壁にもたれかかる僕はそれに手を伸ばす元気すらなかった。
「瑠璃子さん……飲ませて……」
「もう、しょうがないなぁ長瀬ちゃん。それじゃあ……」
と瑠璃子さんは缶の蓋を開けると、それを自分の口につけた。
「え? ……んむっ!」
するとおもむろに、そのまま自分の口を僕の口に重ねてきた。
ごきゅっ、ごきゅっ、ごきゅっ、ごきゅっ……
ディープなキッスの形になるが、普段と違うのは彼女の口から飲料水が流れ込んできているというところだ。
「ん、ん、ん……」
喉が潤されると同時に、瑠璃子さんの舌が僕の口の中を蹂躙する。
口に含んだ分がなくなると、一旦補給してまた再開する。そんなことがしばらく続いた。
少し離れた場所からの耕一さんの視線がとても心地よかった。ざまぁみろぉぉぉ!!!!
「……で、今日は突然どうしたんですか?」
研究所の廊下を歩きながら、僕は耕一さんに質問してみる。
「ああ。なんでも過去に行った柳川たちに関して源之助さんから重要な話があるらしい」
「重要な話……?」
「俺も詳しくは知らないんだがな。場合によっては帰還にも関係するようだ」
「ええっ!?」
……そのまま、いつかの研究室へと入る。
中にはすでに僕ら以外のメンバーは勢ぞろいしており、源之助さんに向き合ってその話が始まるのを今かと待っている。
「遅かったな二人とも。ま、ここにでも座んな」
ライダースーツの梓さんに促され、彼女の隣に腰掛ける。部屋の片隅では長瀬主任と藤田さんがなにやらコンピュータを覗きこんで会話していた。
「では、そろそろ始めましょうか」
源之助さんが厳かに開始を告げる。皆、息を飲んだ。
A
>>542の位置から話を始める
B ある程度進んだところから話を始める。
C 最後の夜から話を始める。
最後の夜っていつの話だ・・・?
とりあえず今回はスルー。
A:
>>542の位置から
B:適当な(こっちで書きやすいぐらいにw)話が進んだところから
C:柳川一行帰還の夜から
です。説明不足スマソ。あ、いずれも平安の話なんで。
553 :
551:02/10/03 06:48 ID:I4GXsiN6
>>552=550
つまり途中をBよろしくすっ飛ばして
国崎消滅の直前までいっちゃうってことかな?<C
んー、それはそれで面白いが、自分実は
>>543なので、
やっぱり源さんに解説はしていただきたい(苦笑)
よって、A。
現代と平安の源さんによって両方の時間軸の人間に
同内容が伝えられる、って形になるのかな。
大変だろうががんがれ。<仕事
仕事辞めたいって思わん人の方が少ないはずだ。
みんな似たようなもんさ、孤独感にさいなまれるでないぞ。
554 :
現在:02/10/03 09:14 ID:mTBjlx1Y
「実は私、千年前に彼らと会っていましてね」
ブッ
室内にいた人間の大半が吹き出す。
「まぁ、いろいろ訊きたいこともあるでしょうが、それは最後にお願いします。ともかく、私は『現在』の私からの頼みにより、柳川さんに会いに行ったわけです。
ちなみに、それまでのあらすじは―――」
源之助さんはかいつまみながら高野山における神奈の母救出のくだりを話し始めた。
……そうか、先生、また大変だったんだな……なんとかしちゃうのが先生っぽいけど。
川澄さんやみさきさんも無事だったみたいだし。よかったよかった。
それにしても、波動砲か。
「……というわけで、彼らはその後源頼光の屋敷に身を寄せ、現代への帰還の方法を探っていました。
ですが、いずれの方法をとっても『何か』は失ってしまう。そこで、私が提案した方法は―――」
555 :
平安:02/10/03 09:15 ID:mTBjlx1Y
「私が提案する方法は、『器を整える』です」
『?』
器? なんのことだ。
「まだわからないでしょうな。つまり……今、この平安の時代においては母君殿から神奈様への記憶の受け継ぎが行われようとしております。
これは母から子へ、あるべき姿であり、両者ともに翼人であるため何の問題もありません。ただ、神奈様が最後の翼人であるがゆえ、彼女は永い眠りに入らねばならない。
そうですな?」
『ええ。そうらしいです。よって、神奈が柳也たちと共に過ごす場合、国崎は消え去らねばならない』
「ですが……あなたがたは沖縄において、『現在』の神奈と出会ったそうですな?」
『はい、確かに。ですが……』
「ええ。その後のいきさつは存じております。けれど、彼女が『現在』に存在したということは、星の記憶もまた『現在』に伝えられているということ。
しかし『現在』の彼女は呪いによって封じられているゆえ……誰か、彼女の転生した方が記憶を得ているはずです」
『!?』
「ですが星の記憶とはあまりに大きすぎます。神奈様が最後の翼人であることは確実ゆえ、その方は人の身で記憶を受けきらねばなりません。
自然、無理が出ます。おそらくその方の体は大きな情報量ゆえに侵され、命すら危ぶまれていることでしょう」
つまりは……。
『現代における神奈の子孫は、記憶を受け継ぎつつもそれに耐えきれない。……地獄ですね。この時代だけでなく、未来永劫苦しみ続けるとは……』
だが彼は、またしてもニヤリと笑った。
「人の身に重すぎるのなら、その方……おそらく女性でしょうな。その女性に『羽』を与えればよいのですよ。
受け継ぐべき者が問題なく記憶を受け継げるのならば、神奈が無理に眠りにつく必要はありません」
『……どういうことですか?』
「お忘れですかな? 今の国崎さんの姿を。彼は今翼人の始祖『ムツミ』をその身に宿しています。
なればこそ、彼女にもそれと同じことが出来ると考えるべきです。そして、記憶が人の身にも受け継がれるとするならば、翼人は翼人としての価値を失います。
彼らも、人として生きることが許されるのです。神奈様も、柳也殿たちと共に静かに生きることが許されるはずです」
『……なるほど……』
「ですが、この方法にはいくつか問題点があります」
556 :
現在:02/10/03 09:16 ID:mTBjlx1Y
「一つは、その神奈の生まれ変わりが誰だか全くわからないこと。一つは、彼女をどうやって並列世界と化した平安の都へ送り届けるか、ということ」
「……現在の技術では、過去へ行くことはできても並列世界への移動は不可能です。タイムマシンはその仕事には使えません」
源之助さんの言葉を受け、主任が説明を入れる。
……そんなの、雲を掴むような話じゃないか……
「ですが」
源之助さんは続けた。
「少なくとも、彼女の身元に心当たりのある人間がいるはずです」
「……? それは誰ですか?」
「国崎さんです。法術師一族と翼人一族は惹かれ合う関係にあります。おそらく彼は彼女に会っているはずです」
557 :
平安:02/10/03 09:17 ID:mTBjlx1Y
『国崎が!?』
「ええ。おそらくはあなたと出会うその前に、彼は彼女に出会っているはずです。
そこで彼女を救おうとしたのでしょう。ですが……呪いは、それに近しい人をも撒きこみます。彼は諦めざるをえなかったのでしょう」
『だが』
「はい。この時代ならばまだ間に合います。国崎さんの元へ行きましょう。私が知れば、未来の私にもまた繋がります。
あとは、未来のみなさんを信じましょう」
『国崎! 話がある!』
俺は源之助さんを連れ、慌てて国崎の部屋へと入った。
「……なんだ?」
奴は虚ろな目で月を眺めたまま、こちらに振りかえりもせずに応対した。
『お前、現在での神奈の生まれ変わりに会ったことがあるだろう!? 彼女はどこにいるんだ!』
瞬間、国崎の目の色が変わった。
「キサマ、なぜ観鈴のことを知っている!?」
胸倉を掴んでくるが、それは源之助さんが制した。
「落ち着いてください国崎さん。まずは私の話を」
「あんたは……確か、長瀬源之助?」
「ええ、お久しぶり……でしょうか?」
「……なるほど。つまり、観鈴をこの時代に呼び寄せることができれば何とかなりそうだ、ということか」
「はい。そうなります。ですが我々にはその観鈴さんの居場所がわかりません。お教え願えませんか?
国崎は……
A 素直に教えた
B 断った
C 昔話を始めた
〜上のを読むのが面倒な方へ〜
極論すれば、「観鈴を呼べばなんとかなりそうだ」です。
>>553 サンクス&余計な気を使わせてしまってスマヌ。
まぁ、ボチボチやっていくさぁ〜
Aで。
どうせなら大団円で終わりたい。
【平安】
国崎は無言のまま立ちあがると、窓から夜空を見上げた。
「……名前は、神尾観鈴」
そしてゆっくりと語り始める。
「海辺の……一軒家に住んでいる。家族は、母親が一人」
言葉と言葉の間は、大きい。
「俺は……夏、そこにしばらく厄介になっていた。飯につられ、いつのまにか居候と化していた。
……居心地は、悪くなかった」
『……………』
「だが、あの呪いが発動してしまった。観鈴は徐々に体の感覚が奪われていき、背中のあるはずのない痛みに体を蝕まれる……
俺は、何もすることが出来なかった。見ていることしか出来なかった。海に連れていくことも、祭りに連れていってやることもできなかった。
……呪いは、俺の体をも蝕んだ。二人が近づけば近づくほど呪いも強まるらしい。
俺は、離れるしかなかった。俺は家を、あの街を離れた。その後、観鈴がどうなったか………俺は、知らない」
泣いているのか? 国崎……
「して、その観鈴さんの家は?」
「……それは……」
【現在】
「ッ! 思い出しました。その子の名前は神尾観鈴、海辺に住んでいるとのことです!」
源之助さんが叫ぶ。
「なら急ぎましょう。急いで迎えに行かないと!」
健太郎さんは意気込んで立ち上がる。
「では、車を手配しますか。そう遠いところではありますまい」
「………………神尾観鈴、か」
A 迎えに行くメンバー選出(2〜3人)
B 実は、僕(祐介)のクラスメイトだった
C 実は、藤田さんのクラスメイトだった
D 平安視点で話を進める。
※たぶんこの場にいるメンバー
耕一・ちーちゃん・梓・楓・初音・浩之・祐介・瑠璃子・健太郎・源之助・リアン・なつみ・長瀬主任
Aで、祐介、瑠璃子、源之助
563 :
553:02/10/03 12:14 ID:6bxK/UdK
・・・毒電波と魔力でどうにかする、のか?(w
面白いかも。
>>558 まあ、がんばりやー。
Dream観鈴シナリオのバッドエンドかよ。
あれって離れても呪いは残るんじゃなかったっけ?
ってことは観鈴はもう死んでるってオチか?(w
しかし鍵キャラが少ないな・・・
結局、僕と瑠璃子さんと源之助さんの三人で行くことになった。
なぜ源之助さんが僕らを選んだのかはわからないが、まかされたんだ。がんばらなくっちゃ。
「……………」
源之助さんが運転する乗用車。研究所に備えてあるものだ。
車に揺られてすでに数十分たつが、ほとんど会話はない。
瑠璃子さんとの電波交換すらない。源之助さんがいい人だっていうのはわかってるんだけど……
雰囲気が、そうさせてくれなかった。
景色が流れ、やがて海が見える。
海が見えると少し心が踊るのは人間の性なのだろうか? 昔からそれは変わらない。
「僕が内陸に住んでるからかな……」
だれも答えてはくれないが、僕はそんな質問をしてみた。
答えてくれるのは自分しかいない。
「あ、あっちだよ」
次の発言は瑠璃子さんのその台詞だった。
「おっと、これは面目ない」
道を間違えかけた源之助さんが、慌ててハンドルを切る。車は堤防沿いの道に入った。
「……あれは……?」
ふと窓の外を見た僕の目に、砂浜に立つ人影が見えた。
親子連れらしき人が、子供を背におぶせて波打ち際に立っている。
「……ひょっとして、あれが……? 源之助さん、止めてください!」
「ふむ……聞いていた特徴に合致します。間違いなさそうですな」
「運がよかったね。さっそくお話しに行こうよ」
「………いや」
何か、様子がおかしい。
A さっさと声をかける。
B しばらく様子を見る。
B
聖なるかな聖なるかな……
昔、どこかで聞いた賛美歌の詩が僕の頭の中に響いた。
その光景は、それほどまでに輝いていた。神々しかった。
母親が、子供をおんぶする。それは至極当たり前の行動のはずなのに。
僕だって何度も体験したはずなのに。何度も見ていたはずなのに。
それは、美しかった。
女の人に、別の人影が近づく。……Yシャツ姿の、男の人だ。
二言三言会話を交わすと、彼女は……女の子を……その男の人に、手渡した。
「何であんなことするんだろう?」
僕の隣で瑠璃子さんが呟く。
「あの人は、あの子のお母さんなのに」
僕らの声はもちろんそこには届かず、男の人は女の子を抱いたまま離れていった。
「……あ」
思わず声を漏らしてしまう。男の人が、女の子を落した。
「何をしてるんだ……」
女の子は足掻いていた。
波打ち際で、必死に。必死に。立ちあがろうとしていた。
足がもつれ、倒れ、水に濡れながらも。何度も何度も立ちあがろうとする。
男の人が手を伸ばすが、邪魔そうに振り払う。
彼女は何度も何度も、立ちあがる。自分の力で。
そしてやがて、立ちあがった。
そしてやがて、歩き始めた。
自分の、母親のもとへ。
そして、母親は子供のもとへ。
そして、二人は抱き合った。
あるべき姿だった。
また男の人と女の人が何か会話した。
やがて、男の人は離れた。
ただ一人で。
「仲良き親子は美しきかな……」
嬉しそうに、源之助さんは呟いた。
「さて……そろそろ声をかけなきゃね。落ち着いたみたいだし」
「そうだね」
まず誰から声をかけようか?
A 祐介
B 瑠璃子さん
C 源之助さん
国崎がまだ存在してるのに、Airシナリオですか。
きっちりその辺の整合性もつけてくれることを期待。
Bで。
「それじゃあ、私が行くよ」
僕らの中から瑠璃子さんが一歩進み出た。堤防を越え、砂浜に足跡を刻みながら抱き合う二人へ歩いていく。
「上手くいくでしょうか……」
「きっと大丈夫ですよ。彼女なら」
……やがて、たどり着いた瑠璃子さんが二人に話しかけた。
あ、お辞儀してる。あ、女の人面食らった。でもお辞儀返された。なんだかちょっと滑稽な光景だ。
……瑠璃子さん、なんだか女の子の顔を覗きこんでる。そして笑顔で何か言った。
彼女らしいや。どうやらしばらくは雑談するみたいだね。
「……あ」
雰囲気が少し変わった。どうやら本題に入ったようだ。
瑠璃子さんががんばって説明して、母親の人はそれを黙って聞いている。
……女の子が動いていないのは、きっと寝ているからだろう。
沈む夕日を背景に、瑠璃子さんの話は続いた。
母親の人はそれに反論するような様子はなく、ただただ聞きつづけている。
やがて、瑠璃子さんが帰ってきた。二人を引き連れて。
瑠璃子さんは僕の横に並び、代わって母親が僕らの前に立つ。
源之助さんに向かい、言った。
「……アンタが、この子らの保護者か?」
静かな声だ。とても落ち着いている。
「ええ、そうなりますな。……話はお聞きになられましたか?」
「まぁ、大体はな……正直信じられんけど……なんとなくわかる気もするわ……今ならな」
母親は一旦会話を止めると、振りかえって沈む太陽を眺めた。
「居候……ホンマけったいなやっちゃで。観鈴助けにそんなとこまで行くなんてなぁ……」
神尾観鈴らしき女の子は、彼女の腕の中で静かに寝息を立てていた。
「観鈴……聞いたか? あんたの大事な居候、あんた救いにずいぶん無茶してるらしいで……」
微笑みながら、語り掛ける。
「……して、私どもについてきていただけますか?」
母親は……
A 承諾した
B しばらく待ってくれと言った。
Aでさくっと。
もう時間が無い急げ〜!
575 :
35:02/10/04 22:33 ID:GrxOcOaQ
神尾観鈴の母親……神尾晴子さん、というそうだ。
彼女は僕らの申し出を承諾してくれた。
喜んで……とまではいかなかったが。彼女なりに考え、それが一番ベターだと考えたのだろう。
「ちょっと待っといてや。うちらにも……それなりの準備はある」
今は彼女の頼みを聞いて、自宅の前で待っている。
「……あの、神尾観鈴って子……」
「うん……空っぽだね」
僕らは感じた。彼女の中には、もうほとんど何も無いことを。
「いや……何も無くは、ないね」
己の母への愛が満ちていた。
「うん。あれは気持ちいいよ」
「けど……」
「それだけじゃ、生きれないよ……」
そう。僕らにはわかった。彼女の命は尽きようとしていることを。巨大なものに、飲みこまれようとしていることを。
「源之助さん……あなたの魔法で何とかならないんですか?」
彼は少し悔しそうに自分の髭をむしるしぐさをした。
「面目ありません……彼女が普通の病人なら話は楽なのですが、なにぶんあれほど強烈な呪い、私一人の力ではどうにもなりません」
「そう……ですか」
僕らが落胆した時、玄関が開いた。
「待たせたな。ほな、行こか」
とはいえ、ほとんどの荷物は晴子さんが持っている。観鈴さんは、ただ服を着替えて……恐竜のぬいぐるみを抱いているだけだ。
いや……
「ああ、これか? こいつは観鈴の友達や。ちと不吉やけど、まぁ気にせんといてや」
恐竜のぬいぐるみと一緒に、漆黒の烏を抱いていた。
576 :
35:02/10/04 22:34 ID:GrxOcOaQ
【平安】
「ともかく、その神尾というお嬢さんの身柄確保は未来の方々に任せましょう」
「ああ……」
国崎はスッキリしない、と言った表情だが、一応うなづいた。
『では、俺たちがすべきことは……』
「彼女をこちらに呼び寄せる方法。あちらからここに直接来ることはできませんからな。
どうにかしてこちらから呼ばねばなりません」
『……未来から、召喚する術か……』
そうだな……
A 星の記憶を頼ってみる
B 翼人の遺跡をもう一度調べてみる
C ハクオロに相談
D 今日はもう寝よう
A
星の記憶なら出来そう。
『ここは……母君殿に聞いてみるのがいいんじゃないか?』
現行の紡ぎ手である彼女の記憶は星の記憶。未来から観鈴を召喚するいい方法を知っているかもしれない。
「なるほど、それはよい考えですな」
「………ああ」
源之助さんと国崎も同意してくれた。
『じゃあ、早速……といきたいところだが、今日はもう遅い。今夜は休んで明日の朝母君殿のところへ行こう』
「それがいいだろうな」
よし、話はまとまった……と、最後に
『ところで源之助さん、寝床はどうなさっているのですか? 何なら俺からハクオロに紹介を……』
「いえ」
源之助氏は頭を振った。
「お忘れですかな? 私は一応この時代の人間なのです。居場所など十分にありますよ――――
では、私はまた明日お邪魔させていただくので、今日はこのくらいで」
そういうと、彼の姿は掻き消えるように闇の中に消えていった。
『不思議な人だ……』
「観鈴……お前は……」
そんな中、一人国崎は考え込むように自分の爪を噛んでいた。
『さぁて、今日はもう寝るか―――』
明るい材料が見えてちょっと安心したら途端に眠気が襲ってきた。
かなり、まぶたが重い……
『ふぁ〜〜〜〜あ……』
大きなあくびを一つかまし、俺は自分の部屋に入った。
「むにゃむにゃ……先生……」
「ん〜〜〜……ゲレゲレ……」
……俺が寝るはずの布団には、でっかいバンソウコウをつけた舞と、彼女の胸を枕にして眠るアルルゥの姿があった。
いや、舞はいいんだが……アルルゥまでとは……
大方、俺のもとに遊びに来たんだろう。しかしいなかったから、舞を相手に選んでいつしか二人で寝こけてしまったというところか……
どうしよう。
A 少し狭いが、三人で並んで眠る。
B 国崎の部屋に邪魔する。
C アルルゥをそっと彼女の寝室まで運ぶ
D 何をトチ狂ったかみさき君の部屋に行く
D
そこまで言うならトチ狂ってみますか。
とち狂った? むしろ本道でしょう!(w
俺の足は勝手に向かっていた。
どこに?
みさき君の部屋に!
……いかん、いかんぞ。確か平安時代っつーのは夜這いが盛んだったような気がする。うろ覚えだが。
この時間、女人の部屋に男が忍び込むなど……ッ! そんなこと……ッ! 教師として、警官として!
許されるはずが……ッ!
……だが足は勝手に進んだ。
「ん? 先生どうしたの?」
御簾をくぐった俺を迎えたのは、いつもと変わらぬみさき君の笑顔だった。
少しホッとする……
『あ、いや、実はな、俺の布団で舞とアルルゥが寝こけてしまって、どうしようかと思案していたところなんだ』
「あ〜……やっぱり。さっきあっちの部屋から舞ちゃんとアルルゥちゃんの話し声が聞こえたからね」
『話し声?』
「うん。二人でしりとりしてたみたい」
『……となると』
当然の如く
「うん。舞ちゃんのボロ負け。なんでいつも動物の名前のあとに『〜さん』をつけるんだろうね」
『……性分なんだろ』
「だよねー」
………しばらく、みさき君と他愛のない話をした。
考えてみれば、こっちに来てから飛びまわってばかりだったからな、こんなゆったりとした時間を過ごすのは久しぶりだ……
(みさきの好感度 +1)
「それで先生どうするの? 今日は……ここで寝ていく?」
みさき君がうつむきながら問いかけてきた。
『え? あ? う!?』
油断していたところに突然質問された俺は思わず……
A はい、そうさせていただきます! と答えてしまった。
B い、いやいやいや、やめとくよ! と答えてしまった。
C 君は僕の太陽だ! と答えてしまった。
D その時、みさき君が外を指差した。
Dにしてほしいんだね(w
(先生……あれ……)
その時、みさき君が外……というより、屏風の裏を指差した。
……気配だ。人の気配がある。
なかなか見事な隠形だが……そんなに精神が乱れていては! って
(;´Д`)ハァハァみさき殿、がんばってくだされ。そして某に男女間八作の極意を!
……トウカ……
(;´Д`)ハァハァああもう柳川殿、何をボーッとしているのか。もっとガッと。ガ! っと一気に!
……お前は………
(;´Д`)ハァハァ聖上、お慕いしております! トウカは今夜、女になります!
……何を……
屏風の裏から、桐花がこちらを覗いていた……
「どうしよう、先生……」
みさき君は困った様子で俺に尋ねてきた。
『う〜〜〜ん……』
A 期待に添う
B 期待を裏切る
C 軽くからかってやる
D 叱りつける
Aと見せかけたC
おぅおもしれぇ
『……そうだな。みさき君、ちょっと耳を貸してくれ……』
「ん? なになに?」
俺は不届き者桐花を懲らしめるためのちょっとした作戦をみさき君に伝えた。
『どうだ?』
「!」
みさき君は親指をビシ! と立ててそれに答えた。
『さあみさき君、今夜こそはもう何の邪魔もない。存分に楽しもうじゃないかぁ』
「ああ先生、この時をどれほど待ちわびたことか。さあ、こちらへ来てください」
……ちと芝居がかってるかな?
(;´Д`)ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ
……問題ないようだ。
『おおみさき君』
「ああ先生、みさき君だなんて呼ばないで。みさきと呼んでください」
片手でみさき君の体を抱き寄せる。彼女は俺の胸に顔をうずめる形になった。
うなじのラインが俺の眼下に映える。
……芝居でなければとてもやってられん。
『おおみさき君。いやみさき。ならば君も今だけは俺たちの立場を忘れておくれ。裕也と呼んでほしい』
「わかりました。裕也様……」
『おおみさき……』
(;´Д`)ハァハァ師と弟子の禁断の恋……
「では裕也様。いざ……」
するりと装束の上着をはだけるみさき君。……ちっと待てィ!
「……………」
寝用の装束の下には何も着けておらず、脱いだままに彼女の鎖骨と肩は月明かりの下に照らし出された。
白い光と朱に染まった頬、そして彼女のきめ細かい肌が微妙なコントラストを描いている。
やりすぎの感もあるが……ええい! ここまで来たら!
『いざ……いかん!』
(;´Д`)ハァハァ
しかし、どうやって終わらせたものだろう。
A 暴発
B 益体のない御逸物
C 他の女の匂いがする……
D もう少し続けるか
A
何が暴発するのやら
トウカじゃない?
腰に差したニューナンブでも腰から生えた44マグナムでもどっちでも(w
屏風の裏で、桐花は己に言い聞かせた。
(落ちつけ……
落ち着くのだトウカ……
こと人生において、もっとも重要なことは『タイミング』だ。
あるべきときにするべきことをすれば、それだけで人生は薔薇色だ。
そして……今がその時だ。
今落ち着かねば、人生において重要なものを落してしまう。
そうだ……落ちつけ……落ち着くんだトウカ……今は、まだ動くべきではない)
その時、部屋の中で動きがあった。
『うッ!』
(;´Д`)ナンダイマノクグモッタコエハ
「裕也様……?」
『すまない……』
(;´Д`)マサカダシチマッタノカ?
「……いいよ。またがんばろうよ」
『……ああ、そうだな』
(;´Д`)オイオイオメェラ,マダワカインダロウ,ニカイセングライイケヨ
頭を抱える。
(な、なんということだッ!
早い、柳川殿はあまりにも早すぎるッ!
これではほとんど種馬ではないかッ!
聖上すらもっと遅かったッ! 第一みさき殿は盛り上がってすらいないではないかッ!)
「それじゃあ……今日は、もう寝ようか」
『ああ、そうだな……』
(なんと意気地のないことだッ! こうなったら……)
決意を新たに、顔を上げる。
「おのれ、かくなる上は……」
『かくなる上は……なんだ?』
桐花は気付いていなかった。
柳川とみさきの台詞は途中から、自分の背後でなされていることを。
(無論、台詞だけでコトには及んでいない)
『いかに剣の達人であろうと、ハァハァしている時は隙だらけだな』
「桐花さん、すっごくバレバレだったよ」
桐花は澄ました笑顔で立ち上がり、何事もなかったかのように声をかけた。
「これは柳川殿、奇遇ですな。こんなところでお会いすると」
『こっちへ来い』
無駄だった。
「いたっ! いたっ! いたたたたっ!!!」
柳川は桐花の耳をつまんで引っ張った。
『さて、どうしてくれよう』
A メイド服
B ピカチュウ
C 小1時間問い詰める
D ハクオロの元へ連行する
Aで。だがどこから調達する気だ?
ハクオロが持ってたらうけるな。
エルルゥにしばかれそうだけど
よし、こういう奴にはメイド服の刑だ。
……メイド服、か……メイド服といえば梓だ。嗚呼、沖縄(前半)の平和な日々がなつかし……
「いだっ! いだっ! いたたたっ! や、柳川殿! 某が悪かったっ! だから放して……」
『うるさい黙れ』
「く……っ、みさき殿! 頼む! 助けてほしい! 某が悪かったから……!」
「桐花さん……ご愁傷様。先生、怒ったらなかなか許してくれないから……」
「あああっ……」
……さて、とは言ってもそう都合よくメイド服なんぞないからな……
どうやって調達したものか。
A 裏葉がたくさん服を持っていたな
B ハクオロはそういう趣味がありそうだ
C 綾香あたりの荷物に入っているかな?
D ……なんだ、この熱い二組の視線は……
もうDしか
帰ってきて読んで久しぶりに爆笑中(笑)
その時、廊下の先から二つの人影が歩いてきた。
『む、お前たちは、確か……』
「ドリィといいます」
「グラァといいます」
「「二人合わせてドリグラーズでーーーーっす!」」
………寒い。
「ごめんなさい」
「滑っちゃいましたね」
『いや……いいんだ……』
静かに脱力してしまったがな……
『で……何か用か……?』
「はい、柳川さん、服をお探しのようですね?」
「僕たちのコレクションをお貸ししましょう」
『コレクション……?』
「はい、こちらへどうぞ」
二人に促されるまま、屋敷内を進んでいく。
「いだっ! いだっ! いたたたたたっ! 柳川殿、某も逃げたりはしないので、放して……」
『黙れ』
「着きました」
やがて、一つの部屋の前で足を止めた。
襖を開き、中へ通される。そこには……
『うっ』
薔薇だ。
山のような薔薇だ。
薔薇が部屋のそこかしこに敷き詰められ、壁も、床も、布団も全てが紅い。
かけられている掛け軸もまた真っ赤で、描かれているのはまたしても薔薇を咥えた……朧そっくりな半裸の男だ。
「こちらへどうぞ」
二人は部屋の隅に置いてある大きなタンスを開き、中を示した。
「お好きなものをどうぞ」
……なるほど。これは……スゴイな。メイド服はおろか、ありとあらゆる怪しい服が揃っている……
『どれを選ぶか……』
A 当初の予定通り、メイド服
B 鞭と赤いハイヒールが似合いそうなボンテージ
C ミニスカポリス
D えっちな水着
(……ここって、確か平安時代……だよ、な……?)
メイド服は前スレで神奈が着てたからな…
意外な展開になるかも知れないから、Bでおながいします。
『よし、これだ。桐花、お前は明日一日これを着ていろ』
「これは……革製……の、服……?」
『そうだ。これは通常、女性が鞭などの武器を装備すると同時に着る服でな。戦闘に向いていないこともない。
お前にピッタリじゃないか。よかったな』
桐花は難しい顔で手の中の服を見ている。
「しかし柳川殿……この服、如何せん露出が多すぎでは……」
『さて桐花、ハクオロの処へ行こうか。んでさっきのことを話そう』
「申し訳ありませぬ。謹んで身に着けさせていただきます」
深々と頭を下げた。
『よろしい』
「あの……柳川さん……」
今度は後ろから、ドリィとグラァに話しかけられた。
『ん? ああ、ありがとう。助かったよ』
「いえ……そんな……」
「それで……その……」
二人は何やら赤い顔をしてモジモジとしている。
『どうした? お礼に俺でよければ何でもするぞ?』
「なんでも……ですか?」
片方(俺には見分けがつかん)がちょっと唇を歪ませて確認してきた。
『あ、ああ……』
……まあ、そう無茶は言わんだろ。
「じゃあ……」
「その……」
そして、二人の声が揃った。
「「僕たちに、柳川さんの背中を流させてください! 僕らと一緒にお風呂に入りましょう!」」
『風呂ぉ?』
A なんだ、そんなことか……もちろん構わん
B すまん、さっき既に入ってしまったんだ
怖い気もするけどAで(w
うぎゃぁああw
ヤバイがおもしろい展開だ
少し前のシリアス全開の展開はどこへ(w
『そんなことか、構わんぞ。俺もちょうどひとっ風呂浴びたいと思ってたところだ』
「やったぁ!」
「それじゃ、すぐ行きましょ。早速行きましょ。即行きましょ。速攻で速攻で♪」
二人は異常とも思えるほど嬉々とした様子で、俺を引っ張っていった。
(確か……この時代の風呂は蒸し風呂が主流なんだよな。薄い布地の服を着て……それが浴衣の元になったとかなんとか)
「実はこの屋敷、温泉が湧いてるんです!!」
「すごくでっかいんですよ!」
『なら……俺らの時代と大差なさそうだな』
「ちょっと待っててくださいね」
『浴場』と書かれた部屋の前にたどり着くと、俺より先に片方(やっぱり見分けはつかない)が弓を持って入っていった。
「みなさん、今日の入浴時間は現時刻をもって終了とします。即刻出て行ってください」
「え? グラァさん、俺今入ったばかり……」
ヒュオ……ガキィッ!
「僕はドリィだよ」
『……なんだ、今の矢が空気を切って岩にぶつかったような音は』
思わず疑問を口にしてしまう。
俺の隣に残った方(会話から察するにおそらくグラァ)が答えた。
「きっと風の歌声ですよ」
しばらくすると、青い顔をした連中が中から出てきた。
そいつらは俺を見ると、一瞬だけ憐れむような表情を浮かべるが、すぐに廊下の奥へと消えていく。
「さあ柳川さん、邪魔者は消えました。僕らの貸しきりですよ!」
『そ、そうか……』
若いとはいえ、さすがは武将、ということか?
『ふぅ〜〜〜〜〜〜〜〜』
熱い湯船につかると、思わず溜息が漏れてしまう。温泉なんて久しぶりだったからな……
「気持ち良いですね、柳川さん」
『ああ、全くだ。ここのところ連戦連戦だったからな……』
「はい、ここにいる間はゆっくりなさってください。僕らも精一杯のことはしますので」
俺を挟んで、左右にドリグラが並ぶ。これが女の子だったら両手に花なのだが……ま、たまには男同士の裸の付き合いも悪くない。
『おいおい、そんなに気を使わないでくれ。俺たちはただの同居人なんだ。何か仕事があったら遠慮せず申しつけてくれよ』
「……はいっ!」
「そうさせていただきます!」
うむ。いい笑顔だ。
「柳川さん、そろそろお背中お流ししましょうか?」
しばらく談笑していた俺たちだが、不意に片方(やっぱり見分けがつかない)が言ってきた。
『ん……そうだな。そろそろ頼めるか?』
「はいっ! もちろんです!」
ざばと湯船から上がり、手近な椅子に腰掛ける。
俺は一応腰に手ぬぐいを巻いているが、二人は隠す様子もない。
(……フッ、やはりまだまだ子供だな。毛も生えていないし)
って子供相手に優越感に浸ってどうする、俺。
「では、失礼しまーっす」
片方が俺の背中を擦り始めた。両手でしっかと手ぬぐいを握り締め、一生懸命に体を前後させる。
ごしごしごしごし……
「どうですか? ちょっと弱いでしょうか?」
『そうだな……もう少し、強めに頼めるか?』
「はいっ!」
俺の言いつけに従い、若干力を強める。ウム、いい具合だ。
ごしごしごし……
「ドリィ、そろそろ僕とも代わってくれよ」
「……うん」
交代した。台詞から推測するに、今度はグラァなのだろう。
「それじゃ柳川さん、失礼します」
『ああ、頼むぞ』
ごしごしごしごしごしごし………
今度はずいぶん長い間グラァが背中を擦り続ける。
やがて……
「おいグラァ、そろそろ代われよ」
耐えかねたようにドリィが不平を漏らす。
「もうちょっとだよ……」
「ずるいぞ。ドリィ、さっき僕がしてたよりずっと長くごしごししてるぞ」
「やだ……僕、もっと柳川さんをごしごしする!」
ちょっと涙目なドリィ。
「やれやれ……」
困った奴だ、といった感じのジェスチャアを示すグラァ。
「しょうがない、僕は柳川さんの前をごしごしするよ」
と言うやいなや、グラァは俺の前に回りこんできた。
「失礼しまーっす」
A おいおい、それはちょっと……
B まぁ、男同士だしな……
Bでw
さすがに断る。
A
ぐ、遅かったか・・・。
・・・しかし、何でこんなタイムラグで負けにゃならんのだ?(滝汗)
ドリグラルート・・・?(w
オボロ乱入とか言ってみる。
……まぁ、男同士だしな。それに子供のやることだし。問題あるまい。
「うわー、柳川さんの胸っておっきいですねー」
『……そうか?』
「はい。とても立派です。……こんな胸に、力強く抱きしめられたい……」
目がトロンとしている。……なんなんだこの空気は。
『まぁ、機会があったら……な』
「ああ……もう、思わず……すりすり」
今度は俺に擦り寄ってきた。本人は頬擦りのつもりらしいが、どちらかというと体全体をなすりつけてくる。
『お、おい、ちゃんと洗って……』
「えぇ? 手ぬぐいなんてつまんないですよー。体の方が気持ち良くないですか?」
『それは……そうだが……』
俺の体とグラァ……だっけ? もうよくわからん。とにかく俺の前に回っている方の奴の体との間で泡がプチュプチュと音を立てている。
(……なんだか、ソープみたいだな……)
不謹慎なことに、俺はそんなものを連想してしまった。
「あー、グラァずるい。僕だって!」
後ろの方(たぶんドリィ)は悔しそうな声を上げると、手ぬぐいを放り投げて俺に抱きついてきた。
……こいつも自分の体を使って俺を洗うつもりらしい。
しばらくの間、ヌチョ、グプ、プピッといった擬音が浴場を支配した。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
「ふぅ、ふぅ、ふぅ……」
何故お前等はそこまで息が荒くなってるんだ。
『……ん?』
なんだか、背中の下の方……ドリィの腰がある辺りに固いものが当たっている。
しかも、前を洗っているグラァは俺の下半身に手を伸ばしてきた。
『う〜む……』
A もうしばらく付き合う。
B いい加減やめさせる。
C ……あ、誰か入ってきた(男キャラで指名)
B リーフにおける初代男×男キャラは俺だ! なめるなガキども!
Bが2つもあり不安なのでAで。
「……予想通りな展開になってるようだが、どうする? みさき」
「う〜〜〜ん……」
舞だ。川澄をやっている。(これ使うのも久々だな)
現在、私はみさきと共に、男風呂へと繋がる脱衣所の屋根の上に立っている。
頬を撫ぜる夜風が気持ちいい。
……ん? なぜアルルゥと一緒に寝ていた私がこんなところにいるか?
「やっぱりあの二人、ホンモノさんみたいだね」
大まかな経緯はみさきから聞いた。正直私を放ってみさきの部屋へ行った先生にはニ、三言いたいこともあるが、今は置いておこう。
それよりも……みさきがドリィとグラァに感じた不穏な気配、それは当たっていたようだ。
「絶対、柳川先生を狙ってるよ」
「男×男……好きか嫌いかはすごく微妙」
そう、微妙だ。
みさきに起こされ、ここまで来たが、やはりあの二人は先生を食おうとしているらしい。
……それに、先生もまんざらでもないようだ。やはり貴之で培われた経験か……
「けど……これって浮気なのかなぁ?」
「……すごく微妙」
そうだ。私たちとてこれ以上ライバルが増えるのは好ましくない。現状ではやや我らの方が勝っているとは思われるが、それでも初音はメインヒロインなのだ。
なんだかんだで最後の美味しいところを持っていかれる可能性は高い。
しかし、あいつらは男だ。一時のサービスはあるかもしれんが、ヒロインまで上り詰める可能性は皆無に等しい……
「……どうする舞ちゃん? 止める?」
「……………」
A 断固阻止する。
B 先生もたまには性欲処理が必要だろう。
C むしろショタ(;´Д`)ハァハァ
断固Aでw
「止めよう。断固止めよう。先生の純潔を汚すわけにはいかない」
「うん。やっぱりそうだよね。先生にはマトモな道を歩んでもらわないと」
「ならば決まりだ……奴らを、止める!」
「けど、どうやって?」
「………………」
A 朧に叱ってもらう
B ハクオロにとりなしてもらう
C アルルゥの無垢な瞳に照らされれば連中もそんなコトを為す気にはなるまい
D 強行突入
E その他(※おもしろい案があれば)
Dだな
「私の刀は強暴だぁぁぁ!」
「これは天誅です!」
みなさんこんにちわ。
何か大変なことになってるしだいであります。
ハイ、この柳川、2人の少年(たしかドリィとグラァだったかな?)と行水しておりました。
そしたら、天井から二人の少女が飛び降りてきたわけでありまして。
油断していたようで、ドリィとグラァは直撃を食らって気絶しています。
僕?僕ですか?
巻き添えになりました。ええ。
だめです、もう意識が持ちません。それではみなさんサヨウナラ・・・
A風呂場その後(舞&みさき)
Bああ・・・時が見える・・・(柳川)
Cアメリアー!(ドリィ&グラァ)
Dぶっちゃけ、話すすめようや。
A
・・・それは、二人の風呂シーン・・・・・・
ですか?
ですか?
まさかレイープか!!
気絶してるときって勃つのかな…
たぶんそれはないだろ。
瑠璃子さん辺りならやってそうだが……
「滅殺完了」
「すごいよ舞ちゃん」
舞がカチン、と刀を鞘におさめた。
「これだけやれば当分この二人も先生に手を出そうなどという気は起こさないだろう」
「うん。先生もこれで懲りたでしょ」
二人は足元で倒れている三人を一瞥した。
「うう……で、でちゃう!」
「ああン……柳川さん……熱い……」
……どうやら、二人は夢の中で続きをヤってるらしい。
『うう……ごめんよ貴之……浮気しようとした俺が悪かった……』
柳川は元彼氏に謝っているようだ。
「……複雑だね」
「ああ」
「ところで舞ちゃん、これからどうしようか?」
「ん? ……そうだな」
A 三人を運ぶ
B 朧に引き取らせる
C 温泉にでも入ろう
D さっさと寝よう
C〜♪
「……折角ここまで来たんだ。温泉に入っていこう」
「さんせ〜♪ 温泉なんて久しぶりだよ」
それじゃあ……と女湯の方向に向けて歩き出した二人だが、足元に転がってる3匹に気付いた。
「……この三人は、どうしよう」
「湯船に漬けておけば大丈夫じゃないかな? 風邪は引かないと思うよ」
「それもそうだ。……よい、しょっと!」
言うやいなや、舞は三人を近間の岩風呂にドボンと放り込んだ。
「さあ、行こう」
「うんっ♪」
こうして、舞&みさきの女子高生コンビは女湯へ向かった。
脱衣所でいそいそと服を脱ぎ、扉をくぐる。
そこには――――
A 誰もいなかった。貸しきりだ。
B 先客がいた(※女性メンバーで指定)
A
「……誰もいない」
「私たちの貸しきりだね」
……裸の付き合いも嫌いじゃないが、貸しきりというのも嫌いじゃない。
どちらにせよ悪くない。温泉なのだから。
「それじゃあ、のんびりと入ろう」
「うんっ♪」
二人でかがり湯を浴び、ゆっくりと湯舟に入る。
「ふぅ……」
「はぁ……」
体に染み込んだ疲れがお湯に溶けていくようだ。温泉はいい……
「気持ちいいね」
「うん……」
しばらくはお互い黙ったまま、お湯のゆらぎに体をまかせた。
「はぁ……」
いい。
嗚呼、だんだん瞼が重くなってきた……かも……
A みさきと話す
B このまま睡魔に身を任せる
C そういえば現代のみんなはどうしているんだろう……
D あ、誰か来た。
B
………………
……………
…………
………
「……ん?」
ここはどこだ。
世界が明るい。
おかしい、今は夜のはずだ。
「…………」
おかしいとは思いつつも、とりあえずは今現在の状況を把握せねば話にならない。私は首をぐぐと90℃曲げてみる。
「くかー、ぐー……」
先生だ。私の隣に、先生がいびきをかきつつ眠っていた。
「…………」
辺りを見まわす。
「……私の部屋……」
そう。そこはまごうことなき私の(正確には私と先生に割り振られた)部屋だった。
……ゆっくりと昨夜の記憶が蘇ってきた。
「……そうか、温泉で眠って……」
大体のことを理解すると、むくりと置きあがり、本格的に辺りの様子を探る。
廊下側からは朝の爽やかな陽光が刺しこんできており、部屋に静かな光を与えている。
音はない。ただ外からチュンチュンと雀のさえずりが聞こえるのみだ。
「……平和だ……」
こういう生活は、嫌いじゃない。
さてと……まだみんなが起きだすのには時間があるようだ。
A 二度寝
B 先生を起こす
C その辺りを散歩してみる
D 台所の方へ行ってみる
C
むー、残念←何が?
折角早起きしたことだし、私はその辺りを散歩してみることにした。
「ふぅ……っ……」
朝の新鮮な空気を肺いっぱいに吸いこみ、大きく伸びをする。
「……嫌いじゃない」
とはいえあまり遠くに行くわけにはいかないので、屋敷の中庭をプラプラと歩くくらいだ。
それでもこの屋敷自体かなり大きいから立派な散歩にはなる。
……ん?
「コイさん……」
ふと足元の水面を見ると、コイさんが集まってきていた。
「……ごめん、エサは無い……」
口をパクパクさせてはいるが、あいにく持ち合わせが無かった……
パシャッ
その時、池の向こうから水が跳ねる音が聞こえた。それに反応し、コイさんがいっせいに私から離れる。
「……ディー?」
対岸には、池のほとりでコイさんのエサを投げるディーの姿があった。
「あ、川澄さん……おはようございます」
「……おはよう」
私が横に立つと、ディーは一瞬こちらにチラリと視線を送っただけでまたコイさんのエサやりを続けた。
「……どうした?」
「……神奈に、追い出されちゃいましてね……」
「神奈に?」
私は、ディーの横に腰掛けた。
「……神奈が、国崎さんが消える……そして母上が消えるのは僕のせいだって言うんですよ……
僕も、必死で謝って何とか許してもらえそうなところまではいったんですが……昨日の話し合い。
あれで神奈の態度がまた硬化しちゃいまして……それでちょっとした口論になって、部屋から追い出されちゃいました。
ま、確かに原因は僕が迂闊な行動でウィツに憑依されちゃったことにあるんですけどね……
さすがに実の妹にここまでやられると、ちょっとショックですよ」
「……そうか」
A がんばれ、と言い残してこの場を去る。
B ディーだって考えがあってやったことだ。と慰める。
C 神奈も混乱しているんだ。少し時間を置いた方がいい。と提案する。
D もっと自分に自信を持て、と言う。
ディー
ポン、とディーの肩に手を置く。
「もっと自分に自信を持て」
「……はい?」
「そんな後ろ向きの姿勢ではますます神奈に嫌われしまう。もっと自分に自信をもって行動しろ」
「そ、そんなこと言われても……僕なんか……」
「それがダメだと言うんだ。お前にだってできることは、いや、お前にしかできないことがいくらでもあるはずだ。
それを為して、神奈に己をアピールするんだ。そうすればいずれ神奈もお前を認めてくれる。
ともかく、前に進まねば話は始まらない。……考えるんだ」
「僕に、できること……?」
それだけ言うと、私はディーから離れた。あとはアイツ自身の問題だ。ここで終わるなら、それまで。
……少し周りが騒がしくなってきたな。みんな起き出して来たようだ。
『あー、頭痛ぇ……』
柳川は寝床で目を覚ました。が、体を起こした瞬間頭がぐわんぐわんと鳴る。
『……えっと、昨日は確か…………ダメだ。思いだせん』
どうやら、打ち所が少々悪かったようだ。
『……ああそうだ。母君殿のところに行かなくちゃダメだったんだよな……けど、この頭で大丈夫か……?』
A すぐ行く
B 朝飯を済ましてから
C 二度寝
AだA
『ああ……二日酔いみたいな気分だ……クソッ』
俺はふらつく頭を抑えながら、なんとか部屋から這い出た。
まず向かうのは国崎の部屋だ。奴と一緒に母君殿のところへ……
「おい、どうした柳川」
……ツイてる、のか? 幸いなことに向こうの方からやってきた。
『国崎か……ちょうどいい。早速母君殿の元へ行くとするぞ』
「それはいいが……お前、大丈夫か? 顔色が悪いぞ?」
『まぁ、しばらくすれば治る……』
その後国崎の肩を借りつつも、なんとか母君殿の社までたどり着くことが出来た。
重々しい扉を軽くノックし、中から声がかかるとゆっくりと進み入る。
『……っ』
わかっていてもこの空気は好きになれない。
空気が泥のように重くなり、体にのしかかる。
……彼女の呪いのせいだ。常にこの渦の中心に置かれる彼女の体……どうなっているのか、想像もしたくない。
「どうなさいました? 柳川殿に国崎殿」
跪き、たん、と両の拳を肩幅にそろえる。
『はい、実は……』
無駄な口上を述べる必要は無い。俺は早速本題に入った。
『……というわけでして、貴方様の有する星の記憶の中に、未来から人を召喚する術はございませんか?』
「未来……時間、でありますか……」
『はい。そこが何とかなりさえすれば、誰も消えることなく……苦しむことなく事が運べるかと』
「……………」
母君殿は自分の着物の袖をきゅっと握り締め、しばらくうつむいたままだった。
だがやがて、ゆっくりと口を開く。
「……無理、であります」
『……!』
国崎の奥歯がギリと鳴る。
「確かに、我らの記憶は、星の記憶。されどいくら星の記憶とはいえ時空の流れに干渉できる法はありません」
彼女は大きく、一つだけ息をついた。
「星の記憶は言わば歴史の流れの記録。歴史に未来は必要ありません。ただ今が積み重なり過去へと至るのみ」
『……………』
「……何一つ、か?」
一歩進み出、国崎も口を挟んでくる。
彼女は目を瞑る。しばしの沈黙が空間を支配する。
「……………あるいは」
そして母君殿が顔を上げた。その表情には、わずかだが光明が差していた気がする。
「我らが聖地……あそこに……もう一人の始祖。国崎殿、貴殿の中に眠る我らが始祖、『ムツミ』様とは別のもう一人の……始祖様が眠っております。
彼女に会うことができれば……あるいは」
「……わかった。あそこに、もう一度行けばいいんだな?」
国崎はその言葉を聞くと、弾かれたように外に飛び出した。
『おい国崎!』
慌ててそれを追う。
「……ですが、彼らに今一度見つけることができるのでしょうか……? ミコト様、貴方は何をお望みなのですか……?」
俺が国崎に追いついた時。すでに奴はムツミ形態へと姿を変えていた。
『国崎、今から行くつもりか?』
「ああ。確かにここから比叡山までは少し距離があるが、俺の翼ならそう遠くはない。
……なに、心配するな。少し様子を見てくるだけだ。本格的な調査は……後で、だ」
『……む、だが……』
A 俺も一緒について行く。
B ひとまず待機しといた方がよさそうだ。
Bかな。
様子を見てくるだけらしいし、
他の人達に話を通したほうがイイカモ。
A
『……わかった、任せたぞ。国崎』
「俺に任せろ」
一言残すと、あいつは一気に上昇、空の彼方へと消えていった。
『……上手くいけばいいんだがな……って、もうこんな時間か』
腹具合と時間が一致した俺は、早速食堂へと向かった。
『エルルゥの飯は美味いからな……』
「ム、柳川か。おはよう」
『……あ、ああ。おはよう……』
食堂へ入った俺が見たもの。それは、食卓の上に食器を並べるエプロン姿のハクオロだった。
『……どうしたんだ?』
「朝食は今準備している。まぁしばらく待っていてくれ」
いや、そうじゃなくって。
『そういう仕事はいつもエルルゥがやっているんじゃないのか?』
「まぁ、そうなんだがな。エルルゥは今日は用事があるらしい。……いや、エルルゥだけじゃない。
アルルゥ・桐花・華瑠羅・ユズハ・ウルト……今日は皆出かけている」
『そりゃまた豪勢なメンバーだな……何か祭りでもあるのか?』
「うむ……私も聞いてはみるのだが、皆なぜか話を反らすのだ。……っとそうだ柳川、もし手が空いていたら厨房の方を手伝ってやってくれないか?」
『ん? そうだな……』
A 構わんぞ
B ちょっと俺の仲間たちの様子を見てくる
C 人が消えた理由を調べてみる
うわ、まだ話伸ばす気ですか……このスレで終わらなかったら流石に泣くぞおい。
いや、これはあっさり終わらせるつもりだが…
じゃ、Bで
『いや、スマンが俺もちょっと仲間の様子を見てくる』
「そうか……朝食にはもう少し時間がかかりそうだ。後で来てくれ」
『ああ、わかった』
とりあえず俺は綾香の所へ行ってみるとした。何かあるとしたら、耳聡いあいつが真っ先に動きそうだからだ。
「ああっ! しまった寝坊した! セリオ! どうして起こしてくれなかったの!?」
「……綾香お嬢様、やはり柳川様に黙って行かれるのは……」
「ダメだよセリオ、どうせあの人のことだから、『こんな時に遊んでるなー!』とか言って許してくれないよ」
……室内は、とても賑やかだった。
「っ……ギリギリね、今から行ったんじゃ大手回りきるのはツライかも……」
「並んでる最中もう一回お互いの回り順を確認しようよ! まだきっと手はあるはず……」
「……は、動熱源体近づいてきます。これは……」
どうやら気付かれたようだが、俺は気にせず部屋に踏み入った。
『やあみんなおはよう。さて、詳しい話しを聞かせてもらおうか』
「や……柳川、さん?」
「遅かったか……」
『同人市ィ?』
とりあえず事情を聞こうと三人を正座させたが、出てきたのは意外な単語だった。
「そ、そうなのよ。近年の大規模化に伴って、年に二回だけから回数を増やすって……」
「今回のは特に『同人大革命(レヴォ)』って言うらしくて、大手もたくさん来て賑わうらしいから……」
「やっぱり、この時代に来たからにはこの時代の文化も知らなきゃな♪ って思ったりしちゃったりして」
「うんうん。私も五月雨堂の為にちょっと仕入れとかしちゃおっかなーとか思ったり……」
「綾香お嬢様、スフィー様、先ほどは『大手回ってまとめ買いして転売でウッハウハじゃー!』などと仰ってたような……」
「セ、セリオ!」
『……………』
さて、この緊張感の無いお嬢さん方……どうしたものだろうか?
というか、同人市か……トモやユウ、エーミ。……源氏物語を売ってた彼女も来るんだろうか……
A 行くのを許す
B 行くのを許さない
C むしろ俺も行く。
A
をいをい・・・それじゃ、うたわれ組がいなくなったのって・・・・・・
うたわれ組は買い組か? はたまた売り組か?
考えてみると素からしてコスプレなような気が
さて、葉東京色が強くなってきたわけですが・・・鍵よわっw
いや、ヒロインに二人排出してるしw
……まぁ、こいつらをここに拘束したところで何が変わるわけでもないしな……
『……ま、いいか』
「えっ?」
「えっ!」
綾香とスフィーの目の色が変わる。
『たまには息抜きも必要だろ。確かに状況はあまりベターとは言い難いが、今すぐ何か起こるわけでもない。
あんまり無茶するなよ』
「しないしない、したこともない!」
「柳川さんって、意外にいい人だね!」
……嘘こけ。
『よし、それじゃしっかりとみんなをまとめてくれよ……』
「まっかせなさい!」
胸を張る綾香。
『頼んだぞ、セリオ』
「はい、わかりました」
「……………」
『フゥ―――――――』
喜び勇んで三人は出かけていった。朝飯食わんのか気になったが、食う時間があれば一刻も早く並ぶ方が肝要なんだそうだ。
『朝飯まで……もう少し、かな?』
正直、かなり腹が減った。エルルゥがいないそうだが大丈夫だろうか……
どうすっかな。
A 神奈たちのところに行ってみる
B 食堂へ行ってみる
C 国崎は上手くいってるかな?(国崎視点へ)
D 連中、無茶しなければいいんだが……(綾・すひ・セリ視点へ)
気になるな・・・c
地を蹴り、空に乗り、鳥と並ぶ。
見上げればどこまでも青い空。
翼は風を切り、雲の上を飛び続ける。
「……あと少しだ」
国崎(今はムツミの姿だが)は翼人の力を全開に比叡山へと向かっていた。
ハクオロの屋敷から近いとは言い難いが、空を通れば大した距離ではなかった。
「……見えた」
雲の割れ目から、目的とする鬱蒼とした森林が覗く。早速急降下し、山腹へと降り立った。
「ええと……この辺りに……」
まずはタイムマシンで降り立った地へと赴き、そこにある生活の跡を確かめた。
「……懐かしいな……」
窪んだ地面、焚き火の跡、それらが確実に少し前ここに人間がいたことを示している。紛れもない、自分達だ。
「確か、あっちの方だったな……」
自分が最初に発見した――その時、国崎は水汲みへと向かっていたはずだ。
記憶と方向感覚に従い、国崎は歩き始めた。
……多少の自信があった。感覚には。何せ今まで長い間一人で旅を続けてきたのだ。
特に今回は一度訪れた地。間違えるはずが……
「間違えるはずが、ない。確かにこの光景は一度見たことがある」
だが、そこには何も無かった。
「……どういうことだ?」
前回ここへ来たときは、寺へ近づくと霧が立ち込め、その中に朽ちた姿が見て取れたはずだ。
霧は天候のせいだったのかもしれないし、結界によってかもしれない。だが、前回は国崎を受け入れたはずの寺が、どこにもなかった。
「場所が……間違っているはずはない。確かにここのはずだ……ムツミ、何かわかるか?」
己の中に潜む始祖へと訊いてみる。だが
(……わからない。私もあそこに封じられて以来外に出るのは初めてだったから……あるいは、ミコトが何かしたのかも)
答えは芳しくなかった。
「チッ……どうしたものか……」
A この辺りをもう少し調べてみる
B いったんひき帰す
A
「チィ、ここまで来て手ぶらで帰っては柳川たちに申し訳がたたん! 何としても探し出してやる!」
国崎は森の上空に出ると、全ての感覚を山に張り巡らせた。
チリッ……チリッ……チリッ……
空気のわずかなゆらぎさえも感ずることができ、歩いている人々はもちろんありとあらゆる建造物・獣・岩場の雫すら把握することができる。
だが、どこにも目的とする寺の姿が見当たらない。
「どういうことだ! クソッ!」
確かに寺はいくつもある。だがそのどれもが人の手によるもので、あの時の神秘的な感触がどこにもない。
山麓を睨みつけても、そこにはただただ深い緑が広がるのみ。
「……仕方が無い、そこらの旅人にでも訊いてみるか……」
身を翻すと、一番手近に歩いている旅人の元へと向かった。
やがて木々の切れ目に山道を歩く二人組みを発見する。国崎は急降下の速度をゆるめると、スタッと二人の目の前に降り立つ。
「おいお前たち、ちょっと訊きたいことがあ……」
「はわわわわ〜〜〜〜〜!!!! そ、空から人が降ってきました〜〜〜〜〜!!!!」
「チッ、物の怪かい! ……マル、下がっとき!」
女の持つ獲物が空を切り裂く!
「ちょ、待……」
すっ、ぱぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!
「だおおおおおあああああああっっっっ!!!!!」
まともに声をかける暇もなく、女にハリセンによる強烈な一撃を受けてしまった!
「よりにも(バシッ!)よってぇ!(ドゲシ!)うちらを(ドゴァ!)襲おうとは!(ベキィ!)
ええ度胸(ゴキャッ!)しとるやないけ!(ズンパン!)」
頭を抑えて悶絶している間に追い討ちをもらい続ける。
「ちょっ、待て、俺は、別に、怪しいモンじゃ……」
「うっさいこんボケっ! 背中に羽の生えた人間が空から降りてきてどこが怪しくない言うねん!」
A 『ご、誤解だ!』
B ともかく逃げる!
A
協力してもらおう …できれば
「ご、誤解だ! 俺は別に物の怪でもないしお前たちを襲おうというわけでもない!」
「うっさいだまれ、ちゃあすぞゴルァ! だいたい女のくせにそんな男みたいな言葉使ってるんやない!」
「こ、言葉だったらお前の方が……」
ドゲシッ!
「なんか言ったか? ああん!?」
「と、トモさん! お、落ち着いてください……」
暴行女を連れの女の子が止めた。……乱れ飛ぶ拳がようやくおさまる。
「なんやマル!? 邪魔するんか?」
「い、いえ、そういうわけでは……ないですけれど……この方も、何か私たちとお話したいようですし……」
「ハン! 物の怪の類が言う事なんてのはなぁ、ぜぇんぶ人を騙くらかすためのもんや! 一々聞いとったらキリがない!」
「だぁから、違うっつってるだろーが!」
「黙らんかい!」
ドバシィ!
……その後、数十回の鉄拳や蹴りやハリセンやビンタを食らいつつも、連れの女の子の協力もあり、なんとか落ち着かせることができた。
「顔がヒリヒリする……」
「いやー、スマン。ホンマスマン。てっきり妖怪変化の類がうちらを食おうとしたんかと……」
「こんな美男子の妖怪がどこにいる!?」
「……あのー? 私には貴方は女性の方に見えるんですが……」
……そうか、今はムツミの姿だったな。
「むん!」
ヒュオッ、と一瞬で元の姿に戻る。
「これが俺の本当の姿だ」
「うわっ、変身しおった。気持ち悪っ。しかも目つき悪っ。悪人ヅラや」
「………………」
このアマ。
……まあ、言いたいことは山ほどあるが、それを気にしていたら話しが始まらん。
俺はこみ上げる感情をグッとこらえ、本題に入った。
「なぁ……この辺りで、こういう……特徴の朽ちた古寺を見たことないか?」
身振り手振りを交え、寺の特徴を伝える。だが、答えは非常なものだった。
「知らん」
「…………」
「あのっ、そのっ、私たち、よくこの辺りは通るんですけど……そういう特徴のお寺は、見たことがありません……」
……言葉って大切なんだな。結論が同じでも、こうも受ける感情が違うとは。
「……そうか、邪魔したな」
背を向け、その場を去ろうとした俺だが後ろから声をかけられた。
「なぁ兄ちゃん、ここで会ったのもなんかの縁や。ちょっと頼みごと、聞いてくれへんか?」
「……ボコボコにされてしかも俺の求める情報が何一つ手に入らなかったのが縁か?」
女はすまなそうに苦笑した。
「あ、いや、実はいまとある祭りの会場に向かっとるんやけど、ちょっと遅れそうでな。あんた空飛べるみたいやし、連れてってもらえへんかな?
人も仰山集まっておるし、色んな話も聞けると思うからあんたにとっても悪い話やないと思うんやけど……」
「…………」
A まぁ、どうせここではもう得るものはなさそうだしな。構わん。了承する。
B なんでこんな目に遭った俺がお前のアッシーにならなきゃならんのだ! 却下!
A了承(8分)
「了承(8分)」
……ま、帰るついでだし構わんだろ。このアマはともかく、あっちの女の子は助けてあげたいしな。
「いやぁ、さすがうちが見こんだだけはあるで。人がいいなぁ」
「トモさん……それを言うなら『いい人』では……?」
……やっぱムカつく。
「トモさーーーーん、大丈夫ですかーーーーーーー?」
「のわっ! うわっ! 国崎! なんでうちがこんな体制にならなあかんねん!
あんたの背中に乗せんかい!」
「……うるさい。落すぞ」
今、俺たちは空にいる。
俺の背中にマルと名乗った少女を乗せ、慎重に飛行している。
トモ? ああ、あいつだったら……
「わ、うわっ! ゆ、揺らすんやない!」
俺に首根っこ掴まれ、宙ぶらりんになっている。……ささやかな復讐だよ。
「あー、死ぬかと思ったわ……」
「ト、トモさん……大丈夫ですか?」
青い顔をしたトモにマルが寄り添う。ホント、慕ってるんだな……
「文句は聞かんぞ」
約束は果たしたんだからな。
……ここはすでに『同人市』とやらの会場。その目の前まで連れてきてやった。
「それにしても……すごい数だな」
見渡すかぎり人、人、人。目の血走った連中が異種独特の熱気を放ちつつ、延々と列を作っている。
「まぁ、だからこそ年に二回だけだったのが特別開催されることになったんやけどな。……っと、あっちに行くで。
うちらは並ぶ必要ないんでな。マル、荷物持ちな」
「は、はいっ!」
「…………」
トモに連れられ、「係員専用」と書かれた門に向かう。
「おう南はん、久しぶりやなぁ」
慌しく走り回るスタッフたち。その中の一人にトモは親しげに話しかけた。
「あらトモさん、お久しぶりですね。お元気でしたか?」
「ま、それだけがうちらの取り柄やからな。この間は大宰府まで行ってきたわ」
「まぁそれはそれは……あら? そちらの方は?」
南、と呼ばれた女性がこちらに視線を向けた。
「俺はくにさ……」
「ああ、この男は国崎往人。うちらが微妙に世話になったんや。なんか探しモンがある言うから、ここに来れば何かわかるかと思ってな。連れてきたんや。
うちらと一緒に入れてくれんか?」
「……相変わらず強引ですね」
彼女は少々困った笑顔を浮かべた。
「あまり、大きな声では言わないでくださいね……」
小声で呟くと、俺たちのために門を開いてくれた。
「感謝するで、南はん」
「あ、国崎」
「ん?」
だだっ広い会場内をトモについていると、不意に話しかけられた。
「うちらしばらく仕事で仕入れせなあかんから、案内できへん。終わるまで待っといてくれるか?
なんならその辺うろついてても構わんし」
なるほど、そう言えばこいつらは仕事で来てるんだったな。
「ああ、わかった。どこにいればいい?」
「太陽がてっぺんまで上がったら、ここにいてや。それまで好きにしとって」
「了解した」
「ほな、また後でな〜」
手をふりふり、二人は小走りに去っていった。
……さぁてと、かなり時間が出来てしまったわけだが……
A 会場内を回ってみる。
B 会場外に出てみる。
C ここで大人しく待ってる。
D いったん帰るか。近いし。
Aかな?
んーと・・・前の同人市の時って、
トモと国崎は会ってないのかな?
かなーーーり、前の話なんで、覚えてないや(死)
久しぶりにログ読み返してみるかのう・・・。
(さて…何か手掛かりになりそうなものは無いだろうか…)
俺はそこ等の露店を見て回った。特に目新しい物は無かったがふと立ち寄った
露店で珍しい物を見つけた。
[術法辞典-結界編-]
(もしかしたら何らかの術で寺を隠匿してる可能性があるやもしれん…見てみるか。
しかし何か都合が良過ぎる気がするが…まぁいいか)
「すみませんこれを少し見ても宜しいですか?」
「ああ、構わんよ」
俺はその本を読んでいった。現代の文字と比べ内容は難解であったがムツミが
解読を手伝ってくれたのでそれほど苦にはならなかった。その中に幾つか目を引く内容があった。
[結界の中には奇門遁甲陣など外界との接触を断つものが有り〜]
(…その手の結界の可能性が有ると言うことか…これの中に結界を破る方法が幾つかある
ようだから何とかなるやもしれん)
国崎が本を読んでいると店主が不意に話し掛けてきた。
「それが欲しいのかい?実を言うと結構値が張るぞ?」
(…しまったな。金なんぞ持ってきていないぞ。しかしこの本は必要だ…どうする?)
A 強奪
B 頼み込む
C 変身して色仕掛け
D 金目の物と交換
Cでw
……おい、俺、本当にいいのか?
そんなことをして、プライドは無いのか?
――そんなのもの、涅槃の彼方に置いてきた。
そこまでしてこの本がほしいのか?
――今更何を言っている。
媚びてまでこれを手に入れる必要があるのか?
――神奈のためだ。それは観鈴のためだ。
「………よし」
「ん、兄ちゃん、決めたのか? 買うのか? 買わないのか?」
国崎はその質問には答えず、両手でポーズを決めた。
「翼人、へんっ、しーーーーん!」
ぴかっ
「翼人戦士国崎往人、ただいま参上!」
「…………………」
ウケなかった。
(まぁ、いい)
国崎は覚悟を決めると、唖然としている店主に擦り寄った。
「ね、ねぇそこのお兄さん……こ、この本……俺に、じゃなかったワタクシにいただけないかしら?」
色気は、全くない。
「………」
店主は侮蔑しきった目で国崎を見つめる。
「ここ、この本をばワタクシにくだされば、ちょとさぁびすしちゃおっかなとか思ったりなんかしちゃたりして……」
「……はぁ……」
店主はニ、三度頭を振ると、ぴとりと国崎の眉間に札を貼りつけた。
「どこぞの妖怪か知らんが、人を騙したいのならもう少し修行を積むことだ」
ドバシィ!!!!
「うおおおおお!!!!」
頭部に強烈な衝撃を受け、国崎は吹き飛ばされた。壁にたたきつけられ、さらにゴミ捨て場の中に落ちる。
「む、無念……まさか術師とは……イツツツツ……」
しばらくは悶絶していたが、いつまでもゴミと同化しているわけにいかない。
痛む頭を押さえ、なんとか顔を上げる。すると、そこには―――
A 眉毛女が見下ろしていた。
B トモと行動を共にしていた女の子……確かマルとか言ったか……あの子がいた。
C ていうか綾香、何故お前がいる?
E む、あれは確かハクオロの仲間の……
A、かな?
「……大丈夫?」
俺が顔を上げると、そこにはぶっとい眉毛をした女がこちらを覗きこんでいた。
「っ……なんとか、な……」
ゴミの山から這い出そうと立ち上がるが、まだ足元はおぼつかずすぐに倒れてしまう。
「ちぃ……俺としたことが、この程度で……」
「アンタ、大丈夫か?」
……と、不意に前から手が差し伸べられた。眉毛女の隣に、どことなくトモに似たハリセン女が立っている。
「あ、ああ……スマンな」
わざわざ好意を無下にするのも悪いので、甘えさせてもらうことにした。
「よい、しょっと」
腕を引っ張られ、どうにか立ち上がる。
「……ふぅ」
「ふぅ〜〜〜ん、よくできてるわね、この羽」
……いつの間にやら、俺の後ろに眉毛女が回りこみ、物珍しそうに翼を触っていた。
「だああっ! 触るな!」
「なによぅ、ちょっとぐらいいいじゃない!」
「やめとき、エーミ」
「む〜ん……」
俺はコホン、と咳払いをし、
「助かった。感謝する」
「ま、ええでええで、困ったときはお互い様や。……にしてもエーミやないけど、あんたのその格好、ホンマよくできてるなぁ。まるで本物の翼人みたいや」
……格好? ああそうか。今俺はムツミの姿だったな。
「まぁ……な」
先ほどのこともある。とりあえず変身は止めておこう。
「これが『こすぷれ』ってやつ?」
「いやぁ、ホンマよくできとるわ。あ、あんた今ヒマか? なんならうちらの区画に来ぃへんか? 茶ぐらい出すで。
『こすぷれいやー』いうの見るの、珍しいからな。色々話聞かせてくれへんか?」
「む……」
A ご馳走になる
B 遠慮する
C ていうかお前、なぜ翼人のことを知っている?
進めよう。C
「ちょっと待て」
俺はそこではたと気付いた。
「お前、さっき翼人って言ったか?」
「あん? 言うたけど? それがどないしたん?」
「……なぜ知っている?」
「なんでって言うてもな……知っとるモンは知っとるで仕方ないやろ?」
「……誰から聞いた?」
「そりゃあ……エーミ、あんた今回の新刊翼人のこと扱ってたな」
不意に、話が眉毛女に振られた。
「え? え? そ、そうよ。だったらどうしたって言うの?」
「翼人について書いた……? 見せてみろ!」
女から本をひったくり、パラパラとページをめくっていく。
……内容は他愛のないものだった。翼人と付き人の恋愛話。どことなく柳也と神奈を連想させるものだった。
だが……それよりも重要なのは、物語の中に登場する一言。
『翼人とは、星の記憶を紡ぐ者である』
「…………」
「ちょっとぉ、返しなさいよ!」
「……お前、この言葉をどこで聞いた?」
「え……? そ、そりゃ拾った古文書から……」
「拾った!? どこでだ!?」
「ひ、比叡山近くのお寺から……」
その後、半ば脅すようにして眉毛から古文書をもぎとった。
中を見て……
「ってなんだよこれは! 読めたもんじゃないぞ!」
すでに紙はボロボロで、ほとんどの文字を読解することなど不可能だった。
「そーよ。最初からそうだったんだから。唯一読めたのが、さっきの言葉。わかった?」
「……翼人の、古文書……」
A 何かの役に立つかもしれない。譲ってくれるよう頼む。
B こんなボロボロじゃ意味がないな。
C ……ん? こっちに向かってくるあいつは……トモか?
Aかな。
「……これを譲ってくれないか?」
「いや」
……即答された。だが、俺とて引き下がるわけにはいかない!
「頼むっ! 今の俺たちにはこれが必要かもしれないんだ! 譲ってくれっ!」
ぱん! と手を合わせて懇願する。
「……む〜〜〜」
「どないするんや、エーミ? こいつこんなこと言っとるが……」
「そうねぇ……」
眉毛はひとしきり考え込むと、フフン、と唇を歪ませた。
「タダってわけにはいかないわよねぇ……」
「ま、そやな」
「それじゃ! これがほしいのなら……」
「新刊、全て売りさばきなさい!」
……というわけで、俺はこの眉毛女の売り子をする破目になった。
ったく、なんの因果でこんな目に……
「ほらほら! 無駄口叩かない!」
偉そうに……とは言っても、あの本はなんとしてでも手に入れねばならない。
……がんばるか。
どうする?
A 道行く人に声をかける
B 翼人の力を使う
C とりあえず人形劇
D 待てば海路の日和あり
C!
勝利の方程式
『本を売る→人を集める→人形劇』
「さあ、楽しい人形劇の始まりだ」
俺は懐から相棒を取り出すと、机の上に置き、久々に力を込める。
ヒュオ! バッ! ドバッ! フォォォン!!
うむ。とてもよい。さすが法術が強化されているだけある。いつも以上に鋭い動きだ。
さて……それではこのノリノリの動きで何をしようか……
A 演舞
B バレエ
C いつも通りに
D 道行く人から財布をスる
Cだろ。
……いや、やめておこう。
今更多少力が強化されたからといって、小手先の技術に走るのは今までの俺たちの歩みを否定するということだ。
ここはいつも通りにいこう。
「さあお前ら、今回は特別サービスで無料だ。その代わり、ここの本を買っていけ」
トコトコ……フォン! バッ! タタタッ!!
相棒が机の上を歩き、走り、時に宙返りをする。
縦横無尽に駆け回る。
我ながら非常にいい出来だ。近年稀に見る程に。
……だが。
「なぜだ……俺の芸は、この時代でも受け入れられないのか………」
人の流れはここに集まるどころか、かえって俺たちを避けているようにもみえた。当然、本が売れるはずがない。
後ろからは眉毛女の殺気のこもった視線も感じる。
ううむ……このままでは……
「む、あれは!?」
その時、俺は人並みに紛れる綾香たちの姿を発見した。両手に大量の本を抱え込み、あっちこっちを走りまわっている。
さらに同時に俺は見つけた。綾香とは反対側……販売区画の中で本を並べている、エルルゥの姿を。
「……どうするか……」
A 綾香に助けを求める
B エルルゥに助けを求める
C いいや! こんな醜態を晒すわけにはいかん!
辺境の女は商売も出来るのか!?
B
B
……ああ、なるほどわかった。
破損した古文書はあの人が修復するわけだな?
あ、なるほどねー。
古文書を修復できる人間・・・?
「え、エルルゥ!」
その姿を認めた瞬間、俺は思わず声をかけてしまっていた、
「あら国崎……さん? ですよね?」
販売準備をしていたエルルゥの手が止まる。よく見ると、隣にはアルルゥもセットだった。
「同人同人、きゃっほう」
「クッ……」
こんな子供に俺は頼ろうというのか……だが、背に腹はかえられん!
「エルルゥ! アルルゥ! 頼みがある!」
「なるほど……」
一頻り説明を終えると、エルルゥは嘆息を漏らした。
「国崎さんたちにとってその古文書が必要なものかもしれない、と……」
「そうだ。その通りだ。そのためにはこの本を全て売りきらねばならない……」
「わかりました!」
エルルゥが声を上げる。
「お手伝いします。アルルゥ、こっちの方はお願い」
「ん」
よし。エルルゥはアルルゥに自分の本を任せると、こっちに来てくれた。
「そうですね、まずは………」
「まずは……?」
「国崎さんの人形劇、止めてください。はっきりいって要りません。むしろ邪魔です」
「ぐ……がっ!」
グサッと来た。グサッと来たぞ!
……わかってたことだがな。
「そして次に、もっと愛想をよくしてください。今の国崎さんはかなり可愛いですから、それだけで人はよってきます。
あとはもう少しレイアウトも工夫してください。こんな風にただ雑然と並べているだけじゃ見栄えが悪いです。
一般の方々への応対は新説丁寧に、お願いしますね」
「お、おう」
なんだかスゴイ迫力だ。
……その後、エルルゥに指示されるままやってみると、面白いように本が捌けていった。
元から眉毛が結構有名らしいこともあるが、それでもやはりエルルゥの販売戦略は確かなものがある。
「ありがとうございましたー!」
生まれて初めての営業スマイル。……結果、午前中に本は全て売り終えた。
「お疲れ様でしたっ」
始終俺の隣で指示を送り、自らも頑張っていたエルルゥが俺に茶を差し出す。俺はそれを受け取り、ぐいと飲み干す。
「ん……美味い」
「お茶汲みは私の得意技ですから」
確かに、これならハクオロも大満足だろう。
「おう、ホンマにやりおったんやな、やるなぁアンタ」
「さっすがあたしのしたぼくね!」
連中が帰ってきた。両手には本の山を抱え、大変ご満足げだ。
「はい、それじゃこれは約束の褒美よ。喜んで受け取りなさい」
「はいはい」
ボロボロの古文書を受け取る。……パラパラとめくってはみるが、やはり読めたもんじゃない。
「では、私はこれで失礼しますね」
エルルゥはそそくさと自分の区画へと戻っていった。
「ああ、助かった」
「ん? なんや、アンタの知り合いか?」
「まぁ……な」
……っと、そう言えばそろそろトモとの約束の時間だな。
どうするか……一応、古文書は手に入ったが……
A トモとの約束の場所へ行く。
B これが手に入ったのなら十分だろう。さっさと帰る。
C もう少し会場内を回ってみる。
「そろそろ」なら、寄り道はイクナイ!
約束は守ろう、
A。
「そろそろ」なら、寄り道はイクナイ!
約束は守ろう、
A。
・・・あら?
二重投稿してる上にIPが丁度変わってる・・・??(謎汗)
なんじゃこりゃ・・・。
「おう国崎、待ったか?」
俺が別れた場所に戻ると程なく、トモとその脇に寄り添う小さいマルの姿が見えた。
「遅いぞ」
「まぁそう言わんといてな。こっちやって商売で来とんねん」
「商売……お前、行商人じゃないのか?」
「そやで。うちらは西へ東へ、その土地土地の特産品を買いながら旅をしとる。別の場所へ行ったらそれを売る、っちゅう方式や。
んで、最近は地方でも同人誌の需要が高まってきてな。特に大手の本は人気が高い。うちは都近くへ来たら必ず仕入れていくんや」
「なるほど……」
同人誌も特産品の一つ、か……
「トモさんすごいんですよー。山ほどの荷物背負って大きな山も越えちゃうんですから」
「そやな。アンタが途中でヘバらなきゃもっと効率よくやれるんやけどな」
「…………」
うぅむ、不憫だぞマル。
「おおそや、アンタ探し物しとんやったな?」
「あ、ああ……」
「ほんなら、いい人間紹介したる。付いてきい」
言うとトモは踵を返し、会場の一角を目指して走り始めた。俺も一応それについて行く。
連れていかれたのは……
A さっきのハリセン&眉毛のところ
B エルルゥ&アルルゥのところ
C スネ夫カットの傲岸不遜な男のところ
D 道長のところ
C
スネ夫カットって固有名詞なんだ…
「はっはっはっは! 久しぶりだな星名智!」
「今となってはその名前で呼ぶのはアンタだけやなぁ、これち……大志」
トモに案内されたその先には、一人の男が傲岸不遜な態度で佇んでいた。
「ん? その後ろの『こすぷれ』女は誰だ?」
「ああ、今回アンタに会いに来たんはな、こいつの用があってのことや」
「……国崎往人だ。よろしく頼む」
「男みたいな名前だな……まぁいい。吾輩の名前は九品仏大志。いずれ吾輩は朝廷を支配する。今のうちに覚えておいて損はないぞ」
……大丈夫か? この男。
「ほな、うちはこの男苦手やから、あとは頑張り。ま、変わった奴やけどおかしくはなっとらんから、安心し」
「……フン、お前も息災にな、トモ」
「あんたもな。せいぜい蹴落とされないよう注意することや」
それだけ言い残すと、トモはマルを連れ、人ごみに消えていった。
「お互い、また縁と命があれば会えるとええな」
……不思議な女だ。
「で、国崎とやら。吾輩に何が聞きたいのだ?」
俺は早速本題に入ることにした。
「翼人のことについて……何か知らないか?」
「知らん」
A じゃあな
B ほんと〜〜〜〜〜に何も知らないのか?
C 仕方がないから世間話でもしてる
B
確か大使はアレ役なんだよな?
「ほんと〜〜〜〜〜〜〜に何も知らないのか?」
普通に考えれば知らんと言う以上、ここは素直に引き下がるべきなのだろう。
だが、俺の直感がこいつは怪しいと叫んでいた。
「くどい。知らんと言ったら知らん」
「本当か?」
「本当だ」
「本当かよ?」
「本当だ」
「本当か? 翼人のことについてだぞ? 羽の生えた人間についてだ」
「…………キサマは」
ん? 不意に男の声のトーンが変わった。
「ならば、キサマはその翼人とやらについて何を知っていると言うのだ」
……何を知っている、だと?
A 翼人を保護している
B この間高野山から助け出した。
C てゆーか、今は俺自身が翼人だ。
D それを聞いているんだよ。
Cで
九品仏は目を瞑ると、しばし沈黙した。
「それは『こすぷれ』ではなく、本物ということか……成程成程、確かにこの会場内なら多少派手な姿でも目立たない……
情報を集めるのには格好の場ということか……」
「何を一人で納得しているんだ」
いい加減イライラしてきた俺は、思わず声を荒げてしまった。
「…………」
しまった、怒らせてしまったか?
「吾輩は……」
だが、九品仏は気にした様子もなく言葉を続けた。
「吾輩は、お前らが嫌いだ」
「!?」
なんだ、やぶからぼうに。
「人は人として人の力のみで生きるべきだ。この会場を見ろ、人の熱気に満ちている。それはすなわち、我等が持つ力、そのものだ」
促され、改めて会場を見回してみる。……確かに、ここにいる人々の熱気、みなぎるパワーは凄まじい。
「お前たちなどに導かれる必要などない。いやむしろ、お前たちの持つあまりにも強大な力は我等にとって危険過ぎる。
道長はそれをわかっていない。一時の感情に惑わされ、お前たちを保護してなんになる? お前たちは歴史から消え去るべきだ。
お前たちは存在してはならない。お前たちの力など、人間は必要としない」
それまでの様子とはうってかわり、九品仏のそれは静かに、そして重く、力の篭った口調だった。
「ぐっ……」
「お前が何を求めているのかは知らない。だが、どうせ吾輩の言葉など意味はない。吾輩が掴んでいる情報など道長も既に掴んでいるだろう。
……去れ、翼ある者よ。汝らはいずれ忘却の彼方に消え去るのだ。人の世に、お前たちは必要ない」
それだけ言うと九品仏は踵を返し、人ごみの中へ消えていった。
……何者だったんだアイツは? あきらかに俺たち……のことはおろか、道長のことすら知っていた。
「……クソッ」
いいように言われた。言い返すことができなかった……
A 九品仏を追う。
B 目的は達成した。さっさと帰る。
C もう少し会場内を回ってみる。
Aで大志を小1時間…(略
「っぐっ!」
事情はよくわからねぇが、あそこまで言われて黙ってられるか!
俺は大志を追った。
「待て! ……ぐっ、待ちやがれ!」
幾重にも積み重ねられた肉の壁を掻き分け、大志の消えた方向へと向かう。
「だああっ! クソッ! なんて人数の多さだ!」
だが絶対重量差はあまりにも大きく、何度ぶつかっても弾き飛ばされてしまう。
一方大志は何事もないかのようにスルスルと人ごみを抜けていく。
「なんだよあいつは……おかしな術でも使えるのか?」
その後、何度も押しつぶされそうになりながら、俺はなんとか人の波を乗り越えた。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……クソッ、熱い……」
そう。熱いのだ。この会場は熱すぎる。
「ああ、確かに人の力ってのはスゲェよ。だがな……」
「……まだ吾輩に話があるのか?」
「ん?」
顔を上げると、そこには大志が憮然とした表情で俺を見下(お)ろして……いや、見下(くだ)していた。
「ああ、そうだ」
「吾輩にはもう話すことなど何も無い」
「こっちはあるんだよ! ……ってん?」
その時、俺は体の内側から話しかけられた。
(国崎……私に代わって。この人に言いたいことがある……)
……ムツミか。
どうする?
A ムツミに任せる。
B 俺が直接文句を言う。
C そんなことより鉄拳制裁。
A 言ったれ
(……わかった)
そうだ。おそらく今一番言いたいことがあるのは本物の翼人であり、かつ始祖たるムツミ自身だろう。
俺は意識を体の内側に存在するムツミに向けて解放する。すると、一瞬の浮遊感の後にお互いの位置が入れ替わる。
……体は、ムツミのものになった。
「……ふぅ」
「どうした? 何か話があるのではないのか?」
「ええ。あるわ」
「……雰囲気が変わったな。いいだろう。続けろ」
ムツミは一歩九品仏から距離を取り、恭しく頭を下げた。
「初めまして。私の名前はムツミ。あなた方が酷く嫌っている翼人一族……その始祖の片割れです」
「ほぅ、これはこれはご丁寧な挨拶痛み入る。吾輩の名前は九品仏大志……」
さらに九品仏は小声になり、続けた。
「またの名を、藤原伊周」
な、なんだと!? 藤原伊周だって!?
(……誰だっけ?)
「……現在藤原氏の氏の長者に最も近いもの。藤原道長の甥であり、ライバル。」
「その通りだ。同時に、朝廷内における翼人排斥派の最右翼、とでも付け加えておこうか?」
「…………そう」
「どうした? 何か言いたいことがあるのではないのか?」
ムツミは一息つくと、語り始めた。
「昔話をしてあげる。この世が今の世ではない……前の世界だった頃のお話」
「ほぅ……面白そうだな」
……その世界の人たちは、卓越した文明を持っていました。
それは紛れもない、人間自身の力。彼らが彼らの力で編み出した力……
地は常に人工の太陽が照らしだし、冬温かく夏涼しいカラクリ。
千里を一瞬に駆ける乗り物。星の彼方へと辿り着く船……
彼らはまさしく『世界』を我が物としました。
熟れた果実はやがて腐り落ちる。
彼らは確かに発展しました。し続けました。けれど、かれらの発展はとても歪(いびつ)だった。
己を知ることもなく、ただただ力のみを増大させる。自らの体が腐り始めているのに、それを知ることができなかった。
気付いたときにはもう遅い。
『腐れ』はもうどうしようもない段階にまで行きついていた。自らの体を蝕み、母なる大地にまで住みえぬ程にまで。
彼らは穏やかな破滅は選ばなかった。意地でも生き続けることに決めた。大地も太陽も緑もそして、友なる他の生命との永訣の果てに。
それは歪んだ生。当然の如く、すぐに行き詰まった。
そしてとうとう、彼らは触れてはならないモノに触れた。それは……自身の体。彼らはとうとう自分自身を変えることに決めた。
最後に残された『正しき生命』彼らはそれすら捨て去ろうとした。
……The second forbidden fruit,彼らは創世記から数えて二度目の放逐を受けた……今度は、生命という枠の中から。
「……お前は何を言っているのだ?」
「黙りなさい」
残された最後の希望。それが私たち翼人。
自分たちが生き残りえぬのなら、せめて次の人類には正しき道を歩んでほしいと、ある人が私たちに言った。
だから、私たちは生き続ける。存在し続ける。全てのデータを、記録を、記憶を載せた、我らが光り輝く羽と共に。
「待て、つまり……お前たちは……」
「そう。私たちも『ヒト』が創りだした『ソンザイ』。あなたたちが道を踏み外したとき。道を進まねばならないとき。
道を捜し求めるとき。その時そっと……背中を押す。それが私たちのthe raison d'etre.」
……はっきり言おう。俺にもわけがわからん。
だが、ムツミが何か重要なことを言ったのだということはわかる。
「……………」
九品仏は、何かに苦悩するように表情を歪めている。
「………吾輩は………」
やっと、といった様子で口を開く。
「いや、我等はどうすればよいのだ……?」
「自分で考えなさい」
ムツミは吐き捨てると、その場を離れた。
(じゃ、国崎。後はお願い。私はしばらく休むから……)
(お、おい!)
……体を返された。
さて、これからどうしよう?
A もう少し会場内を回る。
B さっさと帰る。
Aで
よし、まだ会場内にヒントになるようなものがあるかもしれない。
もう少し回ってみるか。
「さあさあ今回の新刊はこれだよー!」
「どうぞお手にとって見ていってくださーい!」
「走らないでくださーーーーいっ!!!!」
「テメッ、割りこむんじゃねぇよ!!!」
賑やかというべきか、やかましいというべきか……ともかく、ここにいる連中がみな一生懸命なのは間違いないようだ。
さて、それにしても……どこへ行ったものか。
A さっき見かけた綾香を探してみる
B 眉毛ハリセン組のところへ行ってみる
C もう一度「術法辞典」を譲ってもらえないか掛け合ってみる
D コスプレゾーンへと赴いてみる
E エルルゥ&アルルゥの所へ
F その辺をぷーらぷーらと
C
「……よし」
やはり先ほどの術法辞典、あれを譲ってもらえるよう掛け合ってみよう。
そう意気込むと、俺は一路あの術師がいる区画へと向かった。
しかし……
「どうしたものか……」
とりあえずは物陰からあの男の姿を伺う。あまり繁盛していないようだが気にする様子も無く、手もとの古めかしい本に視線を走らせている。
まともに向かっても……俺は完璧に物の怪扱いされているからな……
どうしよう。
A エルルゥから金を借りる
B 強奪
C 事情を説明する
D 人形劇
Aで借金生活w
終わりそう・・・なのか?
んー、終わるどころかさらに平安編が深まっていきそうだな(苦笑
今スレ中には終わってほしいところ。
ひさしぶりにページ更新。
今回はいったいどれくらいになることやら……
「……仕方……あるまい」
こうなったら、誰かから金を借りるしかない。
そしてこの会場内での心当たりは……エルルゥだけだ。
「エルルゥッ!」
「わ! わ!? 国崎さん!?」
俺はエルアルの区画へと赴き、とりあえず真っ先に頭を下げた。
「頼みがあるっ!」
「と、とりあえず頭を上げてください。今度は何があったんですか?」
「実は……」
「なるほど……」
「ん〜……」
エルアルの二人が揃って唸り声を上げる。
「その本が必要かもしれないけれど、国崎さんは持ち合わせがない……」
「ああそうだ。少し……少しの間でいいんだ。金を貸してもらえないか?」
「そうですね……」
エルルゥの答えは……
A 仕方がないですね。
B 条件があります。
B
なんだろ
716 :
sage:02/10/14 22:31 ID:sOSPeeEQ
保守
「お金を貸すのは構いませんが、いくつが条件があります」
「条件……?」
思わず息を呑む。
「……なんだ?」
「まず第一に、借りたお金は必ず返すこと。これは当たり前ですね」
「ああ……」
そりゃ返すさ。……そうだな。ちと柳川あたりに頼ん
「第二に、国崎さんのお金で返すこと。きっちり自分の力で解決しなきゃダメです」
「ぐ……っ」
退路をふさがれたか。
「そして、最後に……」
A 食糧庫の番をお願いします
B 私のアシスタントになってもらいます
C ハクオロさんを(他の女が寄りつかないように)見張ってください
D 私の胸を大きくしてください
A
「食糧庫の番をお願いします。最近また盗み食いが増えて、困っているんです。
特に、アルルゥ&ムックル、オボロさん、クロウさん、カルラさん辺りが要注意です。多少手荒くやっちゃってもいですから、
断固阻止してください」
「お、おう……!」
なんだ、そんなことか……もっと無茶な要求されるかと思った。
「以上の三つを必ず守ってください。よろしいですか?」
答えは決まっている。
「わかった」
「では、お貸ししましょう……アルルゥ、売り上げを」
「……ん」
ものすんごく不機嫌そうに銭の詰まった箱をエルルゥに手渡す。おそらく今の話を聞いていたのだろう。
俺への視線が「敵」になっている……
「はい、このくらいでよろしですか?」
箱の銭を袋に入れなおし、俺に手渡す。ドッシリとした手応えだ。
「ああ、助かった……恩に切る」
「それよりも、約束はしっかり守ってくださいね」
「もちろんだ」
「親父! 金を持ってきた! 本をくれ!」
金を手に入れた俺は早速先ほどの区画へ戻り、店主に銭袋を叩きつけた。
「ん……? さっきの物の怪か。また懲りずに来たのか?」
「違うっつってんだろ! 金は持ってきた! この本を売ってくれ!」
術法辞典を手に取り、店主に付きつける。
「金……ね、どれどれ……」
店主は憮然とした態度のまま、袋から銭を取り出し、齧ったり凝視したり光に透かしたりしている。
「……葉っぱじゃないようだな」
「当たり前だ!」
「……ま、金を持ってきたんなら物の怪だろうと一般だろうと関係ない。いいだろう。持ってきな」
「感謝する……けど何度も言うように俺は物の怪じゃないっつーの!」
「はっはっはっは、変わった奴だな」
「……まぁいい。ありがとよ」
辞典を懐にしまうと、俺はその場を離れた。
「大切にしてくれよ!」
後ろから聞こえた店主の声が聞こえた。俺は親指をビシッ立てて答える。
さて、と……これからどうするか。
A さっさと帰る
B もう少し回る(
>>706の「C」以外から一つ選択)
A
「ま、こんなところだろうな」
2冊重要そうな本が手に入ったことだし、そろそろ戻った方がいいだろう。柳川も心配しているだろうしな。
「帰るとしよう」
俺は手にしっかりと本を握り締めると、羽を広げ、地を蹴り、空へと羽ばたいた。
「さらばだ同人市! 縁があればまた来よう!」
「……っ! あれは、国崎殿では!?」
「あら……確かに、彼も来ていたようですわね」
「……ムッ!」
(ピシィ!)
「わ、わっ、筆が鞭に持ってかれたんだな」
「そこな男子! 今キサマ某をモデルにしていただろう!? イカンぞ! それは盗撮(?)に当たる行為だ! マナーは守れ!」
「けれどトウカ、あなたのその格好もずいぶんと扇情的ではなくて?」
「うっ……し、しかし、これは柳川殿と約束した手前……」
「ホント、馬鹿正直なこと」
「ドリィ、見てごらん、翼人のコスプレをした人が飛んでいるよ」
「わぁホントだ。空を飛べるなんて、すごい手の込んだ作りだね」
「うん。僕たちも負けてられないよ。さ、頑張って売ろう。僕たちと若様の、愛の結晶を」
「……ホントはもっと時間があれば、柳川さんのコピ本も作りたかったんだけど……」
「仕方ないよ、なぜか昨日は一番いいところで気絶しちゃったんだから……」
「セリオ! 『猫走り』の時限販売開始時刻は!?」
「あと十二分と三十三秒後です」
「OK,私は『鬼札型』の方に回る! スフィー! そっちは任せたわよ!」
「アイアイサー!」
……とにかく、賑やかな場所だった。
『はぁ………(ズズズ)……平和だなぁ……』
「うん……(ズズズ)平和だねぇ……」
「……(ぱくぱく)」
『くぉら舞、ようかんばっか一人で食うな』
「あっ……」
俺がハクオロの屋敷に戻ると、柳川・みさき・舞の三人組が縁側でお茶を啜っていた。
茶菓子はどうやら栗ようかんのようだ。
「ったく、呑気だな……」
バサバサと少々派手目に音を立て、中庭の真ん中へと降り立つ。嫌がおうにも三人の視界に入る。
『お、帰ったか国崎』
「まぁな」
『……で、結果は?』
先ほどまで緩みきっていた柳川の表情がキリリと締まる。
「……件の寺は、見つからなかった……」
『なんだと?』
「どんなカラクリがあるのか、あるいは何か特殊な結界でも張られているのかはわからないが、とにかく見つからなかった。
だが……その代わり、これを見つけた」
手に入れた2冊の本を柳川に放り投げる。
『っとと……本?』
「ああ。両方とも同人市で手に入れたものだ。片方は、例の寺から持ち出されたと思しき古文書。
もう片方は、結界について書かれた辞典。何かの役に立つはずだ」
『なるほど……』
「で、どっちを先に調べる?」
『……翼人の古文書と、結界の辞典か……』
A 古文書
B 術法辞典
両方使えよ。とりあえずAで。
『……そうだな、古文書の方がより翼人に近い情報が手に入るだろう。とりあえずそっちを調べよう』
「わかった。確かにな、そっちの方がいいだろう」
俺と国崎はうむ、と一回頷き合う。
『しかしこれは……』
「……読めるか?」
『いくらなんでもキツイだろう……』
元々文字が読めないのもあるが、それにしても酷すぎる保存状態だ。
どうにかして修繕しないと……
「どうなさいましたか柳川さん?」
『うをわっ!!??』
突如後ろから話しかけられ、思わず情けない叫び声を上げてしまう。
『……げ、源之助さん……驚かさないでください……』
いつの間にやら。そこには長瀬源之助氏が佇んでいた。
「……源之助さん?」
「おじいさん……」
舞とみさき君の二人が訝しげな顔をする。無理もありまい。
『かくかくしかじかというわけだ』
「「なるほど」」
よし。
「なるほど……古文書ですか……それにしてもこれは、ひどいですな……」
『ええ。何か重要なことが書いてあるとは思うのですが……如何せん状態が悪すぎて、困っていたところです……』
「ふむ……ふむ……」
源之助さんは何やら真剣な眼差しで古文書を調べている。
『……あの、どうしました……?』
「……何とかなりそうです」
『は?』
「あ、いえ、実は私、骨董品の修繕を少々商いとして手がけていまして。その方面ではそれなりに名前も売れております。
いかがでしょう? この古文書、私に任せていただけませんか?」
『は、はい。ならば是非お願いします』
「了解しました。それでは早速取りかかりますので、失礼致します」
言うと彼は俺たちに背を向け、今度は門から悠然と立ち去っていった。
『……わからないお人だ』
「で、柳川。古文書はあっちに任せるとして、俺たちはどうする?」
A 辞典を調べてみよう。
B ハクオロと話でもしてみよう。
C 翼人一家のところに行こう。
D まぁ、茶でも飲もうや。
マターリ、マターリ。
D。
『まぁ、茶でも飲もうや』
柳川ははコポコポと急須のお茶を俺の茶碗に注いだ。
「……ま、今更やることもないしな」
『そういうことだ。ここの茶は美味いぞ。ようかんも程よい甘さだしな』
「(はむはむ……はむはむ……)」
「舞ちゃんさっきから食べすぎだよぉ」
「一本丸かじりしてるみさきには言われたくない」
「うっ……」
「……やれやれ……」
お茶とようかん……確か、観鈴のところでも……
「観鈴、か……」
思わず感傷的になってしまう。俺らしくもない……
「観鈴……お前は今……どうしているんだ……」
空を見上げる。
青かった。
A このままマターリと過去視点で話を進める。
B ちと現代の様子を見てみる。
Bいってみよか
はいみなさんこんにちは。最近出番が増えてうれしい長瀬祐介です。
ここは、来栖川の例の研究所。神尾さん親子を連れてきたらすっかり夜になってしまいました。
「祐介か。どうだった?」
「神尾観鈴は保護できたか?」
車から降りた僕らを、耕一さんと梓さんが出迎えます。
「ええ……まあ……」
僕が後ろを振り返るのと同時に、晴子さんと瑠璃子さんに支えられながら観鈴さんが降りてきました。
「……上手くいった、みたいだな」
……どれほど彼女の命が持つかわかりませんけどね……
と僕はいいかけてしまった。
……とりあえずは二人を室内に招き、今回のメンバーとの対面を済ませる。
これは滞りなく終わった。観鈴さんは始終晴子さんの後ろに隠れていたが、これは致し方ないというものだろう。
だが……この後意外な事件が起きた。
誰とも目を合わせようとしなかった観鈴さんだが、あの人だけは気に入ったようだった。
そう。その人とは……
A 藤田浩之
B 柏木ちーちゃん
C 柏木初音
D 月島瑠璃子
Cは譲れない
挨拶を済ませ、部屋を出ようとした私の裾を、誰かがはっしと捕まえました。
「……え?」
振りかえり見てみれば、車イスに乗った観鈴さんでした。
「観鈴……さん?」
「……遊んで」
「え?」
「な、なんや観鈴、どうしたんや?」
私だけでなく、晴子さんも……いえ、部屋にいる全員が目を丸くします。
「わたしと……遊んで……ほしい……ハ、ハ……」
……よくわからないですけど、『遊んで』と言われて断る理由はありません。
私は、車イスの彼女の視線に合わせるように腰を屈め、にっこり微笑み、言いました。
「私の名前は、初音。カシワギ、ハツネ。何して遊ぼうか、観鈴ちゃん?」
「あ…………うん!」
彼女もにっこりと微笑み返してくれます。私にはわかりました。この子は、いい子です。
「……あ、あんた……」
「はい、なんでしょう?」
晴子さんはまだ驚愕覚めやらぬ、といった様子で私を見つめています。
「あ、あんた……何者や……いや、そんなことはどうでもええ。観鈴に近づいたらアカン。観鈴に近づくと、あんたまで苦しんでまう」
「……どういうことですか?」
「うちにも詳しいことはようわからんが、観鈴を苦しめてる『呪い』はこの子だけでなく、近くにいる
……この子と仲ようなった人間まで苦しめるらしい。
苦しむのはうちだけで十分や。だから、あんたは近づいたらアカン」
「え……」
……観鈴ちゃんに視線を戻します。……彼女は変わらぬ微笑で、私を見つめています。
私は……
A 構いません。私は彼女と遊びます。
B 別の方法を考えてみましょう。
Aで。それでこそ初音ちゃん。
おお、ようやっとメインヒロインの活躍が。
あまりにも久しぶりだ・・・w
そう言えばこの話の正ヒロインって初音ちゃんだったんだな・・・(w
737 :
名無しさんだよもん:02/10/15 12:00 ID:DB5Vg4AY
初音ちゃんがヒロインだったのか。
過去行きに同行できなかったのが痛いからなぁ。
739 :
元書き手:02/10/15 18:52 ID:3dqBAWw8
>>737 (゚Д゚)ゴルァ!!
しかし、確かにこのシリーズは長いよなぁ・・・おもろいし。
昔ドールの序盤書いていたが、
こちらの作者陣のレベルが高くてなかなか書けん・・・・゚・(ノД`)・゚・
腕・・・磨かないとな・・・
とりあえずdat落ち防止カキコ
「構いません。私は彼女と遊びます。たとえこの身が呪いに蝕まれようとも、彼女を見放すことはできません」
当たり前のことだよ。
「あー……んー……まぁ、それ自体はありがたいんやけど……」
晴子さんは煮え切らない様子で頭を掻いています。
「トランプ……」
「ん? なぁに? 観鈴ちゃん?」
「トランプ……したい……」
観鈴ちゃんはそんな晴子さんの様子を気にすることもなく、懐からトランプを取りだして私に差し出しました。
「トランプかぁ、何しよっか?」
「あ……あ……」
「……はぁ、仕方ない。初音、やったか? 観鈴のこと頼むわ。けど、これだけは覚えといてほしいんや。
……体に異常がでたら、すぐに観鈴から離れるんや。それが原因であんたに何かあったら申し訳がたたん」
「……わかりました」
もちろん、何があろうと私はこの子を見捨てる気なんてありません。
「トランプ……わたしと……」
んー、けどトランプかぁ………何しようかな?
A 王道の神経衰弱
B 簡単な占い
C 精神力強化のポーカー
D なぜかダウト
Bかな……
「……この間まで、観鈴はな。一人でトランプ遊びしかせえへん子やったんや。確か……その頃はよく神経衰弱をやってたな……」
「へぇ……それじゃあ、私と神経衰弱する?」
それなら私も得意だし……
「……わからない」
「え?」
「わからないの……」
……わからない?
「……今の観鈴は、ゲームのルールは全部忘れてもうたんや……もう、うちが教えながらの簡単な占いしかできへん。
この本、あんたに貸したる。読みながら観鈴と一緒に遊んだってや……」
晴子さんはバックから一冊の本を取り出すと、私に差し出しました。
……子供用の、トランプゲームが紹介された本です。占いもいくつかあるみたい。
「……頼むで」
「はい!」
一つ返事をすると、私は観鈴ちゃんを連れ、私たちが寝室として使っている仮眠室へと向かいました。
……初音が去った後の、研究室。
「よかったなぁ観鈴……まさか今になって、友達ができるなんてなぁ……」
「あの……晴子さん? 大丈夫ですか。顔色悪いですよ」
祐介が晴子の顔を覗きこみ、訝しげに尋ねた。
「ああ、最近ちょっと寝ない日が続いたもんでな。なぁに、この程度……っと……あ……?」
引きつった笑顔で祐介に答えた晴子だが、その瞬間、膝がガクリと折れた。
「は、晴子さん!?」
A もうしばらく現代の様子を見る。
B 平安編を進める。
A
「は、晴子さん! 晴子さん! 大丈夫ですか!?」
僕は慌てて晴子さんの体を抱きとめ、呼びかける。
「う……」
広がった髪の下から表情があらわになる。……青い。
「こ、これは……」
「見せてください」
横から源之助さんが手を伸ばし、晴子さんの額に手を当てる。
「……ふむ……」
おそらく、『魔法』で何かを探っているのだろう。やがて、手を離す。
「……どうやらこれは……」
A ただの疲労です。
B 例の呪いの影響のようです。
C 風邪です。
Aで
「どうやら、ただの疲労のようですな」
「……疲労、ですか?」
「左様。先ほど彼女自身が言っていたように、おそらくここ数日間ろくに休憩もとらず観鈴さんを看病なされたのでしょう。
それがここに来て、緊張の糸が切れてしまった、と……なに、一晩もぐっすり休めばまた元気になりますよ」
ふぅ……よかった。
「一応、保健室に運んでおいた方がいいですかな。耕一さん、お願いできますか?」
「お、俺ですか!?」
ずーーーっとセリフが無かった耕一さんに、いきなり話が振られた。
「ま、まぁ構いませんけど……」
「では、よろしくお願いします」
はい、と耕一さんに晴子さんを手渡す。
……大事(おおごと)にならなくて、なによりだった……
A 初音&観鈴ペアの様子を見る
B 引き続き研究室の光景を。
C 今まで出番の無かったキャラクターにスポットを当てる。
D さてさてさて、過去編行って話を進めましょうか。
Aが気になります。ほんとはDにすべきなんだろうけどね。
つ−ことでA
Dに行きたいみたいだけどCでw
はつね「ええと……これが……こっちかな?」
みすず「ん………」
ぱたぱた……
はつねと呼ばれた女の子の言うことに従って、寝床の上に札を並べていく。
まだまだぎこちないが、それでもがんばってはつねの指示に従おうとする。
はつね「あ、それはこっちじゃないよ……それは、ここ」
みすず「うん……」
ぱたぱた……ぱたぱた……
はつねも時々指示はするが、決してせかすことはなく、ゆっくりとその手の動きを眺めている。
彼女はなんなのだろうか?
『母親』ではない。それとは違う。彼女とみすずは、今日出会ったばかりだ。
……なら、なぜ二人はこんなにも楽しそうに笑いあっているのだろう?
これはなんなんだろう?
これは……
……これが、『友』なのだろうか。
なぜだろう。とても……とてもうれしい。
はつね「ところで、ずっと気になってたんだけど……この子、観鈴ちゃんのお友達?」
不意に、はつねが僕を見た。
みすず「ともだち……?」
はつね「うん。このカラスちゃん。観鈴ちゃんの、お友達?」
みすず「おともだち……」
みすず「うん。そらはみすずのお友達」
はつね「へぇ……きみ、そらって言うんだ」
はつねは手を伸ばし、僕の背中を撫でた。
とても気持ちいい。みすずと同じくらいだ。
はつね「珍しいね……カラスさんが人に懐くなんて……」
みすず「にはは。そらは、お友達」
僕も、二人と同じく、楽しくなった。
A 研究室の様子を見る
B その他のキャラの様子を見る。
C 過去編。過去編。過去編。
B
話がすすまねー!(w
うたわれキャラいるし、なんとなく思ったこと。
柳川裕也
技:4
攻撃力:60
防御力:50
術防御:30
(素早さ:中)
(機動力:中)
柳川(鬼)
技:2
攻撃力:85
防御力:70
術防御:40
(素早さ:高)
(機動力:中)
・・・・・・いやー、ウチのオボロやドリィの方が強いわ(w
ちーちゃんの出番か……?
「みなちゃんコバワ! 柏木ちーちゃんでちー!」
ばちゃばちゃばちゃばちゃ!
「うわわっ! ちーちゃん暴れるなよ! お湯が飛ぶ!」
「お二人とも静かにお願いします……」
改めてこんばんは、お久しぶりです。あなたの隣に楓です。
今私たちは、研究所備え付けの大浴場に入っているところです……
「ふふふふ……ちーちゃんは可愛いね………」
瑠璃子さんがちーちゃんをなでなでしています。柳川さんが旅だって以降、この役目は瑠璃子さんが担っているのです……
「んふー……るりちん大好きでちー……」
「ふふふふ……ちーちゃん、電波届いた?」
「ちょっとわからないでちー……」
「……そうだね」
「あーーーー、それにしてもさぁ、叔父さんたち、遅いよなァ」
湯船の中にふんぞり返った梓姉さんが誰にともなく漏らしました。
「仕方がありません……源之助さんの話によると、今は誰も消さずに現代へと戻る方法を模索しているところらしいですし……」
「誰も消えない、か……」
……? 姉さんの様子がおかしいです……
「……あ、ひょっとして……姉さん……」
「ん? どうした?」
「国崎さんのことが、心配なんですか……?」
がぽっ!
あら、いきなり沈んでしまいました。
「ななななな、いきなり何言い出すんだ楓! な、なんであたしがあんなヤツのことを!」
「……素直じゃありませんね」
「う、う、う、うるせえっ! そ、そりゃあな、あたしだって誰も消えたりしない方がいいに決まってるんだし、それは神奈だって国崎だって同じこと……」
……やれやれ。
A もう少し突っ込む。
B このくらいにしておく。
C ちーちゃんのお相手をする。
D ……誰かの視線を感じます……
Cだ。
B
まぁ、姉さんはこのくらいにしておいて……
ちーちゃんはどうしているのでしょうか?
「わきゃきゃきゃきゃきゃ! るりたんくすぐったいでちー」
「ふふふふふ……ここがいいのかな? ちーちゃん……」
……二人はすでに湯船から上がり、お互いの体を洗い合っていました。
ていうか、いい歳した鶴来屋会長が女子高生と泡まみれになりながらじゃれあってる様子はかなりアレです。
「ちーちゃん……」
果たして、ちーちゃんはこのままでいいのでしょうか?
このままずっと精神がロリ化(?)したままで……
あの日の千鶴姉さんは、もう帰ってこないのでしょうか……?
A ……このままでいいか。
B ちーちゃんを千鶴姉さんに戻す。
C そろそろ上がろっと。
C
放置かよっ!w
……まぁ、放っておきましょう。
ちーちゃんにも千鶴姉さんにも言えることですが、下手に手を出すと後が怖すぎます。
「では、私はそろそろ……」
上がろうとした、その時
「コラー! かえでちんまだダメでちー!」
どっぱーーーーーーん!!!!
……ちーちゃんのフライングボディープレスが炸裂しました。リングは湯船。当然二人とも沈みます。
「ごぼがぼがば! がば! ぼぼごぼばがぼば!」(ちーちゃん! なにをするんですか!)
「びぶぶべばぼぼばぼびば、べば、ぼぼぼばびびぼびばぼば!」(かえでちん、ちゃんと肩までお湯に入って百数えるでち! 風邪引くでち!)
……前言撤回。手を出さずとも面倒なお人です……
【平安】
「……きろ。おい起きろ、柳川」
『ん………』
誰かに揺さぶられ、目が覚める。
「そろそろ起きろ、柳川。もう夕飯だぞ」
ゆっくりと瞼を開く……俺の視界に飛びこんできたのは、星が燦然と輝く夜空、それを染め上げる真っ赤なかがり火、そして……
「……やっと起きたか。さあ、夕飯にしよう。この子らも起こしてな」
『……ハクオロか』
エプロン姿の、ハクオロだった。どうやらいつの間にか俺たちは寝こけてしまっていたらしい。
『まだエルルゥたちは帰ってきてないのか?』
「……いや、一応帰っては来たんだが……」
ハクオロは一旦そこで言葉を区切ると、何やら困惑した顔になる。
「帰ってくるやいなや、全員床についてしまった。今はみんな泥のように眠っている」
『……綾香たちもか?』
「同じく、だ」
……やれやれ、遊びつかれて寝ちまう、か……まだまだ連中も子供だな。
「だから夕飯は私たちが作った。さあ食堂へ急いでくれ。せっかくの料理が冷めてしまう」
『ああ、ご馳走になる』
俺は手早くみさき君・舞・国崎を叩き起こすと、一路食堂へと急いだ。
「おやみなさん、お目覚めになられましたか」
食堂へ入ると、割烹着姿のベナウィに迎えられた。
『む、見られていたか』
「ええ。みなさんとても気持ちよさそうに眠っておられましたから、私どもも起こすのが憚られまして」
クスリと笑う。
「それよりも、早く食べようよ」
待ちきれない、といったようすでみさき君が声を漏らす。
「はい。もう出来ていますよ。……さあ、どうぞ」
みんなで席についていると、ハクオロとベナウィが次々と料理を運んできた。
やがて、オボロやクロウ・翼人一家及び関係者もやって来た。
みんなで手を合わせせ、
――……いただきまーーーーーっす!!!
さて、食事が始まったわけではあるが……なんの事を話そうか。
A 未来へ帰る算段について
B 今日のエルルゥたちの行き先について
C ハクオロの女性関係について
D 雑談
C。小一時間問い詰めよう。
764 :
雛子……:02/10/17 00:49 ID:dnTMoL+0
焼き魚の身をほぐしながら、俺はおもむろに切り出した。
『ところでハクオロ……俺はお前に聞いておきたいことがある』
「ん……なんだ?」
ズズと味噌汁を啜りながらハクオロは答えた。
『お前の女性関係についてだ』
「ブバッ!」
「あぢっ! あぢっ! あぢぢぢぢぢっ!!!!」
盛大に吐き出された汁がオボロにぶっかかる。
「いい、い、い、いきなり何を言い出すんだ柳川!」
『いや……お前はそのへんがかなり盛大なようだからな』
「バ、バカっ! そんなこと言ったらまたエルルゥが……っと、そうか」
『フフ、俺とてそのくらいの配慮はしている。今ここに当事者たちはいないからな。ちょっと聞いておきたかったんだ』
「フゥ……」
心底ホッとしたような溜息が漏れる。
やがて明後日の方向を向き、口を開く。
「まぁ……私もいきがかり上、いろいろあってな……」
『いきがかり上? はっはっは、そいつぁ羨ましいな』
「むぅ……」
『全く羨ましいねぇ。でかいお屋敷に住んで、美女に囲まれて、しかもハーレム状態ときたもんだ。
俺もあやかりたいよ』
「ぐっ……」
ハクオロは苦虫を噛み潰したような顔でこちらを睨みつけている。クックック、反論できまい。
A まだまだ問い詰める。
B このくらいにしておき、普通に雑談を交わす。
C ディーと神奈が会話するように促してみる。
D ……む、この気配は……
A
じっくりネチネチと
『んん……昨日はエルルゥ、今日はカルラ、明日はトウカってか〜? うらやましすぎるよなぁ、ホントに。
毎日とっかえひっかえ……』
「ぐ………」
『そのクセ早撃ちと来たもんだぁ、全く。このぶんならお前は世継ぎにゃ苦労しないだろうなぁ』
「つっ……」
ハクオロはギリギリと奥歯を噛み締めたまま押し黙っている。
「……おい柳川」
不意に、オボロが唸るような声を出した。
「確かに兄者は早い。ああ早いさ。あまりにも早すぎる。おそろしいぐらいにな。俺もびっくりだ。ユズハもびっくりだ。
……だがな、一応俺の兄貴分にあたるお人だ。あんまり調子に乗ってると……」
「お前もかなりヒドイぞ……」
哀れ、部下にも見放されたかハクオロ。
『クックックック……そうだハクオロ。今日からお前の名前は「マシンガンハクオロ」だ。早くて多くて参っちまうわなぁっはっはっは!』
……だが、ハクオロの反撃が始まった。
「ならば言わせてもらおう柳川」
『あっはっはっはぁ……ってなんだ?』
「お前こそ情けない男だ。せっかく私が気を利かせて舞と相部屋にしてやったのに……指一本出さないとはどういうことだ?」
ぬぐっ…そう来たか。だが……
『フフン、舞は俺の生徒だぜ? 手を出すわけにはいかねぇんだよ』
「は! それこそただのいいわけだな! 据え膳食わぬは男の恥……この甲斐性なしめが!」
なんだと!
『ならばお前は手当たり次第に食うのが礼儀とでもいうのか!? お前はハーレムの中のトドか!? そいつぁ立派だなぁ!』
「うるさいわぁ! だいたい俺は手ェ出しちゃいない! 向こうから勝手にやってくるだけだ!」
『あははははこいつぁお笑いだ! お前こそ甲斐性なさすぎだなぁ! 女に主導権とられるとは!』
「俺はもともとフェミニストなんだ、どっかの誰かさんみたいに自分の生徒を複数キープする男と一緒にするな!」
『フェミニストか、聞いて呆れるわ! お前はただ相手が自分に寄り添うよう仕向けて逃げの口実を作ってるだけじゃねぇか!』
「はん! どうせキサマは女も抱いたことがないんだろう!? 童貞に説教食らうとは俺も落ちぶれたものだ!」
『なんだと!?』
「やるか(#゚Д゚)ゴルァ!?」
『やらいでか!』
A やっちゃう。
B 誰かが止めた(誰か、を指名)
C 『童貞じゃねぇよ!』
D その時! エルルゥが目覚めた!
A まぁ、いざとなったら、ベナウィとかオボロとか舞が居るし、大丈夫でしょ
(ウィツvs狩猟者は洒落にならんがw)
あああ・・・うたわれやってない俺の脳内ハクオロ様が壊れていく・・・w
C どどど童貞ちゃうわっ!
がよかったな。…ゴメン。
『いいだろう! 表に出ろ!』
「上等だ、目にもの見せてくれる!」
俺とハクオロは鼻息荒く、ズンズンと出口へ向かう。
そんな後ろを、慌ててベナウィとオボロが追ってくる。
「お、落ちつけ兄者! 兄者らしくないぞ! こんなことに怒るなんて……」
「聖上、お止めください。今や聖上の御身はお一人のものではないのです……」
「止めるな。オボロ、ベナウィ。男にはやらねばならん時があるのだ」
……こちら側には、みさき君と舞が寄ってきた。
「先生、バカな真似はよして……」
『残念だが舞、俺もあそこまでコケにされて大人しく引き下がることはできないんだよ』
「む……みさき、みさきからも何か言ってやって……」
促され、みさき君が一歩前に出る。
『……みさき君、止めてもムダ……』
だが彼女は、拳をグッと握り締めると俺に突き出してきた。
「先生、ファイト」
『……応』
舞は頭を抱える。
「先生も……みさきも……」
「ほら、あっちを見ろ。あっちは自分の師を快く送り出しているぞ。お前たちも少しは見習え」
「兄者……」
「聖上……」
俺とハクオロは門の前に出ると、とりあえず簡単に準備体操を済ませた。
「柳川……謝るのなら今のうちだぞ?」
『フン……その台詞、そっくりそのままお前に返してくれる』
「……後悔……するぞ!」
ばっ!
ハクオロが上着を脱ぎ捨て、上半身裸になる。
さて、俺は……
A 狩猟者、変身!
B ガチンコ勝負!
C 砂を引っつかんで目潰し食らわせる。
D うむ。よくよく考えてみれば俺も大人気なかった。素直に謝る。
B
いや、ハクオロにとって早漏は禁句でしょう…かなり気にしてそう…
舞だ。川澄をやっている。
先生にもハクオロにも困ったものだ。あんなことでここまで大騒ぎするとは……
「兄者! 兄者! 足だ! もっとフットワークを!」
「先生! 先生! がんばれ! よくわからないけど先生なら大丈夫!」
すでにオボロとみさきは観戦体勢を整え、完璧に観客状態だ。
「聖上……柳川殿……」
少し離れたところで、私とベナウィが頭を抱えている。
『ハハハ! どうしたハクオロ? 昨晩ヤリすぎて腰に力が入らねぇのか? 全然効かねぇぞ!』
ドバキ!
「うるさい黙れ! 女と臥所を共にして手も出せん腑抜けに本気を出す必要もないだけだ!」
ベキィ!
『クククッ、女に不自由しなくても自分の息子に不自由する男は……情けないなぁ!』
ぼちこん!
「大体俺は早漏じゃないッ! 見ろ! 実際俺と一晩過ごした女たちは皆満足しているぞ!」
どがががっ!
『(゚Д゚)ハァ?(゚Д゚)ハァ? なぁに寝ぼけたことぬかしてんだこのタコが! ンなもん女連中が気を利かせてくれたにきまってんだろ!』
ぺちっ
「そんなはずがあるまい! 皆俺の部下だ! 俺の部下にそんな自分を誤魔化すようなことを言う者はいない!」
ぐちょぉ!
『おめでてぇ、どこまでもおめでてぇよテメェは! だからこそに決まってるだろ! お前の部下だからこそ、自分の主人のあまりにも貧相なムスコを気遣って
優しい言葉をかけてくれたにすぎねぇんだよ! お前は同情されてるんだよ! お前は部下から憐れみを受けてるんだよ!』
ズンズン!
「そんなわけが……あるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
パンパン!
……二人はガードらしいガードも、スウェーらしいスウェーもせずにただひたすらひっぱたき合ってる。
丸っきり子供の喧嘩だ……
「はぁ……どうしたものでしょうか……」
ベナウィ……あんな主人を持つと苦労するな……
しかし……私も……ど う す れ ば い い ん だ
A ベナウィと協力し、二人をブチ倒す。
B エルルゥを起こす。
C 神奈の母ならこの場をおさめられるだろう。
D ……放っておこう。
ズンパンワラタw
でBかな
もう笑うしかないw
「そうだ、こういう時は……」
私はそれを思いつくと、踵を返して急いで屋敷内に戻る。
そうだ、こういう時は奥さん……エルルゥに頼むのが一番だ。
彼女ならハクオロはおろか、先生も止めれることだろう。
「む、舞か。どうだ? 喧嘩は終わったか?」
エルルゥの部屋へと向かう途中、食堂に差し掛かったところで柳也に話しかけられた。
「全く、頼光殿ともあろうものが益体ない。柳川殿も……」
神奈も呆れ顔だ。……神奈に呆れられるとは……先生……
「まぁまぁ、よいではないですか。あのお二人もたまにはああして子供のように暴れられるのも、さぞご気分がスッキリなさることでしょう」
「そういうものかの……?」
「そういうものですとも。神奈さまがいい例となっております」
「……どういう意味だ」
……ふむ……エルルゥというのも悪くはないが……それだとハクオロの家庭内にしこりを残す可能性もある。
こういう性に関する微妙な問題は、男同士……で、しかも戦友である柳也に頼むもの悪くないかもしれない……
A 柳也たちに仲裁を頼む。
B いや、やっぱりエルルゥだ。
B
なんでここで柳也が割り込んでくるのかわからんが。ネタを思い付いたから使いたいってか?
とっとと終わらせるべきなのに書き手がエゴ貫いてるだけだろ。
>>781 とっとと終わらせるべきってなんだよ(w
頼むからそうゆうのはお前の脳内だけで勘弁。
まあ不満があるなら自分で書けってこった。
結局選択肢で柳也じゃなくなってるんだし。
783 :
壱書き手:02/10/17 23:23 ID:bfmBW50y
>>781 ええと……でしたら、なるべく選択肢でさっさとストーリー進める系のを選んでほしいなー……とか思ってしまうんですが……
現代視点に留まったり、柳川とハクオロの喧嘩を進める方向に持っていったのは選択者さんなわけですし……
「……いや」
やはりここは確実にエルルゥに頼むべきだ。柳也ではあの二人を止めるにはいささか力不足。
「まだ二人とも喧嘩中。これから私はエルルゥを起こして仲裁を頼もうと思ってる」
「そうか……まぁ、がんばってくれ」
そして三人は食卓に戻った。
ちなみに、国崎は最初から「くだらない……」といった様子で黙々と食事を続けている。
「それよりも……エルルゥだ」
「エルルゥっ!」
バン! とエルアル姉妹の部屋の扉を開け放つ。
二人とも大きな布団の上で、正体なく眠りこけている。あたりには何やら本が散らばっているが……
「今はそんなことを気にしている場合じゃない。エルルゥを起こさないと」
ガクガクと揺さぶる、が、完璧に意識は涅槃の彼方に飛んでおり、全く反応は無い。
「ん……」
代わりに、隣で寝ていたアルルゥが目を覚ました。
「ん〜……?」
不思議なものを見るような視線を私にぶつけている。
「……アルルゥか……」
A エルルゥの鼻をつまむ。
B こうなったら眠ったままでもエルルゥを運ぶ。
C エルルゥに、ハクオロが寝床に女を連れこんだと耳打ちする。
D アルルゥに任せてみる。
C
これで全て解決だろ。ハクオロの死とともに
「…………」
私はそっとエルルゥの耳に口を近づけ、
「……ハクオロが寝床に何度も女を連れこんだそうだ……」
と囁いた。
がば!
垂直に起き上がる。
「……そうですか……」
……無表情だ。それはまるで、幽鬼を連想させるような……
ギギギギ……と擬音が鳴りそうな動きで、首をこちらに向ける。
「……で、ハクオロさんは今何処に?」
「……門のところだ」
それだけ伝えると、私は部屋から逃げた。
『チィ……しぶとい奴だ!』
「鬼なんぞに負けていられるか!」
すでに俺とハクオロの戦いは十数分を経過した。
確かに俺も鬼化したりはしていないが、それでも腕っ節の強さには多少の自信がある。
まさかここまで手間取るとは……
「HAAAAAAAAAAAAあああああああああ!! 俺は早漏じゃない! この鬼がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
『うるせぇぇぇぇぇぇ!! このスケコマシがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!』
ド、キャッ!!!
お互いの強烈なブローが胴に決まる。
「ぶっ、がは……っ……鬼がぁ……!」
『がッ、はァ……はッ! もうガマンできないってか!! 仮面野郎!』
……その時だ。
現代において何度か覚えのある『感覚』……
全ての空気が凍りつくような『感覚』……
心の底に染み入るような『感覚』……
……恐怖。
場を、支配した。
みなさま、愚痴は愚痴用の場所でやってくださいな。
「おはようございます、ハクオロさん」
……エルルゥだ。開け放たれた門の位置に、エルルゥが佇んでいた。
思わず千鶴さんを連想してしまったが、俺の感覚は間違っていまい。
「え、エルルゥ……」
ハクオロも呆然とした様子だ。
「色々面白いお話があったみたいですね」
「い、いや、それは……」
「私も聞かせていただきたいですね」
「違う……」
「まぁ、こんなところで立ち話もなんですし、お茶でも飲みながらお話しましょう……ハクオロさんの、お部屋で」
言うとハクオロの耳をとっつかみ、ズルズルと引きずっていった。
「や、柳川! あ、謝る! スケコマシでも早漏でも何でもいい! た、助けてくれっ……!」
「Amen」
俺は十字を切った。触らぬ神に祟り無し、という言葉を俺は知っているからだ。
A 食事の続きを摂るか。
B そろそろ源之助さんが現れる頃だろうか。
C ちょっとハクオロの様子を見に行ってみるか。
D 風呂入って寝よ。
いわゆる一種のC
あと、今更内容に文句言ってるヤツ、鉄の掟を読み直せ。
「早いヤツ(ハクオロにあらず)が主導権を握っている」ってことを思い出せ。
二重カキコスマソ
『イチチチ……』
「先生、大丈夫?」
『まぁな……』
みさき君が心配そうに寄り添ってくれるが、まぁ心配あるまい。なんだかんだ言ってお互いに本気は出さなかったしな……多少、痣は出来るだろうがすぐ治る。
それよりも心配なのは……
「兄者……大丈夫だろうか……」
「あの様子では……相当怒っていましたね」
『ああ……』
ハクオロだ。さっきのエルルゥの様子は尋常ではなかった。どこか、修羅モードの千鶴さんを連想させるような……
『……俺が様子を見てこよう』
「お前がか? 柳川」
『まぁな……一応、責任の一端は俺にあるわけだし、とりあえず様子だけは見てこようと思う。
必要があれば……弁護もしよう。……出来るだけ、だけどな』
「お心遣い痛み入ります……柳川殿」
『気にするなベナウィ……』
だが、みさき君はこれに反対した。
「ダメだよっ! 先生っ!」
『なぜだ? みさき君』
「今のエルルゥちゃんに迂闊に反抗したら、先生殺されちゃうよっ! 考え直してよ先生っ!」
……それは何気にかなりヒドイことを言ってないか? みさき君……
なにはともあれ、俺はハクオロの寝所へと続く廊下にやってきた。
『……ま、まずは様子見だけな……』
己の気配を殺し、足音を立てないように気を配り、ゆっくりとハクオロの部屋へと近づく……
そして、そっと扉へと手をかける。
ギッ……と、ほんの僅かな軋みと共に、開いた。
その隙間から中を覗く。俺が見たものは……
A ハクオロ×エルルゥ
B エルルゥ×ハクオロ
C エルルゥ(怒)
D エルルゥ(泣)
D。ちょっといい話にしたい。
……部屋の中を覗き見た俺の目に、エルルゥの背中が映った。
心なしか、その体が小さくなっているように見える……
「まぁ……その……スマン、エルルゥ……」
彼女の真正面に座りこんでいるハクオロが、深々と頭を下げた。
「…………」
エルルゥは答えない。押し黙ったままだ。……ん? よく見ると……肩が……震えている?
「……何と言ったらいいかわからないが……私としても……その……」
ハクオロの言葉を聞いていたエルルゥだが、次第にその震えていた肩がせり上がっていく。
同時に、その拳がキュッと握り締められる。
「ヒック……うぐ……」
……エルルゥの声が聞こえた。まごうことなき、涙声だ。
(泣いているのか……?)
「その……だな、とりあえず泣き止んでもらえると助か」
「バカァっ!」
エルルゥは顔中を口にして怒鳴った。
「ハクオロさん……ひどすぎます……」
「え、エルルゥ……」
「私の……私の気持ちを知りながら……」
泣いているせいなのだろう。その声はかすれている。
「いや、あの、そのな……私にも色々事情というものが……」
「どういう事情ですかッ!」
肩を怒らせ、エルルゥはわめく。
(いかん、下手な言い訳は逆効果だぞハクオロ)
「そりゃあ……私、女としての魅力はないかもしれません……背だって低いですし……
胸だってありませんし……出来ることと言ったら薬の調合ぐらいしかありませんし……」
床に視線を落とし、だんだんと声が小さくなっていく。
「エルルゥ……」
(チィ、情けない奴だ。こうなったら……)
A 俺が手伝ってやる!
B いや、こういうことは第三者が介入できる問題ではない。
C 逃げよう。この空気はもう耐え切れん。
Bで
萌え だな
797 :
名無しさんだよもん:02/10/18 18:25 ID:Ykf4micF
どちらかというと修羅場の気が・・・
(だああっ! きばれ! きばるんだハクオロ!)
俺は何とかしてハクオロを手伝おうかと思ったが、思いとどまった。
この手の問題は第三者が介入すべきものではない。……本人達が、自身の力のみで解決せねばならない。
「……信じていたのに……ハクオロさん、私、信じていたのに……
確かに皆に平等に優しいハクオロさんですけど、そんな事をするわけはない、って信じていたのに……」
言葉の最後はもう嗚咽に変わり、聞き取ることは出来ない。
ハクオロの表情は読み取れないが、何やら複雑なものが浮かんでいるようにも見えた。
そして、しばしの沈黙―――
やがて、ハクオロはばつの悪そうに
「あの……な、エルルゥ……」
「……なんですか?」
森羅万象全てを恨むような声で、エルルゥは答える。
「……スマン! エルルゥ!」
ハクオロは手を伸ばしてエルルゥの肩を引っつかむと、自分に引き寄せ、そのまま唇を重ねた。
(ブッ!?)
思わず吹き出しかけてしまう。な、なんつー単純かつ強引な方法だ……
「んん……ん……」
長い長い口付けの後、ぽん、と空気が弾ける音とともに二人は離れた。
「は、は、ハクオロさん、突然何を……」
「エルルゥ、確かに私は何度か他の女性と臥所を共にした。謝る。魔が差した。お前を放っておいたのは全面的に私が悪かった。
だが……信じてもらえなくてもいい。軽蔑してもいい。これだけは言わせてくれ。
私が愛しているのは……この世で一番愛しているのは……最後の刻まで共に過ごしたいと思うのは……お前だけだ、エルルゥ」
………。絶句。
ここまでストレートでいいのかよ……? ハクオロ……エルルゥ……
A これでよかった。
B さすがにエルルゥもそこまで単純ではなかった。
C ハクオロ、乾坤一擲のダメ押し。
A
エルルゥは、笑った。
涙をぬぐい、ハクオロの目を見つめ、フッと唇をほころばせ、笑った。
ハクオロと目が合った瞬間、何かが流れ込んでくるのを感じた。
そして、それが弾けた。
「あぁーーーーーんッ……!!!!」
泣きながらハクオロの胸に飛び込む。
「え、エルルゥ……」
「信じてますからッ!」
もはやそれは『泣き喚く』に近い。
「私、信じてますからッ! 何があろうと、何処へ行こうと、何時になろうと、ハクオロさんのこと、信じてますからッ!
たとえハクオロさんが私を嫌いになっても、ずっとずっと信じ続けますからッ! 今の言葉、絶対忘れませんから!」
「………フゥ」
ハクオロも微笑を浮かべると、エルルゥの髪をゆっくりと撫でる。
「うっ……うっ……あぁーーーーーーーんッ!!」
エルルゥの涙が止めど無く溢れる。それは全てハクオロの胸へと吸いこまれていく……
これ以上は見るべきでないと判断し、俺は部屋を離れた。
A ……そろそろ源之助さんが現れるころだろうか?
B 腹ごなしに中庭を散歩してみるか。
C 風呂入って寝よ。
A.そろそろ話を進めよう。
(ふむ……もうこんな時間か)
外を見てみれば月は中天に差し掛かり、今がかなり遅い時間だと言う事を告げている。
(そろそろ……源之助さんが現れても……ってハッ!?)
『こんばんは源之助さん!』
俺は勘に従い、近くの暗闇に向かって声をかけてみた。
「……おやおや、バレてしまいましたか……」
予感的中。そこから源之助さんが現れた。
色々言いたいことはあるが、とりあえず置いといて本題に入る。
『……して、あの古文書の修繕は終わりましたか?』
「ええ。つい先ほど終わったゆえ、急いでこちらへ参りました」
『それはありがとうございます……で、中には何と?』
「……それは……」
不意に源之助さんが口篭もった。その顔には影が差している。
『……どうしました?』
「場所を……変えましょうか」
源之助さんに連れられ、俺は中庭に出た。
『読めない?』
「はい。確かに破損個所は治すことに成功し、文字も判別可能にはなりましたが、如何せんそれが意味するところがわからないのです」
『ど、どういうことですか?』
深い溜息を一つつくと、源之助さんは続けた。
「確かに文字や記号はその形を為しています。ですが、それの羅列に全く意味が見出せないのです。辛うじて読めたのが序文の
『星の記憶を紡ぐ者』という記述、そして、題のみです」
『題……この本の名前ですか?』
源之助さんは懐から件の古文書を取り出すと、表紙を俺に向けた。
昼間とはずいぶん様変わりし、全体的に書物の形を取り戻している。
そしてそこには、達筆に、一つの文字が描かれていた。
『翼』と。
A 翼人始祖たる国崎(ムツミ)に相談してみる。 B 現在の記憶保持者である母君殿に相談してみる。
C 博識なハクオロに相談してみる。 D とりあえず俺に見せてください。
Aかな
『とりあえず国崎……というよりムツミに見せてみましょう。翼人始祖たるあいつなら、何かわかるかもしれません』
「それがよさそうですな」
お互い頷き合うと、急いで国崎の部屋へと向かった。
「柳川か。茶番はもう終わったのか?」
『……まぁな』
出会い頭になかなか鋭い一言だ……まぁ、無理もあるまい。こいつにしてみればさっきのやりとりなど正しく『茶番』でしかなかったろうしな。
「今晩は、国崎さん」
「……源之助さんか。古文書の修繕は終わったのか?」
「ええ、一応は……」
「一応?」
『それについては、俺が説明しよう』
「……判別不能な文字列、か……」
『ああ。源之助さんでも駄目となると、俺たちだけでは手の打ち様がない。ムツミに代わってもらえないか?』
「わかった」
国崎は目を瞑る。……一瞬、空気が変わると再び開く。
その時は、すでに国崎は国崎ではなくなっている。
「こんばんは、柳川さん」
『ああこんばんはムツミ。早速だが……』
「見せて」
ムツミに『翼』を手渡す。
「……………」
ページ一枚一枚を凝視しながらゆっくりとめくっていく。
『……どうだ?』
「静かにして」
『っ……!』
窘められてしまった。
「……ふぅ」
やがて、1/3ほど読み進めたところでムツミが本を降ろした。
今度はいいよな?
『どうだ? 何が書いてあるかわかったか?』
「わからない」
……断言かよ。
「私もダテに長くは生きていない。データバンクの中には世界の色々な言語も含まれている。
……けど、この文字配列はどの言語パターンにも属していない。……単純な知識の量では、この本は読めない」
……ん? 何か引っかかる言い方だな。
『知識の量でなければ……なんなんだ?』
「これは、暗号」
『なに?』
ムツミは淡々と続ける。
「おそらく、かなり複雑な高等暗号で本来の文を隠蔽してある。こればかりは私も読むことができない。……ごめんなさい」
最後に心底すまなそうに頭を下げた。垂れた前髪が目を隠す。
『いや……ありがとう。助かった』
それだけでも、かなりの収穫だ。
「しかし柳川さん……どうしたものでしょうか。始祖様でも読めないほどの暗号となると……」
『むぅ……ん? 誰だ?』
その時、俺は部屋の入り口から気配を感じた。
「あ……ごめんなさい」
『ディーか。どうした』
そこには、柱の影からこちら伺うディーの姿があった。
「あの……偶然話しは聞いちゃったんですけど……その本、暗号で書かれているんですよね?」
『ああ、そうだ。ムツミでも読めない複雑な、な……』
「ちょっと僕に見せてもらえませんか?」
『なに?』
「いえ、僕、寺の本で読んだり諸国を渡り歩いている間に、少しなら暗号のこともかじったので……ひょっとしたら何かのお役に立てるかもしれません」
『…………』
A ディーに一任してみる。 B 暗号なら、セリオの演算機能で何とかなるかもしれない。
C こういうことこそ軍師ハクオロの専売特許だろう。 D 未来に任せる。
B
こう言うのはセリオの仕事。
『お前はさっさと寝ろ』
「え……? あ、柳川さん……」
一言ディーに告げると、俺は綾香たちの部屋へと向かった。
この本が暗号で書かれているというならば、解読にはセリオが適任だ。あいつの演算機能ならなんとかなる……ことだろう。
「柳川さん、どこに行かれるのですか?」
『……演算に関してはおそらく世界一のヤツが仲間にいましてね。そいつに頼んでみようと思います』
「なるほど……それは心強いですな」
……と部屋を出ようとしたところで、俺ははたと気付いた。
『ところで源之助さん、あなたはこの時代ではなにをなさっているのですか?』
源之助さんは唇をつりあげ、ニヤッと笑った。
「それは秘密です。……では、私はしばしここを離れ、帰還の準備を進めましょう。
また何かご用がありましたら……及びください」
『はぁ……ありがとうございます』
あまりこだわる必要もない問題なので、このくらいにしておいた。
「僕も……お役に立ちたいのですが……」
気持ちはありがたいが、ディーにこの役目は荷が重過ぎるだろう。
『セリオ〜……いるかぁ〜……?』
おそらく熟睡中のはずなので、足音を忍ばせゆっくりと部屋へと入る。
「……どうなさいました? 柳川様」
やっぱりいた。セリオはしどけなく眠る綾香とスフィーに寄り添っている。
『……話しがある』
「わかりました」
俺は廊下にセリオを連れ出すと、手短に状況を伝えた。
「なるほど……暗号解読ですか」
『ああ。これが件の本だ』
『翼』を手渡す。セリオはパラパラと数秒間捲ると本を閉じ、こちらへと視線を戻した。
そして、一言。
A 可能だと思われます。 B かなり時間がかかると思われます。
C 私だけでは無理だと思われます。 D 不可能かと思われます。
C
サテライトシステム使えれば可能とか。電波で現在と過去で
データ通信すれば面白いかも。
ディー…お前って…
「私だけでは無理だと思われます。 」
『私【だけ】だと?どう言う事だ、セリオ』
「私の演算能力なら機械を通さない暗号としては最高レベルの第三帝国のエグニマ暗号であろうと容易に解読可能です。
ですが、それはその暗号に使われている文字、言語を解している事が前提となっております。
極端な話、その文字の言語さえ理解できればこの時代のレベルの暗号なら容易に解読できます」
『だがムツミはどの言語パターンにも属していないと言っていたぞ?』
「…考えられるのはこの文章の内容を隠す為だけに新たな言語、文字を作り出したと言う事です。
しかもこの言語形態は恐らく表音文字(アルファベット、カタカナ等。)ですので言語形態を読み出すのはかなり
難しいと思われます。私のデータベースのみでは解読の為の知識が不足しております」
(と、なると誰に協力させるのが一番適当だ?)
A もう一度ムツミ
B こう言う時こそ母君殿
C 今度こそ頑張れ、ディー
D Godの力を見せろ、ハクオロ
E 自力
F 未来に他力本願
G 誰か忘れてないか、安部晴明
がんがれ。神奈も見てるぞ、C
しかし、契約前のディーってどんなヤツだったんだ?
清明……いたなぁそんなヤツ(w
パシャッ……ばしゃばしゃばしゃ!
パシャッ……ばしゃばしゃばしゃ!
深夜のハクオロ邸。そこの中庭に、時間には似つかわしくない水音が響いていた。
「……はぁ……どうして……僕ってこうなんだろ……」
パシャッ……ばしゃばしゃばしゃ!
池のほとりに座りこみ、鯉にエサを与えている男がいる。
切れ長の目。男としてはやや長い金髪。そして、何よりもその背中には……一対の翼が月明かりの元、白く浮かび上がっていた。
けれど男はそんな幻想的な雰囲気をものともせず、鯉にエサを与え続ける。
パシャッ……ばしゃばしゃばしゃ!
水面近くで口をあける鯉に向かい、固形状のエサを投げつける。
パシャッ……ばしゃばしゃばしゃ!
「君たちだけだよ……僕を受け入れてくれるのは……」
思わず鯉ににじり寄り、手を出してしまう。
ガブッ!
……差し出した指に、鯉が噛みつく。どうやらエサと間違えたようだ。
「それは……エサじゃ……ないよ……」
指は痛くはないが、心が痛かった。
『う〜む、かなりショックを受けてるな……』
「いわゆる引きこもり一歩寸前ですね」
柳川とセリオは縁側の影からその光景を覗いていた。
『……まぁいい、俺が行こう』
「がんばってください、柳川様」
『よぅ、ディー!』
なるだけ明るく、柳川は男に声をかけた。
「柳川さんですか……どうですか? 解読は進んでますか?」
物凄く暗い声でディーは問い掛けた。
『いや、それがな……』
かいつまんで状況を伝える。
『というわけで、お前の協力が必要かなー……と』
柳川の言葉を聞くうちに、みるみるディーの顔色が変わった。
「……僕の力? 僕の知識が必要なんですね!?」
『ま、まぁそういうことだ……』
「僕がお役に立てるんですね!? 僕も手伝っていいんですね!? 僕が母上や神奈のために働けるんですね!?」
手にしたエサは、全て池の中に放り投げる。
ばしゃばしゃっ!
一際大きく鯉の群れが跳ねた。
『ま……詳しい話は、セリオとしてくれ……』
「きゃっほういやっほうセリオさん最高ーーーーーーー! 今すぐ行きますよォォォォォォォ!!!!!」
よくわからないことを叫びながら、ディーは屋敷内へと消えていった。
「……あの、柳川様……」
柱の影からセリオが現れる。
……セリオは、ここにいるんだがな……
『というわけだセリオ、ディーの処遇はお前に一任する。好きに使ってやってくれ』
「はい、では……」
A 早速今から二人で解読にあたります。
B 明日の朝から始めようかと思います。
C まずは下働きからですね。
D ……今、部屋では綾香様とスフィー様がご就寝なさっているのですが……
A
「早速今から解読にあたります」
『ああ、頼んだぞ』
「はい。では、失礼します……」
セリオは一礼すると、駆け足で自分の部屋へと向かっていった。
『……よし』
これで打つべき手は全て打った。
あとは……時間と、みんなのがんばりとの勝負だ……
***
A 一晩ほど時を進める
B 一週間ほど時を進める
C 半月ほど時を進める
D 現代視点へ
まぁDでしょう
「……ハッ!」
「? どうしました源之助さん?」
とりあえずやることも無いから……と、研究室内でお茶を飲んでいた僕らだが、不意に源之助さんが何かを思い出したようだった。
「思い出しました」
「今度は……何です?」
「古文書、です」
「古文書?」
言うと源之助さんは、自分の懐から古びた2冊の本を取り出した。
かなりの年月は感じさせるが、管理が行き届いていたせいかキズや汚れは目立たなかった。
「はい。実は千年前、柳川さん方は翼人の寺から発掘された古文書を手に入れていたのです。
かなり破損が酷かったのですが、私が修繕しました」
「なるほど……」
ズズ……と茶を啜る。
「しかしもう一つ問題がありました。その文面は……暗号で書かれていたのです」
「暗号……ですか?」
「はい、これです」
本の片方を僕に手渡す。……ダメだ。全然読めない。ていうより
「いえ、僕なんかじゃ仮にこれが普通に書かれてても、千年前の文字じゃわかりませんって」
丁重に本を返すと、源之助さんははっはっはと笑った。
「これは失礼。それもそうでしたな」
「……で、やはり解読したのはセリオですかな?」
それまで黙ってPCに向かっていた長瀬主任が口を挟む。
「はい、一応は」
「……一応? バカな、たかだか千年前の暗号。セリオの演算機能があれば数分で……」
「確かに。単純な解読作業ならば彼女なら造作もないことでしょう。ですが、この本が、これのためだけに作られた
文字で書かれているものだとしたら……?」
「……何ですと?」
作った? 言語を? これだけのために?
「左様。その為、解読作業には一人の人の手助けが必要だった。彼の名は、ディー」
ディーだって!?
「ディーっていうと……さっきの話の中に出てきた、敵の親玉!?」
「はい。正確に言うならば、彼の中に宿っていた古代の神、ウィツアルネミティアが、ですが」
「で……そのディーさんが解読を手伝って、上手く行ったんですか?」
A はい、完璧でした。
B 一つ問題がありました。
B
「はい。正当なる記憶継承者ではないとはいえ、さすが翼人、というべきでしょうか。
ディーさんの知識量。また、旅で得た見聞は素晴らしく、セリオさんの計算能力と合間って期せずして『翼』の解読には成功しました」
「……解読に、『は』? なら、まだ何か問題があったのですか?」
「……ええ、一つ……」
しばしの沈黙。だがやがて、源之助さんは薄い笑いを浮かべながら
「そこで……私たちの出番なわけです」
「?」
【平安】
突然だが、今俺たち(俺・国崎・柳也・セリオ・舞)は高野山へ来ている。
「終わったな……」
先日の戦い以来、この山は朝廷軍の管理下におかれている。一般人は立ち入り禁止だ。
『ああ。俺たちでやれることは全てやり尽くした……』
まぁその辺りはカズ(道長)経由のツテを使って何とかなったのだが。
「フゥやれやれ、まさかまたここに来る破目になるとはな」
「……あとは信じましょう。未来に待つ、みなさんに」
「……はちみつくまさん」
お弁当持ってピクニック……というのなら気楽なのだが、今回は違う。
未来への遺産を残しに来た。
『あの寺は移動するだと?』
セリオとディーが書斎にこもって1週間。今までは様子を見に来ても門前払い食らっていたが、今回は室内に招かれた。
「はい……あの寺は……月の満ち欠けに応じて……さまよう存在……らしい……です」
ディーの説明を受ける。もはやその目はほとんど輝きを失い、体中からも生気が抜けているのがわかる。
髪もほとんど手入れされておらず、また風呂にも入らずまともに着替えてもいないため、少々小汚い印象も受ける。
だが、全ては彼がそれだけ必死に解読に当たった、ということを示していた。
「申し訳ありませんディー様……私のコストパフォーマンスがもう少し向上していれば……」
「いえ、構いませんよ……あなたの計算能力は非常に役に立ちましたから」
解読途中、一回セリオが倒れた。
幸い機能停止に至ることはなかったが、本人の話によると充電が切れてしまい、非常電池モードに入ったらしい。
電池が切れた以後は太陽光発電のみしか電力の供給が不可能なため、機能を解放した状態での長時間活動は不可能になるそうだ。
『……なるほど、比叡山にあった寺が消えたのはそういう訳だったんだな』
「はい……そして、あの寺における三つの宝玉……みなさんはご存知のことと思いますが、『力』を壊すことで四神具を呼び出します。
『知』は翼人の過去の歴史、及びその力の行使方法をまとめた本が手に入るらしいです。
そして……『道』これは、翼人始祖……ミコト様の力を呼び覚ますものらしいです」
『翼人始祖? それはムツミでは……』
「はい。確かにムツミ様は我らが翼人一族の始祖です。ですが、大神様であるウィツアルネミティアの寵愛を受けた始祖様は、ムツミ様の他に、もう一人いたのです」
「ミコト……」
その時、入り口からムツミの姿をした国崎が入ってきた。
「はい、その通りです。言わばムツミ様は影、ミコト様は陽です。その観鈴さんという方と、国崎さんを救う術は彼女にかかっています」
『そういうことか……よぉし!』
俺はパン、と膝を打つ。
『よくやったディー、お手柄だ。ならば早速寺へ向かい、道の宝玉を叩き割ってミコトとやらを呼び出すこととしよう』
「いえ……」
だがディーは頭を振った。
「無理です」
『……無理、だと?』
「はい。すでに僕らは力の宝玉を割り、その力を解放してしまいました。再び力が充填されるには、四神具を元に戻し……数百年の歳月を待つ必要があります。
ごめんなさい……僕には、それを調べることはできても、何とかすることはできなかったんです……」
ディーは心底すまなそうにうなだれる。その体重移動に耐えきれず、彼の体を支えていた腕が崩れた。
「あっ……」
だが、それは俺がしっかと受けとめる。
そして、フフンと笑い
『心配するなディー。俺たちは、千年後にも駒を配してある』
……というわけだ。
すでに寺に四神具は奉納し終えた。あとは、未来の連中が上手くやることを祈るだけだ。
『頼むぞ……みんな………』
俺たちは空に一つ願いを飛ばすと、ハクオロ邸への帰路についた。
【現代】
「なるほど……」
最後は僕らの仕事、というわけか。
「そういうことです。……さて、事態は一刻を争います。そろそろ出発しましょうか」
源之助さんの言葉に、研究室内にいる全員が頷いた。
A ※翼人の遺跡に赴くメンバーを選出してください。
(耕一・ちーちゃん・梓・楓・初音・浩之・祐介・瑠璃子・健太郎・源之助・リアン・なつみ・神尾親子)
>>825 耕一、浩之、祐介、健太郎
たまには気張れ主役ども(w
……あと個人的趣味で梓を追加(w
「「「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉっっっっ!!! 久しぶりのマトモな出番じゃぁ!!!」」」
三匹の雄が小汚く吼えます。
「あぁ……長かった。やっと俺にもちゃんとした出番が……」
涙ぐむ耕一さん。
「あんたはまだマシだろう。俺なんざ連中が過去行ってから全然出番なかったんだからな」
やる気あるんだかないんだかよくわからない藤田さん。
「……俺、喋るのどれくらいぶりだろう……俺、一応プロジェクトの発案者だよな……」
アンタ誰だっけ? 健太郎さん。
「……お前は意外に喜ばないな、祐介」
訝しがる梓さん。
「まぁ、なんだかんだで僕は出番がありましたから」
学校のシーンだったり、観鈴さんを迎えに行ったり、ね。
「さぁて、やっぱり集団行動にはリーダーが必要だよな?」
妙に楽しそうに耕一さんが皆に呼びかけました。
「やっぱ、ここは一番統率力のある俺に任せてほしいと思うんだ!」
「ざけんな。リーダーなら歴代主人公イチ万能な俺に決まってんだろが」
「おいおい、俺は今回のプロジェクトの責任者だぜ? 第一これから向かうのは翼人の遺跡だ。
そうとなればリーダーは俺しか考えられないだろう?」
耕一さん・藤田さん・健太郎さんは今度はリーダーの座を巡って言い争いを開始しました。
そこまでして出番がほしいのか……
リーダーは誰にしますか?
A 行動力はある耕一
B やればできる浩之
C ズンズンパンパン
D 書きやすい祐介
E 間をとって梓
ここはEだろ。
「はいはーい、みなさん黙ってくださいねー」
チリチリチリチリチリチリチリチリ……
あたしの言いつけに従い、祐介が毒電波を三人にぶつける。
「「「おおおおおおおおおお!?!?!?」」」
よし、黙ったな。
「梓さんよりお言葉がありまーす」
……コホン。
「あー……お前ら男どもにはとてもリーダーなんて任せておけない。
下手に選んでも後腐れありそうだしな。というわけで、このグループはあたしが仕切らせてもらう」
「なんだと梓!?」
「そんなんアリかよ」
「横暴だ!」
「黙っててくださいみなさん。リーダーの言う事は絶対ですよ」
チリチリチリチリチリチリチリ……
「「「おおおおおおおおおお!?!?!?」」」
……便利だ。
「というわけで……あたしたちは出発します」
向き直り、源之助さんと長瀬主任に挨拶をする。
「はい。ではこれをお持ちください」
祐介に渡されたのとは別の、もう一冊の本を手渡された。
これもまた、かなり古い。
「ディーさんが『翼』の翻訳をまとめたものです」
「おっと、ちょっと俺に見せてくれ」
健太郎に手渡す。ま、こういうのはこいつの仕事だろうからな。
「……大丈夫です。読めます。……ええと、これによると……今の月の位置なら……寺の場所は……」
A 雨月山
B ここの裏山
C 観鈴の街
D 比叡山
B
「…えっと…武蔵の国の…東鳩の地の…山?これってまさか…」
「何処なんだ、健太郎」
「武蔵の国って言うとかなり近いようだけど…」
「…すぐ裏手のあそこに見える山みたいだ…」
「ええ?…また随分手抜きだな」
「まぁ、移動する手間が省けたからいいんじゃないの」
「んじゃ、スパッと行ってスパッと終わらせますか」
こうして一行は研究所の裏山に向かった。しかし、その行動をすぐ近くから眺める者たちがいた…
その者たちは豚が2匹に餓鬼が一人──
「にゃぷぷ〜あいつらが移動を始めたようだにゃぷ〜」
珍妙な髭を持つ男が言った。
「にゃも〜朕達が後を付けてるとは知らず間抜けな奴等にゃも〜」
髪型がアフロの豚がそれに答えた。
「へへっ、叔父貴、翼人の遺産とやらが手に入ったら俺にも分け前をくれよ?」
人相の悪い餓鬼がアフロに話し掛けた。
「当然にゃも〜翼人の遺産は我々【ケナシコウルペ】のものにゃも〜」
彼等をリーダーとする怪しげな集団がそのすぐ側に完全武装で待機していた。
どうする、梓達?
A 山に入ったのはいいが霧で迷ってしまった…
B …人外の者が3人もいれば常人の尾行などすぐにばれるって
C その頃、過去では…
そ、そう来たか……
B
一行は裏山を順調に登っていた。ただし、耕一、梓、祐介の顔が険しい物になっていた。
疑問に思った浩之は理由を尋ねた。
「なぁ、3人ともどうしたんだ?腹でも壊したか?」
「…静かにしろ。あたし達は今、誰かにつけられている。しかも明らかに訓練を受けた者の動きだ…」
「マヂ?」
「ああ、しかも衣擦れ音に紛れて金属音まで…こりゃ相手は銃器で完全武装してやがるぜ…」
「…数も結構いるよ。恐らく…二十…いや、三十人近くいる」
「ど、どうするんだ?」
A 無視
B 撒く
C 潰す
℃
A:電波で瞬殺
B:鬼でしばく
C:その他
選択肢だけとはまた新しい…。
んーと、さくっとAか?
「……あ?」
気配が……消えた?
「あれ?」
耕一を見ると目があった。あいつも同じような顔をしている。
「梓、お前もか?」
「気配が……なくなった?」
そう。一瞬前まではしっかりと辺りに存在していたいくつもの気配が、今の一瞬で消え去った。
「祐介、何かしたか?」
あたしたちではないとすると、こんな芸当ができるのは祐介だけだ。
「はい。僕です」
しれっと答えた。
「いちいち直接戦闘するのも面倒でしょうから、近くにいた怪しい気配全員に毒電波を叩きつけときました」
「そ、そうか……」
……恐ろしい奴だな……
「……で、どうしたんだ? 『壊し』たのか?」
多少気になったので、訊いてみることにした。
「さあ……どうでしょう? 全力ってワケじゃありませんけど……適当に手加減しただけなので、一晩で目が覚めるかもしれませんけど
ひょっとしたら理性の一つや二つくらい消し飛んでるかもしれません」
「………………」
やっぱりこいつ、ちょっと怖い。
「……よくわからんが、先を急ごうぜ」
「それがよさそうだ。時間にあんまり余裕はないんだし、な」
ある意味一般人だと言うことは幸せなことだ。
浩之と健太郎を見て、あたしはそう思った。
A あっさり到着
B さすがにそんな簡単にはやられなかった。
C 結界発動
C。
とっとと進めましょ。
C
間違えた!Aだった!∧||∧
えっと。
>>839=841が訂正してるからこの場合はAでいいのかな?
スゥ……
「!」
ある程度進むと、急に辺りが濃い霧に包まれた。
「健太郎、これは……?」
「どうやら結界が発動したみたいだ……この本に書いてある通り」
健太郎は手元の翻訳書に目を落としながら
「この結界は……翼人、あるいはそれに連なる者なら無条件に通すらしい……
ならば、俺たちだと拒否されてしまう。突破する方法は……」
「方法は?」
「何も考えないこと」
「……は?」
思わず声が出てしまう
「いや、意外に有効なんじゃないか?」
浩之が解説する。
「その結界とかいうやつの目的は遺跡荒らしとかを入れないようにするためのものだろ?
なら、そんな連中が何も考えていないわけはない。宝捜しとか、一山当てようとか欲の皮突っ張った連中のはずだ。
……何も考えない、っていうのは難しいだろうな」
「なるほど……」
あたしたちはうんうんと頷く。
「……ま、そういうわけ。結界が発動したってことは目的の寺は近いってことだし。何も考えずに歩けばそろそろ着くでしょ」
「けど……何も考えるなって言われても……」
「ん〜……ま、それじゃなるべく自然なこと……邪念の無い澄んだ心でいれば大丈夫……かも」
「はっはっは、そりゃ梓にゃムリぐほっ!?」
「うわ、鳩尾……」
「じゃ、先を急ぐか」
しかし……何も考えない、って言われても……無理だよな……
それなら……
A 学校の光景を思い浮かべる
B 柏木家の光景を思い浮かべる
C 沖縄のバカンスを思い浮かべる
D 子供時代のことを思い浮かべる
D
やっぱり……邪念の無い澄んだ心っていったら子供だよな……
それなら、あたしも子供時代のことを思い浮かべて……
子供時代といえば……楓や初音と一緒に、耕一を引き連れて……
水門へ行って、泳いだり魚釣ったりして……
楓の泳ぎが意外に上手くて……あたしは負けてなんだか悔しくて……
お気に入りの新しい靴をはいて……
……それを緒として……
耕一が取りに行って……
「っっ……!」
『その後』を思い出した瞬間、嘔吐感に似た感触があたしの胃を焼いた。
……もう何の問題もない。それはわかっている。
だが、あの時あたしたちの胸に刻まれた痕は、未だ癒えてはいないようだった。
「あー……参ったなぁ……」
十分ほど歩いたところで、先頭を行っていた健太郎が声を上げた。
「やっぱ……何も考えない、ってのは無理か……」
「まぁな……考えない、って意識することでまた何かを考えちまうよな……」
……あたしの、せいだろうか?
「シッ! みんな、静かに!」
だがその時、耕一が声を張り上げた。
「な、どうし……」
「静かにしろ!」
とりあえずは耕一の言う事に従い、口を閉じる。
……ばっさばっさ……
あたしたちが来た方向から、何かの音が聞こえてきた。
(……何の音だ……? 羽音? 羽ばたく音……?)
「……烏だ」
「烏?」
「ああ。原因は詳しくわからんが、夜の間俺の感覚は通常以上に研ぎ澄まされている。
……間違いない、烏がこちらへ飛んできている……来た!」
耕一は指をさす。その向きが正しいとするならばその烏はあたしたちの頭上を飛んでいるはずだが、
闇夜の烏という言葉が示すようにその姿は全く確認できない。
ただ、羽音が聞こえるだけだ。
A 捕まえる
B 追う
C 見送る
B
「ッッ!? 霧が……晴れていく!?」
「……烏だ。あの烏の進路は霧が晴れているんだ」
健太郎と浩之が呟く。
「なにッ!?」
「追いましょう梓さん!」
「よし! みんな俺についてこい!」
唯一烏を目視している耕一が駆け出した。あたしたちも急いでそれに続く。
ばっさばっさ……
羽音は正確に耕一のやや前方上空から聞こえてくる。
いや、耕一が一定間隔を保ったままトレースしているのだ。決して遅いスピードではないが、なんとか祐介たちでも付いて行ける速度だった。
「そういえばさ!」
走りながら浩之が叫ぶ。
「烏っていえばさ! さっきの神尾観鈴……あれが連れてなかったか!?」
「確かにな!」
前方を凝視しながら、耕一がそれに答える。
「だがいくらなんでも烏の個体差は俺にもわからん!」
……観鈴の、烏……か……
「……! 霧が……消える!」
サァァァァァァァ――――――
ある程度森を進むと、まさに霧消という言葉が示すように霧が消滅した。
瞬間、空間を月光が包む。……見えた。
「烏……それに、寺!?」
ほのかな明りに照らし出される烏が。そして、それが向かう古びた寺が。
烏はそのまま朽ちた本堂の隙間から中に飛び込み、見えなくなった。
あたしは、迷わず、叫んだ。
「行くぞッ!」
A このまま行くぜぇ!
B その頃過去では?
C 背後から怪しい人影が……
C
誰だろ?
寺の前に佇む梓たち。
あるいは結界が彼らの感覚を鈍らせたのか。その背後に迫る人影に気付かなかった。
「ヘヘ……ヘヘヘ……俺を……コケにしやがって……」
男は、手にしたリボルバーの銃口を一行に向けた。
「どんな手品使ったのか知らねえけど……俺の、虎の子の兵が一瞬で全滅だよ……ヘヘヘ……」
ゆっくりと狙いを定める。
「どうせもうお宝なんて無理だ……なら、テメェらだけでも道連れに……」
そして、引き金を―――――
「ゲームオーバーよ、ヌワンギ君?」
「な!? テメェは!」
ヌワンギと呼ばれた男は声がした方を振りかえった―――そこには――― 一頭の巨大な馬に跨った―――女が自分を睨みつけていた。
「あなたは千年前と全く変わっていないのね……あの時、迂闊に翼人の力に手を出して、この時代に飛ばされただけですんだことを幸運に思わないの?
下手をすれば永劫時の狭間をさ迷っていたのかもしれないのよ?」
「う、うるせぇッ!」
男は汚らしく叫び返した。
「俺はこんな時代に用はねぇッ! 俺がいるべきなのはあの時代……エルルゥがいるあの時代なんだッ!
俺は帰るんだよッ! あの時代に帰るんだ! それには……翼人の力が必要なんだよッ!」
チャキッ、と男は馬に跨った女―――人によっては石原麗子と呼ぶ女に銃口を向けた。
「人の前に現れては説教垂れやがって……あの時もそうだッ! テメェは何を知っているんだッ!?
……テメェは何者なんだッ!? 俺が帰る方法も知ってんじゃねぇのかッ!? 答えやがれッ!」
だが、石原麗子は動じない。彼女にしてみれば火器など武器にもならない。
「……あなたは、直接時空を超えた人間第1号だからね……少し気になるのよ。まさかこんなゲスだとは思わなかったけど」
「なんだとッ!?」
「帰る方法……? そうね、完全に目覚めた翼人に頼んでみたら? そろそろ現れそうだし。
彼女に頼んだら? 虫ケラのように、這いつくばって、地に頭をこすりつけて、哀れに、懇願したら?」
「……テメェっ!!」
男は改めて麗子の脳天に銃口を定めた。
そして―――引き金を―――
A 引いた
B 引かなかった
B
ヌワンギ・・・・お前の事は余り嫌いじゃなかったぜ・・・・
ぐわっ・・・名前消してなかった・・・
「ギ……ッ!!」
人差し指に力を込めようとしたその一瞬、ヌワンギはためらった。
もちろん、人を殺すことに何か感慨があったわけではない。言うなれば、彼の中に眠る生命としての本能、そんなものが彼が押しとどめた。
「……意外に勘がいいのね」
「あ……っ!?」
自分の手に握られた拳銃を見る。……シリンダー部分から先が綺麗さっぱり消え失せていた。
……切り落とされていた。その切断面は鏡のように滑らかだ。
「ク……ッ!」
ただの鉄塊と化した銃を落す。同時に自分も地に手をつき、うなだれる。
「どうしろってんだよ……俺は、どうすりゃいいんだよ……俺に、こんな色の無い時代に生きろっていうのかよ……
なぁアンタ、答えてくれよ………」
顔を上げる。ヌワンギは馬に跨り自分を見くだしている麗子に話しかけたつもりだったが、彼女の姿はそこにはなかった。
自分の目の前に膝をついていた。
「甘ったれんじゃないわよ」
パァン! と強烈な平手がヌワンギの頬に突き刺さる。
「ずぁ……っ……」
麗子はヌワンギの前髪を引っつかむと、そのまま近くの木に押しつけた。
「餓鬼が。武器を振り回してどうにもならないと知ったら今度は泣き落とし? ハッ、ずいぶんと単純なことね。
少しは自分の頭で考えたら? 大したことは思い浮かばないでしょうけど、それなら自分でも納得がいくでしょう?
未来は無限よ。その中から一つの道を導き出せるのは主体性のある己のみ。わかったのなら、さっさと消えなさい
そして、己の歩むべき道を見出しなさい。その先に死しても、骨くらいは拾ってあげるわ」
言うだけ言うと麗子はヌワンギから離れ、もう一度馬に跨った。
「……あとは、自力でなんとかなさい。少なくとも……私が知る限り、過去へ戻るには彼らの協力が必要だけど、ね」
寺の方向を一瞥した。ヌワンギもそれにならう。
「……テメェは……」
もう一度視線を麗子に戻したヌワンギだが、すでにそこには何もいなかった。
A 寺の内部での梓たちの様子を見る。
B 研究所の様子を見る。
C 平安時代の様子を見る。
なんとなくC
【平安】
裕也だ。柳川をやっている。
『ずずず………』
ある日、俺が縁側でお茶を啜りつつ和んでいると、見なれぬ男が門から入ってきた。
サラサラの金髪にずいぶんとキザったらしい格好をした優男だ。俺が嫌いなタイプだ。
「御免!」
……そういえば、今はみんな出払ってたな……
仕方がないので、俺が応対することにした。
『どちら様ですか? ハクオロ……頼光にご用なら今は出かけていますが……』
とりあえず失礼にならない程度に声をかける。
「おお、柳川か。ずいぶんと久しぶりだな。セリオちゃんはご在宅かな?」
……は? 何をほざいてるこの男は。
『……誰だよあんた。スマンが俺はあんたなんぞ知らんぞ』
男は少しびっくりした様子ではあったが、しばし顎に手を当て、ウンウンと唸ったあと
「なるほどなるほど。この格好では無理もない」
男はコホン、と咳払いをすると
「では改めて自己紹介しよう。私の名前は――――」
俺はまさか、今まで二十数年間生きていて、こんな現象にお目にかかれるとは思ってもいなかった。
「―――白い悪魔」
『……で、今更何しに来たんだ。そんな姿で』
人間あんまり驚くとかえって冷静になるものだ。俺は憮然とした態度のまま応対を続けた。
「む……それは……だな……」
『……?』
「せ、せ、セリオちゃんを……」
『……なんだよ。はっきりしろよ』
白い悪魔は意を決したように叫んだ。
「せ、セリオちゃんを! セリオちゃんを頂きに参った!」
A ぶん殴る
B とりあえず茶でもふるまう
C かえれ! かえれ!
Bでママーリ。
>>851 ガンバ!悪魔として降臨してやるからw
ヌワンギには活躍して欲しいのが俺の本音。
・・・先生、書き手になりたいです・゚・(ノД`)・゚・
Å
『……まぁ落ちつけ。茶でも飲んでいけ』
「かたじけない」
セリオを、ねぇ……
俺はとりあえず白い悪魔を座敷に招くと、茶を一杯振舞った。
「ずずず……」
『ずずずず……』
「……美味いな」
『ここの娘が煎れる茶はもっと美味いんだがな』
奇妙な空気が部屋に満ちる。
……さて、そろそろ本題に入るか。
『……で、セリオをほしいとのことだが……嫁にでももらうつもりか?』
「もちろんだ!」
悪魔は意気込んで立ちあがった。
「彼女こそ私の求めていた理想の女性! 奥ゆかしき性格! 気品ある物腰!
輝かしきその瞳! 白魚のような手! 柔らかき肌! 神の創りたもう如きその御足!
亜麻色の髪! 珍しいが魅力的なその着物! なによりその身体より立ち上るオーラが私を呼んでいる!
彼女の前に女はなく! 彼女の後に女もいない! 彼女こそ私の伴侶となるに相応しい!
うおぉぉぉぉ! セリオ萌えーーーーー!!!」
『……そうかい』
同人市に似合いそうなヤツだな……
「さぁ柳川! 私をセリオちゃんの元へ案内してくれ!」
唾を飛ばしつつ、俺に詰め寄ってきた。
A セリオの元へ連れていく
B 綾香の許可が必要だよな
C 本当のこと(ロボットであること)を教えてやる
D 断る
A
『……ついて来い』
「おお、案内してくれるのか」
まぁ……このテの問題は当人同士の問題だからな。
この時間帯なら……おそらく……
俺は梯子を使い、屋根の上にのぼる。
「……こんなところにいるのか?」
悪魔が訝しげな顔をするが気にしない。今のセリオにはここが必要なのだ。
『……あそこだ』
屋根の中央を指差す。
「くぅーーーーーー」
そこでは、セリオが日向ぼっこをしながら安らかな寝息を立てていた。
「おぉ……セリオちゃん……」
悪魔は今にも泣き出しそうな雰囲気だ。
眠るセリオににじり寄り、己の顔をセリオに近づける。
「んん〜〜〜〜……いい匂いだ。さすがは我が妻となる女性……」
『ふぁ……』
思わずあくびが出る。なんだか俺も眠くなってきた。
『ちなみに……セリオは当分起きんぞ』
最近昼間はほぼ充電時間に当ててるからな。
「むぅ……そうなのか……」
A 俺も昼寝する。
B 悪魔がセリオをかっぱらった!
C 綾香の『ちょっと待ったーーーー!』
D 放っておいて屋敷内に戻る。
まさかそう来るとはなぁw
A
『ふぁ……』
いかん。セリオに当てられたか。本格的に眠くなってきた。
『おい悪魔……』
「ん、どうした?」
悪魔は飽きもせずずっとセリオの頬をぷにぷにしている。
『俺も寝る……あんま無茶しなければ好きにくつろいで構わないと思うからな、大人しくしてろよ』
「柳川……お前、私を童扱いするのか?」
『ははは……こりゃスマン。じゃ、俺は寝るからな』
俺はその場にゴロンと横になると、目を瞑った。
日光と屋根からの反射熱が温かく、すぐに寝つけそうだった……
* * *
A 悪魔のその後の行動ルート
B 神奈とディーの関係ルート
C 国崎一家ルート
D その他メンバールート
国崎一家って・・・w
でもD(ぉ
他のメンバーが何をしているのかというと……
A 食糧庫防衛線突破作戦集中会議
B 修行・修行・修行
C 墓参り
D 散歩
Aで。
みさき&アルルゥ達の出番がもうちっとホスィ
闇に包まれた部屋。
だが、確実にそこに人が存在することは僅かな空気のゆらぎが、そして衣擦れの音などが証明していた。
カチ! カチ! ……ボッ
何度かの火打石を叩く音の後、蝋燭に灯がともった。
それによりそこには意外に多くの人間がいることがわかった。
みさき・綾香・スフィー・オボロ・クロウ・アルルゥ・ムックル・カルラと呼ばれる人々、だ。
「さて、今日皆に集まってもらったのは他でもない」
オボロが切り出す。
「最近の食糧庫の厳戒体勢について、だ」
「確かに。最近はちっと警備が厳しすぎる」
クロウが同意する。
「う〜ん、確かにエルルゥちゃんのご飯は美味しいんだけど、量がちょっと足りないんだよ……」
「私も〜!」
「あなたたち……あれだけ食べて『量が足りない』っていうの?」
現代三人娘。
「ん〜……ハチミツ……」
「ともかく……こう厳しくては好きなだけお酒が飲めるという条件でここに来た約束を違えることになってしまいますわ。
どうにかしませんと……最近、どうも手先が震えて……」
「カルラさん、それってアルコール依存しょ……」
「ともかくだ!」
オボロの一喝。
「我々は至急この問題をなんとかせねばならない。さしあたっての問題点は……国崎! あいつの警備だ」
「しかしどうするつもりですの? 相手は翼人の始祖。まともにぶつかっても勝ち目はありませんわ」
「……私に作戦があるわ」
綾香が立ち上がり、大きな紙を壁に貼りつけた。
「食糧庫への廊下は一本。国崎はどうやら常にここを見張っているらしい。……当然ね、他に侵入経路なんてないんだから。
ただ、一つだけ……食糧庫は床下が空いているわ。ここを使って侵入する。けど、国崎も時々は中の様子をうかがってるようだから……
まず班を三つにわけます。国崎の相手をする陽動班、食糧庫へ侵入、食糧を奪う侵入班、そして床下で待ち構えて外へ運び出す運搬班。
全てが終わり次第、陽動班は即座に撤収。……これで行くわ!」
「応よ! 血が騒ぐぜぇ!」
A 現状メンバーを三つの班に分けてください。
陽動班、 カルラ・クロウ(パワー)
侵入班、 みさき(レーダー) 綾香・オボロ(スピード)
運搬班、 ムックル(トラック) アルルゥ(ドライバー) スフィー(迎撃用)
白い悪魔ってどういう存在なんだ。なんか元ネタあんの?
どーでもいいが、
結 局 参 加 し て な い 奴 全 員 に 怪 し ま れ て 即 バ レ
というオチじゃあるまいな。
#まあお約束だからそれでも構わんが。
「……という部隊編成でいくわ。何か質問は?」
「決行はいつだ」
手を上げつつ、オボロが問い掛けた。
「無論、今、NOWよ。ハクオロとエルルゥが出かけている今がチャンス。今をおいて他にはないわ」
「ではグズグズしていられません……参りましょうか」
カルラは大鉈を携えて立ち上がり、物置の戸を開いた。
日光が差し込む。それほど強い光ではないはずだが、暗闇に慣れてた一行の目が一瞬眩む。
「……時間との勝負よ。スフィー、アルルゥ……強奪した食糧は、ここに運びなさい。いいわね?
「らじゃっ!」
「ん……」
「では……食糧強奪隊、出撃ィ!!!」
どの視点で作戦を進めますか?
A 陽動班
B 侵入班
C 運搬班
A
まずは陽動で。
C
一行は揃って食料庫へと続く渡り廊下前へとやって来た。
「……………!」
綾香は廊下の奥を指差し、手信号でカルラとクロウへ指示を送る。
「……!」
二人はそれに指を立てて答えた。
さらに綾香は振りかえると、他のメンバーに外へ出るよう指示を出す。
床下へ潜るためだ。
こうして、『第一次ハクオロ家食糧争奪戦』の幕は切って落された。
〜陽動〜
「……ム」
食糧庫扉前で瞑想に耽っていた国崎だが、近づく二つの気配を感じ、我に返った。
「……カルラ、それにクロウか……」
瞬時に誰か、を判断すると、扉を塞ぐように立ち上がる。
やがて二人がやって来る。
「あら国崎さん、こんにちは」
「何の用だ」
「ちっと、小腹が空いちまってな。適当な摘めるモンが欲しいんだよ」
「私は部屋に蓄えておいたお酒が切れてしまったもので……」
国崎は聞く耳もたん、といった様子で続ける。。
「知っているだろうが、食料庫へ入るにはエルルゥの許可が必要だ。許可証は持っているのか?」
「ああん国崎さん、そんな固いこと言わずに……ちょっとだけですから」
「オウよ。ちょっとだけだからさ、ちょっとだけ……戦友のよしみで通してくれや」
だが国崎は首を振る。
「スマンが、許可証を持たないものは誰一人入れるな、というエルルゥのお達しが来ている。お前らを通すわけにはいかない」
「……どうしても、ですか……?」
「どうしても、だ」
「そうですか……」
「なら……これでどうだッ!」
国崎の一瞬の隙を付き、クロウが隠し持っていた槍で強烈な突きを繰り出す。
「フン、やはりそう来たか!」
だが、瞬間国崎も漆黒の剣を具現化させると、その突きを捌いた。
「急所は外しておいてあげますわ!」
さらにそこを重ねるように、カルラが水平に大鉈を振るう。
「甘いわ!」
ガッ、キィィィィィン!!!
カルラの腕力+鉈の自重+遠心力が乗った強力な一撃。だが国崎は空いた手に剣を握り、難なく受けとめた。
「チィ、さすがは翼人か!」
「やりますわね!」
二人はいったん距離をとる。いかな国崎といえどもこの手練二人を相手にしては反撃までは出来なかったようだ。
「そこをどきな国崎……怪我ァするぜ」
「私も少々本気を出しますわよ」
先ほどまでとは違い、ドスの利いた声だ。
「フン、侵入者は多少手荒に扱ってもいいとエルルゥの命にもある。……お前たちこそ、怪我しないうちにさっさと去るがいい!」
「……交渉、決裂ですわね……はァッ!!」
「なら手加減しねぇぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
咆哮し、二人は国崎へと襲いかかった。
A 引き続き陽動班の様子を見る。
B その頃の侵入班は?
C その頃の運搬班は?
D その頃の他の場所の様子。
順当にB
876 :
2:02/10/22 00:01 ID:LUooFG33
「始まったようだな」
ちょうどオボロが食糧この床板を外したところで、扉の外から戦闘音が聞こえた。
「いくらあの二人といえど翼人相手に長時間は辛いでしょう。手早く済ませましょ」
オボロを先頭に綾香、みさきの順で中に侵入する。
「……確かに食べ物は多いけど……」
綾香は室内を見回す。
「それは当たり前だよ。食糧庫なんだから」
「……いや、そういう意味じゃなくてね」
「すぐ食べれそうなものが無い、と言うんだろう。安心しろ、確か……」
「そこにあるよ」
みさきとオボロが同時に、同じ場所を指差す。みさきは動じないが、オボロが驚きの表情を浮かべる。
「みさき、お前、なぜエルルゥの隠し扉を知っている?」
「え? 隠してあったの? 私、そこからいい匂いがしたからそうかな〜って思っただけなんだけど……」
「…………」
(このコ、犬?)
綾香の想像力の翼は羽ばたいた。
犬……犬といえば……
みさきに耳が生えて……真っ赤な首輪つけちゃったりして……
「みさきっ!」とか呼びかけると「わぉん!」とか反応しちゃって……
そして……犬……犬……犬といえば……バター
「綾香ちゃん、いまスッゴク失礼なこと想像してなかった?」
「え? あ? ううん!? なんにも!?」
「そんなことより、さっさと運び出すぞ」
言いながら、オボロは隠し扉に手をかけた。
A 手早く済ませてしまおう
B ここは慎重に事を進めよう
C やっぱりカレーがほしいよね
C
やっぱり、カレーがほしいよね。
こっちに来るときタイムマシンにはたくさん積んどいたんだけど、いつのまにか片付けられちゃってた。
となると……やっぱり、一番可能性が高いのはここ。この部屋にあると思うんだよ。
「……くんくん」
辺りの空気を鼻で確かめ、芳しいあの匂いを探す。
確かに香辛料の匂いは独特だけど、密閉されてるボンカレーの匂いを探し出すのは並大抵のことじゃない。それはわかってる。
けどね、今は私の鼻も普通じゃないんだよ。
「くんくん……くんくん……」
「そら……あったぞ。綾香、俺とお前でバケツリレー方式で運ぶぞ」
「オッケー♪」
どうやらオボロさんは目的のものを発見したみたい。けどね、やっぱり私はカレーがほしいんだよ。
「くんくん……くんくん……あっ!」
今、ちょっとだけ懐かしいあの匂いがしたよ。
ええと……確か、あの辺りから……
壁に手をついて、ゆっくりとその場所へと歩み寄る。
もう、まともに考えることも出来ない……カレーの香りが私を惑わせる。
「ん……? みさき、何やってるの? あなたは扉の外の様子を……」
「っておいみさき! 迂闊にその辺りに触ると……!」
ええと……ええと……この辺だった気が…………
ピン!
その時、私の指先に何か細いものが触れ、同時にそれがはじけた。
カラカラカラカラ……
瞬間、部屋中に乾いた音が響いた。
「鳴り子……? 罠か! おのれ国崎、味なマネを!?」
「いいえ、国崎にこんな知恵が回るはずがない! おそらくエルルゥの入れ知恵よ!」
え……? 罠……? ひょっとして、さっきの……?
「あの、その、私……」
「話は後だ! すぐにでも国崎が来るぞ……どうする!?」
A 持てるだけ持って逃げる
B 食えるだけ食って逃げる
C 部屋の中に隠れる
D 即座に戦略的撤退
勢いでA
と思ったがC。
萌える展開があるかも知れん。狭そうで。
〜 このスレの鉄の掟 〜
・たとえ本人であっても選択肢の修正は「無効」だから、
選ぶ時は慎重かつ迅速に!!
選択肢修正は・・・無効だよね?確か。
>>880氏には悪いけど。
「退くわよ!」
手元の袋を掴みつつ、綾香が叫んだ。
「各員その辺のを引っつかんで逃げなさい!」
「チィ、ここまできて!」
隠し扉の中にはかなりの食糧が保管してあったが、とても一息で持っていける量ではない。
オボロは舌打ちしながらも手近な一つを掴んだ。
「え? あ? あ?」
ややパニくるみさきだが、目の前のボンカレーの箱を抱えることは忘れない。
「撤退!」
綾香の激が飛ぶ。それと同時に、入り口の扉が蹴破られた。
「何者だ!?」
……国崎だ。
「な、お前ら……どこから?」
内部の様相を見て、国崎の動きが一瞬止まる。
(……勝機!)
綾香の勝負師としての目は、この隙を見逃さなかった。
(しばらく眠ってなさい! 国崎!)
誰がやる?
A オボロの連撃
B 綾香の一撃必殺
C 女神の如き、みさきのKiss
885 :
名無しさんだよもん:02/10/22 11:58 ID:Pa/lxILZ
C
このスレなんかキモいよお だって・・・(プッ
国崎が状況を把握するまでの一瞬の空白。そこを綾香は見逃さなかった。
しかもちょうど入り口近くにみさきが立っている。これを利用しない手はなかった。
「ブちゅっと行っちゃいなさいぶちゅっとぉ!!!」
「え? わ、わああ〜〜〜」
みさきの後頭部を引っつかみ、国崎の顔面めがけて押し付ける。
「なっ!?」
反応しきれない国崎。
「え? なに? なに?」
元よりどうしようもないみさき。
「ファーストは私が奪ったから(前スレ参照)ショックも少ないでしょ!!」
なんと無茶な論理だ。
「え? ちょ、ちょ――――んんんっっ!!!」
「お、おいおいおいお・・・・・・ムっ!!」
綾香は空いた手で国崎の頭もつかむと、叩きつけるように二人の唇を重ねさせた。
んちゅっ・・・・・・
「ぬぎぎぎぎ・・・・・・」
半ば力任せに、長い長いディープなキッスを「させる」綾香。
「む、む、むぅぅぅっ!!!」
ちゅぽん!
やがて、国崎が何とかその呪縛から逃れる。
改めて、己の唇に指を這わせる国崎。
「え? あ? お、俺・・・・・・俺は・・・・・・」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・どう!?」
なにが「どう!?」なんだよ綾香・・・・・・
そして・・・・・・
A:舞が駆けつけてきた
B:ベナウィが駆けつけてきた
C:搬出組が床下から出てきた
D:さっさと逃げる!
さっさとD
889 :
名無しさんだよもん:02/10/22 19:06 ID:zj5eTMn4
Cで。
「転進! 逃げるわよみさき!」
国崎が呆けているその間に、綾香はみさきの腕を掴んで落ちるように床板の穴に入る。
「失敗!?」
待ち構えていたスフィーが叫ぶ。
「半々ってトコね! それより早く出して!」
「ムックル!」
「ちょっと待て! 俺を置いていくな!」
ムックルの両側には籠が括りつけられており、綾香とみさきはそれぞれに入った。
背にスフィーとアルルゥが乗っており、オボロが先導する。
「チィ、今一歩のところを!」
「あれがギリギリの引き際よ! それにしても……ミスったわね。まさかエルルゥがあんなものを仕掛けとくとは……」
「ごめんなさい、私……」
みさきは心底すまなそうにうなだれる。
「ま、済んだことは仕方がないわ。それより、いったん物置に戻りましょう!」
「……で、結果がこれだけですの?」
舞台はまたもや先ほどの物置。一行は車座に座り、中心に置かれた蝋燭の灯りと戦利品を眺めている。
「仕方がないじゃない……鳴り子が仕掛けてあって、ほとんど運び出す時間がなかったんだから……」
戦利品は……
「はちみつ♪ はちみつ♪」
「俺にはちょっとこれは食えん……」
オボロの持ってきた、蜂の巣。
「私は……まさか、慌てていたとはいえ中身がこれとはね……」
綾香は自分の持ってきた袋に手を突っ込み、一握り取り出す。
サラサラとした白い粉状のものが指の間から滑り落ちる……小麦粉だ。
とてもこれだけでは食べれそうにない。
「私は満足だけどね」
みさきは(諸悪の元凶)ボンカレー。
「……お酒は?」
「食えるモンはねぇのかい?」
「お菓子ー!」
目当てのものが捕れなかったカルラ・クロウ・スフィーは不満顔だ。
「とはいっても……これだけじゃね……」
どうしよう……?
A 再度強襲
B あるもので何か作る
C 諦める……
C。
「はぁ……仕方がないわ。諦めましょう……」
「……同じ手は二度通じないだろうしな」
「お酒……ほしいですわ」
「食えねぇとわかったら余計腹が減って来やがった……」
「お菓子……」
「ん〜、ハチミツ〜♪」
「カレー♪ カレー♪」
二人をのぞき、場が暗く沈む。
「みさき……」
綾香が唸った。
「ひっぱたいて、いい?」
「ダメ」
…………再度の沈黙が場を包む。
「……寝ますわ」
カルラが立ち上がり、ガラリと戸を開く。
やがて、それに従うように皆バラバラに散っていった……
A 現代で話を進める
B その頃屋根の上では?
C 翼人一家の様子
D 綾香の復讐劇
A。このスレ中に終わらせよう…
「てぇりゃっ!!!」
梓の蹴りが朽ちた壁をブチ抜く。
一行は翼人の寺内部への侵入を果たしていた。
「にしても……」
「なんだか薄気味悪いな……」
夜という事もあってか寺の中は薄暗く、まるで一行の行く道を塞いでいるかのようにも見えた。
「ま、寺から見てみりゃ俺たちは招かれざる客以外の何者でもないだろうからな……祐介、近くに何かいるか?」
耕一が自嘲的に漏らす。
「いえ……特に怪しい気配はありません」
「……見えたぞ、おそらく本堂だ」
本と辺りの様子を見比べつつ、健太郎が言った。
目の前には錆びきった蝶番の扉がその口を閉じている。
「みんな、下がっていろ……」
今度は、耕一が前に進み出た。
ドゴン!
空間ににぶい破壊音が響く。もはや開けることはかなわなくなっていた扉は、耕一の一撃によってブチ抜かれた。
「……本堂か」
梓たちがその後に続き、空間に足を踏み入れる。
ギシ……
腐りかけた床板が嫌な音を上げる。
「確か……この辺りに……あった」
先行し、足元を確認していた健太郎は、本の記述と源之助さんの言う通り、床に埋め込まれた金属板を発見した。
後ろを振り返り、揃っているメンバーに向かい、
「いよいよ最後の問題です。正解すれば道が開けます。さぁてみんなで考えよう!」
やや挑発的な物言いで、告げた。
『一であり無であるもの。一であり一であるもの。無限であり一であるもの』
A 解答 [ ]
B さぁてみんなで考えよう!(ヒント)
C 他所視点へ(1.平安 2.研究所 3.そら)
や、やべー。これはムズイぞ。
でも、A [神]で。
……世界とか意識かもしれん。
ハズしてたら、スマソ。
つーか、スレ容量の方がマズイね。
現在481kb
「……わかったぞ」
耕一が声を上げた。
「本当か耕一!」
「意外にやりますね!」
「よっしゃ、これで道が開けたぜ!」
「あー……ダリ」
「フッフッフ、まぁ俺に任せておけ」
勝ち誇りながら本尊……巨大な羽を生やした、女性型の本尊の前へと歩み寄る耕一。
「問題の答え……それは……」
……ゴクリ。一同の喉が鳴る。
「『神』だ!」
………………沈黙。やや長い沈黙。やがて
ひゅるるるるるる……
「……あ」
「耕一! 危ない!」
ガゴン!!!
強烈な金属音が響いた。
「ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉ……」
頭を押さえ、その場に蹲る耕一。
「タライとはな……翼人の先祖って、結構シャレがわかるヤツみたいだな」
「藤田さん、冷静に解説しないでください……」
「しかし、それなら一体答えは……?」
顎に手を当て考え込む健太郎だが、そこに相変わらずやる気あるのかないのかわからない口調で浩之が話しかけた。
「……あのさぁ、俺、そんな悩むことはねぇと思うんだよ」
「……というと?」
「俺たち……ってーか柳川たちはさ、平安時代でさんざあっちこっち走りまわって、かなり情報も集めたんだろ?
だったらそん中にヒントとか色々あると思うんだよ。もう少し、今まであったことを整理して考えてみたらどうだ?」
「……今までの……情報……か」
A 解答 [ ]
B 今までの出来事かぁ……何があったかな……(ヒント)
C 他所視点へ(1.平安 2.研究所 3.そら)
∧||∧
( ⌒ ヽ ハズした上に、流れまでも止めてしまった…
∪ ノ B、誰か正解出してください。
∪∪
「ええっと、ちょっと待てよ……」
健太郎は改めて本を捲る。
「記録によると……この寺は最初に国崎さんが発見して……
中を一通り調べて……その後、柳也たちを連れて改めて調査、結果、謎を解いて四神具を手に入れたんだよな?」
「だよな? と言われても困るが、そう書いてあるんならそうなんだろ」
「むぅ……」
すっかり考えるのは健太郎と浩之の役目になってしまっている。
「なら……やっぱヒントはその辺……この寺とか翼人関係にある、って考えるのが妥当だよな?」
「それもそうだが……だが、いったいどれが……」
「あとさっきから気になってるんだけどさ」
浩之が金属板に積もった埃を足で払いながら言う。
「この文って、三つの節に分かれてるよな?」
「ああ。『一で無』と『一であり一』と『無限で一』、ってのがな」
「三つバラバラに答えるモンなのか一つにまとめるモンなのかは分かんねぇけど……『三つ』ってのがなんかのヒントになってねぇかな?」
「ん……そうだな……」
ちなみに、暇してる人外三人組は本堂の中をあちこち調べている。
「ったく、あたしたちは蚊帳の外かよ……」
「そういえば耕一さん、他に何か答えとかってなかったんですか?」
「むぅ……『世界』とか『意識』とかも考えたんだがな……」
「違う気がするぞ。何となくだけどさ」
「「「うぅ〜〜〜〜〜〜〜ん……」」」
頭脳労働は苦手なようだ。
A 解答 [ ]
B おや、壁に何か文字が彫ってある……(ヒント)
C 他視点へ(1.平安 2.研究所 3.そら)
D ……誰か来た?
Aで時、かな?過去と現在と未来ってかんじで
「!」
その時、浩之は閃いた。
「どうした?」
「……わかった。答えが、わかった」
「何!? ホントか!?」
思わず詰め寄る健太郎。
「ああ。つまりはな、ゴニョゴニョゴニョ………」
耳打ちする浩之。
「……なるほど!」
そして、健太郎が改めて本尊の前に立つ。
もしタライが落ちてきたら全国百万人のズンパンファンを泣かせてしまうところだが、その心配はなかった。
『確信』していた。
「すぅ……」
と一息吸い、
「答えは……『時の道』だ!」
言葉を強める。
「言うなれば『過去』、『現在』、そして『未来』!
過去は『我』に対して存在せずただ俺たちの後ろに一つのみ在る過ぎ去りし道だ!
現在とは今だ! 今とはここだ! ここには俺しかいない! ただ『此』に『現在』を『過去』に置き去り
『未来』を『現在』にせんと歩む俺が『一人』! 道がただ『一つ』!
未来は無限だ。限りがない。いくらでも道は選べよう! だが、歩むべき道はただ一つ! 無限なれど道はただ一つ!
三つの道は、一つになるだろう。雄大な時の流れの中で、一つに繋がるだろう!
過去現在そして未来! さぁ扉よ開け! 我らに『未来』へと続く道を開くがいい!」
カチリ
音が響いた。澄んだ音だった。
同時に、本尊に垂直な線が走り、真っ二つに割れていく。
「なっ!?」
「……記述通りだ」
健太郎はニヤリと唇を歪ませた。
―――時の流れは一つなり。
―――たゆとうもさすらうも逆らうも、全ては一つの運命なり。
―――我が同胞よ、汝が望む道を歩むがいい。
やがて件の台が現れる。
「……よし、宝玉の台も出てきたな……玉も三つはまっている。『力』、『知』、そして『道』。さぁ耕一! 『道』を叩き割れ!」
「まぁかしとけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
空気がゆらぐ。耕一が風になる。
オン……!
閃光が糸状に走る。
パキィィィィィィィィン!!!!
刹那、『道』の宝玉は塵にも等しく砕け散った。
ゴゴゴゴゴゴ……
すると本尊裏の壁が開き、ぽっかりと奥へ続く道が開けた。
「行くぜ! 目指すは陽の始祖、ミコトの元へ!」
A もう何も迷わん! 突撃!
B 目つきの悪い餓鬼が現れた。
C 馬に乗った女が現れた。
速攻で行こう。A。
……それにしても、リドルの種明かしっていつ見ても寒いな。
そうか? ウチのGMに比べれば悪くない問題だと思うが。
ドタドタ! バタン! ドゴン!
……階段から、騒がしい音が聞こえる。
「いてててっ! なんでみんな一斉に飛び込むんだよ!」
「お前が一番ノリノリだったじゃねぇか!」
「わ! わ! う、動かないでください! お、お……」
「落ちる……っ!」
……人の声だ。何千年ぶりだろう。
ドタドタゴロゴロドタドタドシャァッ!
……派手な音をたてて、幾人かの人間が部屋に転がり込んできた。
「―――ッ、ここは……?」
梓は頭をさすりながら自分たちのいる部屋の状態を確認した。
おそらくここが寺の最深部であることは間違いない。だが思ったよりはるかに作りは簡素で、
大きさも大した事がなかった。せいぜい、自宅の居間くらいだ。
「……あ」
だが、奥に小さな台座があり、その上から一人の少女がこちらを見つめていた。
手には、白い羽がついた腕輪が握られている。
「……あれ?」
祐介は奇妙なことに気付いた。
不思議なことに、その少女は『姿を見る』ことはできるが、なぜか『気配』を感じることができなかった。
目の前にいるのに。
「よっしゃ、やっと見つけた。君がムツミだな?」
意気込んで耕一は少女に近づく。
ビクッ! と反応する少女。
「ああ、怖がらなくてもいい。俺たちは君を迎えに来たんだ。君の子孫が今苦しんでいて……君の力が必要なんだ」
だが少女はその言葉を聞こうとせず、部屋の隅に逃げ、いやいやと首を振っている。
「……弱ったな」
耕一は頭を掻いた。
A このまま連れていく
B 説得してみる
C 誰か何とかしてくれ
Bかね
「よっしゃ、ここは俺に任せておけ。二ヶ月で十人を篭絡したこの手腕、たかが小娘一人ぐらいチョロイもんさ」
耕一に代わり、浩之が進みでる。
「どうしたんだいミコトちゃん? 何か怖いことでもあるのかい? 心配ないさ、俺たちは仲間だ」
思いきりなプレイボーイスマイルで話しかける。
「ウ……ウ……ア……」
だがミコトの反応は変わりない。
「ほら、いつまでもこんなところにいるわけにはいかないんだ。俺たちと一緒に……」
と言って手を伸ばすが……
「アアッ!!!!」
バチッ! と伸ばした浩之の手元に火花が走る。
「うわっ!」
慌ててミコトから距離をとる浩之。
「くっそー、俺のスマイルにも動じないとは……なんて頑固な娘だ」
「……お前、女をなんだと思ってるんだ……」
梓はやや呆れ顔だ。だが、内心はそんな呑気な状況ではなかった。
(参ったな……てっきりあたしは翼人始祖っていうくらいだからもっと達観視した仙人みたいなヤツ想像していたんだが……
まさかこんな小さな女の子だとは……)
「ア……ア……ア……」
(かといって無理矢理連れていったら何が起こるかわからない。何か、何か、こいつが心を開けるような、翼人に連なる何かが……)
しばらく考えこみ、そして、一つの答えを導き出した。
「……よし、こうなったら」
A 初音を連れてこよう!
B 観鈴を連れてこよう!
C さっきのカラスを探すぞ!
D しばらく眠っててもらうぞ!
A
一応メインヒロインだし(w
「こういうことは……初音だ!」
「……あ?」
叫んだ梓に耕一が怪訝な視線を向ける。
「こういうことには初音が一番だ! 初音を呼んでくる!」
「っておいちょっと待て梓!」
止めるのも聞かず、梓は部屋を飛び出した。
階段を駆け上がり、本堂を抜け、廊下をひた走る。
そして、門から外へ……とその時
「急がねえと……急がねえと時間が……ってのぅわっ!」
「きゃあっ!!」
梓の目の前に、見覚えのある針金ヘッドが現れた。
かわす暇もなく正面衝突してしまう。
「イチチチチ……な、なんでこんなところにいるんだ! 初音!」
そう。そこにいたのはなぜか今呼びに行こうと思った初音であった。
「お、お姉ちゃんたちのことが心配になって……それで……」
……どうやら研究所を抜け出してきたらしい。
「バカ」
コツン、と頭を小突く。
「きゃっ!」
だがちょうどよかった……と梓が思ったその時、二人の頭の上から声が聞こえた。
「おい……大丈夫か? 初音」
「カーカー!」
「……って梓早えな、もう帰ってきたのかよ」
部屋に入った梓を耕一が迎える。中は相も変わらずミコトと男衆が一定距離を保った状態のままだ。
「初音ちゃんは……ってあ、初音ちゃん」
「お兄ちゃん、大丈夫?」
梓の後ろから初音が現れた。だが、それだけではない……
「……梓、そいつらは、なんだ?」
耕一が指をさす。その先には、目つきの悪いガキと、初音の肩にとまるカラスの姿があった。
「あ、この人はヌワンギさんっていってね、私が来る途中、山の中で倒れてたから一緒に来てもらったの。
このカラスは……たぶん、そら。お寺の前で会ったの」
「……ま、あたしも迷子の人間放っておくわけにはいかないからな。この件が一段落ついたら、人里ぐらいまでは案内してやろうと思ってる」
「そうか……ヌワンギ君……だったかな?」
耕一がゆっくりと話しかける。
「お、おう」
少し緊張した面持ちでヌワンギは答えた。
「これからここでは少し奇妙な事が起きるかもしれない。だが、君がここを出た後も決してそれを他言しないでもらいたい。いいかな?」
「あ、ああ……」
(翼人……確かにあのガキは翼人だ。あの時見た女と同じ姿……)
ヌワンギは、思い出していた。
A 初音のミコト説得シーンへ
B ヌワンギの回想シーンへ
C その時、そらがミコトの腕の中へ飛びこんだ
Aでがんがれ
「よし……私に任せてよ……」
意気込んで、初音は部屋の隅で震えるミコトへと近づいていった。
「がんばれよ……初音」
その後姿を見送る梓の瞳は不安気だ。
「ウ……ウ……アア………」
「あなた、お名前は?」
初音は躊躇なくミコトの目の前にしゃがみこんだ。
「ア………?」
「私の名前は、初音。柏木、初音。あなたのお名前は?」
―――ピシッ
ミコトの頭の中に、過去の1シーンがフラッシュバックした。
「あなたの、お名前」
3510……どこで聞いたのだろう。
「ワ、ワ、ワ……ワタ……シハ……」
「うんうん。あなたのお名前は?」
「ア……アアッ!!!」
ピシッ! バシィッ!!
ミコトが頭を抱える。同時に、彼女の周りを火花が踊り狂った。
「あッ……つっ……!」
当然の如く、初音の身体にも襲いかかる。
「初音!」
「来ちゃダメ!」
駆け寄ろうとした梓だが、それは初音自身が制した。
「もう少し……もう少しだから……」
初音はミコトの肩に手を回し、自分の顔と、ミコトの顔を向き合わせた。
「さぁ……もう少しだから。私の名前は、柏木初音。あなたの名前は……?」
「ア……ア……ワタ……シノ……ナマエ……ハ……」
……そして、唇が、その形を成した。
「……ミコト」
ミコトに寄り添う初音を先頭に、梓一行は寺を後にした。
……辺りに結界は存在しない。考えてみれば、本来初音がここへ来れたこともおかしいはずだ。
どうやら、ミコトへの干渉でこの寺に関する呪術的な防護は解かれたらしい。おそらく、この寺ももう二度とその役目を成すことはないだろう。
「大丈夫? ミコトちゃん……」
「ダイジョウ……ブ……」
今だ心を開いているのは初音だけだが、なんとか状況を説明することができた。
彼女もまた、観鈴の元へと赴くことを承諾してくれた。
「クァーーッ!!!」
初音の肩でそらが鳴く。……そうだ。彼女が心を開いたのは初音だけではない。
そらもまた、ミコトに触れることが許された数少ない存在だった。
このまま二人を会わせれば全て上手くいく。……そのはずだった。
「にゃぷぷ〜〜〜翼人の小娘発見にゃぷ〜〜〜〜」
「にゃも〜〜〜ホント朕らは幸運にゃも〜〜〜さすがは人の上に立つ者は星が違うにゃも〜〜〜〜」
人の神経を逆なでするような声が、山間に響いた。
……2匹の豚が、初音とミコトの目の前に立っていた。
そして二人に薄汚れた手を伸ばす。
全く、どうやら俺はずいぶん面倒な星のもとに生まれちまったようだ。
「いや! いやっ! 離して!!」
「ア……アアア……!!!」
「な、テメェらは!?」
……いや、そんなこと、今更確認するまでもなかったか。
「にゃぷぷ〜〜〜、諸君ご苦労だったにゃぷ〜〜〜」
「朕らのためにわざわざ翼人を連れ出してくれるとはにゃも〜〜〜〜〜」
親父、叔父貴……
「そうか……さっき感じた怪しい気配、テメェらだったのか!」
梓が怒鳴り、一歩親父たちに近づくが、
「おっと動くなにゃぷ〜、一歩でも近づけばこの小娘の命はないにゃぷよ〜〜〜」
「クッ……」
親父は愛用の大型ナイフを初音の喉元に押し当てている。いくらこいつらが正体不明の力を持っているとはいえ、この状況では手が出せないようだ。
「にゃぷ〜〜〜小娘、さっさと朕らに翼人の力を見せるにゃぷ〜〜〜〜」
叔父貴はミコトを羽交い締めにし、そのこめかみに拳銃を突きつけている。
最も、ミコトは感情のない瞳で虚空を見つめているだけだが。
「チッ……」
俺は自分の右手を見つめた。まだやや温かみが残っている。
初音に助けられたとき、あいつがずっと俺の手を握っていた、その温もりが……
さぁて、どうやらこの状況、ヌワンギ様の人生で最も重要な選択らしいな!
A 親父と叔父貴を手伝う。
B 初音・ミコトを助ける。
ここでAを選ぶ気にはなれないなぁ…。
B。
チッ、腰抜けめ(w
つーか新スレ立てよう。後5KBは流石にまずい。
折れが立てるけどいいか?
A 判った、お前に任せる。
B 馬鹿野郎!俺様が立てる。
A。よろ。
テンプレはある?
お次の
>>1キャラは誰だろう・・・ヌワンギか!?w
920 :
名無しさんだよもん:02/10/23 20:55 ID:tbrsZLAf
公式サイトは支援サイトに直したほうがよいかと。
・・・ごめん、オレが公式って書きました・゚・(ノД`)・゚・
いいかと。でも「こんばんわ」じゃなくて「こんばんは」ね。細かいようだけど。
>>923 おつ。
鉄の掟の文章考えてたら先に貼られてましたか。
さて、こちらは残りをどうしましょうか。
498kb
やっと…やっと終わる……やっと……長かった……
>>926 A 雑談する
B 反省会&愚痴
C 適当に埋め立てる
B
……次作品こそ綺麗に終わってほしい……
500レス程度がいいや。
気楽にママーリ、これ一番!
934 :
名無しさんだよもん:02/10/24 04:05 ID:KrqYB64f
次、何やろうか?
という事で終わりまつた。
・・・あれ?初音ちゃんとは結局どーなったの?(w
勘弁してくれぇ……
ストーリー回収するだけで手一杯だったんだから(w
……ま、次の柳川物(あるのか?)ではきっちりとした恋愛物にしたいなーとか考えちゃったりしたりしなかったり……
もう柳川は勘弁してください。マジで。
正直な所キャラを増やしすぎたってのが最大のミスだろうな・・・
で、次回作は・・・なになに?whitealbum・・・?
・・・オレホワルバやってねぇYO!!・゚・(ノД`)・゚・
いや、終われそうな分岐点は幾らでもあった。そこで終わろうとしなかった
選択者&書き手が敢えて悪いと言っておこう。…折れもだけど。
私的に終わってたかも(ていうか終わらせようとした)シーン
1.神奈は説教くれた後「旅立つ」のなら素直に見送り、「行く場所がない」なら引き取るつもりだった。(どっち選んでも終わり)
2.「後日談」は国崎が柳川と少し雑談を交わし、目的の消えた旅へ出発する国崎の背中を書きたかった。(しんみりEND)
3.ウィツアルネミティアの封印直後、どさくさに紛れて終わらせたかった。(ディーあたりの消滅によって)