葉鍵大戦記3 〜バ鍵っ子ストーム〜

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647共犯者ウィツァルネミテア 2:02/09/13 20:38 ID:GPsorIZW
「……危機は俺の身にも、だな」
 天幕があった辺りにたどり着くと、柳川の自嘲の笑みはますます大きくなった。
 そうだ、ここには師団幕僚だけがいた訳じゃない。東葉の観戦武官3人もいたではないか。
その大事な『ゲスト』をむざむざ死なせたとあっては、ロックブーケとの関係が
ややこしくなるのはまず確実だ。どう考えても立派な政治問題に発展してしまう。
そして自分は、その責任を問われる立場にある――ふん、川口少佐。貴様は俺の生命を
絶つことは出来なかったが、政治生命を絶つことは出来たようだな。
 彼の近くで、ゴトリと瓦礫が動いたのはその時だった。
「!」
 一瞬目を見開き、そして思わず駆けよって瓦礫をかき分ける。まさか生存者がいるわけが
――そう思いつつ重い鉄塊を押しのける柳川の指先に、瓦礫とは異質の堅い感触が伝わってきた。
不思議な感じのするなめらかな質感――そう、仮面だった。その仮面をかぶった男が、
自ら瓦礫を押しのけつつ、柳川の前に這い出てくる。
「……」
 思わず絶句する柳川に構わず、その仮面をかぶった人物は立ち上がった。
「ハクオロ大佐。貴様……無事だったのか……」
 唖然とする柳川に、ハクオロは少し顔を歪めながら笑いかけた。
「いや、あちこち躰を打ちましたから、無傷じゃないですが……何とか生きてますよ、私たちは」
「私たち?」
 思わず聞き返す柳川の前で、更に瓦礫が動いた。
「柳川大将、手伝ってください。まだ生存者がいます」
「あ……ああ、わかった!」
 二人して瓦礫を押しのけていくと、その下から――擦り傷だらけの立川郁美少佐、
貴様なんで無傷なんだと言いたくなるくらいに無事な横蔵院蔕麿少佐、そして左腕を
丸ごと吹き飛ばされた第2RR装甲師団“ダス・リーフ”師団長の3人が出てきた。
いずれも放心状態にはあるが、命に別状はない。“ダス・リーフ”師団長も、
適切な治療を受ければ心配はなさそうだった。
648共犯者ウィツァルネミテア 3:02/09/13 20:39 ID:GPsorIZW
「貴様ら、どうしてこの爆撃で無事だったんだ?」
 思わず自分のことを棚に上げて、急き込んで柳川は尋ねた。事実、天幕にいた人物の内で
意識を明瞭に保って生き残ったのはこの5人と月島だけで、他は全員名誉の戦死を遂げるか、
まともに軍務を遂行できないほどに負傷している。
「いや、自分でもわからないんですがね。多分、上手い具合に瓦礫が楯に
なってくれたんじゃないでしょうか?」
 あからさまにとぼけた表情で切り返すハクオロに、柳川の視線がスッと冷たくなった。
「ハクオロ大佐、貴様、俺と同じ『能力』の持ち主か?」
 柳川がエルクゥだというのは、ある程度事情に詳しい人間ならば承知の事実だった。
そしてエルクゥ計画は、RR開発計画へと変化した際にその一部研究成果が東部方面総監部へ
譲渡されている。
「まさか。私がエルクゥではないことくらいは、柳川大将が一番よくご存じでしょう」
「……確かにな」
 エルクゥの能力を持つ者は、同じエルクゥを知覚する能力も持っている。
ハクオロからはその種の気配を感じないのは、柳川自身が認識するところだった。
 あからさまに不審な表情を向ける柳川に向けて韜晦しつつ、ハクオロは内心で苦笑していた。
 まさか、爆風を喰らった瞬間にウィツァルネミテアの力を解放して、とっさに障壁を
張ったなんてことを言っても、この人は信じてはくれないだろうな。ああ、
それにしても自分たち以外では“ダス・リーフ”師団長しか助けられなかったのが心残りだ。
あれが自分の限界だったんだが……それでも、誰も助けられないよりはマシだったろうか?
649共犯者ウィツァルネミテア 4:02/09/13 20:40 ID:GPsorIZW
「とにかく、自分は大丈夫です、閣下。この程度の傷、指揮を執るのに何の不都合もありません!」
 衛生兵による応急措置を受けながら、“ダス・リーフ”師団長はそう言い募った。
「いや、私が口を挟むことではないかも知れませんが、閣下には後方での治療が
必要ではないでしょうか?」
 止血措置がされている左肩を見つめながら、ハクオロは首を振った。
「お心遣い感謝する、ハクオロ大佐」
“ダス・リーフ”師団長は、そう言うと深々と頭を下げた。
「しかし、そう悠長なことを言ってもいられん。両師団の司令部でまともに生き残ったのは私だけだ。
私以外のいったい誰が、この部隊の指揮を執るというのだ?」
 そう言うと、血の滲む包帯に覆われた左肩を突き出して、彼はニッと笑う。
「何、心配はいらん。今まで戦傷なんぞ飽きるほどに受けてきた。今更腕の1本や2本、
何でもないわい」
「……わかった」
 傍らに立っていた柳川が頷いた。
「貴官はこのまま、第2RR装甲師団の指揮を執れ。なお今後の方針についてはこれから説明する
――ハクオロ大佐、貴官も残ってくれ」
 衛生兵を視線だけで追い払うと、柳川は地面に棒きれで地図を描きながら説明を始めた。
「現状では、Airシティ攻略は不可能になったと判断せざるを得ない。時間をかければ
不可能ではないが、こうまで指揮系統が混乱してしまっては、28日までの攻略完了は
どう考えても無理だ。よって……」
 そこで顔を上げ、一同を見回す。
「我が軍の方針を、『タイムリミットぎりぎりまで粘り、鍵軍に最大限の出血を強要する』
に変更する。
 具体的には、指揮系統の再編に時間がかかる第1RR装甲師団は、ただちに南方先端部占領域まで
後退させる。州都攻撃は、きついだろうが第2RR装甲師団のみで当たってくれ。
その際、決して無理はするな」
「といいますと?」
“ダス・リーフ”師団長が聞き返す。
650共犯者ウィツァルネミテア 5:02/09/13 20:40 ID:GPsorIZW
「敵も莫迦じゃない。こちらの指揮系統が混乱していることは十分承知しているはずだ。
おそらくこちらの前衛を混乱状態に落とし込み、一気に乱戦に持ち込もうとするだろう。
 その誘いには絶対に乗るな。我々が現状で目指すべきは、鍵側に多大な出血を強いて、
RR装甲軍の武威を奴らに思い知らせること、ものみの丘の連中に『RR装甲軍侮り難し』と
教育を施すことだ。それが、これ以降の作戦――南方先端部を根城に鍵軍と中期的に
対決する際の大きな保険となる。その際、こちらがこれ以上大損害を受けては説得力がなくなる。
だから、奴らの手に乗って損害を増やすことは絶対に避けろ」
「明日のために、今日の屈辱に耐えろ、ですな」
「そんなところだ。まぁ本音を言えば今すぐ全軍退却を命じるのが上策なのだろうが、
さすがにそれでは下川国家元帥に対しても格好がつくまい。戦略・政略双方の今後を考えても、
ある程度の戦果は欲しい」
「了解しました。それで“ヨーク”はどうなさるのです?」
「“ヨーク”はこのまま州都東方に留まる。ものみの丘がこの機に乗じて反撃してくるようなら、
我々が楯となってこれを食い止める。だから貴官は、州都攻撃に専念してくれ」
「お心遣い、感謝します」
「なお、可能であるならば――」
 柳川の持つ棒が、地面をひっかきつつデジフェスタウンの方へと動く。
「“ヨーク”はデジフェスタウンを急襲、ここに展開している1個師団を殲滅する。
どうやらここの師団の一部が、州都方面に進出しようとしているらしい。
貴官の後背を衝かせないためにも、こいつは始末しておきたい」
 そこまで喋ってから、柳川はハクオロに視線を向けた。
「それとハクオロ大佐。本来なら貴官らの観戦武官任務は中止するのが適当なのだろうが、
残念ながら現在のところ、安全に貴官らを後送する手段がない」
「……はぁ」
 怪訝な表情になりながら、ハクオロは頷いた。実のところ安全性をある程度度外視するなら
『後送する手段』がいくらでも存在することを、彼は知っていた。何を言い出すのだろうと
勘ぐるハクオロに構わず、柳川は言葉を続ける。
「そこで済まないが、貴官らは引き続き第2RR装甲師団に随行して観戦武官の任を果たしてくれ」
「了解しました」
651共犯者ウィツァルネミテア 6:02/09/13 20:41 ID:GPsorIZW
「――なお」
 柳川の表情が、皮肉げな笑みを浮かべた。“ダス・リーフ”師団長とハクオロたちとを
交互に見比べながら、わざとらしく咳払いする。
「“ダス・リーフ”師団長も参謀連中がいなくなって、軽口を叩く相手もいなくて寂しいだろう。
ハクオロ大佐、出来れば彼の『雑談相手』にでもなってやってくれないか?」
 あっと、ハクオロは思わず呻いた。柳川の意図するところを瞬時に理解したのだ。
 つまり、参謀が根こそぎ戦死した第2RR装甲師団司令部の事実上の『参謀代理』として、
師団長に適切な助言を与えろと言っているのだ。もちろん『雑談相手』とは、
RR装甲軍のライン・スタッフに属していないハクオロが“ダス・リーフ”師団長を
補佐するための『言い訳』だ
(どんなに階級が高くても、観戦武官には観戦している軍隊に対する指揮権などない)。
 柳川の意図も、大体わかる――スタッフ組織が全滅した“ダス・リーフ”の応急措置的な
建て直し策としての観戦武官団の利用がまず第一。そして、ハクオロたちに越権行為を
させることで、『観戦武官団を危険に晒した』というロックブーケの抗議を相殺させる効果が第二。
このどちらも、柳川の責任問題を和らげる方向に働く。その意味で、柳川はハクオロを「共犯者」に
選んだのだ。
 どうする――ハクオロは咄嗟に、自らのおかれた政治的状況を考察した。今ここで自分が
越権行為を行った場合、東部方面総監部の政治的立場が危うくなることがあるだろうか?
 微妙なところだろう。それがハクオロの判断だった。「カルネアデスの一環であくまで
例外的行為だ」と言い張れば通りそうだし、東葉の独自戦略路線の大前提を否定する行為だと
問題にすることも出来る。東葉の独立傾向を苦々しく思っているだろう下川国家元帥に
格好の口実を与えかねない、とも考えられる。
 ふと、傍らの郁美と蔕麿の視線を感じてそちらに目をやる。郁美は
「RR装甲軍の内情に迫れる絶好の好機だから」と視線で語って、ハクオロに承諾を迫っていた。
蔕麿は相も変わらの暑苦しい顔で「は、話を受けるんだな」とこれまた目で語っていた
――あまりこの男とはアイコンタクトを取りたくはなかったが。
652共犯者ウィツァルネミテア 7:02/09/13 20:42 ID:GPsorIZW
「……わかりました」
 しばしの沈黙の後、吹っ切るようにハクオロは答えた。まぁいい。ここは柳川大将の企み
に乗ろう。それにやはり東部方面軍のホープとして、RR装甲軍の作戦に携わりたいという欲求は
否定できない。政治レベルの問題は鷲見元帥に任せて、自分は共犯者になろう。
「“ダス・リーフ”師団長閣下の『雑談相手』でも努めながら、観戦させて頂きます」
「貴官らの観戦を引き続き許可する」
 共犯者としての微笑みを浮かべて、柳川は棒を傍らへと放り出した。“ダス・リーフ”師団長、
ハクオロ、郁美、蔕麿を順に見渡し、昂然と胸を張って檄を飛ばす。
「RR装甲軍はこれより南方先端部へ撤退するまでの2日間、鍵軍を相手に優位に戦いを進め、
我々が侮りがたい相手であることをものみの丘の連中に教育する!」
653旅団長 ◆dNAtsUKI :02/09/13 20:43 ID:GPsorIZW
>>646-652「共犯者ウィツァルネミテア」投下完了です。

ハクオロの能力についてですが、
・効果範囲を個人+αに限定
・防御に使うことは躊躇しないが攻撃に使うことは自ら禁じている
というふうに設定しています。
654634:02/09/13 23:58 ID:8/s1prZU
>>635-636
 了解です。
 他に否定意見を仰られる方もいらっしゃいませんので精進して、「TYPE-MOON」サイド
を中心に行きたい思います。
 只、当方はゲーム業界の裏側に余り詳しくないですので、そこら辺はご了承下さいm(_ _)m
655戦火の友情:02/09/14 00:56 ID:GtYyWbyD
 3月26日 21時04分
 ハイエキ丘陵 森林地帯

 1.

 絶望的だった。なにもかもが絶望的だと清水なつき少尉は思った。
 川口少佐の分隊からはぐれ、なつきは当ても夜の森を彷徨っていた。
 クレイモアの爆風に呷り倒され、起き上がってみると、既に仲間の姿はなかった。闇雲に歩き続ける
うちに、どんどんと見当違いの場所まで来てしまった気がする。
 さほど遠くない場所から銃声が聞こえた。川口少佐達の分隊が戦っているのだろうか? そうであるなら、
銃声の響く方向に向かって歩けば川口少佐の分隊に合流できるのではないかと思うのだが、
闇に包まれた森は、なつきから完全に方向感覚を奪い去っていた。
 右を向いても、左を向いても深く閉ざされた夜の森。頭上を照らす弱々しい月明かりが恨めしかった。
「……はぁ」
 思わずため息が出た。銃声に混じり、時折くぐもった爆発音が聞こえる。恐らくは手榴弾なのだろう。
その度に大きく森が震え、なつきは怯えるように身をすくめた。
 手にしたMP5を改めて握りなおす。ドイツが世界に誇る第一級の短機関銃も、この場面ではいささか
頼りなく見えた。慣れない動作で銃口を森の闇に向け、一歩一歩慎重に歩く。足を地につけるごとに緊張
を強いられながら、その歩みは、さながら牛歩のように遅かった。
(私はこれからどうなるんだろう)
656戦火の友情:02/09/14 00:57 ID:GtYyWbyD
 もし、このまま友軍と合流できなかったらどうするべきか? 朝を待って自力で州都まで歩くのか?
それとも、即刻敵に降伏してしまうべきか? そうなった場合、私はどのような仕打ちを受けるのか?
リーフの対鍵感情はお世辞にもよくはない。むしろ最悪といっていいかもしれない。同じ国家を形成する
勢力であることが信じられないほどそれは酷い。捕虜になったらロクな扱いは受けないだろうな、となつきは
思った。いや、捕虜になれるだけマシかもしれない。その場で射殺されてもおかしくはないのだ。自力で
州都に戻る以外、なつきにとって喜ばしい結果にはならないようだった。
(……ん?)
 ふと、なにか物音が聞こえた。耳鳴りかと思いよく耳を澄ます。確かに物音が聞こえた。時間が経つにつれ
だんだんと明瞭になってくる。それが人の足音であると気づくのに、さして時間はかからなかった。
 足音は複数。落ち葉や枯れ木を踏み鳴らす音が離れた場所に居るなつきにもよく聞こえた。ガチャガチャと
装備が擦れ合う金属音が微かに耳に届いた。それに混じって、訛りのある葉鍵標準語が時折聞こえてくる。
(――伊丹訛り!?)
 言わずと知れた葉っぱ訛りだった。葉鍵統合軍に派遣されていたころよく聞いたので、今でもはっきり耳に
残っている。あれは間違えなく、葉っぱ特有の伊丹訛りだった。
 足音はどんどんとなつきの方へ近づいてくる。まだなつきには気づいていないようだが、それも時間の問題
だった。どうしよう、どうするべきか? なつきの足は知らず知らず震えていた。このままでは見つかる、ならば
逃げなければ。なつきは咄嗟に走り出した。なりふりかまわず大きく地を蹴り、全力で走った。なんとしてでも
その場から逃れたいがゆえだった。しかし、それは大きな失敗だった。なつきの駆ける音を聞きとめた葉っぱ
兵士がなつきの存在に気づいたのだった。
657戦火の友情:02/09/14 00:57 ID:GtYyWbyD
「いたぞ!」
 そう声が響いた。敵の足音は急速に近づいてきた。掴まるか、掴まってなるものか。全ての力を振り絞って
全力で走るものの、なつきと葉っぱ兵士との脚力の差は歴然だった。川口少佐の降下猟兵達と比べれば
大きく劣るとはいえ、相手も野戦訓練を受けたいっぱしの兵士だ。これまでデスクワークが主だったなつきが
敵うはずもなかった。
(嫌だ。掴まるなんて絶対に嫌だ。私はまだ死にたくない)
 ひゅん、となにかが耳元を掠める音がした。それは二個、三個と徐々に増えていった。前方の地面になにか
があたって土が宙に弾けとんだ。なつきはそこで敵が発砲していることに気がついた。
 ひゅんひゅん、となつきの体を掠める銃弾は刻々と増えいていく。頬に、足に、腕に、命中こそはしないものの、
体のそこかしこを掠めてゆき、なつきの皮膚と野戦服の一部を切り裂いていった。その切り裂かれた頬から
一筋の血が流れる。それを自覚した瞬間、なつきは全身に鳥肌が立つ思いがした。
(殺される、殺される、殺される)
 恐怖で足がすくんだ。腰からがくんと力が抜けるような気がした。うまく力がはいらない。なつきはそのまま
木の根っこにつまづき、前のめりになって倒れた。なんとか起き上がろうと上半身を起こしたとき、後頭部を
硬いもので小突かれた。
「へっ、手間取らせやがって」
 恐る恐る振り返った。AK−74の銃口が目と鼻の先にあった。それを構える葉兵は、なつきの顔を確認
するとみるみるうちに表情を弛緩させた。
「こりゃいいぜ、相手は女や」
658戦火の友情:02/09/14 00:58 ID:GtYyWbyD
 葉兵は「おい、見てみろ。鍵の女士官様だぜ」とようやく追いついた仲間の兵士に呼びかけた。
「なに? 階級は、階級はなんや?」追いついた兵士が言った。
「横線一本に、鍵星一つ。こりゃ少尉様やな」
「少尉ぃ? そりゃ、あまり上物とはいえへんな」
「まあそう言うな。将校を犯れるだけでもありがたいと思わなきゃいけねぇよ」
 言って下品な笑い声をあげた。それを見たなつきは「またか」と思った。
 戦場の常として、女性が犯される場面はそう珍しいことではなかった。規律を重んじ、兵士達の「性」に
理解のある軍隊ならば、慰安施設を誘致・設立することにより兵士達の性的暴走を抑えようとするのだが、
それを葉鍵軍に求めることはできなかった。一部の将官達の中には現状を憂い、慰安施設の存在を
必要悪と認める者もいるが、女性の発言権が強い葉鍵議会の一部「市民派」はそれに強行に反対した。
葉鍵軍最高司令官であった下川国家元帥にいたっては、施設には金がかかるという理由でこれら市民派
を擁護していた。女性兵士の多いエロゲ系軍隊のこと、捕虜にした彼女達を「戦利品」として扱えばよい
というのである。
 特に女性将校は人気の的だった。女性将校はエリートが多い。彼女達は独立戦争で大きな活躍を修め、
鍵に於いては「元勲恩顧組」として特権階級を形成していた。そんな彼女達を犯れば箔つくとでも考えている
のであろう。バ鍵っ子部隊に長く配属されてきたなつきにはそのことがよくわかった。
「まっ、そりゃそうやな。将校様犯れるだけでも、ありがたいと思わなきゃな」
 そう言うと兵士達は、早速とばかり野戦服のベルトをはずしにかかった。やがて自慢気に隆々とした己の
シンボルを露出させる。なつきはただぼんやりとそれを見ていた。先程まで感じていた恐怖は消えていた。
一種、諦観のようなものが今のなつきを支配していた。どうやら殺される心配はないようだった。そう思うと
恐怖はきれいさっぱりなつきの心から消えていた。こんなこといつもと同じ。バ鍵っ子達を相手にしていた
頃となにも変わらない。ちょっとの間我慢をすればいいだけ。ただ、それだけだ。
659戦火の友情:02/09/14 00:58 ID:GtYyWbyD
「あれぇ?」
 突然、一人の葉兵がすっとんきょうな声をあげた。
「こいつ、清水な(以下略)やないか?」
 その場にいた全員が、一瞬ぽかんという表情になった。
「清水な(以下略)って、あの清水な(以下略)か?」
「ああ、その清水な(以下略)や」
「鍵の欠陥ヒロインといわれた、あの清水な(以下略)か?」
「ああ、鍵の欠陥ヒロインといわれた、あの清水な(以下略)や」
「RR親衛隊の凸と並び称されるという、あの清水な(以下略)か?」
「ああ、RR親衛隊の凸と並び称されるという、あの清水な(以下略)や」
 瞬間、葉兵達は一斉に笑い出した。それは、まさに爆発的という形容がしっくりくるくらいの笑い方だった。
「こりゃいいぜ! こんなところであの清水な(以下略)を拝めるなんてな!」
 なつきは強く拳を握り締めた。こんなところでまで侮辱を受けなければならないのか。殺されることよりも、
犯されることよりも、それだけが悔しかった。
 笑い続ける兵士を睨みつけた。それくらいのことしかできない自分が腹立たしくて、知らず涙目になった。
「おっ、清水な(以下略)の分際で一丁前にガンつけてやがる。まあ、マグロになられるよりその方が萌える
からええけどな」
 にやにやと下劣な笑みを浮かべながら、葉兵はなつきに覆いかぶさろうとした。相手がなつきであることが
分かっても、犯ることは犯るつもりのようだった。悔しい、悔しい、悔しい。なにも出来ずに犯される自分が
悔しい。この男をはね飛ばすこともできない己の非力さが悔しい。それを悔しいと思う一方で、全てを諦めて
しまっている自分が、生き残ることだけはできそうだと、どこかで安堵している自分が堪らなく悔しかった。
660戦火の友情:02/09/14 00:59 ID:GtYyWbyD
 今、まさに自分を犯そうとしてる葉兵を睨み続ける。睨み続けることしか出来ないのならば、せめて、全てが
終わるまで睨み続けてやろうと思った。
(……お兄ちゃん)
 この世に生まれ出て、唯一なつきが心を許せた兄のことを思った。思えば、なつきの苦難が始まったのは、
実の兄がこの世を去ってからような気がする。バ鍵っ子達に蹂躙される日々、なつきは、日々いもしない兄の
ことだけを思って生きてきた。自分でもどこかで気づいていながら、なつきは兄の存在を信じるようになった。
いつか、この苦境からお兄ちゃんが助け出してくれる。そう信じていた。それは、直視することのできない
現実からの逃避行動だったのかもしれない。
 なつきの瞳から涙が零れた。私の人生はなんだったのかと思う。生きていて辛いことしかなかった。
死にたくなるくらい苦しかった日々の中、なつきは兄による救済だけを信じて生き続けてきた。現れるはずの
ない救世主を待ち続けるだけの日々だった。
「へへっ、泣いてやがるよ、こいつ」
 そんななつきの涙も、葉兵達には関係なかった。彼らは自分の順番を今か今かと待ちながら、にやにやと
笑いながらなつきを見下ろすだけだった。
(もう、いいや)
661戦火の友情:02/09/14 00:59 ID:GtYyWbyD
 いくら待っても救世主は現れなかった。大好きなお兄ちゃんは私のことを見捨ててしまったのだ。どんなに
待っても救いが得られないのならば、このまま流されてしまえばいい。葉も、鍵も、戦争も、そして兄すらも、
すべてがどうでもいいと、そう思った時だった。突如、なつきに覆いかぶさり犯そうとしていた葉兵の頭が
吹き飛んだ。まるで、そこに仕掛けられた時限爆弾が爆発したみたいだった。頭の半分を吹き飛ばした
葉兵は、そのままなつきの上へと崩れ落ちた。ぽっかり空いた頭の穴から、夥しい量の血と、それ以外の
見たこともない液体が流れ出し、なつきの野戦服を汚した。他の兵士もなにが起こったか分からず、
ただその場に立ち尽くした。そうしている間にも一人、二人と頭を吹き飛ばされていく。残った兵士は
恐慌をきたしたかのように、森の暗闇へと闇雲に銃を乱射した。なつきにもなにが起こったのか
理解することはできなかった。自分を犯そうとした葉兵の頭が吹き飛び、その他の葉兵も次々に頭を
砕かれていく。ただ、自分が助かりそうだということだけは理解できた。
 応戦も虚しく、葉兵達はまた一人また一人と倒れていく。そして、残る葉兵が最後の一人となった時、
闇から黒い影が飛び出してきた。影の跳躍はなにかの肉食獣を連想させた。ネコ科の猛獣がもつ、
柔軟な筋肉の躍動がそこにはあった。影は、最後に残った哀れな葉兵に体当たりをし、そのまま
近くにあった木に葉兵の体を叩きつきた。
「悪く思わないでね」
 影はそう言った。そう言った瞬間、最後の葉兵の頭も砕け散った。
662戦火の友情:02/09/14 00:59 ID:GtYyWbyD
 2.

「急いで。迎えのヘリがまもなく到着するわ。あまり時間は残されないの」
 頭を砕かれたまま、なつきの上に覆いかぶさっている葉兵の死体を持ち上げて川口茂美少佐は言った。
「は、はい」
 葉兵の血にまみれた野戦服をそのままに、なつきは力なく肯いた。正直、拍子抜けだった。一旦は
すべてを諦めようと思っていた。葉兵に犯されようとするその時、なつきはなにもかもがどうでもよく
なっていた。このまま汚らしい兵士達の慰み者になってしまえと、そう自暴自棄な考えすらも脳裏を
よぎった。そのような時に黒い影は現れた。影は瞬く間に葉兵の一個分隊を殲滅させ、なつきの窮地を
救った。最後の葉兵を片付けたのち、影はゆっくりとなつきの方へと振り返った。影の正体が川口少佐
であること分かった瞬間だった。
 出来すぎているとさえ思った。広大な森の中、なぜ自分の場所がわかったのかも不思議だった。川口
少佐は、夜の森には不自然としか言いようのない笑い声を聞きなつきの居場所を掴んだのだが、それは
彼女の知るところではなかった。危機的状況の中、あまりにタイミングよく自分を助けてくれた存在に、
ある種の戸惑いを感じていた。絶体絶命の場面でさっそうと現れ、自分を助けてくれる存在。そう、それは
まさしく救世主と呼ぶに相応しい存在ではないか……。
「あの」なつきは口を開いた。「なぜ、私を助けてくれたのですか?」
 聞かずにはいられなかった。自分を殺すとまで言った人間が、なぜ私を助けてくれるのか? 作戦中に
ある種の親しみを感じるようになったとはいえ、危険を冒してまで助けに来てくれるとは思わなかった。
663戦火の友情:02/09/14 01:00 ID:GtYyWbyD
 川口少佐はなにも言わなかった。なにか曖昧な表情でなつきの顔を見つめたのち、近くに落ちていたMP5
を拾いなつきに手渡した。葉兵に追われ転倒した際に落としたものだった。
「来たわね」
 森の隙間から見える夜空を指さし、そう言った。結局、川口少佐はなつきの問いには答えなかった。釈然と
しないものを感じつつ、なつきはその方向へと目を向けた。すると、黒い物体がふたつ、夜の闇にまぎれて
浮かんでいるのがわかった。
「迎えのヘリよ」
 川口少佐は言った。
「タイムリミットはあと5分。それまでに合流しないと取り残されるわ。行くわよ」
 そうして走り出そうとした時だった。目の前の川口少佐の姿がふっと消えた。なにが起きたのか分から
なかった。気がつくと川口少佐は地に伏して呻き声をあげていた。
「だ、大丈夫ですか!?」
 なつきは駆け寄った。近くで川口少佐の顔色を確認すると、信じられないほど真っ青な顔をし、だらだらと
大粒の汗を流していた。滴り落ちる汗が地面を濡らしている。呼吸を必死で整えようと荒い息を吐く姿が
痛々しいほどだった。
 柳川の一撃は、想像以上に茂美の体へダメージを与えていた。なんとか耐えしのぎはしたものの、今までの
激しい戦闘は茂美の体に大きな負担を強いていた。先程の戦闘で、既に茂美の体力は限界に達していた。
「くっ、こんな時に」
 茂美は全身の力を振り絞って立ち上がろうとした。なつきには分からなかったが、茂美の耳は森の枯葉を
踏みしきる足音を複数捉えていた。恐らく先程の騒ぎを聞きつけやってきたのだろう。間の悪いことだ。
664戦火の友情:02/09/14 01:00 ID:GtYyWbyD
「清水少尉」
 茂美は言った。銃で体を支えるようにしてなんとか立ち上がった。
「敵が私たちの存在に気づいたわ。私はここで敵の足止めをする。その間に友軍と合流し、AIRシティへと
帰還しなさい」
 なつきは戸惑った。川口少佐の体が良くないことはなつきにも分かった。足元はおぼつかなく、相変わらず
息も荒い。こんな重傷者が足止めなんてなにを考えているのだ……。
「清水少尉」
 戸惑うなつきに茂美は諭すような笑みを向けた。
「大丈夫。私は葉鍵最高の降下猟兵よ。必ずあなたを生還させてあげる。だから今は私の言うことを聞いて。
あのヘリを目印に真っ直ぐ歩けばいいだけ。これならあなたでも迷わない。簡単でしょ。大丈夫、あなたは
必ず帰れるから」
「でも……」
「清水少尉っ!」
 一転して厳しい声。なつきは弾かれるように川口少佐の顔を見た。
「これは命令よ。生きて、州都に帰還しなさい」
665戦火の友情:02/09/14 01:00 ID:GtYyWbyD
 3.

 なつきは夜の森を駆けた。
 背中から銃声が聞こえる。しかし、なつきは振り返らない。いや、振り返れなかった。
『生きて、州都に帰還しなさい』
 そう言った時の川口少佐の目が、なつきの脳裏から離れなかった。
 強い意志の力を感じた。どんな反論も許さない、なにものをも従わせる瞳だった。あの目の力に、なつきは
贖うことができなかった。なつきは川口少佐の瞳から逃げるように顔を逸らして走り出した。決して後ろを振り返る
ことはできなかった。
 走りながら空を見上げた。木々の隙間から、2つの黒い影が浮かんでいる姿が確認できた。あのヘリのお蔭で
方向感覚を狂わす夜の森を、なんとか迷わずに走ることができた。夜空に浮かぶ二つの影、それは主人の帰り
を待つ2匹の忠犬のようにそこにたたずんでいた。
(……本当に)
 なつきは思った。
(本当にこれで良かったのかな?)
 川口少佐は明らかに戦える状態にはなかった。それなのに、彼女はなつきを逃がすための足止めになった。
私は彼女を犠牲にして逃げようとしてる。命令だから、あの目に逆らえなかったから、そんな言い訳を考えてみても
それは動かしようのない事実だった。
 ふと、今まで配属されていたバ鍵っ子部隊のことを思い出した。傲慢で、自己中心的で、それでいて弱虫だった。
己の為なら平気で仲間を見捨てる、そんな連中だった。こんな人間にはなりたくない。なつきは強くそう思っていた。
666戦火の友情:02/09/14 01:01 ID:GtYyWbyD
(結局)
 なつきの足が徐々にその速度を緩めていった。
(私もバ鍵っ子と一緒だったのかな?)
 なつきの足が止まった。なにを見るとでもなく遠くを見つめた。
 自分を守ってくれた存在を見捨てようとしてる。危険を冒してまで自分を助けてくれた人。それは今まで自分が
必死に求めてきたものではないのか? 「お兄ちゃん」という自分を守ってくれる存在をずっと待ち続けて生きてきた。
川口少佐は「お兄ちゃん」ではないが、自分を助けてくれた人という意味では同じではないのか? ずっと待ち続けた
存在がやっと現れたというのに、私はそれを見捨てようとしている。これがバ鍵っ子でなくてなんだというのだ?
 なつきはふと両手に持ったMP5を握り締めた。この作戦が始まってから、一発も放つことのなかった銃だった。
(この銃、一体なんのためにあるんだろう)
 そんなこと考えたこともなかった。戦争だから、命令だから。そうした他者から与えられた理由でなつきは銃を撃って
きた。自分の意思で引き金を引いたことなど一度もなかった。
(大切なものを守るため?)
 陳腐な答えだった。陳腐であるが故に真実だった。今まで、なつきには守るべきものなど一つもなかった。唯一の
肉親であった兄を失い、地位も名誉も遠いところにあった。自分を虐げてきた国、そんなものに命を捧げるつもり
なども毛頭なかった。ならば、なぜ軍などにいたのか? 戦う理由などなにもなかったはずなのに、私は機械人形の
ように言われるがままに戦ってきた。それは、なんと虚しいことなのだろう。
(でも、今は違う)
 なつきは決然と身を翻した。銃声の轟く夜の森をきっと見つめた。そして力強く大地を蹴る。これから戦いの場に
その身を躍らそうというのに、不思議と恐怖はなかった。両手に持った銃ぎゅっと持つ。今こそ自分の意思で引き金
を引く時だ。大切なものを守りため、始めて自分の意思で引き金を引こう。夜の森を駆けながら、なつきはそう決意した。
667戦火の友情:02/09/14 01:01 ID:GtYyWbyD
 4.

 茂美が引き金をしぼるたびに、一人の葉兵の命が露と消えた。その戦果を確認することなく、茂美は一撃ごとに
場所を移動する。闇に溶け込むように気配を消し、木から木へと駆け抜けた。一歩足を踏み出すごとに、茂美の
体を激痛が走りぬけるが、それを必死の形相で耐え抜いて次の一歩のために大地を蹴る。先程の葉兵で、一体
何人倒したことになるのだろうか? 3人? いや4人くらいの気もする。最初は一個分隊ほどだった敵も、今では
その数を倍化させていた。戦闘の音を聞いて、散らばっていた葉兵が集まり始めていたのだ。
(あとどれくらいもつかな? あまり長くは持ちそうにないけど、まあ、あの子が脱出できるくらいの時間は稼げるよね)
 完全に夜の闇に溶け込みながら攻撃してくる茂美に、葉兵達はどう攻めていいかわからず、徒に兵力を消耗
させていた。しかし、それも時間の問題であろう。時が経つにつれ、その兵力を増大させる葉兵達は、徐々に
ではあるが、茂美に対する圧力を強めていた。
 木の影から半身を乗り出しG3の引き金をしぼる。銃口から飛び出た7.62mm弾は葉兵の体に命中し、その中心
に大きな風穴を開けた。戦友を殺された葉兵の罵り声が、敵の銃声に混じって聞こえてくる。茂美は意識的にその
声を無視した。そして、次の場所へと移動を図ろうとした時だった。茂美の予想していなかった方向から敵の銃弾
が飛んできた。それは茂美の右肩に命中し、その部分の肉をごっそりと奪い取っていった。
(――しまった)
 銃弾は横合いから飛んできた。敵は前方にいるだけだと思い油断していた。気づかない内に側面へと回りこんでいる
敵がいたのだ。
 利き腕の方の肩をやられ、衝撃で銃を落としてしまった。急いで拾おうとするが、それより早く、敵の銃弾は
G3の銃身を粉々に砕いていた。
668戦火の友情:02/09/14 01:02 ID:GtYyWbyD
(狙撃手だったのか!?)
 この暗闇でこれだけ正確な射撃ができるなんてそれしか考えられない。また、狙撃手は隠密行動の名手でもある。
気配を消しながら茂美の側面に回りこんだのだろう。普段の茂美なら、その存在を予知できるはずであったが、
柳川から受けた傷と、それがもたらし疲労が、茂美から注意力を奪っていた。
 敵が狙撃手であるのなら、このまま側面に対して身を晒すのはまずい。茂美は瞬時の判断で木の影に逃れようと
したが、ここでも敵の行動の方が早かった。近くの木に飛び込もうとした瞬間、敵弾は茂美のふとももを貫いていた。
「――っ」
 苦痛は声にならなかった。呻くようにして傷口を押さえながら、逃げ込んだ木に背中をあずけた。肩と腿。大きく
抉られた傷口から大量の血が流れ出て、みるみる内に茂美の野戦服を赤く染めていった。大量の出血で、少しずつ
意識が朦朧としてくる。それでも、歯を食いしばりながら状況を把握しようと努力した。
(おかしい、敵の攻撃が止んだ)
 側面をとった今、敵にはとっては十字砲火をかける絶好の機会だ。それをしてこないということは、敵は私の
戦闘能力を完全に奪ったと考えているということか。
 それを裏付けるように、いくつもの足音が茂美の方へと迫っていた。前面だった方向からは4〜5人。狙撃手が
いた方向からは一人。距離的には狙撃手の方が幾分近いか。茂美は迫る葉兵の足音を聞き分け、そう分析した。
 まだ無傷である左腕を動かし、腰の山刀へと手を置いた。連中は私を捕虜にとるつもりか。上からの情報か、
それとも狙撃手の目によってか、私が女であるとわかっているのだろう。捕虜といえば聞こえはいいが、要は
ただの慰み者として戦利品扱いされるのだろう。捕らえられた女性兵士がどうなるか。そんなことはエロゲ三国
に生きる茂美自身よくわかっていた。
(そんな結末は御免蒙る)
669戦火の友情:02/09/14 01:02 ID:GtYyWbyD
 私は潔く戦って死ぬ。辱めを受けてまで生きたくはない。「狂戦士」の意地にかけても連中と刺し違えよう。
私に対してスケベ心を出した代償がどれほどのものか、地獄でたっぷり後悔させてやる。
(あの子は、無事に逃げたかな?)
 自らの死を目の前にして、それだけが心配だった。これだけ時間をかせいであげたんだから多分大丈夫だろう。
後のことは、あの曹長がうまくやってくれるはずだ。彼との付き合いも長い。私がなにを望んでいるのか、ちゃんと
わかっているはずだ。
 敵の足音は徐々に迫っている。私の人生もあと僅か。案外あっけない結末だったような気もするけど、最期の
最期で長年の心のもやもやを晴らすことができて本当によかった。後は派手に暴れて死ぬだけね。
 そう決意を固めた時だった。茂美は葉兵達の足音に混じって、遠くからなにかが駆けてくる音を聞きとめた。敵の
増援だろうか? いや、それにしては方向が違う。それはなつきが逃げていった方から聞こえていくる。やがて
葉兵達もそれに気づいたのか、歩みをとめて足音の方向に警戒を始めた。
(――あれは?)
 茂美は目を疑った。こちらに駆けてくる者の正体は、彼女が命を賭けてまで逃した清水なつき少尉だった。
(馬鹿! こっちへ来たらだめ!)
 敵には狙撃手がいる。恐らくは夜間照準器付き狙撃ライフルを装備したやっかいな奴だ。痛む体を抑えて
木の影から半身をのぞかすと、案の定、大きなスコープを備えたライフルを持った男が、片膝立ちでなつきに対して
照準を定めているところだった。
 このままではいけない。茂美は傷を受けてない方の足に全身全霊の力を込めて跳躍した。なんとしてでも、あの
狙撃手を倒さなければ。幸い、敵狙撃手との距離は予想外に縮まっていた。片足だけでの跳躍でもなんとかなる。
慣れない左手で山刀を握り、全体重を預けて振り下ろす。狙撃手も途中で茂美の存在に気づきはしたが、その時には
遅かった。茂美の山刀は真っ直ぐに狙撃手の頭を叩き割っていた。
670戦火の友情:02/09/14 01:02 ID:GtYyWbyD
 狙撃手が殺られたことを察したのか、残りの葉兵達は一斉に散開した。近くにあった遮蔽物に身を隠し、茂美達の
様子を窺っている。敵の増援が如何ほどのものなのか図りかねているのだろう。そんなことは露知らず、なつきは
短機関銃の弾丸をあたりに撒き散らし、真っ直ぐに茂美の元へと駆け込んできた。
「馬鹿!」
 滑り込むようにして走ってきたなつきの頭を強引に下げさせ、近くの木影に飛び込こんだ茂美は、開口一番なつき
の耳元でそう怒鳴った。
「せっかく時間を稼いであげたのに、どうして戻ってき――」
「嫌なんです!」
 なつきの反応は予想外だった。彼女はボロボロと涙をこぼし、茂美の言葉を遮るようにして、そう叫んだ。
「私、もう嫌なんです! 誰からの助けをただ待っているだけなんて嫌なんです! せっかく大切なものを見つけ
られたのに、それを見殺しにするようなことはしたくないんです!」
 茂美は、まだ自由のきく左手でなつきの体に触れた。その体は怯えるように、ぶるぶると小刻みに震えていた。
「はは、変ですよね。走ってる最中はまったく怖くなかったのに、立ち止まった途端、体が震えだして、涙もこんなに
出てくるし、なんだか、死ぬかもしれないって考えが急に現実味を帯びてきて……。想像しちゃうんです。自分の
頭が粉々に砕けるところとか、自分のお腹から腸がはみ出ているところとか、そういうところを想像しちゃんです。
そうすると、私……」
 茂美はなつきの言葉を遮るようにして、その頭を抱きしめた。
「大丈夫、大丈夫だから」
671戦火の友情:02/09/14 01:03 ID:GtYyWbyD
 暗示をかけるようにそう言った。戦場では決して悪い想像をしてはならない。それは、人間から冷静な判断力を
奪う。人を恐慌に駆り立てる。恐怖に駆られた人間は、その場から逃げることしか考えなくなる。それは、戦場の
鉄則だった。
 葉兵達が動いた。茂美は気配からそれを察知した。窺うようにしながらじりじりと距離を詰めてくる。「増援」が
なつき一人だと分かり、行動を再開したのだ。
 茂美はなつきのMP5を拾い上げた。残弾を確認し、初弾を装填する。金属と金属が擦れ合う音が茂美の耳に
響いた。
(さて、どうしてものか)
 大丈夫とは言ったものの、状況は絶望的だった。敵はいまだ分隊規模の戦力を残していた。その戦力は時間が
経つにつれ増大する。茂美の傷は深く、まともに戦える状態にはない。なつきも戦力としてはあてにならなかった。
(チャンスは一撃か)
 距離が縮まったのち、短機関銃の一連射ですべてを終わらすしかない。茂美に残された体力を考えれば、それが
限界だった。茂美はなつきの頭を撫でた。この子だけは必ず生きて帰さなければならない。改めてそう決意した。
 なつきを自分の胸から離した。まだ、少しぐずっていたが、泣き止んではいるようだった。MP5のセレクターを
操作し、射撃モードをフルオートにセットした。葉兵の気配はすぐそこまで迫っていた。茂美はなつきに微笑みかけた。
「大丈夫だからね」
 なにを言われたのか理解できなかったのか、なつきはきょとんとするだけだった。そんななつきに思わず苦笑した。
(さあ、いこうか)
 茂美は最後の力を振り絞り、敵の正面へと躍りこんだ。
672戦火の友情:02/09/14 01:03 ID:GtYyWbyD
 5.

 すべてはなつきが理解する前に決していた。
 自分の目の前から川口少佐の姿が消えたかと思うと、次の瞬間には複数の葉兵の断末魔が夜の森に木霊していた。
(一体、なにが?)
 震える体を懸命に抑え、声の方向へ身を乗り出してみると、そこにあったのは、いくつもの葉兵達と川口少佐が
横たわっている光景だった。
「川口少佐っ!」
 なつきは駆け出そうとした。しかし、その足は動かなかった。川口少佐達が横たわっている場所にただ一人、無傷の
ままそこに立つ葉兵がいた。
 葉兵は、意味の分からない罵り声をあげると、そのまま川口少佐の腹部を蹴り飛ばした。僅かに川口少佐の
体が宙に浮き、仰向けの状態で大地に叩きつけられた。肺へのダメージがあったのだろう。川口少佐は、苦しそうな
呻き声を漏らしながら、激しくその場で咳き込んだ。
(生きてるっ!)
 そう喜んだのも一瞬だった。状況が最悪であることには、なんら変わりはなかった。葉兵は、怒りにその身をまかせ、
何回も何回も川口少佐を蹴り上げた。その度に、川口少佐は激しく咳き込んだ。その吐き出すものの中に、時折、
赤いものが混じり始めていた。
(このままじゃ川口少佐が死んじゃう)
 どうにかしなければならない。だが、なつきにはなんの武器もなかった。唯一の武器であった短機関銃は、川口少佐の
近くに転がっている。弾切れである可能性も高い。あそこまで走っていて、予備弾装と取り替えている暇はなかった。
673戦火の友情:02/09/14 01:03 ID:GtYyWbyD
(なにか武器、武器になるものは……)
 その時、なつきの視界の片隅になにかが映った。刀身を真っ黒に塗りつぶされてるため、夜の闇の中でそれを見つけ
出せたことは僥倖といってよかった。それは川口少佐愛用の山刀だった。葉兵狙撃手の頭を砕いた際、そのまま
投げ捨てたものなのだが、それがなつきの現在位置から数歩とかからない場所に落ちていた。
(あれならば、川口少佐を助けられるかもしれない)
 なつきの体はいまだに震えていた。それを必死に抑えようとする。それでも震えは治まらなかった。
(仕方がない)
 なつきは意を決した。震える体をそのままに、川口少佐の山刀を手にとった。通常よりも一回りは大きいその山刀は、
信じられないほど重さがあった。体中の全ての力を使い山刀を振り上げると、なつきは奇声を発しながら葉兵めがけて
突進した。体の震えが治まったわけではないのに、不思議と足取りはしっかりしていた。なつきは一直線に葉兵の頭に
狙いを定め、渾身の力を込めて振り下ろした。怒りに我を忘れていた葉兵の反応は僅かに遅かった。頭への直撃は
避けられたものの、なつきの山刀は葉兵の肩口へと深く深く食い込んだ。肉を断ち、骨を砕く感触が山刀を通して
伝わってくる。そのまま全体重をかけて山刀を葉兵の体に捩じりこんだ。山刀の刀身がバキバキと骨を砕いていく
様子が生々しいほどによくわかった。葉兵はこの世のものとは思えない絶叫をあげ、なつきの顔を何発も殴りつけた。
または、腹を蹴り、頭突きをし、そして噛み付いた。なんとか振り払おうと、体を滅茶苦茶に振り回すが、それでも
なつきは山刀を離さなかった。銃を撃とうという発想は生まれなかった。よほど訓練した者でない限り、白兵戦闘に
おいて、人は原始の時代へと退化する。葉兵もその例に漏れず、AK−74を原始的な棍棒と同じように扱った。
銃床で何度も何度もなつきを殴る。何発目になるかわからないその打撃で、ようやくなつきは山刀から手を離した。
 しばらくは、お互いに荒い息をしたまま睨みあった。アドレナリンが大量に分泌されたせいで痛みはまったく
感じなかった。恐らく、顔中はぼこぼこに腫れ上がっているのだろうが、今はそれがまったく気にならない。葉兵の
方も、肩に食い込んだ山刀を抜こうともせず、そのままの体勢でなつきと睨みあいを続けていた。
674戦火の友情:02/09/14 01:04 ID:GtYyWbyD
 睨みあうこと暫く。やがて息が整ったのか、葉兵の目に殺意の色が浮かんできた。あくまで銃を鈍器として使用
したいのか、葉兵はAK−74の銃身を握り締め、なつきの脳天めがけて大きく振りかぶった。あれが振り下ろ
されれば死ぬんだろうな。なつきはそれを他人事のように眺めていた。諦めのようなものではない。本当の
自分がもっと他の場所にいて、ここにいる自分を遠くから眺めている。そんな感じがしていた。
 どうせ死ぬなら、その瞬間くらいはっきりこの目で見てやろう。そう思い自分に殺意を向ける葉兵の姿を
じっと見つめる。しかし、葉兵がAK−74を振り下ろす時は訪れなかった。AK−74を振り下ろそうとした
瞬間、葉兵の背中から胸にかけて、白銀の鋭利な物体が突き刺さった。それは、寸分違わず葉兵の心臓を
貫いた。葉兵は信じられないといった表情で後ろを振り返った。そこにいたのは、さっきまで地面に寝転んできた
あの女だった。心臓から血液が逆流し、葉兵の口から溢れ出した。なんでお前が動けるんだ? 薄れいく
意識の中で最後の思考を行いながら、葉兵はその場に崩れ落ちた。
 葉兵に止めを刺したのは川口少佐だった。彼女はうっすらと残る僅かな意識の中で、なつきの危機を
瞬間的に察知した。山刀とは別に装備していたサバイバルナイフを抜き放ち、体に残った僅かな体力を総動員
して葉兵の背後から襲いかかった。意識は朦朧としていても、体に叩き込まれた彼女の殺人技術が狂うことは
なかった。ナイフは寸分違わず葉兵の心臓を貫き、彼の命の炎を吹き消した。
「少佐っ!」
 なつきは川口少佐のもとへ駆け寄った。川口少佐は、葉兵に止めの一撃を刺したのち、自らもそのまま倒れ
こんだいた。先程まで感じていた離人感は、きれいさっぱり掻き消えていた。
「少佐っ! しっかりしてください、少佐!」
 なつきは川口少佐の体を抱き起こした。肩と腿を撃ち抜かれ、葉兵の蹴りを何発も食らっている。さらに、
なつきの知らないところでは、柳川から受けた傷もある。常人ならば命を落としていてもおかしくはない重傷だった。
675戦火の友情:02/09/14 01:04 ID:GtYyWbyD
 ふと、なつきの瞳から涙が流れた。それは彼女の頬を辿り、川口少佐の額へとぽつりぽつりと落ちていった。
結局、私はなにもできなかったのか? あれだけ頑張ったのに、私にはなんの報いもないのか? 一体、
私がなにをしたというのだろうか? これで川口少佐が死ぬようなことがあったら、私はこの世の全てを
恨んでやる。神も仏も、なにもかもを恨んでやる……。
 その時、なつきの頬に暖かいなにかが触れた。それは茂美の左手だった。荒れるなつきの心を宥めるように
優しくその頬を撫でていた。
「クスッ、酷い顔」
 川口少佐はそう言った。思えば本当に酷かった。顔だけでなく、体全身酷い有様だった。
 葉兵の血を浴びた野戦服はそのままだった。顔はぼこぼこに腫れ、眼鏡のレンズも片方が割れていた。
服の下は恐らく痣だらけだろう。今はまだ痛みを感じないが、明日になれば一気に疼きだすのはずだった。
「川口少佐こそ、人のことは、言えませんよ」
 涙混じりの声でそう言った。川口少佐の傷は本当に酷い。早く州都に帰還して、しっかりとした治療を
受けさせなければならない。しかし、一体どうすれば……。
 肝心の帰還方法にはまったく見当がつかなかったが、それには予期せぬところから救いの手が差し伸べられた。
「……イェーガ……リーダー……応答……」
 川口少佐の通信機が反応を示していた。よく目をこらして夜空を見上げると、2機のヘリが危険を顧みず
森林地帯の上空を飛んでいた。川口少佐の忠犬は、タイムリミットを過ぎても主人の帰りを待ち続けていたのだった。
「こちら集成旅団所属清水なつき少尉。応答、応答願います」
 なつきは救援のヘリに向けていつまでも手を振り続けた。

 <降下猟兵編 了>
676狗威 ◆inui/iEQ :02/09/14 01:10 ID:GtYyWbyD
>>655-675
以上、長々と続けてきましたが、降下猟兵編はなんとか終わらせました。
今までスレの流れを阻害し続けてきて本当に申し訳ない。
一等自営業氏の「オメガ」を読んで漠然と特殊部隊ものでも書こうかと始めたのですが、
それに「茂美のトラウマ」と「なつきの成長」の二要素をいれたら予想以上に長くなってしまいました。
次回からはもっとあさっりしたものを書きますので、平にご容赦を。
677名無しさんだよもん:02/09/14 02:12 ID:yZXbZoAd
お疲れさん。

ところで、茂美達は「降下猟兵」ってなってるけど、
これってヘリボン部隊じゃない?
前から気になっていたんだけど…
678狗威 ◆inui/iEQ :02/09/14 02:19 ID:GtYyWbyD
「降下猟兵」という部隊名を使ったのは、ただカコヨカタからです。
彼らは一般的な空挺部隊として考えてください。
空挺部隊は落下傘降下もやればヘリボーンもやるでしょう。
というか、ドイツでは今でも「降下猟兵」ではありませんでしたっけ?

679名無しさんだよもん:02/09/14 02:39 ID:KPIEElJf
なぜこのスレではてるぴ○つの部屋みたいなことをやっているんだ
680名無しさんだよもん:02/09/14 03:02 ID:AAHi0oV+
もう閉鎖したみたいだけど、どんなサイトだったの?
681鮫牙:02/09/14 03:07 ID:RVqk+i5Y
<644
SS見てください。
川口さんは基本的に太股丸出しなんですよ。
682名無しさんだよもん:02/09/14 05:05 ID:mrNIgKHT
>川口さんの格好
他所のスレで偶然見かけたが漏れの感想も
「取り敢えずズボン穿こうよ」
であった(w
683鮫牙:02/09/14 05:57 ID:GhyKFM8X
<682
俺の絵が下手なので、解り辛いすが、脚の部分をカットしたズボンを穿いてるの
デス。
684旅団長 ◆dNAtsUKI :02/09/14 21:06 ID:m105LiWx
で、そろそろ新スレ移行の準備しない?
512KBまで目前だし。
685名無しさんだよもん:02/09/14 21:18 ID:cx9XoVQ/
さて、次のタイトルはどの仮想戦記をパクろうか?
686名無しさんだよもん:02/09/14 21:26 ID:lCnKO+0L
 浩之君(17)の戦争、とか……ああそこ、石を投げるなw
687狗威 ◆inui/iEQ :02/09/14 22:11 ID:TiWFcodC
スレタイトル
葉鍵大戦記4 Raid on AIR
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「始めは処女の如くにして、敵人、戸を開き、
       後は脱兎の如くにして、敵人、拒ぐに及ばず」

                           ――孫子(「兵法」)

鍵自治州軍の奇襲により、RR装甲軍の頭脳は大きな打撃を受けた。
しかし、柳川大将は獲物を眼前に、研ぎ澄まされた牙をおさめるような人物ではない。
ハクオロを幕下に得た柳川は、第2装甲RR師団に州都攻撃を命じた。
AIRシティを巡る攻防は遂に佳境へと突入する。
葉鍵キャラ&スタッフが繰り広げる一大戦争リレー小説第四段、ここに開戦。

前スレ
葉鍵大戦記3 〜バ鍵っ子ストーム〜
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1023719697/
葉鍵大戦記2 Red Key Black Leaf
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1020/10205/1020554975.html
葉鍵大戦記
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1016/10162/1016258488.html
葉鍵陸軍
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1014/10145/1014565791.html

旅団長氏によるサポートHP「葉鍵大戦記 後方支援連隊」
http://www6.plala.or.jp/brigade/support/index.htm
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
こんなんでどないでしょ?
スレタイは一等自営業氏著「TOKYO WARS」の旧タイトル「レイド・オン・トーキョー」からパクりました。
688狗威 ◆inui/iEQ :02/09/14 22:33 ID:TiWFcodC
あっ、間違い発見。

× 第2装甲RR師団
○ 第2RR装甲師団

すみませんでした。
689名無しさんだよもん:02/09/15 13:20 ID:dRC5qch9
とりあえずage
690名無しさんだよもん:02/09/15 19:40 ID:8zCyydzc
で、もう次スレはたてちゃうの?
691名無しさんだよもん:02/09/16 00:46 ID:tPNg1N6R
あげ
692旅団長 ◆dNAtsUKI :02/09/16 17:57 ID:f88Q9My/
一応異論はないようなので、>>687-688の案で立ててきます。
693旅団長 ◆dNAtsUKI :02/09/16 18:00 ID:f88Q9My/
694名無しさんだよもん:02/09/16 18:51 ID:3PK2NZQN
で、このスレはどうしますか?
695名無しさんだよもん:02/09/16 19:47 ID:H2wwPyJ5
放置推奨
696名無しさんだよもん
放置民