……いやあ、久々の上客だな、こりゃ。こいつ、技術は無いくせにやたらと高いのを借りてくれるから
大助かりだよ。この調子でどんどん借りに来てくれればぼろ儲けだぜイエァ。
受付係の男は機嫌がよかった。何と言ってもこの雨だ、今日は商売あがったりだと思ってた所に仕事が
舞い込んで来たのだ。
「あ、こちらになります〜。どうでしょ、先月入ったばかりの最新型。お客様もきっとお気に入りになりますよ〜」
……早く決めやがれよ、のろまが。オメェの腕ならどれ乗ったって大して変わんないんだからよ。
が、その客はどこか不満げな表情を浮かべている。
「…どうかされましたか?」
「この間のは無いのかね?」
「ええ。つい先程他のお客様がご注文されまして、それでその…」
「ふざけるな! アレほど言ったのになぜ分からないんだ! あれは俺専用だって何遍も言っておろうが!」
「は、はいっ! 申し訳ありません!」
……このデブが、金持ってるんだから買い取れよ!
彼はその様子を5mほど離れた所で見つめていた。なにやら揉めているみたいだったが、構わず身辺の最終チェックを行う。
銃…OK。アタッシュケース…OK。行動フローは…頭に入っている。
――よし。準備は整った。作戦開始だ。
「あれ、社長。こんな所で何をなさってるんですか?」
彼はおもむろに声を掛けた。
「ちょ、ちょっと、なんだね君は?」
「…誰だ、貴様」
太った男は訝しげに彼を見つめる。
「やだなぁ、開発部の鈴木ですよ。この間ご一緒させて頂いたじゃないですか」
勿論男に面識など無い。さっき男が手渡した書類をちらっと覗いただけだった。
「あれ、これ社長のですか!? いやー、また奮発しましたね〜。すげぇ〜」
彼は言いながら勝手に乗船した。
「お、おい! 君! 勝手に乗らないでくれ! それにこの船は…って痛ァッ!」
「…はっはっは、そうかね、鈴木君? 君にもこの価値が分かるのか。うん、いい船だろう?」
彼の過剰ともいえる演技(東国にある島国の言葉ではヨイショとも言う)が功を奏して、男はいきなり上機嫌になった。
「ええ。このボディライン。社長もお目が高いなあ」
甲板から乗り出す。普段の彼の様子を見慣れた者にとっては不気味に思えるほどの変貌っぷりだった。
と。桟橋の入り口の方から二人の男が近づいて来た。自然そちらの方に目が行く。
――気のせい、か?
彼は右側の男を見た事があるような気がしたが、構わず続けた。
「…しかし、これだけ大きいと、馬力も凄いでしょうね」
「………おい」
「…ハッ!? あ、はい。搭載エンジンの総出力は200ps。最大船速は35ノット以上でますね」
「それはすごいですねー。さっぱり分かりませんけど」
二人組はこちらに近づいて来る。もう片方はサングラスのようなものを掛けているので表情は読み取れない。
「じゃ、ちょっとエンジンふかしてみましょうか」
いきなりスロットルを全開にした。
「君! 勝手なマネは…」
「ああ、やらせときなさい。どうせ珍しいんだろう」
「…で、これを動かすと係留ロープが切れる、と」
「おい、君ィ…!」
「ああ、大丈夫だ。アイドリング状態だからな…って、おい!! 鈴木君!」
「まずいぞ、離岸した」
「…よし、駆け足始めだッ!」
「すみませーん、ちょっとお借りしますねー。あ、社長、私の名前は鈴木では無いですよ。
あ、ついでにいうとあなたと会うのも初めてですから。それでは失礼させて頂きますよ!」
桟橋から離れるクルーザーの上、彼は満面の笑みを湛えて、唖然として見送る二人に別れを告げた。作戦成功だ――
が、しかし。
「兄ちゃぁん! ちょっと待ってくれぇよー! もう忘れちゃったのかー!?」
「おい、あいつ、お前の知りあいじゃ、なかったのかよ!?」
瞬間。
彼は右側の男の素性を認めた。
「ちょこっとヒッチハイクさせて貰った仲じゃねぇかよぉ…っと、アブねぇぞお前ら! どけ!」
突如走り出したクルーザーを、例の二人組が猛烈な勢いで追いかけてきた。
「なななな何なんだ!!? うわぁ!」
「おいっ…! あれは、俺の船なんだぞうおおお!!?」
二人組に押しのけられた不幸な彼らは、見事着水してしまった。
「ははは、悪ぃ悪ぃ!! でも海水浴も悪かねぇだろ?」
「…おい陣内っ! もう無理そうだぞ!?」
「人間やれば出来る! 行くぞ! はうあー!」
言うと、先行していた男が特大走り幅跳びを決めた。
「無茶しやがって…!」
次いで後続の男も桟橋を離れる。その勢いでサングラスが外れた。
「…な!?」
安心しきっていた操舵室の彼は、目の前の光景に唖然としていた。
「のうわぁ!?」
「痛ぇ!」
桟橋からクルーザーまで、5mはあろう海面を二人組は飛びきってしまった。
信じられないといった顔を浮かべながら彼は後部デッキの方を見た。
「…嗚呼。生きてる。生きてるよ俺ら」
「当たり前だ! ったく、もう少しマシな方法は考えられなかったのか!?」
「何を言うか。あそこで兄ちゃんの後を付ける事で俺達の出番が増すと言うもの」
「……。そこまで云うのなら俺はもう何も言わん」
うつぶせのまま生を実感する男と、あぐらをかいて呆然としている男。それを眺めながら、
彼は麦藁帽子の男と接点を持った事に激しく後悔せずにはいられなかったのだった。
>>606-617 「工作員と帽子の男 その2」
投下完了です。
…長ぇ。
なんかホントに三流スパイ小説のようだw
念のため保守
保守
621 :
情報将校:02/11/26 20:02 ID:8wKUyL4d
エルフ軍閥、ギャルゲ国よりあかほり元帥を招聘。
>>621 かつてアニメ国・ライトノベル国で大なる影響力を持つも今日ではその権力も衰え、大勢に
影響なきものと愚考する。
だが、その潜在的能力は図りかねるものがある故、くれぐれも油断無きよう。
コンシュマー領域(■エニ糞併合とか、ナムコギャルゲ参入とか)もエロゲ領域(SNOW発売日ケテーイとか)も最近はビックニュース続きだね〜(汗
オチは?
…SNOW発売延(以下検閲
保守
保守
スパイ大作戦
整備兵 − 今日はクルーザーのめんてなんす −
誰のクルーザーですか?
>>633 巡洋艦でっか?
・・・軍事板に帰ります
保守
しぇんむ〜軍はイラ・イラ戦争当時のイラク軍と同規模と言ってみるテスト。
対する鍵はもちろんホメイニ・イラン。
革命直後で王政軍隊解体、バ鍵っ子の革命防衛隊が初戦の主力。
時間をかければかけるほど、旧軍の再建が進み根本的な練度と装備の質で勝る鍵=イランが優勢になると。
そしてサダム=しぇんむにはアメリカにあたるバックアップがない(っていうか四面楚歌)
さて、どうなる下葉w
637 :
鮫牙:02/12/01 21:43 ID:2dtOXgRU
RR装甲軍(七個師団二個連隊)
内務省警察軍(総兵力不明)
警察軍航空機動隊
第3国境警備旅団
第5国境旅団
第1031警察連隊等が登場
首都管区軍(総兵力不明)
親衛隊陸軍第一軍(三個師団)
テネレッツァ軍(二個師団一個ヘリコプタ―大隊)
その他RR親衛隊5個師団
黒マルチ艦隊(原子力空母+巡洋艦5隻)
作中に登場したのだけでも東部方面軍を除いてもこれだけの戦力を保有してるんだから
イラク以上だとおもいます。
しかも下川軍には柳川、久瀬、ルミラ、中上等といった名将がまだ健在な訳で…。
3月28日 新大陸標準時 9:18
大リーフ湾 正統リーフ領海沖合15海里
「流石にその年でアクロバットはきつかったかな?」
「…お前、喧嘩売ってんのか」
「ぬははは。ま、ともかく無事だったんだ。良しとしようじゃないか…って、寒いな
オイ!?」
「そりゃそうだろ」
大リーフ湾に浮かぶクルーザーの船上に、奇妙な構図が出来ていた。
雨に打たれながら談笑を交わす、二人の男。
それを操舵室で見つめる、一人の青年。
数分後、二人組の片割れが不意に立ち上がった。
「あー、ま、アレだ。こんな所に居るのも何だし、中に入って何か温かい飲みもん
でも貰おうじゃないの」
男は十数歩ほど歩み寄り、船内へと通じるドアに手を掛けた。ノブを回し、扉を開
こうとしたその時――ドアは勝手に開いた。いや、内側から力を加えたといった方が
正しい。
そしてもちろんその正体は。
「おう、やっぱり兄ちゃんだったか。もし人間違いだったら末代までの恥だった所だ。
よかったよかった。――あ、そういや挨拶がまだだな。どうもお邪魔してます」
男は開口一番そんな事を言った。まるで緊張感が感じられない。
「……」
対称的なのは兄ちゃんと呼ばれた男だ。彼は何を話すわけでもなくそこに立って
いる。表情に変化が無いせいか、その思考は読み取れない。
「しかしあんな事してまでこのクルーザーが欲しかったのか? 謎だな、うん。きっと
どこかに売り飛ばして大金持――」
「降りて貰おうか」
言葉をさえぎり、4時間前と同じ言葉を繰り返す。
「…何だ、またか? 俺はまた降りなければならないのか!? 確かに勝手に乗り込んだの
は謝る。しかし、分かってるだろうが…敢えて言おう。ここは海の上だぞ!?」
謎のポーズをキメながら男が言った。
「……」
青年、ノーリアクション。
「おいおい、思いっきり無視じゃんか。なーにが『俺達は生死を共にした戦友だ!』だ」
「何を言う。ドライビングも命懸けだろ。ほんの些細なミスが命取りになったりならなかったり」
「んじゃお前にとって車の運転は常に死と隣りあわせなのか? 訳分からん」
そんな口論を続ける二人にお構いなく、青年は大きくため息をついてから言った。
「…もう一度言おうか?」
「だーかーらー、この広がる大海原のどこに降りろってんだよ兄ちゃ――」
言葉はそこで中断された。
青年が、拳銃を向けていたからだ。
「悪いが、降りて貰おう」
物分かりの悪い子供を諭すように、彼は言葉を繰り返す。
「……物騒だな、兄ちゃん。銃は人に向けちゃいけませんって銃器屋のおっちゃんにしつこく
言われなかっ」
ズドン。
「本気だが、何か?」
銃声が、雨音を無視して耳に刺さる。
おもむろに撃鉄を起こす。むろん威嚇の為だ。男の後ろの方へ視線を送る。もう一人への
警戒も怠らない。
「――あ、撃った。殺人は犯罪ですじょ」
しかし、相変わらず男は止めようとしない。耳元に一発撃たれたにも関わらずその口調は
変わらなかった。
「…そうか、あくまでも白を切るか。なら、構わないな」
言うや否や、彼は二発目を放った。脇腹の辺りを高速の鉛がかすめた。
「ああっ、俺の大事なコートが…。いくら兄ちゃんでも酷すぎるんじゃな」
三発目。男の足元の数センチ横に着弾した。
「下手な芝居は止めて、いい加減素性を現したらどうなんだ? エロゲ国裸足少女隊、荒川北人大尉」
彼は男を、エロゲ国裸足少女隊の荒川北人大尉と断定した。
――いくら裸足少女が弱小部隊とて、VA財団に軒を連ねている。同じ財団の恩恵を受けて
いる鍵自治州中央情報局がそこに所属する主要人物のプロフィールを知らぬ筈が無い。麻枝誘拐事件
以来妙に政治的な訓練を課されていた彼は、男の顔を覚えていた。尤も最初に見た時は麦藁帽子を被って
いたので解からなかったのだが。
「…へ?」
男の顔面に現れる驚愕の表情がハッキリ見て取れた。
「まあ、今となってはどうでもいい事だがな。どっちにしろお前は不法入国で捕まる。
このまま下船するか、塀の内に納まるか――」
「…はははっ。冗談きついな、兄ちゃん。誰が不法入国したって?」
「・……何を言っている。お前以外に誰が居るというんだ」
とっくに正体が暴かれた筈なのに、男の口調は強まる一方だ。そこに動揺は見られない。
彼は再び銃を向けた。
男は拳銃を見るようにこちらを向いている。全く危機感の無い表情だった。が――
「だから危ないって言ってるだろ。もし弾が当たっちゃったりしたら痛いでしょう……がっ!」
突如、男は彼に近づいて来た。いや、床を蹴って飛び出してきたといった方が正しいだろうか。
「…!!」
慌てて引き金を引こうとしたその瞬間、掌の拳銃が弾けた。それが後ろにいた男に狙撃されたと
理解した時には、もう遅かった。
「…ナイス閂! よしゃあ、覚悟しとけよ兄ちゃんっ!!」
「くっ……ぐはっ!」
左フックがみぞおちに入った。あまりの衝撃に彼は呼吸を忘れた。
――だが、不意撃ちを受けたにも関わらず、脳内には男のセリフがこびり付いていた。
もし、それが事実なら。
彼は苦し紛れにカウンターを返すが、巧みにかわされてしまう。右腕が慣性の法則に従って流れていく。
「甘いぞ兄ちゃん! はうあっ!」
男は見逃さない。引き込むように右腕を引っ張られ、彼はバランスを崩した。合気術の要領だ。
がら空きになった右脇腹に軽く叩きこまれる。そこは臓器の重鎮――肝臓のある場所だ。
「…っ!」
男は右腕を掴みつつ後ろを取る。さらに足を掛けて、彼を前倒しにしようとした。
が、彼も防戦一辺倒に甘んじる訳にはいかない。
「ふっ」
「いでっ!」
余っている左腕でエルボーをかます。男の胸板に肘が命中した。
「むむ、なかなかやるじゃないの兄ちゃん」
彼は右腕を掴んでいる男の手を無理矢理引き剥がし、一旦距離をとった。
男の息つく暇も無い攻撃に、彼は圧倒されていた。しかも相手は一人ではない。もう一人の方を
横目で見る。
しかし男は彼の視線に気付くと――あろうことか銃を投げ捨ててしまった。
「なっ…?」
「ああ、心配するな。何にもしないから好きなだけやってくれ。俺は知らん」
両手を挙げる。随分投げやりな態度だ。
当たり前だが、それで安全だという保障は無い。他の武器を隠し持っている事も十分考え
られたが――あえてその可能性を無視する事にした。
「……さて、よく頑張ったと言いたいところだが、この一撃でおしまいだっ!」
言うなり目の前の男はいきなり迫ってきた。
こいつは突っ込んでくる事しか出来んのか?
「はうあっ!」
謎の奇声と共に右ストレートを繰り出してくる。全体重を載せた一撃だ。
「ふっ!」
もちろん、同じ攻撃を二度喰らうほど彼はマヌケではない。左に重心を移すと、ミドルキックの
体勢をとった。タイミングを合わせ、足を上げる。
恐ろしく正確な蹴り。右足がガードの薄い腹部に吸い込まれる――彼は勝利を確信した。
と。
男は信じられないほどの素早さで、離陸した。
「とうわぁっ!」
縦横に回転しつつ、飛びかかる。回し蹴りのような背面体当たりのような、ともかくそんな格好で
男は襲いかかって来たのだ。
これには彼も面食らった。型もクソも無いムチャクチャな体勢で跳びかかってきたのだから。
「ぐむぁっ」
もはや体のどの部分か分からない箇所が彼の顔面を直撃する。そのまま男がのしかかる形で二人は崩れた。
「…ん」
「お、気が付いた。おーい兄ちゃーん。大丈夫か?」
頭上から声がする。目を開けようと試みるも、照明が邪魔でうまくいかなかった。
「…陣内さんよ、そんなことしたら普通は眩しいと思うぞ?」
「む、夜明ちんもそう思うか。俺もちょうど思ったところだ」
不意に照明が無くなり、次いでテーブルに物を置いた音がした。懐中電灯でも照ら
していたのだろうか。
今度こそまぶたを開くと、そこには天井があった。雨音が静かだという事は、自分は
どうやら室内に運ばれたらしい。
テーブルの目覚し時計で時間を確認する。さっきまでは無かったような気がするが、
多分気のせいだ。
体の調子を確かめる。……内臓や骨に異常はなさそうだった。所々痛みが走るが、
恐らくは打撲だろう。
「――抵抗しないのか、兄ちゃん。自分を吹っ飛ばした相手が目の前にいるんだぞ」
さっきの男――いや、正体は分かっている。そいつが素っ頓狂なことを訊ねてきた。
「どうせ俺を殺そうとは微塵にも思ってないんだろう? 元葉鍵国国防軍中佐、陣内ちから」
「……あれ、さっきは荒川北人って言ってなかったか?」
男――陣内は腕を組みながら、笑った。いつもと変わらぬ表情を浮かべながら。
「…ふっ、ははっ」
彼も男につられて笑みをこぼす。まるで先程のやりとりが嘘のようだった。
「で、そっちに居るのは元『8×8』の閂夜明少佐だろう?」
「…ああ、バレちゃ仕方ないな」
やはり口元を歪ませながら、男――閂は頷く。
「元RR装甲軍少佐、閂夜明だ。勝手に乗り込んですまなかったな」
軽く会釈をすると、握手を求めてきた。少し間を置いたが素直に応じることにした。
どうやら、彼らは自分に対してて敵愾心を持っているわけではないらしい。殺そうとすれば
チャンスはいくらでもあった筈だ。――ここで一旦泳がせておくという可能性も否定できないが、
そうした所で何が困るというわけでもあるまい。
「巳間良祐。鍵自治州鍵っ子義勇軍に所属している。元8×8なら言わなくても解かるだろうがな」
身分を明かした。この男に嘘を吐いたところで、所詮は無意味だ。
「そんなことまで知ってるのか、兄ちゃん」
「現在の葉鍵国公式資料に載っていない、通称8×8大隊。今となっては名前を知るものすらごく少数。
解かっているのはこれくらいだ」
正式名称を第10RR装甲師団第8連隊第8大隊と呼ぶその部隊は、一言で云うと『謎の部隊』という表現が似つかわしい。
しぇんむ〜に能力を認められなかった――ただそれだけ理由で、彼らは反下川派粛清計画の手始めとして選別された。
粛清はあくまでも軍内部で――あくまでもさりげなく――行う予定だった。
ところが、その計画は思わぬ形となって葉鍵国全土へと飛び火してしまう。いわゆる2.14事件である。秘密裏に
あった粛清リストが公にされると、それに名前の載っている将校らはすぐさま地下に潜伏。名簿の最上位にあった
高橋現総帥に至ってはRR菌開発研究施設を破壊するという置き土産まで残している。
リストが明るみに出てしまった原因の一つに8×8、陣内、原田らの名前が浮かんだ時には、彼らはすでに雲散霧消
と化していた(加えて中尾も一枚噛んでいたらしいが、彼は巧妙に立ち回ったので無事だった)。しぇんむ〜は
この『反逆』に怒り狂うと同時に、彼らの手の長さに思わず感心せずにはいられなかったという。
8×8がこの事件にどう絡んでいたのか。そもそも部隊の誰が関わっていたのか。彼らの異常に広い行動半径は
どの程度の規模だったのか。どうやって粛清計画の全貌を掴んだのか。その全てが現在に至るまで解明されていない。
聞きたい事は色々あったが、彼らの表情を見る限り何も教えてくれはしないのだろう。2.14事件はひとまず置いとい
て、もう一つの疑問を尋ねる事にした。
「あんたらは何でココにいるんだ?」
「ハートチップルハント……てのは世を忍ぶ仮の姿だぞ。あーもう、んな目で見るなよ閂。ちゃんと話すからさ。――あぁ
いやな、簡単に言うと下葉にヤボ用があるんだよ。詳しくは言えんが、まー兄ちゃんと似たり寄ったりな目的だろうな」
「俺と…?」
「兄ちゃんも下葉まで行くんだろ? ほれ」
陣内はトランクを取り出した。すでに開錠した後で、衣類やら何やらが無造作に置かれている。
「変装コンセプトは『圧政に苦しみながら奮闘する会社員』ってところか?」
どうやら、さっき気絶している間に見られてしまったらしい。
もう、何が起こっても驚く気になれなかった。
「……ああ、そうだ。俺はこれから任務で下葉に行く。内容は言わなくても予想がつくだろう?」
「麻枝元帥を救ったMOON.が動くくらいだからな。深くは聞かないさ」
「そう言って貰えれば、こちらとしても嬉しい」
閂の言葉を聞いて、ひとまず胸を撫で下ろす。
いくら結果を重視する鍵っ子義勇軍と言えど、これまでの出来事を包み隠さず報告すれば自分はただではすまない
だろう。これ以上軍務規定違反は犯したくなかった。
「で、下葉にはどうやって上陸するんだ? 兄ちゃん」
「ああ、それなんだが」
一枚の海図を取り出す。まるでそれが全能の神から授かった礼状であるかの如く、そっとテーブルに広げた。
「具体的にはこうするつもりだ――」
>>638-645 「工作員と帽子の男 その3」
投下完了です。
>>636 そこへイスラエル空き地の町が…いえ、何でもないですw
>>637鮫牙氏
凄まじいラインナップですな。こりゃ下葉勝っちゃいそう。
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保守
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>646
陣内は閂より原田じゃないか?
でもいいか(藁)これで軍事顧問は永久に復活できなだろうから。
653 :
鮫牙:02/12/02 22:19 ID:Z/Wu49hw
親衛隊陸軍第一軍(ルミラ中将)を書く為にリーフファイト97をやっています。
654 :
412:02/12/03 11:49 ID:Bc6CaAot
すいません。ただいま家のPCがぶっ壊れてて、マンガ喫茶から書き込んでます。
今週中には復旧すると思いますんで、責任取るのは少し待っていただければ幸いです。
>>654 奇遇ですね、私のも逝きました(笑
まぁ私の場合はマザボのネット関係部分だけのようですが、簡単に繋ぐ環境に行け無い
(ネットカフェは予算の都合上激しく不可能:笑)ので、まぁ似たようなものです(笑
近場の図書館などのpcは、FDのスロットルが潰されているので物理的にダメですし(笑
だから、マターリと逝きましょうね(笑
657 :
萌芽 1:02/12/03 21:21 ID:1JjUuAk7
3月28日0830時
ものみの丘
鍵自治州の軍事組織の総体は、一般に『鍵自治州総軍』と呼称される。公称兵員数は18万人を数えるが、
これは完全充足したときの数値で、予備役兵全てが動員完了した時にこの数値となる。
このうち、戦略打撃を主任務とする部隊を『鍵っ子義勇軍』と呼称する。公称兵員数6万。
これらの部隊は定められた作戦担当地域は持たず、敵脅威度の高い地域に遊撃的に投入される。
鍵自治州総軍の精鋭は全てこの鍵っ子義勇軍に集中されていると言っても過言ではない。
空き地の町まで遠征した集成師団やAIR航空隊もここの所属となる。司令官は折戸伸治大将。
またこれとは別に、国土防衛を主任務とする部隊もあり、これを『鍵自治州軍』と呼称する。
公称兵員数12万。これに属する各部隊は各々の作戦担当地域が定められており、
通常はその地域内で外敵から防衛や月姫ゲリラの鎮圧を担当する。
また、徴兵や新兵教育も基本的にはここの担当となる。自治州軍司令官は現在折戸大将が兼任。
そして今日、鍵自治州軍に3つめの『軍』が誕生した。正葉―鍵同盟への兵力提供を名目として創設された
『東方派遣軍』である。司令官は――技術開発本部長から異動したみらくる☆みきぽん中将。
作戦担当区域は葉鍵中央回廊東側及び逢魔ヶ辻といった鍵自治州辺境領――そして、そこに接する外国領全域。
麻枝元帥の執務室で、みきぽん中将は麻枝の事情説明を受けていた。傍らには涼元大将が、
書類を手に控えている。
「一応、東方派遣軍は『正葉との共同作戦用の部隊』を名目にしている。
だから、近く発生するだろう正葉の第二段作戦に、高橋総帥は東方派遣軍の参戦を要請してくる見込みだ」
「それは、確かなのでしゅか?」
「まず間違いないと思っていいです」
涼元が書類に目を落としながら口を挟む。
「正葉はTYPE-MOONの戦力を国家戦略の前提にしています。そしてあなたの下には、
Airシティで月厨どもに媚びを売りまくったあの売国奴がいる。
TYPE-MOONとの関係を大事にしたい高橋総帥にしてみれば、
東方派遣軍を参戦させるだけで奈須や武内の心証を良くできるんです。間違いなく要請してきますよ」
658 :
萌芽 2:02/12/03 21:21 ID:1JjUuAk7
「それに、正葉の実働陸上戦力の少なさも影響するだろう」
麻枝が話を引き取る。
「現状で正葉が攻勢作戦に投入できるのは名目2個旅団と1個大隊。
実質戦力は色々とプラマイがあるが2個師団程度と中央情報局は見積もっている。
これは、国内の治安維持を新設部隊で補い、北部国境の対エロゲ国用戦力を最大限転用するという、
もっとも極端な動員を行った場合の数字だ。
この戦力では、下葉に対する攻勢作戦を維持するのは難しい。リアルリアリティ・ナ・オーヤまでなら何とかなるだろうが、
シモカワグラードまで突進するには心許ない」
リアルリアリティ・ナ・オーヤ――2・14事件以前の旧称はタカハシスク。
空き地の町とシモカワグラードのほぼ中間に位置する、下葉北東部の交通の要衝である。
シモカワグラードから空き地の町(の手前)まで通る下葉国鉄北東縦貫線、
そこから分岐して東葉領シンキバへと到る下葉国鉄大リーフ湾線、
そして東葉領オオサキから延びてくる東部交通営団オオサキ線が集中し、田舎町の割には大きな駅を構えている。
「それをすこしでも補うためにも、東方派遣軍の参戦を要請してくるはずだ」
「その場合、わたしはどうしゅればいいでしゅか?」
「状況にもよりますが、受け入れてください。そしてあの売国奴を前線に送って頂きたい」
涼元が酷薄な笑みを浮かべる。
「我々も奴を排除する心積もりではいますが、実際事に及んだ場合、政治的、外交的に色々と面倒ではあります。
それに比べて奴が勝手に戦死した場合、我々は何の後腐れもなく事後処理を行えます。
可能性は高くないでしょうが、下葉が奴を殺す機会を減らすこともありますまい。
それに、奴が前線にいればそれだけ、後方にいる我々も寝首を掻きやすくなる――
損な話ではありません。要請があれば快諾してください」
「その辺りの交渉は、裏葉君とも協調してやってほしい。一応、政務責任者を裏葉君、
軍務責任者をみきぽん君とするつもりだ」
「わかりました――ところで、レギオンしゃんへの監視部隊の件でしゅが」
「ああ、そうだったな――みきぽん君、どの部隊が欲しい? 出来る限り希望に添う」
659 :
萌芽 3:02/12/03 21:22 ID:1JjUuAk7
にこやかに問いかける麻枝に、みきぽんは少しためらった後にこう告げた。
「晴子しゃんに話を付けて――第1降下猟兵大隊を貸してもらえましぇんか?」
「うぅん……川口君の部隊か」
少し難しい顔になる麻枝。彼は彼で、降下猟兵を南方先端部奪還の中核部隊として使おうとしていたのだ。
だが、そんな彼に涼元が意見する。
「良いではありませんか。川口君なら、奴のやり口も肌身で実感しているし、監視役としては最適でしょう。
南方先端部奪還は今帰還中の集成師団とAIR航空隊があれば実行可能です。
それに、逢魔ヶ辻に実力・忠誠心共に確かな部隊を置くのは決して無駄ではありません」
麻枝はその言葉に迷いながら、涼元が提出した書類を手に取った。
JRレギオン少将の、新設部隊『東方旅団』への転属に関してものみの丘は、
EREL集成旅団からの幹部や部隊の引き抜きをほとんど認めていない。
将校ではこちらからのコントロールが可能と見込まれた紅茶すらいむ中佐と、
特に害にもならないと判断した副官の清水なつき少尉だけ同行を認めている。
旅団長シンパの鍵スト大佐、観鍵りっ子中佐、日雇いSS軍曹といった危険人物はことごとく転属を拒否していた。
部隊も、まったく同行を認めていない。これだけなら、わざわざ降下猟兵を派遣するまでもないようには感じる。
ただ、トヨハラからは“魔女飛行隊”を逢魔ヶ辻へ移動させると通告が届いていた。
何しろ700mの滑走路があれば作戦可能な非常識な部隊である。すでにTYPE-MOONが実効支配している、
逢魔ヶ辻北方のエロ同人国領の廃空港――あの因縁の旧補給基地の施設を押さえているとのことだった。
また、TYPE-MOONが第一独立装甲連隊を東方旅団へ戦力派遣させるのではないか、との未確認情報も届いている。さすがにこれは中央情報局でも半信半疑だったが。
これらの情報を考え合わせるなら――また、逢魔ヶ辻南方で下葉防衛部隊の増強が確認されている現状では、
降下猟兵を派遣しておくに越したことはないように思えた。
「――わかった。神尾君には私から話を付けよう。みきぽん君、他に希望の部隊は?」
660 :
萌芽 4:02/12/03 21:22 ID:1JjUuAk7
「ないでしゅ。私の護衛は、いつもどおりにまなみしゃんにやってもらいましゅから」
まなみしゃん――技術開発本部付実験小隊『同棲部隊』・皆瀬まなみ小隊長の名を挙げて、
みきぽんは答えた。
「同棲部隊か――まぁ彼女たちならいいだろう。わかった。それではさっそく逢魔ヶ辻へ飛ぶ準備をしてくれ。
頼んだぞ」
何の気なしに、麻枝は許可した。同棲部隊はみきぽんの実質的な私兵ではあるが、
それに実戦力はたかだか1個小隊に過ぎない。それに彼女は建国の元勲でも、
いたると並ぶ最古参メンバーであり、その種の警戒を要する人物ではない。
麻枝や涼元としてみれば、何の危惧も呼び起こさない事柄でしかなかった、
――後に、それがとんでもない間違いだったと気づかされるのであるが。
「――いい気なもんでしゅね」
技術開発本部へと戻る公用車に乗り込んで、小声で彼女は呟く。
「麻枝しゃん――大気論や鍵の現状に反感を持つのは、何もレギオンしゃんだけではないんでしゅよ?」
801主義者・みらくる☆みきぽん中将はつぶやきは、誰にも聞かれることはなかった。
>>657-660「萌芽」投下完了です。
なお、東方派遣軍の現時点での編成は以下のとおり。
鍵自治州総軍東方派遣軍 司令官:みらくる☆みきぽん中将
・派遣軍直轄部隊
逢魔ヶ辻独立駐留連隊 連隊長:美坂香里中佐
※大幅に定数割れ
第1降下猟兵大隊 大隊長:川口茂美少佐
※AIR航空隊通天閣騎兵隊より戦力派遣
技術開発本部付実験小隊“同棲部隊”
小隊長 皆瀬まなみ中尉
・東方旅団 旅団長:JRレギオン少将
※司令部機能のみ、隷下部隊を持たず
ただしWINTERS師団航空隊“魔女飛行隊”が同行
801主義者って一体何だー。
しかし、鍵ももうボロボロだな……。
正葉も原田がアレだし、マトモなのは東葉くらいか?
>661
ひろゆきですら恐れているあの板が参戦ですか(藁
>662
山(8)無し、落ち(0)無し、意味(1)無し、
世間で言う所の少年と少年があいs