葉鍵ファンタジー

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1名無しさんだよもん
剣と魔法、数々の魔物やダンジョンが織り成す幻想的な世界―――――ファンタジー。
我々はそんな夢のような世界をゲーム、小説、マンガ、アニメなどを通じて垣間見ることができる…

でも、もし葉鍵キャラがファンタジーの世界にいたら…
しかも、それをリレー小説にしてみようという企画があるとすれば…

あなたは、参加しますか?

関連情報は>>2-15に…

○関連スレ○
葉鍵リレー小説総合スレ:http://game.2ch.net/test/read.cgi/leaf/1007821729/
葉鍵@クリスクロス  :http://game.2ch.net/test/read.cgi/leaf/1008254445/
葉鍵サバイバル    :http://game.2ch.net/test/read.cgi/leaf/1009296019/
2名無しさんだよもん:01/12/26 20:56 ID:6MEaefDF
Q、< `ш´>Leafが誇るシナリオライターの竹紫超先生だ。一筆書いてやるからリレーの方針を教えろ。

リレーの方針は、各キャラがチームにわかれて秘宝の争奪戦。
「原作が○○だから…」という概念や束縛は一切無し。
同タイトルだから…とかのしがらみも一切無し。
だからキャラの面識は自由。もちろん組み合わせるキャラも自由。
それと、ファンタジーではキャラリストは作りません。
書き手さんが書いてみたいキャラを自由に選んで書いてください。

こちらはロワ企画じゃないので殺し合いは無し。
でも、キャラの死までは縛りません。
マターリ進行、ラヴ&ピースの方向でお願いします。
3名無しさんだよもん:01/12/26 20:56 ID:6MEaefDF
Q、自由……と、いうことはエチシーンとかも自由ってこと!?美汐たん(;´Д`)ハァハァ…

A、そっち方面もそれなりに自由です。
  もちろんお楽しみのムフフなベットシーンもアリ(w
  だけど、レイプとか触手とか明らかに見ている人が不快になるようなのは禁止ね。
4名無しさんだよもん:01/12/26 20:57 ID:6MEaefDF
Q、(´-`).。oO(この企画の目的は何ですか?)

A、ホームタウンとなる都市を中心に遺跡やダンジョンの奥深くに眠っているいくつかの秘宝を探せ!
  秘宝を狙う奴らは、金に目がくらんだトレジャーハンター、一発逆転狙いのゴロツキ、盗賊団、海賊団…
  はたまた王立騎士団、善良な一般市民、悪の魔術師、軍隊、魔族に魔物にモンスターまでもが乱入して大混戦!

  秘宝をやっとの思いで手に入れたと思ったら、横取り、ぶん取り、かすめ取り…
  秘宝を全部集めると……?
5名無しさんだよもん:01/12/26 20:57 ID:6MEaefDF
Q、(・∀・)マチノヒトハナニヲヤッテルノ?

A、鑑定士、病院、商店、宿屋、飯屋、酒場などで働いていたり、バイトをしたりしています。
  商人や旅芸人なんてのも面白いかもしれませんね。
  街の人も、動かし方によってはラブコメにもシリアスにもなりそうですから、
  こちらを動かして楽しむのもいいかもしれませんね。
6名無しさんだよもん:01/12/26 20:57 ID:6MEaefDF
Q、魔術について説明しろや(゚д゚)ゴルァ!

A、この世界において魔術師は……
  魔術師の家系の人間か、魔術学校に通える裕福な人間、
  魔術について研究できるほど魔術に興味のある人間くらいしか修得していません。
  つまり貴重なのです。

  その点、剣や刀、弓に槍などの武術が普及していました。
  また、鉄砲も少なからず普及していたようです。
7名無しさんだよもん:01/12/26 20:58 ID:6MEaefDF
Q、ちげーよ!もっと具体的に教えろっつってんだよ(゚д゚)ゴルァ!

A、ええと…まだ未決定なんですが…下に魔術一覧なんかを載せときますね。
  黒魔術士は黒魔術専門。白魔術師は白魔術専門で。
8名無しさんだよもん:01/12/26 20:58 ID:6MEaefDF
●黒魔術
主に攻撃系、殺傷能力の高い魔術。呪術や死霊術もこの部類に入る。

↑高等
★攻撃魔術
読んで字の如く、魔術で直接的なダメージを与えられる。電撃や火炎とかが出せたりする。

★召喚術
召喚した悪魔やモンスターを戦わせる。ゴーレムとかもこの部類に入る。

★死霊術
死霊や死体を自在に操る術。未熟な者がやると暴走したりもする。ゾンビとかが暴走したら違うゲームに…

★呪術
毒、石化、変身などで人を呪いで苦しめたりする。たまにこっくりさんや占いなんかもする。
↓下等
9名無しさんだよもん:01/12/26 20:59 ID:6MEaefDF
○白魔術
主に治癒、浄化などを担う術。薬学や補助魔術もこの部類に入る。

↑高等
☆治癒魔術
傷を癒したり、毒を中和したりする。死者蘇生の呪文は危険なため禁術とされている。

☆対魔術
対魔族用の攻撃魔術、浄化魔法…除霊を担う魔術。

☆補助魔術
防御結界、攻撃力増強、地場属性変換など、地味な魔術。

☆薬学
薬草、毒草、漢方薬、酒、たばこ、麻雀の知識に長けている。火薬の調合からハーブの育て方まで奥が深い。
↓下等

蘇生魔術は危険!術者が命を落とす危険性もあるので禁術です。
回復や治癒の魔術も存在しますが高等な魔術です。
10名無しさんだよもん:01/12/26 21:00 ID:6MEaefDF
Q、私は絵が専門なのっ!SSなんて書けないのっ!(`□´)くわ〜〜〜〜〜っ!

A、それなら、小説の挿し絵っぽく絵を描いてみてはいかがでしょうか?
  何もSSのみ、書き手さんのみ…という企画に縛らなくてもいいと思います。
  ファンタジー企画では描き手さんの参加も大歓迎です。
11竹紫:01/12/26 21:04 ID:kvQdEnMW
     ∧_∧   
   < `∀´>     わたしには無理だ……
    (      )      
  | ̄ ̄竹紫 ̄|       
12名無しさんだよもん:01/12/26 21:05 ID:8v/xz6lD
これは今からもっと設定煮詰めていくの?
それとも1さんの新作が速攻発表されて
話の流れで設定がドンドン追加されていくの?
13竹紫:01/12/26 21:08 ID:kvQdEnMW
     ∧_∧   
   < `∀´>     目的に問題があるような気がするな
    (      )       これだとリレーの仕方によってはあっさり終わってしまうぞ
  | ̄ ̄竹紫 ̄|       
14名無しさんだよもん:01/12/26 21:11 ID:6MEaefDF
まぁ、大方は書き手さんのセンスに任せたいと思うんですが、
これから問題が出ると思います…
モンスターの程度や、魔術について、モデルにするファンタジー物の小説、アニメ、ゲーム…
まだ始まったばかりなので、皆さん意見をバンバン言っちゃって下さい。
15名無しさんだよもん:01/12/26 21:12 ID:hErHIiTt
浩平「よし!俺は当然勇者だな」
祐一「うーむ、俺はシーフ(盗賊)がいいかな」
北川「俺はもちろん戦士だぜ!」
住井「俺は魔法使いかな、知性的だし」
浩平「おいおい、住井。お前の役はそれじゃないぞ」
祐一「北川、お前もだ」
北川・住井「へ?」
浩平「ほれ。お前の分の台本だ」
祐一「こっちは北川の分だ」
北川「町人A『ようこそ葉鍵王国へ』」
住井「町人B『今日もいい天気だなぁ』」
北川・住井「………」
浩平「適任だな」
祐一「頑張れよ」
北川・住井「なーぜーだー!!!!!(涙」

スマソ、何となく思いついたので(w
16名無しさんだよもん:01/12/26 21:13 ID:CZrk/Xwj
薬学と麻雀に何の関係が……
17竹紫:01/12/26 21:16 ID:kvQdEnMW
>>16
     ∧_∧   
   < `∀´>     わたしはこの世界のおいての麻薬と麻雀が同義語であると理解したが?
    (      )      
  | ̄ ̄竹紫 ̄|       
18名無しさんだよもん:01/12/26 21:16 ID:6MEaefDF
>>13
目的…ですか。
他の案では魔王討伐っていうのがあったんですが、
それは一つのパーティ、または戦闘系のキャラばかりの話になりそうなので除外しました。

その点、秘宝争奪戦はいくつかの流れを作っていけばそれなりに長引くと思います。

・秘宝の数
・秘宝までの経緯 遺跡を探す→モンスターとの戦闘→遺跡に入る→モンスターとの戦闘→罠との格闘
              →秘宝の発見→他パーティとの攻防→秘宝の争奪→遺跡を抜け出す→争奪→街へ(ゴール)
19名無しさんだよもん:01/12/26 21:18 ID:6MEaefDF
>>16
飾りです。
薬学があまりにもチャチだったので飾ってみました(w
20竹紫:01/12/26 21:20 ID:kvQdEnMW
>>18
     ∧_∧   
   < `∀´>     それを参考にして考えると
    (      )       一回の冒険で物語が終わりそうなのだが……
  | ̄ ̄竹紫 ̄|        キミは短編リレーで行くつもりなのかな?
21名無しさんだよもん:01/12/26 21:23 ID:6MEaefDF
>>20
いえいえ、秘宝はひとつではありません。
某龍玉も7つ集めないとダメだったでしょう?

秘宝の数は、話し合って決めましょう。
それに、秘宝の争奪だけでなく、サブイベント的なものも織り交ぜてもいいと思いますよ。
22竹紫:01/12/26 22:05 ID:nBK4M0Jp
     ∧_∧  
   < `∀´>     うむ。今企画のコンセプトはある程度理解できた
    (      )       そこで聞きたいのだが、これはリレー小説形式にするそうだが
  | ̄ ̄竹紫 ̄|        キミは肝心の書き手が集まるまで、責任を持ってこのスレを維持できるか?
                    はっきり言うが、一人でスレを維持するのは並大抵のことではないぞ
                      キミはそれが出来るのか?
23名無しさんだよもん:01/12/26 22:13 ID:6MEaefDF
>>22
大丈夫です。
気合いで維持していきます。
そして書き手募集age!
24竹紫:01/12/26 22:19 ID:nBK4M0Jp
     ∧_∧ 
   < `∀´>     ならば何も言わぬ!頑張りたまえ!
    (      )       このスレが優良スレとなることを願っているぞ!
  | ̄ ̄竹紫 ̄|        
25名無しさんだよもん:01/12/26 23:12 ID:eKZ3fNr0
だんだん竹紫がいいやつに思えるようになってきた…。
26竹紫:01/12/26 23:14 ID:nBK4M0Jp
     ∧_∧
   < `∀´>     ところで>1は書かんのか?
    (      )      
  | ̄ ̄竹紫 ̄|       
27切断してIDが変わってしまった1:01/12/26 23:21 ID:T/dmd68/
>>26
え?書きますよ。
ファンタジー好きですから(好きなだけ?)
28名無しさんだよもん:01/12/26 23:46 ID:m+tdxA9h
設定だけ考えて終わりになりそうな気がするんだが…
29 ◆Bs.FTacM :01/12/26 23:48 ID:4wavmSs1
お、遂に立てたんだね。
>1-10辺り分かりやすくまとまっててイイかな。

秘宝は遥か昔に滅びた超科学文明のアイテムというのはどうだろう?
日用品から軍事利用できそうな武器までいろいろあるとか。
で、セリオとマルチは、遺跡から発掘されたロボットという設定にするとか。
…まあ、ゴーレムにされるのが嫌なだけなんだけどね(w
30竹紫:01/12/26 23:53 ID:nBK4M0Jp
     ∧_∧
   < `∀´>     とりあえずここまで設定が固まっているのなら書き始めたほうがいいぞ
    (      )      書き手を待っているのかも知れんが、活気がないところに人は集まらんからな
  | ̄ ̄竹紫 ̄|       それに書き始めてからでも設定はいじくれるものだ
31名無しさんだよもん:01/12/26 23:58 ID:T/dmd68/
>>28
終わらせません。絶対に!

>>29
ありがとうございます。

そのあたりは書き手さんの独創性に任せます。

>>30
わかりました。
でも、いきなり始めても仕方が無いので明日から正式にスタートするのはいかがでしょうか?
32nimbus2002 ◆MANAYU6. :01/12/26 23:59 ID:mll89ZTY
LIVE A LIVEの中世編っぽいのきぼんぬ…

参考↓
あの世で俺にわび続けろオルステッドーーーーッ!!
http://piza2.2ch.net/mona/kako/1002/10025/1002546198.html

かちゅでしか見られないかな。つーか俺も書こう…
33名無しさんだよもん:01/12/26 23:59 ID:T/dmd68/
あ、日付が変わったらすぐ明日じゃん…鬱だ。

訂正。
28日にスタートでいかがでしょうか?
34名無したちの挽歌:01/12/26 23:59 ID:D0HgXEni
キョロキョロ……そして現れてみたり。

魔法設定とかは無いほうが、書きやすいと思いまする。
そして薬学と麻雀の関係やいかに。

>29
 ゴーレムでもパペットでも……と考えてるウチは非道ですか?w
 もしくは秘宝そのものとか。
35名無しさんだよもん:01/12/27 00:06 ID:NvQnkSwt
>>34
挽歌氏も参加なさるんですか?楽しみです。

この魔術設定は案なので、これより良さそうな案があればそちらへ切り替えます。
なんでもかんでも自由だと、いい加減になると思いましたので、
身勝手だとは思うのですが、魔術のほうは勝手に決めてしまいました…
すいません…
36竹紫:01/12/27 00:20 ID:QsD6awWP
>>32
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/6741/livalv88.mid

     ∧_∧   
   < `∀´>     さ、最高だーーーーー!!
    (      )       ……と、スレに関係ないことで叫んでしまった
  | ̄ ̄竹紫 ̄|        
37名無したちの挽歌:01/12/27 00:21 ID:iwDQxcGS
>>35
 リレースレから派生した、すべてのスレに一応目を通していますです。
 お気に入りのスレを探索中ー。

 自由であればあるほど書きやすく、一方で破綻しやすくもあるので、
 纏めるのも良い手でございます。
 でき得るならば、細かくしすぎない程度で。

 白黒両方またいだ者は存在し得ないのだろうかしら、とか。
 全キャラ中、1〜3人くらいは許されますかね?

 あと銃ですが、先込めの単発銃くらいでしょうか。
 保持率は……黒魔術師と、どちらが多いのでしょう。
 どうも銃>黒魔術に読めますが、かなり火薬テクノロジーの発展した
 世界なのでしょうか?
 例えば、先込めの臼砲なども存在するような。
38 ◆Bs.FTacM :01/12/27 00:25 ID:/gAHgBIo
>>9,>>34
薬学を甘く見ないで欲しいね。
火薬・毒薬・媚薬・ドーピング。いろいろ美味しい使い方があるのだよ。

魔術だけど、現象を具現化させる強いイメージさえあれば、どんな呪文でもOKってことにしない?
「舐めないでよっ」で火炎を具現化したりとか。

とりあえず、最初にやりたい・やって欲しい、登場キャラ・ダンジョン・秘宝の
アンケートでも取ってみるといいかも。

あ、あと、>1はこのスレの進行役やるみたいだからトリップつけたら?
39名無したちの挽歌:01/12/27 00:37 ID:iwDQxcGS
>>38
 甘く見てはいません……だって、薬学出ですから……。
 今はバイとかも売ってますし……。

 ……でも麻雀は、出来ないですよ?w


アンケートは必ず意見が分かれまする。
それでも行うならば、すべての意見を満足させるのは不可能であることを、
明記して行うとよろしいかと存じます。
40名無しさんだよもん:01/12/27 00:39 ID:NvQnkSwt
>>37
うー…そうですねぇ…

白黒両方修得者…いるとしたらよほど魔術の資質に長けた者か、努力家な者です。

時代はまだ剣と魔法が主流で、銃は技術がなくては扱い難く、製作コストも高いことから軽視されているようです。
個人的には銃<黒魔術で。

しかし、大砲などは戦争などで使えるため、砦や城などに備え付けられていたようです。

>>38
厨房な質問なんですが、トリップって何ですか?(w
41竹紫:01/12/27 00:43 ID:QsD6awWP
http://game.2ch.net/test/read.cgi/leaf/1007191678/l50

     ∧_∧  
   < `∀´>     名前欄に半角の#を打ち込み、その後ろに適当な文字を入れてみたまえ
    (      )       練習は上のスレでするといい
  | ̄ ̄竹紫 ̄|       
421 ◆mYCw53h6 :01/12/27 00:47 ID:NvQnkSwt
>>41
できました…
43名無したちの挽歌:01/12/27 00:54 ID:iwDQxcGS
>>40
 だいたいの目安として……

 白黒魔術習得者が1〜3人につき、火薬等テクノロジ習得者が5〜10人、
 黒魔術習得者が10〜15人、白魔術習得者が15〜20人。
 こんな感じでしょうかね?
44竹紫:01/12/27 00:55 ID:QsD6awWP
http://sakura2.room.ne.jp/~boogie/iwakiri/source/030.lzh
     ∧_∧ 
   < `∀´>     トリップの文字はこれで検索できる
    (      )       どうしても使いたい文字があるのならこれで検索してみたまえ
  | ̄ ̄竹紫 ̄|      
451 ◆mYCw53h6 :01/12/27 01:02 ID:dzJKciWc
>>43
ええと…

火薬技術を習得したかった人は火薬についてどっぷり研究し、
薬学は白魔術への通過点に過ぎないと考える人は、習得したら素通りってな感じでいいかと…

黒魔術も同様に、ネクロマンサーの道を歩む人は、他の分野には手を伸ばさず、死霊術にどっぷり…

習得者制限まではしません…
個人的には同じくらいの人数で…
46 ◆Bs.FTacM :01/12/27 01:03 ID:/gAHgBIo
>43
何か分かりにくい。
単純に、
黒魔術師:白魔術師:黒白魔術師=1:1:0.1
くらいでいいんじゃない?

銃器・火薬等のテクノロジーは、古代文明の再利用か独自発展かどっちにする?
普通に考えると後者かな?
個人的には前者にしてみるのも面白いと思ってるけど。
47名無しさんだよもん:01/12/27 01:06 ID:IKIEuemm
モンスターで鈴木土下座衛門出していい?(w
481 ◆mYCw53h6 :01/12/27 01:08 ID:dzJKciWc
>>46
古代文明・オーバーテクノロジーを発掘、研究している人物を練りこんでも面白いと思いますよ。

あと、白魔術、黒魔術のほかに、基本魔術なんてのも閃いちゃったんですが…

1リットルくらいの水が出せたり、火の粉を出せたり、大音響を発したり、光源を作ったり…初歩的な魔術…ダメ?
49 ◆akaneZrY :01/12/27 01:09 ID:SD4r6dHo
>>46
銃、火薬は古代文明の技術ってのがいいかなあ。
それ以上発展する可能性が制限できるし。
501 ◆mYCw53h6 :01/12/27 01:15 ID:dzJKciWc
火薬・製紙・印刷・羅針盤…このくらいの技術は最低限必要…ですよね?
51名無しさんだよもん:01/12/27 01:15 ID:x9vzNL2t
俺、漫画を魔法扱いで考えてた
・空間に物質を描くことによってその物質を具現化させる
って奴
こういうのってアリですかね?
52 ◆akaneZrY :01/12/27 01:15 ID:SD4r6dHo
>>48
それなら、黒魔術の「攻撃魔術」を「物理魔術」に変えてひっくるめればどう?
他種の魔術間の高等下等はなしにして。
53名無したちの挽歌:01/12/27 01:17 ID:iwDQxcGS
うーん。難しいですな。
実は、クリスクロススレなみに厳しいスレなのかもしれず。

>>45
 白黒の各ジャンルは、下等なものを習得してから上等なものへ移行するわけですか?
 薬学を知らない白魔術師は居ない、というように?

 そうすると、薬学どまりのキャラを書く人は減ると思いますが……いかがでしょう。

>>46
 葉鍵キャラ集めてSSすると、せいぜい百数十人が限界。

 その中で、どの程度の人数が魔法キャラとして存在するのか(=どの程度貴重なのか)が
 知りたかったわけです。
54名無しさんだよもん:01/12/27 01:23 ID:Nl4t+WT/
あ、ついに立てましたか・・・
正月空けたら発表しようかと思ってルールの構想を練ってたんだけど
28日スタートじゃ発表できるかちと怪しい・・・
コミケ前日スタートのリスクを犯すよりは正月3ヶ日明けの
来年4日スタートにしません?
55nimbus2002 ◆MANAYU6. :01/12/27 01:23 ID:D+gvoQaM
>>49
となると「砂ぼうず」に魔法の世界って感じ?
あと魔術体系宗教概念に沿った方が面白いかも、とかオモタ。

たとえば

日本系→神卸し
ケルト系→(…よう知らん)

とか。つーかでも神卸て何が出来るねんって言われたらそれまでか…
56竹紫:01/12/27 01:23 ID:QsD6awWP
     ∧_∧
   < `∀´>     >>45についてだが、薬学と白魔術を一括りにするのは止めたほうが良いと思うが
    (      )       世の中にはまともな文章が書けないのにシナリオライターをしている者もいるからな
  | ̄ ̄竹紫 ̄|     
571 ◆mYCw53h6 :01/12/27 01:25 ID:NvQnkSwt
>>52
高等下等をなくすと、回復貴重主義が崩壊します。
マターリ路線をまもるなら回復が多めでもいいんですが…

>>53
薬学どまりのキャラ…薬学専攻のキャラ…

いっそ、白でも黒でも関係無しに、「召喚術と対魔術専門」とか部門別にしても…とか言ってみるテスト。

まぁ、いろいろ考えてみましょう。
58nimbus2002 ◆MANAYU6. :01/12/27 01:25 ID:D+gvoQaM
つーか俺がいってることさっきから電波ぽい(鬱
とりあえず傍観してた方が安全そうです…

ゴメソ…
59 ◆Bs.FTacM :01/12/27 01:30 ID:/gAHgBIo
魔術の高等・下等区分はやらない方がいいと思う。
理由は晩歌氏と同じく、薬学キャラがあまり良い扱い受けなさそうだから(w
まあ、どうしても区分するなら薬学は魔術扱いしない方がいいかな。

ファンタジーなんだし、フィルスキャラと雀鬼キャラは必ず出すべきだと思ったり。
60名無したちの挽歌:01/12/27 01:31 ID:iwDQxcGS
>>57
 設定相談スレと化してしまう気もするので、それなりのところで見切り発車していただきたい気が
 しないでもなく。

 それでは、様子見に移行します。
 頑張って下さいまし。
61 ◆akaneZrY :01/12/27 01:31 ID:SD4r6dHo
>>57
高等下等についてですが。
黒魔術と白魔術ではカテゴリの幅が違う気がします。
すでに提示された白魔術は下等高等が必要だとは思いますが、
黒魔術に関してはそういう分類はいらない気がするのですが…。
うーん。
621 ◆mYCw53h6 :01/12/27 01:38 ID:dzJKciWc
わかりました!俺も男だ!スパッと決めるぞ!!

魔術間の高等下等は一切無し!
好きな魔術ジャンルを選ぶ形にします。

ただし、白魔術の中の治癒魔術だけは難しいジャンルで、
その中でも重傷の傷を癒せるのはエリートクラスの治癒魔術士のみ。

こんなカンジでどうですか?
63 ◆akaneZrY :01/12/27 01:40 ID:SD4r6dHo
>>62
私が言うのもアレですが、賛成です〜。
64nimbus2002 ◆MANAYU6. :01/12/27 01:47 ID:D+gvoQaM
>>62
俺も賛成です。
ていうかそれより遺跡やダンジョンをきっちり枠組みつくっておかないと延々続きそうですよ〜…

じゃ、もう一度潜ります〜…茶々入れる感じで本当ごめんなさい…
65名無しさんだよもん:01/12/27 01:53 ID:x9vzNL2t
白魔術は

高い←干渉難易度→低い
他者・自分・魔族・悪霊・物質

程度の認識でいいのでは?
66 ◆Bs.FTacM :01/12/27 01:59 ID:/gAHgBIo
>>60
設定相談スレはそれはそれで楽しいと思ったり。
つか、見切り発車しすぎると無茶苦茶になるしね。

>>62
それでいいと思う。

>>64
ダンジョンや遺跡以前に、大陸や国をどうするのかを決めないといけないかも。
大国2つとそれに挟まれる小国あたりがベストかな?
67名無しさんだよもん:01/12/27 02:01 ID:VOhQURJ8
>>65
そうなると…また組み直しになりますが(汗

>>66
大国Aは平和な国、大国Bは帝国でケテーイ!(w
681 ◆mYCw53h6 :01/12/27 02:02 ID:VOhQURJ8
トリップ付け忘れ&sage忘れスマン…
69名無しさんだよもん:01/12/27 02:06 ID:Nl4t+WT/
・魔力レベル制
魔法使用可能なキャラクターは、
魔力を消費する事で習得している好きな魔法を使用することができる。
冒険者が魔法を使用する際に消費する魔力量には3段階のレベルがあり、
同名同効果の魔法であってもレベルによってその威力は異なる。
(FFのファイア・ファイラ・ファイガのようなイメージ)
各レベルの使用回数は、およそ「9:3:1」
ただしこれは絶対ではなく、残り魔力に関しては「大体この位」で管理する。
攻撃魔法の威力は、レベル1でザコモンスター一体を一撃で倒せる程度。
レベル2で広域に効果を及ぼすなどの変化があり、
レベル3なら上級モンスターに対して有効な威力となる。
FFのクエイク・メテオのような天変地異クラスの魔法(レベル4)は
バランスを崩壊させる恐れがあるので、イベント限定にしてもなるべく使用をさける。
一部の魔法に関してはレベルに制限をかける(回復魔法はレベル3限定・・・など)

作中でキャラに魔法を使用させる場合は、どこかに必ずレベルを明記する。


と、言うわけで今まで考えてたリレー用魔法設定です。
魔法の種類や効果についてはギリギリまで書き手に任せる、という方向で考えてます。
701 ◆mYCw53h6 :01/12/27 02:18 ID:VOhQURJ8
>>69
それ、使えると思います…

あとは、キャラごとにビギナークラス、マスタークラスなどのレベル別のキャパシティを作れば完璧かと。
71名無しさんだよもん:01/12/27 02:25 ID:Nl4t+WT/
>>66
舞台は、海に面した交易都市と言うのがポピュラーながらグッドかと。

海と国境に囲まれ、古くから旅の中継基地として栄える自由交易都市「タカヤマ」
・・・でどうかw
72名無しさんだよもん:01/12/27 02:30 ID:xCMWhLJI
>>71
イメージしやすくていい感じかも(笑)
73名無しさんだよもん:01/12/27 02:37 ID:mktL6TWN
あ、面白いスレ発見………。
文明のレベルが知りたいなぁ。銃マニアな葉鍵信者(笑)としては、
30〜60秒に1発なキャノンロック(様は火縄銃)レベルなのか、
10〜20秒に1発撃てる単発ピストルが発明された頃か。もちっと先か。

まぁ、少なからず普及されてるなら、どっかの天才秋k………科学者が(汗)、
遠からずリボルバーなんて作り出しそうだけど。

と書いてたら、それらしいのが書いてあったよ(滝汗)。
では、寝る前に第2の質問。死者蘇生の秘法については、まだ詳しい詳細(笑)は無いですか?
741 ◆mYCw53h6 :01/12/27 02:41 ID:VOhQURJ8
ビギナークラス  魔力使用量が少ない魔術が使用可能
ミドルクラス   魔力使用量が中程度の魔術が使用可能
マスタークラス  魔力使用量が大きい魔術が使用可能
ビショップクラス 魔力使用量が特大の魔術が使用可能

どう?

>>73
銃に関しては縛られていないのである程度は自由だと思われます。
書き手さんのセンスにお任せです(w
治癒魔術に関して言えば、死者蘇生は術者に多大な負担がかかり、死を招く危険があるため禁術とされています。
その他の蘇生法は……未定(w
75名無しさんだよもん:01/12/27 03:05 ID:Nl4t+WT/
>>73
個人的には、(例えば)村娘でもオークの群を倒せるような武器は
ご遠慮願いたいところなんだけど・・・
火縄銃の1本位ならあってもいいかな?

>>74
ビギナー :レベル1を3〜5発程度。それ以上のレベル使用不可。
ミドル  :レベル2を3〜5発程度(レベル1を9〜15)。レベル3使用不可。
マスター :レベル3を3〜5発程度(レベル2を9〜15)。
ウィザード:レベル4を1発。それ以下は適当にw(イベントキャラ限定)。

この位具体的な方がしっくりくるかと。
761 ◆mYCw53h6 :01/12/27 03:13 ID:VOhQURJ8
>>75
具体的過ぎると設定縛りでガチガチになってしまいます。
ある程度柔軟なほうが独創性があり、物語が広がると思います。

書き手さんが書きやすい環境に整えるのが一番かと。
7775:01/12/27 03:13 ID:Nl4t+WT/
って、これだとマスタークラスはレベル1を約45発も撃てるのか!?
むぅ、調整必要か・・・。
7875:01/12/27 03:16 ID:Nl4t+WT/
>>76
確かに、「各レベルが使用可能」位の方が丁度良いかも・・・
・・・早速ボロが出たし(汗
79名無しさんだよもん:01/12/27 03:18 ID:JojjsiaS
>>76
それ言うなら69のあたりですでに……
801 ◆mYCw53h6 :01/12/27 03:20 ID:VOhQURJ8
>>79
それなら>>69の設定をも少し大まかにして、ボカシをいれてみてはどうでしょう?
8175:01/12/27 03:29 ID:Nl4t+WT/
駆出しはレベル1を3〜5発程度
上級者になるとレベル3を1〜2発程度使えるようになる。

こんな感じで下限と上限だけをゆるく決めておくのが
1番飲み込みやすいかも。
これ以上キツくすると縛りになるし、
ユルくしすぎるとルールとして用を為さなくなるから。
82名無しさんだよもん:01/12/27 03:30 ID:JojjsiaS
ぶっちゃけ、「すごい人はすごい魔法を使える」程度でいいと思うんですよ。
細かい魔法についても、体系だてて分けるんじゃなくて、1人1体系持ってるってくらいに。
情報収集系の魔法しか使えないけど大きいのを連発できたりとか(イメージ:志保)、
他の魔法が一切使えないのに何故か治療魔法使えるとか(イメージ:何故か観鈴)、
人形動かすしかできないのに命がけで一発だけ大魔法撃てるとか(誰とは言わん(w)。
ブードゥーにルーンに降神術にMADALTOにと、いろんな魔法が入り交じるような感じの方が、
作者がいろいろ動かしやすいと思いますし。

気になるのは、「全人口中、及び全参加者中のどのくらいの割合が魔法を使えるか」ってとこですか。

とまあとりあえず言いたいことだけ言ってみましたが。
83名無しさんだよもん:01/12/27 03:41 ID:Nl4t+WT/
>>82
すごい人に関してはそれでもいいと思うけど
すごくない人に関してはある程度の共通基準を設けなくちゃいけないと思う。

「レベル制」ってのはあくまで書き手同士のサインみたいな物で、
細かい体系に関しては書き手の自由でいいかと思ってますが。
84名無しさんだよもん:01/12/27 03:41 ID:mktL6TWN
(ファンタジーだし)銃は単発式の物のみ。という設定で宜しいでしょうか?
(単発式ならOK、とも言う)

ブードゥーにルーンかぁ……個人的には、マントラに符術歓g………ゴホゴホ。
マニアで済みません。とりあえず、回線切って寝ます。

>>82
>>6に「魔術師は貴重」と書いてあったので、日本で
「東大、慶応、早稲田(以下略)」に入学したことのある人。ぐらいの割合と自分は認識。
あくまで、全人口中ですが。全参加者になれば、もっと割合は上がると思ってます。
851 ◆mYCw53h6 :01/12/27 03:48 ID:dzJKciWc
これ以上細かい設定は、物語が進めば自然に構築されていくと思います。
書き手さんは、細かい設定はとりあえず置いといて(w
まず書きたいものを書いてください。

例えば、あかりを死霊術士にして書きたい場合、

【あかり、死霊術士、ランク・ビギナー】

とか機械的に書かずに、

「待ってよぉ、浩之ちゃん」
「……あのなぁ、俺は遊びに行くわけじゃねぇんだよ!だいたいお前は何ができるんだ?」
「えっと、私…死霊術士になってまだ半年なんだけど…」
「は、半年!?……で?何ができるんだ?」
「フライドチキンの骨を動かすくらいならできるよ?」
「…………」

こんなカンジで物語りにさりげなく混ぜ込むくらいでいいと思います。

みなさんはこれでOKですか?
86名無しさんだよもん:01/12/27 03:56 ID:JojjsiaS
>>85
いいんじゃないっすか。まあ1、2日くらいは意見募集した方がいいとは思いますけど。


個人的には、みさき先輩を言霊使い、澪をルーン使いにしてみたいんだよなぁ(w
87 ◆akaneZrY :01/12/27 04:05 ID:SD4r6dHo
>個人的には、みさき先輩を言霊使い、澪をルーン使いにしてみたいんだよなぁ(w

いいなあ、それ(w
でも、28日スタートではなかったっけ?
88名無しさんだよもん:01/12/27 04:09 ID:lkFw4epk
マジシャン大量発生のヨカーン。戦士系少なくならないか?

…いや、それでいいのか。モーニングスターぶん回す長森とかクレイモア持って暴れ回る名雪とかヤだしな(w
891 ◆mYCw53h6 :01/12/27 04:15 ID:dzJKciWc
28日スタートと言ってしまったが、この日はコミケ前なんだよなぁ(自分は逝かないけど…)
ものすごく書き手さんに優しくない企画だと悟った(w

スケジュールが厳しいなら>>54の設定に従うという手もあるけど…
90名無しさんだよもん:01/12/27 04:32 ID:JojjsiaS
>>88
みさき先輩は盲目の武闘家でもいいんですけど。気でなんでもわかっちゃうよ。でもらっきょはダメなんだよ。

ていうか、魔法ありなら気功やら必殺技やらもありでいいんでしょうか?
住井に地球剣愛国富士山落としを使わせてよいのでしょうか?(w
91名無しさんだよもん:01/12/27 04:46 ID:9Ynl4D+f
なぜだ!? なぜこのスレが荒れないんだ!? ( ̄▽ ̄
92名無しさんだよもん:01/12/27 04:53 ID:7B/cxZLq
>>90
似非ファンタジー萎え、ライトノベル板にでも逝ってろ。
とアラして見るテスト。
93名無しさんだよもん:01/12/27 05:04 ID:TugCFrTG
>>92

似非ファンタジー―>リアルファンタジー―>リアルリアリティー
と連想してみる独り言
94名無しさんだよもん:01/12/27 05:05 ID:3hNyNo0X
>>92
似非の方がいいだろ
中世のトイレ事情だとか食事作法まで真剣に考察されると萎える
どうせなら時空魔法、青魔法、赤魔法、陰陽術、密教、修験道、算術士、も居れちまえ
95名無しさんだよもん:01/12/27 05:11 ID:8h0EQQkh
ナギーに月落とさせたいので天動説世界は困る
96名無しさんだよもん:01/12/27 05:57 ID:JojjsiaS
>>94
中途半端にFFTだなおい(w
971 ◆mYCw53h6 :01/12/27 06:15 ID:VOhQURJ8
術の種類については縛る必要は無いかもしれません。
色々な術があってもいいと思います。まぁ、その辺は書き手さんの独創性に委ねます。
初っ端からあまりにも強力な術や、ズルい術、いくらなんでもそりゃないよってな術はヤバいと思いますが。

てか、いつまで起きてるんだ俺(w
98名無しさんだよもん:01/12/27 06:56 ID:ClxZf4/P
漏れの脳内ではすでに佐祐理さんはマトリフ師匠並の大魔導師です..(w
99名無しさんだよもん:01/12/27 07:26 ID:Ufz4ef6Y
>>94
やっぱり茜は白魔導師なのだろうか…
100名無しさんだよもん:01/12/27 07:32 ID:qI8BHrvg
漏れの脳内ではすでに秋子さんんはホ・ラガ並の危険人物です..(w
101名無したちの挽歌:01/12/27 08:11 ID:oQupazhH
おはようございます。

昨晩の書き込みを読んでいただければ、お分かりでしょうけれども、
挽歌としては、>>82の意見に対して、しなやかに同意でございます。
すごくない人は、すごくない魔法がすごくない程度に使えるぐらいでw

知りたいのはやはり、登場葉鍵キャラ中の比率ですね。
レス内にも魔法使い大行進を危惧する声があるように、ガイドラインは
必要だと思います。
異文明キャラ(和風・中華風・その他異民族)の比率も決めると、更に
よろしいかと。

そういう意味で、一案上げたのが>>43ですが、「同数くらいで」という
ご返答があったので、白黒両方が1〜3人、黒10人、白10人、銃10人
異民族異文明10人ぐらいでしょうか?
葉鍵キャラは100人ちょいですので、これ以上だと、貴重という感じには
ならないでしょうし。
102名無したちの挽歌:01/12/27 08:12 ID:oQupazhH
それと>>85ですが、リレー的には最後に【カッコ】で纏めておいた方が
親切だと思いまする。

もちろん、文章中に織り込みつつ紹介した話の最後で。
装備等も纏めると、更にリレーしやすくなります。
103 ◆Bs.FTacM :01/12/27 09:52 ID:fNQg9v49
>101
葉鍵キャラは名前があるキャラだけで150人くらいはいたような。
ところで、ゲーム本編での人間関係は大体反映するってことでいいの?

戦士系キャラ候補でも考えてみたり。
ティリア・アレイ・耕一・柳川・浩之
浩平・住井・七瀬・みさき(心眼)・祐一・名雪・香里・北川etc

武道家系キャラ候補
綾香・葵・坂下

雫の電波使いとMOON.の不可視の力使いは魔術師系にするといいかも。
104あまとう ◆akaneZrY :01/12/27 12:01 ID:HrJKsuiG
識字率や筆記媒体の普及率はどうしよう?
澪の意思伝達能力にかかわるのですが(w
羊皮紙って大量生産できないからそうそう手に入ることはないだろうし。
思い切って紙が普及してることにします?
んで、一般の人はみんな読み書きできる程度。

あと、心眼みさきはアリなんでしょうか?(w
私はライトノベルでなく中世ヨーローッパを想像してました。
うーん。まあ、アリかなぁ。心眼も魅力だ(w
105 ◆akaneZrY :01/12/27 12:20 ID:HrJKsuiG
コテで書いてしまった……。

物語スタートに関してですが、あんまり間置くとクリスクロスのようになりそう(汗
こういう盛り上がってるときにすぐ始める勢いも大事なのではないかと思います。

私は28日スタートでもいいという一意見でした。
106名無しさんだよもん:01/12/27 12:32 ID:+8JsDH4B
おまえモナー
107名無しさんだよもん:01/12/27 14:36 ID:vIUJgUX9
 最萌え参戦だけで女128人男32人、人数オーバーで蹴られてるのが何人
かいるし、書き始めて数ヶ月でうたわれるものとクラナドが出る。全部あわせ
れば200に届くか届かないかになると思われ>葉鍵キャラ

 それはさておき、
>銃
 はやっぱ種子島レベルですかね。単発式銃っても意外に時代が長くて種類も
性能も違ってくるので、適当な統一基準が必要かと。

 ライトノベルにしちゃうと、強さのインフレが起こる気がしますな。竜殺し
の綾香とか……まぁそれはそれで萌えだけど(w
1081 ◆mYCw53h6 :01/12/27 14:52 ID:eE58QozS
銃はそれなりに連発が利いてもいいと思います。
それと、魔術は自分が作った案のみでなく、みなさんが思いついた魔術を使ってください。

魔術の案は、いきなりSSで書いて発表せずに「こんな魔術はどう?」ってなカンジで提案してから書いてください。
俺もいくつか思いついたので…

補助魔術と対魔術…統合してもいいと思うんですがどうでしょう?

それと、自然術という魔術を考えてみた…
自然術とは樹や石、水、砂や火に宿る力を引き出し、利用する術。
利用できる自然物の量は、術者の力量に比例する。

例:樹の枝を鳥にして相手にぶつける。石の盾で攻撃を防ぐ

長所:森林や砂浜などの自然物が多い場所での戦闘が有利。
短所:鉄、鉛などでできた部屋では利用できる自然物はなく、無力。
109名無しさんだよもん:01/12/27 14:54 ID:TRbQHuIu
すでにコテハンばっかりでばってる時点でこの企画失敗だよなー
110 ◆akaneZrY :01/12/27 15:01 ID:HrJKsuiG
銃ですが。
全体の武器や魔術のバランスを崩してしまいかねません。
銃の怖いところは「誰にでも扱える」という一点だと思います。
ということは、裏を返せば「銃を扱える人を制限する」のことでいいのではないかと。
銃の性能自体は二の次だと思います。

>>108
魔術はいきなりSSで発表してはだめなのですか?
いろいろ主張しといて何ですけど、そこまでの規制をかけるとやりづらいのですが…。
すでに設定過剰な雰囲気もしますし。
それとも何かお考えがあるのですか?
111名無しさんだよもん:01/12/27 15:07 ID:HrJKsuiG
>>109
トリップ付けは書き手の意思表示にすぎないかと。
物語が始まれば人も集まってくるでしょう。
……だから勢いあるうちに始めてもらいたい…。
112名無しさんだよもん:01/12/27 15:12 ID:/DyT5HEn
一人一異能くらいが収集つかなくならなくていいんじゃないでしょうか。
ハカロワでいうところの支給武器みたいに。
というかジョジョのスタンドみたいな。
いきなり用語が多いと参加しにくいよぅ。
113名無しさんだよもん:01/12/27 15:14 ID:vIUJgUX9
 なら、火薬が極端に貴重な代物にすればいいんじゃないか>銃を扱える人を制限
 黒色火薬を硫黄が豊富に取れる火山帯には火竜が住み着いていて、命懸けでないと採取できないとか。
 だから軍の銃士隊や貴族、富豪といった階級層しか所有できないと言う方向で……

 まぁ実際問題として、仮に誰でも扱えるとしても、例えばマッチロック・ガン(火縄銃)なら数が揃わないとあまり役に立たないのだけどね。
114名無しさんだよもん:01/12/27 15:18 ID:TRbQHuIu
こんなクソかったるい設定、新規書き手が読むとは思えない
ハカロワの時だって、過去ログすら読まない奴の嵐だったじゃん
削れ削れ
115 ◆akaneZrY :01/12/27 15:19 ID:HrJKsuiG
>>113
なるほど。
それなら納得いきますね。

>>112
うーん。みんなすごい実力というのも惹かれるものがある…。
でもまあ、異能がいたり弱っちい人間がいたりいろんな人がいるのがいいな。
116名無しさんだよもん:01/12/27 15:24 ID:vIUJgUX9
>黒色火薬を硫黄が豊富に取れる火山帯には火竜が住み着いていて、
 いかん、我ながら意味不明だ(w
 黒色火薬精製に必要な硫黄が豊富に取れる火山帯には、だな。

 まぁ、あまり細かな設定作っても某ガープスみたいに使いにくい代物になるのは確かだろうな。
 そこらへんはファジーな部分を多く遺しておくほうがいいのかも。
 ところで、設定まとめといたり過去ログ放り込むサイトは誰か、立ち上げるの?
117名無しさんだよもん:01/12/27 15:29 ID:HrJKsuiG
んと、1さんは魔術の詳細まで決めようとしてるけど、
個人的には大まかな分類(このスレの最初のほうで出たやつ)で良いと思うのですが。
あと、治癒術は難易度高く。てな具合。
118名無しさんだよもん:01/12/27 15:36 ID:/DyT5HEn
>>115
異能って書いたからちょっと誤解を生じたかも。
キャラのプロフィールを書いたときに、
一行で説明できるような能力(特技)を初期状態で一人一つなにか持ってると言い換えてみる。

実力の強弱なんてのは、個々人の能力の使い方次第でどうにでもなるということで。
例えば秋子さんはものすごく強そうですが、
実は「察しがいい」だけの能力持ちかもしれませんw
なんだこりゃな能力を、危地において効果的に使うとかっこいい気がする。
119 ◆akaneZrY :01/12/27 15:39 ID:HrJKsuiG
>>118
あ、はい。なるほど。
勘違いしたようです。

なかなかいいですね、それ。
後から参加する書き手にもわかりやすそう。
1201 ◆mYCw53h6 :01/12/27 15:40 ID:IGnv6Lvh
>>110
書き手さん達が「いきなり発表したい」と言うなら自分は身を引きますが、
いきなり強力で無敵っぽい魔術(この場合は薬学士などのおおまかな分類を指します)なんかが出たら…

>>117
説明不足ですいません、>>108で言ってた自然術はおおまかな分類についての案です…
もちろん細かい魔術(召喚術のなかの一つの魔術など)については自由です。

能力者に付いてはエルフ・ハーフエルフにすれば(w
121 ◆akaneZrY :01/12/27 15:46 ID:HrJKsuiG
>>120
んー。
強力で無敵な魔術禁止とルールで規定するのはだめですか?
122 ◆QNDb2..6 :01/12/27 15:56 ID:/DyT5HEn
名無しでしゃべりつづけというのもどうかと思ったのでトリップつき。
ええと、ファンタジーするに際して、違和感があるところが一つ。
キャラ名が現代日本です……。

違和感なくすために、
「葉鍵キャラがファンタジー世界に放りこまれた」(ありがち
という設定を推奨してみる。
ファンタジー世界に放り込まれたとき(or修業で)
各人の能力(魔法とか異能とか)が発現したということにすれば、
いきあたりばったりで能力使えてわかりやすい。

でも、どうも>>1の目指してる方向と逆な気がしてきた……。
123 ◆akaneZrY :01/12/27 15:58 ID:HrJKsuiG
なんか強引に納得させようとしているみたいですみません。
書き手のやる気にかかわる問題かと思ったもので。
124名無しさんだよもん:01/12/27 16:01 ID:vIUJgUX9
>>122
>ええと、ファンタジーするに際して、違和感があるところが一つ。
>キャラ名が現代日本です……。
 それは無分別な白人礼賛主義だ、謝罪と補償を(以下略)

 まぁマジな話、そこらへんの違和感は乗り越えるしかないのでは。
 放り込まれたとすると、100人を超える葉鍵キャラ全員の立脚点が同じ線上(右も左もわからない異邦人)になってしまって話が平坦になるし、それ以前に大量にオリジナルキャラを作らないと世界が構築できなくなる。
 オリジナルキャラは、誰も書きたくないと思うのだけど、どうだろう?
125 ◆QNDb2..6 :01/12/27 16:03 ID:/DyT5HEn
>>124
そうか、オリジナルキャラ出ちゃいますね。
今の発言は撤回します。申し訳ない
126 ◆akaneZrY :01/12/27 16:05 ID:HrJKsuiG
>>122
すみませんが、その新しい案には反対です。
ええと、まあ>>124さんのような理由で。
せっかくファンタジー世界という礎があるのだから、
そこでの日常を過ごしている葉鍵キャラが見たいです。

日本名でもいいじゃん、というのが正直なところ。
127 ◆akaneZrY :01/12/27 16:06 ID:HrJKsuiG
>>125
あ、レス遅れました。
撤回されたんですね。すみません。
128 ◆Bs.FTacM :01/12/27 16:10 ID:VPZkGn+i
>>122
名前のカタカナ表記はどうかな?
藤田浩之→フジタ・ヒロユキ
みたいに。
…別の意味で違和感があるか(w

魔術・技術は後からでも変更しやすそうだからこれくらいにして、
舞台についても話し合わない?
俺は、帝国・共和国・小国の三国が隣接してるとか面白いかなと思うんだけど。
小国に古代遺跡がたくさんあって、帝国・共和国が国を挙げてトレジャーハントに押し寄せてきて…とか。
129名無しさんだよもん:01/12/27 16:12 ID:vIUJgUX9
 んで、世界観構築の話ついでに。
 社会制度、というか国家はどうするので?
 やはりあらかじめ作っておくのか、作家さんの作品に委ねるのか。
 28日開始とするなら、ここらへんも決めておかないと。

 ちなみに、魔術に関しては個人的に>>121での意見に賛成。
 なるべくルールは緩くしたい……参加の門戸は大きく、かつ曖昧に開けておいた方がいいだろうし、がいしゅつだけど、そもそも過去ログやルール見ない人は多いだろうし。
130名無しさんだよもん:01/12/27 16:18 ID:vIUJgUX9
被った(w
まぁ主要な舞台は共和国と帝国として、それ以外の小国・部族・地域は作家さんのフリーハンドに委ねる部分が大きくても良いと思う。
作中の財閥で分けて見るのも面白いかも。
柏木家の治める帝国、来栖川の治める共和国、高倉家の治める小国みたいな感じで……そういや、鍵系って意外に飛びぬけた資産家のお嬢さまって見ないね。
131名無しさんだよもん:01/12/27 16:19 ID:HrJKsuiG
>>130
佐祐理さんがそこそこ?(w
132名無しさんだよもん:01/12/27 16:22 ID:vIUJgUX9
……うーむ、都市国家の議長令嬢ってところかな?(w>佐祐理さん
あとは皆庶民的……人外含有率は高いのだけどねぇ(笑
133 ◆akaneZrY :01/12/27 16:42 ID:HrJKsuiG
>帝国・共和国・小国の三国が隣接してるとか面白いかなと思うんだけど。
>小国に古代遺跡がたくさんあって、帝国・共和国が国を挙げてトレジャーハントに押し寄せてきて…とか。
がなかなかわかりやすくていいですね。
その古代遺跡に秘宝が隠されていて、それが目的に冒険すると。

>小国・部族・地域は作家さんのフリーハンドに委ねる部分が大きくても良いと思う。
これにも賛成。
134 ◆Bs.FTacM :01/12/27 16:57 ID:VPZkGn+i
大まかな国別キャラ分けとして、こんなの考えてみたり。

エルクゥ帝国(雀鬼・フィルスノーン・雫・痕の初期Leafキャラ中心)
クルス共和国(東鳩以降のLeafキャラ中心)

それと小国で、
独立宗団国家FARGO(MOON.とONEキャラ中心)
キー国(Kanon・AIR・CLANNADキャラ中心)
135名無しさんだよもん:01/12/27 17:00 ID:ZwS173F/
キャラをダンジョンの主とかにするのはOKですか?
微妙にネタを思いついたので。
136 ◆akaneZrY :01/12/27 17:05 ID:HrJKsuiG
>>134
作品で国を分けるのはまずいのでは……?
と、思うんだけど私は国に関してはいい案がないです…。
1371 ◆mYCw53h6 :01/12/27 17:11 ID:IGnv6Lvh
(´-`).。oO(>>4の物語の中心となる都市は一つという設定は何処へ?)

いや、書き手さんがやりたいならいいですけど(w
138 ◆Bs.FTacM :01/12/27 17:14 ID:VPZkGn+i
>135
それ面白いかも。
ダンジョンの最深部でパーティを待ち構えるルミラ様ほか雀鬼一家とか。

>136
まあ思いついたことを勢いで書いてるだけなんで、あまり気にしないでください。
別に採用されなくてもいいし。

>137
はっ、そういえばそうだったか(汗
でも、都市が舞台と言っても結局それはどこかの国の一部になるような。
1391 ◆mYCw53h6 :01/12/27 17:20 ID:IGnv6Lvh
何だかんだ言っても、あまりにも無茶な設定以外なら何をやっても自由。
葉鍵キャラでファンタジーなんて前代未聞だし、失敗しても気にしない。
書き手さんの独創性と可能性に全てを委ねられていると言っても過言ではない。
とりあえず、28日の0時スタートでいいらしいから、自分もそろそろ書き始めねば…

自分は>>108で挙げた自然術士を書いてみようと思います…
140名無しさんだよもん:01/12/27 17:24 ID:BM4GUvPz
 ……離してる内にすっかり忘れてた(w>物語の中心都市
 それなら、リューベックやハンブルクみたいなハンザ同盟都市がモデルだといいかも。これなら陸にも海にも舞台を求められるし、商人も活躍しやすい。
 ホームベースの設定さえ大まかにできれば、都市外に関しては、あとまわしで良いような。
141名無しさんだよもん:01/12/27 17:24 ID:BM4GUvPz
(……そいや、フィルスっていう唯一のファンタジーもあったねぇ……(遠い目)
142 ◆Bs.FTacM :01/12/27 17:28 ID:VPZkGn+i
>140
自治都市ってやつだっけ。

とりあえず明日始めるんならホームベースとなる都市名だけ決めておいたらどう?
どうせなら葉鍵板と関係ありそうな都市名にするとか(w

>141
目指せフィルスキャラ大活躍(w
143 ◆akaneZrY :01/12/27 17:34 ID:HrJKsuiG
えと、自分はルーンマジックを使います。
体の全身の動きと、印を結ぶ動作で音声を発する魔術と同等の効果が得られる設定。
144名無しさんだよもん:01/12/27 17:42 ID:BM4GUvPz
>>142
 そそ、皇帝から自治権認められた商人のための町(。

 都市名案……「はかぎ」、ってこれは潜水艦スレだ(w
 leaf+keyで『レフキー』なんてどうだろ?
 富豪中心の評議会が統治する共和政(もちろん中世的共和政)の都市国家。
 資産階級は当然文字を知ってるし、貧民にも教会が寺子屋を開いてるおかげである程度の識字率が保たれてる、と。
145 ◆akaneZrY :01/12/27 17:48 ID:HrJKsuiG
>>144
うい。レフキーで書いてみまふ。

共和国、帝国、小国の3国があって、小国の古代遺跡に秘宝があるって設定は生きてる?
146 ◆Bs.FTacM :01/12/27 17:50 ID:VPZkGn+i
>144
おお、レフキーか。響きがイイ感じ。
俺はその名前に賛成かな。

海と山に囲まれた交易が盛んな商業都市レフキー。
だがその都市には、秘宝目当てに海千山千の冒険者が集まる遺跡都市というもう一つの顔があった…って感じ?

評議会を牛耳っている富豪は、柏木・来栖川・倉田のどれかから最初の書き手が選ぶってことにする?(w
147名無しさんだよもん:01/12/27 17:57 ID:BM4GUvPz
 小国=レフキーってのはどうだろう?
 海運・陸運の楊松でしかも宝物の眠るダンジョンとあれば、共和国と帝国の熱視線間違いなし。
 作家さんの嗜好により、陰謀ネタも描けるかも。
148 ◆Bs.FTacM :01/12/27 18:47 ID:5jmT4bNO
>147
いっそのこと小国→自治都市でもいいかも。

遺跡目当ての帝国と共和国に翻弄されつつも、したたかに生きる商業自治都市レフキーの人々って感じで。
149名無しさんだよもん:01/12/27 19:45 ID:RoZZMQdA
>>143
げげーん。
澪を「魔法のスケブ(枚数制限可能)」と「虹色の羽根ペン(希少品)」でルーン使いにしようと思ってたのにぃ。
いーもんいーもん、言霊はもらうもん。すんすん。
150 ◆akaneZrY :01/12/27 22:30 ID:HrJKsuiG
>>149
……すみません(汗
151名無しさんだよもん:01/12/27 22:48 ID:RoZZMQdA
>>150
きにしたらめーなのよー。むしろたのしみにしてるのよー。

わかる人にしかわからないネタ。
江巫女(国立恵美子)の魔術形式ってすごく面白く出来そうなんだけど、
文化的に漢字使用が前提だし、やっぱヤバイかなぁ……
152名無しさんだよもん:01/12/27 23:49 ID:TRbQHuIu
ほんとに名無しいねぇ・・・
誰かのHPでやったほうがよくない?
10レス以上にもわたる設定読んで参加する名無しなんていないって
153名無しさんだよもん:01/12/28 00:20 ID:RbIFBXr4
取敢えず決めておくと良いかな〜と思った事幾つか。
思いつきなので、いらないならいらないと言っちゃって下さい。

1)お金は「金貨1枚=銀貨10枚」
2)待ちの門は朝6時に開き夕方6時に閉る。
 1時間前に教会の鐘が鳴って門の開閉を知らせる。
(移動だけで数日飛ぶ事が予想されるので12時間単位で時間軸を調整する)
3)"キーアイテムの数/2"章(+最終章)立てにして、
 「1章につきキーアイテムふたつ・出立できるパーティ5パーティまで」
(開始一週間くらいでいきなり10パーティ以上が出立して、
 早い者勝ちでキーアイテムGet!・・・な状態を防ぐため。
 超えたからと言って即NGではなく、ひとつの目安程度に)
4)結局「魔力レベル制」と言うのは適用するのか?
154名無しさんだよもん:01/12/28 00:25 ID:YIcrDK7r
なんか最初からこんな暗いのでいいのか悩んだけど
とりあえずうぷさせてもらいまふよ。
155棄てられた秘宝塔(1):01/12/28 00:28 ID:YIcrDK7r
"お母さんを助けて!"
――純粋な願いだった。病気の母を助けたいという純粋な願いが生み出した"力"…

『化け物!』
『これは魔法なんかじゃない!こいつは魔族だ!』
『だから反対したんですよ!よそものを村に入れるなんて…』
おとな達が凄く怒ってた。あたしは怖くて震えた。お母さんはただ悲しそうに黙ってた…。

母と子の二人は村の外れの森にひっそりと建っている高い塔の最上階に幽閉される事になった。
誰がなんのために建てたのか、もう誰も知らない古い古い塔…。
村人達が出した結論は実に人間的なものだった。見た目は自分達と同じ人間の可愛らしい幼子と美しい母親を火炙りにするのはあまりに残酷だと考えたからだ。
『そのまま飢え死にしてくれればいい』
村人達はあまりに人間でありすぎたため最も良心が痛まない方法で、最も残酷な手段を用いたのだ。

お母さんは日に日に弱ってく、あたしもお腹が空いてあまり動けなくなった。でも泣かなかった、泣いたらお母さんが悲しむから…。
ある日、お母さんが言った。
「…舞。」
「なあに?」
「これから言う事を良く聞いて…。お母さんはね…もうすぐ"秘宝"になるわ…。」
「ひほう?」
「私達の一族はね…死んだら皆"秘宝"になるの…。」
「いちぞく?ひほうってなあに?」
「そうしたら…怖い人達がたくさん来るわ…。舞は…私を置いて…早く…逃げなさい…。」
「嫌だよ!ずっと一緒…お母さんとずっと一緒だもん!」
「ま…い……。」
「お母さん!…お母さん?お母さんっ!?起きてよ!死なないで…一人は嫌だよっ!」
――その後、お母さんはあたしの手の中で小さな玉になった。
156棄てられた秘宝塔(2):01/12/28 00:29 ID:YIcrDK7r
お母さんの玉はきれい。とてもきれい。
お母さんを見てると嫌な事も悲しい事も全部忘れられる。
怖いおとな達。あたしをいじめる子達。お腹が空いてる事。
お母さんの玉はきれい。とてもきれい。
あんまりきれいだったから…怖い人達が来た。
おとな達はあたしからお母さんを取り上げようとした。あたしは必死でお母さんを守ろうとしたけどおとな達の力はすごく強くてお母さんはすぐに取られちゃった。
悔しくて…悲しくて…お母さんが持って行かれそうになったから、あたしはもう一度だけお願いをしたの。
"お母さんを助けて!"
――そうしたら"魔物"が来た。

あれから…私はずっとこの塔でお母さんを守ってる。時々怖い人達がやってくるけどみんな"魔物"が追い返してくれる。
不思議とお腹も空かなくなった。体もあれから成長しなくなった。私はもう人間じゃないのかもしれない…。
それでもいつかは弱って死ぬんだと思う。私もそれでいいと思う。
だって私は…生まれてきちゃいけなかった子だから…。

そして十年以上の時が経ち…『棄てられた秘宝塔』と呼ばれたそこは魔物が出現すると噂され村人は一切近づかない場所となった。
秘宝の噂を聞き、数々の冒険者達が塔に挑戦したが、皆ほうほうの呈で逃げ帰っていった。
冒険者の中には小さな女の子の霊を見たという話もあるが真偽の程はさだかではない。


         そりゃあびっくりしたぜ!
             なんたってなんにも見えやしねぇんだ。
                なんも無いと思ったところで背中からバッサリと
                   見えない爪で引掻かれたんだからよ!

       ――酒場のある盗賊の酔った勢いのヨタ話より抜粋――
157名無しさんだよもん:01/12/28 00:34 ID:YIcrDK7r
>>155-156
ダンジョン案その@って事で、クエストのプロローグみたいな感じです。
BOSSはちびまいって設定ですがこれだと大きい方の出番が無くなるので力から解放してあげたら急に成長するって事で、ファンタジーだし(w
誰か攻略レスを続けてくれると嬉しいですが設定が邪魔臭かったら無視して良いです。
158名無しさんだよもん:01/12/28 00:36 ID:CFvpC8nT
>>154-156
このSSは>>1の作品なのか?御伽噺風でいいな。
できれば採用した設定をもう一度まとめてくれ・・・・。
1591 ◆mYCw53h6 :01/12/28 00:47 ID:rH/q/adc
>>1にはこんなに素晴らしい文章力はありませんぞ(w
1601 ◆mYCw53h6 :01/12/28 00:59 ID:rH/q/adc
魔術設定について。
魔術のおおまかな種類〜詳細までは基本的に束縛しないので自由に書いてください。
自分も勝手に自然術なるものを作ってしまったくらいですから(w
でも、あまりにも強力過ぎるもの、ズルいものはダメですよ?

銃について。
これも細かく口出ししないでおきます。
しかし、町人の誰もが持っていたり、酒場のおっさんがライフル構えて暴れたりとかは無しで…
バルカンだとかマシンガンもダメ(w
あくまでも銃は高価で貴重…そして異端なものとだけ設定しておきます。

都市及び国につて。
共和国Aと帝国B、小国が3つほどと、物語の舞台となるレフキーなる都市がある…
とだけ設定しておきましょう。
補足や詳細は書き手さん達が自由に決めてください。それなりに。
161名無しさんだよもん:01/12/28 01:01 ID:YIcrDK7r
>>158
僕は1さんじゃないですけど確かに設定をわかりやすく書かないと不親切でした。
えっと

・場所はどこか辺境の村
・村人は魔法使いに友好的ではない(過去に魔女狩り経験あり)
・塔の内装、トラップその他未定(次の書き手さんに委任)
・塔には魔物がいる(もちろん舞の力で見えない)
・魔物との戦いは別にガチガチの戦闘じゃなくても良し(知恵比べみたいなのも面白いかも)
・舞は十年以上ちびまいの姿のまま(舞自身は戦闘能力皆無)
・舞は秘宝を持っている(母親の形見)
・舞も死んだら秘宝になる(殺す、仲間にする、逃がすの選択も次の書き手さんに委任)
・舞の心を救ってやると17歳時の姿になる(もっといい方法があったら変更してください)
・舞と母親は魔族の血が入っていた(後で魔族絡みの話に発展させるのも○)

これぐらいかな?ていうか設定とか突き詰めると結構疲れますね(^^;
上のは参考までという事で全部変更してちゃっても無視しても構いません。
1621 ◆mYCw53h6 :01/12/28 01:03 ID:rH/q/adc
カツン、カツン、カツン……
誰もいない図書館に響く靴音…
男は一直線に老人の元へ歩んでいく。
「すいませんねぇ、もう閉館なんですが……」
「いや、本を借りに来たわけではない」
「ほぉ、それでは何故図書館へ?」
「………長瀬源之助…だな?」
「ええ、そうですが何か?」
「俺は王立騎士団の特務部隊員・坂神蝉丸だ」
「王立騎士団特務部隊……女王陛下様直属の部隊が何故ここへ?」
「貴様も元特務部隊員なら察しろ。魔術師が必要だ。手を貸せ」
「ふむ……そう言われましても…私はとっくの昔に引退した老兵…
  それに魔術師なら魔術アカデミーに行けばよろしいのでは?」
「魔術アカデミーの力は借りたくない、奴らも敵対勢力の一つだ」
「……なるほど……秘宝…ですかな?」
蝉丸はピクリと反応した。
(何故この男が秘宝のことを…)
ここで『違う』と否定することもできる…
だが、これから共に死線を掻い潜る仲間にウソを吹き込んでも仕方が無い。
「そうだ」
「女王陛下様はまだそんなお伽話を信じていらしたとは」
「お伽話などではない、秘宝は実在する」
「それで女王陛下様は探索隊を編成なさったと?」
1631 ◆mYCw53h6 :01/12/28 01:03 ID:rH/q/adc
「そうだ」
「そしてこの私にまた部隊へ戻れと?」
「そうだ」
「お断りします」
「何故だ?貴様は退役した後も部隊への復帰を望んでいたのではなかったのか?」
(女王陛下から聞いていた話と違う…何故だ!?)
蝉丸は源之助に詰め寄った。
だが源之助は淡々とした口調で言った。
「いえね……何て言うか…気が変わったんですよ」
「………………」
源之助のあまりの爽やかさに蝉丸は絶句した。
かつては鬼魔術師と呼ばれ、恐れられていた男のあまりの変貌ぶりに声も出なかった。
しかし、蝉丸は食い下がった。
女王陛下からの『鬼魔術師・源之助を部隊に加えよ』の命に逆らうわけにはいかない。
それに何より彼にとってこの任務が待ちに待った初任務なのだから。
「頼む、部隊へ復帰してくれ。貴様の力が必要なんだ」
「しかしですね―――――」
「頼む!!」
「………そこまでおっしゃるのなら……体力には自信がありませんがよろしいですか?」
「もちろんだ」
「………たとえ実戦経験がなくてもですか?」
「構わない」
「………仮に女性だとしても?」
「何だその例えは」
「いえ、仮にですよ仮に」
1641 ◆mYCw53h6 :01/12/28 01:04 ID:rH/q/adc
「そうか…仮にか……貴様が女であっても、実力さえあれば文句は無い」
「そうですか、それじゃあ私の弟子を代わりに―――――」
「何故そうなる!?」
「体力がなくてもいい、実戦経験が無くてもいい、そのうえ女の子でもいい…私の弟子でも十分適任じゃないですか」
「知らん!だいたい貴様のが部隊へ入るという話じゃなかったのか!?」
「はい?私がいつ『部隊へ入ります』なんて言いましたか?」
「……むっ」
蝉丸は完璧に源之助のワナにはまってしまった。
蝉丸は激しく後悔した……
(『仮に女性だとしても』あたりで気付くべきだった……失策だ…)
「坂神君……どうやら君は話術に慣れていないようですね。まぁ、それでこそダマしがいがあるというものですが」
「……………」
「と、いうわけで弟子を紹介しますね」
「待て。俺は貴様の弟子などに興味は無い」
「実力さえあれば文句は無いのでしょう?」
「……その娘、腕は確かだろうな」
「足りないのは経験だけです」
「……会うだけ会ってやる」
「ふふ、そうこなくっちゃ」
蝉丸はもうヤケだった。
源之助は意気揚々に蝉丸を弟子の元へ案内した。
1651 ◆mYCw53h6 :01/12/28 01:05 ID:rH/q/adc
カツー…ン、カツー…ン…
薄暗い階段を夜目だけを頼りに降りていく二人。
辺りには見渡す限り本、本、本……数え上げたらキリがない。
「まさか王立図書館に地下室があったとは……一体何階まであるんだ?」
「さあ?」
「身勝手だな……貴様はこの図書館の館長だろ?」
「ですがね、私も最下層まで行ってみたことがないんですよ」
「何?」
「確か……地下30階くらいまで降りみたんですが……」
「それからどうしたんだ?封印でもあったのか?」
「いえ、ただ途中で飽きただけです」
「……………」
蝉丸はだんだん源之助という人間がどういうものなのか理解してきた。
「私が館長就任当初、この地下の本はそりゃあもうぐちゃぐちゃの乱れ放題荒れ放題…ひどいもんでしたよ」
「それを見かねてここまで整理を?」
「やったのは私じゃなく、弟子なんですがね」
「貴様、弟子を何人とっているんだ」
「一人ですが?」
「鬼だな」
「いえ、あの子がやりたいと言い出したんですよ、本が好きだからって」
「その娘はこんな気の遠くなるような仕事を何年続けているんだ?」
「そうですねぇ…確か今年で4年目になりますかな」
1661 ◆mYCw53h6 :01/12/28 01:05 ID:rH/q/adc
「……………」
蝉丸は少しだけ本の整理の様子を想像してみた。
………。
…………。
……………。
めまいがした。
「坂上君、ここですよ」
源之助は一つのドアを指した。
その扉のスキ間からはランプの光が漏れていた。
源之助の拳が扉を叩く。
コンコン……
「……どうぞ…」
中から消えてしまいそうなほど小さな返事が返ってくる。
源之助は返事を確認するとドアノブをゆっくりと回し、扉を開けた。
ギィ……
わずかなきしみを放つ蝶番……
柔らかなランプの光……
少女は一人、本を読んでいた。
「……こんばんわ…お師匠様…」
「ああ、こんばんわ、どうだい調子の方は」
「………この本と…この本には……悪魔が取り憑いています……あの…そちらの方は…」
「ん?ああ彼か、紹介しよう。彼は―――――」
「王立騎士団特務部隊員・坂神蝉丸だ」
「だ、そうだ。彩、君も自己紹介したらどうですかね」
1671 ◆mYCw53h6 :01/12/28 01:06 ID:rH/q/adc
「あ、はい………初めまして……長谷部…彩です…」
「さて、お互いの紹介も済んだことだし、早速話の本題に入りましょうか」
「……お師匠様…話って?」
「彩、今から君には王立騎士団の特務部隊員になってもらいます」
「……えっ?」
「何だと?」
彩と蝉丸…二人の声がハモった。
「魔術についての知識はもう十分叩き込んだはずです……そろそろ実戦を積んできなさい」
「…あの……でも―――――」
「安心しなさい。任務が終わったらまた本の整理をさせてあげますから」
「…………わかりました…」
「そうか、それじゃあ早速旅支度をなさい」
「……はい…」
彼女はゆらりと椅子から腰を上げると、部屋から出ていった……
部屋の中に残されたのは源之助と蝉丸…
「おい、俺はまだあの娘を特務部隊へ入れるなどと言ってないぞ」
「あの子はとても優れた資質を持っています、経験を積めば立派な自然術士になれるでしょう」
「しかしだな、俺は貴様を連れてくるように女王陛下に―――――」
「それと、女王陛下に伝えておいてくれませんか?『あの時のことはこれで帳消しにしてあげますよ』…と」
そう言い残すと、源之助もまた部屋を出ていった。
(初任務早々小娘のお守……女王陛下になんと詫びれば……)
坂神蝉丸の受難はまだ始まったばかりだ。

【坂神蝉丸 王立騎士団特務部隊員 剣客】
【長谷部彩 王立騎士団特務部隊員(予定) 自然術士 ランク・ビギナー】
168超艦長@北:01/12/28 01:07 ID:KN418RGG
 >>160の設定は世界観に関して、>>161の今回の作者の設定は今回の小説に
関しての設定だな。
 世界観設定は、まぁ、そんなとこかな。昼間延々論じてたのは飽くまで参
考資料ってことで……あれも一応、塩鯖の垢でも取ってきて纏めて掲載しと
くのがいいんだろうけどね(w
169名無しさんだよもん:01/12/28 01:13 ID:eDlugkxD
>167
何という王国なのか。女王は誰なのか。とかは続きを書く人に任せるの?
1701 ◆mYCw53h6 :01/12/28 01:17 ID:rH/q/adc
>>1も補足します。

・王立(以下略)がどの国の所属なのかは次の書き手さんにお任せ。
・女王陛下が誰なのかも未定。
・源之助と女王との因縁も次の書き手さん次第。
・源之助が今後戦線に復帰する可能性は今の本人の気分からして無理。
・源之助の力量……昔はすごかったらしい。
171名無したちの挽歌:01/12/28 01:58 ID:eH7d/DQF
毎度どうも。
一時はどうなるかと思いましたが、簡素にまとまったようですね。

結局のところ……

 【正式に採用された設定は>>160
 【ファンタジースレ本編第一話は>>162-167(解説>>170)】

……これでOKですかね?
1721 ◆mYCw53h6 :01/12/28 02:02 ID:rH/q/adc
>>171
OK!!
それにしても、第1話…すごく(・∀・)イイ序章のような気がします。
それに引き換え自分は…


あと、議論厨呼ばわりされている方々も気が向いたら遊びにきてくださいね(w
173名無しさんだよもん:01/12/28 02:20 ID:z2hLETam
レフキー、という都市がある。
人々の夢を奪いつつ、また同時に与え続ける都市。
夢を抱いた若者なら、必ず一度は訪れる都市。
この街を、昔から住んでる人々はこう表現する。
「全てが有り、そして全てが無い街」(ALL AND NOTHING)

皆に伝えたい物語・伝説も数え切れないほどあるのだが、
今回は、『これから』物語を作る(であろう)人々の話を語るとしよう………。
174173:01/12/28 02:24 ID:z2hLETam
ファンタジーなら、最初のナレーションは欠かせないでしょう(爆笑)。
こんな投稿も有りと思い、ちと作ってみました。

書こうと思ったきっかけは、「オール オア ナッシング」という言葉。
そして、「ロードスという島がa(以下略)」

あくまで『私の』レフキーに対するイメージから、作り出した文章です。
皆様の手助けになる為に作ったつもりですから、イメージが違う人は無視して下さい(笑)。
1751 ◆mYCw53h6 :01/12/28 02:42 ID:I43yQ7c/
>>174
いいですねぇ〜。
この後にプロローグっぽく第1話が入れば雰囲気バッチリですよ。
176神官と剣士(1):01/12/28 03:59 ID:eH7d/DQF
王都より徒歩にて数日のところ。黄土で作られた煉瓦による砂色の街道を、ひとり行く旅人の姿があった。
彼女は落日に孤影を精一杯引き伸ばしながらも、歩みを止めることはない。

なぜなら、王国の支配権が弱まるにしたがって、治安はどうしても悪くなるからだ。
野宿もすでに慣れたものだが、そろそろ危険を伴いはじめる。だから彼女は、束ねたおさげを汗で湿らせながら、
ひたすら歩いている。
(何、やってんねやろな……)
彼女は-----保科智子は、声に出さずに、心の中で呟いた。

先日、彼女の任務は達成された。
たっぷり数ヶ月の期間を残して、思った以上に困難な障害を乗り越え、思った以上の完璧さで、任務を遂行した。
-----だから今。時間も資金も、今までの人生で一番余裕があると言っていい。

決して後味のいい任務ではなかったから、その代償なのかもしれない。
それなのに智子は、寄り道一つせず、まっすぐ神殿へ戻ろうとしていた。
(くそ真面目もたいがいにせんと、アカンよなあ……)
ぼやく彼女を打ち捨てて、太陽は沈み、世界は闇に包まれていく。

やがてその闇を押しのけるように、明かりが見えてきた。
(ようやっと着いたわ……しょぼい町やなあ)
平凡な、とある宿場町であった。その町を見て、誰も彼女のような笑みは浮かべない。
まして、口でさんざん文句を言いながら、微笑む者など、まず居ない。智子がそうするのは、人知れぬ特別な何かが、
この町にあるからだ。

そしてそれが、彼女の唯一の寄り道となる-----はずだった。


 
177神官と剣士(2):01/12/28 04:01 ID:eH7d/DQF
集落における夜の始まりは、その集落自体が持つ資産によって前後する。
人は自然の支配、すなわち太陽に従って生活するリズムを、その資産によって遅らせていくのだ。
さほど裕福でないこの町では、この時間になると、当然のように夜闇に支配される。
今日に限って明るいのは、年の終わりの祝祭が、いよいよ始まろうとしていたからだ。

音楽が鳴り響く。ときどき音が外れるのも、ご愛嬌だ。
そこらじゅうで、歌が聞こえる。こちらは音が合っている方が、少ないかもしれない。
踊りながら転ぶものも多い。ステップの基礎以前に、酒がまわっているのだから仕方がない。

(人を呼んどいて、どこに居んねん……)
人ごみを掻き分けながら、智子は祭りの喜びに同調することもなく、左右を見回していた。
三人目の酔っ払いに声をかけられ、当然のように無視する。纏わりつく酔漢がもよおす不快感に、思わず怒声を
あげそうになった、そのとき。

 ひゅん、ひゅ、ひゅん!

鋭い風切り音が、耳に飛び込んできた。
訓練された身体が思わず身構えるが、すぐに緊張を解いて、音の主を探る。
(-----居った)
そこには目隠しをした、双刀の剣士が立っていた。主として街道の遥か彼方に住まう、異民族の女だった。

-----大道芸、というやつである。
観客の投げる果実や肉を、真後ろだろうが複数だろうが。
一切かまわず、月に刀を閃かせ、目隠ししたまま捌いてしまう。
ときおり酔客の投げる酒瓶は、切ることなく-----それどころか、割ることすらなく地面に落としていく。
(たいしたもんやけど……目隠し、意味あるんかいな……)
周囲の誰も知らぬ、女剣士の秘密を思って、智子は苦笑を浮かべながら近づいた。
 
178神官と剣士(3):01/12/28 04:03 ID:eH7d/DQF
そして、おおよそ十歩の間合いに入ったとき。
女剣士は天高く舞う腸詰肉のアーチを潜り抜け、目にもたまらぬ速さで突進していた。
「な-------!?」
何すんねん、とだけ言う余裕さえなく。

 ガッ、ガキン!

智子は戦槌の烏口と丸盾で、どうにか彼女の斬撃を逸らすことが出来ていた。
微かに胸甲をこする、耳障りな刀の切っ先を見て、思わず冷や汗を垂らす。

わずかの間、祭りの喧騒はなりをひそめ、その数瞬後、腸詰肉と黒パンが地面に落ちる音がした。
緊張感の持続した空気の中で、ひとり女剣士はにこりと笑って挨拶する。
「智子ちゃん、ひさしぶりだね」
そう言って彼女は、目隠ししたまま、投げられた食料を回収していく。


「-----みさきさん、人が悪いでホンマ。人違いやったら、どないすんねん」
「武装の響きと、黒鉄の臭い。それから神官さんの着る、シルクの衣擦れ。間違いようがないよ」
「ホンマかいな……」
二人の会話と姿は、再び盛り返し始めた祭の喧騒の中へと、溶けて消えた。

残された村人たちは女剣士の-----川名みさきの、智子への踏み込みを見るに至って、口々に目隠しがインチキで
あったと騒ぎ立てたが、誰も直接批難する気などなかったという。
しかし、彼らの主張は真実と言えなくもない。
なぜなら、目隠しがインチキであることは、間違いないからだ。

とは言え、誰が信じるであろう。
その女剣士が、目隠しどころか------裸眼で、盲目であることを。
179名無したちの挽歌:01/12/28 04:06 ID:eH7d/DQF
【保科智子 神官(白魔術&戦士)、板金鎧に丸盾、戦槌】
【川名みさき 盲目の剣士(異邦人、服のイメージ的には中近東)、双刀】
【ふたりは旧知の仲、今回はみさきが智子を呼びつけたようです】


毎度、挽歌でございます。
「神官と剣士」をお送りいたします。

以前、葉鍵リレー小説関係のどこだかに書いた、いいんちょ&みさき先輩(あと瑠璃子さん)SSの、
その後の話のようなものでありまする。
180名無したちの挽歌:01/12/28 04:11 ID:eH7d/DQF
なんか忘れてる、と思いきや。
寄り道の記述が、修正し忘れて変ですなw

気になった人、ごめんなさいです。
181旅立ちの縁:01/12/28 05:12 ID:9+bk/DiN
<旅立ちの縁>
今日は約束の日。
ずっと前から、とても楽しみにしていた。
――旅に出るということ。
上月澪はそれを考えただけで心ときめくのだった。

それなりに身支度を整えて出発する。
待ち合わせ場所へと。
大きめのローブに、いろんなものが入った道具袋。
あ、それとスケッチブック。これがなくては人と満足に話すこともできない。
ちなみに魔術師がよく装備している「杖」は持たない。
澪はルーンユーザーと呼ばれる術師である。
ルーンユーザーの使うルーンマジックは全身の動作で詠唱し、
最後に印を結ぶことで発動する黒魔術だ。
音声を発しなくてもいいので、言葉がしゃべれない澪にも使える。
まだ、駆け出しではあるのだが。
――考えているうちに、澪は心配になってきた。
自分は満足にルーンマジックを使えるのかと。
(……不安なの)
これから冒険に出るというのに、いざというとき術が使えないのでは困る。
澪は誰もいない、岩陰あたりを狙って魔術の詠唱を始めた。
右手を前回し。
左膝を軽く曲げ、炎の印を切った。
火の玉が澪の正面から岩陰に一直線に飛んでいき、物質にふれたところで炎上する。
「ぎゃあああ!」
突然、男性の悲鳴が聞こえる。
182旅立ちの縁:01/12/28 05:13 ID:9+bk/DiN
「あちっあちちっ」
どうやら、火の玉が人に当たったらしい。
(た、大変なの!)
澪は急いで男に駆け寄った。
そして、ぺこぺこと頭を下げて謝る。
「あー熱かった……。いや、いいよ。そこまでひどいケガも負ってないし。
気にするなって」
戦士風の男性は、笑って許してくれたようだった。

……いきなりドジをやらかすとは。
うすうすと前途と心配したが、とにかく今は待ち合わせ場所に行くことにする。
時間もあまり余裕がない。
澪はとてとてと走った。


……と、そうこうしているうちに待ち合わせ場所につく。
大きな噴水がある場所だった。
水しぶきにかすんで、里村茜が立っている。
白いフードつきのローブに、亜麻色の髪が印象的な女の子。
澪の1つ上の年齢である。
『おまたせなの』
茜の前で、澪はそう書いてあるスケッチブックを見せた。
「……はい」
茜は笑顔だった。
「……準備はできましたか?」
うんっ、と澪はうなずいた。
決意。
秘宝を探して、大好きな茜と旅に出ること。
それは前々からの澪の夢であったから。
183旅立ちの縁:01/12/28 05:18 ID:9+bk/DiN
「……澪。すっかり頼もしくなりましたね」
照れ照れ、と澪は赤くなった。
『がんばるの』
「……はい。私もがんばります」
茜は一流の白魔術師である。
難易度が高い治癒魔術も使いこなすほどだ。
澪はよく知らないが、何か偉い役職にも付いているしい。
現在は旅のために休暇をもらっているそうだ。
一流の白魔術師と、駆け出しのルーンユーザー。
おもしろい組み合わせなのかもしれない。
「……では、酒場に行きましょう」
『さかば?』
「はい。冒険するとなると、私たち二人では心細いです」
確かに、魔術師二人では戦闘に耐え得る、とは正直言えないだろう。
それに男手も必要だ。
新たな仲間を求めて、二人は酒場に向かった。
184旅立ちの縁:01/12/28 05:18 ID:9+bk/DiN
酒場は好むべき場所だ。
修道女以外は何回も来るであろう、なじみ深く楽しい場所である。
澪には親につれられて食事をしにきたことしかないが、
冒険者もわりと多くいたような記憶がある。
組まないか?とかいった感じで、パーティができていく。
その冒険者の立場となった今となっては、なんというか不思議な気分であるのだが。
二人はテーブルに座って、とりあえず注文した。
『オレンジジュースにするの』
ウェイターの人はさっとメモを取り、茜のほうに向く。
「イチゴ小倉ジュースと蜂蜜練乳ワッフルお願いします」
……。
(相変わらず、茜さんは甘党なの)
とか思ったりしたが、何事もなげにウェイターはメモを取って去っていく。
結構普通なのだろうか。
いや、それより仲間集めをしなくてわ。
「……まずは、戦士の方に仲間になってもらいたいですね」
うんうんっ。
茜を守ってくれるような、そんなかっこいい戦士が欲しい。
澪はそう思った。
もっとも、茜より優れた技術を持った人間はそうそういそうにないのだけど。
185旅立ちの縁:01/12/28 05:19 ID:9+bk/DiN
「やぁ、さっきのお嬢ちゃんじゃないか」
不意に声をかけられた。
「元気か?」
こくっ。
元気なので、とりあえずうなずいてみた。
「……澪の知り合いですか?」
うなずいてみたものの、澪はこの戦士風の男性にこころあたりはなかった。
知らないの。
そうスケッチブックに書こうとしたとき……
(あ!)
思い出した。
『あのときはごめんなさいなの』
そう。さっき誤って火の玉をあびせてしまった人だ。
「いやいや、もう大丈夫だ。
……それより、冒険仲間を探しているのか?」
戦士風(というか戦士だろう)の男性は言った。
「装備見たところ、普通にお茶してるわけじゃないんだろ?
俺も仲間探してるんだ。……どうだ?一緒に組まないか?」
澪にとっては依存なかった。
仲間が増えるのはいいことだし、人柄も好きだ。
ということで、決定は茜次第だ。
「……」
茜は黙って戦士の人を見つめていた。
そして、何かを考え込むようにしていたかと思うと、ぽつりとつぶやく。
「……里村茜です。よろしくお願いします」
それが、三人のパーティ結成の瞬間だった。
「ああ。俺は南明義だ。よろしく」
186あまとう ◆akaneZrY :01/12/28 05:21 ID:9+bk/DiN
【上月澪 ルーンユーザー(駆け出し) スケッチブック、魔術師風のローブ装備】
【里村茜 白魔術師(一流) 杖、フードつきの白ローブ装備】
【南明義 戦士(そこそこの場数を踏んでいる) 長剣、板金鎧、円形盾】
【3人はパーティ結成】
【茜は偉い役職についている(現在休暇中)】


ということでどうも。あまとうです。
書かせていただきました。
187酒場にて:01/12/28 05:53 ID:ugcRGQQv
お客さん、この店は初めてだね。ならこの一杯はおいらのおごりだ。
何、酒は飲まないって?じゃあおいらの自慢のタイヤキを食っていってくれ。
結構うまいんだぜ。酒には合わねえけどな、ガッハッハッハ!
ところでお客さん、見たところあんたも冒険者みてえだけどやっぱりアレかい?
あんたもうわさの秘宝ってやつを狙ってんのかい?
悪いこたあ言わねえ、やめたほうがいいぜ!
兄ちゃんみてえな駆け出しじゃあ魔物にケツの毛までむしられんのがおちだ!
なに?そこに会わなきゃいけない奴がいるって?
そうか…。まあ、兄ちゃんの事情はわかんねえけどよ、応援するぜ。
よし!じゃあ兄ちゃんにタイヤキ大サービスだ!って、
コラーッ!そこのクソガキィーッ!また食い逃げかぁぁぁっ!
悪いな兄ちゃん、すぐ捕まえてくっからよ。
これからもこの店をよろしく頼むぜ。

【たいやき屋のおやじ 酒場のマスター】
【月宮あゆ 食い逃げ犯(w その他未定】
【兄ちゃんは必ずしも祐一である必要はない】

酒場にはやはり気のいいマスターが必要かと。
初投稿ですのでおかしいところ等あればご指摘お願いします。
188Come With Me(1/3):01/12/28 06:27 ID:yNnRn9xC
街に着き、その日の宿を探していた国崎往人は、先の方に奇妙な人だかりをみつけた。
もしかしたら金を稼ぐチャンスかもしれない、そう思った往人は迷わずそちらに向かった。
騒がしい人混みの間をすり抜け、中で何があっているのかを確かめようとする。
なにやら男女が口論しているようだ。そばに物売りらしい老婆が倒れて、荷物が転がっている。
かたやあからさまに悪人顔の男。かたや顔は見えないものの若々しい声の長髪の女。
「だからなんでお前に指図されなきゃいけないんだ!」
「あたしは、お婆さんに謝ってほしいって言ってるだけですの!」
周りの人混みから聞こえる会話を聞くに、男が走り際に老婆を突き飛ばし、それを彼女に咎められているらしい。
(変な正義感でしゃしゃり出ても、痛い目を見るだけじゃないか。金になるわけでもなし)
と思いつつ眺めていると、いきなり男がキレたか、懐からナイフを取り出すや、彼女に向かって投げ放つ。
「ぱぎゅうっっ!!」
間一髪で避ける彼女。そしてナイフはまっすぐ往人の方に飛んでくる。
避けるのはたやすい。しかしここで避けたら、間違いなく人混みの中の誰かに当たるだろう。
瞬時にそう判断して往人は、高速言語で呪を唱える。
「(我願う!『攻』を『光』と為し、大気に解き放て!)」
呪に反応し、一瞬ナイフが輝いたかと思うと、そのまま光となって四散する。
ふぅ、と一息ついてナイフが飛んできた方を見やるや否や、瞬時に決着はついた。
女が後ろ回し蹴り1発を腹に打ち込み、男を沈める。人混みからどっと巻き起こる大歓声。
(武術に心得のないオレから見ても、なかなかの腕前だな。無理を承知で仲間に誘ってみるか)
そう考えた往人は、女の方に歩み寄る。彼女は老婆に簡単な手当をしていた。
189Come With Me(2/3):01/12/28 06:27 ID:yNnRn9xC
「お婆さん、大丈夫ですの?傷はありませんの?」
「ああ、ちょっとすりむいただけですじゃ……大したことはないよ……」
「ぱぎゅう!大変ですの!傷薬は、傷薬は……えっと……」
「傷薬だったらオレが持ってるけど、使うか?」
振り向く彼女。思っていた以上に若い。
「え?……あ、ありがとうございますの!有り難くお借りしますの!」
そう言って往人の手にあった傷薬をとり、老婆の治療をする。応急処置も終え、老婆は立ち上がる。
「すみませんのう、若いお嬢さんに銀髪の方。そうじゃ、是非お礼をしたいので、ウチに来て下さらんか?」
有り難い、今夜の宿代を省ける。そう思い、往人が返事をするより早く、彼女は答えた。
「いえ、結構ですの。お礼なんて要りませんのよ。それでは失礼しますの!」
そう言ってくるりと振り向き、その場から走り去る。男の傷薬を持ったままで。
(おい、マジかよ!)
あわてて追いかける往人。後ろから老婆の声がするが、それどころではない。
全力で走って彼女を追うが、かなり鍛えているらしく差はどんどん開いていく。
やむを得ず、往人は再び高速言語の呪を唱える。
「(我願う!『走』を『早』と為し、大地を駆け抜けろ!)」
『力』が足に宿り、走力を高めた往人は、どうにか彼女に追い付くことに成功した。
「ちょ、ちょっと待てええぇぇ!!」
「ぱぎゅ?あ、さっきの男の方ですの。何かご用ですの?」
息も切れ切れな往人に対し、平然とした表情の彼女。スタミナも抜群のようだ。
「何か、じゃない。その手に持ってるものは誰のものだ?」
「あ、ああっ!ご、ごめんなさいですの〜〜……」
「ま、まあいいんだけどな。それに、あんたにちょっと頼みたいこともあったしな」
「はい?何ですの?」
「えっと、ここで立ち話ってのもなんだし、どこか食い物屋ででもいいか?」
「はい、結構ですの。先ほどのお詫びに、わたしが料金を持ちますの」
キュピーン!!往人の目が怪しく輝いた。
190Come With Me(3/3):01/12/28 06:28 ID:yNnRn9xC
酒場も兼ねた軽食屋で食事をしながら2人は話していた。ちなみに往人は遠慮の欠片もなく食べている。
「……というわけなんだ。で、1人では心許ないので、誰かと行動したいと思っていたんだが」
「……ええっと、要するに、何か目的があって秘宝を探してる、って訳ですのね?」
「ああ、そういうことだ」
「それで、その目的は正義のためのものですの?」
「せ、正義!?」
思いも寄らなかった言葉が返ってきて、往人は面食らった。
「はいですの!正義のためでしたら、あたしも協力させてもらいますの」
「正義……ああ、どっちかと言えば正義だな」
曖昧な言葉に反応する彼女。
「どっちかと言えば、ですの?」
「いや、間違いなく正義だ。断言しよう」
往人の額には冷や汗が流れていたかもしれない。
「それじゃあ、わかりましたの!あなたと組むことに決めましたの!」
「そうか!助かるぜ。あ、オレは国崎往人。しがない芸人だ」
「あたしは大影流合気術免許皆伝、御影すばる、ただ今武者修行中ですの。よろしくお願いしますの☆」
立ち上がって2人は軽く握手を交わす。和やかな雰囲気の中、往人は考えていた。
(待ってろよ、観鈴……必ず「あの」秘宝を入手して、お前を……)
191みおせる ◆Mio.cel. :01/12/28 06:29 ID:yNnRn9xC
【国崎往人 言霊使い(高レベル) 腰に長剣、他は軽装】
【御影すばる 合気使い(中レベル) 武装なし】


とりあえず言霊使いを書いてみました。挽歌さんに先にみさき先輩持っていかれて大方向転換(w
日頃の往人は倒れた人形を「『倒』を『踏』と為して」踊らせて日銭を稼いでます。
「江巫女」を知ってる方、どうかネタ元バラさないで下さい(w

あと、ハカロワで非業の最期を遂げたすばるに愛の手を(w

>>187さんと同じくリレー小説初投稿ですので、指摘等ありましたらよろしくお願いします。
192Eye and Arm(1):01/12/28 11:47 ID:Xk18zKgN
「はあぁ……なんとゆーか。いや、参ったね……本当」
とある人気の少ないスラムの通り。
一人の若い戦士がとぼとぼと肩を落として歩いていた。
その様子はまるで、お金がたっぷり詰まったサイフを落としたような感じで……。
彼の着ている古ぼけた全身鎧が、一層その寂しさを増幅させていた。
「ミスったよなぁ……どうしようもなかったとは言え、武器をなくすなんてさ……」
遠い目をしたままぼやくその若い戦士。
つい先日の冒険で、彼は愛用していたメイスを失ったのである。
戦士にとっては致命的な痛手といえた。
そのような理由で、彼はこれほどまでに落ち込んでいたのである。

そして、悪いことと言うのは重なるもので。
通りの狭くなっているところを通ろうとしたとき、人相の悪い男と肩がぶつかる。
「あっ、すみませ……」
「痛ぁぁぁぁぁぁぁぁいっ!! 肩の骨が折れてしまったぞぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
その男は大げさに転倒すると、辺りに響きわたる大声で叫びだした。
痛がってはいるが、どこからどう聞いても嘘っぱちの演技である。
だがこの場合、演技の腕はあまり関係ない。なぜなら……。
「おう兄ちゃん、よくも俺らのリーダーに怪我させてくれたなぁぁぁぁぁっ!」
「治療費払え、慰謝料もなぁっっっっっ!」
「三倍返しって事で両肩と、肩の代わりに全身の骨やっかんなぁぁぁぁぁっ!」
こうして、転倒した男の仲間らしきチンピラたちが、群れをなしてやってくるからである。
若い戦士は再び深いためいきをついた。
193Eye and Arm(2):01/12/28 11:48 ID:Xk18zKgN
「ぐぉぉぉぉぉぉっ!! 信じられるかぁぁぁぁぁっ!! 貴様のぶつかった肩がなぁぁぁぁっ!
ズキズキ! ズキズキと!! 痛い、痛い、痛いぞぉぉぉぉぉぉっ!! よく見ろよぉぉぉっ!」
転倒した男は、相変わらず独特のイントネーションで騒ぎながら転げ回っている。
当然、そんな男のことなど誰も見ていない。
「ええと……」
若い戦士が何かを喋ろうとして、どうにかこの場を切り抜けようと考えた瞬間。
「やれ」
転げ回っていた男が突然ぴたりと動きを止め、合図を出した。
驚く間もなく、戦士の体に四方から鈍器が叩き込まれる。

 ガスッ! バキッ! ガスッ! ドガッ!

「ぐははははははぁぁっ! 頭は殴るなよぉぉぉぉっ? 死なれると面倒だからなぁぁぁぁっ!」
転倒していた男は立ち上がってそう言いつつ、ぱんぱんっと服の埃を落とす。
その音で、不意を衝かれていた若い戦士が必死に体勢を立て直そうとして、チンピラの腕を掴んだ。
絶え間なく殴られてはいたが、鎧の上からなので我慢できない痛みではない。
そしてそのまま……掴んだチンピラを投げ飛ばす。
「とりゃぁぁぁぁ……ぁ……ぁぁ……?」
……もとい。投げ飛ばそうとしたが、非力が災いして相手はぴくりとも動かなかった。
かけ声に一瞬驚いたチンピラも、攻撃の手を思わず止める。
気まずい空白が流れた。
「……ロード、どうしましょう、こいつ」
「役職で呼ぶなぁぁぁぁぁぁっ!! 今日はお忍びなんだからなぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
お忍びなら叫ぶなよ。と戦士は心の中でツッこんだ。

だがその一瞬に、駆け込んでくる一つの影があった。
小柄な身体に巨大な戦斧。
どどどどどどど……と、地響きを立てて駆けるその姿を、若い戦士が目に止めた瞬間。
「散りなさいッ! チンピラ共ぉぉぉッ!!」
轟音を立てて、斧が地面に突き刺さった。
194Eye and Arm(3):01/12/28 11:50 ID:Xk18zKgN
「はぁ、はぁ、はぁ……」
「何よあんた、そんな大仰な鎧着てるくせに体力ないの?」
「ああ……これ、見た目より軽いんだ……古いけど、性能もいいし」
狼狽えたチンピラから逃げ切って。
戦士を助けた、巨大な戦武を持った女戦士はため息をついた。
長い髪を左右でまとめ、要所要所を補強してある使い込まれた軽鎧。
いでたちは剣士をはじめとする軽戦士のものであるが、得物は巨大な戦斧だった。
「見たところ武器も持ってないようだし……自殺願望でもあったわけ?」
「いや、そういうわけじゃないけど……無くした武器の代わりを捜してて……」
助けてもらった手前、あまり強い反論もできずにそれだけ言って口ごもる戦士。
女戦士は納得行かない、といった顔を見せる。
「あんた弱いんだから、こんな裏通りに来てまで捜す必要ないじゃない」
「ぐぅ……」
ストレートに『弱い』と言い切られ、がっくりくる戦士。
「鎧だけはいいもの着てるみたいだけど、それだけじゃ……あんた、死ぬわよ?」
「わかってる……だからこそ、スラムの武器屋を捜してるんだよ。表じゃ“いいもの”は高価い」
195Eye and Arm(4):01/12/28 11:51 ID:Xk18zKgN
首を傾げる女戦士に、戦士は片目を閉じてみせる。
「こう見えても“目”にだけは自信があってね。なるべく安く“いいもの”を手に入れたい」
「へえ。あたしは“腕”には自信があるんだけど、そっちの方はからっきしでね」
ぐい、と女戦士は手に持った戦斧を持ち上げてみせる。
「いい感じの剣を見かけるたびに買うんだけど、すぐ折れちゃって。これが次の剣を買うまでの予備」
「さっきの使い方を見る限り、重さに負けてもいないみたいだし、合ってるんじゃないの?」
「冗談じゃないわよ。斧なんて乙女の武器じゃないわ」
乙女。……そう言ったときの女戦士の顔は輝いて見えた。
そして女戦士は戦士の顔を見据えて名乗った。
「自己紹介が遅れたわね。あたしは七瀬留美。フリーの傭兵なんかやってるわ」
「あ、俺は宮田健太郎。諸国漫遊、冒険修行中ってとこだな」
「健太郎……ね。いいわ。あたしがあんたのこと鍛えてあげる」
「……………………は?」
「だからあんたは私に、乙女にふさわしい武器を見繕いなさい」
「命令形っ!?」
「いいわね?」
(…………ま、いいか)
健太郎は頷くと、さっさと歩き出した七瀬の後についていくのだった。

【宮田健太郎 戦士(駆け出し)高性能の全身鎧装備 目利きに優れる】
【七瀬留美 戦士(ベテラン)戦斧と軽鎧装備 乙女な装備希望】
196名無しさんだよもん:01/12/28 13:15 ID:z2hLETam
歓楽街とは少し離れた場所にある、武具屋兼(!?)宿屋。
冒険者には似つかわしくない落ち着いた外観が、その店を知る人を一層少なくしている。
ベテラン御用達の宿屋といえよう(酒の持ち込み禁止なのが、皆の苦笑を誘っている)。
こんな所にやって来るのは、誰かに紹介されて来た者か、そういう星の元に生まれた者か。
それとも………。

「ふぅ、ようやく着いたぜ」
ぼろぼろのマントを頭から被った男が、そんなこの店を訪れたのはもうすぐ日が昇る頃である。
「「……………」」
徹夜で武器のカスタマイズについて主人と相談してた者、今から身体のトレーニングに出かけようと思ってた者、
その場にいた者は皆口をつぐんだ(主人だけは、いつものようににこにこと笑っていたが)。
「……あれ? ここ、宿屋ですよね?」
その発言を聞いて、皆はこの男をこう踏んだ。(こいつ、只のド素人か………)
目くばせをしあい、そして一人の男が彼の前に出る。
「おやおや坊や、ここは君のような卑しい身分の方が来るような所じゃないんですよ」
197名無しさんだよもん:01/12/28 13:42 ID:z2hLETam
「………はぁ?」
「とりあえず、その小汚いマントをなんとかするんだなっ」
そう言い、男はマントを剥ぎ取った。皆が笑い……そして笑ったまま硬直した。

銃だ。

そう、その男は腰と背中にいわゆる「銃」と呼ばれる物をくくりつけたのである。
(こ、こいつ……この店が何だか解ってて、その上でからかいやがったのかっ………!?)
この店にいる者で、銃を知らない者はいない。通称、悪魔の咆哮。神の御言葉。
皆、その男をあなどった事を後悔した。冷汗が流れる。……しかし、
「あらあら、こんな時間にようこそいらっしゃいました」
そんな場を和ませる、主人の言葉。……皆、次の言葉を待った。
「ええと、俺はここに泊まってもいいのかな?」「了承(1秒)」
皆が歓声の声をあげる。久し振りの仲間だ。よろしくな友よ。
この男が仲間として認められた瞬間、一転してムードが変わる。
「い、いやぁすまんかったなぁ!! 悪いが坊主の名を教えてくれるかっ!?」
「俺の名かっ!! ならば皆様、耳の穴かっぽじってよぉく聞けよっ!!!」
………ごくり。
「俺の名は北川潤!! いずれ世界中の美女を物にする男よっっ!!!」

(こいつ……、只の天然か………)
ここに新たにやって来る者は、誰かに紹介されて来た者、そういう星に生まれた者、そして………
馬鹿、である。
198名無しさんだよもん:01/12/28 13:53 ID:z2hLETam
【北川潤(『実は』強い) 銃使い。ライフルとピストル(共に単発式)所持←破壊力は馬鹿強い。で、頭も馬鹿(笑)】
【水瀬秋子 武具屋兼宿屋の主人(マスター)。ベテランの冒険者の面倒を見ている。実力不明】
【水瀬名雪 寝てる(笑)】
【武具屋兼宿屋 半会員制。とても高性能の武具をオーダーメイド出来る店として、一部に知られている】

タイトルは『英雄候補(???)』。いかがなものでしょう?
1991 ◆mYCw53h6 :01/12/28 14:47 ID:u7CmgXSa
>>196-198
ええと…気になった点を少し…
【 】での表記で気になったのですが、実は強い…破壊力は馬鹿強い…
などの細かな設定はなるべく本文で説明したほうがいいと思います。
それができないもしくは、リレー性を高めるために省く場合は、次にリレーする書き手さんに委ねたほうがよろしいかと…
それと…名雪はどこへ?
200 ◆Bs.FTacM :01/12/28 15:19 ID:ZgBZM46p
強力な銃は出さないんじゃなかったっけ?
まあ、あくまで銃の威力を強くするなら
・単発式なので弾込めに時間がかかる
・弾丸は高価なので無駄遣いできない
などの制限をつけてはどうかと思ったり。
って、そろそろ俺も何か書くないとな(汗
>199
あなたの書いたのにリレーしようかと思ってるので(女王との謁見w)、
自然術ってどんな魔術なのか説明キボン。
201名無しさんだよもん:01/12/28 15:22 ID:kyd+az0e
ところでこの企画、超先生のような葉鍵板専用キャラも登場OKなわけ?
202名無しさんだよもん:01/12/28 15:29 ID:liw24jBj
>>201
どうだろ?
もしやるなら、フシアナ対策時のカコイイ超先生きぼん(w
へたれ悪役も似合ってそうだが(w
203名無しさんだよもん:01/12/28 15:34 ID:ZCCDFNwz
>>200
>>108に大意がありーの。

>>192-195
ロードって……高ちゃん?(w
2041 ◆mYCw53h6 :01/12/28 15:39 ID:yFs82pLU
>>200
自然術とは、樹・水・石・砂・土・氷・火などを操る術です。
操るといっても物体そのものを形成する力はなく、既存する自然物を変質化させる術です。
消費されるのは魔力だけでなく、変質化させる際に形などをイメージしなければいけないので精神力も消費される。

例えば、石床から針を出したい場合は、石のイメージと針のイメージを連想し、
呪文を唱えます。ストーンニードルだとか(w
すると、石床から針が突き出て敵を攻撃する。

針や壁などの無機物のイメージは簡単なのでさほど精神力は削られません。
しかし、動物などの複雑なものを連想する際はかなりの精神力を削がれる上、難しいです。

操れる物質の量は魔力と術者の力量に比例します。
形成できるモノは精神力や術者の力量に比例します。

あぁ、かなり長くなってしまいました…やっぱり既出の魔術を使うべきだった…
2051 ◆mYCw53h6 :01/12/28 15:42 ID:yFs82pLU
>>160 魔術、銃、世界情勢のまとめ。全然まとまってない?気にするな!(w

>>173 ナレーション

>>155-156 第1話 「棄てられた秘宝塔」

川澄舞 塔の守護者
>>161   第1話の解説

>>162-167 第2話 「誤算だらけの始まり」タイトル付けてナカターヨ(;´Д`)

坂神蝉丸  王立騎士団特務部隊所属 剣客
長谷部彩  王立騎士団特務部隊所属(予定) 自然術士 ランク・ビギナー
長瀬源之助 王立図書館館長

>>176-179 第3話 「神官と剣士」

保科智子  神官(白魔術&戦士)、板金鎧に丸盾、戦槌
川名みさき 盲目の剣士(異邦人、服のイメージ的には中近東)、双刀

>>181-186 第4話 「旅立ちの縁」

上月澪 ルーンユーザー(駆け出し)    スケッチブック、魔術師風のローブ装備
里村茜 白魔術師(一流)         杖、フードつきの白ローブ装備  高等役職
南明義 戦士(そこそこの場数を踏んでいる)長剣、板金鎧、円形盾
2061 ◆mYCw53h6 :01/12/28 15:43 ID:yFs82pLU
>>187 第5話 「酒場にて」

たいやき屋のおやじ 酒場のマスター
月宮あゆ      食い逃げ犯(w その他未定
兄ちゃん     (必ずしも祐一でなくてもよい)

>>188-191 第6話 「Come With Me」

国崎往人  言霊使い(高レベル) 腰に長剣、他は軽装
御影すばる 合気使い(中レベル) 武装なし

>>192-195 第7話 「Eye and Arm」

宮田健太郎 戦士(駆け出し)高性能の全身鎧装備 目利きに優れる
七瀬留美  戦士(ベテラン)戦斧と軽鎧装備   乙女な装備希望
高槻?   ロード

>>196-198 第8話 「英雄候補(???)」

北川潤 『実は』強い 銃使い。ライフルとピストル(共に単発式)所持←破壊力は馬鹿強い。で、頭も馬鹿(笑)
水瀬秋子 武具屋兼宿屋の主人(マスター)。ベテランの冒険者の面倒を見ている。実力不明
水瀬名雪 寝てる(笑)
2071 ◆mYCw53h6 :01/12/28 15:47 ID:yFs82pLU
>>204
誤 操るといっても物体そのものを形成する力はなく、
正 操るといっても物体そのものを生み出す力はなく、

なんて厨臭い解説なんだ…鬱打死脳(;´Д`)
208 ◆Bs.FTacM :01/12/28 15:48 ID:54SPyK0z
>>203
あ、大意は既に書いてあったのか。見落としてた。

やはり編集サイトあった方がいいのかな?
必要だと言う声が多ければ作るけど。

ロードは当然高槻でしょう(w
FARGO王国か?(w

>>204
サンクス。イメージによって発動するってのが面白いね。
さて、今日中に書いて上げたいところだが…
209見入られし者(1):01/12/28 15:51 ID:2pxcey/n
「ぐっ・・・」
 全身を強打した痛みに耐えながら、俺は情況を整理していた。

 事の発端は一日前、立ち寄った村の村長から炭鉱に出る魔物を退治して欲しいと頼まれた。
 それを引きうけ、向かった炭鉱で瑞希と大志とはぐれたところを魔物に襲われ、
奴の一撃で俺は吹っ飛ばされ、岩壁をぶっ壊してここに倒れている。
 魔物の正体はわからない、辛うじて解るのは奴が人型をしている事、
圧倒的な筋力を持ち、並大抵の攻撃は通用しないこと。
 そこまで考えて毒づいた。くそったれ、腕に覚えはあるが相手が悪すぎる、このままじゃ死を待つだけだ。
 だがそんな事はゴメンだ、どうせ死ぬなら最後まで足掻いてやる。
 そう思い立ちあがろうとした時、掌に鋭い痛みを感じた。
 なにかと思い見ればそれは僅かに反りの入った細身の片刃剣、たしか日本刀と呼ばれる種類の物だ。
 魔物の気配を感じる、近づいている。痛みを堪え立ちあがる、
既に剣は折れてしまっていた。そのため俺は掴んでいた刀を持ちなおし、覚悟を決めた。
 正面から特攻をかける、我ながら無謀だと感じていた。
 どうせ何をやっても通用しないのなら真正面から全力の一撃を叩きこもう、そう考えていた。
 だが現実は無残だ、俺の一撃はまたしても通用せず、逆に一撃を食らうこととなった。

 横殴りの一撃で吹っ飛ばされ、岩に激突する。目の前が七色に点滅している。
 ヤバイ、意識が朦朧としてきた・・・
 目の前には拳を振り上げる魔物、その一撃は確実に自分を仕留めるだろう。
 死を覚悟したとき、俺は身体の中から力が溢れてくるような奇妙な感覚にとらわれた。
 次の瞬間には反応していた。迫り来る拳を紙一重で避け、同時に胴体へ横薙ぎの一撃を叩きこむ。
210見入られし者(2):01/12/28 15:52 ID:2pxcey/n
 大志と瑞希がそこへたどり着いたときに目にしたのは不思議な光景だった、
紅い光を発している剣を持つ和樹が通常では考えられない動きで魔物を圧倒している。
 魔物は倒れることもできず、ただ和樹の斬撃を受けつづけている、二人はそれをただ見守る事しか出来なかった。
 魔物が地響きと共に倒れると同時に和樹も倒れる、そうしてようやく二人は我にかえった。


 俺が気づいたのはそれから半日後、宿のベッドの上だった。
 話によると魔物を倒した俺はそのまま意識を失い、ここに運び込まれたそうだ。
 魔物を倒したあの力の正体は俺の持っていた刀のものだった。
 大志曰く、あの刀は阿修羅と呼ばれる種類の魔剣で、普段はただの刀だが持ち主が生命の危機に瀕した時、
潜在能力の全てを引き出してくれるという力を持っているらしい。
 ただし限界以上の力を使う反動で使用後はしばらく行動不能になるそうだ。
 その修羅場モード(能力使用時の事をそう呼ぶらしい)の反動と傷の治療で俺は一週間ほど動けなかった。
 そして一週間が過ぎ、身体も回復した俺達は村を後にした。

 この先にあるのは天国か地獄か、それは誰にもわからない。

【千堂和樹、九品仏大志、高瀬瑞希、次の目的地へ】
【和樹、魔剣阿修羅を装備】
【和樹は剣士です、大志と瑞希は未定】
211名無しさんだよもん:01/12/28 16:17 ID:/CM9G7Kc
>204-207
纏めお疲れ。
で、お疲れのところ悪いんだけど質問。
>204の自然術の説明で既存のものを変質させるとあるけど
それは対象物がなければ術は発動しないという風に取っていいの?
212莢の中。:01/12/28 16:19 ID:Ooaq8A+D

「…………くはぁ」
 そんな声と共に、この小さな酒場に現れたのは、10代半ば頃と思われる、まだ幼さの残る少年であった。
 微かなどよめきが生まれる。――というのも、その少年の様子が尋常でないからである。そんなところではない程傷ついている。
 判りやすく云おう、その少年は殆どもげかけた左腕と、ぼろぼろになって用を為していない鎧を着て、頭からだらだらと血を流していたのである。
 背中には細い剣。
 不思議な事に――本人の様子とは裏腹に、全く傷ついていない恐ろしく綺麗な剣だった。
 酒場の中にいたのは五人。だが、その誰もが動かなかった。すぐにでも手当をしなければ血を流しすぎて倒れて死ぬだけだ。
 だが、――誰も動けなかったのは。いや、正確には、動かなかったのは。
 間違いなく手遅れだという確信があったからではない。
 真っ白なローブを纏った人間が、酒場の裏から現れる。
 気付くと、どよめきは収まっていて――

213莢の中。:01/12/28 16:20 ID:Ooaq8A+D
「み、水……」
 少年は床に突っ伏しながら呟いたが――その呟きは誰かに届くのだろうか、不安になる。
 なんとか酒場まで辿り着く事が出来たというのに、倒れている自分に駆け寄ってくる人は、
 ――いない。な、なんで?
「し、死ぬう……」
 街に戻ってくる事が出来た――しかも、背中には戦利品の白銀の剣を抱えて。ばんざーい。
 だが、様子としてはあまり良くない。というか、悪い。宝物を抱えて死んでいくなんて、あまり格好良くない。あまりというか、全然。
 くそ、まだ死ぬ訳にはいかない……伝説の秘宝だって見つけてないし、魔王だって倒してない(いるのかどうかは知らんが)のに――
 白魔導士、そう、冒険者が集う酒場だぞ、ここは。白魔導士の一人や二人いませんか。
「坊主、ここは冒険者の酒場じゃないぞ。おっさん達が集まるただの酒場だ。冒険者の酒場は隣だ」
 マジで!? なんてこったい、右と左を間違えた!
「というかな、その傷じゃ並の白魔導士じゃ治せないぞ、少なくともその左腕はな」
 マジで!? そんなにこの傷は深いの?
 生き残っても、片腕の戦士として闘っていく事が宿命づけられたのか、俺? 嘘ぉん……
「ま、――ラッキーだったな、坊主」
 ……何がだよ、おっさん! つか、誰でも良いから呼んできてよ……死ぬ……マジで……?
 その呟きは、声にはならず――そのまま少年は意識を失った。
 ただ。真っ白なローブを着た細身の誰かが、自分の傍に現れた事だけが、記憶に刻み込まれて。

214莢の中。:01/12/28 16:20 ID:Ooaq8A+D
「め、さめたみたいだね」
 まるで何事もないかのように目が覚めてしまった。久々にベッドの上で迎えた朝というのに、なんという感想も覚えない。
 ただ自分の右手側で輝く太陽がやけに眩しい事と、ふかふかの布団が気持ちいいという事くらいである、って、あれ、あんまりふかふかじゃないぞ。
 耳元で少女の声がした。首を向けると、そこには6,7歳くらいの少女がちょこんと座っている。
「からだ、いたくない?」
 少女が心配そうに俺の貌を見詰める。どうも彼女が自分の看病をしてくれていたようである。
 俺は左手で鼻の頭をぽりぽりと掻くと、ああ、まあ、と答える、ってあれえ?
「どうしたの?」
「左手、あるよな」
「うん」
 ――並の白魔導士じゃ治せないんじゃなかったのか、と。取り敢えず目の前の少女を小一時間問い詰めたい気分になる。
「さいかがなおしたの」
 そう云って少女は、自分の顔を指さしてにんまりと笑う。
 ――マジか? こんな少女が、あれ程の傷を治せる程の白魔導士だというのか信じられん信じられん、
「うそだよ」
 ――むかつく。
「あきらがなおしてあげたんだ」
 あきらとは誰か、それを問い詰めようとした時、だった。
「目、醒めましたか――良かった」
そう云って笑う、――美しい貌の白魔導士が、お粥を載せたお盆を手に現れたのである。

215莢の中。:01/12/28 16:21 ID:Ooaq8A+D
「どうですか?」
 白魔導士は、お粥を口にした自分の顔をはらはらしながら見詰める。期待されているのは、味の感想、なのでしょうか。
 ――いや、うん、まずくはない。美味しい方だと思うん、だけど。
「普通の味、ですね」
 本音を出してしまう。ううむ、初対面の人に対して云う台詞ではないな。
「あはは」
 云うと、少女――さいかはくすくすと笑う。
「ざんねんだったね、あきら」
 さいかはやけに楽しそうに云う。あきらは、
「うう」
 落ち込んだ様子。ごめんなさい、と云おうかとも思ったのだけど、微妙に言い出せなかった。

216莢の中。:01/12/28 16:23 ID:Ooaq8A+D
 にしても、美しいご婦人である。自分より幾つか年上であるくらいと思われるのだが、
 紅を差したように薄くほんのり赤い唇と、真っ黒なショートカット。そして、何もかも見通すような真っ黒な瞳。
 殆ど同じ歳にしか思えないような面差しなのに、まるで自分の母親くらいの歳にさえ、思えてしまう。
 それ程に、目の前の白魔導士は不思議な存在であった。
「お名前、なんて云うのですか?」
 あきらは、少し首を傾げて笑いながらそう尋ねる。
 俺は、素直に自分の名前を云う事にする。世話になった人間に名前も名乗らないのは人として間違っているし、
 それ以前に、世話になっていようがいまいが、俺が妙齢の美しい婦人に、名前を名乗らない筈がないのである。
「住井。住井護だ」
 俺は笑顔を作ろうとするが、上手くいかない。緊張しているのだろうか、柄にもない。
「良いお名前ですね。見たところ、冒険者駆けだし、と云ったところでしょうか」
 明らかにこちらの方が年下だというのに、
「ああ。まあ、そんなもんだ。あんたは?」
 何故か俺は偉そうである。
 ――正確には、偉そうにしていなければ、とてもじゃないが彼女の重圧に耐え切れそうになかった。
「この街で、医者みたいな事をやっている七瀬彰と云います」
「さいかはそのじょしゅ」
 七瀬彰さんというのか、ううん、あきら。良い名前ですねえ。
「あの酒場の二階に住まわせて貰って、怪我をした人や病気になった人を治す、という仕事です」
 白魔導士は、そう云って少し恥ずかしそうに笑った。――そんな簡単に云える事ではない。
 引き千切れた腕をまったく元通りにするなんて云うレベルの白魔法が使える、医者だと?
「丸一日眠っていたんですよ、あなた」
 丸一日――それだけで、ここまで腕を治す、だと? 信じられない!
 俺は驚嘆せずにはいられなかった。それ程の腕の白魔導士が一介の街医者だと?
「ま、もう少し眠っていた方が良いです。さ、お休みなさい」
 彰はそう云って微笑む。傷は治せても、体力まで戻すのはなかなか難しいのだろう、か。
 そんな事を考えているうちに、彼はまた夢の中に落ちていく。

2171 ◆mYCw53h6 :01/12/28 16:26 ID:yFs82pLU
>>211
そうです。
だから木切れや石ころ一つ無い金属製の部屋などでは自然物が無い為、何もできません。
218莢の中。:01/12/28 16:31 ID:Ooaq8A+D
 次に目を覚ました時に俺が横に座っていた彰に向けて口走った言葉は、簡潔なものだった。
「一緒に冒険しませんか?」
 あまりにも在り来たりな、誘いの言葉であったけれども。
 やはり気持ちを伝えるには簡単な言葉の方が良い。
「却下」
1秒!?
「さいかの事もありますし、街医者がいなくなるのも困りものでしょう?」
 彰は困ったように笑うと、頬をぽりぽりと撫でながらそう云った。
「隣の酒場に行けば、簡単に仲間は見つけられますよ。貴方と同じように、秘宝を夢見て旅立とうとする若者が」
「俺は、あんたと一緒に行きたいんだ。あんたの白魔法の腕にも惚れたし、あんた自身にも惚れた」

なんで俺はこう突っ走ってしまうのだろう、と、いつも駆け抜けた後で後悔する。云わなきゃ良かった、と。

「あははははは、まただね、あきら」
 彰は、ひどく困ったような顔で、顔を赤らめもせず――ただ、哀しそうに俯くばかり。
 俺は、何か悪い事を云ってしまったのだろうか。
 まさか、彼女は昔に夫を亡くした未亡人――だとしたら、俺は酷い事を言ってしまったのかも、知れない。
「あはは、は、はぁ…………」

 ……彼女が男だと知るのはもう少し先。――惨い。惨すぎる。

219名無しさんだよもん:01/12/28 16:32 ID:ZCCDFNwz
>>217
じゃあついでにしつもーん。
石でできた彫刻から何かを作ることは出来る?
あと、家の壁も石か土で出来てるけど、これではどう?
ついでに、風は対象になる?
220莢の中。:01/12/28 16:43 ID:Ooaq8A+D
 誘いを断られてやけに落ち込んで見えたのだろう、彰は少し済まなさそうに云う。
「私だって冒険をしたくない訳じゃありません」
 その言葉に俺は敏感に反応する。俺自身の求愛は崩れても、パーティへの誘いにはまんざらでもないのか。
 ――師匠である、この病院の本当の主、霧島聖先生が帰ってきたら、その時にはこちらからお願いします、一緒に冒険しましょう」
「そのときはさいかもいっしょにいくよ」
 横から現れる、熊のぬいぐるみを抱えた少女は笑って云う。
「ダメだぞ」
 義理の妹だという彼女も、相当に可愛い。きっと血、繋がってる。たぶん。

 部屋を出て階段を駆け下り、酒場に出る。
 取り敢えず期待できる返事は貰った訳だ。
 よおし、彼女とパーティを組めるまでに、もう少し強くなるぞッ! 取り敢えず酒場に行って仲間だ、仲間探しだ!
「坊主、頑張れよ! 次は無茶するなよ!」
「おう、おっさん! いつか住井護の名を世界にとどろかせてやるぜ!」

「っしゃあ、行くぞ!」
 意気揚々と住井護は歩き出す。割と大きな志は、その前途は青空と太陽に祝福されていた。
「世界の何処かにある秘宝を、俺はみつける!」


【七瀬彰 しのさいか 街医者として働いています。彰白魔導士(最高に近いレベル) さいか 美少女】
【住井護 剣士。冒険者見習いレベル。剣だけ立派】
221↑書いた奴:01/12/28 16:49 ID:Ooaq8A+D
あ、出てないけど聖先生は――まあ、それは次の人に任せるべきですね。

あと、最高レベルって非常に馬鹿っぽいので、
【七瀬彰 白魔導士(ウィザード級)】にしておきます。
2221 ◆mYCw53h6 :01/12/28 16:53 ID:u7CmgXSa
>>219
石でできた彫刻は、既に石であるという条件をクリアしているので変質化させることは可能です。
ちなみに、変質化させても、術を解けば元の形に戻るので石の彫刻が型崩れする心配はありませんよ。

家の石壁、土壁でも大丈夫だと思います。

風は…物質ではないので変質化は無理かと。

それと、小石から大きな壁を作ろうとしても、小石の量の壁しか作れません。
つまり、少量の小石や木切れがあってもあまり役には立たないかもしれませんね。

あと、>>221さん、割り込みスマソ…
223名無しさんだよもん:01/12/28 17:09 ID:/CM9G7Kc
>212-221
文章もだけど、キャラクターの扱い方が凄く上手い。
もしかしてハカロワで彰関連の話を書いてた人?

>217>222
自然術がどんなものか大体分かったよ。
ただ、他の魔法と比べてデメリットが多そうだけど、それに関する救済措置みたいなものは無いの?
2241 ◆mYCw53h6 :01/12/28 17:25 ID:L5TX57r3
>>223
メリットもありますよ。
まず、自然物がふんだんにある場所での戦闘は非常に有利です。
地面が石床、壁も石壁の場所なんかもうどこからでも針が出せますし、
自然物であれば何だって変質化できます。

使い方によってはちょっとズルい使い方も(w
225名無しさんだよもん:01/12/28 18:24 ID:z2hLETam
>>199
すんません。説明文は蛇足駄文になりそうなので、嫌いなんです。
『これからはなるべく書きますのでご了承を………』
まぁなんというか、使ってないというのに本文内で「見るからに強そうだ」と書くと
「なんで解るんやお前っ!!」って、自分にツッコミ入れてしまうんです。

名雪は………朝なので出て来られなかっただけです(苦笑)。
出してないのは問題あるので、この部分は削除して下さい。
>>200
連発さえ出来なければ、銃は魔法と比べても優らないと思ったのですが。
甘いですか?
226竹紫:01/12/28 19:46 ID:mfx8vwzq
>>225
     ∧_∧   
   < `∀´>     説明部分は説明文として載せるよりも
    (      )       文章中で行動として描写する方が自然で良いぞ
  | ̄ ̄竹紫 ̄|        また都合上、どうしても表現することができない場合は表記せずに
                    次の書き手に委ねるくらいの気持ちでいった方が良いぞ
                      
227剣士と盗賊(1):01/12/28 20:17 ID:TZHMUlwZ
 街の交通を一手に引き受ける中央通りに、少しばかり古ぼけた酒場ある。
 夕暮れどきともなれば、炙り肉のこおばしい香りと-----何故かあんこの甘い臭いが充満する、謎の店だ。

 いくつもある酒場の中で、お世辞にも普通とは言えないメニューを吊り下げている、この小さな店にも、空腹を
 満たすべく幾人かの客が訪れる。
 しかし今日に限っては、カウンターに青年をひとり残して、閑散としていた。
 なぜなら店主が、永遠のライバルとも言える小娘を追いかけて-----そのまま帰ってこないからだ。

          *          *          *

 裏通りというのは薄暗く、清掃が行き届いておらず、日陰者が下を向いて歩くところだ。
 その常識を打ち破るように、少女が裏通りへ突入した。
 続いて、酒場の親父。「食い逃げだ、誰か捕まえてくれ」と叫び、追いかけて行く。

 少女は小刻みに角を曲がり、どうにか親父を撒こうとする。
 しかし、とある角を曲がった瞬間のこと。
 偶然通りがかった智子に、衝突しそうになったのだ。
 
228剣士と盗賊(2):01/12/28 20:19 ID:TZHMUlwZ
「-----うぐぅ!?」
 ちらりと見えた板金鎧へ、もろに鼻をぶつけたかと思った少女は悲鳴をあげて-----その不自然さに、驚いた。
 痛みが鼻ではなく、肩から感じられたからだ。
「あれ? ……って、痛い、痛いよ!?」
「……お嬢ちゃん、相手が悪かったな。うち、捕り物は得意な方やねん」
 ぶつかる瞬間、智子は体を入れかえて、すれ違いざまに腕を取り捻りあげたのだ。

 親父は荒れた息を整えつつ歩いてくる。遂に食い逃げ犯を捕らえ、平穏な生活が戻るという希望に目を輝かせながら。
「おお、どこのそなたか存じませ-----」

 しかし親父の夢は、儚くも素早く打ち砕かれた。
「-----んがっ?」。
 音も無く背後に回り込んだ、みさきの柄頭による一撃。瞬ききする間もなく延髄を貫いた衝撃に、親父は意識を失った。

「ちょ-----……みさきさん? 何、しとぉねん!?」
 智子は目を丸くして、相棒に尋ねる。犯罪幇助。というより傷害罪だ。
 食い逃げより、性質が悪いかもしれない。
 どうにかして智子の手から逃げ出そうと暴れていた少女も、あまりの意外な展開に唖然としていた。

 一方のみさきは取り繕うこともなく、少女の落としたたいやきを拾い、次々に頬張りながら答える。
「智ふぉひゃん、ひにふるふぉと(気にすること)はにゃいよ。見られふぇにゃいから、らいひょうふ(大丈夫)だよー」
「そういう問題やのぉて……・」

 もはや言葉もない智子に代わり、少女がぼやく。
「うぐぅ、ボクのたいやき……」
「あほ、あんたのや無いんやろ」
 少女の歪んだ所有権の主張に対し、智子は後ろに捻り上げた腕を、ちょいと引き上げてやった。

          *          *           *
 
229剣士と盗賊(3):01/12/28 20:20 ID:TZHMUlwZ
 目の前で食べ尽くされて行くたいやきを、涙目で見守った少女に向かい、みさきは指についたあんこを直接口で
 吸いながら、話し掛ける。
「それじゃ小さな食い逃げさん。お名前、教えてくれるかな?」
「言-----言わないよっ!」
 そっぽを向く少女。対するみさきは深追いせず、肩をすくめてポツリと呟いた。
「浩平くんに-----用が、あるんだけどな」

 驚きを隠さず、少女は叫んだ。
「え? ええっ!? ど、どうして!? なんでお頭の名前-----あっ!? ええっ!?」
 捕まった当初よりも、更に顔色を悪くして少女は絶句した。
 たいやきを完食して、満面の笑みを浮かべるみさきと好対照だ。
「うん-----そういうこと。お名前、聞かせてくれるかな?」

 どこか観念した様子で、少女は答えた。
「あ、あゆ。月宮、あゆだよっ……」


【川名みさき(剣士)と保科智子(神官):月宮あゆ(盗賊)を捕獲】
【折原浩平:あゆの親分格? みさきと知り合い?】

【酒場の青年(>>187、誰かは不明):待ちぼうけ】
【酒場の親父:みさきの攻撃により気絶】
230名無したちの挽歌:01/12/28 20:24 ID:TZHMUlwZ
毎度、挽歌でございます。
「剣士と盗賊」をお送りいたします。

話としては、第3話「神官と剣士」(>>176-179)および第5話「酒場にて」(>>187)の続きとなります。
231225:01/12/28 21:33 ID:z2hLETam
>>226
超先生、アドバイスありがとうございました。
「感感俺俺」のような名台詞目指して頑張ります。
232竹紫:01/12/28 22:27 ID:PscozDaW
     ∧_∧   
   < `∀´>     感感俺俺……
    (      )      
  | ̄ ̄竹紫 ̄|       
233女王の憂鬱(1/3):01/12/28 22:28 ID:sGA+gIuz
その少女は、二年前に突如として、空位となっていた共和国女王の座についた。
共和国議会、魔術アカデミー、大神殿、商工ギルドなどの全面的賛成が得られたという、ちょっと考えがたい事実に、
「きっとなにか裏工作があったに違いない」などと噂する者もいたが、国民の大半は諸手を振って歓迎した。
何故なら、昔から「どういうわけか」この国の王家は子孫を残せないことが多く、王の外部招聘も度々あったし、
今回の空位期間はいままでで一番長く、国民は新王の誕生をまだかまだかと待ち続けていたし、
そして何よりその少女は、見目麗しく、かつ有能であったからだった。

少し短めの緑の髪の少女は、芸術分野に優れた才能を見せた。
謁見の間の玉座の後ろに飾られた大ステンドグラスも彼女の作品だという話であった。
さらに彼女は、まるで預言者の如く、凄まじいまでの先見の明を持っていた。
政治を執り行う議会へ、アドバイスの形で彼女の言葉が運ばれ、それを組み入れつつ議会は回る。
貿易に、災害防止に、都市発展に、対外交渉に、彼女の力は振るわれ、共和国は過去最大の賑わいを見せていた。

地方視察で、国民への顔見せで、謁見の間で、彼女はいつも静かに、穏やかに微笑んでいた。
彼女の笑顔がある限り、共和国は永久に栄えるであろう、国民のほとんどはそう思っていた。

女王の名は、大庭詠美。
彼女の本当の姿を知る者は、限りなく少ない。
234女王の憂鬱(2/3):01/12/28 22:28 ID:sGA+gIuz
「むかつくむかつく、ちょおむかつく〜っ!」
「あーっ……わかりました、わかりましたから、少し落ち着いて下さいよ」
そこは女王の寝室兼私室。完全な防音と、完全な魔力封印がされている。この室内では魔法は決して発動しない。
そんな部屋の中で、詠美は絵筆を投げ出していた。
「もうこんな室内で描くの飽きた〜。外で何か描きたいよぉ……あずさぁ、ダメぇ?」
摂政にして衛兵隊長も務める柏木梓は、呆れながらも答えた。
「ダメです。あなたが外で絵を描いたらどうなるか、わかっているでしょう?」
「それはそうだけど……しおしお〜」
「そのために今特務隊を動かしているのですから。もうしばらくは我慢して下さいませ」
「ふみゅ〜ん……わかった。我慢する」
また絵筆を取り、詠美は絵の続きを書きはじめた。

詠美には恐ろしいほどの魔力があった。それは「ある条件下で描いた絵を、完全に具現化させる能力」。
宝石、ケーキ、小屋、魚。彼女の筆が描いたものは、全てが実体として現れた。
山の奥でただ一人で生活していた詠美の存在を知って、共和国の上層部は考えた。
万が一にも帝国に彼女の存在を知られては、困ったことになりかねない。
かといってフリーにしておいても、ちょっとした間違いで国に不幸をもたらすかもしれない。
上層部が選んだ結論は、詠美を国の中枢に取り込んでしまうことだった。
魔力のせいで自由に絵が描けない詠美も、「王城には自由に絵が描ける場所がある」と聞いて断らない理由はなかった。
235女王の憂鬱(3/3):01/12/28 22:28 ID:sGA+gIuz
昔を思い出しながら絵筆を運ぶ詠美。しかし、思い出の風景ももう描き尽くしてしまった。
このままだとインスピレーションも枯れてしまう。そうなると、先見の明にも曇りが出てくるだろう。
何よりもストレスがたまって、公の場で彼女がキレたら困ったことになってしまう。

そこで詠美と梓は、議会やアカデミーなどにも知らせず、秘密裏に特務隊を組織した。
特務隊の任務は、「秘宝」探索と、冒険箪の収拾。
「秘宝」の多くは、特殊な力を持つという。ならば、詠美の魔力を押さえ込めるものもあるかも知れない。
それに、そのような「秘宝」を得られなくても、冒険の話を聞けば、詠美の創作意欲も沸くだろう。

一石二鳥のこの作戦。とりあえず第1のチームのリーダーとして坂神蝉丸を選び、彼を図書館に向かわせた。
図書館長を務める、先代特務隊員の長瀬源之助を隊員として取り入れるために。
女王戴冠の際に、彼には借りがあるものの、それでも彼の力は大きく役立つだろう。
時間的にも、そろそろ戻ってきていいはずなのだが……。

などと考えていると、コンコンと、扉の方からノックの音が聞こえた。詠美も絵筆を止めて扉の方を見る。
「何用だ?」
小窓を開けて梓が尋ねると、侍女は答えた。
「坂神蝉丸様、お連れの方とご一緒にお戻りになられました」
「わかった、5分後にここに通せ。それと、茶を4人分だ」
小窓を閉めて、詠美の方を振り向くと、すでに立ち上がって準備万端の様子。
「戻ってきたのねっ!さあ、早く会いに行くわよっ!」
「女王陛下……向こうを呼びましたから、座ってお待ちくださいませ」
「ふみゅ〜ん……」

源之助を連れて来られなかった蝉丸が、詠美に叱咤されるまで、あと5分。


【大庭詠美 女王 具現化絵師】
【柏木梓 摂政兼衛兵隊長 詳しい能力は不詳】
236みおせる ◆Mio.cel. :01/12/28 22:34 ID:sGA+gIuz
>>162-167 第2話「誤算だらけの始まり」の続きとして書いてみました。話は進んでないけど(w
共和国に対する設定を勝手に決めすぎてるかもしれないです。そのときはごめんなさい。
詠美の絵の具現化条件は決めてないです。
「具現化絵師」ってカコワルイネーミング、もっといい名前はないでしょうか?(泣
237みおせる ◆Mio.cel. :01/12/28 22:54 ID:sGA+gIuz
ふっと過去ログ読んで、背筋が寒くなった。
>>200さん、ごめんなさい(汗
238名無しさんだよもん:01/12/28 23:35 ID:dGOsuoXp
>>236
俺が>>51で考えていた条件は
・魔力を込めた道具で絵を書き、その絵に魔力を注入(彩色のようなもの)することで具現化
・満たす画と書いて「マンガ」と呼ぶ
って事考えてました。
まあ参考程度に
239名無しさんだよもん:01/12/28 23:45 ID:re/4TTPz
DADDY FACE?
・・・・皆知らないのか(汗
240 ◆Bs.FTacM :01/12/28 23:48 ID:XLR802I3
>238
ガーン。書き終わってこれからアプしようとしてたのに…
まあ、ちょうど女王:詠美、親衛隊隊長:光岡で書いてたから何とか合わせれそうだけど。
でも、梓の台詞どうしようかな…
241 ◆Bs.FTacM :01/12/28 23:51 ID:XLR802I3
間違い。上の>238じゃなくて、>>237だ。
242少年とお嬢様:01/12/28 23:53 ID:BaBA/lSZ
とりあえず、目がさめたら昼だった。それほど遅くまで起きていたつもりは無いのに、何故かこの時間である。
だれているな、そうは思うが、やめられない。男の一人暮らしなどそんなものだ。
もう一度、毛布をかぶりなおす。ぼんやりしていれば、そのうち目もさめるだろう。
そのとき。どんどんと玄関のドアを叩く音がする。
うるせぇな…頭から毛布をかぶる。が、ドアを叩く音は止まらない。
いいかげん、無視するのもウザくなってきたので声を上げる。
「るせーぞっ。玄関空いてるから、入ってこいよ!」
どうせ、叩いているのは幼馴染のあいつだろう。そう思って声をあげたのだが。
足音が聞こえてきてから気が付いた。そういえばあかりの奴、修行に出ていなかったか?
「あははー。おじゃまします、浩之さん」
姿を現したのは、おっとりとした女性だった。ゆったりとしたローブは見るからに高級で、散らかった部屋にはあまりにも似合わない。
彼…浩之は、面倒くさそうに、身を起こした。
「こんちわ、佐祐理先輩」

彼、藤田浩之は一介の町人で、特に定職につくわけでもなく、ぶらぶらと暮らしている。
一方倉田佐祐理といえば世界的にも著名な都議員の一人娘で、社交界にも顔が広い。
そんな二人が既知の仲になったのにはそれなりのエピソードがあるのだが、それはまた別の話。
「それで、今日はなんの…って、何やってんすか!?」
「はえ?お掃除ですけど」
「…佐祐理さん、俺の部屋の掃除に来たのか?」
「あははー。もちろん違いますよ」
「そうか。それはそれで残念だが。とりあえず、先に要件のほうを済ませて欲しいんだけど」
「そうですねー。じゃあ、掃除は後でしましょう」
結局するんかい。浩之は心の中で思った。口には出さなかったが。
243名無しさんだよもん:01/12/28 23:54 ID:re/4TTPz
予約禁止と早いもの勝ちは、リレーの常識らしいぞ。
244少年とお嬢様:01/12/28 23:55 ID:BaBA/lSZ
「浩之さんは、『秘宝塔』という話を聞いたことありますか?」
「秘法?…しらねーけど」
「はあ…そうなんですか?冒険者のうちでは結構有名な話だと聞いていますけど」
「俺、冒険者じゃねーし」
「で、その塔にこの世に二つと無い秘宝があるって話なんですよ」
無視かよ…内心思ったが、気にしないことにしておく。
「何人もの冒険者が秘宝を手に入れようとしたが、まだ成功したものはいない…ですか?」
「なんだ、知っているじゃないですか」
「パターンだって。秘宝なんて、早々あるわけないって。大体、秘宝と打って名前自体怪しいしな。
大方、野盗かなんかが冒険者の身包み剥がそうと…語っているのかもしれないかな、と」
語尾が濁ったのは佐祐理がなんとなく泣きそうな感じだったからだ。
もちろんこの程度のことでへこたれるような女性ではないことは知っているが、浩之は女の子の困った姿に弱い。
「それで、その秘宝塔がなんなんすか?」
ぱあっと佐祐理の顔が明るくなる。
「よろしかったら佐祐理と一緒に行ってみませんか?」
「はあ?誰が?」
「浩之さんが」
「何で」
「…ふぇ。浩之さんは行きたくないんですか?」
「別に金に困ってるわけじゃねーし、面倒だし…いや、どうしても嫌だってわけじゃねーけど」
「じゃ、決まりですねー」
「決まりって。そんなほいほい行くとこじゃねーと思うけど。家族の人たちも心配すると思うしさ」
「大丈夫ですよ」
何が。突込みどころは満載だったが、結局、浩之は折れた。この世には、どうしても逆らえない人間が存在する。
そして、浩之にとって佐祐理はそういった存在だった。
こうして、二人は旅立つことになる。

【藤田浩之 町民 特技はないが、センスが優れていて何事も『そこそこ』こなせる】
【倉田佐祐理 議員の娘 特技はないが、幾つかのアイテムを所持】
【二人とも、非戦闘系です】
245名無しさんだよもん:01/12/29 00:01 ID:seDg8eyk
こういった非戦闘系がいてもいいかなと思って書いてみました。
剣と魔法じゃなくて勘と頭脳でものを言うキャラがいてもいいかな、と。
246女王陛下との謁見:01/12/29 00:19 ID:cUrxMuDR
>>235

「はぁ……」
 長瀬源之助に良い様にあしらわれて王立図書館を出た後、坂上蝉丸は長谷部彩を連れて城下町を歩いていた。
 目的地は城。女王陛下に、源之助の代わりに彩が同行することになったことを報告するためだ。
「……あの……蝉丸さん、どうかされたんですか?」
 図書館を出てから溜息ばかりついている蝉丸を彩は心配そうに見る。
「ん。いや、大したことではない。気にするな」
「……それならいいのですが」
 どこか納得いかなさそうな顔をしながらも、彩は引き下がった。
(まあ後悔しても仕方がないな。ここは源之助の言葉を信じてみるか)
 蝉丸は不安を押し殺し、無理矢理前向きに考えることにした。

「ここが謁見の間だ」
 蝉丸は重厚な扉の前で立ち止まり彩の方を振り向いた。
 二人は入城してしばらく待たされた後、謁見の間に来るように言われたのだ。
「……緊張します」
「まあ、一般人がここに来る機会はほとんどないからな。ああ、女王陛下は気さくな方だからそう固くならなくていいぞ」
「……はい。でも…」
 コンコン
「坂上蝉丸、入ります」
 扉を軽く叩くと、蝉丸は扉を開ける。
「……あの……まだ心の準備が…」
「そんなものはいらん」
 蝉丸は戸惑う彩に素っ気なく言うと、謁見の間に足を踏み入れた。
 彩は仕方なくおどおどとその後をついていった。
247女王陛下との謁見:01/12/29 00:20 ID:cUrxMuDR
「待っていたわ、蝉丸。で、どうだった? 源之助はOKしてくれたでしょうね」
 2人を迎えたのは、玉座に座っている緑髪でショートカットの女性だった。
(この人が女王様なんだ。確か私と同じくらいの年齢なんだっけ)
 彩は憧れの眼差しで詠美を見つめる。
「ふみゅ、な、なに? あたしのことじっと見て」
 彩が自分をじっと見ているのに気がついて、詠美は少々うろたえる。
「あの…私と同じくらいの年なのに女王様をしてるなんて凄いなぁ…と思って」
「えっ、あ、あたりまえじゃない。あたしは史上最年少のくいーんなんだからっ」
 詠美は当然だといった感じに振る舞おうとするが、表情を見れば褒められたことが嬉しいのはバレバレだった。
「女王陛下、ご命令の件ですが…」
 蝉丸は機嫌の良い今がチャンスだと思い、話を切り出した。
「うん。どうだったの?」
「…源之助には断られました」
「断られた?」
「はい。その代わり彼の愛弟子を紹介されました。
 あ、それと『あの時のことはこれで帳消しにしてあげますよ』との伝言を頼まれました」
「ふみゅーん! したぼくのくせにぃっ! むかつく〜!
 なあにがあの時のことよっ。おんきせがましいわっ!」
 地団太を踏んで悔しがる女王。蝉丸は何とか落ち着かせようとする。
「あ、あの、女王陛下。落ち着いてください」
「今すぐあのジジイをここまで連れてきなさい! これは命令よっ!」
「そ、そんなこと言われましても…」
 蝉丸は困った。あの頑固者の源之助を説得するのはまず不可能に近い。
 かといって、詠美の怒りを静める良い方法も思いつかなかった。
248女王陛下との謁見:01/12/29 00:23 ID:cUrxMuDR
「まあまあ、落ち着いてください女王陛下」
 進退窮まっていた蝉丸を救ったのは、女王の傍で控えていた摂政兼衛兵隊長の柏木梓だった。
「だ、だって、あのジジイはこのあたしをおちょくって…」
「源之助殿には彼なりの考えがあるのでしょう。
 それに彼の愛弟子ということならこの娘もかなりの実力者でしょうし…」
「愛弟子って、この娘が?」
 詠美は疑いの眼差しで彩のことを見る。
「……あ、あの…」
「アンタの名前は?」
「あ……申し遅れました…長谷部彩です」
「何か魔術を見せてくれないかな。アンタの実力を女王陛下に見せて欲しいんだ」
 詠美に見つめられてとまどっていた彩に梓が親しげに声を掛ける。
「は、はい。分かりました。……えっと…そこの燭台をお借りしてもよろしいですか?」
「ああ。これだな。はい」
 梓は彩が指差した燭台をテーブルから取って渡した。
「それでは……やってみます」
 そう言うと、彩は意識を集中させて呪文―古代語―を唱える。
 すると、燭台の炎が揺らめき何かの形になっていく。
「えっ!」
「おおっ!」
「へえ、なるほど」
 驚く詠美と蝉丸に対して、梓は冷静に観察している。
 見る見るうちに炎は鳥の形になった。
249女王陛下との謁見:01/12/29 00:25 ID:cUrxMuDR
「ふぅ…できました。フェニックスです。相手にぶつければ攻撃に、周囲を旋回させれば防御に使えます」
 師匠以外の前で魔術を使うのは初めてだったので緊張していた彩だったが、無事成功してほっとした表情を見せた。
「なるほど。アンタは自然術師だったのか」
「はい」
「何なの? 自然術って」
 一人で納得している梓に詠美が尋ねる。
「自然術とは形を…おっと、あたしが説明するより専門家が説明すべきだったね」
「えっ」
 急に話をふられてあたふたする彩に梓はウインクしてみせる。
「え、えっと…自然術と言うのは、形などをイメージすることによって水や石や火などの自然物を変質させる術です」
「変質させる?」
 魔術にはあまり詳しくない蝉丸が呟く。
「はい。例えば、このフェニックスですと、火のイメージと鳥のイメージを連想して呪文を唱えるんです」
「へえ、変わった魔術ね。…あれ? でもそれなら周りに自然の物がなかったら使えないの?」
「……はい。周りに自然物がないと使えないです」
「そんなの役に立つの?」
「え…それは、その…」
 困っている彩を見て、梓が口を挟む。
「確かに自然物がないと使えないというデメリットがありますが、それを補うメリットがあります」
「何なのよそれは?」「何なんだそれは?」
 詠美と蝉丸の声がハモった。
250女王陛下との謁見:01/12/29 00:27 ID:cUrxMuDR
「メリットは動物などの形に変質させた場合、たとえ術者が死んでも破壊されるまではそれが自律行動ができることです」
「じりつこうどう?」「自律行動?」
 再び詠美と蝉丸の声がハモる。
「そう、自分で思考し行動することができるのです。…ゴーレムというものをご存知ですか?」
「あたりまえじゃない。それくらい知ってるわよ。古代遺跡とかの番人をしてたりするんでしょ」
「はい、そうです。実は、あのゴーレムは古代の自然術師が生み出したものだという説があるんです」
「えっ」「何っ」
「あ、私もお師匠様からその話を聞いたことがあります」
「じゃあ、もしかして…このフェニックスもそうなんだ。やるじゃない、あなた」
「破壊されなかったら何百年も行動するのか、凄いな」
 彩は尊敬の眼差しで見つめられ困惑した表情を見せる。
「あ、あの……私はそこまで魔力が強くないから…1時間くらいで元に戻っちゃうんですけど」
「なーんだ、つまんない」
「期待させておいて…」
「まあ、1時間持続できれば十分ですよ。それに、大概のダンジョンなら自然物に困ることはないですし。
 そうだよな?」
「は、はい…石壁がありますし…」
「ふーん、じゃあなんとかなるわね。…蝉丸」
「はい、女王陛下」
「この娘を探索隊の他のメンバーに紹介してきなさい!」
「はっ、分かりました。彩を源之助の代わりとしてお認めになるのですね」
「しかたないでしょ。どうせあのガンコなジジイはあたしの言うこと聞いてくれないし。
 さっさと行きなさい。明日には出発するのよ」
「分かりました。おい、行くぞ」
「あ、はい。えと、失礼しました」
 彩は詠美にペコリと頭を下げると、先を行く蝉丸を追いかけて行った。
251女王陛下との謁見:01/12/29 00:29 ID:cUrxMuDR
「……あの…『したぼく』って何のことですか?」
 廊下を歩きながら彩はおずおずと蝉丸に質問する。
 どうやら先程から気になっていたらしい。
「ああ、下僕のことだ。何故か女王陛下は『したぼく』と仰るんだ。指摘するとお怒りになられるから気をつけろよ」
「そうなんですか、気をつけます」
(女王様って意外と面白い人なんだ。
 他の特務部隊の人ってどんな人たちなんだろう。優しい人だといいな)
 そんなことを思いながら、彩は蝉丸の後をついて行った。

* * * * *

「ねえ、あずさぁ」
「何でしょうか、詠美様」
「蝉丸たちで大丈夫かなぁ」
「大丈夫ですよ。特務部隊の隊員は癖のある奴が多いですか有能ですから」
「あの娘は?」
「彩のことですか? 彼女も才能があると思いますよ。
 見たところ実戦経験はないようですが、仲間と冒険するうちに成長するでしょう」
「それならいいんだけど。……でも、どうしてあたしのしたぼくたちは癖のあるのばっかりなの?」
「それは、類は友を呼ぶってことでしょうね」
「なにか言った?」
「いえいえ、何でもありません」
 にやにやと笑う梓を見て、詠美はむっと頬を膨らませた。
252 ◆Bs.FTacM :01/12/29 00:34 ID:cUrxMuDR
以上です。
「誤算だらけの始まり」「女王の憂鬱」と繋がる話です。
源之助と女王陛下の過去の因縁は、良いネタ思いつかなかったのでぼかしてみました。
蝉丸・彩以外の探索隊のメンバーは他の書き手に任せます。

それと自然術の追加設定。
・動物などの形に変質させた場合は、一定時間自律行動をさせることが可能。
という事でよろしく。
ちなみに自律行動の元ネタは、某小説のスーピィ君だったり(w

>>239
ダディフェイスなら知ってるよ。
確かにちょっと似てるかも。でも、タウンゼントは紙無しで宙に描いてなかったっけ?
253みおせる ◆Mio.cel. :01/12/29 00:56 ID:2SWI/eRs
>>240
ああ、えらいすんませんでした。
でも、オレも「護衛は男ならセフィロスかなぁ」って考えてたんで、ちょっとびっくり(w
254歌姫と吸血鬼:01/12/29 00:58 ID:HaDK2wJm
からん、と軽快な音が響き、酒場のドアをくぐりって、一人の女が入ってくる。
いつもなら、喧騒とざわめき、時にはごろつきや酔っ払い達の怒鳴り声が聞こえ、
こんな場末の酒場に入ってくる、物好きな女には、不躾な視線と冷かしの声で
出迎えるのが、恒例であるはずだった。
だが、今回ばかりは、少し様子が違っていた。
ルミラ……ルミラ・ディ・デュラルと呼ばれる、紫の髪をした美女は、酒場の男たち全員が、
自分ではないただ一人の方を向いているのを見て、少しだけ肩をすくめた。
およそ、このような場末の酒場に相応しくない美貌。
身なりにも、物腰にも、一般人には無い高貴さと、圧倒的な『力』を秘めていた。
男なら、一目彼女に見詰められただけで、骨まで蕩かされるような妖艶さ。
身体にぴったりと纏わりつく薄い服は、完璧なまでのプロポーションを浮き出している。
だがその彼女も、今回は少し相手が悪かったようだ。
「……シェリー酒をお願いできるかしら?」
カウンターに腰掛け、穏やかな声でマスターに呼びかけ……そこでルミラは初めて、彼が耳栓をしていることに気付いた。
バツが悪そうに口をつぐむルミラだったが、マスターは正確に、彼女の前に、シェリー酒の入ったグラスを置いた。
ルミラは少し驚いたように、眉を上げる。
「……唇の動きを読んでるのね? 随分と手馴れてること」
「彼女は、ここが気に入っているらしくてね……まぁ、こっちとしても、彼女が来てくれるのはありがたいが。
ただ、彼女が歌っている間は、商売にならないもんだから……」
肩をすくめるマスター……確か、彼も長瀬なんとか、と言ったとルミラは記憶していた……が、視線を酒場の奥に向ける。
酒場に流れる、およそ相応しくないような、美しく透き通った歌声。
ルミラにしても、彼女ほどの歌い手は、噂に名高い『白の歌姫』由綺か、そのライバルの理奈ぐらいしか知らなかった。
ただそのどちらも、こんな酒場に出向くような人物ではない。
栗色の髪をショートボブに切りそろえた、快活そうな少女は、しかし、外見の印象とは裏腹に、
しっとりとした恋歌を歌っていた。
歌に魅了された酒場中の男たちの視線を、一身に受けていたのは、彼女………長岡志保だった。
255歌姫と吸血鬼:01/12/29 01:00 ID:HaDK2wJm
歌が終り、ようやく酒場らしい活気が戻ってきた。
自分にかけられる下卑た野次や、身体を触ろうとする手をたくみにかわし、志保はルミラのすぐ横に腰掛けた。
「お疲れ様……いつ聴いても、素晴らしい歌声だったわね」
「ありがと……でも歌が終わっちゃえば、ルミラの方がよっぽど注目を集めてるわよ」
マスターの差し出した水割りに口をつけ、志保は小さく舌を出した。
志保のいう通り、歌が終わって初めてルミラの存在に気付いたのか、幾つもの視線が、ルミラに浴びせられている。
ルミラは小さく苦笑すると、細く長い指先を、そっと志保の唇に押し当てた。
「あなたがこの唇から紡ぎだす『歌』の力……こんな所で客寄せだけに使うのは、もったいないんじゃない?」
「おあいにく様。あたしは、格式高い御殿とかミュージカルステージとかは、性に合わないのよねー」

いわゆる、『真の歌姫』の名を冠する歌い手は、大陸では片手で数えるほどしかいない。
彼女たちは、人の心を揺さぶり、声でもって奇蹟を呼び起こす力を与えられた、数少ない存在なのだ。
だがその中でも特に、彼女、長岡志保は、他の歌姫達とは違い、こういった場末の酒場を回り、
時には街角でさえ、その歌を披露する存在として、特別視されていた。
幾度となく、自分の下に召抱えようとした貴族たちは、ことごとく彼女に一蹴されている。
「あたしは、誰かに縛られるのなんて、真っ平ごめんなのよね」
『放浪の歌姫』
それが、彼女に付けられたもう一つの名だった。

「それで……わざわざあたしに会いに来たって事は、聞きたい事があるんでしょ?」
志保の目に、悪戯っぽいものが浮かぶ。
「そう。あなたのもう一つの顔に用があって、わざわざ人間の街まで出向いたのよ」
ルミラの形のいい唇が、笑みの形に歪み、その奥から鋭い牙が覗く。
魔界貴族にして、高位魔族の一人、ルミラが求める、志保のもう一つの顔。
千の耳と、千の目を持つ女。ついでに、口は一万で、舌はその倍あるとも言われている。
全ての情報を知る女として、闇の世界で恐れられている彼女を、影に身を置く者達は『歩く東スポ』と呼ぶ。
ただし、『東スポ』が何なのか、誰も知らなかったが。
256歌姫と吸血鬼:01/12/29 01:01 ID:HaDK2wJm
酒場には大抵、訳ありの客の為に、『個室』が用意されている。
ベッドが備え付けてあり、その用途は一目瞭然だが、人に聞かれたくない話をする場としても、充分使うことが出来た。
歌姫用の、薄く扇情的な衣装をはためかせ、志保はベッドに勢いよく座った。
「それで? あたしに何を訊きたいって?」
「そう、あなたに訊きたい事は……」
ルミラがゆっくりと口を開く。志保の顔が、一瞬驚愕に染まり、やがて興奮したように頬を染める。
「それってマジ!? だったら、すっごいニュースじゃない!!」
「もちろんよ。でも、私が知りたいのは、もっと別の事」
志保の眉がしかめられ、やがて、なにやら思いついたのか、真剣な顔でルミラに答える。
ルミラは志保の話を聞きながら、ゆっくりと志保の横に腰掛けた。
「……ってのが、あたしが知ってる限りの事ね」
「そう……やっぱり…」
思案顔のルミラの横顔を、吸い込まれるように凝視していた志保は、慌てて目をそらした。
形のいい唇、整った鼻筋、そして美しい瞳は、同性であっても魅了する何かがある。
そんな志保を見て、ルミラの頬に悪戯っぽいものが浮かんだ。
「そういえば……あなた、また失恋したんじゃないの?」
ルミラの問いに、志保はあからさまにぎょっとした顔になった。
「な、な、何だってそう思うのよ!?」
「だって今日の歌……例え幸せな恋歌を歌ってても、あなたの心は悲恋に泣いていた」
ルミラが志保の腕を掴み、ベッドに押し倒す。
「ちょ、ちょっとやめ……」
「今度の彼は、何人目だったかしら……藤田浩之、だった? 初恋の彼の事、まだ忘れられないのね」
「ヒロの事は関係な………くっ」
首筋に突き立てられた牙の痛みと、奇妙な快楽に、志保は頬を染め、小さく喘ぐ。
「彼に操を立てるのもいいけれど、いつまでも処女のままでもいられないでしょうに…私はありがたいけど」
志保の血を味わい、吸血鬼ルミラは、赤く染まった唇の周りを、ぺろりと舐めた。
257歌姫と吸血鬼:01/12/29 01:04 ID:HaDK2wJm
「だから……謝ってるでしょ」
「………ふん」
ふて腐れた志保に、ルミラが困った顔で頬を掻いた。
「向こうからこっち、一度も“食事”してなかったものだから……ね?」
「はいはい。いーわよ、どーせあたしはまだ処女よ。処女だから吸血鬼なんかに血を吸われるのよ」
頬を膨らませ、顔をそむける志保に、ルミラは満腹感も手伝って、宥めるような口調になる。
「まぁまぁ、想いの彼に操を立てるなんて、今時なかなか無いわよ。ね?」
「………」
「最近は貞節な女の子ってなかなかいないから、私も食事が大変で……っとっと」
「………」
「…ほ、ほらほら、お金なら、ちゃーんと血と情報は別料金で払うし」
「………はぁ」
志保は溜め息一つついて、ルミラが差し出した、巨大なルビーとパープルダイアのブローチを手に取った。
人間界では、これ一つで小国の国家予算に匹敵する額だが、魔界貴族の彼女にとっては、小遣い程度でしかない。
「……また前みたいに、変な呪いかかってない?」
「かかってない、かかってない! 大丈夫、私がちゃんと調べたから」
「ならいいけど……」
裏口から出て行くルミラを見送り、志保は溜め息をつく。
「……まったく、あたしはルミラの献血バンクじゃないっての…」
その時、ルミラが急に振り返った。
「そうそう、これは個人的な忠告だけど」
「……何よ」
「さっさと行動するならしちゃわないと、他の誰かに先を越されちゃうわよ」
「余計なお世話よ!!」
にやり、と笑って夜の闇に消える彼女を見送り、志保はもう一度盛大な溜め息をついた。
258名無し@通りすがり:01/12/29 01:12 ID:HaDK2wJm
どうも。
ルミラと志保書かせて頂きました。
と言っても、ルミラの方は、設定は無いも等しいですが。

【長岡志保 放浪の歌姫/情報屋 歌い手】
【ルミラ 魔界貴族 ?】

志保はそのまま情報屋として使えますが、それだけではアレなので、歌姫にしてみました。
『歌』の力については、まだ何も考えてません。
別に普通の歌を歌ってるだけでも、構わないですしね。
259 ◆Bs.FTacM :01/12/29 01:34 ID:cUrxMuDR
>>253
うわ、先越されたと思いながらも、女王が詠美になってるのを見て苦笑したよ。
やはり女王といえばこの人なんだろうか(w
親衛隊隊長役は結局やめたけど、光岡活躍計画はまだあきらめてなかったり(w

>258
歌の特殊能力といえばやはり、聴く者の心を鼓舞させる戦の歌とかどう?(w

ところで、ふと疑問に思ったんだけど、ここまで出てきたパーティはみんな
>>155-156の舞の棲む秘宝塔を目指すという事でいいの?
260若者達:01/12/29 01:48 ID:QYGAinac
「ふははははっ!!ついに来たぞ同志諸君!夢と絶望の都市・レフキーに!!」
ビクッ!
中央広場のド真ん中……噴水の中央に立ち、何やら奇声を発する男…
当然、周りの人々の視線を一瞬にして独り占めにする。
「なんで噴水の中に?」
「ていうかずぶ濡れだぞ?」
「ねぇねぇ、同志ってあの二人かなぁ?」
「くくっ、お粗末なパーティーだぜ。旅芸人か?」
「ママー、変な人たちー」
「シッ!指さしちゃいけませんっ!」
ざわざわざわ…
はたから見れば笑える光景だが、同志諸君と呼ばれた二人にとっては惨状であった。
「わかったからこんなところで騒がないでくれ……」
「みんなの視線が…」
「何を恥じている千堂和樹、高瀬瑞希」
「「フルネームで呼ぶなぁっ!!!」」
バキドコゲシッ!!

「まったく、このような目立たん公園の一角で誓いの儀式をするのか?けしからん」
噴水から引きずり出され、ちょっぴり不機嫌な大志。
「私は嫌よ、あの広場に戻るなんて」
「激しく同意だ。それに儀式とか言うな」
だが、二人にとってはこれから根城にする都市であんな恥を晒すわけにはいかなかった。
261若者達:01/12/29 01:50 ID:QYGAinac
「それじゃあ、ちゃっちゃと済ませてよ」
「仕方ないな……我々がパーティーを組んでかれこれ半年になるが…結成当初の目的は覚えているか?」
「当たり前だ」「とーぜん」
「自由都市・レフキーへ行く。当時、田舎者の我々にとっては夢のような話であった…
 野盗やモンスターに阻まれた長旅…さすがの我輩も、一人でここまでは辿り着けなかっただろう…
 だから我々は群れた!!我輩の魔術!同志和樹の剣術!そして同志瑞希の怪力をもってすれば、いかなる敵も恐くは無かった!!」
「ちょっと、なんであたしだけ怪力なのよっ!!」
「いや、お前にはそれしかなかろう」
「……まぁ、そうだけどさ」
「まぁ良い…とにかく目的が達成された今、我々はそれぞれの道を歩む時だ!」
「俺は最強の剣士!」
「我輩は世界征服!」
「私はぁ…えっとぉー……お嫁さん?」
「プッ!」「くっ…」
「い、いいじゃないっ!人の夢を笑わないでよっ!」
「悪りぃ。確かに瑞希とっちゃぁ、お嫁さんは夢だよなぁ…くくっ…」
「まさに同志瑞希らしい発想だ…プッ!」
「もぉっ!!」
「冗談はさておき、これから我々は離れ離れになる…だが、どんなに離れていても我々は永遠の同志だ!」
「短い間だったが、二人とも世話になったな」
「縁があったらまた会いましょ」
「それでは、解散!!」
262若者達:01/12/29 01:50 ID:QYGAinac
三人はこれから別々の目標に向かって歩み出す。

彼らは夢を抱き、夢を追い、夢に憧れ、レフキーを目指した。

レフキーには、夢を叶えるチャンスがある…そして、夢を打ち砕く現実もある。


三人の若者達は今、この混沌の都市・レフキーで、自分の夢を掴むため、歩み出した。

【九品仏大志 魔術師(どんな魔術かは不明)】
【高瀬瑞希  怪力】
2631 ◆mYCw53h6 :01/12/29 01:58 ID:QYGAinac
見入られし者の続き…の、つもりで書きました。
大志・和樹・瑞希の三連パーティ(笑)も良さそうなんですが、
可能性を膨らませる意味で、別々の道を歩ませてみました。

これからこの三人がまた巡り会うことになるのか…そのあたりは次の書き手さんにお任せで。
264超指令01:01/12/29 05:17 ID:n0vIMsq6
レフキーから馬で十日、神々の地と呼ばれる嶮しい山岳地帯。
その最奥に、この世界で最大の勢力を誇る宗教『リーフ教』の総本山がある。
小国の王城を軽く凌駕する大きさを持つ大聖堂を、関連施設が取り巻くその光景は、まさに神々の地にふさわしい。
が、それはこの中にいる者すべてが、この荘厳な景色にふさわしい、聖人のような人間であることを保証するわけではない。
聖職にありながら権勢欲や物欲に塗れる人間は絶えた事がなく、これからも絶える事はないだろう。
そして今、聖フィルスノーン教会にいる男も、そのような者の一人であった。
えらの張った顔、突き出た歯、
青紫色の法衣は男が高い地位にいることを示している。
竹林明秀、それがその男の名であった。
「早かったな、わが娘よ」
入り口に現れた人影に声をかける。
「ご壮健で何よりです、お父様」
人影は男に近づいていく。そのとき、月が雲間からのぞき、彼女を照らした。
長い紫の髪、憂いのこもった顔。
彼女─姫川琴音は、月に照らされ、美しく輝いていた。
265超指令01:01/12/29 05:19 ID:n0vIMsq6
琴音は、竹林の足元にかしずいた。
「わが娘よ、お前に頼みたい頼みがある。棄てられた秘宝塔のことは知っているな?」
「はい…」
琴音はうなずいた。少々言語的におかしいところがあるが、これぐらいを気にしていたら、彼の娘などやっていられない。
「無論ただの秘宝ごときではわざわざお前を呼ぶことはない。私がお前を呼んだわけはもっと重要なことだ。」
「………」
「それはな、そこに麻枝の隠し子がいるということだ。」
「!」
琴音もこれには驚きを隠せなかった。麻枝といえばリーフ教と並ぶ巨大宗教『鍵教』の重鎮である。
「驚いたようだな。無理もない。私も初めて知ったときは驚いた。だが、確かな情報だ。」
「奴の娘を我々で押さえれば、大きなカードとなる。それに、大司教の娘が改宗したとなれば、やつらの勢力をそぐ事もできよう。」
「やってくれるな?わが娘よ。一人では心細いというのであれば御堂を付けよう。」
琴音は一度竹林とともに御堂に会ったことがある。琴音と同じく、リーフ教の闇の部分に属する男だ。
だが、彼は竹林を憎んでいた。顔には表れなかったが、琴音にはわかった。
無理からぬことではある-----と思う。
無能でありながら、保身と私腹を肥やすことだけにはすばらしい才能を発揮する男。
法王下川の行った大粛清を、媚びへつらうことのみで乗り切った男。
事実、彼を知る者のほとんどは彼を蔑むか憎むかしていた。
それでも-----竹林を憎むことは琴音にはできなかった。
266超指令01:01/12/29 05:20 ID:n0vIMsq6
今でも覚えている。肉の焦げる臭い。罵声と笑い声。
「力」が目覚めてから、家族でさえ私を悪魔と呼んだ。
力が暴走して火刑台を吹き飛ばさなければ-----偶然滞在していた彼がそれを見て興味を示さなければ-----
私は間違いなく殺されていただろう。
彼に拾われてからは、訓練の毎日だった。成果が出るたびに彼は私に優しい言葉をかけた。
実戦に出るようになってもそれは変わらない。任務が成功に終わるたびに彼は私をほめた。
そのうち、彼にほめられたくて仕事をしている自分に気付いた。
だから-----
「わかりましたお父様。必ずやお父様のご期待に沿って見せましょう。」

【竹林明秀 リーフ教の枢機卿 無能】
【姫川琴音 リーフ教のエージェント 肉体的には弱いが、強力な超能力を持つ】
【御堂 リーフ教のエージェント 琴音とともに任務に赴く 詳しい能力は不明】
【下川 法王 大粛清を行い、実力者を排除した】
【麻枝 鍵教の大司教 舞が娘という話が本当かどうかは不明】
267名無しさんだよもん:01/12/29 05:24 ID:P0+C3AK5
わ。スタッフありなん?なんか一気に崩れてしまいそうな予感が……
268264:01/12/29 05:29 ID:n0vIMsq6
sage忘れた。打つ出し脳
ふざけたタイトルですが、結構シリアスに書いてみました。
>>267
超先生と琴音を書いてみたかっただけなんですが、やばければNGでもかまいません
269牧村車:01/12/29 05:34 ID:kP36ggro
おもしろければいいんじゃねーの?
270名無しさんだよもん:01/12/29 05:41 ID:P0+C3AK5
じゃ正直言うわ。
こういう話にLeafとKeyの対立構造持ち込んでも面白くない。
スタッフがファンタジーな世界に馴染むとは思えない。
今まで出てきた話にも馴染んでない。

作風を否定する気はないが、作品そのものはどうかと思う。
271名無しさんだよもん:01/12/29 07:44 ID:RKb6Ota9
>>259
>ここまで出てきたパーティはみんな>155-156の舞の棲む秘宝塔を目指すという事でいいの?

それはここで決めないでそれぞれの書き手さんにお任せした方が良いかと。
個人的にはあれはあくまで一つのクエストとして複数のクエストを同時進行させる方が面白いと思います。
ただあまり増やしすぎるとリレー小説の意味が無くなりますが。
272名無しさんだよもん:01/12/29 10:06 ID:JrEJ0E3I
>>268
うーん、文章は上手いと思うけど、スタッフとキャラが親子ってのは萎えるなぁ。
スタッフネタは禁止の方がいいと思う。

>271
複数クエスト同時進行なら、最大5個くらいが妥当かな?
273闇の下。:01/12/29 12:01 ID:V6cDSYp+
 美青年の町医者、である。この田舎町に住む白魔導士は顔立ちこそ女の子と比較しても判らない程綺麗なものであるけれど、
 外来の人間でなければ――この町に昔から住む人ならば彼が男であるという事は誰もが知っている訳である。当然であるが。

 しかし、――彼の生い立ちについて詳しく知るものは、少ない。

 ともかく、美少年と可愛い女の子が二人で切り盛りしている医科、しかも医者の腕は一流の更に斜め上を行くというのであるならば、繁盛しない訳がないのである。
 その上、医者はこの街には2人しかいないわけであり。その内の一人である七瀬彰は、毎日きりきり舞で働いている訳である。
「あきらー、かんじゃさん」
「はいはい」
 彰は、義妹――さいかの声に応じ、今日最初の患者を受け入れる為の準備を始める。
「どうぞ、お入りくださいー」
 云うと、自分より3,4歳程年下と思われる少女――常連の患者さん、である――が、笑いながら入ってくる。
「えへへ、こんにちは」
「……また君か。今日は何? おたふく風邪? 腹痛? つわり?」
「そんな事ゆー人嫌いです、彰さん」
 割と血色の良い顔色をした患者――美坂栞は、くすくすと笑って、自分の対面に座った。
「嫌ってくれて結構。こう見えても私は忙しいんだ」
 そう云うと、膨れっ面をして栞は反論する。
「彰先生が忙しいと思って、陣中見舞いに来てるんです」
「ふうん、朝イチで?」
「…………もうっ、そういう事ゆー人嫌いです、って云ってるのに」

274闇の下。:01/12/29 12:01 ID:V6cDSYp+
 思えば、自分が医者になったのは、今から7年前の事、ちょうど13歳の誕生日を迎えた時だった。
 母親として、先生として、自分を13年間育ててきてくれた聖先生が、その誕生日に、突然おかしな事を言ったのを今でも明瞭と記憶している。
「お前の白魔法は、最早一流の斜め上に達している! 超一流と云っても過言ではなかろう」
 自分たちは、その当時から酒場の二階に住んでいた。けして広くはないが、手狭でもない。この生活を彰は心底愛していたし、
 二人での生活は永遠に続くものだと思っていた。名医の助手として、一生を終えるのだろう、と。
「はあ」
 ――だが、そんな甘いものではなかったらしい。
「勿論私は、一流とか超一流とかそう云ったレベルで区切れるところにはいないけどな」
 云うなれば白魔法を創造した神の域まで達してる天才、とでも云っておこうか。そう云って聖先生は笑う。
「はあ……」
「……ふとな、お前に相談したい事がある」
「はあ」
「私は冒険者になる」
「……………はあ?」
「今日からお前がここの町医者だ! 頑張って住人達の健康を守ってあげてくれ!」
 そう云うと、聖先生はその白衣をひらりと舞わせてくるりと一回転すると、壁に立てかけられていた細身の剣を手に取り、
「数週間で帰るから安心しろ!」
 そう叫ぶではないか。
 彰は必死に呼び止める。当たり前だ、白魔法が多少上手かろうが、医者なんてやっていける訳がない。
「ま、待ってよ先生ッ」
「経験だ経験! 私はお前に、それだけの力があると確信している!」
 そう云う聖先生は、ひらりと窓から飛び降りていて。
「誕生日おめでとう、彰!」
 窓の下からそんな声。………………あほかー!
 テーブルの上には、誕生日を祝うケーキとこんがりと焼けて美味しそうな七面鳥の足だけが、寂しげに残るばかりであった。

275闇の下。:01/12/29 12:02 ID:V6cDSYp+
 それから7年。聖先生からはまるで音沙汰なく過ぎてしまい、気付けば自分は成人していた。
 その7年の間に自分は街の人たちの信頼を勝ち取った。白魔法が上手いだけでなく、医者としての強さも重ね添えてきた、と、評判は上々だったのだ。
 けれど、その回想に過ぎる記憶は、けして、平穏なものだけではなかった。
 むしろ――挫折の記憶、ばかりであった。

「はい、おしまい」
 小さな女の子の手に包帯を巻くと、立ち上がって駆け出す女の子と、御礼を言う母親を後目に、彰はにこりと笑う。
 これで今日一日の患者さんは一応終了した。急患が来ると云う事もあろうが、取り敢えず一段落して休む事が出来る。
 彰は小さく伸びをして――お疲れさま、と後ろの二人に告げる。
「おつかれさま、あきら」
 さいかがねぎらいの言葉をかけてくれる。この娘も毎日よく働いてくれる。
「ふえー……大変なんですね、お医者さんって」
 今日、突然お手伝いがしたいと申し出て、一日ずっと手伝ってくれていた栞は、大きく感嘆し、少し尊敬したような眼差しで自分を見る。
「いや、そうでもないよ。それより、お手伝いありがとね、栞ちゃん」
「えへへ、今日は少し暇でしたから」
「ともかく、お疲れさま。ご飯食べてくと良いよ、うちで」
「あ、良いんですか? ありがとうございますー」
 そう云うと、照れくさそうに笑って頷く。
 しかし一方で栞を、一人不機嫌そうに見るものがいる。膨れっ面で。
(さいかだっておつかれさまだよー)
 とでも言いたげな顔である。7歳という時期は、普通街の子供達と遊ぶ事が何より楽しい時期の筈であるから。
 それを、毎日黙々と自分の手伝いをしてくれているのだ。しかも、夜には白魔法の勉強を遅くまでやっている訳で。
「おつかれ、さいか。後から美味しいグラタン食べような」
 云うと、さいかは本当に嬉しそうに笑って、
「うん!」
 と頷いた。

276闇の下。:01/12/29 12:04 ID:V6cDSYp+
「で、何? 栞ちゃん」
 さいかが疲れて眠ってしまった後の事である。
 三人で特製のエビグラタンを食べた後、さいかは多分疲れすぎたのだろう、すぐに、ふかふかとは言い難いがそこそこに安楽なベッドで眠り惚けてしまった。
 食卓で彰は栞と向かい合って、訝しげに彼女の顔を見詰めながら頬杖を吐く。
「わざわざ手伝ってくれたのには、なんか思惑があったんだろ? 黒い思惑が」
「く、黒いって何ですか!」
 ――気を取り直し、栞は喋り始める。
「あ、彰さん。――あの、ですね。もうすぐ、明後日にでも、お姉ちゃんが、冒険から帰ってくるんですよ」
「へえ。香里さん帰ってくるんだ。久し振りだなあ」
 冒険者として、一年程前に旅立ったロングヘアーの綺麗な少女の事を思う。元気だろうか?
「はい」
 ――会話が一瞬止まる。栞は緊張した面もちで一瞬息を吸うと、堰を切ってしゃべり出す。
「それで、ですね。次の冒険には、わたしを連れて行ってくれると云うんですよ」
「へえ」
 大体判った。オッケイだぜ。
「それで、お姉ちゃんの、パーティにはですね、白魔導士がいないらしいんですよ」
 よし、自分の推論は完璧だ! 良いね、頭冴えてるよ。
「はあ」
「…………もうっ、真面目に聞いてます?」
「聞いてるよ」
「それで、」
「却下」
「1秒!?」

277闇の下。:01/12/29 12:04 ID:V6cDSYp+
「つーかね、前回旅立つ前に香里さんここに寄ってくれてさ。云ってたんだよ。数年は帰らないって。その時点でまず君の話が嘘だと判る」
 栞は小さく舌打ちする。馬鹿お姉ちゃん、と云う呟きが聞こえたような気がする。
 彰は小さく溜息を吐きながら言葉を続ける。
「そして、君の躯はまだ完全に本調子じゃない。あの優しいお姉さんが、君を連れて行こうなんてするわけがないだろ」
 諭すように言葉を続ける。
「大体私は町医者だ。大勢の患者さんやさいかを置いて旅立てるわけがないでしょうが」

「………です」
「は?」
 なんか云ったか、と彰が思う前に、がたん、と立ち上がって、栞は自分の前に立ちはだかる。
「こうなったら、力ずくです! 彰さん、わたしと既成事実……」
 こつん、と、自分を押し倒そうと前屈みにタックルしてくる栞の頭を叩く。
 あう、と悲鳴を上げて、栞は怯んだ。そして自分のやった恥ずかしい事を思い、顔をかあ、と赤くする。
「馬鹿。私だって君の事は嫌いじゃないけど、もっと自分の身を大事にしなさい」
 そう云いながらも、自分の顔が赤くなっているのに気付く。抑えつけた彼女の身体は、ひどく柔らかい、もっと云うなら、柔らかくなっていたわけで。
 くそ、大体自分だって女に免疫がある訳じゃないんだよ……我慢するの大変なんだぞ。

278闇の下。:01/12/29 12:05 ID:V6cDSYp+

「早く帰りなさい。もう夜遅いんだから。途中までは送っていってあげるよ」
「うう……わたし、格好悪い」

 彼女は、彰の「3人目の」患者であった。彼女の心臓の病を、こうやって数年越しで治してきたのである。
 付き合いは、だから、7年になるのだ。最近はだんだん大人びてきているわけで、女の子としても成熟を始めた訳だ。
 自分の事を好いていてくれるのは判るのだが、その気持ちにはやっぱり答えられないでいる。
 彼女を家まで送って、酒場を通り自分の部屋に戻る。
 階段を上る最中、酒場からははやし立てる声が聞こえる。
「彰ちゃん、いっそ一度抱いてあげたらどーだい」
「やめてくださいよお……」
 ちょっと落ち込む。

 部屋に戻ったら戻ったで、
「あきら、えっちなことしちゃだめだよ」
 と、いつ目が覚めたのだろう、さいかに膨れっ面で云われる始末。

 ……うう、何だかなあ……。


【七瀬彰 しのさいか  町医者としてのんびり暮らしている】
【聖先生        天才白魔導士。現在は放浪の旅の最中】
【美坂栞        街娘。持病は治ったが、病弱なのは変わらず】
279名無しさんだよもん:01/12/29 12:07 ID:V6cDSYp+
>>212-221の続きです。続きというか、なんというか、という感じですが。

>>223
あい、そうです。また彰書かせて貰ってます。ワンパタンですんません。
280異能の一族(1):01/12/29 12:19 ID:WFgZCXWc
 すっかり日が暮れて、稼ぎどき真っ最中であるにも関わらず、主人の居ない酒場。
 そのカウンターにひとり腰掛け、とうに空となった食器を人差し指でくるくると回し、暇を潰す青年が居た。

 普段あまり鋭さを見せないとは言え、人間を超越した鋭敏な感覚を持つ彼も、今は完全に気が抜けている。
 無理もない。義理堅く会計を済ますために、店の主人の帰りを待って二時間が経とうとしてるのだ。
 そんなわけで。呆けた顔のまま器用に食器を回す彼に、声をかける存在があることも、しばらく気が付かなかった。

「-----お兄ちゃん?」
 くるくるくるくる。
 ひたすら食器を回す青年。たいやきの乗っていた皿と、水の入った杯の両方だ。
「耕一お兄ちゃん?」
 くるくるくるくる。くるくるくるくる。
 杯と皿を重ねたまま個別に回転させるのは、ちょっとした芸になるかもしれない。
「お兄……」
 だが声の主からすれば、不気味ささえ感じさせる無視に他ならない。
「……」
 くるくるくるくる。
「-----耕一さん、今朝は早起きしたので朝ごはんを作りましたよ」
「どあああああっ!? マジですか千鶴さんっ!?」
 銅の食器が吹っ飛び、がらがらと音を立てて青年は椅子から転げおちる。
 その様子を見て苦笑するはずの声の主の、表情は見えない。

 なぜなら声の主は-----白リスだったからだ。

          *          *          *
 
281異能の一族(2):01/12/29 12:24 ID:WFgZCXWc
「ひどいな、初音ちゃん……」
「だってお兄ちゃん、全然気がついてくれないんだもん」
 初音と呼ばれたのは、先ほどの白リスと同じ声の持ち主だ。
 今では少女の姿で青年の隣に座っている。
 そして、先に声をかけられた青年の名は、耕一という。


 二人は衛士隊の長である柏木梓の妹と従兄にあたるのだが、生粋の貴族というわけではない。
 耕一は腕のいい鍛冶屋として、初音は宿屋の調理人として、世間に溶け込んで生活しているのだ。

 しかし柏木一族の秘密は、それだけに止まらない。
 正確にいえば-----彼らは、人間ではないからだ。
 俗にシェイプシフターと呼ばれる、変身能力を持った生物なのだ。

 その証拠として、先ほどの白リスを挙げることができるであろう。


「-----それで? 梓のほうは、どうだったんだい?」
「直接は会えなかったよ。相変わらす、忙しいみたい」
「つまり新情報は無し、と」
「うん。姫様も相変らずだし、情報集めに割いてる時間は少ないんだと思う。今までの情報で進むつもりみたい」
「そうかあ……大変だな、梓も……」
 耕一からすれば梓が衛兵というのは、かなり心配なのだ。
 それに加えて養育係兼政治屋ともなれば----確かに面倒見がいいとは言え----いつブチ切れてしまうか気が気でない。

 だがそれは梓自身が選び、そして選ばれた道だ。
 手助けできることは、あまりないのかもしれない。
 
282異能の一族(3):01/12/29 12:26 ID:WFgZCXWc
「ま、梓の手配にぬかりは無いだろうし。上半分は-----今のところ、手詰まりかもな」
 そう言うと耕一は、勘定をカウンターに置くと立ち上がった。
 初音の来訪を機に、店主の帰りを諦めたというわけだ。
「これから、どこへ行くの?」
「楓ちゃんのところへ行くよ。初音ちゃんは千鶴さんに報告しといてくれ」
「うん。今ごろお店も大忙しだろうから、先に帰らせてもらうね」
 他人の視線が無いことを確認し、変身しながら初音が言う。
 その異能ぶりに相応しくない、あまりに普通な発想と台詞だったので、思わず耕一が茶化す。
「ここみたいに店員がいなくなれば、暇になるよ?」
「もう、そうはいかないよ。あまり遊んでると、お姉ちゃんに怒られるよ-----」

 不吉なことばを残して、白リスは雑踏の中へと消えていった。
 しばらく怯んでいた耕一だったが、気を取り直して荷物を背負う。
「さて。世界の上半分が駄目なら-----下半分の、出番だな。」

 世界の、下半分。
 それは盗賊ギルドと呼ばれ、犯罪者や乞食、芸人に異邦人、非人間などの-----表の法に保護されない、いわゆる
 ”その他大勢”を統括する、闇の王国である。


【柏木一族(シェイプシフター):人間としての能力の他に、変身能力を有する】
【柏木初音(調理人-白リス):仕事場である宿屋にいる、千鶴に報告するため戻る】
【柏木耕一(鍛冶屋):店の親父を待つのは断念。盗賊ギルドに居る楓のところへ向います】
283名無したちの挽歌:01/12/29 12:36 ID:WFgZCXWc
毎度、挽歌でございます。
「異能の一族」をお送りいたします。

柏木一族を、鬼ではなく変身能力者にしました。
細かいことまで詰める気はないのですが-----いちいち脱衣するのもアレなので、服はご都合で。

鬼にも変身できますが、場合と場所を考えると滅多に変身することは無いでしょう。
たいていは好みの動物に変身します。……黒猫とかw


話としては、「剣士と盗賊」(>>227-229)の流れですが、直接のつながりは「酒場にて」(>>187)の青年パートです。
また「女王の憂鬱」(>>233-235)にある梓の身分設定を取り込んでいます。
2841 ◆mYCw53h6 :01/12/29 13:15 ID:XuIRXz/I
すご…みんな巧いなぁ…

>>268
えと…スターフネタは……予測してなかった(;´Д`)ハァハァ
一応>>1に、「葉鍵キャラが…」ってあるのでスターフネタは…ちょっと(汗

あと、すべてのパーティーが秘宝を狙わなくてもいいと思います。
秘宝以外の目的があれば、そちらに動いても…

それと…今のうちに釘をさしておきますが、同人ネタは全面禁止です。
んで…パワーバランスをもう少し考えてもらえると嬉しいかな…
なんか…冒険の始めでいきなり強力な武器や高レベルな方が出てしまうと…
285目指すは王都:01/12/29 13:56 ID:AXVFml/9
「ハァ、腹減ったぜ………」
 男が呟く。
「ちょっと、御堂!ブツクサ言ってないで手伝ってよ!」
「ヘイヘイ」
 女の叱責に御堂は面倒くさそうに答えた。
「広瀬の姐御!次は何をするんですかい?」
「姐御って呼ぶなって言ってるでしょ!矢島!」
「ス、スミマセン」
「ったく………。美汐、何か仕事ある?」
「そうですね、後は私一人で大丈夫です」
「んじゃあ俺はその辺で寝てるからな」
「………アンタは何もしてないでしょうが」
 真希は御堂を睨みながら言う。
「ケッ、この御堂様が食事の支度なんざやってられるかよ」
「そう言う台詞は借金をキチンと耳をそろえて払ってから言う事ね」
「チッ………」
 御堂は舌打ちをするとゴロリと横たわった。
「こんな事なら騎士団を抜けるんじゃなかったな」
 御堂は元々王立騎士団の一員だったのだが、宮仕えに嫌気がさして
 王国を飛び出していた。
 だが、ひょんなことからこの旅芸人一座の副団長、広瀬真希に膨大な借金を
 背負わされることとなり、働かされることを余儀なくされているのであった。
286目指すは王都:01/12/29 13:57 ID:AXVFml/9
「みなさん、食事の準備が出来ましたよ」
 美汐が声をかける。
「んじゃ早速メシにすっか」
「何言ってるのよ。一応団長達が戻って来るまでお預けよ」
「でもよぉ」
「何か文句ある?」
「ケッ、分かったよ」
「あ、でももう戻ってきたみたいですよ、広瀬さん」
 矢島が何とかその場を収めようと明るい声を出す。
「あら、そうみたいね」
 真希もこちらに近づいてくる人影に気がついた。
「みゅ〜!」
 その時一人の少女が真希に抱きついてきた。
「お帰り、繭。ちゃんといい子にしてた?」
「いい子にしてたもぅん」
「そう、偉いわね」
 真希は繭の頭をなでながら答える。
「あら?どうしたの、それ」
 繭の肩に一匹のフェレットが乗っているのに気がついた。
「あぁ、それは帰ってくる途中で繭が見つけたんだ。どうやら怪我をしてるみたいでね。美汐さん、手当をしてやって下さいな」
「はい、分かりました」
 男がそう言うと美汐が呪文を唱え始めた。
「久瀬のアニキ、街はどうでした?」
「だから団長って呼べって言ってるでしょ!矢島!」
「ハハハ、まぁまぁ。真希さん、落ち着いて」
「ったく、団長は甘いんだから。で、どうだったの?」
「そうですね、食事でもしながら話しましょうか。美汐さんの方も終わったみたいですから」
 久瀬がフェレットを頭に乗せた繭を見て苦笑しながらそう答えた。
287目指すは王都:01/12/29 13:58 ID:AXVFml/9
「ふ〜ん、じゃあ次の街はかなり大きいんだね」
「えぇ、何しろレフキー王国の首都ですからね」
「何ィ!」
 久瀬と真希の会話に御堂が驚いた声をあげた。
「何よ、御堂。急に声を出して」
「何でもねぇよ」
 御堂はそう言うと手にしたパンを口に詰め込んだ。
(………まぁ、蝉丸の野郎に見つからなきゃ大丈夫か。あの野郎に見つかるとうるせぇからな)
「みゅ〜、ごちそうさま〜」
「繭、もういいの?」
「もうおなかいっぱい。みゅーもおなかいっぱいって言ってる」
「そう?」
 繭が膝に乗せていたみゅー(繭がフェレットにそう名付けた)を抱きかかえながら答える。
「そうそう。そう言えば街で一つ面白い話を聞きましてね」
「面白い話、ですか?」
 久瀬の言葉に繭の食器を片づけながら美汐が聞き返す。
「えぇ、何でも特務部隊が秘宝の捜索に乗り出しているらしいですよ」
「ふ〜ん、あんな胡散臭い話に特務部隊が動くなんてねぇ」
「でも、本当に秘宝があったら俺達一生遊んで暮らせますよ。広瀬さん」
「まぁね。本当にあったなら、ね」
「そしたら俺も女の子に振られる事も無くなるだろうなぁ」
「………矢島の場合はそれだけが問題じゃないと思うけどね」
 真希が呆れたような声を出す。
「へ?何か言いました?」
「別に。ま、そんな非現実的な事より街でどの位稼げるかの方が私には大事だけどね」
「フフ、そうですね」
「久瀬さんも広瀬さんも夢がないなぁ」
288目指すは王都:01/12/29 13:59 ID:AXVFml/9
「さて、それじゃあそろそろ出発しましょうか」
 みんなが食事を終わったのを確認すると久瀬が立ち上がりながら言った。
「そうね。御堂!今度はちゃんと働いてもらうわよ」
「ヘイヘイ」
 真希の命令に御堂も腰を上げた。
(それにしてもあの蝉丸が秘宝捜しか。まぁ、俺には関係のねぇことだがな)

【久瀬 旅芸人一座の団長】
【広瀬 旅芸人一座の副団長】
【繭 一座のマスコット的存在】
【美汐 一座のマネージャー。白魔法の使い手】
【矢島 一座のパシリ一号】
【御堂 一座のパシリ二号兼用心棒。元王立騎士団所属】
289名無しさんだよもん:01/12/29 14:21 ID:yTmhueUq
細かいツッコミ〜
>>288
セミーがいるのは共和国で、しかも特務部隊は秘密裏に結成、だったと思われ。
細かいところだけど。…………にしてもミドゥーが旅芸人ってのがステキだ(w
290目指すは王都書いた人:01/12/29 14:35 ID:AXVFml/9
>289
おっと、それは失礼。

んじゃ>>287
「えぇ、何しろレフキー王国の首都ですからね」
         ↓
「えぇ、何しろレフキー共和国の首都ですからね」
に修正。
特務部隊の話は・・・、久瀬がギルド辺りで聞いた裏情報っつーことで(w
291名無しさんだよもん:01/12/29 14:40 ID:LI5V6Boi
>>289
たぶん>>288では御堂が元特務部隊と言いたいのだと思われ。
292291:01/12/29 14:52 ID:LI5V6Boi
違うのか(汗

>>284
一般的でない魔法についての考えはどうだろうか。
今の状態ではとてもリレーできない魔法がある。
元ネタを公開し設定を明らかにする必要があると思うがどうか。
2931 ◆mYCw53h6 :01/12/29 15:19 ID:69ddBhRH
>>292
一般的ではない魔法…
例えばどんなやつですか?
(;´-`).。oO(どうか自然術じゃありませんように…)

個人的には、キャラデータを作りたい…
口癖、語尾、性格、一人称、二人称、三人称などのデータを作るやつを…ついでに立ち絵も(w

前にリレースレで出たけどそのまま立ち消えになってしまった話なんですけど、
ここにいるみんなの記憶と知識を頼りに作ってみたいと思ってます。
足りない分は、各キャラスレの住人さんにお願いしてきます。
294名無しさんだよもん:01/12/29 17:39 ID:LI5V6Boi
気になったのは言霊使い。
表意文字の音が合ってれば良い?

自然術は一度まとめると良いかもね。

>>293
データもいいが>>205-206のような整頓をこまめに
やってくれると助かる。
295名無しさんだよもん:01/12/29 18:07 ID:0fslFAhi
>>284
俺が『こ・じ・ん・て・き・に』(ここ大事)嫌いなファンタジー小説の中に、
スレイヤ○ズってのがあるんだが、その上で気に入ってる部分が(矛盾してるぞ)
「弱い主人公が、どんどん強くなって世界を救う」王道話じゃなかったこと。
というか、パワーバランスが変な所でとれてる(崩壊してる)部分がね。

私的には、強いパーティの話があれば、これから強くなる(かもしれない)パーティの話が
引き立つと思うので(逆もしかり)。んで、誰彼の人達を弱く書く、ってのも違和感あると思うので
現時点の実力の差は、気にしなくてもいいのでは? と、私は思った次第であります。

……超先生だけは、自分も某所の影響でお腹いっぱいなので、勘弁して欲しい所ですが(笑)。


………マジレス、カコワルイ。角度とか。
296アウトローとクルスガワと(1):01/12/29 20:59 ID:RKb6Ota9
「はぁ…はぁ…重い。」
背中に大きなリュックを背負った浩之は思わずぼやいた。
「大丈夫ですかー?やっぱり佐祐理も何かお持ちしますよー?」
佐祐理が少し先から浩之に呼びかける。
「いや、大丈夫だよ。」
なまじ見栄を張って荷物持ちをかって出た分、浩之も意地になっていた。
「しっかし…こんな山道を登るなんて聞いてねーぞ。」
佐祐理の話によると秘宝塔のある村はリフキーから一山越えた所にあるという、しかしこの山が思っていたより険しかった。
「もうすぐですよー。頑張ってください。」
そりゃ一時間前にも聞いたよ、浩之はそうまた心の中でぼやいた。
また背負っているリュックも曲者だった。今回の旅に必要な物以外に重い食器やらなにやら、はてはおもちゃまで入っているのだ。
それら旅に不要な物は全て佐祐理の弟の物であった。佐祐理は過去に幼い弟を病気で亡くしているという過去を持っている。
それ以来、必ず自分の寝る部屋には弟の形見であるそれらを枕元に並べてから寝るらしい。
(だからって旅先にまで持って行かなくったってなぁ。)
出発前、浩之はそれらを置いてゆくよう佐祐理を諭したのだが、
(あんな辛い表情見せられちゃしょうがないよなぁ…。)
思い出の品との今生の別れのような悲しい表情を見せた佐祐理を見て可哀想になり、渋々持って行く事を許可してしまった。
(だけど許可した時の佐祐理さんのあの嬉しそうな事といったら。)
子供のような無邪気な笑顔を思い出し、自然と浩之の表情は緩んだ。
「しかし…はぁ…重い。」
曲りなりにも年頃の男と女の二人旅、浩之もそれなりによこしまな期待を抱いていたのだが、これではそれどころか疲れきって倒れてしまうのではないかと感じ始めていた。
俯きながら山道をせっせと登っているとドンッと何かにぶつかった。顔を上げると佐祐理の背中がある。どうやら立ち止まっていたらしい。
「佐祐理さん?どしたの?」
「…浩之さぁん。」
振り向いた佐祐理は半ベソをかいていた。
297アウトローとクルスガワと(2):01/12/29 21:00 ID:RKb6Ota9
「よぉ、兄ちゃんはそのお嬢ちゃんの連れかい?」
「わりぃけど荷物、置いてってくんねぇかな?」
佐祐理の背中越しに見ると、汚れた毛皮を着た、今時って思うくらい古風な格好をしたいかにも山賊ですという男が三人並んでいた。
相手は頑健そうな男三人、ここは素直に従った方が良さそうだと考えた浩之は佐祐理の前に立って言った。
「ああ…荷物はくれてやるし抵抗もしない。だから俺達はこのまままっすぐ帰っていいか?」
「なかなか物分りのいい兄ちゃんじゃねぇか。着ているもんも寄越したら命だけは助けてやるぜ。」
「ただし、そっちのお嬢ちゃんには残ってもらうがな。色々とお楽しみがあるもんで。」
「ぐぇっへっへ。」
下卑た笑い。
「…浩之さん。」
「くっ!佐祐理さんは逃げるんだ!」
「そんなっ!」
「いいから!」
あんまりにもベッタベタな展開。だがこれは相当やばい状況。
(しょうがねぇ…ここは佐祐理さんだけにでも逃げてもらうって事だな。)
「お?やるってのかい?上等だ!」
身構えた浩之を見て山賊達はそれぞれ持っていた山刀を抜いた。大きな刀身が不気味に光る。
(ああ…短い人生だったな…。さらば我が青春。)
浩之がすでに覚悟を決めたその時、
「フリーズ!そのまま動かないでください!」
声がした。振り返ると茶色の長い髪の少女が山道を駆け上って来る。
「警告、します!あなた方の取っている行動はリフキー治安維持法第38条、強盗・強奪容疑に抵触しています。ただちに武器を捨て投降する事を要求します。」
その少女はたった今山道を駆け上がってきたばかりなのに息も切らす事無くそう言い切った。見た所何も武器など持っていないようである。
「何言ってんだ、アンタ!とっとと逃げろ!」
浩之が叫び終わる前に山賊達は少女に飛び掛っていた。
298264:01/12/29 21:01 ID:mTRfDKoC
……スタッフネタはまずかった模様
お笑い大好きだけどシリアスも欲しいなと思いまして。そしたら大暴走(汗
脳内あぼーんでお願いしますね。
299アウトローとクルスガワと(3):01/12/29 21:01 ID:RKb6Ota9
「…すっごぉい。」
佐祐理は目の前で起きた信じられない出来事に思わず声を上げた。
三人の山賊と対峙した少女は、迫り来る山刀をひらりとかわし、その横腹を叩いて刀を折り、目にも止まらぬスピードで山賊達を気絶させたのだ。
浩之もあまりの出来事に口をあんぐりと開けたまま呆然としていた。
「容疑者三名確保、これより送検します。」
少女がそう言い、口の中で何か呪文を唱えると気絶した山賊達の体が光に包まれ、凄いスピードで上空に飛び去って行った。
「あの…どうもありがとうございました。危ない所を…。」
「いえ、当然の事をしたまでです。」
佐祐理が礼を言うと少女は表情を変える事なくそう言った。
「えっと…倉田佐祐理です。あなたは?」
「セリオ、と申します。クルス商会の者です。以後お見知りおきを。」
「クルス商会って…あのクルス紹介ですか!?」
「はい。」
「何?それってそんな凄いもんなの?」
「凄いなんてものじゃないですよ!クルス商会って言ったら今やリフキーだけでなくこの大陸の錬金術や魔術、その他いろいろな産業を一手に担う大元締めみたいなものですよ。」
「へぇ、詳しいんだな、佐祐理さん。」
セリオと名乗った少女はそう横から口を挟んだ浩之の方に向き直り、
「こちらは?」
「あ、ああ、藤田浩之ってもんだ。よろしく!」
そう言って差し出した手に、
「セリオ、と申します。よろしくお願いします。」
セリオは握手を返した。それはなんだかとても杓子定規な握手で、冷たい手をしていた。
300アウトローとクルスガワと(4):01/12/29 21:09 ID:RKb6Ota9
「で?そのすっごいクルス商会さんがどうしてこんな山道に?」
「この山を越えた所に存在する村の調査をするためです。」
「え?それって…。」
浩之と佐祐理は顔を見合わせた。
「佐祐理達とおんなじじゃないですか。」
「倉田様達もあの村に?」
「そうです。佐祐理達もあの村のそばにある秘宝塔って所を目指してるんですよ。」
浩之は少し喋り過ぎじゃないか?と思ったが黙っていた。多少胡散臭いものを感じたものの、セリオは命の恩人だからだ。
「良かったら村まで佐祐理達とご一緒しませんか?」
「一緒に、ですか…。」
セリオはしばらく考え込んだ後、
「はい、山道は危険ですのでご同伴させていただきます。」
それを聞いて佐祐理はやったぁと喜び、
「あははーっ、それじゃあ秘宝塔目指してしゅっぱーつ♪」
とまた元気良く山道を登り始めた。浩之はその背中を眺めて、ああいう純粋な(能天気とも言う)所も佐祐理さんなんだなぁと後をついて行った。
しかしセリオが動かない。
「ん、どうした?セリオ?」
セリオは少し小首を傾げて、
「藤田様、倉田様、目的地への進む方向が間違っているようですが?」
「へ?だって俺達はずっとこっちに…。」
「いえ、村はあちらです。」
セリオが指さした方向はまったく違う方向だった。
「ちょっと待った…佐祐理さんっ!?佐祐理さぁ〜ん!」
すでにだいぶ離れた場所を歩いている佐祐理を呼び戻すために走りながら、やっぱりセリオと同行して正解だったとつくづく思う浩之であった。
301アウトローとクルスガワと(4):01/12/29 21:16 ID:RKb6Ota9
>>296-300
「アウトローとクルスガワと」です。
一応>>242-244さんの「少年とお嬢様」の続きみたいなものとして書かせていただきました。
なんか定石通りの展開過ぎてかなり恥ずかしいのですが、まぁそれは導入部って事で大目に(汗
ファンタジーっぽく「来栖川商会」を「クルス商会」と勝手に改名しちゃったんですがイメージ狂うようでしたら「来栖川商会」に修正してください。
あと今回採用した設定は
【セリオ:クルス商会の者という以外詳細不明】
だけです。
302264:01/12/29 21:22 ID:mTRfDKoC
うぐぅ、割り込み………
>>301さん、申し訳ありません
303お金がない!!:01/12/29 22:09 ID:0fslFAhi
ちりーん。……ちりーん。………ちゃりーん。

(……どうするよ、俺)
北川は困っていた。お金がもうない。
(ええっと、宿代を1ヶ月分前払いして、格好いいマント買って、筆下ろしして………)
………肝心の弾を、補充してなかったことに気付く。
「馬鹿ですか!? 馬鹿ですか、俺はっ!?」

「………という訳でして、何か仕事はございますでしょうか?」
「あらあら」
ここの店のマスターは、色んな所に顔が利くらしい(めっちゃ美人だし)。
ならば、稼ぎの良い仕事の一つや二つ………我ながら名案である。
「もちろんありますよ。でも、仕事の斡旋をする以上……」
「俺の実力が、どの程度か見たいとっ。ふふふ、そういうことなら任せて頂きたいっ」
「では、私の娘と手合わせしてくれるかしら?」
「………はい?」

(………マジか)
目の前には、動き易そうな服に身を包んだ女の子。そこまでは、まだ許そう。
(………寝てるし)
回りでは、すっかり仲良くなったご同輩が賭けを始める始末。
その上、俺と女の子(名雪と言うそうな)の倍率が2:8。ヘコむ。
「………あらゆる武器の使用を認めます。それでは………始めっ!!」
歓声があがった。
304立場もない!!:01/12/29 22:34 ID:0fslFAhi
ばしゃ。
………水が、冷てぇ。

「う〜。最初の飛び蹴りでダウンしなかった人は、ほんと久し振りだよ〜」
……お前、そのどう見ても寝てる立ち方をどうにかしろ。そう言いたいが、口が動かない。
(大体、助走無しで10m先から蹴ってくるのは飛び蹴りとは言わねぇよ………)
「銃を使わなくても、それなりに立ち振る舞えるようですね」
(いや、使わなかったんじゃなくて、使えなかっただけです………)
正直、自分は強いと思っていた。銃に頼らずとも、そこらの戦士は軽くいなす自信はある。
それが……一撃も入れること無く、このザマだ。悔しくて、涙が出た。

「どうも……ありがとうございました」
「うう、痛かったよね……」
始めて彼女が顔をあげる(……可愛い)。………さすがは、マスターの娘さん。
「北川さん?」俺の心を見透かしたかのような、マスターの声。
「はっ、はいっ!!」思わずびびる俺。
「一つ質問です。魔法は使えますか?」「……いえ、資質が全く無いらしいので………」
「………そうですか」おや? もしかしてあんな無様な戦いっぶりでもOK?
「今すぐ出来る仕事、一つありますよ」「マジっすか!? 是非やらせて頂きますっ!!」

「次は、皿洗いだよ〜」
寝ながら洗濯をこなしている(器用だな、オイ)彼女の指示。
「はい、わかりましたぁ………」
宿代食事代チャラ。その上賃金まで貰える。それはとても嬉しいんだ………。
でも、でもよぉっ!! 俺は世界中の美女を物にする(予定の)男だぞぉ〜!!!(泣)
305名無しさんだよもん:01/12/29 22:43 ID:0fslFAhi
【北川 弾と金がほとんど残ってないので、宿屋で働くことになる】
【秋子 相変わらず、実力不明。色んな所に顔が利くらしい】
【名雪 体術家。北川をボコにする(笑)】

ということで「お金がない!! 立場もない!!」でした。
いかがでしたでしょうか、超先生?(笑)

全然違う道を疾走する彼等ですが、皆様とも道が交われば………いいなぁ(笑)。
306竹紫:01/12/30 00:49 ID:Oer8eawx
     ∧_∧  
   < `∀´>     イカス!
    (      )      
  | ̄ ̄竹紫 ̄|        
307たき木を囲んで:01/12/30 01:43 ID:7o9In9uw
ぱちぱちと、たき木が燃えて周囲を照らす。
ゆらゆら揺れる光は現像的で独特の雰囲気がある。
が、都会の人間である浩之は基本的に野宿が嫌いなので、何の感慨もなかった。
たき木の中にまだ葉っぱが青々とした木を放り込む。ふと隣りを見ると、佐祐理はすやすやと眠りについていた。
「浩之さん」
「ん?まだ起きてたのか?」
「…浩之さんも、まだ休まれないのですか?」
「ま、休みたいのは山々なんだけどな…」
手に持った、木をセリオに向ける。セリオは素っ気無く言った。
「…虫除けの木ですね」
「ああ。こいつが燃えたときに出る煙は、虫にとってはとんでもなく有害らしい。
何があるかわかんねぇんだ、用心するに越したこたぁねーだろ。…ま、多少、煙の臭いが服に移っちまうのは我慢してくれって感じだけどな」
浩之はそう言ってから笑った。セリオはにこりともせず、じっと浩之を見ていた。
「何だ?俺の顔になんかついているか?」
「貴方は一体何者ですか?彼女も」
「何者って言われてもなぁ…」
返事に困り、アタマをかく浩之。ただの町民とお嬢様…としか、言いようがない。
「私が理解いたしかねるのは、何故あなたたちが秘法塔に向かっているのか、という事です。
『タレント』のない貴方たちが危険を冒してまで冒険をする理由が理解できないのです」
『タレント』。ある者は神秘といい、ある者は魔力と呼ぶ力。
魔術、怪力、超反応、変異能力…常人には持ちえない力の総称。
そして、この世界では絶対に近い価値観をもたらすものの一つといえる。
308たき木を囲んで(2):01/12/30 01:44 ID:7o9In9uw
「そんなに変か?タレントの無い人間が冒険をする事は」
「タレントを持つ者に比べ、危険が多い事は間違いないです」
ふう、浩之はひとつ溜息を吐いた。
「なぁ。タレントのあるないってそんなに重要な事か?」
「少なくとも、冒険を行う上では必要不可欠と思いますが」
「でも、どんなすごい力を持っている人間でも、死ぬときゃ死ぬんだぜ?」
「それはそうですが」
「…ま、別にどーでもいいけどな。俺は、佐祐理さんに巻き込まれた口だし」
「では、彼女は何故秘法塔に行こうと考えたのでしょうか」
「しらねーな」
実際、聞いていないので正直に答える。佐祐理は一見何も考えていないかのような唐突な事を言うことがあるが、それは単なる我侭ではない事を浩之は知っている。
いずれ話してくれるだろう、浩之はそう思っている。
「気にはならないのですか」
「多少はな。けどまあ、どっちかと言えば、お前さんの目的が気になるな。
確か、クルス商会だったか?秘法塔の噂の調査というのはともかく、何故今更なんだ?
昨日や今日のネタじゃねーんだろ?」
「………」
「だんまりか…ま、別にどーでもいいけどな」
とりあえず、明日が辛くならないよう寝とけ…と言おうとした時。
「…人を、探しています」
「人って、誰を?」
「私に良くして下さった方で、私を友達と呼んでくれた方です。最近、風の噂で冒険者になったと聞きました」
ゆらゆらとたき木の炎がセリオを照らす。彼女の瞳には、僅かながらも温かみが燈っていた。
「…なるほど。見つかるといいな」
「ありがとうございます」
309名無しさんだよもん:01/12/30 01:51 ID:7o9In9uw
【浩之、佐祐理、セリオ野営中】
【セリオの能力はおまかせで】

「アウトローとクルスガワと」の続きです。
『虫除けの木』はちょっとした小道具、『タレント』は異能力の呼び方の一つです。
このパーティ、全体的にかなり進んでいるなあ。
310傭兵と荷物:01/12/30 02:13 ID:RPWeppHJ
 ……八人、か。
 その半分にも満たない人数の自分たちを、これほどの大パーティをもって襲い掛かるとは。
「よほど群れるのが好きらしいな? ろくな牙も持っていない野良犬どもが」
 囲まれた男達の一人、柳川 祐也は、一通り敵を見回すと、挑発でもするように言い放った。
 それにもかかわらず、囲う方の集団は顔色一つ変えない。
 野党風の装備の下に隠された素顔からは、ただただ敵意のみが伝わってくる。
 一人、また一人とシミターを鞘から抜き出す。しゃらん、という、よほど手入れされていなくては発することの無い音が響いた。
「柳川さん、こいつら、ただの野党じゃありません。或いは、仕向けられた暗殺者――」
「……いや、今回は君に任せるよ、月島君。私はこの程度の野良犬を相手するのに力を使いたくは無い」
「それは僕も同じです。――とはいえ、前回休ませていただいたのは僕ですからね。僕がやります」
 月島君と呼ばれた男、月島 拓也は、そう言うと少しずつ殺気を解放し始めた。
 剥き出しの殺意が戦場のいたるところでぶつかり合い、まるで硝子細工のような緊張状態を作り上げる。
 全ての人間がお互いに向けて張り巡らせる、戦いの意思の網。
 その死線の羅紗を、一人の暗殺者が破いた。
311傭兵と荷物:01/12/30 02:13 ID:RPWeppHJ
 乾いた大地に舞う砂塵に隠れ、八人のうちの一人が、まるで戦闘態勢になかった柳川にその凶刃を向けた。
 僅か瞬きの後、もといた場所から4メートルも跳躍し、次の刹那、太陽高く掲げられた円月刀がまさに柳川の喉を掻き切らんとしていた。
 音も無く振り下ろされる刃。いまここに傍観者がいたとなれば、その者は柳川の死を確信したことであろう。――もっとも、この一連の動きを目に止めることが出来ていたのならば。
 が。
 耳障りな音とともに大地に倒れこんだのは、襲い掛かってきた暗殺者のほうであった。
 月島はその懐に隠した鞭を一閃、敵の喉を潰していたのだ。
 正に神速の業……そう形容するのが相応しいような一撃であった。
 ふう、と一つため息をつくと、月島はこう告げた。
「……やっぱり、少し手伝ってもらえませんか? 柳川さん」
 月島の言葉に、柳川も一つため息をついて、その力を振るう気になったらしい。
312傭兵と荷物:01/12/30 02:14 ID:RPWeppHJ
 結局、戦いが終わってみると、柳川が倒した敵の数は5人にも上った。
 それも、月島の技量を秒殺とするならば、彼の殺陣は瞬殺といった所か。
 改めて、月島は柳川の恐ろしさと、また彼が一応の仲間であることの安堵感とを味わった。
「……君の言う通り、あちらさんもプロを雇ったらしいな」
 暗殺者の荷物をあさり終えた柳川が、不機嫌そうに舌打ちしながら言った。
「たった一人のためにここまで金をかけるなんて、よほどの価値があるみたいですね、彼女は」
 言いながら、明後日の方向を向く月島。
「もう出てきてもいいですよ、月宮さん。あなたを襲う敵は、もう一通り倒してしまいましたから」
 と、その言葉に呼応するように、いったいどこに隠れていたのか、緑色の髪に妙な耳飾をつけた女の子――マルチがおずおずと姿を現した。
「あの……、ほんとにもう、だいじょうぶ……ですか?」
 不安そうにマルチが告げる。
「うわっ! ひ、人がこんなに倒れてます! あのっ! 大丈夫ですか? 生きてますかー!?」
 顔面を蒼白にして、今にも倒れそうな形相で慌てるマルチ。
 倒れた暗殺者のほうをぺちぺちとやったり、耳元で話し掛けたりしている。
 そんなマルチを、月島が御した。
「気を失っているだけですよ。まあ、あと数時間もすれば目を覚ますかもしれませんが」
「あの……ほ、ほんとうですか? 怪我とかは、大丈夫なんですか?」
313傭兵と荷物:01/12/30 02:15 ID:RPWeppHJ
「はい。これでも腕っ節は確かですから、あまり人に怪我をさせないで眠ってもらう方法というのもいくつか心得ているものです」
「はあ、そうですか……」
 安堵に胸をなでおろすマルチ。
「――殺したほうが確実だったんだがな」
 柳川の物騒な意見に、月島はマルチに背を向けていった。
「駄目ですよ。少なくとも今は、コロシは御法度です」
 月島と柳川。両者の眼光が鋭くなる。
「ふん……。いちいちもっともな意見だな」
「そうですか?」
 試すように月島が言う。
「コロすとなれば、丸腰のあなたは力を使わざるを得ない……。同類が多いこの地域では、気づかれるのも面倒だといっていたのは何処の誰でしたっけ」
「隠し玉を抱えているのは貴様もだろう、月島」
 月島は人懐こそうな顔にシニカルな笑みを浮かべ、それ以上は何も言わなかった。
314傭兵と荷物:01/12/30 02:15 ID:RPWeppHJ
「行くぞ、女。目的地までは、俺たちが必死で稼いだこの数時間で間に合うはずだと言ってたよな」
「は、はい。さきほどのオアシスを出発しましてから、昼の太陽の方向に小一時間ほど歩きましたので、目的地のリフキーへは日没までに、最悪でも夕食の時間には到着するかと思われます」
「……ところでな、女」
「はい?」
「太陽は動くぞ」
「へ? あ、ああっ! す、すすすすすすみません! わ、わたしとしたことが、そんな簡単なことで間違ってしまうなんて!」
 ……柳川は、僅かに痛む頭を抱えながら、地図を繰り回しているマルチを横目に、懐からコンパスと六文儀を取り出した。
(また、徹夜行も辞さず、か)
 柳川 祐也と月島 拓也。名の知れた二人の傭兵が請け負った今回の簡単な仕事は、どうやら運ぶ荷物自体が大きな障害となっていたようだ。
「――もっとも、こんな奴に地図を任せたのが間違いといえば間違いか」
「あの……、何かおっしゃりましたか?」
「いや、いくらめんどくさくても自分達のことぐらい自分達でやるべきだったと後悔してるところだ」
「はうぅ……」
 そんな会話を交わす二人の後ろから、月島が先程とは違う人懐っこい笑顔を浮かべながらついて行った。
315 ◆bIGaAlfo :01/12/30 02:19 ID:RPWeppHJ
【柳川 傭兵。月島とチームを組み、マルチをレフキーへと連れて行く仕事を請け負う。主用武器は不明】
【月島 傭兵。柳川とチームを組む。両者、あまり知らぬ関係ではないらしい。主用武器は、鞭】
【マルチ 今回の仕事のお荷物(笑)】

>>310-314
以上、『傭兵と荷物』でした。少し傭兵面々を強くしすぎた気がしますが、まあ、なんとかなる……かな?<楽観者
この面々がどのように秘宝塔に絡んでくるか、それともまた別の目的を見出すのか、
――それを決めるのは、ROMしているあなたかも知れません(笑)。

ところで、これ書いている途中で気がついたんですが、この世界って度量衡のほうはどうなっているんでしょう?
この作品では一応現実互換としましたが、いかがでしょうか。

……で、書き込んでいる途中で気づいた誤字修正です。
>>312、「月宮」じゃなくて「マルチ」です。
――痛ぇ、ひたすらに痛ぇ。
316名無しさんだよもん:01/12/30 03:20 ID:NE1FBZxa
いいじゃん、SI単位系で。
ワケのわかんない単位創造されても困るし、1葉鍵=6.78kgとかいちいち説明されても萎える(w
3171 ◆mYCw53h6 :01/12/30 06:00 ID:jccFO5y1
>>209-210 第9話 「見入られし者」
【千堂和樹、九品仏大志、高瀬瑞希、次の目的地へ】
【和樹、魔剣阿修羅を装備】
【和樹は剣士です、大志と瑞希は未定】
3181 ◆mYCw53h6 :01/12/30 06:01 ID:jccFO5y1
>>212-220 第10話 「莢の中。」
【七瀬彰 しのさいか 街医者として働いています。彰白魔導士(最高に近いレベル) さいか 美少女】
【住井護 剣士。冒険者見習いレベル。剣だけ立派】

>>227-229 第11話 「剣士と盗賊」
【川名みさき(剣士)と保科智子(神官):月宮あゆ(盗賊)を捕獲】
【折原浩平:あゆの親分格? みさきと知り合い?】

【酒場の青年(>>187、誰かは不明):待ちぼうけ】
【酒場の親父:みさきの攻撃により気絶】

>>233-235 第12話 「女王の憂鬱」

【大庭詠美 女王 具現化絵師】
【柏木梓 摂政兼衛兵隊長 詳しい能力は不詳】

>>242-244 第13話 「少年とお嬢様」
【藤田浩之 町民 特技はないが、センスが優れていて何事も『そこそこ』こなせる】
【倉田佐祐理 議員の娘 特技はないが、幾つかのアイテムを所持】
【二人とも、非戦闘系です】
3191 ◆mYCw53h6 :01/12/30 06:02 ID:jccFO5y1
>>246-251 第14話 「女王陛下との謁見」
>源之助と女王陛下の過去の因縁は、良いネタ思いつかなかったのでぼかしてみました。
>蝉丸・彩以外の探索隊のメンバーは他の書き手に任せます。

>>254-257 第16話 「歌姫と吸血鬼」
【長岡志保 放浪の歌姫/情報屋 歌い手】
【ルミラ 魔界貴族 ?】

>志保はそのまま情報屋として使えますが、それだけではアレなので、歌姫にしてみました。
>『歌』の力については、まだ何も考えてません。
>別に普通の歌を歌ってるだけでも、構わないですしね。

>>260-262 第17話 「若者達」
【九品仏大志 魔術師(どんな魔術かは不明)】
【高瀬瑞希  怪力】

>>264-266 アナザー第1話 「超指令01」
【竹林明秀 リーフ教の枢機卿 無能】
【姫川琴音 リーフ教のエージェント 肉体的には弱いが、強力な超能力を持つ】
【御堂 リーフ教のエージェント 琴音とともに任務に赴く 詳しい能力は不明】
【下川 法王 大粛清を行い、実力者を排除した】
【麻枝 鍵教の大司教 舞が娘という話が本当かどうかは不明】
3201 ◆mYCw53h6 :01/12/30 06:03 ID:jccFO5y1
>>273-278 第18話 「闇の中。」
【七瀬彰 しのさいか  町医者としてのんびり暮らしている】
【聖先生        天才白魔導士。現在は放浪の旅の最中】
【美坂栞        街娘。持病は治ったが、病弱なのは変わらず】
3211 ◆mYCw53h6 :01/12/30 06:04 ID:jccFO5y1
>>280-282 第19話 「異能の一族」
【柏木一族(シェイプシフター):人間としての能力の他に、変身能力を有する】
【柏木初音(調理人-白リス):仕事場である宿屋にいる、千鶴に報告するため戻る】
【柏木耕一(鍛冶屋):店の親父を待つのは断念。盗賊ギルドに居る楓のところへ向います】
>柏木一族を、鬼ではなく変身能力者にしました。
>細かいことまで詰める気はないのですが-----いちいち脱衣するのもアレなので、服はご都合で。
>鬼にも変身できますが、場合と場所を考えると滅多に変身することは無いでしょう。
>たいていは好みの動物に変身します。……黒猫とかw

>>285-288 第20話 「目指すは王都」
【久瀬 旅芸人一座の団長】
【広瀬 旅芸人一座の副団長】
【繭 一座のマスコット的存在】
【美汐 一座のマネージャー。白魔法の使い手】
【矢島 一座のパシリ一号】
【御堂 一座のパシリ二号兼用心棒。元王立騎士団所属】
3221 ◆mYCw53h6 :01/12/30 06:04 ID:jccFO5y1
>>296-301 第21話 「アウトローとクルスガワ」
>ファンタジーっぽく「来栖川商会」を「クルス商会」と勝手に改名しちゃったんですがイメージ狂うようでしたら「来栖川商会」に修正してください。
>あと今回採用した設定は
>【セリオ:クルス商会の者という以外詳細不明】
>だけです。

>>303-305 第22話 「お金がない!!立場もない!!」
【北川 弾と金がほとんど残ってないので、宿屋で働くことになる】
【秋子 相変わらず、実力不明。色んな所に顔が利くらしい】
【名雪 体術家。北川をボコにする(笑)】

>>307-309 第23話 「たき火を囲んで」
【浩之、佐祐理、セリオ野営中】
【セリオの能力はおまかせで】
>『虫除けの木』はちょっとした小道具、『タレント』は異能力の呼び方の一つです。

>>310-314 第24話 「傭兵と荷物」
【柳川 傭兵。月島とチームを組み、マルチをレフキーへと連れて行く仕事を請け負う。主用武器は不明】
【月島 傭兵。柳川とチームを組む。両者、あまり知らぬ関係ではないらしい。主用武器は、鞭】
【マルチ 今回の仕事のお荷物(笑)】
3231 ◆mYCw53h6 :01/12/30 06:14 ID:jccFO5y1
あぁ、かなりヘヴォな編集ですが…
それと、>>307-309は「たき木を囲んで」ですね…スマソ

あと、自分が勝手に作った術・自然術のまとめです。
ケジメのつもりで載せときます。

>>204 基本設定
>>207 訂正(w
>>222 石の彫刻からもできるの? 風は?
>>224 メリットは?
>>252 リレーしてくれた書き手さんの追加設定
324Blood Rabbit (1):01/12/30 12:14 ID:mTP2g8Nu
アハハハ…アハハハハ…

楽しいね。

楽しいねっ。

ほら、舞。兎さんも楽しそうってこっちを見ているよ。

ウサギさん、いっしょに遊びましょ。

タッ!

あっ…!ウサギさん、逃げちゃった…

ふふっ、大丈夫よ。また戻って来るから。

アハハハ…アハハハハ…

お母さん、見てっ!ウサギさん戻ってきたよ!

そうね、戻ってきたわね。

あはは、ウサギさんははずかしがりやさんだねっ。

そうね、恥ずかしがり屋さんね……ゴホッ!ゴホッ!

お母さんっ!?またおせきが出てるの?大丈夫?お母さん…

…大丈夫よ。ゴメンね、また兎さん逃げちゃったね…
325Blood Rabbit (2):01/12/30 12:15 ID:mTP2g8Nu
――夢を見た。

お母さんの夢。お母さんと原っぱで追いかけっこした夢。ウサギさん…

ウサギさんの夢を見る度に壁に一匹のウサギさんの絵を描いた。

ある時見つけた赤いチョーク。描いても描いても無くなる事のない赤い赤い魔法のチョーク…

赤いチョークで絵を描いた。赤いウサギさんの絵を描いた。

最初の部屋はすぐにウサギさんでいっぱいになった。いっぱいになったから次の部屋にもウサギさんを描いた。

次の部屋がいっぱいになったらそのまた次の部屋にウサギさんを描いた。その部屋がいっぱいになったらそのまた次の…

ウサギさんが描き終わる度に私はお母さんに向かって言うの。

見てお母さん、ウサギさんが戻って来たよ…

お母さんはもう何も喋ってはくれないけれど、さみしくはないよ。

だって…私の周りにはこんなにたくさんのウサギさんが居るから…
326名無しさんだよもん:01/12/30 12:21 ID:mTP2g8Nu
>>324-325『Blood Rabbit』です。
皆さん冬コミで忙しいようですが僕にはなんの関係もございません(涙
で今回書いたコレも本編にはなんの関係もございません(涙
強いて挙げるとすれば
【秘宝塔の壁には赤い兎の絵がびっしり描き込まれている】
ぐらいです。少しヤヴァいお話かも(w
327優秀な特務部隊:01/12/30 12:31 ID:2mXAyT34
(ふぅ、一時はどうなるかと思ったが、女王陛下が寛大お方で良かった…)
王城の廊下を歩きながら、蝉丸は胸をなでおろした。
彼はいささか生真面目なところがあり、いつでも仕事優先・任務第一で行動している。
上層部にとっては部下の鏡のような者なのだが、同僚にはウケが悪い。
いわゆる「真面目ちゃんぶっちゃてさぁ…」的な目で見られているのだ。
また、彼の真っ直ぐでお堅い思想は、柔軟性に欠けているという短所もある。
今回のような、予想だにしていなかった事態への対応にも困惑してしまう。
源之助の勧誘に失敗し、結果として彩を代役に押し付けられてしまった時のように…
そこが彼の持ち味と言ってもいいのだが…
「そういえば、お前は何故あんなところで4年間も本の整理などしていたのだ?」
「……ええと…あの地下室の本は…上の階の本と違って……昔の本もあって…面白かったから…」
「面白い?」
「…はい……今では忘れ去られてしまった古い自然術の呪文書や……珍しいモンスターの図鑑とか…」
「ほぉ」
蝉丸は素直に感心してしまう。
彼にとっては本を読むことなど、退屈で仕方がないことだからだ。
「だがその四年間……ろくに運動していないだろう?」
「…あっ…はい……」
と、言うよりか、彩は源之助の下で魔術を習っていた四年間、外もろくに歩いていない。
「それなら俺が王城のガイドをしてやる。王城を一回りも歩けば、だいぶいい運動になるだろう。
 それに、はやく王城に馴染むことも大切だ。これからこの王城がお前の生活の中心になるのだからな」
「……はい…」
自分だってこれが初任務だというのにすでに先輩風ビュービューの蝉丸…
上下関係に生真面目なのも蝉丸の悪いところだ。
328優秀な特務部隊:01/12/30 12:33 ID:2mXAyT34
「ここが特務部隊員の個室だ。特務部隊の任務は緊急を要することもある。
 そのため常に王城に留まっている必要があり、女王陛下の命令さえあれば、いかなる時でも…」
個室の説明さえすればいいのに、特務部隊員の心得まで絶唱する蝉丸。
さらにその説明を漏らすことなくカリカリとメモする彩……
彼らは先程からずっとこの調子で王城のあらゆる部署を見て回っている。
そのつまらなさは普通の人なら途中で嫌になってしまうような最悪の王城見学ツアーと言っても過言ではなかった。
「…と、いうわけだ。何か質問は?」
「………ありません」
「よろしい。では次に我々特務部隊専用の会議室を案内しよう」
蝉丸は早足で『特務部隊専用会議室』と書かれた部屋へと向かう。
彩は蝉丸に一生懸命ついていこうとパタパタと小走りになる。

「ここが特務部隊員専用の会議室だ。この部屋は主に特務部隊の作戦会議や状況報告、
 さらに女王不在の緊急時などに用いられる部屋で、リーダーの俺の召集があれば、五分以内に…」
カリカリカリ……
「…と、いうわけだ。何か質問は?」
「………ありません」
329優秀な特務部隊:01/12/30 12:33 ID:2mXAyT34
「よろしい。では次に特務部隊員の紹介だ。
 特務部隊の隊員は、王立騎士団の各部隊の精鋭から女王陛下の厳しいご判断で選ばれて配属されている。
 俺も以前は抜刀部隊に所属していたが、女王陛下のご命令で特務部隊に配属された。何か質問は?」
「……あの…王立騎士団には……魔術師部隊は…ないんですか?」
「いい質問だ。魔術師部隊は現在リーダーの行方不明。隊員不足で破滅寸前だ」
「……それでお師匠様を………特務部隊に入れようと…したんですか?」
「いや、それは女王陛下のご命令だ。何でも、女王陛下と源之助はいろいろと因縁が深いらしい」
「………因縁って?」
「俺にもよくわからん。だが、当時の女王陛下の一番のお気に入りが源之助だったという噂を聞いたことがある」
「……でも、お師匠様は女王様によって除名されたはずじゃ……」
「俺も詳しく知りたいんだが、その話はタブーらしい。女王陛下にもお聞きしたのだが、『ちょおむかつく』だ、そうだ」
「…………謎は深まるばかりです…」
「む。話が脱線してしまったようだな。他の特務部隊員だが、先程召集をかけたから既に全員集まっている」
蝉丸は自信満々に言い切ると勢いよく会議室の扉を開けた。
バタムッ!
330優秀な特務部隊:01/12/30 12:34 ID:2mXAyT34
「彼らがお前の同僚となる仲間達だ。まずは―――――む?」

がらー…ん

「……誰も…いませんね……」
「…皆、他の任務で忙しいようだな。なにしろ特務部隊の任務は危険で重要かつ迅速な―――――」
「………あっ、書き置きが…ええと……はるかさん…と、いう方からです」
「何っ!?よせ!読むな!」
「『今日は絶好のピクニック日和だからちょっと遊んでくるよ 明後日ごろには戻るかな?   はるか』」
「……………」
「……………」
「………あの……蝉丸さん?」
「……発する…」
「えっ?」
「明日、夜明けと共に秘宝探索に出発する。持っていく荷物は最小限にとどめておけ、以上!何か質問は?」
「……あの…他のみなさんは―――――」
「待たん!二人だけで任務を遂行する、以上!何か質問は?」
「あっ……ごめんなさい……」
「何故謝る?」
「…いえ……何となく…です…」
何故かちょっぴり自分がかわいそうになる蝉丸であった。

【 王立騎士団特務部隊   明日、夜明けに任務開始 】
【 河島はるか  王立騎士団特務部隊員  詳細不明 】
3311 ◆mYCw53h6 :01/12/30 12:42 ID:2mXAyT34
こんにちわ、>>1です皆さん、コミケ楽しんでますか?(泣
>>246-251 第14話 「女王陛下との謁見」 に続く話として書きました「優秀な特務部隊」ですが…

読んでいただければわかるように、そこらかしこに細かい伏線を張りまくってしまう形になってしまいました(汗
すごい勢いで細かい伏線なので無視してもらっても構いません…あ、でもちょっぴり活かしてもらえると嬉しいかな(w

他の特務部隊員については考えてません(w
増員するのも打ち止めにするのも、次の書き手さんにお任せ〜
332みおせる ◆Mio.cel. :01/12/30 20:31 ID:/i/6Gods
やはりコミケには何の関係もない自分です(泣

>>294
一応自分の考えてた設定ですけど……

先祖代々から受け継がれてきた力。
表意文字に限らず、あらゆる1文字を別の1文字に変換することで、
物質変換や状態変化などを引き起こす。
漢字は、「1文字でそう読める」なら何でも可。
例えば「昨日」から取って「日」を「のう」や「う」と読むのは不可。
高速言語を使っているので、発動は一瞬。言葉を喋れなければ発動できない。
生死をひっくり返すほどの力はない。

ってところです。
都合のいいところだけ使って下さい(笑
333彼女の憂鬱:01/12/30 22:17 ID:+nCC2orM
ごちゃごちゃ。
ごちゃごちゃごちゃ。
山と積み重ねられた荷物の中で、志保は探し物をしていた。
「だ〜〜っ、あれでもないこれでもないっ!!」
かなり年代ものの呪文書らしきものを一目見て、すぐさま後ろに放り投げる。
そうやって散らかしたものが、すでに部屋中に散らばっていた。
その時、ドアの呼び鈴がなり、すぐさま志保の家のドアが開かれる。
「うひゃあっ?」
「志保、いるみたいね」
すい、と顔を出したのは、髪を両端で束ねた少女、七瀬留美だった。
そして同時に、室内のあまりの散らかりように、目を丸くする。
「……一体、何やってるのよ?」
「あ、あはははは、別に、大したことはしてないわよー」
そう言う志保が、頭から白いローブを被っているのを見て、七瀬はぷっ、と吹き出した。
「何それ、全然似合ってないわよ」
「う、煩いわね、それより何の用よ。あたしは今忙しいんだからね」
七瀬は肩をすくめると、ずかずかと室内に入ってくる。
その後ろに、恐る恐る、といった顔の、気の弱そうな青年が立っているのに、志保は気付いた。
「何よ、あいつ?」
「ああ、宮田健太郎っていって、弱い戦士」
「いきなりそんな紹介かよ!?」
「事実でしょ」
「……………くっ」
涙を堪えている健太郎を、志保も七瀬も、あっさりと無視した。
「ねぇ、乙女が使うような、いい武器の情報入ってない?」
「なによ、この前の“羽根飾りの剣”、もう壊しちゃったの?」
「グリップが脆くて、振る度にぐにゃぐにゃするのよ。あれ絶対欠陥商品だって」
「あれは非力な貴族の令嬢が使う為の剣なんだって。怪力で振りまわすようには出来てないっての」
334彼女の憂鬱:01/12/30 22:17 ID:+nCC2orM
言い争う二人を尻目に、取り残された健太郎は、不躾とは思いつつも、きょろきょろと部屋の中を見て回っていた。
値打ちものの彫像、古そうな呪文書、おまけに無骨ながら、魔力のこもった剣が無造作に立て掛けられてるのを見て、目を丸くする。
「な、七瀬、この人、一体何者なんだ?」
「あれ、言ってなかったかしら。長岡志保って言って、噂の女王、デマの源、混沌のガセネタ」
「どういう羅列よ………一応、このレフキーで情報屋をやってるわよ」
だが、健太郎を驚かせたのは、別の事でだった。
「な、長岡志保って、『放浪の歌姫』の!? さ、サイン下さい!」
「おい」
健太郎にサインをしてやりながら、志保は嫌そうに七瀬を見た。面倒な奴を連れて来て、という顔だ。
じと目で見つめられ、思わず目をそらす七瀬。
「長岡さん、ここって凄い珍しいアイテムとか、芸術的価値の高い彫像とか
ありますけど、そういうの集めてらっしゃるんですか?」
「……敬語はやめて。背中が痒くなっちゃうから」
「志保はね、昔っから移り気で、彫り士とか、剣士とか、魔術師とか、体術士とか
色々試した挙げ句、どれも中途半端で終わっちゃって、これはその青春の名残みたいなもんなのよ」
「はぁ………」
「青春の名残って、あたしはまだ17なんだけどね…?
まあとにかく、今は結局、歌の才能を生かした歌姫と、情報屋の二束のわらじを履いてるわけよ。
まぁ後は、情報の代金に、色々な所から貰ったものとかね。下の世界からの依頼も多いし」
健太郎は素直に感心していたが、七瀬は肩を竦めただけだった。
「それより志保、あんた、頭から白いローブなんか着て、今度は白魔術師にでもなる気?」
そう言いながら、七瀬が志保の被っていたフードを引っ張った。
「だあっ、やめ……」
志保が慌ててフードを直そうとするが、時すでに遅かった。
335彼女の憂鬱:01/12/30 22:20 ID:+nCC2orM
ふさぁっ……と、下から出てきたのは、可愛らしいネコミミだった。
一瞬の沈黙の後。
「あ、あははははははは!! な、何よそれぇ!!」
「ぷぷっ、な、長岡さん、似合ってるよ、それ」
「笑うなーーーーー!!!!」
顔を真っ赤にして暴れる志保の胸元に、巨大な宝石のブローチを見つけ、健太郎の笑いが引っ込んだ。
「な、長岡さん、それ!」
「あー………これ、ね」
ふっ、と志保の顔に、アンニュイな表情が浮かぶ。
「やっぱ没落貴族の言う事なんか信じちゃだめよねー……」
「ひょっとして……呪い?」
これまた笑いが引っ込んだ七瀬が、物珍しそうに志保の付けているブローチを覗き込む。
血のように紅いルビーは、親指の先ほどもあり、パープルダイアとプラチナで縁取られている。
「これ……どこで手に入れたんだ? 時価数十億はする代物だよ」
「某・没落魔界貴族様の、情報の代金」
「凄い……綺麗ね」
うっとりと見つめる七瀬とは対照的に、健太郎は難しい顔で志保を見た。
「取れないのか?」
「服を着替えても、いつのまにか新しい服にくっついてんのよ。裸でいると、流石に大丈夫だけど」
うんざりした顔の志保に、健太郎は重苦しい口調で言った。
「これって、『スチュワートの血玉』だよな」
「多分ね」
「スチュワートの血玉?」
きょとんとした七瀬に、志保が答える。
「スチュワートって馬鹿な昔の貴族が、古代呪術を使って、猫百匹の血を凝縮して作ったって伝説のルビーよ。
猫の怨霊がばっちし篭ってて、身に付けたものに災いがふりかかんのよ」
336彼女の憂鬱:01/12/30 22:23 ID:+nCC2orM
「この宝石を身に付けた人には、二つの運命が待ち受けていると言われている。
一つは、スチュワートの血族だった場合、全てが無残な死を迎える。
そしてもう一つ、無関係な人が身に付けた場合、血玉の復讐を叶える為に、獣化してしまうらしい」
「それで、ネコミミってわけね。このままにすると、どうなるの?」
「徐々に身も心も猫と化していき、スチュワートの血族を追い求める、狂気の狩人になってしまう」
3人の間に、重苦しい沈黙が流れる。
「……それで、昔習った魔法書を引っくり返して、何とか解呪できないか調べてたのよ」
「まったく、なんでそんなもの身に付けたのよ!!」
思わず怒鳴る七瀬に、志保はため息混じりに、
「だってルミラが、呪いは無いって言ってたし。ふぅ、おかしいとは思ったのよね。
ルミラの所、な〜んか最近没落気味で、台所も火の車なのに、こんな宝石を持ってるはずが無かったのよねぇ」
(気付けよ……)
思わず心の中で突っ込んでしまう七瀬と健太郎だったが、まぁそこが志保という人物なのである。
「そのルミラって人、多分解呪を試したものの、自信が無くて長岡さんに渡したんだろうな」
「そしてばっちり解呪は失敗してた、と」
志保の顔に、引きつった笑みが浮かぶ。
「まぁ文献によると、この呪いが成立するのは、2度目に満月が訪れた時らしいし」
「解呪できる心当たりは無いわけ?」
七瀬の問いに、志保は目を閉じ、首を振った。
「文献をあさって見たんだけど、他人が解呪した場合、その対象が相手に移っちゃうのよ。なんせ猫百匹の怨霊だし。
そんな訳で、頼んだって解いてくれる人間なんかいないわよ………猫……そうよ、猫よ!」
とうとうおかしくなったか、という顔の七瀬の首を引っつかみ、志保はがくがくと揺さぶる。
「そうよ、猫には猫!! ルミラの知り合いに、たまって言う猫又がいるのよ!! そいつに頼めば、ひょっとしたら……!」
「ななななな、なんでもいいいけどどどど、首、首をゆさぶららら」
337彼女の憂鬱:01/12/30 22:28 ID:+nCC2orM
「そういう訳で、行くわよ、一路、秘宝塔へ!」
「まぁ、一応友達だし、付合ってあげてもいいけどね。ひょっとしたら、いい武器があるかもしれないし」
七瀬は、結局新しい武器を見つけることができず、斧のままだった。
一方健太郎は、志保の持っていた魔法のこもった剣……炎が出る代わりに、使う人間も熱い……を貸してもらった。
「でも、なんだってルミラは、塔に向かったの?」
「魔族の血を引く娘が、塔に閉じ込められているって噂、あんたも聞いたでしょ?
ルミラは、そういった魔族の血を引く者達を守護する役目を負ってるのよ。それに……」
「それに?」
「ううん、何でも無いわよ」
久しぶりに腰に差した剣と、懐のマイマイクを感じながら、志保は昨日のルミラとの会話を思い出していた。
『……その塔の娘は、奇蹟を生み出し、死者さえ蘇らせる力を持っている。
そんな事が、愚かな人間に知れ渡ったら、どうなると思う?
私は、そういった悲劇を防ぐ為に、こうやって活動してるのよ』
(秘宝の正体が、人間の魂……それを伝える一族の娘……確かに、愚かな人間に渡せるもんじゃないわよね)
だがもう一つ、志保が気に懸けていた事があった。
「なんだってルミラは、倉田佐祐理の事なんて知りたがったのかしらね………?」
考えても答えは出ない。志保は、奇妙な予感を感じながら、街を出発した。


【志保 情報屋/歌姫 腰に剣、懐にマイマイク 現在呪われている 目的はルミラと会うこと】
【七瀬 戦士(ベテラン) 戦斧 志保に付合って、塔へと向かう】
【健太郎 戦士(かけだし) 志保から貰った、自分も熱い炎の剣装備】
【ルミラ 魔界貴族 舞が魔族とのハーフと知って、人間に利用されないように保護しに行く】
338長瀬@通りすがり:01/12/30 22:34 ID:+nCC2orM
長瀬@通りすがりです。

ルミラに目的を与えてみました。
情報屋が動いてしまうのは反則ですが、まぁ志保だということで。
339盗賊の王国(1):01/12/30 23:07 ID:q+/vHXAh
 この地方における都市は厚さや高さに差こそあれ、城塞都市の形を取っているものがほとんどである。
 王都のように人口が急速に増加する傾向のある都市においては、ある程度のスラムが形成されるのは防げない。
 このレフキーも例に漏れず、最外郭城壁の内外には広大なスラム街が続いている。
 ここから税収を上げることは出来ず、また衛兵も単独で入れば生きて変えれる保証はない危険な場所だ。
 しかし一方で、乞食の巣穴であり娼婦の寝床でもあるスラムは、底辺の人間たちにとって王都の中心部だと言える。

「えらい……嫌な、ところやな」
 智子は三人目のスリに打撃を加えながら、心地悪そうにぼやいた。
 先行する盗賊のあゆは、止める間もなく叩きのめされる同僚を見て気の毒そうな顔をしながら答える。
「うぐぅ……智子さん、カモだと思われてるかも」
「はン? ……かも、やて?」
「白魔術の使い手さんは、たいてい大人しくて情深いし、お金持ちな上に世間ずれしているからね」
 みさきは六人目の物乞いにあゆの存在を知らせ、これを追い払いながら解説する。男は「ちっ」と舌打ちすると、足を
 引き摺り上半身を痙攣させるという手の込んだ迫真の演技を放棄して、スタスタと歩み去って行った。

 ……万事その調子なので、ひとりだけ耐性のない智子は呆れかえり、心底嫌そうな顔で尋ねる。
「なあなあ、盗賊ギルドの本部とか言うんは、まだなん?」
 尾行されないようにだろう、実に複雑な経路を通って行く。一度は内郭城壁を取り巻く、堀の下まで通らされたほどだ。
 ちなみに今は、娼館の屋根裏を通過中である。
「まだまだだよ。もう一回、城壁を越えるんだったよね?」

「……うぐぅ」
 みさきが何か言う度に、あゆは落ち着きをなくし何度も何度も辺りを見回す。
 正確なルートを忘れたみさきは、盗賊のあゆに案内を頼んだのだ。
 しかし本来このルートは最重要機密に属するために、これを漏洩することで暗殺者を差し向けられても文句は言えない。
「み、みさきさん、ほんとに平気なの……?」
「大丈夫だよ。浩平くんは、優しいからね」
 おどおどしたあゆの様子と好対照に、余裕の構えをみせるみさきであった。
340盗賊の王国(2):01/12/30 23:08 ID:q+/vHXAh

          *          *           *

 再びスラムを抜けたと思えば、脇道に詰まれた薪の山を越えさせられる。
 城壁を背にした占い館の中から、かつての篭城戦の傷痕である裂け目を抜けて、踊り子たちの更衣室に出る。
 にわとり小屋の屋根を伝い、無縁仏の共同墓地を横断する。
 ここが最後だよ、と言われた酒場に着く頃には、苦虫を噛み潰したような顔になっている智子であった。
(そらまあ、ここまで念入りなら尾行もくそもあらへんけど。遊んどるんとちゃうか……)

「最後って……ここがそうやの?」
 それは非常に大きな酒場であったが、古く、汚く、そして何より客層が悪い。どう見てもスジ者ばかりが席を連ねている
 ようにしか見えない。
 立ち止まり、危機感に身を震わせるあゆ。一方、今まで気楽なことを言っていたみさきは双刀の鞘走り具合を確認する
 かのように一度引き抜き、すとんと鞘の中に落とし振り返る。
「ここが王宮。 ------衛兵に、注意してね」
 それだけ言うと、すたすたと店内へ入ってしまった。
「ちょっと、みさきさん-----!?」
「うわ、ほんとに入っちゃったよっ!?」
 仕方なく後を追う二人であった。

          *          *          *

 薄暗い店内に入ると、普通の酒場と比べ数倍の煙が舞い、数倍の吐瀉物がはびこり、数倍のくだを巻く酔っ払いが
 飲んだくれていた。季節はずれの虫が飛び、地面を這いずっているのが見える。
「くあ、煙た……」
「うぐぅ、酸っぱいよう、ゴキブリだよう」
 思わず弱音を吐く二人にむかって、周囲の視線が集まる。
 
341盗賊の王国(3):01/12/30 23:10 ID:q+/vHXAh
……神官様ぁ、神様は間に合ってるからよお。ありがたい話は遠慮してくんな」
「それとも、酌のひとつもしてくれるってのかい?」
 次々と馬鹿にした言葉が投げかけられる。
 そうやって蔑まれたせいか、智子は却って気合を入れて周囲を見回していく。
 すると完全にのびていたはずの酔っ払いと、偶然ながら視線が合ってしまった。
(-----酔ったふり、言うことか。しかも、かなりの手練やな)
 なるほどこれが衛兵なのか、と納得しながら智子は戦槌に手をやった。いつ斬りかかられても、不思議はないからだ。

 智子に声をかけた男があゆの存在に気がつき、凄みを増して声を掛ける。
「月宮、こんなとこウロついてるんじゃ無ぇよ。さっさと稼いできな」
「あ、あの……ボク……」
 すっかり萎縮して物が言えなくなっているあゆ。
 彼女に代わるように、いつの間にやらカウンターまで到達していたみさきが口を開く。
「-----謁見しに、来たんだよ」

 ざわ、と場が揺れて。みさきの方へと、視線が集まる。
 そして一瞬ののちにしん、と鎮まった。
「……謁見、だと?」
 どこから出したのか、得物を手に手に次々と立ち上がる男たち。もはや倒れているものなど居ない。
 みさきは降り注ぐ殺気が見えているのか見えてないのか、怯むことなく高らかに宣言した。

「そう。-----”闇の王”に、用ありなんだよ」


【みさき・智子・あゆ:盗賊ギルド本部の、偽装衛兵詰め所に侵入中】
【折原浩平:通称”闇の王”】
342名無したちの挽歌:01/12/30 23:15 ID:q+/vHXAh
毎度、挽歌でございます。
「盗賊の王国」をお送りいたします。

>>341の一行目、鍵括弧(「)が抜けてます。ごめんなさいです。

お話としては第11話「剣士と盗賊」(>>227-229)の続きとなります。
ちっと展開が遅すぎな気もしますね。要意識。


>>323
 女王ナンバーGetですねw
 まとめ、お疲れ様でした。
343純白の鳥―― 姉 ――:01/12/31 00:23 ID:zegbhjWo
 朝靄の中、さいかは野原で薬草をつんでいた。この世界、確かに白魔術という
 便利なものはあるがやはり薬の効果も馬鹿にはできない。毎朝薬草を集めるのは
 彼女が自らに課した日課であった。
 ふと何かの気配を感じ、さいかはそちらへ目を向ける。何だろう?

 バサーーーッ

 見ると、純白の美しい鳥が飛び立った所だった。そして人影。一瞬それに警戒した
 彼女の心はすぐに解きほぐされた。
「おねえちゃんっ!!」
 そう言い、さいかが飛びついた先には、ロングヘアーの綺麗な女性の姿があった。

「そう……、栞の病気はよくなっているのね」
「よくなりすぎてるよっ!!」
 さいかはそう言いぷうっと頬を膨らませる。そして昨晩の栞と彰のやりとりを
 余す事無く女性に伝えた。一部、脚色もあったが。
「はいはい、分かりました。そのことは栞に注意しとかないとね」
「ほんとうにそおだよっ!!」
 彼女の目的地、栞の家の前についてもいっこうに終わる気配をみせないその話に
 女性はそう言って区切りをつけさせる。
「じゃあ、おねいちゃん。またあとでねっ。それと……」
 さいかはそこで一息いれて続けた。
「あきらをゆーわくしちゃだめってちゃんといっといてねっ!!」
 女性は苦笑して頷きさいかを見送る。そして栞の家の戸を叩いた。
「どちらさまですか?」
 そう言い栞が戸を開けて彼女を見、一瞬表情を曇らせたあと満面の笑みを返した。

「お帰りなさい。お姉ちゃん」
344純白の鳥―― 姉 ――:01/12/31 00:26 ID:zegbhjWo
 朝靄の中、さいかは野原で薬草をつんでいた。この世界、確かに白魔術という
 便利なものはあるがやはり薬の効果も馬鹿にはできない。毎朝薬草を集めるのは
 彼女が自らに課した日課であった。
 ふと何かの気配を感じ、さいかはそちらへ目を向ける。何だろう?

 バサーーーッ

 見ると、純白の美しい鳥が飛び立った所だった。そして人影。一瞬それに警戒した
 彼女の心はすぐに解きほぐされた。
「おねえちゃんっ!!」
 そう言い、さいかが飛びついた先には、ロングヘアーの綺麗な女性の姿があった。

「そう……、栞の病気はよくなっているのね」
「よくなりすぎてるよっ!!」
 さいかはそう言いぷうっと頬を膨らませる。そして昨晩の栞と彰のやりとりを
 余す事無く女性に伝えた。一部、脚色もあったが。
「はいはい、分かりました。そのことは栞に注意しとかないとね」
「ほんとうにそおだよっ!!」
 彼女の目的地、栞の家の前についてもいっこうに終わる気配をみせないその話に
 女性はそう言って区切りをつけさせる。
「じゃあ、おねいちゃん。またあとでねっ。それと……」
 さいかはそこで一息いれて続けた。
「あきらをゆーわくしちゃだめってちゃんといっといてねっ!!」
 女性は苦笑して頷きさいかを見送る。そして栞の家の戸を叩いた。
「どちらさまですか?」
 そう言い栞が戸を開けて彼女を見、一瞬表情を曇らせたあと満面の笑みを返した。

「お帰りなさい。お姉ちゃん」
345純白の鳥―― 栞 ――:01/12/31 00:31 ID:zegbhjWo
 それは、そろそろ朝食のパンを買いに出かけようとした時のことだった。

 コンコンッ

 戸を叩く音がした。誰だろう? 来訪者を向かえるには早すぎる時間である。
「どちらさまですか?」
 瞬間、私の胸に一つの希望が湧きあがる。もしかしてお姉ちゃん!? 私は期待に
 胸を膨らませてドアを開け……、瞬間、気付かれただろうか? だが私はいつもの
 ように微笑んでその女性を迎えた。

「お帰りなさい、お姉ちゃん」


「そうよね、やっぱ本当のお姉ちゃんの方がいいにきまってるわよね」
「あっ、いや、その……そういうわけでは…」
 テーブルの上には暖かいミルクのカップが二つと焼きたてのパンを載せた皿。
 私の前に座る女性――巳間晴香さんはそれを美味しそうに平らげていた。
「まっ、それはいいっしょ。それより栞、あなた体の調子はどう?」
「おかげさまで。今ではぴんぴんしてます」
346純白の鳥―― 栞 ――:01/12/31 00:33 ID:zegbhjWo
 そう、巳間晴香お姉ちゃんは彰さんと並び私の命の恩人といっていい存在だった。
 今からちょうど2年前、私の病気が急激に悪化し、彰さんですら諦めかけたまさに
 その時、彼女はふらりとこの街にやってきた。「これは私の田舎に伝わる薬なんだ
 けどね…」そういい彼女が私に飲ませてくれた薬。そのおかげであろうか、私は
 この世界にさよならを言わずにすんでいる。それから半年の間、晴香さんは薬を
 とりに田舎へ戻る以外は私の家にいていろいろと世話をしてくれた。今では私は
 晴香さんの事もお姉ちゃんと言う程仲良くなっている。

「でも無理をしてはだめよ。はい、新しいお薬」
「わーい、ありがとうございます。そうだ、今度は楽しい夢を見れる薬もお願いして
 いいですか?」
「おやどうしたの? さては日頃の行いが悪いから、悪夢をみるようになったのかな」
「えう〜、そんな事言う人、嫌いです。悪夢っていうか、変な夢をみるだけですよう」
「変な夢?」
「ええ。なんか真っ暗な中で「失敗だ」とか、「所詮はFランクか」とかいわれて…」
347純白の鳥―― 宗団 ――:01/12/31 00:34 ID:zegbhjWo
 長い髪をした凛々しい女性に、見事なブロンドの髪の女性が寄り添うそうに付き従って
 歩いている。彼女達が通ると畑仕事をしていた人々がまるで崇拝するかのように
 こうべをたれて見送っていた。そう、ここはFARGO宗団の本部のある街。信者の中には
 こう呼ぶ者もいる。「全てが始まる街」と。


「郁未宗主。御報告したい事が……」
「もう、葉子さん。二人だけの時はそんな堅苦しい呼び方しないでって言ってるでしょ」
 宗主室にFARGO宗団宗主、天沢郁未の声が響き渡った。
「私は結構気に入っているのですが」
「どこが?」
「宗主という響き…がですね」
「はあっ……、それで何?」
 微妙にからかっているんだろうなあ。葉子さん、今すこし笑ってたし。ええい、
 仕返しに適当にあしらってやる。だが葉子の報告は、郁未のその考えを百億光年の
 かなたに追いやるようなものであった。

「秘宝……Aランク分類者「川澄舞」を発見致しました」


 FARGO宗団は、いうなれば土着の民間信仰の宗教であるといえよう。帝国、共和国等が
 定めている国教とは異なり、誰もが知っており生活に密着しているが、身近過ぎて
 宗教であると認識する者はほとんどいない存在、それがFARGO宗団の「表の」顔である。

 しかしその裏では帝国貴族や共和国議員と深く結び付き資金援助を受ける傍ら、
 ある研究が行われていた。行われていたと過去の事であるかのようにいったのは
 理由がある。3年前、当時は一民間人に過ぎなかった天沢郁未が、宗団に関りが
 あった彼女の母――天沢美夜子を追って宗団に潜入。さらに独自に内偵を進めていた
 帝国特務機関や共和国情報局等の存在などにより宗団内に権力争いが勃発した。
348純白の鳥―― 宗団 ――:01/12/31 00:35 ID:zegbhjWo
 一時は帝国と共和国の部隊を退けた「裏の」勢力が主権を握りかけたが、最終局面で
 天沢郁未がFARGO宗団を統べる者の証「不可視の力」を覚醒さす。それが
 きっかけとなりFARGO宗団「裏の」勢力は壊滅した。

 しかし天沢郁未が欲していた「母の行方」は分からず仕舞い。そこで彼女は現実的な
 選択をする。それは強大な情報力を持つFARGO宗団そのものを掌中に収めそれを利用
 するといったものだった。折しもFARGOの「表の」勢力も混乱した宗団を統べる
 ために「不可視の力」を発現させた彼女を救世主として用いることを欲し、こうして
 利害の一致を得た彼女等の元で現在のFARGO宗団はあった。


「早急に保護しましょう」

 Aランク分類者。彼女達にとってその言葉の意味することは大きい。かつての
 戦いで「裏の」勢力にからくも勝利をした後、彼らの実態を探ったがその構成員は
 自決もしくは行方不明。さらには異常なまでに完璧な証拠陰滅工作によりほとんど
 得る物が無かった。その中で唯一押える事が出来た物がある。それはS、そしてAから
 Fまでランク別に分類された分厚いファイルであった。

 その中には、彼女が探し求めている母――天沢未夜子のデータが記されていた。
 そして驚くべき事に彼女自身や横に立つ鹿沼葉子のデータもあったのである。そこで
 彼女達は決意する。唯一の手がかりたるこのファイルに記された人物全てに接触、
 保護し真実を知る事を。

「少々やっかいな事になっています。帝国特務機関が動いているようです」
「……まずいわね。下手に動くと尻尾をつかまれる………。どうするか」
「テンプルナイトを用いましょう」
349純白の鳥―― 宗団 ――:01/12/31 00:37 ID:zegbhjWo
 ニコリと微笑みながら出された鹿沼葉子の提案に、一瞬考え込む郁未。葉子は彼女に
 決断を促すかの様に続けた。

「敵戦力が不明な現在において、中途半端な戦力投入は危険でしょう。下手に動くと
 我々の事を勘づかれる恐れがあります。よって最も信用できる戦力の投入、また
 秘宝に群がる冒険者を減らすための撹乱工作が急務だと思いますが」
「……現在目標付近に展開しているテンプルナイトは誰?」
「’シスター’姫川琴音が探索任務を、’パラディン’巳間晴香がFランク分類者
 美坂栞と接触中です。撹乱工作には宗団外の人間である緒方英二、及び
 ’闇の王’折原浩平を用いれば万が一の事があっても我々には影響はありません」
「姫川さんは確か唯一Sランクに分類されていた「氷上シュン」の探索をお願いして
 いたのよね」
「はい……。彼については未だ何も。申し訳……」
「いーのいーの、葉子さんは何も悪くないでしょう。気にしないで。さて、それじゃ
 晴香に川澄舞さんの保護をお願いしてもらえる? 姫川さんについては保護か探索を
 続けるかの判断は彼女に一任します。それと撹乱工作の要請も」
「わかりました。それでは晴香さんには「いかなる犠牲を払っても秘宝を奪取せよ」
 と……」
「葉子さんっ!! それじゃ昔戦ったあいつらや帝国、共和国となにも変わりが
 ないでしょう!!」
350純白の鳥―― 宗団 ――:01/12/31 00:37 ID:zegbhjWo
 思わず声を荒げる郁未。そう、目の前の人物鹿沼葉子は小さい頃からFARGO宗団の
 裏の連中に育てられていたせいであろうか、無邪気な残酷さ、手段を選ぶ際に
 通常なら働く「何か」が欠けている所があった。

「すみません。郁未さん」
「そうそう、葉子さんはそういう所は注意してよね。他は私なんかよりずっとしっかり
 しているのだから。皆には死者は決してださないようにって厳命しておいて」
 郁未はそう言って葉子の手を取り窓辺へと向かう。そこには、純白の美しい鳥が
 4羽いる。
「おゆきなさい」
 鹿沼葉子がそう言い鳥達をそっと撫でると、鳥達はその言葉を理解したかのように
 頷き飛びたっていった。二人はそれを見送る。外は快晴。

「んっ、い〜気持ち」
(……分かっていますよ。今派手に死者がでると動きづらくなる。ですから私に
 あのように命じたのでしょう? 私の愛しい郁未……)

 気持ちよさそうに伸びをする郁未の横顔を、鹿沼葉子は静かに微笑んで眺めていた。


FARGO宗団行動活発化(秘法奪取及び情報工作の指令をだす)

[宗主(宗団を統べる者) 天沢郁未:「不可視の力」(詳細は不明)]
[宗団幹部 鹿沼葉子:能力不明]
[宗団幹部 巳間晴香:能力不明](テンプルナイト’パラディン')
[宗団幹部 姫川琴音:能力不明](テンプルナイト’シスター’)
351Kyaz:01/12/31 00:47 ID:zegbhjWo
まずは最初の多重投稿をお詫び申し上げます。はぁっ、へっぽこだ。

そんなわけで「純白の鳥」をお送りします。
ネタ的に>>264-266様とかぶるところがあります。
(宗教ネタとか琴音とかですね)
書かれた方、申し訳ありません。
ダークっぽいのもあると面白いなあと思って書いた作品ですが
いかがだったでしょうか?(ああ、これも>>264-266様とおんなじだ)

それでは失礼致します。
352Kyaz:01/12/31 01:49 ID:zegbhjWo
もしかして、蝉丸達が所属する王立特務部隊って共和国?
すみません。

帝国特務機関>王立特務部隊
共和国情報局>帝国情報局

と脳内変更をお願いします。申し訳ないです。
353佐祐理と羽根飾りの剣:01/12/31 02:27 ID:9GOBV8xk

カキィーン…
――――はぁ、はぁ…
「もう一度、ですよ。一弥。剣を拾いなさい」
――――はぁ、はぁ…う、うん…
「一弥、貴方には力があるんです。貴方の『光の剣』は世界中のあらゆる名剣が束になっても適わない、素晴らしい力なんです」
――――…でも…
「お父様も、お母様も、貴方に期待しているんですよ?」
――――………
「だから、一弥。頑張ろうね?」
――――うん…
354佐祐理と羽根飾りの剣(2):01/12/31 02:28 ID:9GOBV8xk
意識が覚醒した。夢の世界から急激に意識が引き戻される。
夢。そう、酷く辛い夢。悪夢。
頭に手を当てる。額の汗が気持ち悪い。一つ、溜息を吐く。
「佐祐理さん、起きたのか」
突然声が掛かり、佐祐理ははっと我に帰った。炎の向こうに、浩之の姿がある。
今の溜息を見られなかっただろうか?…内心焦ったが、確かめる事はできないので、気にしないことにした。
「ええ。浩之さんも、お疲れ様です」
「ああ…ふぁあ…少し、寝るから、後よろしく」
浩之は一つあくびをすると、荷物の中から毛布を引っ張り出す。それから、何気なく口を開いた。
「そう言えば、佐祐理さん。何か変な夢でも見たのか?」
ドキッと、胸が高鳴った。浩之は一見ズボラで何も考えていないように見えるが、視野が広く、細やかな心配りをすることも出来る少年だ。
「あははー。わかっちゃいますか?やっぱり変な体勢で寝ちゃったからでしょうねー」
「そうだなぁ。暖かい布団が恋しい」
浩之はそう言うと毛布に包まり、体を横にする。
納得したわけではないだろう、けれど、あえて問いただすことはしない。それが浩之と言う少年だ。
そして、そう言った少年だからこそ、気兼ねなく付き合うことが出来る。
佐祐理はほんの少し罪悪感を感じたが、浩之のやさしさに甘える事にした。
腰に手を当てる。派手ではないが、優美な衣装が施された羽根飾りの剣がそこにある。

夜は、まだ明けない。

【佐祐理…羽根飾りの剣を所持】
【浩之、セリオは休眠中】
355名無しさんだよもん:01/12/31 02:29 ID:9GOBV8xk
佐祐理さんに『非力な貴族の令嬢が使う為の剣』を与えてみました。
まあ、端的に言えばそれだけのエピソードです。
ちなみに腕前のほうは…わかりません。というか、抜く事自体しない(つまりお飾り)かもしれないので。
356好奇。:01/12/31 02:29 ID:DdOc8L9u
――――――何も知ろうとしないのは、すべてを知ろうとする事よりも傲慢だ。
――――――そして半端に知る事こそが最大の傲慢である事は云うまでもない。



「――こんにちは」
 診療所の扉を叩いて、大気の僅かな乱れと共に部屋に入ってきたのは、七瀬彰の良く見知った顔であった。
 真っ白なローブを着た自分とは対照的に、真っ黒なローブを着て現れたその女の事を、彰は良く知っていた。
「久し振りだね――ちょうど、一年ぶりくらいか、雪見さん」
「お元気そうで何よりです、彰先生」
 そう云って笑う、二本の剣を携えた女――幼馴染みと云って良い間柄である――は、やけに畏まってそう云う。
「先生なんてつけるな、くすぐったい」
「そっちもさん付けは止めてよ、くすぐったい」
 途端にフランキィである。まったく、この娘は昔から変わらない。
「どう? 今度の冒険は楽しかった?」
「まあまあよ。また捕まらなかったけどね、みさきは」

357好奇。:01/12/31 02:29 ID:DdOc8L9u
 この田舎町で彰はその多感な幼年時代を送ってきたのだが、その大半は白魔術の勉強で占められていた。
 白魔法の勉強にいそしむ傍ら、いつも窓の外で遊びたいと思っていたけれど、遊びたいと思っても赦してくれないようなそんな雰囲気が、聖先生にはあった。
 だから毎日、休憩時間に円い窓の外で遊ぶ女の子達を見る事しか出来なかった。
 ストレスが溜まらない訳がない。いよいよ彰は爆発してしまう。多感な少年期を勉強だけで終わらせてしまって、
 果たして自分は立派な医者になれるのか、人の事を思いやれる医者になれるのか、そう云った趣旨の事を小一時間、
 うつらうつらとした表情で聴く聖先生に語り、熱弁し、叫び、叫喚し、頼むからもう少し勉強時間を減らしてくれ、
 さもなければ自分は家出して聖先生の目の届かないところに行って遊びに遊んで遊びまくった末に死んでやる、
 息を荒くして自分はそう結論づけ、弁論を終えた。果たして自分の考えが聖先生に届いたのか、届いている訳がない。反語。
 途中から欠伸をし出し、ソファに横になり、鼻ちょうちんをぱんと割っているような状態の彼女が真面目に話を聞いている訳がない。
「真面目に聞いてるんですか」
「聞いてない」
 即答されてしまった。僕の一時間は何だったのか、思わず溜息を吐きそうになるその瞬間に、
「誰が遊んじゃいかんといった? いや、もう好きに遊べ! 勉強は夜だけで良いぞ」
 そんな事を言う訳である、何を抜かすクソババァ、と思わず息を荒げたくなる気持ちもわからんでもないだろう。
 いつも自分は窓の外を、ああ遊びたいなあ、とばかりに眺めていたでしょうが見ていなかったのかこのババァ。
「窓の外には女の子しかいないだろう? お前、女の子と混じって遊びたかったのか? わはは、むっつりめ」

358好奇。:01/12/31 02:30 ID:DdOc8L9u
 ――そう、この街には同年代の子供は、女の子しかいなかったのである。
 しかも、年下の女の子、四人だけ。
 それが、美坂姉妹――美坂香里と美坂栞、現在放浪の旅をしている川名みさきと、現在目の前に立っている――深山雪見なのである。
 歳が近いという理由で、自分はみさき、雪見と仲良くなる。栞はいつも香里にべったりで、仲良くなるのはもう少し先。
 香里とは当時あんまり仲が良くなかった、というか、あの娘、何故か自分を毛嫌いしてた。
 何故? と、後に栞に理由を聞くと、
「わたしにくっつく悪い虫になる事を恐れたそうです」
 などと云う。…………むしろ、最近は栞の方が自分にくっついてきてるのだが。
 ともかく、香里とは成長した後に仲良くなった。栞の病気の治療をしている事が一因らしい。
「いやー、付き合ってみるとあなたって良い人ね」
 などと抜かした事も覚えている。なんじゃそりゃ。
 そういえば最近は彼女とそっくりさんの巳間晴香という人とも仲良くなった。どうでも良いが。

359好奇。:01/12/31 02:31 ID:DdOc8L9u

 冒険者として最初に旅立ったのは、川名みさきであった。
 彼女は病気で(この辺りの経緯は、彰がみさきと遊ぶようになる前の事であり、詳しくは知らない)突然視力を失ってしまっているのだが、
 不思議な事に、彼女はそれから数年の内で、突然何か、危ない病気にでもかかったかのように、
 ――「視力」が戻った。
 彼女は、その聴覚だけで自分の付近にあるもの大体すべての存在を掴み取る事が出来た。
 誰よりも好奇心旺盛であった彼女は、自分が目が見えなくとも充分に活動できる事を知るや否や――
 確か、13歳の時であったと思うが――街を飛び出した。彰が医者になってから、3年目の事である。
(その頃には大体栞の病気の方も落ち着いていた頃であった)
 彼女が言い残した言葉は一つ。
「わたしは秘宝を見つけるよっ」
 お前は子供か、と問い詰めたい。事実子供なのだろう。誰よりも幼稚で、誰よりも――強い。
 それから彼女は、一度たりともこの街には戻ってこない。
 ただ、風の噂で、天才剣士だとか、心眼剣士だとか、そんな風に呼ばれているらしい事は聞いた。
 噂ではなんとかという盗賊ギルドにも関わりを持っているとか、なかなか愉快な噂も聞こえてくる。
 こっちの地方の民俗衣装を纏って剣を操る美しい姿が――「双剣のみさき」と呼ばれている事も。

360好奇。:01/12/31 02:32 ID:DdOc8L9u
 彼女を追うようにして旅立ったのは深山雪見である。
 雪見にはこれといって別に冒険者になりたい、という欲求はなかったのだが、ただみさきを捕まえる為だけに旅立った。
 みさきが旅立ってから1年後の事である。二人は共に――13,4歳で、旅立ったのである。
 せめて彼女らの持っている才能が実際の5分の1程度であったならば、彼女らはきっと泣き言を云って帰ってきただろうに、
 ――如何せん、彼女らはは一種の天才だった。川名みさきの噂と同じくらい、天才・深山雪見の噂も聞こえてくる。
「剣聖・雪ちゃん」とは、彼女の通称である。可愛い通称だが、その剣の技術は、けして可愛くない。
 自分の2つ下とは思えない天才ぶりである。云うと雪見はいつも「彰の方がもっと天才だよ」と云うのだが。
 ともかく、偶に帰ってくる彼女と話をする事は、なかなかに楽しい。

「あんまし長居するつもりはないんだけどね、というか、すぐ旅立つつもりだったんだけど」
 そう、雪見は切り出した。
「みさきの居場所、なんとなく判ったのよ。だからすぐにでも旅立つんだけどさ、気になる情報があってね」

 ――彼女は、真剣な顔をして云った。
 その言葉は、彰を驚嘆させるには充分であった。
「聖先生の居場所が分かったっぽい。東の山の向こうの魔法都市にいるらしいわ」

361好奇。:01/12/31 02:33 ID:DdOc8L9u
 んじゃ行くから、と、雪見はまた旅立っていく。
「今度帰ってくる時には、みさき連れて帰ってくるからね」
 そう言い残して、笑みと良い香りを残して彼女は去っていった。

「どしたの、あきら」
 診療が終わり、部屋の布団に寝転んだ彰に、さいかは心配そうに声をかける。
「――いや、別に」
 心配されるような貌をしてたのか、僕は。

 7年も人をほっぽり出して、聖先生は何をしてるんだよ――
 そんな怒りも覚えるのだけど――何よりまず、
 逢いたかった。逢って、あの大きな腕で抱き締められたかった。――そして、問いたかった。



――――――――聞いてはいけない質問はある。
――――――――けれど、知らなければいけない事もある。


【七瀬彰 聖先生の所在を聞いて動揺】
【深山雪見 幼馴染みである川名みさきを捕まえる為に王都レフキーへ】
362名無しさんだよもん:01/12/31 02:35 ID:DdOc8L9u
>>343-350の続きです。即リレー。うわーい。
363付け加え:01/12/31 02:39 ID:DdOc8L9u
【深山雪見 冒険者/ソードマスター】

ペドロクラウドを使える雰囲気があります。気のせいですが。
364名無したちの挽歌:01/12/31 02:55 ID:oo7vtCOE
>>363
 みさき先輩にはパラダイムか、チャージスペルあたりを是非。

 ……気のせいですね。
3651 ◆mYCw53h6 :01/12/31 03:05 ID:Q/gG0bH+
ワダイニハイレナイヨ(;´Д`)
そういえば、レフキーは一体どこに所属する都市なんだろう…この辺りは皆さんはどうお考えですか?

自分はどこの国にも属さない自由都市……みたいな妄想をしてました。
366みおせる ◆Mio.cel. :01/12/31 03:11 ID:RPu5aJfQ
>>365
287で「レフキー共和国(290で王国→共和国に修正済み)」って言葉が出てきたんで、
そこの首都なり地方都市なりだと思ってるんですが。
3671 ◆mYCw53h6 :01/12/31 03:16 ID:Q/gG0bH+
>>366
あ、ホントだ。見落としスマソ…
ということは…ちゃん様が治める共和国=レフキー共和国で、首都がレフキーだと…
うー…ん、ややこしい。

ここはそろそろ編………の出番かな?(自分には作れませんが(;´Д`))
368名無したちの挽歌:01/12/31 03:17 ID:Lcx98yuK
要するに都市国家つーことなのかしら、と思って書いておりますが……いかが?
369みおせる ◆Mio.cel. :01/12/31 03:23 ID:RPu5aJfQ
>>367
企画が軌道に乗りそうだったら、まとめページ作りますよ?
多分リアルタイムに更新できるわけじゃないけど、ちょくちょくまとめるくらいなら。

あれ?「編………」ってそういう意味でいいんだろうか?(w

>>368
そういう感じでとっとと書いてしまえば勝ち、と(w
自分的には都市いくつかまとめて共和国かな、と思ってますが。
3701 ◆mYCw53h6 :01/12/31 03:28 ID:Q/gG0bH+
>>369
あ、ありがたきお言葉っ!
編………はもちろんそういう意味であります。
それじゃあ、あまりプレッシャーをかけるのもアレなんで、お暇でしたら製作宜しくお願いします。

共和国に属する都市or首都で、かなり活気があり、政治・経済・軍事・貿易の中心都市…
よし!自分的レフキー完成!
まぁ、細かな設定は書いたモン勝ちでズバズバと決めていかれた方がよろしいかもしれませんね。
371あまとう ◆akaneZrY :01/12/31 04:24 ID:tjsiUKCD
どうも、サイト作っていただけるとありがたいです。みおせるさん。


えっと、私今回は白魔術師、里村茜の絵を描いてきました。
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Ohgai/3971/akanef.jpg

ふう(w
372ロードの楽しみ:01/12/31 06:37 ID:ElSSjNJV
「うおおおおっ!なんていいところなんだぁぁぁっ!ここはぁぁぁっ!」
「お客さ〜ん、ほかのお客さんの迷惑になるから静かにしてね〜。」
裏通りの一角、娼館やストリップ小屋の類が立ち並ぶ通りに、一風変わった酒場がある。
その名も『コスプレ酒場 一喝』。
ピンクの照明に彩られた店内では、さまざまな格好をしたウェイターが、客の注文を聞いて回っていた。
「これが叫ばずにいられるかぁっ!こんな萌え萌えの格好をされたら俺はぁ!こうやって猿のように尻をなでまわすしかないだろうっ!」
「いや〜ん、お客さんのえっち☆」
レフキー警察の制服(やけにスカートが短くはあるが)を着たウェイターが、男と談笑している。
「いいのか、おまえはぁっ!初めて会ったような男に触れられているんだぞ!」
「そこはとっても大事なところだろうっ!」
「何が悲しくてお前は俺のようなゲスに尻を触られているっ!」
「悔しくないのかっ!」
「惨めじゃないのかっ!」
……訂正。談笑というより男が一方的にまくし立てている。
「はあ…。また始まったよ。ロードの悪い癖。」
男の取り巻きもあきれ顔だ。
「ああなったロードを止められるのはあの人ぐらいだからな。ほっといて俺たちも楽しもうぜ。」
取り巻きの一人がそういって、軍服を着たウェイターの尻に手を伸ばす。
そのとき、カランという音とともに、誰かが店内に入ってきた。
「いらっしゃ…」
ウェイターが息をのんだのも無理はない。
その客は女性だった。それもとびきりの美人である。
体には女性騎士が好んで使う軽鎧をまとい、背中には、布が巻かれた槍らしきものを背負っている。
どこをどう見ても、このような店の客とは思えなかった。
「あの…この店は女性の方は…」
彼女─篠塚弥生はウェイターなどには目もくれず、奥に進んでいった。
373ロードの楽しみ:01/12/31 06:39 ID:ElSSjNJV
彼女に気付いた客の一人が、声を上げる。
「ねーちゃん、酌してくれや!」
どうやらウェイターと間違えているようだ。彼女は無視して先に進む。
「無視すんなコラ!」
男は腕を掴む。彼女はその手を振り払い、蔑みをこめてこう言った。
「何か?」
「てめえ!それが客への態度か!」
それがしゃくに触ったのか、男は彼女に掴みかかろうとして-----
轟音とともに吹っ飛ばされた。
おそらくは槍による一撃であろう。吹っ飛ばされた男の胸にはへこみができていた。
ウェイターの尻を触っていた男たちも、さすがに何事かと視線を向ける。
その中に、ロードと呼ばれていた男の姿もあった。
(なななな、何でこんなに早く見つかるんだぁぁぁっ!)
(まずいっ!まずいぞぉぉぉっ!あと十軒は回るつもりだったのにぃぃぃっ!)
「みなさん、お気になさらず。私が用があるのはそこの男だけですので。」
彼女も男に気がついたらしく、ゆっくりと近づいていく。
「ロード・高槻。領民を放り出して、何をしておいでですか。」
彼女はすさまじい殺気を放っていた。その殺気に気圧されて、高槻と呼ばれた男はもちろん、周りの者たちも一言も発することができない。
その沈黙を破ったのは、背後からかけられた一言だった。
「お客さ〜ん、けんかは外でやってね〜。」
「!」
現れたのは、戦乙女の装束に身を包んだ女性。『一喝』の店長、芳賀玲子である。
もとより、弥生に騒ぎを起こすつもりなどない。あまりに機嫌が悪かったので、ついやってしまっただけだ。
「申し訳ありません。すぐ出て行きますので。あと、これは迷惑料です。」
玲子のポケットに札束をねじ込み、振り返ると、高槻はすでに姿を消していた。
(相変わらず…逃げ足だけは速いわね…)
「そういえばあの人、お金払ってない…」
玲子の言葉を聞いて、弥生は深いため息をつくのだった。
(何で私がこんなことを…。ああ、由綺さんに会いたい…)
374ロードの楽しみ:01/12/31 06:42 ID:ElSSjNJV
俺は裏通りを疾走していた。
(冗談じゃないぃぃぃっ!こんなところで捕まってたまるかぁぁぁっ!俺はあと十軒は回るぞぉぉぉっ!)
声を出すこともできないので、心の中で叫ぶ。
取り巻きを置いてきてしまったが、仕方がない。護身用の拳銃もあることだし。
そもそもあの女は一介の傭兵だ。この高槻様の楽しみを邪魔していいはずがない。
(風俗めぐりに勝る娯楽などないぃぃぃっ!)
(自制などきかないぃぃぃっ!)
俺の領地はほとんどが田んぼや畑で、風俗店はおろか、娯楽自体あまり無い。
そのため、レフキーに行って風俗めぐりをすることは、精神衛生上絶対に必要なことだった。
領民が泣こうが関係ない。奴らは搾取されていればいいのだ。
だが、傭兵ギルドからあの女が派遣されるようになってからというもの、俺のお忍びは一度として成功したためしがない。
今回だって綿密に周到な計画を練ってやっとレフキーまでたどり着いた。
誰にも俺の楽しみを邪魔させはしない。
「ぜえぜえ…。こ、ここまでくれば大丈夫だろう。」
正直、ここがどこかもよくわからないが、裏通りであることは間違いない。
ならば、風俗店の一軒や二軒、近くにあるはず。
俺は気を取り直して、風俗店を探そうとした。が、その瞬間、
ガンッッ!!
後頭部を衝撃が走り、何が起こったのかもわからず、俺は気を失った。
375372:01/12/31 06:44 ID:ElSSjNJV
【篠塚弥生 傭兵 槍使い】
【高槻 ロード】
【芳賀玲子 コスプレ酒場『一喝』 店長】

いちおう>>192-195の続きみたいなものです。

高槻の持っている拳銃は、安全性と扱いやすさを重視して作られているので、
威力はあんまりありません。
こいつがどうなったかは…お任せします(汗
376名無しさんだよもん:01/12/31 12:26 ID:q/jlBJWW
私のレフキーに対するイメージ………鬼面都市、バドッカ(笑)。
(「ルナル・サーガ」読んでた人にしか解りませーん!!)

後、信長が治めていた「堺」ってのもイメージに入ってます。
………鬼畜王ランスを思い出してしまった………違うやん、それ。
377名無しさんだよもん:01/12/31 13:21 ID:q/jlBJWW
給金は(銃弾の)現物支給。
無駄金を使わぬよう、北川が最初に提案してみたことである。
(……しかし、銃弾を製造できる宿屋のマスターって………)
………深くは、考えないことにする。

朝早く起き、名雪さんが起きてくる(1日中寝ているようにも見えるが)前に、
全ての仕事を終わらす。お昼前、ようやく名雪さんがベッドから出てきた後、特訓。
夕方、雑談しながら2人でお仕事。夜、冒険者の先輩方に色々とご教授を願う。
………手加減されているのが解る。でも、自分が強くなってる事も解る。
………規則正しい生活が、正直嫌になる時もある。でも、これ程充実を感じた事は無い。
北川は揺れていた………が。

「北川さん、今日はテスト第2弾です」「………はい?」
『日常』というものが、そう長く続くわけもなく。
転機というものは、案外あっさりとやってきたのであった。
378名無しさんだよもん:01/12/31 13:55 ID:q/jlBJWW
北川が最初にこの街で学んだこと、それは
「この街の人々は、お祭り事が大好き」ということだった。
(……だからといって、俺の射撃を見る為に集まるなよ………)
というか、出店まであるとはどういう了見だ。

「北川君、本当にこの距離でいいのー?」
ここは街の裏通り。ぴっちり370m先にある的の横に、マスターと名雪さんがいる。
「……………」黙って頷く。………そして、俺の『世界』に入る。
空は灰色。全ては色褪せ、ただ的だけが赤く塗られた自分を表現している。
音は消え失せ、自分の心音すら………聞こえなくなる。
(的は生きてないからな………)『的』が生き物なら、そろそろ息遣いが聞こえてくる頃だ。
そして、手と長銃が、融合していく感覚………。そろそろか。

狙いなんてのは、もうとっくに定めている。光の道が見えた瞬間、引き金をひいた。

割れるほどの歓声に、意識が元の世界に戻る。
向こうから、名雪さんが走ってくるのが見え………早っっ!!!
「あ、当たってたよ〜。凄いよ〜」100m、7秒って所ですか? 凄いのはあんただ。
「……北川さん」「はい?」何時の間にか、マスターがすぐ横にいた。
「あなたには、『集中力』という能力があります」
「………?? それは、皆が持ってるものじゃないんですか?」
………俺の発言を聞き、にこにこと笑うマスター。やっぱりこの人は謎だ。

「あれが、銃使いですか……」「凄いなぁ」
「是非とも、仲間に誘いたい……」「ふははは、あの男こそ我が同志にふさわしい!!」
そんな声が、てんでばらばらに聞こえる………どうやら、そろそろ冒険の頃らしい。
379名無しさんだよもん:01/12/31 14:04 ID:q/jlBJWW
【北川 銃弾多量に補充。ようやく実力を発揮】
【名雪 100m、7秒フラット(笑)】
【秋子 相変わらず(以下略)】
【謎の人達(若干1名バレバレ) 北川をスカウトする?】

タイトル『集中力』。無理やりクロスオーバーを目指してみるテスト。
「謎の人達」は、文字通り謎です。同じパーティかもしれませんし、違うかもしれません。
ちなみに、「長銃=背中にくくりつけてた銃」です。
3801 ◆mYCw53h6 :01/12/31 15:40 ID:gGWGAQRu
>>371
なるほど…某白ですな(w
とりあえずファンタジースレに記念すべき初描き手さん誕生〜!
この調子で気軽に挿し絵をうpしてくださいね。
あと、自分達で描きまくろうスレの皆さんもお誘い合わせて遊びに来てくださいね。

って、自分で宣伝しに行こうかな…いや、行くべきだな。このスレの>>1として。
381闇の王(1):01/12/31 17:50 ID:1f/vEf+6
 とある酒場の食料庫内、ワイン倉庫とおぼしき地下への扉の更に奥、非常識なほど長く
 散りばめられた殺気を隠すほど暗い通路が続いている。

 もし命を落とすことなしに通路を辿ることができたならば、旧城壁跡の内部をごっそりと
 大きくくりぬいた、隠し部屋の中に到達できるだろう。
 そうした一室があることは知られているが、実際の場所は知られていない。

 そこはリフキーに住まう日陰者たちの保護者にして、悪事と無法者を管理統括する
 ”闇の王”の座する謁見の間なのである。

          *          *          *

 その謁見の間で、ふたりの男が膨大な量の記憶を公開しあっている。
 聞こえるのは男の声-----大人の声と若い声-----ふたり分。
「ああ、そのつもりのようだよ。乞食ふたりに、スリひとりが目撃していたけどね」
「宗教者ってのは、どっか他人を舐めてるというか……馬鹿にしたとこあるよなあ」
 加えて、少女の声がひとつ。
「……おかげで、こちらに回って来る仕事も情報もあるというものです」

 少女の姿は声だけで、室内に第三者が居るようには見えない。
 その声に向かってだろうか、何事もないかのように会話は続く。
「そりゃ楓の言う通りだけどよ。特務隊と宗団と魔術アカデミーに-----あと、どこだ?」
「魔族のルミラが、権利を主張してますね」
 少年は無言のまま、おどけた様子で天を仰いだ。
 
382闇の王(2):01/12/31 17:53 ID:1f/vEf+6
「商売繁盛だな、浩平くん」
「英二さんは宗団だけだから、楽なもんだよなあ……」
 眼鏡の男がそれを見て笑う。
 ソファーにだらしなく腰掛けた少年は、膝に乗せた黒猫を撫でながらぼやいた。
 言われた男の方は、さほどずり落ちてもいない眼鏡を掛けなおすと、にやりと笑って言い返す。
「なあに、どうせ信用されない身分なんだ。二股でも三股でも、かけるといい」
「……そりゃ、言われなくてもな」

 王都に座して裏から国土を統べる”闇の王”折原浩平と、その養育者にして近隣都市の支配者
 ”闇の声”を務める盗賊ギルドの幹部、緒方英二。
 ふたりは一瞬だけ真顔で見つめあったあと、クツクツと笑いあった。


 ふたりの笑いをよそに、黒猫は膝上からテーブルへ飛び移ると話題を変える。
「それから王都への訪問者ですが……」
 そう、少女の声は黒猫から発せられているのだ。

「ああ、魔剣持ちと、銃使いが入ってきてるってな?」
「王立騎士団崩れとテンプルナイトも近くをうろついているようだよ。こちらへ来るかもしれない」
 浩平の返答に、英二が補足を入れる。

「御堂に、巳間晴香ですね。他にも未確認ですが、傭兵の柳川と月島がこちらへ向っているようです」
「穏やかじゃないね。傭兵のほうは、瑠璃子ちゃんに連絡を入れるように言っておくよ」
「ああ、そうしてくれるとありがたいね。まったく、おちおち寝ても居られねえ」
 そんなことを言いながらも、にやにや笑いっぱなしのふたりである。
 
383闇の王(3):01/12/31 17:54 ID:1f/vEf+6
 その浮かれ具合に釘をさすためなのだろうか。
 楓と呼ばれた黒猫は、最後にとっておきの情報を披露した。
「先ほど入った、玲子さんからの報告ですが……」
「ん? ゴロツキでも入用か?」
「-----いえ。 ……高槻卿を、確認したようです」

 それを聞くと同時に、ふと室内が暗くなったような危険な雰囲気が漂わせて、浩平は立ち上がった。
 地下通路へ通じる暗闇に向かい、声を掛ける。
「……居るかい?」
「聞く必要はない。当然、ここに居る」
 声と共にひたり、と僅かに湿った足音がする。
 闇の中から、黒いローブをすっぽりと被った小さな影が染み出してきた。

 現れたのは、小柄な女性。
 彼女は暗殺者の危険な光りを眼に宿らせて、浩平に言った。
「少々痛い目にあわせても構わないから、殺さないように拉致してくる。 ……それでいいか?」
「ああ、ばっちりだ」

 浩平は頷き、言葉を掛ける。
 これで結構、弱者や身内にはやさしかったりする。
「頼むぜ、花枝さん」
 しかし、時には失敗もする。

「私を、その名で呼ぶなあああああぁぁーーーーーーーー!!」

 ……余計な、ひとことだった。
384名無したちの挽歌:01/12/31 18:07 ID:1f/vEf+6
【折原浩平(通称”闇の王”、職能不明):かなりの精度で状況を把握している様子。ただいま吟味中】
【緒方英二(通称”闇の声”、職能不明):浩平と相談中。月島瑠璃子と知り合い?】
【岩切花枝(暗殺者):ロード高槻の捕獲へ。凄腕ですが単純で、花枝と呼ぶと怒ります】


毎度、挽歌でございます。
「闇の王」をお送りいたします。題のわりに、ふざけた話ですが。

盗賊ギルドは、リフキー国家の法律で保護してもらえない人間を統括しています。
風俗店や異邦人、魔族や非生産者、犯罪者などのほか、治安の行き届かない地域にすむ人間や、
もしもの時の保険に手を繋いでいる商人、汚職役人の搾取から逃げ出した農民のような手合いも
含めれば、総人口(<ただし真実の総人口です)の四割近くになっているかもしれません。

イタリアのマフィアや中国の幇をイメージしていただけると、解りやすいかと思われます。


話としては……いろいろ繋いでるので。
直接的には、「ロードの楽しみ」(>>372-374)の続きですねw
385名無したちの挽歌:01/12/31 18:10 ID:1f/vEf+6
申し訳ありません、ひとり追加であります。

【柏木楓(シェイプシフター=黒猫、職能不明):浩平の側近。秘書?】
386封印と力:01/12/31 23:32 ID:pSe0qvwO
「どうやら……私が一番乗りのようね」
鬱蒼と茂る森の奥に、その塔はあった。
あらゆる人を拒む、重厚な佇まい。ただ石を積み重ね、魔を閉じ込める事だけを目的とした塔。
ルミラは塔を見上げ、憂鬱そうに溜め息をつく。
雑草は生え放題、外壁にはツタとコケがへばり付き、これを見ればルミラでなくとも、溜め息が出るだろう。
「さてと、とっとと保護しちゃいましょうかね」
ルミラは塔の扉に手をかけてから、ふと思いついて、動きを止めた。
「……扉の鍵は開いてる…まぁ、他の冒険者が入った事があるなら、当然かしら」
言いながら、腰に付けたポシェットから、小さなダイヤの原石の粒を取り出す。
「……あんまりごちゃごちゃ入られても、穏便な話合いって出来ないしね」
その原石の粒を、石作りの壁にそっと触れさせる。
すると、たちまち石が、粘土のように形を変え、ルミラの前で動物の形を取った。
「……我が意に従い、形を成せ…っと、そうね、狼にでも…あ、ちょっと大きい。ま、いいか」
ぶつぶつと独り言を言ってから、ルミラは石レンガから作り出した狼を見て、満足げに頷いた。
「音声記録モード……『汝、塔へ訪れし目的を述べよ。己が欲望のみが答えの全てなら、ここより先、立ち入る事叶わん』
……こんなものかしら。
そうだ、倉田佐祐理“だけ”は、ここを通ても構わないわ。それ以外はちゃんと選別する事」
石の狼の額に貼り付いた、ダイアの粒を見て、ルミラはこっそり、勿体無い、と呟いた。
「いくら経費で落ちるからって、宝石を無駄遣いするのはヤな気分よね……こっちは火の車だってのに」
石から生み出された、虎ほどもある大きさの狼を、元の壁に戻し、ルミラは塔の中に入っていく。
「………えっ」
ぎぎぎ……と、軋むような音を立て、扉を押し開いたルミラは、驚きの声を上げた。
入ってすぐに眼にしたのは、壁一面に描かれた、紅いウサギの絵だった。
『ウサギさん、ウサギさん、一緒に遊びましょ』
そして、ぼうっと浮かび上がる少女の姿。彼女は、楽しげに呟きながら、壁にウサギの絵を書いている。
387封印と力:01/12/31 23:59 ID:pSe0qvwO
きゅっ、きゅっ、と紅いチョークが壁をなぞる度に、ウサギの姿が描かれていく。
「あ、あなたは……」
だがルミラが声をかけた瞬間、少女の姿は掻き消えていた。ただ壁一面に描かれた、紅いウサギを残して。
さすがのルミラの背にも、冷たいものが流れる。
「これは……随分怪談じみてるわね……っ!?」
その時、壁のウサギの目が、じろり、と自分を見詰めたような気がして、ルミラは振り返る。
よく見れば、ウサギは、床にも、天井にも、壁にも描かれていて、じっとルミラを凝視していた。
並みの神経の持ち主なら、一日ここにいるだけで、頭がおかしくなるだろう。
「………ま、魔界貴族が怪談の主人公になってどうすんのよ……」
薄暗い廊下の中で、ウサギに見詰められながら、ルミラは早足で通路を進んでいく。
だが、その時だった。
「!?」
壁からいきなり盛り上がったピンク色のウサギが、ルミラに向けて爪を突き立てた。
とっさに跳び下がるルミラに、人間ほどもあるウサギは、更に体を立体化させ、襲い掛かってくる。
「……ちっ、これが例の、『壁に書かれたウサギ』の正体ね!」
………<<想像具現能力>>
魔法も、イメージを形にするという点では、想像を具現するものだ。
だが、それは強い集中と、言葉や動作によって初めて形を与えられる。
漠然とした思念や思考さえ、このように形となって現れる程の能力者は、ルミラでさえ、
片手で数えられるほどしか知らなかった。
「………壁も、大気も、この塔の全ての自然物は、“主”によって支配されてる…となると……」
自分に迫ってくるウサギを睨みつけ、すれ違いざま、ルミラは素早く手の爪を走らせる。
穿たれた五本の爪痕から、崩れ去っていくウサギ。だが、絵は後から後から、立体化していく。
「きりが無いわね……自然術も使えないし、乱暴な手は使いたくないし……」
頭上をかすめる、鋭いウサギの爪をかわし、ルミラは目を細めた。
「………そうか。わかったわ」
388封印と力:01/12/31 23:59 ID:pSe0qvwO
「退け……<<アンチマジック>>」
ルミラの全身が、ぼんやりとした光に覆われ、次の瞬間、紅いウサギ達は、次々と崩れていく。
存在を維持している魔力を元から絶たれ、元のチョークに還ってしまったのだ。
「……ふう、厄介なものね……」
ルミラは、床に散らばったチョークの粉を踏み締め、鋭く視線を、通路の奥に向ける。
『あはは……うふふ………』
楽しげに笑う少女は、ゆっくりと闇の中に消えていった。
「……これは、一筋縄ではいきそうも無いわね……」

【壁にかかれたウサギの絵は、時々立体化して襲いかかってくる】
【ルミラ 門番(狼)を塔の前に仕掛ける。佐祐理だけはノーマーク】
【門番は倒してもいいし、問いに答えても進める。ルミラは門番と視覚を共有している】
389秘宝塔の村(1):02/01/01 04:11 ID:6l8ISbSu
第一声は、こうだった。
「つきましたねー」
「静かな村ですね」
「はぁ、はぁ…やれやれ、やっとかよ…」
山道を抜けた先の僅かな平地に、幾つかの家が並んでいる。
そしてその集落を腰ぐらいまである木の塀がぐるりと取り囲んでおり、村の入り口には見るからに即席っぽい小屋がある。
三人が入り口に近付くと、小屋の中から中年の男が出てきた。
「冒険者か。この村に何か用か?」
お世辞にも、友好的とはいえない態度に、顔を見合わせる三人。と、同時に三人はその理由に気付く。
冒険者、といえば聞こえは良いが、ろくでもない人間も多い。それで警戒するのだろう。
排他的になりやすい村社会では仕方のないことだ。
「ああ。ちと、休ませてもらいてーんだ。あと、食べ物とか売ってくれると助かる」
「悪いな、お断りだ。お前さんのようなのは村に入ってほしくない」
「そこを一つ、頼むよ。うちのお嬢様、ベッド以外のところで寝るのになれてなくてさ。かなりまいっているんだ」
「ふん…?」
まじまじと佐祐理を見る男。勿論、佐祐理は参っているどころか何時も通りのほほんとしているのだが。
浩之は、男の側によると、耳打ちをする。
「ほら、ボーっとして、我ここにあらずって感じだろ?」
「確かに。しかし、村の掟で、秘宝塔に関るものを入れるわけには行かんのだ」
「秘宝塔?何だそれ?」
いけしゃーしゃーという浩之。男は、眉を顰める。
「もしかして、お前さんたちは冒険者じゃないのか?」
「なにが全然かはしらねーけど、違うぞ」
男は三人の姿を見る。浩之は山のような荷物を背負っていて、武装していない(腰にナイフを装備しているが、荷物に隠れて見えない)し、佐祐理の腰にあるのはどう見ても実用向きとは思えない細身の剣だ。
確かに、冒険者のそれではない。
「そうか…わかった。そういうことならいいだろう。だが、あんまり長居はしないようにな」
ちらり、とセリオを見る。その瞳には、あからさまな嫌悪の色があった。
390秘宝塔の村(2):02/01/01 04:11 ID:6l8ISbSu
宿は他の家よりやや広い平屋建て。その程度の規模なので、個人部屋は勿論ない。
とった部屋は詰め込めば何とか四人が使えるといった程度の部屋だ。
「ふう、やれやれ…ようやく降ろせるな」
浩之はようやく荷物を降ろして一息ついた。長いこと背負っていたので、背中が軋んで痛い。
「お疲れ様です、浩之さん」
「いや、ほんとだぜ…って、勿論冗談だけど。セリオは?」
「情報収集にいくって言ってましたけど」
「大丈夫かね?ここの村の奴等、魔法使いの類いを毛嫌いしているみたいだけど」
「そうですねぇ…」
基本的に、タレント持ちとそうでないものはあまり仲がよくない。そう言ったことを気にしない浩之や佐祐理のほうが特異なのだ。
例え、セリオが下手に出たとしても、殆ど情報が集まるとは思えない。
「…ま、いいか。それで、佐祐理さん。これからどうするんすか?」
「そうですね…少し、この村で情報を集めましょう。何をするにしても、情報は必要ですから」
「集めるのはいいけど、どんな事?佐祐理さんは何が知りたいんだ?」
「そうですねぇ…私が知りたいのは、『そこに誰がいたか』です」
「『いた』?」
「あるいは、『何のために造られたのか』ですね」
「…よくわかんねーけど、わかった」
「おねがいしますねー。浩之さん」
にこりと微笑む佐祐理。浩之はあはは、と愛想笑いをした。
ひどくこき使われているような気もするが…実際その通りなのだが、やっぱりこの笑顔に弱い。
ったく、男ってのは間抜けだよなあ。他人事のように、浩之は思った。

【浩之 情報収集】
【佐祐理 宿で待機】
【セリオ 二人とは別行動。何をしているかはお任せで】
391研ぎ澄まされる竜の牙(1):02/01/01 07:06 ID:VRc4OiiX

 国境には城砦がある。

 それは極めて自然なことだ。
 街道や地域の治安を維持する警察署として、土木灌漑を行い土地を肥
やし民草より税を取る役所として、そして隣国からの来寇を防ぎ、逆に
領土を浸食する機会を窺う軍事拠点として、城砦は極めて重要な建造物
なのだ。

 レフキー周辺の諸国も、例外ではない。国境に沿っていくつもの城砦
が互いに睨みを効かせ、互いにちょっかいをかけたりかけられたりして
いる。共和国と帝国は関係が良くなかったから、そのあたりの対抗意識
はなおのこと強かった。
 大陸有数の商業都市であるレフキーへ通じる大街道、その帝国側に聳
える城郭都市、ニノディー城もその一つである。
392研ぎ澄まされる竜の牙(2):02/01/01 07:08 ID:VRc4OiiX
「共和国が動いた、ってさ」
 内城の奥まった一室、軍政にまたがる会議が執り行われる石造りの円
卓の間。
 この地方の領主、容姿は端麗であるもののいかんせんだらしない遊び
人といった軽薄さの抜けない青年貴族は、早馬がつい先ほど帝都よりも
たらした一通の密書に眉を顰めた。
 とたん、彼の前に居並ぶ三人の将校の一人が慌てた、しかしどこかボ
ケた調子で踵を返し、
「え〜、マジぃ? あわわ、すぐに皆に出兵の用意を……はうぅ」
 部下の下へ駆け出そうとして……
「ちょっと待てぃ、松本!」
 ……同僚に首根っこを引っつかまれる。
「くるしい、くるしい〜。ひどいよ岡田ぁ〜」
「……閣下、動きとはどんな動きなのでしょう? まさか、あの連中に
戦争の度胸があるとは思えないけど」
 ぷんすかと、およそ身を包んだ軍服の威厳に見合わぬ子供っぽい怒り
を現す松本の抗議を無視し、その首根っこを掴まえたまま主に問うのは
眼光鋭いツインテールの女。
「部隊レベルの動きなら、こちらの網に引っかかるはず……わたしたち
が動きを掴んでいないということは、その種の動きではないんですね?」
 残る一人、外にピンと跳ねた髪型が特徴的な女が問うと、彼女たちの
主はつまらなさそうな様子で軽く頷いた。
393研ぎ澄まされる竜の牙(2):02/01/01 07:09 ID:VRc4OiiX
「特殊部隊に小さな動きがあるそうだ。王宮に潜りこませた諜者からの
報告らしい」
「へぇぇ、こっちのスパイってそんなとこまで潜りこんでるんだ。うん
うん、うちの特務って意外に有能だったんだねぇ」
 襟首を引っ掴まれたままの松本が、自分のことをすっかり棚に上げて
感心したように言う。その額を軽くこつん、とやりつつ、岡田は不審げ
に眼を細めた。
「しかし、そんな小さな動きならなぜこのような……」
「……もしかして『秘宝』がらみ、ですか?」
 先に勘付いたのは吉井のほう。
「多分な。そこまでは密書には書いてない」
「……まさか、具体的な指示も……」
「なにも書いてねーよ。ただ、これより潜入済みの特務機関員の情報を
そちらに直接回すので、留意せよ、だと。いったい何をしろって言うん
だかな、こりゃ」
 不貞腐れたように肩を竦める主には、どうやら密書の意味をわかって
いる様子は見受けられない。対照的に、帝都の意図を察した吉井と岡田
の表情は、物憂げなものに変った。
394研ぎ澄まされる竜の牙(2):02/01/01 07:10 ID:VRc4OiiX
 つまり、これは。
(吉井……ひょっとしてさ。これって……)
(うん。多分……)

 対応策を講じろ。ただし、自己責任で。
 諸君の行動の結果として共和国との間に政治的問題が表面化した場合、
責任の所在はそちらにある。

 空白の中にそんな内容を含む命令なのだ、これは。

(またこれか……)
(やだなぁ……)
 帝都のお偉方のばかーっ、と叫び出したくなるのを堪えつつ、吉井と
岡田は憂鬱な視線を交わす。
「ええと、ならなにもしなくて良いのかな?」などととぼけたことを言
っている松本が正直羨ましい。
 帝都の冷淡な切り捨てかたに加えて、
「ま、詳細は『いつも通り』おまえたちに任せる。帝都が怒らない程度
に適当にやっといてくれ」
 主公の帝国辺境伯、橋本卿がそれを上回る無責任さを発揮してくれる
ので彼女らの悩みは尽きないのだ。
 先の一言を最後に、そのまま扉に控えていた愛妾の肩を抱いて円卓の
間を出ていってしまう主の背中(と、まったく状況を理解していない様
子の同僚のお気楽極楽な様子)にひとしきり恨めしげな視線を送って、
二人の帝国士官は重苦しいため息を交わした。
395研ぎ澄まされる竜の牙(5):02/01/01 07:11 ID:VRc4OiiX
 ため息を交わしたが、いつまでも呆けている間はない。
 橋本の補佐役として、また最前線に配された帝国特務機関の将として、
彼女らには幾つもの為すべき責務があるのだ。それには自ら剣とピスト
ルと指揮杖を執り、敵地へと入ることも含まれる。
 だから、彼女らはすでに伯爵が去った座に向けて深深と腰を折るのだ。
「我らにお任せ下さい、伯爵閣下。三銃士の名に賭けて、必ずや帝都よ
りの大命を成し遂げて参ります」


【橋本 享楽的な帝国辺境伯。カッコつけの口先男】
【岡田・吉井・松本 帝国特務機関の士官で銃士】

 帝国特務隊本隊、動く。ってところです。
 どう動くのかさっぱりですが(w
 銃士ってのはサーベルと拳銃を両手に操って斬り合いを演じる人です。
 ピストルは単発式で、十メートルでも離れるとほとんど当たりません。
3961 ◆mYCw53h6 :02/01/01 07:32 ID:rfdBCs0q
>で今回書いたコレも本編にはなんの関係もございません(涙
>強いて挙げるとすれば
>【秘宝塔の壁には赤い兎の絵がびっしり描き込まれている】
>ぐらいです。少しヤヴァいお話かも(w

>>327-330 第25話 「優秀な特務部隊」
【 王立騎士団特務部隊   明日、夜明けに任務開始 】
【 河島はるか  王立騎士団特務部隊員  詳細不明 】
>読んでいただければわかるように、そこらかしこに細かい伏線を張りまくってしまう形になってしまいました(汗
>すごい勢いで細かい伏線なので無視してもらっても構いません…あ、でもちょっぴり活かしてもらえると嬉しいかな(w

>>333-337 第26話 「彼女の憂鬱」
【志保 情報屋/歌姫 腰に剣、懐にマイマイク 現在呪われている 目的はルミラと会うこと】
【七瀬 戦士(ベテラン) 戦斧 志保に付合って、塔へと向かう】
【健太郎 戦士(かけだし) 志保から貰った、自分も熱い炎の剣装備】
【ルミラ 魔界貴族 舞が魔族とのハーフと知って、人間に利用されないように保護しに行く】
>ルミラに目的を与えてみました。
>情報屋が動いてしまうのは反則ですが、まぁ志保だということで。

>>339-341 第27話 「盗賊の王国」
【みさき・智子・あゆ:盗賊ギルド本部の、偽装衛兵詰め所に侵入中】
【折原浩平:通称”闇の王”】
>お話としては第11話「剣士と盗賊」(>>227-229)の続きとなります。
>ちっと展開が遅すぎな気もしますね。要意識。
3971 ◆mYCw53h6 :02/01/01 07:34 ID:rfdBCs0q
>>344-350 第28話 「純白の鳥」
[宗主(宗団を統べる者) 天沢郁未:「不可視の力」(詳細は不明)]
[宗団幹部 鹿沼葉子:能力不明]
[宗団幹部 巳間晴香:能力不明](テンプルナイト’パラディン')
[宗団幹部 姫川琴音:能力不明](テンプルナイト’シスター’)
>帝国特務機関>王立特務部隊
>共和国情報局>帝国情報局

>と脳内変更をお願いします。申し訳ないです。

>>353-354 第29話 「佐祐理と羽飾りの剣」
【佐祐理…羽根飾りの剣を所持】
【浩之、セリオは休眠中】
>佐祐理さんに『非力な貴族の令嬢が使う為の剣』を与えてみました。
>まあ、端的に言えばそれだけのエピソードです。
>ちなみに腕前のほうは…わかりません。というか、抜く事自体しない(つまりお飾り)かもしれないので。

>>356-361 第30話 「好奇。」
【七瀬彰 聖先生の所在を聞いて動揺】
【深山雪見 幼馴染みである川名みさきを捕まえる為に王都レフキーへ】
【深山雪見 冒険者/ソードマスター】
>>343-350の続きです。即リレー。うわーい。

>>371 里村茜・白魔術師 作者・あまとう氏
3981 ◆mYCw53h6 :02/01/01 07:35 ID:rfdBCs0q
>>372-374 第31話 「ロードの楽しみ」
【篠塚弥生 傭兵 槍使い】
【高槻 ロード】
【芳賀玲子 コスプレ酒場『一喝』 店長】
>いちおう>>192-195の続きみたいなものです。

>高槻の持っている拳銃は、安全性と扱いやすさを重視して作られているので、
>威力はあんまりありません。
>こいつがどうなったかは…お任せします(汗

>>377-379 第32話 「集中力」
【北川 銃弾多量に補充。ようやく実力を発揮】
【名雪 100m、7秒フラット(笑)】
【秋子 相変わらず(以下略)】
【謎の人達(若干1名バレバレ) 北川をスカウトする?】
>「謎の人達」は、文字通り謎です。同じパーティかもしれませんし、違うかもしれません。
>ちなみに、「長銃=背中にくくりつけてた銃」です。

>>381-384 第33話 「闇の王」
【折原浩平(通称”闇の王”、職能不明):かなりの精度で状況を把握している様子。ただいま吟味中】
【緒方英二(通称”闇の声”、職能不明):浩平と相談中。月島瑠璃子と知り合い?】
【岩切花枝(暗殺者):ロード高槻の捕獲へ。凄腕ですが単純で、花枝と呼ぶと怒ります】
【柏木楓(シェイプシフター=黒猫、職能不明):浩平の側近。秘書?】
>盗賊ギルドは、リフキー国家の法律で保護してもらえない人間を統括しています。
>風俗店や異邦人、魔族や非生産者、犯罪者などのほか、治安の行き届かない地域にすむ人間や、
>もしもの時の保険に手を繋いでいる商人、汚職役人の搾取から逃げ出した農民のような手合いも
>含めれば、総人口(<ただし真実の総人口です)の四割近くになっているかもしれません。

>イタリアのマフィアや中国の幇をイメージしていただけると、解りやすいかと思われます。
>直接的には、「ロードの楽しみ」(>>372-374)の続きですねw
3991 ◆mYCw53h6 :02/01/01 07:35 ID:rfdBCs0q
>>386-388 第34話 「封印と力」
【壁にかかれたウサギの絵は、時々立体化して襲いかかってくる】
【ルミラ 門番(狼)を塔の前に仕掛ける。佐祐理だけはノーマーク】
【門番は倒してもいいし、問いに答えても進める。ルミラは門番と視覚を共有している】

>>389-390 第35話 「秘宝塔の村」
【浩之 情報収集】
【佐祐理 宿で待機】
【セリオ 二人とは別行動。何をしているかはお任せで】

>>391-395 第36話 「研ぎ澄まされる竜の牙」
【橋本 享楽的な帝国辺境伯。カッコつけの口先男】
【岡田・吉井・松本 帝国特務機関の士官で銃士】
>帝国特務隊本隊、動く。ってところです。
>どう動くのかさっぱりですが(w
>銃士ってのはサーベルと拳銃を両手に操って斬り合いを演じる人です。
>ピストルは単発式で、十メートルでも離れるとほとんど当たりません。
4001 ◆mYCw53h6 :02/01/01 07:42 ID:rfdBCs0q
過去のまとめ・>>205-206 >>317-321 >>323

明けましておめでとうございます。>>1です。
新年早々まとめてみました。
早速塔の攻略を始めたキャラもいれば、足踏み状態のキャラもいますね(w
これからそうなるかが楽しみであり、不安でもあります(w

それでは皆さん、良いお年を……
401夜が来る:02/01/01 11:38 ID:x8EtXOom
暗闇の中で舞はただじっと目をつむっていた。その顔は微動だにせず、生きているのか死んでいるのかもわからない。
その時暗闇の中にポウッと、小さな光が浮かび上がる。
"来たよ…"
「誰…?」
声が聞こえ、舞は静かに目を開けた。
"来たよ…"
「もう知ってる。」
塔の中に誰かが入り込んだ事はとうにわかっていた。この塔に最後に人が来たのはもう数年も前の事になるがそんな事ではもう舞の心には波一つ起きない。
"違うよ…夜が来るよ…たくさん来る。"
「アナタは…誰?」
光はそれには答えずただ静かに揺れた。
"始まるよ…夜が来るよ…始まるよ…"
舞は言い知れぬ恐怖を感じてかすかに震えた。
「私は…どうしたらいいのかな?」
光に問う。光は答える。
"目を閉じて…お祈りしてごらん…"
舞は言われた通り目をつむり、床に膝をついて手を胸の前で組んだ。すると光はより鮮明に浮かび上がり、小さな少女の姿になった。
「ふふふっ…いい子だね。」
少女は舞の頭に手をかざした。するとその手が光を発し、舞の体からもかすかに光が漏れ出した。
ぐにゃり――と、部屋の風景が曲がり、ざぁっとそこは広大な草原に変わった。
舞が再び目を開けた時少女の姿はすでに無く、舞が立っていたのはあの日の草原――。
「ここ…は…?」
忘れるはずもない、母と二人で遊んだ兎追いしあの日の草原。
「舞、舞。」
そして忘れるはずもない、自分を呼ぶ声に振り向いた。
「おかあ…さん?」
母の胸に飛び込む瞬間、舞はまたあの少女の声が聞こえた気がした。

"永遠はあるよ…ここに…あるよ。"
402夜が来る:02/01/01 11:44 ID:x8EtXOom
>>401
『夜が来る』
【折原みさお:正体、目的ともに不明。なおここに現れたのは実体ではない】
【永遠の世界:現在舞のいる部屋(必ずしも最上階とは限らず)に展開中】

ここでの永遠の世界はかりそめの物という事で。
とりあえず踏み込んだ者の心の一番弱い所を曝け出す一種の精神攻撃みたいな物と考えてください。
以後永遠の世界と魔物の二重攻撃が来ます(w
なんか予想以上に多くのキャラが塔に来るみたいなんで絡め易いように工夫してみました。
403人生の曲がりかど(1):02/01/01 23:00 ID:x6w7SsCi
 通るだけで人目を引く-----という程ではないにせよ、気が付けば目で追わずにいられない
 ような、逞しい体格の青年が腕を組んで歩いていく。
 何事かを考えているのだろう、あまり周囲に注意を払わぬまま無用心に裏道へと入っていく。

 青年の名は、柏木耕一。
 なれた手つきでにわとり屋根に登ると、ぼうっとしたまま危険な高みを踏破して行く。
 端まで到ると大柄な身体にも関わらず、音もなくひらりと着地した。

 そのとき、思索にふける耕一の歩く目の前でガンッと嫌な音がしたかと思うと、裕福そうな身なり
 の男がゆっくりと傾いていった。
「な-----!? どうし-----」
 耕一は思わず駆け寄り、どうしたんだと尋ねようとするが、すぐに言葉を失い立ち止まる。
 倒れゆく男の影から染み出したような、黒く小さな人影に気がついたからだ。
「あ……」
「……いつもの仕事だ。気にするな」
 浮き足立った耕一に向って、いくぶん恥じるように答えた人影の正体は、盗賊ギルドの暗殺者
 であった。
「……岩切さん」
「柏木耕一。しばらく、だな」

 憐れな犠牲者を手早く塩漬け魚のの木箱に収納し、岩切は目を合わさぬまま挨拶した。

          *           *          *

「……英二さんは、ご存知なんでしょう?」
「さて? 何のことだい?」
 主が気を紛らしに席を立ったために沈黙が続いた一室で、残された男女の会話がはじまった。
 危険な香りを漂わせた怜悧な二枚目顔を、眼鏡と微笑で隠した緒方英二と、黒猫の姿をやめ、美しい
 黒髪をあらわにした柏木楓である。
 
404人生の曲がりかど(2):02/01/01 23:02 ID:x6w7SsCi
「なぜ浩平さんは-----ああまで、高槻卿を憎むのですか?」
「……知らずに、ああやって流れを操っていたのかい? 君はなかなか、才能があるね」
 疑問に答えず、微笑を絶やさず、誉めているような批難しているような、そんな評価を下す英二。
 楓は少し怒ったように鋭く息を吸い込むが、迷いを見せて目を逸らすと、いつもの小さな声で呟いた。
「そういう計算を抜きに-----知りたいんです」
 そして弱弱しく、ため息をついた。

 -----主の居ない部屋を、沈黙が支配する。
 ため息の余韻がなくなるまで黙ったままだった英二が、楓の表情を窺う。
 下を向き、それ以上の揺らぎ見せない楓だったが、それで隠し通せる相手でもない。
 英二は仕方ないとでも言いたげな苦笑を浮かべ、両手の指先だけを合わせながら呟いた。
「だいたいどんな人間でも-----よほど恵まれない限りは-----運命を決める選択をしなければならない時
 ってやつが、ひとつやふたつ、あるだろう?」

 何のことだか解らぬまま、楓は頷く。
「それが-----?」
「それが曲がりかどだったりすると、忘れられない心の傷って奴に、なっちまうわけだ」
 英二は言いながら、楓の視線を振り切るように立ち上がる。
 そのまま横を向いたかと思うと、足音もないまま歩きだし、話を続けた。

          *          *           *

「昔々、あるところに。少々根性曲がりとは言え才能に溢れた少年と、その幼馴染の心優しい少女が居りました。
 公正な領主と豊かな土地のもと、彼らは結婚することになりました。
 幸せな人生を約束されたふたりかと思われましたが-----ある日を境に、彼らの世界は一変していたのです。
 ……領主が、換わったからです」
「よくある、話ですね」
 英二はぴたりと足を止めて、楓の方を見た。
 なんとなく先が見えたような気がした楓は、了解のしるしに頷く。
 
405人生の曲がりかど(3):02/01/01 23:05 ID:x6w7SsCi

 再び歩きだし、語りはじめる英二。
「その新領主は大変なスキモノで、事実上失われていた初夜権を行使しようとしたのです」
「時代遅れも、いいところです」
 憮然とした表情で、感想を述べる楓。
 聞きながら英二は、いつものように-----いや、少し嘲るような感じもあったかもしれないが-----微笑む。

「それが告知されたのは-----ちょうど、彼らの結婚式の真っ最中でした。
 教会の中で式を挙げるふたりは、知る由もありません」
「そんな……」
「何も知らぬまま新婦の手を引き、挨拶のため領主の館を訪れた新郎は城門をたたきます。
 彼らを出迎えたのは-----領主の暖かい微笑ではなく-----新領主と共に移り住んできた、ごろつきどもでした」

「……」
「……」
 ふたりの間で、沈黙が交わされる。
「……それで?」
 楓は促すように首を傾げるが、英二は足を止め、肩をすくめながら言った。
「……その先を知りたければ、自分でやってみるんだね。 これも、修業だよ」

「-----英二さん!」
 楓は立ち上がり、抗議した。
 だが英二は考え直す気配もなく、眼鏡を掛けなおすと、そのまま地下通路へと降りてしまう。
 楓は肩を落とし、再び腰を落とすと、小さく呟いた。
「それが……長森、瑞佳さん……?」

 残された彼女は、答えの出ない疑問をひとり長らく繰り返す他、術はなかった。
406名無したちの挽歌:02/01/01 23:22 ID:x6w7SsCi
【高槻(ロード):岩切により拉致、塩漬け魚の木箱に監禁される。浩平や瑞佳の居た土地の領主】
【岩切花枝(暗殺者):首尾よく任務達成。柏木耕一に出会う】
【柏木耕一(シェイプシフター/鍛冶屋):楓のもとへ向う途中、岩切に遭遇。知り合い?】

【柏木楓(シェイプシフター/職能不明):謁見の間にて、ひとり佇む】
【緒方英二(盗賊ギルド幹部”闇の声”/職能不明):謁見の間から退室】
【折原浩平(盗賊ギルド長”闇の王”/職能不明):謁見の間から退室、実は既婚?】

【長森瑞佳(職能不明):所在不明】


毎度、挽歌でございます。
いろいろやってます……比較的、秘宝に興味のない人たちですけれども。

浩平&瑞佳と言えば寝取られシチュ、ファンタジーと悪い領主と言えば初夜権、スケベなお偉いさんと言えば高槻。
数々のお約束を、ここに集結しました(ぉぃ


第19話「異能の一族」(>>280-282)、第33話「闇の王」(>>381-384)の続きです。
やあ、まとまってきたですよ(ぉぃ
407秘宝塔の伝説(1):02/01/02 00:03 ID:7d/3+qhw
部屋の下から、宿屋の女将の声がした。
「お嬢ちゃん、夕食だけど、食べるかい?」
「あ、はーい」
佐祐理は一人部屋を出ると、階下に降りる。
降りた先、フロント兼食堂のテーブルの一つに、良い臭いの立つ料理が並んでいた。
「はえ〜おいしそうですねぇ」
「そうかい?うれしいねえ」
破顔する女将。宿に入った頃は警戒していたが、今はもうすっかり気を許している。
佐祐理には、人の緊張感を解かせる何かがある。それはいろんな意味で。
「連れの兄ちゃんはまだ戻ってきてないのかい?」
「まだ戻ってきてないみたいですねー」
「まったく、こんなかわいい女の子待たせてなにやってんだか」
からかうような口調で言う女将に、佐祐理は十八番の微笑を返す。
「あははー。あれで浩之さんはなかなかもてますからねー」
「そうなんだ?ふぅん、とてもそうは見えないけどね」
「そうですよねー。そう見えませんよねー」
ひどいことを言いまくる女性二人。朗らかな空気がそこにある。
「さてと。甲斐性無しの男どもなんて放っといて、さっさと食べちゃおうか」
「そうですねー。ごめんなさい、浩之さん。いただきまーす」

佐祐理が食事を終えて、部屋に戻ってから暫く。
「おまちどーさん」
少し顔を赤らめた浩之が、入ってくる。
「お帰りなさい、浩之さん。どうでした?」
「おう、ばっちり。色々仕入れてきたよ」
「そうですか。なら、少しお酒臭いのは気にしないことにしますね」
「うはは…」
408秘宝塔の伝説(2):02/01/02 00:04 ID:7d/3+qhw
「あの塔…秘宝塔ができたのは、もう何百年も前らしい」
秘宝塔というのはつい最近ついた俗称で、昔は「魔封の塔」と呼ばれていたらしい。
もっとも、今は俗称のほうが定着して、その名で呼ぶ者はいないが。
山奥に忽然と姿を現したその塔は美しい化粧石に包まれた塔だったという。
「忽然と…というと、いきなり現れた…と?」
「少なくとも、この村の先祖が作ったもんじゃねーみたいだ。ま、こんなトコに塔を作るなんて普通じゃない」
「そうですねぇ。よっぽどの理由があったんでしょうね」
塔には住民がいた。不思議な力を操りこの世に害を成す悪魔の住民である。
村は幾度となく悪魔たちから被害を受けた。困り果てた村人のところに、魔法使いが訪れる。
村人が困っていることを知った魔法使いは、悪魔たちが外に出れないよう結界を張る。
こうして、村に平和が訪れた…
「でも、長続きしなかったんですね」
「長続きはしたみてーだけど、今平和じゃないってことは確かだな」
時は流れ、過去の記憶が薄れようとしていた頃、ある冒険者が魔封の塔に入った。
そこで冒険者はとんでもないものを見つけてしまう。
「『秘宝』ですね」
「ああ。…で、ここから先はまんま秘宝塔の噂と似たり寄ったりってとこだな」
「封印から目覚めた魔物。秘宝を目指す冒険者たち。けれど、誰一人として成功したものはいない…ですか?」
「そういうこと。だから、この村の連中は冒険者を毛嫌いしているんだ」

「なるほどー。よくわかりました」
「そっか。俺にはよくわからねーけど、佐祐理さんがそういうなら、まあいいか。それで、どうするんだ?」
「明日、塔のほうに行ってみましょう」
にこりと、何時も通りの笑顔で、ことなげにいう佐祐理。
それはまあ、いつもの事なので、別に何ということはないのだが。
やっぱ緊張感がないよなぁ。あっても、それはそれでウザイけど。勝手な事を思う浩之であった。

【浩之の話はあくまで村人から聞いた話です】
【セリオは現時点でまだ合流していません】
409長瀬なんだよもん:02/01/02 01:38 ID:HTs9wnK3
シナリオが、秘宝塔だけではなんなので、いくつか考えてみました。
今は秘宝塔が動いてますが、いい追加アイディアがあれば、どんどん改造してください。
ただ、あまり平行して多くのシナリオを進めると、錯綜して訳がわからなくなるので、
動かすのは、一度に一つか二つくらいが、限度だと思います。


………
あら、いらっしゃい。
お客さん、ここ来るの初めてでしょ。あたしは長岡志保。よろしくね。
あたしの生業としてるのは、歌と情報。
ここで手に入るのは、そんな誰とも知らない、裏の世界の情報ってわけ。
言っておくけど、情報の真偽の程は、保証は出来ないわよ。
この情報が本当か嘘か。
それを確かめるのは、あなた自身なのよ。


シナリオソースNO2『妖狐の里』

「このレフキーの街を出て少し行った所に、ものみの丘、って小高い丘があるの。
そこでは、よく狐が戯れてる姿が見られるそうよ。
狐が人を化かすって言ったら、あなたは笑うかしらね? でも、そういう事も無いとは言えないわ。
その丘のどこかに、隠し里へ通じる穴があって、そこには九本の尾を持つ狐がいるそうよ。
そして、その狐たちの里には、人間界ではみられない、不思議なアイテムがゴロゴロしてるらしいわね。
あるいは、シェイプチェンジャー達の隠し里って噂もあるわね。
どちらが本当か、どちらとも嘘か、それを調べるのはあなら、ってわけ」
410長瀬なんだよもん:02/01/02 01:39 ID:HTs9wnK3
シナリオソースNO3『異郷の牙』

「南には、レフキーの誇る美しい港があるのは知ってるわね。
実は最近、海賊が出現するって、もっぱらの噂なの。本当かどうかは知らないわよ?
その港の貸し倉庫のどれかが、海賊たちの宝の隠し場所へと通じているそうよ。
その宝の中に、遠い異国の海で奪われた、世にも不思議な剣があるらしいわ。
効果の程は知らないけど、剣としても、芸術品としても、並の代物じゃないのは確かね。
それに、海賊の宝の中には、もっと凄いのがあるかもしれないわ。
港近くの酒場を回れば、案外簡単に海賊と接触できるかもね。その後どうするかは、あなたが決める事よ」


シナリオソースNO4『ネズミ退治』

「これは、初心者用の冒険よ。初心者はよく聞きなさい。
フランク長瀬って知ってる?
あたしがよく歌いに行く、酒場のマスターよ。場所はスラムの北側ね。
そこのフランクが、最近困ってるらしいのよ。でっかいねずみが出現するとかで。
それも、猫くらいの大きさのが百匹、とか、人間より大きいのが一匹だけ、とか、
噂も色々あるのよ。あたしの勘だけど、ボスがいるのは間違いないわね。
下水道を探索する必要がある、ちょっと嫌な仕事だけど、そのネズミは、共和国でも
懸賞金を出してるから、金一封ぐらいなら、ちゃん様から貰えるかもね。
あと、これは極秘情報。
ボスらしいネズミの一体が、プラチナの魔法の首輪をしてたらしいわ。元はペットだったのかしらね」

あたしからの情報はこのくらい。
これをどう役立てるからは、あなた次第。
あたしに連絡が取りたかったら、秋子さんの宿か、折原のところ経由ででも伝言しといてね。
411長瀬なんだよもん:02/01/02 01:40 ID:HTs9wnK3
そんなわけで、シナリオソース案でした。
ここから展開していってもいいですし、無視しても構いません。
どうせ志保ちゃん情報ですので、噂の真偽もどうとでもなりますし(w

内訳は、シティアドベンチャー2つ、ダンジョン1つです。

でも今は、秘宝塔ですね。それでは。
412白魔術師の想い:02/01/02 04:46 ID:Ds+egzlq
秘宝があるという秘宝塔付近には村がある。
茜たち三人はまずその村に行くことにした。
うわさによると、秘宝を求める人間には排他的らしい。
或る程度の大きさならともかく、村という小さな社会の単位では
一般的によそものは歓迎されない傾向にある。
その点を差し引いても異常なようだ、秘宝塔の村は。
なにせ村に入れてすらくれないらしい。
……だが、茜には目算もある。
心配ないだろう。
良く晴れた昼下がりに、三人は出発した。


舗装された街道。
穏やかな光に照らされる空間を歩く。
『何で旅をしているの?』
澪はスケッチブックにそう書いて明義に見せた。
すでに、彼には澪が言葉をしゃべれないことを伝えてある。
「俺か?……そうだなー、旅自体が楽しいのかもな」
明義は笑ってみせた。
「こうやって、仲間と旅ができる。そういう楽しさがたまらないんだ。
……普通に生きるなら、街にずっと住んでりゃいいことだしな」
うんうんっ。
澪はうなずいた。
澪も旅にあこがれている人間だ。
旅がしたくて旅に出た。彼と共感するものがあるのだろう。
413白魔術師の想い:02/01/02 04:47 ID:Ds+egzlq
「澪ちゃんはどうなんだ?」
『いっしょなの』
『前から旅がしたかったの』
とびっきりの笑顔でそう答えた。
自然と、茜の顔もほころぶ。
「里村は?何か旅の目的でもあるのか?」
目的は?と聞かれると……。
「……澪と旅をしたかったから」
と、いう答えが出た。
実際はいろいろと複雑なのだが。
「じゃあ、まあ似たようなもんだなみんな」
「……そうかもしれません」
うんうんっ。

――三人は、日が暮れるまで歩いた。
414白魔術師の想い:02/01/02 04:48 ID:Ds+egzlq
ぱち、ぱちと薪がはじける音がする。
日はとうに沈み、辺りは闇に包まれていた。
闇に映える紅は、そのコントラストだけで美しい。
茜は、その焚き火の炎をぼんやりと見ていた。
見張りは明義がやっているが……なんというか、目が覚めてしまった。
澪はぐっすり眠っている。
初めての野宿だろうに、即眠れるのはやはり澪らしいというか。
ちなみに、茜は野宿は初めてではない。
別に不慣れな野宿で寝付けない、というわけではなかった。
……。
旅の理由。
昼は、“澪と旅をしたいから”と言った。
確かにその通りではある。
だが……。
これも魔術アカデミーの仕事だった。
旅のための休暇をもらうかわりに、依頼された任務。
密かに組織されたという王立特務部隊の監視。
まぁ、それほど成果を期待されているわけでもないだろう。
“遭遇すれば”という条件でのみの任務だからだ。
だとしても、茜は少し罪悪感を感じていた。
澪は心から自分と旅をすることをうれしがっている。
……その想いに百パーセントこたえられているだろうか、と。
澪が自分の裏の旅の目的を知ればどう思うだろうか。
415白魔術師の想い:02/01/02 04:49 ID:Ds+egzlq
「……寝付けないのか?」
すぐとなりにいる、明義の声。
「……はい」
焚き火の紅がゆらめいては小さな音を立てている。
「……そうか」
「……はい」
炎は様々な形の影を生み出し、三人の体を紅と黒に染めていた。
澪は寝袋で幸せそうな表情をしている。
その顔を、茜は見つめていた。
「いい子だな」
「……はい」
「言葉がしゃべれないのに、なんかそんな気しないんだよな」
「はい。それは、本当にそうです」
……そんな澪を心から大切だと思う。
だから、一緒に旅をしようと思った。
“一緒に旅に出たいの”
“冒険するの”
その文字は今澪が持っているスケッチブックに書いてあるはずだ。
旅に誘ってくれて、うれしかった。
任務など関係ない。
そんなものは頭の片隅にでも置いておけばいいのだ。
そう思うと幾分かすっきりした。
「……もう、寝ます」
「お、そうか。おやすみ」
毛布をかけなおし、寝にはいる。
「……ありがとう」
茜は、見張りに向かってぽつりとつぶやいた。
416あまとう ◆akaneZrY :02/01/02 04:55 ID:Ds+egzlq
【茜、澪、明義 秘宝塔の村へ向かう】
【茜に魔術アカデミーの任務】
【王立特務部隊、アカデミーにバレる】

どうも、あまとうです。
話が全然すすんでないですが(汗、一応三人が正式に秘宝を求めることにしてみました。
魔術アカデミーが特務部隊に関して握っている情報は少ないと思われます。
それでは。
417傷。歪み。:02/01/02 05:36 ID:H7NrriZ1
ちゃぷん・・・。
「ふう、やっぱりお風呂は気持ちいいな」
最近では大分慣れてきたとはいえ、郁未は元々は一民間人だった。
それが今ではFARGO宗団の救世主だ。
「駄目っていうのは分かってるんだけど、でもやっぱり、もっと皆と気軽に話したいな・・・」
周りの人間はFARGO宗団の信者ばかり。皆、郁未を崇拝してくれている。だがそれ故に、郁未に近づいてくることなど、無い。
普通に、年相応の自分に戻って話せるのは、側近の葉子や晴香くらいだ。
「私なんて普通の女の子なんだけどなあ。恐れ多いって何よ!・・・はあ」
幾ら地域に根付いた宗団といえど、仮にも郁未はその救世主だ。皆の反応も最もではある。
「・・・由依にあいたい。お母さんに、あいたいな」
あの脳天気な幼友達は今何をしてるのだろう。心配してるだろうな。
そして、母は今どうしているだろう。元気だろうか? 元気だったら私の事は知ってるはずだ。私はこんなに有名なのだから。
私の事を知れば、会いに来てくれるはず。でも来ない。どうして、もうすでに死
「あ〜〜っっ、もう、駄目駄目。そんな事考えても仕方がないでしょう、私。
もうすぐお母さんは見つかる。それで、一緒に昔みたいに暮らす。うん。それでいいじゃない」

と、ガラ、と音を立てて、扉が開く。
誰だろうか。護衛の人が見張ってくれてるから、変な人は入ってこれないはずだけど。湯気が邪魔してよく見えない。
「・・・郁未さん」
「よっ、葉子さん!?」
418傷。歪み。:02/01/02 05:37 ID:H7NrriZ1
「まだ恥ずかしいのですか?女同士なのですし、そんなに気にすることもないでしょう」
「ううーー。それはそうだけど、でも、やっぱり恥ずかしいよ」
「ふふっ」
葉子さんが、笑う。
やっぱり葉子さん、綺麗。スタイルも・・・、うわ、細いなー。胸は・・・、ううう、負けてる。
でも・・・。
「郁未さん? どうかしましたか?」
「あのさ、葉子さん。聞いていいのかどうか分からないけど・・・」
「ああ、私の身体に付いてる傷のことですか?」
「・・・うん」
「ふふ、醜いでしょう? ―そうですね。郁未さんはもう知っているかとは思いますが、私は、裏の方々に育てられました」
「うん、知って、る」
「その中で中心となって私を育ててくれたのは、私の母でした。母はとても敬虔な信者で、又、とても厳しい人でした」

「母は、私を暗殺者として育てました。とても、厳しく。例えば、捕虜となった時、毒や魔術で自白させられないよう、小さい時から耐性を
つけさせられました。効果の弱い毒を何度も飲む。効きにくくなってきたら、もうすこし強い毒を、といった具合です。魔術の場合も
似たようなものです。何回も何回も、魔術をかけられ、抵抗する。これを繰り返していくうちに、魔術に対する抵抗力が付きます。
当然、肉体的・性的苦痛に対する耐性も、です。学問も一通り学びましたが、私が何か間違える度に、母は皮鞭で私を打ちました。
ひどい母親ですよね。 これらの傷は、その時々に刻まれたものです。」

―今ではほとんど「痛み」は感じない。我ながらよく狂わなかったものだ―

「私はそんな母でも嫌いになれなかった。好きだったんです。どうしてでしょうね。父がいたらまた違ったのかもしれません。
そして、私が成人した日、 私は、 母を、 殺しました。
母は、最後の仕上げと言って、私を本気で殺そうとしました、でも、お母さんに殺されるのならいいかな、と私はぼんやり考えていました、
でも、それなのに、結局、私は、母を―――」
419傷。歪み。:02/01/02 05:38 ID:H7NrriZ1
もういい!! もういいよ、葉子さん。」
私は涙をポロポロ流しながら、葉子さんに抱きつく。涙が、とまらない。
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」
私はなんて無神経だったんだろう。この人は母を自分の手にかけてるのに。そんなこと、思い出したくないに決まってるのに。
「ふふ、いいんですよ、郁未さん。気にしないで」
葉子さんは、私をなだめながら、言う。
「こんな私でも、母が好き、という感情くらいは理解できます。だから、郁未さんには、本当に、お母様と幸せになって欲しいんですよ。」
優しい、ことば。
「でもっ、私、葉子さんに、ひどいこと、」
「そうですね、それじゃあ、・・・」
言いながら、葉子さんが私に顔を近づけ、そのまま唇を、
「っっ!!?」
「これで、許してあげます」
「よよよよよよ、葉子さんっっ?? 今の、キ、キキキキ、キスっっ」
私は泣くのも忘れて、顔をトマトみたいに真っ赤にしてしまう。
「ふふ、郁未さん、可愛い」
「葉子さんっっ!!」
あうあうあう、葉子さん、からかうの好きなんだから、もう。でも、ありがとう。

しかし、郁未は葉子の歪んだ愛に、気づいていなかった。
そして、葉子が由依や、母、未夜子の消息を掴んでいながら、それを黙っていることに。

―郁未さんは、絶対に、離さない―

【名倉由依:郁未の幼友達。現在の消息は、葉子は知っているが郁未へは絶対に伝わらないようにしている】
【天沢未夜子:郁未の母。由衣と同じく、現在の消息は、葉子は知っているが郁未へは絶対に伝わらないようにしている】
【天沢郁未:FARGO宗団宗主。恐らく世界で唯一の「不可視の力(詳細不明)」保持者。母を捜している】
【鹿沼葉子:郁未の側近。能力は暗殺者(武器・魔術等は不明。
 毒や、精神に対する魔術、肉体的・性的苦痛に対してかなりの耐性がある。)郁未に対して歪んだ愛情を抱く】
420名無しさんだよもん:02/01/02 05:52 ID:H7NrriZ1
三つめの最初の行、「 が抜けてしまった・・・。
FARGO宗団のエピソードの一つとして書いてみました。
葉子さん、ちょっと狂い気味。
4211 ◆mYCw53h6 :02/01/02 12:58 ID:FiJzvmKH
川澄舞 >>155-156 第1話「棄てられた秘宝塔」→>>324-325 第25話「Blood Rabbit」…
坂神蝉丸&長谷部彩 >>162-167 第2話「誤算だらけの始まり」→>>246-251 第14話「女王陛下との謁見」
→327-330 第26話「優秀な特務部隊」…
保科智子&川名みさき 第3話「神官と剣士」→>>227-229 第11話「剣士と盗賊」→>>339-341 第28話「盗賊の王国」
上月澪&里村茜&南名義 >>181-186 第4話「旅立ちの縁」
月宮あゆ >>187 第5話「酒場にて」→>>227-229 第11話「剣士と盗賊」(以後、智子&みさきと行動)
国崎往人&御影すばる >>188-191 第6話「Come With Me」…
宮田健太郎&七瀬留美 >>192-195 第7話「Eye and Arm」
北川潤 >>196-198 第8話「英雄候補(???)」→>>303-305 第22話「お金がない!!立場もない!!」
>>377-379 第32話「集中力」
千堂和樹&九品仏大志&高瀬瑞希 >>209-210 第9話「見入られし者」→>>260-262 第17話「若者達」(以後別行動)
住井護 >>212-220 第10話「莢の中。」
藤田浩之&倉田佐祐理 >>>>242-244 第13話「少年とお嬢様」→>>296-301 第21話「アウトローとクルスガワ」→
>>307-309 第23話「たき木を囲んで」→>>353-354 第30話「佐祐理と羽飾りの剣」→>>389-390 第36話「秘宝塔の村」
4221 ◆mYCw53h6 :02/01/02 13:08 ID:0TCE7hU3
七瀬彰、しのさいか >>212-220 第10話「莢の中。」→>>273-278 第18話「闇の中。」→
>>344-350 第29話「純白の鳥」→>>356-361 第31話「好奇。」
高槻 >>192-195 第7話「Eye and Arm」→>>372-374 第32話「ロードの楽しみ」
美坂栞 >>273-278 第18話「闇の中。」→>>344-350 第29話「純白の鳥」
柏木初音、柏木耕一 >>280-282 第19話「異能の一族」
久瀬&広瀬&繭&美汐&矢島&御堂 >>285-288 第20話「目指すは王都」
セリオ >>296-301 第21話「アウトローとクルスガワ」(以後、浩之&佐祐理と行動)
柳川&月島、マルチ >>310-314 第24話「傭兵と荷物」…
郁未、葉子、晴香、琴音 >>344-350 第29話「純白の鳥」…
ルミラ >>254-257 第16話「歌姫と吸血鬼」→>>386-388 第35話「封印と力」
たいやき屋のおやじ >>187 第5話「酒場にて」→>>227-229 第11話「剣士と盗賊」…
長瀬源之助 >>162-167 第2話「誤算だらけの始まり」…
大庭詠美、柏木梓 >>233-235 第12話「女王の憂鬱」→>>246-251 第14話「女王陛下との謁見」…
4231 ◆mYCw53h6 :02/01/02 13:08 ID:0TCE7hU3
水瀬秋子 >>196-198 第8話「英雄候補(???)」→>>303-305 第22話 「お金がない!!立場もない!!」→>>377-379 第33話「集中力」
水瀬名雪 >>303-305 第22話「お金がない!!立場もない!!」→>>377-379 第33話「集中力」 …
深山雪見 >>356-361 第31話「好奇。」
篠塚弥生 >>372-374 第32話「ロードの楽しみ」
芳賀玲子 >>372-374 第32話「ロードの楽しみ」
折原浩平、緒方英二、柏木楓、岩切花枝 >>381-384 第34話「闇の王」
橋本、岡田、吉井、松本 >>391-395 第36話「研ぎ澄まされる竜の牙」
4241 ◆mYCw53h6 :02/01/02 13:10 ID:0TCE7hU3
キャラ別の進行状況です。
これはあくまでも目安なのであまりこれにたよらないほうがいいかも…
それと、24〜25話でカウントミスがありました…すいません…
425名無しさんだよもん:02/01/02 13:35 ID:HkCrP56e
>421-424
毎度毎度お疲れ様
426過去と現在:02/01/02 15:33 ID:Hqsq2M9i
「はろ〜、折原、元気してた?」
およそ、この場にそぐわない明るい声が、カーテンの奥から響いてくる。
猫の姿をとり、折原の膝の上にいた楓は、はっと顔を上げた。
驚きに、全身の毛を逆立てる楓を、優しい手つきで宥めて、折原浩平は声をかけた。
「……久しぶりだな、お前がここに来るのも」
その女は、わざと焦らすように、ゆっくりと歩み寄ってくる。
歌姫用の、薄布を幾つも重ねた、身体のラインがうっすらと透けて見える、扇情的な衣をまとっている。
「確か、街を出たと思ってたが……俺に何か用か……志保」
「あんたに会いに、わざわざ引き返してきたのよ……“闇の王”」
くすりと笑って、志保は浩平の座る玉座の横に、しなだれかかった。
うっすらと施された化粧は、薄闇と合間って、妖艶なる娼婦の魅力を宿らせている。
楓は、志保が苦手だった。
ふざけた雰囲気や、こういった折原に色目を使うような仕草も、気に入らない要素の一つではある。
だが、一番気に入らないのは……
「……捕まえたみたいね……ロード高槻を」
「ああ……よく知ってるな」
最高機密の情報ですら、この女の前では、いとも簡単に見ぬかれてしまう事だった。
「このレフキーで起こった事件は、ヒロが寝坊した事から、元特務部隊で、
現部隊長の親友さんがこの街に来ることまで、なんだって知ってるわよ」
言って、折原の膝の上に横たわっていた楓に、指を伸ばす。引っ掻いてやる、と楓が決めた時、折原の手が、それを遮った。
「……長かった、な」
折原の独白に、志保の顔が曇る。
「折原………あんたまさか」
そこまで言って、志保は口をつぐんだ。
楓がもう一つ、彼女を気に入らない理由。
それは、折原の過去を知る、数少ない人間の一人であったからだ。
427過去と現在:02/01/02 15:34 ID:Hqsq2M9i
ここレフキーで敵に回したくない人物を、5人挙げろ、と言われれば、楓は躊躇う事無く、
長岡志保を、その一人に加えるだろう。
志保は、武術にしろ、魔法能力にしろ、幅広い知識と技能を持つとは言え、レベル的に見れば、
どれ一つ取っても、とうていマスタークラスに敵うものではない。
彼女固有の能力、『歌』も、大規模な戦争や街角で使うならともかく、一対一の個人戦闘なら、
到底役に立つ代物ではないのだ。
だがそれでも、彼女は間違い無く、ここレフキーの闇の世界で、十本の指に数えられる、危険人物なのは間違いなかった。
独自に築かれた『ネットワーク』によって、レフキーのありとあらゆる情報は、彼女に筒抜であり、
同時に、デマや流言を支配する彼女にかかれば、人一人を社会的に抹殺する事も容易い。
それこそ、今の女王のスリーサイズから、折原が抱える暗殺者の数まで、彼女の知らない事は無いのだ。
だがその彼女も、人の心の中までは、見る事ができない。
志保は低い声で、彼に警告を発する。
「………折原。これだけは言っておくわ。例え“闇の王”でも、仮にもロードを殺せば………
今の女王は、決して無能じゃない。遠からず、あんたの首は、胴体と泣き別れす…」
「志保、おまえには感謝してる」
折原の言葉が、志保を遮った。
「あの後、英二さんとお前達が居なければ、俺は立ち直れず、この椅子にも座っていなかった」
「感謝……されるいわれは無いわよ。あの子は、あたしにとっても……」
そこまで言って、志保は苛立たしそうに立ちあがった。
「塔に行くのか?」
「あたしは、別に塔の秘宝とやらに興味は無いの。帰る途中でも、ルミラと会えればいいのよ」
志保はしれっと言って、折原に背を向ける。
「志保、その猫の耳、なかなか似合ってるぞ」
「あっそ」
428過去と現在:02/01/02 15:36 ID:Hqsq2M9i
秘密の通路を行く志保の前に、眼鏡をかけた、壮年の男が壁に背を預け、佇んでいた。
「会見はもういいのか?」
「別に。ま、英二さんがいれば、そうそう馬鹿なことにはならないと、期待してるけどね」
志保の言葉に、英二は微かに首を振った。
「英二さん。あたしは、何度もあいつの復讐に手を貸してきたわ」
「ああ……そう言えば……前“闇の王”を殺したのは、君だった………な」
「殺したのはあいつ。手助けしたのはあたしと英二さん。間違えないで」
ぴしゃりと言う志保に、英二は、声を出さずに、乾いた笑いに肩を振るわせた。
「でも本当は、あたしが復讐したかっただけなのかもしれない。例えロードを殺しても、あの子は……」
僅かに震える指先が、英二の眼鏡の端に触れた。
「あいつを止められるのは、あなたしかいない……よろしく頼むわよ」
志保はそれだけ言って、足早に通路を通り過ぎて行った。


「……ひとつ、聞かせて下さい」
服を着替え、明るい通りに出た志保に、どこからともなく、楓の声が聞こえてくる。
志保は、あたりをきょろきょろせずに、なによ、とだけ言った。
「あなたは……あの人と、どのような関係なんですか」
「………」
志保は、しばらく無言のまま、その場に立っていた。
だが、やがて小さな溜息と共に、言葉を吐き出す。
「いたのよ」
「……えっ?」
「あたしも、いたのよ…………あいつの、結婚式に」
あいつ、は折原の事だけではない。そう、楓は直感した。
「どうしてもあたしと折原と……瑞佳の事を知りたければ、旅芸人の一座を訪ねるといいわ」
志保の鋭い瞳が、真っ直ぐに、屋根の上にいた楓を射抜く。
「長瀬源一郎一座………伝説とまでなった、旅芸人一座の事……あたしに言えるのは、それだけよ」
429過去と現在:02/01/02 15:38 ID:Hqsq2M9i
「志保、遅いわよっ!」
「ごめんごめん、ちょっと挨拶に行ってたら、思ったより時間かかっちゃってさ」
志保はそう言いながら、城門で待っていた七瀬と健太郎の元へと歩いてく。
「どうするのよ、もうだいぶ出遅れてるわよ」
「ふふん、その点は心配ご無用よん」
そう言って、志保に連れられるままに、城門の側の店のひとつに入っていく。
「なるほど……その手を使うのね」
「七瀬、ここは一体……うわっ!」
狭い掘建て小屋の中は、柵に分けられ、いくつもの鳥が押し込められていた。
鳥と言っても、ただの鳥ではない。臭いも凄いが、その身体の大きさも、人間を軽く見下ろすサイズだ
騎乗用の、飛ぶより走る方が得意な鳥である。
そして、残ったスペースには、ここの主の、髭のおじいさんが椅子に座って、こちらを見ていた。
志保がさっそく、何やら木の板のようなものを見せながら、商談に入る。
その間、健太郎はただひたすら、呆然とその鳥を見上げていた。
「ちょ……チョコボ?」
「モアよ」
七瀬があっさり否定する。なるほど、すらりと長い首に、茶色いふさふさした羽毛は、ダチョウの親分だ。
そしてその背中には、頑丈そうな鞍がついている。
「……七瀬、健太郎、どれでも良さそうなの一羽とって」
商談が成立したのか、今までおじいさんと話しこんでいた志保が、ついとモアの方を指差す。
「で、でも、俺モアなんて初めてだし……いてっ!!」
頭を突つかれて、健太郎は悲鳴を上げる。
「馬より扱いにくいし、スタミナ無いけど、安いし何より足が速いのが特徴なのよ。ほら、早くして」
志保と七瀬に尻を蹴飛ばされ、健太郎は何とかモアの一羽にまたがった。
「それじゃあ、出発っ!!」
七瀬が、勢いよく手を振り上げ、3人はようやく街を出発した。
430過去と現在:02/01/02 15:42 ID:Hqsq2M9i
実際の動きはほとんどありません。
志保と折原を会話させたかっただけですので。

【志保、七瀬、健太郎は、モアに乗って塔を目指す】
【長瀬源一郎 どこかの旅芸人一座の座長をしているらしい】
431名無しさんだよもん:02/01/02 16:17 ID:waklP9QM
志保、岩切と耕一、みさきと智子とあゆ。
こいつらの時制がおかしくなったね。

この話を出したのは早すぎかも。
432狼少年浩之(1):02/01/02 17:35 ID:o+7kTKQV
「あれが入り口ですね。」
「だな。」
ひょこっと草むらから顔を出して二人は塔の入り口の様子を窺いながらひそひそと話合う。
「結構高い塔ですね。」
「ああ、そうだな。」
「なんかワクワクしますねっ。」
「ああ、そうだな。」
「浩之さん?人の話聞いてます?」
「ああ、聞いてるよ。」
「…てけれっつのパー。ハッパふみふみ。」
「ああ、そうだな。」
「もうっ、聞いてないじゃないですかっ!」
「ゴメンゴメン、そんな事より佐祐理さん。あれ…」
浩之はさっきから気になってしょうがない物を指差した。
入り口から少し離れた所にいかにも、というような石の狼の彫像が立っていた。
「…動くよなぁ。」
「…動きますね。」
「んじゃ、撤収って事で。」
「帰るんですか!?ここまで来て!?」
「あんなケルベロスみたいなの、俺に一体どうしろっていうんだよ!?」
「えっと…血湧き肉踊りません?男の子として。」
「沸かないし踊らない。喰っちゃ寝をこよなく愛する男、藤田浩之ったら俺の事よ。」
「もういいです!佐祐理一人で行きますから!」
ザッっと勢いよく立ち上がってズンズンと入り口に向かって歩き出す佐祐理。
「おーい、命を投げ出すのは若いもんの悪いくせだぞー。」
足元にあった大きめの石を拾って、爺むさい事を言いながらとりあえず一定の距離を保ちながら佐祐理の後をついて行く浩之。
佐祐理が彫像の前に立った。ゴクリと生唾を飲み込む音が聞こえる。
433狼少年浩之(2):02/01/02 17:39 ID:o+7kTKQV
つんつんっ
佐祐理が彫像をつっつく。
「………」
コンコンッ
今度は軽くノックしてみる。
「………」
何も起こらない。
「…くすっ。」
佐祐理は浩之の方を振り返って小悪魔的に笑った。
「あーっ!今笑っただろ?」
「あははーっ、浩之さんの弱虫さーん。」
そう言って佐祐理は彫像の足の下をくぐって塔の中に消えていった。
「くそー…」
自分が情けない。まさかこんなこけおどしにまんまと引っかかるなんて。
「驚かしやがって、くのっ!」
悔し紛れに恥晒しの原因ともなった彫像に持っていた石を投げつける。
ごつんっ
「…グルルルル。」
「へっ?」
途端、今の今まで彫像だったはずの石の狼が体をうねらせて唸り始めた。
「ちょ、ちょっと待った!いつからモンスターが男女差別をする時代になったんだよ!?」
「ガアァァァ!!」
「こんなのありかよー!」
襲い掛かる狼の咆哮と浩之の絶叫が森にこだました。
434名無しさんだよもん:02/01/02 17:46 ID:o+7kTKQV
>>432-433
【倉田佐祐理:塔の内部へ】
【藤田浩之:石の狼(ルミラ製)と交戦中】

えーっと、一転してコメディタッチ(w
長瀬なんだよもんさんがいいシナリオ案を出してくれたので塔シナリオを進めちゃいます。
ていうか二人ともキャラ違いますね(^^;
435一座到着:02/01/02 19:14 ID:ztIW+zsM
「いや〜、話には聞いてたけど随分と賑やかな街ですね〜」
 矢島は周りを見渡しながらはしゃいだ声を出した。
「そんなにキョロキョロしないでよ。田舎者だと思われるでしょ」
「いや、これだけ活気がある街はそうそうないですよ。な、繭」
「みゅ〜!」
「ハァ………」
 思わずため息がもれる。
「さて、美汐さん。スミマセンけど宿の手配のほうをお願いしますね」
「団長はどうするんです?」
「あぁ、僕はちょっと用事があるんですよ」
「お?団長も隅に置けませんね?コレですか?」
 矢島が小指を立てながら嫌らしい笑いを浮かべる。
「ハハハ。僕はそんなにモテませんよ。ちょっと挨拶をしておきたい人がいましてね」
「あぁ、そう言えばあの人ここに住んでたんだっけ」
「へ?誰のことか分かる?美汐ちゃん」
「いえ」
 美汐も小首を傾げる。
「あぁ、そうか。僕と真希さん以外は面識がなかったでしたっけね」
「ここには久瀬さんの前の団長さんが住んでるのよ」
「へ〜、そうなんですか」
「んじゃ、あのじいさんに私の分もよろしく言っといてね」
「えぇ、分かりました。じゃあまた後ほど」
 久瀬はそう言うと人混みの中へと消えていった。
436一座到着:02/01/02 19:15 ID:ztIW+zsM
「どーでもいいんだがよ、俺はいつまでこの大荷物を持ったまま突っ立ってなきゃならねーんだ?」
 背中に大荷物を抱えた御堂が憮然とした声をあげた。
「さっきサボってた罰よ。宿に着くまで我慢しなさい」
「チッ、分かったよ。んじゃあとっとと宿に行くぜ」
 御堂はそう言い捨てるとさっさと歩き出した。
「御堂さん、宿はこっちですよ」
 御堂の進んでいる方向と逆の方を指さしながら美汐が突っ込んだ。
「………そう言うことは先に言ってくれよ」
「単にアンタが馬鹿なだけでしょ」
 真希があっさりと言う。
(ぐぅ!このアマ!借金さえ無かったら!)
「みゅ〜」
「ん?何だ?ガキ」
「おじさん、元気出してね」
 繭が御堂の頭を背伸びしてなでながら慰めるように言った。
「うんうん、繭はやっぱり良い子だねぇ。こんな馬鹿の事まで気遣ってやるなんて」
 真希が感心したように言う。
「姐さんって繭に甘すぎないか?」
「仕方有りませんよ。真希さんの繭の猫可愛がりは昔からですから」
 矢島と美汐が小声で話しているのも聞こえないほど御堂は落ち込んでいた。
(ハァ、特務部隊出身の御堂様がガキに慰められるとはな、落ちぶれたもんだぜ)
「ホラ!御堂!ボサッとしてないでさっさと行くわよ!」
「ヘイヘイ」
 そうして真希を先頭に一同は宿屋へと向かった。

【久瀬 前団長の元へ】
【御堂・繭・広瀬・矢島・美汐 宿屋へ】
437名無しさんだよもん:02/01/02 20:13 ID:o1er8Nyh
砧夕霧は、暗い森の中を走りつづけていた。距離は少しずつ離れてきてるようだが、
もし追いつかれたらという恐怖に、身体が芯から凍りつくようだった。
悪寒がぞくぞくと背筋を這い上がる。いくら助けを呼ぼうとしても声が出ない。
……夕霧は、強い後悔の念に苛まれていた。
(そう、あんなことさえなければ………)

時は、一日前にさかのぼる。
夕霧はついに、その山の奥にあるという隠された太古の廃墟を発見した。
廃墟に住みつく危険な怪物、命を狙う巧妙なトラップ、財宝を守る守護者の数々。
……しかしそれらは、夕霧の呪文の前にあっけなく破れ去った。

夕霧は、何故パーティというのを組むのか理解できなかった。
確かに自分は肉体的には脆弱だ。しかし、一人なら自分のペースで歩ける。
そして、例え百匹のオーガに囲まれようと、自分一人なら遠慮無く呪文が撃てる。
我が家に伝わる、睡眠を不要とする指輪を組み合わせれば、寝込みを襲われる心配もない。
(むしろ、男と一緒に夜を過ごすということを考えれば、一人でいるほうが千倍マシだ)
そう、「仲間」というモノは、彼女の中では「お荷物」と同義であった。

そして彼女は、莫大な財宝と対面する。
(一人なら、分け前で揉めることも無い)そう思いながら呪文を唱える。
たちまち全ての財宝が、何処にでも売ってる小さな布袋の中に吸い込まれていく。
……そしてその場に残ったのは、女神像が一つのみ。
438名無しさんだよもん:02/01/02 20:36 ID:o1er8Nyh
彼女は落胆する。(……これだけ?)
魔法がかかっている物は、今の呪文では吸えないのだ。彼女はそうやって鑑定をする。
(逆に言うと、呪文さえかかって無ければ、女神像だって吸えるのだ)
そして、彼女はその女神像に目をやった。

(………眼鏡?)
女神像は、とても美しい「眼鏡」と呼ばれる物を着けていた。……喜びに胸が震えた。
様々な冒険をこなして来た夕霧だが、実際に眼鏡を見るのは始めてのことだった。
曰く「精霊が見えるようになる」、「死が見えるようになる」、「魅了の視線を得る」
共通していることは、『必ず』とても高度な呪文がかかっている、ということ。

……そして今、自分はその眼鏡をしている。
この眼鏡には「魅了の呪い(着けたくなる)」「決して外せない呪い」、
「言葉を発せなくなる呪い」がかかっていた。
……呪文を唱えられない自分。それが意味するのは無力。……経験、カン、頭脳。
自分に残っているのはそれだけだ。それはつまり、追いつかれれば終わりということ。

そして彼女は、街道に出た所で追いつかれた。
439名無しさんだよもん:02/01/02 20:51 ID:o1er8Nyh
ゴブリンが、十匹。自分を囲んでいるのはそれ。
………涙が、出てきた。
よりにもよって、こんな奴等に殺されるのか。そう思うと、涙が止まらない。
……その瞬間、眼鏡に隠された『力』が発動した!!

……また、逃げてる自分。………まるで、笑い話。
彼女のおでこが、力強く光り続けている。どうやら生命の危機に反応して、閃光を発するようだ。
(いずれ、追いつかれる)
……そんな事は解ってる。だからといって諦めたくはない。
そして彼女は、「仲間」のありがたみを知る。

「大丈夫っ!? 後はまかせてっ!!」
前方から、綺麗な女の人が駆けてくる。まるで女神様のように見えた。
……本当の女神様は、自分のおでこを見て笑ったりはしないと思うけど。
440名無しさんだよもん:02/01/02 21:00 ID:o1er8Nyh
【凸(笑) 呪文の使い手(ウィザード級)だったが、呪いが解けるまで使えない】
【香里 夕霧の、光る凸をみて笑う。どんな能力なのかは不明】
【眼鏡 色々な力が(呪いも含めて)こめられてる模様。命に関わるものは無いようだ】

『捨てる女神あり、拾う女神あり』でした。
ファンタジーでも、凸は出す(笑)。動機はそれだけです。
まぁ、北川ばっかり書いてると「リレー」の意味が無くなるというのも理由の一つですが。
さぁて、凸のキャラクターが解らないから、誰彼『買わないと』………(ぉぃ)。

………ええと、凸ファンの皆様、真面目に書いたんですよ?
441名無しさんだよもん:02/01/02 21:02 ID:o1er8Nyh
>>440
香里【どんな能力なのかは不明】→【どんな能力を持ってるのかは不明】
訂正。日本語変です………くそ、超先生の呪いか(笑)
442竹紫:02/01/02 21:24 ID:H73Jh2VN
           ∧_∧  
         < `∀´>    前にも言ったことだが、
       _φ___⊂)_      作中で書いていないことは補足説明で表記しないほうが良いぞ
      /旦/三/ /|       あの表現では凸の前にあらわれた人物が香里と断定するには不十分だからな
    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |        
    |阿鼻様沈没|/
443修羅の目覚め(1):02/01/02 22:31 ID:xfTkRz3u
「なんで佐祐理さんを通してオレが駄目なんだよ!!」
返答の期待なんてしてないが、塔からダッシュして離れる浩之だが……
「追ってきて……無い」
石の狼はうなり声を上げてはいるが、塔の入り口を塞ぐように構えており、動こうとはしなかった。
だか、額の宝石が怪しく輝くと同時に口が動く……!
『汝、塔へ訪れし目的を述べよ。己が欲望のみが答えの全てなら、ここより先、立ち入る事叶わん』
マジかよ、喋ったよオイ。て、待てよ……これは……
「質問……だよ、な」
塔にきた目的、ねぇ。
『汝、塔へ訪れし目的を述べよ。』
警戒モードに入っているようだが、すぐには襲ってこないだろう。
近くに寄って見る。
「あ、額に宝石がある。……値打ち物かねぇ?」
『……汝、己が欲望のみと見なし、排除する!!』
「な―――!?」
失言だった。石の狼は牙を、殺意を、剥き出しにして襲いかかったくる―――!!
かわし―――きれない!
ざぐりと嫌な音が耳元で響く。
「ぐうぅぅぅっ!!!」
牙をかわしたものの、左肩をツメで抉られてそのまま転がる。
キズは―――浅めか―――!?
「まだくるかよ!しつけえぞっ!」
さらに牙で噛み付こうとしてくるが、そのまま転がって間合いを離す。
こっちが立つのをゆっくりと見届けた後にまたしゃべりやがる。
「余裕だな、オイ」
『欲望のみの者よ、立ち去れ!』
できっかよ、んなこと!佐祐理さんが中にいんだぞ!?それだけは絶対ゴメンだ!!
444名無したちの挽歌:02/01/02 22:32 ID:QhL8R8Dh
毎度。挽歌でございます。
えーと、ご指摘の通り、ちょっと急がないとならないようなのですけれども。

>>426
 >元特務部隊で、 現部隊長

 というのは……元特務部隊”員”で、現部隊長(=蝉丸?)でしょうか?
 それとも新しい設定の部隊の隊長である新キャラなのでしょうか?


それから自作の誤字を、発見してしまいました。

>>403
 五行目「にわとり屋根」>「にわとり小屋の屋根」です。
 失礼いたしました。

 ちうか、にわとり屋根って……そんな屋根、ありませんw
445修羅の目覚め(2):02/01/02 22:44 ID:xfTkRz3u
「浩之さんっ!?」
「佐祐理さん?だめだっ!こっちに来るな!」
オレの怒声で身を震わせて佐祐理さんは止まるが、ヤツがこっちに―――何だ!?
眩暈が―――する。
出血のせいかよ!?まずい―――!!
「もう忘れたか、バカ息子」
―――え?誰だヨ?
「テメェは何時までたっても力の使い方を覚えねぇなぁ」
オレに?力!?
「たっくよう、しょうがねぇな。もっかい見せてやっから……覚えないと、マジで死ぬぜ」
―――お、親父!?……オレは―――!!
「テメェは俺様の息子で、俺様の技を継承するって自分でゆったんだろうが!
グダグタ言ってねぇでサッサとこいや!!」
……いいぜ、やってやるよ。―――殺ればいいんダロ!?
「そうだ、任務を邪魔する奴は全て消しな。それが忍びの定めってヤツだ、が―――」
「もし、守るべき者ができたら……全力で守れ。忍びである前に、男としてな。」
―――ああ、オレはやるよ。絶対に……絶対にだ!
「いい科白だ」
目を、開く……体が、嘘の様に軽い。
「浩之さんっ!前っ!」
眩暈じゃなく、フラッシュバックだったワケか……
「今の一瞬でいろいろ思い出したぜ、いろいろな」
忘れたかったけど、忘れることが出来なかったわけだが。
「浩之さあぁぁん!」
佐祐理さんの悲鳴じみた声が響くが……分かってるって
石の狼が走りこんで来るんだろ?
446修羅の目覚め(3):02/01/02 22:49 ID:xfTkRz3u
「……遅いん……だよっ!」
飛び掛ってきたソレを横に交わして、ケリを一発叩き込む。
大して効き目が無いのは分かっているが、地に転がさなければ気がすまない。
「へっ、ブチ殺してやる」
いつもと違う、冷たい声が出た。
後ろ腰に挿してあるナイフを手にする。
長さは45センチ程で巻物の箱か、三日月刀の柄だけにしか見えないが<しゃかん>という音と共に
刃が飛び出る―――
「多分、親父の形見だろうな……」
そう呟くと同時に、ナイフを逆手に持ち変えて前にはし―――否
地面と水平に跳び掛かり、ようやく起き上がってきた狼の額にある宝石に刃を突き立てる―――
宝石は砕け散り、石の狼はただの石になったが、蹴りを何回も入れて粉々にした。
「あっけねぇ……ま、こんなモンか」
冷たい声のまま呟く彼は、正に修羅だった……が
自分を失い、凶刃を振るうコトはないだろう。
「浩之さーんっ!」
「わりぃわりぃ、手間取っちまったあ!」
「じゃなくてっ、肩っ肩っ!」
「問題なしっすよ!軽症っすから!」
「だめですよっ!ちゃんと手当てしないとっ、佐祐理にお任せして下さいっ」
「いてててっ!もうちっと優しくしてくださいよ〜」


【浩之 過去を思い出し、ニンジャにクラスチェンジ(実力は間違いなくマスタークラス)】
【左肩は軽症 佐祐理が手当て】
【浩之の親父 既に他界している】
【石の狼は粉々になる 当然ルミラにもばれる】
447名無したちの挽歌:02/01/02 22:54 ID:QhL8R8Dh
>>443>>445-446の作者さん

 ……挟まっっちゃってゴメソ(Σ(´Д`
448修羅の目覚め 作者:02/01/02 23:02 ID:NQkDcJ0v
始めまして、SS書き(しかもリレー)は初めてですが……
このようなものでいいのでしょうか。
>432-434からの続きであり、
浩之のバトル兼クラスチェンジの話です。
>443-446
使用しているナイフですが『七つ夜』ではなく、『MADARA弐』の主人公バサラと
甲賀三郎(コウガサブロウ)が使っていた物を想像していただけると幸いです。

あ、あと誤字があります。
修羅の目覚め(1)

 × 剥き出しにして襲いかかったくる―――!!
 ○ 剥き出しにして襲いかかってくる―――!!

修羅の目覚め(3)

 × 軽症
 ○ 軽傷

です、申し訳ありません……
449修羅の目覚め 作者:02/01/02 23:23 ID:NQkDcJ0v
>>447
>挽歌氏
いや、気にしておりませんので。
こういうことは、よくあるのでは無いでしょうか?
450名無しさんだよもん:02/01/02 23:27 ID:Dxzlo5tL
言っちゃいけないこととは思うが…

浩之が妙な力を持ってしまった…
腕力とか、魔法とか、そういうのとは別の意味で『強い』キャラを目指してたのに。
…鬱だ。
451名無しさんだよもん:02/01/02 23:30 ID:o1er8Nyh
>>442
痛っ。
452名無しさんだよもん:02/01/02 23:33 ID:o1er8Nyh
香里と解るように書いた「つもりになってました」。
すんません。吊ってきます。
453名無しさんだよもん:02/01/02 23:38 ID:ZCkdjY0k
>>450
書き手チャットの談合でそう決まったのだろう。諦めるこった。
4541 ◆mYCw53h6 :02/01/02 23:43 ID:9m9Z/9fc
自分は>>1なんでとやかくは言いません…言えませんが…

まぁそこは、書き手さんの独創性に一任してます…
けど、なるべく前の書き手さんや次の書き手さんが困るようなリレーはしないほうが…

>>450さんも、これにめげずにがんばってください…
まだ書かれていないキャラはたくさんいますし、動いていないキャラもいますから…
455修羅の目覚め 作者:02/01/02 23:48 ID:NQkDcJ0v
>>450
個人的に判断力や精神力で一番タフなのはニンジャだと思い
書いたのですが……
鬱にさせてしまったのなら申し訳ない。
>>453
書き手チャットとは?
ハカロワの時のアレでしょうか?
行った事ないのですが……そんなにマズイのですかね?
456名無しさんだよもん:02/01/02 23:52 ID:Cp7DKflm
リレー小説総合スレの過去レス50ぐらい読めば現状分かると思うが……
457名無しさんだよもん:02/01/02 23:56 ID:ZCkdjY0k
>>455
奴らはチャットで決まった設定に反する奴は徹底的に叩いてNGにするか修正させようとするからな。
あんたがチャット員でなくて、これからも書く気なら少し媚びておいた方がいいぞ。
一人で奴らと戦う自信があるなら別だが。
458名無しさんだよもん:02/01/02 23:58 ID:4ItKgLmK
今度はここ騙してるのかよ・・・
まあ総合スレ読んでる人がいないとは思えないので大丈夫だとは思うが、現在ハカロワチャットはただの雑談チャット
459名無しさんだよもん:02/01/03 00:08 ID:fhkPaYdO
>>457
俺、ノータッチ状態なんですけど(笑)。
煽りたいなら、もうちょっと上手く煽らんと駄目でしょ(w

>>455
つうことで、一人ではないです(笑)。
まぁ、それ以前に『戦う意味もないし、必要もない』と思ってますが(笑)。


………それ以前に、もっと文章上手くなりましょうね、俺………。
460450:02/01/03 00:10 ID:BP4KQhJR
>455
俺が鬱になったのは、これまで書いてきたことを無視されたことだよ。
一番最初に【無職】で【特技はない】って書いたんだけどな。
剣振って魔法唱えて敵を叩きのめして問題を解決するようなキャラじゃないことを匂わせたつもりなんだけどな。
…伝わらなかったのは、自分の書き方がヘタだった、ってことか。やっぱ鬱だな。

>1
そうだな…。愚痴言ったら、少し楽になった。
さて、誰を書こうか…
461チャットがSSをNGにするメカニズム:02/01/03 00:12 ID:RhEPc02a
チャットで雑談→リレーSSについての話題が出る→
(例)『○○は悪役にするのがよいと思われ』『同意』『同意』(atチャット)→
非チャット員が○○を善玉として書く→
チャット員A「んー、少しイメージ違うような……」(at本スレ)→
チャット員B「>>A 確かにちょっと……」→
違和感ムード高まる→
NG機運高まる→
NGor修正orアナザー逝き


こうして別にAもBも、どのチャット員も積極的に潰す気がなくても、外れたSSは消え
結果的にチャットの方向に誘導されていく。誰一人悪気はない。
462修羅の目覚め 作者:02/01/03 00:15 ID:Wjx3v4Of
……ふう、どうやら素人は大人しくしてろということですな。
修羅の目覚めはアナザー逝きでいってください。
>460
たしかにそうですね。
本当に申し訳ない、何とかやり直していただけないでしょうか?
今後は読むだけにします……
463名無しさんだよもん:02/01/03 00:20 ID:fhkPaYdO
>>461
ふぅん、じゃあ今日の昼頃には、俺の凸話はアナザー目指して一直線な訳ですな(笑)
>>462
……俺、「ど」素人なんですけど………。

俺も読むだけの方がリレー的には良いのですか、超先生っ!?(自爆してどーする)
464名無しさんだよもん:02/01/03 00:21 ID:f2iTc6US
上手い人も下手な人もセンス有る人も無い人も初心者も玄人も
気軽に参加してなるべく大勢の人が楽しめる物になればそれで(・∀・)イイ!!
失敗してもいいじゃん、それが次への肥しになれば。
もう一度書きたくなれば帰ってくれば良い、好きな時に書き好きな時に身をひく。
4651 ◆mYCw53h6 :02/01/03 00:28 ID:tRCBpnsS
>>462
まぁ、自分も初SSがハカロワで…
当時はかなり痛い内容で他の書き手さんを苦しませてしまいましたが(今も?)

SSというものは数をこなせば伸びるもの…
まずは書くべし上げるべし。
リレーSSでは前(前の作品)みて後ろ(あとに続く書き手さんのことを考えて)みて…

それに、そんなに落ちこまなくてもいいですよ。
たとえ失敗したとしても、確実に数はこなしたんですから。
次に書くときはもっといい作品が書けますよ!

自分も半分初心者なのに偉そうでスマソ…
466451.452.459.463は同一人物:02/01/03 00:28 ID:fhkPaYdO
ファンタジーに「荒れ」は似合わない。
……だからって、お馬鹿なレスを返す俺も、正直ウザい頃でしょう(藁)。

>>464さんがイイコト言ったので、俺は消えます………。
また、何か書かせて下さいまし。ではでは。
467450:02/01/03 00:31 ID:hw7Uso4n
>464
同意。
気に入らないからNG出してたんじゃリレー小説にならないしね。
自分も、こういうことがあるんだなあと思うことにします。
462作者さんも、以後は気をつけましょう。
…ってことで。
468ふたりの荷物(1):02/01/03 00:48 ID:dcxLgUM9
 木箱を担いだ青年の隣を、黒いローブを被った小さな影が併走している。
 ふたりの距離は、決して他人どうしの仲というわけでもないようであったが-----微妙に、離れていた。

 木箱に詰められた、塩漬け魚を売るつもりではないのだろう。
 ふたりとも沈んだ表情で、視線を合わさぬまま会話をしていた。

「耕一、済まないな……」
「いや、構わないよ。そもそもこれを岩切さんが担ぐと、ひどく目立つんじゃないか?」
 そう言う耕一のほうは、いかにも肉体労働者風の体格であり、違和感はない。
 軽々と憐れな犠牲者と塩漬け魚の両方が入った木箱を抱え、通りを歩いていく。

 両者とも黙ったままであったが、耕一が憂いを隠さず声をかけた。
「-----なあ、岩切さん」
「……なんだ」
「俺は……”闇の王”の下で働くことを、悪いと言ってるんじゃあないんだ。
 楓ちゃんだってそうだし、俺たちはどちらからも認められているとはいえ、公的と私的の二重密偵みたいな
 もんだから、他人のことをとやかく言えた義理でもない」
「それは、解っている。ただ、私は-----」
 耕一の言い訳するような台詞に対して理解を示しながらも、岩切の返事は明瞭さが欠けている。

 じれたように首を振り、彼女の言葉を止めると耕一は尋ねた。
「じゃあ、どうして王宮へ戻らないんだ?」

 岩切は目を閉じて数歩のあいだためらいを見せる。
 だが、やがて意を決すると、遠く正面を見ながら返事をした。
「-----借りを、返さねばならん。宮仕えでは、無理だ」
「そんな……」
 立場が逆転したかのように、耕一の反応に切れがなくなった。
「あのとき、お前が助けてくれなければ死んでいた。
 あいつを倒さねば-----自分が、赦せぬ」
469ふたりの荷物(2):02/01/03 00:49 ID:dcxLgUM9


  -----かつての戦役に、耕一は歩兵として参加していた。
  重装甲の板金鎧に巨大なモールを担いで参加し、民兵あがりながら職業戦士たちを凌駕する働きを見せた。
  その殊勲の中で、表向き隠されたものがある。
  すなわち、騎士団員----実は特務隊員であったのだが----の救出。

  偶然そうなったに過ぎないのだが、助けられた岩切のほうは思うところがあったのだろう。
  深手をおって運ばれた、ヤミの白魔術師による療養院から退院すると、そのまま”闇の王”の直属部下”闇の牙”
  になってしまったのだ。


「じゃあ、つまり……」
「ああ。”闇の王”とは、情報と機会を条件に話をつけた。
 実際にそうなるとは思ってもいなかったが、もともと誘いは掛けられていたのだ」
 岩切はそこまで言うと、どうだ、と問い掛けるような表情でて耕一のほうを見据える。

 一度何かを言おうとした耕一だったが、発声する直前に思いとどまり息を大きく吐くと、肩を落としてぼやいた。
「はああああーーーあぁーー……ほんとに浩平くんは……手が長いし、早いなあ……」
「うむ、まったくだ。。
 地下の主とは言え、あれこそ王の器と言うものだろう-----着いたぞ」

 彼らにとっては馴染みのある、汚く古い、大きな酒場が目の前にあった。
「おっこらせ……っと」
 耕一は木箱をすぐ下ろせるように抱えなおすと、扉のところまで歩いていく。
 それを追う岩切は扉を開くために走りながら、小声で呟いた。
「-----ま、まあ、だからと言って、そうでない者が悪いというわけでもないぞ」

 しかし、非常に遠まわしなフォローの言葉は、勢いよく開いた扉の音に掻き消されていた。
470462:02/01/03 00:49 ID:Wjx3v4Of
>>464
たしかにそれが一番です
だが、話を根元から破綻させてしまった以上責任がありますので。
責任を、とらせて下さい。

だからこそ、俺は>>450さんに浩之の話を、書いて頂きたいのですが。
俺ごときよりよい作品ですから、お願い致します。
修行積んで出直すと同時に、今後の話に期待します。
頑張って下さい>>ALL
471ふたりの荷物(3):02/01/03 00:52 ID:dcxLgUM9


 普段の自堕落な騒ぎの声が鳴りをひそめ、常ならぬ静けさのが酒場を支配していた。
 少々浮き足立っていたとは言え、それに気がつかぬ岩切ではない。

 ぴたりと立ち止まった岩きりの前で、勝手に扉が開いたかと思うと、中から人が飛んでくる。
「む!?」
「な-----!?」
 耕一にとっては本日二度目の、絶句。
 放物線を描いて飛んでいく人物は無様に落下し、一言うめいた。
「-----うぐぅ」
「ふん、月宮か」
 岩切は姿を確認することなく、空を飛び着地に失敗した憐れな人物を言い当てる。
 そのまま助ける気もなく中に入ると、周囲を見回した。
「-----何事……いや、何者だ?」

 あとから慌てて耕一が追いかけると、そこには見慣れぬ訪問者が----おそらくは、招かれざる訪問者が----ふたり居た。
 川名みさきと、保科智子である。

「みさきさん、……また、増えよったわ」
 じり、と油断なく距離を取りながら、智子が呟く。
 しかしみさきは岩切の声に反応すると、にっこり笑って言った。
「この感じは……花枝ちゃん?」
(うわ、言った!?)
 勘違いのないように補足しておくと、岩切は強い。
 そして彼女の怒りを導かぬために、花枝というのは禁句なのである。

 驚きと共に、耕一は-----いや、場に居るすべての男たちは、岩切の方を窺った。

 
472名無したちの挽歌:02/01/03 01:06 ID:dcxLgUM9
岩切花枝(盗賊ギルド員”闇の牙”/元王立騎士団特務部隊員/暗殺者):任務達成直前。みさき、智子に遭遇】
【柏木耕一(シェイプシフター/元戦士/鍛冶屋):木箱を担いでビビリ中。かつての戦役で岩切を助けました】

【川名みさき、保科智子:酒場の中で囲まれ中】
【月宮あゆ:うぐぅ】

岩切が借りを返したい相手は不明です。


毎度、挽歌でございます。
「ふたりの荷物」をお送りいたします。

題はもちろん、木箱と過去をかけています。

「人生の曲がりかど」(>>403-405)の続きで、「過去と現在」(>>426-429)の前に入る話となります。
473名無したちの挽歌:02/01/03 01:09 ID:dcxLgUM9
たびたびスンマソン。
追加です。

「ふたりの荷物」は第28話「盗賊の王国」(>>339-341)の続きでもあります。ヨロスコ。
474470と同一:02/01/03 01:15 ID:kXbcOR/b
>挽歌氏
申し訳ありません、今度はこちらが割り込んでしまいました……
まぢで消えます、やっぱ俺はアフォだ……

当方、既に吊り済みです。
475名無したちの挽歌:02/01/03 01:24 ID:dcxLgUM9
>>474
 いえいえ、気にしないでくださいましよ。
 お互い様でございます。

 ……このパターン、ハカロワでもあったなあw


 それと、そこまで萎縮する必要はないのでは……。
 もしリレー部分が扱いにくいと思ったなら、新キャラという手もありますし。
476在処。:02/01/03 02:38 ID:kMMksv+E

 深山雪見が発った次の夜、――いつものように彰とさいかが仕事を終えた後の事である。
「――なにしてるの?」
 ふと目が覚めたしのさいかは目を擦りながら、物音の正体を確かめる為に身体を起こし、そう尋ねた。
 いつも自分の傍らで眠っている筈の彰がいないので、すぐにさいかは状況をつかむ、彰が何やらこそこそ仕事をしてるのだと。
 何の仕事をしてるのかと云えば、やたらめったらな荷物を整理である。
「ん。さいかはもー寝なさい」
 まるで相手にせず彰は作業を進める。なんだか腹が立ったので、さいかは背伸びして、鞄の中に何が詰め込まれているかを強引に見る。
 そこにちらりと見えたのは、数日分の食料と衣服とその他旅に必要そうな品物、つまり必需品であった。

 さいかが必需品という単語を覚えたのは最近の事である。ちなみに久し振りにやってきた晴香に習ったのである。
 晴香は色々便利な言葉をさいかに教え込んでいるのだが、そんな事を彰が知る筈もない。
 誘惑とか、えっちな事だとか、そんな言葉も全部晴香である。いやはや。

「なんでそんなにひつじゅひんがいるの?」
「いつも思うんだけど、お前何処でそんな言葉覚えるんだ?」
 使い方微妙に間違ってるし、そう彰はぶつぶつ云いながら、旅の必需品の準備――つまり、旅の荷造りをしていた。
「ん、まあ、いっか。明日から一週間程、お前栞ちゃんとこでお世話になるんだぞ」
「……………ええ?」
「ちょっと僕はしばらく留守にする。大人しくしてるんだぞ」

477在処。:02/01/03 02:38 ID:kMMksv+E
 その晩の間、その町中に少女のわめき声が響き続けたのだという。
 それは呪われた秘宝の少女の助けを求める声なのか、はたまた地獄の責め苦に嘆く可哀想な赤子の声なのか。
 はたまた。



 出立の日である。
 彰は美坂栞の家に行き、栞の母に挨拶をしに向かった。頬を精一杯に膨らませたさいかと共に。
「それじゃあ一週間程、よろしくお願いしますね」
「ええ、彰君。聖先生連れ戻しに行くんだって? 聞いたわよー」
 野次馬的に栞の母はそう尋ねる。なんて情報の周りが早いのだ
「ええ」
「聖先生が帰ってきたらこの小さな街に名医が3人になるのねえ。聖先生と、北の病院の先生と、彰先生で」
「僕なんてまだまだ未熟ですよ。栞ちゃんの病気だって完全に治せた訳じゃないし」
 ――思い出すのは、栞が突然発作を起こした数年前の事。
 全く手が出せなかった自分の事を思いながら、巳間晴香の顔を思い出す。そして、自分の未熟さと共に邂逅される、彼女の力の強さ。
 薬学とは、白魔術を遙かに超越した力なのではないか。そんな事さえ、思う。
 医者としてやっていく為には、薬学の勉強もすべきかも知れない。
「もー、謙遜しちゃって。先生には栞を貰って欲しいとも思ってるくらい感謝してるのよ?」
「先生なんて」
「うふふ、栞のベッドで身体を休める事が出来るのは、栞と先生だけよ!」
 ちっちっち、と人差し指を振りながら、おばさんはそんな事を云った。
「まあ、男と女が二人いて、ベッドの上で休む事なんてないけどね!」
 はあ………。彰は、大きく、大きく溜息を吐いた。なんてこったい。

478在処。:02/01/03 02:39 ID:kMMksv+E
「それじゃ、大人しくしてるんだぞ、さいか」
 顔と目を真っ赤に腫らしたさいかと、同じく目元を真っ赤にして、眠ってませんよーと書かれた旗を高々と振っているかのように、
 とろんとした目をした眠そうな彰を見るにつれ、美坂栞は果たして何事があったのかを推測する事が出来たのだろうか。
 というか、何で彰が自分の家にやってきているのだろう、って、私まだパジャマじゃない! 恥ずかしい!
 と、階段の上で二人を見下ろしながら思っていると、彰が気付いたのだろう、立ち尽くす栞を見上げながら、
「あ、栞ちゃんお早う」
 と声をかけてきた。
 ああ、気付かれちゃったしまったしまった、っていうか、ねぼすけさんと思われた? もう日が結構高くなってるし、嘘……。
 しっかり者の栞を、彰先生の前でだけは演じてきたつもりだったのに……喉から手が出る程恥ずかしい。もとい、顔から火が出る程。
「わ、わたし、こんな格好で、す、すいませんっ」
 云うと彰は顔を真っ赤にする。こちらの顔が赤くなるくらい、真っ赤である。

 ……あれ? 何だ、彰先生もわたしの事、何だかんだで女の子として見てくれてるんじゃないですか!
 恥ずかしくはあったが、これは収穫だ! 強引に行けば、いけるかも知れないです!
 そんな栞の心の声などいさ知らず、彰はただ顔を赤くするばかり。

 その様子を見て不満なのは勿論、彰の右手に繋がれた少女である。ただでさえ不機嫌なのに、より一層不機嫌になりそうである。

479在処。:02/01/03 02:39 ID:kMMksv+E
「それじゃあ、栞ちゃん、あとはよろしくね」
「………?」
 ――栞はきょとんとした顔で、彰を見る。何云ってるのかな、先生?
「え?」
 見れば、彰の左手には旅行鞄のようなものが、あり。
「しばらく留守にするよ。一週間ほどしたら帰ってくるから」
 彰はそんな言葉を言い残して、すぐに旅立ってしまった。

 さいかは憮然として食卓に座る。栞もぼうとして、その対面に座る。
 目の前には醒めた目玉焼きとフルーツサラダ。……まったく、食欲が湧かない。さいかと向き合いながら、栞は呆然とした。
「一週間も、先生と逢えないんですか? わたし」
「いっしゅうかんもあきらとあえないの、さいか」
 貌を真っ赤にして、目を真っ赤にして、目に涙をためて、さいかは絞り出すように、そう云った。
「いやだよ……いっしゅうかんもあきらにあえないのいやだよ……」
 云って、さいかはぼろぼろと泣き出してしまった。
「いっしゅうかんもひとりでねれないよ……」
 ……一人、って、え? じゃあ、さいかちゃんはいつもは彰先生と同じベッドで寝てるの?
 嘘! 彰先生の腕枕をして貰うのはわたしだけの特権だったはずなのに! とか、そんな事を嘆いている暇はない。
 わんわん泣いているさいかちゃんを宥めなければ、そう思うのだけど、自分も泣きたい気分なのだ。
 彰先生と一週間逢えないというのはなかなかつらい。毎日遊びに行ってる訳だから、その日課が無くなるのが寂しすぎる。
 好きなヒトと一週間逢えない! 耐えられる訳がない、この情緒不安定なわたしが!
 近隣には同じ歳の子供もいない。さいかちゃんと遊ぶくらいしかする事がない。
 そもそも、彰先生が無事に帰ってくるかどうかも怪しいのに、怪我とかしたらどうしようどうしようどうしよう、
 そんな事を考えていては終わらない。自分も鼻声になってしまいそうだ。
「わたしだって寂しいんですー、我慢しましょうっ」
「さいかのほうがもっとさみしいよっ」
 いや、わたしの方が、ってそんな事を7歳の子供とやってる場合ではない。

480在処。:02/01/03 02:39 ID:kMMksv+E
 ……ふと、思い付いたのはこんな事である。
「――こっそり付いてっちゃおうか?」
 栞の提案は、果てしなく無謀なものであった。

【七瀬彰 東の魔法都市へ、聖先生を連れ戻しに一人旅立つ】
【しのさいか 美坂栞 彰の後を追って魔法都市へ向かうか、向かわないか】
481名無しさんだよもん:02/01/03 02:40 ID:kMMksv+E
>>356-361 の続きです。
482剣と盾と:02/01/03 04:47 ID:0eGGyggb
「あらあら、そうなの。彩ちゃん、ついに図書館を出るのね……」
 共和国執政官の一人、牧村南女史は大の紅茶党で知られている。
 その彼女が、何時ものようにカップに注がれた紅茶の香りを味わいつつ漏らした感慨に、梓は軽い驚きを覚えた。
「なんだ、南さん、彼女のこと知ってたのか?」
「ええ、私も図書館は良く利用しますから……とっても良い子ですよ」
 ふうん、と軽く相づちを打って、梓は内心苦笑する。この人にかかると、大抵の人間は『良い子』になっちまうから、具体的にどう良い子なのかはちっとも良くわからない。
 ……このどこから見てもただの好人物といった風情の女性が、あまり(と言わず、むしろさっぱり)行政に長けているとは言えない詠美女王に代わって共和国の内政を支える才人だとは、実際その仕事ぶりを見なければ信じられまい。
 共和国の武を司るのが梓だとすれば、知を司るのは間違いなく彼女だ。共和国の剣と盾、この両輪がなければ、軍事力で帝国に劣る共和国は苦境に立たされていたかもしれない。
 ……時折、南の素面で大ボケをかます悪癖がなければ、すでに帝国を凌いでいたのではないか、などという風説もあったりもするが……
「それで彩ちゃんと、蝉丸さん、だったかしら? もう二人は出立したのかしら?」
 少し思考が飛んでいた梓を、南の声が現実に引き戻す。
「ん? ああ。良くわからないけど、多分ね。細かいことはあいつらに任せたから」
「ふふ、梓ちゃんらしいわね」
 紅茶を啜りつつ、梓の返答にくすりと笑みを浮かべる南。
「……あのなぁ。細かいことは、上がとやかく言うより現場に任せた方がうまくいくもんだよ」
 南さんだってそれくらい知ってるだろ、と批難の眼差しを送り、梓もまたカップを口許へと運んだ。
 ふと、その視線が扉へと動く。
 やや、香りを堪能するような間……いや、紅茶の香りを味わうのに緊張は不要だろう。異変を察し、南もまた表情を引き締める。
 ……かたり、と梓はティーカップをテーブルに戻し、
「扉の前で聞き耳たててるヤツ、誰だ?」
 不意に、梓が扉の向こうへと鋭い誰何を投げかけた。
483剣と盾と:02/01/03 04:48 ID:0eGGyggb

 刹那、殺気、それを通り越して鬼気とでも呼ぶべき圧倒的な気配が室内を支配する。
「まぁ、盗み聞きは良くないですよ?」
 少し困ったような様子で、南が腰のレイピア――装飾過剰で、どう見ても実用品には見えない――に手をやった。
 気配からの応えはない。梓の放つ鬼気に怯んだのか。
 ずん、と扉へ向けて一歩を踏み出した時、
「あの……盗み聞きってわけじゃないんですけど……梓さま」
 ようやくおずおずと、室外の気配が声をかけた。
 聞き慣れた牧村家の侍女の声に、先ほどまでの鬼気が嘘のように霧散する。
 雛山理緒と言う名のその侍女は、それだけの信頼を南や梓から与えられるに足る朴訥さを備えた少女だった。
「なんだ、理緒か……どうしたんだ?」
 梓の問いに、すぐには答えが返らない。また、幾ばくかの間が空いた。
 なんとなく、嫌な予感がする。そう言えば、なにやら階下が騒がしいような。
 ……というか、今の今まで気付かなかったが(何という不覚!)この妙なピンク色の殺気は間違いようもなく……
「えっと、お疲れのところ申し上げにくいんですけど……お客様が……」
「……わかった。それ以上言わなくていい……」
 どこか、気の毒そうな理緒の声にはっきりと来客の素性を確信して、梓の表情が引き攣った。
 間違いない、あいつだ。王城を退出するときせっかく撒いて来たと思ったら、牧村邸まで押しかけてきやがったのか。
 らしくもなく、きょときょとと慌てた様子で部屋の左右を見回して、その視線が背後の窓に固定された。
 うん、こうなったらそれしかない。視線は窓に釘付けされたままに、正面の二人へと呼びかける。

 ……頼む、頼りはあんたらだけだ。
484剣と盾と:02/01/03 04:51 ID:0eGGyggb

「南さん、理緒」
「あらあら、なにかしら?」
「なんでしょう、梓さま?」
 一人は朗らかな笑みを浮かべて、一人はやや緊張気味に、梓の次なる言葉を待つ。
 梓は窓枠に足を掛け、すっかり人通りも絶えた眼下の通りを見下ろし、
「あたしは逃げる。ちょっとの間、時間を稼いどいて……」

 ――どどどっ、と廊下を突っ走る足音が聞こえる。どうやら、玄関の防衛ラインは突破されたらしい――

「……今日は、多分家に帰れないだろうなぁ」
 ……天下に轟いた武名に似合わぬ泣き言を言い残して、夜空に跳んだ。


「まぁ、梓ちゃんったら……窓から出入りするなんてお行儀が悪いわよ」
「南さま、そういう問題じゃないんじゃ……」
 後には、二人の女性と同じ数のティーカップが残される。


 その部屋に、たっぷり十分は待ちに待たされて、すっかり梓への想いがスパーク状態の日吉かおりが飛び込んで来るのはそれから数十秒ほど後のことだった。


【柏木梓 栄光への脱出(笑)】
【牧村南 レフキー執政官】
【日吉かおり 身分不明。梓ハンティング失敗】
【雛山理緒 ただの下女?】
485夢売り少女 (1):02/01/03 05:00 ID:VkhAjpGN
キィという国の西部にちいさな村がありました。
のどかな田園のならぶ風光明媚な村があり、その村の中心の広場に子供達があつまり
中心には2人の姉妹とおぼしき者がいた。
そのうちの1人の少女がその村の子供に膝枕を貸している
その上で子供は眠りについていた、時々「うおーー、てええい」といった寝言が聞こえてくる。
「お姉ちゃん、今この子どんな夢をみているの?」
「・・・この子はね、とらわれのお姫様を救いにいく勇者として大忙しなの」
「・・・ものすごくはりきっちゃってます。いまくらいまっくす」
「・・・がんばれ勇者・・・・おお・・・どきどき・・・」
「・・・今お姫さまを救い出して、2人でチューの真っ最中」
「・・・なかなかお熱いです・・・・感動しますね」
「・・・・」 「・・・夢からそろそろ覚める頃です」
「ううううん・・・ああ・・・・本当に夢だったのか・・・・・」
「でもすごく面白かった、お姉ちゃんすごいや!、本当に好きな夢が見れたよ」
「・・・えっへん・・・わたしの自慢です」「じゃあお姉ちゃんお礼のお金ね」
「・・・ありがとうです」とぺこりとおじぎをすると、バックの中からお米券を子供に差し出す。
「・・・これおまけです・・・進呈」「おねえちゃんいいの?」「・・・はいかまいません、どうぞ」
「ありがとう!おねえちゃん」「・・・いえいえどういたしまして」「さよなら!おねえちゃん」
子供は元気よく走りさっていく、その子供にむかって穏やかな表情をうかべ、
ばいばいと手をふる
486夢売り少女 (2):02/01/03 05:02 ID:VkhAjpGN
「・・・なかなか繁盛しています私、それもみんなこの不思議な羽と
・・・それとみちるのおかげです」
少女の妹と思われる女の子が必死になって石鹸水からシャボンを作り出そうとしていた
「うにぃ美凪ぃごめん、またシャボンを失敗しちゃった・・・お客さんに喜んでもらおうと
思ってがんばっているのに、ごめん美凪・・・」
「・・・あら失敗しちゃったのですね、でもどんまい、失敗は成功の母・・・」
「うん!、みちるがんばるよ」
「・・・じゃあ、お片づけをして次の村をめざしましょう」
その少女が商売道具を片付け荷馬車につみこんでいく、荷馬車の側には1匹のロバが
草を食んでいた。
「・・・ユッキー、そろそろ旅立ちます、準備はいいですか」
「ひひ〜ん〜〜〜」 「・・・気合が入ってます、すごい」
「美凪〜〜次の村にはお父さんがいるといいね」
「・・・そうですね、みちるにもお父さんの顔を見せてあげたいです」
「うん!がんばろうね美凪」「・・・はい」
荷馬車に乗り込むと美凪はユッキーの手綱に鞭をいれ、次の村へと旅立つ
487夢売り少女 解説:02/01/03 05:03 ID:VkhAjpGN
○登場人物
【美凪】・・・能力(他人に自由に夢を見せる事ができる)、戦闘力は皆無に等しいが
将来的に能力を磨けば、眠らせずとも相手の精神を操る事で戦いに役立てる事ができるかも
本人はその意志は全くないのだが・・・現在の力はまだ弱く、
不思議な羽を使わないと力を制御できない
【みちる】・・・能力これといってないが、美凪を護るため、ひそかに武術とシャボンの練習を
している
○現在地
キィ国のどこか
○主な道具
不思議な羽(効能:他人に思いどうりの夢を見せる事ができる、
扱うのに操つるものの素養が必要)
荷馬車・・・ロバに引かせている、名前はユッキー
呼び込み用の看板、楽器、シャボン道具、生活用具一式
○目的
父を捜すための旅
488天神海士:02/01/03 05:16 ID:VkhAjpGN
夢売り少女を載せたものです

リレー小説というものに参加をするのは始めてなので
いろいろと不備があったかと思います。

心配なのは、展開がハカロワみたいなのりになったときに
この2人がついていけるかどうかです
はっきりいって、旅の目的は勇者と呼べるものとはかけ離れていますし
いまのところ戦闘能力を磨くという気持ちが、美凪にはありません
(みちるは一応、護身術程度は身につけようと考えているのですが)

いたってマイペースな2人ですが、よろしくしてやってください
(アクティブにみちると美凪を動かしたいと動いているところをみたいと
思っている方には申し訳無い事をしているかなと思います。ご勘弁を)
この2人もなんかの拍子に、冒険の世界に乗り出すかもしれません(藁
489天神海士:02/01/03 05:27 ID:VkhAjpGN
>>488
あっ大事な事を忘れてた・・・
美凪のアイテムにはお米券大量に持参(藁
と追加しておいてください
作物に稲作があるのかわかりませんが・・・
世界観を破壊してしまっているかも
490名無しさんだよもん:02/01/03 05:48 ID:Y2Anup0v
どーも見ていてちょっと気になったんだけど
書いた人が必要以上に後書きでフォローするのってどーよ?
補足説明はあくまで補足に過ぎないと思うし文中で書かれてないことを
後書きで長々と書かれるのはどーかと個人的に思うのだが。
491名無しさんだよもん:02/01/03 06:00 ID:0eGGyggb
>>490
激しく同意と言うか、それは何度か指摘されてるんだけどね、過去スレで。
次スレが立った時、1で明記すべきかもしれない。
492天神海士:02/01/03 06:06 ID:VkhAjpGN
>>490
うっリレー小説形式が始めてなので
いろいろと不安でしたし、
ちょっと特殊というか浮いているキャラを登場させたので
説明が必要かなと思ったのですが・・・
次回からは補足はそれほど必要でなくなると思いますので
今回は勘弁してやってください
493名無しさんだよもん:02/01/03 06:15 ID:0eGGyggb
>>492
 まぁ、特殊であれ浮いてるキャラであれ、空白部分があれば次の書き手が埋め
てってくれるだろうし、キャラ立てを急ぐことはないと思うよ。というか、初期
は空白が多いほうが次の書き手は書きやすいものと思われ。
 しばらく誰も書いてくれなかったら、それはそれで自分で書いて文中で補足し
ちゃえばいいんだしね(w
494名無しさんだよもん:02/01/03 06:52 ID:j6CmasLM
>>293 で1さんも仰ってますが、キャラデータ集みたいなのが欲しいなあ。
サバイバルでも使えるでしょうし。
わたしゃ、まじアン以降のリーフのゲームやってないんで、その辺のキャラが使いづらいです。
誰彼のキャラがとってもいい感じなんですが。

【長森瑞佳】ONE
【姿形】茶色のロングヘアー
【性格】真面目。世話好き。幼馴染タイプ
【一人称】私
【二人称】〜君、(主に苗字で)〜さん、浩平
【三人称】長森(さん)、瑞佳(さん)、だよもん星人
【特記・口癖】〜だよ。〜もん。折原浩平の幼馴染

ちょっとごちゃごちゃしすぎですが、こんな感じで。
誰彼やってみないと付いていけないかなー。
495三つ巴(1):02/01/03 12:10 ID:nvlKa1Ux
「痛ててて…」
「大丈夫ですか?」
肩に受けた傷の痛みでよろける浩之を佐祐理が心配そうに支える。
「ごめんなさい…佐祐理が先走ったばっかりに…」
「いやいや、佐祐理さんのせいじゃないって。俺が石ぶつけたからブチキレやがったんだよあの犬。」
おどけた様に言う浩之を見てほっと息をつく佐祐理。そんな二人に近づく一つの影があった。
「浩之さん、大丈夫ですか?」
「ん…セリオか。助かったぜ。もうちょっと早ければベストだったけどな。」
「助けた?私が?浩之さんをですか?」
「ああ、間一髪だったぜ。」
「覚えてないのですか!?」
「何を?」
実はセリオは浩之と石の狼との戦いを一部始終観察していた。いざとなったら浩之を助けるために戦闘態勢に入りながら。
だがその心配は杞憂に終わった。浩之が一人であっという間に狼を倒してしまったからだ。
しかし浩之は自身が狼を瞬時に倒したという事を覚えていないと言う。
「佐祐理さんは?見ていなかったのですか?」
「佐祐理は…まだ塔の中に居ましたから…」
申し訳ないと言う様に首を振る佐祐理。
(二人の心拍数、瞳孔、血圧に変化無し…嘘を言っているわけではないようですね。)
「…まぁいいでしょう。それより、塔の中に入るなら早く入った方が良いですよ。」
そう言ってセリオは地面を指差した。
「きゃっ!」
「げっ!なんだこりゃ!?」
佐祐理と浩之は同時に驚いた。粉々に砕けたはずの石の狼の破片と核である宝石の破片がビクビクと蠢いていたからだ。
「こういう類のものは術者が意識を無くすか、解呪でもしない限り何度でも再生するものです。おそらくは自然術の一種なのでしょうが…」
(再生まで行うものを作るのにはおよそ強大な魔力が必要なはず、おそらく術者は…魔族。)
「私はこのまま中に入って秘宝に関する調査を進めますが、御二方は?」
「もちろん佐祐理も行きます!」
「やれやれ…しょうがねぇなぁ。」
結局痛い思いをするのは俺なんだろうな、と浩之は半ば諦めた顔で重い腰を上げた。
496三つ巴(2):02/01/03 12:13 ID:nvlKa1Ux
「…また中も趣味悪いなぁ。」
「これは…凄いですね。」
塔に入った途端、浩之は溜息をつき、セリオは目を丸くする。壁一面に赤い兎の絵。それも子供が描いた絵のようである。
「そうですか?佐祐理はこういうの好きですけど。」
と、壁をスリスリと撫でながら微笑みさえする佐祐理のセンスに二人は空恐ろしいものを感じた。
壁を撫でていたその時、佐祐理はポウッと部屋の隅が光るのを視界の端に捉えた。
「はぇ?」
歩み寄って確かめると床に一際新しい兎の絵。そっと触れてみるとネチョっと嫌な感触が指にまとわりついた。
(血…?)
振り返って仰ぎ見る。壁はもちろん床、天井にまでびっしりと描かれた赤い兎の絵。
(まさか…これ全部血で!?)
背筋が寒くなる。
(でも…どうしてここだけ新しく…?)
もう一度床に触れてみる。
ごとんっ
「おーい、佐祐理さーん?何やってんの?早く上行くぞー。」
「浩之さん、セリオさん!ちょっと待って!これ…」
佐祐理の目の前で、触れた床が動いて地下への階段が現れたのだ。

「…地下ですね。それもかなり深い。」
セリオが階段を覗きこんでから言った。
「だけどそれがどうしたんだ?秘宝って上にあるんだろ?」
「いえ…そうとは限りませんよ。秘宝塔……地下階段……誰も攻略した事が無い……秘宝は上に……なるほど。」
「なんだよ?」
「わかりました。これが秘宝塔が誰にも攻略された事が無い理由の一つです。」
497三つ巴(3):02/01/03 12:20 ID:nvlKa1Ux
「どういう事ですか?」
「あなた達は、塔に財宝があると言われたらまずどこに財宝が隠されていると思いますか?」
「それは…一番上だな。いきなり一階にあるなんてこたないだろ。……そうか!」
「はぇ?」
「だから、秘宝は地下にあるんだよ!ここに来た冒険者達は例外無く最上階を目指す、だけど秘宝は上には無い…」
「なるほど!秘宝が上にあるっていうのは思い込みなんですね!」
「ご名答です。」
セリオはふっと微笑んだ後、佐祐理に尋ねる。
「しかし良くここを見つけましたね?」
「それは…なんだか光ったような気がして。」
「光った?」
「はい…」
(妙ですね…秘宝を隠す塔がわざわざ自分から隠し場所を教えるとは思えない。)
(罠か…それとも誰か秘宝を欲している者が先導している?)
(なんにしても…私の知らない所で何かが動いて…)
「お、おい…」
「何か?」
セリオが考え込んでいる最中に浩之が思考に割り込んできた。
「こいつも…攻略不可能の理由の一つなんじゃないのか!?」
顔を上げる。
「いえ……ここまでは考えていませんでした。」
「ふぇ…」
気づいた時には実体化した大小様々な赤い兎達に完全に取り囲まれていた。
498三つ巴(4):02/01/03 12:27 ID:nvlKa1Ux
「なぬっ!?」
キキッ、と塔上部の部屋を疾走していたルミラは急停止をした。
「あちゃあ…まさか下だったとはね。」
ルミラは頭を抱えた。塔の一階に置いてきた"千里眼"の能力により下でのセリオ達のやり取りを見て、たった今塔の秘密を知ったのだ。
「うかつだったぁ…急がないと…」
(それにしても…あのセリオって娘は何者なの?)
ルミラは焦っていた。
「さて、と…」
一階に戻るためくるりと振り返る。後にいたのは今までほとんど相手をせず無視してやり過ごしてきた兎、兎、兎。
「これでアンタ達の相手をしなくちゃいけなくなったんだけ、ど…」
ルミラは焦っていた。

一方その頃、塔の入り口前では王立騎士団特務部隊(といっても二人しかいないのだが)が再生した石の狼と対峙していた。
「くそっ、まさかいきなり襲ってくるとは!」
「……あの…答えがマズかったんじゃないかと…」
信じられないといった蝉丸に彩は小声で言った。
蝉丸は良くも悪くも職務に忠実だった。なんのために塔を訪れるのか?という狼の問いに対し、真っ向から女王勅令書を大声で読み上げたのだ。
当然人間から魔族を保護するのが目的であるルミラの狼が王都の人間を通すわけは無い。
「……あの…自然術の詠唱には少し時間がかかるので…それまで敵を…」
「必要無い!詠唱が終わる前に倒してやる!」
誇り高き蝉丸は剣を抜き放ち、狼に斬りかかった。
499名無しさんだよもん:02/01/03 12:46 ID:nvlKa1Ux
>>495-498
【秘宝塔地下への階段:知識無しに見つけるのは至難。ルミラは千里眼でその存在を確認している】
【倉田佐祐理・藤田浩之・セリオ:地下への階段の前で兎に囲まれる】
【ルミラ:塔の四階で兎と交戦中】
【坂上蝉丸・長谷部彩:塔入り口前にて石の狼(ルミラ製)と交戦中】

塔の地下の存在と三つ巴の感じが出したくてなんか無駄に長くなっちゃいました、反省(^^;
とりあえず三パーティの位置付けという事で後は次の書き手さんにおまかせです。
500魔族との約束:02/01/03 16:38 ID:5gK/94C5
「ガァァァァッ!!」
石の狼は容赦無く斬撃を繰り出す。
驚異的な反射神経をもった獣相手では、刀の扱いに長けた蝉丸であっても分が悪い。
じわじわと押されていく蝉丸…
飛びかかり、空を掻き、鋭い爪が蝉丸の喉下まで迫る―――――
「むっ!」
その一撃を紙一重で回避し、石獣の首を峰で打ち払う。
ガキッ!!
石と鋼がぶつかり合い甲高い音が鳴り響き、石の狼はふらりとよろめく。
「彩っ!はやく塔の中へ入れ!俺も行く!」
「……はいっ!」
蝉丸の指示の通り、塔の内部へと侵入する彩…当然、守護者である狼はそれを許すわけがない。
彩の下へ詰め寄る石の狼―――――
「よそ見をするなっ!!」
ガキィン!!
彩に気をひかれた一瞬の隙に、再び強烈な峰打ちを加える蝉丸。
「ガァッ!!」
さすがの石獣も堪えたらしく、ガクッと体制を崩す。
蝉丸はそれを見計らい、一気に塔の入り口まで駆け抜ける。が、石獣も執拗に蝉丸を追撃する。
「くっ!しつこい奴めっ!」
その時、蝉丸は塔の入り口で『誰か』とすれ違う…
揺れる黒髪、淡い蒼の法衣…
「あ、彩っ!?何をしている!?はやく塔の中へ―――――」
しかし、蝉丸の声も届かず、彩は塔の外―――――石の狼の元へ歩み出した。
慌てて蝉丸はUターンし、彩を引き止めようと手を伸ばす。
(くっ!間に合うか……間に合ってくれっ!!)
501魔族との約束:02/01/03 16:38 ID:5gK/94C5
「で、結局こいつは何なんだ?」
蝉丸はいぶかしげな表情で彩に問いを投げかける。
彼女の足元にはさんさん自分を苦しめた石獣が寝そべっていた。
「……はい…この子は………宝石獣…みたいです…」
「宝石獣?」
「…ええ…高等な魔族が使う術で……宝石に自分の意思を植え付け、さらに自然物を媒体に形を作る…
 言うなれば、とても高等な自然術みたいなものです……何が高等かと言いますと、
 自然術は自然の力を借りる術ですが、宝石獣の術は自然を力でねじ伏せ、服従させることにより―――――」
「魔術の説明はいい、なんでこいつは彩を襲わなかった?」
今度はあからさまに不機嫌そうな声で彩に質問する。
それもそのはず。蝉丸が慌てて彩を追いかけてみたら、当の彩は石の狼と仲良く会話などしていたのだ。
自分にはあれほど執拗に襲いかかってきた獣が、何故彩を襲わなかったか不思議でしょうがなかった。
「あ、はい……きっと、この子の創造主さんが……優しい人だから…です…」
「優しい?俺を襲ったのにか?」
「……蝉丸さんは…敵意を剥き出しにし過ぎ…です……私は…ちゃんと挨拶してから……お話したから…」
「む」
「……あ、まだ塔に入る許可をもらうの……忘れてました……宝石獣さん、塔に入っても…いいですか?」
『かまわない、汝の主である女王の人柄はよく分かった、塔への進入を許可する…』
「………ありがとうございます…」
ぺこりと石獣におじぎをする彩。
『それと、私からひとつだけ頼みがある。塔の一階にいる三人の人間を助けてほしい。できるか?』
「……かまいません…」
「彩、そんなに簡単に約束などするものではないぞ。ましてや相手は魔族だ、そんな奴と馴れ合うなど―――――」
「蝉丸さん!」「ガウッ!!」
「……む」
二人に怒られてしまい、ちょっぴりショックな蝉丸であった…
502魔族との約束:02/01/03 16:39 ID:5gK/94C5
そのころ塔の中では…

「くそっ!何なんだよこのウサギ!倒しても倒してもキリがないぜっ!」
浩之は慣れないナイフさばきで迫り来る紅い兎の攻撃をかわしながら舌打ちした。
「あはは……ちょっとわんぱくなウサギさん達ですねー…」
「佐祐理さん…何をのほほんと…」
口ではそんなことを言っていた佐祐理だったが、膝は震え、兎の魔物の大群に恐怖していた。
「浩之さん、このままだと私達の勝ち目は確実にありません、なにか対策を練らなければ…」
「対策なんて悠長なこと言ってる場合じゃ……痛っ!なにしやがんだよ!このっ!」
足首を引っ掻いた兎を力まかせに蹴飛ばす。壁にぶつかり、兎は体は四散する…
だが、また新たに壁から兎が飛び出し、セリオの喉元に飛びかかる。
セリオは突進してくる兎を的確に補足し、カウンターの突きを放つ。
「しかし、このままでは体力を浪費し、いずれは敗北することに―――――」
トンッ!
突如として背中に伝わる冷気……
「くっ!壁際に追い詰められたか…」
「ひ、浩之さぁん…」
「…………っ!」
じわり、じわりと間を詰めていく兎達……
背にした壁からも兎がせり出してくる……
「もうおしまいか…」
「お父様……短い人生でしたが、佐祐理は幸せでした…」
「降伏を宣言します…」
三人は既に敗北を認めていた。
そして、兎達はその敗北を、三人の死を持って明らかにしようとしていた。
503魔族との約束:02/01/03 16:43 ID:5gK/94C5
兎達は地を蹴り、今まさに博之たちの首根っこを切り裂こうと―――――

……兎達が、目の前から消えた。

浩之達は一瞬、何が起こったか理解できなかった。
自分達に向かって一斉に飛びかかってきた兎達が、一瞬にして消えた―――――
……いや、消えたのではない。吹っ飛ばされたのだ。
そして、先程まで兎がいた場所に佇む白髪の男……手には異国の剣…カタナと呼ばれる物が握られている。
「……石よ…時を語るものよ……全ての心…全ての意思を…我に語らえ……」
どこからともなく女性の声が聞こえてきた。
その声に感応した真紅の兎達は、悲しみを解き放つかのような淡い光を放ち、石壁の中へ戻っていった…
後に残ったのは悲哀に満ち溢れたかのような静寂であった。

「一体、アンタ達は…」
浩之は驚愕していた。これほどまでに圧倒的な力を持った者を見るのが初めてだったからだ。
「……私達は王立きしもがっ……」
「俺達は……冒険者だ。普通の。何の変哲もない冒険者だ」
魔術師らしい女性の口元を慌てて押さえると、白髪の男は浩之の問いに答えた。

【坂神蝉丸&長谷部彩      塔の内部へ】
【倉田佐祐理&藤田浩之&セリオ 無事に生還】
【ルミラ   佐祐理たちのことは任せた模様】
5041 ◆mYCw53h6 :02/01/03 16:51 ID:5gK/94C5
こんにちは、1です。

ルミラが言っている自然術と、こっちの世界の自然術は違うものとして書いてみましたが…
まぁ、どこがどう違うかは、人間界の自然術は自然の力を借りるもの…
魔族の自然術は自然をねじ伏せ、服従させるもの…
どちらにも長所と短所がありますが、詳しい内容は、次の書き手さんにお任せで(ぉ

あとは、何故ルミラがアンチマジックでしか消せなかった兎を消せたのかは…
彩の呪文の内容と、その後の兎の様子から察してくれると助かります(汗

あ、問題アリだったらNGにしてください。
個人的には他の書き手さんの迷惑になるのが一番心苦しいですから…
505名無しさんだよもん:02/01/03 18:10 ID:lfsnzmDi
今まで、読んでみて妙な違和感があったんだが、
どうやらそれは、名前のせいらしい(w

国や町の表記がカタカナなのに、人物名は殆ど日本語・・・。
カタカナの方が良かったんじゃ・・?と、言ってみる(w

いまさら遅いんじゃ、ヴォケが!>俺
506名無しさんだよもん:02/01/03 18:14 ID:1zSnuZxz
>今まで、読んでみて妙な違和感があったんだが、
>どうやらそれは、名前のせいらしい(w

一部浩之が博之になってるせいでは?
と野暮なつっこみを入れてみるテスト(w
5071 ◆mYCw53h6 :02/01/03 18:19 ID:VmNmG3k7
>>506
はい、それ自分です(w
誤 兎達は地を蹴り、今まさに博之たちの首根っこを切り裂こうと―――――
正 兎達は地を蹴り、今まさに博之たちの首根っこを切り裂こうと―――――

他にも坂上とか言ってるのも…誤字を見落とすとは…すいません……鬱打死脳
5081 ◆mYCw53h6 :02/01/03 18:21 ID:VmNmG3k7
うわ、訂正になってねぇよ!
いよいよヤバくなってきたなぁ…

正 兎達は地を蹴り、今まさに浩之達の首根っこを切り裂こうと―――――

2度にわたり誤字りました…アフォです自分…すいません…
509長瀬祐介(1):02/01/03 21:35 ID:ObR4eXr5
夢を見ていた。あまりいい夢ではない。
凡人…出来損ない…一族の恥…
そんな事を延々と聞かされている夢だ。
そして、そんな自分を、トラウマになっているんだな、と冷静に見ている自分がいる。
強い衝撃を受ける。痛みはない、夢だから。
僕を殴ったのは…
「おい、いつまで寝ているんだ…起きろ、祐介」
「…………叔父さん?」
「叔父さん?…じゃないだろうが。まったく」
そうだ…今のは夢だ。僕は鈍く痛む頭を押えながら、起き上がった。
ベッドから降りようとして…ふらつく。
「いつにも増して暗い顔だな」
「…そう?」
「無理もないか。もうすぐレフキーだ。もう…八年も前になるか」
「………」
しみじみという叔父さん。僕は目を背けた。
レフキー、あの街にあまりいい思い出はないから。
「あの時のお前はまだ俺の腹ぐらいまでしかなかったな。泣きそうな目で、街のほうを見ていたな」
「…叔父さん」
「あれから色々な事があった。俺の研究もアカデミーに認められたしな。お前の力のお陰だよ」
「……何が、言いたいのさ?」
ぽん、と僕の肩を叩く。励ましてくれているのだろう。
「胸を張れってことさ。お前はもう、泣いているだけの子供じゃないんだ。…一族の連中だって、お前を貶したりしない」
「僕は」
叔父さんの言葉を遮る。
「僕は、『長瀬』に戻るつもりはないです」
「まだそんな事を言っているのか…」
やれやれと肩を竦める。
「叔父さんには感謝しています。本当です。でもこれだけは…」
「わかっているって。強要するつもりはないんだ。ただ、お前は『長瀬祐介』だ。その事実は変わらない。…お前の体に流れる血も、な」
510長瀬祐介(2):02/01/03 21:36 ID:ObR4eXr5
祐介は風に当りたいといって部屋から出て行った。相当まいっているな。
まあ、無理もないか…八年前、追い出されるように出た街に帰るのだから。
『長瀬』は、数々の天才、鬼才、異才、神才を排出してきた一族だ。
祐介は幼い頃は力を持たなかった。正確には、あまりの強力さに無意識に扱うのを拒んでいたのだろう。
力を使えない者にとって、長瀬一族は針の筵のような過酷な環境だ。
塞ぎこんで虚ろな目で遠くを見ていた、そんな祐介の姿に見かねて連れ出したのが八年前。
八年の月日は、まあ相変わらず性格は暗いままだったが、それなりに祐介の心を癒した…と思う。思いたい。
祐介が力を制御できるようになったのは二年前。
祐介のおかげで研究は砂漠に水を染み込ませるように進み、最近アカデミーに発表した論文は、かなり評価してもらえた…らしい。
それでレフキーに戻る事にしたのだが…
「やっぱ、失敗だったかな…」
祐介をあの街に連れて行くのはまだ時期尚早だったかもしれない。
いずれ一族と決着をつけなくてはいけないのだ、今回のはいい機会だと思ったのだが…
「最悪、とんぼ返り、だな」
それも仕方のない事だ、と思った。

「はぁ…」
溜息をついた。我ながら情けない、と思う。いつまでウジウジしているんだ、と。
潮風が頬に当る。最初は苦しんだ船旅も、もうすっかり慣れた。
「みんな、なにやっているんだろうな…」
手摺にもたれて遠くを見ながら、つい先週までいたところのことを思い出す。
帝国自治領とは名ばかりの開拓村。緑だけはやたら豊富で、でも飽きることがなくて。
ああいった、静かなところのほうが、性に合う。ここは、潮を切る音が五月蝿い。
レフキーは…相変わらず五月蝿いのだろうか。

この海の向こうに、レフキー最大の港町がある。


【長瀬祐介 長瀬一族 レフキーに向かって航海中】
【長瀬源五郎(TH) 長瀬一族 祐介と同行】
511名無しさんだよもん:02/01/03 21:37 ID:ObR4eXr5
というわけで、何故かまだ未登場だった祐介を登場させてみました。
能力は不明ですが、恐ろしく強力。ただし、本人は能力自体を嫌悪しているので、余程の事がない限り使いません。
洞察力はありますが、自ら好んで揉め事を解決しようとしません。
何ていうか、自分こういうヒネくれた設定が好きなんですよね。

どうでもいいけど、港町の名前はどうしよう…
何かいい名前ないですかね?
…雫とMoon合わせてシズムーン…
駄目だ、自分センスなさすぎ(泣)。
512なんでも屋(1):02/01/03 22:03 ID:4XgU1sSQ
 ”謁見の間”と呼ばれる、盗賊ギルドの最深部。
 そこにさまざまな年齢性別職業----実は種族もなのだが----の面々が集まっていた。

「……あのな、先輩-----」
 呆れ果てたような顔で、浩平はソファーに深々と座り込む。
 そのうしろへ英二が斜に構えて立ち、黒猫楓がそろりと優雅な足取りで膝に乗る。

 彼らの正面に、大きな木箱が置いてある。華美ではないにしても、上質の家具で統一された一室に似合わぬ、
 塩漬け魚の臭気をぷんぷん漂わせた木箱だ。
 その傍らに耕一が腕を組んで立ち、上に憮然とした表情の岩切が、足を組んで座っている。
 岩切の手からは、ふたすじのロープが伸びており、その先に縛られているのが-----みさきと、智子である。

「-----どうして潜入捜査じみた、紛らわしい真似をして入ってこないと、気が済まないんだ?」
 そう言った浩平の声の調子があまりに情けないので、英二がクツクツと笑っている。
 癪に障ったのだろう、浩平は笑いの止まらぬ英二に向って批難の一瞥をくれてから、みさきの方へ向きなおる。

 しかし。当の本人は、浩平の言葉をさっぱり聞いていなかった。浩平に背を向けて、岩切と話し込んでいるのだ。
「花枝ちゃん、ひどいよ〜」
「……川名。その名で呼ぶなと-----何度も、言っただろうがっ!!」
 そう言って岩切は、みさきのおでこを叩く。
 ぺちん。
 もちろん痛めつける気はないのだろうが-----それなりに痛そうな、いい音がした。

「痛いよ〜」
「馬鹿者め、反省しろ!」
「代わりに、みさきちゃんって呼んでいいから。ね?」
「なにが『ね?』だ! そういう問題じゃないっ!!」
 ぺちん。
 ふたたび軽妙な音が響き渡るなか、浩平の次に不景気そうな顔をした智子がぼやいた。
「あんたら……遊んどるんか……」
513なんでも屋(2):02/01/03 22:05 ID:4XgU1sSQ

 この情況に呆れる、数少ない同胞を見つけて浩平が声をかけた。
「神官さん。あんたもあんただよ? どうしてこんな無茶な真似に付き合うような-----」
「-----無茶すぎて、止めれへんわ」
 すかさず答える智子。
「……まあ、そうだろうな……」
 よく解るよ、とでも言いたげに頷きながら、浩平は力なく言うと、岩切に縄を解くよう命令した。

          *          *          *

「美味しそうな、臭いがするね?」
 自由を得るなり木箱に取り付いたのは、もちろんみさきである。

 浩平はとりあえず彼女を放っておくことにしたのだろう、耕一に声をかけた。
「えーと……耕一さん。一番早く片付きそうなのは、あんただな。-----こいつを、御所望かい?」
 そう言って膝上の黒猫を掴みあげる。猫掴みというやつだ。

 他の者がしたなら引っ掻かれるのがオチだが、浩平にはよく慣れているのだろう。
 楓はにゃん、とひと声だけ鳴いて、耕一のほうを見つめた。
「おいおい、乱暴だなあ。-----まあ、その通りなんだけど」
 耕一は慌てて楓を抱き上げると、しばらく借りるよ、とだけ言って地下通路へ消えていく。

「彼女を物のように扱える、世界でただふたりの男の会見……と」
 ようやく笑いを収めた英二は、そんな小馬鹿にしたような評価を下していたが、やがて表情を改めると浩平に
 向き直り、いくぶん真面目な顔で忠告する。
「そちらの大荷物だが。なま物だから、慎重に」
「言われなくても……解っているさ」
 ふん、と鼻息で不機嫌を顕わにしながら、浩平は答えた。
 
514なんでも屋(3):02/01/03 22:09 ID:4XgU1sSQ
「まず高槻の執事に連絡して、身代金を請求しようか。
 帝国領土の山賊に名を借りて、それから誰か適当な第三者を仲介に、引き取りを頼もう。
 前にやったのと、同じ手筈になるかな」
「無難かつ、有効な線だ。いい具合に地下牢も開いている」
 つまり、誘拐商売である。
 身分の高いものを捕らえて、身代金を要求する。この地においては、よくある話だ。

 素早く段取りを決めていく浩平に、岩切が木箱を軽く叩きながら口を挟む。
「-----こいつに用がありそうな傭兵が、”一喝”で発見されているぞ」
「ああ、そうか。確か高槻を追っている女傭兵が居たが-----確認して、使えるようなら使ってくれ」
「了解だ。クレバーそうな女だったそうだから、公正な取引になるだろう」
「任せるよ。入った資金は英二さんにまわしてくれ-----東方で小麦、値上がってるって言ってたよな?」

 犯罪の話から、なんの抵抗もなく経済の話を持ち出す浩平。
 そうした裏社会の意外な一面を垣間見て、智子は岩切が出て行ったことさえ気がつかないほど驚いていた。
「あんたら……何やの?」
 猛烈な勢いで投資条件を検討していた浩平と英二であったが、それを聞くと即座に返答した。
「なんでも屋さ」
「神様以外なら、なんでもね?」

 穀物、財宝、娯楽、武器、情報。時には人、時にはその血さえも商う。
 ただの商人や国家と異なるのは-----法の内外を問わない、ということだけ。
 それが、盗賊ギルドである。


【柏木耕一、柏木楓:ふたりで退室】
【折原浩平、緒方英二:”謁見の間”にて、金儲けの算段】
【川名みさき、保科智子:一度は連行されるも、”謁見の間”にて解放。みさきと浩平は先輩後輩の仲?】
【岩切花枝:高槻入りの木箱とともに退室。篠塚弥生捜索へ?】
「高槻:いい感じに漬かってきました」
515名無したちの挽歌:02/01/03 22:15 ID:4XgU1sSQ
毎度、挽歌でございます。
「なんでも屋」をお送りいたします。

「ふたりの荷物」(>>468-471)の続きにあたるもので、「過去と未来」(>>426-429)の前に入る話です。


今回、月宮あゆ(盗賊)が抜けていますが、すべて不明です。
彼女に関しては、「ふたりの荷物」(>>468-471)で書かれているところまで、ということで。
516長瀬なんだよもん:02/01/04 01:24 ID:lDe5hfit
>>444

すいません、混乱させてしまいましたね。
*御堂と蝉丸は、かつて親友だった。
*御堂は、昔、特務部隊の隊員であった。
*旅芸人一座は、レフキーに向かっている。

という情報から、“元特務部隊所属”で、“(現在の部隊長=蝉丸)の親友(?)”=御堂って事です。
なので、ここで志保が言っているのは、御堂の事です。

遅レススマソ
517守護者の石:02/01/04 01:26 ID:lDe5hfit
「うわあああっ!?」
単純に驚いた声を上げたのは、浩之だった。
仰け反った浩之の、一瞬前まで頭があった場所を、鋭い爪が薙ぎ払う。
「るぉぉぉぉっ!!」
鋭い気合の声と共に、ダッシュした蝉丸が、浩之を押し退けるように、石像に刀を叩き付ける。
だが、耳障りな音と火花を散らして、あっさり刀は弾き返された。
「くっ、こいつら……!」
「ああ…塔の入り口にいた奴と、同じだ!」
背中の傷を押さえながら、浩之は苦しげな息の下から、叫んだ。

壁にめり込んでいた、三つの輝き。それに真っ先に気付いたのは、浩之だった。
蝉丸すら反応できなかった、凄まじい速度で突き出された爪の一撃から、佐祐理を助けられたのは、
浩之の鋭い勘と、とっさの判断の賜物だった。
最も、一般人でしかない浩之の、その奇蹟の働きの代償は、背中に穿たれた鋭い爪痕だったが。

「ごめんなさい、浩之さん……佐祐理をかばったせいでっ…」
「大丈夫だって。俺が好きでかばったんだから、佐祐理さんが気に病む事はねえさ」
泣きそうな顔の佐祐理に、脂汗を顔中に浮かべ、それでも浩之は笑みを浮かべる。
その先では、蝉丸とセリオが、三体ものリビングスタチュー……動く石像と戦っていた。
その形状は、入り口の狼とは違い、熊を模したものだった。
「大丈夫ですか、浩之さん…」
道具入れから傷薬を取りだし、浩之の背に塗り付けながら、彩は顔をしかめた。
出血がかなり酷い。鎧を着けていなかったせいもあるだろうが、それ以上に熊の一撃が鋭かったのだ。
「つっ……しかし、同じ石像だってのに、なんでこいつらは、佐祐理さんを狙ったんだ?
表の狼は、佐祐理さんには襲いかからなかったのに」
「同じじゃありません」
硬い表情で呟く彩に、浩之と佐祐理はえっ、と顔を上げる。
「この子達は、遥かに暗く、強い念が込められています……表の作り主とは違う、別の誰かによって」
518守護者の石:02/01/04 01:27 ID:lDe5hfit
「くそぉっ、表の門番とは、強さが段違いだぞっ!!」
ぞっとするような重い一撃を、何とか刀で受け流しながら、蝉丸は叫んだ。
「……魔力年代測定の結果から言うと、これらのキーパ―ズは、表の狼よりも、遥かに昔に作られた
物である可能性が高いです」
「……つまり、別口って事か」
三体の、熊の石像。幸い、通路が狭く、一度に襲っては来られないし、コンビネーションもばらばらなので、
何とか二人だけで凌げているが、このままではいつか限界が来る。
そう、蝉丸が思った矢先だった。
ぎいぃん、と濁った音と共に、セリオが熊の爪の一撃に、吹き飛ばされた。
「セリオっ!?」
「大丈夫……です」
そうは言いながら、あの爪をまともに受け、凄まじい力で壁に叩き付けられたのだ。
よろけながら、セリオが立ちあがるが、浩之にも佐祐理にも、そして彩にも、彼女が相当無理をしている事がわかる。

「どうすれば……どうすればいい?」
ずきずきと痛む背中と、流れる血に苛立ちながら、浩之は熊を睨み付けた。
狼の時は、セリオが助けてくれた。だが今、そのセリオは負傷し、蝉丸も増えた負担に、もはや限界を向かえている。

(彩さんは同じじゃないって言った……だが、頭にダイアが付いてるのも、石像ってのも同じだ…)
(考えろ、考えろ浩之っ……俺に出来るのは、そんぐらいだろ……宝石……核……ダイア……)
「………そうかっ!!」
突然浩之が声をあげたので、彩と佐祐理が、びくっと身体を振るわせた。
「ひ、浩之さん……?」
「説明は後だっ! 佐祐理さん、酒とほくち箱を出してくれ! 今すぐにだ!!」
519守護者の石:02/01/04 01:28 ID:lDe5hfit
(俺も、ここまでか……)
らしくなく、蝉丸は自分の最後を夢想していた。
もう少し、華やかな任務で散りたいと思っていたが、こんな地味な任務で死ぬのも、まぁ仕方ない。
だが、せめて初任務の彩と、浩之や佐祐理の一般人二人だけは、逃がしたかった。
(お前らにはまだ、やれる事が残ってるだろうし……)
すでに腕の感覚は失い、ほとんど勘と反射だけで、熊の爪を払っている。
なまじ単純な動きだけに、あっさり食らう事は、鍛錬が染み付いた身体が、許してくれない。
だが………

「蝉丸さんっ!!!」
浩之の怒声に、蝉丸は急に我に返った。
目の前に迫る爪を間一髪でかわし、セリオをかばいながら、大きく後ろに後退する。
「俺に考えがあります。だから、一度下がってください!」
そう叫ぶ浩之の手には、酒の入った袋と、ほくち箱が握られている。
普段の蝉丸なら、到底、怪我人に任せるなど、有り得ない話だった。
だが……蝉丸は、浩之の言葉に、不思議となにかを期待させるものを、感じていた。
「何をするつもりだ!?」
「いいから……見ててください。佐祐理さん、彩さん、いいですね!」

一応の応急処置をしたものの、血の滲む包帯を背負い、浩之はたった一人で、三体の熊の前に立つ。
突然、自分に敵対していた存在がいなくなった事で、熊達はぐるる、と警戒の声を出しながら、こちらを伺っている。
石から生み出されたとはいえ、その程度の知能は持っているらしい。
それは浩之にとって、好都合だった。
「……タイミングだ……全ては、タイミングで決まる」
酒の袋を持つ手が、じっとりと汗で滲む。
熊の石像が…………動いた。
520守護者の石:02/01/04 01:30 ID:lDe5hfit
三体同時に、しかも押し寄せるように跳びかかって来る石像に、浩之は、手にした袋を、思いきり投げた。
熊の鋭い爪が、いともあっさり、袋を切り裂く。
次の瞬間、中に入っていた酒を、三体の石像は頭からかぶった。
振り下ろされた爪は、浩之の髪の毛を数本、宙に舞わせただけで、石畳に突き刺さった。
浩之は、石畳の上をごろんと転がり、苦痛に顔をしかめながら、それでも思いきり叫ぶ。
「今だっ佐祐理さん!!」
「はいっ!!」
言われるまま、佐祐理は手にしたほくち箱の火打石を、思いきり打ち合わせる。
「彩さん!!!」
「…生きとし生ける、命の源、生命の炎よ、我が意に従い、形を成せ!」
佐祐理の手元から飛び出した火花が、彩の呪文に従い、瞬時に小さな火の鳥へと姿を変える。
その火の鳥は、真っ直ぐに熊へと向かった。
「酒は、アルコールがたっぷり入った、ウォッカだよ」
そして、熊は頭から炎に包まれた。

「無駄だっ! あいつは石で出来てるんだぞ、この程度の炎でどうにかなるわけ……」
蝉丸の言葉が、途中で絶句に変わった。
熊が、赤い炎の中、次々と形を変え、溶けていく。
「………蝉丸さん、あいつの頭に張り付いていた、宝石……何か覚えてます?」
「何って、確か、表の狼と同じ、ダイアモンドだったが……」
浩之は、炎に照らされ、赤く染まりながら、呆然と自分を見ている3人に、静かに語りかける。
「前に、情報屋やってる腐れ縁から、自慢話を聞いたんだ。
ダイアは、この世で一番硬い物質だけど、致命的な欠点も持っている、と」
最後まで、熊の頭に貼り付いていた火の鳥が、その役目を終え、姿を消した。
急に暗さを増した中、完全に石に戻った石像を見て、浩之は溜息混じりに肩を竦める。
「ダイアは木と同じ元素から出来ている……つまり、火に燃える、ってね。
いくら不死身の石像でも、核の宝石を燃やされれば、消滅するしかない。まぁ、わかってみれば簡単な話さ」
521守護者の石:02/01/04 01:32 ID:lDe5hfit
「す……凄いです、浩之さん!」
「ああ、大したもんだ……あの熊の石像を、剣も魔法も使わずに倒しちまうとはな……」
「あのとっさの機転は、中々出来ないですよ!」
口々に誉められて、浩之は顔を真っ赤にする。
「いやぁ、それほどでも無いけどなー。
まぁ、俺も半信半疑だったから、こう上手くいくとは思わなかったけどな。
ま、たまにはあいつの情報もアテになるって事だな」

「ぶぇっくしゅん!!!!!」
「やだ……志保、風邪引いたの?」
「……うーぐすぐす、おかしいわね、これは誰かがあたしの噂をしてるに違いないわ!」
「はいはい、いいからさっさと行くわよ」

その中で、一人冷静に、事態を見ていたセリオが、おもむろに口を開いた。
「浩之さん」
「ん、なんだ、セリオ」
「先ほどの作戦、実にお見事でした」
「いや、セリオにもそう言われると、余計照れるな」
「ですが、非常に大きな点を見過ごしていらっしゃいます」
真顔で言われ、浩之は沈黙した。
「見過ごしてるって……何をだ?」
そう言いかけた浩之は、突然めまいに襲われ、膝が崩れ落ちた。見ると、他の面々も何時の間にか、倒れている。
「な、なんだ……?」
「このような狭い空間で、大規模に燃焼を行うと、周囲の酸素が無くなってしまうのです」
「な………なにぃ………」
そういう事は、早く言え、と突っ込む間も無く、浩之の意識は闇の中に落ちていった。
522長瀬なんだよもん:02/01/04 01:36 ID:lDe5hfit
はい、という訳で『剣も魔法も使わない戦い方』でした。
オチが間抜けなのは、まぁお約束という事で。

この戦い方は、元々、表の狼で可能な、戦い方の一つの選択として、考えてました。
ルミラにも『もったいない』とか、『ダイア』である事を仄めかしていましたが。
ちょっと惜しいので、再利用してみました。

ほくち箱は、TRPGをした事がない人に説明しておくと、火打石の入った箱として考えておいて下さい。
火薬があるなら、マッチがあっても不思議ではないですが。

>>462さん、これに懲りずに、また書いて下さい。
自分も、ハカサバで、初のNG逝きを出した男ですし(苦笑
NGを経験して、成長しましょう、お互いに。


【浩之、背中を負傷。かなり深い傷だが、動けないほどではない】
【セリオ負傷。どの部分か具体的にはわからない。血は出るのか?】
【浩之、蝉丸、彩、佐祐理、酸欠で失神。勿論、セリオは平気だろう】
【ルミラとは別口で、宝石獣を埋めた存在がいるらしい。年代は、かなり昔】
523長瀬なんだよもん:02/01/04 01:37 ID:lDe5hfit
追記


この世界の宗教は、どうなってるんでしょうか?
FARGOはあるみたいですが、治療術を行える僧侶の存在は、どの程度いるのでしょうか?
RPGではメジャーな存在ですが、『治療術の使い手は少ない』が前提ですし。

何より、宗教系の話をすると、ややこしくてしょうがないですし。

なので、どの程度許容されるのでしょうか?

智子は神官戦士ですし、自分も『孤児院を開く教会の某女性』を出したいので。
特にないなら、『取り合えず何となく宗教がある』でも構いませんが。
524名無しさんだよもん:02/01/04 02:33 ID:/zALdGyZ
いちおう確認するけど、「修羅の目覚め」はNGではないんだよね?
>495-498でフォロー&リレーされてるし。
>522氏の書き方だとNG逝きみたいなんでチョト気になった。
525長瀬なんだよもん:02/01/04 02:50 ID:lDe5hfit
>>524
ごめん。変な書き方してしまいました。反省。
526名無しさんだよもん:02/01/04 17:07 ID:99O+QfnL
「ま、まぁなんにしても助かった事は事実だ。礼を言う、少年」
「……三途の川って本当にあるんだ」
「…………すんません」
臨死体験をした蝉丸と彩。二人の後を小さくなってついて行く浩之。
「あははー、酸素不足で倒れるなんて佐祐理も初経験でしたよ」
「うう…」
グサッと後から止めを刺す佐祐理。
「それにしてもあれから静かですね。魔物ももう打ち止めなのでしょうか?」
パーティの先頭を歩いていたセリオが言った。
「これ以上出てきてもらっちゃ困るぜ…イテテ、傷が痛む」
「大丈夫ですか?…おや?」
「どうした?何があった?」
「部屋ですね。それもカギの開いた。」
「……罠でしょうか?」
「また魔物さんだったりして」
「佐祐理さん、それシャレになんない」
「開けますよ」
ギギギギィ…と軋んだ音を立ててドアが開いた。
明かりをつけると中は意外に広い部屋であった。しかし広さよりも目を引くのは大きな本棚とおびただしい数の古書。
「ちらかってんなー」
「もの凄い数だな」
「……凄い、面白そうな本がたくさん…」
彩が古書を見て目を輝かせているのを見て佐祐理は一つ提案をした。
「皆さん、ここで少し休憩していきませんか?ちょうど調べ物もあるようですし」
「賛成!」
もちろん反対するものは誰も居なかった。
527遭遇:02/01/04 17:13 ID:99O+QfnL
「これと…これ……これも持って帰ったらお師匠様が喜びそう」
「おい、そんなに持って帰れるわけないだろう。一冊か二冊ぐらいにしろ」
「つまんねー、漫画ねぇのかよ?漫画」
「あるわけないでしょう、そんなの」
それぞれが思い思いの行動をする四人を眺めながら佐祐理はふうっと息をついた。
「疲れた…」
佐祐理は冒険者でもなんでもない、普通の女の子である。ここまでの長旅の疲れがどっと降りかかってきていた。
(少し眠ろう…)
そう思ってそばにあった古いが立派な装飾が施されている机の椅子の一つに腰掛けた。
カサッ
「ん?」
お尻の下に何かあるのを感じて立って見てみたらそれは一冊の古ぼけた絵本だった。
(そう言えば…一弥も良くこんな絵本を読んでたっけ…)
ふと懐かしさを感じる。
(一弥は良く…私に叱られたらお父様の書斎の机の下に隠れてたっけ…)
佐祐理は少し悲しい思い出を確かめるように机の下を覗き込んだ。
「あ…」
目があった。暗闇の中で浮かび上がる二つの目が真っ直ぐに佐祐理を見つめていた。
それが小さな女の子の目である事、首から綺麗な宝石をぶら下げていた事を視認した瞬間、佐祐理は大きな机や椅子と共に見えない何かに吹き飛ばされていた。

【塔内部のパーティ:舞を発見】
528父の情報を求め首都レフキーに(1):02/01/04 18:41 ID:Z33S/Pxi
「・・・随分かかってしまいましたけど、ついに首都レフキーに辿り着けるだけの
旅費が揃いました。」
「うん、苦労しちゃったけどね、とうとうお父さんに合えるかもしれないんだね!美凪」
「・・・そうね、みちるがんばりましょう」
美凪とみちるを載せた幌馬車は、田園の広がる農村地帯を転々としながら
その行く先々で夢を売ってきた。日々の収入は些細なものであったが、
地道にこつこつとお金を貯めていった。それと同時に遥か昔に自分達から姿を消し
旅にでた父の行方を調査していたが、一向に手がかりがつかめずにいる。
父の情報を掴むにはもっと人の多い所・・・そう首都レフキーそこにいけば、
きっと何か手がかりが掴めるのではと思い、それで向かう事を決意したのであった。

「美凪ぃ〜れふきぃに着くまであとどれくらいかかるのかな?」
・・・そうね、地図によるとそこの森を越えれば、国境都市ニノディーが見えてくるはず
・・・森の中を通りぬけるのに丸4日かかる難攻軍です、少し先の宿場町で一休みを
しましょう。たっぷり身体を休めておきませんとね」
「うにゅ、そうだね美凪ぃ、久々のふわふわのベット嬉しいなあ♪」
529父の情報を求め首都レフキーに(2):02/01/04 18:43 ID:Z33S/Pxi
(・・・それに、私たちを護衛してくれる戦士さんを雇う必要があります)
(・・・そこの森には子鬼の盗賊団が潜んでいるという話です)
(・・・これはみちるには内緒に、・・・怖がらせちゃだめ)
森の手前にある宿場町は、キィの農村地帯と商業都市レフキーをつなぐ、
重要な中継地点となっていた
その間を遮る森は深く、そこには厄介な事に旅人を目当てとした子鬼の盗賊団が
潜伏していた。その備えとして、この宿場町の周りも城壁で囲まれており、周囲に堀が
はりめぐされていた。美凪は自分の身分を証明する羊皮紙にかかれた証明書を
門番に提示し、通行料を納め宿場町へと入る
美凪は適当に宿を定めそこにみちるを残していくと、密かに戦士ギルドへと向かっていった。
そのギルドの長は美凪の姿に一瞥し、その表情は侮蔑を浮かべたものになる
身なりをみて、浮浪者と判断されてしまったようである。
その視線に構わず美凪は交渉してみるが、まともにとりあってもらえず
美凪は失意のままギルドから出ていく羽目になってしまった
扉から街道に出ると、そこに1人の男がいた
530父の情報を求め首都レフキーに(3):02/01/04 18:46 ID:Z33S/Pxi
「失礼、いきなりお尋ねするが、あなたは護衛の戦士を求めにきたのですね
そして、その様子だと報酬が高すぎて折り合いがつかなかったようで」
「・・・はいそのとうりで困っちゃってます。・・・どうしたら良いものでしょう」
「そうですか・・・ちょうど私もレフキーにいこうとしていたところです、よろしければ
私を雇っていただけませんか!旅費がいきずまり、ここで戦士ギルドに加盟して仕事を
取ろうとしていたのですが、足元を見られてしまいまして、法外な金額を要求される始末
ここのギルドの長は本当に酷い男だ!」

美凪は、男の姿をじっくりとみてみる。
・・・みたこともない甲冑、武器は細身の剣で、鞘は朱色で塗られ、刀身はゆるく反り返っている
異国から来た剣士のようである

「ああ、自己紹介が遅れました、わたしは東方の日のいづる国よりきた橘敬介という者でござる」
あっいや・・・という者です、つい口癖で向こうの言葉が残ってしまってね・・・」
「・・・くすっ、あっ・・・ごめんなさい」
「・・・あっわたしも自己紹介しませんと、遠野美凪と申します、連れがもう1人いて
その子はみちるといいます」
531父の情報を求め首都レフキーに(4):02/01/04 18:48 ID:Z33S/Pxi
「女子2人での旅ですか大変ですね、さぞや苦労された事でしょう」
「・・・いえなんのこれしき、へっちゃらです、へこたれてはいられません」

(気丈な人だ、晴子を思い出す・・・)
「こう見えても、私は向こうでと剣術を7・8年ほど学んでおり、
「剣の腕は蓬莱流免許皆伝、陰陽術にもいささか通じております」
「私を信じ雇ってください・・・報酬はそちらのよろしいようにして
下さって結構です」

「・・・本当に助かります、なんとお礼を申し上げて良いのか」
「・・・どうして・・・身も知らずの私にそんなに親切にしてくださるのしょう」
「いえ、わけありのようでしたし、それに・・・・いえなんでもないです」
「ただそれだけの事ですよ、では明朝門の前で待ち合わせという事で」
「・・・はい、本当にありがとうございます」

【美凪 橘敬介を言い値で雇用 首都レフキーまでの同行】
【みちる 宿で待機】
【橘敬介 蓬莱流剣術 マスタークラス 陰陽術 ビギナー、
武装は日本の武士と同様で詳細は次の書き手にお任せで】
532天神海士:02/01/04 18:58 ID:Z33S/Pxi
528-531の父の情報を求め首都レフキーに・・・
タイトルが長ったらしくなって格好悪いと思いますので
父の情報を求め首都レフキー から 父を求めて・・・
に脳内変更で

前回の485-486の夢売り少女からの続きです
すいません自分で続きを書いてしまいました。 (^_^;)ゞ
まだリレー小説のマナーに全然慣れていないものですので
何か問題点等ございましたら、ご指摘のほどよろしくお願いいたします。
533名無しさんだよもん:02/01/04 19:22 ID:N2VbuIaw
誰かが書かないなら自分で書く。
放置よりずっと良いよ。
会話で同じ人物が連続して話す時「〜通じております」「私を〜」みたく
鍵かっこを連続で使うのは少し混乱するような。
「読み手としてヘタレ?」
「普通は違う人に交代するよね?」
534名無しさんだよもん:02/01/04 19:32 ID:V6PuCczm
文章技術的な面は置いておきましょう。

敬介強すぎじゃない?こういうファンタジーでは、武術と魔法が使えるヤツは
どっちも中途半端か、シャレにならない大弱点があるってのが定番だけど。
535名無しさんだよもん:02/01/04 19:38 ID:rch55Fkb
「ふう…」
祐介は一人、ため息をついた。叔父と別れて一人で甲板に上がってるいるのだ
「……」
祐介は海を見ながら妄想にふけっていた。
表面上は普通の生活を送れるようになった祐介だったが、妄想癖だけは消えないで、むしろ増長する一方だったのだ。
そして、妄想の内容は定番のものだった
すなわち、自分の恐ろしい力でもって世界を滅ぼすというものだった。
実のところ、叔父に癒される前の祐介は世界を憎み、滅ぼす力を欲しいと思っていた。
今ではそれは間違った考えだと思ってるはずだが、時折こうしてどうしようもなく世界が憎くなるのだ
「はっ…」
祐介の妄想が終了する。そして自分を嫌悪する。そう、いつか本当に世界を滅ぼしてしまいそうな自分を…
「…結局、僕はこの世界に馴染まないんだろうな。叔父さんはこんなこと言ったら悲しむだろうけど。僕にもっと相応しい世界がある。そんな気がしてならない」
妄想癖と同様に祐介には独り言を言う癖があった。いつもはその癖もただ、不気味がられるだけなのだが
「やあ」
この時は違った。声をかけてくる少年がいたのだ。
「…!?」
祐介は驚いた
536名無しさんだよもん:02/01/04 19:39 ID:rch55Fkb
「ビックリさせちゃったようだね。僕は別に怪しいものじゃないよ」
「あ、はい。こんにちは」
ビックリした。甲板には自分しかいないと思ってたのに
「僕は氷上シュン、君は?」
「な、長瀬祐介です」
つい、名前を言っちゃったけどなんか厄介ごとに巻き込まれたらどうしよう?
「長瀬君、さっき面白いこと言ってたね」
独り言を聞かれてた!?
「え、いや、その、あれは…」
「はは、別に隠すことないよ。実をいうと、僕も君と同じような感覚にとらわれることがあるんだ」
「え?」
「君はこの世界とは別の世界があり、日に日にこの世界から遠ざかり、その世界に近づいていってると感じてるんじゃないかい?」
当たりだ。でも、同じ感覚って…
「どうして僕がそう感じてるって…」
「君が僕と同じ目をしてるから、そして君の独り言を聞いちゃったからわかっちゃったんだよ」
「氷上さん…」
「世界の異端者は君だけじゃない。こんなふうに仲間も居るんだよ」
「……」
537名無しさんだよもん:02/01/04 19:39 ID:rch55Fkb
僕だけだと思ってた。この世界に居られないのは。見る人全て、僕と同じような悩みを抱えてるとは思わなかった。この世界を楽しく生きてて、また苦しくても、この世界を嫌がってるような人間は見当たらなかった。けど…
「氷上さん、僕のことは祐介って呼んで下さい。」
長瀬と呼ばれるのは嫌なことだったが、この人にそう呼ばれるのは耐え切れないほどの苦痛のような気がした
「祐介、じゃあ僕もシュンでいいよ。あと、敬語も使わなくていいよ」
「わかったよ、シュン」
「ふふ、僕たちはいい友人になる。そんな気がしないかい」
「はい」
全く、その通りだと思った。シュンは今まであった人間の中で一番心を許せる人間のような気がした
【長瀬祐介、航海中に氷上と出会う】
538名無しさんだよもん:02/01/04 19:42 ID:rch55Fkb
>535〜537
書いちゃいました。
ファンタジー好きなんでROMだけじゃなくて参加したくなったんで
>509〜510の続きです

こういうことには不慣れなんでなんか不味いところがあったら指摘お願いします

あと、題名を忘れてました。
「世界の異端者」です

では、皆様よろしく〜
539天神海士:02/01/04 19:48 ID:Z33S/Pxi
>533>534
ご指摘ありがとうございます
会話の時のカッコには気をつかってみます

敬介が強すぎるという指摘について
そうですか、美凪とみちるが現状において、
まるっきり戦力にならない以上
少し強めでもいいかなと思ったのですが
じゃあ敬介の能力を
【橘敬介 蓬莱流剣術 ミドルクラス 陰陽術 ビギナー】
という具合に変更でもおkです

文章の基本がなってないのがつらいところっす
5401 ◆mYCw53h6 :02/01/04 20:47 ID:iUFlH9nX
美凪には特殊能力があるのでまるっきりというのは間違いだと思います。
>>534さんも言っておりましたが、魔術と剣術を併せ持つキャラは………

例として挙げると、最強をうたったキャラ、いきなりマスタークラスのキャラ…
もしくは【 】の補足の多いキャラは総じて放置される傾向があります(例外もありますが)

反対に弱いキャラ、非戦闘キャラ、レベルが低いキャラ…
強そうだが強さをぼかして書いてあるキャラなどは、総じてリレーされる傾向にあるように思えます。
(´-`).。oO(そんなこと言ってる1ですが、○○と○…強く書き過ぎでしょうか?特に○…)

それと、陰陽術とはどんな術なんでしょうか?それによっては

あと、ルーンや言霊…白魔術については皆さんはどう解釈しているのでしょうか?
白は補助、対魔、回復の三つ持ちでいいのでしょうか?それとも、持ち過ぎ?
541名無しさんだよもん:02/01/04 21:00 ID:V6PuCczm
>>540
ぜーんぶまとめて答えるなら「書いたもん勝ち」(w
どんな強キャラも強呪文も、後付け弱点で困ったことに出来ますし。

とりあえず敬介さんには心臓病でも持ってもらって、継続戦闘を3分程度に限らせてもらいましょうか(w

陰陽術も、名前しか出してないってことは後の人任せってことでしょうし。

白使いも、得手不得手があっていいと思いますし、そうすれば同じ白使いでも個性出せるでしょう。
白に攻撃魔法があっても悪くないと思いますが。光撃やら生命力減退やら聖光やら。
542名無しさんだよもん:02/01/04 21:00 ID:V6PuCczm
上の追記。

口で言ってるだけですんで、自分。
実際にそうする気はあまりないです。あまり、ですけど(w
543名無しさんだよもん:02/01/04 21:20 ID:N2VbuIaw
別に良いだろう・・・・強くたって。
みさきや蝉丸のように始めに「強い」と書かれてなくても強そうな奴らはいる。
あいつらはあれで良い。
マスタークラスって言葉が嫌なだけじゃないの?

陰陽術が分からないのは同意。
544名無しさんだよもん:02/01/04 21:55 ID:xTczBszL
しかし、今まで出てきたキャラのほとんどがクソ強かったり天才だったりばかりの中、
比較的地味な啓介さんまでマスタークラスだと、本当にマスタークラスってのは強いのか
小一時間問い詰めたくなるな。
5451 ◆mYCw53h6 :02/01/04 22:02 ID:ldCeEs/0
ええと…(汗
クラスはいまのところ4段階あります。

↑弱い
ビギナー
ミドル
マスター
ウィザード
???
↓強い

マスタークラスは一応2番目に強い値を示します。

それと、1は「強いキャラはダメ」とは言ってません…
たとえ1であっても、そこまで縛る権限など微塵もありませんから。

でも、ただ強いだけじゃなく、>>541さんがおっしゃるような個性があると、愛着が湧くと思いますよ?
1の本音としては…(今のところ強い奴はいぢりにくくて可愛くないなぁ…)なんですけど(ぉ
546名無しさんだよもん:02/01/04 22:14 ID:KJb9by+C
戦士でもウィザードなのか?
一読み手としては最後に強いと言われるより読んでいて強いと思える話を希望するよ。
547名無しさんだよもん:02/01/04 22:22 ID:xTczBszL
ビギナー<ミドル<マスター=ウィザード<???
なんでないか?2番目って言うからそう読んでた。剣士だとマスター、術士はウィザードかと。
どっちにしろ、文章の後に書かれるより、実際の戦闘シーン等で書いて欲しいとは思うけど……
548名無しさんだよもん:02/01/04 22:31 ID:KJb9by+C
説明は駆け出しor経験者だけ。
あとは作中で表現するのが良かったかもね。
5491 ◆mYCw53h6 :02/01/04 22:37 ID:ldCeEs/0
>>546
そうか…じゃあ戦士系は個別でランクを作る…というのは?

刀の例・剣士 → 剣客 → 武士 → 武神 → ???
槍の例・槍畳 → 槍兵 → バッファロー → ストームランサー → ???
槌の例・ゴブリン → 槌使い → ブレイカー → マッシャー → ???

とか?(w
まぁ、冗談は置いといて、???は、数えないでくださぃ…
???の欄は"使わないかも"知れないクラスですから(ワケワカラン)
550名無しさんだよもん:02/01/04 22:37 ID:/zALdGyZ
そうで砂。
「文中で語られていないことを補足で表記するのはダメ」
というのはだいぶ前からいわれてるし。
551みさきの奇癖(1):02/01/05 01:00 ID:9DiZTvTF
 ようやく混沌とした情況に整理がついてきたせいか、いくらか落ち着いてきた浩平。
 しかし、みさきの要求を聞くなり、再び肩を落とさざるを得なかった。
「……秘宝塔?」
 先輩もかよ、と思いながら聞き返す。
「うん」
 先ほど岩切が運び出した木箱に寄り添っていたために、地面にぺたりと座ったままのみさきが、
 子供のように頷いた。
「先輩、前に行ったじゃないか。駄目だったろ」
「うん、あのときは駄目だったね」

 浩平は理解できないと言わんばかりに、首を振り振り重ねて尋ねる。
「……なんでだったか、覚えているか?」
「うさぎさんが、怒ったんだよ」
「……」
 みさきの意外な答えを聞き、智子と英二の眼鏡コンビは同時にこめかみに手をやり、思いきり顔をしかめた。
 事の顛末を記憶している英二は呆れたためだが、純粋に疑問符を浮かべた智子が尋ねる。
「……みさきさん、何言うとるの?」

 みさきは彼女の問いに答えず、逆に質問した。
「智子ちゃん・…・眼のこと、知ってるよね?」
「ん? たまに見えるよぉになる、言うやつ?」
「そうそう。それが、塔の中で起きたんだよ」

 何も知らず会話する智子の目の前で、浩平と英二がげんなりしている。
 彼らを横目で見ながらも、智子は真っ正直に答えることしかできない。
「見えるほぉが、ええやん」
「-----壁に、うさぎの落書きがあるんだよ」
「あかんの?」
「魔法の絵らしくて、襲って来るんだよ」
「負けたん?」
552みさきの奇癖(2):02/01/05 01:02 ID:9DiZTvTF

 少しの間を置いて。えへへ、とみさきが笑う。
 その様子を見て、もはや黙っていられなくなったのだろう。浩平が口を挟んだ。
「……秘宝塔には、実体化するうさぎの衛兵が居るのさ」
「そら解ったわ。それで?」
 智子の頭上に浮かぶ疑問符は、消える気配すら見せない。

 脚を組みなおして、思いを馳せるように浩平は答えた。
「そいつが、凶暴化した。並みの手段じゃ太刀打ちできないくらいにな」
「なんで?」
 尋ねながらも、何か思うところがあったのだろう。
 智子は目を据わらせて、みさきを睨んだ。

 言われもないかどうかはともかく、批難の視線を受けたみさきは曖昧に笑いながら、ようやく白状する。
「えへへ……うさぎの絵って、さ」
「なんやの?」
「ちょびひげ、描きたくならない?」
「……」「……」「……」
 残る三人全員が。
 沈黙をもって、答えに代えた。

 ならんわ、とみさきにツッコむべきか。。
 誰も止めなかったんか、とみさきの同行者にツッコむべきか。
 はたまたどういう仕掛けやねん、と塔の住人にツッコむべきなのか。

 そんなことを考えている智子だけが、いまだに知らないのだが。
 みさきは、目が見えるようになると-----ロクなことをしないのだ。
「-----ちょびひげは、わざとじゃないんだよ?」

 当人のいいわけに、耳を貸すものは居なかった。
553みさきの奇癖(3):02/01/05 01:02 ID:9DiZTvTF
          *          *          *

 ……ひとしきり白けた場が、それなりに色づいてきたころ。

 再び浩平が、みさきに言った。
「-----と、いうわけで先輩」
「うん」
 相変らず地面に座ったままのみさきが、相変らず子供のように答える。
 少々の怯みを見せながらも、負けずに浩平は断言した。
「-----秘宝塔は、諦めろ」
「ええ〜!?」
「なんやのそれー!?」
 これにはみさき本人はもちろん、みさきに呆れ果てたはずの智子も批難の声をあげる。

 まあまあ、と場を抑えながら、しばらく様子を眺めていた英二が笑って言った。
「秘宝は-----秘宝塔だけに、あるもんじゃないだろう」

 もちろんモノは違うがね、と付け説明を始める英二に、みさきはポカンとした表情を返していた。


【折原浩平、緒方英二:みさきが秘宝塔へ行かぬよう説得】
【川名みさき、保科智子:まんまと乗せられています】
554名無したちの挽歌:02/01/05 01:09 ID:9DiZTvTF
毎度、早くも仕事の始まった挽歌でございます。
「みさきの奇癖」をお送りいたします。


「なんでも屋」(>>512-514)の続きで、「過去と未来」(>>426-429)へ繋がる話となります。
みさきと浩平が、なんの先輩後輩かは不明です。
555作品別登場キャラ:02/01/05 01:43 ID:CQrpoeCD
【DR2ナイト雀鬼】
ルミラ
【フィルスノーン】
なし
【雫】
長瀬祐介 月島拓也
【痕】
柏木耕一 柏木梓 柏木楓 柏木初音 柳川祐也 日吉かおり
【ToHeart】
藤田浩之 長岡志保 保科智子 姫川琴音 マルチ セリオ 雛山理緒 矢島 橋本 岡田 吉井 松本 長瀬源五郎
【WHITE ALBUM】
緒方英二 河島はるか 篠塚弥生 七瀬彰
【こみっくパーティー】
千堂和樹 九品仏大志 高瀬瑞希 牧村南 大庭詠美 長谷部彩 芳賀玲子 御影すばる
【ナイトライター】
なし
【まじかる☆アンティーク】
宮田健太郎 長瀬源之助
【誰彼】
坂神蝉丸 砧夕霧 御堂 岩切花枝
【MOON.】
天沢郁未 鹿沼葉子 巳間晴香 高槻
【ONE】
折原浩平 七瀬留美 川名みさき 上月澪 里村茜 椎名繭 深山雪見 南明義 広瀬真希 氷上シュン
【KANON】
水瀬名雪 水瀬秋子 月宮あゆ 美坂栞 美坂香里 川澄舞 倉田佐祐理 天野美汐 北川潤 たいやき屋の親父 久瀬
【Air】
国崎往人 遠野美凪 みちる 橘敬介 しのさいか
556潮風の都会(1):02/01/05 02:05 ID:xOpqohQ7

久々に降りた地面はなんだか不思議な感じだった。微妙に揺れているような気がする。
勿論、地面が揺れているわけではなく、常に揺れている船旅に慣れたせいでそう感じるだけだ。
目の前をたくさんの人が行き交っていて、道には店が並び、活気に溢れている。
これが、この街の日常。
「ここ、フィルムーンはレフキー最大の貿易港でな。世界各地からありとあらゆるものが集まってくるんだ」
叔父さんは背伸びしながら、言う。
「大きな街だね」
「ああ。共和国の町を5つ上げろといわれたら、ここが入るな」
「ちなみに、他の4つは?」
シュンが叔父さんに尋ねる。シュンを叔父さんに紹介した時はなんとも変な…妙に感慨深げな顔をされたが、今は自然に接している。
元々、叔父さんは女だから子供だからと態度を変える人ではない。だから、叔父さんはシュンの問いにさらっと答えた。
「そうだな…首都レフキー、自由都市トゥエア、旧都キスカノン、城塞都市オネシズ、その次にここ、フィルムーンが上げられるな」
叔父さんは雑学にも長けている。そう言うところは素直にすごいと思う。
「やっぱり大きい町だからかな。なんだか、雰囲気が違うね」
「いろいろな意味で特殊な町だからな。貿易港だからいろいろな異文化が流入してくる」
「それだけ揉め事も多いんだろうね…」
「ああ。市立の自警団があるくらいだからな。それに、この町では帯刀は禁止されている」
「あ…そう言えば」
そう言われると、道行く人たちはみな武装していない。
市民はもちろんの事、鎧姿の見るからに冒険者といった人もだ。
「所持は自由だが、目に見える形で武器を持ち歩いてると捕まるぞ。仕込み杖とかも、ばれたら即アウトだ。…まあ、お前には関係ないことだろうが」
「………」
557潮風の都会(2):02/01/05 02:09 ID:xOpqohQ7
まだ日は高いが、陸での感覚を取り戻すため、この町で一泊することになった。
「そう言えば、シュンはどうするの?」
「僕は、そうだね。君についていこうかって思っている」
「え?」
「今までは気ままに暮らしていたんだけどね。でも、それだけだった。ただ起きて、眠って時を過ごす。それはそれで意味があることだけど。
君と一緒にいれば、何かがあるだろう。いや、違うな…君は時の輪に組み込まれている。これから先、君は世界の不思議を見ることになる」
「よく…わからないな」
「今はそれでいいんだよ。僕も、そこまではっきりわかるわけじゃないしね」
にこり、と笑う。
「これからどうするか決まって、僕が君と一緒にいることを許してくれるのなら、僕を探してほしい。僕は君と同じ所に行くよ」
「これからって…」
「迷っているんだろう?レフキーに行くかどうか」
「…シュンには隠し事は出来ないね」
「隠すつもりもないんだろう?そして、誰かに行けと、あるいは行くなと言ってほしいんだろう?」
「………」
「僕は、言わない。だってそれは、君自身が決めることで、今後の流れを決めることだからね」
「厳しいな。…わかったよ。決心がついたら、君を探す。でも、それまでどうするの?」
シュンは、微笑を浮かべた。
…次の瞬間、彼の姿は跡形もなく消えていた。
「シュン…?」
「おい、祐介。なにボーっとしているんだ」
「え?…ああ。叔父さん、シュンを見なかった?」
「シュン?シュンっては誰だ?」
え?今、叔父さんは何て言ったんだ?
「叔父さん…それ、何の冗談さ?ついさっきまで話してたろ?」
「冗談?何を言っているんだ、祐介。俺の知り合いにシュンって奴はいないぞ」
その目は、嘘を言っていない目だった。本気で、知らないといっている。存在を忘れている。
シュンは、僕の妄想だった?…考えた瞬間、首を振る。違う、シュンは確かに存在したんだ。なら、何故…
(僕を探してほしい)
ふいに。潮風に乗って、彼の声が聞こえた気がした…
558潮風の都会(3):02/01/05 02:11 ID:xOpqohQ7
結局シュンと別れたまま、宿に入った。煉瓦造りで二階建ての立派な宿だ。宿賃は大丈夫なのだろうか。
そんな事を考えていると、叔父さんは苦笑した。どうやら顔に出てしまったらしい。
「おいおい、いくらなんでもそこまで貧しいわけじゃないぞ」
部屋をとると、叔父さんは知り合いに合いにいくと早速出かけていってしまった。
知り合いって誰だろう。あれで叔父さんは友好範囲が異様に広いので、ちょっと想像がつかない。
「遅くなるかも知れんから、その時は適当に食べとけ」
「適当にって…ご飯は出ないの?」
「この手の宿の飯は高くてまずいと決まっている」
「偏見だよ、それは」
「経験則だ。とにかく食事は出ないからいつまで待っていても意味ないぞ」
なんだか、遅くなることは確定しているかのような言い様だった。
そして実際、太陽が日が暮れても帰ってこなかった。
はぁ…まったく、困ったもんだ。僕が出歩くことが好きじゃない事を知っていながら、こういうことをするんだ。
僕は財布の中身を確かめた後、それをポケットに突っ込んだ。

さて、どこで食事をしようか。
宿を出る前にどこかいい所はないかと聞いてみたが、表通りまで出ないとないらしい。
少し歩かなくてはいけないのか。ちゃんと戻ってこれるよう道を覚えておかないと。
表通りには日が暮れたというのに結構な人手がある。道沿いにある街灯のお陰だろうか、それほど暗くはない。
本当に、人が多い町だ。シュンは探してほしい、といっていたけど、探し出せるのだろうか?
そんな事を考えながら、適当に決めて店に入る。食事時だから結構な人がいたが、案外すんなり座れた。
本日のオススメを頼んで待つ事しばらく…
「動くんじゃねぇ!!」
やってきたのは、食べ物ではなかった。

「ここかぁ…ここにいるかぁ!?出てこい、出せぇ!!」
いきなり入ってきて暴れまわる大男。テーブルを蹴倒し、笑ったかと思うと怒り、泣く。正気を失っているようだ。
まったく、ついた早々こんなトラブルに巻き込まれるなんて、よくよく僕も運が悪い。
559潮風の都会(3):02/01/05 02:14 ID:xOpqohQ7
大男は支離滅裂な事を喚きながら出鱈目にナイフを振っている。
さて、どうしたものか。とりあえずみんなに付いて部屋の隅に移動する。
こういう時はどっかから正義の味方が現れるのが相場なんだけど…その時。
「ねえ」
声をかけてきたのは、同世代の女の子だった。活発そうな瞳が印象的だ。
「随分と、落ち着いているのね」
「そんな事ないよ」
「そう?なんか、あんなの余裕綽々3秒だ、ってって感じじゃない?」
まあ、確かにやろうと思えば3秒どころか1秒経たずに終わるだろうけど。
でも、僕はこの力を誰かの為に使うつもりなんてなかった。だから、
「感覚が麻痺しているんだ。恐いとか、余裕とか、全然感じないだけさ」
「なるほどー。便利ねぇ」
どこまで本気かわからないが、うんうんと肯く。何か…ヘンな子だな。
「そういう君も余裕っぽく見えるけど」
「まーね。これでも一応…」
「なにッべってんだゴルァ!!」
突進をかけてくる男。何とか間一髪でかわす僕と女の子。周りから悲鳴が上がる。
鈍い音が鳴った。まともに壁にぶつかったんだ、ただじゃすまない…
いや、実際肩が変形している。外れたのか砕けたのかはわからないけど。
それなのに、男は痛そうな素振りもなく、狂気に浸された目で僕たちを見る。
…なんなんだ、こいつ。思わず後退りしてしまう僕。とは対照的に、女の子は一歩前に出た。
「さて、お仕事お仕事ッと。とりあえず、恐喝と器物損壊の現行犯ね」
どこからともなく取り出したものは、指から肘くらいの長さの、柄と鍔がある短い棒だった。
ひゅん、と棒の先を男に向ける。その姿は、とても絵になった。
「さァて。大人しくお縄につけばそれでよし。さもなくば痛い目に合うわよ〜」
どこか楽しそうな女の子。男はいきり立ち、女の子に襲い掛かる。
刹那。大男は吹っ飛んだ。幾つかのテーブルを巻き添えに、倒れる。
女の子は、僕にウィンクをして見せた。
「ま、ざっとこんなもんよ」
パチパチパチ。僕はとりあえず拍手をする事にした。
560潮風の都会(4):02/01/05 02:15 ID:xOpqohQ7
その後。統一された格好…自衛団の制服らしい…をした人たちが来て、男を連れて行った。
店のほうは大半のテーブルが潰れて食事どころじゃなくなったが、落ち着きを取り戻しつつある。
自衛団の人に当時の状況を話した後、僕はあの少女にまた声をかけられた。
「お疲れさまー。どうだった、事情聴衆は」
「事情聴衆…?」
「そ。まあ、話すことなんてなかったと思うけどね」
けらけら笑う。開けっぴろげな人だ。
「あなたは、自衛団の人なんですか」
「まぁーね。なになに?こんなかわいい女の子がいるなんて思わなかった?」
かわいいかどうかはおいといて、同世代の女の子がいるとは思わなかったな。
だから、僕はとりあえず肯いておいた。
「そうですね」
「うんうん。素直でよろしいっ」
上機嫌に笑う女の子。こういうタイプは…正直好きじゃない。僕は、踵を返した。
「…じゃ、僕帰ります」
「あ、ちょっと待ってよ」
「…?」
「あなたも、夕御飯食べ損ねた口でしょ?一緒に食べにいかない?」
「え?でも、お仕事は?」
「私、今非番なのよ、実は。あんな馬鹿ほっとく訳にもいかないから、お仕事はしたけどね。…それで、どう?」
断わろう、と思った。けれど…何故か、僕の口はこう答えていた。
それは、この女の子に興味を持っている、と言うことだろうか?…自分でも、よくわからない。
「そうだね、付き合うよ」
「そうこなくちゃね。…と、そう言えば自己紹介がまだだったわね。私は、詩子よ。柚木詩子」
こうして、僕は柚木詩子さんとであった。

【長瀬祐介 詩子と食事に行く】
【氷上シュン 姿を消す。祐介以外は彼のことを覚えていない】
【柚木詩子 港町の自衛官 逮捕術を会得している】
【長瀬源五郎(TH) 祐介とは別行動】
561名無しさんだよもん:02/01/05 02:16 ID:xOpqohQ7
と、言う訳で、何故か登場していなかったその2、詩子さん登場です。
剣士とか白魔術師とか、そういう職業ばかりなのもなんなので、自衛官(警察)にしました。
逮捕術が使えます。…術と言っても、呪文唱えるやつじゃないですよ、念の為。

あと、シュンに一つ特殊能力をつけてみました。というより、彼の異能力の断片ですね。
こんな能力があれば、如何にFARGO宗団でも影もふめないでしょう。
何で祐介がシュンの事を覚えていられるかというと…なんででしょう?お任せします。

後、レフキーの都市名を勝手に付けちゃいました。
首都『レフキー』、自由都市『トゥエア』、旧都『キスカノン』、城塞都市『オネシズ』、貿易港『フィルムーン』
言うまでもありませんが、葉鍵ゲーのタイトルをくっつけた名前です。
こんな格好悪い名称嫌だって人は言ってください。考慮しますから。
562名無しさんだよもん:02/01/05 02:21 ID:xOpqohQ7
ぐは、やっちまった…タイトルのナンバーがずれてる。
後、

自衛団→自警団
自衛官→自警団員

に脳内変換して下さいませ。
563名無しさんだよもん:02/01/05 02:21 ID:eJNjP1gf
>>561
考慮も何も、すでにそうついてしまったものは手遅れですな(w
これで帝国側はほぼ空っぽ状態ですか(w
まあ舞台を下手に広げるよりはいいですけど。

ところで、何故か中略その1って誰でしたっけ?
564名無しさんだよもん:02/01/05 02:47 ID:xOpqohQ7
>563
まあ、決めたのは都市名だけなんで、中身はお任せってことで、勘弁を。

>ところで、何故か中略その1って誰でしたっけ?

その1は祐介です。
ちなみにその3は祐一かな?…つーか、何でこいつ未登場なんだ…いや、マジで。
565宮内貿易公司(1):02/01/05 03:03 ID:CnMMWx41
書類を小脇に抱えた女性が軽くノックをする。

「父さん?入るわよ?」
「あー、仕事中は社長と呼んでくれ。シンディ」
シンディと呼ばれた女性はお構いなしに部屋へと入る―――

「もう!仕事と言っておきながらまたソレをいじっているの?呆れるわ……」
「イ、イヤ……貴重品のチェックというやつだよ」
「たしかに貴重品だけど、大事な商品でしょう!?」
「商品だからこそ、重要なチェックが必要なのだよ。シンディ」
「ふぅん、私物を扱っているとしか思えないわよ?」
「ぐぅ……」

父さん、と私が呼んでいる男の名は『ジョージ宮内』この会社―――《宮内貿易公司》の社長である。
私の名は『シンディ宮内』……一応、父さんの秘書という立場ね。

「これが今回の商談をまとめた物よ」
「ああ、ご苦労様だ」
「でも……ばれてないかしら?」
「心配性だなシンディは……なに、問題は無い」
「コレ、本当は帝国に献上するはずだったんでしょう!?」

語句を強めて、ジョージの持っている物を奪うように手にする―――
「この……ライフル銃を!『ガーランド』を!!」
「契約書では〔古代の遺物は全て我々に献上すべし〕と書いてあったのに……」
566宮内貿易公司(2):02/01/05 03:06 ID:CnMMWx41
そう、父さんは一目惚れ、と言わんばかりの勢いで交易品に紛れていた古代の遺物を隠蔽してしまった。
「貴重品を独占して我々にはハシタ金……商売にならない」
だからって……結局、協力してしまったんだから同罪か……
なのに父さんは笑顔で私に語りかける

「でも、本当に心配は無い。よく言われているじゃないか?〔イカサマはばれなきゃイカサマじゃない〕と」
「はぁ……たしかにそうね」
「だろう?」
「それに―――」
「ばれたとしても、ここは海の上。と言いたいんでしょう?」
そう、実はこの部屋は、貿易船の一室。帝国の港を離れたのも、4日前だから追いつけっこない。
そして、この船は本社がある《貿易港フィルムーン》へ向かっている。
貿易船なんて軍船にあっという間に追いつかれる物なんだけどソレが無いから―――
「とりあえずは、安心していい訳ね。」
「そうだよ、シンディ。秘書としては優秀なのだが生真面目すぎる……」
「はいはい、悪かったわ」

先程からも聞こえる穏やかな波の音―――船は……良好みたいだけどノックがうるさいわ。
いったい何事?
「社長!シンディさん!《フィルムーン》が見えましたっ!」
「おお、そうか!!」
「驚かせてくれるわねぇ……」
567宮内貿易公司(3):02/01/05 03:10 ID:CnMMWx41
そろそろ指示を出さなくては、と思っていた矢先だけに丁度いい……
「ああ、忘れ物だシンディ」
「何を?」
「第三倉庫を押さえてあるから、積荷はそこに」
「了解したわ」

甲板へと続く階段を上りながら一人呟く
「それにしても……みんな元気にやっているかしら……?」
特にヘレンは―――元気過ぎて家を飛び出してるかも、ね。
「まったく……誰に似たのかしらね?」
忙しくて、少々危なっかしいけど……この仕事、結構楽しいわ。
さて、皆さんに指示を出しておかなくっちゃ―――!!

だが、彼女も、他の船員も気づいていなかった……
何者かがカモメに手紙を忍ばせ、積荷の中身を報告していたコトに……


【ジョージ、『ライフル銃』の存在を帝国に隠蔽。商品にしてしまう】
【シンディ、船員に第三倉庫へ積荷を運ぶ指示を出そうとしている】
【ヘレン(レミィ)は家を飛び出してるかも?】
【積荷を報告した者の所属は不明】
568名無しさんだよもん:02/01/05 03:22 ID:eWpX4CCy
数日前、ここで一悶着起こしてしまったヴァカ者です。
そして、ありがたいお言葉に甘えてまた書かせていただきます。

ライフル好きと貿易商という設定でどこまで書けるか?
が自分の今回のテーマにしました。
カタコトにしたほうが良かったですかね?ジョージ……
ご意見、お待ちしております。

>>561さん
都市名のほう、さっそく使わせて頂きました。
569海の支配者:02/01/05 04:16 ID:+y0IVljC
 海の真ん中にある小さな島。
 そこにとめられている一隻の船。
 その船の帆先で一人の男が立っていた。
「うーん、潮風が気持ちいいねぇ」
 そのはずむような口調からその男が機嫌がいいのは一目で分かる。
「海は広いな大きいなっと」
「おーい、キャプテン」
 そこへ別の男がやってきた。
「ん?何だ、冬弥さんか」
「何だとはご挨拶だなぁ」
「まぁ、気にしない気にしない。それより俺のこと祐一って呼んでくれって
 いつも言ってるでしょ。俺の方が年下なんだから」
「んー、まぁそうなんだけどさ。それじゃ下に示しがつかないじゃないか」
「んなこと気にしてるの冬弥さんだけだと思うけどなぁ」
 苦笑しながら祐一が言う。
「まぁ、そうなんだろうけどね」
「とにかく!俺のことは名前で呼ぶこと!これはキャプテン命令だからね!」
「ハァ、祐一君にはかなわないなぁ」
 冬弥も苦笑しながら答える。
570海の支配者:02/01/05 04:19 ID:+y0IVljC
「で、俺に何か用?」
「あ、そうそう。真琴から連絡があってね。『宮内貿易公司』が珍しいモノを手に入れたそうだよ」
「へぇ」
「何でも古代の銃らしいよ。帝国に連絡してないみたいだしくすねるつもりみたいだね」
「なるほどねぇ。ってことは俺達がもらっちまっても誰も訴えられないってことだな」
 祐一は悪戯を思いついた子供のような表情で言った。
「そう言うことだね」
 冬弥も似たような表情で答える。
「おーい!晴子さーん!」
「なんやぁ?」
 祐一の呼びかけに酒を傍らに持った女性が答える。
「今の話聞いてた?」
「もちろんや。儲け話は逃さへんのがウチの主義やからな」
「んじゃ後よろしくね。俺着替えてくるから」
 祐一はそう言うと自分の部屋へと向かった。
「任せとき!観鈴!」
「何?お母さん」
 観鈴と呼ばれた少女が晴子の元へ駆けてくる。
「出発の準備や!」
「どこに?」
「えっと、どこやったっけ?」
「フィルムーンですよ」
 晴子の代わりに冬弥が答える。
「そう、そこや。犬飼のオッサンに伝えたってや」
「分かった」
 観鈴はそう言うと船室の方へ走っていった。
571海の支配者:02/01/05 04:21 ID:+y0IVljC
「冬弥。私達も準備して置いた方がいいか?」
「うーん、そうだね。好恵さん達の出番もあるかもしれないし一応よろしく頼むよ」
「了解」
 冬弥は好恵にそう言うと晴子の方を向いた。
「じゃあ僕も準備がありますから、こっちの方は頼みます。晴子さん」
 冬弥はそう言い残すと晴子から離れ、自分の部下達に指示を出し始めた。


「さて、みんな準備はいいかな?」
 いつもの服に着替えた祐一が船を見回しながら聞く。
「あぁ、いつでもOKだよ」
 冬弥が答える。
「それじゃ、相沢一家の久々の出陣だ!みんな!ぬかるなよ!」
『おー!』
 祐一の呼びかけに船に乗っている乗員全てが応じた。
「『ミラクルカノン』号!出発!」
 そのかけ声と共に船が島を離れ始めた。

【祐一 海賊・相沢一家のキャプテン】
【冬弥 相沢一家の良識派。祐一の補佐を務めている】
【晴子 相沢一家の副キャプテン】
【観鈴 晴子の娘。一家の一員】
【好恵 一家の戦闘部隊長】
【犬飼 『ミラクルカノン号』の操船役】
※他に何人乗組員が居るかは続きを書く方にお任せします
572陰陽術について(1):02/01/05 08:01 ID:dJwz9+Fq
陰陽術は良く分からないという意見がありましたので、説明させていただきます
陰陽術は、あの安倍晴明が使用した、陰陽道をそのままパクッてしまおうかと思います

大きく分けると主な能力は、【占術 ・ 式神 ・ 蟲毒 ・ 人形 ・祓い】になります

【占術】「天」の星の運行、「地」の方位、「人の」三要素を陰陽五行に分類し
その組み合わせを調べる事で、対象の過去や現在、未来の状況を言い当てる

●占術の種類は式占、易占、暦占、方位占、命占、地相占、家相占

○式占・・・・・陰陽道を代表する占術、天を表す丸い盤(円盤)、地を表す正方形の盤(方盤)
2つを重ねた式盤と呼ばれる道具をつかったところからそう呼ばれた。

○易占・・・・・易占は八卦とも呼ばれ、天意味する50本の筮竹と、地を意味するの6個の木の算木
を使ってする占い、携帯性にすぐれ占術と呪術の両方で使用可能
573陰陽術について(2):02/01/05 08:02 ID:dJwz9+Fq
○暦占・・・・・・中国から伝わった暦。これは月の運行をもとに、1年を12の月に分けた大陰暦をしています
平安時代の貴族は、暦占にあわせて全ての行事を定めてきた。
解釈は実に複雑なもので、貴族は何かを行う毎に陰陽師に相談していました

○方位占・・・・神のいる方向で吉凶を占う
その年ごとの吉凶と、年齢ごとの吉凶の二種類がある
(前者は八将神という八人のことなったことを司る神がそれぞれ、どこかの方位にたっているので
災いを与える神をさけ、吉を招く神にむかって行事を執り行うための占いです)

○命占・・・・・・生まれた年から命運を占う

○地相占・・・・いまでも家を建てるときに行われている地鎮祭も陰陽道の儀式
土地の方位の吉凶ではなく。土地の高低や環境、そしてその住むものの
五行の属性から吉凶を占う

○家相占・・・・家の形に出来事の因果関係を求める
574陰陽術について(3):02/01/05 08:03 ID:dJwz9+Fq
【式神】・・・陰陽師がみずからの手足として自由に使える
十二神将と呼ばれる12種類の式神を自由に操る

青龍、勾陳、六合、朱雀、騰蛇、貴人、天后、大陰、玄武、大裳、白虎、天空

『源平盛衰記(げんぺいせいすいき)』によると、
十二神将は、十二支(子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥)の神を、
晴明が作った人形に宿らせたもので、いつもは屋敷内の南門の梁(はり)に棲みつかせ、
用あるごとに呼び出し、使役したという。

天の力に通じるものがあるので、使用できる時期に制限される
また他の式神に比べ十二神将は鬼神の中でも上位の属するため
使役する者は、その制御に相当な精神負担を強いる
阿倍晴明のようなウイザードクラスなら、同時に数体も呼び出せるが
敬介の力では、せいぜい1体が限界
575陰陽術について(4):02/01/05 08:04 ID:dJwz9+Fq
智徳法師が使った式神は植物の精霊
紙や木片に命を吹き込んで使う式神もあり、清明はセーマン印を朱筆で記した紙に呪文を
唱え、鳥や動物、はては人間にまで変化をさせて、つかったそうです
仕事を負えた瞬間、元の紙や木にもどるので使えるのは単純な命令に限る。
その一つが呪詛としての使われ方

【蟲毒】
虫や動物を式神として使う、呪殺兵器
生物の怨念を利用して、人為的に祟りを起こす
大きな瓶のなかに蛇やムカデ等をいれ、互いに殺しあわせ、その中で生き残った生物に呪文
をかけてつくるのが蟲毒です。その殺し合いが凄惨であればあるほど蟲毒としての力は強くなる

【人形】、一つは人についた汚れを移す。人についた鬼や怨念を、その人に見立てた人形に移し、
祟りの矛先をそらす。身代わりをなった人形は祈とうをしたうえで河に流されました、
汚れを水で清めて遠い異界に送り出す
もう1つは呪殺で 、相手の一部をつかい、人形に名前を書くことで相手の魂が人形に移り、
それを相手に見立てて殺すことで呪殺は完了する。いわゆる丑の刻参りがこれにあたる
576陰陽術について(5):02/01/05 08:05 ID:dJwz9+Fq
【反閇】、右足と左足の出し方、また一定の歩数ごとに唱える呪文の組み合わせで表現される術で
歩行呪術一種、天皇や高貴な人が外出するときの道中に、鬼や物の怪、怨霊が現れるのを
防ぐために、たびたび晴明はこの術を使った

【その他】
○方忌み、凶の方向に対して、ひたすらじっと待つ
○方違え、吉の方向に回り道して行く
凶の方向にどうしても行かなければ行けないときに使う
○物忌み 凶の日はじっと家に閉じこもる

【祓い】
汚れをはらうための儀式
呪詛や怨霊、鬼や物の怪、怪事に凶兆などあらゆることを対象に行う
単純に呪文をとなえるだけ、呪符や、呪具を必要とするもの、
大がかりな祭壇を用意した儀式まで様々
現在にもさまざまな形で風習としても残っている
七草粥、桃の節句、けがれを払うための儀式
節分の豆まきにしても追儺会という疫病を払うための儀式
個人単位を厄落とし、家単位を煤払い、国家の汚れを払うことを大祓と呼ぶ(年に2回)
577陰陽術について(終):02/01/05 08:06 ID:dJwz9+Fq
【泰山府君祭】・・・陰陽道秘術中の秘術(一部の高位のものにしか伝えられていない)
● 泰山府君とは人間の生死を司る神で晴明は陰陽道の最高神として祀っている

○死んだ人間の魂を肉体に呼びもしたり、寿命で死に掛けている人間の命を延ばす儀式

三井寺(みいでら)の僧、智興の命を泰山府君の法によって救う「今昔物語集」
●但し、代償に他の人の命が必要、
この時は弟子が申し出ており、本来であれば弟子が身代わりになって死ぬはずであったが
仏の慈悲により弟子も助かる

以上の様に実に多彩な技をもっているのが陰陽師です。
これらの術が自由自在に使えてしまうと、物語のバランスを崩してしまうと思われるので
術の乱発は控えたほうがよいかと思います

泰山府君祭などは、ウィザードクラスの陰陽師が生涯に一度だけ使えるという具合に
したほうがいいかも
578海の町の火花:02/01/05 08:09 ID:ykvRM4QR
「でねー。で、あれがこうなってがそれがそうなったのよ」
「はあ…」
詩子のおしゃべりはとまらない。やっぱり僕は詩子と食事に来たことを後悔する羽目になった
「ちゃんと、聞いてる?」
「聞いてるよ」
詩子は酒が入ってる。いくら法律上15歳以上の飲酒が認められてるとはいえ、20歳までは酒なんか飲むべきじゃないと僕は思う。
「それなら良かった。で、その時…」
「うんうん」
適当に聞きながしながら海老を突っつく。詩子の馴染みの店に来たのだが、まさか女の子に酒場に連れて来られるとは思わなかった。
「それで極悪人どもが逃げ出そうとした時…」
「…もぐもぐ」
まあ、このおしゃべりは本当に嫌だがここのまさに海の男の料理といった感じの料理はおいしい
「こら、祐介。さっきからくってばかりで全然飲んでないじゃないの?」
「はいはい」
コップに手を伸ばす。中身は水だがもう酔っ払ってる詩子にはわかりはしない。
「おお、いい飲みっぷりだねえ」
「どうも…」
疲れるなあ。
あ、ドアが開く音だ。誰かきたみたいだな。
「よお、貴之〜」
客の一人が声をかける。見た感じはちょっと不健康そうな青年だ。たぶん、詩子と僕の次にこの店に相応しくない人間だろう。
男も客に挨拶を返す。そして、こっちを見た。
「ん?」
こっちに近づいてくる
579海の町の火花:02/01/05 08:12 ID:ykvRM4QR
「よお、詩子。お前もここか」
「あ、隊長〜」
どうやらこの貴之という男は自警団の隊長らしい。とりあえず挨拶しとかないと
「こんばんは」
「お、君はもしかして詩子の彼氏とか?」
…か、彼氏!?頬が上気するのがわかる。
「そ、そんなんじゃ…」
「ふふ、長瀬祐介って言うんですよお。かっこいいでしょー」
「ふうん、詩子の彼氏がこんな可愛い奴だったとはなあ」
誤解されてる
「違いますって。誤解ですよ」
「そんな祐介ひどいー。私を捨てて隊長に乗り換えるつもりなのね?」
「ば、馬鹿いうなよ」
…なんてこというんだ。だから酔っ払いは
「はは、長瀬君。詩子が言ってることは冗談だってわかってるから慌てるなよ」
「…あ、慌ててなんか」
「隊長ひどいー。あたし真剣なんですよー」
どこが真剣なんだ。どこが?
「まあ、それより長瀬君。君はもしかして長瀬一門のものなのか?」
「…ええ、まあそうですけど」
自分が長瀬だというのは嫌だったが自警団の隊長に嘘をついて後でなんかあると困る
580海の町の火花:02/01/05 08:14 ID:ykvRM4QR
「…幸運だ。これであの海賊どもに対しての勝率が上がった」
「…?」
「長瀬君、君の力を自警団に、このフィルムーンの町に貸してくれないか?」
「え、僕にそんな力は」
「そうですよ。隊長、祐介は強いんですよー。さっきも他の店でごろつきをちぎっては投げ、ちぎっては投げ」
「待て」
それは嘘じゃないか。僕は何もしてないぞ。
「詩子が言うんだ。相当な力なんだろう。あの海賊どもを倒すのには君の力が必要だ」
「海賊?」
「たれ込みがあったんだ。明日この街で相沢一家が盗みを働くと。奴らはこの当たりを根城にしてる海賊でこの機会に打ち倒してしまいたいんだ」
「そうそう、あいつら好き勝手やってムかつくったらありゃしない」
…海賊、縁遠い存在だ
「たれこみにはこの街に名門長瀬の勇者がいるからそれに助けを請うといいという内容もあった」
勇者?この僕が?
「祐介〜海賊退治を手伝ってよー」
「頼む」
これは引き受けるべきじゃない。それはわかってる。でもこれはシュンのメッセージのような気がする。僕は何かやらなければならない。
「わかりました」
581海の町の火花:02/01/05 08:14 ID:ykvRM4QR
「おお、これで鬼に金棒だ。柳川さんに長瀬の勇者、これで相沢一家もおしまいだ」
「柳川さん?」
「隊長の知り合いでその筋じゃ有名な傭兵よ。たまたま、リフキーに向かう途中にこの街に来てて、隊長が話したら特別に助けてくれるって」
「柳川さんは本当にすごい人だ」
…傭兵か。きっと強いんだろうな。僕もそんな風に強かったら。こんなには
「祐介、明々後日までここを出発するって話だったよね」
「うん」
叔父さんがこの街をちょっと楽しめといったからだ。シュンを探すのにちょうどいいと思ったが
「じゃあ、海賊退治のお礼に三日目はあたしがつきっきりで観光案内をしてあげよう」
「あ、ありがとう」
正直、迷惑だったが断っても無駄な気がした。
それから少し食事を続けて宿に戻ることにした。明日8時に噴水広場に自警団と傭兵全員が集合、そこで作戦説明をするらしい。僕もそれに参加する
「しかし、参ったなあ。叔父さんになんていって銃を借りよう」
力は使わない。たとえ安い玉を使ったへっぽこな銃をへたくそな僕が使うのであっても何もないよりはましだろう。
【祐介、自警団と一緒に海賊退治】
【祐介、詩子とデートの約束】
【柳川、自警団に協力】
582名無しさんだよもん:02/01/05 08:19 ID:ykvRM4QR
祐介、柳川、祐一の3つをフィルムーンで邂逅させてみました
塔の話も結構出来てる中、宙ぶらりんになってる柳川を混ぜちゃいましたw
では、他の皆さんがここからどう話を作るか楽しみにしてます
追伸、不味い点があったらバシバシ突っ込んでください
天神海士です
またしても、長々と説明してしまいもうしわけございません
西洋のファンタジーにくらべ、陰陽術は情報が少ないと判断し
説明書をのさせていただきました
いろいろと載せてみましたが、必ずしも以上のような能力でなくても
結構です、アレンジは他の書き手さんにお任せします。
それと大変いいづらいのですが、
敬介の能力を
【橘敬介 陰陽師 ミドルクラス】に変更できませんでしょうか
ある程度高い能力が無ければ、せっかくの陰陽師としてのキャラクターが
生かせないと思いましたので・・・
次の書き手の方には、何とぞご考慮のほどよろしくお願いいたします。

531>>次の文章が訂正となります、脳内補完にてお願いします
訂正前「こう見えても、私は向こうでと剣術を7・8年ほど学んでおり、
「剣の腕は蓬莱流免許皆伝、陰陽術にもいささか通じております」
衣装については、日本の武士から→修行僧
という具合に・・・・
混乱させてしまいもうしわけございません


訂正後「私は蓬莱にて10年の間、陰陽道の修行に励んでおりました」
584密命(1/2):02/01/05 11:39 ID:ijq5EOSz
ザシュッ……
凪いで穏やかな風を断つように林を一陣の疾風が駆ける。
「……」
少女は背負った任務の重さを振り切るように駆ける。
「しっかりしなくちゃ……」
そう呟いたマナの目に心なしか翳りが見える。
抜けることは許されない世界。彼女の生きている世界は広く、そして狭かった。

マナが走りに走り、漸くレフキーに辿り着いたのは日も随分高くなってからのことだった。
(とにかく、一度休もう……)

街のほぼ中央部に位置する公園。
花壇で彩られた噴水を中心に据えるこの公園の周りには市場が出来、つねに人々でごった返している。
(ここなら……安全……)
マナは噴水にそっと腰掛けると仮眠をとることにした。
街の人々はそれぞれ自分勝手に忙しく、そんなマナの様子に気づく気配もない。
三〇分ほどで目を覚ます。身体は大分回復していた。

(さて……探さなくっちゃ)
585密命(2/2):02/01/05 12:17 ID:ijq5EOSz
(麗子……石原麗子)
その名を胸の内に反復する。この街で女医をしている抜け忍。
抜け忍でありながら自らを晒している麗子はそれだけに強敵でもある。
幾たびも追っ手が使わされたが、一度として彼らが戻ってくることはなかった。

それを肝に銘じながらマナはもう一度その名を今度は口に出して呟いた。
「石原……麗子……」
(麗子を殺せ)
宗純のその言葉だけが胸の内に重く巣くっていた。
「出来るんだろうか……出来るよね」
自ら問いかけ、しっかりと肯定するとマナはゆっくりと立ち上がり、市場の中へと入っていく。
場所にはよるというものの、少女にしか見えないマナは他の者たち以上に怪しまれない。
「あなたには無理よ、出直しなさい」
2,3歩進んだ時、耳元でそんな声がした。咄嗟に身を翻し、振り返る。
「演技はまだまだね、そんな事じゃすぐに同業者だって分かるわ」
そういうと麗子はマナに背を向け、歩きだした。
「来なさい。言っておくけど、狙ってみたって無駄よ」
マナは完全に圧倒されていた。


【観月マナ 忍者・麗子を殺す使命を負う】
【石原麗子 元忍者、現在レフキーにて医者を営む】
【高倉宗純 忍軍頭目、正体不明】
586魔族の剣(1):02/01/05 13:36 ID:ArM9ARZa
 道行く人が、青年を振り返る。
「そうだなあ……」
 その体格のためもあるのだろうが。
「とは言ってもね……」
 今回に限っては、その奇行のためであろう。
「------そうだろ、楓ちゃん?」

 柏木耕一は-----ひとりで、話していた。
 どちらかといえば、声の大きい彼。
 誰かと会話しながら悩んでいるかのように、ぶつくさと唸りながら歩いていく。

 しかし、ようく耳を澄ませば、もうひとつの声があると知れる。
「……浩平さんは、ルミラさんに恩を売るつもりなのだと思いますよ」
 その声は、耕一の太い腕にすっぽりと抱かれた黒猫から発せられている。
 柏木楓の、か細いながらも穏やさの漂う、静かな声が聞こえるはずだ。
「王国側では魔族を重用できないでしょうし、宗団では囲いの中から出られなくなってしまうかもしれません」
「宗団って、そんなに危険なのかい?」
「はい……一部の、幹部だけですけど」

 おおよその話を聞いて、耕一は現状を整理しようとする。
「そうすると結局のところ、ギルドは宗団と王国に対して、どういう顔をするつもりなんだい?」
「宗団、魔術アカデミー、王国特務隊。それぞれに対して、残りの二つへの情報を絞ったことを告げ、残りの二つから
 の争奪戦参加メンバーを知らせることで解決すると思います」
「それって……当人たちは、もう遭遇してたりしないか?」
 ギルドが詐欺まがいの事をするのは当然なのだが、それでも梓や楓のことを考えると、耕一は心配になるのだ。
 
587魔族の剣(2):02/01/05 13:37 ID:ArM9ARZa
「……それはそれで。要は計画を推進している人間がはじめて聞いた情報なら、それだけで価値があるので」
「現場は二の次ってことかい」
「偉い人が居るところは……そういうもんです」
 たぶん人間の姿のままでも変わらぬ、無表情の様子で楓はあっさりと答えた。
「嫌な話だなあ。聞いたら、梓が怒るぞ?」
 耕一は頭をぽりぽりと掻いて、今度は姉妹の不和を心配する。

 そんな彼のしかめっ面を眺めながら、楓は尻尾を優雅に揺らして答えた。
「梓姉さんも解っているのでしょう。どちらかというと、真面目な人を送ったそうですよ」
「もしものとき揉め事が広がらないように-----か。それで、魔術アカデミーと宗団は?」
「宗団は出遅れるでしょう。距離がありすぎます。
 魔術アカデミーのほうは、情報が少なすぎます。最近のアカデミーは、実際に調べるという事を軽んじていますから」
「辛辣だね」
「……事実です」

 こういうとき、柏木家の中で一番強情なのは、楓である。
 彼女の義憤をたしなめるのは諦めて、耕一は話題を変えることにした。
「それで、うちにある例の剣だけど」
「……まだ、光っているのですか?」
 うん、と耕一は軽く頷き、自らの見解を述べる。
「何かの拍子に魔法の物品が魔力を取り戻すことは確かにあるんだ。
 だからと言って、俺が打ち直したからとか、そういう問題じゃなくて-----」
「……秘宝塔へ人が近づくと、光るとでも?」

 自分の言葉を引き継いで答えた楓を、耕一はじっと見つめて聞いてみる。
「-----おかしいかな?」
「いえ。その間連性を、考慮したことはありませんでした」
 楓はそれを失策と認めたのか少し落ち込みながら、するりと耕一の腕の中から抜け出すと足音もなく地面に降りた。
 遥かに高くなった耕一の顔を見ながら、楓は尋ねる。
「その仮説を正しいとして、どうするつもりなんですか」
588魔族の剣(3):02/01/05 13:37 ID:ArM9ARZa

 すり抜けた楓を心配して、一度はほどいた腕を再び組みながら耕一は言った。
「あの剣は、きっと-----塔の住人のために、作られたんだよ」
「……それで”魔族の剣”ですか」
「話の筋は、通るだろう?」

 無言のまま了解の意思を示し、一度は頷いた楓であったが、すぐに首を振る。
「これでも随分、頭が回るようになってきたと思っていましたけど……まだまだ、です」
「そう落ち込むものじゃないよ。魔法の方、最近いいみたいじゃないか」
 あまり弱音を吐かない楓だが、耕一は立場上、愚痴の聞き役になる場合が多い。
 気付かぬうちに、慰めるのもうまくなっていた。

「……魔法は、あるていど自分だけで訓練できるものですから」
 そう言って黒猫は、きた道を戻ろうとする。
 人の姿なら、たぶん頬を少し赤らめていたかもしれないが-----今は、判らない。

 その小さな背中に向って、耕一は叫ぶ。
「-----楓ちゃん! 剣のこと-----」
 大声で叫ぶことに批難の意を示し、尻尾を立てながら楓は振り向き、言葉を引き継いだ。
『-----塔の住人がどうなるかは、判りません。
 無事なら必ず、伝えます』

 そう言った楓の声は----耕一だけに聞こえるように、耳元周辺の空気だけを微かに操る----魔法の声であった。


【柏木耕一(シェイプシフター/鍛冶屋/元戦士):”魔族の剣”所持。塔の住人が正統な所持者と考え、会いたいと思っています】
【柏木楓(シェイプシフター/盗賊ギルド員/修錬中の魔法使い):塔の住人と耕一が会えるよう、働きかけるつもり】
589名無したちの挽歌:02/01/05 13:42 ID:ArM9ARZa
毎度、挽歌でございます。
「魔族の剣」をお送りいたします。

魔族の剣に関して、詳細は全て不明です。
形はkanon本編で舞がもっている、あの剣ということで。


話としては「なんでも屋」(>>512-514)から続く、耕一パートです。
もし無事に舞がレフキーにきたら、楓&耕一が使えるといいなあ……と。
590ヴァルキューレの奇行:02/01/05 15:25 ID:IkkkezW8

 レフキー街道。
 共和国最大の港湾都市の名を冠した海岸沿いのその街道は、大陸の東西交易の陸の大動脈であり、同時に大河を一つ挟んで対峙する共和国と帝国を結ぶ、軍事上の要衝でもある。
 古来、数多の旅人、冒険者、商人、そして軍隊が行き来したこの街道は、そんな東西対立もあって必ずしも安全な街道とは言えなかった。

 平野部はまだいい。街道沿いの都市から出動する巡察隊が昼となく夜となく街道を巡回し、道行く人々の安全を守っている。
 商隊が街道を離れて海路を選び、陸運が衰えるようなことになれば死活問題だから、彼らも必死に治安維持を図っている。

 だが山岳部、それも夜、しかも国境沿いとなると寄り合いキャラバンに身を寄せない限り、のんびり旅するなど自殺行為に等しい。
 昼間から亜人の部族や山賊の類が跳梁し、夜ともなれば付近で倒れた旅人や兵士のなれの果てであるアンデッドが、生者の血肉を求めてさ迷い歩く。
 軍隊の警備も国境までは行き渡らない。両軍の巡察隊が国境でばったり遭遇でもしたら……やることは、お互い一つしかないだろう。
 だから、普段は面倒ごとを避けるため街道の治安は最低限にしか守られない。
 匪賊の類もそれを知っているから、より国境に近いところ(あるいは、国境の向こう)に拠点を構えて乱暴を働くのだ。


 ……幾つもの馬蹄の響き。
 夜間、国境から多少離れたとはいえ少なからず残る危険を冒しての強行軍を図る旅人や商隊が、慌てて路傍へと身を逃れる。
 疾風のように闇を駆け抜ける、数十騎の騎馬隊。いずれの騎手も深くフードを被り、身には全身を包みこむような外套を纏っていて、いかなる人物が手綱を取っているのか、外から窺い知ることはできない。
 ただ、ガチャガチャと、金属の触れ合う音が外套の中から漏れることから彼らが武装していることだけはわかる――
(共和国の巡察隊か……)
 多くの旅人はそう考えた。
(どこか、大手の商隊の護衛かもしれない)
 騎乗する傭兵団というのもいたから、そう考える人々もいた。
 当たり前のことかもしれなかったが、共和国領内で活動するその騎兵の一団が、密命を受けて秘法塔への道を急ぐ帝国軍特務部隊とは誰も想像しなかったのだ。
591ヴァルキューレの奇行:02/01/05 15:28 ID:IkkkezW8
「……それにしても……ね」
 後続の馬群から二馬身ほど抜け出して先頭集団、寄り添って走る二騎の片割れが蹄と風の音にかき消されない程度の小声で傍らの騎兵に囁きかけた。
「女王の命で共和国特務部隊が動いた。編成は坂神蝉丸、長谷部彩という男女。それ以上は人物、計画ともわからない……っていうのは、なんとかならなかったのかなぁ」
「スパイ107号だっけ? 密偵情報なんかに期待したあたしたちが馬鹿だったってことよ」
 囁かれたほう、岡田もやはり小声で返すが、憂いの色が強い吉井に対してこちらは不満たらたらの様子。
「ま、この任務が下されたこと自体がケチのつき始めだけどね」
「……そうだよね」
 くすり、と吉井の顔に苦く笑みが浮かんだ。
 秘宝塔の話は随分前から広く共和国、そして帝国にも伝わっていた(と言っても、冒険者や旅人が酒の肴に話すというレベルでだが)
 それが今まで特に国家レベルで回収しようとかそんな動きにならなかった理由は、一般に彼の一族が死に際して残す秘宝が、普通の宝石の域を出ないものだと考えられているからだった。
 要するに、わざわざ回収する必要もないと判断されたのだ。塔の魔物は外に出てくる気配も無かったし、それに世界中の秘宝という秘宝に手を出していたのでは冒険者に怨まれてしまう。
 だから、スパイが伝える共和国が回収に乗りだした理由が、『女王の道楽』だというのは為政者としてどんなもんだと思う。
 ……それ以上に、共和国への対抗意識だけで部隊を派遣する帝国上層部はさらにどうかと思うけど。
592ヴァルキューレの奇行:02/01/05 15:29 ID:IkkkezW8

 ……ま、あたしたちは言われたことをやるだけだけどね。
 ふるふると首を振り、岡田は表情を引き締めた。
 街道の先に分かれ道。
 まっすぐ行けばレフキーへ。
 分岐する田舎道に入れば秘宝塔の村の方角へ。
 手綱を引き、馬を止め、背後の兵を振り帰る。
「あたしと吉井の隊は秘宝塔へ先行!」
 了解、と吉井。
「松本! あんたの隊は途中で分遣して辺境へ通じる道への橋を一つを残して落として。三日は通行を止められるわ」
 橋を落とせば交通が止まる。交通が止まれば情報も止まる。交通と情報が止まれば、秘宝塔のある辺境へ向かうことも、何が起きているか外部から窺い知ることも出来ない。
 その指示に、「はぁい」とお気楽な返事が松本から…………
「……松本? おーい、あんぽんたん! 返事しなさいよ!!」
 返らない。気まずい沈黙が場を覆う。
「松本? また寝てるの……?」
 きょろきょろと、不安げに吉井が辺りを見まわす。
 地上ばかりに視線がさ迷うその時点で、いろいろとダメ臭いが。
「ええと……三十分ほどまえ、馬の背で舟を濃いでらっしゃるのは確認したんですが、その……」
 ……止め。
 松本隊の兵が、引き攣った笑みを浮かべて彼女の乗騎を連れて来た。
 その背の鞍には、誰も乗っていなかったり。
593ヴァルキューレの奇行:02/01/05 15:30 ID:IkkkezW8





「……はっ、まさかアブダクションされた!? 五分少々記憶が吹っ飛んで!!」
「岡田、岡田。現実逃避しない」
 別に白い光に包まれたりはしてないし、耳に異物を埋めこまれたりもしてない。
 ある意味それ以上に重大な問題だったが。
「それで……どうしよう?」
「どうしよう、って言ったってさ……っとに、あのあんぽんたんはっ!!」
 これ以上ないほど困った顔の吉井に、これ以上ないほど怒った顔の岡田。
 ひとしきりうーっ、と唸ったあと、岡田は手綱を乱暴に引いて今来た方角へと馬首を巡らせた。
「……しかたない。吉井、あんたは先に秘宝塔へ。あたしは松本を拾いに戻る」


【岡田】松本を拾いに反転。
【吉井】兵を伴い秘宝塔へ。
【松本】街道上で爆睡中?
594竹紫:02/01/05 19:02 ID:wPKGBVwF
>>583
          ∧_∧  
         < `∀´>    ちょくちょく設定を変えるのは止したまえ
       _φ___⊂)_      そのキャラを書く際に情報が混乱する原因になるぞ
      /旦/三/ /|       また、どうしても使いたい設定があるのなら作中で表現しなさい
    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |         リレーとはいえSSである以上、作品で語りたまえ
    |阿鼻様沈没|/
595"大変が変態さんなの"(1):02/01/05 19:45 ID:CxogSSFp
木々が鬱蒼と茂るあぜ道を歩く茜、澪、明義の三人。すると、途中でくいっくいっと澪が茜の袖を引っ張った。
「ん?なんですか?」
焦った様子でスケッチブックの走り書きを見せる。
「ああ、わかりました。早く行ってください、ここで待ってますから。」
ダッシュで茂みの奥へと消えていく澪、訳が分からない明義。
「どこへ行ったんだ?」
「かなり慌ててたようですね、スケッチブックを忘れていきましたよ。」
そう言って茜は地面のスケッチブックを拾ってパッパッと土を払いながらそれを明義に見せた。
そこには震えた字で"トイレなの"とだけ書かれていた。

(ふぅー、気持ち良かったの。)
一本の樹木の陰で用を足し終えた澪が立ち上がって茜達の下へ戻ろうとしたその時、どこからかガチャガチャという金属音と人の声が聞こえてきた。
(?)
見を低くして茂みに隠れながら音の方へ下って行くと小川があり、その小川の川原にかなりの数の騎馬隊が待機していた。
その中の隊長騎と取れる一人の女騎士が騎馬隊に向かって叫んだ。
「いいか!ここを登りきったら今回の目標である秘宝塔へ到着する。そこは魔物が出現する場所でありさらに我等が帝国軍と対立するリフキーの王立特務部隊が派遣されているという情報も入っている。」
(帝国?)
「各自ここで一旦休憩を取れ!馬に十分な水を与えるのを忘れるな。解散!」
女騎士がそう言い終わると兵士達は馬を小川に引き連れて行った。
(大変なの!二人に教えなくっちゃ!)
澪は走り出そうと立ち上がった時、少し離れた樹木の陰で立って騎馬隊の様子をぼーっと見ていた青年が居る事に気づいた。
「ん?」
青年も澪に気づいてこちらを向く。しかし青年は立ち小便し終わった直後で自分の一物をしまう前であった。
(!!!)
「あ…!」
青年も気づいたのか慌てて一物をズボンの中にしまった。
「こ、これはちょっとオシッコを…」
青年が顔を上げて言い訳を言おうとした時、澪はすでに真っ赤な顔をして逃げ去った後であった。
596"大変が変態さんなの"(2):02/01/05 19:46 ID:CxogSSFp
「…遅いですね。」
そう心配そうに呟く茜。
「大の方かな?」
「下品です。」
ジト目で睨まれた明義が目を逸らした所、澪がかなり慌てた様子でこちらに走ってくるのが見えた。
「お、帰って来た…そんなに慌ててどうしたんだ?」
澪が突然馬のジェスチャーを始める。
「馬がどうした?馬のモンスターにでも会ったのか?」
違う違うと首をブンブン振る澪。
「落ち着いて。はい、これ。」
意味不明なジェスチャーを続ける澪とは対照的に落ち着いてスケッチブックとペンを取り出す茜。
受け取った澪は何かを書き始める。
"あのね!" "大変なの!" "帝国の逆襲なの!"
慌てていた割りに澪はきっちりと三ページ使ってそれだけを書いた。

「なるほど…帝国軍ですか。」
澪からおよその事を聞き終わった茜達はひっそりと作戦会議をしていた。
「なんだって帝国軍がこんなトコに?」
「おそらく秘宝が目当てでしょうね。秘宝の中には時として信じられない効果を持った物もありますから。」
「ふ〜む…それでどうする?俺達は。」
「もう少し様子を見ましょう。魔術アカデミーは帝国と対立しているわけではないですし。幸いこの道なら帝国軍と鉢合わせする事も無さそうです。先に行って帝国軍の動向を探りましょう。」
「了解。」
"あとね!"
「まだなんかあるのか?」
澪は少し赤い顔をして次のページをめくった。
"変態さんがいたの…"
597"大変が変態さんなの"(3):02/01/05 19:50 ID:CxogSSFp
(ああ…さっきのコ、絶対誤解したよなぁ…)
ちょうど今別の場所で"変態さん"の称号を授かった健太郎は激しく鬱になりながらトボトボと志保と七瀬の下に戻った。
「おっそーい!ドコまで行ってたのよー?もしかしてウンコ?」
「志保、下品よ。」
「はぁ、違うよ…あ、そう言えばさっきそこで…」
健太郎は帝国軍を見た事を二人に話した。もちろん自分の一物を見て逃げて行った女の子の事は一言も漏らさずに。
「ぬぅあんですってええぇー!?」
「わ、ビックリしたぁ!」
帝国の事を聞いた志保の顔色が変わる。耳元で大声を出された健太郎は耳を押さえた。
「でもどうしてそんな大人数の帝国の兵士がこんなリフキーの近くにいるわけ?」
七瀬が志保に尋ねる。
「リフキーの連中は基本的にのほほんの集まりだから、しばらくの間何も無かったし、こりゃ女王も平和ボケがそうとう進んでるわね。」
「だけど大丈夫なんじゃない?この様子じゃ帝国は何度もリフキー近辺には来てるみたいだし。今回も何も無いでしょ。」
「甘いわね、ルミラが教えてくれたのよ。秘宝塔にはリフキーの王立特務部隊の連中が派遣されたらしいわ。おそらく帝国の目的も秘宝でしょう。」
「それが?」
「あきれた、まだ分かんないの!?もし王立特務部隊と帝国が衝突でもしたら戦争のきっかけにもなりかねないのよ!」
そう言い終わるや否や、志保はモアに飛び乗った。
「急ぐわよ!帝国の奴等が休んでる間に秘宝塔へ行って待ち伏せ取材よ!」
「ルミラはどうすんのよ?」
「行けば会えるでしょ。こっちの道を行けば帝国の奴等には会わないからこっちに行くわよ!」
「はーい、志保先生。健太郎、行くわよ。」
「はぁ…絶対誤解されたよなぁ…」
志保がスクープで一人浮かれMAXでいる反面、健太郎はまったく関係の無い事でまだ落ち込んでいた。
598名無しさんだよもん:02/01/05 19:59 ID:Xqtl6W3e
現状整理 まとめをアップ希望。
設定とか多くてパンクしそうです。
新人が入りやすくなる意味でも頻繁に挙げてほしいです。
599名無しさんだよもん:02/01/05 20:00 ID:CxogSSFp
>>595-597
【茜・澪・明義:もうすぐ塔に到着】
【志保・七瀬・健太郎:上に同じ(モアの分こっちが早いか?)】
【澪・健太郎:ちょっとした面識を持つ】

やあ人がちょっと増えてきて嬉しい限りッス。
今まで動いてなかったパーティーを動かしてみました。
下ネタが入ってますが大目に見てください。 m(_ _)m
600夕闇の中で:02/01/06 01:02 ID:inXwGjRm

夕焼が、森と世界を赤く染め上げるころ、ようやく志保たちは、村に辿り着いていた。
「着いたな」
「静かな村ねー」
「はぁ、はぁ…やれやれ、やっとなの…」
期せずして、佐祐理、セリオ、浩之が来た時とほぼ同じような事を口にする3人。
とはいえ、志保の息が切れているのは、浩之のように荷物を持っていたからではなく、単に歌いすぎなだけであったが。

そのまま中に入ろうとする3人の前に、小屋から飛び出してきた男が、立ちふさがった。
「お前達、冒険者だな?この村に何の用だ」
まるでRPGのような質問をする男に、七瀬は呆れた顔になった。
その視線が、志保の方に向く。
「あたし達、別に冒険者じゃないわよ」
全員を代表して、志保がモアから降りた。志保は、こういう交渉には強い女である。
ダテにレフキーの情報を、一手に握っているわけではない。
「嘘をつくな。戦士が二人に……お前はよくわからんが……こんな辺鄙なところに来るのは、塔目当ての冒険者達に決まってる!」
よくわからん、と言われた志保は、ちょっと頬を引きつらせつつ、あくまで和やかに言った。
「塔なんてのは、聞いた事もないわよ、ねぇ?」
いきなり話を振られた健太郎は、ぎょっとしたが、ぼろを出すより早く、七瀬の足が、健太郎のつま先を踏んづけた。
「っ〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
「おほほほ、実はこの人は、かの有名な『放浪の歌姫』なんですよ」
「ほ、放浪の歌姫!?嘘だろ?」
嘘呼ばわりされた志保の額に、青筋が浮かんだ。が、顔はあくまでもにこやかに。
「…それなら、証拠をお見せしましょう」
志保の手が、懐のマイマイクに伸びた。
601長瀬なんだよもん:02/01/06 01:02 ID:inXwGjRm
志保が、ゆっくりと歌い始める。
伸びやかな声が広がり、ゆったりと波紋を広げながら、村中にその歌が響いていく。
「健太郎っ!この耳栓をしなさい!」
「え……なんだって………?」
すでに、とろん、とした目になっている健太郎を見て、七瀬は、だめだこりゃ、と嘆息した。
門番も、ぼんやりとした顔になって、門をくぐる志保の後に付いて来る。
志保が、歌いながら村の中に入っていくと、道行く人達や、家に入っていた人達が、次々に集まってきた。
「なんだなんだ……!?」
「綺麗な歌…」
歌を聞いたとたん、誰もがぼんやりとした顔になっていく。
「相変わらず、すごい効き目ね…」
村中の人が集まって来たのを見て、七瀬は耳を塞ぎながら、感心したように呟いた。

「さぁ、村の皆さん〜最高ですか〜」
最高で〜す〜……と、誰もが死んだ魚のような目で、いっせいに志保の声に呼応する。
「…しかし、この不気味さは、なんとかなんないのかしら……ほとんどゾンビじゃないの」
ゾンビ村と化してしまったこの村の中で、ひとり志保だけが、陽気に歌い続ける。
「さぁ〜皆さんご一緒に、いやっほう、国崎最高ーーー!」
『いやっほう、国崎最高〜〜』
「アホな事してるんじゃないっ!」
がす、と頭をどつかれて、志保はへへへ、と照れ笑いをする。
「それじゃあ、皆さん、いい感じでお家に帰ってくださいね〜」
口々に、国崎さいこ〜とか、逝って良し、とか呟いていた村人達は、潮が引くように帰っていった。
「いやっほう、国崎最高〜」
「ってこら!!健太郎、あんたまで帰ってどうすんのよ!!」
投げやりに叫びながら、一緒になって帰ろうとする健太郎を、七瀬はその岩をも砕く鉄拳で[説得]した。
やがて、人っ子一人いなくなった村の広場で、志保はぴっ、と空高くブイサインを掲げた。
602夕闇の中で:02/01/06 01:03 ID:inXwGjRm
「……はっ、俺は今まで一体……?…ぐぁぁっ!!あ、頭が割れるように痛むっ!?」
地面にひっくり返っていた健太郎が、苦痛に頭を押さえ、のたうつ。
ちょっぴり汗を垂らしながら、七瀬が健太郎に言った。
「あんたは、志保の『歌』にハマってたのよ」
「う、歌って……」
「『S.O.M』系の呪歌で、人の判断力を低下させ、自分のいいなりにする歌よん」
志保はしれっと言って、モアに乗り込んだ。
「さ〜て、邪魔者もいなくなった事だし、とっととルミラに会いに行くわよ」
「そうね、早く乙女の剣を見つけたいし、このままだと、夜になっちゃうわよ」
「頭いてぇ……」
三者三様の反応で、志保達は塔に向かっていく。

塔は、夕闇の中に、その異形の姿を浮かび上がらせていた。
誰もが、一言もしゃべれなかった。
その雰囲気に飲まれ、ごくん、と志保が唾を飲み込む。
赤い光に照らされて、まるで血を吸ったかのように、鈍く輝く塔に、誰もが言葉をなくしていた。
「ど、どーするのよ?なんか『弟切草』のような雰囲気だんだけど」
「そ、そりゃ、入るしかないでしょ……こうなったら」
中に入ろうとしたその時、目の前に、石の狼が立ちはだかった。

「……下の方が騒がしくなってきたわね……これはとっとと駆け付けないと……」
そうは言いながら、目の前に群れるウサギの大群に、ルミラは手を焼いていた。
大規模破壊の魔法でも使えれば話は早いのだが、こんな狭い所で使えば、生き埋めは免れないだろう。
「しょうがない、奥の手を使うか……」
ルミラは舌打ちし、ゆっくりと意識を集中する。
身体の輪郭がぼやけ、色彩が鈍く、透き通っていく。ぱさり、と足元に服が落ちた。
ヴァンパイアの特殊能力、『霧化』を使い、ルミラは石畳をすり抜け、下に直接降り始めた。
603夕闇の中で:02/01/06 01:05 ID:inXwGjRm
「石の狼……宝石獣ね!」
七瀬が、額のダイアに気付き、一目でその正体を見破る。
「よっし、ここはこの志保ちゃんに任せなさい!!」
いきなり元気になった志保は、背負っていたリュックから、酒とほくち箱を取り出した。
「そんなもので、どうする気だ!?」
健太郎が、訝しげな顔で、志保に問いかける。
「ふふん、まぁ見てなさいって! いい、あの額の宝石は、ダイアモンドでしょ?」
志保の口元に笑みが浮かび、手にした酒の袋を、これ見よがしに掲げる。
いまだ動かず、そこに座り続けている石の狼に、志保はぱっ、と駆け出した。
「なっ……無茶だ!」
「ダイアは、木と同じ元素から出来ている! つまり、火で燃えるのよ!!
それに、こういった広い屋外で使えば、酸欠になる心配もない!!ふふん、あたしはヒロとは一味違うのよ、おーーっほっほっほ!!」
『志保!?こんな所で、なにやってんの?』
高笑いと共に、狼に酒を浴びせようとした志保は、いきなり聞こえてきたルミラの声に、凍りついた。
「…あ、いやその……あんたに貰った宝石が、呪われてたんだけど……」
『ああ、それは悪かったわね。今ちょっと手が離せないから、入って来て』
狼の口がぱくぱくと動き、石像は、あっさりと道を開けた。
見せ場を奪われた志保の横を、ひゅるりろり、と冷たい風が吹き抜けていく。

「いやぁ、良かったですね、すんなり入れて」
「そうね……」
ちら、と七瀬は、酒を頭上に掲げたまま、凍り付いている志保に、気の毒そうな視線を向ける。
「長岡さん、結局、何をしようとしてたんですか?」
「訊かないであげて……女には、色々あるのよ」
七瀬は、ぽんぽん、と慰めるように、志保の肩を叩いた。
活躍の場を失った志保は、うつむいたまま、肩を震わせていたが、やおら絶叫した。
「ヒロのばっきゃろ――−−ーーーーーーーーーーーー!!!!!」
「逆恨みよね……」
604名無しさんだよもん:02/01/06 01:22 ID:89PmZYN9
終わったん?じゃあ聞きたいが。
この世界における「弟切草」「国崎」はいったい何?
あと「S.O.M」系って何?
605長瀬なんだよもん:02/01/06 02:17 ID:inXwGjRm
ああ、貼り忘れ。>>600-603

【志保、七瀬、健太郎、塔の中に進入成功】
【ルミラ  最後の手段、『霧化』を使い、塔の中をすり抜ける。服は霧にならないので、今全裸】

>>604
「弟切草」雫のモデルになった、元祖ビジュアルノベルです。ギャグです。
「国崎」これも単なるギャグです
えっと、あんまり深く考えないで下されば、こっちも嬉しいです(汗
両方好きなんで、つい……

「S.O.M」は、SongOfMind、精神系の歌の略です。
ふと思いついたので、入れてみました。
606長瀬なんだよもん:02/01/06 02:22 ID:inXwGjRm
聖戦の時にまとめをやって、二度とやりたくないと思っていたのに、ついやってしまった…
>>426-423以降の、キャラ別行動まとめです。
題、リレー先、レス番号、登場人物、注釈の順です。
間違いがあったら、ごめんなさい。

過去と現在(>>512-515 なんでも屋 >>595-597 “大変が変態さんなの”)
>>426-430
【志保、七瀬、健太郎、浩平、英二、楓】

【志保、七瀬、健太郎は、モアに乗って塔を目指す】
【長瀬源一郎 どこかの旅芸人一座の座長をしているらしい】

狼少年浩之(>>443-446 修羅と目覚め)
>>432-434
【浩之、佐祐理】

【倉田佐祐理:塔の内部へ】
【藤田浩之:石の狼(ルミラ製)と交戦中】

一座到着
>>435-437
【矢島、繭、美汐、久瀬、御堂、真希、広瀬】

【久瀬 前団長の元へ】
【御堂・繭・広瀬・矢島・美汐 宿屋へ】
607潜入作戦(1):02/01/06 02:23 ID:fav3b8i9
「あうーっ……ちゃんと届いたかなぁ……」
人目を避け、周囲に気を配りながら、船倉へ向かう影がひとつあった。
その影の名は―――沢渡真琴といった―――
「もう少し調べなくちゃだめだよね……」
そう、彼女こそカモメを使い積荷の情報をリークした人物であり、海賊集団《相沢一家》の
メンバーの一人でもある―――

「この数日間、ここでバイトをしたからどこに何があるかはバッチリなんだからっ!」
船が港に到着する前に、積荷の再確認をする必要がある。
あわよくば、社長と秘書が話していた古代の遺物―――銃をそのまま頂ける可能性もある。
「秘密しゅぎって、すっごくメンドーっ!おかげで時間ギリギリだし……」
ぶつくさ言いながら走るその姿は……お使いを頼まれた子供そのものだが(笑
周囲に気を配っている瞳は子供では無かった。

「何?人?……隠れよっ!」
素早い身のこなしで、壁を背にして奥を覗く。あれは……ジョージ社長だ……
「ようやく手に入れたこの遺物……ハシタ金では売れないなぁ」
「適正な価格で売買してこその商売だ、これは絶対に譲れない……」
手に持っている物は―――間違いないっ!『ライフル銃』!!
「船倉に入ったわね、好都合っ!」
小さくガッツポーズを決める真琴。気取られぬように内部に侵入した時!

「動くなっ!フリーズ!!」
「っっっ!!!」
じっじっ銃っ!しかもこっちに向いているっ!タ、タ、弾も入っている!?
608長瀬なんだよもん:02/01/06 02:23 ID:inXwGjRm
捨てる女神あり、拾う女神あり
>>437-440
【夕霧、香里】

【凸(笑) 呪文の使い手(ウィザード級)だったが、呪いが解けるまで使えない】
【香里 夕霧の、光る凸をみて笑う。どんな能力なのかは不明】
【眼鏡 色々な力が(呪いも含めて)こめられてる模様。命に関わるものは無いようだ】

竹紫超先生のアドバイス
>>442

修羅の目覚め(>>495-499 三つ巴)
>>443-446
【夕霧、香里】

【浩之 過去を思い出し、ニンジャにクラスチェンジ(実力は間違いなくマスタークラス)】
【左肩は軽症 佐祐理が手当て】
【浩之の親父 既に他界している】
【石の狼は粉々になる 当然ルミラにもばれる】

二人の荷物(>>512-515 なんでも屋)
>>468-472
【あゆ、花枝、耕一、みさき、智子】

【岩切花枝(盗賊ギルド員”闇の牙”/元王立騎士団特務部隊員/暗殺者):任務達成直前。みさき、智子に遭遇】
【柏木耕一(シェイプシフター/元戦士/鍛冶屋):木箱を担いでビビリ中。かつての戦役で岩切を助けました】

【川名みさき、保科智子:酒場の中で囲まれ中】
【月宮あゆ:うぐぅ】
609長瀬なんだよもん:02/01/06 02:24 ID:inXwGjRm
在処。
>>476-480
【雪見、彰、さいか、晴香、栞、栞母】

【七瀬彰 東の魔法都市へ、聖先生を連れ戻しに一人旅立つ】
【しのさいか 美坂栞 彰の後を追って魔法都市へ向かうか、向かわないか】

剣と盾と
>>482-484
【梓、南、かおり、理緒】

【柏木梓 栄光への脱出(笑)】
【牧村南 レフキー執政官】
【日吉かおり 身分不明。梓ハンティング失敗】
【雛山理緒 ただの下女?】

夢売り少女(>>528-531 父の情報を求め首都レフキーに)
>>485-487
【美凪、みちる】

【美凪】・・・能力(他人に自由に夢を見せる事ができる)、戦闘力は皆無に等しいが
将来的に能力を磨けば、眠らせずとも相手の精神を操る事で戦いに役立てる事ができるかも
本人はその意志は全くないのだが・・・現在の力はまだ弱く、
不思議な羽を使わないと力を制御できない
【みちる】・・・能力これといってないが、美凪を護るため、ひそかに武術とシャボンの練習を
している

今日の提案(キャラについて)
>>494
610潜入作戦(2):02/01/06 02:28 ID:fav3b8i9
かつん、かつん、かつん―――

銃を構えたまま、隠れている真琴の方へ確実に寄って来るジョージ……
「しんぞーがバクバク鳴ってるぅ……こーなったらっ……
『ひっさつの蹴り』を使うしかないっ……!」
「何やっているの父さんっ!危ないじゃないっ!」
「シンディ!?」
「あううううっ!?」

左回し蹴りを放とうとしてそのまま……
ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ―――どがっしゃ―――ん!!
そのまま……木箱の一つに体当たりをブチかました……

「やっぱり未練たらたらな訳ね、実の娘に向かって構えるなんて!」
「ごっ誤解だぞシンディ!?ほ、ほら、そこに侵入者が……」
「侵入者?殺村さんのこと?」
「なに!?」
「ほら、もう大丈夫よ。落ち着いて」

ば、ばれちゃったよぅ……ひくっ……体じゅういたいぃ……!!
611潜入作戦(3):02/01/06 02:31 ID:fav3b8i9
「殺村さん、本当にごめんなさいね。父さ―――社長にはキッチリお灸を据えとくから」
「あ、あうーっ……」
「でも、殺村君がなぜ船倉に?君は、船室清掃員だったのでは?」
「あぅ。そ、それはぁ……じ、ジョージさんに……」
「父さん?父さんに用があったのね。」
こくこくと頷くことしか出来ない真琴に対し、それを見てさらに怒り出すシンディ
「大事なアルバイトに何をするのよ!次回の募集に響くのよ!?解っているのっ!」
「うう……申し訳ない」
「まったく、父さんはそれをさっさと片付けて!!ああ、殺村さんは手伝わなくていいわよ」

ジョージはしょんぼりした顔で、《赤い布が付いている木箱》に『ライフル銃』を仕舞い込み、蓋を釘で
頑丈に打ち付けた。
「シンディの方は……終わったようだな」
「そう。だから呼びに来たんですけど……殺村さん、少し早いけどご苦労様。」
そう言うとシンディは真琴に袋を手渡す―――給料だった。
「あぅ?あっ、ありがとう!」
「最後のひと頑張り、見せてくださいね」
「はっ、はいっ!じゃあ失礼しますっ!」

そう言うや否や、全速力で船倉を去る真琴だった。
「はぁはぁはぁ……やった!一丁だけとはいえ、おたからゲット確定っ!」
早速部屋へ戻り詳細の手紙を書こうとするが、疑問がひとつ……

「でも、殺村って一体何?……あぁーっ!なにこれーっ!?」
612潜入作戦(4):02/01/06 02:37 ID:fav3b8i9
そう、それは見てはいけない物だった……給料袋にはしっかりと
「何が『潜入する時はこの偽名が一番だ』よっ!祐一のばかーっ!!」
「あうううーっ!!真琴には真琴ってカワイイ名前があるーっ!!」
   
       『 殺村凶子 様』と書かれていた……

     ―――そして積荷が運ばれた第三倉庫内―――


「うむ、これでよしだ」
「それじゃあ帰りましょうか、父さん」
「……む」
「何?忘れ物?」
「いや、万が一を考えてだ……これでよし」
「ふぅ、相変わらず子供っぽいことを……」


【真琴、『ライフル銃』が《赤い布が付いている木箱》に仕舞われていることを確認】
【真琴、アルバイト料をもらう】
【積荷は全て『第三倉庫』へ】
【ジョージとシンディ、積荷の最終チェック完了。積荷に対して安全対策?】
*安全対策?の内容は、次の書き手さんに委ねます*

この話の時間軸は『宮内貿易公司』>>565-567 『海の支配者』>>569-571の続きで
『海の町の火花』>>578-581の間です。
613名無しさんだよもん:02/01/06 02:47 ID:fav3b8i9
>>607 >>610-612まで『潜入作戦』をお送りしました。
少々メ○ル○ア風なまこぴーですが、どうでしょうか?

しかし『安全対策』って何?『トラブル対策』だろ……やっちまったよ、俺。
皆様、『トラブル対策』でお願いします。
614長瀬なんだよもん:02/01/06 03:06 ID:inXwGjRm
>>613
微妙に割り込んですいません。

三つ巴(>>500-503 魔族との約束)
>>495-499
【浩之、セリオ、佐祐理、ルミラ、蝉丸、彩】

【秘宝塔地下への階段:知識無しに見つけるのは至難。ルミラは千里眼でその存在を確認している】
【倉田佐祐理・藤田浩之・セリオ:地下への階段の前で兎に囲まれる】
【ルミラ:塔の四階で兎と交戦中】
【坂上蝉丸・長谷部彩:塔入り口前にて石の狼(ルミラ製)と交戦中】

魔族との約束(>>517-521 守護者の石)
>>500-503
【蝉丸、彩、浩之、佐祐理、セリオ、ルミラ】

【坂神蝉丸&長谷部彩      塔の内部へ】
【倉田佐祐理&藤田浩之&セリオ 無事に生還】
【ルミラ   佐祐理たちのことは任せた模様】

長瀬祐介(>>535-537 世界の異端者)
>>509-510
【祐介、源五郎】

【長瀬祐介 長瀬一族 レフキーに向かって航海中】
【長瀬源五郎(TH) 長瀬一族 祐介と同行】
615長瀬なんだよもん:02/01/06 03:07 ID:inXwGjRm
なんでも屋(>>551-553 みさきの奇癖)
>>512-515
【浩平、英二、みさき、智子、花枝、耕一、楓、高槻】

【柏木耕一、柏木楓:ふたりで退室】
【折原浩平、緒方英二:”謁見の間”にて、金儲けの算段】
【川名みさき、保科智子:一度は連行されるも、”謁見の間”にて解放。みさきと浩平は先輩後輩の仲?】
【岩切花枝:高槻入りの木箱とともに退室。篠塚弥生捜索へ?】
「高槻:いい感じに漬かってきました」

守護者の石(>>526-528 遭遇)
>>517-521
【浩之、蝉丸、セリオ、彩、佐祐理】

【浩之、背中を負傷。かなり深い傷だが、動けないほどではない】
【セリオ負傷。どの部分か具体的にはわからない。血は出るのか?】
【浩之、蝉丸、彩、佐祐理、酸欠で失神。勿論、セリオは平気だろう】
【ルミラとは別口で、宝石獣を埋めた存在がいるらしい。年代は、かなり昔】

今日の提案(宗教)
>>523

遭遇
>>526-527
【浩之、蝉丸、セリオ、彩、佐祐理】

【塔内部のパーティ:舞を発見】
616長瀬なんだよもん:02/01/06 03:08 ID:inXwGjRm
父の情報を求め首都レフキーに
>>528-531
【美凪、みちる、橘】

【美凪 橘敬介を言い値で雇用 首都レフキーまでの同行】
【みちる 宿で待機】
【橘敬介 蓬莱流剣術 マスタークラス 陰陽術 ビギナー、
武装は日本の武士と同様で詳細は次の書き手にお任せで】

世界の異端者(>>556-560 潮風の都会)
>>535-537
【祐介、シュン、源五郎】

【長瀬祐介、航海中に氷上と出会う】

今日の提案(強さのランク名)
>>540-550

みさきの奇癖(>>586-588 魔族の剣)
>>551-553
【浩平、英二、みさき、智子、花枝、耕一、楓、高槻】

【折原浩平、緒方英二:みさきが秘宝塔へ行かぬよう説得】
【川名みさき、保科智子:まんまと乗せられています】
617長瀬なんだよもん:02/01/06 03:09 ID:inXwGjRm
現在までの登場キャラ
>>555

潮風の都会(>>578-581 海の町の火花)
>>556-560
【祐介、詩子、源五郎】

【長瀬祐介 詩子と食事に行く】
【氷上シュン 姿を消す。祐介以外は彼のことを覚えていない】
【柚木詩子 港町の自衛官 逮捕術を会得している】
【長瀬源五郎(TH) 祐介とは別行動】

宮内貿易公司
>>565-568
【シンディ、ジョージ、レミィ】

【ジョージ、『ライフル銃』の存在を帝国に隠蔽。商品にしてしまう】
【シンディ、船員に第三倉庫へ積荷を運ぶ指示を出そうとしている】
【ヘレン(レミィ)は家を飛び出してるかも?】
【積荷を報告した者の所属は不明】
618長瀬なんだよもん:02/01/06 03:10 ID:inXwGjRm
海の支配者
>>569-571
【祐一、冬弥、晴子、*観鈴、好恵、犬飼、真琴】

*個人的に* 観鈴は、国崎最高と係わり合いがあります。注意。

【祐一 海賊・相沢一家のキャプテン】
【冬弥 相沢一家の良識派。祐一の補佐を務めている】
【晴子 相沢一家の副キャプテン】
【観鈴 晴子の娘。一家の一員】
【好恵 一家の戦闘部隊長】
【犬飼 『ミラクルカノン号』の操船役】
※他に何人乗組員が居るかは続きを書く方にお任せします

海の町の火花
>>578-581
【祐介、詩子、貴之、柳川】

【祐介、自警団と一緒に海賊退治】
【祐介、詩子とデートの約束】
【柳川、自警団に協力】

橘の設定変更
>>583
619長瀬なんだよもん:02/01/06 03:11 ID:inXwGjRm
密命
>>584-585
【マナ、麗子、高倉】

【観月マナ 忍者・麗子を殺す使命を負う】
【石原麗子 元忍者、現在レフキーにて医者を営む】
【高倉宗純 忍軍頭目、正体不明】

魔族の剣
>>586-588
【耕一、楓】

【柏木耕一(シェイプシフター/鍛冶屋/元戦士):”魔族の剣”所持。塔の住人が正統な所持者と考え、会いたいと思っています】
【柏木楓(シェイプシフター/盗賊ギルド員/修錬中の魔法使い):塔の住人と耕一が会えるよう、働きかけるつもり】

ヴァルキューレの奇行
>>590-593
【岡田、吉井、松本、橋本】

【岡田】松本を拾いに反転。
【吉井】兵を伴い秘宝塔へ。
【松本】街道上で爆睡中?

竹紫超先生のアドバイス
>>594
620長瀬なんだよもん:02/01/06 03:12 ID:inXwGjRm
“大変が変態さんなの”(>>600-)
>>595-597
【茜、澪、昭義、志保、七瀬、健太郎、帝国軍】

【茜・澪・明義:もうすぐ塔に到着】
【志保・七瀬・健太郎:上に同じ(モアの分こっちが早いか?)】
【澪・健太郎:ちょっとした面識を持つ】


とりあえず、以上です。
長々と書き込んで申し訳ありません。それでは、もう寝ます。
621名無しさんだよもん:02/01/06 03:17 ID:l9Gz3TR2
 歌を耳にしただけで発動してしまう精神操作系の魔術、ってのは、ちょっと
ばかし強力過ぎないかな? 歌の聞こえる範囲って結構広いよ。一軍を操りか
ねん勢いになっちゃう。
 なんか、制約を設けたほうが良いような(おいおい書かれるかもしれないけど)
622名無しさんだよもん:02/01/06 03:22 ID:CHG+q0Lb
>>621
ぱっと思いつくのは「マイクがマジックアイテム」かな。魔術師にとっての杖みたいな扱いで。
世界設定上マイクなんて自然には存在しなさそうだし(w
623長瀬なんだよもん:02/01/06 03:31 ID:inXwGjRm
>>621
えっと、歌については、

『耳をふさげば、簡単に効果は遮断できる』
『強い意志さえ持っていれば、短時間では、効果は現れない』
『マイクが無ければ、ただの歌でしかない』

制限としては、このくらいでしょうか?

まぁ、声を出すだけ電波よりましかな、と思うんですが。
雫では、祐介は、街ひとつを毒電波で汚染できる人ですし。
624名無しさんだよもん:02/01/06 03:38 ID:l9Gz3TR2
>>621
 そんなとこかなぁ、やっぱり。
 強力な能力には相応の制約を、ってのがデフォだしね。

>>623
>まぁ、声を出すだけ電波よりましかな、と思うんですが。
 ん、そりゃそうなんだけどね。
 でも、バランスを考えると精神操作系の使い手って少ないほうが良いのよ。
なんでもありになっちゃうから……それに、祐介は原作からの能力だしさ。
 精神操作ってのは某オーフェンの世界観のごとく、怖れられ抑圧されるの
が自然な能力だし。
 ま、ここらへんもSSで語らんといかん類か。漏れもさっさと書き進めよ
うっと(w
625みおせる ◆Mio.cel. :02/01/06 06:59 ID:CHG+q0Lb
ぃえーい、酔ってテンションやや高です(w
んなこたぁどーでもいい。

まとめページ現在作成中です。とりあえずログのインデックスまでは作って、あとは個別のログページ作成。
で、ざっと読んでひっかかったところの確認なんですが。

1) >>443-446「修羅の目覚め」はNGじゃなくて採用でおっけー?
2) >>583の敬介の設定変更はどうするか?

この2点についてみなさまの御意見をうかがいたいのですが。
自分としては、1は○、2は×と考えてますが、他の方の意見も聞きたいと考えてます。


っていうか、最近自分も書いてないなぁ。せめて25話に1話くらいは書きたいものだ、と。
626名無しさんだよもん:02/01/06 07:22 ID:UP5BFnUO
>>625
正直どっちでもいいと思うが、その辺は書き手さんにお任せでいいんでない
下手に制限をつけてしまうと、書き手さんの意欲を失う結果になるし
まあ超先生もSSで説明しなさいといってるわけだし
結論)まあ両方とも認めてしまってもいいかと(随分なげやりだなあ 藁
627名無しさんだよもん:02/01/06 07:38 ID:UP5BFnUO
能力の設定値が高すぎるだの、おれのキャラがこんな能力を持つはずじゃなかった
だの、そういう事を討論するならそれ専用のスレを建てて話し合わないと
結果的に本スレを荒らす結果になるのでは
基本的に、自分の設定したキャラがこんな事にと嘆くぐらいなら
リレーSSに参加をしなければ良いと思う
まああんまり極端な例に関しては、相手を刺激しない程度に遠慮して
忠告するのはありかもね
まだ10歳の少女が全身鎧を装備しグレードソードを振り回すとか
同じくろくに修行も積んでいなさそうな=文章中にそのような描写を
されていないキャラが、マスタークラスになっているとか・・・
あまりにも目に余るもの以外は大目にみましょうって事です
628名無しさんだよもん:02/01/06 08:26 ID:Ah8Uv3st
漏れも626-627さんと大体似たよう意見ですかね
押し付けられた形でNGにしてしまうのは避けた方がいいと思う
もともとルールをはっきり決めたわけでもないし
NGにするのなら、明確な基準を元に相手を説得してからでないと
荒れる原因を起こしかねない
基本設定がファジーなのだから話の進行もファジーにしていかないと
ファンタジーは世界観とルールを明確にしてからでないとぐちゃぐちゃに
なるからね、最初が肝心
いまさら締め付けるのもどうかというのが漏れの意見かな
629名無しさんだよもん:02/01/06 09:35 ID:Evb+t/0+
おはようございます
なにやらもめているようですね、2つの書き手さんの文章をみました
両者ともストーリーの流れ、設定自体は世界観を壊すほどのものでないと
わたし個人は思います。ですので許容範囲と判断し、私は2つとも認めても
よいかと思います。
ただ1つ注意してほしいのが、キャラの設定をほいほいと変えてしまうのは
問題があるかと思います。いきなり戦士キャラが魔法を使えるようになっては
それまでの展開を書いた人にとっては面白く無い事ですからね
それにも関わらず、私が天神さんにおkをだしたのは(すいません少し傲慢ですかね)
天神さんがただ思い付きで変えたのでなく、それなりにキャラへの愛着と今後の
展開をより良くしていこうと思って考えたのだろうと判断したからです。
陰陽師のキャラ設定もまだ練り込みは必要かとおもいますけど、魅力を伝わって
きました。
ここでNGにしてしまうのは酷だと思いますし、幸い他の書き手さんが
まだそのキャラにタッチしていないので、許可を与えたとしても
トラブルにはならないかと思います。

とりあえず、まだ初犯ですし(おいっ^^)次からは気をつけてということで

626さんの意見とかぶりますが、NGの査定をするのならNG査定委員会
なるものを設置し、きちんと判断基準を明文化してからする必要があるかと
思います。これくらいは最低やっておかないと後々荒れると思いますよ
630名無しさんだよもん:02/01/06 10:24 ID:y5ZA5jZ4
1.○、話的に不味いというわけじゃない。まあ、前の作者さんの意図に沿ってないかも知れんが
以降努力しようということでいいと思う。
…自分がヘタレだから同じように失敗するかもしれないっていう免罪符的な意味もあるかもしれない意見ですけど
2.×、超先生の言うとおり、文章の外で変更するのはあれだから、自分で敬介の続きを書く時にうまく、自分の望んだキャラになるように誘導して欲しい。
あと、ミドルクラスじゃなくても活かせる様な気がするから。
つうかどんな能力でもレベルが低いと活かしにくいだろうけど、話を作るうえで弱い能力を活かす話も必要だから
陰陽術にはその大役を担ってもらいたいw
631天神海士:02/01/06 12:45 ID:gzLy0Aku
こんにちは天神海士です
うっ続きを載せようとしたら、なんかもめているし・・・
敬介のキャラ設定の変更はNGですか・・・自分としては、
せめてミドルクラスくらいにしてくれたほうがテンポよく進める事ができるのですが
駄目なのでしょうか?
まあ作品の中で上手く処理してほしいというなら、そのように進めてみようと
思います
そちらの方が書きがいがあるかしれんし(藁
じゃあ能力は【橘敬介 陰陽術 ビギナー】ということで、続きを書いてみます
しかし、自分は何回NGを食らってしまったんだろう・・・
恥ずかしい
632名無しさんだよもん:02/01/06 13:14 ID:z3vtaS0d
633名無しさんだよもん:02/01/06 14:24 ID:3IMLJ4Uy
まだ何もやってない敬介に話をそらしてるようだが、やってしまった呪歌の方が恐ろしいなあ。
数百人同時に効くのと、その後の頭痛も戦闘に使えるからねぇ。

必要なのは>>623みたいな「条件」ではなくて、「リスク」だね。
まぁ総合スレにあるように、村人は全員攻撃されたと思って殺意を抱いてるだろうけど逃げるのは簡単。
マイクが使えるのが、一ヶ月に一曲ぐらいとかかな。

『呪歌は攻撃意志として他人に認められる(武器で切ったのと同じ)』
『マイマイクは一回使うと一ヶ月は使えない(使うと壊れる)』

祐介の電波と違って志保は積極的に歌うから、これくらいはあっても良いんじゃない?
634621:02/01/06 14:39 ID:8QWJEDC9
議論も良いがそろそろみんな、本文を投稿しよう。
このまま議論だけの状況があと一日も続けば、徐々に廃れ始めるぞ(藁

いや、火種に着火した俺が言うのもアレなんだけどね。
やっぱここで議論はまずいか? モナー板の文字レス投稿時の推奨形式(あ
そこは基本的に文字レス禁止)がいいかもしれない。
文字レスは議論感想スレに書き、本スレには議論感想スレの該当URLを書き残
すって形式(守られてないが。しかも議論を持ち込まれるリレー小説総合スレ
の人らには嫌がられるかもだが)
635自警団の作戦(1):02/01/06 14:49 ID:rKJhavxr
宿に戻ると、既に叔父さんが帰っていた。お酒を飲んでいたのだろう、顔が赤い。
「よう、祐介。浮かない顔だな。何があった」
「…僕はいつもこんな顔なんだけど」
「何が、あった?」
………まったく、この人には適わない。
僕は、つい先程までの事を話した。食事した先でのトラブル。柚木詩子。海賊退治の事。
「それはまた、すごいな」
「…それだけですか?感想は」
「海賊退治の事か?お前の力があれば、問題ないだろう」
「………」
黙っている僕に、叔父さんは正面に向き直る。
「祐介。私はお前が自分の力を嫌っている事は知っている。だが、力を出し惜しみはするべきじゃない。死んでしまったら、元も子もないんだぞ」
「それでも…僕は、力を人に向けたくありません」
「…やれやれ、お前の頑固さは親父譲りだな」
叔父さんは荷物の中から二丁、銃を取り出した。片方は木製、もう一方は鉄製だ。
「持っていけ、何かの役には立つだろう。使い方はわかるな?」
木製のはスプリングで弾を飛ばす模造銃で、村人のために叔父さんが作ったものだ。野菜を荒らしにきた野生動物を追い払うのが主な使い方である。
ある程度の連発は聞くが、殺傷能力は皆無に等しい。
鉄製のは以前、叔父さんがどこからともなく手に入れてきた本物の銃だ。まともに当ればただじゃすまない。
ただ、精度はあまりよくないらしい。一応、暴発しないよう手を加えたらしいが、装弾数は一発のみなので連射できない。
「ありがとう」
「何度も言うが、力の出し惜しみはするなよ」
「…わかった」
実はあまりわかりたくなかったが。
636自警団の作戦(2):02/01/06 14:49 ID:rKJhavxr
翌日…
「これで、全員だな」
朝の太陽が清々しい。爽やかな一日の始まりである。が、綺麗な噴水の前には物々しい集団があった。
この町では武装は禁じられているが、雰囲気を見ればわかる。現に、一般人は遠巻きにして寄り付かない。
ぱりっとした制服の隊長…貴之さんが、声を上げる。
「今日から防犯強化週間が始まるわけだけど…」
は?…僕は首を傾げた。確か、海賊一味を成敗しに行くって話じゃないのか?
貴之さんは挨拶を続ける。町の治安が町の活性化に繋がるだの、自警団員らしい行動をして欲しいだの…
大切な事なのだろうが、とりとめのない話を延々と聞かされた。
話が終わった後、僕の肩をぽんと叩く。詩子さんだ。
「はいはい、ゴクローサン。いや、隊長の話は長くて仕方ないわねー」
朝からハイテンションだ。と思ったら、いきなり姿勢を正す。
「大体さ、要は『今日は大切な一日だから、ミスが無いようよろしく頼む』…で終わりじゃない」
「悪かったな、話が長くて」
ばつが悪そうに苦笑する貴之さん。その隣りにいるのは…平和には一生馴染めなさそうな、底冷えするような目付きの男だ。
「紹介するよ。こちらは柳川さん。で、彼が長瀬君だ」
とりあえず、一礼しようと頭を下げた瞬間…
ガチン、という音と同時に、僕は吹き飛ばされた。
「…ッ!何してんのよ、いきなり!」
「ほぉ…止めたか。なかなかやるな」
見ると、柳川さんの右手を、詩子さんの棒(警棒というらしい)が押えている。
「…上等!この詩子さんに喧嘩売るなんて、いい度胸ね!」
ようやく僕は柳川さんが僕に右手を振り落とそうとしていた事に気づいた。
ちらりと、柳川さんが貴之さんを見る。
「貴之、これが本当に役に立つのか?とても戦いに役立つとは思えん」
どき、っとした。あっさりと見抜かれてしまった。
実際僕は弱い。これが実戦だったら、あっという間に脳天を砕かれていただろう。
貴之さんは、少し苦笑すると、場所を移そう、といった。
637自警団の作戦(3):02/01/06 14:51 ID:rKJhavxr
「作戦は三段構えだ」
場所を移し、説明を始める貴之さん。
「まず第一段階として、自警団と傭兵で大規模な取締りを行う。傭兵にサクラになってもらって、不正現場を自警団員で押える」
「…それって、囮捜査じゃないですか?」
「囮捜査で問題なのは自警団が囮になる事であって、傭兵がするのなら問題ないさ。少なくとも、表向きはね。
警戒が厳しい事が海賊どもに伝われば、第一段階は成功だ」
詩子さんが手を上げる。
「警戒が厳しい事がばれたら、向こうも用心すると思いますけど」
「そこで、意図的にある場所だけ警戒を薄くする。物資の補給は必要なんだ、奴等は絶対にその道を使う」
柳川さんは地図に引かれた赤いルートを見ながら、皮肉っぽくせせら笑う。
「他のルートを使えば捕まるだけ、か。見え透いた罠だが、効果的だな」
「第二段階として、海賊船を沈める。最悪、陸から追い払う。接岸場所は警戒の薄いところから照らし合わせれば…」
テーブルに置かれた地図の、ある海岸線を指す。
「大体、このあたりになると思う。これは少数精鋭で行ってもらう。第二段階が成功したら最後の詰め、陸に上がった河童狩りだ。自警団、傭兵総出で海賊たちを捕らえる。
で、お二人の役目ですが、第二段階の海賊船を押えてもらいたんです」
「俺は構わんが」
ちらり、と僕を見る柳川さん。その目は鋭く厳しい。
「お前の力を、まず見せてもらおうか。足手まといはいらん。着いてくるのなら、俺を納得させるだけの力を見せてみろ」
ごまかしは、効かないか。この人は、そういうのを認める人ではない。
黙秘していても埒はあかないだろう。仕方ない…僕は、ほんの少しだけ、力を明かす事にした。
638自警団の作戦(4):02/01/06 14:52 ID:rKJhavxr
さて、どうしようか。部屋を見回した僕は、片隅の机に冊子があることに気付いた。
そうだな、あれでいいか。僕はそれをとると、テーブルの上に置く。
「その冊子の、適当なページを開いてください。僕に見えないように」
訝しげに冊子を手に取り、適当に開く。と同時に、僕は力を解放した。
「…『刑事法、第二十三法補足その壱………』」
頭の中に流れ込んでくるものを口に出す。不思議そうに詩子さんと貴之さんは本を覗き込み、あっと声を上げた。
「え?…どうして、見てもいないのに本の内容を読めるの!?」
「…僕は、「スキャニング」って呼んでいる。物質が持つ情報を読み込むことができるんだ」
「なるほど、大層な力だ」
別に嫌味のわけじゃないだろう。柳川さんは貴之さんを見る。
「貴之、こいつは第三段階にまわしたほうがいい。こいつの力は鼠探しの役に立つ」
「そうですね。では、長瀬さんは第三段階で、柳川さんは第二段階でお願いします。柳川さんはこの地図を持っていってください」
こうして、作戦の打ち合わせは終了した。
639自警団の作戦(5):02/01/06 14:53 ID:rKJhavxr
「いやー本当に動き出したって感じがするわ。わくわくするわね」
「…そうかな…」
「でもさ、祐介君って本当に凄い力持っているんだね」
「…そうでもないよ」
僕の力が『スキャニング』だけなら…情報を読むことが出来るのが『物』だけなら、こんなに力を使う事に抵抗感はない。
「…あたしの幼馴染にもさ、祐介君みたいに、不思議な力を持っている子がいるんだ」
「幼馴染?」
「もう、ずっと前に、術師になるってレフキーに行っちゃったんだけどね。…何のためにこの町を出たのか、術師になってなにをしようと思っているのか…結局、わからないままだったな」
少し寂しげな詩子さん。幼馴染か…僕にはいないからよくわからないけど、特別な存在なんだろう。
けれど、すぐに詩子さんはにこりと笑う。
「でもさ、いつか帰ってくるって、私は思っているんだ。だって、故郷だもんね」
「だから、詩子さんは自警団に入ったんだ。この町を守ろうって」
「そういうこと」
背を伸ばし、颯爽と歩く詩子さん。とても強い人だと、僕は思った。

【長瀬祐介 銃二丁(模造銃と単発の銃)所有】
【柚木詩子 何故か祐介に同行】
【柳川   海岸線に向かう フィルムーン周辺の地図を所有】
【貴之   本部づめ】
【作戦開始 現在第一段階】
640名無しさんだよもん:02/01/06 14:55 ID:rKJhavxr
と、いうわけで。自警団の作戦をお送りします。
この作戦に相沢一家はどうするか、宮内貿易公司はどうするか。はお任せ。

で、祐介の力を設定してみました。
でも、これまた力の断片です。
641名無しさんだよもん:02/01/06 15:03 ID:EKPGpBDH
>>640
>>310-314との整合性はどうよ?
柳川を実際に持ってきたからには、考えはあると思うけど。
642621:02/01/06 15:13 ID:8QWJEDC9
と思ったら、投稿が。そして容量オーバーが間近いね。
新スレたてるべきなんだろうが、何を最初にまとめたらいいのかすらわからん……
これだけ設定が混乱してるとな。或いはまとめる必要もないのだろうか?
どうすればいいんだ(藁

>>641
それを指摘するなら>>578-581で指摘するべきだった。
643敬介の過去(1):02/01/06 15:34 ID:gzLy0Aku
(お主は本当に駄目な男だよなあ・・・ここにきて何年目になる?
何年目だ〜うん?)
意地の悪い同僚の仲間達の顔がみえる

(っ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
(黙ってちゃわからねえよ?何年目だって聞いているんだからよお)

(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
悔しくて・・・・・なにも言い返せずに・・・・・・おれはうつむく

(・・・・・・は・・・八年)

(ひゃっひゃひゃひゃはーーーーーーーーーはっ笑わせんないでくれ!お前がそんなに
ここにいるわけねえだろ?なんで8年もいるやつが占術もろくにできねえんだよ?
ひいっひひひひ・・・これは愉快な話じゃ・・・・・うつけ・・・おおうつけじゃ
そうか・・・じゃあ敬介殿!拙者が一つ術を教えてしんぜよう・・・くくくくっ)
644敬介の過去(2):02/01/06 15:36 ID:gzLy0Aku
同僚は6本の算木を取り出すとそれを手の中でかき混ぜる、6本の算木を取り出し
巧みに手の中で操る、集中力を高めるための印をとなえ始めた

易に太極あり、これ両儀を生ず。両儀四象を生じ、四象八卦を生ず・・・・
陰陽は老陽、老陰、小陽、小陰の四象を示し・・・・
三才は是、乾、兌、離、震、巽、坎、艮、坤を表し・・・・
是八計と成して、天となりて人となりて地となり・・・・
六十四計は森羅万象を表すものなり・・・・

「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・前・行」

山・・地・・剥っつつつかあああああああああっつ!

同僚の陰陽師は呪詛を唱え終わると同時に算木を敬介の前にならべた


算木を使い相手に呪詛をかける術、算術であった
その中の山地剥は相手の精神を正から負におとす術である
これにより術をかけられた相手は精神から護りの衣がはがれ
相手の意のままになる・・・
645敬介の過去(3):02/01/06 15:36 ID:gzLy0Aku
(うっうわああああああああああ・・・・・やっやめてくええええ・・・ひいいいい
・やっやめてくれええええ、お願いだっ〜〜〜〜後生だから)

(ああああん?やめてくれだと?やめてくださいの間違いじゃないのか?敬介殿)

(ううううっうわあああ・・・・わかりました!・・・ごめんなさい・・・・助けて下さい!)

敬介は床に額をこすりつけ、相手に泣きながら許しを請う
(なんだこの姿は・・・・・やめろ!情けない情けないぞ敬介!それでも男か!)

(ひっひひひだらしねえよなあもう終りかよ!・・・・これだから異国の生まれは
ふがい無しと呼ばれるのじゃ、ほんにお主は益体のないことで・・・くっくくくく
仕様が無いのう・・・・じゃあやめてやるよ、これに懲りてとっととこの陰陽寮から出ていくんだな
所詮お主のような異国生まれの鬼畜者には、陰陽道を身につけることは無理なんだよ!
いつまではいつくばってんだ!この野郎、とっとと消えろ!)

なんだ!なぜ僕には才が無いんだ、僕じゃだめなのか・・・何のために蓬莱まできたんだ

これじゃ娘を・・・娘のために娘を捨ててまで、おれは何のためにっ!・・・

ううっ・・・・ううううう
646敬介の過去(4):02/01/06 15:38 ID:gzLy0Aku
(酷なことをいうようじゃが、心して聞くのじゃ・・・・お主の方格は乾とはでておらず
坤の方格になる、お主には残念なことに才が無い、主とはなれないのだ
だがお主の役目は他にある【導き手】、従としての役割がな・・・それがおぬしの天命じゃ)

(老法師様!私は十年もの間、修行に修行を重ね努力してきました!それでも駄目なのか
まだ足りないのでござるか・・・・・・・・・・・・やはり異国のものでは駄目なのでござるか・・・・
うううっうう・・・なんのためにこの十年の間・・・・うううっうううううううう・・・・・・・)

(敬介よおぬしの努力が足りないのではないすべては天の思し召しなのじゃ
それにおぬしの十年は決して無駄ではないぞ!無駄ではない!
おぬしは懸命に術を学んだ!力こそ無いが知識はあるその知識の導き手として
お前の主に託せ!・・・)

それがおぬしの

宿命だ・・・

・・・・
・・・
647敬介の過去(5):02/01/06 15:39 ID:gzLy0Aku
夢か・・・そう、私は故郷にもどってきた・・・わたしの思いを託す者がここにいるという
天の計に従って・・・きっとどこかにいる・・・
そしてもう逃げはしない!
まっててくれ・・・・・観鈴
648敬介の過去について:02/01/06 15:49 ID:gzLy0Aku
天神海士です
>>531からの続きですが
かなり設定に変更でてしまい混乱させてすんません
【橘敬介 陰陽術 ビギナー】が最終設定です
それにしても随分弱くなったなあ(T−T)
次の書き手さんには【陰陽術の知識を託す者】という
キーワードに気をつけて書いていただければ幸いです
649名無しさんだよもん:02/01/06 15:59 ID:Sr5xQ3iY
次スレの1には「補足説明に文章で書かれてないことを書かないこと」って入れて欲しいなぁ
これ多すぎるよ
650621:02/01/06 15:59 ID:vUr88Jg8
このままだと恐らくスレ立たずにログが壊れる予感がしたので、設定まとめ
は放棄してひとまず新スレ立てた(w
以後は新スレでよろしく。
設定まとめもできればお願いしたい……(藁
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1010300239/l50
651621:02/01/06 16:01 ID:vUr88Jg8
……哀号、言い出しっぺなのに忘れたよ(;´Д`)>補足説明云々
吊ってくる……
652天神海士:02/01/06 16:33 ID:gzLy0Aku
>>649
それは私の文章を指して、おっしゃっているのでしょうか
できれば明確に指摘をしていただけるとありがたいです
文章中に書かれていない事っておっしゃってましたが
わたしの示した補足の2点に関しては今回載せた文章にあります
この指摘が自分の被害妄想にすぎないのでしたらご容赦ください
653未熟なる青。:02/01/06 16:38 ID:yISGjxNB
 山道に差し掛かろうとした時に、陽は多分、その道中を往くには危険な程度まで落ちてしまった。
 今日はここらで野宿である。幸いな事に今日は割と暖かい。寝袋と暖だけで一夜を過ごせるだろう、多分。

 ――よくよく考えたならば、一人で結構な距離の道中を往くのは危険なのである。
 山を一つ越えなければいけないし、しかもそこは時期柄、山賊やら獣やらも現れる可能性が高いわけである。
 聖先生に軽く習ったメスの技術で、そこそこの獣なら狩れると思うのだが、山賊だとかそう云うのに遭遇したらどうしようもない。
 基本属性が貧弱なのである。メス投げでは何処まで闘っていけるか。ああ。
 七瀬彰は小さく溜息を吐く。レフキーは、魔法都市よりも遙かに東にある。確か深山雪見はそこに向かうとか云っていた訳で……。
 そう、よくよく考えれば、彼女と共に移動すれば、彼女に護られて安心して魔法都市――ホワールへ往く事が出来たのである。
「まずった……」
 ミスった。道中で怪我するくらいならともかく、身包み剥がされたりとかしたらどうしよう。貴重品など持ってないけど。
 そんな事を心配しながら暖に当たる。ぱちぱちと音を立てて燃える火を見ながら、彰は様々な事を思う。
 聖に聞きたいと思っていた事は、沢山ある。しかし、多分対面した時にすべてを聞く勇気は僕にはあるのだろうか。
 火は素晴らしいと思う。どんな事を考えていてもそれをみつめるだけで穏やかな心地が訪れる。人が最初に生み出した文化である。
 火を自在に操れる人間は、闇も、光さえも恐れずに、巨大な何かと戦い続けてきたのである。
「結構冷えるな……」

654未熟なる青。:02/01/06 16:40 ID:yISGjxNB
 どれだけの時間、その火の前で過ごしていただろう。時間も忘れ、ゆらゆらと揺れる火の様を、見詰め続けている。
 誰かが近付く跫にも気付かぬまま、彰はぼうとしていた。眠い。
「彰、やっぱり来たね」
 誰かが近付く音が聞こえる。山賊か誰かだろうかと思ったが、山賊が彰の名前を知る訳がない。
 火の対岸に、何やら綺麗な足をした女が座る。――その火の対岸に、見知った顔がある。
 幻想か何かかと思ったのだが、声にはリアリティがあるし、着ているものも見覚えがある。
 幼馴染みの貌である。穏やかそうでいて、何処か怖い感じのする貌。極悪人、というか。
「誰が極悪人よッ!」
「あれ?」
 やっぱり幻覚ではないようだ。目を擦って目の前の幼馴染みを見る。
「――絶対すぐ来るだろうと思って待ってたのよ。案の定、ほら」
 深山雪見が自分の目の前で微笑っていた。
 おお、まさしく地獄の仏。彰は南無阿弥陀仏、と手を合わせて念じる。
「地獄の仏って何よッ! 地獄『に』仏でしょうが」

「途中まで一緒だからね。貧弱な彰じゃ、この山道も登れるか怪しいし、手助けしてあげようかと思って」
「――ったく。そういう強がりを云わなくても良い。待ってたんじゃなくて、待たざるを得なかったんだろ?」
 う、と雪見は気まずそうな貌をする。何年付き合ってると思ってんだ。
「まったく。右足そんなに真っ赤に腫らして」
「あはは……お見通しか。足、ちょっと挫いちゃってね」
 ちょっとドジなところは、川名みさきともそっくりである。そう思い、彰はくすくすと笑った。
 包帯を足に巻きながら、栞と同じように、見ぬ間に女の体付きになっている彼女をみながら、少しドキドキする。
 幸い暗がりである。自分の表情は見えないだろう。


655名無しさんだよもん
>>652
いや、まぁアンタも含めてるけどアンタ個人を咎めた訳じゃない。
新スレで超先生が言いたいこと言ってるから俺からはもう何も言わないけど。