FFDQバトルロワイアル3rd PART9

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1名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/20(月) 13:30:53 ID:JO7iNG1t0
━━━━━説明━━━━━
こちらはDQ・FF世界でバトルロワイアルが開催されたら?
というテーマの参加型リレー小説スレッドです。

参加資格は全員、
全てのレスは、スレ冒頭にあるルールとここまでのストーリー上
破綻の無い展開である限りは、原則として受け入れられます。

作品に対する物言い、感想は感想スレで行ってください。
sage進行でお願いします。
詳しい説明は>>2-10…ぐらい。

感想スレ
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1140452583/
過去スレ
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1099057287/ PART1
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1101461772/ PART2
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1105260916/ PART3
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1113148481/ PART4
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1119462370/ PART5
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1123321744/ PART6
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1128065596/ PART7
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1130874480/ PART8
2名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/20(月) 13:31:56 ID:JO7iNG1t0
+基本ルール+
・参加者全員に、最後の一人になるまで殺し合いをしてもらう。
・参加者全員には、<ザック><地図・方位磁針><食料・水><着火器具・携帯ランタン><参加者名簿>が支給される。
 また、ランダムで選ばれた<武器>が1つから3つ、渡される。
 <ザック>は特殊なモノで、人間以外ならどんな大きなものでも入れることが出来る。(FFUのポシェポケみたいなもの)
・生存者が一名になった時点で、主催者が待っている場所への旅の扉が現れる。この旅の扉には時間制限はない。
・日没&日の出の一日二回に、それまでの死亡者が発表される。

+首輪関連+
・参加者には生存判定用のセンサーがついた『首輪』が付けられる。
 この首輪には爆弾が内蔵されており、着用者が禁止された行動を取る、
 または運営者が遠隔操作型の手動起爆装置を押すことで爆破される。
・24時間以内に死亡者が一人も出なかった場合、全員の首輪が爆発する。
・放送時に発表される『禁止技』を使ってしまうと、爆発する。
・日の出放送時に現れる『旅の扉』を二時間以内に通らなかった場合も、爆発する。
・無理に外そうとしたり、首輪を外そうとしたことが運営側にバレても(盗聴されても)爆発する。
・なお、どんな魔法や爆発に巻き込まれようと、誘爆は絶対にしない。
・たとえ首輪を外しても会場からは脱出できないし、禁止魔法が使えるようにもならない。

+魔法・技に関して+
・MPを消費する=疲れる。
・全体魔法の攻撃範囲は、術者の視野内にいる敵と判断された人物。
・回復魔法は効力が半減します。召喚魔法は魔石やマテリアがないと使用不可。
・初期で禁止されている魔法・特技は「ラナルータ」
・それ以外の魔法威力や効果時間、キャラの習得魔法などは書き手の判断と意図に任せます。
3名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/20(月) 13:32:31 ID:JO7iNG1t0
+ジョブチェンジについて+
・ジョブチェンジは精神統一と一定の時間が必要。
・10-2のキャラのみ戦闘中でもジョブチェンジ可能。
・ただし、スペシャルドレスは、対応するスフィアがない限り使用不可。
・その他の使用可能ジョブの範囲は書き手の判断と意図に任せます。

+戦場となる舞台について+
・このバトルロワイヤルの舞台は日毎に変更される。
・毎日日の出時になると、参加者を新たなる舞台へと移動させるための『旅の扉』が現れる。
・旅の扉は複数現れ、その出現場所はランダムになっている。
・旅の扉が出現してから2時間以内に次の舞台へと移らないと、首輪が爆発して死に至る。


━━━━━お願い━━━━━
※一旦死亡確認表示のなされた死者の復活は認めません。
※新参加者の追加は一切認めません。
※書き込みされる方はCTRL+F(Macならコマンド+F)などで検索し話の前後で混乱がないように配慮してください。
※参加者の死亡があればレス末に、【死亡確認】の表示を行ってください。
※又、武器等の所持アイテム、編成変更、現在位置の表示も極力行ってください。
※人物死亡等の場合アイテムは、基本的にその場に放置となります。
※本スレはレス数500KBを超えると書き込みできなります故。注意してください。
※その他詳細は、雑談スレでの判定で決定されていきます。
※放送を行う際は、雑談スレで宣言してから行うよう、お願いします。
※最低限のマナーは守るようお願いします。マナーは雑談スレでの内容により決定されていきます。
※主催者側がゲームに直接手を出すような話は極力避けるようにしましょう。
4名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/20(月) 13:33:29 ID:JO7iNG1t0
書き手の心得その1(心構え)
・この物語はリレー小説です。
 みんなでひとつの物語をつくっている、ということを意識しましょう。一人で先走らないように。
・知らないキャラを書くときは、綿密な下調べをしてください。
 二次創作で口調や言動に違和感を感じるのは致命的です。
・みんなの迷惑にならないように、連投規制にひっかかりそうであれば保管庫にうpしてください。
・自信がなかったら先に保管庫にうpしてください。
 爆弾でも本スレにうpされた時より楽です。
・本スレにUPされてない保管庫の作品は、続きを書かないようにしてください。
・本スレにUPされた作品は、原則的に修正は禁止です。うpする前に推敲してください。
・巧い文章ではなく、キャラへの愛情と物語への情熱をもって、自分のもてる力すべてをふり絞って書け!
・叩かれても泣かない。
・来るのが辛いだろうけど、ものいいがついたらできる限り顔を出す事。
 できれば自分で弁解なり無効宣言して欲しいです。
5名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/20(月) 13:34:09 ID:JO7iNG1t0
書き手の心得その2(実際に書いてみる)
・ …を使うのが基本です。・・・や...はお勧めしません。また、リズムを崩すので多用は禁物。
・適切なところに句読点をうちましょう。特に文末は油断しているとつけわすれが多いです。
 ただし、かぎかっこ「 」の文末にはつけなくてよいようです。
・適切なところで改行をしましょう。
 改行のしすぎは文のリズムを崩しますが、ないと読みづらかったり、煩雑な印象を与えます。
・かぎかっこ「 」などの間は、二行目、三行目など、冒頭にスペースをあけてください。
・人物背景はできるだけ把握しておく事。
・過去ログ、マップはできるだけよんでおくこと。
 特に自分の書くキャラの位置、周辺の情報は絶対にチェックしてください。
・一人称と三人称は区別してください。
・極力ご都合主義にならないよう配慮してください。露骨にやられると萎えます。
・「なぜ、どうしてこうなったのか」をはっきりとさせましょう。
・状況はきちんと描写することが大切です。また、会話の連続は控えたほうが吉。
 ひとつの基準として、内容の多い会話は3つ以上連続させないなど。
・フラグは大事にする事。キャラの持ち味を殺さないように。ベタすぎる展開は避けてください。
・ライトノベルのような萌え要素などは両刃の剣。
・位置は誰にでもわかるよう、明確に書きましょう。
6名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/20(月) 13:34:54 ID:JO7iNG1t0
書き手の心得3(一歩踏み込んでみる)
・経過時間はできるだけ『多め』に見ておきましょう。
 自分では駆け足すれば間に合うと思っても、他の人が納得してくれるとは限りません。
 また、ギリギリ進行が何度も続くと、辻褄合わせが大変になってしまいます。
・キャラクターの回復スピードを早めすぎないようにしましょう。
 (今までの話を平均すると、回復魔法使用+半日費やして6〜8割といったところです)
・戦闘以外で、出番が多いキャラを何度も動かすのは、できるだけ控えましょう。
 あまり同じキャラばかり動き続けていると、読み手もお腹いっぱいな気分になってきます。
 それに出番の少ないキャラ達が、あなたの愛の手を待っています。
・キャラの現在地や時間軸、凍結中のパートなど、雑談スレには色々な情報があります。
 本スレだけでなく雑談スレにも目を通してね。
・『展開のための展開』はイクナイ(・A・)!
 キャラクターはチェスの駒ではありません、各々の思考や移動経路などをしっかりと考えてあげてください。
・書きあがったら、投下前に一度しっかり見直してみましょう。
 誤字脱字をぐっと減らせるし、話の問題点や矛盾点を見つけることができます。
 一時間以上(理想は半日以上)間を空けてから見返すと一層効果的。


+修正に関して+
・修正(NG)要望は、名前欄か一行目にはっきりとその旨を記述してください。
・NGや修正を申し立てられるのは、
 「明らかな矛盾がある」「設定が違う」「時間の進み方が異常」「明らかに荒らす意図の元に書かれている」
 「雑談スレで決められた事柄に違反している(凍結中パートを勝手に動かす等)」
 以上の要件のうち、一つ以上を満たしている場合のみです。
・批判も意見の一つです。臆せずに言いましょう。
 ただし、上記の修正要望要件を満たしていない場合は
 修正してほしいと主張しても、実際に修正される可能性は0だと思って下さい。
・書き手が批判意見を元に、自主的に修正する事は自由です。
7名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/20(月) 13:35:48 ID:JO7iNG1t0
■参加者リスト
FF1 4名:ビッケ、ジオ(スーパーモンク)、ガーランド、アルカート(白魔道士)
FF2 6名:フリオニール、マティウス(皇帝)、レオンハルト、マリア、リチャード、ミンウ
FF3 8名:サックス(ナイト)、ギルダー(赤魔道士)、デッシュ、ドーガ、ハイン、エリア、ウネ、ザンデ
FF4 7名:ゴルベーザ、カイン、ギルバート、リディア、セシル、ローザ、エッジ
FF5 7名:ギルガメッシュ、バッツ、レナ、クルル、リヴァイアサンに瞬殺された奴、ギード、ファリス
FF6 12名:ジークフリート、ゴゴ、レオ、リルム、マッシュ、ティナ、エドガー、セリス、ロック、ケフカ、シャドウ、トンベリ
FF7 10名:クラウド、宝条、ケット・シー、ザックス、エアリス、ティファ、セフィロス、バレット、ユフィ、シド
FF8 6名:ゼル、スコール、アーヴァイン、サイファー、リノア、ラグナ
FF9 8名:クジャ、ジタン、ビビ、ベアトリクス、フライヤ、ガーネット、サラマンダー、エーコ
FF10 3名:ティーダ、キノック老師、アーロン
FF10-2 3名:ユウナ、パイン、リュック
FFT 4名:アルガス、ウィーグラフ、ラムザ、アグリアス

DQ1 3名:アレフ(勇者)、ローラ、竜王
DQ2 3名:ロラン(ローレシア王子)、パウロ(サマルトリア王子)、ムース(ムーンブルク王女)
DQ3 6名:オルテガ、アルス(男勇者)、セージ(男賢者)、フルート(女僧侶)、ローグ(男盗賊)、カンダタ
DQ4 9名:ソロ(男勇者)、ブライ、ピサロ、アリーナ、シンシア、ミネア、ライアン、トルネコ、ロザリー
DQ5 15名:ヘンリー、ピピン、リュカ(主人公)、パパス、サンチョ、ブオーン、デール、レックス(王子)、タバサ(王女)、
        ビアンカ、はぐりん、ピエール、マリア、ゲマ、プサン
DQ6 11名:テリー、ミレーユ、イザ(主人公)、サリィ、クリムト、デュラン、ハッサン、バーバラ、ターニア、アモス、ランド
DQ7 5名:主人公フィン、マリベル、アイラ、キーファ、メルビン
DQM 5名:わたぼう、ルカ、イル、テリー、わるぼう
DQCH 4名:イクサス、スミス、マチュア、ドルバ
8名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/20(月) 13:36:19 ID:JO7iNG1t0
生存者リスト

FF1 0/4名:(全滅)
FF2 3/6名:フリオニール、マティウス、レオンハルト
FF3 4/8名:サックス、エリア、ウネ、ザンデ
FF4 1/7名:カイン
FF5 4/7名:ギルガメッシュ、バッツ、レナ、ギード
FF6 6/12名:ゴゴ、リルム、マッシュ、エドガー、ロック、ケフカ
FF7 3/10名:ザックス、セフィロス、ユフィ
FF8 4/6名:ゼル、スコール、アーヴァイン、サイファー
FF9 3/8名:ジタン、ビビ、サラマンダー
FF10 1/3名:ティーダ
FF10-2 2/3名:ユウナ、リュック
FFT 3/4名:アルガス、ウィーグラフ、ラムザ

DQ1 0/3名:(全滅)
DQ2 0/3名:(全滅)
DQ3 3/6名:オルテガ、アルス、セージ
DQ4 5(6)/9:ソロ、ピサロ、アリーナ(2も)、ライアン、ロザリー
DQ5 7/15名:ヘンリー、リュカ、パパス、ブオーン、タバサ、ピエール、プサン
DQ6 5/11名:イザ、クリムト、ハッサン、ターニア
DQ7 1/5名:フィン
DQM 3/5名:わたぼう、ルカ、テリー
DQCH 1/4名:スミス

FF 34/78名 DQ 24/61(25/62)名
計 58/139(59/140)名
9名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/20(月) 13:36:54 ID:JO7iNG1t0
■現在までの死亡者状況
ゲーム開始前(1人)
「マリア(FF2)」

アリアハン朝〜日没(31人)
「ブライ」「カンダタ」「アモス」「ローラ」「イル」
「クルル」「キノック老師」「ビッケ」「ガーネット」「ピピン」
「トルネコ」「ゲマ」「バレット」「ミンウ」「アーロン」
「竜王」「宝条」「ローザ」「サンチョ」「ジークフリート」
「ムース」「シャドウ」「リヴァイアサンに瞬殺された奴」「リチャード」「ティナ」
「ガーランド」「セシル」「マチュア」「ジオ」「エアリス」「マリベル」

アリアハン夜〜夜明け(20人)
「アレフ」「ゴルベーザ」「デュラン」「メルビン」「ミレーユ」
「ラグナ」「エーコ」「マリア(DQ5)」「ギルバート」「パイン」
「ハイン」「セリス」「クラウド」「レックス」「キーファ」
「パウロ」「アルカート」「ケット・シー」「リディア」「ミネア」

アリアハン朝〜終了(6人)
「アイラ」「デッシュ」「ランド」「サリィ」「わるぼう」「ベアトリクス」

浮遊大陸朝〜 (21人)
「フライヤ」「レオ」「ティファ」「ドルバ」「ビアンカ」「ギルダー」
「はぐりん」「クジャ」「イクサス」「リノア」「アグリアス」
「ロラン」「バーバラ」「シンシア」「ローグ」「シド」「ファリス」
「エッジ」「フルート」「ドーガ」「デール」

浮遊大陸夜〜夜明け(2人)
「テリー(DQ6)」「トンベリ」
10名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/20(月) 13:37:28 ID:JO7iNG1t0
■その他
FFDQバトルロワイアル3rd 編集サイト
http://www.geocities.jp/ffdqbr3log/
FFDQバトルロワイアル3rd 旧まとめサイト
http://www.geocities.jp/ffdqbr3rd/index.html
1stまとめサイト
http://exa.to/ffdqbr/
1st&2ndまとめサイト
http://ffdqbr.hp.infoseek.co.jp/
番外編まとめサイト
http://ffdqbr.fc2web.com/
保管庫
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/2736/1057165790/
したらば
http://jbbs.livedoor.jp/game/22429/
ロワらじ
http://jbbs.livedoor.jp/game/22796/
お絵かき掲示板
http://dog.oekakist.com/FDBR/

現在の舞台は浮遊大陸(FF3)
ttp://ffdqbr.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/up/source5/No_0069.jpg
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/2736/1057165790/152-153(参考にどうぞ)
11名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/20(月) 15:44:25 ID:qVSFM8fZO
G.F.関連は?
12名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/20(月) 16:14:16 ID:wdri90dDO
1乙
即死回避
13名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/20(月) 16:34:05 ID:ymKTifOzO
生存者リスト、DQ6のところ5→4じゃない?
14名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/20(月) 16:49:36 ID:RWfjetPi0
即死回避保守。
15名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/20(月) 17:27:30 ID:ASUYPhSD0
即死ってのが何処までやれば防げるのかよく分からんけど、
保守しておきますね。
16名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/20(月) 17:29:41 ID:km+vhcrB0
■GF継承に関する暫定ルール
「1つの絶対的なルールを設定してそれ以外は認めない」ってより
「いくつかある条件のどれかに当てはまって、それなりに説得力があればいいんじゃね」
って感じである程度アバウト。
例:
・遺品を回収するとくっついてくるかもしれないね
・ある程度の時間、遺体の傍にいるといつの間にか移ってることもあるかもね
・GF所持者を殺害すると、ゲットできるかもしれないね
・GF所持者が即死でなくて、近親者とか守りたい人が近くにいれば、その人に移ることもあるかもね
・GFの知識があり、かつ魔力的なカンを持つ人物なら、自発的に発見&回収できるかもしれないね
・FF8キャラは無条件で発見&回収できるよ

こうか
17名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/20(月) 17:41:45 ID:5jofwSan0
立てられなかった分せめて即死回避しますね。
18どうにもならない状況で 1/11:2006/03/20(月) 19:09:44 ID:oV4g+Sx30
「どうして、助けてあげられなかったのかな」
俯いて、膝を抱えた少女の耳に、若者の声が届く。
「『大切なのは結果じゃない』」
共に旅した仲間が、旅の終着点で言い放ったフレーズ。
奇妙な懐かしさを覚えながら、リルムは瞼を閉じる。
脳裏に浮かぶのは、誰よりも頼りになった二人の女性の姿。
「リルムじゃなくて、ティナやセリスだったら……きっと助けられてたよね」
物真似師は夜空を仰ぎ、呟く。
「『過ぎ去ったことにしばられ、未来の時間をむだにすることはたやすい。
 だが、それは何も生み出さぬ。前に進むことができぬ』」
様々なものを失った侍が、大切な者を亡くした女性に届けた言葉。
奇妙な服の奥にある眼差しも、心なしか、文面をしたためた男のそれに似ているような気がする。
「……けど」
リルムはまだ心の整理ができないのだというように、顔を伏せる。
そんな彼女を見たゴゴの口から出たのは――

「『こらあー!! リルム!! しゃきっとせんかあ!!!』」
「!?」
なんと、少女と同じ声。
思わず目を丸くしたリルムに、ゴゴはさらに言葉を続ける。
「『弱音ばっかりはいてると似顔絵描くぞ!』」
彼女が持っている絵筆の代わりなのか、右手に持った枯れ枝をぴょこぴょこと動かす。
道化じみた、あまりにも道化じみた挙動に、リルムはようやく破願した。
「似てないよ、ゴゴ。全然似てない。ガンホーのジジイ並みの大根役者だよ」
涙を拭いながらこぼした、少女の感想に、物真似師は小さく肩を落とす。
物真似に生きる彼にとって、似ていないという評価は最大にして唯一の屈辱だ。
けれども、本気で落ち込まずにいられるのは、少女の微笑があったからか。
そんな彼を余所に、小さな声でリルムは囁く。

「ありがと」
吹き荒ぶ風に紛れたそれは、果たして物真似師の耳に届いたかどうか。
19どうにもならない状況で 2/11:2006/03/20(月) 19:12:29 ID:oV4g+Sx30
二人から数メートルも離れていない場所で、揺れる焚き火が、特徴的なシルエットを映し出す。
「つまり、詳しい事はわからぬということか?」
同行者であるゴゴ達とは反対側。
わだかまる闇の中にて墓を作っている少年達を横目に、マティウスは状況の把握に努める。
もっとも、相手をするゼルも、戦況を理解しきれてはいないのだが。
「ああ。アイツが戻ってきたのと同時に襲われたからな。
 あの子供達をどこで拾ってきたのか、それもわかんねぇ。
 ま、わかんねーといえば、リルムの付き合いもよくわかんねーけどよ」

双方にとって幸いだったのは、リルムとゴゴが知己であったことだ。
乱入者が現れたために生まれた隙。それを突かれ、奪われたものの重さ。
ゼル達からしてみれば、やり場のない怒りを感じざるを得ない。
決裂してもおかしくない関係を修復したのが、リルム達の存在だった。

「あんな年で、物真似師だの、王様だの、泥棒だの、将軍だのと知り合いだってんだからなぁ。
 どういう人生歩んできたんだか、気になっちまうぜ」
「確かにな。どういう関係で仲間となったのか、興味はあるが……」
ゼルのぼやきを余所に、パラメキアの皇帝は手にしたロッドを弄ぶ。
一振りすれば、高出力のエネルギーで敵を薙ぎ払う、恐るべき兵器。
けれども今は、短い鉄の棒として、マティウスの掌で踊るのみ。
――『今』は。

「だが、それよりも気になるのは、あの魔道士だ」
マティウスの呟きに、ゼルは目をしばたたかせる。
「あ、アイツが? なななな、なん、なんで?」
動揺をストレートに態度に出す。
ここまで嘘をつけない人間も珍しいと、マティウスは内心苦笑する。
「白魔導士の姿をしているくせに、何故か白魔法を使わない。
 カインという名で呼ばれているが、リストに乗っていた男とあの魔道士は全く似つかない。
 それに、お前とリルムは奴の名を呼ぶことを避けているだろう? どれ一つ取っても不自然だ」
20どうにもならない状況で 3/11:2006/03/20(月) 19:17:46 ID:oV4g+Sx30
実際はエドガー達から聞いた情報と照らし合わせているのだが、説明するのも面倒だし、多少のハッタリは必要だ。
眼光鋭く見据えるマティウスに、青年はわずかに顔を引きつらせる。
二人の視線はしばし交錯し――ゼルの方が折れた。
「鋭いな、アンタ。
 ……確かにアイツは魔道士なんかじゃないし、カインて名前でもねぇ」
ゼルは仲間の姿を見やりながら、困ったように眉をひそめる。
「大きな声じゃ言えねーけど、アイツも色々ワケありなんだ。
 下手すりゃアイツの身の安全にも関わるし、俺が勝手に喋っちまうわけにはいかねーよ」
気まずそうに頭を掻くゼル。その態度自体が、どのような『ワケ』なのかを雄弁に物語っている。
そう。セージ達と赤魔道士のような関係が、他にないとは限らないだろう。
マティウスはそれ以上問い詰めることを止め、子供達の方に視線を向けた。



「カイン兄ちゃん、カインて人じゃない……?」
光の傍から聞こえてきた言葉に、目を充血させたテリーが、不安げな表情で問い掛ける。
十分大きな声で喋っているゼルの口を、ガムテープで塞ぎたい衝動に駆られながら、アーヴァインは答えた。
「ゴメンね。さっきのストーカー女に名前を知られたくなくて、ウソついたんだ。
 ホントは……アーヴァイン。友達はアーヴィンって呼んでる」
「あーばいん? あーびん?」
眉を潜めるテリーに、アーヴァインは一瞬、自分の悪名が知られていたのかと肝を冷やす。
だが、不安は杞憂に終わった。
テリーは鼻を啜りながら、普段とは比べ物にならないほど濁り、掠れた声で呟く。
「そういや、姉ちゃん達が言ってたっけ。
 弱くはないけど、オンナ好きで、キザで、影が薄くて、ハクジョーモノで、気弱でヘタレなのがいるって」
「エエエエエ〜。リノアがそう言ったの〜?」
「半分ぐらいはサイファー兄ちゃん」
「サイファー? あいつもいたんだ……
 もー、相変わらずサイファーなんだからなぁ。ヒドイヤツだよ、まったく」
アーヴァインは呆れたように言いながら、手についた土を払った。
砂や泥の奥にある粘ついた感触は、アーヴァイン自身の血だろうか、トンヌラの血だろうか?
それとも―― ……
21どうにもならない状況で 4/11:2006/03/20(月) 19:22:18 ID:oV4g+Sx30
「どうしたの?」
掌を凝視していた青年は、幼子の声で我に帰る。
心配そうに自分を見上げるテリーに、アーヴァインは微笑みを浮かべてみせた。
「何でもないよ。ただ、トンヌラ君やリノアが、天国で幸せにしてるといいなって思ってさ」
「・……天国、かぁ」
テリーは顔を上げ、星の瞬く空を仰ぐ。
瞳から溢れていた幾筋もの涙が、月明かりに照らされる。
「いつかオレが死んで、天国に行く日がきたら、トンヌラ達ともまた会えるよな?」
その呟きに、アーヴァインは目を閉じる。
「大人になって、恋とかして、飽きるぐらい人生楽しんでからさ。
 今はまだ、幾らなんでも早すぎるよ」
「わかってる」
テリーは両目をごしごしと拭う。それでも、涙は後から後から溢れ続ける。
ぼろぼろと顔を濡らしながら、テリーは手にした竜のうろこに視線を落とす。
「トンヌラ、オレに、ありがとうって言ってくれたんだ。
 オレ、いつもトンヌラ達に守られてばっかりで、それなのに……ありがとうって言ってくれたんだ」
二人分の形見になってしまった鱗に、雫がぽたぽたと落ちて、弾けた。
それをぎゅっと握り締める。固く、固く、握り続ける。
「オレはモンスターマスターだ。信じてくれたトンヌラ達のためにも、頑張って生きないとさ。
 それで、生き抜いて強くなるんだ。誰も死なせずに済むぐらい、強くなるんだ。
 強くなって、みんなが胸張れるような――最高のファイターになるんだ」
いつか出会った剣士が、剣を振る力も無い少年に贈った称号。
真にその名に相応しくなってみせるという決意が、テリーの胸に宿っていた。
「そうそう、その意気だよ」
アーヴァインはそっと、テリーの頭に手をやる。
優しく頭を撫でるつもりの右手は、しかし、どこにも触れぬまま、下げられた。
「肩、大丈夫?」
青年の挙動に気付いたテリーが、突き立ったままの矢を見つめた。
リルムが落ち込んでいるのとトンヌラを埋葬するのとで、本人が治療を先送りにしている。
刺しっぱなしなのは、迂闊に抜けば出血することを知っているからだ。
「全然、大丈夫だよ。そんなに深手じゃないしね〜」
アーヴァインは笑顔を作り、苦痛をおくびにも出さずに右腕を動かしてみせた。
22どうにもならない状況で 5/11:2006/03/20(月) 19:24:25 ID:oV4g+Sx30
それでテリーは安心したのか、「良かった」と呟いた。
微笑んだつもりだったのだろうその顔は、涙と鼻水で、どうにもならないほど汚れていて。
自分の愚かさと無力さを思い知らされ、青年は目を閉じる。
――できることなら、このまま泣かせてやりたい。
けれども、二人には、やらねばならぬことがあった。

「テリー。辛いの、我慢できるかい?」
少年は首を縦に振る。
「これからみんなに事情を説明しないといけない。
 思い出したくない事も思い出すことになる。……我慢、できるかい?」
もう一度、振る。真っ赤な目を何度も何度もこすり、深呼吸する。
「大丈夫。ちゃんと、話せるさ」
「…よーし。それじゃ、作戦会議と行きますか」

二人は焚き火の傍に戻ると、リルム達に声をかけた。
そして、地図と参加者リストを取り出し、左右に陣取っているマティウスとゼルを見やる。
「じゃ、遅くなっちゃた分、手短に状況説明するよー」
四人が肯いたのを確かめ、アーヴァインは話を始めた。
襲撃が起きた場所。襲撃者の構成。置き去りにしてしまったギード。彼とトンヌラの戦いぶり。
ティーダを狙ったストーカー少女、『我が主君』がどうのこうのと言っていた魔物、弓矢を射掛けた第三の襲撃者。
時にはテリーに答えてもらいながら、知りうる限りの事実を伝える。
話を終えた時、マティウスの瞳には、氷のような怒りが満ちていた。

「アリーナめ……性懲りもない真似を」
静かな声で呟くマティウスに、テリーが顔を上げる。
無表情の下に隠された劇場に気付かず、少年は問い掛けた。
「アイツ、そんなに悪いヤツだったのか?」
元皇帝だった男は、面白くもなさそうに鼻を鳴らす。
「少年よ。私は正義を語る気もないし、善悪などという基準で物事を計る気もない。
 重要なのは敵か味方か、それだけだ」
「スコールみたいなコト言うんだな」
茶々を入れるゼルと肯くアーヴァインを黙殺して、マティウスは言葉を続ける。
23どうにもならない状況で 6/11:2006/03/20(月) 19:29:58 ID:oV4g+Sx30
「あの小娘は私の敵であり、お前の敵であり、我々の敵だ。
 故に、倒さねばならぬ。更なる被害が及ぶ前にな」
「だけど、カメさんやバカップルや、サスーンにいる人達のことも、放っておけないと思うよ」 
リルムはマティウスとゴゴを見やる。
「アリーナって人、一度ゴゴ達に返り討ちにされたわけでしょ?
 それにさっきのモンスター、サスーンの方に逃げてったしさ。
 三人パーティ組んだの、二人に復讐するためで、みんなサスーンに行くつもりなんじゃないの?」
少女の危惧を、マティウスはあっさり肯定する。
「その可能性は高いだろうな。確率で言えば七割強と言ったところか」
「じゃ、じゃあヤバイじゃねーか!
 あの魔物、魔法やオートボウガンまで持ってたんだぜ?
 いくらユウナやティーダが強くても、奇襲や狙撃を喰らったらひとたまりもねえ!
 こうしちゃいられねぇよ。俺、アイツらを連れ戻してくるぜ!」
慌てふためきながら、荷物をまとめて立ち上がろうとするゼル。
それを制止したのは、マティウスの一言だった。

「今から追って間に合うとすれば、それは南東の森で戦っているというアリーナ達の方だ。
 手負いの魔物とはいえ、先行された十数分もの差を縮める方法はない。
 サスーンに向かうよりは、アリーナ達二人を倒して追撃を防いだ方がよかろう。
 城にも頭数が揃っているのだ。魔物一匹、多少の被害は払うかもしれんが、倒すぐらいはできるだろう」
ピエールに逃亡されてから、最低でも十五分。下手をすれば二十分以上が過ぎている。
マティウスの言う通りかもしれないが、しかし、多少でも犠牲が出てしまったら――
苦悩するゼルの耳に、アーヴァインの呟きが届く。
「いや……もしかしたら、ゼルの足なら、サスーンに先に着けるかもしれない」


五人の視線が白のローブに集中する。
アーヴァインは顎に手を当てたまま、独り言のように話し出す。
「アイツは、トンヌラとテリーを連れた、ヘトヘトの僕に追いつききれなかった。
 元々遅いのか、ボウガンなんか担いでるからなのか、ホーリーで吹っ飛ばされたせいかはわからないけどね。
 少なくとも、子供に毛が生えた程度の速さでしか走れない」
それに、と、アーヴァインは懐から小型の機械を取り出す。
24どうにもならない状況で 7/11:2006/03/20(月) 19:34:34 ID:oV4g+Sx30
「あの魔物はコイツ――参加者の位置を指し示すレーダーを持ってた。
 相手の居場所がわかるってのは、それだけで強力なアドバンテージだよ。
 こいつがあれば、生い茂る森の中でも、敵の襲撃を気にせずに済むんだから」
唐突な説明に、テリーとゼルが『?』という表情を浮かべる。
「それが…どうなんだよ?」
不思議そうに首を傾げた少年に、アーヴァインは薄く微笑みながら、話を続けた。
「テリーは、急に目が見えなくなったら、どうする?」
「そりゃ、慌てるし困るよ。何がどこにあるかわからなくなるだろ?」
「そうだね。『どこに何があるか急にわからなくなったら』、誰だって困るし戸惑うよね〜」
教師と生徒のような二人のやり取りに、リルムが「あっ!」と声を上げる。
「そっか。今まではレーダーに頼ってたのに、急にそれがなくなったら……」
「なるほど。奴も手負いの身、万が一戦闘になれば命が危うい。
 不安にもなるだろうし、警戒して進まざるを得なくなる――」
少女の言葉を、マティウスが引き継ぐ。
「この一体からサスーンにかけては、深い森だ。
 障害物も死角も多い。城の位置も方位磁針で確認していかなければならない。
 肉体的・精神的・物理的に、それほどの速さで移動することは不可能ということか」

得心するマティウス。「僕のセリフなのに〜」と拗ねるアーヴァイン。
二人を交互に見やり、ゼルは問い掛ける。
「つまり、急げばどうにか間に合うかもしれねぇってこったな」
「まぁ、ね。全力ダッシュでギリギリってところだろうけど」
「なら、やっぱり行くぜ。俺が本気出しゃあ、十分もありゃ充分だ」
大見得を切りながら、右手と左手を打ち合わせて気合を入れる。
その身体に、赤く輝く光――加速の魔法が降り注いだ。
驚くゼルに、魔法を唱えた張本人は、そっぽを向いて言う。
「ニワトリ頭。行く以上は、バカップルとオッサンとゴゴ達の知り合い、きちんと助けてこいよ。
 怪我させたり、どっかでくたばったりしたら、似顔絵二十枚描いてやるんだからね!」
少女の啖呵に呆気に取られる青年。
そんな彼の手に、アーヴァインは、持っていたレーダーを押し付ける。
「お、おい。いいのかよ?」
ゼルのうろたえを余所に、アーヴァインはぱちりとウインクした。
25どうにもならない状況で 8/11:2006/03/20(月) 19:41:27 ID:oV4g+Sx30
「前線に出るのはあんただ。身を守る手段は多いほうがいいだろ?
 あんたに死なれても面白くないし、今の僕には仇討ちなんてできないからな」
昼間のことを思い出したのか、一瞬だけ沈んだ表情を浮かべる。
内心の不安を覆い隠すように、ふざけた調子を装いながら、アーヴァインは右手をゆっくりと上げた。
「無理したら承知しないぞ。図書委員ちゃん、僕が奪っちゃうからな」
「バーカ。あの子より先に、手ぇ出す相手いるだろうがよ。
 それに前にも言っただろ。テメーに心配されるほど落ちぶれちゃいねえってな」
ガーデン流の敬礼に敬礼で応え、ゼルはレーダーを手に駆け出す。
真紅の帽子と煌くベストは、瞬きする間に、夜の闇に飲み込まれていった。


「良かったのか?」
青年の背中を見送っていたマティウスが呟く。
彼はゼルから、三人がここに残った理由を聞いていた。
リルムは口を尖らせ、頬杖をつく。
「ち〜〜〜っともよくないに決まってるじゃん。
 でも、一番足が速くて体力が残ってるの、ニワトリ頭だってのは事実だしさ」
「こんな事にならなきゃ、死んだって行かせてないよ。
 元々、ゼルをサスーンに行かせないために、ここで待機してたんだからさ」
不安と苛立ちがない交ぜになった表情で、アーヴァインは息を吐く。

「リノアを殺した犯人だっているかもしれないし、何度も言うけどアイツの身だってアレだしね……
 だけど放っておいたら、ティーダとユウナとついでにプサンさんとかも危ないんだ。
 特にティーダ特にティーダ特にティーダ、狙われてるし鈍感だし見つかってばかりだし、絶対ヤバイよぉ〜〜!」
頭を掻き毟りながら叫ぶアーヴァイン。
唐突にテンパった青年に引きつつ、テリーはマティウスに声をかける。
「お、おじさん達は、どうするんだよ?」
「私達はアリーナを追うつもりだ。
 ただ、魔力が残っていないのなら、お前達の手当てを引き受けてもよいがな」
「これぐらいの傷なら、リルム一人で何とかできるよ。
 だからゴゴ達は、そのアリーナってヤツ、ギッタギタにやっつけてきてよ」
「そうか。ならば行かせてもらおう」
26どうにもならない状況で 9/11:2006/03/20(月) 19:43:55 ID:oV4g+Sx30
リルムの言葉にマティウスは立ち上がる。
その背中に、幼子の声がぶつかる。
「お、おじさん。……ギードのこと見つけたら、助けてやってくれよ。
 あいつら、ギードのこと痛めつけて……頼むから、助けてやってよ。
 お願いだから、ここに連れてきてくれよ!」
必死の形相で訴えるテリーに、マティウスはしばし思案する素振りを見せる。
「確か、アリーナはギードとやらの魔法で眠らされたのだったな?」
「? う、うん」
「…敵の敵は味方。味方は助け出すべきか」
マティウスは同行者に声をかける。
「ゴゴ。一旦北に抜け、山脈沿いに南東に向かうぞ。
 ギードの身柄も確保せねばならん。奴らがある程度足止めされていることを期待しよう」
「わかった」
そして、じっと視線を送っていたアーヴァインに、命令を下すように告げる。
「万が一、連中を取り逃した時は、サスーンで決着を着けることになるだろう。
 青年よ。場合によっては、お前達の力や道具を借りるやもしれぬ。
 今後の戦況次第だが……覚悟は固めておけ」
「…Aye aye, Sir」
青年は、ゼルに向けたのと同じポーズを二人にも行う。
皇帝と物真似師は、お互い肯き合うと、闇の彼方に姿を消した。
残された三人は焚き火を囲み直し、休息と傷の治療を始める。

少女が唱える魔法と、火の粉が爆ぜる音が、夜の山中に響く。
小さな炎を見つめながら、『静かだ』とテリーは思った。
同じ三人でも、あの頃は、ずっとずっと賑やかで楽しかったのだ。
トンヌラとレックスと、三人で仲間を探していた『あの頃』。
わたぼうとルカとイルとわるぼう。
リュカ、ビアンカ、タバサ、サンチョ、ピピン、はぐれメタルのはぐりん。
そして、スライムナイトのピエールを探していた、あの時は――
27どうにもならない状況で 10/11:2006/03/20(月) 19:49:44 ID:oV4g+Sx30
どうして今まで気付かなかったのだろう。
信じたくなかったからか? 認めたくなかったからか?
レックスを傷つけて、イルとトンヌラを殺した魔物が、『レックスの仲間』だったなんて。
――信じたくないからか? 認めたくないからか?
思い出して、気付いても、誰にも言えないままなのは。
伝えるべき言葉の代わりに、嗚咽と涙ばかりがこぼれてしまうのは。

アーヴァインとリルムが何かを喋る。
半分は「ごめんね」。残りは「自分が悪かったんだ」。
テリーでも、ピエールでもなく、二人は己の無力さを責め続ける。
それだから余計に、隠し事をしている自分が卑怯に思えた。
けれども、喋れば喋ったで、レックスを裏切ることになるような気がした。

どうにもならない状況で、どうにかすることもできなかった。
ただ、涙と時間だけが、静かに流れ続けた。


【アーヴァイン(変装中@白魔もどき、身体能力低下、一部記憶喪失、疲労、右肩負傷)
 所持品:竜騎士の靴、自分の服、ふきとばしの杖[1]、手帳、首輪
 第一行動方針:傷の治療&待機】
【リルム(右目失明、魔力消費)
 所持品:英雄の盾、絵筆、祈りの指輪、ブロンズナイフ
 第一行動方針:傷の手当て&待機】
【テリー(DQM)(右肩負傷、3割回復)
 所持品:突撃ラッパ、シャナクの巻物、樫の杖、りゅうのうろこ×3
 鋼鉄の剣、コルトガバメント(予備弾倉×4)、雷鳴の剣、スナイパーアイ、包丁(FF4)
 第一行動方針:ギードを待つ
 第二行動方針:ルカ、わたぼうを探す】
【現在位置:サスーン南東・山の中、森との境付近】
28どうにもならない状況で 11/11:2006/03/20(月) 19:52:16 ID:oV4g+Sx30
【ゼル(ヘイスト)
 所持品:レッドキャップ、ミラージュベスト、リノアのネックレス、対人レーダー
 第一行動方針:全速力でサスーン城へ向かう/ティーダ達を連れ戻す
 第二行動方針:スコールを探してネックレスを渡す
 第三行動方針:リノアの仇を討つ(?)】
【現在位置:サスーン南東・山の中、森との境付近→サスーン】

【マティウス(MP1/2程度)
 所持品:E:男性用スーツ(タークスの制服)、ビームウィップ
 第一行動方針:アリーナ達を探し、倒す
 第二行動方針:カズスに行き、カインと接触してみる
 基本行動方針:アルティミシアを止める
 最終行動方針:何故自分が蘇ったのかをアルティミシアに尋ねる
 備考:非好戦的だが都合の悪い相手は殺す】
【ゴゴ(MP1/2程度)
 所持品:ミラクルシューズ、ソードブレイカー、手榴弾、ミスリルボウ
 第一行動方針:マティウスの物真似をする】
【現在位置:サスーン南東・山の中、森との境付近→北から回って南東へ】





>>27修正
×:レックスを傷つけて、イルとトンヌラを殺した魔物が、『レックスの仲間』だったなんて。

○:レックスを傷つけて、イルとドルバとトンヌラを殺した魔物が、『レックスの仲間』だったなんて。
29名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/21(火) 12:12:38 ID:+9u/g00s0
hosyu
30名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/21(火) 22:35:29 ID:0VT0+Cxl0
ほしゅ
31名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/22(水) 07:54:27 ID:/5iVvgfF0
保守
32名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/22(水) 13:17:00 ID:6u16kJwR0
保守です。
33名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/23(木) 01:04:09 ID:bDsGJGN00
保守
34名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/23(木) 12:53:38 ID:7QhGcCmw0
保守っす
35名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/23(木) 21:59:20 ID:aN+4wUpP0
ホシュ
36名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/24(金) 08:17:52 ID:b53/ulD70
保守
37竜の墓標にて 1/4:2006/03/24(金) 14:37:49 ID:NwAOr0/Y0
その堂々たる体躯は不動の境地で与えられた役目をこなしている。
天地を揺るがす魔女の出現にも微塵も動じない。
吹き抜けて行く冷たい嵐であっても、夜闇であってももはや負けるはずもない。



竜は見ていた。
天地が鳴動した直後にこの場を訪れた二人の勇士を。

旅路の国王は閉じた目の奥で微笑みかける活発な少女と大人しげな少年の姿を見る。
先代の勇者は虚空に己が息子と笑いあっていた盗賊と僧侶の姿を見る。
他にもこの世界で出会った名前、見聞きした名前のいくつかが音となり拡散して消えた。
強靭たる精神を持つ二人が挫けるはずも無いが、雰囲気はどこか暗くなる。
そんな時に見つけたのが悠然と居る竜の姿だった。

誰に敗れ去ったのか、額や胴に傷跡を刻まれた巨体はそれでも竜族の威厳をまとい残したまま。
勇敢なる二人の男はその姿に戦士の誇りを見出し、彼の懐へと花を手向ける。
失われてしまった命への、このゲームの被害者への哀悼と祈りを込めて。
墓標が出会うことなき血族の躯を抱いていることをその祖父が知る余地はない。
魔女への憤激、哀悼の深みを胸に父二人はさらに先を目指す。

38竜の墓標にて 2/4:2006/03/24(金) 14:38:43 ID:bvtDxMxa0

竜は見ていた。
沈黙の只中を行く大剣の戦士を。

なすべきことを定めたその足取りにもはや迷いは無い。
希望を信じ、希望を掴み取るために寡黙に前進を続ける。
そして、彼もまた静かにたたずむ死せし竜に出会う。

懐に捧げられた花に気付き、剣士はそこに誰かの友情と悲しみを見出す。
致命傷であろう額は深く割れ、身体のあちらこちらに抉るような傷が残されている。
しかし改めて全身を見直してみれば竜としての威厳があるように、格好いいように整えられた姿がそこにある。
横たわる竜の傍らには彼を弔ってくれる仲間が確実にいたのだ。
楽観的かも知れぬ、しかしおそらくその者も悲しみを乗り越え希望を信じ、前進の歩みを再開したのだ――
浮かび上がる思いに胸が熱くなる。

敬礼、一つ。少し熱量を増した心の火種を感じながら剣士はその場を後にした。
意地の悪い風が竜の懐より花を奪い散らしたのはその後のことである。

39竜の墓標にて 3/4:2006/03/24(金) 14:40:26 ID:NwAOr0/Y0

竜は見ていた。
復讐を誓う孤独なる赤い火を。

茫漠たる平原には吹きすさぶ風のほかには何の気配も無い。
一人その空白を行く男の手元から轟音が鳴り、遠めにある岩を穿つ。
支給品の着火具を用いて点火する扱いにくいその銃をさらにもう一度、試し撃つ。
警戒と共に道々そうやってきた男がそれを見つけたのは三度目の試射が外れたあとであった。
命中確認のためにゆっくりと近づいた男はそれが岩ではなく竜の遺骸であることを知る。
幸運にも自らが放った銃弾はどこかへ逸れ、彼を傷つけるようなことにはなっていなかった。

茫漠たる広がりの中に残されたモニュメント、男はそこに孤独と奇妙な安堵を見出す。
いくつもの傷でボロボロの身体、残った威容は覚悟の死の賜物か。
ポツリとたたずむ孤独と寂寥の在り様には共感すら感じられる。
いつか、自分もこのように孤独に散るのだろう。

再び見た竜は変わらず寂しげだったが、しかしどこにも後悔は残っているようには見えなかった。
思わず手を伸ばして触れた竜の体から闇に鈍く輝くうろこがこぼれ落ちる。
拾い上げたそれを夜風にかざす男の表情には久方ぶりの笑みがあったかもしれない。
死者からの贈り物を大事に懐に収め、復讐者は静かに歩み去った。


なあ、物言わぬドラゴンの友よ。
今にも疑心に飲まれちまいそうな俺だけど、誇りだけは忘れないように見守っていてくれ。
あ、勝手に友達扱いだけど…いいよな? 俺もお前のように格好良くありたいんだ。
かっこ悪いままじゃいられねぇ…この命、賭けてもあの男を、そして悪を倒さねえと、な。
だから孤独に狂わないように、疑心暗鬼に塗り潰されないように、俺と共に在ってくれ。
……なあ、物言わぬドラゴンの友よ。

40竜の墓標にて 4/4:2006/03/24(金) 14:41:11 ID:NwAOr0/Y0

浮遊大陸の夜風は冷たく吹きすさび、夜闇はなおその色を濃くする。
忠実なる墓守は通り過ぎていった男達をどのような目で、思いで見ていたであろうか?
竜は、最早何も語ることなく不動の境地で与えられた役目をこなし続ける。


【オルテガ 所持品:ミスリルアクス 覆面&マント
 第一行動方針:アルスを探す
 最終行動方針:ゲームの破壊】
【パパス 所持品:パパスの剣 ルビーの腕輪
 第一行動方針:仲間を探す
 最終行動方針:ゲームの破壊】
【現在位置:ネルブの谷→盆地内へ】

【ザックス(HP1/3程度、口無し状態{浮遊大陸にいる間は続く}、左肩に矢傷)
 所持品:バスターソード
 第一行動方針:エドガーを探す
 最終行動方針:ゲームを潰す】
【現在位置:ネルブの谷・カナーン側入り口】

【ギルガメッシュ(HP1/2程度・人間不信気味)
 所持品:厚底サンダル、種子島銃、銅の剣、デジタルカメラ、デジタルカメラ用予備電池×3、変化の杖、りゅうのうろこ
 第一行動方針:フリオニールを倒す】
【現在位置:カナーン北西の山沿い】
41名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/25(土) 02:59:20 ID:BBXMbJfnO
新作乙&保守
42名前が無い@ただの名無しのようだ
ホッシュル・ルー