こんなFF・DQ小説がどうしても読んでみたい!!

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1名前が無い@ただの名無しのようだ
さて、このスレにお越しのFF・DQ小説読者の皆様方。
あなた方はこんな風に思ったことはございませぬか。
こんなカンジのFF・DQ小説が読みたいなあ……と!!
ということでこのスレは時折皆様が脳内で展開させるFF・DQ小説の
妄想を存分に解き放つスレです。

<<このスレの使い方>>

・こんなカンジのFF・DQ小説が読んでみたい!!! あるいは
 こんなアイデアを思いついた、でも自分でFFなんか書けない!!!
 という設定・展開を披露する。

・ソレに対して感想などを話す。

・すでにweb上に似たようなFF・DQ小説が存在している場合、
 紹介する。

・あとはこのスレを読んだ作家様が
 ネタをとって実際に書いてくださるのを待つ、と(藁

※こちらをご覧の作家の皆様へ
 当スレに発表されたアイディア・設定の利用に関しては一切の制限はございません。
 完全フリーです。
 使えそうなものがあったら気兼ねなくガンガン持ってっちゃって下さって結構です。

参考スレ
こんなエヴァ小説がどうしても読んでみたい!!11
ttp://comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1105677532/l50
2名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/27(土) 06:28:53 ID:hZnd8TN7
2ゲット
3名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/27(土) 07:00:39 ID:RkPGWaEJ
既製品キャラじゃなあ…
DQ・FFの世界設定だけ少しだけ借りて、
オリジナルキャラ・ストーリーで勝負してる小説の方がいいな。
個人的には、普通の人達のほのぼの系短編希望(´・ω・`)
4名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/27(土) 07:04:26 ID:8CF7uOew
正直ひとつのゲームの世界設定に他のキャラが出てくるのは嫌いだな。
よほど背景がしっかりしてないと……まぁ、それでもやっぱ微妙。
5名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/27(土) 07:31:11 ID:RkPGWaEJ
ん〜、そうか?
既成キャラ・ストーリー使った二次創作ってのは、どうも読んでて燃えないんだ。
お笑い系のネタに使うなら楽しめるけどな。
それで壮大なのや、シリアス系やられても、なんか白けるんだよ…
「違うぞ、こりゃ」って。違和感が。
俺おかしいかな?(´・ω・`)
6名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/27(土) 07:35:56 ID:BWCA+wwr
うん、おかしいと思う。
その誘い受けな顔文字やめるとこから始めれば?
7名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/27(土) 08:14:02 ID:RkPGWaEJ
そうか。
俺の求めるものは、ここからは生まれそうにないようだ。
じゃあな。
8名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/28(日) 07:29:12 ID:j/Chlv9C
千一夜もDQ小説スレも控え室も落ちちゃったし、ここ使おうか……。
9名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/28(日) 14:17:06 ID:4dxncvC7
やっぱ落ちたのか!?
orz
10名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/30(火) 00:17:57 ID:igXstbrJ
10げとー
11名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/01(木) 23:03:37 ID:ecfkAQJ/
hosyu
12名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/01(木) 23:43:18 ID:5gMs9CT7
ベタだけど、DQ8のマルチェロ伝記。生い立ちから世界行脚、エンディング後の展開など
13伝記っぽい体裁で:2005/09/03(土) 03:13:19 ID:XWvPV6YD
聖堂騎士団員文書 解説

作者・成立年代共に未詳。作者は文体などから聖堂騎士団に所属していた修道騎士の一人
であると推定され、書名の由来ともなっている。また天災の記述などから、暗黒神滅亡後
数十年以内に成立したであろうことが推測できる。
なお本資料は近代に入ってから発見されたもので、作者自筆本以外の写本は発見されて
いない、全くの孤本である。
 内容は暗黒神復活の引き金となった欠史法皇マルチェロ(教会は彼を正当な法皇と位置
付けてはいないため、便宜上そう呼ぶこととする)に関する事跡を物語形式で綴ったもの
で、教会によって歴史から抹殺された彼の人物像を解き明かす上で非常に重要な史料だと
いえる。ただしこの文書の作者はマルチェロに非常に近しい人物だと推定され、その分描
写にある種の偏向があるという事は注意しておくべきであろう。描写態度を考慮すると、
マルチェロの側近あるいは彼の異母弟ククールの手になると考えるのが妥当か。また暗黒
神滅亡後の描写は物語的色彩が強く、史実として採用するかどうかには疑問が残る。

校訂作業にあたって底本をできる限り忠実に活字化することを期したが、段落・句読点
の付与など若干の改訂を加えた。なお校注、現代語訳にあたっては先学の業績に負うと
ころが多大であり、諸氏に深く謝意を表したい。
14アルミラージ斉藤 ◆nVUuKCCk76 :2005/09/03(土) 17:11:19 ID:t4W2gK30
お GJ。なんかそれらしい
15名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/06(火) 12:52:35 ID:sYzH2wIM
乙です!
16修道士っぽい文体てどんなんだ:2005/09/07(水) 02:12:10 ID:RWWdLzak
かの騎士について語ること、あるいはそれ自体が女神への反逆にあたるのかもしれない。
しかし例えそうであったとしても、私は彼の功罪の物語を書きのこしておかねばならない
のだ。−歴史に対して私が果たしおくべき責任として。
または、私の(以下数行にわたって欠文。推敲途中であったか)

 騎士マルチェロは聖ディオニシウスが守護し給う土地を代々治める小領主の家系に生ま
れた。母は館仕えの使用人で、貴族にはよくある事だが、彼は庶子だった。
 幼い頃より聡明で、少年はわずか4歳にして古代語を読み書きしたという。領主の妻に
は一人の子もなかったので、彼は当主の継承者として幼少期を過ごした。誰もが彼が善き
領主となることを疑わなかった。
 ところがある不運な出来事があって、彼は幼くして母親もろとも伯爵家を追い出される
事になる。彼の人生の最初の不幸であった。この追放は彼自身には全く責任のない事象を
原因とするもので、全く責められるべきは領主とその一族である。

17修道士っぽい文体てどんなんだ2:2005/09/07(水) 02:13:52 ID:RWWdLzak
 しかし彼はわずかなりとも恵まれていた。何となれば、偉大なる父オディロが導くマイ
エラ修道院に見習い修練士として迎え入れられたからである。少年は修道院においてもそ
の秀でた才能を発揮し、写字僧の助手として写本室に立ち入ることを許されたほどであった。彼はまた武器の習熟にも熱心だった。彼が後に犯した重罪を承知していてさえ、こう
断言することができるだろう。マルチェロは素晴らしく優秀な少年であり、その怜悧さ、
愛すべき快活さに魅了されぬ者はなかったと。
 さて異例の若さで彼の誓願と聖堂騎士団への入会が決まった年、死がドニの街を覆った。
弔鐘が引切りなしに鳴り響き、首筋に忌まわしい黒班を浮かび上がらせた死体の山が城壁
外に積上げられた。野辺の煙は絶える事がなく、死体が焼ける臭いが修道院にまで届いて
いた。その年の疫病は猖獗を極め、司教位にある聖職者ですら病に恐れをなして逃げ出す
中、マイエラの兄弟たちは修道院に留まって勤めを果たし続けた。しかし死は分厚いタペ
ストリに覆われた領主の館にすら押し入った。幼い領主の息子だけがその厄災を免れたが、
彼は狡猾な遠縁の一族によってすべての財産、爵位すらも取り上げられてマイエラ修道院
に送り込まれた。かくしてドニの伯爵家の栄えある家名は歴史から姿を消したのである。
18名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/07(水) 17:57:50 ID:Jh3H9ePa
GJ!豊かな語彙が重厚でカコイイです。
アイラさんの冒険譚もドサクサに読んでみたい!!!と言ってみます。
19名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/07(水) 22:57:23 ID:RWWdLzak
>>18
サンクス。
アイラ冒険譚は俺への依頼なんでしょか。
だとしたらDQ7はあんま覚えてないんで難しいかも。申し訳ない。
他の人が書いてくれるのを期待。

てか読み返してみたら不備がいっぱいで恥ずかしい。
黒斑の漢字間違ってるわ、改行ミスってるわ。
>>16のラストなんか「全く」が一文に二回も出てる。悲惨。
20名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/08(木) 00:26:29 ID:eBvM00AB
18です。SSの続きが来て嬉しい、新しい書き手さんも来て欲しい、
どなたか書いてくださったらいいなと、ついねだってしまったのです。すいません。
DQ小説のアイデアを出せて、かつ小説投下できる所は貴重です。
盛り上がっていくといいですね。
21名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/09(金) 02:51:20 ID:uwteevP5
ティファやマーニャの性についてを
小説化して欲しい。
いつ、初めてのセックスをしたか
今まで誰としたか
中絶経験とか。

この二人は中絶とかありそうでない?
22名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/09(金) 23:26:31 ID:b6VbZT2g
>>21
成人板でどうぞ
23名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/10(土) 00:41:05 ID:DdYcxcWC
>>20
19です。
ほんと、盛り上がるといいですね。SSスレはすぐ落ちちゃうからなあ。

では俺からもアイデアを。
DQ8のメダル王と船着場のお婆ちゃんの過去話が読みたい!
どなたかよろしくお願いします。
24SSつーかプレイ日記かも 1/6 ◆SATO.VV1aU :2005/09/10(土) 22:44:35 ID:FrNHsUNE
 晩ごはんのとき、パパがいいました。
「明日、店手伝ってくれ」
「えー? 明日は塾だよ」
「塾終わってからでいいよ。おもちゃ買ってやるぞ」
「やる!」
 死ぬかと思いました。いっぱいダンボール箱を運んで、
部品1個1個から全部数えました。
 漢字がたくさんあってよく分かんないけど、
きっと、ろうきほういはんです。
 でもパパは、毎日こうやってお仕事してるのですごいです。

 ごほうびにゲームを買ってもらいました。
中古のプレステ1とソフトで、2000円です。
説明書がなくてケースが割れてるので、安かったです。お買い得です。
 パパは「パチスロなら増やせたのに」とこぼしてました。
ぼくはゲームを持ってなかったので、すごくうれしいです。

 電源を入れると、アレクサンドリアの景色がぶわって広がりました。
クリスタルがきらきらしてます。音楽がきれいでドキドキします。
おおきな船が、空をすべり込んで来ました。
とんがり帽子の男の子が、船を見上げます。タイトルが浮かんできました。

 FINAL FANTASY IX

 えーと……漢字はまだ読めません。
ジタンはまだ弱いのに、森の中で迷子になってしまいました。
怖いので電源を切ります。
25Fortune favors the brave 2/6:2005/09/10(土) 22:45:54 ID:FrNHsUNE
「佐藤くん」
小学校に行ったら、しらない女子が話しかけてきました。
名前はしらないけど、いつもTVやゲームの話で盛り上がってる子です。
 ぼく知ってます。こう言う子を『ふじょし』って言うんです。
近所のおたくのおじさんが言ってたから、間違いないです。
 女子はみんな背も高いし、力も強いので怖いです。
「清掃委員、行かないの?」
「あ、行きます」
 清掃委員の仕事は地味です。ぞうきんの臭いがする倉庫で、
掃除道具の数を数えたり、補充したりします。
「バケツが足りないね」
「屋上にバケツがなかったっけ?」
そういえばふじょしさん、名前はなんですか?
「あたし? 佐藤! よろしく!」
佐藤さんでしたか。

 屋上はすごくいい天気です。風が爽やかでいい気分です。
屋上に、誰かが置きっぱなしにしたバケツがいっぱいありました。
佐藤さんは、クラス名が書いてないバケツを持ってきました。
「これが一番まともかなあ」
 佐藤ふじょしさん、目が大きいです。
髪の毛はキレイな茶色で、やわらかいパーマがかかってます。
ドキドキしてたら、佐藤さんが携帯を触りはじめました。
「なにしてるの?」
「FF!」
よくわからないハイテンションです。
26Fortune favors the brave 3/6:2005/09/10(土) 22:47:40 ID:FrNHsUNE
 ぼくも家でゲームをします。すごくむずかしいです。
「違うぞ龍。装備変えねーでどうすんだよ」
 あ、龍はぼくの名前です。ママが大学から帰ってきました。
「装備ってなに?」
「あー……取説ないのか。オタクのおじさん所行って、借りてこい」
 ママはとても美人で若いです。かっこいいです。
昔は総長でぶいぶい言わせてたそうです。
総長って分からないけど、きっとPTA会長ぐらい偉い人です。

 おじさんの家に行く途中、アゴが細い人とすれ違いました。
歯が溶けてるから、きっと純トロです。正体はラスボスに違いありません。
パパもママも言ってます。『バカになるからクスリはやるな』って。

 おたくのおじさんは、気持ちよくアルティマニアを貸してくれました。
とても機械に詳しいので、パパ自慢の友達です。
 ぼくがお腹にいた時、パパもママも結婚できる年じゃなかったそうです。
でも、おじさんが色々調べてくれました。
それで『大丈夫だよ』って言ってくれたらしいです。
『ケジメをつけなきゃな。ケジメをよ』と、パパは難しい事を言って、
沢山の書類にハンコ押してパパになったらしいです。
だからおじさんは、ぼくの命の恩人です。
 山積みの本の中に、かわいいガーネット姫の本がありました。
「これも貸してください」
「そっ、そそそそ、それは駄目だ!」
どうしてでしょうか。

 おじさんのお母さんが、肉じゃがをお土産に持たせてくれました。
技術・家庭科の先生をしてるだけあって、お料理が上手です。
とても優しいおばあちゃんで、大好きです。
27名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/10(土) 22:48:47 ID:FrNHsUNE
しばらく砂糖でお待ち下さい。

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    |  `i         /'-' `i         //l   l       iコ==ラ`'i ti
    | lヽi li,   →  | lヽl li   →   l i,,l   l |   →     ./  /l/
    | l-'l |,l       | | // l        `"|iコ=''         /  /
.    'Fヲ|,H      E三l_l_A         | .i .|         /  /
    ,i_| .| |                   | || |         i' /l .l,
     -'‐'                      | || |_       l l .ヽ,ヽ,
                          ‐' ' `‐'       -'-'  -'-'
    脱ぐ       たたむ      コーヒーを     砂糖と塩を
                         つくる      まちがえる。
28Fortune favors the brave 4/6:2005/09/10(土) 22:55:43 ID:FrNHsUNE
 塾からの帰り道。ラスボスが佐藤さんに絡んでます。
「……だから! 貸すお金なんかないって!」
まずいです。ものすごく恐喝っぽいです。
 目を合わさずに逃げたら、きっとぼくママに叱られます。
ぶったりはしないんですが。
正座させられて『恥ずかしい生き様をするな!』って怒られます。

 あ、誰か来た。だったら、もしかしたら。
 けど、でも。
 どうしてぼく、子供なんでしょうか。えいやって変身できません。
 だけど、そんな。
 ビビだって最初は弱かったじゃないか。
 いや、だって。
 これはゲームじゃない。殺されちゃうよ。
 だけど、だけど!

 ぼく、バカです。考える前に叫んでしまいました。
「お……おまわりさーん! こっちです!」
トルエン臭いラスボスと目が合いました。
「ああ? チクってんじゃねえぞ糞ガキ」
怖くないです。ママよりは。でも、足がガクガク震えます。
そうしたら、佐藤さんが。
一気にラスボスのズボンを引き下ろしたんです!
あ、ショッピングセンターのトランクスだ。

 一瞬の隙をついて、逃げ出します。
僕達はとにかく走ります。人通りの多い所、大人のいる所へ!
29Fortune favors the brave 5/6:2005/09/10(土) 22:57:02 ID:FrNHsUNE
 どこかの家に飛び込めるなら飛び込もう。
お店があるなら、かくまってもらおう。ぼくは耳打ちしました。
「佐藤さん。商店街に行こう!」
ふじょしさんが、うなずきます。商店街はすぐそこです。
 ズボンが絡んで走れなくても、やっぱりラスボスは速いです。
ズボンを脱ぎ捨て、ずんずん追いついてきます。

 わき腹は痛いし、足が笑ってます。もう駄目だ。捕まる! そう確信した時。
 佐藤さんが携帯を突き出しました。
「録音、したからねっ!!」
パンツ一丁のラスボスが、石化しました。
周りの大人に気が付いて、明らかに毒気が抜けています。
 そこに家庭科のおばあちゃん先生が通りかかりました。
HPで言ったら、きっとすごく弱いです。でも。
「あら、あなたは……」
 ラスボスが脱兎になりました。
商店街のおじちゃんが囲んで、捕まえてくれました。
なーんだ。
ラスボスでもなんでもない、ただの学生さんだったんだね。

 佐藤さんとぼくは、なんにもなかったです。
抱きついて来たり、キスしてくれたりとかもないです。
でも。ありがとうと言ってくれました。
 それで、携帯で彼氏に泣き付いてました。
彼氏? 
しかも大人な小3?不純異性交遊ですか佐藤さん!
30Fortune favors the brave 6/6:2005/09/10(土) 22:59:04 ID:FrNHsUNE
「いいじゃん」
 ママが一服しながら、ぼくの後ろでゲーム画面を見てます。
「あー……アンパンマンを責めんな。あいつも大変なんだよ。
 それよか、もうすぐペプシマンだろ? がんばんな」
「うん」
 アルティマニアのおかげで、あっと言う間に終盤です。
永遠の闇と戦って、何度も失敗して。
最後のムービーを見てたら、目が潤んできました。
 これは、失恋したからです。物語で泣いたりしません。

 ぼくより小さいかもしれない、ビビ。
ムービーの中で、たくさんのビビが楽しそうにしてます。
でも。
一緒に冒険をしたビビ。
ぼくが間違えて変な魔法使っても、羊に血祭りにされても。
ずっと一緒にいた、あのビビが……。
 胸が苦しいのはなぜ。明るい場面なのに、切ないのはどうして。
 ママがぼくにデコピンしました。
「いいんだよ。こう言う時は、男も泣いていい。
 良い物語に出会えるのは、幸せだろ?」

 ビビ、ありがとう。
 ゲームしてる間、テストも怖い犬の事も忘れて、楽しかったよ。
 ほんの少し、ぼくにも勇気をくれてありがとう。
 君の事、忘れないよ。

 ムービーは続きます。きっと、ジタン達の冒険も続くんです。

END
31名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/11(日) 00:44:26 ID:TKP14dk+
>>24
すげー面白かった
いや、マジで
また何か書いて欲しい
32名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/11(日) 01:24:39 ID:MmKo0d1R
>>24-30
ゲームをプレイする外からの視点って面白かった。
関係ないけど>>27は別のゲームのネタなのか?



>>23に便乗。
(船着き場のおばあちゃんが分からないけど)
荒野の一軒家の自称・元シスターのおばあちゃんの半生を描いた作品が読みたい。
教会に入り、神に尽くし、どうして今はあんな場所にいるのか。法皇まわりの権力争い
とか絡んでたらなんか面白そうだなと。
33The biographical story of Marcello:2005/09/11(日) 04:38:07 ID:b5oY//gq
 死はあらゆる階層の者どもをその輪舞に加え、この世から連れ去っていった。マイエラ
の兄弟たちとて例外ではなかった。驚嘆すべき誠実さでもって病人の告解を聴き、終油の
秘蹟を授ける為に瘴気の中を歩き回り続けた司祭と修道士たちは、悪疫がようよう勢いを
緩めた時、その数を以前の半数以下にまで減らしていた。左様、マルチェロの入会の儀式
は正にそのような中で執り行われたのである。
 ――騎士団への入会、それはまことに清らかで美しく、感動的な儀式だ。
 はじめに入会志願者は礼拝堂に赴き、騎士団総長を筆頭に居並ぶ幹部らの前に跪く。団
長から慣例に従ったいくつもの質問が向けられ、志願者は女神の御名においてそれらに嘘
偽りなく答える。借金はないか、妻帯してはいないか、騎士団に入る為に誰かを買収して
いないか、体は健康か、それから騎士と貴婦人の間に生まれた子かどうか。
 無論、愚かな拘泥によってマルチェロの入会を妨げようとするものは団員の中には誰一
人いなかった。何となれば、彼は騎士団発足以来最も優秀な騎士となるであろうことが明
らかであったから。
 儀式の最後に、団長は騎士団の指輪を新しい兄弟の指にはめてやる。そののち執式者に
よって新参団員の唇に平和の接吻が与えられる。
「善き兄弟よ」団長が新参騎士に語りかける。「女神の名においてあなたをわれらが聖堂騎
士団に迎え入れる。願わくは、女神があなたに善き言動を与えられんことを」

注釈
 この段には歴史的な矛盾が見受けられる。マルチェロが騎士団に入会した年は本文中に
もあるように、黒死病の大流行によって多くの修道士たちが命を落とした。犠牲者の中に
は当時の騎士団長も含まれており、マルチェロの入会の儀式は団長位が空席のまま執り行
われたことが既に分かっている。この事から、この文書の作者は自身の入会儀式を参考に
この部分を執筆しており、黒死病流行以前または新たな団長が選出された後に儀式をうけ
た騎士団員がこの文書を執筆したであろうことが類推できる。これに当てはまる騎士団員
のうちマルチェロにごく近い立場にあった人間を考えると、作者が誰であるかはある程度
絞られてくることになる。
34捏造者:2005/09/11(日) 04:43:44 ID:b5oY//gq
>>33の騎士団の入会儀式はテンプル騎士団のそれを参考にしています。

参考資料
レジーヌ・ペルヌー著・南條郁子訳・池上俊一監修
『テンプル騎士団の謎』「知の再発見」双書104 創元社 2002年8月
35名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/11(日) 13:25:32 ID:1MTJjc7X
アレクサンドリア許さないの職人には感動した。
結局完結してないが。
36 ◆TDJK/P.926 :2005/09/11(日) 13:30:27 ID:aPDb7GF7
すみません。
ドラゴンクエストのSS・小説スレッド(http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1121228245/)が落ちてしまっていたので、ここにお邪魔させてください。
これから載せるのは、
ヽ(´∀`)ノ ワーイ教発足 (http://game.2ch.net/ff/kako/1024/10244/1024470060.html
ドラクエの小説スレッドパート1(http://mimizun.com/cgi/dattohtml.pl?http://mimizun.com:81/log/2ch/ff/game2.2ch.net/ff/kako/1029/10299/1029930091.dat
ドラクエの小説スレッドパート2 (http://yotsuba.saiin.net/~1001ya/alflailawalaila/log/1066825290.html
ドラクエの小説スレッドパート2.5 (http://makimo.to/cgi-bin/dat2html/dat2html.cgi?http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1097428290/
ドラゴンクエストのSS・小説スレッド(http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1121228245/
で 連載されていた連作シリーズの続編です。
37第六の扉(仮題) ◆TDJK/P.926 :2005/09/11(日) 13:38:06 ID:aPDb7GF7
トルファは前後を双子の女魔法使いヘルメスとマーズに、左右を衛兵に囲まれて最高神官の部屋へ連れて行かれた。
この建物──ダーマ神殿は相当に格調が高く造られており、その歴史の重さと厚さを感じさせる。しかしトルファはあることを疑問に思った。
「なあ、やけに物々しい雰囲気だな。武装したやつらばっかだな。それに……血の臭いもする。戦争でもやっているのか?」
「察しが早いですね。確かに我々は戦いのさなかにあります。そう、魔物の軍勢を相手に」
トルファの言葉にヘルメスが答えた。心なしか彼女の顔色はかげったように見えた。
そこに後ろのマーズが口をはさんだ。
「姉さま、あまり彼に話さないほうがよいのではないでしょうか」
「いえ、最高神官たるユピテル様が彼を客人として扱うように仰られたのです。これぐらいかまわないでしょう。それにユピテル様のところに行く前に簡単な事情は知っておいてもらったほうがよいようですし」
その口ぶりはこれから先にトルファにどのような事態が起こるかを予測しているようでもあった。
しかし情報は情報だ。知っておいて損はない。トルファは黙ってヘルメス、マーズの話を聞いた。

──ここはダーマ神殿。はるか昔、神々の時代より人々の生きるべき道……言い換えるならば「職業」を司ってきた神聖なる場所なのです。
それゆえダーマ神殿は幾たびも魔界の侵略を受けてきましたが、いずれも天空の神々のご加護と地上の人々の勇気により退けてきました。
しかしここ数年、魔物の軍勢が以前とは比べ物にならないほど強大になっているのです。魔界を支配する大魔王が本腰を入れて侵略にかかってきたのではないかとすら噂されています。
なぜならこのダーマ神殿は職業を司るというだけでなく──
38第六の扉(仮題) ◆TDJK/P.926 :2005/09/11(日) 13:39:02 ID:aPDb7GF7
そこまで話したところで彼らは足を止めた。最高神官の部屋に着いたのだ。
ヘルメスは扉にノックをし、到着を告げた。
「さあ、中に入りましょう」
ヘルメス、トルファ、マーズの順に中に入った。衛兵たちは外で扉の番をするようだ。
この部屋は応接用のようだ。幾らかの椅子と机が並んでいる。また、机の上には重厚な造りの宝箱が置かれていた。そしてその向こうの椅子には白髪の大男が座っていた。
整えられた頭髪、見事な口ひげ、そして白色の神官衣に包まれ、鋼鉄のように鍛え上げられた肉体。まさに神話に出てくる天空の主神の様だ。
「ユピテル様、こちらがトルファなる冒険者です」
ヘルメス、マーズは同時に頭を下げた。トルファは戸惑いながらもそれに続いた。そこへユピテルは声を投げかけた。
「正式な礼をとる必要はないぞ。略式で気楽にするとしよう」
そしてユピテルは立ち上がり、トルファの傍らへと歩み寄った。
「わしがダーマ神殿の最高神官を務めるユピテルだ。よろしく、トルファ」
「は、初めまして……最高神官、様」
トルファはユピテルの威厳に圧倒されそうになり、しゃちほこばった受け答えをしてしまった。
「いや、わしのことは単に「ユピテル」でかまわない。君はわしの部下というわけではないからな」
ユピテルは笑みを浮かべ、トルファに握手を求めた。トルファは気を落ち着け、それに応じた。相手がいいと言うのだ。トルファは普段のペースを取り戻し、椅子に座った後、臆することなくユピテルに質問をした。
「えーと、なんで俺のような不審者一歩手前の流れの冒険者とじきじきに会うんだ」
トルファのタメ口にヘルメスとマーズが目をむいたが、ユピテルが手を上げて制した。そしてトルファに答える。
「それは……君自身がよくわかっているのではないかね、異なる世界を旅する者よ」
ユピテルの言葉にトルファはほほう、という顔をした。彼の素性をすぐに見破る者はそれほど多くはない。
「……俺の顔になんかついているのかな」
「まあ、君の宿命というか星の導きのようなものだ。気にすることはない。それに君は……そんなものには構わず旅を続けているのだろう?」
39第六の扉(仮題) ◆TDJK/P.926 :2005/09/11(日) 13:39:38 ID:aPDb7GF7
「ま、そうだな」
トルファは苦笑した。誰かが何かの目的で冒険の機会をトルファに与えてくれていることは確かだ。しかしその中での行動はすべてトルファ自身の意思によるものである──そうトルファは考えている。
「それでは本題に入ろう。トルファ、君とヘルメス、マーズを呼んだわけだが……」
ユピテルはそこで大きく息を吸い、そして深く、長く吐いた。まるで心の奥深くに沈めたものをはきだすかのように。
「昨晩の祈りの最中に神託が下されたのだ。今日の夜、魔物の軍勢による総攻撃が行われ……ダーマ神殿は滅びるとのことだ」
ヘルメスとマーズは両手を口にあて、驚きを示した。トルファは突然のことであっけにとられた。
「滅びるっていうと……俺たちも死ぬってことか?」
「そう、このまま神殿内にいてはな」
「……それでは最高神官様は私たちに何をせよと?」
「ヘルメス、マーズ……お前たちはこの宝箱の中身を見たことがあるか?この中には、遠い昔に伝説の勇者が用いた武具が入っているのだ」
「ま、まさかそれは……」
ユピテルは魔法の鍵を取り出し、宝箱の鍵穴に差し込んだ。
ガチャリ
宝箱の蓋が開いた。気のせいか蓋と箱の隙間から光がもれてくるように見えた。
ユピテルは見事な造りの盾を取り出した。黄金でもミスリルでもブルーメタルでもない、不思議な質感を与える金属だ。
「これは……オリハルコンか?」
トルファは必死で知識を搾り出し、見当をつけた。
「そう、これこそはオリハルコン製の伝説の武具の一つだ。かつて用いた勇者の名にちなみスフィーダの盾として伝えられている」
「もしかして魔界の大魔王とやらはこいつを狙ってるのか?」
「恐らくは。また神託では『異界より訪れし者にスフィーダの盾を預けよ』とも告げられた。そして今朝、君が突然現れたと報告を受けたのだ」
「……」
40名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/11(日) 18:55:16 ID:Lbsn4JAe
DQ小説いっぱいで幸せだー。
かっこいいし歴史の重みを感じます。がんがってください。
41名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/13(火) 22:22:08 ID:UqA8ntCx
>>32
その人どんな台詞いうんだっけ?
ちなみに船着場のおばあちゃんは桟橋に立って、
「この海のむこうに私が愛した男がいる。あの男はまだ妙なものを集めてるんだろうか」
というような事をいいます。うろおぼえだけど。
42名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/15(木) 00:55:55 ID:DRNqyV6+
>>41
「こう見えて、あたしゃ若い頃は美人シスターとして世界に名をとどろかせたもんさ。
さあさあ、旅の人。あたしにご用じゃないのかい?」(以後、通常の教会セリフ&メニューが出現)
世界に名をとどろかすシスターってどんなカリスマの持ち主なのかと。
カリスマスキル100でグランドクロス放つシスターかっけー、みたいな妄想までしてみた。

それにしてもメダル王も隅に置けないな。
43名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/16(金) 21:34:05 ID:aja7QZoe
保守
44マル兄誉め殺し列伝:2005/09/18(日) 00:00:14 ID:GynRlr5g
 入会以来、彼は聖典解釈に関するいくつかの意義ある論文を物し、実務においても常に
修道士たちの先頭に立って行動してきた。それゆえにこそ、彼は史上最年少にして全会一
致で騎士団長に推挙され得たのである。
 後の大罪に引き付けて、彼の過去や騎士団をも貶めようとする人々が今日後を絶たない。
だがそういった一般の理解とは異なって、マルチェロの統治は実に高潔で慈悲の心に満ち
たものだったのだ。修道院長を兼任していた時期を含めてもマルチェロが騎士団総長に任
じられていた期間は決して長いとはいえないが、実際その功業は数え切れない程だ。彼は
何よりも――私腹を肥やす為ではなく――修道院の聖なる富を増大させる事に尽力した。
それも極めて平和裡な方法によって。マルチェロは放置され朽ちていた土地を耕しなおし、
あるいは近隣の悪辣な領主の不正を告発して領主がマイエラ修道院に対して臣従礼と奉仕
とを果たす旨の契約を取り付けた。こういった彼の働きによって破滅的な慣習税から解放
された村は一つや二つではない。
 修道院長に就任した後、彼は教会内部の改革にすら着手した。まず幾人かの堕落した騎
士を修道院から追放し――確かに彼は多少急進的に過ぎたかもしれない。だが彼が行った
ことは教会にとって必要な改革には違いなかった。それほどに当時の教会人たちは堕落し
ており、血統のみによって受け継がれる地位に慣らされた法王庁もそれを律する力を持た
なかった。それどころかサヴェッラこそが腐敗の元凶ですらあったのだ。いとも偉大なる
御庇護を給う法王聖下、今何食わぬ顔で女神のお側近くに侍るあの御方とて、かつては賄
賂によってのみ職務を果たす堕落僧の筆頭ではなかったか。人々よ、聞くがいい。かよう
な者にすら女神は改悛の機会を与え、教主たる地位をご用意下さる。まこと至聖なる女神
は讃えられるべきかな。

 誤解して欲しくはないのだが、私は何も女神や聖下を侮辱しているわけではない――
45名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/18(日) 18:24:21 ID:EEXRuR4g
諸葛亮スラリソマダー?チンチン(ry
46名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/18(日) 18:24:50 ID:EEXRuR4g
諸葛亮スラリソマダー?チンチン(ry
47名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/20(火) 07:38:15 ID:0ckBzySi
>44
(・∀・)イイ!!
48名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/20(火) 18:43:46 ID:5PBz368M
tes
49名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/20(火) 19:02:57 ID:yXWxIchv
ii
50前回ちょっと誉めすぎた:2005/09/20(火) 23:06:07 ID:Q9oyrQq0
 誤解して欲しくはないのだが、私は何も女神や聖下を侮辱しているわけではない。私は
事実を語ろうとしているだけだ。もちろん上記のような功業の一方で、マルチェロは――
当時の一般的な聖職者と同じように――到底庇い立てしきれぬ罪もまた犯した。彼が金銭
の為に贖宥状を売り、高位聖職者に対して賄賂を用いるのを私はこの目で見ていたのだし、
諫言さえしなかったという点では同罪なのだ。だから私はマルチェロの肩を持って聖下を
弾劾しようなどとは毛筋ほども思っていない。過去の罪を蒸し返すならば、私を含めた殆
どの教会人たちが裁きの対象となってしまうだろう。ドニの街が悪疫に喘いでいた年、禁
止されていたはずの弔鐘を報酬目当てに打ち鳴らし、民の不安を煽り続けたのはどの司祭
だったろうか。腐敗は当時から隅々にまで蔓延していた。しかし繰り返すが、それらの罪
について私は今問題にはしない。私が訴えたいのは、マルチェロは決して世間で言われる
ような邪神の崇拝者などではなかったし――騎士団もだ――、方法はともかくとして彼に
は理想があったという事なのだ。つまり彼はある一瞬までは一人の野心家に過ぎなかった。
 さにあれば、騎士マルチェロは如何にして大罪を犯すに至りしか。さて彼の功業につい
てはすでに多くを語った。私は彼の転落の物語に筆を進めなければならない。
51字がぎゅうぎゅう:2005/09/20(火) 23:08:40 ID:Q9oyrQq0
 中洲の修道院の老師の喪が明けてすぐの頃だ。私は前大司教とマルチェロが連れ立って
歩いているのを見たことがある。自信を持って言おう。詰まるところ、当時あの二人の手
はどちらも同じだけ汚れていたのだ。どちらかがより劣っていたという事はない。目的を
遂げるために金銭と暴力とを行使したという点ではいずれも似たようなものだ。若き修道
院長はその才能に見合った出世を望んでおり、大司教は法皇位を渇望していた。一方でマ
ルチェロは善き統治者であったし、尊下は法皇への忠誠を失っていなかった。だがそのう
ちの一人は今や最高司教の座にあり、我が兄弟の名は背教者として汚泥の中に踏みにじら
れている。一体両者の差は何だったのか、私にはわからない。しかし女神は改心の機会を
聖下にだけお与えになり、いま一人には邪神の杖を授けられた。そしてそれこそが彼の人
生が転落を始めた一瞬であった。
52いきなり直接話法:2005/09/20(火) 23:10:34 ID:Q9oyrQq0
 新月の夜だった。マルチェロは目の前に無防備な背中を晒す老人を見つめた。その老人
の衰えは暗闇の中ですら明らかだった。長く病んだ法皇の老いた肉体に、法衣が重く圧し
掛かっていた。
 老人を誘い出すのは恐ろしく簡単だった。たとえ杖の呪力が無かったとしても望めばい
つでも彼を殺すことが出来たのだ、とマルチェロは考えた。この老人はおよそ人を疑うこ
とを知らない。それは殆ど愚かといってもいいぐらいだった。聖人君子然とした顔をして、
その実何もしようとはしなかった無能な指導者――血統と信仰心。結局のところこの老人
にはそれしかない。この爺に人を率いる資格などあるものか。
 マルチェロは迷わなかった。老人の肉に杖を突き入れ、心臓を抉った。杖が骨に擦れる
感触が彼の手に伝わった。彼は杖の脈動を感じた。出血はごく少ない。底紅の薔薇の花弁
がわずかに赤く染まったのみだ。庭園は静まり返っていて、老人のくぐもった悲鳴はあっ
さりと夜に吸い込まれた。マルチェロは死体を抱きとめながら血に汚れた薔薇を毟り取り、
手の中で焼いた。炎によって水気を絞られた白い花びらがやがて灰と化すのを確かめて、
マルチェロは法皇の居館に背を向けた。死体を崖から投げ捨てる為だ。高みから落ちた人
間の体は、骨という骨が砕けて皮膚を突き破り、裂けた肉から内臓がこぼれ落ちる。きっ
とわずかな傷など誰の目にも留まるまい。
53いんちき宗教談義:2005/09/20(火) 23:15:55 ID:Q9oyrQq0
 彼の偽りの就任式で起こった事は今更筆を尽くして語るまでもないだろう。
 あの日、女神への純粋な愛情から聖地に参じた数千の信徒たちが瞬く間に命を落とした。
信心に応えるような奇跡は何一つとして起こらなかった。それゆえ聖地の崩壊以降、考え
るだに恐ろしい疑問が人々を襲った。この世のすべての事象が女神の思し召しによるもの
ならば、マルチェロに杖を与え、大罪を犯させた母神の意図はどこにあったのか。なぜ聖
母は邪神の魔の手から子等をお救い下さらなかったのか。その問いは人々に精神的な危機
を引き起こすのに十分だったのだ。――ひょっとすると、母は堕落した我らを最早愛して
はいないのではないか?
 人々は神の怒りに戦いた。告解を望む信徒が教会に押し寄せ、教えに反するありとあら
ゆる娯楽が禁じられた。左様、笑うことすらもだ。混乱を収めるためにサヴェッラは法皇
が空位のまま総赦免を発令せざるを得なくなり、教会の権威によって純朴な民の多くは惑
乱を鎮めたが――しかしもっと恐ろしい考えに行き着くものもあった。暗黒神は確かにい
た。では女神は?我らが御親は何処におわすのか。あの災禍において女神ご自身の霊験は
示されなかったではないか。信仰の最も重要な拠り所だった女神像、その御身の内に巣食
っていたものは何であったか。私たちは何に祈りを捧げていたのだろうか。
54ED後とかも書いてみる:2005/09/20(火) 23:24:54 ID:Q9oyrQq0
 私はあの後一度だけ彼に再会する機会を得た。彼が旧知の友に出した手紙を偶然目にし
たのである。もちろん署名などなかったが、私には筆跡ですぐに彼だと知れた。驚いたこ
とに、彼は私の突然の訪問を歓迎してくれた。私たちはごく自然に再会を喜びあい、夜半
過ぎまで語り合った。彼は旅をしているのだと言った。
「何の為に」
私は問うた。彼は見慣れた騎士団の制服を最早着てはいなかったが、胸のロザリオはその
ままだった。
「女神を探そうと思う」
私は驚いて翠色の目を見つめた。
「いると思うのか」
「これはこれは」彼は苦笑した。「信仰心の薄い奴だとは思っていたが、まさかお前が異端
者だったとはな」
あまり笑えない冗談だった。彼の方こそ教会から公式に異端宣告を受けた身だったのだ。
軽く息を吐きながら私は注意深く言葉を探した。
「いないとは思っていない」声が震えた。「いないはずがあるもんか。――だが女神は私た
ちをお見捨てになったのかもしれない」
告白するが、当時私も信仰上の激しい葛藤に苛まれる一人だった。だからその時、きっと
私はすがるような目をしていたに違いない。私は恐ろしい考えを振り払おうと躍起になっ
ていた。
55あ、終わっちゃった:2005/09/20(火) 23:26:47 ID:Q9oyrQq0
 マルチェロは私を見返しながらゆっくりと言った。
「いるかもしれないし、いないかもしれない。あるいは以前はいたが今はもういないのか
もしれない。私はそれを確かめにいくのだ。」
もし女神がいるとするなら何を望んでおられるのか知りたいのだ、と彼は付け加えた。女
神の盤上において、自分は何の駒であることを望まれていたのかを知りたいと。
 彼の考えはおよそ途方も無いことのように思われた。馬鹿げていると言ってもいいぐら
いだったが――もしかすると私は彼を止めるべきだったのかもしれない。今思えば彼の行
為は人の身で女神のご意思に介入しようとすることにあたる可能性があったのだ。神に会
うだと?他の人間がそう言ったのであれば私は一笑に付すことができる。だが彼なら――
いずれにせよ最早どうにもならないことだ。
 空が白み始め、私は辞去を告げた。建物の外に出ると朝霧が美しく立ち込めていて、彼
は作法どおり入口まで出て私を見送った。去り際に至って私は騎乗したまま、第一の使徒
が預言者に対して三度繰り返した言葉をふと彼に言った。彼は答えなかった。私は笑って
馬首を返した。
 それきり彼とは会っていない。


 ――かくして私が知る限りの騎士マルチェロの物語は終わる。これを読む者よ、私の稚
拙な文章からもし学ぶべきところがあれば学び、過ちをみつけたなら大いにそれを正すが
よい。
 偉大なる聖母のご威光が未来永劫にわたって遍く地上を照らしたまうように。まことに
そうでありますように。
56名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/21(水) 00:17:12 ID:FurAScGf
マルチェロ伝記の中の人乙でした!
重厚な文章が好みでワクワクしながら読ませていただきました(;´д`)
57名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/21(水) 02:32:55 ID:vXK34mlP
>>47
>>56
読んでくれてる人がまだちゃんといたとは!
有難うございます。
かなりはしょってしまったけど、とりあえず完結させられてよかったです。

蛇足。
黒死病関連、キリスト教風な表現は適当なのであまり信じないように。
ついでにとてつもない蛇足ですが>>13
「また天災の記述などから、暗黒神滅亡後数十年以内に成立した〜」を
「また描写などから、第92代法皇ニノの在位期間中に成立した〜」に脳内修正しといてください。
最初適当に書いてたので矛盾が生じました。天災の描写なんか入れられなかったよ。
変に重厚ぶったのでわかりにくい表現があったら申し訳ない。
理解に苦しむ箇所があればどうぞお気軽に尋ねてやってください。
58名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/21(水) 22:59:43 ID:FurAScGf
マルチェロは物書きにとって色々と魅力的な題材だよね
自分も何か書いてみたいんだけど、それこそ中世の宗教から騎士団まで
調べ上げなきゃリアルな描写はできないんで苦戦中……
あの聖堂騎士団のモデルはテンプル騎士団でいいのかな?
クックルの武器にテンペラーソードってあったし

スレ活性化を願ってage
59名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/22(木) 01:30:03 ID:32+umsA/
テンプル騎士団のことを聖堂騎士団っていう場合もあるし、
まあ引用元と言ってしまってもいいかも。

ちなみにキリスト教の知識はDQの二次創作にはそれほど使えなさげ。
なんたってDQの女神信仰は飽くまでもキリスト教ではないわけですよ。
つまり聖句の一つも直接引用はできない事になる。
極論すれば「アーメン」の一言すら使えない。ヘブライ語なんかDQ世界にないからね。
そもそもあの宗教が一神教かどうかも怪しいものだ。
暗黒神と女神の対立構造とかから見て、むしろ拝火教とかに近い気がするな。

仮に一神教とした場合でも、唯一神が女性ってことは
あの宗教は唯一の母に大勢の男性聖職者がかしずく構造になってる。
何というか、おそるべきマザコン宗教ですな。
つかこの論理でいくと女のほうが男より本質的に偉い(神に近い)ってことになって、
ヨーロッパ的な社会構造の重要な部分が崩れることになるぞ。
いや、そのわりには女性が聖職から排除されぎみなかんじだし・・・。
どうなってんだ。おい。

と、このように考証に凝りすぎると動けなくなります(経験者)。
リアルな描写ももちろん結構ですが、所詮ゲーム。
根を詰めすぎず気楽にいきましょう。
60名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/22(木) 03:12:44 ID:4N+8AsYB
>そのわりには女性が聖職から排除されぎみなかんじだし
女性のカミサマはテリトリーに自分以外の女性がいると嫉妬するんですよ
弁天様がいる場所でデートすると別れるって言う奴もそう
61名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/22(木) 03:28:22 ID:cX01tP3x
>>59
キリスト教を日本人脳で脳内補完してイメージつかむとちょうどいい感じ。
平野啓一郎の『日蝕』が自分の中ではマルチェロの生きてる世界観
62名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/22(木) 04:52:53 ID:HfjBOoj1
昔あったお題を出して小説書くスレの保管庫ってどこにあるのかな?
知ってる人情報きぼん
63名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/22(木) 06:23:31 ID:32+umsA/
徹夜中。

>女性のカミサマはテリトリーに自分以外の女性がいると嫉妬するんですよ
てことは法皇は女神の夫なわけだ!地母神信仰くさいですね。
聖婚…神殿娼婦とかいたらやだな。そんなのドラクエじゃないよ。
ただ多神教ならそれで片付くとして、
一神教の神は唯一絶対、全知全能だから人に嫉妬するとは考えにくいかもしらん。

スレ違いな話題申し訳ないです。
64名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/22(木) 12:02:34 ID:e4tm9a/9
> おそるべきマザコン宗教
> 聖婚…

コレを見て「母さんはどこだ」っていう言葉が脳内ループしてるw
聖母というより星母という感じでって、それぐらいしか発想できないや。
それにしても良く勉強してるんだな…お前らすごいよ。

>>62
これか?
ttp://yotsuba.saiin.net/~1001ya/odai/index.html
65名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/23(金) 01:11:15 ID:oY9H0Zpe
女神×ラプソーンで創世神話とかどうよw
いまだかつてないカップリングじゃまいか。

『日蝕』家に落ちてたからざっと読んでみた。
ドラクエにしちゃちょっと重たいような気も。
とりあえず文体模写するならククール→ククゥル表記は必須だな。
地名の当て字も考えねばw
66名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/23(金) 01:19:48 ID:WBXi0vjU
>>64
そう、ソレダ!!
ありがd
67名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/23(金) 01:31:54 ID:QEfHcti7
亀ながらも
>>24〜30 が最高に面白かった。
作者さんが書いた物がもっと読みたい!!
68砂糖 ◆SATO.VV1aU :2005/09/23(金) 22:52:04 ID:UxNqQ8FQ
お邪魔します。
69名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/23(金) 22:53:18 ID:UxNqQ8FQ
>31-32 >67
ありがとうございます。
他のFF作品は…匿名でこの板にありますので、見かけたらご笑納ください。
DQの爽快で勇猛果敢な世界観が大好きです。
機会がありましたら、いつかDQで参加させてくださいませ。

マルチェロ伝記の、愉快なタイトルと深い文章が素敵でした。
聖書を思わせる改行と文語風文体、歴史に裏打ちされた展開がとても良かったです。
70名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/24(土) 19:35:21 ID:vZMz3yO4
うんこスレがどれくらいあるのか調べようと思って
”う ん こ”で検索かけたらここが出ました
71名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/27(火) 00:08:25 ID:Y5gu3PTh
保守
72名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/27(火) 03:37:09 ID:azjzS/au
>>69
うわ、ありがとうございます。
愉快なタイトル…へへへ。
途中まじめな題名を考えてみたりもしたんですが
尻がむずむずしてきてやっぱりやめてしまいました。あーあ。

69さんのSS感動しました。
FFを知らなくても楽しめるってすばらしいです!!
73名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/28(水) 04:21:08 ID:NVsD3I3P
完結乙華麗様です。新作をワクワクテカテカお待ちしてます。
74名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/28(水) 15:18:19 ID:E7jQFNEI
うむ
75名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/29(木) 08:55:19 ID:5mI9Ka7L
test
76名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/29(木) 08:55:47 ID:+RPSWChU
test
77名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/29(木) 15:05:55 ID:98+iUWH4
やはり、FFDQ総合だと長編は書きづらいかな
78名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/30(金) 00:19:15 ID:+7JW9osT
■■■■■■■■■■■■■■■■
■                     ■  違う板にコピペすると、四角の枠の中に
■                     ■  メッセージとURLが現れる不思議な絵。
■                     ■
■                     ■  (その仕組みがリンク先に書いてある)
■                     ■
■                     ■  この原理を応用すると、まったく新しい
■                     ■  コピペが作れる予感。
■■■■■■■■■■■■■■■■
79 ◆v7AgQVTqrQ :2005/09/30(金) 08:21:01 ID:FzdRWFAG
dd
80#:2005/09/30(金) 13:48:25 ID:eBNDO+X1
81 ◆r.ifcizF8w :2005/09/30(金) 13:50:09 ID:eBNDO+X1
82 ◆PaAeJik7zg :2005/09/30(金) 13:50:43 ID:eBNDO+X1
83クラウド ◆PaAeJik7zg :2005/09/30(金) 13:51:55 ID:eBNDO+X1
84名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/30(金) 13:55:31 ID:/UaY6rd7
題材はどのDQ、FFでもいいのかな?
85もう ◆PaAeJik7zg :2005/09/30(金) 14:06:50 ID:eBNDO+X1
86どうでもいいと思う ◆PaAeJik7zg :2005/09/30(金) 14:07:24 ID:eBNDO+X1
87名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/30(金) 14:12:57 ID:Yu/a7h05
ハァ?
88???D?C?i?N???E?h?j ◆PaAeJik7zg :2005/09/30(金) 14:13:04 ID:eBNDO+X1
a
89 ◆53qanEArlA :2005/09/30(金) 20:41:12 ID:r2e3Bj+I
90名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/30(金) 23:59:00 ID:6UM6HNCT
>>84
いいと思います。
ワクテカしながら待ってますよ
91名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/01(土) 00:36:21 ID:glEDgIAF
つーかなんでこのスレSS投下スレになってんの?
アイデア開陳スレじゃないの?
92名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/01(土) 01:27:34 ID:mhW4YMNn
いっさいの制限なく使っていい、設定、展開、妄想を投下するスレでしょう。
感謝しこそすれ、文句はまったくないな。
ものを書くにおいて、触発され、インスパイアさせてもらえるのは幸せだが
93名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/01(土) 11:00:28 ID:drjjV+bu
どう考えても長編は投下できるようなスレじゃないだろう。
せめてFFとDQとあ分離していたら書きやすくもなるかもしれないけど
94名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/01(土) 15:19:57 ID:5fuLA8Ls
リクエストします。トルネコ見たいよトルネコ。
パンの前で倒れちゃうけど、それでもがんばるトルネコが好きです。
95名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/02(日) 18:17:00 ID:9esoVTYM
よかったらぼくが書いた物語でも読まないかい(´∀`)
96名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/02(日) 19:02:36 ID:t4sPXcAX
よいから読むぜ
97名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/02(日) 23:14:30 ID:9esoVTYM
載せられるようなスレがないなぁ
98名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/02(日) 23:22:27 ID:eyZ+26KU
ここには投下しないでね
99名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/04(火) 01:26:08 ID:cSX/djkp
>>95
コンセプトならここにv
ストーリーなら千夜一夜スレを薦める
カテゴリ別に投下汁
読ませてくれ〜
10095:2005/10/04(火) 01:46:38 ID:/Hi/qK21
スレを建てるか廃墟になってるとこに載せることにしたよ(´∀`)
101名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/04(火) 22:18:14 ID:cSX/djkp
なぜ廃墟?(BGM〜【エレジー】〜DQ4)
102名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/06(木) 03:33:16 ID:9IKD4Lfe
諸葛亮スラリソ降臨待ち保全
103名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/07(金) 10:05:56 ID:n1ONPiGn
ほしゅ
10495:2005/10/07(金) 16:19:45 ID:1UaVJ3EB
完成した\(・∀`)/

タイトルは「ドムドーラ」で、どっかに載せることにしhます。よかったら
遊びにきてくだ際

>>101
使われてないクソスレのことを廃墟って言ったんだよ。でもタイトルがドムドーラだから
廃墟っぽいスレでもいいかもね
105第六の扉(仮題) ◆TDJK/P.926 :2005/10/08(土) 20:35:31 ID:G/32zLBx
>>39続き

「そう、これこそはオリハルコン製の伝説の武具の一つだ。かつて用いた勇者の名にちなみスフィーダの盾として伝えられている」
「もしかして魔界の大魔王とやらはこいつを狙ってるのか?」
「恐らくは。また神託では『異界より訪れし者にスフィーダの盾を預けよ』とも告げられた。そして今朝、君が突然現れたと報告を受けたのだ」
「……」
途方もない話にトルファ、それにヘルメスとマーズは沈黙するしかなかった。自分たちが現在いるダーマ神殿が明日には滅びると聞かされただけでも驚愕したが、それに伝説の兜が絡んでくるとは想像をはるかに超えている。
「現在このダーマ神殿は魔物どもによって隙間なく包囲されており、恐らくは移動魔法を使ったところで、何らかの手段により妨害されるだろう。
 現にルーラやキメラの翼で近隣諸国に救援を呼びにいたはずの者たちも帰ってこないのだ。こうなれば直接……自らの足で脱出するしかない」
「というと……」
「明日のやつらによる総攻撃の際、我々は打って出て乱戦を作り出す。トルファ、君たちはその中で敵の包囲網を潜り抜け、脱出してほしい」
「しかしそれでは最高神官様たちは……」
「もちろん、死ぬだろう」
ユピテルは平然と言った。
「だが、このまま篭城していても緩やかな死を待つだけだ。ならばせめてスフィーダのたてだけでも脱出させなくてはならない」
「そうか……わかった、その依頼を引き受けるぜ」
「よし、ありがとう。ヘルメス、マーズ。お前たちもトルファについていきなさい。そしてスフィーダの盾を守り抜くのだ」
しかし二人は納得できないという顔をした。
「……ですが、仲間をおいていくわけにはいきません!」
「そうです!我々は今までともに戦ってきたのです。ここで私たちだけが脱出するのは──」
106第六の扉(仮題) ◆TDJK/P.926 :2005/10/08(土) 20:40:30 ID:G/32zLBx
「お前たちの気持ちはわしにもよくわかる。だが……これは世界のためなのだ。いつの日か伝説の勇者が現れるまで、この武具を守ることこそが世界を救う道だ。
 その日は、十年二十年どころではなくもっと先……おそらくは百年単位の年月が流れるであろう。だがかならずその日は来るのだ!我々は大魔王により滅ぼされる。
 しかしそれは決して敗北ではない!遠い将来に必ず現れる勇者に伝説の武具を渡し、そして勇者が大魔王を倒す。それこそが我々の勝利なのだ!!」
ユピテルは声を高めながら一息に言った。そして深呼吸をし、未だ興奮冷めやらぬ声で告げた。。
「さあ、一刻も早く旅立ちの準備をするのだ。そして休み、今夜の出発に備えるがいい」
トルファたちはユピテルに促されるまま部屋を出た。トルファは衛兵たちに連れられていき、ヘルメスとマーズは自分たちの部屋に戻っていった。彼女たちはトルファが声をかけてもうつむいたままであった。
「俺を尋問していた時には気が強く見えたけど、それだけじゃあなかったんだな」
そんな思考が浮かび、トルファは思わず頭を振った。
「ちぇっ、こんな命がかかったときに不埒なことを考えるとは、な」

真夜中……戦いは始まった。
雄たけび、剣と剣がかち合う音、魔獣のうなり声、攻撃呪文による爆発音、そして断末魔の叫び。
準備は万端である。トルファは既に革靴を履き、鎧を着、剣を帯び、マントを留め、そして背中には布にくるんで隠したスフィーダの盾を革紐で十字に縛り付け、その上に雑嚢をしょっていた。
神殿内の人間たちは確かにあわただしくしているが、思ったよりも混乱はしていない。よく訓練が行き届いているからだろう。しかしユピテルが受けた神託が正しければ、今日中に彼らは全滅するのだ……。
(見捨てる形になってしまってすまない)
トルファは心の中で頭を下げながら進み、そしてユピテルの部屋に入った。
バタン
扉を乱暴に開く。そこには既に三人が待っていた。
「うむ、準備ができたようだな。彼女たちも今来たところだ。」
107第六の扉(仮題) ◆TDJK/P.926 :2005/10/08(土) 20:41:28 ID:G/32zLBx
「それで俺たちはいつでてゆけばいいんだ?」
「今、神殿の正面玄関に兵を集めている。魔物の軍勢は裏をかいたつもりか、正門以外の方面から攻撃を仕掛けてきた。我々は裏の裏をかき、正門から斬りこみをかける。君たちは彼らの出撃後、時間差をとってから脱出してくれ」
「正門を堂々と開けて大丈夫なのか?逆に付け入られたりしたら元も子もないぞ」
「君たちが出た後、門はすぐに閉める」
「それじゃ、斬り込み隊のやつらはどうするんだ?門の外に出るんだろ?」
「彼らにはしばらくしたら森の中に散らばり、可能な限り魔物の注意をひきつけるよう指示を与えてある。君たちが逃げられるように」
「つまり……」
「そう、彼らには死兵となってもらう。だから君たちには必ず生き延びてもらわなければならないのだ。神殿に残って篭城する者も、最期まで魔物を防ぎやつらの目を向けさせ続ける」
ダーマ神殿の全ての者たちがただ一つ、スフィーダの盾を託されたトルファたちを逃がすため、そしてそれを未来の勇者に渡すためにその命を捧げるのだ。
トルファは思わず背中に縛り付けたスフィーダの盾に手をあてた。まるでその重さを感じ取るかのように。
一方、ヘルメスとマーズはまるで葬列に加わるかのような表情をしたままであった。共に過ごし、戦い続けてきた仲間たちをおいて自分たちだけ脱出するというのだ。
その引き裂かれんばかりの感情は想像にかたくない。
それを察してか、ユピテルは彼女たちに対し……慈しみに満ちた目で肩に手を置いた。
ヘルメスとマーズはそのままユピテルの厚い胸にすがり──トルファは彼らを気遣い、一足早く部屋から出た。

トルファたちは人一人通るのがやっとというまでに狭められた門をくぐった。
そしてすぐに門は閉められた。もはや後には退けない。
前方の森では斬り込み隊の者たちが魔物の軍勢に強襲をかけているのか、激しい戦闘が行われている模様だ。
108第六の扉(仮題) ◆TDJK/P.926 :2005/10/08(土) 20:42:12 ID:G/32zLBx
神殿の正面だけではなく、他の方面でも神殿内に侵入しようとする魔物とそれを防ぐ人間との戦いが繰り広げられている。
地の利もあり防御側が優勢にことを進めているが、魔物たちの陣容は非常に分厚い。じきに数の差に押し切られてしまうだろう。
「ダーマ神殿が滅びる日が来ようとは……」
マーズが泣きそうな声でつぶやいた。それをヘルメスが励ました。
「元気を出しなさい、マーズ。私たちが生き延びることこそユピテル様はじめ神殿の皆が望んだことなのですから。さあ、行きましょう」
どうやらヘルメスはマーズよりも先に元気を取り戻したようだ。トルファとしても同行者たちにいつまでも落ち込んでもらっていては自分の身も危ない。
立ち直ってもらわなくては困るのだ。
「よし、俺が先頭を行く。二人は左右と背後を警戒してくれ」
三人は三角形の陣形で暗い森の中へ進んでいった。
時折戦いの音が聞こえてくると慎重にそちらを避け、静かなほうへと進んでいく。もしかして向こうでは仲間が助けを求めているのかもしれない。ひょっとしたら自分たちが行けば助けられるのかもしれない。
しかし、多数の魔物に囲まれてスフィーダの盾を守りきれなくなるという危険を冒すわけにはいかない。トルファたちは唇をかみ締めながら歩を進めていった。
そしてついに──森を抜け出た。彼らは一様に安堵のため息をついた。
「ここまで来ればもう大丈夫でしょう。あとは森の端沿いに西へと進み、港町サンマリノを目指します。そうすればスフィーダの盾の隠し場所を探すにも好都合なはずです」
ヘルメスはそう言った後、マーズへと目を向けた。マーズは抜け出たばかりの森を見つめていた。その先は……ダーマ神殿だ。
「マーズ、振り返ってはいけません!」
ヘルメスはマーズをしかりつけた。声を張り上げるなど、トルファには今までの彼女からは想像できなかった。
109第六の扉(仮題) ◆TDJK/P.926 :2005/10/08(土) 20:42:45 ID:G/32zLBx
「私たちは前へと進まなければならないのです。それがユピテル様の……」
ヘルメスの声は次第にしぼんでいき、それとともに彼女はうつむいてしまった。
そして彼女の目から涙が零れ落ちた。
「ヘルメス……お前、本当はとても辛かったんだな」
トルファは両手で顔を覆うヘルメスに声をかけた。
マーズに比べ、気丈に思えたヘルメス。彼女とて、本当は泣き出したい思いだったのだ。それを義務感により抑えていたが、使命が一段落ついたところでによりとうとう限界が来てしまったのだ。トルファはそれを悟った。
トルファはヘルメスの肩をつかんで言った。
「さあ、もう行こうぜ。ここにいても何もならないばかりか、辛さが増すだけだ。今はただ……前に進もうじゃないか」
ヘルメスは突然トルファの肩に手を回し、抱きついてきた。
「お、おい」
トルファは突然のことに戸惑ったが、ヘルメスは泣きじゃくるばかりだ。
困惑するトルファにマーズが言った。
「もう少しだけ、そのままにさせてあげて下さい。ずっとこらえてきた分、ヘルメスは私よりもきつい思いをしていたのです」
「そうか……」
トルファも単純な男ではない。ヘルメスが自分に抱きついているのは、トルファ自身と認識してのことではなく別人の代わりとして……おそらくはユピテルを意識してのことだろう。
自分がすこし黙っていることで彼女の辛い思いを受け止め、軽くさせて上げられるならそれもいい。
一分ほどして……ヘルメスはトルファから離れた。彼女の目は涙に腫れていた。
ヘルメスはトルファに頭を下げた。
「取り乱してしまい、すみませんでした。謝ります」
「いや、かまわないさ。別に俺だって悪い気分じゃなかった……って、俺は何を言ってるんだ」
トルファが恥ずかしがると、ヘルメスとマーズはかすかに笑った。
「ごめんなさい、あなたが顔を赤らめるのが面白くて……」
「人を子ども扱いしないでくれ!」
彼女たちはすっかり気分が落ち着いたようだ。
「よし……もう行くぞ、いいな?」
「はい大丈夫です……トルファ、ありがとうございました」
ヘルメスはトルファに礼を言った。トルファは気恥ずかしい、という様子で頭をかいた。しかし悪い気分ではない。
彼らが歩き出そうとした瞬間……目前に、黒い影が地面から生えてきた。
「な、なんだこいつは!」
110第六の扉(仮題) ◆TDJK/P.926 :2005/10/08(土) 20:43:50 ID:G/32zLBx
トルファたちはとっさにそれぞれの武器を構え、戦闘体勢を整えた。
影はトルファの身長の1.5倍ほどの大きさになると、霧が晴れたかのように姿が明らかになった。
青ざめた肌の馬にまたがり、馬上槍(ランス)と盾を構えた、魔性の高貴さを漂わせた魔物……死神貴族だ。
死神貴族はトルファたちを一瞥し、馬上から声を投げ下ろした。
「ふっふっふ……うまく探し物を見つけられるとは、私は運がいいようだ」
死神貴族は、可笑しくてたまらない、とでも言うように手を叩いた。
「何が『うまく』かというと、ここには私しかいない。即ち手柄をムドーの部下どもに奪われなくてすむということだ。これは非常に、非常に重要なことだよ」
「……黙って聞いてれば、大した自信だな」
トルファは死神貴族をにらみつけながら言った。
「一人で俺たち三人を相手にするとは、な」
それだけの実力はやつにある。トルファたち三人と互角以上に戦えるだろうとトルファの歴戦の勘は告げていた。
しかしここで気圧されては勝てるものも勝てない。ここははったりが必要だ。ヘルメスたちもそれを察してくれたか、まずは舌戦に出た。
「あなたは何者です?私たちを探していたかのような口ぶりですが」
「ふっ、それは少し違うな。私は君たちの持つスフィーダの盾を探していたのだよ」
そして死神貴族はトルファにランスを向けた。
「せっかくの盾を背中に縛り付けるとは……君らは無粋者だな」
「なに!?」
トルファは思わず片手を背中の盾にあてた。背中に隠していることまで見抜いたとは……。
「私はスフィーダの盾の捜索のため、特別な力を与えられた魔王の使い……造作もないことだ!」
死神貴族はマントを翻し、馬を後退させた──突撃の姿勢だ。
「さて、君たちも名乗ろうではないかね。これから倒す相手の名を知っておくのが礼儀だからな」
「俺の名はトルファ、一介の冒険者さ!」
トルファの名乗りと同時に死神貴族は馬を走らせた。
カキン!
トルファの剣は死神貴族のランスをはじいた。助走が足りなかったためか、死神貴族の突撃はさして威力のあるものではなかった。
しかし死神貴族は立ち止まらず、そのままトルファの横を駆け抜けていった。
「しまった!ヘルメス、マーズ!」
トルファは叫んだ。死神貴族は後ろの彼女たちを狙っていたのか!
111第六の扉(仮題) ◆TDJK/P.926 :2005/10/08(土) 23:40:26 ID:G/32zLBx
すみません、この1ヶ月の間にスレの方向性が定まった事に気づきませんでした。
大量に貼り付けて申し訳ございません。
112名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/09(日) 09:22:50 ID:WA0idTaM
113名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/11(火) 02:09:08 ID:dhvBg0PI
やはりDQ小説スレッドを立てるべきだろうな。
114名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/11(火) 22:39:09 ID:55aDEy5i
各板に散った職人さんを再結集させるのだ!
115名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/11(火) 23:04:10 ID:WCDn1Cyt
>>111
いやいや乙です
116名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/12(水) 01:48:48 ID:VL3Ei+3i
あれ?ここって小説書くスレじゃないの?
117104:2005/10/13(木) 01:36:04 ID:qzCW5vkR
でけましたので宣伝にきました
よかったらどおぞ。

http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1129128275/
118名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/13(木) 12:07:12 ID:3t62E3DG
セリフの前に名前があるのはさすがにどうかと思った
無い場所もあるけど
119名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/15(土) 20:15:36 ID:/rZmfwal
保守
120カリスマシスターの:2005/10/17(月) 04:53:47 ID:z3PhDcwV
法王からある還俗した元修道女へ一通の手紙が遣わされる。それに対して女が奏上した書簡。

最愛のお父様であり、尊敬すべき師であり、精神の兄、そして私の主であられるあなたさ
まへ――あなたさまの忠実な婢女より

愛しい方よ、お手紙を下さった事をこの上もなく幸せに思います。
私が最後にあなたさまにお目にかかってからどれほどの時が流れたでしょうか。けれども
最後に拝見した時のあなたさまの気高いお姿は、しっかりと私の瞼に焼き付いています。
あなたさまの清らかなお声も、まるでお別れしたのが昨日の事のように耳に残っておいで
です。――私のあなたさまへの愛は、あの頃から少しも変わるところはございません。他
の信徒たちが敬意を捧げる以上に、私の心は、私の愛はあなたさまに結ばれているのだと、
私は今でも幾ばくかの自負をもって申し上げることができます。あなたさまがご命令下さ
ることであればすでに老いた身ではございますが、私のすべてをもってそれに従いましょ
う。それこそが私の愛の証なのですから。
しかし、ああ懐かしい方、あなたさまが尊いお手紙によって私に下されたご命令に、私は
背くことになるかもしれないのです。これはもちろん私の望むところであるはずがござい
ません。以前のようにわずかなりともあなたさまのお役に立つ事ができるなら、私もどん
なに嬉しいことでしょうか!ああ本当に女神のご意思は窺い知れぬ事とはいえ、私はこれ
を申し上げる事を心からつらく思います。聖なる父よ、私はあなたさまが望まれるあの力
を、すでに失ってしまったのです。神のお声を聴くあの力を。
121キャラクタ無視で捏造:2005/10/17(月) 04:55:18 ID:z3PhDcwV
これをきちんとお話申し上げるのは初めての事かもしれませんが、私は十歳になる年に初
めて神に出会いました。私が郷里の教会の側でつめ草を摘み、幼い手で冠を編みながら空
を眺めていた時の事です。それまで何事もなく流れていた雲が突然騒ぎ始めたかと思うと、
天上から一条の太い光が流れ下り、私をまっすぐに刺し貫いたのでした。私は光の中で大
いなる目が私を見守り、大いなる手が私を包み込むのを確かに感じました。それから私の
目の前に一面に金色が広がったかと思うと、突如としてえもいわれぬ美しい音楽が鳴り響
き、どこからともなく漂ってきた乳香と没薬の香りに私はうっとりと気を失いました。そ
れはまさしく神的な体験でした。と申しますのもそれから後、私は日常の風景の中に一人
の婦人を見つけるようになったのです。その女性は真っ白なストーラとパルラを纏ってい
て、全身が黄金に光り輝いて見えました。また驚いたことには、その女性の姿は私以外の
人には見えないようなのでした。「あそこに金色の女の人がいるわ」糸杉の下に立つ女性を
指差しながら、私は母親に言ったものです。「見えないの?ほら手招きをしている。すごく
きれいな方だわ」
122書簡体はラクでいいや:2005/10/17(月) 04:56:12 ID:z3PhDcwV
私が至高の存在に拝謁を果たしましたのは、おおむね以上のような経緯です。そのあと神
父様の強い勧めもあって、私の身が女神に捧げられる事が決まったのはすぐの事でした。
修道誓願を果たされるさるご婦人について私がマイエラの女子修道院に入る事になったの
は、あなたさまもご存知でいらっしゃいましょう。
ああうるわしきマイエラよ!あなたさまと私が出会ったのもあの土地でございました。恐
れながら覚えておいででしょうか。私の能力が広く世間に知れるところとなり、多くの人々
が私の住む僧院に訪れるようになった頃です。訪問者の中には私の能力について神学的な
調査を望まれる学僧もおられ、そのうちの一人があなたさまでした。――過去の過ちをあ
れこれするのは、かえってあなたさまの御名に改めて傷をつけることになるのかもしれま
せん。ですがあの当時、あなたさまを女の力によって誘惑したことを私は今でも心から悔
やんでいるのです。人々の口の端にふたりの名前がのぼるまで、あなたさまは熱心に私を
お訪ねくださいました。恥ずべき肉の誘惑の虜となった私は、あなたさまを罪によって汚
し続けたのです――ああ聖母よ、願わくはふたりの罪を私一人に背負わせてくださいます
よう!
しばらく後にあの無遠慮で悪意ある僧侶たちによってあなたさまと私との関係が取り沙汰
された時、もしあなたさまがあの罪を理由に至聖の位から遠ざけられるような事があれば
私は即座に自刃するつもりでおりました。もちろんそれが信徒としてあるまじき罪だとは
存じております。ですが尊い御位に誰よりも相応しいあなたさまを汚し、人生を狂わせて
生きていくことがどうしてできましょうか。ですから慈悲深い女神のお導きによってあな
たさまが無事に聖なる位に昇られる事が決まった時、私も天にも昇る気持ちがいたしまし
た。それと共に私は聖職から退くことにはなったのですが、そのような事は全く問題では
ありません。心残りがあるとすれば、見神の力をもってあなたさまのお力になる事がもは
や適わなくなった事です。眼前の女神は私たちの罪については何も仰らず、時折天上の言
葉を紡がれるばかりでしたが(女神が地上の些事に無関心を通されたのはご存知のとおり
です。また女神には私の言葉は一切聞こえていないようでした)、私がお伝え申し上げるそ
れらの謎めいた御言葉があなたさまによって整理され、意味が明らかにされていくのを見
守る事は、私にとって非常に幸福な体験でした。なぜならその時私たちは肉体的な繋がり
を離れ、霊的な愛によってお互いをお互いに結びつけているように思われたからです。魂
の交りともいうべきあの気高いやりとりが不可能になった事、それだけがあの頃の私の未
練でございました。
124冒険活劇を期待してたら申し訳なかったス。:2005/10/17(月) 05:04:12 ID:z3PhDcwV
ですがその悩みは取り除かれたのです。聖職を退いて荒野に隠遁してほとんどすぐの頃で
した。ある朝、私は十の年からずっと自分の側に纏わるように存在していたあの金色の貴
婦人が、どこにも見えない事に気づいたのです。私はお手紙をいただくまで、きっとあな
たさまのお役に立つという私の使命が済んだ為にあの金色の人は姿を消したのだとばかり
思ってきました。でも今になってあなたさまが私の力を必要とされるとは、私の理解が間
違っていたという事なのでしょうか。あれは聖母が罪深い私を見限ったという事にすぎな
かったのでしょうか。
あなたさまは邪な気配が世界に満ちていると、何かとても不吉な事がこれから起こるので
はないかと案じておいでです。黄金の御方ならばあなたさまを悩ませる凶兆を解きほぐす
ような御言葉を発されるかもしれませんのに、わたしにはもはやかの人を見ることができ
ないのです。お声を聴くことができないのです。ああなんという運命の悪戯なのでしょう。
愛する方よ、どうか卑小な私をお許しください。もしも女神が私にお怒りを向けておいで
だとしても、私にはあなたさまのお役に立てない事のほうが何倍もつらく思われます。い
としい方、あなたさまが苦しんでおられるというのに、私にはあなたさまに謁することす
ら適いません。私にできるのは、御座所を離れた遠い辺境の地であなたさまのために祈り
を捧げる事だけと成り果ててしまったのです。せめて女神が聖なる王の為に祈る私の声を
聞き届けてくださいますように。ごきげんよう。
125名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/17(月) 05:16:15 ID:z3PhDcwV
カリスマ=神がかり解釈でひとつよろしく。
法王周りの権力争いにも強引に絡めてみました。

ざっと書いたので文が乱れてるがご容赦を。
126名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/17(月) 17:52:58 ID:1OQg7LNB
>120-124
キタ!アラベールとエロイーズ…ハアハア
書簡体がとても美しいですね。油絵のDQVIII世界風ですごいです。
127名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/17(月) 21:22:47 ID:wqAAZah5
age
128名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/18(火) 00:57:18 ID:WMzouYa+
FF4のカインの話が読みたい。
エンディングの後どうしたのかとか、昔話とかで。
129名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/19(水) 01:15:50 ID:a2ELprKg
130名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/19(水) 20:14:17 ID:uksVwNAP
まとめてみた。見落としあったらすまん。

未終了のお題(成人向けのお題は除外させていただきました。あしからず。)
・DQ・FFの世界設定だけ少しだけ借りて、 オリジナルキャラ・ストーリーで勝負してる小説
・DQ7のアイラ冒険譚
・DQ8のメダル王と船着場のお婆ちゃんの過去話(注・船着場ではなくポルトリンクか?)
・DQ8の女神×ラプソーンで創世神話
・DQ4、不思議のダンジョンシリーズのトルネコ話。パンの前で倒れちゃうけど、それでもがんばるトルネコが好きとのこと。

私から追加で出題。
・トルネコとネネさんのなれそめ話が読みたい!
あの年の差カップルには昔何があったんだ?


終了済み
・DQ8のマルチェロ伝記
・DQ8の荒野の一軒家の自称・元シスターのおばあちゃんの半生を描いた作品
・FF4のカインの話。ED後・昔話など(他スレ作品にお題に相当するものがあり)

備考
終了済みのお題で新作を書き下ろすのももちろんOK…ですよね?
新たな解釈の作品が読めるってのもおもしろいし。
お題と関係ない作品の投稿も受付中。
ただしスレの性格上、いずれの場合も長編は向かないかもしれぬ。

あと提案。
作品を待ってるだけじゃスレの存続が危ういので、小説にまつわる雑談もありにしてはどうだろう。
131名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/19(水) 21:47:26 ID:9HB/JQPa
>小説にまつわる雑談

・こんなカンジのFF・DQ小説が読んでみたい!!! あるいは
 こんなアイデアを思いついた、でも自分でFFなんか書けない!!!
 という設定・展開を披露する。

・ソレに対して感想などを話す。

・すでにweb上に似たようなFF・DQ小説が存在している場合、
 紹介する。

・あとはこのスレを読んだ作家様が
 ネタをとって実際に書いてくださるのを待つ、と(藁
132名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/19(水) 23:54:58 ID:+LdRL7oN
>>130
まとめ乙!
テンプレ通りに・すでにweb上に似たようなFF・DQ小説が存在している場合、 紹介する。 と
スレ削除を招く可能性があるね。(事実、外部リンク多数のDQ風景スレが削除されている)
備考に従って再利用が賢明かと。
133128:2005/10/20(木) 00:47:31 ID:TacBV/EA
乙。
あと>>129超サンクス! すげーな、この話・・レベル高い。
134名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/22(土) 23:45:04 ID:oCZ8yile
>132
確かにそうだね>外部リンク多数
板内のssについては誘導してもいいと思うけど。>129みたいに。

これだけだとなんなので
・勇者ぺっぽこくんの冒険(DQ7・本棚で読める本)の続き
・メダルおじさんからメダル王への道
なんぞはどんなもんでしょう。
135名前が無い@ただの名無しのようだ
ほしゅ