主人公×ミーティアを応援してみるスレ part3

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1名前が無い@ただの名無しのようだ
過去スレ
【主人公×ミーティアを応援してみるスレ 】
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1103901272/l50
【主人公×ミーティアを応援してみるスレ part2】
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1108912113/l50
まとめサイト↓
http://www.geocities.jp/eight_meteor/
お約束↓

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃カップル萌えスレのお約束です
┃1.常時sage進行。この板は下からdat落ちすることはありません。
┃2.煽り・荒らしは放置。特に他カプ萌え派を装うヲチ厨に注意!
┃3.他スレで萌えキャラが貶されていても一切無視しましょう。
┃4.SS投稿するときはできるだけトリップをつけてください。
┃5.エロSSや画像をうpする時は注意書きをしてください。
┃  ∧ノ~  21禁以上のエログロ汚物系はピンク鯖で投下してね。
┃ ミ| ・  \
┃ ミ|   ... '_). / 
┗ ミ| (| ゚ヮ゚ノ! / ━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   | (ノ 姫.|つ     | オウマサンデモカワイイ
 |~ ̄] ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  ̄\| ̄∧_∧    ∧ ∧
  | ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|      (゚\ 8 )   (゚   )
  |  |            |  =====⊂  ∞ヽ==⊂    ヽ======
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ||──(   ノ〜─(   ノ〜─||
                     || ┏━━━━━━━━┓ ||



2Flip Flop ◆6/patax/rY :2005/06/07(火) 21:11:32 ID:/pmL+UfM
3保守用バカポーネタ ◆JSHQKXZ7pE :2005/06/07(火) 21:48:47 ID:vVYAmkZ2
「いつもミーティアが貧乳呼ばわりされているのに我慢できないんだ。そうじゃないってことをこれから僕が証明する!」
「エイト…どうしてそう下らないことに熱くなるの」
「下らなくなんてないよ。だって毎夜××で○○なことしているじゃないか。貧乳じゃないよ」
「そういうことを大きな声で言わないで」
「じゃ、言わない。でも証明させてよ」
「証明って?」
「じゃーん」
「それはなあに?」
「まーきーじゃーくー!」
「でもここでは…」
「もちろんここじゃしないよ。見えないところで測るから。さっ、脱いで脱いで」
ごそごそごそ…
「あ、女の人は前屈みになって持ち上げて測るんだって」
「そ、そうなの?こう?」
「そうそう」
ごそごそごそ…
「やっ、エイト…測るだけって言ったでしょ」
「ごっ、ごめん。かわいらしかったからつい」
ごそごそごそ…
「79.8cm!…」
「…」
「いや、ミーティアは細いから。大事なのはウエストとの差だよ」
ごそごそごそ…
4名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/07(火) 21:49:27 ID:vVYAmkZ2
「ほらっ、アンダーは63.7cmだし、十分だよ」
「エイト」
「なっ、何?」
「エイトばっかりずるいわ。せっかくだからエイトの胸囲も測らせて」
「えっ…やだなあ」
「じゃミーティアはもうエイトとキスしません」
「しょうがないなあ」
ごそごそごそ…
「89.2cm!…」
「…」
「…………ぐすん」
「ほっ、ほらっ、僕は槍とか剣とか振り回しているし。これは筋肉なんだよ」
「男の方に負けるなんてショック…」
(ど、どうしよう、逆効果だったみたいだ…)
                     (おしまい)
5名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/07(火) 22:05:51 ID:AV+2Qw3D
ほのぼのエロキター*・゜゚・*:.。..。.:*・゜~(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!
6名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/07(火) 22:14:19 ID:KNq3CGH2
>79.8cm!
やけにリアルだなぁ。ほんとにそれくらいかも試練。
7名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/07(火) 23:07:24 ID:AV+2Qw3D
言い忘れてた…
1さん乙でした!

主ミーティアを応援スレももう3か…
これからも二人をまたーりと愛でていきたい(´ー`)
8名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/07(火) 23:35:32 ID:vVYAmkZ2
>5-6
そろそろ新スレかと思って考えてたバカネタ、喜んでもらえたのなら嬉しいです。
9名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/08(水) 20:25:21 ID:l2oTgq0+
うそーん…前スレで投下している途中で、
500KB超えているので書けないって言われちゃったよ・゚・(つД`)・゚・ 

_| ̄|○ 

10名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/08(水) 20:46:09 ID:bXsThrsa
えっ!そんなに行ってたんだ。
イケズなところで止まっているから新たなプレイの一環かと思ってしまったよw
…がんがれ
11名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/08(水) 22:28:46 ID:ybi0r4cK
>>9
最初から、このスレに投下しなおしたら。
ボクはいいと思うよ。
12名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/08(水) 23:10:01 ID:c8AYbtaA
sVVR0Q7eM2さんの思惑通り放置プレイに悶えているヤシの数→(1)

ハァハァ(;´Д`)っ/凵⌒☆チンチン
139:2005/06/08(水) 23:21:17 ID:l2oTgq0+
むしろ羞恥プレイ。恥ずかしくて死にそうでつ、自分が。 ……_| ̄|○……

気を取り直して最初から投下させて頂きます。
最後の最後まで抜け作で申し訳ございません。
謎の2話連続投下です。

↓仲良しエイト&ミーティア第8弾。
14名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/08(水) 23:23:02 ID:bXsThrsa
sVVR0Q7eM2さんの思惑通り放置プレイに悶えているヤシの数→(2)
15密談  ◆sVVR0Q7eM2 :2005/06/08(水) 23:23:59 ID:l2oTgq0+
クラビウスは椅子に座り、先刻部屋を訪れたまだ少年といってよい年頃の若者について
思いを巡らせていた。今、自分の掌の中にあるのは、確かに二十年前に失踪した自分の兄の
名前が刻まれている指輪。彼はこの指輪を両親の形見だと言った。
その若者に会うのは初めてではない。半年ほど前だろうか。何度か城を訪れた彼は、その時
旅人のようななりをしていた。だが今夜は違った。彼が着ていたのはトロデーンの兵士の服。
トロデーン。明日、クラビウスの息子はかの国の王女を妻として娶る。ここはサヴェッラ大聖堂で行われる結婚式のために一夜の宿を借りている法皇の館。
以前にも会ったことがあるのに、何故今になって兄の息子だと名乗り出たのか。何故彼はトロデーンの
兵士の服を身に着けていたのか。
王位継承権を持つものが新たに加われば国が乱れる。そう言って、彼から指輪を取り上げ、部屋から
追い出したものの、クラビウスは肩を落として帰っていく若者の姿を思い出すにつけ、真実を知りたい
という気持ちに抗えなくなった。
トロデーンの王。彼もまた娘の結婚式に出席するために、このサヴェッラを訪れている。夜も更けて
きたが、まだトロデーンの王は起きているだろう。彼ならば自分の知りたいことについて、何か答えて
くれるに違いない。そう思って、クラビウスは階下にいるトロデーンの王のもとへと向かうことにした。
だが、トロデーンの王の元へ向かいながら、クラビウスは考えた。トロデーンの王は先程の若者が
サザンビークの先王の長男の血を引く者だと果たして知っているのだろうか。知らないのかも知れない。
知っているのならば、何か知らせてくるはずではないか。クラビウスの兄であるエルトリオの行方を
先王は長い間血眼になって探していたのだから。
16名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/08(水) 23:25:24 ID:l2oTgq0+
「いかにもエイトは我が家臣でありますが、彼が何か?」
トロデーンの王、トロデ王は夜半のクラビウスの来訪にも特に驚いた様子も見せず、そばについていた
大臣を下がらせた後、クラビウスの話を聞き始めた。
やはり知らないのか。知っていればこのサザンビーク王の前で、いやしくも甥にあたる人物を「我が
家臣」などと呼びはしないだろう。だとしたら話すべきではないのか。
クラビウスは多少の逡巡の上で、先刻エイトより取り上げた指輪をトロデ王の前に差し出した。
「これは?」
トロデ王は怪訝そうな顔をした。その指輪は、彼が初めて目にするものだったらしい。
「私の兄の名が彫ってあります。――エルトリオ、と」
「エルトリオ殿の名前が?」
トロデ王は指輪を手にとってもよいか目で尋ね、クラビウスは手で構わないという合図を返した。
「『エルトリオからウィニアへ』…。こんなものが。これをエイトが?」
「ええ、それを彼が私の元へ持って参りまして、両親の形見の品だと申しましてな」
「それで、エイトは他にはなんと?」
トロデ王は身を乗り出してクラビウスに尋ねたが、クラビウスは首を横に振った。
「何も…」
「何も?…それであなたは?」
「この指輪が本物であるという証拠はありませんからな。仮に本物であるとしても、国を捨てた兄の
子が現れ王位継承権を主張したとなると、国が乱れる元になる」
「…それで?」
「指輪は取り上げました。エイトは黙って帰っていきましたよ」
乗り出した身を椅子に戻し、トロデ王は溜息をついた。
「…返してやって下さらんか。エイトにとってはたった一つの両親の形見の品じゃ」
トロデ王の口ぶりに、クラビウスは驚きを隠せなかった。
「知っていたのですか。では何故知らせてくれなかったのですか」
「知ったのはつい最近です。エイト自身、知らなかった。無論私も」
「それでも、兄の行方を我が父がどれほど捜して回っていたか、あなたもご存知でしょう」
しかしその父は死んだ。果たして自分は、兄の子が名乗り出てくるのを、本当に望んでいただろうか。
17名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/08(水) 23:26:30 ID:l2oTgq0+
クラビウスの心をまるで読み取ったかのように、トロデ王は言った。
「指輪は返してやって下さい。エイトは王位など望んでおりません」
「…では何故、エイトは私の前に現れたのだ。今になって、何故」
「さあ、何故でしょうな」
相変わらず食えない男だ。と、クラビウスは思った。
王位を望んでいないというのなら、何故名乗り出た。何故指輪を見せた。
エイトは兵士のなりをしていた。幸せそうに暮らしているとは言い難い。いくら国を捨てた兄の子とはいえ、
サザンビークの王族の血を引くものが、他国の兵士をしているとは。それもこの一筋縄ではいかない
トロデ王の下で。
エイトは何かひどく思いつめたような顔をしていた。王位ではないのなら、何が望みなのだ。
「…分かりました。エイトはサザンビークで引き取りましょう」
クラビウスは大げさに手を広げて、そうトロデ王に提案した。
「なんですと?」
「王位継承権はやれないが、エイトは兄の子だ。しかるべき地位につけ、仕事も与えましょう。
チャゴスのよい補佐役になってくれるでしょう」
クラビウスの申し出にトロデ王は露骨に嫌な顔をした。
「そんなことをしようとすれば、あの子は我々の前から姿を消して、二度と現れないでしょうな」
「しかし、あの子は、――こう言っては何ですが、そちら様で幸せに暮らしているとは思えません。
私のところに参ったのも、今辛い思いをしているからかと」
「幸せ?…そうですなぁ…。幸せではなかったかも知れませんな…」
クラビウスが意外に思うほど、トロデ王の顔はしょんぼりとしてしまった。
それで彼はつい、エイトのことをトロデ王の口から聞きたくなった。
18名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/08(水) 23:28:54 ID:l2oTgq0+
「あの子は、――エイトは、いつからそちらに?」
「十年ほど前でした。城に来た時は薄汚れていて記憶もなく、泣きも笑いもしないような子でしたわい」
「そんなに前から。…それで、エイトはどんな風でした?」
「最初はイモの皮をむいておりました」
「イモの皮を…」クラビウスは顔をしかめた。 
「あとは床を磨いたり家畜の世話をしたり、とにかく懸命に働いておりましたわ」
「…トロデーンでは余程人手が足りないのですかな、小さな子供にそのような」
「たとえ子供でも、食べる分は働いてもらわなくてはなりませんからのう」
二人の王の間で、目線が火花を散らし、クラビウスはそれでも気を取り直して続きを聞いた。
「それで…?」
「賢いし気立てもよい子で皆に好かれましてなぁ。覚えも早いので色んな仕事をやらされておりましたわ」
また仕事の話か。クラビウスは少し苛立った。子供の頃からこんな風にこき使われていたのでは
出奔したくなるのも無理からぬ話だ。クラビウスは話を打ち切ろうとした。
「もう結構です。エイトを育てていただいた分の養育費はこちらでお支払いしましょう。あとはあの子の
自由にさせて頂く。これでどうですかな」
その言葉にトロデ王の顔色はわずかに変化を見せた。
「養育費?…ご冗談を。エイトは子供の時から、自分の力で生きて来ましたよ。お小遣い程度だが、
給金も渡していた。それに――」
言いかけて、トロデ王は懐かしむように目線を落とした。
「それに?」
「…もう十分返してもらいましたわい。恩に思っているのは私の方です」
「……」
事情はよく知らないが、トロデーン城が災厄を受けていた時期があった。エイトがあの時、なにやら
奔走し、サザンビークを訪れたりしたのはそのためだったのか。
「…それで、今はどうしておりますか」
「エイトのお蔭で私も娘のミーティアも、城の皆も救われましてな。国の英雄と皆から慕われて、今は
近衛隊長として働いてくれております」
「そうですか」
トロデ王の言葉に、クラビウスはやっと少し満足した。それなりの地位についているのなら、まあいい。
しかし、心に引っかかることが一つあった。
19名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/08(水) 23:32:44 ID:l2oTgq0+
「だが、そういえば結婚式の参列者の名前にエイトの名前はありませんでしたな」
「…兵士の席は用意できない、とのことを言ってこられたのはそちらでございましょう」
「しかし、チャゴスの従兄弟ですぞ。知らせてくれたなら、エイトの席くらいどうとでも…。エイトは
ミーティア殿の結婚式に参列したいとは申しませんでしたか」
「…そんなことを、自分から言うような子ではありませんのじゃ。まぁ…、席はないと伝えた時は、
寂しそぉな顔をしとりましたがな…」
トロデ王はその時のことを思い出したのか、自分も寂しそうな顔をした。
――そんな顔をするくらいなら、何故エイトの席を用意してやらなかったのだ?
兵士だろうがなんだろうが、花嫁の父親がどうしても呼びたいという人物の一人や二人の席など、
どうとでもなるというのに。――呼びたくなかった?いや…。違うな。この顔はエイトを心底信頼
しきっている顔だ。
「何故エイトの席を用意してやらなかったのですか?」
「…さあ、何故でしょうな」
「席がなければ自由に動けて、花嫁を連れ去るのも簡単だろう、とこういうことですかな」
「……!?」
「その顔は図星ですかな」 クラビウスはそう言って、トロデ王を軽く睨んだ。
「恋仲なのですか、エイトとミーティア殿は」
「…いや、そんな大っぴらなものではございませんよ。ただ…」
「ただ…?」
「幼い頃から、二人は大の仲良しでした」
「仲良し…」
仲良しだった女の子の結婚式の前の晩に、その女の子の、夫となる男の父親の部屋を訪れて、
エイトが言いたかったこと。口にしたくてもどうしても出来なかったこと。
「…国と国との約束で決まったことなのだから、簡単には翻らない、と。わしらは皆、そう思うて
おりました。――じゃがエイトは、土壇場で貴方を訪ねたのですな…」
「……」
20名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/08(水) 23:34:55 ID:l2oTgq0+
エイトはわらにもすがるような思いで訪ねてきたのだろう。これまでと同じく、無駄なことだと思いながらも。
実際、そうやって名乗り出てきたって、自分がエイトに対してしたことは、両親の指輪を取り上げる
という仕打ちだった。クラビウスが敬愛していた、たった一人の兄。兄は既に亡くなっていたが、
子を遺していた。その子が、好きな女の子についての相談事で、自分を訪ねて来たのだ。
そう思うと、クラビウスは胸が詰まる思いがした。
「…この件は貸しですぞ」
「かたじけない…」
「…二人に子供が生まれたら、サザンビークにも見せに来るように言ってくださいよ」
「それは勿論…」
額の汗を拭きながらホッとしたような表情を浮かべるトロデ王の顔は、確かに娘の幸せを願う親の
顔で、それに対し自分の方は、息子が花嫁を奪われることに手を貸そうとしているのだと考えると
クラビウスはチャゴスを不憫に思った。
だが考えようによっては、結婚する前に分かってよかったではないか。花嫁が別の男に思いを
残したままチャゴスと結婚させたって、チャゴスだって幸せにはなれないだろう。
「…しかし、あの子は来ますかな?」
「来ますよ。エイトは最後まで決して諦めない子なんじゃ」
「……」
少し誇らしそうにそう語るトロデ王にクラビウスは軽い嫉妬を覚えた。きっと自分には想像も及ばない
ような絆が二人の間にはあるのだろう。そしてエイトとミーティアの間にもまた。
サザンビークとトロデーンの統一王朝の最初の王に、自分の息子を据えるというクラビウスの夢は
これでついえる。でも、まあよいではないか。エイトとミーティアが結婚すれば、サザンビークの血は
トロデーンに入る。サザンビークとトロデーンの両方で、サザンビーク王家の血は受け継がれていくのだ。
それに…。
それに兄の面影をもつあのエイトに、叔父さん面をしてみるのも、悪い気はしないだろう。
あの悲しみに沈んだ顔が、幸せそうな笑顔に変わるところが見られたなら、さぞかしいい気分に
なれそうではないか?
寝室へと戻りながら、クラビウスはそんなことを考え、その唇には薄い笑みが浮かぶのだった。

(続く)
21名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/08(水) 23:39:40 ID:l2oTgq0+
↓仲良しエイト&ミーティア第9弾(最終回)

 
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   注意!! 性描写を含みます 
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22結婚  ◆sVVR0Q7eM2 :2005/06/08(水) 23:41:36 ID:l2oTgq0+
サヴェッラ大聖堂に着いた時、ミーティアは、「今日は宿をとってあるので、お前達は一晩
泊まって帰るように」とエイトに向かってそんな言葉を投げかける大臣に、甚だ驚いた。
だがそれ以上に、結婚式に自分達の席が用意されていないということを誰も驚かないことに
衝撃を受けた。みんな知っていたのだ。そんな大切なことを、自分だけが知らなかった。
打ちひしがれた気持ちでいるミーティアに、チャゴス王子は追い討ちをかけるように、
暴言を吐いた。
「ふん。おおかたウワサを聞きつけ見物にでも来たのだろう。残念だったな。お前達が来れる
のはここまでだ。かわいい姫が僕の妻になるその神聖な儀式にお前たち平民風情を招待する
わけにはいかないからな。せめてお前達が貴族か金持ちなら招待してやれたのにな」
チャゴス王子はそう言って、大声でエイト達を嘲った。
――やめて…!その方たちに私がどんなにお世話になったと思っているの!
この人が私の夫になるのだ。私の大事な人達のことを、微塵も大切に扱ってくれないこの人が。
ミーティアは改めてチャゴス王子という人の妻になるということに、深い絶望を感じた。
エイトはチャゴスの言葉を険しい顔で聞いていたが、何も言わなかった。そしてミーティアが
大臣とチャゴスによって追い立てられるように連れて行かれる時も、黙ってそれを見送った。
ミーティアが泣きそうな顔でエイトを振り返ると、寂しそうにしていた彼の顔は、まるで
条件反射のようにミーティアに向かって微笑んでみせた。そしてその唇が「お幸せに」と
動くのを見て、ミーティアの目の前は白く曇った。
――これでお別れなの?あんなに仲良しだったのに。毎日遊んでいても、次の日にまた会える
ことが、あんなに待ち遠しかったのに。もうお別れなのに、言葉すら交させてもらえないの?
…こんなにエイトの事が好きなのに。
23名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/08(水) 23:43:12 ID:l2oTgq0+
そして、結婚式の日。
時間になった。ミーティアは父王であるトロデに促され、部屋を後にした。大聖堂へと向かい
ながらミーティアの心に去来するのは、エイトのことばかり。
エイトは昔、兵士になりたいと言った。小さな体で一生懸命に重い剣や槍の訓練に励んだ。
やがて城の誰よりも強くなった。
エイトは呪われた城を救うために城を旅立った。様々な困難を乗り越え旅を続け、暗黒神に
まで立ち向かった。呪いは解かれた。王も姫も城の者達も救われた。
エイトは望んだことをなんでも実現させてきた。
――でもエイトは、自分を望んではくれなかった。
私はエイトのことをずっと好きだったけれど、エイトは違ったのだ。エイトが望みさえすれば、
サザンビークはエイトを正当な後継者と認めざるを得ないだろうに、エイトがそれを望むことはなかった。
争うことを嫌う彼は、サザンビークに行くことよりもトロデーンに残ることを選んだのだ。
ミーティアはそんな風に思うことで、気持ちに折り合いをつけようとしていた。
チャゴス王子の為に着る、この白い服を身に着けているところを見ても、顔色一つ変えずに褒め言葉を
並べた。結婚式の席がないということも、知っていたのに教えてくれなかった。お父様にあんなに
お願いしていたのに。お別れの言葉も交わせずに連れて行かれているのに、微笑んだりして。
「お幸せに」?バカ言わないで。幸せになんかなれるはずないじゃない。
私が好きなのはエイトなのに…。

でも…。もしもここから逃げ出していたら、エイトは私の手を取って逃げてくれたかしら。
「ミーティアをここから連れ出して」ってそう言ったら、エイトは私の手を取ってくれたのかしら…。
ここに向かう前、ミーティアは逃げ出そうとしたが、トロデに腕をつかまれたのだ。
「お父様、私、やっぱり…」
「ミーティア、もう遅いんじゃよ。どうしても大聖堂に行かなくてはならんのじゃ」
「でも…」
「ミーティア、お前の幸せのためなんじゃ」
「……」
ミーティアはトロデにも絶望した。王子と結婚するのことだけが、親として考える娘の幸せなのか。
チャゴス王子がどんな人なのか、もう十分知っているくせに。
24名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/08(水) 23:46:47 ID:l2oTgq0+
ミーティアは、まるでこの世の全ての人から見捨てられたような悲しい気持ちで扉の中に入った。
伏せていた目をそっと開けると、通路の奥の真ん中に、緑色のトロデーンの兵士の服を着た男が
立っていた。目が慣れると、それはエイトだった。まっすぐに自分を見ているエイトの顔は、遠目に
見ても緊張しているのが分かる。エイトの後ろにいるクラビウス王が、エイトの肩に手を置き、頷くと、
エイトの顔は笑顔に変わった。
クラビウス王がエイトを見るその目は、叔父が甥に注ぐ愛情のこもったそれで、ミーティアには
エイトが彼に全てを打ち明けたのだと分かった。夢を見ているような気持ちでエイトの前に立つと、
エイトはまた緊張した顔に戻って、ミーティアを見据えて言った。
「ずっとお慕い申し上げておりました…」
「……」
エイトは少し頭をひねって、改めて言い直した。
「ずっとあなたが好きでした。僕と、結婚してください」
もちろん、ミーティアの答えは一つしかない。
「はい」
ミーティアがにっこり笑ってそう答えると、ニノ法王が二人を祝福してくれて、エイトはミーティアの
指に指輪をはめた。いつの間に指輪なんか。ミーティアが不思議に思っていると、エイトは
そっと教えてくれた。
「これは、両親の形見の指輪なんです」
「ご両親の…」
そんな指輪があったことをミーティアは知らなかった。多分父も知らなかっただろうと思った。
「行きましょう」
エイトに手を取られ、外に出てると、王族同士の結婚式を見る為に集まっていた民衆から戸惑いの
声が漏れた。あの兵士は誰だ。チャゴス王子はどうしたんだ。
ヤンガス、ゼシカ、ククールが二人の様子にピンと来て、真っ先に歓声をあげた。いつしかまばらな
拍手は盛大な拍手に変わり、二人がくちづけを交わすと、割れんばかりの歓声に包まれた。
25名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/08(水) 23:49:12 ID:l2oTgq0+
結婚式に向かうというのに、まるで葬式にでも参列するかのような顔で出て行ったトロデ王とミーティア姫と
エイトの三人が、満面の笑みをたたえてトロデーン城へと帰って来た時、不思議に思いながらも城の
皆はとりあえず喜んだ。そして王の口から、ミーティアと結婚するのはエイトであるということが告げられると
喜びは歓喜に変わった。エイトとミーティアはその歓喜の輪の中で、ひとりひとりに挨拶をして回った。
二人の正式な結婚式は日を改めて行われることになったが、エイトとミーティアの二人にとっては
あの日の誓いは正式なもの以外の何ものでもなく、かといって二人きりの時間などなかなかとれず、
特にエイトの方は相変わらず悶々とした思いを抱えているのだった。
そんなある日、エイトがこっそりミーティアに耳打ちした。
「…今夜、お部屋に伺ってもよろしいですか?」
「えっ、ええ…」
ミーティアは耳まで赤くなって、小声でそう答えた。エイトが言った言葉の意味が、どういうことを
意味しているのかは知っている。
――でも、もう私はエイトの妻なのだから、何も恐れることはないわ。
ミーティアは図書館の本で読んだ知識を総動員させて、エイトを迎える準備を始めるのだった。

夜半になって、エイトがミーティアの部屋に人目を忍んでやってきた。
ミーティアの心臓の高まりはとどまることを知らず、口からでてくるかと思うほどだった。
ミーティアの寝台に二人で静かに並んで座っていると、お互いの体からほのかに石鹸の香りがして、
二人は顔を見合わせて笑った。
エイトがミーティアを見つめると、ミーティアは目を閉じ、エイトはその口をふさいで、優しく吸った。
そして手をミーティアの背中に回してそっと抱きしめた。言葉はなかったが、万感のこもったエイトの
様子に、ミーティアは胸がいっぱいになった。
しばらくそうやって抱き合っていると、エイトは落ち着いたのか、体を離してミーティアに言った。
「やっぱり…、式が終わるまで待ちます」
26名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/08(水) 23:58:13 ID:l2oTgq0+
ミーティアは内心ホッとして、そして同時に拍子抜けしたものだが、式まで待とうというエイトの
希望通りにさせてあげたいと思った。だからこんな風にエイトに言った。
「エイトの好きなようにしていいのよ」
エイトはその言葉を誤解したのか曲解したのか、もう一度ミーティアの唇をふさいだ。
それはさっきよりもずっと荒々しいもので、ミーティアはびっくりした。
(エイト、今のはそういう意味じゃないのよ…!)
けれどもエイトの方はもう止められるはずもなく、口をふさいだままゆっくりとミーティアの体を
横たえて、服の上からミーティアの体の線をなぞっていった。
ミーティアの服はあっという間に脱がされて、エイトは無言でミーティアの体を求め続けた。
やがてミーティアの全身が薔薇色に染まり、白濁していく意識の中でエイトの名前をうわ言のように
呼んだ時、エイトはミーティアの中へと身を沈めた。ミーティアが痛みに体をこわばらせると
エイトは急に不安になった。
「あの…やっぱり…」
ミーティアは首を横に振った。そして目を開けて、無理に微笑って、エイトに頷いてみせた。ミーティアの
そんな顔を見て、エイトは申し訳なさそうにまたぎゅっと目を閉じて、ミーティアの体を揺らし始めた。
ミーティアはぞっとするような痛みの中で、それでも耳元でエイトの息が速くなったり遅くなったり
するのを幸せな気持ちで聞いていた。やがてその息が絶え絶えになり、最後にエイトが小さな
うめき声を吐いた時、全てが終わったのが分かった。
だが、エイトはまるで余韻を愉しむかのようになかなかミーティアから離れようとしない。ミーティアが
じっと我慢をしていると、エイトはミーティアが苦悶の表情を浮かべているのにやっと気がついて
身体を離してくれた。そして、自分がどれほどの苦痛をミーティアに与えていたのかを思い知ったのだった。
27名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/09(木) 00:00:41 ID:Yd9KNzwL
ミーティアが目を開けた時、エイトはおろおろと辺りを見回して、何か探しているようだった。
そしてミーティアが用意していた白い清潔な布を枕元の台に見つけて、それでミーティアの血を拭った。
それからふと気がついて自分のものも拭った。ミーティアはエイトの行動に驚き、恥ずかしさで顔を
覆いそうになった。そしてエイトは少し思案して、なにやら思いついて呪文を唱えようとした。
ミーティアは慌ててエイトをとめた。
「…エイト、いいのよ。そのままにしておいて」
「でも…」
「いいの。早くこっちに来て」
「……」
ミーティアは思ったのだ。この痛みはエイトが私の体につけてくれた幸せの印なのだから、魔法で
簡単に治されたりしたら、つまらないじゃない。
けれどもエイトの方はミーティアの隣に並んで横になったものの、明らかに気落ちしている様子で、
ミーティアはどう声をかけていいのか分からなかった。やっぱり今度にしようとエイトは言ったのに、
結局こうなってしまい、挙句にエイトは落ち込んでいる。ミーティアは少し考えてから言った。
「…エイト、とっても、よかったわよ…」
エイトはミーティアがそんなことを言うので、目を丸くして驚いた。それから急に含み笑いをした。
「…その本、おれも読みましたよ」
「そ、そうなの…」
二人は顔を見合わせて「ふふふ」と笑った。図書館の本にも色々あって、中には大人が読むような
本もあり、子供の二人は時々こっそりと覗き見したりしていたのだった。
それから二人は将来のことについて色々と想像を巡らして、色んな話をした。ミーティアがエイトに
似た男の子が欲しいと言うと、エイトもミーティアに似た女の子が欲しいと言った。その二人が
城の中で仲良く育っていくのを見ているのは、まるで昔の二人を見ているような気がして、きっと
楽しいだろうというのが二人の一致した意見だった。だが、同時に二人は思った。どちらに似ていても
どちらにも似ていなくてもいい。二人の子供だというだけで、どんなに愛しいだろう。
28名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/09(木) 00:02:48 ID:l2oTgq0+
そんな風に二人で話をしているうちに、ミーティアの胸に、幼い頃に亡くなった母のことが思い
浮かんだ。ずっと長い間、自分の悲しみにしか思いが至らなかった。悲しくて寂しくて、なぜ幼い自分を
おいて死んでしまったのかと、心の中で責めたこともあった。けれども、こんな風にまだ授かっても
いない自分達の子供のことを考えるだけで、その子のことが愛しくてたまらないのだ。
母は幼い子を残して死んでいく時、どんなに悲しかっただろう。どんなに心残りで、どんなに
残していく娘の行く末を案じていたことだろう。そう思うと涙がこぼれた。エイトを見ると、エイトもまた
目からぼろぼろと涙を流しているのだった。
ミーティアはエイトの頭を胸に抱き寄せて髪を撫でた。エイトは、最初は声を押し殺して泣いていたが、
ミーティアがエイトの喉を優しく撫でると、嗚咽を漏らしてしゃくりあげて泣くのだった。ミーティアはさっき
エイトに体を求められている時に彼の頭をかきいだいた時とは違う気持ちでエイトの頭を抱いている
ことに気がついた。それはまるでエイトの母親になったような気持ちなのだ。
好きな女の子が、他の男のために着る花嫁衣裳を身に着けている姿を見たとき、エイトは
どんな気持ちだっただろう。
一番の仲良しだったのに、結婚式の席はないと告げられた時の気持ちは?
結婚式に自分の席はないと言い出せずに、黙って椅子に座っていた時の気持ちは?
自分の気持ちで精一杯だった。どうしてエイトは私を望んでくれないの、と。
けれど、エイトだって苦しんでいたのだ。出来ることなら、あの時のエイトのもとへ駆けて行って
こんな風に抱きしめたい。
人を愛することを知らず、人に愛された記憶もなく、森の中を心細い気持ちで歩いていた小さなエイト。
幼いながらも、一生懸命に働いて、色んなことを覚えようと健気だったエイト。あの時のエイトのもとへ
現れて、抱きしめて頭を撫でてあげたい。
それは出来ないことだけど――。
これからはずっと一緒にいられるのだ。辛いときにそっとそばにいって、手をつないだり、頭を撫でて
あげたり、してあげられるのだ。
29名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/09(木) 00:04:50 ID:Yd9KNzwL
ミーティアは心の中で亡くなった母に早速報告してみた。ミーティアは大好きだった人と結婚しました。
名前はエイトっていうんです。だからお母様、安心して下さい。ミーティアは幸せです。
そうすると少し気が楽になった。
「…エイト、ご両親のお墓参り、行きましょう。一緒に…」
「うん…」
ミーティアがポツリと言うと、エイトは何度も頷いた。
それからしばらくして、エイトとミーティアの結婚式が盛大に執り行われ、二人は晴れて夫婦となった。
トロデもクラビウスも、それからグルーノも、泣き出さんばかりに喜んでいて、エイトとミーティアは
親族達に祝われて結婚式を挙げられる喜びに、改めて浸るのだった。
二人はすぐにエイトの両親のもとへと報告に行った。エイトは少しだけ泣いた後、晴れ晴れとした顔で
ミーティアに礼を言った。エイトもまた両親に自分の幸せを報告できたことで、胸につかえていたものが
少し楽になった様子であった。

そして――


――仲良しだったエイトとミーティアは、結婚してからもやっぱり仲良しで、トロデーンのお城で、
一生幸せに暮らしましたとさ。
(おしまい)
30名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/09(木) 00:11:37 ID:Yd9KNzwL
長い間お付き合い頂きまして、ありがとうございました。
たった1回エチーなのを書くために前フリに2ヶ月以上かかってしまったことをお許しください。
…違う違うA^_^;)
結婚という現実的な隠しエンディングが用意されていた主人公とミーティアに、
だったらよりリアルに萌えてみようじゃないか、と思って書き始めました。

今後は名無しに戻ります。ありがとうございました。
31名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/09(木) 00:13:03 ID:wBqOnG6T
>30
ブラヴァ!
32名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/09(木) 00:15:07 ID:f9mc5kWw
おおお、放置プレイwされた甲斐あったぞ!
GJ!でした。
天然なお誘いのみーたんと突っ走っちゃうエイトが今まで氏が書いてきたキャラらしくてよかったです。

…ところでもう書かなくなっちゃうの?
ヤダー!
33名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/09(木) 00:22:14 ID:SBHWFhmb
乙かれでしたv
えちシーンヨカタvv
もちろんそこだけじゃなかったけど。

でもクラビウスって本当にあんないい人なのかなあ…
自分の中ではもっと黒いイメージあったのでちょっと意外だった。
34名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/09(木) 00:46:39 ID:Yd9KNzwL
おおっ、早速のご感想を頂き、ありがとうございます。

クラビウスはEDの最後の辺り、すごくいい顔をしているんですよね。
まぁ本当は黒いのかも知れないけど、確かに主人公への愛情もあるんじゃないか、
…と思ってみるのもいいかなぁ、と。 そんな感じです。

>>32
(つД`)アリガトウ…
35名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/09(木) 00:56:11 ID:K3AqS/+H
>>34
GJ!
リアルな主姫もまたよし。

今後はもうこちらには書いてもらえないの?
36名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/09(木) 01:04:26 ID:wBqOnG6T
黒いというよりなんか
出来のいい兄の影で憧れと劣等感を抱えて、王位を約束された兄に嫉妬しつつも
責任のない立場にほっとしてたら全部押し付けてトンズラされて、
置いていかれた事も寂しいやら悔しいやらで愛憎抱えてそうな気がする
エルトリオが王だったらって声はずっとあっただろうし、
クラビウス自身も兄に及ばない自分にいらついてそう

EDでは容認してくれてるし、悪い人じゃないと思う
奔放でまっすぐな兄そっくりなエイトに兄そっくりな行動されて
兄が諦め切れなかったものがわかってようやく
逃げた兄を恨む気持ちに折り合いをつけられたのかなと思った

ゼシカとククールと同じように、それまでクラビウスも
自分から離れていった兄を諦められなかったんじゃないかなあ

て主姫スレで語ることではないか…
37名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/09(木) 01:12:24 ID:SBHWFhmb
>>36
すごく深い考察だね。納得したよ。
確かにそんな感じだ。
ラストでは主の背中を押す役割を果たしてくれたんだから、
愛情とまではいかないまでも、何かの思い入れは生まれたのかもしれない。
黒くてもそれはそれで面白いと思うけど。

スレ違いごめん。


38名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/09(木) 17:26:50 ID:mktHARyn
>>34
乙でした!
最後ら辺にすごく感動しました。
仲良しなエイトとみーたんが幸せになってホントに良かったね〜(つД`)と思った。
◆sVVR0Q7eM2さんのエイトとみーたんはすごーく応援したくなるキャラだったので、心から祝福できた。


それにしても、注意書きのところがエロエロエロ・・・で枠組みされてるのにはワロタw
うまいなぁ〜って感じw GJ!!
39名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/09(木) 23:51:52 ID:EIsLy9I1
>34
GJ!
激しく下ネタに走りだしたときはどうしようかとオモタけどいいendだった。

ただ「なかよし〜」シリーズの後半ちょっと文章が単調になったのは残念だったかな。
充電したらまた是非おながいします。
40名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/10(金) 00:16:21 ID:6JwGHge6
>35
正直もうネタが…(つД`) 

>>38
そう言って頂けると、最後まで書いて本当によかったなぁと思います…。
>エロエロエロ
ツッこんでくれてありがトン(ノ∀`*) 

>>39
あ、やっぱりどうしようかと思われてました?(汗)
ごめんなさい。私も反応の寒さにどうしようと思っていました…。
(だったらやるなよ、と)


沢山ご感想下さってありがとうございました〜。
それではこれで名無しに戻ります。
41名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/10(金) 00:41:12 ID:pM/cchPR
◆sVVR0Q7eM2様

>正直もうネタが…
そのうち自分の中にある萌えが
「出せー!」
と叫び出してきますよ。
ダヴィデ像の人じゃないけどね。
まずは充電してください。
42名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/11(土) 10:05:06 ID:RLCzF/MV
ところで、北米版の予告ムービーはもう見た?
日本では発売しないらしいね。
追加のエフェクトやらSHTでバンダナぶっとぶエイト(w やら
日本版では見られないものが入ってるってのは、非常に気になるよ。
手に入れる方法ないのかなぁ(´・ω・`)
43名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/11(土) 10:13:24 ID:4uUe1q1o
インターナショナル版を発売しないなんて何のためにスクウェアと合併したんだ!?
とまぁ冗談は置いといて、ぶっとびエイトはいいなぁ…
44名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/11(土) 13:47:53 ID:nN3iAicZ
45名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/11(土) 14:57:56 ID:Lk1hsFl3
洋画みたいなナレーションといい、めっちゃかっこいいよ〜。これって保存できないのかな?
46名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/11(土) 16:20:21 ID:y9WtEbtF
エイトますます超サイヤ人だな!
姫すごい寸止めだな!

>>45
URLを右クリックして「対象をファイルに保存」じゃ出来ない?
47名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/11(土) 21:09:43 ID:GqleMdhk
>42
次世代機でリメイクの予感
48名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/11(土) 22:18:57 ID:A4jq+SL+
流れを全く読まずにss投下。
       ↓   
49夜想曲 ◆JSHQKXZ7pE :2005/06/11(土) 22:20:34 ID:A4jq+SL+
深夜、一人の青年が教会に入ってきました。人目を避けるようにひっそりと内陣の椅子に腰を
下ろし、何か熱心に、でもどこか悲し気に祈りを捧げておりました。
この青年には見覚えがあります。数カ月前、ここに立ち寄って
「トロデーン城へ行く」
と告げた人でした。あの時は埃に塗れ疲れていても仲間がいて、その表情には力がありました。
けれども今は…
「旅は終わったのですか」
そっと声をかけると驚いたように顔を上げました。
「はい。シスターさんの祈りのおかげで無事に」
そう言って控え目に微笑みます。つい、立ち入ったことを聞いてみたくなりました。
「そう言えば、昔よく遊びに来ていた方ですよね。あの時一緒に来ていた女の子はお元気でい
らっしゃいますか」
何の気なしに言ったことでしたがそれに対する答えは重いものでした。
「その人は…もうすぐ結婚して遠くへ行ってしまうんです」
一瞬言葉が揺らいだもののきっぱりと言い切ったその横顔は苦しそうで、見ている私も胸苦し
くなります。
「せめてその人の…幸せを祈ってあげようと思って」
膝の上に乗せられた拳が小刻みに震えていました。
「そうでしたか…では微力ながら私からも祈りを捧げましょう」
と答えたものの、何とも悲しい気持ちになってしまいました。
勝手な思い込みだったのでしょう、この方々が世の習いを超えて幼い日の約束を叶えていくだ
ろう、というのは。改めて時の流れがいかに重いかを思い知らされたような気がしました。
「あの」
いつの間にか物思いに耽っていたようです。
「今日はもう一つお願いがあって来ました。神様の前で懺悔したいのです」
        ※          ※          ※
50名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/11(土) 22:21:45 ID:A4jq+SL+
懺悔の内容をここに記すことはできません。あくまでも神様と懺悔する者との会話なのですか
ら。ですがそれについての所感を述べることについては神様もお許しくださるでしょう。
この世に人を造り出された時、どうして恋心などという感情をお授けになったのでしょう。ど
うして夫婦となる者以外にも恋情を抱けてしまうのでしょう。それよりもなぜ神の御心が定め
る者以外と結婚できてしまうのでしょう。
神職について十年以上になりますが未だに答えを出せずにいます。
その前に目の前にいるこの青年に言葉をかけてやらないと…個人的には赦してあげたい、とい
うよりこの程度で罪ならば他の者はどうすればいいのでしょうか。「ただ人を恋うこと」が罪
に値するとは到底思えません。
「あなたの言ったことに嘘偽りがなければ言葉は神の御元に届き、御心に適えば赦しが与えら
れましょう」
「どうもありがとうございました」
相変わらず自分の中から湧き出る想いに辛そうな様子でしたが、言葉にして誰かに話すことで
楽にはなったようです。
「あまり思い詰めたりなさらぬよう。教会の扉はいつでも開かれております」
「はい。夜更けにお手数おかけいたしました」
頭を下げ、教会を出ていきがてらその人は小さく呟きました。
「あの時の約束、守れませんでした」
「…」
とっさに何も言うことができませんでした。けれどもどう返せばよかったのでしょう。
「でも真実だったんです、僕たちにとっては」
少なくとも二人の想いだけは真実だったのでしょう。ただそれだけが救いでした。
「さようなら、シスターさん。お元気で」
彼はきっぱりそう言うと夜闇の中へ消えていきました。

あの青年に神の恩寵のあらんことを……
                    (終)
51名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/11(土) 22:59:47 ID:1STEmrUT
最近改名化してきてるよね
つまんない
52名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/11(土) 23:15:17 ID:rfp3rgXM
どこがだよ
お前は真の改名を知らない
53名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/12(日) 00:29:13 ID:AFGyxZj9
>>46
出来たよー!ありがとうありがとう。

>>49
乙です。
このエイト萌えのシスターももう何作目でしょうかね。
けっこうおなじみなキャラになってきました。
54名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/12(日) 00:30:32 ID:oL2EQFVe
>>44
ククールって名前が変わるの?
55名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/12(日) 00:54:08 ID:IaKJBHMm
アンジェロになってるよね。
56名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/12(日) 01:06:29 ID:FdfAA2Ce
>54
英語のカ行の音って連続して発音するのが難しいらしくて
無理して頑張ると「クックル」になっちまうんだってよ、悲しいなあ。
某アンジェロ(仮)だけやっぱりなんか浮いてるね。

それにしてもトレーラーは萌えだなあ。
序曲の最初と最後を主姫で始めて主姫で締めてくれたのがイイヨイイヨー
最初の世界が広がる最初のところでエイトと馬姫が寄り添う姿を出して(王もいるけど)
序曲ラスト前のピークは姫の姿が戻るシーン
トロデとエイトが一歩足を踏み出してるのがこれまたすごくいい。
8はエイトがミーティアを助けたい話なんだな!

世界中を冒険して回って、出合った沢山の人たちの誰よりもお互いが一番だなんてテラモエス
5748:2005/06/12(日) 01:17:33 ID:Y+wt3MIS
>53
>エイト萌えのシスター
あれ?彼女はこれで二回目のはず。
シロツメクサの話は引用回数が多いからかな。
もしかしたらメイドさんや教育係さんと口調が区別つかないってことなのかも。
……精進します。
58小ネタ5 ◆nefbuGknog :2005/06/12(日) 02:18:46 ID:KkFLV2Nt
窓に近づくと何処からともなく澄んだ歌声が流れてきた。
カーテンを閉めようとしていたのを忘れて思わず聞き入ってしまう。
(姫様……この頃沈んでいらしたのに)
茨の呪いが解けてしばらくは、明るい歌声が絶えたことはなかったけれど。
何週間か前から姫は再び歌うことをやめてしまっていた。
姫の部屋から響くのは悲しげなピアノの音色ばかり。
婚礼を控えた花嫁とは思えない沈んだ様子に
姫付きメイドの彼女たちも心を痛めていたところだった。
声を頼りに窓の外を見やれば、ああと得心がいった。
テラスで歌う姫の傍らに控えて立つのは槍を携えた青年。
新しい近衛隊長は幼い頃から姫とは特別“仲良し”であるという。
彼ならばふさぎ込む姫の気持ちを和ませることもできたに違いない。
歌の詞は彼女の知らない古い言葉で、その響きはどこか切ない。
(でもなんて綺麗な歌なのかしら……)
彼女は知らない。歌に聞きいる彼もまた。
この歌は涙をこぼす月の歌。
ひと時苦しみを忘れることを願う歌。
59名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/12(日) 02:19:20 ID:KkFLV2Nt
前スレ125です……トリップ抜きだと騙りと思われないか心配です。
前スレ125です……◆JSHQKXZ7pE氏の次で腰が引けてるとです。
前スレ125です……書いてる途中で思い切り背中が痒くなりました。
前スレ125です……前スレ125です……前スレ125です……


なんか別の話が行き詰ってる最中に降りてきましたこの話。
しかしいったいどうしたんですかネタ神さま。
いつもとノリが違いすぎます。オチがないです。
いや多分届いたばっかのCDのせいかと……
それにしても1レス分より長い話も書けるようになろうよ自分。
60名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/12(日) 13:26:15 ID:AFGyxZj9
>>59
GJ!!
なんというか、じ〜んと胸に染み込むような味わいがありますよ。
悲しいけどエイトの前では歌う姫。でもその歌で涙をこぼしてるのね(>_<,)泣けるよ。

>>57
めっさ勘違いしたみたいです。申し訳ない。
61名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/12(日) 21:49:45 ID:Y+wt3MIS
>前スレ125氏
また毛色の違ったお話ですね。
しんみりしていてこういうのも好きだ。
…つーかなぜそこで腰引ける?

ようやく北米版のPV見れた。
アンジェロって誰さだねwでもカコイイ!
エイトのバンダナは北斗の拳状態なんだろうかw
62名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/13(月) 20:58:45 ID:xflvwuN4
このあたりで保守age

>エイトのバンダナは北斗の拳状態なんだろうかw
意味が分からず考え込んだよ。
びりびりに破れてもいつのまにか戻ってるってことか。

63名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/13(月) 21:01:43 ID:s5VQvGFQ
スレは下から落ちていくものだと思ってるのがまだいるのか……。
64名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/13(月) 21:04:27 ID:L5ti5VGI
そんなの全ての戦闘にすべからくあてはまります
回復呪文は着衣の乱れも回復してくれるのです

戦闘後吹っ飛んだバンダナを必死こいてじべたを這いずりまわるようにして探し回るエイト萌え
65名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/13(月) 21:49:10 ID:R9RlhS9v
そこへみーたんがバンダナくわえて取ってきてくれる。
フィールドだけだけど。
66名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/13(月) 22:43:52 ID:ecglbS6f
>64 戦闘後吹っ飛んだバンダナを必死こいてじべたを這いずりまわるようにして探し回るエイト萌え

ワタクシも同じことを妄想しましt
moweますな。
67名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/14(火) 19:21:42 ID:Hw+cXcKk
>>65
主姫的にはソ レ ダ!



戦闘終了後、
ミーたん「ヒヒーン(エイトほら)」
エイト「ありがとうございます、姫」
ミーたん「ヒン、ヒヒン!(どういたしまして、エイトのお役に立てて嬉しいわ!)」
エイト「姫・・・」
ミーたん「ヒン・・・(エイト・・・)」(以下エンドレス)

アンジェロ「さっきまでSHTだったのに、なんなんだ、このほのぼのさは・・・」


・・・ありがちなネタでスマソ。
68名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/14(火) 20:15:11 ID:qLdLzEFJ
そしてエイトだけすごくSHTになりやすいんだなw

エイト(バンダナ飛ばすと姫と…)
ミーティア(SHTになればエイトのバンダナを…)

……萌え。
69名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/15(水) 00:42:44 ID:UsX6Jvt/
>67
アンジェロ決定かよ!

ククールが聖騎士仕込みの洗練された礼儀で姫に泉で手にちゅうしたり
ダンスしたりするのをエイトがやきもきしながら見てたりすると萌え
後でからかわれてまた萌え。
70名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/15(水) 17:26:29 ID:7VSbYgzc
69
さらにミーティアが困惑顔でエイトをチラチラ見ながら助けを求めてると萌え倍増
「エイト、ククールさんがミーティアをからかうんです…」
71名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/15(水) 18:02:15 ID:7VSbYgzc
>>69です。普通に>>抜いちゃった。スマソ。。
72名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/15(水) 19:08:51 ID:UsX6Jvt/
姫も姫育ちでその位はなんとも思わずにニコニコしてて
エイトだけが慌ててるのも(*´Д`)ハァハァ
73名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/15(水) 23:29:34 ID:PZRNLisx
「白鳥の〜」ネタでもう一つ。
夜更けにこっそりss置いて行きます。

最初に注意
・今回わざと漢字に振り仮名をふってません。同様にあまり一般的ではない単語も出てますが敢えて注釈無しです。
・みーたんが「美女ヤン」とはまた違った意味で黒いです。
・お約束に抵触していないとは思いますが若干の性描写を含みます。
74荒野の幻影 ◆JSHQKXZ7pE :2005/06/15(水) 23:31:58 ID:PZRNLisx
この島に閉じ込められてもう何日になるんだろう。
ここには昼も夜もない。ただ時の経過を見張りの交替で知るのみ。
外はどうなっている?暗黒神は復活してしまったのか?法皇様は?そして王様は?あの方は、
…御無事なんだろうか?
体力温存のためにみな交替で眠りを取っているけど、それは役に立つんだろうか。もう二度と
地上に出ることはできないかもしれないのに。

そんな昼とも夜ともつかない眠りの中、僕は見覚えのない荒れ地に立っていた。
見渡す限り何もない、ただごつごつした岩と枯れ草と痩せ切った土ばかり。夢の中でさえこん
な荒涼とした景色しか見られないのか…
いや、あちらに光が見える。あれは?
不審に思いながらも近付くとあの月の人、イシュマウリが立っていた。そしてその隣には──
「ようこそ。あの後色々思い出したことがあってあなた方をお招きしたのだ。辛い旅をしなく
とも呪いを解く方法があったのだよ」
人の姿のあの方がとても嬉しそうに微笑んでいる。もう話を聞いていたようだ。僕もすっかり
嬉しくなってならばすぐに、と急いで聞いた。
「教えてください、僕はどうすればいいのでしょう」
「なに、簡単なことだ」
そう言うとイシュマウリは僕に向かって杖を掲げる。あれ、あんなの持っていたっけかな…
「この呪いにかかった姫君とまぐわうだけでよいのだ」
「まぐわ…?えっ、えええっ!」
言葉の意味が分かった瞬間頭の中が真っ白になる。ちょっ、ちょっと待て!それって要するに
その…
「エイト」
僕の動揺を無視してミーティアが手を差し伸べる。
「ミーティアを助けて」
その微笑みの美しさに思わず見蕩れていると、その手は頬を撫で、そのまま首に廻された。はっ
とした時には既に遅く、柔らかな唇が押し当てられ熱い舌が口の中に滑り込む。
夢、夢だよな?時々見るあの夢じゃないよな?
75名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/15(水) 23:33:23 ID:PZRNLisx
「疑っているのね?」
いつの間にか唇は解放されていて、目の前でミーティアが微笑んでいた。でもその表情はいつ
もと違ってやけに艶かしい。よく見ると着ているものもいつもとは違っていて、着衣の意味も
為さないような透けんばかりの薄衣を一枚羽織っているばかり。
「でも本物よ。ほら!」
そう叫ぶなり僕の手をその胸に導く。信じられない程柔らかな乳房の真ん中にやや硬くなり始
めた乳首の存在を感じてしまって思わず身を固くする。
手を離さなければ。だけどなんて柔らかいんだ…離すことなんてで…きな…い…
「力を抜いて…快楽に身を委ねればもっと楽になるわ」
切な気な吐息混じりの言葉の後、もう一度僕の唇を奪う。また舌が口を割ったかと思うと、
「う…」
今度は歯列をなぞる。自分の歯の形を描き出される奇妙な、でも抗い難い快感に痺れたように
なって動けない。
唇が離れた時、どちらのものとも知れない唾液がつ、と細く筋を引いた。吸い込まれるような
妖しい微笑みを浮かべ、ミーティアが僕の唇を指でなぞりながら問い掛ける。
「気持ちよかったでしょう?」
違う。何かが違う。これはミーティアじゃないような気がする。でもどう見てもミーティアだし、
それになんて…ああ…
「これからもっともっと気持ちよくなるのよ」
いつの間にか上着も、その下のチュニックも脱がされて上半身は裸だった。そこへ薄衣一枚の
ミーティアが抱きつく。その身体の生々しい感触。ずっと堪えていたけどもう我慢できそうに
ない。
76名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/15(水) 23:36:54 ID:PZRNLisx
「止めてくれ…」
「嫌よ。だってエイトも本当は望んでいることでしょう?」
胸から離せずにいる手に触れると上から揉むように動かす。さっきよりもっと強い刺激が僕の
思考を奪っていく。身体を寄せ合いたい、もっと近くに。隙間の全てをなくしてしまいたい!
「ミーティアも望んでいるのよ」
つ、と空いている方の指が胸を滑り下りる。と思うと止まって優しくなぞる。
「エイトのおへそってかわいいわ」
そんな目で僕を見ないで。いけないことだと分かっているんだ。でもその身体が欲…し…い…
葛藤する僕を無視して指がくるりと臍の周囲をなぞり、さらに下へと下りて行く。
「止め…て……」
「嘘ついちゃ駄目」
そう言うとその手が服の上から僕の下腹部に触れた。
「ぐっ!」
細く華奢な指がそれを絡み付くように撫で上げる。その凄まじい快感。もう駄目…だ…!
「だってほら、こんなに私を欲しがっているんですもの!」
ミーティアがそう言った途端、異質感の正体に気付く。そうだ、違う。目の前にいるこの人は
ミーティアじゃない!
「あら…どうして?」
違うと分かった瞬間、一気に醒めてそれは萎えていた。がっかりしたような声を出す彼女を振
り払う。
「離れろ…その姿で僕を惑わすな…」
正直言ってまだ息は乱れている。でも言う、言わなければ。
「あなたは…ミーティアじゃない。よく似ていても別人だ。そしてイシュマウリ、おまえもだ!」
そう言いざま足元に落ちていた槍を拾い上げ、一気に薙ぎ払う。そうだ、あの杖は!
77名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/15(水) 23:39:05 ID:PZRNLisx
「…クックック、よく分かったな」
穂先で確かに捉えた、と思ったけど躱されていた。いや、その身を闇に変えて槍を素通りさせ
ていたのだ。封印の杖だけがその闇の中に浮かんで僕を嘲笑する。
「お前の勇気に免じて二度と戻れぬ快楽の中に溺れさせてやろうと思ったのに、残念なことよ」
やはり。危なくヤツの術中に陥るところだった。
「僕はそんなまやかしに溺れたりしない!」
「そうかな?あの者自体はお前の願望から造り出したもの。望んでおったのだろう?あの者と
の情交を」
「偽りのあの方など望んでいない。僕が欲しているのは…」
そう言って振り返る。そこには涙を一杯に溜めて僕を見つめるミーティアがいた。偽物だと分
かっていても心惹かれてしまう、その姿。でも違う、微かな違和感が僕の心に突き刺さる。
「真実のあの方の幸せ、ただ一つだけだ!」
その言葉を発した途端、その姿は宙にかき消えた。涙を一雫、残して。それと同時に身体に残っ
ていた痺れるような感覚も全部消え去った。
「それさえあれば何もいらない。地位も名誉も、僕の命だって!
何としてもお前を倒し、あの方の呪いを解く!」
怒りを込め、地獄の雷を呼ぶべく槍を構える。けれども闇は広がって僕を包み込み、哄笑した。
「ふははははははは、愚か者め、その身は地の底、我を倒すことなどできんわ!そのまま指を
くわえて世界の終末を待つがよい!ふははははははは!」
          *           *           *
78名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/15(水) 23:40:49 ID:PZRNLisx
「兄貴、兄貴…」
はっと気付くとヤンガスの心配そうな顔が目の前にあった。
「大丈夫でがすか?随分うなされていたでげすよ」
「あ…ありがとう。大丈夫だよ。」
嫌な汗をかいた。冷たい地面にべっとり濡れたチュニックが気持ち悪い。
だけど…あれは本当に僕が望んでいることだったんだろうか。誘惑されてその身体を貪りたい
と思っているんだろうか。そうなんだろうか…
「顔色も悪いでがすよ」
「何か寝言言ってなかった、よね?」
まさかと思いつつも一応確認する。
「『止めろ』とか言っていたようでがすが、はっきりとは…」
「そっか」
よかった。こんな醜い思いを明らかにしてしまわなくて。そしてあの夢が僕一人だけのもので。
あんな思いを抱いているなんてあの方にだけは知られたくない。
「外はどうなっているんだろう。何とかしてここを脱出しなければ…」
「そうでがすね…」
二人で「はあ」と溜息をついた時、「ガラガラガラガラ…」と頭上から物音がし始めた。
「また一日が過ぎたんでげすね…」
「これでかれこれ一月か…」
壁に一日の過ぎた印を付けながら呟く。
早く地上に戻らないと。王様もあの方もさぞ心細い思いをなさっているだろうに。
だけど一体どうすれば…!
                     (終)
79名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/16(木) 00:36:33 ID:H9e8XfxQ
>>78
>嫌な汗をかいた。冷たい地面にべっとり濡れたチュニックが気持ち悪い。

濡れてるのは汗のせいだけじゃないだろうけどな!
80名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/16(木) 22:03:56 ID:VK++MHzn
>濡れてるのは汗のせいだけじゃないだろうけどな!
それは言わない約束w
81名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/16(木) 23:45:43 ID:lETm6p7E
>やはり。危なくヤツの術中に陥るところだった。
>「僕はそんなまやかしに溺れたりしない!」

すまん、ここで爆笑した。
散々楽しんでおいて何をいう。
82名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/17(金) 00:07:52 ID:EPxPAHCa
便乗。俺もなぜか爆笑した。

特に偽みーたんがオパーイ触らせて「本物でしょv」とか言う所。
シリアスな話なのに…
8373:2005/06/17(金) 20:22:54 ID:XKDns5Ne
>81-82
特に正体現してからの状況を考えるとおそろしくマヌケでして…
かっこつけててもついさっきまでハアハアしてたやんけ!と思いつつ書いておりました。
(当初はもっとマヌケな状況でした。あまりにマヌケ過ぎて腹痛くなるくらい)
状況がわかったお二方を勝手にエロい人認定しますw
84名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/18(土) 01:27:31 ID:5YvYn499
>83
パンツ下ろしたまま槍投げてたとか?
85名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/18(土) 02:16:56 ID:D9AFO7Ot
今日ずっと頭に浮かんできて、笑いが止まらなかった。
きっと変態だと思われたよ。…どうしてくれるんだ。
8673:2005/06/18(土) 11:32:36 ID:8J+MCCdh
>84
エイトは ジゴスパーク を はなった!
    
     …全裸で
もうどうしようもないですw

>85
オオアナタヤッパリエロイヒト
…いや変に妄想させるようなこと書いてしまって申し訳ありませんでしたorz
87名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/19(日) 11:13:00 ID:sMTGTPiQ
なんか皆様を困惑させてしまった様で申し訳ない。
お詫びに小さい話置いていきます。
88名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/19(日) 11:14:03 ID:sMTGTPiQ
私はトロデーン城のリネン係として働いている者でございます。
トロデーン城は王様のいらっしゃる三つの国のなかでも最も立派なお城だと、諸国を漫遊する
吟遊詩人が言っておりました。他の国のことは存じませんがいろいろな意味も含めてこの城が
一番であると、胸を張って言うことができると思います。
城の豪華さ、華麗さもさる事ながら、城の主人である王様は時々気紛れを仰るものの私どもの
ような下々の者にまで行き届いた配慮を欠かさない方でいらっしゃいます。そのただ一人の御
娘でいらっしゃる姫様も大層愛らしく、子供らしいわがままを仰ることもございましたが他愛
もない可愛らしいもので─エイトに貰ったという花の飾りをそのまま寝台に持ち込もうとした、
とか─、とても親切でございましたから、城の誰からも愛されておいででした。
そう、エイトです。この者は姫様にとって大切なお友達でございました。記憶のほとんどを失っ
て行き倒れていたところを助けられたとかで、城に来た当初は痩せこけたとても愛想のない子
供でした。記憶がなければ何にも答えられないのですから仕方ないと言えば仕方ないのですが。
与えられた仕事はきちんとこなせるものの、あまり働いたことのないようなすべすべした手を
していて、夫─その時はまだそうではありませんでしたが─などは不思議がっておりました。
「一体どこの子供なんだろう。聞いた話によればポルトリンク近くの海岸に嵐のあった朝に打
ち上げられていた、ということなんだが、その夜に難破した船はなかったらしいんだ」
「でも子供が船から落ちることはなくはないんだし」
「それはそうなんだが。それにしてもあの子、なんでも器用にこなせるんだが、野良仕事や水
を扱う仕事を本格的にしたことないぜ。肉刺もないし水仕事の手荒れもない。服さえちゃんと
していたらどっかの若様かと思ったかもしれん」
「それもそうねぇ」
そんなこんなでエイトが来た当初、城の者はその正体をあれやこれやと推測するのが休み時間
の楽しみでした。当の本人が自分の話題だと分かっていても曖昧な表情を浮かべるばかりなの
は気の毒ではありましたが。
そのうち私と一緒にリネン類の補充をするため城内を巡っている時に姫様と知り合い、子供同
士の気安さからあっという間に友達になったのでした。
89子供の心配事 ◆JSHQKXZ7pE :2005/06/19(日) 11:17:22 ID:sMTGTPiQ
あれから二年が過ぎ、先日私は夫である料理長との間に女の子をようやく授かりました。
話に聞くところによると世間では子を身籠ると暇を出されることが多いそうなのですが、この
トロデーンではそのようなことはなく、城内で出産してまた仕事に復帰することができます。
「人を新しく仕込むのは大変じゃ。休んでいる間の給料は出せんが医師もおるし、城内で産ん
だ方が安全じゃろう」
との王様のお考えのようです。私もありがたくそのようにさせていただき、無事出産すること
ができたのでした。
幸い経過は順調ですぐにでも仕事に復帰したかったのですが
「せっかくだし少しは休んだ方いいんじゃないのか」
と夫に言われ、「それならば」と親子水入らずの時間を楽しんでおりました。
そんなある日、姫様とエイトが私たちの部屋に遊びにきたのでございます。
「メイドさんから聞いたの、赤ちゃんが生まれたって。それで二人でお祝いに来たの」
「おめでとうございます」
「まあ、お気遣いいただいてもったいのうございます。よろしければ見てやってくださいまし」
姫様の温かいお言葉が嬉しく、たまたま部屋にいた夫とともにお迎えいたしました。
「まあ、かわいい。赤ちゃんの髪の毛ってふわふわなのね」
嬉しそうに姫様は仰って揺りかごをのぞき込んでおられます。一緒に来たエイトもつられるよ
うに子供の手を取って握手したりしていました。
と、急に姫様が振り返ってご質問になられたのです。
「あのね、赤ちゃんってどこから来るの?」
「えっ」
無邪気な姫様の問いに私たち夫婦は絶句してしまいました。
「ほっ、ほら、こここ、このお腹の中にいたんでございます」
慌てて夫が答えましたが姫様もその隣で話を聞いていたエイトも納得していない様子。
「だって少し前までいなかったでしょ?急にお腹の中にいたらおかしいわ。それにこの子、料
理長さんにそっくりなのはどうして?」
ものすごく答えにくい質問に夫はすっかりしどろもどろで目を白黒させております。
90名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/19(日) 11:20:11 ID:sMTGTPiQ
「姫様」
夫の様子はおかしかったのですが、助け舟のつもりで昔神父様から聞いた話をお聞かせするこ
とにしました。
「赤ちゃんは、天の神様が世の中の様子を全部御覧になって『ここならば大丈夫』という夫婦
に授ける、とお決めになるのでございます。もちろんその夫婦に似た子を、でございますよ。
そしてその子を神様のところからコウノトリが連れてきてくれるのでございます。
はら、私たちの子供を連れてきてくれたコウノトリが兵舎の屋根に巣を架けておりますよ」
ちょうど都合のいいことに最近兵舎の煙突にコウノトリが巣を作り始めていました。
「まあ、そうだったのね、よかった。もし急にミーティアのお腹に赤ちゃんがいたらどうしよ
うと思ったの」
「大丈夫でございますよ」
そうです、これは子供の心配事。大人の考えるようなことではないのです。
「姫様が大人になられてご結婚なさったら、きっと神様が可愛らしい赤ちゃんを授けてくださ
いますよ」
そう申し上げますと、姫様はにっこりとなさいました。そしてエイトに
「ね、エイト。コウノトリを見に行きたいわ」
と仰います。
「うん。じゃ、いこ」
とエイトが答えて私たちを振り返りました。
「どうもありがとうございました」
「赤ちゃんとってもかわいかったわ。また会いに来てもいいかしら?」
「ええ、もちろんでございますとも。いつでもお好きな時にお運びくださいまし」
そう申し上げると二人ともとても嬉しそうに頷いて
「お邪魔しました」
と手を取り合って駆けていきました。
後で同僚から聞いた話によると、二人で城の庭から兵舎の煙突にいるコウノトリに向かって何
か一生懸命話し掛けていたとか。

91名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/19(日) 11:21:05 ID:sMTGTPiQ
エイトの出自が知れないことを理由に一緒に遊ぶことについてあれこれ言う者も少しはおりま
した。ですが時が経つにつれその声は小さくなり、今では城の者全てが二人を微笑ましく見守っ
ております。何より今までずっとお一人で過ごされてきた姫様のただ一人のご友人ですし、王
様も口に出しては何も仰いませんがエイトを気に入っている様子。

このご友情がいつまでも続きますように。
                    (終)
92名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/19(日) 11:24:53 ID:sMTGTPiQ
リネン:シーツとか枕カバーとかそういった類のもの。昔はほとんどが麻製だったのでそのように言う。

EDのトロデーン、みーたんの肖像画がある部屋にいる女の子の生まれた時の話で。
93名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/19(日) 15:01:50 ID:6Nzoi+ss
まとめサイト更新しました。
今回で作品が93作品(数え間違いでなければ)と多くなったためフレームをなくしました。
フレームがいいという方がいればフレーム版も残します。

05/06/19 Part2 725 - Part3 92までの24作品を保管
◆JSHQKXZ7pE氏
アスカンタにて , 肖像画の方 , 月の影 , ミーティア姫のわがまま , 花束の約束 , 木いちご摘み , 真夜中の散歩〜水底の記憶篇
夢の扉 , バカポーネタ , 夜想曲 , 荒野の幻影 , 子供の心配事
◆sVVR0Q7eM2氏
夢 , 舞踏会 , 思慕 , 呪われし姫君 , 密談 , 結婚
◆nw3zSJjQag氏
雑談 , 彼女と彼の距離
◆nefbuGknog氏
小ネタ2 , 小ネタ3 , 小ネタ4 , 小ネタ5
94名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/19(日) 20:25:36 ID:+Lgg4L5U
>>88
乙です。ほほ笑ましいね。ちっさい二人は和むよ。
設定が少し気になるかな…。


>>93
いつもありがとうございます。
早速行ってみたらクール感が増していてGJ!!でした。
お疲れ様でした。
95名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/19(日) 23:58:49 ID:1Yq9UfnG
ミーティアお絵かき掲示板はうpぉあdが出来なくて寂しいです
96名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/20(月) 00:09:40 ID:Gi3P4sf3
まとめサイト様
お忙しい中の更新お疲れ様です。
爽やかな感じでいいですね。

>94
感想ありがとうございます。
そしてあなたのカキコで謎が解けたよ。
以前に某氏化と言われ「?」と思っていたんだけどmy設定多すぎ&書き込み多すぎっつーことだったんだな?
…少し冷静になって書くようにします。
トロデーン到着前のエイトの話は書く心の準備がまだ…
みーたん出て来ない可能性あるし、迷い中。
97名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/20(月) 02:44:51 ID:5Zuhftu6
my設定多すぎ&書き込み多すぎ
ってつまんないのか?確かに他の書き手が居る所で書き込み多いのは、
どんなに内容面白くても見てて嫌だけど
98名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/20(月) 17:02:10 ID:ZSb/95KX
冷静じゃないのはお前の問題。他人様を巻き込むな。
99名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/20(月) 18:22:30 ID:slDJHU1r
まとめサイト様いつもお疲れ様です!

皆さんここは萌えスレなんですから、マターリ頼みますよ、マターリ。
100名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/20(月) 19:50:41 ID:fyIWfjea
>>96
原作で語られてない部分を語るのが二次創作なんだから、
my設定ありで当たり前だし、そんなに気になるほどでもないと思うよ。

書き込みも多すぎ、っていうけどいつも萌えSSをたくさん読ませてもらって
感謝しているくらいだ。自分では書けないから。
もちろん他の職人さんにも、だけど。

これからもがんがってください。
101名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/20(月) 22:30:02 ID:JCpyUfAQ
◆JSHQKXZ7pEさん、これからも期待しています。
102名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/21(火) 22:48:34 ID:fSJKC95Q
ギャー、みーたん清楚カワイイ落ちちゃった!
103名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/21(火) 23:11:43 ID:w5KBEsfw

     そんな ひどい……!!

     ̄ ̄∨ ̄ ̄∨ ̄ ̄∨ ̄ ̄
  .   _ _     _     r:v;‐、
  . ,'´,. -、ヽ ;'´;.(Ω)ヽ , ' ⌒.,ヾ.ヽ
   川―゚ー!| i. jii^iii^ji! .〈((゙(ヽヾ.〉!
   |!(|TnTノl_ノ (!TnTノ、 i、TnT)シi |
   と)|ト-チiつ⊂{i゙ー)i}つとRヾと)_i_!
   ソリ゙/iヾi!~^</~i゚~ヾ>  .ハ:ハ.:ハ
   んレ';_!_リゝ .//.ハヾゝ  i|.|_|._|」
  .       `~^~~^´
104名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/22(水) 00:56:35 ID:2Y1nGtAc
ほらみろ〜・゚・(つД`)・゚・ 
だからたまにはageてかなきゃダメなんだってばよぉ〜!
…このスレも時々ヤバイぞ。
105名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/22(水) 01:02:40 ID:rIwbcnSq
だから下から落ちてくわけじゃないってばさ。
実際、ミーティアスレは金曜日にageられててそれでも落ちた。
106名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/22(水) 12:53:01 ID:qM87IoVC
じゃ落下の仕組みってなんなのさ?


>>103
可愛いw
この3人からは同じ電波を感じる
107名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/22(水) 14:31:49 ID:rbijMwvM
>106
下から落ちるわけじゃなくて、最終書き込み日の早い順だと思ってた。
違うの?
108名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/22(水) 16:51:22 ID:BNo5j6yZ
>>107
それで合ってる。落ちるのを判断するのは最終書き込み時間。
もし仮に最終書き込み時間がピッタリ同じのスレがあったら
上の方が優先される可能性はあるけどはっきりとした事は分からない。
109名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/22(水) 21:56:12 ID:ZLsK9k1O
>>103
左がミーティアってことしかわからない
110名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/22(水) 23:36:04 ID:7cIF4XI/
それでは、いっそ最下層を目指しましょう。
111名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/23(木) 00:19:08 ID:nzOsg1g9
>109
左から ミーティア ローラ フローラ
112名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/23(木) 00:27:36 ID:tFSFz2od

     私たち 極悪非道のDQ不思議ちゃんクインテット
     ネタなどありませんが 今日も電波ビンビンです!
      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  .          +     __ _         sage
               ミゝ"_l↓i_ヾ   +
       sage      i 从~ノリヾ〉
             ;.'^ヽノ!i(,^ヮ゚ノリ^ヽ、
    +   .  +  ノ,リノji⊂[iヾソ)つルjシ
               彡' ハ二ゝ      sage
. ソンナ ヒドイ… . sage   _ _  じ'ソ. _     r:v;‐、  +
.      ;'´,^!´ヽ.   ,'´,. -、ヽ  ;'´;.(Ω)ヽ , ' ⌒.,ヾ.ヽ
+  .  i卅<0>》   川―゚ー!| .i. jii^iii^ji!. 〈((゙(ヽヾ.〉!   +
   .  川;-_-ノ!  . |∩^ヮ゚ノl(_ノ.(!’ヮ’ノ、 i、゚ヮ^∩i |
 sage .巛(づ○0 +. |ヾiトー')つ⊂{ローラi}つとRヾ、ソ_i_!   sage
      /_,バ)    ソリ゙/iヾi! ~^</~i゚~ヾ>.  ハ:ハ.;ハ
   + ん,__!_リ    んレ';_!_リゝ //.ハヾゝ .i|.|_|._|」  +
                   `~^~~^´
113名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/23(木) 18:44:55 ID:OzrZ/R2N
もう少しで最下層だ>
114名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/23(木) 19:31:27 ID:gFln2hvj
(・∀・)ボッキアゲ

なんちて
115名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/24(金) 23:49:15 ID:3XWAqnbN
下から数えて6番目くらいまで下がってるね
116名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/24(金) 23:53:20 ID:XcYgDqoQ
なんかネタないか、ネタ…(*´Д`)

そういや、アクションフィギュアってどうなったんだろう。
みーたん出ないのかなぁ。出ないだろうなぁ…。自分で作るかな(*´ー`)
117名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/24(金) 23:56:59 ID:/UPP5Ayp
主ゼシスレに勝っただけでも満足
あっちは一度落ちてるしw
それなのに3スレ目から再出発してる卑怯者の集まりなんて最悪だな
118名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/25(土) 00:16:28 ID:FCiMjS6E
そうやってカプ同士の争いを煽ってヲチするのが楽しくて仕方がない。
そんなところですか。
119名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/25(土) 13:35:12 ID:UV0zC5Ue
しかし、ククゼシには負けている・・・・。
120名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/25(土) 14:51:21 ID:jMmFT+OR
別に競わなくても。

それより公式小説はまだかな。
おそらく序章に回想の内容を持ってきてコテコテの主姫になるだろう。
楽しみだ。
121名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/25(土) 22:06:17 ID:h5C13UL+
マンガ版もまだか?
エデンが終わらないと始まらないのか?
122名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/25(土) 22:41:27 ID:lpAlj0Ag
公式小説も漫画も主姫でありますように。
間違っても主人公がらみがよくわからんカプになってませんように。
123名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/25(土) 22:47:11 ID:5nhFlB0K
よくわからんカプって…
これまでノベライズされたシリーズ物にそんなのあった?
124名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/25(土) 22:47:29 ID:T1HeKp7k
6の小説に主人公×バーバラを期待してた俺のトラウマをほじくらんでくれ…orz
125名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/26(日) 01:08:37 ID:IAhToAsp
7の漫画に(ry
126名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/26(日) 01:55:32 ID:8DCXbi26
7漫画版の意味不明なキーマリとかか?
127名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/26(日) 01:57:28 ID:8DCXbi26
きっと主姫は大丈夫だよ!!
だって8でそれやっちゃったら、ストーリーとか別物になっちゃうじゃないか。
だから大丈夫!!

……だと思いたい。
128名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/26(日) 02:09:32 ID:zWXDFPYt
公式4コマで嫌いなキャラとその理由というのを募集してたらしい。
なんか…すっげ嫌な感じがするんだけど、これって被害妄想なのかな…

129名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/26(日) 02:19:07 ID:8DCXbi26
もしかして…その結果が漫画や小説に反映されるってことか?
ありそうで怖いよ(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

ミーたん、一般的にはそれほど嫌われていないと思うのだが
どうなんだろう?
130名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/26(日) 02:48:02 ID:IAhToAsp
単に次回作でのキャラ設定に役立てるだけだと思うけど。
131名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/26(日) 02:53:00 ID:IAhToAsp
>126
・7の漫画にキーファとライラの未来への希望を感じさせる幸福な恋愛を期待していた。
・5の小説に主人公を好きになるけど自分を一番好きになってくれないなら嫌と言えるフローラを期待していた。
132名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/26(日) 15:53:15 ID:prH0FoaR
結構、作家の自由にさせてるっぽいからな。
作家がゼシカスキーだったら、かなり危ないかもしれない。
ラストは変えないにしても、途中で…ね。
133名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/26(日) 16:03:08 ID:zWXDFPYt
なんでこんなことで心を痛めにゃならんのやら。
途中で、ってのも嫌〜な話だな…。
134名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/26(日) 19:54:47 ID:8D1lQpvK
7の小説は何故か主人公×アイラ
135名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/26(日) 22:38:35 ID:ZkjG16pQ
>>134
それは別にゲーム内で可能性のない話じゃないからなあ。
「なぜか」ってほどのことでもないと思う。
136名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/26(日) 23:36:19 ID:SrXEaqsM
もうすぐ、最下層。
137名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/27(月) 19:04:57 ID:EK5Q4p3P
ついに、最下層。
138名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/27(月) 20:01:06 ID:mRIZArx9
じゃあageるか






ごめん、嘘(´・ω・`)
139名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/27(月) 20:16:52 ID:2JZlUGIz
はいはいはい、保守age!

小説も北米版の予告編を見習って、きっちり主姫でいって欲しいものだね。
140名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/27(月) 20:19:46 ID:rcD0x1gc
ageるのと保守とはほとんどまったく関係ないと何度言えば……。
141名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/27(月) 20:26:02 ID:xZXUwB4s
さすがにゲーム中に結婚したカップル崩すことはしないと思うが・・・・・
142名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/27(月) 20:52:56 ID:3T+LY+/v
しかし通常EDと裏EDのどちらが採用されるのかな。

自分的に通常EDの不満は
「選択の余地をくれ、そしたら思いっきり自分の意思で姫つれて逃げたる!」
ってとこだったんだが。なんか流されっぱなしなんで。
そこら辺をうまーいこと書いてくれたらいいな、と。
143名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/27(月) 21:36:24 ID:IkyFaOOH
ふぎゃ〜、あがってる〜。
144名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/27(月) 23:43:48 ID:5h81eIIb
小説は裏ED有りじゃないかなあ。
主人公の呪い耐性がわけわからんくなっちゃうし。
145名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/28(火) 00:31:35 ID:POYeAy9H
あそこで選択の余地がないのがドラクエらしいと思うんだけどな。
146名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/28(火) 06:33:34 ID:sQZz/TMy
>>144
ただ、小説はページ数の関係上どうなるか・・・
それに、ラストバトルでエイトが竜に変身して戦いそうなんだがw
そのネタは久美がDQ5ですでにやってるだけにな。
147名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/28(火) 10:45:01 ID:Gf6ZzfGl
てか本編でドラゴラム使えてもよかったよな
148名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/28(火) 22:17:08 ID:b4i2acg0
多分バランス悪いからないんだろうな>ドラゴラム
竜神王があんだけの大きさだったし。
ガシガシ足踏みしたら他の三人が踏み潰されかねん。
149名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/28(火) 22:48:12 ID:3oVOwi4R
小説はどっちにしろ、途中でエイトの出生の秘密は描かれそう。

もし小説が主姫展開だったら、個人的に気になるのは『不思議な泉』がどんな風に使われるかかな。
ゲームみたいにルーラで行き来したりするのは小説としては変だし。
だから、みーたんと絡むのは夢の中か回想とかになるのかな〜って。
まあ、なんにせよ、主姫であることを切に願うだけだ・・・(ノД`)


て言うか、みーたんの存在がないがしろになるなんてことはないよね?((((゚Д゚;)))ガクブル
150名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/28(火) 23:25:45 ID:POYeAy9H
小説の話題のせいでここ何日か凹んでる。
二人がそれぞれ幸せなら、もういっそ
主ゼシクク姫でもいいやって気になってきた…_| ̄|○
151名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/28(火) 23:39:06 ID:MD9GNbI7
>150
>主ゼシクク姫
もしそうだったらそんなもん、なかったことにするね、自分なら。
もうこのスレから出ていかないことにするw
152名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/29(水) 00:08:34 ID:vPAM6c1p
>>150
まだ主姫じゃないと決まったわけでもないのに
凹みすぎ。
クク姫ってなんだよww
ぶっ飛びすぎだろそれは。
主ゼシはあるかもしれんが…(あったら嫌だけど)

そんな嫌な妄想を呼ぶほどこれまでの小説が破壊力あったってことか…



153名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/29(水) 00:23:35 ID:BoxOL0nJ
タイトルからして「呪われし姫君」だしロゴも姫冠だし
ミーティアがないがしろって事はないと思うけどな。

自分は逆にすごく期待している。
序章でエイトがミーティアと出会って
ユーリルとシンシアも真っ青ならぶらぶっぷりを披露し、
最終章は結婚式で「そして二人はいつまでも幸せに暮らしました」的な
終わり方をすると疑ってすらいないぞw

小説化って盛り上げるのには恋愛をクローズアップするのが
一番手っ取り早いしこれまでもそうだったけど
確定した相手との恋愛色を前面に押し出してるのは8が一番だと思うよ。
154名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/29(水) 00:27:14 ID:gNUoH5oD
公式小説で、旅の途中は主ゼシ→でも主人公は無理矢理姫と結婚させられた
なんてやられっちゃったら、DQ8はそういうゲームでしたって言われてるようなもんだ。
そんな展開になるくらいなら、いっそ主ゼシクク姫でいい。
そしたら別物だって割り切れるからさ。

>>153
自分もそういう風に前向きに考えることが出来たらいいのに、って思うけどね。
「嫌いなキャラ募集」で凹みすぎてて、今は無理だ…。

155名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/29(水) 00:58:33 ID:Ntjadj/0
>「嫌いなキャラ募集」で凹みすぎてて、今は無理だ…。
とりあえず、これだけは言えることがある。

    考 え す ぎ 
156名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/29(水) 01:08:45 ID:BoxOL0nJ
>154
んー、EDでエイトはプレイヤーの意思に関係なく姫の顔を覗き込み、
ククールに突っ込まれるほどあからさまに落ち込み、
自分で式場に乱入して、場合によっては叔父さんに殴り込みをかけて、
完全に自主的な略奪婚をしてるし、強制させられた的な描写をする為の
材料自体が8には無いよ。

それどころかチャゴスの極悪っぷりやら過去の回想やら、
主姫を盛り上げる為の材料ばっか揃って、ゲームで消化不良だったから
少なくとも主人公→姫は安泰だと思うよ。
157名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/29(水) 01:17:55 ID:gNUoH5oD
>155-156
ですよね。考えすぎですよね!

ごめんなさい…。
158名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/29(水) 12:42:10 ID:DgC5Agwn
>157
つ勇気スキル「見ないゆうき」
いざという時のために身につけておきましょうw
そんなに不安がる程じゃないと楽観したい今日この頃。
159名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/30(木) 02:06:10 ID:CdZ2ZdFK
160名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/30(木) 20:50:02 ID:xXDKT3vg
なんかもう20回くらい見ちゃったよ。
主姫要素満載で最高すぎる。もう一回貼っちゃえー。
そういや、DQもついにヨーロッパデビューなんだってね。
黒髪は人気あるし、ミーティアに一目ぼれする人も多いんじゃないかな。
ヨーロッパ版も是非見たいよ。

北米版トレーラー
ttp://www.dragonquestonline.com/media/DQVIII_US_TRAILER.wmv
161名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/01(金) 00:10:14 ID:MvsR/e1W
スーパーサイヤ人になるんだな
162名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/01(金) 13:43:01 ID:9r4ACuDS
いつ聞いても冒頭の「剣をとれ」つーナレーションが恥ずかしい
163名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/01(金) 14:05:16 ID:aaNSyTKW
勇者よ、剣をとれ!

ごめんうちの勇者は岩投げてます
野蛮です
164名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/01(金) 18:41:38 ID:Xeaagb5J
官スレでびっくり。

こっちでも投下してほしいけど…無理か。
165名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/01(金) 23:03:53 ID:i+MvRJeZ
>164
無理…だとオモ。
色々削ってこちらで、と思っていたんだが結局引っかかる部分が削れなくてあっちになったといういきさつが。
つか自分でもやりすぎたと思って今はry

ところで夕方6時から官スレっすかw
166名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/01(金) 23:11:28 ID:WDSFH5UI
普通の主姫話を投下してくれという話さ
167名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/02(土) 00:52:51 ID:P3gThuVo
>>162
ロードオブザリングみたいでカッコいいじゃん
168名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/02(土) 01:26:15 ID:JWMNuhsU
それで手に取った剣が「兵士の剣」ってのも切ない話だ…。
169名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/02(土) 09:52:25 ID:IinoNfq3
ひのきのぼうでないだけましだ。
その兵士の剣は近衛兵として愛しの姫君に捧げる剣なのだ。
な、なさけなくなんてないやい。一応剣だ。棒(殴打系)じゃない。
170二人の冒険 ◆JSHQKXZ7pE :2005/07/02(土) 14:11:29 ID:EZklooj6
1.
「あ゛ーっ!」
ことはトロデ王の悲鳴から始まりました。
「いかがなされましたか!?」
「ワシの大切な大切なチョコレートクッキーが…噛られておる!」
慌てて飛んできた侍従の問いに目を血走らせた王が答えます。
「なんと!…この歯型はネズミでございますな。それに…」
「噛られた上にフンまでされてもうた!」
怒りのあまり持っていた杖でバシバシと手近の机を殴ります。
「お、王様、お静まりを…」
「あーあ沈んでおるとも!後でかわいい姫と一緒に食べようと取って置いたものじゃからの!
それをネズミのアホタレめ…」
「そっ、それは何とも…」
「決めたぞ」
怒りの納まらない王はぐるぐると部屋を歩き回っておりましたが、ふと立ち止まると杖を侍従
に差し向けました。
「直ちに犯人、いや犯ネズミじゃな、を引っ捕らえて打ち首獄門じゃ!」
「ははっ!」
威勢よく返事して王の前を下がった侍従でしたが、内心とても困ってしまいました。どこの城
にもネズミはいます。きちんと掃除して、罠を仕掛けてはいますが全部退治出来た試しがあり
ません。それにどのネズミの仕業とも知れるはずないのに、命令は「つまみ食いしたネズミを
捕まえて処刑しろ」です。
(仕方ない、手近なネズミを捕まえて「こいつです」と言うことにしよう)
と侍従は考えました。
171名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/02(土) 14:12:41 ID:EZklooj6
しかし…生憎ネズミは罠にかかっていません。
「いやー、最近あいつらも妙に賢くなっちまってさっぱり罠にかからないんですわ」
厨房の罠を覗いた時に料理長が言いました。
「それは困ったな…」
「全くでございますよ。今朝も発酵が終わって焼くばかりのパン種の上をやつらが走ったせい
で駄目になっちまったんです」
「なんと」
「ま、幸い予備があったんで王様と姫様のご朝食には間にあったんですが、こんなことが度々
あったんでは…」
「それはまずいな」
厨房がネズミによって汚染されては大変です。いよいよもってネズミ退治は急務となってきま
した。
「しかし私も忙しい身だ、これだけに関わってはおれん。とりあえず罠の数を増やして様子を
見るしかないな」
「はあ、仕方ないですね…みんながみんなトーポの様に賢くておとなしければいいんですがね」
溜め息混じりに料理長が言ったことを侍従は聞き咎めました。
「トーポとは?」
「ああ、侍従殿はご存知なかったんですか。ほら、最近住み込みで働くようになったエイトっ
て子供がいたでしょう。その子の飼っているネズミですよ」
「ほう」
「最初は私も抵抗あったんですがね、チーズをやるとお辞儀するんです。どうやって仕込んだ
んでしょうねぇ」
面白そうに料理長は話していましたが、侍従は最後まで聞いていませんでした。
(エイトと言えば…あの子だな)
礼儀正しいけれど無愛想な男の子、それがエイトでした。漸く最近になって少しは会話するよ
うになってきたものの、表情は硬くてあまり打ち解けた感じはしません。
(子供には悪いが仕方ない。大体ネズミは病気を運んできたりするのだし)
侍従はエイトについてそんなに詳しく知らなかったので、あっさりとトーポを犯人に仕立てる
ことにしたのです。
172名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/02(土) 14:14:23 ID:EZklooj6
「エイトはどこにいるんだね?」
「おや侍従殿お珍しい、エイトを気になさるなんて。
この時間は城内の廊下掃除している筈でございますよ」
「そうか。いや、時間を取らせて済まなかった。いつも美味しい料理に感謝しているよ。今後
もよろしく頼む」
「ありがとうございます。その言葉が料理人の励みでございますよ」
料理長の言葉を背に侍従は厨房を後にしました。
(さて…エイトはどこだろうな)
犯人捜しなどと言う面倒から早く開放されるべく、彼は廊下を捜し始めました。トロデーン城
は広く廊下も長いのですが、目的の人はあっさり見つかりました。三階の姫の部屋の前でエイ
トはせっせとモップをかけています。その様子をミーティア姫が封印の間への扉の前の段差に
腰掛けて見守っていました。
「エイト」
ちょっと厳しい調子で呼びかけるとエイトはびくっとして振り返り、慌てお辞儀しました。
「ちょっとおいで」
「はい。ただ今」
モップを壁に立て掛け、エイトはこちらにやって来ました。その後から姫もついて来ます。
「ポケットの中のものを出しなさい」
「は、はい」
不思議そうな顔をしながらもエイトはポケットの中身を広げました。
「あのう、何か…?」
あまり入っていないように見えたポケットの中からは意外にいろいろな物が出てきます。何か
の金具の一部やすべすべした石、蜥蜴の抜け殻などの後、最後に目的のネズミがそっと置かれ
ました。
(これはまたずいぶんと変わったネズミだな)
茶色の毛皮に髦のような黒っぽい毛筋は何となくヤマネの様に見えなくもありません。けれど
も大人の掌ぐらいの大きさに、尻尾の先のふさふさした毛が明らかに違っています。
(魔物の仔か?ますますもって怪しいな、本当に犯人かもしれん)
侍従はネズミの首根っこをむんずと掴むなりエイトに言いました。
「このネズミが王様のクッキーをつまみ食いした犯人だな」
173名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/02(土) 14:17:47 ID:EZklooj6
「えっ」
目を丸くして固まったエイトでしたが、すぐに手を伸ばしてネズミを取り返そうとしました。
「ち、違います。トーポはいつも僕と一緒にいるし、つまみ食いなんてしません!」
ネズミもじたばたと手の中で暴れましたが、がっちり掴まれていては逃げられません。がっか
りしたようにうなだれて抵抗を止めてしまいました。
「お願いします、返してください。僕の大切な友達なんです!」
エイトはぴょんぴょんと跳び上がり侍従の頭の上にかざされたトーポを取り返そうとしました
が、届く筈もありません。
「駄目だ。これから王様のところに連れて行って処刑する」
「ええっ」
へなへなとエイトは座り込んでしまいました。
「そんな…トーポ…」
「ちょっと待って」
黙って話を聞いていたミーティア姫が突然話に入ってきました。
「おかしいわ、そんなこと。トーポがお菓子をつまみ食いしているところを見た人がいたの?」
姫のいつにない剣幕に侍従は驚きました。
「い、いえ、そういう訳では…ですが」
「じゃあ違うかもしれないでしょ?もし違ってたらどうするの?」
そう言いながら手を差し出します。侍従がためらっていると「渡しなさい」と言うかの様に重
ねて要求されました。
「申し訳ございません、姫様。これは王様のご命令でごさいまして…」
「お父様にはミーティアがお話しするわ。だからトーポをこちらに」
そう言われてしまったらどうしようもありません。渋々、といった風情でネズミをミーティア
姫の手の上に乗せました。と、あっという間にネズミは姫の身体を伝い下りてエイトのポケッ
トへと駆け込みます。
「どうにも怪しいと思うのですが…」
「じゃ、今すぐお父様にお話しするわ。…エイトも一緒に来て」
「はい」
エイトも初めて見るミーティア姫の剣幕にたじたじとなりながらも掃除道具を片付けて後を付
いて行きました。
                     (続)
174名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/02(土) 14:19:37 ID:EZklooj6
主姫子供時代の話、少し長くなりますがよろしくお願いいたします。
175名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/02(土) 14:49:08 ID:izb0f2PZ
子供時代の話はいいね。和みます。
そしてトーポの中の人を知っているだけに、ちょっとワロタ。

続きを楽しみにしております。
176名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/02(土) 15:48:16 ID:EZklooj6
お題?
177175:2005/07/02(土) 16:25:55 ID:bj4lr9YK
>176
どっかの主姫サイトで「主姫20のお題」を配布していて、
その中のひとつに「二人の冒険」ってあったから。

勘違いだったみたいですね。…すんません。

178名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/02(土) 17:52:39 ID:JWMNuhsU
子供時代かわいい〜。
トーポピンチな場面はきっとあったはずだ。
続きが楽しみです。
179名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/02(土) 21:44:36 ID:e4cwHX2A
◆JSHQKXZ7pE神、官スレでもこちらでもss乙です。
質問ですが官スレの方でssの続きだと言ってましたが何というssですか?

長文スマソ
180名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/02(土) 22:26:09 ID:EZklooj6
感想どうもありがとうございます。

>175
そういうものがあったんですね…シランカッタ
計らずも重なってしまいましたが全く無関係に思い付きました。

>179
前スレの「Etude」という題の物です。
ちょっと前の話で申し訳ありません。
181名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/03(日) 23:27:58 ID:ZEwEJTFR
人がいないよう…(つД`) 

182名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/03(日) 23:35:30 ID:RxEWlZQh
いるって。
183名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/03(日) 23:52:16 ID:Z10vqdAo
オラもいるだー

ミー母はミーティア似の美人らしいけど夫は小柄な魔物モドキ男。
外見だけで判断するならチャゴスよりひどいが結婚の時はどんな気分だったんだろうか
184名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/04(月) 00:50:04 ID:Wmr032wU
いるよーノシ

>183
うーん、でもトロデ王は武術の達人っぽいし。
意外に格闘スキーなお妃だったりしてw
185名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/04(月) 11:03:09 ID:5SXaIRPN
トロデ王は中身はそこそこマトモだ。
186名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/04(月) 11:51:46 ID:9lac9l9x
憎めないキャラではあるよねぇ。>トロデ
人情あふれるオッサンだし。
でも、姫しか生まれなかったのに再婚もしてない、てところに
トロデのミー母への愛を感じるのですよ。純情親父なところもあるんでないの?


それよりは、チャゴスのほうが謎なんじゃないのか?
ダイエットすればあの絵のようになるんかねぇ?

8はあんなに親父に似てるのに……
187名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/04(月) 20:24:07 ID:Wmr032wU
>186
うん、そうかもね。
アスカンタの願いの丘イベント時に聞ける話からしてもよっぽど愛していたんだなーと思う。

王位継承問題は、トロデーンがイギリスみたいに女でもOKならば再婚しないでもいいかもよ。
彼の国は女王様が婿を迎えて王位継承(現在もそう)。
どっかの王と結婚した場合も連合するけど旦那は玉座には着かない。
子供は両国の王。うんと昔だと兄弟で領地を分けてたらしいけど。
かつてのフランスみたいに正嫡の男のみ!だと渋々後添い迎えたかもしれんが。
細かいことはあやふやだ。詳しい人カモーン。
188名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/04(月) 22:28:41 ID:vU7+vevy
人間外見じゃないんだよな。
チャゴスの問題点は中身であって……
189名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/04(月) 23:59:53 ID:tm8hveym
エンディングで一回でかい挫折を味わったことで
やさぐれ→どん底→それでもどうにもならない現実を学んで
更正&ダイエットしてあの絵のようになったチャゴスが見たかった気はする。
後日談みたいな感じで。

過去スレで「あんなのはどうなっても更正しない」みたいな言い方してる人がいたけど
現実ではそうかもしれないけどフィクションなんだから気持ちよく終わりたい感じ。
190名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/05(火) 00:01:37 ID:04yIi0OH
トロデとミー母は親が決めた結婚でミー母はトロデが好きになれない。

トロデは自分が醜いと理解しているので結婚後もベッドを別にしたりと
ミー母と距離をとっていたが色々あってトロデラブになったミー母が
胸のうちを告白して両想いに、というのがマイ脳内設定
191名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/05(火) 00:23:55 ID:aNDQSqoe
>>189
大司教ピンチなのに「わしが助けを呼んだと言え」と言っていた
ニノが改心できるぐらいだからチャゴスも改心の余地はあるはず

それにしても城の絵は若い頃の王と思っていたけどまさかチャゴスだったとは
192名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/05(火) 01:59:04 ID:GqwS3gfs
エルトリオとクラビウスだろ
釣られた?
193名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/05(火) 16:14:44 ID:B0Aqjcgg
>>190
私は、モンスターに襲われピンピンチ!なミー母をトロデが助けて
愛が芽生えたと思ってたよ……
ハーレクインロマンスかよ!と思うくらいべたべたな展開のMY脳内設定。
194名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/05(火) 17:26:03 ID:ZYW40gWR
私は逆にミーティア母は一発でトロデ王の人柄を見抜いて
婚約期間中に信頼と愛情を深めて…ってのがいいな
姫の屈託なさはお母様と一緒きぼん
195名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/05(火) 20:11:57 ID:RE8uaUWb
美化して描いてあるチャゴスじゃない?
196名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/06(水) 01:12:24 ID:bC7MIz1d
マイ設定も千差万別だなあ
197名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/06(水) 03:05:22 ID:nqenrTw9
198名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/06(水) 03:20:17 ID:HndoNP64
俺は子供時代のチャゴスの絵だと思ってた
色々あってああなっちゃったのかなっと
199二人の冒険 ◆JSHQKXZ7pE :2005/07/06(水) 19:04:41 ID:a2cZP3EK
>>170-173続き

2.
「お父様っ」
執務室で大量の書類に埋もれていたトロデ王は突然の姫の来訪に飛び上がらんばかりに驚き、
椅子から転げ落ちました。
「どうしてエイトのネズミを処刑しなければいけないのっ!」
「なぬ?!」
また姫の剣幕たるやその辺の書類を吹き飛ばさんばかりの勢いです。
「どうしてもというのなら、ミーティアはもう、お父様とお食事をご一緒いたしません!」
声高らかに宣言されてしまって王は慌てました。何しろ姫に反抗されるなど一度もなかったこ
とでしたから。
「ひ、姫や…ワシゃ『お菓子を食べたネズミを捕まえろ』とは言うたが、エイトのネズミをど
うこうせい、とは言っておらんはずなのじゃが…」
なけなしの威厳をかき集め、立ち上がりながら王は答えます。
「でも侍従さんがそう言ったんですもの」
そう言って姫は振り返りました。後ろには件の侍従とエイトが所在な気に立っております。もっ
とも侍従は部屋に入ってからずっと姫と目を合わせぬようにしておりましたが。
「おぬし…本当にそう言うたのか?これ、こっちを向かんかい」
王はますますそっぽを向く侍従に歩み寄ります。
「は、はあ、あのう、そのう、疑わしい、と思った次第でして…」
「このアホタレがっ!」
しどろもどろの彼に王の雷が落ちました。
「適当なことでお茶を濁そうとしておったじゃろ。
もういい、下がれ。おぬしは罰として便所掃除一週間じゃ!」
「ひいい、お、王様、申し訳ございませんでしたー!」
頭を抱えて侍従は部屋を下がっていきました。
200名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/06(水) 19:09:22 ID:a2cZP3EK
「さて」
王がエイトの方へ向き直りました。
「すまんかったの」
「あっ、あの、いっ、いいえ、恐れ入ります」
突然の王の謝罪にエイトは慌てながらも頭を下げました。
「どうも最近ネズミの害がひどくての…姫と食べようと思って取っておいたクッキーが食われ
てしもたのじゃよ」
「まあ」
「おまけにフンまでされてしもうて、頭に血が上ってな…」
しゅんとする王様にミーティア姫は近寄って手を重ねました。
「お父様、ごめんなさい。わがままを言ってしまって」
「いいんじゃ、いいんじゃよ。じゃが…」
余程がっかりしたのか肩を落とした様はいつもより小さく見えます。
「ま、鍛冶方にネズミ捕りの罠を多く作るよう命じておいたから、少しはましになるじゃろ。
それまでの辛抱じゃ」
自分を奮い立たせるようにそう言うと、
「さて、仕事に戻るかの。今日も書類がたくさんあるし」
と、椅子に戻ります。
「お父様、お仕事中ごめんなさい。お昼はご一緒できるかしら」
「うむ、今日は大丈夫じゃと思うぞ」
「はいお父様、ではお昼に」
再び仕事に没入していく王の頬に一つ接吻して姫は部屋を出て行きました。エイトも急いで王
に深くお辞儀して従います。
201名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/06(水) 19:11:43 ID:a2cZP3EK
「お父様、かわいそう。あんなにたくさんお仕事があって」
「そうですね」
部屋を出たところでミーティア姫が小さく呟きました。
「なのに楽しみにしていらしたお菓子をかじられてしまったらお怒りになるのも仕方ないわ」
「…」
隣でエイトが考え込んでいるようです。
「どうしたの、エイト?」
「…何とかできないかな、と思いまして」
「何とかって?」
「ネズミを捕まえられないかな、って」
「えっ」
エイトの思いがけない言葉に姫は驚きました。知り合ってこのかた、エイトが自分から何かし
よう、と言い出したことはなかったからです。
「じゃ、ミーティアも手伝うわ」
今度はエイトが驚く番でした。知り合ってからずっと、ミーティア姫はそれはそれは優雅でおっ
とりとしていて、先程のように声を荒気るようなことすら一度もなかったのに、ネズミ退治を
手伝うと言うのですから。
「だ、駄目です、姫様」
「駄目じゃなくってよ。だってここはお父様とミーティアのおうちですもの」
胸を張って答える姫は大層可愛らしくありましたが、それはそれ、これはこれ。
「だって姫様のドレスとか泥んこになってしまうかもしれませんし…」
「お散歩用の服があるもの。それにエイト、『姫様』じゃなくて『ミーティア』と呼んでって
言っているでしょ?」
「でも…」
エイトは困りました。周囲の大人たちからは「きちんと『姫様』とお呼びするように」と厳し
く申し付けられています。もちろんエイトはそれを守らなきゃ、と思ってはいるのです。です
が王はともかく姫と友達になってしまった今、そう呼ぶのは難しいことでした。
けれどももしミーティア姫の言う通りに「ミーティア」と呼んでいるところを他の人に聞かれ
たら…板挟みになってエイトは小さく溜め息をつきました。
202名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/06(水) 19:12:45 ID:a2cZP3EK
「いいでしょ?」
ミーティア姫は重ねて聞いてきます。その碧の瞳に覗き込まれ、エイトはつい、頷いてしまい
ました。
「…でも危なくなったらすぐ逃げてください、お願いします」
「ええ、大丈夫よ」
にっこりと笑いかけられてエイトはどぎまぎしてしまいました。でも言うべきことは言わない
と、としっかりした口調で続けます。
「絶対お守りいたします。…じゃ僕、仕事に戻ります」
とは言ったものの、エイトにはミーティア姫を巻き込むつもりはありませんでした。何と言っ
てもこの城のお姫様です。どんな危険があるか分からないのに連れていくことはできない、と
エイトは考えました。ネズミはどんな病気を持っているのか分かったものではありません。そ
んなネズミに噛まれたりしたら大変なことになるでしょう。
(夜になったら一人でしよう)
エイトはそう決心しました。
そうと決まれば仕事はさっさと片付けてしまおう、とばかりに掃除の手を速めます。その様子
をミーティア姫は怪訝そうに見ていたのでした。
                     (続)
203名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/06(水) 19:22:57 ID:a2cZP3EK
すみません、長々と…
まだ冒険にすらなっていないし。
よろしくお願いいたします。
204名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/06(水) 20:33:34 ID:9QXFEVz8
GJ!

ミーちゃんもエイトもかあいいなぁ(*´д`*)
205名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/06(水) 21:04:11 ID:+Yxr/1kO
な、なんてかわいいんだ(*´Д`)
206名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/06(水) 22:29:02 ID:amhVYwkz
しかし菓子を食べたネズミを捕まえろってトロデ無茶すぎw
207名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/07(木) 18:57:21 ID:BUsNeKao
七夕ということで、「願い」をテーマにひとつ書いてみました。
208ああっ女神像さまっ  ◆nw3zSJjQag :2005/07/07(木) 18:57:40 ID:BUsNeKao
ゴルドの町を出たところでククールが言った。
「トロデ王は女神像にお参りしてこいなんて言ってたが、お前らホントに願い事なんて
したわけ?…あんなの聖地のシンボルってだけで、祈っても御利益なんてないんだぜ」
「わたしはお祈りなんてしてないわよ。女神像の前で決意を改めただけ。必ずこの手で
サーベルト兄さんの仇を取りますって。神様にすがろうなんて思わないわ。だって願いは
自分の手で叶えるものでしょ」
「願いは自分の手で叶える…か。なるほど、ゼシカらしいな」
「アッシは祈るどころか、一刻も早くあの女神様から離れたいでげすよ」
「何だよヤンガス。顔色悪いぞ」
「あんな神々しいお姿を見てると居心地が悪くてたまらないでげす。昔の悪事が胸を
刺すでがす。罪悪感がいっぱいで後ろめたいでげす」
「…そんなこと言われると、過去に何をやってたのかめちゃくちゃ気になるのよねぇ」
「あ。逃げた」

ヤンガスはせかせかした足取りで一行の先へ出ると、先頭で何故か嬉々として剣を構えた
エイトを追い抜きざま、彼の腕をがしっと掴んで、
「さ!エイトの兄貴!さっさとトロデのおっさんのところに戻るでげす!」
「え。いやちょっと待ったヤンガス。あそこの岩陰にゴールドマンらしき姿が――」
「今のアッシにはゴールドマン狩りする余裕なんてないでがすよ!」
「こっちだって余裕ないんだよ!俺の財布はすっからかんだ!」
「全部おさいせんにつぎ込んだからでげすよ!自業自得でがす!」

「おいおい、あいつマジでポケットマネー全部おさいせんに出したのかよ?」
「出したのよ。しかも金塊まで差し出そうとしたから思わず覚えてもいないマダンテを
放ってしまったわ」
「うわ、おっかねー。オレ、その場にいなくてよかったー」
「何言ってるのよ。その後が大変だったんだから。エイトを蘇生させたくてもここの僧侶は
能なしばっかりで蘇生呪文使えないし、仕方なくキメラの翼でふしぎな泉へ飛んでエイトに
水ぶっかけてまたここに戻ってきたのよ。まったく、あんたのいないおかげで…」
「いやその…悪かったな」
「この先のことを考えるとやっぱりわたしも覚えた方がいいかしらね、ザオリク…」
「…………」
209名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/07(木) 19:00:01 ID:BUsNeKao
「――なあエイト。お前、何を祈ったんだよ」
襟首をヤンガスに掴まれてずるずると引きずられていくエイトに、ククールは気のない
口調で問いかけた。
「それはもちろん――」
「――エイト!」
「あ、陛下。それに姫様も」
魔物の姿をした王はてってって、と妙に可愛げのある走り方でやって来た。その後ろから
白馬の姿をした姫君が優雅な歩みで続く。

「これ、エイト!わしの分もちゃーんと女神像にお参りしてきたろうな?」
「もちろんです、陛下」
エイトはヤンガスの手を振り払い、近衛兵らしく主君の前でびしっと姿勢を正した。
「うむ。ならばよい」 
「おさいせんもきちんと奉納してきました」
「よくやったなエイトよ。――これで次はカジノで大当たりが出るはずじゃ!」
「御意にございます」

「…なんでがしょ。兄貴を遠くに感じるでげすよ」
「カジノの願掛けに有り金はたいてたら世話ないわね」
「オレさぁ、あの主従を見てるとトロデーンが滅びたのも納得できるんだよな…」
そんなことを呟いてしまったククールは、白馬の燃えるような瞳に睨まれてこそっと
エイトの背後に避難した。そのまま八つ当たり気味に彼の頭を小突く。
「お前って時々アホになるな。錬金ビンボーのくせに有り金全部はたきやがって」
「一生のお願いなんだ。おさいせんは奮発しないと」
「お前って奴は…。ゼシカのマダンテまで食らっておきながら、カジノで一発当てる
ことが一生の願いだってのかよ」
「それはうちの王様の願いだってば」
「じゃあ、お前のは?」
「――陛下と姫様が一日も早く元のお姿に戻れますように…」
「やっぱりアホだな」
ククールはもう一度ぱしっと頭をはたいてやった。
210名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/07(木) 19:04:42 ID:BUsNeKao
「それはお前の為すべき事だろうが。…ゼシカも言ってたぜ、自分の願いは自分の手で
叶えるものだって」
「…ああ。それはそうなんだけど」
「今さら神頼みなんかするんじゃねーよ、近衛兵」
今度は彼の背中を叩き、ククールはルーレットの勝利法について熱く議論している三人の
輪の中に入っていった。

エイトはぽつんと一人取り残される。そんな彼に白馬が優しく寄り添った。
どうしたの、とでも言うように首をかしげる彼女にエイトは「何でもありませんよ」と
あいまいな笑みを向けた。そしてそっと視線を外す。

願いというものは誰かに叶えてもらうものではない。
ゼシカやククールに言われるまでもなく自分もそう思っている。
けれど、叶えることのできない願いも確かにあるのだ。

それは。

「――おい、エイト。そんなところで何をぼさっとしておる」
主君の呼びかけで我に返る。
「早うルーラを唱えんか。さっさとベルガラックへ行くぞ。今宵はカジノでオールナイト
フィーバーじゃ!」
「はいっ」
行きましょうかと白馬に微笑みかけ、仲間の元へと駆け寄りながら、肩越しにちらりと
女神像を振り返った。
211名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/07(木) 19:07:14 ID:BUsNeKao
ククールにはごまかしたが、自分が本当に願ったことは別にある。
それはどんなに頑張っても決して叶えることのできないもので。
だからこそ、聖なる女神像に打ち明けずにはいられなかった。
…願うだけなら許されるだろうと思うから。

――ああ、女神像様。このエイト、一生のお願いです。

この手では叶えられない、一生の願い。

それは。

――どうか呪いの解けた姫様とラブラブな関係になれますように。



勇者の一行が女神像の真実を知るまでには、まだしばらくの時が必要だった…。

                              (終)
212名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/07(木) 19:09:53 ID:BUsNeKao
聖地ゴルドへ初めて行った後のつもりで。

ヤンガス、トロデ王の台詞はなかまコマンドのものをいじってます。
213名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/07(木) 20:04:42 ID:A0nqgAEF
や、やられたー!
実は自分も書いてたんだ。>七夕ネタ
仲間の会話がいい感じっすね。覚えてもいないマダンテってw
そしてラブラブっすかw
もう充分ラブラブだと思っているのは自分だけ?
214名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/07(木) 21:15:51 ID:yvU5YBgc
>212
乙です。ラブラブすかw
願うならいっそのこと「ミータンとチャゴスの縁談が無くなっていますように」でw
>213
待ってまつよ('A`)ノシ
215名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/07(木) 21:17:37 ID:asGuPxrr
すごいなぁ本当にこういう仲間会話がありそうだ。
面白かったよ。ハゲ萌えた!
216名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/07(木) 21:21:59 ID:XQa+BY2w
エイトは「大事な主君だよ」と言っていて
姫様は「私たちお友達ですわ」と言っていて
お互いこっそりラブラブになりたいと思っていて
周りの仲間は「これでラブラブでないって言うんなら
ラブラブってどんなだよいい加減にしろ」と思っていたりw
217名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/07(木) 22:04:07 ID:A0nqgAEF
恐ろしく気が引けるんですがやっぱり今日投下します。
旧暦七夕って手もあるんですが文中に矛盾が出てしまうので。
218星の夜 ◆JSHQKXZ7pE :2005/07/07(木) 22:06:13 ID:A0nqgAEF
その夜僕は突然に呼び出された。急いで近衛兵の制服に着替え、三階へ向かう。
「ごめんなさい、エイト。急に呼び出してしまって」
三階の部屋の前でミーティアが待っていた。普段着の彼女はいつもにも増して悲しげだったの
で、つい何の用か聞きそびれてしまった。
「ちょっとお散歩したいの。それでお供をお願いしたくて」
「こんな夜に、ですか?」
確かに一緒に歩けるのは嬉しい。でも正式な婚約者のいるミーティアが他の男―それも若い―
と夜更けに二人きりというのは人聞きの悪いことだと頭の隅の小さな声が警告する。
「…ええ、星を見たいと思って」
小さな声でそう言う。
「ですが」
「お願い」
ただならぬ気迫に僕はもう何も言えなかった。その眼の中に必死の光を見てしまったから…
「そんなに時間は取らせません」
「…分かりました」
僕がそう答えた途端、ミーティアの顔がぱっと輝いた。そう、越えてはならない境界があると
いうことを忘れてしまいそうになるくらいに。
「では参りましょう」
僕の気持ちを掻き乱したとも知らず、ミーティアは歩き出す。僕も自分を取り戻そうとしつつ、
従った。

僕たちは城の東翼、宝物庫の奥にある小さなバルコニーに出た。見張りには適さないこの場所
には衛兵の姿はない。庭の篝火は遠く、月齢一日の月はとうに西の空へと沈んでただ星明かり
ばかり。
そんな夜に人気のない場所でミーティアと二人きり、という事実に思い当たってしまって僕は
ますます落ち着かない。
「懐かしいわ…」
夢見るようにミーティアが口を開いた。
「覚えているかしら、エイト?昔魔術師のおじいさんにお願いして一緒に星を見たのよね」
覚えている…あれは確か九つの時。図書館で一緒に星の本を読むうちミーティアがどうしても
実際に見てみたくなって、星座にも詳しい城仕えの魔術師に頼み込んで夜中に星を見たのだっ
た。
219名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/07(木) 22:09:40 ID:A0nqgAEF
「本で見たのと違って、実際にはこんなにたくさんの星があるってあの時初めて知ったのよ」
「はい。…あの時はおじいさんにいろんな話を聞かせてもらって」
「そうだったわよね…」
懐かし気にそう言うとそのまま黙って空を見上げる。あの時も天頂高く天の川が流れ、夏の星々
が輝いていた。その下で聞いた星の物語。もう戻らない、子供だった頃…
ふと見ると、涙がミーティアの頬を伝っていた。
「どこへ行っても、星の姿は同じよね…」
呟きが零れる。咄嗟に返答できずにいると、
「戻りましょうか。あまり夜更かしさせては申し訳ありませんものね」
とやけに快活に言う。けれどもその瞳は潤んだままで、僕はつい目を反らしてしまった。
「はい」
何とか答えて―我ながら間抜けだと思ったけど―扉に手を掛けた時、夜風がミーティアの呟き
を運んで来た。
「星たちでさえ、一年に一度は逢うことできるのに…」
もう二度と、二度とこんな夜に二人きりになるまい。いつか必ず、自分の想いを打ち明けてし
まうだろうから。越えてはならぬものがあるということを忘れてしまうだろうから。
今ならばまだ、自律できるはず。誰かのものになったミーティアを見ても堪えられる。きっと…
                     (終)
220名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/07(木) 22:16:13 ID:A0nqgAEF
みーたん正式婚約直後ぐらいの話で。
暗い話ですみません…

>>204-206
かわいいと言っていただけてほっとしています。
トロデのわがままはまあネタなんでw
旅の途中もあったっけ、まさにゴルドのおさい銭話w
221212:2005/07/07(木) 22:24:05 ID:KN4HTgXY
>220
うっひゃあ、213って◆JSHQKXZ7pEさんでしたか。
せつなく、しんみりとしたお話でした。まさに七夕にふさわしい。
…ギャグネタ先に出してて良かった。これの後には出せん。

そして>213-216
感想ありがとうございました。

>214
どうもうちのエイトさんはチャゴス王子のことは眼中になさそうです。

>216
「僕たち」「私たち」
二人、手を握り合って、
「「とっても仲良しなんです」」
――あくまでも「仲良し」だと言い張る二人ということで。

…本当は完全シリアスな話になるはずだったのに、挫折してギャグに
逃げました。主姫色薄い話なのに萌えたと言って頂けて嬉しいです。

222名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/07(木) 22:25:32 ID:qMUqqRLs
二連続でSSきたー

>>211
エイトたちは勇者じゃないってばよ!!
223名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/07(木) 22:37:55 ID:KN4HTgXY
>222
うわ、やっぱりつっこまれた!

話の締めにいいかと思って「勇者」と入れちゃったんですよね…。
224名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/07(木) 23:30:37 ID:asGuPxrr
2話連続でキタ━(゚∀゚)━ !!
切ない二人もイイ!
お星様いい夜をありがとう。
225名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/07(木) 23:36:18 ID:t61fJv+y
「勇者」は職種ではなく生き様や志が重要という説もあるから
困難な旅を成し遂げたエイト一行は勇者と言っても差し支えない。

トロデ「そう、だからワシ達も勇者なのじゃ!」
ミー「ワシ達ということはまさか私も勇者なのですか?」
226名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/07(木) 23:55:20 ID:9h6hUBmr
>>225
陛下、あんまり自分で言うもんじゃないですよそういうの。
227名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/08(金) 23:02:31 ID:ZblkU4c6
スターウォーズで戦っているヨーダの姿がトロデ王に見えた件について
228名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/08(金) 23:26:32 ID:iEfd3IzA
229名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/08(金) 23:30:00 ID:bbe/BwOO
>>228
物体解体画像。PC無害。精神的有害。
230名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/09(土) 00:51:20 ID:YzuG9eUY
>>227
アナキンとパドメ姫の禁断の愛を見てたら、
エイトとミーティア思い出した。やっぱお姫様との禁断の恋は王道だなあ
231二人の冒険 ◆JSHQKXZ7pE :2005/07/10(日) 16:06:12 ID:qYJXkU+h
>>170-173>>199-202続き

3.
夕食の片付けも終わり、仕事から開放されたエイトは昼間のうちに隠しておいた手燭と火打ち
石を持って寝床へ潜りました。もちろん眠るつもりはありません。
そのうち他の大人たちも寝床に入り、規則正しく寝息をたて始めました。
(よし)
エイトは他の人を起こさないように静かに起き上がり、手早く着替えました。そして用意して
いたものを持って部屋を出ました。
(ここまでは大丈夫…)
「遅かったのね」
急に声がしてエイトは飛び上がらんばかりに驚きました。
「今夜はもう寝ちゃったのかと思っていたのよ」
ミーティア姫でした。昼間言った通りいつもの絹製のドレスではなく、麻製の―もちろん庶民
の服に使われるものとは比べ物にならない程上質でしたが―散歩服を着ております。
「姫様…こんな遅くにどうして。お部屋に戻られては」
エイトは慌てながらも姫には部屋に戻ってもらおうとしました。
「一人でネズミ退治しようと思っていたでしょ?」
ミーティア姫の指摘は図星で、エイトはもじもじと下を向いてしまいました。
「駄目よ、昼間約束したでしょ?一緒にしようねって」
「でも…」
「ドレスが汚れたって平気よ。それにほら!」
そう言って姫は手にしていた小さな袋から葉っぱのようなものを取出しました。
「やくそうと毒消し草よ。昼間に神父様にもらってきたの。エイトは持ってないかも、って思っ
て」
確かにエイトは持っていませんでした。そんなに高価なものではありませんが子供の小遣いで
は手痛い出費になるので買うのをあきらめていたのです。
「それに一人より二人の方が何かあった時にいいと思うの」
ミーティア姫は真剣にエイトを説得します。
232名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/10(日) 16:08:02 ID:qYJXkU+h
確かに姫の言う通りでした。城内の人通りの多い所ならともかく、人気のない場所で怪我して
しまったら見つかるまでそこでじっとしているしかありません。それに子供一人いなくなった
ところで誰が真剣に捜してくれるでしょう。多分傷が治るまで―もしかしたら死んでしまうま
で―その場にいなければならないかもしれないのです。
「分かりました。でも危なくなったら僕はいいから逃げてください」
仕方なくエイトはそう言いました。
「いいわ。でも逃げるんじゃなくて助けを呼びに行くのよ。それでいい?」
ミーティア姫に押し切られるようにエイトは頷きます。
「う、うん。じゃなかった、はい」
「『うん』でいいのよ」
ミーティア姫の言葉で二人は顔を見合わせて笑い合いました。
「じゃ、行きましょ。灯を点けて」
「ううん、灯はまだ」
エイトの言葉にミーティア姫は怪訝そうな顔をします。
「どうして?真っ暗で何も見えないと思うわ」
「ネズミは明るいところが大嫌いなんです」
「えっ、そうなの?!」
つい声が高くなった姫にエイトは「しーっ」と指を唇にしました。
「ウサギなんかもだよ…です。夜になると動き始めるんですよ」
一緒に歩きながらエイトはそう話してあげました。ミーティア姫は本の中でしかそういった動
物を知りません。お城にネズミ捕り用のネコはいましたがそれはそれは無愛想で、子供が近寄
ろうものなら「フーッ」と威嚇され、追い払われてしまいます。
ですから姫にとってエイトの飼っているトーポは初めて目近で見る動物なのでした。
「そうだったの…トーポは昼間でも元気よね」
「うん、ちょっと変わってるん…変わっているんです、こいつ。本当はネズミじゃないのかも」
トーポはエイトのポケットから眠そうに頭を出していましたが、慌てたように中に潜り込みま
した。
「でも昼間元気な方がうれしいわ。だって一緒に遊べるんですもの」
233名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/10(日) 16:10:35 ID:qYJXkU+h
「うん」
エイトは頷くだけにしました。さっきからきちんとした言葉遣いがし難くなってつい普通の話
し方になってしまいます。
(気を付けなきゃ、お姫様なんだし)
「ところでどこを探すの?」
そんなエイトの気も知らずミーティア姫が聞いてきました。
「ち、厨房かな…」
「はいっ。じゃ出発!」
エイトの言葉にとても嬉しそうに姫が頷きます。昼間会う時はとてもお行儀よくていて笑う時
もにっこりと微笑むだけなのに、今夜は活き活きとして快活な様子でした。
(でもかわいいや)
エイトもちょっぴり幸せな気持ちで他愛もない話をひそひそとしながら厨房へ向かったのでし
た。

夜更けの厨房は静まり返り、真っ暗でした。けれども灯無しでここに来たおかげで二人には暗
がりを見通すことができます。
「ね、エイト、あれ」
姫の指差す先、石臼の周りをうろつく小さな影があります。
「ネズミ…?」
にしてはちょっと大きいような気がします。何だろう、とそうっとエイトたちが近付いた途端、
その影はさっと逃げてしまいました。
「逃げられた…」
「そこの棚の陰に入っていったみたい」
「うん」
二人で棚をずらしてみると、そこには扉がありました。
234名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/10(日) 16:11:34 ID:qYJXkU+h
「こんなところに扉があったなんて」
下の方にかじって開けたような穴があります。きっとこの奥にネズミの巣があるに違いありま
せん。扉には鍵は掛かっておらず、押すと音もなく開きました。先は真っ暗で埃っぽい臭いが
します。
「い、行く?」
「い、行くわ」
二人で顔を見合わせ「ごっくん」と唾を飲み込みました。
「じゃ、行こう」
扉をくぐり抜けると本当に真っ暗のようです。用意していた手燭に火を点し、二人は奥へと進
むことにしました。
                     (続)
235名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/10(日) 16:16:41 ID:qYJXkU+h
後二、三回で終わる予定です。

七夕ネタ読んでいただきありがとうございました。
しばらくぶりに大人エイト目線だったんで微妙に変なところはご容赦ください。
236名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/10(日) 21:25:07 ID:snici5Jx
切ないのもいいけどカワイイのいいなぁ(*´Д`)
237名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/10(日) 21:52:07 ID:zTtxSS8t
乙です!
この二人は何才くらいだろう。かわいいなぁ。
238名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/10(日) 22:21:14 ID:qYJXkU+h
読んでいただきありがとうございました。

>238
いちおうエイトがトロデーンに来て、ミーティアと友達になってすぐぐらいを想定しています。
1.の料理長さんと侍従さんの会話中にその辺の事情を織り込んでおります。
なので二人とも7、8歳ぐらいでしょうか。
239名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/10(日) 22:52:53 ID:qYJXkU+h
あっ、自己レスしちゃったよ。
すみません、上のは>237宛です。
240名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/11(月) 01:00:44 ID:2ykWnLlP
そこはかとなくレヌール城を探検する主ビアな雰囲気が醸し出されてて(・∀・)イイ!!
241名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/11(月) 22:54:38 ID:ude8QTZs
>240
あは、そうです。>レヌール城
あれ自体子供の時なぜか怖かった廃屋の探険、みたいなことを連想させる話でした。
大人になってしまうとちっとも怖くないんですけどね。
これもそんな感じです。
242名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/13(水) 01:33:16 ID:XD7eEUvB
◆JSHQKXZ7pE氏!2chで「萌」という言葉を理解したのはあなたのssでした。これからもガンガッて下さい。応援してます!
243二人の冒険:2005/07/13(水) 21:30:23 ID:8XDplXrz
>>170-173>>199-202>>231-234続き

4.
扉をくぐるとすぐに階段が始まっていました。
「エイト、あれ」
ミーティア姫の指差す先には厚く積もった埃に混じって白い─石臼から溢れた小麦粉が付いた
のでしょう─足跡が点々と続いています。
「うん。追いかけよう」
エイトは手燭を掲げ先に進むことにしました。蜘蛛の巣が張り巡らされていて、それも埃塗れ
ときたものですから打ち払わなければなりません。
エイトは、先程厨房を出る前にミーティア姫が、
「何か被った方がよくないかしら?」
と思い付いたことに感謝しました。早速二人でおばさんの三角巾を拝借し、さらに「埃を吸う
とよくないから」と口を覆ってたちまち怪し気な二人組が完成したのです。
でもそのおかげで埃も蜘蛛の巣も我慢できそうです。エイトは蜘蛛の巣を払いながら慎重に階
段を降りていきました。ミーティア姫もぴったり後に続きます。
階段はすぐに終わり、長い廊下が続いていました。埃は相変わらず凄まじいものでしたが進む
につれて蜘蛛の巣は少なくなり、大分楽に進めるようになりました。
ふと、エイトは妙なことに気付きました。今まで知らなかったこの廊下ですが、厚く積もった
埃の下は誰かたくさんの人がずっと使って滑らかになった石畳のようです。乏しい灯で周りの
様子を窺うときちんとした燭台が据え付けられており、かつては頻繁に使われていたことが窺
えます。
244名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/13(水) 21:32:19 ID:8XDplXrz
「あ、分かれ道よ」
姫の指差す先には上へ行く階段とまだ続く廊下がありました。
「どっちだろう」
粉は大分落ちてしまって足跡を辿ることが難しくなっています。では埃の上に残る足跡で、と
思ったのですが動物の物と思わる足跡がいくつも重なっていて、乏しい明かりではどれが新し
い物か判別できません。
「何となくそっちだと思うんだけど…」
エイトは廊下の奥を指差しました。
「でもこっちの階段もちょっと昇って様子を見てみない?」
「ええ、いいわ」
二人は階段を昇って行きましたが、探索はすぐに終わりました。
「何の音?」
エイトが怪訝そうに言った途端、ミーティア姫が声を噛み殺して笑い始めました。
「お、お父様のいびきだわ。最近疲れていらっしゃるから…」
どうやらこの先はトロデ王の部屋、もしくはその近くに出るようです。
「も、戻ろうか」
エイトも釣られてぷっと吹き出しながら階段を降りようとしたその時でした。
「ミーティアや…」
突然自分の名前を呼ばれたミーティア姫は飛び上がります。
「可哀想に…自分の母君も覚えてはおらん…」
トロデ王の寝言にはっとしてエイトは姫の顔を覗き込みました。でも姫は何も言いません。
「…行きましょ」
短く言うとミーティア姫は裾を翻します。
「…かわいそうじゃないもの」
ややあって姫は口を開きました。
「ミーティアにはお父様がいるもの。それにエイトだって」
「…うん」
エイトにはただ頷くことしかできませんでした。覚えている限りエイトには両親がいませんで
したから…
「さびしくなんてないわ。ね?」
にっこりと笑いかけるその顔を見て、エイトはさらに「ちゃんと守らなくっちゃ」と思ったの
でした。
245名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/13(水) 21:33:48 ID:8XDplXrz
でもこれで一つ謎が解けました。ネズミはこの通路を使ってトロデ王の部屋の食べ物をつまみ
食いしていたのです。
「後で扉をしっかり塞ぐようにお父様にお話ししなくちゃ」
いつもの元気を取り戻してくすくすと笑いながら姫はそう言いました。
「うん、厨房のところも直さないとね」
「そうよね。ミーティアも聞いたことがあってよ。どこかのお城だったかしら?ネズミの運ん
できた病気でみんな死んでしまったって」
ポケットから頭を出していたトーポでしたが、その言葉にしょんぼりしたかのようにヒゲをだ
らりと下げました。
「あっ、ごめんなさい。トーポはいいの。だってエイトのお友達ですもの」
「チュ」
小さな鳴き声とともにヒゲもぴんとなったようです。
「トーポって不思議よね。ミーティアたちの話していること全部分かっているみたい」
「トーポは特別なんだ」
エイトは何だかとても嬉しくなりました。自分ではなく自分の友達が誉めらるというのも嬉し
いことなんだと初めて知ってのです。そして気の向くままトーポとの出会いや助けてもらった
ことなどを姫に話したのでした。
「…それで僕の首元をトーポが温めてくれてたんだよ」
「まあ、本当に賢いのね」
トーポは何だか誇らし気です。エイトはそんなトーポを撫でてやりながら
「うん、すごく大切な友達なんだ。だから昼のこと…やだったな…」
と言いました。
「そうよね…」
昼間、自分の友達が─間接的にせよ─非難されているのを見てミーティア姫は悲しくて嫌な気
持ちになったのを思い出しました。
「でも汚名挽回するよ」
「それを言うなら汚名返上、名誉挽回でしょ」
「あ、そうだった」
笑い声が使われなくなって久しい廊下に響き渡ります。ミーティア姫は改めて気付きました。
自分がここにいるのは濡れ衣を着せられた友達のためなのだ、と。
246名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/13(水) 21:34:56 ID:8XDplXrz
廊下は長く、ところどころに分かれ道がありました。「違うかな?」とは思っても一応その先
も確かめていたので相当な距離を歩いたことでしょう。普段そんなに長く歩かないミーティア
姫はそろそろ足が痛くなってきました。
「大丈夫?」
遅れがちになるミーティア姫を気にしてエイトが手を差し伸べます。
「大丈夫よ、これくらい」
姫はそんなことを言いますが、歩き方がおかしくなっています。お姫様の履くような華奢な靴
は長距離を歩くのには向いていません。どうやら靴擦れしてしまったようです。
「ほら、ミーティア、おんぶするから」
エイトは腰を屈めて「さあ」と言うように手を後ろに伸ばします。
「あ、ありがとう」
ミーティア姫は一瞬目を見開きましたが、恐る恐るエイトの首に手を廻しました。何しろ人に
背負われるなんてことは今までなかったのですから。
エイトは灯を持っているせいでちょっとよろめきましたが、踏ん張って何とか立ち上がりまし
た。が、片手が塞がっているのでどうも安定がよくありません。姫はそれに気付きました。
「灯、持つわね」
「ありがとう、すごく助かるよ」
伸ばされた手に灯を渡し、姫に道を照らしてもらいながらエイトは姫を背負って廊下を進んだ
のでした。
                     (続)
247名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/13(水) 21:42:05 ID:8XDplXrz
あ、トリ忘れてたよ。◆JSHQKXZ7pEです。何やってんだかな。すみません。

>>242
萌えていただけたのなら嬉しいです。
248名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/13(水) 22:41:50 ID:eHeJVyn3
>>247
今までたくさん書かれてこられた中で、今回のものはがらりと雰囲気が
変わっていて、しかもとってもかわいくて面白いです!
続きも楽しみにしています。
249名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/13(水) 23:13:45 ID:Uut7+eWo
>「でも汚名挽回するよ」
>「それを言うなら汚名返上、名誉挽回でしょ」

なんてタイムリーなネタをw
250名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/14(木) 09:42:08 ID:fn/tEaVE
age
251名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/14(木) 22:52:49 ID:s4C5OLwo
>248
>がらりと雰囲気が
主姫の子供時代話って誰が語るのかがいつも自分の中で大問題でして…
自分の子供の時を思い出してみてもまともに筋道だった話ができるようになったのって
小学3,4年生ぐらいからだったように思うんですよね。
さらにいつもの「トロデーンのメイドさんの語る」は使えないしw
なので今回だけ誰の視点でもないお話形式みたいなのにしています。
でもですます調って難しい…

>249
いつか使ってやろうと狙ってましたw
252名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/14(木) 23:54:50 ID:zf9nqULk
>>251
乙です!
子供時代の話では今回のが一番好きです。子供エイトの敬語に萌える(*´Д`)
253二人の冒険 ◆JSHQKXZ7pE :2005/07/15(金) 19:53:30 ID:D9e8MW4/
>>170-173>>199-202>>231-234>>243-246続き

5.
廊下はどこまでも続くかに思われました。でも急に折れ曲がり、扉─これも下部に穴が開いて
いました─を開けた途端、冷たい風と波の音が二人の顔を撫でていきます。真っ暗な通路の向
こうに星明かりが見えて廊下の終わりを告げていました。エイトの背中から滑り降り、顔の覆
いを取りながらミーティア姫が辺りを見回します。
「まあ、こんなところがあったなんて」
そこは断崖の中腹に開けた正に猫の額ほどの狭い空間でした。けれどもどこからか水を得てい
るのか野の花がたくさん咲いています。
「あっ!」
その中央にさっきから追い求めていたネズミがでんと座っていました。でもその大きさたるや
ウサギぐらいはありそうです。
「おい」
「わっ、しゃべった!」
「ど、どうしましょう。夢じゃないわよね」
二人で顔を見合わせ、怖ず怖ずとながらまず話し掛けたのはミーティア姫でした。
「あなたはだあれ?ここで何しているの?」
「ふっふっふっ」
姫の問いに大ネズミは不敵に笑いました。
「聞いて驚くな、泣く子も黙る大怪盗、怪傑大ネズミたあ、あっしのことよ!」
「…知ってる?」
「…知らないわ」
大ネズミは大見得を切りましたが反応は今一つだったようです。
「ぐ、ぐふっ」
二人の反応の薄さに大ネズミは深く深く落ち込んでしまいました。
「あ、ごめんね、大ネズミのおじさん」
「おじ…せめて怪傑大ネズミと呼んでくれ、子供たちよ」
「う、うん」
「わ、分かったわ。それでおじ…怪傑大ネズミさんはここで何しているの?」
ミーティア姫に問いかけられ大ネズミは急にヒゲをだらりと下げました。
254名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/15(金) 19:55:53 ID:D9e8MW4/
「見ての通りあっしは旅の途中で」
(そうだったの?)
(そうだったんだ)
「一夜の宿としてこの場所を見つけたはいいが」
(よくここを見つけたわよね)
(うん、だってここ上からも下からもすごい崖だよ)
子供たちのひそひそ話は気にも留めず大ネズミは受難の歴史を述べ続けます。
「うっかり拾い食いした魚の骨が喉に刺さって難儀していたところよ」
「まあかわいそう」
「それ、抜けないの?」
エイトが聞くと大ネズミは頷きました。よく見ると毛艶も悪くすっかり憔悴していて、ずいぶ
ん長い間刺さってたようです。
「抜いてあげるよ」
隣でミーティア姫がはっと息を呑み、「エイト」と呟いた気配がしましたがお構い無しに近寄
り、
「ちょっと見せて。痛くしたらごめんね」
と大きく口を開く大ネズミの喉を覗き込みました。
大ネズミはなすがままになっています。手燭の明かりだけでは見えないかな、と思ったのです
が喉の横にぶらぶらとしている骨が見えました。
「あった!…ごめん、おえってなるかも。ちょっと我慢してね」
エイトは鋭い前歯を避け、口の横から指を入れて骨を軽く突いてみました。が、外れそうにあ
りません。釣り針のように引っ掛かっているようです。
「じゃ、抜くよ…いち、にの、さん!」
「ふがっ」
気合一番、うまく引っこ抜けましたが今度は血がどんどん出てきました。
「大ネズミさん、これ使って。人間用だから効くかどうか分からないけれど」
ミーティア姫が思い付いたように小袋から薬草を取り出して大ネズミに渡します。
「ぶふぇっ!うええ、血ィ飲んじまった。でもありがとよ、お嬢ちゃん、お兄ちゃん。おかげ
で助かったぜ」
薬草を口に含んで飲み下すと傷はたちまち癒えました。
255名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/15(金) 19:57:42 ID:D9e8MW4/
「こんな骨が刺さっていたんだね」
エイトの手に摘まれたその骨は本物の釣り針のように返しが付いていて、刺さったら簡単には
抜けそうにありません。
「こんなのが刺さっていやがったのか…ちきしょうめっ!」
大ネズミは忌々し気にそう言うとエイトから骨を受け取り、ポーンと海へ放り投げました。
「それにしても助かったぜ。礼を言わせてもらう」
「ところで怪傑大ネズミさん、もしかしてお父様のクッキー食べたりしなかった?」
ミーティア姫がにこにこしつつも鋭く問い掛けます。その件をすっかり忘れていたエイトははっ
としました。
「いや、その…そうでぃ、あっしが食っちまったんで」
「怪傑なのに?」
「普段はそんなしょぼいことはしねえ」
エイトの質問は大ネズミの誇りを刺激したようです。急に饒舌になりました。
「痩せても枯れてもあっしは怪盗、こっそりつまみ食いなんていうケチな真似はしねえ。だが
よ、あの忌々しい骨のやつが喉に引っ掛かってからろくな物は食えねえし、集中力は無くなる
しで仕方なく、ってやつさ」
「まあ、気の毒に。でもお父様はクッキーを食べたネズミを処刑しろっておっしゃっているの
よ。おまけにエイトのネズミまで疑われて」
姫の言葉に大ネズミはしゅんとなりました。
「そいつは済まなかった。あっしはもう、この城では盗みはしねえ。
こいつはさっきのお礼の品だ。クッキーを食べた部屋の隅っこに落ちてたぜ」
そう言ってきらきらと輝く石の付いた指輪をエイトに渡すと、
「それじゃ、あばよ!」
と一声叫んで垂直に切り立つ崖を一気に駆け上がり、消えていったのでした。
256名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/15(金) 19:59:00 ID:D9e8MW4/
「…すごいねえ」
「…すごかったわねえ」
呆然とその妙技に見蕩れていた二人の口からそんな言葉が同時に出て、顔を見合わせぷっと吹
き出しました。
「こんなすてきな場所があったなんて。ミーティア、ここが大好き」
「うん、僕も」
もう夜明けのようです。空は白み始め、鳥たちの鳴き交わす声が聞こえてきました。
「戻ろう、ミーティア」
「ええ、エイト」
いつの間にかエイトは姫を「ミーティア」と呼んでいたようです。あまりに自然だったので、
指摘するのも変に思えてミーティア姫は黙っていましたが内心とても嬉しく思っていました。
漸く本当の友達になれたのだ、と実感できたのですから。
                     (続)
257名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/15(金) 20:00:10 ID:6rYex+V9
モェッ
258名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/15(金) 20:08:16 ID:D9e8MW4/
ようやくここまでこぎつけた!
後一回で終われる…はず。
よろしくお付き合いください。
259名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/15(金) 21:50:03 ID:ZYSbc1vC
260名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/15(金) 23:11:39 ID:QclymRaf
>>258
乙です。
ねずみがしゃべったのはちょっとビクーリしたよ。
最終回がんがってください!
261名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/16(土) 23:52:03 ID:TwyKSz4U
感想どうもありがとうございます。

>>252
好きだと言われたから7月15日はエイト記念日w

>>260
>ねずみが
それは今回のMy秘密テーマに関わる部分だ…
気付かれてしまったw
262名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/17(日) 11:03:16 ID:1wkod0uM
ラスト行きます。
263二人の冒険 ◆JSHQKXZ7pE :2005/07/17(日) 11:04:35 ID:1wkod0uM
>>170-173>>199-202>>231-234>>243-246>>253-256、続き

6.
手燭の蝋燭が燃え尽きる頃、二人は漸く厨房に辿り着きました。厨房はすでに大騒ぎになって
おりました。
「ひ、姫様ぁー!」
あちらでミーティア姫付きのメイドが泣き崩れたかと思えば、
「エイト、このバカタレがっ!」
こちらで料理長が怒鳴ります。
「まず王様にご無事をお知らせせよ!」
「はっ!」
侍従の言葉に兵士が走っていきました。
「エイト、すぐに王様の部屋へ行きなさい。姫様はお着替えになってご朝食を」
侍従がエイトに向かってそう言いかけましたが、すぐ姫に遮られました。
「いいえ、ミーティアもお父様のお部屋へ行きます。どうしてもお話ししなければならないこ
とがあるの」
「はっ!」
「じゃ、行きましょ、エイト」
「うんっ!」
二人は手を繋いで元気よく厨房を出て行きました。その様子を他の者たちは唖然として見送り
ます。どちらかと言えばエイトは愛想のない、暗い子供のように思われておりましたから。

264名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/17(日) 11:05:48 ID:1wkod0uM
トロデ王は寝室におりました。昨夜扉越しにいびきを聞いてしまったことを思い出してエイト
は吹き出しそうになりましたが、何とか神妙な顔をこしらえます。
「エイト、おぬしは昨夜一晩中何をしておったのじゃ。その上姫を連れ回して」
王の目が二人をじろじろと眺め回します。エイトの服たるや埃と蜘蛛の巣塗れ。靴もふわふわ
した埃がいっぱい付いていて、まるで綿でも履いているかのように見えます。慌てて頭を覆っ
ていた三角巾を取りましたが、その途端埃がぱっと舞い上がりました。それに較べてミーティ
ア姫は服が少し汚れていたものの大したことはありません。
「お父様、ミーティアは」
「姫に聞いておるのではないぞ」
王は厳しい調子で姫の言葉を遮り、
「さあ、どうなのじゃ」
と詰問しました。
「王様、…あの、昨夜は申し訳ありませんでした。王様のクッキーを食べた犯人を捕まえたく
て一晩中追いかけていたんです」
「うむ」
エイトは怖ず怖ずと話し始めました。厳しい様子は崩さないものの、王は先を促します。
「それで夜中に一人でこっそりネズミ退治しようと思っていたんですが」
「ミーティアが『どうしても』ってついていったの」
「それで、見つかったのか?」
ミーティア姫の言葉を敢えて無視して王は問い掛けます。隣でミーティア姫がしゅんとしてい
るのが分かりましたが、エイトは話し続けました。
「はい、古い廊下に逃げ込んだのをずっと追いかけて、その出口の崖のところにいました」
「海側からの外敵を見張るために作られた廊下と見張り場じゃな。それで」
「とっても大きなネズミでした。食べ物に困って仕方なくつまみ食いしたみたいです。
でも出て行ったから、もうつまみ食いはされません」
エイトはネズミと話したことについては言いませんでした。大人が信じてくれるとは思えませ
んでしたから。そして大ネズミから渡された指輪を差し出しました。「王の部屋で拾った」と
言っていたのできっと王のものに違いないと思ったからです。
265名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/17(日) 11:08:19 ID:1wkod0uM
「うむ、そうか。…む?むむむっ?!」
王の目はその指輪に釘付けになりました。
「その指輪、どこで拾ったのじゃ?」
「はい、あの…その大ネズミさんからもらいました。おわび…のつもりだったのかも…」
エイトの言葉はだんだん尻窄みになって消えました。王があまりも食い入るようにその指輪を
見詰めていて気詰まりになってしまったからです。
「なんと…そんなことになっておったとは…」
漸く発せられた王の言葉は揺らいでおりました。見るとその目には涙が浮かんでいます。
「亡き妃の指輪じゃ…結婚後最初の誕生日に贈って妃は気に入っていつも身に付けておったの
じゃが、姫を産む際に外した後、そのまま行方不明になっておったんじゃ。
まさかこんなところから出てくるとはのう…」
「お父様…」
指輪を手にして王は涙ぐんでおりましたが、ミーティア姫が涙を拭ってあげようと近付いてき
たのに気付くと急にいつもの様子を取り戻しました。
「こらっ、悪戯者め!昨日は心配しておったのじゃぞ!メイドから姫がいつの間にかいなくなっ
たと聞かされてからずっと心配で眠れんかったのじゃ!」
「ご、ごめんなさい、お父様…」
「罰としておヒゲじょりじょりの刑じゃ!」
と言うなりトロデ王はミーティア姫をしっかりと抱き締め、頬擦りします。
「痛っ、お、お父様、ごめんなさい!もうしません!」
無精髭がじょりじょりしていてちょっと痛かったようです。
「心配したのじゃぞ…じゃが無事でよかった」
漸く姫を解放して今度はエイトの方を向きました。
「ちょっとこっちへ来るんじゃ」
「は、はい」
おっかなびっくり近寄ってきたエイトに王は「ゴン!」と特大の拳骨を食らわせました。
「でっ!」
「全く心配させおってからに。何もなかったからよかったものの、その大ネズミとやらが凶暴
な奴だったらどうするつもりだったのじゃ」
「も、申し訳ありませんでした…」
「罰として」
王はにやりとしました。
266名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/17(日) 11:11:00 ID:1wkod0uM
「今日の仕事を休むことを命じる。風呂を使って少し体をきれいにせい」
「えっ」
「よ、よかった」
「子供が夜中うろうろして昼も仕事では身体が持たんからの。姫も今日の授業や稽古はお休み
じゃ。
さ、部屋に戻りなさい。ワシはエイトとちょっと話がある」
王の言葉に二人は急に不安そうな顔になりました。
「心配せんでもよい、男同士の話じゃからの。姫は先に部屋に行っておいで」
諭すように姫に言い聞かせます。
「はい、お父様…あの、ご心配おかけして本当にごめんなさい」
それでも不安そうにミーティア姫は頷き、
「じゃあね、エイト」
と部屋を出て行きました。
「さて、」
姫が出て行ってから王は改めてエイトに話し掛けました。
「昨夜はよく、姫を守ってくれたの。礼を言うぞ」
突然の言葉にエイトはびっくりしました。
「あっ、あの、僕、でも、何もしてません」
「いやいや、姫の服とおぬしの服を見比べればすぐに分かる。使われておらん廊下を通ってあ
の程度しか汚れておらんのなら同行する者が埃をしっかり払っておったのじゃろ。それに姫の
足では長く歩くこともできんはずじゃ。途中で足が痛くなったりしたのではないかの?」
「…はい。あのう、おんぶしました」
「そうじゃろう、そうじゃろう」
エイトの言葉に合点がいったように王は頷きました。
「あれには兄弟も、友達もおらんかった…いつも一人で人形遊びやピアノを弾くばかりじゃっ
た。まして外で遊ぶことなど…」
王はちょっと悲しそうな顔をしました。
「これは親としての頼みじゃ。エイトよ、どうか姫と仲良くしてやってくれまいか。姫もおぬ
しを気に入っておるし、頼む」
エイトはさらに驚きました。王様直々に頼まれ事、それも「姫と仲良く」という内容だったの
ですから。けれども昨夜聞いたトロデ王の寝言やミーティア姫の言葉を聞いて「できる限りの
ことをしてあげたい」と思ったことを思い出しました。
267名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/17(日) 11:12:35 ID:1wkod0uM
「はい、喜ん…」
と言いかけ、エイトは言い直しました。
「はい、僕の力の及ぶ限り、ずっと仲良しでいます」
「うむ、頼んだぞ」
王は元気のいいエイトの言葉が気に入ったようです。
「ではエイト、姫の部屋に行くがよい。今朝は特別に朝食を用意いておいたからの」
これもまた予想外のことでしたが、驚くよりも先に嬉しくて
「はい、ありがとうございます」
と溢れるような笑顔で返事したのでした。

エイトは着替えて─さすがにこれ以上埃を撒き散らすのはまずいと思ったので─ミーティア姫
の部屋に行くと、ちょうど朝食が運ばれてきたところでした。
「お父様から聞いたの、今日は朝食を一緒できるのよ!」
ミーティア姫が─こちらも着替えています─興奮気味に話しかけてきます。
「うん。おいしそうだね」
本当においしい朝食でした。外はカリカリで中はフワフワのパン、ブロッコリーの冷たいポター
ジュにカッテージチーズ、卵焼きはふんわりと金色で、湯気を立てています。
けれども二人とも朝食を最後まで食べ切ることができませんでした。温かい牛乳を飲んでいる
うちに瞼がだんだん重くなっていきます。それでもエイトは頑張って食べていたのですが、ま
ずミーティア姫がパンを千切りながらうとうとし始めました。エイトも姫がメイドさんたちの
手で寝台に運ばれていく様子を見送ったところまでは覚えていたのですが、その後の記憶がぷっ
つりと途絶えてしまったのでした。

エイトが次に気付いた時、見覚えのない天蓋が目に映りました。横を見るとミーティア姫がす
やすやと眠っています。どうやらここはミーティア姫の部屋のようでした。
「むにゃむにゃ…エイト、…お友達よね…」
寝言でした。とっても幸せそうな寝顔です。
「うん、友達だよね、ミーティア…」
今日だけは一日お休みです。エイトはミーティア姫と手を繋いで再び眠りに就いたのでした。
                     (おしまい)
268名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/17(日) 11:15:27 ID:1wkod0uM
長々とお付き合いくださいましてありがとうございました。
今回の秘密テーマ「子供の時には不思議なことがいくらでも起きる」で書いてみますた。
269名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/17(日) 16:32:30 ID:qAUrPTLZ
大作乙
なんつうか全体的にかわいくてよかった!
270名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/17(日) 17:30:34 ID:wXK5C8p1
長編お疲れ様でした。
王のミーティアへの情、ミーティアの友としてのエイトへの情、幼い二人の友情。
どれも丁寧に書かれていて、全編通してとても面白かったです。
GJ!!
271名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/17(日) 17:43:14 ID:ouhFGcUd
これだけは言わせてもらう



GJ!!!!!!!!!
272名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/17(日) 21:45:10 ID:1wkod0uM
読んで下さった皆様、どうもありがとうございました。
剣を振り回すでもなく、チュー一つするでもない話だったので正直ここまで反応あるとは思っていなかったです。
どうもありがとうございました。

後もう一つ、別所での話を読んで下さった方々、どうもありがとうございました。
すごい勢いで荒れてたんでずっと書き込めずにいてすみません。
また書き込んで荒れると嫌なのでこちらで失礼いたします。
273名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/18(月) 21:18:57 ID:xwfcptUb
GJであります!
274名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/19(火) 02:29:36 ID:ROKOSWDa
昔見た絵なんだけど、ミーティアとエイトが不思議な泉で向かいあってて、
二人の姿が泉に映ってる絵があったと思うんだけど、
どなたかその絵のあるサイトか、その絵をうpしてもらえないでしょうか…
275名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/19(火) 09:07:04 ID:7MQvZCDe
2chのDQ8全年齢向お絵描き掲示板だよ
まだ流れてないはずだからそこのログを遡るんだ
276名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/19(火) 15:18:55 ID:gxm22VWC
DQ8全年齢向の方にあったのは花畑でチューしてるやつ(一見の価値、ありまくり)じゃなかった?
確かDQ全般の絵板だったと思う。
277名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/19(火) 21:02:20 ID:SBAGQzMZ
このスレキモスwww
278名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/19(火) 21:58:48 ID:xGxlH6vI
>>275
その板は見たけどなかったです。
>>276
そっちか!探してきます!dクス!
279名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/19(火) 22:59:14 ID:xGxlH6vI
見つからなかった…OTL
結構前に見た絵だからもう消えちゃったのかも…
280名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/19(火) 23:33:40 ID:ZyQTAcVZ
>279
まだあるはずですよ。

ちなみにFFDQお絵描き掲示板です。
281前スレのコピペです:2005/07/20(水) 00:29:18 ID:Xgu//wu4
14 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ[sage] 投稿日:05/02/21 21:11:42 ID:TtRl0N4m
見た瞬間に神だと思った。このスレに貼らずにはいられなかった。今は反省していr

ttp://jes.rdy.jp/dq8/normal/data/IMG_000006.png
ttp://www.prenavi.net/~pocky/cgi-bin/ffdq/data/IMG_000351.jpg
282279:2005/07/20(水) 19:34:09 ID:RZLtAUKc
>>281
おぉ!!!!それだ!ありがとう!
音速の速さで保存しました。
283名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/20(水) 20:05:43 ID:9pszdMbS
>281
どっちの絵も最高だよな…
これらとミーティア絵板の笑顔のやつは永久保存だよ。
あまりに素敵過ぎて携帯の待受画面にしてる。一時間ごとに変わるようにして。
作者様に叩頭の礼!
284真夏の午後 ◆JSHQKXZ7pE :2005/07/21(木) 00:33:39 ID:AhAm2oz/
晴れ渡った空、どこまでも続く牧草地。熟れた小麦の穂が午後の太陽に輝く。陽射しに緑の陰が、濃く強いコントラストを見せる。
誰もがまどろむそんな午後、子供が二人、草むらから顔を覗かせた。
「どこにいるの?」
女の子―ミーティアが辺りを窺いながらひそひそと問う。
「よく見て。細い葉っぱにとまってるよ。ほら、そこ」
と男の子―エイトが指差す先には草の葉に同化するかのように飛蝗がいた。
「えっ、どこ?」
けれどもミーティアには見付けられない。慣れない眼では自然の中で飛蝗を見付けることは難しい。
「ほら、そこだってば」
エイトが焦れたように言った途端、飛蝗は飛び立った。
「あっ」
「逃げちゃった」
しょんぼりするミーティアにエイトは言う。
「またすぐに見つかるよ」
するとがっかりしていたミーティアの顔がぱっと輝いた。
「あっ、エイト、あれかしら!」
さやさやと揺れる草の先、大きな飛蝗がのんびり草を噛む。
「でっかい!トノサマバッタだ!」
真夏の午後、きらきらと輝く草原。永遠に留めてしまいたい時の中、二人の子供はいつまでも飛蝗を追いかけていた。
                     (終)
285名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/21(木) 22:49:25 ID:q3Xf4klp
あっちでもこっちでも乙です。

夏休みにぴったりのお話ですね。
ちっちゃい二人も可愛いし。




286名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/22(金) 00:01:43 ID:AhAm2oz/
>285
読んで下さってありがとうございました。
最近子供主姫に萌えてるかも。ロリショタ属性ではないんだけど。
かわいい二人が見たいのかな。

…とか言いつつ次はバカポーネタにしようとか考え中w
287名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/22(金) 10:17:13 ID:lG84mEPB
バカポーネタきぼんぬ!!!!
288二人の南の島 ◆JSHQKXZ7pE :2005/07/23(土) 22:48:38 ID:YGLqyn4m
「海、行かねー?」
久々にトロデーンにやって来たククールの第一声はこれだった。
「ほら、地図に載ってない島に小さなビーチがあっただろ。姫様も連れてみんなで行こうぜ」
「まあ、素敵ですわ」
ミーティアも乗り気のようだ。でも…
「うーん、ごめん。僕たち結構忙しいし」
そう言いながらミーティアにこっそり目配せする。
「何だよ、つれないなあ。あ、もしかして水着ないのか?実はそれも用意済みだぜ」
そう言いながら荷物の中からごそごそと水着を取出した。
「じゃーん、かわいいだろー。たっぷりしたこの二段フリルがささやかな胸元でもしっかりカ」
「ギガデイン!」
「ぎゃーっ!」
「だ、大丈夫かしら…?」
「大丈夫だって、これくらい。大体人の妻をそういう風に言う奴のことなんて知ったこっちゃ
ない」
「ひ、ひでー…」
「さっ、帰った帰った。他の三人で楽しんで来てよ」
「ちっ、この際だから姫様の水着姿見たかったのに…」
「ギガデ…」
「わーっ、帰る、帰るって!ったくお前姫様のことになると目の色変わり過ぎ…」
「何か言った?」
「いーえ何でもありません。
それじゃあな。たまには姫様をどこかに連れてってやれよ。あーいてて…」
289名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/23(土) 22:50:51 ID:YGLqyn4m
「どうして一緒に行かないの?」
ククールが帰った後でミーティアが聞いてきた。
「ずっと『夏になったら一緒に海へ行こうね』って言っていたわよね?」
「うん、言ったよ。でも海行くんだったら二人だけで行きたいから」
「あら、どうして?きっと楽しいと思うわ」
「だってミーティアの水着姿、他の人に見せたくないし」
「エイト!」
「ミーティアのお肌を見ていいのは僕だけだよ」
「エイトったら!」
ミーティアが僕を打つふりをする。避けるふりしながら手を捕え、抱き寄せた。
「だからさ、二人だけで行こうよ、あの島へ」
         ※          ※          ※
青い空、青い海、真っ白な砂浜。輝く太陽に椰子の木陰が濃い。
「早くおいでよ」
「ちょっと待って。もうすぐ着替え終わるから」
「いいよ、誰もいないんだし」
「よくないわ、だってエイトに変なところ見せたくないもの」
そう言いながら着替えたミーティアが現れる。
「でも水着ってどうしてこんなに小さいのかしら」
水着の裾を引っ張って伸ばそうとしている様はとても可愛い。…ってそう言ったら逃げちゃう
かな。
「泳ぐ時邪魔になるからじゃない?」
なるべくさりげなく言って「はい」と革の浮袋を渡した。前に来た時にずいぶん泳げるように
はなったけど、泳いでばかりだと疲れてしまうしね。
「ありがとう、エイト」
ミーティアはそれを受け取って
「行きましょ」
と僕と手を繋いで歩き出した。
         ※          ※          ※
290名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/23(土) 22:54:42 ID:YGLqyn4m
一緒に泳いで海の中を覗き込んだり、打ち寄せる波に向かって浮袋を放り投げては返ってくる
のを楽しんだり(一度遠くに投げ過ぎて泳いで取りに行かなくちゃいけなかった)、砂浜を歩
く蟹を見付けて追い掛けてみたり、子供の頃に戻ったかのように遊び回ってすっかり疲れてし
まった。
二人並んで砂浜に迫り出した椰子の木陰に腰を下ろす。
「少しお昼寝する?」
「ええ」
そんな会話して腕枕しながら横たわったけど、隣のミーティアはなかなか目をつぶらない。
「どうしたの?」
「うふふ」
何だか覚えのあるようなないような展開だぞ。悪戯な微笑みを浮かべたかと思うとミーティア
が身体を起こした。そしていきなり僕の身体に砂を掛け始める。
「えっ、なっ、何するの?」
「エイトを砂に埋めちゃうのよ」
そう言ってせっせと砂を掛けてくる。あっという間に足元は埋められてしまった。でも熱い砂
が何だか気持ちいい。
「あれ、これって結構気持ちいいかも」
「まあ、そうなの?じゃ肩まで埋めてあげるわ」
一生懸命砂を集めているミーティアはとても可愛かった。集めた砂を僕の上に掛ける時もあま
りに真剣になってて、僕がじっと見ていることにも気付かない。身体を動かす度に胸が揺れる。
そりゃゼシカとは較べるべくもないけどその水着の下にどんなに美しいものが隠されているか、
僕は知っている。
とか思っているうちに僕の身体はすっかり砂に埋められてしまった。掌でぺたぺたと砂を押し
付け、
「できたわ!」
と言うミーティアの顔には妙な達成感があった。
「どんな感じなの?苦しくない?」
僕の顔にかがみ込む。ああ、その体勢だと白い喉元が…
291名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/23(土) 22:56:10 ID:YGLqyn4m
「うん、何だか身体中ほかほかして気持ちいいよ」
「そう?よかったわ」
と、その眼が波打ち際に向かう。
「どうしたの?」
す、と立ち上がり軽やかな足取りで波打ち際へと駆けて行く。いつもは見えない太腿も、今だ
けは太陽の下に。すらりとしていて、すごく綺麗な脚。他の誰にも見せたくない。
「うふふ」
戻ってきたミーティアの手には何か摘まれている。あっ、蟹だ!
「はい、カニさんですよ」
わわ、僕の上に放すなよ。さっき掴み方教えるんじゃなかった!
「わーっ、こっち来るなー!」
ちょこまかと顔の方に近付いて来る。埋まっている手を動かして追い払おうとしたけど
「駄目よ、手を動かしたら負け」
にこにこ顔でそんなことを言う。負けとかそういう問題じゃないって。見てないで助けてよ。
ほらもう喉の辺りまで来たってば!
「来るなっ、あっちに行けっ」
必死で息を吹き掛けて追い払おうとしたけど、蟹はそんなのお構い無しだ。わ、わ、もう駄目
だ、顔の上に来る!
「はい、おしまい」
と、急に手が伸びてきて僕の上から蟹が除けられた。
「カニさん、ごめんなさい。お散歩の邪魔をしてしまって」
ミーティアが蟹を海の方へと放してやっている。
「ああびっくりした」
「うふふ、今のエイトの顔ったら」
一人でくすくす笑っている。こら、感じ悪いぞ。
「ひどいよ、人を笑いものにして」
わざと拗ねて見せる。
「あ、ごめんなさい。でもエイトが怖がっているのってかわいいんですもの」
292名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/23(土) 22:57:21 ID:YGLqyn4m
「ひどいなあ」
時々言うんだよなあ、「かわいい」って。それもあんまりそう言って欲しくない場面で言われ
るんだ。あの…そういう時とか。
「ちゃんとミーティアは分かっていてよ、エイトは世界で一番強い人だって。だからこそかわ
いいところを見付けてみたくなってしまうの」
僕の顔を覗き込むようにしてミーティアが微笑む。そんなものなのかなあ。何だか釈然としな
いけど、悪く言われているんじゃないならまあいいかな。
「エイトがどんなに素敵な人か、ミーティアが誰よりも知っているわ…」
ミーティアの髪がはらはらと僕の顔に零れかかる。優しい碧の瞳が近付いてきて、そして――
         ※          ※          ※
293名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/23(土) 22:58:26 ID:YGLqyn4m
「いい感じでがすねえ」
地図にない島、実はさっきからエイトたち二人きりではなかった。
「ちぇっ、かわいくねえの。オレの誘いを断っといて二人きりで南の島かよ」
「そりゃそうでしょ。二人きりの方がいいに決まっているじゃない」
「くそー、姫様の水着姿間近で見たかっ」
「メラミ!」
「ぎゃっ!」
「ま、そのうち機会もあるでがすよ。今日のところは二人きりにさせてやりやしょう」
「そうよね、大体今更どの面下げて出て行けるって言うのかしら。
さっ、帰るわよ。そこで拗ねているんじゃないの、ルーラ係」
「だけど納得いかねー。あー、またチューしてやがる。つーか誰もいないんだしもっとこう…」
「メラゾー」
「マホトーン!」
「…」
「ふっ、何度も同じ手は食わないぜ。何ならオレとチューしてみ」
ビシッバシッ!
「ふぎゃーっ!」
「さっ、帰りましょう」
「双竜打ちでげすか。ゼシカの姉ちゃん最強でがす…」
                     (終)
294名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/23(土) 23:02:29 ID:YGLqyn4m
あまりにおバカですみません…
題からして70's歌謡曲のかほりが…
いっそそのまま使いたかったw著作権ですぎやん出て来たら困るから止めたけど。
295名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/24(日) 01:00:43 ID:yRMQMsj1
バカポー主姫(どっちかと言うと姫主?w)かわいいよw
周りの人達・・・ククール達もいい味出ててこういうノリいいなぁ・・・。なんか和む(*´ー`)

それにしても、◆JSHQKXZ7pE さんはこう次々とネタが浮かんでくるなんてすごいですね〜。
これからももっともっと主姫スレを潤してください!
296名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/24(日) 11:33:54 ID:Gc9Puf2k
バカポーいい!!
ミーティアの水着。…もうこの言葉の響きだけでご飯を3回くらいお代わりできます。
すぎやんできよたかの方を思い浮かべたよ。夏だけに。
297名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/24(日) 12:05:16 ID:8t6Opj0U
エイト「屁…こいていい?
ミーティア「程々にね…


バブリ!!!!


半径10メートル内の人間死亡
298名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/24(日) 15:05:00 ID:l7D//VUm
感想どもです!
正確にはすぎやんじゃなくて著作権協会(だっけ)の方。だから歌もすぎやんの曲じゃないです。
「なつなつなつなつ…」と「きんーいろっにーかがやーくっ…」のどっちか、使いたかったなあw
運が悪いとこれくらいの引用でもひっかかるのでこの辺で。

>295
今ネタ大放出中なんでw
こういったバカポーネタとかは日常の中で思いつくんでいいんですが、シリアスは正直ネタ切れ…
いや、いつかは必ず書くと決めているネタは何個かあるんですが、
それを書いてしまったらもう二度と書けないんじゃないかとちょっと怯えてたり。
色々自分の限界(戦闘書けない、エロダメダメ)が見えてなかなかしんどいっす。
299名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/25(月) 20:23:42 ID:hQEirvFf
そう言えば「あるきかた」8/5発売だっけ?
みーたんいるかなあ。
公式ガイドは3000円ドブだったけど、出てるといいなあ。
300名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/25(月) 23:51:17 ID:Md0y9ov4
300get
301名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/26(火) 18:30:23 ID:PYN9Ul6N
圧縮の間隔が短くなってる…気を付けないと。
と言って雑談できるようなネタは何もない。

うーん、ミーティアの水着は何色がいい?
…こんなくだらんネタしか思い付かん。
302名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/26(火) 21:10:05 ID:pTe1MxB6
水着の色は黒がいいなぁ(*´ー`)
ちょいハイレグで。
303名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/26(火) 21:13:40 ID:QfuqSiMu
>>301
自分は白がいいかなぁ。
みーたんの黒髪には白が映えると思うし。
水着で髪を結い上げたりしたらもう・・・(*´Д`)

>>299
「あるきかた」いよいよ出るんだね。
そういえば、ドラクエ8の4コマはもう何冊か出てるのかな?
みーたんはネタバレになるせいか、何だか公式物では永遠に出てきそうにない・・・
304名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/26(火) 22:28:55 ID:KMCEBjWN
白地に紺の柄付きで。
髪はアップで。
305名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/27(水) 00:09:52 ID:13QxqL5U
貧乳みーたんはやっぱり水着の中にパット仕込んで、
足りない胸を補ったりしているんだろうか…。
306名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/27(水) 00:11:53 ID:13QxqL5U
あ、色は青系統も可愛いと思う。
ビキニよりワンピースがいいかな。
307名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/27(水) 00:18:37 ID:dqErfDkl
フリルたっぷりでボリュームアーップ!かもしれんw
寒色系がかわいいかもね。
逆に踊り子の服みたいなオレンジとかはイマイチな気がする。
308名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/27(水) 00:25:27 ID:dqErfDkl
おおっ、IDがdqじゃん!記念にもう一回書き込んでしまえw

ワンピースだと体形まるわかりだぞ。ナイチチがますます強調されるとオモ。
むしろビキニで視線を散らすのじゃ!
309名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/27(水) 01:30:27 ID:31zQrtRm
待て待て。今305がいい事を言った。
パットが入っているみーたんの胸に、エイトが「…んっ?」
萌える(*´Д`)
310名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/27(水) 11:09:34 ID:9HaVokTU
ミーたんは巨乳ではないがナイチチでもなく美乳だと主張してみる。

アンダーが分かりずらいのとゼシカとの比較で目立たないけど
普通にCあると思うんだが。
311名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/27(水) 22:17:48 ID:GkubdKvu
あんまりみーたんを貧乳とかナイチチ言わん方いいぞ。

ほれ、向こうで槍を構えてジゴスパの準備している奴がいるw
312名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/28(木) 00:06:29 ID:tBgjEIHp
じゃあ、貧乳とか言わずに「ささやかな胸元」とか「慎ましやかな膨らみ」とか。

>>308
ワンピースだと体形まるわかり…そうなのか。
しかしみーたんは胸元がちょっと寂しいくらいで、普通以上にスタイルはイケてると思うが。
313名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/28(木) 09:36:59 ID:jspuUdRb
リアルのパートナーも微乳だなあ。俺は、やっぱり微乳好きなのか・・・・。
314名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/29(金) 08:11:25 ID:mEfQvtXc
あげ
315名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/29(金) 11:46:23 ID:ggjwLZqh
ブロリーの究極技がギガティックミーティアな件
316周允 ◆EoZJlWK/TE :2005/07/29(金) 11:51:45 ID:ClMfgAPl
>>315
Gigatic Meteorですかw
317名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/29(金) 19:13:17 ID:raC7fTwk
http://rerere.servebeer.com/src/up13816.jpg
みーたんはあれで丁度いいんだよ。
318名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/30(土) 00:25:50 ID:uyHdtFMJ
>317
どこキャプってんだよw
でもみーたん言われているほど貧乳じゃない。
通常EDで「はい」選択の後、手を取り合うシーンのみーたん、いい感じであるよ。
身体自体が細いから迫力はないけど、個人的にあれくらいがすきだ。
319名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/30(土) 03:03:54 ID:Cr137D6m
863 名前: 名無しさん@どーでもいいことだが。 [sage] 投稿日: 2005/07/29(金) 23:02:15 ID:UtYzcd4f
DQ8のとあるノマカプスレに時々沸くオヴァ臭プンプンする小姑自治厨がウザイ。
某カプと違って厨が居なくて荒れなくて平和だと思ってたのに
奴らのせいでギスギスしだした。
馴れ合いをちょっと注意しただけでもギャーっと噛み付く。
他の某板に巣食ってるリア厨ぽい厨とはまた違った感じの厨だ。
320名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/30(土) 11:20:42 ID:in/0P+5H
>>317
左の方がイイ。
321名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/30(土) 14:22:22 ID:Jf/Kjr2y
品のいい胸。品乳。
322名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/30(土) 20:14:58 ID:xxHetfPa
美しい胸。美乳。
323名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/31(日) 13:13:22 ID:fMuXzn/S
オパーイがイパーイ
324小ネタ6 ◆nefbuGknog :2005/07/31(日) 15:06:38 ID:mwnx2xIO
「いなくなって初めてゼシカのありがたみってもんが
 じわじわと 身にしみてくるぜ。 」
「まったくでがすなぁ。あの胸は反則でがすよ。」
「オレも初めて見たときは胸に水風船でも入れてんのかと
 見まちがったくらいだからな。」
「………」
「お前だっていくら姫さん一筋でもちょっとくらい
 あの胸に心が動くことがあったんじゃないのか?
 正直に言ってみろよ」
「いや別に」
「兄貴はククールと違って真面目なんでやんすよ!ね!」
「女の子は胸より脚だろう?」



「すまないがその持論からゼシカより姫さんがいいとなる理由を
 なるべく詳しく教えろっつーか教えてくださいお願いします」
「ハ、ハレンチでがす!ハレンチでがすよ!!」
325名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/31(日) 15:07:18 ID:mwnx2xIO
ムラムラしてやった。
主姫なら何でもよかった。
今は反省している。


すんません今思考がギャルゲー風味です。
各コネタ間のつながりはありません。全然。全く。
つーかこれ主姫か?
326名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/31(日) 17:16:07 ID:pwabyc03
>324
ちょっと待て!見たんか?見たんだな?!
…くうーっ、羨ましいぜエイト!
チチもいいが脚も大事だよな!
327名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/31(日) 17:28:47 ID:0ONBr6mA
考えてみたらミーティアの足は神秘のベールに包まれているな!
旅の間馬車を引いて、さぞかし引き締まった美脚なんだろうなぁ!
くそー(*´Д`)ハァハァ
328名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/31(日) 20:51:06 ID:mwnx2xIO
これを書くに当たって最初にしたことは
この会話が町の中だということを確認することでしたw

>>327
見えないからこそ想像の余地はいくらでも(*´Д`)ハァハァ
329名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/01(月) 23:47:03 ID:q2Qo+PlN
むおーっ!絵板にみーたんの水着姿が!
(*´Д`)ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ
描いた方GJ!×10
330香りの呪縛 ◆JSHQKXZ7pE :2005/08/02(火) 22:30:35 ID:607NLpnP
城は活気に溢れていた。
もうすぐあの方の十八回目の誕生日がやってくる。その準備に皆、忙しくしていた。
今年は例年にも増して盛大に執り行われるはずだった。
「この城で祝われる最後の誕生日になられるはずだからね。王様もお力が入っていらっしゃる
よ」
と、同僚は言っていた。
最後の誕生日…分かっていた。分かっていたはずだった。あの方は古い約束に従っていつかは
嫁ぐためにこの城を出て行ってしまうと。そして誰かの、僕以外の誰かの妻になると、頭では
理解していたつもりだった。
でも実際にその現実を突き付けられると、後頭部を激しく打たれたかのような衝撃に目が眩む。
それにそんな約束があろうがなかろうが、あの方はいつかどこかの王族か大貴族と結婚するに
決まっている。一介の近衛兵である僕がどうしてこの国の王女にして正統な王位継承者である
あの方と結ばれることがあるだろう。そんなことはお伽話の中でしか起こらないことなのだか
ら。
懸命に自分の心を落ち着かせようとしたけど、
「どうした?唇が真っ青じゃないか。どこか具合でも悪いのか?」
と気付かれてしまった。何と言ってその場を取り繕ったのか覚えてないけど
「何か悪い物でも食べたんじゃないのか?具合悪いなら無理するな」
と心配される。
「大丈夫です。それよりほら、向こうに入道雲が」
と無理に微笑んで同僚の意識を逸らせ、切り抜けた。

331名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/02(火) 22:31:59 ID:607NLpnP
今夜は非番だったので、夕食の後そっと兵舎を抜け出してとある場所に足を向けた。そこはか
つてあの方と見つけた古い見張り場だった。何も無い小さな空間だったけどミーティアはとて
もその場所が気に入っていて度々そこへ行っては遊んだものだった。
そして誰にも言ったことはなかったけど、今日は僕の誕生日でもあった。それは、ミーティア
と決めたこと。あの方と初めて出会った日、誕生日も覚えていなかった僕に
「じゃあ今日がエイトのお誕生日よ」
と言ってくれて、それからずっとその日が誕生日だった。小さい時は一緒にお祝いの真似事な
んてしていたけどいつの頃からかそんなことはしなくなって─できなくなって、ただ今日が僕
の誕生日だという事実だけが残っている。
何も起こりはしないと分かっている。それでもかつて一緒に遊んだ思い出の場所で誕生日の夕
べを過ごしたいという感傷的な気持ちがそこへと足を向けさせた。
使われていない通路を抜けて最後の扉を開けると、涼しい海からの風が僕の頬を撫でた。崩れ
て残骸だけになった石組みにもたれて座ると、昼間の熱の残りが心地よかった。
ちょうど西向きに海に面しているため、夕映えの彼方、微かに大聖堂の島の影が見える。行っ
たことはないけど、どんな場所かは知っている。
「法皇様がいらっしゃる場所は雲の上で、突き出した岩の上にお屋敷があるんですって」
記憶の中でミーティアが息を潜めるかのように僕に言っている。そしてその場所こそあの方の
婚儀が行われる場所なのだと聞いた。王族同士の婚儀に際して法皇様直々に祝福を垂れるのだ
と。
332名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/02(火) 22:33:25 ID:607NLpnP
皆、婚礼の供に志願している。ミーティア付きのメイドはもちろん、間近で護衛してきた近衛
兵の同僚たちも。主人の晴れの姿を見たいのだろう。
でも、僕は行かない。志願しない。
それは最後に一目、あの方の姿を見たいとは思う。でも他の人のものになるミーティアを見て、
平静でいられる自信がない。臣下の僕が主人の姫を恋い慕っているなんてあってはならない話
なのだから。
サヴェッラから目を背け、夕闇に覆われつつある遠い水平線を見遣った。今日も海は穏やかで
打ち寄せる波の音も遠く微かに聞こえるばかり。嵐の夜、地の底から轟くような音を立てて荒
れ狂うものと同じ海だとはとても思えない。僕の両親と、記憶を奪った海だとは。
どんな人だったんだろう、僕の両親は。嵐の朝、助け出された僕に突き付けられた最初の現実
は「両親を失った」だった。だけど両親の顔すら覚えていない僕にとっては色々な人から「海
で両親を失って可哀想に」と言われても居心地の悪い思いしか感じない。
僕は、一体何者なんだろう。どこから来て、どこに行こうとしていたのか。今となってはもう
知る術もない。
333名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/02(火) 22:35:42 ID:607NLpnP
僕は一つ溜息を吐いて立ち上がった。せっかくの誕生日だというのにこんな辛気くさいことば
かり考えている自分にうんざりしてしまったこともあったから。けれど背後から軽やかに近付
く足音に僕はその場に釘付けになる。
「エイト」
振り向かなくても分かる。探すまい、その音を聞き分けようとすまいと思い、でも探さずには、
追わずにはいられないミーティアの足音。
「ここにいたのね」
衣擦れとともにふんわりと花の香りが漂う。身に纏う絹、いつも使っている鈴蘭の香水、そし
てミーティアの肌の匂いが混ざり合い、僕の心を掻き乱す。
いつまでも背を向けているのは失礼に当たる。僕は顔を伏せたまま振り返り、片膝を着いた。
顔さえ見なければ何とかなると思ったから。けれどもドレスの裾から覘く白く華奢な足が目に
飛び込んできて、結局狂おしい程の想いに囚われてしまう。
「いえ、もう戻ろうと思っていたので」
戻らなければ。二人きりになってはならないから。
「そう…」
会話が途切れ、気まずい沈黙が広がる。僕はミーティアが顔を俯けた隙に横をすり抜けようと
した。
「では、これで」
「あ、待って」
ミーティアの手が僕の袖を捉える。思わず顔を上げてしまい、目が合った。
「お誕生日おめでとう。エイト」
微笑みとともに小さな包みが差し出される。
「ですが…」
受け取れない。個人的な贈り物をもらう訳には、と思い固辞しようとした。
「お願い、受け取って。嫌だったら後で捨てていいから」
声が震えていた。ミーティアの望んでいることは知っている。いつも一緒にいたい。昔のよう
に話したり、一緒にどこかに遊びに行きたい、と。
でももう無理だ。僕が望んでいることは骨の折れんばかりにきつく抱き合い口づけを交わす、
ということなのだから。
でもそれは絶対に叶わぬこと、叶ってはならぬこと。ならばせめて傷つけないように。
「お気遣いありがとうございます。謹んでお受けいたします」
334名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/02(火) 22:40:53 ID:607NLpnP
受け取ろうとして一瞬手が触れ合った。しなやかで滑らかな肌の感触が僕の掌に残る。僕は思
わずその手を包み込んでしまった。
「あ…」
唇から零れた吐息混じりの声の甘さ。僕の手の中にあるミーティアの手はたおやかで柔らかな
感触なのになぜか痛みすら感じた。
「エイト…あの…」
「…失礼いたしました」
ミーティアが手を引き抜く。その顔は今にも泣き出しそうだった。
「ご…ごめんなさい。あの…戻ります」
そう言うと裾を翻しあの方は行ってしまった。大気にその香しい匂いだけを残して。

長い夏の日も暮れ、夜露が降り始めたので兵舎に戻った。自分の寝床に入り、先程貰った包み
をこっそり開く。気が急いたせいか中身がはらりと落ちる。慌てて拾い上げたそれはバンダナ
だった。かつて二人でこっそりトラペッタへ行った時、変装のためにミーティアの頭に被せた
真っ赤なストールと同じ色。
(ミーティア…)
懐かしさと共に後悔の念が湧き上がる。あの時もっと大事にしておけばよかった、二人の時間。
隅に小さく刺繍された僕の名を見つけた時、それは一層強まった。
もう帰らない日々を思い返してみても仕方がない。僕は人に見られることに怯えつつバンダナ
にそっと口づけを落とし、枕上にきちんと畳み直して置いた。もう遅かったので横たわり、目
を瞑る。
と、その時ミーティアの気配を感じた。さっき貰ったバンダナからあの方の残り香が静かに匂
い立つ。
(ミーティア!)
離れたくない。ずっと一緒にいたい。でもそんなことを思っても仕方ないんだ。
(ミーティア…)
この先何かの拍子に今のように思い出が甦り、その度に懐かしさで胸が締め付けられる思いを
するんだろうか。それはあの方が行ってしまった後も続くんだろうか。それに僕はただ堪えて
いくしかないんだろうか。
ミーティア、あなたが行ってしまったら、僕の想いは一体どこへ行けばいいんだろう…
                     (終)
335名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/02(火) 22:48:22 ID:607NLpnP
エイトがトロデーンに来るまでの話はまたいつか…
336名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/02(火) 22:59:40 ID:iA10PbeR
ハッピーエンドになるを知ってるからこういう悲恋ぽい話も読めるんだな〜ってオモタ
337名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/03(水) 21:25:20 ID:R5HWOWM+
乙です!
◆JSHQKXZ7pEさんが書かれているのは、短編SSのようでいて
他板、他スレに投下されてる分も含めての大長編小説なんだなぁ、と今更ながらに思いました。
時系列に並べて読み直してみたら「ああ、ここであの伏線が」って分かって面白いかも。
338有海:2005/08/04(木) 19:02:25 ID:o87QK+BT
札幌 すすきの 19:30
チャゴス「ミーティアーー」
マネキン「???」
ミーティア「美味くいったわね」
エイト「逃げよう」
チャゴス「動かない」
ミーティアのマネキンだった
ホテル日航 PM20:30
ミーティア「かわいいわ、お父様とエイト」
トロデ「ほら、エイトやってみるぞ」
3人は24:00まで遊んでた
339有海:2005/08/04(木) 19:09:23 ID:o87QK+BT
翌朝 紀伊國屋書店 AM8:00
ミーティアは初心向け ピアノレッスンというの読んだ
トロデは料理テキスト20本読んだ
エイトは愛・地球博の公式ガイドブックを読んだ
大丸札幌店 AM10:00
トロデーン城 AM12:00
B3F 錬金釜工房
金の錬金釜 完成
日本列島 PM1:00〜翌朝8:00
340名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/04(木) 19:48:39 ID:mzv8A1Wb
感想どもです。

>336
悲恋ぽいけど最終的にはハッピーエンド、っていうのが書いている中で大きいかも。
そこが主姫萌えポイントのような気がする。

>337
確かに書いている話はほとんどが繋がっています。例外は今のところ一つだけ。
が、時系列は…その、色々矛盾することが見えてちょっとなあ。
気付いているのは一つあるんだけど他の人の眼ではもっとあるに違いない。
341名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/05(金) 01:48:20 ID:TCFP9dUz
鳥山の描いたミーティアイラスト見てみたいな・・・
いつか公開してくれないかな
342名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/05(金) 17:18:54 ID:tPaFddli
343名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/06(土) 01:04:43 ID:kYVcp+Um
ここのスレの住人はあるきかた買ったのだろうか
気になるところ
344名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/06(土) 21:56:15 ID:fBnF5fO/
>>343
ずばり、買いですか?
345名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/07(日) 18:01:50 ID:yo/QjMIp
ミーティアファンはよしておいた方が…
346名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/07(日) 18:19:51 ID:QrOrz3ba
姫様名前すら登場してません…orz
347名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/07(日) 18:34:19 ID:xRU9/DYR
なんなんだろう、この情報規制っぷりはね…
348名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/07(日) 18:46:21 ID:bs+BpVdQ
じゃあやっぱりフィギャもでないんだろうなー…
349名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/09(火) 21:27:52 ID:p9Fhv3g3
夏と言えば海!夏と言えば山!夏と言えば怪談!
っつーことで怖い話?行きます。
350百物語 ◆JSHQKXZ7pE :2005/08/09(火) 21:29:37 ID:p9Fhv3g3
「あー暑い暑い。暑くてやってらんねー」
野宿の火の向こう側でククールがぶつぶつ言っている。
「そんな暑苦しい格好しているからじゃない。もっと身軽な服装すれば?」
ゼシカの意見はもっともだ。確かに全身を隈無く被うククールの装備は暑そうだし。魔法のビ
キニを着ているゼシカは涼しそうで正直羨ましい。
「じゃ、ゼシカ一緒に寝てくれよ」
「え?」
「伊達男の宿命ってやつかな、オレは女と同衾する時しか脱がないのさ。もちろんゼシカもは」
「マヒャド!」
「わーっ………」
狙いは正確、覚え立ての呪文がククールに炸裂した。
「あー…こりゃまた見事に凍っているでがすね」
ヤンガスがククールの氷の像をこんこん、と叩く。「わーっ」という顔のまま凍っているそれ
は見物だった。そのまま息が詰まってしまったらまずいし呪文で溶かそうかと思ったんだけど、
すぐに顔の周りから溶けてきて「出せ出せー!」という形に口が動き出したのでそのままにし
ておくことにした。
「手加減してやってよ、ゼシカ。でも暑い、っていうのには同感だよ」
「本当ね。夜になってもこんなに暑いなんて」
「こんな時は涼しくなる話をするでがすよ」
「もしかして…怪談?」
「そうでがす」
「うむ、よいかもしれんな」
「げっ、おっさん、いつの間に!」
「ワシも暑いんじゃ。今夜はここで怖い話で涼もうぞ」
(…マジかよ)
氷の中のククールの口がそう動いたような気がした。
「あら、いいかも。じゃ、一人一人順々に怖い話をしていくっていうのはどうかしら」
「そうだね、涼しくなっていいかもね」
(おいこら!いつまでオレを凍らせておくつもりなんだよ!)
「ではあっしから…」
          ※          ※          ※
351名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/09(火) 21:30:55 ID:p9Fhv3g3
それはあっしが盗賊駆け出しだった頃の話でがす。
パルミド近くの海岸に幽霊船が出ると言う噂がありやした。かつて商船が海賊に襲われて、積
み荷を渡すくらいなら、と自ら船を沈めたんでがす。それが化けて出るんだとか。
それを聞き付けたゲルダのやつが
「そういうところにはお宝ががっぽりあるに違いないよ」
と探りに行く気になっちまって…あっしはそういうところに行くのは気が進まなかったんでが
すが
「あんた口ばっかりだね。お宝が目の前にあるのに行かないなんて盗賊じゃないよ」
そこまで言われてしまったら男として行くしかねえ。覚悟を決めて付いていったでがす。
月のない夜でげした。生温い風が吹き付けて一層いやーな気分になったでがす。
海岸にはぼやーっと光る船らしき影があるじゃねえでがすか。
「何だい、何も出て来やしないじゃないか」
早速甲板に上がり、ふん、とゲルダが鼻で笑った時でげす。
「俺の船で何してやがる!」
突然背後ででかい声を出され、あっしらは飛び上がりやした。
「で、出たーっ!」
「何さ、幽霊船でお化けが出るなんて当たり前だろ。びびってるんじゃないよ」
とか言いつつもゲルダの声は震えています。
「ごちゃごちゃ言ってねえでさっさと出てけ!」
そいつに襟首をひっ掴まれまずあっしが海に放り出されやした。続いてゲルダが。
「もう来るんじゃねえー。それから人を幽霊呼ばわりするんじゃねえー」
甲板から声がして船はさっさと行ってしまいやした。
「…行っちまったぜ」
呆然と見送るあっしはいきなりぽかりと殴られたんでがす。
「なーにが行っちまったぜ、だよ。あんたがぼやぼやしていたせいでせっかくのお宝がフイに
なっちまったじゃないのさ。どうおとしまえ付けてくれるんだい!」
あっしには幽霊よりもその時のゲルダの顔の方が怖かったでがすよ。
          ※          ※          ※
352名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/09(火) 21:32:20 ID:p9Fhv3g3
「あ、ククール、溶けたんだ」
「溶けたんだ、じゃねえ。必死で溶かしたんだよ。まだ足元は凍っているんだ」
「涼しくてよかったでしょ。どう、私の呪文の威力は」
「こんな涼しさは嫌だーっ!」
「…あっしの話はスルーでげすかね」
「あっ、ごめんごめん。ちょっと涼しくなったかな?で、その船は一体何だったの?」
「うう、兄貴は優しいでげす…
今思うに多分夜釣りの船か何かだったんじゃねえかと」
「じゃ、次は私ね」
「(くそー、怖い話はあんまり好きじゃないんだが。でも足元凍ってて逃げられねえ)どんな
話か楽しみだな」
…微妙にククールの顔が引き攣っているような気がするなあ。ま、いいか。ゼシカはどんな話
なんだろう。正直に言ってヤンガスの話は惚気にしか聞こえなかったよ。
          ※          ※          ※
353名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/09(火) 21:33:41 ID:p9Fhv3g3
私が小さい時にサーベルト兄さんと聞いた話よ。
ポルトリンクは港町だったから船乗りさんたちから色んな話を聞かせてもらったの。その中で
も特別怖かった話ね。
航海した先で久しぶりに陸に上がったとある船乗りさんがいたの。旧友と酒を呑み、楽しい時
間を過ごしてさて寝るか、と宿屋のベッドに寝転がったその時。
「寒いね、兄さん」
「そうだね、でも一緒にいれば寒くないよ」
という子供の会話が聞こえてきたの。
隣室の声が聞こえるような安宿にするんじゃなかった、と思ったんだけど、よく考えたら季節
は夏、むしろ今夜みたいな暑い日だったらしいのよ。
それでも気のせいかも、と思い直してまた寝ようとしたの。
「本当に寒いね」
「でも我慢しようね」
もしかしたら窓の外に誰かいるのかも、と船乗りは外を見たの。でも誰もいなかった。深酒し
過ぎだと思ってもう何が何でも寝てやろうとしたその時。
「誰か僕たちのベッドにいるよ」
「じゃあその人にくっついてあったまろう」
そう聞こえた途端!
男は冷たい手のような物で─それも二組─身体を掴まれ動けなくなってしまったの。
「あったかいねえ」
「あったかいねえ」
声も出せなくなって、朝になって宿の主人が中々起きてこないからって様子を伺いにきた時に
は男はすっかり冷えきっていたんですって。
          ※          ※          ※
354名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/09(火) 21:35:25 ID:p9Fhv3g3
「おおっ、怖い、怖いでげす」
「何かすごくひんやりしたよ」
「ふっ、そそそれくらいどどどうってことないさ」
「じゃ、次はククールね」
「お、おう」
「楽しみじゃのう」
          ※          ※          ※
それはオレがとある貴族の館に寄付金集めに行った時の話だ。旦那が留守とかでそこの奥方が
オレに色目を送ってくる。なかなかの美女でまんざらでもなかったものだから、つい、誘いに
乗ってしまったんだな。
でまあ広間のソファでアレコレしていたら突然扉がバーンと開いて留守のはずの旦那が斧持っ
て乱入してきたんだよ。奥方も
「あーれー、この人に襲われたんざますー」
とか言って逃げを打つし。
いやー、あれには参った。どうやってその場から逃げたのか自分でも覚えてねえ。
          ※          ※          ※
「…どこが怖いのよ」
「美人局でがすな。別の意味で怖いでげす」
「つつもたせ?」
「あ、兄貴は知らなくてもいいでげす」
「うわーっ、オレともあろう者が美人局なんかに引っ掛かったのかー!」
「自業自得よね。こんなやつは放っておきましょ」
「では次はワシが」
「お城には怖い話がいっぱいありそうでがすからねえ。楽しみでがす」
          ※          ※          ※
355名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/09(火) 21:37:31 ID:p9Fhv3g3
それは姫が生まれる直前のことじゃ。
寝苦しい暑い夜のことじゃった。あまりの暑さに眠れなかったワシはテラスで涼もうとして廊
下を歩いておった。妃は休んでおったのでワシ一人じゃったよ。
と、角を曲がったところで不審な人影を見つけたのじゃ。
「誰じゃ」
誰何するとその影はゆっくりとワシの方に振り返った。
「気の毒にの」
それは女、白いドレスを纏った見覚えのない貴婦人じゃった。ワシはその声を聞いた瞬間すーっ
と汗が引いたぞ。
「汝らの最後の子はなんと過酷な運命を背負っていることよ」
女は歌うかのようにそのようなことを言ったのじゃ。
「お、お主は誰じゃ。ここがワシの城と知っておるのか」
ここはワシの城、不審な者を見過ごす訳にはいかん、と思ったのじゃが…
「妾の名か」
ふ、と笑ったように思えた。が、それはこちらの背筋を凍らせるような笑みでの、さすがのワ
シも足が震えたもんじゃ。
「時を告げにきたと申せば誰か分かるじゃろ」
          ※          ※          ※
「そう言って女は掻き消えたのじゃ」
「だっ、誰だったの?」
「我がトロデーンの王族が死期を迎える時に時々現れるという白い貴婦人だったのじゃ」
「で、でもおっさんは生きているでがす」
「ワシじゃなくて妃だったのじゃよ。その時はそれとは分からんかったがの。その後難産の末
姫の誕生と引き替えに身罷った時それと知ったのじゃ」
そんな話があったんだ。あちらでミーティアが俯いている。
「ではエイト、おぬしも怖い話を頼むぞよ」
「はい」
そんな悲しい話の後だとすごく辛い。どんな話をすればいいんだろう。
          ※          ※          ※
356名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/09(火) 21:39:08 ID:p9Fhv3g3
僕が廊下で見張りしている時、ふと何かの気配を感じて振り返ったんだ。でも何もいなかった。
気のせいかな、と思って見張りを続けようとした時、その音がした。
カサコソカサコソ…
はっと振り返ると奴がいた。そう、でっかいゴキブリが!
慌てて手にしていた槍で退治しようとしたんだけどそれをかいくぐりこちらに向かって来る。
僕もいい加減混乱しててさ、滅多打ちしていたら今度はそいつがいきなり飛んできたんだ。
          ※          ※          ※
「何とか打ち落としたけど脂汗出たよ」
「…何っつーかこれもまた別の意味で怖い話だな」
「それはすごく嫌ーっ」
「そうか。じゃ、出た時はオレが守ってやるよ」
懲りないなあ、ククールも。ちょっとからかってやろうかな。
「あっ、あそこにゴ」
「うわーっ!」
「…何よ、『守ってやる』とか言った端から全力で逃げているじゃないの」
一瞬のうちに10mは逃げたククールを見遣りながらゼシカがふんと鼻であしらった。
「あー、ククールも前途多難でがすねえ」
                     (終)
357名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/09(火) 21:54:07 ID:p9Fhv3g3
本当に怖い話が読みたかった方、ごめんなさい。
各々怖いものは違う、ということで。

それぞれの話のうち、ヤンガス、ゼシカ、トロデの話は一応元ネタ有りです。
358名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/09(火) 23:27:05 ID:pNsNJ65n
面白かった。でもゴキはべた過ぎだw

>その後難産の末姫の誕生と引き替えに身罷った
これもこの先複線になるのかな。
359名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/10(水) 13:13:31 ID:zDQ8O1Ga
IDがDQ8になりました。ばんざ〜い!!
360名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/10(水) 14:54:21 ID:2lV7lSg1
すまん、一瞬DQ801に見えたorz
361名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/10(水) 17:09:41 ID:Ka2JZ7Qc
惜しいなw
数字板なら神IDだったのに
362357:2005/08/10(水) 21:59:13 ID:Cv15QcCY
感想どうもありがとうございます。
主姫要素少なくってすみません。

>358
それは秘密ですw
363357:2005/08/11(木) 22:00:00 ID:mxW3IZM4
さらにミス発見orz

>252の冒頭、ククールの台詞
「どこが怖い話だよ。単なる惚気話じゃねーか」
が抜けてます。本当に申し訳ありませんでした。
364流星の姫君 ◆JSHQKXZ7pE :2005/08/13(土) 00:03:13 ID:jjj6T5Km
>>350-356「百物語」続き


「王様、もう夜半を過ぎました。そろそろお休みになられた方が」
怪談話で一頻り盛り上がった(正確にはククールの怯えっぷりなんだけど)後、僕たちは火を
囲んで休むことにした。しばらくすると規則正しい寝息やいびきが始まる。僕は今夜の見張り
だったので起きていたけど、火の向こうで王様がまだ星を眺めていた。
「ん?そうか、そうであったな」
八日の月は西に沈み、もう真夜中を過ぎたことを示している。
と、北東の空に一瞬鋭く銀色に光り駆けていくものが見えた。また一つ、さらに一つ。
「そうか…もうその時期であったな」
目で追いながら王様が呟く。
「姫が生まれたのもこのように星の降る夜じゃったの…あれは初冬だったが…」
「王様?」
「先程の話で思い出してしもうたわい」
王様はあの方の耳を憚るかのようにひそやかに話し始めた。
           ※          ※          ※
難産になるだろうということは前々から予測しておったのじゃ。医者からも、
「もう二度と身籠ってはなりません」
と言われておったからの。
にも拘らず、
「トロデーンの世継ぎを、あなたの血を分けた子を産まずしてどうして妃の務めを果たせましょ
う」
と言うての。
結局妃は姫を産むことはできたものの、そのまま亡くなってしもうた。
「この子を幸せにしてやってくださいませ」
という遺言だけ残しての。
           ※          ※          ※
365名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/13(土) 00:04:25 ID:UJpW6HQ9
「その言葉を思えばこそ、あの縁組も最良のものに思えたのじゃが…」
そう仰って一つ溜息を吐いた。
「のう、エイト。おぬしはどう思う?より間近にあの王子を見ておろうが」
突然の問いに僕は何も答えられなかった。でも突然であろうとなかろうと答えられただろうか?
『チャゴス王子様は性根腐ってます。お止めになられた方が。あれでは姫様もお幸せにはなれ
ないでしょう』
とはとても言えない。
「…聞いても詮無きことじゃったな。これはワシの独り言じゃ」
無言で俯く僕を気遣ってくださったのか王は一人頷くと
「さて、ワシはもう寝るとするかの」
と馬車の中へ入ってしまわれた。

なおも星は流れる。次々に、絶え間なく。
暗黒神の野望は絶対に阻止してやる。そして王とあの方の呪いは何としても解く。
だから一つだけ願ってもいいだろうか。

あの方の、幸せを…
                     (終)
366名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/13(土) 00:05:51 ID:UJpW6HQ9
明日の夜はペルセウス流星群が最もよく見えるんだそうです。
一時間に40〜60個の流れ星が見えるとか。見える方角と時間はほぼ文中のとおり。
ちなみにみーたんの流星群は獅子座流星群の方です。

お暇な方は挑戦してみてはいかがでしょうか。
367名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/13(土) 21:44:05 ID:3nF4mob2
乙です。伏線早速キタ━(゚∀゚)━!
>『チャゴス王子様は性根腐ってます。』
心の中では毒舌エイトワロタ。

ウチからだと北東の方向は一番街明かりが明るいから何も見えないポ…。
368名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/14(日) 18:02:58 ID:EBMbchqE
最近ここ活気ないね
サミシス(・ω・`)
369名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/14(日) 18:09:04 ID:cpzjw546
ずっと下のほうに下がってるからでは?
370名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/14(日) 18:10:26 ID:UU0UqoaW
ミーたん関連スレがここだけなんだら一切関係ない。スレ一覧で検索かければここしかかからないんだから。
371名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/14(日) 18:12:50 ID:cpzjw546
ホンとだ。人大杉で来れないっていうわけでもなさそうだしね。
372名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/14(日) 18:52:59 ID:MAeeBMj2
ここに限らず、DQ8関連のスレは全体的に過疎ってると思う。
住人がコミケ等で忙しいんじゃないかな。
373名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/14(日) 20:24:40 ID:eF3bAOoa
ようするにネタがないんだよなぁ〜。
374名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/14(日) 21:13:56 ID:zYrIStNM
活気ないってぇ?
コンスタントにSS投下されてるジャンかよ
滅多に書き込まないけど一応見てますよ>書き手の人
375366:2005/08/14(日) 22:30:04 ID:nVa58wHs
お盆ならではの忙しさに漸く帰還。

読んでくださった方、どうもありがとうございました。
>367
ただ今伏線消化モードですw
>374
ありがとうございます。励みになります。
376名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/16(火) 09:39:11 ID:6ncn27Yv
保守sage。目指せ最下層。
377名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/16(火) 19:52:14 ID:TWz15iFs
>>74-78「荒野の幻影」のミーティアバージョンで一つ。

始めに注意
・エイト?がちょっとひどいかも
378湖畔の幻影 ◆JSHQKXZ7pE :2005/08/16(火) 19:53:29 ID:TWz15iFs
エイト、どこに行ってしまったの。
七人の賢者の末裔の最後の一人、サヴェッラの法皇様をお守りしようと館に乗り込んだあなた
は帰って来なかった。一緒に行きたかったのに、
「危ないのでどうかこちらでお待ちを」
と言われて船で待っていたのに。
業を煮やしたお父様が危険を冒してサヴェッラの門前町で聞いて来た話は最悪の結果だった。
「法皇様が襲われた」
「真っ黒な犬とそれを操る四人の旅人に」
「ニノ大司教が裏で糸を引いていたらしい」
「あわやという時にマルチェロ様がお助けしたらしいが、その夜更けに崖から落ちてお亡くな
りに」
「滅多なことは言えんが、胸に刺し傷があったとか」
「何ということじゃ…」
フードを目深に被り人ならぬ肌の色を見せないようにしながら人々の噂話を立ち聞きして来た
お父様はがっくりとうなだれていた。
「暗殺の疑いを掛けられておってはただでは済むまい。…いや、教会は死罪を公には認めては
おらんからそれだけはあるまいが…」
そう、公には死罪はない。けれども拷問はあるという。そしてそれによって死んでしまっても
罪には問われない。異端審問など最終的には「悔い改めて神に召されし」と公表されるけれど、
それはつまり拷問によって亡くなったということ。
さらにトロデーンにはなかったけれど、数百回もの杖打ち等死罪同然の刑もあるとか。対外的
には死罪はないけれど余計に陰惨な刑ばかり。私も、お父様も口にはしなかったけれどそれを
恐れていた。どんなに強くてもエイトたちは只人、もしそんなことになっていたなら…
ああ駄目、そんな暗いことを考えては。でも、私、エイトを失ってしまったら生きて行けない。
お願い、無事でいて!
           ※          ※          ※
379名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/16(火) 19:54:29 ID:TWz15iFs
漸く煉獄島に送られたという情報を掴むことができた。生きてはいるのだと安堵したものの、
しかしそれは困った事態だった。そこは教会の管轄地、世俗の権は及ばない。この姿ではどう
にかしたくともどうしようもないのだけれど。
迂闊に島に近付くことはできず、成す術もなく沖合から様子を窺う日々が続く。異変があれば
すぐに行けるように。
そんな状態が一週間程続いたある夜のことだった。
私はいつの間にか湖の畔に立っていた。トロデーンの城門からすぐの木立の中にある小さな湖
に。懐かしさに二、三歩踏み出して人の姿に戻っていることに気付く。
こんな時はエイトに逢える。誰の目を憚ることなくエイトだけを見詰めることができる。安否
の分からないあなたの消息を聞くことができる、と嬉しくなって辺りを見回した。
湖の向こう側、木立の中に赤いものが見え隠れしている。そう、あれは私が贈ったバンダナ。
渡した時にあまりに素っ気無かったので、嫌だったのではと密かに恐れていた。
でもあの災厄の後、旅姿で現れたあなたの頭にはあのバンダナが巻かれていた。そして
「どこまでもお供いたします」
と言ってくれた。呪われて悲しく辛い思いをしていたはずだったのに、舞い上がらんばかりに
嬉しかったことを覚えている。
エイトだわ、間違いなく。こちらに背を向け潅木に半分隠されていても分かる。でも何をして
いるのかしら?ぼんやりしているのなら驚かしてしまおうかしら。
380名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/16(火) 19:56:38 ID:TWz15iFs
と、なるべく音を立てないようにして近付く。どうやって驚かそうかと考えていたけれど、は
た、と足が止まった。
エイトは一人ではなかった。さっきは見えなかったけれど斜後ろのこの角度からならば見える。
こちらに背を向けるエイトの胸にはゼシカさんがしっかりと抱かれていた。いいえ、抱いてい
ただけではない。二人は…口づけを…交わし合っている…
その瞬間頭の中が真っ白になってしまった。とりあえずその場を立ち去らなければ、と身を翻
した途端、うっかり小枝を踏んで予想以上に大きな音が響く。はっと口を覆う私と何事かと顔
を上げたゼシカさんの目が合ってしまった。
「ねえ…」
「ん?」
「姫様が見ているわよ」
逃げたかった。けれども根でも生えてしまったかのように脚が震え動かない。
「気にしないでいいよ。どうせ馬でしょ」
続くエイトの言葉が私の血を凍らせる。
「ううん、人の姿になっているわよ」
「だから何?自分で『エイトにはエイトの人生があるのよ』って言ってたくせに夢の中まで追
い回されてうんざりしているんだ」
凍りついたように動けない私の身体を言葉がさらに鞭打つ。
「見せつけてやろうよ。もう二度と僕たちの邪魔をしないように」
「いやぁん、エイトったら、いやらしいんだからぁん」
「旅が終わったら結婚しよう。だから、さ」
もう駄目。全身の力を振り絞ってその場から走り去ることしかできなかった。

381名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/16(火) 19:57:54 ID:TWz15iFs
走って走って、息が詰まり目が眩んで木の根か何かに躓き、叩き付けられるように転んでしまっ
た。でもその痛みよりもさっきエイトから投げ付けられた言葉の方が痛い。
これは夢、不安な私の心が見せるただの幻影、そう思ってみてもただ、辛い。エイトの言葉は
どれも本当のことだったから…
私がサザンビークに嫁げばいつかエイトは誰かと結婚するだろう。でも私にはそれを止める権
利なんてない。それはエイトの人生なのだから。
頭では分かっているの。でも…
「覗き見するなんていけない子だね、ミーティア」
突然頭上から声が降ってくる。涙を拭うと目の前にエイトの靴があった。
「エ、エイト?」
慌てて半身を起こすとエイトがしゃがんで私の顔を覗き込む。
「ミーティアがいけないんだよ。僕の気持ちも知らないで行ってしまうんだから」
指が顎に掛かる。意地悪な光を湛えた瞳が近付く。
「そうだ、お嫁に行ってしまう前に味見しちゃおうかな」
気持ち悪い。触らないで。
「い、嫌…触らないで…」
「どうして?僕が好きなんでしょ?後生大事に守ってみてもあんなのに奪われるだけなんだよ」
「駄目…」
エイトの顔がますます近付く。
「それっぽく見せる方法なんていくらでもあるんだってね。そうすればいいだけじゃない?」
「嫌よ!触らないで!」
顎に掛かった手を払い除け、体勢を崩した隙に立ち上がる。
「だってあなたはエイトじゃないもの。指一本だって触られたくないわ!」
「ミーティア…」
哀れっぽい声を出して足に縋ろうとする。そんなのエイトじゃないわ!私は裾を払い、一歩下
がって叫んだ。
「私の心はエイトただ一人のもの、他の誰にも渡しはいたしません!
さあ、分かったならどこへなりと消えなさい、忌わしい化け物よ!」
           ※          ※          ※
382名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/16(火) 19:58:30 ID:TWz15iFs
…と、自分の嘶きで目が覚める。私の異変に気付いたお父様が駆け寄って来てくれた。
「姫や、怖い夢でも見たのかの?ほれ、冷たい水を汲んできてやったぞ」
お父様の心遣いが勿体無くも嬉しく、水を飲んだ。その冷たさに心が落ち着く。
でも本当に怖かった。夢であってもあのまま篭絡されていたら、と思うと今更ながら身が震え
てくる。
「それにしてもいつまでぼんやり捕まっているつもりなんじゃ。とっとと逃げ出してくればよ
いものを。姫に心細い思いをさせおって」
ごめんなさい、お父様。こんなことでご心配お掛けして。それでなくても大変な時なのに。
「もう一ヶ月じゃ。ワシはもう待ちくたびれたぞい」
今日も船で島の近くから様子を窺う。何かあったらすぐに駆け付けられるように。
エイト、無事でいて。そして早く戻ってきて。弱った私の心を叱って…
                    (続く?)
383名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/16(火) 20:00:00 ID:TWz15iFs
このままではエイトが最低過ぎるんでもう少し続きます。
384名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/16(火) 22:26:33 ID:Eu98eUDQ
エイトひでえ…(つД`)
たとえ姫の夢(妄想?)の産物だとしても許せん。
385名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/16(火) 22:28:18 ID:Eu98eUDQ
お?IDにドラクエでた。記念カキコ。

続きをひたすら待つ。
386名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/16(火) 22:35:00 ID:CLo7ylJP
GJです。
続きも楽しみ
387名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/16(火) 23:27:27 ID:3NGcGPjS
>383
なんつーか、もうネタ大放出状態ですな。

続きを楽しみにしてますですよ。
388名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/17(水) 00:19:30 ID:FfR+rtJg
おや。
いつの間にか最下層ではないですか。
389名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/17(水) 02:00:47 ID:yovJiBKD
させるかぁ!
390名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/17(水) 21:43:12 ID:jFChu99Y
>383-387
感想どもです。
エイトには次で挽回させますんでよろしくお付き合いください。

>387
ネタっていうか伏線とっとと片付けようモードですかね。
391名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/19(金) 01:58:37 ID:dyyyDN5W
 ◆JSHQKXZ7pE氏の続きを待ちつつ、ひとつ投げかけてみる。

長いけど、…誰もいないし、いいかな。 
392彼女と彼の事情  ◆nw3zSJjQag :2005/08/19(金) 02:00:43 ID:dyyyDN5W
ある日の昼下がり、ミーティア姫は近衛隊長の部屋の扉を軽く叩いた。
「ミーティアです。入ってもよろしいかしら?」
この城には彼女を妨げる扉など存在しない。けれど彼女は入室する前に必ず許可を求めた。
扉の向こうで「どうぞ」と優しい声が応える。この瞬間が好きだ。彼が自分の呼びかけに
応えてくれ、受け入れてくれる、この瞬間。ミーティアは大きく息をついて扉を開ける。
弾むような足取りで入ってくる彼女を部屋の主は柔らかい微笑みで迎えた。
「我が執務室へようこそ」
「…お仕事中にごめんなさい」
机に積み上げられた書類の束を見てミーティアが申し訳なさそうに言うと、エイトは
「構わないよ。暇ってほどじゃないけど忙しいわけでもないから」
おどけるように言ってぽん、と書類に印章を押す。
「あのね…少しの間、ここにいてもいい?」
「もちろん」
エイトがふわりと笑って頷くとミーティアの表情も喜びに輝いた。「…ありがとう」
彼女は窓際の長椅子に腰を降ろし、クッションを引き寄せてぎゅっと抱きしめた。
大きなふかふかのクッションと共に長椅子に収まり、仕事をする彼を見守る。
これまでに何度こうしてきただろう。少なくとも彼の部屋にお気に入りのクッションを
持ち込むぐらいにはお馴染みの光景になっていた。

クッションに頬を埋めながら机に向かうエイトを見つめる。彼は書類に目を通し、済んだ
ものから印章を押していた。かさかさと紙の擦れる音、ぽんと印の押される音が均等な
リズムで繰り返される。それはとても素早く単調に繰り返されるので、本当に全ての
書類に目を通しているのかと危ぶんだが、印章をペンに持ち替えて書き込んだりしている
ところを見ると、やはりきちんと文面を読み取ってはいるらしい。
黙々と作業を続けるエイト。彼は一旦集中すると周りが見えなくなるからミーティアが
傍にいても気を散らせることがない。
だからそれに甘え、じっとエイトの横顔を見つめる。
見慣れているはずなのに見飽きることがない。このままずっと彼を見つめていたい。
会話なんて交わさなくてもいい。自分にとって一番重要なのは彼の存在なのだから。
彼が傍にいるということ。彼の傍にいられるということ。その喜びだけ。――だけど。

393名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/19(金) 02:01:37 ID:dyyyDN5W
それでもまだ…不安なのだ。サヴェッラの一件からひと月あまりが過ぎようというのに。
あの婚姻は破談になったのに。これからもずっとエイトと同じ道を歩いていけるのに。
彼に約束をもらって、お互いの心が決して離れないことも知っているのに。…それ故に。
時々、この幸福が怖くなる。あまりに幸せすぎるから、もしかするとこれは全て自分の
妄想の産物なのではないかと疑い、現実を確認するために彼の元へと足を運ぶ。
扉の向こうで彼の声を聞くとほっとする。自分を迎える柔らかな笑顔を見て安心する。
大丈夫、彼はずっと“ここ”にいてくれるから――。

エイトはペンを印章に持ち替える。俯いた時に長い前髪が目にかかり、それをうわの空で
かき上げた。近衛隊長の制服の袖口からすらりとした手首が覗く。ミーティアは思わず
立ち上がって彼に歩み寄った。
「…姫?」きょとんと見上げるエイトの袖を軽くつまんで引っ張る。
「脱いで」
「はい?」
エイトはぱちぱちと瞬きをし、次の瞬間、大きくのけぞった。
「――ってそんな、いくら二人きりでもそれはやっぱり然るべき場合によると思うよ!」
「上着を脱ぐのに然るべき場合って?」
「ああ、上着ね。上着だけ、ね。はいはい。…いや別に期待してたわけじゃないけどさ」
わけの分からないことをぶつぶつ呟きながらエイトは制服の上着を脱いだ。
「姫って時々、思わせ振りな態度とるからなあ。今イチ天然か確信か見極めつかないし」
まだぐちぐち言うのを無視してミーティアは彼の腕を取った。袖口のボタンを外し、
そのままシャツの袖をするすると巻き上げた。三度ほど巻くともう片方の腕も取り、
同じように巻いた。そうして満足そうににっこり微笑む。
「旅をしている間に気付いたの」
何を、と小首をかしげて尋ねるエイト。仕事を中断させたことは咎めない。幼い頃から
彼女に振り回されるのには慣れている。
「エイトは腕まくりが似合うっていうこと」
「それはつまり…常に長袖を着て腕まくりしていなさいと言いたいわけかな」
「だってミーティアはエイトの腕が大好きなんですもの」
そう言ってミーティアは身をかがめるとエイトの腕に抱きつき、彼の肩に頭を寄せた。
394名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/19(金) 02:02:39 ID:dyyyDN5W
「……腕だけ?」
一瞬の沈黙の後、ミーティアはゆっくり頭を上げた。エイトは疑わしげに黒い瞳を半眼に
している。ミーティアはくす、と笑って彼の腕の中に華奢な身体をすべり込ませると、
その膝の上にふわりと座った。
「大好きよ、エイト」
「それで?」
彼のまなざしに期待が満ちるのを認め、ミーティアは微笑みを浮かべたままそっと片手を
伸ばした。エイトが身体を傾けてくる。彼の瞳を見つめながらその頬に――
ぺたん、と印章を押してやった。

「……そうきたか」
エイトはがっくりと机に突っ伏した。ミーティアは涼やかな笑い声をあげて彼の膝から
ぴょんと飛び降りた。
「まだまだ修行が足りませんね、近衛隊長」
「どうせ姫様には敵いませんよ」
拗ねた口調で言いながらエイトは洗面所に消えた。ミーティアはその背中を見送ると
彼が座っていた椅子に腰を降ろした。机の上に投げ出されたままのペンを取り上げて、
エイトがよくそうするように指の間で回してみようとした。…何度試しても上手くできない。
諦めてペン立てに戻そうとした時、「…あら?」
ペン立ての一番右端に刺さっているのは羽根ペンではなく、ただの羽根だった。
淡い紫色の羽根。どこか見覚えのあるそれは光にかざすと虹色に輝いた。

ああそうだ、と不思議な色の羽根を様々な角度で眺めながら思う。子供の頃は鳥に憧れて
いたっけ。翼があれば城の外へ出られるのに、と空を見上げてはため息ばかりついていた。
エイトに出会うまでは――。
遊び相手すらいない、勉強だけの毎日が嫌で嫌でたまらなかったけれど、彼の存在が全て
を変えてくれた。そうしていつしか空を見上げることを忘れてしまったのだった。
自分の幸せはいつでも傍にいてくれたから。――それは今でも変わらずに。
一度は遠く離れてしまったように思われたが、今、二人の道は重なっている。
あの長い長い旅を終えて、確かに掴んだ現実。この羽根は――その証だ。
そうね。何も不安に思うことはないのよね。ミーティアは小さく微笑んだ。
――誰もわたしから彼を取りあげることなんてできないもの。
395名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/19(金) 02:04:55 ID:dyyyDN5W
洗顔を済ませたエイトはミーティアへ歩み寄ろうとして、ふと足を止めた。
彼女はじっと羽根に見入っている。真剣な表情の彼女を見て彼は優しい笑みを浮かべた。
「綺麗だろ」
その声にミーティアははっと顔を上げた。そしていたずらっぽく笑う。
「あら、やっとわたしの幸せが戻ってきたわ」
「いつもそうでありたいね」
ミーティアが自分の椅子に座っているのでエイトは机の端に腰掛けた。
「ねぇ、これは神鳥レティスの羽根でしょう」
「正真正銘レティスの羽根だよ。ちょっと加工してあるけどね」
「あなたがこんなものを持っているなんて知らなかったわ」
エイトは子供のように足をぶらぶらさせながら、
「実はついこの間まで忘れてたんだ。誰にも内緒で袋に入れっぱなしにしてたから」
「どこで拾ったの?やっぱりレティシアかしら」
「拾ったんじゃないよ。抜いたんだ」
「エイト」ミーティアはあぜんと呟いた。「いつの間にそんなことを…」
「そう言えばあの時、目の前に暗黒神なんてものが浮かんでたっけ」
「…呆れた。決戦の最中に神鳥の羽根を引き抜くなんて」
「余裕の表れだと思ってほしいなぁ」
机に腰掛けたまま腕と同時に足を組み、ふっと笑うその仕草が意味もなく決まっていて
何だか格好良かった。――見惚れている場合じゃなくて!ミーティアはふるふると首を
振る。流されては駄目よ、ミーティア。彼は何かをとぼけようとしているんだから。
「どうして羽根が欲しかったの?それもわざわざ神鳥から引き抜いてまで」
「暗黒神を倒した記念に」
エイトはすらっと答えた。そんな彼をミーティアは上目遣いにじっと見つめる。
「…本当?」
近衛隊長は勢いよく机から降りるなり、びしっと姿勢を正した。
「白状すると、本当は錬金の材料にしたかったからです」
そして茶目っ気たっぷりに「よくわかったね」と首をかしげた。――勝った。
「ミーティアはエイトのことなら何でもお見通しなのよ」
そう言いながら得意げに羽根を振ってみせた。幼い頃からずっと誰よりも一番近くで
エイトを見てきたのだ。彼の性格は熟知している。
396名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/19(金) 02:06:35 ID:dyyyDN5W
「…なるほど」
エイトはそっと謎めいた微笑みを浮かべた。ミーティアはそれを見逃さない。
「まだ何かミーティアに隠している事があるのね」
「ないよ」
「本当に?」
にこにこしているエイトの顔をミーティアは下から覗き込んだ。お互いの視線が絡むと
エイトの口元から笑みが消えた。
「君に隠し事なんかしないよ」
彼はゆっくりと片手を伸ばし、ミーティアの髪に触れた。そうして優しく梳いていく。
その間ミーティアはじっと彼の瞳を見つめていた。
「まだ疑ってるの?」
「……いいえ」
彼の瞳から視線が外せないだけ。まっすぐに自分だけを見つめてくれるその黒い瞳から。
不意にエイトの手が止まった。髪から離れてそっと頬を撫でる。同時にミーティアの
心臓がとくんと跳ねた。
「エイト…?」
彼は両手で彼女の小さな顔を包み込んで、わずかに身をかがめた。ミーティアが胸を
高鳴らせながら瞳を閉じようとし
――たところで両手を離し、そのままぱんっと打ち鳴らす。
「きゃっ」
「はーい、時間切れー」
「……え?」
ミーティアは椅子の上で身をすくませたまま、大きな瞳をまたたかせた。…時間切れ?
「もうすぐ読書会の始まる時間ですよね、姫様」
時計を示してエイトはいたずらっぽく笑った。そんな彼にミーティアは頬を膨らませる。
「さっきのお返しのつもりね」
「あれ、もしかして何か期待してたのかな?」
挑発的に言い返される。ミーティアは一度彼を軽く睨み、つんとそっぽを向いた。
397名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/19(金) 02:09:05 ID:dyyyDN5W
エイトは含み笑いをしながら彼女に両手を差し伸べ、その身体を軽々と抱き上げた。
「さて、椅子を返してもらいますよ」
「その代わりにこれをもらっていきます」
ミーティアは澄ました顔で神鳥の羽根を唇に押し当てた。エイトは彼女を優しく絨毯の
上に立たせる。そして丁寧に一礼をした。
「姫様の仰せのままに」
「よろしい」
ミーティアはにっこり笑って頷くと、軽い足取りで扉へと向かう。大事そうに羽根を
握りしめて。エイトはゆっくり彼女の後に続いた。

扉の取っ手を掴むとミーティアは顔だけを振り向かせて、
「お仕事の邪魔をしてごめんなさい。…どうしてもあなたの顔が見たくなったの」
「わかってるよ。それに…」
エイトはふわりと笑った。「俺だって君の傍にいたいんだから」
その言葉にミーティアは眉根を寄せた。
「そんなこと言って。いつも会いに行くのはミーティアの方よ。たまにはあなたから
会いに来てくれてもいいのではなくて?」
「俺が会いたいと思った時に君が来てくれるんだよ。これぞ以心伝心。ラブラブだね」
ミーティアは無言で彼の額を平手打つ。ぺち。
「いて」
「本当にもう…いつからこんな調子のいい人になってしまったのかしらね」
ミーティアは大きく扉を開け、長い髪とドレスの裾を翻して部屋を出た。少しだけ背中を
前倒しにして足早に歩いていく。いつもの慎み深い王女の歩き方ではない。
そんな彼女を見送りながらエイトは愛おしそうに微笑んだ。確かに王女としての気品溢れる
高貴な彼女にも憧れを抱いてはいるが、それ以上に幼い頃から自分の前で無邪気に振る舞う
おてんば姫の方がもっとずっと好きなのだ。
「――さ、仕事仕事」
398名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/19(金) 02:11:24 ID:dyyyDN5W
机に戻り、書類をさばきながらミーティアのことを思う。
公務の合間に自分の部屋を訪れる彼女。その本当の理由を実はずっと以前から知っていた。
知ってはいても彼女の抱く不安は彼女自身の問題だから、自分がしてやれることといえば、
彼女の目の届くところにいてその呼びかけに応えることだけだった。それが歯がゆかった
けれど――。そっと額を撫でる。あの様子を見ると、どうやら彼女の屈託は晴れたようだ。
神鳥の羽根がそのきっかけになったのか。神鳥の羽根といえば。――あれは危なかった。
彼女に嘘はつけないから、つい本当のことまで話してしまいそうになった。
神鳥レティスから羽根を引き抜いた理由を。
暗黒神を倒した記念にとか、錬金の材料にしたかったとかそれも確かにその通りなのだが、
もうひとつの真実は――。
タンバリンを叩くか、ベホマズンを唱えることしかさせてもらえずに、拗ねて神鳥の羽根を
むしっていたのだ。ぶちぶちと。地獄からいかずちを呼び寄せ続けるククールを横目に。
――最後ぐらいギガブレイクをたたき込んでやろうと思ってたのに、ゼシカ(グリンガムの
ムチ装備・バイキルトでコーティング)の双竜打ちでとどめだなんて…。
そんなこと、絶対ミーティアには言えない。…いや、言いたくない。

そう、ミーティアに隠し事はないが――黙っている事なら、いくらでもあったりするのだ。
例えば最近では、自称「エイト隊長のファン」を名乗るメイドからお手製の焼き菓子を
もらってしまったこととか、そこのバスケットの中で丸くなって眠るトーポが実は竜神族の
長老で自分の祖父であることとか、旅の途中では、錬金に目がくらんでミーティアの
ガーターベルトを材料にしてしまい、ベルガラックにて再びガーターベルトを手に入れて
へこんだこととか、その腹いせに、当時覚えてもいなかったギガデインを盛大に放って
ククール(エロスの弓装備)をぶちのめしたこととか、女盗賊ゲルダのアジトで更にまた
ガーターベルトを手に入れてしまって、その夜は眠れなかったこととか…等々。
399名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/19(金) 02:13:27 ID:dyyyDN5W
「隠し事」と「黙っている事」との違いは何だろう。
書類の束を揃えながらエイトは薄く微笑む。
「全くの秘密」と「知られてもいいが絶対に自分からは言いたくないこと」――だ。
それでは、と考えを巡らせる。「姫君の恋人にとって必要な事」とは。
――度胸、はったり、そして…開き直り、だな。

くすくす笑いながら印章を印章入れにしまう。
ふたを閉めると、それはぽくん、と間抜けな音を立てた。

                             (終)    
400名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/19(金) 08:36:39 ID:oXaFw6XD
GJ!
エイトのキャラクターがすごく好き。ミーティアもカワイイ。
萌えだけじゃなく、話も面白かったです。
401名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/19(金) 09:42:57 ID:+hK2ic02
うわ…すごい萌え。
2人の日常会話っていいね。

しかし主人公達スレと続けて読むとなんだかなーだなw
402名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/19(金) 11:06:20 ID:c9anuThV BE:36129233-
>>401
8主「呼びましたか?」
403名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/19(金) 13:45:01 ID:HbIXGKeU
5主「俺にもあんな初々しい時代があったな・・・」
404名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/19(金) 15:53:29 ID:j0w8XnyO
ミーティアのガーターベルト(((゚Д゚))))ガクガクブルブル
405名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/19(金) 20:42:31 ID:GQ/saUqo
うおおおお〜っエイトもミーティアもイイ!
ちゃんと仕事をしているエイトが最高。クッションに顔をうずめるミーたん萌え。
GJ!!

でもタンバリンとベホマズンって(涙)
そういやうちの主はなにやってたっけな。やっぱりベホマズンとギガブレだった。
ククールには賢者の石とタンバリンを持たせていたので忙しかった。
懐かしいなぁ。
406名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/19(金) 21:10:35 ID:UwQyb7Ns
読んで下さった方、感想下さった方、どうもありがとうございます。
なんかハッシュと腐乱バニラ国王もいるけど。

うわはい、萌えたと言ってもらえたよ。
ハグもないちゅーもない、あるのは寸止めのみなのに…。嬉しいです。
今回のテーマは「そこに萌えはあるのか?」でしたから。

それでは、また何か思いついたらひっそりこっそり置いていきます。


407名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/19(金) 23:12:26 ID:sp/ooPlR
>406
そこに萌えはあったぞ!それも禿萌えで。
ただ、鳥の羽は哺乳類の毛と違い血管が通っているので無理に抜くとかなり痛いらしいぞ。

そう言えばうちも一周目はベホマズン係だった。
スキル配分ミスっててラプですら大苦戦w
タンバリンは行動順の都合でクックルだったけど。
408406:2005/08/20(土) 01:20:52 ID:fJqc+6P3
>>407
>鳥の羽は
ククールがジゴスパーク連発で剣をがすがす突き立ててるから、
10本や20本引き抜いても分からないんじゃないかなーと。…抜きすぎか。

409名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/20(土) 14:18:02 ID:u++O06JA
レティス「エイト・・・エイト・・・痛いです。」

レティス「(`・ω・´)ぶち殺すぞ」
410名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/21(日) 12:15:09 ID:uottmPwL
>>74-78「荒野の幻影」、>>378-382「湖畔の幻影」の続き
411夢よりも確かなもの ◆JSHQKXZ7pE :2005/08/21(日) 12:17:21 ID:uottmPwL
目を、逸らされた。
煉獄島から漸く脱出してきた四人が、お父様と一緒に船に乗り込んで来る。出迎える私と目が
合った瞬間、エイトは俯いた。
気のせいよね…と思ってみたけれど明らかに私の目を避けている。一ヶ月にも及ぶ幽閉生活で
汚れている自分を恥じているのかと思ってみたのだけれど、そうではないような気がする。
夢だと思っていたけれど実は本当のことだったのかもしれない。人の姿をしていない、その上
誰か他の人との結婚が決まっていてそれを動かしようもない人より、誰だって自由な立場の人
の方がいいに決まっている。それにゼシカさんは女の私の目から見てもとても魅力的なのだし…
そう思い始めると急にそれが確定事項のように思えてくる。ククールさんにはつんけんしてい
るのにエイトに対しては優しいゼシカさん。エイトもいつも気を付けて装備を整えてあげてい
る。最初は女の身で魔物と戦いながらの旅なのだし、装備がちゃんとしていないと命に関わる
からそうしてあげている、エイトは気が利く、優しい人だと思っていたの。でも本当は違って
いた。見ていないけれどもう分かったわ、新たな街に着く度に二人で楽しく買い物しているっ
てこと!
こんな時表情を持たない馬の姿でよかったと思う。本当は声を上げて泣いてしまいそうだった
から。でもこんなことで悲しそうな様子を見せたくはない。特にエイトにだけは。
確信してしまうと再会の喜びも萎んでしまった。お父様と矢継ぎ早に情報を交換し合っている
四人を後目に、さり気ない風を装って隅の方へそっと退く。素知らぬふりをして海の方を眺め
る。でも本当は何も見えていなかった。
「姫様…」
低い声で呼び掛けられる。エイトだった。
「ご迷惑お掛けして申し訳ございませんでした」
いつもと変わらぬ様子だったので少し落ち着きを取り戻した。けれどその礼儀正しさこそがゼ
シカさんを選んだ証のように思えてならない。
「あの…本当に申し訳ございません。僕の判断の誤りでこんなことになってしまって」
そんなことなんて気にしていないわ。
「あの…姫様…」
気を遣っていただかなくてもいいの。本当はゼシカさんの傍に早く戻りたいのでしょう!
「姫様?」
耳を伏せ顔を背ける私にエイトはただ溜息を吐くばかりだった。
412名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/21(日) 12:18:26 ID:uottmPwL
           ※          ※          ※
あの夢のことがあって最初は甲板で出迎えてくれたあの方と目を合わせるのが怖かった。その
澄んだ瞳に何もかも見通されるのではないか、と思って。でもあの方の姿を見たいという思い
を抑えることはできず、王様と話し合いながらもちらちらとあの方の姿を窺っていた。最初は
ミーティアも嬉しそうに僕たちの話を聞いていた。なのに、途中からだんだんうなだれてきて
ついには隅の方へ引っ込んでしまった。
あまりに悲しそうだったので、そっと近付いて一ヶ月もの無礼をお詫びしたんだけど埒が開か
ない。まさかあの夢を共有していたんじゃ…いや、でも、あの夢の中のミーティアは僕の願望
から造り出された幻影だった筈。もしかしてどこかから見ていらしたんだろうか。それなら辻
褄は合う。最初は嬉しそうになさっていたのは腑に落ちないけど。
でもあんなことをしているのを見たらきっと嫌な気持ちになるに違いない。それも自分にそっ
くりな人に。
謝っておいた方がいいのかな。でも何て言えばいいんだろう。
「あんなところをお見せして申し訳ございませんでした」
「あれは本意じゃなかったんです」
…だめだ、どれもなっていやしない。見せなければ何をしてもいい、って訳じゃないだろうに。
きっと「見ていないところでそういうことしているのね」って思われてしまう。
ああもう、どうしたらいいんだ!
          ※          ※          ※
413名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/21(日) 12:19:51 ID:uottmPwL
すみません、ちょっと都合で後でまたうpします…
414名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/21(日) 12:51:04 ID:uottmPwL
(続き)

サヴェッラで聞いた話から考えて、杖はどうやらマルチェロが持っているようだった。まずは
奴から杖を取り戻そう、とみんなの意見が一致した。全ての賢者の魂を吸い取った状態でまた
封印できるかどうかは分からないけど、でもそれが一番いい方法だと信じて。
彼は法皇位を継ぐため既にサヴェッラを出てしまっている。そこで僕たちも後を追って聖地ゴ
ルドへと向かった。

ゴルドに着くと、明日がその法皇就任式だとかでいつもにも増して混雑している。就任式の前
に取り戻したかったんだけど騎士団の連中に阻止されてしまった。式の前で警備が厳しくなっ
ている。今夜はあきらめ、明日に賭けることにした。
皆疲れているし今夜はちゃんとした寝床で寝たかったんだけど、宿はもう満員だった。
「平気平気。変なハンモックより船の寝床の方がいいわ」
「大体ここやサヴェッラの宿はぼったくり過ぎでげす。泊まる気にゃなれねえでがすよ」
「だな。ハンモックで一人五十ゴールドなんてぼったくりバーも真っ青だぜ」
なので今夜は船着き場に船を泊めその中で、ということになった。簡単な料理を作って食べ─
それでも久しぶりの温かい料理は有り難かった─、早目に床に着く。船なので王様も一緒に寝
床に入られた。

415名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/21(日) 12:54:10 ID:uottmPwL
その夜更け。
僕はなぜか目を覚ました。疲れていたはずだったのに。そしてそのまま眠れなくなってしまっ
た。寝床は暑苦しく、とてもまた眠りに就く気にはなれない。仕方なく夜風にでも当たろうか
と思って甲板に出た。
静かな夜だった。ただ寄せては返す波の音ばかり。明日戦いが待っているとはとても思えない。
でも波の音に耳を傾けるうち、ふと異変に気付く。
あの方がいない。天気のいい夜はいつも甲板で星を見ていらっしゃるのに。
辺りを見回すと近くの波打ち際に佇んでいる姿が見えた。ああ、ミーティアも眠れないんだろ
うか、波の打ち寄せる様子でも見たかったのかもしれない、と思ったんだけど、どうも様子が
おかしい。その姿から深い悲しみと異様なまでの緊迫感が漂っている。
と、海に向かって一歩踏み出そうとした。
「ミーティア!様!」
つい昔のように呼んでしまい、慌てて敬称を付けた。ミーティアははっとこちらを見たけど、
すぐに頭を廻らし海の中に進んで行こうとする。
「何をなさっておいでです?!」
船のタラップを降りるのももどかしく、途中で飛び下りて水を跳ね飛ばしながら浅瀬を走る。
水に足を取られ転びそうになりながらも何とか辿り着く。もう僕の腰の深さの所まで来ていた。
腕を広げ行く手を遮りながら問いかける。
「いかがなさったのです?このままでは溺れてしまいます」
聞かないふりをして深みへと歩いて行こうとする。このままでは危ない、何が何でも止めさせ
ようと頚を抱き、踏ん張ってそれ以上進ませまいとした。
「お止めください、どうか!」
僕を払い除けようと頚を振り、あの方は進もうとする。下は砂地で踏ん張りが効かず、僕はそ
のままずるずると深みへと押されていった。
416名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/21(日) 12:56:14 ID:uottmPwL
「ミーティア!」
もう顎を挙げていないと口に水が入ってくる、そんな深さまで押されてしまった時思わず叫ん
でいた。「姫様」とお呼びしなければならないことも忘れて。
「もしかして死にたいんですか!そんなこと僕が許しません!」
一瞬歩みが止まった。深い悲しみを湛えた瞳が僕を見遣る。
「どうしてもと仰るのならば、僕を殺してからになさってください。姫様にならば本望です!
さあ!」
何としても思い止まらせたくて叫ぶ。今、自分が何を言っているのか、何をしているのかよく
分からないままに。
「どうなさいました?死にたいのでしょう?だったら僕もお供いたします。城を出る時申し上
げましたでしょう、『どこまでもお供いたします』って!」
歩みは完全に止まっていた。
「いつまでも呪いを解くことができずにいる僕にお腹立ちなのは分かります。ですがどうかお
時間を。必ず、この身に代えても呪いを解く方法を見つけ出しますから…」
見上げると泣き出しそうな顔をしているように見えた。
「不甲斐ない僕をお許しください。愛想を尽かせてくださって結構です。でも僕は最後までお
供すると心に誓いました。例え姫様が嫌だと仰ってもお供いたします」
見上げているうち、ミーティアは小さく溜息を吐いた。何か言いた気に。
「泉に参りましょうか?」
抱かれていた身体がぴくりと動いたかと思うと、ミーティアは激しく首を横に振った。
「その姿ではお苦しいでしょう、行きませんか。いくらでもお話を伺います」
馬の姿では泣くことすらできない。泉で人の姿に戻られた方がいい、と思ったんだけど…腕の
中のミーティアの心臓は激しく脈打っているし、少しでも楽にして差し上げたかった。
「僕にご不満があるのでしたらどうぞ仰ってください、だから泉に行きましょう」
今度も横に首が振られる。でも穏やかになった息遣いが落ち着きを取り戻しつつあることを示
していた。
417名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/21(日) 12:57:54 ID:uottmPwL
「どうかお一人で…どこかに行ってしまわないでください…」
呟く僕の頭の上にミーティアの頭が乗せられる。はっとしたけどすぐに頚をしかと抱き直した。
もう絶対に離すまいと。
傍目にはただ馬とそれにしがみついているだけの僕たちの姿。でもどんなに姿が変わろうとも
誰よりも慕わしく、何よりも大切なあの方に違いはない。今だけ、今だけはこのままで…
でも潮は静かに満ちてさざ波が僕の顔を濡らし始めた。それでも構わず頚を抱き続けていると
不意にバンダナが引っ張られる。見上げるとあの方の目が微笑んでいた。
「…戻りましょうか。潮も満ちて来たことですし」
そう言って腕を離すとミーティアは身体の向きを変えた。いつものようにそっと肩に手を掛け
るととことこと─水の中だから音はしなかったけど─陸に向かって歩き出した。

陸に戻ったのはいいんだけど、塩水に浸かっていたせいで何もかも濡れてぶよぶよだ。せっか
くの美しい芦毛も艶を失ってしまっている。
「どこかで身体を洗わないと」
と言ってもゴルドのある島はほとんどが荒れ地だ。水は女神像の横を滝となって落ちた後、地
中へと吸い込まれてしまう。
「船に戻りませんか、水もありますし」
でも首は横に振られた。僕もまだ船には戻りたくなかったし、いいかな。
「では水をこちらに持って参ります」
それも首を横に振る。
「そのままでは塩だらけになってしまわれますよ」
と言うと困ったような様子を見せた。
「…では少しだけ歩きましょうか」
           ※          ※          ※
418名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/21(日) 12:59:11 ID:uottmPwL
ごめんなさい、ごめんなさい、エイト。
わがままだった私を許して。弱いミーティアの心を叱って。自分の心に振り回されてあなたを
失ってしまうところだったわ。なのにどうして、こんな酷い私に優しくするの。
泉には行きたくない、いいえ、行けないと思ったの。あんなにぐちゃぐちゃな気持ちのまま行っ
たらただもう泣くしかできなかったもの。それに何を口走ってしまうかも分からなかった。
ずっと思い悩むうち、「私の存在が何もかもいけないのかもしれない」という気持ちになって
しまって。あの時はもう、自分の存在を消し去ることばかり考えていた。私を止めようとする
あなたの言葉も口先だけのことだとばかり思っていた。本当は違っていたのに!
お父様への忠誠にせよ、…何にせよ、私を案じてくれる心は真実のこと。なのに気付けなかっ
た。気付こうとしなかった。自分の心の暗闇にばかり囚われて何も見えなくなっていた。
「どこまでもお供いたします」
…そうよ、あの時その言葉に勇気づけられてどこまででも旅して行けると思ったのではなかっ
たの?
もう悲しい夢に惑わされないから。ただあなたの背中だけを見詰め付いていくわ。どこまでだっ
て付いていくわ。今改めて心に誓い直したから。

419名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/21(日) 13:00:09 ID:uottmPwL
少しだけ、ということで一緒に浜辺を歩いていた時、ちょっと立ち止まって隣のエイトをちら、
と見遣った。エイトも私を見返して微笑んでくれる。嬉しくなってまた歩こうとした時、低く
呼びかけられた。
「あの…姫様…」
つい人の時の癖で顔をエイトの方に向ける。
「お名前でお呼びしてもよろしいですか」
息が止まりそうだった。あんなに何度もお願いしてもなかなか変えようとはしてくれなかった
のに。
「ミーティア様」
エイト!
「どこまでもお供いたします」
どこまでだって付いて行きます!
「ミーティア様」
何度でも呼んで。自分の名前がこんなに美しいものだなんて知らなかった。
「僕の…あ…心を、永遠に捧げます」
身体が震える程嬉しい。
「ミーティア様?」
私の心も永遠にあなたのものよ、エイト。もう自分の心が産み出す闇に惑わされないから。
頚を差し伸べる。塩っぱい匂いのするエイトの前髪を掻き分ける──

月夜の浜辺、白い馬が青年の額に顔を寄せ、前髪の毛繕いのような仕種をしていた。青年もそ
の馬の頭に腕を廻し、もう一方の手で髦を梳き遣っている。浜辺の二人の姿を見た人は誰も、
いなかった。
                     (終)
420名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/21(日) 16:22:35 ID:cyvQJdop
乙です!
荒野の幻影のアレをミーティアに見られたと思ったら、そりゃ顔も見られないわな〜。
異色の連作面白かったです。
421名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/21(日) 23:50:16 ID:ULhsyUMF
姫…
そんなに思い詰めないで…(つД`) 
422名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/22(月) 21:59:11 ID:dOsn+U94
感想どもです。

>420
エイトはあの時点で「やだ」って言いつつかなりいい思いしてたんでヒヤヒヤしてもらいました。
代わりにみーたんがちょっと気の毒だったかな…

>421
自分の中で考えているうちに悪い方へ行ってしまう、思考のデフレスパイラル状態でしたね。

いろいろな方とネタ被ってしまったかもしれません。
もしそう思っている方がいらっしゃいましたらお詫び申し上げます。
423名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/24(水) 21:52:23 ID:jQHD2Gwl
そう言えばまとめサイトもうすぐ10000HITだね。
日頃お世話になっているし何かお祝いしたいなあ。
とはいえたいしたことはできないけど。
何か希望はありますか。>中の人
424名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/25(木) 01:36:45 ID:H/3l+u/E
わあ、本当だ。もうすぐだねぇ。
こりゃめでたい。
425名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/27(土) 00:24:39 ID:+F0nvBxs
保守
426名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/27(土) 22:45:29 ID:+F0nvBxs
危なかった…
今回の圧縮でかなりのスレが落ちちゃったよ。千一夜とか。
夜中にふと思いついて保守しておいてよかった。

と言いつつもいい話題がなくて申し訳ない。
427名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/27(土) 23:08:10 ID:AExfo81/
>>423
ここの住人が読みたいもののリクエストを聞いてみるのはどうですか?

2ヶ月以上放置したままで申し訳ないです。
来週くらいにはアップできるようにしときます。
428名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/27(土) 23:33:51 ID:UGHYZpx4
>423
負担のかからないようにやってくださって結構ですよ。
まとまった形でssが読めるというだけでもこちらとしては大変ありがたいことです。

>読みたいもののリクエスト
お題みたいな感じになるのかなあ。やったことないけど楽しそうだ。
それとも前のスレだったっけ、「ちょっぴりおてんばみーたん」みたいなお題がくるのかなw
ちょっと考えておこうっと。
429名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/28(日) 11:33:53 ID:dgji6WE9
9932hitだよ。
430名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/29(月) 01:20:00 ID:1QincUiM
今行ってみたら9980hitでありました。
431名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/29(月) 18:37:28 ID:zIceFfR4
ふらっとまとめサイト行ったら10000踏んじゃった…
432名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/29(月) 18:59:47 ID:nw+Ob5UO
>431
おめ!

よーし、パパ頑張って431氏好みのSSうpしちゃうぞ…
すまん、できるかどうかも分からない約束はするもんじゃないな。
それにしてもめでたい。
433名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/30(火) 00:10:50 ID:Q7GFhHzv
というわけで。
431氏、何かリクしてみては?
434名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/30(火) 01:04:44 ID:CoCkhDcE
>431
うん。何かあったらぜひ。
435名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/31(水) 02:15:37 ID:ZZ9hxsrx
何かないか、何かないか…。

って、気付けばもうすぐ最下層。
寂しい…(つД`) 
436名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/31(水) 21:20:14 ID:hHodT+3n
まとめサイトさんいつもありがとうございます!
そして1万ヒットおめでとうございます。

437名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/31(水) 23:35:36 ID:JnoAYfcv
リク来ないな…
ないならこちらで書いてしまってもいいかな?
今ちょっとへべれけなんで今夜はむりぽだけど、明日か明後日には。
438名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/01(木) 01:12:06 ID:VdaZgu9d
リクないんだったら、前スレのあれやって欲しいな。

>破瓜が発覚。結婚式中止。ミーティア反逆罪で打ち首寸前にエイト乱入。そして・・・
439名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/01(木) 04:25:53 ID:bnjNBvAd
ぽっきあげ
━━━━一
440名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/01(木) 22:46:26 ID:F8/iqTkU
勝手ながらまとめサイト10000HitおめでとうSS置いて行きます。
なお、都合上前編後編に分けさせていただきます。
441温泉に行こう!(前編) ◆JSHQKXZ7pE :2005/09/01(木) 22:48:34 ID:F8/iqTkU
「パンパカパーン!おめでとうございまーす!」
旅の途中、息抜きに(正確には景品目当てで)立ち寄ったベルガラックのカジノ。階段を登り
扉を開いた途端、僕たちは盛大なファンファーレと立ち並ぶバニーさんたちに出迎えられ、面
喰らった。
「なっ、何、これ!?」
「あら、エイトたちじゃない。ひさしぶりね」
「これは奇遇だな。よくよく縁があるらしい」
驚く僕たちにフォーグさんとユッケさんが近寄ってくる。
「私たちがカジノを引き継いで君たちがちょうど一万人目のお客様なのだ」
「そうそう。で、お兄ちゃんと話し合って一万人目のお客様を温泉に招待しようってことになっ
たのよ」
「へえ…」
確かにカジノが再開してからずいぶん繁盛しているようだ。
「いやそれにしても君たちとはな。企画してよかったよ」
「でも温泉なんてあったか?」
「いや、あっしも聞いたことねえでがす」
「そりゃそうよ。なんてったってあたしたちが新しく作ったんですもの」
「カジノで楽しんだ後は温泉でリラックスしてもらおうと思ってね」
「ふーん…」
「で、どうするでがす?決戦前に英気を養うでがすか?」
「うーん…」
長い旅でみんな疲れているだろうし、最後の戦いに備えて休養も必要かもしれない。でも本当
に休養が必要なのは…
「…あの、それ、ちょっと待ってもらえませんか?」
「んー、いいけど?」
怪訝そうな顔をする二人に言った。
「今は先を急ぐ旅の途中なんです。今日ここに寄ったのもグリンガムの鞭が欲しかったからで。
温泉は全部終わってからにしたいんです」
           ※          ※          ※
442名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/01(木) 22:52:07 ID:F8/iqTkU
旅が無事終わり、その後のごたごたも片付いてその話をみんなにしたらあっという間に温泉ツ
アーが決定した。
「どんな温泉なのかしらね」
「トロデのおっさんは誘わなかったんでがすか?」
「うん、誘ってみたんだけど、『若いモン同士楽しんで来りゃええ』って」
皆で温泉に行きませんか、と誘ったんだ。神経痛にもいいらしいし。でもあっさり断られてし
まった。
「…おぬしらがいちゃついているところなぞ見たくないわい…」
と聞こえたような気がしたけど、まあいいか。
「じゃ、今回は五人ね。エイト、姫様、ヤンガス、ククール、私の」
「うん、そうだよ」
「どんな温泉なんでがしょうねえ。楽しみでがす」
「有閑マダム…」
ククールがぶつぶつ呟いている。ここに来てゼシカがメラゾーマ連発したりすると困るのでちょっ
と突いてみた。
「うん?」
我に返ったククールにそっと囁く。
「涎、拭いた方いいよ」
「それにしても変わった建物ね。エイトの故郷のような…でもちょっと違うかしら」
「本当ねえ。初めて見たわ」
幸いククールの呟きは聞こえなかったようだ。何事もなかったかのようにあちらでミーティア
たちが話している。
「おおっ、出迎えのお姉ちゃん方も変わった服着てるでがす」
「これはこれでいいな。色っぽいぜ」
出迎えてくれる人たちはみなピンク色のお揃いの服を着ている。制服なのかな?でも見たこと
のない形だった。強いて言うなら竜神族の民俗衣装にちょっと似てる、かも。
「ようこそ竜探究の宿、空海土(そらしど)へ。本日は皆様の貸しきりでございます」
へえ。それはすごいや。あ、ククールには残念だったか。でも余計なごたごたがなくなってい
いかも。
「お部屋に御案内いたします。お荷物は後でお部屋にお運びいたしますので、どうぞそのまま
で。それからお履物はそちらにお預けください」
443名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/01(木) 22:54:32 ID:F8/iqTkU
えっ、靴脱ぐの?裸足で歩くんだ。
「危なかったでがす。最初履いていた靴下に穴開いてたんでがすよ」
こそっとヤンガスが呟いた。
「くそっ、こんなことになるなら早く言ってくれよ」
ククールは向こうでブーツを脱ぐのに手間取っている。
「裸足で歩くなんて初めてよ」
隣のミーティアが嬉しそうに言う。ちょっとはしゃぎ気味だ。
「大丈夫?冷たくない?」
「ううん、平気よ。気持ちいいわ」
「うん、そうだね」
板の上、そして草で編んだ敷物の上を裸足で歩く感触は慣れてしまうと気持ちよかった。
「当旅館は異国の雰囲気を味わって頂こうというコンセプトの元に設計されております。御不
審な点がございましたらなんなりとお申し付けくださいませ」
靴を脱ぐのもその一環か。
「こちらがお部屋でございます」
あれ、椅子がないよ。ああ、レティシアみたいに円座に座るのか。もしかして寝床もそうかな。
ミーティアは大丈夫だろうか。
「御婦人方は隣のお部屋でございます。お部屋同士でお話しする場合はそちら零番の紐をお引
きください。私どもをお呼びになる場合は一番の紐で」
便利だなあ。トロデーンにも付けてみようかなあ。
「お召し替えなさいますか?」
「「「へっ?」」」
唐突な言葉に三人とも目が丸くなる。
「当旅館ではお客様にお寛ぎ頂けるよう、浴衣のサービスを行っております」
ゆかた?何だろう、それ。
「御婦人方もお召し替えなさっていらっしゃいます」
じゃ、着てみるか。
「あ、オレはパス」
「何だよ、付き合い悪いなあ」
「あっしは着てみるでがす。何事も挑戦してみるでがす!」
ごそごそごそごそ…
444名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/01(木) 22:55:46 ID:F8/iqTkU
「みんな、着替え終わった?」
ひょい、とゼシカが顔を出した。えんじ色の地に山百合の花が大胆に散らされた柄の『ゆかた』
を着ている。
「おお、ゼシカの姉ちゃんなかなかいいでがすよ」
「ミーティアは?」
と聞くと扉の陰からすっと頭が覗いた。
「出ておいでよ」
「変じゃないかしら」
そう言いながらミーティアが姿を現す。紺色の地にあやめかな?それとも菖蒲かも、がすっき
りしていて可愛らしい。
「うん、似合っててとってもかわいいよ」
大きな声で言うのはちょっと恥ずかしいので近寄ってこそっと囁く。でも途端に頬を染められ
て、結局バレバレだ。せっかく周りは見てないふりしてくれていたのに。
「そっ、それじゃ温泉に入りに行こうか。…ククール、やっぱりそのままで行くの?」
「おう」
腰に手をやって格好付けているんだけど、裸足に赤い騎士団の服ではいかにも間抜けな感じだ
よ。
それではまずは温泉だ!

445名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/01(木) 22:57:34 ID:F8/iqTkU
宿自慢の温泉は確かに凄かった。
「すごいねえ」
浴場に足を踏み入れた僕たちは口をあんぐりと開いた。いろんな種類のお風呂にすごく広い露
天風呂。向こうの方には砂風呂まである。
「もう何でもありだな」
早速みんなで露天風呂に入ってみることにした。
「外でお風呂に入るなんて、って最初は思っていたんだけど結構いいね」
「風が涼しくて気持ちいいでがすよ」
「それにしてもここはどこなんだろうなあ。ベルガラックからルーラみたいなのであっという
間に飛ばされてしまったし」
「まあ細かいことは気にすんなって。いいところだってのは間違いねえんだし」
「うん、そうだね」
と僕がヤンガスの言葉に相槌を打った時だ。気に留めていなかった垣根の向こうから「うふふ」
という笑い声が聞こえてきた。
「ん?あれは?」
小さく「姫…お肌す…」とか「ゼシカさ…胸直に…」とか切れ切れに聞こえる。
「お、おい、もしかしてこの垣根の向こうは女湯か?」
浅いところで寝そべっていたククールが急に身を起こした。そしてひそひそ声で僕たちに話し
掛けてくる。
「そのようでがすねえ」
ヤンガスは我関せず、といった風情で湯に浸かっている。
「つーことはあれか?この向こうにゼシカのナマチチがあるんだな!?」
興奮し過ぎだろ、それは。っていうかなぜそこで垣根の方に行くんだ?
「趣味悪いなあ。大体そんな覗きなんかしなくても見放題な生活しているんじゃないの?」
「いや、それはそれ、これはこれだ。男のロマンってやつさ。…と、この岩に登れば見えるか
も…」
全く懲りないなあ。どうせ顔出した途端ゼシカにメラゾーマ食らって終わりに決まっているの
に。
…って、ゼシカだけじゃないんだった!ミーティアもいるのに!ククールなんかにあの玉のお
肌を見られてたまるか!
446名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/01(木) 22:58:47 ID:F8/iqTkU
うわ、どうしよう。ギガデインはまずいよな、みんな感電してしまう(お湯に浸かっているか
ら)。といって剣も槍も持ってないし。
あ、あ、どうしよう、もう岩によじ登ってるよ。手元にあるのは…手桶?えーい、うまくいく
かどうか分からないけど投げてやれ!
「えいっ!」
バコッ!見事ククールの後頭部に命中
「でっ」
ポカッ!返る手桶がもう一回、今度は額に当たる。
「ふがっ!わーっ」
ザッバーン!
「初めて見たでげす…」
旅の途中、覚えたものの結局一度も使わなかったクロスカッターだ。
「一度も実戦で使わなかったから忘れたかと思っていたんだけど、案外上手くいくもんだね」
「ぶへっ、お湯飲んじまったぜ。邪魔すんなよ、エイト。せっかくいいところだったのに」
文句を言いながらククールが立ち上がる。
「こんなのバレたら後で全員マダンテの刑だよ。ここまで来てそんなの嫌だからね」
「ちょっとー」
垣根の向こうからゼシカの声がした。
「騒がしいけど何かあったのー?」
「ううん、何でもないよー」
「何でもねえでがすー」
慌ててヤンガスと返事する。ふうー、危ない危ない。
「エイトー、露天風呂ってとっても気持ちいいわー」
あ、ミーティアだ。
「うん、とーっても気持ちいいねー」
と返事をした後でヤンガスが妙ににやにやしているのに気付いた。
「見られたくなかったんでげすね…兄貴…」
「何だ、そういうことか。あ、待てよ。つーことは姫さ…」
「今日はかがやくチーズを食べようか、トーポ。で、そこの人かちかちにしてやってよ」
                     (続)
447名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/01(木) 23:08:19 ID:F8/iqTkU
何つーか…アホアホですみません。
旅館の名前なんてマヌケの極みだし。

>>438
あの話…正直皆さんの考えの方が読んでておもしろかったっけ。
あの時点では書けないと思っていたんだけど今思い返してみると行けるかも。
少し長くなりそうだし、他の話も交えながらになりそうですがいいですか。

 はい
 いいえ
448名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/01(木) 23:31:45 ID:2KR6fgLw
どうぞいっちゃってください。
楽しみに待ってます。
449温泉に行こう!(後編) ◆JSHQKXZ7pE :2005/09/02(金) 19:50:38 ID:3tdhScXj
ちょっとしたごたごたもあったけど温泉にも入ったし、豪勢な夕食も堪能できて大満足だ。
さすがに日中あれだけ騒いだせいか、部屋に戻った途端二人はばったりと眠り込んでしまった。
でも僕はまだ眠くなかったし、こっそり寝床から抜け出して部屋を出る。
「エイト」
と、そこにミーティアがいた。本当は夕食後こっそり耳打ちしていたんだ。
「秘密のお風呂があるんですって?」
「うん。ちっちゃいけどそういうのがあるんだってよ」
そっと促して手を繋ぎ、そこへ向かう。
「昼間の露天風呂、とっても気持ちよかったわ。トロデーンにもああいうお風呂、作れないか
しら」
よっぽど気に入ったんだろうなあ。普段は何かを気に入ったとか気に入らないとかはっきり言
わないんだよね。何か言ったことに対して何が起きるかを考えて、軽々しく口にしないように
しているらしいんだ。
「どうだろう。でもトロデーンにも温泉があればいいのにね」
「本当に。そうすればお父様も温泉に入れるのに」
そんなことを話しているうちに「隠し湯」と書いてある看板の前に着いた。
「ここ?」
「うん」
そこは今までと打って変わって薄暗くて細い廊下だった。僕は看板を裏返してからそのまま進
む。すこし行くと小さな脱衣所に辿り着いた。扉があって、ここも露天風呂みたいだ。
「ここも露天風呂なのね、きっと」
「うん、そうみたいだね」
ミーティアは何かを探す風だ。
「どうしたの?」
「あの…ここ、一つしかないのかしら…」
ためらいがちにそう呟く。
「うん。一緒に入ろう」
「でも…人が来たら…」
「大丈夫。来ないよ。看板を裏返しておくと、他の人は入れないんだって」
そう言ったんだけどまだ何だか恥ずかしそうにしている。
「でも…」
「いつも一緒に入っているでしょ」
450名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/02(金) 19:51:19 ID:3tdhScXj
「……」
そうやって恥ずかしそうにされると僕も何だか恥ずかしいじゃないか。
「さ、濡れないように髪結ぶから」
恥ずかしいのを振り払うように、努めて元気よくそう言ってミーティアの黒髪を丁寧に編んで
結い上げる。と、ほっそりとしたうなじが姿を現した。見慣れているはずなんだけど、でも何
だかいつもよりも格段に色っぽい。今着ているゆかたのせいかな。
「ありがとう、エイト」
振り返るミーティアの横顔も美しい。
「エイト?」
ついうっかり見蕩れてしまった。いかんいかん。
「入ろうか」
451名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/02(金) 19:52:24 ID:3tdhScXj
隠し湯というだけあって湯舟ははっきり言って小さい。二人で入ろうと思うと抱き合った状態
でないと入れなさそうだった。
「狭くないかしら?先にエイトが入った方がいいかしら」
ミーティアも気付いた。でもそれがいいんだ。そうでなかったら一緒に入るメリットなんてな
いし。
「いいからいいから」
「えっ?あっ、きゃっ」
戸惑うミーティアの身体と一緒にお湯を被り、抱き締めたまま湯舟に浸かった。最初は落ち着
きなく身じろぎばかりしていたけど、漸く落ち着く体勢を見つけたのか僕の頚に腕を廻し胸に
もたれるようにして息を吐く。
「気持ちいいね…」
「ええ、とっても…」
傍から見れば「お風呂で何をしている!」と言われそうな状態だったけど、不思議といやらし
い気持ちにはならなかった。ただ、安らかで、幸せな気持ちだった。
「不思議…とっても穏やかで幸せな気持ちなの…」
僕の胸の中でミーティアが呟く。ああ、ミーティアも同じことを感じているんだ…
「僕も…」
お湯は温かかったけど、剥き出しの肩が冷え始めている。僕はお湯を掬ってミーティアの肩に
掛けてやり、腕を肩に廻して冷えないようにしてやった。
「ありがとう、エイト」
ミーティアが頬に口づけする。そして同じように腕を廻して僕の肩を冷やさないようにしてく
れた。
「ありがとう、ミーティア。温かいよ」
「本当に、いつまでもこうしていたいの…」
「うん…」
せせらぎの音と虫の音ばかりが聞こえ、時間だけが静かに過ぎていく。

452名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/02(金) 19:53:35 ID:3tdhScXj
「そろそろ戻ろうか?のぼせてしまうし」
「ええ、そうね」
ミーティアはちょっと残念そうだったけど、いつまでも入っている訳にもいかないことは分かっ
ているので、素直に頷いた。
湯舟から上がり、手近にあった柔らかな布でミーティアの身体を包み込み、優しく水気を拭っ
た。眼を瞑り、小さな子供に戻ったかのように僕の手に身を委ねているミーティアがただもう
愛おしくて丁寧に丁寧に拭いてやる。
身体を拭き終わると今度はミーティアが僕の身体を拭いてくれた。僕も何だか子供に戻ってし
まったかのような感じがする。
一生懸命僕の身体を拭いているミーティアを見ていたら目が合った。「なあに?」と言いた気
なその目に笑いかけ、額にちょん、と口づけを落とす。
「どうしたの?」
「ん…ありがとう」
「どういたしまして」
澄まして答えるミーティアが可愛らしくてぷっと吹き出した。
「戻ろう。今日はここに来てよかったね」
「ええ、本当に。また来たいわ」
ミーティアは深く頷く。
「今度来る時はもっと人が増えているかもしれないわね」
その言葉の意味するところが頭に届くまで、ちょっと時間がかかった。
「えっ」
澄ました顔でミーティアが続ける。
「あら、お父様のことよ」

山の宿の夜は深々と更けていくのだった。
                     (終)
453名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/02(金) 19:57:08 ID:3tdhScXj
ただバカップルが書きたかった。今はは(ry
保守代わりにでもなれば幸いです。
454名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/02(金) 20:15:07 ID:yuZEL56b
ん〜激しくGJ!
もうちょっと湯舟の中のいちゃいちゃを読みたかったような気もするけど
それを書かないのが花というものなのかな
とにかくd
455名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/02(金) 20:43:06 ID:Rh3OCtwm
タッタ
456名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/02(金) 21:27:33 ID:P9Tgufoe
エイトはチンコ立たなかったのかと(ry
457453:2005/09/02(金) 22:41:22 ID:3tdhScXj
読んでくださいましてありがとうございました。

>454
ほっとくと腐乱バニラ国王化しそうだったw
いちおう公共の場なので「一緒にお風呂に入った」ということで。

>456-457
さー?その辺の事情は個人のご想像にお任せします。
458名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/03(土) 12:55:35 ID:x2YAs219
まとめサイト更新しました。
保管忘れや間違いなどがありましたら連絡ください。

05/09/03 Part3 170 - 452までの13作品を保管 (現在106作品)
◆JSHQKXZ7pE氏
二人の冒険 , 星の夜 , 真夏の午後 , 二人の南の島 , 香りの呪縛 , 百物語
流星の姫君 , 湖畔の幻影 , 夢よりも確かなもの , 温泉に行こう!
◆nw3zSJjQag氏
ああっ女神像さまっ , 彼女と彼の事情
◆nefbuGknog氏
小ネタ6
459名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/03(土) 13:03:39 ID:7WeIleNc
>>458
まとめサイトさん乙です!
お忙しいところをいつもありがとうございます。

>>457
>せせらぎの音と虫の音ばかりが聞こえ、時間だけが静かに過ぎていく。

>「そろそろ戻ろうか?のぼせてしまうし」

この間が妙に艶っぽくて妄想を働かせるのには十分でございました。
GJ!!

460453:2005/09/03(土) 16:17:17 ID:WM0Ju+gG
まとめサイト様
いつもありがとうございます。
毎回感謝しております。

>459
あの空白は妄想してもらうために入れたものなので、じゃんじゃんしちゃってくださいw
461名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/04(日) 23:49:15 ID:n1hbxBFB
あと一歩でエロパロ板行きですねw
ともかくGJ!
462名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/05(月) 00:58:23 ID:uVW0UxDN
>>461で初めてエロパロ板の存在を知ったw
463名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/05(月) 22:14:48 ID:CFniWuvk
>461
感想ありがとうございます。
確かに今回ぎりぎりの線だったかも。
何でそうなったかな…風呂入っている「だけ」なんだけどな…

>462
エロパロ板は大人になってからw
464名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/06(火) 22:36:49 ID:/V6BCriY
前スレで「性描写はどこまでOKか」っていう話があって、結論が出たよね。
このスレの住人に聞きたいんだけどもう一つ規制されるべき残虐行為の描写はどの辺りまで?
例えば、
誰かに殴られたり蹴られたりする(具体的に血が出た描写なし)
           ↓
モンスターと戦って怪我(具体的に血が出た描写なし)←この辺りまではOKか?
           ↓
           ↓
           ↓
エロじゃないガチ拷問(魔女裁判並)←多分絶対駄目
その境目はどこか?
皆さんの意見を是非参考にしたいです。
よろしくおながいします。
465個人的には:2005/09/07(水) 00:15:48 ID:BxVvPaCZ
「拷問に有ったらしい事実を後で話に聞く」←おk
「拷問の様子を描写する」←((((((;゚Д゚))))))ガクガクブルブル
466名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/07(水) 20:38:12 ID:g23J4Kdz
拷問がそのSSに必要不可欠なものなら書きたいように書けばいいと思う。
このスレに相応しい程度加減は自分で判断しる。
467名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/07(水) 22:13:44 ID:hNin/9LZ
468名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/07(水) 23:45:39 ID:iUpwWqVX
>467
読んでみた。とても参考になったよ。thx
だけどちょっと待て。
>乳房の3/4程度までが見えるような服装をしている人物の画像・映像。
ゼシカは!?ゼシカはレベル1なのかっ!?
469名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/08(木) 00:22:21 ID:MxyLcFkF
いや、レベル1じゃなくてレベル5


ごめん
470名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/08(木) 01:37:01 ID:Zk21ZjiR
>469
マジレスすると3/4まで露出してないからレベル0かと。
谷間のところが開いてないし。
471名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/09(金) 03:04:16 ID:H+o9D5bQ
━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ 

FFばかりやっていると、脳細胞の発達に遅れが見られるということが
最新の脳研究でわかりました。
FFもいいですが、ドラクエもやりましょう。
ドラクエの攻略サイトを集めてみました。
これで、FFもドラクエも両方やりましょう。

ttp://rich-life.sakura.ne.jp/rink/dq/

━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ 
472名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/09(金) 22:26:56 ID:X4u+i6RA
>>438氏のリク「サヴェッラの夜」の続き行きます。

【注意】
・しばらく鬱展開が続きます。
・暴力描写が入る場合があります(今回はありませんが)。
473二人に捧げるRequiem ◆JSHQKXZ7pE :2005/09/09(金) 22:28:04 ID:X4u+i6RA
1.Dies irae

意識の遠くで誰かが何かを叫んでいる。
いいんだ、もう。何もかも終わったんだから。あの指輪一つでどうにかなると思っていた自分
が愚かだったんだし。
ミーティアは行ってしまう。もう会えなくなるということは分かっているけど顔を合わせるの
も辛い。あの男に、サザンビークの王子であるというだけでミーティアの夫となるあの男にい
いようにされてしまうのだと思うと嫉妬で胸が灼けつきそうだ。
「あ、兄貴!早く起きてくだせえ、逃げるんでがす!」
ヤンガスの声だ。それと同時に激しく揺すぶられる。
「早く、兄貴、逃げ…ぐへっ!」
肩に掛けられていた手が急に無くなり、代わりに「どすん」という鈍い音がして、ヤンガスの
声がしなくなった。何事かとうっすら目を開けた僕の鼻先に何かが突き付けられている。それ
が抜き身の剣であることに気付くまで数秒かかった。
「トロデーン王国近衛隊長、エイトだな」
それは誰何(すいか)ではなく、断定だった。その制服はサザンビークのもの。僕の寝台は兵
たちによってびっしりと取り囲まれていた。
「先程トロデーン王女の部屋から出てきたという密告があった」
見られていたのか!自分の血が一気に冷たくなったように感じた。
「サザンビーク王室に対する不敬罪、姦通罪、並びにサザンビーク王位の転覆を謀った大逆罪
の疑いによって逮捕する。
おとなしく縛に付け!」
僕に切先を向ける男が逮捕状を読み上げるうち、自分が異常なまでに落ち着いていくのを感じ
た。元より自分の犯した罪の重さは充分承知している。罰─それも死罪だ─を受ける覚悟はつ
いている。だが。
「あ、兄貴…」
兵の後ろではヤンガスがおろおろとしている。周りの人までも巻き込んでしまった…
474名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/09(金) 22:29:31 ID:X4u+i6RA
持っていた武器、防具の全てを取り上げられ、後ろ手に縛られて宿を連れ出された。
周りはがっちり固められ、逃げ出す隙もない。もっとも、そのつもりなんてなかったけど。
「兄貴、あっしも…ぐへっ」
背後でヤンガスが兵に追い払われ、蹴っ飛ばされた音がする。ごめん、これ以上はもう止めて
くれ。ヤンガスお前まで捕まってしまう。
「ゼシカ!ヤンガスを頼む!」
林立する槍の向こうにちらりとゼシカの姿が見えたのでそう叫ぶ。途端に背後から柄で小突か
れた。
「こらっ、黙って歩け!」
「兄貴!」
悲鳴に近い叫び声を上げ、ヤンガスがまた僕に近寄ろうとする。それをゼシカが駆け寄って押
し止める様子がちらっと見えた。
「駄目。お願いだからもう止めて。今は、…だから、ね」
必死で説得するゼシカの声がする。最後の方はよく聞き取れなかったけど。それに納得してく
れたのかヤンガスは漸く追うのを諦めてくれたようだった。

結婚式を見に来た人々は突然のこの出来事に唖然としていた。華やかな雰囲気は消し飛び、代
わってサザンビーク兵と聖堂騎士団の団員が物々しく歩き回っている。その様子に怯えつつも
僕たちを遠巻きに見ていた。そのうち事情が知れ渡ったのか冷たい囁きと嘲りの眼差しが僕に
突き刺さりだす。それでも僕はただ前だけを見詰めていた。罪を恥じるべき相手はこの中には
いないのだから。
そうやって階段のところまで来た時だった。急に辺りがざわめいて人垣が割れる。と、階段の
上から同じような一団が姿を現した。
「トロデーンの売女め!」
「阿婆擦れの雌犬が!」
人波の中から中央の人影に向かって罵声が投げ付けられる。そこにはミーティアがいた。いつ
ものドレスを着て、昂然と頭を上げこちらに向かってくる。辺りを払う威厳に満ち溢れた様子
にいつか罵声も尻すぼみになり、やがてしんと静まり返った。
475名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/09(金) 22:31:20 ID:X4u+i6RA
「トロデーン王女を護送いたす!」
あちらの先触れがそう告げる。僕たちの方は立ち止まり、その一団に先を譲ろうとした。
ああ、ミーティアは縛られてはいない。よかった、あの細い手首に荒縄は辛いだろうから…で
も、僕のせいであのような辱めを受けるなんて。
その時ミーティアと視線がぶつかった。静かな眼差しだった。鏡の
ようにしんと静まりかえった。
ふと、絶望的なあの夜の中、幾度となくミーティアが僕の目を覗き込んだのを思い出した。愛
撫の手の中にあっても、そうやって見詰められる度に僕は碧の瞳に吸い込まれるかのように動
けなくなってしまい、否応無しに自分の心と向き合わされたことを。
いかに自分がミーティアを必要としていたか、主命という名のもとに自分の心を偽り続けてき
たかということ、それがどんなにミーティアの心を傷つけてきたのかということを、その中で
知った。そしてミーティアもまた、婚約者のいる身、という立場に逃げて自分に向き合ってこ
なかったということも。
今、階段を下ってくるミーティアが僕の心を見通す。そしてまた、僕もミーティアの心を見通
す。僕は、悔いてはいなかった。あなたと通じたことを。そしてその罪故に汚辱の淵に置かれ
たことを。
打ち首だろうが火刑だろうが臆することがあるだろうか。己が何を為したのかは分かっている。
後悔するとしたらあなたまでを巻き込んだことただ一つ。

見詰めあううち、ミーティアの一団は通り過ぎて行った。「そら、歩け」とばかりにまた頭を
小突かれる。言われなくとも歩く、と思った時だった。
「エイト!姫様を助けたかったら死に急ぐんじゃねえぞ!」
振り返ろうとしたが槍の穂先に阻まれた。でも誰の声かは分かる。ククールだ。でもなぜこん
な時に?大体助けることなんて可能なんだろうか?この破滅の日の中で。
           ※          ※          ※
476名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/09(金) 22:33:06 ID:X4u+i6RA
私は何も悔いてはいない。
すれ違いざま、私はそう心の中でエイトと語らっていた。
エイトと一緒ならばどこまででも行く。それが例え永遠の業火に焼かれ続ける道であっても。
むしろその方が好ましい。エイトのいない天国よりもエイトと一緒の地獄の方が慕わしい、と。

私たちは見張られていた。サザンビークの女官がエイトが部屋に入ったのも出て行ったのも見
ていたのだ。
夜明けと同時にサザンビーク側の女官たちが私の休む部屋へ入ってきて、寝台を改める。私た
ちの罪の印がそこにまざまざと残されてた。
「トロデーン王女ミーティア様、速やかにお召し替えを」
有無を言わせぬ口調に怯えたのは今までお世話してくれたメイドさんの方だった。
「姫様…」
「悪いのは全て私です。あなた方には何の咎もありません」
ただ申し訳なく思うのは世話をしてくれたメイドさんたち。どうか言い逃れして。私に全ての
罪を押し付けて。そしてお父様…ごめんなさい、育ててくださったご恩を踏みにじった悪い娘
で。
着替えが終わると同時にサザンビークの兵が部屋に入ってきて私に告げた。
「サザンビーク王室に対する不敬罪、姦通罪、並びに大逆罪の疑いにより拘束いたす。速やか
に参られよ!」
大逆!そんな!ではエイトは?
…いいわ、大逆罪で火刑ならそれで構わない。エイトを処刑するのならば私も一緒に火刑台へ。
エイトの妻として誇り高く死にましょう。燃え盛る焔がきっと、私たちの罪を焼き尽くしてく
れる筈。白いさらさらとした灰になるまで燃え尽きれば、きっと…
                     (続く)
477名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/09(金) 22:42:18 ID:X4u+i6RA
補足
Dies irae【でぃえす・いれ】
ラテン語。怒りの日と訳される。神の怒りが下る日のこと。
モーツァルトのレクイエムでのこの曲はそれと知らず聞き知っている人も多いのでは(バトロワとか)
478名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/10(土) 21:24:58 ID:rGG9Y1Wx
>>477
リクエストに応えてくださってありがとうございます。
有り得ない話と分かっているのに、すごく面白いです。ドキドキします!
続きも楽しみにしています。
479名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/10(土) 22:40:58 ID:3Tm8nZSm
>478
そう言っていただけると大変嬉しいです。励みになります。
正直、やらかしたかと思っていたんで。
全く別の話になって戸惑った方も多かったのでは、と。
今後もよろしくお願いいたします。
480名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/11(日) 21:45:42 ID:yn5oPVCx
題から推測するにもしかして氏にネタ?
だったらそう明記してくれないかな?
481名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/11(日) 23:19:41 ID:YvfXB+ug
基本的に結婚EDに至る過程を様々なエピソードで語ってるわけだから死にネタではないだろう





と思う
482名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/11(日) 23:56:37 ID:SkM+h/U1
>480
どういう結末になるのかについてはまだちょっと…
ただ、単純に結婚EDになることはないと思う。
483名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/13(火) 21:11:06 ID:4lMzA9D0
二人に捧げるRequiem


レクイエム…って鎮魂歌だよなぁ。やっぱ死んじゃうのかなぁ。
まぁでも続きを楽しみにしていますよ。
484名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/13(火) 22:14:57 ID:SnOZB1/i
>>473-476続き

注意
暴力描写があります。ご注意ください。
485二人に捧げるRequiem:2005/09/13(火) 22:16:26 ID:SnOZB1/i
2.Rex tremendae

「ボクの花嫁を寝取るとはいい度胸だ」
煉獄島の地底、重罪者を収容する牢にエイトは監禁されていた。ニノ大司教が法皇に就任して
からここは廃止されたため、他に人影はない。
「サザンビークの管轄だったなら即死刑にしてやれたのに、教会の石頭どもめが」
手足は枷で拘束され、自由は完全に奪われている。そのエイトの前に立つはチャゴス王子。目
深にフードを被った男を従え、憎々し気にこちらを見据えている。
「その鎖は力を封じる呪がされているらしいぞ。引き千切ろうったってそうはいかないからな」
そう言いながらエイトに唾を吐き掛けた。手足を縛られていては頬に掛かった唾を拭く術もな
い。
「いい様だ。自分の力を誇ってきた奴が何の抵抗もできないんだからな」
にやにやとしながらチャゴスはさらに近付く。その手には短剣が握られていた。
「ということはボクに指一本触れることもできない訳だ」
のろのろと―エイトの眼にはそう映った―振りかぶったかと思うと右手に向かって突き立てら
れた。
「ぐっ」
余程鋭利な刃だったのか最初エイトは何の痛みも感じなかった。しかし、たら、と血が流れて
「刺された」と意識した途端急に鋭い熱の線として痛みを感じ出す。
悲鳴なんて上げるものか、これくらい、堪えてみせる…
「ぐはっ!」
しかし突き立てられた短剣が捩上げられ、嫌な音を立てて骨が砕ける。全体重をかけているの
か信じられない程の力で刃が突き抜け、石の壁にきりきりと食い込んだ。
「どうだ、思い知ったか。でもこれからだからな。高貴なボクの誇りを傷付けたんだから、死
ぬ方がマシなくらい拷問してやる」
こんなことに負けるものか、とエイトは思った。情けなく悲鳴を上げてチャゴスを喜ばせまい、
と歯を食いしばる。
「殿下、しばしお待ちを」
と、今まで置物のように成り行きを傍観していたフードの男が一歩前に進み出た。そしてエイ
トに向かって手を翳す。すると緑の光が身体を包み込み、傷をたちまちのうちに癒した。
486名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/13(火) 22:20:09 ID:SnOZB1/i
「おいっ、何で傷を治すんだ!拷問の意味がないじゃないか!」
チャゴスが男に食ってかかる。それに対し、男はフードの奥でくつくつと笑い声を上げた。
「殿下は真の拷問をご存じないようでございますな。苦痛の後で与えられる安息、これが拷問
への恐怖を呼ぶのでございますよ」
振り向きざま男はエイトの鳩尾を殴りつける。警戒はしていたものの、その速さは予想を越え
ていて、堪え切れずに胃液を吐いた。
「ヒトは痛みに慣れ、そのうちそれに興奮するようになる生き物でございます。絶え間無い責
め苦は拷問として下策なものなのでございますよ」
「お、おう、そうか、おぬしは詳しいな」
「できればこれから行うことについて事細かに語ってやるのが礼儀というものでございましょ
う。先程のように突然のことではただ痛いだけで、何の恐怖も与えません」
「ほう」
「殿下、どうかこの者に説明してやってくださいませ。これから何をするのかを」
「そ、そうだな…
おい、これが何だか分かるか」
フードの男に促されチャゴスは荷物からペンチのようなものを取出した。
「ペンチだろう」
エイトは素っ気なく言った。見え透いている、どうせ葉を抜くか爪を剥ぐかだろう。
「そうとも、ペンチだ。これを火でよくあぶり熱くなったところで、お前の爪を一枚一枚丁寧
に剥いでやる。終わったらベホマで癒してやるから安心しろ」
独創性のないチャゴスの言葉にエイトはうんざりした。爪なんて旅の中で幾度剥がれたことか。
その痛さがどの程度のものであるのかは身をもって知っている。
「そしてまた剥ぐんだろう」
「その通りだ。なかなか物分かりがいいじゃないか」
エイトが全く動じていないことをチャゴスは分かっていない。ここまで愚かな奴だったとは…
いや、少しは思っていたか、とひっそり自嘲気味な笑いを浮かべた。
「これからペンチを火であぶる」
487名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/13(火) 22:21:03 ID:SnOZB1/i
そう言いながらチャゴスは手燭にペンチをかざした。しかしその手際の悪さときたら…ペンチ
の先を熱するうちに取っ手まで熱くなって取り落とす。慌てて拾い上げようとしてその熱さに
また落とした先が足の上。熱いわ痛いわでギャーギャーと喚き散らす有様は、どちらが拷問さ
れる側なのか分からない。
「もう止めてくれと泣き喚くのが楽しみだ。せいぜい堪えて見せてくれよ」
漸く準備が調ったのか目一杯エイトを脅しているつもりの口調で言い放ち、目の前にペンチを
かざした。
「まずは左手からだ。どこまで我慢できるかな」
にやにやしながらエイトの左手を掴み、ペンチで爪を摘もうとした瞬間、
「おい、カーゴが来たぜ」
と看守の声が掛かった。
「うるさい、後でまた来るように言え。今いいところなんだから」
振り返りもせずチャゴスが威権高に言い放つ。
「今日のカーゴはこれで終わりだぜ。明日までこのまま飲まず食わずで平気ならそうしてもい
いがよ」
「ボクは王子様だぞ。命令が聞けないのか」
チャゴスの妙に甲高い声が狭い牢内にキンキンと響く。それよりもエイトには気になることが
あった。看守の声は聞き覚えがある。覆面のせいでくぐもってはいるがあの声はもしや…
「ここでは王子様は関係ねえ。王様だろうが誰だろうが看守様に従うんだ」
看守の有無を言わせぬ迫力にたじたじとなったチャゴスは、忌ま忌まし気に舌打ちし、
「覚えてろ」
とこれまた独創性の欠片もない捨て台詞を吐いてフードの男を伴い出て行った。

488名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/13(火) 22:22:54 ID:SnOZB1/i
カーゴが充分遠離って行った時、看守が覆面をかなぐり捨て、エイトの元に駆け寄った。
「兄貴!」
ヤンガスだった。
「ヤンガス、どうしてこんなところまで!」
「へへっ、兄貴のいるところなら例え火の中水の中、どこへだってお供するでがす。それが兄
弟仁義っていうやつでがす」
涙目になりつつも鎖を解く。長時間拘束されていたせいか足が萎えていて一瞬よろめく。
「兄貴たちが捕まった後、三人でどうしたらいいか話し合ったんでがす。あっしとしては兄貴
を奪還してさっさと逃げようと思っていたんでげすが…」
そんなエイトを見てヤンガスは肩を落とした。
「ククールの奴が裁判は受けた方がいい、って言ったんでがす。ただ逃げればトロデーンに迷
惑が掛かるし、姫様も処刑されちまうって」
「処刑?!」
エイトの声が裏返る。
「まさか。大体トロデーンの王位継承者をどうにかすることなんてできる筈ないだろう?」
「サザンビーク側が怒り狂っているんでがす。面子を潰されたって。兄貴を私刑にしかねない
勢いなんでがす」
「僕はいいんだ。私刑だって構わないよ。それだけのことをしてしまったんだから。でも何で
ミーティアまで!」
「これはチャゴスの野郎は反対しているんでがす。兄貴を殺して何事もなかったかのように姫
様を迎えるつもりでいるらしいんでがす。でも…」
少しためらった後、ヤンガスは続けた。
「姫様が『エイトが処刑されるのならば私も同罪です。エイトと一緒に死にます』って言い張っ
ているんでげす」
一緒に死ぬ…このような状況なのにエイトの耳にその言葉は甘く響いた。だがその考えを打ち
払う。
「駄目だ、そんなこと!」
「放っておいたら姫様は幾らでも自分に不利なことをしゃべって兄貴を庇おうとしてしまうで
がす。
ここからはククールの意見でがすが…」
ヤンガスは声を潜めた。
489名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/13(火) 22:24:00 ID:SnOZB1/i
「何としても先に姫様の処遇が決まるようにした方がいいって言っているんでがす。あっしに
は詳しいことはよく分からねえんでげすが、婚約破棄、幽閉の方向に持っていくようにしたい
し、多分判事も王統断絶の原因にはなりたくないだろうからそうするんじゃねえかと読んでい
るみたいなんでがす」
「僕が唆したのに…」
どこかにミーティアが幽閉される、そう思っただけでエイトは胸苦しい気持ちになった。たい
てい砂漠や湿地等、条件の悪い場所が多い。そんなところに…
「何言ってるんでがす。兄貴が助けに行くんでがすよ」
「えっ」
「兄貴一人ならいくらでも逃げられるでげすよ」
「…駄目だ、そんなこと。これ以上トロデーンに迷惑は掛けられない」
「だから、チャンスは処刑の時だけでがす」
そんなことをしていいのだろうか。こんなことになった責任は全部自分にあるというのに。大
恩ある陛下にまで恩を仇で返すような真似までしている。それなのにいい思いをしては…
「裁判が始まったら処遇が決まるまでもう誰も兄貴に手出しできねえでげす。どうかそれまで
辛抱してくだせえ」
「平気だよ、それくらい…」
「本当はさっきあの野郎をぶん殴ってやりたかったでげすよ。でも」
「いいんだ、気にしないで。大体こんなところに居たらヤンガスも危ないじゃないか。僕は大
丈夫。どうやら毎回ベホマで傷を治すって言っていたし」
自嘲気味に言うエイトの手をヤンガスが取った。
「すまねえでがす…でもあっしもできる限りのことはさせて貰うでげすよ」
「すまない、ヤンガス…」
「へへっ、いいんでげす。兄貴に命を助けられた大恩に較べりゃ大したことはねえでがすよ」
「…ありがとう」
           ※          ※          ※
490名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/13(火) 22:25:47 ID:SnOZB1/i
マイエラ修道院は川の中州に建てられている。特に院長室は修道院からさらに橋を渡らなけれ
ばならず、隔離にはうってつけの場所だった。
オディロ院長が殺されてしまってからは使う者はなく(後を継いだマルチェロは団長室を引き
続き使っていた)、その後修道院自体が混乱していたこともあってこの場所は見捨てられてい
たも同然だった。
ミーティアはここに軟禁されている。一階を世話をしてくれる修道女たちのための控え室に、
二階を彼女の居室とし、見張りの兵が建物の外に立つ。橋は落とされ修道院との行き来は船だ
けとなり、仮に見張りをどうにかしたとしても簡単には逃げられないようにされていた。
(逃げるものですか)
とミーティアは思う。いかなる刑であろうと臆することなく受ける。自分にはそれだけの罪が
あるのだから、と。
今まで付き従ってくれた侍女たちとは引き離された。彼女の身の回りの世話をしてくれるのは
見知らぬ修道女ただ一人。俯きながら黙々と雑用をこなし、ミーティアのねぎらいにも応えな
い。
彼女の態度はもっともなことなのだろう。何しろミーティアは罪人、それも大逆の重罪に問わ
れている。下手に応えれば自分まで罪に問われるかもしれない、というところか。
それでも世話をしてくれていることには変わりはない。その夜も夜着への着替えを手伝ってく
れたその修道女に
「ありがとう。こちらはもう大丈夫です。どうぞお休みください」
と礼を述べた。
その時、急に階下の扉が開き、階段を昇ってくる音がした。
「誰でしょう?何かあったのかしら」
ミーティアが修道女と顔を見合わせた時、その者が姿を現した。
「あなたは!」
チャゴス王子だった。
「ぐふへへ、ミーティア、今夜は妻としての義務を果たしてもらうぞ」
あまりの言葉にミーティアは蒼ざめ、無意識のうちに口を覆い後ずさる。
「婚約はまだ生きているぞ。ボクが破棄すると言わない限りあなたはボクのものだ」
にやにやとしながらさらに近付いてくる。
「嫌です!どうぞお引き取りを!」
ミーティアは拒み、逃げようとしたがそれも空しく壁際に追い詰められてしまった。
491名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/13(火) 22:27:38 ID:SnOZB1/i
「大丈夫、大丈夫だよ。言うこと聞いてくれさえすれば優しくするから」
「誰が…誰があなたの言うことなんて聞くものですか!」
けれども両手を壁に貼付けにされ、最早身を守るものは何も無い。舌を噛み切って死んでやろ
うかと思った時、チャゴスの背後から声が掛かった。「恐れながらチャゴス王子様。よろしければお召し物のお世話をいたしますが」
修道女がしずしずと近寄ってくるのをミーティアは絶望の眼差しで見遣った。
「お、おお。そうであったな。おぬし、気が利くじゃないか。
見れば美女なのに修道女とは勿体無い。どうだ、俗世に戻ってサザンビークに来ないか。寵妃
として望むままの生活を送らせて遣わすぞ」
「ほほ、王子様もお口が上手でいらっしゃいます。…では上衣を」
「うむ」
もう味方は誰もいない。ならば、と覚悟を決めたその時だった。
「……」
修道女が何事かを囁いたかと思うとチャゴスが突然崩折れたのである。驚いてよく見ると早く
も高鼾で眠り込んでいた。
「はあーっ、気色悪かった!」
初めてはっきりと聞いた彼女の声。いや、初めてではない。
「あなた…もしかして」
「そうよ、ゼシカ・アルバートよ。姫様、もしかして全然気付いていなかったの?」
ミーティアは唖然として彼女を見た。確かに茶色の瞳は彼女のものだ。しかし…
「よく、ここに…」
「全く、私もそう思うわ。だけどククールの指輪が役に立ったのよ」
「指輪?」
「ゴルドが崩壊した後、どこでもイ…じゃなかった、マルチェロから貰った騎士団長の指輪よ。
エイトと姫様が捕まった後、三人で善後策を考えたの。ヤンガスを看守に仕立ててエイトのと
ころに、私にシスターの格好をさせて姫様付きにして、危険があったらそれとなく守ろうって。
それで使えるかどうか分からないけど、そういう命令書を作って指輪で判を押してみたらあっ
さり通った訳よ。この服もあいつがどこかから調達してきたの」
492名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/13(火) 22:28:14 ID:SnOZB1/i
そう言ってゼシカはくるりと一回転した。
「まあ、いきなり『すぐに着るんだ』ってこれ出されて、シスターの服でしょ?どっかのシス
ターさんをたらし込んで身ぐるみ剥いで来たんじゃないかと思ったわよ。あいつの常日頃の行
いから考えて」
ゼシカの言葉にミーティアはつい吹き出した。
「そうそう、そうやって笑いを忘れないで。姫様が悲しい顔をしていたらエイトも辛いでしょ?」
その言葉にミーティアははっとした。
「エイトは?エイトは無事なの?まさか、もう…」
「エイトは無事よ」
先を言う勇気のないミーティアを引き継いでゼシカが答えた。拷問を受けている(酷くなる前
にヤンガスが何とか止めているらしいが)ことは伏せ、はっきりと言い切る。
「ただ、姫様を巻き込んだことだけ悔やんでいる」
「そんな!」
始まりはエイトからだったとは言え「もう一度」と願ったのは自分だったのではないか。それ
と知らずとは言え心の奥底で結ばれる願っていたというのに。
「もし姫様が自ら死を選んだりしたらエイトも生きていけないと思うわ。だからどうか、自棄
を起こさないで欲しいの」
「だってこのままでは…」
「大丈夫、ヤンガスが付いている。裁判にかかって正式に処遇が決まるまで滅多なことはさせ
ないって息巻いているわ。姫様も知っているでしょ?判決が下れば何人も手出しできないって
いう慣例を。
それに」
とゼシカは声を潜めた。
「エイトの力を持ってしたらどんな場所からだって脱出できると思わない?」
ミーティアはその言葉に顔を上げた。ゼシカと目が合うと彼女も「その通りだ」とばかりに力
強く頷く。
「エイトを信じてあげて。姫様はエイトの希望なのよ」
                     (続く)
493名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/13(火) 22:42:04 ID:EClJyicF
続きが

キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
494名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/14(水) 01:30:07 ID:bQOca+9Y
拷問キタ━━(゚∀゚)( ゚∀)(  ゚)(  )(゚  )(∀゚ )(゚∀゚)━━━!!!!!

うわー、ドキドキした。スゲェー!!
エイトカッコイイ!!
495名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/14(水) 22:14:18 ID:8p6Gy5kp
やっちまった!>>491の修道女ゼシカの台詞で改行忘れてた。_| ̄|○

…頑張ります。
496名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/14(水) 22:49:09 ID:UFmE06WA
>495
ドンマイ!
続きを楽しみにしているよ!
497名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/15(木) 00:06:51 ID:sgKOkgji
ワクワクテカテカ(AAry
498名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/15(木) 00:56:56 ID:lekeK42M
AA探してきたよー!


+      +
+   +  +  +
  ∧_∧  +
 (0゜・∀・)   ドキドキワクワクテッカテカ
 (0゜∪ ∪ +   +      
 と__)__) +



499名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/15(木) 21:29:36 ID:rTLXvJuI
うお、テカテカになって待たれてるw
今回いつもより登場人物が多いのと下調べがいるのとで余計時間掛かってます。
お待たせして申し訳ない。
スリルとサスペンスに満ちた話になるように頑張ります。
500名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/15(木) 21:40:26 ID:rTLXvJuI
ついでに500Get!

今DQ小説スレ見てきたらDQ8小説12月発売だってね。
…主姫がラブラブっぷりを発揮していますように(-人-)…
501名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/15(木) 21:51:56 ID:ReSuPM0N
>>500
著者は誰だ?

小説スレへ逝ってくる
502名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/16(金) 16:22:21 ID:82IZOKND
fusianasan-hosyu
503名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/16(金) 21:11:41 ID:Ha3PpFvd
>>500
公式見てきた。小説スレのあれ、釣りだと思う。
504名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/16(金) 22:08:03 ID:Ngt6daKd
>503
スマン…うっかり釣られちまったよ。
でも小説時間掛かってるねえ。
それともこんなもんなのかな。
リアルタイムで買わない(古本で買ってた)からよく分からないんだけど、
昔はもっと早かったように感じるんだが。
505名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/17(土) 16:25:19 ID:AXMCFNzk
>>473-476>>485-492続き行きます。
506二人に捧げるRequiem ◆JSHQKXZ7pE :2005/09/17(土) 16:27:55 ID:AXMCFNzk
3.Recordare

ミーティアに対する審問はそのままマイエラ修道院で行われることになった。トロデーン王女
という身分を考慮すると妥当な線だろう。なにしろトロデーンは北の大陸に、サザンビークは
西の大陸に大きな勢力を持つ。審理に多大な影響を与えるだろうということは容易に予想され
たからである。
審問を受け持つ教会側はそれを好まなかった。マルチェロによって引き起こされた混乱により
教会の権威は著しく失墜してしまっている。この審問を契機に王権に対する神の─ひいては教
会の─権威の優越性を誇示しようと考えていたのである。
「神は神の法によって人を裁く。俗権は口出しするな」
と言ったところだろうか。
審理がマイエラという両国の権の及ばぬ地で、かつ、全てを神の判断に委ねるという立場を教
会が取ったことにより、両国は横槍を入れ難くなったことは間違いない。
「それでは審問を開始する。被告は前へ」
裁判官もトロデーン、サザンビーク両国とは無縁の教会関係者から選ばれている。
「はい」
静かに、けれどもはっきりと答え、ミーティアは前に進み出る。そして跪いて裁判官の差し出
す手を頂いた。
「トロデーン王女、ミーティア・オブ・トロデーンであるな」
「はい」
判事は神の代理人である。抽象的な意味だけでなく、実際彼はどこだかの大司教だった。裁判
というものは元々教会の管轄であり、裁判官を始め弁護人まで全て教会関係者である。
「ここは神聖なる場所であり、そなたは真実の言葉のみを申すと誓うか」
「はい、誓います」
と型通り答えたところでミーティアはふと、小さな衝動に駆られ口を開いた。
「私は罪深い人間です。その罪を包み隠そうとは思いません。いかなる刑も受ける覚悟でござ
います」
ミーティアの言葉に判事は鷹揚に頷き、被告席を指し示した。
「そちらに座るように」
「はい」
507名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/17(土) 16:29:18 ID:AXMCFNzk
そう言って席に着こうとした時、はたと動きを止めた。弁護人の中に見覚えのある人影がある。
いつもと違う雰囲気だったのですぐにそれとは分からなかったが。
(……)
その人もそうだ、と言わんばかりに小さく頷いた。ククールだった。いつもの赤い騎士団の服
ではなく、黒い僧服に身を包んでいる。
ミーティアは口を開きかけた。が、ククールがそれを押し止める。
「冒頭陳述が始まります」

実はエイトも同じマイエラ修道院にいた。もっとも、ミーティアのような待遇は受けていなかっ
たが。審問があるから、と煉獄島から―ヤンガスとはそこで別れた―修道院の地下牢へと移さ
れたのである。
確かに審問にはうってつけの場所だった。罪人を拘束する牢、尋問室、さらに強情な罪人のた
めの拷問室まで揃っている。
(でもあのアイアンメイデンを使うことはないだろう)
とエイトは思った。拷問とは死を望ませるために苦痛を与え、審問官の望む答えを言わせるた
めの手段であり、拷問死はその苦痛から逃れる最も簡単な手段であったから。
エイトとてそれくらいのことは知っていた。王を守る近衛兵、時には手を汚さねばならない。
それは単に王の盾となって守ることを指すのだけではなく、秘密裏に王の敵を捕らえ、場合に
よっては拷問して自白を、それもこちらが望む答えを引き出すように仕向けるということも含
んでいた。
今、エイトの目の前にいる審問官は決して手を出すことはない。剃刀のような鋭い眼光で睨み
付けてくるものの、何かしてくることはない、と分かっていた。実際に拷問するのは自分たち
近衛兵のような俗吏だ、と。審問官は優し気な顔をして待っておればよい。罪人が自ら落ちて
くるのを。
508名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/17(土) 16:31:21 ID:AXMCFNzk
「仕方ありませんな」
今日何度目かの質問に対し、エイトがミーティアと共謀して大逆を謀ったことを否定したとき、
その審問官は言った。悲し気な表情を作って続ける。
「このままでは奥の部屋でまた不快な思いをしてもらわなければなりませんなあ」
そう言ってちらりと格子越しに奥の拷問部屋を見遣る。
「強情はよくありませんぞ。真実を話せば助かる見込みもあるというのに」
同情を装って溜息を吐く。
「僕が一方的にミーティア様を犯しました。彼女には何の咎もありません」
「嘘を言うな!」
一瞬審問官は我を忘れて怒鳴りつけた。そうか、そちらが地か。そう感じ取った途端、エイト
は気が楽になった。猫が鼠をいたぶるようにされるよりは単純な奴の方が御しやすい。
「前々から共謀しておったのだろう?ん?身籠った自分たちの子をサザンビークの玉座に就け
ようと?」
取ってつけたように猫撫で声を出したが、正体は知れている。
「違います。そのようなことは断じてありません」
「神の御前で嘘はいけませんなあ」
穏やかそうな言葉とは裏腹に「何もかも分かっておるのだぞ」とでも言うかのような鋭い目つ
きをする。
「嘘ではありません。あの夜、突発的にお付きの人々の制止を振り切ってミーティア様の部屋
に侵入いたしました。抵抗されましたが、強姦したのです。どこにも共謀の事実はありません」
望む答えを引き出そうとする審問官とミーティアを守ろうと決意を固めたエイトの視線が激し
く火花を散らす。
「…どうしても奥の部屋に戻りたいようですな」
大袈裟な身ぶりで審問官は両手を広げた。
「では、みなさん」
と部屋の壁に沿って立っているサザンビーク兵に向かって言いかけた時、
「お待ちを」
突然背後から進み出る者があった。
509名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/17(土) 16:32:07 ID:AXMCFNzk

「ずっと審問の様子を拝見しておりましたが、どうもこの者は物足りなく思っているようでご
ざいます。つきましては私めに奥での尋問をお任せくださいますよう」
チャゴス王子に従っていたフードの男だった。こうして見るとかなり身長がある。
「ほう、真実を語らせることができると?」
「御意」
男が一礼すると審問官は鷹揚に頷いた。
「よい。ではおぬしに一任する」
「はっ」
男がフードの奥でにやりとしたような気がした。もしや、の疑念と共にククールの言葉がエイ
トの耳朶に甦る。
「アイツの拷問は、キツイぜ?」
確かにその通りだった。
           ※          ※          ※
510名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/17(土) 16:33:02 ID:AXMCFNzk
審問が始まったが、サザンビーク側の陳述は混乱していた。ある時は全ての罪をエイトに帰し
てミーティアを無罪にしようという方向へ持って行こうとし、またある時は共謀して王位転覆
を狙った大逆で両者を死罪にしようとする。
(どうも解せない)
とククールは心の中で腕組みした。エイトの看守を外されたおかげで身体が空いたヤンガスが
仕入れてきた情報(出所はパルミドの情報屋だろう)によると、チャゴス王子はミーティアを
無罪にしてさっさと結婚したいらしい。そのつもりでサザンビーク城に部屋を用意しようと躍
起になっているということだった。
(誰が姫様の死を願っているのか?)
クビラウス王も違うと思われる。むしろ無罪にしてトロデーンの玉座が転がり込んでくるの
を狙っている可能性が高い。
(こうなると王が黙っていてくれることがありがたいな)
王は事件が発覚してからというもの沈黙を保ち続けていた。喧々と騒ぎ立てているのは周囲の
者ばかりである。
何となればクラビウスの手元にある指輪がエイトの命運を握っているから。あの指輪がエイト
を生にも死にも追いやる劇薬となるだろうことはククールにも容易に予想された。
エイトの出生を示すアルゴンリング。あの指輪を出され「サザンビークの王位を要求した」と
言われればまず間違いなく大逆罪となる。クラビウス王の兄の子であるエイトは、王位継承順
のみで言えばチャゴス王子より、いや、クラビウス王よりも正統性が高い。故にそれが明らか
になれば現政権にとっては直ちに抹殺すべき者になるであろう。
(しかしそれだけならばエイトだけでいい筈だ。なぜ姫様まで?)
ククールの疑問はいつもそこに辿り着く。チャゴス王子はミーティア姫の処刑を望んでいない。
恐らくはクラビウス王もであろう。では一体誰が?
511名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/17(土) 16:34:27 ID:AXMCFNzk
サザンビーク側の弁護人はいつも同じであった。元々サザンビーク王室付きだという神父は、当然自分の仕える王家の都
合を最優先にする筈である。
(待て、時々面子が変わっていないか?)
前回の審問で先方の論調が急にミーティア処刑の方に傾いた。その時のサザンビーク側に誰が
いたか。目深にフードを被って時折ちりちりするような殺意─敵意と言うにはあまりに鋭すぎ
た─をこちらに向けてくる男がいなかったか。
審問は論戦の場である。剣ではなく言葉で原告被告が戦っており、当然敵意が向けられること
もある。最初ククールは論戦の白熱するあまりの行き過ぎた敵意かと思っていた。しかしそれ
にしては鋭すぎ、それ以上に粘っこいものが絡み付く。
その感覚には覚えがあった。かつて自分に対する憎しみを隠そうとしなかった男。
(まさか…アイツか?)
異母兄、マルチェロ。聖堂騎士団団長にしてマイエラ修道院院長、そしてかつての法皇(教会
は躍起になって彼の存在をなかったことにしようとしているらしいが)。もしそうならば全て
に説明がつく。自分に向けられる殺意も、顔を隠すフードも。
(今までの遣り口を考えればそうに違いない)
現在、三人で話し合って決めたエイトとミーティアの身の安全を確保しようという策は分断さ
れてしまっている。ミーティアの方はまだ手出しされていないようだが、エイトは「審問に不
便」と煉獄島を出されてマイエラの地下牢に移された。この時に看守─変装したヤンガス─と
は離されてしまった。
ならば、とマイエラの看守に小金を掴ませてエイトに面会しようとしたのだがそれも叶わなかっ
た。マイエラはククールにとって自分の庭のようなものであり、看守の性格も熟知している。
ドニで飲む酒代にいつも事欠いていて、小金を渡せば面会程度なら融通の利く奴だったのに。
その上すぐにサザンビーク兵が地下牢の見張りに立つようになってしまい、エイトの消息を探
ることは事実上不可能になってしまった。いや、鉄の処女の抜け穴を使えば忍び込むことぐら
いはできるのだが、ミーティア姫の弁護団の一員である以上、不用意な行動は慎むべきことで
あった。
512名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/17(土) 16:35:58 ID:AXMCFNzk
(くそっ!)
心の中で兄の幻影に拳を向ける。もし予想が当たっているとしたらエイトの身が危ない。彼の
拷問は肉体的にもきついがそれ以上に精神的な打撃を与えてくる。どんなに強い人間であって
も思うままの答えを引き出すことができる程の。
エイトが精神的に脆弱だとは思わない。むしろ強靱だとククールは思っていた。だが身体を損
なわずとも精神を殺すことは可能である。そしてそれは強い精神であればある程危ない。望む
答えが得られるまで拷問は続くのだから。
(狙いは何だ!)
エイトの死か?オレへの意趣返しか?ならばなぜミーティア姫にまで手を出そうとする?ククー
ルの疑念は募る。
(このままではエイトが危ない)
ついにあの指輪を使わざるを得ない時が来てしまったのだろうか。エイトを死へと追いやる力
を持つあの指輪を。
           ※          ※          ※
513名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/17(土) 16:37:08 ID:AXMCFNzk
「何の用です?」
マイエラ修道院院長室に軟禁されているミーティアと、その身辺を修道女と身分を偽って見張
るゼシカの前にフードの男が現れたのは深夜のことだった。
「おやおや、ずいぶん威勢のいいシスターだな」
口の端に笑みを貼り付かせて男は二人に近付く。
「時間も遅うございます。どうぞ速やかにお引き取りを」
目の前のこの男は徒者ではない、とゼシカは緊張した。そしてさり気なくミーティアを庇うよ
うに前へ進み出る。
「…ほう、どうも見たことがあると思ったら。道理でおとなしやかな口調が上滑りな訳だ」
誰?とゼシカは疑問を感じたが、そのまま修道女のふりを続けた。
「ということはやつがここでも一枚噛んでいるということか?ふむ…」
一人ごちる男にゼシカは呪文を投げかける心積もりをしながらさらに問う。
「こちらにおわすはトロデーンの王女様でいらっしゃいます。無礼は許しません」
「…まあいい。せいぜい私の手の内で踊っているがよかろう。さて」
虚空に向かって呟いていた男が急に向き直る。ゼシカがはっと瞠目した瞬間、男は手刀で空を
切り裂いた。
「きゃあっ!」
裂けた空間がゼシカを襲う。そして戻ろうとする力が溢れぶつかり合い、ゼシカの周りで爆発
して身体を跳ね飛ばした。
「あ、あなた、マルチェ…」
「差し当たってお前に用は無い」
床に叩き付けられ呻きながらも起き上がろうとするゼシカに言い捨て、呪文を投げかける。と、
ゼシカは深い眠りに落ち込んでしまった。
514名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/17(土) 16:38:35 ID:AXMCFNzk
「さて、王女殿下」
あまりのことに声も出ず呆然と立ち尽くすしかなかったミーティアの前に男が立ちはだかる。
「お初にお目にかかり申す。もっともあなたのお仲間にはずいぶん邪魔をされたが」
フードをかなぐり捨て、男─マルチェロが恭し気に一礼した。
「あなたに目通りを許した覚えはございません」
震えながらもきっぱりとミーティアは答えた。
「ゼ、あの者に何ということをするのです。罪もない者をあのように傷つけるなんて。恥を知
りなさい!」
「ほほう、囚われても気位だけは王女のままと見える」
にやにやしながら近付いてくるマルチェロを避けようとミーティアは階下への階段へにじり寄る。
「人は皆、生まれながらに罪人でございます。ならば今の行為も何の咎めもございません。
ですが世の中には…」
ミーティアは身を翻し一気に階段を駆け下ろうとした。が、長い髪を搦め取られ、羽交い締め
にされてしまう。
「血によって至高の地位が約束されている者もいるという不条理があるのです。そう、あなた
様のように!」
抵抗しようにもものすごい力で締め上げられ、ミーティアは息をするのもやっとだった。
「そんな輩はこの手で一人残らず滅ぼしてやる。まずはトロデーンとサザンビークからだ。
裁判中の今は身体の一部たりとも欠けてはならんらしいが…」
声に笑いが混じる。
「次世代を断つことは可能だ」
次世代?とミーティアが疑問に思った瞬間、下腹部に激しい衝撃が走る。
「あ、な、た、…何、を…」
「念には念を入れるものだ。あなた方を処刑するとしても次の世代が生まれてしまっては台無
しだからな」
ミーティアの意識の彼方からマルチェロの嘲笑が不吉にこだまし続けていた。
                     (続く)
515名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/17(土) 16:49:37 ID:AXMCFNzk

マルチェロの台詞で「生まれながらの〜」というものがあります。
キリスト教の原罪思想でも同じことを言いますが、本質的に別のものであることをご承知ください。
彼の中ではゼシカやミーティアに、ひいては王家に対する暴力行為を正当化する台詞ですが、
もちろんキリスト教ではそのようなことは認めていません。

いつも長々とすみません。
自分でもこんなに長くなるとは思ってもみなかった…
516名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/17(土) 16:52:12 ID:NcXDSRuJ
力作ですねー。凄く面白いです!
続きが楽しみ。がんばってくださいね。
517名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/17(土) 17:21:58 ID:6TzPh7UZ
姫の子宮が! 姫の子宮が!
518名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/17(土) 21:13:23 ID:AXMCFNzk
あっ、主姫萌えシーン今回全然ないし。
話の構成上次回もなさそうな悪寒。
…………_| ̄|〇
できるだけ早くそういうシーンに行き着けるよう努力します。

>516
なんだか風呂敷広げまくりになってしまいました。
いつもと毛色の違う話なもので力入っているかも。

>517
次回までお待ちください。
519名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/17(土) 21:21:00 ID:B2w6mWPE
念のため聞いておくが、
必然性があって痛めつけてるんだよね?
520名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/17(土) 21:24:27 ID:yBzOmHGq
いやー、面白いですね!こんなにワクワクしたのは久しぶりですよ。
お疲れ様です。続きを楽しみにしています。
でもこれを書くのは本当に大変そう。あまりご無理をなさいませぬよう…。
521名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/17(土) 21:25:43 ID:AXMCFNzk
>519
はい
522名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/17(土) 21:44:21 ID:AXMCFNzk
>520
もたもたしていたら!ありがとうございます。何より励みになります。
いろいろ本を読んで調べ物に励んでおりますが、そんなに難しいの読んでないしw
何より痛かったのは「あるきかた」買わざるを得なかった時だったり。
523sage:2005/09/17(土) 22:36:29 ID:lJUVRIMz
        _     +    
.   +   ,'´ .__ _ヽ.  _ _ love     +
      i /メ))ヘゞ´, -、ヽ  
     (ソゞ(.^ヮ^ノ.川─ー!|   +
+      K゙ヽY/ス|!(|^ヮ^ノl 
      U〉-l=ト!m)|ト-チiつ love
.  love  ./エ_iイi_〉ソリ゙/iヾi!  
       |-/|-| んレ';_!_リゝ
524名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/18(日) 11:56:55 ID:ZFYV9PiK
最後には↑みたいにならないと納得しないよ?
525名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/18(日) 14:14:38 ID:v650qM8y
あのさー盛り上がってるとこスマンけど…。
確かに面白いんだけど…。
俺主姫大好きなんだがマルチェロも好きなんで
この展開は辛いな。

二人を結びつけるために他キャラを極悪化させるのは
避けて欲しいような気もするんだ。
原作設定での悪ならともかく、マルチェロってどっちかというと、
グレーっぽい位置づけなキャラなんだろ?
それがまるっきりの悪役として扱われるのはちょっと辛い…。
気持ち分かるとは言え、二人が罪を犯したことは事実なんだし…。
それを踏まえて安易な展開にはして欲しくないなあ、とも思ったり。

とは言え、続き楽しみにしております。
チラ裏っぽい独り言スマソ。


526名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/18(日) 14:53:46 ID:NvJLyvPB
マルチェロはどっちかというと黒幕って立場よりも
二人を助ける為に動いて欲しかったりして。
あっ!もしズバリだったらスマソ。
527名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/19(月) 19:49:20 ID:uY1c7Orv
主ゼシスレ落ちた…
AC発売祭で圧縮ペースが非常に速くなっている模様。
と言ってもいい話の種がある訳じゃないんだが。
突然落ちたりしないように気をつけて行きましょう。
528名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/19(月) 19:52:00 ID:Hd5bu9wX
圧縮でクリアリが落ちたが、主ゼシも落ちたのか・・・
529名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/19(月) 20:04:10 ID:oqxVgXUS
ここも用心しとこう…。
530名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/20(火) 21:54:09 ID:5Vy2WaT+
馬姫様萌え。
531名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/20(火) 22:01:57 ID:dKJCKkP4
>525
ご意見ありがとうございました。
参考にさせていただきます。
ただ一言だけ言わせていただきますと、あの後あっさり改心して白マルチェロになる展開の方が安直に思えるのですが。
これ以上はスレ違いなんでこれくらいで。

>526
何かそれもいいなあ。
つーか外野で展開予想してる方が面白いんじゃないかって気がしてきたよw
532名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/20(火) 22:20:17 ID:GpqL+PJU
>531
マルチェロがED後、白になろうが黒になろうが、
それはあくまでもプレイヤーの自由な想像に任せられてるんであって。
一介のSS書きにすぎないあんたに「安直」だなんていいきる権利無いだろw

いっつも一言多いねあんたw
533名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/20(火) 22:48:16 ID:Te31pch1
別に言い切ってないじゃん
それにマルチェロなんて世界支配したかっただけの俗物だし
534名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/20(火) 23:24:31 ID:ovJpm5TK
自分のスレでもないのに、自分の作品へのレスにいちいちコメントつける作者は嫌われるってこと。
535名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/20(火) 23:45:14 ID:GpqL+PJU
感想にコメントつけるのは一向に構わんが、
他キャラを貶めるようなことは言って欲しくないね。
その必要も無いのに。

だから一言多いって言ってんの。
536名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/20(火) 23:47:58 ID:Te31pch1
だから別に貶めてないだろうが
どこ読んでんだ?
537名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/20(火) 23:51:09 ID:RckbBJTw
まあマルチェロは好きな人結構多いらしいから
538名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/20(火) 23:55:03 ID:GpqL+PJU
>536
お前こそよく読んでみろ。
SS中で思いっきり貶められてるだろうがw
539名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/20(火) 23:59:39 ID:Te31pch1
ゲーム中で悪だった奴をSSで悪として扱ってなにが悪いの?
つーかチャゴスのほうが酷い扱いなのにマルチェロに関してだけ噛み付くなんてただのマルチェロ厨かよ
マルチェロが悪く言われるのは耐えられないって?
540名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/20(火) 23:59:51 ID:ovJpm5TK
                       \\               \\
                        \\/ /○           \\/ /○
                GIGADEIII―― \| |. ――IIIIIIIIIIIIII――  \| | ―――IINNNNN!!!!!!
                          ο | |\.             ο...| |\
.    人人人人人人人人人          //\.\.            //\.\,
  < トロデーン仮面参上!>        | |  |  |            | |  |  |
  < 喧嘩両成敗だ!!  >        | ヽ//..            |ヽ//
   ∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨         /\\;○,           ./\\;○,
                         //   | |             //  | |
            _           | .|ο | |           | .|ο | |
.          ,'´ __ _ヽ.           \\/ /     ○。     \\/ /      ○
.         i.#/メ))ヘゝ            \/ /  ○゚ /        \/ /  ○゚ /
.        (ソゞ(,▼0▼       ○。  | || 。/  / 。○, ○。  | ||。/  /   。
 .         〔につフつ        \ . | ||/ 。 /  /     \  . | ||/ 。/  /
. …ヤッテテ  .   〉-l=ト!    ○  从 ○ 从从从 从 GpqL+PJU ○ 从 ○ / / 从
. ハズカシク ナイ?  くエ_iイi_〉    从 从乂从从从从从 从从∧_∧从 从 从乂从从从从
   人       |-/|-|     ○  从 ∧∧从从と⌒⌒つ."∀")つ从从 从从 ∧__∧Te31pch1
 (;-_-)  .    ̄  ̄       从从 ("∀"と   つ从从从从从○从と    つ~∀~)つ从从
                 从从从从从从 从乂从从从从从从 从从从从 从乂从从
541名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/21(水) 00:10:08 ID:NIDUNsHR
喧嘩するなよw

いつもの◆JSHQKXZ7pEさんの作風とは一風変わったこの有り得なさ、
この世界観の無視加減、もうなんつーか、最高だと思うよ。
主姫スレなのに、チャゴスに拷問され、マルチェロに拷問され、
こいつぁ相当の問題作だぜ(*´Д`)!って感じっすわ。
続きを楽しみにしています。

542名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/21(水) 00:15:58 ID:0IbEHGS2
>541
喪前それ褒めてんのかww
543名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/21(水) 00:17:29 ID:0IbEHGS2
ここ見てる人の中でもマルチェロ好きは多いかもね。

マルチェロを黒とするか白とするか灰色とするかはそれぞれの感性の問題なので
ここで議論してもしょうがない。
>538が怒っているのは、作者が白とする=安直だと余計なコメントつけたりするからだと思うが。

そんなの人それぞれなんだから、さらっと流せよ。
544名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/21(水) 01:04:53 ID:9f+UUAKB
まぁまぁ皆の衆、茶でも飲んで一息つけ

旦 旦 旦 旦  旦       旦 旦 旦 旦 旦旦
 旦 旦 旦 旦旦 旦      旦旦 旦 旦旦  旦
旦 旦 旦 旦 旦 旦. ∧_∧ 旦 旦旦 旦 旦 旦
旦 旦 旦 旦 旦 旦 (´・ω・`) 旦 旦 旦 旦 旦 旦
旦 旦 旦 旦 旦 旦.  (o旦o ) 旦 旦 旦 旦 旦 旦
旦  旦 旦 旦 旦 旦. `u―u'  旦 旦 旦旦 旦 旦旦
545名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/21(水) 17:37:53 ID:Iq8XFoQf
ではお言葉に甘えて 旦~⊂(゚∀゚ )

SSの続きの投下待ってます(*´д`*)
546名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/22(木) 18:54:17 ID:7aK8dbvc
外野うるさいなーw
SSの続きが投下されにくくなっちゃうじゃないか。
楽しみに待ってるのに。

>>544
旦⊂一杯もらいます。
茶でも飲みつつまたーりしようよ。
547名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/22(木) 19:30:38 ID:jjXwbZsV
外野も何も、投下する人が自ら投下しにくい雰囲気を作っていれば世話ないわけで
548名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/22(木) 19:55:16 ID:/uxwE/mc

+      +
+   +  +  +
  ∧_∧  +
 (0゜・∀・)   ドキドキワクワクテッカテカ
 (0゜∪ ∪ +   +      
 と__)__) +
549名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/22(木) 22:20:03 ID:72PUA+lZ
>>473-476>>485-492>>506-514続き行きます。
550二人に捧げるRequiem ◆JSHQKXZ7pE :2005/09/22(木) 22:23:02 ID:72PUA+lZ
4.Confutatis

「大丈夫か!」
翌朝、院長室の二人が何者かによって襲われたという知らせにククールがすっ飛んできた。
「ええ、私は平気。グランドクロスの後、眠らされただけだったから。でも姫様が…」
「腹を殴られたって?」
ククールの問いにゼシカは深刻な顔で頷いた。
「酷い痣になっているわ」
ククールも渋い顔になり、寝台で眠っているミーティアの方を見遣る。
「まさかとは思うんだが、その…」
微妙な問題に思い当たり、ククールが口籠った。
「流産したんじゃないかってこと?」
ゼシカがはっきりと言い切る。
「それはないわ。もしお腹に赤ちゃんがいたら大変なことになっていたと思うけど、ただ気絶
しただけよ」
「そうか…」
ほっとしてククールの肩から力が抜けた。
「でもショックだったんでしょうね。誰かに殴られたことなんてなかったでしょうし。姫様の
方が先に意識を取り戻して私を起こしてくれたんだけど、その後熱出しちゃって。休むのが一
番だと思ったから薬湯を飲ませてから呪文かけてぐっすり眠ってもらってるの」
「今までの疲れも溜っていたんだろうな。気を張っていただろうし」
「そうよね…」
図らずもゼシカの口から小さな溜息が漏れた。
「ゼシカも疲れているんじゃないのか?」
「んー…私は大丈夫。これくらい、旅に較べたらどうってことないわ」
「まあ、でも無理すんなよ」
「ありがとう」
551名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/22(木) 22:24:48 ID:72PUA+lZ
「で、疲れているところ悪いんだが…」
急にククールの口調が改まった。つられてゼシカも真面目な顔になる。
「やっぱりアイツか?」
「ええ、そうよ。名乗った訳じゃないけど、でも分かる。あの技を使うのはククール、あんた
とマルチェロしかいないもの。姫様も顔を見ていて、私の覚えている特徴と一致したわ。『背
が高く、黒髪で、額が広い』って」
「額が広い、ね…」
深刻な事態だったが、ゼシカとミーティアのあまりにはっきりした物言いにククールは込み上
げる笑いを隠せなかった。
「確かに生え際が危うかったよな、アイツ。新米修道士が陰口叩くときは『デコ』だったっけ」
言葉の中に懐かしむ色合いが混じる。
「でも何で今更こんなことをするの?ゴルドで全てを失って、新しい道を行った筈じゃなかっ
たの?」
「うーん…」
「姫様に言ったんですってよ、『王族なんて根絶やしにしてやる。まずはトロデーンとサザン
ビークからだ』って」
「変わってねえな…」
いらいらと歩き回るゼシカの背に呟いた。
「そうよ、まるっきり変わってないわ。ゴルドでぶった、あの大演説と全く同じ。あんなこと
があったのにどうして変われないの!?」
「それは違うな」
ククールの言葉にゼシカがきっと振り返る。
「どこが違うのよ」
「何かきっかけがあったから変わるんじゃなくて、本人が変わろうと望むから変われるんだ」
ククールの意見にゼシカは黙り込んだ。
「思い出してもみろよ。エイトたちと出会って旅をしたことは単なるきっかけに過ぎないだろ。
色々考えるようになって初めて、新しい方向へ進んだんじゃねえのか?」
「…たまにはまともなこと言うのね」
「まあな。色男にも脳みその欠片ぐらいはあるってことだ」
その物言いにゼシカは吹き出した。
552名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/22(木) 22:26:10 ID:72PUA+lZ
「まったく。その辺りは変わんないわよね」
「この辺りは習い性だからな」
にやりとしたが、急に真面目な顔になる。
「オレに対する憎悪もアイツの個性の一部だったんだ。あの時オレに助けられたことで自分の
あり方を否定されたような気持ちになったんだろうな。それが変わるきっかけになればよかっ
たんだが…」
「きっかけになるんじゃないの?普通は」
「馬鹿言え。人が変わろうとするのってとてつもなく力を使うもんだ。今まで通りやっていく
のが一番消耗しなくていいんだよ」
「そんなものなのかしら」
「そんなもんさ。ま、変わるきっかけを貰って変わろうとしたのかもしれないが、変われなかっ
た。変わり切る前にまた権力の匂いのする場所に近付いてしまって、自分の生まれに対する劣
等感を刺激されたんだろうな。それで戻ってしまった、と」
「よく分かるわね」
「まあな。生憎アイツとは兄弟だし」
ふん、と自嘲気味にククールは笑った。
「あの時何度でも止めてやる、って言ったし、変な野望は阻止してやるさ。エイトたちのため
にも」
そう言って眠るミーティアの顔を眺め遣った。呪文のおかげもあって安らかに眠っているもの
の、憔悴の色が濃い。
「で、エイトは?マルチェロが絡んでいるとしたら危ないんじゃ…」
「おまえ、随分心配するんだなあ」
笑いを含むククールの言葉をすっぱり切り落とす。
「馬鹿言わないで。エイトは大切な仲間よ。それとも何?嫌いな訳?」
「…ああ、そうだな」
仲間、そうだった。女とは遊ぶもの、男とはカモにするもの、と思ってきたククールにとって
エイトやヤンガスは全く異質な存在だった。
「好き嫌いの二択なら確かにエイトは好きだ。でもそんな生温い言葉で片付けたくねえ。背中
を預けられるってやつかな。ヤンガスもそう、ゼシカもそうだ」
「そうよね、私もそうだわ。恋愛云々じゃないのよね。明らかに質が違うもの」
「へえ?」
興味あり気にククールの眉が動き、先を促す。
553名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/22(木) 22:28:21 ID:72PUA+lZ
「お手軽な言葉で片付けて欲しくないって気持ち、よく分かる。村に戻ってお母様に旅の話を
していると『そんなに好きなら結婚すればいいじゃないの』って言われるの。でも、エイトは
大好きだけどそういうんじゃないのよね、不思議なんだけど」
「ふーん」
「だけど姫様は違う。エイトの近くに、もっともっと近くにいたい、離れたくないと思ってい
る。エイト以外は誰であっても置き換えできないくらい強く想っているの。もしあのことがな
くてそのままサザンビークに嫁いだとしても絶対上手く行かなかったと思うわ」
「そうかもな…でもあの時オレが唆したりしなければこんなことにはならなかっただろうと思
うと責任感じるぜ」
ククールの顔が曇る。
「責任を感じて暗くなる前にやってもらうことは一杯あるわ」
それを吹き払うかのようにゼシカはてきぱきと続けた。
「ここの警備をしっかりやってもらって、変な人は入れないようにしてもらわないと。後、旧
修道院の通路も塞がなくっちゃ」
「大丈夫だ。ちゃんと手を打ってきた。入り口は閉じておいたから、指輪無しでは入れない。
警備も騎士団の連中を焚き付けておいたし。後これ、服の下に着込んでおいてくれ」
そう言ってククールはドラゴンローブを取り出した。
「それ着ておけば呪文受けてもかなり楽になるだろ。あからさまに盾持っていたら怪しまれる
しな」
「助かるわ。ありがとう」
554名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/22(木) 22:29:07 ID:72PUA+lZ
「オレはこれからサザンビークまで行ってくる」
「えっ、何しに?」
「トロデ王からの密命があるんだ。それをクラビウス王に伝えに行く。ついでに指輪も貰って
くる」
「指輪?アルゴンリングのこと?でもあれを出したらエイトは…」
「ああ、大逆に問われることはまず間違いない。でも拷問だけは止めさせることができる。王
族待遇になるからな」
「でも…」
「あいつを薄暗い拷問室でひっそり死なせたくねえ。このままじゃ手詰まりなんだ。生きてこ
そ開ける道もあるっつーもんさ」
「…そうよね」
ククールの言葉にゼシカは頷いた。
「頼んだわよ。こっちは任せて。もう二度と遅れは取らないわ」
「おう。じゃ、行ってくる」
ゼシカとククールがぽん、と手を合わせる。
不敵な笑みを浮かべ身を翻すククールとそれを見送るゼシカは気付かなかった。寝台の中のミー
ティアの頬に涙が一筋、伝ったことを。
           ※          ※          ※
555名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/22(木) 22:30:11 ID:72PUA+lZ
サザンビーク城。西の大陸に大きな勢力を持つ大国のその要。巨大な城の奥まった一室にクラ
ビウス王は客を迎えていた。拝謁玉座の間ではない。トロデーンの使者とは言え密使の体裁を
取っていたため王の私客としてひっそりと招じ入れたのである。
クラビウスは困惑していた。トロデーンの密使─ククールはエイトのアルゴンリングを渡すよ
う、要請している。だがそれを公にすることは…
「駄目だ、あの指輪を出すことはできん」
首を横に振り、目の前の男に拒絶の意を示す。
「指輪はもう存在しない。王位継承者が何人もおっては国の礎が揺らぐからな」
きっぱりと言い切ったつもりだったが、ククールはそれが嘘だと見破った。エイトの持ち物で
あると同時に兄エルトリオの遺品である指輪を簡単に破壊できるような性格ではない、と。
「それは残念です」
一見引き下がったように思える言葉で受け、独り言のように続けた。
「と言うことはエイトはこのまま拷問死することになるんでしょうねえ」
案の定クラビウスはその言葉に飛びつく。
「拷問死だと!?そんな馬鹿な」
「エイトは庶民扱いですし、正式な手続きを踏まずとも闇に葬ることは可能なのです」
ここぞとばかりに押す。クラビウスの『サザンビーク王家の血の誇り』を刺激するように。
「庶民には正式な裁判など不要、という訳ですね。既にトロデーン近衛隊長の地位を失ってい
ますし」
「何と…」
クラビウスは絶句した。先にククールが予想していた通り、沈黙を保っていたのは兄の遺児た
るエイトの身を守らんがためだった。エイトの出生が明らかとなれば、王としてエイトの抹殺
を命じなければならぬ。現政権を守り、息子に王位を伝えるために。だが、兄の子を殺すこと
は躊躇われた。
「…少し考えさせてくれ」
そう言ってクラビウスは立ち上がり、窓際へと寄った。手の内には件の指輪がある。兄の紋章
が刻まれたアルゴンリング。だがその持ち主、贈り主共にもうこの世にはいない。ただエイト
の存在だけがかつて兄とその妻が在ったことの証だった。それを闇から闇へ葬ってもいいもの
だろうか。
556名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/22(木) 22:34:28 ID:72PUA+lZ
あの事件によってサザンビークの面目が潰されたことは確かではあった。何より二人の捕縛を
命じたのは自分自身であったから。だがしかし、拷問という不当な手段で兄の子の命を奪うこ
とは許し難かった。
「我が子に王位を継がせたい…」
クラビウスは絞り出すような声で呟いた。
「だが、兄上の子を庶民として扱うことは我が王家を侮辱することに他ならん」
ククールの方に向き直る。
「サザンビークの名に於いてエイトに正式な裁判を。以後、刑の執行まで不当に危害を加える
者はサザンビーク王家に対する反逆者として処遇する」
そう宣言して机上の羊皮紙にその言葉を書き入れ、署名して指輪と共にククールに差し出した。
「これを裁判官に」
「はっ」
ククールは一礼して受け取った。
「本当は…」
独り言を装って呟く。
「兄上の血を絶やしたくない…」
ククールはしかとその言葉を心に刻んだ。だが、口から出た言葉は王の立場を思ん諮って全く
別のものだった。
「エイトは、強い人間ですよ」
「うむ」
兄上の子なのだから、とひっそり心の中でクラビウスは続けた。
「今一つ、お伝えせねばならぬことがございます」
「何だ」
「はい。トロデーン国王にあらせられては……………ということでございます」
ごく低い声で辺りを憚るように伝える。
「何と」
意外な申し出にクビラウスは驚きを隠せない。
「それ故、あまり王女に執着しない方が政治的にも得策かと」
ここからは政治の問題だ、と意識を切り替えながらククールが畳み掛ける。
「それを考慮なさった上で、今後の裁判を進めますよう、ご忠告申し上げます」
557名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/22(木) 22:35:27 ID:72PUA+lZ
「成る程な」
落ち着きを取り戻したクラビウスはその真意に気付いた。
「トロデ殿も策士だな…よい、その点については選択肢の一つに入れておく、と伝えてくれ」
「かしこまりました」
一礼するククールから目を逸らしつつ、クラビウスは言った。
「私はサザンビークの面目を保つことを優先する。トロデーンの玉座を危うくしようとまでは
思っていない。だが裁判記録を読むとそのように仕組んでいる輩がいる気がしてならん」
最近チャゴスの様子もどうもおかしいし…と心の中で呟いた。以前は愚かな行動をすることが
あってもそれは底の浅いすぐに見破られる程度のものだった。あんなに禍々しい気配をしては
いなかった筈なのに。
「両者に公正な裁判を」
「はっ」
再び礼を取るククールに手を振って会談終了の意を告げる。それに答えるようにククールは部
屋を出ていった。
「…兄上そっくりだな、愛する女性の為なら命を賭けるなぞ…」
部屋の中の重い空気の中にクラビウスの呟きは消えていった。
           ※          ※          ※
558名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/22(木) 22:36:45 ID:72PUA+lZ
ある日、エイトは急に牢から出された。また尋問か、と思ったのだが様子が違う。
「どうぞ、こちらに」
どうぞ、なんて言葉など、ここに来て初めて聞いたような気がする。おかしいと思いつつも兵
士の後をついて行くと二階の騎士団団長室に案内された。
「結審までこちらにおいでください。ただし、自由に出歩くことはなさいませんよう」
やけに丁寧な言い方の兵士に促され、部屋の中に足を踏み入れる。と、そこに見覚えのある顔
があった。
「ククール!」
「よう、エイト。遅くなってすまなかった」
背後で扉が閉まる。鍵がかかるのを待ってククールが口を開いた。
「どうもアイツが関わっているらしいことに気付いてな」
「ああ」
ククールの異母兄、マルチェロ。ではやはりあの男がそうだったのかとエイトは改めて納得し
た。
「姫様の審問もサザンビークの思惑と違う方向に流れそうになったし、チャゴス王子もどうも
操られているくせーし」
確かにそうだった。煉獄島での彼の様子が今までと全く違っていたことを思い出した。王家の
威光を嵩に着ているだけの小心者だった筈なのに、別人と言っていい程邪悪な雰囲気を醸し出
していたことを。
「それで…それとこれとどう関係があるんだ?」
マルチェロの動向も気になったが、まずは待遇の激変ぶりが何なのかを解決しようとククール
に尋ねる。
「ああ、サザンビークから指輪が提出された。今後おまえはサザンビーク王家の血を引く者と
して扱われる」
「へ?」
状況がよく飲み込めなくてエイトは間抜けな声を出してしまった。
「だから、おまえの父方の血から王族待遇されることになって、拷問はされなくなったんだ。
正式に処遇が決まるまで身柄は教会の庇護の下に置かれる」
「そういうこと、か…」
説明を聞くうち、エイトは了解していった。自分の置かれた状況と、ククールが敢えて語らな
かったことを。
559名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/22(木) 22:37:32 ID:72PUA+lZ
「それで、ミーティアは…」
恐る恐る問いかけるとククールの表情が改まる。
「今、姫様の裁判の争点は三つに絞られている。大逆の意思の有無、侮辱の意思の有無、姦通
の意思の有無だ。このうち大逆の意思がなかったことさえ立証できれば死刑はあり得ない。こ
れはトロデーンから証人喚問すれば立証できる筈だ」
「あれは皆、僕がやったことなのに。そんなことをミーティアは考えていなかった」
「そうさ。何度も共謀して、というならあんなにはっきり敷布に証拠が残ったりしないからな」
にやりとしながら発せられたククールの言葉の意味するところにエイトは頬が赤らむのを感じ
た。それを隠そうと急いで続ける。
「で、でもそれで大丈夫なのか?それ以外の二つだけでも死刑になるんじゃ…」
「ああ、それはない」
とククールはあっさり言い切った。
「裁判には判例っつーもんがあるんだ。それにサザンビーク王もその辺りは望んでいない。ま
あ、任せとけ。ヤンガスから聞いたかもしれんが、死刑回避、婚約破棄の方向へ持って行くよ
うにする」
「…頼む」
ククールの言葉は都合が良すぎるように思えたが、今はそれだけが頼りだった。
「お前は今のうちに体力を回復させておけよ。やることはたくさんあるんだからな」
                     (続く)
560名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/22(木) 22:50:41 ID:/uxwE/mc
拷問コナ━━━━(;´Д`)━━━━イ!!!
561名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/23(金) 01:22:25 ID:YmBh1tg4
乙です。
チャゴス操られていたのか。道理でチャゴスにしちゃやるねぇ(*´Д`)とおもたよ。
おっそろしいクラビウスを期待してたけど、毒気がないオヤジでちょっと拍子抜けしたかな。
続きを楽しみにしています。
562名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/23(金) 04:21:36 ID:uKKWbHdL
本当に超大作になりそうですね。乙です。
これからの展開がどうなるのかと、激しく続きを楽しみに待っております。
563名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/23(金) 23:12:13 ID:lA9cYp7i
き、き、き、キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!

続きがワクワクテカテカ(AA略
564名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/24(土) 22:34:24 ID:zcZaPRb3
>>473-476>>485-492>>506-514>>550-559続きいきます
565二人に捧げるRequiem ◆JSHQKXZ7pE :2005/09/24(土) 22:36:35 ID:zcZaPRb3
5.Lacrimosa

青白い月の光に満ち溢れる部屋の中、私は一人立っていた。
先日結審して判決を待つばかり。ヤンガスさんやゼシカさん、ククールさんのおかげで私の死
刑は無くなった。でもエイトは…
自分の肩に触れてみる。あの夜幾度となく抱き寄せられた私の肩。行き着く先にはエイトの広
く力強い胸があった。
「エイト…」
あなたを呼ぶことももうすぐ虚しくなるのね。
確かに最初はエイトが奪ったのかもしれない。けれどもその後は互いに求め合った以上、同罪
になってしかるべきなのに。
大逆の意思がなかったことが証人喚問によって立証した後、古今の判例を虱潰しに調べて姦通
罪のみでは死刑は有り得ない、あるのは問答無用で離縁だけ、という証拠を提出してククール
さんは無罪をもぎ取ってくれた。外交的配慮からこの先死ぬまでの幽閉は決まっているけれど
も。でもエイトは…
恐る恐る指先で唇をなぞってみる。あの夜何度も交わした口づけは浸りたい程甘く、焼き尽く
されそうに熱く、死よりも深い絶望の味がした。今なら分かる、あの甘さは恋の叶う喜び、あ
の熱はエイトの中に燃える生命の炎、そしてあの絶望は二度と叶わぬ逢瀬故だったのだ、と。
「火が熱いのは、光り輝くため…」
今にして思えば、エイトがあんなにも熱を発していたのは命懸けだったからなのだろう。エイ
トの腕の中にあって私の身体もまたその熱が伝染したかのように熱を発し出したことを思い出
した。そのまま二人で燃え尽きてしまわないことが不思議なくらいに。
「火が燃え盛るのは、焼き尽くすため…」
虚空に消えていく私の言葉のようにあのまま燃え尽きて二人で灰になってしまえばよかった。
そして一つに混ざり合い、私でもエイトでもない物になってしまいたかった。
唇をなぞっていた指を離すと、一層寒々しかった。肩に腕を廻しそのまま強く自分を抱き締め
る。あの時のエイトを思い出して。
566名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/24(土) 22:37:51 ID:zcZaPRb3
ククールさんがエイトの弁護にも関わっていてくれるため、事情は少しだけ伝わっている。私
と違ってエイトには何の後ろ盾もなかった。審問もサザンビークの主導の下で行われている。
それ故に苛烈な刑を執行する方向になりつつあるという。エイトの持っていた指輪も無駄に
―いいえ、むしろ悪い方向に働いた。現王家に対する叛意ありと見なされ、大逆が確定したと
いう。
せめてもの救いはサザンビーク王の好意により刑一等減じられて火刑から斬罪になるだろうと
いうことだけだった。魂の飛び去るその瞬間まで苦痛に焼かれる火刑に比べれば、苦しみは一
瞬のこと。けれども…!
さらに強く自分を抱き締める。もっと強く、もっともっと強く。立っていられなくなって膝を
付き、冷たい床に蹲りながらも抱き続けた。エイトに死に遅れて、私はどうすればいい?同じ
罪を一緒に犯したのにどうして私だけ助命されるの?一緒に死ぬことすら許されないの?

忍び漏れる私の鳴咽は夜の静寂の中に消えて行くばかりだった。
           ※          ※          ※
もうすぐ全てが終わる。
自分の犯した愚かな行動の責を負って僕は死罪になる。いいんだ、それで。命一つで購えるも
のならばいくらでも投げ出そう。その覚悟はついている。
僕の後先を考えなかった行動によってミーティアの自由は永久に失われてしまった。トロデー
ン王女の称号は残されたものの、王位継承権を失い、どこかに造っているという塔に死ぬまで
幽閉されるらしい。トロデーンとサザンビークの体面を汚したということで。
体面を汚したのは僕の方だ!こんな運命に堕すためにあの旅をしたんじゃなかったのに。人の
姿に戻ってこの世の幸せを掴んで貰うための旅ではなかったのか。それを一時の快楽に負け、
嫉妬に狂って取り返しのつかない事態を招いてしまった。僕にもう少しだけでいい、想像力が
ありさえすれば、愛する人を屈辱と苦難の中に引きずり込むことはなかっただろうに。
「ミー…ティ…ア…」
567名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/24(土) 22:39:26 ID:zcZaPRb3
ヤンガスやククール、ゼシカまでも僕を助けようとしてくれている。有り難いとは思う。でも、
もう、止めて欲しい。生きたい、という浅ましい願いを抱いてしまうから。
大体、大恩ある陛下にまでご迷惑を掛けて、おめおめと生きていられようか。ご自分のただ一
人の子を自らの手で断罪させ、国の存続を危うくしてしまったというのに。身元の分からない
僕を城に置いてくれて近衛兵にまでしてくださった恩を、仇で返すような真似をしてどうして
顔を上げて生きていかれよう。僕にも恥を知る程度の心はある。
「ミーティ…ア…」
目を閉じればミーティアの姿が浮かぶ。それはあの夜の彼女ではなく、もっと子供の頃の姿ば
かりだった。
(これは、なあに?)
僕の掌に乗せられた物を不思議そうな顔で覗き込んでいる。
(セミの抜け殻だよ)
(まあ、初めて見たわ。じゃあこの中に今あそこで鳴いているセミさんが入っていたのね)
(うん、きっとどこかで鳴いているよ)
あれはきっと九つの時。蝉が大発生した年で、あちこちに落ちていた抜け殻を二人で集めたん
だった。
(十七年も土の中にいたのね…)
そう言って二人、不思議な気持ちになった。
(じゃあ次は、うーんと、十七たす九だから…僕たちが二十八歳になった時だね)
(何だかとっても先のことね。でも次の時も一緒に殻を集めましょうね)
(うん)
あれから十年も経たないうちに死ぬことになるなんて、思ってもみなかった。あんな些細な約
束、とうに忘れていることだろう。そしてこの先も思い出さずにいてくれることを願う。
ミーティア、僕はあんなことをしたことを悔いている。大逆の汚名を着せられることは構わな
い。むしろこの身に全てを負ってしまいたい。
僕が悔いているのは真白く無垢だったあなたを汚してしまったことだ。愛だ恋だと飾ってみた
けど、その内実は抱き締めて一つになり、自分の刻印を残したかっただけだったのかもしれな
い。ただ自分の想いばかりに性急で、あなたを思い遣ることができなかった。
568名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/24(土) 22:42:43 ID:zcZaPRb3
「ミーティア!」
覚悟はついている。でもあなたを想う度それは揺らいで命が惜しくなる。旅の途中、何度も強
敵に当たった。けれども一度だって怖いと思ったことはない。なのに今、僕の脳裏には懐かし
いトロデーン、ただ幸せだった頃のあなたの笑顔が浮かんでは心を掻き乱してくる。世界はこ
んなにも美しい、もっと生きていたい、と。
死ぬのが怖いんじゃない。だけどこんな時になってもなお、僕はあなたを恋い慕わずにはいら
れない。生きていたいと心の底から思わずにはいられないんだ!
           ※          ※          ※
ミーティアが終の住家となる場所へと出立して数日後、エイトにも判決が下った。
結論は既に決まっていたおり、審理は形だけ、体裁を整える為のものだった。仮にも王族の血
を引く者を無裁判で処刑することはできなかったからである。
判決が下り、審問場を出るエイトの前に立つ警備兵の斧が鈍く光る。その刃がエイトに向かっ
てかざされていた。
通常警備兵が刃を人に向けることはない。それは判決を受けた者が死罪であることを示す時だ
けだった。エイトがサザンビークの王位を狙い、現王家を侮辱した者として死罪である、と。
                     (続く)
569名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/25(日) 00:39:54 ID:O/PQWlHm
まだ希望を捨てていないわけですが…。
このSSは 「主人公とミーティアを応援するSS」 であると…。
とにかく乙です。続きを楽しみにしています。
570名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/25(日) 00:41:06 ID:vAl64QzQ
死ぬわけないよね主人公だもん。
571名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/25(日) 23:04:27 ID:liLrs6WT
感想どうもありがとうございました。
後二、三回で終わる予定です。
572名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/25(日) 23:23:52 ID:AAKhne0v
お疲れ様です!!
これからどう纏めるのかが楽しみです。
573名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/25(日) 23:31:06 ID:LawghxMP
>>571
頑張ってください!楽しみにしています。

関係ないけどとうとう最下層…
574名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/26(月) 00:25:03 ID:n1u5LB8B
続きが、続きが、
キニナル━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!


>>573
変な厨に見つからないから、逆に都合がいいかと。
575名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/26(月) 05:06:53 ID:Na54iJNU
576名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/26(月) 08:28:40 ID:jeMNsaF8
p
577名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/26(月) 09:04:43 ID:5UGLuEeE
気持ち悪いスレ
578名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/26(月) 15:01:40 ID:vPCk5plt
厨はお前だ
579名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/26(月) 23:15:51 ID:87qzvmhe
最下層でいるのもなかなか難しいのう。
ageずにはいられない奴もいるみたいだしw
下の方でうろうろしている分には目立たないけど最下層は逆に目立つってことかもね。
580名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/27(火) 00:18:55 ID:cGj6ZwwF
落ちたりしないんだろうか…心配だ。ageたいよ〜!
581名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/27(火) 16:02:21 ID:Li0FrF7f
>>580
>>576がageてるじゃん。
582名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/27(火) 16:35:10 ID:SrCL5eQf
圧縮でときどき適当な位置に浮上するから、sage続けても最下層にはいられないよ。sage進行で正解。
583名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/27(火) 22:52:27 ID:Y5gu3PTh
また圧縮かかったくせー。
…ま、このスレはほぼ毎日書き込みあるし大丈夫だと思うけどね。ageる必要も全くなし。
早くAC祭が終わってくれるのを待とう(後う○こ祭もw)。
584名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/28(水) 19:48:01 ID:bhLJd3Vr
さきほど初めて泉に到着。

かわええ(*´Д`)
しかも宿に泊まったらもう…(;´Д`)ハァハァ

ピザ王子氏ね
585名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/28(水) 21:54:49 ID:BzBmykAF
586二人に捧げるRequiem ◆JSHQKXZ7pE :2005/09/28(水) 21:57:06 ID:BzBmykAF
6.Hostias

エイトの身柄はサザンビークへ移送された。王太子の婚約者を奪い、王統を乱そうとした大逆
者として自らの手で断罪したいとサザンビーク側が強硬に主張した為である。トロデーンとの
婚姻は破談になり、婚約者を寝取られたチャゴス王子の面目をせめて保とうという臣下たちに
よる配慮だった。
それでもこの処置に反対する向きがなかった訳ではない。明らかにされたエイトの出生を考え
た時、現政権に対する不満分子がその身柄を奪って王に刃向かうのではないか、と危惧する声
もあったのである。それを押し切ったのはチャゴス王子の(珍しく)強い意向が働いたからだ、
と言われていた。
そのチャゴス王子は今までと違ってやけに強硬な態度を示して苛烈な刑の執行を望むかと思え
ば、別の時はそんなことには興味を示さず、以前と同じく城を抜け出しカジノに行こうとする。
余りの豹変ぶりにお付きの人も首を傾げずにはいられなかった。
首を傾げると言えばミーティア姫への態度もだった。事件が発覚してすぐは
「あれは強姦されたんだ、姫は関係ない」
と結婚の意思を示していたという。しかしいつの間にか
「あの男と共謀してサザンビークの王位を狙っていたに違いない」
と言い始め、ミーティア姫も処刑せよと喚き散らす。しかし裁判が始まって反逆罪の論拠が崩
され姦通罪単独での処刑も有り得ない、という論調になって来ると一転して無関心となった。
それどころか城を抜け出してどこかに行こうとして父王に一喝される始末。
587名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/28(水) 21:58:24 ID:BzBmykAF
それでもエイトがサザンビークに移送されてくるとまた行状が改まった。一時期のように邪悪
な気配をして意見を強硬に主張する。その傾向は近くにフードの男がいると強まった。周囲に
してみれば、海綿のようにふにゃふにゃと定見なく遊び呆ける王子が、どのような方向にせよ
意思を強く示すようになったことはありがたかった。その上どこかに遊びに行ってしまうどこ
ろか、何と城内で勉強に勤しんでいるのである。これは大変喜ばしい事態だった。例え暴君で
あっても自らの行動に何の責任も持たずふらふらしてばかりの王よりは格段にましだからであ
る。それに暴虐な行動に出るのはあの事件に関わる事象だけであり、それ以外には及ばなかっ
た。それ故、
「あの事件は腹立たしいが、王子が変わるきっかけになったことは不幸中の幸いだ」
と周囲は噂し合ったのであった。
           ※          ※          ※
当のエイトはサザンビーク城の奥深くに閉じ込められていた。重罪人とは言え王家直系の血を
引く者、疎かには扱えない。本人に逃げる意思が有ろうと無かろうと別の反逆者に利用される
ことのないよう、厳重に監視されていた。
その夜、エイトの元に一人の来訪者があった。
「久しいな、エイト」
クラビウス王だった。
「はい、陛下にはお変わりなく」
とエイトが常に従って答えた。しかし話の接ぎ穂を失って互いに無言のまましばらく居心地の
悪い思いをしていると、微かな躊躇いの後、エイトが口を開いた。
「このような事件を引き起こし、貴王室、ひいては貴国の尊厳を脅かしたこと、深くお詫び申
し上げます。一命を以てしても償えぬことにも関わらず、ご慈悲を賜りましたこと、感謝の念
に堪えません」
静かな口調だった。しかしエイトの言葉を聞くうちにクラビウスは苛立ちを感じ始めた。その
様子をエイトは怪訝そうに見ていたが、続けた。
「大逆の罪は重く、火によってしか浄められぬところを斬罪に減弱くださったこと、お礼申し
上げます」
588名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/28(水) 21:59:57 ID:BzBmykAF
「礼を言われる筋合いはない!」
クラビウスは思わず大きな声を出していた。死を目前にしているのに落ち着いた物腰、拷問を
受けたにも関わらずそれを微塵も感じさせない強靱な精神、庶民として育った筈なのにどこか
気品のある様子、どれも自分の息子には未だ備わっていないものばかり。この青年が、ひいて
はその親である兄が妬ましかった。にも関わらずこの青年の命はもうすぐ消えていく、そのこ
とを悔やむ気持ちもまた真実であった。
「お前は恨まんのか。国を守らんが為にお前を犠牲にする私を」
何をやらせても常に優れていた兄。エイトはその兄にそっくりな目でこちらを真直ぐ見返した。
「国を守ることは国主の務めでございましょう。僕は罪を犯したのですから、罰を受けるのは
当然のことです」
「当然ではない!兄が王位を継いでおればお前が正統な王位継承者となっておった筈だ。この
サザンビークの玉座に座り、トロデーンの姫を娶ったのはチャゴスではなくお前だったのに、
なぜだ!」
激昂するクラビウスに対し、エイトは静かに答えた。
「僕はトロデーンの人間です。誰が何と言おうとも」
と。そしてちょっと躊躇った後、続けた。
「あの方を汚辱の中に堕しておきながら僕一人だけのうのうとしていられる程、恥知らずには
なりたくないのです」
クラビウスはすっかり失念していた。ククールからトロデ王の意向、ミーティア姫とその子孫
の王位継承権を剥奪するという方針を聞いてこの縁組に執着することを止めたからである。ト
ロデーンの玉座がサザンビークの手に入らないのであればこの縁談は何の意味も為さない、と。
「…あの姫故、か」
「はい」
エイトの目の中に強い光が揺らめく。クラビウスはふと、既視感を覚えた。それは二十年前、
城を出て行く兄の目に宿されたものであった。
「よろしい」
しばらく互いに無言であったが、クラビウスは常の様子に戻って言った。
「慣例に従い、死に行くお前の願いを一つ、聞こう。あれば言うてみよ」
「はい。ではお言葉に甘えまして」
とエイトは居住いを正した。
589名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/28(水) 22:01:38 ID:BzBmykAF
「先に申しました通り、僕はトロデーンの人間です。確かに生まれは違いますし、父祖の国は
貴国ですが。ですが物心着いてからずっとトロデーンが故郷でございました。死ぬ時はせめて、
トロデーンの方を向いて死にたいのです」
余程考え抜いたものだったのだろうか、エイトは澱みなく願いを述べた。
「…願いは聞き届けられた。刑は明後日、執行される。サザンビークではなくトロデーンの流
儀に従い、斧による斬首である。既に最も優れた斧使いを呼んだ」
「御配慮に深く御礼申し上げます」
エイトは深々と礼をする。クラビウスはその時覘いたうなじを物悲しい気持ちで見遣ったので
あった。
           ※          ※          ※
590名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/28(水) 22:02:41 ID:BzBmykAF
サザンビーク城は朝から物々しい雰囲気に包まれていた。城下町にも衛兵が立ち並び、街の人々
を威圧する。門も閉鎖され、城壁の外に出ることは不可能だった。さらに修復した北の関所も
厳重に閉鎖し、ベルガラック方面には兵を置いて人の通行を遮断していた。城の魔術師たちも
総出で移動呪文避けの結界を張り巡らす。王位継承権を持つ者の処刑を速やかに滞りなく遂行
するための処置だった。国内外の反乱分子に身柄を奪われないようにするために。
城壁の外に急ごしらえながら処刑台が設置され、流れ出る血を受け止めるための藁が敷き詰め
られる。小柄ながら大きな斧を持った男が慣例に従い覆面をして姿を現した。最後の祈りを捧
げるための神父を従えるかのようにして処刑台に昇り、受刑者を待
つ。
刑場はサザンビーク兵によって部外者を一歩たりとも近付けまいとびっしりと囲まれていた。
その中をさらに衛兵によって囲まれ、後ろ手に縛られたエイトが処刑台へと歩を進める。
クラビウスもチャゴスもこの場にはいない。刑の遂行を見届けるためなのかフードの男─マル
チェロが薄笑いをフードに隠しつつ見ているだけだった。
神父がエイトに最後の祈りを捧げた後、慣例によって処刑人がエイトに近付きごく低い声で処
刑することについて赦しを請うた。エイトもまた、例に習い「赦す」と答える。
「しっかりやってくれ。大して太い首じゃないから楽だとは思うが」
とエイトが言って台に頭を乗せようとした。
が、その瞬間、上空を大きな影が過る。何事かと皆の目が処刑台から離れ、空に向けられた。
「竜だ!」
「竜が出たぞ!」
衛兵たちはうろたえ騒ぐ。それを後目に処刑人が素早くエイトを縛る縄を切った。
「兄貴!」
ヤンガスだった。
「どうしてここへ!」
「あっしだけではねえでげす!」
上空を旋回していた竜が処刑台の近くに降りた。振り回される尾や吐き出される炎を避けよう
と兵は逃げ惑う。
「弓箭隊、前へ!」
それでもなお、その場を取り仕切る隊長には任務遂行の意思があったらしい。弓矢で竜を追い
払おうとした。が、鼻息から巻き起こる炎が飛び交う矢を焼き尽くす。
591名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/28(水) 22:03:45 ID:BzBmykAF
「あなたは…」
戒めを解かれたエイトが竜に近寄ろうとした。竜はそんなエイトに一瞥をくれると首を振って
くわえていた剣をこちらに投げて寄越す。
「グルーノさんでがすよ。さあ兄貴、剣を取るでがす!」
エイトは思わず受け取ってしまった手の内の剣を見た。旅の中、数々の武器を手にしてきたが、
これ程大きな力を感じるものはなかった。その力が自分に向かって語りかけている。
「どうしたんでがす?早く取るでげすよ!」
「…駄目だ」
剣は語り掛ける。我が主人よ、我が力を捧げよう、と。その言葉に従いさえすれば自分は比類
ない力を手にすることができると分かる。だがしかし!
「罰は受けなければ」
「何言っているんでがす!誰も兄貴の死ぬことなんて望んじゃいねえでげすよ!大体何でこの
剣がここにあるのか考えてみたんでげすか!?」
エイトは思い出した。竜神王の試練で得たこの剣を錬金してみようと釜に入れものの、出来上
がる前に暗黒神を倒してそれきりになってしまったことを。
「どうして…?釜はもう、城の宝物庫に収めた筈…」
「トロ…ゲフンゲフン、持ち主が完成させてあっしに託したんでがす。エイト以外の何者にも
この剣の主人にはなれん、て」
結果的に裏切ってしまった主君、トロデ王。憎まれて顔も見たくないと思われていも仕方ない
と思っていた。なのに自分がこの剣の主だと言ってくださるのか。
「さあ、剣を取るでげす!みんなの志を無駄にしねぇでくだせえ!」
処刑台の異変にも気付いたのか矢がこちらにも飛んでき始めた。その内の一本がヤンガスの頭
に真直ぐに向かっているのに気付いた瞬間、エイトの身体は勝手に反応し、踏み出して抜刀す
るや否や一息に切り飛ばす。
592名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/28(水) 22:04:56 ID:BzBmykAF
「すまなかった。もう迷わない、僕は剣を抜く!」
二の矢も切って落としながらエイトは叫ぶ。
「ヘヘっ、それでこそあっしの兄貴でがす。後ろは任せてくだせえ、逃げるでげすよ!」
処刑台の周囲はそれこそ立錐の余地なく兵が立っている。竜の出現に浮足立っているものの、
罪人が逃げようとしているのに気付くとそれを阻むべく押し寄せてきた。人波の向こうで竜が
―グルーノが「乗れ」と吠えている。そこまで十メートル足らずの距離。呪文は使えない、結
界があるから。この剣で道を切り開くしかないのだ。
エイトは剣を持ち替える。そこへ兵が槍を繰り出す。穂先を打ち払い、柄で槍身を殴って取り
落とさせる。その横でたじろぐ兵の胴に剣の峯を叩き込む。
「馬姫様の為にも犬死にしちゃいけねえでげす」
そうだ、生きねばならぬとしたらそれはミーティアの為。ただそれだけの為に血路を開く、と
エイトは決意を新たにする。
群がるサザンビーク兵の剣や槍を断ち切り―鋼さえも両断して刃毀れ一つなかった―場合によっ
ては人に刃を向ける。手加減しないと胴すら一瞬で断ちかねなかったが、何とか当座の戦闘能
力を失わせる程度の傷を与えて退かせる。背後のヤンガスも乱刃をかい潜り斧で武器を跳ね飛
ばしながらじりじりと竜へと近付く。二人の強さに兵士たちが退き気味になった時、
「そこまでだ!」
フードの男、マルチェロが立ち塞がった。
「お前らの相手をしてやる。さあ、かかってこい!」
邪魔なフードをかなぐり捨て、抜刀して間合いを詰める。エイトも緊張して身構える。迎え撃
とうとしたその時、
「うっ」
マルチェロの背後から光の刃が現れその首筋に当てがわれた。
593名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/28(水) 22:05:59 ID:BzBmykAF
「勘違いするな。あんたの相手はこのオレだ」
仮面で顔を隠しているもののその声はククールのものだった。
「雑魚は皆片付けたぜ。エイト、ここはオレに任せて逃げろ!」
そう、見渡せばいつの間にか兵たちはみな眠り込んだり混乱して同士討ちになっている。竜の
近くではローブで顔を隠した女がエイトたちに向かって得意気に手を振っていた。
「そうはさせるか!貴様なぞこの私には役者不足だ。逃げるだけが得意のうつけ者が」
「さあ、それはどうかな」
ククールはマルチェロの威嚇を鼻であしらい、「行け」とばかりに顎をしゃくる。
「貸し一つな!」
「…ありがとう、必ず借りは返す!」
もう敵はいない。エイトたちはグルーノ目指して一気に走る。その背後に打ち交わす刃の音が
重なった。
「最後にもう一回。ラリホーマ!」
顔を隠すように安らぎのローブを着たゼシカが起き上がり始めた兵たちに向かって呪文を投げ
掛ける。
「さっ、行くわよ、エイト」
再び深い眠りに落ち込む兵士たちには目もくれず、ゼシカは二人の手を取って身をかがめるグ
ルーノの背中によじ登る。その途端両翼が羽ばたいてあっという間に空高く舞い上がっていた。
「ククールは!」
「大丈夫、結界はもう壊れているわ。あいつならルーラで逃げられる」
「そうじゃないくて!」
「決着を付けたかったのよ。他の誰でもなく、自分の手でね」
「そんな」
「大丈夫でがす。ククールはやる時はやる男でがすよ。任せてやるでげす」
下界、もはや豆粒程の大きさになった二人が剣を撃ち合っている。と、片方が相手の剣を跳ね
飛ばした。その刹那誇らしげに日に輝くは銀色の髪。
「ほら、大丈夫だったでしょ」
           ※          ※          ※
エイトの処刑は失敗し、他愛もなく身柄を奪われたことにサザンビークは激怒し、追っ手を放っ
た。他国の声高な抗議もものともせず強引な捜査を各地で繰り広げる。しかしながらエイトと
その仲間の行方は杳として知れなかった。
                     (続く)
594名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/28(水) 22:39:41 ID:tPkfGmSm
>エイトは思い出した。竜神王の試練で得たこの剣を錬金してみようと釜に入れものの、出来上
>がる前に暗黒神を倒してそれきりになってしまったことを。

烈しくワロタw
色んな意味で意外な展開でした。ラストバトルにも超期待!
595名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/28(水) 22:46:49 ID:L1pWX+jr
ここまでやっちゃったら竜神族の里に引きこもるしかないんじゃ
596名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/29(木) 05:45:59 ID:i6Ljy0t7
>光の刃
>仮面
ライトシャムシールとファントムマスクかな。
内容はもちろんのこと、こういった装備を喚起させるような表現は武器マニアにはたまらんかったです。

597名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/29(木) 10:22:33 ID:BE7beI7c
トロデーンとサザンビークが全面戦争になり、サザンビークが敗北。エイトとミータンが
結婚して、トローデン=サザンビーク連合王国の成立。クラビウスとチャゴスは追放又は
死刑。
でどうでしょう。
598名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/29(木) 11:03:17 ID:CtNAi0bB
分かっちゃいたけど○の扱いが酷すぎるな…
嫌いなキャラなら出すなと言いたいよ
599名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/29(木) 11:04:51 ID:ykEwXTww
分かっちゃいたけど○厨ウザすぎるな…
嫌なら見るなと言いたい
600名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/29(木) 11:24:25 ID:dmjUgg0A
毎回楽しみに読んでる者なんですけどね。
このスレでは主人公とミーティアが見たいのであって、今回ちょっとククゼシ風味が強過ぎるなと・・・。
書いてくださってるのに申し訳ないけど、メインの二人が見れないと待ち遠しすぎるのよ。
601名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/29(木) 11:49:03 ID:4qZM5NuU
敵役は邪悪に徹するのも良い扱いの一つだと思うがなぁ。

<チラシの裏>
好きな敵役のトップ2がラオウとルカ=ブライトなんですが。
兄ちゃん結構良い線いってたけども一つ何かが足りんのだよな。
やっぱ指輪なんぞ投げずに弟の独白鼻で笑うくらいでないと。
</チラシの裏>
602名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/29(木) 14:44:01 ID:bPjdpRAv
>601
うむ、禿しく同意。
変に悔悛キャラにされるより徹底的にやってくれる方がいい扱いに感じる。
それでもってマンガなら見開き一ページまるまる使って死に台詞抜かしてくれるとかw
そういう意味ではかなり贔屓されてると思うぞ>マルチェロ

なんつーかどんでん返し多いから、結末どうなるのか気になる。
603名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/29(木) 16:52:47 ID:sIsZ/Ja3
こんな所にまでルカ様ファンが!
指輪は蛍みたいなもんだと思っている

マルチェロにはマルチェロなりの思惑があってゲームで主人公の敵になったんだし
それがゲーム後に続いてもおかしくない引きだった

正直JSH氏のレスのクセには前々から思うところがあったのだが
作風に関しては以前のバカップルオンリーより今回の方が世界が生きてて好きだ
二人をちょっと引いた広い視界で書いてて、
多分意識的に高めのハードルに挑戦してる感じ

まあ頑張れ。
604名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/29(木) 23:41:01 ID:4o2vCP74
感想どうもありがとうございました。
誤字、脱字が多く、大変申し訳ありません。

>596
当たりです。
605名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/30(金) 14:55:17 ID:LNJcwKFl
8主スレ落ちちゃった…
606名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/30(金) 15:06:55 ID:J3jJDMd/
落ちたね・・・。_| ̄|○
607名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/30(金) 15:31:39 ID:E5v9vBT3
4月 ユリマスレ落下
4月 キラスレ落下
4月 ヤンガススレ落下
5月 ゲルダスレ落下
5月 ゼシカスレ落下(8月に復活)
5月 ユッケスレ落下
6月 ミーティアスレ落下
9月 ククールスレ落下(即復活)

そして・・・

    .      _  シンサク ニハ カテナイカ…
   .     ,'´ .__ _ヽ
        i /メ))ヘゝ     /´ ̄、>
       (ソゞ(;-_-ノ     (,,=;= 、 i  ショウガナイヨ
   .      K゙ヽY/ス     i(´ヮ`;i_ノ  キョネン ハ
        U〉-l=ト!J     と[.!∀__!,ゞ  キミノセイデ オチタスレ モ アッタンダ…
         /エ_iイi_〉      l_Å_∪
         |-/|-|       .じ.し'
          ̄  ̄
        9月末日 8主スレ 落下
608名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/30(金) 19:57:58 ID:8kS0D12l
そ、そんな〜っ(ノД`)ワーン!!
 
609名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/30(金) 20:01:13 ID:8kS0D12l
ヤン主スレも落ちてるーっ・゚・(つД`)・゚・ 
610名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/30(金) 23:48:09 ID:G9jSCwAn
まあまあ。このスレはこのスレで、皆でまったり守ろうぜ。
他のスレは他のスレ、このスレはこのスレだ。
それでも落ちてしまったなら、それだけの需要がなくなってしまった、それだけの事だ。
このスレの住人達がここを本当に必要としているなら…分かるだろ?
今まで通り楽しくやっていこうや。
611名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/01(土) 01:20:35 ID:cfofRzKj
ちなみに8主スレは9/28(水)の16時くらいの書き込みが最後だったよ。
今日の15時にはなかったってことは、丸二日ほっとくと確実に落ちるな。
気をつけよう。
612名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/01(土) 01:41:53 ID:hTuTcovV
2日で落ちちゃうのか。
よっし。
スレタイに沿った話題をせっせと考えて保守するかな。
613名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/01(土) 08:31:31 ID:3uA6JzHs
assyuku
614名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/01(土) 10:20:26 ID:QV2Ff63N
615名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/01(土) 23:38:17 ID:YMl/4wPn
続きを 待っています゚。・☆ *゚・+.・。☆・゚ 。・
616名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/02(日) 13:02:32 ID:Y0bfdD+0
定期カキコ
617名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/02(日) 15:22:34 ID:Uo4oCGPb
ゲームでは○のラストがイマイチだった。どうせあそこまでワルキャラにしたのなら
とことん悲惨な最期にまで追い込みかけて欲しかったよ。
性格的に救いようが無い人間だし。
ククールが○を気遣っている、又は兄弟としての情を○に求めていること自体
漏れは不自然だと思う。
肉親と言ったって所詮は他人だぞ。あそこまで敵対していたら、普通に考えて
関係の修復なんて不可能だよな。
連載中のssにはそのあたりにどう迫るのか、少なくともゲーム内での中途半端な
結末ゆえ○厨なんて副産物を生み出したが、漏れ的には○のあるべき末路を
期待する。
618名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/02(日) 19:01:18 ID:YCu71sEd
いい加減にしてくれないかな。主姫好きの中にも普通にマルチェロ好きなやつもいるんだけど。
個人の考えでSS書く分は何も言うことないけど、配慮が足りないなとは思うよ。色々な意味でさ。
619名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/02(日) 19:09:43 ID:a+j5pPf/
>>618
原作(というかゲーム内)ですでにそういう扱いなんだから仕方無いじゃんか…。
620名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/02(日) 20:52:15 ID:27r3EE3A
>>617
ここは主姫スレでしょ?
○に対する取り扱いの要求って完璧スレ違い。該当するスレに行けば?

>>619
ゲーム中のどこら辺で「そういう扱い」をされたのか真剣に分からん。
確かに主人公達と一時的に敵対したことはあるけど…。
ラスボスのように倒すべき絶対悪だと描かれていた覚えはない。
621名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/02(日) 21:01:27 ID:6BJXiiJ9
>>620
ここで書かれてるSSでも、まだ絶対悪と決まった描写は無いんだけど・・・。
○がどういう位置付けのキャラになるのか定まって無いみたいだよ。
622名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/02(日) 21:22:48 ID:8uLUZD2t
まぁでも黒幕っぽいし、あそこから改心したりしたら、安直どころの話ではないなw
自分的にマルチェロの扱いで不満に感じたのは、マルチェロによるエイトの拷問シーンが
省略されていたこと。そこは一番の見せ場じゃないか。楽しみにしてたのに。
続きをお待ちしています。
623名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/02(日) 21:27:05 ID:TGC+PzSR
>>622
> 自分的にマルチェロの扱いで不満に感じたのは、マルチェロによるエイトの拷問シーンが
> 省略されていたこと。そこは一番の見せ場じゃないか。楽しみにしてたのに。

これは○ファンに配慮してくれたのかも・・・。
今、最終的に○がどういう扱いになるか定かでない時点で
自称○ファンからここまで言われてる状態だし、
もしそのシーンまで描写されてたらもう・・・。(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
624名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/02(日) 21:33:05 ID:8uLUZD2t
>>623
いや、自分もマルチェロ好きだけど。見たかったな〜、と。
そうね、それが配慮なのかもね。ガックシ…。
625名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/02(日) 21:34:56 ID:TGC+PzSR
>>624
_| ̄|○人○| ̄|_

いや、あなたの気持ちはよくわかるよ・・・。
626名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/02(日) 22:47:44 ID:d31GNU5j
絶対悪ではないけど、決して交わらない平行線としての描写はあったと思うよ。
もし何らかのきっかけがあったとしたら再び敵として相見えることがあってもおかしくなかった。
627名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/02(日) 22:58:25 ID:8uLUZD2t
だから、それが個人の解釈の違いなんだって。
自分の考えを押し付けるなよ…
628名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/02(日) 23:44:22 ID:fGNTtYCy
>>626
それはゲーム本編でも思いっきりあったでしょーに・・・('A`)
629名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/02(日) 23:46:31 ID:tsCbBNA4
ぬっちゃけマルチェロはゲーム後、
ギッタギタに残虐非道の限りを尽くし続けるキャラとも、
悟りを開いて隠遁生活を送る事になるキャラとも、どちらにもとれる。
マルチェロもそれなりの理由があってあくどい事をしていたわけだが、
ゲーム中で彼の「それなりの理由(世の中の不公平やコンプレックス)」は
解消されていない。

当時のマルチェロの信念は倒すべき絶対悪ではないけれど、
エイト達の信念と相容れないのなら、双方は対立するしかないんだろう。
マルチェロが考えをすっかり改めきった描写はゲーム中にはないんだし、
マルチェロが主人公達と馴れ合うのか自分の意思を貫くのか、
そのへんの解釈は各SS書きさん次第。

あくどいマルチェロが許せなくて、見るのも嫌なら今回の話はあぼ〜んしときなよ。
別に、嫌な人に読めと強制されているわけでもないんだからさ。
そんでしばらくしたら、善人なマルチェロの出てくる話でも書いてくれ。
その話が面白ければ、それが主流になるだろう。
630名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/02(日) 23:51:40 ID:8uLUZD2t
そんなこと言ってんじゃないってのが分からないならもういいです。
631名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/02(日) 23:53:03 ID:x5q9KCJa
正直マルチェロなんざどーでもいい
善人なマルチェロの出てくる話ってなんだよ
ここは主姫スレだっつーの
これが○厨のキモさか
632名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/02(日) 23:59:23 ID:27r3EE3A
なんで○の話題でこんなに盛り上がってるの?主姫スレなのに(笑)

何が悪で正義かなんて、その時の立場や状況でころころ変わる相対的なもんだろ。
エイト達の信念と相容れないっていうより、○にとっては野望の達成に邪魔だから
一時的に敵対しただけじゃなかったっけ?
たまたま主役側視点で見てるから○が悪役に見えるだけであって。

ちなみに自分は杖に簡単に精神を支配されなかったことや
子ククールへの接し方なんかを見て、深いキャラだな、と思った。
好きとはちょっと違うが。
法皇の死因もそれとなく匂わせてはあったけど○が直接手を下した描写は無かったように思うし…。
いろんな感じ方をさせてくれる描き方だから面白いんじゃないか。
主よりも○が好きなプレイヤーがいてもおかしくはない。

後日談とかについては、せっかく製作サイドが自由に想像できる余地を残しておいて
くれたんだから個人個人の感性で楽しんだ方がいい。
こうあるべきだって決め付けは良くないし、書くのも読むのももちろん個人の自由。
633名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 00:05:09 ID:8uLUZD2t
>>631
誰も善人のマルチェロが見たいなんていってないが。
流れが 「マルチェロのエイト拷問シーンキボンヌ(*´Д`)」 で終わってる時に
>626は相当変だと思っただけだ。
マルチェロのことについてはそれぞれの解釈があっていいと思うので
>632に全面的に同意。

何がイヤかって○厨って言葉を使われるのがイヤ。
そういう他のキャラのファンを煽るようなことを言うのはやめて欲しい。
634名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 00:10:17 ID:X8gonw/6
○なんて全然関係ないカプスレで○とはうんぬんと語りだす輩を厨房と言わずなんとする?
全ての元凶は>>525
こいつのせいでスレがおかしくなりだした
635名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 00:11:14 ID:rLe8vHp4
マルのキャラうんぬんするんならマルスレでやれ
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1121785025/
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1121259000/
636名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 00:11:52 ID:afw/ffZo
>>633
いや、あなたのような○ファンを「○厨」とくくってるわけじゃなさそうだし、
そんなに気にすることないと思うよ。

何レスかあったでしょ?
「配慮が足りない」とか「扱い酷い」とかきつい言葉でレスしてる香具師。
そいつらのことを言ってるんだと思うのよ。

自分は主姫ファンであり○ファンでもあるけど、
そういうレスを見て、「この○厨が!」って心の中で突っ込んでるもんw
637名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 00:14:08 ID:vdJ+7m2j
一部のアフォが「○の扱いをもっと良くしろ!」なんて言い出すから
こんなことになったんだよ。
638名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 00:17:08 ID:3LHRCFm7
>>634
別におかしくはなってないでしょ?
それともカプスレでは他キャラの話は厳禁なわけ?

その煽った書き方の方が荒れる原因のような気がするが。
639名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 00:19:08 ID:F4f04Sbx
>>638
「○ファン」でなく「○厨」の、わがまま全開の書き方のほうが
余程煽ってると思うんだけど。
ていうか、そんなレスが無ければここまで
○のことでスレの雰囲気が悪くなることは無かったよ。
640名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 00:21:49 ID:9SB48Cuf
そうやっていちいち煽るあなたはなんなの…_| ̄|○
641名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 00:24:58 ID:sDzO1sQb
作家さんにはこんな雰囲気に惑わされず、書きたいように書いてほしいよ。
いや、書いてくださると私は嬉しい。

藻前らいい加減に汁
642名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 00:26:11 ID:3LHRCFm7
>>525は単なる感想じゃん…。

○厨だの何だの、ただ感想書いただけなのに
こんなに荒れるのも珍しいよな。
643名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 00:31:35 ID:X8gonw/6
別に煽ったつもりはなかったけど
今までこのスレに投下されたSSの中にはチャゴスも出てきたしヤンガスもゼシカもククールもトロデも出てきた
チャゴスなんてゲーム以上に酷い扱いだった話さえあった
それなのにそのことについて突っ込む奴はほとんどいなかった

なのに今回はどうだ?
マルチェロが出てきて悪っぽく扱われた途端グダグダ言う奴出現
マルチェロとはこういうキャラじゃねーの?と熱く語りだす始末
厨房以外になんて言えばいいのか教えてほしいよ
644名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 00:32:07 ID:Ev7N1gRs
自分は>>618からおかしくなったと思ってるんだけど。
あのきつい物言いはいくらなんでも、ちょっとなー。
ホントにSS読んでるのかも疑わしいよ。
645名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 00:32:47 ID:rLe8vHp4
もうだれが煽っただのどうのって書いてる奴いいかげんにしろ
ここから先、マルの扱いとか書きこむ奴はどんなこと書いたって厨だ
646名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 00:35:42 ID:bH2iEFQx
ということで、投下お待ちしております。
一連の流れは脳内あぼーんしてくださいおながいします( ´Д⊂
647名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 00:36:03 ID:3LHRCFm7
>>643
あんたが○大嫌いなのはよーくわかったw
過剰反応しすぎ。
そのレスが○厨を呼び込んで荒れる原因になってるんだから
少しは黙ってれば?



648名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 00:38:24 ID:9DBzHkaw
>>647
一つ二つ前のレスも読めないのか?
もういい加減にしなよ。
649名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 00:40:00 ID:X8gonw/6
>>647
あい、わかった
俺と君が相容れないことはよくわかった
お互いIDが変わるまでは書き込まないでいようや
650名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 11:06:29 ID:m+aNzIm0
自分の肌に合わないSSをThroughできずに
ぐだぐだ言う馬鹿がいるスレはここですか?


早く続き読みたいですよ…
651名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 21:21:14 ID:9SB48Cuf
一般絵板に神キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!
652名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 21:43:06 ID:gNZ1PxPQ
653二人に捧げるRequiem ◆JSHQKXZ7pE :2005/10/03(月) 21:45:26 ID:gNZ1PxPQ
7.Sanctus

ある朝ミーティアは、いつもにも増して塔の周囲が物々しくなっていることに気が付いた。
岬の突端に建てられた塔は三方を断崖に囲まれており、海からの侵入を阻む。さらに激しい潮
流が陸を侵食し、削られた岩が海中に落ち込んでは複雑な地形を形成してますます潮の流れの
予測を難しくしている。陸側には見張りの兵が置かれ、無断で近付くことはできなかった。
ここは昔から海の難所だった。それでも灯台もなく放置された状態であったのはどの定期船の
航路からも外れており、通う人少なだったからである。
(私が死んだ後は灯台になるのかしら)
とミーティアは思っていた。恐らく設計者もそれを考慮したのだろう、三方の海に向かって大
きく窓が取られていた。おかげでミーティアのいる場所には陽光が降り注ぎ、海景を望むこと
ができる。その風景はかつて暮らしたトロデーン城三階テラスからの眺望に似ていた。実際高
さも同じくらいだっただろう。
海側対し、陸側は窓もなくその上深い穴が穿たれているばかりだった。下との行き来はここを
通じてのみ。天井に備え付けられた滑車を使い、日に一度、外界から篭に乗って食事や細々と
した手回り品が届けられる。時には本や衣類に紛れて薬草や毒消し草が届けられた。名乗って
はいなかったがそれが誰からのものであるのかはミーティアにはよく分かっていた。
だが、それらの物が役に立つ日が来るのだろうか。風の噂では、大逆の判決を受けたエイトの
身柄はサザンビークに送られたという。兄の遺児だからといってサザンビーク王が私情を挟む
とは思えなかった。エイトの存在そのものが王位を脅かすのだとすれば、彼は速やかに処刑す
るに違いない。ミーティアは悲しくそう思っていた。
その朝の物々しさの理由は今日の荷物が届いた時に判明した。食事を運んでくれる侍女の腕に
ひっそりと喪章が巻かれていたからである。
「…今日なのね」
独り言のようにミーティアが呟くと彼女ははっと身を硬くし、躊躇った後、
「はい」
と答えた。
654名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 21:48:08 ID:gNZ1PxPQ
「そう。午前中なの?」
ミーティアの声は平静そのものだった。言葉を詰まらせたのはむしろ侍女の方だった。
「…はい。そのように…聞き及んでおります」
そして恐る恐るといった風に続ける。
「…陛下より、今日から一日中姫様のお側に上がるよう、申し付…」
「いえ、その必要はありません。ありがとう」
侍女の言葉は素早く遮られた。
「ですが」
「帰ってお父様に申し上げてください。私は決して自ら死を選んだりいたしません、と。私の
命は人の手によって助けられたもの、それを粗末に扱うことはできませんから」
「かしこまりました」
侍女は一礼した。
「ですが今日だけは」
「…そうね。分かりました」
ミーティアは頷き、侍女が彼女の身の回りの世話を始める。久々に他人の手で髪を梳られてミー
ティアはふと、旅のことを思い出した。
旅の途中、ミーティアの鬣を結うのはエイトの役目だった。どんなに疲れていても仲間の為に
宿を取った後、必ず戻ってきて身の回りの世話をしてくれる。紐を外し丁寧に梳り、結い直す。
一度
「紐が古くなりましたので…」
と新しいリボンを買ってきてくれた。リボンなんて沢山持っていたけれど木綿製のあのリボン
より大切なものなんてなかった。大事にとって置こうと思っていたのに、呪いが解けて人の姿
に戻った時、どこかへ消えてしまったのだった。
(あれがあったなら…)
とミーティアは思った。
(エイトを偲ぶ縁にもなったでしょうに…)
以前ならそう考えただけでも涙が零れたものだった。けれども最早何も流れ出てはこない。何
もかも遠い現実のようにしか思えなかった。
身支度も済み、食事を、と思った時、急に階下が騒がしくなった。
「何事でしょう」
と二人、顔を見合わせる。侍女も何も知らないようだ。滑車が動く音がして下から誰かが昇っ
てくる。
655名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 21:49:04 ID:gNZ1PxPQ
「姫様!御前失礼いたします!」
そう言いながら姿を現したのはいつも見張りをしている兵士。かなり慌てている。
「どうしたのです?何かあったのですか?」
侍女の問いにもまだ落ち着きを取り戻せずにいる。
「た、隊長が、じゃなかった、えええ、エイト様、あっ、様付けもよくないんだった、あの、
えと、前の近衛隊長ががが」
「どうしました?あの、水しかありませんけれど、いかが?落ち着いてゆっくり話してくださ
いね」
水差しの水を汲んで渡しながらもミーティアは己の血が冷たくなっていくのを感じた。
「おっ、恐れ入ります」
兵士は差し出された水を一息に飲んで、漸く落ち着きを取り戻した。
「先程サザンビークから急使が。本日処刑されることになっていたエイト隊長が逃亡した由」
「えっ」
「処刑場に竜が現れて暴れ回った隙に顔を隠した三人組に身柄を奪われたとのこと。隊長と三
人組のうち二人が竜に乗って逃げ、残る一人も呪文で行方をくらませたとか」
「まあ、ではまだ行方は分からないのですね」
「そのようです」
侍女と兵士の言葉をミーティアは何も言わずただ聞いていた。傍目にはただ座っているだけに
見えたかもしれない。けれどもその目の中に新たな光が宿ったことに二人は気付いていた。
           ※          ※          ※
656名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 21:51:43 ID:gNZ1PxPQ
エイトが逃亡して数カ月、サザンビークの追撃の手は全く緩まなかった。ミーティアの幽閉さ
れている塔の周囲も警備が強化されている。その上、季節の変わり目で毎夜毎夜雷光が閃き霙
混じりの雨が叩き付けるように降り注いでいる。強風に海も荒れて近付くことは困難だろうと
思われた。
その夜も激しい風雨に見舞われ見張りの兵は苦労していた。それでも雨は少しずつ収まり始め、
東の空が白んでくる。
「やれやれ、やっと夜明けだな」
「温かいスープが飲みてえよ。すっかり冷えちまった」
もうすぐ交替の時間だった。何事もなく夜が明け。休息できると思うと気も弛む。風はまだ強
く、崩れた波濤から飛ぶ飛沫が顔にかかって視界を奪うことはあったが、総じてほっとした空
気が流れていたことは事実だった。
だから、目立たぬ服装で西の空に残る夜闇に紛れるようにひっそりと姿を現した男の発見が遅
れたのも無理のないことだったのかもしれない。
「おい、この先は立ち入り禁止だぞ」
漸く一人の兵士が気付いて制止の声を掛ける。が、男はそれに一瞥もくれず真直ぐ塔へと向かっ
た。
「動くな!この先はトロデーン王の御名において禁足となっている。速やかに立ち去られよ。
さもなくば逮捕いたす!」
それでも足を止めない男に兵士たちは槍を向けた。
「止まれ!この槍が目に入らないのか!?ただちに止まるのだ!」
漸く男は立ち止まった。そして被った黒い衣の下から塔を見上げる。
「ここに…いるんだな」
「何をいっている!」
こちらを全く気にしていない様子に兵士は苛立ちを隠せない。
「少しトロデーンの牢で頭を冷やして来い!」
「トロデーンか…でももう二度と帰れない…陛下はお許しにならないだろうから…」
男は悲し気にそう呟くとやっと兵の方に向き直った。
「ここを通してくれ」
「何だと!」
その内容に兵士は目を剥く。
「ふざけるな!そんなに通りたくば、まず我が槍を受けてからにせよ!」
657名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 21:53:25 ID:gNZ1PxPQ
「…そうか、そうだったな。いつも熱心に槍の稽古を受けていたっけ、お前。大分上達したん
だろうな」
意外な男の言葉に兵士は動揺を隠せない。
「誰だ、貴様は!」
男は衣に手を掛ける。と、黒い衣が翻り、赤い異国の甲冑が未だほの暗い暁の光の元に曝され
た。
「見忘れたのか、この僕を。短い間だったけどよく稽古の相手したよな?」
「たっ、隊長っ!」
「通してくれ。トロデーンの兵に向ける剣はない」
「だっ、駄目です。これは主命故、通せません!」
「そうか」
かつての後輩の言葉にエイトは寂し気に笑った。
「…では仕方ない。力ずくでも罷り通る!」
言葉よりも速く背負われた剣が抜かれる。瞠目する間もなく間合いを詰められ、咄嗟に槍身で
斬撃を受けるのが精一杯。
「言った筈だ、敵から目を離すなって。間合いを詰められても動揺するな。鐓で相手の武器を
叩き落とすんだ」
エイトはそう言いながらも斬撃を加える。兵士にその助言を実行させる暇も与えない。兵士は
必死で回避し、身体が離れた隙を突いて槍を繰り出したが、剣の柄で槍身を殴られて取り落と
す。その途端、エイトの足が槍を蹴り飛ばし、遠くへ転がって行ってしまった。
「…次!」
衝撃に痺れる手を庇って退く兵を後目にエイトが叫ぶ。為す術なく遠巻きに見ているしかなかっ
た兵たちが及び腰になった。
「どうした?僕が兵士になった頃は『次』と言われて出て行かない奴は腰抜け扱いされてたぞ。
呪文は使わない。さあ、かかって来い!」
そこまで言われては兵士たちも立つ瀬がない。エイトよりやや年長の兵士が進み出る。
「久しいな、エイト」
「お久しゅうございます」
エイトも目礼する。かつて先輩だった彼はエイトにとっての目標であった。
「お相手願おう。いざ!」
658名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 21:54:20 ID:gNZ1PxPQ
互いの剣がぶつかり合う。かつてエイトは三本に一本取れるか取れないかぐらいの腕前だった。
技量の未熟さもさることながら彼の動きは訓練された正規のものだけではなく、我流も混ざっ
ていて次の動きが読み難かったのである。
だがしかし、旅の間鍛え抜かれたエイトの身体は容易くそれを見切っていた。振り下ろされる
剣を切先で受け流し、峯で柄から掌分くらいの場所を殴りつける。剣は高く澄んだ音を立てて
折れ飛んだ。
すると一人では適わないと見て取ったか若い兵士が二人掛かりで左右同時に斬り掛かる。が、
エイトは素早く身を引いた。勢い余った二人の剣が互いの身体を斬らんとしたその時、エイト
の剣が一人の剣を叩き落とし、返す峯がもう一人の胴を薙ぐ。
「二人同時で斬り掛かるのに正対する奴がいるか。躱されたら味方の剣で怪我するって言った
だろう」
語尾に秋水のごとく剣光が閃く。動作は澱みなく、足取り軽く無人の境を行くかのようにエイ
トは塔へと近付いて行った。
659名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 21:55:02 ID:gNZ1PxPQ
しかし塔内には難問が待ち構えていた。内部はほぼがらんどうで階段や梯子はなく、ミーティ
アのいる最上部へは篭に乗って釣り上げて貰わなければならない。しかしそれはエイト一人で
は無理な話だった。扉を閉ざして追っ手をしばし足止めさせたエイトは考え込んでいたが、滑
車からぶら下がる二本の縄を一緒に掴んでよじ登り始めた。縄を片方だけ持てば滑車から抜け
落ちてしまう。壁面は腕のいい石工が組んだのか手を掛ける隙間もなかったから、これしかな
かったのである。
「エイト!」
騒ぎに気付いたミーティアの声が上から降り注ぎ、エイトの心を勇気づける。ちょっとだけ上
を見遣って、さらに登り続けた。
半分まで登ったところで漸く扉が開かれた。兵たちは皆エイトの姿に唖然としたが、すぐに後
を追ってよじ登り始める。どうしようかとエイトが考えた時、鼻先をかすめて何かが落ちていっ
た。
「うわっ!…げほげほっ!」
下で何か砕ける音がしたかと思うと叫び声と共に咳き込む音が上がる。見下ろせば白い粉のよ
うな物がもうもうと立ち込めていた。
「他の人は登らせないわ!」
見上げればミーティアの手には何か握られている。
「白粉壷よ。お化粧道具なんて使わないもの。これも投げちゃうわ!」
続いて落とされるは頬紅の壷。地に落ちて赤い粉が塔内にぶちまけられる。
「今のうちに!」
「ありがとう、ミーティア!」
その後も香水瓶やら眉墨やらが盛大に投げ落とされる中、エイトはミーティアの待つ最上部へ
と登っていった。
           ※          ※          ※
660名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 21:56:58 ID:gNZ1PxPQ
懐かしいエイトの手が現れる。続いて腕が。兜に覆われた頭が覘き、勢いを付けて上半身が一
気に姿を現した。片足が床に乗り、もう一方もしかと最上階に辿り着く。
その様子をミーティアは何か恐ろしい物でも見るかのように呆然と見ていた。一目なりとも逢
いたい、伝えたいこともたくさんあった筈だった。なのに言葉は身体の中を巡るばかりで表に
出ては来られない。
「エ、イ、ト…?」
漸く振り絞るようにして出された声に、登ってきた縄を下に落としていたエイトが振り返る。
「ミーティア」
「エイト」
これは本当に起こりつつある出来事なのだろうか。目の前にいる者は本当にエイトなのだろう
か、と。が、その途端エイトは片膝を突いた。
「エイト?」
「申し訳ございませんでした」
「えっ」
「あなたの輝かしい人生を奪い、汚した罪は重く、一生掛けても償い切れないものです。赦し
を乞うことすらおこがましいことだと承知しております」
頭を横に振り続けるミーティアだったが、それには構わずエイトは続けた。
「どうすればいいのか、ずっと考えてきました。でも僕の乏しい知識ではこれ以上のことは思
い付かなかった。
僕の身を、あなたに委ねます。どうかその手で裁いてください」
エイトの目は真剣だった。
「では」
長い沈黙の後、ミーティアが口を開く。
「その身を以て私に教えてください、愛というものを。いつまでも私の傍にいてください。死
が私たち二人を分かつその日まで」
重々しく告げられるその言葉の内容にエイトは目を見開いた。
「ミーティア」
「もう二度と、自分一人で何もかも背負おうとしないで。私もその半分を分かちます。
これが私の裁きです」
「ミーティア!」
661名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 21:57:57 ID:gNZ1PxPQ
「立って」
信じられないといった顔でエイトが立ち上がる。
「私の半身となって私と共に在ってください。私に等しい者はエイト、あなたしかおりません」
「…僕は」
エイトが一歩近付く。
「トロデーン王女であり続けるよりもあなたの妻として生きていきたい。エイト、あなたが私
を助けてくれたように私もあなたを助けます。だから」
言葉の最後はエイトの胸の中に消えた。硬い甲冑の下に息づくエイトの身体から鼓動が伝わる。
「あなたの存在そのものが僕の希望だった。これから先もそう在り続けてくれるんだね」
「ええ、そうよ」
「もう二度とトロデーンに帰れないよ」
「エイトのいるところがミーティアの居場所よ」
「サザンビークからも追われているんだよ」
「一緒に逃げるわ。言ったことあったでしょ?『どこまででも乗せて行くわ』って」
「ミーティア」
ミーティアが顔を挙げると真摯で優しい目をしたエイトがあった。
「私エイトは病める時も健やかなる時もいついかなる時もあなたの良き夫であり続けることを
誓います」
エイトがミーティアの目をひたと見詰めながら誓う。
「私ミーティアは富める時も貧しき時もいついかなる時もあなたの良き妻であり続けることを
誓います」
エイトの目を見詰めその言葉を発しているうちにミーティアはふと、自分の魂がエイトの魂と
一つに重なっていくように感じた。奥深いどこかで何かが強く結び合った、と。
引き合う心に導かれるかのように二人の顔が近付き、唇が重なる。魂を強く結び合わせるかの
ように。
           ※          ※          ※
662名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 21:59:16 ID:gNZ1PxPQ
長い口づけの後どちらともなく唇を離すと冷たい外の空気が流れ込む。同時に階下の物音も二
人の耳に届き始めた。
「何かしら。縄を落としたらもう昇れない筈よね」
「梯子でも渡すつもりじゃないかな」
確かに塔内は何もないが、上手く梯子は渡せば踊り羽となるように小さな足場が所々に設けら
れているのにエイトは気付いていた。
「…いきましょう」
「…そうだね。行こう、二人で」
もう一度唇を重ね合う。離れた時、エイトは既に戦う顔になっていた。
「もう一回足止めしてもらえるかな。僕は窓を開けるから」
ミーティアは頷き、連絡孔に走って行った。エイトは窓に近付く。鎧戸がないので嵐にも耐え
得るよう分厚いガラスが嵌殺しになっていた。けれども窓の上部三分の一は突出しになってい
て開くことができる。部屋のこちら側に倒すように金具が付いていた。
「外せば何とか出られるかな」
そう呟くとエイトは金具に指を掛けた。釘がしっかり打ち込まれていて苦労したが、引き剥が
す。窓枠ごと外すと強い潮風が部屋に流れ込んだ。
椅子を窓枠に押し付けてエイトは上に乗った。何とか外に出ることができそうだ。が、風が強
く、さらに波も高い。時折やって来る高い波がここまで届きそうだった。
「ミーティア」
手招きして胴を留める紐を解く。
「もう上がって来るわ」
ミーティアの言葉に頷き、身体を椅子の上に引き上げた。抱き寄せて紐で互いを繋ぎ合う。
「エイト?」
「離れ離れになりたくないから…塔から出ないと移動呪文、使えないんだ」
怯えさせないよう極力穏やかな口調で言う。が、言外の意味をミーティアは汲み取った。
「分かったわ…信じています」
そう言ってエイトの頚に腕を廻す。ミーティアの言葉を胸に刻み、エイトは窓の外に身を乗り
出した。
663名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 22:01:56 ID:gNZ1PxPQ
「待て!動くな!」
丁度最上階に着いた兵士が慌てて二人に駆け寄ろうとした。が、その瞬間突風が吹き付けて平
衡を失ったかのように窓の外に落ちる。そこへ一際高い波が打ち寄せ二人を飲み込んだ。
「落ちた!」
「落ちたぞ!」
「引き上げろ!まだ間に合う筈だ!」
塔外の兵士たちもうろたえ騒ぐ。海中に没したと思われる二人を探るべく竿を差す。

懸命の捜索が続けられた。だがしかし、二人の遺体はついに上がらなかった。
                     (続く)
664名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 22:06:42 ID:gNZ1PxPQ
お待たせしてしまって申し訳ありません。
PCがフリーズして完成したのがアボーンしたり、どうも気に喰わなくて全面書き直ししたりして遅くなってしまいました。
残り後一回ですのでお付き合いください。
665名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 22:08:46 ID:y0xrJ6fD
ここにきてエイトが急激にかっこよくなった!
666名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 22:09:14 ID:9SB48Cuf
リアルタイムでキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!
うわ。むっちゃドキドキしました。
ここで竜神装備が来るとは!!大興奮です。
そしてトロデーン兵士との邂逅シーンが最高にかっこよかった。
続きを超絶楽しみにしています。
667名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 22:25:07 ID:HCjyy/P7
婦女子にありがちな、お耽美で美化15100%なアナザーストーリーだなあ……。
まあそういう話が好きな人もいるようだからいいけど。
最終回までこのスレ落とさず待つから、無理せずがんばってーな。

それから、このレスにいちいちレスはいらんからな。
668名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 22:31:07 ID:PVOu6TeH
>>667
じゃあSS書いて
669名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/03(月) 22:50:54 ID:2AxTdq6p
>>667
書き込んだ以上は「レスはいらん」という言葉は通用せんよ。
670名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/04(火) 03:10:14 ID:fdnanpg7
旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦
旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦
旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦
旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦旦
茶でも飲みませんか

>664乙です!続き楽しみにしてます。がんがれ!
671名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/04(火) 03:26:50 ID:3eN+j/Pg
>>670
ありがとういただきます つ旦

>>664
禿乙です
いよいよあと1回ですか〜、楽しみに待ってます!
672名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/04(火) 10:57:43 ID:8bVfazij
gj!!
673名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/04(火) 21:03:40 ID:4rD5CPKh
感想どうもありがとうございました。
いつもにも増して誤字脱字の嵐…_| ̄|〇オドリ「羽」ッテナニサ…
本当に申し訳ありません。メモ帳ではちゃんとなってたのに…
最後までしっかり頑張ります。

>670
ありがとうございます。いただきます。
つ旦
674名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/04(火) 23:27:34 ID:nJ5cTG5X
あと1回、楽しみですな。

>>670つ旦
675名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/05(水) 21:02:15 ID:vFBvplf1
つ旦
秋の夜長にお茶が旨いのぅ〜
676名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/05(水) 21:35:05 ID:gBVj0mfh
+      +
+   +  +  +
  ∧_∧  +
 (0゜・∀・)   ドキドキワクワクテッカテカ
 (0゜つ旦C  +   +      
 と__)__) +
677名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/05(水) 21:59:24 ID:nQIQNdv3
いただきます〜つ旦
次回がいよいよ最終回か…。
楽しみなような、寂しいような。
678名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/06(木) 21:35:22 ID:CSuhLvnR
679二人に捧げるRequiem ◆JSHQKXZ7pE :2005/10/06(木) 21:36:46 ID:CSuhLvnR
8.Agnus Dei

月日は流れた。
塔から落ちたエイトとミーティアの行方は依然不明のままである。あのまま海中に没したとし
て、遺体を引き上げることは難しい問題だった。サザンビークなどは何としても行方を掴もう
と潜水夫を雇おうとしたが、皆場所を聞くなり拒絶する。どんな手馴れであっても逆巻く潮に
飲み込まれ岩に叩き付けられて命すら危ういからであった。
並の場所ならばいつかは遺体が岸に打ち上げられることもあるものを、ここはそれもない。と
言うのは落ち込んだ岩によって海底は複雑な地形を成し、沈んだ物は岩に引っ掛かって二度と
浮き上がることはなかったからである。
エイトは移動呪文を使うことができたことから、波に飲まれる直前にどこかへ逃げた可能性も
考えられていた。しかし、世界中のどの街、どの村にも二人のいた形跡はない。各地の有力者
が匿っていることもあり得たが、それにしても気配すらないのである。
トロデーンはすっぱりと捜索を諦め、ミーティアを幽閉していた塔を灯台へと作り替えた。元
よりミーティアは王位継承権を失っており、何の問題もない。先々代の王妹が嫁いだというど
こだかの公爵家当主が新たな王位継承者となって決着していた。
問題なのはサザンビークの方だった。身分を明らかにして裁かれたため、国民の誰もがエイト
が現王の兄の遺児であることを知っている。今はいい、クラビウスは国を富ませ善政を布いて
国民の信頼も篤く、変わることは全く望まれていない。だが次の世代はどうなのか。
さすがのチャゴスもそこには気付いたらしい。エイトが逃亡し、ミーティア姫を奪還した揚句
生死不明という事態に狼狽え、周囲の人々を手当り次第捜索に派遣した。けれども皆、手掛か
りすら掴めずに帰ってくる。
業を煮やしたチャゴスにある夜、マルチェロが囁いた。
「何としても対抗する者はなく、ただ一人の王位継承者であることを明らかにしませんと。そ
う、何としても」
「う、うむ」
チャゴスの目が不安に歪む。そこをマルチェロは一押ししようとする。
「ですが王子の身分では制約が多く、思うように捜索もできません。もし殿下が…」
680名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/06(木) 21:37:48 ID:CSuhLvnR
「そうだ!」
が、「王位に就けばあらゆる権力を用いて捜索できるでしょうに」という誘惑の言葉はかき消
された。言おうと思っていたことを急に遮られてぽかんとしている様子にまるで気付かず、チャ
ゴスは続けた。
「お前、探して来い。うん、そうだ。お前ならすぐに見付けられるだろ」
チャゴスの巨体が迫り、マルチェロはたじたじとなった。
「で、ですが」
「見付けるまでいちいち報告に帰って来ることはないからな。一刻も早く見付けてくれよ」
「……は」
マルチェロは呆然として声も出ず、ただ命令に従わざるを得なかったのであった。

そうやって図らずもマルチェロを追い出したチャゴスは、また弛んだ生活に戻ってしまった。
今までの勤勉さはどうやらマルチェロの態度に刺激されたものであり(この点は評価されて然
るべきかもしれない)、いなくなれば元の木阿弥、といったところであろうか。
クラビウスはその点には落胆していたものの、また元のような悪意のない、平和な横着者に戻っ
てしまったチャゴスに一面安堵していた。以前の息子は何かに取り憑かれたかのようにどこか
不自然で、親として不安だったからである。
それにこの結末にもある程度納得していた。エイトの生死が不明であるが故に政局は安定し難
いかもしれない。けれどもそれ以上にその存在がチャゴスにとって鏡となり続けるだろうと考
えていた。甚だしい愚行を繰り返せば「エイトを探し出して新たな王に」という声が高まる。
自らの地位を守りたくば常にそつのない為政者であらねばならぬ。それは結果としてサザンビー
クの国益となっていくのだ。
そして私人としてはできればどこかで生きていて欲しかった。親子で暮らすというささやかな
願いすら叶わなかった兄のためにも。
           ※          ※          ※
681名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/06(木) 21:39:24 ID:CSuhLvnR
パルミド、牢獄亭。
「あいっかわらず怪し気な街よね」
そう言って隅のテーブルに腰掛けたのはゼシカだった。リーザス村に帰り、アルバート家の女
当主となっている筈だったが、相変わらず挑発的な服を着ている。
「そう言うゼシカの姉ちゃんも変わってねえでがすよ。まあ、こういう街だからこそ、あっし
が紛れていても誰にも怪しまれないんでげす」
答えるはヤンガス。彼もあまり変わっていない。
「そうよね…一番ヤンガスが危なかったんだものね」
エイトを処刑する時は黒い覆面を被っていたものの、サザンビークに処刑人として雇われる時
に顔を見られている。当時は頬の傷を上手く隠していたが、最も捕まる危険が高い役回りだっ
た。
「へっ、これくらい、大したことはねえでがす。兄貴のためなら例え火の中水の中」
ヤンガスは誇らし気だった。
「ところでククールは?まさかカジノでイカサマしているんじゃないでしょうね?」
「いや、ほら、…トロデーンに」
ゼシカの問いにややぼかした答えをする。ここの客はみな自分の会話に夢中になっていて誰も
他人の話などには興味を示さないが、念には念をいれたのだろう。
「ああ、あれね。…王様っていうのも大変だわ」
納得したように頷くと一つ嘆息した。
「全くでがすよ。この前なんて『おぬし、たまにはおっさん呼びするのじゃ』ってあっしに言っ
たんでげす」
「ぷぷっ。トロデーンから飛んでくるつもりなのかしら」
「たまには息抜きさせてやろうってんで牢獄亭に誘ってみたんでげすがね、『絶対嫌じゃ』っ
てそっぽ向かれたんでがす」
「全く、トロデ王らしいわ」
笑い声に酒場の楽し気な音楽が重なる。
「そのうちトロデーンに顔出さなくっちゃ。あの帽子使えばすぐだしね」
「本当に便利でがすよ。みんな兄貴のおかげでがす」
そう言ってヤンガスはポケットの帽子をそっと撫でる。
682名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/06(木) 21:40:48 ID:CSuhLvnR
「ほら、珍しい物を集めにあの場所に鎌を持ってよく行くんでがすが、あれがなかったらあっ
しなぞ足も踏み入れられなかったでがすよ」
「そうそう、ほとぼりが冷めるまで一時期御厄介になったっけ。グルーノさんも寂しいでしょ
うね、ずっと孫と一緒だったのに」
「あれは兄貴の決断だったんでがす。『故郷かもしれないけど、居るべき場所はここじゃない、
それに迎えに行かないと』って言って」
「そうだったわよね…」
二人でここにいない人に思いを馳せる。
「…今日は揃わなかったけど、みんなで会いたいわね。いつかは」
「いつかは必ず来るでげす」
夜も更けて牢獄亭はますます盛況だった。
           ※          ※          ※
683名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/06(木) 21:42:11 ID:CSuhLvnR
黄昏の光と闇に紛れるようにフードの男が部屋に滑り込む。埃に塗れ、心無しかやつれた風を
見せるその男は、壁を背にして座るこの家の主に来意を告げた。
「お主はあらゆる物について占い、外したことがないとか」
外見とは裏腹に意外に若い声をしている。
「形あるものについてはな」
男は答える。と同時に全て見通すかのような鋭い眼光をフードの男─マルチェロに向けた。
「人探しだな」
「ふん、聞きしに勝る横柄な態度だな。だが、その眼力は本物のようだ。
…その通りだ、占い師ルイネロ。ある者どもの行方を追っている」
「その者の名は」
「トロデーンの前の近衛隊長、エイトとトロデーン王女ミーティア」
神頼みを嘲りつつも占いに頼る気になったのは二人の行方が全く掴めないからだった。そこへ
トラペッタの街に、落とし物から行方不明の者まで占って全く外したことのないという占い師
がいるという噂を聞き付けたのである。
「…よかろう」
マルチェロの言葉をただ黙って聞いていたが、ルイネロは一つ頷くと目前の水晶玉に手をかざ
し意識を集中させる。すると玉は思わせぶりに輝き出した。マルチェロは何らかの答えが得ら
れるに違いない、と図らずも期待した。が、漸く返ってきた答えは意に反するものだった。
「見えんな」
「何だと?よく見ろ、エイトとミーティアだ。ちゃんと捜せ、金ならいくらでも出す」
「見えんものは見えん。最早人の形を留めておらんのだろう」
きっぱり言い切るルイネロにマルチェロは激昂した。
「貸せ!私に見せろ!」
とルイネロを追い払い、自ら水晶玉を覗き込む。が、
「何だこれは!何も見えんではないか!」
水晶玉には灯火が揺らめいているばかり。その答えはにこりともせず発せられた。
「この水晶玉の力を引き出せるのはこの私一人だ。お前には到底叶わん。さあ、分かったなら
そこをどけ」
684名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/06(木) 21:43:26 ID:CSuhLvnR
「ま、待て。では屍体がどこにあるのかを占え」
「先に言ったであろう、形あるものしか占えぬと。あの事については私も聞き及んでおる。何
年も前のことだ。あの地は海の難所、沈んだ遺体は波に千切れ、柔らかい部分は魚の餌となり、
骨も海老や蟹の住処となって海底に散っておろう。波に洗われ既に人骨の姿すら取ってはおら
ぬ筈」
「それでもいい、頼む」
「探し当ててどうする?お主、『この腓骨はミーティア姫のもの』と断言できるのか?よしん
ばそれを見せたとて他人を納得させられるとはとても思えんぞ」
「くそっ…」
そうルイネロに言われ、マルチェロは腹立ち紛れに床を蹴り付けた。そして代金を投げ付けん
ばかりの勢いで卓に放り出すと身を翻し部屋を出ていこうとする。
「…気を付けるがよい、怒りの酒は身を滅ぼすぞ」
ルイネロの言葉に一瞬立ち止まったがすぐに「ふん」と鼻を鳴らし出ていった。
「…今夜はユリマを使いに遣らんようにせねば。まあ、あの男に私の言葉を受け入れる余裕が
ありさえすれば回避できるだろうが…」
一人ごちてまた水晶玉に目を遣る。
本当はルイネロには見えていた。どこか遠い山の上、小さな家の中の炉端に一組の夫婦が寄り
添うように座っている光景が。着ているものは粗末だったが、幸せそうに語らっている。ふと
二人が愛おし気に見遣る先には柵に囲まれた小さな寝台があって、幼子がすやすやと眠ってい
た。耳を澄ませば二人の会話が遠く聞こえる。
「お城に連れて行って貰って、疲れてしまったのね。もう寝てしまったわ」
「ククールが、『くっくりゅおいちゃん』って呼ばれたってしょげてたよ」
「まだ舌が回らないんですものね…お父様も『じいじ』って呼ばれてとても喜んでいたんですっ
て」
二人は再び顔を見合わせて微笑み合う。
「…彼らに平安を、とこしえの平安を…」
呟いてルイネロは手をかざした。と、水晶玉はあっという間に光を失いただの玉となる。部屋
の中は再びほの暗い黄昏の光の中に置かれたのだった。
                     (終)
685名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/06(木) 21:46:14 ID:CSuhLvnR
長々とお邪魔しました。
誤字脱字があまりに多く、見苦しかったことを深くお詫びいたします。
686名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/06(木) 21:47:56 ID:Fws04CYI
リアルタイムで乙
締めがマルチェロとルイネロなのは予想できなかったぜ
687名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/06(木) 21:53:34 ID:w3melO70
又マルチェロが落ちなければ好いが、……。
688名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/07(金) 03:34:50 ID:GyshJCFX
>>679-685
くっくりゅおいちゃん!w
いや〜楽しませていただきました、最後はまったりと締められてよかったです。
また新作書いてくださいね!
689名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/07(金) 10:46:38 ID:h1mgZaQe
チャゴスごときに翻弄される○、哀れなり
690名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/07(金) 13:40:33 ID:AfcUl5Gb
でもミーティアはチャゴスがイケメンだったらすんなりケコーンしたんだろうかw
691名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/07(金) 17:40:45 ID:22LH6TNh
でも主人公とミーティアがはっきりくっついたって感じではなかったね
どっちとも取れるような終わり方だった
692名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/07(金) 17:42:09 ID:AfcUl5Gb
え?そうか?思いっきりキスしてるのに。
693名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/07(金) 18:17:50 ID:IAtAxp44
どう考えてもくっついただろ
694名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/07(金) 18:25:31 ID:HmxgW9Nz
>>691
くっつきまくって子供までいるじゃん
695名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/07(金) 18:26:02 ID:22LH6TNh
>>691
えっ?一回目のエンディングではほのめかしてたけど
真エンディングではくっつくの?
696名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/07(金) 18:26:49 ID:22LH6TNh
間違えてたorz
自分が691ですた
697名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/07(金) 18:32:03 ID:HmxgW9Nz
>>696
へ?
SSじゃなくてゲームのエンディングの話だったの?
ならちゃんとそう書いておくれよ。
ややこしい。
698名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/07(金) 20:50:11 ID:Lx3ipnPc
>>685
長編お疲れ様でした。
連載中、いくつもの名シーンの数々に手に汗を握りました。
そして流麗な文体に、釘付けになりました。
とても面白かったです。次回作も楽しみにしています!
699名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/07(金) 21:40:51 ID:HtTJB+xO
チャゴス…がイケメンでも 性格が イクナイから ミーティアは 結婚したくなかったと思う...

エイトさんとなら、
つつましい生活でも いたわり合って暮らしてゆける二人ゃと 思う…隠れて生きていかなければならないのは 気の毒だけれど ふたりが幸せでいて ほんまによかったと思う☆
700名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/07(金) 21:48:38 ID:yK6gdhrG
>>685
途中荒れかけていたからどうなることかと思いましたが、
最後まで読むことができて、嬉しかったです。
ほんのり予想していた通りの結末だったけど、
二人が幸せになれて本当に良かった、と感じました。
素敵な小説を読ませていただいてありがとうございました。
お疲れ様でした。

次回作も楽しみに待ってます。
701小ネタ7 ◆nefbuGknog :2005/10/07(金) 23:11:20 ID:+XWp43kS
「それじゃあゼシカ、姫をよろしく」
そう言いおいて教会に入っていくエイトに任せておいてと手を振った。
初めのうち姫の世話を人に任せることを頑なに拒んでいたエイトだが、
近頃ゼシカにだけは時折ブラシかけなどさせてくれるようになっている。
ククールなど馬具を外した後近寄るとさみだれ突きが飛ぶところをみると
女同士ならかまわないということだろうか。
「あら?」
黒い鬣を飾るリボンをほどきかけてゼシカは手を止めた。
前とは違う滑らかな感触。
よくよく見れば旅の間に擦り切れ色あせかけていたはずのリボンが
真新しいものにかわっている。
でもゼシカの手を止めさせたのはそのことではなく。
「これって、えーっと……」

「ねえ、ミーティア姫、これを見て頂戴」
ほどいたリボンをゼシカは姫の目の前にかざした。
赤いシルクのリボンに丁寧に飾り文字が書かれている。
“誕生日おめでとう あなたに幸多からんことを”
姫の誕生日はドルマゲスを倒したほんの少し後のこと。
ちょうどゼシカの失踪と重なっていて祝いどころではなかったことを
ゼシカは後で知って申し訳なく思っていたのだが。
「よかったわね、エイトは忘れてなかったみたいよ」
耳元でささやくと姫は嬉しそうに小さく嘶いた。
702名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/07(金) 23:12:57 ID:+XWp43kS
秋といえばリブルアーチ、というかその直後の雪待ちの教会で。
姫の誕生日の話はちょうどこの時期に泉に行くと聞けるので、
やっぱお祝いできるような空気じゃなかったんだろうなぁ、と。
それとなんかで読んだリボンにラブレター書いて贈る話が
脳内練金釜で練成されてこんなんになりました。
……あんま性能よくない錬金釜ですがorz

そしてククールにちょっとだけごめんなさいですw
703名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/08(土) 20:36:36 ID:YUjUBPId
わざわざMP4も消化してさみだれ突きを放つところに主の執念を感じるw
704名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/08(土) 22:33:06 ID:ZH+7W1ZR
>nefbuGknog氏
エイト…容赦ねえw
そうだよなあ、非常事態についうっかり忘れてしまった、もありだろうけど
主姫的にはこっそりお祝いしてたらっていうのもいいなあ。

後、感想くださった皆様、本当にありがとうございました。書いていて非常に励みになりました。
この場をお借りしてお礼申し上げます。

>>688
そんなあなたのために「ククールVS子供」w

「この人はだあれ?」
「やんがしゅおいちゃん!」
「そうだね(おいちゃんがおじさんかな)。じゃあこっちは?」
「じぇじかおねーたん」
「かわいいなあ。じゃあさ、オレは?」
「くっくりゅおいちゃん!」
「おっ、おじさんかよ…それは止めてくれないかな(あいつらどういう教育しているんだ)」
「んー…………くっくりゅ!」
「オレだけ呼び捨てかよorz」
705名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/09(日) 00:13:54 ID:0jAuyvLX
>704
カワユスw
706名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/09(日) 13:12:59 ID:HMZQ9kHa
「じぇしかおヴぁたん」って言ったら、魔法食らうんだろうかねw
707名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/09(日) 18:40:16 ID:fVkHpfDS
「おいおい、何でオレがおじちゃんでゼシカはおねーちゃんなんだ?おばちゃんだろフツー」

背後で全ての魔力を解き放つ準備をしているゼシカ
708名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/10(月) 00:13:35 ID:7m73mOib
この流れは前にもあったな
阻止
709名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/10(月) 16:55:17 ID:glIfTSzJ
保守
710名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/10(月) 16:57:37 ID:0ZzAFamH
ついにこのスレも終焉を迎えるときが来てしまったか…
711名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/10(月) 17:17:31 ID:FK1rHox5
そうかなー?そうは思えないけど。
一部の祭会場以外はこんなもんだろう。
大体ここ一日一レス以上あるし。

北米版ではボイスが付くらしいけど、みーたんの声はどんな感じなのかなー。
712名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/10(月) 17:22:04 ID:BH+CJD/H
海の向こうだとおおむね男性は高く、女性は低い声になると聞いた。
713名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/10(月) 17:46:44 ID:glIfTSzJ
そうか!みーたんにも声がつくのか。
うわ、欲しいなー。それ。
714名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/11(火) 20:14:23 ID:axaVcGsb
ストライクフリーダム×ミーティア?
715名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/12(水) 17:57:25 ID:YNNTwOKX
はいはいSEEDSEED
716名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/12(水) 19:33:53 ID:o3gKzn1z
ちょっとワロタ

次のSSを楽しみに待っておきます
717名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/12(水) 22:01:40 ID:s16cQ4q4
おつまみ置いて行きます。
718バッカスの踊り ◆JSHQKXZ7pE :2005/10/12(水) 22:04:12 ID:s16cQ4q4
目が覚めると城中に楽し気な空気が漂っていた。
着替えを手伝ってくれるメイドさんも、今日は何だか心ここに有らず、といった感じ。
「今日、何かあったかしら?」
髪を梳かれながら鏡越しに問いかける。鼻歌でも歌い出しそうな様子だったので。トラペッタ
のお祭りもまだ先だったし、なぜ皆楽しそうなのか分からなかった。
「まっ、まあ、申し訳ございません」
慌てて取り繕いながらも私の疑問に答えてくれた。
「今日は城の者総出で葡萄搾りなのでございます」
その言葉にうっすらと去年の記憶が甦る。確かそんなことをしていたような。でもそんなに大
掛かりだったかしら…
「今年は当たり年だとかで質、量ともに最高の出来なのだとか。いつもは私どもが手伝うこと
はないのでございますが、特に人手が要るとかで呼ばれているのでございます」
「楽しそうね。見てみたいわ」
そう言うとメイドさんはちょっと考える風だったけれど、
「今日の講義はサザンビークの歴史なの。でもあの先生、進むのがとっても遅いんですもの。
もうとっくにご本は読み終わってしまって、空でだって言えるわ。今日お休みできないかしら」
と言うと
「…分かりました。ではその旨、お伝えいたします」
と渋々了承してくださった。

教育係の方とも話がついたのか、今日の講義はお休みになった。きちんとお勉強することはと
ても大切なこととは分かっているのだけれど、あの先生の講義だけは気が進まない。どうして
なのかは本当はよく分かっているのだけれど…
それもあってとても解放された気持ちで庭に出てみると既に大きな桶と樽が準備されていた。
「まあ、こんなに大きい桶、初めて見たわ」
荷車の荷台程もありそうな大きな桶に近寄ると、中ではエイトがせっせと拭き掃除をしている。
「おはよう、エイト」
「…おはようございます、姫様」
もう名前では呼んでくれない。人目があれば殊更素っ気無い。でも本当はそうしなければいけ
ない。だって、いつまでも子供のままでいることなど、できはしないのだから…
719名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/12(水) 22:07:18 ID:s16cQ4q4
それでも他の人々の楽しい雰囲気に影響されたのか、珍しくエイトの方から話し掛けてきてく
れた。
「もうすぐ葡萄が届くんですよ」
「まあ、そうなの。楽しみだわ」
他愛もない会話。でもそれだけでもとっても大切。
「ところで葡萄搾りってどういうことをするの?」
「葡萄をこの桶の中に入れて」
そう言って足元を指差す。
「みんなで桶の中に入って踏み潰すのでございます。こっちは赤ワイン用、あっちが白ワイン
用でございます」
「…そうよね、色が着いてしまうものね」
もちろんワインを飲んだことはない。でも色の違いくらいは分かる。宴会の時お給仕さんが持っ
ているのを見たことがあるから。
「今年は特別な葡萄もあるそうでございますよ」
「特別?どんな葡萄かしら」
「さあ…僕も話で聞いただけなので分かりませんが、とても甘いワインができるんだそうです」
「じゃあその実はとっても甘いのね、きっと。食べてみたいわ。一粒貰ってもいいと思う?」
「多分大丈夫だと思います」
そんなことを話しているうち、門が開いて馬車が入ってきた。領地の畑から収穫された、緑色
の葡萄が山積みされている。
「葡萄が来たぞ!手の空いている奴は手伝え!」
声が掛かり、わらわらと人が城内から出て来る。桶に移し替えていると次の荷車もやってきた。
こちらには黒い葡萄が。料理長さんが指示を出している。
「混ぜるなよ、白ワインがロゼになっちまうからな。赤潰した奴は白の樽に近付くんじゃない
ぞ」
エイトは黒い葡萄を桶に移し始めた。と、たちまち果汁で服が赤紫色に染まる。
「ミーティアも手伝うわ!」
何だかもう、訳もなく楽しくなってしまって、服が汚れることなんてすっかり忘れて黒葡萄の
房を抱え取る。
「姫様!」
誰かが気付いて私を止めようとしたけれど、もう既に潰れた果汁で服は染まっていた。
720名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/12(水) 22:09:27 ID:s16cQ4q4
「ごめんなさい、服を汚してしまって!」
そう言いながらもどんどん桶に房を投げ込む。
「白の方になさればよかったのに!」
隣でエイトが笑う。
「いいの!こんな楽しいことしたことなかったんですもの!」

桶の底一杯に葡萄が入ると、メイドさんたちが出てきた。皆足をよく洗うとそろそろと桶の中
に入っていく。そうして誰かが歌い出し、踊りが始まった。葡萄の上で。葡萄はたちまち潰れ
ていく。
「ミーティアも踊ってみたいわ」
隣のエイトにそう言うと、
「うーん、…じ、じゃ、くくく靴下脱がないと」
突然動揺し出した。あら、どうしてかしら?
「そうね、じゃ、靴下脱いで来るわ」
さすがに人前は恥ずかしいので図書館に入る。今日は皆庭に出ていて無人だったとのをいいこ
とに靴下留めから靴下を外して脱いだ。裸足になることなんてなかったけれど、ちょっと気持
ちいい。でも靴下なしで靴を履くのって、変な感じ。
早速外に出て足を濯ぎ、桶の中に入る。足首まであるドレスもたくし上げて膝が見えてしまっ
た。でも素足でこんなことをするなんてとっても楽しい。それに暖かい陽射しの中で歌ったり
踊ったりできるなんて!
一旦桶の中身が空けられて、また新たな葡萄が入れられる。
「エイト!エイトも一緒に踊るのよ!」
「えっ、でも…」
躊躇うエイトに手を差し延べる。
「ね?お願い」
その時は知らなかった。葡萄を搾るのは女の子だけ、ということ。でもどうしても一緒に踊り
たかった。その額に寄る寂しそうな気配を拭ってあげたかったの。
「ほら、姫様が呼んでいらっしゃるぞ」
「…そうねえ、エイトだったらいいわ。どうぞ」
周りの大人に押され、桶の中で一緒に踊るメイドさんたちに手招きされる。エイトは仕方無さ
そうに靴下を脱ぎ、ズボンの裾をたくし上げ、足を洗って桶の中に入ってきた。
721名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/12(水) 22:11:03 ID:s16cQ4q4
どこかおどおどとしている手を取る。慌てるエイトに
「あの曲、覚えていて?一緒に踊った曲」
と囁いた。
「…ええ」
そう、お城の舞踏会で奏でられる優雅なメヌエットやガボット、荘重なサラバンドのような端
整な曲ではない。かつてトラペッタで踊った、変わった拍子の楽しい踊り。私が一節を口ずさ
んで踊るとエイトもそれを受けて踊る。メイドさんたちは最初はきょとんとしていたけれど、
元々トラペッタやその近くの出身が多かったから、あっという間に踊りの輪が広がった。
大きな桶だった筈なのに、何人も入って踊るものだからちょっと狭く感じる。でも肩がぶつかっ
てしまっても楽しい。大抵、エイトとだったし…

踊りに踊って全ての葡萄を潰し終えた。もうへとへと。ドレスの裾は赤紫にぼかし染めになっ
て、点々と水玉模様がついている。足を濯いで貰って、裸足のまま靴を履いた。
と、そこへ新たな荷馬車が着いた。
「あっ、あれね、すごく甘い葡萄って!」
きっとつやつやしていて、ほんのり粉を吹いていて、丸々と大きな粒の葡萄なのだろう、と急
いで駆け寄る。けれど、
「んん?」
「わっ!」
首傾げる私の横でエイトが驚く。荷台には灰色でしわしわしている上に所々灰色のふわふわし
たもので覆われた葡萄ばかりがあった。どう見ても美味しそうではない。
「はっはっは、びっくりなさいましたかな?」
御者台の老人が笑った。
「これが貴腐葡萄でございますよ。葡萄にカビが生えたものでございます」
「カビ?」
「えっ、カビなんですか?!」
「左様。特別なカビなんでございます。このカビが付くとうっとりする程甘く美味しいワイン
ができるのでございますよ」
「まあ…」
「へえ…」
722名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/12(水) 22:13:57 ID:s16cQ4q4
知らなかったわ。世の中って思いもよらないことがたくさんあるのね。図書館にたくさん本は
あるけれど、実際に見てみないと分からないことって一杯あるんじゃないのかしら。きっと素
敵なことで一杯なのでしょうね。
見ることができたらいいのに。…できれば、エイトと一緒に…
                    (終)


みーたん12、3歳ぐらいの話で。


貴腐ワイン
ある種のカビが熟した白葡萄に付き、果汁を濃縮したためにできる非常に甘いワイン。
カビは自然に生えるのを待つしかないので、とても貴重。
ドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼ(TrockenBeerenauslese)、
ボルドーのソーテルヌ(Sauternes)地区のVin de Pourriture Noble
などが有名。

文中の踊りの曲は全てDQの城の音楽で使われたものです。
723名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/12(水) 23:53:28 ID:x2gSPubY
ハァハァしますた

このあと二人が旅に出た時、みーたんはワインの飲めない体に…
724名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/13(木) 01:04:36 ID:We0jo4wA
ほのぼのでよかったです。
ちょっとだけ女の子のエイトが浮かんできて、萌えてしまいました。

725名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/14(金) 17:37:56 ID:rVFahK2x
ほしゅ
726名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/14(金) 23:57:26 ID:JGmmkp4W
ホシュ
727名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/15(土) 20:13:42 ID:/rZmfwal
感想どうもありがとうございました。

◆nefbuGknog氏の「女の子は脚だろう」から秘密のベールに包まれたみーたんの脚に迫ってみますた。
でもフトモモまでは迫れなかった…
ネタを勝手に使って申し訳ありません。

今後も頑張ります。
728名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/15(土) 22:35:29 ID:nuZ45NVB
最下層達成!!!!!!!
729名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/16(日) 01:21:48 ID:QUmKUT60
>>727
乙です。
張られたままの伏線も気になるところです。
今後も楽しみにしています。
730名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/16(日) 12:54:28 ID:DNH1XjGx
一番下まで来ちゃったのであげ
731秘密のお出かけ ◆JSHQKXZ7pE :2005/10/16(日) 14:51:10 ID:ADFFVt2o
1.

「エイト、あのね」
夕食の片付けも一段落ついた頃、ミーティア姫が厨房にやってきてエイトを手招きしました。
「うん…どうしたの?」
人目を憚るその様子にエイトもつられてひそひそ声になります。
「あのね…来週トラペッタでお祭りがあるんですって」
「うん」
エイトもそれは知っていました。秋の収穫を祝う、それは盛大なお祭りなのだそうです。
「エイトも見に行くのでしょう?」
その日はお休みを貰っていました。トロデーンでも収穫をお祝いするため、豪華な晩餐が用意
されますが、ゼリー寄せやテリーヌ、仔羊の冷製など、ほとんど前もって作られるものばかり
でした。なので下働きのエイトでもお休みを貰って出かけることができるのです。
「うん、そのつもりだけど」
話がよく分かりません。ずっとここに住んでいるミーティア姫がちょっと離れているとはいえ、
領地のお祭りを知らない筈ありませんでしたから。
「あのね…ミーティア、お祭りに行きたいの。お願い、一緒に連れてって」
「えっ!」
「一度もね、行ったことないの。ううん、一度だけお父様と馬車の中から見たことはあるけれ
ど。とっても楽しそうだったけれど、ミーティアにはふさわしくないからって行かせてもらえ
なかったの」
ミーティア姫はしょんぼりとして悲しそうでした。
「その時ね、ミーティアと同じくらいの女の子が白いふわふわとしたものを持っていたのよ。
その子のお父様に手を引かれながらそれを食べていたの。ミーティアもとっても食べてみたかっ
たのだけれど、『お城のパティシエがおいしいお菓子をお作りいたしますから、我慢なさいま
せ』って言われて食べられなかったの」
「そうだったんだ…」
エイトはちょっと可哀想になりました。何不自由なくお城で大切にされているが故に、ミーティ
ア姫は綿菓子一つ、食べることもできないのです。
「じゃあ、王様にお願いして…」
732名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/16(日) 14:52:17 ID:ADFFVt2o
「それは駄目よ」
ミーティア姫はあっさりエイトの言葉を否定しました。
「だってお父様にお話ししたらお付きの人をぞろぞろ連れて行くことになってしまうわ。そし
たらまたあれも駄目、これも駄目って言われちゃう」
「それはそうだけど…そしたらトラペッタまで歩かなきゃならないよ」
エイトはそれが心配でした。最近一緒に遊ぶようになって大分丈夫になってきたとはいえ、歩
いて遠出できるとはとても思えません。自分一人なら朝出て夕方遅くに帰って来れるかな、と
考えていたのですが、ミーティア姫が一緒となると心許ない気持ちになるのでした。
「ミーティア、ちゃんと歩くわ。それにお父様にお願いしてお外で遊ぶ時の靴、あつらえても
らったんですもの」
そう言ってちょっぴりドレスの裾を持ち上げました。真新しい革のブーツを履いています。赤
い鹿革のその靴はミーティア姫に似合って大層可愛らしかったのですが、エイトにはその新し
さが気になりました。
「新しい靴なんて履いて行ったら足痛くしちゃうよ」
エイトには面と向かって「連れて行けません」と言うことができませんでした。勝手に連れ出
せば罪に問われてしまうでしょう。怒られて夕食抜きくらいならまだしも、追放になったり死
刑になってしまうかもしれません。何とか諦めてもらおうと必死で言い逃れしようとします。
「分かっていてよ。だからこうして今も履いて慣らしているの」
よく鞣された革とはいえ、ミーティア姫の足は今まで一度も革靴を履いたことがありません。
ずっと絹サテンの靴で事足りていたのですから。きっとあちこち靴擦れして赤くなってしまう
でしょう。
「でもそんな絹のドレスじゃ、すぐお姫様だって分かっちゃうよ」
絹地には独特の光沢があります。特に王族が着るような布地はよく精練されていてつやつやと
していました。
「散歩服を着るもの」
「あんなに長い裾の服なんて、お姫様しか着ないよ」
確かに散歩服は麻製です。ですが子供が床すれすれの長さのスカートを着ているのは余程の家
に限られていました。裾を長くすればそれだけ布代が嵩みますから…
733名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/16(日) 14:53:26 ID:ADFFVt2o
「エイト…」
ついにミーティア姫は俯いてしまいました。
「ごめんなさい、迷惑だったのね…」
その声はエイトがはっとする程悲し気でした。
「でもミーティアはエイトと行きたかったの。エイトと一緒に行きたいの。それは、駄目?」
その言葉に胸の奥でとくん、と脈打つものを感じてエイトは落ち着かない気持ちになりました。
「そうじゃないよ」
不安定なその感覚を払いたくてエイトはつい、ぶっきらぼうな言い方になってしまいました。
でもミーティア姫にはそれが分かりません。言葉の素っ気無さだけを汲み取り、はっと身を固
くしてしまいました。
「あの…ごめんなさい。嫌だったのね。じゃあお城でピアノ弾いて待っているから、お話聞か
せてね」
「待ってよ」
すごすごと肩を落として厨房を出て行こうとする姫の腕を、エイトは思わず掴んでいました。
「…嫌なんかじゃないよ…」
そう言いながらもぷい、と顔を背けようとしましたが、ぱっと輝いた姫の顔をしっかり見てし
まいました。
「ほんと!?」
「本当だよ。じゃ、一緒に行こう」
「ありがとう、エイト!うれしいわ」
ミーティア姫は小さく手を叩いたかと思うと、爪先立ってエイトの頬にちょんと口づけしまし
た。
「……」
「じゃ、また明日ね。おやすみなさい、エイト」
無言で頬を赤らめるエイトに手を振って、ミーティア姫は厨房を出ていったのでした。
「おう、エイト。何姫様にチューされてんだ?」
からかうように料理人が話し掛けてきます。
「なっ、ななな何でもないです」
頬どころか首まで赤くなっているのが自分でも分かりました。急いで頭を振って普段の自分に
戻ろうとします。料理人もそれ以上は追求してこなかったので、エイトはほっとしました。

734名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/16(日) 14:54:35 ID:ADFFVt2o
けれどもどうしたらよいのでしょう。成り行きとはいえ、ミーティア姫をこっそりトラペッタ
に連れていく約束をしてしまったのですから。行き帰りどうしたらいいのか、もしトロデーン
のお姫様だと知れて人攫いに遭ったら、と心配の種は尽きません。
それでもエイトは最後までちゃんとやり遂げようと決心していました。ミーティア姫に悲しい
思いをさせたくなかったのです。トーポの次にできた、大切な友達でしたから。
                     (続く)
735名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/16(日) 14:57:24 ID:ADFFVt2o
泉で聞ける話ネタで。
あちこちで細切れに書いてきたこっそりお出かけした時の話です。
736名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/16(日) 15:04:59 ID:EFMPR/PL
いいですねー
ほのぼのしてて。
続き期待してます
737名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/16(日) 17:18:16 ID:UsXQlQpj
わー何か二人ともかわいいなv
おとぎ話のような語り口がイイ!
続きをお待ちしています。
738名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/16(日) 21:31:13 ID:Q6K2JV2Y
ついに来た?
トラペッタまで行ったはいいけど帰り道がわからなくなってトーポについていったら帰れたってネタだよな?
俺はこのエピソードをSSにしてくれる日を心待ちにしてたんだよ
739名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/16(日) 22:31:09 ID:t2dme2xN
ぬるぽ(^^)
740名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/17(月) 10:34:24 ID:/lBOiG5U
そういえば、ここのところ「主姫スレ」と「ククゼシスレ」がお隣さんだ。
両方を行き来している身としてはうれしい。
741名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/17(月) 10:37:04 ID:sA8CnrRt
>>739 ガッ!!
742名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/17(月) 20:21:16 ID:7grLABj9
読んでいただきありがとうございます。

頑張ります。……が、少しのんびりペースになるかも。
すみませんがよろしくお願いいたします。
743名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/19(水) 07:29:07 ID:7X3T79eF
ほす
744名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/19(水) 17:15:00 ID:CkXuGo24
ほしゆ
745名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/19(水) 19:34:09 ID:sskKwqgx
>>731-734
続き
746秘密のお出かけ ◆JSHQKXZ7pE :2005/10/19(水) 19:35:49 ID:sskKwqgx
2.
ミーティア姫もまた、困っていました。確かにエイトの言う通り、ひらひらした絹のドレスで
はどう考えても街の子供には見えません。近隣の村から運ばれてくる野菜や穀物の荷馬車に同
じ年くらいの女の子が乗っているのを見掛けたことがありましたが、その子はブラウスと膝丈
ぐらいのスカートを着ていました。姫の持っているドレスは皆、裾の丈がくるぶしまでありま
す。庶民でも十四、五にもなると長いスカートを身に着けるようになりますが、自分がその年
齢に見えるとはとても思えませんでした。
では新しくスカートを作ろうかとも考えましたが、木綿や麻の布が手に入りません。いえ、寝
台周りの敷布や枕カバーは麻でしたが、あまりに真っ白過ぎてちょっと不自然でしたし、何よ
り無くなっていたらリネン係のメイドさんに怪しまれてしまいます。
どうしようかと一生懸命考えながら城内を歩くうち、ふと赤い格子縞の布が目に入りました。
何か片付け物の途中だったのでしょう、取りあえず見苦しくないように布を掛けておいたよう
です。
(これでスカートを作ったらかわいいのではないかしら?)
ミーティア姫はそう考えました。近寄って摘んでみると縁はもうかがってあります。筒状に縫
い合わせ、胴にリボンを巻いてサッシュにしたらすぐにスカートになりそうでした。
「まあ姫様」
突然背後から声が掛かり、姫は飛び上がらんばかりに驚きました。
「お見苦しいところをお目におかけして大変申し訳ございません。すぐに片付けますので」
掃除係のメイドさんです。ミーティア姫はお願いしてみることにしました。
「お仕事お疲れさまです。…あの、この布はあなたのもの?」
「はい、左様でございますが」
747名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/19(水) 19:37:58 ID:sskKwqgx
「とってもかわいいわ。この布、もらえないかしら?お部屋の棚に掛けたいの」
「まあ、こんな粗末な布、姫様のお部屋には相応しくございませんですよ。ビロードや繻子の
美しい布をたくさんお持ちでしょうに」
メイドさんは笑いながらそう言って取り合ってくれません。
「ううん、この布がいいの。だって大きなチェックがとってもかわいいんですもの。ね、お願
い」
「ですが…」
「掛ける布が無くなって困るのだったら、ミーティアのお部屋のカバーを使って」
姫も必死です。
「いえ、そんな勿体無い」
メイドさんはびっくりして手を振りました。
「布なんていくらでもございますよ。姫様がどうしても、と仰るのでしたらまだ使っていない
ものがございますので、そちらを差し上げます」
「まあ本当?!うれしいわ、どうもありがとう」
姫の小躍りせんばかりの喜び様にメイドさんは不思議そうな顔をしましたが、
「ではただ今持って参ります」
と言って布を持ってきてくれました。
ミーティア姫はお礼を言い、布を抱えて小走りに部屋に戻ります。途中で廊下を掃除している
エイトを見付けました。
「エイト、エイト」
物陰から手招きするとエイトがやってきます。
「あのね、この布でスカートを作るわ。かわいいでしょ?」
エイトは胸にしっかりと抱えられた布を見ました。これなら何とか街の女の子に見えそうです。
「うん、そうだね」
エイトに認めてもらえて姫はとても嬉しくなりました。が、次の心配が浮かんで来ます。
「後はブラウスよね…どうしたらいいのかしら…」
「あのさ」
困っているミーティア姫にエイトは耳打ちしました。
「上は何とかするよ。だからちゃんとスカート作って」
748名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/19(水) 19:40:30 ID:sskKwqgx
「ほんと!?ありがとう、エイト」
そう言って爪先でくるりと回ります。あまり嬉しくてくるくる回っていると
「ミーティア、人が来たらへんに思われちゃうよ」
と困ったように言われてしまいました。
「あっ、ごめんなさい。秘密のお出かけなんですものね、気付かれないようにしないと」
そう言いながらも姫のにこにこは収まりません。
「だからさ、そんなににこにこしていたらへんだよ。普通にしていてよ」
エイトはますます困ったように言います。
「ええ、分かっていてよ。ちゃんと普通にしているわ。じゃ、エイト、また後でね」
分かったようなことを言いましたが、楽し気に手を振り、部屋に戻るその足はスキップしてい
ます。歌を口ずさみながら遠離るその姿を見送って、エイトは小さく溜息を吐いたのでした。

部屋に戻ると早速ミーティア姫はお針箱を取り出しました。貴婦人の嗜みとして小さい頃から
刺繍の手ほどきを受けています。自分で刺繍して縁をかがり、トロデ王に贈ったこともありま
した。
なので脇を縫い合わせ、胴に襞を取ってリボンを縫い付けることなど簡単です。あっという間
にスカートが出来上がりました。赤いブーツに合いそうです。膝よりやや長めの丈で、着てみ
ると足が空気に触れてちょっとひやっとしました。
でもこんなスカートを着るのは初めてです。何だかとっても嬉しくなって、鏡の前でポーズを
取ったりダンスをしたりしてしまいました。
新しい服を作り、それが自分に似合っている様子を見て心躍るのは女性ならば誰しものこと。
お昼になって仕方なく普段着のドレスに着替えした後も、にこにこは収まりませんでした。
「姫や、今日は随分ご機嫌じゃの。何かいいことでもあったのかの?」
とお昼の時にトロデ王に聞かれてしまう始末。
749名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/19(水) 19:42:02 ID:sskKwqgx
「いいえ、何もなくってよ。あっ、お父様とお昼ご一緒できるの久しぶりでうれしいの」
確かにその通りだったのですが、それにしてもはしゃぎ過ぎていてトロデ王は心配になりまし
た。
「あまりはしゃぐとまた具合悪くなるのではないかの。今日は外に出ない方がよいのではない
か」
トロデ王の心配ももっともでした。ミーティア姫は昼間はしゃぎ過ぎて夜熱を出したことが何
回かあったのです。ただそれは子供に特有のもので、心配する程のものではなかったのですが。
けれども亡き王妃の忘れ形見である愛娘の発熱がもし死病の前触れだったら、と王は恐れてし
まうのでした。
「大丈夫よ、お父様。だってミーティア、エイトと一緒に遊ぶようになってから熱出したこと
ないんですもの」
「そうじゃったの。随分丈夫になって、ワシゃ嬉しいぞ。エイトのおかげじゃの」
どうやら王の意識はそちらの方へ行ってくれたようです。ミーティア姫はほっとしました。
(気を付けなくっちゃ)
と姫は思いました。それでもどこかうきうきした気分が出ていたのでしょう。その日はずっと
「ご機嫌ですね」
とことあるごとに言われ続けてしまったのでした。

着るものがどうにかなりそうだったので、エイトはほっとしていました。もしかしたら自分の
服を貸さないといけないのではないかと心配していたのです。貸すのはいいのですが、女の子
のミーティア姫にズボンを履かせるのは気が引けました。どこの子供でも女の子はスカート、
男の子はズボンで、逆は見たことがありませんでしたから。
それにあの長い髪をどこに隠すのか、帽子の中に押し込むしかなさそうです。その上完全に男
の子の格好をさせたとしても、姫はどうしても女の子にしか見えなさそうでしたから。
750名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/19(水) 19:44:00 ID:sskKwqgx
一日の仕事が漸く終わり、エイトは寝床の中で自分の行李を開きました。中には自分の着替え
が入っています。この前貰った新しいチュニックが奥にしまってありました。
頻繁に服が貰える訳ではないので、小さくなったり繕えない程生地がへたってしまうまで着な
ければなりません。今着ている服はまだまだ充分着ることができそうだったので新しい服は取っ
ておいたのですが、これが役にたちそうでした。色も生成りで、これなら女の子が着ていても
おかしく思われないでしょう。
(後は頭かな)
時々親と一緒に荷馬車に乗ってきて荷運びの手伝いをしている女の子の服装をエイトは思い出
そうとしました。確か髪は二つに分けて三つ編みにしていたようです。肌寒い日は肩掛けをし
ていました。秋も半ばを過ぎ、朝夕は冷え込みます。
(何かそういうものがあった方いいかも)
「おい、エイト」
あれこれ考えていたら隣の寝床から眠た気な声がかかりました。
「明日も早いんだ。さっさと寝ろ」
「は、はい」
こっそり点していた灯が邪魔だったようです。急いで灯を消し、荷物をしまいました。

次の日の夕食後、またミーティア姫が厨房にやってきました。
「こっち」
と口だけ動かして隅の方へ呼び寄せます。
「あのさ、このチュニック貸すよ。上に着て」
ミーティア姫はエイトの手の中にある服を見ました。
751名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/19(水) 19:45:45 ID:sskKwqgx
「ありがとう、エイト」
姫もまた、ほっとしていました。自分の持ち物の中で合いそうな服は無く、かといって自分で
作るにはあまりに複雑で、どうしたらいいのか途方に暮れていたのです。
「じゃあ、その日はそれ着てきて…あっ!」
エイトは何か思い当たったようです。
「どうしたの?」
「その格好じゃ城の中歩けないよ…」
「あっ、そうね、そうよね…」
「どうしよう」
「どうしましょう」
「うーん」
「うーん」

二人で考え込むうち、先に口を開いたのはミーティア姫でした。
「あのね、馬小屋とかで着替えたら駄目?」
「えっ、でも汚れちゃうよ」
「平気よ、ちょっとぐらい」
「あっ、だったら」
漸くエイトがいいことを思い付いたようです。
「穀物貯蔵庫にしよう。あそこ、きれいにしているし、通用口も近いよ」
「貯蔵庫?」
「あ、分かんないか。じゃ、ここに来て。それまでにお弁当作っておくから。一緒に行こう」
「うん!」
本当に嬉しそうでした。その顔を見てエイトは
(ああ、一緒に行くって言ってよかった)
と思ったのでした。
                     (続く)
752名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/19(水) 22:02:09 ID:Chg//7ik
わくわく
753名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/20(木) 00:50:45 ID:qEdOQl1m
エイトの作ったお弁当が激しく食べたい。
754名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/20(木) 22:50:40 ID:rUQo+9yq
変なところで空白入ってる…!
もう何がなんだか_| ̄|〇

エイトに美味しいお弁当を作らせるので勘弁してください。
755名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/21(金) 01:48:16 ID:Qpc/Ei+r
子ども時代主姫可愛いな。
◆JSHQKXZ7pEさんに触発されて、
漏れも何か書きたくなってきた…。
756名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/21(金) 20:44:14 ID:FTrETvbF
>755
カモーン
757名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/21(金) 22:44:03 ID:CkiiDk3J
そんじゃ、◆JSHQKXZ7pEさんの連載が終わられた後にでも
投下しますね ノシ
758名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/22(土) 15:28:25 ID:GVuVVWFh
>>731-734>>746-751
続き
759秘密のお出かけ ◆JSHQKXZ7pE :2005/10/22(土) 15:31:06 ID:GVuVVWFh
3.
さて、いよいよその日がやってきました。
エイトは二人分のお弁当を作るために早起きしました。冷めても美味しいもの、姫が普段食べ
慣れているものに近い内容にしようと色々考えています。
まず大蒜と玉葱を細かく刻み、オリーブ油で香りが立つまで炒めてベーコンの切れ端を加えま
す。さらに賽の目に切った茄子やパプリカ、トマトを炒め、水気が無くなったら茹でたペンネ
を入れて摺り下ろしたチーズで和えました。型に入れてとき卵と牛乳を流し入れ、石釜に入れ
じっくり焼きます。
続いてエイトは昨日分けてもらったパイ生地を取り出しました。伸ばして四角く切り分け、林
檎を乗せて砂糖と肉桂を振り掛けてこれも石釜に入れます。
漸く二つとも焼き上がり、ほかほかと美味しそうな湯気を立てているオムレツとパイを見てい
ると、パン種をこしらえているおばさんが肩越しに覗き込んできました。
「上手くできたねえ」
「はい!」
おばさんに褒められエイトは嬉しくなりました。
「あんたはチーズを使う料理だと本当に上手に作るねえ。そういう場所で育ったのかもしれな
いねえ」
「…」
おばさんは何の気無しに言ったのですが、エイトは笑顔のまま固まってしまいました。
そうだったのかな…全然覚えていないけど、そういう場所だったのかな…故郷が分かったら帰
されちゃうのかな…嫌だな、だって全然覚えてないんだもの…でも父さんや母さんがいるかも…
どんな人なのかな、会いたいな…
「ああ、すまなかったねえ、考えさせちまって。じゃあお祭り楽しんでおいで」
「…はい」
おばさんはぽんと肩を叩いて行ってしまいました。エイトは小さく溜息を吐いた後、「しゃん
としよう」と顔を上げます。と、戸口からミーティア姫の頭がちょっぴり覘いて中を窺ってい
るのが見えました。
「今行くよ。外出てて」
と小声で言うと、「分かった」とこっくりと頭が動き、引っ込みました。
エイトは急いでオムレツを切り分け、器に入れました。パイも同じ大きさの器に入れて二つを
重ね、布巾で包んで牛乳の入った瓶と袋に入れます。そして着替えの入った袋も一緒に抱えて
姫の後を追ったのでした。あまり待たせては悪いと思ったので。
760名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/22(土) 15:32:14 ID:GVuVVWFh

通用口ではトラペッタから運ばれてきた荷物の受け渡しが行われていました。野菜や果物、お
酒や乾物が下ろされ、代わりに空になった木箱や樽が荷馬車に積み込まれています。衛兵が荷
物を改め、返却する樽や箱が空であることを確認すると御者に賃金を渡しました。お祭りとい
うこともあって代金を弾んでもらえたのでしょう、御者はほくほく顔で荷馬車を出発させまし
た。
先程衛兵が荷物を確認したので通用口では何の検査もせず通過します。ガタゴトと音を立てて
荷馬車が城から充分離れた時、荷台の掛け布がごそごそと動きました。と、布の隙間から四つ
の目が覘きます。茶味を帯びた黒い目と美しい碧色の目でした。
「うまく行ったね」
「本当ね」
ひそひそ声で話しているのはエイトとミーティア姫です。
「よかった、これでトラペッタに行けるよ」
エイトはほっとしていました。変装には自信ありましたが、もしかしたら通用口の衛兵に見破
られるのではないかと心配していたのです。
「ガラガラ言っていて楽しいわ」
ミーティア姫はもう、珍しいことばかりで何を見ても楽しく感じられてしまうようです。
「大丈夫?痛くならない?」
ふかふかのクッションとビロードが敷き詰められた王様の馬車にしか乗ったことのない姫です。
こんな板に車が付いただけの荷馬車の乗り心地がいい訳ありません。
「平気よ」
と姫は答え、二人は微笑み合いました。
「見つかっちゃまずいから、静かにしていよう」
「ええ」

761名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/22(土) 15:34:04 ID:GVuVVWFh
二人で黙って荷馬車に揺られていくうち、エイトの意識は少しずつ遠くなってきました。無理
もありません、今朝は夜明け前からお弁当作りをしていたのですから。
吊り橋を渡って森に入りました。道は平坦になってごとごとと規則正しい車輪の音が眠気を誘
います。一生懸命道を覚えていようと目を開き続けていましたが、頭上でさし交わされる木々
の枝が作る緑の回廊がふと、どこかの洞窟に見えました。くねくねと続くその洞窟には不思議
な壁画が描かれております。ぼんやりとしか見えませんでしたが、見たこともない服装の人々
が描かれているようです。けれどもなぜかしら懐かしく感じられる絵でした。
突然洞窟は終わり、明るい陽射しに照らされてエイトは顔を顰めました。視界が開け、目の前
に小さな草地がありました。今までまるで生き物の気配もなかったのに、そこだけ花が咲いて
います。その奥には─
「エイト、エイト」
はっと気が付くとミーティア姫が顔を覗き込んでいました。
「大丈夫?もうすぐトラペッタに着くわよ」
いつの間にか眠り込んでいたようです。
「あれ?寝ちゃってたんだ。じゃあ、あれ、夢だったのかな…」
「どんな夢だったの?」
「うーんと…」
姫に聞かれ、順を追って話そうとしました。が、その瞬間映像はするすると心から滑り落ちて
どこかへ消えてしまったのでした。
「…覚えてないや」
エイトは残念に思いました。とても大切なことだったように思えます。と同時にとても寂しい
気持ちになりました。どこかにぽっかりと穴が開いていてそこから冷たい風が吹き込んでいる
ような。
「何だったのかな。覚えていられたらよかったのに」
「もしかしたらまた見ることがあるかもしれないわ。そしたら覚えていて、ミーティアにも教
えてね」
「…うん」
ミーティア姫の言葉が嬉しく、エイトは深く頷いたのでした。
762名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/22(土) 15:35:16 ID:GVuVVWFh
「あ、着いたわ」
荷馬車が止まりました。トラペッタの街を取り囲む環状壁は厚く、門も頑丈に出来ているため
開閉には時間が掛かります。御者が開門を呼びかけている隙に、二人は荷台から飛び下りまし
た。
変装は完璧でした。姫が一生懸命作った赤い格子縞のスカートに生成りのチュニック、肩には
赤いストール─これはエイトが誰かからのお下がりで夜寒い時に上に掛けるように貰ったもの
でした─を掛け、髪は二つに分けて三つ編みにしています。どこからどう見てもお姫様ではな
く、庶民の女の子でした。
門が開き、門番が型通り通行人を改めます。呼び止められたら、と緊張しましたが、
「子供だけか?気を付けて行けよ」
と手を振られ、ほっとしながら二人は門をくぐりました。
どこかで狩りの角笛が吹き鳴らされています。お祭りは今、始まろうとしていました。
                     (続く)
763名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/22(土) 15:40:39 ID:GVuVVWFh
エイトの作るニンニク風味の野菜たっぷりオムレツとりんごのパイはどちらも映画の中で
使われていて、美味しそうだったので。

だらだら書いていてすみません。できるだけ速やかに書き上げます。
764名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/22(土) 23:51:05 ID:oCZ8yile
今423KBだ…もしかしたらこのスレも完走前に容量オーバーになるかも。
気をつけていた方いいかもね。
765名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/23(日) 00:34:13 ID:hRG7TzwU
>>759
エイトのお弁当美味そー!!
続き楽しみにしてますので、焦らずゆっくり進めてくださいね。
>>764
気をつけるってどうしたら?
書き込み少なめにするとか…。
もしかしたら、レスの数じゃなくて行数とかなのかな?
766名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/23(日) 01:00:13 ID:oUdf1I4x
>765
512kbで落ちるわけだから、500kb行ったら次スレ立てて誘導するべ。
767名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/23(日) 01:54:13 ID:hRG7TzwU
>766
そうだったのか…。教えてくれてありがと。
時々荒れることもあったけど、自分はこのスレが大好きです。
ずっと続いていってくれたら嬉しいな。
768名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/23(日) 10:54:55 ID:EJx0Ru7z
三つ編みミーティア想像したらかわいいなぁ(*´ー`)
769名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/23(日) 23:06:25 ID:B81fyyA8
容量ってどこを見ると分かるの?
770名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/23(日) 23:12:38 ID:3oIPNgKn
>>769
専ブラによっては常に表示できたりするし
専ブラを使ってないなら下のほうに 424 KB [ 2ちゃんねるが使っている 完全帯域保証 レンタルサーバー ] と容量が出てる
771名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/23(日) 23:43:37 ID:B81fyyA8
>>770
あっ、本当だ。どうもありがとう。
772名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/25(火) 01:30:10 ID:pyqZ34Ne
このスレ、埋めちゃったほうがいいのかなあ…。
773名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/25(火) 18:42:15 ID:yn9Y4oND
ダレモイナイ…(‥ )
774名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/25(火) 20:05:52 ID:3SBur8Si
775秘密のお出かけ ◆JSHQKXZ7pE :2005/10/25(火) 20:08:04 ID:3SBur8Si
4.
門をくぐると街には楽しい空気が流れていました。あちらでは手回しオルガンの音楽に合わせ
て人形が踊り、こちらでは売り子が素晴しい滑舌で口上を述べ立てています。向こうで人々が
どよめき、続いて拍手喝采が起こりました。
「エイト!」
ミーティア姫が振り返り、興奮気味に叫びます。
「すごいわ!楽しそう!」
「広場の方へ行ってみようよ」
「ええ!」
二人は手を繋いで駆け出しました。
広場では既に色々な見せ物が始まっていました。大道芸人が素晴しい技を披露しているかと思
えば、楽隊が楽しい曲を奏でています。魔物使いが飼いならした魔物に寸劇をやらせている横
で奇術師が帽子から鳩を飛ばしていました。
広場の真ん中に目を移すと、大きな樽がでんと据え付けられています。あれが今日の祭りのメ
インイベント、今年できたての新酒の樽なのでした。
「出来が良かったらしいからねえ。楽しみだよ」
「珍しいことに香ばしい香りがするんだそうだ」
行き過ぎる大人たちがそんな会話をしています。
「あっ、あれ」
どれもこれも初めて見るものばかりで、胸が一杯になって何も言えずにいたミーティア姫が漸
く口を開きました。指差す先には屋台があって、子供が群がっています。
「あれよ、前に見たの」
歓声を上げて屋台から離れる子供の手には綿菓子が握られています。エイトはポケットを探り
ました。綿菓子くらいなら買えそうです。
「買ってくるよ。そこの噴水のところで待ってて」
返事も待たずに屋台へと駆け出していってしまいました。付いていこうとしたのですが、人波
に押されて進めそうにありません。仕方なくエイトの言う通り噴水の横にちょこんと腰掛けま
した。
776名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/25(火) 20:09:29 ID:3SBur8Si
随分並んでいるようです。エイトは時々ミーティア姫の方を振り返っては手を振ります。姫も
手を振り返すうち、新たな人波が二人の間を遮りました。エイトが見えなくなってちょっとしょ
んぼりしていると、
「お嬢ちゃん、かわいいね。一人なの?」
と突然頭上から声が降ってきました。振仰ぐとひょろりとした顔色のあまり良く無い十七、八
歳ぐらいの男がこちらをにこにこと見下ろしています。
「お友達を待っているの」
姫は何の疑いもなく答えました。
「お父さんやお母さんはいないの?」
その問いにこっくりと頷きます。さすがに「お父様」と言ってはまずい、ということまでは分
かっていたのですが…エイトは丁度自分のところに順番が回ってきて、くるくると回る小さな
器から綿が吹き出て綿菓子ができていく様に見入ってしまい、姫の様子に気付きません。
「お友達待っている間にお兄ちゃんと遊ばないかい?珍しいものを見せてあげるよ。ほら」
そう言って差し出した手の上には小さな青白い火の玉が浮かんでいます。
「…いいの。だってここで待ってるってお約束したんですもの」
ミーティア姫も最初は物珍し気に見ておりました。けれども優し気な言葉の中に何か引っ掛か
る、嫌な感じを受けてぷい、と横を向きます。が、
「いいからおいで。とっても楽しい、いいことしよう、ね」
と手を引っ張り、どこかへ連れ去ろうとします。
「いやっ!…エイト!エイト!助けて!」
姫も今や必死で助けを求めます。エイトも代金を支払ってこちらを振り返り、漸く事態に気付
きました。姫の元へ急ごうとしますがたくさんの人が邪魔になってなかなか進めません。その
間にも男は姫を引っ張って物陰へ連れ込もうとします。
「おい、ちょっと」
とその時、声と共に男の肩に手が置かれました。
「嫌がっているじゃないか、離してやれよ」
赤茶色の髪をした十四、五歳くらいの少年でした。
「こっ、こいつはオレの妹だ。どうしようとお前に関係ない」
男はしらばっくれます。年下だと侮ったのでしょう、横柄な態度になりました。
「話はずっと聞こえていたんだ。妹なはずあるもんか。嘘を吐くな」
「オレを嘘つき呼ばわりする気か?!」
「そうだろう?違うのか?」
777名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/25(火) 20:11:08 ID:3SBur8Si
腕に自信があるのでしょう、少年は挑発します。ミーティアと同じ歳くらいの連れの女の子が
それをはらはらと見ておりました。姫は怖くて動けずにいると
「下がっておいで」
と優しい声で呼び掛けられました。白髪の老人です。ですが動作はきびきびとしていました。
「ワシの弟子が何ぞいたしましたかな」
語調は穏やかでしたが、有無を言わせぬ迫力があります。姫を攫おうとしていた男は項垂れま
した。
「この者はまだ修行の身。無礼がありましたら師たる者の責任。この者に代わってお詫び申し
上げる」
老人がそう言うと赤茶の髪の少年は身構えを解きました。
「いえ、お気遣いなく。何も起こらなかったのですから…ではこれで」
と一礼すると
「さあ、行こうか。心配かけてごめんな」
「うん、お兄ちゃん」
と連れを促して立ち去っていきました。そこへ人波を掻き分け漸くエイトが辿り着きました。
「ごめん、ごめんね。怖い思いさせて」
「ううん、いいの。何もなかったんですもの」
最後まで守り通すと決心していた筈だったのに、もう早速姫を危険な目に遭わせてしまって、
エイトは申し訳なさで一杯でした。「いいの」と言われても自分の気が済みません。
「怪我はなかったかな」
振り返ると老人がにこにこしてこちらを見ていました。その背後で男が膨れっ面をしています。
「はい。どうもありがとうございました」
二人がお辞儀すると老人はますます笑みを深くしました。
「うむ。祭りで浮かれておる者も多い。気を付けて行きなされよ」
と言って身を翻し、男を従え人波の中へ消えて行ったのでした。
「あっ、さっきのお兄さんにお礼言えなかったわ」
そのことに思い当たりミーティア姫は慌てて辺りを見回しました。
「また会えるよ。まだお祭り始まったばかりだし」
「そうよね。あっ、そのお菓子、どうもありがとう」
「あ、うん。はい、どうぞ」

778名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/25(火) 20:12:51 ID:3SBur8Si
出し物はどれも面白く、見ていて飽きることがありません。堅苦しいお城の生活から離れて、
ミーティア姫はとても解き放たれた気持ちでした。それはエイトも同じこと。大人ばかりの中
で働き詰めの毎日から離れ、今日は一日自由です。
「そろそろお昼にしようよ」
太陽もお昼を指し示しているようです。
「ええ!」
二人は混雑する広場を離れ、階段を上って教会の横に行きました。木箱が数個あって、座って
お弁当を広げるにはちょうどいい具合でした。
「これ全部エイトが作ったの?すごいわ、おいしそう!」
実際食べてみるとオムレツはとても美味しく出来上がっていました。
「トーポ、はい、お昼ごはんだよ」
エイトはポケットの中からトーポを出し、オムレツを一切れ、前に置いてやりました。
「ネズミさんってこんな風にごはんを食べるのね。かわいいわ」
前足で器用にオムレツを掴み、食べている様子を姫は珍しげに見ております。と、トーポは急
にぽろりとオムレツを落としました。「くちゃん、くちゃん」とくしゃみが止まりません。
「あっ、ごめんね。胡椒が固まりになってたみたい。ごめんね、これ飲んで」
急いでエイトは牛乳を瓶の蓋に注いで置いてやりました。トーポはそれをごくごくと飲んで、
どうやら事無きを得たようです。
「危なかった…」
「大丈夫、トーポ?」
姫の問い掛けに「チュ」と短く返事のようなものをしてトーポは再びオムレツを食べ始めまし
た。今度は牛乳と交互に、ですが。
オムレツもパイも食べ終わり、とても幸せな気持ちで二人座っていると、またトーポの様子が
おかしくなりました。ふんふんと鼻を動かして何か匂いを嗅いだ後、とことこと走り出したの
です。
「あっ、こら、駄目だよトーポ!そっち行っちゃ駄目だってば!」
エイトの制止も聞かず、トーポは走っていきました。慌てて立ち上がり、追いかけようとした
その時です。大きな影がトーポを掬い上げました。
「おう、このネズミは坊主のかい?」
逆光になっていてよく見えませんでしたが、こちらに向かって来るのは体格のいい年配の男の
ようです。
779名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/25(火) 20:15:12 ID:3SBur8Si
「はい、そうです。どうもありがとうございました」
そう言ってエイトは受け取ろうとしました。が、トーポはこちらに見向きもせず、男に向かっ
て前足を上げ、餌をねだる時のような仕草をします。
「あっ、こらっ、駄目だよトーポ。そんなことしちゃ」
「はっはっは、何だ、オレの袋に何が入っているのか分かっとるのか。どれ、一つ出してやる
か」
そう男は言って肩か下げていた袋からチーズを一欠片取り出してトーポの前に置いてやりまし
た。
「…すみません。おじさんのチーズだったのに」
むしゃむしゃとチーズを頬張るトーポをちらりと見て、エイトは男に頭を下げました。男は屈
託なく笑います。
「気にすることはねえ。まだまだたくさんあるからよ。
ところで坊主、どうだ、毎日楽しくやっとるか?」
突然の問いにちょっとびっくりしましたが、エイトは元気よく答えました。
「はい!」
「そうかい、そうかい。そいつはよかった。そのネズミ、大事にしてやれよ」
男はにっこりと笑いかけ「そらよ」とトーポをこちらに渡して手を振って行ってしまいました。
「エイトの知っている人?」
木箱の上からずっと様子を見ていた姫がこちらへやって来て聞きました。
「ううん、全然知らない人」
首を捻りながらエイトは答えます。
「誰だったんだろう。でもよかったね、トーポ。チーズもらって。おいしい?」
「チュ」
トーポはエイトの手の中でまだチーズを頬張っていました。

780名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/25(火) 20:16:31 ID:3SBur8Si
下の広場ではこれからワインの栓が抜かれようとしていました。トラペッタの代官が重々しく
祝辞を述べ、グラスを樽口に当てます。栓を抜くと勢いよく濃い赤色をしたワインが注ぎ込ま
れました。
「今年の収穫に感謝を!」
代官の言葉を皮切りに次々とワインが注がれていきます。楽隊が踊りの曲を演奏し始めました。
乾杯を済ませた人々がそれに合わせて踊り出します。
「楽しそう!踊りたいわ。エイト、踊れる?」
広場へ下りる階段からその様子を見ていた二人でしたが、踊りが始まるとミーティア姫がむず
むずと足を動かし始めました。お城で奏でられる優雅なメヌエットやガボットと違い、テンポ
が速く快活で楽しい曲です。
「うーん…」
エイトはちょっと首を傾げました。聞いたことのない曲です。変わった拍子の曲でしたが、最
初思ったよりは単純で、周りの人々を見ながらなら何とかなりそうでした。
「行こう。踊ってみよう!」
「ええ!」
二人は階段を駆け下り、踊りの輪の中に飛び込みます。踊っていた大人たちも小さな踊り手を
快く受け入れてくれたのでした。
                     (続く)
781名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/25(火) 20:48:19 ID:7oZjBR5e
落ちそうなので揚げ
782名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/25(火) 20:48:56 ID:6a/ep+UZ
だからこの板は下から落ちていくわけじゃないと何度言ったら……。
783名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/25(火) 21:33:34 ID:a2xbA/BE
続きキタヨ
赤毛の兄ちゃんはわからんけどチーズくれたおっちゃんは滝の洞窟のてっぺんにいる竜神族のおっちゃんだよな
784名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/25(火) 21:49:57 ID:lHHEfCMz
赤毛の兄ちゃん…
赤毛…ゼシカ…ゼシカの兄ちゃん…
サーベルトでFA
785名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/25(火) 21:59:46 ID:a2xbA/BE
お前頭いいな
786名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/25(火) 22:27:00 ID:3SBur8Si
>784
正解!250G獲得w
主姫スレだし主役以外はみな敢えて名無しにしていたんですがよく分かりましたね。
787名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/25(火) 22:47:17 ID:lHHEfCMz
えへへ…
788名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/26(水) 12:42:18 ID:96nNX6r3
>ひょろりとした顔色のあまり良く無い十七、八 歳ぐらいの男
もしや$?!
789名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/26(水) 20:16:00 ID:wQ4m74Ov
その男のことを一瞬でも「別世界からワープしてきた6主」だと思った自分は吊ってきます・・・
790名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/26(水) 20:20:36 ID:Ekym71Mw
>>789
そっちの方が面白いww
791名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/26(水) 20:25:14 ID:t4HQVKVS
ひょろりとした兄ちゃん…
ひょろり…ククール…ククールの兄ちゃん…
マル…
マル…
792名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/27(木) 02:42:55 ID:BY6DD5Yw
マルチェロとミーティアの髪と目の色が似てる件についてw
マルチェロの母親はミーティアと似てたんだろうか
793名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/27(木) 20:16:44 ID:tLXZpVcy
794秘密のお出かけ ◆JSHQKXZ7pE :2005/10/27(木) 20:18:37 ID:tLXZpVcy
5.
「そろそろ帰らないと」
広場は明るい午後の光に満ち溢れていましたが、城壁が作る影は長くなりつつありました。
「ええ。でもこの劇が終わるまで」
ミーティア姫は手回しオルガンとそれに合わせて踊るからくり人形の劇がすっかり気に入って
動こうとしません。
「…」
しょうがないなあ、といった顔でエイトは溜息を吐きました。でもまだ日は高いし、門を出て
道を真直ぐ行けばトロデーンです。迷うことはありません。
「これ終わったら帰るからね」
「ええ、分かったわ」
姫は上の空でしたが、エイトはその返事を貰ってほっとしました。そして自分も人形劇に目を
遣ります。本当はエイトも観たかったのですから。

広場はますます賑わいを見せていました。大人たちは手に手にワインのグラスやビールのジョッ
キを握り、笑い声や歌声に酔いが混じります。
「もう少しいたかったわ」
「うん。でも最近日が暮れるの早くなったし」
喧噪を避けながら門の方へ歩く二人はそんな会話を交わしていました。
「うーぃ、ヒック、お、おう、ビールもう一杯だ」
「駄目ですよ、そんなに飲んじゃ。ほら、お嬢さんが困っているじゃないですか」
ビールの樽の横で飲むの飲まないのの押し問答がされています。
「金ならあるんだぞー、いいからもう一杯くれ」
「あんな当たらない占いに金出す物好きがいたんですねぇ」
「何か言ったか?」
「いーえ、何でもありません。…はいはい、注ぎますよ。全く、お嬢さんが気の毒ったらありゃ
しない」
「…近寄らないようにしよう」
「ええ」
酔っぱらいを見ないようにして二人は門の前に立ちました。
「おや、随分早く帰るんだねぇ」
門番も一杯機嫌です。
795名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/27(木) 20:20:07 ID:tLXZpVcy
「うん。僕たちちょっと遠くから来たから」
言葉を選びつつも周りの雰囲気に影響されてにこにこ顔でエイトは答えました。
「そうかそうか。気を付けて帰れよ」
二人は門をくぐり、心楽しく家路へと就いたのでした。

そのつもりでした。トラペッタには門が二つあり、トロデーンへ帰るには西門から出なければ
なりません。が、南門から出てしまったことに二人はまだ気付いていなかったのでした。

さっき観た劇のことや楽しかった踊りのこと、お弁当のことなどをおしゃべりしながら二人は
道を歩いて行きます。木々の梢は色付き始め、穏やかな秋の午後でした。
途中、分岐がありました。
「あのね、滝の方ではなかったの」
と姫が言うのでエイトは道を左に折れました。道は森の中へと入っていきます。森を抜ければ
吊り橋があって、トロデーン城が見えてくる筈。そう思うと薄暗い森もちっとも怖くありませ
ん。それにまだ午後の明るい陽射しが木々の隙間から射し込んでいます。太陽の光ある限り、
こちらから何もしなければ魔物に襲われることもないのでした。
「あのお兄さんに会えなかったわ」
ふと思い出してミーティア姫は残念そうに言いました。
「うん、そうだったね。僕もお礼言いたかったな」
そのまましばらく二人とも無言で歩いていましたが、姫がぽつりと呟きました。
「ああいうお兄様がいたらな、ってずっと思っていたの」
エイトはちら、と隣を見ました。返答に困って黙っていましたが、姫はそれに構わず続けまし
た。
「いいな、あの女の子。だってあんなお兄様がいるのですもの。ミーティアにもお兄様がいら
したらよかったのに」
エイトは厨房で聞いた話を思い出しました。トロデ王には子供はミーティア姫しかおりません。
けれどもかつては今は亡き王妃との間には姫の上に王子がいて、姫の生まれる数年前に流行病
で亡くされていたそうなのです。それが堪えたのか王妃は身体を悪くなさって、ミーティア姫
を産んですぐ、お亡くなりになってしまったのでした。
796名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/27(木) 20:21:31 ID:tLXZpVcy
「あのさ」
ずっと無言だったエイトが口を開きました。何か、と姫がエイトを見遣ると少し躊躇ってから
続けました。
「…僕じゃだめ?」
「えっ?」
思いがけない言葉にミーティア姫は目を見開きました。
「一生懸命頑張って、いいお兄様になるよ。だから…」
まじまじと見詰められ、エイトは気恥ずかしくなって最後は口籠ってしまいました。ちょっと
考えれば、いくら友達とは言え使用人を兄妹だと思う筈がありません。ですから次の姫の言葉
にエイトはびっくりしたのです。
「ほんと?!うれしいわ。じゃあこれからエイトはお友達でお兄様なのね」
「う、うん」
姫の嬉しそうな様子に驚きつつも胸の奥に暖かなものが広がるのを感じました。それはとても
穏やかで、幸せなものでした。兄妹というものが何なのか分からないまでも、それはとてもい
いことだ、と思えるような。

森の中の道も終わりそうです。木立の向こうに明るい空の色が見えてきました。道も緩く下っ
て、もうすぐ吊り橋の筈です。
けれども、
「あれっ?!」
どうしたことでしょう。深い渓谷があって、橋が掛かっていることは同じなのですが、吊り橋
ではなく立派な石造りの橋です。その上門があって衛兵が立っているではありませんか。
「あ、あの…」
エイトは恐る恐る衛兵に話し掛けました。ミーティア姫は用心して俯いています。
「おう、何だ。リーザスの方へ行くのか」
「ここ、どこですか」
と尋ねると兵士は爆笑しました。
「何だ、坊主、迷子にでもなったのか?」
「いえ、あの、僕たちトラペッタからトロデーンの方へ帰ろうと思ったんですけど…」
不安が湧き上がります。
「おやおや」
兵士は漸く笑いを引っ込めました。
797名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/27(木) 20:23:40 ID:tLXZpVcy
「そいつは出る門を間違えたんだな。トラペッタはな、門が二つあるんだよ。西門から出れば
トロデーンに、南門から出ればリーザスという村へ行くのに便利にできているんだ」
話を聞いているうちにエイトは心臓が喉から飛び出してきそうな感覚に襲われました。道を間
違えた?トラペッタまで戻らなきゃならない?でももう随分歩いているし、戻って改めてトロ
デーンに向かったとしても途中で日が暮れてしまう…
「近道はないんですか?」
エイトは必死でした。何としても日暮れ前にお城へ帰りたかったのです。
「近道ねえ…そうだなあ、道は無いんだが、途中分かれ道があっただろ?あそこを滝の見える
方へ曲がるんだ。そしたら適当なところで丘を登ってそのまま真直ぐ進めばトロデーンへ行く
道にぶつかる筈だよ」
「…分かりました。そこ、行ってみます。どうもありがとうございました」
暗くなる前に帰らなければなりません。夜は魔物が跋扈する時。そんな時間、ミーティア姫に
出歩かせる訳にはいきません。どんな魔物も一撃で仕留めることができる勇者ならいざ知らず、
エイトは十にも満たない非力な子供でした。
「ごめんね、僕のせいで」
「ううん、大丈夫。行きましょ、エイト」
「うん」
姫は元気よく言いました。本当はちょっと疲れてきていたのですが、それを口にしたらエイト
はきっと気にして背負おうとするでしょう。背負ってくれるのは嬉しいのですが、そんなこと
をしたらエイトもへとへとになってしまいます。ならば気を使わせない様に、と子供心にエイ
トを気遣ったのでした。
                     (続く)
798名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/27(木) 20:29:21 ID:tLXZpVcy
>789
書いていてそれは思ってたw
あのスレに影響受け過ぎだよ、自分。

トラペッタの街では旅の序盤で会える(故人を含む)人々とすれ違うよう書いています。
799名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/28(金) 09:20:59 ID:Ql9EpFlq
6主「ムッ!? ここで俺のうわさが!」
8主「すいません、すぐつれて帰ります!」
800名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/28(金) 20:21:05 ID:V/dF9DJ+
800!

指摘があってから気にしていたんだけど意外に500kb行かないもんだね。
でも気を付けるのに越したことはないな。
そういえば前回はss投下中に容量オーバーになったし。
801名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/28(金) 21:15:23 ID:VsxFfJun
マルチェロとミーティアは父親違いの異父兄妹。
ミーティアは亡くなった母=マルチェロの母に生き写しだ。
ククールは人間の姿になったミーティアの中に、マルチェロの面影を見る。
(馬鹿だな、オレ…)

戦いが終わり平和が訪れて数年後、マルチェロとククールの間柄は好転しつつある。
そんなある日、トロデーンを訪れたマルチェロはミーティアを見て愕然とした。
「母さん…!?」



そんなストーリーが浮かんで消えた。
802名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/29(土) 01:02:40 ID:a81u848P
消さずになんとか膨らませてくれ
803名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/29(土) 01:42:02 ID:5dw5JMOv
マル絡みだと、すげー濃い話になりそうだなww
展開が気になる。
804名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/29(土) 09:48:59 ID:Fiqyk22f
○の話はやめろカス
805名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/29(土) 12:03:12 ID:H9kQfzxl
何日かぶりに来たら◆JSHQKXZ7pEさんの続きが…!

遅ればせながらいつもGJでございます!
毎回「おっ、これは」と思わせるキャラが登場するので楽しみに読んでます。
わざとそれらのキャラの名前を伏せて話を進めるところも心憎い演出ですね。
エイトがみーたんのお兄ちゃんになるよ、というくだりが可愛らしい!
エイトのその台詞に対して「あー、みーたんなら絶対言いそうだ」という受け答えもツボでした。
少し長い感想になってしまいましたが、可愛いお話の続きをお待ちしております!



806名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/30(日) 14:48:10 ID:30W/v74w
保守
807名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/30(日) 15:22:52 ID:T82p/vJi
808秘密のお出かけ ◆JSHQKXZ7pE :2005/10/30(日) 15:24:43 ID:T82p/vJi
6.
森の中を歩く二人の周りに夕闇がひたひたと迫ってきました。
リーザス村への関所の兵士に教えられた通り近道しようと道を逸れ丘を登っていったのですが、
それが間違いの元だったのです。先を急ぐあまりエイトはよく知らない上に道のない場所を進
もうとしました。けれども本当に急いで帰りたかったのなら一度トラペッタに戻って改めてト
ロデーンに向かうべきだったのです。案の定、二人は道を見失ってしまいました。
「ここ、どこなのかしら」
「…」
エイトは必死でした。不安そうなミーティア姫の言葉にも、答える余裕はありません。木々の
隙間から何か見えないか、と目を凝らしてみてもただしんとした闇ばかり。振り仰げは梢から
覘く空はもう薄紫色をしていました。茜色はもう、どこにもありません。
「くしゅん」
さわっと冷たい風が首筋を撫で、思わず姫はくしゃみをしてしまいました。人の手の入らぬ林
床の落ち葉からはひんやりとした湿気が立ち上り、最早昼間の楽し気に踊る木漏れ日はどこに
もありません。
「大丈夫?」
漸くエイトはミーティア姫の様子に気付きました。先を急ぐあまりつい先に進んでいたようで
す。慌てて姫の元へ行くと頬には血の気が無く、袖口から覘く手首はすっかり粟肌立っており
ました。
「ごめんね、先に行ったりして」
「ううん」
そう答えながらも震えが止まりません。エイトは姫の肩掛けを外し、頭からすっぽりと被せて
やりました。
「エイト?」
「この方が暖かいから…あのさ、渓谷に沿って行けば必ず吊り橋に行き着けると思うんだ」
姫はこくりと頷きました。今はエイトだけが頼りです。
「今日は晴れているし、星明かりがあるから多分大丈夫だと思う」
そう言いながらもエイトは不安でした。今夜は晦(つごもり)、闇夜です。満月の明るさがあ
れば行く先を照らしてくれたのでしょうが…
「あのね、神父様から聖水もらっていたの。これ、身体に振りかけておいたらいいんじゃない
かしら」
809名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/30(日) 15:25:58 ID:T82p/vJi
「うん、そうだね」
それに気付いていなかった自分の迂闊さを腹立たしく思いつつもエイトはそう答えました。こ
れで弱い魔物なら逃げて行ってくれる筈です。
「あとね、手燭もあるの」
「ごめん、灯りはつけられないんだ」
「どうして?」
「ちょっと知恵のある奴だと火のあるところにヒトがいる、って知っているんだ。だから外で
火を点す時はヘンルーダとか魔物の嫌う香草を入れるんだけど…今持ってないし」
「そうなの…」
「なるべく音を立てないようにして。大声出すと魔物が寄ってくるから」
実際うなじの辺りに突き刺さるような視線を感じます。弱い魔物なのか聖水の力で近寄って来
ないのが幸いですが。
「分かったわ。静かにしているわ」
ひそひそと話すと再び歩き始めました。目が慣れているせいか闇は苦になりません。でも木の
洞や潅木の茂みが作る影が何者かに見えて、恐ろしくて叫んでしまいそうです。梢を吹き渡る
風の音に怯え、枯れ枝を踏んでは驚いて、夜の森はそれはもう、子供にとって恐ろしいところ
でした。
突然の闖入者に、足元から山鳥がばさばさと飛び立つのに驚いて身を捩った時です。
「うわっ!」
エイトの足が何かぬるりとしたものを踏み付けました。その感触に足を持ち上げた途端、緑色
のぶよぶよした生き物が体当たりしてきます。咄嗟に腕で顔を庇うと、それで気が済んだのか
その魔物はどこかへ行ってしまいました。
「な、何?今の」
「バブルスライム踏んずけちゃったのかも」
エイトは腕を摩りながら答えました。ぶつかったところが気のせいかじんじんと痺れています。
「気を付けて行かないと」
「ええ」

810名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/30(日) 15:27:21 ID:T82p/vJi
エイトの腕の痺れは治まりません。それどころかどんどん痛くなって、気持ちまで悪くなって
きました。
「エイト…」
時々立ち止まって腕を摩るエイトにミーティア姫が不安そうに声をかけます。
「大丈夫。もうすぐトロデーンだし」
怖がらせないように、とエイトは空元気を奮い起こしてにっこりとします。
「ほら、森が終わるよ!」
指差す先には木々が切れ、星空が覘いています。
「行こう!」
「ええ!」
具合悪いのも忘れて駆け出したのですが…
バキッ!
「うわああぁっ!」
「エイト!」
ザザザッ!ドスッ!
ちょっと先を行くエイトの身体が突然沈みました。そこは小さな崖になっていました。草が生
い茂っていて分からなかったのです。姫は気を付けて覗き込みました。エイトが蹲っているよ
うでしたが、暗くてよく見えません。
「エイト?」
姫の問い掛けにも返事はありません。どこか降りられそうな場所は、と闇を透かし見たのです
がずっと崖になっています。仕方なく何かの蔓に縋って崖を降りようとしました。
が、そんなことしたことがない姫です。あっという間に蔓から滑り落ちてしましました。
「いたっ」
落ちた拍子に膝をぶつけえしまいました。ちょっと覗いてみると擦り剥けて血が滲んでいます。
そんなことよりエイトです。急いで駆け寄りました。
「ミー…ティア…だ…いじょう…ぶ?」
そう言うエイトの膝がぱっくり割れて、破れたズボンの隙間から血が出ているのを姫は見てし
まいました。
「エイト」
「ミーティア、一人で逃げて…血が流れたから、魔物が寄ってくる…」
落ちた時に岩で膝を切ってしまったのです。聖水の加護より生々しい血の臭いの方が強く、も
うすぐその臭いを嗅ぎ付けた魔物がやってくるでしょう。
811名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/30(日) 15:29:01 ID:T82p/vJi
「だ、駄目よそんなこと。だってエイトが食べられちゃうわ」
ミーティア姫は急いで腰に下げていた袋を取りました。確か薬草が入っていた筈です。以前、
神父から貰って使う機会がなく、ずっと取っておいたものでしたが…
「ない?!」
いつの間にか袋の底がほつれていたのです。どこでそうなったのか、確かに入れておいた薬草
も毒消し草もみんな落としてしまったのでした。
でも傷の手当てはしなければなりません。中にはまだ、ハンカチが残っていました。
「エイト…」
「それ、貸して」
ハンカチを受け取り、エイトは傷口をしっかり縛りました。これで何とか動けるでしょう。
「行こう」
エイトはふらつきながらも何とか立ち上がりました。足は痛いし気持ちは悪いのですが、何と
しても姫をトロデーンまで連れ帰らなければなりません。それに先程「お兄様になる」と言っ
たばかりではありませんか。兄ならこういう時ちゃんとしなければならない筈です。
「でも…」
「帰らないと」
「だって…」
夜目にもエイトの唇は紫色をしているのが分かりました。今にも倒れそうです。なのに歩き出
そうとしています。お城へ帰る道も未だ分からないというのに。
そのことに思い当たったミーティア姫はへなへなと座り込んでしまいました。道は分からない、
エイトは怪我してしまった、今まで気付かずにいましたが、足はもう棒のよう。お腹も空いて、
寒くなってきました。
「ミーティア…歩こうよ…」
「ふえっ、ぐすっ、エイト、もう、ぐすっ、あっ、あるけない、ぐすっ」
エイトが戻ってきて手を引こうとしましたが、一度座ってしまうともう立ち上がれません。
「泣かないで、ね。ほら、もうすぐトロデーンが見えるはずだから」
慰めの言葉も耳に届かないようです。いえ、聞こえてはいるのですが、今までの疲れや恐怖や
らでもう堰を切ったかのように涙が止まりません。
「だって、ぐすっ、だってもう、帰れないもん。ぐすっ、エイト、怪我しちゃっ、たし。ぐすっ、
魔物に食べられ、ぐすっ、ちゃう」
「だから行こうってば。歩かなきゃ帰れないんだよ」
812名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/30(日) 15:31:19 ID:T82p/vJi
背負ってやりたくてもそれだけの力は残っていませんでした。ここは何とか姫自身の足で歩い
てもらわなければなりません。
「ううっ、ぐすっ、もう、歩けないっ。ぐすっ」
それが甘えであることは分かっていました。エイトが姫よりもっと酷い状態であることも。で
も我慢しようと思えば思う程涙が込み上げてきます。
「だってもう、道分からないもの。ぐすっ、もう、真夜中かもっ。ぐすっ、きっと、食べられ
ちゃって、ぐすっ、誰も捜してくれないの、ぐすっ」
「ミーティア…」
本当はエイトも泣きたい気持ちでした。でも泣いてどうなるというのでしょう。今はただ、一
歩でも前に進まなければ、という気持ちで一杯でした。
「泣いちゃ駄目だってば!魔物が来ちゃうよ!」
「いやっ!ぐすっ、ふえっ、ふええええええん!おと、うさまぁ!たすけて、ふえっ、たすけ
て、おとうさまぁーっ!」
魔物に襲われる恐怖にミーティア姫はとうとう激しく泣き出してしまいました。宥めようもな
く、もう一緒に泣いてしまおうかとエイトがへたりかけたその時です。泣き声に驚いたのかポ
ケットの中からトーポが転がり出ました。
「あっ、トーポ」
と思ったら一目散に闇の中へと走り出すではありませんか。
「どこ行くの?!そっち行っちゃ駄目だよ!」
エイトの制止も聞きません。ちょこちょこと走ってはこちらを振り返り、また走り出します。
「どうしちゃったのかしら?」
突然のトーポの行動とエイトの言葉にびっくりして姫の涙が引っ込みました。
「追い掛けなきゃ!魔物に食べられちゃう」
こうしてはいられません。姫も立ち上がり二人で追い掛けます。
薮を掻き分けた先にトーポがちょこんと座っていました。が、二人が追い付くとまたどこかへ
走って行きます。ネズミの走る速さはたかが知れていますが、見通しの悪い場所を走るので中々
追い付けません。
813名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/30(日) 15:33:05 ID:T82p/vJi
「トーポ、待ってよ。僕、もう、走れ、な…」
呼び止めようとしたエイトの言葉は引っ込みました。森は終わり、吊り橋の前に立っていたの
です。星空を背にトロデーン城が建っていました。
「エイト!」
「うん!」
二人は顔を見合わせ頷きました。妙に誇らしげなトーポを拾い上げ、今までの疲れも何のその、
城に向かって走り出したのでした。
                     (続く)
814名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/30(日) 15:35:27 ID:T82p/vJi
>>805
本当にありがとうございます。とても励みになります!

後一話で終わりです。よろしくお付き合いください。
815名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/30(日) 21:30:05 ID:ybobxs+V
続きキター!!
もうもうもう、呼んでいると情景が目に浮かんで引き込まれます!
ガンガレエイトお兄ちゃんw
あと一話で終わっちゃうんですか、何だか寂しい…
最終話もワクテカしながら待ってます!

816名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/30(日) 21:31:45 ID:ybobxs+V
すみません、お恥ずかしい事に誤字がOTL
呼んでいると→読んでいると
でした。
817名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/30(日) 22:52:06 ID:P0TObWYO
小さいのに頑張ってるエイトも可愛いしミーティアの泣き方も可愛い。
ドラクエらしい小道具も盛り込んであって、
本当にこういう感じだったかもと思わせるのがすごいです。
818名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/31(月) 21:49:59 ID:x6fGXNpK
感想どうもありがとうございます!
最終話、今週中にはうpできるよう頑張ります。
819名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/01(火) 22:59:27 ID:z+w+EH6h
最終回楽しみですね
期待してますよ
820名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/02(水) 19:46:59 ID:t8ljbfVu
>>731-734>>746-751>>759-762>>775-780>>794-797>>808-813

最終話ドゾー
821秘密のお出かけ ◆JSHQKXZ7pE :2005/11/02(水) 19:48:42 ID:t8ljbfVu
7.
「おう、エイト。遅かったな」
へとへとになって城門に辿り着くと、衛兵がエイトに向かって陽気な声を掛けてきました。
「姫様が行方不明になっちまってよ、井戸の中まで浚って大騒ぎだったんだぜ。お前はいいよ
な、お祭りに行って、その上女連れで…あっ!」
エイトの背後に立つ女の子が誰なのか漸く分かったようです。
「姫様?!姫様でいらっしゃいますな?すっ、すぐこちらへ」
と兵士に言われたのですが、ミーティア姫はぺたんと座り込んでしまいました。城へ上る道で
最後の体力を使い果たしてしまったのです。それに何とか家に帰り着いたという安堵感で緊張
の糸が切れてしまったのでした。
「お、とう、さま…」
姫の目から涙が一筋、流れました。そうなると悲しい訳でも、怖い訳でもないのにぽろぽろと
次から次へ涙が零れてきます。それを慰めようとエイトは手を伸ばしました。が、そのままぱっ
たりと倒れてしまったのです。
「エイト!」
「うわっ、どっ、どうしよう。…誰か!姫様がいらっしゃったぞ!王様の元へお連れ申せ!」
兵士の狼狽え騒ぐ声を聞きながらエイトの意識は遠くなっていったのでした。

ミーティア姫と気を失ったエイトは駆け付けた兵士の手によってトロデ王の部屋に運ばれまし
た。
「お父様!」
「姫!」
抱きかかえられていた兵士の手から滑り降り、姫はトロデ王にしがみつきます。
「ごめんなさい、ごめんなさい、お父様。心配をおかけして。ミーティアがわがままを言った
せいでエイトが、エイトが…」
「うむ、よしよし泣くでないぞ」
王は姫の頭を撫で、
「誰ぞ」
と控えていた侍従に呼びかけました。
「神父殿をこちらへ。…おぬしはご苦労だった。その者は長椅子の上へ」
二人を抱きかかえて連れてきた兵士を労います。兵士が下がると入れ違いに王宮付きの神父が
やってきました。
822名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/02(水) 19:49:57 ID:t8ljbfVu
「あっ、神父様。あの、あのね、エイトがね…」
ミーティア姫は一生懸命どうしてエイトがそうなったのか話そうとしました。でも気が急いて
上手く言葉が出ません。
「大丈夫でございます。この者は…ふむ、どこかで毒を受けたのでしょう。手当ても無しに動
き回って毒が身体に回ってしまったようですな」
「エイト、エイトは死んじゃうの?!」
「どうか姫様、お鎮まりを。ただ気絶しておるだけでございます。ならばまず毒を抜いて…
ほい!」
神父は続け様に呪文を二つ唱えます。柔らかな光がエイトの身体を包み込んだかと思うと、た
ちまち蒼ざめたエイトの頬に血の気が戻ってきたのでした。
「エイト、よかった!…神父様、どうもありがとうございました」
「なんの、なんの。神に仕えるものの心得でございます」
「うむ、ご苦労であった」
「ははっ」
王の言葉を機に神父は一礼すると部屋を出ていきました。

「…」
エイトが目を開けると霞がかかったような視界のはじに誰かの顔が見えました。涙を一杯に溜
めてこちらを見ているのは…
「エイト!」
ミーティア姫です。
「よかった…エイト、急に倒れたから、死んじゃうんじゃないかって心配していたの」
「あ…」
城門に辿り着いたその後の記憶があやふやなのはそのせいだったようです。それにしてもここ
はどこなのでしょう。
「ここ、お父様のお部屋よ」
だんだん目が慣れてきました。豪華な調度が並んでいるのが見えます。と、姫の頭が引っ込み、
代わってトロデ王が顔を出しました。
「気分はどうじゃ」
「はっ、はい、あのっ、も、申し訳ありませんでした」
慌ててエイトは身を起こし、深くお辞儀しました。まだちょっとふらついていて、勢い余って
頭をぶつけてしまいましたが。
823名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/02(水) 19:51:25 ID:t8ljbfVu
「うむ。では二人とも」
突然王の口調が一変します。
「そこに直れ」
こんなに厳しい様子のトロデ王を見るのはミーティア姫にとって初めてでした。以前に夜、寝
台から抜け出してエイトと城の中を歩き回った時以上です。エイトに至っては
「ああもうこれでここから追い出されるのか」
と覚悟がついてしまったのか、跪いて項垂れました。
「全く、心配をかけよってからに。トロデーンでも今日は祝いの正餐があることは知っておっ
たじゃろう。ワシゃ随分前から姫と一緒に卓を囲むものと楽しみにしておったのじゃぞ。なの
に朝から姿が見えない、日が暮れても帰ってこない。もしや井戸に落ちたか、矢狭から身を乗
り出して海に落ちたかともう胸が潰れんばかりじゃった」
「ごめんなさい…」
「それにエイトもじゃ。姫の願いとは言え、勝手に城の外に連れ出して危険な目に遭わせると
は。誘拐罪に問われても文句は言えんのじゃぞ」
「お父様!だってそれはミーティアがわがまま言ったから…」
「それに姫の様子ときたら…」
薮の中を走ったせいか、エイトもミーティア姫も頬や手首を枝に掻かれてみみず腫れになって
いました。その上姫の膝には崖から転げ落ちた時の擦り傷があります。
「王族に怪我を負わせた者は問答無用で死刑じゃ」
「いやっ!だってこれはミーティアが勝手に転んだのですもの。エイトは悪くないもの」
姫の抗議も聞かぬ風でトロデ王は重々しく言いました。
「来るのじゃ」
「…はい」
エイトはしおしおと王の前に進み出ました。
「覚悟はよいな」
「…はい」
「お父様!」
ああ、王様自らお手討ちになるのかな、とエイトが思ったその時です。いきなり腰を持ち上げ
られ、思いきり尻を打たれました。
824名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/02(水) 19:52:53 ID:t8ljbfVu
「あいたっ!」
「このバカタレが!大人に心配掛けよってからに!姫に大過なかったからよかったようなもの
の、何かあったらどうするつもりだったのじゃ!」
「も、申し訳、あいたっ、ありません…」
「じゃが」
トロデ王はそう言ってエイトを床に下ろしました。
「今回は姫のわがままが原因じゃったし、大事には至らなかった。よって死刑になるべきとこ
ろ、お尻ぺんぺんの刑にいたす」
「あ、ありがとうございました…」
「…よかったわ…」
「よくはないぞ。姫、おぬしもこっちへ来るのじゃ。城の者に心配させ、大迷惑を掛けたのじゃ
ぞ」
「ごめんなさい…」
「エイトの怪我もじゃ。姫のわがままがどれ程の者を困らせたのかよーく考えてみるがよい」
と王は言うなりミーティア姫も横抱きにしてお尻を打ちます。
「いたっ!ごめんなさい、お父様。もう、わがまま言いません!」
「心配した、のじゃぞ…」
トロデ王の呟きは姫にも聞こえ、申し訳なくてぽろぽろと涙を零してしまったのでした。
「さて、二人とも、罰として今晩の食事は無しじゃ」
王はちょっと赤くなった手に息を吹き掛けながら言い渡します。二人ともそれを聞いてがっく
り肩を落としました。仕方ない、とは分かっていてももうお腹ぺこぺこです。
「と言いたいところじゃが、それでは身体に悪い。厨房にパンとミルクを用意させた。今夜は
それを食べたらすぐ寝るのじゃ。明日の朝一番で城の者皆に謝るのじゃぞ」
「はい」
「はい、お父様」
二人はその言葉に深く頷いて部屋を出たのでした。
825名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/02(水) 19:55:30 ID:t8ljbfVu
厨房に行くと、隅のテーブルに二人分の夕食が置かれていました。が、どうしたことか、予想
していたような簡素なものではありません。こんがり焼けたパンの上にはチーズが蕩け、ミル
クは蜂蜜入りでほかほかと湯気を立てています。おまけに無花果のシロップ漬けまで付いてい
ました。
「お父様…」
「料理長さん…」
二人は感謝してその夕食を食べたのでした。

次の日、トロデ王に言われた通り二人は城の人たちの前で謝りました。姫は教育係からたっぷ
り小言を頂戴し、エイトは厨房のおばさんに怒られ、料理長からは拳骨を頂戴してしまいました。
その後、仕事に行こうとするエイトの袖をミーティア姫が掴みました。
「エイト…」
「どうしたの?」
姫はしょんぼりしています。
「ごめんなさい、ミーティアのせいで」
「ううん、いいよ」
「でも」
「一緒にトラペッタに行けて楽しかったし、平気だよ、これくらい」
エイトの言葉に姫はこっくり頷きました。
「ありがとう、エイト。ううん、エイトお兄様」
にっこり笑ってそう言うと姫はエイトの頬にちょんと接吻して行ってしまいました。
「…」
姫が行ってしまった後、エイトは頬に手を当てました。けれども今は頬を赤らめていません。
姫に「お兄様」と呼ばれて思い出したのです。森の中でちゃんと守ってやれなかったことを。
「ごめんなさい」と言われましたが、謝らなければならないのは自分の方だ、とエイトは思い
ました。でも同時に姫を守るには力も、経験も圧倒的に不足しているこということも今回思い
知らされたのです。最後の最後にミーティア姫が「お父様」と泣いたことは、自分が頼みにす
るには足りない存在であると言われたも同然でした。それにトラペッタでも攫われそうになっ
た姫を助けてくれたのはどこかの少年だったではありませんか。
「…頑張ろう」
強くなって、ちゃんと姫を守れるようになろう。エイトはそう心に誓ったのでした。
                      (終)
826名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/02(水) 19:58:32 ID:t8ljbfVu
長い話にお付き合いくださりありがとうございました。

トロデ王の罰が有りがちなものになってしまって申し訳ありません。
827名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/03(木) 00:14:50 ID:/FZ70mNe
6主 「『お兄様』だと?!そのポジション俺と代われ」
8主 「すみません、すぐ片付けますので」
828名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/03(木) 13:53:04 ID:srszMA1N
>>826
いやかわいいお話ですた
おりゃ普段FFスレにしかいないんですがね
今日は休みなんであちこち回ってたらこんなのに当たってw
和みますたよ
リアル姪にでも聞かせてやりてーとマジ思いますた
829名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/03(木) 20:56:46 ID:BMMcpDUc
長い連載お疲れ様でした。
子ども時代の主姫は定番ですがやっぱり可愛いですね。
トラペッタでは、将来冒険の中で出会うキャラたちとの束の間の
邂逅が楽しかったです。
道に迷うシーンでは、感情移入してしまってドキドキしましたw
二人が無事にお城にたどり着けてほっとしたり。
連載中は続きが楽しみで仕方ありませんでした。
楽しくてほのぼのなお話、ありがとうございました。
次回作も楽しみにしております。

830名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/03(木) 21:06:03 ID:Y0ocfI7A
長編お疲れさまでした。
エイトが姫の中でお兄様的存在になった過程が丁寧に描かれていて
二人とも可愛かったです。
次回作も楽しみにしています。
831名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/03(木) 22:05:35 ID:rr60QMUM
読んでくださりありがとうございます。
皆さんの感想は本当に励みになりました。
どうもありがとうございました。
832名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/05(土) 00:04:51 ID:qxdZQ97T
みーちゃんはね
ミーティアってゆーんだほんとはね
だけどちっちゃいから自分のことみーちゃんって言うんだよ
かわいいね みーちゃん☆
833名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/05(土) 00:42:39 ID:8enSc1CZ
みーちゃんw
834名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/05(土) 02:07:06 ID:rCumwci2
以前書き込んだものですが、SSを投下してみたいんだけど、
新スレになってからの方が無難かな?
835名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/05(土) 02:20:08 ID:bdWwzpV+
現在466KB。残り34KB。容量確認してみて平気そうなら。
スレ立てとか保管作業のこともあるし、20KB越えるようであれば新スレのほうがいいかも。
836名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/05(土) 09:45:26 ID:X43oNeWJ
512kbまでだよー
837名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/05(土) 09:49:38 ID:b8BFBfm1
気になっていたので指摘があってからずっと確認していたんだが、
>>775-780「秘密のお出かけ」の4.でだいたい10KB分だった。
行数制限ぎりぎりまで使っているようなので参考になるんじゃないかと思うよ。
838 ◆ERAKbm5vLM :2005/11/05(土) 12:51:11 ID:V3zAdHD/
>>835-836
レスありがとうございます。今計ったら、9KBくらいでした。いけるかも。
ということで投下させていただきます。
初投稿なので至らない点等あるかと思いますが、よろしくお願いします。
839 ◆ERAKbm5vLM :2005/11/05(土) 12:59:14 ID:V3zAdHD/
あ、すみません。>>837さんもでした。
840古い剣の思い出(1) ◆ERAKbm5vLM :2005/11/05(土) 13:15:25 ID:V3zAdHD/
扉が静かに開いた瞬間、ミーティアは声を立てないようぎゅっと目を閉じた。
流れ込んできた微かな風にカーテンの裾がふわりと舞い上がり、その陰に身を潜めていた彼女の頬を撫で、
床にぺたりと座り込んでいた膝から下が露わになる。
はっと息をのむ気配がし、足音が近づく。
駄目。見つかってしまった。とくんと鼓動が打ち、胸の中の硬い感触が殊更に意識された。
その無機質な塊は、ミーティアの二つの柔らかな膨らみの間に埋まるように抱かれていた。
ぎゅっと抱きしめても容易には温まろうとはしない肌寒い感触。遠い過去の記憶が蘇り、ミーティアは身を震わせた。

「姫様。」
呼びかけるのはよく知っている声。ようやく子どもから少年の域に達したばかりの、少し低い声。
床に垂れていたカーテンの裾が持ち上げられた。
「かくれんぼは終わりですよ。」
ミーティアはますます身を固くして、彼の視線から逃げるように背を向ける。
「こちらへおいでください…姫。」
「いや。」
ミーティアは短く言って首を振った。否応のない拒否に一瞬戸惑った気配がしたが、少年は努めて冷静な口調で根気よく呼びかける。
「姫様、どうしたんですか?かくれんぼは見つかったら終わりでしょう?」
だって遊んでいるわけではないもの。エイトの言葉に内心反発しながらミーティアは胸の中のものをいっそう強く抱きしめた。
841古い剣の思い出(2) ◆ERAKbm5vLM :2005/11/05(土) 13:19:14 ID:V3zAdHD/
「エイト、あっちへ行ってください。ミーティアに構わないで。」
「そういうわけには参りません。」
激しい拒絶にあってもきわめて冷静に言葉を返すその態度に腹立たしさを覚える。なあにその気持ち悪い言葉づかい。
思い切り詰りたくなる。王女である自分に対して敬語が使われるのはきわめて普通のことであるはずなのに、エイトに限ってそれが許せない。
「それを返してください。」
「いやです。」
「それは、俺の剣ですよね?」
「知ってます。」
「では…返していただけませんか?」
「いやです。」
何をいわれようと返すつもりはなかった。ミーティアは剣をますます強く胸に抱きしめた。そうすればミーティアの身体に触れない限り剣を取り返すことはできない。そしてエイトは絶対にそんな

ことをしないだろうということも分かっていた。案の定エイトは伸ばした手を所在なさげに下ろししばらくミーティアを見つめているだけだった。

…姫。どうして?

エイトは何も言わず、ただ困惑の眼差しでミーティアを見つめていた。あくまでも静かなその様子にかえってミーティアはいたたまれなくなる。
でもこれを返すわけにはいかないの…いつものわがままと同じじゃないのよ、エイト。
「そんな顔しても駄目です。返さないわ、絶対に。だって…だってこの剣を渡せば…エイトはミーティアから離れていってしまうのでしょう?」
「俺はどこにも行ったりしません。」
「嘘つき。」
ミーティアは短くも鋭く言い切った。
「兵士になんかならないで。ミーティアは反対です。エイトには無理よ。」
「なぜそんなことがわかるのですか。」
「だって…ミーティアはエイトのことをよく知ってますもの。エイトはとても優しい人なの。誰よりもミーティアは知っているの。だっていつも見てるんですもの。
お馬さんのお世話をしたり、花壇からこぼれた種を拾っている時のエイトってとても楽しそうなのよ。いつだったか強い風が吹いたとき、巣から落ちた鳥の雛を
そっと戻してあげたりしたこともあったわよね?全部見てたのよ。そんなエイトが…この剣で誰かを傷つけることなどできるはずありません。」
842古い剣の思い出(3) ◆ERAKbm5vLM :2005/11/05(土) 13:33:11 ID:V3zAdHD/
「……。」
「…ねえ?どうして?どうして…兵士になりたいなんていうの?兵士が、国を守るための大切なお
仕事だということは十分に承知していますわ。だけど…そのために怪我をしたり…誰かを傷つけた
り。死んでしまったりすることさえあるのよ。エイトはミーティアのたったひとりの大切なお友達
なのに…!そんなのいやです!」
「姫様!」
思いがけなく強い声で名を呼ばれ、ミーティアははっとして顔をあげた。
「それを返してください。」
「エイト…。」
「あなたのお立場でそんなことを仰ってはいけません。それに俺はもう…あなたの友達ではありま
せんから。」
「エイト…。」
ミーティアは震えながらエイトの言葉を頭の中で繰り返した。
友達ではない、ってエイトは言った?私とエイトはもう…お友達ではないの?
「あなたは…この国の王女なのです。そのような私情を挟んだお言葉を口にされることはお控えに
なるべきです。」
「私情ですって?ミーティアが大好きなお友達のことを思って何が悪いのですか?」
ミーティアが再びお友達、と口にしたとき、エイトの表情が微妙に変わった。
ミーティアはその変化には気づかなかった。ただひたすら、胸の中でエイトがこの必死な願いを聞
き届けてくれることだけを祈っていた。

お願い、エイト。
この願いさえ聞いてくれたら、これからはわがままを言ってあなたを困らせたりはしないから。
お友達でいてくれなくても構わないわ。寂しいけれど我慢するわ。だからお願い。
昔、怖いご本を読んだの。国と国との大きな戦いでたくさんの人が亡くなっていたわ。ミーティア
様は王家の姫君なのだからこの本を読んできちんと理解しておかれますように。
厚くて重いご本だったけれど、先生にそう言われたからミーティアは頑張って読んだのよ。
843古い剣の思い出(4) ◆ERAKbm5vLM :2005/11/05(土) 13:43:49 ID:V3zAdHD/
トロデーンの歴史について綴られたその本は、平和な今の世に至るまでの、周辺諸国との争いが絶
えなかった歴史が詳細に綴られていた。そこに書かれていたことを半分も理解できないまま、幼い
ミーティアは言われるがままに無心に頁をめくっていた。
乱世の歴史について記された頁に差し掛かった時、彼女は急に身震いし、本を机の上から払い落とした。
開いたまま床に落ちたその頁には戦場の様子が克明に描かれた挿絵が載っていた。
暗く重い色調で描かれたその絵は、幼い瞳には残酷すぎて正視することさえできないものだった。
目を閉じ首を振り今見たことを忘れようとしても、瞼の裏にその映像はくっきりと張り付いたままだった。
幼いミーティアは床に落ちた本を怯えた目で見つめ、やがてしくしく泣き始めた。
今でもはっきりと思い出せる。傷だらけになり、身体中至るところから血を流しながら剣を交える兵士達。
傷つきあるいは息絶えて横たわる人や馬。地面に流れる夥しい流血。
ミーティアの脳裏に、あの絵を見たときの恐怖が蘇った。目の前のエイトが、血まみれになりながら剣を振るっていた兵士の姿と重なった。

エイトに傷ついて欲しくない。道端に転がる冷たい骸になどなって欲しくない。
いつまでも暖かくて優しい目をした少年のまま、私の側にいて欲しい。
だが、そんなミーティアの願いをエイトは冷たく拒絶した。黙って首を振り、促すように手をさし伸ばす。
「さあ、姫様。剣を返してください。」
その手は、記憶にあるものよりずっとがっしりして大きかった。昔比べっこした時はミーティアの
指の方が長かったはずなのに。そんなことをぼんやり思い出す。小さいときはどこに遊びに行くの
にも手を繋いでいたのに、今は触れ合うことさえなくなった指。エイトはこの指に剣を握るのかしら。
そして本当に…この人はもう、わたしのお友達ではないのかしら。
844古い剣の思い出(5) ◆ERAKbm5vLM :2005/11/05(土) 13:52:32 ID:V3zAdHD/
「……エイト。」
「なんでしょう?」
「ミーティアのことを…わがままだと思いますか?」
縋るような瞳を受け、エイトはしばらく思考を纏めるかのように黙った。
「いいえ。そうは思いません。」
「では…軽率で浅はかだと?」
「いいえ。」
「どうかわかってください。エイトだけなの。ミーティアがこんなに心配しているのは…」
それ以上言わせまいとするかのようにエイトはミーティアの言葉を遮った。
「…俺はこの国に仕える兵士の一人に過ぎません。姫様に特別に思いをかけていただく資格など。」
「そんな言い方しないで!あなたはまだ兵士になったわけではないのよ。」
「何を仰ろうと…すでに王のご命令はいただきましたので。」
「お父様が……。」
お父様がエイトにそう命じられたのなら、ミーティアがいくら言葉を尽くして説得しても無駄なのね?
「そうなの………。」
腕から力が抜け、締め付けるように抱いていた剣が胸から離れ床に落ち、ごとんと重い音を立てた。
「……どうして……今のままではいけないのですか?ミーティアは昔みたいに……エイトとおしゃ
べりしたり、歌を歌ったり、お花を摘んだりしたいのに。」
「姫様。俺達だって、いつまでも子どものままではいられません。」
不意打ちのようにそう告げられた瞬間、瞳から涙がほろりと落ちた。エイトがうっ、とたじろぐの
を視界の端で意識しながら、ミーティアは尚も言い募る。
「どうしても…ダメ、なの…?」
涙がぽろぽろ伝い流れる頬を見守りながら、エイトは黙って立ち尽くしている。
やはりどうあってもその決意は翻らないのだ。そう理解した瞬間、激情が身体を貫いた。
845古い剣の思い出(ラスト) ◆ERAKbm5vLM :2005/11/05(土) 13:56:55 ID:V3zAdHD/
いいわ。もういい。あなたがそうやってあくまでも言い張るなら。
「エイトなんてきらいきらいきらい!だいっきらい!」
「姫。」
ミーティアの叫びに一瞬凍り付いたエイトは、すぐに我に返り床に転がっていた剣を拾い上げた。
「姫様…聞いてください。」
「知らないわ。もう知らない。エイトなんか知らない。あっちへ行って!」
エイトは顔を覆って泣き伏すミーティアを青ざめた顔で見つめていたが、やがて手に持つ剣に視線
を移し、静かに言った。
「友達じゃなくなっても…姫。あなたのお側にいることはできます。」


隣室にいた侍女が泣き声を聞き咎め、慌てて室内に飛び込んだ際に目にしたのは、床に座り込んで
泣きじゃくる姫と、その側に青い顔をして立ち尽くす少年の姿だった。エイトと呼ばれているその
少年は胸に剣を抱えたまま、ぼんやりと嗚咽する姫の姿を見下ろしていた。驚いて事情を尋ねる侍
女の言葉にも力なく項垂れたっきりで、何も答えようとはしなかった。
少年と姫が幼なじみの間柄で普段仲良く遊んでいたことを知っていた侍女は、何とか事情を説明さ
せようと試みたが、侍女に宥められても、その後に室内に飛び込んできた近衛兵に脅しすかされて
も、少年は一切を語ろうとはしなかった。
しかたなく侍女は姫を抱え床から引き剥がすようにして立たせ、さんざん泣いた挙句力なく嗚咽し
ている姫の腕をとって部屋の扉を開けた。

扉の開く音にエイトははっと顔を上げた。
「姫様!」
エイトは扉に向って駆け寄った。
「姫…!ミーティア様!!俺、きっと強くなります。誰にも負けません。だから…!」
ミーティアは侍女の腕の中から振り返って少年を見た。涙に濡れた赤い瞳と視線が合った。
だがそれはほんの一瞬のことで、言い募る少年の目の前でばたんと扉は閉められた。
846 ◆ERAKbm5vLM :2005/11/05(土) 14:01:21 ID:V3zAdHD/
終わりです。
主姫13〜14歳くらいの子ども時代の終わり、みたいなイメージで書きました。
姫が子どもっぽ過ぎますね…。
改行とかたくさんお見苦しい点があったかと思います。失礼しました。
847名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/05(土) 17:24:21 ID:HyhwpjEf
絵掲板なくなってるぽ
848名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/05(土) 18:31:54 ID:zsxOuisZ
クポ
849名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/05(土) 18:37:38 ID:7+korGdR
>>840
初投稿乙彼!
今までのものとはちょっと変わった感じで良かったよ。
みーたんがちょっと幼い感じがしたけど…。
良ければまた何か書いて投稿してくれ。
850名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/05(土) 20:21:27 ID:OyoyWTUa
>>840
導入部分がサスペンスタッチで引き寄せられました。
「切なさへの序章」って感じの年頃の二人がイイ!
初投稿乙でした。また読ませて下さい。
851名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/05(土) 22:39:42 ID:b8BFBfm1
>840
おお、何ともせつない感じがいいですね。
お互いの想いがすれ違っている辺りが特に。
また新しいssお待ちしております。
852名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/06(日) 00:05:50 ID:tjsXtfF/
何にも言わないエイトが男の子っぽくて良いね。
気持ちを思うと、なんか切なかったよ…。
853名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/06(日) 00:21:26 ID:gdGfZG9k
あれ?
エイトはミーティアの口添えで近衛兵になったんでねーの?
なして反対してるの?
854名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/06(日) 00:24:06 ID:tjsXtfF/
>>853
近衛兵にいきなりなったんではなくて、
小間使い→一般兵士→近衛兵ってルートを辿った設定になってるんでないの?
855名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/06(日) 00:55:44 ID:aExuIQE5
>小間使い→一般兵士→近衛兵

普通に考えてそうだと思うよ。というか

小間使い→(ミーティアの口添え)→いきなり近衛兵

ではつまんない。そんなの嫌だw
856名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/06(日) 21:02:43 ID:gdGfZG9k
それならさ、一般兵から近衛兵になる過程を描いてほしい
最初反対してたミーティアがいかにして心変わりしたのかをさ
つーわけで続ききぼんぬ
857名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/06(日) 22:21:14 ID:8CWtX+Md
近衛兵なら前線に出なくてすむとか言ってみる
858名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/06(日) 22:37:28 ID:ZA4GhSF4
でも刺客が来たら身を以って楯だぞ
859 ◆ERAKbm5vLM :2005/11/07(月) 00:21:54 ID:5O/j+Y9U
>>849-852
感想どうもありがとうございました。
初投稿でむちゃくちゃ緊張していたのですが、ほっとしました。
また何か書けたら、投下させていただきます。
>>853
やっぱりそこに突っ込まれますよね。
書いていて、実は自分でもあれ?とか思ったのですが、
>>854-855さんの仰るとおりの設定です。
>>856
続ききぼんぬ…む、難しいですね。
一般兵士から近衛兵になったのは正直みーたんのワガママ
からじゃないかなーとしか思ってなかったので。
でも心変わりの過程を書いてみるのも面白そうですね。
書けたらまた投下いたします。

読んでくださって、ありがとうございました。

860名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/07(月) 00:33:03 ID:XmHkJNGo
>>859
乙でした!またよろしくお願いします。

>>858
>でも刺客が来たら身を以って楯だぞ
それはきっとエイトには本望なんだよな…
…とか思ったらめっちゃ萌えた(*´Д`)
861名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/07(月) 01:03:18 ID:rmmAWTEr
>859
次の作品を期待してお待ちしております。
って、プレッシャーかな。

気付けばもうすぐ発売から一周年…。
記念にSS投下しようかと思ったけど、容量がヤバイので
次スレに移行してからにします。

862名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/07(月) 20:39:56 ID:YpzaiN5A
前提何もなしで「エイトを近衛兵に」って言ったんじゃなくて
それなりに才覚があるから「近衛兵に」って話が上がっていたけれど
「身元不確かだから」という理由で叶わなかったのをミーティアが一言口添えして、
って事だと思っていた。
863名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/07(月) 22:09:49 ID:prYkApuw
>861
あんまり長い話だと難しいね。2〜3レスくらいの話なら行けると思うけど。
早一周年か…確かに記念で何か書きたいなあ。

ゲーム中ククールが「近衛兵だったのか、エリートなんだな」みたいなことを言ってたよ。
ある程度腕が立たないといくら家柄が良くてもなれんかも。王を守る最後の壁なんだし。
でも同時に王を暗殺することもたやすいポジションでもあるから、身元がしっかりしている必要もあり。
その辺りみーたんは「ずっと一緒にいたから」とかで説得したんじゃ?
そして近衛兵になれば少なくとも今までよりは近くにいられる、と。
864名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/07(月) 22:31:49 ID:/EWxU+nJ
姫専用近衛兵か。

みーたんが泉で「私がお願いしたのよ。」と職権乱用を
アサーリ告白した時、あー俺ってやっぱり姫の犬?orz
ってなったのを覚えている…。
865名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/07(月) 22:36:55 ID:A2P63J+t
きさま! ものすごい勢いでしっぽをフリフリしているではないか!!
866名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/07(月) 22:55:40 ID:XmHkJNGo
忠犬ハチ公か。素晴らしくオチたな。
867名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/07(月) 23:02:04 ID:tsX7Itbd
>>864
「俺の実力じゃなかったのー!?(ガビーン)」て印象だったな、俺は。
868名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/08(火) 02:26:30 ID:CCxcTsLQ
>>836
スレ容量そのものは512KBまでだが、500KBを越えた時点で書き込み不可になる。
というわけであと17KB。
869テンプレ案:2005/11/08(火) 23:38:46 ID:5CSvCG+B
過去スレ
【主人公×ミーティアを応援してみるスレ 】
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1103901272/l50
【主人公×ミーティアを応援してみるスレ part2】
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1108912113/l50
【主人公×ミーティアを応援してみるスレ part3】
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1118146268/l50
まとめサイト↓
http://www.geocities.jp/eight_meteor/
お約束↓

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃カップル萌えスレのお約束です
┃1.常時sage進行。この板は下からdat落ちすることはありません。
┃2.煽り・荒らしは放置。特に他カプ萌え派を装うヲチ厨に注意!
┃3.他スレで萌えキャラが貶されていても一切無視しましょう。
┃4.SS投稿するときはできるだけトリップをつけてください。
┃5.エロSSや画像をうpする時は注意書きをしてください。
┃  ∧ノ~  21禁以上のエログロ汚物系はピンク鯖で投下してね。
┃ ミ| ・  \
┃ ミ|   ... '_). / 
┗ ミ| (| ゚ヮ゚ノ! / ━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   | (ノ 姫.|つ     | オウマサンデモカワイイ
 |~ ̄] ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  ̄\| ̄∧_∧    ∧ ∧
  | ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|      (゚\ 8 )   (゚   )
  |  |            |  =====⊂  ∞ヽ==⊂    ヽ======
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ||──(   ノ〜─(   ノ〜─||
                     || ┏━━━━━━━━┓ ||
870名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/09(水) 14:14:32 ID:Qzc1T7uj
>>869
テンプレ賛成。スレタイは、↓
【主人公×ミーティアを応援してみるスレ part4】
ということでしょうか?

871名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/09(水) 23:10:28 ID:wsZWtwkw
新スレいつ立てる?
490KB超えてから?
872名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/10(木) 01:02:08 ID:zYogO3At
次スレ立てるならさっさとしてくれ
容量気にしてかSSが投下されん
単に書いてる途中かもしれんが
873名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/10(木) 03:58:44 ID:4rGoYjMz
次スレ立てました。
 
次スレ
主人公×ミーティアを応援してみるスレ part4
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1131562660/l50
です。
874名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/11(金) 00:17:07 ID:CIdXz8G3
次スレも無事立ったことだし、こちらではまったり雑談でもしながら埋めますか。
まとめサイトの中の人がログ拾いやすいように急に埋めたりしないようにしながら。
875名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/11(金) 21:25:33 ID:7FEgyIHj
インタ版欲しいなぁ。エイトの新技めっちゃカッコイイ。惚れる。
876名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/14(月) 00:41:24 ID:PDQh4var0
まだ保守した方がいい?
877名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/14(月) 21:35:01 ID:x8wT6U+iO
最近まとめサイトの中の人をお見掛けしていないんだけどお元気なんだろうか
お忙しいのかな
878名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/15(火) 00:26:11 ID:eAbISAmo0
お久しぶりです。中の人です
877まで保管しましたので時間ができたらSSと一緒にアップしますね。
879名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/15(火) 16:48:48 ID:qt7ANjv+0
>中の人
お疲れさまです。いつもありがとうございます。

いやそれにしても1000レス行く前に容量一杯になるとは…
次のスレもたくさんssが読めるといいなあ。
880名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/16(水) 11:49:28 ID:1SsC8l1V0
今だからこそ、ここでこっそり叫んでみる。
「二人に捧げるRequiem」のエイトの
>「ぐっ…」
>「ぐはっ」
に激しく萌えてしまった(*´Д`)
881名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/16(水) 14:49:43 ID:Jz1YT9hs0
age
882名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/16(水) 21:52:01 ID:gbhSmyJDO
こちらはちゃっちゃと埋めちゃいますか

姫ー!馬姿でも美しいよ姫ー!
883名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/17(木) 14:57:23 ID:TCjXqTjk0
主ゼシスレってどこ行った?
検索しても見つからん
884名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/17(木) 15:08:10 ID:JYBNcLdZ0
2回dat落ちして、最後に立ったスレも先月落ちた。
職人さんが現れないとカプスレは辛いな……。
885名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/17(木) 15:10:47 ID:TCjXqTjk0
(つД`)
886名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/17(木) 16:40:17 ID:d2GYbN7R0
腹黒8主「こんにちは、埋めついでに遊びに来ました」
他主達「「「「「「「すいません!すぐ連れて帰ります!!」」」」」」」
887名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/17(木) 17:54:21 ID:/0+TkyJJ0
落ちたのならその都度立てたらいいじゃないか。
…と思う今日この頃。
888名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/17(木) 22:01:56 ID:kH/59iohO
888!
889名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/17(木) 23:46:33 ID:/8O/mpgM0
主姫好きさんは主ゼシも許容範囲なの?
その逆は絶対になさそうだけど。
890名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/18(金) 23:57:47 ID:sj6zqqww0
900まで行けるかな。
>889
はっきり言って主ゼシは別にどうでもいい。ここは主姫スレ。
891名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/19(土) 23:38:44 ID:UuuZWrSL0

      私たち 純真無垢のドラクエ幼馴染みカプオクテット
      ゆりかごからお墓まで いつまでもラブラブし続けますわ!
   +   ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   .   _      .     ,; =:ー、、  love               love
  .  ,'´ .__ _ヽ  _ _.  +   〃,;:三三)           +
    i /メ))ヘゝ´, -、ヽ , ' ,.⌒;ヽ卅゙卅!  )ヽ.〃二 、.⊆⊇.   ∠,  ̄ 丶、 ;.'ニニヽ +
+  .(ソゞ(.^ヮ^ノ.川―゚ー!| !  ノノ"ヾ)ヮ^ノ  )ノ;>O<,'.==、.ヽ  / ,,、=y、,i ハ( )从ハ
  .  K゙ヽY/ス|!(|^ヮ^ノl ゞ ,リ゚.ー^どミ)  彡ン(,.゚.ヮ〈ノハヾ、i.l  ヾ/ ;´(フノ! (’n.’;リノ、
    U〉-l=ト!m)|ト-チiつ(y)ブ(つ-cE! +  "K丶-"从ー^.iフi.  "(つ∀,!つと)'i:l"《つ))
 love /エ_iイi_〉ソリ゙/iヾi! (y)ソ_i_」,〉ヾ、;,ゝ. 〈仁∪=0=iJ⊂)゙ノリ   /__Å_ゝ  / |;|_ ヾ''
     |-/|-| んレ';_!_リゝ ’".(_ノノ=/|=l     Lヽ_ゞ. i.__ゞ.    し'.!_ノ   ~じじ~´   +
      ̄  ̄      +     ̄  ̄      し'`J  じヽ.)  love


892名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/21(月) 23:30:20 ID:Vhe02eQI0
     いつも仲良しエイト&ミーティア
   +   ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        _     +    
.   +   ,'´ .__ _ヽ.  _ _ love     +
      i /メ))ヘゞ´, -、ヽ  
     (ソゞ(.^ヮ^ノ.川─ー!|   +
+      K゙ヽY/ス|!(|^ヮ^ノl 
      U〉-l=ト!m)|ト-チiつ love
.  love  ./エ_iイi_〉ソリ゙/iヾi!  
       |-/|-| んレ';_!_リゝ
893名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/23(水) 00:08:43 ID:Ys3SlDec0
よし、このスレも終わりなのでここでこっそり色々意見の出ていたあのssについて
書いた時の設定を答えてみる

「秘密のお出かけ」特別出演の皆さん
・ゼシカ
・サーベルト
・ドルマゲス
・マスターライラス
・滝の上のチーズおじさん(=竜神族のおじさん)
・ルイネロ(話の中のお嬢ちゃんはユリマ)

でした
894名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/23(水) 07:23:36 ID:5lCVKGNJ0
回答、発見!!!!
895名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/24(木) 13:16:33 ID:mksFJqST0
>893
「ひょろりとした顔色の良くない人」と「白髪の老人」が誰だか分からなかった
んだけど、やっとすっきりした!
896893:2005/11/26(土) 19:36:42 ID:TnqhnP5HO
あの話の中では敢えて曖昧な書き方にしていたので誰が誰だか分かり難い部分があったかも。
それにエイトが彼らを知るのはずっと先のことなのでss中では名を明記しないつもりだったし。
なので今回はここでこっそり書いてみますた。
897894:2005/11/27(日) 07:55:30 ID:wiOzGWNi0
>>893
part4の方に「あのSSの回答ここにあります」ってリンクを張ってもいいですか?
898 ◆jqQPnO3wRs :2005/11/27(日) 14:45:45 ID:EFqRbU/O0
落ちる?
899名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/27(日) 15:29:37 ID:IOhPYW140
浮上
900名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/27(日) 16:23:59 ID:LaZRaECW0
危ないなオイ
901893:2005/11/27(日) 23:35:22 ID:GteyIBT30
>>894
書き込まないだけで結構みなさん覗いてそうな気もするんですが。
でも個人的にはかまわないですよ。
902名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/30(水) 16:52:53 ID:jLf8nbbH0
小説がどうなるかで非常に心配している人がいるようだけど…
主姫で動かないんじゃないのかな。
そりゃ主ゼシって線もあるかもしれないけどさ、そうすると結婚式ぶっ壊した後の
姫の相手は?って話になる。
その時にじゃあクク姫、ってなるかっていうとそうはならないと思う。
主姫派は一杯いる。主ゼシ派も一杯いる。ククゼシも人気ある(数字は除外)。
でもクク姫って需要あんの?
さらっとトラベラーズで探してみたけど、見当たらなかったよ。
ここでもそういうスレが立ったことはなかったと思うし。
ただ単に余るの嫌だからくっつけました〜臭しかしない。

もしかして鉄板なのはヤンゲルだけなのか?!w
903名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/30(水) 17:18:32 ID:oP8V5mlq0
というより、主姫でなければ、そもそも「呪いを解く」というDQ8のストーリーがまったく成り立たない。
DQ8で主人公に姫以外とのカプを成立させるなら、
最初からストーリー構造をぶっ壊して再構築するか、ドロドロの大人向け恋愛譚、もしくは少女漫画的多感小説になってしまう。
だからどんな先生が書くかに依存するんだけど、そもそも赤字のスクエニ出版部が出すかどうか。
904名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/30(水) 21:32:38 ID:QMH474++0
埋め
905名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/30(水) 22:10:37 ID:GRyTzX8OO
主ククに決まってんじゃん☆
姫なんかチャゴスで充分。
大馬鹿なことしちゃったんだから頭下げて引き取ってもらったら?
好きとか言ってる人ってキモオタだけっしょ?
きんもー☆
906名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/01(木) 00:16:54 ID:bGRGikHq0
ねこだいすきw
907名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/01(木) 08:44:54 ID:ijCIiy670
とりあえず小説化するとき問題なのは
8主の過去をどう片付けるかだ。
もし過去も絡めたストーリーを展開したら、
ラストは8主がドラゴンに変身してデブと戦うっていうのが自然なんだろうけど、
このネタは久美で既に通過してしまったからな
908名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/01(木) 13:01:41 ID:y3U3htOD0
うーん、トーポ竜化、って手もあるけど、それだとおじいいちゃんの方が目立ってしまうか。

8主の出生を書かないとあらゆる意味で消化不能になってしまうと思う。
呪いがかからない理由とか、デブ戦前のレティス=ラーミアの台詞とか。
トラペッタでの「人でも魔物でもない〜」も本当は主人公を指したものだし。
(トロデ王は自分のことだと思っていたけど)
本来本編に組み込むべきものがクリア後のおまけ扱いになってしまったのがちょっとなあ。
話が散漫になるのを避けたかったのかもしれないけど。
909名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/01(木) 13:08:41 ID:ijCIiy670
あっ、今浮かんだ。
8主が変身してクックルがその背中に乗ってタンバリンを叩けばいいんだ

(゚∀。)あれ?
910名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/01(木) 14:58:11 ID:y3U3htOD0
待て。
そうするとジゴスパークはエイトの背中にぶっ刺して呼ぶことになるんだな?

…8主ドラゴラム案、却下!
911名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/01(木) 20:15:07 ID:w1zymMJh0
馬姿ミーティアの小説を読んでみたい。
912名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/01(木) 21:49:41 ID:ZcQv8idA0
8主ドラゴラム案(・∀・)イイ!
もういっそ空飛ぶ乗り物が主人公自身でいい。
913名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/01(木) 22:59:02 ID:Hx38kDoe0
ラストバトルで主人公竜化は5でやっちゃったからねえ
914名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/02(金) 02:14:12 ID:okx3AIwy0
一瞬「いっそBOF2のような鬱エンディング」とか考えたけどやっぱりそれはイヤだな
915名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/02(金) 13:38:18 ID:69lw2QHH0
>>914
BOF2は2種類あるけどな。
一つは主人公が竜化して、封印の扉を守るバッドED
もう一つは主人公の親父が封印の扉を守るバッドだかグッドだかよくわからんED

一番納得いかんエンディングはBOF4だろう
最も殺したいやつが生き残ってるんだからなw
916名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/02(金) 13:40:13 ID:69lw2QHH0
間違った。
BOF3だな。一番納得いかんのは。
917名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/02(金) 13:42:29 ID:69lw2QHH0
やっぱBOF4だった。逝ってくるわ
918名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/02(金) 16:40:30 ID:yDcY++/30
なんかそれだともう完全に別物だな…
鬱展開は思い付きやすいけど書き手の力量で薄っぺらくなりやすいし。
「主人公はお姫様と結婚して幸せに暮らしました」でいいんだけどなー。
人生べたべたな展開が一番だよ。
919名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/02(金) 23:53:50 ID:i1g1JlzQ0
そうだな。
8は今までのDQの既出ネタ(?)を取り入れた感じだから、結構ベタベタな話なんだよな。
だから公式物では変に改変しない方がいいと個人的に思う。

小説出るんだか出ないんだか分からんが、
まあ、とどのつまりはベタベタな展開でも主姫にさえなればいいんだけどなw
920名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/03(土) 07:05:24 ID:zJzfJEOW0
そうそう。

どうでもいいから主姫キボンヌ!
ていうか、主姫じゃない公式小説なんてイラネw

…ってのが本音だ。
921名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/03(土) 13:46:24 ID:ikO20Sm/0
保守
922もしあの男が6主だったら:2005/12/05(月) 16:25:11 ID:oLqVMKnH0
??「あれー?変な場所に迷いこんじゃったよ。ここどこだろ。そういうのは7主の専売特許なのに。
   でもまあいいか、何だかお祭りみたいなことやってるし。お祭りと言えばあの時のターニアたんかわいかったなー、さすがはオレの妹」
ミー「いろんな人が一杯いるわ。なんて楽しいのかしら」
6主「(キュピーン!)おっ、妹センサー発動!どこだどこだ、妹はどこだ?」
ミー「エイトはまだかしら…あんな込んでいるのだったらお願いしなければよかったわ」
6主「妹発見!ターゲットロックオン!…お嬢ちゃん、かわいいね。一人なの?」
ミー「ううん、お友達と一緒なの」
6主「(あの綿飴のところにいるガキか)お兄ちゃんと一緒に来たらいいことしてあげるよ」
ミー「…いいの。待っているってお約束したもの」
6主「いいからいいから」
ミー「いやっ!…エイト、エイト!」
6主「(エイトだと?どこかで聞いた名だな)すぐ終わるからねー」
??「その子を離せ!」
ミー「エイト!」
6主「げっ、お前は8主!…ってことはこの子はみーちゃん?!」
8主「誰だよ!お前なんか知らないよ!」
6主「お、おい、冗談だって。な、ほら、こっ、これライフコッドのお土産やるから。だからそんな紫色に…」
8主「みーちゃんに触れるなーっ!」
ガラガラビッシャーン!
6主「グギャス!………って何でいきなりギガデイン出るんだ………」
923名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/05(月) 18:23:46 ID:rHS8+KPr0
オナニーするなら誰も見てないところでね^^;
924名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/05(月) 18:27:39 ID:9/UF/5kN0
>>922
ワラタw所詮6主だww
さてあと2kb。
925名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/05(月) 22:55:43 ID:lBdWGSTDO
意外に500kb行かないもんだね。まあss投下するとあっという間なんだろうけど。
926名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/07(水) 00:02:27 ID:xQgUXhtk0
いまさら気付いてしまったんだが・・・
ミーティアって名前は流星って意味だよな?
馬のひたいの白い模様も流星っていうんだよな・・・
もう名前からして馬ネタだったのか。
927sage:2005/12/07(水) 00:03:26 ID:xQgUXhtk0
sage
928名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/07(水) 00:05:59 ID:FYEITn2y0
ミーティア=メテオ
929名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/08(木) 16:47:15 ID:g+RkjqDU0
馬の額の模様は形や大きさ、数で色々な呼び方があるらしい。
あまり詳しくないのでよく分からんが。

ところでようやくこのスレも500KB行ったな。
930名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/09(金) 21:40:33 ID:zSss3TZK0
馬姫様でも美人だモンなぁ。

主人公とミーティアは絶対ED後結婚すると思うよ。
だって、あのラブラブっぷりだもんさ。

クリアーしてない人、是非見てたもれ。
931名前が無い@ただの名無しのようだ
そうなるんです!!
隠しルートではオレはもう見ました!!
ほんとのエンディングを