頼むからFF10みたいに続編出して欲しいなぁ
X−2みたいな感じで
成長した息子と娘がみたい・・・。
年齢は16、7希望
コリンズとかも出してw
6 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/24 11:37:35 ID:LiVrFTH5
出たら絶対買うけどね。
たのみこむで頼み込んでみたら?
王子=勇者
王女=魔物使い兼魔法使い
コリンズ=魔法戦士
ピピン=戦士
こんなパーティになるのかな?
>前スレ647氏
予告じゃわかりにくかったけど6のキャラは二人と一緒に戦うというより
夢や回想で出てくるような存在?
とりあえず本編待ってます
>>1 乙です。
>>前スレ647殿
素晴らしいセンスだ…!
読ませるね。
同じ言葉を連ねた文章のリズムとテンポが激しく燃え。
少し疲れるけどw
是非とも続きを読みたいもんだね。次で。次スレで。このスレで。
>>1さまスレたて乙です。
前スレの続きから
「リフレイン〜約束〜」第3話くらい
あれから数日、ミーシャはグランバニア王の計らいでグランバニア城に住みこむこととなっていた。
それは、テンの妃としてではなく、一人のグランバニアに仕えるメイドとして。
ミーシャは来てからの翌日にはお城の兵士や他のメイドとも溶け込み、街の人々とも仲良くなっていた。
バルコニーではテンの楽しそうに話をするミーシャの姿・・・その光景を見ながら、ソラはぽつりと呟く。
「素直になりなさい・・・わたし・・・。」
やがて日も沈み、辺りが闇に包まれるとグランバニア独特の冷たい風が吹き始める。
冬真っ盛りといっても城内はぶ厚い城壁と街の人々の活気により暖かかった。
宿屋では先日現れた少女がテン王子の妃になる方なんだと多くの人がその出来事に酔いしれていた。
もう何回目かの宴会もピピンの実家である宿屋で行われていたくらいだ。
そんなにぎわうグランバニア城下街とは違う空気の中、テンは一人ソラの部屋の前で立っている。
「・・・ソラ、聞いて。ミーシャの言っていた約束の事なんだけどまったく覚えていないんだ。
それに、結婚の約束したって言っても子供の頃の話だろ?今のボクには大事な人がいるって知ってるよね?
ボクを信じて・・・ソラ・・・。」
小声でぶつぶつと何日も考えたセリフを頭の中で繰り返すテン。
「よし・・・!」
グッと握りこぶしを作ると、その手をそのまま目の高さまで振り上げる。
────コン・・・コン
小さく間を空けて2回扉を鳴らすテン。
これが二人の秘密のノック。日に何度も部屋に執事やメイド達が訪れる中で作った二人だけの秘密のノック。
「・・・なに?」
テンの予想通りというか、部屋の中から聞こえてきたソラの声は思いのほか冷たかった。
「えっと・・・あのね、話を聞いて欲しいんだ。」
テンがそう答えると、しばらくの沈黙の後にゆっくりと扉が開く。
「・・・どうぞ。」
「あ、うん・・・。」
中に通されると同時にテンは全身に甘い感覚を覚える。ソラの匂いだ。
「紅茶・・・飲む?」
「え?あ・・・うん、ダージリンお願い。」
部屋の中央に置かれた小さく丸いテーブルとそのテーブルによく合った椅子にテンは腰掛ける。
「あーごめんなさい。ダージリン切らしちゃってる。アールグレイでいい?」
「へ?う、うん・・・じゃあそれ。」
(おかしいな・・・ソラはボクの好きな紅茶がダージリンだって知ってるし、今まで一度も切らしたことなんかなかったんだけどな・・・。た、たまたまだよね・・・うん。)
テンがソラの後ろ姿を見ながらそんなことを思っていると、紅茶をいれ終わったソラが振り返る。
思わずパッと目線をそらすテン。
ゆっくりとテーブルに歩み寄り、紅茶を置くソラ。
────ふわっ
(あれ?この香り・・・)
優しく甘い匂いがテンの鼻をくすぶる。
「・・・ダージリンは・・・切らしてたんじゃなかったの・・・?」
テンが顔をあげ、ソラの顔をじっと見つめる。ソラはプイッと横を向いたまま頬を染めてこう答える。
「わ、わたしが・・・テンの好きな紅茶を切らすわけ・・・ないじゃない・・・!」
テンはクスッと笑い、カップに口をつけ一口飲む。
「うん、やっぱりソラのいれてくれる紅茶はおいしいよ。」
カップをテーブルに置き、ソラににっこりと微笑むテン。
その瞬間、ソラの心臓がグッと締め付けられる。
「はぁ・・・わたしってやっぱりテンに甘いのかしら・・・。」
ポツリとつぶやくソラ。
「え?何か言った?」
クッキーを食べながらテンはソラに問いかける。
「なんでもありませんー。」
ソラはそう答え、テンの正面の椅子に座り、紅茶を飲み談笑がはじめる。
いつもの寒い夜がほんの少しだけ暖かくなった夜。
帰り際、テンはソラの頭をグシグシと撫でると、条件反射の様にソラはテンの胸にポスンと飛び込む。
「おやすみ、ソラ。」
「おやすみなさい・・・テン。」
ソラは顔をあげ、恥ずかしがるテンの顔を見て、無言でコクリとうなづく。
それを見てテンは頬を染め、ゆっくりとソラに顔を近づける・・・
「あんれ、勇者さまもソラさまもまっだ起きてただかー?」
突然後ろから声をかけられ、テンはソラのおでこにゴツンとおでこをぶつけてしまう。
おでこを抑えてうずくまるソラと、必死でごまかそうとミーシャに話しかけるテン。
(んもう、ミーシャが来てからぜんっぜんテンと甘い事出来ないじゃない!)
ソラは心の中でそう叫び、少しだけ赤くなったおでこと頬をミーシャに気づかれないように部屋に戻って行った。
もづく
きっとソラはミーシャのことを嫌ってないハズ
>>14 頭なでなで萌え
三角関係というよりミーシャはおじゃま虫な感じっぽい。
>>3 FFの10の続編だって続編希望してる人が多いから出たんでしょ???
それならドラクエ5の続編希望してる人なんてもっと多いと思うけどなぁ
5は幅広い年代に人気あるから
リメイクで更に続編希望の人が増えたと思う
話すようになったからね
>>16 FF10-2は、■の懐が火の車だったときに、お手軽に小金を稼ごうとして出したんじゃないの?
出来もそれなりにお粗末な内容だったし...
ドラクエ5の続編は出して欲しいけど、FF10-2のようなこけ方はして欲しくない
続編と書いて諸刃の剣と読む(ちと無理あり)
続編とかいてギャルゲーとも呼ぶ。
>>16 >>17 仲間になる人間は
コリンズ、息子が勇者だと知って興味示してる女の子w
あとは適当にw
後、ビアンカ派とフローラ派がいるんでその関係もあるね
最初にどっちか選べるとかなら良いけど
で、最終的に王女とコリンズが結婚・・・みたいなエンディングになりそうな悪寒
>>21 会話見る限りコリンズをかなり嫌ってるからそれはまずないと思う
タイプ的に合わなそうだし
兄に頼まれたら結婚しそうだけど・・・。
続編出て欲しいけどエロゲーになりそうで怖いw
>>24 それじゃあウホッ!じゃないか
DQって腐女子が好む要素が少ないところが良いところなのに
コリンズはピピンとペアがお似合いだとSS見て思った
「………は?
えっと……俺たち、103と105の二部屋で泊まってたんですが……ほかの泊まり客さんと間違えてませんか。
俺たちは、俺、それにレックスとタバサの、親子3人なんですから。
……ん? どうしたお前たち、このご主人に何か言いたいことでもあるのか?
おっ、こら、勝手に外行くんじゃない。少しくらい待ってなさい」
28 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/27 09:37:16 ID:iospsbXp
ageちまった。スマソスマソスマソorz
一応、勇者と姫だからな
31 :
てんあい:05/01/28 20:22:30 ID:Mg96mYxa
>>1 「あなたがボクたちの乙さんですね!」
どうもお久しぶりです。随分間が開きましたが十二話です。
翼の欠けた天使たち 第十二話
「それじゃソラちゃんもうお別れだね…。」
「うん…。でもまたあそびにくるからね、ありえるちゃん。」
昼下がりのサンタローズにいるボクとソラ、そしてこの町に来てから仲良くなった宿屋の女の子、
アリエルちゃん。特にソラとは年齢が近い(?)せいか、二人はすぐに打ち解け合っていた。僅か
二日くらいの滞在だったけど、ボクには二人がまるで親友であるかのように見えた。
「約束だよ。」
そうソラに言ったあと、チラリとボクを見てから傍に来るアリエルちゃん。
「あ…あの…、お兄さん…。」
「ん? なにかな?」
そうボクが問うと、アリエルちゃんは少し恥ずかしそうに言う。
「その…、お兄さんも…また遊びに来てくれますか…?」
「うん。ソラと二人でまた来るからね。」
「…! はい!」
ボクが言うと、アリエルちゃんはとびっきりの笑顔を見せる。
「アリエルちゃん、町のみんなによろしくね。じゃあソラ、そろそろ行こうか。」
「…うん。」
どちらからともなく手をつないで、ボクたちはサンタローズをあとにした。
アリエルちゃんはついあんなこと言ってしまったけどボクとソラには…。
「…もぅ、おにいたんのばか…。」
ん?
次の町に向かう道中、さっきから何か呟いているソラ。
「どしたのソラ、さっきから…。」
「…おにいたん、おにいたんも…ありえるちゃんがすき…なの?」
32 :
てんあい:05/01/28 20:24:21 ID:Mg96mYxa
「な、何だよいきなり…。」
ソラの寂しそうな顔にボクは少したじろぐ。
「だってありえるちゃんが『またきてね』っていったときおにいたんすごくうれしそうなかお
してたし、ありえるちゃんもおにいたんのことすごくかっこいいっていってたもん…。」
そ、そうなの、自分じゃ気がつかなかったけど…。
「おにいたん、ぼくのことすてちゃうんだ…。」
途端に涙目になってしまうソラ。
「そんなことしないよソラ。アリエルちゃんの気持ちはうれしいけど、ボクにとって一番大切なのは
ソラなんだから、そんなふうに考えるのは…。」
「じゃあぼくのことすき…?」
そんなソラの突然の問いにボクは思わず口ごもる。
少し間を置いてからボクはそれに答えた。
「…うん。スキ…だよ、ソラのこと…。」
「ほんと…? …ありがとうおにいたん。」
その一言だけでソラの表情は一変し、ボクに抱きついてくる。
「こ、こら…。」
「あのね…、すきだときすしてくれるって…。」
どこでそんなこと覚えてきたのかな…。
ソラはそれを期待するようにまっすぐボクを見ている。
「じゃあ目を閉じてごらん。」
そっと目を閉じたソラの前髪を掻き揚げて、ボクはおでこに軽く口づけをする。
「これでいい?」
「…うん! おにいたん!」
笑顔のソラ。自惚れかも知れないけど、きっとこの笑顔はボク以外には見せないものだと思う。
「それじゃ急ごう。明るいうちにアルカパに着いときたいんだ。」
「はい、おにいたん。」
次の目的地、お母さんが小さい頃住んでいたアルカパはもうすぐだった。
33 :
てんあい:05/01/28 20:26:38 ID:Mg96mYxa
「ほぇー、ここがおかあさんのおうち?」
「うん。小さい頃はここでお祖父さんやお祖母さんと宿屋をやってたんだ。」
アルカパでもひときわ目立つこの大きな宿屋、今では他の人が経営しているけど、何十年も
使われているとは思えないほど綺麗な建物で、大事にされていると思うと何だかボクまで
うれしくなる。
「わー、ひろいおへや!」
今回は奮発して最上階にある、この宿屋で一番いい部屋を取った。
「今日は早く寝て明日いっぱい遊ぼうか?」
「うん…。ねぇおにいたん、おにいたんのべっどにいっていいですか?」
「えっ? うん、いいよ。おいで。」
うれしそうにボクがいるベッドにもぐりこんでくるソラ。
「おやすみなさい、おにいたん…。」
ソラはボクの腕の中で安心したように眠る。
そう言えば、お父さんとお母さんも結婚して間もない頃、この町に来てこの部屋に泊まったって
言っていたけど…。ん? だとするとボクたちが生まれたのってもしかして…。
「おはようございます。昨夜はよくお休みになられましたか?」
「はい、まぁ…。」
「そうですか、それは幸いです。それではこちらをどうぞ。」
そう言って宿屋の主人が差し出したのは袋いっぱいに入った葡萄だった。
「これは?」
「はい、ただいまサービスとしてお泊りいただいたお客様に私どもの畑で取れました葡萄をお配り
していまして…。」
「こ、こんなにですか?」
「はい。今年は豊作でして、今までも沢山お配りしたのですがまだまだ余っている状態なんです。」
「じゃあ遠慮なくいただきます。どうもお世話になりました。」
「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております。」
宿屋の主人はペコリと頭を下げた。
34 :
てんあい:05/01/28 20:28:15 ID:Mg96mYxa
「おいしそうなぶどうですね。」
ソラの興味は葡萄に注がれていた。ボクは袋から取り出した葡萄のひと房をソラに渡す。
「食べながらいろいろ見て回ろうか?」
「うん!」
ちょっと行儀が悪いけどたまにはいいかな。
一通りアルカパを見て回って、今はもう日が傾きかけていた。
「ちょっと疲れたね。あそこで少し休もうか?」
「うん。」
町の入り口の近くにある池に囲まれた公園。ボクたち以外は子供が二人、元気に走り回っている。
公園に備え付けられているベンチに腰を下ろす。
「ふぅ…。」
こうしている間もお父さんとお母さんは過酷な戦いを強いられているかもしれないのに…。
それなのにボクはソラに逃げてるばかりで…。
「ねぇソ…。」
「あっ!」
何かを見つけたようで、突然駆け出すソラ。
「ほら、もっと逃げろ!」
ソラの走っていく先にはさっきの二人の子供がいた。ただ、その子たちは走り回っていた
のではなく、一匹のスライムを追い掛け回していた。それを見たソラがスライムを庇うようにして
子供たちとの間に入る。
「だめなんだよ、まものさんいじめたら!」
「な、なんだよぉ、お前は…。邪魔するなよなぁ。」
ソラの勢いに少し気押される子供の一人。それを見たもう一人が口を開く。
「へっ、どうしてもやめてほしいなら…。」
ごんっ! ごんっ!
アルカパの街じゅうに乾いた音が鳴り響く。
「ったく、なにやってるんだよ、お前たちは! 女の子をいじめるなって言ってあるだろ!」
「だって父ちゃん…。」
あの人はどうやらあの子たちの父親らしい。それを見てボクも駆け寄った。
ソラは追われていたスライムを抱きかかえてボクのところに来る。
35 :
てんあい:05/01/28 20:31:00 ID:Mg96mYxa
「おにいたん、なおしてあげて。このこけがしてるの…。」
ピキィ!
「う、うん…。」
見たところかすり傷が一つある程度でスライム自身もあまり気にしてなさそうだけど…。
まぁそれでソラが安心するのなら…。
「“傷つきし者に安寧を… ベホイミ!”」
淡い光がスライムを包み込み、僅かにあった傷もふさぐ。
ピキィー!
「わぁよかったね、すらいむちゃん。」
スライムはボクの手の上から飛び降りてソラのもとに向かっていく。
「おにいたん、ほらぁ! ついてくるよ!」
走るソラを追うようにスライムはうれしそうについていく。
そう言えばソラは昔から動物に好かれていたよね。やっぱりお父さんが言っていたように
ソラにはモンスター使いの才能があるのかもしれない。じゃあこのスライムがその第一号って訳か…。
「いやぁすまなかったねお譲ちゃん、ウチの悪餓鬼共が…。怪我は無いかい?」
子供たちの父親が柔和な顔をしてやってきた。
「はい…。」
「こちらこそすみませんでした。ほらスライムを返さないと…。」
「いやいや、いいんだよ。こいつらに預けていてもロクなことにならないからな。お譲ちゃん、
そのスライムを可愛がってくれな。」
「…はい! すらいむちゃん、これからはぼくとあそぼうね!」
また駆け出すソラとスライム。
「まったくこいつらも似て欲しくないところばかり俺に似てしまったな。」
「どういうことですか?」
「…いや俺も餓鬼の頃、似たようなことしてしまってね。そのとき止めに入った二人に無理難題を
押し付けたりとかね…。まぁ二人とも無事だったからよかったんだが、もし何かあったらと今でも
思ってしまうくらいだよ。」
「そうでしたか…。」
「その二人も、男の子はたまたまアルカパに来ていたみたいであの後すぐに帰ってしまったみたい
だし、女の子も何年か後引っ越してしまってね。今頃何をしているのかななんて思っていたんだ。」
スライムと遊ぶソラとボクをを見てさらに続ける。
「あんたの妹さんかい? そう言えばあんたたちはその二人にどこか似ているな。」
36 :
てんあい:05/01/28 20:33:13 ID:Mg96mYxa
「はぁ…。」
「…っと、下らん話に付き合わせてしまったな。さてそろそろ帰るぞ。」
「ふぁーい…。」
「じゃあ妹さんにもよろしくな。」
父親に連れられ子供たちは渋々帰っていく。
「おにいたん!」
いつの間にか、スライムを抱いたソラが傍に来ていた。
「でもオレンジ色のスライムなんて珍しいね。ボクは今まで見たこと無いよ。」
「ぼくも…。ねぇおにいたん、すらいむちゃんにおなまえつけてほしいの。」
「でもソラに懐いてるみたいだし、ソラが付けてあげたら?」
「ぼくはおにいたんにつけてほしいの。すらいむちゃんもそうでしょ?」
ピキィ。
「そう? じゃあちょっと待っててね…。」
どうせならかっこいい名前がいいよね。…うーん、そうだ!
「『オリエントチャーム』っていうのはどう? かっこいいでしょ?」
「おりえ…と…? むずかしいおなまえですね…。」
だ、駄目かなぁ。何だかソラもピンと来ないみたいだし…。
ソラに似合いそうな可愛い名前のほうがいいのかも。…お父さんがスラりんなら、ボクは…。
37 :
てんあい:05/01/28 20:34:58 ID:Mg96mYxa
「じゃあ『スラたん』は?」
「……………。…すこしかわってるけどすてきなおなまえですね。」
妙な間があったのが少し気になるけど、これは気にいってくれたみたいだ。
「きょうからあなたは『すらたん』だよ! えへ、うれしい?」
ピキィ!
「おにいたん、すらたんっておんなのこなんだよ。だからすらりんのおよめさんにしてあげるの。
え? だいじょうぶだよぉ、すらりんってつよいんだよ。」
何だかソラとスラたんはもう会話ができるみたい。ボクにはスライムの性別なんて全然わからない
けど、ソラやお父さんのような人にはわかるのかも…。
「ぼくたちこれからおんせんはいりにいくの。すらたんもはいりたい? おにいたん、すらたんも
いいでしょ?」
「うん、もちろんだよ。ダンカンお祖父さんに会いに行こう。」
「はーい!」
ボクたちの旅はスラたんが加わって一層にぎやかなものとなった。
第十二話終わりです。サンタローズでの話も考えてはいたのですが、早く終わらせたいので
今回はちょっとだけにしました。これは関係ない話ですけど、天空物語のドリスって
君が望む永遠の水月に似ていますよね。
てんあいさん続きキタ━━━━(゚∀゚)━━━━━!!
>>37 ツイン幼女の話もっと読みたいとおもった
水月とドリスは髪型の移り変わりがたしかに似てる
てんあいさんの『あなたが僕たちの乙さんですね』の乙の部分をおとってよんで
あっというまにMAJORになっちまった・・・
>>23 コリンズの超一方通行になるだろうな、6のランドのように
でも最終的にランドってターニアとくっつくんじゃなかったっけ?
具体的に描写されてない。
「後はあなたの想像におまかせ」ってやつ。
きっと夢の世界では王子と王女は他人で…あれ逆か
45 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/02/02 02:23:54 ID:vNlw/tLj
夢の中では子供のままでは、
現実.成長して一緒に居れなくなった。自分の気持ちを周りに言えず、いつまでも
一緒にいられない(王女はコリンズの求婚を断れきれなくなっていて、王子の方に
も縁談が)。
夢の中.世間の柵もなく、いつも一緒に居られた幼い頃(両親捜索時)のまま。
>>45 デスコッドの2人がそれか
サンチョというコブはついてるけど
47 :
45:05/02/02 21:59:55 ID:vNlw/tLj
世間の柵の無かった幼い頃の象徴としてサンチョは必要デス(両親捜索に深く関わっていましたし)。
かなり間が開いてしまいましたが前回の続きです。
「王子〜!王子〜〜!!」
のどかな昼下がりのグランバニア城に、けたたましい呼び声がこだまする。
ぜえぜえ、と息を切らし呼びかけているのはこの城の召使いサンチョ、
そして、その呼びかけにも関わらず、
一向に姿を現さないのがこの国の王子、レックスであった。
本来この時間帯は、王子はサンチョから歴史の勉強を教わるはずなのだが、
それを王子はこっそりと授業を抜け出し、いつもの屋根の上でのんびりと雲が流れ行くのを眺めていた。
勉強嫌いの王子が授業をさぼることは、ここグランバニアでは日常茶飯事であった。
持ち前の元気さのせいか、授業さぼりにいたずらなんかは序の口で、
一月前にはタバサ王女まで連れて
無断で城を抜け出し、すごろく場に遊びに出かけるというやんちゃぶりだ。
だが、そんないつもの王子を考えても、
ここ最近のさぼり癖の酷さは目に余るほどであった。
それについては王子の方にも言い分があった。
一月前の事件…、表向きはただの無断外出となっているが、
実情はそんな生易しいものではなかった。
魔界でも知る者のいない謎のすごろく場、そこのマスターらしいピロロと名乗る魔物、
なんとか王子と王女は無事にそのすごろく場から脱出することができ、
事なきを得たが、一歩間違えば命を落としかねない危険な状況だった。
助かったことは助かった。しかし、やはり王子は腑に落ちない。
結局のところ敵の正体や目的さえ分かっておらず、事件自体が解決したとは言い難い。
それに、
( あの時、僕がもっとタバサを信じて用心していれば…
それにあいつの言ってること、僕は否定できなかった… )
痛感させられた自分の未熟さ。
事件は王子の心に強い爪あとを残しており、それが更に王子を勉強から遠ざけた。
王子が屋根の上で空を見ていた頃、王女は城内の図書館にいた。
慣れない眼鏡をかけ、山積みの本を凝視しているその姿は、ただの勉強とは思えない迫力を感じさせた。
そう、事件のことを引きずっているのは王子だけではなかった。
王女もまた一月経った今でもあの事件が頭を離れずにいた。
あの場所で感じた恐怖感…、そして気になるのは
脱出する時に上空から見たすごろく場のコースの形。
特に魔道に詳しくない者からすれば、ただのいびつな形のコースとしか写らないだろうが
魔道に精通している王女の目には明らかに、なんらかの魔術的意味合いがあるものと写った。
もちろんそれはあくまで直感でしかなく確信があるわけではない。
だからこそ、こうして暇さえあれば魔術に関係する書物を読み漁り調べていた。
「ふぅ…やっぱり気のせいなのかな」
眼鏡を外して疲れ目をこすりながらそうつぶやく。
今日も探している答えは見つからなかった。
さすがに一ヶ月も調べ続けて何もないと自分の勘を疑いたくもなる。
「―――王子〜……王子〜〜〜〜」
廊下の方からさわがしい声が聴こえてくる。
王子を探すサンチョの声である。それを聴き、またレックスが授業を抜け出したのか、と
ふぅ…とまた、ため息がこぼれた。
事件以後の王子のさぼり癖には王女も気にかけていた。
何度かサンチョに頼まれ授業に出るように説得してみたこともあった。
しかし、王子はそれに応じることはなかった。
あの事件以来、どことなく二人の間には距離ができていた。
「今日はもうおしまいにしましょ…」
ぱたん、と読んでいた本を置き席を立つ。
帰りに王子の所へ行ってみようと思いつつ、本の山を元の場所に戻す中、
王女は一冊の本に目が留まり、それを手に取ってみる。
それは何もタイトルが書かれていない薄汚れた本。
興味本位でぱらぱらと目を通す。内容はというと古今東西の呪術の類を列挙しているありふれた魔道書。
呪術と言っても載っているのは、魔物が使うような強力なものでなく、
人間でも扱えるような比較的弱いもの、
言わば半分迷信染みたインチキに近いもので、とても事件に関係するものではなかった。
一通り見終わったのでその本を元に戻そうと思ったその時、
「―――え?」
一枚の挿絵に王女は驚き、そのページに釘付けになった。
それは自分が見た、あのコースの形と寸分違わずまったく同じ形の図形。
血のように赤い真紅のインクで描かれており、それは紛れも無く魔方陣として紹介されていた。
「ま、まさかこんな本に書いてあるなんて…」
高まる胸の動悸を抑えつつ、その本を凝視する。
「人を魔物に変える…!! そんな恐ろしい呪術があるなんて……」
先程までの未知ゆえの恐怖を塗りつぶすかのような、知ってしまったがゆえの恐怖。
恐怖と格闘しつつ、汗ばみ震えた手でページをめくる。
次のページに書かれていた、その呪術の名を見て更に驚きと恐怖は増した。
それは、魔道に関わるものなら誰でも一度は聞いたことのある恐ろしい名だった。
「これは『進化の秘法』……!!」
〜〜 〜〜
まるで王子・王女とすれ違うように、すごろく場に一人の少年が招き入れられた。
年のころは二人と比べて、やや幼いと思われるやんちゃそうな少年だった。
「うわぁ〜〜!凄いや、こんなすごろく場があったなんて!!」
歓声をあげてすごろく場の中を嬉しそうにはしゃぎまわる少年。
そして、その横にはあの一つ目の小人がいた。
「どうだい、気に入ってくれたかい?」
「うん!」
小人のピロロの問いに元気良く返事をする。
その答えにピロロは、にたぁ、と蔓延の笑みを浮かべた。
「ふふ…それじゃあ健闘を祈っているよ。見事、ここのコースを制覇した時には
キミに素晴らしい賞品をプレゼントするよ」
「ホント!! 約束だよ? よーし、絶対にゴールしてやる〜!!」
それを聞くと、少年は弾丸のようにすごろくのスタート地点まで走り出していった。
その姿をピロロは蔓延の笑みのまま見送り、ぽつりとつぶやいた。
「ああ、約束さ。神様もビックリするようなとびっきりのモノを、ね…」
〜〜 〜〜
続きます
53 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/02/03 00:30:16 ID:OFchNmiw
ほーう、進化の秘法でしたか。
双六場に招き入れられた少年がどんな自分を望んでいるのか、ピロロの正体が
なんなのか気になりますな。物語も半ばにさしかかり今後どの様に動いて行く
が非常に楽しみです。
一応保守。
55 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/02/06 23:34:14 ID:CnEzLFCp
ほしゅ。
王子と王女に弟か妹ができる話が見たい
57 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/02/07 19:09:31 ID:QpRbZ88s
王子と王女が主役で1から8のクロスオーバーものの話が読みたい。
58 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/02/09 20:16:45 ID:hMu/jhsc
皮のドリス
実はこっそり王女たんはドリスや母と百合を・・・げふんげふん
長いこと空きましたが、
>>14からの続きです。
そんな欲求不満(?)な日々が続くと、テンにとっては幸か不幸か、
以前はまだ二人でいることに恥じらいのあったソラだが、
ミーシャが来てからは二人でいれる時間を大切にしなければと思ったのか、自然とソラの行動は大胆になっていった。
「ちゅっ・・・んん・・・ちゅっちゅ・・・。」
「・・・んん・・・ソ・・・ラ・・・ちゅっ・・・あんまり音たてると・・・ちゅっ・・・誰かに見つかっちゃう・・・んちゅっ・・・よ・・・。」
重なる唇から漏れる吐息が二人の頬をピンク色に染めていく。
テンがソラに小声で申し出るも、旅の途中で立ち寄ったカジノの様に熱くなったソラは夢中にテンの唇を求めていた。
「・・・ん・・・だって・・・ちゅっ・・・んはぁ・・・せっかく二人っきりに・・・ん・・・なれたんだもん・・・。
テンは・・・ちゅっ・・・こーゆーの・・・ん・・・ヤダ?」
テンを見つめて首を傾げるソラ。テンは首を横に振ると、ソラはにっこりと笑ってテンの耳たぶを甘く噛む。
「わぁ・・・!ソ、ソラ・・・ずるい・・・それは・・・。」
全身の力が抜けていくテンに覆いかぶさるソラ。すでにソラの顔はいつもと違っていた。
「エヘヘー・・・。」
もはや抵抗などしなくなったテンを、ソラはゆっくり耳から頬へ、頬から首筋へと唇を移していく。
「・・・ぁあ・・・ちょ・・・くすぐった・・・い・・・ぅう・・・
(こ、これはうれしい状況なんだけど・・・何か立場が逆な気がしないでもない・・・)。」
ソラの長くて細い母ゆずりのブロンドの髪を耳にかけ、ソラはテンの頬にもう一度キスをする。
「ん・・・ちゅっ。」
「ソ・・・ラァ・・・。」
下からソラを見つめ、してやったりの顔でテンを見下ろすソラ。
すでにいつもとは違う主従関係がそこにはあった。
「テン・・・。」
もう一度二人が唇を重ねようとすると、タイミングを計ったかの様に扉をノックする音が聞こえる。
───トントンッ
「「!!!!!!」」
ガバッっと二人は離れ、服装の乱れを急いで整える。その間わずか2秒。
「・・・はーい?」
テンが裏返った声で返事をし少しの間の後、扉を開けてミーシャが顔を覗かせる。
「失礼します、テン王子。夕食のご用意が出来ました・・・あれ?ソラ王女。どうしてこちらに?」
一礼して顔を上げる途中、テンの部屋のテンのベッドにチョコンと座っているソラを見つけるミーシャ。
「え?あ、ちょっとテンとお話を・・・ね。」
「そ、そう。お話をね。あ、夕食だったね。わかった、ありがとう。すぐ行くよ。」
「はい。ではお待ちしております。」
「う、うん。・・・あ、ミーシャ。」
「はい?」
「えっと・・・こっち(グランバニア地方)の話し方・・・上手になったよね。」
ミーシャはにっこりと笑顔を作り。
「ありがとうございます。」
そう答えて頭を下げ、部屋を後にする。来た道を戻るミーシャの表情はどこか曇っていた。
つづーく
(*´д`*)ハァハァ
本番じゃないけどなんともいえないエロさ
翌朝、大きな半纏を羽織ったあざやかな緑色の髪毛の少年がグランバニアに訪れた。
彼の名はコリンズ。以下省略。
「さっびー・・・相変わらずこっちは寒いぜぇ・・・あーなんかだりぃ・・・
親父も何で新書届けるくらい兵士にやらせないんだよったく・・・。
こっちはまだソラに振られた心の傷が癒えてないってのによぉ・・・。
これ渡してあいつらに見つかる前にとっととキメラの翼使って城に戻ろっと・・・。」
ブツブツと呟きながら森の中を歩くコリンズ。
小さな頃からグランバニアに遊びに来ている彼にとってはこの森も庭のようなもの。
気分も晴れてきたのか、鼻歌交じりに道を歩くコリンズの前に、困った顔をした少女がやってくる。
「フンフフンフンフンフンフンフーン♪フーフフーフフフフンフーフー♪・・・ん?女の子?
まずい・・・ソラか?と、とりあえず隠れて・・・。」
コリンズは木の後ろにサッと隠れて少女の様子を窺う。
「・・・・・・。」
コリンズは少女との距離が近づくと、すぐに彼女がソラではないことに気がつく。
「ん?褐色?こっちの人間じゃなさそうだな・・・(それにしても・・・)。」
少女がコリンズが隠れる木の横の前を通ると、コリンズは両目を見開き、
両手で前髪をサッとなびかせ、道に飛び出す。
「やぁ、彼女。旅の途中かい?」
ミーシャはフッと声のした方を振り向く。
そこには、白い歯をキランと輝かせた緑色の頭と大きな半纏を羽織ったテンと同じ位だろうか?
妖しさが漂う少年を目にする。
「えっと・・・わたしはグランバニアに仕える使用人です・・・。実は朝のお散歩中に道に迷ってしまって・・・その・・・。」
おどおどと答えるミーシャ。
「ほう、そいつはラッキーだ。俺、今からグランバニアに向かう途中なんだ。一緒に行こうよ!
えっと、ラインハットって知ってるか?俺はそこから来たコリンズって言うんだ。君は?」
近寄り満面の笑みを浮かべるコリンズ。
「えっと、わたしはミーシャっていいます・・・。ラインハットって・・・グランバニアと友好国の・・・?」
ミーシャは後ずさりながらそう答えると
「へぇ、ミーシャちゃんかぁ・・・そうそう。そこの王子なの。」
ビシッと右手の親指を立てるコリンズ。ミーシャはクスッと笑い軽く頭を下げて
「爽やかな王子さまなんですね。あ、あの、お城まで・・・連れてっていただけますか?」
そう言ってにこりと笑うミーシャの顔に思わず見とれてしまうコリンズ。
「あ、ああ・・・(この子の目・・・似てる・・・)。」
グランバニアまでの道中、二人はすっかり意気投合し、ミーシャはお城での仕事の話。
コリンズはラインハットでの日常をお互い笑顔を絶やさず話し合っていた。
しかし、コリンズの口からテンとソラの名前が出ると、思わずミーシャの表情が曇る。
不思議に思ったコリンズは「どうしたんだ?」と聞くとミーシャは立ち止まりポツリと呟く。
「あの・・・コリンズさんは・・・テン王子と・・・その・・・ソラ王女が・・・えっと・・・。」
どう言えばいいのかもわからず、ミーシャはそこから先黙りこむ。
コリンズはまいったなと顔をしかめ、頭をポリポリと掻く。
言葉を選ぶコリンズの顔を伺い、ミーシャが意を決して口を開く。
「わたし・・・テン王子の事が好きで・・・その・・・お二人の関係って・・・ご兄妹です・・・よね?」
涙目なミーシャをコリンズは見つめ、困惑する。
事実を知っているコリンズだけに、この問いに答えるのがどれほど難しいのか。
真実を伝える事は簡単であるが、その権利をコリンズは持っていない。
「そうよ。」
沈黙を崩す一言。向き合う二人の前に現れたのはブロンドの髪をなびかせた少女の影。
「ソ、ソラ・・・。」
「ソラ・・・王女・・・。」
突如として現れたソラ。ゆっくりと二人に近づく。
「ごめんなさい、盗み聞きするような真似して・・・。コリンズくんの魔力を感じたから驚かそうと思って・・・。」
「あ、ああ・・・そっか。ソラは魔力で誰かわかるんだよな・・・。」
不思議と優しい表情に戻るコリンズ。
ソラの瞳に見つめられるとなぜかそんな気持ちになる。
「あ、あの・・・ソラ王女・・・。」
不安な顔をしたミーシャが呼びかけると、ソラはミーシャの前に立ちこう答える。
「ミーシャ。さっきのお話だけど、わたしとテンは兄妹よ。」
まっすぐ見つめるソラの大きな翠色の瞳。激しい口の渇きを覚えたミーシャは続けて問いかける。
「だったら・・・だったら、ご兄妹で・・・その・・・お二人のしていることは・・・間違ってると思います・・・!」
今にも胸が潰れそうなのをこらえ、ミーシャは両手を強く握り思いを告げる。
肌寒く、霧が立ち込める中、ミーシャの言葉にソラが答える。
「・・・そう・・・ね。兄妹で愛し合ってるのは・・・やっぱりおかしいよね。」
悲しそうに笑うソラを見てミーシャはコクリと黙ってうなづく。
コリンズは遠くを見つめ、感慨深そうな顔をしている。
少しの静寂の後、ソラがゆっくりと口を開いた。
「でも・・・、正しいとか、間違ってるとかじゃなくて・・・わたしはテンを愛してるから・・・。
・・・ごめんね。あなたの気持ちもわかってるのに・・・。」
その言葉に、ミーシャはズシンと胸を貫かれ、瞳の奥からは涙が溢れてきた。
苦しい・・・胸が苦しい・・・わかってたはずなのに・・・
テン王子の視線の先には・・・いつもソラ王女が映ってた・・・
最初から・・・わたしが入る隙間なんてなかったんだよね・・・
「ソラ・・・王女・・・。」
「なぁに?・・・ミーシャ?」
「ありがとうございます・・・わたくしなんかに本当のことをお話して頂いて・・・。」
それと同時に深く頭を下げるミーシャ。
ソラは慌ててミーシャの方に手をのせ
「そんな・・・ありがとうだなんて・・・。
ミーシャ。わたしね、あなたに嫉妬していたのよ?
わたしとテンの関係はコリンズくんしか知らないことだから・・・あまり堂々と・・・その・・・出来ないしね。
だから、あなたとテンを見ているとすごく胸が苦しかったの・・・。
気持ちは繋がってても、やっぱり女の子は態度で示して欲しいしね。」
そこまで言って、ソラはミーシャの瞳の涙を優しく拭った。
次回で終わり・・・・たい
つづーく
ほんとGJです。゚(ノ∀`)゚。
>>69 いい感じに三角関係決着しそうで続き楽しみ。
コリンズも登場したことだし
今日はバレンタインだから王女は王子にチョコあげるのかな
義理チョコと言いつつむちゃくちゃ気合い入った手作りチョコを渡す
太陽の日差しが森の隙間からソラ達を照らした時、ミーシャは声をあげて泣き出す。
ソラはミーシャを優しく抱きしめ、ポンポンと二度背中を叩くと、顔をあげ再びソラの胸の中で泣いた。
そして、翌日。
グランバニア城バルコニー。
「なぁ、テン。」
「ん?」
二人の少年が柵に手を置き空を眺めていた。
「オレ、昨日までソラのことまだ諦めてなかったんだ。」
コリンズの突然の告白にテンは動じることなく答える。
「・・・うん、知ってる。」
「でも・・・昨日ミーシャちゃんとソラの話を聞いてさ、もう決めたんだ。綺麗さっぱりソラの事は忘れようって・・・。」
「・・・。」
何かを言いたそうなテンの顔。その顔を見てコリンズはバシッとテンの背中を叩く。
「なーにしけたツラしてるんだよ!」
テンはジンジンと痛む背中を抑え、コリンズに向かってこう言った。
「・・・ボク達・・・間違ってるんだよね・・・やっぱりさ・・・。
昨日のことコリンズから聞いて・・・夜寝ずに考えたんだけど・・・どうしたらいいかさっぱりわかんなくて・・・。
ソラとの事、どうしたらいいのか・・・。」
テンの言葉にコリンズはフゥとため息をつき
「バーカ。ソラは正しい正しくない関係なしにお前のこと好きだって言ってるんだ。
お前はソラに悲しい思いさせなきゃ い い ん だ よ !」
と、テンの頭を両手で締め付けながら言う。
「うん・・・ありがとう・・・。」
テンは心の底からコリンズに礼を言った。
そして、日は沈んでいった。
テンはひとつの疑念を抱いていた。
それは、今日はソラの姿を見かけていないこと。
コリンズと一緒にいたからというのもあるだろうが、部屋にいる時も街中を歩いている時もソラには出逢わなかった。
「ソラ・・・忙しいのかな?」
テンは窓の外を見ながら呟いた。その時、
────コン・・・コン
小さく間を空けて鳴る扉を叩く音
「ソラ?」
テンは扉の向こうにいる人影に声を掛けると静かに扉が開き
「・・・起きてる?」
隙間から顔を覗かせてそう聞くソラ。
パアッと一瞬で笑顔になるテン。
「うん・・・あれ?ミーシャ?」
ソラの後ろに立つのはミーシャの姿が
「えっと、夜分遅くすいません・・・どうしても今日渡したいものがありまして・・・。」
「渡したいもの?」
テンが聞き返すと、ソラが
「うん。あのね、ミーシャの国の行事みたいなんだけどね、今日は女の子が男の子にチョコレートを贈る日なんだって!」
「・・・チョコレートってあの甘いお菓子・・・?」
「あ、はい。それで・・・ソラ王女と作ってみたので・・・よかったらテン王子に食べて頂きたくって・・・。」
「へー。食べる食べる!」
テンがそう答えると、
ミーシャとソラは二人で作ったのだと言うチョコレートの盛り付けられたお皿をテーブルの上にコトンと置く。
「うわーいっぱい作ったんだね!星型に丸いのに・・・わっ!ハート型のもあるや!」
「うん、結構大変だったんだよー。ヒャドだとうまく固まらなくって・・・。こんな時間までかかっちゃったの。」
「自然と固まるものですから・・・って言うんですけど、ソラ王女は早くテン王子に食べてみてもらいたいそうで・・・。」
「も、もう・・・余計なことは言わないでよー。」
恥ずかしがるソラを二人でクスクスと笑う。
テンは星型のチョコレートをひとつ取り、ヒョイっと口の中に運ぶ。
「いっただきまーす。・・・・・モグモグ・・・うん、あまーい!」
テンは光悦の表情になるとミーシャはほっと旨を撫で下ろし
「よかった・・・それはわたしが作ったチョコなんです・・・。」
「あ、テン。これはわたしが作ったの!食べて食べて!」
ソラがちょっといびつなハート型のチョコをお皿の中から取り出しテンの口元に運ぶ。
「ちょ、ミーシャが見てるよ・・・。」
テンは恥ずかしがるが、ミーシャはソラと同じくにこにこと笑って「気にしないでください」と一言。
「ア、アーン・・・モグモグ・・・・。」
「・・・どう?おいしい?」
テンの表情を探るソラ。
76 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/02/15 00:57:53 ID:NMOLEH8n
>>71 チョコを女性が想い人に送る習慣があるのは日本だけだす。世界的には世話になっ
た人同士で贈り物を贈り合うのが標準ぽい。
おのれ不二屋・・・ともかく、王女は時期的に思いが物凄く詰まった手作りの何か
(呪文の籠もった護符とか防寒着とか王子が良く使う日用品とか)を王子に送るの
では。親探しの経験から食ってすぐに無くなる物より長い間使って役立つ物を贈り
物に選びそう。
「・・・辛い・・・!」
「え・・・?」
「辛いよ!ソラ・・・!辛いっていうか苦い・・・!!」
「えーーーウソーーー?」
思いもよらない答えにソラは自分の作ったチョコレートをひとつつまみひとかじりする。
「・・ああ・・・辛い!・・・なんでー?ミーシャに教わった通りに作ったのにー・・・。」
なみだ目になるソラ。
おどおどとミーシャはソラの表情を見て、「あ、あの・・・。」と口を開く
「ひゃに・・・?」
舌がピリピリするのかうまく発音の出来ていないソラにミーシャが一言
「ソラ王女・・・もしかしてお料理・・・苦手なんですか?」
その言葉にソラはガクッとうなだれる。
落ち着いたテンがミーシャの問いに
「うん、ソラって何でも出来そうなんだけど実は料理が・・・。」
「・・・努力・・・してるもん・・・。」
ミーシャが部屋を去ると、ソラはお皿の中のチョコレートをひとつ、またひとつとかじって味を確かめる。
「・・・これも辛い・・・これは苦い・・・これはミーシャの・・・これは・・・。」
テンはその姿を見ながらこう言う
「ソラー。気持ちだけでうれしかったからさぁ・・・あんまり一度に食べるとお腹壊すよ?」
「・・・これは・・・ブツブツ・・・。」
テンの言葉が聞こえないくらい真剣にチョコを味見するソラ。
「ハァ・・・。せっかく二人っきりになれたってのに・・・。」
ちょっとだけ面白くない顔をするテン。
ベッドのコテンと横たわり、天井を見つめると
「・・・これは・・・!テン〜!」
トトトっと走り寄るソラ。
「・・・ん?」
上半身を起こしてソラの方を見ると、ソラがテンに勢いよく覆いかぶさり唇を塞ぐ。
「・・・んー!」
驚くテン。ソラは唇を離し開口一番
「これ!どう?」
「ど、どうって・・・ん?・・モグモグ・・・あ、甘い・・・。」
口移しで食べたチョコレートの味は以外にもミーシャの作ったチョコの味と見劣りしなかった。
「よかったー・・・1個だけみたいなの・・・上手に出来たのは・・・ごめんね・・・。」
テンに跨ったままソラが言うと、テンはソラの髪を優しく撫で
「ううん、おいしかった。・・・それにしても・・・今日は甘えん坊さんなんだね・・・。」
テンの一言にボっと顔を真っ赤にするソラ。
「だって・・・今日は・・・」
ソラはそこまで言うとテンの背中に手を回し、キスをする。
(・・・大好きな人に・・・気持ちを伝える日なんだもん・・・)
おわり
おまけ
「どうした?コリンズ。うれしそうだな?」「おう、親父。別に、なんでもねーよ。」
「そうか・・・ニヤニヤしやがって気持ち悪いなぁ・・・。」
(へん、ソラからチョコレートもらったなんて言えるかっての。
ソラのことはもう諦めたけど、プレゼントをもらうってのはやっぱ気分がいいよな。)
そう心の中でつぶやき、袋に入った小さなチョコレートを口に流し込むコリンズ。
「・・・ムグモグ・・・・・・・・。」
バタンッ
「!?!?コリンズ?コリンズー!!!おい、マリア!大変だ!!コリンズが!コリンズがーーー!!!!」
79 :
まい:05/02/15 03:53:48 ID:iMoM/Atb
誰かレヌール城の3Fの宝箱を取りに行く方法、教えて下さいm(__)m
>>78 そういえばソラが料理下手だって設定を忘れてた。
コリンズ南無('A`)
ペコ殿タイムリーなネタをお疲れ様。
とりあえず、コリンズ南無('A`)
ひ、ひでぇ…トドメさされた…コリンズ南無('A`)
殺人的に料理が下手という設定は私的にかなり萌える
お久しぶりです。前スレ763からの続きです。
―――――
伝説の勇者
おじいちゃんが、お父さんが、そして僕たちが探していた勇者様は僕だった。
世界が闇に包まれたとき、勇者が現れてその闇を払うという。
勇者は世界に1人だけ。
1人だけ。
1人だけ。
1人だけで世界を救わなければならない。
「テン、自分が勇者だって気づいてしまったのね。」
ドリスお姉ちゃんがそんなことを言った。
「知っていたの? ドリスお姉ちゃん。」
ソラがドリスお姉ちゃんに聞いた。
「あなた達は覚えていないでしょうけど、昔テンが天空の剣を持ったことがあったのよ。
このことはあなた達の両親が見つかってから教えるつもりだったわ。」
そうか、お姉ちゃんは知っていたのか。
僕は知らなかった。分からなかった。
自分が勇者であること、自分のなすべきことが。
僕はこれからどうしたらいいのかも分からない。
「テンは自分が勇者だってことにショックを受けているようね。
しばらくそっとしておいて上げましょう。」
ドリスお姉ちゃんの声が聞こえる。どこからだろう。隣の部屋か、下の階か。
僕は部屋に1人。
1人。
ひとり。
ひとりきり。
「お兄ちゃん、元気を出して欲しいの。」
僕の部屋にいつの間にかソラがいた。
駄目だソラ。僕の部屋に入っちゃいけない。
「ねえ、お兄ちゃん。みんなが探していた勇者様が見つかったのよ。」
駄目だソラ。僕に話しかけてはいけない。
「この調子でお父さんとお母さんも見つけちゃいましょうよ。」
駄目なんだソラ。もう、これ以上僕のそばに近寄らないでくれ。
「きっとすぐに見つかるの。だって、お兄ちゃんは伝説の勇者様なんだから。」
「うるさいな! 勇者じゃないソラに僕の気持ちが分かるのか!」
僕は何を言っているんだ。
「ごめんなさい……」
何でソラが謝るんだ。悪いのは僕なのに。
でも、これでいいんだ。これでもう、ソラは僕に関わらない。
あれからどれくらいの時間がたったろうか。
部屋のドアをノックする音が聞こえる。
「テン、入るよ。」
僕が返事をしないでいると、誰かが部屋に入ってきた。
ヘンリーさんだった。
ソラがラインハットまで行って連れて来たのか。
「話は聞いたよ。君が勇者だったんだね。」
そう、僕が勇者だよ。
「こんな形で勇者が現れるとはね。ずいぶん運命的なものを感じるよ。」
そう、運命だったんだよね。
「今の君を見て君の父親だったらどうするかな。」
……こんな姿の勇者を見て幻滅するだろうね。
「きっと、苦しんでいる君を見て自分も苦しむんだろうな。」
……。
「オレは君の父親じゃないから、君と一緒に苦しんでやることは出来ない。
それと同じように君も誰かに勇者を代わってもらうことは出来ないんだ。」
そうさ、勇者は世界で1人だけだからね。
「だけど、君には今でも一緒に苦しんでくれる人がいることを忘れちゃいけないよ。」
……。
「……」
勇者じゃない奴に僕の気持ちが分かるもんか。
「君の持つ天空の剣は君の祖父が君の父親に託したものだ。勇者を見つけ出すためにね。
勇者の見つかった今、その役目は果たした。今度は勇者の武器として働くことになる。
もし君が勇者としての役目を放棄すると言うのなら、その剣は必要ないだろう。
それなら天空の剣をオレにくれないか? 今の君よりは役に立てることができるから。」
……。
僕は天空の剣をヘンリーさんに渡した。
今日はここまでです。
遅ればせながらスレ立てありがとうございました。
この話の前に勇者絶望イベントを入れるべきだったか……
>>87 乙!
勇者の苦悩か…どんどんマイナス思考になっていく様が痛々しい…
89 :
てんあい:05/02/18 21:10:54 ID:hRVzVbw9
ども。第十三話です。
翼の欠けた天使たち 第十三話
アルカパから南西に位置するダンカンお祖父さんの住む村。今回は移動距離が長かったせいか、
ソラは少し疲れているようだ。
「じゅうたんで行けるのはここまでなんだ。あとちょっと歩かなきゃいけないけど大丈夫?」
「はい、だいじょうぶです。すらたん、がんばろうね!」
ピキィ!
スラたんはオレンジ色の体を震わせてソラに応える。
山道をしばらく歩いていくと、もくもくと立ち昇る湯煙が見えてくる。
「あ、おにいたんあれですね。おんせんのけむりだよ。」
同様にソラもそれを見つけたようだ。それまで疲れきっていた表情が一変し、そして駆け出す。
「いこ、すらたん! おにいたん、おいていきますよ!」
「ま、待ってよソラ…。」
ボクも慌ててあとを追う。追いついたときにはソラは村の入り口にいた。
「おそいですよぉ、おにいたん…。はやくおんせんはいろ!」
「駄目だよ、お祖父さんへの挨拶が先でしょ?」
「はい、そうでした…。」
ソラのはやる気持ちを抑えながらダンカンお祖父さんの住む家に向かう。
「なんだかひとがいっぱいいますよ…。」
「うん、何かあるみたいだね。」
豊かな自然に囲まれ普段は静かなこの村が今日は喧噪に包まれている。村人たちの忙しそうに
働く姿が村のあちこちで見られる。
「こんにちは。お久しぶりです。」
「おや、キミは確か親父さんのお孫さんだね。いらっしゃい。親父さん、お孫さんがお見えですよ。」
扉を開けてボクたちを出迎えてくれたのはお祖父さんのお弟子さんだった。
90 :
てんあい:05/02/18 21:12:14 ID:hRVzVbw9
「おぉテン、久しぶりだな。」
奥の方からお祖父さんが現れる。今ではすっかり体調も良くなったみたいだ。
「いや、しかし困ったな…。ワシたちもこれから秋祭りの準備に行かなければならなくてな…。」
「連絡しなくてごめんなさい。でもボクたちなら大丈夫だよ。温泉に行こうと思っていたんだ。」
「そうか、じゃあワシもなるべく早く帰るようにするからな。」
そう言うとお祖父さんとお弟子さんの二人は出かけていく。
「いってらっしゃーい!」
ソラは元気な声で二人を送り出す。
「じゃあ荷物を置かせてもらって温泉に行こうか?」
「うん!」
お母さんから聞いたことがある。この村では秋の収穫を祝って、一週間かけての秋祭りを行うと。
おそらく村中の住人がその準備に当たっているのだろう。温泉を管理しているはずの宿屋の人たちも
出払っている状態だった。
「誰もいないからお金はここにおいて置けばいいのかな…。」
無人のカウンターに三人分の料金を置き、温泉へと向かう。
脱いだ服をロッカーにしまい、女性用の更衣室の前でソラを待つ。
「ソラ、一人で脱げる?」
「はい、がんばります…。」
ボクの呼びかけにソラは答える。まだ服を脱ぐのに悪戦苦闘しているようだ。
それから五分ほどして服を脱ぎ終わったソラが現れる。
「ほらおにいたん、ひとりでできたよ。」
全裸のままのソラはボクを見て得意気に言う。ボクは思わず顔を逸らしてしまう。
「おにいたん…?」
「ソ、ソラ、裸のままだとちょっとボクが困るからタオルか何かで…。」
「ん? どして?」
ボクは持っていたバスタオルをソラの体に巻いてあげる。そのときあることに気がついた。
91 :
てんあい:05/02/18 21:13:59 ID:hRVzVbw9
「ソラ…、言い忘れてたけど、温泉ってボクたちだけで入るんじゃなくてみんなで入るものなんだ。
それにここは混浴って言って男の人も女の人も一緒に入るトコなんだけど…。」
「え…、おとこのこもいっしょなの…?」
「うん…。もしかしたらいないかもしれないけどね。」
「はい…。」
ボクも本当は誰もいないほうがいいんだけど、こればかりは仕方がない。
しかし、扉を開け温泉を見回してみると人はいない。湧き出す温泉の音がするだけだ。
そうか、村の人は総出で祭りの準備をしている。おそらく観光客もその祭りにあわせて来る人が
多いだろうし、今はそれが少ないときなのかも。
「よかった、ほら誰もいないよ。」
「はい、おにいたんとすらたんだけです。…あ、すらたんだめだよ。きれいにしてからだよ。」
「ほらうごいたらだめだよ、すらたん。」
ソラの手でオレンジ色の体が見る見る泡だらけになっていくスラたん。
ピ、ピキィ…。
そして桶に汲んであったお湯をスラたんの頭からかける。
「はい、もういいですよ。すらたんはさきにおんせんはいっててね。」
ようやく開放されたとばかりにスラたんは温泉へと飛び込む。
「おにいたん、こんどはぼくたちね。あらいっこしよ。」
座ったまま後ろを振り向き、ボクにスポンジを渡すソラ。
ソラの座るすぐ後ろにボクも腰を下ろす。目の前には白くて綺麗な肌のソラの小さな背中があった。
「にいたーん。」
催促するように体をくねくね動かすソラ。
「う、うん。今やるよ…。」
スポンジにボディーソープをとり、ソラの背中や腕を軽く擦ってみる。
「ん……あ……んうぅっ……ん……んー……。」
「こら、変な声出さないの。」
「だっておにいたんのくすぐったいんだもん…。」
92 :
てんあい:05/02/18 21:15:29 ID:hRVzVbw9
この体だからあんまり強く擦らないようにしたんだけど、ちょっと力を入れなさ過ぎたかな。
少し強めてもう一回。
「今度はどう?」
「はい、きもちいいです。」
「あとは…ソラ、前のほうは自分でやるよね…?」
「どうして? おにいたんにしてほしいの。おにいたんのほうむいたほうがいい? はい。」
「おにいたんのおせなかおおきいですね。すこしたいへんです。」
今度はソラがボクの後ろに回り背中を流してくれている。後ろからひょっこり顔を覗かせて、
「きもちいいですか、おにいたん?」
「あ、う、うん。」
「はい、おわりました。じゃあこんどはまえですね。」
そう言って今度はボクの前に回り込もうとする。慌ててそれを制して、
「だ、ダメだよ! 前は自分で洗うから! ね! ほ、ほらスラたん一人で退屈してるよ!」
「は、はい。…へんなおにいたん。」
ソラは怪訝な顔をしてスラたんのいる温泉へと歩き出す。ちょっとびっくりさせちゃったかな…。
残りを洗い終えてボクも温泉につかる。他の人がいないから今日はゆっくり入れるね。
「あ、おにいたん。すらたんはひとりであそんでてね。」
するとそれまでスラたんと遊んでいたソラが立ち上がり、無防備な姿のまま近づいてくる。
「おにいたん、おひざにのせてください。」
「あ…。」
ボクが答えるより早く、ソラは後ろ向きにボクの膝の上に腰を下ろし、体をボクに預けてくる。
今度はソラの体の柔らかな感触が直に伝わってくる。
「おかおがあかいですよ。おんせんあつい?」
ソラがボクの顔を見て言う。
「う、うん。」
もちろんボクの顔が赤くなっているのは温泉の温度せいじゃなくて…。
「きもちいいから…すこしおひるねします…。あがるときおこしてね…。」
「ソ、ソラ〜。」
93 :
てんあい:05/02/18 21:17:57 ID:hRVzVbw9
秋祭りは数日後に迫っているそうで準備は日が暮れるまで続けられていた。二人が帰ってきたのも
外が暗くなりだしてからだった。
賑やかな夕食も終わり、ソラをベッドに寝かしつけてからボクが居間に戻ると、
「じゃあ私、今日は早めに休まさせていただきます。テンくん、おやすみなさい。親父さん、
お孫さんとごゆっくり。」
「あ、おやすみなさい。」
お弟子さんは自分の部屋に戻り、扉を閉める。それを見てからボクはお祖父さんが座っている
向かい側の椅子に腰を下ろす。テーブルの上ではお弟子さんが淹れてくれたであろうお茶が湯気を
立てている。お祖父さんはお酒を飲みながら終始笑顔でとても機嫌がいいみたい。
「ソラはもう寝たのか?」
「うん。今日はちょっと疲れてたみたいですぐに寝ちゃったよ。」
昼間ボクたちが来たときはお祖父さんもソラには気がつかなかったらしい。お祖父さんが
帰ってきたあと、そのことを言うと最初は驚いていたけどすぐに受け入れてくれて、ソラも
お祖父さんには人見知りすることもなかった。
「そうか、二人のためにか…。本当にやさしいいい子だなソラは。」
「うん…。でもこのことでお父さんとお母さんに迷惑かけてしまって…。」
「心配するなテン。きっとあの二人ならやってくれるよ。それに子供のために親が頑張るのは
当然のことだ。親孝行はお前たちが大きくなってから沢山すればいい。」
「…うん。ありがとうお祖父さん。」
お祖父さんのその言葉でボクの胸のつかえが一つ取れたような気がした。
テーブルに置かれた冷めかけたお茶に口を付けるとお祖父さんが再び口を開く。
94 :
てんあい:05/02/18 21:19:18 ID:hRVzVbw9
「…ところで、今のソラはかなりの甘えん坊さんみたいだな。」
「え、うん…。でもお母さんじゃなくてボクに一番甘えてくるから少し大変なんだ。」
「はははっ! そんなことを言っても本当はソラが可愛くて仕方がないんだろう?」
「あ…うん、そうかもしれない…。…でも、ボクたちがあのくらいだった頃ってソラはもう
しっかり者で、むしろボクのほうがその後をついていくような感じだったと思うんだ。それなのに
今のソラはどうしてあんなに甘えん坊になったのかな、なんて時々思うんだ。」
ボクは手にしていたティーカップをソーサーに戻し、ソラが寝ている部屋に視線を移す。
視線を戻すと、お祖父さんは空になったグラスに再びお酒を注ぎ、それを一口含んだあと、ボクの
問いに答えるように語る。
「十年か…。四人で過ごせるようになったのはつい数年前のことだな…。生まれてすぐに両親と
離れ離れになりながら本当に立派に育ったな…。」
お祖父さんはまっすぐボクの目を見て更に続ける。
「…だがワシは二人がそのことで無理をしていたのでは、と思っていてな。普通の子供だったら
しなくてもいいような苦労もしただろうし、本当の自分を出せずにいたのか、とな…。」
そう言うお祖父さんの顔は辛そうにも見えた。
そうか…。本当のソラって…。
「ボクは無理なんてしてないよ。グランバニアの人たちも良くしてくれたし…。…ただソラは、
ソラはきっと無理したんだと思う。小さい頃からお父さんとお母さんを探しに行くんだって言ってて、
自分がしっかりしなくちゃって考えていたと思うんだ…。」
「そうか…。はははっ、じゃあ今は思う存分テンに甘えられるということだな。」
「そうかもね…。」
…ボクが頼りなかったからソラに負担をかけてしまったのかもしれない。
本当のキミはあんなにも甘えん坊さんだったんだね…。
95 :
てんあい:05/02/18 21:21:31 ID:hRVzVbw9
そのとき、ソラが寝ている部屋の扉が開く。ソラは眠い目をこすりながら居間へ来る。
「にいたん…まだねないの…?」
「おっと起こしてしまったな。さてワシたちもそろそろ寝るとするか。テン、ソラおやすみ。」
言ってお祖父さんも自室に戻っていく。
ボクもソラを連れて部屋に戻り、二人で同じベッドに入る。
「なんのおはなししてたの…?」
「ん? ソラはいい子だなって二人で話してたんだよ。おやすみソラ…。」
翌日、ソラの希望でもう一度温泉に入った。正午を過ぎた頃、お祖父さんの家に戻り、
グランバニアに帰る仕度をしているとき、お祖父さんとお弟子さんの二人が帰ってくる。
「…そうか、もう帰ってしまうのか。残念だな、あと少しで秋祭りも始まるんだが…。」
「うん…。でも今度はお父さんとお母さんと四人で遊びにくるから!」
「そうだな。じゃあ二人によろしくな。」
「はい、どうもお世話になりました。」
二人は見えなくなるまでボクたちを見送ってくれていた。
96 :
てんあい:05/02/18 21:22:38 ID:hRVzVbw9
「すらたん、あんまりそっちにいくとうみにおちちゃうよ?」
グランバニアへの帰路。魔法のじゅうたんで海を渡っている。ボクはじゅうたんの上で仰向けに
なり空を眺めていた。かつてボクたちが取り戻した真っ青な天空を…。
「おにいたん、なにしてるの?」
突然、目の前にソラの顔が現れる。
「うん? 空を見てたんだよ。」
「ぼく…?」
「あはは。ソラじゃなくて空。青い空を見てたんだよ。」
「じゃあぼくもいっしょにみる!」
ボクの隣にソラは同じように仰向けになる。
今回世界を旅して思ったことがあるんだ。お父さんやお母さんだけでなくこの世界の人々の幸せは
ボクが守るんだ。今はまだそんな力はないけどきっといつか…!
そしてこれからもずっとこの青空であり続けてほしい。
でもそんな願いも虚しく、世界には魔の影が迫っていたんだ…。
第十三話終わりです。
>>87 勇者になることから逃げた王子がどう立ち直るのか
これからの展開に期待大
>>96 まさに浴場だけに欲情、ついに敵登場?
98 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/02/19 00:50:07 ID:EUVFYHJD
幼いソラたんの裸で邪な考えを抱いてしまうお年頃(思春期)なテンたん。若いっ
て良いッス。
ps
ボディーソープとスポンジより、お祖父さんから渡された手ぬぐい(タオル)と石
鹸にしたほうがDQの世界背景にマッチするとワスは重い鱒。
DQの近親相姦設定(提案)
血縁関係を広げることが出来ないので誉められた物ではないが特に禁止というわけ
ではない(現実と違いDQ世界では近親相姦での遺伝子疾患が起こらない)。
現実同様、生まれてくる子供が遺伝子疾患を負う可能性が格段に上がるため完全禁
止。
神か世界に選ばれた勇者は別口(勇者以外の者達の近親相姦でもうけた子供は遺伝
子疾患を負いやすいが、勇者の子供だけはどんな相手でも100%健康体)
一番上の設定にしておけば一番丸く収まりますな。
天空パワーで無問題か
近親相姦うけつけない俺にこのスレの住人の資格はありますか? いや、割とマジに切実に。
ふたりの仲がいいのはいっこうに構わないんですが、恋人関係までいっちまうとなあ……。orz
あくまで個人の単なる趣味嗜好の話なんで近親相姦否定するつもりは毛頭ありません。スレ汚しだったらごめんなさい。
お詫びと言っちゃ何ですが、近親相姦ネタで思いついた即興SS投下。
(参考:前スレ
>>575。ファミ通文庫『三月、七日。〜その後のハナシ〜』/森崎ビンゴ)
「……ソラは、テンのことが好きなの?」
お母さんの言葉に、驚いて顔を上げる。彼女がいう「好き」の意味は――――
「いいのよ、隠さなくて。あなた達のことをわかってやれないでなにが親なものですか。リュカもあたしも、とっくにわかってた」
ただそうか、と思った。自分では本心などかくしてごく自然に振る舞っているつもりだったのだけれど、とっくに見透かされていたのか。
でも、少し楽になったような気がする。隠しごとの重荷が減った。お母さんのやさしい言葉が、減らしてくれた。
「これはふたりがどうにかしなくちゃいけない問題だから、あたしたちがどうこう口を出す権利はないわ。……だからね、ソラ」
お母さんはわたしの頬に手をあてる。これはテンにも言ったことなんだけど、とわたしをみつめて、言葉を続ける。
「あたしたちは、ふたりがどんな関係になっても文句は言わない。人として良くない道だとしても、たくさんの人が傷ついてしまう、自分たちも傷ついてしまう道だとしても、それがあなた達ふたりにとって正しい道だと信じたのなら、それを行きなさい」
「それは、いやだよ。誰かが傷つくのはいや。テンが傷つくのはいやだよ」
そう、それが、いやだった。いくら考えても最後に行き着くのがここだった。
周りを傷つけてわたし達は平気なままでいられるものか。周りを傷つけた後の責任をとる術など、どこに持ち合わせているものか。
「テンも、そう言ったわ」
お母さんは微笑みながら言う。
「テンが?」
「うん、ソラのことだけは傷つけたくないんだって」
目を見開いたままなにも言えなかった。テンも自分と同じことに悩み続けていたのだろうか。
「……あなたとテンがどんな気持ちでいるか、端から見ていてよくわかる。でもね、あたしはあなた達の言葉を信じてる。
この先あなた達がどんな結論を出そうとも、あなた達が出す結論だからこそ、きっと大丈夫だと思う。
だから、あなたはあなたのやりたいことを、やりたいようにやってほしい」
涙がこぼれそうだった。なにも言葉にすることができず、ただ、何度もうなずいた。
ひとりで悩んで抱え込んで、誰にも伝えられなかった。自分ひとりでどうにかしなきゃいけないと考えていた。
でも、こうしてわたしを見守ってくれている人がいる。わたしがなにも言わなくても、理解して、感じて、そしてあたたかかく、見ていてくれる――――
――――それが、どれほどの救いであることか。
ありがとう、と微笑んで、お母さんの元を後にした。
やりたいことを、やりたいように。お母さんのその言葉は、ただ真っ直ぐにわたしの迷いの真ん中を貫通した。
わたしのやりたいことは、なんだろう? わたしの迷いは、どうすればはれるんだろう?
肝心なことはただそれだけ。わたし達が選ぶ道の先になにがあるかなんて、大した問題じゃなかった。
テンを求めて、周りを傷つける。周りを気遣って、テンへの想いを犠牲にする。いつのまにか、そんな二者択一を突きつけられているつもりになっていた。
違うんだ。そんなものよりももっと別の道を選んだっていい。開き直って、やりたいようにしてしまえばいいだけだった。
そうして選んだ道は、きっと間違ってはいないのだから。
わたしはテンのことが好き。いまさら好きでなくなるなんて、意識したってできっこない。
だったら好きでいよう。
ずっと好きでいよう。
好きでいて、結ばれないままずっと好きでいて、何十年もずっと好きでいて、それで――
自慢、できたらいいなと思う。
自分の子供や孫に、たくさんたくさん伝えることができたなら、きっと――
悪いことだとかいけないことだとか、ひとりで悩むのはこれで終わりにしよう。
テンへの想いを犠牲にする必要なんかどこにもなかったのだから。今はただ自分のやりたいがままに。
夜、星空をみあげてふたりきり。
肩を並べて、これと言った会話はない。でも今までのような緊張もどこにもない。
しばらくしてぽつりと、テンが口を開いた。
「好きな人がいるんだ」
「うん」
「でもその人を忘れたかった。どうしてもその人を意識して、気が気じゃなかった」
「今は、違うの?」
「わかんない。よくわかんないけど、でも今までよりは普通にしたいと思ってる」
こうしてテンが自分の気持ちを明らかにするのは初めてだった。
わたしとは別のところで、テンはテンで変化を迎えて、わたしとは違った形での道を歩こうとしている。
少しさびしい気がするけれど、どこかうれしくもあった。
わたしの気持ちがどうであれ、テンの気持ちがどうであれ、ふたりが普通に接することのできる関係のほうがいいに決まってる。
「……ソラは、ソラはどうなのさ?」
「わたしもね、好きな人がいるよ。その人のことばっかり考えて、気が気じゃなかった。その人を忘れようとも思ったし、
周り全部捨ててその人と一緒になりたいとも思った」
一緒になりたい、のところでテンは肩を震わせた。
わたしはテンに向き直って、言葉を続ける。
「でも、わたしとその人は……一緒にはなれないから」
周りの人を傷つけることはできない。お互いが傷つく道も選べない。
「忘れるの? その人のこと……」
さびしそうにテンはわたしに尋ねた。首を横に振って、わたしは続けた。
「忘れないよ。ずっと、その人のことを好きでいる」
「好きでいるって……」
不思議そうにテンはわたしを見る。
「忘れたりしなくても、無理して意識しなくてもいいと思うんだ。その人のことがずっと好きで、何年も好きで、
他に好きな人ができてもやっぱりずっと好きで……それでね、おばあちゃんになったらね、孫に自慢するの。
わたしは何十年もずっと好きだった人がいたんだよ、って」
テンはなにも言わなかった。
なにも言わずにわたしを見て、微笑んで、少しうつむいて、それからまたわたしを見て。
「なんだか、いいね。それ……」
と言った。
でしょう? とわたしも微笑を返す。
「好きだよ、テン」
「ぼくも、ソラを好きだよ」
空にはきらめく天河の星。かすかに瞬く光のもと、静寂(しじま)の中で見つめあうわたし達。
胸に抱く一片の想い。それを言の葉にして、それぞれの道への、旅立ちの祝詞と添えて――――
ありゃ。名前欄に履歴が残ってなかった
>>100-103が俺の投下分のSSになります。
>>8>>9 大変亀レスで申し訳ありません。あんなスレ埋めに投げ捨てたネタなんぞに反応をくださって本当にありがとうございます。
ちょこちょこ書いているのですが、正直かなり時間がかかりそうです。
>>100 自分も兄妹以上恋人未満のびみょーなのが好きだから一線越えるのはあんまり好きじゃないかな。
前スレの続きネタ待ちです
>えちいのはエロパロ板に【ドラゴンクエスト官能小説1〜8】があるのでそちら に。
>子供も見ているので大人は自分で探しましょう。
とりあえず兄弟以上恋人未満な関係イイ(・∀・)
>>86からの続き
「どうしよう。お兄ちゃんが、お兄ちゃんが……」
ソラの声が聞こえる。
今にも泣き出しそうな声だ。
ひょっとしたら、もう泣いているのかも知れない。
「テンはかなり重症のようだ。もしかしたらもう治らないかもしれない。
これは勇者抜きで魔王を倒す方法を本気で考えなきゃならないかもな。」
「そんな……私が勇者に変わってあげることさえできたら……」
「テンが勇者であるという事実を替えることは誰にもできないよ。
この問題はテン自身で乗り越えるしかないんだ。」
「私には何もできないの? お兄ちゃんを助けることはできないの……」
「ソラにもテンにしてやれることがひとつだけあるよ。」
「……それは、何なの……?」
「それはテンを信じてやることさ。
テンが運命を受け入れ、乗り越えることができると信じ続けることだよ。」
何も考えたくない。
何も感じたくない。
自分が勇者であることを忘れたい。
ソラはこんな僕のことを信じられるのだろうか。
ずっと信じ続けるのだろうか。
恐い。
僕がソラを裏切ってしまうことが恐い。
何も考えたくない。
何も感じたくない。
ソラが僕を信じ続けることを忘れたい。
再び長い時間が過ぎた。
僕はいつまでも部屋の壁を眺めている。
外からは兵士のピピンとドリスお姉ちゃんの会話が聞こえる。
「ドリス様、テン様はまだあんな調子なのですか?」
「ええ。部屋から出ようともしないわ。
テンは勇者であるという重圧を1人で抱え込んでしまっている。」
聞きたくない。
どうしてみんな僕のことを放って置いてくれないんだ。
「ソラ様も元気がないようですね。」
「ソラの場合はテンが落ち込んでいることが原因ね。」
「無理もありませんよね。強くなったと言っても、テン様もソラ様もまだ幼いですから。」
「そうね。今の2人にとってこの運命は過酷なものなのかもしれないわ。」
「せめて今の年齢の倍くらいの歳になっていればよかったんですけどね。」
「倍の歳か……そうね。それは使えるかもしれないわ。
ねぇピピン、ここへソラを呼んできてちょうだい。」
「ドリスお姉ちゃん、何か用なの?」
「ソラが落ち込んでいるようだから、少し励ましてあげようと思ってね。」
「私はいいよ。それよりお兄ちゃんを……」
「私の話をね、まずはソラに聞いて欲しいのよ。聞いてくれる?」
「……わかりました。」
「私が話そうとしているのはね、前の勇者様の話よ。」
「前の勇者様?」
「そう。ソラも知っていると思うけど、テンの前にも昔勇者と呼ばれた人がいたわ。」
「うん。その話なら知っているよ。テルパドールにお墓がある勇者さまでしょう。」
「よく知っているわね。文献によるとその勇者様が活躍したのは17歳のときらしいわ。
17歳と言うと、ちょうど今のテンの倍くらいの年齢ね。」
「お兄ちゃんは前の勇者様の半分の歳で勇者という運命を背負わきゃならないのね……」
「そうね。でもそれは勇者様が1人の場合でしょう?」
「……1人の場合? でも、勇者様は一人だけだよ。」
「テンは1人じゃないわ。生まれたときから、いいえ生まれる前から2人だった。
2人なら半分の年齢でも運命を背負うことができるんじゃないかしら。」
「……2人……それって、私のこと……」
「テンが勇者になることも今の年齢で勇者に目覚めることも運命だったかもしれない。
でも、神様はテンがこの運命を乗り切る方法も用意してくれていたんだわ。」
「それが、私……」
「そう。テンが勇者であるように、ソラもテンを助けるという運命を背負っているのよ。
昔の勇者様にも勇者を助けるという運命を持った多くの仲間がいたそうよ。
……ソラは、テンを助けると言う運命を背負うことは嫌かしら?」
「そんなことない。そんなことないよ……」
僕の頭の中に何かが蘇ってくる。
僕の心に中にあったずっと昔の記憶だ。
僕はお城の中で遊んでいた。
「ソラこっちだよ。」
僕はソラを連れて王座の間に入る。
「待ってよ、ピピンお兄ちゃん。」
このころ僕たちはピピンを遊び相手にしていたんだっけ。
「うーん、うーん。駄目だ。この剣は持てないや。」
「僕にも貸してよ。」
「こんな重いもの、テンに持てるわけないだろ。」
僕は天空の剣を持ち上げた。
「お兄ちゃんすごーい!」
「おお、すげー!」
「こら! あなたたち何をしているの!」
「うわっ! 見つかった。」
「見て、ドリスお姉ちゃん。かっこいいでしょー。」
「……! テン、どうしてあなたがその剣を持つことができるのよ……」
ドリスお姉ちゃんとサンチョとオジロンさんが神妙な顔つきをしている。
「……まさかテンが伝説の勇者様だったとはね。」
「うっ、うっ。このことを坊ちゃんが知ったらどんなに喜ぶことか……」
「そう喜んでいる場合じゃないわよ。……魔物が勇者の命を狙っているわ。」
「……そうだったな。」
「テンだけじゃないわ。ソラにとってもこれは危険な状況なのよ。
昔の勇者様の場合、魔物が勇者様の命を狙って村を滅ぼしたって話よ。
……そのとき勇者様と兄妹同然に育った女の子が勇者様の身代わりになったそうよ。」
「ドリス! なんてことを!」
「おやめくださいドリス様!」
「これは私たちが覚えておかなければならないことよ。そんなことをさせないために。
だからこのことは絶対に外に漏らしてはならない。ピピンと言ったわね。あなたもよ。」
ドリスお姉ちゃんが僕とソラをぎゅっと抱きしめた。
「絶対にそんな思いはさせないわ。テンにも、ソラにも、絶対にね。」
ドリスお姉ちゃんとサンチョが何かを話し合っている。
「これからはテンとソラに、護身術に加えてより実践的な戦いを訓練させるべきよ。」
「しかし、ドリス様。2人にはまだ早すぎますよ。」
「サンチョさん、魔物は待ってくれないわ。2人には自分を守る強さを持って欲しい。
私は近い将来に2人に旅をさせたいと思っているわ。旅は人を強くするからね。」
「そんな、危険過ぎます!」
「危険は承知の上です。私は2人を守る力が欲しい。これからは私も武術を習います。」
あれ以来、ピピンは僕たちと遊んでくれない。ピピンはずっと剣を振っている。
「あらあら、どうしたんだろうねこの子は。
兵士になる夢なんて、とっくにあきらめたと思っていたのに。」
ピピンのお母さんがそんなことを言った。
「どんな強い魔物が襲ってきても、僕が二人を守ってやるからな。」
ピピンは僕とソラに向かってそう言った。
「アンタがそんなにがんばらなくても、勇者様が現れて魔物をやっつけてくれるさ。」
ピピンのお母さんはそう言ってアハハと笑った。
オジロンさんとドリスお姉ちゃんが会話している。
「思えば私たちはずいぶん勇者に振り回されたもんだな。」
「パパ、言葉のわりにはうれしそうじゃない?」
「そうか? そうかもしれないな。勇者様は兄さんがずっと探していた人だからな。
兄さんの奥方のマーサさんがさらわれて、兄さんは幼子を連れて勇者様を探す旅に出た。
その後、兄さんがその思いを半ばにして亡くなったと聞いたときは運命を呪ったものだ。
しかし、こんな形で勇者が現れるとは。兄さんのやったことは無駄じゃなかったんだ。
確かに兄さんに課せられた運命は過酷なものだった。まるで暗い地の底のようにな。
しかし、そんな地の底のような運命にも遥か天空から希望の光が差し込んでいたんだ。」
男の人と女の人が2人の赤ん坊を抱きかかえている。
「テンとソラ。ちょっと変わってるけどステキな名前ね。」
「2人には多くの人から愛される子になって欲しいんだ。
そして、この子達も多くの人を愛して欲しい。
誰に対しても天の太陽が日の光を注ぎ、
空の雲が恵みの雨を与えてくれるように。」
光。
地上の人々にとって、勇者は希望の光。
じゃあ、勇者である僕にとっての光は……
「お兄ちゃん。」
「……ソラ。」
僕の部屋にいつの間にかソラがいた。
「私、信じているから、お兄ちゃんが自分で立ち上がることを。
私は勇者じゃないし、勇者を変わってあげることはできない。
だけど、私にもお兄ちゃんを助けることはできるから。」
僕は馬鹿だ。
勇者はこの世に1人だけ。
だけど、僕は1人じゃなかった。
こんなことにも気がつかないなんて……
「ソラ。こんな僕にでも、手を貸してくれるかい?」
僕はヘンリーさんの前にいた。
「ヘンリーさん、お願いがあります。天空の剣を僕にください。」
「テン、この剣は君の祖父が君の父親に託した剣だ。君には重過ぎるんじゃないかな?」
「大丈夫です。どんなに重くても、ソラが、みんなが支えてくれるから。」
「……いい答えだ。昔のあいつのようだ。どうやら完全に立ち直ったみたいだな。
オレもこの剣の有効利用法を思いついたよ。それは君が持つことだよ、テン。」
ヘンリーさんは天空の剣を僕に手渡した。
僕は自分の手の中に心地よい重さを感じた。
僕は天空の剣を装備した。
――伝説の勇者 完
今日はここまでです。
思いつきで作風と違うものを各門ではないと思った。
次回からはもう少しおき楽なテンに戻るでしょう。
話としてはここで終わっておいたほうがキレイなのかもしれないけれど。
いやいやGJっす!!
ソラだけでなくドリスやピピンまで勇者のため励んでるのには熱くなった
「励ます」って大変ですよね。下手に励ましても逆効果かもしれないし。
それに言葉も一個一個丁寧に選ばないといけないし。
自分の意思で天空の剣をとったテン、いいね。
双子とW勇者とシンシア、なるほど言われてみれば少しかぶる。
保守
ほす
120 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/01 19:01:05 ID:n/zpxoob
神を求めて登るとするか。
3月といえばひな祭り、ひな祭りネタ書いてくれる人いないかな
王子 王女
ギガンテス キラーマシン グレイドラゴン
メタスラ ホイスラ スライム しびれくらげ はぐメタ
・・・さしずめ、こんなひな段になるのか?
>>122 いかついモンスターに囲まれてちんまり並べられてる二人を想像して萌えた
>>122を参考にしてタバサがレックスに頼みこんで
ひな祭りのお内裏様の役をやってもらって、ひな壇の最上段で二人仲良く座る・・・
みたいな構成のSSを考えてたんですがねぇ・・・もう最近は文章が浮かばないです・・・。
もうだめぽ|||○| ̄|_ 他の人にバトンタッチ!
そもそもドラクエ世界にひな祭り自体が似合わない……。
SSにするんならかなりの文章力がいると思われ。
テンソラが和服着るってシチュならまだいいけどひな壇まで出てきたらちょっともにょる。
ちょっとひな祭りネタを思いついたのでかいてみました
今日、3月3日。わたし達はゆうじいのお誘いを受けて名産品博物館までやって来ました。
なんでもゆうじいが、倉庫を散策していた時にすごく面白いものを見つけたという話です。
「面白いものってなんなんだろうな〜」
お兄ちゃんは博物館に入る前からきらきらと目を輝かせ楽しみにしています。
わたしは、というと実のところあまり楽しみにしていません。
倉庫の奥にあったような凄い名産品なんて、どう考えても怖いものに思えるからです。
名産品の中にはパパスお祖父さまとマーサお祖母さまとの思い出のロケットや
ヘンリーさんとマリアさんの結婚をお祝いしたオルゴールをはじめ
とても綺麗ですてきなものも多いけど、それと同じくらい見るのも嫌な怖いものもたくさん。
わたしはどうか怖いものじゃありませんように、と願いつつ博物館の扉をくぐりました。
博物館の中に入ったわたし達はミミさんに案内されて三階の特別展示室に入りました。
展示室に入った瞬間、わたしは目の前に展示された「それ」に釘付けになりました。
「それ」は綺麗に装飾されたちいさな階段に、おなじく綺麗に装飾されたちいさな人形たちが座ってるものでした。
人形に着せられた衣装はキレイだけど変わっていていままで見たことないものでした。
「おうおう、よく来てくれたのおー、これが見せたいものじゃ。どうじゃ綺麗じゃろう?」
ゆうじいがそう言うとお父さんとお母さんが「ええ」とうなずきます。
でもお兄ちゃんは少し不満そうにぶーとうなだれて不満そう。
「えー!ゆうじい、見せたいものってこれ?」
「そうじゃよ、これは異国で女の子を祝う祭り使う祭具でのお、この階段のようなものをひな壇、人形をひな人形と言う」
女の子を祝うためのお人形・・・それを聞いてわたしは少しうれしくなりました。
わたしも女の子だから自分を祝ってもらえるような気がして。
「それでのう、これをそっちのお嬢ちゃんにあげようと思うんじゃがどうじゃ?」
びっくりです、まさか本当にわたしのためにお祝い道具だったなんて。
「いいんですか、ゆうじい。こんな高価そうなものをうちの娘に」
「いいんじゃよ、こういうものは倉庫に埋もれておかすよりふさわしい人に持たすものじゃ」
グランバニアに帰るとすぐに広間にひな人形を飾りました。
わたしのためのお人形、それが嬉しくて夜が更けるまでずっとお人形をながめていました。
このひな壇の一番最上段の男の人と女の人のようにわたしもお兄ちゃんと・・・
「あら、まだ見ていたの?もう夜も遅いわよ」
ひな壇の前にいたわたしのところへお母さんがやってきました。
言われてみて気づいてみれば、もう日が変わる時刻でした。
「うん、わたしはもう少し見てるからお母さんは先に寝てて」
「ふふふ、本当にそのお人形が好きなのね。でも時間が時間だからそろそろお開きにした方がいいかもしれないわ
3日を過ぎてひな人形を片付け忘れると、結婚するのがそれだけ遅くなるおまじないがあるってゆうじいが・・・」
「ええーー!?お、お母さん早く!いますぐ!ひな人形片付けてーーー!」
−おしまい−
ゆうじい・・・すっかり忘れてた。
そっか、名産品扱いっていう設定もありか・・・。
GJ!
パパンとしては嫁に行き遅れてくれた方が嬉しいところだ
130 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/04 02:23:53 ID:Wq3fWIWB
DQ世界の日付が変わる時刻って・・・機械時計が有るとは思えないのでひょっとして
夜明け?
それはさておき、キャラ・話の展開・長さ、10点(10点満点中)です!!
FF攻略の総合質問がマイクロソフトに
DQ世界の文明レベルは結構謎だな、メガネや気球はあるらしいが
133 :
100:05/03/07 21:36:03 ID:cE/6l/0K
『空の断章 〜かなしい夢のすてきな見方〜』
――――夢を、見ている。
そこは天界。竜の神が治める城、天空に浮かぶ城。
純白の雲が輝いている。
空を駆ける城、光放つ雲に包まれて。
そこは生命と誇りと喜びに満ちていた。そこは平和と希望にあふれていた。
城は、人々に美しい光を注ぎかけながら世界を巡る。
だけど、終わりは唐突に。
ある時、竜の神が長い眠りについたその隙を邪悪なものたちに狙われた。
城を浮かべていたふたつの天の宝、金と銀の宝玉。その片割れ、金の宝玉が地上に落ちた。
不在の神に助けを求めることはできず。人々はそれでも城を制御しようとした。
しかし今にも落ちそうな状況に変わりはなく、眠りについた竜はどことも知れず。
人々は地上に散った。竜を捜すために大勢の人々が城から去った。だけどみなそれきり、神も地上から戻らないままだった。
とある湖の上空へ城は運ばれた。
城に残った数少ない人々、彼らの最後の力が城をここまで導いた。あとは地上の目に触れぬよう湖の底へと沈めるだけ。
疲れ果てた人々。その中に、生まれたばかりの赤子を抱いたひとりの女性がいた。
この子は水に沈めるには忍びない、だから地上の人々に預けにいくと彼女は言う。
彼女の父は反対した。「お前もひどく疲れきっているではないか。そんな弱った体で地上への旅をすれば、二度と戻ってこられないぞ」。
娘の決意は固かった。赤子には、再び城が浮かぶその時までの、長い眠りにつく力はないのだから。
父の制止を振り切って、彼女は地上に降りた。戻ってこられないコトは承知の上。
だから、そこにあるのは祈りだけ。ただ、母として。娘の幸せを――――
134 :
100:05/03/07 21:37:09 ID:cE/6l/0K
大魔王が倒れたその後。
リュカたちの帰還やオジロンの正式引退を祝う宴が続き、それに伴って、いくつかの儀礼的な式典も行われた。
もちろんそれらの行事にはテンとソラも王族として参加しなければならず、子供である彼らも忙しい毎日を送った。
数ヶ月が経ち、それらのことも落ち着いて。
人々はすっかり平穏に慣れた頃。
「ビアンカ、大丈夫?」
ある日の早朝、ベッドの上。妻の傍らでリュカは尋ねた。
「なにが?」
「なんだか、元気がないみたい」
「ちょっと、眠れなかったかな」
「具合が悪いのなら――――」
「本当に大丈夫よ。寝つきが悪かった日だってたまにはあるでしょう」
そんなふうにごまかして、あたしは後から行くから先に朝食に行っててとビアンカは夫を追い立てた。
「本当に大丈夫、なんだけどねえ……」
ひとり残ったビアンカはひとりごちる。
「なんでいまさら天空城の夢なんか――――」
夢を見た。天空人の、女のひとの夢だ。
夢は夢、ただの夢でしかないはずだ。ビアンカは天空人ではあるが、天空城に住んでいた記憶なんて持っていない。
だけど、夢の中にいた、赤ちゃんを抱いた女のひとのことが気になって気になって仕方がなかった。
赤子を抱いて地上に降りたという天空人――――それは、きっと。
「――――お母さん、か」
ビアンカにとって自身の両親は、ダンカンと死んだマグダレーナ、養父母であるこのふたりだけだと今でも思っている。
自分を本当の娘のように育ててくれたふたりの思いでが、この胸に鮮明に色づいている。
そしてその思いでの中に、ビアンカを産んだ実母の姿は存在しない。
――――あのひとは、いいお母さんだったんだ。
だから、他人事のようにそんなことを思った。夢の中のあのひと。記憶にない実母の姿。
そんなふうにビアンカは生まれてはじめて、実母を想う。
135 :
100:05/03/07 21:40:22 ID:cE/6l/0K
――――あなたが抱いていた赤ちゃんは今、こうしてあなたと同じ「母」をやっています。
名も知らぬ母へと語りかける。もちろん、目の前に母はいない。記憶の中にも思いでの中にも母はいない。
だから、そこにあるのは祈りだけ。
空の向こうに思いをはせる。
あたしが幸福に暮らしているのをご存じでしょうか――――
ソラは寝ぼけ眼で目を覚ました。二度寝の誘惑と戦う事数分間、撃退成功、目じりをこすりながら起きあがる。
ベッドから降りた。そしてはじめに行うのはシーツの手直し。
「王女様、起きていらっしゃいますか?」
その途中、扉の向こうから女性の声。ソラを起こしに来た召使いの声だった。
毎朝、朝食の準備に調理場へ行く途中で起こしにきてくれている。
寝具を整えているソラをみて、王女様がそんなことなさる必要はありませんのに、というのはいつものこと。
「すいません、つい、こういう事は自分でやろうとするのが習慣になっていて……」
ソラが召使いに対して敬語をつかい、それを召使いに恐縮されるのもいつものこと。
旅の途中で身に付いた習慣が全然抜けないままでいた。野宿の用意ひとつにしても、全員それぞれがやるべき事をやっていたあの頃。
早起きもそう、寝具の始末もそう。
それに身分を楯に威張ろうなんて思惑も微塵もなく、例え相手の身分がどうであれ、大人、年上に対しては必ず敬語を使う。
もっともそれを悪いことだとはソラは思っていなかった。だからその習慣を直そうとは微塵も思っていない。
この先、大人になっていくにつれてそうも言ってられなくなるのはわかっているのだけれど。
そんなソラは今、ベッドメイクが召使いほどうまくできないなんてことに悩んでいる。
旅籠の娘として育った母、ビアンカはこういった雑事がとても上手かった。召使いに頼らずとも簡単にこなしてしまう。
曰く、「王妃さまっていったって、つまりは、すごく大きな旅館のおかみさんみたいなもんよね」。
長年石化していた彼女。10年近くも赤ん坊の自分たちを育てることができず、感覚のズレがあるのか未だソラや双子のテンを今の年齢以下の子供として扱うフシがたまにある。
それは仕方のないことだけど、あのおてんばな気性で年齢不相応に子供扱いされるのは結構うるさいものだった。
136 :
100:05/03/07 21:42:09 ID:cE/6l/0K
そんな彼女を鼻をあかしてやるために、彼女以上の手際でもって寝具の手直しをこなしたかった。だけどまだまだ先は遠いよう。うんざりしたようにため息をついた。
着替えを済ませた。部屋を出る。
廊下を歩きながら、ソラは思う。まさか寝具の手直しなんかを気にするようになるなんて。
それは、違った。ただ、何かを気にしていたいだけ。本心から母を煩わしくなんて思うわけがない。
ずっとずっと、心の奥底に燻っているものがある。戻りたがっているのだ。この平坦な日常から、あの起伏に富んだ旅路へと。
そんな自分が、ソラは嫌いだ。それはまるで、この平和が無くなればいいと言ってるように感ぜられて。
父やヘンリー王が嘗めてきた辛酸を思えば、こんな思いは抱いてはいけないはずなのに。
それでも、この尊いはずの平和を忌避している自分は、なんて――――
考え事のせいで足が止まっていることに気づいた。自己嫌悪を振り払うように頭を振った。
気を取り直して歩みを再開する。
廊下をめぐり、辿り着いたのは食堂ではなく、兵士の鍛錬場である広い土間。入り口からのぞくそこは、兵士の姿の未だない、寒々しいほどに静かな空間。
その中、剣の打ち込み用の木人形の前で、ソラの双子の兄であるひとりの少年が大の字に寝ころんでいた。顔は汗に濡れ、息も荒く胸が大きく上下している。
「おはよう、テン。もうすぐ朝ご飯だよ」
歩み寄って、声をかける。
「ん……、おはよう、ソラ」
返事が返る。上体が起きる。
「毎日、よく続くね?」
「なにさ、続かないと思ってたの?」
「うん、続かないと思ってた」
ひどいなあ、と朗らかにテンは笑う。そして「ああ疲れた」と起こした上体をばたりと倒してまた大の字に寝ころんだ。
いいなあ、テンは。旅路を経て、テンは変わったとソラは思う。以前なら、この時間にはまだグースカ寝ていただろうに。
今では召使いよりも早起きで、こうしてひとり、毎朝体を鍛えている。
なぜそんなことをするのか、と問うたことはない。
戦士としての父の強さに憧れているのもあるだろうし、勇者としての使命感というのもあるのだろうと一応見当をつけてはいる。
137 :
100:05/03/07 21:43:44 ID:cE/6l/0K
あ。
物思いに耽ってしまっていたことに気づいた。テンが自分のことを不審がっていないだろうかと気になった。
あわててテンを見る。しかしテンはソラを気にした様子はない。見ればいつのまに寝入ってしまったのか、すーすーと寝息が聞こえる。
はあ、とため息をつく。なんかひとりで悩む自分がおかしかった。そして悩みなんてない、といわんばかりのテンの姿がだんだん憎らしくなっていく。
この脳天気なところは全然変わっていなくて、そして微笑ましかった。
――――おきろ、テンのばか。朝ご飯だってば。
父のリュカ、母のビアンカに朝のあいさつを交わして朝食をとる。いつもと変わらぬ風景はいつもと変わらず平和を感じさせてくれる。
そんな中ソラは、ビアンカだけがいつもとちょっと様子が違う、ような気がした。
「……お母さん、元気なくない?」
テンが耳元でソラに問う。
「ただの寝不足、じゃないのかな……?」
少なくとも具合が悪いといった様子にはみえない。頼りない動作でパンを口にするビアンカを見る。折にふと目があった。
なに? とビアンカは首を傾げる。
「ううん、お母さん、元気ないみたいだから」
ソラの言葉に、一瞬だけビアンカは眉根をよせた。
「あー……心配かけてごめんね。なんか変な夢みてね、目覚めが悪いだけよ。たいしたことないわ」
「そうなの? ならいいけど……」
どんな夢を見たの? とテンが問うと、「起きたら内容忘れちゃったわ」眠気も覚めた様子でビアンカは笑った。
そんな調子で朝食が済み、それぞれの一日がはじまる。
138 :
100:05/03/07 22:00:37 ID:cE/6l/0K
以前「brave」などを書かせていただいた
>>100です。
前スレ
>>647の嘘予告ネタをSSにして投下〜、してみましたが……。
導入部、プロローグということで燃えも萌えも泣きもないひたすら地味な日常から。ごめん。
ビアンカ、ソラ、それぞれの心模様の描写。次回はリュカとテンに視点が行く予定。
ああ地味すぎて泣ける。しかしこれからしばらくもっともっと地味地味続くのです。
日常描写は難しい上に面倒なのですが(だれか会話文のうまい書き方教えてください)、これをやらないとはじまらんのです。
そんなわけで、どうか気長におつきあいくだされば幸いです。
ちなみに各キャラの名前は単に作者の趣味です。
5主人公=リュカ、王子王女=テンソラ、ビアンカの養母=マグダレーナ、この先登場する6主人公=イザ(フルネームはイズュラヒーン)
139 :
100:05/03/07 22:09:55 ID:cE/6l/0K
しまった。一行抜けてた。_| ̄|○
>>136の最後の行に付け足して読んでください。
>なんにしても、未だに手持ちぶざたのまま足踏みしている自分とは大違い。そんな彼のことがひそかにうらやましかった。
キタ━━━ヽ(ヽ(゚ヽ(゚∀ヽ(゚∀゚ヽ(゚∀゚)ノ゚∀゚)ノ∀゚)ノ゚)ノ)ノ━━━!!!!
プレイヤーの気持ちを代弁するかのような大魔王戦終了後の心情がいい、感情移入しやすい。
6のキャラも出るようなのでそれも期待
>>138 GJ!
マグダレーナは一瞬誰かと思ってしまったw
小説ネタか
ほっ
143 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/16 02:25:47 ID:9762NRM4
保守
ホワイトデーをスルーどころか、一週間以上保守以外のレスなし。
このスレはどこへ行くのでしょう……。
そうだホワイトデーがあったんだ
王子王女萌えはあふれんばかりにあるけどネタが不足気味だなぁ
以前からよく話に上がってはいるけど実際作品にはなってない
双子のモンスターズ話だれか書いて欲しい
レックス「あれ?タバサなんか元気ないね、どしたの?」
タバサ「ふぅ・・・お兄ちゃん2月14日になにがあったか覚えてる?」
レックス「2月の14日?なんだっけ?」
タバサ「もう!その日に私がチョコあげたじゃない・・・」
レックス「あーそうだったね。あれ、けっこうおいしかったよ」
タバサ「それでその時、私とした約束覚えてる?」
レックス「約束?」
タバサ「そのチョコのお礼として私に、一ヵ月後の3月14日にお菓子をプレゼントしてくれるって。三倍返しで」
レックス「ごめんすっかり忘れてたよ、ああ、それで最近タバサが不機嫌だったのか」
タバサ「はぁ・・・私もきっと忘れてるだろうなと思ってたからもういいんだけど・・・」
レックス「よし、それじゃちょっと遅いけど今日プレゼントするよ、ちょっと待ってて!」
タバサ「え!?もういいのに・・・」
一時間後
レックス「はい!これお返しのプレゼント」
タバサ「わぁ・・・。凄い豪華なケーキ、こんな高そうなの買ってお小遣いだいじょうぶ?」
レックス「平気平気!それじゃボク出かけるから、またね!」
タバサ「忘れちゃってたのはともかく、こんなプレゼントしてくれるなんてやっぱり優しいなぁお兄ちゃん♪」
侍女「あ!王女様、王子様を見かけませんでした?」
タバサ「さっき外へ遊びに行ったと思うけど、どうして?」
侍女「台所にあったお客様用のケーキがなくなってるんですよ。きっと王子様がつまみ食いしたんだと・・・」
タバサ「もぅ・・・お兄ちゃんたら・・・」
「タバサー。コリンズが来てるよー。」
壁にもたれベッドに腰かけたタバサを窓の外から呼ぶ声。
パタンと本にしおりをはさみ背中の窓を大きく開ける。
まだ春は遠くにと感じられる寒さがタバサを襲うと、なびく前髪を抑えて隣の部屋の窓から頭を出すレックスに返事を返す。
「え?コリンズくん?何の用だって?」
「さあ?なんかタバサに渡す物があるって言ってたけど・・・。」
「ふーん。」
隣の窓越しに声を掛け合うタバサとレックス。
タバサは部屋を出てコリンズが待っているというバルコニーまで足を運ぶ。
コリンズくんお待たせー。何?渡したい物って?」
「おお、タバサちゃん。いやー悪いね、突然押しかけちゃって。」
「えーいいよーいつものことだし♪」
「はは、そうだっけか?渡したい物ってのはこれなんだ・・・。」
そう言ってゴソゴソと背中から小さく綺麗に包装された箱をタバサに手渡す。
「これは・・・なに?」
「ん?あっはっはっは。今日はホワイトデーだろ?そのお返しさ!」
「え?ホワイトデーってバレンタインデーのお返しする日でしょ?」
「ああ、そうさ。タバサちゃんだろ?ひとつだけ宛名のないチョコレートが贈られてきたんだ。グランバニアの国印入りの。」
「国印・・・?ちょ、ちょっと待ってわたしチョコレートおくっt」
「いやー美味かったぜ!あのチョコレート!まあ、それはつまらない物だけどもらってくれよ!じゃ、じゃあな!!」
「え?あ、あの、コリンズくん・・・?って走って行っちゃった・・・。
んもう、勘違いしちゃってるよー・・・わたしはチョコなんて贈ってないのに・・・。」
ブツブツと小箱を空に透かしながら部屋へと戻るタバサ。
「でも困ったなー・・・あげてないのにお返しもらうのも悪いし・・・やっぱり返してこよう・・・。」
そう決心して踵を翻しすタバサ。そして、バッタリと目の前に立ちふさがる兵士ピピン。
「おや、どうされました?王女。」
「あ、ピピン。ちょっと出かけて来くるね。
お父さん達に聞かれたらラインハットのコリンズくんの所に行きましたと伝えてね、お願い。」
「コ、コリンズさまの所にでありますか!?」
「う、うん・・・そうだけど、どうしたのよ、急に声裏返しちゃって・・・?」
「い、いえ・・・そんなことは・・・えっと、つかぬ事をお聞きしますが・・・」
「?なぁに?」
「さ、先ほどバルコニーで拝見したのですが、そ、その小箱はコ、コリンズさまからの・・・?」
プルプル震える人差し指で小箱を指すピピン。
「これ?そうよ、なんかコリンズくんの勘違いでもらっちゃったの・・・
グランバニアの国印押されたチョコレートもらったらしいんだけど、わたしからだと・・・ね・・・。」
「そ、そのチョコレートは・・・じ、自分がコリンズさまにお贈りした物でして・・・そのっ・・・」
顔を真っ赤にさせながら小声で話すピピン。
タバサは頭の大きな汗をかきながら答える。
「・・・そ、そう・・・。じゃあこれは・・・ピピンが受け取らないとね、ハイ。」
引きつった笑顔と一緒にピピンに小箱を渡すタバサ。
「い、いいのでありますか・・・?」
「も、もちろんよ・・・。」
「か、感無量であります・・・!」
男泣きというのか、滝のような涙を流すピピン。
「お、おめでとう・・・。」
それを見たタバサも後ずさりながら思わずそう答えてしまった。
「ハイッ!!」
「・・・で、コリンズからもらったお返しは無事にチョコの送り主の元に・・・ってわけなのね。」
「うん、それにしてもピピンがコリンズくんにチョコレートあげてたなんてね・・・。」
「驚きだよねー。」
「そうそう、お兄ちゃん。」
「ん?」
「わたしのあげたチョコのお返しは?」
「:-)」
ササッ
「コラー!逃げるなー!!」
「ごめんよーその話聞くまで忘れてたから何にも用意してないんだよー!」
「ハァハァ・・・だったら・・・エイッ!!」
ガバッ
「うわっ・・・!」
後ろから飛びつくタバサ、レックスは突然の衝撃に庭の草むらにダイブする。
「もう・・・危ないなぁ・・・。ゥグッ・・・」
仰向けになったレックスの口を自分の唇で塞ぐタバサ。
「用意してないなら、身体で払ってもらいます♪・・・ちぅ。」
「・・・ハイ(/ω\)・・・」
おわり
ホワイトデーネタ遅れてキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
おぉ、お疲れ様です〜。
○| ̄|_(→ホワイトデーという絶好のネタがあるにも関わらずかけなかった自分)
ここのスレの職人さんはイベントごとにSS書こうって気になってくれるからイイナー。
自分が好きなスレはスタレちゃった…OTZ
ペコ氏
いつも楽しみにしてます、乙です!
ホワイトデーのことを忘れているのが王子らしい
「そうかー昨日はホワイトデーなのかー。」ってことで書いてみました。
パパッと書いてしまったんで文章おかしすぎデスガッ
保管庫の更新乙です。
保管庫の人のSS続き期待
もうすぐリメイク発売から一周年。
Vのように機種変えて何度もリメイクされないものか。
・生みの親に「トンヌラ」と名づけられそうになる
・母親が物心つく前にさらわれる
・子どもなのに親父に危険な旅に連れて行かれる
・2つ年上の気の強いわがまま女に無理やり夜幽霊城へ連れて行かれる
・6歳なのにエルフに頼られて連れて行かれる
・大人に宝石をすりかえられる。大人って汚い!
・親父が目の前で焼き殺される
・人生で一番大切な青春時代を、うんこくさいところで奴隷として過ごす
・ヘンリーのお家騒動に巻き込まれる
・モンスターだけが友達さ!
・ゲレゲレと再会したのに覚えていない。ビアンカのリボンで
やっと思い出す。てめえ俺の匂いは忘れてたのがゴルア
・ルーラごときで俺だけおつかいイベント。アレ?他のキャラは?
・「あなたが嫁にしたいのは DOTCH!」いや俺まだ若いっすから。
・子どもが生まれるのが早すぎないか?ハッもしかしてそれ他の男の・・・
・なんか王になったけど大臣の陰謀で石にされて無駄な時間を過ごす。
・子どもがやってきて石化解除。いきなりお父さんいわれても・・・しつけが
一番大事な時期を石像になってた俺って・・・まだ若いから遊びたいんだ俺はよォ
・ヘンリーとマリアに子どもがデキていた。お前等・・・。
・王様なのについてくるピピンとサンチョだけか。人望うすー。
・昔、宝石すりかえやがった犯人は俺だった。大人って汚い。
・嫁を助け出すが、子どもとサンチョまでいたんじゃ旅でエッチできねえ!
おまえら馬車から出て行け。
・親父に続き、母親まで焼き殺される。母をたずねて三千里よりひどい。ひどすぎる。
かあさーーーーん。
・そもそも格好がダサい。
とうとうリメイク発売から一年まであと3日だー!(3/27)
もう1年か早いもんだ
去年途中で挫折した双子オンリーパーティプレイを再開してみようかな
(・∀・)祝!ドラゴンクエスト5(PS2版)発売 一周年(・∀・)
27日だっけ?25日だったような。
どっちにしろ一周年おめ!
165 :
小ネタ:2005/03/27(日) 23:18:03 ID:b+Ps6qve
「大魔王を倒してから一年、ついに僕たちも11歳に!」
「11歳…私が16歳になるまであと5年…お兄ちゃんが18歳になるまでだと7年…ブツブツ」
「?なにブツブツ言ってるのタバサ」
「えっええーとなんでもないよ!」
DQ外伝『花』
大魔王ミルドラースを倒し、長く続いた魔物との戦いもつい幕を閉じた。
そう、世界はようやく平和を取り戻したのだ。
あれから一年・・・
季節は巡り、雪は溶け、春はもうすぐそこまでやってきていた。
そしてここグランバニアでは、世界を救った勇者とその妹姫の生誕から11年目を祝うべく、
宴の準備で国は普段よりも一層活気づく。
一人の少女が着慣れないドレスを身に纏い王室から出てくる。
「まったく〜、お兄ちゃんッたらヘンリーさんとコリンズくんが来てるのに挨拶もしないでどこにいるのよ・・・!」
プゥと頬を膨らませ、両手でドレスの裾をつまみ、兄を呼びに行くべく部屋へと急ぎ足で向かった。
その途中、
───―ッ♪
────―ピィー♪
城の屋上から微かだが笛の様な音がタバサの耳に入ってくる。
「これ・・・お兄ちゃん・・・かな・・・?」
タバサは目を瞑り耳を澄まし音が聞こえる位置を探す。
「・・・またあそこか・・・。もぅ!」
タバサは来た道を戻り、階段を急ぎ足で駆け上がっていく。
─────ギィーッ・・・
鈍い音をあげながら扉を開くと、日差しが一気にタバサの身長よりも高い影を後方に作り、
視線の先にはレックスがボンヤリと空を見ながら寝転がり、草笛を鳴らしていた。
そのあまりにも整った顔立ちの横顔に一瞬目を奪われるタバサ。
(な、何ドキドキしてるのよ・・・!相手はお兄ちゃんでしょ・・・。)
そう心の中で呟き、すぐ首を横に振り、レックスに近寄っていく。
「ちょっとお兄ちゃん!」
──自分のことを兄と呼ぶのは妹のタバサしかいないな──
呼び声の答えを導きだしたレックスは
「・・・タバサ。どうしたの・・・?そんな格好で。」
ピシッ
タバサの頭に小さな筋が浮かび上がると、タバサはレックスの前で両手の拳を腰に当て顔を近づけ
「ど う し た の じゃないでしょー?
今日からヘンリーさんとコリンズくんが明後日のわたし達の誕生日パーティーまでお泊りしに来るって
昨日お父さんが言ってたじゃない!
もう2人もみえてて、あと挨拶してないのはお兄ちゃんだ け な の!
はい、早く来る!」
そこまで一気に話すと、タバサはレックスの左手を掴み立ち上がらせようと引っ張る。
「ああ、そうだったね。わかった、すぐいくよ。」
タバサに腕を引っ張られながらレックスは立ち上がり、ゆっくりと歩き始める。
タバサはそんなレックスの背中を見つめ、フゥとため息をひとつつき、
「心配だなぁ・・・。」
と呟き、レックスの後を追った。
つづく
一周年記念ってことでそんな長くないです。
ウホッ!いいレックス。続き期待
>>166 乙!
今の時期にぴったりの雰囲気
おまけに誕生日ネタでもある
翌日、いつもと変わらない朝。
タバサはすでに習慣になりつつあるレックスを起こすため、すぐ隣の部屋の前までやってくる。
ノックをしようとすると、タバサを待っていたかのように、部屋の扉が突然開いた。
驚き、後ろに一歩半下がるタバサ。
隙間から出てきたレックスの顔を見て
「キャッ!…もービックリしたぁ…。珍しいぃ・・・お兄ちゃんが早起きさんなんて。今日は雨が降るのかな?」
と、クスクスと笑いながらそう言うと、レックスは
「ひどいなぁ…僕ももう11歳だよ?
そろそろタバサに起こしてもらう習慣…治さないとね…。」
と、語尾だけは声を潜めて答える。
「???なんで?わたしは平気だよ?」
タバサが首を傾げて聞くと、レックスは小さく「わかってる」とだけ答え、二人は皆の待つ食堂へと歩き出した。
二人が歩く廊下の先から、深緑の髪をクルクルと人差し指で巻きながらやってくるコリンズ。
コリンズはタバサ達の姿を見つけると爽やかな笑顔と共に駆け寄ってくる。
「おおー、おはよーっす!お二人さん!」
片手をヒラヒラさせながら近づくコリンズにタバサは笑顔で
「コリンズくんおはよー!今からコリンズくん起こしに行こうと思ってた所なのに、早いのね?」
と返事をすると、コリンズは
「えぇー!タバサが起こしに来るんだったらもう少し寝てればよかったなぁ・・・。」
と答えた。
「タバサの起こし方は結構乱暴だよ?」
「あ、やっぱり?」
レックスがボソッとコリンズに耳打ちすると、コリンズは思わずそう答える。
「おーにーちゃん!?コリンズくん!?」
タバサはムクっと膨れた顔で一足先にその場を走り出した二人の後を追いかけていった。
「おいおい、なんでオレさままでー!」
「コリンズくんも同罪ですー!待ちなさいーー!!」
──────
「あのさ・・・オレ・・・タバサの気持ち・・・ちゃんと考えてるから・・・。」
タバサはビクッと顔を起こし、
「・・・え?あ・・・う、うん・・・。」
とうなづくと、再び二人は歩き出し、そのままお互いの部屋へと戻って行った。
一度は床に着くが、眠れないタバサは身体を起こし窓に手をかける。
そして、先ほど王室の間での出来事を思い出す。
──────
タバサの視線の先に立つのはコリンズ。
レックスとタバサの生誕祭を明日に控え、王室にも色とりどりの装飾が施されていた。
「あの・・・コリンズくん・・・お話って?」
「ああ・・・。」
コリンズはゴクリと生唾を飲みタバサの目をじっとみつめる。
つられてタバサもゴクリと喉をならし、震える声でコリンズが口を開く。
「お、オレ・・・タバサのことが・・・好きだ・・・。はじめて会った時からこいつしかいないって思ってた!」
王室に響くコリンズの声。
「あ、ありがとう・・・。」
少しの間をあけてタバサが口を開く。
「で、でも突然だ・・・ね。ビックリしたなぁ・・・コリンズくんがわたしの事をそう思ってくれるなんて・・・。」
いつもより?すこしおしゃべりなタバサ。
(な、なんでコリンズくん黙っちゃうのよ・・・。)
(これでわたしまで黙っちゃったら・・・。)
(心臓の音・・・聞こえちゃう・・・。)
つづくぅ
おっつー。
コリンズ告白きたーΣ(゚ロ゚;)
毎朝、妹が起こしにきてくれる、これ王道なり!
気づけば今日は日付がグランバニアっぽくなってるな
176 :
139:スクエニ暦03/04/01(金) 05:51:49 ID:5qeD9i+q
DQ6のクロス予定SS書いてる者です。日常シーンばっか書いてて戦闘シーンに飢えてる四月の愚者。
ネタの閃きが全然文章にならないので、ネタだけ挿入予定(嘘)エピソードとして垂れ流させてください。
題材はキラーマシンvsキラーマシン2。ロビンが仲間にいたとしたら、テンソラはどのように彼に接するのかという日常シチュが思い浮かばないのです○| ̄|_
つーかキラーマシンはどういう原理で動いてるんだ。ロビンをメンテできる人間が存在しないから、ロビンの寿命は残り八十年前後で人間と変わらないとか考えてた。
(あらすじ:ロビンがグランバニアで留守番中、キラーマシン2が攻めてきた。これに応戦するロビン。しかし相手は強く、苦戦を強いられる)
戦闘行程想定/予測演算開始/計算終了・算出結果表示――演算結果棄却
戦闘行程想定/予測演算再試行/計算終了・算出結果表示――演算結果棄却
戦闘行程想定/予測演算再試行/計算終了・算出結果表示――演算結果棄却
戦闘行程想定/予測演算再試行/計算終了・算出結果表示――演算結果棄却
戦闘行程想定/予測演算再試行/計算終了・算出結果表示――演算結果棄却……
全局面想定完了――――任務達成確率...演算結果棄却――――…………
ガンッ、と衝撃がキラーマシンを身体ごとはじき飛ばす。
壁にぶつかり、足からそのまま床に衝突した。床に尻餅をつき、壁に背を預ける格好になってしまう。
ダメージはもう許容範囲ギリギリだった。
自身の剣とボウガンは相手の装甲を貫くこと敵わず、剣は刃こぼれによってもうその用途を担うことができない。矢筒にある残弾ももうじき底を尽きる。
対して、敵の剣と鉄球はロビンの装甲をズタズタの虫食いだらけになさしめていた。
177 :
139:スクエニ暦03/04/01(金) 05:53:13 ID:5qeD9i+q
――――力、速度、継戦能力、演算能力、全ての性能において敵はロビンを上回っている。
どのような方法をシミュレートしても、敵の排除を達成しうる結果は算出されない。考慮に値しない、低確率の結果ばかり。
それでも、ロビンは戦いをやめようとはしない。
ここにいない主たちは、この身が朽ちることを望まないだろう。
そして戦略的撤退として、この場を回避することはまだ可能だ。
故に、ここは撤退するべきだ。
だと、いうのに。離脱の一手をなぜ自分は打たないのか。
思考回路すら正常な働きをしなくなってしまっているのだろうか――――
―――それは、誓ったから。彼等を守ると。
―――それは、誓ったから。この場所を守ると。
それは他の誰かに与えられたものではない。
主命ですら、ない。
ではなぜ、何度でも敵に立ち向かっていくのか。
それは、ただ任務のために。
そう、これは任務である。
リュカを、ビアンカを、テンを、ソラを守る。そしてプックルやピエール、自身と同じように彼等を慕う、代え難い仲間たちの帰る場所を守る。
それはロビンがロビン自身に与えた、完了すべき任務。
それは。機械である彼の身が、主達へ唯一示せる、友愛のカタチ――――
178 :
139:スクエニ暦03/04/01(金) 05:55:01 ID:5qeD9i+q
故に、この任務はいかなる理由に置いても遂行せねばならない。
相手が自身より高性能の機械であろうと知ったことか。
敵が例え何であろうと処理すべきターゲットであることに変わりはなく、果たすべき任務の障害物であることに変わりはない。
自身が思考回路の錆びついた欠陥品であろうと知ったことか。
この身が例え何であろうとここを守護するための衛兵であることに変わりはなく、戦闘のために造られた機械人形であることに変わりはない。
この痛みを感じない身体は何のためにある。
この恐怖を感じない電子の思考回路は何のためにある。
「お―――おお、オ――――」
ボロボロの関節がギチギチと稼働する。無理矢理に駆動する。意志を宿さぬはずの単眼が敵意をこもった視線を放つ。
睨みつける先には敵。見失ってはならないターゲット。
心の無いはずの機械である。
感情の無いはずの人形である。
その、機械人形がここに――――
「オオオオオォオオオオ――――!!!!!!」
咆吼と共に立ち上がる――――!!
止めを刺そうと歩み寄っていた敵が、動きを止めてロビンを警戒する。
なぜロビンは立ち上がることができたのか、その理由を分析する。――――答えは、出ない。
意志なき機械に、その答えはわかり得ない。
そして。かの意志無き人形へ。
「――――異世界ヨりの侵攻者よ、貴様モ『キラーマシン』の名を持ツのなラ理解できルだロウ。
我ハ貴様を排除スるたメにここニ在ル。"機械仕掛けの殺戮人形(キラーマシン)"ノ名におイテ、断ジてコの先ニは通さナイ」
死の宣告が、下された。
>139氏
マシンVSマシン 熱くて萌え否燃えるシチュです。
ロビンは映画ドラえもんのバギーちゃんのようなキャラだと日常シーンに合うと思った。
王子たちにはイジワルに接するけど王女にはラブラブで弱いみたいな。
ロビンで思いついた話がある。
故に投下しますよ、と。
つーかロビンというより双子というよりピエールに重点が(ry
で、でもちゃんと双子のお話ですよ…多分!
181 :
記憶 1/8:2005/04/03(日) 23:15:40 ID:RosldD5k
緑の広がるその大地に立つグランバニア。
そこは今、世界を旅しているご存知リュカ達の国だ。
当然旅の途中でも、彼らの家はそこなのだから帰る時がある。
そして今日は、その日。
「たっだいまー!」
「ふぅ〜、今日も疲れたわねお父さん」
「そうだな。レックスもタバサも、今日は良く頑張った」
「勿論あなたもね、リュカ」
明るいレックスの声から始まったあの家族の声。
それを聞いて住民たちは、各々労いの言葉をかけ始めた。
元々明るかった国が、更に明るくなってゆく。
そしてそんな国のそんな稽古場に彼らはいた。
「はぁあッ!!」
「右腕に少々の打撃。戦闘モード継続可能―――」
「……待った!ロビン殿…残念だがここまでの様だ。
どうやら主が、沢山の土産話を持って帰ってきたらしい」
彼らの名は、スライムナイトのピエール。そしてキラーマシンのロビン。
どうやら稽古をしていたようだが、彼らの耳にも兵士たちとリュカ達の声が届いたらしい。
「戦闘モード終了。システム、通常モードに移行―――」
そういう訳で、2人の稽古は終わった。
その直後にあの賑やかな4人の人間が姿を現した。
182 :
記憶 2/8:2005/04/03(日) 23:17:32 ID:RosldD5k
「あー!やっぱり稽古やってるや……」
「もう2人とも、折角お休みをプレゼントしたのに疲れちゃうわよ?」
「まぁまぁ2人とも……でも何のための休日かわからないのは本当ね」
「ビアンカと子ども達の言うとおりだ。いつも戦ってくれたんだ、たまには体を休ませないと」
リュカ達が一気に話しかける。
だが言っていることは全員同じだ。ピエールは少し笑ってしまった。
「ですがリュカ様、我々もこうしていないと腕が鈍ってしまうのですよ」
「私も同意見です。休暇を頂いたのは嬉しいのですが―――」
ロビンも後からピエールに続く。
そうやって話していると、兵士の一人がこちらにやってきた。
「オジロン様がお呼びです。会議室に至急集合との事です」
「わかった。じゃあビアンカ、行こうか」
「ええわかったわ。じゃあレックス、タバサ、あなた達はちょっと遊んでらっしゃい」
「「は〜い」」
そう言うと夫婦は会議室の方へと行き、
子どもたちはピエールに「じゃあね」と言うと、どこかへ遊びに行った。
「やはり、活気付くものですか―――」
「当然だな。我々もそうだが、住民たちが待ちに待っていた王と王妃だ」
「それに加え子ども達まで共に旅をしているとあれば―――」
「帰った時の喜びはひとしお、という所だろう」
そう言うと、ピエールは大きく背筋を伸ばした。ロビンには別に必要ないので、しなかったが。
「さぁて、休めと言われてしまった。今日はここまでにしよう」
「了解しました。が、少々お話を聞かせて頂きたいのですが―――」
「………お話?」
183 :
記憶 3/8:2005/04/03(日) 23:18:48 ID:RosldD5k
暫くした頃、日の当たる場所でピエールとロビンは和んでいた。
春の陽気が心地が良い。眠ってしまいそうだとも思う。
そんな暖かい場所で、ピエールはロビンに話をしていた。
「……そしてリュカ様とビアンカ様は石造になってしまった、と」
「成程、やはり自身の目で確かめた方の言う事はわかり易いですね―――」
「ありがとう。そして後はロビン殿、貴殿も知る通りだ」
「ええ、家族全員が揃い……そして私達と旅を続けている、と―――」
ロビンが納得すると、辺りの景色を見渡した。
広い森が見える。そして北には海だ。
この広い世界でよくもまぁ家族を見つけたものだ―――とロビンは思う。
「そういえば、一番聞きたいことが抜かっていました―――」
「なんだ?」
「主が戻るまでの、8年間の話です―――」
「成程…そう来たか」
ピエールは溜息をついて、空を見上げた。
大きな大きな雲は、あの頃とはまったく変わらない。
そしてピエールの記憶にも、なんの錆も霞も無かった。
「覚えている、あの時の辛さは」
「ピエール氏にも辛くなる事があったのですか―――」
「当然だ。私の心は貴殿が思ってくれている程強靭ではない。弱いものだ……」
鳥が飛んでいる。
その鳥も、あの頃とは変わっていない。
厳密に言えば小さな小さな世代交代があったことくらいか。
184 :
記憶 4/8:2005/04/03(日) 23:20:54 ID:RosldD5k
「だが私と違い、レックス様とタバサ様は本当に強く、賢かった」
「サンチョ氏に聞いた事があります。彼らには本当に力が宿っていると―――」
「そういえば、小さかった頃は"父"と"母"の言葉の意味すら知らない子どもだった。
こんな事実があって良いのか。言葉を覚え始めた子どもが、親を呼ばぬことがあろうか……と悲しくなったものだ」
「王子と王女は親がいない悲しみを2人だけで背負っていたと、同じくサンチョ氏はおっしゃっていました―――」
「ああ、本当にリュカ様に似過ぎて……憎いほどに何も、不平も弱音も漏らさなかった。ただ、あの時を除いてはな」
「あの時……とは―――」
ふとロビンがガラス越しに城内を見ると、レックスとタバサが楽しそうに遊んでいたのが見えた。
ピエールもそれを見ていたようだ。兜の奥で微笑みながら、その光景を見ていることだろう。
その姿が見えなくなってから、一寸間を置き……ピエールは口を開いた。
「私は実はレックス様に剣術を、そしてタバサ様には魔術をそれぞれ指南したことがある」
「ピエール氏、流石です。その様なこともしておられたとは―――」
「基礎中の基礎ではあるがな。手持ち無沙汰を感じた私はしばらくその様な事を続けていた」
「初耳です―――」
そう言うとロビンは、ピエールを見つめた。
言葉を待っているという姿勢を表す、最も効果的な手段だ。
ある意味プレッシャーにも思えるのだが。
「丁度お二人が6歳の頃だったか。私はまずレックス様の指南を早く切り上げた事があった。
そしてその時、レックス様がいつにも無く力ない様子で私に話しかけてきたのだ」
「力ない様子―――」
「そうだ。想像できまい?そしてその時だ、不思議がる私の目の前で……レックス様は急にお泣きになった。
いつもは明るく振舞っていたレックス様が、急に涙をお流しになったのだ。私は慌てふためいた」
「恐らく私もそうなるでしょうね―――」
「そして私にこう言ったのだ。”いつまで、いつまで僕は待てば良いの?”とな。
思えばこれが、初めての家族に関する問いだった。サンチョ殿ですら問われたことは無かったらしい」
185 :
記憶 5/8:2005/04/03(日) 23:22:04 ID:RosldD5k
それを聞いたロビンは、一生懸命いつものレックスを思い出した。
だがどうしてもそのレックスが泣いている姿を想像できなかった。
いつもの絶やすことの無い笑顔しか、彼のメモリーには浮かばなかった。
「恥ずかしい事に私は……どうしてもレックス様に答えをお教えすることが出来なかった」
「答えを…ですか―――」
「そうだ。今までのどんな洞窟や塔よりも、今までのどんな書物よりも、私には難しすぎた」
「そうでしたか―――」
「私が答えられずにいると、短くレックス様は私に謝罪なされた。
本来ならば謝るのは私の方だろうに……私の方だろうに……」
ロビンは答えられなかった。
その場にいなかった自分が、ピエールの言葉を否定することなど出来ない。
そこまで自分は出来た魔物ではない。
「その後私は、今度はタバサ様の魔法の指南へと急いだ。心の靄を残したままだったが…な」
「……―――」
「タバサ様の部屋に入ると、今度はタバサ様は既に泣いていた。そして私に、言った」
「なんと、でしょうか―――」
「”ごめんなさい。こんな所で生まれなきゃ良かった、って思っちゃってごめんなさい”とな。
タバサ様は知っていたのだ。自分のその想いを口に出してしまえば、他の人が悲しむのだと……知っていたのだ」
「こんな所で……と―――」
「普通は思って当然だ。だがそれを溜め込み過ぎてしまった……」
「そして、どうなりましたか―――」
「また私は答えられなかった……。私の愚鈍な頭では、掛ける言葉も思い浮かばなかったさ」
いつの間にか、太陽が少し動いていた。
もうすぐ夕方と呼ばれる時間だろう。
186 :
記憶 6/8:2005/04/03(日) 23:23:27 ID:RosldD5k
「まぁ、こんな所だ。私の格好の悪い話くらいしかなかったのだがな」
「満足です。時間を割いて頂き、有難く思います―――」
「そう言ってくれると嬉しいな。ところで、私は貴殿に訊きたい事があるのだが…」
「なんでしょうか―――」
ロビンの返答を聞くと、ピエールは大きく溜息をついた。
そしてまっすぐロビンを見つめた。
「私は何故、あの時レックス様とタバサ様に思いの丈をぶつけられたのだろう。わかるか?」
「それは、あなたは既に判っているのではと思っていましたが―――」
「判るはずも無いさ……で、貴殿はどう思う?」
「私には確率統計機能が実装されており、それに頼る癖を付けてしまっています。
そして今私が考えた答えは”絶対”ではないと判断してしまいました。なので私には答えは出せません―――」
「そうか……貴殿なら判ると思っていたのだが、まぁ仕方が無いな」
「申し訳ありません―――」
「いや、私も無理を言い過ぎた。貴殿に非は無いさ。さて、では私は城内に戻る……それではな」
「いえ、ご一緒しましょう―――」
空は夕焼け模様だった。
とても奇麗な紅が、大地を、城を、人を染め上げていた。
187 :
記憶 7/8:2005/04/03(日) 23:24:41 ID:RosldD5k
そしてそれは案外すぐに終わり、夜空が顔を出した。
会議もどうやら終了したようで、リュカとビアンカが疲れた顔を見せる。
そして丁度そこにレックスとタバサがやってきた。
「お父さんお疲れ様!」
「お母さん、今日も頑張ったね」
「ああ、ありがとう」
「頑張ったわよ、あなた達の為にもね」
そして彼らが自室へと帰ろうとした時、ピエールが歩いてきた。
ロビンとは途中で分かれたようだ。スライムに乗り、堂々と歩いている。
そして丁度目の前で鉢合わせし、レックスとタバサは歩みを止めた。
「ごめん、お父さん達は先に行ってて」
「ちょっとピエールとお話したいことがあるの」
「わかったよ。それじゃ後でね」
「リュカ様、ビアンカ様、お疲れ様であります」
リュカとビアンカが先に去っていくと、レックスがピエールの手を引いた。
タバサもせかす様にピエールを後ろから押していく。
少しの時間そうした後で、彼らの足は止まった。
「あのね、私たち…レックスと思い出してたの」
「うん。あの時の事を2人で教えあってさ」
「あの時とは?」
「あの時はあの時だよ……ね、タバサ」
「そうよね。ってピエール、もしかして本気で気づいてないの?」
「私がお二人に嘘を付く事はありませんよ。そうだろう?相棒よ」
188 :
記憶 8/8:2005/04/03(日) 23:25:58 ID:RosldD5k
本気で困ってしまい、相棒のスライムに尋ねると……そのスライムはからかうように笑っていた。
「さ…さてはお前、"あの時"が何か気づいているなっ!?」
そのコミカルな姿を、2人は笑って見ていた。
そしてピエールが落ち着いたところで、2人は言った。
「あの時、私たちの話を聞いてくれてありがとう」
「あの時は無理な事訊いちゃってごめん!でも聞いてくれるだけで……嬉しかったんだ」
「……え?え?」
「じゃ、じゃあ僕たちはもう行くからさ!」
「明日は私達と一緒に旅に行こうね!それじゃ!」
困惑したピエールをそのままに、2人はダッシュで去っていった。
その2人の顔は、もう夕方でもないのにとてもとても紅潮していた。
「………成程」
ようやくピエールは理解した。
彼らも自分と同じように、あの6歳の時の姿を思い出したのだろう。
そして彼らは、こんな馬鹿な自分に感謝してくれた。
「礼を言うのは……謝るのは……こちらの方ですよ。レックス様、タバサ様。
あの時は申し訳ありませんでした……そして、有難う御座います」
気が付けば夜空には、丸い月。
それを見て、彼はあの金色の髪の双子を思い浮かべた。
その双子の顔は、とてもとても笑っていた。
楽しそうに、笑っていた。
あ、ビアンカ嫁って言い忘れた。
あと時間軸はミルドラース前くらいだと思ってください_| ̄|○
結局双子もロビンも何やってんのぉぉぉぉぉ!?出番ねぇや、ははん!!
乙!
ピエール漢だね〜
親もいなく修行漬けなのはやっぱり子どもにはつらいはず
ロビン&ピエールかっちょええええ
GJ!!
「ねえピエール…」
「うりゃ!そりゃ!」
「お父さんとお母さん…」
「うりゃ!そりゃ!」
間が空いちゃいました。>173からの続きです。
タバサの顔がだんだんと紅潮していくのが月明かりでコリンズにもわかった。
「あ、でも・・・素直にうれしい・・・です・・・。」
タバサがついに黙りこんだ時、コリンズが再び口を開いた。
「・・・言わなきゃ・・・って思ったんだ。アイツが自分の気持ちに気づく前に・・・。」
「・・・アイツ・・・?」
タバサが聞き返すと、コリンズは
「あ、いや・・・こっちの話だ。
えっと・・・た、誕生日、明日だったな。その時に・・・答え聞かせてくれないか?」
「う、うん・・・。」
──────
コリンズくん・・・が好きだって言ってくれた。
人に好きと言われたのは初めて・・・かな。
コリンズくんのことをわたしはどう思ってるんだろう?
たぶんコリンズくんの事は好き。
でも、なんで・・・なんでこんな時にお兄ちゃんの顔ばっかり浮かんでくるの・・・?
心の中が宙ぶらりんになってる感じがする。
そしてタバサは眠りに着く。
明日の楽しみと自分の気持ちの不安を抱きながら。
──────
(たくさんの人がわたしの周りに集まっている・・・。)
(お父さんと、お母さんと、サンチョやドリスやお城の兵士さん達もみんな、
声を揃えて「おめでとう」ってわたしに言ってる。)
(あそこにいるのはコリンズくん。)
(小さなプレゼントの箱を持ってこっちを見てる。)
(あれをわたしに渡すつもりなの?)
(ねぇ、みんなに「ありがとう」って言いにいこ?)
タバサは手を伸ばし、裾を掴もうとするが、そこには何もなく、右手は空を掴んだ。
(???)
(お兄ちゃんはどこ?)
タバサはふと、大きな字でかかれた垂れ幕を見つめる。
「グランバニア王女、タバサさま11歳のお誕生日」
(・・・あれ?・・・ない・・・お兄ちゃんの名前がない。)
(書き忘れ?・・・ううん。さっき王室で見た時はあったもん。)
「タバサ、おめでとう。」
アルスはタバサの頭にポンっと右手を優しく置き、声をかける。
「おめでとう、タバサ。あなたももう大人の仲間いりかしら?」
ビアンカはクスっと笑い、タバサに囁く。
「ビアンカ、それはまだ早いんじゃない?」
ドリスがからかい半分にタバサのほっぺをつつきながら言うと、
「あら、タバサはしっかりしてるのよ?なんてったって、わたしとアルスのカワイイ一人娘なんですもの。」
と、ビアンカが答えた。
(え?お母さん、わたしは双子だよ?お兄ちゃんがいるの。)
(いつもはボーっとしてるんだけど、すごく優しいお兄ちゃんが・・・。)
(なんで?なんで誰もお兄ちゃんのこと知らないの?)
(おかしいよ・・・声が出ない・・・。お兄ちゃんって大声で叫びたいのに・・・声が出ないよ・・・。)
タバサはうつむき、涙をこらえる。
(・・・そうだ!お兄ちゃんの剣!天空の剣!お城の地下室にあったはず!あそこに行けばお兄ちゃんがいるかも!)
突如走り出すタバサ。その瞬間、周囲の時間はタバサを残して止まった。
人と人の間を縫い、全速力で、一目散に地下室に向かって走る。
(お兄ちゃんはいるの。わたしのお兄ちゃんはいるの。絶対いるの。)
(やだよ、お兄ちゃんがいないなんてやだよ。ずっと一緒だったんだもん。)
(今までも一緒だったんだもん。やだヤダやだヤダやだヤダやだヤダやだヤダ。)
涙を後ろに溢しながら、タバサは走った。
(ゴメンなさい、コリンズくん。)
(わたし、わかったの・・・。わたしが誰を好きかってわかったの。)
(わたしが・・・わたしが好きなのは・・・わたしが一番好きなのは・・・ ・・・ ・・・)
重たい扉を全身の力を込めて開けるタバサ。
周りとは違う、ヒンヤリとした空気がタバサを包むと、今まで出したくても出なかった、
叫びたくても叫べなかった名前が口から自然とそれは出てきた。
「お兄ちゃん・・・!」
つづく
197 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/06(水) 14:23:56 ID:0+EMAB4s
age
198 :
まぬはーん:2005/04/06(水) 16:20:46 ID:qm+tEYqV
ペコ氏乙〜(´д`;)ハァハァ
>>196 気になる終わりだなあ王子が生まれてないifな世界に迷い込んじゃった?
タバサは叫んだ。
しかし、目の前には期待していたレックスの姿はなく、
その場に力なくペタリとしゃがみこんでしまった。
ガバッ───
次の瞬間、タバサは勢いよく身体を起こす。
そして辺りをキョロキョロ見回すと、すぐ横にはレックスが心配そうな顔でタバサの左手をギュッと握っていた。
「・・・タバサ!どうしたの?凄くうなされてたけど・・・?」
レックスはタバサの額に手を当てながら優しく声をかける。
「・・・お・・・兄ちゃん・・・?」
意識が定かでないタバサ。目の前にいるレックスがじょじょに霞んでいく。
「・・・ん?」
レックスが顔を覗くと、タバサの瞳からどんどんと涙が零れ落ちてくる。
「お兄ちゃん・・・!」
タバサはレックスの胸に飛び込み、声をあげて泣き出す。
(夢じゃないんだ・・・。お兄ちゃんがいる!あったかい・・・お兄ちゃんのぬくもり・・・お兄ちゃんの匂い・・・本物・・・。)
「タ、タバサ・・・どうしたの?怖い夢でも見たの?」
レックスが赤ん坊をあやすようにタバサの背中をポンポンと叩く。
「・・・すごく・・・怖かったの・・・。」
ギュッとレックスの服を掴み、タバサは震える声で話し始めた。
「タバサは幽霊とか苦手だからね・・・よしよし。」
今度は頭を撫でるレックス。
タバサは両手でグシグシ涙を拭き、「違うの。」と呟く。
「わたし・・・怖い夢を見たの・・・お父さんやお母さんはいるのに・・・いなかったの。」
「・・・?」
「幽霊よりも怖かったの・・・お城のみんなもいるのに・・・お兄ちゃんだけが・・・いなくって・・・。」
「・・・??」
「それで・・・わたしわかったの・・・わたしの気持ち・・・わたし・・・わたしは・・・。」
「ちょっとレックス〜?ちゃんとタバサ起こしてくれた〜?」
突然部屋に入ってくるドリス。
勢いよく開けた扉の音にタバサは驚き、レックスの身体から離れる。
「あ、ドリス。ちゃんと起こしたよ!なんかね、タバサ怖い夢見ちゃったんだって。」
レックスが振り返る答えると、ドリスも心配そうにタバサに駆け寄る。
「え?タバサ、大丈夫なの?」
ドリスがタバサに問いかけると、タバサは一言、「うん。」と答える。
タバサの左手に暖かい温もりを感じる。
見ると、レックスがタバサの左手に自分の右手を重ねていた。
「!」
タバサは顔をあげ、レックスを見る。それに気づいたレックスはニコッと笑うと、
タバサは顔を真っ赤にし、うつむく。
「・・・そっか・・・。あ、もう王室であんた達が来るのみんな待ってるよ!
早く着替えておいで!わたしも先に行ってるから!」
「は〜い。」
レックスは答え、ドリスは部屋から出て行く。
扉が閉まり、ほんの少しの沈黙が二人を包むと、レックスが口を開く。
「・・・で、タバサは何に気づいたの?」
「・・・え・・・?あ・・・えっと・・・あ、あとで言う!みんな待ってるって!だから早く行こ?」
顔を真っ赤にしたままタバサは答える。
「そう?じゃあ、部屋の外で待ってるね。」
とだけレックスは告げ、タバサの左手から右手を離す。
小声で「あ・・・。」と漏らし、ちょっぴり残念な顔をするタバサ。
レックスは最後にポンッとタバサの頭に手を置き
「大丈夫、ボクはちゃーんとタバサの側にいるから。」
そう言って、もう一度ポンっとタバサの頭を優しく叩く。
顔をあげると、レックスは「ね?」と言い、タバサは無言でうなづく。
そして、タバサは部屋から出て行くレックスの後姿をじっと見つめた。
「・・・先に・・・コリンズくんに言わないと・・・。」
タバサは鏡台の前に立ち、真っ赤に腫れた目とそれ以上に真っ赤な顔をじっと見つめ自分に言い聞かせるように呟いた。
もづく
ハァハァする所ありました?w
204 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/08(金) 20:32:23 ID:SpQPEFJI
age
頭ポン叩き(;´Д`)'`ァ'`ァ
初代スレから1周年おめ!
えっ!!まだ初代スレから一年しか経ってないの??
まとめサイトにSSいっぱい載ってたから結構前からあるものだと…f^_^;
一年前のPS2版発売が大きかった
それ以前だとFFDQ千一夜物語保管庫ぐらいでしか王子王女もの見てない
>>139 チン☆⌒ 凵\(\・∀・)非近親相姦王子王女SS続きマダー?
「・・・お待たせ・・・。」
扉を開け、顔だけを出してタバサは外で待つレックスに声をかけた。
「準備出来たの?」
「・・・うん。」
よく見ればレックスはすでに正装をしてた。
きっと、緊張して眠れなかったのだろう、目の下にはうっすらとクマが出来ていた。
「どうしたの?早く行こ?」
レックスが扉に手をかけると、タバサは「待って!」と答え、パタンと部屋の中に入ってしまう。
「???」
レックスが首を傾げ、壁に背をもたれる。
「・・・(恥ずかしい・・・顔まともに見れないよ・・・。お兄ちゃんってすっごくわたしの側にいたのね・・・あーまた顔が真っ赤になってきたよ・・・。)」
タバサは2,3度深呼吸をし、意を決して部屋の外に出る。
「こ、今度こそ・・・お待たせ・・・。」
レックスの前に立ち、視線を感じながらタバサは両手でドレスの裾をギュッと握りしめチラっとレックスの顔を見上げた。
「・・・?ど、どうしたの・・・?」
固まったままのレックすに声をかけると、「いや・・・。」と返事が返ってきた。
「その・・・に、似合ってる・・・よ・・・。」
ボソっとレックスは答えた。
「・・・へ?」
キョトンとした目でタバサが聞き返すと、レックスはプイッと背中を見せ
「ドレス、似合ってるって言ったの。ほら、早く行こ?」
と左手をタバサに差し出した。
しだいに身体の芯から熱くなっていくタバサ。
今だけは、後ろを向いてくれたレックスに感謝しなければならないとタバサは思った。
なぜなら、さきほどまでは透き通るほど白かったタバサの手や顔は、レックスにドレスを似合ってると言われたことで、
驚くほど真っ赤になっていたからだ。
「あ、ありがとう・・・。」
タバサは小さな声でお礼をいい、差し出された左手にそっと右手を乗せる。
二人が王室に着くと、兵士達が奏でるファンファーレの中、ドリス、ヘンリー、サンチョ、
それに王と王妃である父と母が盛大に拍手をしながらレックスとタバサを玉座の前に通す。
もちろん、そこにコリンズの姿もあった。
タバサはチラリとコリンズの方に目を向けると、ちょうど視線がぶつかる。
そして、しばしの間の後、その視線から最初に目をそらしたのは、意外にもコリンズであった。
王室でたくさん祝福を受けた二人。
笑顔は絶えることなく、そのまま城下町に歩き出した。
「王子、王女おめでとうございます!」
「ありがとうございます。」
二人は行きかう人々から祝福を浴び、今までにない高揚感に包まれていた。
ふと、タバサはコリンズの姿を見つける。
城のバルコニーで右手をつき、二人を見つめるコリンズの姿を。
タバサはグイっとレックスの襟を掴み、こう言う。
「お兄ちゃん。あのね、さっきお話があるって言ったよね?」
レックスは「うん。」とうなづくと、タバサは続けて
「それでね、わたし・・・今からどうしても言わなきゃならないことがあって、それを言いにいきます。
だから・・・待っててほしいの。」
「え?・・・ここで?」
レックスが答えると、タバサは首を横にふり
「ここじゃなくって・・・えっと・・・お城の外の林!あそこで待ってて!」
そう言って、レックスは「わかった。」とうなづく。
タバサは走り出した。
レックスはタバサの向かった先にいるコリンズの姿を見つける。
そして、笑顔で見送ったあと、表情を曇らせた。
つづく
>>212 つづき乙!
コリンズふるのかそれとも・・・
こういうグランバニアのパーティーでの正装ってどんなものだろう
普通のタキシードみたいなのか王者のマントやプリンセスローブなのか
>>214 うさみみバンド
シルバートレイ
バニースーツ
あみタイツ
もしくは
おなべのフタ
ステテコパンツ
まあ、王者のマントやプリセンスローブの設定画は知らないが、
戦闘に対しての実用性トップクラスの物を儀礼的な催しに持ち出すとは思えないなあ。
風で木々が舞う林の中、レックスはタバサを待つ。
「なんだろう・・・話って・・・。」
一人歩きつぶやく。
「タバサ、コリンズくんの所に行ったんだよな、きっと・・・。」
ちょうど太陽は真上にのぼり、空に向かう木々のように真っ直ぐ前を向くレックス。
少し歩いては立ち止まり、ハァとため息を漏らす。
その頃、タバサはコリンズに連れられ、城の屋上にやってきていた。
「誕生日・・・おめでとう・・・。」
「あ、ありがとう・・・。」
二人は緊張しているのか、口数は少なかった。
「あ、あの・・・。」
タバサが口を開く、コリンズは身体をビクっとさせ、タバサの顔を見る。
(なんで・・・そんな顔してる?)
コリンズは心の中で問いかける。
そして、しばしの沈黙のあと、タバサは閉ざした口をもう一度開いた。
「わたし・・・コリンズくんに好きだって言われて・・・すごくうれしかった・・・。」
二人は視線を合わせ、コリンズはグッと息を飲みこむ。
「・・・それでね、わたし・・・わたしは誰が好きなんだろう?って考えたら・・・夢を見たの・・・。
わたしがいて、コリンズくんもお父さんもお母さんも・・・みんながいるのに・・・」
「お兄ちゃんだけが・・・いない夢を・・・。」
その言葉を聞いたとき、コリンズはフッと顔を背けた。
「それでね、わたし・・・わかったの。わたしは・・・わたしが好きなのは・・・」
「お兄ちゃんだって・・・。」
コリンズは黙り込み、タバサの言葉だけに耳を傾ける。
にぎやかだった街の人々の笑い声や、ざわめきは自然と聞こえなくなっていた。
ただ、目の前にいる自分よりも小さい女の子、自分の一番大切な想いを抱いたタバサの言葉を
しっかりと、胸に刻みつけるように。
「・・・なんて言うのかな・・・」
コリンズが口を開く。声は少し震えていた。
タバサはギュッと握った両手の力を抜き、コリンズの口元を見つめる。
「オレ、こうなるって事わかってたみたいだ。」
コリンズの意外な言葉に、タバサは「え?」と聞き返す。
「わかってたんだ・・・こうなる事を・・・。」
「わたしが・・・お兄ちゃんのことを好きだってこと・・・?」
「・・・ああ。それで・・・。」
そこまで言うと、コリンズは言葉を濁し、「いや・・・。」と慌てて話し始める。
「・・・こっから先は、オレが言うことじゃないな。
アイツ、待ってるんだろ?行ってやりな。それで、タバサの気持ち・・・伝えてきなよ・・・。」
コリンズはタバサに背中を向け、レックスのもとに行くようタバサに伝える。
「・・・うん。ありがとう・・・わたし・・・コリンズくんに会えて・・・よかったって思う。
だって・・・コリンズくんがわたしに『好きだ』って言ってくれなかったら・・・
わたしは・・・わたしの一番好きな人がきっとわからなかったと思うもん・・・。」
コリンズはこみ上げる涙をこらえ、タバサに答える。
「そう思ってくれるなら・・・うれしい。」
タバサは小さくお辞儀をし、走り始める。
大好きなレックスのもとへ、大好きだよ・・・と伝えに・・・。
タバサがいなくなると、コリンズは空を見上げる。
大きな雲はコリンズの心を包み込むように、不思議とコリンズの真上に留まっていた。
「・・・コリンズさま?」
急に名前を呼ばれ、コリンズはハッと我に返る。
「だれだ?・・・って、あんたはたしか・・・ピピン。」
不意に現れたピピン、ピピンは近寄り、コリンズに問いかける。
「どう・・・されました?ヘンリーさまがコリンズさまをお探しになっておられましたよ?」
「ああ、わかった。すぐ・・・行く。」
コリンズが答え、ピピンの横を通りぬけようとした時、ピピンがこう言った。
「・・・泣きたい時は、泣くのがよろしいかと思います。」
突然の言葉に、コリンズはカーッと顔を赤くし
「なっ・・・誰が・・・!オレは・・・。」
言葉が言葉として上手く口から出てこないコリンズ。
そんなコリンズをピピンはニコっと笑いかけ
「泣くということは、恥ずかしいことではありません。」
と穏やかな口調で続ける。
「・・・・・・・。」
しばしの沈黙の後、コリンズがゆっくりと話し始める。
「・・・オレは・・・。」
小さく、消えてしまいそうな声で
「オレは・・・わかってたんだ。こうなることも、そして・・・これからどうなるかってのも・・・。わかって・・・るんだ・・・・・・・・・・・・!!」
そこまで言うと、さっきまではこらえれていた涙が、コリンズの胸の奥から一斉にこみ上げる。
声を殺して泣き出すコリンズ。
ピピンはそれを驚くことなく、優しく抱きしめ、ポンポンっと背中を2回叩く。
「・・・グスッ・・・父上には・・・っ・・・内緒だからな・・・グッ・・・オレが・・・っ・・・泣いてたなんて・・・だ、だれにも・・・言うなよ・・・ッ!」
ピピンの胸にコリンズは顔をうずくめる。
「・・・御意・・・。」
ピピンは小さくそう答え、コリンズの頭に右手を置くと、二人の頭上を、鳥の群れが飛んでいった。
つづく を書き忘れ。
コリンズ×ピピンage
次で終わりっす
せっかくだから漏れはピピン×コリンズを選ぶぜ!
コリンズxピピンがでてくるとは( д ) ゚ 。
なんか一瞬ピピンがかっこよくみえたのは気のせいだろうか。
>>219 >ピピンは小さくそう答え、コリンズの頭に右手を置くと、二人の頭上を、鳥の群れが飛んでいった。
ごめん、何の脈絡もなく鳥が出てきたんで笑っちゃったw
「鳥の群れが飛んでいく」=コリンズの心理描写なんだろうけど、
作者さんにとって、もしくはこのSSにとって鳥の群れが飛ぶってことはどういうことなのか説明がないと意味がわかんねっすよ。
さくやはおたのしみでしたね、みたいなナニをナニしたかぼかした表現だろうか
ピピンは煩悩魔人でなければタバサを落とせる可能性あったものを
*焦げたカーテンの秘密*
(・・・・・・あら?これは・・・・・・。
ひょっとして、この間のお料理の時に焦がしちゃったのかしら・・・・・・。)
ミミは首をかしげる。
今日はここグランバニアを会場としてラインハットとの交流会が開かれている。
まだメイドとしてグランバニアのキッチンに配属されてまもないミミは、
お料理を盛り付ける食器を用意しようと脇のタンスに手を伸ばした。
その時に偶然、一部が焼け焦げたカーテンを目にしたのだった。
「おや、ミミさん。このお料理をお出しすれば、しばらく暇ができます。
お疲れでしょうが、もう少しがんばってくださいね。」
通りかかったサンチョはぼーっとしているミミの肩に手を乗せて声をかける。
「あ、ハイ・・・サンチョさん、すみません。」
ミミははっとして食器を手に取り、サンチョに一礼して鍋のほうに向かった。
何を見ていたのだろう。そう思ったサンチョはミミが見とれていた先を見てみた。
サンチョの視界に、あの焼け焦げたカーテンが入ってきた。
(懐かしい・・・・・・。 坊ちゃんとビアンカさまのお子様といえども、
まさか、ソラ王女があんなに早く呪文をお使いになることができるとは
このサンチョ、思っていませんでしたからね・・・・・・。)
給仕を終えたミミがサンチョのところに戻ってきた。
「ミミさん、お疲れ様。私たちもちょっと休みましょうか。」
気づいたサンチョがミミにねぎらいの言葉をかける。
「ええ、そうですね・・・・・。でも、サンチョさん。私一つ伺いたいことがあるのです。
ほら、あの焼け焦げたカーテン・・・・・・。なぜ、はりかえないのです?」
サンチョは当時のことを思い出すように一言一言をつむぎはじめた。
ちょうど7年前のことです――
*
7年前の今日もグランバニアでラインハットとの交流会が催されていました。
ラインハット王デール様や兄君ヘンリー様は我が国の王が行方不明だということに
大変なショックを受けておられましたので、私はせめてこれぐらいはと、
とびきりの料理を彼らにだして慰みにしようと致しました。
私は勇んで台所にたち、材料を切り始めました。
まずはデール様より贈られましたとっときの豚肉を分厚い大きさに切りまして、
そして自家製の白菜をちぎり、ニンジンをスライスします。さらにお餅を用意し・・・・・・
そして最後にこのサンチョ秘伝のキムチをツボからたっぷりとりだして皿に乗せたのでした。
そう、私が作ろうとしたのは、当時はまだ珍しいキムチ鍋でした。
あとは煮込むだけだと一息ついた私の元に、双子でグランバニアの後継者であらせられます
テン王子様とソラ王女様がいつもどおり、仲良く手を繋いで私の元においでになられたのです。
『おぉ、テン王子様にソラ王女様。ぇ、これですか?
キムチっていうんですよ。遠い国の食べ物で、辛いんですよ。
きっとデールさまもヘンリーさまも珍しがられて美味しく頂いてくれると思いますよ。
お二人にはまだ辛すぎて無理かもしれませんね・・・。』
確か、そんなことをお話致しました。
期待
お二人は他にもいろいろなことをご質問なさいました。
十分もするとお二人からのご質問が途切れましたので、私は火をつけようと致しました。
私は若干苦手ながらも火炎呪文メラの心得がありましたものですから、
いつものように薪に向かって詠唱を始めました。
『△△△!・・・%@~/_・・・△! メラ!』
こうして火はついたのですが、そこで信じられない出来事が起こったのです。
恐らく魔法の詠唱が珍しかったからだと思いますが、テン王子様が私の詠唱をお真似なさったのです。
そして、テン王子様の後に続くように、ソラ様も詠唱を見よう見まねでお始めになりました。
テン王子様はまだ5歳ですからメラが打てるほどの魔法力などお持ちではありませんし、
ましてや詠唱の発音方法も学んでいません。当然、メラが発動するとは思いませんでした。
もちろんソラ王女様も――と誰もが思っていました。 ところが!
『△△△!・・・_%~@/・・△! メラッ!』
その瞬間、ソラ王女様の目の前に小さな火の玉が現れたのです。
いい間違えた部分もありますし、細部の発音も微妙に違っていました。
そしてその火の玉はカーテンへ直撃しました。
・・・今思えば、人に当たらなかっただけ助かったと思わねばなりません。
この時でした。ソラ王女様の天才的な魔法能力を見出したのは。
*
――その記念として、今でもあれははりかえられていないのです。
そういってサンチョは話をしめくくった。
「なるほど・・・そうだったんですか・・・。」
ミミは感心の余りに大きく頷いている。
「まさか、不完全な詠唱でメラが発動し、またそれに耐えられる魔法力もお持ちになっているとは
現国王様を教育致しましたこのサンチョにもわかりませんでした。」
サンチョは自嘲する。
「サンチョさま、デザートの依頼が入りましてございます。」
おもてなしをしていた召使いの一人がサンチョに声をかける。
「おぉ、もうそんな時間でしたか。 わかりました、ただちに。
さぁ、ミミさん。長い話で疲れたかもしれませんが、もう一頑張りお願いできますかな?」
「ええ、もちろんです。」
二人はキッチンへ入っていった。
fin
乙〜なんかほのぼのしてて(・∀・)イイ!!
呪文に目覚めたのがキムチとはw
>>225 ミミって天空物語のミミ?それとも博物館のミミ?
天空物語のミミでする。
>>230 はじめての魔法 ちゃんとできるかな?
なんてフレーズと一緒にソラの姿が浮かびました。ゴチソウサマデス
そしてちょっと長いけども投下します
生まれた時からずっと一緒だったのに
手を伸ばせば、すぐに届いたのに
近すぎて気づかなかったんだね・・・
でも、わかったの
だれよりお兄ちゃんが好き
わたしは・・・わたしは・・・!
じょじょに近づくレックスとタバサの距離。
タバサは息を切らし、林道の中に消えて行った。
「ハァハァハァ・・・!」
タバサの視界の先に立つレックス。
草木を掻き分ける音が聞こえると、うれしそうな顔でレックスは叫んだ。
「タバサ!」
「お兄ちゃん・・・!」
足を止め、肩で息を整える。
スゥーハー
そして、ゆっくりと深呼吸し、タバサは前を向いた。
「あれ?コリンズくんは?」
レックスはコリンズの姿を探し、タバサに問いかける。
「・・・え?あ、うん・・・。」
話しの出鼻をくじかれたタバサは、半歩下がりそう答えた。
「で、話ってのは?」
レックスが顔を覗きこみ聞くと、タバサは少しの間顔に見とれ、思わず視線を逸らす。
「あ、あの・・・。」
「・・・ん?」
しかし、そこから黙りこむタバサ。
タバサは思った。
好きという気持ちはあれど、タバサとレックスは兄妹。
それは何事にも変えられない真実。
タバサの知る限り、兄妹で将来を誓ったという話は神話の中でのみ。
レックスはタバサの事をどう思っているのか?
もしもここで気持ちを伝えて、レックスがそれを受け止めれなかったら?
(ここまできて、何を悩むの?)
(コリンズくんと約束したじゃない!気持ちを伝えるって・・・。)
(伝えたいよ?でも・・・声が出ない・・・もしも・・・なんて考えたくないけど・・・ダメだよ・・・。)
「えっと・・・タバサ?大丈夫?」
「ハ、ハイ・・・だ、大丈夫・・・だよ・・・。」
(胸が締め付けられる・・・喉もカラカラだよぉ・・・言いたいのに・・・言えないなんて・・・。)
タバサはギュッと服の胸の辺りを掴み、目を瞑った。
(声が出ない・・・なら・・・言葉で伝えれない・・・なら・・・。)
「あ、あの・・・お兄ちゃん・・・。」
「ん?」
「も、もう少し・・・こっちに来れる?」
「う、うん・・・。」
レックスはジャッジャッと2歩タバサに近寄り「これでいい?」と聞くと
「うん・・・それで・・・ちょっと、ちょっとだけ・・・屈んで・・・。」
うつむきながらタバサは答える。
「?」
レックスは言われるがまま、タバサの前で屈み、「屈んだよ。」と一言。
レックスが瞬きをした時、それは起きた。
頬にタバサの手が触れると、レックスの唇に柔らかい何かが霞める様に触れたのだ。
それがタバサの唇だということに、レックスは少したってから気づいた。
身を固めたまま動かないレックスと、さっきまでうつむいてたが、今度は真っ直ぐレックスを見つめるタバサ。
ゆっくりと、タバサは口を開き、胸の中にしまいそうになった言葉を伝える。
「・・・好きです。・・・わたしは・・・お兄ちゃんが大好きです・・・。」
ドクンッ
その一言にレックスは胸を打たれた。
「あ・・・。え・・・。」
今起きた出来事を必死に理解しようとするレックスに、タバサは目を逸らさずにこう言った。
「お兄ちゃんがわたしのこと何とも思ってなくてもいいの。
お兄ちゃんはわたしのことただの妹と思っててもいいの。
わたしはお兄ちゃんが好きなの・・・!」
さっきとはうってかわって自然に胸の中から言葉が出てくるタバサ。
逆に、レックスはずっと黙りこんだまま、タバサを見つめていた。
しだいにタバサの瞳から涙が溢れてくる。
ちょっとだけ休憩
無言でその場を離れようとするタバサ。
その腕をレックスが掴んだ
「待って!」
ザッっと一歩進めた足を戻し、タバサは振り返る。
「・・・ボク、タバサがコリンズと一緒にいるって考えたら・・・少しだけ・・・ううん、いっぱい・・・胸が痛かった・・・。
それで・・・今タバサに言われてボクも気づいたよ・・・
ボクもタバサが好きだ。だからそんな顔しないで?ボクはタバサが笑ってる顔が・・・誰よりも好きなんだ・・・。」
レックスの言葉に、タバサの胸から何かがスーッと引いていくのがわかった。
「・・・ほんと・・・?」
必死に絞り出た言葉にレックスはコクンとうなづき、タバサは涙と一緒にレックスの胸に飛び込む。
「・・・もう・・・泣かないでよ・・・笑ってる顔が好きなんだってば・・・。」
レックスは困りながらもうれしい気持ちでタバサを受け止めそう言った。
タバサはブンブンと首を振り
「違うもん・・・今泣いてるのは・・・うれしいからだもん・・・わたしも笑いたいけど・・・
今はこんな顔しか出来ないんだもん・・・。」
涙声でタバサは答えた。
その時、二人の耳に春の音色が聞こえてきた。
聞き覚えのあるその音色に、二人は顔をあげ、ゆっくりと辺りを見回す。
「・・・この音色・・・。」
「うん・・・妖精の国で聞いた音色・・・。」
春の訪れを知らせるその音色は、かつて父の幼い頃に聞いた春風のフルートの音色であった。
二人が大きくなった父と共に妖精の国に行った時、たった一度だけ聞かせてもらったその音色。
音色が止んだ途端、暖かい風と緑の匂いがどこからともなく流れてきた。
ポンッ
ポンポンッ
それは二人を中心に広がり、周りの木々に花を咲かせる。
「妖精さん?」
タバサは問いかける。しかし、その言葉は静かに消えていく。
「わたし達をお祝いしてくれるの?」
その言葉にも答えはなく、ゆっくりと、やがては遠く周りの全ての木々に花を咲かせていった。
ピンク色のその花びらを、この世界ではサクラと呼ぶ。
春に目覚め、短い期間でその役目を終えるサクラの花びら。
一瞬だが美しさのあまり鮮明に人々の記憶に残るその花は、二人の今を永遠にするかのように優しく咲いていた。
タバサは涙を拭き、レックスはその手を握る。
二人は周りに咲き乱れたサクラの花びらに心を奪われるも、決してその手を放すことはなかった。
やがて花は散り、季節が変わっても、二人の想いは変わらない。
そして、二人は顔を合わせる。
サクラの花びらよりもピンクに染まった二人の頬、風に舞う花びらの中を歩き出す。
(これも夢だったら・・・怒りますよ?)
タバサは心の中で呟いた。
その瞬間、グランバニアの城の中で、一人の胡散臭いヒゲを生やした男が小さくクシャミをする。
「おや?お風邪を引かれましたか?プサンさま。」
後ろに現れた兵士が声を掛けると
「いえ、誰かがわたしのウワサでもしているのでしょう・・・。」
と答え、手に持ったグラスに口をつける。
「そうそう、それよりも気になっていたのですが・・・。」
「はい?なんでしょうか?」
「服が酷く濡れていますよ?着替えをなさらないのですか?ピピンさん。」
プサンがピピンの胸の辺りを指差すと、ピピンはニッコリと笑い
「ええ、これはわたしとコr・・・。」
ガゴッ
突然、ピピンの頭に飛び蹴りを入れるコリンズ。
それをキョトンとした目で見つめ、プッっと噴出し辺りは笑いに包まれた。
一方、満開とも言えるサクラの木々の中、二人は歩いていた。
「あ、そういえば。」
レックスが立ち止まる。その手に引かれ一緒になってタバサも立ち止まり
「どうしたの?」
と尋ねる。
「誕生日プレゼント!あとで渡そうと思って部屋に置いたままなの忘れてた!」
「あ・・・わたしも・・・でも、欲しいもの他にあるの。」
タバサが言うと、レックスは「なに?」と聞き返す。
「あのね・・・」
タバサは二人の距離を縮め、レックスの顔を見上げながらこう言った。
「もう一度、屈んでもらえる?」
レックスは頬を染め、ただ屈むだけでなく、お互いに引っ張られる様2度目の口付けを交わした。
FIN
どうも、こんな駄文に付き合っていただいてありがとうございました。
>>223さんのご意見ですが、まったくもって『思いつき』で書いてるが故、本人にもよくわかっておりません。
あと、もう桜散っちゃっテルヨーってのはなしの方向でどうか・・・orz
>>243 GJ!!『花』はそういう意味だったのか!
妖精さんたちが粋すぎる
245 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/18(月) 08:15:32 ID:OuAMpYc3
なんかきもくない?この展開
結構以前から思ってたんだが、このスレは萌えシチュ、萌えネタという調理素材さえよけりゃ無条件マンセーして、
単なる読み物においての語彙力、描写力という調理技術はあまり見向きされない傾向にあるよなー。
「面白いけどここが納得いかない、つまらないけどここは良かった」って意見があまりないからSS職人さんが全然レベルアップしねえ。
例えばペコ氏や甘辛物語 ◆8fpmfOs/7w氏のSSは王子王女のカプがすげー好きなんだなと言うことがよくわかる。キャラへの愛がある。でも文章がいまいちで不満。
語彙力だけみたら
>>133氏は結構高いと思うが、何を書きたいんだかワカンネ。全然萌えられないから不満。読書量は多いが、まだ書き慣れてない人って印象。
結局何が言いたいかっていったら良作キボンヌってことなんだが。いい文章でかつ萌えるSSが一つもないヽ(`Д´)ノウワァァァン
本格的な小説スレとは違い萌えスレの延長だからキャラ萌えor燃えがあればいいと思うな
文章で書き不足なとこあたりは読み手である程度脳内補完できるし
でもよりよい良作読みたいというのは同意、自分でも書こう書こうと思ってるけど難しい…
>>246 ということはあれですか。ペコ氏、甘辛物語 ◆8fpmfOs/7w氏が書いたSSを
>>133氏が書き直せば良作ができるとw
過度なマンセー意見ばかりでなんだかなーて思う気持ちはわからんでもないが、ヘタに批判して職人が撤退しちゃったら
困るのは読み手である俺たちだぞ。誉め感想で馴れ合って平和にスレが進めばそれで良し。
俺なんかは萌えは前者の人(ペコ氏、甘辛物語氏)、燃えは後者の人(
>>133氏)で十分補給できるから現状のSSに不満は無いけどなー。
王子と王女は好きだが、以前の何を置いても萌え、萌え、萌えの雰囲気に辟易してた頃があったんだけど、それに比べれば今のここは十分良スレだと思うよ。
時期的にひな祭りネタがあったから次は王子のためのこども日!…と思ったものの
こっちはドラクエ風にアレンジするのが困難そうだ。
萌え成分出すのはなかなか大変なことだよね
文章もその人らしさが出てればいいと思うけど。
好みの文体は人それぞれ。
ともあれペコ氏GJ!
一応、保守。
久しぶりに来たら名前が出てましたゆえ書きこみます。
文章がいまいちですか。そうですか。
ま、自分でもうまいとは思ってないですからいいですけど。
それにしてもSS書く時間が取れないっす。
ある程度の構想はできているのに……
どうせ文章がいまいちなんだったら粗筋だけ載せるって手もありますが。
どうよ?
1レス毎のリレー小説やってみるとか
>>252 時間が取れたら続きぜひに。
特に描きたい場面だけ小説で、どうでもいい繋ぎの場面は
あらすじみたいなテクニックがいいかなと思う。
王女たんの萌えSSが読みたい!
モンスターズSSのあらすじ?
天空城書庫より「星降りの夜」に関する資料が天空人の手により発掘。
その内容とは、10年に1度やってくる星降りの夜の日に天空城の屋上で
キスを交わしたカップルは永遠に結ばれるというものだった。
資料によると、次の星降りの夜は3ヵ月後の今日。
マスタードラゴンは早速屋上を建設し、下界に広めた。
屋上に昇れるカップルはスペースの都合上1組のみ。
予想以上に反響があり、是非その日に天空城の屋上に昇らせてくれといったカップルは何万を数えた。
困ったマスタードラゴンは2人1組でモンスターを使役し、戦わせ、
その勝利モンスターを使役していた組に屋上へ昇らせる許可を与えることにした。
本選に先立たれて行われた予選により、アベル(5主)・ビアンカとアンディ・フローラ、
ヘンリー・マリアそしてアベルの双子の4組が勝ち残った。本選がついに始まる。
トーナメントの抽選により、はじめはヘンリー・マリア vs 双子
アベル・ビアンカ vs アンディ・フローラということになった。
それぞれが白熱した戦いを繰り広げ、勝利したのは双子とアベル・ビアンカペア。
どちらが屋上に昇れるのか、親子対決が始まる。
――勝利したのは双子だった。
双子は星降りの夜に天空城の屋上に昇る。
天空に所狭しと流れる星を背にどちらからともなくとキスを交わす。
「ずっと、一緒にいようね。」 fin.
こんなのでどうでしょう? これをSS化する腕は私にはないですが。
259 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/29(金) 23:48:00 ID:xRY9yagz
ウホッ!いい題材…
各キャラがどんなモンスター使うとか面白そう
双子:プチット属系とか
アベル・ビアンカ:キラパンは確実
フローラ・アンディ:ブオーンとか
ヘンリー・マリア:スライムナイトとか
モンスターズやったことにゃいや・・・ゴメンナサイ( ;∀;)
同じくモンスターズ未プレイ、でもDQM+は全巻持ってる
・『モンスター使いへの道』
「モンスター使い」
それは魔物と心を通わし仲間とする人達の呼称。
ある者は畏怖と軽蔑、またある者は憧れと尊敬の意味を込めて彼らをそう呼びます。
モンスター使いには誰でもなれるというわけではありません。
なにしろ相手は魔物。犬や猫のように扱えるような生易しい存在ではないのです。
なれるのは魔物に好かれ、そして愛せる心を持った人。
一見簡単なことのようですがこれがとても難しいのです。
例えば虫歯で痛がるアームライオンに物怖じせず口に手を突っ込める、それぐらいの覚悟が必要です。
そんな事できる人いるわけない、と思う人もいるかもしれません
でも私の父はそれを平然とやってのける人でした。
そんな父に憧れ、父のようになりたいと思ったとき
自然と私はモンスター使いを目指すようになっていました。
幸いなことに私には父譲り、いえ祖母から受け継いだ魔物と心を通わす才能がありました。
これは私の双子の兄で天空の勇者でもあるレックスさえ持ち合わせてないものです。
14歳を迎えた今年、ついに私は父のような一人前のモンスター使いになるべく
モンスター使いの第一人者「モンスターお爺さん」の所で修行することになりました。
修行は厳しいだろうけど私は絶対それを乗り越えて、モンスター使いになってみせます!
どんなことでも頑張ってみせる、そう固く決意したつもりでした・・・
「あ、あの〜モンスターお爺さん・・・こ、この格好は?」
「ふむ。古来よりモンスターと心を通わそうとする者はまず形から入るものなんじゃよ」
「は、はぁ・・・?」
「つまりのぉ人間という姿かたちを捨て、より魔物に近い格好をすることが
魔物と心を通わす第一歩なのじゃ!」
・・・モンスターお爺さんはそう言いますがやはり納得いきません。
何しろ今私が着ているのは酒場で働くお姉さん達がきているような衣装。
俗に言うバニースーツの格好なのですから。
「あら?タバサちゃんよく似合ってるわね、ぴったりよ♪」
同じようなバニースーツ姿で現われたのはお爺さんの助手のイナッツさん。
長年助手をしているためか恥ずかしがる私とは対照的にとても着慣れた様子です。
衣装からはちきれんばかりのバストと
キュッと引き締まったウエストにウサギのしっぽが似合うヒップは
同性の私でも見とれるほどで、鏡に映る自分の身体と見比べるとためいきがこぼれます。
「それではタバサくん、奥の部屋のモンスターに食事を届けてやってくれるかな?」
「は、はい!」
なぜバニースーツなのかは気になりつつも私は重々しい鉄格子を開け
モンスターさんたちの居住スペースである洞窟の中に入りました。
「おお!タバサちゃん!」「王女様お久しぶりです!」「うひゃー王女様がなんでここに?」
う、、、よりにもよって顔見知りの、しかも人の言葉を話せるモンスターさん達だなんて
スライムさん達ならともかくアンクルさんやオークスさん達のような
タイプのモンスターさんに今の格好を見られるのは、ものすごーーく抵抗を感じます。
慌てて持っていたバケツで自分の身体を隠そうとしてみたものの
しかし、そんなことでは頭から生えたウサミミと脚の網タイツを隠せるわけもなく・・・
「王女様その格好・・・」
「え、えと私今日からここで修行することになったの。それで・・・」
「なるほど!」「すっげえ似合ってますよ!」「おいら一生ここに居てもいいや!」「ハァハァ」
モンスターさん達の刺さるような目線、いままで浴びたことの無いその視線に
少し喜びを覚えたものの、それ以上の恥ずかしさに耐えられなくなり
「あ、これ今日の昼食だから!それじゃ!」
捨てるようにバケツを置き、あいさつもそこそこに洞窟から出て行きました。
・・・やっぱりこんな格好いや・・・・お爺さんに頼んで別の服に替えてもらわないと。
そればかり考えて部屋に戻りました。
「おかえりタバサ!」
鉄格子をくぐり部屋に戻った私を迎える声。その声の主は驚くほど意外な人でした。
「おおおおお兄ちゃん!?」
なんでここに!?予想外の事態に混乱しつつも、反射的に手で身体を隠します。
そんな慌てふためく私の姿が面白かったのかハハハ、とお兄ちゃんは笑って
「うまくやってるか様子見にきたのさ。服、隠さなくてもいいじゃない。かわいいよ」
かわいい・・・そんな言われ慣れてない単語を聞いて舞い上がる私。
「こ、この格好・・・似合ってる?」
「うん、似合う似合う!タバサとは思えないくらいかわいいよ」
ちょっと引っかかる言い方でしたけど「かわいい」と言われてますます喜ぶ私。
さっきまでは破り捨てようとさえ思っていたバニースーツ
それに今は感謝したい気持ちでいっぱいです。
「そうよ。とても似合ってるわよタバサちゃん♪」
イナッツさんがうんうん、とうなずきながら会話に入ってきました。
そう言うイナッツさんの方がずっと似合ってる。そう思ったのは私だけではなかったのか
お兄ちゃんの目はいつのまにか私ではなくイナッツさんに釘付けでした。
「でもイナッツさんが一番似合ってるよ!やっぱりバニーさんはボンキュボン!じゃないと
タバサももうちょっとこう・・」
「もう、お兄ちゃん!」
「ふふ、タバサちゃんはまだまだこれからよレックスくん♪」
モンスター使いを目指してここに修行にきましたが、モンスター使いとは違う新たな目標ができました
私はバニースーツが似合うイナッツさんみたいな女性になってみせます!
終
>>257さんのネタではないですがモンスターネタで思いつきで書いてみました
去年にできたまとめサイトに変な書き込みが…
というか管理人さんも行方不明だし。生きているのかな?
あの書き込みは業者かな?
あの掲示板のSS密かに楽しみにしてたり
_ ∩
( ゚∀゚)彡 バニー! バニー!
( ⊂彡
| |
し ⌒J
>>263-267 誰も触れてないみたいだけど、SS作成乙。
ボンキュッボンとかいってるレックスは個人的に親父くさくていやかもw
でも笑ったー。
>>246 私は他人の文章の校正なんてできませぬ。
というのも、どこが悪いのかがわかりません。(頭弱いだけですが)
職人さんのレベルアップには協力してあげたいですが・・・
>>269 ごめんちぃ・・・(´・ω・`)
もうすぐしたら時間とれるからもう少し待ってくだせぇ
…4カゲツカ……orz
hosyu
275 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/07(土) 11:32:15 ID:sSV1nb3h
新板の影響でスレ落ちが酷いな
ということで一旦浮上
イルたんと違い王女は自分自身が強いからモンスター手なずけるのも簡単そう
逆らったらイオナズンな鬼調教師…
モンスターになりたいとか思ったMな人は挙手。
ノシ
そんなの王女じゃない・・・とか思った人ならここに
俺は普段は強くて頼りになるんだけど王女と二人っきりになるとデレデレしてしまうオークとかになりたいです。
時には己の凶器で王女たんをハァハァ
王子が魔物に姿を変えられてしまう美女と野獣な話が思い浮かんだ
王子が変身してしまったモンスターが…
・スライム、ドラキー系 → 王女「゚+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゚カワイイ!」
・オーク、イエティ系 → 王女「゚+.(´▽`)ノ.+゚フカフカ!」
・スライムナイト、グレイトドラゴン系 → 王女「゚+.(・∀・)゚+.゚カコイイ!」
・ガイコツ兵、ガスダンゴ系 → 王女「('A`)キモー」
襟なしのシャツに
10月がきても
夏は終わらない
保守
286 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/15(日) 01:26:01 ID:Ex8Es8nT
王子が変身してしまったモンスターが…
ゾンビ系 黄泉津比良坂、イザナギ・イザナミ状態(逃げる王女と追う王子)
そういえばイザナギイザナミも双子兄妹ぽいな。
>>286 腐った死体とかでも好きでいられたら女神だ、王女たん
289 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/15(日) 21:57:42 ID:Ex8Es8nT
>>288 腐り虫が涌いている状態でも好きなままで居られたら王子の方、日光で灰になる
吸血鬼状態で、今の自分と比べてしまい泣きながら塵になりそう。
キャラバンハートでは腐った死体になった恋人と心を通じ合わせようとして魔物使いになった女がいたな。
292 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/16(月) 23:22:32 ID:KjiimTQH
>>290 ここまで来ると狂気と紙一重な愛だな。
死んだ恋人、ゾンビのままにしておかないでちゃんと成仏できるように弔ってやれよ。
キャラバンハートはよく知らんが、
腐った死体という魔物化してしまったんではないか?
とすると成仏させるにはどうしたらいいのか。
倒せばいいのか。
295 :
292:2005/05/18(水) 13:10:43 ID:+YNY8Ir3
腐った死体系って、この世に強い未練があって死んでから迷い出た奴じゃないのか。
成仏させるには
説得して、この世の未練を断ち切る
神父に供養して貰う
相手のこの世に迷い出るほどの未練になった願いを叶える
戦って滅ぼす
ぐらいか。
でも改心すると死体のままついてくるんだよな
その朝、レックスはいつもより少し早く目が覚め起床した。
寝坊ばかりする彼がこんな時間帯に、それも誰の助けも無く起きるのは稀であった。
『うぅ…熱っ…』
それが彼の寝起きの第一声。
まるで真夏の熱帯夜のような寝苦しさから逃げ出すように彼はベッドを降りる。
『熱っ…だるぅ…』
立ち上がった彼を地面に吸いつけられるような倦怠感が襲う。
『水……』
ふらふらとした足つきで水飲み場へ向かう。
なんとか水飲み場に辿り着いた時、彼の前には一匹のモンスターが立っていた。
だらしなくうなだれた姿勢に、開いた口から垂れる大量のよだれ
特徴的なその風貌から一目で腐った死体系のモンスターだと解る。
たしか腐った死体は仲間にしてないはずなのに…?
そう考え込むレックスの後ろから「キャー!」と女性の悲鳴が響く。
振り向くと手に持っていた衣類を床にぶちまけ、おびえるような目で
レックスの方向を見つめる侍女の姿があった。
その様子を見て心配そうにレックスは侍女の方へ歩み寄り、床に落ちている衣類を拾う。
『はい…』
そう声を発した途端、侍女は先程を越える大きな悲鳴をあげ、そのまま気を失った…。
何が起きたんだ…?
ふとレックスは後ろを振り返った。
後ろに居るのは倒れた侍女に寄り添う腐った死体…いやそれを映す鏡があるだけ。
さっきの寝ぼけた頭とは違い、今の彼の頭はとても冷静だ。
その頭から導き出される答えは一つ
腐った死体は僕…!?
そう意識した途端、冷静だった彼の頭は真っ白になり思考を止めた。
まるで脳まで腐ってしまったかのように。
「な!誰だお前は!!」
再びレックスに意識を取り戻させてくれたのは男の怒鳴り声だった。
男には見覚えがあった。彼は城内警備長のピピン。
そう認識したレックスは今自分の身に起きている事態を相談しようとピピンに詰め寄ろうとするが
「動くな!お前…、、、王が仲間にしたモンスターじゃないな?」
ピピンはギラリと鈍く光る槍先をレックスに向ける。
その姿からは普段のおちゃらけた彼の面影は感じさせない。
改めてレックスは今自分が置かれている状況を認識する。
眼下には気を失い倒れ込んだ侍女と散乱した衣類、そして自分は腐った死体の姿。
なるほど、これは傍から見れば城に侵入した野生のモンスターが侍女を襲った、に見えて当然だ。
と、なれば……
『だぁ!!」
腐っても勇者レックス、眼前のピピンの槍をいとも簡単に払いのける。
戸惑うピピンの隙を尻目に腐った死体とは思えない俊敏さで廊下を駆け抜けた。
ごめんねピピン…今は話してもわかってもらえそうにないから。
「くそ!誰か来てくれーー!モンスターだ、モンスターが城に侵入したぞ!」
299 :
たとえ姿形が変わっても:2005/05/19(木) 17:25:43 ID:JTtPvACe
逃げる逃げる逃げる、まわりの悲鳴や怒声を気にせずただ逃げる。
仲間モンスターが多く住むグランバニアでは、普通の国よりもモンスターに対する理解は高いほうだ。
だが今は状況が悪い。
武器を持つ兵士からは目の前の野生モンスターを退治しようとする意志しか感じられない。
せめてアベル王がいれば話が通じたかもしれないが
こういう時にかぎってお父さんはラインハットに行ってるんだもんな…
よって彼の選べる選択肢はアベル王が帰還するまで身を隠すことだけだった。
『うわっ!』
「きゃっ!」
目の前に人…そう思った時すでに遅く
レックスはそのまま相手にぶつかり、押し倒す形で倒れ込んでしまった。
『ごめん!だいじょうぶ…えっタバサ!?』
自分の身体の下敷きになっている相手は他でもない双子のタバサであった。
「あいたた…、あなたは…?」
目をぱちくりさせ、レックスを見つめるタバサ。
思いがけない状況に混乱するレックスであったが
タバサなら自分のことをわかってくれるのでは、と考えた。
『タバサ、僕だよ!わかる!』
「え、な、なに?」
「大変だー!タバサ様が襲われたぞーー!!」
だがどうやらそんな悠長な時間は無かったようだ。
レックスはタバサの説得を諦め、また一目散に走り逃げていった。
「さっきの…もしかして…?」
はぁはぁ…ぜえぜえ…
追いたてられ逃げるレックスが辿り着いたのは城の裏影。
やっと落ち着ける場所を得たことにより、彼は現在の状況を整理しだした。
・自分は今腐った死体の姿をしている
・身体能力は普段より劣るものの腐った死体ほど鈍くない
・言葉は発せられるが人間に通じるかどうかは不明
ざっと思いついたことを頭に羅列する。
しかし一番の問題はなぜこのような姿になってしまったか、ということだ。
心当たりは…あった
昨日レックスは家族総出でラインハットを訪れていた。
その時、彼はコリンズとラインハット城宝物庫を探検していた。
「コリンズ、この薬ってなんだかわかる?」
レックスは赤色のあやしい液体が入った瓶をコリンズに見せる。
「ん?あ〜こりゃラベルも無いしわからないな、なんだ気になるのかそれ?」
「う〜ん、なんとなく魔法の匂いを感じるんだけどな」
「それ、お前が欲しいのならやるよ」
「いいのか、コリンズ?」
「ああ。でも親父には内緒だぞ」
そうだった、コリンズから変な薬をもらっていたんだ、それで…
「ふぅ〜いい風呂だった、なにか飲み物〜あったあった、ゴクゴク…ぶっ!?」
そう、風呂上りに飲み物と勘違いして口にしていた。
我ながらまぬけなことをしたなあ、とレックスは恥ずかしい気持ちで一杯になる。
だがこれで原因はわかった。あとはなんとかラインハットと連絡を取れれば…。
「やっぱりここにいたんだ…いたずらした時によくここに隠れてたものね」
声がして振り返った先にいたのはタバサだった。
これにはレックスも驚いた。
『タバサ…、もしかして僕のことがわかる?』
「うん、お兄ちゃんだよね?」
『そうそう!凄いや、さすが双子!タバサならわかってくれると信じてた」
「双子だからなのもあるけど私がお父さんの力を多く受け継いでのが大きかったかも
人語を話せないモンスターさんの言葉でもある程度私には理解できるから。
それよりもどうしてこんなことになっちゃったの?」
レックスは今までの成り行きをタバサに説明した。
事態を呑み込めたタバサは
「わかったわ、それじゃまずお城のみんなにこの事を説明して誤解を解きましょう
その後、私はルーラでラインハットへ行ってヘンリーさん達に相談してみる」
『頼むよ、タバサ」
タバサの説明のおかげでグランバニアでのモンスター侵入騒動は幕を閉じた。
気を失った侍女も特に怪我もなく、ピピンを含め兵士達との誤解も解けた。
王宮は再び普段の平和を取り戻した。
それから二週間…
「キャッ!あ、王子様でしたか、おはようございます」
「わわ!お、王子〜いきなり現われないで下さいよ…心臓止まっちゃうかと思いました」
レックスの姿はまだ元に戻ることは無かった。
あの後タバサの報告によりラインハットではレックスが飲んだ薬の事が調べられた。
それにより分かったことは
薬はジェリーマンを材料に作られた身体変化作用のある薬だということ。
あの偽皇后が人間に化けるためにも用いられたともいう代物である。
元の姿に戻るにはラーの鏡が必要なのだが
「たしかあの偽皇后事件のあとヘンリーに渡したな、あの鏡」
「いや俺はアベル、お前に返したはずだぞ?」
「いやいや絶対にヘンリーに渡したぞ。お前が記念に欲しい、とか言うもんだから」
「いやいやいやお前が生活用品として鏡が欲しいというからでだな」
アベルとヘンリー、どちらもその後の鏡の行方を知らず
今現在グランバニアとラインハット両国で鏡を探している真っ最中である。
すぐに元に戻れるものだと楽天視していたレックス。
しかし二週間経っても戻れないまま時が過ぎていくと不安もでてくる。
これだけ探しても鏡が見つからないなんて…もう昔にどこかへ捨てられているんじゃ
もしかして僕はずっと腐った死体のままなのかも…
そう考えながら城の裏影で黄昏ていた。
「お兄ちゃん」
そんなレックスにタバサが声をかけた。
この二週間あまり、自分の外見が腐った死体であることを気にしてか
レックスが会話するのは主にタバサ一人だった。
『タバサ…もう僕一生このままかもしれない』
レックスは内なる不安を隠さずタバサに話す。
「そんな…弱気になるなんてお兄ちゃんらしくないよ。絶対元に戻れるはずよ!」
精一杯のはげましの言葉をかけるが、それでも立ち直れないほどレックスは重症だった。
二人の間に気まずい静寂が流れる…
「ねえお兄ちゃん…キスしようか?」
『え?』
突然のタバサの言葉に驚くレックス。
『キ、キスぅ?』
「うん、私いろんな物語の本を読んだけど、呪文にかけられた王女様や王子様を
元に戻せるのは王子様や王女様のキスであることが多いの。
私たちも王子と王女なんだから可能性あると思う」
タバサの言うことはそれなりに理にかなっていた。
藁にもすがる思いのレックスにとっては充分試す価値がある行為だ、しかし
『で、でもさあ僕はいいよ。だけどタバサはいいの?ほら今の僕は腐った死体なわけで…』
「うん、私は平気…少しでもお兄ちゃんが元に戻れる可能性があるのなら」
タバサの方の覚悟もできていた。
だがレックスはまだ迷っていた、妹のファーストキスの相手を腐った死体にしてしまうなんて…
決心がつかず夕暮れの中、時だけが過ぎていった。
「王子様〜王子様〜見つかりましたよラーの鏡〜どこにいるんです王子様〜」
立ちすくむ二人の耳に、遠くから鏡の発見を知らせる兵士の声が聞こえる。
「…見つかったみたいだね」
『う、うん。はははこれでやっと元の姿に戻れるよ!』
レックスにとっては人間の姿に戻れる喜び以上に、タバサの唇を奪わずに済んだ安堵感が強かった。
「それじゃみんな待ってるから早く戻りましょう」
『そうだね…』
夕暮れに染まる景色の中、タバサの顔が残念そうに見えたのは気のせいだろうか。
そんなことを考えながらレックスはその場を後にした。
−fin−
おまけ
「みんな、今日から新しく仲間に加わる腐った死体のスミスだ」
「オ、オデスミス…ヨ、ヨロシク、ナンダナ…」
「きゃー♪かわいいー!よろしくねスミス♪」
「タバサ…その気持ち悪くないの?」
「ううん、だってすっごくかわいいんだもん♪」
タ、タバサの趣味って…
王女はゲテモノ好きなのか
タバサかわええ(´∀`*)
ちなみにキャラバンハートでは仲間モンスターは別のモンスターに転身できるんだよな。
仲間にしたときは腐った死体でも次から次へと姿を変えることができる。
双子萌えスレ落ちてる?
落ちてるorz
保守しとくんだった…orz
水曜日に最後に保守したのは自分だorz
この板保持数が急に減って、マターリスレが持続するのが難しくなったなあ・・・
せっかくパート7までいった長寿スレなのに惜しい
でも新しく立てても、ネタがないとまたすぐ落ちちゃうだろうし・・・
FF新作祭りが怖い
313 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/22(日) 22:38:09 ID:+nQNicOk
保守
今残ってるSS職人さんはどれくらいいるんだろうか・・・。
あるひとつのお話を前半と後半にわけて、それぞれ違う職人さんが担当するとか
コラボSSもひとつのネタになるかな?
>>315 1〜2レス分くらいなら自分でも参加できそうだからいいかも
317 :
設定だけ(1):2005/05/26(木) 17:37:58 ID:+5usq3fl
DQ5 ミルドラース撃破後
ゲマ 主人公達にやられた振りをして無傷ではないが実は生きていた。
遙か昔に夢と現実を繋げたと言われる進化の秘法の研究に打ち込んでいる。
青髪王女 ゲマに進化の秘法(ヴァージョン0.35)を掛けられる。
コリンズとの婚約後、目覚めることなく昏々と眠り続ける。双子の王子に対して
兄妹以外の想いを抱いていて王子が出奔するとき求めることが出来なかった。ス
キルは賢者。
青髪王子 青髪王女を兄妹だけとしてみることが出来なくなり、グランバニアを
出奔してどこかへ旅立った。一途で真面目な男勇者、それで過去に何度も母親違
いの王女に振り回された経験がある。スキルは僧侶。
金髪王女 ワタシを子分にしろと言ってコリンズの親分になった姐御な女勇者。
母親違いの兄妹にそこまで思い詰めるなら一緒になれば良いのにと思っている。
実の父親の主人公の第三王妃を狙っている彼女に倫理という言葉はない。スキル
は魔物使い。
金髪王子 オジロン同様出来れば王になる気はなく、気楽に暮らしたいと思って
いる。父親を狙っている双子の姉に連れられコリンズ、ピピンと母違いの兄妹を
起こす術を探す旅へ。スキルは魔法剣士。
318 :
設定だけ(2):2005/05/26(木) 17:56:29 ID:+5usq3fl
スキル ダーマ神殿崩壊後、職業はなくなり。本人の持つ特技に応じて冒険者
の能力を区別する名称。
賢者 呪文全般を使いこなし、道具の鑑定から薬の調合までをこなせる。
魔法剣士 呪文を武器に篭めることが出来、属性攻撃を自在に操ることが出来る。
僧侶 (ステータス異常を含む)回復呪文、ある程度の道具の鑑定(呪いの有無)
薬の調合をこなせて、どこかの教会に所属する者。能力・身元の証明が各スキル
中一番しっかりしている。所属がないと胡散臭さも商人に次いで高い。
主人公はビア、フロ、どっちとも子作りかよΣ(゚д゚)
320 :
139:2005/05/27(金) 00:54:13 ID:x61SXzKq
いつも皆さんに忘れられた頃にやってくる俺が来ましたよ。
>>137の続きです。
早起きをした朝。「さあ、これから一日をはじめよう」なんて意気込んでみても。
世の中の平穏は変わらず、これから過ごす一日の予定も変わりはない。
天下の勇者様であろうと、それは同じこと。
大きなあくびをして、力いっぱい背伸びをして。少年は大っ嫌いだった勉強の時間へと挑んでいく。
かつての冒険の日々の記憶は、遙か遙か遠くへ。
あっという間に時は流れてしまった。テンはそんな風に思う。
でも、あっという間に流れたと感じているのに、実際は数ヶ月も経っていないのだ。
どうもなにかがちぐはぐで。何も変わらない自分の心と、動いていく周りが噛み合わず、しっくりとこない。
それも当然。だって勇者様は今でも疑問なのだから。
世界の危機って、結局なんだったのだろう?
生まれた時から勇者で、城の中では世界の柱たる英雄と崇められて生きてきて、
天下にふたつと無い至高の剣を握れば自身が未熟であろうとそこらの魔物に敵はなかった。
不安に包まれている人々を見て、心を痛めることは何度もあったけれど。
周りには、ピピンやピエール、プックル。世界の危機と戦おうとする、勇者であるという自分よりも強いひとがたくさんいて、
そんな彼らが、なお尊敬する父がいた。
どんなに背伸びをしても、自分やソラが子供であるということは変わりはなく、強い大人である彼らに守られてしまうのは当然のこと。
そんな庇護の中での旅は、本当に本当に楽しかった。
船で海を、空飛ぶ城や竜の神様の背中で空を駆けた。
世界は広大で、おとぎ話や伝聞でしか知らなかった新しく目にするものすべてが新鮮で。
ソラとふたり、目を輝かせて導かれるままに世界を追う素晴らしい日々に、世界の危機への関心は薄れていった。
321 :
139:2005/05/27(金) 00:57:03 ID:x61SXzKq
だから、これでよかったのかと不安に思う自分がいる。
平穏を流された人々にとって、大人たちが願っていた「勇者」である自分はこれでよかったのかと。
だって、魔界から帰ってきてみれば、自分のこんなささやかな力で幸せになってくれた人がいて、英雄としてここに在る自分がいて。
たくさんたくさん、感謝された。
それこそ、今の自分の在りようが納得できなくなるくらいに。
だから、そこにあるのは祈りだけ。
この平穏を、寂しいと思ってしまう自分には、絶対になってしまわないように。
たしかに、今、何かが物足りないと感じているけれど。それを寂しいと認めてなんかやらない。
振り返ったその先に、旅の思いでがそこに在ってくれるのなら。
父や母や、魔王の脅威が世界を覆う中で生きていたひとたちが、それをとてもとても、尊いことだと信じているのなら。
――――自分もそう、信じていなければならないのだ。
勉強は、もっぱら読書。
勉強にあまり乗り気でないテンにリュカはこう諭した。
「知りたいと思うことを学べばいい、そういう時の勉強は楽しいよ」
奴隷として過ごした少年時代。父はその中で、同じく奴隷であったひとりの老人から学問を教わったという。
学問をしなければいけなかったからではなく、読み書きや、天空の伝承など、
いろんなことを知っているその人の話がとても面白かったから、自然と教えを請うようになった。
疑問をたくさんぶつけて困らせたものだったと彼は笑った。
「テンの気持ちはわかる。ぼくだって興味のない宮廷の形式、礼儀作法を学ぶのはめんどくさくて嫌だ。
剣を振っている方が楽しい。でも、学ぶっていうことは、本当に大事なことなんだよ。難しい本を読んで無理に知識を詰めろなんてことは言わない。ソラだって、無理に勉強しているわけじゃない。ただ興味が湧いたことに手を出しているだけなんだから」
目を輝かせて本を読んでいるソラの姿は見慣れているだろう? と問われて、頷いた。
そう、ソラはただ、知りたいことを知ろうとしているだけだった。
雷はなぜ鳴るのか、シャボン玉は丸いものばっかりで、四角いものや三角のシャボン玉を作ることはどうしてできないのか。
おもちゃの船をよく浮かび、よく走るようにするにはどうすればいいのか。
322 :
139:2005/05/27(金) 00:58:18 ID:x61SXzKq
ソラがいろんな本を読むようになったのも、結局のところはじまりは遊びの延長から。
そう思うと、勉強なんて大したことがないように思えてくる。
「大人になったら、ぼくみたいにやりたくない勉強をやらなきゃいけない時が来るだろうけど」
苦笑して、彼は続けた。
「今は、どんな些細なことでもいい。テンがこれは勉強だ、って思えることならそれでいい。そんなことでも、いつかは大きなきっかけになるはずだよ」
そうして、テンは読書をするようになった。
興味を持ったのは、自身に関わる伝承。
つまりは、世界に伝わる勇者の伝説。
自分以前の勇者たちの物語や、そのひとたちに救われた世界。
あるいは天空人、天空城の成り立ち。天空の武器防具のルーツなど、
多くの故事来歴についてだった。
もっとも、字を読むこと自体は苦手なので、すぐに飽きてしまう。
だからマーリンやソラに一緒に読んで内容を噛み砕いてもらうことが多かった。
「眠くなったかの? 王子」
マーリンのしゃがれ声がテンに問うた。
「あはは、実はかなり」
「ふむ、ではここで中断しようかの。午睡でもしてくるといい。朝から運動して疲れているのじゃろう?」
「うん……ってなんで知ってるのさ? ソラが言ったの?」
毎朝の鍛錬はソラしか知らないはずだった。
別に秘密にしているわけではないが、やはり誰かに知られると気恥ずかしいものがある。
「いいや、ピピンやテニアンがたまに首を傾げていたことがあるのじゃよ。鍛錬場の道具が朝っぱらから出しっぱなしだったと」
まるで子供がいたずらしたかのように、とからかうようにつけ加えた。
323 :
139:2005/05/27(金) 00:58:59 ID:x61SXzKq
「あ……」
あちゃあ、と頭を抱える。確かに、後始末を忘れた日もあったかもしれない。
悪いことしたなあ、と申し訳なくなる。
昼間や夕方など、普段はテンは鍛錬場にはあまり行かない。
天空の剣を振り回すのなら、あるいは呪文を使うのならまだしも、木剣を使った純粋な剣技では彼らの相手にはなるはずがない。
子供特有のすばしっこさを生かせば、と思えば少しは自信もあるけれど、やはり体格差と身体能力の差がありすぎて訓練としては噛み合わないだろう。
だから兵士たちには混ざらず、外でピエールたちを相手に自由に、気楽に剣を振るうことが多いのだった。
「じゃあみんな知ってるのかなあ。お父さんとお母さんも?」
「どうじゃろうな。リュカ殿と奥方様は知らぬのではないかな? 今のところ兵士たちの公然の秘密と言ったところか。なあに、皆そなたに好意的じゃよ。しかしまだまだ隠しごとを隠し通すには青いのう」
愉快気に笑うマーリンに、テンは唇をとがらせる。
「なんだよー、もう」
はあ、とため息をつく。一日一回はこんな些細なことで自分が子供だと思い知るのだ。
ソラはこんなことないんだろうな、思うとちょっと情けない。
毎日が万事、焦りの中で。しかしテンは気づかない。
大人に近づこうと一生懸命に背を伸ばすその様は、大人たちの目にはとても微笑ましいものであり、彼らの表情をほころばせていることを。
テンの存在はちゃんと、城の人々に平和を感じさせている要因になれているのだと。
いつか、テンが自分の価値に気づくその日は、まだまだ遠く――――
324 :
139:2005/05/27(金) 01:18:47 ID:x61SXzKq
前回と変わらず今回も地味地味。
一応、作者の意図として、一話のソラもそうですが、未熟なガキんちょの未熟な思考にやきもきしてもらう、というのがあるんですが、
成功しているでしょうか? 助言を頂ければ幸いです。
三ヶ月近く空いた割にはあまり進んでません……orz
ああ、日常描写ほんとむずいなあ。
>>324 世間的には世界を救った勇者、だけど中身はまだまだ発展途上の少年という
ギャップがいいですね
やきもきするというより応援してあげたくなると思いました
パパンはもちろんとしてマーリンが良い大人してるな。
327 :
てんあい:2005/05/28(土) 20:42:25 ID:BOG5G8ts
どうも、本当にお久しぶりです。ちょっとゴタゴタしてまして他の職人さんの作品も読んでいない
状態なのですが、何とか時間を見つけてこの話を終わらせられるようにがんばります。
翼の欠けた天使たち 第十四話
「おかえりなさーい!」
『おとうさんとおかあさんかえってくるよ』とのソラの言葉で表へ出てみると、赤く色付き始めた
空に一条の光が走り、そして城の上空で停止する。すると、ゆっくりと降りてくるお父さんと
お母さんの姿が見えてきた。
「あら…、あなたたち早かったのね。私たちの方が早く着いたかと思ってたけど…。
でも二人とも元気そうね。何事も無かったみたいで安心したわ。」
ボクたちの顔を見てお母さんは笑顔を見せる。…でもその顔からは疲れの色がうかがえる。
合わせてお父さんの姿を見て、二人の一週間が容易に想像できた。
「いつまでもこんな格好でいるのもアレだし、早く着替えたいわね。行きましょうか。」
「うん…。…お父さん、あの…。」
「ただいまテン。詳しいことは上で話すよ。行こうか。」
着替えを終えて先にリビングに戻ってきたのはお母さんだった。
「そう、お兄ちゃんにいっぱい連れてってもらったのね。楽しかった? ソラ。」
「うん! ありえるちゃんと、すらたんと、おんせん!」
「………?」
ソラの言葉だけでは今ひとつ呑み込めていないお母さんにボクが説明を加えた。
「ラインハットを出た後は、サンタローズとアルカパに行って、その後ダンカンお祖父さんの村に
行って来たんだ。」
328 :
てんあい:2005/05/28(土) 20:43:08 ID:BOG5G8ts
「これ、おみやげなの。」
テーブルの上に置かれている赤く熟したぶどうを指してソラが言う。
「貰い物なんだけど、とっても美味しいよ。」
「ホント美味しそうね、一ついただきます…。…もしかしてこのぶどうって…。」
ぶどうを一粒口に含んでお母さんは気が付いたようだ。
「うん、アルカパの宿屋で貰ったんだ。たくさん貰ったからお祖父さんにもお裾分けして…。」
「ありがとうテン。きっと父さん喜んだと思うわ。」
「…うん。お祖父さんも食べたとき、お母さんと同じこと言ってたよ。」
「あら…。」
「おかあさん、もっとたべてたべて。」
ピキィ!
城の中を探検でもしていたのか、アルカパで出会ったスライム、スラたんもリビングにやって来た。
スラたんはそのオレンジ色の体を震わせてソラの肩に飛び乗る。
「あら、そのコは? オレンジ色のスライム…、じゃあそのコがスラたんなのね。」
「えへへ、かわいいでしょ。」
スラたんとの出会いや仲間になったいきさつなどをお母さんに話す。
「そうなの。すごいねソラ、まるでお父さんみたい。…でもスライムって普通ブルーよね。」
「…恐らくそのスライムは『スライムベス』だろうね。」
その言葉とともにお父さんが戻ってきた。
「あなた知ってるの?」
「いや僕も文献を読んだだけなんだけどね。確か数百年前に絶滅したらしいんだけど…。」
ソラは肩に乗ったスラたんをそっと抱き寄せて、
「じゃあすらたんいままでひとりぼっちだったのね…。でももうだいじょうぶだよ、これからは
おともだちいっぱいなんだから!」
329 :
てんあい:2005/05/28(土) 20:43:59 ID:BOG5G8ts
一週間ぶりの家族四人揃っての食事も済み、食後の一時をお父さんとお母さんはお酒を飲みながら、
ソラはスラたんと二人で遊んで過ごしている。
ボクは二人に、この一週間ずっと気になっていたことを訊いてみた。
「お父さん、ソラを元に戻す方法のことなんだけど、何か見つかった…?」
「…いや、さすがに一週間ではあの洞窟ですら調べきることはできなかったよ。強力なモンスターも
多いからね。でも機会を見つけてまた行ってみるつもりだよ。」
「そうね、思っていたより結構大変なことになりそう…。もしかして自然に戻るのを待ったほうが
早いのかもしれないわね。でも私も続けてみるつもりよ。」
例え魔界の全てを調べたとしてもそれで方法が見つかるという保証があるわけではない。もちろん
それは二人も承知しているだろう。もしかしたら無い可能性だってある。それでも二人はソラのために
体を張ってくれているのだ。
やっぱりボクも行くべきなのだろうか…。でもボクには…。
「ただちょっと気になることがあってね…。」
お父さんの一言でボクは我にかえった。
「いや、これは明日にしよう。僕も久しぶりの冒険だったから体がなまっていたのかな、さすがに
疲れてね…。少しは鍛えないと駄目かな。まだまだキミには負けたくないからね。」
微笑むようにボクを見てお父さんは言う。
「お父さん…。」
「さて…。ねえソラ、今夜はお父さんと一緒にお風呂入ろうか。」
椅子から立ち上がるとお父さんはソラのほうを向いてそう言った。
「え、おふろですか…? おにいたんとはいるからだめです。いこ、おにいたん。」
しれっ、として言うソラはお父さんから逃げるようにして、ボクの腕を引っ張り浴場へと促す。
「そ、そんな…、ソラ…。」
「え…と、あの…。」
「いいわ、あなたたち先に入ってきて。ほら、そんなに落ち込まないで。今日は私と入りましょ。」
そんな状況を見かねたのか、お母さんはボクとソラを送り出してくれた。
330 :
てんあい:2005/05/28(土) 20:47:43 ID:BOG5G8ts
入浴が終わってリビングでくつろいでいると、ボクたちの後に入ったお父さんとお母さんもやってきた。
お父さんは真っ先にソラのところに向かう。その表情は少し怖い。
「…ソラ、お風呂はお兄ちゃんと入ったんだから寝るのはお父さんと…。」
「だめです。ねるのもおにいたんといっしょなの。」
間髪入れずにそう言うと、ソラはまたしても逃げるようしてボクのところにやってくる。
「おにいたん、もうねましょうなの。」
「あ…、う、うん…。」
見事に玉砕したお父さんの落ち込みようは見るに耐えない。
「はいはい、もう泣かないの。今日は一週間振りだから私と…、ね?」
お父さんのことはお母さんに任せてボクたちは自室に向かった。
「せっかくだからお父さんとお風呂に入ったり、一緒に寝ても良かったんじゃないの?」
ボクの部屋のベッドに二人で入り、さっきのことをソラに訊いてみた。
「…だってぼくはおにいたんとねたいんだもん。おにいたんはぼくとねるのいや…?」
「いや…、そんなことはないけど。」
「じゃあうれしい?」
「う、うん…。」
「えへへ…。おやすみなさいおにいたん。」
笑顔のまま目を閉じる。それから何分もしないうちに寝息をたてはじめ、眠りにつくソラ。
おやすみソラ…。
331 :
てんあい:2005/05/28(土) 20:49:17 ID:BOG5G8ts
翌日、お父さんの話にボクは驚きを隠せなかった。
「強い魔の力…? そんな…、でも大魔王は確かにあのとき倒したはずじゃ…。」
「…いや、まだはっきりしているわけじゃない。けど魔界の地下深くから何かを感じたんだ。」
魔界の地下…、確か魔界に乗り込んだときソラが…。そうか!
「お父さん! ソラが魔界で体調を崩したことと何か関係があると思うんだ。」
「うん、僕も同じことを考えていたんだ。」
あのとき、ソラだけが原因不明の頭痛に悩まされていた。ソラは誰かの強い力を感じると言っていたけど
でもそれはソラ以外は、お父さんすらも感じなかったものだった。
「あのときはまだ微弱だった力をソラは敏感に感じ取ったのね。」
「モンスターと交感する能力は僕もソラには及ばないからね。今になってやっと感じることができた
くらいなんだ。」
「私にはそんな力はないけど、何かがあるってことはわかったわ。きっとテンにもわかると思う。」
じゃあ、せっかく手に入れた平和な世界がまた戦いの世の中になってしまうのか…。
「これから僕はこのことをマスタードラゴンに報告してくる。おそらく天界のほうで調査隊が派遣される
だろうからその結果次第だと思う。何事もなければいいんだけどね…。」
「うん…。」
お父さんが天空城に向かってから数時間後、ボクは自室の窓から空を見ていた。
「魔界で目覚めつつあるかもしれない強大な力…。」
ボクがやらなくちゃいけないんだ。お父さんやお母さん、世界の人々、そして…。みんなの平和を守るために…。
ボクは空から目を移し、机の上に置かれた一冊の古書を見つめる。天空城の書庫からこっそり持ち出した
『進化の秘法』という本。
ボクには必要なんだ! 一人でも戦い抜いていける力が…。
14話終わりです。ちょっと駆け足気味ですがご容赦を。
おお、続き待ってたよ、乙ヽ(´▽`)ノ
お父さんの扱いが・・・これが父の宿命なのか
進化の秘法( Д ) ゚ 。
最近はもっぱらROMに徹しており、今回もふと思いつきで書き始めました。
乱文+駄文ですが少しの間我慢してください。
DQ外伝『タバサの妄想』
「では、今日の授業はここまでにしましょうか。王子、王女、お疲れ様でした。」
白いヒゲをふわふわと動かしながら老人は目の前に座る二人に笑顔でそう言うと
「はい、ありがとうございました。」
とタバサは立ち上がり頭を下がる。
それとは対象に「ふあぁあ」と大きくあくびをするレックス。
「お兄ちゃん!」
タバサが小声で隣に座ったままのレックスの頭をツンツンと小突く。
「ん?・・・ああ、お疲れ様でしたー。」
レックスは立ち上がり小さくお辞儀をすると、老人はニコニコと「では、また明日。」と告げ、部屋を後にした。
しばらくして部屋を出た二人。
広い渡り廊下を並んで歩きながらタバサはレックスに話しかけた。
「お兄ちゃんはお勉強の時間嫌いなの?」
その問いにレックスは「なんで?」と答えると、「だって・・・いつもボーッとしてるよ?」
とタバサは心配そうに告げた。
「・・・嫌い・・・じゃないけど・・・めんどくさい?」
レックスはハハッと笑顔でそう言うと、タバサもクスッと笑い「お兄ちゃんらしいね。」と一言。
「でもさ、僕も将来は父さんみたいにこの城の王様にならないといけないんだよね?」
しばらくしてレックスが立ち止まりゆっくりと話し始める。
「う・・・ん、お兄ちゃんは第一王子だから・・・多分そうなると思うけど・・・どうしたの?」
タバサもレックスの2歩先で立ち止まり、クルリと踵をひるがえす。
すると、レックスはスッと廊下の手すりに手を置き空を見上げた。
「・・・・・・。」
そこにはいつもの子供っぽいレックスの表情はなく、少しだけ自分よりも大きく見えた。
途端、タバサの胸に衝撃が走り、思わず見とれてしまう。
フッとした時に見せるレックスのそんな表情に、タバサはいつしか心を奪われるようになっていたのだ。
「あのね・・・。」
レックスが口を開くと、タバサは我に返り、赤くなった自分の頬を悟られないよう背中を向ける。
「ボク、タバサに言わなきゃいけないことが・・・あるんだ。」
「・・・えっ?」
ほんの少しだけこれから先の言葉を期待してするタバサ。
ドクン ドクン と自分の心臓の音が次第に大きくなっていくのがわかる。
胸に手をあて、レックスに聞こえないようギュッと服を握り締める。
「あのね、ボク・・・。」
「・・・ ・・・。」
「もっと世界を見て周りたいんだ。」
「へ・・・?」
いつのまにか全身に入れていた力がスーッと抜けていくのをタバサは感じる。
そして、自分が期待していた言葉を振り返り思い出し、恥ずかしさのあまり顔を紅潮させていく。
(アハハハハ・・・何期待してるの・・・わたしは・・・。)
ほんの少しだけ自分が情けなくなったタバサの両目にはうっすらと涙がにじんでくる。
「今のうち・・・だと思うんだよね。こんなお願い聞いてもらえるのは・・・。」
「・・・そ、そうだね。」
「それで・・・今日にでも父さんに・・・伝えようと思うんだ。この事・・・。」
「・・・そうなんだ・・・って今日??」
驚き、聞き返すタバサにレックスも同じくして驚く。
「う、うん・・・あ、でもいつ行けるかなんてわかんないしさ!一応・・・言っておこうかな・・・って思ったんだ・・・。それに・・・まずはタバサにこの事をって・・・。」
そこから先、ボソボソとレックスは口をごもらせ、何故かタバサを横目でチラリと覗いた。
「・・・わたし・・・に?」
思いもよらない言葉にタバサはドキッとし、レックスの返事を待つ。
「・・・でね、その・・・ボク・・・出来ればひとりじゃなくってタバサと一緒に見て周りたいな・・・って思ったり・・・して・・・。」
「わたしと・・・お兄ちゃんが・・・お城を出て・・・ふたりっきりで・・・。」
その時、タバサの頭の中にはレックスと二人、草原で手を繋ぎながら走る光景や、
古いまだ見ぬ遺跡をレックスのマントをギュッと握り締めながら二人して歩く姿や、
たまには野宿もしたりするんだよねーと一生懸命作った料理をレックスが「おいしいよ。」
とタバサの頭を撫でながら笑顔でそう言ってくれる場面や、
宿屋に泊まった時に「本日は満室でお部屋は1部屋しかご用意できないのですが・・・。」
と宿屋の主人に言われて二人して同じ部屋に泊まる事になり、
外は嵐で風がガタガタ吹き荒れていて「お兄ちゃん、わたし・・・ちょっと怖い・・・。」
なんて言うと、レックスは「じゃあ、今日は一緒に寝ようか。」
って答えてふたりして同じベッドに寝たりしてこれ以上は作者も書けないような出来事が繰り広げられていた。
「あ、あの・・・タバサ・・・?」
「・・・めだよ・・・お兄ちゃん・・・わたしたち兄妹なんだから・・・でも、お兄ちゃんがどうしてもって言うならわたし・・・わたし・・・。」
「オーイ、タバサー!」
レックスはひとりでブツブツと何か呪文のように喋るタバサの耳元で名前を呼んだ。
「・・・ハッ!お、お兄ちゃん!ど、どうしたの?」
「い、いや・・・その・・・どうかな?ふたりで・・・旅に・・・。」
顔を真っ赤にし、ボソッとレックスは告げるとタバサは
「うん。わたしもお兄ちゃんと一緒にいろんなものを見てみたい!」
と笑顔で答え、二人はその場を後にした。
つづく
>>334-337 素敵にGJ。つづきがあるなら期待してしまう。
あ、でも楽屋オチはいらんかったかな、正直。
>>337 レックスとタバサの二人旅、タバサでは無いが妄想膨らむ話だ。
妄想とは違い現実はどうなるか期待。
>作者でもかけない
タバサ、おませさんだな。
>>337 (・∀・)ワクワク
妄想タバサたん、とってもイイです!
設定では、2人ともいくつくらいなんですか?
宿屋の主人「さくやはおたのしみでしたね」
タバサ「そんなひどい、、、」
「さくや」で別なものを想像した俺はこの板から出て行かねばならぬか・・・
妹姫?
俺は完全で瀟洒な従者を想像しちまったぜ。
「……おにいちゃんは楽しんだの。
でもわたしは楽しんでないの……」
「ご、ごめんって、タバサ。今夜はガンバるからさ!」
コリンズ「さくやはおたのしみでしたね。」
ソラ「ドキッ」
テン「ドキッ」
350 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/02(木) 21:38:18 ID:psfLiw2V
DQ2の某街
話しかけるコリンズ
ソラ「あたしたち、デート中 なの。ジャマしないでねっ。」
コリンズ「(怒!!テン殺す)」
>>350 ネタがわからない・・・orz
こうしてみると王子x王女ってSSスレが独立して立つくらいファンがいたんだねぇ。
いまさらながらすごいね、二人は。・・・というか二人の台詞を考えたやつ、か。
王子と王女の人気ももちろんだけど自然とDQX−Uネタも想像しやすい、
というポイントも大きい気がする
EDでサンタローズの元主人公宅に住もうとする双子のやり取り会話にハァハァ
「よーし!今日からこの家で一緒に暮らそう」
「うん!あれ、でも元々この家にいた人たちは?」
「…さーてね。じゃボクは夕御飯の買い出しにいってくるよ」
「え…!?ちょ、ちょっと待って」
しばらく間が空いてしまいましたが、つづきです。
その足で二人は父アルスと母ビアンカの部屋に訪れる。
「ねえ、お兄ちゃん。お父さん達許してくれるの?」
タバサは部屋の前で立ち止まりレックスの袖をグイッと引っ張ると、
レックスは少しの間考え、いつもの優しい笑顔でタバサにこう答える。
「んー大丈夫、なんとかなるよ!」
その言葉に少し不安を感じながらも、タバサは釣られて顔をほころばせた。
コンコン
レックスがドアをノックすると、中から「だぁれ?」とビアンカが問い掛けてくる。
「ボクです。レックス。あと、タバサも一緒。」
短くレックスが返事をすると、しばらくしてドアが静かに開き、ビアンカが出てきた。
「あら、二人ともどうしたの?もうお勉強は終わったの?」
ビアンカがそう言うと、タバサはコクンとうなづき、レックスは「うん。それで、父さんいるかな?」
とドアの隙間から中を覗いた。
レックスと視線がぶつかったアルスはにっこりと微笑み手招きをする。
二人は部屋に入り、ビアンカは先ほどと同じくらい静かにドアをパタンと閉めた。
「どうしたんだ?レックス、それにタバサも。」
アルスが問いかける。
レックスはタバサと顔を合わせ、うなづき、アルスとビアンカに思いを告げる。
「父さん、ボク・・・少しの間世界を見て周りたいんだ。」
「・・・。」
アルスは一瞬だけ目を見開き、すぐにいつもの穏やかな表情へと戻す。
「まぁ、突然ね。一体どうしたの?」
ビアンカも多少は驚いているようだが、やはりいつもと変わらない声色で訳を聞く。
「・・・3年前、父さん達と世界を旅して周った時の事を最近よく思い出すんです。
あの時見た世界はボクの全てでした。
でも、もっと知りたい・・・まだ見たことない世界が見てみたい・・・
そう思って、父さんと母さんに旅の許可をもらいに来ました。
そこまで言うとタバサはグッと目頭が熱くなっていくのを堪えた。
(お兄ちゃん・・・いつのまにか大人の男の人の考えになってたんだね・・・。
わたしも・・・お兄ちゃんともっともーっと広い世界が見たい!
それに、離れるなんてやだもん!お父さんがだめだって言っても、
わたしがこっそりルーラでお兄ちゃん連れ出しちゃうんだから!)
ギュッとレックスのマントを掴み、タバサが胸に誓ったその思い。
レックスに通じたのだろうか、スッとタバサの肩を掴み自分の身体に引き寄せこう話す。
「それで、出来ればタバサと一緒に・・・!」
レックスに抱き寄せられるにも近い形で、タバサはレックスの胸わき腹に頭をコツンとぶつけた。
途端に顔を真っ赤に染め、瞬きが止まる。
次に動き出したのは、アルスのこんな一言からだった。
「・・・わかった。」
たった一言そう言うと、アルスは立ち上がり部屋の奥に置かれた大きなクローゼットの取っ手に手を置き、片手で戸を開ける。
中からゴソゴソと何かを探し始めたアルスは静かに話し始める。
「いつか、こんな日が来ると思っていた。
お前は父さんの子供だもんな、父さんにもお前ぐらいの歳にそう思っていたんだ。
でも、あの頃父さんはそんな状況じゃなくてすごくもどかしかったのを覚えているよ。
だから、行って来い、レックス。
まだお前はこの城で国政について勉強するより、広い世界を自由に見て周るのが似合ってるぞ。
それから、タバサに無茶はさせるなよ?わかったな?」
クローゼットの中から懐かしい道具袋を取り出したアルス。
それをレックスに手渡し、頭をグシグシと撫でる。
「・・・ありがとうございます!父さん!」
レックスは頭を下げると、横にいたタバサもそれを真似て一緒に頭を下げる。
「ありがとうございます・・・お父さん、お母さん。」
ビアンカはタバサに近寄り、膝を曲げ目線を合わせる。
「タバサ、レックスをしっかり見ててあげてね。
この子は熱中しちゃうとそれしか目に映らなくなって危なっかしいから・・・。」
そう言って肩を抱き、ビアンカはタバサを自分の胸に寄せる。
少しだけレックスの身体から名残惜しそうに離れたタバサだが、すぐに母のぬくもりに安堵した。
こうして二人は旅に出ることを許される。
出発を明日に向かえ、身体を休めるレックスと眠れぬ夜を過ごすタバサ。
何度目の寝返りの後、タバサはベッドから起き上がり静かに部屋のドアを開け外に出、
そのままゆっくりと隣の部屋のドアの前まで足を運ぶと、周りに音が響かないよう小さくノックをした。
しかし、それに対する返事はなく、意を決してタバサは部屋のドアを慎重に開け中に足を踏み入れる。
暗く、カーテンの隙間から差す月明かりだけを頼りに、タバサは目的の場所へ進む。
部屋の中央に差し掛かると、タバサは大きな瞳をさらに大きく見開かせる。
その視線の先に見えるのはレックスの眠る姿。
タバサはゆっくり近づき、スースーと寝息を立てて眠るレックスの前に立ち床にペタンとお尻をつける。
そしてしばらくの間その寝顔に見とれていたタバサはいつのまにか上半身をレックスのベッドに預けるようにし、
そのまま眠りについてしまうのだった。
つづきます
>>358 GJ!
旅立ちを決める王子かっこいいなぁ
>>358 レックスの側じゃないと眠れないタバサ萌え
朝起きたらタバサが横にいてびっくりするレックス。
一瞬の後ににっこり笑って頭をなでるレックス。
ん……、とタバサが軽く身じろぎをする。
レックスの視線はやがてその唇に吸い寄せられてゆく……
レックスは指先でほのかに色付いた唇に触れる。
・・・・・あったかい。
そのとき胸の奥から込み上げる衝動に困惑する。
う、よだれが・・・・
緩んだタバサの唇からよだれが糸を引き下のシーツに垂れていく。
仕方なくハンカチを取り出し口元を拭おうとするがその瞬間パチリとタバサの目が開く。
「おにいちゃん・・・・なにしようとしてるの?」
「いっ、いやっ、なんでもないんだ」
慌てて手を引っ込めてふとんの中に潜り込ませる。
タバサもまだ完全に覚醒していなかったのだろう
ふぁ、と小さな口をまるくあけてひとつあくびをすると
にこ、と柔らかく微笑んだ。
「おにいちゃん、おはよう」
リレー小説GJ!(*´д`)=3ハァハァ
367 :
勝手に続き:2005/06/11(土) 12:34:34 ID:eBy8kT0x
「お、おはよう」
僕のかわいい天使。僕の愛しい妹。僕の太陽。
それだから、いじわるなことも言いたくなる。
「タバサ、だめだよちゃんと自分のベットで寝ないと。
もう十四なんだから、さ。わかった?」
兄にそう言われ俯いてしまう妹。
「だって、、、昨日かみなりさんがなって恐かったんです、、、
けどごめんなさいお兄ちゃん、、、」
よく見ると瞳が少し赤くなっている。
きっと昨晩ベットの中で震えていたんだろう。
タバサの小さな肩が震える。
「ひっく、ひっく、、、」
そんなタバサの姿を見ていながら、僕の心の中で悪魔が語りかける。
「おい、聞いたかよぉぉー!雷が怖いんだってよぉ!こりゃあライデイン使えば
毎日こっちのベッドにやってくるんじゃね?くるんじゃね?」
毎日僕のベッドに…たしかに悪魔の提案は魅力的であった。
しかし、僕の心の中の天使が悪魔に反論する。
「なにを言ってます!あなたは毎日彼女に辛い思いをさせるつもりですか!
この場合、優しく慰め元のベッドまで送ってあげるのが兄というものでしょう!」
言い争う天使と悪魔、僕は…
僕はちらりとベッドの横の時計をみた。
「しょうがないなぁ、タバサは。とりあえず・・・もうすぐ朝ごはんだし、
着替えしにいこっか。ほら、一緒に部屋までいってあげるからさ。」
そういいながら、僕は愛する妹に手を差し伸べた。
――顔は赤くなってないかな?大丈夫だよね。
僕の頭の中には悪魔をやっつけた天使の姿があった。
リレー書かれる方は共有のトリップをつけてください。割り込みにくい。
とりあえず共有トリップ作ってみました
トリップ:IReLayPMa2
キー:#@j$PJYpV
リレーの続きを書かれる方は名前欄に
[通算レス数番号]#@j$PJYpV
を書き込むと途中途切れたり、間が開いても分かりやすいかも
>>361から数えると次の作品番号は[9]になります
俺
>>362書いてリレーっぽくなってたからノリで
>>365も書いたんだけど、皆ノリ良いねw。
人称はバラバラでも良いのかな?
部屋の前に来たところでタバサが僕に言った。
「着替えるから廊下で待っててね」
双子とはいえ流石にこの歳になるとこういう事に恥ずかしさを覚えるみたいだ。
僕の方はというとさっきも、タバサと一緒にいながら
パジャマどころかブリーフも履き替えるぐらいにまったく気にしてないのだが。
このあたりは男と女の違いなんだろうな〜と考えていると
タバサの部屋からドア越しでもわかるくらい大音量の
「きゃー!」
と、いう悲鳴と思わしき声が聞こえてきた。
「どうしたんだ!?」
一瞬の躊躇もなく僕はドアを開け部屋に駆け込んだ。
「大丈夫かタバサッ!」
「入ってきちゃダメー!!」
勢い良く扉を開けた僕の顔に柔らかい枕が飛んできた。
でも枕はすぐに床に落ちる。そして僕の視界に飛び込んできたのは
着替え途中の半裸に近い状態で不思議な踊りを踊っているタバサだった。
「やっ! お兄ちゃん、後ろ向いててー!」
言われたとおりに慌ててタバサに背を向ける。顔が赤いのが自覚できた。
「やんっ、入ってきちゃダメだよぉ……。んっ、くすぐったいってば」
タバサの、その、なんて言うか……っ、とにかくタバサの声が背中から聞こえてくる。
しばらく待っていると、ゴソゴソと衣擦れの音。多分服を着ているんだと思う。
「お、お兄ちゃん、もうこっち向いても、良いよ……」
僕が振り向くと、そこには――――。
タバサの頭の上には小さなスライムが一匹。
この子は・・・お父さんが魔物使いの能力にめざめてから初めて仲間になった子だっけ。
名前は確か・・・スラりん。
どーでもいいがスラリンは双子より年上ということになるな
うむ。モンスターって雌雄とか寿命あるんかな。
つまりさっきの声はスラりんが服の中に入ってあんなことやこんなことを、、、
僕の頭の中でいけない妄想が膨らむ。
スラりんに対する怒りと同時に羨ましさを感じてしまう。
「お兄ちゃんどうしたの?その、、鼻血、、、でてるよ?」
、、、、、ハッ!?あわててハンカチを取り出す。
「いいいいやタバサ違うんだこれは、つまり、そその」
よく見ると特等席に座っているスラりんがニヤニヤと笑っているように見えた。
前にお父さんが魔物も人間とずっと一緒にいると
『知能』がついて賢くなるんだよ、って言ってたのを思い出したけど
少々困った子に成長したみたいだ。
「ピギー」
380 :
324:2005/06/14(火) 20:56:29 ID:iV4O7eJS
ここでふつうにSS投下したら流れをぶった切ることになっちゃうのかな。
これが俗に言う空気の読みどころなんだろうかw
>>380 ならないならない。
その為のトリップだろうし、気にしちゃいけないよ。
「ちょっとマリアさん。コリンズ君、さっき挨拶してくれたけど、ずいぶんカッコ良くなったわね」
「ええ。このところ急に身だしなみに気を遣いだして……。
タバサちゃんが来るときは特にそうなんですよ。
床屋さんと仕立て屋さんを呼んで、何時間もかけておめかししてるんです」
「まあ……。そうだったの。
うふふ、タバサの目が気になるなんて、コリンズ君も大人っぽくなってきたってことね。
そこいくと、うちのレックスはねえ……。
最近、よくタバサとお買い物行くようになったんだけど、
服買ってくるのはタバサだけ。レックスは服買ってきたことないのよ。
それに、身だしなみなんて、ぜんっぜん考えないの。
こないだも、ピエールと剣の稽古したそのままの格好で、タバサと出かけちゃったのよ。
兄妹だししょうがないかもしれないんだけど、
でもタバサだって、おにいちゃんとお出かけするからって、わざわざおめかしするくらいなのに……。
レックスだけは、まだまだ、子供なのよね」
「まあまあ。少しずつ気付くようになると思いますわ。コリンズもそうでしたもの。
レックス君も、きっとそのうち突然大人っぽくなって、びっくりさせてくれるんじゃないでしょうか。
今だって少しくらいはあると思いますよ? レックス君が、身だしなみで気を付けてること」
「うーん…………残念ながら、ないかな。
強いてあげると……タバサと出かけるときは、歯磨きと爪切りだけは必ずしてくくらいかしら?」
「えーとタバサ、ちょっと用があるから先に朝食行ってるよ!」
脇にスラりんを抱え、そそくさと部屋から出た。
・
・
・
「・・・で、スラりん何を見た、いや何をしたァァ?」
メキメキと両指の爪をスラりんにめり込ませて問い詰める。
とは言ってもスライムに言葉が通じるとは思えないのだけど。
「イテ!イタタタ!やめて下さいよレックスさん!」
「!!!!?」
こいつ・・・喋るぞ!?
386 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/16(木) 15:37:24 ID:WwwHr8cz
(・∀・)
目の前でパタンと扉が閉じられ、レックスの姿が見えなくなると
タバサは頬をほんのりと桜色に染めて右手を胸に当てた。
……恥ずかし、かった、な。
でもお兄ちゃん、わたしを助けるためにすぐに駆けつけてくれた……。
……えへへ。
レックスに投げつけたまくらを拾うと、タバサは
世にも幸せそうな笑顔で、ギュッっと抱きしめた。
――――
「なっ、なんでスラりんが喋ってるんだ?」
「ふふふっ、とある方からとある指令を受けている、とだけ言っておきましょうか」
僕の手からするりと抜け出してニヤリを怪しげな笑みを浮かべて続ける
「その為にちょっとレベルアップして喋れるようになったのですよ」
レベルアップすれば喋れるようになるんだ……。
「スラりんの目的はなんなんだよ!?」
「ふふふっ、最近やけに仲の良いとあるお二人を監視する事だ、とだけ言っておきましょうか。
さあ、レックスさんも着替えないと。タバサさんが待ってるんじゃないですか?」
そうだ! 早く着替えて食堂に行かなくちゃ!
食堂に着いた僕を待っていたのはお父さん、お母さん、それに着替えが済んだタバサだった。
スラりんの言っていた『ある方からの指令』は気がかりだけど、
今は腹ペコ、まずは朝食を食べないと。
テーブルに並べられたスープやサラダを一気に口に流し込む。
「お兄ちゃんもっと落ち着いて食べないと……」
横にいるタバサがそんなことを言ってるけどおかまいなしに食べる、食べる、食べる!
「ごちそうさま!!」
「えっ! も、もう!?」
朝食開始から終了まで計1分。
ぽかん、とするタバサたちを尻目に僕は再度スラりんの元へ向かった。
「うーん。レックスの奴どうしたんだ?」
「さあ……何か用事があるのかしら」
息子の奇妙な行動に首をかしげる夫妻。
「そういえば先程レックス様、階段下で誰かとお話していたようです。」
食事を運ぶメイドがそう答えた。
「相手は誰だい?」
「相手の方の顔までは見ていませんけど、声からすると女性の方に私は思いました」
「えええ!?」
その言葉にタバサは驚いた。
(お兄ちゃんと用があるなんて誰なの?)
「ごちそうさまでした!」
食事を途中で切り上げてタバサはレックスの後を追った。
リレー小説面白いな。
自分では考え付かんような展開が良い。
スラリンがえらい事にw
>>380 続きまだ〜(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
「あの、お兄ちゃんを見ませんでしたか?」
「ハッ、レックス様でしたらご自室に戻られたようですが」
廊下を歩いていた警備兵にありがとう、とお礼を言ってレックスの
部屋に向かって走るタバサ。
階段を一段飛ばしで駆け上がり、柱に手を回してスピードを落とさずにカーブする。
とは言えタバサはそれほど体力がある方ではないから
今朝目を覚ました部屋にたどり着く頃には、息を切らせて足取りもフラフラだった。
「はぁはぁ、もうだめ・・・・」
低血圧な上に朝食をろくに食べていない
タバサはその場に倒れてしまった。
倒れたタバサはすぐに病室に運ばれた。
「タバサが倒れただって!」
タバサが倒れたという話はすぐにレックスに伝わった。
スラりんの所へ行くのを止めてレックスはタバサの病室に向かった。
hosyu
魔法少女な王女たんの話誰か書いてくれないかな
雲間から天空の光が降り注ぐ……
グランプリンセス・マジカルタバサ、ここに参上です!
とか?
汝のあるべき姿に戻れ、レリーズ
モンスターキャプタータバサ
タバサの部屋に向かって走っていたレックスの前に
モンスターが姿を現した。
と言っても、邪悪な気配は微塵も無い。
大きなスライムに乗った騎士……スライムナイトのピエールだ。
「レックス様、何をやってらっしゃるのです? 今日は剣術の稽古があるでしょう?」
「いっ、いや! 僕はタバサを……」
「問答無用です。さあ、いきますよ」
「タッ、タバサー!」
レックスは首根っこを掴まれながら引きずられて行くのだった。
・その頃タバサの病室では
「お兄ちゃん御見舞い遅いな」
「レックス様なら今ピエールさんと剣の稽古をしてるそうですよ」
「なんですって、ピエールに負けた…」
「ピエールに、負けた……」
もう一度口に出して言ってみる。
胸の奥の部分がチクリと痛んだ。
分かってる。勝ち負けなんかじゃない。
でも、もし逆の立場だったらどうだろう。
わたしは絶対にお兄ちゃんの傍にいたいって思う……。
わたし、その程度にしか思われてないのかな……。
そう思うと悔しくて涙がこぼれそうになる。
シーツをギュっと握って視線を扉に向けるけど
わたしの王子様はやってこなかった。
――ピエールに首根っこを掴まれたレックスはというと、
ピエールを振りほどくのも忘れ、一人ごちていた。
・・・なんだよピエール。いつもはもっと事情を聞いてくれたりするのにさ。
タバサ、大丈夫かな。心配だよ。
すぐにいつもの稽古の場、城の中庭が見えてきた。
しかしピエールは足を止めることなく、そのまま中庭を突っきっていった。
「ねぇ、ピエール?どこいくのさ」
レックスがピエールを振りほどき尋ねるも、ピエールは答えない。
「剣の稽古でしょ?ピエールもうぼけたのかい?」
そうしてレックスは逆にピエールの手をとり、中庭へ引きずっていこうとしたのだが、
どういうわけかピエールがすごく重い。ぴくりとも動かない。なんだかいつもと違う。
「・・・・・・レックス様。こちらへ。」
ピエールの口からでた言葉も重かった。何ごとだ?
ピエールは戸惑いを隠せないレックスの今度は手を引いて、
グランバニアではめったに使われない牢屋へと続く階段を下りていった。
「・・・お許しを。とある方からの指令とあっては・・・・・・」
ピエールの口からひとりでにすべりでた言葉は誰にも聞かれることなく空へと消えた。
ウホッ!
おお、シリアスだ。カッコイイ。
とある方って誰なんだろう、と14を書いた俺が
無責任に楽しみにしているw。
ピエールタンは実はょぅι゛ょだから…
牢屋に待ち受けていたのはレックスにとって意外な人物だった。
「あれ?コリンズじゃないか。どうしたんだよ、こんなところに」
「やあ、ちょっとお前に相談があってな。率直に言う……
タバサちゃんから身を引いてくれ!!」
「はぁ?」
突然のコリンズの言葉にレックスはポカーンとした。
「スラりんを使ってお前たちを監視していたのは俺なんだ。そして知ってしまった、
お前とタバサちゃんの仲を!」
「は、はぁ?」
「だが!!俺も、俺もタバサちゃんが好きなんだぁーー!!だからお前に身を引いて欲しい!」
地下にコリンズの魂のおたけびが響く。
「いやいやいや、ちょっと待てったらコリ…」
「わかってる、わかってるー!お前にとってタバサちゃんがどんなに大切か!
だから代わりといってはなんだが」
ピエールが仮面を外す。するとその下には…
「いい!?ピピピピエールがおおお女の子ぉぉお!!?」
「俺がタバサちゃんとくっ付く、お前はこのピエールたんとでどうだ?」
「あ、あのレックス様…私とではだめでしょうか?」
あまりの事態にレックスはただ混乱するばかりであった。
(゚д゚;)ポカーン
ピエールタン(;´Д`)ハァハァ
すごい展開だな。本当に予想がつかいなかったよ。
ところで、ピエールの中が女の子なのって有名なのか?
俺、リレー何度か書いてたけど、このスレNO6からしか
見てなかったから、
>>404で初めて知ったんだよね。
キャラをまったく知らないから続き書けないぜー。
タバササイドでも手をつけてみっかな。
だが、モ ン ス タ ー だぞ?
410 :
王子:2005/07/02(土) 23:06:36 ID:nsLc/Ia+
モンスターだろうが妹だろうが
の ぞ む と こ ろ だ !
411 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/03(日) 00:03:55 ID:j/gr6LCY
ごめんピエール、僕は父さんじゃないし、代わりにも成れない。
と言われ、それが図星だったためレックスを斬殺・・・あれ?
「愛の戦士ピエールは絶対に女」スレのピエールタンは(;´Д`)ハァハァ出来た
そういえばスターウォーズのルークとブサ姫も双子だったよな、たしか
416 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/05(火) 12:32:07 ID:xuGH6S+h
王女あげ
お兄ちゃんどいて、そいつ(ピエ)殺せない!
「でも、こうしてたって仕方が無いよね」
しばらくの間、ベッドの上でぼうっとしていたタバサがポツリともらす。
もしかしたら、わたしが貧血で倒れたって知らないのかもしれないし、
知っていたとしても、どうしても来る事が出来ない事情があったのかもしれない。
それに、剣の修行なら……。
お兄ちゃんはいつだって真っ直ぐで、一生懸命で、強くって、頼りがいがあるんだもん。
きっと、修行に夢中になってるんだよ。朝ごはんの時も大急ぎだったし。
「お兄ちゃんと話していた女性の声」と聞いて我を忘れてしまったけれど
お城にはいっぱい女の人だっている。誰かと話してただけかもしれないよね。
「タバサ様、もうお加減はよろしいのですか?」
ベットからぴょんと飛び降りたタバサに看護士が声をかけた。
「はい、もう大丈夫です」
タバサはとても綺麗な笑顔を見せて、部屋を出たのだった。
突然投下
「お兄ちゃん、この街、今日お祭りなんだって!」
宿の主人と宿泊の手続きをしていたレックスの背中にタバサは笑顔でピョンと飛びついた。
「え?お祭り?・・・あ、はい。2部屋お願いします。」
タバサの話にも耳を傾けながら、レックスは宿の主人に小さくお辞儀をし、二人でその場を後にし部屋へと向かいだした。
「・・・お兄ちゃん、わたし一緒のお部屋でもいいのに・・・そしたら、一緒のお布団で寝れるのに・・・そして・・・ブツブツ・・・。」
レックスの後ろをあれこれと独り言を言いながら、タバサはレックスの歩幅に合わせて歩いていると
「タバサ、さっきお祭りがどうとかって言ってたよね?」
突然、レックスが振り返り立ち止まって声を掛けた。
ドンッ
下を向きながら歩いていたタバサは案の定レックスに頭をぶつけ、「キャッ!」と小さく声をあげる。
「・・・イターイ・・・。お兄ちゃん、突然立ち止まらないでよぉ〜!」
小さな手で頭を撫でながら、タバサは丁度真上にあるレックスの顔を見上げて頬を膨らました。
「ご、ごめんごめん。痛かった?」
レックスは慌ててタバサが自分で撫でている頭にそっと手を置き、その上から優しく撫でる。
少し膨れた頬は途端に真っ赤になり、大きな目をクリクリと見開き、レックスをキョトンと見つめる。
「ん?」
レックスが首を傾げると、タバサはレックスに背を向けササッと崩れた前髪を丁寧に戻し
「な、なんでもない・・・!なんでも・・・ない。」
小さく一呼吸置き、タバサは再度レックスの方を向く。
「ぅうん。あのね、今日ここの街でお祭りがあるみたいなの。だから・・・」
そこまで聞くと、レックスはウンっとひとつ頷き
「じゃあ、部屋に荷物置いたら行ってみようか?」
と、タバサの手から荷物を取り上げ少し勇み足で部屋へと向かった。
陽が沈むと、ぼんやりとした明かり周囲をゆっくりと照らし始めた。
次第に街は賑わいだし、広場には街の人々がぞろぞろと集まりだす。
二人は人の多さに圧倒されながらも、皆が歩く方へゆっくり向かいながら辺りを見回す。
「わぁ、すごい人だね〜。」
普段の生活では感じることの出来ない独特の雰囲気はレックスの心を躍らせ、その人の列にただ従うように歩き出す。
「待ってー、お兄ちゃん〜!・・・あ、ごめんなさい。」
じょじょに二人の距離は離れだし、タバサは行き交う人にぶつかってはペコリと頭を下げレックスの背中を一生懸命小走りで追っていた。
「タバサ?大丈夫?」
立ち止まろうにも後ろから流れてくる人の波にレックスは後押され、振り返った先のタバサの姿はどんどんと小さくなっていった。
「お兄ちゃん・・・!」
人の波を掻き分け、タバサは自分と一緒の色をした金色の髪の毛を目印に押しつぶされそうになりながらも前に進む。
「・・・すごい人・・・すいませーん、通してください・・・!
せっかく、二人きりになれると思ったのに・・・この街のお祭りってすごい人気あるのね・・・。
キャッ!誰か今お尻触った?・・・んもぉー!お兄ちゃん見えなくなっちゃう・・・!
イオナズンしちゃったら追いつくかな?・・・ってだめだめ。こんな所で魔法使ったらみんなケガしちゃう・・・。でも・・・!」
あまりにも多い人の圧力でタバサのイライラが少しずつ募りはじめる。
覚悟を決め、タバサが両腕に意識を集中しはじめると、掌と掌の間に薄黄色の魔力が集まりだす。
「・・・手加減しますね・・・ごめんなs・・・。」
タバサが両手をゆっくり前に突き出すと、その手を人と人の間から出てきた腕に掴まれグイッと引き寄せられる。
「イオr・・・キャッア・・・!」
タバサの声と同時に魔力は空に放たれ、人々の頭の遥か上までくると大きく
ドーーーンッ!!!
と音をあげ爆発した。
「オオーッ!」
「キレーーイ!」
辺りは突然、夜空に咲いた光の花に驚き、歓声をあげる。
一斉に周囲の足が立ち止まると、タバサは引き寄せられた先で大好きなサンチョの手作りプリンを食べている時と同じ表情でレックスの胸に顔を埋めていた。
「危ないなぁ・・・タバサ・・・。」
レックスが冷や汗と安堵の表情を浮かべると、タバサは「エヘヘ、ごめんなさい。」と絶えない笑顔でそう答えた。
先ほどとはうってかわって周囲は静まり返っていた。
小高い丘の上にやってきた二人は芝生に座り、
両手に持ちきれないほどの食べ物をタバサは次から次へと口の中に運んでいく。
「タ、タバサ。落ち着いて食べなよ・・・。」
レックスが後ろ頭に大きな汗を掻きながらタバサに言うと、
「だって、モグモグ・・・魔法使っちゃったら・・・お腹空いたんだもん・・・ゴクン・・・。」
と、食べながらレックスの顔を見ながら答える。
それを見てレックスは
「そ、そうだね。でも、あれはなんて魔法なの?戦闘用じゃなかったみたいだけど・・・?」
と、タバサの隣に座る。
「うん、あれはイオとメラを圧縮させてみたの。本当は火薬を使うんだけど、花火っていうのよ。」
タバサは人差し指に小さく魔力を集中させ、もう何度目かになる『魔法花火』を夜空に打ち上げ花を咲かせた。
「へぇー、何度見てもキレイだなぁ・・・。」
レックスはタバサの作る花火を見つめながら、満面の笑みを浮かべる。
タバサもそんなレックスの横顔を見つめ、同じように笑みを浮かべる。
「あのね、お兄ちゃん。」
「ん?」
「このお祭りね、七夕祭りって名前なんだって。」
「七夕?・・・うーん、どこかで聞いたことあるような・・・。」
「あら?覚えてるの?わたし達の先生が授業でお話してくれたのよ?」
「そうそう!たしか、一年に一回だけ短冊に願い事を書くと叶うって話だよね?」
「うん。そうだよ。愛し合っている織姫と彦星が天の川を渡って一年に一度だけ逢うことが許される日なんだよ。
ロマンチックだよねぇ・・・。」
「ふーん。じゃあ、あの星がキラキラしてる所が天の川?なのかな?」
レックスが指差す方を見つめるタバサ。
「そう・・・じゃないかな?ねぇ、お兄ちゃん。天の川をずーっと指でなぞっていって?」
「え?指で?・・・こうかな・・・?」
「うん、それで頭の方にずーっと・・・ね。」
「頭のほうにー・・・って、結構首が疲れr・・・」
レックスが天の川を指でなぞりながらゆっくりと首をあげると、タバサは気づかれないようにレックスの頬にキスをする。
「わっ・・・!タ、タバサ何をすrgなpghぱjhふじこまpた・・・!」
驚いたレックスは呂律がまわらない言葉でタバサに言うと、確信犯はにっこりと笑い、
「えへへ、わたしたちも織姫と彦星みたい?」
と答え、芝生に置かれたレックスの手に自分の手を重ね、輝く夜空の下、二人は影を重ねた。
七夕ってことでノシ
魔法使っておなかが減るってところでWAのセシリアを思い出したw
ペコさんGJ!
去年の七夕のときもSSあったよねぇ・・・1年って早いな。
七夕GJ!
割と世界観的に違和感ないものだね。
町中でイオナズン使おうだなんて…タバサ恐ろしい子!
「えっ」
部屋を出た途端にタバサの笑顔は曇ってしまった。
それは、向かいの渡り廊下にレックスが見知らぬ
小さな女の子と歩いてるのを見たからだ。
しかも二人は楽しそうに話している。
お、お兄ちゃんといっしょにいる子だれ?
あんな子みたことない…。
気になる気になる気になる…。
タバサはこそこそとレックスたちの後についていった。
429 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/11(月) 13:09:13 ID:Oh1E/w0y
あけ
保守
夏祭りで浴衣格好王女妄想
グランバニアの民族衣装「エッチな下着」を着て踊るお祭りが毎年夏行われます
みんなで恐いものがあるのか話し合っていたときのこと
一人がこんなことを言いだしました
「おいらは ぱふぱふが恐い」
保管庫の更新おつかれさまです。
5針も縫うケガをされてしまったのですね・・・。その後大丈夫でしょうか?
SS職人さんも、ROMのみなさんも夏バテなんかに負けずにがんばりましょう〜
夏対策には水の羽衣がよさそうだ。
透け透けだけど。
436 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/17(日) 22:52:42 ID:XoJ8t89k
タバサが着ていて温くなった水の羽衣をピピンが装備。
ピピソ「王女様の着ていた羽衣ハァハァ・・・クンカクンカ」
王女「あ、ピピンがわたしの羽衣着てる・・・もうそれ着れない・・・」
パパン「わかった父さんが新しく買ってやるから、おいピピンその羽衣の代金給料から引いとくからな、」
ピピソ「('A`)」
変態すぎるぞ
前をあるいている二人の会話が聞こえてくる。
「でもさー・・・・・・なんて、知らなかったよ。びっくり。で・・・・・・
・・・・・・・のこと大好きだからさ。・・・・・・?」
「・・・はい、レックスさま・・・。私も・・・・・・・ました。どうか・・・・・・ください。」
ううん、ちょっと遠いからか、良く聞こえないわ。
でも待って、何この雰囲気は・・・。
本当には割り込みたかったけど、二人の顔は真剣だ。
うぅ・・・会話が気になるよ・・・。 まさか、告白?! そ、そんなことお兄ちゃんに限ってあるはずがないわ!
・・・うん!そうよね!
なんて酷い現実逃避をしてみても、私の心の中にできた隙間は埋まることはなかった。
440 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/20(水) 11:09:13 ID:NmKmRzNA
期待あげ
441 :
436:2005/07/21(木) 02:02:37 ID:du9//hqg
もしもタバサの装備していた水の羽衣を装備したのがレックスだったら・・・
「わっ!これ温っ!気持ち悪!返すよこれタバサ」
「ちょっとは気を遣ってよ……もう」
443 :
てんあい:2005/07/23(土) 02:25:36 ID:YCUNoOGy
ようやく書きあがりました。では十五話、最終話続けていきます。
翼の欠けた天使たち 第十五話
ある日の午後、ボクとソラはグランバニア城の周りに広がる森林の遊歩道を散歩していた。
木々に日光は遮られ遊歩道はひんやりと涼しい。街の喧噪もないここは、ソラのお気に入りの
場所の一つだった。
「あ、ほらおにいたん、とりさんだよ。」
ソラが指差す木の枝に、一羽の小鳥が羽を休めている。小鳥はこちらを一瞥すると突然飛び立ち、
ソラの肩の上にとまる。
「わぁー、かわいい! みてみて。」
今度はソラが差し出した腕に飛び移り、小さく鳴き声をあげる。
「きれいなとりさん…。ねぇおにいたん、このとりさんなんておなまえ?」
「え…、えっとね…。」
確かソラに教えてもらったことがあったんだけど…。──そうそう。
「ライラプスっていうんだ。この森にしか住んでない珍しい鳥なんだって。」
「らいらちゃんっていうのね。」
あんまり人には馴れないって聞いたけど、やっぱりソラは特別なのかな。
「きっとソラのこと好きなんだよ。」
「えー、だめですよ。…ぼくにはほかにすきなひといるもん。──あ、おにいたんあそこにも
らいらちゃんがいる。」
さきほど小鳥が居た木の向かい側の木を指差してソラが言う。ボクも追って目を向けると確かに
もう一羽のライラプスがこちらを、というよりソラの腕にとまったライラプスを見ている。
もしかしてこの二羽は番いなのだろうか。でも特に警戒している様子はない。
木にとまった一羽が鳴くとソラの腕にいるもう一羽もそれに応えるように鳴いて飛び立ち、
二羽は仲良く寄り添う。
「えへ、おにいたんとぼくみたい。」
444 :
てんあい:2005/07/23(土) 02:27:09 ID:YCUNoOGy
「そうだね…。」
とボクとソラが話していると二羽は森の奥へと飛んでいった。
「らいらちゃーん、またあそぼうねー。」
飛び立っていった森のほうにソラは手を振り、二羽を見送る。
「じゃあソラ、そろそろ帰ろうか?」
「うん。」
城に戻ると侍女さんがボクたちを迎えてくれた。
「おかえりなさいませ。テン王子、お客様が見えてますよ。」
「ボクに?」
「はい、ラインハットのコリンズ王子です。今は応接室においでです。」
「うん、ありがとう。」
コリンズ君が…。この前のこともあるし、ソラは会わせないほうがいいだろうな…。
「…ソラ、ボクはお父さんの仕事を手伝わなくちゃいけないから一人で遊んでてくれる?」
「えー、つまんないの…。じゃあ、おにいたんのおへやですらたんとあそぶね。おしごとおわったら
きてくださいね。」
「うん、あとでね。」
ソラは途中振り返ると、ボクに手を振り、また振り返りボクの部屋へと向かう。
それを見送ってからボクは応接室に向かった。
「よぉ、テン。」
「…やぁ。」
コリンズ君が座っている向かいの椅子にボクは腰を下ろした。
「…悪いけど、外してもらえるかな。」
「はい。」
445 :
てんあい:2005/07/23(土) 02:29:35 ID:YCUNoOGy
ドアの前に立っていた侍女さんは部屋を出る。
「──コリンズ君、ソラのことだったら…。」
「いや、いいんだ。あんなことして嫌われて当然だしな…。それに今日はお前に話があって来たんだ。」
いつになく真剣な顔でコリンズ君は言う。
「…ソラちゃんのこと、ご両親に訊いたよ。オレにはよくわからなかったけど、何か強力な
魔法を得ようとしてその代償があの姿だって…。」
「………。」
「つい最近まで、元の姿に戻すための方法を探して旅に出ていたそうだな…。」
コリンズ君が何を言いたいのかボクにはわかった。
「でも何で…、何でお前はその方法を見つけようとしないんだ…!?」
わずかに怒気を帯びた口調でコリンズ君は続ける。
「お前が本気になれば、魔界だろうがどこだろうがそんな方法なんてすぐに見つけられるだろ!
どうしてその力をソラちゃんのために使わないんだよ!?」
「………。」
「今まで記憶も失って、あんな子供の姿にまでなって…。お前はソラちゃんをあのままにしとく
気なのか!?」
「だからなんだ。きっとソラにとってもあのままのほうが…。」
「どういう意味だっ!?」
「…コリンズ君も知ってるだろうけど、ボクとソラは生まれてからすぐにお父さんとお母さんから
引き離されてしまったんだ。」
「…ああ。」
「ボクたちも寂しかったけど、本当に辛かったのはお父さんとお母さんのほうだったと思う。
それだけじゃなく、二人は小さい頃から大変な目に遭っていた…。
だからボクは二人の幸せを守ると誓ったんだ。これから起こる戦いに、もう誰も巻き込みたくない。」
「戦い…って、どういうことだ…?」
446 :
てんあい:2005/07/23(土) 02:31:29 ID:YCUNoOGy
マスタードラゴンが派遣した調査隊の報告で、魔界の地下深くで大きな魔の力が目覚めつつある
ことが認められた。そのことは秘密裏にボクへと伝えられ、お父さんもこのことはまだ知らない。
「ソラを巻き込まないためにも、お父さんとお母さんのためにもこれしかないんだ。
たとえボクの身になにかあったとしても…。」
「…それでお前が犠牲になって、ご両親やソラちゃんがどう思うか考えてのことなのか?」
きっとお父さんもお母さんもボクを叱るだろう。
「もう決めたことだから…。君だから話した。だから──」
「…わかった。
自分を犠牲にしてもお前は家族を、世界を守る…。お前の決意は俺が受け取ったよ。
お前が誰も巻き込みたくないなら俺が力になりたいところだけど、俺なんかがついて行っても
お前の足手纏いになるだけだからな…。
けど、俺はお前が無事に帰ってくるって信じてるからな。」
「…ありがとう。」
その夜。いつもなら、夕食や入浴のあと部屋でくつろいでいるところにソラがやってきて、遊んで
いるうちにウトウトしてきたソラと一緒にベッドに入ることが多かった。
でも今日は、ボクのほうからソラの部屋に向かっている。
コンコンッ
「ソラ、入ってもいい?」
「あ、おにいたん! いいですよ!」
ドアの向こう側から聞こえるソラの嬉しそうな声。
ソラの声を聞くとためらいの気持ちも生まれる。けどボクは意を決してドアを開けた。
「おにいたーん、いらっしゃーい!」
ドアを開けた途端、待っていたかのようにソラはボクに抱きついてくる。
「おにいたんのおへやにいこうっておもってたところなの。…それともきょうはぼくのおへやでねる?」
「…寝る前に、ソラにお話があるんだ。」
ボクがソラのベッドに座ると、ソラもボクの隣に腰を下ろす。
「おはなしって、なーに?」
ボクは隣に座ったソラをやさしく抱きしめ、別れの言葉を伝える。
447 :
てんあい:2005/07/23(土) 02:33:50 ID:YCUNoOGy
翼の欠けた天使たち 最終話
「おにいたん、どこかにいくのですか…?」
ソラの表情が曇る。
本当なら誰にも告げずに旅立つべきだった。…けど、ソラだけには別れを告げたい。
「…うん。遠くに行くことになったんだ。もうソラとは会えないかもしれない…。」
「…いやです。ぼく、おにいたんがいなくなるのいやだよっ!」
その言葉に合わせて、ソラもボクに抱きつく。
「ごめんね、ソラ…。でも、ボクは行かなければならない。
たとえこの姿に戻れなくても、ずっとソラを見守っているから…。」
ソラの目には大粒の涙が浮かぶ。
「…さようなら、ソラ。」
「っく。…お…にたんっ…、いかないで…ください…。」
ソラ…。
泣きじゃくるソラをさらに抱きしめる。そのまま時間が過ぎていく。
「…おに…たん、かえってきますよね…?」
「………。」
「…やくそくしてください。かえってきたら、…ぼくのことおよめさんにして!」
そんな約束はできない。
ボクがこの姿に戻ることはないだろう。
…それに、敵に勝てるかどうかもわからない。
「おにい…たん…。」
でも、ボクのこの気持ちは本物だ。これからもずっと変わらない。
ソラ…、君に伝えたい。
「うん。ソラ、約束する。」
「おにいたん…!」
448 :
てんあい:2005/07/23(土) 02:35:46 ID:YCUNoOGy
ソラの顔には笑顔が戻る。
ボクはソラの顔に残った涙を指で拭い、笑顔を返す。
「おにいたん、ありがとう…。だいすき…。」
「ボクもだよ。」
自然に、ごく自然にボクとソラの唇が近づく。
ソラの白い肌に浮かぶ薄いピンク色の唇に、ボクは自分の唇を重ねた。
──そして──
ソラが光に包まれる。
あのときの、天空城の書庫での出来事のように。
「ソラっ!」
徐々に光が収まっていく。
同じだった。あの魔法習得のときと。──光の中のシルエットを除いて。
「ソ…ラ…?」
「…おにい…ちゃん?」
光の中から現れたのはソラだった。
子供の姿ではなく、元の姿で。
「ソラ…どうして…。」
「どうしてって、どういうこと…?
──きゃっ!」
子供用の服を着たまま元の姿に戻ったことで、ソラはあられもない姿となっていた。
自分の格好に気がついたソラは、慌ててシーツに包まる。
「お、お兄ちゃん…。私、着替えるから、その…。」
449 :
てんあい:2005/07/23(土) 02:37:10 ID:YCUNoOGy
「ご、ごめん! すぐ出ていくから…!?」
バタンッ!
慌ててソラの部屋を出る。
その瞬間、力が抜けてしまったのか廊下にへたり込んでしまった。
ペナルティが解けたのか…? でも、どうして…。
「そうなの…。あのときの魔法で、私…。」
あの事件から今日までの経緯を聞かされたソラは、だいたいの事情を理解したようだった。
「みんなに心配させちゃったみたいで…、ごめんなさい。」
「いいのよ、そんなこと。でもホント、無事で良かった…。
──でも子供に戻ったときくらい、少しは私たちにも甘えてほしかったかな、なんて。
ずぅーっとテンにベッタリだったから…。ねっ?」
お母さんはお父さんに振る。
「別に僕は…。」
「ソラに遊んでもらえないからって、テンにヤキモチ焼いてたくせに…。」
照れるお父さんを、お母さんが悪戯っぽく笑う。
「と、とにかくソラが無事に戻れて本当に良かったよ。
あれは強力な魔法である反面、使い手を選ぶもののようだからね。いくらソラでも時期尚早だった
ということかな。この程度のペナルティで済んで良かったよ。」
「はい…。きちんとレベルアップして、あの魔法を習得できるように頑張ります。
…いつかお兄ちゃんの役に立てるように。お父さんとお母さんのためにも。」
ソラ…。
「私たちの…? …よくわからないけど、あまり無理はしないでね。
ソラもテンも、もう十分立派なんだから。」
「そうだね。」
450 :
てんあい:2005/07/23(土) 02:38:41 ID:YCUNoOGy
お母さんの言葉にお父さんも頷く。
「──それにしても、どうして突然戻れたのかしら。
ただペナルティの期限が過ぎたのか、何かの出来事が偶然戻る方法だったとか…。
テンは何か心当たりない?」
「え、ボ、ボク…!?」
「そのときソラと一緒にいたのはテンだから…。何か知らないかなって。」
三人の視線がボクに集中する。
あのときボクはソラに…。
「その…ボクがソラに…キ、キスして…。でもそんな変なつもりでした訳じゃ…!?」
顔の火照りが止まらない。
「お、お兄ちゃん…。」
両手の指先で唇を隠し、ソラも顔を赤くして俯く。
「──そっかー、なるほどねー。」
「なるほどって?」
と、問うお父さんにお母さんが答える。
「こういうことは昔から決まってるでしょ? お姫様を起こすのは王子様って。
ソラは王子様のキスで目覚めたお姫様ってところかしら。」
「お母さん…!」
顔を真っ赤にしたままそう言うと、ソラはリビングを出て行った。
「ソラ!」
「テン、今はそっとしといてあげて。」
「でも。」
「明日になればソラも落ち着くだろう。じゃあ僕たちも今日は休もうか。」
「そうね。」
「うん…。」
451 :
てんあい:2005/07/23(土) 02:41:58 ID:YCUNoOGy
時間はとうに深夜となっていた。
いつの間に降り出したのか、窓の外から雨音がする。
「…ふぅ。」
ボクは深くため息をつくと、ベッドに横になる。
──ソラへの別れ。ソラからの告白の言葉とボクの告白。そしてソラが元の姿に戻り──
短い間に起きた様々なことがボクの頭の中を駆け回っていた。
一人でバルコニーから空を見上げている。
この世界に満ち始めた不穏な空気をボクは感じていた。
世界で起こる事件の中で、モンスターによる被害が増えつつあるという。
これもあの魔の力のせいなのだろうか。こうして見上げるボクの大好きな天空も、以前のそれとは
違うものに見えてしまう。──まるでこれから起こる何かを暗示しているようだった。
だからボクはあれで世界を守るために…。
「…お兄ちゃん。」
突然後ろからソラの声がした。
昨日のこともあって少し話しづらかったが、先に声をかけてくれたのは意外にもソラの方だった。
「昨日はごめんね。私、ちょっと動転してたから…。」
「………。」
ソラがボクの隣へとやって来る。
「…お兄ちゃんもわかっているんでしょ?」
「うん…。」
「せっかく取り戻した平和なのにね…。」
「だからボクは行かなくちゃいけない…。」
「一人、で…?」
「えっ…。」
452 :
てんあい:2005/07/23(土) 02:45:22 ID:YCUNoOGy
「お兄ちゃんは一人で魔界に行こうとしてる…でしょ?」
「だって…ボクは誰も巻き込みたくない。
この世界を守るのがボクの使命。だからボク一人が──」
「…私ね、天空城で訊いたことがあるの。私たちのご先祖様、最初の勇者様のこと。」
「………。」
「邪悪なものに支配されそうになったこの世界を、八人の導かれし者が救ったの。
──戦士、姫、魔法使い、神官、武器屋、踊り娘、占い師、そして勇者…。」
ソラが何を言いたいのか判った。
「だからお兄ちゃんも…。」
「それでもボクはみんなが、…ソラが傷つくのは嫌なんだ!」
「──私だってそうだよ。
お兄ちゃんがそう思ってくれるのと同じように、私もお兄ちゃんを守りたい。」
「ソラ…。」
「いくらお兄ちゃんが勇者でも、全部一人で背負うことはないの。勇者様にも仲間がいたように、
お兄ちゃんには…私がいる。
私は勇者になれなかったけど、お兄ちゃんのために生まれてきたと思うの…。
それに約束したでしょ? お父さんとお母さんの幸せは二人で守るって。」
──そうか。
ボクが勇者としてやってこられたのは、お父さんやお母さんの力だけじゃなかった。
ソラ…、君がいてくれたからボクは戦えたんだ。
ソラの腰にそっと腕を回して、抱き寄せる。ソラも同じようにボクの背に腕を回す。
「お兄ちゃん…!」
「でも、またここに帰れる保証はない…。それでも──」
「お兄ちゃんがまた生きてこの世界に戻ってくるそのときも、…お兄ちゃんが命を失うそのときも、
私は必ずあなたの傍にいる。それが私の選択した未来だよ。」
453 :
てんあい:2005/07/23(土) 02:46:42 ID:YCUNoOGy
ソラと一緒なら、ソラさえいれば、ボクはどんな相手とでも戦える。
──ボクはやっと気づいたんだ。
「──ありがとう、ソラ…。」
今ならはっきり言える。
でもその言葉は、またここに帰ってくるまでとっておくことにするよ。
…だからボクは君のために勝ってみせる。それがボクの選択した未来だ──
翼の欠けた天使たち・おわり
ではあとがきみたいなものを。
ストーリーの方は、新たな脅威と二人の関係の変化という平凡なものになりました。最初考えて
いたのは、子供に戻ってしまったソラとのラブコメみたいなものでした。ところが洒落のつもりで
出した進化の秘法の本にちょっと反応があったので、そのことを書いているうちに今のストーリーに
なりました。そのせいで両親にはわざわざ魔界に行ってもらったわけです。
初めてSSというものを書いてみましたが、まず始めてから今回まで一年近くもかけてしまった
ことが一番の反省点です。その他、タイトルとストーリーの無関係さ、ソラを子供に戻したことを
あまりストーリーに活かせなかったこと、設定の未消化など多々ありました。次回作では少しでも
向上できるように努力します。
最後に、読んでくださった方々、どうもありがとうございました。
>>453 魔界とかはこれからっていうのが未来を感じさせる終わり方でいい
キス→子ども服のまま大人化というコンボも萌え
次回策期待
一年経ってたなんてまさに完結乙
保守
ほ
てんあい作者乙。
ところで連続リレー小説のトリップ誰か教えてくれないだろうか。
てんあいさんおつかれでした。はじめのほうからずっと見ていました。
途中で挫折せずによく書ききってくださいました。ありがとうございます。
2作目も期待していますよー。
>>458さん #@j$PJYpVです。
あとリレー小説の職人さんへ。
>>458さんのような人がいてスムーズに参加できない人もいるかもしれないので、
これからリレー小説の頭に[ 共有トリップは#@j$PJYpV ]とか書き込んでおくとかどうでしょう?
まぁ、過去ログみて で簡単にわかりますが・・・
サンクス。久しぶりに書いてみるよ。
「・・・・うん。けどさ、女の子なんて全然きづかなかったよ。
声も男の人の声にしか聞こえなかったし。
あ、そうか兜をつけてたからだね!」
「はい。スライムナイト族の女は『戦士』になったときから素顔を見せてはいけない。
これが『掟』です。
しかし『戦士』が自分から素顔をみせるのは・・・」
そういって下を向いて俯いてしまう。
「ど・・どうしたの?具合悪いの?」
心配するレックス。思わず顔を覗きこんでしまう。
真っ赤だった。夕日の様に真っ赤に染まっていた。
その顔はレックスにとって、普段の勇ましく頼りになるピエールからは
想像できない物だった。そして、意を決しピエールが口を開く。
「・・・一生を懸けて愛する人の前だけです・・・
そして『戦士』ではなくなり・・・一人の『女』に戻ります・・・」
それを聞いたレックスもピエール同様顔を染め、俯いてしまう。
下を向き廊下を眺める二人。
御互いに沈黙してしまう。
この光景を観たら誰でも恋人同士と錯覚してしまうだろう。
―――そう、廊下の柱から覗いている『彼女』も。
タバサの怒りゲージがふつふつと・・・ガクガク(((( ;゚Д゚))))ブルブル
萌える展開だなぁ。GJ!
「お兄ちゃん!」
自分を抑えられなくなったタバサが二人の前に飛び出した。
「あれ、タバサどうし・・・」
タバサの右腕がバチバチと魔力を帯びているのをレックスは見た。
「おいタバ・・・」
「お兄ちゃん・・・誰なのその人!」
これは迂闊な事を言えないと困惑する
レックスをよそにピエールは
「私はレックス様の生涯の伴侶となる者です」
その言葉にレックスもタバサも驚く。
そしてピエールは剣を抜いて語った。
「・・・タバサ様、私とレックス様はいま大変重要な話の真っ最中なのです。
いくらタバサ様といえ、邪魔立てするのなら許しません。」
タバサとピエール
両者の間に険悪なムードが広がっていく・・・
すでに二人は旅をしていたころ、魔物と対峙したときの『眼』になっている。
つまりは――『本気』。
母さんを越える魔法の才を見せるタバサの右手の魔力の胎動は、メラミ。
タバサほどの使い手なら詠唱はほんの一瞬で済む。
かつてはぐれメタルの剣を持って僕らと肩並べたピエールの業物は、鋼の剣。
平和になった今は僕と訓練するときにはこれを振るっている。
・・・って解説してる場合じゃなかった!
二人をなんとかして説得しないと!
が、タバサが口を開く。
「さっき二人で顔を赤くしてたのは何?」
普段のタバサからは考えられない口調だ。
「タバサ様は知らないの?あれは『愛の告白』です。」
ブヂッ。
・・・確かに聞こえた。ブヂッて・・・
「そういえば昨晩雷雨だったので雨戸の戸締まりをしていたら
タバサ様、レックス様の部屋へお入りになられましたね。
泣 き 顔 で 。
もしかして雷がこわかったんですか?クスッ。
あら失礼。」
ビギッ
・・・・・もう駄目だ。このままじゃお城が半壊してしまう。
僕は覚悟を決め二人の直線の間に入り
「二人とも!落ち着いてはな―――」
ブォウ
ヒュッ
その瞬間右側の前髪が焦げ、左側の前髪がはらりと落ちた。
「お兄ちゃんは「レックス様は『ひっこんでて』」
お父んさんお母さんごめんなさい僕は王子失格です・・・
ガチバトルキタ━━━━(Д゚(○=(゚∀゚)=○)Д゚)━━━━━!!!
h
469 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/01(月) 00:09:23 ID:ns+Mi+47
一旦浮上
このスレも寂れたねぇ
>464-466
(・∀・)イイヨイイヨー
ピエールたんが耐性と攻撃力を駆使して勝利をつかむか
タバサたんが多彩な呪文でピエールたんを粉砕するか
楽しみだな
前から気になってたんだが、このスレの香具師って他サイトだとどういうとこで双子SS探してるんよ?
腰折ってスマソ
>>471 自分のパーティだとピエールLv99の主力、娘がLv40の二軍だから一方的な勝負になりそう。
山彦の帽子があれば・・・。
渦巻く魔力。地から昇る旋風に黄金色の髪が逆巻き踊る。
突き出される右掌、ピエールめがけてメラミの呪文が放たれた。
直撃する呪文。閃光が空間を灼き、爆音が轟き、黒煙が吹き上がる。
しかし、ピエールには通じない。ろくに精神も統一せず魔力の集中もない感情まかせの呪文など、何を恐れることがあろう。
それはさながら黒煙を吹き散らす一陣の風の如く。ピエールは一直線にソラへと疾走する。
黒煙の幕から飛び出す。視界に入るソラの姿に勝利を確信する。少女は無手、呪文の詠唱する暇もない。
鞘から抜かぬままの剣を胸元まで持ち上げる。今まさに刺撃が放たれんとするその瞬間、怯えるようにソラは俯いた。
ピエールに容赦はない。手心をくわえるどころか、むしろ戦いの最中に敵から目を離すという行為に憤る。
なんて情けない。怒りを柄に握りこみ、肩口めがけて、槍のように叩き込んだ――――
/
刺撃を放たんとするピエール。俯いたソラ。
それは手加減のない一撃だとわかっても、テンに為す術はなかった。
「やめ――――」
制止の声は遅すぎた。打撃音が耳朶を叩き、そしてソラは――――
・・・・・・・・・・・・・
ピエールを吹っ飛ばしていた。
「は――――!?」
テンの間の抜けた驚きの声。しかしそれも無理はない。
彼が見たのは、なんと。
とてつもなく気合いの入った姿勢で騎士に殴りかかった少女の姿だったのだから。
/
侮ったッ! ピエールは己がミスに舌打ちする。
そう、ソラは狙っていた。ピエールの攻撃の瞬間を。
『ろくに精神も統一せず戦況の後先も考えない怒りまかせの攻撃』を、狙っていたのだ。
ソラが刺撃の瞬間に俯いていたのは怯えからではなかった。口元に浮かび上がるほくそ笑みを殺しきれなかったから、俯いたのだった。
ピエールの放った刺突を、斜め前に左足を動かし、半身になることであっさりと躱す。
その躱すという動作に、自然に左掌を突き出すという動作をくわえただけのそれは、カウンターで放つ掌底の強烈な一撃へと転じてピエールの身体を宙に浮かせた。
さらに、左手を突き出すという動作には、これまた自然に右腕を引くという動作が加わっていて。
「くっ……!」
それを見て、とっさに防御の態勢をとるピエール。
だが、無意味。
「フッ……!!」
ソラの放った渾身の右正拳突きが炸裂し、宙にあるピエールの身体はその勢いのまま、後方に吹っ飛んだ――――
鎧のおかげで大したダメージはない。逆にソラの方が、拳を痛そうにひらひらと振っている。
「クッ、いつの間に格闘技などと……。油断しました。しかし、もう貴方を侮りはしません」
剣を構えるピエール。言葉通り、そこには油断も隙もない。
しかし、それを見てもソラはにやりと笑うだけ。
「いいこと教えてあげる。ピエール」
「……なんでしょう?」
訝しむピエールに、不敵に言い放つ。
「DQ5人間キャラ総合パラメータNO.1(LV99)はね、このわたしなのよ」
あああああ!! 間違えた!!
テンソラじゃなくてレックスタバサだったorz
ドンマイ、脳内変換して読むさw
歩き方本ネタか>人間キャラ総合No1
森の中を疾走する三機のキラーマシン。
「キラーマ。遅れているぞ。」
「すみませ〜ん」
「ロビン先輩、前方ニ王子ヲ捕捉シマシタ。」
「解った。キラーマ、じゅんち、王子にキラーストリームアタックを仕掛けるぞ。」
「了解〜」
「了解。」
捕らえた『王子』に向って三機が一列に並び迫る。
「我々のキラーストリームアタック、かわせるかな?」
ロビンが武器をビッグボウガンに持ち換え『王子』に向って矢を放つ!
この矢は当てるつもりは無い。
何故ならこの矢はキラーマ、じゅんちの攻撃で確実に仕留めるための布石の牽制だからだ。
もちろん当ればそこからキラーマ、じゅんちの波状攻撃による追撃が来る事は言うまでもない。
(さぁどうでるかな〜?王子は)
左右にかわす、剣で弾く、盾で防御する。
キラーマのコンピューターはあらゆる場面を想定し次の行動への万全の準備を整える。
「キラーマ先輩、上デス!」
人間の言葉にまだ慣れていないじゅんちの機械的な声に反応し、キラーマはそのモノアイを上に向ける。
「ロビン先輩を踏み台にしたのか!」
想定外の強引な『王子』の選択にキラーマもじゅんちもそのコンピューターにコンマ数秒間、わずかなエラーが生じた。
その瞬間勝敗は決した。
「まさかこうもあっさりとやられるとは…」
「王子強い、さすが勇者ですね〜」
「特ニ最近ハ力モ技モ目ヲ見張ルモノガアリマス」
三機が『王子』の褒めたたえる。
「やめてよ、僕なんかまだまだだよ。」
『王子』と呼ばれた金髪の少年が気恥ずかしそうに頭を掻く。
「まぁ確かに伝説の勇者と言うからにはこれくらいの実力はあって当然かしらね。」
四人(一人と三機だが)の誰のものでもない女の子の声がした。
「ソラ!いつの間にそこに?」
その声の主は金髪の少女だった。
「今きたところだよ、それよりお兄ちゃん、お父さんが探してたよ。
それも「テンはどこだ〜!」って大声で。」
「それは珍しいですねぇ。」
「王ガ大声出スナンテ「ガンガンいこうぜ!」ッテ言ウ時グライデスカラネ。」
「そんな呑気な事言ってる場合じゃないよ、ソラすぐ戻るよ。」
「解ってる。ルーラ!」
束の間の平和を勝ち取った勇者に闇の魔の手が迫っている。
この時はまだ誰もこの後起こる事を知らずに、その時が平和と思い込んでいた…
「おお!テン、戻ったか!」
急いで帰った来たテンを見て、テンの父リュカが王様のような(実際王様だが)セリフを言った。
「何かあったの父さん?」
「ああ、急用を頼もうと思ってな。」
「急用?」
「ソラと一緒に至急ラインハットへ行って欲しいんだ。」
「二人で?父さんと母さんは?」
「ちょっと今城を動くわけにはいかなくてなすまないが二人で…待てよ。」
「どうしたの?」
「念のためキラーマとスラッポも一緒に連れて行くといい。」
キラーマシンにホイミスライム、えらく実戦的なメンツだ。
「何か…あるの?」
「ああ、ちょっときな臭い話でな。
詳しくは向こうでヘンリーに聞いてくれ。」
「わかったよ。」
「用心しろよ!天空の武具を装備して行け!」
「うん。じゃあ行って来る!」
次回へ続く
>>480 キラーマシン三連星(・∀・)イイ!
そしてそれを一蹴する王子かこええ!
「遊びはお終い……これで決着よ……」
タバサは再び呪文の詠唱を行った。
だがそのあふれ出る魔力の渦はさっきとは比べ物にならないぐらい強い。
「くっ!」 「まさか…!」
ピエール、レックスは驚きを隠せない。タバサが放とうとしている呪文は…
「今こそ放つわ、私の最強の呪文………
イ オ ナ ズ ン
極 大 爆 裂 呪 文 !」
――――辺り一帯が爆発に巻き込まれ……なかった。
その放たれる間際、レックスの唱えたマホトーンが効いたからだ。
「ふぅ…間一髪、タバサっ!やっていいことと悪いことがあるぞ!」
レックスに怒られてしゅん…と小さくなるタバサ、逆にピエールは勝ち誇った顔。
「ピエールも!むやみやたらに剣を抜くなんて騎士失格だよ!」
そう言われピエールもしゅん…と縮こまる。
「ケンカしたいならもっと平和的な勝負にしてさ……
ところでなんで2人は戦ってたんだっけ?」
その言葉にタバサもピエールも、どてっ!と大きくこけた。
(お、お兄ちゃん、この状況見たら普通わかるでしょ!?)
(レ、レックス様、私の話ちゃんと聞いてましたか〜〜ぁぁ!?)
2人は倒れながら心の中でそうなげいた。
何度も訪れた事のあるラインハットの城下町がまるで別の町のようだった。
兵士が物々しい顔つきで歩き回り一般人はほとんど居ない。
「これは一体…」
大魔王ミルドラースを倒してからはこんな光景を見る事はなかった。
それが事もあろうにあんなに人々が幸せそうに暮らしていたラインハットで見る事になるとは…
「お兄ちゃん、とにかくお城に行ってヘンリーおじさんにお話訊こうよ。」
「あ、うん、そうだね。」
一行は荒れた町を抜けラインハット城へ急いだ。
「あれぇ〜?王子〜、城の跳ね橋が上がってますよ〜。」
「ほんとだ、まだ昼間だって言うのに…。」
昼間だと言うのに跳ね橋の上がったラインハット城は、まるで知らない城のように陰鬱な雰囲気を出していた。
「とりあえずあの兵士さんに橋を下ろしてもらって入ろうよ。」
「うん。
あのー!城の中に入りたいんですけどー!」
テンは堀の向こうに居る兵士に大声で呼びかけた。
「誰だ!」
えらくキツイ口調で兵士が応えた。
「僕らがおるから警戒してるんとちゃう?」
「僕とスラッポさんは魔物ですからねぇ〜。」
「そっか、他の国はあんまり魔物さん暮らしてないもんね。」
結局その後、グランバニアの使者だと信じてもらうまでたっぷり30分は掛かった。
「よお!テン、ソラ!久しぶりだな!」
『コリンズくん!』
「わざわざハモってくれてありがとよ。」
城の中に入った二人を出迎えたのはコリンズだった。
「この二人はグランバニアの使者に間違いない。下がっていいそ。」
「は!」
コリンズが兵士にそう言うと兵士が敬礼し下がった。
「コリンズくん、これは一体…?」
テンが訊くとコリンズの顔が曇った。
「それがな…大変なんだよ。」
「大変?」
「詳しくは上で話す、来てくれ。」
「「ぐわぁああ…うぅう…」
「デール!大丈夫か!?しっかりしろ!」
苦痛に顔を歪めるデール王の看病をするヘンリーとマリア。
「父上!デール王!グランバニアからテンが来てくれました!」
「おお!助かった!テン!よく来てくれたな!」
テンの顔を見てヘンリーが安堵の表情を浮かべた。
「ヘンリーおじさん、これは一体どうしたんです?」
「…魔物だ。三日ほど前魔物が攻めてきた。」
「魔物?デール王はそれで怪我を?」
「…いや、無傷だ、だがそれ以来ずっとこうなんだ。」
デール王はベッドに手足を縛られ呻き声をあげている。
「ちょっと失礼。」
スラッポがデール王のベッドに近づく。
「…これは呪いやな。」
「呪い?それなら僕がシャナクで…」
「普通の呪いやないでコレは、呪文じゃ治されへん。」
「普通の呪いじゃない?」
「ビアンカ様が石化してた時かけられてたヤツに似てるな。」
「じゃあイブールのようなヤツがこの呪いを?」
「そうやと思う。」
「…。」
魔王は倒したのに…
部屋の中が重い沈黙に包まれた。
まだこの世界には闇がある。
その闇が再び世界を覆うために動き出した…
次回へ続く
「あのさ、タバサ、ピエール。」
「は、はい?」
「ど、どうしたの?」
まだずっこけたままの二人。
「僕そろそろ勉強の時間だから
先生のとこにいかなくちゃいけないんだけど、、、行っていいかな?」
「は、はあ、頑張って下さい、、、」
「う、うんおにいちゃんいってらっしゃい、、、」
毒気をぬかれ、さっきの殺伐とした雰囲気はもう無い。
「おにいちゃんいっちゃったね、、、」
「はあ、、、」
ボーン、ボーン。古時計か11時を指す。
あと一時間もすればお昼か、、、!そうだ!
「ねえピエール。私いいこと思い付いちゃった。」
「何ですか?」
「おにいちゃんにおいしいお昼ご飯を食べさせた方が勝ち!なんてどう?」
あれ、タバサは女の子の事ピエールだって
知ってたんだっけ?
天空の双子氏乙!
>>489 言われてみればいつのまにか知ってる事になってるね
レックスもピエールと呼んでるし戦い方も同じだから気付いたと解釈すべきか
「敵襲だー!魔物が攻めてきたぞー!」
ラインハットの城内に響く兵士の見張りの声。
「ヘンリー様!敵です!先の魔物がやって来ました!」
「数は?」
「およそ150です!」
「な…。」
若い頃は荒事でならしたヘンリーでさえ思わず絶句する数だ。
「ヘンリーおじさん、ここは僕たちに任せてよ。」
「ダメだ!数が違いすぎる!」
「大丈夫よヘンリーおじさん。」
「伊達に勇者をやってないよ。」
「そうですよ〜、それに僕らもいますし〜」
「目には目を、魔物には魔物やな。」
そう言って走り出すテンは紛れも無く勇者の顔をしていた。
「1、2、3、4…いっぱい」
ソラが数を数えようとしたがとても数えられる量ではない。
「まぁ、大して強そうなヤツはおらんで。」
「僕たちの敵ではないですね〜。」
「でも数が数だ、油断は禁物だ。」
テンの言葉にソラたちが頷く。
「みんな行くぞ!」
「うん!」
「了解〜」
「よっしゃ!」
テンたちは魔物の群れに飛び込む!
「いっくよぉ〜!イオナズン!」
まずはソラが敵陣中央に呪文を炸裂させる!
「さすが姫様〜」
「相変わらずごっつい呪文やで。」
それにキラーマが吹雪の剣とビッグボウガン、スラッポが炎のブーメランで追撃する!
「はぁぁぁぁぁぁぁあ!ギガデイン!」
さらにテンが呪文で追撃し美しい流れの連携攻撃となる。
「お兄ちゃん!これならイケるよ!」
「ああ!このまま行くぞ!」
程なくして魔物達は引き上げて行った。
「あぅ〜、ボディが傷だらけです〜、スラッポさんベホマして〜。」
「かったい体して何情けない事言うとんねん。」
「だって敵がいっぱい居たんですよ〜。」
「しゃあないな、ベホマズン!」
「癒されますぅ〜」
「おかしいな…」
一息ついたところでテンが呟いた。
「どうしたの?お兄ちゃん。」
「あの中に特別な呪いを使うような魔物は居なかった。」
「うん、数は多かったけど寄せ集めって感じだった。」
「そう、だから別に本命が居るって事だ。」
「もっと強いのが居るの?」
「多分…。数ももっと多いかも…」
「…。」
数えられない程の魔物、しかしそれも敵のほんの一部。
闇のほんの一端でしかない。
「あれが勇者か…」
遥か遠くでテンを見る闇の瞳。
「なかなか楽しめそうじゃないか。」
今闇が笑った。
その哄笑は人々の恐怖へと変わるのはそう先のことではないだろう…
次回へ続く
普通に強いなこのパーティ
「お館様、どうします?今のうちに勇者を殺りますか?」
闇の中に響く低い声。
「うーん、それじゃあまりに味気ないなぁ。」
その声に闇には似つかわしくない陽気な声が応えた。
「そうだ。いい事を思いついた。」
楽しそうに闇の声がはずむ。
「彼らにプレゼントを用意しよう。」
「プレゼント…ですか?」
「ああ、種を用意してくれ、彼らに綺麗な花を届けてあげよう。」
「御意。」
「テンとソラは大丈夫かしら?」
ここはグランバニア城の謁見の間。
今は来訪者も無く居るのはリュカとビアンカの二人だけだ。
「あの二人なら心配ないよ。」
「ラインハットの魔物退治でしょ?私たちも行った方が良かったんじゃ…」
「心配性だなビアンカは、あの二人にかなう魔物は居ないよ、それに…」
「それに?」
「いつまでも親がベタベタするのも良くないよ。
可愛い子には旅させろってね。」
「旅人の意見ねぇ。」
「子供だけでお化け退治しようって言ったのは誰だっけ?」
「はいはい、わかったわよ。」
そう言って二人は吹き出して笑った。
「楽しそうですね。」
闇はいつの間にかそこに居た。
「おや、お客さんか?」
「ごめんなさい、笑ってて気づかなかったわ。」
そこに居たのはテンと同じ年くらいの少年だった。
「ようこそグランバニアへ、今日はこの国に何の御用かな?」
「リュカ王、あなたにお渡ししたい物があって今日は参りました。」
「うーん、悪いがそれは受け取れないな。」
そう言うとリュカは立ち上がった。
その手にはドラゴンの杖を握っている。
「まさか、ラインハットの件も君が?」
「ええ。」
少年の返事を聞いてリュカが頭を掻く
「…誤算だな…テン達だけで行かせたのは失敗だったかもな…。」
「あら、私はあの子達を信じてるわよ。」
「ビアンカにはかなわないなぁ。」
そう言いながらリュカがビアンカに目で合図を送る。
「メラゾーマ!」
ビアンカが少年に向って呪文を放つ!
「悪いな少年!この地に生きるものの代表として君のような者を放って置く訳には行かない!」
ビアンカの呪文が当ると同時にリュカが杖を振り下ろす!
「賊だ!賊が侵入したぞ!」
「私なんかに熱烈な歓迎、申し訳ないですねぇ。」
二人の攻撃が直撃したにも関わらず少年は無傷で笑みを浮かべている。
「リュカ王!ご無事ですか!」
「加勢しますぞ!」
スライムナイトのアーサーとヘルバトラーのヘルバルがすぐさま駆けつけて来る!
「アーサー!ヘルバル!気を付けろ!こいつは只者じゃない!」
「おやおや、いっぱい来ましたね…」
アーサーがはやぶさの剣で切りつけヘルバルが冷たく輝く息を浴びせる!
「効きませんね…攻撃とはこうするんですよ!」
少年が念じると真空の刃が巨大な十字架となってリュカ達を襲う!
「ぐわぁ!」
「な!何?今の呪文は!?」
「バギ系の呪文か?」
「いや…威力がバギクロスの比ではない!」
「楽しんでもらえましたか?」
少年がリュカに歩み寄る。
「さぁ、リュカ王、プレゼントです。」
少年がリュカの額に触れる。
「な…何を…う!ぐ、ぐわぁぁぁぁあ!」
「リュカ!」
リュカが体を掻き毟り苦しみだす。
「気に入ってもらえたみたいですね。」
「リュカに何をしたの!?」
「呪いの種をプレゼントしたのですよ…」
「呪いですって!」
「さて…これでこちらの用は済みました…次は勇者様に挨拶ですね。」
「テンの所へは行かせないわ!」
「そんな体で何ができます?」
そう言って少年はビアンカにメラゾーマを放った!
「きゃあぁぁぁぁぁあ!」
「身の程を知りなさい、人間が。」
そして少年は闇に消えた…
後にはリュカの悲痛な呻き声のみが残った…
次回へ続く
>>497 パ、パパンママンが・・・予想以上に緊迫した展開。
うわー"少年" つええええ
正座しつつ続き待ってます。
リレー小説>>
タバサが料理得意なのか下手なのかどっちなのか気になる
正座しつつ(ry
あんなに好き嫌い多くちゃ、まともな料理作れんよ。
>>500 うむ、お酒の匂いが嫌いで料理酒も使えない可能性が
闇の深淵で二つの声が囁く。
「おかえりなさいませ。グランバニアはいかがでした?」
「いい国だったよ、王様も快くプレゼントを受け取ってくれたしね。」
「それはそれは…」
「これで勇者様へのプレゼントも用意できたし…」
「一石二鳥ですな。」
「ああ、じゃあ早速勇者様に挨拶に行こうか。」
「御意。」
陰鬱な空気に包まれるラインハットの城内。
その一室にデール王が今も絶えることなく呻き声が響いている。
「スラッポ、どう?」
「あかん、なんかだんだん呪いの根が深くなってるかんじや。」
「根が深くなってる?」
「ああ、これはあくまで仮説やけど、
この呪いは第一段階で、さらに強力な何かもっと深い呪いになっていくとちゃうかな。」
「つまり成長する呪いってことか…」
重い沈黙、想像だにしなかった恐ろしい呪い。
「どうしたらデールは元に戻るんだ?」
「ヘンリー様…僕もこんな呪いを見た事無いからはっきりはわからんけど…」
「はっきりわからないって事は、おおよそ検討はついているんだな?」
「はい。こういう特殊な呪いは大抵術者倒せば治ると思います、せやけど…」
「だけど?」
「呪いってのは厄介なもんで術者倒したら解かれへんようなる場合もあるんです。」
「…」
「呪いを解かずに倒して呪いの進行は止まっても元に戻るとは限らんし…
術者に訊かなどうすればいいのか解れへんのです。」
「俺には…どうする事も出来ないのか…」
悔しそうに顔をふせるヘンリーにかける言葉を誰も見つけられない。
「その…術者を探そう」
その沈黙を破ったのはテンだ
「どっちにしろ術者を見つけない事にはどうする事も出来ないんだ」
「お兄ちゃん…」
「王子…」
「テン…」
「行こう!ソラ!キラーマ!スラッポ!
ヘンリーおじさん!もう少しだけ待ってて下さい」
「テン…すまないな、頼んだぞ!」
「しかし王子〜、どこを探すんですか〜?」
「とりあえず魔物が来た方角へ行ってみよう。」
「西やな。」
今までの2回の襲撃は両方とも西から来て西へ去って行った。
「よし!みんな!西へ向うぞ!」
「その必要はないよ。」
「!」
突如テンたちの前に少年が現れた!
「初めまして勇者様。」
「き、君は?」
「勇者様が探しているのは僕さ。」
その言葉にテンたちは武器を構える!
「呪いの術者は君か!」
「そうだよ。」
「呪いを解け!」
「無理だね…呪いを解きたいなら僕を倒す事だ。」
少年が不敵な笑みを浮かべる。
「てやあぁぁぁぁぁあ!」
テンはすかさず天空の剣を振り下ろす!
「遅いな。」
少年は体を横にそらし攻撃をかわす。
「マヒャド!」
避けたところへソラの呪文!
「マホカンタ!」
「きゃあ!」
ソラの呪文を冷静に跳ね返す!
「熱くなってはダメだよ、せっかくプレゼントを用意してきたんだから。」
「プレゼントやて?」
スラッポが訊き返す。
「君のお父さんに預けてあるよ、会ってくるといいよ。
僕はレヌール城って城で待ってるからプレゼントが気に入ったら会いに来て欲しいな。」
「レヌール城?」
「ああ、じゃあまたね。勇者様…」
次の瞬間少年は闇に消えた。
「待て!」
「王子〜もう居ませんよ〜気配もしません〜」
「くっ…」
「お兄ちゃん、お父さんが心配だよ、一度グランバニアに戻ろう…」
「その前に姫様の怪我治さな…ベホマ!」
「ありがとう、スラッポちゃん!」
ここはレヌール城。
砕けた二つの墓石の横に一組の男女が呻き声をあげて横たわっている。
「それにしてもいい城が見つかってよかったねぇ。」
「そうですね。」
「しかしグランバニアもいい城だったなぁ、勇者様と遊び終わったらあそこに住むのもいいな。」
「はい」
「僕のプレゼント、喜んでくれたかな?」
「きっとお気に召した事でしょう。」
「そうだといいねぇ。」
「王子様!姫様!大変です!」
急いでグランバニアに帰った二人の前にピピンが血相を変えて現れた!
「陛下が大変なんです!」
なにがあったか城中に響き渡るリュカの呻き声がテンたちに全てを知らせた。
「父さんまで…こんな事になるなんて…」
それは14歳の勇者にはあまりにも辛い試練だった…
次回へ続く
小学生か中学生かな?>今の作者
507 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/07(日) 17:49:38 ID:W2UbIUQm
>>501 漏れはむしろ上手そうな気がする。
お兄ちゃんのお嫁さんになるために頑張ってそう。
ついでにあげ
魔法使いだから呪文で料理
ここはグランバニア城の城門前。
「ソラ、キラーマ、スラッポ、レヌール城へ行こう。」
「うん!」
「了解〜」
「よっしゃ!」
「ちょ、ちょっと待ってください!王子!
王の様子だけでも見ていって下さい!」
すぐに踵を返し出ようとするテンをピピンが引き止める。
「…父さんに何が起きているのかはわかってる。」
「え?どういう事です?」
「大丈夫だよピピン、僕が…すぐ何とかするから。」
「王子…」
「行こう。ソラ」
「うん、ピピン、心配しないで待ってて。
ルーラ!」
「来ましたな。」
「ああ、勇者様は僕のプレゼントを気に入ってくれたみたいだね。」
「どうお出迎えしましょうか?」
「魔物に出迎えさせるのも失礼だな…ディアス、君が行ってきてくれ。」
「私が…ですか?」
「ああ、勇者様の力、どれほどののモノか、じっくり見てみたいからね。」
「成る程、私は物差しですか。」
「そういうこと、頼んだよ、弱かったら殺してくれていいから。」
「御意」
レヌール城は異様な闇に包まれていた。
夜の闇とは違う、もっと根本的に違う邪悪な闇だ。
「お兄ちゃん…なんだか凄く嫌な感じがするよ。」
「うん…あいつがここに居るのは間違いない。」
かつて父と母が初めて一緒に冒険をした城。
今は…その父を救うためにここに来ている。
「ようこそ、レヌール城へ。」
「誰だ!」
それは闇から現れた。
「ドラゴン?」
「私はディアス、闇の貴公子様に仕える者です。」
そのドラゴンは低い声で丁寧に応えた。
「闇の貴公子?」
「闇に生き、闇を支配する者、私はその方から勇者殿を出迎える用命を受けました。」
そう言ってドラゴンは翼を広げた。
「どうぞ楽しんで下さい!」
ドラゴンがテンたちに灼熱の炎を吹きかける!
「フバーハ!」
テンが呪文でそれを防ぐ!
「みんな!行くぞ!」
次回へ続く
少年とディアスの正体なんだろうと気になりつつ期待。
「ええい!マヒャド!」
「いきますよ〜」
ソラの呪文とキラーマの吹雪の剣の同時攻撃!
「ほう、なかなかですな。しかしその程度では効きませんよ!」
ディアスはソラたちの攻撃をその体で受け止める!
「次はこちらの番ですね!ベギラゴン!」
ディアスの呪文がテンたちを包む
「そんなもんか!あっと言う間に回復したるわ!ベホマラー!」
しかしスラッポがすかさず回復する!
「てやぁぁぁぁぁあ!」
呪文を放った直後で無防備なディアスにテンが剣を振り下ろす!
「く…それが天空の剣ですか…」
天空の剣の威力にさすがのディアスも体に傷を負う
「だがまだまだですよ!」
剣撃をくわえるために近づいていたテンを太い尻尾でなぎ払う!
「さらに!」
吹っ飛んだテンに冷たく輝く息を吹き付ける!
「ぐわぁぁぁぁあ!」
「お兄ちゃん!」
「王子!」
「だ…だい…じょうぶだ…」
「全然大丈夫じゃないよ!スラッポちゃん!」
「よっしゃ!ベホ…」
スラッポが回復呪文を唱えようとしたその刹那呪文は中断された
「これで回復はできないでしょう」
スラッポはディアスの巨大な爪でわしづかみにされていた!
「く!放せ!放せやコラァ!」
「柄の悪いホイミスライムですね…」
「余計なおせわじゃボケェ!」
「少し黙ってもらいましょうか。」
ディアスが爪に力を込める!
「な…なめんなや、ワレぇ…」
「威勢が無くなって来ましたね。」
「やめろ〜、スラッポさんを放せ〜」
キラーマがスラッポを掴んでる右腕に正確にビッグボウガンを三連射!
しかし硬い鱗に阻まれ思うようにダメージを与えられない
「スラッポちゃん!ちょっと我慢して!イオナズン!」
なりふりかまっていられなくなったソラが、イオに耐性のあるスラッポごとディアスを攻撃する!
「スラッポちゃん!大丈夫?」
「ひ…姫様…時々過激すぎやで…」
スラッポが力なくうなだれる。
「アイデアは…良かったのですがまだまだですね。」
「え!」
ディアスの手の中にはまだスラッポが掴まれていた!
「まぁ…これは努力賞です、受け取ってください。」
ディアスがソラに灼熱の炎を放つ!
「姫様〜あぶな〜い!」
「キラーマちゃん!」
ソラの前にキラーマが飛び出し炎の熱からソラを守る!
「姫…様…あ…ぶな………」
キラーマのモノアイから光が消える… 機械に宿っていた命の光が…
「キ、キラーマなにやっとんねん…敵まだおるやんけ、起きんかいキラーマ、キラーマ!」
「い、いやあぁ!キラーマちゃん起きてよ!やだよ!そんなの!」
「すぐにあなた達も一緒に向こうへ…闇の世界へ送ってあげますよ。」
戦いは深い闇の中に堕ちていく… 勇者はまだ…目覚めない
次回へ続く
「キラーマ!すぐ回復したるからな!」
「ほう…どうやってここから出るおつもりですか?」
スラッポは依然ディアスに掴まれたままだ。
そのスラッポもそろそろ体力の限界だ。
「く…姫様!もっかいイオナズンや!」
「で、でもスラッポちゃんが…」
「みんな死んだら終りや!そうなったら誰がリュカ様やデール王助けるねん!」
「スラッポちゃん…」
「姫様!」
ソラが意を決しその両手に魔力を溜める!
「行くよ…イオナズン!」
ソラの手から強大な魔力が放たれる!
「姫様…また後でな…」
ディアスが魔力の大爆風に包まれる!
スラッポはその魔力の爆発にその身を任せる。
「たかがホイミスライムにしてはお見事ですが…無駄死にですね…」
「!」
爆風が収まるとそこには健在のままのディアスがいた!
「さすがに今のは効きましたよ。」
ディアスは無造作に手の中のスラッポを放り投げる。
「さぁ…後はあなただけですよ王女様。」
「…」
「何か言い残したい事があればどうぞ、愛する人への伝言でも構いませんよ。」
勝利を確信したディアスが不敵に笑う。
「じゃあ」
「なんですか?」
ソラは不敵に笑ってこう言った。
「残念でしたって伝えて欲しいの」
次回に続く
「何?」
「あなたにね!」
一筋の閃光が戦場に走る!
「な…に…?」
ディアスがその閃光の行方を目で追うと自分の胸で視線の移動は止まった。
…ディアスの胸には天空の剣を深々と突き立てるテンが居た。
テンがソラと同じ不敵な笑みを浮かべる。
「ギガデイン!」
テンはディアスに剣を突き立てたまま強烈な雷撃を放った!
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」
ディアスの絶叫が辺りに響く。
「な…なぜ勇者が…」
さっきまでテンは間違いなく倒れていた。
すぐに動ける状況でも回復呪文を唱えられる状態でもなかった。
「僕が回復させたんや。」
答えたのは死んだはずのスラッポだった。
「油断したなディアスはん、パーティの生命線の回復係が復活の玉持ってても不思議やないやろ。」
「馬鹿な…」
「ほらキラーマ起きんかい、ザオラル。」
「…システム起動…エラーチェック…」
「お、一発で成功した。」
そうしている内にテンが剣を抜きディアスの目前に突きつける。
「…君たちは何者なんだい?」
「何者?…私は…私…は…う!ぐわぁぁぁぁぁぁあ!」
テンがディアスに問うと突然ディアスが苦しみだした!
「これは…似ている」
そう、呪われたデール王と同じ苦しみ方をしている。
「同じや!これはデール王の呪いと同じ呪いがかかってる!」
「ぐわぁぁぁぁぁあ!ゆ…勇者!」
「!」
「こ…ろして…くれ!」
「ど、どういう事だ!」
「あや…つられて……ぐわぁぁぁぁぁぁぁあ!」
再びディアスが苦しみだし、そして暴れ出した!
「何なんだ!一体!?」
「王子、呪いの正体がわかったで!」
スラッポが叫んだ
「これは人を意のままに操る呪いや!ディアスはヤツに操られてたんや!」
「ど、どうすればいいんだ?」
「どうしようも無い!殺すしか無いんや!」
「でも!」
「殺らな殺られる!」
暴れ出したディアスがテンの方を向いた。
正気を無くしたディアスは隙だらけだ、だがテンは決断できない。
「ディアスは…操られてるだけなんだろ?」
ディアスはテンに向って爪を振り上げる!
「それでも…やるしかないのか?」
ディアスの爪がテンめがけて振り下ろされる!
「お兄ちゃん!」
ソラが声をあげる!
「く…うおぉぉぉぉぉお!」
テンはディアスが爪を振り下ろすより一瞬早く懐に飛び込み天空の剣を一閃した!
ディアスの血しぶきが舞う!
「ゆ…う…しゃ、あり…が……と………」
最後にディアスがテンに微笑みかけ、感謝の言葉を口にした。
そのディアスからは闇は消えていた…
「う…うおぉぉぉぉぉぉお!」
塵となり消えていくディアスを送るようにテンが咆哮した。
テンは…悲しみと怒りと無力さへの悔やみを浮かべた目から涙を流した。
優しい勇者は悲しい傀儡を想い涙を流した…
次回へ続く
>>517 トドメを刺して楽に
天空7巻のドラゴンマッド思いだした
殺る側としたらつらい
「ようこそ、勇者様。」
レヌール城の玉座に少年が堂々と座しテンたちを迎える。
「ディアスとの戦いは見ていてとても楽しめたよ、さすがは勇者様だね。」
そして少年は悠然と立ち上がる。
「だけど僕の相手としてはまだ未熟だね。」
「言いたい事はそれだけか?」
テンが怒りに声を震わせ少年に問う。
「ディアスは…君の仲間じゃなかったのか?」
テンの言葉に少年は可笑しそうに吹き出した。
「仲間?馬鹿馬鹿しい、あんなヤツは何処ぞで拾った呪い人形さ、単なる手駒の一つだよ。」
「…」
「そろそろ飽きてきたところだったから丁度いいぐらいさ。」
「…」
「新しい手駒なんて幾らでも作れるしね。」
「お前だけは…お前だけは絶対許せない!」
怒りに燃えるテンを少年は一笑する。
「面白いね、じゃあ遊ぼうか勇者様!」
天空の光と深い地の闇がぶつかる…
次回へ続く
作者ども!!!早く続きかけ!!!
きのこ!きのこ!きのこ!!!!
>>520 ガキは黙って日航機墜落の特番でも見てろ
そう決まるとタバサとピエールは
すぐに昼食をつくるのにとりかかった。
「お兄ちゃんの好きそうなもの、好きそうなもの…
でもお勉強の途中だから頭が良くなるお魚なんていいかも」
「お昼にはスタミナがつくものが一番ですね
やはりここは牛肉のステーキがよいでしょう」
どちらも思い思いの料理をつくっている
そしてお昼の正午を迎えた。
「お兄ちゃん」
「レックス様」
『お昼ご飯どうぞ!』
同時にその料理がレックスの目の前にさしだされた
「こ、これは」
「うおぉぉぉぉお!」
咆哮と共にテンが少年に切りつける!
「さあ、楽しませてよ勇者様!」
少年が闇の中から剣を抜きテンの攻撃を受け止める!
「背中ががら空きですよ〜」
その隙にキラーマが素早く少年の背後に回り激しく切りつける!
「甘いよ!」
少年はキラーマの攻撃を目にも止まらぬ動きでかわし逆に三度切りつける!
「イオナズン!スラッポちゃん!キラーマちゃんを!」
ソラがキラーマへの更なる追撃を防ぐ
「おう!ベホマ!」
「あう〜、スラッポさん助かりました〜」
キラーマがそう言ってる間に距離を取りビッグボウガンで牽制する。
少年は矢を剣で軌道を逸らし再びテンに向き直る。
「これならどうだ!ギガデイン!」
テンが剣を突き出し同時にギガデインを剣から放つ!
「ディアスに使った技か…でも僕には効かないな。」
少年はテンの突きを弾きギガデインはまるで何事もないかのように体で受ける。
「ほんとのいかづちを見せてあげるよ!」
少年は地獄からいかづちを呼び寄せる!
「うわぁぁぁぁぁぁあ!」
いかづちがテンたちをなぎ払う!
「弱いな…君たちの力はこの程度なのかい?」
「く…これくらいで何を!まだまだ!」
「威勢だけは認めてあげるよ、だけど…僕の相手には未熟だね。」
少年は剣を捨て玉座に座る。
「まだ戦いは終わってないぞ!」
「そんな未熟な力で僕と戦おうと言うのかい?
舐めないで欲しいな。」
少年はテンを鼻で笑うとテンの背後を指差した。
そこはバルコニーへの出口。
「呪い人形の手駒は幾らでも作れる。
ディアスの代わりが完成したからね。」
バルコニーから入ってくる人影。
「そ…そんな…」
一同が驚愕に顔を歪める。
「そいつを倒せたら相手をしてあげるよ。
さぁ、リュカ、勇者様たちを倒してくれ。」
次回へ続く
目の前に出された料理の匂いを嗅ぎ、眼を輝かせるレックス。
「ありがとう二人とも!とってもおいしそうだよ。」
レックスに感謝の意を示され穏やかに微笑む二人。
が
『どっちに先に手をつけるの?お兄ちゃん。』
『もちろんおいしいそうな香りのする焼き魚からだよね?』
『早く手元のナイフとフォークを握りください。』
『男性の好きな牛肉の肉汁の薫りが食欲をそそるでしょう。』
今闘う二人の心中には
負けられない女としての[意地]。
目の前のライバルを少しでも出し抜こうとする[狡猾さ]。
そして幾年も想い、慕い続けた[恋心]
今二人の目線はレックスの手元に集中していた。
タバサは「秋刀魚の塩焼き」を食べるための箸を
ピエールは「牛肉のソテー」を食べるためのナイフとフォークを
凝視していた。
つまり―どちらの料理に―先に手を出すか―
すでに勝負は始まっていた。
「いっただっきまーす。さぁて」
そんな二人の考えにイマイチ気付かないレックスがもったものは
箸
何故かグランバニアの家紋入りという無駄に豪華な箸を手に取る。
『勝った・・・!』
『そ、そんなレックス様・・・』
小さくガッツポーズを取り思わず少し引きつった笑顔をするタバサ。
その顔をレックスの後ろに立っていた隠れタバサファンの近衛兵士が目撃して驚愕する。
対するピエールは動揺を隠せず思わずしゅん、としてしまう。
その顔をみた隠れタバサファンの近衛兵士はピエールのファンになることを誓った。
ピエールの落胆振りを見てもう一度勝ち誇るタバサ。
「お兄ちゃん、そのお魚は秋刀魚っていうの。今が一番おいしい季節なんだよ。
この辺の近海は温度が高いから餌になる小魚がほう」
「ふう、おいしかった!」
「え、えええ!?」
見ると皿の上には頭と骨だけになった秋刀魚。
よく食べるレックスの事を案じて大きめの秋刀魚を選んだつもりだったが
一分かからず完食してしまう。
「じゃあ次はこっち。」
ナイフとフォークを手に取りステーキに手をつける。
『あ、ありがとうございますレックス様!!』
『ま、まだ食べるのお兄ちゃん!?』
ピエールが眼を輝かせる。
「レックス様。その牛肉は友好国であるラインハット産のものです。
広い国土で培われたのびのび育った牛は栄養価もたか」
「ごちそうさま〜」
「も、もう!?」
やはり一分とかからず皿をきれいにしてしまう。
レックスの早業に口をあんぐりさせるピエール。『食べ過ぎだよお兄ちゃん・・・』
と心配するタバサ。
ふう、と一息つき、水を飲むレックス。
そして―ポカーンとする二人を尻目に
元隠れタバサファンで現隠れピエールファンの近衛兵士が口を開く。
「レックス様。お味はどうでした?」
―!!
二人の意識がレックスに集中する。
529 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/14(日) 17:40:36 ID:iVEZcDvA
早く続きかけ!!!!!
きのこきのこきのこ!!!!!!!!!!!!!!!!!!
スレ違い
536 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/14(日) 21:26:04 ID:KZTStadl
リアルチョソキタ━━━( ゚∀゚ )━(∀゚ )━(゚ )━( )━( ゚)━( ゚∀)━( ゚∀゚ )━━━!!!!
「そんな…父さんが…」
目の前に居るのは紛れも無くリュカだ。
しかし魔物の心さえ和ませる不思議な優しい目は闇に汚れている。
「…バギクロス…」
リュカが静かに呪文を唱えると辺りに烈風が吹き荒れる!
「く!…威力が格段に上がってる!」
呪いの力か、今までのリュカに比べて呪文の威力が大幅に上がっている。
「どうすればいいんだ?」
呪いに支配されたリュカはテンたちに躊躇なく攻撃してくる!
しかしテンたちはリュカを攻撃する訳にはいかない。
「ソラ!キラーマ!スラッポ!」
テンが何かを閃き仲間に声を掛ける。
「なに?お兄ちゃん?」
「三人で父さんを抑えていてくれ!」
「お兄ちゃんはどうするの?」
「僕は…あいつを倒す!」
「一人で!?無理だよ!」
「無理でもやらなきゃならない!」
「お兄ちゃん…わかった!」
「頼んだよ!ソラ!」
テンは少年に向う!
「行くぞ!」
「一人で何が出来るって言うんだい?非力な勇者様!」
「確かに非力かもしれない!でも!」
テンが剣を構えて少年に切りかかる!
「この身にかえてもお前を倒す!」
「ふん!気に入らないね!勇者と呼ばれて魔王を倒して!
だから自分が正しい、正義だって満足している。
正義だから必ず勝てると思ってる。
そんなもの…勇者なんて欺瞞の産物だって事を教えてあげるよ!」
次回へ続く
主人公は こんらんしている!
>>535 東アジアの平和の為には中韓朝がこの世から消え去ることが一番。
普通に参拝しようとしている人たちの迷惑になることだけはするなよ。
そんなことした時点で右でも左でもなんでもない、ただのキチガイ。
夏コミで双子ものあったのかな?
テンの天空の剣と少年の闇の剣がぶつかり火花を散らす。
「でやぁぁぁぁぁあ!」
テンはがむしゃらに日々鍛錬し鍛え上げた剣技を少年にぶつける!
「ふん、その程度かい?勇者だろうが所詮は非力な人間だね。」
少年はいとも簡単にテンの技を捌いてみせる。
「理解できないね、何故ミルドラースはこんな弱い勇者なんかに負けたんだろ?」
少年の闇の剣がテンの体を切り裂く!
「う…ベ、ベホマ!」
すぐさまテンは呪文で自らを回復する。
「いつまで持つかな?今まで無駄にギガデインで力を浪費していたようだけど?」
図星だった、呪文を使うにも限りがある。
「一人じゃ何も出来ないんだね、君は。」
「く…このぉぉぉぉぉぉお!」
再びテンが少年に飛び掛る!
「無駄だよ…君の攻撃は僕には効かない。」
少年がテンに光り輝くオーラを放った!
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁあ!」
テンの攻撃が少年に届く前にテンは地にふした。
「こんなものか…勇者の力は。」
「う…うぅ…く、まだ…だ。」
「いや、もう終りさ、君に対する興味は失せた、遊びは終りだ。」
少年は剣を振り上げた。
「さよなら、勇者様」
少年がテンを一瞥し笑った直後!
「メラゾーマ!」
少年を呪文が直撃した!
「か…母さん?」
バルコニーにマスタードラゴンの背に乗ったビアンカが降り立った!
「保護者の登場か、でも何が出来るっていうんだい?」
「あなたに教えてあげるわ、人の意思の力、愛の力をね!」
次回へ続く
上のリレー小説書いた物なんですが
続きを今夜中に書こうと思ったんですが
他の人が続きを書くのを待つのが良いんでしょうか?
気にせず書きたい分書いちゃっていいんじゃない?
読み手としてはどんどん書いて欲しい。
御意。
ただお盆なのに仕事+パソが無いので携帯からなので
日が落ちる頃まで辛抱してほしいです。
荷物運びながら中身は考えているんですが・・・
「母さん?なんでここに?」
突然のビアンカの登場に訳のわからないテン。
「家族の一大事に私だけ何もしないわけにはいかないでしょ?」
「いや、そういう意味じゃなくて…」
「リュカの様子があまりに尋常じゃなかったからマスタードラゴンに来てもらったのよ。
そしたらリュカが突然ルーラで居なくなったから追いかけてきたの。」
そういえばビアンカはマスタードラゴンに乗って現れた。
「ただならぬ闇の気配がして地上に来たところをベルで呼ばれてな。」
「まぁそういう訳よ。」
「それにしても驚いたな…。」
マスタードラゴンが少年を見据える。
「闇の眷属の人間か。」
マスタードラゴンの言葉に少年の顔から笑みが消えた。
「だまれ、マスタードラゴン。」
「人間と言ったのが気に障ったか?」
「僕を下賎な人間と一緒にするなよ。」
今まで以上に闇に満ちた殺気が少年から湧き上がる。
「マスタードラゴン、あいつは一体?」
「人間だ、それもとびきり特殊な者だ。」
「僕は人間じゃない。」
「偶然に、いや、実際は必然的に現れるのかもしらん。
魔を統べる力を持った限りなく魔物に近い人間だ。」
「だまれ!僕は人間じゃないと言っているだろう!」
少年がマスタードラゴンにメラゾーマを放つ!
しかしマスタードラゴンの前にテンが飛び出し天空の盾で跳ね返す!
(冷静さを失ってきている?)
「殺してやる、人間も天上人も全て、この世にあるのは闇だけでいい。」
オーラの様な闇が辺りに立ち込める。
全てを飲み込むかのように。
「テンよ、ヤツは闇の勇者だ。」
「闇の…勇者?」
「私も初めて見るがな、魔王より強い力を持ち世界に闇をもたらす者。
しかしその者は人間だと言う。
以前に天空の勇者が現れた時に進化の秘法を使い魔王になろうとした者がいたが…
それ以上に純粋な闇であり人間だ。」
「ヤツは人間なのか?」
「ああ、人間の親から生まれた人間だ。」
「だまれと言っているだろうが!」
少年は再び地獄のいかづちを呼び出した!
「うぐ!」
マスタードラゴンがテンたちをかばう!
「何故…何故そんなに人間であることを嫌う?」
「…お前に答える義理はない」
「いいよマスタードラゴン。」
「テン?」
「どんな理由があるのかは僕は知らないし分からない。」
テンが少年に近づく。
「だけどこれだけは分かる、どんな理由があってもこいつのやってる事は許される事じゃない!」
「エゴに満ちた正義の御託だな、まぁいいさ。
邪魔が入ったが今度こそ殺してやるよ。」
「僕は負けない!」
再び光と闇がぶつかる!
次回へ続く
「うん。とてもおいしかったよ!焼き加減がちょうどよくて・・・」
嬉しそうに昼食の感想を近衛兵士にしゃべるレックス。
それとは裏腹に二人は沈痛な面持ちでレックスを見て――『互角』――ということを悟っていた。
近衛兵士は話を聞きながらチラッとピエールの皿を盗み見て
(・・・今日の昼食は食堂でステーキ定食にしよう・・・)
と密かに誓うのだった。
「さて、昼食も食べたし外に行こうよ二人ともさ。」
「でさ、そのときコリンズが・・・」
後ろ向きで歩きながら二人と話すレックス。
愛想笑いをしたり、適当に相槌を打つ二人だったが
隣り合う『ライバル』『恋敵』が心中穏やかでないのは当然のこと。
詠唱封印(マホトーン)のとけたタバサにとって
隣りにいるスライムナイトに火炎呪文をたたき込むのに一呼吸もあれば十分だし
鋼の剣を腰に携えたピエールにとって
隣りにいる人間に兜割りを見舞うのに一秒あれば事足りる。
もちろん――意中の男性の前でそんな『はしたない』ことはしないが。
目の前の『天然』『鈍感』『子供』のレックスを自分の方に傾かせるため
あれこれ思索する二人。
この硬直状態の中で、先に仕掛けたのは――ピエールだった。
「・・・レックス様。後ろ向きのまま、話しながら歩くのは行儀が悪いですよ。」
ピエールにしては珍しい咎めるような言い方に兄妹が少し驚く。
が
次のピエールのとった行動に兄妹は驚愕する。
「そうだね。ごめ・・・え?」
「こうすれば・・・(ぐいっ)並んで話せます。」
レックスの横に立ち肘と肘を絡め、自身の『胸』に引き寄せる。
当然レックスの肘には『女性の象徴』が当たる。
大胆な行動に出たピエールもほんのり顔を赤らめていたが
レックスに至ってはまるで蛸のように真っ赤になってしまった。
こういったことに免疫の無いレックスには、どうやら色仕掛けは効果覿面、だったようだ。
その様を後ろで見ていたタバサも負けじとレックスの隣で肘を交じらわせる。
「さっ行きましょおにいちゃん。」
左右からの初めての感覚に挟まれ混乱するレックス。
(ど、どうしちゃったの二人とも〜?!)
>>553 レックステラウラヤマシス
>>550 ついにマスタードラゴンも来たか、最終決戦の予感してきた
テンの剣と少年の剣が再び火花を散らし始める!
それを冷静に見るビアンカ。
(やはりテンが押され気味ね。)
かといってビアンカの力では足手まといだ。
それならば…
「マヌーサ!」
まずビアンカは未だ暴れ狂うリュカにマヌーサをかけた!
「お母さん?」
ここでようやくソラたちがビアンカの存在に気づく。
「ビアンカ様〜助かりました〜。」
リュカが幻に惑わされ、攻撃に空振りが出始めた。
「危ないとこやった…」
「ちょっとソラを借りたいの、あなたたち二人でいける?」
そのビアンカの問いにキラーマとスラッポが真剣な面持ちで(表情は変わらないが)答えた。
「…わかりました、ここは僕らに任せて下さい。」
「頼んだわよ!
じゃあソラ、行くわよ!」
「うん!」
ビアンカとソラがテンの手助けに向う。
「でも、お母さん、どうするの?」
「…一度古い文献で読んだ事があるのよ。」
「え?」
「同時にメラ系の呪文とヒャド系の呪文を使えば非常に強力な呪文になるってね。」
「それを使うの?」
「ええ。でも…かなり高度な技術が要る上失敗した時のリスクはかなりのものらしいわ。」
「…。」
「ソラ、それでもいい?」
「…他に、方法は無いんでしょ?」
「そうね、少なくとも私には思いつかないわ。」
「だったらやる。みんなを助けるためにはそれしかないなら。」
その言葉にビアンカは満足して微笑んだ。
「それでこそ私とリュカの娘よ。
じゃあ息子の方を助けるわよ!」
「うん!」
次回へ続く
と見せかけ某賢王のようにメラゾーマとマヒャドでマヒャゾーマ
「おやっ両手に花じゃないかレックス。」
「お、お父さん。」
現グランバニア国王カルスが息子を茶化す。
「ん?君は・・・?ピエールかい?」
「はい。ピエールです。」
「いやいやこんなに美人さんだったとは。灯台下暗しとはよくいったもんだ。」
「そんなもったいないお言葉・・・」
何気ない会話。しかし――
タバサはある一言に引っ掛かっていた。
こんなに『美人』さんだったとは。
今まで可愛いや愛らしいと言われた事はあれど『美人』と言われた事はなかった。
つまり未だ自分は『子供』だということ。
もちろんピエールは誰が見ても美人の範疇に入る類いだ。
しかし、タバサは可愛いや愛らしいと言われた事はあったが『美人』と言われた事はなかった。
つまり未だ自分は『大人』のような『美人』ではないということ。
未だ回りから『子供』として見られているということ。
背伸びしたい年頃にとってこの事実は――辛い。
それを痛感したせいか俯くタバサ。
もちろん――泣き顔をレックスに見られたくないため。
その様子を察してか妹に声をかけるレックス。
「どうしたのタバサ?」
「ううん。なんでもないよ・・・」
顔を上げられない。目の前にはとても大好きな人がいるというのに。
けどこんな顔を見せたくない。
見つめたい。けど、けど、辛いよ――
何でまだ私は子供なの――?
涙を堪えるだけで精一杯だがタバサはレックスに問うた。
「ねえおにいちゃん。私ってまだまだ――子供なのかな。」
「さっきまでの威勢はどうしたのかな?勇者様。」
「何を!この程度で!」
少年の剣の前に何とかついていくテン。
それをビアンカとソラがタイミングを計って見ている。
強力な呪文だけにテンを巻き込む訳に行かない。
「これじゃうかつに撃てないわ…」
二人の早すぎる剣と剣のぶつかる速さに、後衛のビアンカにはタイミングが分からない。
「お母さん…私に任せて。」
「ソラ…いけるの?」
「うん、お兄ちゃんの動きが分かる。」
「…ほんとに頼もしくなったわね、あなたたちは。」
そしてビアンカとソラは頷きあい呪文の構えをとった。
「ソラ、呪文のタイミングはシビアだけど大丈夫、私があわせるからあなたは何も心配しないで。」
「うん、お母さん。」
そしてソラはテンの動きを見て心を合わせタイミングを計る。
「お母さん、3、2、1で行くよ。」
「分かったわ。」
そしてその時が来た。
「…今だ、3、2、1!マヒャド!」
「メラゾーマ!」
二つの強力な意思の呪文が赤と青の螺旋を描き膨張して闇へ向っていく!
「さぁ、どうしたんだい?もう終りかな?」
少年はさらにテンを追い詰めていく!
「こうなったら…」
一か八かテンが大技のために飛びのく!
「はは!隙だらけだよ!」
少年がテンの隙を攻撃しようとしたその一瞬
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁあ!」
強力な呪文が少年を貫いた!
「今だ!うおぉぉぉぉぉぉお!」
テンがこの機に少年に天空の剣を突き立てる!
「ギガデイン!」
そして剣の刺さった少年の体内に直接ギガデインを打ち込む!
「く…うぐ…」
呪文でダメージを負った体にさらにテンの攻撃が追い討ちをかける!
「ば、馬鹿な…」
「これが…」
信じられないといった表情の少年にテンたちが言う。
「これが人の力。」
「絆の力。」
「愛の力よ。」
少年の顔が苦渋に満ち、そして吠える。
「ふざけるなぁ!僕はそんなもの認めない!認めたりしない!」
次回へ続く
「うん、タバサはどう見ても子供だな」
―そうお兄ちゃんはきっぱりと言い切った
予想していたけどその言葉は私にはショックだった―
「はぁ・・・そうだよね、わたし成長遅いもんね」
「はは、タバサは好き嫌い多いからなあ」
「でもさ、いいんじゃないそれで」
「え」
「タバサぐらいの方が可愛いよ、僕は小さくて可愛い方が好きだな」
―そんなお兄ちゃんの何気ない一言
それにその場にいる全員が凍りついた
くっついていた私も、ピエールも、さっとその位置から離れた―
父・ピ・タ(まさか、そ、そっち系?)
「あれどうしたのみんな?」
「まだ、立つのか?」
「く…、リュカ!こいつらを殺せ!」
少年が離れたところでキラーマとスラッポを相手にしているリュカを呼ぶ。
「…。」
リュカがこちらに向ってくる!
「父さん!」
「お父さん!」
「リュカ!」
「う…」
リュカが家族の呼びかけに足を止める。
「どうしたリュカ!そいつらを殺せ!」
「う…うあぁぁぁぁあ!」
「く…エルヘブンの血族にはあの呪いでは不完全だったか…
どこまでも忌々しい血だ…」
少年がうなだれる。
「諦めろ、君の負けだ。」
「人の力、愛の力を否定したあなたでは私たちに勝てないよ」
「愛の力だと?そんなモノは偽者だ!」
「何故あなたはそんなに人間を、愛を否定するの?」
その問いに少年は驚くべき答えを返した。
「愛?そんなモノがあるなら僕の母親は何故僕を殺そうとした?」
テンたちがその答えに言葉を失う。
「母親が…殺そうとした?」
「…昔話をしてやろう。」
「昔話?」
そして少年は語りだした
「16年程前エルヘブンの神に仕える一人の女性が子供を身篭った。
神に仕える純潔であるはずの女性がだ。
人々は神の子だと歓喜した、だが…生まれたのは闇の力を持った呪われた闇の勇者だった。
その女性は子供と共に絶海の孤島に島流しにされた、人と関わりが無い場所で一生子供を監視するために。
だがある時、その生活に疲れた女性は名前すら与えていない自分の子を殺そうとした。」
「…」
「その女性は子供を殺そうと首を絞めた、だが…
子供を殺す直前に魔物に殺された。
以来その子供は人間である事に別れを告げ魔物の下で闇の勇者として育った…」
「…」
「なんだ?その哀れむような目は?僕を倒すんだろ?やってみろよ。」
「…」
「やってみろよ!さぁ!」
「…」
「ふん、優しい勇者様には出来ないのか?
なら僕を哀れんだまま死んでいけ!」
少年が再び臨戦体勢を取る!
「戦うしかないのか?」
「テ…ン…」
「!父さん!」
「戦え…それが…彼の…ためだ…」
「父さん…分かった!」
テンは剣を構える。
「僕は…君を止める!」
「面白い、最終決戦と行こうか。
さぁ!勇者同士で殺しあおうか!」
次回へ続く
「うおぉぉぉぉぉお!」
テンが剣を大きく振りかぶり一気に振り下ろす!
「くぅ…」
少年が身体で受け止める!
血飛沫が飛び散りテンを返り血で染める!
「次はこっちの番だな!」
少年が大きく真一文字に切り払う!
「うわ!」
テンもそれを避けずに身体で受け止める!
もうどちらも相手の攻撃を避けようとしない、お互いの攻撃をただただその身で受け止める。
どっちが先に倒れるか、天空に祝福された勇者と魔に見初められ闇に染まった勇者の、二人の勇者の
己の存在価値をかけた悲しい傷つけあいだ。
「お母さん…」
「…」
ソラの呼びかけにビアンカが首を横に振る。
「ダメよ、もう私たちには見守る事しか…」
「うん…私たちは勇者じゃないもんね…」
これは二人の勇者だけの戦い。
少年が自分の生い立ちを話した時から他は介入できない勇者だけの戦いになった。
「てぇぇぇぇりゃあ!」
テンの攻撃が綺麗に決まった!
しかし少年は倒れない。
「いい攻撃だ、だが!こちらも負ける訳には行かないんでね!」
少年も素晴らしい攻撃を返してくる!
「う…」
痛恨の一撃だ、だがテンは踏みとどまる。
ソラが見ている、そう思うと倒れられない。
今までずっとそばに居てくれた愛しい妹…
幼い頃、親が行方不明で寂しい時も
勇者の使命に押しつぶされそうになった時も
魔王との戦いにくじけそうになった時も
いつでもそばに居てくれたソラが見ている。
それだけで強くなれる。
それだけで絶対に負けない!
「どうしたんだい?もう終りかい?」
「あぁ、終りさ。」
勇者だからじゃない、ただ大切な人のために…
絶対に勝つ!
「これで!終りだぁぁぁぁぁぁぁあ!」
全力の一撃!
天空の剣を少年の胸に突き立てる!
(あぁ…これで、この苦悩と絶望に満ちた人生も終わる)
最後のその一瞬、少年は安らかな笑顔を浮かべていた…
次回へ続く
雲一つ無い快晴の青空。
森に爽やかな木漏れ日が差し込む。
そこにテンが横になっている。
「お兄ちゃん、みーっけた。」
「…ソラか。」
あの出来事から少しの時が流れた。
リュカもデールも、レヌール城で倒れていた二人の男女もすっかり回復した。
だが、事件の傷跡は、テンの心の中に残っていた。
「また…考えてたの?あの人の事。」
「…うん」
同じ人間でありながら誰からも愛されず人間である事に絶望し、魔に身をゆだね闇に落ちた闇の勇者。
自分とは対極の位置にいたもう一人の勇者…
「彼も…僕みたいに、いつもそばに居てくれる人が居たらあんな風にはならなかったのかな?」
「…それは誰にもわからないと思う…」
「結局、悪いのは一体誰だったんだろ?」
「わからない…でも私は、お兄ちゃんは間違った事はしてない、って事だけは自信を持って言えるよ」
「そうかな?」
「うん、他の人がなんと言おうと私は絶対そう思う。」
「…」
「だって、お兄ちゃんは平和のために勇者として当然の事をしたんだもん。」
「だけど…彼も…被害者だったんだ、だけど僕は彼を殺してしまった。」
そう言ってテンは目を伏せる。
「…こら!勇者がそんなんでどうするの!」
「…ソラ…」
「確かにそんなに簡単な事じゃないと思う、だけどあの時お兄ちゃんが戦う事を拒否して、
それでみんな死んじゃって、その方が良かったって思うの?」
「そうは思わないけど…」
「だったらいいじゃない。」
「でも…」
「…それでもまだ悩むんなら…一人で悩まないで。」
「ソラ…」
「私が一緒に悩んであげる。」
そう言ってソラがテンに手を差し伸べる。
「…うん」
テンはその手を取り立ち上がる。
「ひょっとしたら、またこんな事が起きるかもしれない。」
「その時はまた私がお兄ちゃんを支えてあげる。
人の苦しさや悲しみは一緒に受け止めてあげる。」
「ソラ…ありがとう」
「うん、だって私お兄ちゃんが大好きだもん。」
そして二人で悩んで、泣いたその後は…
二人で喜び笑い合おう。
そう想い、祈りあって二人は唇を合わせた。
これは二人が、苦しみ悩み悲しみ、そして乗り越え少し大人になった14歳の日の出来事。
これからなにがあっても大丈夫、この双子が二人で居る限り…
天空の双子14歳 完
どうもこのスレをご覧の皆さん。
今までお付き合い戴きありがとうございました。
こういう連続SSは初めてなのでお見苦しい点も多々あったと思いますが完結できました。
途中少年のキャラが立ちすぎたり、思ったよりスラッポとキラーマが目立ちすぎたりしましたが、
最後はなんとか王子と王女で締めくくれてほっとしてます。
ちなみに
>>557 正解です。というか図星です。
完結乙です!仲間モンスター活躍はむしろよかったと思った
>>570 完結乙。
今だから言うけど正直文章が稚拙すぎて、職人じゃなくて荒らしじゃないかって疑ってた。
自分だけで楽しんでHDDの肥やしにするならまだしも、たとえ2ch内であろうと人目に晒すのなら
「自分が書いて面白いもの」じゃなくて「自分を含めた読者が『読んで』面白いもの(SSの第一の読者は作者である自分自身)」を意識するべき。
あなたの頭の中で、どんなに素晴らしいハラハラドキドキの物語が展開されてたとしても、読者が読むのはあなたが投下した文章そのものであり、決してあなたの頭の中の物語を読むのではない。
>>570 乙
ちょっと文章力というか構成力がまだまだって感じだけど結構楽しめたよ。
漏れは腕を上げてまたなんか投下して欲しいな。
若いみたいだし努力すればもっと良い物が書けると思うよ。
>>570 初連載でこの長さと書くペースは凄いです。
描写が少し薄めに感じたけれどゲームシナリオ的なテンポの良さは読みやすかった。
最後の王子、王女な話で次また書いて欲しい。
官能小説スレにイイ双子モノが…(;´Д`)ハァハァ
>570
お疲れ様です。ペースの速さに驚きながら読んでいました。
面白かったです。次回作期待!
そんなこんなでイキナリ投下↓↓↓
『あますず』
日の出から日の入りまで太陽はギラリと大地を照らし続ける。
街の人々は揃ってこう言う。
「今日も例年通りの暑さだ。」と・・・。
2人が生まれたグランバニアは眼前に聳え立つチゾットの山脈から吹かれる冷たい風で、
夏といえども各諸国よりも比較的涼しい生活が出来ていた。
そんな故郷と今自分達が訪れている街の環境は2人にとっていわば試練であった。
「あーつーい!」
タバサは街の中を大きな麦わら帽子で頭をすっぽりと覆いながら宿泊している宿屋を目指して力なく歩いていた。
建物で出来た日陰を右に左に進みながら、季節に似合う白いワンピースの裾をヒラヒラと靡かせる。
「お兄ちゃんもあんまりよ!日焼けするから今日はお外には出ないってあれほど言ったのに!」
ブツブツと呟きながら両手に抱えた薄茶色の買い物袋で顔が隠れるのをいいことに、
タバサの眉間は日差しがまぶしいのか2,3本のしわが寄っていた。
この街に来てはや2週間と3日。
今までに比べれば長い滞在だとタバサは思っていた。
それ故、日々の食事は宿屋で食べれるものの、
こういった雑貨や2人の使う日用品はわざわざ宿から少し離れた市場に買いに行かなければいけないわけで、
その役目は決まってタバサなのであった。
「まぁ、お兄ちゃんにお買い物頼むといっつも余計な物まで買っちゃって、
肝心なものは忘れちゃうんだから仕方ないといえば仕方ないのかな・・・。」
誰に言うでもなく、自分に言い聞かせるタバサ。
買い物袋をゆさゆさと揺らしながら、
タバサはあと少しで宿屋に到着するという所で噴水の近くに置かれたベンチに荷物を置き、腰を掛ける。
「ちょっとだけ休憩〜。」
深く座るとタバサの両足は宙に浮き、服と同じ色のサンダルを器用に親指だけで支えるように天へと向けた。
「お兄ちゃん、宿屋に戻ってるのかなぁ?」
フゥーと一息をつきながらタバサは言う。ゴソゴソと買い物袋の中から青緑色したリンゴを取り出し、
「えへへー食べちゃおっと。」と言い、
ワンピースの裾でリンゴをゴシゴシと拭いて小さな口に運びあげる。
カプリッ
少し齧ると酸味と甘味がタバサの口全体に広がる。
「おいしー!」
ご満悦な表情のタバサ。シャクシャクと口の中で細かく砕くリズムと一緒に足をパタパタさせる。
シャク
シャクシャク・・・ゴクン
噴水の水しぶきが吹き上がり、タバサの頬に水滴がキラキラと降り注ぐ。
「すずし〜!さ、そろそろ宿屋に戻らなくちゃ。」
タバサはピョンとベンチから立ち上がり、
もう一度両手で買い物袋を持ち上げもう目と鼻の先に見える宿屋に向かって歩き始める。
2階の角部屋に泊まっているタバサは、自分の部屋に荷物を置き、手際よく自分の分とレックスの分とを分けていく。
レックスの部屋の前に止まり、3度ノックをするが、中に人の気配はなかった。
「またどこか行ってるのかな?お兄ちゃん、入るよ〜?」
ガチャリとドアを開けた瞬間、タバサの目の前に何度もお城で見たあの光景が飛び込んでくる。
ベッドの上には脱ぎ捨てられた服達、テーブルの上には何冊かの本が無造作に積み上げられており、
部屋の中央には荷物が散乱しているのだ。
「・・・お、お兄ちゃんって・・・やっぱりめんどくさがり屋さんだよね・・・。」
小さく汗を垂らすタバサ。
一歩踏み入れ、テーブルの上の空いている所に荷物を静かに乗せる。
「・・・やりますか・・・。」
タバサはハァとため息をひとつ吐き、散乱した荷物をひとつひとつ丁寧に拾いあげていく。
部屋の中は幾分か涼しい作りになっていて、窓から時たま入ってくる風がタバサの髪をソヨソヨと揺らした。
髪の毛を後ろでひとつに縛ったお掃除モードのタバサの力であっという間にレックスの散らかった部屋はきれいになっていく。
最後にベッドのシーツを整えると、タバサは「ヨシッ。」と一声かけ、両手をパンパンと払った。
ベッドの脇にある窓から入る風が、タバサを優しく包みこんでいくと、やはり買い物した後に掃除をした疲れが出たのか、
タバサはボスンッとベッドに横たわり天井を見上げた。
そして、両手を天井に伸ばし
「あーやっぱり日に焼けちゃってるー・・・。やだなぁ・・・夜になったらヒリヒリしちゃいそう・・・。」
と少しだけ赤くなった手をマジマジと見つめるうちに、眠気がタバサを襲った。
つづく
>>580 久しぶりにキタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!
>>581 >>2ですの〜
保守
保ち守る
585 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/27(土) 18:09:58 ID:z7yc4flt
タバサ出産シーン
タバサ「ポコペンポコペンダーレガツツイタ・・・ポコ・ペ・・ン・・・・」
↑
ラマーズ法
「タバサ、タバサ。」
誰かに名前を呼ばれ、夢の世界から呼び戻されたタバサはゆっくりと目を開ける。
「ん・・・お兄ちゃん?ぁあ・・・!わたし寝ちゃってた・・・ごめんね。」
タバサは飛び起き、ベッドの上に正座をして目の前にいるレックスの顔を見上げた。
レックスの真っ黒に日焼けしていて顔が、いつもより男らしく見えたのかタバサはポーッとレックスの顔に見とれてしまう。
「ん?」
レックスがタバサの視点に合わせて顔を覗きこむと、タバサは釣られて笑顔で
「おかえりなさい。」
と答える。
「うん、ただいま。今日も暑かったね。お買い物、ありがと。」
レックスはタバサの頭を優しく撫でる。
タバサは一瞬だけ笑顔をレックスに見せ
「ほんと、暑かったんだから〜日焼けもしちゃったし〜・・・。」
と、ブーブーと自分の腕をレックスの顔の前に出す。
「あ〜、ほんとだ。ごめん、ごめん。」
レックスは笑ってタバサの手に触れ、掌から二の腕、二の腕から肩にかけて手を這わす。
「ゃん、くすぐったー。」
タバサはもぞもぞと身をよじりながら、レックスの顔を見つめる。
「あ!」
レックスが突然声をあげ、「え?」とタバサは返事をする。
「ここ、服を着てた所だけ、真っ白だ。」
「え?う、うん。そ、そうだね・・・。」
レックスの指がタバサの肩に掛かっているワンピースの中に入ると、タバサは身体をビクンッとさせ、
「お、お兄ちゃん?」と声を裏返して問いかける。
しかし、その問いに答えは無く、そこにはただタバサの小麦色した二の腕と真っ白なままの鎖骨を互いに触れながら真剣な顔をするレックスがいた。
──きっと、レックスは興味本位で焼けた所と焼けていない所を見比べてるのだ。
そうタバサは思い、レックスの顔をじっと見つめながら何とも言えないこしょばゆさにじっと耐えていた。
「・・・どうしたの?顔、真っ赤だよ?」
「へ?」
いつの間にかレックスの手の動きは止まっており、レックスの一言でタバサは次第に恥ずかしくなっていく。
「ひ、日焼けのせい・・・日焼けのせい・・・。」
タバサが目を背けてそう答える。
「あはは。変なタバサ。」
──変なのはお兄ちゃんの方だよ・・・。
レックスに背中を見せ、両手を胸に置くタバサ。
自分でも信じられない位の速度で鼓動が鳴っているのを確かめる。
いつもはボケーってしてるのに、急に真面目になっちゃったり・・・
わたしの気持ちに気づいてるはずなのに、全然何も言ってこないし・・・
何とも思われてないのかな?って思ったら、今みたいに突然大胆になっちゃうし・・・
────わたしの事、少しでも好きでいてくれる?
それが聞けないからこんなにドキドキさせられちゃうのよね・・・。
あーあ、ひとつ前の街ですっごくカワイイパジャマ見つけた時に買っておけばよかったなぁ・・・
そしたらお兄ちゃんが寝ちゃってる時に・・・
タバサのピンク色の妄想が膨れ上がってきたその時、タバサの背中にヒヤリと冷たい刺激が走る。
「きゃあ!!」
タバサは驚き、跳ね上がる。
「なに!?今のなに??つめった〜〜〜い!!」
タバサはレックスに方を向くと、タバサの背中からコトンッと透明な固形物が落ちる。
「え?え?なにこれ?こおり?」
タバサが落ちた固形物とレックスの笑いをこらえている顔を交互に見ながら聞くと、
「ふふ。さっき宿の店主さんにわけてもらったんだ。」
そう言ってレックスは氷を口にひとつ入れ、コロコロと口の中で転がし
「ぁあ・・・冷たくておいしい〜・・・。」
と、にっこりタバサを見て微笑む。
「おいしい〜って・・・んもぅ・・・ビックリ・・・したんだからね・・・。」
「ごめんごめん。・・・タバサ?」
黙りこくるタバサにレックスは「怒った?」と聞きうつむくタバサの顔をしゃがんで覗きこむ。
「んーん、ねぇお兄ちゃん。わたしにも氷ちょうだい?」
タバサがそう言うと、レックスは「さっきあげたでしょ?」と床に落ちた氷に視線を落とす。
「・・・え?・・・これ?」
タバサはレックスの視線の先にある氷を指差し、首を傾げて聞く。
「うん、これ。」
「落ちたやつ?」
「タバサが動いたからだよ。」
「背中に入れたのはお兄ちゃんでしょ?」
「そうだよ。」
「・・・なっ・・・。お兄ちゃ・・・ングッ!」
タバサが身体をプルプルさせて叫ぼうとした瞬間、レックスは素早くひとつの氷をタバサの口に入れる。
「んぁっ・・・ひゅめたぃ・・・。」
口の中で広がる涼しい風がタバサの身体を覆っていた熱を次第に冷ましていく。
「外暑かったから、店主さんにいっぱいもらったんだ。
その・・・タバサが暑い中買い物してくれたしね・・・。」
ポリポリと頬をかき、レックスは横目でチラリとタバサに目をやる。
「・・・あ、ありがと・・・。」
──わたしがお兄ちゃんを好きな理由、それはわたしの欲しいモノをお兄ちゃんがくれるから・・・。
誉めてもらいたくて、お部屋のお掃除も頑張って・・・
笑顔が見たくて、お料理作ってあげたり・・・したけど、いつも引きつった笑顔だったり・・・
心配して欲しくて、コリンズくんの前で少し短いドレス着たり・・・
・・・優しくして欲しくって、ちょっとだけ怒ってみせたり・・・
お母さんが言ってた。
『女は惚れた方が負けよ』って
今わかりました、お母さん。
わたしも、負けちゃったみたいです。
そうしてタバサは無言でレックスの胸に飛び込む。
レックスはタバサを支えきれず、2人はベッドに倒れこんでしまう。
「・・・タバサ?」
上半身を起こしたレックスにチョコンとまたいで座るタバサ。
そして両手をレックスの頬に添え、タバサから唇を重ねる。
熱いとも言えるレックスの口の中にひんやりと冷たい氷が運びこまれる。
「ん・・・ちゅっ・・・んん・・・。」
「はぁ・・・ぅん・・・。」
息遣いだけが静かな部屋に聞こえる。
「んふぅ・・・。」
しばらくしてタバサが唇を離すと、レックスはポケーッとした顔でタバサを見つめていると、
「・・・氷・・・溶けちゃったね・・・。」
タバサは小声で呟き、舌をペロっとレックスに見せた。
DQ外伝『あますず』 ──おわり
GJ!
氷…思わぬ萌えアイテムだ
>591
ありがとう御座います。
『あますず』は漢字で書くと『甘涼』で、「ちょっぴり甘くて涼しい」なんて、
そんな感じのが書けたかなと思いますがいかがでしたでしょうか?
途中まで書いて、続き書き始めたのに間空いてしまって「どんな終わりにしようと思ってたっけ・・・」
と、アルツハイマー気味でしたが騙し騙し終わらせました。
ちなみに、この後の続きもあったわけですが、激しく妄想が暴走してるのでムニャムニャな行為はお蔵入りって事になりました。
だってタバサ攻めレックス受けなんて書いた日には・・・フォォーー!!!
やべ・・・ニヤニヤがとまんねぇwww
ペコ氏GJ!!
みなさんお久しぶりです。
ペコ氏、相変わらずお疲れ様です。
頑張ってください。
夏が終わる前に海ものを一つ
カンカンに照りつける太陽、雲ひとつ無い青一色の空
風にそよぎ揺れる椰子の木、そして目の前に広がる砂浜に海!
「いやっほー!海だ海!」
「わあ〜きれいな海」
季節は夏真っ盛り。
僕らは家族みんなでここメダル王の島にバカンスにきていた。
世界が平和になってから、そして家族全員が揃ってから初めての海。
僕もタバサもいつになくはしゃいでいた。
「はは、海なんて船で旅していた頃は毎日見ていたじゃないか」
砂浜に簡易テントを組みながらお父さんが僕らに声をかける。
「わかってないな〜お父さん!船から見る海とは全然違うんだから」
「うん!お船からだと眺めるだけだもん」
たしかに海を見るだけなら珍しくもなんともない。でも今までの旅では遊ぶ暇も無く
見るだけだった海で遊べるというのは僕らにはとても嬉しいことだった。
「ふふふ。そうねレックスとタバサの言う通りね」
困り顔のお父さんの影からひょっこりお母さんが顔を出した。
「フローラ、木陰で休んでなくていいのか?」
「ええ。私も海を見ていたらなんだかじっとしていられなくて」
「お母さんも泳ぐんだ?」
「もちろん。これでも修道院にいた頃はよく海を泳いで魚や貝を獲っていたのですよ」
お母さんはそう言ってふふふと笑う。
モリを片手に海で魚を獲っているお母さん…頭の中で想像してみたけど
普段のイメージと合わなくてなんだかおかしく感じた。
「…よしっ!これでテントは完成だ。泳ぐにしてもまずはみんな水着に着替えないとね」
砂浜に出来上がった男女二つの簡易テント。
中は広いとは言えないが親子二人で着替えるには充分な広さだ。
「よし、タバサ!10秒で着替えて早く泳ごう!」
「ええー!10秒!?」
「よーいドン!1・2・3……」
「もう待ってよお兄ちゃんーー」
・・・
「……10!!!」
数え終わると同時にテントから弾け出る!
きっかり10秒、我ながらほれぼれする早脱ぎ早着だった。
「ターバーサーまーだー?」
「もう…早すぎるよ…ちょっと待って」
流石に女の子のタバサには少し無理があったみたいだ。
「レックス、レディーを急かすのは関心しないな」
僕より少し遅れてお父さんがテントから現れた。
「わあ〜お父さん格好いい!」
普段の服を着ている姿からは想像できないくらいにお父さんの身体はたくましかった。
無駄な肉なんて少しも付いてない鍛えられた筋肉、歴戦の戦士であることを証明する数々の傷。
それは理想の男の身体と言っていい。
「ははは、そうまじまじ見られても照れるな」
「でもホントに格好いいよお父さん。なんていうか『ウホッ』って感じ」
「う、うほっ?レックスどこでそんな言葉を…」
「ピピンが言ってたよ。『フォォ〜〜アベル王様ってすっごくたくましくてウホッ!ないい男ですよね!』って」
「そ、そうなのか。……これは気をつけないとな」
「??」
「二人ともお待たせ」
女性用テントからまず出てきたのはお母さん。
「どうかしら?今日はしっかり泳ぎたいから動きやすい水着にしてみましたわ」
それは胸なんかに必要最低限の羽飾りがついてるだけの水着だった。
「うわ!お母さんそれ凄いえっちだね!」
「ふふ。これは神秘のビキニというのよ。あなた、どう思います?」
「い、い、い、いやその…似合ってるよ」
お父さんは顔を真っ赤にしてそれだけ言うとうつむき黙ってしまった。
よくわからないけどお父さんも気に入ったのかな?
「お母さん、タバサはまだ?」
「あら。あの子ったら出るのが恥ずかしいのかしら?タバサ〜〜出てきなさい〜〜」
お母さんはテントに手を突っ込むと、がしっと、タバサの腕を掴んで
そのままテントの外まで引っ張り出そうとした。
「きゃー!きゃー!お母さん〜出るから、自分で出るから!」
そんな悲鳴も虚しくタバサは外に引っ張り出された。
「もうお母さんたらひどい……」
砂浜にはいつくばりながらも両手で身体を隠すタバサ。
「あら、ここには私たちしかいませんから恥ずかしがることありませんのに」
「むぅ〜」
観念したようにタバサは立ち上がり、身体を覆っていた両手を後ろに組み
水着姿を僕らに披露した。
あれだけ恥ずかしがるもんだからどんな変わった水着かと思いきや
それは可愛いひらひらがついた水着、というか天使のレオタードだった。
「わあ、いいじゃないそれ!」
「うんうん、似合ってるよタバサ」
「そ、そうかな」
「タバサはお母さんの子供ですからどんなものも似合いますわ」
みんなにはやしたてられてタバサの顔はますます赤くなった。
「じゃあ僕とフローラは夕食用の魚を獲ってくるとするか」
「お父さん僕も行く行く!」
「レックスもか、タバサはどうする?」
「お魚さん可哀想だし…でも見るだけなら…」
「では、まずはみんなあの向こうの岩場まで行きましょうか。あそこは海の生き物がとても豊富そうですわ」
ふと見ると既にお母さんはモリを片手に漁へ行く気マンマンだ。
自分専用のモリを持ってるあたり、さっきの修道院時代の話も嘘じゃないみたいだ。
「用意がいいなフローラは。僕たちはモリなんて持ってないから、木の棒にナイフでも
括り付けて代用しようか」
「そうだね!お父さん!」
途中手ごろな木の棒を物色しつつ、僕らは岩場の方へ歩いていった。
「用意はいいですか?二人とも」
「ああ、大丈夫」
「オッケーだよ!」
お手製のモリを天にかざし、僕とお父さんは答えた。
「思ったよりいいのができたね、お父さん!」
「そうだね、まあフローラの特注モリに比べたら見劣りはするけど」
僕らのモリは拾った手ごろな木の棒にお父さんは果物ナイフを、
僕のにはとがった骨をつけただけの即席モリ。
とはいえこの持った時の軽さと鋭さは並みのモリには負けてない、と思う。
「ではあなた、行きましょうか。レックスはできるだけタバサの側にいてあげてね。とぉ!!」
二人はそういい残すとあっという間に沖の方まで泳いでいってしまった。
「わー早い早い!!」
「お母さん、本当に泳ぎ上手だったのね…」
二人の、特にお母さん泳ぎっぷりに僕らはホレボレしながら見ていた。
お父さんも頑張っているけど泳ぎに関してはお母さんの方が一枚上手みたいだ。
僕も負けていられない、そう意気込みながら準備体操を始めた。
「イチ・ニイ・サン・シ!よし準備体操終了ーー。
さあバンバン獲ってやる!タバサ、なにかリクエストない?」
「リクエストって?」
「食べたい魚とかだよ、なにかない?なんでも獲っちゃうからさ」
「えー…お兄ちゃんも知ってるでしょ、わたしお魚嫌いだし…」
「それでもなにか一匹ぐらい好きなのない?」
タバサはうーんと考え込んで、そしてぽつりと一言言った。
「えと…『海のミルク』」
「『海のミルク』?」
「うん、そんな風に呼ばれてる生き物が海にいるって前に本で見たの、だからそれ…」
あまりに思いがけないリクエストに少し戸惑った。
マグロとかタコとかならともかく『海のミルク』なんて想像もつかない。
でもなんでも獲る!と豪語した以上今更後には引けない。
「わかった!『海のミルク』だね!よし待っててすぐ獲ってくる!
それにしてもなんでそんな変わったのがいいの?」
「だってミルクは大きくなるのに…あ!べ、別にそんな深い意味なんてないから」
「?、それじゃ行くね、とおっ!!」
ザブン!
と勢いよく水しぶきを上げ、僕は海の中に飛び込んだ。
目指すは海のミルク
お手製のモリを片手に透きとおった海の中を潜り進んでいく…。
「あーもう行っちゃった……お兄ちゃん『海のミルク』がどんな生き物かなんて知ってるのかな?」
海のミルク……海のミルク……海のミルク……
―うーん、なんなんだ海のミルクって?
ミルクと言うぐらいだから白いんだろうか?それとも牛みたいな魚だろうか?
―だめだ全然思いつかない!
かといって今更戻ってタバサに聞くわけにもいかない。
―よし、ここは海に詳しいお母さんに聞きに行こう
そう思い立った僕は海面に一旦出、お母さん達を探しに沖に向かった。
「とりゃー!きぇーー!!」
お母さん達は簡単に見つかった。
「きえええーー!!きえッ!!きえッ!!」
なぜなら沖にいかなくてもわかるくらい、お母さんの気合の入った叫び声が海に響いていたからだ。
「お父さん、調子はどう?」
お母さんの近くで立ち泳いでいるお父さんに声をかけた。
「見ての通り絶好調さ、ほら」
お父さんは手に持った網袋の中を見せてくれた。
中には既にこれ以上入りきらないほどの大漁の魚がひしめいていた。
「すごいなぁ…これ全部お母さんが獲ったの?」
「フローラが8、僕が2くらいかな。いやあフローラには本当に驚かされたよ」
「あらレックス。結局あなたも沖にきてしまいましたの?」
「あ、お母さん。ううん、ちょっとお母さんに聞きたいことがあってここまで泳いだんだ。
ねえお母さん、『海のミルク』って知ってる?」
「もちろん。それは牡蠣のことですわ」
「かき……?それってどんなのでどんなところにいるの?」
「牡蠣は貝の一種で…………な感じですわ。
そうね、この海でいるとしたらさっきの岩場のもっと奥あたりかしら」
「ありがと!さっすがお母さん!」
「ふふふ。気をつけていってらっしゃいね」
海のことはお母さんがすごく頼りになる。今回の旅行の新発見かもしれないな、と思いながら
僕はお母さんの言うとおりにさっきの岩場の奥を目指した。
すれ違うきらめく魚の群れ、色とりどりのさんご礁。
こうして海の中にいると漁のことを忘れてしまいそうになる。
―おっと忘れちゃいけない牡蠣だ牡蠣
そう集中しなおし牡蠣がいそうな岩陰に目を凝らす。
数十分は経っただろうか。
何度も息継ぎに海面に上がり、また潜り、また上がる。
だが一向に牡蠣らしき生き物は見当たらなかった。
―そもそもいるのかな?この海に
タバサのおねがいだから是が非でも見つけてやりたいけど、このまま探索を続けるのは不毛の気がしてきた。
そんな風にあきらめを感じ始めた頃に……奴がいた。
―あれはキラーシェル!?
海の魔物・キラーシェル。
そいつが死んだように蓋を閉じ、僕の目の前にいた。
たしかに海の魔物は大魔王が倒れた今でも現れ、時々人に害をなす。
しかしこんな近海で現れるなんて予想外だった。
―どうする?戦うか、それとも逃げるか?
人喰い貝系は表情が読み取りづらく、そして狡猾だ。
寝てるふりをして僕が逃げようとした時に後ろから襲い掛かってくるかもしれない。
ザキを唱えるキラーシェル相手に先制を許すのは命取りになりかねない。
―ここは戦うしかない!!
今の僕の装備は武器にとがった骨が付いた即席モリ(攻撃力6)
防具にトランクスタイプの海パン(防御力2)
そして海の中だからベギラマもライデインも使えない。
つまり戦う以上、このさっき作ったばっかりの足跡モリで攻撃するしか手段は無い。
反撃が予想される以上、一撃で相手を倒すのが絶対だ。
―こんなことなら試し突きやっとくんだったな…
牡蠣狙いだったため、一度もモリの威力を試すことなくこの時を迎えてしまった。
普段も槍は使い慣れてないこともあって不安が残る。
―いけるかな…いやいくんだ!
力一杯モリを握ると出来る限り、静かに悟られないようキラーシェルに近づく。
そしてモリで仕留められるギリギリの間合いに入り込んだ。
もし向こうがたぬき寝入りしているのなら、そろそろけしかけてくる距離だ。
貝蓋の上から攻撃するよりは、向こうが大口を開けて
襲い掛かってきたところに口の中めがけ攻撃する方が確実だ。
それを期待し、ジリジリと距離を詰めながら僕は待ちに徹した。
ガボガボッ……!!
息が苦しい…!海中で待ちに徹するには人間の身体は不向きすぎた。
これ以上海中にいるわけにはいかない。
―こうなったらイチかバチかだ、くらえ!
覚悟を決め、一思いに敵の急所めがけ突いた!
ブオオオオオオッ!!
「グアギィィぃ!!!」
突きを繰り出すと同時に視界が気泡で奪われ、鼓膜いっぱいに敵の悲鳴が響いた。
この生み出された気泡でわかるように、海の抵抗は予想を超えて大きく
地上と同じ鋭さの一撃を敵にお見舞いしてやることはできなかった。
―仕留めそこなった!?
敵がダメージにもがいている間にもう一撃くらわしてやろうと思い
モリを引き抜こうとするが……
―ぬ、抜けないぃぃぃ……うあっ!
とがった骨はがっしり肉に食い込んでおり抜けず、それでも強引に引き抜こうとしたため
とがった骨と木の棒を繋いでいた紐が切れた。
僕はもはや木の棒だけになったモリを掴んだまま、後方へ吹き飛んだ。
―くそう!とりあえず呼吸しないと!!
息苦しさは既に限界にきていた。
敵にかまってる暇は無い。僕は残りの力を振り絞り海面を目指した。
ブオオオオオ!!!
「ギャグァアアア!!」
後ろからもの凄い勢いで気泡と悲鳴が迫ってくる。
予想した通りさっきの攻撃では仕留めきれていなかった。
「ぶはぁあああっっ!!」
なんとか追いつかれる前に海面に出ることができた。
だが一息ついている暇はない。海面下からでもわかるくらい敵はこちらめがけ上ってくる。
息も荒いまま一番近い岩岸まで泳ぎ続ける。
先程対峙していた時と違い、今は反撃もできず一方的に襲われるだけの状況。
もはや僕の心は恐怖の虜になっていた。
―あと少し……間に合ってくれ!
奴の牙が足に噛み付くか否かの間際、僕の手は岩岸を掴んだ!
「うおおおおおおおお」
そのまま岸に上がるよりも早く、僕は呪文を唱えた。
「ライデイーーーーーーン!!!」
ピカッ!!
穏やかな晴天に突如生まれた雷雲は、僕の眼下へ雷を放った。
「だぁあーー!!」
雷が落ちるよりも早く、僕は身体を海中から飛び出させた。
ビリリリリリリリッリリリッリリリリリリリリ
電撃が辺り一帯を走り海面がまぶしく光る。
「グワギャアアーーーーァッ…!!!」
先程まで自分の足元にいたキラーシェルは電撃に焼かれ断末魔をあげて息絶えた。
絶命し海面にプカプカと浮かぶ姿をして、やっと胸をなでおろす。
「た、たすかったあぁぁーーー!」
しかし僕も一瞬海中から出るのが遅ければああなっていたかと思えばゾッとした……。
「あれ……?」
プカプカと海面に浮かぶのはキラーシェルだけではなかった。
魚、魚、魚、タコ、魚、魚、ウミヘビ、魚、魚……。
当然といえば当然だが、電撃が走った辺り一帯の海、そこの生き物全てが息絶えて浮かんできた。
「あちゃー…まわりの被害考えてなかった」
申し訳なく海面を覆う魚たちに手を合わせた。
「おお、凄いなレックス。大漁じゃないか」
「え?あれお父さん…それにお母さんにタバサも。なんでここに?」
「こんな天気のいい日に雷雲が出たら誰だってレックスの仕業と思いますわ。
それにしても雷で漁をするなんてよく思いつきましたわね」
「え、え!?漁ぅ!!?」
言われてみれば目の前のこんがり焼けた魚たちは美味しそうだ。
「さあ今日はお魚のフルコースですよ〜♪」
お母さんは嬉しそうに海面に浮かぶ魚たちを網袋にしまっていく。
「えー…こんなにお魚食べるの…」
対照的にタバサはこの魚たちにげんなりしている。
「ところでお兄ちゃん、『海のミルク』は?」
「『海のミルク』……?あ、そうだったすっかり忘れてた!」
「はぁ…やっぱりそんなことだろうと思った…」
「ごめんごめん!この埋め合わせはちゃんとするからさ!」
「ほんとうに…?」
「ああ、もちろん!」
「それなら…今晩のお魚、私の分も全部食べて♪」
………それから僕は一週間、夢で魚にうなされる日々が続くことになった。
おわり
フローラはっちゃけすぎ
海のミルク、牡蠣か?
ごめん最初と最後しか読んでなかった
ぜんぶ読み直したらアホなこと聞いてたよ・・・
ほしゅ
611 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/06(火) 11:43:28 ID:cMTWe7UC
期待あげ
5主「なにっレックスお前もうミルクが通……ぐふっ」
4主「スミマセンすぐ連れて帰りますので」
<暇だったのでリレー小説のまとめ>
(レス番号が続いてるものはまとめています)[数字]は話数です。
[1-5]>361-365 [6]>367
[7-8]>368-369 [9-11]>374-376
[12] >379 [13]>384
[14-15] >387-388 [16-17]>392-393
[18-21]>398-401 [22]>405
[23]>418 [24]>428
[25]>439 [26]>461
[27-29]>464-466 [30]>475-476
[31]>484 [32]>488
[33]>523 [34] >526-528
[35]>551-553 [36-37]>559-560
[38]>563
書く際は名前欄に [話数]#@j$PJYpV
うわ、半角スペースで見やすいようにしたつもりが
全然スペースあいてない・・・。 ごめんなさいorz
おお、こんなにたくさんあったんだ。久しぶりに読み返したら又書きたくなったんでまた頑張ります。
>>613これを受け取って欲しい。 つGJ
この超展開のリレー小説を見事締めくくれる勇者は現れるのだろうかw
617 :
名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/11(日) 18:20:49 ID:WwOckkDv
ほっしゅ
618 :
名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/11(日) 18:25:07 ID:mfjA3sKo
はらへった〜
グランバニアでは王子と王女のどちらが王位継承するかの選挙があります
表向きレックスで、影でタバサがレックスを動かす・・・と
って、なんかそれっぽいSSをどっかでみたような
政治面ではタバサの方が優秀そうだな
レックスタバサ二人で国治めるのが短所補えてベストか
|ー゚)ちら。お久しぶりです。受験合格しましたのでご報告。
心配してくださった皆様どうもありがとうございました。
いろいろな新しいSSが投稿されててホクホクです(*´ω`*)
職人の皆様お疲れ様です。
>>622 おおー!おめでとう!!
暇があったらまた書いてくださいね!
コテのトリップを忘れてしまったみたいです・・・(ノ∀`;;)
これだったかな? ・・・名無しに戻ります。
( Д ) ゚ 。即レスにびっくりしました。
ありがとうございます♪ ではではー。
アドチル対策sage
>>625 久しぶりです。
正直、お前を覚えている自分がちょっとだけ情けないw
過去スレでレスしたことあります。
それにしても、トリップを忘れるなんて、なんて健全なんだ。
629 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/16(金) 21:47:09 ID:RvOKIpXv
近親結婚可能 結婚して二人でグランバニアを治めるレックスとタバサ
近親結婚不可(1)コリンズと結婚が決まったタバサ、二人を祝福できず出奔するレックス
(2)タバサ、レックスが駆け落ち
(3)笑みで顔を固めて祝福、30年後に昔の話で愛していた事を話し合う二人
(4)どちらも未婚のまま関係維持
レックスとクラウドはルックスだけは似ていると思った
激しくプレイシタス
>>629 前スレだか前々スレだかにそういうSSなかったっけ?
まとめサイトに行けばあるのかな。
まとめ見てきた。
5-727氏の『non-titled』ってやつ。
……ってこの人
>>324の人か。続きマダー?
「おかえりなさいあなた。ね、見て見てこの絵! テンが私たちを描いてくれたのよ」
「へえー、これ、テンが? うまいもんじゃないか。僕は優しそうで君は強そうで」
「……あなた」
「はは、冗談じょうだん。でもこれ本格的だな。ちゃんと下書きしてから絵の具で描いてある。いつスケッチされたんだろ?」
「私たちがバルコニーで話してるのを見てて、こっそり写したって言ってたわ」
「なるほどね。そういえばこの前、テンが何かこそこそ隠すのを見たことあるよ。黙ってたけどさ」
「それから、これ! 珍しくて可愛いでしょ? これはソラから。
このお花って、蕾が開くまで育てるのがとっても難しいのよ。なのに、ソラ、ひとりで咲かせちゃったの」
「あ……そうか。これだったのか。ソラが森の中でこっそり育ててるっていう花。
へえー、僕らのためだったんだ。すごいなあソラも。
こないだもう字が書けるようになったと思ったのに、テンもソラも、どんどん大きくなっていくね。
ようし、二人ともほめてやろう。どこにいる?」
「残念。レックスとタバサが連れてっちゃったわ。あなた、もう少し早く帰ってくれば良かったのに。
どうせあの子たち、温泉入って、妖精の森にも遊びに行くでしょうから、戻ってくるの明日の夕方じゃないかしら」
「行っちゃったのか。しまったな。
話のほうは急いで終わらせたんだけど、ヘンリーのとこの大臣、あの爺さんにつかまっちゃってさ。
あの人、先月お孫さんが産まれてね。
それで、孫のためにラインハットをもっといい国にしようって、この歳になってますます張り切ってるんだって言ってたよ。
別れ際、これからそのお孫さんとパーティだって笑ってたけど、僕も同じだとはたぶん思わなかっただろうね。
…………。
……ふう」
「どうかしたの? お疲れ?」
「ん…? いや、その………。
僕も普通じゃないジンセイ送ってきたなあって、自分でも思うんだけどさ。
でも、三十歳前にして『おじいちゃんへ』ってプレゼントをもらうことになるなんて、まさか思わなかったよ」
「あなたと結婚して、本当に楽しいことばかりね。うふふ」
晩年には主人公は曾々々お祖父ちゃんにくらいになってます
639 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/20(火) 23:14:13 ID:dYbokzsF
DQ5の王の地位ってどれくらいなんだろう。
グランバニアを見ていると高そうに見えない。
グランバニアは小国ってのがあるかな
国や城は実際もっと多そうだがゲームだと少ないな
ねぇ、お兄ちゃん。なんで目を覚まさないの・・・?
ねぇ、お兄ちゃん。もう体は治ってるんだよ・・・?
ねぇ、お兄ちゃん・・・・
*夢の中で*
・・・また、今日という1日が終わっちゃいます。
お医者さんはもう治療も全部終わったし、検査の結果も大丈夫だ、って言ってたのに、
お兄ちゃんは1週間前からずっと目を覚ましません。
私があの時躓かなかったら、お兄ちゃんはこんなことにならなかったのにな・・・
2週間前のことです。
私は、お兄ちゃんとサンチョの3人でオラクルベリーまでいこうとしました。
サンチョが船の手配をしてくれて、何の心配もなく私たちはお城を出発することができました。
(↑消したと思っていたのですが、名前欄に変なトリップが残ってました、ごめんなさい。)
船旅は順調だったかのように思えました。
ところが、内海にでる海峡に差し掛かったとたん、今までみたこともないようなモンスターに出会ったんです!
そのモンスターは大きな身体をを船にのりあげてきました。
私は今までこんなに大きなモンスターを見たことがありませんでした。
お兄ちゃんが腰の剣を抜きながらモンスターに走っていきました。
サンチョさんは呪文の詠唱を始めています。
私は・・・私は怖くて怖くて・・・何にもできないでただ震えていただけでした。
お兄ちゃんに一太刀浴びたそのモンスターは、方向を変えて私めがけて走ってきました。
私はたまらず走りだしたんですが、途中で船のでっぱりに躓いてしまったんです。
ふりあげられるそのモンスターの爪。
・・・もう駄目かと覚悟して目を閉じました。
でも!
次に私が目を開けた時に見たのは真っ赤な液体と、お兄ちゃんの身体だったんです!
私はすぐに、お兄ちゃんが身を挺して私をかばってくれたんだと理解しました。
サンチョさんがやっと詠唱が終わったラリホーでモンスターを眠らせた後、
すぐに私たちのところにやってきました。
お兄ちゃんの状態を見ると、顔を真っ青にしながら道具袋からキメラの翼を取り出しました。
「今日で3日目ですよね・・・。タバサさま、大丈夫ですか?」
ふと気づくと、看護婦さんが私に声をかけてくれていました。
お兄ちゃんが心配だから・・・、と返すと、看護婦さんは今日は寒いから、と毛布を持って来てくれました。
看護婦さんのその心遣いに対して、ありがとう、と感謝の言葉を返しました。
ねぇ、お兄ちゃん。なんで目を覚まさないの・・・?
ねぇ、お兄ちゃん。もう体は治ってるんだよ・・・?
ねぇ、お兄ちゃん・・・・
・・・神様。本当に、本当にいるんですよね?
お願いします、どうかお兄ちゃんの目を覚まさせてください。
私、お兄ちゃんがいないまま生きるのは嫌だ・・・・・・
お兄ちゃんの手を握りしめながら、そう願いました。
気づいたら、私はお城の宝物庫にいました。
ちょうど、天空の剣と呼ばれる剣が置いてある場所にお兄ちゃんがいます。
――なんだろ、これ。
脳裏に声にならない声が響いてきて、私はびっくりしました。
辺りを見渡してみてもだれもいません。
――へへ、ちょっとくらいいいよね?
また、響いてきました。私は耳を疑いました。
辺りを見渡してみてもやっぱりだれもいません。
――う、うわ!軽いなぁ、これ・・・僕持ち上げられるんじゃないかな。
そういえば、お兄ちゃんが、天空の剣を抜いたシーンは、今でもはっきり覚えています。
大人の人が何人か集まってやっと持ち上げられる重い剣を、お兄ちゃんは軽々と持ち上げたんです。
僕、という言葉と、その響き方から、私はこれはお兄ちゃんのものだと思い当たりました。
でもお兄ちゃんはさっきから一言も喋ってません。
・・・とすると、これはお兄ちゃんの心の中の・・・?
あの時と同じ。サンチョさんが血相を変えて宝物庫に飛び込んできました。
「ま、まさか・・・レックス王子はっ・・・!」
セリフもあの時と同じ。 あぁ、私は夢を見ているんだ、と気づきました。
急に目の前が白くなったと思ったら、今度は自分の部屋にいました。
お兄ちゃんがサンチョに連れられて、お布団に入るところでした。
お兄ちゃんがお布団に入って、サンチョさんが部屋を出ると、また響いてきました。
――僕が、勇者なの?なんで・・・・・・
――タバサは違うの?同じ、双子なのに。
――それに、僕が勇者だってわかったら、みんな僕のことを勇者さま、勇者さまって。
――今までと明らかに違う態度だし、それに世界をお救いください、だなんてお願いごとをされて。
――全部嘘だと思いたいよ・・・・・・
それを聞いた途端、私はお兄ちゃんを抱きしめてあげたくなりました。
お兄ちゃんは一人じゃないよ、って。
お兄ちゃんは勇者さまじゃないよ。私のたった一人のお兄ちゃんだよ、って。
ぱら、ぱらと本のページをめくるように背景が代わり、それに併せて声が響いてくる。
――あ、厨房のおじちゃん!今日のご飯はなぁに?
――これはこれは、レックス王子。今日は王子の大好きなハンバーグですよ。
――うわぁい!やったー。ありがとう!
――ねぇねぇ、サンチョ。今日は何して遊ぶ?
――そうですねぇ、おままごとでもしますか?
――またおままごとー?おままごとならタバサとやってるもん!
急に辺りが真っ暗になったかと思ったら、今度は見たこともない部屋にいました。
部屋は殺風景で、真ん中に質素な椅子が置いてあるだけでした。
何だろうと思って、私は椅子に近寄りました。
その瞬間、火の玉が襲ってきました。
――誰、あんた。
――せっかくあの男の子にいい夢見させてやってんのに、割り込んできて。
――邪魔なんだよね。消えてくれる?
目の前にいるのは、誰も座っていなかったはずの椅子に座っている男でした。
何なの、貴方は?答えなさいっ。
――あの男の子は勇者であることに負い目を感じてるんだ。
――ならここでいい夢を見させてあげてれば、目覚めようとは思わないだろ?
――その間に、我らが王、ミルドラースさまが世界を征服するってわけよ。
――それをお前はどうやってきたかしらんが、目覚めさせようと邪魔をしてくる。
――邪魔者は、二文字の言葉しかねぇ。「排除」だ!
そう言うとメラを唱えてきました。
あぁ、そう。貴方は世界を滅ぼそうとする「悪魔」なのね。
あぁ、そう。なら、手加減はしないわよ。
悪魔の言葉を最後まで聞いた途端、私は体が自分のものではないかのように思えました。
そこにあるのは、ただ単純に、怒りという感情だけでした。
私は悪魔の放ったメラをひらりと避けた後、呪文の詠唱を始めました。
私の口から滑り出る言葉は私が知っているものではありませんでした。
私は末恐ろしくなって、何度も詠唱をやめようかと思いました。
でも、私が覚えている魔法はメラぐらいです。到底、あの悪魔に勝てるとは思えません。
だから、私は詠唱を続けました。
私の口から最後の一節が滑り出た瞬間、右後方から大きな火球が物凄い勢いで降り注ぎました。
・・・後に聞こえてきたのは、あの悪魔の断末魔でした。
気づいたら、私は医務室の一室のベッドの上で寝かされていました。
いつの間にか寝ていたのでしょうか?・・・ってそんなことはあとです!あと!
私はすぐに飛び起きて、お兄ちゃんのベッドがある部屋へ駆け出しました。
ところがどうでしょう、私が見に行くとベッドはもぬけの殻でした。
目を覚ましてる?!よ、よかったぁ・・・。
・・・なんて思ってる場合じゃありませんでした。
お兄ちゃんを探さなきゃ!・・・きゃっ?!
その瞬間、私の右肩に重みを感じました。
見上げると、お兄ちゃんが手を私の肩にのせていました。
「へへ、びっくりした?
・・・・・・ただいま。
それから、ありがとう、タバサ。」
Fin.
リハビリも兼ねて1本。
勇者であることに負い目を感じていたレックス、
レックスの思いと大ケガを利用してレックスを夢から覚めさせまいとしていた悪魔、
そしてレックスを助け出そうとするタバサの物語でした。
あ、、ありがちなストーリーの気がしなくもありませんが・・・
タバサいい子だ…GJ!
でも敵の正体とか疑問残った
654 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/24(土) 06:24:05 ID:agymu3tE
今更だけどさ、テンとソラって名前はどうかと思う。
それが好きな人もいるかもしれないけど一応デフォで公式名あるし
テンとソラという名前を使うなら天空物語のSSになると思う。
名前はレクタバであることにこしたことないけどテンソラもこれはこれでありだと思う
昔からだから既に馴染んでる感じもするし
漫画版を読んだ事が無いせいか知らんが、まったくなじまんなぁ。
うーん、天空物語のテン・ソラも一応DQ5の王子と王女だし、ありだと思います
あんまり見ないけど、小説版のティミー・ポピーとか
ただ、天空物語や小説のオリキャラがでるのは勘弁かなーと思います
公式名っつったってPS2の話だしな。
SFC版だとクーパーとアニーだぞ。プログラム上で、公式名ってわけではないだろうが。
自由にすればいいだろ。けんとなおこでもいい。いや、よくない。
レックスタバサもテンソラもティミーポピーも双子の全部名前じゃん。
気に入らないなら脳内保管すればいいのに。
661 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/25(日) 18:42:20 ID:y4mWaFP5
やっとここにたどり着いた・・・
>>661 一スレ目からここまで読んできたってこと?
でもさ、PS2の会話とかは参考にしているわけじゃん?
PSで初めて出てきたから少し違和感あるのかもしれないけど
SFCの時点で公式名だったら誰しもが疑わずレックスとタバサだったかと。
少なくともテンとソラよりかはなじめると思う。天空物語とリンクされるのは勘弁。
ティミーとポピーは名前の参考がないからあえて使ったって感じの方が多いと思うし。
テンとソラがいいならそれでもいいけど天空物語の先入観入るしどうかなと思った。
天空物語が好きな人ばかりではないと思って欲しい。
そう言う人が読まないならいいってならそれでもいいけど。
ようはこの名前を使われるとDQXというよりも天空物語の視点にしかならないということ。
天空物語とDQXは別物だと思って欲しい。
>>663 自分も双子じゃないけど他スレで多く使われる小説発祥の主人公名「リュカ」が苦手だから気持ちわかる
だけどこればっかりは個人の趣味入るから仕方無いと思ってる
自分は基本脳内補正、名作はテキスト取り出して名前を置き換えで読んだりするかな
665 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/26(月) 10:49:03 ID:jwnu8I7C
あげ
先入観入る人は入ってもいいべ。好き勝手だ、そんなの。
どういう情景を観客が思い浮かべようと。
レックスタバサよりテンソラの方が馴染める人もいるだろうし。
これはPS2版が出るよりだいぶ前から連載してたからな。
本編でもその名でプレイした人もそれなりにいるだろうし。
天空物語読んでないのにテンソラでSS書いてる俺が来ましたよ
馴染む問題ではなく少なくともテンソラよりかは
公式の方が先入観なく読めるって事。
天空物語スレにでも池と正直言いたくなるが、
止めたり強制する権利がないこともわかっている。
多くの人に自分のオリジナルの作品を見て貰いたいというのなら
公式の方がイイのでは?って事。
実際先入観で敬遠する人もいるのも事実だし。
個人的にいい話でも興ざめしちゃう。
幸宮の書く双子は好きじゃないし。
こういう人が少なからずいることは考慮して欲しいかな。
私はPS2の2人の会話でこの双子に萌えたわけだし。
もうわかったから。作者がどう思うか。それだけ。
しかし、テンソラを使うことを興ざめとか好きじゃないとかはっきり言うね、君は。
そんな配慮してたらビアンカフローラでも配慮せにゃならんような。
むしろそちらの方が好きじゃないとかそういう個人的な感情は強くなりそうな。
>>668 あんたが天空物語を嫌いなのはわかったから、スレ住人に自分の好みを強制しないでくれ。
勝手にスルーするか脳内補完してくれ。
ゲームでも名前変えれるのだから、どの名前使うかは作者の自由。
>>669 たしかにビア母、フロ母の方がもめそうな問題だ。
ここは双子メインだからあんまし気にしない人多そうだからいいけど
実際どっちかしか認めない的な人も少なからずいるしな…。
ビアも好きだがそれ以上にフロ好きの漏れとしてはフロ母なSSを熱烈キボン。
>>667 こんな職人さんもいるのか、知らなかったw
>>668 だから。
「お兄ちゃんと結婚するのは私だもん!」とゲーム内で叫ぶのは「タバサ」とは限らない。
(レクタバ=デフォルトネームであり「公式名」とは必ずしも言えないがそのへんはさておき)
自由命名が基本のDQなのだから、名前の押しつけはいただけない。
それに、小説を書く上でキャラクターの名前というのは書き手にとってかなり重要な問題なので、
この名前でなければ駄目だ!とすると、
人によっては、双子の名をレクタバにしてプレイし直さなければならなくなり、
モチベーションが低下して書けなくなってしまう人もいよう。
読み手を優先させるか、書き手を優先させるかにおいては、
所詮無報酬の自己満足なネット掲示板なのだから、書き手の趣味を優先、ということになる。
それが読み手の趣味と調和しなかったら、読み手はスルーすればいいだけの話。
673 :
667:2005/09/26(月) 19:38:47 ID:Kw+NOi4Q
>>671 もう4ヶ月くらい連載放置しちゃってますけどね。
いい加減どうにかしてモチベーション上げたいのでちょっとスレに顔出すことにしました。
別に母親がフローラは全然ありだと思っている。
ビアンカが公式だからそうしろとは言わないよ。
自分の趣味に走るか読み手を優先するのも本人次第ですしね。
ただ、天空物語好きばかりじゃないことも頭の隅には入れて欲しい。
真性の双子好きとして、このスレは貴重だし。
あくまでDQXのスレだしここまで天空が来るとちょっとうんざりだった。
それに私だけではないはずみたいだし。
名前の話がなんで天空物語うんぬんにまで逸れてるんだw
双子の名前がテンソラなSSは全部天空物語か? テンソラから天空物語を連想するのはわかるけどさ、このスレのSS読み返してみろよ。
名前がテンソラなSSで、SSの内容に天空物語の面影があるものなんてむしろ少数じゃん。
だからこそ、名前で敬遠しちゃうからもったいないなって事。
OK、お前落ち着け。言ってることの筋がずれてきてるぞ。
1、>自分の趣味に走るか読み手を優先するのも本人次第
2、>天空物語好きばかりじゃないことも頭の隅には入れて欲しい。
3,>名前で敬遠しちゃうからもったいない
職人さんが頭の隅で天空物語嫌いの人を思いやっていようがいまいが、投下された文章がテンソラだった場合、
その時点においてお前は敬遠することに変わりない罠。
結局のところ、お前はテンソラでSS書いてる職人さんに、
『天空物語嫌いな人のことを頭の隅で思いやって、「このSSの双子の名前はテンソラですが、
天空物語のSSではありませんので、どうぞお好みの名前に置き換えて読んでください」っていう前書きをおけ』
『テンソラは俺が嫌いだからやめれ。このスレのSSは全部レクタバで書け』
って言いたいだけじゃん。
一応、「名前がテンソラなSSで、SSの内容に天空物語の面影があるものなんてむしろ少数」ってことはお前も認めてるんだろ?
だったら名前じゃなくてパッと見の文章で敬遠すりゃいいじゃん。上手い文章だったら名前置換する手間をかける価値もあるだろうし、下手だったらスルーすりゃいいし。
単に「テンソラっていう名前」が好きなだけで、お前みたいに「天空物語そのものには愛着ない」作者さんだって誰か一人は存在してるだろ。
678 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/27(火) 04:56:31 ID:0Q1VLk44
そんな前置きはいらないよ。
ただ、名前で読むのやめちゃうこともあるし、
それも私だけじゃないみたいだよってのを一応わかって欲しいかなってだけ。
読み手がテンソラの名前が好きだからその信念を貫くか、
多くの人に見て欲しいから公式にするかは本人次第って事。
ただ、正直なんのための公式名なのかな?とは思うのも事実ですけどね。
わかったわかった、お前がウジ虫なのはわかったから便所に帰れ、そして二度とくるな
天空ヲタ?
なんだただの論争厨か……まともにやりあって損した。
どこかのドラマのせいだか知らないが、変なのがどんどん2ちゃんに入って来るなあ。
こういうときこそ、あぼーん機能とスルー耐性の面目躍如だな。
まあぶっちゃけ、んなことガタガタぬかすくらいなら自分でSS書けと言いたいね。
職人のスキルアップの為に助言や忠告するならまだしも、名前が気に食わない、なんてケチのつけ方は論外。
そんなこと言ったところで、書き手と読み手どちらにとってもプラスにならないんだから。
683 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/27(火) 14:14:24 ID:0Q1VLk44
>>681 昔からいるから自慢なんだろうか
先にただの叩きを投稿したのは
>>679じゃん
>>682 オリジナルの名前にケチをつけているわけではない。
テンソラだと天空の視点にしかならないというのは
一つの忠告にはならないの?
別にそういうのふまえてこれからもテンソラで行きたい人は行けばいいわけだし。
もうわかったっつーに。
お前さん自身もそう言ってるなら、あとは作者さんの考えに任せれ。
これから先テンソラが出てきたらこの人はお前さんの意見とは相容れない人なんだな
と思ってスルーしとけばいい。
お前さん、はっきり言ってただの天空物語アンチにしか見えなくなってくる。しつこいから。
>>684 天空オタが勝手にSS書かれてるのを怒って荒らしてるだけかも。
そもそもこのスレの住人でそこまで天空を毛嫌いする理由がわからん。
久しぶりにリレー小説書いてみたり
「…レックスちょっと父さんに付き合ってくれないか?」
「え、いいけど」
父さんはタバサやピエールに気づかれないよう僕にこっそり耳打ちしてきた
「二人でなに話しているの?」
不思議に思ったのかタバサがたずねてくる
「いやたいしたことじゃないさ。それよりタバサにピエール、少しレックスを借りるからな」
父さんはそう言うとタバサとピエールにかまわずそのままルーラを唱えた
突然の父さんの行動に驚きつつも、騒がしい二人から離れられて僕は少しほっとしていた。
ルーラでついた先はポートセルミ
すでに陽はくれ、夜になろうとしていた。
「どうしたの父さんいきなり?」
「少しお前と男の話をしたくてな、とりあえずあの酒場へ入ろうか」
連れられて入った酒場は踊り子が人気でなんともいえない盛り上がりを見せていた。
父さんは慣れた足取りで奥の大階段を上ると
踊り場の真上の手すりにもたれかかった。僕もそれに続いた。
「タバサとピエールとの関係もあるが、お前には男として第一に言っておかねばならないことがある」
父さんは言葉を続けながら真下の踊り場に目をやり
「小さい方が好きというのはどうかと思う、大きいほうがいいんだぞ」
僕も真似して下を覗き込んだ。
このスレの住人にも、色んな嗜好の持ち主がいるってことだろう。
けど、それが当たり前なんだよな。
レクタバが好きな人もいればテンソラが好きな人もいる。
金髪が好きな人もいれば青髪が好きな人もいるだろう。
天空物語に関しても同様に、好き嫌いはあるだろうさ。
でも、それはあくまでもそれぞれの『嗜好』にすぎない。
どちらが正しい・間違ってるで優劣を判断されるべきものでもなければ、
どちらが多数派・少数派かで優劣を判断されるべきものでもない。
大体、俺たちは皆別々の脳味噌持ってるんだから、嗜好が違うのは当然だろう?
だから、自分の嗜好を持つことは一向に構わないさ。どんな嗜好を持つかも自分の自由。
けどその代わり、自分のとは違う他人の嗜好も尊重しなければならない。
自分の嗜好はあくまでも自分だけのものであって、それと異なる嗜好を持つヤツだっているんだよ。
「自分の考えが絶対的に正しい」なんてのが、一番周りに迷惑だ。
要は、自分とは違う趣味を持った人間もここにはいるんだってことを理解しろってこと。
これまでは皆がそれを承知してたからこそ、このスレは上手く回ってきてたんじゃないのか?
他人に自分とは違う趣味を押し付けがましく主張されて、気分のいいヤツがいると思うか?
つーか、分別のある大人ならそのくらい弁えているはずだろ?
お目汚しスマソ。
こんな当たり前のこと、噛んで含めるように説明しなきゃないなんてね…
>>687 せっかくリレー小説で流れが変わると思ったのに蒸し返さんでも・・・・
「……以上が新しいパーティのメンバーだ」
死にも等しい残酷な宣告が、今、この場で、お父さんの口から告げられた。
失意に湧く者、涙を流し歓喜に湧く者、様々だが私は前者だった。
つまり……
ルイーダ行き _| ̄|○
ついにお母さんとも再会でき、さあ次は家族みんなで
お祖母さんを助け出そうと意気込んでいた私たち。
しかしグランバニアに戻った私たちを待っていたのはパーティ再編という現実……。
「は〜〜た、たすかった〜〜〜ボクの名前呼ばれたらどうしようかと思っちゃいました!!
なにしろ魔界ですもんね、行ったらどうなるかわかったもんじゃありません!!」
「安心しろピピン、お前を連れて行くことはぜったいないから、一生ルイーダだから」
「ぼ、坊ちゃん、私みたいな年寄りでは役に立ちません、どうか別の者を……」
「安心しろサンチョ、お前の「口笛には」期待している」
『そ、そんなぁぁぁぁ!!!』
涙を流しながらお互い抱き合い、慰めあう二人。
彼らがそうであるように魔界行きに選ばれるというのは必ずしも喜ばしいことではない。
魔界に行き大魔王からお祖母さんを連れ戻す……前人未到の危険を前に
どんな勇敢な戦士でも逃げ出したくなるのは当然だ。
お父さんが私と、そしてお母さんをメンバーに加えなかった理由も理解できる。
「あなた……気をつけてくださいね」
「ああ……必ずみんな無事で、母も一緒に戻ってくるさ」
「ええ……それにレックス、絶対に無茶はしないで下さいね」
「うん!もうお母さん心配性なんだから」
お母さんが心配そうにお父さんと…お兄ちゃんに声をかける。
そう、私たち家族の中でリーダーであるお父さんを除き
魔界行きのメンバーに決まったのは『伝説の勇者』であるレックス、お兄ちゃんだけだった。
「お?タバサどうしたの、浮かない顔して、もしかしてタバサも心配してたりする?
大丈夫!ぼくが負けるはずない、なにしろ『伝説の勇者様』だからね、ははは♪」
太陽のように陽気に笑うお兄ちゃんにつられ、私の顔も自然にほころんだ。
不安なんて一抹も感じさせない、希望と覇気に満ちたお兄ちゃんの瞳。
それはまさにこの世を希望の光りに照らす、『伝説の勇者』そのものであった。
「……だからさ、そんな顔するなよタバサ。タバサは安心して、ここで待ってればいいから……」
決して口には出さないけど、お兄ちゃんの明るさは私を心配させないためのものだと
私にはわかった。だから私もそれにこたえるため、今できる限りの精一杯の笑顔を作り答えた。
「……うん!」
私がルイーダ行きに落ち込む理由、その理由はお兄ちゃんだった。
同じ両親の元で、同じ時に生まれた双子の私たち。
でもお兄ちゃんは私と違っていた。
お兄ちゃんは凡人の私なんかと違い……『伝説の勇者』だった。
勇者であることの重圧……それはきっと並大抵のものではないはず。
なのにお兄ちゃんはそれに屈することなく私のため、みんなのために
笑顔を絶やさず多くの困難に立ち向かってきた。
そんな強くて優しいお兄ちゃんが好きだから、とても大切に思うから
私はこれまでの旅の中、少しでもその負担を軽くするように努めてきた。
それはこれから先も変わらないと思っていたのに……私は引き離された。
これからお兄ちゃんを待ち受ける試練は最も過酷なもの……それなのに。
「さて今日はこれで解散にしよう、明日早朝に魔界へ行く。
パーティに選ばれた者はしっかり休んでおくように、では解散!!」
「魔界か……腕がなる、うりゃ!そりゃ!」
「決戦前夜のこの緊張感がたまらんね」
「うう、サンチョ様ーー今夜はとことん飲みまくりましょうう!!」
「もちろんですとも!!……人生最後の酒か、うううう」
思い思いの気持ちを胸に、集まった者は散っていった。
ふと気がつけばその場に残されたのは私一人になっていた。
「……私も部屋に戻ろう」
心ここにあらずな足取りで、とりあえず私は自分の部屋に向かった。
部屋に入り着替えベッドに飛び込む。
起きてても色々考えて辛くなるだけ、だから寝ることに決めたのに全然寝付けない。
むしろベッドの中でじっとしていると考えなくてもいいことまで考えてしまい
ますます気持ちが沈む一方だった。
「風にでも当たってこようかな……」
ベッドから起き上がると私は寝巻きのまま夜風に当たりにテラスへ向かった。
「ああ、気持ちいい……」
夏が終わり秋に入ったばかりの今の風は、とても心地よかった。
空を見上げると幾千の星空に満月が目に飛び込む。
「今日は絶好のお月見日和だったのね……」
ふとそんな言葉が口から出た。
「あれ?タバサじゃないか?」
「えっ?」
見知った声の先に目をやると頭上の屋根の端からひょっこりお兄ちゃんが顔を出した。
「お、お兄ちゃん〜?なんでそんなところに?? ああ危ないよ」
「平気平気。どうせだからタバサもおいでよ、外の空気吸いにきたんだろ?」
お兄ちゃんはそう言うと屋根から宙返りでテラスに降り立ち、呆然とする私を抱きかかえ
手すりをつたい大きくジャンプして再び元いた屋根の上に私を連れてきた。
「どう?こっちの方がずっと景色もよくていいでしょ?」
お兄ちゃんの腕の中から解放され屋根の上に降り立つ。
「……わぁ」
テラスとは違い視界をさえぎるものは何一つ無い、この屋根からの景色と夜空に
私は思わずため息をついた。
たった数m上に上がっただけでこんなにも景色が違うものだったなんて……。
しばらくの間、私たちは一言も交わさず、ただこの景色に見とれていた。
「……お兄ちゃんも眠れないの?」
沈黙を破った始めの言葉がそれだった。
「まあ……ね、なにしろ明日は魔界に行くんだから……」
「……お兄ちゃんでもやっぱり怖い?」
「怖いか……うーん、たしかにそれもあるけど、なんていうのかな……そうそう
初めて冒険に出る前の晩と同じ気持ちかな、ドキドキとワクワクが半分ずつって感じ!」
「わ、ワクワク〜〜?」
「そうさ、何しろ魔界の大魔王、どんな恐ろしい奴なのか……おかしな話だけど
そんな恐ろしい奴と戦って自分がどこまでやれるかっていうのにワクワクしてるんだと思う」
まるでどこぞの戦闘民族宇宙人のようなことを言い出すお兄ちゃん。
ああ、そうだった。お兄ちゃんはこんな性格だった。
どんな困難な事も、辛い事も、恐ろしい事もすべてプラスにしてしまう人。
なんだかお兄ちゃんが心配で眠れなかった自分がばからしく思えてきた。
「……ぷっ!うふふふ、アハハハハハハ♪」
そう思った途端、笑いがこみ上げてきた。私は誰にもはばからず大笑いした。
「う。やっぱおかしな話だったかな?」
「ち、ちがうの、ハハ、ただッハ、急にハハ、笑いが込みっっはははh♪」
「???」
不思議そうに見つめるお兄ちゃんをよそに私は笑い続けた。
いままで抱いていた不安をすべて吐き出すかのように。
そう、お兄ちゃんはきっと大丈夫。どんなこと事があっても負けたりなんかしない。
私は……安心して、このグランバニアで笑ってみんなの帰りを待っていよう。
そう胸に決めた。
そして次の日の朝を迎えた。国を挙げての見送りに見守られ、今お兄ちゃんたちは旅立とうとしていた。
「アベル殿、どうかご武運を」
「ええオジロン殿、行ってまいります」
『ワーワー!!アベル王がんばって下さい!!』
『ワーワー!!勇者様〜どうか世界をお守りください!!』
国民の大歓声に照れながら、お兄ちゃんたちは城下町を進んでいった。
「……レックスが心配?」
後ろからお母さんが声をかけてきた。
昨日、ちゃんと決心したというのにまだ私の不安は晴れていないみたいだ。
表面上は気丈に振舞ってるつもりでもお母さんにはそれが見抜かれてしまった。
「……うん。だって私たちは二人で一人。例えどんな辛いことでも二人で分け合えば全て乗り越えられるはず。
それなのにお兄ちゃんは全部一人でしょいこもうとするから……」
「そうね、他人を思いやる気持ちと悪に立ち向かう勇気があの子は人一倍強いけど
強すぎて親としては不安になるわね。つい無茶をしすぎないか……。
私はそんなあの子に必要なのはタバサ、あなただと思います」
「お母さん?」
「あの子が無茶をしそうになったらそれを引きとめ、それでも無茶をしなくてはならない時は
力を合わせ負担を軽くする、それができるのは常にあの子の側にいたあなたしかいません。
……行ってらっしゃい、レックスの力になってあげて」
「お、お母さん。私も行けるものならいますぐ行きたいよ。でも私は選ばれなかったから……」
「そんなことなら気にしないで、実はね、今朝サンチョが逃げ出してどこか行っちゃったの
やっぱりお年がお年だし魔界行きは無理だったみたい」
「それを早く行ってよお母さん!」
私は駆け出した、みんなのところへ。お兄ちゃんのもとへ!
「まって〜〜〜みんな〜〜〜〜〜
私も………行くっ!!」
―fin―
700 :
それから:2005/09/29(木) 22:44:15 ID:7SOJRYIR
魔界征伐後、勇者レックスと王女タバサはグランバニア王史から姿を消す。
姿を消した理由は、不義を働いたためアベル王に討たれた、二人して天に昇った
とも伝えられている。彼等が何故、歴史から姿を消さねばならなかったのかアベ
ル王の治世から200年経った今でもその真の理由は不明のままである。
ふっと投下
DQ外伝『タバサの妄想』
夏は終わりを告げ、次にやってくる秋の風に肌寒さを感じながら、レックスとタバサは深く肩を落としたまま歩いていた。
「はぁ〜・・・。」
ため息をつくレックス。
「ふぅ〜・・・。」
同じようにタバサもため息をつく。
2人がため息をついている理由。
それは、レックスが持っていた旅の路銀がどこにも見当たらないのだ。
「どこで落としたんだろう・・・。」
「ねぇ。ちゃんと探した?ズボンのポケットの中とか、道具袋の中とか・・・?」
タバサがもう一度探す様レックスに言うと
「探したよー。でも、見当たらないんだよね・・・。」
ポケットに両手を入れ、裏生地をタバサに見せ、二人はため息をついた。
「うーん・・・なくなっちゃったのは仕方ないとして、お兄ちゃん。どうするの?」
「そうだなぁ・・・近くの街まで歩こうにも、どれくらい距離があるかもわかんないし、もうすぐ日も落ちちゃうよね・・・。」
気がつけば、太陽は西に大きく傾き、大地を燈色に染め、周囲の景色が段々と明るさを失っていく途中であった。
「そうなると・・・の、野宿・・・?」
タバサがレックスを見つめながら問いかける。
「う・・・ん・・・でも、もう夜は結構冷えるし・・・やっぱりお城に一度戻った方がよくない?」
レックスは少し困った顔で笑いながら答える。
「そうだね・・・でもわたし、お・・・お腹ペコペコで呪文使えないよ・・・?」
「う・・・そういえば僕もお腹空いたな・・・やっぱり野宿しかないかなぁ・・・。」
そんなやりとりをしていると、レックスは一人ブツブツと考え事をはじめる。
「・・・しかこの辺りのは地図だとここら辺だから・・・となると、ここを進んでいけば・・・。」
地図を凝視し、人差し指でその上をなぞっていく。
そして突然「よしっ!タバサ!」と大声で名前を呼びだした。
「ど、どうしたの?お兄ちゃん?」
タバサは驚き、レックスの方を見ると、レックスはタバサの両肩に手を乗せ
「いい?ちょっと歩くんだけど、この森をまっすぐ抜ければラインハット城下に出るんだ。」
地図をタバサに見せながら進路を指で辿っていくレックス。
「ラインハット?コリンズくん?」
タバサが首を傾げてその名前を口に出すと、レックスは
「そう!」
と満面の笑みで答える。
少しの間続く沈黙。タバサは静寂を解く様に手を胸の前でポンっと叩き
「わかった!そうゆうことね、お兄ちゃん!」
同じく満面の笑みで返すタバサ。
「うん。コリンズくんにおn・・・」
「コリンズくんを誘拐してヘンリーさんから多額の身代金をもらうのね!」
「・・・そうそう、誘拐して身代金をってエエエェェェェエエエ!!!」
レックスがそう言うと、タバサはレックスの腕を掴み呪文を詠唱し始める。
「ちょっ、タバサっ!ちがっ!まっt」
「───ルーラッ!」
レックスの制止も空しく、タバサは最後の力(?)を振り絞り呪文を唱えた。
「イヤァァァァァァアア」
光となり天空に打ち上げられたふたつの人影は奇声を発しながら目指す場所まで一直線に飛んでいく。
レックスが次に見たのはラインハットの城門。
「タ、タバサ待って!違う、よく聞いて!」
「えっ?大丈夫よ〜わたし達なら門番は顔パスだし、
コリンズくんのお部屋の隠し階段を使えば誰にも見つかることなく姿を消せるわ。うん、完璧。」
「やっ、だから違うんだって!誘拐なんかしちゃダメ!そうじゃなくてちゃんと理由を話してお願いしよ?ねっ?」
レックスの懇願にタバサは城門へと続く橋に差し掛かった所で振り返る。
そして、
「誘拐じゃないの?」
「うん、違う。」
レックスは首を横に振る。
「理由を話してお願いするの?」
「うん、そう。」
レックスはコクリとタバサにうなづく。
しばらくの間タバサは考え、ニコっとレックスに笑顔を見せる。
「わかったわ。」
「わ、わかってくれてよかった・・・。」
「じゃあ、早速お願いしにお城に入りましょう?」
タバサがレックスの手を引き、レックスは不安を胸に城の中へと姿を消していった。
つづく
SS大漁キタコレ
707 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/01(土) 23:01:39 ID:yG3MvhFA
壊れタバサGoooooo!!!
亀レスだし荒れる原因になるかもしれないから
あんましこんなことは書きたくないんだけど
天空のテンソラからドラクエ5と双子にはまった自分みたいなのもいるのだから
あんまりテンソラ否定されると悲しくなるんだけどな
王子×王女の走りみたいな感じはあるな>天空
主人公石化中の番外編ものが大丈夫なら魔王討伐後の番外編も漫画化しないかな
DQM+は5の世界までいかなくて残念だった
711 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/07(金) 20:44:40 ID:CDdG0IB5
DQ6から5を繋げるとしたら
案1
DQ6→DQ4 天空界の誕生で旧世界が崩壊、崩壊した旧世界はDQ4の魔界になる
DQ4→DQ5 天空城墜落により地上が変動に見舞われDQ5の地形に変化、地上の大変動の影響を受け魔界が一気に冷え固まる
DQ5→ 魔王城のあった大陸の外に移民が始まる
案2
DQ6で混ざりかけた夢と現実が別れる。別れた時に現実が幾つかに分裂DQ4の世界とDQ5の世界が生まれる。
3つの世界は平行世界として存在。
DQM+最終回で5主らしき人は出てきたような
713 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/08(土) 17:53:40 ID:YA/51LNN
DQM+ってどこのコーナーに撃っているの?
そりゃ、スクエニの漫画本コーナーだろ。
マイナーだろうからどこにでもあるというわけではないが。
715 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/08(土) 18:12:41 ID:YA/51LNN
ありがとう♪
716 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/08(土) 18:41:40 ID:gilDEhAO
吉崎観音が男だと知ってショック
王女にただの娘じゃなくてモンスター使いというアイデンティティを付けて欲しかった
8歳前後で魔界の高レベルの魔物と戦える時点でただの娘でないだろ。
遅ればせながら続きを投下
「い、いらっしゃませ〜。」
タバサはテーブルを拭きながら店に訪れた客に挨拶をする。
「タバサさん!」
突然、タバサの背後から声を掛ける同じ格好をした少女。
「ハ、ハイ!」
名前を呼ばれた本人は身体をビクッとさせ、姿勢を正す。
「また挨拶を間違えて・・・さ、もう一度。」
「は、はい・・・。」
タバサはそう答え、そのまま客の前に立ち
「お、お帰りなさいませ・・・ご、ご主人さま・・・。」
両手で持ったお盆を胸の前で握り締め、顔を赤くしてタバサが挨拶をすると、
フードを深く被った男をそのまま窓際の席に案内する。
(だ、騙された・・・わたし、絶対だまされた・・・。)
(そ、そもそもコリンズくんにお願いしようってのが間違えてたんだわ!)
「お前ら2人の旅なんだろ?だったら路銀くらい自分で稼いだらどうだ?
なに?僕たちみたいな子供はどこもやとってくれないって?
そりゃそうだな、んー・・・よし、オレ様が働ける所探してやるよ!」
(コ、コリンズくんがまともなお仕事紹介してくれるわけないじゃない・・・。)
(そもそも何?このお店?)
(なんでお城のメイドみたいな格好して接客?アリエナイ!)
(それに、このお店コリンズくんが経営者だって言うじゃない・・・)
(絶対コリンズくんの趣味ね!変よ!変態だわ!)
(・・・でも、お店、以外に繁盛してるのよね・・・毎日同じお客さんばかりだけど・・・。)
(あ、でも今のフードで顔わからなかった人は多分はじめて見たわ。)
(えっと・・・あ、あの人だ。ん?なんかこっちチラチラ見てる・・・。)
(でも、どことなく見た事あるような・・・金色の髪・・・空色の瞳・・・)
お兄ちゃん!!???」
「わっ・・・見つかった。」
タバサが大声をあげると、ビックリしたレックスは慌ててフードを取って答えた。
「ど、どうして?ここに?」
ワナワナ震えながらタバサはレックスを指差す。
「え?あ・・・いや・・・ま、待ち合わせを・・・。」
「待ち合わせ?????」
声まで震わせているタバサ。すると、一人のお客が訪れる。
「お帰りなさいませご主人さま〜♪」
タバサを除く女性店員が一斉に今入ってきた男に挨拶をする。
逆光で姿はわからないのか、タバサは目をパチパチとさせ、男を凝視する。
緑色の髪を爽やかになびかせ男は
「ヨォ!レックス、待ったか?おぉ!タバサちゃん、似合ってるじゃないk・・・」
チュドーーーーーン!!!
全てを言う前に、タバサはコリンズに向かって全魔力を凝縮させたイオナズンを放つ。
「ぎゃあああああああーーーーー!!!!」
そして、断末魔と共にコリンズは爆発炎上した。
───────
店を出て、歩く3人。タバサは頭から湯気を出しながら両肩で風を切るように歩いていた。
「タ、タバサ・・・やりすぎ・・・。だ、大丈夫?コリンズくん・・・ベホイミ・・・!」
コリンズは淡い光を浴びると、みるみると身体の傷が癒えていく。
「うるさいウルサイうるさーーーい!!」
タバサはそう答え、すでに着替えた服で2人の前をドシドシと進んでいく。
「は、はは・・・ありがと、レックス・・・テテ・・・。」
レックスに肩を借りながらコリンズは礼を言う。
「お兄ちゃん!そんなボロ雑巾みたいな緑マシュマロ捨てなさいよ!」
タバサは振り返り、レックスに言う。
「え?い、いや・・・そんな酷いことは・・・かわいそうだよ・・・。」
「み、緑マシュマロって・・・。」
「なによ!文句あるの?」
ギロッとコリンズを睨むタバサ。
「・・・緑マシュマロでスイマセン・・・。」
シュンっと小さくなり、コリンズは声を潜めて答えた。
つづく
「俺様のメイドになれ!」と男なら言わないとコリンズ。
・・・取り残された二人。お互いが顔を見合わせる。
「・・・」
「・・・」
「・・・タバサ様。」
「・・・え?」
「今二人っきりですし、せっかくですから『女の話』をしましょう」
「の、望むところよ!(え!?何女の話って?!アレの事!?)」
強がってはみたが内心焦るタバサ。それを見抜いたのかクスリと笑うピエール。
「フフッ。安心して下さい。私が聞きたいのは『何故レックス様を好きになったか』です。」
え?何故ってそんな小さい頃から一緒だったしかっこよくて頼りになって
けどたまにドジで抜けてるところがあってけどそれがいいみたいな・・・
「ああもうわかんないよ突然言われても!!」
自分の気持ちに素直になっても言葉にするのは恥ずかしい。
「では私からお話しましょう。いいですね?」
ピエールがfateのセイバーに見えてきた
……笛ってこういうスレで平然と名前出せるほど常識なの?
「まだレックス様が幼いころ、私にとってあの人は弟のような存在でした。
何事にも一生懸命挑み、両親がいないというのに周りには笑みを絶やさず、
そんなあの人の傍にいてずっと守っていこう、と誓いました。
しかしいつからでしょうか。
御主人を見つけ、王妃様を助けだし、そして魔界に向かうにしたがって
剣の腕も私を越え勇者のみが使える魔法を使いこなし
いつしか守るつもりが守られていたんです。
あの人に。
それでもいざというときには身を挺して盾になろう、と心に決めていました。
ある魔物との戦いのとき敵のメラゾーマがレックス様を襲いました。
私は体力が減っていましたがとっさにレックス様の盾になるべく飛び出しました。
目の前に火球が迫ってきましたが『死』にたいする恐怖はありませんでした。自身に対する誓いがありましたから。
そして―・・・?いつまでたっても火球は私にあたらませんでした。
>>728 誤字だとは思うけど
>火球は私にあたらませんでした
で、思わず吹いた
保守
731 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/18(火) 22:45:01 ID:3HCnPb4n
しゅ
「レックス様!?」
目の前には仁王立ちで火球を受け止めるレックス様の姿がありました。
「はぁはぁ…無茶するなよピエール」
守られたのは私の方でした。そのままレックス様は火傷痕が痛々しい体を奮い立たせ
魔物に立ち向かっていったのです。
その勇姿は私に今まで抱いたことの無い想いを抱かせるには十分でした…」
ピエールの告白をタバサは黙って聞きながらある考えをしていました。
それは、どうやったらピエールにレックスを諦めさせられるか、ということ。
(ピエールはお兄ちゃんの格好いい姿に見惚れてしまったんだわ…
それならお兄ちゃんのダメな一面を見たら幻滅してくれるかも!)
733 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/20(木) 18:46:18 ID:qh1Z8YbA
タバサ、自分の力であきらめさせよーぜ
タバサがちょっとダメな子に見えるぜw
駄目兄妹設定のスレだし。
「ブリーフ〜ブリーフ〜はいてます〜♪」
「幻滅した!」
王子「ノーパンです。」
ピエール(アレの下には王子のピーが)
王女「ごく。」
コリンズ「親分の命令だ、ズボンを脱げ。ハァハァ」
だめっ娘ピエール、王女。あれ?コリンズもだめ化している。
39からいきなり42に跳んでるように見えたけど
40,41ちゃんとあったのね・・・安心
いつしか王子もステテコ派に
王女もエッチな下着派に
ho
741 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/26(水) 23:46:53 ID:UCcYQHSv
王子が履いたステテコパンツをピピンが装備。
ピピンはキャラ立ってるけど王子や王女と組ませてとなると話つくりにくい奴だな
hosh
744 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/10/29(土) 23:36:45 ID:XRKgxFKQ
>>744 角煮より転載2次画像。PC無害。青少年有害。
どうも幼児体型というより中年体型に見えるんだよなあ……。
というかただのエロ絵。
ええいどうしていつも金髪なんだ、青髪を出せ青髪をっ
>>746 まったくもって同感だ
青髪双子にもっと光を!
保守
レックス「さぁ恥ずかしがらずに言ってみるんだ」
タバサ「ぬ・・ぬ・・ぬるぽ」
>>749 レックス「ガッ!(ポカ)」
タバサ「痛ッ!・・・なんで殴るの・・・?」
レックス「ご、ごめん!つい条件反射で・・・」
751 :
名無しでっしゃろ:2005/11/05(土) 21:29:08 ID:Q5oHIcpM
ピピン「アベル様!大変です!」
アベル「何だ?」
ピピン「お、王女様に・・・・。
好きな人がいることが発覚しました!」
アベル「な、なにぃ!む、娘はやらないぞ!」
ピピン「そ、そーいうことじゃなくて・・・。」
レックスの部屋
レックス「タバサに好きな人がいるなんて・・・・。
今頃、タバサはデートしているんだろうな。」
グランバニア王子・レックスは、ショックを受けていた。
そして、ついに、準引きこもりになってしまったのだった。
ピエール「レックス様。
外の世界は楽しいですよ。だから、立ち直ってください。」
スラりん「ピキー!ピキー!」
レックス「・・・・。そうだね。
立ち直らなくちゃ。」
レックスは立ち直ったが、双子の仲は悪化していった。
タバサ「おにいちゃん!そーじゃないのよ!」
レックス「うるさいなぁ!」
はじめは口喧嘩だったが、ついに呪文喧嘩になって、
レックス「もう、うるさいッ!ギガデイン!ライデイン!べホマ!!」
タバサ「きゃあッ!何するのよ!!ルカナン!ルカナン!イオナズン!イオナズン!」
もうグランバニアは壊滅状態である(王室が)。
夜のグランバニア
レックス「なぁ、ゲレゲレ。
僕はタバサと仲良くしたいのに、なんで喧嘩になるんだろう。
そもそも、タバサの好きな人って・・・?
まさか!コリンズ君!?」
ゲレゲレ「くぅ〜ん。」
ザオリクがあるからやり過ぎてしまっても無問題
問題は攻撃呪文オンリーのタバサの方か
レックス「山彦の帽子がPS2で無くなってよかった」
アベル「まったくだ、あれを妻に装備されたらと思うとゾッとする…」
保守sage
757 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/13(日) 18:35:12 ID:wcgAwgQu
王女のえち絵ってモンスターかサン○ョに犯られてるようなものばかりなキガス
王子とっていうのは少ないな
だから青髪を出してくれゆーのに
いっそ主人公似で黒髪
不躾な願いなんですけどリレー小説はどこで最後なんでしょうか?
サンクスです
765 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/17(木) 11:13:16 ID:Awe5KFFp0
リレー小説期待age
「はぁ・・・」
「どうしたのタバサ?ため息なんかついちゃって」
「だって・・・」
タバサはそれだけ呟くとお母さんの方を指差した
「お母さん?お母さんがどうかしたの?」
「そうじゃなくてぇ・・・その着ているの」
お母さんが着ているのはプリンセスローブ
高い防御力と耐性を持つ最高級の防具だ
「うん、プリンセスローブそれがどうかした・・・はッ!」
そうだった、思い出した。プリンセスローブはもともとタバサが装備していたものだったのを
お母さんが見つかった後はお母さんがプリンセスローブ、タバサが天使のレオタードになってしまった
レベルの低いお母さんには良い防具が必要だからというお父さんの判断で
「わたしのプリンセスローブ・・・ぶつぶつ」
うらめしそうな目でタバサはお母さんをじっと眺めている
「で、でもさあそのタバサが着ている天使のレオタードもすごくいい防具だと思うよ!」
「プリンセスローブよりは下だけどね・・・」
う・・・全然慰めになってないぞ
「プ、プリンセスローブってひらひらしすぎて動きにくそうだし天使のレオタードの方が戦いやすいって!」
「はぁ・・・お兄ちゃん戦いのことばっかり、わたしはあの綺麗なデザインが気に入ってたのに・・・」
そうかタバサが気にしていたのは防御力じゃなくて綺麗さだったんだ
女の子らしいというかなんというか・・・
「え、えっとでも天使のレオタードもかわいいじゃない、うんかわいいかわいい凄くかわいい!」
「お世辞はいいよお兄ちゃん・・・どう見てもあっちの方がお姫様ぽくてかわいいに決まってるのに」
「そんなことないよ!少なくともぼくはこっちの方が好きだな・・・そのせくしー・・・だし」
そう言うとタバサの瞳が急に輝きだした
「ほんと!?わたしのレオタード姿お兄ちゃん好き!?」
「う、うん好き好き!大好き!」
「せくしーだと思う?萌え萌えしちゃう?萌え萌えしちゃう?」
「超せくしー!!もう萌えまくり!!萌え死ぬ!!」←やけくそ
「うふふ〜そうなんだよかった〜」
翌日からタバサは喜んで天使のレオタードを着て戦うようになった
でもぼくは大事ななにかを無くした様な気がした・・・
二人が壊れてる・・・w
h
嫁には専用装備があるから娘にこそ最強装備をさせる
「いいか〜れっくすぅぅウ〜女はなぁ〜コワイんだぞ〜〜?」
「・・・はい」
ポートセルミまで来たのはいいが、息子に『大きい事はいいことだ』という事を教えたら
『ふ〜んお母さんより大きいね。それがどうしたの?』
で済まされてしまい、結果ヤケ酒を煽る父。あげく息子に絡み酒。
「ビアンカはなぁ、怒ると山彦ムゥラゾーマしてくるんだぞぉ。
しかもいくらなぁごめんなさいしても火球は飛んで来て・・・」
とまあこんな感じで延々一時間は女について、というより愚痴を聞いているレックス。
「ほれこの傷みてみろ。これはなグリンガムのムチで、
あ、バニーさんジョッキ大おかわりね〜ウィ〜ヒック」
「は〜い♪3番テーブル大一丁〜♪」
「君かわいいねぇ〜。そぉ〜れ〜つん!」
「きゃっ!もう、ここはおさわり禁止で・す・よ!も〜う。」
「あははははごめんなさ〜い。」
(そんな事してるから昨日は母さんに裸で外に放り出されるんだよ・・・はぁ。)
今日何度目か分らない溜め息をつくレックス。
ジェミニー保守
>>772のつづき
夕刻になり、宿屋へと戻ったレックスとタバサ。
「ねぇ、タバサ。まだ怒ってるの?」
部屋の鍵をポケットから取り出す間もずっと背中を向けたままのタバサにレックスは声をかける。
「・・・・・・・・。」
答えはなく、レックスはハァとため息をつき鍵を開ける。
扉を開け、中に入ろうとするレックスは
「可愛かったのにな・・・。」
と呟き、部屋へと一歩踏み出した。
「・・・ほんとに?」
レックスの背中からか細い声でタバサが答えた。
レックスは振り向き、「うん。」と一言。
すると、タバサもゆっくりと正面をレックスに向ける。
まだ恥ずかしかったのか、顔は下を向いたままだ。
「あ、あのね・・・。」
タバサがゆっくりと口を開く。
「うん?」
レックスは部屋に入るのを止め、タバサに近寄る。
「・・・お、お兄ちゃんも・・・ああいうの・・・好きなの?」
そう言ったタバサの顔は真っ赤に染まっていて、思わずドキっとレックスは怯んでしまう。
「・・・えっと・・・た、多分男の人はみんな好きなんじゃないかな・・・?」
「お兄ちゃんは好きなの?」
「いや・・・えっと・・・。」
タバサが一歩、また一歩とレックスに歩み寄ると、レックスはじょじょに後ろに下がっていく。
「だから・・・その・・・好きっていうか・・・男の人の夢って言うか・・・じゃなくて・・・。」
気がつけば部屋の中央に置かれたテーブルまでレックスは後ず去っていた。
「・・・ご主人さま?」
レックスの慌てる姿が面白かったのか、タバサは意地悪半分に上目遣いでそう口に出す。
─────プチーン
その時、レックスの中で何かがキレた。
突然タバサを抱きしめ、その腕にギュっと力を込める。
「っすすすすす、好きさ!でも、でもでも、あのお店に行った時、他の女の人なんて見てなかったよ!タバサが・・・タバサが一番似合ってて可愛いと思ったよ!」
少し感情が高ぶった声でレックスはタバサに答える。
「・・・お兄ちゃん・・・痛い・・・。」
タバサの一言で冷静さを取り戻すレックス。すぐさま両腕を上に挙げ
「ご、ごめん・・・。」
と答える。
タバサはレックスの横をすり抜け、テーブルの上に持っていた荷物を静かに置くと
「き、着替えるから・・・ちょっと後ろ向いててもらえる?」
恥ずかしそうにタバサが言うと、目で追っていたレックスは「う、うん。」と答え、急いでタバサに背中を向ける。
夕陽を背に受け、レックスはグっと両拳に力を入れる。
サッ・・・・ファサッ・・・・
耳に入ってくるタバサが服を脱いでベッドの上に置いているだろうその音を聞きながら、
レックスは目を瞑る。
シュー・・・シュリ・・・
短いようでレックスにとっては長い静寂。それを打ち破ったのはタバサの一言。
「いいよ。」
「う、うん。」
ゆっくりと振り返るレックス。タバサが写って来るまでがとてつもなくゆっくりに感じていた。
「!!!」
唖然とするレックス。タバサの姿は真昼に見たあの格好そのまま。
髪は下ろしているが、それよりも圧倒的に違ったのは『今、この部屋に2人きりでいる事』
だった。
「どうですか?お兄ちゃ・・・じゃなかった。ご主人さま?」
時が止まったように動けないレックス。
ただ、じーっとタバサを見つめるだけで息をしているのかもわからない。
タバサはトトトと近寄り、「どうしたの?」と声をかけ、左腕の袖をクイクイと引っ張る。
「・・・え?あ・・・その・・・。」
レックスは正気を取り戻し、タバサにもう一度背を向ける。
「?」
タバサは不思議そうな顔をし、首を傾げる。
レックスはというと、左手の掌で顔を押さえたまま動かなくなる。
意を決したのか、レックスは顔を両手でパンッっと叩きコホンと咳払いひとつして振り返る。
「か、カワイイヨ。」
お互い顔を真っ赤にして見詰め合う。
「あ、アリガト・・・。」
「あ、あのさ・・・。」
レックスが口を開く。
「な、なんですか?」
何故かかしこまった口調でタバサは答える。
「ギュってしても・・・イイデスカ?」
「い、イイデスヨ・・・?」
そう言うと、タバサは恥ずかしさのあまり目を瞑り、両手を広げてレックスを受け入れる体勢になる。
レックスはゴクンと生唾を飲み、震える手でタバサを抱きしめr・・・。
───────ガチャ
「おいっすー!なぁ、2人とも城で晩飯食わねぇか?」
突如、最高のタイミングで乱入してきたコリンズ。
2人と1人はガッチリ目が合い、タバサはワナワナと震えはじめる。怒りで。
「おーっ!タバサちゃん、その格好気に入ってくれたのか?
レックス、お前か?お前がお願いしたのか?
いやー、グッジョb・・・。」
───────ドッゴーーーン
最後まで言うことも許されず、コリンズ目掛けて特大イオナズンを放つタバサ。
「ぬぐおおおっぉぉぉぉ!!!」
辺りに舞う土煙。
ポカーンと口を開いたままのレックス。
どれだけの魔力をつぎ込んだのか、肩で息をするタバサ。
そして・・・
黒焦げになったコリンズ。
その夜、街中で2度も騒ぎを起こせばさすがのヘンリーの耳にも届いたのか、ラインハット城に呼び出された3人。
訳を話すとヘンリーはお腹がよじれるのかと思うぐらい大笑いし、レックスにお金の入った袋を渡す。
もらえないと返そうとするレックスとタバサだが、へンリーはまぁまぁと話を始める。
「この金は、オレとお前達の父親であるアルスと旅をしてた時にオラクルベリーのカジノで負けがこんでてさ。
そん時に借りた金なんだ。まあ、多少イロはつけてるけどな。
だから、アイツに返すって事でお前達に渡してもいい金だ。」
「あ、ありがとうございます。」
「あの・・・お店と宿屋壊して・・・ごめんなさい・・・。」
お礼を言い、タバサが謝るとヘンリーは隣にいたコリンズの耳を引っ張り
「あーあー大丈夫。元はといえばコイツが悪いんだ。
タバサちゃんにあんな格好させたり、2人の邪魔したりな?」
「イテ、イテテテイイテテテ」
ニカっと笑うヘンリーとは逆に、2人は顔を見合わせ真っ赤になる。
「んじゃあ、今日はお城に泊まっていきな。いいだろ?デール。」
後ろの玉座に座るデールに言うと、「もちろんです。是非。」と答えが返ってくる。
よほど疲れていたのだろう、2人は部屋に案内されると即座に眠ってしまう。
静かに寝息を立てるレックス、タバサを見て、ヘンリーは隣にいる人影に話しかける。
「ったく、これでよかったのか?アルス。」
「うん。ありがとう、ヘンリー。」
「ああ、いいってこれくらい。それにしても、お前も親バカだよな。変化の杖使ってコッソリ見守ってるなんてさ。」
ヘンリーが腕を組んだ左手でアルスの持つ杖を指差すと、アルスはにこっと笑い
「内緒だよ?あの子達に気づかれたらダメなんだから。」
と人差し指を自分の口元に持っていく。
「了解。さ、今日はお前も泊まっていくんだろ?飲も、飲もう!」
「え?ああ、久々に君の顔が見れた事だしね。」
そう言って、2人は肩を組みその場を後にした。
翌日、2人は元気にラインハットを後にした。
「これ、餞別。」
と、頬に絆創膏を貼ったコリンズに受け取った二つの袋を手に持ちながら。
オラクルベリーの街並が見えた頃、タバサがレックスに話掛ける。
「ねぇ、お兄ちゃん。コリンズくんに何もらったのか見てみない?」
「そうだね。なんだろう?」
レックスは持っていた袋のかたっぽを開け、2人で中をのぞく。
「うわぁー!マリアさん手作りのお弁当だー!」
悦ぶ2人。
「じゃあ、こっちはなんだろう?」
タバサが指を指す。
「ちょっと待ってね・・・こっちは・・・何か服みたいだけど・・・。」
レックスの一言にタバサはビクッと背を真っ直ぐ伸ばす。
「ふ、服・・・?」
恐る恐るレックスの方を向くと、まさしく見覚えのあるあのメイド服であった。
「・・・・・・・。」
「・・・タバサ・・・。」
「・・・な、なに・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・ダメ?」
レックスはタバサに服を差し出し、首を傾げる。
「・・・・・・・・は・・・・・・・・・・・ダメ。」
ボソっと小声で答えるタバサ。
「え?よく聞こえなかった。」
レックスは耳をすましてタバサに近づく。
「・・・今は、ダメって・・・言ったのー!!」
おわり
>722でしたね
久しぶりにキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!!!!
レックスも男よのう(*´ー`)σ)Д`)
モツカレー
782 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/11/28(月) 23:16:05 ID:MlqYIQTI0
age
保守
私たち 純真無垢のドラクエ兄妹カプテンテット
背徳禁忌なんて ラブラブの前には問題なーし! +
 ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ love
. ,.._ love + !\!\ _ _ love
+ ,.'.⌒~゙ヾヽ 、_ゝ∧へヘ ノ__ + 〃〈ミ./,〃ノミヽ. ,
,'^y'⌒⌒ヾC>、-:!( 彡"ヾi゙(MM).、.ヽヽ /、~リ '´ ヽ 巛/、ヘ巛(~,゙川.!〉. ,. -― 、 ´Z,
))! .八~゙リ))ー^リLノソ."Y(O=ツノノリ゙)ハ. ヽ(。^ヮノタ~ヾリハ ,ノヾゝ゚Oヾノ-.゚;zソ. !{X}i!ii'ii〈"ゞゞ
(.(ヾ(!^ヮ^ノ干干ス 0)|.^ヮi、ヮ^.ルし; 〈゙にづ、゚ヮ^*)).) 6〜《~}づとこ{~》 ヾ(!^ーノヮ^ノ゙
゙ .と:~¥゙)i=ニ=〈J + ,〔ヾ:,⊂{i~0'"~″ 〉=@=⊂)`゙iノソ く/_i!_,U个、iゝ + /゙jっ丕゙>
love .ツ~゙i~iレ´liヾ、i ./ il`ん、_;ノ じlン!i,ノ_i _,ゞ´ . + 〉 )ノ.| | .| ッぐ,イ_;ゞ;_,ゝ
く/_l_リ |-||ー|.゙ .'ー-~じ' J'' love |=/|=l ヾし' .じ'ノ .|ニ||ニ| +
+  ̄. ̄ .  ̄  ̄ .  ̄. ̄
>>784 左からサーベルトとゼシカ(?)、サマルとリア、6主人公とターニア、カジノ兄妹(?)、レックスとタバサ、かな?
ほ
789 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/07(水) 00:36:37 ID:jaoDn4uh0
ホ
父の愚痴から逃れるためレックスは酒場からでた
「はぁ・・・」
父の母に対する愚痴を聞いてますますタバサとピエールとのいざこざが重くのしかかる
もはや女性恐怖症一歩手前のレックス
重い足取りで夜のポートセルミを歩く中、レックスに声をかける老婆がいた
「そこの若いの、おぬし悩んでおるな、どうじゃ一つ占ってやろうか?
おぬし男前じゃから特別にタダで占ってやるぞよ」
占いをしてもらう気分ではなかったレックスだったが
男前という言葉に気をよくし、一つその老婆に占ってもらうことにした
ほしゅ
結城まさのへの王女は可愛かったなぁ…
四コマ見てこよ
保守
794 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/13(火) 22:06:33 ID:Q+Q/Xk+N0
おみつ
このスレ年越せそうですね・・・。
Part5くらいまでの異常なスピードが懐かしい。
[系のスレも勢いないし発売して一年以上たった作品は厳しいな
またリメイクしないかな、[級のグラで
4コマまたでないかな、5オンリーじゃなくて大全集でいいから。
四コマ見てたら高所恐怖症の王女がドラ後ラムして
目線が高くなって怯えだすネタを思いついた
799 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/19(月) 12:55:43 ID:3I8FnNZ90
なんかネタないかなー
俺が書くわけじゃないけどさ
時期的にクリスマスネタがほしいところ
>>798 萌えた
そんな四コマネタがあるんだ
ネタでも考えながら職人さんを待ってるか
保守
父と母からの今年のクリスマスプレゼントは「弟か妹」
別名、新たな恋人、もしくはライバル。
クリスマスといえば]デー
サンタに扮してプレゼントを届けようとするサンチョ
だが2人の靴下をのぞくと欲しいものには「お父さんとお母さん」と書かれていた
それに涙しつつも自分では親代わりになれてないと知りへこむサンチョ
全米が泣いた
クリスマスネタが明日まで有効でしたら、多分明日一杯までに投下できないこともなさそうなんですが。
ここに作品投下したこともないですし、ちょっと長文になりそうなんですけど、
それでも構いませんか?
がんばって・・・!わくてかしてまーす。
クリスマスということで小話投下
レ「タ、タバサ!聞いて聞いて!」
タ「どうしたのよお兄ちゃん。そんなに慌てて?」
レ「サンタは赤い帽子に赤い服、白いヒゲにステテコパンツを履いてるんだって!」
タ「はいはい。クマークマー。」
よいお年を!
ペコさんキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!
>>809ですが、制限時間ギリギリになってしまいましたね。
一応投稿させて頂きますが、今日になって大幅に内容を見直したりしたので殆ど推敲できてません(汗
なんで出来は後半になるほど微妙です……。
『Christmas present』
「ふたりとも、寝る前にちょっと聞いて欲しい。重大発表があるんだ。」
それまでソファでくつろいでいたお父さんが急に姿勢を改めたのは、楽しかった家族水入らずのクリスマスパーティーも
お開きになり、わたしとお兄ちゃんが欠伸をかみ殺しながらお部屋へ戻ろうとしていた時の事でした。
風邪でもないのにどういう訳か近頃調子の良くないお母さんも、お父さんのすぐお隣に座って、わたし達を手招きしています。
こんな時間に、いきなりどうしちゃったんだろう。真剣そうな口振りの割には、別に怖いお顔してるっていう訳でもないし……
むしろ何だか嬉しそう。何か良い事でもあったんでしょうか。
いくらかの疑問を感じながらも、わたしは、指し示されるままにお父さん達と向かい合った席に着きました。
お兄ちゃんも同じ気持ちだったみたいで、ちらっとわたしと見合わせた目は、きょとんと丸くなっています。
「お父さん、重大発表って? 何か大変なことでも起こったの?」
「アハハ……まあ、大変といえば大変な話なんだろうね。でも別に悪い話じゃないから、そう身構えなくても大丈夫だよ。」
お兄ちゃんが多分無意識のうちに握り締めた拳に苦笑いすると、お父さんは、頬を綻ばせながら話し始めました。
「ここ最近、お母さんの具合があまり良くなかったのは、君達も気付いていただろうと思う。
急に目眩がしたり、熱っぽかったり、食欲がなかったり、生……ああ、まあその、
大人の女の人の身体には必ず起こる筈のものが起こらなかったり。」
そこで急に咳払いしたお父さんのお顔は紅くなり、お母さんはそんなお父さんの腕をつねります。
(ねえタバサ、お父さん、何を言おうとしたのかな?)
すぐ横から小さな囁き声が聞こえてきたけど、勿論わたしには答えられませんでした。……そんなの、恥ずかしいもん。
「ゴホン! ……とにかくそんな訳で、今朝、シスターを呼んで診て貰ったんだ。そしたら、判った。」
「判ったって……もしかして、何かの病気だったの?」
ゴクリと喉を鳴らして、お兄ちゃんが尋ねました。
お父さんに言われるまでも無く、ここしばらくのお母さんの体調の事は、お兄ちゃんもわたしもとっても心配してたんですから。
わたしと二人でゴハンを作ってる間にも、青ざめたお顔をしたお母さんは急にお手洗いに駆け込んだりするんだもん。
その度に、わたしがどんなに胸の塞がるような思いを感じていたことでしょう。
もしお母さんが病気だったとしたら……なんて、そんな事、考えたくもないのに。
すると、わたし達の不安そうな視線に気付いたからでしょうか、それともこれ以上言わずにいる事に
我慢しきれなくなったからでしょうか。お父さんはお母さんの肩に腕を回して、二人とも満面の笑みを浮かべました。
「しかし、まさかクリスマスイヴの日にこんな事が判るなんてね!
もしかしたらサンタクロースが僕達の為に用意してくれたプレゼントかも知れないって、
お父さんもお母さんも、どんなに嬉しかったことか!
つまり――――レックス、タバサ。来年には、君達に弟か妹が生まれるんだそうだよ!」
「!!?」
「ええっ!! ホント!?」
その瞬間、喚声を上げたお兄ちゃんとは対照的に、わたしは、息が詰まりました。
お日様が輝くのは皆の為だけど、できればわたしの為だけに輝いていて欲しい。
お星様の煌きは皆のものだけど、できればわたしが独り占めしてしまいたい。
いつ頃からの事だったでしょうか? お兄ちゃんに対するわたしの気持ちが、そんな風になっていたのは。
まだ家族がふたりきりだった小さい頃、お父さんやお母さんに会いたくて泣いていた時には、
いつも手を握ってくれた、お兄ちゃん。
あの砂漠の国で『勇者』にされちゃって、繋がれたその手を切り離されちゃった様にわたしが感じた時も、
そんな事は無いんだって事を、それまでと全く変わらない態度で示してくれました。
勇者だからではなく、お兄ちゃんだから。世界を救いたいからじゃなく、妹のわたしを守りたいから。
ただそれだけの為に、お兄ちゃんはどんなに苦しい戦いの最中でもわたしを庇ってくれる様にしていたし、
だからと言って恩着せがましくなるどころか、いつもわたしのことを気遣って、励まして、可愛がってくれました。
旅が終わった今でも、変わらずに。
お兄ちゃんは、皆が憧れる勇者様で、皆が敬う王子様で、皆に好かれる男の子だけど、
わたしにとってだけは、世界一大好きな自慢のお兄ちゃんです。
これからもずっと、お兄ちゃんはわたしだけのお兄ちゃん。それが当たり前すぎて、疑った事さえもありませんでした。
だから――――
「ねえねえ、来年のいつ頃生まれるの? 男の子? 女の子? 何て名前にするの?」
「こらこら、興奮しすぎだよ。そんなにジタバタしたら、お腹の赤ちゃんがビックリしちゃうじゃないか。」
「えへへ、だって嬉しくてしょうがないんだもん! ここにいるのかぁ。早く会いたいなぁ!」
――――だから、そんなお兄ちゃんが天真爛漫としか云い様のない笑顔で赤ちゃんがいる筈のお母さんのお腹に耳を当てた時、
わたしの中で急激に燃え上がった激しい嫉妬の炎が、瞬く間に、灰も残さないくらいの勢いでわたしの理性を焼き尽くしてしまったんです。
そして沸き上がる感情そのままに、喉が張り裂けんばかりに叫び声を上げました。
「そんなのやだっ! わたし、弟や妹なんかいらない!! 今のままがいい!!」
「っ……!?」
一瞬にして、はしゃいでいた皆のお顔から笑みが消えました。
あんぐりと口を開けたお父さん。大きく目を見開いたお母さん。パチパチと火の粉を飛ばす暖炉の音だけが響く、しんと静まり返った部屋。
皆がわたしの方を見るばかりだったし、わたし自身も自分の叫び声にビックリしちゃって、はっと両手で口を抑えてそれっきり。
まるで、そこだけ時間が凍りついた様でした。
「タバサ……? せっかく赤ちゃんができてみんな喜んでるのに、どうしてそんな酷いこと言うんだよ……?」
不意に、呆然と立ち上がったお兄ちゃんの視線が、わたしの視線と交錯します。
「えっ? あ、あの……それは……」
お兄ちゃんの声をきっかけに、カチカチに固まっていたわたしの身体にようやく血が通っているような感覚が戻ってきたけど、
その時にはもう手遅れ。
その瞳の中にあったのは、信じられないもの、理解できないものを見た時に表れる乾いた驚きと、
同じ気持ちを共有できない悲しみ、それどころか、哀れみさえをもそこに混ぜ合わせた――――要するに、
はっと我に返ったわたし自身も火が出るくらいに恥じ入り、思わず口に出してしまったことを後悔したこの失言を、
どんな言葉を使うよりもしたたかに打ち据える鞭だったんです。
「どういうつもりなんだよ、タバサ。赤ちゃんが生まれてきたら、うんと可愛がってあげようよ?
どうしてタバサがそんなに嫌そうなのか、ボクには――――」
「……うっ……ぐすっ……。……うえぇぇぇぇん!」
「あっ、待てよタバサ!」
ああ。やっぱりお兄ちゃんにとっては、わたしも、お母さんのお腹の赤ちゃんも、何も変わらなかったのね。
お兄ちゃんが『可愛がって』くれたのは、今までずっと、わたしだけだったのに。
かあっとお顔を赤くしたわたしは、いたたまれなくなって、矢も楯もたまらずにお部屋を飛び出しました。
わたしの気持ちを解ってくれなかったお兄ちゃんの視線が、何よりも痛くて。
「ひっく……ぐすっ……うっ……」
それからしばらくの間が経って、わたしは、中庭の隅っこでひとりうずくまっていました。
グランバニアは暖かいから、真冬でもほとんど雪は降らないけど……それでも、心の隙間から吹き付ける風は、
わたしを凍えさせるのには十分過ぎる冷たさです。
「はぁ……。どうしてわたし、あんなこと言っちゃったんだろう……。」
白い溜息を漏らしたわたしは、パサパサした目を綺麗なお月様の出ている夜空の方へ向けました。
解ってるんです、お兄ちゃんがどうしてあんな目でわたしを見たのかも。わたし達はきっと他のどのお家よりも、
家族っていう存在の大切さ、かけがえの無さが身に沁みている家族だから。
その家族が増えるんだもん、喜ぶのが当たり前ですよね。なのにわたしったら。
わたしのあの一言で、お父さんもお母さんも、どんなに傷ついちゃったかなぁ……?
「……わたしだって、家族が増えるのは大歓迎なのに……。」
でも、そのことを頭ではどんなに解っていても、心ではどうしても受け入れられなかったんです。
お母さんのお腹の中に赤ちゃんがいるって判った時の、お兄ちゃんのあの反応。お兄ちゃんにとって、
わたしはたくさんいる弟や妹の中のひとりでしかなくなっちゃう、っていう現実が。
もちろんお兄ちゃんならきっと、わたしに対しても変わらずに優しくしてくれるでしょう。……他の弟や妹達、皆と変わらずに。
皆。皆。皆。
この気持ちがただのつまらないヤキモチ、それも、まだ生まれてきてもいない赤ちゃんに対するヤキモチだなんて。
自分でも、笑っちゃいたくなりそうです。
「はぁ……。今日はクリスマスなのになぁ……。」
もうひとつ大きな溜息をついて、ぐいっと目を擦りました。かじかんだ指先で弾いた涙の粒は、
音も無く壁に当たって消えてゆきます。
わたしは夢に見る事がありました。あと何年か経って大きくなったら、クリスマスにはお兄ちゃんとふたりきりで、
街にお出かけしたいなぁ、って。
うんとオシャレして、広場の真ん中で待ち合わせ。5分は遅れてくるに違いないお兄ちゃんに
ちょっと文句を言いながら、街灯やネオンが眩しいきらびやかな大通りを、腕を組んで歩くの。
それからどこかのお店でゴハン食べて、クライマックスはプレゼント交換!
わたしはうっかり準備するのを忘れたふりをしてお兄ちゃんをちょっとがっかりさせた後、
すかさずこう言うの。
『じゃあお兄ちゃん、恥ずかしいから目を瞑って……?』
今になっちゃったらもう、永遠に夢のまま、たった今弾けた涙の粒と同じ運命を辿るしかないんですけどね。
だって、わたしがどんなにお兄ちゃんのこと大好きでも、お兄ちゃんにとって、わたしはただの妹。
特別でもなんでもない、ただの……
「……うっ、ぐすんっ……お兄ちゃん……。わたしこんなに、お兄ちゃんのこと大好きなのに……ぐすっ……」
お兄ちゃんの優しい笑顔を思い浮かべた途端、また涙が溢れてきちゃいました。とても、切なくて。
お兄ちゃんが好きだっていう気持ちが、こんなにもくっきりと心に焼き付いてただなんて。
サンタさん。どうして今年は、わたしにだけこんなに残酷なプレゼントを用意しちゃったの?
どうして、わたしには夢さえも見せてくれないの?
お兄ちゃんを下さい、なんてワガママは言わないから、せめて……せめてお兄ちゃんに、
わたしの気持ちを伝えさせて下さい――――!
「――――ボクも、タバサのこと大好きだよ。」
「……ふぇっ?」
俯いたわたしが嗚咽を堪えて、とっくにしわしわになった袖にまた涙を吸わせながら、そう祈った時でした。
今も昔も、わたしが一番嬉しくなれる言葉が聞こえたのは。
「こんなトコにいたんだね、タバサ。お父さんもお母さんも心配してたよ?」
「お兄ちゃん……」
壁を背にしてうずくまっていたわたしの正面、2、3歩くらい離れたところに、肩で息をするお兄ちゃんが立っていました。
わたしも人のことは言えないけど、こんな寒い中だっていうのに、お部屋にいた時の服装そのままで。
「いつからそこにいたの? っていうか、どうしてそんな格好で……」
「タバサが出てってすぐ、三人で話し合ったんだ。どうして、タバサがあんな風に言いたくなっちゃったのか。
お父さんもお母さんも、ボク達が喜んでくれるものだとばっかり思ってたみたいだったからさ。
それにちょっと時間取られちゃったんだけど、それから、ずっとタバサ捜して走り回ってた。」
「嘘……そうだったの?」
ニコリとして頷いたお兄ちゃんは、ぐいっとオデコの汗を拭いました。そう、汗です。真冬で、夜で、厚着とはいえない格好で。
一体どれだけ走り続ければ、こんな風に真夏みたいな汗を流せるっていうんでしょう?
「とにかく、今日はもう遅いし、ウチに帰ろう? 誰も怒ったりなんかしてないし、今日はボクが一緒に寝てやるからさ。」
「ううん、待ってお兄ちゃん! その前に。あの、わたしがさっきあんなこと言っちゃったのは……」
「無理しなくていいよ。今夜はゆっくり休んで、話は明日聞いてくれるって言ってたし。
それに、これはお母さんが言ってた事だけど、タバサはきっと、自分が立派なお姉ちゃんになれるのかどうか不安だったんだろ?
大丈夫だよ、ボクでさえタバサのお兄ちゃんやってるんだから、タバサなら――――」
「そんな立派な訳なんかじゃない! お願い。今すぐ、お兄ちゃんに聞いて欲しいの!」
お兄ちゃんがわたしの手を引いて連れ帰ろうとするのを、わたしはぎゅっと引きとめました。
わたしの冷たい手でお兄ちゃんの温かい手を握り締めちゃったけど、お兄ちゃんは、そんなわたしに嫌な顔ひとつしないでいてくれて。
それどころか、わたしの意思が堅いことを悟って、自分からわたしの両手を包み込んでくれたくらいです。
お兄ちゃんにまたひとつ無言の励ましを受けたわたしは、勇気を振り絞って想いを口に上らせました。
「あのね……? わたし今まで、お兄ちゃんがわたしの……わたしだけのお兄ちゃんでいてくれる、
っていうのが、当たり前だと思ってたの。お兄ちゃんはわたしだけの特別な人で、お兄ちゃんの方も、
わたしのことをたった一人の妹だって、わたしを守ってくれて、特別に可愛がってくれる……。
今までずっとそうだったと思うし、これからもずっとそれが続いてく。そう信じて、そうじゃなくなる事なんて
考えた事も無かった。」
「うん……。」
お兄ちゃんの瞳の中に、必死に気持ちを伝えようとするわたしの姿が明瞭に映し出されています。
「でも、今日。お兄ちゃんがあんなに喜んでるのを見てて……こんな事言うのは恥ずかしいけど、
わたし、まだ男の子か女の子かさえも判らないような赤ちゃんに、信じられないくらいヤキモチ焼いちゃったの!
わたしのお兄ちゃん、わたしだけのお兄ちゃんなのに! って……。
……でも、お兄ちゃん言ったよね。『赤ちゃんが生まれてきたら、うんと可愛がってあげようよ』って……。
それ聞いちゃった時、ああ、お兄ちゃんにとってのわたしは、わたしにとってのお兄ちゃん程、
特別でもなんでもないんだな……って、思っちゃって……」
そこまでが、限界でした。わたしが泣きじゃくりながら、お兄ちゃんに抱きつかずにいられたのは。
「……でも! わたしお兄ちゃんが大好きなんだもん! 他の誰にも渡したくないの!
大きくなってもずっと一緒にいたい! お兄ちゃんがいてくれなきゃ、わたしもう生きていけない……!!
うえぇぇぇぇん……」
「わっ? ちょっ、た、タバサ?」
いきなり抱きつかれて、しかもお城じゅうに響き渡るんじゃないかっていうくらいの勢いで号泣するわたしには、
さすがのお兄ちゃんも困り果てちゃったみたいですね。わたしの一方的で勝手な気持ちだし、普通だったら
突き放すのが当然だったと思うのに。でも、わたしはこの瞬間にも、かすかな達成感と寂しさを味わっていました。
想いはちゃんと伝えたから、これで確かに何かが終わったんだ……って。
ところが。お兄ちゃんがそんなわたしに示してくれたのは、全然違う――――わたしが、
これまでに見てきた全部の夢の中で一番幸せだった夢と比べてさえ、もっと幸せにしてくれる反応でした。
「……タバサ。何だか誤解してるみたいだから言っておくけど――――タバサは今でも、
ボクのたったひとりの特別な人だからね?」
わたしの耳元で、そんな風に囁いて、そして、力一杯抱き締めてくれたんです。
「……!! きゃっ、お、お兄ちゃ……?」
わたしの頭が、ぐいっとお兄ちゃんの胸まで引き寄せられました。まだ、わたしとそんなに背の高さも変わらない筈なのに?
ふとそう思って足元を覗き込むと、お兄ちゃんったら、両足がぶるぶる震えるくらいに背伸びしちゃってます。
わたしなんかに、胸を貸してあげる為だけに。
「タバサは、まるでボクが一方的にタバサを守ってあげてきたみたいな言い方したけど、そんな事はないよ。
ボクの方こそ、タバサが側で支えてくれたから、どんなに辛い時だって今までやってこれたんだから。
ほんとに、どれだけ感謝してもしきれないと思ってるんだよ?」
お兄ちゃんの胸に当たった耳から、力強い心臓の音がはっきりと伝わってきました。お兄ちゃんの心に相応しい、
純粋で真っ直ぐな音。
「ボクが辛くて、苦しくて、泣きそうになっちゃった時でさえ、いつも側で、タバサは笑顔で励ましてくれた。
心の底から心配してくれた。大きな壁は一緒に乗り越えてくれた。ボクはタバサと違って頭悪いから、
上手くは言えないけど――――タバサがいつも言ってる通り、ボクのお嫁さんになる人はタバサしかいないし、
これからもタバサしか考えられないと思うよ。」
「……!!」
もし、わたしがこの瞬間まで耳にしていたのがお兄ちゃんの鼓動じゃなかったら。わたしは間違い無く、
自分の耳がおかしくなった事を確信していたでしょう。だって、お兄ちゃんがわたしのプロポーズに応えてくれたのは、
これが初めてだったんだから!
わたしがはっと息を飲んでいる間に、お兄ちゃんは背伸びするのを止めて、静かにわたしの目の前に降りてきました。
どんな詩人さんよりも素敵な、世界一眩しい笑顔でわたしを見つめながら。
「それにさ、これからあと何人弟や妹が生まれたって、タバサはボクだけの妹で、タバサのお兄ちゃんはボクだけなんだよ。
ボクが守らないで、誰がタバサを守るんだよ? 他の誰にもタバサは渡さない。タバサは、ボクの一番大切な人だから。」
「お兄ちゃん……!!」
いつの間にかちらほらと舞い降り始めた雪の華にも気付かないまま、それから長い間、わたし達はきつく抱き締め合っていたのでした。
蛇足ですけど、最後に少し、その後のお話をしますね。
寝室に戻ったわたし達はもうすっかりクタクタになってたけど、寝る前にもうひとつだけ、
お兄ちゃんにわたしのワガママを聞いてもらうことにしちゃいました。
「ところでお兄ちゃん、今日はクリスマスでしょ? だから、お兄ちゃんとクリスマスプレゼントの交換したいんだけどな……。」
「ええっ? プレゼントって言ってもさ……そういうことはもっと早く言って欲しいな。ボク、何にも用意なんてしてないんだけど。」
寝間着に着替えたわたしは早速、ベッドの上であぐらをかいているお兄ちゃんのお隣にくっついちゃいました。
何て言っても、今日はお兄ちゃんと一緒に寝られますから。嬉しいなっ。
「あっ、お兄ちゃんはいいの。わたし、さっきまでにもう十分、お兄ちゃんに抱き締めて貰っちゃったから!」
「なっ……!? そ、それは何ていうか、随分安上がりで済んじゃうプレゼントだね……」
「そんなことないよ? だって、お金じゃ絶対に買えない素敵なプレゼントだもん。お兄ちゃんが抱き締めてくれるのは、
世界中でわたしだけだもんね? えへへ……。」
「あ、そう……それは確かにそうだけど……」
わたしが肩に寄りかかると、お兄ちゃんは照れくさそうに鼻の頭を掻きながら、そっとわたしの肩に腕を回してくれました。
こんなに幸せになっちゃうと、バチが当たりそうで怖くなっちゃいます。
「……そ、それで? プレゼント交換って事はさ、タバサも何か、ボクにプレゼントがあるって事だよね?」
えへっ。その質問を待ってたの、お兄ちゃん。
「うんっ! でもね、お兄ちゃんと同じで、普通のプレゼントじゃないの。だから……恥ずかしいから、目を瞑ってて……?」
「……? こう……?」
「…………」
赤ちゃんが生まれてきたら、何てお礼を言おう?
お姉ちゃん、あなたのおかげでお兄ちゃんと幸せになれたんだよ、とかかな?
……ううん、考えるのはまた今度にしよう。
今はお兄ちゃんの唇に、わたしからのクリスマスプレゼント、いっぱい味わって貰いたいから。
>>815-825 久しぶりに長編キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!
感動した
827 :
826:2005/12/26(月) 00:25:24 ID:ZQqT4l9j0
感動はへんなような・・・
とにかくGJ!!
大作キタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━!!!!
ここまでラブだと三子は間に入る隙が無いな
いや逆に二人して溺愛か
gj!
ああ俺もモンスターでいいから旅に加わって馬車から
ふたりのラヴィを見ていたい
王子が王女を電気あんま…
駄目か
>>826-829 どうもありがとうございます。書き上げるのに急ぎすぎたので、
酷評されるんじゃないかと不安でしたが……ほっとしました。
>>804-805を見て思いついただけの文章なんで、もしまた機会があったら、
今度はもう少しじっくり書いたSSを投下したいものですw
>>831 乙!短時間で書き上げたとは思えない出来でした
また作品書いてほしいです
_____
,. '"´ -_,二ニミr一-、
, '´ ,. '´ / /ハヽ \
/ / / 〃 } ヽ. `、
,、 / / / / {l 、 ',
,ハ7 / / |! ト、 ヾY{ | __
rL/ 〃 / / , ,! | |l f´ ̄`ヽ、}|!r'´ _|
{ | |l | //,イ j ,イ |l l | ll | ーヘ.⌒Y´ ̄7
V1 ---、、//_,ム-─---、_l___ll `く ̄`Y⌒ヽ /
/ _,二、ヽY´___ / / >、|l \/川 |l Y
∧_乙ニ)メ、し'l」」`ヽ|j. / / ヽ | 川 |l|
/` ー─‐!、」ft1 '´ fr:}\ |、{ \ノ ,リ !||
{ |l|l上j 上'__」\L二ァ Vノノ」┘
`ト----イ-1'' r' ""' `匸oハ ヽ:、
ヽ. l、 n ,ィ´了 ヽ 、 Yヽ、 ,.<⌒)
`ー- .」 > ..____,∠ソ / l |` i ノ`ト、\ ,.<\>'
|( 、_,.イ / レ'`ー一'" l| !、 くヽ ,.<.\>'
| `ー-、___,ノ / / __ _ __」Ll.」 ヽ\,.< \>'
| l| {{ ノ二「r─r‐┘_____ト、/ヽ \>'
ヽ ゙ー---ァ一'´ r==ミ-、゚。ヽY゙lヽ__,rく\ \\
`ー一くく丁了〕二ゞ(ルソ人゚ |.}_j_人 ヽヽ / \\
元旦でネタ作れねえかな
このスレが一番好きだ
>>834 グランバニアの新年か…初日の出を見に行ったりするのかな
チゾットの村とか。ルーラできないからたいへんだ。
保守
今年も終わりですねー。みんなーよいお年を!
来年こそ双子の年でありますように
レックス、タバサ
あけおめ!!!!
おまいらあけおめ
お年玉欲しい
・フローラ母の場合
レクタバ「お年玉(゚Д゚)ウマー 」
・ビアンカ母の場合
レクタバ「お年玉(´・ω・`)ショボーン」
846 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/01(日) 22:15:24 ID:eHyEl0tA0
前回までの粗筋
グランバニアの王子テンと王女ソラは行方不明になった両親を探すことにした。
世界中を周り、人助けをしながら両親の手掛かりを探していく。
途中ソラは魔法使いとしての腕を上げモンスター使いの才能に目覚める。
一方テンは世界を救うとされる伝説の勇者だった。
テンは勇者という運命を前にしてくじけそうになるが、みんなの力で立ち直る。
幸せは巡る
僕は勇者だった。世界を闇に包もうとする魔王は僕がなんとかしなければならない。
伝説の勇者は1人しかいない。だけど僕は1人じゃない。僕にはたくさんの仲間がいる。
みんなが僕を助けてくれるから僕もみんなを助けたい。
だから一刻も早くお父さんとお母さんを見つけ出すんだ!
「でも、お父さんとお母さんの手掛かりはまったくないの。」
張り切っているところにいきなりソラに水を差されてしまった。
「そんなことないさ。きっとどこかに手がかりはあるよ。」
僕はソラを元気付けるようにそう言った。
「テン様―! ソラ様―! ただいま戻りましたー!」
そう言いながらピピンが部屋に入ってきた。
「あれピピン。どこか行っていたの?」
「それはないですよー! わざわざテルパドールまで行ってきたのにー!」
「そうだったんだ。それで何か分かったことはあった?」
「すみません。何もありませんでした。なにしろ情報収集どころじゃなかったんですよ。」
「何かあったの?」
「女王であるアイシス様がご病気で大騒ぎだったんです。」
前に僕達がテルパドールに行ったときにもアイシス様には会えなかった。
もしかしたらそのときにはすでに体調が悪かったのかもしれない。
「でもおかしな病気なんですよ。眠れなくなる病気なんだそうです。」
それってかなり重い病気なんじゃないかな。
「アイシス様元気になって欲しいの。」
「何でも病気を治すには冬眠草という薬草が必要なんだそうです。」
「冬眠草なら聞いたことあるわよ。チゾットにあるの。」
「チゾットはここから南の山の上にある町だよ。」
と、コロマジとコロヒロが言った。
コロマジとコロヒロはソラが仲間にしたモンスターだ。
「早速チゾットに行きましょう!」
ソラは勢いよく言う。もちろん僕もそのつもりだ。
「チゾットは山の中の洞窟を通っていくんだ。」
コロヒロの言葉にソラの顔色が変わった。ソラは暗いところが苦手なのだ。
「大丈夫だよ。みんなで行けば恐くないさ。」
「その冒険俺もついていってやるぜ!」
いきなり誰かの声がした。どこかで聞いたことのある声だ。
「あー! 覆面パンツ!」
「ザイルだ! ザイル!」
そうだった。妖精の村の近くに住んでいるザイルだ。
「どうしてこんなところにいるの?」
「ポワン様が、伝説の勇者が見つかったから助太刀してやれ言うからさ。」
体よく追い出されたんじゃないだろうな。
「テン、お前が勇者だったんだな。それで親父さんとおふくろさんを探しているって?」
僕はその通りだと答えた。
「そういうことなら、親父さんが見つかるまでおいらを父親だと思ってくれていいぜ!」
気持ちはうれしいけどどう見てもお子様のザイルを父親と呼ぶには無理があるよね。
それにどこの世界にそんな格好をした勇者の父親がいるんだよ!
そんなわけで馬車にみんなを乗せてチゾットに向かう。
暗闇の中誰かが僕の手を握ってきた。
きっとソラが恐さのあまり掴んできたのだろう。僕は強く握り返した。
「おい、そんなに強く握ったら痛いだろう。」
ザイルの手だった。
「何でザイルが僕の手を掴むんだよ!」
「いや、迷子にならないようにな。保護者として。」
「それじゃソラはどこ?」
「さっき仲間にしたお化けキャンドルのアカリちゃんのそばにいるぜ。」
いつの間に。暗いからろうそくを手なずけるなんて、強くなったね、ソラ。
洞窟内で襲ってくるモンスターを倒しながら僕達はチゾットに到着した。
一番の難関はチゾット直前の長いつり橋だった。ソラは高いところも苦手なのだ。
「ここには私達の仲間のコロファとコロプリがいるわ。その2人を訪ねましょう。」
と、コロマジが言う。コロファイターとコロプリーストらしい。名前聞けば分かる。
「冬眠草か。あるにはあるけど取れるかどうか分からんぞ。」
と、コロファは言う。どうやらかなり危険な場所に生えているようだ。
「あの草はこの山の頂上付近に生えているのよ。取るには崖を登らなきゃならないわ。」
「それくらいなんてことないさ。がんばれよテン!」
と、ザイル。お前保護者じゃないのかよ! 子供を危険な目に合わせていいのか?
やあ、今僕は崖を登っているんだ。結局こうなるんだよね。
下ではソラやみんなが心配そうに見ている。
いや、見ていることだろう。恐くてとても下なんて見れない。
やっと崖の上に来た。そこには草が生えていた。僕はその草に手を伸ばす。
思ったより根が深くなかなか抜けない。僕は思いっきり力を込めて引っ張る。
冬眠草はあっけなく抜けた。それはそれは勢いよく抜けた。
その勢いによって僕の体は完全に崖から離れた。
……さて、ここは天国だろうか地獄だろうか。
「よ、目が覚めたようだな。」
ザイルが目の前にいた。どちらかと言えば地獄かな。
どうやらここは宿屋のようだ。
「思ったより元気そうだな。」
「あのさ、僕はどうして助かったの?」
「覚えてないのか。お前が崖から落ちそうになったときソラが助けたんだ。」
「ソラが? でも、どうやって?」
「突然巨大なドラゴンに変身してお前を受け止めたのさ。あれはドラゴラムだな。」
「まさか。ソラはまだそんな難しい魔法は使えないよ。」
「だが変身した。しかも普通ドラゴラムは目の前の敵を倒すだけで仲間を助けはしない。」
さっぱり分からない。ソラが使えるはずのない魔法でできるはずのないことをしたって?
「お前の危機で一時的にソラの魔力が上昇したのだろう。それはもう爆発的にな。」
そういえば前にもそんなことがあった気がする。
「しかし魔法の暴走は想像以上に堪えるようだな。ソラのほうはまだ目が覚めない。」
それを先に言えよ! 僕は急いでソラの元へと駆け出した。
ソラはベッドの上ですやすや眠っていた。
「また助けられちゃったね。」
僕はソラにそうつぶやく。
ソラが僕を支えてくれているように僕もソラの支えになりたい。
ソラが目を覚ましたので冬眠草を持って僕達はテルパドールへと向かった。
テルパドールの薬剤師さんは冬眠草を見ると大喜びですぐさま目覚め薬を調合する。
出来上がった薬を持ってさっそくアイシス様のところへ行こうとする。
途中、眠りを妨げ国を混乱させようとするとか言うモンスターが襲ってきたが瞬殺した。
アイシス様は薬を飲んでぐっすり眠った。原因不明の病気はこれで治ったようだ。
薬剤師さんはお礼に不思議な薬をくれた。動物の気持ちが分かるようになる薬だとか。
人の心を読むアイシス様の力が宿った薬だそうだが、これ飲んでも本当に大丈夫だよね?
などと僕が思っているとソラがその薬を飲んでしまった。ソラ、苦しくないかい。
僕達は今ラインハットに来ている。手掛かりが見つからずコリンズ君に相談しに来たのだ。
コリンズ君は僕達を歓迎してくれたがザイルの姿を見ると僕の耳元でそっと囁いた。
「友達は選んだほうがいいぞ、テン。」
忠告ありがとう。そんなことを言っているコリンズ君だけど早速ザイルを子分に勧誘する。
「友達は選んだほうがいいぞ、テン。」
今度はザイルが囁いた。ホントは2人ともとってもいい奴です。
「父上と母上は見つかったか?」
コリンズ君の質問に僕達は首を横に振る。
あれからずいぶん経つけど一向にお父さんもお母さんも見つからない。
「もしかしたらこのままずっと見つからないかもしれないの……」
ソラが今にも消えてしまいそうな声でそうつぶやく。
ここまで探して見つからないなんて、僕もそんな気がしてきた。
「そんなことないさ! きっと見つかるって!」
コリンズ君はそんな無責任なことを言う。
「でも、手掛かりすらないんだ。もしかしたら2人とももう……」
僕は思わず口にしてしまった。
バチン!
僕の頬に鈍い痛みが走る。
「お前がそんな弱気なこと言ってどうするんだよ!」
コリンズ君がぶったのだ。
「何するんだよ!」
僕はコリンズ君に襲い掛かった。
「止めて!」
「やらせてやれ。」
けんかを止めようとしたソラをザイルが制する。いや、止めてくれよ。
「何やってるんだお前達!」
騒ぎを聞きつけてヘンリーさんがやってきた。
「こんなところで喧嘩する奴があるか! 外でやれ外で!」
いや、止めてよ。
「すまん。俺が悪かった。」
コリンズ君が謝ってくる。ちょっとやりすぎたかな。
「……ただ、これだけは聞いてくれ。不安になってもいい、心配事なら俺が聞いてやる。
だがソラの前で弱音を吐くな。お前が気弱になるとソラはもっともっと沈んでしまう。」
その言葉に僕はぶたれた以上の衝撃を覚えた。
ソラの支えになりたいと思っていたのに僕がソラを不安にしてどうするんだよ!
「ご、ゴメンね……コリンズ君の言うとおりだ。」
僕は涙声でそう言った。
「泣きたいなら思いっきり泣け。今ならソラは見ていない。」
「あー! お兄ちゃんが泣いてる!」
心配してかソラが来てしまった。駄目だ、ソラに僕の涙は見せられない。
「お兄ちゃんをいじめないで!」
どうやらソラは僕がコリンズ君にやられてと思っているようだ。
これはもう止められないね。強力な攻撃魔法が飛んでくることだろう。
「ごめんねコリンズ君。ソラには後で説明するから……」
「ま、待て! 何故すでに説得を諦めているんだ?」
その声は爆発呪文の前でかき消された。
「ごめんなさいなのコリンズ君。」
「ま、まあ、いいってことよ。」
僕はコリンズ君にベホイミをかけている。
「おいおい、お前達そんなに暗い顔してると幸せが逃げちまうぞ。」
あんな目に遭っても笑顔でこう言ってのけるコリンズ君は立派だと思う。
「でも、こんな気持ちのときに明るくするって難しいよね。」
「それなら誰かに幸せを分けてもらえ。幸せな人のそばに行くとこっちも幸せになれる。
お前らは今までいろんな人を助けたんだろ。今度はお前達が助けてもらうんだ。」
そんなこと言ってもこのご時世に幸せな人なんているのかな。
「そういえばアンディさんとスーザンさんが結婚したらしいの。」
アンディさんたら意外とやるね。それじゃ結婚のお祝いに行って幸せを分けてもらおうか。
ソラのルーラであっという間にサラボナについた。
アンディさんとスーザンさんは僕達の訪問を歓迎してくれた。
2人ともとても幸せそうで見ているこっちまで幸せな気持ちになってくる。
「かわいい鳥さんがいるの。」
アンディさんたちは青い鳥を飼っていた。
「その子はね、クラリスからもらったの。結婚祝いだって。」
クラリスさんはスーザンさんの友達だ。
「でもこの子、怪我をしてるみたいなの。」
「以前僕達が遠出したときにモンスターに襲われてそのときに怪我をしたのです。
モンスターは追っ払うことができましたが深い傷を追ってしまいました。
助からないと思ったのですが幸い近くの村の人が親切に看病してくれました。
よそ者の僕達にも親切にしてくれる、いまどき珍しい村でしたね。」
と、アンディさん。その村はもしかしてカボチ村だろうか。
「ふふふ。よかったね。」
ソラは青い鳥に夢中だ。
「お、お兄ちゃん……」
笑顔でとりと戯れていたソラが泣きそうな顔をしている。鳥に何かされたのか?
「こ、この子……お父さんとお母さんのことを……知っているって……」
衝撃の告白に一瞬気が遠くなりそうになった。
いいことをすれば、それがめぐりめぐって自分のところに帰ってくるものよ。
どこかで聞いた誰かのセリフが僕の頭の中に周っていた。
――幸せは巡る 完
あけましておめでとうございます。
およそ1年ぶりなので覚えている人は少ないかもしれませんね。
何とか一話書きました。ようやく話が繋がったと言う感じです。
話を押し込んだので後2〜3回で終わらせることができそうです。
何とか今年中に完結できればよいのですけれど……
乙です!前回の話がシリアスでラストっぽかったから続きは無いかなーとは思ってたけど
以前のノリで続きがきて嬉しい
>それにどこの世界にそんな格好をした勇者の父親がいるんだよ!
オルテガ父さんのことかーーーーーーーーー!!!
GれあT
h
保守
ほ
864 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/09(月) 17:16:45 ID:MKKwimDe0
>>863 ここの住人とそこの住人明らかに被りすぎwwwww
また思い込み厨か。
王女だけ城に残して王子だけ旅に連れて行ったらサマルトリア気分
まあサマルトリアとの決定的違いは「強い」ということだが
でも、主人公と王女を生かしておいて王子を殺しておけば、
棺おけ要員でサマルトリア気分w
まさにロンドンブーツb
主人公を棺おけにすれば双子二人旅も可能。
てか双子のみ連れ出せないっけ?
ho
ほ
し
875 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/17(火) 23:51:37 ID:MS3ai4iZ0
ゅあげ
SS職人様期待age
次の萌えイベントのバレンタインに期待
今日はSS職人くるかな〜
イッヒャア━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!
もうすぐこのスレも1年かー
保守
スレ1周年記念age
王子と王女(スレ)誕生日おめ!
今日も保守
昨日に続き今日も保守
さらに昨日に続き保守
不思議のダンジョン、ヤンガスを無理に子供化するくらいなら王子を使ってくれたらいいのに
>>886 まったくそうだよな
DQV−2とかでればいいのに
さらにさらに保守
889 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/29(日) 18:43:42 ID:OHqNq3KIO
ウィッザティッサ!
890 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/30(月) 00:47:40 ID:BqeNbeN7O
前にこれやってた時
主人公の本当の名前はアベルで王子の名前はクリスって教えられた気がする。
王女の名前は何だっけ?
本当はテンとソラなの?
クーパー(男の子)とアニー(女の子)だった気がする。
PS2版だとレックス(兄)とタバサ(妹)かな。
クリスってゲームブックか何かの名前だったような気がします。
確か男の子がクリス、女の子がフィラ?
>>891あってる
76、224、387、430で涙した俺
親は美男美女で子供は双子の萌えキャラなんて
グランバニア家は最高だな
おまけに勇者の家系だ
895 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/31(火) 01:09:34 ID:4ZmmMWzQO
主人公(親)の本当の名前は何て言うの?
>>895 PS2版ではアベルだと思う
あとはトンヌラ、サトチー(SFC・PS2)
リュカ(小説)くらいかな?
そういえばこのスレってFF・DQ板の今あるスレのなかで
一番昔に立ったスレなのかな?
誰も来ないので900ゲット&保守
タイトルがふたなり物語に見えて激しく鬱
hosyu
h
o
905 :
既出かも?:2006/02/06(月) 21:23:13 ID:2BZ+OIue0
息子「おとうさん!妹を僕に下さい!」
父「…許さん!」
息子「僕達、真剣に愛しあってるんですっ!」
父「…!そんなっ私の可愛い子供達が禁断の愛に目覚めたあげく国を出て行くなんて!許せん!」
息子「いや、別に出るつもりは…」
父「そして長い放浪の旅に出た二人は砂漠で道に迷ったあげく賊に襲われ身ぐるみ剥がされHPもMPも尽き星空の下抱き合いながら堅く来世を誓おうだなんて絶対ダメだっ!」
息子「橋田の台本…?つか濁点くらいつけてよ」
父「そんな事になるくらいなら、いっそ私が…」
母「はいはい、頭冷やしましょうね〜メラゾーマ!」
息子「(冷えてないしっ!)」
母、父を引きずり退場。
娘「だから言うだけ無駄だって言ったのに…」
性格色々違っててすいません…双子とパパが大好きです。
906 :
既出かも?:2006/02/06(月) 21:42:02 ID:2BZ+OIue0
お詫びー切なくなくてすいません。4コマ劇場で育った身ではシリアスは無理でした…このスレの素敵職人様に敬礼っ!
イイヨイイヨー
こういうノリの劇場大好き。
でも濁点じゃなくて読点じゃ……。
908 :
798:2006/02/07(火) 20:37:43 ID:bfhmTkYU0
双子でないけどまた四コマネタが思いついた
905です。読点ですよね…すいません…メガザルして逝ってきます
>>908双子がまったくでないのならキャラ雑談スレとかでぜひ!
ほす
911 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/08(水) 23:03:06 ID:No7a9jEM0
age
双子保守
勝ち気で王子とコリンズ、二人まとめて面倒を見る姐御な王女(金髪)たんはいないのか。
914 :
908:2006/02/10(金) 02:51:32 ID:/2QcgJRP0
暇だから双子で四コマネタを考えてるか
期待sage
王女から王子へのチョコはあやしげな魔法のホレ薬が入ってそうだ
918 :
名無しより愛をこめて:2006/02/14(火) 17:41:57 ID:TuNuHRYc0
>>887 DQWトルネコ
DQYテリー
DQZキーファ
DQ[ヤンガス
てっW以降のDQシリーズは外伝ものが出てるのになんでXだけ・・・・
なんか差別されているような気分にさせられる・・・・
>>918 トルネコ以外は、本編前の子供時代だからなあ。
5は本編で主人公の子供時代があるし・・・・
5外伝作るなら、双子主人公で天空物語時代か本編後かな。
前者は漫画があるのが障害かもしれんし、本編後の外伝というのも双子が強すぎるし。
ミステリーで双子がでたら入れ替わりが起きる
最近では一卵性双生児のDNAが同じであることを利用したトリックもある
ここの双子は性別が違うので入れ替わりはできないしDNAも違う
残り18KBだし、そろそろ次スレの事も考えるべき時期かな?
んー、良いんだけど、SSスレと銘打ってあった方が
SSの投稿はしやすいかな。
>>919 年頃になった二人の話
設定 グランバニア 王の空位時代に象徴君主制に移行、王族が国を抜けても儀式
、式典で困るぐらいで政治的影響は無いに等しい。
スタートはレベル1から
恋愛要素有り(双子同士のヤバイ関係から、妖精と人間の禁じられた愛、旅先の出
会い・某国の幼なじみとの健全な関係など、攻略によっては同性との・・・)
話の流れ アベル(デフォ)王が何者かに呪いを掛けられ幼児化する。その呪いの
影響でレックス(デフォ)王子、タバサ(デフォ)王女もレベル1になる。二人は
父の呪いを解くため、呪いを掛けた者の意図を探るため旅立つ。
>>923 それは慣れの問題じゃないかな。
アグリアス萌えスレなんかはドカドカSSが投下されてるし。
強いて言えばここまでの伝統がこのスレで終わっちゃうのと、
双子萌えスレに粘着&荒らし誘導する糞コテが居た、っていうのが問題かな?
つーか双子萌えスレまたdat落ちしてるじゃん……。
これは本格的に統合の機会かもね。
>>928 その通り。
次スレのタイトルどうする?
>>925 アグスレは一つの理想だな、あそこの萌え力は底無しだ
>>931 それでいいと思います。
いまスレ立てようと思ったけど落ちそうなので今度にします。
双子萌えスれは落ちてるからテンプレから外そう
リレー小説はどうする?
続けるならテンプレにトリップとあらすじが必要だな
リレーもこんがらがってきたしとりあえず今のリレーはこのスレで完結させて
次スレでまた最初からでどうだろう。
>>924 幼児化するならいっそ幼年主人公と
幼年王子たちでパーティ組んだ方が子ども受けしそう。
捕手
体は子供、頭脳は大人!
939 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/22(水) 06:40:08 ID:s8Gzi8PIO
轡
リレー小説のまとめってどこぐらいだっけ?リレーを完結させとく?
久しぶりにがんがるけど。
>>941 一回締めたほうが良いだろうなぁ。俺は序盤何回か書いただけだから
任せるよ。
リレー小説、一番最後のものは
>>790 簡単な今までのあらすじ
ピエールが実は女の子でレックスのことが好きだったりで
タバサとラヴコメというか修羅場って
レックスはポートセルミに離脱して占いババに占ってもらうことに
次の方は名前欄に↓を、ただいま完結ご自由にモードです
[45]#@j$PJYpV
>>944 そんなやつは無視して次スレのこと考えよう。
ほ
最近DQ5やって双子大スキーになった俺が来ましたよ。
会話システムは偉大だな・・・はぁ。
何も無い場所ではなすを2回押すだけ、という気軽さもポイントだった。
DQ9では、この仕様を復活して欲しいなー。
会話とかも含めてドラクエはやっぱり3D進化より2Dのままの方がいい
そろそろ次スレ誰かよろ
双子かわいくて大好きですが、行き過ぎた関係はあまり好きではないです。小説ではコリンズと婚約したらしいと最後にあるけれど
)ヽ.〃二.、.⊆⊇.
. love )ノ;>O<,' ==、ヽ
;.'^彡ン(,.^ヮ〈ノハヾ、i.l
私たち 純真無垢の小説版カプテンテット+ ノ,リノji"'(につ从ー^.iフ!i
いろいろクレームもあると思いますけど、 〈仁〉=0=iJ⊂)゙ノリ +
とにかくラブラブさせていただいてまーす! Lヽ__.ゞ i.__ゞ
.  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄+ .し'ノ ヾヽ.) love
love ._ _., '  ̄!`ヽ ._ _. , - ー 、 + _ ._ !\!\. ,'  ̄ ミ、
,. -― 、.,-―.'、 , '´.,_丞 |-〔(、X,)〕 /〃^rヽ. 〃;:三三ミ .〃.,.、i,.ミ;.ゝ∧へヘ. / ノ(ヾリ /´ ̄、>
!{X}i!ii'iiii ノ从リ〉 i /ノノノ)0)」 ゚.ー゚ノ! .i川ノK⌒ヾ!イW(~,ノリ i川ーv-ヘヾ /,~リヾ ノ川`ヮ从 〈,.=;= 、 i
ヾ(!゚ヮ゚ノリ`-´ノ! .ノゞ(!*’- K"`ー':フ、 .!川l,ソ'⌒リi゙w(*゚ -゚ノ'' |i.リ^.ー゚ノiσ)^ヮ゚ノ ノリ/K_X_) i(´ヮ`*i_ノ
/゙j巫ゞ<i坐i> ((ソ(ミゞづU!=ロ曰J 川l∩*^ヮノ!ムモ壬ヨ} lリ.)`V゙)ノ〔にづフつ じ〉=viJ と[.!∀__!,ゞ
.ん';_;_,ゝ/トT」ゝ ゙ゝ/ ; .ノ L___,! + /゙ヾ)二)つU曰÷!Jノ(ノヽ ,イ 〉==@i. く/-/┤ゝ l_Å_∪ love
ん、;___,ゝ |-/|-l ムvく/__ゝ 〈_!__j_,ゝ. + > )ノ .〈,リメンゝ し'`J じ.し'
+  ̄. ̄ し'ノ |-/|-| (ノノ |=/=/ +
love  ̄  ̄ .  ̄. ̄
>>951 左から 王女、コリンズ ムーン、ローレ(小説名忘れた) バーバラ、テリー
ミレーユ、ボッツ アイラ、アルス 上がソロ、シンシアかな?
保守
>>952 ボッツというよりイザだな
あとローレの名前はアレン
絵掲の王女たんエロス。
そういえばまとめサイトの人どうしたんだろ?
どこの絵掲?
959 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/02(木) 21:13:25 ID:8d2kh/YWO
天空物語ってマンガ全部読んだけどなんかすごい鬱になった
さてひな祭りなわけだが。
961 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/03(金) 17:32:21 ID:mQnblHqkO
保守
962 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/03(金) 20:41:09 ID:geGyTikiO
抑止
保守
964 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/04(土) 14:23:37 ID:q5sKxB5hO
職人さんいないな〜
職人が居ないなら自分が職人になれば良いじゃない(マリー
>965才能が・・・
才能なんてものは単なる目安さ
後は勇気とガッツで補えばいい
久々にパピコ
何か書きたいですねー。時期的に春もの?ホワイトデイもの?
>>968 何でもいいのでお願いします!!!!!!!!!!
>>968 ネタに餓えてますからねぇ。
少し過ぎましたがお雛様辺りなんてどうでしょう?
年齢的にもしっくりきますしー。