逃げちゃダメだ
2 ならアタシとセックスするのよ!
2 なら競泳水着姿のアタシとセックスするのよ!
2 ならメイドさん姿のアタシとセックスするのよ!
2 なら秘書スーツ姿のアタシとセックスするのよ!
2 ならブルマー姿のアタシとセックスするのよ!
2 ならスクール水着姿のアタシとセックスするのよ!
2 なら春麗のコスプレをしたアタシとセックスするのよ!
2 ならバニーのコスプレをしたアタシとセックスするのよ!
2 ならハイレグレオタード姿のアタシとセックスするのよ!
2 ならDOAのティナのコスプレをしたアタシとセックスするのよ!
2 ならミスアメリカのコスプレをしたアタシとセックスするのよ!
2 ならセーラ服のコスプレをしたアタシとセックスするのよ!
2 ならけっこう仮面のコスプレをしたアタシとセックスするのよ!
2 ならミニスカポリスのコスプレをしたアタシとセックスするのよ!
2 ならスチュワーデスのコスプレをしたアタシとセックスするのよ!
2 ならキュティーハニーのコスプレをしたアタシとセックスするのよ!
2 ならモリガンのコスプレをしたアタシとアナルセックスするのよ!
2 なら不知火舞のコスプレをしたアタシがシンジの乳首を弄りながらフェラしてあげるわ!
2 なら天王はるかのコスプレしたアタシがディープキスをしながら手コキしてあげるわ!
2 なら攻殻機動隊の草薙素子のコスプレをしたアタシが淫言を言いながらシンジの前でバイブオナニーしてあげるわ!
2 なら美墨なぎさのコスプレをしたアタシが生姦&膣内射精させてあげるわ!
2 ならヴァリスの優子のコスプレをしたアタシが立ちバックでセックスするのよ!
2 ならランブルローズXXの紅影のコスプレをした危険日のアタシと種付けセックスするのよ!
2 ならフェイト・テスタロッサのコスプレをしたアタシと触手プレイするのよ!
もちろん顔射、精飲、膣内射精、直腸内射精なんでもありよ!
2 ならアタシが結婚してしてあげて、四六時中、淫猥なセックスでシンジに御奉仕してあげるわ!
そしてシンジの遺伝子をアタシが孕んであげるわ!
※無効化したら殺すわよ!
最初皆に馬鹿にされるが、シンジが更にEVA初号機を召喚!
ギーシュとは決闘にはならなさそう
シンジが謝って終了
綾波もいるジャン!
ハヤテで出てたルイズの格好したナギがかわいかった
まぁ間違いなく
タバサは綾波のポジションだなw
八巻までは持ってたけど売ってしまった
でも結構楽しめた気はする、著者の妄想がいっぱいあってw
いいい犬のくせに…!
ルイズ=アスカ
タバサ=レイ
キュルケ=ミサト
シエスタ=マナ
ジュリオ=カヲル
11 :
NHK ◆l/Eo//L.R. :2007/06/11(月) 21:37:34 ID:DfThHyxk
無理があるだろ
http://up.mugitya.com/img/Lv.1_up16663.jpg 1巻 使い魔の癖にナマイキ!
2巻 親同士が決めた結婚。幼い日の約束。でも、何かがひっかかる…
3巻 ご主人様を蔑ろにして、メイドに手を出すなんて最低!キキキ、キスしたくせに!!
4巻 わたしにも(キスマークを)つけて。つけてくんないと、ねむらないんだから
5巻 初めてのデートなのに、エスコートしないわ、眠っちゃうわで最低ね!でも、あのメイドがいないから幸せ…
6巻 あんたの忠誠に報いるところが必要ね!ごご、ご主人様の体、一箇所だけ、好きなとこ、ささ、触ってもいいわ!
7巻 これなら押し倒してくれるよね?きょきょきょ、きょ、今日はあなたがご主人様にゃんっ!
8巻 キスして!私にも舌を入れて!誰と浮気してもいいからそばに居て!!
9巻 あんたなんかだいっきらい!死んじゃえばいいんだわ!姫さまもあんたもだいっきらい
10巻 やっぱりこいつは、わたしのドレイね。なんていうの、恋の奉仕者ね。
11巻 わたし、無敵なんだから。色気プラスで、使い魔いちころなんだから ←いまここ
戦闘スキルは低いが家事スキルは高い。
シンジならパンツのゴムを切ったりしないだろうな
ルイズのパンツでオナニーすることはあるかもしれんが
>>13 訓練したら普通に戦闘もこなせそうではある
才人って幾つ?
ガンダールグってエヴァンゲリオンは扱えるのかなあ
20 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/06/12(火) 08:34:45 ID:PtiZXQrB
ガンダールヴの力とかの前に初号機の内蔵電源がすぐなくなるんじゃね?
>>18 Wikipedia見たら17才の高校生って書いてあったけど、もうちょい下かと思ってた
あと虹創作の読みすぎでシンジの精神年齢はかなり高くなってるな、俺の中で
22 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/06/12(火) 23:50:00 ID:auV1CM8y
職人期待age
>>20 そこはあの禿げ先生がなんとか
そのハゲ先生に電気が何たるかをまず教え込まにゃならん
頭の悪いシンジにそれが出来るかどうか
学者である両親の血が目覚めるから無問題
マッドサイエンティストシンジ
ガンダールヴの力でエヴァにさわれば
電気のしくみくらい理解できるんじゃねーの
でもまぁ内蔵電源くらいコルベールならなんとかしてくれそうだな
別に頭悪くなくね?
>>12のリンク先に書かれている才人と同じ目に遭わされると思うと、とんだ災難だなシンジも。
二次創作小説などではアスカに似たような事をやられていたりもするが・・・。
>28
悪くないよ。むしろ本来成績ヨイという説もある。
説と言うか、人物紹介や漫画やエヴァ2では優等生だと
第三新東京市に来る前の中学じゃ頭良かったんじゃなかったっけ?
3バカトリオの3バカを文字通り受け取ってしまったのかな。
奇 Epilogue
跡
の価値は
新たに襲来した使途の展開する虚数空間、通称【ギャラックの海】。
慢心と油断が災いし、初号機と共にシンジがそれに囚われてから、すでに15時間が過ぎようとしていた。
初号機の内蔵電源が有する電力を全てをパイロットの生命維持装置のみに回すも、枯渇はもうすんでのとこまで迫っている。LCL浄化機能すら、そのスペックを完全に発揮出来ない状況に陥っていた。
LCLの腐敗が進行するのと比例して、初号機パイロット碇シンジの混乱は加速していった。
「これは、血の匂い…!?」
完全にパニックに陥った碇シンジは、エントリープラグ開閉ハンドルを強引に廻そうとしたが、初号機側から完全にロックされた状況である。
そのことが、ますます彼のパニックを増長させた。拳の痛みを気にすることなく、ひたすら、エントリープラグの内壁に両腕を叩き続け、そして、絶叫し続けた。
「いやだ!いやだ!ここはいやだ!誰か、助けて!綾波!アスカ!ミサトさん!リツコさん!誰か!誰か助けてよ!」
初号機の内蔵電源及び碇シンジの精神は限界に達しようとしている。
もはや、彼と【彼女】の魂は嵐を前にした燭に過ぎない。
彼等を救い得るのは【彼女】に用意された【奇跡】だけだった。いや、それは必然と呼んだ方が相応しいのかも知れない。
しかし、その危機的状況から彼等を救ったのは、それとは別の【奇跡】だった。
ギャラックの海よりも白くまばゆいばかりの閃光が、初号機を包み込むと、まるで溶けるかのように、その空間から忽然と姿を消したのだ。
その【奇跡】の名は、
−コントラント・サーヴァント。
見 第壱話
し
ら
ぬ天井
へ続く
べるぎーわっふるわっふる
36 :
修正:2007/06/14(木) 18:07:26 ID:???
奇 Epilogue
跡
の価値は
新たに襲来した使途の展開する虚数空間、通称【ギャラックの海】。
慢心と油断が災いし、初号機と共にシンジがそれに囚われてから、すでに15時間が過ぎようとしていた。
初号機の内蔵電源が有する電力をパイロットの生命維持装置のみに回し、エネルギー消費量を極限まで抑えてはいたが、枯渇はもうすんでのとこまで迫っている。
LCL浄化機能すら、そのスペックを完全に発揮出来ない状況に陥っていた。その為、LCLの汚染が始まり、本来の透明度は失われていった。
LCLの腐敗が進行するのと比例して、初号機パイロット碇シンジの混乱は加速していった。
「これは、血の匂い…!?」
完全にパニックに陥った碇シンジは、エントリープラグ開閉ハンドルを強引に廻そうとしたが、初号機側から完全にロックされた状況である。
そのことが、ますます彼のパニックを増長させた。拳の痛みを気にすることなく、ひたすら、エントリープラグの内壁に両腕を叩き続け、そして、絶叫し続けた。
「いやだ!いやだ!ここはいやだ!誰か、助けて!綾波!アスカ!ミサトさん!リツコさん!誰か!誰か助けてよ…!」
初号機の内蔵電源及び碇シンジの精神は限界に達しようとしている。
もはや、彼と【彼女】の魂は嵐を前にした燭に過ぎない。
彼等を救い得るのは【彼女】に用意された【奇跡】だけだった。いや、それは必然と呼んだ方が相応しいのかも知れない。
しかし、その危機的状況から彼等を救ったのは、それとは別の【奇跡】だった。
ギャラックの海よりも白くまばゆいばかりの閃光が、初号機を包み込むと、まるで砂糖をお湯に溶かすかのように、その空間から忽然と消し去ったのだ。
その【奇跡】の名は、
−コントラント・サーヴァント。
見 第壱話
し
ら
ぬ天井
へ続く
期待してるよ
初号機ごとかよw
これは期待せざるを得ない
40 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/06/15(金) 14:11:11 ID:SjhQWd9d
ギャラックじゃなくてディラックじゃなかったか?
適当に読み飛ばしてたから気付かなかったぜ
42 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/06/15(金) 15:53:07 ID:ZiwZTyOJ
ギャリック砲とディラックの海が脳内で混じりあってしまったみたいorz
ギャリック砲吹いたw
キャディラックと間違えたんじゃなかったのか・・・
45 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/06/16(土) 21:46:13 ID:ViNkOjSs
見 第壱話
し
ら
ぬ天井
ハルゲキニア地方特有の朗らかな西南風が吹き抜け、人々に心地良い草花の香りを届けてくれる。
それが、普段のトリステイン王国立トリステイン学園の姿だ。
しかし、今日ばかりは少し様子が違う。
今、トリステイン学園を包んでいるのは不快な血生臭い匂いだった。
その原因を作り出した人物の横にいた青髪の少女−−タバサは顔色一つ変えずに、口を開いた。
「使い魔、どれにするの?」
「どれって言われても…」
【原因】である赤髪の少女は、タバサの問いに上の空のまま答えた。
今、彼女等の前には、三つの物体が、転がっている。
一つは、身の丈20メイルはあろうかという巨躯。俯せのまま、微動だにしない。一応、人の形を為してはいるが、頭部から角の様なものが生え、おまけに、躯全体が紫色の見るからに硬そうな甲殻に覆われている。
まるで、オーガ(鬼)だ。
もう一つは、その鬼の、人で言うなら頚椎と思われる部分から噴き出した【空飛ぶ棺桶】。
【空飛ぶ】とは、比喩でもなんでもない。実際に飛んだのだから、始末が悪いのだ。蒼炎を撒き散らしながら飛行し、最終的には、行き先を見失ったかのように、地面に突き刺さった。
そして、最後の一つが、その棺桶から、血生臭い黄色の液体と共に流れ落ちた少年だ。体のラインがわかるほどのタイトな青い衣を纏い、その髪には奇妙な装飾が施されている。
まあ、息をしてないので、正確には【少年の遺体】と言うべきだろう。
続きは明日。住人も少ないようだし、少しずつ更新していきます。
シンジ死んでる・・・
つづき、期待してますぜ
普通に考えて初号機と契約か。
シンジは学校の制服がいい
なんでシンジ死んじまってんだよwww
え!キュルケ!?
赤髪ってキュルケだよな?
桃色
こういうのテンション下がるよね
騒然とした雰囲気の中、淡々と流れる時間が、桃色髪の少女−−ルイズの平静を取り戻した。
「あの、コルベール先生。出来れば、召喚をやり直したいんですけど…」
サモン・サーヴァントの行く末を見守っていた教師に、ルイズはすがるように懇願した。
「ミス・ヴァリエール。サモン・サーヴァントで呼びだした使い魔とは、必ずコントラクト・サーヴァントを行わなければならない。これは決まりなんだ。いや、しかし、三体もいるとなると…」
コルベールと呼ばれた教師は思わず首をかしげた。
一度のサモン・サーヴァントで召喚される使い魔は、通常、一体だけのはずで、三体も同時に出現するなどと言うことは有り得ない。
彼は今日に至るまで、サモン・サーヴァントに関する文献を数え切れないほど読んできたが、こんな例外はどこにも載ってなかった。
つまり、前代未聞だ。
しかし、困ったことに、目の前には前代未聞が転がりすぎている。
まず、少年の亡きがら。奇抜な服装はともかく、どこからどうみても人間だ。サモン・サーヴァントで人間が召喚されたことなど、今までに一度もない。
そして、空飛ぶ棺桶。
そもそもこいつは生命体なのだろうか。
極めつけは、巨大なオーガの様なもの。おそらく亜人種なのだろうが、こんなやつは見たことも聞いたこともない。
大体、コントラクト・サーヴァントを行使できる対象は一体限りである。
すぐに答えを導き出せるような状況ではないことを察知したコールベールは、今の段階で最善と思われる指示をルイズに下した。
「ミス・ヴァリエール。この三体の中から、君の使い魔とする者を選びなさい」
しかしながら、その言葉も、先ほどのルイズに対するタバサの問いと、なんら変わりはなかった。
つまり、事態も変わらずというわけである。
冗談じゃない。
死体に棺桶に鬼。
その内のどれであろうと、キスなんかできるもんか。
コントラクト・サーヴァント−−使い魔との主従契約を結ぶには、主人となる自身と使い魔となる対象との間に交わされるキスが必要なのである。
だからと言って、こんな奴らに、生涯一度きりのファースト・キスを捧げてしまったら、一生もののトラウマになるのは間違いない。
棺桶に至っては、唇に当たる部分ががどこにあるかもわからないのだ。まさか、少年の遺体を吐き出したあそこではあるまいな。
と、いった具合の全くもって建設的ではない思考をルイズが行っていると、タバサが何かに気付いたようで、はっと目を見開いた。
「あの子、生きてる」
wktkwktk
「へ?」
ルイズの間抜けな反応を無視し、少年の遺体を指差しながら、タバサは言葉を続けた。
「ルイズ。人口呼吸」
コルベールも事態を察したようで、すぐさま、ルイズを促した。
「ミス・ヴァリエール、心臓マッサージと回復魔法は私が行うから、君は人口呼吸を」
「え?私?」
「貴方の使い魔」
タバサは、事態の飲み込めないルイズを突き放すように、冷たく言い放った。
数分後、ルイズとコルベールの文字通り献身的な蘇生活動により(ルイズは最後の最後まで人口呼吸を拒んだ末、最終的には捨て身の覚悟で行った)、少年は意識こそ取り戻してはいないが、なんとか息だけは吹き返した。
結局、この事柄が決め手となり、ルイズはその少年を使い魔にしたのだった。
ルイズいわく。
−−もう、キスしちゃったんだから、一度も二度も変わんないわよ!!
(白と黒の)月がふたつ消えない空
リリスの月と普通の月?
シンジが異世界に召喚されてから、一週間が過ぎた。
つまり、強制的にルイズの使い魔にされてから一週間が過ぎたということだ。
シンジが、トリステイン魔法学園の常識、風習、風俗にようやく順応し始めたと実感した矢先に、事件は起きた。
「すまんな、平民。僕はお前を殴らなくてはならない。殴らなくては…、気が済まないんだ…!」
金髪碧眼の少年−−ギーシュは、シンジの左頬を力いっぱい殴打した後(のち)、たまらず尻餅を着いたシンジを、見下すようにそう言い放った。
それは、もっともらしいと言えば、非常にもっともらしい言葉だったし、理不尽と言えば、非常に理不尽な言葉だった。
要するに、貴族の理屈なのだ。
この世界では、それまでシンジが生活していた環境には有り得ない常識が跋扈している。
端的に言えば、この世界には、所謂、魔法を扱う人間が存在するのだ。彼等は空を飛んだり、石ころを金に変えたりといった事をいとも簡単にやってのける。まるで、人が単に歩行するかの様に。
しかしながら、この世界においても、魔法を扱えるのは人間は極少数のようだ。
そのせいか、魔法を扱う人間を貴族と呼び、それ以外の人間を平民と呼ぶ。それが、トリステインの慣わしだ。
つまり、この世界においては、シンジもただの平民に過ぎないのだ。
【第三適合者】といった素養は全く役にたたないの世界なのである。
ギーシュ=トウジか
OPだろ、常考
66 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/06/17(日) 20:05:40 ID:X1YTTWEa
OPてなに?
いちいち上げんなよゆとりが
展開、わりと端折ったな
テラトウジwwwwwwwwwwww
ギーシュ自重しろww
それでも・・・それでもユイママンなら何とかしてくれる・・・
ギーシュはと言うと、ここトリステイン魔法学院の生徒、−−つまり、魔法を扱う貴族である。
ちなみに、事件の発端をかい摘まむとこうだ。
シンジが、トリステイン魔法学院内にある【アルヴィースの食堂】の床に座り込み、いつも通りの粗末な朝食をもそもそと頂いていると、ルイズの二つ隣の席に座る青年のポケットから、硝子でできた小瓶が床に落ちたことに気付いた。
単なる好意のつもりで、シンジはギーシュに言った。
「あの、何か落ちましたよ…」
しかし、ギーシュは振り向かない。気付いてないのだろうか。
仕方なく、シンジは小鬢を拾いあげ、ギーシュに差し出した。
「落とし物です」
しかし、ギーシュは苦々しげに、シンジを見つめると、その小瓶を押しやった。
「これはぼくのじゃない。君は何を言ってるんだ」
シンジは困惑した。今、彼が握っている小瓶はギーシュが落としたものに違いない。なぜ、ここまでかたくなに否定するのだろうか。
ギーシュの斜め向かいに座っていた青年が、その小瓶を凝視すると、どこか嬉し気に口を開いた。
「それは、【香水のモンモランシー】の香水じゃないか。そうか、ギーシュ。君は今、モンモランシーと付き合っているんだね」
「ち、違う。君まで、妙なことを…」
ギーシュが何か言いかけた時、後ろのテーブルに座っていた少女が立ち上がった。理由はわからないが、ほろほろと涙を流している。
「ギーシュ様、やはり、ミス・モンモランシーと…」
「ケティ、違うんだ。誤解だよ」
事情はよく飲み込めないが、誤解でもなんでもなかったらしく、一分後には、ケティと呼ばれた少女からは平手打ちを喰らった上、騒ぎを聞き付けた例の【香水のモンモランシー】からは、瓶に入ったワインを頭上からぶちまけられられた哀れなギーシュの姿があった。
要するに、この男、二股をかけていたのだ。
常識的に考えて、ギーシュの自業自得に過ぎないのだが、貴族である彼からすれば、【平民ごときが余計な事をしたせいで】という理屈になるわけだ。
そんなこんなで、シンジは、右拳と言う強烈なプレゼントを、ギーシュもらう結果になってしまったのだ。
いきなり殴らんだろ…貴族的に考えて…
ラノべ脳乙。歴史を知らんのか?殴るくらいなら生易しいもんだろ。
俺だったら切り捨て御免ですが何か?
まぁ二股なんて夢のまた夢だけどな・・・
なんだかんだでアスカ惚れさせたシンジならアスカと似たキャラのルイズは
余裕だろ
何故って訊かれたら、原作でそう書かれてるからとしか…
拳一発だけならまだいいだろ
ゼロ魔原作じゃフルボッコだぜ?
某奇妙なスレでみた限りじゃ、殴らないでいちゃもんつけて決闘→フルボッコな感じだったけど、原作では、殴る→いちゃもん→決闘→フルボッコなの?
>>77 むしろ、ラノベに登場する貴族ってろくな奴がいない希ガス
82 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/06/19(火) 14:09:29 ID:cr24+yVE
>>80 原作じゃ殴らないよ
いちゃもん→決闘
みたいな感じ
あげてしまいました
すいません
「あの、すいませんでした…」
謝るシンジの姿には目もくれず、ふんっと軽く鼻をならし、ギーシュはその場から立ち去ろうとした。
一言の謝罪で事態の収拾がつき、シンジがほっと胸を撫で下ろしたその矢先、派手な音を立てながら腰を上げたルイズが、ギーシュを呼び止めた。
「ちょっと待ちなさいよ。人の使い魔を殴っときながら、その主人に謝罪の一言もないの?」
「何を言ってるんだい、ルイズ?悪いのは躾のなってないその平民だろ」
「たいした甲斐性もないくせに二股かけてたあんたが悪いに決まってるでしょうが!」
ルイズが核心をつくと、周りの生徒にわかに沸き始め、笑い声が飛んだ。
「そうだ、ギーシュ。君が悪いぞ」
「二股はいかんよ、二股は」
中には面白おかく勝手な野次を飛ばす生徒もいる。
ギーシュの顔が紅潮した。
「ルイズ。あまり、僕を怒らせない方がいい」
「だったら、どうだって言うのよ。あんたが謝罪するまで一歩も引かないんだからね」
「僕だって、理不尽な謝罪をする気は全くない」
ルイズの肩が小刻みに震え始めた。まだ、一週間という短い付き合いではあるものの、シンジは、ルイズのその癖を良く知っている。ルイズは今、堪え難い怒りに襲われているのだ。
「あんたがそういう態度なら、こっちにだって考えがあるわ!」
「どうするんだい?」
「決闘よ!」
ギーシュは下卑た笑みを浮かべた。
「ゼロのルイズ。ついに頭の中までゼロになってしまったのかい?貴族同士の決闘は禁忌だ。そんなことは平民の子供でも知ってるよ」
「あんたばかぁ?」
ギーシュが訝しげな顔をしたのを確認した後、ルイズは勝ち誇ったように続けた。
「いつ、どこで、なんとき、私が闘うなんて言ったのよ?あんたの相手は、このシンジよ!!」
なるほど。
事態が自分の手を離れた上、とんでもない方向に進んでることに気付き、シンジは思わず涙を零しそうになった。
このギーシュ…安いヤツに思えてきた
ギーシュってこんなもんじゃね?
シンジが初号機使えばいいんじゃね?
節子!これアスカやないか!
「シンジは平民。あなたは貴族。貴族と平民の決闘は、誰も禁止してないわ」
どうやら、貴族という連中は理不尽な理屈が大好きなようだ。
知ったところで、どうしようもない事柄を学んだシンジはしみじみと自分の不運を呪った。
その後、ギーシュとルイズの話し合いによって、決闘は翌日の午後3時、【ヴェストリの広場】にて行われることが取り決められた。
もちろん、それはシンジの承諾無しにである。
その晩、ルイズの寝室にて、決闘の対策会議が設けられたのだが、それは小田原評定としか、例えられないような粗末な内容だった。
「で、あんたの特技ってなんなの?」
「えっと、しいて言うなら料理とか…」
シンジが恥ずかしげに口を開くと、ルイズの肩が震えた。
「あんたばかぁ?どうしたら、炊事が決闘の役に立つっていうのよ。ほら、ないの剣が得意とか。槍が得意だとか」
「すいません…、使ったこともないです」
「火を吹くとか、一陣の風を巻き起こすとか、出来ないわけ?」
貴族の使役する使い魔の中には、そういうことを事もなげにやってみせる生物は確かにいた。事際、この世界に来てからというもの、何度かお目にかかっている。例えば、サラマンダーとか、ドラゴンとかだ。
だからといって、シンジにそれを要求するのはいくらなんでも無茶だ。しかし、ルイズもそれくらいのことはわかっていた。
つまり、皮肉を言ったのだ。
いまさら…? 一週間なにやってたんだ?
「すいません…」
「呆れた。あんた、本当に何にも出来ないのね」
「すいません…」
「そうやって、すぐに謝る。あんたね、人に気を使ってりゃいいってだけの立場じゃないのよ。使い魔は、ご主人様の為に体を張って、時には命をかけて、働かなくちゃいけないの!」
ルイズはそこまで、まくし立てると大きく息を吸い込み、さらに言葉を続けた。
「それなのに、なによ!あんた、何にも出来ないじゃない!みんなを見返してやろうと、頑張ってサモン・サーヴァントをやったのに、何であんたみたいな役立たずが来たのよ!!あんたのせいで私の面目、まる潰れよ!!!」
最後の言葉は、悲鳴に近かった。
気が付けば、シンジは、床に正座したまま俯いている。
「…何か言いなさいよ」
「すいません…」
シンジの言葉は、不自然なまでに震えていた。涙を流す一歩手前と言った雰囲気が漂っている。
ルイズは、そこにきて、ようやく、自分が言い過ぎていたことに気が付いた。
シンジはルイズより、三つも年下なのだ。
まだ、14歳になったばかりの多感な少年が、家族や友達から引き離され、一人ぼっちで貴族の奉公。おまけに、右も左もわからない世界で、唯一、頼れるはずのご主人様からは、突き放されるような怒号の数々。
これはきつい。
非常にきつい。
救いようがないとは、こういう有様を指すのではなかろうか。
「ごめんなさい…、言い過ぎた。本当にごめん…」
「いいんです。何もできないのは本当のことですから」
シンジの痛々しい笑顔がルイズの心を強く握りしめ、バツの悪くなった彼女は、逃げるように布団に寝転がると、気怠そうに呟いた。
「もう寝ましょ。なんか、疲れた」
「え、でも…?」
「作戦会議はもう終わり。明日は適当に戦って、適当に負けなさい」
「でも、それじゃ…」
「いーの、いーの。よくよく考えたら、潰れる程の面目、私には残ってないもの。だから、危ないと思ったら、すぐに降参するのよ、わかったわね?」
ルイズの口調は、先程とはうって変わって、とても優しいものだった。
シンジは、なんとなしにルイズを見つめる。
あらためて、ルイズは美人だと実感した。
桃色がかったブロンドの髪。宝石のような鳶色の瞳。抜けるような白い肌。高貴さを感じさせる造りのいい鼻…。
通常なばら、その容姿を武器に、クラス中の人気を博してもおかしくはない。
しかし、現実のルイズはクラスメートのほぼ全員から、見下されていた。
その理由は、ルイズの実力に由来する。
ルイズは、魔法を扱えるはずの貴族でありながら、シンジが知る限りでは、まともに魔法を扱ったためしが全くがない。
つまり、彼女の魔法成功確率は0%だ。
彼女の二つ名である【ゼロのルイズ】は、そこに由来するものだった。なので、蔑称と呼んだ方が正しいのかも知れない。
「明かり…、消すね…」
ルイズの言葉が、考え事に耽っていたシンジの正気を取り戻した。
「はい、おやすみなさい…」
シンジは答えながら、文字通り自分の寝床である床に寝そべった。
「おやすみ…」
ルイズが蝋燭の炎を消すと、辺りを暗闇が包んだ。
シンジは再びルイズに目を向ける。
他人からの侮蔑の視線。
嘲笑。
疎外。
それは、他の何よりも心をえぐる。
シンジはそれを良く知っていた。
たぶん、ルイズは必死なのだ。
人に認められたくて。
人に褒められたくて。
この人は、ぼくに似ているのかもしれない…。
ルイズが寝静まったのを確認した後、シンジは、彼がもっとも得意とする【魔法】の詠唱を始めた。
「逃げちゃダメだ…。逃げちゃダメだ…。逃げちゃダメだ…。逃げちゃダメだ…。逃げちゃダメだ…。逃げちゃダメだ…。逃げちゃダメだ…。逃げちゃダメだ…。逃げちゃダメだ…!」
ルイズの使い魔であることを示すルーンが刻まれた左拳を頭上に掲げ、強く握る。
今、少年の瞳に決意の光が宿った。
よく考えたらルイズ17才のシンジ14才だから
と言うかタバサですら15才だから最年少?
wktkして続き待ってるぜ
あの胸で17歳かよ!14歳ぐらいなら仕方がないと思っていたが、もう将来は絶望だな。
なんで一週間もたつのに使い魔の能力を把握してなかったんだろう。
ただでさえ平民なんか召還したんだから、なにができるのかは真っ先に確認しそうだけども。
原作でも確認してないよ。そもそも、普通とは違う刻印に関してもスルーだったし。結構、いい加減な性格なんじゃない?
ゼロと呼ばれるだけの事はあるな
エヴァの世界なら生まれは上流階級なのになwシンジ
壱号機は生きてるのか?
S2機関食った後なら、独立起動できそうだが。
そか サンクス
このままだと人類補完計画は完全に頓挫、どうするネルフにゼーレ。
109 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/06/24(日) 08:36:14 ID:J6p6lreR
ベーダーいいね
あげてしまいました。すいません。携帯は駄目だな。
そーいや、フルメタとベジータバージョンがはられてない
>>102 まあその辺はあの世界の貴族全般の傾向だからな。
ルイズの爆発とかも、何で爆発するのか失敗の要因を教師や親ですら突っ込んで
調べようとしなかったり。
ベイダーのは良スレ
結構おもろい。
これからのシンジ君の行動にwktk
ところで初号機はどうなったんだろう
バッテリー切れで動かないからバードン戦のたいちょみたいに野晒しで放置?
ルイズだかなんだかの元ネタ知らないんだが、魔法使えるなら何とかならないのか?電池。
ベイダーはよかった。
>野晒しで放置?
ものすごく邪魔だな。
パイロット抜き動力抜きLCL漬じゃないから各坐状態からぶっ倒れていそうだ。
120 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/06/25(月) 23:33:05 ID:hTk0BHSH
>>116 初号機はバッテリー起動じゃないぞ。永久機関つんでる。
勝手に暴れたて王都を廃墟にしたら邪神だと思われそうだよ。
初号機&シンちゃん頑張れ
流れ的にゼルエル捕食前っぽいけど
…初号機は基本的にシンちゃんピンチに
勝手に動くからもしかして最初から持ってるのかも
>勝手に動く
ジャイアントロボみたいなものか。
エントリープラグは使い物にならないだろうし、「逝け初号機!」とかいって
・・・角にしがみついてコントロール。
99
男の手で魔法にかけてあげるんだ。
>>113 どっかのルイズ系スレにまとめウィキが貼ってあった。
上の相互リンクから、調べてみ
>>125 ご心配なく、まとめは全てよんでますwww
決闘の場である【ヴェストリの広場】は、どこから沸いたのか、沢山の野次馬で溢れかえっていた。
どうやら、ギーシュが吹聴して回ったらしい。この男、見栄と虚栄心だけは並々ならないものを持っているようだ。
俯せに横たわる初号機が、多数の生徒によって観覧席代わりに使われているのを眺め、シンジの心境は複雑なものになった。
欠損した腕一本を修復するだけで、一兆円近い費用を要するソレは、世界で最も高価な観覧席であろう。もっとも、そこに腰を下ろす生徒たちには知るよしもないのだが。
「いいわね。危険を感じたら、すぐに降参するのよ」
ギーシュと対峙するシンジの耳元で、ルイズはそっと囁く。
そんなことなら、決闘の破棄をギーシュに求めた方が話しは早い。しかしながら、ルイズの貴族としてのプライドが、それを許さなかったのだ。
「それより、それ、何?」
シンジの右手に握られている豪華な紋様が施された純銀製の燭台をルイズが指差した。
本来なら、アルヴィーズの食堂に設置されているはずのものである。
「武器の代わりです。これぐらいしか、ちょうど良いのが見当たらなくて」
シンジの答えに、ルイズは小さく溜め息をついた。
「ま、せいぜい、頑張ってね」
ルイズが、シンジから離れたのと同時に、3時を知らせる鐘の音色が学院内に響き渡った。
「平民。言い忘れてたな。僕の二つ名は『青銅』。『青銅のギーシュ』だ。従って、青銅のゴーレム『ワルキューレ』がお相手するよ」
ギーシュが薔薇の花を振り、花びらが七枚、宙に舞ったかと思うと、その一枚一枚が甲冑を着た女戦士の形を為した人形になった。身長は人間と同じくらいだが、硬い金属製のようだ。
この『ワルキューレ』を自在に操る。それが、ギーシュの魔法だ。
シンジも、昨夜の作戦会議の最中に、それは聞いていた。
今、決闘が始まる。
ルイズが決闘の行く末を見守っていると、燃えるような赤い髪と、むせるような色気を振り撒く褐色の肌を持つ少女−−キュルケが近づいて来た。
ちなみに、この二人、昔から非常に仲が悪い。
なので、キュルケから、ルイズに声をかけるのは、少し珍しいことだった。
「あんた、本気で、平民が貴族に勝てるとでも思ってるの?」
ルイズは顔をしかめると、心底、うざったそうに口を開いた。
「思ってないわよ」
「じゃあ、なんで、こんな決闘を?」
「成り行きよ、成り行き」
「可哀相に…。主人の気まぐれによって、その幼い命を散らすのね…」
この言葉、もちろん、本心ではない。単純にルイズへの当て付けだ。
「うっさいわね。危なくなったら、すぐに降参するよう命令したわよ」
「じゃあ、あれは命令無視ってこと?」
「そうよ…」
二人の視線の先には、八体のワルキューレによる降り注ぐ雨の様な猛攻にさらされ、ぼろぼろになったシンジの姿があった。
しかし、それでも降参するそぶりは全く見せない。燭台を剣の様に構えたまま、ワルキューレを見据えている。
シンジの姿に感じるところがあったのか、キュルケは妖艶な微笑をその顔に浮かべると、嬉しそうに口を開いた。
「主人の名誉の為に命を賭ける…。立派な心構えじゃないの」
「駄目よ。決闘が終わったら、叱ってあげなくちゃ」
「あなた、良い保母さんになれるわよ」
「どういう意味よ?」
「メイジになるのは諦めて、転職したら?ゼロのルイズ」
ルイズカワユス
シンちゃんがんがれ
がんばれシンジ
さて、ゼロ魔原作通りガンダールヴ発動か
それともEVA原作通りお母さん怒ったぞーか
>>134 お母さん怒ったら大惨事ってレベルじゃねぇぞwwwwwwwww
「ワルキューレを……食ってる……!」
カヲルみたいに首チョンパとか
ルイズの睨むような視線を気にも留めずに、キュルケは再び、決闘の場に目をやった。
相変わらず、シンジは七体のワルキューレに圧倒されたままである。
しかし、それでもシンジは良く戦っている。善戦と言っても過言ではない。
ワルキューレの攻撃を何度も喰らい満身創痍ではあるものの、致命的な一撃だけは完璧にいなしていたし、一瞬の隙を見つければ、機敏な動作で攻撃に転じていた。とても、14歳の少年のものとは思えない白兵能力を披露している。
もしも、対峙するワルキューレが二、三体ならば、あるいは勝利を収めていたのではなかろうか。
もちろん、それは、幾度にも及ぶ使徒との決戦、
そして、連日、何度も繰り返された戦闘訓練によって、シンジにもたらされた恩恵だった。
ギーシュはというと、ワルキューレによって痛みつけられるシンジの姿が目に入る度に、背筋をぞくぞくさせる程の歪んだ快感に溺れていた。
要するに、いじめっ子の【ソレ】である。
ひょっとしたら、この男、性根が腐っているのかもしれない。
時が経つにつれ、次第に、シンジの顔には、疲労の色が浮かび始めた。無理もない。彼は決闘開始直後から、全力を出し切ったまま、闘っているのだ。
かたや、快感をより深めるだけのギーシュ。
勝負の行く末は誰の目にも明らかだった。
前方にいた四体のワルキューレによって繰り返される攻撃をぎりぎりのところでいなしていると、死角にいたワルキューレの持つ鉄鎚がシンジの脇腹に勢いよく向かってきた。
すんでのところでそれに気付いたシンジは、右肘でとっさにガードする、その刹那、鈍い音が響くと、シンジの右腕あらぬ方向に曲がった。
シンジは思わず、顔をしかめ、呻き声を漏らした。
「お願い。もう止めて!」
ルイズの悲痛な叫び声が響き渡る。鳶色の瞳が潤んでいた。
シンジはそれに構わず、再び燭台を構えた。
「続けるのかい?」
ギーシュの問いにシンジは無言で頷く。
「良い心構えだ、平民。褒美にこれをやろう」
ギーシュは妖しい笑顔のまま、薔薇の花を降った。一枚の花びらが、一本の剣に変わると、ギーシュはそれをつかみ取り、シンジに向かって投げた。
「わかるか?剣だ。つまり『武器』だ。平民どもが、せめてメイジに一矢報いようと磨いた牙さ。今だ噛みつく気があるのなら、その剣を取りたまえ」
シンジがゆっくりと剣に手を伸ばす。それをを見たルイズが慌てて叫んだ。
「だめ!絶対だめよ、シンジ!それを握ったら、ギーシュは容赦しないわ!」
シンジは、今にも涙を流しそうなルイズの瞳を真っすぐに見つめながら、口を開いた。
「使い魔でいいです。寝るのも、床でいいです。ご飯も床でいいです。まずくたっていいです。ルイズさんの下着だって、洗います。生きるためです。仕方ありません」
シンジはそこで言葉を切った後、左の拳を握り締めた。
「でも……」
「でも、なによ……」
「でも、だからこそ、今は逃げちゃだめだ…!」
左腕の激痛に顔をゆがめながら、ワルキューレ達を見据えたシンジは、剣の柄を逆手で持ち、刃を地面に突き刺した。
それを見たギーシュは怪訝な顔をする。
シンジは剣から数歩下がると、勢い良く走り出し、柄を踏み台にし跳躍した。
そして、ワルキューレの頭上を飛び越え、油断しきっていたギーシュの腹部に、そのまま飛び蹴りを浴びせたのだ。
たまらず膝を落し、前屈みに悶えるギーシュ。
シンジは絶好のポジションに現れたギーシュの顔面を思い切り蹴り上げた。ギーシュの鼻血が辺りに飛び散る。
−−いける!!
勝利を予感したシンジの頭部に堪え難い痛みと、衝撃が走ったのは、そのすぐ後の事だった。
ワルキューレの拳がシンジの後頭部を直撃したのだ。
それによって、シンジの意識はあっけなく暗転し、その場に倒れ込んだ。
「へ、平民風情が、高貴なこの僕の顔を…!!」
怒りを抑え切れないギーシュは、鼻血を拭いながら、ワルキューレを操作し、倒れ込んだシンジの頭を踏み付けようとした。
その時、それまで、横たわるだけだった【人型凡用決戦兵器エヴァンゲリオン初号機】の両眼が凶暴な金色の光に染まった…。
お母さんついにきれたwwwwwwwwwwww
ママンwww
ママンキターwwww
シンジの傷は、ハリポタのソレみたいに魔法で治せるん?
せっかく可愛いのに傷なんてついちゃあね
ギーシュ死亡フラグがwww
ATF発動で鏖殺の予感
ギーシュ\(^o^)/オワタ
【人型凡用決戦兵器エヴァンゲリオン初号機】
↑つっこまない方がいいのか?
汎用、ね
ママンキターwwww
お前ら、どんだけお母さん好きなんだよwww
ギージュ死亡キタwww
ギーシュの葬式が開かれると聞いて飛んで来ました
155 :
sage:2007/06/28(木) 19:55:44 ID:DKDwCyso
卿と同じぐらいのポーリータイムが見られそうだwwwwww
>>155 ageたいのかsageたいのかはっきりしてくれ
生きるためですって生々しいなwしかもその内容が奴隷的だし。
つーかこの決闘で一番悪いのルイズだよな。原作でもこんなDQNなのか?
あと無理にエヴァの台詞喋らせなくてもいいと思う。
原作序盤のルイズは貴族至上主義に凝り固まってるから他のキャラ含めてぶっ殺したくなる。
それが巻を経ていくごとに丸くなって、仲も良くなっていくって感じだな
ママンマダー?
>>158 原作では基本的に貴族はプライドが高い
才人(原作でルイズに召喚された人間)はその中でも徐々に
貴族と打ち溶け合っていく、みたいな感じ
所変わって、ここは本塔の最上階にあるトリステイン魔法学院の学院長室。
その部屋のドアが勢い良く開けられ、中にコルベールが飛び込んできた。
「オールド・オスマン、大変です!」
オスマンと呼ばれた男は、ここトリステイン学院の学院長を努める老人だ。白い立派な口髭をたくわえ、その顔には、彼が過ごしてきた歴史を物語る深い皺(しわ)がきざまれている。
その御歳は百歳とも三百歳とも言われ、本当の歳が幾つなのかは誰も知らない。
「まったく。ノックもせずに何事だ」
慌てるコルベールとは対象的に、オスマンは、呑気に耳の掃除を続けながらコルベールを窘めた。
「と、とにかく、これをご覧になって下さい!」
コルベールはシンジの手に現れたルーンのスケッチを手渡した。
それを見た瞬間オスマン氏の表情が変わった。目が光って、厳しい色になった。
「詳しく教えてくれ、ミスタ・コルベール」
促されたコルベールはここぞとばかりに、泡を飛ばして、オスマンに説明をした。
春の使い魔召喚の際に、ルイズが平民の少年、巨大な亜人、空飛ぶ棺桶を呼び出してしまったこと。ルイズがその少年と『契約』した証明として現れたルーン文字、そして、亜人と空飛ぶ棺桶が気になったこと。それを調べていたら………。
「始祖ブリミルの使い魔『ガンダールブ』に行き着いた、というわけじゃね?」
「は、はい。そして、あの巨人、恐らく…」
「アダムより生まれしエヴァ……、と言うわけか…」
オスマンは呟きながら、窓の外を眺めた。
その視線の先には、晴天の空に浮かぶ二つの月があった。
その時、ドアがノックされ、オスマンは慌ててスケッチを机の引き出しに隠した。
「誰じゃ?」
扉の向こうから若い女性の声が聞こえてきた。
「コルベールです。オールド・オスマン」
コルベールはオスマンの秘書だ。
「何の用じゃ?」
「ヴェストリの広場で、決闘をしている生徒がいるようで、大騒ぎになっています。止めに入った教師がいましたが、生徒たちに邪魔されて、止められないようです」
「まったく、暇をもてあました貴族ほど、性質の悪い生き物はおらんわい。で、だれが暴れておるんだね?」
「一人はギーシュ・ド・グラモン」
「あのグラモンとこのバカ息子か。で、相手は誰じゃ」
「…それが、メイジではありません。ミス・ヴァリエールの使い魔の少年のようです」
オスマンとコルベールが顔を見合わせた。
その時、本塔がわずかに振動を起こした。遠くからは悲鳴や怒号が聞こえる。
その発信源は、ちょうど、ヴェストリの広場がある方向だった。
嫌な予感に囚われたオスマンが杖を振ると、壁にかかった大きな鏡にヴェストリ広場の様子が映し出された。
一言で言えば、そこは『修羅場』だった。
コッパゲが若い女性だとう!?
元ネタ知らなくても結構おもろい
シンたんがむばれ
>>164の修正版
その時、ドアがノックされ、オスマンは慌ててスケッチを机の引き出しに隠した。
「誰じゃ?」
扉の向こうから若い女性の声が聞こえてきた。
「ロングビルです。オールド・オスマン」
ロングビルはオスマンの秘書だ。
「何の用じゃ?」
「ヴェストリの広場で、決闘をしている生徒がいるようで、大騒ぎになっています。止めに入った教師がいましたが、生徒たちに邪魔されて、止められないようです」
「まったく、暇をもてあました貴族ほど、性質の悪い生き物はおらんわい。で、だれが暴れておるんだね?」
「一人はギーシュ・ド・グラモン」
「あのグラモンとこのバカ息子か。で、相手は誰じゃ」
「…それが、メイジではありません。ミス・ヴァリエールの使い魔の少年のようです」
オスマンとコルベールが顔を見合わせた。
その時、本塔がわずかに振動を起こした。遠くからは悲鳴や怒号が聞こえる。
その発信源は、ちょうど、ヴェストリの広場がある方向だった。
嫌な予感に囚われたオスマンが杖を振ると、壁にかかった大きな鏡にヴェストリ広場の様子が映し出された。
一言で言えば、そこは『修羅場』だった。
169 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/06/29(金) 19:34:33 ID:3Abw34Yn
当然のことなのだが、全ての『ワルキューレ』が、初号機によって、破壊されるのに十秒とかからなかった。
拳を叩き付けられ粉砕されたものもあれば、胴体を引きちぎられたり、巨大な掌に握り潰されたり、あるいは強烈な蹴りをくらい、そのまま、壁に直撃し、四散したものもあった。
なかには、喰われたワルキューレもあった。
しかし、初号機の口に合わなかったのか、何度か噛み砕かれた後、すぐに吐き出された。
かたや、前時代的な青銅で作り上げられた身の丈2メイル程の動く鎧。
かたや、近代技術によって、分子レベルから構成された特殊装甲にその身を護られた身の丈20メイル程の動く天使。
勝負になるわけがなかった。
初号機は粉々に砕けちったワルキューレを、それでもなお、何度も執拗に踏み続けた。
そして、ワルキューレが完全に圧壊したのを確認した後、初号機は空に向かって、雄叫びをあげた。
その瞬間、その場にいた全員の背筋が凍り付いた。聞く者全てに圧倒的な畏怖の念を抱かせたそれは、例えるならば、百獣の王ライオンの様な絶対強者のみに許される鬨の咆哮の様だった。
しかし、初号機の狂気は収まらない。
【彼女】の目的は、あくまでも、ワルキューレを使役していた張本人、−−ギーシュ・ド・グラモン、その人なのだから…。
エヴァて40mじゃなかったか?
ぐぐったら40〜200mってのはあった。
どちらにしろ2m大の青銅が蹴り食らったら吹っ飛ぶ前に木っ端微塵。
扉の向こうにいるオスマンから、突如、反応が無くなったことを、ロングビルは不信に思った。
当のオスマンは、初号機の圧倒的な戦闘力を目の当たりにし、驚愕のあまり、言葉を失っていたのだ。
仕方なく、ロングビルは言葉を続けた。
「オールド・オスマン、聞いておられますか?教師達は決闘を止める為に、『眠りの鐘』の使用許可を求めています」
ロングビルの言葉によって我に返ったオスマンは、すぐさま、指示を下した。
「許可する!すぐに使用するんじゃ!一刻も早く!!」
「かしこまりました」
ロングビルが去っていく 足音が聞こえた。
コルベールは唾を飲んで、オスマンに聞いた。
「本当に秘宝『眠りの鐘』を使うのですか?」
「今、使わなければ、何の為の秘宝だかわからんじゃろ。おそらく、称号付きメイジが何人束になっても、エヴァは止められん…」
たしか40〜200mだった気がする
まぁどっちにしてもギーシュ\(^o^)/オワタ
秘宝『眠りの鐘』が、オスマンの許可をもらった教師等に使用された。
これで、全ての収拾がつくはずだった。
しかし、異質な【何か】が接近してくるのを感知した初号機は、ヴェストリの広場を囲うように【A.T.フィールド】を展開し、『眠りの鐘』の効力を掻き消したのだ。
−−A.T.フィールド。
それは、絶対領域とも呼ばれる物理的、及び精神的障壁である。シンジの世界に存在するあらゆる兵器の攻撃をほぼ無効化する事が可能であり、エヴァンゲリオンが決戦兵器と称されるのは、この能力を有している為であった。
その様子を鏡越しに眺めていたコルベールが、悲鳴をあげた。
「効果がないだと!!」
オスマンは何かに気付いた様子で、忌ま忌まし気に呟いた。
「心の壁か…。やはり、アダムの眷属に間違いないな…」
初号機強すぎww
どうしようもねーよwwwww
初号機ってアダム?
………もしかして俺、地雷踏んだ?
けん‐ぞく【×眷属/×眷族】
1 血筋のつながっている者。一族の者。身内の者。親族。
2 従者。家来。配下の者。
初号機はリリスのダイレクトコピーで他のはアダムのコピーじゃなかったっけ?
EVAのことが正しく伝わってないって考えるんだ
身長40〜200mってどんだけアバウトなんだ
素晴らしい!最高のショーだとは思わんかね!?
ハッハッハ!見ろ!人がまるでゴミのようだ!!
183 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/06/29(金) 21:56:23 ID:CypoER2B
オナニー小説すぎて吹いた、オナニーすんなら自サイト作って一人でしてろ、2chでオナニーすんじゃねえよ
茶化すだけなら阿呆でも出来る
アダムの眷属、だからリリスでいいんじゃないの?
コピーだけど
可哀想なギーシュ。てか、エヴァでハルケギニア壊滅できるな。
もともとエヴァは庵野自身がシチュエーションでサイズ変えてるって発言してるからな。
設定もそれを反映して40〜200mとされてる。
逆に言えば二次創作でエヴァを出すなら上のサイズ内で作者が都合に合わせて自由に決めちゃえば良いだけ。
竜騎兵とワルドはきっと初号機に美味しく頂かれてしまうんだろうな
200mって・・・
ウルトラマンの5倍ですか・・
現代のビルとかと対比して迫力ある様に描写すると数10m級ってのは意外と小さかったりするんだよね
何せ200mにしても人工建築物より小さい事が有る訳で
場面によってはの話だけどね。
設定偏重に対するアンチテーゼみたいな意味もあるとか。
この世界だと、40mでも充分驚異だわ。
200mあれば、下からカンチョーするだけで艦隊撃滅できそうだが。
これは良いギーシュ死亡フラグ
じゃあ間をとって20mで
>>183 女装シンジキュンのオナニーなら大歓迎だがなにか?
いや、大ボラ吹いて200mか、最低原作を尊重して40m。
間をとるなら110mで。
アルビオン軍7万に突撃→アルビオン軍壊滅!
ガリア潜入→巨体でバレバレだったがガリア軍殲滅!
ルイズの母がシンジを攻撃→ルイズの母死亡確認!
ルイズの父がシンジを攻撃→ヴァリエール公爵、城ごと地上から消える!
ルイズの孤児化は避けられないな。早く見たいが。
>この世界だと、40mでも充分驚異だわ。
フーケのゴーレム30mなかったっけ
自身が展開したA.T.フィールドによって、未知なる力が掻き消された事を確認した初号機の視線が再び足元へと向けられた。
恐怖に駆られた野次馬の生徒たちは、蜘蛛の子を散らすように、我先にと逃走を始める。
身の危険を感じたギーシュも慌てて、ヴェストリの広場に隣接する【火の塔】の中へと走り込んだ。
もはや、決闘のことなど、頭にない。今、彼が感じているのは、身を焦がすような戦慄と息苦しさを催す恐怖だけだ。
ギーシュの行動を捕捉した初号機は左肩部の突起部分を開口させ、その巨躯に見合うだけのサイズを誇る巨大なナイフを、そこから取り出した。
初号機の右手に納まったナイフが、鮮やかな青色の発光を始める。
それは、そのナイフの有する絶大な切断能力が開放された証でもあった。
正式名称は、【プログレッシブ・ナイフ】。
近接戦闘用兵器として【エヴァンゲリオン】に標準装備されているものである。
形状こそ通常のナイフと違いはないのだが、その内容は全く異なる。
プログレッシブ・ナイフは、高振動粒子で形成された刃により、接触する物質を分子レベルで分離する事で分断するのだ。
その為、鋼鉄すらも、プログレッシブ・ナイフを用いればバターの様に切断可能だ。
初号機はプログレッシブ・ナイフで【火の塔】の壁面の一部を、直径10メイル程の円を描くように切り裂いた。あっさりと、その内側の壁が抜け落ち、後に出来た円い穴の向こうには腰を抜かしたまま、へたりこむギーシュの姿があった。
wktk
暴走状態では、ナイフとか使わないんじゃないか?
もぎ取ったサキエルの骨?でコア強打してたからそうとも言い切れんぞ
このまま炎の7日間で世界が滅んでも違和感ねーなw
初号機はプログレッシブ・ナイフを収納すると、恐怖に侵され身動きの出来ないギーシュを右手で握りあげた。
「くあっ…!」
ギーシュは躯を締め付ける凄まじい圧力に、たまらず、呻き声をもらした。
自分はこのまま、握り潰されてしまうのではなかろうか。
ギーシュの脳裏に恐ろしい予感が浮上した。その時、初号機の頭部で烈しい爆発が起こり、彼は思わず、唯一、自由の効く顔を伏せた。
「ルイズ!あんた、なにやってんのよ!!」
キュルケが悲鳴をあげる。
爆発の原因はルイズだった。彼女の魔法が炸裂したのである。ただし、彼女が詠唱したのは、極めて初歩的なファイアーボールだったので、爆発が起きたのは予想外のことだった。
しかし、それでも、初号機には全く効果がない様子だ。結局、ルイズの渾身の魔法も、この巨大な脅威の注意を、自らに向けただけだった。
「だ、だって、止めなきゃ…。このままじゃ、ギーシュが死んじゃう…」
ルイズは恐怖に震える体から、なんとか、声を搾り出した。
首がボトッと
子持ち美人人妻ユイさんに美味しくいただかれるギーシュ
と書くとギーシュにしては悪くない結末だと思えまいか
>>211 比喩ととらえるか文字どうりにとらえるかでギーシュが逝く場所が決まるなwwwwwwwww
初号機の空いた左手が接近し、ルイズの視界を全て埋めた。
ルイズは何も考えられず、ただ目をつぶった。
しかし、数秒経っても覚悟したことがおこらなかったので、ルイズは恐る恐る目を開けた。
そこには、不自然な恰好のまま動きを止めた初号機と、その右手の中で、鼻水と涙をだらだら流しながら、必死に嘆願するギーシュがいた。
「ぼくの負けだ…。だから、殺さないでくれ。頼むから…、殺さないでくれ…」
静寂の中、虫の鳴声とギーシュの情けない言葉だけが辺りに響いた。
こうして、ヴェストリの広場で行われた決闘は初号機の一人勝ちという、非常にうやむやな形で終幕を迎えた。
簡単に言えば、子供の喧嘩に保護者がしゃしゃり出ちゃっただけの話しである。
ただし、保護者があの保護者なだけに、その被害は凄まじいものになってしまったのだが…。
朝の光で、シンジは目を覚ました。自分の体中に包帯が巻かれていることに気付き、少し顔をしかめる。
視線を上に戻すと、無機質な白い壁紙が張られた天井が目に映った。
「また、知らない天井か…」
シンジは静かに呟いた。
「ようやく、お目覚めね…」
声の主は、ベッドのすぐ横にある椅子に腰掛けたルイズだった。
少しばかり、やつれて見えるのは気のせいだろうか。
「ここは…?」
「保健室よ。あんた、ギーシュにやられて、三日三晩、ずっと寝続けてたんだから」
ぞうか。自分はギーシュと決闘して、そして…。
「負けちゃったんですね…。ルイズさんの言う通ですね。ほんとに何もできないや…。情けないな…」
ルイズは何かを言いかけて、口をつぐんだ。
果たして、あれはシンジの負けなのだろうか。だけど、勝ちとは言えない。
それに、シンジには聞きたいことがたくさんある。
まず、あのオーガの件。以前、シンジに尋ねた際、彼は『この世界では動かせない』と明言していた。
しかし、動いた。圧倒的な破壊力を見せ付けながら…。
シンジは、顔をルイズの逆方向に向けたまま、それ以上、何も語ろうとしない。
それに気付いたルイズは、彼女が抱える数ある疑問の中で、もっともささいな事をシンジに尋ねた。
「あんた、何ですぐに降参しなかったのよ?私の言葉を聞いてなかったわけじゃないでしょ」
「いえ。ただ…」
シンジはそれだけ言うと、再び黙り込んでしまった。仕方なく、ルイズはシンジを促す。
「ただ、なによ?」
「……もし、ぼくがギーシュさんに勝つことがあれば、みんなも少しはルイズさんのことを見直すかなって思って…。結局、意味なかったですね、負けちゃったし…」
シンジの真意を知ったルイズは顔をほんの少しだけ赤らめた。
そして、いまだ癒えきらないシンジの左頬の傷を指先でそっと撫でると、呆れたように、だけど、微笑みながら、そっと囁いた。
「ばか…。無理しちゃって…」
見 第一話
知
ら
ぬ天井
おわり
いいと思うよ
とりあえずお疲れ
なかなか面白いぜ、GJ
楽しみにしてるぜよ
晴 第弐話
天
、出掛けた後
例の一件を経て、トリステイン学院で教鞭を振るうほとんどの教師が初号機の破壊、もしくは破棄を学院の最高責任者であるオスマンに提案した。
しかし、オスマンは頑なにそれを拒否した。
教師達の連名がなされた嘆願書をもってしても、オスマンは首を縦に振らなかったのである。
それどころか、オスマンは高名なメイジに依頼し、初号機に【固定化】の魔法を施したのだ。
【固定化】の魔法は、物質の酸化や腐敗を防ぐ。これをかけられた物質は、あらゆる化学反応から保護され、そのままの姿を永遠に保ち続けるのだ。
つまり、ヴェストリの広場で野ざらし状態の初号機に腐食の心配は無くなったということだ。
教師達は、オスマンの奇行に様々な苦言を呈したが、彼はそれを全く気にはしていない様子だった。
その理由を知るのは、今の所、コルベールだけである。
伝説に語られる【アダムより生まれしエヴァ】と【ガンダールヴ】が時を同じくして突如出現した。
これは何かの前触れに間違いない。
コルベールにもそれくらいの事はわかっていたのだが、オスマンはそれよりも更に真実に近い場所にいたのだった…。
その晩、ルイズの提案により二人でトランプに興じていたシンジは彼女に一つの要求を口にした。
「あの、今度の休日にお暇を頂けませんか…?」
シンジからお願い事をされるのは初めてだ。なので、ルイズは以外そうに鳶色の瞳をぱちぱちさせながら聞いた。
「は?なんで?」
「城下街に出掛けたいんです。一度も行ったことがないって言ったら、シエスタさんが案内するって誘ってくれて」
シンジの口から女性の名前がでたことに、ルイズが敏感に反応した。
「シエスタ?」
「あ、トリステイン学院のメイドさんです。いつも、色々良くしてくれてて…」
「つまり、デートなわけ?」
「なっ…!違いますよ!ただ、街に行ってみたくて。僕、トリステイン学院しか、この世界のこと知らないし…、案内してくれるって言ったから…」
顔を真っ赤にしながら否定するシンジを見て、ちょっと可愛いかも、と思うルイズがいた。
もっと、からかってやろうか、という意地の悪い考えも浮かんだのだが、ある事に気付いたルイズはハイチェストの引き出しを開くと中身のつまった革袋を取り出し、それをシンジに差し出した。
「なんですか、これ?」
「お小遣いよ。あんた、お金、持ってないでしょ?せっかく街に行くんだから買い物くらいしてきなさい」
ルイズの厚意に気付いたシンジははにかみながら、革袋を受け取った。
「ありがとうこざいます」
「そのお金でシエスタって娘に、御飯くらいは奢りなさいよ。まだまだ子供でも、男たるものいつでも紳士じゃなきゃね」
「はい」
「あと、あんまり、遅くならないようにね」
「はい」
そんなやり取りが繰り広げられた後、再びトランプが続行された。
しかし、シンジは呆けた顔のままルイズを見つめ、ゲームには集中してないようだった。
「さっきから、なに見てんの?言っとくけど、私のポーカーフェイスは完璧なんだから、まるっきり意味ないわよ」
「いえ…。なんか、ルイズさんて、お姉さんみたいだなって思って…」
今度はルイズが赤面する番だった。
「なにを言うのよ…」
ごめん、ROM専だったけど俺も見てる
がんばれ
俺もROM専
楽しく読んでる
俺もロムってる。頑張って描いてな
意外に多いなwww
実は俺も
感想とかを書き込むのは苦手だが楽しく読ませて頂いている
ガンバレ!
俺もいるでよ
ROM専じゃないが
なんか
俺もロム兄さん専用だけど見てる
というかルイズとシンジキュンのやりとりなんか癒やされるわw
お母さん、心配だったから見に来ちゃった。
という初号機を期待しちゃったくらいに、俺も読んでるぜ!
俺も読んでるよ。
ルイズはシンジきゅんのいいお姉さんですね
原作はキライだが2chの別キャラ召還系はなぜか読める
242 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/07/05(木) 02:47:28 ID:5WP4Xde4
シンジはシエスタとの混浴の後絶対オナヌーする
いいですよー。
いいですよー。
沢山の人が読んでくれてたんだね。みんなありがと。
はげみになります。
お出掛けの当日、シエスタという少女のことが気になったルイズは、見送りとかこつけて、待ち合わせ場所であるトリステイン学院の正門まで、シンジについて行くことにした。
二人が待ち合わせの場所に近づくと、正門に連(つら)なる壁に軽く寄り掛かっていた少女がシンジの姿に気付き、微笑みを浮かべながら小さく手を振った。
ルイズにも見覚えのある顔だった。アルヴィースの食堂で配膳をしている姿をたまに見掛ける。
この少女がシエスタなのだろう。
「おはようございます、ミス・ヴァリエール」
シエスタは約束のあるシンジではなく、ルイズの方に向かって、丁寧なお辞儀をしながら挨拶の言葉を口にした。
つまり、友好関係よりも礼儀を優先したわけだ。
国内で最も由緒正しい学院に使用人として雇われているだけのことはある。そういう事柄はちゃんとわきまえているようだった。
ルイズはというと、首を軽く縦に振っただけだった。端(はた)から見れば、実に不遜な態度なわけだが、貴族なんて人種は大概がそんな感じだ。シエスタもシンジもそれをよく理解していた。
しかし、ルイズが横柄ともとれる態度をとったことには別の理由があった。
彼女は軽いショックを受けていたのである。シエスタの美しい容姿と立派なプロポーションに。
――なによ、可愛いじゃない…。
シエスタは平民だ。その為、ルイズとは違い、どこか素朴さを感じさせる風貌だった。
カチューシャで纏めた黒髪と、頬にうっすら浮かんだそばかすがやけに似合っていた。
歳はルイズと同じくらいであろう。
「本日は申し訳ございません。ミス・ヴァリエールの使い魔をお借りするかたちになってしまい…」
「いいのよ、気にしないで。私もこの子には、色々とトリステインの事を教えてあげないと思ってたから、ちょうど良いくらいだわ。今日はシンジの事、よろしくね」
「はい」
シエスタは屈託のない笑顔で返事をした後、シンジに顔を向けた。
「それじゃ、シンジくん。行きましょうか」
「はい」
シンジも屈託のない笑顔で答えた。
この二人、実にお似合いなのではなかろうか。ルイズはそんなことを考えた。
「ミス・ヴァリエール、失礼致します」
シエスタはそう言って、ルイズに会釈した。そして、正門前に待機させていた馬の綱を外し、その背に乗せてある鞍にひらりと跨がった。
「シンジくん、私の後ろに乗って」
シエスタに促されたシンジは悪戦苦闘しながらも、なんとか、シエスタの背後に跨がった。
「行ってきます、ルイズさん」
シンジの言葉を受け、ルイズは面倒くさそうにひらひらと手をふった。
馬が走り始め、シンジとシエスタの姿がどんどん小さくなっていく。
二人の姿が視界から消えた後、ルイズは寄り道をすることなく真っすぐ自分の寝室へと戻り、天蓋付きの豪華なベッドに寝転んだ。
考えれば、最近、シンジが教室に来ることはほとんどない。だからといって、ルイズが授業を受けている間、シンジがどこで何をしているのか、なんてことは気にしたこともなかった。
シンジはルイズの知らないうちに、この新しい世界で着々と人脈を広げ、いつの間にか彼なりの生活サイクルを作り上げていたのだった。
召喚したての頃は、ルイズがどこに行くにしても、さながら子犬の様によちよちと彼女の後についてまわったシンジ。
しかし、今の彼は違う。
ルイズは小さくため息をつくと、枕に顔をうずめながら呟いた。
「一ヶ月か…。『姉』離れも結構早かったわね…」
一抹の淋しさを感じたルイズはなんとなしにシンジと出会ってから間もない日々に思いを馳せた。
窓の外には、腹ただしいくらいの晴天の空が広がっている。
イイネー
わしもシンジきゅんのような可愛い使い魔が欲しい
犬は嫌だ
今回のお出かけって、ルイズにすると、はじめてのおつかいみたいなもんかw
ほしゅ
wktk
原作ってどんなん?
さんくす
なんか、あまり見る気はしないな…
>>255 好き嫌い分かれる作品なのは確かだね
ハーレム物な部分もあるし
クロスオーバー系の二次創作での遊びの要素が大きいから盛り上がってるってのはあるだろうし。
好みに合わない人は盛り上がってる人の中にも結構いるかもね。
呼んだのがただのシンジじゃなくて断罪シンジだったら、
平民を差別する貴族には生きてる資格はないよねとか言って皆殺しにしそうだ
いや、なんかそういう変なシンジが多いんで
困ったことが起きてしまった。
使徒に囚われ、いつの間にか気を失って、目が覚めたら、そこはファンタジーだった…。
この世界は少なくとも地球ではない。
じゃあ、どこなんだと聞かれても、シンジには答えようがないのだが。
取りあえず、この世界が【ハルゲキニア】と称されるということは、ルイズから聞いた。しかし、名前がわかったからといって、目の前の非現実世界が終わるわけもなかった。いや、むしろ、留まることを知らずに加速していったのだ。
トリステイン学院の廊下を足早に歩くルイズに置いていかれない様、シンジはその後を追っていた。
ふと、シンジの視界に非現実的な光景が映った。今日だけで何度目だろうか。
また、ルイズにお決まりのセリフを浴びせられるだろう。それは良くわかっている。しかし、聞かずにはいられなかった。
「ルイズさん、月が二つありますよ…?」
シンジの前を歩いてたルイズが足を止めた。
振り返った彼女は、呆れた様な眼差しをシンジに向ける。
「あんた、ばかぁ?あったり前じゃないの」
ほら、きた。また、この台詞だ。
もう20回は聞いている。
どうやら、この人は他人の事情を理解しようとする努力をはなっから放棄しているようだった。シンジは少しだけうんざりした。
「ぼくの世界では一つしかありませんでした」
「よっぽど辺鄙な所に住んでたのね」
無茶苦茶な言い草である。しかし、シンジは反論しなかった。というのも、再度、『非常識な現実』が目に飛び込んで来た為、それどころどではなくなったからだ。
「ルイズさん、月が一つ消えましたよ…?」
「ほんとにばかね。月食よ。【神々の月】は一日に一度だけ、月食を起こすの。三時間も経てば、また輝きだすわ」
「神々の月?」
「今、月食を起こした明るい月が【神々の月】。薄暗い方は【人々の月】って呼ぶの。ま、単純に【白き月】、【黒き月】って呼ぶ地方や国もあるみたいだけどね」
シンジは何を言えば良いのか分からず、はぁ、とだけ気のない返事をした。
「あんたね、こんなことは子供でも知ってるわよ。情けなくないの?」
「はぁ」
ルイズはそんなシンジの様子を見て、ふぅっ、と露骨にため息をついた。
「ま、いいわ。今夜にでも、色々、トリステインの事をレクチャーしてあげるから」
「ありがとうございます」
と答えながらも、シンジはその言葉を全く信用していなかった。
なぜならば、このルイズという少女、例えるなら、人が座りかけた椅子を平気で引き抜く、そういう類の人だからだ。
それをシンジに痛感させたのは、朝食時の出来事だった。
ルイズなんだこいつはw
トリステイン魔法学院の食堂は、学園の敷地内で一番背の高い真ん中の本塔にあった。
食堂の中にはやたらと長いテーブルが三つ並んでいる。百人は優に座れるだろう。
二年生であるルイズ達のテーブルは真ん中だった。
「【アルヴィースの食堂】っていうのよ。本当はあんたみたいな平民は一生入れないんだから。感謝なさい」
「アルヴィースってなんですか?」
「小人の名前よ。周りに小人の像がたくさん並んでいるでしょう」
確かに、壁際には精巧な小人の彫像が並んでいる。
「よくできてますね。今にも、動き出しそうだ」
口にしてから、お世辞が過ぎたかな、とシンジは思った。
しかし、真実は彼を残酷なまでに裏切ったのだ。
「よく分かったわね」
「う、動くんですか…?」
「動くというか踊るわよ。ま、いいわ。そんなことより、椅子を引きなさいよ。気の利かない使い魔ね」
シンジは慌てて椅子を引いた。
ルイズは礼も言わずに腰掛ける。
シンジもルイズの隣の椅子を引き出して、腰掛けた。
「豪華な料理ですね」
そう言って、シンジが唾を飲む。そういえば、ハルゲキニアに来てからというもの何も口にしていなかった。
大きい鳥のロースト、鱒の形をしたパイ、今にも皿から溢れ出しそうな色とりどりのサラダ。
「まだ、食べちゃ駄目なんですよね?」
そう言いながら、ルイズに顔を向けると、彼女は険悪な表情をしていた。
「あ、あの。ぼく、何かまずいことしましたか…?」
ルイズは何も言わずに床を指差した。
そこには一枚の皿が置かれている。
「お皿が置いてありますね」
「あるわね」
「まさか…」
ルイズは頬杖をついて言った。
「あのね?ほんとは使い魔は外。食堂はペット禁止だもの。つまり、あんたは私の特別な計らいで床。わかるわよね?」
あれ、時間軸おかしくね?
なるほど
すまん自己解決しました
おお、新しいのが始まってるね。楽しみだ。
>>258 皆殺しは嫌だな。貴族が平民のために奉仕するよう仕向けて、それが上手く行っているかシンジが管理するならまだしも。
断罪シンジは勘弁
>>266 ルイズの回想だよ。新しい話しじゃないよ。
皿には、申し訳程度に具の入ったスープが揺れている。
皿の横にはいかにも硬そうなパンが放置されていた。
背に腹は変えられない。シンジは床に座り込むと、それを美味しく頂いた。
心底、切なかった。
その後に向かった魔法学院の教室は大学の講義室のようだった。
その為、椅子は大分余っているようだ。それでも、シンジは床に座らされた。
ルイズいわく。
「癖になるからダメ」
だそうだ。
授業が始まり、シンジが全く理解出来ない言葉の羅列が教師によって語られた。【基礎錬金学】なんて授業はシンジの世界には無かったのだから、分からないのも仕方ない。
どうやら、ハルゲキニアの【魔法】は地球で言うなら【科学】に相当し、文明の源でもあるようだ。
魔法には四大系統というものがあり、『火』『水』『土』『風』と区別されている。『虚無』という系統も古代にはあったようだが、今では失われているみたいだ。
話の流れで、ルイズが錬金魔法の実験をおこうなうことになり、周りの生徒は、ルイズが実験する事にたいして、口々に反対意見を述べた。
シンジには、その理由が分からないが、皆、必死である。
「ルイズ、やめて」
キュルケの褐色の肌が蒼白していた。
しかし、ルイズは立ち上がり、シュヴルーズと呼ばれる教師に言った。
「やります」
盛大な爆発が起きたのは、その一分後だ。
爆風をもろに受けた教師が黒板に叩き付けられ昏倒した。
「だから、言ったのよ!あいつみたいな、出来損ないにやらせるなって!」
「ヴァリエールを退学にしてくれ!」
「ほんと、駄目な奴だよな!」
教師は倒れたまま動かない。たまに痙攣してるから、死んではいないようだ。
「ちょっと、失敗したみたいね」
ルイズは顔についた煤を、取り出したハンカチで拭きながら、淡々とした声で言った。
当然、他の生徒たちから猛然と反撃を喰らう。
「ちょっとじゃないだろ!ゼロのルイズ!」
「成功したことないじゃない!だから、貴方はゼロなのよ!」
シンジはルイズの通り名が『ゼロのルイズ』であることをよく理解した。
ルイズは、爆発によって乱れに乱れた講堂の掃除を命じられた。シンジは彼女の使い魔なので、そのあおりをくらい供に掃除をする羽目になったのだが、かといって、文句を言う気にもなれなかった。
ルイズがひどく落ち込んでいた為である。
「ルイズさん…?」
「なによ?」
「あの、ぼくの世界の言葉なんですけど、よく『失敗は成功の元』って言います。それに『大器晩成』って四字熟語もあります。ルイズさんはきっとそういう人なんだと思います」
彼なりの精一杯の励ましだった。
「ありがと…。あんた、意外といい奴なのね」
昼食がほんのちょっぴり豪華になっていた。
可愛いなシンジ…いい子だ
だからといって、シンジが、その食欲を充足できるほどの量ではなかった。もちろん、彼が大食いというわけではない。
シンジは14歳の育ち盛りなのである。その為、今、彼の体はたくさんの栄養を欲していた。
「全然、足りないや…」
食堂を出て、教室に向かったルイズと別れた後、シンジは自分のお腹を抱えながら、廊下の壁に手をついた。
「どうなさいました?」
振り向くと、大きい銀のトレイを持つメイドの恰好をした素朴な感じの少女が心配そうにシンジを見つめている。
「あ、いや、なんでもないんです。ちょっとお腹が空いただけで…」
彼女は壁をついたシンジの左手に刻まれたルーンに気付いた。
「あなた、もしかしてミス・ヴァリエールの使い魔になったっていう…」
「知ってるんですか、ぼくのこと?」
「ええ、なんでも、召喚の魔法で平民を喚んでしまったって、噂になってますわ」
シエスタはにっこりと笑った後、言葉を続けた。
「昼食が足りなかったんですね?えっと…、そう言えばお名前は?」
「碇です。碇シンジっていいます」
「変わったお名前なんですね…。でも、とても美しい響きですわ。私はシエスタと申します」
「…あの、ぼくなんかに敬語使わなくていいですよ。ぼくの方が年下でしょうし…」
シエスタは、しばし逡巡した後、屈託のない笑顔で口を開いた。
「わかったわ、シンジくん。じゃ、お姉さんがご飯を御馳走してあげるから、こっちに来てくれるかな」
言われるがままのシンジが連れて行かれたのは食堂裏にある厨房だった。
「貴族の方々にお出しする料理の余りもので作ったシチューよ、良かったら食べてくれるかな?捨てるのもったいないしね」
「いいんですか?」
「もちろん」
シエスタの優しさにホロリとした。あの人がよこしたスープとは大違いだ。シンジはスプーンで一口分だけすくい口に運んだ。
「美味しいです」
「よかった。お代わりもあるから、ゆっくり食べてね」
シンジは夢中になってシチューを食べた。シエスタは、ニコニコしながらそんなシンジの様子を見つめている。
「シンジくんは、いくつなの?」
「14です」
「じゃあ、ちょうど育ち盛りね。いっぱい食べてね」
その10分後、シンジは空になった六杯目の皿をシエスタに手渡しながら言った。
「おいしかったです。本当にありがとうございました」
「よかった。お腹が空いたらいつでも来てね。同じ様なものだったら、いつでもだせるから」
シンジはシエスタに再びお礼を言うと食堂を後にした。
シチュー食いすぎww
シエスタ可愛ええな
ポジション的にみんなの弟みたいになるんか
>>275 何でそんなに食ってんだwと思って最初から読み直したらたら数日間飲まず食わずでいたみたいだ
よく餓死しなかったなっつーかルイズ何も食べさせんかったんかw
この世界の貴族はダメな奴ばっかだなぁ
初めてアニメを見てみたが、イメージと違えっ!!!
ハリーポッターとロードス島を混ぜた感じかと思いきや、あれれれ?
まあ、ルイズが可愛かったからいいか・・・。主人公は顔は可愛いんだけど、何かが違ったな、何かが・・・。
アニメのルイズは原作よりも性格をマイルドにされて可愛さが前面に出されているようだね。
食欲が満たされたシンジは、ルイズの言葉を思い出した。
『私が帰ってくるまでに部屋の掃除と洗濯を済ませとくのよ』
指示通りに部屋の掃除を始めた。
床を箒で掃き、机や窓を雑巾で磨くのである。
それが終わると洗濯だ。水汲み場の位置が分からなかったので、厨房に戻り、シエスタに聞いた。
彼女は懇切丁寧に説明してくれた。この人がご主人様だったら、と思わずにはいられなかった。
ルイズの下着は高そうなレースやフリルがたくさんついているので、洗濯板で丁寧に洗わなければならなかった。おまけに水は冷たく、指が切れてしまいそうになる。
これが、意外に辛い作業だったので、シンジは改めて【科学】の偉大さを実感した。
「魔法で洗濯機は作れないのかな…。掃除機も欲しいや」
シンジはぼんやりと呟いた。
洗濯物を持って部屋に戻ると、すでに授業を終えいたらしいルイズがいた。学院を案内してくれると言うので、素直に付いていった。
何か質問するたびに、ばかにされた。
取りあえず、地球とハルゲキニアの常識が全く異なるということだけは理解した。
一通りの案内が終わり、夕食を済ませ、部屋に戻るとルイズの一存で寝ることになった。【この世界についてレクチャーする】との約束は、シンジの予想通り履行されることがなかったわけだ。そして、これまたシンジの予想通り彼は床で寝ることになった。
ルイズがぱちんと指を鳴らすと部屋の照明が消えた。
この世界に召喚されてから丸二日経った後、シンジは深い眠りから目覚めた。それが昨夕のことである。
気絶している間に使い魔にされていた。左手の甲には、その証であるルーンが刻まれている。
窓の外には月が二つ怪しく光っていた。
「やっぱりおかしいよ、この世界…」
シンジはぼやかずにいられなかった。
ベッドの上で回想に耽っていた間に、つい寝てしまっていたようだ。寝ぼけ眼(まなこ)に、夕日が差し込む。何もしないまま半日が過ぎてしまったのだ。
トリステインでは、休日の事を【虚無の日】と呼ぶ。
「文字通りの虚無の日ね…」
ルイズが呟くと、意外な声がルイズの耳に届いた。
「あ、起きたんですね」
声の発信元に顔を向けると、床に散らばる優に三百は越えるであろう数の青く輝く石を研磨布で磨くシンジの姿があった。
乙 wktk
わくわく
286 :
るいず:2007/07/10(火) 21:30:20 ID:???
イヌになりなさい!
頑張れー
あれ?この世界の貴族って、ルイズ含めゲスばっかり?
差別意識と言うより性格の問題だよなw
才人の場合なら実力で貴族の子弟たちをボコボコにして文句言わせなくしたのだが、
シンジにそんな覇気はなさそう
>>290 ボコボコにしてってその方法もどうだろう。
貴族と同じく力ずくになりかねない気が。
アニメよりおもろい
がんばれ
貴族なんてプライドの塊みたいなもんだからな
ルイズは貴族なのに魔法が失敗ばかりと、意地とプライドに固まってるので初期はツンツン
でも、自分を見てくれる相手にはデレデレになります(が、嫉妬深いのでそれはそれで注意)
シンジくんにゲンドウパパを可愛いと評した母方の血が流れてれば上手く操縦できそう。
「シンジ…。あんた、帰ってたの?」
「ええ、一時間くらい前には。ルイズさん、気持ち良さそうに寝てたから、起こさない方がいいかなって思って」
「何よ、随分早かったじゃない」
シンジが眉をひそめる。
「遅くなる前に帰れって、言ったのはルイズさんじゃないですか…」
理由は分からないが、シンジの言葉が無性に嬉しくて、ルイズは優しい微笑みを浮かべた。
「そうだったわね…」
晴 第弐話
天
、出掛けた後
終わり
シンジは犬というより猫じゃね
貞シンジなら猫
庵シンジなら犬
フーケ、
襲
第参話 来
シエスタと一緒に城下町へと出かけた日の夜、夕食が済むと、シンジはロングビルと名乗るオスマンの秘書に声をかけられ、学院長室まで案内されることになった。
その理由が気になったルイズはロングビルに同行を求めたのだが、丁重に断られた。
ルイズはシンジの袖をひっぱると耳元で囁いた。
「あんた、何かやったの…?」
しかし、シンジには心当たりがない。
「いえ、特には何も…」
だから、そうとしか言えなかった。
ロングビルの後を追いながら、色々と考えてはみたものの、やはり何も思い当たらない。
学院長室前に着くと、その扉をロングビルがノックした。
「オールド・オスマン。ミス・ヴァリエールの使い魔を連れて参りました」
「入りたまえ」
扉の向こうから、老人のものと思われる声が聞こえた。
ロングビルは扉を開くと、シンジに入室を促した。
「どうぞ、お入り下さい」
扉をくぐると、一匹の鼠と戯れる老人の姿があった。
「ミス・ロングビル。君は下がりたまえ」
「かしこまりました」
扉が静かに閉められる。
オスマンは鼠の喉元を指先で撫でながら言った。
「急に呼び出してすまんね、ミスタ・碇。さ、その椅子に座りなさい」
どうやら、このオスマンという老人、ルイズよりは、よっぽど人格者のようだ。【椅子】という単語が口から飛び出ただけでシンジはそう決め付けていた。
指示通り椅子に腰掛けると、シンジは口を開いた。
「あの、ぼく何かやりましたか?」
「何かやったのかね?」
「いえ、ただルイズさんが心配してたので…」
オスマンが微笑みを浮かべた。この老人は、笑うとシワだらけの顔にさらにシワが増す。
その様子が可笑しくて、シンジも微笑んだ。
「今日、君を呼出しのはいくつか君に聞きたいことがあったからじゃ」
「ぼくにですか?」
「さよう。あのオーガのことなんじゃが…」
「…オーガ?エヴァ…、のことですか?」
オスマンの眉がかすかに動いた。
「きみはアレをエヴァと呼ぶのかね?」
「ええ。正式にはエヴァンゲリオンと呼ばれてますけど」
「エヴァンゲリオン…、なるほど。あれの出生をきみは知っているのかね?」
「詳しくはわかりません。ただ、人から聞いた話しだと、15年の歳月をかけて造られたとか」
「造られた…!?誰に?」
「科学者の人達ですけど」
「カガクシャ?」
「あぁ、この世界で言うなら、メイジの様な人です」
鼠を撫でていたオスマン
の指先が止まった。
「人?人がアレを造り出したのかね?」
「ええ」
「何の為に?」
「使途に対抗する為です」
「シト?」
「僕が住んでた世界で、人類の天敵とされていたものです。ぼくの知人は、使途を滅ぼさなくては人類に未来はない、と言ってました」
オスマンの目が見開かれた。
「もしや…、そのシトとは、【アダムより生まれし者】ではないかね…?」
オスマンの言葉を聞いたシンジは呆けた顔をした。
「なんで、知ってるんですか?」
「いや、なに。たまたまじゃよ」
それは、実に苦しい言い訳だった。しかし、シンジがそれ以上追求することはなかった。単純に、不可解な事態に気付いていなかったのだ。
お、気になる展開
細かいようだが使徒なw
wktk
作者に敬礼
がんがれー
シンジの役割が気になるー
「大丈夫ですか?汗、すごいですよ?」
「もう歳でな、いつものことじゃ。それよりも、きみにお礼をしなくては」
「はい?」
「有意義な時間を過ごせたお礼じゃよ」
「ぼく、5分もいないですよ」
「十分じゃよ。そうだ、きみに良いことを教えよう。きみの左手に刻まれたルーンのことなんじゃが…」
オスマンはシンジの左手を指差すと、言葉を続けた。
「それはこの世界で伝説となっている【ガンダールヴ】のルーンなんじゃ。【ガンダールヴ】は我等の世界で絶対とされる【始祖タミブル】の使い魔であった。その上、ありとあらゆる武器を使いこなし、千人もの軍隊を一人で壊滅させるほどの力を持っていたそうじゃ」
しかし、シンジは、はぁ、と気の抜けた返事をするだけだった。
「お驚かんのかね?」
「ぼく、この世界の武器なんてろくに使えませんよ」
「そうか、きみは何も知らなかったんじゃな。使い魔として、主人なる人物と契約すると特殊能力を得ることがあるんじゃよ」
「特殊能力?」
「そうじゃ。例えば何にも変哲のない黒猫を召喚したとするじゃろ。そうすると、人の言葉をしゃべれるようになったりするんじゃ」
「ぼく、猫じゃないですよ」
オスマンが再び微笑んだ。
「きみは純粋無垢な子じゃな。まぁ、とどのつまり、人間を使い魔にした例なんて古今東西どこにもないんじゃ。つまり、きみの体に何が起きてもおかしくはないということじゃ、わかるね?」
「まぁ、なんとなくは…」
この世界の人間はカヲル君の子孫なんか!
関係ねーよ
このハルキゲニアこそ、
シンジが召還されることによって正史改変された
使徒によるサードインパクトが起きた世界の未来だったんだよ
な、なんだtt(ry
ハルケギニアだ……よな?
ハルキゲニアじゃあ上だか下だかわからない
「よろしい。それとじゃな、ミスタ・碇、今の会話については、他言をしてはいけない」
「なぜです?ルイズさんにもですか?」
「さっきも言った通り、きみのルーンは伝説の【ガンダールヴ】と同一のものなんじゃ。それが露呈したら、王室のマッドメイジ共はまず間違いなく、きみの体をいじくりまわすじゃろう。手足を切断されたりするかもな」
「な、なるほど…」
ようするに、マッドサイエンティストということか。
「今夜は貴重な時間をありがとう。ミス・ヴァリエールの元に帰りなさい」
「はい、失礼します」
シンジが部屋から去ると、オスマンは窓の外に浮かぶ二つの月を睨んだ。
「第一始祖民族め…。どこの星でも同じ事をさせているのか。苛烈な生存競争の先に、一体、何があると言うんじゃ…?」
>>310 > 「それはこの世界で伝説となっている【ガンダールヴ】のルーンなんじゃ。【ガンダールヴ】は我等の世界で絶対とされる【始祖タミブル】の使い魔であった。
【始祖タミブル】www
316 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/07/12(木) 07:09:16 ID:UQwwO3gh
【始祖タミブル】
なんかビルから飛び降りそうな名前だな
ブリミルな
あげてしまったorz
スマソ
タミフルっぺー
アニメ見る限り、戦っててもサイトはそんなすごそうに見えなんだのだけどもすごいんかw
第壱話あとがき以来の書き込みw
>>309>>311 このスレ住人の考察力には脱帽w
また、若干、設定を練り直さなくては。
今夜、投下します。
追記。始祖タミブルは単なる間違いw
シンジが退室してから程なくして、学院長室にオスマンのお認め印が必要な重要書類の束を抱えたロングビルが訪れた。
「何もこんな遅くにやることもなかろう…」
オスマンは目の前に置かれた大量の書類にうんざりしてぼやいた。
「明日にでも、王室へ発送しないと間に合わないのです。オールド・オスマンが日頃から熱心に業務を執り行っていたら、こんなことにはなりません」
秘書の手痛い厭味に顔をしかめたオスマンは引き出しから印鑑を取り出すと、いかにも気が進まないといった様子で、書類にそれを押し始めた。
書類の内容に目を走らせてる様子は全くない。
だからといって、ロングビルはそれを咎めることをしなかった。お認めさえ貰えれば、後の事はどうにでもなるということだろう。
オスマンは印鑑を押す行為にすぐに飽きた様で、前触れもなく突飛なことをロングビルに聞いた。
「きみはアダムとリリスがその関係に終止符を打った理由を知ってるかね?」
この老人は、たまに妙なことを口走る。日頃の付き合いから、ロングビルはそのこと知っていた。
「いえ。存じ上げませんが」
「アダムとリリスは神に遣わされた最初の人間だ。アダムは最初の男で、リリスは最初の女、そして二人は最初の夫婦でもあった」
「で、離縁した理由はなんですの?」
「セックスじゃよ」
ロングビルは露骨に眉をひそめた。
「セクハラが目的のお話でしたら、お断りします」
「いや、真面目な話しだよ。アダムは正常位を望み、しかし、リリスはそれを拒んだ。彼女は騎乗位の方が自然だと考えたんじゃよ。例え快楽に酔いしれる為の一時でも、相手より下の位地にはありたくない。
つまり、お互いに自分こそが上位に立つべき人間だと思い込んでいたんじゃ。人の傲慢な心というのは、そんな昔から、すでに芽生えていたんじゃよ」
オスマンの表情が変わった。いつになく真剣な目である。
「それが我々現代の人類にも脈々と受け継がれている。戦争が絶えないのも、当たり前だ。おまけに神様気取りの人間まで現れる始末じゃ。いやはや、世も末だよ。そうは思わんかね?」
「どうでしょう。でも、とても興味深い話しですわ」
ロングビルがこの部屋に来てから、初めて微笑んだ。
「どうじゃ、これから一杯ひっかけんかい?話しの続きをしようじゃないか。それに、以前、きみと呑んだ旨い酒の味が忘れらんのじゃよ」
「あら。でしたら、早く書類を処理なさらないと…」
オスマンの印鑑を押すスピードがあがった。
この女、なかなかの悪女である。
タミブル→タブミル→タブリス→ガチホモ→アッー!
過度の予想展開は作者を苦しめるだけだからやめようぜ
トリステインに召喚されてから、一ヶ月。
シンジの一日を紹介すると、こんな感じである。
まず、世の中のほとんどの生物がそうであるように、朝起きる。寝床は相変わらず床ではあったが、ルイズの計らいで、今では寝具一式が用意されていた。つまり、畳の上に敷いた布団と思えば、何の不満もないのだ。
ちなみに早起きのシンジはルイズを起こさなくてはならない。
ルイズは起きるとまず着がえを始める。彼女は下着だけは自分で付けるが、制服はシンジに着させるのだ。最初こそは気恥ずかしい作業であったが、慣れてしまえばどうということもない。
そして、共に朝食をとると二人は別れる。
ルイズは学院の授業に赴き、シンジは掃除、洗濯にはげむ。
それが終わるとヴェストリの広場に擱座する初号機の点検が待っている。もちろん、この点検は整備を前提としたものではない。
最近になって、初号機に悪戯書きをする生徒が急激に増えているのだ。
その理由は学院に広まった性質(たち)の悪い都市伝説にある。
【勇気をもって、あのオーガに好きな人の名前を記すと、その想い人とは必ず結ばれる】
その為、初号機には、生徒たちの実名が溢れ始め、シンジが仕方なくそれを雑巾で拭うのであった。
それを終えると、厨房に向かいシエスタを含むトリステインの使用人達と雑談をする。
夕暮れになって、ルイズと合流し、夕飯を頂き、しばらくは彼女の遊び相手になり、寝る。
それが、シンジのサイクルだ。
しかし、ある日を境にちょっとした変化が訪れた。
初号機の側に寄ると、彼の左手に刻まれたルーンが発光するようになったのだ。
初号機に宿る【彼女】の魂は日を追うごとにコアの深部へと沈んでいった。
【彼女】の目的は、あくまでも、【サードインパクト】の阻止。つまり、使徒の殲滅にある。
この世界において、【彼女】のレゾンデートル(存在理由)はどこにもないのだ。
その為、【彼女】の魂は閉塞された。
330 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/07/12(木) 22:13:52 ID:W92wIF3p
どうなるんだろ…wktk
ということで、ここでも使徒襲来
破壊の杖予想
ロンギヌス
シンジが初号機に定期的に接近する、いい理由付けだなあ
しかしこのシンジ、色んな召喚キャラの中でも、使用人として違和感が無いのは上位に入るなw
たしかに違和感ないよな
これもミサトさんの家で暮らす日々のたまものだな
あれ? 料理作らなくて良い分ひょっとして待遇改善されてるっ?!
シンジだとサイトと違ってエロ犬になったり(多分)しないだろうから躾られないだろうし。
シンジだったら流されるままキュルケとやっちゃいそうだ
流されるままのシンジ
からかうつもりが本気でかわいくなってきちゃったキュルケ
待ち合わせの時間に来たけれど、空気を読んで窓の外で覗く3人の男達
あまりの雰囲気に部屋に怒鳴り込めなくて、部屋の外でなんとも言えない気分になってるルイズ
こうですかっ! わかりませんっ?!
「大変です!」
学院長室の扉が勢いよく開けられ、コルベールが躍り込んだ。
「きみは、いつまで経ってもノックを覚えないんじゃな」
「そんな場合ではありません!エ、エヴァが活動しています!!」
しかし、オスマンはその言葉に全く動ることなく、ふむ、とだけ呟くと、杖を降り例の鏡でヴェストリの広場の様子を覗きこんだ。
緩慢な動作で歩行をする初号機と、その足元で驚愕の表情を浮かべるシンジの姿があった。
「ようやく、そこまで至ってくれたか…。全く、やきもきさせおって」
コルベールが怪訝そうな顔をした。
「まさか、予見していたのですか…?」
「予見?違うよ。このワシが促したんじゃ。こうなるようにな…」
>>335 いや改善はされてないような…
食事(粗末)は床でとか、寝るのも床。
主人の気まぐれで決闘のちフルボッコ…これは似たようなものか。
なんか家政夫から召使にクラスチェンジしただけのような。
実のところ、あの都市伝説が学院中に広まるよう仕向けたのはこの老人であった。
その結果、シンジと初号機のコンタクト回数が飛躍的に伸びるのは目に見えている。
さすれば、シンジがガンダールヴの秘めたる力をもって、エヴァを使役するのに必要な時間が、かなり短縮されるであろう、そう目論んだのだ。
「オールドオスマン…。あの少年ははアダム族なのでしょうか…?」
「いや、恐らくリリンじゃろうな。もし、彼がアダムの眷属ならば、ギーシュ・ド・グラモンとの決闘の際、【心の壁】を使っていたじゃろうて」
「し、しかし、アダムの眷属と【同化】出来るのは、アダムと同じ肉体の構造を持つアダムの眷属だけのはずです」
「きみはガンダールヴについてどこまで知っている?」
「始祖ブリミルの使い魔でありとあらゆる武器をつかいこなした存在としか…」
「では、なぜガンダールヴはありとあらゆる武器を使いこなせるんだね?」
「いや、その、存じ上げません…」
コルベールはしどろもどろになりながら答えた。
オスマンが軽いため息をつく。
「きみは博識の様にみえるが、肝心な事は何も分かっていないんじゃな」
「申し訳ございません…」
「いいか、よく聞きなさい。ガンダールヴがガンダールヴたる所以は、ガンダールヴが、第一始祖民族より、【三つの実】を与えられたことにある。
一つは【生命の実】。これはアダム族が食した実じゃ。この実によって、ガンダールヴは驚異的な身体能力を手に入れた。
二つ目は【智恵の実】。これは、我々、リリンが食した実なんじゃ。そのおかげで、我々は文明を手に入れた。ガンダールヴはこの実の力によって、ありとあらゆる武器の最適な使い方を導き出す。
さて、ここでクイズじゃ。あの少年が自身の身の丈を越える程の鉄槌を手にしたらどうなると思う?実際にそういう武器を扱う平民の戦士はおるぞ」
突然、質問を投げ掛けられたコルベールは思ったことを素直に口にした。
「やはり、使いこなすのではないでしょうか…」
「半分正解で半分ハズレじゃ」
「と、申しますと?」
「確かに鉄槌を使いこなすじゃろう。生命の実によって、身体能力が向上しておるからな。しかし、使いこなすと言っても人並み程度じゃ。
伝説にあるように、千人の軍団と互角に立ち回る等、まず不可能じゃろうて。彼は小柄過ぎる」
「では、伝説が誤っていると?」
「そう、結論を急くな。ふむ、そうじゃな。彼が鉄槌を手にしてから一週間も経てば、人外と呼んでいいほど、自在に使いこなせるようになるじゃろ」
「何故です?」
「それだけの時間があれば、彼は強靭で逞しい肉体になるからじゃ」
「どういう意味ですか?」
「その理由は【進化の実】ある。アダム族にも、我々、リリンにも与えられる事がなく、ガンダールヴのみに託された唯一無比の実じゃよ。
その実のおかげで、ガンダールヴは強くありたいと願えば、強くなるし、賢くありたいと願えば、賢くなる。常識外れのスピードでな。つまり、ガンダールヴは究極の進化システムを有した絶対的な存在なんじゃよ」
こまめな更新GJ
こっちの使徒は進化しないのかな?
シンジが進化の実食ってたとしても、使用人としてのスキルしか上げてないなw
「な、なるほど…。オールド・オスマンの並々ならぬ知識には平伏するばかりです」
お世辞を言いながらも、コルベールはあることが心にひっかかって仕方がなかった。
この老人はガンダールヴに関して、なぜ、こんなにも詳しいのだろうか。
国内でもトップクラスの所蔵数を誇るトリステイン学院内図書館にも、ガンダールヴに関して述べられている書物は数点しかない。その上、それらの全てが曖昧な内容で、本によっては書いてあることも違う。
おそらく王室図書館も同様であろう。
しかし、この老人が出鱈目なことを言ってるようにも、思えない。筋がきちんと通っているのだ。老人の言葉はどんな書物よりも説得力があった。
その老人が再び口を開く。
「そのガンダールヴが魂のないエヴァと接触したらどうなる?答えは簡単じゃ。あれ程、強力な武器など、世界中のどこを探しても見つからんじゃろうて。ガンダールヴのルーンは喜んで刻印者の体を書き換えるじゃろうな」
「まさか…」
「左様。彼の肉体の構造は、今、アダムのそれになっているに違いない。リリンの魂を持ちながらアダムの肉体を持つ、新たな可能性を持ったヒトの誕生じゃ…」
オスマンが冷酷な笑みを浮かべた。
え?えええええええええ!?
シンジくんエライことになってますがな
特に狙いがなさそうだなあ。思いついたんでやっちゃいました、な感じだなオスマン
世界を越えても、マッドな人が上司っぽいポジションにいるのか、シンジw
あれ?そうするとルイズはミサトポジション?
「オールド・オスマン…。あなたの真意はどこにあるのですか?」
オスマンが笑う。冷酷な微笑に冷度が増した。
「ミスタ・コルベール。私には優秀な駒が必要なんじゃ。それも、大量にな。【神様気取りの馬鹿げた人間】に対抗するために」
「は、はぁ」
「きみにも、よく働いてもらうぞ。その為にきみには色々と話しておるんじゃ」
コルベールは嫌な予感にかられた。
「はい、ありがとうございます」
「ただな、心してくれよ。もし、きみの口から、秘密が漏れるようなことがあれば、私は、きみを始末しなくてはならない」
オスマンの表情に凶暴な陰りがさしたように見え、コルベールの背中に冷や汗が流れた。
「は!杖に誓って!」
それしか、言えなかった。
会話に夢中になっていた為、不自然な地鳴りが接近してくるのに、二人揃って気付くのが遅れた。
窓の外を眺めると、真っ直ぐ本塔に向かい歩行する初号機の姿があった。
初号機の後ろには半壊した火の塔が見える。
「なるほど。オールド・オスマンはこれも予見していたのですね」
「…皮肉か?」
「と、とんでもありません」
コルベールが額に滲んだ汗をポケットから取り出したハンカチで拭った。
「どうやら、まだ、【同化】が甘いようじゃな。全く御しれておらん」
「しかし、いかが致しますか…?このままだと、本塔も火の塔の二の舞になりますぞ」
「まあ、本塔は他の建物に比べ、かなり強靭に作られている上、ありとあらゆる場所に【固定化】の魔法も施されておる。あの速度なら、突撃されてもそれ程の被害にはならんよ。それでエヴァも留められるじゃろ」
オスマンの予想通り、初号機はそのままの速度で本塔に直撃し、その動作を止めた。
しかし、大量の壁や柱が崩れ落ち、本塔が盛大に揺れたのは予想外だった。彼は初号機の重量を見誤っていたのである。
「これで、またエヴァ破棄派の教師達がうるさくなりますな」
「ああ。しかし、それよりも…」
オスマンは初号機がめり込んだ付近を眺めた。
「まずいな…。宝物庫に近すぎる」
その光景を本塔の外から眺めていたロングビルが微笑む。突如、舞い降りた幸運を目にし、喜びに満ち溢れていたのだ。
「チャーンス…っ!」
彼女は静かに呟いた。
『土くれ』の二つ名で呼ばれ、トリステイン中の貴族を震撼させているメイジの盗賊がいる。土くれのフーケである。
フーケはトリステイン全体を舞台にして、所狭しと盗みに励んでいた。夜陰に乗じて邸宅に侵入し、誰にも気付かれることなく対象を奪い去ったと思えば、白昼堂々王立銀行を襲ったりもした。
フーケの特徴は城でも壊せるような、巨大な土くれのゴーレムを使役すること、そして、扉や壁を錬金魔法によって土くれに変えてしまうことだ。
『土くれ』は、そんな能力を持つことからつけられた、二つ名なのであった。
そんな土くれのフーケの正体を見たものはいない。男か、女かもわかっていない。ただ、わかっているのは『土』系統のメイジであるということと、犯行現場の壁に『秘蔵の○○、確かに領収致しました』とふざけたサインを残していくこと。
そして、所謂マジックアイテム、強力な魔法が付与された数々の高名なお宝が名によりも好きということであった。
巨大な二つの月が、五階に宝物庫がある魔法学院の本塔の外壁を照らしている。
壁にめり込む初号機の肩の上には、長く青い髪を夜風に靡かせ悠然と佇む人影があった。
土くれのフーケである。
「予想通りね。オーガの腕が宝物庫の内側まで壁をぶち抜いてるわ…。これなら、簡単に【破壊の杖】を頂戴できるわね」
宝物庫は、一流のメイジが複数人も集まって、あらゆる呪文に対抗出来るよう設計されていた。
そのせいで、高名な土くれのフーケすらも迂闊には手を出せずにいたのだ。しかし、昼間の騒動により、呆気なく破壊されてしまった。
フーケにとって、恰好の機会が訪れたのだ。フーケがそれを見過ごすはずがなかった。
巨大な二つの月が、五階に宝物庫がある魔法学院の本塔の外壁を照らしている。
壁にめり込む初号機の肩の上には、長く青い髪を夜風に靡かせ悠然と佇む人影があった。
土くれのフーケである。
「予想通りね。オーガの腕が宝物庫の内側まで壁をぶち抜いてるわ…。これなら、簡単に【破壊の杖】を頂戴できるわね」
宝物庫は、一流のメイジが複数人も集まって、あらゆる呪文に対抗出来るよう設計されていた。
そのせいで、高名な土くれのフーケすらも迂闊には手を出せずにいたのだ。しかし、昼間の騒動により、呆気なく破壊されてしまった。
フーケにとって、恰好の機会が訪れたのだ。フーケがそれを見過ごすはずがなかった。
354 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/07/15(日) 19:47:39 ID:a1/9x04N
翌朝。
トリステイン魔法学院の教員室では、朝から蜂の巣をつついた様な騒ぎが続いていた。
何せ、秘宝【破壊の杖】が盗まれた為である。
朝、見回りの教師が宝物庫を点検した際、壁にフーケの犯行声明が刻まれていた為、事が発覚した。それから、しばらくして、教員の必死の現場検証により、初号機の開けた横穴が侵入経路であるということもわかったのだ。
すぐさま、ルイズとシンジが教員室に呼び付けられ、その場にいたほとんどの教師に吊し上げられた。
鳶色の瞳が潤んでいるのを見てシンジの心は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
そこにオスマンが現れた。
「これこれ、子供をそういじめるものではない」
ルイズとシンジを叱り続けていた教師がオスマンに訴える。
「しかしですね。全責任は彼等にあります。やはり、あのオーガ、処分するべきですよ!」
「子供をくどくど叱ったところで【破壊の杖】が返って来るわけでもなかろう。それにオーガの処分がどうとか言う議論も、今、やったところで無意味じゃ」
それから、オスマンは、気付いたようにコルベールに尋ねた。
「ときに、ミス・ロングビルはどうしたね?」
「それがその…、朝から姿が見えませんで」
「この非常時に、どこに行ったんじゃ」
「どこなんでしょう」
そんな噂をしているところにミス・ロングビルが現れた。
彼女は、今朝、事が露見してからというもの、単独でフーケの行方を調査していたようで、近在の平民から有力な情報を得たといった内容をオスマンに報告した。
「仕事が早いの。ミス・ロングビル」
コルベールが慌てた様子で促した。
「で、その情報とは?」
「はい、フーケは近くの森の廃屋を隠れ家としている模様です。その平民が言うには、今朝方、巨大なゴーレムを従えた黒ずくめのローブを来た男が、その廃屋に入っていったようです」
「ふむ、調べてみる価値はありそうじゃな」
オスマンが、髭を撫でながら言った。
このオスマンなら、ロングビル雇ったのにも裏がありそうだ
台風一過の更新GJ
ハリーポッターの世界にシンジが迷いこんだみたいなイメージだけど、
おもれえ
GJ!
「で、そこは近いんですか?」
コルベールが問う。
「はい、徒歩で半日。馬で4時間といったところでしょうか」
「すぐに王室に報告しましょう!王室衛士隊に頼んで、兵隊を差し向けてもらわなくては!」
一人の教師が叫んだ。
オスマンは首を降ると、目をむいて怒鳴った。年寄りとは思えない迫力であった。
「馬鹿者!身に降りかかる火の粉を己で払えんで、何が貴族じゃ!魔法学院の宝が盗まれた!これは魔法学院の問題じゃ!当然、我等で解決する!」
オスマンは咳ばらいをし、勇姿を募った。
「では、捜索隊を編成する。我と思うものは、杖を掲げよ」
しかし、誰も杖を掲げない。皆、困ったように顔を見合わせるだけだ。
「おらんのか?おや?どうした!フーケを捕まえて、名をあげようと思う貴族はおらんのか!」
ルイズは俯いていたが、それからすっと杖を顔の前に掲げた。
「ミス・ヴァリエール!」
一人の女教師が驚きの声を上げた。
「何をしているんですか!あなたは魔法も未熟な生徒じゃありませんか!」
「お願いします。私にやらせて下さい、オールド・オスマン!自分で犯した不始末くらい、自分で始末を付けさせて下さい!」
ルイズはきっと唇を強く結んで、言い放った。真剣な目をしたルイズは凛々しく、美しかった。
その様子を見て、オスマンは軽く笑った。
「そうか。では、君に頼むとしよう」
教師達が口々に反対の声をあげる。
「返り討ちにあうのが関の山です!」
「何故、そんな馬鹿げたご決断を…!」
オスマンは、教師達の言葉に取り合わず、ルイズに言葉を投げかけた。
「魔法学院は、君の努力と貴族の義務に期待する!」
ルイズは直立し伊勢いよく言い放った。
「この杖にかけて!」
それからスカートの裾をつまみ、恭しく礼をする。
シンジは呆けた様子でその光景を見守っているだけだった。
シンジは、オスマンに促され、初号機の前まで連れて来られた。
ルイズは、案内役を務めることになったミス・ロングビルと共に出発の準備をしている。
「昨日は失敗したようじゃな」
「すいませんでした…。校舎を壊してしまって」
「なに、気にすることはない。幸い怪我人もおらんかった」
「あの…。このルーンは…、ガンダールヴとは一体なんなんですか?昨日、このルーンが発光して、それで気付いたらエヴァとシンクロしているような感覚に陥って…、冗談で歩く様に思ったら本当に歩いてしまって…」
シンジは不安げな声でとつとつと語った。
「伝説の使い魔のルーンじゃよ。先日、説明した通り、それが全てじゃ」
もちろん、この言葉は嘘である。オスマンは、今の段階でこの少年に全てを語るのは時期尚早と考えているのだ。
「この前、おっしゃっていた特殊能力ってやつなんでしょうか?」
「おそらくな。さぁ、昨日と同じ様にやってごらんなさい。意識を集中させ、呼吸は深く」
「だけど、昨日と同じことになってしまったら…」
「最初から、失敗することを考えてはならん。成功するイメージを強く持つんじゃ。それに、ここで君が諦めたら、ミス・ヴァリエールの命も今日限りじゃろうな」
シンジが眉をひそめる。
「ミス・ヴァリエールに対して失礼を承知で言うが、彼女が『土くれのフーケ』と対峙するなんてことは、性質(たち)の悪いパーティージョークにもならん。
使い魔である君は、ミス・ヴァリエールの実力の程をよく理解しておるじゃろ。土くれのフーケは、その所業はともかく、非常に強力なメイジじゃよ。ミス・ヴァリエールの決断は、はっきり言って、蟻が象を倒そうとするくらい愚かな行為じゃ。
それでも、彼女が退くことはないじゃろう。彼女の覚悟は本物じゃ。わしはそう確信しておる。じゃから、死ぬよ、あっさりとな。君はそれでいいのかい?」
「そんなの…っ!決まってます、よくないです。だけど、ぼくには何も出来ない…」
それだけ言うと、シンジは悔しそうに拳を握りながら俯いた。
オスマンはそんなシンジの頭を優しく撫でる。
「何を言ってるのじゃ。君には、このオーガがいるじゃないか。このオーガを使役する君なら、間違いなく土くれのフーケごときには遅れをとったりはせん。わしが保証しよう」
シンジが顔を上げる。彼の瞳には、慈愛に満ちた微笑みを浮かべる老人の顔が映った。
「ぼくに出来るんでしょう…?」
「君が望むのであればな。さ、やってみなさい…」
シンジは瞳を閉じ、意識を集中させた。
少年の決意に答えるかのごとくガンダールヴのルーンが鮮やかな青色の光を放ち始めた。
このオスマン…悪じゃないか?
たしかにオスマンのキャラが違いすぎるな
パルパティーンめ…
シンジをダークサイドへ堕とすつもりか…
まず、初号機の両腕が動いた。手の平で壁を押し上げ、自らの体をそこから引き抜いたのだ。
その振動で、石くれや砂埃が地面に舞う。
それから、ゆっくりと数歩だけ後退し、そこに直立した。
「…動いた。オスマンさん、ぼくの思った通りに動きましたよ!」
シンジが興奮気味に叫ぶ。
「成せば成る、何事もな」
オスマンは少年に向かってにっこりと微笑んだ。
偶然見っけて一気にここまで読んだ。
作者GJ!面白いです。
シンジがオスマンに父性を見出して依存w
オスマンは綺麗なゲンドウですねw
果たしてこのシンジの運命はどうなるのか?
最終的にオスマンが自分を駒としてしか見てないのを知って暴走か?
なぜだろう。「待つんじゃシンジ!」と呼び止めるオスマンに「ダメです、ルイズが呼んでる」と答えるシンジが見えたw
オスマンの最終的な狙いが補完計画だったらマジシャレにならんなあ
電力もエントリープラグすらも必要としない初号機の自立起動、それはシンジの世界の常識に照らし合わせれば、不可解極まりない自体のはずだった。
しかし、オスマンの思惑通り、シンジは偶発的に発揮されたガンダールヴの特殊能力によるものと思い込んでしまった。不利益などあろうはずがない、そう信じて疑わなかったのだ。
シンジが自身の体の変化に気付くのはまだまだ先の話である。
その為、彼のアダム族としての肉体は、次第にリリンの魂に馴染んでいった。取り返しがつかなくなるのも、そう遠い日ではない。
「じょ、冗談じゃないわ。そんなの連れていけないわよ」
ルイズは、待ち合わせ場所に現れたシンジの後ろにいる巨大な初号機を見上げ、顔をこわばせながら言った。
彼女の言い分はもっともである。なにせ、先日、死ぬような思いをさせられたばかりだし、その上、頭を抱えたくなるようなこの現状を作り出したのも、結局は初号機なのだ。
ミス・ロングビルはというと、顔を蒼白させたまま押し黙っていた。当然の反応なのかもしれない。しかし、勇気を振り絞り、それでもやっぱり震える声で、オスマンに向かい言った。
「私もミス・ヴァリエールの意見に賛成です。危険を増加させるだけのような気がします。それに今回の任務には隠密性が必要です。こんな巨大なオーガを従えていたら、フーケに、貴方を追跡する私達はここにいますよ、と言っているようなものですわ」
そろそろコテハンをつけていただけると、すぐ見分けがついてありがたいです
そしてピンチなフーケにちょっと萌え
オスマンは首を横に振ると、二人を窘める様に言った。
「相手はあのフーケじゃ。使えるものは何であろうとも使い切る、それくらいの心構えで臨まないと、苦心を舐めさせられるだけじゃよ」
ルイズがそれに反論した。
「しかし、オールド・オスマンもヴェストリの広場での事件をご存知のはずです。このオーガは狂気の塊です。そんなものには、背中をあずけられません。ただでさえ、危険な任務なのに、背後すらも気にしなくてはいけない様では、それこそ達成は困難です」
「前を歩かせれば済む話じゃ」
オスマンが呑気な声で揚げ足をとると、ルイズの肩が振るえ始めた。
「そういう事を申し上げるんじゃございません!」
>>374 了解です。
後、最後のルイズのセリフ。
「そういう事を申し上げ『て』いるんじゃございません」の誤りです。
確認してるのに、誤字脱字、誤表現多すぎるよorz
みんな、読みづらくてごめんね
ワード使うと、誤字脱字確認しやすいよ
「わかっておるよ。それに大丈夫じゃ。君達の心配するようなことは起きん。彼はこうして立派にこのオーガを制御しているではないか」
しかし、ルイズは納得がいかない様子だった。
オスマンは彼の長い髭を摩った。
「ふむ、そうじゃ、ミス・ヴァリエール。わしから交換条件をだそう」
「交換条件…、ですか?」
「もし、君がこのオーガの同行を認めるならば、火の塔及び本塔の修繕にかかる全費用を本学院が負担しよう。つまりチャラじゃ。どうだね、悪くない条件だと思うのじゃが」
突然、提示された破格の条件にルイズは目を丸くした。当然の事ながら、あれだけ破壊された校舎を、彼女がもらう実家からの仕送りだけで、修復することなど不可能だ。
と、すると、両親に泣き付かなければならなくなる。ヴァリエール家はトリステインの名門だ。払えないことはないだろう。
しかし、大目玉を喰らうのだけは免れない。もし、オスマンの提案を飲めば、その悩みは解消される。
結論は簡単に出た。
「オールド・オスマンがそこまで譲歩して下さっているのに、お断りするなんて出来ませんわ」
ルイズは微笑んだ。
ミス・ロングビルの顔からは血の気が完全に失せた。
フーケ悲惨ww
380 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/07/16(月) 21:36:51 ID:T+lHOqsj
クロスSSでも5本の指に入る涙目だなww
381 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/07/16(月) 21:42:47 ID:mI5/IVfn
>>377 ヒント、携帯w
電車やバス等、移動中の空いた時間に書いてるんだ
トリップつけたことないんだけど「♯」の後は英数字だけしか入力しちゃだめ?
あげちゃったorz
>>381 携帯からかよ!w
鳥は「#」の後は英数字以外でも問題ないぞ
hosyu
ロングビルが用意した馬車に一行は乗り込んだ。
馬車といっても幌のない荷車に馬二頭を固定しただけの粗末なものである。土くれのフーケに奇襲を受けた時に、豪華な籠車よりも散開しやすいというのが理由だ。
御者を担うことになったロングビルが鞭を振るうと、従順な馬達が走りだす。
それを見届けていたオスマンに背後から声をかける者がいた。
コルベールである。
「彼は勝つでしょうか…?」
「ああ、間違いなくな。土くれのフーケごときでは手も足も出んじゃろ」
エントリープラグを経由して初号機とシンクロする場合、初号機の視覚が捉えたものはエントリープラグの内壁に投影される仕組みになっている。
しかし、ガンダールヴを利用したシンクロだと初号機の視覚まではリンクされないようだった。
ちなみに俯瞰視点からの操縦は思った以上に困難で、出発直後の初号機は事あるごとに転倒し、荷車を牽引する馬を、一々、驚かせていた。
そして初号機の転倒数に比例して、馬の手綱を握るロングビルの血色は明らかに良くなっていった。今では、その端正な顔立ちに笑みすら浮かべている程だ。
「意外とお茶目なんですね、このオーガは」
そんな言葉まで口から出始めた。単純に滑稽な初号機の姿を楽しんでいるだけなのかもしれない。
しかし、一時間も経つと【サードチルドレン】という名に恥じない華麗な操縦をするシンジの姿があった。
この少年は根が真面目なだけあって、移動中、ただ馬車の後を付いていくだけではなく、今後の為にと、色々、試行していたのである。
地球では何度も搭乗した機体だ。その為、下地だけはすでに出来上がっていたので、コツを掴んだ後の彼の成長ぶりは劇的なものだった。
目の前で初号機の前方宙返りを披露されたルイズは呆気にとられて呟いた。
「すごい…。こんな曲芸まで出来ちゃうんだ」
初号機が着地した際に発生した衝撃により、地面がめくれ、巨大な土の固まりが宙を舞う。
フーケも青くなったり喜色ったり忙しいなww
フーケが可愛いわ!
たまにはフーケが味方にならんかな
このままいくとシンジは化け物になってしまうのか?
なんか最後はシンジ自身が世界を滅ぼしそうで怖いよ……
エヴァは暴走さえしなきゃ、素直に言うこと聞くからなあ。そら動かし易いわ。
でもひょっとして、その他のフィードバックや同調もないのかな? 痛覚同期という致命的な欠点はどうなったんだろう
「やろうと思えば、100メイルくらい簡単に跳躍できますよ」
シンジが自信に満ち溢れた声で断言した。
「ほんとに!?すごいじゃないの!」
「これが本当のエヴァの姿です」
それから、シンジは初号機の事について、彼が知りうる知識を事細かくルイズに向かって説明した。
初号機の左肩部に納めされているナイフを使えば、いかなる金属も容易に切断可能であること。初号機の体の周りを覆う装甲は短時間であれば、高熱のマグマに浸そうが十分に耐えられる性能を持っていること。
そして、初号機の展開するA.T.フィールドは、同じA.T.フィールドに中和されない限り、ほとんどの攻撃を無効化するということ。
シンジの言葉を聞いていたルイズの鳶色の瞳がきらきらと輝きだす。
この少年は実に控えめな性格である。だから、間違っても大見栄を切る為だけに嘘言を呈することなどは考えられないのだ。
つまり、彼の言葉は全て真実に違いない。ルイズは、そう確信した。
「土くれのフーケなんて目じゃないわね」
「たぶん、そうですね」
シンジが微笑む。
すると、ロングビルが体調の不良を訴え、仕方なくルイズが代わりに手綱を握ることになった。
シンジには経験がない為である。
必然的に、シンジがロングビルの看病をすることになった。
「あの、大丈夫ですか、ロングビルさん?」
シンジが心配のあまり、横たわるロングビルに尋ねた。
「ええ。なんとか…」
言葉とは裏腹に、ロングビルはどんどん容態を悪化させていった。そんな彼女が無理して口を開く。唇が真っ青だった。
「あの、碇くん。さっきの言葉は本当ですか…?」
「さっきの言葉?」
「あのオーガの潜在能力…」
「ええ、本当です。土くれのフーケなんて、すぐに片付けてみせますよ。だから、ロングビルさんは安心して横になっていて下さい」
ロングビルはあっさりと自身の意識を手放した。
フーケ悲惨
てっかそのまま寝てれば無事にやり過ごせるぜ
ルイズとシンジは二人揃って顔を青くした。
急激な症状の悪化、そして、ついには昏倒してしまったのだ。なにか生命に関わるような病なのではなかろうか。二人の頭には最悪の展開がよぎった。
「ど、どうしましょう、ルイズさん?」
「トリステイン学院に戻るしかないわね」
「土くれのフーケは?」
「人の命には変えられないわよ」
ルイズは少しだけ残念そうに呟いた。
しかし、その台詞に嘘はなかったらしく、手綱を操ると馬車をもと来た道に引き戻した。
その時、一匹の空を舞う風竜がルイズの視界に飛び込んで来た。猛烈な速さでこっちに向かって飛翔している。その背には見知った顔が二つ、キュルケとタバサだった。
・破壊の杖なんかよりエヴァの方がよっぽど価値がある
・それを操れる唯一の人間は性欲盛り14歳のウブな少年である
色香で惑わすんだ、フーケ!
まあこんなデカいもん盗んでも隠せないからしょうがないだろうけどな
風竜が馬車の側に舞い降りた。
「キュルケにタバサ!あんた達何しに来たのよ!」
キュルケが風竜から飛び降りて、前髪をかきあげた。
「学院中の噂になってるわよ。ルイズが、あのゼロのルイズが、学院一番の落ちこぼれが、土くれのフーケの討伐にでたってね。身の程知らずもいいとこだわ。だから、あんたがやられるところを見学しに来たの」
「さっきと言ってることが違う…」
タバサがぽつりと呟いた。
「しっ!タバサ、あなたは黙ってて」
キュルケがタバサを制した。
なんだかんだ言っても、ルイズのことが心配で駆け付けたのだろう。シンジのなけなしの勘が、そう告げていた。
すると、ルイズが誇らしげに胸をはる。
「あんた、あのオーガが見えないの?」
キュルケのこめかみに汗が滲んだ。
「……それも学院中の噂になってたわ。ルイズの使い魔が例のオーガを引き連れて、校門の外に消えたって。これ、どういうことよ?なんで動いてんのよ?」
キュルケは、暴走時の初号機しか知らない。その為、初号機には拭いがたい畏怖の念を抱いているのだ。
「いい、よーく聞きなさいよ?このオーガはシンジの使い魔なの。つまり、私の使い魔は、使い魔でありながら、使い魔を使役する素晴らしい使い魔なのよ!」
「なんか、早口言葉みたいですね」
シンジが横槍を入れるとルイズに、ばか、と一言説教された。
「つまり、今はシンジ君の制御下にあるわけ?」
キュルケがシンジに尋ねる。
「ええ」
「暴れたりしない?」
「大丈夫ですよ」
シンジの言質をとったキュルケは、少しの不安をその豊かな胸に残しながらも、再び余裕の態度を取り戻した。
「じゃ、行くわよ、ルイズ」
「どこによ?」
「フーケの所に決まってるじゃない」
「無理よ」
「どうして?」
ルイズが昏倒したままのロングビルを指差した。
「ミス・ロングビルの体調が優れないの。ひょっとしたら、何か重い病なのかもしれないし…」
キュルケがタバサを見遣る。
「わかった」
キュルケの言いたいことを瞬時に察知したタバサは、ロングビルの体に物体浮遊魔法【レビテーション】をかけ、彼女の使い魔である風竜の背に乗せた。
「頼むわよ」
キュルケの言葉にタバサは軽く頷き、風竜に指示をだした。
「シルフィード、トリステイン学院へ」
シルフィードと呼ばれた風竜は短く鳴いて、了解の意を主人に伝えると、青い鱗を輝かせ、力強く翼を羽ばたかせた。あっという間に高空にのぼり、トリステイン学院に向け飛んでいった。
初号機の手に乗って、移動すればいいんじゃね?
「さ、後顧の憂いは絶たれたわよ。行きましょうか」
キュルケの言葉通りトリステイン学院に戻る理由のなくなった一行はフーケの隠れ家へと馬車を走らせた。
しかし、それはシンジの苦行の始まりに過ぎなかった。
まず、誰が手綱を握るかで喧嘩が始まった。シンジの無難な提案で代わりばんこにやることになった。
次にルイズが用意していたお昼のお弁当をきっかけにして、喧嘩が始まった。味付けは薄い方がいい、だとか、恋と一緒で何事も濃い方がいい、だとか、シンジからすればどうでも良い内容ばかりだった。
その後もルイズとキュルケの口喧嘩は絶える事なく続き、それを宥める役目のシンジがいい加減に辟易してきた頃、馬車は深い森に入っていった。鬱蒼とした森が三人の恐怖を煽る、…わけがなかった。前方を歩く初号機が行く先を阻む木々を次々と薙ぎ倒しているからである。
「土木用に使えるわね」
その光景を眺めていたキュルケが軽口を叩いた。
しばらくすると、一行は開けた場所に出た。森の中の空き地といった風情である。
ロングビルの情報通りその中心には確かに廃屋があった。元は樵小屋だったのだろう。朽ち果てた炭焼き用らしき窯と、壁板が外れた物置が隣に並んでいる。
人が住んでる気配は全くない。本当にフーケはあの中にいるのだろうか?
二人の少女が同様の考えを頭に巡らせていた時、唐突にシンジが口を開いた。
「この情報、ガセじゃないですか?」
「なんでよ?」
ルイズが尋ねた。
「だって、ロングビルさんが言ってたじゃないですか。フーケは巨大なゴーレムを従えて廃屋に入っていったって。フーケの作り出すゴーレムはおよそ30メイルの巨体ですよね?40メイルのエヴァとあまり変わりのないゴーレムが森を破壊せずに進むなんて有り得ないですよ。
なのに、この空き地のどこを見ても、そんな様子は全くないじゃないですか」
シンジの言うことはもっともだった。
無駄足だった事に気付いた二人の少女が揃って溜息をつく。
「一応、中の様子を見てきますね」
「そ、頑張ってね」
ルイズは力無く言った。緊張の糸が一気に切れてしまったようだ。
シンジは小屋の側まで、近づくと窓越しに中を覗いてみた。やはり、小屋の中に人影はない。
部屋の中には埃の積もったテーブルと、転がった椅子があるだけだった。
しかしながら、シンジを驚かせるには十分な代物がテーブルの上に置かれていた。それはシンジのよく知る物だったのだ。
――あれは…、マゴロク・エクスタミー…。
しかし、その【代物】はシンジが知っているそれよりもはるかに小さい。ちょうど、人が扱うようなサイズだ。恐らく試作品か、それに近いものなのだろう。
シンジは小屋の中に入ると、それを手にとった。
やはり、あれに間違いない。もしかして、これが破壊の杖なのだろうか。
シンジは小屋から出て、ルイズに声をかけた。
「ルイズさん、破壊の杖って、これのことですか?」
シンジから差し出された物を驚きの表情で凝視したルイズは慌ててポケットの中から折りたたまれた一枚の紙を取り出した
。
ルイズは破壊の杖を見たことがない。その為、破壊の杖の成形が描かれた紙をオスマンから預かっていたのである。そして、紙に描かれたスケッチとシンジの手にするそれの姿は酷似していた。
「間違いないわ…。それこそが破壊の杖よ」
杖?これのどこが?
シンジは少し納得がいかない様子だった。
たしかにw
ロングビルは保健室でいまだ昏倒したままである。かと言って、命に別状があるわけでもないようだ。トリステイン学院に常勤する医師によると、過度のストレスが原因ではないかということだった。
学院長室で三人の報告を聞いたオスマンが微笑む。
「よくぞ、破壊の杖を取り返してきた」
誇らしげに、ルイズとキュルケが礼をした。
「一件落着じゃな。君達二人の働きに貢献する為に、【シュヴァリエ】の爵位申請を王室に出すつもりじゃ。追って沙汰があるじゃろう」
二人の少女の顔が輝く。
「本当ですか?」
キュルケが驚いた声で言った。
「嘘はない。君達はそれくらいのことをしたのじゃからな」
ルイズがちらっとシンジの顔を伺う。
「オールド・オスマン。シンジには何もないんですか?」
「残念ながら、彼は貴族ではない」
「ルイズさん、気にしないで下さい。ぼくは何もいらないですよ」
シンジが言うと、オスマンはぽんぽんと手を打った。
「さてと、今日の夜は【フリッグの舞踏会】じゃ。この通り、破壊の杖も戻ってきたし、予定通り行う」
「そうでしたわ!フーケの騒ぎで忘れておりました」
キュルケの様子が急に慌ただしくなった。
「今日の舞踏会の主役は君達じゃ。用意してきたまたまえ。せいぜい、着飾るのじゃよ」
二人は礼をするとドアに向かった。しかし、シンジは動こうとしない。ルイズがその姿を見て、立ち止まる。
「先に行ってて下さい」
シンジが言うと、ルイズは心配そうに彼を見つめた後、頷いて部屋を出ていった。
「なにか、わしに聞きたい事があるねかね?」
シンジは頷いた。
「あの破壊の杖はぼくがもといた世界の武器です」
オスマンの目が光る。
「ふむ、もといた世界とは?」
「ぼくはこの世界の人間じゃありません」
「本当にそう思っているのかね?」
「間違いないです。ぼくの世界の常識はハルゲキニアは全く通用しません。ぼくは、ルイズさんの召喚でこっちの世界に呼ばれたんです」
オスマンは目を細め言った。
「ハルゲキニアの星空を見たことはあるかい?」
「はい?」
「答えははそこにあるんじゃよ、おそらくな」
真相を語ると、実はこの時のオスマンの頭の中にはすでに一つの仮説が出来ていたのだ。
「よく分かりません」
「今はそれでいいんじゃよ」
オスマンが微笑む。
じじいw
>>411 こらこら、日本語は正しく使いなさい。
くそじじい、と、そう言うんだ。
てっかEマゴロクソードはどうした、やっぱりGETするのかな
どっかの武器屋で喋る剣が泣いてる予感!?
マゴロクソード「君の心は硝子のように繊細だね」
シンジ「え?あ?……け、剣がしゃべった……?」
うやむやにされた気もしないでもなかったが、それには目をつむり、シンジはもう一つの疑問をオスマンに投げかけた。
「あれは…、破壊の杖はぼくの世界で、【マゴロク・エクスタミー・ソード】と呼ばれていました。つまり、剣です。形状だって、どこからどう見ても剣のはずです。なぜ、あれが破壊の『杖』なんですか?あれをこの世界に持ってきたのは誰なんですか?」
オスマンは溜息をついた。
「あれをわしにくれたのは、わしの命の恩人じゃ」
「その人はどうしたんですか?その人はぼくと同じ世界の人間です。間違いありません」
初号機とマゴロクがアレば喋る剣は魔法避け位しか使えんからなw
417 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/07/19(木) 23:53:29 ID:4/0f29a7
>>416 A.T.フィールドがあるから、魔法避けなんか、いらないかもしんないね
マゴロク・エクスターミネート・ソードじゃなかったっけ?
419 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/07/20(金) 02:36:00 ID:VSC8vM9b
>>430 それはやばいだろ
40〜200メートルのエヴァで運ぶと
フーケさんが吐くと思うよ
420 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/07/20(金) 02:38:43 ID:VSC8vM9b
先ほどの419です
>>430さんでなく、403さんでした
なぜだろう。マゴロクソードの持ち主に、命の恩人というワードで余計なことをと思ってしまったのはw
「死んでしまった。今から300年も昔の話じゃ」
「300年?」
「わしは350歳くらいになる。正確な年齢は忘れてしまったよ。永く生き過ぎたせいでな」
「こっちの世界の人はそんなに長寿なんですか?」
「いや、わしだけじゃよ。普通の人間なら100年も生きられん。話を戻すが、300年前、森を散策していたわしは、ワイバーンに襲われた。
そこを救ってくれたのが、あの破壊の杖の持ち主じゃ。彼は破壊の杖でワイバーンを切り裂くと、ばったりと倒れた。怪我をしていたのじゃ。わしは彼を学院に運び混み手厚く看護した。しかし、その甲斐なく……」
「亡くなられたんですね?」
オスマンは頷いた。
「わしは恩人の形見に、『破壊の杖』と名付け宝物庫にしまいこんだ。もちろん、わしにも、わかっておった。あれは剣だとな」
「では、何故…?」
「君も知っておろう。剣は平民の武器じゃ。貴族は杖を使う。わしは自分の恩人が使用した武器に敬意を表して『杖』と銘打った。ただ、それだけのことじゃよ」
オスマンが遠い目になった。
「彼はベッドの上で、死ぬまでうわごとの様に繰り返しておった。『ここはどこだ。元の世界に帰りたい』とな」
「いったい、誰がこっちにその人を呼んだんですか?」
「それはわからん。どんな方法で彼がハルゲキニアにやってきたのか、最後までわからんかった」
「そうですか…。もとの世界に戻るきっかけになればと思ったんですが…」
「力になれんで、悪いの。ただ、これだけは言っておく。わしはいつだって君の味方じゃ」
オスマンはそう言うと、シンジの体を抱きしめた。
「よくぞ、恩人の形見を取り戻してくれた。改めて礼を言うぞ」
「いえ……」
「君は平民だ。爵位を与えることは出来ない。その代わりにこの破壊の杖を君に授けよう」
「いえ、そんな…。オスマンさんの恩人の形見じゃないですか。とても、受け取れません」
オスマンがシンジの頬を撫でた。
「君はまだまだ幼い。望郷の念にかられることもあるだろう。その慰めにでもしなさい…」
「……本当にいいんですか?」
「もちろんじゃ」
アルヴィースの食堂の上の階が大きなホールになっている。舞踏会はそこで行われていた。シンジはバルコニーの枠にもたれ、星空をぼんやりと眺めていた。
オスマンの言葉が、頭の中でリフレインする。
『ハルゲキニアの星空を見たことはあるかね?』
一人寂しく佇むシンジの姿に気付いたキュルケが彼のもとに近寄ってきた。純白のドレスがきめ細やかな褐色の肌を際立たせている。胸元が不必要なまでに開いていた。
「シンジ君、なにしてるの?」
「いえ、星空を眺めていたら、なんだか、懐かしくなってきちゃって…」
「あら、意外とロマンチストなのね」
「違うんです。星の配置だけは、ぼくのいた世界と似通ってるみたいで…、それで、なんとなく」
その時、一人の男子生徒がキュルケに声をかけた。
「ミス・ツェルプストー。もし、よろしければ、僕と…」
男子生徒がキュルケに右手を差し出す。ダンスに誘っているのだ。
「喜んで」
微笑みを浮かべたキュルケがシンジに向き直る。
「ごめんね、シンジ君」
「いえ。それよりも、楽しんで来て下さい」
キュルケの姿がホールへと消える。
黒いパーティドレスを着た手挟は、一生懸命にテーブルの上の料理と格闘していた。
皆、それぞれにパーティを満喫しているようだった。
ホールの壮麗な扉が開き、ルイズが姿を現した。シンジに舞踏会の参加を強制させたくせに、えらく遅い登場である。
門に控えた呼出しの衛士が、ルイズの到着を告げた。
「ヴァリエール公爵が息女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢のおなーりー!」
主役が揃ったことを確認した楽士たちが、小さく、流れるように音楽を奏で始めた。
いつの間にかギーシュがシンジの横にいた。顔が真っ赤だ。相当、ワインを頂戴しているのだろう。
「こうやって、着飾るとルイズもかなりの美人だな。ほら、見なよ。今まで、ルイズの事をからかっていた生徒たちがルイズにダンスを申し込んでる」
「ルイズさんは普段から美人ですよ」
ギーシュが軽く笑った。
「そうか、そうかもな。しかし、そんな美人と毎日寝食を共にできる君は幸せ者だな」
「そうでもないですよ。ずぼらだし、わがままだし…。服くらいは自分で着てもらいたいです」
さっき、一杯だけ飲んだワインが原因なのだろう。シンジにしては珍しく饒舌だった。
「他人には見せないありのままの姿を見せる…、それって家族ってことだろ?トリステインに身寄りのない君にとっては有り難い話じゃないか」
シンジは息を飲んだ。ギーシュの言葉が胸に染みたからである。
「……ギーシュさんて、いい人だったんですね」
「おいおい。何を今更…」
ギーシュはわざとらしく髪をかきあげる。
「ま、あの時は殴ったりして悪かったな…」
シンジの背中を掌でぽんと叩くと、ギーシュは豪華な食事の並ぶ円卓へと向かった。
これはいい三人目のギーシュですね。
入れ代わりにルイズがやって来た。ほんのりと赤みを帯びたシンジの頬に気付いたルイズは腰に手をやって、首を傾げた。
「楽しんでるみたいね。」
「ええ。ルイズさん、ドレス似合ってますね」
「ありがと」
「踊らないんですか?」
「相手がいないのよ」
ルイズが手を広げた。
「いっぱい、誘われてたじゃないですか」
ルイズはシンジの言葉を無視した。
「ね、一緒に踊らない?」
「ぼく、ダンスわからないですよ」
「いいのよ、教えてあげるから」
「ぼくでもできますか?」
ルイズはドレスの裾を恭しく両手で持ち上げると、膝を曲げてシンジに一礼した。
「わたくしと一曲踊って下さいませんこと。ジェントルマン」
きらきらと輝く微笑みを浮かべたルイズがシンジの手をとった。
「私に合わせてね」
シンジは見よう見真似でルイズに合わせて踊りだした。
「ねえ、シンジ…」
「なんですか?」
「私、今ではあなたを召喚して本当に良かったって思ってるの。もちろん、あのオーガがいたからとか、そう意味じゃなくて…」
「ぼくもご主人様がルイズさんで良かったと思ってますよ」
ルイズは軽やかに優雅なステップを踏みながらシンジに尋ねた。
「シンジはもとの世界に帰りたい?」
「ええ。帰らなくちゃならないんです。ぼくにはやらなくてはならないことがありますから…。でも、どうやったら、帰れるかだなんて分かりませんし、もうしばらくはよろしくお願いします」
破壊の杖は一つの事実を示唆していた。マゴロクソードはセカンドインパクト発生後に造られた武器である。300年も昔にあるわけがない。つまり、地球とハルゲキニアの時間軸は間違いなくリンクしていないのだ。よって、焦って帰る方法を探す必要はどこにもない。
のんびりとその時を待てばいい、シンジはそう考えていた。
「こちらこそ、よろしくね。私の可愛い使い魔さん」
シンジが微笑む。
「はい。ぼくはゼロの使い魔ですから…」
フーケ、
襲
第参話 来
終わり
ワ 第四話
ル
ド
、来訪
へ続く
【新世紀エヴァンゲリオン×ゼロの使い魔】
〜想いは、時を越えて〜
第一部 完
アニメ化決定だな。乙です。
後書きにかえて
>>352 遅レスでごめんね。
単なる間違いだよw
後、軽いネタバレになるけどデルフィンガー出ます
安価ミスが得意技になっちゃったorz
>>325です
第壱話の後書きとかぶるけど、
>>428さんや
>>432さんのように、即レスをくれる人がいるってことは、自分の文章を読んでくれてる人は自分で思っている以上にたくさんいるって勘違いしてもいいのかな?w
レスを下さる方、そしてロム専の方、こんな自己満足物語を読んでくださって本当にありがとね。
三日坊主でならした自分がここまで書けたのは、間違いなく、みなさんのおかげです。
このペースだと、結末である第拾五話【セカイノソウセイニユメヲエガイタショウネン】を書ききるには頃には年があけてるかも知れません。
何とぞ、お付き合い下さるようお願い申し上げます。
第弐部もサービスぅ♪サービスぅ♪w
436 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/07/20(金) 23:48:15 ID:VSC8vM9b
>>422 遅れてすいません
理由は、人が歩くとごくわずかですが上下に
動いています。
それを考えて計算すると、
<計算>エヴァの身長÷平均的人間の身長×歩くときの上下運動の揺れ=
<答え>エヴァの歩くときの上下運動の揺れ
で、出でくるはずです。
吐くと言ったのは最悪の場合であり、軽くて容態が悪化するぐらいです。
結論から言うと、エヴァは救急車みたいに人を乗せるべき乗り物ではないと
思われます。
>>435 ということは…わが軍は後半年は戦える!
438 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/07/21(土) 00:02:06 ID:VSC8vM9b
>>436 再びすいません。
計算するときは、単位は同じに計算してください。
例 4000cm÷200cm×約0.5cm=約10cm
約10cmの上下運動が歩くたびに、揺れます。
ファンタジーやSFにそういう計算をするのはナンセンスw
>>425 手挟ってタバサか
珍しい変換間違いだな
シンちゃんええ子や・・・
ルイズに対する認識がミサトさんと似通ってるのがおもしろいなw
>>438 ちなみに上がるときは関節の稼動に連動するので
>>436の計算式でいけますが、
下りるときは重力加速度に依存するので単純にスケールアップできません。
計算はナンセンスだぜー。
まぁ、俺達の感覚で、手にコップ持って、それに水入れて。
その水が全く揺れないように歩く、と言うのがどれくらい至難の業か、やってみれば解るはず。
水の揺れ方=エヴァで運んだときのシェイク になる
444 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/07/21(土) 01:43:57 ID:HAmdkmzG
大気圏外の使徒にロンギヌスの槍を命中させるよりは簡単だと思う
だから、SFやファンタジーに物理や化学を持ってくるのはナンセンス
ROM専だったけど、楽しませてもらってますーw
最終話wktk! とりあえず
お小姓扱いされーの、肉体改造進みーのなシンジ(゚Д゚)ウマー
なんかかわいいと思ったら、一番年下なのか。
作者GJ!
>>438 >>443 考察乙ー。船酔いしそうだw;
プラグ逝ってるし、どうやっても乗り心地じゃ負けるか?w
ATF辺りのお陰で現象・法則がだいぶ吹き飛ぶから、サイズの話は単純におもろかった。
楽しみにしてるけど正直肉体改造はしてほしくなかったなぁ
でもプラグにいない状況じゃ仕方ないかもなぁ
448 :
1:2007/07/21(土) 11:50:39 ID:???
>>422 いや、このオスマンなんか悪人な気がしてw なぜそこで始末しておかなかったのかと
星の配置に引っかかりつつGJ
ワ 第四話
ル
ド
、来訪
私の心は煤けた掛け時計なんだと思う。
時を刻む事を止めてしまってから、もう長い時間が経つ。私の心はあの時あの場所であっさりと壊れた。
私は原因を探った。
長い時間をかけてようやく答えに行き着いた。ゼンマイが一つ足りないのだ。ただ、それだけの理由。
私は足りないゼンマイを探した。いろんな所にいった。いろんな人と話した。
それでも、ゼンマイは見つからなかった。
疲れたから、諦めた。
私はゼンマイの代替品を探すことに決めた。
希少な宝石。ヴィンテージワイン。壮大な絵画。上品なドレス。そして、魔法の宿った世界に一つしかない不思議な道具。
あたりをつけたものは、全部盗んだ。
だけど、どれもゼンマイの代わりにはならなかった。
私はやっぱり欠けたゼンマイが欲しい。
心が悲鳴をあげた。
そして、私は目覚める。
トリステイン学院の保健室に、私はいた。
エヴァの下半身をキャタピラにすればいい
学院長室の扉がノックされた。
「オールド・オスマン。よろしいでしょうか?」
「入りたまえ、ミス・ロングビル」
上司の許可を得たロングビルは、入室するとオスマンに一礼をした。
「勝手なお休みを二日も頂いてしまい、申し訳ございませんでした。私の健康管理が至らなかったばかりに…」
「なに、気にすることはない。今回は相手が悪すぎたよ。のう、土くれのフーケ?」
ロングビルの眉間にシワがよった。
「何をおっしゃっているんですか?」
「そうか。この二つ名は、いまだに馴染みがないのか。では、こう呼ぼう。マルチダ・オブ・サウスゴータ君」
ロングビルの顔が蒼白になった。それはかつて捨てた、いや、捨てざるを得なかった彼女の貴族としての名だった。その名を知るものは、もうこの世にはいないはずだ。
この老人はどこまで知っているのだろたう?
ロングビルの表情が代わる。もはや、従順な秘書の姿を偽る意味はない。
「あなた、知ってたの?私が、土くれのフーケだって事を。秘書として雇う前から」
「いいや、知ったのは最近のことじゃよ。君と町の居酒屋で出会ったのは本当にただの偶然だ。君を雇うと決めた事にも、それは関係ない。君が優秀な人間に見えたからじゃ。
ただ、トリステイン学院は歴史の古い由緒正しい学院じゃ。素性の分からない者を雇うわけにはいかないじゃろ?だから、勝手に調べさせてもらった。それで分かったのじゃ、君の正体がな」
「で、どうするつもり?私の身柄を王室に引き渡すの?あなたが欲しいのは名誉?それとも、私に懸かった報奨金?」
「こんな年寄りが、今更、金や名誉で動くと思うかね?」
「じゃあ、何が狙いよ?私の体?あんた、まだ枯れてなかったんだ」
オスマンは首を横にふる。
「ワシは君の本当の笑顔が見たい。希代の盗賊と知りながらも、君を雇い続けたのは、それが理由じゃ。あの日…、そう、初めて君と出会った日、酒に酔った君はころころとよく笑っとった。じゃが、ワシには寂しい笑顔にしか見えなかった」
「何を言ってるの?とうとうボケが始まっちゃったわけ?」
土くれのフーケが嘲笑う。しかし、それは自嘲を含む笑顔だった。
オスマンは席を立ち、ロングビルの側によると、いつの間にか涙を浮かべていた彼女の両肩を握った。
「君が本当の名を捨てた理由はよくわかる。そして、その後、君が盗賊としての道を歩まざるを得なかった理由もな。君は寂しかったんじゃ。だからこそ、わしはその偽りの笑顔を無くしたい…」
「……何が言いたいのよ?」
「これからも、私の秘書として働いてくれるね?」
「は……?何を言ってるの?」
反抗的な言葉を吐きながらも、ロングビルの瞳からは涙が零れ続けた。
「焦る必要など、どこにもない。君はまだまだ若いんじゃ。『居場所』などすぐに見つかるよ。もしかしたら、この学院こそが君の居場所かもな。仕事に取り組む様は、君によく似合っているよ」
長年、かすりもしなかった。必死に探したのに。
だけど、ひょっとしたら見つかるのかも知れない。
ゼンマイの手懸かりを見つけたロングビルが鳴咽を漏らす。
「これからも、よろしくお願いします…。オールド・……オスマン」
ええ話や・・・
・・・と思ったがこのジジイやたら黒いから困る
裏がありそうだよな
どう考えても人心掌握の話術です。ありがとうございました。
こんなんじゃほだされれんだろ…
それに説得と言うより洗脳だな
今、初めて読んだけどおもろいな
最初は台本形式で萎えたけど回を進めるほどに良くなってる
そして最終回を考えてるとこに感動した!
適当なとこで終わるSSが如何に多いことか
作者さんガンガレ!
でも誤字脱字はカンベンな
>>455-458 お前等……そこは素直に感動しろよ
と言いたいが、ゴメン俺も無理。爺限りなく黒だしww
彼女が学院の保健室で寝ていた間、この老人は魔法を用いて、せっせとロングビルの心を揺らし続けた。精神の障壁が失われるまでに。
ロングビルの心は彼女の知らぬ間に、生まれたての小鳥のような状態に陥っていたのだ。
そんな無垢な心にインプリンティングがなされた。
全ては老人の思惑通りである。
涙を流し続けるロングビルは、老人の瞳が怪しく光るのを、歪んだ視界の為に見逃してしまった。
「ですけど……、オールド・オスマン。いい加減、セクハラはご遠慮下さいね……」
確かにオスマンはロングビルの尻を良く触る。
しかし、それも仮の姿に過ぎない。
ピエロを演じれば、まわりの人間は面白いくらいに騙されていく。
長い人生経験から、オスマンはそれを良く知っていた。
>>459 ん?台本形式って
シンジ「ルイズさん」
ルイズ「シンジ」
みたいな台詞まわしってこと?
始めから小説風じゃんかい
腹ぐれええーこのじじーー
シンジきゅん逃げるんだ!
>>462 ありゃありゃ、何か別のとごっちゃになってしまってたみたいだな
読み返して反省、申し訳なし
近所のスーパーで“俺の塩”などを物色しておりましたら、
「萌えー!萌えー!」
と叫びながらフロアをうろつくおっさんを発見いたしました。
ああ、夏だな。
ああいうおっさんの存在を根本から抹消したらさぞかし楽しいだろうなと
“塩カルビ味やきそば”を凝視しながらレジへと並びました。
ふとおっさんに目をやると、いつのまにやら幼女がおっさんに
寄り添っているではありませんか。
これはいけませんと、買い物かごにあった唯一武器になりそうな“バニラコーク500ml”
を握り締めていると、おっさんと幼女の会話が聞こえてまいりました。
「もえ。お父さんから離れたらダメじゃないか」
「ごめんなさい」
ああ、アレだ。親子だ。もえって名前のお子さんですか。利発そうなお嬢さんですね。
抹消されるべきは私ですね。
おお、好いもんを作ってくれた、乙ですー
オスマン=ゲンドウ
フーケ=リツコさんのママ
に見えて仕方ないwww
アンチATフィールドもどきを使って、仲間に引き込むとは…
このオスマンが実は逆行しすぎたスパシン(300歳)だとしても、俺は違和感ないぜ!
>>466 「ああ、問題ない…。全てはシナリオ通りだよ」
472 :
冴えない:2007/07/23(月) 13:53:14 ID:???
うわー、ワルスマンが人格者ぽくてフーケ続投がきたのは良いのだけど
何か裏がありそうと変に疑ってしまうw
案外本音で言ってて、女性に優しいエロ爺(300歳以上)かもしれないですがw
……フーケに10倍以上年の離れた相手との恋愛フラグが見えたのは気のせいだろーか?
ベイダー卿が召還されましたのスレで、ゼロ魔世界に召還された者達の一覧から此処をしってから
こそーり見てました、作者さん頑張ってください。
そして、安価ミスにちともえた。
今来たこれは期待が高まる
ガンダールヴによる初号機とのシンクロに致命的な欠陥が潜んでいたことに気付いたのは、フーケ事件から間もない頃だった。
ある日、学院から大分離れた場所で初号機の戦闘訓練を行っていたところ、なんの前触れもなくルーンの輝きが失せた。そして、初号機の両肩が不自然な形で沈み込むと、それを最後に、その巨体は完全に沈黙してしまったのだ。
いくら意識を集中しようとも、ルーンが光を取り戻すことはなかった。
慌ててオスマンに相談を持ちかけたのだが、彼も頭を傾けるだけで、これといった答えは出なかった。
しかしながら、オスマンと共に初号機の擱座する場所まで戻ると、ルーンは何事もなかった様に発光を始め、あっさりと初号機とのシンクロが確立されたのだ。
「どういうことなんでしょうか?」
「ふむ…」
オスマンはしばし逡巡した様子を見せると、何かに閃いたようで、口を開いた。
「明日の夕方、わしの前で、オーガとの同調を試してくれんか?」
「原因が掴めたんですか?」
「どうじゃろな。明日には、はっきりするかも知れん」
翌日、約束の時間に現れたオスマンの前で、シンジは初号機の起動を試みた。しかし、またもや、ルーンの反応がなく失敗に終わった。
「ふむ、やはりな…」
「なにか分かりましたか?」
オスマンが夕焼けに染まった月を指差した。
「神々の黄昏が起きている。おそらく、それが原因じゃな」
シンジが困った様な顔をした。
「月とエヴァに何の関係があるんですか?」
「この世界にも、この世界なりの事情というものがあるんじゃよ。ま、なんにしても、一日に三時間はオーガの使役を封じられるということじゃ。それと、このことは胸の内に秘めときなさい。誰にも話すんじゃないよ」
シンジにもその理由は良く分かった。
もし、再びフーケの様な存在が現れ、この弱点を悟られた場合、敵がその隙をついてくるのは間違いない。
「そうですね。後、剣の練習も始めてみます。せっかく、マゴロクソードを頂いたことですし」
オスマンが頭をぼりぼりと掻く。
「君は呆れるくらいに真面目じゃな」
「ルイズさんが言ってました。ご主人様を守ることが、使い魔に課せられた最も重要な仕事だって。だから、やれることはなんでもやっておきたいんです」
「君はミス・ヴァリエールの事が好きなのかね?」
「もちろんです。色々と良くしてくれますし。ぼくは一人っ子ですから、なんか、優しい姉が出来たような感じで…、素直に嬉しいんです」
オスマンの意図した質問の内容から考えれば、シンジの言葉はまるで見当はずれだった。
オスマンは恋愛感情の有無について尋ねたのだ。
「そうか。ならば、精進を怠らないようにな」
シンジが微笑む。
「はい!」
いい子だなーシンジ
>>470さんへ。
早速、リンクして下さったんですね。
末永くよろしくお願いいたします。
あと、いつも拝見していますw
こんないい子でも追い詰められると、
意識の無い女の子をオカズにしたりとえらいことになるんですよ
追い詰められるとっつーより
ぶっ壊れたから、といった方が正しいような
オスマンに着々と「裏切ったな(ry」とキレたシンジに初号機で学院ごと殲滅フラグ
が立っているように見えて仕方がありません
お母さんに喰われるのはゲンドウじゃなくてオスマンの予感
結局、設定上はどこにでもいる普通の14歳、内罰傾向有りな少年でしかないからな。
他人の悪意に対してギリギリに追い詰められるまで相手の善意を信じ続けて
、一線を越えたらぶっちぎれる。
以外の行動はまず無いわけで。
原作だと、悪意がわんさかあったからなぁ
こっちの世界じゃ気弱だけどいい少年、であり続けられたら幸せだよな
ルイズ、頼むよ…
今んとこ、
ルイズ →可愛い弟→ シンジ
←お姉ちゃん←
って感じ?別に恋愛なんて求めてないけど。
原作未見なんだけど、元々の主人公の才人ってどんなヤツだったんだろう。なんかオタっぽいけど。
原作のサイトも有る意味普通の学生、ただ空気を読めないのとMなのが特殊だがw
割と他者を助けるために頑張ったりも出来るが、そーやって助けた女の子に鼻の下伸ばしてルイズに躾けられてる。
手は出してないので自制心は有る方だと思う。
>>488 手を出さないのは、奴が二次ヲタで三次は観賞用だからじゃなかったのか
出そうとして何かと邪魔が入ってるだけな気が
邪魔が入ったりしてないと手を出しまくりだろ
冴えない著者サン以外にお話作ってくれる人いないんかのう
三日経って、オスマンの憶測が事実に違いないと証明された。
何度試しても、神々の黄昏発生時には初号機とのシンクロが確立されなかったのだ。
ちなみに、この世界の一日の周期は地球と同じ二十四時間である。そして、神々の黄昏はそれよりも短く十九時間おきに発生する現象だ。
その為、一日毎に神々の黄昏の発生期間は微妙にずれていくことになる。
非常に対策の立てづらい欠点だった。
シンジは重なり合う月に向かって、ルーンをかざした。
ガンダールヴ、そして、空に浮かぶ二つの月。
異世界であるはずのハルゲキニアで、エヴァに干渉する事柄がいかなる理由で二つも存在するのであろうか。
ぼくがこの世界に召還されたのは、本当にただの偶然なのか……?
wktk
トリステイン国の姫殿下――アンリエッタが、ゲルマニア国訪問の帰りに、トリステイン魔法学院を行幸することになったらしく、学院内が騒然とした空気に包まれた。
あちらこちらで、慌しく歓迎式典の準備が行われている。
どうやら、本当に急な話だったらしい。
学院の生徒たちは、少しでも姫殿下の御覚えが良くなる様にと、必死に自分の杖を磨いていた。
シンジはというと、特に興味がわくことも無かったので、学院の隅でマゴロクソードでひたすら素振りを行っていた。
先日、ガンダールヴの更なる能力に気づいたシンジは、暇を見つければ、剣の練習に勤しんでいるのだ。
剣を握るだけで、ルーンが輝きだし、シンジの身体能力が飛躍的に上昇する。
羽ばたく蝶の羽根がスローモーションに見え、身体は今にも飛べそうなくらいに軽くなり、両手に握った双剣マゴロークソードが、まるで自分の身体の延長にあるような感覚になった。
全ての武器を使いこなした伝説のガンダールヴ、おそらく、彼もこの能力を開花させた人間だったのだろう。
正門の方から、斉唱と歓声が聞こえた。
例の姫殿下が現れたのだろう。
「行かなくていいんですか?」
シンジは、芝生にぺたんと座り込み本を広げているタバサに尋ねた。
「興味ない」
「他の人たちはすごい楽しみにしてましたよ」
「そう」
タバサの瞳は本のページに向けられたままだ。
「本、好きなんですか?」
「うん。碇君は?」
「好きなほうだと思いますよ」
タバサが自分のポケットから文庫本を取り出すと、シンジに差し出した。
「おススメ」
「貸してくれるんですか?」
タバサは小さくうなずく。
「ありがとうございます」
>>495 マゴロクは二刀のことじゃなくて、大刀がマゴロク・E・ソードで小刀がカウンターソードでは?
カウンターソードって銃付きだっけ?
カウンターソードは・・・、銃付いてたような・・・
>>497 小刀はカウンタソードと呼ぶみたいです。
ただ、二刀一対で「マゴロクソード」と呼ぶ例が多いみたいですね(パチンコ等)。
ふむ、どう呼ぶのが一番正しいんだろう・・・ ?
まー細かいことは気にすんな
>>499 一対でそう呼んでるのはパチンコくらいでは?パチンコやった事ないけど。
余談ですがマゴロックスの方が兵器っぽい響きが歩きガス
502 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/07/24(火) 21:50:55 ID:Vs4HRULE
タバサ=綾波レイ?
現時点のシンジ、文字読めたけ?
異世界で生きていくのに現地語が読めませんじゃ
お話にならないから少しは読めるようになってるんじゃね?
ガンザルディもあるし。
うわ、なんでこんな間違いを…orz
ガンダールヴな
シンジなんだかんだと可愛がられてるな
お、二本差しだったのか も え て き た !
刀の刃渡りはおよそ70cmが標準だとか
マゴロク・E・ソードは同じくらいか、用途考えると、もっと長いか?
外見がごついんで、これ振るってるシンジきゅん、面白いな
> 呼称
まとめWikiの最新版なら、混乱せずに読めそう
エヴァの雰囲気からみても、マゴロクは日本の刃物の一般名詞っぽいし
GJ!
あと、重箱の隅。
エクスタミー → エクスターミネート (殲滅する で、意味が通るハズ)
ハルゲキニア → ハルケギニア
>> 496
お、タバサ。wktk
>> 506
同意w
>>506 だってシンジですぜ?可愛いんだから仕方ない
身体能力向上して自信付いたシンちゃんが調子ぶっこいてディラックの海に沈まないか心配
もう沈んだ後だから2度はやらないさ
マゴロクは関の孫六からの命名ね
包丁とかでも有名
>>507 日本刀は基本的に二尺もあれば十分。
三尺以上はかなりの長刀。
ちなみに、現在の感覚だと一尺=30cmだけど、当時の感覚だともうちょっと長くもあった。
さらに蘊蓄。
大小二本差せるのは武士だけ。
それ以外は、脇差とかを一本だけしか差すことは許されなかった。
>>507 いろいろミスった わかり難くてスマソ orz
「マゴロク・E・ソード→NT誌の居合い初号機→ネタは孫六→打刀・名刀」のイメージ →ググる→2尺3寸(およそ70cm)?
しかし「孫六≒マゴロク=良く切れる日本の刃物の代名詞」「イラストや模型みると長い可能性も→演 出 優 先」 考察終了
要は、二本セット・刀単体・脇差の、どれを指してるか分れば、表現は自由。こっちで解釈
あっしはとことんお供しあす てことで
セットで扱うときに、呼びやすい名称をおくのも賛成。他作だと乾雲坤龍とか干将莫耶とか、呼びやすくて好きだ
二本でマゴロクソード、うん よくね?
>>511-512 同好の士がいるようで補足ありがd
514 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/07/25(水) 10:45:15 ID:gazNi1hp
日本刀の美しさは異常。
何でただ斬るだけの武器なのにあんな綺麗なんだよ、。
破壊の杖の使い方が分からない
ガソリンだと見抜けない
ゼロ戦の操縦が分からない
総じてBAD END
日本刀って斬るんじゃなくて刺すように使うんじゃなかったっけ?
殺すつもりでないなら普通に斬るように構えて使うのかな?
ってか、どっちにしてもマゴロクの構造なら大して関係ないか
撫で斬りにするんじゃないの?切れ味優先の刃物なんだし。
そんな何処でも聞ける当たり前の日本刀講座はスレ違い何で該当個所を探してそっちいけい
際限なく脱線するぞ
>>516 刺し方もちゃんとある。
刃筋がちゃんと立ってないと骨で滑るし。
切っ先を上にむけるのが普通かな。
で、切り方はそれぞれ流派ごとによって違うので割愛。
全身の力、それこそ腕まで全力で活かして斬るところもあれば、脱力重視、体重移動で斬るところもある。
「なんだ、これ?」
シンジは本を開くと、ほうけた様に呟いた。ページには、不可解な記号の羅列が記入されているだけだったのだ。
「これなんですか?」
「本」
「あ、じゃなくて、この記号のことなんですけど…」
シンジはページを指差しながら、腰を下ろすタバサによく見える様、本を差し向けた。
「ハルケギニア語」
「はい?」
「今、私達が話してる言葉」
「日本語ですよね」
自分自身の口から出た言葉で、はたと気付くものがあった。
文化も風習も文明の源も違うハルケギニアの公用語が日本語などということがありえるのだろうか。いや、まず、ない。
では、自分がハルケギニア語を話しているのかといえば、全くそんなことはない。
自分が口に出す言葉を何度反芻しても、やはり、日本語に間違いなかった。
今、自分に起きている不可解な自体をタバサにも理解してもらえる様、シンジは出来るかぎり丁寧に説明した。
しばしの間、青い瞳が虚空を泳いだ後、タバサはシンジの左手に刻まれたルーンを指差す。
「ルーンの特殊能力」
シンジはまじまじとガンダールヴのルーンを見つめた。
「なるほど…。このルーンにかかれば、なんでもありなんだな」
しかし、ガンダールヴの力も、文字の理解にまでは及ばないようだった。
「勉強」
「しろってことですか?」
シンジの言葉を受け、タバサは小さく頷いて応えた。
「いや、大丈夫ですよ」
「駄目」
「でも、全く不便を感じてないですし…」
「いずれ、困る」
確かにタバサの言うことは正論だった。
電話もパソコンも無線機もないハルケギニアの通信手段と言えば、早馬と手紙になる。
シンジは早馬を使用できるような身分ではないので、手紙が唯一の通信手段だ。つまり、遠くの誰かと意思疎通を計る為には文字の読み書きが必須条件である。
「そうですね。勉強やってみます」
タバサが、彼女には珍しくまだ幼さの残るその顔に微笑みを浮かべた。
「頑張って」
「ハルケギニア語を覚えたら、また、改めて貸してください」
シンジは借りたばかりの文庫本をタバサに返した。
二週間後、シンジはこの文庫本を再び借りることになってしまった。
その短い期間にハルケギニア語を全てマスターしたからである。取っ掛かりを掴んだ後は、単語、文法、慣用句などを乾いたスポンジの様に吸収するシンジの姿があった。
原因は、またもやガンダールヴにあった。語学勉強に励むシンジに呼応したガンダールヴの進化システムが、シンジの頭蓋骨に納まっている大脳のブローカ野を作り変えたのだ。
目に見えない変化が自分の体に起きていることを、この事をきっかけにして、シンジはようやく実感し始めた。
悲劇は、近い。
シンジ大丈夫かシンジ
もはや、人ではない
便利だからいいやと思考停止&開き直るか、安全性の確保やら現状の把握目指して、過去の文献漁りまくるなら建設的なんだが
シンジだからなあw
不安に思いつつも、悩むだけで何もしないキガス
弟(分)が心配でたまらないルイズが変わりに動くような気もするw
>>526 そこもガンダールヴのルーン効果で脳みそまでポジティブに進化しまつ。
どれぐらいポジティブかと言うと
ベッドのアスカでオナヌーでなくそのままナチュラルに子作り開始。
巨大レイを見て
「僕たちの戦いはこれからだ!」
シンジの勇気が世界を救うと信じて…!完
となるくらいポジティブになる。
そんなシンジいやだあ
>「僕たちの戦いはこれからだ!」
ものすごく打ち切られた感が……
エヴァマスターシンジ自重
エヴァマスターシンジだったら「僕たちの戦いはこれからだ!」じゃなくて
「シンジの勇気が世界を救うと信じて…!」だよ
ルイズ!ルイズ!ルイズ!ルイズ!ルイズぅぅううううわぁぁああああああああああああああああん!!!
ごめんよルイズ・フランソワーズ!クンカクンカのルーンが消えちゃってクンカクンカできなかったんだよぉん!
忙しくって!悲しくって!少し気が移って!!僕のせいじゃないんだよ!僕は悪いモグラじゃないよっ!!!
では…クンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん
ふぁああ!!!モフモフしたいお!ルイズたんの桃色ブロンドの髪をクンカクンカじゃなくてモフモフしたいお!
モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ!!あっ!ふわふわしちゃうよ!ふわっふわっふわっ!!
よかった…僕にはまだ…モフモフできる場所があるんだっ!えっ?ル、ルイズちゃん!そんな目で僕を見ないで…
い、いやぁああああああああああ!!にゃあああああああああああん!!現実いやだぁああああああああ!!!
ああああっ…くっ…いい加減に!いい加減に目を覚ませ俺!!ルイズなんて現実にはいない!ハルケギニアもっ!
俺はどうすればいい…そうだ!ムチで叩いてもらって目を覚ませばいい!ルイズにムチで叩いてもらえばいい!!
ビシバシ!アンアン!ビシバシ!アンアン!ムチムチ!いやっほぉおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!
目が覚めたぞ!ルイズは存在する!俺は今ハルケギニアにいる!待ってろルイズ!今迎えに行くぞぉおお!!!
シ、シエスタん!その…すまない…君はどうあがいても1番目にはなれない…あぁっ!やめろ!や、やだぁ!!
あっあんああアン様ぁああ!!セ、セイバー!!ケティ!ケティ!ケティ!シャ…シャナぁあああああああ!!!
俺の想いよハルケニギアへ届け!ルイズへ届け!俺はオマエだけだルイズ!!!届けシエスタ!!テファ!!!
いい姉とかいっても、いまだに人間扱いされていないのではないかと。
着替えはともかく床で食事とかもうね。
ルイズは本編初期の状態から特に成長してないような
>>538 初期に比べれば、シンジの事を大分好意的に捉えてはいますが、それが待遇にまで反映されていないアンバランスな状況ですね。
さて、Wikiを更新したら投下します。
あと、マゴロクソードの名称の誤りを指摘して下さった方々へ、ありがとうございました。助かります。
乙ダイン
その日の夜、シンジは寝具の上に座り込んで、ルイズを見つめていた。なんだか、ルイズは激しく落ち着きがなかった。
「なにか、あったんですか?」
「ううん、なんでもないの」
ルイズの目が泳いでいる。歓迎式典の最中に何かがあったのは間違いなさそうだ。
そのとき、ドアがノックされた。
「誰ですかね?」
ルイズの顔がはっとした。思い当たる人物がいるようで、彼女は慌しくドアを開いた。
そこに立っていたのは、真っ黒な頭巾をすっぽりと被る少女がいた。
辺りをうかがうように首を回すと、そそくさと部屋に入ってきて、後ろ手に扉を閉めた。
「貴方は……?」
ルイズは驚いたような声を上げた。
頭巾を被った少女はしっと言わんばかりに、口元に人差し指を立てた。
それから、頭巾と同じ漆黒のマントの隙間から、魔法の杖を取り出すと軽く振った。同時に短く魔法を詠唱する。
光の粉が部屋に舞う。
「……探知魔法?」
ルイズが尋ねると、頭巾の少女が頷く。
「どこに耳が、目が光っているか分かりませんからね」
魔法による盗聴や盗撮の心配がない事を確認した少女が頭巾を脱いだ。
現れたのは神々しいばかりの高貴さを放つ少女だった。すらりとした気品のある顔立ちに、薄いブルーの瞳、高い鼻が目を引く瑞々しい美貌を持っていた。
「姫殿下!」
ルイズが慌てて膝をつく。
シンジは、寝具にあぐらをかきながら、ぼけっとその様子をみつめていた。
アンリエッタは涼しげな心地よい声で言った。
「お久しぶりね。ルイズ・フランソワーズ」
「姫殿下!いけません。こんな下賎な場所へ、お越しになられるなんて……」
ルイズはかしこまった声で言った。
「ルイズ、そんな堅苦しい行儀はやめてちょうだい!あなたとわたくしはお友達じゃないの」
「もったいないお言葉でございます。姫殿下」
ルイズは緊張した声で言った。
「やめて、ここには枢機卿も、母上も、あの友達面して、寄ってくる欲の皮の突っ張った宮廷貴族たちもいないのですよ!
ああ、もう、わたくしには心をゆるせるおともだちはいないのかしら。幼馴染の懐かしいルイズ。あなたにまで、そんなよそよそしい態度をとられたら、わたくし死んでしまいますわ」
「姫殿下……」
「ルイズは顔を持ち上げた」
「幼い頃、一緒になって宮廷の中庭で蝶を追いかけたじゃないの!泥だらけになって!」
はにかんで顔で、ルイズが応えた。
「……ええ、お召し物を汚してしまって、侍従のラ・ポルト様に叱られました」
「それだけじゃないわ。クリーム菓子を取り合ってつかみ合いのケンカをしたこともあったわね」
ルイズが笑い声を漏らした。
「でも、感激です。姫様が、そんな昔のことを覚えて下さっているなんて」
アンリエッタは深いため息をつくと、ベッドに腰掛けた。
「忘れるわけないじゃない。あの頃は、毎日が楽しかったわ。なんにも悩みなんかなくって」
深い、憂いを含んだ声だった。
「姫さま?」
ルイズは心配になって、アンリエッタの顔を覗き込んだ。
「あなたが羨ましいわ。自由って素敵ね、ルイズ」
「なにをおっしゃいます。あなたは姫さまじゃない」
「王国に生まれた姫なんて、籠に飼われた鳥も同然。自由なんてどこにもないわ」
アンリエッタは、窓の外の月を眺めて、寂しそうに言った。それから、ルイズの手を取って、にっこりと笑って言った。
「結婚するのよ。わたくし」
「……おめでとうございます」
アンリエッタの声の調子に、なんだか悲しいものを感じたルイズは、沈んだ声で言った。
そこで、アンリエッタは、寝具の上に座ったシンジに気づいた。
「あら、ごめんなさい。もしかして、お邪魔だったかしら」
「お邪魔、どうして?」
「だって、そこの彼、あなたの恋人なのでしょう?随分、幼いようだけど、ルイズは年下が趣味だったのかしら?」
「いやだわ、姫様。彼は、私の使い魔です」
「使い魔?」
アンリエッタはきょとんとした面持ちでシンジを見つめた。
「人にしか見えませんが……」
話題に上ったシンジが立ち上がる。
「はじめまして。ルイズさんの使い魔で碇シンジと言います。あと、ぼく、人間です」
アンリエッタはシンジに微笑みかけた。
「こちらこそ、よろしくね。だけど、ルイズ。まさか、人を召還するだなんて……」
「この子、こう見えても、結構、頼りになるんです。姫様も学院の外に安置されているオーガを御覧になられたんじゃないですか?」
「オーガ?あの紫色の悪趣味な銅像のことかしら?」
「あれは銅像ではございません。この子が使役する使い魔です。おそらく、この子はハルケギニア最強の使い魔ですわ」
ルイズが胸をはる。
ご主人から最上級の賞賛の言葉を戴いたシンジは顔をほころばせていた。
「動くのですか……?あれが?」
アンリエッタがため息をつく。
「あなたって昔からどこか変わっていたけど、相変わらずみたいね」
「お褒めの言葉として頂戴いたしますわ」
ルイズは砕けた微笑を浮かべた。
おお乙
毎回展開を楽しみにしてまつ
乙です
>>547 悪趣味…さらりとwww 反論の余地はないがママンの耳にはいれてはいけないw
馴染んでる上に嬉しそうなシンジかわいす
…悲劇って何がおこるんだ…
ガンダールヴが某反逆の人のギアスみたく暴走するとか?
エヴァに関わってしまったものには、悲劇が付き物らしいぜ?
そもエヴァに出会った時から人生諦めるべきじゃね?
使徒化していくシンジが元の世界に帰ると、出席日数が全然足りなくて通称がダブりスになる悲劇
召喚されたのがシンジなら、残されてるのはゼロ戦じゃなくエヴァ。
いやそのりくつはおかしい
なにしろ、そうだとシエスタがエヴァに乗ってた人間の子孫になってしまう
……トウジならありか?(死んでません)
>>558 それだとシエスタがジャージを着ていない事に矛盾が生じる
エヴァンゲリオンの裏設定ではナディアと同一世界で、
シンジ達の歴史の教科書にはパリの謎の円盤事件について載っている
(と、どっかで読んだ。ウソかもしれないが)
竜の羽衣がグラタンだったりしてもおかしくはない
>>556 F型装備じゃね?たしか大ジャンプと斧マシンガンと大砲ついてたし空飛ぶ敵にはうってつけ
そう言えばF型装備が出てくるエヴァFFって見たこと無いけど
そんなに不人気なのかね?
本編には
>>561の言うようなF型装備は出てこないもんな。
エヴァ2やスパロボやったやつしか知らないよ。
ごく最近発表されたようなもんだしね
元のアニメが放送されてからこんだけ時間が経過してから新設定ってのも珍しいから知らない人も多いと思う。
>>559 メイド服は義務です……私服がジャージのシエスタは微妙に見て見たいかも
お爺さんの国の民族衣装ですとか言っててw
平賀才人(サイト)
ルイズによって突然召喚され、使い魔にされてしまった。もとは普通の高校生。賞罰ナシ。彼女ナシ。
好奇心旺盛なのが長所でも短所でもある。
☆年齢:17歳
☆身長:172センチ
☆好きな食べ物:照り焼きバーガー
☆趣味:インターネット
☆特技:アクションゲーム
☆嫌いなもの:体育の先生
趣味インターネット、特技はアクションゲームってオタだなぁ・・・
>>560 ハンソンの子孫か?
それだとシエスタは白いスーツを着る事になるな
まったくさっきから聞いていればシエスタの豊満なバストにジャージや白スーツが押し上げられるだなんて破廉恥な話を
{ .:.: l {: : } ` ,.__(__,} /ノ 逆に考えるんだ
ヽ ! `'゙! ,.,,.`三'゙、,_ /´ シエスタにとっての『ジャージ』とは『メイド服』である
,/´{ ミ l /゙,:-…-…、 ) | と考えるんだ
,r{ \ ミ \ `' '≡≡' " ノ
>>569 動きやすくて汚すこと前提って考えれば確かに同じだ。
でもそろそろ訛りの強い息子と毒殺が趣味の義息子の下にお帰り。
誤爆なんでしょうが、なんか、和みましたw
明日、四話完結まで、投下します。
こっそり楽しみにしてる。
タバサの境遇ってアスカと似てるよな。
いや、アスカと言うよりナウシカのクシャナに似てるか。
すいません。色々、あって本日は投下できません。予告しときながら、すいませんでした。
住民の皆様へのお詫びに代えて、明日は五話終了まで投下します
気長に待つよ
自分のペースで良いから頼むぜ
期待してます
残念だけど、投下まで待つよー 明日と言わず何時までも(不謹慎な発言になりますが)
「そういえば、姫様とご結婚される幸運な殿方はどなたで?」
「……ゲルマニアの皇帝です」
「ゲルマニアですって!」
ゲルマニア嫌いのルイズが驚嘆した。
「あんな野蛮な成り上がりどもの国に!」
ルイズの口から差別的な言葉が出てきたことに、シンジは軽いショックを受けた。
なぜなら、あのキュルケもゲルマニアの貴族だったからだ。
知り合いまで一緒くたに下卑された気分になり、シンジは例えようのない居心地の悪さを感じていた。
「そうよ。でも、仕方がないの。ゲルマニアと同盟を結ぶためなのですから」
つまりは政略結婚だ。
先日、アルビオン内において有力貴族達が反乱を起こし、今にも王室は倒れそうであった。反乱軍が勝利を収めたら、【新生アルビオン】がトリステインに進攻するのは間違いない。
反乱軍が『ハルケギニア統一』、そして『聖地奪回』を旗印にしている為だ。
聖地とは始祖ブリミルに由縁する由緒ある土地なのだが、今では亜人種である【エルフ族】に占有を許してしまっている。
エルフは強力な民族で、今までにも各国が聖地奪回の為、散発的な進攻を度々行ってきたが、全て敗退に終わっている。
アルビオンの反乱軍首脳部は、聖地奪回の為にハルケギニア統一が必須事項と考えていた。しかし、ハルケギニアの国々は全くもって手を取り合おうとはしない。
その為、武力による統一を図ったのだ。
「そうだったんですか……」
ルイズは淋しそうに呟いた。アンリエッタが、その結婚を望んでいないのが、彼女の態度から明白だった。
「いいのよ、ルイズ。好きな相手と結婚するなんて、物心ついた時から諦めていますわ…」
「姫様……」
「礼儀知らずのアルビオン反乱軍は、トリステインとゲルマニアの同盟を望んではいません。二本の矢も、束ねずに一本ずつなら容易に折れますからね」
アンリエッタが俯く。
「したがって、わたくしの婚姻を妨げる為の材料を、血眼になって探しています」
ルイズが息を飲む。
「姫様には、材料になりうる存在の心当たりがあるんですね……?」
アンリエッタが後ろめたそうに頷いた。
「それは…?」
ルイズが尋ねると、両手で顔を覆いアンリエッタが苦しそうに呟いた。
「……わたくしが以前したためた一通の手紙なのです」
「手紙?」
「そうです。それがアルビオンの反乱軍に渡ったら……、彼らはすぐにゲルマニアの皇室にそれを届けるでしょう」
「手紙の内容は?」
「……それは言えません。でも、それを読んだらゲルマニアの皇室は、このわたくしを赦さないでしょう。婚姻の話は潰れ、ゲルマニアとの同盟は反故。となると、トリステインは一国にてあの強力なアルビオンに立ち向かわらなければならないでしょうね」
ルイズがアンリエッタの手を取った。
「畏れながら、申し上げます。わたくしめが必ずその手紙を奪還して見せますので、御詳細を…」
「……アルビオンにあります」
ルイズが口元に手を寄せた。
「では、すでに敵の手中に?」
「いえ、手紙を持っているのは、アルビオンの反乱軍ではありません。反乱軍と骨肉の争いを繰り広げている、王家のウェールズ皇太子が……」
「わかりました。私が必ずその手紙を受け取ってきましょう」
ルイズは真顔になり、きっぱりと言った。
「無理です、ルイズ!今、アルビオンでは苛烈な戦争が行われているのよ。そんな所に赴くのは危険過ぎます!」
しかし、ルイズは微笑む。
「トリステインの危機を放ってはおけません。それに姫様の御為とあらば何処なりとも向かいますわ」
アンリエッタに予感めいたものが浮かんだ。
この少女と少年ならば、必ずや、やり遂げてくれると。
アンリエッタの中に巣くっていた不安の糸が断ち切られ、ふっと力の抜けた彼女がその場にくずれ落ちた。
「ありがとう……。…わたくしの親友なるルイズ」
その時、ドアが乱暴に開かれ、金髪の少年が飛び込んできた。
もちろん、ギーシュである。
「姫殿下!その困難な任務、是非ともこのギーシュ・ド・グラモンに仰せつけますよう」
アンリエッタに向かい恭しく膝を落とすギーシュに、ルイズが怒鳴った。
「あんた、盗み聞きしてたのね!」
「グラモン?ひょっとして、グラモン元帥の……?」
アンリエッタがきょとんとギーシュを見つめた。
そして、ギーシュが頷く。
「息子でございます」
「あなたも、わたくしの力になってくれるというの?」
「何をおっしゃいます。忠誠を誓うべき主は、貴女以外に見当たりません。貴女が仰せられるのであれば、例え怨嗟轟く戦場でも赴きましょう」
熱っぽいギーシュの口調に、アンリエッタは微笑んだ。
「貴方のお父様も勇敢な貴族ですが、貴方もその猛き血を受け継いでいるようですね。では、お願い致します。この不幸な姫をお助け下さい」
「この杖に賭けて…!」
ギーシュの様子を眺めていたルイズがため息をつきつつ、アンリエッタに言った。
「では、明日の朝、アルビオンに向かって出発いたします」
「旅は危険に満ちています。アルビオンの貴族たちは、貴方方の目的を知ったら、ありとあらゆる手を使って妨害するでしょう」
アンリエッタは机に座ると、ルイズの羽ペンと羊皮紙を使って、さらさらと手紙をしたためた。
アンリエッタは、自身の書いた手紙を見つめるうちに、悲しげに俯いた。
「姫様?」
怪訝に思ったルイズが声をかける。
「……なんでも、ありません」
アンリエッタは手紙を巻くと、杖を振る。すると、どこから、現れたものか、巻いた手紙に封蝋と花押がなされた。
その手紙をルイズに手渡す。
「ウェールズ皇太子にお会いしたら、この手紙を渡してください。すぐに件の手紙を返してくれるでしょう」
それから、アンリエッタは、右手の薬指から指輪を引き抜くと、ルイズに手渡した。
「母君から頂いた【水のルビー】です。この指輪が、アルビオンに吹く猛き風から、あなた方を守りますように…」
朝もやの中、オールド・オスマンの助力を得たシンジとルイズとギーシュは、コルベールと共に初号機の仕上げを行っていた。
先日、シンジがシエスタと共に城下町へと出かけた時、彼は主人から受け取った全財産をはたいて、【風石】を買えるだけ買っていたのだ。
風石とは風系統の魔力が込められたものだ。
少年は、これを使えば、あるいは自分も魔法を使えるのではなかろうかと、淡い期待を込めて購入したのだった。
もちろん、それは即座に裏切られてしまったのだが。
その時、シンジには見慣れない羽帽子をかぶった長身の男が現れた。
その姿に気付いたルイズが立ち上がる。
「ワルド様……」
ワ 第四話
ル
ド、来訪
終わり
嘘 第伍話
と
鳴咽
へ続く
第四話後書きにかえて
文章を書くのって難しいんですね。読むのとは大違い。元ネタがあるとはいえ、小説を初めて書く自分は、常に四苦八苦してるよw
だけど、頑張ります
乙です。
>>581 >知り合いまで一緒くたに下卑された気分になり
「下卑する」じゃなくて「卑下する」が正しいんじゃね?
>>588 あー、わかるわかる
原作読んで書いてると、原作ままっぽい感じになって何じゃこりゃ!?
とか驚愕したことアル
舞台背景とキャラの性格・特長とかだけ押さえて
あとは自由に動かしてみるといいのではないかな
シンジのキャラだと特に何も出来ないこととか多そうだしねえw
流されるのが得意なヤツだし
hosyu
593 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/08/05(日) 07:05:39 ID:pz7AcxZA
保守
しかしきっと元の世界に戻るより、ハルケギニアにいた方がシンジは幸せになれる気がする。
爺の暗躍を食い止めればの話だが
つーか戻らなかったら、元の世界の方も平和になりそうな気がする
初号機が無い状態では補完計画が頓挫しそうな気がするんだが?
ようやく、目まぐるしいほどの忙しさから解放されました。明日からは、前の様に毎日更新します。
他スレで書いてる『ときメモ0』とご一緒にお楽しみ頂ければなによりです。
OK。待ってるよ
ゲルマニアとブリタニアって何か発音が似てる。
ゲルマンとブリトンだしね
ゲルマンとブリトンだ死ね
「久しぶりだな、ルイズ。僕のルイズ!」
ワルドと呼ばれた男が感激したように叫ぶと深くかぶられた羽帽子の中から凛々しい青色の瞳が現れた。
「お久しぶりでございます」
ワルドはひとなつっこい笑みを浮かべると、ルイズに駆け寄り、抱え上げた。
「相変わらず軽いなきみは!まるで羽のようだ!」
「……お恥ずかしいですわ」
ルイズは頬を染めた。
ワルドはルイズを優しく地面に下ろすと、再び帽子を目深にかぶって言った。
「彼らを紹介してくれないかい、僕のルイズ?」
「彼がギーシュ・ド・グラモン。このコは私の使い魔シンジです」
ルイズは順に手の平を向け紹介した。
ギーシュが慇懃に礼をしたので、シンジも後に続く。
「そして、こちらがミスタ……」
コルベールは一歩前に出ると、ルイズの言葉を制した。
「コルベール……、炎蛇のコルベールと申します。貴方の活躍は以前から聞き及んでおりますよ、魔法衛士隊はワルド子爵殿」
ワルドは、ほうっと唸った。
「……貴方があの高名な炎蛇のコルベール殿ですか。貴方の前では私の名など霞んでしまいますな」
「恐縮です。それでは、まだ、作業が残っていますので、これにて失礼致します」
コルベールはワルドに向かって会釈すると、再び所号機の作業に取り掛かった。
「僕のルイズ、その巨大なオーガはなんだね?」
「私の使い魔が使役する使い魔です」
「……使い魔を使役する使い魔?」
ワルドはシンジの体を注視した。
「きみの使い魔はメイジなのかい?」
「いえ、平民です。彼が言うには、彼の左手に刻まれたルーンの特殊能力によって、オーガの使役が可能になったそうです」
ワルドは、失礼、とだけ言うと、シンジの左手を掴み、ルーンをまじまじと見つめた。
「これは……?」
動揺するワルドの姿を目にしたルイズが尋ねる。
「心辺りがあるんですか、ワルド様?」
「いや……、実に変わったルーンだな。ぼくも目にするのは初めてだ。……それよりも、シンジくん。僕の婚約者がお世話になっているみたいだね、ありがとう」
「はい?」
シンジが間抜けな声をあげた。
「おや、きみは知らないのかい?ルイズはぼくの許婚だ」
シンジの体が固まる。
いつも、かいがいしく世話を焼いてくれるルイズに婚約者がいた。その事実に、少年は少しばかりショックを受けたのだ。
しかし、すぐに気を取り直したシンジは気丈にも微笑みを浮かべながら言った。
「いえ、ワルドさん。お世話になっているのはぼくの方です。ルイズさんには、いつも、良くしてもらっています」
ワルドはにっこりと笑うと少年の方をぽんぽんと叩いた。
「内戦中のアルビオンにこれから赴くというのにきみの態度は実に余裕な構えだな」
シンジの手が僅かに震えた。
「……なぜ、知ってるんですか?」
「姫殿下より、君達に同行することを命じられてね。君達だけではやはり心許ないらしい。しかし、任務の機密性ゆえ、一部隊をつけるわけにもいかぬ。そこでぼくが指名されたって訳だ。では、諸君、早速、アルビオンに向けて出発しようじゃないか」
ワルドが口笛を吹くと、朝もやの中からグリフォンが現れた。鷲の頭と上半身に、獅子の下半身がついた幻獣である。立派な羽も生えていた。どうやら、ワルドの使い魔らしい。
ワルドはひらりとグリフォンに跨がると、ルイズに手招きした。
「おいで、ルイズ」
「いえ、あの……」
「どうした、恥ずかしいのかい?」
「いえ、そうではなく、まだ、あのオーガの出発準備が整っていないのです」
「オーガ?」
ワルドが所号機を見遣ると、黙々と魔法を詠唱するコルベールの姿が目に映った。
「コルベール殿は何をしているんだい?」
「固定化の魔法を使ってオーガの体に風石を取り付けているんです。取り付けた風石には恒久的に効果の持続するレビテーションをかけます。もちろん、効果の発動と抑制は自在に制御できる様にしてありますわ」
「……目的は?」
「オーガの自重を限りなく軽減し、小型の飛行船でも牽引可能な状態にいたします」
「もしや、あのオーガをアルビオンに……?」
ルイズは当然というように鷹揚に頷いた。
「いかなる敵も、私の使い魔が蹴散らします。内戦?危険地帯?知ったことありませんわ」
一仕事を終えたコルベールはオスマンと並んで出発する一行を学院長室の窓から見つめていた。
「しかし、いいのですか?」
「何がじゃ?」
「エヴァをアルビオンに送り出すことです。今回の内乱は【教会】の末端組織である【レコン・キスタ】が裏で糸を引いていいますよね。エヴァの存在を秘匿していたことが【教会】に露見するのは、まず間違いありません。
貴方は仮にも【教会】の一員にあらせます。貴方の企みをさとられてしまうのではないでしょうか」
「あそこまで巨大な存在を隠し通すのは不可能じゃよ。いずれ、ばれる。ならば、こちらから先手を打って見るのも、一つの手じゃ」
「では、いよいよ……」
オスマンの目が光る。
「ああ。【人類補完計画】の発動じゃ……」
その時、ノックもされずに扉が開けられると、アンリエッタが入室してきた。
「おやおや、姫殿下。どうされましたか?」
オスマンは、鼻毛を抜きながら言った。
「貴方は彼女等を見送らないのですか、オールド・オスマン」
「ほほ、姫。見ての通り、この老いぼれは鼻毛を抜いておりますのでな」
その様子をアンリエッタは呆れ顔で見つめた。
「トリステインの未来がかかっているのですよ。なぜ、そのような態度を……」
「彼が向かった時点でトリステインの未来は安堵されております。心配する必要などどこにもありますまい」
「彼とは?あのグラモン家のご子息のこと?それとも、ワルド子爵?」
オスマンが首を降る。
「ならば、ルイズの使い魔の少年が?まさか、変な冗談はお止め下さい。」
「誰がなんと言おうと、彼はハルケギニア最強の存在です」
ルイズもこの老人と同様のことを言っていた。しかし、アンリエッタは、あの言葉を旧友に対するちょっとしたジョークだと思い込んでいたのだ。
「何を根拠に……」
「姫は人類の始祖をご存知かな?」
「始祖ブリミルのことですか?」
「いいえ。それよりも前のことです」
「アダムとリリス、そしてアダムの助骨より生まれしエヴァのことですか?」
オスマンが微笑む。
「アダムとリリスが仲違いをおこしてから、アダムより生まれし者と、リリスより生まれし者は、お互いに相入れない存在になった。これによって、アダム族とリリス族による終わりなき戦いが幕を上げました」
オスマンは、そこで、一回咳ばらいをすると、言葉を続けた。
「そして、あの少年は、アダム族に決戦を挑んだ最初のリリス族なのです」
「そんな……、信じられません。なぜ、そのような伝説の人物が現代に……。始祖ブリミルすら成し得なかった不死の法をあの少年が会得しているとでも?」
「答えはサモン・サーヴァントにあります。さて、姫殿下。サモン・サーヴァントとはいかなる魔法ですかな?」
「そんなの…、子供でもわかります。ハルケギニアの生物を自分の元へと召喚する魔法ですわ」
「その通りです。しかし、あの少年は異世界から来たと言い張りました。ハルケギニアではない、どこか。ここではない、どこか、とね。文化や風習も違えば、そもそも、魔法すら存在しない世界に、彼はいたそうです」
「その様な世界があるのですか……」
「この空に浮かぶ星の中にも、そういった世界はあるでしょうな。わしも初めは異世界から来たものだと考え違いをしておりました。
しかし、彼のケースは違う。わしはあの少年にハルケギニアの星空を眺めるよう促しました。すると、後日、少年はこう言いました。自分の元いた世界と良く似ていた、と」
wktk
先が気になる
「どういうことでしょうか……?」
「わしはサモン・サーヴァントの魔力構成を丹念に調べ上げました。結果、やはり、ハルケギニアに存在する生物のみを対象にしたものであることが確証されました。
川の水が、海から山へと流れないのと同様で、例外のない普遍的な現象です。では、あの少年はどこから現れたのか?答えは一つ……」
「遥か遠い過去のハルケギニアということですか……?」
「星からすれば、一万年や二万年など、たいした時間じゃありません。星空が大きくその姿を変えることなどないでしょう」
アンリエッタは遠くを見るような目をした。
「ならば祈りましょう。遥か過去から吹きすさぶ優しき一陣の風に……」
「ところで、姫。貴女には、あの少年に関することで、今後色々と頼ることあるかもしれませんが、よろしいですかな?」
祈りを終えたアンリエッタが微笑む。
「なんなりと申し付け下さい」
当然だ。快諾されなければ、ここまで真実を話した意味がない。
ただし、ガンダールヴの件に関してはあえて伏せた。全てをさらけ出すのは、愚者の行為である。
こうして、また一つ、老人の駒が増えた。
ちょwwwwオスマン真っ黒wwww
というかここに来ても人類補完計画から逃げられないのかシンジ…。
何はともあれGJです
ゼロ魔世界が地球だったと言うのは斬新かもしれない。
「あの作品のキャラが」スレでの雑談の一環としての「猿の惑星」ネタの冗談でしか見たこと無い。
何という黒さw
すげえ無粋だけど、星空って見上げる場所と時代でかなり変わらなかったか?
まあ、場所についてはハルケゲニアがヨーロッパなら同じ北半球ってことで劇的には変わらんかもしらんが
年数のほうはかなり問題じゃね?
シンジが星空にかなり詳しいとして、星座の形とかも変わってると思うんだが。
まあ、知識が無いから違いに気づかなかったのかもしれんが。
千年とか万年程度じゃ星の配置は殆ど変わらんよ
星の位置関係の変動と光の届く速度の問題が有るからな
変わる可能性が有るのはその途中に寿命がきて消えるかどうかぐらいだな
ウン千万年単位でやっとで変わる
緯度で変わるのは見た目の星の高さであって位置は変わらんよ
じゃあウン万年後でも同じ場所に出たら夜空は大して変化無いのかな?
地形が変わっても地軸が変わらなかったら星空には大して関係無いだろうし
変わんないでしょ、それこそウン千万年単位じゃなきゃ変わんないよ
そして今回はすばらしい、GJでは足らないな、それぞれのキャラが
『動いて来てる』ところが特にいい
原作展開は例のところで嫌とみたからな
エヴァFFにのっとり自由に逝ってくれ
ところで、このシンジはヒトをアヤメルコトができるのかなー
地軸は2万5千年で一周するから100年でも1.44度、1000年だと14.4度も変わるぞ。
623 :
622:2007/08/08(水) 01:05:08 ID:???
って、歳差運動のことだから地球の首振りであって地軸が北から南にってことではないと一応いっておく。
でもそれって、たとえば日本人にとってなじみのある北斗七星やオリオン座
が判別できなくなるくらいかたちが変わって見えるものなの?
地軸が変わっても見える場所が変わるだけで星の配置には何も影響でないだろう
地球の自転角度が変わっても、太陽系や地球を含めた恒星の銀河系での座標は、万年単位じゃ左程変わらんだろうに
その違いが判らずに知ったかぶってかたってもな
万年っつーか一つ上の十万の単位だね
629 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/08/08(水) 08:45:20 ID:90Hb63Ht
ほ
ほ
もし、無事に元の世界に帰れた場合
シンジの中ではここでの出来事は完全に黒歴史決定だなw
赤毛のおぜうに知られたらからかわれまくるに違いない
星の配置ってウンチ万年単位でやっと変わるのか…
てっきり何年かずつに何万キロぐらいなら変わるのかと思ってた…
星の配置とかそういう視点で見れば何万キロとか鼻くそみてぇなもんだろ
つーかウンチ万年てなんだよw
携帯からじゃね?
ウン万年と打とうとして、ウンと入力した時点でウンチが候補に上がって
間違えてソレをそのまま入力したとか。
つまり直前に打った「うん」から続く内容はソレだったのか。肯定の意味の「うん」とか「運」とかじゃなく。
つまり日頃携帯でよく使う「うん」で始まる文字はうんちだったって言いたいのか
なんて追い打ちするんだ
鬼かお前は
>>636 >>637 いや……ウン千万年の千がカタカナのチに見えてウンチに見えたから……
なんかごめん
おまえらウンチ大好きだな
ウン、そうだよ
↑そこはウンチだろ
小学生かよw
と思ったが、最近の小学生はどんな事で笑うのか分からない事に気付いた。
地面に対して水平に展開させたA・T・フィールドに腰を下ろし、シンジは初号機を走らせた。少年の隣には、ギーシュと、彼の使い魔である巨大モグラが寝そべっている。
「シンジ、ちょっと、ペースが速すぎやしないか?」
「そうですか?でも、ワルドさんが今夜までにはラ・ロシェールの港町まで向かいたいって……」
「……そのワルド子爵のグリフォンがへばっている」
シンジは後ろを向いた。確かに、グリフォンのスピードが鈍っている。羽ばたく翼にも、躍動感が一切感じられなくなっていた。よほど、参っているのだろう。
「だから、エヴァにみんなで乗ったほうが早いって言ったのに……」
ギーシュが可笑しそうに笑った。
「きみには分からないだろうけど、大人ってのは大変なんだよ」
「どういう意味ですか?」
「恥をかきたくないんだ。プライドを傷つけたくはないからね」
「良く分かりません」
ギーシュは体勢をかえ、仰向きになった。
「時には、この空の青さも忘れてしまう。いずれ、きみも実感するときがくるさ」
ごめんなさい。こんなに筆が止まったのは初めてです。
明日はもう少し進めます。
時間はあるのになぜだ。
そして、今日の流れには笑いました。
ギーシュがなんか悟っているw
初号機に追いかけられて殺されかけたのが、よっぽど怖かったんだろうなあ
精神的に一皮どころじゃなく剥けてるぜ
>>647 >ギーシュが(略)剥けてるぜ
問題無くオチ担当をこなすことだろう
>>647 >>648を見てから何回見ても
>ギーシュが(略)皮(略)剥けてるぜ
に見えてしまう。・・・吊ってくる
ワルドを気遣ったルイズの提案により、しばしの休憩を取ることになったのだが、彼女の優しさもワルドのプライドを傷つけただけだった。
「僕のルイズ、すまない。余計な気を遣わせてしまって……」
ワルドは程よいサイズの丸太に腰を降ろすと、疲れたように言った。
ルイズは慌てて顔の前で両手を振る。
「ち、違うわよ、ワルド。たんに私が疲れたから、それだけよ」
グリフォンの背で雑談を交わすうちにルイズの喋り方は、今朝までの丁寧な物言いから、今の口調に変わっていた。ワルドが、そうしてくれ、と頼んだ為でもある。
「しかし、あのオーガは凄いな。ぼくのグリフォンの追従を許さない存在を目にしたのは初めてだ」
「いえ、でも、空は飛べませんから。森や山とか、走り辛い場所だったら、グリフォンにはかないませんよ」
シンジが取り繕うように言った。憔悴するワルドの姿を目の当たりにして、ほんの少しだけ罪悪感を感じていたのだ。
ギーシュは使い魔の大もぐら【ヴェルダンデ】と戯れていた。一行の中で最も元気の良い存在である。
ワルドはグリフォンを操るのに、それなりに精神を消耗していたし、それは初号機を操作するシンジも一緒だ。
ルイズは慣れない幻獣の背に乗って飛行するのに、多少の気疲れを感じていた。
ギーシュは広く展開されていたA.T.フィールドに寝そべり、朗らかな風を受けていただけなので、全く疲れを知らなかったのだ。
ルイズはそんなギーシュを煙たげに眺めた。
シンジはそれを気にすることなく、昼食作りに励む。具のたっぷり入ったコンソメスープの食欲をそそる香りが辺りいっぱいに広がった時、ばっさばっさと羽音が聞こえた。
シンジはルイズと目を合わせる。どこかで聞いた羽音だったからだ。
実際エヴァが真価を発揮できるのって平地ぐらいなものだよなあ
まあこのエヴァはATFを足場にするとか出来そうだけど
何はともあれGJ
大空を背景に見慣れた幻獣が現れた。
シルフィードである。
風竜がゆっくりと地面に舞い降りる。その背に、キュルケとタバサが乗っていた。
キュルケは風竜から華麗に降りると、大きく背伸びした。
「お待たせ」
「お待たせって、あんたなんか誰も待ってないわよ!」
ルイズが吠えた。とにかく、キュルケには噛み付かないと気が済まない質らしい。
「別にあんたに用はないわよ。あるのはシンジくん」
名指しされたシンジが口を開いた。
「ぼくにですか?」
「そう、これあげる。プレゼントよ」
キュルケは少年の体には見合わない片刃の長剣を差し渡した。
「俺はデルフリンガーって言うんだ、よろしくな」
突然、響いた声の発信元に驚いたシンジが剣を落とす。
「痛ぇーじゃねぇか、相棒。いきなり、それはねーよ」
「剣が喋った…?」
シンジが呆然と呟く。
「意思を持つインテリジェンスソードよ。なかなか、レアなんだから」
「もらっちゃって、いいんですか?」
「この前の決闘の時のシンジくん、格好よかったわよ。だから、そのご褒美。敢闘賞ってところね」
キュルケは微笑みながら、色っぽく言った。
「キュルケ!」
ルイズが怒鳴った。
「突然、なによ。うるさいわね」
「私の使い魔に勝手な真似をしないでくれる!」
シンジはおろおろとした。ルイズの鳶色の瞳は爛々と輝き、今にも火を吹き出しそうだ。
「ねえ、ルイズ。シンジくんは確かにあなたの使い魔かもしれないけど、意思だってあるのよ。そこを尊重して上げないと。剣をあげるくらいで、がたがた騒がないでほしいわ」
「う、うるさいわね。使い魔の躾は主の仕事。他人にとやかく言われたかないわ」
その光景を見守っていたワルドが立ち上がり、ルイズを窘めた。結局、シンジは剣を受け取ることになったのだか、実のところ、気が気じゃなかった。
ルイズが酷く不愉快そうだったからである。
「用が終わったのなら、早く帰りなさいよ」
「嫌よ、お腹減っちゃったし。ねえ、シンジくん、私たちもご一緒していいわよね」
キュルケは鍋を見つめながら言った。
シンジが微笑む。
「はい、もちろん。それに今回のは自信作なんです」
主の意図を取り組もうとしなかったシンジは、ルイズから理不尽な嫌味を飛ばされた。
「あんたね、知らない人から物を貰っちゃダメって、教育されなかったの?これだから、バカシンジは……」
自分に懐いているはずの飼い犬が赤の他人にまで愛想を振り撒くのが気に入らない。そんな幼稚な心境だったのだ。
マゴロックス&デルフ……三刀流?
いや冗談だけどさ。
シンジきゅんのおしゃべり相手決定
剣とおしゃべりかw
ご主人様ほっといてないでかまってやれ、さびしそうだろうにw
「タバサ、あなたも食べるでしょ?」
親友の問いに小さく頷いて応えたタバサは、風流の背からぴょこんと可愛いらしく下りた。
シンジがタバサの服装を見て、顔を傾げる。透き通るような青空には似つかわしくないパジャマ姿だったのだ。
「どうして、パジャマなんですか?」
タバサは自身の恰好を気にした風もなく呟いた。
「キュルケに寝込みを叩き起こされた」
ようするに、今回もルイズのことが心配で駆け付けたわけだ。シンジへのプレゼントはただの口実にすぎないのだろう。
シンジは牛皮製の大袋をまさぐり、その中から自分の着替えを取り出すと、タバサに差し出した。
「良かったら、これ着てください」
ちなみにシンジの普段着は、トリステイン学院で奉公する使用人の制服だった。もちろん、貴族であるタバサに使用人が着る服を差し出すなど、失礼極まりない行為である。
しかし、タバサは微笑みながら、それを受けとると、再びシルフィードの背に乗り、空高くへと飛翔した。
一分ほど経って風竜が大地に舞い降りた時、シンジ以外の全員が呆然とタバサの姿を見つめた。第一ボタンまで開けた白いワイシャツに黒いスラックスを着用した彼女は、つまり、シンジとペアルックになっていたのだ。
「タバサさん、よく似合ってますよ」
シンジが無邪気に笑う。
「ありがと……」
タバサが頬を染めた。
「いやーんな感じ」
キュルケが呟いた。
ルイズは機嫌をさらに傾けた。
「な、何をしてるのよ、あんたたちは!?」
タバサは、ルイズの目をじっと見つめながら言った。
「何のこと?」
「タバサ、あんた、貴族でしょ!?恥ずかしくないの、平民の恰好なんかして?」
「碇くんはただの平民じゃないわ。あなたは何も分かってないのね」
ルイズの肩が震えた。シンジは戸惑うばかりである。
「シンジのことなんて、とうの昔に知りつくしてるわよ!何よ、優等生ぶって!」
タバサは無表情のままに呟いた。
「心を開かなければ、使い魔の忠誠は得られない。あなたは、心を閉ざして何を得ようと言うの?」
頭に血が昇ったルイズがタバサの頬を叩く。小気味よい音が辺りに鳴り響いた。
無理にエヴァっぽく、アスカとレイ風にすることはないんじゃないかと。キュルケはミサトさん?
ルイズの認識はまだ飼い犬程度なんだなぁ…
>>663 どっちかの原作に引張られてるんだろうね、毎回
ルイズはルイズ、タバサはタバサ。
書きはじめたら誰だって、ぶち当たる壁ってヤツだよ、きっと
産みの苦しみ、大変だろうけど乗り越えて欲しいな
ほ
タバサは性格がレイさんで過去の母さんの話とかがアスカなハイブリッドキャラ
668 :
647:2007/08/14(火) 03:47:12 ID:???
670 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/08/16(木) 00:17:43 ID:GGY4b5Vn
EVAの使い魔おもろいわ
あれ…?
これは面白い
こんばんわ。
最近、更新速度が遅くて申し訳ないです。
小説を書くのは初めてのくせに、生意気にもスランプってものに陥っちゃったみたいで。
でも、書くことに飽きたわけではないです。
話しは変わりますけど、みなさんもご存知の様に、この物語の中にはエヴァ関連の台詞が色んなところに紛れています。
それはテレビアニメ版だったり、劇場版だったり、ゲーム版だったり、また、未公開映像から拾ったのもあります。
みなさんはいくつまで分かりましたか?
気が向いた時にでも探してみてください。
ギャグボール付けて手首と足首に鎖つけて磔にするの
手術用の薄いゴム手袋に温感ローションをたっぷり塗ったら
シンジ君のお尻に中指を優しく出し入れするの
耳元で「お尻の力抜いて」とか「おっきくなってきたね、お尻気持ちいいの?」
とか言うの
シンジ君のおちんちんが大きくなったら首筋の動脈に麻薬を注射するの
十分に薬がシンジ君の中に廻ったら耳元でこう囁くの
「お前は要らない子」
「君に母親が居ないのは君がダメな子だからだよ」
「こんな事されて勃起するなんて最低」
シンジ君が泣き出したら激しいフェラチオで一気に絶頂へ誘う
口の中で発射を確認したらすかさず二回目のフェラチオ開始
今度はお尻も刺激しながらのフェラチオでイカせてあげるの
白目剥いて気絶するまでイカせてあげるの
>>673 ガンガレ
それしか言えん自分がもどかしいが
とにかく、書こう。
投下するかどうかは別として、頭に浮かんだフレーズ,ネタ
それをメモ帳に書き散らして文章に『慣れる』のがいいと思うよ
四時まで誰も書き込まなかったらくぎみーは俺の嫁
>677
畜生。見るのが遅かったか。
>673
作者乙。毎回見てるが、出来のよさに釣られて毎晩ROMってました。
これからも頑張ってください。
1スレ目が動くかどうかって時からあるスレにその言い方はどうかとも思う
681 :
いいね:2007/08/20(月) 18:10:07 ID:Quiwy8tY
書く人間が一人だけってのに無理もあればジンジ限定なのもきついだろう
プレッシャーかかるわな、これ
著者さんはあっちでも書いてるんじゃなかったっけ?
ここが埋まったら、スレをたてるよりまとめてしまった方がいいと思うけど。
トレーズとか神父とかもあるんだしいいんじゃね
書けるんなら、皆書いてる
この板にいる連中10年以上一つのアニメ巡って
ずーっと考察やらSS研鑽やらやってる連中だからなぁ
が、ルイズって何?ってな段階だし、そも電撃文庫なんて
もーいい年こいた人間が手を出せん領域です。。しかも11巻
知ってる人がいたら書いてほしいけどね、面白い題材だし
そもそも元の被召喚者がなんもスキルなしのただのオタク少年だから
ホントにただの幼女でも召喚させない限りはどうしても俺tueeeeになりがちだし
そうでなくとも貴族連中にどうしようもなくムカつくところがありすぎて原作レイプ気味になっちゃうのがなあ
魔法の設定とか戦争のとことか矛盾ありすぎて題材としてはちょっと
いや書くんだけどね
とりあえず電撃じゃNEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE
ログアウト冒険文庫だっけ?
MF文庫
メディアファクトリーな
お久しぶりです。
応援してくださる住人の皆さん、それにアドバイスをくださった住人の皆さん、本当にありがとうございます!
あと、持ち上がっている統合の件についてですが、正直、自分はあまり乗り気ではありません。
一つは、自分の書き物が、『あの作品のキャラが〜』スレ様のコンセプトにあってないということです。
自分が書いているのは、エヴァ板ルールに乗っ取って、『エヴァありきのゼロの使い魔』なのです。『月が二つ浮かぶ世界』、『ガンダールヴは何故ありとあらゆる武器を扱えるのか?』等をはじめとするゼロの使い魔の設定を全てエヴァに帰結させているのは、それが所以です。
多少のネタバレを含みますが、一、二万年の間に化学が消えた理由、化学に変わり魔法が台頭した理由も全てエヴァのその後の世界という形で、裏付けしています。
ゼロの使い魔の原作尊重が暗黙のルールになっている『あの作品のキャラが〜』スレ様には、この書き物は受け入れ難いのではないでしょうか。
まだ、なりをひそめてはいますが、この物語は、これから、どんどんエヴァ色が強くなっていきます。
そして、二つ目。
皆さんがご存知の様に、このスレを立てたのは自分ではないです。
スレ主の1さんも2ちゃんにおけるゼロの使い魔、二次創作黎明期にこのスレを立てたわけです。
住人の方の言葉を借りるかたちになりますが、まがりなりにも、あの時から、このスレは単独でここまで生き残ってきたものです。
それを突然統合ってのは、いくらなんでも、って思わずにはいられません。
三つ目。
この書き物を読んで下さる方の中には、ゼロの使い魔を知らない方が、どうやら多いみたいです。
だから、自分はこのすれで書き続けたいです。
全く動じることのなかったタバサは凛とした瞳をルイズに向け続けた。彼女の左頬がじんわりと朱く染まっていく。
ルイズは抑え切れない程の煮えたぎる怒りをあらわにし、唇をぎゅっと噛みしめた。しかし、同時に少しばかりの動揺にも襲われていた。何に対してここまで激しい感情をを抱いているのか、自身にも良く分かっていなかったのだ。
ワルドが、そんなルイズの頬にそっと両手を添える。
「ぼくのルイズ。君がお腹を空かせているのは良く分かった。さあ、さっさと昼食にしようじゃないか」
「ワルド……?」
ルイズは予想外の言葉に困惑しながら上目づかいにワルドを見つめた。
「お腹が減って、ついイライラしてしまうことはは誰にでも有り得る普遍的なことだよ。何も恥ずべきことじゃない」
ワルドはルイズに向かい優しく微笑みかける。そして、ちらっとタバサの様子を伺った。
「しかし、友人を軽々しく叩くのは良くないな」
急速に冷静を取り戻したルイズは、自分の犯した過ちに酷く困って、迷いきった顔で俯いた。
「タバサ。……ごめん」
タバサがワルドの顔を見遣ると、彼は、頼むよ、とばかりに小さく笑った。
とどのつまり、ワルドは年長者だけあって、この場にいる誰よりも大人だった。道化を演じてでも、その場の空気を丸く収めようとしたわけだ。
「別に。……気にしてないから」
>この書き物を読んで下さる方の中には、ゼロの使い魔を知らない方が、どうやら多いみたいです。
俺がこのパターンだなー。
今は原作も読んでいるけど、少し前まではこのスレや「あの作品の〜」スレのほうが先行していたので
あらためて原作読むと変な既視感がw
うむ。
向こうのスレも見てるけど、これは此処で続けていくのが筋だと思うし、その考えで良いと思うよ。
うん、マジ基本的な的なことは知ってるんだ、その辺関連で
でも、書くとなると原作をちゃんと網羅することが大事だし、礼儀。
ここにはスパシンという悪しき前例もある品ー
悩ましいところ。職人さんにはガンガッテもらいたい。
↑をかいた時点で気づいたが
>>687新手のSS職人か!?
投下を期待する!
>>697 たぶん、向こうのスレで書いてる職人さんじゃない?
>>699 あっちで書いてる人、いたんだ、意外
で
>>698?いきなり死ねと言われる理由がわからん
つーか死ねって言葉2chでもめったに見ないぞ?どこの厨房だw
喧嘩イクナイ。二人とも餅付け
ギャグボール付けて手首と足首に鎖つけて磔にするの
手術用の薄いゴム手袋に温感ローションをたっぷり塗ったら
シンジ君のお尻に中指を優しく出し入れするの
耳元で「お尻の力抜いて」とか「おっきくなってきたね、お尻気持ちいいの?」
とか言うの
シンジ君のおちんちんが大きくなったら首筋の動脈に麻薬を注射するの
十分に薬がシンジ君の中に廻ったら耳元でこう囁くの
「お前は要らない子」
「君に母親が居ないのは君がダメな子だからだよ」
「こんな事されて勃起するなんて最低」
シンジ君が泣き出したら激しいフェラチオで一気に絶頂へ誘う
口の中で発射を確認したらすかさず二回目のフェラチオ開始
今度はお尻も刺激しながらのフェラチオでイカせてあげるの
白目剥いて気絶するまでイカせてあげるの
最近ゼロ魔ハマって一期見て二期も継続鑑賞中の俺だがこれはおもろいぞ!
ぜひ完結を
>>703 アニメはともかく原作の方はどんどんつまらなくなってるからな・・・。
保守
>>704 原作は読んでない。何つーか絵柄がね
先にアニメ見たから。アニメのが可愛いもんよ
アニメのシンちゃんが可愛いと話してると勘違いした俺参上
今度公開する映画版のシンジはえらい男前だよなー
予告見て一瞬誰か分からんかったわ
デルフリンガーとマゴロクソードで三刀流か…
鬼斬りや虎狩りをくり出すスーパーシンジきぼん
>>709 確かに!
あれは普通にイケメンだ。性格やさグレてそーだな
別にキャラデザは変わってないんだけどな
作画がよくなっただけでシンジはもともと美形だと俺は思ってる
シンジは特徴の薄いプレーンな顔してるから、作画の出来ひとつで美形にもモブにもなるんだよ。
貞本の描くシンジは美形だけどな。
顔の構造はナディア其の侭使ったと言ってたからな
>>708-715 おまいら、ネタ振りするのはいいが
スレタイ嫁。どんどん話がずれてんぞw
ここまでの意見をまとめると、テレビ版シンジキュンに
「飲み込んで…、俺のマゴロク…。」
とかやりつつ、新劇場版シンジに
「飲み込んで…、僕のポジトロンライフル…。」
してほしいわけだね?このサンドイッチの具材共め!
718 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/08/28(火) 18:29:05 ID:3mACDx5B
ルイズは零号機を呼ぶべきだと思う
序を初日に見に行く人はこの中のどれだけいるだろうな。
聞いた話では序は内容はTV版とあまり変わらないそうだが。
ぼくは見に行きますよ。
話し変わりますけど、久々に執筆が順調です。明日の深夜、投下予定です。
お〜最新話を期待してますよ
724 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/08/30(木) 08:03:04 ID:T9T7E61o
gannbare
もしもルイズが召喚したのが魔探偵ロキだったら。(声優つながり)
>>725 何で声優つながりでロキなんだ?それとも誤爆か?
日が沈む前に、ラ・ロシェールに到着した一行は街中で最も上等な宿、『女神の杵』亭に泊まることにした。『女神の杵』亭はラ・ロシェールの中で、唯一、貴族を相手にしている宿だけあって実に豪華な作りだった。
因みにキュルケやタバサも一緒である。いつ間にか、彼女達もなし崩し的に付いてくることになっていたのだ。
タバサを叩いた引け目があったルイズは、そのことを強く咎められなかった。
明日はいよいよアルビオンに渡るということで、キュルケの提案により一階の酒場でちょっとした酒宴が開かれることになった。
キュルケは飲むと色気が増す質の様で、シンジは目のやり場に困った。
「シンジくん、飲んでる?」
「え、ええ。まあ、それなりに…」
シンジは俯き加減に答えると、ゆっくりと顔を上げキュルケを見た。
「でも、やっぱり、苦手かもしれないです。こうやって、みんなで騒ぐのって」
キュルケは困ったような顔をし、返事に詰まらせた。
「なんで?」
「多分、元々、そういう性格なんですよ。やっぱり、ぼくは人付き合いが下手なんだと思います」
シンジは、目の前に置かれたグラスを煽り、ちびちびと料理をつまんだ。
「……今日だってルイズさんを怒らせてしまった。良かれと思ってやったのに。いつもこうです」
キュルケは哀しみに顔を歪めた。他人に思いやりが伝わらない人間ほど哀れな存在もない。彼女が小さく首を振る。
「シンジくんは、人の顔色を伺いすぎよ。一々、そんなことを気にしてたら、身が持たないわよ」
「……そうでしょうか」
そういえば、いつの頃からだろう。
ぼくの心と体は少しずつばらばらになっている気がする。
あの人達との生活を送る間に、それをすっかり忘れていた。いや、ぼくが気付かなっただけで、着実に進行していたのかもしれない。
悲しいことや辛い事があっても、これは自分ではないと他人事みたいに見つめているもう一人の自分が、いつもいたんだ。
ミサトさん。
アスカ。
綾波。
心に浮かんだ望郷の念を抑える
大丈夫。
ぼくは、この世界でもやっていける。
心をもっと体の奥に閉じ込めてしまおう。
そうすれば、体の痛みも、心の痛みも、恐怖も、常に付き纏う寂しさも、なにも感じなくて済むだろうから。
「シンジ。あんた、全然、飲んでないじゃない」
ルイズの頬は紅潮し、あからさまに酔っている様子だった。
「……飲んでますよ」
ルイズがつまらなそうに頬杖をつく。
「あんたね。根暗すぎよ」
「ほっといて下さい」
すいません。原作でいう二巻分に関しては投下直前で路線変更しました。
ワルド(婚約者)が現れたことにより、心の奥底に根付いた本人すら気付かない孤独感を描こうかなと思いまして。
大まかな物語のながれには全く影響しないですが。
ただ、自分が書いているシンジが庵さんなのか貞さんなのかは、完全に迷走中です。
俺はここでGJとカキコすることしかできない
だが
>>731氏には自分にしかできない自分ならできることがあるはずだ
…ま、後悔しないようにな
>>731 読んでる側のイメージでは、庵シンジな感じだったなあ。
GJ!!
たぶん偽装ファイルか何かじゃねーの
738 :
冴えない人:2007/09/02(日) 14:08:51 ID:???
ラミエルたんに萌え死にました
凄かったよな。
ラミたん。
シンジ良かったよ
感動したしかっこよかった。
途中、ウザく感じるひともいるかも知れんけど。
まだ見てネーヽ(´-`)ノ来週行くなり
743 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/09/03(月) 19:42:12 ID:OveFTs2F
シンジはウザかったな
このスレで新劇場版の暴露はやるつもりなら止めてくれ頼むm(_ _)mマダミテナイ
746 :
冴えない人:2007/09/03(月) 23:15:18 ID:???
自重いたします。ちなみにぼくは楽しめました。745さんも楽しんできてくださいノシ
ネタバレ
シンジはラミエルに勝つ
748 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/09/04(火) 08:21:01 ID:fEHg5ZoX
つづきまだぁ〜?
750 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/09/05(水) 19:46:56 ID:QGeyJufl
ほしゅっと
前回投下分の最終を修正いたしました。
ワルドとの会話に夢中だったルイズは、少年が陰気に俯いているのに気づき声をかけた。
「どうしたの?」
「別に…」
シンジは地を這うような低い声で呟いたので、ルイズは少年の顔を覗き込み、ため息をついた。
「あんたね、そんな顔して、別に、なんて言っても、心配して下さい、ぼくを気にかけて下さい、って言ってるようなものよ」
ルイズの言葉に、少年は何も答えなかった。
ルイズはしげしげとシンジを見つめ、小首を傾げた。
「なによ、珍しくご機嫌斜めね」
「いいですから、ほっといてください……」
少年の顔から表情が消える。シンジは淡々とした目つきでルイズを見遣った。
ルイズは、使い魔の変化に凍て付くようなおぞましさを覚えた。少年の身体から発せられるこの雰囲気を、彼女はよく知っていたのだ。
しかし、何時、どこで感じたものだったのか。それだけは思い出せなかった。
「おー。シンちゃん、怖っ」
ルイズは自身の浮かび上がった剥き出しの感情を誤魔化す為に、わざと陽気な軽口を叩いた後、隣りに座るワルドと再び談笑を始めた。
普段、見せることの無い安心しきった笑顔を婚約者に向けるルイズを見る度に、シンジの胸がざわめいた。
そうか。ぼくはこの世界でも一人ぼっちなんだ…。
そういえば、いつの頃からだろう。
ぼくの心と体は少しずつばらばらになっている気がする。
悲しいことや辛い事があっても、これは自分ではないと他人事みたいに見つめているもう一人の自分が、いつもいたんだ。
ミサトさん。
アスカ。
綾波。
心に浮かんだ望郷の念を抑える。
大丈夫さ。
ぼくは、この世界でもやっていける。
心をもっと体の奥に閉じ込めてしまおう。
そうすれば、体の痛みも、心の痛みも、恐怖も、常に付き纏う寂しさも、なにも感じなくて済むだろうから。
乱暴に開かれた玄関の音で、シンジの陰鬱な思考は停止した。
彼が振り向くと甲冑に身を包んだ傭兵の一隊が、酒場になだれ込んできた。
傭兵の一人がルイズ達の姿を認めると、外に向かって叫んだ。
「ここに、いたぞ!!!」
弓を持った傭兵がルイズに的を絞る。突如現れた得体の知れない兵士の行動にいち早く反応したワルドは食器の並ぶ八人掛けのテーブルを力任せに横倒しにし、全員に指示を下した。
「机の後ろに隠れろ!」
皆はそれに従い、机の前に身を屈めた。
一斉に放たれた弓が机に突き刺さり小気味よい音をたてる。傭兵の狙いが一行の命なのは間違いなさそうだ。
「なんだよ、突然!?ぼく達がなにをしたって言うんだ?」
ギーシュが、至極もっともな疑問を口にした。
キュルケとタバサは、各々が得意とする魔法を放ったのだが、傭兵達はメイジとの戦いを熟知しているようで、魔法の射程範囲外から執拗に矢をかけた。
暗闇の傭兵達に、地の利があり、屋内の一行は分が悪い。
魔法を唱えようと立ち上がろうものなら、矢が雨のように飛んでくる。
他の客や従業員は、カウンターの下に隠れがたがたと震えていた。
「皆さん、伏せてください」
少年の左手に青き光が燈ると、激しい振動と共に酒場の壁に大穴が空き、石の破片が当たりに飛び散った。
そこから躍り出たのは巨大な腕である。
初号機の位置を確認したシンジは、傭兵達に向かいその腕を振るった。襲来する壁のような巨大な腕を避けきれなかった傭兵達が次々となぎ倒されていく。
その時、初号機の腕に一条の光の束が収束していった。次の瞬間、眩いばかりの閃光が放たれ、空気を劈くような轟音が辺りに響いた。
「ルイズさん、何をするんですか!?」
シンジが右腕を摩りながら、悲鳴をあげた。
「ごめん、ちょっと失敗しちゃった」
つまり、ルイズの失敗魔法が炸裂したのである。
「ちょっとじゃないでしょ!」
「別にあんたに当たったわけじゃないんだから、いいじゃない」
「いいですか!エヴァの触覚と痛覚はぼくにフィードバックされてるんです!だから、エヴァ痛けりゃ、ぼくも痛いんですよ!」
「男の子でしょ?小さいことでがたがた言わないでよ!」
ルイズはぶっきらぼうに言った。
「ルイズさんこそ、歳のわりには子供っぽいですよね」
ルイズの肩が小刻みに震え始めた事にシンジは気づいたが、勢いに乗ってしまった以上、もはや自制が利かないくらいハイになっていた。
「こ、こ、こ、この使い魔は…。だいたい、あんた、最近、生意気よ!この前の使い魔品評会だって、あんたのせいで、私が痛い目みたのに、あんた、しれーっとしちゃって」
「何言ってるんですか!?あれはルイズさんが調子にのるからでしょう!だいたい、ヴェストリの広場みたいに狭い場所でエヴァに宙返りをさせるなんて、度台無理な話ですよ!そりゃ、建物の一つや二つ、壊れますって」
「それが分かってんなら、なんで、止めなかったのよ!」
「そんなことしたら、ルイズさん、ふくれちゃって、一日中、口を利いてくれないじゃないですか!ったく、そういうところが子供っぽいっていうんですよ!」
「知ったかぶんないで!ガキのあんたに私の何が分かるってのよ!」
ワルドは、机を背に、そんな二人のやり取りを興味深そうに眺めていた。
ちなみに先ほどまで奮戦していた傭兵の姿はどこにもない。
初号機の脅威を目にした彼らは、ルイズとシンジが口喧嘩を始めたのをきっかけに、これ幸いにと逃亡を図ったのだ。
金で雇われるだけの彼らに保つべき名誉などない。敵に背を向けることは恥でもなんでもないのだ。そんな彼らの行動は実に素早かった。
キュルケは周りの客や従業員をなだめて回った。
タバサは小説に目を落としている。
ギーシュは、二人の口喧嘩をつまみに酒をあおっていた。この男、実は大物なのかもしれない。
支援
乙!
なんかギーシュ生意気だなwwwヘタレのが合ってるぜ
投下乙です
ギーシュ大人物すぎw
いや、初号機に追い掛け回された恐怖に比べれば
大抵の事は酒のつまみになる程度かもしれませんがw
762 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/09/07(金) 23:11:32 ID:kFYiEAv3
ほす
大小様々な飛空船が停泊する桟橋の前に一行はいた。明日、アルビオンに向かい運行する船に、初号機を取り付ける為だ。
もちろん、この船の責任者は初号機を牽引することを頑なに拒んだのだが、ワルドが運賃の十倍の支払いを提示し、半ば強引に納得させた。
周りの人々は初号機の威容に目を丸くし、ひそひそと囁き合っている。
「ルイズさん。結局、昨日の奴等は何者だったんでしょうね?」
シンジは青銅で出来た巨大な十字架型の棺桶に初号機を収める作業に励みながら、自身の主に問いかけた。
ルイズは太く長い綱と格闘しながら言った。
「だから言ったでしょ。そんなの知らないわよ」
二人の間に流れる空気はいつも通りの穏やかなものである。昨晩、繰り広げられた口喧嘩は、まるで尾を引いていないようだ。
ルイズ自身、初めて自分に噛み付いたシンジの姿を、良い変化と好意的に捉えていたし、あの後、シンジが素直に謝ったというのも、二人の間に訪れた気まずさを払拭するのに貢献していた。
「気にならないんですか?」
「全然。自分に降りかかる火の粉は振り払う。ただそれだけのことよ。あんたなら出来るでしょ」
「はぁ」
シンジは神々の黄昏のことを思い出した。自分は常に万能な状態にあるというわけではない。初号機の起動がかなわない時、それでも、自分はルイズを守りきることが出来るのだろうか。
「ギーシュさん、まだ、起きませんね」
シンジに名を呼ばれた金髪の青年は、風のよく通る桟橋の先で、意識不明のまま倒れている。
青銅の棺桶を練成した彼は、自身の限界を超える魔法力を喪失し、そのまま、卒倒してしまったのだ。
「たまに呻き声が上がっているんだから、死んではないでしょ。ほらほら、くだらないこと言ってないで、きりきり手を動かしなさい」
ギーシュの安否はくだらないことなのだろうか。少年は腑に落ちないものを感じながら、それでも主人の命に従うことにした。
全ての作業が終えた時にギーシュは目覚め、シンジはほっと胸をなでおろした。
その晩も、女神の杵亭に宿泊することになった。宿の支配人に懇願された為である。
昨日の傭兵達は、明らかに一行を狙い、宿を襲撃した。ルイズ達は身をもって、それを知っている。しかし、どこで話が歪んだのか、宿の支配人には荒れ者揃いの山賊から宿を守り抜いた恩人として伝わっていたのだ。
「そういうことなら、仕方ないわよね。キュルケ」
「そうね。人の厚意を無下に断るなんて貴族じゃないわ」
被害者のはずの支配人を前にして、こうも堂々とシラを切る二人の貴族をシンジは呆れたように見つめた。
支配人はルイズ達の言葉に目を輝かせ、嬉しそうに言った。
「一番上等な部屋を三室用意いたしました」
アンティーク調の紋様が刻まれた鍵束を支配人が取り出すと、ワルドがそれを受け取った。
「案内の必要はない。キミも酒場の修復に忙しいだろう」
「は。いや。何から何まで気を使っていただいて、恐縮にございます」
「気にするな」
そういって、ワルドは支配人の方を平手で軽く叩いた。支配人は、一行に向かい深いお辞儀をすると、カウンターの奥へと引っ込んだ。
766 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/09/09(日) 01:45:24 ID:REeHmhE9
保守
うp乙。
まとまって投下されてていい感じ
乙!
ギーシュ活躍してんななんか・・・
エッチなシーンこないかな
このオスマン・・・キール翁ですか?
ワルドは一行に向き直った。
「さて、今夜はもう寝よう。キュルケとタバサ、そして、シンジとギーシュが相部屋だ」
ワルドがキュルケとギーシュにそれぞれ部屋の鍵を渡すと、ルイズははっとして婚約者の姿を見つめた。
困惑を隠せないルイズの視線に気づいたワルドが口を開く。
「ぼくと君は婚約しているのだから、同じ部屋で眠るのは当然だろ」
「そんな、駄目よ!まだ、私達、結婚しているわけじゃないじゃない」
ワルドは首を振った。
「大事な話があるんだ。二人きりで話したい」
ワルドはルイズの肩を寄せると、部屋に向かって歩き出した。
ルイズはすがるようにシンジを見遣ったが、少年は視線をそらせるだけだった。
翌朝、シンジとワルドはかつて貴族が集まり、陛下の閲兵を受けたという練兵所で、二十歩程離れて向かい合っていた。
かつては砦だった建物を改修した女神の杵亭ならではの施設である。もっとも、今では酒樽や空き箱が詰まれ、寝室に囲まれたこの広場もただの物置と化している。
「きみは伝説の使い魔【ガンダールヴ】なのだろう?」
「っ…?」
シンジは警戒するようにワルドを見据えた。
よくよく考えれば、この男は王室の人間だ。自分がガンダールヴである事実を王室にだけは漏らさぬようにと、以前、オスマンから警告を受けている。
ワルドは誤魔化すように首をかしげて言った。
「なに、ぼくは歴史に興味があってね。以前、読んだ歴史書にガンダールヴのルーンのスケッチが記載されていた。きみの左手に刻印されているものに酷似している。ルイズも知らなかったようだが、きみは【ガンダールヴ】なのだろう?」
「さあ、なんのことでしょう…?」
「あくまでも、シラを切るつもりかい。ふむ、まあ、いい」
ワルドは羽帽子を目深に被ると、杖を掲げた。
「きみに決闘を申し込もう」
「はい?」
予想外の言葉にシンジは素っ頓狂な声を上げた。
「昔……、と言っても君にはわからんだろうが、かのフィリップ三世の治下には、ここで貴族が良く決闘したものさ。きみをここに呼び出したのも、その為だ」
支援・
「はぁ」
「古き良き時代、王族達はまだ力を持ち、貴族達がそれに従った時代……、貴族が貴族らしかった時代……、名誉と誇りをかけて貴族は魔法を唱えあった」
「ぼくは貴族じゃ、ありません」
「貴族ではないが、君は伝説だ」
ワルドが屹然と言うと、物陰からルイズが現れた。
「ワルド、来いって言うから、来てみれば、何をする気なの?」
「きみの使い魔に決闘を申し込んだ。きみには介添え人を頼むよ」
ルイズは困惑した。
「もう、そんなバカなことはやめて。今はそんなことを言っている場合じゃないでしょ」
「そうだね。でも、貴族というやつはやっかいでね。強いか弱いか、それが気になると、もうどうにもならなくなるのさ」
「シンジはただの平民よ。あのオーガ無しにあなたに敵うわけがないじゃない」
シンジは腰に差したカウンターソードの柄を左手で握ると、ルーンが青く輝いた。それに気づいたワルドが微笑みを浮かべる。
「どうやら、彼はやる気のようだ。それに、昨晩、説明しただろう。彼はただの平民じゃない、伝説のガンダールヴだ」
ルイズはシンジを見た。
やめなさい。これは命令よ?」
初号機のない自分にどこまで出来るのか、それを知る絶好の機会が訪れたのだ。
「ルイズさん、下がってください」
「なっ……」
シンジは朝もやの漂う空気を深く吸い込むと意を決したように叫んだ。
「戦いは男の仕事っ!!」
つい先日、この台詞をぶちまけた後、なにか手痛い目にあったような気がしないでもなかったが、シンジは深く考えることをしなかった。
「……あら。シンジくんって、意外と前時代な子なのね」
三階の廊下の窓から、広場の様子を見下ろしていたキュルケが微笑みながら呟いた。
「よい心構えだ。では、始めるか」
ワルドは腰から、杖を引き抜いた。フェンシングのように様にそれを構え、前方に突き出す。
「ぼくは不器用だから手加減できませんよ?」
ワルドは薄く笑った。
「構わぬ、全力で来い」
シンジは左手でカウンターソードを握り、しばし、迷った後、右手でデルフリンガーを引き抜いた。
「相棒!お前なら、俺を選んでくれると信じてたぜ!!」
片刃の長剣が感激の声を上げる。
実のところ、マゴロクソードに自分とは違う異質な能力が備わっていることに本能的に気付いたインテリジェンスソードは、二刀一対のこの刀達を密かにライバル視していたのだ。
もちろん、シンジがデルフリンガーを選んだのは、彼を思ってのことである。
仲間外れが何よりも辛いことを知っている少年の優しさの表れだった。
二刀を構えた少年は、ワルドに向かって切りかかった。
ワルドが杖でデルフリンガーを受け止めると、激しい火花が散った。細身の杖ではあるが、がっちりと長剣を受け止めている。
シンジは思わず舌打ちをした。恐らくこの杖には固定化の魔法が施されている。情にほだされず、マゴロク・エクスタミネート・ソードを使っていれば、今の一撃で勝負がついていたはずだ。
シンジは錆だらけのデルフリンガーを見つめた。自立思考が出来るのはたいしたものだが、切れ味の悪さといい、本当にキュルケが言うような業物なのだろうか。
ワルドは後ろに下がったかと思うと、細かい風切り音と共に、驚くほどの速さで突きを繰り出してきた。
シンジはワルドの突きをデルフリンガーでとっさに払った。
魔法衛士隊の黒いマントを翻して、ワルドは優雅に飛びずさり、構えを整えた。
「なんでぇ、あいつ、魔法を使わないのか?」
デルフリンガーはとぼけた声で言った。
「きっと、舐められてるんだよ」
シンジは歯を食いしばりうなった。目の前に立ちはだかるこの男は、ガンダールヴを発動させた自分と同等に素早い。一度切り結んだだけで、ギーシュとは格が違うことをシンジは悟った。
シンジは低く身構えると、長剣を風車の様に振り回した。
ワルドはシンジの攻撃をなんなくかわし続けた、見切り、杖で受け流し、それでいて息一つ乱さない。
「きみは確かに、素早い。剣術にもそれなりの心得があるのだろう」
シンジは下方からワルドの胴体に向かって剣を突き出し、その勢いのまま薙ぎ払った。
しかし、ワルドはそれらの攻撃を吹きすさぶ風のようにかわした。まるで、舞いをしているかのように優雅な姿である。
「しかし、まだまだ、隙だらけだ。その程度では、本物のメイジには勝てない」
ワルドが攻撃に転じ、レイピアのように構えた杖でもって、突き繰り出してくる。常人には見えないほどのスピードだ。シンジはやっとの思いで、その杖を受け流した。
閃光のような突きを繰り返してくるワルドの猛攻に押され、シンジはじりじりと後退した。
「デル・イル・ソル・ラ・ウィンデ……」
ワルドが何かを低く呟いている。
「いけねえ!相棒!魔法が来るぞ!」
デルフリンガーの言葉に、弾けるように反応したシンジはカウンターソードを突き出す。タンッと乾いた音が響くと、ワルドの羽帽子に風穴が空き硝煙の匂いが当りに漂った。
カウンターソードに組み込まれた仕込み銃を使用したのだ。
予想外の事態に、ワルドの詠唱が止まる。一瞬の隙を見逃さなかったシンジはカウンターソードを振るい、ワルドの杖を切断した。いかに固定化の魔法が施されている代物であろうと、物質を分子レベルで分断するカウンターソードの前では、熱で溶けかかったバターに等しい。
極端に短くなってしまった自分の杖を呆然と見つるワルド喉元に、シンジはデルフリンガーの切っ先を据えた。
「……勝負ありですね」
ルイズは目の前で起きた光景をにわかに信じることが出来なかった。
オーガが無ければ、なにも出来ないはずのあの少年が、いつもどこかおどおどしていて、全く頼りないあのシンジが、あのバカシンジが、魔法衛士隊の隊長を担うワルドに勝ってしまった…。
少年は主人の視線に気付き、屈託の無い笑顔を送ったが、ルイズは呆けた様子でぼんやりと呟くだけだった。
「お見事…」
初リアルタイム支援。嬉しいです。ありがとうございました。
779 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/09/11(火) 00:33:39 ID:i1uuuIMV
うおおおおおおおおおおおお!!!!
GJ!
GJ!
しかしさすがに三刀流は無理かw
シンジがワルドに勝った!
って、まぁ訓練自体は受けてる訳だから、
少なくとも原作同時点でのサイトより強い事は確実か。武器も揃ってるし。
気になるのはマゴロクの能力だな。
GJ!
やばい、このシンジになら掘られても良い
>>781 いや、カウンターソードとかと同じように超振動で何でも切れるって奴じゃないか
783 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/09/11(火) 10:04:16 ID:mxuBhrA/
お疲れ様
続きは早く読みたいですが、焦って書いても良いモノは出来ませんし
じっくり腰すえて執筆よろしく〜♪
784 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/09/11(火) 10:09:46 ID:mxuBhrA/
っと書き込んでおいて何ですが
マゴロクソード、カウンターソード、デルフリンガー
これらの性能が、どう違うのかよく分からなかったり
>>784 まずはさげる事を覚えよう。話はそれからだ。
マゴロク・エクスタミネート・ソード
エヴァの武器。といっても設定上存在するだけであって、作中には登場しない。プログレッシブナイフと同様の機能を持つ太刀。
カウンター・ソード
エヴァの武器。といっても設定上存在するだけであって、作中には登場しない。プログレッシブナイフと同様の機能を持つ小太刀。
マゴロク・エクスタミネート・ソードとカウンター・ソードは二つで一つの武器。エヴァに装着される際は、左肩部に並べて接続される。
デルフリンガー
ゼロの使い魔に搭乗する片刃の剣。
意思を持つインテリジェンスソード。対魔法の秘めたる力を持つ。
アバウトだけど、こんな感じ
シンジは切れたら恐い。
投下乙です
おー、男の子頑張るっ! って感じで良いシンジですねw
……あれ? ワルドの杖を切ってしまったら、ワルドが魔法が使えなくなって、
この先が原作の流れから大幅に変わる?!(いまさらですが)
いや、予備の杖が有ったり、短くなっても詠唱に支障が無ければ……いや、遍在の杖も変わるから_か?
仮にも王族を守る為のメイジなのだから杖の予備くらいはもっているだろ
ただ、持ち運ぶ事を考慮したら予備はものすごく小さい杖だろうな
今回は綺麗に切られたみたいだから錬金とかで簡単にくっつける事も出来るんじゃないか?
乙&GJ!
>>787 むしろ、このワルドは本当に裏切るのか?
エヴァとの対比的に加持さんポジとして扱われてるように思うが。
教会→SEELE
オスマン→ゲンドウ
コルベール→冬月
フーケ→リツコ
ワルド→加持
キュルケ→ミサト
ルイズ→アスカ
タバサ→レイ
ギーシュ→ケンスケ
な印象を受ける。
>>789 確かに、スイカに名前をつけて育てるのが似合いそうなワルドではあるw
まぁ、何はともあれ地力じゃまだまだワルドに敵わんな
今回、奇襲みたいなもんだしラッキーパンチってやつだろう
偏在使ってないしな。
うほっ、投下されてた
乙!
戦闘描写ウマイよ!想像しちまったよシンジの勇姿
ワルドの負け惜しみwktk
番外編です。
脆い心に痛みのキスを【序】
あの少年をハルケギニアに召喚してから間もない頃、彼の姿を目にすると抑えられない苛立ちを感じることがしばしばあった。
使い魔として、役に立つか否か、それ以前の問題だ。
常に人の顔色を伺うような落ち着きのない態度と、不意に見せる、すがるような上目遣いつかいが、私をどうしようもなく不愉快にさせたものだ。
今となれば、その理由もほんの少しだけ分かる。
私は自分のことを鑑みるだけで、精一杯なのだ。とても、他人の重みを優しく受け止められる様な余裕などない。
しかしながら、あの子は、使い魔と主人という関係、つまり、私との繋がりをハルケギニアでの生活において、最も重要視していた。
それも当然といえば、当然だ。
この世界に身寄りのない彼が、もし私に見放されようものなら、後に待っているのは永遠に続く孤独なのだから。
だけど、重荷は重荷だ。
だから、私は彼を邪険に扱った。床で就寝させ、床で食事を摂らせた。
文句も言わず、何事にも素直に従う彼が少し不気味だったのは言うまでもない。
そんな彼の事を好意的に見るようになったのは、ギーシュと彼の決闘が切っ掛けだ。
ぼろぼろになりながらも必死に戦い、それでもやはり敗北を喫した彼の言葉は私の尖った心をほんのちょっぴり柔らかくしてくれた。
彼は使い魔だけど、なにも出来ないただの子供。火を吐くことも出来ないし、空を飛ぶことも出来ない。
だけど、彼は心を持っている。優しさと思いやりを持っている。
それらの感情を無条件に差し出す彼の存在が、喜ばしかった。
ありがとね。
お礼を言いたかったけど、気恥ずかしさの方が上回って、結局、曖昧な言葉を口にすることしか出来なかった。
だけど、今はそれでいいと思う。
799 :
冴えない:2007/09/12(水) 00:48:37 ID:???
エヴァ板住人の方には不要な説明かも知れませんが、番外のタイトルはエヴァ2(ゲーム)より引用しています。
乙!
なんか最近のスレ乱立でバカバカとスレが落ちてってるから
こまめに保守したいね
ほしゅっと
802 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/09/13(木) 08:49:22 ID:aOrjyZZ7
>>799 乙アゲ
俺はゲーム詳しくないからありがたい!
シンジだけじゃあれだから初号機もなw
ルイズ
フランソワーズ
806 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/09/14(金) 00:34:09 ID:tRxNR9By
ル
ブラン
ド
ラ
桃色片思い
絶望した!空気読まない810に絶望した!
いや「えもん」じゃなかっただけでも、俺はよしとするぜw
x|_|x
アルビオンに向かい飛行する飛空船の一室の中で、ルイズは仁王立ちのまま使い魔に向かって突き刺すような厳しい視線を投げかけた。シンジはベッドに腰を掛けながら息を詰め、じっと床を見つめている。
気まずい沈黙を破ったのはルイズだった。
「ワルドの杖は使い物にならなくなったそうよ……。あんた、メイジにとって杖がどれだけ大切なものか分かってる?もちろん、魔法の発動には必要不可欠。そして、杖は私たちメイジの誇りを象徴するものなのよ。あんたはそれを叩き切っちゃったわけ」
「決闘をけしかけてきたのはワルドさんじゃないですか。自業自得ですよ」
「私、あんたを止めたわよね?どうして私の命令を無視したの?」
「……すいません」
「すいませんで済む問題じゃないわよ!私は主人であんたは使い魔、あんたは私の命令に従う義務があるのよ!わかってんの!?」
シンジの顔に暗い光が燈ると、彼の細い指先がかすかに震えた。
「わかります。ルイズさんにとって、ぼくはただの使い魔ですものね」
ルイズが怪訝そうな顔をする。
「……は?」
「誰でも良かったんですよね、使い魔なんて。別にぼくじゃなくても…。フリッグの舞踏祭の時は、同情であんなこと言ったんでしょ?」
シンジは低い声でそっけなく言い放った。
「ちょ、ちょっと、あんた何を言ってんのよ!!」
シンジは感情を爆発させ、声を張り上げた。
「もういいじゃないですか、勝ったんだから!良かったですね、ルイズさん。あなたの使い魔は伝説のガンダールヴだそうですよ。オスマンさんがそう言ってました。
良かったですね。本当に良かったですね。別にワルドさんがいなくたって、あなたの伝説の使い魔が、きっとあなたを守ってくれますよ」
鳶色の瞳に火花を散らせて激昂したルイズは、自虐的でいやらしい微笑みを浮かべる少年の頬を渾身の力で叩いた。
「少しは冷静になった…?」
シンジは力なく自分の頬を撫で、冷淡な色を浮かべるその顔でルイズを見つめた。
「別に…。ぼくはさっきから冷静ですよ。どうぞ、気に喰わないんだったら、何度でも殴ってください。ぼくはルイズさんの使い魔ですから、ご主人様からどんな仕打ちを受けようと、文句は言いませんよ」
膨れ上がる感情の赴くまま、ルイズは右手を伸ばしシンジの胸倉を思いきり掴むと、彼を無理やり立ち上がらせた。
「このバカシンジ!いい、良く聞きなさいよ…!」
「ええ、何でも言ってください。何でも聞きますから」
「あんたの全てが私のものにならないんだったら、わたし、あんたなんか要らない……!」
「……え?」
ルイズの本意を掴みかねたシンジは眉をひそめる。
ルイズはシンジの反応を無視し、彼の体を床に向かって勢いよく突き飛ばした。
倒れこむ少年に氷の様な軽蔑の眼差しを向けた後、ルイズは扉に向かった。
「今の言葉、心に刻んでおきなさい」
扉が乱暴に閉められ、鳴り響いたけたたましい音にシンジの肩がびくっと反応した。
「そんなに婚約者の方が大事なんですか…」
さっきまでルイズが立っていた場所に向かって、シンジはポツリと呟く。よろよろと立ち上がり、ズボンの埃を払うと、とぼとぼと甲板に向かって歩き出した。一人で部屋に閉じ込もってはいたくない気分だったのだ。
「なんだよ。勝ったのはぼくなのに…。けしかけてきたのはむこうなのに…」
甲板についたシンジを出迎えたのは、船を巻き込むように強く吹き荒れる風と眼下に広がる厚い雲だった。
「アルビオンが見えたぞー!」
鐘楼の上に立った見張りの船員が大声を上げる。
シンジは側弦から身を乗り出し、眼下を覗き見たが目に映るのは白い雲だけである。
「なんだよ、どこにも見当たらないじゃないか」
「どこを見てるんだよ、シンジ」
声の方向に振り返ると、そこには柔らかいブロンドの髪をたなびかせるギーシュがいた。
「ほら、あれがアルビオンだ」
すいません。とりっぷ間違えてました…。
ギーシュはこのSSの良心
乙!
ちょっとギーシュが好きになってきた・・・
でも脳内じゃなぜかジュリオ
>>誰でも良かったんですよね、使い魔なんて
ルイズ系統のコレモンのSSに対する根源的な疑問だよな
才人じゃなくてもルイズはいいの?みたいな。
エヴァでいうと、アスカは、あるいはレイは…
シンジじゃなくてもやさしくしてくれりゃ、誰でもいいのか?って感じか
書き手が避けてるとこだが、それだけに興味は尽きないな
822 :
通常の名無しさんの3倍 :2007/09/15(土) 09:41:55 ID:Tb9ci//i
>>821
そんなもんかもしれんね
ギーシュは何処でも何だかんだで愛されてるなw
俺も大好きだが!
独占欲の向かう先がたしかに曖昧なのが多いな。
「その人(物)」でなければいけないのか、「使い魔」でありさえすれば
どれでも良いのか。
アルビオン撤退前後が一つの契機になるのかな。
>>821 呼ぶ対象は誰でも誰でも良いんじゃないかな、少なくとも初期は。
教師が待ちくたびれるほどサモン・サーバントょ失敗して
初めての呪文の成功と共に、ようやく呼び出した使い魔はそりゃー大切かと。
原作のサイトのように見た感じも中身も平民ならともかく
その魔法使いに相応しいと言われる、呼び出した使い魔が立派ならそれだけ執着心と誇りはありだろうし。
いや、ここのルイズだと反抗期になった、弟分に困惑するねーさんと言う気がしないでもないけどw
ギーシュの指差した方角を見て、シンジは息をのんだ。巨大としか形容のしようがない光景が広がっていたからだ。
雲の切れ間から、黒々と大陸が除いていた。大陸ははるか視線の続く限り延びている。地表には山がそびえ、川が流れていた。
「驚いたかい?」
「はい、こんなのを見たのは初めてです」
ギーシュは純粋な少年の有様に小さく笑い口を開いた。
「浮遊大陸アルビオン。ああやって、空中を浮遊して、主に大洋の上をさ迷っているんだ。大きさはトリステインの国土ほどある。通称『白の国』」
「どうして、白の国なんですか?」
ギーシュは大陸を見やった。大河から溢れた水が、空に流れ落ちている。その際、白い霧となり、大雨を広範囲に渡ってハルケギニアの大陸に降らすのだとギーシュは説明した。
「ただ、諸説は他にもたくさんある。神々の月、つまり、白き月の影響を強く受けて移動するから、白の国と呼ぶようになったんじゃないかと言う学者もいるしな」
シンジはギーシュの話を聞きながら、ひりひりと痛む頬を無意識に撫でる。
シンジの頬に浮かぶ赤みに気付いたギーシュは微笑みながらそのラインを親指でそっとなぞった。
「これ、ルイズにやられたんだろう。落ち込んで見えるのは、それが理由かい?」
「別に落ち込んでなんか……」
「キュルケが心配してたよ。きみは色んなものを自分一人でしょい込もうと片意地張らせ過ぎてるって」
ギーシュは側舷に両肘を付き、雲によって作られた地平線の彼方を見やった。ギーシュらしくもなく、何事も見透かすような澄んだ瞳をたたえる青年の横顔をシンジは物静かに見つめている。
「女性はいいね」
「……え?」
「女性は心を潤してくれる。神の造りだした珠玉の極みだよ。そう思わないかい?」
「はぁ」
そうか。この人は正真証明のバカなんだ。
シンジは、少しでもギーシュの言葉に期待した自分を情けなく感じた。
「ぼくにとってはね、女性は薔薇の花なんだ。迂闊に手を伸ばすと、トゲに刺さってしまうこともある。だけど、その美しく咲く様は、常にぼくの心を癒してくれるんだよ」
落ち込んでいる時に、他人の与太話を聞かされること程、たまったものはない。シンジはうんざりしながら、それでもギーシュの言葉に耳を傾けた。
「ぼくの世界は素晴らしいぞ。なにせ、女性が存在しない大地など、ハルケギニアはないからね。つまり、ぼくの世界は薔薇の園なんだ。目を開けば、そこかしこに咲き誇る薔薇の花が見える。最高だよ」
「……そうですか」
シンジが俯きかげんに小さな声で相槌をうつと、ギーシュは少年を静かに見つめる。
ふと、金色の髪に差す光りに優しさが燈ったような気がした。
「シンジ。どうやら、きみの世界にはハリネズミしかいないようだね?」
息が止まる。心に杭を打ち込まれた様な激痛が走った。
「他人に触れれば、傷つくと思っているんだろ?だったら、自分からは求めない方がいい、そう思っているんだろ?」
「そんなの……、違います!」
「違わないよ。だけど、きみは思い違いをしている。全ての人達がきみを傷つけるためにあるわけじゃない」
シンジはギーシュの言葉に激しい困惑を覚えた。
「きみが望むのならば、きみの世界は、きみが願うように形作られていく。それだけは忘れてはいけない事なんだ」
「……分からないよ、そんなの」
ギーシュは空を見上げ、シンジの肩を抱いた。
「空を見なよ。この透き通る様な青さだけは、いつまで経っても変わることはないんだ。だったら、きみはこの空の下で、きみなりの世界を作ればいい。きみが立ち上がると言うなら、ぼくはいつだってきみに協力するよ。きみはぼくの憧れだからな」
頼むからほっといてくれ、という当惑と、本当に頼っていいの、という切なさの混じった複雑な声色でシンジが呟く。
「ギーシュさん、何を考えてるんですか?」
「何も考えちゃいないさ。きみはぼくの事をバカだと思っているだろう?」
ギーシュはそう言って、愉快そうに首を振った。
「そう、ぼくはバカだよ。きみとの決闘でそれを自覚した。だけど、気付いたんだ。それこそが、ぼくの取り柄なんだってね。だから、損得なんか考えないさ。きみが笑えば楽しそうだって、そう思っただけだ」
シンジの凍てつく心が緩やかに溶かされ、透き通る雫へと、その姿を変える。それが少年の涙として、純粋な瞳から溢れ出すのに、そう時間はかからなかった。
「ギーシュさん、ありがとうございます…。本当にありがとうございます……」
ギーシュは背中にたなびく自身のマントをハンカチ代わりにシンジの涙を拭った。それは、彼の誇りの行き末を示した瞬間でもある。
「辛い時は空を見上げればいい。そして、ぼくの言葉を思い出せ」
シンジは弱々しく頷いた。
「そろそろ、アルビオンに着く。皆を呼びに船室に行こう、もちろん、ルイズのとこにもな」
少年はギーシュの優しさに、涙を流すことでしか応えられなかった。
乙でう。元ねたを読んだ事はないけど楽しく見れます。いつもありがとー0
>そうか。この人は正真証明のバカなんだ。
シンジひでえw
しかしギーシュの男っぷりはどこまで上がるんだ?
いいやつ過ぎてデル公の出る幕ないな。
ギーシュのかっこよさが…もう…w
いい男に…なるのだな。ギーシュは
話は変わるけど武器の信頼性という面において
デルとマゴロクを考慮するとデルに軍配が上がると思うのは
俺だけか?
マゴロクはトンデモ技術で作られているだけに、一旦故障すると修復不可能だし
動力源(多分電池かなんかだと思う)が切れたら、切れ味がないなまくらになってしまう
ローテクだけど、それだけにトラブルに強いデルのほうが「愛用の武器」としては
信頼が置けると思うがどうか?
切れ味という点では錆状態のデルフも似た様なものじゃないか?
西洋剣は「叩き切る」がメインだから余り関係無いけど。
デルフの価値はやっぱり魔法吸収だからな
左手にデルフ右手にマゴロク背後にエヴァ…どんだけ凶悪なんだか
マゴロクの動力源てなんだろね。
燃料電池だったらコルベール先生あたりに錬成してもらえば
なんとかなるかも。
つーか二刀流ってことは元祖ガンダールヴにかなり近い形態
なんだよな、シンジって。
初代のガンダールヴは右手に槍、左手に剣だったか。
・・・アレだ、もしかすると槍はソニックグレイブ。
さらっとスルーされるけど、電池ってのはハイテクの塊。
練成ったって、構造が理解できなければ作れない。
ガソリン作るので四苦八苦してる科学力では厳しい。
マゴロクに搭載されているであろう、IC、LSIなんかは言わずもがな
色々スマソ。技術って面において黎明期であろうこの世界になんかムラムラしたw
ロボットに乗る二刀流キャラって昔何処かで見たなと思ったら
真っ先に思い出したのがシバラク先生だったorz
燃料電池そのものを作るのは難しくても燃料は比較的簡単にできるんじゃないの?
普通にランプのある世界だし。
ギーシュいい男
感動しちゃった
シンジがんばれ
自分も元ネタ知らないけどめっちゃ楽しんでる
ギーシュ。バカでありがとう…
つーかさ、武器の性能にそこまで突っ込む必要あんの?
元々クロスなんだから、どっちがなんて不毛もいいとこだと思うんだけど。
今日観てきたけどやばいなあれwww
ギーシュがカヲルになったか!でもギーシュは女好きだからアッーな展開はないな
ワルド終わったな!
乙これからもwktk
このギーシュはちょっとおバカなカヲル君だ、間違いない
綺麗なケスンケです
こっそりエヴァからマゴロクソードに充電とかしてるのかなー
電源の規格が合って、再充電出来るならバッテリーの寿命が持つ間は何とかなりそうだけど
(故障したら修理は難しそうだけど)
エヴァが使うサイズから人間サイズにブライシンクロンしてるんだ。
単なる縮小コピーで終わるはずがないじゃないか。
>>848 おっす、俺、ゆとりw
結構前にケンスケをこんな感じで呼んでたので、使ってみたw
結構反省してるかも知れんorz ユトリセダイイイナ、オレノコロハ、ハルヤスミ、ナツヤスミ、ナカタ('A`)
シンジのダイナミックアタッカーで攻撃だー
>>849 少しだけ目から鱗だ
S2機関ありのエヴァがあれば電力問題はある意味問題無いんだよな
ころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころす
ころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころすころす
ほす
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859 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/09/18(火) 23:41:38 ID:WVteoiGL
投下待ちあげ
アルビオン国内で二番手の規模を誇るスカボローの港町は物々しい雰囲気に包まれていた。激しい内戦の渦中にあるのだから、それも当然だ。
しかし、この町も反乱軍に占領されてからそれなりの時が経過し、船長が言うにはこれでも大分マシになっているそうだ。
初号機の威容は街を闊歩する反乱軍の目を否応なく引いたので、シンジは黒マントを羽織り、トリステインの貴族にして高位のメイジという身分を偽ることになった。
港で行われていた反乱軍による検閲の際も、初号機はシンジの使い魔ということで無理矢理通したのだ。
街道を行き交う人々から奇異の視線を向けられることに慣れてしまった一行は道の真ん中を威風堂々といった風体で前に進む。
実際のところは、端を歩くと後に続く初号機の巨大な足が街道に列なる商店の庇や看板を破壊してしまうのではないかという危惧の方が大きかった為なのだが。
ルイズは前を歩くシンジの横顔をちらりと伺った。少年はギーシュとの談笑の合間に時折笑顔をこぼしている。
使い魔の様子が先ほどまでと違うことに、ルイズは聡く気付いていたが、話しかけることだけは憚れた。
『あんたの全てが私のものにならないんなら、私、あんたなんて要らない……!』
なぜ、あんな事を言ってしまったのだろうか。
あの光景を思い出すだけで、恥ずかしさのあまり、ルイズの顔は紅潮せざるを得ない。
「どうやって、王党派と連絡をとればいいのかしら。王都以外の街は全て反乱軍の占領下。その王都も包囲されて陥落寸前なんでしょ?」
キュルケがワルドに尋ねた。
「陣中突破しかあるまい。ここスカボローから、王都ニューカッスルまでは馬で一日だ」
「反乱軍の間をすり抜けて?」
「そうだ。それしかないだろう。まあ、さっきの検閲と同様に反乱軍も公然とトリステインの貴族には手出しはできんだろう。それに、こちらにはこのオーガがいる。そんなに難しいことではないだろうな」
キュルケは緊張した面持ちで頷く。初号機に関わりたくないからだ。
そして、一行を乗せた初号機によるアルビオン大陸大横断が始まった。
時速二百キロメートルで大陸を疾走する巨体がアルビオン中で噂になるのもそう時間はかからなかった。
「シンジ!」
ニューカッスル付近に陣を敷く反乱軍を目にしたギーシュが叫ぶ。
「飛び越えます!皆さん、しっかり掴まっていてください!」
褐色の肌にも関わらずキュルケが顔を蒼白させた。陣の縦長はおよそ三百メイル。飛び越える、あれを?
「ちょ、待っ……」
キュルケの言葉が終わる前に、スピードに乗った初号機が空を突き抜けるような跳躍を見せた。踏み台にした大きな一枚岩が砕け散り、空気が割れる。
「ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」
ルイズの間抜けな悲鳴が直下の反乱軍陣地にこだました。
巨大な質量が作り出した落下の衝撃に耐え切れず、平原がめくれあがる。
慣性に引きずられた初号機の足が長さ百メイルにも及ぶ大きなくぼみを大地に作りあげた。
皆の無事を確認し、シンジは再びニューカッスル目指して、初号機を走らせた。
何が起きたのか、何が現れたのか、常識外れの光景を目の当たりにさせられた反乱軍は呆然と初号機の背中を見つめるしかない。
一行の瞳に大陸から突きでた岬が見えた。
その突端には、高い城がそびえている。あれこそがニューカッスルの城らしい。
ニューカッスルまで、あと僅かというところで、遠く離れた岬の突端の上から、巨大な船が降下してきた。
本当に巨大、としか形容できない禍々しい巨艦であった。一行が乗り込んだ貨物船の優に十倍はある。帆を何枚もはためかせ、ゆるゆると降下したかと思うと、初号機目がけて舷側に並んだ訪問を一斉に開いた。
「まずい!!」
ワルドが叫ぶ。
空気を劈くような轟音が響くと巨大な黒い砲弾が初号機に襲い掛り、ルイズは咄嗟にシンジの胸に顔を伏せた。
しかし、初号機の翳した右手から忽然と浮かび上がった赤き発光を伴う六角形の障壁が、全ての砲弾をなんなく受け止めた。
「大丈夫です。顔をあげてください」
他人を安心させる優しさを含んだ声にルイズは素直に従った。
「これは……?」
「以前、説明したじゃないですか。これがA.T.フィールドです」
「……きれい」
A.T.フィールドをぼんやりと見つめる少女の言葉を聞いて少年は笑った。
「そんなことを言う人、ルイズさんくらいですよ」
乙乙乙!
敵中突破って初めて読んだ。ちょっとびっくり
山場ですな。。続きがさらに楽しみだ!
おちゅかれー
うーん、普通におもろいなぁ
こういうファンタジー(?)ものは、活字で読むに限るね
想像力がかき立てられる。まあ、元ネタ知らないし
>>834 特に優劣を考えたことはないですが、どちらも優れた長所を持っているので、書き分けは楽しいです。ただ、ゼロ世界だと、マゴロクは短命にならざるを得ないですよね。
>>839 レスを見てから調べてみました。電池って色々とあるんですね。
自分は、偶然、ガンダールヴ(魔法=同化)っていう超科学に逃げこめましたが、純粋に電気の力を用いてエヴァを動かす物語を書く際には、相当の知識がないと書けないでしょうね。
>>845-847 正直な話、キャラクターの同化を意識したのは、ルイズ=アスカだけでした。
他のキャラには、出来る限りエヴァの台詞を語らせてるくらいです。
ギーシュは最も多くのキャラの台詞を喋らせているので、一番、エヴァキャラとの対比が難しいかも知れませんね。
迷走していますw
最後にレスを下さる皆さんへ。
いつも、稚拙な文章にお付き合い下さり、本当にありがとうございます!
皆さんのおかげで、物語を綴る意欲が湧いてきます!!
乙
ここの場面で貴族派を突破する二次創作はけっこう珍しいかも
乙
wktk
おほっwww投下乙
ルイズが一発変換で出るようになったわ
投下乙
初号機の性能的にレコンキスタ殲滅可能なんだろうけど、シンジに大量殺戮できるメンタルないしなあ
それ以前に、皇太子の出番はちゃんと来るのかGJ
レコンキスタこの段階で殲滅されちゃった場合
ストーリー的にはどうなるん?教えて原作詳しい人。
この時点でレコンキスタ壊滅すると
タルブ村攻防戦が起きないのでルイズ虚無覚醒フラグが立たない
そして神聖アルビオン共和国との戦争がないのでvs7万の軍勢がない
vs7万の軍勢がないと瀕死にならないのでティファニア登場フラグが立たない
諸侯会議でのガリアの発言権が弱まる程度。
つーか原作のバレ書いていいのかな?
いろんな意味で割と重要な伏線が張られるエピソードだから。
好きな人には悪いがたぶん原作はこの先読まないので無問題
指輪物語とゲド戦記なら読んだけど、どうやらファンタジーにはあまり向いてないみたいで。
童話物語は良かったけど
ファンタジーはフォーチュンクエストとゴクドーくん漫遊記しか読んでない俺、参上!
…いつの時代の人間だよ!
指輪物語やらゲド戦記読むような奴は、そもそもラノベ読まないんじゃねか
ファンタジーは読まな……ああ、ロードスとリウイは読んだな。
ソレ位だと思う。後はSFとか現代モノだし。
A.T.フィールドの存在を知らないばかりに、その後も執拗に無駄な砲撃を続ける巨艦に辟易したルイズは使い魔に一命を下した。
「やっちゃいなさい。ただし、墜落させるまでもないわ」
初号機は手ごろなサイズの岩を握り、手の平でそれを二度跳ねさせると巨艦に向かって華麗なオーバースローを披露した。音速で放たれた岩は、シンジの狙い通り艦橋からそびえるマストを立て続けに三本程へし折って、空の彼方へと消え去った。
初号機に再び岩を握らせ、砲撃を止めた巨艦に無言の圧力を加える。
未知なる存在の威圧に負けた巨艦は船首を翻し、慌しく後退した。
パニックに陥った艦内の光景が容易に想像つき、キュルケは小さく呟いた。
「……このオーガに関わったことが運のつきね」
自分もこのオーガに関わってしまった不幸な人間だということに気付いたのは、それからまもなくのことである。
ニューカッスルの城門がジェリコの壁の様になっていたのだ。いくら開門を求めても、返ってくるのはもの寂しい風だけで、それはルイズの身分を明かしても変わりなかった。
もちろん、原因は初号機にある。
禍々しい鬼の様な存在を引き連れる一行の言葉を信用するのは容易ではない。内戦中ならば、なおさらのことだ。
「通れないなら、飛び越えるしかないんじゃないか。まさか、破壊するわけにもいかないだろうし」
話し合いの結果、ギーシュの案が採用され、ニューカッスル城のほぼ中央に位置する美しい庭園も初号機が着地した際に発生した衝撃によってあらかた破壊されてしまった。
後に残るのは踏みにじられた国花の残骸と吹き飛ばされた木々だけである。まるで王党派の行く末を示しているようで、ルイズはなんとなく気落ちした。
直後、宮廷の入り口から完全武装した衛士隊が現れ、それぞれの獲物を腰から引き抜くと一行に厳しい視線を向けた。
「十秒待つ!杖を捨てろ!」
衛士隊の中で、最も大柄で豊かな髭をたくわえた男が、一行に大声で命じた。
お互いに目配せをした後、一行は素直に杖を捨てた。どちらにせよ、初号機がいる限り、身の安全は保障されている。
あまりにも従順な態度を見せる侵入者に拍子抜けしたものの、髭の男は厳しい顔のまま口を開いた。
「貴様ら何者だ?」
ルイズが毅然とした態度で答えた。
「トリステイン王国がラ・ヴァリエール公爵の三女、ルイズ・フランソワーズです。アンリエッタ姫殿下より、ウェールズ皇太子殿に宛てた密書を言付かって参りました」
「……密書?して、その内容は?」
「貴方は密書の意味をご存じなくて……?他言出来ないからこそ、密書は密書たりえるのですわ」
ルイズの痛烈な皮肉に、髭の男は顔をゆがめ、頬を蒸気させた。
その時、宮殿の入り口から青のマントを羽織った凛々しい金髪の若者が現れ、それに気付いた衛士隊たちにどよめきの色が浮かび上がる。
「皇太子殿、危険です!下がってください!」
金髪の青年は衛士隊を制し、ルイズの指に光る指輪を見つめた。
「彼女が薬指に嵌めているのは水のルビーだ。水のルビーは私の従妹であるアンリエッタが所有するもの……。つまり、彼女らは間違いなくトリステイン王国の大使だよ」
「貴方は…?」
ルイズが訝しげにたずねると、金髪の青年は魅力的な笑顔を端正な顔に浮かべた。
「アルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューターだ」
皇太子を名乗る男に向かい一行は慌てて膝をついた。シンジだけ、少し出遅れたのだが、それはいつものことである。
ウェールズは自分の薬指に嵌っていた指輪を外すと、ルイズの手を取り、水のルビーにそれを近づけた。
すると、二つの指輪が共鳴し、虹色の光を振りまいた。
「この指輪はアルビオン王家に伝わる風のルビーだ。水と風は虹を作る。王家の間にかかる橋さ。ようこそ、アルビオンへ」
ルイズは深々と頭を下げた。
「して、密書とは?」
ルイズは手紙をウェールズに差し出した。
ウェールズは、愛おしそうにその手紙を見つめると花押にキスをした。それから、慎重に封を開き、便箋を取り出した。
しばらくの間、真剣な顔で手紙を読んでいたが、そのうちに顔を上げた。
「姫は結婚するのか?あの、愛らしいアンリエッタが。私の可愛い……、従妹は」
言葉の間に走ったわずかの沈黙が心に引っかかったが、ルイズは無言で頭を下げ肯定の意を表した。
再び、ウェールズは手紙に視線を落とす。最後の一行まで読むと微笑んだ。
「了解した。姫はあの手紙を返して欲しいとこの私に告げている。何よりも大切な手紙だが、姫の望みは私の望みだ。そのようにしよう」
ルイズの顔が輝いた。
「さあ、私に付いてきなさい」
ルイズたちはウェールズに付き従い、彼の居室へと向かった。城の一番高い天主の一角にあるウェールズの居室は、王子の部屋とは思えないほど質素なつくりだった。
木でできた粗末なベッドに、椅子とテーブルが一組。壁には戦の様子を描いたタペストリーが飾られている。
王子は椅子に腰掛けると、机の引き出しを開いた。そこには宝石が散りばめられた小箱が入っている。
蓋が開けられると、その内側には、はっきりと彼女とわかるアンリエッタの肖像が描かれていた。
ルイズ達がその箱を覗き込んでいることに気付いたウェールズははにかんで言った。
「宝箱でね」
中には一通の手紙が入っていたウェールズはそれを取り出し、愛しそうにキスをした後、開いてゆっくりと読み始めた。何度もそうやって読まれたらしい手紙は、すでにボロボロであった。
その様子を見守っていたルイズは、二人の関係が従妹の領域を越えた只ならぬものであることを、確信していた。
ウェールズはその手紙を丁寧にたたみ、封筒に入れると、ルイズに手渡した。
「これが姫から頂いた手紙だ。この通り確かに返却したぞ」
「ありがとうございます」
ルイズは深々と頭を下げると、その手紙を受け取った。
「明日の朝、非戦闘員を乗せたイーグル号が、ここを出航する。それに乗ってトリステインに帰りなさい」
ルイズは、その手紙をじっと見つめていたが、決心したように口を開いた。
支援
「あの、殿下……。戦況は芳しくないと街の者から聞いたのですが、実際のところはどうなのでしょうか?」
ウェールズはにこやかに微笑んだ。
「その者は実に優しいな。芳しくないとは、随分とオブラートに包んだ言い方だね」
「と言いますと……?」
「我が軍は三百。敵軍は五万。万に一つの勝ち目もない。我々にできることは、はてさて勇敢な死に様を貴族派の連中に見せ付けることだけだ」
ルイズは深々と頭をたれて、ウェールズに一礼した。
「殿下、恐れながら申し上げたいことがございます」
「なんなりと申してみよ」
「この、ただいまお預かりした手紙の内容、これは……」
ウェールズは、ルイズが言いたいことを察し、微笑んだ。
「きみが想像している通りだと思うよ。ぼくとアンリエッタは恋仲だった。そして、この手紙は恋文さ。人は嫉妬深い生き物だからね。この手紙が白日の元に晒されたならば、ゲルマニア皇帝と姫との結婚は取り消されるのは間違いあるまい。
そうなれば、なるほど同盟相成らず。トリステインは一国であの恐るべき貴族派に立ち向かわなければなるまい。結果、我が国と同様にトリステイン王室も倒れることになるだろう」
「やはり、殿下は姫と恋仲であらせられたのですね」
「昔の話だ」
「殿下、トリステインに亡命なされては…?恐らく、姫もそれを望んでおります」
「それはできんよ」
ウェールズは笑いながら言い、ちらっと時計の針を伺った。
「さて、今からささやかな祝宴が行われる。君達は我が国が迎える最後の客だ。是非とも出席して欲しい」
パーティーは城のホールで行われた。簡易の玉座が置かれ、そこにはアルビオンの王である年老いたジェームズ一世が腰掛け、集まった貴族や臣下を目を細めて見守っていた。
滅びを前にした宴にしては、随分と華やかなパーティーで、悲壮さはどこにも感じられない。
王党派の貴族達はまるで園遊会のように着飾り、テーブルの上には、この日のためにと摂って置かれた様々なご馳走が並んでいる。
ウェールズが会場に現れると、貴婦人達の間から歓声が飛んだ。若く凛々しい王子はどこでも人気者のようだ。
彼は玉座に近づくと、父王になにか耳打ちをした。
陛下はウェールズに支えられる形で立ち上がり、小さく咳払いをすると、ホールの貴族と貴婦人達が一斉に直立した。
何故エヴァを使う発想が出ないのか支援
「諸君。忠勇なる臣下の諸君に告ぐ。いよいよ明日、このニューカッスルの城に立てこもった我ら王軍に反乱軍【レコン・キスタ】の総攻撃が行われる。彼らは、ご丁寧にも書状で、その事実を告げてきた。
この無能な王に諸君らはよく従い、よく戦ってくれた。しかしながら、明日の戦いは、もはや戦いとは呼べない。おそらく一方的な虐殺になるであろう。朕は忠勇な諸君らが傷つき、倒れるのを見るに忍びない」
老いたる王は、ごほごほと病的な咳をすると、再び言葉を続けた。
「したがって、朕は諸君らに暇を与える。長年、よくぞこの王に付き従ってくれた厚く礼を述べるぞ。明日の朝、巡洋艦イーグル号が女子供を乗せてここを離れる。諸君らも、この艦に乗り、この忌まわしき大陸を離れるがよい」
しかし、だれも返事をしない。一人の貴族が、大声で王に告げた。
「陛下!我らはただ一つの命令をお待ちしております!『全軍前へ!全軍前へ!』今宵、うまい酒のせいで、いささか耳が遠くなっています!はて、それ以外の命令が耳に届きませぬ!」
その勇ましい言葉に集まった全員が頷いた。
「おやおや!今の陛下のお言葉は、なにやら異国の呟きに聞こえたぞ?」
「耄碌するには早いですぞ!陛下!」
老いた王は目頭を拭い、馬鹿者どもめ……、と小さく呟くと、杖を掲げた。
「よかろう!しからば、この王に続くがよい!さて、諸君!今宵は良き日である!重なりし月は始祖からの祝福の調べである!よく飲み、食べ、踊り、楽しもうではないか!」
ホール内が喧騒と歓声で包まれ、シンジは憂鬱になった。
死を前にして明るく振舞う人たちは、勇ましいというより、この上なく悲しかった。
ルイズはそれよりも感じることがあったらしい。顔を振ると、この場の雰囲気に耐え切れず、外に出て行ってしまった。
シンジは追いかけるべきか迷ったが、ワルドがいることを思い出し、彼を促した。
シンジはワルドの背中を寂しそうに見つめ、床にうずくまった。
座の真ん中で談笑していたウェールズがそんな少年の様子に気付き、声をかけた。
「ラ・ヴァリエール嬢の使い魔の少年だね。気分でも悪いのかい?」
明日に死を控えつつも、他人に気をかける存在が不気味で仕方なかった。
シンジは立ち上がると、気まずそうにウェールズに尋ねた。
「失礼ですけど……、その、怖くないんですか?」
「怖い?」
「死ぬのが怖くないんですか?」
ウェールズは笑った。
「そりゃあ、怖いさ。死ぬのが怖い人間なんているわけがない。王族も、貴族も、平民もそれは同じだろう」
「じゃあ、どうして?」
「大切なものがあるからだ。守るべき大切なもの大きさが、死の恐怖を忘れさせてくれる」
「そうですか……」
「きみにもすぐに分かるさ。きっとね……」
それだけ言うと、ウェールズは再び座の中心に入っていった。
シンジはぼんやりとその背中を見送った。
「大切なもの……、か」
乙!
エヴァ色が段々と出てきているな。
次話でシンジを止めて……って、ルイズ追いつけるのか?
……なるほど(苦笑
シンジだからね、こういう言われようでは動かざるを得ないな
さて、どうなるか
行ったはいいけど…できるんかなあ。
ぶち切れた時以外は、途中で止まる臭いからなあシンジ。
途中で意外な反撃で痛い目見たり、躊躇してダメージ受けたら、そっから暴走開始で大惨事起こせるんだがw
おっちゅ
深夜に投下とは人が悪いwww
タバサ空気化
罪の意識に苛まれるシンジも見てみたいなw
そんなシンジをルイズが「歯ぁ食いしばれぇっ!!」って殴るんだなw
それ別物語w
これが若さか…なんて言うシンジは見たくないw
シンジ「加持さんは死んだ!もういない!
だけど、僕の背中に!この胸に!
一つになっていき続ける!!」
ルイズを見失ってしまったワルドは、廊下にいたメイドに声をかけた。
振り返るメイドの右手に月明かりを反射するものが握られていることに気付いたが、予想外のことに反応がわずかに遅れ、首先にナイフを突きつけられた。
百戦錬磨のワルドは、メイドから感じられる殺気が偽りではないことを察し、早々と抵抗を諦め両手をあげた。
「きみは……?」
「オールド・オスマンの使いよ」
ワルドの眉が動く。
「……オールド・オスマンの?こんな仕打ちを受ける覚えはないんだが」
メイドはワルドを厳しい視線で見つめ続けた。
「とぼけたって無駄よ。あなた、色んなバイトに手を出しているようだけど、どれが本職なのかしら。オールド・オスマンはそのことが気になって夜も眠れないそうよ」
「なるほど。全てお見通しってわけか」
ワルドは天井を仰ぎ、小さく息を吐いた。
「しかし、今回の任務は最後までやり遂げるつもりだ。ウェールズ皇太子の暗殺も、手紙の奪還もな。抜かりはない」
メイドはワルドの首元に突きつけたナイフの切っ先を舐めるように滑らせた。そのラインからじんわりと血が滲む。
しかし、ワルドの態度は余裕そのものだ。まるで、この状況を楽しんでいるかのようにも見える。
「この答えじゃお気に召さないのかい?」
「皇太子の命に興味はないの。もちろん、手紙にもね」
ワルドの顔から笑みが消えた。
「どういうことだ……?今回の件は教会の意志だぞ」
メイドがはたと何かに気付いたようで、ぱちんと指を鳴らした。
「そうそう。オールド・オスマンから伝言を承っているの。神様気取りのぼけた老人達へね」
「伝言?」
「『神の導きにより計画の第一段階は終了した。【人類補完計画】は当初の予定通り進んでいる。そして、我々は貴方達の所有する時計よりも上等なものを手に入れた』。一字一句と間違えずに伝えてね」
ワルドは小さく笑った。期待通りの言葉で、内心安堵していたせいもある。
「なるほど、あくまでも教会に抵抗するつもりなんだね、彼は」
「あなたもでしょ?」
ワルドはしばし考え込むそぶりを見せた後、首を振った。
「いや。ぼくは知りたいだけさ。この世界の秘密をね」
「そう、なら勝手になさい。ただし、貴方の存在が我々の計画の障害となった時は覚悟なさいね」
「肝に銘じておくよ」
「それとガンダールヴの少年に手出しはしないこと。これを破っても貴方を消すわ」
「……彼に何を期待しているんだ?」
「あなたに話す必要はないわ」
ワルドはメイドの瞳をえぐるような視線で見つめた。
「ガンダールヴルーン、――偽りの聖痕を刻まれた、神でもなく、人でもなく、悪魔でもない異質な存在。そんな奇形の神にできる事なんて、何一つないさ」
ここにきて、メイドが始めて笑顔をみせた。しかし、眼鏡の奥に光る瞳は真剣そのものである。
「奇形の神か。そんな穿った見方もあるのね。貴方、バイトのやりすぎよ。ストレス溜まって性格が歪んでいるんじゃないかしら」
「きみは知らないのかい。五千年前、リリンの時の指導者ブリミルはアダム族による【滅びの時】を阻止せんと、あろうことか悪魔【アスモダイ】と契約を結んだ。
ブリミルは神より授けられた楽園の一部をアスモダイに切り渡し、アスモダイはその見返りにと、生命の実をブリミルに授けた。そして、ブリミルは、彼に生涯の忠誠を誓った第一の弟子ガンダールヴに生命の実を与えたんだ。
しかし、その生命の実は、悪魔の瘴気によって腐りきっていた。本来、生命の実と知恵の実を併せ持つ存在は神に等しいはずだ。世界を変える力を持つ全知全能たる存在。
しかし、ガンダールヴは自身の世界を変えるだけの力しか持たない欠陥品にしかなれなかった。リリンの中にはそれを進化の実などと大仰に呼ぶ連中もいるが、勘違いも甚だしい」
メイドは呆れたようにため息をついた。
「三十点」
「え?」
「貴方の回答につけられる点数よ。良かったわね、歪んでいたのは性格ではなくて、貴方の知識みたい」
「どういうことだ?」
「自分で調べなさい。ここまで一人でたどり着いたんでしょ」
メイドはワルドの頬を優しく撫で、首筋に走る傷口からナイフを離した。
「ごきげんよう」
そう言って、メイドの姿は闇に消えた。
「待てっ!」
すぐさま追いかけようと足に力を入れたワルドは、いつの間にか下半身まで土くれに埋まっている自分に気付いた。
恐らく、魔法によって練成されたものだろう。
ワルドは完全に手玉に取られたことに気付き、窓の外に浮かぶ月を眺め、薄く笑った。
「女性は怖いな」
シンジは真っ暗な廊下を、蝋燭の燭台を持って歩いていた。
塔と塔を結ぶ渡り廊下の中ほどに、開けた窓があり月明かりが差し込んでいた。
そこに涙ぐむ一人の少女がいた。白い頬を伝う涙は、月明かりに映え、まるで真珠の粒のようだった。
その美しい横顔と悲しげな様に、シンジはしばらく見とれていた。
ついと、ルイズが振り向いた。蝋燭をもったシンジに気付き、目頭をごしごしと拭った。
シンジが近づくと、力が抜けたように、ルイズは少年の体にもたれかかった。
「ルイズさん……、どうしたんですか?」
ルイズはシンジの頭をぎゅっと抱きしめる。
シンジの前髪に、温かい何かが零れ落ちた。
「いやだわ……。あの人たち……、どうして死を選ぶの?わけわかんない」
「大切なものを守るためだって言ってました」
「なによそれ。愛する人より、大切なものがこの世にあるっていうの?」
「……ぼくには分かりません」
「……早く帰りたい。トリステインに帰りたいわ。この国嫌い。イヤな人たちとお馬鹿さんでいっぱい。誰も彼も、自分のことしか考えてない。あの王子さまもそうよ。残される人たちのことなんて、どうでもいいんだわ」
ルイズは遂に嗚咽を漏らし始めた。
少女の様に泣きじゃくり、自分を抱きしめるルイズを見る。
この人には泣かないで欲しい。なんとなく、そう思った。
だけど、どうすれば……。
考え抜いて、少年は一つの結論を出した。
「ルイズさんはウェールズさんに死んでほしくないんですね」
「そんなの、当たり前よ……」
「分かりました」
少年の口調が硬いものへと変化したことに気付き、ルイズはシンジの頭から両腕をほどいた。
「ぼくとエヴァがいれば、五万の軍勢も簡単に退けられます」
「何を言っているの?」
少年の左手に刻まれたルーンが青く発光していることに気付いた時には、窓枠から現れた巨大な掌が彼を優しく包み、ルイズの視界から掻っ攫っていってしまった。
「……行ってきます」
少年の呟く声が、はっきりと聞こえ、ルイズは弾ける様に窓枠から身を乗り出す。
驚異的な跳躍を終えた初号機は、すでに城外にいた。もはや、制止の叫び声が届く距離ではない。
なぜ、私はあの少年にあんな弱音を吐いてしまったのだろう。
なぜ、私はあの少年に涙を見せてしまったのだろう。
あの少年は、人一倍自己犠牲心が強い。ギーシュとの決闘で、私はそれを知っていたではないか。
私が弱い心を見せ付ければ、彼は必ず動く。
確かにあのオーガにかかれば、五万の軍勢を蹴散らすなど容易いことだろう。
だけど、そのオーガを使役する彼は、ちょっと捻くれてはいるけど、誰よりも心根の優しい十四歳の少年なのだ。
私は、彼を止めなければならない。
他ならぬ彼を救うために。
「……ごめんね、バカシンジ。すぐに行くから」
ルイズは涙を拭って、仲間の元へと駆け出した。
規制分投下乙ー。
ってまとめで読んだんだがな。
まとめの更新も乙!
反乱軍の陣を目指して巨大な影が疾走する。
巨体の左肩に片膝をついた少年は、激しい向かい風を浴びながらも、視界全体に広がる松明の炎を冷静に見据えた。
暗闇に染まった大地を照らす無数の焔は、少年の体を巡る血液を一瞬で凍らせた。自分が対峙しようとしている相手の巨大さをまざまざと見せ付けられたシンジはワイシャツの胸元を左手で握りしめた。
少年の右手に握られた抜き身の長剣が無い筈の口を開く。
「相棒。どうするんだ?」
「決まってるよ、あの人達を止めなきゃ」
「お前さんに人殺しができるのかい?」
剣の言葉に激しい嫌悪感を覚えた少年は露骨に顔を歪めた。
「エヴァにはA.T.フィールドがある。そんなことをしなくても、なんとかなるかもしれない……」
「ならないよ。ああ、なるわけがねぇな」
「そんなのわからないじゃないか」
そう言ってシンジは片刃の長剣を背中に背負う鞘の中にしまった。この剣は、鞘に収められると言葉を失う。
耳に残るのは戦場に吹きすさぶ猛き風の音だけになり、いよいよ敵陣は目前にと迫った。
初号機の姿に気付いた歩哨の竜騎兵が警笛を鳴らす。
松明の炎が慌しく動き始めた。その光景に目を奪われつつも、シンジは周りを包む空気が如実に変化したことに気付いた。湿気を増し、急速に冷却された空気がシンジの肌を刺す。
空気が弾け、何かが爆ぜる様な音が響くと、突如現れた雷撃が激しい閃光を放った。
A.T.フィールドを展開する暇もなく、シンジはほとばしる白き雷の直撃を許してしまった。
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
全身を駆け巡る衝撃に、声にならない悲鳴をあげる。シンジは焼け付くような痛みに耐え切れず、両膝を落とした。
油断すれば途切れそうになる意識を必死に繋ぎ止めながら、怪我の確認をした。
衣服は焦げ付き、左肩が露出している。注視すると、焼き鏝をあてられたような酷い火傷を負っていた。
もう一度喰らったら、命にかかわるのは間違いない。
シンジはデルフリンガーを引き抜き、辺りを警戒した。
「今のが、なんなのかわかる?」
「ライトニング・クラウド。風系統の高位魔法さ」
「魔法…、あいつか……!」
シンジは、視界の隅にさっきの竜騎兵を発見した。月夜に照らされて、右手に木製の杖を握っている姿をはっきりと捉えた。
シンジは初号機を走らせ、巨大な右手で竜ごと騎兵を絡めとった。
「この人を人質にして、軍を止めよう」
「……は?」
この少年の戦争に対する感覚が、一般的なものから根本的にずれていることに気付き、デルフリンガーは呆れるしかなかった。どこの世に、捕虜となった一人の兵士を救う為、五万の軍勢の進行を止める指揮官がいるというのであろうか。
デルフリンガーがシンジの甘ったれた発案を諌め様とした途端、再び空気が変わった。
「相棒、またくるぞ!」
電撃がシンジの体に伸びた。
成すすべも無く反射的に翳したシンジの左手から、赤き波紋の障壁が浮かび上がった。襲い掛かる電撃を掻き消し、悠然と虚空に浮かぶその壁は、A.T.フィールドに間違いなかった。
シンジは唇を震わせながら呟く。
「エヴァ……?いや、違う……」
確かに初号機とのシンクロは確立されたままだ。しかし、初号機がA.T.フィールドを展開していないのは、感覚的によく分かっていた。
そして、目の前にそびえるA.T.フィールドは、それよりも、もっと身近に感じられる。
「まさか、ぼくが……?」
「ぼうっとするな、次が来るぞ!」
デルフリンガーの言葉で我に返ったシンジは初号機の左手からA.T.フィールドを展開させ、迫り来る竜騎兵を薙ぎ払った。
竜が地面に向かって緩やかに落ち行くのと同時に、先に展開されたA.T.フィールドは消滅した。
しかし、考えている暇はない。
ぐずぐずしている内に、空には大量の竜騎兵が初号機を取り囲むように飛翔し、そして、陸には武装した兵士達がわらわらと群がっていた。
「A.T.フィールド全開!!」
広範囲に展開させたA.T.フィールドを前面に押し出し、波の様に押し寄せる軍勢を喰い止めたその時……。
「そこまでだ、ガンダールヴ!!」
聞きなれた声が響いた。
声がした方に振り向くと、グリフォンに跨るワルドとルイズがいた。
しかし、様子が変だ。
「オーガを止めろ。さもなくば、ルイズを殺す」
シンジは眉をひそめた。
「……どうして?」
鳶色の瞳から透き通るような涙が溢れていることにシンジは気付いた。
そんな彼女は心から悔しそうに顔を歪め、口を開いた。
「ワルドはレコン・キスタに与する裏切り者だった……。ウェールズ皇太子も暗殺されたわ。卑劣な彼によって」
ワルドは残忍な笑みを浮かべ、ルイズの首筋に突き立てたナイフの刃をシンジに良く見えるようにした。
「そういうことだ。ぼくはきみらの敵なのさ。だから、きみに余計な真似をされると困るんだよ」
シンジは呆然とワルドを見上げた。
「裏切ったな……、裏切ったんだな……、ルイズさんの気持ちを裏切ったな……」
力なく呟く少年の左手に刻まれたルーンから鮮やかな青い光が失われ、初号機の体が大地に向かってわずかに沈みこんだ。
ルイズが慌てて叫ぶ。
「なにをやっているのよ!私のことはいいから、あんた一人でも逃げなさい!」
「……だめです」
「もとの世界に戻ってやんなくちゃいけないことがあるんでしょ!こんなところで躓いてる場合じゃないじゃない!だから、早くオーガを使いなさい!」
「……だめです」
「あんた、言ったじゃない。そのオーガがあれば、五万人の軍勢だって簡単に退けられるって」
ルイズは顔を赤くしてまくし立てた。彼女の口から紡がれる悲痛の叫びは、涙に濡れていた。
「だったら…! 今ここで…! それを証明して見せてよ!!」
「……だめなんです」
ルイズは遂に本格的に嗚咽を漏らし始めた。
「命令は聞くって約束したじゃない……」
「ウェールズさんが言ってました」
「……え?」
「人は何か大切なものを守るために戦うんだって……。この世界でルイズさんよりも大切なものなんて、ぼくにはありません。だから、駄目なんです。その命令だけは聞けません」
そう言って微笑む少年を、死肉に群がるカラスの様な竜騎兵達が乱暴に組み伏せた。
ハルケギニア史上最強と称された使い魔は、主人というアキレスの健を握られ、いともあっさりと捕縛されてしまった。
その光景を見守るしかなかったルイズは、ワルドの腕の中でいつまでも嗚咽を漏らし続けた。
「なによ、バカシンジのくせに……。バカシンジのくせにぃ……!」
嘘 第陸話
と
鳴咽
終わり
せめて人間ら
し
第七話 く
ヘ続く
次の投下は番外編、脆い心に痛みのキスを【占】です
917 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/09/23(日) 01:42:58 ID:yQZY9ZPh
乙!ようやく追いついた
乙したー。
しかしそろそろ1000到達時にどうするのか気になるな。
次スレ立てるのか?
滅多に見ない良SS
このスレは伸びる
もう伸びてるけど
乙。
やばいやばいやばい!
どうなる、この先?
>>918 次スレ、テンプレとかいるのかなぁ
921 :
通常の名無しさんの3倍 :2007/09/23(日) 11:04:25 ID:XRcapGCT
FIGHT!
乙!
やっぱりワルドやりやがったか・・・
メイドってもしかしてシエスタ?
キャラ変わりすぎてワロタwwwwww
>>923 ヒント:土くれで足止め&眼鏡
平民のシエスタは魔法使えないよ
そういえば秘書さん、オスマンに洗脳されていたな
ティファニアの事を教えてなければいいんだが…
原作よりおもしろい(#´Д`)
>>926 マジ?俺原作しらんが、すげーなそれ
今日双月の騎士最終回だ。このスレ見始めてからちょっと見方変わったんだぜ
このままでは風のルビーが・・・フーケが回収か?
次スレは950とかでいいのかな?
脆い心に痛みのキスを【占】
あの夜。
ワルドから、あの少年が伝説に語られしガンダールヴであることを告げられた。
そして、彼が言うには、いつの日か私は歴史に名を残すような偉大なメイジになるそうだ。
馬鹿馬鹿しい御伽噺にしか聞こえなかった。自分の身の程は、自分が一番良く知っている。あの少年の馬鹿さ加減も良く知っている。
私達が伝説の生まれ変わりを演じられる理由など、どこを探しても見つかりはしない。
私がメイジとして大成することはないだろう。
人並みに扱えるようになれれば、それで十分だ。
そう言えば、そんな風に思えるようになったのは、いつの日からだろう。
考え込む私に向かって、彼は求婚した。
ふと、あの少年の笑顔が頭に浮かぶ。
目の前にいるこの男と結婚しても、私はあの少年を使い魔としてそばに置いておくのだろうか。
なぜか、それはできないような気がした。これが鴉や、梟だったら、こんなに悩まずにすんだのかもしれない。
もし、私があの少年を見放したら、あの子はどうなるんだろう。
キュルケか、それとも少年に施しを与えるシエスタとか……、誰かが世話を焼くに違いない。
そんなの嫌だ。
あの少年は、馬鹿で間抜けだけれど、他の誰のものでもない。
私の使い魔なのだ。
彼の笑顔も、彼の涙も、彼の優しさも、彼の心も、彼の体も、全て私のもの。
彼は私の使い魔なのだから、彼の全ては私のもの。
私はプロポーズの答えを保留した。
この男は、優しくて、凛々しくて、ずっと憧れていた。
求婚されて、嬉しくないわけじゃない。
でも、あの少年が心に引っかかる。
引っかかったそれが、私の心を前に歩かせないのだ……。
かつては名城と謳われたニューカッスルの城も、今では惨状を呈していた。生き残ったものに絶望を感じさせ、死者に鞭打つ惨状である。城壁は度重なる砲撃と魔法攻撃で、瓦礫の山となり、無残に焼け焦げた死体だけが転がっていた。
本城のみが、かろうじてその姿を残している。しかし、戦火の激しさを物語る傷跡はいたるところに刻まれていた。
攻撃に要した時間はわずかだったが、反乱軍の損害は創造の範囲を超えていた。三百の王軍に対して、損害は二千。負傷者を合わせれば、四千。
戦傷者の数だけみれば、どちらが勝ったのか分からないほどであった。
浮遊大陸の岬の突端に位置した城は、一方向からしか攻めることができない。密集して押し寄せたレコン・キスタの先陣は、度重なる魔法と砲撃の斉射をくらい、大損害を受けたのである。
しかし、所詮は多勢に無勢。
一旦、城の内部へと侵入された堅城は、もろかった。
王軍は、そのほとんどがメイジで護衛の兵を持たなかった。王軍のメイジ達は、群がるアリのような名もなきレコン・キスタの兵士達に一人、また一人と討ち取られ、散っていった。
敵に与えた損害は大きかったが、その代償として、王軍は全滅した。文字通りの全滅であった。最後の一兵に至るまで王軍は戦い、斃れた。
つまり、アルビオンの革命戦争の最終決戦、ニューカッスル攻防戦は百倍以上の敵軍に対して、自軍の十倍にも上る損害を与えた戦い……、伝説となったのであった。
ルイズという人質を盾にされ、成すすべをなくしたキュルケとタバサは、攻城戦の戦端が開かれる前に、杖を捨て、ワルドに投降した。
彼女達は捕縛された後、グリフォンによって反乱軍の陣幕まで連行された。しかし、腐肉にも、それが彼女達の生命を救う結果となった。
逃げ場のない戦場と化したニューカッスルの城に残っていたならば、最悪の結末を迎えていたであろう。
戦が終わってから二日後、彼女達は、シンジと共にニューカッスル城の地下牢に幽閉されている。
レコン・キスタ上層部の中にはルイズを含む彼女達の処分を主張する声も上がったが、ゲルマニアとトリステイン、二国の貴族を人質にとることの優位性を説き、ワルドがそれを制した。
ワルドとルイズが婚約関係にあることを知っていたレコン・キスタの指揮官に、私情ではないかと、問い詰められる一場面もあったが、彼は表情を変えずにきっぱりとそれを否定した。
ワルドの真意は未だに謎のままである。
日が暮れ、戦跡の検分を区切りの良いところで中断したワルドは、自室として割り当てられた本城の一室に向かった。先日まで、ウェールズの居室だったものだ。
「バイトも楽じゃないな」
疲れきった様子で呟き、扉を開けた。ライトの魔法を詠唱すると、部屋に明かりが燈る。
部屋を見回し、居るはずの人物が居ないことに気付いたワルドが眉をひそめた。
そこにきて、ルイズの見張りを命じた二人の兵士が廊下にいなかったことには気付く。小さく舌打ちをし、チェストの物陰から現れた金髪の青年を睨み付けた。
「お待ちしていましたよ、ワルド子爵」
「ギーシュか。ルイズをどこにやった…?」
「そろそろ、スカボローに着く頃でしょう。ミス・ロングビルの手引きによってね」
「あのメイドか……。未だにアルビオンにいたとはな。しかし、妙だ。なぜきみがここにいる?」
ギーシュはきざったらしく前髪を掻き分ると、彼の杖であるバラの造花をワルドに向かって突き向けた。
「手紙を頂戴に上がりました。ルイズが言うには、貴方が後生大事に持っていらっしゃるそうですね。いやはや、総司令官からの信頼も随分と御厚いようでなによりです」
「奪還の為に現れたということか。はたして、きみにそれができるのか?あの女も人選を誤ったものだ」
「いいえ、ぼくが志願しました」
ワルドが薄く笑った。
「未熟者が効を急いても、怪我をするだけだぞ」
ギーシュの顔がふっと暗くなり、その顔から微笑が消えた。
「正直、手柄などは興味ありません。手紙のことも、本当はどうでもいいんです」
「なに?」
「ただ、あなたを許すことはできない。ぼくの信念がそう告げているんだ」
紅蓮のような怒りを含んだ瞳で、ギーシュはワルドを睨み付ける。唇をかみ締めると、鮮血が薄く洩れた。淡い色をした唇に憤怒の混じった赤い液体が静かに流れ落ちる。
「あなたはルイズを泣かせた。つまり、薔薇の花を傷つけたんだ。薔薇の園を踏みにじるものは、誰であろうとその報いを受けなければならない。例え、その薔薇がゼロのルイズであろうともね」
ワルドは肩をすくめた。
「ここまで馬鹿だとは思わなかったよ。どんな覚悟を心に燃やそうが、きみではぼくに勝つことはできない。ネズミが猫に勝てないのと同様さ」
ギーシュは決意と誇りと信念を込め、杖を振った。バラの花が今は亡き主人を憂う部屋を舞台に、美しく優雅に舞う。
「土と言えば、グラモン。グラモンと言えば、土。土の大家がグラモンの血筋を侮るな!!」
ギーシュは左拳を握った。
「父上、見ていて下さい!ぼくは男になります!!!」
投下終了……か?
次回、男の戦いなギーシュを期待。
あれ?このギーシュってイケメン熱血漢なパーフェクト超人じゃね?
キザイケメン+熱血漢=最強
存在自体が死亡フラグになってね?w
投下乙
なんですかこの、死亡フラグと生存フラグをたてまくって
一番危険なルートを選ぶ(良い意味で)馬鹿なギーシュわw
エヴァに追われてから良い意味でふっきれたなー
いまだかつてない馬鹿(いい意味で)ギーシュを見れるのは
このスレだけwww
主人公ギーシュだっけ?
ギーシュ株毎回ストップ高の勢いだなw
ギーシュもそうだけど、某赤毛のお嬢並に
シンジにはまりつつある桃色髪のおせうも忘れないで!
キュルケのオッパイが足りないな(´・∀・`)
\\ 胸革命! 胸革命! 胸革命! 胸革命! 胸革命! 胸革命! 胸革命! 胸革命! 胸革命! //
\\胸革命! 胸革命! 胸革命! 胸革命! 胸革命! 胸革命! 胸革命! 胸革命! 胸革命! //
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胸革命! 胸革命! 胸革命! オッパイ! 胸革命! 胸革命! 胸革命!//
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シンジとサイトが同じなのはやだなぁ
シンジ→思春期の少年並にはむっつり
サイト→今時の思春期の青年並にはケダモノ、あと日常での自爆と自滅とうっかりが得意
保守するけどいいよね。答えは聞かないけど
関係ないネタを持ち出してくるのはホシュでも流石に寒い
>>951 ま、おちつけ。
他の作品のいいとこは取り入れ、悪いとこは華麗にスルー
それがエヴァ住人の真骨頂。たかが1レスのネタに噛み付くのはカコワルイ
>>950 ゲットおめ。なので次スレ、ヨロw
>>951 正直スマンカッタ。だが自重はしない
>>952 そのつもりだったけどいいスレタイが思いつかないんで誰か提案よろ。
乙ー。スレタイは妥当だと思う。
次スレに投下されたぜー。
今回のギーシュもギーシュっぽくない(褒め言葉)
>>959 確かにw何がギーシュ主演のお遊戯だよwwwww
乙梅
新スレに投下致しました。
埋めついでにコッチで乙しておくぜ!
スレ立て&投下乙&うめー
梅梅
梅ついでに本編の話でもすっか。
大きく話が動きそうなのは作品世界で一年後の、二年進級時にテファ達が行う
サモン・サーヴァントの儀式だと思うけど、何が召還されるんだろな。
再契約の際デルフがサイトの胸にルーンが刻まれることを危惧していたし、「記す
ことさえ憚られる」使い魔ってもろ危なそうだけどな。
シエスタうめぇ
アンリエッタは抜ける
雑談の少ないスレだしなー
うめー
>>965 むしろ、使い魔のルーンがテファの胸に刻まれ大変けしから(投稿者は30mゴーレムに潰されたために省略されました
>>969 ダメだ、それじゃ下手したらルーンを確認する為に
手でこう、谷間を押し広げなければいけない
>>965 とりあえずミサトカレー召喚しとこう
間違いなく「記すことさえ憚られる」使い魔になるぞ
>>971 聖地には6000年熟成ミサトカレーがあると仰るか
うめ
>>972 たぶん匂いだけでもエルフの先住魔法の数百倍は強力だぞ。
って、もしかして6千年前に起きた大異変でデルフがわけわからんことになったって
言ったのはミサトカレーの破壊力で記憶がぶっ飛ばされたからか?