◆◆◆ DARK SIDE OF NEON GENESIS ◆◆◆
1 :
ケペル博士 :
03/10/25 00:44 ID:??? CONTENTS(変更の可能性有り) ---------------------------------------- *二人の親、碇シンジ/Shinji : Parent Double. *影の誕生、綾波レイ/Rei : Rebirth of shadow. *単眼巨人と惣流・アスカ・ラングレー/Asuka : Stranger or Outsider. *昼盲症者、碇ゲンドウ/Gendou : The Nyctopia. *最後の錬金術師、碇ユイ/Yui : The Last and Ultimate Alchemist. *老賢者、冬月コウゾウ/Kouzou : The Hermit. *巫女、葛城ミサト/Misato : A real maiden. *無意識のチャネラー、赤木リツコ/Ritsuko : March of Black Queen. *トリックスター、加持リョウジ/Ryohji : The Trickster. *ホムンクルス、渚カヲル/Kaworu : To be, or Not to be ? *魂、コア、アトランティス/Soul, Core and Atlantis. *死海文書、ネクロノミコン、アーカーシャ年代記/Dead Sea Scrolls, Necronomicon and Akasa Chronicle. *二元論と三位一体/Which way to MAGI system ? *ゼーレの目的、ネルフの使命、ガイストの結論/Seele, Nerv and Geist. *終着の浜辺におけるグノーシス主義/Gnosticism on Terminal Beach.
何か論文発表してくれるの?
*最後の錬金術師、碇ユイ/Yui : The Last and Ultimate Alchemist. まず、エヴァのオープニングから話を始めよう。 開巻直後、雫とその波紋の広がりのような映像のあとに現れる「企画・原作 GAINAX」のクレジットのバックに、 エリ巻きに包まれたような鳥のような物体が銀河の向こうに消えていく。その後に続く<セフィロトの樹>については 謎本や各サイトでも頻繁に取り上げられているが、この物体に関する論説は極端に少ない。実はあれこそ<四態の天使> あるいはヘブライ語の「知識」「仲裁者」を意味するケルーブcherubを語源とするケルビムと呼ばれる智天使であり、 錬金術の象徴なのである。<四態の天使>は時代と場所により、様々な変種が見られるが、ユダヤ教神秘主義カバラに おいては聖書を表す車輪の上に乗っている。また、時代が進みキリスト教神秘主義においては新約と旧約双方を象徴する 二つの車輪の上に立っている。西洋神秘主義体系の象徴である<タロット・カード>の大アルカナ14番目、「節制」 temperanceに描かれているとの説もある。このオカルト・シンボルを巻頭に置いたことこそ、この作品全般を通じて錬金術の 影響下にあるものとの推測を立てても、あながち的外れではないだろう。また、このケルビムはエヴァ七不思議のひとつ、 謎の第二使徒である可能性が高い。
錬金術とは黄金以外の物質から、それを造り出す作業の総称であると一般には思われている。これは、わが国でもブームとなった ファンタジー小説『ハリーポッターと賢者の石』と、その映画化により多少は知られるようになった。その原作中にもあるが、この 作業に用いる化金石、あるいは<賢者の石>と呼ばれる錬金術の秘伝は卑金属を黄金に変えるばかりでなく、不老長寿の妙薬ともなる のである。これらを特に「万能薬」<パナケイア>と呼ぶ。「万能薬」にはその所有者の姿形を変えたり、消したりする能力を与える。 のみならず、天使達との会話や、宙を飛ぶことさえ可能にするという。
宮崎駿の『天空の城ラピュタ』に登場する「飛行石」ラピスlapisこそ、その本質は この<賢者の石>であり、錬金術の真髄でもあるのだが、宮崎本人がそれを意識していたか どうかは不明である。また、作中に登場するレトロ・デザインのロボット(これ自体は宮崎が 担当したルパン三世『さらば、愛しきルパン』と同様、米国アニメ、SUPERMAN の1エピソード、 "MECHANICAL MONSTER"に登場するロボットの引用だが)がエヴァにおける使徒と同じく、 天使の役割を担っていたことにお気付きだろうか。天使も軍団を結成しているのである。また、 天空から落下して半壊したロボットは明らかに堕天使のアナロジーであり、人間に知恵と同時に 災厄をもたらすのは劇中で暴れまわる通りの展開である。こうした点に触れた論考がほとんど ないのは残念だ。さらに現在、連載中の藤田和日郎『からくりサーカス』は錬金術のアイデアが 満載されたコミックである。特にこの作品は中世以降、錬金術に付加された<アルカエスト> (万物を溶かし、無に還す酸化薬)や<ホムンクルス>(人工的に創造された人間)のアイデアが 作中のいたるところにちりばめられている。作中の「生命の水」(アクア・ウイタエ)こそ、本来 アルコールに溶かした「賢者の石」であり、古代より「霊薬」<エリキサ>と呼ばれた存在である。 また、これは先年公開されたスパイク・ジョーンズ監督作品『マルコビッチの穴』と同様、 シンボルとしてのピグマリオ、意識の転送などエヴァとの共通点が多い。 「意識」「魂」「自我」などエヴァでは自明の事として、あえてその厳格な定義を行っている事例は 皆無に等しいが、このスレッドではいずれこうした概念について徹底的な論考を試みるつもりである。
ところで錬金術の本質はそうした物質的なものばかりでないことに注意したい。 ここでは、以下にS.ユタン『錬金術』、F.S.テイラー『錬金術師』、澤井繁男 『魔術と錬金術』、M.P.ホール『錬金術』、C.G.ユング『心理学と錬金術』他を 参考に、錬金術とは何か、について考えてみよう。その思索的追求が新世紀の暗黒面、 特に碇ユイの行動原理の謎に迫れるものと思うからである。 以下に錬金術の目的を個別に挙げてみよう。 1:物質の組成に関する基本的知識の蓄積。 2:実際的応用(その主要目的は金属変性と黄金、および万能薬の製造) 3:西洋神秘主義の中核である『ヘルメス哲学』の追求。 4:前三者の統合。『大秘法』<アルス・マグナ>の完成。
1:に関しては特に言うべきことはない。英語の化学、chemistryが、錬金術を意味するアラビア語の アルケミアから直接派生したものであることを知るだけで充分だ。(ALはアラビア語の定冠詞であり、 英語のTHEに相当する。アルコールという一般名称はこの薬品がアラビア起源であり、錬金術とも密接な 関係があることを物語っている。蒸留技術はアラビア人達の発明によるものであり、アルコールはワイン を蒸留して得られたものだ。また、アルカリという言葉も物質の性質を表す重要なアラビア語だ。酢酸、 硫酸、硝酸などの酸性物質は錬金術師達が鉱物を溶解、混合させる過程で副次的に発見されたものである) つまり錬金術は化学の母であり、自然哲学から物理学へと続く学問の祖父なのだ。その究極の目的は科学と 同じく人間と世界を知ること。すなわちミクロ・コスモスとマクロ・コスモスの統一概念の完成である。 2:については既に述べた通りである。 3:は多少の説明を要するだろう。特に<グノーシス主義>と並んで新世紀の暗黒面を読み解く キータームとしては最重要概念であると思うからである。
錬金術師達は自分達を好んで哲学者と称していた。これはアレクサンドロス大王の時代、東洋と西洋の文化、 宗教、知識が融合したヘレニズム時代にエジプトで編纂された『ヘルメス文書』が元になっている。これは当時の 公用語であるギリシア語が用いられ、占星術、魔術、錬金術、哲学、形而上学など広範囲に渡る知識の集大成であった。 ヘルメス神はローマにおいては商人、法律家そして盗人の守護神であったが、ヘレニズム時代には言語と学問の神、 隠された神秘の知恵と知識を司る神、メルクリウス(Mercury=水星、水銀)となり、さらにエジプトへ伝わると、 その地における神々の書記役であり、大魔術師であり、神々の知識を伝えるための文字(アルファベット)を発明し たとされるトート神と結びつき、トート・ヘルメスまたは<ヘルメス・トリスメギストス>(三重に偉大なヘルメス) と言われる神になった。スケールの点で格段の差があるが言ってみれば、わが国の菅原道真のような存在であろうか。
彼は、この世界の全ての謎を記した四十二巻の魔法書を残したといわれ、この存在こそが後の『ヘルメス文書』や キリスト教暴徒襲撃によるアレクサンドリア図書館炎上の際に密かに持ち出され、ロマ(ジプシー)により、 『タロット・カード』(正確な発音はタロ・カード)として広まる<トートの書>であるとの伝説が生まれている。 東洋の一大象徴体系が易経ならば、西欧の一大象徴体系こそ、このタロット・カードである。そもそもカードという 形態そのものの起源が、このタロットなのだが、これに関しては新世紀の暗黒面を読み解くためにも、場を改めて 論じる必要があるだろう。キリスト教の浸透と共に、こうした異教思想、異端哲学は弾圧され消滅したはずだったが、 ルネサンスの到来と共に突如蘇る。姓名不詳の一修道士がフィレンチェの権力者コジモ.ド.メディチに『ヘルメス文書』 のギリシャ語写本を献呈したことがきっかけだ。コジモはそれをマルシリオ.フィノーチに翻訳を命じた。フィノーチの ラテン語訳による「ヘルメス選書」は1471年に出版されたが、これをきっかけとしてヘルメスは秘教主としての地位を 確立し、西欧の知識階級に様々な形で浸透することになる。
「ヘルメス文書は、ほとんど聖書と同等、時には聖書と完全に同等のものとみなされるようになった」(シューメーカー) これは現代にまで直接連なるオカルティズムの根源である。つまり、錬金術とはヘルメス哲学追求の一手段に他ならず、 それを通じて深遠な自然に関する知識を獲得でき、究極の真理へ到達できると彼ら錬金術師達は考えているのだ。 「わが黄金は卑俗な黄金に非ず」 錬金術の達人<アデプト>は例外なく実際の黄金製造が到達点ではなく、通過点に過ぎないことを強調している。 では、彼らの最終目的はなんであったのか。
その究極の形が4:<アルス・マグナ>の完成である。これは『大秘法』あるいは『王者の技』とも呼ばれ、 中世より秘伝中の秘伝とされているものである。その内容は極めて不可思議で、捉えどころがないように思えるが、 突き詰めれば、それは超人への進化と宇宙との同一化である。これは神秘主義における神と自己との同一化、 『神的合一』<ウニオミスティカ>と呼ばれる概念と同じものである。すなわち脱魂による超意識との同一視で あるが、それは同時に肉体からの離脱であり、呪わしい運命からの解放、幻影としての存在を真の価値あるものへと 変化させ、永久不変の存在へと昇華させることであり、仏教における『解脱』と同一概念である。より正確に言えば 錬金術はミクロ・コスモスたる人間の内部でマクロ・コスモスたる神的パワーを発生、進化させる必要条件を整える術を 指示するのである。ただし、この際特に強調されるべきは物質的作業と神秘的作業は並行して行われるべきものである という点である。この両者は類似平衡、相互補完の関係にあり、物質的作業の工程は霊的作業の過程に厳密に対応する。 そして、その逆もまた真である。
横長すぎ 見にくい
あぼーん
あぼーん
いや、面白いよ。 何か漫画版ナウシカを思い出した。
あぼーん
こうした錬金術の工程が錬金術師自身の精神的、心理的過程を象徴していることを指摘したのが、精神分析の始祖、 ジグムンド・フロイトの一番弟子であり、のちに袂を分かつことになったカール・グスタフ・ユングである。 彼は意識と無意識が混然一体となった状態を「メルクリウスの蛇」あるいは己自身の尾を呑みこみ、環状となった蛇 『ウロボロス』の存在を錬金術の『第一質料』<プリマ・マテリア>と関連付けた。このウロボロス=第一質料は、 すでにプラトンの『ティマイオス』に述べられている概念であり、万物に共通でありながら全ての形 ある物に変貌する。同時に種子、混沌、宇宙、世界、絶対、時間等の総体であり、限りなく変化を続けるが、 その本質は変わらずなにひとつ消滅することはない。ヘラクレイトスの「万物は流転する」つまり物質は「ある」 のではなく「なる」。ライプニッツにおけるモナド論の先取りとも言える概念であり、のちの物理学の基本である 『エネルギー保存則』やエネルギーと物質は等価であるとしたアインシュタインの相対性理論、さらにはクォークの 存在にも共通する考え方だ。
ユングは錬金術師たちの心理状態と変容物質あるいは秘密物質<アルカヌム>、すなわち物質内部に閉じ込められている 霊的存在<ヌース>との間には無意識の同一性が存在すると考えた。多くの錬金術に関する書物は共通した特徴を持っている。 第一に錬金術は一定の過程を経て、その作業<オプス>を進めること。第二に奇妙な矛盾が生じてくること。第三に作業の 最後に必ず理想とする物質が生じることである。ユングの注意を喚起したのは錬金術の金属変性過程が個人の心理的発達の 過程と酷似していることだった。彼はそれを「個性化」と呼んでいるが、わが国では専門家の間でもこの訳語はかなり誤解 されて使われているようである。
ユングによれば『第一質料』は古代よりの「自然」「肉体」「物質」といった<ピュシス>が<ヌース>と分かち難く 結びついたものであるとした。これはグノーシス主義神話の錬金術的発展といえる。その象徴が両性具有の存在 <ヘルマプロディートス>である。精神と肉体、意識と無意識、物質と霊、男性原理と女性原理など「対立する概念」 が一体となり未分化の状態、それこそがウロボロス的状態であるが、これが分化、発展して最終的には再び『超越機能』 が働き神秘的結合に至る。その象徴が両性具有でありながら<ヘルマプロディースト>とは全く異なる、進化した <アンドロギノス>であり、これが錬金術過程における最終到達点と考えた。この点に関しては渚カヲルと綾波レイに おいて再び考察することになるだろう。
「ヒトはこの星でしか生きられません。でも、エヴァは無限に生きていられます。 その中に宿るヒトの心と共に。たとえ50億年たって、この地球も、月も、太陽すら なくしても残りますわ。たった一人でも生きていけたら…」(劇場版「THE END OF EVANGERION」) 「錬金術師の研究領域は太陽系を出ることがない。時として星座のことに触れることは あっても、それはただ単に空における太陽と惑星の相対位置を特定するだけである。 この点は充分注意する必要がある」(ランベール)
いかに専門外であろうとも、科学者であるユイがビッグバン以降の最新宇宙論を知らないはずはない。 本来なら、こう言うべきではないだろうか。「星が輝かなくなり、形あるものが全て消え、宇宙に素粒子の 冷たい靄だけが残る状態であっても」いわゆる『宇宙の熱的死』、<エントロピー極大の状態>である。 にもかかわらずユイの言葉は多くの謎を含んでいる。ユイは科学者である以上に詩人なのだろうか。 断じて否である。あの言葉こそユイの隠された錬金術師的本質が無意識のうちに表徴されたものであると 見るのが妥当だ。これは単なるこじつけではない。我々は歴史上、最も傑出した科学者でありながら、 その本質は魔術師であり、同時に錬金術師、占星術師でもあった、ある人物を知っている。他でもない アイザック・ニュートンである。
ニュートンが残したおびただしい数の未公表草稿、論稿の大半を再収集し、ニュートン研究に新たな 一頁を書き加えたのはケインズである。1920年代に発生した大恐慌に対し、大規模な公共投資を実行し 恒常インフレ政策による景気刺激策をニューディール政策として提案し、現代経済学いわゆるケインズ 経済学を確立した、あのジョン・メイナード・ケインズである。ケインズはニュートンのメモを綿密に 調べ、そのほとんどが金属変性と黄金製造に関するものであることを知り、ひとつの結論に達した。 「ニュートンは理性の時代を生きた天才科学者などではなく、中世の暗黒時代を生き延びた 最後の錬金術師である」
ニュートンのもうひとつの顔、占星術師に関しては万有引力の法則、太陽と惑星同士の相互作用による軌道計算であり、 これに関しては改めて言うまでもないだろう。事実、近代占星術はニュートンと、その力学の応用による海王星、冥王星の 発見と共に完成されたと言っていい。これはパソコンが普及する1970年代迄、本格占星術を行うには高等数学を学ぶか、 グリニッジ標準時を基準とした正確な暦(ラファエルの天文暦)を入手する以外になかった点が証明している。 さらに同時代、最大のライバルであったライプニッツと微積分の先陣争いを行った際、ライプニッツがニュートンに宛てた 書簡では、いかにも科学者らしい抑制の利いた、明快な文章であるのに対し、ニュートンからライプニッツに宛てた返信では、 時に激情のほとばしりが見られ、暗号が使用されている。これこそ魔術師の本質である孤高の証だろう。実際、新世紀の 暗黒面を知るには、こうしたオカルトと科学の境界を跨ぐ発想が必要であることは論を待たない。 そして、そのニュートン哲学の象徴が、あの<ラプラスの魔>である。全ての事象に対して決定論的解釈を 可能とする至高の存在、それこそが新世紀の暗黒面における『死海文書』の記述とも一致するはずだが、 この点については後日、仔細に検討しよう。
>>4 の最後に追加
「すなわちATフィールドである」
50%も解らんが読んでますよ。
だから横長すぎだって 半分で改行しろ
続きキボンage
あぼーん
あぼーん
あぼーん
>>19 訂正
誤)<ヘルマプロディースト>
正)<ヘルマプロディートス>
「きみらが初陣で壊した初号機の修理代、国がひとつ傾くよ」 「予算については一考しよう」
ここでゼーレとユイとの関係について考えるべきだろう。第弐拾壱話『ネルフ、誕生』の冬月の回想場面から明らかなように ユイのバックにはゼーレが存在していた。ゼーレがユイと共に『ヘルメス哲学』を追求していれば当然なんらかの形で黄金製造、 不老不死へと進んでいるわけで、これによりゼーレ/ネルフの豊富な資金源が明らかになる。同時にクローン人間製造、および ゼーレのメンバー自身の人体改造の謎も。つまり彼らゼーレのメンバーが数世紀から十数世紀に渡り進めた「錬金術作業」 <オプス>は黄金製造にまでは達したが、万能薬<パナケイア>にまで至ることはなかった、少なくとも完全な形では。 そのため一部を人体改造に頼らざるを得なかったのである。
同様の設定は1978年の劇場版『ルパン三世/ルパン vs 複製人間(クローン)』にもうかがえる。この作品にも「賢者の石」が登場するが、 さらに巻頭において、もう一人のルパンが処刑されていて、劇中活躍する主人公のどちらがオリジナル、クローンかが不明となっている。 主人公は自己のアイデンティティを再確認する必要に迫られる。これは綾波レイの直接的ヒントとなったものだろう。そのルパンの敵役 マモーはクローン人間として一万年の時を生き永らえつつ、歴史の節目々々にその影を落としている。しかし、コピーを繰り返すと次第に ぼやけてくるように、クローン技術にも限界があった。ここにもゼーレの存在と共に、肉体は複数あっても魂はひとつという新世紀の 暗黒面との類似性が認められる。
次に碇ユイが学生時代に専攻していた生物工学と冬月の形而上生物学の関係を考察してみよう。 実際の学問である生物工学と架空の形而上生物学、この両者の関係こそがユイの思想的背景と その行動原理を解く直接的手がかりだ。形而上生物学がその名の通り、神話や伝説上の生物を 研究対象にしたものであるならば、生物工学との接点はなにか。それは当然、学生だったユイの レポート(おそらく卒論)に記述されているはずだ。推測の域を出ないが、それは最初の生命に 関するものであったはずだ。
生命は自然発生しない。ルイ・パストゥールが明確に定義した生物学の大前提は、それゆえ最大の疑問を われわれに投げかけている。つまり最初の生命はどこで、どのようにして生まれ、いかにしてこの地球上で 発展したのか。これに関しては未だ議論百出の段階であり、極論すれば現代の最先端科学はノーベル賞を 受賞したミラーの実験から一歩も出ていないとさえ言える。1950年初頭に学生であったスタンレー・ミラーと、 その師であったハロルド・ユーリーはソ連の学者オパーリンが唱えていた「化学的進化による生命の発生」に おける原始スープ説(まさしくLCLの原点だ)を実験により確認した。パイプでつながれた二つのフラスコの 中に水と原始地球の大気と思われるメタン、アンモニア、水素などの混合気体を封入し、雷に見立てた放電を 数日間繰り返した。その結果、水溶液中にさまざまな有機化合物、特に生命体に必須なアミノ酸を発見した。 これを受けて『前生命学』と呼ばれる学問がスタートした。しかし現在においては、この研究が直接、生命誕生へ 結びつくとの考えは大方否定されている。
実際、こうした研究は鉄やリン、カルシウムなどを適量混ぜ合わせ、適温に保ったままミキサーに数万年、 数億年かけ続ければ、ある日突然そこから人間が跳び出してくると信じるようなものである。こうした点を 再度、別な視点から取り上げたのが80年代から90年代にかけて隆盛を誇った<ニュー・エイジ・サイエンス> または<ニュー・サイエンス>と呼ばれる一連の動向である。NHKでも番組として放送されたL・ワトソン『生命潮流』、 F・カプラ『タオ自然学』、A・ケストラー『ホロン革命』、J・E・ラヴロック『地球生命圏』(地球自体が 一個の生命体であるとする、<ガイア仮説>などは耳にしたことがあると思う)。上記の著作の中には明らかに 庵野秀明がエヴァの直接的ヒントにしたものが含まれている。従来、エヴァを語る訳知り顔の識者、評論家には こうした視点が決定的に欠けている。ほとんどが、そのスタイルにこだわりポストモダンか中途半端な精神分析的 批評に止まっているのはエヴァという作品自体にとって、極めて不幸な状況だと言える。こうした中には物質の中に こそ意志が存在し、その意志により生命が誕生したという大胆な発想も生まれている。このような新たな思想的、 哲学的潮流はトランス・パーソナル心理学などと共に新世紀の暗黒面を語るために必要不可欠の要素であろう。
ここで登場するのが「汎宇宙種子」である。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教など一神教においては各生命体は 同時に創造されたことになっている。しかし、生命は全てひとつの存在から枝分かれして進化、発展したとする説もある。 もちろんダーウィンの『進化論』であるが、それとは別に同じような思想的、哲学的、宗教的概念がダーウィンより はるか以前に存在したことは注目すべきだろう。
それが、アレクサンドリアでの初期グノーシス主義者バシレイデスである。<グノーシス主義>はキリスト教徒により 異端として、その信者もろともほぼ完全に歴史上から抹消された。そのため、1945年末エジプトで発見された 『ナグ・ハマディ文書』の存在が公表されるまで、キリスト教側からの報告しか残っていなかった。イタリアン・ホラー映画の 巨匠、ダリオ・アルジェントが脚本で参加した『デモンズ3』はこの北イタリアにおけるグノーシス主義の信仰集団 (おそらく実在したキリスト教異端のカタリ派)と、十字軍(アルビジョア十字軍)の一派である「チュートン騎士団」 虐殺の歴史と、それがもたらす現代の恐怖を描いている。
ヒッポリトスの『全異端反駁』によれば、バシレイデスの世界創造神話において、全ては<汎種子pansperma>と呼ばれる 概念から始まっている。この神話に関しては、いずれ<グノーシス主義>全体と共に詳述するとして、ここで問題なのは <汎種子>だ。19世紀の終わり頃から「生命はどこから来たか?」という問いに対して、従来とは異なる見解が見られるように なった。実に、この時まで空から落ちてくる石、つまり隕石は地球外からの物であると言う確信が得られなかったのである。 しかし、一旦戒めが解かれると科学者達は改めて生命が地球外から飛来したものではないかという疑問を持つようになった。 少なくとも生命を構成する物質は地球外起源であると。同時期に物理学者は光が圧力を生じることを実験により見出していた。
このふたつが組み合わさり「胚種公布説」「宇宙胚種説」あるいは「汎宇宙種子説」<パンスペルミアpanspermia>が復活した。 1860年代にドイツ人リヒターが再発見したこの説はスウェーデンの科学者アレニウスらにより、再び注目されるようになった。 アレニウスによれば地球に最も近い恒星であるケンタウルス座のアルファ星まで、胞子状の生命体であれば光の圧力を受けて、 およそ9000年で到達できると言うのだ。これは従来、地球上で生命が自然発生した場合に考えられる、あらゆるタイムスケールに 比較して、わずか数万分の一から数千万分の一という短時間である。
パンスペルミア説が主張するのは生命自体が宇宙を航行するだけではなく、生命とは永遠に持続するものであり、 仏教、ヒンドゥー教のように輪廻転生を繰り返すということだ。生命はその発生の起源を持たず、次々に移植されていく 存在であり、概念である。これをヒントにしたSFは数多い。米国のフィリップ・K・ディックの短編小説『自動工場』も そうした作品のひとつだ。スクラップの回収を巡って、完全機械化された二大工場が対立から直接衝突へと発展する。 やがて一方が他方を圧倒するようになり、消滅は時間の問題となって来た。それを見届けようと対立のきっかけを作った 主人公の人間たちは、劣勢となった自動工場へ接近する。そこで見たものは能力を限界まで使用しての自動工場自身の 精巧なミニチュア生産であった。滅亡が間近に迫った機械たちは自分達のモデルを作り、それを次々にあらゆる角度で 発射し続けており、その一部は大気圏を抜けて宇宙空間へ達していた。機械自身による『補完計画』だろう。
先年、NASAが火星から飛来した隕石に生命の痕跡を認めたと発表して、かなりの話題になった。 また、最近の研究では彗星が生命の配送者でないかという説もある。彗星の核は岩石だが、その周囲は 生命にとって必要不可欠な水(氷)で包まれているからだ。これが太陽に接近してガスや水蒸気と共に なんらかの生命の素を噴出させる。だが、残念なことにパンスペルミア説を裏付ける強力な物的証拠は 現在まで確認されていない。つまり依然として最初の生命がどこから来たのかは不明なのだ。しかし、 それはあくまでも現代科学における話である。われわれ新世紀の暗黒面を探る者にとっては別の方法、 別の答えがあるはずだ。そうでなければならない。
「簡単なんですよ、人を滅ぼすのは」 「だからと言って、きみが被験者になることもあるまい」 「それがユイさん最後の言葉でした。実験は失敗。 イレギュラーな事件は、彼女をこの世から消し去ってしまいました」
なぜ碇ユイが被験者としてエヴァ初号機に搭乗し、そのまま戻らなかったか。 赤木ナオコの言葉にあるように本当にイレギュラーな事件であったのか。これは錬金術の作業<オプス>と 密接な関係があると思われる。錬金術師達は一定の作業を何百回、何千回と繰り返す。「黒化」<ニグレド>、 「白化」<アルベド>、「赤化」<ルベド>と段階を踏むが、特筆すべきは、これらの変化はいずれも全て 量子的飛躍によるものである点だ。つまりユングの言う物質と共に錬金術師達の精神の浄化、魂の純化、 霊的進化はアナログ的、連続的推移によらずデジタル的、階段的変化を遂げる。前述のニュートンによる 錬金術の実践も、その実験室の火が六週間に渡って燃え続け、蒸留を繰り返していたことが記録に残っている。 中途半端な錬金術師達はこの量子的飛躍を考えられず、変化を認められないまま自ら作業を放棄し、挫折する。 さらに錬金術師達は作業を始める日時を細かく指定している。これはバビロニア時代からの占星術の 影響が大きい。つまり春分点から作業を始め、夏至の日に作業を終了するのが理想的であるとされる。
こうした同一作業の反復は物質と錬金術師の心理的状況を変化させるばかりでなく、そこになんらかの 外的要因が偶然働くことを期待されているようだ。その著書『魔術師達の朝』で現代オカルトブームを 一夜にして確立したルイ・ポーウェルはそれを宇宙的規模の異変と関連付けていることは極めて興味深い。 つまり太陽の表面爆発(フレア)による地磁気の乱れ、超新星爆発や中性子星など大質量の天体同士が 衝突する際に発生する大量のニュートリノ、重力波、GRB(ガンマ線バースト)等が<オプス>の最中に 起こり、物質と精神双方に量子的飛躍が発生することを期待する。ここでもマクロ・コスモスである宇宙と ミクロ・コスモスたる人間の照応が明らかとなる。
ユイの言葉の端々からは、ある種のニヒリズムが感じられる。 全てを否定しつつ肯定し、肯定しつつ否定する。それこそが錬金術師の本質であろう。 妻であり、母となったユイの次の目標こそ、全生命体の素となることではなかったか。 そして、おそらくユイのことだ。全てを予測した上での起動実験だったに違いない。
以上、見てきたように碇ユイはゼーレのメンバーと共に古(いにしえ)よりの『ヘルメス哲学』の探求者であり、 その究極の目的を遂げるべく最新科学とエヴァ初号機を用いて汎宇宙種子となった、というのが本考察における、 ひとつの結論である。
>>38 L・ワトソン『生命潮流』は『THE END OF EVANGELION』にミサトの学生時代の部屋の小物として、あからさまに出てきますね。
工作舎などから出ていたそれらの書物は、それなりに読まれているように思えたので、誰もエヴァとの関連を指摘しないのが不思議でした。
庵野氏もきかれないから話さないというつもりでいるのでしょうか。
おかげでエヴァは、心理学や精神分析方面に縁の深い作品、という見方が定着しつつあるのは甚だ残念です。
な、なんか凄い 全然わからんけど… この勢いで後13項目いくつもりなのか? がんばってください 全然わからんけど応援してます
すごい!すごい!知的満足!おもろいっす!
すごいと言うより、すご杉。 エヴァ板というより…(ry
55 :
某転調 :03/11/06 23:38 ID:???
>>7 アラビア語でアニメ絡みと言えば、ご存知「宇宙海賊キャプテン・ハーロック」ですね。
彼の宇宙船名アルカディア号は直訳すると「そのカルディア人」となります。
英語でThe man と言えば通常、合衆国大統領のことですが、他に
マフィアのドン、コンピュータ業界ならビル・ゲイツを指す言葉です。
しかし、「そのカルディア人」と言えば、ただ一人。
これは征服者アレキサンダー(アレクサンドロス)大王を表す言葉です。
ただ、アルカディアには理想郷の意味もあります。
ユートピア、ザナドゥ、シャンバラ等が地上のどこかに存在する、
あるいは遠い未来に存在するであろう理想郷と違い、アルカディアには
「かつて存在し、今は失われた理想郷」というニュアンスの違いがあります。
ハーロックではこちらの意味で使われているようです。
こういうスレって凄い凄い言うだけの取り巻きがウザく感じられる。
例え的外れでも
>>55 氏のように議論に参加してくれ。
坊店長がやってたんじゃねえのか 漏れの目もフシアナだな
メアド欄にfusianasanと… ネタスレじゃなかったな スマソ
>>56 すまんが、俺の知識では「凄い」としか言えない状態なのだ。
しかし本当に面白いのは確かだから、どうか見守ってほしい。
>>56-57 貴様もウザいと言うだけで議論に参加していないウザ野郎なわけだが
>>61 だからそういうオウム返しはこのスレじゃ控えてくれ。 >オレモナー
63 :
涼月 :03/11/08 16:29 ID:???
錬金術の観点から言及する知識は無いんですが、生半可な知識を少々。 現状におけるパンスペルミア説の利点は、 生命が何らかの形で宇宙を渡ることが出来るという可能性を示す事により、 生命発生の場を『原始地球以外の何処か』に求める事が出来る、 これによりミラーの実験のような、原始地球をモデルにした実験とは また違った状況の元での生命発生原理を想定する事が出来る。 という点であったかと思います。 この上で考えれば、例えば最初に出現したのがロボットのような珪素系生命体であり、 我々は彼等が実験的に播いた種であるというような可能性すら検証可能です。 しかし、これは可能性を広げる為の発想の転換であって、生命発生原理そのものを明かす物ではありません。 EVA考察でも、黒き月、白き月を空から落ちて来た種子とする説は確かに在りましたが、 その向こう側を見ようとしなければ、この説はただの思考停止で終わってしまいます。
64 :
涼月 :03/11/08 16:32 ID:???
生命は受け継がれ、循環するものであり、起源など無いと言う循環論はこれに対する一つの反論です。 度々登場する繰り返しの描写、或いは魂を受け継ぐ綾波レイはその一端に見えない事もありませんし、 黒き月が宇宙から飛来したとすれば、 リリスのコピーと共に飛び立ったユイが新たなる種子であるとする見方はその完結とも見えます。 更に言えば、最も示唆的なのは、劇中でアダムとリリスが神、零号機が神のプロトタイプと呼ばれる事でしょう。
65 :
涼月 :03/11/08 16:34 ID:???
言うまでも無いですが、聖書ではアダムもリリスも神の創ったものです。 強いて言えば、人よりは神に近いかもしれませんが、しかし神その物ではありえません。 本来ならば、アダムやリリスを作った存在が神と呼称されるべきでしょう。 しかし何故、アダムやリリスが神と呼称されるのか。 仮にユイが新たなるリリスになったのだとすれば、この謎に解答を与える事は出来ます。 この仮定で考えれば、あのアダムとリリスもまた同じ様な存在の筈です。 アダムとリリスが、EVAで描かれたような挑戦の末に神のような存在に至ったとすれば。 その前に存在するのは万物の創造主ではなく、人類と同じ様な種族に過ぎません。 神を目指してアダムとリリスを造り上げた彼等を神と呼ぶのは不可能でしょう。
66 :
涼月 :03/11/08 16:35 ID:???
しかしながら、果たしてそれだけがEVAの提示した生命原理であったかは疑問の余地が残ります。 EVAにはもう一つ、神の座が存在するからです。 渚カヲルは、人は無からは何も創れないと言います。(ビデオ版第弐拾四話) 綾波レイはたった一人にしか魂が生じませんでした。(第弐拾参話) こうした場面から想定されるのは、人とは違う、無から何かを創ることの出来る神です。 魂を創る、無から何かを創るというのは、零と壱の無限の断絶を乗り越える事であり、まさしく聖書で語られるような神の所業です。 少なくとも、使徒達や人類はそこに位置付ける事は出来ません。アダムやリリス、或いは碇ユイも同様です。 ではこの神は何処に位置付けられるのか(この辺から純然たる推測が増えますが、御容赦を) 一つの想定ですが、第25話冒頭の検証が鍵になるのではないかと思います。
67 :
涼月 :03/11/08 16:36 ID:???
ゲンドウ 1「人は新たなる世界へと進むべきなのです、そのためのエヴァシリーズです」 SEELE 2「我等はヒトの形を捨ててまで、エヴァという名の箱舟に乗ることはない」 3「これは通過儀礼なのだ。閉塞した人類が再生するための」 4「滅びの宿命は新生の喜びでもある」 5「神もヒトも全ての生命が『死』をもってやがて一つになるために」 ゲンドウ 6「死は何も生みませんよ」 SEELE 7「死は君達に与えよう」 (フィルムブックp16〜17より)
68 :
涼月 :03/11/08 16:38 ID:???
まず最初の二つの台詞。エヴァに乗り、新たなる世界へ進む事。 これはユイの求めた、新たなる種となる事と解釈する事が可能です。 しかし、それではSEELEの意図はどう解けば良いのか。 SEELEはこの場面で、明らかにゲンドウと対立しています。 SEELEは人類の現状を閉塞と言っています。人類の終末=閉塞と見る事も出来ますが、それだけでしょうか。 5番目の台詞で、SEELEは神の死をも求めています。 この神は生命体としての神、つまりアダムやリリスと読む事が出来ますが、 種を送り出す事を拒み、母たる神すら殺してしまう事は、それこそ閉塞に他なりません。 しかし、SEELEが単純な死を望んではいないのもまた明らかです。 もしこれが人類ではなく、一個の人間であればどうでしょうか。 子孫を残さねば全てが終わるだけです。そこには新生も何もありません。 これを打開する方法は一つ、不死になれば良いのです。 延々と子孫を残すのも一種の不死ですが、これはどうしても個体の死を伴います。 しかも、その循環は否定的に見れば、ただの繰り返しでしかありません。
69 :
涼月 :03/11/08 16:41 ID:???
SEELEが閉塞と呼んだのは、やがては滅ぶべき人類であり、 同時にただ流れのままに誕生と滅びを繰り返すしかない生命達でしょう。 SEELEが殊更に次の種子を送り出す事を拒んだのは、その流れを断切りたかった。 つまりは人類という種族を不死へと変える事で、 永劫に巡る輪の外に出ようとしたのではないかと考えられます。 では輪の外に出る事にはどんな意味が在るのか。 輪は生命の始まりから存在した筈です。 生命を創った神が居るとすれば、輪を巡る事は神の定めた運命とも言えるでしょう。 その輪を出る事は、人の不老不死と同じく神に背く事、神を目指す事に他なりません。 SEELEの目的は恐らく、神を目指す事、 それもアダムやリリスのような神ではなく、更に上に存在する創造主たる神の領域です。
70 :
涼月 :03/11/08 16:43 ID:???
しかし、その結果は失敗に終わりました。 しかもSEELEの求めた不死は、ゲンドウを始め、 殆どの人間がただの死だとして斬り捨ててしまいます。 循環する生命と、そこから脱しようとした者の敗北。 結局は神の領域に人が届く事は無く、 流れのままに生きるのが、EVAの語った人間の本分なのかもしれません。 書いてるうちに生命発生が結局神様の仕事になっていたりして、 まだ大分引っ掛かる点もありますが…… ひとまずこんなところで。
勉強になるなあ 哲学だか神学の部門がないと総合大学を名乗れないのもむべなるかな
電波スゲエ(ww
>>63-70 ほんとに生半可だねえ(w
今まで誰も言ってくれないようだから教えてあげるけど
キミの文章、長いだけで何を言いたいのかよく分からないんだよ。
長文書き込む前に少しでも文章書くこと自体を学んだら?
取り敢えず、どいつもこいつももっと読解力を身に付けろ。話はそれからだ。
取り敢えず、どいつもこいつももっと読解力を身に付けろ。話はそれからだ。
続行を希望します エヴァ本スレッドで予告があって以来待ち望んでいた者も少数ながらいるかと このスレッドの由来が不明な方にはそちらも参照頂きたいところです
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第2項目から先が気になる…
何気に
>>1 の英語サブタイトルがかっこいい
つーか、こんな社会の掃き溜めみたいな所に垂れ流すくらいなら
自費出版でもしたらどうっすか?
>>1
ここは何のスレでなんですか
*トリックスター、加持リョウジ/Ryohji : The Trickster. トリックスターとは神話に出てくる悪戯好きな神、半神、妖精である。 ここでは一点突破で加持リョウジのトリックスター性のみに絞って論考を展開する。 それで見えてくるものもあるはずだからだ。特に論議の対象となる、彼の最後についても 自ずと明らかになるだろう。 なお、「リョウジ」のアルファベット表記について海外のサイト等では通常"Ryouji"が 一般的であり、第弐拾壱話『ネルフ、誕生』の冒頭場面に出てくる加持自身のネルフ IDカードの表記は"RYOJI KAJI" となっている。しかし、ここでは角川書店/GAINAX 唯一の公認資料である『2015//The Last Year of Ryohji Kaji』の表記に従った。
トリックスターとしての加持を理解するには以下のテキストは必読だろう。 これはエヴァが現代の神話(そう言い切れるだけの自信はないが)であるならば、 その暗黒面に潜む真実を探り出す手がかりを多少なりとも与えてくれるはずだ。 P.ライディン、K.ケレーニイ、C.G.ユング『トリックスター』 C.G.ユング『元型論』
トリックスターとはユングの臨床心理学(分析心理学)的分類に従えば神話の神である。 彼はまた、奇術師、ペテン師、詐欺師、魔術師、手品師であり、大道芸人、道化師、 ピエロでもあり、トランプのジョーカー、タロット・カードの0(ゼロ)<愚者fool>に 象徴される存在でもある。トリックスターは英雄、王そして魔法使いまでが容易に 克服できない難問をやすやすと乗り越え、解決へと導く。硬直化した制度や価値観を 壊して人々に笑いと再創造をもたらす存在である。低俗なトリックスターは混乱と 破壊のみをもたらす単なるトラブル・メーカーだが、高尚なトリックスターは破壊の 後に新たな創造と秩序をもたらす。神話に登場するトリックスターは半神半人や 神の末っ子であることが多い。また半人半獣であることもある。
ここではハンガリーの神話学者カール・ケレーニイや、ユングが挙げたトリックスターの 特徴を『元型論』の後書きに林道義がまとめたものを参考に一部改変して見てみよう。 トリックスターには以下の四つの特徴が挙げられる。 1.反権威、反権力、反体制 2.狡猾なトリック、機知機略に富む行動、思考 3.愚鈍、わがまま、周囲の状況の無視、無関心 4.自己の欲望に忠実、特に性欲と食欲 最も特徴的なトリックスターは北欧神話におけるロキである。また、わが国においても スサノヲノミコト。一休さん、きっちょむさんなど伝説、伝承、民話、昔話には、この トリックスターの存在が欠かせない。
すでに見てきたギリシア神話のヘルメス神(
>>8 参照)は元来、いたずら者だが知恵のある
<永遠の少年>puer aeterunus だ。太陽神アポロンの牛を盗むとき、足跡で自分に疑いが
かからないよう、大人の靴を履いて盗んだという。さらに日本で言う韋駄天light-footであり、
そのシンボルが俊敏さを表す「翼の生えた帽子」である。このように頭の回転が速く、
行動も迅速であるということは善悪双方の特性としてもあるので、ヘルメスは商業の神であると
同時に盗人の守護神でもあるという矛盾に満ちた存在である。
天界から火を盗み、それを人間達に与えたプロメテウスもトリックスターの典型だ。 こうした神話的な特徴は最高度に発達した宗教的精神の中にも象徴的に現われている。 旧約聖書におけるヤーヴェの魔神(デーモン)的な側面を調べれば、そこにはトリック スターの予測しがたい行動や無目的な破壊、自ら招聘する苦痛により悶絶する様が見出され、 それらと並行して救世主となり、無意識の存在から顕在化人間化へと発展してゆく過程が 次第に判然としてくるのである。(ユング『ヨブへの回答』)
こうしたトリックスターの存在意義の逆転現象は「聖なるもの」に対する、ある種の補償作用を 示すものであり、この関係こそが中世初期における種々の教会行事、すなわち祭典を生み出した ものである。ポール・ラディンが収集した北米インディアンのトリックッスター伝説によれば、 それらは<影>shadow の極めて初期段階である原初的神話的姿を留めており、そのため神話発生以前の ごく初期の文化的、<集合的無意識>collective unconscious の形を明かにしている。つまり インディアンは、まだこの段階で神話を創造する以前の精神的暗黒状態にあったのである。これは 綾波レイの行動思考原理を考える上で重要なヒントを与えてくれる。
アニメでトリックスターの代表と言えばルパン三世であるだろうが、シリーズ全体を通して判断すると、 むしろヒロインの峰不二子にトリックッスターとしての役割が強くうかがえる。常に主人公をトラブルに 巻き込み、都合が悪くなると自分だけさっさと逃げだす。物欲に富み、平気で裏切りを繰り返すなど トリックスターの特徴を数多く備えている。 「こんなところで使徒襲来とは、ちょっと話が違いませんか?」 「届け物があるんで俺、先に行くわ」(第八話『アスカ、来日』)
キューブリック監督作品、映画『博士の異常な愛情』の後半に登場する車椅子の怪人ストレンジ・ラブ
博士もこのトリックスターの典型である。彼はドイツ人であり、天才的頭脳に恵まれているが、
偏執狂であり、時々右手が跳ね上がってナチス式の敬礼を行う。それを必死に左手が止めようとするが、
その右手が本人のアゴにアッパーカットを喰らわす。これはトリックスターの内面で常に複数の人格が
存在していることの証明である。実際に北米ウィネバゴ族のトリックスター伝説によれば、トリックスターは
大鹿の肝臓を使って女性性器を、腎臓で乳房を作り、女装したまま、ある村の酋長の息子と結婚し、三人の
子供まで儲けるのだ。スサノヲノミコトもクマソ退治の際に女装したことをご存知だろう。トリックスターは
変装の名人であるばかりでなく、両性具有の<ヘルマプロディートス>(
>>19 参照)でもあるのだ。
トリックスターは神話で重要な役割を果たすのはもちろんだが、現実の物語にしてもその結末を 左右する場合が多い。誰でも知っているシェークスピアの戯曲『ロメオとジュリエット』が そのトリックスターの不在ゆえ堅固な現実、強固な体制を破壊することができず、悲劇的結末を 迎えたのとは対照的にモリエールの『スカパンの悪だくみ』においては主人公スカパンの活躍の ために愛し合う若い二人にはハッピーエンドが訪れる。たとえトリックスターの浅知恵が状況を 混乱に陥れるだけであったとしても。それこそがトリックスターの重要性なのだ。
現代に存在するトリックスターといえば、タレントのビートたけしだろうか。なにかやって 話題になったとしても結局、最後は「おいらはお笑い芸人だから」の一言ですませてしまう。 しかし映画監督であると同時に俳優、北野たけしとして注目される昨今、これからトリック スターとしての役割から時代のヒーローとして生きるのか、あるいはフライデー襲撃のような 事件を起こす、ただのトラブルメーカーで終わるのか注目したい。
「たまには、どうだ。お茶でも」 「ぼく、男ですよ」(第拾七話『四人目の適格者』) シンジの言葉は全くそれと意識せずに、意外にも核心を突いている。トリックスターは基本的に 両性具有なのだ。従って時と場合、必要に応じて男女どちらの役割をも果たすことができるので ある。だからこそ自閉症気味のシンジに対してもやすやすと、その心の内へと入って行ける。 「加持さんて、もっとマジメな人だと思ってました」 「安心してる相手だと遠慮がないな、碇シンジ君」
トリックスターの行動は基本的には全て無意識の表徴である。そのためトリックスターの周辺には 常識ではとうてい予測できない偶然に偶然を重ねた出来事が生じることがある。それは時として因果律をも 超越する。これはユングが<共時性>シンクロニシティsynclonicityと呼んだものだ。 「シンジ君?シンジ君じゃないか」 「加持さん、どうしてこんな所に?」 「それはこっちのセリフだよ」(第拾九話『男の戦い』)
真冬の海岸を二人の男が歩いている。周囲はネコの子一匹見当たらず、水平線の彼方まで小船一艘 の影もない。二人の男はなにやら共謀した話を進めている。そこへ突然、トリックスターが波打ち際から 姿を現す。 「今の話、聞こえちゃったよ」
ここで注意すべきはトリックスターが「聞いた」のではなく「聞こえた」と表現している点だ。 彼は何もストーカーまがいに男達の後を付けたりしたわけではない。トリックスター自身にしか 解らない、いや、おそらくは本人にも解らない理由により偶然、真冬の海に潜っていたのである。 偶然も繰り返し起これば必然となる。あらゆる局面で使われる言葉だが、これはトリックスターに こそ当てはまる。
1952年、ユング研究所からユングと物理学者、ウォルフガング・パウリの共著『自然の解明と精神』 が刊行された。パウリはニールス・ボーアを代表とし、『不確定性原理』のウェルナー・ハイゼンベルク、 エヴァでも馴染みのある『ディラック方程式』から反粒子の存在、その反粒子と粒子の対生成/ 対消滅の予言を行ったポール・ディラック、そして光子と電子の衝突現象を公式化した仁科芳雄ら、 現代物理学における量子論の、いわゆるコペンハーゲン学派を代表する学者の一人である。 相対性理論のアインシュタインが量子論を認めず、事あるごとに論争を行い、その度にアインシュタインが 時には自らの相対性理論を用いられて論破されたのは、よく知られた事実だ。「神はサイコロを 振り給わず」アインシュタインは『不確定性原理』を死ぬまで認めようとせず、未知のパラメータ発見に 全力を注いだ。その点に関してアインシュタインはニュートンと同じ決定論者であった。それに対する ボーアの答えは「神がいかに世界を支配されるべきかを指図することは、われわれの課題ではありません」 であった。(ハイゼンベルク『部分と全体』)
われわれ新世紀の暗黒面に隠された真実を探る者たちは、いたずらに聖書の言葉に惑わされたり
することなく、この言葉を再度、噛み締める必要があるだろう。ハイゼンベルクの著書には
「素粒子とプラトン哲学」という一章があり、ここには明らかに新プラトン主義からグノーシス
主義への思想的背景が見え隠れするからだ。すでに
>>38 で見たように<ニューサイエンス>の
旗手達はほとんどが一線級の物理学者ばかりである。ここからは、さらにあのロジャー・ペンローズの
ように人間の意識は脳の微小管における量子力学的解釈により発生するとする過激な意見もある。
このペンローズの考えをペンローズ自身と共に、あの車椅子の天才スティーブン・ホーキングが
「プラトン主義」と呼んでいることは注目に値する。ホーキングと言えばペンローズと共同研究も
行い、ビッグバン理論における特異点の研究で知られるが、彼自身もこうした考えの端々に
<グノーシス主義>の影を認めているのではないだろうか。
蛇足だがホーキングの著作『ホーキング、宇宙を語る』で紹介されている 彼独自の特異点理論に関して「さっぱり解らない」と公言していたのは 日本で知る限り、ただ二人。タレントのビートたけし(『ザ・知的漫才 たけしの結局わかりませんでした』及び彼の出演TV番組での発言)と 東大理学部天文学科教授の尾崎洋二だけだった。その翻訳がベストセラーに なるのだから、日本にはホーキング級の頭脳を持つ天才、秀才が普通に 存在するのだろう。(ここ2chを除いての話だが)
ここで、量子力学の基本であると同時に到達点でもある『不確定性原理』について、 かんたんに説明しておこう。この理論こそ『相対性理論』以降、のちに述べるゲーデルの 『不完全性定理』とともに現代の思想、哲学界に大きな衝撃を与えた科学理論であるからだ。 当然、われわれ新世紀の暗黒面を探求する者にとって、こうした動向は無視できない。
量子力学で扱う素粒子の極微世界では古典物理学、いわゆるニュートン力学では当然と 考えられていた概念が成立しなくなる。それが粒子の位置と運動量(質量と速度の積)の 「不確定性関係」である。これは単純化すれば観察者の存在、あるいは観察それ自体が 事象に影響を与えるということである。また、粒子の位置と運動量だけでなく、その時間と エネルギーの関係においても同一の現象が発生する。つまり、どちらの計算による積も 必ずプランク定数h、6.662*10^-34ジュール・秒以上の誤差が生じるために数値を特定できず、 ただ確率としての結果しか得られないということである。
これこそ決定論と自由意志に対する新たな関係を示唆すると同時に『死海文書』における
<ラプラスの魔>(
>>23 参照)の存在と、そのシナリオの誤差であると考えられる最大の理論的根拠である。
しかし、こうした極微の世界の事象が、われわれの現実世界に直接影響を与えることがあり得るのだろうか。
これについては、古典的決定論と統計的確率論の対比以前に複雑系とカオス理論の関係でさらに
検討する必要がある。また、当然シュレディンガーの波動方程式から導かれる虚数単位iの存在は
量子力学的多世界解釈とエヴァ世界を結びつけ、新世紀の暗黒面からその真理の一端を垣間見せる
重要なヒントを与えてくれる。これは、<ディラックの海>に対する再検討と共にMAGIシステムと
赤木リツコの項において、さらに深く追求すべきだろう。
パウリは『パウリの原理』(パウリの排他律)により原子内の電子の配置を決定することに より、すでに高名となっていたが、さらにベータ崩壊による未知のエネルギーからニュートリノ (中性微子)の存在を予言した。これはのちに実験により検出され、実在の素粒子であることが 確認された。わが国、岐阜県神岡鉱山跡地に建設された巨大ニュートリノ検出装置、スーパー カミオカンデを使用しての「ニュートリノ観測」で実績をあげ、ノーベル賞に輝いた小柴昌俊 東大名誉教授のことは記憶に新しい。
『自然の解明と精神』はユングによる「非因果的連関の原理としての共時性」と、パウリの
「ケプラーにおける自然科学理論の形成に関する元型的理念の影響」という二つの表題から
構成されている。その中でユングは述べている。「共時性という現象が実際に存在する以上、
私たちはそれを『ずっと以前から存在する神の創造行為』とみなすべきである」これは
ライプニッツのモナド(単子)論から着想を得たと云っている。(
>>17 参照) モナドは
自然界を構成する最小単位であるが、心的性質ないし霊的性質<ヌース>を合せ持ち(
>>18 参照)、
それらは、あらかじめ定められた調和的関係を反映するとした。これが『予定調和説』であり、
さらにいわゆる二つの決定論、機械的決定論と弁証法的決定論に大別される思想へと発展し、
この考えはやがて超越的存在、すなわち神の否定へとつながってゆく。
ユングは共時性を必ずしも時空間の法則や因果律にとらわれないものとして理解した。その定義は以下の ようなものである。 1:非因果的関連の原理。 2:個別の事象が互いに因果的関連はない(時空間的な一致が無い)が、その関連性において意味がある。 3:個別の事象が時空間的に一致し、しかも深い心理的関連が存在する。 4:精神(あるいは霊)的世界と物質的世界が結びつく。 共時性の発現は意識水準が低下したとき、すなわち顕在意識の働きが衰えた際に、より顕著になると ユングは述べている。つまり無意識であるがゆえに、これまで回避忌避されてきた問題が明瞭な形をとり、 現れてくるのだ。これはトリックスターの特徴そのままだと言っていい。トリックスターは自己の無意識を 外界へ<投影projection>することにより、その周囲を巻き込み、思わぬ結果をもたらすのだ。
「いいんですか、加持さん。葛城さんやミサト先輩に云っちゃいますよ」 「その前に、その口をふさぐよ」 「お仕事、進んでる?」(第拾七話『四人目の適格者』) トリックスターの周辺には常識では理解しがたい、いわゆる超常現象が発生する。 そのひとつが<ポルターガイストpoltergeist >現象である。これは一般に「騒々しい幽霊」 「騒乱霊」「騒霊」などと呼ばれている日本でもよく知られた存在だ。同名の映画シリーズで ご存知の方々も多いだろう。ところで上記、第拾七話の場面をよく注視してもらいたい。 加持が自販機コーナーで缶飲料を飲む前後だ。それまで雑然としていた空き缶入れの空き缶が、 次の瞬間には、あたかも誰かが丁寧に並び替えたように整然と区分けされている。あれこそ 典型的ポルターガイスト現象である。通常、この現象は逆に物が宙を舞ったり、ラップ音という 物を叩く音が聞こえてくるのだが、映画『ポルターガイスト』における見事なワンカット場面に 観られるように、それまで雑然としていた家具や食器が一瞬にして整然として並ばれていることが 起きる。
ポルターガイストは正式にはコーボルトkobold(e)の一種であり、家憑きの霊である。 日本での地縛霊に近いだろうか。もともとは「木の部屋を支配するもの」といった意味らしく、 ドイツおよびドイツ語圏での民間信仰によれば四大精霊の一つと考えられ、ほとんどが 赤い服をまとい、とんがり帽子をかぶった小さく醜い姿で描かれることが多い。幽霊が 夜間活動するのに対し、昼に動き回るのが特徴だ。そして悪さやいたずらをするばかりでなく、 人間の手伝いをすることもある。雇い主達の間で「コーボルトを飼っている」と言えば、 それは現在でもてきぱきと仕事を片付ける有能な部下、仕事人を指す褒め言葉である。
ここでガイストgeistについて言えば、ガイスト、ゼーレ、ゲヒルン、ネルフの流れを 記憶の片隅に留めておかれたい。いずれ重要になるキータームであり、概念だからだ。
<ポルターガイスト現象>はほとんどが思春期の少年少女により、引き起こされることが多い。 これをJ.B.ラインが創設した超心理学的にみるならば、なんらかの外的要因(家庭環境、宗教的理由、 教育環境など)によりその<リビドー>libido が抑圧された場合に、そのはけ口が物理的な力と 結びついて起きるものであるらしい。ここでトリックスターが<永遠の少年>であることを想起されたい。 加持は肉体年齢は中年へさしかろうとも、トリックスターである限り、<ポルターガイスト現象>を 誘発する<永遠の少年>、ピーターパンなのだ。だからこそ、客観的な事実などどうでもよく、 自分自身の中の真実以外興味が持てないでいる。そして上記のケースは、冗談であれマヤを 口説こうとして邪魔が入った直後に起こっている。つまり彼の中のリビドーがはけ口を求めていた 瞬間である。この<永遠の少年>についての詳細な論考は碇シンジの場合により深く掘り下げるべきだろう。
トリックスターの言動、笑いに包まれながらも攻撃的な口調、誇張された大げさな身振りなどは、 対象とされた特定の人物、集団、組織、権威などを嘲笑い、その高みから引きずりおろす。そして次の瞬間、 彼はそうした対象から徹底した肉体的脅威に晒される。しかし大勢に袋叩きにされ、刃物で貫かれ、 断崖絶壁から突き落とされ、重りを付けられて水に沈めら、炎で焼かれ、眼の前で爆弾が破裂して 黒コゲになろうとも、一瞬の静止状態の後、彼は無言で立ち上がる。あるいはトーキー以降の映画や テレビ番組においては次の一言をもってして。 「あー、びっくりした。死ぬかと思ったよ」
トリックスター最大の特徴、それは肉体的に不死身であるという点にある。ただし、 それは彼の活動があくまでも境界層に止まる場合に限る。彼が境界層を逸脱するか、 トリックスターであることを自ら放棄すれば、もはや不死身ではなくなるのだ。その際、 彼は選択を迫られる。英雄への道を歩むか、消滅するかを。 「この行動は君の命取りになるぞ」 「ただ、真実に近づきたいだけなんです。僕の中のね」(第弐拾壱話『ネルフ、誕生』)
「日本に着けば新しいボーイフレンドもいっぱいできるさ。サードチルドレンは男の子だそうだぞ」 (劇場版『DEATH』) トリックスターも恋をする。しかし、彼の恋は決して成就しない。たとえ愛し合う 若い男女のためにさまざまな機知機略を用いて数々の困難を克服し、その恋を成立させることは あっても、自分自身の愛が結実することは絶対にない。 「葛城、おれだ。たぶん、これを聞いているときには、きみに多大の迷惑をかけた後だと思う。 すまない。(中略)もう一度逢えることがあったら、8年前に云えなかった言葉を口にするよ。じゃっ」
対立する二大勢力、特にその力が拮抗している場合、両勢力が最も恐れる事態は直接衝突では なく、相手勢力の消滅である。歴史を振り返るまでもなく、外敵の脅威が去った瞬間から内部対立、 権力闘争がその内部で湧き起こる。トリックスターは境界層で活躍するだけではない。彼(彼女)の 存在そのものが境界層を形成しているのだ。従って最初のトリックスターが消滅すると同時に、 状況は直ちに第二のトリックスターの出現を要請する。すなわち渚カヲルである。
書き溜めてから更新するわけね(笑 最後のコンテンツももちろんですが、二元論と三位一体っての楽しみです。
死んだと思ってたら復活してる ちょっと嬉しい 次回も気長に待ちます
そりゃ学生みたいに暇じゃないだろうからな。 御自分のペースでいいですよ。 つーか待ってる間にコンテンツ内容あーだこーだ言ってればいいだろ。 その方が書いてる人も張り合いでるんじゃ。
それはそうなんだが、そこまでの ネタがないというか頭が…
謎本と同じで「勝手な深読み」の醍醐味だねやー でも謎本の時は「これこそ真実」と思い込んで受け売りする痛い人がいたから、 どっかに「これは類推であり、根拠のあるものではありません」とかちっちゃく書いておくとモアベター。 面白いからがんがれ。
クリスマスイブなので保守しておこう
いつの間にかキテターーーーーーーーーーーーーー! 今から楽しく読ませていただきます
新年あけおめ保守
正月更新期待してたが… まだ正月休み終わってないしな。
前回11/03→12/14と間があいたから、次はもっと間隔あくと思う。 下旬か…月またぎそうね。
誰かつなぎでカキコしてよ
129 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの :04/01/09 22:43 ID:hydoK/Ea
あ、さて。
>>128 此処で繋ぐだけのインテリジェンスの持ち合わせが無いんだよ、君と同じで。
というか、いざ書き込もうとするとこの手のは時間食うしな… 限られた時間で、他スレもチェックせにゃならん身としては結構つらい… それも言い訳ではあるが、時間は有限であるからして… まぁ、そういうわけで、主カキコはこのスレ主の1に任せて、 あとは定期保守を心がけるってのが他の人もだいたいんなとこだと思う。
え、と質問はだめですか?
>>3 の第二使徒について詳しく知りたいんですけど。
いずれ説明してくれるのかな?
保守
保
守
レス
>>38 と
>>39 の間に以下の文章を追加
「きみがファースト・チルドレンだね、綾波レイ。きみは僕と同じだね」
「お互いに、この星で生きてゆく体はリリンと同じ形へと行き着いたか」
(第弐拾四話「最後のシ者」ビデオ版追加場面)
一言レスでも、なにかあれば書き込んでいただけるとありがたいです。 自分ももう少し早いペースで書けるかと思ってたんですが、ネタはあれど まとめる時間がない。
>>132 智天使ケルビムについては「グノーシス主義」と「人智学」の項で詳しく
触れる予定ですが、最近翻訳が出た『七十人訳 旧約聖書』によれば、
不定形の存在であり、「神は人が善悪を知り、ついには生命の樹の実を
食べて永遠に生きるかもしれないと恐れ、エデンの園の東にケルビムと
炎の剣を置いて、生命の樹に至る道を閉ざした」とあります。
また人智学の創始者ルドルフ・シュタイナーによれば、調和の神霊であり、
アニマ・ムンディ(宇宙霊または世界魂)の叡智を流出させ、三位一体から
セラフィムが受け取った世界計画(死海文書?)を拡張する存在だそうです。
ケルビムは空気と結合し雲となるとき、その内部で活動しています。
139 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの :04/02/16 14:48 ID:ck7pcBVm
支援あげ
140 :
132 :04/02/20 18:52 ID:???
レスどうもです>ケペル博士 聖書の記述は知ってたんですが、第弐使徒と考える根拠を知りたかったんです。 でも、まあ気長に待ちながら期待してますので。
おお、面白いなこのスレ。 ケペル博士、頑張って。
Hoshu? Hoshu!
保守します。ネタまとめ、頑張ってください>ケペル博士
ぼちぼち?
保守しませう
146 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの :04/05/03 09:46 ID:eDpfQqHm
覚悟のage
pink flydかとスレタイみて思った…
>>94 ×スサノヲノミコト
○ヤマトタケル
えらいミス。恥ずかしい
150 :
番外編 :04/05/04 03:18 ID:???
シェルドレイクの仮説とは生物が如何にして形態や行動、記憶や進化を学習や体験によらず、 アプリオリに内部的に持つかという点から直感的に議論を進めている。 ここで議論の中心となる形態形成場自体はシェルドレイクの専売特許というわけではなく過去、 様々な角度から諸説が唱えられていた。大別して以下の三つである。 1)機械論的形態形成理論:DNAを機能の中心とした生物の形態形成理論。発生、分化の パターンを決定する物理化学的要因が解明されたとしても、その要因自体がいかなるパターン を与えられたのか不明。 2)生気論的形態形成理論:生命をもたないシステムの研究から得られた物理法則を使って 生命現象を説明すること自体が不可能であり、熱や化学的親和性、凝固や結晶化などの既知の 形態形勢力以外にも生体には第四の力が備わり、これが生物以外に現われることのない形態と 資質をもたらすとする説。 3)有機体論的形態形成理論:ホワイトヘッドらの哲学、ゲシュタルト心理学、そして物理学に おける「場の理論」を中心とした概念から構成された<形態形成場>の存在を主張する。これは 目新しい物ではなく、むしろプラトンにおける<イデアidea>の概念に極めて近い。
151 :
番外編 :04/05/04 03:20 ID:???
シェルドレイクは生物における運動と変化の原理としてエネルギーや質量を交換しない場としての <形態形成場>を提唱し、さらに過去における形態と運動の時間と空間を超越した作用を<形態共鳴> として解釈する。これは物理学、特に量子力学における「場」の理論、第二量子化にかなり近い ものを感じる。シェルドレイク自身は生化学、植物生理学の専門家だということで、いささか 残念ながら、自分のような門外漢でさえ、彼の現代物理学に対する知識は極めて限定されたものだと いうことがわかる。こうした時間と空間を越えた情報を伝える方法を考えるならば、当然 アインシュタインらが反量子力学の立場から呈した「EPRパラドックス」を避けて通るわけには いかないはずだ。
152 :
番外編 :04/05/04 03:22 ID:???
この説の中核となる「量子もつれ」の状態は「EPR効果」。量子もつれ状態の粒子は「EPR粒子対」 と呼ばれ、アインシュタイン、ポドルスキー、ローゼンの頭文字を取ったものだ。その詳細な 説明は後日に譲るとして結論だけ言えば、相対性理論に抵触することなく瞬時に光速を越えて 情報を伝達できるというものだ。光速を越えれば時間を越えることになる。この説を利用して 時間旅行を描いたのがエヴァでもお馴染み『アンドロメダ』『ジュラシック・パーク』などの 原作者でベストセラー作家のマイケル・クライトンであり、その映画化作品が先ごろ公開 された『タイムライン』だ。蛇足を言えば、クライトンは医学者であり、その方面の知識は豊富で 描写もリアルだが、東大の坂村"tron"健も言うように、物理学やコンピュータ技術関連を書かせると 途端に精彩を欠くようだ。
153 :
番外編 :04/05/04 03:25 ID:???
ひと通り目を通した程度で結論を出すのは尚早だが、どうもこの「形態形成場」自体の必然性が 今ひとつ定かでない。ましてエヴァのATフィールドとの関連ともなると、このスレのcontentsで 展開を図っている数学的、幾何学的な関係からのアプローチがシェルドレイクの仮説よりも 多くの可能性を持つような気がする。ただ、シェルドレイク自身もルネ・トムの「カタストロフィー 理論」などを引き合いに出しているところから、トポロジーに対する興味はあるようだ。
154 :
番外編 :04/05/04 03:27 ID:???
それにしてもamazon の影響力、特にネットワーカー達に対するその大きさというものを 今さらながら思い知らされた。シェルドレイク仮説がATフィールドの元ネタだというのは、amazon の書評に投稿された、この『生命のニューサイエンス』の書評からだからだ。ATフィールドについては、 このスレッドに於いても多面的な解析を行う予定であり、そのひとつとしてシェルドレイク仮説も EPRパラドックスや渚カヲルの存在と絡めて、再度取り上げるつもりだ。 また、amazonに対しては私怨もある。しばらく前に大瀧啓裕『エヴァンゲリオンの夢』の書評を amazonに投稿したのだが、その際ここエヴァ板のエヴァ本スレッドより本音を30%(当社比)程度に 抑えて書いた投稿が、既に1年以上経過した今日でも掲載されていないところを見ると、やはり没に されたのだろう。逆に言うとamazonは辛口の書評は全く受け入れないということであり、提灯記事 しか相手にしてもらえないという事実は、ここのリーダー諸賢には知っておいてもらいたいと思う。
155 :
番外編 :04/05/04 03:31 ID:???
ああ、もうまったく何をやってんだか。
>>150 の前に以下の文が来ます。
長期間の放置、ご容赦を。知らないうちに鯖も移転してたり、公私に渡ってあれこれと。
1ヶ月ほど前ですが、翻意にしてる古本屋の主から「あんたが言ってた本が見つかったよ」
てことで買わされました。ルパート・シェルドレイク『生命のニューサイエンス』。
ちょうど他スレで何度目かの話題になってましたので、まさにエヴァで言うシンクロ、
ユング心理学で言うシンクロニシティってやつでしょうか。忙しさにかまけてツン読して
いましたが、ようやく目を通すことができました。そこで、コンテンツから逸脱しますが
時間稼ぎ、お茶濁しでシェルドレイクの仮説について簡単に述べてみます。
ゴールデンウィークはもっと有意義に使ったほうがいいですよ。
hosyu
ほしゅ
159 :
某転調 :04/06/28 01:51 ID:???
えー、以下のレスは]レイさんが旧松代実験場で赤木博士に提出したレポートです。 ここのスレ主がIEしか使えずにサボってますので、保守代わりに投下します。 もちろん、その内容は単なる穴埋めには惜しいものですので精読願います。
【人造人間に対する若干の考察】 チェコスロバキアの作家、カレル・チャッペックが著した戯曲「RUR」 (ロッサム万能ロボット会社)に登場する。未知の物質から合成された 人間に近い存在。 「無賃で働く奴隷」という意味のチェコ語からrobotと呼ばれた。
ほほぅ、期待してます
日本では翻訳として1923年7月10日に「RUR」が出版。訳者は宇賀伊津緒。 この中でrobotの訳語として「人造人間」が使用された。ただし、これが 最初に使われた人造人間かは未だ不明。 また1924年5月には築地で「人造人間」のタイトルで本邦初の上演が 行われた記録がある。
1918年10月28日にチェコスロバキアはオーストリア=ハンガリー帝国から 独立しており、それ以前には国そのものが存在しなかった。 「RUR」は、その2年後に出版されており、知識人からの独立祝賀の意味合いが 強いと言われている。 ただし、戯曲の内容そのものはかなりペシミスティックな結末である。
三省堂「明解英和辞典」は1925年初版だが、1930年9月に70版となった際、 新たに「robot:機械人間」の項目が追加されている。 人造人間から機械人間への変異は当時、実際の機械人間がアトラクションと して日本各地で巡業されたこと、また海外、特に米国から実際に製作された ロボットがわが国に紹介されたことが大きいようである。 人造人間という訳語に対してはデカルト哲学の影響が見て取れる。 すなわち「精神と意識は完全に機械へと置き換えることは不可能」である。 これはエヴァンゲリオンにも通じるものがあると思われる。
hosyu
他にSFで類似概念の馴染み深いものとして「アンドロイド」「ヒューマノイド」 等がある。 どちらも「人型をしたもの」「人に似て非なるもの」といった意味である。 エヴァは果たして真の意味で人造人間であるのだろうか?
*二重の親、碇シンジ/Shinji : Parent Double. 碇シンジは新世紀エヴァンゲリオンと言う作品において、間違いなく主人公である。 わかりきったことを、なぜ改めて記述する必要があるのか。別に主人公にしては内向的過ぎるとか、 当初のメインテーマであるエディプスコンプレックスの克服に至らないだとか、ビルディングロマンを 目指して破綻しただとかいう作品の批判的分析はここでは行わない。もっぱらシンジの神話的側面と、 その役割について確認して行こう。 なお、この点からすると最初のcontentsの表題『二人の親』は不適当であった。これでは、ただの両親の 意味に取られかねない。本来なら英語表題の”parent double”の直訳である『二重の親』が 適当だと思うので、本論ではそれで統一することにする。ご了承願いたい。
なぜ、シンジの親が二重であるのか。これは神話に登場する英雄が、ほとんど全て神と人間の混血状態であることに由来する。
特にフロイトが指摘したのはダ・ヴィンチの『聖アンナおよびマリアと幼な子キリスト』と題された絵画である。
http://fujiso4.hp.infoseek.co.jp/harahp/parp193.html フロイトの分析によれば、この作品はレオナルド自身が二人の母親を持っていたという事実を基に解釈している。
これは、あくまでも個人的解釈、分析でありフロイトが主張する無意識のコンプレックスの表徴である。
しかしユングは、この作品の構図がレオナルド以外にもみられること、また聖アンナはキリストの祖母であり、
フロイトの解釈が要求するような母親ではないことから、<元型archetype>のひとつであると主張している。
つまり、一見個人的な心理の裏には非個人的モチーフが絡まり合っている。そのモチーフとは「二人の母」であり、
元型のひとつである。これは神話や宗教の領域に多様な形で現われ、また多くの「集団表象」の基礎になっている
概念である。すなわち、これは「二重の血統」を意味し、多くの場合人間と神の二種類の親を持つということである。
ギリシャ神話のヘラクレスは女神ヘラが間違いから人間の子を養子にしたため不死身の肉体を得たとされている。 エジプトのファラオは生来、人間であると同時に神である。その神殿にはファラオが再度、神として受胎され 誕生する様が描かれている。この「二度の誕生」はキリスト教を初めとするあらゆる宗教、信仰に対する再生儀式の根幹、 基礎をなしている。それを最も歴史的、体系的、儀式的に完成させ、さらに現代に至るも一貫して伝承しているのが 他でもない、わが国日本の皇室である。現人神(あらびとがみ)である天皇とその人間の子である皇太子への種々 の神性権限委譲の際に行われる複雑な閉鎖儀式は、われわれが昭和天皇崩御と新天皇即位の折に、かろうじて うかがい知ることができた程度であるが、明らかにこの「二度の誕生」に則った再生儀式が行われた由である。
こうしたモチーフを踏まえた上で、碇シンジという存在を改めて考えてみよう。童児元型は民話、伝承において様々な形で 至る所に分布しており、神話に現れる他の全ての童子モチーフと混在している。その代表例は聖クリストファー伝説における 「幼な子イエス」であるが、それ以前の民間伝承、説話においては隠された自然力の化身として小人や妖精の姿をとることが多い。
また、錬金術においては完全体としての両性具有者アンドロギノスとして、<知恵の息子>たる存在である メルクリウスをも指す。エヴァの主題歌『残酷な天使のテーゼ』にもあるように中世以降、付加された宗教的 意味合いの他に自然発生的な『幻像』、つまり「無意識の侵入」としての<永遠の少年>が現れる。 こうした例の中には歌詞そのままのごとく「光を放つ少年」「羽を持つ少年」のイメージがもたらされているのが特徴である。 その神秘的性格を最大限に引き出しているのがゲーテの『ファウスト・第二部』であり、その中では主人公ファウスト自身が 少年の姿となり、「昇天する少年達の合唱」に包まれる。マリアヌスによれば、これは「蛹(さなぎ)の段階」に おける少年のイメージということになり、及川眠子の作詞によれば「夢の使者に呼ばれる朝が来る」ということになろう。
【聖クリストファー伝説】伝説の主人公は生まれついての怪力無双であり、自分より強い主人に仕えようとする。 最初はその国の王に仕えたが、王が悪魔を恐れていることを知り、悪魔に仕えた。しかし、悪魔が十字架を恐れている ことを知り、イエスに仕える決心をする。ある牧師が河端で待つように言うので、河渡しの仕事をしながらイエスを 待っていた。嵐の晩、一人の子供が河を渡らせてほしいと言うので、肩に乗せて河を渡っていった。ところが中程まで 進むと子供の重さが次第に増して行き、一歩ごとに重さが倍になっていくように感じられる。対岸に着く頃には、 さすがの力自慢も「全世界を背負っているかのように感じて」息も絶え絶えとなり、この子がイエスであることを 悟ったという。のちに聖人列伝に加えられた。わが国の妖怪、子泣き爺ではないが、この「重くなる子供」あるいは 老人というのは全世界の伝説、民話に共通したパターンである。
「二度の誕生」についてはすでにエヴァ本編中に明示されている。第拾六話『死に至る病、そして』における第12使徒レリエルに 取り込まれ、ディラックの海に捕らえられた初号機とシンジは使徒の内側からそれを破壊して帰還する。このエピソードは明らかに 誕生と共に各地に残る英雄伝説の黄泉の国からの帰還、すなわち蘇りを表している。そして第弐拾話『心のかたち人のかたち』の 最後で初号機に取り込まれたシンジが再び現われるのは極めて単純明快に、この二度の誕生を表している。こうした視点から このエピソードを見直せば明らかなように、シンクロ率400%超とはユダヤ教神秘主義カバラにおける、いわゆる <神秘的合一 unio mystica>と同一概念であり、ヘブライ語でデスクーペとよばれる。
この語を字義通りに解釈すると、神との「癒着」、神との結合である。ただし、ユダヤの神秘家の間にあっては 忘我の状態にあってさえ、常に神との隔たりを感じ続けていることは注目されるべきだろう。これは中世 (13世紀後半から14世紀初めにかけて)にスペインの亡命ユダヤ人グループがユダヤ神秘主義の中核として まとめあげた『光輝の書(ゾハール)』成立以前のユダヤ教グノーシス主義のテキスト『ヘハロースの書』に 詳述されている。この中で、神秘家は創造主とその被創造物との間の溝を感じつつあり、それは埋まることがない。 両者は結果として触れ合うことになる。しかし、決して交じり合うことはない。
シンジが母親である初号機に取り込まれ、胎児となりながらも再度、復活する姿は明瞭に主人公が 神への道を歩み出したことを物語るが、それだけではない創造主と被創造物の関係をうかがわせて 興味深い。サルベージ時作業中にシンジの幻想として現われるミサト、レイ、アスカはシンジの アニマ(男性における女性的元型)だと考えられる。このシンジのアニマとユイの関係については 改めて論じよう。それに対するアスカの態度が極めて人間的であったことにも留意すべきだろう。 これは劇場版最終場面へと繋がるからである。
Dr.K乙です! 次回の講義を心待ちにしております!
よくわからないけど、すごい
↓こいつに文句でも付けてやってくれ 残酷な天使(変化のあるリビドー世界に引き込んだ使徒、十二枚羽のエヴァ、シンジ)のように 少年(視聴者)よ神話(1人1人の神話)になれ 1青い風(現実世界の辛い事etc)が今、胸のドアを叩いても 私(エヴァンゲリオンというお話)だけをただ見つめて微笑んでるあなた(視聴者) そっと触れるもの(エヴァの謎)求める事に夢中で 運命(視聴者の可能性)さえまだ知らない、いたいけな瞳(視聴者の青さを示す) だけどいつか気付くでしょうその背中には遥か未来目指すための羽があること(可能性に気付けということ) 残酷な天使のテーゼ 窓辺(心の窓)からやがて飛び立つほとばしる熱いパトス(感情的になる、現実世界で生きる事)で 思い出(過去、変化のない安らかな世界デストルドー的世界に生きた事)を裏切るなら この宇宙を抱いて輝く(未来の可能性に生きる)少年よ神話になれ 2ずっと眠ってる私の愛の揺り篭(もう変化しないエヴァンゲリオンという話) あなた(視聴者)だけが夢(あなたの目標?)の使者に呼ばれる朝が来る 細い首筋を(コレも視聴者の青さ)月明かりが映してる(一行上の朝と対比。目覚めよ) 世界中の時を止めて閉じ込めたいけど(デストルドー的世界に魅力を感じている) もしも二人(視聴者とエヴァンゲリオン)逢えた事に意味があるなら 私(しつこいがエヴァ)はそう、自由(リビドー的世界。危険だが自由で変化がある世界)を知る為のバイブル 残酷な天使のテーゼ、悲しみ(リビドー的世界)がそして始まる 抱きしめた命の形(視聴者のハートor目標)その夢に目覚めた時 誰よりも光を放つ(誰にも負けないあなたが感じるあなた自身)少年よ神話になれ 人は愛を紡ぎながら歴史を作る(生きないと歴史というものは生まれいずる筈無い) 女神なんてなれない(変化しないのだから)まま私(エヴァ)は生きる(人々に伝え続ける) 残酷な天使のテーゼ 窓辺からやがて飛び立つほとばしる熱いパトスで思い出を裏切るなら この宇宙を抱いて輝く少年よ神話になれ (同じ事を繰り返し訴えるのは神話と同じ理由でより確実に伝えるため)
次に前述の<永遠の少年puer aeterunus>について、やや詳しく述べよう。 ユングとケレーニィによれば未開人は自分自身や世界を謎だとは思わない。 そうした哲学的科学的な問いは「答えられない問い」である。 しかし、未開人は意識の他に「無意識的な心」を複数持っており、 心的な性質を持つ様々な存在、現象を自己の外部に見出すという経験を、 われわれ文明人よりもはるかに容易に行い、さらにそうした操作に慣れ親しんでいる。 意識は外的な心理作用により保護され、支持されると同時に脅かされ、 欺かれるというものは人類共通の原体験である。 こうした経験は人間の全体性を表現する童児という元型に投影される。
この場合、童児は捨て子であり、親から見捨てられた存在である。 と同時に神のごとき無敵の象徴である。初めはとるに足らない存在であるが、 究極の勝利を得るべきものである。すなわち内なる<永遠の少年>とは悲惨な体験、 周囲との不調和、大きな摩擦、軋轢を巻き起こしながらも神と同一の力、 超越した人格を持つ予測不可能なものなのである。以下、ユングの『元型論』を 引用しつつ、要点を整理して個別に論じることにする。 1:捨て子としての存在性 2:無敵さ 3:両性具有性 4:始原的、そして終末的存在
1:捨て子としての存在性 置き去りにされた子、捨て子、常に危険に晒され続ける子等は人並み以下の出自を さらに徹底させたものであり、その存在を貶めるものである。人格の小児的部分が出現する 最初の状態は過大な要求を持ちながら「見捨てられた」存在である。これは「誤解され、 不当な扱いを受ける子供」のイメージとなる。これがシンジの生い立ちそのままであることは 明白だ。同時に一方では神秘的、不可思議な誕生の特徴を有している。シンジは母がエヴァに 取り込まれ、父からは見捨てられた子であることは周知の事実だ。また、シンジ (とそのクラスメイト、特にカヲル)がセカンドインパクト直後に生まれたことを確認されたい。 この不思議な誕生とは、ある種の創造的な性質の心的体験、つまり無意識における新たなる舞台、 世界への飛躍を目指す体験を言い表している。個人的心理状態において、そうした瞬間は常に苦悩に 満ちた葛藤状態であり、顕在意識にとっては、そこから抜け出す道はないように思える。しかし、 この対立する概念こそが無意識の引き金となり、通常の意識とは全くかけ離れた非合理な第三の状態が 創出される。意識化された概念は対立物の結合、統合を認めることができないまま、その必要性を 渇望している。これが<ヌミノースnuminosum>である。
【ヌミノース】語源は「神性」「神的なもの」を意味するラテン語のヌーメン。 人類学者のルドルフ・オットーが、その著作『聖なるもの』において「ヌミノーゼ」 という言葉を使用した。「童児」「アニマ」「太母」などの元型はこの世ならぬ 激しい神的な感動をもたらす。それは極めて神聖で清く美しいものだが、同時に あらゆるものを超越した巨大な力として戦慄する以外ない、圧倒される恐るべき存在である。 オットーはこれが全ての宗教的、神的体験の根底にあると考えた。ユングはこれを引用しつつ 解釈を拡大、同時に形容詞としても「ヌミノースな感情」「ヌミノースな性質」という形で 使用している。ユイに対する論考で触れる余裕はなかったが、ユイの行動原理にこのヌミノースが 働いていたことは疑問の余地がない。
<ヌミノース>の働きにより、「童児」は明らかにシンボルとしての存在を確立する。 これは背景、すなわち母親からの独立であり、時には孤立である。場合によっては母親を 危険な状態へと引き込みさえする。「童児」は成長と自立を意味する。それは自己存在の 根源からの分離、独立なくしてはありえない。意識が二項対立に囚われている限り、 葛藤は克服されない。シンジが投影する母親のイメージは二つある。現実的存在である 綾波レイと超現実的存在であるエヴァ初号機だ。当然のことながらシンジが そのパイロットである限り、その葛藤から抜け出せることはありえないのだ。
2:無敵さ 洋の東西を問わず、あらゆる童児神話はその逆説性が特徴である。つまり、一方で 強大な敵の前に無力なまま立ちすくみ、瞬時に消滅させられる危険性にたえず晒されながらも、 他方では人間的次元をはるかに上回る超人的能力を発揮する。この特徴は心理的な「童児」が 意識的には、ただの非力な子供でありながら、無意識的には神的であるという事実と密接に 関連している。意識が葛藤状態にある場合、時として現われる「童児」は意識のどの部分とも 関わりを持たない。従って、それはすぐに無意識へと還ってしまう。しかし神話が強調している ように、時として超常的な能力が発揮され、全ての危険、困難を乗り越えてしまうことがある。 童児の偉大さ、無敵さは自己と関連付けられる。<自己self>とは人間の最も充実した 潜在能力と全体としての人格の統一性を表す元型的イメージである。
【<自己self>と<自我ego>】フロイトと対立したユングは自我の位置づけを確定するのに かなり苦心している。彼は自我を意識の中心と考えたが、人格全体からすれば劣悪、不完全、 限界を有しているものと強調している。個人的な同一性、人格の維持、時間的連続性、認識、 現実の検討などに自我は関わるが、その上位存在からの要求に応答するべきものであるとした。 この上位存在が自己である。当初、自己と自我は融合しているが、後に分裂する。 「自己は単に中心と言うだけではなく、意識も無意識も包括すべく全体を囲い込む。 すなわち、自我が意識的な心の中心であるように、自己はその全体の中心である」と ユングは述べている。だが、人間の意識という限られた領域では無意識を含む、その極めて 広大な自己の断片以上のものを統合することは、ほとんど不可能であり、自己と自我の関係は 終わりのない再統合の過程であると言える。われわれは人類補完計画を論考するに当たって、 再度この問題を取り上げよう。
英雄の顕現(第二の同一化)は、それと同じ自我肥大の形で示される。すなわち自己存在とは 不釣り合いな要求、欲求は「自分が何か特別な存在である」という確信にまで高まる。エヴァの パイロットとしてのシンジの存在をこれほど明確に定義したものはないだろう。逆にこの欲求が 満たされないと、自分の劣等性が証明されたことになり、そこからは英雄的な殉教者(マイナスの 自我肥大)の役割が芽生える。二つの概念は対立しているように感じられるが、実際は表裏一体、 同一概念の陰陽的表出である。意識的な誇大妄想は無意識での補償的劣等感に対応しており、 意識的な劣等感は無意識的な誇大妄想に対応しているからである。つまり、どちらが欠けても 他方は存在できないのだ。自己は世界の対極、世界の絶対的「他者」であるため、世界認識の 主体・客体という意識の必要条件である。それは心的な他在であり、それこそが意識を可能に するのである。つまり同一性は意識を可能にしないのであり分離、独立、対立の中に位置すること だけが意識と認識を創出することができるのである。
3:両性具有性 注目すべきことに各地に残る世界創造神話の神々の多くは両性具有である。 性別の不可分は最も強く、最も明確に対立している二つの存在の結合を意味する。 この結合は原初の精神状態を示している。この無意識の状態においては区分、 対立などがないか、ほとんど明確化されていない。しかし意識がその勢力を 伸ばすにつれて対立は激化し、相互結合が不可能な段階へと推移する。 これは文化が発達するに従い、両性具有性はあらゆる面で排除されると予想される べきものである。ところが実際にはそうはならなかった。反対により高度な文化、 文明の中にこそ、この両性具有のイメージは繰り返し現われている。ギリシア時代 末期のグノーシス主義、中世の自然哲学におけるレビス、さらに日本ではほとんど 知られていないカトリックの神秘派の中ではキリストの両性具有性が語られているのだ。
これらは未開の幻想の残滓でも、対立物の原初的混合ではない。これこそが対立物の
建設的結合のシンボル、<結合coniunctio>の概念である。(
>>19 参照)ユングは
これを錬金術の<作業opus>(
>>18 参照)から引用しているが、このシンボルが
意味するのは過去を示すのではなく、未来へ向けての高い目標を掲げることとしている。
その奇怪な外見とは裏腹に両性具有存在は次第に葛藤を克服する救世主的存在となるのだ。
錬金術では<結合>とは「太陽と月の結婚」という全く抽象的な理論の中で物質化された
ものとされたが、ユングは造形的な空想を擬人化するきっかけとしている。そこから
明らかにされるのが、この原イメージが男女の性差異の対立の形で、すなわち男性の
意識と女性化された無意識の対立で現われる場合だ。これが<アニマanima>である。
この原イメージは綾波レイと初号機、ユイとの対立の図式とも言える。またリリスが
レイとカヲルの二重存在であったことにも注目されたい。この点も後日、仔細に検討しよう。
4:始原的、そして終末的存在 「童児」は「新生児への再生」でもある。つまりそれは始原的存在であると 同時に終末的存在である。始原存在は人間が誕生する前に存在し、終末存在は 人間の死語に存在する。これは「童児」が人間の意識以前と意識以後、無意識の あり方を象徴していることを意味している。心の全体性を考えるに、意識の 範囲内には決して存在せず、はっきりしない大きな広がりを持った無意識を 含んでいる。それゆえ意識よりも古く、同時に新しさと時間と空間をも包括した 定義となる。われわれの夢は、つねにわれわれの意識的な理解を超えたことを物語る。 ゆえに夢は臨床的に応用が利き、ノイローゼなどの治療に利用できるのだ。われわれが 予感や知覚を持つのは未知の源泉からである。それは無意識であると同時に意識と 無意識が結合され、統一された結果としての究極の形をとり、完全な秩序と共に 大いなる混乱を引き起こす矛盾に満ちた存在である。
Dr.K乙です! 今回の講義も面白かったであります! >リリスがレイとカヲルの二重存在 諸説ありますが「カヲル=アダム=ゲンドウの手から強奪」という説が有力だった様に思います! 今後の検討を楽しみにお待ちしております!
お、いつの間にか進んでる。 これから、じっくり読ませてもらいます。
192 :
受講生 :04/08/16 22:48 ID:???
なんとなく保守!
>>190 「カヲル=アダム=ゲンドウの手から強奪」説に同意。
ビデオの追加シーンとエヴァ2ではカヲル=アダムって明らかにされてますしね。
エヴァ2の設定はあてにならないと思うが? アダムがゲンドウの手に移植されてるシーンは見てないのか?
195 :
某転調 :04/08/18 20:54 ID:???
>>194 カヲルの魂はアダムのモノっていってるじゃん。ゼーレの連中が。
エヴァンゲリオン ダーク ファンタジー
hosyu
保守
保守
ピンクフロイドから取ったのか
狂気、だね このスレ読んでるとウンベルト・エーコの本思い出すなあ 話がサッパリわからないという点で・・・・・
薔薇の名前か。そういや庵野も記号論持ち出してたな
205 :
202 :04/10/04 20:26:49 ID:???
エヴァのラストは「ザ・ウォール」だな
シュタイナー好きの俺にとって、
>>1 の
「死海文書、ネクロノミコン、アーカーシャ年代記」とか
「ゼーレの目的、ネルフの使命、ガイストの結論」とか
気になるタイトル多すぎ。
ホッホッ、ホシュ
保守あげ
今度はいつ降臨
*最後の錬金術師、碇ユイ/Yui : The Last and Ultimate Alchemist 以前のCONTENTSはどこで見られるんですかい?
contentsの順番通りに進んでるわけじゃないみたいですよ。
>>80 に
>エヴァ本スレッドで予告があって以来待ち望んでいた者も少数ながらいるかと
このスレッドの由来が不明な方にはそちらも参照頂きたいところです
って書いてあるんですが、このスレは本スレだかの続きじゃないんですか?
そろそろ
保守
危ない?
217 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの :04/12/29 16:55:54 ID:hAWRhjTp
>>1 さん
いつまでも待ってます!!がんばってください。
ここでは、さらにエントリープラグとL.C.L、そしてA10神経について 考察しなければならないだろう。展開の都合上、脳と神経の話から 初めなければならない。これは、言わば DARK SIDE に対する LIGHT SIDE の 考察だが、この論考ではこうした実証科学的な面も取り上げてゆく。 なぜならば、この二つはいずれ統合されるべきものであると考えるからだ。 興味のない方は適当に読み飛ばしていただきたい。なお、本文をまとめるに あたっては以下の著作を参考にした。 J.デイビス『快楽物質エンドルフィン』 C.F.レヴィンソール『エンドルフィン−脳がつくるアヘン』 F.E.ブルーム『新・脳の探検(上)(下)』 大木幸介『脳から心を読む』『脳内麻薬と頭の健康』 『ダイナミックワイド 図説生物』
神経の発達と生物の進化は同義であると言っていい。原生動物から植物へ、 そして動物への進化を神経の構造と発達から見てみると、それがよく判る。 動物とは読んで字のごとく「動く物」である。動くためには機械的な収縮運動を行う <筋肉>とそれを正確に統合、制御する<神経>という二種類の細胞が必要となる。 動物でも原始的な海綿やサンゴはほとんど筋肉と神経が発達せず、クラゲやナマコなどの 腔腸動物になって、初めて神経と筋肉が発生する。これが軟体動物、節足動物に さらに進化すると一定の形式に特化した高度な筋肉と神経を有するようになる。 この際、神経細胞は体の中央に多数集中して、初めて小型の脳が形作られる。 これが神経の集中部分という意味で<神経節>と呼ばれるものだ。クモやサソリ、 ムカデなどの節足動物では体節ごとに、この<神経節>が存在するために体を バラバラにされても各部ごとに、しばらくは生きている。また、このため 消化器官がほとんどなく、他の生物の体液を直接吸収して滋養としている。
これを究極の進化の形にまで推し進めたのが、ご存知H.G.ウェルズの『宇宙戦争』だ。 ここに登場するあまりにも有名なタコ型火星人は、ほとんど巨大な脳と神経だけの 体になったために人間の生き血を吸う、吸血生物として描かれている。また、 そのせいで彼らには感情がないという点も注目すべきだ。つまり、人間は満腹に なれば幸福感に浸り、鷹揚になれるのに対し、空腹時には激しやすく、感情的になりやすい。 満腹感も空腹感も最初から感じない火星人は、それだけに感情の起伏とは無縁である という設定だ。これは後述するA10神経とヒト、特にクローンである綾波レイとの 深い関係があるので記憶にとどめられたい。
さて、動物も脊椎動物へと進化すると、節足動物や軟体動物のように神経節が 体内に散在するのでなく、体の背面に沿った集合体へと発展する。これが<脊髄>だ。 その前端が急激に進化して巨大な器官となったものが<脳>である。脳は神経という 情報処理の電線が数億集まって形成された複雑、精巧、緻密なネットワークであり、 その構造と機能から以下の七つに区分することができる。 1):大脳新皮質 2):大脳辺緑系 3):大脳基底核と視床下部 4):小脳 5):脳幹 6):脊髄 7):脳下垂体 なかでも、(1)(2)(3)の働きは重要で、知能、情感、意思という最も基本的な 人間の心の源であると考えられている。この活動に直接関与しているのがA10神経だ。
ヒトはもちろん、動物や植物などあらゆる全ての多細胞生物は体内における 細胞間の情報伝達に<ホルモン>を使用している。これは発見当初、体内へ分泌される物 ということで、<内分泌物質>と呼ばれたが、20世紀に内分泌物質の一つがギリシア語の 「刺激する」という意味から<ホルモン>と呼ばれ、その後、内分泌物質全体をホルモン と言い習わすようになった。ホルモンは細胞間の情報伝達物質であるが、通常、血液や リンパ液などの体液中に分泌され、その流れにより情報を伝えるので、その伝達速度は 毎秒数ミリから数センチと非常に遅い。その上、全身に拡散してしまうので、到底 速やかな行動の制御は不可能である。動物も腔腸動物になると、そのホルモン分泌細胞の 細胞膜を突出させ、繊維を構成する。さらに、それに沿って特別なパルス波の電流を流して、 これにより情報伝達を行うようになる。これが最も原始的な<神経細胞>であり、この細長い 繊維を<神経繊維>(神経線維とも)という。現在、この二つをまとめてギリシャ語の 「接続」を意味する<ニューロン>と呼んでいる。ニューロンは構造的、機能的両面から 脳の最小単位であると言える。
脳の活動に伴って神経に微弱な電流が発生し、それを百万倍程度に増幅して、周波数ごとに 分割したものが脳波として記録されるのは既にご存知だろう。では、なぜ神経に電流が 発生するのかという点について確認しておこう。人体を構成する細胞の多くは<細胞膜>を 境界として内側がマイナス0.01ボルトからマイナス0.1ボルト程度の負に帯電している。 これが<膜電位>と呼ばれるものだ。筋肉細胞や神経細胞などの特殊な例を除いて、 この膜電位は常に一定で、電気的にみた場合、その細胞が活動しているか否かの判断は 不可能である。このためこれを<静止膜電位>と呼ぶ。しかし、筋肉細胞や神経細胞では 他からの刺激を受けると、それに応じて細胞内の電位に変化が生じる。この変化を静止膜電位に 対して<活動膜電位>(活動電位、インパルスとも)という。これらは全てイオン濃度の違いに 依存している。
【細胞膜】細胞を包む膜。リン脂質分子の層が二重になった構造体で 厚さは約4ナノメートル。百万分の4ミリ。球状のたんぱく質が挟まれて存在し、 物質の出入りの際のトンネル、あるいは外部からの物質を受け入れる 受容体としての役割を負う。
【オーバーシュートと後過分極】前述のように神経細胞膜の電位は他の細胞膜と同じように 負に帯電してるが、この電位がプラスマイナス・ゼロに近づくことを<脱分極>という。 反対に負の電位がさらに大きくなることを<過分極>と呼んでいる。神経細胞が活動を開始すると 膜電位は脱分極を始め、マイナスからゼロへ近づこうと上昇する。これが<閾値(いきち)レベル> といわれる特定の電位までに脱分極が進行すると、突然それがゼロを越えて、プラス0.03ボルトまで 急上昇する。この後、膜電位は急激に下降するが、通常の静止膜電位に達しても、なお下がり続け、 その後ゆっくりと上昇へ転じ、静止膜電位まで達すると安定する。この膜電位の急激な上昇と下降を <スパイク>、膜電位がゼロ・ボルトを越えた部分を<オーバーシュート>、逆に膜電位が静止膜電位を 超えて、より負になった部分を<後過分極>と呼ぶ。これらの複雑な電位変化が脳波の正体だ。
このようにして神経細胞が興奮すると、それがニューロンからニューロンへと次々と 連発花火のように伝わっていく。オシロスコープで見ると脱分極による急激な上昇と 下降は針のような形状をしているために「ニューロンのスパイク発火」または、単に 「発火」と呼ぶ。ここで注目すべきは神経細胞が一種のフリップ・フロップ回路を形成している ことで、閾値レベルを境界として完全なON/OFF機能を持っている。すなわち、ここで インパルスによる情報伝達は完全なデジタル信号によっている。
脳ではニューロン同士が緻密なネットワークを形成して複雑な情報伝達を行っている。 この情報伝達を効率化させる特殊な場が<シナプス>だ。かなり古くからニューロン同士は 連続しているのか、離れているのかといった議論がされてきたが、これは電子顕微鏡の発明に より、それまで光学顕微鏡の解像度ではつながっていたように見えたシナプス部位に、わずかな 間隙(シナプス間隙。約20〜30ナノメートル)が存在することが確認できた。シナプスはその 情報伝達機能の違いから以下の二種類に分けられる。 1):電気的シナプス 2):化学的シナプス
(1)は、その名の通り、興奮の伝達が電気的に行われるが、その数はシナプス全体からすると 極端に少なく、前庭神経核の外側にあるシナプスの一部程度らしい。それ以外のほとんどが (2)の化学的シナプスである。化学的シナプスは興奮が伝わると<神経伝達物質>と総称される 化学物質を放出し、その神経伝達物質は次の神経細胞に存在する特定の<受容体(レセプター)>に 結合する。すると神経細胞のレセプターと連結したイオンのチャンネル状態が変化し、神経細胞の 過分極や脱分極が発生して、興奮の伝達が行われる。この伝達は必ずしも興奮だけではなく、 神経伝達物質とそれに結合するレセプターの種類によっては抑制も伝わる。他にもアデニル酸シクラーゼの 活性化やイノシトールリン酸系の活性化といった状態を惹起する。神経伝達物質としては以下のような ものが知られている。
モノアミン系:ドーパミン。ノルアドレナリン。セロトニン。ヒスタミン。 コリン系:アセチルコリン。 アミノ酸系:γ-アミノ酪酸(GABA)。グルタミン酸。アスパラギン酸。グリシン。タウリン。 ペプチド(小型たんぱく質):メチオニン・エンケファリン。ロイシン・エンケファリン。P物質。 ニューロテンシン。β-エンドルフィン。サイロトロピン。等々。
この中のいくつかは健康飲料やサプリメントなどでお馴染みのものだろう。これらはいずれも、 その作用の強さと量により、神経細胞の興奮、または抑制作用を制御する。つまり、完全に アナログ的機能を有している。ベンゼン環を持ったアミンの毒性はかなり高く、これ以上の毒性を持ち、 生体内で合成される物質は爬虫類の唾液が酵素の働きで変化した蛇毒やクラゲ毒があるだけだ。 それだけに作用が強く、原始的な<無髄神経>のアナログ機能を優先的に駆動させる。一方、 進化した<有髄神経>では無害なアミノ酸がデジタル的作用として利用されている。脳がこのような デジ/アナ混在の、いわゆるハイブリッド・システムであることの重要性は、いくら強調しても 強調し過ぎることはない。リツコは第拾七話『四人目の適格者』で「ヒトの心、魂のデジタル化は できない」と発言しているが、これは魂よりもむしろヒトの脳にこそ当てはまる。ここからが本題である。
h
(・∀・)ツヅキマダァ??
おーい!
期待待ち
(・∀・;)ツヅキマヂデマダァ??
>>222 >この二つをまとめてギリシャ語の「接続」を意味する<ニューロン>と呼んでいる。
ギリシャ語の「接続」を意味する単語は<シナプス>の間違いです。
お詫びして訂正します。
【無髄神経と有髄神経】<無髄神経>とは神経繊維がむき出しになった、いわば裸電線である。最初に神経を 発達させた腔腸動物からヒトに至るまで生物体内のほとんどは水分であり、その内部で微弱電流を伝達させれば 効率が低下する。脊椎動物のように筋肉が発達すると、それに伴い神経も各段に進化し、グリア細胞の一部が 神経繊維に巻きついて数十層になる絶縁被覆を形成する。この絶縁被覆を<髄鞘(ずいしょう)>と呼び、 髄鞘を持った神経を<有髄神経>と呼ぶ。電流(インパルス)の伝導速度で比較すると無髄神経では毎秒50センチ から2メートル程度であるのに対し、有髄神経では毎秒120メートルにまで達する。脊椎動物の優れた運動能力は、 この有髄神経の存在なくしては考えられない。
エヴァが巨体に似合わねぬ敏捷性を持つことから、その素体にはヒトと同等、あるいはそれ以上に 進化、発達した有髄神経を有することに疑問の余地はない。あるいは南極で発見された「光の巨人」 の呼び名のごとく、インパルスでなく光を直接情報伝達手段として使用している可能性もある。 光繊維、光ファイバーだ。この場合は神経繊維内を伝導される光の周波数の違いにより、受容体が ちょうどフォト・トランジスタのような働きをして、周波数に合致した神経伝達物質をシナプス内へ 放出するものと考えられる。
A10(エーテン)神経は原始的な無髄神経である。まずA10神経について再履修しておこう。1955年から1964年に かけて、スウェーデンを中心とする研究者により、神経細胞が集まった神経核は脳幹の左右に二列ずつ、 計四列で各々十個ほどあることが確認された。これを外側の神経核系列をA系列、内側の神経核系列を B系列と命名された。A系列は覚醒中枢でノルアドレナリンとドーパミンを、その逆にB系列は睡眠中枢で あり、セロトニンをそれぞれ分泌している。古くから脳の特定機能を営む部分、部位を<中枢(センター)>と 呼び習わしてきた。<節食中枢><性中枢><記憶中枢><睡眠中枢>などで、そのひとつとして <快楽中枢>が考えられてきたのである。このような中枢は全て数万から数億の神経細胞が集まった各種の 神経核で構成されており、その中枢の集合体が脳である。従って神経核が全て解明されれば、必然的に 各中枢が解明され、中枢の集まりである脳、すなわち人間の心も解明されだろう。現在、こちらの研究も 埼玉県和光市の理化学研究所をはじめ各大学、研究機関で進みつつある。
精神分析の始祖、フロイトはヒトが不快な状態を避けて本能的な欲望、衝動の即時的、直接的な満足を 求める傾向を持っていることを発見した。いわゆる<快楽原則 pleasure principle>(快感原則、快楽原理とも) である。1954年、米国カリフォルニア工科大学のジェームズ・オールズはラットを使用した脳への電極刺激実験で、 一匹のラットが電気刺激を受けた場所へ戻る傾向があることに気付いた。オールズはこの偶然の発見を見逃さず、 これはラットにとって好ましい刺激であると判断して実験を続け、脳の特定部分、内側前脳束を電気刺激すると 快感を生じさせることを明らかにし、これを<報酬系reward>(快感系)と名づけた。オールズはラットが 快感を得るためには足に電気ショックを受けたぐらいでは阻止できないこと。迷路脱出の報酬として快感を 与えると、その学習効率が飛躍的に高まることなどを実験的に証明し、感覚、知覚、記憶、思考、学習、動機付け、 行動開始などのほとんど全ての心理、精神活動に快感が介在して、それらを開始あるいは加速させることが判明した。
この研究によりオールズはノーベル賞候補の最右翼と目されていたが1976年、水泳中の事故により急逝した。 1978年、オールズの弟子、アリエ・ラウテンバーグは改良した実験方法により、オールズが求めていた快感系が 「中脳皮質ドーパミン作動性神経」すなわちA10神経であること突き止めた。<快楽中枢 pleasure center>の 発見である。1983年、カナダの研究者はPET(ポジトロンCT)の使用により、人間の脳内ドーパミンの分布から A10神経が前頭葉と側頭葉にだけ局在して活動していることを実証した。また、これによりA8、A9神経が脳の 中心である大脳基底核にだけ活動作用を及ぼしていることも明らかとなった。
,,v‐v-/l_ (⌒) _「/ ̄ く / lYノノ/_ノl_ヽ)) <イ( l l )l> / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <|)'|l、"(フノ|l < 裏でコソコソするひと、嫌いです! ,(ヨリ<>o<>リ'] \_____________ |ト‐!]-ム- i']l ヽ_ノv__l/ / . ノ[//‐─‐/_/、 ( /E|, (フlヨ \ ,-| El___lヨ / └-\`^^^^^^´/
保守
同上
245 :
山田エリザベス ◆YAMAsUOIPY :2005/04/06(水) 17:54:58 ID:z7JsIt42
A10神経は他の神経系に見られない際立った特徴がある。以下の二点である。
1):ヒトの心を抽出する脳の各部位への接続、接触。
2):オートレセプター(自己受容体)の欠如。
1)について、ヒトの心にとって最重要な脳の場所は次の三箇所であり、
この全てに接続、関係しているのがA10神経だ。
a):人間の創造性を司り、『知』を作る大脳新皮質の前頭葉と側頭葉。
b):運動、学習、記憶等を司り、『情』を生み出す大脳辺縁系と大脳基底核。、
c):食欲、性欲、内臓の自動制御のための自律神経等個体保存と種族保存のため、
『意』を欲から生じさせる脳幹の視床下部。
(
>>221 参照)
ラウテンバーグの実験に先立つ1971年、米国でてんかん患者の治療のために 側頭葉への電気刺激実験が行われたことがある。その結果は普段、おとなしく 慎ましやかな若い女性が急に媚びをみせ、医師と結婚したいと言い出し、 その手にキスをするほどだった。さらに興味深いのは少年患者の反応である。 彼は自分の性別が判断できなくなり、しきりに結婚したいと言い出した。 医師が誰と、と訊くと「あ、んた」とどもりながら答えた。実験後にこの状態を 患者に聞かせると、激しい自己弁護の態度を取ったという。これは側頭葉において A10神経が最高の快感を生じさせると同時に性中枢を通過していることに関係して いるとみられる。
1980年代には精神分裂症患者やてんかん患者、それに少数であるが 末期のガン患者等に対してA10神経の電気刺激実験が行われた。その結果を基に エヴァでも馴染み深い医学博士、マイケル・クライトンはベストセラー小説 『ターミナルマン』を書いた(映画化名『電子頭脳人間』)。脳の障害で発作的に 暴力を振るう主人公は麻薬による廃人か、外科手術による電極の埋め込み手術かの 選択を迫られる。面白いのは前駆症状として「豚の糞」のような匂いを感じることだ。 A10神経は大脳基底核へ入ると同時に分岐して、匂いを感じる<嗅脳>へも達している。
ヒトの嗅覚は快不快を最も強く感じる感覚器官であり、第拾四話『ゼーレ、魂の座』 での機体相互互換実験でシンジとレイが、それぞれ相手の匂いを感じているのは 偶然ではない。昆虫や動物がフェロモンによる匂いで求愛するのはよく知られた事実だ。 ヒトにおいても匂いを全く感じない無嗅覚症の患者には性欲の極端な低下、あるいは 完全な消滅が報告されている。
A10神経の神経繊維の一部が終着点となっている<側坐核>には、つい最近になり 解明されつつある重要性がある。これは心を創出する前頭前野、大脳辺縁系、 大脳基底核の交差点に位置し、脳各部位と相互神経連絡をとりつつ、自らの 自発運動により感情、意欲の維持に深い関係がある。ここでは各種のホルモン、 神経ホルモンが混在して活動し、人間の脳各部位を接続するインターフェースの 役割を担っていると考えられる。ここまでくればお解りのように、エヴァ・パイロットが 頭部に装着するインターフェース・ヘッドセットの機能の一部は主としてA10神経を通じて、 この側坐核との通信制御機能を有するものである可能性が高い。
252 :
城所浩司 :2005/04/24(日) 22:53:00 ID:???
ニフティのCUGメンバーだな。 間違いない。
保守
脳神経に関しての記述は詳細に触れるときりがない。すでに当初の予定を超過しているが、 まだ五分の一にも達していない。少し端折ることにして、ここで最も注目すべきパイロットと LCL、それに脳内麻薬についてざっと触れておこう。
2):オートレセプター(自己受容体)の欠如。(
>>247 )
これについては第拾五話『嘘と沈黙』でのリツコの台詞にある<ホメオスタシス homeostasis>
による<負のフィードバック>が働かない点につきる。生体内では筋肉や内臓の活動に
伴って体温が上昇すると、それを妨げるために発汗作用が起きる。こうした機能を
負のフィードバックと呼び、これにより血液中のブドウ糖量、ph(酸度)なども常に
一定に保たれている。1932年、米国の生理学者W.B.キャノンは、こうした生物の
内部メカニズムを<ホメオスタシス>(生体恒常性)と命名し、生理学の根底原理と
なった。これはヒトの神経系においても全く同様で、シナプス内に放出された
神経伝達物質の一部を神経繊維の末端部分が捉え、末端部における神経伝達物質の
分泌を自ら抑えて常に一定量の神経伝達物質が分泌されるようになっている。
A10神経は正確には二種類ある。前頭前野などの大脳新皮質へ向かう<中脳前頭前野A10神経>と、 それ以外の部位へ伸びる<中脳辺縁系A10神経>である。1981年、米国エール大学の M.J.バンノンらはA10神経でも前者にだけはオートレセプターを欠くことを発見した。 これは負のフィードバックが働かず、ホメオスタシスが破綻していることを意味する。 その結果、A10神経のシナプスでは神経伝達物質ドーパミンが必要以上に大量放出され、 その際の反応が指数関数的に増大することが判明している。この場合、ドーパミンの 消費速度を示す代謝回転率(turn over)は中脳辺縁系A10神経の二倍、A9神経の四倍という 速度を示している。
こうした正のフィードバックは反応が反応を呼び爆発的現象を引き起こす。 生体内では極めて少ないが女性の排卵、昆虫の変態、神経のインパルス発生などが それである。他の動物にも前頭前野はあってヒトと同じようにA10神経は存在するが 大きさ、神経細胞の数共に極端に少なく、型にはまった行動しかとることしかできないと 考えられている。対する人間は時としてホメオスタシスを自ら破る行動を取ることがある。 1960年代に米国でジャッキが外れて車の下敷きになった息子を助けようと、その母親が 重量2トンの車体を素手で持ち上げ、ひっくり返したという実話や類似した話を ご存知の方も多いだろう。いわゆる火事場の馬鹿力だ。さすがにこの母親の腰骨には、 ひびが入ったそうだが、いったん正のフィードバックに入った生物は、それまで予想も できなかった能力、挙動を示すことがある。これこそが暴走だ。
アスカの母親、惣流・キョウコ・ツェッペリンの精神異常は、その症状からすると 明らかに<精神分裂症schizophrenia>である。鬱病などはゴリラやチンパンジーも 発症することもあるが、分裂症はヒトだけに起こる<内因性精神病>である。 エヴァにおいては母親が接触実験の結果、精神汚染を受けたとなっているが、 これを現在、精神分裂症の原因と思われる『ドーパミン仮説』に従って検討してみよう。
,. - ─── - 、 / , `ヽ. /〃//,. ,ィl/|l ト、 !、 、 ヽ ー'´| | l |1 | !l. l| ! | l.|ヽ ! !、 ', YレV!ヒエ「! |l.「_ト!Ll」| l l l ! lハイJ | ´|_jヽ. リ,! ! l. l | おじちゃんたち |l |l.} ー , L _,ハl.lトl l. | l どうしてさげてかきこみするの? |l ilト、 n '' ,1l|ィ| |l l | _ 二,ニ^tュ--ェ_t1」l.|l !リ|_lノ r7´ f r┐| 〔/ミヽ>,-、 ̄´ Y ー个‐'t ハ-、_'ゝ、 ヽ ._・ rく ̄ヽト-'丿 ヽ l / (・__,)ゝi┬'´ハ` '`|
Dr.K乙
オチュ
乙
そろそろ?
保全
内因性精神病は病歴、病因ともに複雑多彩であるため、つい最近までその実像を 掴むのが困難であった。特に精神分裂症は、古くは『早発性痴呆症』と呼ばれて いたが1911年、スイスのオイゲン・ブロイラーがギリシャ語の「分裂する(シゾ)」 「心(フレ)」という意味から命名された。精神分裂症には感情の分裂、感情と 思考の分離、連想の分離、注意の分裂、自我と外界の間の判断の喪失による妄想、 幻覚などが特徴である。これらは近年の研究により、全て過剰な精神活動、 すなわちA10神経の過剰活動による精神崩壊であると考えられるようになった。
1935年、覚醒剤アンフェタミンとそれにメチル基が加わったメタンフェタミン (商品名ヒロポン)の薬効が発見され、すぐさまナルコレプシー(突発的に 睡眠状態に陥る疾患)の治療に使用されたが、その際、この薬を大量投与すると 精神分裂症に似た症状を呈することが発見された。これは、その後の戦中、 戦後の覚醒剤乱用によりさらに確実となり、作用メカニズムの解明から覚醒剤が ドーパミンの過剰活動を生じ、精神分裂症様症状を発生させることが明らかとなった。 1970年、スナイダーはラットの実験により、覚醒剤による異常行動のうち、運動量の 増加はオキシドーパミン(ノルアドレナリン)により、常同行動(精神分裂症様行動) はドーパミンによって生じるという『ドーパミン仮説』を確立した。古くから 精神分裂症の治療薬であるCP剤(強力精神安定剤、クロルプロマジン)がドーパミンの レセプターへの作用を遮断することが薬理学的に証明されていたが1979年、 このレセプターがD2-レセプターであることが明らかになった。このことから 精神分裂症はA10神経の過剰活動によるドーパミンの過剰分泌であり、それが 前頭前野にオートレセプターを欠くことが最大要因であると考えられている。
可能性として最も高いのが当初、企画段階で設定した英語(あるいはドイツ語)の表記が誤りであり、 途中でそれが発覚したものだ。だが、われわれの基本的スタンスとしては、そうした粗探しはとっくに 卒業している。だとすれば次に考えられる、公表できないなんらかの理由を探るべきだろう。そこで 考えられるのが脳内麻薬との関係だ。 一般に麻薬と一括りにされる麻薬、覚醒剤、幻覚剤などの薬物の 存在は人類の歴史上から見ても極めて古い。特にケシから採取されるアヘンは既に紀元前1550年の エジプトの薬辞書に記載されている。アヘンの成分中、約10パーセントがモルヒネである。1805年、 ドイツのF.W.ゼルチュルネルが単離してギリシャ神話の夢の神の名からモルヒネと命名された。 ヒトに関する限りモルヒネは麻痺的作用が強いが、他の哺乳類では興奮作用をもたらすことが多い。 特に馬、猫、豚は興奮しやすい。その昔、競走馬にモルヒネを投与して出走させたことが、現在の ドーピングの始まりと言われている。また、犬、ウサギ、モルモット等では一過性に興奮し、痙攣を 誘発するが、大量投与すると麻痺し、ラットでは初期に興奮し、その後、麻痺を招く。このように モルヒネの働きは同じ哺乳動物でも千差万別であり、エヴァ素体にも脳神経が存在する限り、この種の 薬物もなんらかの作用を及ぼすはずだ。
そこで、ハーモニクスの実験時にテストプラグが浸されていた赤い液体に注目したい。 これは、ケイジでエヴァが冷却中にも使用されている。この赤い液体中に潜って、 リツコや作業員はエヴァに対する修復作業を行っていたため、エヴァ素体にとって ある種の鎮痛、麻痺作用があるものと考えられる。同様にLCL自体にもパイロットに 対する精神安定剤的機能があってもおかしくない。むしろ、そのほうが自然だろう。 「ねえ、ミサト知らない?、って、あんたまたプラグの中なの?」 「うん、なんだか落ち着くんだ、ここ」 「まるで赤ちゃんみたい。あんたってホントにガキね」 【第弐拾壱話/ネルフ、誕生】(本編からはカットされた場面)
【レセプターと脳内麻薬】モルヒネなどの麻薬が、その作用を及ぼす標的細胞の レセプター(受容体)に結合することにより作用するのは、かなり以前から知られていた。 脳内にモルヒネと結合するレセプターが存在することは、モルヒネと同じ作用を持つ物質が 脳内に存在することを意味する。1975年、英国のジョン・ヒューズがブタの脳から抽出した 物質がこの作用を持つことが判明し、<体内麻薬>(脳内麻薬)という意味から 『エンドルフィン』と命名された。これには分子サイズによりアルファ、ベータ、ガンマの 三種類があり、最大の分子を持つベータ・エンドルフィンが最も鎮痛作用が高く、モルヒネの 6.5倍あった。現在、脳内麻薬は20種類ほど確認されているが、そのいずれもチロシンという アミノ酸を含み、そのアミノ酸によって作用を及ぼしている点が重要だ。このチロシンは アミノ酸の中でも、特に活動性が高く、脳内麻薬を合成したり、自らチロシン分解を行って 脳内アミンという覚醒剤そっくりの分子構造を持つ物質になる。LCLがこのチロシンを含んだ 物質であればエヴァの多くの場面、特にパイロットの精神状態に科学的説明がつく。
脳内麻薬は短時間で酵素によりアミンなどに分解されるが、コカインやヘロインが 体内で長時間分解されず、その効力が持続するのために一般には中毒と呼ばれる 『依存』または<嗜癖(しへき)addiction>が生じる。薬物に対する抵抗性を 各神経系ごとに調べた実験では、中脳前頭前野A10神経がもっとも耐性ができにくく、 ついで中脳辺縁系A10神経、最後はA9神経であった。この結果から中脳前頭前野A10神経は、 ストレスを非常に受けやすいことが確認されている。問題は脳内麻薬にヘロイン、 コカインのような嗜癖(中毒性)があるかということだ。「ある」というのが現時点での 結論である。そして鎮痛作用が強く、依存を生じない物質は発見されていない。 LCLに脳内麻薬と同様な効果があれば、程度の差こそあれ依存が生じることは明らかだ。
「LCL圧縮濃度を限界まで上げろ。子供の駄々に付き合っているヒマはない」 【第拾九話/男の戦い】 脚本段階では「LCLの酸素濃度を下げろ」になっているはずだが、低酸素状態のまま長時間経過すると、 たとえ身体的な異状はなくても脳は回復不能なダメージを負う。脳のエネルギーの大部分は血液によって 供給されるグルコース(ブドウ糖)とそれを代謝するために必要な酸素である。脳を流れる血液の量は 他の臓器に比べて圧倒的に多く、一分間に約750ミリリットルほどあり、これは全拍出量のほぼ30%に あたる。従って脳への血流が遮断されると、どんな大男、不死身のタフガイでも十秒以内に意識を失う。 さらに数分間も完全に血流を遮断するとニューロン自体の機能が破壊され、二度と元へは戻らない。 グルコースの原料となるグリコーゲンの貯蔵量は肝臓の1/100、筋肉の1/10で、脳1グラム当たり2〜3 マイクロモル程度しかなく、緊急時の非常用としての役目を果たさない。また、この結果生じる障害の 程度は脳の各部位によって異なり、視床下部や小脳ではその働きが大きく損なわれることはなくとも、 最も人間らしい知能や創造性、記憶を司る大脳新皮質や海馬が大きな影響を受ける。溺死しかかった 人間が一命は取り留めても、知能や記憶に障害が出るのはこのためである
おそらく、こうした内容を知っていた一部製作スタッフがシナリオの不備を指摘したのだろうが、 この変更は的確であった。また、この変更と共に考えられるのがLCLの成分が不明である以上、推測する 以外にないが、もしこれまで検討してきたように脳の快楽中枢と密接な関係があるならばシンジは 失神直前、その頂点でプラグスーツ内に射精した可能性がある。神戸で起きた、いわゆる酒鬼薔薇 事件を想起させる。犯人の少年も快楽殺人による射精を経験していたからだ。この先は空想妄想の 類だが、こうしたエントリープラグ、LCL、A10神経接続がパイロットの性的志向を拡張、あるいは 変調させた可能性は充分考えられる。エヴァからの逆流もこの視点から再検討する必要があるかも しれない。すなわち近親相姦的視点からの分析、解釈である。エヴァとパイロットの立場の逆転を 具現化するものだが、もうひとつ、母子、母娘の関係からの考察も無視できない。事実、EOEにおいて、 シンジがアスカとの性交不能状態を示唆する場面が挿入されたのは単なる幻想や思い付きではないだろう。
「アスカ、今日調子悪いのよ。二日目だし」
「シンクロ率は表層的な体の不調に左右されないわ。問題はもっと深層意識にあるのよ」
* * *
「女だからって、なんでこんな目に遭わなきゃなんないのよ。子供なんて絶対いらないのに」
【第弐拾弐話/せめて人間らしく】
このアスカが洗面所で生理痛に悩む場面をご記憶だろう。ミサトは「二日目だから」と
言っているので妊娠説は論外としても、通常の生理というよりは生理不順に悩まされて
いたとは考えられないだろうか。これはLCLに脳内麻薬的効果があれば充分説明がつく
ことである。実際に麻薬禍が深刻な米国では女性麻薬依存症の大半が深刻な生理不順に
陥っている現実がある。これは女性ホルモン、エストロゲンなどの分泌をヘロイン、
コカインがレセプターに作用して狂わせるからだ。さらに注目すべきは、アスカがEOEで
母親の存在を感じて復活する場面だ。これはひと頃マスコミ、ジャーナリズムを賑わせた
<臨死体験 near deth>に酷似している。光の世界はEOEのクライマックスそのままであり、
亡くなった肉親の声や姿を見るのも体験者に共通したものであるらしい。近年の研究では、
この時に側頭葉の活動が活発化してドーパミンが大量放出されていることが明らかになった。
A10神経の一部が側頭葉に達していることを確認されたい。(
>>247 )
以上、これまで見てきたように、ここではエヴァ世界に付いて回る『ガフの部屋』や 『ATフィールド』のような中途半端な神学的、オカルト的概念を払拭しつつ、ましてや 『魂』などというご都合主義の極みのような概念を持ち出さずとも、最新の分子生物学や 神経生理学のごく基本的知識の、さらにその一部を使用するだけで、充分説明がつくことを 言いたかったわけである。 ただし、ここでは生化学的な注釈に留まっているものの、 当然、LCLとパイロット、プラグスーツ、エントリープラグとエヴァ本体の間には、その 操縦システムを巡る説明を行わなければ片手落ちとなる。これを考えるには現代物理学、 特に量子力学による解釈が必要だ。すなわち超伝導である。これについては稿を改めて 述べることにしよう。
/ _△_ \ / /ナイナヽ \ | ″ <|イナイ|> ″ | |:::::‖ ヽ⊥ノ ‖::::| | < ▽ > | /^''Y <ニ●ニ> <ニ◎ニ> Y''ヘ | 久|< ヽ:::::ー | | `ー::::'´ >|/ヘ| あげろやゴルァ !.イ| \ l| |l / | ヽ| ヽ_| ヽ / l|:M:|l ヽ ノ │ノ |\ v======v /| |:::::\ ヽ___/ / | | :l:::::::\`――‐'/ ::::|::| | l ::::::::::\_/::::::: l | / l ::::::::::::::::::::::::::::::: l \
なんか、すごい内容ですね。(アセ
乙
つまり、ゼルエル戦でのシンジのウヘヘ笑いとか レリエル戦でのエロ妄想とか アスカが弐号機で見た母の影とか あれはみんなLCLまたは脳内麻薬でラリった状態だってことですね。
これは何だ?
282 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの :2005/06/24(金) 20:06:36 ID:T5/iRVBz
ヒロポンて疲労がぽんと消えるからだってホント?
こんなスレがあったのかw
>>282 俺は「はだしのゲン」で初めて知ったから、ヒロは広島の広かと思ってたよ。ポンの理由が判らなかったけどそういうことか
最近では精神分裂症を統合失調症と言ってるね
保守
ライ麦畑でつかまえて
☆
投手の球を受け止める人
↑一瞬考えた後でワロタ
*魂、コア、アトランティス/Soul, Core and Atlantis. 零号機のコアには赤木ナオコの魂がある。初号機のコアには碇ユイの魂が入っている。 弐号機にはキョウコの魂がある。零号機のコアには魂が無い。参号機にはトウジの妹の 魂がある。零号機には碇ユイの魂が半分入っている。初号機のコアにはリリスの魂がある。 参号機にはトウジの母親の魂が移植されている。初号機には碇ユイの魂が半分入っている、 等々。
最初に結論の一部を述べておこう。製作側から明確なコメントがない限り上記のような、 どんな解釈も受け手側の自由である。まして、エヴァでは意識的にこうした矛盾を散りばめて 視聴者を混乱に陥らせている節が多々ある。しかし、実際にはこうした議論自体には、ほとんど なんの意味もない。なぜなら肝心の魂の定義を棚上げしたままでは、なんら本質的議論に 踏み込めるはずがないからである。こうした誤解は魂の定義の無視、誤解にあり、断定すれば 「魂」「エーテル体」「アストラル体」「肉体」「自我」のオカルト的ヒエラルキーを完全に 理解しないまま、自明だと思いつつ表面上の概念に寄りかかっているためである。そのため 独自解釈が横行し、それらが意見を異にする解釈を互いに非難するような結果で終わることが 多いのは極めて残念なことだ。
中途半端な宗教的知識、似非神学的解釈は別にして今日に至るまで、あくまでも エヴァ世界に立脚した魂の定義とその応用面について詳細な検討を加えた議論は 寡聞にして知らない。こうした基本的な概念をあいまいにしたままでは結局、 その場限りの解釈しか得られず、議論が循環するだけで結論に至らないのは当然だ。 従って、新世紀の暗黒面に隠された真理を求めるわれわれは、まず魂を含む オカルト的ヒエラルキーの完全な定義と理解から始めなければならない。 この視点からすればかつてのエヴァ本、謎本や未だにウェブ上に横行する 安易なポップ・オカルト、商業的神秘主義に影響された聖書やカバラの 自己流解釈とは一線を画す真のオカルト的知識と概念を充分理解した上で 議論を尽くさなければならないだろう。だとすれば、われわれが参考に すべきは現代オカルトの基本にして最高峰、H.P.ブラヴァツキーの <神智学 theosophy >とR.シュタイナーの<人智学antorosophie > 以外にあるまい。
【H.P.ブラヴァツキー】Helena Petrovna Blavatsky、1831-1891年。ロシア(現在のウクライナ共和国)生まれ。 名門の出だが18歳(一説には17歳)の時、24年間に渡る世界放浪の旅に出る。この間の事情は不詳不明で、エジプトで ファラオ転生の秘密を学んだとかチベットで7年間過ごして秘儀参入の資格を得た等と本人が言うことも常に変わっている。 しかし、1873年ロンドンからニューヨークへ渡米してから後、彼女の履歴はかなり明確だ。当初、霊媒として多くの実績と スキャンダルを引き起こした後、1874年10月14日に合衆国陸軍退役大佐、ヘンリー・オルコットと知り合う。彼は南北戦争から 従軍、リンカーン大統領暗殺の特別調査委員をも経験した筋金入りのベテラン軍人、法律家で当時、弁護士であったが 個人的興味から心霊術に関心を持っていた。様々な紆余曲折の後、モルモン教を初めとする新たな宗教活動を追い風として、 二人は『あばかれたイシス unveiled isis 』を発行、初版千部は短期間で完売した。エジプトにおける神秘主義、特に女神 をユング心理学でいう<大母 great mother>としてとらえ、ホーム、ダーウィン、ハクスレーらの進化論を痛烈に批判した 書である。いわば時流に乗ったわけだが、これをきっかけとして1875年9月、ニューヨークで「神智学協会 (theosophical society)」 を旗揚げした。この『神智』とは紀元三世紀にプロティノスを祖とする新プラトン主義者たちによって定義された概念であり、 「神的叡智。世界の足元に横たわる知識や知恵の総計」の意味だ。わが国では『見神論』と呼ばれていた時期があり、太宰治も 興味を持っていたらしい。ブラヴァツキー自身に言わせると、その中心教義は『ミトラス教グノーシス主義』だということになる。 1888年、神智学の精髄とも言うべき大著『シークレット・ドクトリン secret doctrine 』(『秘密教義』『秘密の教義』とも)発行。 これは、どんな言語学者でも聞いたことさえないセンツァール語なる言語で記述された『ジアン(dzyan)の詩篇 』をブラヴァツキーが 解読したものだという。
【R.シュタイナー】Rudolf Steiner、1861-1925年。 当時オーストリア領(現クロアチア共和国領)片田舎のクラリエヴェック生まれ。 鉄道技師、通信手だった父親の影響でウィーン工科大学へ進むが、それ以前に徹底して『純粋理性批判』を読み込み、カント哲学に対する 理解と、さらにゲーテに対する研究を始め、やがてニーチェへと行き着くことになる。各種の論文や研究活動、大学や集会での講演から 1900年9月にベルリン神智学協会の中心メンバー、ブロックドルフ伯爵夫妻に招かれゲーテに対する講演を行った。ここから神智学との 関係が始まるが、この頃のシュタイナーは神智学に対してはかなり懐疑的であり、交霊術を人心を惑わすものとして排除していた。 これは第一次大戦によるドイツ敗戦後の混乱と、その後のナチス勃興の社会的動向とも無縁ではなく当時のドイツ、特にベルリンでは 雑多な神秘主義、終末思想が入り乱れていた実情がある。そのシュタイナーが神智学運動へ加わったのは、のちに彼の後妻となる マリー・フォン・ジーフェルスとの出会いが大きかったようだ。彼はブラヴァツキーと異なり正規の高等教育を受け、歴史学者、 文芸評論家、雑誌編集者、建築家、音楽家、舞踏家のいずれも極めたばかりでなく、有機農法の提唱者であり、教育者としても 世界的に知られた存在だ。
彼が1919年ドイツ、シュツットガルトで主宰した『自由ヴァルドルフ校』、通称「シュタイナー学校」は現在、 世界中にその支部、兄弟校を持ち、日本でもNPO法人として東京都下、三鷹市にその『東京シュタイナーシューレ』 が存在している。『はてしない物語』『モモ』などのファンタジー、童話作家のミハイル・エンデがシュタイナー校に 在籍したのはよく知られている。もっとも、完全に落ちこぼれだったエンデはここにも馴染めず、卒業まで数ヶ月を 残すときにドロップアウトしてしまい、その教育方法の重要性に気付いたのは二十歳を過ぎてからだと述懐している。 もとより出自からして水と油のブラヴァツキーとシュタイナーの対立と分裂は予想されていたが、1909年、ブラヴァツキー 亡き後、事実上分裂した神智学協会を統率していた元牧師のチャールズ・W・リードビーターがインド、マドラスの 海岸で「巨大な金色のオーラを発している」少年、ジッドゥー・クリシュナムルティを発見、救世主として 『東方の星』教団を立ち上げたことから対立は決定的となった。ドイツ神智学協会々員の多くがシュタイナーに 従い『人智学協会』を結成したが、一部は神智学グループにとどまり、さらにその一部の神秘的思想、哲学は NSPD(ドイツ国家社会主義労働者党=ナチス)へと流入していったことは事実らしい。要するにシュタイナーは 終生クリスチャンであり、基本的なキリスト教の教義から一歩も出ることはなかったのだ。
今回、本論説をまとめるにあたって、エヴァ放送終了以来数年ぶりにブラヴァツキーと シュタイナーの著作を再読したが、予想以上にエヴァ世界構築にあたって参考にしたと 思われる箇所が多いことに改めて気がついた。エヴァと言えば放送開始から今日に至るまで、 庵野秀明がペンダントリックに撒き散らした旧約聖書やユダヤ教神秘主義カバラ、ニュー エイジ、ニューサイエンス的側面ばかりがとりあげられているが、その大元となった神智学、 人智学にはマニアはもちろん、識者もほとんど触れていないのは理解に苦しむ。まして 庵野本人が、そうしたユングやカプラの著作ばかりを言わば煙幕のように持ち出しながら、 その根底に存在する肝心のブラヴァツキーやシュタイナーの思想哲学には一言も触れていない というのが、よけいに怪しさを倍化させる。『ふしぎの海のナディア』の内容からエヴァ製作 への経緯を考えても、庵野が神智学を全く知らないはずはないのだ。特に庵野がその影響を 公言する永井豪『デビルマン』がグノーシス主義と神智学の具現化であるだけに、エヴァ世界 の構築にあたっては意識したか否かを問わず、最大の影響があったと見てよいのではない だろうか。無論、詳細は以下の論考を仔細に検討していただき、ご自身で結論を下して いただきたい。
〃∩ ∧_∧ ⊂⌒( ・ω・) ケルたん圧縮知ってたのかな〜 `ヽ_っ⌒/⌒c
なんなのこのすれ
なにこのスレ・・・って300ずさwwwww
まさに自慰スレ
エヴァ自体庵野のオナニーアニメですが、なにか?
それにしてはサービス満点ですね
オナニーだからサービスできるんだよ、ヲタクはね。 本番セクースはまるでダメ。庵野はその典型。
これだからなぁ あまり知ったかでものを言わないほうがいいよ
夏厨は所嫌わずスレ構わずか。 低レベルの煽りは他所でやってくれないか。
ライ麦畑で捕まえて
コンサバティブ
本流
補修
前後したが、新世紀の暗黒面に対するオカルト的ヒエラルキーを読み解き、 真の理解に至るには以下のテキストが必読である。 ヘレーナ・ペトロヴナ・ブラヴァツキー『シークレット・ドクトリン』。 ルドルフ・シュタイナー『神智学』『神秘学概論』『いかにして 超感覚的世界の認識を獲得するか』『アーカーシャ年代記』。 また、以下の書籍を適時参考にした。 東條真人『シークレット・ドクトリンを読む』。西平直『シュタイナー入門』。 小杉英了『シュタイナー入門』。澁澤龍彦『秘密結社の手帖』。 富増章成『神秘学入門』。ピーター・ワシントン『神秘主義への扉』。 ジョスリン・ゴドウィン『北極の神秘主義』。コリン・ウィルソン『オカルト』。
ブラヴァツキーの著作は長大で数多くの矛盾に満ちているが、その主張は一貫している。 それこそエヴァ世界との同一性を主張するに充分だが、ここではよりドイツ的厳格さを持った シュタイナーの理論を中心に論を進めよう。すでに複数のシュタイナー研究家によって指摘されて いることだが、シュタイナー思想を表すドイツ語 "geisteswissenschaft" を「精神科学」とするか 「霊的科学(霊学)」と訳すかによって、その捉え方がかなり違ってくる。いずれにしても シュタイナーがオカルティズムに留まらず19世紀から20世紀の広範な思想哲学界、特に ニューサイエンスや例の「サイエントロジー」に与えた影響は極めて大きなものがあり、 それは同時代の魔術師達、ニコライ・リーリョフ、アレスター・クロウリー、グルジエフらと同様か、 それ以上だと思われる。
シュタイナーはブラヴァツキーの神智学から、さらにその独自の思想を発展させ、 ミクロコスモスの統一体である人間はさまざまな構成要素から成立しているとしている。 その構成要素とは以下の通りである。 体的構成要素。 1:肉体 2:エーテル体 3:アストラル体 4:自我 魂的構成要素。 5:感覚魂 6:悟性魂 7:意識魂 霊的構成要素。 8:霊我 9:生命霊 10:霊人
順を追って見ていこう。体的構成要素における<肉体>を考察するには、 まず「死」を現象として検討しなければならない。シュタイナーによれば死は 生命現象なき自然であり、「生命のない自然」とは鉱物のことである。 つまり、人間の肉体は鉱物界と共有する部分である。生命力が働いている間は 肉体の崩壊はあり得ないが、死が生じれば肉体は鉱物界へとその働きを委ねる ことになり、肉体の形態を解体させる。エヴァ世界ではEOEに見られる肉体の LCLへの還元であり、人体改造を施したゼーレのメンバーが、その機械化された 肉体の一部を露出させて変化したのは、その象徴であろう。
<エーテル体>は「生命体」とも呼ばれ、肉体の中で崩壊に抵抗している隠された力だ。
人間は肉体を通して鉱物界に属しているように、エーテル体を通して生命界へ属している。
植物は鉱物体とエーテル体のみを有している。シュタイナーは初期に「形成力体」と呼んでいた。
これはニューエイジの科学者、研究家たちが「生命形態力」と呼んでいる『生命場の理論』と
完全に同一である。(参照;
>>150-155 )もちろん、これは現代物理学においてマイケルソン
=モーレーの実験によって否定された光や重力の媒介物質としてのエーテルではない。
ここでのエーテル体は肉体の死後、生命界へと解消される存在であり、肉体の隅々までに
浸透している。身体器官の全ては、このエーテル体の流れと動きによって維持、支配されている。
肉体が空間的存在であるのに対し、エーテル体は時間的存在である。この上位存在に
<宇宙エーテル>と呼ばれるものがあり、この力によりエーテル体が形成される。
人間のエーテル体は受胎直後から活動を開始し、7歳までは物質的身体構成のために働き、
それ以降は自由に活動するようになる。
「いかなる生命の存在も許さない死の世界、南極。いや、地獄と呼ぶべきかな」 「だが、われわれ人類はこうしてここに立っている。生物として、生きたままだ」 【第拾弐話/奇跡の価値は】 エーテル体を理解すれば、上記会話の真相は明らかだろう。科学的、生物学的に 考えて南極だけエリアを限定しての微生物までも含めた全生命の存在が消失すること などあり得ないが、これをセカンドインパクトに起因するエーテル体の存在を許さない 状況が現出したとすれば、充分な説明がつけられる。これは波動現象による使徒出現 とも関係あるが、量子力学が関係してくるので詳細は改めよう。ほとんど話題にならないが、 第弐拾参話『涙』においてリツコがどのようにして水槽中のレイの肉体を破壊したか、 おわかりだろうか。リツコはレイのエーテル体を破壊したのである。
その際、PDAの表示に "destrudo release" とあるのは周知の事実だが、 『第弐拾話/心のかたち 人のかたち』で画面に登場する "psychic essence threshold signal" も生物学的、心理学的視点よりもこうした霊的視点から見たほうが整合性が高い。 リツコがレイのダミーを破壊したのも水槽中に南極の波動状態を再現したとみれば明解だ。 同時に上記の冬月とゲンドウの真意がどこにあるのかも。ここにセカンドインパクトの 真の秘密が存在する。また、エヴァ最大の謎『人類補完計画』の目的も明らかになる。 だが、ここでは神智学のエヴァ世界における応用面に深入りすることは避けて、 基本的な事柄の説明に絞ろう。
ところで「えーてる・体」と「えーてぃー・フィールド」語感が似ていることに お気付きだろうか。これは冗談で言っているのではない。優れたクリエイターは 往々にして全く無関係な概念を結びつけ、新たな概念を創造する。そもそも "absolute terror field" 「絶対恐怖領域」では英語としてはもちろん、 日本語としても意味をなしていない。防御兵器としての機能を持つATフィールドは 別に考察するとして、エヴァ世界における「誰もが持つ、心の壁」である ATフィールドとは、その呼称、機能とも神智学におけるエーテル体と同一の物であると 言っていいのではないだろうか。不思議なのはこの点からエヴァを読み解こうとする エヴァ本、謎サイトがあまりにも少ないことだ。カバラや聖書が引き合いに出される ことは多くても、誰もエヴァと神智学との接点、共通点を認めないのだろうか。 「時間が無い。ATフィールドがおまえの形を保てなくなる」 「始めるぞ、レイ。ATフィールドを、心の壁を解き放て。欠けた心の補完、 不要な体を捨て、全ての魂を今ひとつに。そしてユイの元へ行こう」 【劇場版EOE:第26話『まごころを、君に』】
のちに詳述するが、グノーシス主義においては現実世界の創造者と 真の至高神を明確に区別している。なぜなら、至高神が全知全能であれば、 この世界のような欠陥だらけの世界を構築するはずがないからであり、 これはキリスト教における神学上最大の問題点、論点ともなっている。 ブラヴァッキーは至高神<パラブラフマン>をカバラにおける<アイン・ソフ> (『セフィロトの樹』でお馴染みだ)、ギリシャ哲学、特にプラトンが 言う<一者(ト・ヘン)>と同じ概念として捉え、「唯一絶対たるもの」 「ただひとつの現実」として、その本質を <絶対意識領域 the field of absolute consciousness> と定義している。
おわかりのように、これはエヴァにおけるATフィールドそのままの 呼称、概念である。繰り返しになるが"absolute terror field" 「絶対恐怖領域」では英語としてはもちろん、日本語としても意味を なしていないのだ。この点からもエヴァ世界の他の概念、用語と同じく 複数の意味、"double meaning" により、ATフィールドがエーテル体を 指し示していることは明らかだろう。要はATフィールドという言葉が 先にあり、その後付けから前述のような単語を宛て付けたとみるのが 自然だということだ。
ATFには、さらに心理学で言う「パーソナルスペース」の意味が 含まれている。これは人間同士の距離空間はお互いの関係と 密接な関係があるというもので、以下のような分類がされている。 1)0.5メートル以内の親密的距離: 家族・恋人などとの身体的接触が容易にできる距離/心身共に許せる関係。 2)0.5〜1メートルの個人的距離: 友人などと個人的な会話を交わすときの距離/お互い手を伸ばして触れ合うことができる表面的接触。 3)1〜3メートルの社会的距離: 職場の同僚と一緒に仕事をするときなどの距離/身体的接触不可。普通の会話。 4)3メートル以上の公的距離: 公的な人物と公式的な場で対面するときの距離/個人的結びつきはない。あっても極少。
この空間内に存在する他人との関係は快不快と直接関係する。 エレベーター内などで他人が載ってくると気まずい空気が 醸し出されるのは、この理由による。ATフィールドが他人を 傷付けるという部分は、この「パーソナルスペース」に 依存しており、庵野自身の性格、精神状態の投影だとみて 間違いないだろう。 「ヤマアラシのジレンマって知ってる?」【第参話/鳴らない、電話】 "Hedgehog's Dilemma "【第四話/雨、逃げ出した後】
323 :
城所浩司 :2005/08/21(日) 23:52:47 ID:???
オカルトはともかくATFはハミルトン・ベクトル場だよ。
>>Dr.K 超乙。 需要あるか分からんけどここまででDr.k様から投下された物 +>1 目次 (「二人の親」→「二重の親」に変更) +>3-11 >17-25 >34-49 最後の錬金術師、碇ユイ +>86-117 トリックスター、加持リョウジ +>155 >150-154 番外編 +>167-175 >179-189 >219-230 >237-241 >247-251 >254-258 >266-276 二重の親、碇シンジ +>291-297 >311-322 魂、コア、アトランティス [おそらく途中]
ケペル博士乙。 助手>324も乙でつ
誰が助手やねんヽ(`Д´)ノ!!
このスレすごいですね。 わからないところも多々あるけど、面白いです。 のめり込んで一気に読んでしまいました。 博士の余技の披露、というにはあまりに贅沢な気もしますが。 続き読みたいので気長に応援しつつ待ってます。 助手の方も頑張ってください。
329 :
ケペル博士 :2005/08/29(月) 00:50:17 ID:???
訂正
>>319 >ギリシャ哲学、特にプラトンが 言う<一者(ト・ヘン)>と同じ概念として捉え
<一者>と言う概念を最初に使用したのはプラトンより後代の新プラトン主義者、
プロティノス(205-270年)です。
お詫びして訂正致します。
<アストラル体>はポップオカルトの本、サイトなどでは「幽体」「霊体」 「霊魂体」「心魂体」などとも言われるが、その語源<アストラ>が「星」 「星々」を意味することから「星体」とするのが正しい。アストラル体は アストラル界に属しており、動物は「鉱物体」「エーテル体」「アストラル体」 の交合体である。アストラル体は人が睡眠中にその肉体を離脱して星界へと赴き、 その力を充填する。鉱物体とエーテル体しか持たない植物は常に無意識の 睡眠状態にある。そのエーテル体を覚醒させるのがアストラル体の働きであり、 同時に人間の記憶にも関係している。
シュタイナーの霊的人間形成論に従えば、人間は年齢に即して三つの時期に分けられる。 1:肉体とエーテル体が発達する時期。 2:アストラル体と自我が発達する時期。 3:エーテル体と肉体が衰える時期。
人間は六歳から八歳の歯の生え換わる時期に、ちょうど成型された食パンの ようにエーテル体を覆っていたエーテルの覆いが剥離し、エーテル体が誕生する。 しかし、その時人間はまだアストラルの覆いに包まれている。この覆いも また十二歳から十六歳にかけて剥離し、アストラル体が現出する。さらに後に なって、ようやく本来の自我が生まれる。アストラル体は誕生から死に至る 全ての経過に関わっているが、晩年にはエーテル体と肉体の力を侵食してゆく。 その際、アストラル体は肉体とエーテル体に依存していないときよりも、緩慢な 発達を遂げる。
勘の良いリーダー諸賢には既におわかりだろうが、ここにエヴァ七不思議の ひとつ「なぜ、十四歳なのか?」という疑問に対する明確な回答が存在する。 十四歳はアストラル体出現の、まさに中心にある年齢である。無論、渚カヲルが、 その公表されたようにセカンドインパクト当日の生まれだとすると、十五歳で シンジ達より年齢、学年ともひとつ上なはずだが、これもアストラル体の 現出を考慮すれば全く問題は無い。つまり、エヴァとパイロットのシンクロ/ ハーモニクスとはアストラル体を経由しての波動現象であり、完全に霊的自我が 確立した後では、それが不可能になるということである。
335 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの :2005/08/29(月) 11:04:39 ID:Zk532NYb
, -=〜=―- 、 ミ ヽ 二 ノ ( i 三 ⌒ へ /` | 二 _ _ | 三 ┰ ┰ | l^ ( } ! ヽ / {\ ノ l i ( 、 , ) { ∪、 j | / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ‐――――┴、 < だめだこりゃ |  ̄`ー―ァ'′ \_____ \______)
続きまだぁ?(・∀・)
燈火町
透過街
乙まち
マダー
私待つわ
いつまでも待つわ
待つわ
まあ必ず書いてくれるので待ち
345 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの :2005/09/22(木) 21:17:54 ID:d0vXo4fT
検索で間違えて来たのですが、こんな処でDrの著作に出くわせたのは驚き です。 読者の方々へ浅学の私から少々、、、 あまりすぐに過信せぬ方がよろしいかと。もし信に値するのであれば、少なく とも自分自身で参考原典に多視点的な解釈(アプローチ)で検討してみてから でしょう。 それとLIGHTSIDEの考察ですが、結論を示唆に終らず、もう少し踏み込んで 発言なされる事を期待しています。
なにをいまさら
347 :
sage :2005/09/28(水) 05:34:59 ID:obxQabEw
そうですね。失札しました。
まち
待機
投下待ち
街並
暮れなずむ街に
街のダークサイド
人をジェノサイド
ワクワクテカテカ
そろそろ二ヶ月
あともうすこしで二年!
あと11時間21分!
23時間の間違いorz
<自我>は人間と動物を隔てる最大の要素である。動物の行動や感情の発露の際には、 その体内、対外にその誘因を見出すことができるが、人間はそうでない場合がある。 その時には人間にしかない特別な源泉を考察する必要がある。それが自我の存在である。 アストラル体は単独、自由な状態では快不快、飢え、渇きなどが現われるが、 それらの持続的感情は生まれない。持続を体験するものが自我なのだ。
エーテル体が保持しなくなった肉体は崩壊する。アストラル体が照射しない エーテル体は没意識状態に沈む。そして、自我が過去を自己の中に取り込まず、 アストラル体だけの存在では過去はその度に忘却の縁に沈んでゆく。 肉体にとっての死、エーテル体にとっては眠りに相当するのがアストラル体に とっての忘却である。エーテル体が生命が固有のものであり、アストラル体に とっては意識が固有のものであるように、自我にとっては「想起」が固有のものなのである。
シュタイナーによれば、動物はどんなにそう見えても記憶を保持することはない。 たとえば犬と主人の間にある特別な関係は記憶によるのではなく、アストラル体の 働きによるものである。自我は魂の中に生きている。そして自我の中には霊が生きている。 自我は、その発達により体と魂を支配してゆく。
ここまでを理解すれば、エヴァ世界における魂の存在とその意義を再確認できる。 つまり、よく言われているエヴァ素体に組み込まれた魂や綾波レイの魂とは 魂それ自体を対象にしているのではなく、自我と関連付けられた存在である。 魂そのものはどれも完全に同一で魂同士に違いはないのだ。あなたは蟻の群れを見て、 その個体差を確認できるだろうか。その違いをもたらすものが、すなわち自我である。 おそらくエヴァ素体にはリツコの言うように人の魂が宿らせていることに間違いないだろう。
「そう、人間なのよ。本来、魂のないエヴァには人の魂が宿らせてあるの」【第弐拾参話/涙】 しかし、それがパイロットと特別な関係を持つのは魂それ自体の存在ではなく、 それに附随する自我の働きによるものなのだ。こうした視点からの記述が これまでのサイトやエヴァ本などには決定的に欠けている。特に神学知識を 売り物にしている大瀧啓裕などがこうした神智学的視点を欠いているのは 不勉強のそしりを免れないだろう。ついでに言えば予備校の数学講師だという 北村正裕の著作にもエヴァに対する数学的視点が全く欠けているのも不可解だ。 数学は現代科学の中枢であり、同時にあらゆる神秘主義の源泉でもある。 この点からのエヴァ世界の判読もいずれ行う予定でいる。それにしても、 心理学的分析やありきたりな陰謀論以外、エヴァに関しては自分の専門分野からの アプローチをためらわせる何かがあるのだろうか。
【魂と輪廻転生】
一神教においては魂は永遠の存在であり、肉体の死後、最後の審判を受けるまで
天界に留まるという。しかし、ギリシャ時代のピタゴラス教団あたりから始まり、
ヒンドゥー教、仏教などには魂は転生するという概念があり、人間や動物はもとより
原生動物や微生物にも形を変えて宿るとされている。この思想に関しては下手な
解説書よりも、手塚治虫の『火の鳥 鳳凰編』を読むほうが数十倍面白く、また
解り易い。エヴァ劇場版の挿入歌『魂のルフラン』や『心よ原始に戻れ』は
作詞家自ら輪廻を主題にした歌詞であると認めている。
【参考】
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1009126838/66
この輪廻を打ち破り、より高次の存在へと己を高めた結果は<解脱>と呼ばれる。 激烈な反進化論者であるブラヴァツキーは<生物学的進化 evolution>と <霊的神化 godding>を明確に区別している。碇ユイが初号機とシンジを使用しての 高次的存在への変貌は、この解脱、あるいは神化の一方法だと見て間違いないだろう。 ただし、エヴァ世界においてはこのあたりが非常に不明確で、一神教であるユダヤ/ キリスト/イスラム教主流派の概念では説明できない。しかし、グノーシス的思考を 当てはめれば、ユイの行動や人類補完計画共々詳細を語ることが出来る。別項で仔細に論じよう。
次に魂の形態とその解説に移る。これには<感覚魂 empfindungsseele> <悟性魂 verstadesseele><意識魂 bewusstseinsseele>の三形態があり、 いずれも魂的世界、アストラル的世界の存在である。魂は肉体と霊の 中間的存在であると言える。
<感覚魂>とは魂自体の一部分であり、その活動はエーテル体に依存している。 すなわち知覚活動の源泉であり、肉体を通じて本能、衝動、快不快、情欲など 動物的、野獣的要素を構成する。エヴァ素体に人の魂が必要なのはここに秘密が あると思われる。(【第弐話/見知らぬ、天井 THE BEAST】) 同時にパイロットとの神経接続や精神波の逆流にも、この感覚魂の働きが 作用していることは明らかだ。
<悟性魂>はア・プリオリ(先験的:体験や学習によらず生来備わっているもの) に存在する。これは思考能力を持つ魂と呼べる存在であり、美や善などといった 自己内部にある真理を受容することにより増大拡張する。ダミーになく、 綾波レイ一人に魂が宿ったことを想起されたい。また、二人目のレイが 物語の進行と共に除々に自我を確立し、シンジとの関係を深めていったことも、 この悟性魂の働きによるものだろう。
<意識魂>は魂の中の魂とも呼べる永遠の存在である。肉体が遺伝の法則に 従うように、魂はカルマ(運命、因果、業)の法則に従い、肉体と霊を 連結させている。ここで最大の働きをするのが、先の自我の存在である。 自我なくしては魂も存在せず、その中に霊が宿ることもない。アストラル体を 通じて外的な意識を獲得するように、自我という人間自らの内部に存在する 神的な存在を通して自己についての内的な意識を獲得する。魂は感覚と悟性に おいて外界の事象に関与しているが、意識魂を通してこそ自我は内的活動により 知覚される。本来ユダヤの伝説でエヴァにおける、いわゆる『ガフの部屋』の 魂とは、狭義にこの意識魂を指す。
続いて霊的構成要素である<霊我 geistselbst><生命霊 lebensgeist> <霊人 geistesmensch>について述べよう。霊の世界とは純粋に精神的世界で あり、神的世界と同一である。
<霊我>とは自我の中に生きる霊的存在である。霊我は自我を照らし、 自我を外皮としてまとう。意識魂との違いは真理が自我と結びついた点にある。 シュタイナーはサンスクリット語(梵語-ぼんご)の「マナス」に相当する概念、 単語として使用している。アストラル体が自我の意識的働きにより変化したものである。
<生命霊>サンスクリット語から「ブッディ」ともいう。自我により変化した エーテル体であり、エーテル体が物質的肉体に作用して生命活動を与えるように、 霊体である生命霊に作用してその活動源となる。人間が自我により生命霊を形成 していない間は超越的存在がエーテル体を満たしている。
<霊人>インド哲学からアートマ(アートマン)を意味するものとした シュタイナーの造語。肉体が物質界にあるように、霊界にある霊体であり、 自我によって変化した物質的身体で、自我が発展途上にある期間には 超越的存在が人間の物質的身体を満たし、作用している。問題となっている 第拾九話における初号機と、それに搭乗した綾波レイの反応を思い出して いただきたい。 「……だめなのね。もう」
いささか駆け足で神智学におけるシュタイナー理論的見地から物質界、
魂界、霊界の三世界とその構成要素を見てきたが、ここで
>>313 に表記した
各要素を再構成して、まとめてみよう。
1:肉体
2:エーテル体(エーテル体、または生命体)
3:アストラル体(アストラル体と感覚魂)
4:自我(自我と悟性魂)
5:霊我(意識魂と霊我)
6:生命霊
7:霊人
この七要素は心に留め置かれたい。また、神秘主義においては「七」という
数字も特別な意味があることを知っておくことは重要だ。
これまでに概観したように神智学では人間の自我が三世界の各要素全てに 関わっていることを明らかにした。同時にエヴァ世界においてはエヴァと パイロットを結ぶ重要な基本的要素でもあることを理解されただろう。 では、自我はどこからやってくるのか。この問いに答えるには人類発祥 からの霊的発展、その進化史を読み解く必要がある。これは一般に 神秘主義において<アカシック記録>あるいは<アーカーシャ年代記>と 呼ばれている。ここで、その全体像に触れるには本論から逸脱するため できないが、神智学的に<アトランティス時代>と呼ばれる時期に起こった、 ある霊的変動に触れておこう。これは人類に対する外部からの働きかけである。 その存在はふたつある。すなわち、<ルシファー>と<アーリマン>である。
おいでなすったあああああああああああ! お疲れ様です
乙です お待ちしておりましたわ。
380 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの :2005/10/25(火) 00:08:13 ID:YJHVcRmY
381 :
城所浩司 :2005/10/25(火) 18:53:10 ID:???
うまく引っ張るね。
がんがれ
【ルシファー lucifer】ルキフェルとも呼ばれる。「光を与える者」の意味で 、光学における照度単位ルクス(lux)の語源ともなっている。本来「明けの明星」 すなわち金星を示す言葉であるが、現在は誤って堕天使サタンと混同されている。 これは初期キリスト教々父達が全くの無知から旧約聖書の一部、『イザヤ書』の バビロニア王ネブカドネザルについて記載された部分を誤読したためである。 実際、旧約聖書を注意深く読めば、その記述者達は堕天使や悪魔については 何も知らないことが明白で、それらに対する言及がほとんどないことに気付くだろう。 新約の『マルコ福音書』においてはルシファーをデーモン、アーリマンをサタンと呼んでいる。 ルシファーが十二枚の翼を持つことから、オープニングに現われる翼を持つ初号機や EOEにおけるリリスが、このルシファー的存在の象徴であることは間違いない。 グノーシス主義において、悪魔は神よりも人類にとってはるかに重要な存在である。 「エヴァンゲリオン初号機?」 「まさに悪魔か!」 【劇場版EOE『Air』】
シュタイナーによれば、ルシファーは魂的存在の下部に位置し、人間の 内面からその作用影響を及ぼしている。太陽霊と人間の中間的存在の半神であり、 アーカーシャ年代記の月進化期に完全な存在まで進化(神化)できなかった大天使でもある。 エーテル体中でルシファーが優勢になると人間は虚偽の存在となり、 アストラル体中でルシファーが優勢になると自我のない人間になるという。 物語の進行と共に変化した綾波レイの自我とその言動に注目されたい。 ルシファーが高次の存在に反抗したために人間は超越的存在から独立したものとなり、 自立と同時に誤謬の可能性を持つことになった。古代にルシファーは人間に対して 叡智を授け、アストラル体の中に「感覚的情熱」「自尊心」「利己心」などと共に 「美」「善」「真理」「高貴」「知識」に対する欲求をもたらせた。そしてまた人類は 自由と同時に悪の可能性をも手にしたのだった。
【アーリマン ahriman】アフリマンとも。古代ペルシャにおいて 善と光の神アフラ・マズダーに対する闇の力である。アンラ・マンユとも 呼ばれ、ゾロアスター(ツァラトゥストラ、ザラスシュトラとも)によれば、 人間と動物の原型を殺したことで、この世に死をもたらせたのはアーリマンである。 このアーリマンの双子神が聖霊スタンプ・マンユで、この二神は完全な自由意志により、 スタンプ・マンユが善と生命を、アーリマン(アンラ・マンユ)が悪と死を司ることを 決定、選択した。ゾロアスター教が最も基本的な宗教的二元論の形といわれる所以であり、 後のキリスト教に多大の影響を与えている。特にその終末思想は聖書外典の『ヨハネ黙示録』 に直接引用されている。
ニーチェ、およびゲーテ研究家としても第一人者であるシュタイナーは、 ゲーテの『ファウスト』に登場するメフィストフェレスをアーリマンと ルシファーの混合的存在であるとしている。アーリマンは人間に対して 世界の精神的基盤を隠匿し、外界を単なる物質と考察させて精神的、 霊的なものに対する恐れを植えつける。人類補完計画発動の鍵がここにある。 アーリマンは外部から欲望と恐怖を呼び起こし、「老い」「未来」」 「男性」「憎悪」「利発さ」は全てアーリマン的要素である。
>>383-386 キタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゚(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:*・゜゚・*☆
乙!
この人、本は出してないの?
まち
マダー
続く
そろそろほしゅ
まちまち
ほしゅ
>*死海文書、ネクロノミコン、アーカーシャ年代記/Dead Sea Scrolls, Necronomicon and Akasa Chronicle. >*ゼーレの目的、ネルフの使命、ガイストの結論/Seele, Nerv and Geist. >*終着の浜辺におけるグノーシス主義/Gnosticism on Terminal Beach. この辺早く読んでミタス(´・ω・`)
マダー
最下層だよ
( ,.∞,,,, ) ,,:;" * """`''';;;〜 699/699 ( ●从 从 ';; \. ⊂ゝ゚ヮ ゚ν (,,,ノ.,;;ミつ
ブラヴァツキー/シュタイナーは現在の人類に至るまでにいくつかの霊的人種段階を 経ているとし、これを<根源人種 root race>と呼んでいる。アトランティス人は 第四根源人種に相当する。<アトランティス時代>とそれに先立つ<レムリア時代> には世界そのものの構成が現在とは全く異なっていた。その特徴的なものは大気と水である。 当時の大気は現在のそれよりもはるかに濃密であった。従って粘性抵抗、流体抵抗共に かなり大きな値であったはずだ。このためアトランティス人は神話や伝説のタイタン族、 ギガス族のごとく巨人であった。鯨などの巨大海生哺乳類が陸に打ち上げられたりすると、 自らの体重を支えきれず死んでしまうように、アトランティス人の巨体は、この濃密な 大気によって支えられ、生存を可能としていた。
『トップをねらえ!』を見るまでもなく 庵野秀明が諸星大二郎と並んで、そのイメージ最大の源泉としているコミック作家、 星野之宣の『巨人たちの伝説』は明かにブラヴァツキーの著作からの直接的影響を 大きく受けている。巻頭、プロローグとして登場する超古代文明タイタンは、 この神智学的アトランティス大陸の描写そのままであり、しかもこのエピソードは 本編の物語と全く無関係に挿入されているのだ。おそらく庵野秀明もこの作品から ブラヴァツキーの思想哲学に触れるきっかけを得たのではないだろうか。もちろん、 庵野自身が膨大なブラヴァツキーの代表的著作『シークレット・ドクトリン』を、 たとえ翻訳と言えども読み通したとは到底思えないが。
また、ブラヴァツキーによれば、アトランティス人はこの巨体により、 神話や伝説の巨獣、怪獣達と戦い生存圏を拡張する事ができたという。 これはエヴァと使徒の闘いに容易に重ね合わせることができるだろう。
実を言うと、このスレッドの最初の方のレスは、この『シークレット・ドクトリン』の スタイル、形式や言葉使いを意識したものである。あまり評判が芳しくなく、自分でも 面倒になったので途中から普通の文章に変えた次第である。 山下いくと『それをなすもの』には二つの超古代文明が使徒やエヴァ、 ロンギヌスの槍を残したという設定になっており、これも神智学的根源人種の概念に 極めて近い。この点から人類補完計画を読み解く試みは皆無と言っていいが、そのためには、 まずアーカーシャ年代記の詳細に触れなければならず、別項に譲りたい。
さて、アトランティスの大気が現在より濃密であったなら、水はどうだったであろうか。 シュタイナーによれば、これは逆に極めて稀薄な存在であったという。これは、そのままLCLの 特徴に当てはまる。すなわちエントリープラグ内に満たされたLCLの中でレイが涙を流したりする (第弐拾参話『涙』)事象に合理的説明が加えられる。また、劇場版EOEで明かになったように、 LCLプラントがリリスの体液だとするならば、リリスは当然のことながらアトランティス、ないしは レムリアとの根源人種になんらかの関連があるものと思われる。これもアーカーシャ年代記と 人類補完計画のつながりを前提に、別項で論じよう。
405 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの :2005/12/26(月) 18:42:12 ID:5n8BLLo1
最下層上げ
こんなスレがあったとは
乙〜
保守
つづきまち
machi
「ムー」の付録に書いてあったのと同じだ! 続き乞う!
ナツカシス
ほしゅ
保守
博士まち
ほし
ここで、エヴァ七不思議のひとつ、コアに触れておこう。一般にはS2機関そのもので あるとの説が優勢なようだが、コア自体は、むしろ制御装置だと思われる。コアを破壊 された使徒がお馴染みの十字架形爆発を起こして消滅する場合と、そのまま動作を停める 場合の二通りあるからだ。その動力源たるS2機関そのものに対しての考察は他日に譲るとして、 ここではコア自体の役割に注目したい。特に第九話に登場する第七使徒イスラフェルである。
アラビアの伝承において、イスラフェルは「炎上しているもの」 の意であり、復活と歌の天使である。この天使は最後の審判において、 トランペットを吹く役を担うとされており、また、別な伝承によれば アッラーがアダムを創造する際に使用した、七つかみの塵を集める ためにガブリエル、ミカエル、アズラエルと共に大地の四方の果てに 派遣されたという。しかし、ここで問題なのはイスラフェルの顔の ような部分にある<太極図>だ。太極図(たいきょくず)は「大極図」 とも書かれ、誤って対極図とされることも多いが、より正確には 「陰陽太極図」あるいは「太陰大極図」という。古代中国より陰陽 二元論の象徴であり、万物の根源とされる概念である。
この存在がS2機関の存在とその制御装置であるコアを特徴付けていると 思われる節がある。庵野秀明の盟友である樋口真嗣の平成ガメラ・シリーズ 第一作『ガメラ 大怪獣空中決戦』では超古代文明が残した地球の守護神と してのガメラと、それに感応する小道具としての勾玉(まがたま)が登場 するが、この勾玉も太極図から派生、応用の護符であるとする説もある。 樋口真嗣はこれをヒントにしたようだ。
エヴァ放送時の物語とは別に劇場版、特にEOEにおいては庵野秀明以下、 製作スタッフが意図したか否かは別にして、明らかに全編を通じて二元論が その物語全体を支配している。<二元論>とは、存在するさまざまな概念、 事象をその二つの項目の対立と闘争を基本にして、この世界の森羅万象を 読み解くものである。特に一神教であるユダヤ/キリスト/イスラーム教に おいては「善と悪」「正と邪」「光と闇」「神と悪魔」という神学的二元論 がその根幹を成している。もっとも、キリスト教やイスラーム教自体は 二元論を否定しており、その二元論を重視したグノーシス主義を異端として 排斥しているが。
エヴァ世界、ことにEOEにおいて二元論といえば「男と女」「太陽と月」 「親と子」「対称性と非対称性」「善と悪」「神と人」「肉体と精神」 「自己と他者」「此岸(しがん=この世)と彼岸(あの世)」「局所性と大局性」 「連続性と離散性」「絶対論と相対論」といった哲学的、思想的二元論に行き着く。 この視点から見れば人類補完計画の理解や使徒とエヴァの存在等、その関係の 秘密に直接つながる重要概念だろう。さらに、この二元論は大別して<絶対的二元論> と<相補的(相対的)二元論>に分割できる。
<絶対的二元論>は互いに相譲らぬ二項対立が存在し、両者は決して
立場の変化や交流が存在しない。また、二項のいずれも単独で存在可能である。
対する<相補的二元論>は相容れない二項が互いの欠落した部分を補い合って
世界を形成し、その世界は常に流動的である。
1922年にノーベル物理学賞を受賞し、デンマークのコペンハーゲンに
自ら所長を務める理論物理学研究所を開設したニールス・ボーアはディラック、
ハイゼンベルク、パウリ、そして仁科芳雄(湯川秀樹と朝永振一郎は彼の直弟子)
らを育成して量子論の、いわゆるコペンハーゲン学派を形成した。その中心にいた
ボーアとアインシュタインの論争はすでに述べた。(
>>101 参照)
ボーアは、その偉大な功績に対し、デンマーク国家最高の勲章を授与された。 この際、決められたボーア家の「家紋」は<太極図>であった。デンマークの フレデリック城には、世界の王室・国家元首の紋章とともに、ボーアの選んだ、 この紋章が飾られている。ボーアは、この太極図が意味する<相補性>の思想に 深く感動してこの図案を採用したと言われている。また、彼が量子論の本質を 説明する際に必ず用いたのが、この相補性の概念である。「物質は粒子であると 同時に波である」「位置がわかれば運動量がわからない」このように決して単独 では理解できず、相容れない二項が存在してこそ、世界が成立するというのが ボーアの云う相補性である。
東洋思想における相補的思考、哲学の集大成が「易経」だ。 英訳表題が "i ching(イー・チン)" または "the book of changes" と呼ばれる。 このふたつの流れを統一して発展させ、ニューサイエンスの中核的存在となったのが デヴィッド・ボームである。カール・プリブラムらと共に提唱された<ホログラッフィック・パラダイム> は現在に至るも科学、思想界に大きなインパクトを与えており、その影響は庵野秀明 にも及んでいると思われる。大瀧啓裕『エヴァンゲリオンの夢』はまさにエヴァ世界が シンジのホログラッフィック・パラダイムであるとの独断的見解を述べた著書だ。
なによりEOEにおいては「主体と客体」を中心とした明白な二元論が その中核に存在してる。その視点から読み解く、あの問題となるラスト シーンの解釈は別に行うとして、現代における二元論について簡単に 触れておこう。その思想はカール・マルクスとジグムンド・フロイト により確立された。すなわちマルクス思想においては「持つ者(資本家)」 と「持たざる者(労働者)」が存在し、社会はその階級闘争の場であると 規定した。一方、フロイトの精神分析学においては「意識」と「無意識 (潜在意識)」が存在し、この二つが協調して働く場合には社会的活動の 源泉となるが、軋轢が生じた場合には、さまざまな精神的症状が現出する とした。この二元論と意識の問題に関してはエヴァ全体に関わる事項で あるだけに、別項で改めて論じよう。
このスレッドではエヴァ世界の魂の概念が宗教や、ましてキリスト教、 ユダヤ教、イスラーム教など一神教のものでなく、神智学ベースのもので あること。人類補完計画がアーカーシャ年代記に記された宇宙と人類の 発展と密接な関係があることを、これ以降に述べる記述の予備知識として 蓄えてもらえば十分なのだ。
>>417-426 乙です
しかしこれだけ時間がたっても話のネタが尽きないエヴァって深いな。いまさらだけど
凄いね 理解できるように頑張る
あげちゃダメなスレよ!
すみません・・・orz
乙
432 :
城所浩司 :2006/02/06(月) 19:55:48 ID:???
シュタイナーはともかく、エドガーケーシー、 ゲーリーボーネルはどうかな?
キリスト教とユダヤ教、イスラム教の違いをわかる人をエヴァ板で初めて見たよ。 聖書=キリスト教だと思ってる馬鹿ばかりかと。
博識な方がご光臨なさいました
>>434 なにも知らない、知らないことさえ知ろうとしない君から見ればそうだろうな。
ゆんゆん
☆
ほす
ほせ
ほそ
ほせ
たかがアニメのことで、ここまで頑張って論文書けるなんてすごすぎるな エヴァのためにどれだけ本を読み漁ったんだろうこの人・・・。 あ、一応これ全部ほめ言葉でw
つづきまち
ほす
*昼盲症者、碇ゲンドウ/Gendou : The Hemeralopia. 最初にお詫びから始めなければならない。スレッド・タイトルの 「昼盲症者(ちゅうもうしょうしゃ)」の英訳を副題にある通り"nyctopia”としたが、 これは"nyctalopia"の綴り間違いである。澁澤龍彦のエッセイ集『洞窟の偶像』の一章、 「ネルヴァルと幻想文学」から引用したのだが、いい加減な記憶のまま、スレタイに 採用してしまったのが原因であった。単純なケアレス・ミスでお恥ずかしい次第。
さらに、もうひとつのミスは「昼盲症者」の訳を澁澤訳をそのまま引用して "nyctalopia"としたことで、正しくは"hemeralopia"だ。これは19世紀に語義の 混乱があり、本来「夜盲症者(やもうしょうしゃ)」を意味する"nyctalopia"を しばしば逆の意味である「昼盲症者」と混同して使用されたためだという。 いかに博学多識の澁澤と言えども、そこまでは確認していなかったようだが、 実際、R.A.ラファティの作品など、他のファンタジーやSFでも同様の語義の混乱、 混同は現在でも見られている。本来"nyctalopia"とはギリシャ語の「夜」を意味する "nyct"、「盲目」の"alos"それに「視力」の"opsis" の合成語である。 従って、 ここで論じるべき昼盲症者としての碇ゲンドウはギリシャ語源の新ラテン語である 「白昼」を意味する"hemera"、「盲目」の"alaos"、「眼」の"ops"の合成語として "hemeraloia"が正しい。
いずれにしても二重の意味で誤りを重ねてしまったわけで、なんともお粗末な次第。 ここでは現在、正式に医学用語とされている「昼盲症者」すなわち"hemeralopia"とさせていただく。 昼盲症とは一般的に白内障などで水晶体が白濁したような場合、光が散乱して視神経が幻惑され、 視力が発揮できない症例を言う。このため、逆に夜間や暗闇などの中において本来の視力が 発揮できるようになることから、このような名称が付けられたものだ。こうした後天的症状とは別に、 ちょうどフクロウやミミズクのように先天的遺伝体質で白昼でなく、夜間に視力を発揮する人間も 実在するようであるが、この点については調べがつかなかった。ご存知の方がいれば、ご教授願いたい。
ここでは主人公、碇シンジの実父であり、物語中では特務機関ネルフの最高司令官の 地位にある、元ゲヒルン所長、元人工進化研究所々長という経歴を持つ碇ゲンドウ、 旧姓、六分儀ゲンドウについての考察を行っていこう。最初に注意を喚起されるのが 地下司令部、セントラルドグマにおいてもかなり色濃い眼鏡を着用していることだ。 さらに全編を通じて、ゲンドウが白昼の屋外に出たのは回想場面を別にすれば、 第拾五話でのユイの墓参りでシンジと会ったときだけのはずだ。あとは第七話、 周回軌道上でのSSTO機内でのアジア系外国人との密談にせよ、第十弐話で冬月との 南極における艦内の会話にせよ、全て屋内であったことに留意されたい。
これはゲンドウが昼盲症者であると仮定すれば納得できる。昼盲症者には常人に 見えるものが見えず、見えないものが見える。これこそゲンドウがネルフ最高司令の 座についた秘密であろう。無論、ここでいう昼盲症者とは実際の症例ではなく、 形而上的な比喩として使用しているわけである。 「碇ゲンドウ、あの男にネルフを与えたのが、そもそもの間違いではないのかね」 「だが、あの男でなければ全ての計画の遂行はできなかった」 【第拾五話/心のかたち 人のかたち】
かつて、埴谷雄高がサドとドストエフスキーを比較して、前者を白昼の想像力、 後者を夜闇の想像力の持ち主と規定、区分したことがあるそうだ。これを別な形で 分類すれば、前者はギリシャ・ラテン的幾何学的精神、後者はゲルマン的形而上学的 精神となるだろう。ゲンドウは明らかに後者に属している。また、冬月の専門が 形而上生物学であったのは言うまでもない。
このスレッドをご覧いただいているリーダー諸賢であれば<ユートピア>は おなじみの概念だろう。「理想郷」「理想国家」「理想社会」とも呼ばれる。 もともと16世紀英国の官僚・政治家、トマス・モアが書いた本の題名で、 ギリシャ語の「どこにもない場所」、英語では"nowhere"といった意味だ。 同じようなものとして「ザナドゥ」「シャングリラ」「シャンバラ」「アガルタ」 「ツーレ」「アヴァロン」等と呼ばれる理想郷伝説は世界各地に存在している。 モアが『ユートピア』の作中で描いた理想郷は極めて幼稚な原始共産制の社会であり、 それ自体はまともな論考に値するものではない。しかし、ここからが本題であるが、 ユートピアがモアの描くような具体的、形而下的なものでなく、より抽象的、 形而上的であってはならない理由はどこにもない。
なぜなら、プラトンが『ティマイオス』で触れた謎の大陸アトランティスは その存在自体や「炎のごとき輝きを持つ」と形容される謎の金属オリハルコン と共に2350年経過した現在に至るも、多くのSF、ファンタジー作品に対して 直接的影響を与え続けおり、超古代文明設定によるエヴァ自身も、当然その中の 一作として数えられる。また、フランシス・ベーコンの『ニュー・アトランティス』 に描かれた理想郷なども、すべからく天才の幻視によりもたらされたと考えられる からだ。このような幻視と共にユートピア構築を現実に行おうとした歴史上の 人物が二人いる。英語の暗殺者、刺客を意味する"assassin"の語源となった イスラーム教/イスマイール派/ニザール教団の創設者、ハサン・イ・サッバーと 20世紀の米国で「謎の大富豪」と呼ばれたハワード・ヒューズだ。 以下の記述では次の著作を参考にした。中村康治郎『イスラム教入門』、 岩村忍『暗殺者教国』、R.A.ニコルソン『イスラムの神秘主義』、I.シャー『スーフィー』、 杉山正明『モンゴル帝国の興亡 上・下』、D.L.Barlett & J.B.Steele”EMPIRE”
イスラーム教は一氏族に一宗派といわれるほど血縁関係を重視し、 政治経済と直結している。預言者ムハンマド(モハメッド)の創設以来、 1400余年に渡る歴史の中で様々な流派、教団は伝統的に73派とされている。 これは、ただ単に預言者の言行集成書であり、『コーラン』(最近はより原語の 発音に近い『クルァーン』と表記されることも多い)に次ぐ聖典『ハディース』の 記述内容に合わせたこと以外、さしたる理由は無い。昨今の中東情勢や自衛隊派遣から スンニー派(スンナ派、スンニ派とも)とシーア派の存在はかなり知られるようになった。
スンニー派はムスリム(イスラーム教徒)の約九割を占める圧倒的多数派であり、 政治経済の中枢を強固に形成している。それだけに現実的、折衷的、妥協的であり、 こうした姿勢を堕落、修正主義として激しく非難、より預言者ムハンマドの教えに 忠実であろうとする<イスラーム原理主義>の動きが現れる。これが体制内批判や 改革に止まらず、反体制的スローガンを実行に移すとき、多数派、体制派との衝突は 避けられない。これが現在、イラン・イラク一帯で起こっている内乱状態の根本に ある問題で、9・11同時自爆テロで世界貿易センタービルへのジェット機突入を 初めとして、バーミアン石仏爆破などの過激行為を繰り返すイスラーム原理主義の 根底に存在する問題だ。こうした一連の動向を「文明の衝突」と看做す向きも多いが、 実際には民族対立、宗教対立、文明対立などではなく宗派対立が拡大、スケールアップ したものであるのが真相だ。わが国では欧米的/キリスト教的バイアスのかかった情報、 報道、言動が入り乱れており、この現状からするとイスラーム関連の真の理解には ほど遠いものがある。
さて、その反体制派の代表がシーア派とハワーリジュ派である。 いずれも七世紀中盤にアッバース朝の成立と共に多数派の後継者問題から分派、成立した。 これ以降、1258年にモンゴルに滅ぼされるまでのおよそ五百年間、政治的変化はあれども イスラームの黄金時代が続く。しかし、王朝成立までは利用されながら、その後は 弾圧された少数派は地下へ潜伏することになり、その思想、行動の過激さを強めてゆく。 ハワーリジュ派は極めて過激な思想、行動力を持つ宗派で、徹底した弾圧により七世紀末には 壊滅、その分派である穏健なイバート派が現在に至っている。シーア派は数の上では スンニー派と比較にならない少数派だが、それでもイスラームにおける第二勢力である。
本来はシーア・アリー(アリー派)と呼ばれる。元ボクシング世界へビュー級 チャンピオンのカシアス・クレイが改宗後、モハメッド・アリと名乗っていることは ご存知だろう。アリーとはシーア派がムハンマドの真の後継者とする人物のことを指す。 このシーア派の分派にイスマイール派があり、九世紀にシリアで創始された。 この宗派はコーランの内容をさらに拡大解釈して六人の預言者、すなわちアダム、ノア、 アブラハム、モーゼ、イエス、ムハンマド以外には七代目のイマーム(イスラーム教導師) としてムハマンド・ビン・イスマイール以外認めていない。このため、シーア派本流を 「十二代派」(12イマーム派)と呼び、イスマイール派を「七代派」(7イマーム派)と 呼ぶことがある。この派には<流出説>を基本とした独自の思想、哲学が存在し、 新プラトン主義とグノーシス主義の色合いが極めて強い。この一部がイスラーム神秘主義、 <スーフィズム sufism>へと発展、合流したことは確かなようだ。
このイスマイール派の、さらに分派が現在でも謎と伝説に彩られた存在、 ニザール(ニザリとも)教団、別名「暗殺教団」である。暗殺教団が歴史上に 初めて登場したのはマルコポーロの『東方見聞録』である。「その昔、 異端派という意味のムラヒーダ(ニザール教団)の国に『山の長老』と 呼ばれる首領がいた」この「山の長老」こそペルシャ生まれのハサン・イ・サッバーである。 アラビア名ではハサン・ビン・サッバーといわれる。イラン、ニシャプールの 大学生時代から優れた政治的手腕を発揮したらしく、エジプト渡航からペルシャに 帰国して多くの信徒を集めることに成功、1090年にペルシャ北部のアラムートの 岩山砦を奪取後、要塞砦とし、ここを基点に約150年間、伝説と恐怖の宗教的暗殺集団、 ニザール教団が活動することになる。彼らは、まず暗殺者に仕立てようとする若者に 狙いを定めると、薬物を与えて人事不省に陥らせる。意識を取り戻した若者は自分が 人口の楽園にいることを知る。そこは蜂蜜と乳とワインと清水が川と流れ、常に果実を 付けた樹、楽器演奏や歌唱に秀でた処女たちに囲まれた、まさに楽園である。
思いのままの快楽に耽った後、再び薬物を投与され再度意識を取り戻すと、 それは現実で、山の長老が楽園に戻りたければ使命を果たせと、刺客の 役割を与えるのだった。現実に敵対するスンニー派指導者、バグダードの アッバース朝貴族、キリスト教十字軍将校らは次々とこの刺客の凶刃に倒れ、 暗殺教団の名は欧州、インド、中国にまで恐怖と共に鳴り響くこととなった。 この際、若者に与えられた薬物がインド大麻、ハッシッシであると言われている。 英語の刺客"assassin"の語源こそ、このハッシッシ吸飲者"hachischin" から来ている。
しかし、山の長老が実際に信徒たちを麻薬中毒にして意のままに操ったかは
大いなる疑問である。少なくとも百数十年間に渡るイスマイール派ニザール教団の
活動に終止符を打ったモンゴル軍の史料には現在まで、そうした内容を裏付ける
具体的記述は見当たらない。おそらくは敵対勢力であるアッバース朝の王侯貴族か
スンニー派の捏造であろうというのが有力な見解だ。初代、山の長老ハサンは
九十歳の天寿を全うしたが、おもしろいのはアラムートの要塞城を構築後、
1124年に死ぬまで一歩も城の外に出なかった事実である。外気に触れたのは
ただ二回、それも要塞の屋上に出たときだけだったという。これは碇ゲンドウの
本編中における特異な行動と容易に重ね合わせられる。しかも、われわれはすでに
LCLにおける脳内麻薬作用の可能性について検討した。(
>>270-272 参照)
「ゲンドウ」「チルドレン」「使徒」「LCL」の四点を「山の長老」「刺客」「異教徒」 「ハッシッシ」と対比させても、なんら不思議はない。なぜなら岩山の人工楽園において 若者たちがある種の神秘主義、秘教的方向性をもった強力な指導者を頂点にして宗教的、 政治的集団を構成したのは、要するにゼーレとネルフの組織、目的とも完全に一致するからだ。 すなわちユートピア構築である。さらに人類補完計画とサードインパクトの発生は スーフィズムにおける <ファナー(消滅)>と完全に合致する。これはラテン語での <ウニオ・ミスティカ(神秘的合一、または神的融合)>とほぼ同じ概念であるばかりでなく、 サードインパクトの説明としては、より的確である。
それにしても、一般にエヴァは旧約聖書の小道具、単語がちりばめられていることから、 キリスト教の概念を借用していると思われがちである。また、セフィロトの樹はユダヤ教 神秘主義カバラからの基本概念であることは既にご存知だろう。しかし、本稿をまとめるに あたり使徒の名称といい、その宗教的背景を深く掘り下げるほど、偶然だろうが イスラーム教との共通点、接点が浮かび上がるような気がしてならない。 現代の山の長老のごとき、謎と神秘に包まれた存在は20世紀の米国にも存在した。 それが「謎の大富豪」ハワード・ヒューズである。
ほっほぅ、乙
乙
乙〜
な、なんだかわからないけどスゴイ!
すげ
最後までよみたひ
んだ
乙、それと保守
まち
もう二年半スゴス
保守
きたい
ほっしゅほっしゅ
まち
476 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの :2006/03/26(日) 01:37:52 ID:GnMQL8jN
あんまり底辺すぎるとヤバス
まち
今のエヴァ板の圧縮頻度か嘆かわしい。
まち
まち
乙
まち
完結にはあとどのくらい
まち
とにかく待つ
十日町
いわゆるアメリカン・ドリームとは具体的に何をもってして、その実現というのか 考えたことがおありだろうか。富と名声を適えた、その頂点に存在するのが大統領官邸、 ホワイトハウスにおける大統領主催の晩餐会への招待状だ。これこそアメリカン・ドリーム 具現化の最高峰である。この招待状こそが最高の米国市民たる証となり、それを受けた者は 万難を排して出席する。その大統領直々の招待状に対して丁重に断わりの返事を出した 唯一の男という伝説の持ち主こそ、ハワード・ヒューズ(1905年12月24日〜1976年4月5日) に他ならない。実際にも伝説で、そのような事実はなかったらしいが、そうした風評、 伝説でさえヒューズ自身の破天荒な人生の前には色褪せて見える。
マーチン・スコセッシ監督、レオナルド・ディカプリオ主演の『アビエイター』は このヒューズの前半生を描いたものだが、ヒューズの人生が伝説と謎に包まれたのは、 後半生の出来事があるからだ。映画では『007/ダイヤモンドは永遠に』 『クリープショー』『メルビンとハワード』『タッカー』『ロケッティア』、 テレビでは『プロ・スパイ(スパイのライセンス)』『インベーダー』 『権力と陰謀』など「長身の二枚目」「航空防衛産業」「反共の闘士」 「マザー・コンプレックス」「冒険家」「ハリウッド」「政治的陰謀」 「女優とのスキャンダル」「引きこもりの大金持ち」等のキーワードに 二つ以上該当するものがあれば、それは間違いなくヒューズをモデルにしている と言っても過言ではない。彼こそ米国現代史の光と闇、双方を併せ持つ巨人である。 この点から言えば、到底、実在の人物で匹敵するものはなく、かろうじて本来、 虚構の存在である碇ゲンドウとの類似性あるのみであろう。
『アビエイター』公開の影響でヒューズの人生をまとめたサイトやテレビ番組も、 昨今いくつか見受けられる。ここではそうした内容とは少し違ったヒューズの人生と伝説、 そして狂気を取り上げて、わが碇ゲンドウとの思想、信条的背景における共通項を探ってみよう。
乙です がんがって。
オチュ
乙
おつ
保守
保守
とにかくがんがって。
まち
乙
まち
500
投下待ち
ほしゅ
博士まち
まち
505 :
ケペル博士 :2006/04/30(日) 11:27:52 ID:???
>>488 大事な作品を忘れてました。
劇場版ルパン三世/ルパンvs複製人間』のマモーこと、ハワード・ロックウッドは
ヒューズとロックフェラーの二重像です。
ハワード・ヒューズは新型掘削機の発明と製造で大金持ちの家庭に 一人息子として生まれた。このヒューズ工作機会社は1972年にヒューズ本人が 持ち株を売却すると同時に、スマ・コーポレーションと改名して現在に至っている。 コンピュータ利用の設計製図システム、いわゆるCAD/CAMに使用されている デジタイザ(小型のものはタブレットと呼ばれ、パソコン・グラフィックの ユーザーであるならば、スキャナと共に必需品だろう)のI/Oコマンドは全て、 この企業が設定したものが事実上の業界標準として採用されている。
母親に溺愛されたヒューズは、若き日のうちに両親を相次いで亡くした。 莫大な遺産を相続すると、実際の企業経営を叔父のルーパート・ヒューズに任せ、 子供の頃からの夢だったハリウッドに進出、第一次大戦の空軍パイロット達の 活躍を描いた『地獄の天使』を製作、これは、ルパン三世『死の翼アルバトロス』 『さらば愛しきルパン』『未来少年コナン』『風の谷のナウシカ』『紅の豚』など、 宮崎駿の描くアニメ作品の航空機、飛行場面に直接影響を与えている。
もともとメカ好きで、カリフォルニア工科大学中退だったヒューズは たちまち飛行機に魅せられ、1935年にヒューズ工作機会社の子会社として、 ヒューズ・エアクラフト社を設立、自ら機体の開発、製造に乗り出して行く。 当時の空の英雄、チャールズ・リンドバークとは、まさに直接のライバル関係にあった。 リンドバーグが単独大西洋無着陸横断飛行を成し遂げた全米のアイドルであるならば、 ヒューズはそれまでの大陸横断飛行の記録を破り、さらには世界一周飛行を実現させた ヒーローであった。ちなみに当時、パイロット・ライセンスを所有していたのは 全米で4223人、ヒューズのライセンス・ナンバーは80、リンドバーグは69であった。
興味深いのは彼がこうした数々の冒険やハリウッドのショー・ビジネス界に 身を晒しても、パーティーやマスコミに対しては、どちらかと言えば冷淡な態度を 取り続けていたことだ。ここから前述の大統領晩餐会の欠席といった伝説が 生まれたものらしい。一見、矛盾しているようだが、生まれつき内向的で 口数の少ないヒューズは社会の耳目を集めることよりも、自分自身への挑戦と いった形で多くの記録を作り、同時に記憶に残る人物となったのだった。 さらにハワード・ホークス監督と組んでビリー・ザ・キッドを描いた 1943年公開の『ならず者』では女優ジェーン・ラッセルのバストや胸の谷間を 強調するための、いわゆるハーフ・カップ・ブラを自ら考案、映画公開と同時に 物議を醸している。この頃からすでにマザコンのオッパイ星人との噂は関係者の 間に広まっていたようだ。
翻って、わが碇ゲンドウはどうであろうか。ゲンドウの幼少時代は 本編中で一切触れられていないため、想像するしかない。 「酔ってケンカとは、意外と安っぽい男だな」 「話す間もなく一方的に絡まれましてね」 「人に好かれるのは苦手ですが、疎まれるのは慣れています」 【第弐拾壱話/ネルフ誕生】
上記だけの会話から断定するのはいかにも拙速に過ぎるが、 ゲンドウの幼少時代は必ずしも両親の愛や家庭環境には恵まれて いなかったことだけは明らかだろう。そうでなければ、いくらなんでも 初対面の冬月に、こうもかんたんに本心を吐露する必然性は皆無だと思えるからだ。 おそらくゲンドウは養育放棄、いわゆる「ニグレクト neglect」を 受けたのではないだろうか。ユイとの結婚を機に六分儀の姓を捨てたのは、 ゼーレに接近するためのゲンドウ自身の野心もさることながら、 こうした背景が一因であろう。幼児期に肉体的虐待、性的虐待、 心理的虐待などを経験した人間は大人になると、その親と同じことを繰り返す。 すなわちゲンドウの場合、実の息子シンジに対してのニグレクトだ。
このスレッドにおいては各キャラクターの心理分析は極力避けるように努めている。 なぜなら、エヴァの主要登場人物は全て製作者、庵野秀明の人格が投影されており、 各キャラは庵野のいわゆる<ペルソナ>だと言えるからだ。しかし、おそらくは この幼児期の体験が本来、内部に潜んでいたままの昼盲症者としてのゲンドウの 資質を開花させたに違いない。アダム再生計画、人類補完計画を初めとする ゼーレの計画にはゲンドウのような昼盲症者が絶対必要だった。もちろん、 ユイはそれを承知で冬月とゲンドウの二股をかけていたとみるのが正解だろう。 また、ゲンドウはゲンドウで冬月に父親のイメージをも投影していたのかもしれない。
チャールズ・リンドバーグは第二次大戦に対して反戦中立の立場を取り続け、 ナチス政権下のドイツ空軍の優秀さを不用意に賞賛したことから「ナチスの恋人」 などと揶揄されたのに対して、ヒューズは積極的に参戦を訴え続けた。そのための 軍用機の設計、試作を行っていたが、結局ヒューズ・エアクラフト社では パイロット養成用のグライダー程度の受注しかなかった。しかし、リンドバーグが 息子のリンドバーグ二世の誘拐、殺人という悲惨な経験、さらにはこの事件で 過熱したマスコミの報道合戦に嫌気がさし、英国への移住を決意すると、前後して 日本軍の真珠湾攻撃が起こり、反戦論者リンドバーグはますます孤立を深めることになった。
この少し前、1940年にヒューズはリンドバーグとも縁の深い、トランスコンチネンタル航空と ウェスタン航空を買収、再編してトランスワールド航空TWAが誕生、名門パン・アメリカン航空との 激烈な競争に突入する。同時に反トラスト法(独占禁止法)違反容疑での議会公聴会と法廷闘争にも。 これ以降のヒューズは、まさに波乱万丈である。ラスベガス、デザート・イン・ホテル買収を 手始めに発動された、いわゆる『ラスベガス作戦 nevada operation 』に始まり、 大統領リチャード・ニクソン失脚となったウォータゲート事件、北大西洋で沈んだソ連原潜の CIAとの極秘共同サルベージ作戦など現代米国の政治、経済を語るには陰に陽に姿を現すのが ハワード・ヒューズだ。
第二次大戦の英雄であり、歴代合衆国大統領の中でも最も偉大な指導者の 一人に数えられるドワイト・ディビット・アイゼンハワーは、その最後の 議会演説において軍産複合体(コングロマリット)の危険性について 言及しているが、その筆頭がヒューズ関連企業であることに間違いはない。 また、ゼーレとキール議長の存在理由、そしてゲンドウとの関係にも示唆に富む。
「気をつけてしゃべりたまえ、碇君。この場での偽証は死に値するぞ」 「マギのレコーダーを調べてくださっても結構です。その事実は記録されておりません」 「笑わせるな。事実の隠蔽はきみの十八番ではないか」 【第拾四話/ゼーレ、魂の座】 世界各国の報道機関、ウェッブ上や『ゴルゴ13』のようなコミックにおいて、 ここ十数年来、世界中のあらゆる電子メールとファックス通信を途中傍受し、 自動分析にかけてしまう大規模なシステムについて、多くの噂、風評が流され続けている。
これは2002年に起こった9・11世界貿易センタービル爆破、米国同時多発テロを きっかけとして一般にもある程度は知られる存在となった。仏語の「梯子」から転化し、 米国軍事用語で「三角編隊」を意味する「エシュロン(echelon)」は 米国国家安全保障局(NSA)主導による全地球的な情報通信傍受システムをさす名称だ。 エシュロンは電話、ファクシミリ、電子メール、インターネットからのダウンロード、 衛星通信等、一日あたり30億もの通信を自動的、かつ無差別に傍受し、また傍受された 通信を自動的に分析、処理された情報を指定された地点へ送出するという過程を繰り返す。 エシュロンはインターネット上を行き交う通信の約90%の情報を処理できる強力な システムだといわれている。
つまり、われわれが2ちゃんねるに書き込む、この情報も 米国におかれたサーバを介して直接傍受されていると考えていい。 まして、ここで "haward hughes"と記述すれば、ほぼ間違いなく ヒューズ関連の情報として専用のファイル、セグメントへ 処理されることになる。しかし、エシュロンの正確な処理能力や 目的、情報分析の結果は現在でもなお不明なままである。
このインターネットの前身であるARPANETは当時、DEC、インテル、XEROXの 三社により考案されたが、実際の構築者こそヒューズ傘下の複数の企業である。 米国防総省先進計画研究局(DARPA)が1961年にユタ州で起こった、三ヶ所の 電話中継所同時爆破事件を教訓に3c(control/command/communication)の 脆弱性と重要性を根本から見直したのがインスタント写真、ポラロイドの 発明者であるエドウィン・ランド傘下のランド戦略研究所であり、そこから 誕生したのがARPANETである。
1990年には発展的解消を遂げてインターネットへと姿を変えた。しかし、 インターネットの奥底に存在する情報収集とその管理については 世界中の誰一人として意識していないのが現状だろう。せいぜいがwinyや ウィルス感染による個人情報の漏洩や日本版SOX法への対応が話題になる程度だが、 これさえも逆情報として利用されている可能性が高い。まして、ヒューズ関連企業は 世界最初の2基の通信衛星から始まり、気象衛星はもちろん、軍事用偵察衛星 (いわゆるスパイ衛星)までも開発、製造、管理している企業である。これは エヴァ世界における第三新東京市におけるMAGIの役割どころの話ではない。 残念だが、この部分だけはすでに現実がアニメを追い越してしまっているようだ。
ヒューズには母方からの遺伝らしいが、強迫性神経障害の資質があり、 歳と共にその傾向がひどくなった。細菌感染症を恐れるあまり、 手を洗うのに毎回、新品の石鹸を使い、それがなくなり血が滲むまで手を洗う。 爪を切り出すと深爪どころか爪がなくなるまで切り続ける。ヒゲを剃って少しでも 指先にヒゲを感じると血まみれになるまで剃り直す。彼が身の回りの世話を任せていた 敬虔なモルモン教徒が、それを止めるまで続けたため、最後にはそうしたことを 一切やらなくなった。1976年に機上で亡くなると、関係者のみでの葬儀が行われたが、 190センチあった身長が1946年の飛行機事故以来、乱用した薬物のために10センチ以上も 縮まり、髪やヒゲは伸び放題。爪も10センチ以上あったといわれる。とうてい外見からは 本人とは識別できなかったため、後に問題化するのを防ぐためにFBIが指紋を採取、 ようやく本人と確認された。 ゲンドウがEOEの最後で初号機に丸齧りされる場面はいくつかの解釈がなされているが、 これについては本説の終わりで独自の結論を出すことにしよう。
われわれは既に二元論の立場から、この世界を精神面と物質面から
捉えた二人の思想家を概観した。(
>>425 参照)これまでのほとんどの
論考が劇場版EOEに対して、人類がLCLに還元される場面で人類補完計画は
完了したと理解している。しかし、補完計画の真の目的は、そこから先に
存在している。そうでなければ、最後に残されたシンジとアスカの二人と
幻影ともされるレイの意味が全く無くなってしまう。真の問題は魂の行き着く
「その先」に存在しているのだ。
ユートピア幻視に対する概念が<アンチ・ユートピア>と<ディストピア>だ。 両者はしばしば混同され、論者によっては「同じ概念を別な表現の仕方で 行ったもの」と断言しているケースもあるようだが、これは正しくない。 アンチ・ユートピアとはユートピアを目指してそれが暴走した結果、 完全管理社会となり恋愛や結婚、さらには職業や死に至るまでの決定権を 剥奪され、一方的に与えられるようになったものだ。これに対してディストピアとは 貧富の差、飢餓、環境汚染、犯罪、人口爆発、エネルギー問題、人種や宗教、 職業の差別など現代社会が抱える問題をそのまま引きずり、テクノロジーの発達により、 それがグロテスクに巨大化した社会を表現したものだからだ。映画では『ガタカ』 『2300年未来への旅』、G・オーウェルの原作を映画化した『1984』『未来惑星ザルドス』 などはアンチ・ユートピア作品であり、『傷だらけのアイドル』『ソイレント・グリーン』 『ブレード・ランナー』『未来世紀ブラジル』『時計じかけのオレンジ』などは ディストピア作品の代表的傑作だと言える。
注目すべきはユートピアの作家、論客の間には不思議なことに ゲルマン系の人間がほとんど見当たらないことである。逆に ゲルマン系の人間には黙示録的世界を描いたものが多い。 昼盲症者には暗く破滅的なイメージを透視、確立するのは可能だが、 明白なユートピアの組織図、設計図を描くのは至難の業だと言えるのだろう。 ドイツにナチズムが成立したのはゲルマン民族における、ユートピア構築能力の 本質的欠如によるものと関連付ける見解さえある。これは容易にゼーレとネルフの 関係に重ね合わせることができる。実際にゼーレのキール・ローレンツは明らかに ゲルマン人であり、このユートピア/ディストピア幻想を加味するとゲンドウと ゼーレの人類補完計画の違いが明白となる。
つまり、ゼーレの人類補完計画が神にも等しい存在となる形而上的ユートピアを 目指しながら具体的構築手段に欠けるのに対し、昼盲症者たるゲンドウには、 その前段階としてのディストピア構築幻想を把握しているからだ。当然、ゲンドウの ディストピア幻想には超越的存在を最終目標として、エヴァ初号機内部で、 その中間的存在となっているユイとの再会が含まれる。
では、そのゲンドウのディストピア幻視はどこから投影されたものであろうか。 プラトンはこの世界を構築した比較的低級な存在を<デミウルゴス>と呼称した。 デミウルゴスはユダヤ教/キリスト教/イスラーム教などの一神教における 全知全能の絶対神ではなく、<イデア>という設計図を基にして、それを歪んだ形で 実現した無能な手抜き職工に過ぎなくなる。だからこの世界は矛盾だらけの 不完全なものとなったのだ。昼盲症者であるゲンドウが見通せる闇の幻像、 それこそが新世紀の暗黒面に秘められたサード・インパクトを含む過去、現在、 未来の秘密だろう。すなわち「死海文書」と<アーカーシャ年代記>以外にない。
さて、われわれは、すでにユイに対する<虚無主義 nihilizm>に
ついては簡単に触れておいた。(
>>48 参照)ここではエヴァにおける
全体像について、ニヒリズムの視点から掘り下げてみよう。
庵野秀明自身の破滅願望が色濃く出されたTVシリーズ後半や劇場版EOEの 結末に幻惑されることなくエヴァ世界全体を俯瞰すれば、そこに存在しているのは、 明らかに<超人願望>と<永遠回帰>の思想、哲学だ。特にこれはエヴァ最大の謎、 人類補完計画に直接関係する重要概念だけにエヴァ世界における暗黒面の謎、疑問を 解く上で最も重要な思想的哲学的鍵となる。当然のことながら、この二点を真剣に 検討するならば、まずフリードリッヒ・ニーチェの思想哲学を学ばなくてはならない。
だからといって、今さら冗長性の高いニーチェの著作を紐解く必要性は全くないと言える。 なぜなら、われわれはすでにニーチェ哲学の真髄ともいえる、その思想的エッセンスを 抽出して見事な物語として具現化、発達したテクノロジーとの融合を果たしつつ、 完璧な思想体系を再構築した作品をすでに手中にしているからだ。これこそ正に、 われわれ凡人に対する天才による天才の解説書であると言っていい。すなわち、 われわれはまず何よりも先にスタンリー・キューブリック監督作品『2001年 宇宙の旅』を 徹底検証することから始めなければならない。
乙
大量投下おつ
まち
死死死死屍死死死死死死死死死死死死死死死死死死死腐腐腐腐腐腐腐腐死死死死尿尿 死死死屁屁屁屁死死糞死尿尿尿尿尿尿尿尿尿尿尿尿尿尿死死死死死死死屍屍死死死死 死死死死死死死尿尿尿尿尿尿尿尿尿尿死死死腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐死死死死死死 腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐尿尿 死死尿尿尿尿尿尿尿尿尿尿死死死腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐死死死死死死死死死死死 死尿尿尿糞尿死死死腐腐腐腐尿尿尿尿尿亀頭死腐腐腐腐尿尿尿尿尿屁死糞腐腐腐腐尿 死死死死死死屍尿尿尿尿尿尿腐腐腐糞腐腐腐腐腐尿尿死死死屍尿尿死死死腐腐死死死 死死死腐腐腐腐尿尿尿尿尿死屁死腐腐死死死腐腐腐腐尿尿尿尿尿死死死腐腐尿尿尿尿 性病性病性病性病性病性病性病性病性病性病性病性病性病性病性病性病性病性病幼女 幼女強姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦姦 腐腐腐尿尿尻尿尿死死死腐腐腐腐尿尿尿尿尿死死死腐腐腐腐尿亀頭尿尿死死死腐腐腐 排卵排卵排卵排卵排卵排卵排卵排卵排尻排卵排卵排卵排尻排卵排卵射精射精射精射精 死死死死死死尿尿亀頭尿尿尿尿尿死尻死死死死尿尿尿尿屁尿尿尿尿死死死尻死死尿尿 死死尿尿尿尿尿尿尿尿尿尿死死死腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐死死死死死死死死死死死 死尿尿尿尿尿死死死腐腐腐腐尿尿尿尿尿糞糞糞腐腐腐腐尿尿尿尿尿死死死腐腐腐腐尿 死死死死死死死尿尿尿尻尿尿腐腐腐腐腐腐腐腐腐尿尿死死死尿尿尿死死死腐腐死死死 死死死腐腐腐腐尿尿尿尿尿死死死腐腐死死死腐腐腐腐尿尿尿亀頭死死死腐腐尿尿尿尿
とりあえず掃除しますよ | シャカシャカ o)) o ((雨,;、
*二人の親、碇シンジ/Shinji : Parent Double. *影の誕生、綾波レイ/Rei : Rebirth of shadow. *単眼巨人と惣流・アスカ・ラングレー/Asuka : Stranger or Outsider. *昼盲症者、碇ゲンドウ/Gendou : The Nyctopia. *最後の錬金術師、碇ユイ/Yui : The Last and Ultimate Alchemist. *老賢者、冬月コウゾウ/Kouzou : The Hermit. *巫女、葛城ミサト/Misato : A real maiden. *無意識のチャネラー、赤木リツコ/Ritsuko : March of Black Queen. *トリックスター、加持リョウジ/Ryohji : The Trickster. *ホムンクルス、渚カヲル/Kaworu : To be, or Not to be ? *魂、コア、アトランティス/Soul, Core and Atlantis. *死海文書、ネクロノミコン、アーカーシャ年代記/Dead Sea Scrolls, Necronomicon and Akasa Chronicle. *二元論と三位一体/Which way to MAGI system ? *ゼーレの目的、ネルフの使命、ガイストの結論/Seele, Nerv and Geist. *終着の浜辺におけるグノーシス主義/Gnosticism on Terminal Beach. *二人の親、碇シンジ/Shinji : Parent Double. *影の誕生、綾波レイ/Rei : Rebirth of shadow. *単眼巨人と惣流・アスカ・ラングレー/Asuka : Stranger or Outsider. *昼盲症者、碇ゲンドウ/Gendou : The Nyctopia. *最後の錬金術師、碇ユイ/Yui : The Last and Ultimate Alchemist. *老賢者、冬月コウゾウ/Kouzou : The Hermit. *巫女、葛城ミサト/Misato : A real maiden. *無意識のチャネラー、赤木リツコ/Ritsuko : March of Black Queen. *トリックスター、加持リョウジ/Ryohji : The Trickster. *ホムンクルス、渚カヲル/Kaworu : To be, or Not to be ? *魂、コア、アトランティス/Soul, Core and Atlantis. *死海文書、ネクロノミコン、アーカーシャ年代記/Dead Sea Scrolls, Necronomicon and Akasa Chronicle. *二元論と三位一体/Which way to MAGI system ? *ゼーレの目的、ネルフの使命、ガイストの結論/Seele, Nerv and Geist. *終着の浜辺におけるグノーシス主義/Gnosticism on Terminal Beach.
死死死死屍死死死死死死死死死死死死死死死死死死死腐腐腐腐腐腐腐腐死死死死尿尿 死死死屁屁屁屁死死糞死尿尿尿尿尿尿尿尿尿尿尿尿尿尿死死死死死死死屍屍死死死死 死死死死死死死尿尿尿尿尿尿尿尿尿尿死死死腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐死死死死死死 腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐尿尿 死死尿尿尿尿尿尿尿尿尿尿死死死腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐死死死死死死死死死死死 死尿尿尿糞尿死死死腐腐腐腐尿尿尿尿尿亀頭死腐腐腐腐尿尿尿尿尿屁死糞腐腐腐腐尿 死死死死死死屍尿尿尿尿尿尿腐腐腐糞腐腐腐腐腐尿尿死死死屍尿尿死死死腐腐死死死 死死死腐腐腐腐尿尿尿尿尿死屁死腐腐死死死腐腐腐腐尿尿尿尿尿死死死腐腐尿尿尿尿 性病性病性病性病性病性病性病性病性病性病性病性病性病性病性病性病性病性病幼女
まち
博士まち
乙
乙
まち
稲荷町
昔は半月とか一週間に一度保守しておけばよかったけど、最近はもう頻繁に・・
machi
続き待ち
まち
十日町
Dr.K氏期待してますよー
まち
期待待ち
待機
乙
待機圏突入
隊旗
555!
大紀
「科学もまたひとつの信仰に基づいており、 『無前提』の科学など全く無いということは一般に認められている」 【悦ばしき知識】
『2001年宇宙の旅』(以下、『2001年』)上映開始と同時に鳴り響く リヒャルト・シュトラウスの『ツァラトゥストラかく語りき』を最初に聞けば、 誰でもこの作品がニーチェの思想を具現化したものだと察しがつく。 庵野秀明がニーチェの著作に親しんだ事実は、これまで確認できていないので (ご存知の方がいればご教授願いたい)、われわれが探求する新世紀の暗黒面に ニーチェの思想、哲学が伺えるとすれば、それは明らかに『2001年』の影響である。
「我々が今、世界と名付けているものは一群の誤謬や空想の産物であって、 それらの誤謬や空想は有機体の総体的発達のうちで徐々に発生し、 互いに癒着し合い、今では過去全体の蓄積された遺産として我々に相続されたものである」 【人間的・あまりに人間的】
エヴァにはこれまでにも「ウルトラマン」「サンダーバード」「ガンダム」等、 種々の作品の影響が指摘されているが映像的、思想的な影響と言う点では、 この作品が最右翼であろう。もちろん、全体構成と文字での影響として、最大のネタ本は ダグラス・ホフスタッター『ゲーデル、エッシャー、バッハ』を忘れてはならない。 不思議なことに、ここエヴァ板ではほとんど触れられていないが、クラッシクと論理、 矛盾に満ちた構成、だまし絵的イメージなどは全てこの著作が直接のヒントに なっていることに間違いない。この点については後日、改めて考察することにして、 今は『2001年』である。
「ニヒリズム。それは二義的である。 A:精神の上昇した権力の徴候としてのニヒリズム、すなわち能動的ニヒリズム。 B:精神の権力の衰退や後退としてのニヒリズム、すなわち受動的ニヒリズム」 【権力への意志】
両作品の共通点としてはスーパーコンピュータ、HAL9000とMAGI。 超越的存在。モノリス。月。超空間。人類の進化などのキーワードが 浮かび上がる。まず、イメージとしてのモノリスを取り上げてみよう。 エヴァではゼーレのメンバーがホログラムとして投影されたイメージ であるが『2001年』および、その続編である『2010年宇宙の旅』では 人類の進化を促す、地球外知的生命体により作成された自己増殖型 セル・オートマトンであるとの設定になっている。
「真理の敵。確信は虚言よりも一層危険な真理の敵である」 【人間的・あまりに人間的】 モノリスの幾何学的構成。数学的特徴はSFファンにはお馴染みだが、 エヴァではあまり知られていないようなので、明記しておくのも無駄ではないだろう。 A.C.クラークの原作によれば具体的数値は不明だが、モノリス三辺の長さは 正確に1:2:3の二乗に比例しており、地球外生命体も自然数を基にした数学的体系を 確立していること、これを二乗した意味は重力、および電磁気力などの物理的、 幾何学的体系がわれわれと同じ四次元の<ミンコフスキー空間>であることを 他の知的生命体に知らせようとしていることを暗示している。 ご承知のように重力、正確に言えば重力波は「逆二乗則(逆自乗則とも)」 により二つの物質の中心距離の二乗の割合で減衰するが、事実上の無限遠にまで達する。
「最後の懐疑。結局のところ一体、人間の真理とは何であろうか? それは人間の論駁不可能な誤謬である」 【悦ばしき知識】 1997年ロバート・ゼメキス監督作品『コンタクト』ではジョディ・フォスター演じる 主人公の女流科学者エミーが時空間転送装置ポッドを使用して宇宙空間にある 複数のワームホールを通過、こと座のヴェガへと到達して知的生命体に遭遇する。 映画はフォスターの演技とSFX以外、大して見るべきものはない。なにより、 原作に存在する思想、哲学を全く理解しないままの結末はハリウッドの限界を 露呈させている。だが、その原作者であり、惑星探査機ボイジャーに各国語の挨拶や 動物の鳴き声を録音した黄金のレコードを搭載、地球外知的生命体へのメッセージと したのが、日本でもお馴染みの天文学者カール・セーガンだ。これは大きな反響を 巻き起こし、劇場版『スタートレック』や英国TVシリーズ『スペース1999』などで 繰り返し取り上げられている。日本でも松任谷由美が小松左京原作の映画 『さよならジュピター』のイメージソングのアイデアとして使用している。 「誤謬と無知とは宿業的なものである。真理は現に存在しており、 無知と誤謬は終わったという主張はありうるもののうちで 最大の誘惑のひとつである」 【権力への意志】
「総じて『認識』という言葉が意味を持つ限り、世界は認識されうるものである。 しかし、世界はいか様にも解釈されうるものであり、世界は己の背後に確定された 如何なる意味をも持ってはおらず、逆に無数の意味を持っている。すなわち『遠近法』である」 【権力への意志】
この作品と『2001年』は、いずれも主人公が超空間を通過して地球外知的生命体との 第三種接近遭遇するくだりは同じだが、その方法は全く異なる。60年代には、 すでにブラックホールが時空の抜け道であり、別な宇宙への入り口だとする説が存在していた。 コミックや小説では何度も使われたアイデアだが、実際にブラックホールを通過できたとしても 一方通行であり、元の世界に戻ることはできないのだ。セーガンは原作執筆に当たってその点に注目、 当時、一般相対性理論の権威であったカリフォルニア工科大学(カルテク)の理論物理学教授、 キップ・S・ソーンに助力を求めた。ソーンは難解な一般相対性理論を再度注意深く検討し、 ついにアインシュタイン方程式の新しい解を発見した。
その解によれば、重力で歪曲した空間は一方通行でなく、 そこを往復することはもちろん、時間旅行さえ可能になるのだ。 この部分は映画のラストのオチにも採用されている。 その間の経緯と詳細を知りたい方は翻訳も出ているK.S.ソーン 『ブラックホールと時空の歪み―アインシュタインのとんでもない遺産』を ぜひ、お読みいただきたい。重力理論である一般相対性理論と、そこから導かれる ブラックホールの存在についての書籍はそれこそ何百冊とあるが、 一般向けの解説書としてはスティーヴン・ホーキングやロジャー・ペンローズ 等の著作と共に五指に入る傑作だろう。純然たる読み物としても破格の面白さだ。 特に今後考察する使徒が存在する世界とATフィールドの正体に関しては 重力に対する理解が欠かせない。
「この遠近法的世界、視覚、触覚、聴覚が捉えるこの世界は、 はるかに精緻な感覚器官の捉える世界と比較しただけでも、 完全な偽りである」 【権力への意志】 「世界を解釈するもの、それは我々の欲求であり、我々の衝動とこのものの賛否である。 いずれの衝動も一種の支配欲であり、いずれもがその遠近法を持ち、己の遠近法を規範として、 その他全ての衝動に対して強制しようとするものである」 【権力への意志】 「いかなるもののみが認識でありうるのか?『解釈』であり、『意味の置き換え』であって 『説明』ではない。『事実』などというものはなく、全てのものは流動的で、捉え難く、 消え去るべきものである。最も持続的な存在は当然、我々の私見である」 【権力への意志】
さて、『2001年』ではモノリスが太古の地球、月のティコクレーター、 木星の軌道上の三箇所に存在し、それぞれ月や太陽の位置がモノリスの 機能を活性化させる描写があった。また、EOEの最後で初号機が ロンギヌスの槍と共に宇宙の果てに消えていく場面は明らかに 木星軌道上のモノリスと重なる。『2010年』ではモノリスが無数に分裂、 増殖し木星の質量増加により核融合反応を誘発し、第二の太陽 ルシファーの誕生となる。
乙です
乙
ウッス
まち
たいき
★
ほす
しかし、なんで目次順じゃないの?
GJ
taiki
稲荷町
十日町
まち
machi
稲荷町
エヴァは十周年ですが、お二人は四周年ですね。
誤爆スマソ
なにごともなかったかのように投下まち
博士まち
まち
保守
*二人の親、碇シンジ/Shinji : Parent Double. *影の誕生、綾波レイ/Rei : Rebirth of shadow. *単眼巨人と惣流・アスカ・ラングレー/Asuka : Stranger or Outsider. *昼盲症者、碇ゲンドウ/Gendou : The Nyctopia. *最後の錬金術師、碇ユイ/Yui : The Last and Ultimate Alchemist. *老賢者、冬月コウゾウ/Kouzou : The Hermit. *巫女、葛城ミサト/Misato : A real maiden. *無意識のチャネラー、赤木リツコ/Ritsuko : March of Black Queen. *トリックスター、加持リョウジ/Ryohji : The Trickster. *ホムンクルス、渚カヲル/Kaworu : To be, or Not to be ? *魂、コア、アトランティス/Soul, Core and Atlantis. *死海文書、ネクロノミコン、アーカーシャ年代記/Dead Sea Scrolls, Necronomicon and Akasa Chronicle. *二元論と三位一体/Which way to MAGI system ? *ゼーレの目的、ネルフの使命、ガイストの結論/Seele, Nerv and Geist. *終着の浜辺におけるグノーシス主義/Gnosticism on Terminal Beach.
ここまでのまとめ +>1 目次 (「二人の親」→「二重の親」に変更) +>3-11,17-25,34-49 最後の錬金術師、碇ユイ/Yui : The Last and Ultimate Alchemist. +>86-117 トリックスター、加持リョウジ/Ryohji : The Trickster. +>155,150-154 番外編 +>167-175,179-189,219-230,237-241,247-251,254-258,266-276 二人の親、碇シンジ/Shinji : Parent Double. +>291-297,311-322,329-333,361-377,383-386,399-403,417-426 魂、コア、アトランティス/Soul, Core and Atlantis. +>445-461,487-489,506-529,557-569, 昼盲症者、碇ゲンドウ/Gendou : The Nyctopia.
乙
この木星太陽化計画は映画はもちろん、クラークの原作よりも早い1977年に
庵野が最も影響を受けた漫画家の一人、星野之宣が『巨人たちの伝説』で
コミック化している。(参考:
>>400 )さらにシリーズ四部作の最終話
『3010年終局への旅』では、モノリスがかつて存在した人間やHAL9000型
コンピュータまでをもエミュレートする能力を持ちながらも、銀河系規模の
ネットワーク・サーバの一部でしかないことが判明する。
「我々は世界がひとつの生命体であると考えないよう、十分に注意すべきだ」
【悦ばしき知識】
「世界は無限に解釈可能である。全ての解釈が生長の徴候であるか、または没落の症候である」 【権力への意志】 三部構成となる映画『2001年』で特に注目すべきは猿人のリーダー 「月を観るもの(moon wathcher)」と宇宙船ディスカバリー号の船長、 デヴィット・ボーマンが、いずれもモノリスとそれを製作した地球外 知的生命体により、超進化を遂げることだ。これは明らかにニーチェ思想に おける<超人>の概念であり、クラークがグノーシス主義をモチーフにした作品 『幼年期の終わり』において、より先鋭的に取り上げられたテーマだ。もちろん、 人工進化研究所の所長であったゲンドウが目指していた最終目標でもある。当然、 エヴァ世界における「E計画」「アダム計画」「人類補完計画」という一連の流れ とも密接な関係があるはずだが、なぜかこの点に触れた論考は少ない。綾波レイも、 この延長線上にその存在価値があるのは間違いない。こうした流れを追って行けば、 自ずとゼーレとゲンドウの人類補完計画の違いも明らかとなる。
「全ての存在は偽である。全ての存在は許可されている。 これらがそれ自体で存在するとしても、我々はその本質が何であるか理解できない」 【権力への意志】 その任務の最終目的を知らされぬまま人類最初の木星飛行へと出発した 乗組員はスーパー・コンピュータ、HAL9000の反乱に直面する。この部分は 現在でも議論を呼ぶ場面であり映画、原作ともに不明瞭な描かれ方でしか なかった。しかし、続編の『2010年』では明確に原因の特定とその対処が なされている。映画のHALが乗員を抹殺しようとしたのは事前にHALだけに 真相が知らされており、それを時がくるまで乗員達には知らせてはならない、 という厳命が下されていたためだ。その命令を忠実に実行するには全乗員の 抹殺が最適解であるとの判断をHAL自身が下したことになっている。この HAL9000の行為はMAGI、チューリング・マシンとの関連を含めて、別項で 詳細に考察しよう。 「『真の世界』が例えどのように常態として構想されてきたにせよ、 それは常に間違いなく、またしても『仮想の世界』であった」 【権力への意志】
「世界の価値は我々の解釈のうちに存在する」 【権力への意志】 この困難を乗り越えてボーマン船長は木星軌道上へ到達し、ワームホールを 通って地球外知的生命体の遺産と対峙する。この部分はまさにニーチェが 『ツァラトゥストラ』第四部最後の場面において語った、超人たりえなかった 七人の高等な人間たちの苦悩に対する同情とその同情の克服に相当する。 「『語り続けるのをやめなさい』と再びその鷲と蛇がツァラトゥストラに答えた。 見よ、あなたは永遠回帰の教師である。これが今やあなたの運命なのだ」 【ツァラトゥストラかく語りき】
「全ての意味は権力への意志である」 【権力への意志】 ゼーレは弱者の集団である。だからこそ世界を操る経済力と政治力を 持ちながら、人体改造まで行い生き延びている。碇ゲンドウは弱者である。 だからこそ疎まれるのを承知で人工進化研究所の所長からネルフの司令の 任を担っている。葛城ミサトは弱者である。だからこそ父の仇と思いつつ、 作戦課長としてエヴァの指揮をとる。赤木リツコは弱者である。常に優秀 だった母親と比較され、不在の父親の影を引きずりつつネルフ、ナンバースリーの 座にある。惣流・アスカ・ラングレーは弱者である。天才少女と自他ともに 認めながら、エヴァパイロットとしての自分以外に存在価値を認めることが できない。そして最も弱者なのは碇シンジである。 弱者にはルサンチマン ( =ressentiment 怨恨、憎悪、嫉妬など弱者が強者に対して持つ負の感情)が 鬱積する。その行き着く先は強者、すなわち超越的存在の破壊か、自らが 強者となることである。すなわち「神は死んだ」のだ。 「誰が命令しうるのか。誰が服従しなれければならないのか。これがそこで試みられるのである。 おお、どれほど長い間、探求と推量と失敗と習得と新たな方法によって試されたことか。 人間社会、それはひとつの試みである、そう私は教える。しかし、人間社会が探求するのは命令者である」 【ツァラトゥストラかく語りき】
「大多数の者は死ぬのが遅すぎ、極少数の者は死ぬのが早すぎる。 『時宜(じぎ)を得て死ね!』という教えは、まだ異様に響く。そうツァラトゥストラは語った」 【ツァラトゥストラかく語りき】 「未来の強者。より強い種を産出するための諸条件をそこここで達成してきたのは、 あるいは困窮、あるいは偶然であったが、我々は現在、これ等の成しえたことを明確に捉え、 意識的に意欲することができる。すなわち我々は、そのような向上を可能ならしめる諸条件を 創造することができるのである」 【権力への意志】 人類保管計画の真の目的がここにある。
「夢の誤解。夢の中で野蛮な原始的文化時代の人間は、第二の実在世界を知っていると信じた。 ここにあらゆる形而上学の起源が存在する」 【人間的・あまりに人間的】 言うまでもなく、冬月コウゾウの専門は形而上生物学である。 彼と第二の実在世界の関係は別項に譲ろう。 「夢が無ければ世界を分割すべき、なんらの機会を得ることもなかったであろう。 霊魂と肉体とに分解することも、また夢の最も古い見解と関連している」 【人間的・あまりに人間的】
「偉大さを求めて努力する人間は己の軌道上で出会う誰でも手段とみなすか、 遅滞や阻止とみなすか、しばしの休息の場とみなすかのいずれである」 【善悪の彼岸】 目的のためには手段を選ばず。はたしてユイは超人たる資格を持ち、 永遠回帰を超越した彼方へと旅立ったのであろうか。その一方で主人公、 碇シンジは超人になるべき資格を与えられながら、それになれなかった 「超人失格者」である。これはゲンドウにも当てはまる。ユイが ニヒリズムによる単独での人類生存の証を求めながら、ゲンドウには それができなかった理由は、ゼーレと同じくひとえに「権力への意志」の 有無である。つまり、作品を見ての通り人類補完計画そのものはゼーレと ゲンドウがそれぞれ描いたシナリオに本質的違いはなんら存在し得ない。 つまるところ彼らは弱者のままその存在を終え、シンジとアスカは弱者なるが ゆえに永遠回帰を逸脱して戻って来たのだ。 「最も偉大な者であるべき存在とは、最も孤独な者、最も隠れた者、 最も隔絶した者でありうる存在であり、善悪の彼岸の人間、己の諸徳の支配者、 溢れる意志の支配者たる者であり、多種多様であると同時に全体、広大であり、 同時に充実でありうることこそ、偉大さと呼ばれるべきものである。 そして今一度問うが、今日偉大さは可能であろうか?」 【善悪の彼岸】
「偉大さとは方向性を与えることである。いかなる河も己自身によって大きく豊であるわけではない。 そうでなく、極めて多くの支流を受け入れて流れ続けることで、そうなるのである。 精神の全ての偉大さに関しても、事情は同じである」 【人間的・あまりに人間的】 これまでも、そして現在でもエヴァがカバラ、ユダヤ/キリスト教の概念、 イメージを作中にちりばめていることからこれを直接的影響とみなし、 宗教的形而下の作品とみる見解が根強く存在する。しかし、ここまで 読み進められたリーダー諸賢にはすでにお分かりのように、エヴァは ニーチェ思想を具現化した極めて反宗教的、反キリスト教的形而上作品である。 ことにエヴァの各登場人物がなんらかのトラウマ、ルサンチマンを抱えたまま エヴァという問題解決の中心点に到達することなく思考停止を繰り返しつつ、 同心円を描いて運動し続けていることだけなのは、そのなによりの証拠であろう。 「私は諸君らに精神の三つの変化を挙げておいた。すなわち、精神が駱駝(ラクダ) になり、駱駝が獅子になり、そして最後は獅子が子供になった顛末を」 【ツァラトゥストラかく語りき】
「『仮想の世界』とは還元すれば、価値に従って眺望される或る世界のことである。 ゆえに遠近法的観点が『仮想性』という性格を与えるのである」 【権力への意志】 本来なら、ここで「セフィロトの樹」に関しての考察を行う予定だったが、 あまりにも回り道をしてしまった。とりあえず全ての項目に関して述べたあと、 時間と機会があれば補完の形でまとめたい。 「いったい人間の未来全体にとって、最大の危険はどのような者たちの元にあるのか。 それは善にして義なる者たちの元にあるのではないか」 【ツァラトゥストラかく語りき】
605 :
ケペル博士 :2006/06/11(日) 23:52:11 ID:???
>>600 ×人類保管計画 ○人類補完計画
他にもミスありそうです。ご指摘を。
乙です
otsu
乙
まち
まちまち
まちまちまち
期 待
稲荷町
街
保守
保全
保守
投下待ち
保守
ho
syu
保全
まち
保守
保守
そしてage
保全
保守
保全
マダ
稲荷町
*無意識のチャネラー、赤木リツコ/Ritsuko : March of Black Queen. 赤木リツコ。ネルフ本部技術開発部技術局1課所属。E計画担当責任者。 30歳。女性。11月21日生まれ。血液型B。司令の碇、副指令の冬月に次ぐ ネルフのナンバー・スリーの座にあり、ほとんど全ての秘密事項を知る 存在と思われる。特にネルフ内における人間関係は興味深いものがある。 すなわち、2008年にリツコが第二東京大学を卒業後、ネルフの前身ゲヒルンに 入所したのは本来なら大学院へ進むべきところを母親ナオコの意志が 働いたのではないだろうか。MAGIの開発、設計、製造はナオコが行ったものの、 実際の立ち上げから改良はリツコが行っている。
そこで、リツコの役割だが、神話伝説上における<黒の女王>であろう。 すなわち黒の女王は魔術を用いて支配者である王を虜にし、己の欲望を 満たしてゆく。黒の女王は古(いにしえ)の封印された知識、失われた 秘密に精通しており、怪しげな儀式を行うために常に人身御供を要求する。 これは単純にリツコがMAGIのシステム管理者であることと容易に同一視できる。 伊吹マヤについては主要コンテンツが一通り終了した後で機会があれば 取り上げる予定だが、黒の女王が行う儀式に対する巫女だと捉えると理解しやすい。 巫女の条件はなにより「処女」である必要性があるからである。そして人身御供とは もちろんLCL水槽中の綾波レイだ。ネルフの支配者であるゲンドウについては 言うまでもない。
神話伝説上における黒の女王は、なんと言ってもギリシャ神話における 王女巫女であるメディアである。ハリー・ハウンゼンによるダイナメーションの 傑作『アルゴ探検隊の大冒険』やオペラ歌手マリア・カラス主演のパゾリーニ監督作品 『王女メディア』など映画化された作品でご存知の方も多いだろう。基本的な 人間ドラマとしての普遍性を持つことから紀元前5世紀にはエウリピデスやセネカの 劇作をはじめ、ドラクロアの絵画、ケルビーニのオペラ等、多くの芸術作品のモチーフ として採用されている。
イアソン(英語読みジェイソン)は賢者ケンタウロスに育てられ、 父の王位を奪った叔父に王位返還を迫る。叔父は黒海の奥のコルキス国にある 金毛羊皮を持ってくれば王位を返すと約束したため、イアソンはアルゴー船で コルキスに向かう。コルキス国王女メディアはエロス神の策略でイアソンに 一目惚れして彼を助け、金毛羊皮を奪いアルゴー船で逃亡するが、途中、 追手に追いつかれそうになる。するとメディアはコルキス王の船の眼前に おいて王位継承者の実弟を八つ裂きにして心臓をえぐり出し、ばらばらに 海中に投棄する。コルキス王がそれを回収している間にイアソンらは逃亡に 成功、帰国する。しかし王位は返還されず二人はコリントス国に移住、 イアソンはコリントス国の王女グラウケーと婚約してしまう。裏切られた メディアは呪いの炎でコリントスの王と王女を死においやり、イアソンとの間に もうけた二人の息子まで殺して家に火を放ち、祖父である太陽神ヘリオスから 譲られた、翼のある竜の曳く車で逃げ去ったという。
一般にギリシャ神話は極めて人間的な神々が登場するが、メディアは 例外的な妖婦、毒婦として描かれている。夫であるイアソン本人の身から 出た錆とは言え、気性の激しい自立した女性以上のものとして、男性の恐怖心、 背信のうしろめたさを具現化した存在であるということが言えるだろう。 もちろん、リツコも母親であるナオコと同じく碇ゲンドウの愛人となり 人類補完計画を推進しつつ、最後に裏切られるのは黒の女王の宿命である。
また、神話伝説で明言されているものは少ないが、黒の女王は性的技巧に 優れている点を見逃すことは出来ない。エヴァではユイと共に赤木母娘を 垂らし込んだゲンドウの性的魅力、ないしは性的技巧を取り上げることが多いが、 ここは視点を逆にとってむしろユイと赤木親子の性的魅力、実際の性交術こそ 取り上げるべきだろう。いくらゲンドウが仕事上必要だからといって、年増女の ナオコをいやいや抱いていたとは考えにくい。ましてや男性の肉体、特にその下半身は、 その方面では女性より正直にできている。従って、赤木母娘は遺伝的にいわゆる名器の 持ち主であったと考えるのが妥当ではないか。少なくともゲンドウとの肉体的、 性的相性が他の異性(おそらくは本編中に一切登場しなかったナオコの夫、 すなわちリツコの実父を含めて)よりも抜群に優れていたことだけは確かだろう。
さらに黒の女王の特徴は男性をたぶらかすと同時に同性愛者でもあるという点だ。 これは前述のマヤとの関係に明らかである。あるいは学生時代の葛城ミサトとの間にも、 それに近いものがあったのかもしれない。リーダー諸賢はリツコが加持の存在を 疎ましく思うような回想場面があったのをご存知だろう。
古代バビロニアにおいて、その王は毎年新年の初めに女神の神殿で 女大司祭ハリーヌと性交儀礼を行ない、 女神に選ばれた夫として 支配者の認知を受けた。女神の神殿では巫女が聖娼として男たちと交わり、 女神の恩恵を与えるものとして崇められた。英語の「快感」 "ecstasy" は 本来、宗教的法悦感を意味するものであることは知られているだろう。 つまり、王たる者は女性の性的快感を満足させる存在でなくてはならず、 はっきり言えば早漏では務まらなかったということだ。ここら辺りにユイが 冬月に語ったゲンドウの誰も知らない可愛さの秘密があると思われる。 「あら、冬月先生。あの人は、とても可愛い人なんですよ。みんな知らないだけです」 「知らないほうが幸せかもしれんな」 【第弐拾壱話/ネルフ、誕生】
この点からすると第弐拾弐話でシンジが着ていたTシャツの「XTC」(エクスタシー)
のロゴもなにやら意味深長に捉えることもできるが、これは深読みし過ぎだろう。
ただし、EOEにおいてシンジとアスカの性交不成立と思われる場面があったことは、
それが現実か空想かは別にしても注目されるべき事実だ。われわれはすでにA10神経、
シンクロ率、LCLやパイロットの関係について考察した。(参照:
>>239-275 )
こうしたシャーマンとシャーマニズムは日本の邪馬台国、卑弥呼など、 世界各地にあったはずだが、ユダヤ教の成立と共に排撃されるようになった。 女性が性的満足を得るのは恥とされ、この傾向はさらにキリスト教によって 強められた。中世の魔女裁判などは女性の性的不満からの集団ヒステリー発作で あることはフロイトの例を引くまでもなく、いくつかの史実が示している。
642 :
城所浩司 :2006/07/18(火) 23:48:30 ID:???
ゲンドウは道鏡だったのか。
保全
保全
論考の流れからして、ここではヴィルヘルム・ライヒに触れないわけにはいかない。 このスレッドをご覧いただいているリーダー諸賢ならばフロイトの無意識、リビドー、 ユングや集合的無意識、元型等の概念はご存知だろう。しかし、ライヒやオルゴン、 クラウドバスターに関してはどうだろうか。庵野秀明もフロイト、ユングには しばしば言及しているが、ライヒに関しては全くのノータッチである。
ヴィルヘルム・ライヒ(1897〜1957)はユダヤ系オーストリア人であり、 裕福な家庭に生まれた。彼自身が幼少時代のことについては、ほとんど語っていない ために詳しいことは判っていない。一説によれば彼の家庭教師と母親の不倫現場を 目撃し、それを父親に告げ口したため母親が自殺、父親も実際には自殺のような形で 病死したということだ。第一次大戦後、医学を学んだライヒとフロイトの性本能(リビドー)を 中心とした精神分析との出会いは正に衝撃的だった。1920年、ライヒはフロイトの認知を受け、 ウィーンの精神分析学会の会員となり、さらに1922年にはウィーン分析療法セミナー、 創設メンバーの中心として活躍、分析治療の先駆者としてその名を知らぬ者はいないほどの 存在となった。1928年、精神分析総合病院の副院長に就任、フロイトと訣別したユングの後を継ぎ、 その右腕となった。
しかし、いわゆる精神分析左派の草分けとしてフロイトとマルクス理論の統合(参照:
>>425 )
を目指したライヒの過激な言動は次第に精神分析派、マルキスト双方から糾弾されるようになった。
共産主義者としても積極的に活動していたが1933年ドイツ共産党から、ついで1934年国際精神分析学会
からも除名された。これにはフロイトとの実際の精神障害に対する姿勢の違いに起因している部分も
多かったようだ。フロイトは初期に神経症を次の二つに分類していた。
1):精神神経症 (はるか昔、特に幼児期に起きた出来事に原因があるもの)
2):現実神経症 (自慰行為や性的不能。レイプ、サドマゾや早漏など現在進行形の性的障害によるもの)
フロイトは1900年頃から精神神経症のみに取り組み、現実神経症には触れることさえ なくなった。しかしライヒはフロイト自身の説をさらに深め、精神分裂症から躁うつ病まで 全ての神経症は「真の性的快感(オルガスム)に達しえないことから引き起こされる」とし、 「<真のオルガスム>とは快感に満ちた無意識の肉体的収縮を通じて、鬱積した性的興奮を 完全に放出する能力」と定義した。ナチスが優勢となるとノルウェーに亡命、そこで1935年、 バイオンを発見する。これは殺菌した石炭や煤などの物質から抽出されたもので、生物と無機物の 中間にあたるエネルギーの小胞(袋)であり、やがて原生動物(単細胞生物)へと発展するという。 しかし、ライヒとその助手以外の科学者はバイオンがただの無機物の微粒子に過ぎず、その動きも 普通の物理現象に過ぎないと否定した。
こうした状況下でもライヒは積極的に種々の実験を続け、1939年、殺菌した海砂から
「放射性のバイオン」を発見、これをオルガスムの本質との意味から「オルゴン(orgone)」と
命名した。ライヒによれば、オルゴンは青く光る放射エネルギーであり、宇宙全体の生命の素である。
オルゴンは古代の錬金術師達が<賢者の石>(参照:
>>4-5 )と呼んだものや、フランスの哲学者、
アンリ・ベルグソンが生物と無生物を隔てる要素である<生命力>と同一だという。
5000年前のインドで<プラーナ(prana)>、3000年前の中国で<気(qi)>、紀元前538年の
ユダヤ教カバラでは<星体(the astral light)>、仏陀の<後光(aura)>等と呼称されている
ものの正体は全て、このオルゴンだ。
さらにオルゴンは魂のような形而上的な非物質ではなく、彼が考案した 「オルゴン・エネルギー・フィールド測定器(orgone energy field meter)」で 測定できるばかりでなく、「オルゴン・エネルギー蓄積器(orgone energy accumulator)」に 集めて、溜めておくことができる。さらにこの蓄積器とオルゴンにより、 鬱病からガンまで人類全ての病気の治療に役立てることが可能らしい。
すでにリーダー諸賢は、このオルゴンとエヴァにおける
魂の関連性に気付かれているだろう。議論の余地があるにせよ、
もしエヴァにパイロットの母親の魂が組み込まれているとするならば、
それは肉体を持つ間にオルガスムを感じたか否かに関わりあってくるのかも
しれない。また、そうでなくともエヴァと一体になった魂がオルガスムを
感じて分離できなくなったものかもしれない。宗教的法悦感と性的快感が
同一のものであることを想起されたい。(参照:
>>639 )
特にゲンドウとナオコ、アスカの父親と後妻の関係を考えればなおさらだ。
残念ながら、この点からエヴァを論じたものはほとんどない。ある意味
当然なのかもしれないが、やはりマニア受けしたとは言え子供向けアニメの
解釈に対する限界なのだろうか。
1940年、ライヒは米国へ移住、少数だが熱心な支持者と共に オルゴン研究に勤しむことになる。同じユダヤ人で米国へ亡命していた アインシュタインも研究所訪問の際、オルゴンを観察したと言う。 1940年から1957年にかけてライヒは非常に活発に研究と発表を行い、 最初は生命体だけのエネルギーだと思われていたオルゴンは世界全体、 森羅万象の原点となる構成要素だと考えるようになった。この世に 存在するもの全てはオルゴンから構成され、物質は二つのオルゴンの流れが 重なりあって<コスミック・オルガスム(cosmic orgasm)>となることから生じるとした。 ただし、放射能だけは例外で、ライヒはそれを生命のアンチテーゼとし、 オルゴンが天使なら放射能は悪魔のような存在だと考えていた。
年月の流れと共にライヒの言動はさらにエスカレートするようになり、 地球は銀河全域に広がる宇宙戦争の中心地であり、ときおり出現するUFOは 敵対勢力の戦闘機械だと述べている。ライヒはこのUFO撃退装置として <クラウドバスター(cloudbuster)>を考案、製作している。 UFOには独特の動きや青白い発光などから、その動力源はオルゴン・エネルギーを 直接利用しているに違いないと考えたのだ。ライヒはこれを <コア(core:cosmic orgone engineering)>、「宇宙オルゴン工学」と名付けた。 UFOが撒き散らす悪性のオルゴン、DOR(ドール:致死性オルゴン)を 有益なオルゴン、OR(オール)で中和し、大気を浄化しようと考えていた。 また、クラウドバスターは逆に降雨装置として働かせることもできる。 実際に砂漠で降雨実験を行い、見事に成功。当時の新聞が大々的に取り上げている。 クラウドバスターはオルゴン蓄積機などと共に、その動作原理や詳しい製作方法などは ネット上で簡単に入手できる。
このライヒ説を基に、SF作家のロン・ハバートが、より発展させた 宗教団体として設立したのが『サイエントロジー協会』だ。映画俳優の ジョン・トラボルタやトム・クルーズ、ジャズピアニストのチック・コリアらが 会員であることをご存知の方も多いだろう。米国の三大新興宗教勢力のひとつで、 トム・クルーズが映画の宣伝キャンペーンとして度々来日するのも 広告塔の役目をしているらしい。
しかし、オルゴン蓄積器がエセ医療器具として、その効力が 疑問視されたことからFDA(米国食品医薬品局)が販売禁止命令を出し、 ライヒがそれに従わなかったこと等から法廷侮辱罪などで有罪。 収監された刑務所で心臓発作を起こして急死した。 東京駅や帝国ホテルの設計など、日本とも縁の深い建築家、 フランク・ロイド・ライトはライヒが裁判にかけられても終始一貫して ライヒを弁護している。蛇足だが、ライトは20世紀最大のオカルティストの一人、 グルジェフとの親交も深く、彼の後妻はグルジェフが主宰する<ワーク(work)>の 主要メンバーの一人だった。彼女は建築途上で亡くなったライトの遺志を継いで 反対勢力の妨害からトラブル続きだったニューヨークのグッゲンハイム美術館を 完成、建築設計の専門学校を運営する傍ら、少数のグループで自身のワークを続けている。
ビートニク詩人、アレン・ギンズバーグはライヒの直弟子だったが、 師が認めなかったドラッグや幻覚剤、同性愛を通じてオルゴンの収集を 提唱した。小説家ウィリアム・バロウズもこの説を取り、自作の インスピレーションとしている。1984年のハリウッド製SFコメディ・ホラー映画 『ゴーストバスターズ』の元ネタはディズニーの短編アニメ 『ミッキーマウスのお化け退治人』だが、実際のアイデア、ストーリーには オルゴン蓄積器やクラウドバスターを初めとする様々なライヒのアイデアが 生かされている。まして、最後の破壊神ゴーザが降臨するビルの設計者は 明らかにライトがモデルだ。
ライヒの後継者達は現在でもさかんに活動している。特に60年代から起こった 「性解放」「ポルノ解禁」「フリーセックス」「ニューエイジ運動」のあらゆる面に 大なり小なり、ライヒの説が様々な形で顔をのぞかせている。その意味では時代に 先んじていたことに間違いはない。ライヒは敵対者からの批判や悪意ある中傷を 避けるため、彼の研究、記録、論文を死後50年間封印することを家族に命じている。 その封印が解かれるのは2007年。われわれは近い将来、エヴァとライヒ、魂とオルゴン、 シンクロとオルガスム、使徒とUFO等に関して再検討を加える時が来るのかもしれない。
乙
GJ
ほしょ
稲荷町
天文学者、物理学者、数学者の三人がスコットランドへ列車旅行をした。 窓から景色を眺めていると、野原に一匹の黒い羊が見えた。「スコットランドの 羊はみな黒い!」天文学者が叫んだ。すると物理学者は「いいや。スコットランドの、 ある羊は黒い」と言った。忘れた頃になって数学者が言った。「スコットランドには 少なくとも片面が黒い、少なくとも一匹の羊がいるような、少なくともひとつの野原がある」
ある人が気球に乗っていると風に流されて見知らぬ土地へ来てしまった。 地上にいる初老の男に「おーい、そこの人。私は今、どこにいるのでしょうか?」 と声をかけた。しかし、初老の男はじっとこちらを見たまま、なにも答えようとはしなかった。 聞こえないのかと思って三度同じ言葉をかけた後、さらに少し経ってから初老の男は答えた。 「あなたは私の頭上にいます」そのやりとりで、初老の男が数学者であることを確信したという。 なんとなれば第一に「答えるのに時間がかかったこと」。第二に「その答えは正しかったこと」。 そして第三に「その答えは全く何の役にも立たなかったこと」
上記二つの小噺はさまざまなバリエーションがあるため、 似たような話をご存知の方もおられるだろう。現代科学の中枢は 数学であり、数学の中核は集合論である。ここで科学者、赤木リツコに 相応しくエヴァ世界の数学的、論理的および物理学的側面を 考えてみることは興味深いものがある。と言っても、おそらく 大多数のエヴァ・ファンはこう考えているのではないだろうか。 「エヴァのように矛盾に満ちた世界に数学や論理の整合性、 科学的説明を求めること自体が間違っている」と。
だが、こうした考えは正しくない。なぜなら 「数学ほどいい加減な学問は他にない」からだ。 この点はおいおい説明するとして、エヴァ世界におけるいくつかの キーワード「位相空間」「虚数空間」「コアの変換」 「分子間引力」「クライン空間」「相転移空間」などを正式に取り上げ、 分析した論考は皆無に近い。エヴァといえばあらためて言うまでもないが、 放送時から現在に至るまで、ほとんどが心理学的、神学的、オカルト的論考が 中心である。従って、本スレッドでエヴァの数学的、物理学的解釈を試みるのも 全くの無駄ではないだろう。実際、こうした視点から考察を行えば 「使徒はどこからやってくるのか」「なぜ、使徒は日本にやってくるのか」 「ロンギヌスの槍の機能とは」「ATフィールドとはなにか」といった定番質問に対して、 ある程度従来とは違った角度からの回答が得られるはずだ。
予めお断りしておくと、ライター愚生は地震とゴキブリの次に 数学が苦手である。それにもかかわらず、あえて恥をさらしつつ、 この分野からの考察を行うのは、これまでなかった専門家の呼び水に なればよいと思うからである。 なお、この分野に関しては以下の著作を参考にした。T.ガウアーズ『数学』。 S.マックレーン『数学 - その形式と機能』。クーラント&ロビンズ『数学とは何か』。 I.スチュアート『現代数学の考え方』。D.ゲージ『数の歴史』。 K.デブリン『数学:パターンの科学』。吉田武『オイラーの贈り物』『虚数の情緒』。その他。
「そもそも、きみは気付かないのかね。天性の計算能力を持つ者は 生まれつき全ての学問に対する呑み込みが早いし、また頭の鈍い人でも 訓練の結果として計算能力が向上すれば、それだけで他に得るものがなくても、 以前よりは物事を良く見通せるようになるではないか」 【プラトン『国家』】
乙
博士はおにゃのこ?
gj
おつ
稲荷町
十日町
投下まち
圧縮近いのでほしゅ
稲荷町
保守
保全
稲荷町
ここまでのまとめ +>1 目次 (「二人の親」→「二重の親」に変更) +>3-11,17-25,34-49 最後の錬金術師、碇ユイ/Yui : The Last and Ultimate Alchemist. +>86-117 トリックスター、加持リョウジ/Ryohji : The Trickster. +>155,150-154 番外編 +>167-175,179-189,219-230,237-241,247-251,254-258,266-276 二人の親、碇シンジ/Shinji : Parent Double. +>291-297,311-322,329-333,361-377,383-386,399-403,417-426 魂、コア、アトランティス/Soul, Core and Atlantis. +>445-461,487-489,506-529,557-569,595-604 昼盲症者、碇ゲンドウ/Gendou : The Nyctopia +>632-641,645-657,662-667 無意識のチャネラー、赤木リツコ/Ritsuko : March of Black Queen.
乙です
保守
数学には大別して以下の三分野が存在する。 1):幾何学 2):代数学 3):解析学 ここで、小学生時代の算数を思い出し、数を点で表し、それを連続的に並べたもの、 お馴染みのデカルトによる<数直線(実数直線とも)>を考えよう。 数直線は前述の数学三分野の基本であり、集合論、数学基礎論への出発点でもある。 数直線は、われわれが点と呼ぶ大きさのない物が動く際の軌跡である。 直線が連続であることは幾何学の重要な公理だ。この数直線の原点をゼロとすれば、 われわれが知る数のほとんどをその線上に置くことができ、無限遠の彼方まで、 直線を延ばすことができる。
ここで無限遠とは「ユークリッド空間で平行線が交わる領域である」と定義される。 この平行線と、それが交わる<消点>はレオナルド・ダ・ビンチらルネッサンスの 数学者、技術者、芸術家によって確立された。コミックの背景にはこの<遠近法>が 精確にとれないと、プロ作家のアシスタント、少なくともチーフクラスは到底無理だろう。 実際、こうした考えは数学の中でも幾何学の範疇で「ユークリッド空間」でも 「非ユークリッド空間」でもない<射影幾何>と呼ばれる高等数学の一分野なのである。
ときおり、コミックやアニメのキャラは二次元の存在だという誤解のまま、 次元や空間を論じている例を眼にするが、アニメ/コミックは三次元の存在を 二次元に<射影>したものである。従って三次元空間で見る角度によって キャラが変化するのは当然だ。最初から二次元の存在は外形が変化することなど あり得ない。射影幾何学はわれわれが普通に使用しているコンピュータ・グラフィックの プログラム開発には必須の概念であり、物体や空間を精確に捉え、描くことはもちろん 「物体を正確に変形させたり、空間そのものを歪ませる」ことにも必要だ。
実数直線はそのまま<実数集合>となり、これを "real number set" から R、またはR^1と記述する。実数直線を幾何学的に捉えれば<1次元ユークリッド空間>である。 実数直線と実数集合は同一であり、高校数学で学ぶように微積分をおこなうことができる。 これは前述のように実数直線が「連続」という概念を含んでいるためである。 これに対して有理数の集合は「稠密(ちゅうみつ)」、自然数の集合は「離散的」であると云う。 さらに大学の専門過程へ進めば、この実数集合は<位相群>、<リー群>と呼ばれる高等数学の 最も基本的な概念として再登場する。
ある集合が位相群(topological groupe)であるとは、
「位相空間(topological space)」であると同時に「群(groupe)」であるものを指す。
位相空間はATフィールドを科学的に検討する際、最も重要な概念であるが、
実際に日本語で位相空間と云う場合には数学的な”topological space”と
物理学的な ”phase space”の二つがあり、両者は全くの別物である。
エヴァ本の定番『エヴァンゲリオン用語事典』
(参照:>>
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1009126838/39 )
には後者の意味しか載っておらず心理学的、生化学的、物理学的概念の用語の詳しさに比して、
いささか片手落ちの感は否めない。しかし、これがエヴァ全体に対する
一般視聴者の平均的思考であることも、また事実だろう。当然、本スレッドでは
改めて、この二つをATフィールドの謎を解く、最重要概念として徹底検証するつもりでいる。
数直線上にある点は連続しているため、いくらでも細かくできる。 1と2の間には1.234876や1.6397631278651056324など無数の数が存在する。 この無限小に注目し、現実の世界を理論体系化したのがアルバート・ アインシュタインなのだが、それはまた別な話。この数直線上の 数はその性質において以下のように分類されている。 1):自然数 (1,2,3,4… 偶数と奇数) 2):整数 (±1,±2,… 自然数に負の数を加えたもの) 3):有理数 (1/2,2/3… 比で表せる数、分数) 4):無理数 (√2,√3… 比率で表せない数) 5):超越数 (円周率π、自然対数の底eなど代数方程式の解として得られない数) 6):実数 (上記全ての数) 「自然数は神が創りたもうた。あとは全て人の仕業だ」 【レオポルト・クロネッカー:1823-1891】
さて、上記の中に我々が日常使い慣れているのに、記載されていない数が あることに、お気づきだろうか。いうまでもなく「零(ゼロ)」である。 実はゼロは現在でも分類が極めて困難な特異な数なのである。 そもそも数であるか否かという点にも議論がある。また、ゼロは人とは 無関係に存在していて、それをわれわれ人類が「発見」したのか、 それとも人類が「発明」したのかという点においても未だに議論を 呼んでいる。思想的にみて、前者は<実存主義>、後者は<実証主義>と 分類されるが、この議論の延長線上に最近、話題となる<人間原理>が存在している。
情報通信/コンピュータ分野では、ゼロをめぐる軋轢は現在でも明確な形で存在する。 コンピュータのOSが存在するシステムディスク ”boot-up drive”にはメーカーによって 「0」から始まるものと「1」から始まるものの二通りあるのだ。実際、SEやプログラマの間に 混乱を招いていた。MS-DOSに始まりWindowsへと続くマイクロソフト系のOSでは、 このどちらの立場もとらず、ドライブをA,B,C……とアルファベット順で呼んでいることは ご存知の通りだ。エヴァでは第拾八話などを観るとダミープラグの起動に使用するドライブが ”DRIVE A:" と表示されていたことなどからMS系のシステム構成、表示形式を採用しているようだ。 1987年製作の米国映画『ロボコップ』でも主人公、ロボコップのシステム制御系コマンドは 全てMS-DOSのものが使用されていた。本稿ではニコラ・ブルバキ(20世紀初頭に現れた 謎の数学者。実際はフランスの精鋭数学者集団)の定義に従いゼロは自然数であり、 さらに整数でもある。従って当然、実数であるとして話を進めよう。
現在では中学の数学でも集合という概念が登場するが、少し前までは 大学レベルでないと真の集合論は理解できないものだった。実際、ベン図と呼ばれる 丸をいくつか描いて「1クラス40人のうち、自転車を持っている生徒は23人、 ケータイを持っている生徒は36人いる。自転車とケータイ両方を持っている生徒は 何人いるか?」などという問題を出されて数学とは、あるいは集合とは なんとつまらないことを学まねばならないかと思ったリーダー諸賢も おられるのではないだろうか。
集合論がその威力を発揮するのは無限を扱うようになってからであり、 そうでなければ真の集合論、あるいは数学全体の面白さは伝わらないと 言っても過言ではない。また二人の数学者、ツェルメロフとフレンケルにより 定式化された公理的集合論(二人の頭文字を取り、<ZF集合論>と呼ばれる)は、 その上でほとんどの関数、すなわち三角関数、指数関数、対数関数等が定義できる。
さて、
>>686 で見たように実数直線=実数の集合をRまたはR^1とし、
その上の任意の二点P,Qとして、そのそれぞれの座標をx[1]、x[2]だとすると
二点間の距離、d(P,Q)はその絶対値を取って、以下の式で表記できる。
d(P,Q)=|x[1]−x[2]|=√((x[1]−x[2])^2)
根号√や乗根^2に拒否反応を起こすリーダーもおられるだろうが、 ここはただ単に二点間の距離が正の数に限ることを数式で表している に過ぎず、深く考える必要など全くない。 このように座標を用いて直線と実数を同一化した概念を前述のように <一次元ユークリッド空間>または単に<直線>と呼ぶが、平面を集合として 見た場合、点の対(x[1],x[2])の集まりなので、R^1×R^1=R^2となる。 ひとつの直線を選び、これをx軸、それに直行する直線をy軸として 座標を与えればR^2の任意の点Pにその座標(x,y)が対応する。 そこから二点P(x[1],y[1]),Q(x[2],y[2])間の距離d が以下の式で求められる。 d(P,Q)=√((x[1]−x[2])^2+(y[1]−y[2])^2)
こうした集合R^2に距離の考えを対応させた概念を<二次元ユークリッド空間> または単に<平面>と呼び、同じくR^2で示す。同様に空間R^3においては 三つの直交座標を用いて集合R^3の各点の座標(x,y,z)を定めればR^3の 任意の二点P(x[1],y[1],z[1])とQ(x[2],y[2],z[2])に対しても、 その間の距離が以下のように求められる。 d(P,Q)=√((x[1]−x[2])^2+(y[1]−y[2])^2+(z[1]-z[2])^2) この性質を備えた集合を<三次元ユークリッド空間>あるいは単に<空間>といい、R^3で表す。
三次元ユークリッド空間は、もちろんわれわれが存在する現実の世界である。 しかし、四次元以上の空間、世界が存在しても数学的には、なんら矛盾を生じない。 数学の基本的考え方は「矛盾を生じなければ全て正しい(真である)」という大前提がある。 四次元以上の<n次元ユークリッド空間>、<高次元空間>と呼ばれるものに対しても 同様の考え方ができることはおわかりだろう。これらはR^nとして示される。 11次元や26次元、さらには無限次元についても同じ考えが適用できる。 後に述べる予定であるが、11次元と26次元は現代物理学においても非常に重要な次元である。 高次元空間は無数の直交座標が存在する<無限空間>においても距離の概念は同様に求めることが可能だ。
われわれが中学、高校で学ぶ初等数学と大学での高等数学の間にある 際立った特徴の差のひとつに、高等数学においては三次元よりも高次の 幾何学を扱うことが非常に多いということが挙げられる。これは前述した 複雑な関数などを計算する際には高次元で考えたほうがより容易に扱える という事実から来ている。これはなにも純粋概念上の問題ではなく、 われわれが日常経験しているほとんどの意思決定に際して考慮している ことである。
例えば自家用車を購入しようとしている人なら「居住性」「加速性」 「高速安定性」「燃費」「定員数」「価格」等々といった各種の パラメータをどれだけ高い空間領域で求めるか、あるいはどれを優先して 高い値とするかで同種他社のモデルとの比較の中から車種が決定されるだろう。 自動車雑誌では試乗インプレッションをこうした同心円上の数値化で表している 場合が多い。
経済活動における株式市場でも同様の行為が日常的に行なわれている。 ある企業の株の売買を決定するには「売り上げ」「利益率」「資産価値」 「従業員数」等々、これらを数値化したものは高次元の点とみなすことができる。 売買の決定は同業他社の内容を比較検討して、この空間内での「売り時」 「買い時」の領域を探すことである。これはすでに証券会社や機関投資家の間に おいて、コンピュータの自動売買プログラムとして実践されている。
1987年10月にニューヨークの株式市場で始まり、史上最大規模の 世界的株価の暴落を招いた、いわゆる「ブラックマンデー」は、 このコンピュータ・プログラムが直接の原因であった。
ここで、このスレッドにお付き合いいただいているリーダー諸賢には 自明のことであろうが、時間を含めた四次元空間についてまとめておこう。 三次元ユークリッド空間に直行する座標として時間軸をとり、それまで 別な存在であった「時間」と「空間」をひとつの不可分な存在として 「時空」という概念にまとめたのが、言うまでもなくアインシュタインと その相対性理論である。空間R^3のz軸を時間とみなすと平面が時間経過に 従って動き、空間を生じさせたと見ることができる。
これと同様に空間がx,y,z軸とそれぞれ直交する時間軸上を動いていったと 考えると、全体はx,y,z,t軸を持つ四次元空間となる。つまり時空とは 数学的に見れば座標(x,y,z,t)という四つの実数パラメータで示される 点の集合であり、その二点間の距離はこれまでと全く同じやり方で距離が求められる。 d(P,Q)=√((x[1]-x[2])^2+(y[1]-y[2])^2+(z[1]-z[2])^2+(t[1]-t[2])^2)
ここまでくればお解りのように一次元、二次元、三次元のユークリッド空間 (そして今回は触れなかったが一点からなる空間(集合)はご存知のように ゼロ次元ユークリッド空間R^0だ)はR^4の部分空間(部分集合)であり、 楽をするためにR^k(k=1,2,3,4のいずれもあり)を「時空間」、あるいは<時空>と 呼ぶことにしよう。さて、n次元ユークリッド空間R^nでは、このように 二点P,Q間に関して距離d(P,Q)が定められたが、この距離は以下の性質を満たしている。 1):d(P,Q)≧0 で0となる場合はP=Qである。 2):d(P,Q)=d(Q,P) 3):d(P,S)≦d(P,Q)+d(Q,S) 三角不等式:三角形を描いた場合二点間の距離P,Sは他の二辺(P,Q)と(Q,S)の距離の和と同じか、より小さい。
一般にある集合Xがあり、その任意の二点P.Qに対して距離d(P,Q)が なんらかの方法で定まり、これが上記(1),(2),(3)の性質を満たすとき、 Xを<距離空間(metric space)>、dをその「計量」または<距離(metric)>という。 従ってn次元ユークリッド空間R^nは距離空間である。
乙
gj
オツ
いきなり理系の話から読んだから 最初新手の荒らしかと思ったw
保全
エヴァ板存続の危(ry 糞ス(ry
711 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの :2006/09/30(土) 02:08:14 ID:yFJwOKiz
こんなスレがあるとは… 他のネタスレより面白いね
定時ほす
当課町
論文としてはどうかと思うが、情報と情報の繋ぎ方、対象の見立て方が面白い。
弱い部分は本人も自覚してるようだし、板の活性化も期待して保守
投下まち
稲荷町
さて、時空を一次元の時間と三次元の空間としてとらえるのは現代物理学、 それも一般相対性理論や後に詳しく触れるつもりだが、第拾六話でリツコが シンジのサルベージに関して触れている背後のホワイトボード上に描かれた 超ひも理論(超弦理論、スーパーストリング理論とも)等の特殊な場合に限られる。
われわれは距離空間という概念を手中にしたが、これは普通の直線、 平面、空間といった幾何学世界をより「一般化」したものであると言っていい。 これは空間という概念をさらに一般化した位相空間への第一歩である。 われわれは空間R^2(以下、二次元空間などと)を考えた場合、そこに存在する 物体をまず単純な図形として考えてみよう。これは後に述べる「多様体」への 入り口だからだ。例えば二次元空間に於いて特定の座標をとり、これを原点として 等距離にある全ての点で埋め尽くした場合、これは円板となる。
同様に三次元空間に於いては球体となり、四次元空間では超球体となる。 では、四次元の超球体とはどんなものか、実際にイメージすることは不可能だろう。 われわれには三次元以下の世界しか見えないからだ。もっとも、米国の数学者、 ウィリアム・ポール・サーストンなどはそれがイメージできるそうだが、 それを言葉として表現することは不可能らしい。しかし、距離空間の概念を 学んだわれわれには、どんな性質を持つかは理解できる。
そのために、まず三次元の球体を考え、これが二次元世界に現れた時のことを 想像してみよう。まず平面上に点が出現し円板となり、それが次第に大きくなり 球の直径と同じ円板になると、それからは小さくなり、最後は現れたときと同じように 点となって消滅する。もし、これを二次元世界に住む、われわれと同様な知的生命体【※】が 観察していたとすれば、こう考えるだろう。「三次元の物体がわれわれ二次元の世界を 通過していった」と。同様にある日突然、われわれの眼前に点が出現し、それが 次第に巨大な球体となって一定の大きさに達すると徐々に小さくなり最後は点となり 消滅すれば、それは四次元の超球体がわれわれの三次元世界(空間)を通過したことになるのがおわかりだろう。
>>721 【※】その存在の可能性は極めて低い。なぜなら、二次元空間では分子が
立体構造をとることができず、複雑な有機物を作り出すことができないからだ。
さらに、原子核レベルでも同様なことが考えられる。水素などの単純な原子は
実現できても、われわれの人体を構成する炭素や鉄などの重元素が生成できるのか、
という点にも大きな疑問符がつく。
すでにお察しの通り、エヴァに登場する使徒の出現パターンは、この超次元、 高次元空間からのものと思われるものが多い。それをリストアップしておこう。 1)第四使徒シャムシエル:海上に出現。 2)第五使徒ラミエル:空中に出現。 3)第九使徒マトリエル:熱海近海に出現。 4)第十使徒サハクィエルインド洋上の衛星軌道に出現。 5)第十一使徒イロウル:セントラルドグマ、第87タンパク壁に出現。 6)第十二使徒レリエル:空中の球体が影であることなど、そのまま超次元の特徴。 7)第十三使徒バルディエル:おそらく雷雲中に出現。 8)第十四使徒ゼルエル:第三新東京市東南上空に出現。 9)第十五使徒アラエル:衛星軌道上に出現。 10)第十六使徒アルミサエル:空中に出現。 これ以外にも第三使徒サキエル、第七使徒イスラフェルのように海中から出現した例もある。 地球表面の七割は海であり、セカンドインパクトにより、さらに海洋面積は広がったと見るのが 適切だろうから、これらの使徒も高次元空間からの侵入だと考えるに充分な理由がある。
乙
乙 俺がいない3年間の隙に落ちてなくてちょっと安心した。
GJ
ほす
☆
がんがれ
保守
まち
いいね
おつ
まち
次スレは投稿済みの記事をまずうぷして即死回避、コンテンツ確保をする?
ここからは実数集合とユークリッド空間を区別するために前者をR、後者をEと表記しよう。
これは一般に使用されている例に倣ったものである。ところで、深い考えを持たれるリーダー
諸賢であれば、(
>>721 )が正確には誤りだと判断されるだろう。なぜなら二次元世界の住人には
三次元球体を二次元円板として認識できずに、単なる線分としか見えないからだ。つまり、
二次元世界の住人から見れば、突然現れた点が線分になり、それが直径と同じ長さになると
再び縮小して、最後は点となって消滅する。だが、もしこの世界の生命体が線分に沿って
移動するなら通常の線分と異なり、一周すればもとの出発点に戻ることに気がつくだろう。
このような空間、集合は二次元空間の部分空間、部分集合であると同時に位相空間における
<閉集合(closed set)>であるとみなされる。
さて、先に触れたようにエヴァの謎、特に使徒の世界、使徒の出現、ATフィールド、
ロンギヌスの槍の機能の科学的解釈などにはトポロジーの知識が欠かせない。
まず、位相空間(topological space)を考えよう。位相空間は、われわれが学んだ
距離空間のようにひとつの集合XとX上で定義される<位相(topology)>と呼ばれる
数学的抽象的性質とから成り立っている。この性質は実数における<極限(limit)>を
考える際の一般化された概念である。(参照:
>>683-686 )この定義にはいつかの流儀があるが、
まず集合Xの部分集合のうち、あるものが開集合(open set)と呼ばれ、他と区別されていて、
それらの開集合が次の三つの公理を満足している場合、このXは位相空間と呼ばれることになる。
1):二つの開集合の合併は開集合である。
2):任意の個数の開集合の合併は開集合である。
3):X自身と空集合φ⊂Xは開集合である。
集合X上に存在する位相とは、これらの公理を満たす開集合(族)を 特定することを意味する。例えば、われわれがすでに確認した距離空間Xは ひとつの位相を決定する。これだけでなく、位相の例は非常に数多い。 また、距離により定義できない位相も存在する。例えば自然数N上の位相として、 有限な補集合を持つ部分集合全体と空集合を開集合と指定したものは、その一例である。
任意の位相空間XとYの間の関数f:X→Yに対して「連続性の定義」が適用できる。 そして連続関数についての基本的事実、二つの連続関数gとfの合成x→g(f(x))もまた 連続であるといった事実は、上記三つの公理から証明できる。また、位相空間Xにおいては 部分集合Cの補集合X\Cが開集合となるとき、閉集合と呼ばれる。 空間の連続性、つまり任意の開集合の逆像が開集合である場合、空間の一点における 連続性を定義し、かつエヴァ世界の謎を解くキーワードに直結するものとして集合における 点と、その周囲の<近傍(neighbourhood)>に基づく方法を説明しよう。
近傍とは、字のごとくわれわれが通常意味する「隣近所(となりきんじょ)」を 数学的に抽象化、一般化したものである。位相空間Xの一点aの近傍とはaを含む Xの任意の開集合のことである。このとき、位相空間の間の関数f:X→Yが 一点のa∋Xで連続であるとは、f(a)の各近傍Uでf(U)にVとなるものが 存在することをいう。距離空間では、この定義に関して一点における連続性の概念と 一致しており、もとの点aの「近くにある」U内の点は、f(a)の近くにあるV内の点に 移るという直感的アイデアを表現するものとなっている。さらにfが連続であるためには fが今述べた意味で各点a∈Xで連続になることである。
「開集合」とこの「近傍」を用いた「位相」の記述は幾何学的な形に表される 全ての種類の数学的事実を定式化するのに強力な武器となる。同時にエヴァ世界の 謎を科学的数学的に解く目的にも。代数学的に見た場合、位相という概念は連続性の 多様な例から抽象化されたものであることになる。位相空間の正確な概念、定義は 数学者、F.ハウスドルフによって与えられたため、この空間をハウスドルフ空間と呼ぶ。 ハウスドルフ空間の定義は選別された近傍を用いて別な形で定義されており、 『ハウスドルフの分離公理』という別の公理を含んでいる。これは「ふたつの異なる点は 互いに交わらない近傍を持つ」というものであり、これは集合X上の異なる2点、pとqに 対してXの交わらないふたつの開集合UとVが存在してp∈Uかつq∈Vとなる。 換言すれば「異なる二点p,q が交わらない近傍U,Vを持つこと」である。
E^2またはE^3の全ての部分集合は明らかにハウスドルフ空間である。 これは任意の距離空間でも同様で、ほとんどの空間はハウスドルフ空間だと言えるが、 ハウスドルフ空間ではない空間も多く存在する。そのうち最も簡単で代表的なものは 2点p,q 間からなる空間で、その開集合は空集合と集合{p}と{p,q}により構成されるものである。 そこで、点p は開集合となるが、点q は開集合とはならない。このような空間を 『シェルピンスキー空間』と呼んでいる。位相空間の例としては集合Xの全ての部分集合が 開集合の場合の「離散位相」、開集合、および閉集合が空集合とXだけの「密着位相」など、 位相そのものを考えないものと同一の概念も含まれる。
位相空間論のなかで、最も重要な概念は「コンパクト性」である。 位相空間論が現代数学のみならず、物理学、特に「超ひも理論」においても その威力を発揮しているのは、ひとえにそれがコンパクト性の概念を内包し、 さらに適切な定式化が可能であることに依ってる。コンパクト空間の定義は 高度に抽象的なため、正直なところライター愚生程度の知識ではその意味を 正確に伝えることは難しい。しかし、E^nの部分空間の場合、それが コンパクトだということと、有界閉集合と同一であることだけは述べておこう。
様々な位相空間の各々の定義によっても全ては位相不変である。 つまり、同相な空間は同一次元となる。位相空間は次元の違いを 示すことにより、m≠n ならばE^mとE^n は同相でないことが証明できる。 つまり、われわれが既に学んだ距離空間の次元に関しては以下のような 基本的定理が成り立つ。 1:部分空間の次元は全体空間の次元を超えない。 2:和について、n次元以下の可算個の閉集合の和のなす空間もn次元以下である。 3:積については、二つの空間の積空間の次元はそれぞれの次元の和を超えない。 4:n次元の距離空間はn+1個の0次元の部分空間の和として表せる。その逆も可能。 5:n次元の可分な距離空間は2n+1次元ユークリッド空間E^2n+1内の部分空間に同相である。
これらは位相空間と次元との関係を示す一部に過ぎないが、 これだけでもエヴァ世界の謎を解くに充分な鍵を与えてくれる。 まず、以前に検討したように使徒の世界が高次元空間であるならば、 使徒がわれわれ三次元空間に出現することは可能であっても、 われわれが使徒の世界に進出することは不可能であることが導かれる。 また、開集合の世界であれば、それがハウスドルフ空間の場合、 分離公理により一度にひとつの使徒しか三次元空間に出現できないこと。 しかし、これも絶対的条件ではなく、複数の開集合が合併した場合には 使徒の複数同時進行もあり得ることになる。
おつです。
サパーリ ワカリマシェーン カムバーック ・゚(ノД`)`゚。
乙
gj
age
集合論は自信あるけど位相は分かんね・・・ 文系偏重の自分が恥ずかしくなった・・・図書館逝ってくる・・・
次に、この集合論をパイロットとエヴァ素体、特に問題となるエヴァ初号機に応用してみよう。 各パイロット、コア(または魂)を集合の<要素(element)>または元(げん)によって 構成されているとすれば、パイロットのエヴァへのシンクロ率は部分集合P(パイロット)の 部分集合E(エヴァ)への<写像(map)>と考えることができる。これまで述べたように ZF集合論における写像は解析学的にみれば<関数(function)>と同一であるため、これを 数値化できることは明らかだ。まずは関数の性質と定義を復習しておこう。
各種関数は中学、高校数学で充分学んだ(はずだ)が、「関数とはなにか?」 という基本的概念を明確に定義できるのは工学部の学生でも意外と少ない。 関数fが定義されるxの値の全体は実数集合Rの部分集合であることはすでに確認した。 これをxの「定義域」という。それに属する値に対してだけfは定義される。 一次関数、二次関数、指数関数、対数関数、三角関数など、各種の関数に共通する 性質として重要なのはf(x)の値は定義域のxの値に対して、ただひとつだけ定まることだ。 各関数は定義域の他に「値域」が付随する。これは関数のとり得る値全体の集合だ。 sin(x)の値域は、−1と1の間の全ての実数全体で、x^2の値域は負でない実数全体となる。 関数自体は単純でも値域が非常に複雑になる場合もある。例えば、f(x)=√(x!)の定義域は 全ての正の整数だが、値域の特徴は簡単には調べられない。そこで、与えられた 関数の値域を精確に定めることは棚上げして値域を含み、かつ簡単な性質を持つ 集合Tを考えたほうが実際上、極めて有効である。このような集合Tをfの「終域」と呼ぶ。 そしてfは定義域Dから終域Tの中への関数という。過去の例だと関数とはDとT それ自身か、実数の部分集合であるような特殊な例に限られていた。これらをまとめると、 関数とは次の三つの性質から構成されたものということになる。 1:定義域D 2:終域 T 3:任意のx∈Dに対して、ただひとつの値f(x)を対応させるような規則。 エヴァ世界ではパーセンテージ(%)で表せられるパイロットの「シンクロ率」の正体がこれだ。
エヴァ初号機の集合をS(shogouki)として、その関数(写像)をs、 母親の集合Y(yui)を関数y、パイロットの集合P(pilot)、その関数をpとしよう。 のちに詳しく触れる予定だが、数学にはさまざまな<変換(transformation)>と 呼ばれる作業がついて回る。二つの独立した別の変換、SとYから新しい変換SY、 つまり「Yに続いてSの変換を行なう」という変換が考えられる。変数は関数の 一種だから関数に対しても同じやり方ができることになる。関数の中には、 (2x+2)^2 やcos7θのように合成によって構成されるものが多くある。 これらは<合成関数(composite function)>と呼ばれる。もしも、 三つの関数s,y,pに対して定義域と値域が充分な関係を保持していれば、 まずp、次にy、最後にsが実行できる。この際、二つのやり方がある。 最初にp、次にsy = (sy)p まずyp、次にs = s(yp) 上記の二つは常に同じになる。
図示できると理解は容易になるが、残念ながらエディタしか使えないので 任意のxに対してのエヴァ(s)、コア(母親y)、パイロット(p)の各関数の 合成による計算式を挙げてみよう。 (sy)p(x)=(sy)(p(x))=s(y(p(x))) s(yp)(x)=s(yp(x))=s(y(p(x))) そこで、 (sy)p=s(yp) これを「関数の合成は『結合法則』を満足する」という。
これでエヴァ世界におけるエヴァ/コア/パイロットの三要素が合成関数による シンクロ率で表示されることがおわかりいただけたと思う。一般に作中での会話などから、 シンクロはエヴァのコアとパイロットの両者で行なわれていると判断されているが、 それだとコアのインターフェースとしての役割が果たせない。これは第拾四話での 機体相互互換試験における結合法則を満足させていることからも明らかだ。
乙
おつ
GJ
皆受け身で質問も疑いもしないんやね。俺もしてないけどw
でもとりあえず
>>1 乙
761 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの :2006/12/22(金) 20:04:25 ID:1zHVAc5t
壮大なるネタスレ乙 スゲーよ、あんたw 続きを頼む
産業でよろ
がんがれ
稲荷町
十日町
あけおめ
上記の点からして他の理由はともかく、集合論的見地からすれば、 初期の零号機には、やはりコア部分に魂はなかったとみるのが 正解ではないだろうか。レイが零号機の起動に7ヶ月もかかった というのは零号機を集合として見た場合、<空集合>であり、 要素が存在しなかったとすれば納得できる。また、【第弐拾話/心のかたち 人のかたち】で シンジがシンクロ率400%超を記録したことから、初号機にだけは <無限集合>が内在していることも同様に明らかだ。
集合Sが一対一に対応する自然数が存在する場合、これを<有限集合>、 そうでない場合は無限集合となる。初号機とパイロットの関係を考えれば、 なにもシンクロ率の上限が400%である必然性はなにもなく、無限大へと 拡張してもなんら不都合はないからだ。これは劇場版EOEの初号機最後の場面や 冬月とユイの会話からも推察できる。また、事実上の永久機関といわれるS2機関にも 関連してくるが、これはエネルギーと基本的な物理の知識を動員する必要があるため、 後日仔細に検討しよう。
もうひとつ集合論の見地から重要なのはロンギヌスの槍の存在とその機能だ。 これには位相幾何学(トポロジー)の不動点(fixed point)定理の理解が欠かせない。 不動点定理は数学全体、特に位相幾何学の中でも重要な研究分野のひとつで、 単純でありながら内容は深く、気象、経済、心理、生物、化学といった広い分野に 応用が利くため多くの研究がなされている。図書館や大型書店に行けば専門書があることに 気付かれるだろう。不動点定理にはいくつかの種類があるが、ここでは最も基本的 かつ重要な連続写像に対する定理である『ブロウェルの不動点定理』を取り上げよう。 『ブロウェルの不動点定理』 n次元ユークリッド空間E^nの閉じた単位球、S={x:||x||≦1}上で作用する連続写像fは一つ以上の不動点を必ず持つ。
不動点定理の意味するところは極めて簡単明瞭で、具体的に言えば 「地球上ではどんなに激しく大気がかく乱されても必ず一ヶ所、 風の吹かない場所ができる」ということである。これは直感的に おわかりいただけると思う。赤道に平行した風の流れは両極点で 必ず渦を生じ、その部分の大気は一点に止まり動かない。これは コーヒーカップに砂糖やミルクを入れるときも同じで、一定方向に かき混ぜれば中央に渦を生じ、それが不動点となり、その部分の 砂糖やミルクが溶けにくくなる。従って逆に回転させたり、スプーンで でたらめな動きをさせたほうが早く均一に混ぜることが出来る。 これが二次元の円板上や三次元の球体上でなくドーナツ形状(幾何学的には 「トーラス」と呼ぶ)の物体表面であれば不動点は生じないことも、 おわかりいただけると思う。
もう少し、幾何学的な例を挙げてみよう。地図を用意してコピーをとり、 そのコピーの任意の部分を円形に切り抜いて元の地図の円形部部と重ねてみれば、 どのように動かしても必ず一ヶ所は重なる点ができる。これが不動点だ。 この場合、閉空間であるので平行移動は考えない。このコピーの部分は拡大、 あるいは縮小しても同じで、不動点が生じることに変わりがない。これは手軽に 実験、検証できる。OHP用の透明シートにコピーできるなら最適だ。エヴァ世界に 於けるATフィールドが、ある種の障壁として作用しても閉空間においては不動点を 持つものと推察できる。従ってロンギヌスの槍は、この不動点をつくか、 不動点を発生させてATフィールドを突破するものと思われる。
次に使徒の幾何学的形態について触れておこう。数学、物理学では 種々の変換と呼ばれる操作が重視されることはすでに述べた。これが なぜ重要かというと、各種の変換を行なっても変化しないものが、 その本質と関わるからだ。トポロジーでも幾何学的な変換は必須であり、 それは前述した近傍に関わってくる。本編とは関係がないので詳細は省くが、 各種の幾何学的変換の種類とその特徴を簡単に挙げておこう。詳細に興味の ある方は、ぜひウェッブ上を検索していただきたい。 1:合同変換:平行移動、対称移動、回転移動など図形の持つ特徴はそのまま保存される。 2:相似変換:長さ、面積といった図形の持つ計量的な性質は失われ、それ以外の特徴は保存される。 3:アフィン変換:長さ、面積、角度などの性質は失われるが、平行は保存される。 4:射影変換:長さ、面積、角度、平行などの性質は失われるが、直線は保存される。 5:位相変換:図形が持つ計量的特徴は全て失われるが、点の並び順や線の交わりなどの性質は保存される。
われわれが注目すべきは(5)の「位相変換」である。 「トポロジストとは目の前にあるコーヒーカップとドーナツの区別がつかない人種のことである」 といわれるように、位相変換により、元の図形と似ても似つかぬものであれ、 激しい変形を受けても図形的な本質は変わらないものを研究する学問がトポロジーだ。 ポアンカレは「トポロジーは連続性の幾何学である」と明言したが、トポロジーに おいては直線はゴムひもに、平面はゴム膜に、そして立体は粘土のようなものとなる。 前述のカップとドーナツの例もまさしくその通りで、切断や結合といった非連続的作業を 行なわない限り、両者は本質的に同一のものとみなされる。われわれ人間と使徒も 本質的形態は同じ者同士ながら、リリスの位相変換を受けて、この世界に誕生したもので あることは間違いないだろう。
さて、EOEにおけるミサトの次の台詞に注目しよう。 「シンジ君。私たち人間もね、アダムと同じリリスと呼ばれる 生命体の源から生まれた18番目の使徒なのよ。他の使徒達は 別の可能性だったの。ヒトの形を捨てた人類の」【劇場版 THE END OF EVANGELION/Air】
使徒はいずれも化け物じみた姿形をしているが、同一の生命源から
生まれたものであれば、その形態は前述のように位相変換によって
変化したものであると考えられる。おそらくは黒き月などと呼ばれるものが、
こうした局所的変換を行なう、ある種の「場」としての役割を果たしているのだろう。
(参照
>>150-155 )
この視点からは英国の数学者、アラン・チューリングが1952年に発表し近年、 再注目を集めている『反応拡散方程式(reacton-diffusion equation)』が 各使徒やヒトの形態の違いを解く重要なカギとなる。 『反応拡散方程式』 θi(x,t)/θt=fi(u1,u2,…)+Di冰i(x,t) (i=1,2,3,…) ここでuiは物理量、関数fiは反応、Diは拡散係数、凾ヘラプラス演算子を表す。
支援
互いに反応し、変化する物理量の時間的変化を考えた場合、 物理量は空間座標xと時刻tの関数とする。それらは互いに反応すると 同時に拡散も行なっている。その時間による変化を表したものが 上記の方程式だ。この応用範囲は極めて広く、銀河系の形成から神経の伝達まで、 マクロからミクロに至る複雑な現象を、この方程式により記述できる。 当然、時間経過に伴って出現する使途の形態が複数存在するのも導かれるはずだが、 これまでの論考から使徒の存在する世界は次元が異なる可能性が高いため、 この方程式も部分的修正を加える必要がある。また、最終的には使徒が存在する世界、 それがどんな次元と幾何学的特徴を持つかは、物理的特徴と合わせて考えなくては ならないため、別に検討することにしよう。
最後は使徒がわれわれの世界に出現するメカニズムだ。だが、 その前にこれまでも話題になっている、庵野秀明のネタ本の一冊に ついて検討したい。劇場版『まごころを、君に』の以下の場面だ。 ミサト「ん……ねぇ、しよぅ」 加持 「またかぁ、今日は学校で友だちと会うんじゃなかったっけ?」 ミサト「ん、ああリツコね。いいわよ、まだ時間あるし」 加持 「もう一週間だぞ。ここでゴロゴロし始めて」
卓上扇風機と共に映る二冊の本のうち、一冊は本スレッドに於いても
慧眼の士(
>>50 )が鋭くも指摘されたように、L・ワトソン『生命潮流』である。
では、もう一冊はなにかという点について議論が分かれているようだ。
アマゾンの書評では、ある一般読者がR.シェルドレイクの『生命のニューサイエンス』
(参照
>>150-155 )だという指摘もされているが、これは疑わしい。表紙の装丁を見ると、
みすず書房の書籍であることは間違いないような気もするが、そこが庵野秀明の
計算かもしれない。可能性としてはアンリ・エー『意識 (1)(2)』がありそうだが、
版形が違うし正直、庵野のテイストではない。M.ボス『夢―その現存在分析』は
かなり可能性が高い。E.ウィルスン『死海写本』では、当たり前過ぎて面白くないばかりか、
おそらく庵野はウィルスンを読んでいまい。だとすると、これまでもあちこちで指摘された
R.D.レインの『狂気と家族』『自己と他者』『引き裂かれた自己』などだが、
これもありきたり過ぎる。では、この一冊はなにか。おそらく浅田彰の『構造と力』
ではないかと思われるが、確証はない。
ただ、冬月コウゾウと碇ゲンドウの名はここから採られていることは、 少なくとも、ここエヴァ板では、これまであまり指摘されていないので 明記しておくのも無駄ではないだろう。コウゾウは「構造」からだが、 ゲンドウはどこからか。もちろん「原動力」からだ。庵野はこれまでも 言われているように熱烈な浅田信者であり、ラカンに代表される ポスト・モダン思想に大きな影響を受けていた。そのラカン思想の 国内における広告塔が浅田であった。シンジの定番セリフ「逃げちゃダメだ」 は浅田の一般向け著作である『逃走論 スギゾ・キッズの冒険』から とられていることは明白であるにもかかわらず、インタビュー等では そうした点に一切触れていないのが、よけい信者であることを際立たせている。
この当時は正直、ポスト・モダンもカルチュラル・スタディーズも よくわかっておらず、ましてやポスト・モダン批判として世界的な反響を 巻き起こしたA.ソーカルらの『知の欺瞞』を読む前だったので、大して内容の ないまま終始してしまったのは議論の相手にとっても申し訳ないことであった。
もういっちょ
本命の浅田彰には庵野秀明との関係について改めて登場してもらうことにして、 ここでは大穴候補ということで残りの一冊はルネ・トム『形態と構造』であると 断言してしまおう。ここで展開される「カタストロフィー理論」は70年代後半から 80年代前半にかけて、大きな注目を集めた数学理論で、衒学を標榜する いかにも庵野好みの内容だからだ。これにはかなり強い状況証拠がある。 これまでに何度も取り上げたコミック作家、星野之宣だ。彼のSF短編の一作に 『サーベル・タイガー』がある。同じ題名で短編集が出版されているので、 読まれた方もおられるのではないだろうか。ここに重要なモチーフとして 登場するのがカタストロフィー理論なのだ。残念ながら、作中で言及される マンモスの牙の形状は勾配ベクトルを表したものでなく、単なる対数螺旋なのだが、 庵野秀明がこの作品において最初にカタストロフィー理論に触れたことは、 まず間違いない。
カタストロフィー理論の概要は以下に記述されたトムの定理が中心となっている。 『トム(カタストロフィー)の定理』 「勾配ベクトルで支配される自然界の現象は、その現象が有限個の状態しか 持たないならば七種のカタストロフィー型しか持ち得ない」
この理論のすさまじい点はトポロジー的概念を使い、可微分写像の特異点理論や 安定性の理論、層化集合等を用いつつ、七つの型を決定する部分は代数的に 処理されている。つまり、現代数学の最先端理論を縦横に駆使しているところに、 細分化された専門家では太刀打ちできないトムの偉大さと理論の複雑さが 存在している。カタストロフィー理論をエヴァ世界に適応すれば、 使徒の存在する世界が持つ幾何学的性質と使徒が受ける時間経過に伴う変化により、 使徒はわれわれの世界に出現せざるを得ないのだ。
乙です。
乙
「そう。直径680メートル、厚さ3ナノメートルのね。その極薄の空間を 内向きのATフィールドで支え、内部は『ディラックの海』と呼ばれる 虚数空間。多分、別の宇宙につながっているんじゃないかしら」 【第拾六話/死に至る病、そして】 すでに言われているように、リツコの説明はおよそ科学者とは思えない 無意味な単語の羅列に過ぎない。しかし、これまでも繰り返して言うように、 新世紀の暗黒面に隠された真実を探るわれわれは、そうした粗探しを超えて、 その背後にある真理、事実を探らねばならない。
「ディラックの海」と「虚数空間」は科学的にはなんの関係もなく、 庵野秀明自身が明言しているごとく、この単語を光瀬龍のSF 『百億の昼と千億の夜』から引用しているに過ぎない。本編中で語る 内容も科学的というよりは、仏教的概念である「空(くう)」に近い。 おそらく庵野は当初、光瀬の小説本体も読んでおらず、萩尾望都が コミック化したもので、その考えに触れたと思われる。
まず、虚数について確認しておこう。
>>688 において、われわれは実数直線上に
展開される「数」そのものの種類をみてきた。しかし、すでにリーダー諸賢には
お分かりのように、この分類には重要な数が抜けている。それが<虚数(imaginary number)>だ。
x^2+1=0 という単純な方程式を考えた場合、これまでの分類だけでは答えが出ない。
二乗してマイナス1になる数は数直線上には存在しないからだ。しかし、数の分類を
一次元の直線から二次元の平面にまで拡張するとx^2=-1となる数を想定することができる。
これを”imaginary number”からiで表し「虚数単位」と呼ぶ。すなわちi^2=-1。
そしてx+iyの形で表される数を<複素数>と呼ぶ。複素数で表される
二次元の平面は「複素平面」または「ガウス平面」と呼ばれる。
「係数が複素数であるn次方程式は必ず複素数の解を持つ」これが
『代数の基本定理』といわれるものだ。『代数の基本定理』は
前述した『不動点定理』を使って証明することができる。
複素数とは実数と虚数を合わせた数の総称であり、これまでみてきた数、
例えば、1+2i、2+√3、3/4、5.317、6など
>>688 で取り上げた数は
全て複素数だといえる。
数学者や物理学者は、よく「エレガントな(elegant)」という形容詞を使いたがる。 「エレガントな方程式」「エレガントな理論」といった具合だ。 元を正せば14世紀の神学者、哲学者ウィリアム・オッカムの『オッカムのカミソリ』 に由来するようだ。ご存知の方も多いだろう。「真実に近づくには仮定を出来るだけ 少なくせよ」あるいは「単純なものほど真理に近い」とする考え方だ。数学で最も エレガントなものといえば指数関数、三角関数、虚数、ネイピア数、円周率の関係を、 ただひとつの公式で表したもの、すなわち『オイラーの公式』である。 『オイラーの公式』 e^±iθ=cosθ±i sinθ
物理学ではなんといっても世界でもっとも良く知られたアインシュタインの公式、 E=mc^2だろう。エネルギーは物体の重さ(質量)と光速度の二乗の積に等しいとする この単純明快な公式は、それだけで太陽が何億年もの間、燃え尽きないでいられるのは なぜか、という疑問に明確な解答を与え、人類の核エネルギー実用化への指針を示したと言える。
先にも述べたようにアインシュタインにより時間と空間は統一され、 「時空」としてまとめた考え方を行なう必要性が生じた。ここでもまた、 「変換」が必要となる。特殊相対性理論は光速度の絶対化という前提から 質量や時間、空間といった基本的な物理量もある種の変換を受けることに なるからだ。
通常、光速度よりも充分遅い運動を扱うニュートン力学における 速度の変換則である「ガリレイ変換」から「ローレンツ変換」への移行だ。 ここではs^2=x^2+y^2+x^2-(ct)^2という物理量がローレンツ変換に対して 変化しない「不変量」として現れる。この式は項の二乗プラスと続いた後、 最後の負号(マイナス)が現れる。これはエレガントとは言えない。 そこで虚時間(it)というものを考慮すれば、全ての項が揃ったエレガントな式、 s^2=x^2+y^2+x^2+(ict)^2が得られることになる。これを「時空のユークリッド化」 という。
われわれは空間内であれば、三次元の前後左右上下に自由に移動でき、 いつでも出発点に戻ることができる。その一方で、時間に関しては 過去から現在、未来へと続く一次元の直線であり、完全な一方通行である。 こうした不統一、エレガントでない時空は虚時間を持つ世界では消滅する。 虚時間が存在する時空では空間と同様、われわれは時間の平面上に存在する 過去や未来を自由に行き来できるばかりでなく、任意の過去や未来を選択 することが可能となる。これが、われわれ凡人の常識をどれだけ超えていようとも、 時間と空間を同一に扱い、切り離して考えることをしないのが相対性理論の 骨子だから、虚時間を現実には無意味であるとして切り捨てるわけにはいかないのだ。
この場合、空間を進めば時間も進むが、空間を進む方向によっては時間が戻る。 空間と同じく時間にも正方向と逆方向の二つがあり、両者に本質的区別は存在しない。 これを量子論では「CPT対称性」と呼ぶ。実際、1949年に数学者、クルト・ゲーデルが 発見した「ゲーデル解」と呼ばれる一般相対性理論の新たな解は回転する宇宙を仮定して、 空間をどこまでも直進していけば最終的には出発点へと戻り、しかもその分だけ時間は 過去に戻っているという事実を明らかにした。実際の宇宙は回転でなく膨張しており、 ゲーデル解は数学的可能性を示しただけだと考えられるが、使徒の世界がそうでない という理由はどこにもない。
1980年以前に一般相対性理論を学んだ学生が使用した教科書には アインシュタイン方程式による空間は実数で、時間は虚数で記述されて いたはずだ。これまでにも触れた、わが国でもお馴染み車椅子の天才 物理学者、スティーヴン・ホーキングは一般相対性理論から導かれる 宇宙創世の大爆発、ビッグバン以前の温度無限大、圧力無限大、 曲率無限大(大きさゼロ)の状態である特異点を避けるために虚時間という 概念を取り入れている。ホーキングによれば、空間に対する時間の特殊性は 時空が虚時間の中で始まり、現在れわれが存在しているこの時間こそが 「虚時間」であり、虚数であればこそ時間の一方通行性を表しているもの との説を唱えている。これはホーキングに限らず、現在多くの物理学者が 考えている多数派による時空の論理だ。
そこでリツコの言う虚数空間、「虚空間」が存在するとすれば、
それは一体どのような特徴を持つべきなのか。時間は実数になるのか、
虚数なのか。残念だが、ここから先は相対性理論だけでは無理で、
量子力学の出番となる。従って、文字通り「場」を改めて検討することに
しよう。ただ、
>>790 でリツコの説明の背後にあるホワイトボードの
右端上に描かれた漏斗のような形状の図は宇宙の始まりとインフレーションを
示した図として記憶に留めておく必要がある。これ以外の図はおいおい
解説してゆく機会があるだろう。この図を描いたのがスタッフの誰かは
不明だが、左端のド・ジッター空間や超ひも理論における次元のコンパクト化の
図など、この部分を見る度に、もっともらしく考えられていると感心する。
庵野秀明の指示によるものなら大したものだ。
さて、位相空間については数学的な「位相(topology)」を考えて 位相幾何学(トポロジー)での一般的、抽象的な話が先行したが、 ここでエヴァ世界におけるATフィールドを含めたより具体的、 物理学的な位相を考えてみよう。エヴァにおいては、この両者の差異が 明確でないため、いろいろと誤解の生じる要因ともなっているが、 「波」に関する物理的現象を扱う場合、波の各点での形状を定める要素を 「位相(phase)」と呼ぶ。波、すなわち振動を三角関数で表したときの 変数が位相であり、1周期で0度から360度まで変化する。前述の オイラーの公式においてはe^ixのxを関数と見る場合には「変数」、 波の表現と見る場合には「位相」と呼ぶのである。
波を数学的解析的に表すには時間と空間を共に変動する変数として 含む必要がある。ここではそれをtとxで表すことにしよう。どの時刻でも 空間的には三角関数の外形を持つものとして、その空間的な変動部分を 以下のように表す。 e^ikx
ここでkは定数であるが指数部分を無次元にするために 位置の逆数の次元を持たせている。また、空間のどの点に おいても対象は振動しているものとみなし、時間的変動部分 には調和振動子の解を用いる。 e^iwt
これら二つの関数の「積」を取り、求める式としたい。しかし、 それぞれの指数部に正負(プラス・マイナス)の二つの選択肢があるため、 以下の四つの組み合わせが考えられる。 e^±ikx e^±iwt とは言え、実質的には以下の二つしかない。 e^i(kx-wt) e^i(kx+wt)
両式ともにt=0を代入すれば空間部分のみが取り出され、 時間的な変動が明らかになる。そこで両式をまとめてみよう。 Ψ(x,t)=e^i(kx±wt) これが波を表す関数という意味から「波動関数(wave function)」 と呼ばれるものだ。波動関数は現代物理学のあらゆる側面に 必ず現れる。それもただ単なる理論だけでなく半導体から通信、 医学など非常に多くの分野で応用されている。
乙
おつ
gj
GJ
内容がないよう
埋め
梅
814 :
ケペル博士 :2007/01/28(日) 23:51:55 ID:???
>>655 帝国ホテルとライトは無関係です。
おわびして訂正致します。
波動関数はシンクロ率、ハーモニクス、使徒、エヴァ、位相空間、LCL、 ATフィールド、A10神経、ディラックの海、ロンギヌスの槍、死海文書、 セカンド/サードインパクト、人類補完計画他、エヴァのあらゆる謎に 関わると言っていい重要概念だが、先走りは抑えて波の基本的概念と性質を 確認しておこう。
ここからの内容は高校物理T程度なので、今までこうした考察が エヴァ世界に関して行なわれていないのは、いささか腑に落ちない。 われわれになじみ深い波といえばなんといっても音、「音波」だ。 音に限らず波は山の部分と谷の部分を持ち、波が同調すれば強め合い、 その逆だと弱め合い、波そのものが消滅したりする。これを <波の干渉(interference)>といい、大別して同じ方向に進む同じ波と、 異なる二点から出た二つの波の合成がある。波の振幅がゼロになる部分を 「節」、最大となる部分を「腹」と呼ぶ。
この波の干渉は手持ちのオーディオ・システムで簡単に確認できる。 ラジカセなどでは無理だが、ミニコンポ以上のオーディオ・システムで スピーカーの結線が外部にでているものなら、かんたんに実験できる。 一方のスピーカーの結線の正負(プラス・マイナス)を逆転させるのだ。 これで左右のスピーカーの位相は180度ずれることになる。ここで合成された 音の位相差をφ(ファイ)とすれば、以下の式が得られる。 φ=π
これでモノラル音を再生すれば、大型のウーハーを備えたスピーカーセットなどでは 左右のスピーカーの振動が正反対になることが肉眼で確認できる。スピーカー同士を うまく正対させれば、音が打ち消しあうのがわかるだろう。また、このシステムで ステレオ再生すれば、音源が左右に移動するように録音されたものは移動でなく、 左右のチャンネルから、ただ音が小さくなったり大きくなったように聞こえるはずだ。 つまり2チャンネル・ステレオでなく2チャンネル・モノラル再生となる。 これを意識的に利用した擬似多チャンネル再生が、その昔オーディオ雑誌に載ったことから、 仲間内で流行ったことがあった。位相を利用した擬似四チャンネル再生システムを見てみよう。
1:四個のスピーカー・ユニットを用意して最初にアンプから出たプラス端子をスピーカーAのプラス端子につなぐ。 2:そのスピーカーAのマイナス端子をスピーカーBのプラス端子へ。 3:スピーカーBのマイナス端子をスピーカーCのプラス端子へ。 4:スピーカーCのマイナス端子をスピーカーDのプラス端子へ。 5:スピーカーDのマイナス端子をアンプのマイナス端子へ接続する。
こうするとスピーカーを正方形状に配置した場合、各々対角線上のユニットで 音の位相が180度ずれることになり、独特の音場を構成することができる。 これは5台以上のスピーカーを接続しても同じようにできる。ただし、 スピーカーの台数と入力インピーダンス、メインアンプの出力に充分注意を払わないと、 ボイスコイルを吹っ飛ばしたり、高校の学園祭でアンプの加熱からボヤ騒ぎをおこして 始末書をとられた大馬鹿者がいたりする。これと同じように最近のミニコンポ以上の オーディオセットにはCDやDVD再生の際、各種の音場を形成するために位相を30度、 45度、60度、90度など意識的にずらす機能が付加されている。音の再生に「ドラマ」 「シアター」「アクション」などと分類されている再生ポジションがそれだ。
部分的には残響や特定の周波数帯域をフィルタリングやブーストしている 場合もあるが、ほとんどはこの<位相変換(phase shift)>によるものだ。 また、最近のテレビ番組や雑誌などで紹介されている位相変換により、 騒音を低減、あるいは消失することが可能になる技術も一般に知られるようになった。 「フィード・フォワード」と呼ばれる技術がそれで、周囲の騒音をマイクで集録、 それをコンピュータで解析してそれと逆位相の音を作り出し、騒音の低減を図るものだ。 これを<アクティブ騒音制御>と呼び、すでにビジネスクラス以上の旅客機、高級リムジン、 ホテルのロビーや、なにより後頭部30センチの至近距離で千馬力ものエンジンが 爆音を上げるF1ドライバーとピット間の通信装置に実用化されている。 こうした事実は波の方程式である<波動方程式(wave equation)>が線型方程式であり、 求める解の和がまた解になるという「解の重ね合わせ」が可能だからだ。
さて、ATフィールドを波と捉え、それに干渉可能であるとすれば、 【第九話/瞬間、心、重ねて】でのユニゾンによる二点同時加重攻撃は シンジとアスカ、あるいは初号機と弐号機のATフィールドの干渉による 攻撃力の倍加につながるのが明らかだ。波の強度はその振幅の二乗に比例するので、 ユニゾンしたエヴァ二体のATフィールドは非常に大きなエネルギーを持って 一体化したことがわかる。もちろんネタバラシをすれば、この部分は庵野秀明が ウルトラマンと同じく少年時代に嵌っていた仮面ライダー1号、2号の ダブルライダーキックが元ネタであるが。
次に【第拾弐話/奇跡の価値は】に登場する第十使徒サハクィエルに対抗した エヴァ三体のATフィールドによる防御/攻撃を波動面から見てみよう。零号機、 初号機、弐号機のATフィールドの位相を完全同一だとして、それぞれ定数E0,E1,E2で 表すとすれば、位相差ゼロでφ=0の時、最大強度(E0+E1+E2)^2を持ち、 位相差180度でφ=πの時、最小強度(E0+E1+E2)^2を持つ。エヴァ三体の ATフィールドの位相が揃えば(コヒーレントという)その波動エネルギーは 膨大なものとなり、落下する使徒の重量を相殺して、それを素手で受け止める のも決して不可能ではない。
現代物理学の主柱の一つである量子論によると、原子や分子の中の励起された エネルギー準位を刺激すれば、電子がより低い順位に落ち、その際、電磁波が放射される。 この効果を利用して増幅を行い位相を揃え、指向性の強い電磁波を発振させる装置を 「輻射の励起、放出によるマイクロ波増幅」 (microwave amplification by stimulated emission of radiation)の頭文字をとって MASER、メーザーと呼ぶ。これを光に応用、発展させたものが「輻射の励起、放出による光増幅」 (light amplification by stimulated emission of radiation)で、 光(学)メーザー、あるいは頭文字をとってLASER、レーザーと呼ばれSFやアニメはもちろん、 CDやDVDプレーヤー、ゲームマシン等現実世界でもおなじみの存在だ。レーザーは位相の揃った、 コヒーレントで強力な単色光線であるといえる。
825 :
ケペル博士 :2007/01/29(月) 00:14:42 ID:???
訂正
>>823 ×最小強度(E0+E1+E2)^2
○最小強度(E0-E1-E2)^2
乙
827 :
城所浩司 :2007/01/29(月) 23:59:41 ID:???
三体による合成波なら180度でなく、120度の位相差でも最小強度になるはず。
おつ
乙
830 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの :2007/02/11(日) 18:00:05 ID:swCCwnnp
本議論スレ気づいたら落ちてた 残念あげ
( *´ω`)?
キモヲタ臭がプンプン臭うな・・・
ほす
まち
稲荷町
十日町
ほす
まだ?
法主
まつ
841 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの :2007/03/22(木) 17:01:21 ID:9lcmBPy+
早く続きを読みたい・・・。
ageてしまった スマソ
843 :
城所浩司 :2007/03/26(月) 17:16:37 ID:???
おーい!
まだか
保守
hoshu
ほしゅ
848 :
ケペル博士 :2007/04/15(日) 23:30:22 ID:???
>>814 帝国ホテルは間違いなくライトの設計です。
>>655 のミスは東京駅で、こちらがライトと無関係です。
二重ミスとはお粗末。
法主
hoshu
保守
保守
☆
ATフィールドの科学的分析に戻ろう。ATフィールドのオカルト的分析は
既に検討した。(参照
>>318 )次は科学的検討と評価だ。このように
エヴァ世界の科学的分析を行なうと今も昔も返ってくる反応は二通りしかない。
「エヴァのような矛盾に満ちた世界に科学的整合性を求めること自体が
間違っている」あるいは「庵野秀明が用いる科学的専門用語は単なるガジェットで
あり、最初からまともに検討するに値しない」しかし、繰り返しになるが、
こうした考えは少なくとも、このスレッドのリーダー諸賢には当てはまらない。
なぜなら「たかがアニメに科学的正確さ」というファンの態度は容易に
「たかがアニメのキャラや物語に入れ込んでいる」という態度の対極を
成すからだ。物語やキャラに入れ込むのも有りならば、作中の科学的正確さに
こだわるのも、また有りなはずだ。
さて、ATフィールドだが、フィールド(field)とは古典物理学における「場」であり、 なんらかの「力」が作用する領域を意味する。また、現代物理学、すなわち量子力学に おいては場とは粒子同士が粒子を交換し合い、その相互作用を及ぼすものと定義される。 まず、順序として現在の物理学において我々の世界を構成する「四つの力」をまとめておこう。 1:電磁気力 2:強い力 3:弱い力 4:重力
教科書に載ってることは省いてさっさと本題に移れよ
Dr.Kって医者の亡霊タン?
858 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの :2007/06/19(火) 02:13:28 ID:uFnYnY0S
だって内容がないんだもの
保守
あと一歩で最下層
862 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの :2007/07/14(土) 19:40:22 ID:QF0Nqqbm
hosyuage
ほしゅ
864 :
碇店長 :2007/08/06(月) 12:43:13 ID:???
楽しませてもらっていますよ、先生
内容のある書き込み待ち
まち
さらにまち
868 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの :2007/08/29(水) 04:49:48 ID:mFqnwqtm
保守age
まだ?
まだまだ
保守
なんだかんだで、よくこのスレ続いてるよ
>Ritsuko : March of Black Queen. QUEENヲタか?それとも松野信者か? ちゃっかり入っててワロタ
まだか
すいません。夏厨のせいで連続規制されてました。 週末には少しうpします。
一般論でない内容のある書き込みを期待
医者の亡霊タンおかえり
HOSYU
ケペペペ
ケルペス
で、週末は過ぎたわけだが
波動関数に戻ろう(
>>999 )海の波、音や光、地中の岩盤を伝わる地震波、さらには
物質そのものを含めた全ての波は、なんらかの波動関数を満足させる。「満足させる」
「満たす」とは、波は波動関数を解くことにより表すことができる、という意味だ。
ところで、このスレにお付き合いいただいているリーダー諸賢ならば、 物質の構成要素、ミクロのレベルでは、物質は粒子と同時に波としての 特徴を持つことをご存知だろう。たいていの現代物理学、特に量子論を 扱った一般向け科学解説書には光が粒子であると同時に波であることを示す 「二重スリット実験」が取り上げられている。光は粒子としての光子、 波としての光波、その両方を持った光量子として扱うことになる。こうした 量子論を波動関数に適応したのがオーストリアの物理学者、 エルヴィン・シュレーディンガーであり、『シュレーディンガーの波動方程式』 と呼ばれるものだ。シュレーディンガー方程式の基本形を見てみよう。 ih(∂/∂t)ψ=Hψ
ここでiは虚数単位、tは時間、∂は偏導関数、ψが波動関数となり、 Hはハミルトン関数(ハミルトニアン)、hはプランク定数を2πで割っ たもので正式にはエイチバーである。 h=h/2π
二つ以上の独立した変数を持つ微分方程式を偏微分方程式と呼ぶことはご存知だろう。 シュレーディンガー方程式は粒子に付随する確率波が時間経過と共にいかに空間を 伝播するかを記述する偏微分方程式である。この波の山は、そこに粒子が見出せる 確率が高い場所を表している。シュレーディンガー方程式は高等数学を駆使しており、 その全てを理解することはライター愚生にとっては到底不可能である。しかし、 最も簡単な応用形式を挙げておこう。これは『1次元時間依存型シュレーディンガー方程式』 と呼ばれるものだ。 (d^2ψ)/(dx^2)+((8π^2m)/(h^2))*(E-U)ψ=0 ここでxは距離、hはプランク定数、m、E、Uはそれぞれ当該粒子の質量、全エネルギー、 ポテンシャル・エネルギーである。
質量mを持つ、あらゆる粒子の波動関数をシュレーディンガー方程式で表してみよう。 -(h^2/2m)∇^2Ψ+UΨ=ih(∂Ψ/∂t) ただし、i=√-1。 記号∇(ナブラ)の二乗(∇^2)とは三次元空間座標(x,y,z)について2階の微分を意味する。 ∇^2=(∂^2/∂x^2)+(∂^2/∂y^2)+(∂^2/∂z^2) 実際の波動関数において∇^2は直行座標(x,y,z)の代わりに極座標(r,θ,φ)で表されており、 さらに時間tが加わり、かなり複雑なためライター愚生の手に余る。
今後、エヴァの謎であるATフィールドや使徒の世界、死海文書、人類補完計画 全てに関わってくるポテンシャル・エネルギー(U)について簡単に触れておこう。 高校物理で「エネルギー保存則」とその形態、つまり「運動エネルギー」と 「位置エネルギー」については学んだはずだ。実際にはこれに「放射エネルギー」 が加わりエネルギーの三形態となるが、エネルギー保存則からこの形態は相互に 変換可能である。
一般向きの科学解説書では位置エネルギー=ポテンシャル・エネルギーとされている 例が多いようだ。これは間違いでないにせよ、今後のこともあるのでより正確に 現代物理学における定義に触れておこう。粒子(物質)が電場、磁場、重力場、 ヒッグス場など各種の「場」を持つ空間に置かれると、その粒子が場と反応する。 化学反応であれなんであれ、全ての反応にはエネルギーの変動が伴う、この粒子と場の 反応エネルギーのことをポテンシャル・エネルギーと呼ぶのである。粒子間に蓄えられる エネルギーがマイナスの場合は引力となり、逆にプラス・エネルギーの場合は 斥力(反発力)となる。当然ながら場の存在しない空間に粒子を置いても ポテンシャル・エネルギーは発生しない。つまり場のない空間に置かれた物質の ポテンシャル・エネルギーはゼロである。シュレーディンガー方程式には 必ずU=0の場合を含む、ポテンシャル・エネルギーが入っている。シュレーディンガー 方程式は位置(x,y,z)と時間tが変化すると波動関数Ψがどのように変化するかを 決定する方程式であるといえる。
あるいはご存知の方もおられるだろうが、シュレーディンガー方程式は 時間と空間を別々に捉えている。換言するとシュレーディンガー方程式は アインシュタインの特殊相対性理論から導かれる、四次元時空間と慣性系に おける光速度不変の要請を満足させていない。シュレーディンガー自身、 この重大な欠陥に気付いてはいたが、その解決には至らなかった。 これに成功して粒子(電子)が光速度に近い速さで運動する場合の量子的 振る舞いを記述し、『相対論的波動方程式』を得たのが、エヴァではお馴染み 英国の物理学者、ポール・エイドリアン・モーリス・ディラックだ。 ディラック方程式を見てみよう。 [1/c(-ih(∂/∂t)+eΦ)+α(p-eA)+βmeC]ψ=0
初歩的な量子力学を学んだリーダー諸賢もおられるかもしれないが、 ここでのポイントとしてディラック方程式にはシュレーディンガー方程式に 見られなかった光速度cが含まれていることに注意されたい。また、 シュレーディンガー方程式と異なり、時間と位置(空間)のいずれもが 1階の微分方程式であることも大きな違いである。どちらの方程式も 高等数学の範疇ではあるが、われわれが高校数学2Bあたりで学んだ初等数学に おける微積分の応用であることは間違いない。ニュートンに代表される 古典物理学では通常、物体の運動を2階の微分方程式として表す。つまり、 物体の物理量の変化率のさらに変化率を含んでいるわけである。数学的に見れば、 古典力学では「初期条件」として指定する値が多いことを意味する。 代表的なものは物体の位置と運動量で古典力学ではこの両方を同時に 指定できるが、量子力学では不確定性原理により、どちらか一方しか 指定できない。すなわち1階の微分方程式でなければならないのだ。
だから一般論は
このディラック方程式を解くとマイナスの電荷しか持たないはずの電子に プラスの電荷を持つ電子の存在が現れる。その後、米国のカール・アンダーソン により宇宙線の中から実際に発見されたのが、これまたエヴァではお馴染みの 反電子、つまり陽電子(positron)だ。それ以外にも電子のスピンが導かれるなど、 極めて重要な結果をもたらせているが、ここでは割愛する。
再度、シュレーディンガー方程式に戻ろう。波動関数はある種のベクトルとして
表すことができる。これはディラックの表記法を採用して次のように記述できる。
ih(∂/∂^t)|ψ>=H|ψ>
|>は「ブラベクトル」、<|は「ケットベクトル」と呼ばれる記号で
いずれも括弧(カッコ)を意味する英語のブラケット(bracket)に因んでいる。
数学的には<双対ベクトル空間>と<スカラー>を表しているといえる。
幾何学的な種々の変換(参照:
>>772 )を考えず、単純な線形変換だけを
とらえれば、ベクトル空間は相互作用する対の形で現れることが多い。
例えば高校数学Vc以上を学ばれたリーダー諸賢であれば、行ベクトルと
列ベクトルの積を取れば、スカラーが得られることをご存知だろう。
このスカラー積により、行ベクトルは列ベクトル全体上で定義された線形関数と みなすことができるし、逆に列ベクトルを行ベクトルに対する線形関数とみなす ことも可能になる。これは、その解が時間経過と共に連続的に変化するため 状態関数、または<状態ベクトル>と呼び、ここでは波動関数と同一の意味で 用いることにする。
我々はすでに複素数、虚数という概念を確認している。(参照:
>>792-793 )
実はシュレーディンガー方程式は物理学の歴史の中でも虚数をその基本公式に
組み込んだ最初の方程式であることだけは、ぜひとも知っておきたい事実である。
当然、その解は複素数として得られ、実数部分と虚数部分に分かれるが、
問題はその虚数部分だ。一般の波動はほとんどが三角関数を使用した状態ベクトル
として次のような式で表すことができる。
Ψ(t,x)=Acos(ωt-kx)+iAsin(ωt-kx)
(ωt-kx)は一定角度の波、すなわち位相である。
水面の波や音の波、電磁波などに至るまで、一般の波に関しては虚数部分と 実数部分を完全に分割でき、それぞれ独立に元の状態ベクトルを満足する。 従って、実数部分だけを取り出して状態ベクトルとしても何の問題もない ばかりでなく、その状態ベクトルは実際に観測される波と完全に一致している。 ところが、シュレーディンガー方程式における複素数の解は実数部分と 虚数部分を分離できない。なぜなら、実数部分と虚数部分は各々独立して 元のシュレーディンガー方程式を満足させないからだ。虚数をはずすと 基本的な量子条件であるE=hf(E:エネルギー、h:プランク定数、f:振動数)が 成立しなくなる。このE=hfは光子1個のエネルギーを表し、 『アインシュタインの関係式』と呼ばれる。この光電効果の数式化により、 アインシュタインは1921年、ノーベル物理学賞に輝いたことをご存知の方も多いだろう。
物理量は常に実数でなければ意味が無い。そうでなければ観測できないからだ。 一般相対性理論やSFの世界でお馴染みの<タキオン>と呼ばれる粒子をご存知だろう。 ギリシャ語の「素早い」を意味する「タキス」から取られた存在で、虚数の質量を持つ。 タキオンは光速度以下の速さでは存在できない粒子だ。タキオンの存在、あるいは それが存在する世界はどこかに重大な欠陥を有していることになる。それと同じく 観測できないシュレーディンガー方程式の虚数部分には一体どんな意味があるのか。 勘の良いリーダー諸賢なら既にお分かりだろう。エヴァ世界における使徒の存在を 意味しているのだ。
実際の量子力学のテキストでは演算子を用いて、この虚数を恣意的に処理している。 演算子とは次の一言で表すことができる。「犬が西向きゃ、尾は東」。 実際に大学の講義で数ページに渡るエルミート演算子の説明を、これだけで すっとばした講師がいる。しかも、そこを重点的に学科試験に出された学生たちは たまったものではない。それはともかく、量子力学では複素ヒルベルト空間上における 自己共約作用素であるエルミート演算子と、ユニタリー行列による変換である ユニタリー演算子を用い、状態ベクトルを平行移動や時間経過、ベクトル変換を行い 行列における内積を変化させずに虚数部分を排除している。
シュレーディンガー方程式により記述される虚数の部分。虚数の波動、虚数の粒子、 虚数の物質、虚数の世界、虚数の存在。これこそが使徒の存在する世界であり、使徒の正体だ。 予言の書である死海文書には、明らかにシュレーディンガー方程式を中核とした 物質波による使徒の出現が確率として記述されていることは間違いない。どうやら我々は 遅々とした歩みではあるが、着実にエヴァの謎に迫っていると言えるだろう。
亡霊タン乙
オチュ
おつ
904 :
城所浩司 :2007/09/21(金) 23:52:03 ID:???
そう来たのか
905 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの :2007/09/22(土) 00:03:27 ID:f+YD8ltp
なにこれ真性の人?
誰かどっかのサイトかwikiにでもまとめてくれ 2chのスレとして流れるのはもったいないだろう
正直最近はイマイチ
まあがんがれ
あと100 全部のタイトルは消化できん罠
次スレがあるんじゃないの。
911 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの :2007/09/28(金) 16:13:24 ID:L+ZpYA58
hi
does anyone speak English?
へっぉえヴぇりょね!
ほす
ほさ
ほす
ほし
まち
乙
亡霊?
医者の亡霊ってなんでわかった
ケペルやったスマソ
ヘルペスでなくてよかった
とにかく1000までには完結しないので、適当なところで次スレを立てて、今まで書いたものを推敲して再アップしてください。
よろしく
おながい
ここまでのまとめ +>1 目次 (「二人の親」→「二重の親」に変更) +>3-11,17-25,34-49 最後の錬金術師、碇ユイ/Yui : The Last and Ultimate Alchemist. +>86-117 トリックスター、加持リョウジ/Ryohji : The Trickster. +>155,150-154 番外編 +>167-175,179-189,219-230,237-241,247-251,254-258,266-276 二人の親、碇シンジ/Shinji : Parent Double. +>291-297,311-322,329-333,361-377,383-386,399-403,417-426 魂、コア、アトランティス/Soul, Core and Atlantis. +>445-461,487-489,506-529,557-569,595-604 昼盲症者、碇ゲンドウ/Gendou : The Nyctopia +>632-641,645-657,662-667,683-704,718-723,736-745,752-756,767-776,778-783,785-787,790-806,815-824,854-855,882-891,893-900 無意識のチャネラー、赤木リツコ/Ritsuko : March of Black Queen.
932 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの :2007/11/08(木) 21:49:36 ID:oA6gB7oQ
おつ
ところで、「シュレーディンガー」と聞いてこのスレにお付き合いいただいている リーダー諸賢が真っ先に思い浮かぶのは方程式そのものよりも、シューレーディンガー本人が 提唱したある思考実験ではないだろうか。いうまでもなく『シュレーディンガーの猫』である。 この詳細に関してはご存知だろうから省略するとして「死んだ猫」と「生きている猫」が <量子的重ね合わせ>の状態として存在するという量子力学の奇妙さを揶揄するために シュレーディンガー自身が考案した思考実験は、現在に到るも多くの議論を重ねている。
猫が生と死の両方の状態にあるように、シュレーディンガー方程式により 死海文書に記述される使徒はわれわれの世界と使徒自身の世界双方に 同様な可能性として存在している。では、その二つの世界を隔てているものは何か。 明らかになんらかの物理的障壁、ポテンシャル・バリヤーが存在している。 詳細は後日、徹底検証するとしてここで結論を先に述べておけば、 それは<重力(gravity)>である。重力こそATフィールド、使徒、人類補完計画、 南極、死海文書、地下空洞など、エヴァのほとんどの謎に関係する最重要概念であり、 使徒とわれわれの世界を隔てるエネルギー障壁こそ、重力のポテンシャル・エネルギーだ。
通常、このエネルギーは極めて強大である(われわれの宇宙全ての物質が関わる)ため、 これを乗り越えるには事実上無限のエネルギーが必要となり実際には不可能だ。 しかし、量子力学においてはポテンシャル・エネルギーを超える力を有しなくても、 この障壁を通過することができる。いわゆる<トンネル効果>だ。当時、ソニーの 技術者であった江崎玲於奈は、このトンネル効果を生かした半導体を実際に設計製作した。 エザキ・ダイオード、またはトンネル・ダイオードと呼ばれるそれは1973年、日本人と して七人目のノーベル賞を江崎にもたらせている。現在、リーダー諸賢が使用されている であろう携帯電話やフラッシュメモリも、このトンネル効果を直接応用した製品である。 このため使徒が同時複数展開しない理由もおわかりだろう。トンネル効果は全て確率的に 表せられるために、ミクロスケールからマクロスケールに発展すれば、その可能性がゼロ ではないにせよ限りなく低くなるからだ。
さて、ここで前述のディラックの表記法を用いてシュレーディンガー方程式を 応用した「シュレ使徒」の計算式を考えてみよう。ここでは現在のわれわれの 世界に存在する使徒を「現使徒」、使徒自身の世界に存在する使徒を「仮使徒」 と表記することにする。使徒の波動関数を表す場合、|現使徒>と書く。 波動関数は複素数の形をとることはすでに述べた。従って、虚数の形を変えて(複素共役) <現使徒|と同時に書く。使徒がわれわれの世界に存在する確率はこの二つの積をとる。 <現使徒|現使徒>
使徒がわれわれの世界に存在する確率が1/2であれば、以下のような式になる。 <現使徒|現使徒>=1/2 これは二つに分割された波動関数の振幅は1/√2をとるはずだから二乗の絶対値が1/2、 つまり確率50%となり線形結合として以下のようにまとめられる。 |ψ>=1/√2{|現使徒>+|仮使徒>}
以上は波動関数からみた確率だが、もうひとつ「干渉可能性」を 意味する以下のような表記がある。 |現使徒><現使徒|
実際には、猫やヒトや使徒のように複雑な系は「状態」ではなく、 それを拡張した<密度行列>と呼ばれるもので記述されるはずだ。 これはフォン・ノイマンらの考え方だが、ノイマンはボーアらが 主張する量子力学とニュートン、アイシンシュタインらの古典物理学とは 本来ひとつに統一されるべきだと考えていた(『量子重力論』)。 ノイマンはマクロな実験測定装置も粒子により構成されているため、 その観測自体も量子力学的過程とみなすべきだと主張していた。 彼は最終的に波束の収縮は人間の意識が介在して起こると考えた。 ここではその問題に深くは立ち入らないが、人間の意識がその周囲で 起こる事象に影響を与えるという考え方は後のニューエイジ、 ニューサイエンスに大きな影響を及ぼしている。もちろんエヴァと その人類補完計画やATフィールドにも。
密度行列に戻ろう。使徒の密度行列は使徒自身の世界に在る状態も考慮して以下のようになる。 【仮想的な使徒の密度行列】 [ |現使徒><現使徒| |現使徒><仮使徒| ] [ |仮使徒><現使徒| |仮使徒><仮使徒| ] このような状態を<純粋状態>と呼ぶ。これとは別な形が<混合状態>だ。 ここで重要なのは対角線上にない非対角成分、つまり|現使徒><仮使徒|と |仮使徒><現使徒|だ。この非対角成分が存在するとわれわれの世界と 使徒自身の世界が干渉可能であることを意味することになる。また、なんらかの 理由で非対角成分がゼロであれば、われわれの世界の使徒と自身の世界に いる使徒は干渉不可能な<デコヒーレント>状態にあるといえる。
実際の使徒は二つの世界どちらかに存在するため、現実の密度行列は以下のようになる。 【実際的な使徒の密度行列】 [ 1/2|現使徒><現使徒| 0 ] [ 0 1/2|仮使徒><仮使徒|] 上記のように非対角成分が消滅してゼロになるのが<混合状態>だ。
訂正
>>941 【実際的な使徒の密度行列】
[ 1/2|現使徒><現使徒| 0 ]
[ 0 1/2|仮使徒><仮使徒|]
見づらくなって申し訳ない。
乙であります
シュレ使徒!新語!新語!
945 :
城所浩司 :2007/11/12(月) 17:02:30 ID:???
おもしろい
おつ
ほす
今回はながいのう
ほす
まだ
こない
まだ
もう一月か
まだ
キャッチャー
インザ
957 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの :2008/01/05(土) 16:51:18 ID:R87QyJut
新年あげ
よく勉強してるなあ
まだ?
960 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの :2008/01/16(水) 23:28:12 ID:Qemt0vcI
投下間隔あきすぎ
さて、使徒の世界は数学的物理的存在だけであるのだろうか。 この問題を改めて考える前にSFの世界ではおなじみの異次元世界を 再検討しよう。これには大別して以下の三種類の世界が存在する。 1:数学的高次元世界 2:反世界 3:並行世界
1:の数学的高次元世界はすでに考察済みで、直行する空間座標が 四つ以上存在する世界だ。近年の研究、特に物理学における超ひも理論、 あるいはそれから発展したM理論ではわれわれの空間は十次元、あるいは 十一次元の世界であり、一次元の時間と三次元の空間以外は極端に小さな 世界となってしまい、われわれには観測不可能となっている。これを数学的 幾何学的に空間のコンパクト化と呼んでいる。この時空のコンパクト化と 使徒の世界については改めて考察する必要があるだろう。 2:の反世界はエヴァファンであれば説明不要だ。ディラックが予言した 陽電子、反粒子、反物質から構成される反世界が存在する確率は、少なく ともわれわれの存在確率と同様な程度に高い。にもかかわらず、われわれの 世界には反物質はほとんど存在しない。これはビッグバンの際にほとんどが 正物質と反応して高エネルギーのガンマ線となって消滅したからだと思われる。 ただ、正物質と反物質が同量存在すれば全てはエネルギーに変換されるから、 ほんのわずか正物質の量が反物質の量を上回っていたと考えられている。それでも、 そのわずかな量がこの宇宙全てを造るだけあったわけだが。これには対称性という 問題があるので、これも別に検討しよう。曲者物理学者、 リチャード・P・ファインマンが考案した画期的なファインマン図 (ファインマン・ダイヤグラム)によれば、反粒子はわずかな時間と距離、 時間の流れを遡って過去へ向かうともとれるが、もちろんこれには別の解釈もある。
3:の並行世界は平行世界とも書かれる。これまでは前二者ほどの 科学的理論的根拠がなく、むしろ哲学的思想的に語られることが多かったと思う。 それでもこれを扱った小説、映画、テレビ、コミック作品は多く、 フレデリック・ブラウン『発狂した宇宙』、ミステリーゾーン『宇宙飛行士の幻想』、 そして手塚治虫がアトムのデビュー作として描いた『アトム大使』などは全て並行世界を 扱ったものだ。要はわれわれの世界とほとんど同じだが、細部に違いがある無数の世界が 同時に存在していることをいう。しかし最近、量子力学の発展、特に前述の「シュレ猫」 の問題を中心として波束の収縮や波動関数の崩壊がどこで起こるのかという問題を 解決する鍵として、この並行世界が急速にクローズアップされている。これは猫の死や エヴァ世界における使徒の出現は観測による確率によって決定されるものではなく、 常に量子的な重ね合わせ状態が成立しているとする。ミクロスケールの粒子の振る舞いと マクロスケールにおける状態の量子的重ね合わせは干渉を起さない。その時点で世界は 無数の可能性をもつ並行世界に分裂するというのである。
これを最初に唱えたのは1957年、当時プリンストン大学の院生だった ヒュー・エヴァレット三世の博士論文だが、その時の指導教官の言葉が またふるっている。「きみの理論は充分ぶっ跳んでいる(crazy enough)から、 ことによると真実かもしれない」その指導教官、 ジョン・アーチーボルト・ホイーラーは相対性理論の世界的権威として アインシュタインとその頭脳から生み出された一般相対性理論がいかにcrazyな 発想を基にしているか、ことあるごとに思い知らされていた。ファインマンも 折に触れて「アインシュタインという人はよくもまあ、こんな考えを 思いついたものだ」と述懐している。また、ホイーラーは庵野秀明の十八番、 重力崩壊した天体を「ブラックホール」と命名した名付け親でもある。 エヴァレットの理論が世に出るのを助けたホイーラーだが、のちに その数学的論拠の弱さから反対の立場に廻った。これは波動関数に 含まれているとする無数の世界がお互いに影響を及ぼし合わない理由を 明確化できなかったことが大きい。それが最近では<デコヒーレント>、 <量子的絡み合い>の二つにより、ほぼ解決されている。残念なことに エヴァレットは急逝したので、その後の自説の理論的発展を目にする ことがなかった。
ただ、この理論もいわゆるコペンハーゲン解釈同様に実験で確かめることができない。 しかし、ミクロスケールでの波束による確率分布は実験で確認されている。従って マクロスケールでの波動関数の重ね合わせも認めるべきではないか、というのが今日の 物理学の趨勢である。つまり、使徒の世界は並行世界解釈の一例として存在することに なる。エヴァレット自身はこれを「相対的状態メタ理論」と呼んだが同僚の物理学者で あるブライス・デウィットが『多世界解釈』と呼んだため、こちらの方が普及するよう になった。現在ではわれわれの宇宙ユニバース(uniには単一の、唯一のといった意味がある) に対して<マルチバース(multiverse)>あるいは<メガバース(megaverse>と 呼ばれることが多くなっている。しかし、なんと呼ばれようと科学者の頭の中の存在だけでは、 使徒自体の存在を含めてわれわれにとって満足できる見解ではない。ところが 現代量子論の精鋭で現在、先進各国で開発にしのぎをけずっている<量子コンピュータ>の 事実上の発案者であるデヴィット・ドイッチェは量子コンピュータこそ、 このマルチバースが実在する証拠になるという驚くべき見解を発表した。
アインシュタイン、ホーキングらが天才であるならば、ドイッチェはまさに鬼才と 呼ぶにふさわしい存在だ。量子コンピュータについてはリーダー諸賢もある程度 ご存知だろう。中学の数学で学んだ因数分解はその桁数が大きくなると膨大な計算量が 必要となる。現代のコンピュータでは原理上、因数が一桁上がると計算処理数と所要時間は、 ほぼ三倍になる。このため処理時間は数字の桁数が上がるにつれて幾何級数的から 指数関数的に増大する。わが2ちゃんねるのトリップ計算もこの応用であることを ご存知の方がおられるのではないだろうか。さらに現在一般的に使用されている 「公開鍵暗号法」、発案者である三人、ロナルド・ライヴェスト、アディ・シャミール、 レオナルド・エーデルマンの頭文字をとって「RSA暗号システム」と呼ばれている 暗号法も基本的にこの素因数分解を利用している。さまざまなアルゴリズムと 計算機自体の性能向上により2007年5月現在、2の1039乗-1 の約数として現れる 307桁の素因数分解までが明らかになっている。307桁同士の数の積を計算するのは 家庭用のノートPCでも十数秒から数十秒で完了する。しかし、1万桁や100万桁の数を 素因数分解するには地球上の全コンピュータを総動員しても百年以内に計算を 終了させることはできないだろう。だが、量子コンピュータならば、数千回程度の 計算処理により、おそらく数分以内に解答を得る。問題はこの計算処理に使用される 計算資源、リソースがどこにあるかということだ。
デジタルコンピュータは情報の最小単位bit(0,1)で動作していることは小学生でも 知っている。量子コンピュータは量子ビット(0,1,?)で動作する。「?」は量子的 重ねあわせ状態にある0、または1である。量子ビットはquantum bitからキュービットと呼ばれる。 1994年、ベル研究所のピーター・ショーアは「ショーアのアルゴリズム」と呼ばれる 全く新しい計算方法を発見(あるいは発明)した。ショーアのアルゴリズムが 現に見据えている計算資源は10の500乗程度必要とされる。それだけのビット、 あるいは量子ビットをどこから調達すればよいのか。われわれの宇宙に存在する 全原子を計算資源として利用できるにしても、たかだか10の80乗個程度しかないのだ。
ドイッチェによれば、これはマルチバースの複数宇宙で同時に行われるという。 つまり量子計算における際に干渉し合う宇宙自体の数は10の500乗程度になる。 前述の数千回程度の計算処理とは、言うまでもなくそれぞれの宇宙での計算処理回数である。 それらの計算は全て異なる宇宙で並列に実行され、干渉を通じてその結果を共有する。 ドイッチェはこれ以外にもさまざまな形でマルチバースが実在することを訴えているのだが、 本筋から離れるので、ここでは触れない。もちろん、使徒とマルチバース、そして 量子コンピュータの話題はこれだけではない。当然、われわれはMAGIについて従来とは 違った視点から考察しなければならない。これは稿を改めて行うことにしよう。
おお、待ってたよ!
乙
ここまでのまとめ +>1 目次 (「二人の親」→「二重の親」に変更) +>3-11,17-25,34-49 最後の錬金術師、碇ユイ/Yui : The Last and Ultimate Alchemist. +>86-117 トリックスター、加持リョウジ/Ryohji : The Trickster. +>155,150-154 番外編 +>167-175,179-189,219-230,237-241,247-251,254-258,266-276 二人の親、碇シンジ/Shinji : Parent Double. +>291-297,311-322,329-333,361-377,383-386,399-403,417-426 魂、コア、アトランティス/Soul, Core and Atlantis. +>445-461,487-489,506-529,557-569,595-604 昼盲症者、碇ゲンドウ/Gendou : The Nyctopia +>632-641,645-657,662-667,683-704,718-723,736-745,752-756,767-776,778-783,785-787,790-806,815-824,854-855,882-891,893-900,933-942,961-968 無意識のチャネラー、赤木リツコ/Ritsuko : March of Black Queen.
こないな
あきたんじゃね?
原稿はあるんだろう?
早くキテ
977 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの :2008/02/12(火) 00:15:41 ID:ALUqfPKk
綾波、アスカ、冬月、ミサト、カヲル、死海、二元論、ゼーレ、終着がまだ
まだかけてないんじゃあるまいか。
五年かけてできていないということはないだろう
忙しいんだよ!!
新スレよろ ↓
いりません
断固拒否する
糞スレは続かず。ただ消え去るのみ。