※何でも※エヴァ新作SS発表スレ※OK※

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1名無しが氏んでも代わりはいるもの
皆様でSSを書いたけれど、どこに出したら良いかわからない
方はおりませんか…?
私もそうですが、拙いものでもやはり他人様に読んで頂かな
いと悪い部分を直しようがありません。

ジャンルは特に問いません。
そのあたりは皆様のご良識で。

では、存分に活用される事を、願っております。
2:02/04/10 22:25 ID:r5oWJIvc
【大人になれない大人の為の残酷童話】

「おはよう。シンジくん。昨日は良く眠れた?」
「ぁ、ミサトさん。おはようございます」
知らない家。
そして会って間もない人。
それに……あのエヴァと呼ばれるモノ。
眠られる訳が無い。
でも。
「ええ。疲れていたので良く眠る事が出来ました」
他人を失望させたくない…いや、他人に自分を少しでも良く見て貰いたい。
…だから、人の意向を伺いそれに沿って行動する。
ミサトさんは親指を立てながら「たーいへん宜しい! どう…? 今日の初登校、
楽しみ?」と椅子から身を乗り出しぼくに尋ねる。
うるさい…この糞女っ!  
いつの間にか、心の中で毒づく癖が付いていた。
それはいつもいつも、心に湧き上るどす黒い…本音。

「正直…少し不安です。でも…学校は行かなきゃならないし…。」
「そうそう、男の子でしょ…自身を持って! それに、この街を救ったのはシンジくん、
あなたなのよ。」
「いや、あれは…まぐれです。あ、そろそろ朝食の準備をしますね」
男だからなんだってんだ…。
俺にはこんな街…いや他人がどうなろうと関係ない……。
心の声の一人称はいつも俺。
そして、他人との会話では僕。
少しでも、柔和な印象を持ってもらう為。
まだ¨俺¨と一人称で話す事は出来ない。
自身が無いから…。
3名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/04/10 22:25 ID:r5oWJIvc
「では…新しいクラスメートの紹介です。ぇぇと、碇シンジ君です。席は…ああ、そこ
に座って。」
教室をまばらな拍手とひそひそ声が包む。
嫌だ…衝動的にその場から逃げ出したくなるのを必死に堪える。
どうせ…俺の悪口を言っているんだ。
教室を僅かに上目遣いで眺める。
ぽつりぽつりと空席が目立っている。
よかった。
人は少なければ少ないほど良い。
「…碇シンジです。よろしくお願いします。」
その場で、ぺこりと一礼。
4名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/04/10 22:26 ID:r5oWJIvc
「えー?! 本当にあのロボットのパイロットなの…碇くん!」
「凄っごーい。あれって、操作は難しい…?」
「ねえねえ……怖かったりしないのかなぁ。」
……。
正直、悪い気はしない。
人から褒められるのも、悪い気はしない。
女子からとなれば尚更だ。
でも…これ以上目立つと波風が立つ。
会話は適当に流す。
「考えるだけで動くから…。それに…スタッフの皆がサポートしてくれるし…。」
ちらりと教室を見渡すと、やっぱり。
男子がこちらを見ている。
特に、ジャージの奴はこっちを睨みつけている。
…だから嫌なんだ。
「ねぇねぇ…碇くぅーん……。」
うるさいぶすが…! 馴れ馴れしいんだよ。
それに比べ…。
横目で窓際の席を見る。
綾波レイ。
あの子は…可愛い。
雰囲気も自分と似ている感じがする。
あのような女の子と付き合えたらと、空想してしまう。
虚しくなるから…出来るだけ考えないようにしている。
5名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/04/10 22:26 ID:r5oWJIvc
「ちょっと転校生。話があるんや…。」
糞ッ糞! なにが¨や¨だ! この田舎野郎が…っ!
やっぱり、嫌な予感は当る。
生まれてから一度も良い事が無い…運が無いんだ…。
ばきぃ。
口の中に血の鉄っぽい味がする。
他者の暴力の前に、激しい恐怖と怒りがつのる。
体の震えを必死で抑えるが、口調が震えるのは抑え切れない。
「僕だって乗りたくて乗っている訳じゃないのに…。」
ふと、本音が口をつく。
そうだ。
何で、俺がこんな目に会わなければならないんだ。
会った事も無い、こいつの妹に全然すまないと言う気持ちが湧いてこない。
そして…もう一発。
地面にわざと倒れ込んだ。
そうすると、追撃をしてくる奴はあまりいない。
ほら。
あの何処かへ行った。

恐怖からの体の震え、心の強張りを暫く青い空を眺めながらゆっくりと解きほ
ぐして行く。
誰かが俺の側に立ち、日を遮る。
日の影になり、顔が陰っているがあの女の子…綾波だった。
「非常召集…。先、行くから……。」
そういい残して走り去る綾波。
6名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/04/10 22:27 ID:r5oWJIvc
「はい。ぼくは大丈夫です」「はい。リツコさん」「はい、分かりました」
こういう自分は好きでは無い。
でも、自分では如何する事も出来ない。
だが…いつもより激しい心のうねりを感じる。
強いて言うなら、怒り。

銃を撃つ撃つ撃つ。
畜生っ。
銃を失い、触手のようなもので弾き飛ばされる。
その先に…さっきの二人がいた。
何で、あいつ等を庇ったのかは良く分からない。
ただ、人殺しになりたくなかった…だけかもしれないし、そうで無いかもしれない。

「シンジくん! その二人を操縦席へ!」
ミサトさんからの命令。
だけど、リツコさんはそれに反対している。
とっさに、エントリープラグを射出させ、二人を中へと入れてしまう。
そうしながら…。
奇妙な敵¨使徒¨が眼前のモニタに肉薄し、その触手のようなモノを手で押さえつけ
ている。
熱い!
火を直接触ったような刺すような痛みを感じる。
糞糞糞っっ!
畜生畜生っ!!
7名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/04/10 22:27 ID:r5oWJIvc
「シンジくん! 一時後退よ…急いで!」
黙れ馬鹿野郎が。
感情の高ぶりを抑える事が出来ない。
何かが、何かが…脈拍を上げ、息も荒くなる。

ただ、ナイフを手に飛びかかった。
「うわぁぁあぁぁぁ!! ぐっ!」
下腹部の二箇所に熱い棒を差し込まれたような、違和感。
その次の瞬間。
今までに味わったことの無い様な激しい痛みが襲ってきた。
その痛みのあまり頭の中で火花が散り、更に興奮がいやます。
ただ、視界が光輝いていた。

脱力。
倦怠。
そして…一抹の虚しさ。

ただただ、操縦席に蹲っていた…。
8名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/04/10 22:28 ID:r5oWJIvc
<綾波>

碇シンジ。
司令の息子。
私と同じエヴァの専属パイロット。
私には、それだけ。

彼は、エヴァに乗るのが嫌なよう。
でも、エヴァに乗る以外になにがあると言うのだろう。

笑顔が何だが、司令に似ている。
学校でも私を見ていた。
本部でも私を見ていた。

誰かに暴行を受け、地面に倒れていた碇くん。
何故…? 
彼は司令とは少し違う。

今回の戦闘は待機。
碇くんが敵を殲滅に成功。
戦闘中の碇くんは、何故だか学校での争いの続きをして
いるみたいだった。

今日はもう眠い。
もう寝よう。
9sage進行きぼんぬ:02/04/10 22:54 ID:???
>>2-8
(・∀・)イイ!

●前スレ
http://teri.2ch.net/eva/kako/983/983634423.html
以前、かなり長いSSをこの板で書きながら、
途中で逃げ出した男が居た…そうならないことを祈る。

ついでに言うと、下げないと叩かれちゃうぞ!
省略が短くなったしそんなにsageにこだわらなくてもいいと思うけど
>>10に同意。他板のFFスレでも怖いのは批評厨。
無駄に長文、誘導は無視、厨房である自覚ナシの三拍子は脅威。
ひっそりsageてく方が無難と思われる。
<葛城>

ふぅ…。
これであの子の不登校も既に5日目。
今日こそはと、歯を磨きながら化粧台を見つめてぼんやりと思う。
ったく…何なのよ…あの子!
覇気が無い、やる気が無い、おまけに自分の意思を捻じ曲げても
他人に迎合する…いや、それを強いているのは私達だ…。
他人はともかく、私が言える事では無いか。

だけど、私は彼を責めた。
仕方が無かった。
責任者として…組織の…大人の義務をまっとうしただけだ。
それに…彼らは私自身の代行人……勝手なものね。

がら…。
「シンちゃん、朝よ。いつまで学校を休…。」
机の上に私宛の封書とIDカード。
ある意味、想像していた通り。
「家出か…無理もないわね…。」
誰に言うでもない呟きは、急に寂しくなった家の中を虚ろに響き消えて行く。
ピンポォーン。
チャイムの音で現実に引き戻され、慌ててドアを開けると…。
「シンジくん…!」
あの子が学校であったトラブル。
それを引き起こした、二人がそこに佇んでいた。
「あのぅー。碇くんのお宅でっしゃろか…?」
「トウジ…馬鹿っ! 碇シンジくんはご在宅でいらっしゃいますか?」
……。

また、愛想の良い私。
人当たりの良い自分を演じてしまった…。
そう、内面は彼、シンジくんと私も似ているのかもしれない。
そう考えると無性に腹が立ってくる。
「シンジの馬ぁ鹿……っ!」
バン。
雨は降り止む素振りを見せず、シトシトと降り続けている…。
また、逃げ出してしまった…。
苦い悔恨に苛まれる。
逃げても苦しいし、逃げずに踏みとどまる事は更に苦しい。
もう…どうでも良いか…。
耳元で鳴り続ける音楽も、環状線の雑踏も何処か薄膜一枚隔てた非現実に感じる。
俯きながら、念仏のように囁き続けるは「嫌だ…嫌だ…もう…嫌だ」の同じフレーズ。

終電の時間が過ぎた。
むかつくカップルもやけに楽しそうな学生も…油ぎった大人もいなくなった。
「もう…良いかな。…死んでも」
ふっと、口に出るいつもの言葉。
でも、実行に移す勇気が足りない。
今の所は。
だから…嫌だったんだ!
勝手に生んで…勝手に死んだ母さんも、俺を捨てたあの馬鹿野郎も…皆…皆っ!
何で、勝手に生んだ?
何故生きてるんだ…俺。
「もう…良いか…」
また、いつもの言葉に辿り付くのみ。

汽車を降りて、死ぬ勇気も無くふらふらと…彷徨う。
深夜の映画館を…街を…山を。
腹減ったな。
生きる気力は無くとも、腹が減り…休みたいと願う自分が嫌だ。
そして…ケンスケと遭遇した…。
馬鹿みたいに…野原でサバイバルゲームに興じるケンスケを、羨ましいと思うと同時に
僅かに軽蔑する。
だけど、それは苦しんでいる自分を評価するための言い訳…そんな事はわかってる。
糞っ。
…だけど、食事を分けて貰って、話をしていると少し…ほんの少しだけ心に渦巻いている
モノが解けた。
期待はしない…。
期待して裏切られるのは嫌だから。
俺は臆病で、馬鹿だ。

強そうな黒服の大人が来て、無理矢理NERVへ引き戻された。
何だかんだ言っても、どうすれば良いのかわからなかった俺には…正直良かった。
情けない自分…いや、まだ大人じゃないし、働いていないから金も無いし…仕方が無い。
また、自分を慰める自分だけの理屈だ…。
糞糞っ!

やけになっていた。
ミサトさんに甘えていたのかもしれない。
自分の意思とは正反対の事を言っていたら…引っ込みが付かなくなった。
まぁ、先生の所へ帰ってまた静かな生活に戻るのも悪くは無い。
そう、考え自分を納得させる。
俺を殴った奴…トウジが謝って来た。
謝るのなら初めからするな! と、でも嬉しかった…俺は…僕は人に優しくされたいの
かもしれない。
その時はそう思っていた。
ただ、求める事に夢中で…何も。
たが、一度決まった物事は厳格に進行して行く。
無理にあいつ等と引き離されて、ホームに佇んでいた。
そして、先程の自分の行動を反芻する。
「碇のことごちゃごちゃぬかす奴がおってみい、ワシがバチキかましたる!」
こういう、熱い事は嫌いだ。
でも…でも。
感情の高ぶりが、熱いパトスが体を駆け抜け…言葉が止まらなかった。
「殴られなければならないのは僕だ…僕は卑怯で…臆病で…ずるくて…弱虫で…」

確かにそうだ。
今なら分かる。
いや、今だから分かる。
しかし…それも、また。
結局、世界はヒトの数だけ真実がある。
それを…一つに…か。
逃げかもしれないし、そうではないかもしれない。
ヒトが知りえる事はあまりに少ない。あまりに。
汽車が来た。
どうしたら良いのか…分からない。
ただ…残ったら苦しい事が沢山待っているだろう。
帰ったら楽だが…また、逃げた事になる。
分からない。
汽車の扉が開く。
足を踏み出そうとした時。
あいつ等やミサトさん達…そして、綾波の顔や言葉が頭を過った。
触れ合うのは怖いけど…でも、もう一度会いたい。
それだけは自分の数少ない本音だった。

そうして。
「──ただいま」
「お帰りなさい」
<綾波>

今日は赤城博士の検査を受ける。
ただ、スキャンの間、横たわっているだけ。

あの時の傷は癒えて来た。
あの時の司令の顔。
何故だか分からないが心地よい感じがした。
司令の壊れたメガネ。
触れると、心地よい感じが蘇る。

碇くんは帰ってこない。
そう。

碇くんが帰って来た。
そう。

エヴァのパイロットは沢山いた方がいい。
補充が利くから。

J.D.ワトソン等著「遺伝子の分子生物学第4版」を読了。
今晩は、B.アルバーツ著「細胞の分子生物学」を13pまで
読んだ。

眠い。
寝よう。
さげ進行了解致しました。
前スレ貼ってくれた人もありがとう。
大分前スレは奮闘したようですね。

ところで、改行が多すぎます。
書き込みましたが、多いとアクセス規制を
食らいますとすぐにでるのですが、2ちゃんに書き込めなく
なったらどうしよう…。

一回で書き込める文量も少ない…。
がたがたぶるぶる。
>>21
とりあえず、名前欄に「タイトル1-1」
とか番号を振らんと、前の続きなのか解らんし、
ほかの作品が発表されたときに判別しにくい。

感想?ごめん、まだ読んでない。
2310:02/04/11 20:23 ID:???
>>21
そう言えば、逃げたFF書きもいなくなる直前に、
ブラウザから書き込みが出来なくなったとか漏らしていたね。
かなり長文を連発したからアクセス規制を食らったのかな?
…等と確証の無い怪情報を流してみる。
>>23
串刺せば良かったのに。
俺アク禁に巻き込まれて、2ちゃんに書きこむため串探した事あるよ。
、、と怪情報の価値を下げてみる。

スレ違いsage。
25名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/04/12 01:11 ID:1kxYLQtQ
真面目にFF書いたことで、アクセス規制かけられてしまうのか・・・
なんとも悲惨な話ですな。
悲惨age
26:02/04/12 18:48 ID:???
一応、補足説明まで。
基本的にはシンジの主観視点が主旋律。
他の人間の主観は、伴奏と思ってください。

何も書いていなければ、シンジ。
他の人の主観視点の場合は、名前を書きます。

後、今日までので3ということでお願いします。
今までのがそれぞれ、1と2です。

まだ、先は長いのでまたーりと行きたいですね。

>24
後、串の刺し方を真剣にお聞きしたいです。
お願い致します。
273:02/04/12 18:48 ID:???
<赤城>

第三使徒は完全にロスト。
ありがたい事に、第四使徒を完全な形で保管されている。
構成成分の定性及び定量、その他X線回析、微細機能観察、各種クロマトグラフィー
等々。
殆どは、MAGIによる自動分析によるもので私達はただ出力される情報を受け取り、
それを解釈するだけの単純な作業。
今日はやけに煙草が喉に絡みつく。
不快な事…。
私は紫煙を吐きながら、三週間程前の零号機起動実験を思い出す。

「──起動開始」
あの人のその一声により、起動実験は始まった。
何故、雑務はいつも副指令に任せているあの人が立ち会ったのか。
わかっている。
いつもながらに思うことだが、この感情が疎ましい。
だが、ヒトは論理だけでは生きられない。
しかし、論理が無くては何も出来ない。
科学者の立場としては当然、成功を期待していた。
ただ…本音はそう、母さんと同じ。
あんな人形、壊れてしまえ。
283:02/04/12 18:49 ID:???
ふと、あの人の横顔を覗き込む。
いつものように、ヒトに怯え自らを閉ざした男の横顔。
ただ、食い入るように零号機を…レイを見つめている。
…馬鹿野郎。

中途までは順調にフェーズをこなしていった。
「パルス送信」
「全回路正常」
「初期コンタクト以上なし」
私は拾った神さまから、新たなる神を作り出した…。
神が被造物を造り、被造物が神を作り出す。
正に、ウロボロス環…クラインの壺かしら。
だが、火を得た報い。
神罰は下された。
293:02/04/12 18:50 ID:???
オベレータやスタッフの急を告げるアナウンスが響く。
「パルス逆流!」
どうして…! でも…。
「中枢素子にも逆流が始まっています!」
ざまあみろ。
私は義務を果たしながらも内心ほくそえむ。
「コンタクト停止。6番までの回路を開いて」
「信号止まりません!」
死ね。苦しんで死ね。

その後の事はあまり思い出したくは無い。
零号機の暴走。
オートエジェクションによる強制射出。
ここまでは、心の一隅でほくそえんでいた…だが。

あの人が…あの人は。
「いかん!」
「レイ!」
他者には見せない感情の振幅。
私にも、見せたことのない感情の振幅。
替わりは幾らでもある事を知っている癖に。
モノである玩具に固執する幼子のようなものだと考え、自分を納得させる。
303:02/04/12 18:50 ID:???
さて、そろそろミサトとシンジくんが尋ねて来る頃だ。
頭を切り替えなくては…そう思い頭を軽く振る。
でも…あの子、シンジくんには教えてあげよう。
彼には冷淡な男の一端を。
せめて、あの人の変わりに苦しんでもらう。

あれから少ししか経っていない。
でも…何となく自分の居場所が出来たような気がする。
学校でもトウジ達と馬鹿話ぐらいはこなせるようになった。
ただ、他人に同調してその状況で話すべき事を話す、人形のようなものだけど。
仕方が無い。
俺には普通を何とか装う事で、精一杯だから。
ミサトさんにも、あの家にも少しだけ慣れた。
時々はうざったいけれど…何だか少し嬉しい。
313:02/04/12 18:51 ID:???
でも…でも。
リツコさんの所へミサトさんと見学に行った時。
あの身勝手な馬鹿野郎が綾波を必死で庇い、掌に大きな火傷を負ったと聞いて、
実際にその火傷も見た。
何でだ…? 何でアイツにだけは優しいんだ…?
女だから…か?
俺も女に生まれていたら…糞っ! 畜生っ!
あんな奴の事はどうでもいい。
どうでも…。

悔しい…。
綾波も綾波だ。
普段は友達一人いない暗い奴のくせに、あいつの前ではあんなに…。
どうして、どうして俺が優しくして欲しいヒトは俺にではなく、他のヒトに優しく
するんだっ!
どいつもこいつも糞馬鹿野郎だ。
どうして…どうして何だよ。
…父さん…綾波。
323:02/04/12 18:51 ID:???
<綾波>

傷は完全に良くなった。
シャワーを浴びていると、ドアが開く音。
碇くんがいた。
そう。

でも。
司令の眼鏡は私に必要。
あげない。
返して。

縺れ合い、床に倒れた。二人とも。
碇くんは、何故か感情の亢進状態に陥っていた。
息が荒い。
私によしかかって、体を擦り付けて離れない。
「どいてくれる?」
ようやく体をどいた。
333:02/04/12 18:52 ID:???
碇くんは本部へついて来る。
零号機再起動実験の日。
不安? 怖い? と聞いてくる。
何故、不安なの? 何故、怖いの?
乗るのは私なのに。

碇くんが司令の命令に疑問を差し挟む。
何故?
「信じられないの? お父さんの仕事が」
「当たり前だよ。あんな父親なんて」
私の大切なものが貶された。
司令の息子でも…それは駄目。
だから、叩いた。
343:02/04/12 18:53 ID:???
出撃の命令がミサトさんから下った。
少し、ほっとする。
綾波の部屋へ行って、気まずい事になった。
何なんだよ…あの女。
裸で出てきて、恥ずかしがるばかりか何で眼鏡を取ろうとするんだよ!
俺は鼓動が早くなって、息が荒くなった。
くらくらと来て、倒れた先には…。
裸の綾波。

「あ…。いや…これは…」
理性を失いかけた。
腰を思わず、綾波に押し付けてしまった。
ばれなかったら良い…いや、ばれているんだろうな…。
よっぽど綾波に謝って、ミサトさん達には…特に父さんには言わないでと頼もうか
と思ったが、もしかして気づいていないかもしれないので出来なかった。
でも…気持ちが良かった。
初めての夢精の時以来…すぐに射精してしまった。
パンツの中が気持ち悪かったけど、綾波にばれたら困るので本部まで一緒について
行った。
恥ずかしさと気まずさを紛らわすのと、あいつと話が出来る事が嬉しくて色々話した。
そして…びんたを張られてしまった…。
何で何だよ…。
何で、綾波はそんなに父さんの事を庇うのだろう。
353:02/04/12 18:53 ID:???
「発進」
ミサトさんの号令がエントリープラグ内に響く。
この、血の臭いのする液体に浸かる事にも慣れた。
不安だし、怖い。
でも何より…自分が必要とされなくなる事の方が怖い。
だから、だから大丈夫。
ぎゅっと、両手を握り戦闘に備える。

地上の眩い光が見えた瞬間。
胸が押しつぶされる…!
息が出来ないっ!
痛い!…痛い痛い痛いっ!…ぃ……。

そして、その後の事は何も分からなくなった。
<碇>も付けてくれたほうが分かりやすい。
37名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/04/12 20:52 ID:1kxYLQtQ
赤木じゃないの?と言ってみるテスト
他の人からシンジに戻るとき。
赤木はまずい!
間違いでした。

後、次から<碇>もつけますです。
皆さん、ありがとう。
40風呂敷の1−1:02/04/12 22:36 ID:1kxYLQtQ
風呂敷エヴァンゲリオン『第1話 100円玉のユダ』


父さんから手紙がきたのは、つい先日のことだった。
タイミングが良かったんだと思う。
僕は手紙が来たことに何一つ驚きはしなかった。
いや、別の意味でなら…驚いた。
「なんであの人は、このことを知っていたのだろう」って、それくらいは。
僕はその日、手紙を来ることを知っていたし、その内容も一言漏らさず記憶していた。
当たり前だろうと思う。
小学生だって、覚えられるような内容なのだから。


…その人は、手紙のくる二日前、僕の前に現れた。
びっくりしたよ。
突然意味のわからないことを語り出したんだ。街のど真ん中でさ。

「やぁ、君がシンジ君だね!?ハラショー!聞いていたとおり、美少年じゃないか」

恥ずかしかったけど、不思議とその場から逃げ出そうとは思わなかった。
何でかは良く分からない。
聞かなければならないような…って、そんな格好の良い理由なんかじゃない。
なんとなく…ただ単に興味をひかれただけだった。
僕は何事にも無関心で、特に最近は『興味をひかれる』こと自体、稀なことだったから。
だから、逃げ出さずに話を聞いてみようと思った。
ははっ、やっぱり変だよね。
41風呂敷の1−2:02/04/12 22:38 ID:???
「君、このままだとイヤンなことになっちゃうよ?」

人通りの多い街中で、不気味な会話が始まったものだと思った。
僕はただ「はぁ…」と適当に相槌をうつだけで。
その人は別に僕の反応を見るわけでもなく、淡々と意味不明なことを喋り続けた。

「メシアの降臨には、今しばらくの時間が必要となるから。
 君が英雄になる必要は無い。ただ、『彼女』の言っていたことが真実ならば…
 やっぱり君は、これから始まる二つの物語の登場人物になってしまうのだろう」

僕はやっぱり相槌をうつだけで、内容については3秒ほどで考えることを放棄した。
そういえば、この人が喋り出してから、一度もまともに返事をしてないなと思う。
第一声は何にしようかなとか、変なことを考えたりしていて、
少し悩んだんだけど結局基本で行くことにした。

「誰ですか?」
42風呂敷の1−3:02/04/12 22:49 ID:???
露骨に怪しいその人は、僕の冷たい一言に固まってしまった。
いちいち大袈裟なリアクションをする人だ。ちょっと苦笑してしまう。

「えっと…始めて会いますよね?」

その人は固まったポーズのまま動かない。
しばらく待ってみたけど、どうも僕の次のアクションを待っている感じがする。
だけどこの状況で何を言えば良いのだろうか。

「その…大変ですね」
「君は冷たいなぁ…も、もしかして!?」

あ。返事が帰ってきた。
この人は…面白い。僕は久しぶりに愉快な気分になってきた。
わからないかな?ちょっと悪戯してみたいって、突然そんな気分になる瞬間。
434:02/04/13 00:56 ID:GhkpHz22
<冬月>

「何! シンジが……か」
「ああ。それで頼む」
多分、赤城博士からの内線での経過報告だったのだろう。
ただ、傍らに佇む俺にはその内容は聞き取れない。
「容態は、どうだったかね…?」
おや、この男にしては珍しく動揺しているようだ。
暫く声もなく、組んだ手が震えている。
「……経過は順調なようだ。次の戦闘も問題なかろう」
なら、どうしてそれほど動揺するかね。
「だが、無理をさせるわけにもいくまいて」
確かに、それならば問題は何もなかろう。
「冬月先生…暫く、席を外します」
「何処へ行くんだ…碇」
相変わらず、人使いの荒い男だ。
だが…何かがあったのは確かなようだ。
444:02/04/13 00:57 ID:???
<葛城>

シンジくんの容態は安定したとの事。
不安でなかったと言えば嘘になるが、かといってその事ばかりを気にしていたわけ
でもない。
敵の分析及びその本部進行への対処で、何も考える余裕がなかった。
職務に追われ、義務を果たしている間は…正直彼の事は頭になかった。
作戦の概要が纏り、司令の決済を得て、ようやく彼の事を思い出す。
同時に、軽い自己嫌悪感。
私は職務や義務を盾に、自分の冷たさや自己本位さをごまかしているだけなのかも
しれないと。
454:02/04/13 00:57 ID:???
独12式自走臼砲のレーザーが、肉眼で目視可能なATフィールドに弾かれている映像
を眺めやりながらも、何故だか楽観的な気分が私を支配していた。
「攻守ともにほぼパーペキ。まさに、空中要塞ね。で、問題のシールドは?」
その問いに対する返答はほぼ絶望的と言う事実を、ただ現実の事象で表現しただけ
に過ぎない。
ちっ! まだまだ、これから…!
その絶望的状況下から、更に気分の高揚がもたらされた。
ある、アイデアに思い当たった。
そう、古くからの故事、絶対の矛と盾を突き合わせたらいかなる事が起きるか…?
その故事は、矛盾。
それは、私達人間の存在そのものなのかもしれない。

「勝算は8.7%か」
「最も高い数字です」
司令は相変わらず、他人に自分を曝そうとしない。
この親ありて、この子あり…か。
ふと、埒もない考えが脳裏を過る。
464:02/04/13 00:58 ID:???
彼らは動じない。
まるで、全ての物事の進行を予期しているが如くに。
「ちょっち、考えすぎね…。」
司令の部屋を出るとき、小さくそう呟いた。

戦自からの、自走陽電子砲の徴収はある程度はったりを利かせて行った。
当然、組織としてのNERVはさまざまな反目を受けているが、その反目の大きな水溜
りにほんの一滴の反感を加えただけ。
でも、その一滴一滴の相乗がいずれ自らに降りかかる事を、その時の私は知る由もな
かった。
「レイ。持っていって。」
474:02/04/13 00:58 ID:???
<綾波>

碇くんが目覚めるのを待った。
待っていたら、目覚めた。

作戦の説明をするよう、赤木博士に命じられる。
食事も活動源だから必要。
司令の作戦も…大切。

碇くんは怯えていた。
その、怯えが私にも伝わってくる。
肌をぴりぴりとさせる。
「僕は…嫌だ。綾波はまだアレに乗って怖い目にあったことがないから、そんな事
が言えるんだ」
嫌なら、乗らなければ良い。
私は乗らなければならない。
碇くんの怯えが伝わったから…。
「じゃ、寝てたら」

怖い。
嫌。
良く、分からない。
だって、私の替わりは沢山。
でも、碇くんは違うから。
分からなくもない。
48名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/04/13 00:59 ID:GhkpHz22
<碇>

気が付いて、自分に起こった事を思い出し叫び声を上げそうになる。
今がいつか分からない。
夕日が血のように赤く山間に消えて行く、夕方だった。
嫌だ。
もう、嫌だ。
何で、あんなに苦しい目に嫌な目に会いながら、エヴァに乗り続けなくちゃならな
いんだろう…。
人類の存亡…人類なんて、俺には関係ない。
街の人を守る為…皆知らない人達ばかりじゃないか!
畜生。
いつか、ミサトさんが言っていた。
「いい。シンジくんの大切な人たち。まぁ、簡単に言ったらシンジくんの身近にい
る人達の命を守る為に戦っている…と、そう考えたら楽になるっしょ?」
そうかもしれないし、そうではないかもしれない。
だって。
綾波もこんなに冷たいし、あの野郎…父さんだって…ミサトさんだって僕を心配し
て、お見舞いにも来てくれないじゃないか…っ!
494:02/04/13 00:59 ID:???
でも、どうしてだろう。
エヴァに乗った自分は簡単に想像出来るのに、乗らない自分は想像できないや。
糞っ…俺は馬鹿だ。

月明かりの下、綾波と二人きりでぽつんと待機している。
不思議だ。
何だか、とても静かで…心の中のざわめきや自分の中の汚いものが消えて行くよう
だ。
とても、穏やかな気分になる。
薬でも打たれたのか…?
そう邪推してみてようやく、ああ、いつもの自分も残っていると実感できた。

「これで死ぬかもしれないね」
何故、綾波にこんな事言うのだろう。
俺は綾波に関心があるけど、綾波はいつだって…父さんしか見ていないじゃないか。
「どうしてそういうことを言うの?」
分からない。
或いは、綾波に何か言って貰いたいのかもしれない。
504:02/04/13 01:00 ID:???
「あなたは死なないわ」
「私が守るもの」

え…? 言葉が詰まる。
胸が詰まる。
暖かいものがこみ上げてきて、目頭が熱くなる。
必死に堪える。
やはり俺は人に優しくしてもらいたい。
そして、愛されたい。
それが満たされるのなら…俺は死んでもいい。

そう確かに思った、何も知らなかった…いたいけな頃。
その先に待ち受ける、運命すら知らずに。
514:02/04/13 01:00 ID:???
何故綾波は、エヴァなんかに乗るのだろう…?
ふと、思った事を口にした。
「綾波はどうしてこれに乗るの?」
「絆だから」
「絆?」
「そう…絆」
「…父さんとの?」
「─みんなとの」
「強いんだな…綾波は」
「私には他になにもないもの」
「他になにもないって」
この時、理解した。
綾波と俺は瓜二つだ…。
俺も綾波も、エヴァに乗ることでこの街の人間と繋がっている。
そして、それがなければ…何も無い。

俺が口を開こうとした時。
「時間よ、行きましょ。じゃ、さよなら」
さよなら…か。
やっぱり、死ぬみたいじゃないか…。
何故だかしらないけど、俺は泣き笑いした。
524:02/04/13 01:01 ID:???
「シンジくん。日本中のエネルギー、あなたに預けるわ。頑張ってね」
そんな、日本中のエネルギーをこの手にしていると言われても、実感は湧かない。
でも、その方がいい。
何だか、現実が現実みたいじゃない気がするから緊張もしない。
「最終安全装置、解除」
「撃鉄おこせ!」
そうして、目標をセンターに入れて…撃つ!

「綾波!」
綾波が敵の攻撃から庇ってくれている。
早くしないと…早くしないとっ!
死んじゃう…綾波が…綾波が!
「早く…早く!」
白熱するモニタを凝視しながら、銃爪にかかる指が細かく痙攣する。
来たっ!
モニタで目標をセンターにして…指先に力を込めて、撃つっ!
534:02/04/13 01:01 ID:???
「はぁはぁ、綾波!」
いつもの皮肉で黒いもやもやとした、心のしこりはなりを潜めていた。
ただ、純粋に綾波の無事を祈りながら、排出させたエントリープラグに駆け寄る。
「っ…! ぅ…」
無我夢中だった。
熱くなった非常ハンドルをただただ回す。

<綾波>

突然、夜気が頬に触れた。
「綾波! 大丈夫か!? 綾波!」
目を開けると、碇くん。
そう、無事だったの。
私。
544:02/04/13 01:02 ID:???
自分には…自分には何も無いって…そんなこと言うなよ。別れ際にさよならな
んて、悲しい事いうなよ……」
泣いているの?
「何、泣いてるの。ごめんなさい。……こういうときどんな顔をすればいいのか
わからないの」
司令ならどんな顔をするのだろう。
「笑えばいいと思うよ」
笑う…笑う顔…嬉しいとき。
嬉しい時、司令。
碇くんは司令に似ている。
あの、心地よい感じがする。

司令と碇くん。
どちらも心地よい。
二人は似ているのに、二人ともお互いを恐れている。
何故?

私は、この心地よさ。
そして、絆を失いたくない。

駄目、駄目よ碇くん。
急に体を揺すられたので驚いた。
また、ヘマをやらかしてしまいました。
すいません。
後、原作を御覧になっていない方にはわかりにくい
展開かもしれませんが、ご容赦を。

因みに、次辺りから少しづつ原作と話が変わってゆ
くと思います。

真剣に串の問題を考えないと、酷い事になるかもし
れません。
どなたか…真剣に教えて下さいませ。

はぁ、まあ大して人がおられないようですが頑張っ
て行きます。

>風呂敷さん
ぅーん。
難しいと言うか、今の段階ではストーリーは
わかりませんよね。
続き期待しております。
通りすがりなんで小説読んでないけど串関係はここ。

2chで書ける串教えれ!
http://kaba.2ch.net/test/read.cgi/accuse/1015414466/

規制されるというのを無理に書き込み続けると
実験板にしか書き込めなくなるよ。
アクセス規制になるかもと言われても、一日空ければ平気。
串が見つからなくても一気に大量投稿しなければ大丈夫。
夜と朝など時間空けて投稿すればいいんでは。
夜11時〜深夜1時の間はアクセスが多いので、その時間帯に数分間隔をあけながら
投稿すれば問題は無いかと。数秒おきに投稿するのは避けた方が。
581:02/04/13 18:15 ID:???
何か言われそうなので、一応先に言っておきます。
LASかLRSかどちらかと言いますと、正直まだ分か
りません。

ただ、幸せになる時は二人とも幸せに。
不幸になるときは、二人とも不幸にしたいです。
まぁ、心のうちを語るのには恋愛も不可欠。
でも、体験エヴァのようにはしないつもりです。
595-1:02/04/13 18:16 ID:???
ゲンドウ>

死海文書のスケジュールが修正を余儀なくされた。
…当然、老人達とその番犬である日本政府は干渉を始めた。
瑣末を事象によって現実から目を逸らす…。
それにより、本質的事象は何も変わらない事を知りつつ。

日本重化学工業共同体・使徒迎撃用無人ロボット…JAか。
くだらん…。
科学という火を手に入れた人間が、その火によってどうしてその火を齎した
存在に対抗出来よう。
葛城一尉の行動はイレギュラーであったが、遅滞無く妨害工作に成功。
所詮は、瑣末な事象。
取るに足らん。

シンジ…。
結局は何も変わらん…何も。
「すまなかったな…ユイ」
「シンジは、まだお前の所へと送るわけにはいかんのでな」
俺は、これからも代価を払いつづけなければならないのだろう。
そう、約束の…至福に到るまでは。
605-2:02/04/13 18:17 ID:???
ドイツからの弐号機が明日到着予定だ。
あの男は鈴付きだが…やる事はやるだろう。
これで、後は槍をこちらに用意すれば老人どもには何も出来ない。
だが…先日の定例会議での会話が気になった。
「碇。我々は君に人類の未来を託している。だが、それは白紙委任状を渡した訳で
はない事を銘記して貰おう。」
「…分かっていますよ。議長」
「その教訓を君は近い内に、知ることとなろう」
油断はしていない。
当然だ。
その時、緊急外線が私宛に届いている事を知り、受話器を取る。
「…私だ」
615-3:02/04/13 18:17 ID:???
<加持>

俺は受話器を置き、Yak-38改の操縦士から第三新東京までの飛行レコードを確認し
ようやく一息付く。
これで、国連付属太平洋艦隊の元へNERVからの増援が届くはずだ。
だが…。
「間に合うか…」
そっと呟くが分かっている。
9割9分太平洋艦隊は壊滅もしくは、大破は避け得ないだろう。
当然、エヴァ弐号機…アスカも。
可哀想だとは思う。
だけれども…俺は、俺の答えを探し出せるまで死ぬわけにはいかない。
「頼んだぞ…。葛城」
酷く、煙草が欲しい気分だった。
苦い。
手が無意識に、トランクに伸びていた。
625-4:02/04/13 18:18 ID:???
<葛城>

ちぃ!
前回のJAの暴走に続き、今度はエヴァ弐号機護衛航海中の太平洋艦隊が水中型使徒
により壊滅か…これは、超過勤務手当てものね。
マヤちゃんに、使徒の現在位置及び、太平洋艦隊の壊滅地点を算出して貰った結果。
あららー。丁度、ハワイ諸島のド近くね。
しかし…アスカは無事なのだろうか…?
あの子とは、2年近く会っていない。
嫌な子だけど…生きていれば良いのだが。

国連付属米軍ハワイ駐留軍が、魚雷型N2爆雷を雨あられと落としまくった結果、使
徒の進撃は現在停止している。
無茶苦茶だ。
そんな事をしたら…パイロットが、アスカが。
でも、私の立場でもそうせざるを得なかっただろう。
人類と一人の命…天秤に載せるのは酷というものだ。
63名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/04/13 20:31 ID:I62bH0G6
これは、RASだ!!
初めて聞くな……
もう少し文体を統一すべし。
661 :02/04/13 22:36 ID:???
>65
全体的に文体がととのっていませんでしたか…。
具体的に誰のが、駄目でしたか?
後学の為、教えて下さい。
675-5:02/04/14 00:43 ID:d8Jm/hmY
多くのコーヒーと煙草を、スタッフと共に消費し続けた末に。
ようやく作戦が立案され、司令の決済が下る。
「只今より本作戦を第二次トラトラトラ作戦と命名します。第一目標は使徒殲滅。
第二目標はパイロット及びエヴァ弐号機の確保よ。シンちゃん。レイ。何か、質問
はある?」
「葛城ニ尉。エヴァの輸送方法及び、具体的な攻撃方法の説明を」
相変わらず、レイは作戦の遂行と成功の事しか考えていない。
指揮者としては、有り難いのだが…些か気に障るのも事実だ。
「ええっと…。前回の作戦でも使用したエヴァ空中輸送機STOLによって海中へと投下。
その後は各自判断に委ねます」
「あのぅ…ミサトさん。弐号機のパイロットって…」
「勿論、シンちゃん達と同年代。14歳の女の子よ。惣流・アスカ・ラングレー。無事
だと良いのだけど…」
今回の作戦においては、MAGIは賛成3の圧倒的な支持を与えている。
だが…搭乗者の安否は……。
いけない…大丈夫。
そう、きっと大丈夫。
自分自身に言い聞かせ、出撃命令の檄を飛ばした。
685-6 :02/04/14 00:43 ID:???
<碇>

ミサトさんは普段はずぼらでだらしがない。
女なんてこんなものか…とも、思ってしまう。
綾波もだけど…綾波は何か違うような気がする。
エヴァ弐号機のパイロットは女の子…。
無事なんだろうか…?
生きているのかな…?
ミサトさんに写真を見せて貰った時、とても可愛いと思った。
もしかしたら、もしかしたら仲良くなってくれるかもしれない。
そして…優しくしてくれるかもしれない。
だから、早く助けて上げないと。
海の底で一人ぼっち…俺だったらそんなのには耐えられないから。
695-7:02/04/14 00:45 ID:???
「良い、シンジくん。レイ。後、10分後にエヴァは目標地点に到着。その後、エヴァ
を海中へと投下します。海中では、火器は使えないから…接近戦になるわね」
正面のモニタに作戦開始予定時刻がリミットされている。
怖くは無いと言えば、嘘だ。
でも…綾波が守ってくれた、あの作戦の成功。
そして、前回のロボットの暴走を止めた事が、俺に微かな自身を与えていた。
モニタのミサトさんに「あの、帰りはどうするんですか…?」と聞いてみる。
まさか、自分達で勝手に帰って来いとは言わないだろう。
リツコさんが変わりに答えてくれた。
「使徒殲滅後は、弐号機の探索。そして、弐号機の引き上げとあなた方の回収は30km先
に待機させてある、NERV所属空母によって行います」
リツコさんは皮肉っぽい視線を投げかけ続ける。
「大丈夫。エヴァは高いの。だから、置き去りになんかしないわ」
そんな…皮肉を言わなくてもいいだろ…。
でも、気持ちが又少し軽くなった。
705-8:02/04/14 00:46 ID:???
バッチャーン!
海の底へと沈んでいく。
でも、俺は何となくわかって来ていた。
エヴァの中にいれば、完全に安全だという事を。
それに…この血の臭いのする液体に浸っていると、何だか落ち着く。
モニタの隅のミサトさんの画像が伝える。
「ここら辺は、ハワイの大陸棚だから水深は最深部でも100mくらい。ちょっち、暗いけ
どね…」
そして静かに…静かに光が少ない海の底へと沈んで行く…。
「気を付けて! 近くに使徒がいるわっ! シンちゃん…レイ…。帰ったらみんなでハ
ワイで泳ぎましょう。勿論、アスカも一緒にね! だから…死なないで」
715-9:02/04/14 00:48 ID:???
海底に足を付ける前に、使徒が襲ってきた。
無我夢中でナイフを振り回す。
糞ッ! 駄目だ…当らない!
がすん!
使徒の体が当るたびに、大きくプラグ内が揺れる。
綾波も、ナイフを振り回しているが、使徒にかすり傷さえ与えられない。
使徒が俺達のエヴァの回りを縦横無尽に泳ぎ回る。
その海流により、零号機とぶつかりアンビリカルケーブルが絡まって…。
やばいっ!
ピィー。
モニタにケーブル切断を知らせる、緊急警告が流れる。
後、三分…っ!
どうしよう…どうしよう…。
その時、やっと海底に足が届いた。
ま、間違えた…。
規制が怖いので、今日はこの辺にしときます。
どなたか、感想と批評お願いします。

もしかして、放置プレイですか?
73風呂敷:02/04/14 00:50 ID:???
なんて呼べばいいのか…>1さんですかね。
>1さん応援してます。頑張ってください!

お、俺はアクセス規制が怖くてビクビクしているのと、
さらには細かくバラバラにして投稿するのがツライというか…。
改行を叱られるのはキツイですね。
今の傾向ってスパシン化へとどんどんインフレーション起こしてるし
本編再構成ものでここまでシンジがへたれなのって実は珍しいかもしれない。
>>34のあたりなんかムチャクチャ情けねぇ(w
でも、本編キャラって確かに腹んなかでこんなこと考えてそうだな、
って思わせる説得力はあるです。

何にせよ、完結させるのが一番大変なことだと思う。応援してるです。
75綾波レイ子:02/04/14 11:51 ID:QpM3VHtE
目ぇ覚めたら、うちは病室のベッドで寝とった。
体には包帯が巻かれとる。傷も怪我も無いのに・・・
それでうちは気付いたんや。うちが三人目やということを。
二人目の「うち」何で死んでしもうたんやろか。
何でやろうか。
考えながら廊下にいとったら、誰かがうちのことを呼んだ。
碇司令の息子や。
なんやいろいろ話し掛けてきて、その話の中から「二人目」が自爆して
死んだことを知った。
相変わらず司令の息子・・・たしか名前は碇シンジやったかな、話し掛けてきよる。
この子はうちのいったい何なんやろか。
何も無いうちに話し掛けるやなんて、よっぽどの物好きとしか思われへん。
何でなんやろか・・・
考えても、「三人目」であるうちには答えは浮かばへんかった。
そりゃそうや。「二人目」と違ってうちはこの子のことなんも知らへん。

そう考えると、うちの中になんや寂しいもんがこみ上げてきた。
足と口が勝手に動く。そして頭が警告する。
うちはこの子のそばにいたらあかん、と・・・
背中を向けて歩き出すうち。
碇シンジの視線をいつまでも感じていた。
・・・2人目のうちは、もうおらへんねんで・・・
うちは一人、かすれるような独り言を闇に封じ込めた。
765-10:02/04/14 12:43 ID:???
「シンジくん! 後は、レイに任せて隠れていて!」
隠れるって言ったって…どこに?
それに…綾波を助けないと、助けないと後できっと後悔する。
使徒は、綾波に狙いを定めフェイントと攻撃を繰り返していた。
糞っ糞っ!
銃が使えればっ!
「綾波! 今、行くから…」
「駄目。碇くんは隠れていて」
「嫌だ…っ!」
「碇くん…」
775-11:02/04/14 12:45 ID:???
使徒の攻撃は零号機に向っている。
初号機はケーブルを失って身軽だ。
零号機に対し、使徒が接近した瞬間。
でかい使徒の背中にしがみ付き、ただひたすらにナイフを付き立て続ける。
プラグ内は縦に横に揺れて、上下の感覚も無くなって来た。
それでも、ナイフを振るい続ける。
ふ、と空中に放り出されたような無重力感を感じて…。
うわぁぁぁ!! ぁあああ!!
暗い…暗いっ……!
「碇くん! 碇くん!」
モニタからの綾波の声で正気に返った。
どうしたらいいんだ…!?
使徒に食べられてしまった!
どうしよう…どうしよう!
「綾波ぃ! どうしよう…? 僕、どうしたら…」
「…碇くん。プログレッシブナイフ」
ナイフ…?
まだ、エヴァの手の中にナイフが握り締められていた。
そうか。
活動限界1分を切った。
俺は、ナイフをただがむしゃらに振り、刺し、切る…切る切る切る…!
785-12:02/04/14 12:46 ID:???
<赤木>

私は気密服を着込み、弐号機のエントリープラグ内を覗き込む。
やっぱり。
エヴァ弐号機に与えられた、損傷そしてその受けた衝撃は軽くLCLの耐衝撃性
を超過していた。
そして…その内部にいる生身の人間がどうなっているのかも。
「この件は極秘とします」
あの人…司令の判断を仰がなければならない。

さて…。
また、お人形が増えるわけね。
自嘲的に呟く。
「私達のしている事を、あの子達が知ったら…。許してはもらえないわね」
あの人の予定も狂いつつある。
私は何を望んでいるのかしら…。
フロイト的にタナトス…何と通俗的。
レイ…あの忌まわしい人形の他に、チルドレン全員……ね。
これから行わなければならない仕事に、暫くは忙殺されるだろう。
そういう事務的な事を考えて、一時的に現実から逃避する私。
795-13:02/04/14 12:47 ID:???
<綾波>

葛城ニ尉はハワイに行きたかったみたい。
碇くんも少し、残念そう。
私は…分からない。
でも、暖かい所は気持ちがいい。

海の中での碇くん。
どうして、命令に従わないの。
何故、大人しく隠れないの。
私はまだ…戦えた。
でも、勝てたのは碇くんのおかげ。

いつもの定期テストの為にドグマへと向った。
でも、違和感。
何故、私の他に弐号機パイロットと碇くんがいるの?
前は私達だけだったのに。
私の替わりは沢山。
弐号機パイロットも…碇くんも沢山。
そう。
私も弐号機パイロットも碇くんも同じ。
でも、何だか大切なモノが壊れたような気がした。
碇くん。
805-14:02/04/14 12:48 ID:???
今日はB.アルバーツ著「細胞の分子生物学」を108Pまで
読んだ。
後、J.ダーネル著「人工生命─遺伝子工学の誕生」を66P
まで読了。
でも、駄目。
いつものように集中できない。
今日はもう寝る。
811:02/04/14 12:56 ID:???
フラグメント(断片)的ですまそ。
何か、顰蹙かいそうな展開ですがお許しを。

>73
レスありがとう御座います。
私も、断片になって改行すらままならない事で
ちょっと後悔しています。
でも、始めたからには終りまで頑張らないと…。
貴方のお話も楽しみにしています。

>74
嗚呼、嬉しい…。
やっぱりレスが付くっていいものです…感無量。

今回からちょっと原作再現ではなくなったかも
しれませんが、出来るだけ原作を重視して行く方向
です。
アレンジを加えつつ。

確かに、完結させる事が一番大切。
またーりと頑張って行きます。
常夏の日本にいて、今さらハワイに行きたいとは考えないだろね。
ハワイと日本の夏は全然違うよ。
ハワイは暑くてもさらっとしてるというか、日本の夏みたいにべとついた感じがない。

っていうかその理屈だと夏にハワイに行く人はいないことになる(w
84名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/04/14 15:11 ID:ZX5oQABk
それ以前に、ポールシフト後のハワイの気候がどうなっているかわからん。
それに日本の常夏が、以前の夏と同じ気候とも思えない。
856-1:02/04/14 15:56 ID:???
<惣流>

意識を取り戻すと、病院と思しき所で硬いベットに横たわっていた。
時折、日本語のアナウンスが流される。
そっか…もう日本に着いたのね…。
そうして、ビルヘルムスハーフェンを出てからの、記憶が途切れている事に
気づいた。
何でもう日本なの…?
何で私が病院に入院させられなくちゃならないのよ…!
不安と怒りそして一抹の…考えたくは無い予感に駆られインターフォンを連
打し看護人を呼び出す。
もしかして…嫌! 加持さん…何処へ行ったの…?

嫌な予感は見事に的中。
くっ…!
何で…何で…何で何でっ!!
何で…この私が、この私が負けなくちゃならないのよ…っ!
もう、後が無い。
次の戦いは、そう必ず勝たなくてはならない。
866-2:02/04/14 15:56 ID:???
サードチルドレン…シンジとはNERV本部でミサトと加持さんに紹介された。
第一印象は…最悪。
何でこんなのが、エヴァのパイロットに選ばれたの…?
ドイツにいた頃は日本人と言えば、加持さんとミサトぐらいだった。
同年代の日本人は初めてだったので、ある程度期待していたものがあった
のかもしれない。
それが何よ…こいつ。
ふん。
上目遣いで私を見て…気持ち悪い。
でも、こんなのに助けられたなんて屈辱…。
「ふーん。冴えないわね」
やっぱりこの男最悪。
何が「あ、碇シンジです。よろしく」よ…!
なよなよして、気持ち悪い。
876-3:02/04/14 15:58 ID:???
でも、シンジは馬鹿なだけでまだ救いがある。
ファースト!
何よ、あの女。
日本の低級なレベルの学校では当然、私は占めるべき立場を占めた。
男どもの熱い視線。
女どもの嫉妬と羨望の視線。
当然だった。
でも、ファースト…綾波レイは!
「あたしアスカ。惣流・アスカ・ラングレー、エヴァ弐号機のパイロット。
仲良くやりましょ」
「どうして?」
馬鹿じゃないの…!?
この私があいつのレベルに降りてきてやったのに…何? あれ。
「その方が都合がいいからよ。イロイロとね」
「命令があればそうするわ」
畜生!
その言葉を聞くまでは、まだ内向的な女かと思っていた。
だけど…違う。
この女は人形だ…自分の意思を持たない人形。
私は、私は期待していたのだ。
ファーストチルドレンが同年代の女だった事に。
もしかしたら…もしかしたら、同じ立場のトモダチになれるかもしれないと。
881:02/04/14 15:59 ID:???
>82〜84
全然考えていませんでした。
それより、作戦名でつつこまれると思った…。(w
この時点の独白で
「シンジ」とか「ファースト」ってのは変じゃないかい。
それからこの話でのレイの感情表現(>>79とか)考えたら、初対面のアスカが
「自分の意思を持たない人形」とまで思い込む理由がわからない。
テレビであった「命令があればそうするわ」ってのも、立派な自分の意思の表明です。
つまり「命令でもない限りその気は無い」ってこと。
アスカならそれくらいのことはわかると思うよ。
90名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/04/14 22:38 ID:JkTh2LSk
これはRASだ!!!
とりあえずね。

とっても「読ませる力」あふれる作品だとおもわれ>1氏の作品


こまかいとこなんて、どーでもいいんです。おもしろけりゃ。
こまかい突っ込みはいっぱい入るとおもいますが、
それをオカズに頑張ってください。

面白いです。
926-4:02/04/15 21:30 ID:???
<碇>

何なんだよ…あの女。
俺を馬鹿にしやがって。
…綾波とも馬が合わないようだったし。
でも、可愛いんだよなぁ。
考えたら、俺の近くに同年代の女の子がいたことは殆どなかった。
今は…少なくとも、二人もいる。
いつかは…いつかは、どちらかが俺を好きになってくれるかもしれない。

求めるだけの希求。
祈るだけの希望。
そう、それだけでは何も変わらない。
でも、その時はまだ。
936-5:02/04/15 21:32 ID:???
トウジもケンスケも惣流に夢中だ。
でも、あいつ等には手が届かない。
惣流を助けたのは俺と…綾波だ。
だから、無理だ。

そして、また戦いが始まった。
この街の防衛体制はまだ立ち直っていないので、使徒をこちらから迎え撃つと
ミサトさんは言っていた。
来た…!
海から使徒が近づいて来る。
「じゃ、あたしからいくわ! サード、ファースト…援護してね!」
「え、援護!?」
「了解」
「え、了解って綾波?!」
「分を弁えているじゃない、ファースト。アンタも…レディファーストよ!」
綾波だって女じゃないか…。
仕方が無いと言うか、正直俺はどちらでも構わなかったので使徒を牽制する。
綾波も銃で使徒を撃ち続けている。
弐号機は使徒に向かいダッシュして。
「いけるッ!」「ぬあああ──」
確かに、言うだけの事はある。
鮮やかな動きで、使徒を一刀両断にした。
「お見事っ!」
思わず、歓声の言葉をつく。
ミサトさんも、「ナイス、アスカ!」と褒めていた。
946-6:02/04/15 21:33 ID:???
でも、その後はぼろぼろだった。
使徒は二体に分裂して、攻撃を仕掛けて来た。
俺も惣流も綾波も見事に惨敗した。
前と同じように軍隊のN2爆雷の投下によって、何とか時間を稼いでいる。
冬月さんにもミサトさんにも…惣流にも怒られた。
でも、惣流の場合、負けたのは自分も同じじゃないか。
ヒステリックな奴。
加持さんは優しいかもしれない。
でも、優しい人はかえって怖い場合もある。
臆病な俺が学んできた、教訓。
956-7:02/04/15 21:35 ID:???
<惣流>

一人暮らしをしても良かったのかもしれない。
ミサトは何か無理をして生きているみたいで、あんまり好きではない。
シンジは論外だ。
でも、そう! 女の一人暮らしは物騒だし…日本にも慣れていないし…。
帰って部屋に誰もいないのは…もう、嫌。
ミサトもシンジも…まぁ、そんなに悪い奴でもなさそうだから。
ベストでは無いが、ベターな選択ね。
それにしても…何で日本の家はこんなに気密性が低くて…狭いのよ!
プライバシーに対する配慮も全然駄目。
取り合えず…シンジの部屋から荷物を運び出そう。

ミサトが帰ってきて、爆弾発言。
え…!? 完璧なユニゾンの為に、こいつと寝食を共にするぅ!
当然私はミサトに抗議をしたのだが、本気ではない。
使徒に勝つためならば、どんな事でも私は厭わない。
それに、まぁ、シンジなら大丈夫かな…?
この程度の男だったら、人畜無害だしね。
そして、ユニゾンの為の6日間が始まった。
961:02/04/15 21:47 ID:???
>89
確かに私の座右の書(フイルムブック)でも、この時点では
シンジに対してもシンジとは呼んでおらず、綾波に対する
アスカの感覚も些か攻撃的でした。

て、言うかエヴァ後半のアスカのイメージを私が引きづつ
ていて、それが出ちゃったようです…。

ただ、命令に従う事も自分の意思か否か。
この辺りは難しいですね。

>91
ありがとう御座います!
やっぱり、面白いと行って下さる方が一人でもいて下さったら
それだけで、書いているかいがありますです。

出来るだけ突っ込み所も無くしたいのですが…難しいものですね。
とにかく頑張って行きます。
976-8:02/04/16 08:48 ID:???
<碇>

どうしよう…女の子と一緒に暮らすなんて。
ヒトと触れ合うのはまだ怖いけど、でも。
その時は、そんな事を忘れてただ嬉しかった。
トウジ達との関係も大分こなれてきた。
まだ、話を会わせるのは緊張するけど…それでも前よりは少しだけまし。
惣流…アスカと話をするのも慣れてきた。
ユニゾンは…始めの内は、全然はかどらなかった。
トウジ達と委員長が家に来た時の出来事からは、全てが上手く行ったよう
な気がする。
綾波とのシンクロは何故だか、本当に上手く行った。
それなら初めから綾波と組ませれば…と考えてる時、アスカが怒って家を
出て行ってしまった。
「追いかけて!」と委員長。
偉そうだなと思いながらも、アスカが心配で俺は追いかけた。
986-8:02/04/16 08:49 ID:???
アスカは近くのコンピニに居た。
何だか声が掛け辛くて、暫く躊躇した後。
「あの──」
「わかっているわ。私にはエヴァに乗るしかないのよ」
ああ、アスカも俺や綾波と同じなんだ。
エヴァに乗る事でしか、他人と関わる事が出来ないんだ。
そう、思ったらこの時々は腹が立つけど…生意気な女だけど、俺の中でア
スカは綾波と同じ特別な存在となった。
二人とも女の子だ。
今が、生まれてきて一番幸せな時かもしれない…。
そんな事を、ぼんやりと考えていた。
996-9:02/04/16 08:49 ID:???
作戦決行日の前日の夜。
ミサトさんから、今日は帰らないとの電話があった。
「じゃあ今晩はふたりっきりてワケね」
「え?」
アスカと暮らすようになってから、オナニーをしていない。
時々、アスカのすらりと伸びた手足、そして胸元や唇をちらちらと盗み見
しては興奮をたぎらせていた。
もしかして…いや、でもあいつ…父さんやミサトさんにばれたら…その前
にアスカは俺の事をどう思って…。
欲望や打算が頭の中を渦巻き、何だか初めて味わうやりようのない切なさ
だった。
1006-10:02/04/16 08:50 ID:???
やっぱり、眠れない。
アスカが違う部屋で寝ているので、久しぶりにオナニーが出来た。
アスカや綾波の胸とかを想像しながら。
その後、イヤホンで音楽を聞きながら考える。
今まであった事や、これからの事を。
その時、アスカがトイレに立つ音。
そして、水音。
眠っているふりをして必死に目を閉じて、呼吸を整える。
暫くして、鼻先に規則的な風を感じた。
ふと、薄目で周囲を伺うと。
あられもない格好で、アスカが隣にっ…!
大きくはだけた胸元が、剥き出しの手足が、唇が…。
理性では抑え切れない。
アスカの唇に自らの唇を当てたくて……。
「───ママ……」
101
快調ですね。
めざせ1000レス
1036-11:02/04/16 21:05 ID:???
「自分だって、子供のくせに」
でも、それからはアスカの事が更に身近に感じられるようになった。
1046-12:02/04/16 21:06 ID:???
<惣流>

今度こそは負ける訳にはいかない。
「いいわね。最初からフル稼働。最大戦速で行くわよ」
「う、うん。分かった」
ちっ! 
もう少し、覇気のある返事は出来ないの…馬鹿。
「発進」
ミサトの檄が飛ぶ。
音楽に合わせて、62秒でけりをつける作戦予定なのだが…頼むわよ! 

空中でのプログナイフとスマッシュホークの投擲。
そして、使徒の攻撃を避けての銃撃。
そこまでは、上手く行っていた。

使徒の肉弾攻撃をかわすべき、段階で。
「ぁ、うわぁぁぁ!」
な…?! 馬鹿シンジの奴がビルにひっかかって見事に転倒する。
「何をやっているの…!? シンジくん! アスカ、一時撤退よ!」
モニタからのミサトの管制。
うるさい。
今度こそ、今度こそ負ける訳には行かないのよ。
「嫌よ! 私一人で十分っ…!」
「なっ…! アスカ…これは命令よ!」
ぴっ。
気が散るので、発令所からの管制をオフにする。
1056-13:02/04/16 21:09 ID:???
「いい。アンタは私が合図したら、バレットガン2丁こちらに向かって投げる事。
アンタでもこのくらいの事は出来るでしょ。」
「わ、分かったよ…。ぁ、あのごめん」
「男なら終わった事にぐちぐち言わない。帰ってからきっちりしごいてやるから!」
馬鹿な奴。
でも、情けない顔して謝っちゃって。
可愛い所もあるじゃない。
私の引き立て役には、丁度良いかもしれない。
1066-14:02/04/16 21:11 ID:???
シンジは兵装ビルに隠れて機会を伺っている。
私は、使徒二体からの攻撃をかわして、避けて、兵装ビルの影を縫いながら好機の到
来を伺う。
使徒が私を挟んで直線状に立った。
今だ!
「シンジ! 銃をこっちへ!」
「行くよ…アスカ!」
空中で舞う2丁の銃を、ジャンプして空中で受け取り地面に降り立った瞬間、両手を
大きく広げ、私を挟んでいる使徒に向かい同時に銃撃を行う。
ガガガ…ガガガっ!
コアへの二体同時荷重攻撃。
私のエヴァ弐号機の両側で同時に大爆発が起こる。
ピィー。
活動限界、そして62秒ジャスト。

「どう…? シンジ。ミサト。ざっとこんなものよ」
「す、凄い。凄いよ…アスカ!」
「良くやったわアスカ! それに引き換え…シンちゃん。後で、じぃーくりとミーテ
ィングが必要みたいね…」
発令所のスタッフの笑いがモニタから響き渡る。
「頑張ったわね。アスカ」
誰に言うでも無く、私はそっと呟いた。
1077-1:02/04/16 23:20 ID:???
<葛城>

現在の所、エヴァのシンクロ率はアスカが他二名の追従を許していない
状況だ。
あの子は…2年前と変わっていない。
そう、他者からの賞賛をただひたすら求める幼子のように。
私は…シンジくんやアスカの保護者になるべきだったのかいや、なる資
格があったのかそれすら分からない。

「あー! 止め止めっ!」
自身のとりとめのない無い連想を、そこで断ち切る。
それにしても…アスカ辺りは騒ぐわね。
沖縄旅行は当然、彼らは居残り組みとなる。
ふと、眼下の第三新東京の繁栄した姿を眺めやる。
…彼らの犠牲の元に、今日も街は活気に満ち溢れていた。
そう言えば…アスカは今日、加持の奴と街へと出かけているはずだ。
何であいつが、日本に来るのよ…!
あいつに近くにいられたら…いられたら、私は弱くなる。
だから…あいつから離れたのに。
それに私があいつに何を求めていたか…気付いてしまったから。
1087-2:02/04/16 23:21 ID:???
「葛城ニ尉。諜報二課からです」
「ああ。ありがとうマヤちゃん。そこ、置いといて」
こんな時は、あの陰気な諜報部にすら感謝の念を抱いてしまう。
何であれ、思考の深みに嵌る前に逃避の手段が出来るのは良い事だから。
その提出書類に目を通しながら。
な?! この成績…。今日は反省会ね。待っていなさい。シンちゃん、ア
スカ。
1097-3:02/04/16 23:23 ID:???
<碇>

ほら、やっぱり。
ミサトさんから、修学旅行の沖縄は無しって言われた。
アスカはぎゃあぎゃあ騒いでいたけど、ほんとはアスカも分かっていたと
思う。
俺は、嬉しい事や楽しい事は起こってからでないと、それ自体を信じない。
と言うか、期待していて裏切られるのは嫌だから、初めから期待はしない。
分かっていたけど、分かっているんだけど。
やっぱり、やはり。
「あー! たまには敵の居場所を突き止めて攻めにいったらどうなの!?」
使徒。
敵。
確かに、普段は何処にいるのだろう…?
そして、何でこの街ばかりを襲うのだろう…?
「それができればやってるわよ!」
それはそうだ。
俺達はいつまでエヴァに乗って戦わなくてはならないのだろう。
そして、その後エヴァを降りた後の俺やアスカ…そして綾波に何かが残るの
だろうか。
その前に、死ぬかもしれない。
だから、分からない事は分からないままでいい。
1107-4:02/04/16 23:23 ID:???
この頃からだ。
自分の周りの現実が少しづつ変わって…そう、前よりもずっと視野が広がっ
たみたいで。
生きることは変わること。
でも、自分が変わることは少し怖い。
自分が自分でなくなるみたいで。
今でも分からない。
変わる事を望んでいるのか、変わらぬことを望んでいるのかが。
1117-5:02/04/16 23:25 ID:???
何で俺はこんな事をやっているのだろう。
ふと、綾波やアスカがプールで泳いでる姿を盗み見しながら思う。
でも、やらなくちゃならないんだ。
他人から馬鹿にされるのは嫌だ。
そして、失望される事はもっと嫌だから。
そう言うことを考えながら、英語、数学、理科のテキストをこなして行く。
ああ…全然頭に入らない。
つい、アスカや綾波の体に視線が向う。
と、端末に影が落ちた。
ふと、見上げるとアスカが端末を覗き込んでいる。
「アンタ、こんな問題もわからないわけ」
そして、鮮やかに端末を操作し、方程式を解く。
だけれども、俺は近くに迫っているアスカの胸元に気を取られてしまう。
どぎまぎしながら「どうしてこの問題は解けるのに…学校のテストは…」
「まだ、日本語に慣れていないの。あの、漢字って奴…全然駄目」
そんなものかな。
アスカは得意げに、問題の解説をまだ続けている。
もう、分かったから良いよ。
1127-6:02/04/16 23:26 ID:???
少し意地の悪い考えが浮かんだ。
「この漢字…何て読むんだろ?」
アスカの方に顔を向けると。
ぷい、と横を向き「そんなの分かんないわよ! ファーストにでも聞いたら」
「いや…綾波の邪魔したら悪いし…」
「何…? なら、私の邪魔はしていいわけ? ちょっと、ファースト! こっち
に来てよ」
パチャパチャと泳ぎながら、綾波がプールサイドに近づき水から上がった。
白い水着が白い肌に良く似合っていた。
水を滴らせながら、俺達に近づく。
「何? 何か用」
「こいつに勉強を教えてやって欲しいの。いい、これ何て読むのか分かる?」
国語辞典をぱらぱらと捲り、わざと画数の多い難しい漢字を選んで指で示して
いる。
「えっと…これ」
「鷺(さぎ)。動物界脊索動物門…」
「ああ! 分類はいいから! じゃ…これは」
「禊(みそぎ)。神道においては…」
「だから…説明はいいの! もう、じゃあ…次は科学!」
113名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/04/17 18:28 ID:XCe0PAos
ラブ綾波&アスカだ!!
1147-7:02/04/17 22:09 ID:???
まったく何をやっているんだか。
綾波も律儀に一つ一つ答えている。
馬鹿みたいだ…でも、何だか胸の奥が暖かい。
いつもの作り笑いではなく、自然な笑みが零れる。
いいことばかりじゃないけど…辛い事も多いけど、人と触れ合うのもいいかも
しれない。
最近は心の中で毒づくことも少なくなった。
それに…自分が消えてしまいたいと思うことも少なくなった。
そう、あの頃が一番楽しかったのかもしれない。
時を止めて閉じ込めたいけど…その一瞬の永遠に。

「発生学における有名なテーゼ! 個体発生は?」
「系統発生を繰り返す。もう、いいかしら」
はは…まだ、やってるよ。
1157-8:02/04/17 22:10 ID:???
<ゲンドウ>

「…と言う訳であり。現在葛城一尉と赤木博士を現場指揮官とする、使徒捕獲作戦
が進行中です」
「A-17発令の件は承認しよう。だが…」
「そう、懸念材料があまりに多い」
「左様。人類の命運を運任せではね」
このような表層事象でしか、物事を把握出来ない者達は即刻消えろ。
だが、この老人どもの世話は今のところはまだ疎かにする事は適わん。
「ご心配には及びません。浅間上空にはN2搭載のUN軍が待機しております」
「碇。今回の件は全て君に一任しよう。だが…死海文書には無い事象ではあるが」
「予定は覆される為に存在します。それでは、議長…私はこれで」
キール・ロレンツ…不浄なる機械に身を委ねてまで、生に執着するこの男。
だが、私の計画にはこの男の持つ組織力は不可欠だ。
だからこそ、このような茶番にも付き合っている。
しかし…この男による前回の教訓によって、スケジュールに若干の狂いが生じた。
油断はなるまい。
「終わったかね…碇。それで、議長は何と…?」
「今回もNERVに全権が委任されたよ。では、冬月…帰るとするか」
…冬月先生。
貴方にはまだこれから役に立って頂きます。
1167-9:02/04/17 22:11 ID:???
<綾波>

「今回の作戦目的は使徒の捕獲よ。ただ、状況によっては流動的に作戦を推移さ
せます」
葛城ニ尉の作戦概要。
…了解。
「私一人で十分! アンタも上でシンジと待機してたらいいのに」
何故弐号機パイロットは、作戦の内容を理解しないのだろう。
「駄目。命令だから」
「命令命令って…! アンタね…人間には自由意志ってモノが…」
私の意志…命令に従う事。
何故…?
司令の為…?
何かが違うような気がした。
1177-10:02/04/17 22:12 ID:???
「命令に従う事が私の意志だから」
「ふん! 優等生ですこと…! まぁ、いいわ。実力で目に物を見せてあげるか
ら!」
弐号機パイロット…アスカ。
何がそんなに怖いの?
何を恐れているの?
彼女は碇くんに似ている。

「アスカ。レイ。準備はどう?」
「いつでもどうぞ」
「準備は完了済み」
「二人とも…分かっていると思うけど。アスカは使徒をキャプチャー。レイは不
足の事態への対処。頼むわよ…お二人さん!」
「──発進」
1181 :02/04/17 22:14 ID:???
ああ、放置。
何方か、お叱りでもいいからレス下さいませ!
何だか、誰も読んでくれていないような気が…。
がたがたぶるぶる。
だから面白いって。皆読んでるから。好意的なレスが
少ないのはにちゃだからしょうがな。

ともかく貴方にはこのまま突っ切っていってほしいなあ。
大概の人は、細かいツッコミしかしないとおもうけど。

ある程度たまったら、
「優しい世界の問題児」
見たいにまとめてドコゾニうぷしてくれるとうれしいなぁ。
1207-11:02/04/18 08:45 ID:???
安全限界深度突破。
使徒の目測及び捕捉作戦続行中。
弐号機のプログレッシブナイフが限界深度を少し下った所で脱落。
でも、私のは無事。
「まったく…ミサトも人使が荒い事。ねえ、アンタは怖くないの?」
「怖い…何が怖いの?」
「だって、ここどろどろの溶岩の中よ。この耐熱服だっていつまで…」
ぴしっ!
弐号機の耐熱服に亀裂発生。
私の耐熱服にも亀裂発生。
「ほら、言わんこっちゃない」
私の替わりは沢山。
弐号機パイロットも碇くんも沢山。
でも。
「あなたは死なせない。私が守るもの」
「えっ…何か言った? ファースト」
1217-12:02/04/18 08:45 ID:???
深度1780。
「目標捕獲しました」
弐号機パイロットが使徒をキャプチャーによる捕獲に成功。
「捕獲作業終了。これより浮上します」
そう。

ピィーっ! ピーィっ!
「作戦変更! 使徒殲滅を最優先!」
「待ってました!」
弐号機には武器が何も無いのに。
使徒は電磁キャプチャーの殻を破り、攻撃を仕掛けて来る。
私は、プログレッシブナイフを使徒に向かい振るった。
でも、駄目。
壊れてしまった。
1227-13:02/04/18 08:47 ID:???
「くっ…! 何やってるのよ…っ! ちっ…」
使徒は弐号機に攻撃を集中している。
使徒の形状は胎児の形態から、あの形態に移行した。
……個体発生は系統発生を繰り返す。
「弐号機はATフィールドを展開させながら、使徒を一時捕捉。その間に私が攻撃
するわ」
「はぁ…? 武器も無いのにどうやってぇ…?!」
「酸素。予備酸素ブラストを使徒に噴霧」
「……! そっか! アンタ以外にやるじゃない。その作戦乗った!」

使徒殲滅に成功。
彼女も無事。
でも…沈んで行く。
1237-14:02/04/18 08:47 ID:???
「アンタも私もまったく付いてないわね。爆発でケーブルがぷっつん…かぁ」
「……」
「──せっかくやったのに。やだな。ここまでなの」

碇くんが迎えに来てくれた。
初号機の身体にケーブルを固定して、その片手に弐号機。そしてもう片方の手には
私の零号機。
「バカ…無理しちゃって」
「…碇くん」

何故…?
碇くんが来てくれる事を分かっていたような気がする。
1241:02/04/18 08:50 ID:???
>119
レスありがとう御座います!
あんまり、レスレス言うと五月蝿いのでもう言わないように
します。
…でも、誰かの反応があると嬉しい…。
125 :02/04/18 12:37 ID:???
まあ、レスが無いと書いていて萎えるのは確か。
「これって、唯の独りよがりでは?」とか、背中に寒いものが走ってしまう。
感想や批評をメールで送るわけじゃなく、
気軽に一行でも、いや「期待してる」や「頑張れ」の一言でも貰えると、
結構やる気が沸いてくるものだ。

俺も期待してるから、最後まで書き上げろ。
1267-15:02/04/18 19:20 ID:???
<惣流>

ふー。
戦いの後の温泉は格別ね。
先程の戦いの後の、シンジの言葉を思い返す。
「どうして使徒は酸素に弱かったのかな?」
リツコは苦笑していた。
「あんた馬鹿ぁ…! 個体発生は系統発生を繰り返すよ…!」
「…? そんな事言われてもわかんないよ…」
「太古の地球環境にはそもそも酸素は大気中に存在していなかったのよ。そして、
酸素は我々には必要であっても、それを必要としない生命体には致死的な毒」
「いいのよリツコ…! こんなのにわざわざ説明しなくても」
「今回の使徒は、系統発生を短時間で繰り返していた。あの時点の形態では、酸素
が毒なわけ。時間が経過していたら耐性を獲得していた可能性が高いわね」
「そうなんですか。綾波…凄いや」
…次こそは、この雪辱を晴らしてやる。
1277-16:02/04/18 19:21 ID:???
「……知っているんでしょう。私のこともみんな」
「──ま、仕事だからね」
「あの子の事はどうなのよ」
我関せず、湯に浸かっているファーストの方に視線を向ける。
「レイ…。あの子の経歴はちょっち…ね」
「まあ、他人の事はどうだっていいんだけど」
そう…他人の事より、まず自分。
私は一番でなくてはならない。
そうじゃないと…そうじゃないと、私が無くなってしまうから。

ファーストの横顔はほんのりと、朱に染まっている。
ふぅん。
中々、スタイル良いじゃない。
ま、私の方が何倍も良いけど。
今でも…この子の態度や生き方は好きでは無い。
でも…少しだけ、そう、少しだけ見方を変えることにした。
1287-17:02/04/18 19:22 ID:???
じゃぶじゃぶと湯をきりながら、ファーストの側へと近寄り宣言する。
「受けたかりは必ず返すから」
「そう」
「そう…よ。絶対にね!」
ファーストに顔を直視されると、何だか座りが悪くなり照れ隠しに「ねえ!
 シャンプー取ってくれる」と隣の露天風呂に居るシンジに声を掛ける。
「う、うん。行くよ」
ピュウ。
「…痛い」
隣から飛んできたシャンプーがファーストの脳天を直撃!
「アンタ! どこ投げてるのよ!」
私もミサトも笑いをかみ殺すのに必死だった。

お人形。
人の形を模して作られたモノ。
人にして人にあらず。
私は違う…そう信じていた過ぎ去り時。
1291:02/04/18 19:24 ID:???
>125
全面的に激しく胴衣です!
最後まで頑張りたいと思います。
ここのアスカはヤバイな
>1
俺長編は完結してからガバッと読むタイプなので、
あまり読んでませんが、楽しみにしています。
ガンガレー
応援レスが続くと嵐を呼び寄せちゃう罠

まー、ほどほどにね♪
マグマの中で酸素を噴霧?
134 :02/04/19 08:20 ID:???
>>133
熱よりも圧力の方が勝って気化しないと見た。
もしかしてハイドレイト化していたりして・・・っていちいち突っ込むのは無し。
本編の熱膨張云々だってかなり怪しい。
1358-1:02/04/19 13:42 ID:???
<赤木>

穏やかなる、日常の風景。
それは、終りへと向う私達に与えられたモラトリアム。
洗濯。
通勤。
極めて穏やかな日だった。
…昨日、久しぶりにあの人に求められた。
親子揃って大馬鹿もの…ね。
だって、嬉しかったから。
後になって分かる事を、前もって知る事が出来たならば…人は神に等しくなる。
それが出来たならば。
この直後、使徒にジオフロントへの進入を許す事となる。
1368-2:02/04/19 13:44 ID:???
<碇>

掌が汗ばみ、息が少し浅くなる。
電話をかけようと思っただけでも…こんなに。
糞っ。
いいじゃないか…今更、今更あいつに…父さんにどう思われたって。
学校の父兄を交えた面接なんていつもどうり…ミサトさんに頼めばいいのに。
でも、でも父さんに来てもらいたかった…今までの事、褒めて貰いたかった。
俺は馬鹿だ。
「ぁ…ぁの、父さん…。仕事中だと思うんだけど…」
沈黙。
「学校で父兄を交えた進路相談があって…」
沈黙。
「いや、時間があったらでいいんだけど…」
「…全て葛城一尉に一任している。くだらん事で電話するな…」
プッ。
畜生…何で電話、途中で切るんだよ…!
いいじゃないか…一度ぐらい父親らしい事、してくれたって。
…やっぱり、俺なんていらない子なのか…?
父さんは…父さんは…仕事と綾波しかいらないのかもしれない。
でも、変だった。
電話の切れ方が、話の途中で急に切れたみたいだった。
配線事故かもしれない。
そう、考えたら少しだけ気が楽になった。
1378-3:02/04/19 13:46 ID:???
<ゲンドウ>

プッ。
シンジからの電話が突然断ち切られた。
同時に、空調や室内灯も全て停止する。
耳元から電話を離し、職員に対し復旧作業と原因の究明を命ずる。
たが、この騒ぎでシンジとの会話を終える事が出来た。
「碇…これはまずいぞ」
「ああ、現在の電力稼動状況はどうなっている…?」
「メイン、サブ、予備全て駄目だな。生き残りは…全てセントラルドグマの維持に
回したよ」
「やはり…今回も議長の差し金かね…碇」
「だろうな。教訓の黙示。あの老人どもが好みそうな手段だ」
これは…些かイレギュラーな事象ですがね。冬月先生。
「ところで…碇。熱いな」
不要な肉体は、魂の足かせにすぎん。
「──ああ」
1388-4:02/04/19 13:46 ID:???
<惣流>

「いちいち細かいこと気にすんの、やめたら?」
あーあ。
やっぱり、シンジってつまんない。
あれ…ファザコンって奴。
父親との電話が切れたぐらいで…うだうだと。
…じゃあ、一体私は何なの。
世界の苦悩を一身に背負ったかのようなシンジの態度には、いつもながらに腹が
立つ。

まったくIDカード通すのすら、アンタ満足に出来ないわけ。
でも、私のカードも通らなかった。
三人同時にカードの不調は確立的に有り得ない。
ちっ。
仮にも人類を守る機関NERVの本部なのよ…しっかりしてくれないと困る。
1398-5:02/04/19 13:47 ID:???
全てのドアが開かず、非常灯すら付いていない。
「何で開かないのよ!」
「そんな事、知らないよ…!」
カチッ。
ファーストが緊急時のマニュアルをプラスティックケースから取り出し、読んで
いた。
私とした事が…!
馬鹿シンジと付き合っていると、こっちまで馬鹿になる。

「何してるの?」
「あんた、馬鹿ぁ!」
まったく、本当にコイツがエヴァのパイロットか疑わしくなってしまう。
1401:02/04/19 13:50 ID:???
>131
サンクス!

>133、134
そこまで…考(以下略)
酸素と言えば¨酸なのに何故酸素?¨を思い出してしまう。
141名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/04/19 13:52 ID:z.C01U6s
新世紀エぶぇっ・・・し、舌噛んだっ!

第壱話  使徒、 シュウマイ
第弐話  見知らぬ、天 丼
第参話  鳴らない、オナラ
第四話  飴、舐めだした後
第五話  ゲイ、心の向こうに
第六話  斡旋、第三新東京市
第七話  糸で作る着物
第八話  アスカ、ナイチチ
第九話  全巻、コロっと買っちゃって
第拾話  マッハライダー
第拾壱話  精子みた( ピー)の中で
第拾弐話  戸籍の価値は
第拾参話  ロト、侵入
第拾四話  ゼーレ、やましいのだ
第拾五話  糞と沈黙
第拾六話  痔に至る病、そして
第拾七話  四人目の欠席者
第拾八話  イノキの洗濯を
第拾九話  漢の股かい
第弐拾話  男のワタシ、人のカタチ
第弐拾壱話  エルフ、頑丈
第弐拾弐話  責めて、インゲンらしく
第弐拾参話  ジャミラ
第弐拾四話  背後の死者
第弐拾五話  Hair
第弐拾六話  はごろもをギブミー
142舌噛みエヴァンゲリオン 1:02/04/19 13:53 ID:???
第壱話 使徒、シュウマイ


「2ヶ月ぶりだな」
「ああ。シュウマイだ」


続く
143舌噛みエヴァンゲリオン 2:02/04/19 13:54 ID:???
第弐話 見知らぬ、天丼


「父さんはシュウマイのことばかりで、僕のことはどうでもいいみたいだった・・・」
「シンジ君・・・」
「やっぱり僕はいらない子なんだ・・・」
「・・・あまり思いつめないで。・・・これ、食べておいてね・・・」

「知らない天丼だ・・・」


続く
144舌噛みエヴァンゲリオン 3:02/04/19 13:56 ID:???
第参話 鳴らない、オナラ


「シンジ君、オナラが出ないのよ」
「・・・ヤマアラシのジレンマって知ってる?ストレスが溜まるとオナラが出なくなるのよ」
「嘘つけ」
「・・・ごめんなさい」


続く
145舌噛みエヴァンゲリオン 4:02/04/19 13:57 ID:???
第四話 飴、舐めだした後


「美味しいな・・・これ・・・」


続く
>>140
酸と関係ないのに何故酸素?でしょ。
147名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/04/19 22:40 ID:BK8RqrB.
1さんへ。

快調ですね。たとえオナニとよばれても、このまま突き進んでいってもらいたいなぁ。

自慰も極めれば芸となる。いや成せ。
1488-6:02/04/19 23:22 ID:???
<綾波>

非常事態における行動規定、第1項23−17の甲及び乙。
発令所との連絡が不可能な場合、エヴァ専属パイロット及び発令所スタッフは事
態を把握するため、自ら出頭の事。
「何でアンタはいつもそう、くだらない事でうだうだ悩んでるのよ!」
それは…違う。
くだらなく無いから。
「そんなこと…! アスカが何も考えていないだけだよ!」
それも…違う。
彼女はいつも考えているから。
1498-7:02/04/19 23:23 ID:???
何かを感じた。
「だまって」
「何よ、優等生!」
「聞こえるわ」
「何が聞こえるのよ!」
私達の敵、司令の敵。
「…来たわ」
「綾波、何も聞こえないけど…」
「アンタ耳おかしいんじゃない…? 何も聞こえないわよ。それに何が来たっていうの」
そう。
私にしか聞こえないし…感じないの。
「使徒」
碇くんも、弐号機パイロット…アスカも私を見ている。
でも、本当。
来たの。
「使徒」
もう一度言った。
1508-8:02/04/19 23:24 ID:???
<葛城>

最悪の状況だ…。
あいつ…加持くんとエレベータ内に閉じ込められてしまった。
このような時は、いつも嫌な考えしか浮かばない。
私が彼に…投影したモノ。
とてもおぞましく、とてもけがわらしい。
こんな不潔な自分を許容してしまう、自分が更に嫌だ。
「あんた…二人っきりだからって変な事しないでよ!」
「へいへい。俺もTPOは弁える人間なんでね」
嘘だ。
こいつがTPOを弁えた事など…ただの一度も無い。
それにしても…停電だなんて。
メイン、サブ、予備とある電気系統が一斉に故障するなんて事…あるはずもない。
こりゃぁ、司令やリツコ辺りにこってり絞られる事になりそうだ。
何とか…脱出の算段をしないと。
それに…二人きりだとまた、楽な方へと逃げてしまうかもしれないから。
そう、早く出ないと。
1518-9:02/04/19 23:25 ID:???
<碇>

「いくら近いってたって、これじゃカッコ悪すぎるわ」
綾波が示した、発令所への一番の近道。
排気ダストの中か。
俺の前を行くアスカのスカートの中へと視線を走らせてしまう。
…こんな時なのに。
俺がこんなにも汚い人間だとアスカや綾波に知られたら、絶対に嫌われてしまう
だろう。
それは絶対に嫌だ。
だから、出来るだけ見ないようにする。
ふと、いつも考えている事が口から零れ出る。
「使徒って何なのかな?」
「あんた、馬鹿ぁ!」
やっぱり、また馬鹿って言われた。
でも、おかしいものをおかしいと思わないほうが馬鹿だと思う。

ガンっ!
アスカが蹴り開けた非常扉の向こうに、クモみたいな形をしたモノ…使徒が居た。
「ひっ…!」
アスカは慌てた事を俺達に悟られないように「使徒を肉眼で確認!」とか言って
いた。
アスカの行動がばればれなように、俺の考えている事もばればれなのかな…?
と、そんな事を考えながら。
1528-10:02/04/19 23:26 ID:???
綾波は暗闇でも物が見えるかのように、先頭に立って発令所へと向っている。
「綾波は…暗いところでも目が見えるの?」
「位置…分かっているから」
「さすがは優等生!」
アスカが綾波の横に並び、挑発的に話し掛けている。
多分…綾波にイニシアチブを取られた事が悔しいんだろう。
本当…ばればれだ。
「アンタ碇司令のお気に入りなんですってね。やっぱ可愛がられている優等生は
違うわね」
綾波は何も言わず、暗闇へと進んで行った。
「…ちょっと! アンタ…なめないでよっ!」
綾波の腕を掴み、前に立ちふさがる…アスカ。
何なんだよ…もう。
争い事は嫌なんだ…止めてくれよ。
「…やめなよアスカ。喧嘩は良くないよ…」
「アンタは黙ってて!」
突然。
「なめてなんかいないわ。それにヒイキもされていないわ。自分で分かるもの」
「ふん。どうだか…」
でも、俺も綾波は父さんにヒイキされているような気がする。
…綾波にまで、嫉妬するのは止めよう。
1531 :02/04/19 23:28 ID:???
>146
あれって結局、何だったのでしょうね?

>147
おなにを極めて、ゲイにしたいです、はい。
1548-11:02/04/20 02:33 ID:???
<赤木>

あの子達が発令所へと自力で辿り付いた。
…使徒来襲という、凶報を携えて。
「貴方達。どうして…それを?」
相変わらず、あの人の息子…シンジくんは会話の時、人と目を合わせようとし
ない。
あの人もそう。
いつも、眼鏡というフィルター越しでしか私を見てくれない。
他人が怖いから…力で他者を圧迫し、屈服させる。
幼児じみた全能感を失いたくないから。
駄目だ…この子達の報告に集中しないと。
「…というわけで、ここへ向う途中に綾波が使徒が来たって言うので、非常扉
を開けると…」
「そこに使徒が居たってわけ。ほんと…ファーストって怖い子よね」
「その事については、後で考える事として、使徒の迎撃が優先ね」
…レイが使徒を感じる事が出来るのは、当然かもしれない。
あの人もそれは分かっているはずだ。
「司令。ご命令をどうぞ」
1558-12:02/04/20 02:34 ID:???
<冬月>

「エヴァを人力始動させる。現場指揮は私が取ろう」
おや、息子の前ではいい格好をしたいのかね。
或いは、ユイくんの前では…か。
「しかし、使徒は既にエヴァ射出口からこのジオフロントに進入していると報告
があった。間に合うかね」
いざとなれば、ダミーか或いは…。
「本部のショックアブソーバーは理論的には、N2の直撃にも耐えられる設計だ。
時間はまだ残されている」
「だが、幾ばくの時間稼ぎは必要だ。どうする…碇」
「…保安部員に通達。最大重武装で使徒の攻撃外から援護攻撃。尚、エヴァンゲ
リオン出撃をもってその任を解く事とする」
…他人の命も所詮この男にとっては、その程度の物か。
「それでは…人死が出るが……構わんのかね?」
「ああ、構わん。時間がない…それでは後を頼みます」
俺も…他人を指弾する権利は無いがね。
1568-13:02/04/20 02:35 ID:???
<惣流>

「お願い! まず、オフェンスに私を出して…!」
エヴァの準備は整いつつある。
あの、シンジの父親…碇司令までもが汗を流して働いている。
なんだか変な感じ。
エヴァの準備に時間と手間がかかる今回こそ、私一人で戦い、私の力を知らしめ
る絶好のチャンス。
逃すわけには行かない。
「ねぇ…リツコ! どうせ、同時に三体を同時展開させる事が出来ないんだから、
準備が出来たエヴァから順に出撃でいいでしょ!」
この、リアリスト女はそんなに嫌いではないが…逆に難しくもある。
「…仕方ないわね。発進準備が整い次第、各個に出撃してもらうわ」
やった!
弐号機の発進準備は既に整っている。
ジオフロント内での初戦闘。
私だけの舞台だ。
1578-14:02/04/20 02:36 ID:???
出撃直後に攻撃を受けないように、ジオフロント内の人造湖にエヴァ弐号機が射
出された。
湖の底から、上を見上げるとゆらゆらと光が揺らいでいる。
使徒はここからでは、何処に居るのか確認が出来ない。
「アスカ。現在、NERV本部は使徒による断続的な攻撃に曝されています。早急に
使徒の殲滅…お願い」
「私に任せて! いいこと、ファーストそしてシンジ! 私の戦いぶりを指を加
えて見ていることね」
バッシャーン。
湖から勢いを付けて飛び出る。
さっきの奴が…いた!
三角錐の形をした、NERV本部に向ってしきりに液体のような物を吹きかけている。
その液体を浴びるたびに、建物の外部装甲から煙が上がっていた。
ははぁーん。
溶解液ってわけね。
使徒に気づかれる前に、先手あるのみ。
「これでも…喰らぇぇ!」
両手に持つ、バレットライフルとクレイバズーカを弾が尽きるまで乱射。
かちかちかち。
弾が切れたと思った瞬間。
来た!
だけれども、甘い甘い。
そんな、攻撃がこのアスカさまに通用するとでも…!
1588-15:02/04/20 02:36 ID:???
いや、違う。
使徒の溶解液は空中で霧に変わって降り注ぐ。
銃が、エヴァの装甲が溶けていく。
体をひりつかせるような痛みが、私を襲った。
「くぅ…! アンタなんかに負けてらんないのよ!」
まだ、バックパックのスマッシュホークが無事だ。
「アスカ。エヴァの装甲でも後…5分がいい所ね。どう…まだいける?」
「当然よ。エヴァ弐号機突貫します…!」
溶解液の霧が降り注ぐ中、全速力で使徒に駆け寄って…。
「おりゃぁぁ!」
ブッン。
「喰らえぇぇ!」
プッ。
クモの足を切るが如く、使徒の足を全部切断してやった。
止めね。
「これで…ラストぉぉ!」
もう何も出来ない使徒に対し、真直ぐスマッシュホークを振り下ろす。
1598-16:02/04/20 02:37 ID:???
「ご苦労様アスカ。先程の戦闘でのシンクロ率。またも大台突破ね」
「当然よリツコ」
漸く、自分一人の力で使徒を倒した。
心地よい虚脱感と安堵が全身を包む。
…良かった。上手く行って…。
内心は怖かった。
失敗する事…自分のよって立つ根拠が崩れる事が。
「ま、これでかりは返したわよ。ファースト」
「……」
私は知らなかった。
勝利による賞賛は…麻薬のように、私を捕らえ蝕んで行く事を。
その時は、まだ。
1608-17:02/04/20 02:38 ID:???
<碇>

街の灯火が消えている。
いつか見た風景。
あれは…綾波と一緒に戦った時。
今は傍らに綾波の他にアスカもいる。
俺はいいんだ。
別にエヴァに乗ってさえいれば、勝たなくとも…目立たなくとも。
アスカが一番がいいんなら、それはそれで構わない。
穏やかに波風なく過ごして行きたい。
風がそよぎ心地よく全身を嬲ってゆく。
星も綺麗だ。
俺が呟いた何気ない言葉にアスカは「でも、明かりがないと人が住ん
でる感じがしないわ」と応じる。
その言葉を合図とするかのように、一斉に街の明かりが灯った。
暖かい光…ヒトの温もりを感じさせるような。
1618-18:02/04/20 02:38 ID:???
「人は闇を恐れ、火を使い闇を削って生きてきたわ」
「てっがくぅ」
そうかもしれない。
昔はヒトの周りは敵だらけだったのだろう。
だからお互いに寄り添って…火を使い世界を切り開いていった…。
でも、お互いの温もりを求めて寄り添いながらも他人を傷つけずには
生きて行けないヒト。
だから…。
「だから人間って特別な生き物なのかな? だから使徒は攻めて来るのかな?」
「あんた馬鹿? そんなのわかるわけないじゃん」

その街の明かりの元で営まれる日常がいとおしかった。
もう一度…会いたかった。
でも……。 
1621:02/04/20 02:40 ID:???
何だか、はじめの頃より文量がインフレして来ました…。
こういう傾向は他のSS書きの方々にもあるのかなぁ。
163名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/04/20 11:20 ID:BuODvw9Q
良くあること。インフレもあるがデフレのパターンも良くある。
身近なところでは、熱血シンジのSSスレを読んで自分を慰めるが良し(インフレ過ぎ)
BF団モナー
165名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/04/20 20:01 ID:lDepx8B6
>>1
うん。おもしろいよ。
漏れらが言えるツッコミなんて、作者が読み返したら
わかるもんばっかだから。全面肯定でいきます。

んで完結してもらえたら砕鉱です。
1669-1:02/04/20 22:19 ID:???
<葛城>

始末書。
各種諸官庁への報告書。
関係者への詫び文。
etc……。
ああ、もう。
勘弁して…ぇ!

それにしても…。
デスク上には乱雑に散ばった各種書類の山の上に、新聞記事が乗っている。
鍵がかかっていた私の執務室に何者かが忍び込んで、置いていった置き土産。
ご丁寧に、マーキングまでしてある。

──国家公安委員長謎の自死──

──旧東京市の放置区画を巡る、収賄疑惑で副首相辞任を表明──
1679-2:02/04/20 22:20 ID:???
これらの死んだり、失脚したお偉いさんの面々は日本政府の対NERV強硬派の
主要人物達だった。
その面々が失脚して一番得をするのは誰か…?
碇司令。
良かった…出張中で。
こんな時、どんな顔をして会えば良いのかわからないから。
当然、この記事を私に読ませようとした人物は日本政府の息がかかった人間
だろう。
NERVがこういう組織である事を私に告げたいわけだ。
でも、本当にそれだけ?
1689-3:02/04/20 22:21 ID:???
無意識に十字架を握り締めながら、15年前に受けた腹部の傷を服の上からな
ぞっている。
不安になると行ういつもの癖。
トントン。
私の返事を待たず、開閉音と共に「よっ、葛城。どうだい…? NERVの全権
を握った感想は」
やはりあいつ…加持くんだった。
加持くんに対する感情はとても一言では言い表せない。
依存と…嫌悪と…好きという感情の相克。
「最悪。早く司令に帰ってきて貰いたいわよ」
「責任者は辛いよってかい。まぁ、葛城…君なら出来るさ」
「どうだか。私自身ちょっち不安よ。所で、何の用なの」
いつまで、彼を突き放すスタンスを取り続ける事が出来るか、自分でも確証
が無い。
「ああ、悪い。この書類を届けてくれってリッちゃんに頼まれたんでね」
書類を私のデスクに投げ出し、部屋を出かけた加持くんの背中に向って声を
かけた。
「ところで司令と副指令何処行ったの?」
驚いたように振り向き、口の片端を吊り上げる偽悪者風の笑みを浮かながら
告げる。
「セカンドインパクトが起こりし死の大陸。南極に」
1699-4:02/04/20 22:22 ID:???
…何故、セカンドインパクトが起こったのかは今も分からない。
あの頃私は14…シンジくん達と同じ年齢だった。
普段はけっして開く事の無い、記憶の箱が開かれて行く。
父の事は嫌いだった。
仕事にかこつけ家庭を顧みない男。
でも、セカンドインパクト直後の旧東京への新型爆弾の投下によって亡くなっ
た母に同情していたわけでも無い。
…ただ、私を…私を女として見てくれない父が…憎くて…愛しくて……。
父が南極調査隊のリーダーとして、何ヶ月もの間家を留守にすると聞いた時、
私の意志は既に決まっていた。
家でいつも泣いてばかりいる母が疎ましく…そんな母から父を奪ってやる為に、
私も父と共に、南極へと赴いた。
ごめんね…母さん。
典型的かつ類型的なエレクトラコンプレックス。
でも、私はまだ…。
だから、加持くんからも離れたのだが。
1709-5:02/04/20 22:23 ID:???
けれども、あの災厄から私を救ってくれたのは父。
普段は私に見向きもしてくれなかった父が…私を助けてくれた。
腹部からじくじくと滲み出る血の温かみ…痛み。
天を突く光の柱。
忘れられない…忘れられるわけが無い。
それが今、私が此処にいる理由の全て。
…結局は父の呪縛から逃れる事が出来ない。
だから…このように加持くんに唇を重ねられていても抵抗出来ない……。
父さん。
1711:02/04/20 22:27 ID:???
>163
初めてそのスレの存在を知りました。
熱血シンジ…もっともエヴァを必要としなさそう
な感じですね。(作品として)

>165
そう言っていただけると、頭が上がりませんです。
完結出来るよう、頑張りたいです。
1729-6:02/04/21 21:54 ID:???
<ゲンドウ>

槍の回収作業を終え、帰路に着く。
「…まるで地獄だな」
煉獄の火で浄化されし、この大陸は限りなく清い。
それ故、生命の存在は完全に否定されていようとも。
「だが、原罪のけがれなき浄化された世界だ」
「俺は罪にまみれても、ヒトが生きる世界を望むよ」
相変わらず潔癖な。
だが自分自身の穢れには気づかないようで…。
「ところで碇。この前の停電の後始末…終わったのかね」
「ああ。この期を利用し政府内の不要な人物の掃除も終わったよ…」
「だが日本政府…いや、老人達がこのまま黙っているのか」
「心配ない。ゼーレの息がかかった人間には手を下してはいない」
まだ、委員会はエヴァシリーズを使っての、使徒殲滅を最優先課題としている。
その間は…何も心配は無い。
その間は。
だが、老人達…キール議長の干渉の矛先は間違えなく、NERVそして私に向いて
いる。
「生贄が必要になるやもな…」
1739-7:02/04/21 22:03 ID:???
<碇>

「シンジくん。良くやったわ」
「何がですか?」
ハーモニクステストで前回よりシンクロ率が8上がった事を、リツコさんに褒め
られた。
褒められたけれど、別に嬉しくもない。
そりゃあ…いい結果を出して褒められるのは嬉しいけど。
でも、ヒトを…アスカを怒らせてまで褒められたくもない。
「でも、私より50も少ないじゃん」
「あら、10日で8よ。大したものだわ」
「大したことないわよっ!!」
別にいいじゃないか…。
今でもアスカが一番で何だから。
そんなに、俺や綾波が自分に近づく事すらも嫌なのか…?
どうしてそんなに自分が一番偉くて、凄いって思うんだ?
でも、アスカをこれ以上怒らせるのが嫌で…いつもの愛想笑い。
これしか俺には出来ないんだ…仕方が無いんだ。
「先に帰るわ! 馬鹿!!」
1749-8:02/04/21 22:04 ID:???
その時はわからなかった。
でも、今なら分かるような気がする。
アスカは自分が偉いとも凄いとも思っていたわけでは無い事を。
逆に自分に自信が無かったから…そのより所を奪われるのが怖くて…。
彼女が彼女である為の、証を守りたい一心で…。
それだけだったんだ。
俺はエヴァに乗って、それにより他人と関わっていく事が。
アスカはエヴァに乗り、他人に認められる事が…たった一つの存在意義。

ミサトさんも何だか、不機嫌そうだった。
俺には関係ない。
でも、他人の顔色を窺って気を使ってしまう。
怖いんだ…他者の言動が…行動が全て。
だから。
「さっきの気になる?」
「ハイ」
「そうやって人の顔色ばかり気にしてるからよ」
だったらどうすれば良かったんだよ!
糞っ。
1759-9:02/04/21 22:06 ID:???
「葛城三佐! このたびのご昇進おめでとう御座います!」
軍事マニアのケンスケはやけに楽しそうだ。
どうでもいいよ…そんな事。
今日のアスカとミサトさんに言われた事が、まだこたえている。
みんな何だかやで楽しそうだ。
「何でわざわざ大騒ぎしなきゃならないんだろう」
呟きは、周囲の喧騒に飲み込まれ消えていった。
ヒトが集って楽しそうにする事。
何故集まるんだろう。
何がそんなに楽しいのだろう。
分からない。
周りの明るさに反比例するが如く、俺は自分の中へと沈んで行く。
「よっ、葛城。お邪魔するよ」
「それじゃ、お邪魔するわミサト」
加持さんとリツコさんもやって来た。
途中、話しが父さんと冬月さんが留守にしていると言う話しになったので
「父さん、ここにいないんですか?」と聞いてみた。
「碇司令は今、南極に行っているわ」
…南極。
学校でしつこいほどに教えられている、西暦2000年の悲劇。
新型爆弾投下。バレンタイン休戦条約。
そんな、受験用語が頭に浮かぶ。
逆に言えば、それぐらいしか思い浮かばない。

後になって初めて、その頃がどれだけ輝かしい日々だったかを知る事が出来る。
それがどれだけかけがえの無く、そしてもう一度帰れるなら帰りたい日々であ
るかを。
でも、過ぎた時…掌から零れ落ちて行った時は帰らない。
残るのは、その鈍痛を伴う記憶だけ。
1769-10:02/04/22 18:53 ID:???
<葛城>

よりにもよって司令も副指令も留守の時に使徒来襲…ね。
でも、その為の司令代行であり…だから私はここに今立っている。
正面に映るモニタを見遣りながら、深く息を吸い覚悟を決める。
「これが第一波。そして、これが第二波……」
リツコが淡々と状況を説明している。
「徐々に誤差修正を繰り返しているわね」
「そして、衛星からの最後の映像がこれ」
やはり…N2爆雷では傷一つ付ける事が出来なかった。
「衛星はこの直後に信号をロスト。直前の信号では何らかの重力波のような
もので…」
「…来るわね、多分」
「次はここに、本体ごとね」
昔から、嫌な予測ほど良く当る。
「で、MAGIの御宣託は?」
「全会一致で撤退勧告…」
さて、ミサト。
アナタ一人で決断するときよ…。
どうする…どうする。
何故だか父さんの顔が脳裏を過った。
そして。
「日本政府各省に通達。ネルフ権限における特別宣言D-17を発令します」
1779-11:02/04/22 18:54 ID:???
「どうだった…リツコ」
疲れたように白衣に両手を突っ込みながら、首を振る。
「…残念。特別宣言D-17は国連憲章の国家の主権の尊重及び、市民の強制徴発
禁止に抵触するというのが、政府の見解みたい」
「何を今更!? ああ…もう!」
「先程の意趣返し…というわけかしら」
ヒトの命を政争の道具に使うなんて…あのヒヒ爺どもが…!
「私としては、MAGIの一時退去を支持するわね」
「…あの子達を緊急に招集して。それと、レイに話しがあるわ」
そう、あいつ等…使徒から逃げるわけにはいかない。
「…! あなたの勝手な判断でエヴァを3体とも捨てる気?」
「言い争っている時間はないわ。全市民はシャルターに退避。後、整備班にポ
ジトロンライフルの用意…お願い」
「葛城三佐!」
「エヴァとあの子達に掛けます。それに、現責任者は私です。やることはやっ
ときたいの。使徒殲滅は私の仕事です」
「仕事? 笑わせるわね。自分の為でしょ。あなたの使徒への復讐は」
違う…とは、言い切れなかった。
1789-12:02/04/22 18:54 ID:???
<惣流>

「…と、言う訳。MAGIが予測した落着地点の現場での微修正と、ポジトロンラ
イフルによるオフェンスはレイ。シンジくんとアスカはレイのバックアップね」
…まあ、いいわ。
それにしてもあの子、使徒の存在を感じる事が出来るなんて…気持ち悪い。
リツコは使徒とヒトの遺伝子レベルでの一致点と、そのシンパシー理論だかを説
明していたけど、そんなの納得出来ない。
やっぱりファーストは少し変なのよ。

ミサトに「で、成功の確率はあるの?」と聞いてやった。
答えは予想していた通り。
「…MAGIの予測では成功確率は0,000000089%…ね。ああ、でもあの機械オーナ
インシステムって言われるぐらい当てになんないから」
私はまだ死ぬつもりは無い。
だから、疑問点を全てミサトにぶつけた。
ふう、聞かなければ良かった。
「これでうまくいったら、まさに奇跡ね」
「奇跡ってのは起こしてこそ初めて価値がでるものよ」ときたもんだ。

「それに…政府にD-17の発令を邪魔されちゃってね。街のみんなの避難誘導に
失敗しちゃって…ちょっちまずいのよ」
「つまり、なんとかして見せろってこと?」
いいわよやってやろうじゃん。
作戦は困難なほど…燃えるわ!
>>141-145
続きは?
結構楽しみにしてます。
180名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/04/22 21:40 ID:XTNSdds6
>>1
頑張ってや。一読者より。
今時、列車でも電車でもなく汽車と表現する1は北海道民臭いのですが。
1829-12:02/04/23 08:26 ID:???
<碇>

何だか今回は駄目なような気がする。
でも、それならそれでいいや。
何故だか…全てを受け入れられるような気がする。
「一応規則だと、遺書をかくことになってるけどどうする?」
「別にいいわ。そんなつもりないわよ」
「私もいい。必要ないもの」
俺には遺書を残したいと思う人がいない。
アイツもどうせ…俺の事なんかどうだって。
だから「僕もいいです」と。

「済まないわね。終わったらみんなにステーキおごるからね」
はは…ステーキね。
「うわぁーい」
我ながら力が篭っていない感じだ。
アスカも調子を合わせて、グルメ雑誌なんかを取り出していた。
ふぅん。
アスカでも一応は協調性と言う言葉を知っていたんだ。
この前のわだかまりを感じさせない口調で「アンタも今度は一緒に来るのよ」と
アスカが綾波に誘っている。
何だ。
気にしていたのは俺だけか。
「私行かない。肉キライだもの」
…綾波にも協調性を学んで欲しい。
1839-13:02/04/23 08:27 ID:???
<綾波>

もう、そこまで。
彼を感じる。
…私達に似ている存在。
沢山いるのに一人ぼっちだから。
「アスカは何故、エヴァに乗ってるの?」
「決まっているじゃない。自分の才能を世に知らしめるためよ」
彼女も似ている。
「──あの子には聞かないの?」
「綾波には、前聞いたんだ」
絆…。
でも、何故?
何故、私は絆が欲しいのだろう。
沢山いるのに一人ぼっちだから?
「シンジはどうなのよ」
「…わからない」
碇くんはお父さんに褒められたいから?
絆?
自分の存在を知らしめたい?
どれも違うようで、どれもそうかもしれない。
1849-14:02/04/23 08:29 ID:???
「もう少し…右。あ、北東の方角に」
赤木博士とMAGIが私の示す方向に従い、落着地点の微修正を繰り返している。
私の零号機はポジトロンスナイパーライフルを装備して、待機。
初号機と弐号機がディフェンスにまわっている。
来た。
「MAGIによる算出の結果が出たわ。データ転送行くわよ…レイ。東経※度※分※秒…」
私の正面のモニタに地軸の傾きや地磁気などのファクターを勘案し、敵の大気圏突入角度
の予測地点に合わせて照準が合わされた。
彼らも一人は嫌だから、此処へと来るのかもしれない。
赤木博士が「高度1000mを絶対防衛ラインとします。レイは射程に入り次第、自己判断で
射撃。ディフェンスの二人は、使徒の攻撃から零号機を守ってもらうわ」
「使徒大気圏突入! 9000、8000、7000……」
突然全身に激しい圧迫感が来た。
周辺の建物が押しつぶされて行く。
エヴァが地面に少しづつ飲み込まれて行く。
「くっ…重力波ね! ATフィールド全開!」
「ミ、ミサトさん…! うぅ…フィールド展開…」
胸が…苦しい。
「6000、5000、4000……使徒射程範囲内に到達」
「これより、攻撃を開始します」
ごめんなさい。
照準を合わせて撃つ。
1851:02/04/23 08:31 ID:???
>180
どうもです。

>181
田舎者ですが何か?
って、汽車って死語ですか…。
漏れも汽車って言う。心配すんな(ワラ
1879-15:02/04/23 20:58 ID:???
<碇>

「話は聞いた。よくやったな、レイ」
「はい」
やっぱり綾波は普段では絶対みせない表情をして…とても、嬉しそうだった。
俺だって…アスカだって頑張ったのに。
「…それから、初号機パイロット及び弐号機パイロットもよくやってくれた」
「エヴァの搭乗員として、ベストを尽くしました」
「え? あ、はい」
綾波のついでにでも、それでも。
父さんからのこの言葉が欲しかった。
これで、また頑張って行ける。

父からの承認…優しい言葉。
それから…愛情。
嘘かもしれないけど、裏切られるかもしれないけど、この時はただ嬉しかった。
でも、それじゃ駄目だったんだ。
他者の意思に左右されるモノは本当のモノではない。
どんなモノであれ自分で選び取ったモノじゃないと、それは…違う。

その日ミサトさんからご馳走になったラーメンの味。
嬉しかった記憶。
アスカや綾波が俺の傍らに居た事。
忘れない…ずっと。
18810-1:02/04/23 20:59 ID:???
<ゲンドウ>

先日の本部への使徒侵入を受けての、特別招集会議。
ようするに、老人達が自身の不安をなだめる為の欺瞞だ。
かちかちと音を立てるプロジェクターの光が、闇を貫いている。
今までの使徒の映像が流れ続ける中、査問は続く。
「碇。君は私の良き理解者であり、友人でもあった。だが、あまりに死海文書から
の逸脱が多すぎる」
「ご心配には及びません。結果は予想どうり。修正は容易です」
「だが…第9使徒によるジオフロントへの進行を許し、あまつさえ昨日は本部への侵
入すら許したと聞くが?」
「左様。幸い殲滅出来たから良い物を…アダムとの接触は我々人類の死と同義なの
だよ」
それは欺瞞でしょう。
人類は新しい未来へと進まなくてはならない。
だが…未来の無い老人達に何故その未来へと到る扉が開かれようか。
私が楽園への鍵を預かっているのだから。
「…それは誤報です。使徒の本部への侵入の事実はありません」
「それが事実であれば良かったのだがね」
「……」
「タイムスケジュールは死海文書の記述どおり進んでおります」
最早、輪廻を綴った予言書には価値は無い。
何故なら…こんどこそ輪廻の輪は断ち切られるのだから。
人類はその歴史のメビウスを断ち切り…新たなる世紀へと。
そして…神へと到る。
18910-2:02/04/23 21:00 ID:???
「君が新たなるシナリオを作る必要はない」
「分かっております。全てはゼーレのシナリオどおりに」
老人達はいつも願ってきた。
原罪からの究極的な解放を。
だが、原罪はヒトの原初の勝利でもある。
知恵の実を得たヒト。
命の実を得た使徒。
生命の樹へと至り、命の実をヒトの手に。
その時が、新しい契約の日となるであろう。

「…死海文書は既に用済みだ。議長もそれに気づいている事だろう。だが、槍も
アダムすらも我らの手にある」
「だがな…碇。議長は果たして死海文書の全文を公開していたのかね」
「……」
「議長が未だに死海文書に固執している事。そして、槍の確保を妨害しなかった事。
これ等は、俺達が知らない死海文書の…いわば¨異聞¨に当るものが存在すると考え
たほうが妥当だと思うがね?」
今度は文献考古学者にでも転職しますか…? 冬月先生。
「問題ない。既に老人達の時代は終焉し、新たなる時代の扉は開かれた」
「その為にはまず、残る使徒の殲滅が最優先だな」
「ああ。そして、その時があらたなる福音のときとなる」
1901:02/04/23 21:02 ID:???
おやじの薀蓄ばかりすまそ。
ちなみに、凭れ掛る=よしかかる。
     交換する=ばくる。
田舎の方便です。

>186
サンクス!
191名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/04/23 21:15 ID:/KmHabqc
>121
その解釈は何か違うよ。
121>弐号機には武器が何も無いのに。
121>使徒は電磁キャプチャーの殻を破り、攻撃を仕掛けて来る。
121>私は、プログレッシブナイフを使徒に向かい振るった。
1行目と2行目のつながりに、違和感を感じるとか、
1行目の「武器が無い」のに3行目の「プログナイフ」は矛盾するとか問題はあるな。
しかし、自分で突っ込んでおいて申し訳ないが、「細かい事を気にするな191!」
誰も推敲に推敲を重ねた素晴らしい文章を期待している訳じゃなく、
1の提供する物語自体を楽しんでいるわけだ。
1も自分の文章を細かくチェックするよりも、更新速度を優先して書いているはずだ。
突っ込むならば「交換する=ばくる」やっぱり北海道?と突っ込め・・・嘘だけど。
193:02/04/23 22:14 ID:???
>192
フォロテンクス!と言いたいのですが…そこは一応
綾波の視点です。
ナイフ振るったのは、零号機です。

ちなみに181は予言者。
神。
 
19410-3:02/04/23 22:21 ID:???
<赤木>

第87回機体運動試験及び第一回機体相互互換試験を行っている。
だけど、本当の目的は第一回機体相互互換試験…ダミープラグの為の試行。
アスカの機体運動試験は取るに足らない、目くらましに過ぎない。
先日の使徒による本部への侵攻…母さんへの浸潤を思う。

その時も丁度今と同じように、ダミープラグの為の基礎データの収集を行っていた。
直前のMAGI定期検査では何ら以上を認めず。
…母さんは変わらず、時と共に私だけが変わり行く。
だが、変わらないものも又。
「気分はどう?」
「何か、違うわ」
「いつもと違う気がする」
「感覚がおかしいのよ。右腕だけはっきりして、あとはボヤけた感じ」
ある程度の齟齬は初期の段階ではどうしようもない。
だけれど、今回は…。
「どうしたんですか、先輩?」
少々放心していたようだ。
「何でもないわ。それにしても、いい数値ね。これで、あの計画を実行できるわね」
「ダミーシステムですか。先輩の前ですけど、私はあまり……」
倫理観などは所詮、一つの実体の無い観念に過ぎない。
私は…馬鹿だから、あの人の為ならばどんな事をも厭わない。
19510-4:02/04/23 22:21 ID:???
だから…母さんも女を捨てなかったのでしょう。最後まで。
先日のハーモニクステストの最中、それは突然始まった。
「シグマAユニットに汚染警報発令!」
後は、破局の指数関数。
レーザー、オゾンによる滅却。
I/Oシステムのダウン。
これらは何ら効果を及ぼさなかった。
結局メルキオールとバルタザール…科学者として、母としての母さんは使徒による
ハッキングを許してしまう。
自律自爆提訴。
最後の砦。
女としての母さんである、カスパーからの逆ハックによる自滅促進。
あのヒトはこう言ってたっけ。
「進化の終着地点は自滅。『死』そのものだ」と。
だから、ヒトも又然り。
19610-5:02/04/23 22:22 ID:???
多分、母さんは最後まで女だったから…大丈夫と思っていた。
それだけは守り通すだろうと。
でもね…。
実は…母さんとあの人と私。
一緒に逝きたかったのかもしれない。
そう、アダムもエヴァも何もかもと一緒に。
相変わらず、私はエゴイストな女ね。

「先輩は尊敬してますし、自分の仕事はします。でも、納得できません」
この子は昔の私にそっくり。
潔癖で何も知らなくて。
「潔癖症はね、つらいわよ。人の間で生きていくのが」
「……」
「汚れたと感じた時わかるわ、それが」
そう、汚された私は…だから。
197名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/04/23 23:13 ID:6uH8RhN.
頑張れ。読まれるようにage
根本的に文体がおかしい。
一人称ってのは

>「感覚がおかしいのよ。右腕だけはっきりして、あとはボヤけた感じ」
>ある程度の齟齬は初期の段階ではどうしようもない。

こういうの、つまり『セリフは「」内』で『ト書きは感情だけ』、ではない。
マヤが笑う、とか、アスカが言った、とか
対象や情景なんかをもう少し描写するもんです。
作者は当然理解してるだろうが、読んでるほうはよくわからん部分もあるからね。

要するに、この作品には『視点』が抜けてる。
意識してやってるなら、正直言って失敗。
>>198

長文規制があるせいでは。
確かにちょっと淡泊に感じるけど。
>199
分割して発表してるんだから「長文規制」は言い訳にもなんないよね。

淡白とかじゃなくて、ワケワカランになってる部分が多い気がするよ。
俺だけ? ならいいけどさ。
ん?
連続投稿も引っかかるんじゃなかったっけ?
その辺りの事情は良く知らないんで、間違ってるかもしれないけど。
>>191
>>197
このスレは常時sageてね。
203名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/04/24 07:18 ID:HOQtbDWM
これからどうしようかちょっと迷ってます…。
このままで行くか、書き方の表現を変えるか…。
或いは…。

>198
始めはシンジから見たエヴァの世界(原作もそうですね)
を、その心の動きを中心にざっと書こうと思ったので
すが、書いているうちに欲張ってしまい、つい他の人称
も同じように書いてしまいました。

全てをその手法で書こうとしたのと、後、一人称での
表現が稚拙だったのが敗因です。

指摘されるまで気づきませんでした。
どうも。
げ…ageちゃった…。
何から何まで失敗すまそ。
205名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/04/24 20:12 ID:bJI5z3Ks
男ならあげろ。
今日は書き込まないのかい?1よ。
206名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/04/24 20:15 ID:OwasEehs
>205、206
馬鹿の見本。
2081:02/04/24 21:57 ID:???
何だか、自信が喪失してしまいました…。
書き溜めて、一気に出したほうが良かったかも。

実際、これからどうしよう…。
今から書き方帰るのも変だし。
どうしよう…困りました。
>>1
長期連載のSS。

初期のを読み返すと読むに耐えないものがよくある。名作と呼ばれるものにも。

大丈夫です。エヴァSSファンですから。読者は。
良い意味で、皆読みたい様に読む事を身につけているから。

今はストーリーを追って。
全部終わったら、改訂なんていくらでもできるっしょ。
そしてこそっとあぷろだにでも・・・・
21010-6:02/04/25 00:51 ID:???
<碇>

いつもの初号機ではなく、綾波の零号機に乗っている。
変な感じだけど…あまり違和感は感じない。
「どう感想は?」
とリツコさんに尋ねられる。
つい、思った事をそのまま口に出してしまった。
「綾波の匂いがする」
アスカはモニタから冷ややかな視線を送りながら「なにが匂いよ。変態じゃないの」
やっぱり…言わなければ良かった。
でも、綾波の匂いは…落ち着く匂いだ。

「第三次接続を開始します」
そのアナウンスの直後。
何なんだ…!?
頭に何かが入ってくるような感じがする。
それはとても…不快でそして。
綾波? 綾波レイ…?
本当に綾波なのか…? 違うようで、でも…。
頭の中に様々なイメージが交錯し、乱舞する。
とても気分が悪くて…気持ちが悪い。
うぐっ…!
そして、意識は闇に落ちていった。
21110-7:02/04/25 00:52 ID:???
<綾波>

「パイロットの神経パルスに異常発生!」
暴走状態に陥った零号機が管制室の強化ガラスを殴り続ける。
立つ尽くす綾波の瞳には、目の前のガラスを殴打し続ける零号機の姿が映りこんで
いた。
ガチャン…ガシャン…ビキィ!
強化ガラスにひびが入っていく。
駄目。ヒトを…碇くんを拒絶しないで。
「レイ下がって! 零号機の外部電源カット、急いで!」
バン…バン!
それとも、他のヒトを傷つけたいの?
私の眼前で、ガラスが歪みたわんで行く。
私のすぐ後ろには、赤木博士。
そう。
でも、駄目。
「零号機内部電源に切り替わりました!」
もう、ヒトを傷つけてはいけないから。
「…5、4、3、2、1、零号機内部電源終了。活動を停止しました」
良かった。
ヒトを傷つけずに済んで。
「碇くん…ごめんなさい」
口には出さなかったその言葉。

その日の夜。
私の頬にそっと手を当てながら司令は「…頼んだよ、レイ。ターミナルドグマへと
赴きそして…槍を母の体へと」と私に命じた。
だから、そうした。
21210-8:02/04/25 00:53 ID:???
<冬月>

この男と共にいると間がもたん。
宵闇がこのジオフロントを覆っている。
司令執務室からは各種施設の、誘導灯の灯火がまたたいているのが見える。
冬月は窓外に映える光景を、見るとはなしに眺めやりながら。
将棋の駒を片手で弄び、いつもの懸念を口にした。
「使徒侵入に対する査問。さて、議長はこれからどう動くかね」
「…議長達が望む計画には寸分の狂いもない。ただ、全て実体の無いダミーだが」
暗い室内灯が、男の顔の陰影をより濃いものとしている。
いつものように、口元を隠し引き攣るような笑みを浮かべているこの男。
嫌な奴だ。
「だが、鈴付きの男が情報を流す可能性は否定出来なかろう…?」
「問題ない。あの男とて利害損得は心得ているからな」
「…それは良いとして、今ゼーレを焦らせると更なる干渉を引き寄せるぞ」
「それも、問題ない。アダム計画の妨害工作も功を奏している。12使徒による禊は
不要だからな」
そして、碇…お前が贖罪無きキリストとならんか。
21310-9:02/04/25 00:54 ID:???
「ゼーレに露呈したら我々の死だけでは済まんぞ」
「切り札は全てこちらが擁している。彼等は何もできんよ」
ゼーレを甘く見ているのではないかね碇。
だが、それすらもフェイク…か。
「ロンギヌスの槍は?」
「予定どうりだ。作業はレイが行っている」
自身による、自らへの磔刑。
何とも皮肉な話しだ。
「…だが、フィフスの件。承諾せざるを得ないのだろう?」
ほう。
久方ぶりにこの男の感情が、その表情に表れた。
「ああ。…手痛い代償だ。諜報二課によるチェックは怠られんな」
だから言わんことじゃない。
ゼーレを…議長を見くびりし代償だな。
2141:02/04/25 00:57 ID:???
少し書き方を変える事にしました。
一人称+情景描写を入れます。
今までのと変わっちゃうと思うのですが、すまそ。

>209
ありがとう御座います。
少しだけ元気を取り戻しましたです。
まずは書いて、それから改訂すればいいんですよね。
21511-1:02/04/25 16:57 ID:???
<加持>

京都の古風な民家が建ち並ぶ、街並み。
内陸故、セカンドインパクトによる水没を免れた街。
ある一軒の民家の軒先で、俺はエージェントとコンタクトを取っていた。

「…で、これがマルドゥック機関の106のダミー企業名簿か」
「107つ目もダミー会社だったよ…。だが、気になる事がニ三見つかってね」
「貴様の仕事はネルフの内偵だ。マルドゥックに顔を出すのはまずいぞ」
これは俺の個人的な…興味なんでね。
「マルドゥック関連で、もう一つ。フォース及びフィフスは確定済みで…」
わざと相手を焦らす為、そこで言葉を切り煙草に火を点ける。
反応無しね…まぁいいや。
「近いうちにフィフスが届く事になっている。理由は不明。因みに、フィフス
の少年の経歴も抹消済みだ」
「…貴様には引き続き、ネルフの内偵を行ってもらう。フォース及びフィフス
の件、確かに報告を受けた」
おばちゃん…もといエージェントは買い物籠を引っさげて、民家の入り口へと
消えて行った。
ふぅ。
長い付き合いだが、あの愛想のないおばちゃんと話すと疲れるねぇ。
しかし…何故、今の段階でフィフスが…?
委員会からの後押し…。
今回はあの碇司令も拒否出来なかったというわけか。
「…さて、葛城には何を買って帰るかな」
21611-2:02/04/25 16:58 ID:???
<碇>

午後の日が差し込む放課後の教室はどこか物憂げだった。

掃除当番。
俺と綾波と…アスカもそうだったんだけど。
アスカは「じゃ。後、宜しく!」と言い残して帰ってしまった。
俺は、箒を持ってぼんやりとしていた。

…気分が落ち着かない。
父さんと、明日、一緒に、母さんの墓参り。
言葉を区切ってみても…本当じゃないみたいだ。
3年前…俺は逃げ出した。
微かな記憶が、胸に突き刺さる。
アイツが…父さんが怖い。
でも、俺を…愛して欲しい。
認めて欲しい。
綾波なら…父さんの事、分かってるのかな。
窓から午後の強い日差しが差し込んでいる。
埃の微粒子が日の光を受け、きらきらと輝いているのが見える。
窓辺では綾波が、雑巾を絞っていた。
光が煌いている。
綾波の横顔の輪郭が光でぼやけていた。
何だか…神々しいや。
綺麗だし、可愛いんだけれど。
違う言葉が相応しいような気がした。
21711-3:02/04/26 19:04 ID:???
本部のエレベータ内で、綾波と二人きりになった。
思い切って綾波に聞いてみる。
綾波の言葉はそっけなくて…時には冷たいけど。
「あした…父さんに会わなきゃならないんだ」
「ね、父さんって…どんな人?」
「わからない」
「そう…」
そうか…そりゃぁそうだよな…。
「それが聞きたくて昼間から私を見てたの」
綾波は俺に背中を見せたまま振り向こうとしない。
だから、綾波がどんな表情を浮かべているのかも分からない。
「うん」
何で俺こんな事いうんだろう…そう思いながらも口にしていた。
「掃除のときさ…今日の。──雑巾絞ってたろ。あれってなんかお母さんって感
じがした」
「…お母さん」
「案外、綾波って主婦とかが似合ったりして。あはは……」
「何を言うのよ」
うっすらと頬を赤らめる綾波。
ほんと、何を言っているんだろう…俺。
でも、綾波…本当にお母さんって感じがした。
どうしてだろう。
21811-4:02/04/26 19:05 ID:???
<惣流>

「ただいま」
玄関のドアが開く音と共に、律儀にただいまの挨拶が聞こえた。
私は自室の襖を少しだけ開けて、シンジを見遣る。
どうしたんだろう…こいつ。
普段もだが…いつにも増して覇気と言うか、そう。元気がない。
「ちょっと…シンジ」
「…あ、アスカごめん。今、夕飯作るから」
「今日のメニューは何なのよ」
「うん。今日は買い物に行く時間が無かったから、あるものでカレーでも作ろうか
なって…」
やっぱり、いつもと違う。
だってこいつ…いつも料理には手を抜かないから。
主夫向きな奴なのに。
「あ、そ。まあいいわ。それより遅かったじゃないの」
「綾波と一緒にリツコさんの定期実験受けたんだ」
「ふーん。相変わらず仲がいいのね。アンタ達」
21911-5:02/04/26 19:06 ID:???
何だか、少しだけ面白くない。
別に、こんな男…どうだっていいんだけど。
シンジは顔を赤らめながら、必死になって「そ、そんなんじゃないよ! 相談してた
んだ…明日の事」とか言ってた。
「明日の事って何よ? この、アスカさまもアンタの相談に乗ってやろうじゃないの」
ふとした、出来心。
「ファーストには話せて、この私には話せないっての…!?」
「そんな事ないけど…。明日、父さんと会わなきゃならないんだ」
あーあ。そんな、地球が明日終わるような顔しちゃって。
「何で…?」
「…明日、母さんの命日だから」
母さん…ね。
そう言えば、コイツも母親無し。父親は…まぁ、居ないのと同じね。
…駄目だ。これ以上考えるのはよそう。
「で、それが何なの」
「何なのって…。だから、明日父さんに…」
「ああ、もう! そんな事でぐだぐだと…! いいじゃない。行けばいいのよ。そして
父親がムカツイタら…」
ばすっ。
と、片方の手で拳を作り、もう片方の掌に打ち付ける。 
「こうしてやればいいのよ! どう? 簡単でしょ」
少し言い過ぎたか。
何だかさっきよりも落ちこんでいる。
「…アスカは他人だからそう言うことが言えるんだよ」
ちっ。
男の癖にうだうだと…!
どんなに文法的に正しくても、それが面白いかといえばそうでもないことも。
とりあえず、真理描写に、リアルでは無くても、リアリティは感じます。
それはつまり、そのキャラの心情を受け入れられるって事です。
それは大事なことだと。

>書き方。
章ごとに、最初に場面説明。そのあとは心理描写を貴重に。
という手法は、わかりやすくて良いです。
あんまりごちゃごちゃ外形ばかり描写してもウザくなるだけですしね。
SSの場合特に。

いざ精進。読者は続きを待ち望んで。
22111-6:02/04/27 16:56 ID:???
「明日何時に終わるのよ!」
「…多分、夕方までには」
私は片方の腕を腰に当てながら、シンジを指差す。
「それじゃ、その後このアスカさまがアンタとデートして上げる。どう…? これで
ちっとはやる気が出るでしょ?」

自分でも分からない。
何故、こんな事を言ったのか。
でも、今なら分かるような気がする。
シンジが私に…似ていたから。
だから、シンジに自分を投影していた。
…父を倒し、母の影響からの脱却を求めて。
そうして、本当の自分になりたかった。
自分には不可能だから。
願いと希求は祈りのようなモノ。
祈りはけっして適わないけれども、それを求める心。
22211-7:02/04/27 16:57 ID:???
<碇>

目の前には…母さんの墓。
そして背後には父さんが立っている。
拳を握り締める。
求めてはいるけれど…でも、目の前にいるとそこから逃げ出したくなる。
…母さんが生きていたらどうだったのだろう?

「写真とかないの?」
「残っていない。この墓もただの飾りだ。遺体はない」
憶えていない。
どんな人だったんだろう…母さんって。
父さんは珍しく、俺に色々と話しをしてくれる。
夕日は嫌だ。
赤い夕日がとても眩い。
俺も目を逸らし、父さんも目を合わせようとしない。
父さんは母さんの事を愛していたのかな。
じゃぁ…俺の事は?
もっと見てよ…! 俺に構ってよ…!
「すべては心の中だ。今はそれでいい」
「……」
そんな事言われてもわかるわけ、無いじゃないか…!
胸のわだかまりは晴れない。
でも、今回は逃げなかった…。
それだけでいい。
それに…こんなに父さんと話せたのは初めてだった。
「父さん。あの…今日はうれしかった。父さんと話せて…」
「…そうか」
その時、ネルフのヘリが、土煙と轟音を上げながら地上に降り立つ。
22311-8:02/04/27 16:58 ID:???
父さんを乗せて飛び立つヘリには、綾波が乗っていた。
少し、悲しそうな顔をして俺を見下ろしている。
何だか、懐かしい感じがした。
…さあ、アスカと待ち合わせの場所に行かなくちゃ。

第三新東京中央駅前。
勤め帰りの人。
学校帰りの人。
色々な人が行き交っている。

…もう30分も待っている。
もしかして…からかわれただけだったのか。
夕闇が深く垂れ込めて行く。
街の建物の隙間から垣間見える日は、ぎらぎらと赤くて大きい。
いつか見た光景だった。
そう、エヴァの出撃と同時に攻撃されてそのまま意識を失って…起きたら
こんな光景だった。
街は喧騒に満ちているけれど、何だかもの寂しい。
日は出でて、没する。
それの繰り返し。
あの赤い色はやはり血の色みたいだ。
22411-9:02/04/27 16:59 ID:???
「ちょっとアンタ。また何暗い顔してるのよ」
「わっ! ア、アスカか。脅かさないでよ」
急に、後ろから声を掛けられて驚いてしまった。
慌てて後ろを振り向く。
…そう言えば、アスカの普段着での外出姿はあまり見た事がなかった。
もっと派手な服が好みかと思ってけど、薄い青色のロングドレスが膝から
下をも殆ど覆い隠している。
何だか、初めて会った人みたいで…少し照れくさい。
アスカは両手を後ろで組みながら、俺の顔を覗き込む。
「誰も脅かしてなんていないでしょうが。所でどうだった…? おとーさん
とのコンタクト」
「…普段よりは話しが出来た。でも、やっぱり父さんの事も…母さんの事も
わかんないや」
「アンタ馬鹿ぁ? 親だって他人は他人。他人の事、全て理解出来るわけな
いでしょうが」
2251 :02/04/27 17:03 ID:???
>220
ご助言ありがとう御座います!
どこまで、ご助言に沿えるはわかりませんが、出来るだけ
生かして行きたいですね。
22611-10:02/04/28 22:59 ID:???
そんな事分かってる。
でも、知りたいんだ。
アスカの事だって俺は何も知らない。
だから…。
その時、本当に皆の事を知りたかったのかはわからない。
ただ、他人の中の自分を知りたかっただけかもしれない。
結局、誰の事も分からなかった。
いや、知ろうともしなかった。
精一杯だったんだ。
自分の事で。
アスカを求める権利は俺にはなかった。
そして、今もまだ無い。

「そうかもしれないけど…」
「そう言うモノなのよ。ま、今日はミサトも遅い事だし、私の買い物に付き
合ってもらうわ」
「え? デート…じゃなかったの?」
「馬鹿ね。アンタと私がデートだ何て10年早いのよ!」
ぷぃ、と横を向き「さ。行くわよ」と行ってすたすたと前を歩き出す。
糞っ、まったく何なんだよ…!
22711-11:02/04/28 23:01 ID:???
ごめんね。
本当にごめんね。アスカ。
俺は何も知ろうとしなかった。
今でも…何も分かっていないから。
もう、遅いけど…本当にごめんね。
でも…楽しかったよ。
その思い出だけは決して忘れないから。

大きな買い物袋をいくつも持たされて、よろよろと付いていくのだけで精一
杯だった。
時々…くすくすと、通りがかりの人に笑われる。
顔から火が出るほど恥ずかしいのだが、アスカは我関せずで相変わらずあっ
ちの店、こっての店へと俺を連れまわした。
「何なんだよ…もう」
でも、楽しかった。
22811-12:02/04/28 23:02 ID:???
「もういい加減帰らないと…夕食の支度もまだだし」
「何いってんの。夕飯なんて食べて帰るのよ」
アスカは腕組みをし、少し宙に視線を泳がせて考えた後。
「でも、少し疲れたわね。ちょっと、休もうか」
ふう。
荷物持ちのこっちは、もっと疲れてるんだよ。
まったく、自分を何様だと…。
既に日は没し、夜気が涼しくなって来た。
街の少し外れにある公園には、ちらほらと人がいる程度で閑散としている。
ここからなら駅も近いし…まぁ、いいか。
…正直、女の子と一緒にこんなに話したり歩いたりした事はなかったので嬉
しくないと言えば嘘だ。
丁度、ベンチが開いていた。
座ってから暫く経つと、話しの間が持たなくなり沈黙がちになった。
22911-13:02/04/28 23:03 ID:???
何故か、アスカも先程から押し黙っている。
何か怒らせるような事したかな。
と、突然「…ねぇ、シンジ。キスしようか」
「え?! なに…」
その言葉の意味を理解すると、緊張と不安…そして期待で頭の中が真っ白に
なった。
「キスよ。キス。したことないでしょ」
「……」
「それともアンタ。怖いの?」
アスカは何故だか、真剣なそれでいて何だか投げ遣りな顔をしている。
「怖くなんかないさ! …でも、人が歩いてるし…」
「ふん。こんな時間にこんな所にいるのは…そんなのばかりよ」
何だか、嬉しいけど…怖くもある。
それに…本当に俺の事が好きで言っている訳では無いことぐらいは分かるから。
「じゃ、いくわよ」
…自分の息が臭わないか不安だったから息を止めていた。
目は…閉じようと思ったけど、何故か閉じれなかった。
瞼を閉じたアスカの顔が正面から近づいて…そして。
自分の唇に感じる感触。
鼻先に感じる吐息。
体が熱くなって、汗でシャツが肌に張り付く。
そして…目が合った。
彼と。
カオルくんと。
>>1
ぐはっ!!
無茶苦茶続きが気になるヒキじゃん!!
早く続きかいてーー!

やぱーり回を追う毎に文章も流暢になってきてますな(えらそう)
頑張ってや。
23111-14:02/04/30 23:40 ID:???
<渚>

リリスの裔…リリン。
お互いにお互いを重ね、孤独を忘れようとしている。
彼…碇シンジくんと目が合った。
そう、彼らに出会う為に僕はここに来たんだ。

それに…惣流・アスカ・ラングレー。
君は何を求めているんだい?
僕と同じモノを持つリリン。
大丈夫。
アダムそしてその妻エヴァに裏切られようとも…君にはアダムの淫蕩なる妻
リリス、そしてその子であるリリンがいる。
君を束縛するモノは何もないのだから。

僕と同じ存在。
綾波レイに会うのが楽しみだ。

リリンの有り方に絶望した議長。
そして、神への階梯を上り詰めようとするシンジくんのお父さん。
それに、君たち。
リリンは不思議だね。
同じ存在なのに、皆違う。
23211-15:02/04/30 23:42 ID:???
<惣流>

そっと、薄目で真正面のシンジの顔を窺う。
その視線の先は私ではなく…そう。もっと別の場所へと。
私、何やってんだろ。

唇を重ねる。
何だか、むしょうに腹が立って来る。
シンジに、そして自分に。
そして、唇を離す。
「…アンタ、何処見てるのよ」
ぽかんとした、シンジの表情。
油に火を注ぐようなものだ。
「? いや、別にどこも…」
嘘ばっか。
どこか遠くを見ていた癖に。
私ではなくて。
「そんなにアタシの顔を見るのが嫌? それともやっぱりアンタ…怖いんで
しょう。ヒトと触れ合うのが」
「な…!? そんな事! 別にどこも見てないって言ってるだろ…!」
臆病な癖に、嘘つき。
いや、気づいていないだけか。
「嘘ね。どうしてアンタは…! …私、先帰るから」
何故こんなに腹が立つのだろう。
…私だけを見てくれないから。
嫌っ! そんなの違う。絶対に!
私は…私は他人を必要としなくても生きて行けるから。
その時の情景。
公園の草いきれの匂い。
街灯に群がる虫の羽音。
そして…シンジの…シンジの顔。
忘れる事は出来ない。
23311-16:02/04/30 23:43 ID:???
<葛城>

何で私こんな事やってるのかしら…?
ターミナルドグマへと下りて行く加持くんを尾行して、そして。
パスカードを通そうとしていた、加持くんに話し掛ける。
突き付けた銃をきつく握り締めながら。
昨日酔いに任せて加持くんに話した事、全てが本音。
…でも、私はこのネルフの作戦本部長でもある。
大人になるという事はそう言うことだから。

加持くんは両手を挙げている。
「やあ。二日酔いの調子はどうだい?」
最悪よ。
こんな状況だもの。
「特務機関ネルフ特殊監察部所属、加持リョウジ。同時に日本政府内務省
調査部所属、加持リョウジでもあるわけね」
「バレバレか」
リツコからの情報。
だから、当然司令にもだだもれ…ね。
23411-17:02/04/30 23:45 ID:???
「まぁ、いい。この際だ。司令もリッちゃんも君に隠している事がある」
「動かないで!」
そう、私は撃てる。
彼だって。
彼は何気ない動作で…ぴっ。
カードをスロットに通し、その認証音が虚ろに尾を引く。
その開いた扉の先で見たものは…。
エヴァとほぼ同サイズの物体。
白い巨人が十字架に掛けられ…その胸には大きな槍。
下半身から下には…無数のヒトの足が生えている。
「これは…アダム!?」
「そう。そして、あれがロンギヌスの槍」
15年前のセカンドインパクト。
その時期と前後して、父さん達が調査を続けていた物体…アダム。
「ロンギヌスの槍?」
「人類の贖罪の為のね。それともう一つ。フォースチルドレンがマルドゥ
ックから送り込まれている。もう、日本に届いているはずだ」
「フォースチルドレン…。聞いてないわ…」
「そ。司令もリッちゃんも君に隠し事ばかりだ」
碇司令…リツコ。
あなた達は何をしようとしているの。
ネルフの目的=私の目的では…最早無い。
でも、今更後戻りは出来ない。
自戒の意味を込めて呟く「──確かにネルフは、私が考えているほど甘く
はないわね」
2351:02/04/30 23:46 ID:???
>230
いやはや! こんなに楽しんで頂けると書いているかい
があります。

これからも、どうかお見捨ておきなく。
23612-1:02/05/03 02:59 ID:???
<赤木>

ターミナルドグマ最奥部。
ようやく、レイをベースにしてのダミープラグの実用化に目処がたった。
…あの人も今、ここに居る。
「…人の心、魂はデジタル化出来ません。あくまでも擬似的なフェイク、
ただの機械です」
「かまわん。エヴァが動けばいい」
そう。
所詮、プラグマティズムに基づく機械に過ぎない。
これも、レイも。
…或いは、私やあの子達もこの人にとっては。
鈍い冷却ファンの音だけが、ただ暗闇に延々と木霊し続けている。
この闇の中に永遠に閉ざされていれば良かったのに…この人形。
LCLに浸かっている人形…レイを見遣りながらそう思った。

「…フィフスは委員会から直に送り込まれた。フィフスの件…君に一任
する。頼んだよリツコくん」
手に負えないモノは私に寄越して…でも。
「わかりました」
「…フィフスの機体も直にドイツから届くだろう。こちらも対抗として
のフォースの選出。急がねばならんな」
「はい。一人速やかにコアの準備が可能な子供がいます」
「フォースの機体は米国支部が渋っているが、こちらとしても本腰を入れ
て手配している」
「…そうですか」
これでまた、人死が大勢と出るわけだ。
ヒトを犠牲にしての人類の救済。
まったく、喜劇以外の何者でもない。
23712-2:02/05/03 02:59 ID:???
「レイ、上がっていいぞ」
何故、その視線を私には向けてくれないのですか。
「はい」
黙れ、この人形。
「食事にしよう」
愚かで無様な私。
…この人も人形もみんなみんな憎い。
「はい」
この人形の創造主は私なのに。
そう。
私を…母を陵辱したこの男。
ピグマリオンばかりを見ているこの男。
本当、無様ね私。
…でも、もっと私を見て。
23812-3:02/05/03 03:01 ID:???
<碇>

ミサトさんは俺とアスカをテーブルに呼んで、いつになく真剣な表情で話し
をしている。
「…と、言う訳。貴方達には話しておきたかったから」
そうか。
次の適格者は俺と同じ…男なんだ。
何だか、少しだけ不安でもあり楽しみに思う。
アスカはこちらをじろりと睨みながら「ま。コイツよりはいい男が来る事を
期待しましょ」とか言ってる。
…あれ以来、普段はそうでもないけれど…少しだけぎくしゃくとしている。
「それじゃ…シンちゃん。アスカ。行きましょうか」
最近は学校や本部に向う際は、迎えの車に乗って行く事になっている。
アスカ曰く「当然ね。何たって私達に人類の存亡が掛かってるんだから」と
の事だ。
でも、何処に行っても見張られているのは何か嫌かもしれない。
そして、今日は本部で、新しい搭乗者を交えてのハーモニクステストだから
学校には行かず、ミサトさんと一緒に家を出た。
23912-4:02/05/03 03:02 ID:???
綾波は何時と同じように、ただ静かに佇んでいる。
アスカは何だか、苛立たしげに両手を組み足を小刻みに動かしている。
何だか、ざわざわする。
「どんな人かな…? フィフスチルドレンって」
アスカは顔を背け「ふん。どーせ、大したことないんじゃない。アンタと同
じでね」
やっぱりまだ怒ってる。
糞っ。
何がいけなかったんだろう…。
「来るわ」と綾波が言うのと同時に。
ミサトさんとリツコさんがフィフスチルドレンを連れて部屋に入ってきた。
リツコさんが片手を白衣に突っ込み、書類に目を落しながら「紹介するわ。
五番目の適格者…フィフスチルドレンの渚カヲルくん」
24012-5:02/05/03 03:05 ID:???
「僕の名は渚カヲル。よろしく」
女の子みたいに綺麗な顔をしている。
何だか…こっちを見られると、どぎまぎしてしまう。
「い、碇シンジです。あの…渚くんよろしく」
俺の顔を彼がじっと見つめる。
「カヲルでいいよ。碇シンジくん」
と、急にアスカが俺と彼の間に強引に割り込み「私は惣流・アスカ・ラングレ
ー。ま、仲良くやりましょ」
カヲルくんはアスカの瞳をじっと覗き込んでいる。
はは。
流石のアスカも何だか照れてるみたいだった。
「よろしく…アスカさん。そして…君が綾波レイだね」
綾波もカヲルくんも押し黙ったまま、暫くの間見つめあっていた。
「……アナタ、誰?」
「…僕は五番目の適格者。渚カヲルだよ…綾波さん」
24112-6:02/05/06 03:43 ID:???
「……」
「……」
何だか、沈黙に耐えられなくなって「あの…リツコさん。カヲルくんが五番目
だとしたら、四番目は…」と、沈黙を破った。
「いえ。フォースは欠番。フィフス…彼は特別にね」
何だか、はっきりとしない説明だったけど、それ以上の事を聞くのは何だか躊
躇われた。
「ねえねえ…アンタはドイツに居たんでしょ? なら、エヴァも私と同タイプ?」
やっぱりアスカは機体の事を気にしてる。
カヲルくんが答える間もなく。「彼の機体はドイツで製造。もう直、ドイツ支部
より届く事になっているわね。さ、あなた達…早速ハーモニクス宜しく」
24212-7:02/05/06 03:44 ID:???
結果なんてどうでもいいんだけど…でも、良い方がいいに決まってる。
「ミサトさん。今のテストの結果、どうでした?」
「はーい。ユーアー、ナンバーワンっ!」
モニタの中のミサトさんの表情も、いつもより優しい感じがした。
カヲルくんが来て直にこの結果。
良い、印象をもって貰えるかもしれない。
サブモニタからアスカが俺を睨みつけながら「私はどうだったのよ! シンジの奴
が一番!? 何かの間違いじゃないの…っ!」とまくし立てる。
リツコさんが「残念。でも、アスカも二番目よ。前の結果も更新しているし…」と
言っても、アスカはぷぃと横を向いたまま、何も言わない。
…また、怒らせてしまったかな。
でも、仕方が無いじゃないか。
いつもいつも、自分の下じゃないと気にいらないなんて、そんなのおかしいんだ。
「シンジくん。おめでとう」
「あ、ありがとう! カヲルくん」
やっぱり褒めて貰えた!
「アスカさんも凄いね。僕から比べると天と地の差だよ」
「…ふん。それはどういう意味よ」
「キミは今のままで、十分賞賛に値するということさ」
「アンタ…きざったらしいわね!」
俺が言えない事を、カヲルくんはアスカに言っている。
何だか、少しだけ羨ましくて…妬ましかった。
24312-8:02/05/06 03:46 ID:???
「それに綾波…レイさん。キミも頑張っているね。本来ならば動かなくて当然なのに」
「……」
綾波はただ静かに、モニタのカヲルくんを見つめている。

カヲルくんが来て何かが変わっていった。
良い方向に変わったのか、逆なのかはわからない。
でも…昔と同じままではいられなくなったのは確か。
アスカ…綾波。
…もう俺はチルドレンの中で、ただ一人の男では無くなったから。
24412-9:02/05/06 03:47 ID:???
<惣流>

…畜生…畜生…畜生畜生っ!!
私が、この私が何であんな奴に!
「すごい! 素晴らしいっ! 強い! 強すぎるっ! あぁー無敵のシンジ様っ!」
最低。
…こんなお人形のファーストにすら、何か言葉を掛けて貰いたくてこんな事。
「お先に」
がんっ!
どいつもこいつも…馬鹿野郎…。
自身の感情の振幅を抑える事が出来ない。
がんがんがんっ!!
拳に血が滲む。
……畜生。
24512-10:02/05/06 03:48 ID:???
シンジの奴と顔を合わせたくなかったので、時間をずらして本部のゲートを通ったそ
の時。
「アスカさん。キミも今、帰りかい」
フィフスチルドレン…渚カヲルがゲートの前のベンチに腰かけていた。
「…そうだけど、何か用」
フォースがいきなり立ち上がり、私の前に立つ。
ちっ。
さっきからペースを取られっぱなしじゃないの、アスカ。
「キミを待っていたんだ。弐号機専属搭乗者、惣流・アスカ・ラングレーでは無く、
アスカさんキミをね」
ふん…この私の美貌が目当てってわけ?
まぁ、シンジよりは分かってるじゃないの。
「会ってそうそうナンパ…? アンタ、自分が少しくらいかっこいいからって図に
乗ってんじゃない?」
フォースはまるでシンジのような…それでいて、どこか大人を感じさせる微笑を浮
かべながら首を横に振る。
「キミは沢山のモノを持っているね。だから…ヒトに好かれるのかい?」
「当たり前じゃない! 何ももっていない人間なんて誰が相手にするのよ!」
何なんだろう。こいつ。
シンジとは違った意味で、落ち着かない気分にさせられる。
24612-11:02/05/06 03:49 ID:???
またも、フォースはゆるゆると首を振り、私の目をその紅い瞳で覗き見ながら。
「でも、何も持たないヒトを愛し…愛される事こそ、本当に好きということ…」
フィフス…カヲルは一歩前に乗り出し「そして、キミは好意に値するよ。アスカ
さん」
…私らしくもない。
こんなセリフ一体何度聞いたことか。
でも、しかし…鼓動が早くなる。
頬が赤らむ。
無条件に好意を持たれる事…嬉しい。
しかし、それを認めたら私が私で無くなってしまう。
「な…! ァ、アンタ馬鹿ぁ…!」
そうして、彼から走り去る私。

違う。
無条件の好意は悪魔の陥穽。
だって…ありえないから。
でも、それが…それだけが欲しかったの。
24712-12:02/05/06 03:50 ID:???
<綾波>

弐号機パイロット…アスカは怯えていた。
私には何も出来ないから。
着替えを終えて、歩いていると声を掛けられた。
碇くん。

「ねぇ…綾波。少し良いかな」
「何?」
「アスカ、やっぱり怒ってた…?」
「ええ」
「…やっぱり。ねえ…? 僕はどうすれば良かったのかな?」
「分からない」
「そっか…そうだよね」
碇くん…うな垂れている。
だから、私の気持ちを話した。
「でも、碇くんは悪くないから」
「そうだよね…! アスカは自分が一番じゃないからって…」
「自分が悪いんだよ。いつも僕を馬鹿にして…」
駄目。
そんな事、言っては駄目。
「碇くん」
「うん…?」

バチッ。
碇くんの頬を叩いた。
碇くんは、頬を抑えながら不思議そうな顔をしている。
「綾波…。何で? 何でだよ!」
「……そんな事を言っては駄目」
24812-13:02/05/06 03:55 ID:???
「だって…綾波は悔しくないの? いつもアスカに馬鹿にされて」
ええ。
だって。
司令はいつも褒めてくれるから。
エヴァに乗ってさえいれば、みんなと繋がっていれるから。
「…ええ」
「そっか。綾波はそうだよね…」
…私も同じかもしれない。
エヴァに乗るしか無いから。
碇くん。アスカ。私と同じヒト…渚くん。皆。そして…使徒。
皆、一人が嫌だから。
同じ。
ところどころ、フィフスがフォースになってます。
250名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/05/06 17:34 ID:WxZEubpc
不思議な展開になって参りました!!
これは、体験の轍を踏みそうだなぁ。
曝しあげ。
25112-13:02/05/06 20:32 ID:???
<碇>

次の日、カヲルくんが学校に転校してきた。
…もうクラスの半分以上の席が空いている。
最初はヒトが少ないほうが良いと思ってた。
今でも、それは変わらないけど…でも。
先生による紹介も終り、次は自己紹介。
みんなに向って深く一礼し「ご紹介に預かりました渚カヲルです。短い間とは
思いますがよろしく」
何だか丁寧だけど、変な感じだった。
どうして…短い間なんだろう?
綾波の席を見遣ると…いつもどうり頬杖を付きながら、カヲルくんをじっと見
つめていた。
アスカは何だか落ちつかなげだった。
25212-14:02/05/06 20:33 ID:???
と、その時俺の端末にメッセージが届く。

>碇 見てみい。女子どもがあの転校生のルックスで騒いどるで。from 鈴原

トウジからだ。
そうだよな。
カヲルくん…綺麗だし。

>トウジ はは。確かに。でも、綾波は相変わらず…。アスカもご機嫌斜めだ
し。from 碇

このような他愛の無いメッセージの交換は疲れる。
大分慣れたけど、今でも少し馬鹿らしく感じる。

>碇 もしかしてあの転校生エヴァのパイロット? 何だかパパの仕事が最近
忙しくなったって言ってたんで…もしや!from 相田
面白いのでSGAE
25412-15:02/05/06 20:33 ID:???
どうしようか…? 迷ったけど、結局教えてしまった。
俺達だって別に隠している訳じゃないし、ミサトさんにも口止めされている訳
じゃないし…。
くどくどと、心の中で言い訳をしつつ。
この後、2〜3回やり取りが続いたんだけど…。

>三ばかトリオ シャラーップッ! アンタらさっきからうるさい。べんがくの
じゃまよ。from ???

と、アスカに言われたので、そこで中断した。
その時「それでは、渚くんは…ああ、そこでいいかな」
カヲルくんは主に女子の視線を浴びながら、アスカの隣の席へと付く。
アスカに向って「宜しく。アスカさん」って言っていた。
アスカは少し顔を赤くしてそっぽを向いている。
…そっか。
でも、カヲルくんはいいヒトみたいだし…それに他人と争うなんて考えにも及ば
ないから…いいんだ、別に。
25512-16:02/05/06 20:36 ID:???
昼休み。
俺とトウジとケンスケで集まっている所に、カヲルくんが来て「良かったら、僕
も一緒にいいかい?」と微笑む。
「うん。カヲルくん、ここに座って」
と、席を開ける。
「ありがとう。シンジくん」
「それに…鈴原くんと相田くんも」
「もう名前覚えよったんかい!? こりゃ…タイショウ、適わんで」
トウジがわざとらしく、掌を額に押し付けて天を仰ぐ仕草をしている。
「君も碇と同じエヴァの専属パイロット何だって…? 嗚呼、何て羨ましいんだ
君たちは!」
ケンスケもわざとらしく天を仰ぎ、嘆息する。
少しだけ…少しだけ居心地が悪いけど、でも。
何だか、いい。
25612-17:02/05/06 20:37 ID:???
「で、結局このクラスだけで4人だろ。もしかして…これはもしかするかも! 葛
城三佐は何か言ってなかった?」
そんなにエヴァに乗りたいものなのかな。
…俺にはそれしか無いから仕方なく、乗っているのに。
「そう言えば…フォースの選出がどうとか言ってたけど…」
カヲルくんはにこにこと微笑みながら、静かに俺達の会話を聞いている。
何だか、カヲルくんと一緒にいるといつも感じる、ざわざわした感じが無い。
ケンスケは身を乗り出し「それだ…! これは行けるかも!」とか騒ぎ、トウジ
は「ま。わしには関係ない話ですわな」とか言っていた。
「相田君はどうしてエヴァに乗りたいの?」
カヲル君が突然、ケンスケに聞く。
「そ、そりゃあ…」
カヲル君に見つめられて、やっぱりどぎまぎしていた。
「ま、先生。こいつは軍事オタクですさかいな」
ケンスケの背中をどんどんと叩きながら、トウジが助け舟を出していた。
意外な一面を見たような気がした。
こんなに気が回る奴だとは、思っていなかった。
25712-18:02/05/06 20:37 ID:???
トウジは俺やアスカ、綾波を次々と見遣りながら。
「それに…エヴァのパイロットは変わり者が多いさかい。先生が変わり者かど
うかは、わし知らんけどな」
委員長と弁当を食べていたアスカがこちらを睨みつける。
「うるさい! この三馬鹿トリオ! 私をシンジ達と一緒にしないで頂戴!」
トウジが肩を竦め、俺達は笑う。

何気ない日常。
失ってようやく気付いたその大切さ。
でも、同じ時と場所は戻らない。
みんなと過ごした日常。
決して…忘れない。
その想い出に、焦がれつつも。
2581 :02/05/06 20:40 ID:???
ああ…。
また間違えた…。
フォースとフィフス、こんがらがってしまいました。

それともう一つ。
12-13がニケあるのも、又ミスです…。
最近、モチベーションも下がっているし、だめぽ。
新世紀エヴァンゲリオンを1位にしよう!!
新世紀エヴァンゲリオン(OP)に、投票お願いします!
http://canal.press.ne.jp/mesganq/mesganq.cgi
面白いです。もうそろそろ終盤ですね。
本編のテイストを色濃く残した良作SAGE
26112-19:02/05/08 03:11 ID:???
<ゲンドウ>

「消滅!? 確かに第二支部が消滅したんだな!?」
冬月先生。…これで良いのですよ。全ては…予定どうり。
「…やはり、米国第二支部の消滅。事実なんだな」
「確かなようだね。衛星軌道からの映像でも爆発では無く…消滅らしいな」
「…しかしこれで、出し渋っていた参号機がこちらに回って来る」

作戦室の暗闇の中、足元の大型ディスプレイが、我々の顔をほのかに照らし
出している。
「タイムスケジュールから推測して、ドイツで修復したS2機関の搭載実験中
の事故と思われます」とオペレーター。
葛城三佐…葛城博士の遺児は赤木くんに説明を請う。
「ドイツから搬送予定のエヴァ五号機は、もち…大丈夫なのよね?」
「今回の事故は、米国政府がエヴァに始めてS2機関を搭載する事によって得ら
れるであろう、ヘゲモニー独占に走ったのがそもそもの原因。ドイツは分を弁
えているわ」
わが国とドイツ以外に、チルドレンの確保が出来ていない現状、その意味を
分からぬ愚か者揃いでもあるまい。
S2機関の初搭載…命の実を彼らが得る事は出来ない。永遠に。
「…米国政府は第一支部の参号機を、NERV本部へ移転したいと申し出て来た。
よって、参号機の機体試験及びチルドレンの選出。赤木博士と葛城三佐に一
任する。以上。各自解散」
26212-20:02/05/08 03:12 ID:???
<綾波>

ターミナルドグマでの実験は終了。
赤木博士に「…これで、終了。…レイ。貴女の変わりが又出来たのよ」と言わ
れた。
そう。
私は誰。
私は沢山。
でも…今の私は一人。
碇くんもアスカも沢山。
でも、一人。
そして、私と同じヒト…渚くんも一人。

帰ったら、碇くんやみんなが居た。
碇くんが「ゴメン。勝手に片付けたよ。ゴミ以外触ってない」と、あの人と同
じような笑顔を浮かべていた。
そう…でも、何だか頬が火照る。
「あ、ありがと」
アスカが「まったく…止めろって言うのに、この馬鹿は! ほんと、変態よね」
と碇くんを指さす。
委員長が「綾波さん。ごめんなさいね。勝手に上がり込んで。これ、溜まって
たプリント」と私にプリントの束を手渡した。
「わかったわ」
26312-21:02/05/08 03:13 ID:???
「これから皆で、芦ノ湖の方へ遊びに行くんだけど…綾波も行かない?」
何故だか、碇くんの顔を見ていると司令の顔が脳裏に過る。
私と同じあのヒト…渚くんが私の肩に手を置きながら「ね。綾波さんもみんな
と一緒に行かないのかい」と言った。
わからない。
NERV服務規程にも、校則にも書いていない。
どうしたら良いのかわからないから。
「ごめんなさい。こういう時、どうしたらいいのかわからないから」
碇くんとアスカが同時に。
「行こう、綾波」
「アンタも行くのよ!」
26412-22:02/05/08 03:14 ID:???
渚くんが隣に座っている。バスの中。
だからもう一度。
「…あなた、誰?」
「君と同じ、ヒトだよ…」
彼の瞳の中の私が、私を見つめ返している。
「…そして、全ての命の源」
「……」
「だから、君と僕とは同じだね」

「よっ! お二人さん、仲がよろしいですなぁ」
「鈴原君! ほら、綾波さんが困っているじゃない!」
分かる事は一つだけ。
今、この時が心地よいという事。
26512-23:02/05/08 03:16 ID:???
湖に着いた。
碇くんと司令。
似ているけれど、違う。
司令と碇くんは同じでは無いから。
知らないヒトに頼んで、集合写真を取ってもらった。
カシャ。
皆で取った写真。
私の隣には碇くんと鈴原くん。
後ろには、渚くんとアスカ。
前には、委員長と相原くん。

司令のメガネよりも、大切なモノが出来た。
そして、あの人にも言ったことが無い言葉。
「──ありがとう。感謝の言葉。あの人にも言った事なかったのに」
「なんか言った? 優等生」
「いえ」
2661:02/05/08 03:19 ID:???
語らんかスレの人たちに色々な、SSを教えて頂きはまっています。
他の方々の作品を知らないで書き始めたのは、ある意味無謀だっ
たかも。

>260
有難うございます!
これから、加速度的に鬱にして行く予定です。
終盤もいよいよ近いので。

後、一応使徒は全て出すようにします。
267名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/05/08 23:50 ID:xH5CWdMk
きちんと終焉したらば、読むよ。
うぷしてね。ちゃんと。
で、実際面白いの?>>ALL
ご本人が確実に見てる所でいうのも何だけど、
少なくともおいらは気に入ってるよ。
最初はチョット退屈に感じたけどね。
26912-24:02/05/11 15:11 ID:???
<惣流>

なんかぶつぶつと、独り言が聞こえたんだけど…。
この子やっぱり…変わってるわ。
それにしても、始めてかもしれない。
こんなに大勢の同年代の人間と、一緒に出かけたのは。
…まぁ、そんな事、口が裂けても言えないけれどね。

集合写真の次は、遊覧船ね。
何だか、シンジの奴とはここ最近折り合いが悪かった。
今でも、アイツのへらへらした顔を見ているとむかついて来る。
今度こそは絶対に負けるわけには行かない!
ま、今日の所はリフレッシュの為の休戦てとこね。
「…あのアスカ。船四人乗りなんだけど…一緒にどうかなって」
シンジが何だか腫れ物に触るように、おどおどと話し掛けてくる。
「で、アンタと二人きり…? そんなのごめんよ」
「い、いや。カヲルくんと綾波も一緒にって思ったんだけど…」
こりゃまた、憂鬱な面々ばかり。
後ろにいるヒカリに声を掛けてみた。
「ねー。ヒカリ。どうするー?」
ヒカリは何だか焦ったように、両手を胸元で振りながら「え!? ああ。
私は、鈴原と相田くんに、ちょっと注意したい事もあるんで…」と言う。
シンジもフィフスも、こちらを見て微笑んでいる。
ファーストは相変わらず。
ふぅん。
逆ハーレムって所かしら。
「なら、早く乗りましょ」と先頭を行く私。
27012-25:02/05/11 15:13 ID:???
自動無人周回の船に乗る。
音も無く、滑るように水を掻き分け進み出した。
しばらく、沈黙がその場を支配する。
と、「カヲルくんはどうしてエヴァに乗っているの?」
まったく、又始まった。
フィフス…カヲルは何故か、私の方へと視線を走らせた後「…シンジ
くん達に会う為かな」とか、きざな事をのたまっていた。
「なら、使徒撃滅は二の次三の次ってわけ?! まったく、シンジと
いい、アンタといい…」
「アスカだって似たようなものじゃないか…!」
あら、生意気にもシンジの奴がこの私に抗弁とは。
言い負かしてやろうとした所「それぞれがそれぞれの目的でエヴァに
乗る。そして結果を出す。それでいいんじゃないかな」とカヲルが諭
すように口を挟んだ。
「ま、まぁ…そうね」
正論でもありながらも、何か違うと思った。
でも、そんな…曖昧な言辞なんだけれど妙に納得させられてしまう。
27112-26:02/05/11 15:14 ID:???
船は静かに湖を周遊して行く。
また、シンジが「ねえ、カヲルくん。使徒って何なのかな?」とカヲ
ルに聞いている。
前にもいったとおりそんなの、わかるわけないじゃない。
カヲルは今度はファーストの方を見遣りながら「分かり合えない可能
性。そして…」驚いた事に続きをファーストが引き継いだ。
「…でも、分かり合えるかもしれない希望」
「はぁ…? 使徒と分かり合えるぅ…? そんなんだったら苦労しな
いわよ!」
シンジも「僕も使徒が何かは分からないけど…でも。倒さないと人類
が滅びるって父さんが…」と情けない小声で呟く。
ポケットに両手を入れた格好のカヲルが「他人の真実と自分にとって
の真実は必ずしも等しくは無いよ…シンジくん」と言い、ファースト
も「可能性を放棄しては駄目。心を開かなくては何も始まらないから」
と私を見据えて話す。
…シンジも少し唖然としている。
私も驚いた。
この二人、結託でもしてんの?
27212-27:02/05/11 15:15 ID:???
それに…ファーストがこんな事を言うなんて…。
何だか…以外過ぎ。
ふん、アンタは本当に心を開いてるの? お人形さん。
心を開くなんて、所詮はおためがしごと。
だって、ありのままの自分を曝け出している人間なんていないし、曝
け出した自分を有りのままに受け止めてくれるヒトなんて…絶対にい
ないから。
結局は有り得ない事。
そう、夢と同じ。
だからこそ…それだけをひたすらに求め、願うのだけど。


何だか場が湿っぽくなってしまったので。
「ま! 難しい話はこれで終りにして。で、帰りに何を食べるか多数
決を取ります!」と私は明るいキャラを演じる。
いつものように。
「僕は…皆と同じモノでいいよ」
「私、ラーメン。肉、キライだもの」
「僕も肉は避けたいね」
はぁぁ。
見事に、バラバラ。
これは…又、ラーメンね…。
27312-28:02/05/11 15:16 ID:???
分かり合えるかもしれない、その可能性を捨てては…駄目。
自分から心を開かなくては、何も始まらない。
でも、私は心がこれ以上傷つくのは嫌だったから、いつも向こうから
手を差し伸べられる事を待ち続けていた。
臆病だから。
自分から心を開いて、裏切られるのは絶対に嫌だから。


<葛城>

リツコに促されて、モニタを見る。
「…これは……」思わず言葉を詰まらせながら「…話しづらいわね。このこと」
…偶然にしては出来すぎている。
あの子達…シンジくんにどんな顔をして、何を言えば良いのだろう。
リツコのデスクに散ばっている、チルドレンの各種プロファイル。
先日のフィフスの次は、フォースとは。
上が何を考えているかを窺い知ることすら出来ない。
何故、この局面でチルドレン及びエヴァの増設を急ぐのか。
そして、不可解なフォースの子の経歴。
考えが表情に出たのだろう。
そんな私の甘さを指摘するようにリツコが「私達にはそういう子供達が必要なの
よ」と吐き捨てる。
27412-29:02/05/11 15:19 ID:???
「でも…!」
「みんなで生き残るためにはね」
分かっている…そんな事は。
リツコのこういう部分は知っていたつもりだ。
しかし、今日はそれが鼻に付く。
彼女を見据えながら「キレイごとはやめろ──と言うの?」と。

それには何も答えず、「どう? フィフスチルドレンは」と私に問う。
端末上を滑らかに動くリツコの手を見下ろしながら「…それも、リツコ
…あなたの管轄なんじゃない。ただ、各種テストの結果は凡庸そのもの」
リツコは端末に目を落としながら、指を休めずに私の皮肉を聞き流していた。
「ドイツ支部からの移送は急だったのよ。彼の事を知ったのは此処に到
着してから。今のところは、シンジくんがシンクロ率首位ね」
だけれども、それが彼の自身に繋がるとは思えない。
だが逆に、増長されるよりはマシか…。
2751:02/05/11 15:21 ID:???
>267
まぁ、先の話しですが…。

>268
始めは退屈でしたか…。
でも、読んでくださり有難う御座います。
おう。頑張ってくれ。読んでるから。で、終わったらうぷ板にて報告。
これ定説。
277名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/05/12 23:17 ID:xsnG1THQ
ががjgfだ;おいjごあgれ;gたsg
27812-30:02/05/16 22:55 ID:???
フィフスの移送に続き、フォースの選出。
こう言うときは、やっぱり彼ね。
或いは、それは言い訳。
ただ、会う為の口実かもしれない。

休憩所でマヤちゃんにちょっかいを掛けていた。
まったく…その子、潔癖なんだからやめてよね。
いけない。余計な事を今は考えない。
今は、仕事優先。
「お仕事、進んでる?」
彼の副業の成果は、この前の件で知っている。
「いや、ぼちぼちだな」
マヤちゃんが一礼して、走り去って行く。
少しだけ、ほっとする自分が嫌。
「この非常時にうちの若い娘に手、出さないでくれる」
加持くんは私の前に迫りながら「君の管轄では無いだろ。葛城ならいいの
かい?」と、いつもの彼の手。
彼の目を見ながら私は続ける。
「これからの返答次第ね。地下のアダムとマルドゥック機関の秘密、それ
と今回のチルドレンの選出の件、知っているんでしょ」
「はて?」
「とぼけないで」
「他人にたよるとは君らしくないな」
そうでも…無い。
萎え掛ける意識を振り絞って、何とか情報を聞き出す努力を続ける。
「フィフスの子経歴は完全に抹消済み。その子の急な移送と、都合よくフ
ォースチルドレンが見つかるこの裏は何?」
「…前者は現在調査中としか言えないな。ただ、ひとつ教えておくよ。マル
ドゥック機関は存在しない。影で操りしは、ネルフそのもの。コード707を
調べてみるんだな」
コード707…シンジくんの学校。
まったく、ネルフの秘密主義もいい加減うんざりだわ
27913-1:02/05/16 23:04 ID:???
<碇>

トウジの奴、最近様子がおかしい。
何だか一人で考え込んでいることが多くて、俺達を避けている
みたいで…。
そう言えば、アスカも前にもまして俺達…俺を避けているよう
な気がする。
何だか、ざわざわする。

ケンスケの方を見遣りながら、今朝の出来事を思い出していた。
朝、突然ケンスケの奴が家に来て。
「おはようございます! 今日は葛城三佐にお願いに上がりまし
た」
何でも、三号機のパイロットになりたいって言っていた。
…乗ってどれだけ怖い思いをするか、わからないからそんな事が
言えるんだ。
と、何となく腹を立てながら聞いていたのを憶えている。
28013-2:02/05/16 23:05 ID:???
そして、ミサトさんは三号機の稼動試験の為、松代に行っていて
留守。
変わりに加持さんが、泊まりに来ていた。
それでも…アスカと二人きりになると何となく気まずい雰囲気に
なってしまう。
端末で適当に色々なサイトを見ていたけれど、全然身が入らずに
上の空。
テレビの音だけが、リビングルームに響いていた。
近くにいる、遠い他人。
何だか、一人で居るよりも…一人のような気がする。
だから「…三号機、誰が乗るのかな?」とアスカに尋ねた。
少し驚いたみたいに、雑誌から顔を上げ「え? まだ聞いてない
の?」と。
「誰?」
アスカは俺から顔を背けて「知らない」と、一言。
…知ってるなら教えてくれてもいいじゃないか。
でも、その時は真剣に考えていなかった。
誰が乗ろうと、自分には差し迫っては関係が無いから。
28113-3:02/05/16 23:05 ID:???
不思議な感じだった。
隣に加持さんが居る。
布団を並べて…一緒に眠る。
こんな事、久しぶりだ。
大人の男。
少しの甘えと、少しの期待を込めて尋ねた。
「僕のお父さんってどんな人ですか?」
俺は最近少しだけ、父さんの事がわかったような気がしていた。
でも、それは違うと加持さんに言われた。
他人を完全に理解する事は出来ない。
しかし、理解しようと努めるからこそからこそ人生は面白い…か。
「…自分自身だって怪しいものさ」
確かに、俺は俺自身のことすら分からないから。

他人を理解したいと望んでいたのでは、無いかものかもしれない。
ただ、他人の中の自分の形を知りたくて…怖くて。
そして、自分が本当は何を望んでいるかのかすらも、分からなかった。
そう。
自分もわからず、他人をわかる訳なかったんだ。
28213-4:02/05/16 23:06 ID:???
<綾波>

四人目の適格者…鈴原トウジ。
そう。
でも、エヴァに乗れば傷つくのに。
彼も…碇くんも。

屋上の手すりに寄りかかり、彼は空を眺めていた。
「鈴原くん」
「何や。綾波か。シンジだったらここにはおらへんで」
普段の彼とは違う感じ。
「知っとんのやろ、ワシの事。惣流もあの転校生も知っとるようだし」
私は、何故此処で彼と話しをしているの?
「うん」
彼は俯きながら「知らんのはシンジだけか……」と呟く。
「人の心配とは珍しいな」
どうして、何が気になるの?
「──そう? よくわからない」と本音。
鈴原くん、泣いているの? 一瞬、彼の横顔が泣いているように見えた。
そして「お前が心配しているのはシンジや」
「そう?」
…そう…ね。
何かが気になっていた。
それは…碇くんの事。
「そうかもしれない……」
真昼の日が眩しい、午後の屋上。
最近、色々な方のSSを読み自身の稚拙さに嫌気が
差していました。
でも、書いた以上、稚拙ながらも最後まで書かな
くてはと、自身を鼓舞してますです。
いいんだ。ここまでやってこれたのも力(おーらちから藁)
とりあえず全部吐き出してしまえ。それからだ。
添削。推敲。誤字訂正。終わってからもやることは山積だ。
全てが終わったころには、あぷろだも落ち着いてることだろう。
頑張れ。
285漂流者の邂逅:1/2:02/05/19 03:06 ID:???
碇ユイは、完全な虚空に初号機と共に存在していた。
はるか太古に月も地球も太陽も消滅した。
満天の星々さえ全て輝きを失い、永劫ともいえる時が経った。
ユイは、この宇宙の全ての秘密を知った。
生命の発生から、その終焉。
世界の終わり。
時の果てまでも知り尽くしていた。
だが、そうした対象さえ完全に消滅した今、不滅であるはずの
ユイの存在自体が無意味となっていた。
沈黙と不動の世界。
冷たい素粒子の靄だけが彼女を包んでいた。
そこに突然、「それ」が出現した。
パラボラアンテナと金属の塊。
それが一瞬にして、ユイの眼前を通過した。
初め、何が起こったのかわからなかったが、ユイはあわてて
初号機の体で、後を追った。
286漂流者の邂逅:2/2:02/05/19 03:08 ID:???
何度もホワイトホールを通過した後が歴然とした「それ」。
ユイのおぼろげな記憶が蘇った。
惑星探査機ボイジャー12号。
宇宙に存在する知的生命体へのメッセージを携えて
打ち上げられた「それ」がどうしてここに?
さらに内部を走査したユイは、内蔵のデータキューブに
膨大なATGCが記憶されていることを知った。
アデニン、チミン、グアニン、シトシン。
生物工学の科学者だったユイには忘れようもない遺伝子情報。
だが、それが息子シンジのものであることを知ったとき、
ユイはエヴァに取り込まれて以来の衝撃を受けた。
なぜ、シンジのDNA情報がここに?
それ以上に、この無限ともいえる広大な宇宙での出会いが、
どれだけ奇跡的確率によるものか。
それは、もはや神の奇蹟といっていい。
ユイは初めて己の使命を認識した。
全精神、全意識を集中して、こう念じた。

「光あれ」
287プロローグ1:02/05/19 05:38 ID:???
AD2010 ゲヒルン本部 
数人の男女が集まっている
ゲンドウ「0号の居場所に心当たりがあるのか?」
リョウト「この前戦った時あの場所で待ってるって」
リツコ「おそらく、あの遺跡ね。」
加持「因縁だな」少し呆れ顔の加持「知識欲に駆られた連中が
箱を開けちまったんだ」リツコ「あら、希望は残ってたわよ」
リョウト「0号を倒したら全部
終わります。そしたら碇所長も皆に本当のこと言ってください」
ゲンドウ「ああ、問題無い」リッコ「貴方、碑文に書かれていた
凄まじき戦士になるつもり?」加持「確か 聖なる泉 枯れは果てる時 凄まじき戦士 雷鳴と共に現れ 太陽を闇で覆わん  てやつか?リョウト「僕そろそろ行きます。戦士の力があって本当に良かったとおもってます。皆さんに会えたから。
もし0号を倒した時僕に戻らなかったらベルトを狙って下さい。
あの時の傷直ってませんから。また後で」

ゲンドウ「彼一人に押し付ける事になってしまったな」
加持「彼なら大丈夫ですよ」

もうちょっと続きます。
288プロローグ2:02/05/20 02:25 ID:???
3年後 研究機関ゲヒルンは
未確認生命体の脅威が去りその役目を終えようとしていた
だが新たなる闘いが幕を開けようとしていた。
世界規模で再び起こる連続殺人。被害者には共通点が有った。
国連は対策組織ネルフを結成する。
司令には、未確認の際の実績から碇ゲンドウが就任。
各主要国家にも支部がつくられた。
そしてネルフ本部が有る第三新東京市に一人の少年が訪れる。
シンジ「此処が僕の住む街か。確か迎えが来る筈だけど?」
辺りをキョロキョロ見回していると一人の少女が近ずいて来る。
マユミ「あ..あの、碇シンジさんですか?」
シンジ「うん。そうだけど」
マユミ「貴方を迎えに来たんです」

次回 新世紀エヴァンゲリオン アギト
第1話『目覚める力』
シンジ「これが僕の力?」トウジ「なんなんや!!この力は!!」
ミサト「レイ!!」リツコ「彼は今どこに?」
レイ「了解」
289設定1:02/05/20 02:58 ID:???
碇シンジ 主人公 第三新東京市について早々に使徒との
闘いに巻き込まれるも一人の少女を庇い重傷を負うが
アギトに変身し退ける。異なる世界から逆行してきたが
本人はその事を記憶していない。

綾波レイ ネルフの開発したG3と呼ばれる強化装甲を着用し
使徒と闘う。 4年前、未確認生命体に目の前で家族を
殺されている。そのとき4号に命を助けられリツコに
引き取られ養女となる。

アスカ 中盤から登場 アギトである事にプライドを
持ちアギトは自分一人でいいと考えている。
シンジ達との出会いにより人を護る為に戦うようになる
アナザーアギトと呼ばれる。

トウジ ギルスに変身するが不完全な変身の為
体への負担が大きい。使徒とアギト(シンジ)の戦いに妹が
巻き込まれたため両者を敵として行動するが後に和解。

ゲンドウ 逆行してきた。其の事を知っているのは
リツコとリョウトのみ
290設定2:02/05/20 03:36 ID:???
リョウト 4号 かつて人々を救うが姿を消す。
そしてゲンドウによばれ三尉待遇でネルフに就職する。
体内の霊石が自己修復中の為変身出来ない。

リツコ 技術部所属 4号のデータを元に
G3を造り上げる
ミサト 作戦部所属 シンジとマユミと同居
加持 諜報部所属 リョウトの事を知る数少ない人物

オペレーター3人 ヒカリ ケンスケ 本編準拠

SEEL ネルフの上位組織 アギトの力を欲している。


 
29113-5:02/05/20 23:33 ID:???
<惣流>

よし! 行くわよ…アスカ!
自分に気合を掛け、加持さんのオフィスの扉の前に立つ。
「加持さん!」
「ワッ!」
すかさず、モニタと睨めっこしている加持さんに体ごと飛び込む。
ヒトに憧れる事や、好きになる事には理由なんて無いと思っていた。
当然、心理的機制や深層心理の内奥などについては大学で一通り学ん
だけれど、自分に当てはめる気はしなかった。
…それこそが、自我防衛機制の陥落。
「アスカか。忙しいんだ」と言いながらモニタをブラインド状態にす
る寸前、見知った名前が目に入る。
思わず、無思慮な言葉が口をつく。
「何これ、どういうこと? フォースチルドレンが何でこいつなの?
イヤ…わかんないわ! 何なの、これぇ!?」
シンジ、カヲル、そして…鈴原ぁ!?
でも、わかっていたのかもしれない。
エヴァのパイロットの条件は、後天的なファクターよりも先天的なフ
ァクターが大きい事を。
しかし、それを認める事は出来ない…。
私だけは…私だけは違うから。
29213-6:02/05/20 23:33 ID:???
<渚>

リリンの生への盲目的な欲動。
僕には分からない。
でも、それがリリンのリリンたる所以か…。
アダムの分身、リリンの僕たるエヴァ三号機。
その搭乗者…鈴原トウジくん。
悲しみを綴り、その先に何があるというのだろう。

「シンジくん。一緒に空を身に行かないかい?」
母なる太陽が中天に達しているこの時間は、僕達は自由だから。
「…屋上かな。カヲルくん? …まだ昼休みもあるし…うん」
そうして、シンジくんは微笑み浮かべる。
繊細な脆いココロ。
「そうだ。アスカさんと、レイさんも誘ってもいいかい…シンジくん」
ごめんね。
君の嫌がる事を言って。
「…カヲルくんが言うんなら…僕は別に」
早速、アスカさんはこちらに視線を向けている。
僕は軽く手を振りながら「アスカさん。レイさん。少し…いいかい?」
29313-7:02/05/20 23:34 ID:???
空が抜けるように蒼い。
雲もなく、限りなく蒼。
手すりにもたれながら、空を眺める。
アスカさんが僕に指を突きつけながら「…ああ、もう! 話しがあるな
ら早くしてくれない? ぼけーっと、空を眺めているほどこっちは暇じゃ
ないのよ!」とまくし立てた。
それに綾波レイ。この星で生きていく為にはやはり君も僕と同じカタチを
取っているんだね。
「……」 
その、沈黙にも強く深い意思を感じる。

「…どうして、シンジくんに教えて上げないんだい……? トウジくんの
事を」
虚をついたのか、アスカさんも、綾波レイも押し黙っている。
「…? トウジの事? トウジがどうか…」
シンジくんの言葉を遮り「アンタ馬鹿ぁ…! 今日は三号機の試験日。そ
して、あの馬鹿が休み。これでもまだ分かんないの…?!」と、拗ねた幼
子のように言葉を紡ぐ。
何だか空の蒼さを湛えたような雰囲気で、言葉を紡ぐは綾波レイ。
「三号機専属搭乗者。フォースチルドレン…鈴原くんがそうだから」
シンジくんは顔を左右し、僕達の顔を見渡している。
「…皆、皆知っていたの? 知らなかったのは…僕だけ?」
そして、彼の感情の振幅の大きな揺れを感じた。
ATフィールド。
誰もが持つ、ココロの壁。
29413-8:02/05/20 23:35 ID:???
「何でだよ! 分かってたんなら…教えてくれたってッ! 僕は…トウジ
に何も、何もして上げる事が出来なかった。ずっと一人で悩んでいたのに
気付かないで、そして何の助けにもなってあげられなかったッ…!」

アスカさんは、両手を組み気まずそうにしていた。
綾波レイは「…ごめんなさい。碇くん」と、一言。
僕は彼の手を取り、握り締めていた。
その時、僕達の携帯端末が一斉に響き渡った。
緊急招集。
…ヒトがヒトを拒み続ける限り、生き残り選ばれるモノはただ一つ。
29513-9:02/05/20 23:36 ID:???
<冬月>

「…碇、たった今連絡が入った。松代の参号機起動施設で大熱量反応を検知。
そして、識別不明の巨大物体がこちらに向っているとの事だ」
「それが意味するモノは、一つ。迎撃準備急げ」

発令所が沸き立っている。
俺は、雑多な命を下しつつ、いつもの二人のポジションが空白なのを見遣る。
「救助及び第三部隊をただちに派遣。戦自が介入する前に全てを処理せよ」 
エヴァ三機の配置はすでに完了。
今回はフィフスは機体が無い為、待機。
機体があったとしても、使いたくは無いがね。
後は、結果待ちか…。

「パターン、オレンジ。使徒とは確認できません」
さて、どうする碇。
「第一種戦闘配置」
やはりね。

「エントリープラグ射出及び活動停止信号受け付けません!」
いつもの両手を組み、口元を覆い隠す姿勢でまんじりともしない、この男
の耳元に俺は囁く。
「これは…不味いな。だが、パイロットの生命反応は有り。厄介だな」
また、嫌な笑みを浮かべて、この男は決断を下した。
「エヴァンゲリオン三号機は現時刻をもって破棄。目標を第…」
やれやれ、これで奴さんは使徒だ。
2961:02/05/20 23:40 ID:???
>284
有難うございます!
もう終盤も近いし、頑張って書いちゃいます。
それと、エヴァ板・感想スレッドにカキコして
下さってた方々にも感謝を。
2971:02/05/21 02:03 ID:???
>289
あの、アギトとは何でしょうか?
>>197
仮面ライダーアギトのことと思われる。

エヴァネタはデフォルトで問題ないが、仮面ライダーは知らない人が多いので、
知らない人にも理解できるように書かないと、独り善がりの謗りは免れ得ない。

最近、アギトといわれるとPSOの刀を思い出すが。
29913-10 :02/05/23 02:15 ID:???
<碇>

「ミサトさんもリツコさんも居ないのに…」
とても不安な気持ちになる。
綾波が俺を諭すように、モニタから囁く。
「今は碇司令が直接指揮を取っているわ」
尚の事、気持ちが乱れた。

「さぁてと、おいでな……え!?」
モニタ越しにアスカの息を呑む声が聞こえた。
俺は急いで、正面の主モニタに目を向けると。
赤い夕日が地平線に沈んで行く。
その血のような朱色の染まりつつ、迫ってくる敵は…。
「え? あれが、使徒…」
管制からの声。
「そうだ。目標だ」
あれは、あれはエヴァじゃないか!
30013-11:02/05/23 02:16 ID:???
<惣流>

まさか…エヴァが乗っ取られるとはね。
さて、どうするアスカ。
…馬鹿トウジが乗っているかもしれないし、そうでないかもしれない。
「…命の選択。まるで、カルネアデスの船板じゃない……」
自分が弱気になっているのが分かる。
でも、でも…敵は殲滅あるのみ。
ごめんね。
ヒカリ。

私のエヴァ弐号機がエヴァ…否、使徒に一番接近した位置にいる。
先陣を切るのは私。
エントリープラグを傷つけずに、使徒を倒すには…。
「そこ…!」
バレットライフルを使徒の頭部に向けて、集中的に発射する。
ちっ! この距離では効果が無い。
ひゅっ。
畜生! 使徒の腕に足を掴まれ転倒する。
「あ…うぐぁ…」
そして、使徒のその伸縮する腕に首を締められてしまう。
喉を締め付けられて、息も出来ない。
私は必死に手動操作で、エヴァ弐号機とのシンクロを50%カットする。
「くっ…ふぅ」
まだ首を締め付けられる苦しさで思わず喘ぐ。
シンクロをカットした事により、エヴァの動きが腹立たしいほど鈍くなっ
ている。
何とか自由な両手で、プログナイフを使徒の腕に何度も何度も振り下ろす。
30113-12:02/05/23 02:17 ID:???
振り下ろすたびに、使徒の体液が私のエヴァの腕に飛び散るのも構わず、
ひたすらナイフを振り続けた。
その体液を浴びた、両の手に激しい違和感を感じた。
「弐号機が使徒に侵食されています!」
「弐号機の両腕を強制切断。急げ」

「ぁ……がっ!」
電撃のような痛みが脳髄を駆け上る。
零れる涙がLCLの中に漂っている。
そうして、エヴァ弐号機の活動が完全に停止してしまった。
負けちゃった…私。
どうしよう。
負けちゃったよぅ。

自分の事しか見ていなかった。
良く言えば自分の事だけで精一杯で、他人の事…見る事が出来なかった。
違う。
ただ、ただ…世界には自分しか居ないから。
だから、他人の痛みには何も感じなくて済んだ。
30213-13:02/05/23 02:18 ID:???
<綾波>

彼を感じる。
寂しさと虚しさに満ち満ちた、その心。
でも、返して。
鈴原くんを返して。

私は小山に隠れて、彼を待つ。
そうして…倒さなくてはならないから。
倒さなくては…いけないから。
管制。「…目標は弐号機を沈黙させた後、再度移動を開始しています」
司令。「…レイ。今、初号機をそちらに向わしている。目標を足止めして
おけ」
目標を捕捉。
撃つ……撃たなくては駄目。
司令が私に命令を下す。「どうした…レイ? 早く撃て」
その時。
30313-14:02/05/23 02:19 ID:???
<碇>

零号機が、綾波が…。
エヴァの赤い体液が地面を真っ赤に染めている。
残照の燃えたつような赤。
エヴァの血の色。
視界が赤一色に染まる。

零号機は両腕をもがれ血がどくどくと流れ続けている。
その時、零号機の片足がその付け根から引き千切られて、血が噴出しエ
ヴァと使徒を血塗れに染め上げる。
もう片方の足もあらぬ方向を向いていて、定期的に痙攣を繰り返している。
「綾波…ぃ!」
サブモニタからは、綾波の苦悶する表情と呻き声が漏れ聞こえる。
どうしよう…。
どうしたら良いんだ…!
このままじゃ、綾波が。
でも、中にはトウジが。
鼓動が早くなり、胸が苦しい。
「やれ。それは使徒だ。我等の敵だ。シンジ…目標を殲滅しろ」
中にはヒトが乗っているんだ!
トウジが…トウジが乗っているんだ!
「お前が倒さなくては、レイは死んでしまうだろう。それでも良いのか?
シンジ」
うるさい!
煩い!
五月蝿い!
3041:02/05/23 02:59 ID:???
>298
テンクス。
作者さんも、一読者として楽しみにしていますので、
頑張って下さい。
30540:02/05/24 15:48 ID:pKSRQRWc
ずっと上のほうでちょこっとだけ書いたんですけど、
結局複数にわけて投稿するのが面倒になり、こういう形での発表です。
所詮、風呂敷ですから。

http://isweb32.infoseek.co.jp/play/eva-2ch/cgi-bin/upload/dat/eva0005.htm
おお!
いいねえ。続き期待してますよ!
307名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/05/24 17:10 ID:egAse1uA
>306
誰に言ってるのよ?
>305
なんか良く分からないけど、なんか続きが読みたいような。
30913-15:02/05/28 17:00 ID:???
「…う…ぅ。はぁはぁ。ぃ…碇くん…。駄目。私が死んでも変わりは居る
から…駄目」
綾波が苦しそうに眉を顰め、苦しい息の中、俺に語りかける。
何を言っているんだよ!
変わりがいるって何なんだよ…!

エヴァ参号機が残った零号機の足を、ねじ切るようにして引き千切り、放り
投げる。
噴出する血の勢いも先程とは比べ物にならないほどの少量となってはいたの
だが、そのほどばしる血が電柱や家々をべっとりと血塗れに染め上げる。
「ぐぅぅ…ぁ!」
綾波の苦悶の声が聞こえる。
そして、そのか細い肢体が悶え、震えている。
管制からの声が漏れ聞こえる。
「ダミープラグの搭載…急がせるべきだったな。仕方が無い。初号機は一
時退避。急げ」
31013-16:02/05/28 17:01 ID:???
逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。
アスカ…カヲルくん。
助けて…助けてよ…。
爪が肉に食い込むほど強く拳を握り締める。
今、何もしなければ俺が此処にいる理由は何だろう。
そして、この手に握っているモノは何をする為にあるのだろう。
答えは一つ。
敵を…使徒を倒す為。
エヴァが握っているモノは、俺自身が握っているのと同じだから。
「…シンジ、お前には失望した。一時撤退だ…急げ」
馬鹿野郎。
勝手な事ばかり言いやがって。
手足を失った零号機に使徒が馬乗りになり、首を絞めている。
「ぅ……ぅぁ」と喘ぐ、綾波。
31113-17:02/05/28 17:01 ID:???
命の選択。
俺にとって、綾波とトウジどちらが大切なんだろう。
こんな事考えてはいけない。
それは分かっている。
でも。
トウジとの今までの思い出が頭を過る。
最初は自分勝手な熱血馬鹿だと思っていた。
でも、何だかんだいっても、クラスの中で一番俺の事を心配しても
くれた。
仲良くもしてくれた。
そして、俺の所為でケガをした妹の事。
お母さんがいない家庭で、トウジが家事をしている事などを話してくれた。
その時は、どうでも良いと思いながら聞き流していた。
今になって、何故かその言葉の一つ一つが鮮明に蘇る。
…結局、俺は最後までトウジの事を一回でも真剣に考え理解しようとはし
なかった。
だから、いつも一緒にいたのにアイツの悩みも分かってあげられなかった。

……でも、ごめん。
俺はトウジよりも綾波に死んで欲しくない。
それが、正直な…そして自分勝手な醜い本音だから。
31213-18:02/05/28 17:02 ID:???

「零号機パイロット、心拍及び血圧急速低下! このままでは危険です!」
「心拍停止! プラグスーツの生命維持機構を緊急起動します!」
管制からは悲鳴のような怒号が飛び交っている。
視界の隅で父さんが立ち上がり「撃て…! シンジ!」と叫んでいた。
でも、もう俺は正面主モニタの強化型ポジトロンスナイパーライフルの照準
しか見ていない。
…目標をセンターに入れて。
……。
………。
…………。
……………。
……………撃つ。

「こ、高主力エネルギー…エヴァ参号機いえ、使徒のエントリープラグを貫通」
「目標沈黙。参号機パイロットの生命反応感知出来ず……」
「零号機パイロットの心拍活動再開を確認」
……何だか、頭の中が真っ白だ。
管制からの言葉がただ、耳を突く。
しだいに、自分がやった事から目を背け続ける事が出来なくなり、体の震えが
止まらなくなる。
涙がぽろぽろと止まらない。
俺の目の前に、自分が流した涙が粒になって漂っているのが見える。
「現時刻をもって、作戦を終了する。第2種戦闘配置に移行」

「うわぁぁぁぁぁ!! あぁぁーぁぁ!!!」
ただただ、衝動に突き動かされて泣きそして叫び続けた。
313名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/05/28 17:24 ID:lclRuq/k
 
うおおおお!!スゲェ展開だ。心理描写もいい。
全てが崩壊する予感。いやたまらん。
はやくつづきーーー!!
アスカの時と同様に、「代わり」が出てくるのかな。
初めから一気に読んでしまった。
大変面白いです。続きに期待してます。
31714-1:02/05/29 17:49 ID:???
<葛城>

「…あなた、また出張ですか…?」
どこかぼんやりとした、女の声を背に受けながら男は「ああ」とだけ答え、
黙々と新聞を読んでいる。
「…今回は、何処へ行かれるの」
会話を断ち切るかのように、男は新聞をたたみ、立ち上がりながら「…南極
だ」と呟き、その部屋を出てゆく。
机につつぷして、静かに泣いている女。
そして、それを見ている…14歳の私。
夢?
そう、こんなのは夢に決まっている。

「…生きている」
「気が付いたか…葛城」
薄ぼんやりとして、焦点が合わない。
また、嫌な夢を見ていた。
「大丈夫か…?」と心配そうに、加持君が私の顔を覗き込んでいる。
「ええ。それより、参号機はどうなったの…?」
加持君の苦々しい顔。
こう言うときの彼は、凶報しか齎さない。
「使徒として処理されたよ…。シンジ君の初号機でね」
「…あの、フォースの少年…鈴原君は…?」
加持君は、静かに首を横に振る。
結局、シンジ君に何も言えず、その手を血で汚させてしまった。
取り返しのつかない事だけが、ただ雪のように降り積もって行く。
「私…私、シンジ君に何も話していない…」
私は、この時…シンジ君と顔を合わせる事が怖かった。
31814-2:02/05/29 17:50 ID:???
<碇>

もう、何も考えたく無い。
もう、何も聞きたく無い。
消えてしまいたい。
死にたい。

「LCL排水開始。パイロットはLCLの完全排水後、気圧の調整が終りしだ
い、最終安全装置を確認の上…」
「はい」
もう、駄目だ。
もう、エヴァには乗らない…いや、乗れない。

「エントリープラグ射出。ボトル固定。内部減圧終了。パイロットは速
やかに、プラグ内から降り、所定区画まで向ってください」
「はい」
命令された事に従うのは、楽だ。
何も考えなくて良いから。
31914-3:02/05/29 17:51 ID:???
消毒、着替え、そうして定期身体検査。
それらが全て終了すると、俺達は解放される。
そして、父さんに会いたい旨を職員に伝える。
何だか、もうどうでもいい…。
職員はその場で、端末により色々と連絡を繰り返していた。
「司令は忙しいとの事なんだけど…どうしても、今じゃないと駄目かい?」
「…お願いします。どうしても、今…会わなくちゃならないんです…」

初めて来た、父さんの執務室。
初めてにして最後の。
「私は忙しい。要件を的確に述べろ」
はは。
何故だか、もう父さんの事が怖くないや。
「…僕はもうエヴァには乗れません。いえ、乗ってはいけないんです」
父さんは逆光を背にしていて、どんな表情をしているのか分からない。
でも…。
その唇が淡い笑みを浮かべた事だけは…分かった。
32014-4:02/05/29 17:51 ID:???
「何故だ? また、いつものように…逃げるのか?」
そう、嫌な事から逃げて何が悪いんだ。
苦しい事ばかりで、頭がおかしくなってしまう。
俺は無意識の内に、両の掌を堅く握り締めていた。
…自分のした事、それに対する自分の欺瞞に気づきそうで怖かった。
「はい。もう…嫌です。どうせ、僕の他に3人もパイロットはいるし、
それに…父さんだって僕なんか本当は要らないんだ…!」
何故だか、感情が昂ぶる。
…自身が犯した償いようの無い罪、自らの手が血に汚れた事から目を逸ら
す為に。
「甘えるな…シンジ。お前はヒトを一人殺しているのだぞ…? エヴァか
ら降りるとなれば、当然司直の手が及ぶ。そして、お前は自らが犯したそ
の罪からも一生逃げ続けるのか?」
僕が…俺が…人殺し…?
俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が…殺した?!
体の震えが止まらない。
歯の根が合わず、かちゃかちゃという、歯が擦れ合う音が響いていた。
「嫌だ…そんなの…嫌だぁぁぁ!! どうしよう…どうしよう……」
32114-5:02/05/29 17:58 ID:???
感情の奔流…恐怖、興奮、悲しみ、喪失感、取り返しのつかない事をして
しまったという…悔恨。
止められない。
もう、自分では止める事が出来なかった。
「嫌だぁぁ!! 嫌だぁぁぁ!! 助けて…誰か僕を助けてよ…ッ!!
糞糞糞ッ!! 俺は…俺はァァ!!」
泣き喚いていた。
ただ、ただ。
「医者を司令室まで寄越せ。サードチルドレンに安定剤の投与が必要だ」

<惣流>

「これはあの馬鹿…立ち直れないわね…」
シンジの病室の外で。
カヲルとファーストも…何も話さない。
ただ、二人とも少しだけ寂しそうな表情をしている。
これで…再びトップの座に返り咲く事が出来る…か。
違う。
そんなのは、違う。
それでは、私が私である為のプライドが…。
32214-6:02/05/29 17:59 ID:???
それに…あの馬鹿にだって良い所は少しはあった。
……勿論、トウジの奴だって…悪い奴では無かった。
でも、他人の痛みを完全に理解出来ると言うほどの偽善者でも無い。
戦いに死はつきもの。
有史以来…ヒトは己を保つために戦い続けてきた。
だから、私も前に進むしか無い。
それが例え、シンジ達を置き去りにする結果になろうとも。

結局は自分が全てだから。
ただ、窓側のソファに座っている、カヲルとファースト。
アンタ達だって、自分が手を下さなくて良かった、自分が死ぬのでは無く
て良かったと、腹の底では思っているんでしょ? いや、そうに決まって
いる。
だから、私は意地悪を言う。
「ね…アンタ達。もし、自分の大切なヒトとそうでないヒトの命を選択す
るとしたら、当然大切な方を取るわよねぇ」
ファーストの目を真直ぐに見詰めながら「だから、良かったわね。ファー
スト。アンタ、トウジより大切に思われていたみたい…シンジに」と。
…最低、私。
自分の吐き出す言葉への後悔と、幾分の苛立ちが募ってくる。
32314-7:02/05/29 18:00 ID:???
ファーストがすぅと立ち上がり、スタスタと歩み寄って…私の頬を張る。
頬に鋭い痛みが走り、知らぬ間に私は頬を抑えていた。
「痛っ…! 何すんのよ…アンタっ!」
パァンっ!
私も、ファーストの頬を殴り返す。
ファーストは身じろぎもせず、私をただ見詰めている。
分かっている…分かっているわよ! 
…そう、悪いのは私だ。
でも、それを認めるわけにはいかない。
「そう言う事、言っては駄目。何故自分を苦しめるの?」
と、カヲルもソファに腰を掛けながら「他人を傷つける事によって、自分
をも更に傷つける。駄目だよ…もっと、大切にね。自分も…他人もね」と説教。
「五月蝿いッ…! もう、あんたらの顔何か見たくも無いわ!」
そしてまた、逃げ出す私。
3241 :02/05/29 18:04 ID:???
>314
何と言ったら良いものか…。
正直、ただ嬉しい限りです。

>316
本当に勿体無いお言葉です!
他のエヴァSSと比べボリュームが無いので、直に読み終わって
しまいますね(w
語らんかスレで絶賛してる奴がいたから読みにきましたです。

すげー面白い。続きとっても気になるんで早く早く。
凄い面白いです。
頑張って下さい。
327名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/05/29 21:55 ID:ZoxRF3yA
>「甘えるな…シンジ。お前はヒトを一人殺しているのだぞ…? エヴァか
>ら降りるとなれば、当然司直の手が及ぶ。そして、お前は自らが犯したそ
>の罪からも一生逃げ続けるのか?」

これどう言うこと?
ネルフって軍隊じゃなかったの?(命令の下に行った戦闘)

ゲンドウのセリフ読んでると、苛々するよ。
うん、この作品のゲンドウは元よりさらにドキュソだね。
まあ、他のキャラもそれに磨きをかけてるようだが。
何はともあれ盛り上がってきたし、がんがれ。
ブラフだろ。
あんまり「面白いです!」とか書かないほうがいいよ。


湧いてくるから(ワラ
たしかに最初はつまらんかったが藁、
レスをこなすほどに「伸びて」きてるよね。
今ではカナリレベル高いとこまできてるとおもうよ?
FF界でもね。
なーんか御大臭が・・・。台詞の言い回しも皇国の新城や地連の南郷みたいだし・・・。
「東京の優しい掟」や「虚栄の掟」に似てるところもあるし。
感想はこちらへどうぞ

http://teri.2ch.net/test/read.cgi/eva/1021519765
33414-8:02/05/30 21:40 ID:???
<綾波>

葛城三佐に呼ばれた。
あの人…渚くんと共に。
「二人とも薄々は気づいているでしょう…? シンジくんやアスカの事」
一瞬三佐は戸惑い、口を噤む。
「で、これからは戦闘の際に、レイにはシンジくんを。カヲル…くんに
はアスカのバックアップお願いしたいの。当然、二人には内密にね」
葛城三佐は怪我をしている。
でも、生きている。
そして、鈴原君は死んでしまった。
替わりもいないのに。
何故…?
今、司令の顔を思い起こしても心地良くない。
今、葛城三佐と話していても…何だか…鼓動が早くなる。
「それは命令ですか?」
葛城三佐は「そう、命令よ」と言う。
「命令なら、従います。後、何?」
「…何って…。もう用事は済んだけど…」
「そう。さよなら」
そうして、帰る。
誰もいない、あの部屋へ。
何故だか、今日は早く眠りたい。
33514-9:02/05/30 21:41 ID:???
<渚>

「渚くんもそれで宜しく」
「はい」
葛城…ミサト。
15年前から僕は彼女を知っている。
あの時から、随分と変わったようだ。
でも、本当は何も変わってはいない。
シンジくんやアスカさんと同じ…脆いココロを抱えて生きている。
それに、僕達も又変わって行く。
僕と同じ存在である、綾波レイが変わりつつあるように。
葛城さんは驚いたのだろう。
綾波レイの反発に。
「葛城三佐、お怪我は大丈夫ですか?」
彼女は怪我をした手を擦りながら「ああ、これくらいどーって事ないわ。
…シンジくんの心の傷からすれば…ね…」と、彼女は受け流す。
「…シンジくんはきっと…大丈夫ですよ」
「…そうだと良いのだけど…。鈴原くんの為にも…ね」
僕は、ゆっくりとお辞儀をし、部屋を出る。
「それでは、失礼致します」
綾波レイは…。
貴方達に対し怒りを覚えているのですよ…と言う言葉を飲み込みながら。
33614-10:02/05/30 21:42 ID:???
<ゲンドウ>

「赤木博士。エヴァ初号機及び弐号機へのダミープラグの換装、急ぐように」
「しかし…初号機はともかく、弐号機の互換性は…」
「その為の…フィフスだ」
「…分かりました。それと、ドイツからのエヴァ五号機の搬送は遅延する旨、
NERVドイツ支部から先ほど通達が届きました」
…赤木君は頭部裂傷及び軽度の脳震盪。
全治…三週間。
先ほど上がって来た、諜報部からの報告書の文面をふと、思い起こす。
「今回の件で老人どもも、肝を冷やしたようだ。引き続き、搬送の為の工作
は続行するように…」
報告書を持つ彼女の手が震えている。
立ちどうしは辛いのだろう。
「はい。では、これで失礼致します」
何かを訴えるかのように、俺を見詰めている。
「ご苦労だった。下がってもいい」
ドアを潜る、彼女の背中に声を掛けた。
「君には期待している…赤木博士」
人類が新たなる神の卵と成らんが為に。
いま少し、彼女には働いてもらわねばならない。
33714-11:02/05/30 21:43 ID:???
冬月センセイは現場で、使徒の後始末を起こっている。
俺は、手袋を外し掌を見遣る。
アダム…白き月よりの正当なる後継者。
だが、アダムも…我等が始祖たるリリスすらも、未だ神への階梯を上り詰めては
いない。
所詮、完全な単体たる使徒や…不完全な群体たる我等が人類と何ら変わりは無い。
ならば、ヒトが神となって何がおかしいのだろうか。
「ヒトは全か無か。神との合一か死以外に選択肢は無い…」
そうして、新たなる神は男女(おめ)又は、アニマとアニムスが引き合い、溶け合っ
て誕生する。
「もうすぐだよ…ユイ」

シンジ。
もうじき全てが終焉し、新たなる新世紀が創世される。
最後の審判を告げるラッパは、高らかと地に鳴り響いているのだから。
33814-12:02/05/30 21:43 ID:???
<加持>

「なる程ね…。フィフスの少年はイスカリオテのユダか」
しかし…碇司令。
ユダも又、自由意志を持っている事の危険性も承知の上ですかな。
リッちゃんの研究室の、独立端末からのデータを媒体に保存する。
MAGIによる干渉がなければ、これくらいの事は容易い。
だが…。
かちゃ。
やっぱり…ね。
俺は、両手を挙げてゆっくりと振り向きながら「やっぱり、トラップを仕掛けてあ
ったんだね…リッちゃん」と呟く。
左手をポケットに突っ込みながら、リッちゃんは俺に銃を突きつけている。
…やっぱり、泣きほくろが少しだけ…寂しげだ。
「…前に、忠告したはずよ。旧友としてね」
「だけれども、思うように行かないのもまた、人生なんでね」
33914-13:02/05/30 21:44 ID:???
俺は手近の椅子に腰を下ろし、煙草に火を付ける。
「で、俺はどうなるのかな…? どうせなら、君のようなチャーミングな女性に殺
されたいものだがね」
リッちゃんは、ふっと笑みを浮かべ、銃を降ろす。
「今回が最終警告ね。次は…保証出来ない。それに…秘匿データをそんな独立端末
に入れておくわけないでしょ」
煙草の紫煙を吐きながら、俺は一人ごちる。
「まぁね。この程度の情報露呈は寧ろ…かく乱の為。どうせそんな所なんだろう…?」
「そう言うこと。所で、煙草一本頂けるかしら…?」
3401 :02/05/30 21:47 ID:???
全てのレスを下さった方々に、レスを返したいのですが、
うざくなるので控えます。
…とにかく、私の拙いSSをお読み下さり本当に有難う御
座います。
後輪。ってかいた名無しです。

・・・いやがんばってください・・・漏れのために爆
34214-14:02/05/31 22:24 ID:???
<碇>

気が付くと、白い天井が目に入った。
涙が頬や枕をぐっしょりと濡らしている。
そう…夢を見ていた。
悲しい、寂しい、そして…怒りと憎しみとが渦巻く夢。
…でも、それは夢では無く現実だった。
……もう…駄目だ。
俺は俺自身を許せない…こんな自分は消えてしまえばいい。
「……死にたい」
ぽつりと呟く、その言葉。

…どうすればいいんだ、どうすれば。

──ソレハ取りかえしのツカナイ事──
どうしよう…どうしよう。

──ソレハ取りかえしのツカナイ事──
嫌だ嫌だ嫌だ…嫌だ…。
人殺しにはなりたくないッ!
34314-14:02/05/31 22:24 ID:???
──でも…オマエハ人殺しダ──
どうしょうも無かったんだ…!
だって、使徒は倒さないと綾波が…綾波が死んでいたんだッ!

──だから、好きなオンナノコを選んだ──
そうだよ…! だってそうだろ…!
男の友達よりも、女の子を選ぶ方が当たり前なんだ…っ!

──結局、自分自身の心地よさしか…ミテイナイ──
違うっ! 
…否、そうかもしれない。
でも、それの何が悪いんだッ!
結局は、世界には自分しかいないんだ。
他の皆や全てのモノは、俺がいなかったら何の意味も無いから…。
俺に取っては。

──そう。そして、他のヒトも皆、同じように考えている──
──お前は、トウジを殺す事により、彼の世界を壊した──
34414-15:02/05/31 22:25 ID:???
──ソレハ取りかえしのツカナイ事──
「あああ…ぁぁぁ!! 僕は悪くない…悪くないんだっッ!」
手当たりしだいに、モノを投げつけ破壊しながら。
「そうさ。父さんが悪い…ッ! ミサトさんだって…いなかったから…!」
俺は気が触れたように、泣き喚き続ける。
「アスカだって…直にやられたから悪いんだっ! 綾波だって…そうだ、
綾波が一番悪いんだ…そうだそうだ、はは……。ああああああああ!!!」
俺は押さえつけられて、上腕に注射され…意識が心地よい闇に落ちて行く。
その寸前、非常警報が発令されるのを耳にしながら…。
もう、どうなってもいい。
34514-16:02/05/31 22:26 ID:???
<葛城>

「で、マヤちゃん…状況どう?」
発令所全体の雰囲気が浮き足立っている。
無理も無いか…。
初の使徒の複数同時展開。
私も、細かく膝が震えている。
「はい! 球状の使徒は0825時に突然第三新東京に出現。現在、直上にて定点
的に静止中です。当然、この使徒の直下はNERV本部です」
「次に、旧東京湾より出現したもう一体の使徒の到来を戦自により、NERVへと
通達されたのは0830時。その使徒による戦自沿岸阻止部隊の全滅が0832時。強
羅絶対防衛線突破が0840時です…」
くっ…せめて五号機の搬入が間に合っていたら。
ぐちを行っても仕方が無いわね。
「エヴァ零号機と弐号機で、強羅絶対防衛線を突破した使徒…呼称・乙の迎撃。
初号機は…」
…そうか、初号機は…シンジくんは…。
あれから、私は彼と顔を合わせてはいない。
私自身の躊躇い故に。
34614-17:02/05/31 22:27 ID:???
その時「構わん。シンジの投薬を中断。初号機に乗せておけ」と碇司令。
「しかし…シンジくんは戦える状態では…!」
「これは命令だ。葛城三佐」
リツコが淡々と説明する。
「彼は乗っていてくれるだけで良いの」
「しかし! 現状の彼が出撃した所で…。彼が…シンジくんが死んでしまいます!」
「…初号機は、ジオフロント内地底湖にて待機させろ」
「え! しかし…」
「命令だ。遂行したまえ」
碇司令直々の命令を、彼等が拒否出来る訳もない。
…所詮、私はお飾りね。

そして、アスカとレイに出撃の命を出す。
「いい。アスカ。レイ。現在進行中の目標・乙を殲滅の後、最大戦速で第三新東京
の直上に静止している使徒…呼称・甲への攻撃開始。いいわね」
「はいはい。分かっているわよ。ま、シンジが居なくたって私がいれば十分だし」
「…はい」
「エヴァ零号機及び弐号機リフトオフ! エヴァ初号機はジオフロント内地底湖水
深300で射出!」
34714-18:02/05/31 22:28 ID:???
<惣流>

そう、シンジなんか居なくても大丈夫。
今回の戦いで、今までの不調を全て返上しなければならない……絶対に!
でも、何故だろう。
不安で掌がべっとりと湿り、不安と焦燥だけが私を支配する。
「…早くおいでなさい」
その言葉とは裏腹に、体の震えが止まらない。
これで駄目だったら…ドウシヨウ。

「いい、ファースト。アンタは射撃で敵を牽制。その間に私が敵の間合いに飛び込
んで、ATフィールドを中和しつつ近接戦闘で止めを刺すわ」
サブモニタには何時もと変わらぬ、無表情なファースト。
でも。
「…いえ。貴女が敵を牽制。私が攻撃を仕掛けるわ」
……ぇ!? どうして…ファーストが…。こんな事言うのよ…ッ!
私が口を開こうとした寸前「私以外、もう誰も死なせたくないから」とのたまった。
「ふん! 駄目ね。今回は私がやるのよ…」
何で、この私がヤラレル事を前提にされなきゃならないのよ!
冗談じゃない…舐められてたまるもんかですか。
34814-19:02/05/31 22:28 ID:???
UNのヴィトールが使徒をエスコートしながら、急速に接近して来る。
そうして、規定誘導ラインを超えた時点でヴィトールは蜂の子を散らすように飛び去
ったのだが。
突然、使徒の目が煌きその瞬間。
一ダース近くのヴィトールが、全て空中で爆散した。
チッ! これは先手必勝ね。
「行っけぇぇぇッ!!」
遠距離戦用のライフル等を、敵に向けて乱射する。
零号機も同じく、ありとあらゆる遠距離攻撃を波状的に繰り返していた。
 
<綾波>

「…くっ」
私は、遠距離攻撃を途切れる事なく繰り返している。
どうしたの…私?
今日は、彼等が…敵が憎い。
どうして…?
私も彼等も同じなのに。
でも、彼等は碇くんを傷つけて…鈴原君を殺したから
34914-20:02/05/31 22:29 ID:???
私は誰なの…?
ヒト…?
シト…?
でも、私は彼等よりも碇くんやみんなを守りたいから。

その時。
「………ぅグッ…ぁ!」
苦痛の呻きが、のどからせり上がる。
煙幕の中から突然、彼の攻撃。
その一撃で、零号機の両足が切断された。
唇を噛み、嗚咽を抑えようとするが適わない。
管制からあの人の声が聞こえる。
「レイ…。これより、お前をゲート492より高速回収する。急げ」
分からない。
もう、司令の声には心地よさを感じなくなった。
「…いいえ。遠距離攻撃による弐号機のバックアップは可能です……」
司令はモニタから私を見詰めている。
私も司令を見詰める。

──沈黙──

司令が私から目を背ける。
「…わかった。引き続き作戦続行」

地面に腹ばいになりながら、無事な両手で銃を撃ち続けた…。
35014-21:02/05/31 22:30 ID:???
<惣流>

零号機の足を一気に切断した、敵の攻撃。
駄目だ…早すぎて目測出来ない。
それでも、零号機は銃を撃ち続けていた。
どうしたのだろう…。
何かが…私の周りが少しづつ変わって行く。

その時、零号機の頭部が切断され、血飛沫をあげながら私の弐号機の前にごろごろ
と転がってきた。
……っぅ!
「ファースト! アンタ無事なの…!?」
返事は無く、管制からミサトの声。
「大丈夫よ、アスカ。レイは昏倒しているだけだから。それより、ジオフロントま
で一時撤退ね…。戦自にありったけのN2爆雷をオーダーしといたから」
「な…?! 私はまだ戦えるわっ!」
「後、数分でそこは半径30kmのクレーターになるわ。レイを連れて急いで!」
35114-22:02/05/31 22:31 ID:???
<葛城>

「…よって、作戦本部長の立場から本部施設の破棄及び、総員及び本部機能
の一時的な退避を提案します」
目標乙にN2爆雷の洗礼も効果無く、敵は本部施設に向って直進を続けている。
それに…目標甲も以前、不気味な沈黙を保っている。
今回は、正に最悪だ。
「それによる一番の懸案はセントラルドグマの…」
「却下する」
「しかし…MAGIによる回答も全会一致で退避を勧告しており…」
「却下と言っている。葛城三佐。本作戦は私が直接指揮を取る」
この糞親父が…ッ!
アンタのエゴでみんなを無駄死にさせるつもりなの…!?
「…赤木博士!」
ふっと、横を向きながら「組織の長の判断を尊重するよりないでしょう」と
何だか投げ遣りに言い放つ。

私はぎゅっと、胸の十字架を握り締めながら、視線は彼を…加持くんを捜し
求めていた。
彼が此処にいるはずもないのに。
万歳。イイ展開だ・・・・・・・
35314-23:02/06/01 15:24 ID:???
<ゲンドウ>

「弐号機を初号機と合流させた後、反撃に出る。ターミナルドグマへの侵入
阻止が最優先事項だ」
冬月センセイが私の耳に囁く。
「…しかし、使徒の同時複数展開が本当に起ころうとな。具体的な案はある
のか?」
全てを知っていて尚、私に問い掛けるこの男は不快だ。
「ダミープラグを立ち上げる。それに…使徒同士による生存競争も始まるだ
ろうからな」
「地下の彼等が聖母…アダムを巡ってかね…」
冬月は含み笑いを浮かべる。「所詮、使徒も生物の範疇は超える事が出来ん
ようだ、悲しむべき事にね」
それはアナタも同じでしょう? 冬月センセイ。

「赤木博士。使徒がジオフロントに侵入しだい、ダミープラグを立ち上げろ」
「初号機、弐号機双方ですか?」
「無論、双方だ」
君と心中をするつもりは無いのだよ…リツコくん。
35414-24:02/06/01 15:26 ID:???
<碇>

母さんの夢を見ていた。
暗く湿っていて。でも温かくて、気持ちよくて。
全身が溶けて、どこまでが自分でどこまでが母さんか分からない閉じた世界。
もう、目覚めたくない。
このまま、溶けて消えて行きたい…。
その時、急に覚醒した…いや、させられた。

そこはエヴァのエントリープラグ内。
いつもの血の匂いがする、俺の居場所だった…場所。
俺は狂ったようにハッチを乱打しながら泣き叫ぶ。
「出して…出してよッ! もう、エヴァには乗りたくないんだ! いや、乗っ
ちゃあイケナインダ…っ! お願い早く出してよ…!」
弐号機のアスカとの通信がオープンになっていた事には気づくはずも無く。
「……アンタ、少し静かにしてくんない…? 正直、気持ち悪い」
「…アスカ? どうして僕は…此処に」
「知らないわよ。そんな事。それより、そろそろ来るわよ。まぁ、アンタが何
もしないで死にたいのならお一人でどうぞ。でも、私の邪魔だけはしないでよ
ねッ!」
苛立ちを含んだ、とげとげしいアスカの言葉に胸が締め付けられる。
「……僕だって頑張ってきたんだ…。だから…僕を怒らないでよっ…!」
「嫌」
アスカは俺を虫を見るかのような視線で一瞥し、ぽつりと呟く。
そして、一方的に回線が切断された。
涙がぷかぷかと、綺麗な玉になってLCLの中を漂う。
35514-25:02/06/01 15:26 ID:???
<惣流>

気持ち悪い。
何なのよ…アレ。
…そりゃぁ、アイツにも同情すべき点は幾らでもある。
特にトウジの件は…私になにも言う権利は無い。
でも、駄目だ。
私は、私の事で精一杯だから。
それに、生理的にもアイツのあの態度は受け付ける事が出来ない。

「目標乙が…17層の防御隔壁を瞬時に…! 目標のジオフロントへの侵入を確認!」
…これで勝てなかったら、私は…私は。
「……な!? 直上にて静止中の目標甲にも動きあり!」
チッ! 二体になろうと、三対になろうと…っ!
「目標甲…空間転移……しました…。ジオフロント内NERV本部直上に出現!」
35614-26:02/06/01 15:28 ID:???
その時。
周囲のモニタに、プログラムの開始を告げる数式が乱舞する。
──OPERATION DUMMY SYSTEM kaworu──
何よこれ…! エヴァが…私のエヴァが動かない……。
手動操作に切り替え、がちゃがちゃとレバーを引くが何ら反応が無い。
「ちょっとミサト! 何なのよ…これッ!」
「葛城三佐は現在謹慎中だ。指揮は私が取る。弐号機専従パイロットは黙って座って
いるだけでいい。このシステムの方が殲滅には適任だ」
ッ…この親ありて、この子ありね。
畜生…糞っ! 馬鹿野郎! 死ね! 何でよ……ッ!! 何で、私にエヴァを操縦さ
せてくれないのよ……。

弐号機が勝手に動き出す。
悔しいけれど、動きは生きているかのように滑らかだった。
私は膝を抱えて、必死に涙を堪えていたけれど…堪えきる事は出来なかった。
シンジの馬鹿親父の言葉を思い出す。
─このシステムの方が殲滅には適任だ─
か…。
もう、私達は…私はいらないの?
エヴァを無人で動かす事が出来るなら、私の価値はもう…何も無い。
応援さげ。
アスカが相変わらずキレてるな〜
35914-27:02/06/01 19:36 ID:???
<リツコ>

神さまの欠片から作ったエヴァをも騙す、ヒトの知恵。
あの人は一人だけで(いえ、二人ね…)神に成ろうとしている。
でも、駄目。
私を置いていくのなら、アナタを神にはさせない。
発令所の正面スクリーンに現在の状況が映し出されている。
初号機と弐号機で、目標乙を圧倒している。
そして、目標甲に以前動き無し…ね。

「これは…。エヴァ初号機及びエヴァ弐号機と目標乙が、影のような物に飲み込
まれて行きます!」
さて、私の仕事ね。
「マヤ。あの影の部分の各種分析急いで」
「はい! 先輩」
私を慕うこの子。
不意に、片頬が歪ませて厭な笑みが零れる。
私がこんなにも汚れていると知ったらこの子…どうなるのかしら?
36014-28:02/06/01 19:52 ID:???
数分後。
「MAGIによる分析の結果が出ました。あの影が虚数空間であるとの提議がメルキ
ーオールにより提出され全会一致で、あれは別の宇宙…虚数空間であるとの提議
が採択されました」
「お疲れ様。そう、ディラックの海ね」
モニタの中のエヴァと使徒は、もがきながら虚数空間の海へと溺れていく。
だが、今の私達にそれを止める手立ては何も無い。
ふぅ、ざまあみろね。

「で、あの子達と連絡はまだ可能?」
「いえ。ジャミングが酷くて、ダミープラグ起動直後から不通です」
そう。
叫びも悲鳴も、私達には聞こえないという事ね。
36114-29:02/06/01 19:53 ID:???
<碇>

アスカとの通信が切れた後は、アッと言う間だった。
勝手にエヴァが動き出し、湖の底から飛び出して、使徒を攻撃している。
何だ…これなら、もう本当に俺達はいらないんじゃないか…。
急に、地面の底が抜けたようになりエヴァと使徒がずぶずぶと沈んで行く。
そして、光がまったく届かない海の底のような場所に居た。
エヴァ二体が何かを貪っているような、嫌な音だけが、プラグ内に響いている。
内臓電源による、生命維持機構の稼動時間は確か…48時間。
これで終わりかな。
モニタの内部電源稼動時間をふと見遣ると、∞と言う数値記号が点滅している。
どうして∞なんだろう。
どうでも良いか。
そうして、瞼を閉じてゆるゆるとした泥のような眠りに落ちていく。
36214-30:02/06/01 19:53 ID:???
「馬鹿シンジ…ッ! 返事しなさいよ!」
アスカのモニタからの怒鳴り声で、目が覚めた。
何だか、いい夢だか悪い夢だか良く分からない、変な夢を見ていた。
時計表示を見ると、あれから10時間近くが経過している。
「…何。アスカ」
「何って…アンタ…。此処からどうやって脱出するとか…生命維持機構の残り
時間とか…」
「多分、内部電源は∞になっているんじゃないかな」
モニタの中のアスカは「ちょっと待って」と言うと、屈み込んで何やら調べて
いた。
「何…この∞って? 熱力学的に有り得ないわ…。これは故障ね」
「ごめん、アスカ。ちょっと眠いんで、通信切るから」
いいよ…もう。
このまま、眠りながら消えてしまいたい。
36314-31:02/06/01 19:54 ID:???
<惣流>

始めの数時間は全然平気だった。
でも、それから一時間が経過し…二時間が経過して…。
初号機と弐号機の物理的な距離が広がっていく。
…何らかの特異的な空間に閉じ込められたと言う事は、容易に推測出来た。
それが正しければ、この空間は実存宇宙と同じように、永遠に膨張し続けてい
る虚無の空間。
まだ、初号機との電波通信は可能であるが、後…数時間で…。
「…いいわよ。あんな奴の事なんか」
ぽっりと呟いた言葉が、無限の虚無の中、儚く消えていく。

何時の間にか、通信回線を開いていた。

「待ちなさい。何が眠いよ…この馬鹿……」
モニタの向こうで、シンジが寂しげに微笑んでいる。
「…もう、いい。いいんだ…。僕は人を傷つけることしか出来ない。それに…
何だか、母さんが側にいる感じがするんだ…」
36414-32:02/06/01 19:55 ID:???
このマザコン野郎が…。
…でも、羨ましい。
「アンタ本当にこれで良いの…? 何もせず、何も出来ずにこのままこんな所
で死んでも良いの…? 私は嫌っ! 絶対に…!」
「トウジもこれからやりたい事が沢山あったと思う。でも、僕はトウジを殺し
たんだ。そんな僕に生きている資格は無いよ…」
シンジは俯きながら「それに、もう僕達はいらないんだ。父さんにもみんなに
も、これからは必要とされない…」と呟いている。
どうしてだろう。
シンジの言葉が、私を激しく揺さぶる。

──アスカちゃん。ママと一緒に死にましょう──

思い出しては…オモイダシテハいけない。

「私は…私は…アンタとは…違う…」
「どうして泣いているの…アスカ?」
泣いている? この私が?
目尻が熱く、胸を悲しみが妬き焦がす。

──だって、エヴァに乗れない私なんてただのお人形だから──
36514-33:02/06/01 19:56 ID:???
認めて欲しかった。
私の才能を。
外見を。
エヴァのパイロットとして、人類を救うこの私を。
でも、本当に欲しかったのは…ただ、無条件に私を愛して承認してくれる人。
この世でたった一人の私を、ただ認めてくれる人。
例えば…ママ。
例えば…シンジ。

「…アンタの言う通り、私達…もう、いらないのかもね……」
シンジはただ泣きじゃくっている。
馬鹿。
一番泣いているのはアンタじゃない。
お互いの嗚咽だけが、モニタを介してその永劫の静寂を破る唯一の音だった。

「そろそろ…時間ね。もうすぐ、通信限界距離により、通信は不能になるわ」
…結局、私は寂しさを抱えて生き、その充足を得る事も無く死ぬ。
ふぅ…。
…どうせ、エヴァに乗っても敵を倒せず、その上私達がいなくてもエヴァを動
かす事が出来るんだから、もう…これでいいのかな。
そして、通信が途絶える寸前に。
この時、この一瞬だけは、なぜだか私はとても素直になる事が出来た。
「ホント言うとね。アンタ、私の初めての対等な友達だったの。だから…」
涙で言葉が詰まる。
36614-34:02/06/01 19:56 ID:???
<碇>

「……だから…」
そこでアスカとの、通信が途絶えた。
「…畜生」
何もかもが憎くて、そして悲しかった。
この世でたった一人の俺。
そして、かけがえの無い命を奪った俺。
だけれども…俺だって生きていたい、幸せになりたい。

先ほどのアスカの表情が脳裏を過る。
寂しさ、虚しさ、悲哀…俺と良く似た表情を浮かべていた。
もう…会えないのかな…。
会っても又、傷つけ、傷つけられる事の繰り返しかもしれない。
でも、会いたかった。
アスカや綾波やカヲルくんや…此処に来て、出会った人たちに。
それだけは、俺の唯一つの¨まごころ¨だった。

……母さん? いや、綾波?
大きな、温かい何かに全身を包まれた。
俺は胎児のように身を屈めて、その温かさに全身を浸す。
悲しみも喜びも…全ては消え去り、ただ…気持ちが良かった。
 
36714-35:02/06/01 19:57 ID:???
<渚>

彼が泣いている。
その、存在した意味を残せずに消える虚しさに。
そして…断末魔。
思わず、僕は耳を塞ぎ…ココロを閉ざしたくなる。
今日は、彼等の死が重なった。

しかし、僕と綾波レイにだけ聞こえる、断末魔の悲鳴と伴に…新生の産声を
挙げるもの…シンジくんの初号機。
アスカさんの弐号機…僕と同じ存在にも、命の実は与えられたようだ。
僕は…産婆の役を担っている。
でも、僕が産婆を勤めるべきシンジくんのお父さんは…石女だ。
彼は、議長の行動指針である、死海文書は知っている。
それだけでは、議長の動きは読めない。
偽典…すなわち、ゼーレが自身で定めた指標を知らなくてはね。

とにかく。
「お帰りなさい。シンジくん。アスカさん」
やっぱり、レス下さった方々に返させて頂きます。
うざかったら、脳内あぽーん宜しく。

>325
私も見ましたが、あんなに褒められると嬉しいで
すが、こそばゆいですね。
>326
多謝有るのみです。
>327
深く考えませんでした…。
あれは、ゲンドウの恐喝?ですね。
>328
原作よりドキョソ度アップ! は正直嬉しいです。
多分、私がドキョソなので、キャラにも転移しました。
>329

>330
でも、応援頂けてやる気が200%上がったのも事実だっ
たりします(w
>331
最初はどうも、不評ですね。
…しかし、褒め殺しですね(w
>332
信じて頂けないかもしれませんが、他の方のSSは夏への扉と
体験エヴァと断罪少々しか読んでいないので、それらの方々
は分からないです…。

まず、ここまでにします。
そろそろ終わりなので、また頑張ります。
がむばってくさい。
漏れは属性の無いお話も好き。
370名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/06/02 20:49 ID:xG/TlpNY
応援してます。最後までがんばってください。
ごめんなさい、上げちゃいました・・・
>>369
どこが熱狂的アヤナミスト原理主義過激派だよ(ワラ
37315-1:02/06/02 21:32 ID:???
<葛城>

本部直上に定点静止していた使徒を内部からぶち破り、その血に塗れた姿と咆
哮により、初号機が人々の肝胆を寒からしめてから早、一月あまり。
アスカの弐号機も無事、回収されたのだがあれからアスカの様子が目に見えて
おかしい。
だが、一番の問題はシンジくんであった。
我等がMAGIと赤木博士の曰く、量子状態で云々かんぬん。
簡単に言えば、シンジくんはエヴァとの高すぎる同調により、物理的に融合を
果たしてしまった。

サルベージは難航を極めた。
私は何度、リツコを詰ったかしれない。
しかし、最終的にサルベージには成功。
そうして…。
37415-2:02/06/02 21:32 ID:???
「だからこうやって俺と会っている訳かい?」
彼…加持くんの腕に頭を預ける、行為の後の気だるい安ホテルでの一時。
「そんな言い方しないでよね。ま、それもあると言えばあるわね」
ふぅーと、紫煙を吐きながら「正直な事で」と加持くんが呟く。
「こう言うの…彼等が知ったら何というかしら」
何とは無しに、私は呟いた。
「誰もが通る道さ。それに、情欲に溺れる方がヒトとしてリアルだ」
「そうかしら…? 所詮、お互いに逃げているだけでしょ…」
彼は新しい煙草に火を付け、私に手渡す。
「それでもいいさ。でも、葛城。俺は君に出会えて本当に良かった。これで、
心置きなく…」
彼に煙草の紫煙を吹きかけてやる。
目を瞬いているが、自業自得だ。
…そんな、変な事を言うから。
「縁起でも無い事言わないでよね」
「俺もまだ死ぬ気は無いがね」
と、突然真剣な表情で、私の瞳を覗き込みながら「君に預けたあのカプセルに
は、俺が集める事が出来た情報、全てが詰まっている。まぁあれは、俺自身の
分身だな」と、私に囁く。
「それをどうして…私に?」
答えは返って来なかった。
37515-3:02/06/02 21:33 ID:???
<赤木>

「ええ。ダミープラグは私が中心となり、開発致しました。しかし、同時に
各国のNERV支部においても同様の試行は為されており、現在も継続中です」
暗い部屋。
唯一の光源であるそのモノリスに、裸の私が映り込んでいる。
…結局、あの人と同じような人種が世界を動かしている。
世界が…ヒトが怖くて、逃げているくせに。
「…だが、命の実とも言うべき、S2機関の初号機及び弐号機への換装。これ
はどう弁明するつもりかね」
「左様。それらが人類補完計画の妨げとなるは、いわば必定」
女一人査問するのに、ご丁寧に委員会全員がご出席とは。
思わず、苦笑いが零れ出る。
「あれは、完全に予想外の出来事、いわば事故です」
「だが、NERV司令…碇はその事故すらも予想していたのではないかな?」
「君達の独断専行は真に目にあまると言えよう」
「暫くはご逗留願いますぞ。赤木博士…」
「本来ならば、女性に対しこのような行動は慎むべきなのだがな」
37615-4:02/06/02 21:34 ID:???
おやおや。
男根思想の権化とも言える、ユダヤ・キリスト思想の系譜に連なる方々が
一体何を。
「私は何ら、辱めも屈辱も感じてはおりません」
そんな私をあざ笑うかの如く、モノリスが弾いた光が私の目を刺し貫いた。
「君を差し出したのは他でもない…碇本人でもかね」
「赤木博士。君はセカンドチルドレン及び、サードチルドレンの身代わり
なのだよ」
「碇は二人の出頭を固く拒んだのでね」
世界が音を立てて崩れ落ちていく。
…今、ようやく…認める事が出来た。
私も母さんと同じ…愚か者。
その場で崩れ落ち、私が私である為に必要だったモノの欠片を捜し求める
かのように、暗い床に手を突き、海と同じ濃度の液体をぽたぽたと零す。

「どうしますかな…彼女の処遇」
「一層、見せしめとして消えて頂きますか」
「左様。何事にも、ルールがありそれを破るものには罰を与えねば」
一際大きなモノリスから託宣が響く。
「彼女のセキュリティーレベルをSランクからAランクへと移行する」
幾つかのモノリスからどよめきが起こる。
「何故ですかな? それでは諜報員ならば容易に…」
「それで良いのだ。鳴らない鈴がその最後の役割を果たしてくれよう。そ
して、赤木博士にも最後の働きをしてもらう」
37715-5:02/06/02 21:34 ID:???
<加持>

「さ、リッちゃん。急いで」
さてと、これが最後の仕事になるだろうな。
「……加持君? そう、貴方も生き急いでいるのね…」
やはり、泣きぼくろのある女性は一生泣き続けるのかな…。
しかし、どんな形であれ自分の人生は自分で演じ続けるしかない。
もうお互いに、あの頃のような子供では無いのだから。
「こうする事は、司令の命令でもあるが、何より…友人として俺が出来る
最後の事だからね」
俺は、彼女の泣き腫らした瞼をそっと拭う。
リッちゃんは寂しそうに微笑みながら「ミサトは幸せね…」と呟いた。
「そうでもないさ」
「…では、行きましょうか」

…あれから、3日。
彼女をNERV本部に連れ帰り、俺は最後の支度をし終えた。
NERV本部の拡張区域。
空調ファンの音が物憂げに響くこの場所を、俺は気に行っていた。
もうすぐ、日が沈む。
赤い夕日が、部屋に佇む俺の影を長く引延ばしている。
日は沈み、没する。
その永遠とも言える繰り返しにも、やがては終焉が訪れる。
あるのは、遅いか早いかの違いか…。
37815-6:02/06/02 21:35 ID:???
かッ…かッかッ。
音域の高い靴音が響いてきた。
夕日を背に受ける俺の前に、リッちゃんが眩しそうに目を細めながら、そ
の室内に入ってくる。
「よっ。遅かったじゃないか」
「お生憎様。貴方と違ってこれでも忙しいの。加持君」
煙草に火を付け、口に加える。
「それは済まなかった。…でも、俺はこれで良かったよ。前にも言ったろ?
どうせ死ぬなら、チャーミングな女性に殺されたいって」
彼女はゆっくりと白衣のポケットから拳銃を取り出し、安全装置を解除する。
「…本当に貴方は馬鹿ね。でも………」
とても小さな囁き。
でも、俺には聞き取る事が出来た。
リッちゃんに小さく微笑み、軽く頷く。

ぱァーん!

「先に待っていてね…加持くん。私達も直に逝くから」
硝煙の煙が日の残照を受けて、赤色に煌いていた。
37915-7:02/06/02 21:37 ID:???
<ゲンドウ>

「ようやく、エヴァ五号機が到着した」
冬月は、窓からジオフロントを眺めている。
あれから、一月ばかりが経過した。
第三新東京は言うに及ばず、ジオフロントやこの本部の被害も未だ、完全復
旧には及んでいない。
「ほう。ようやく機体の量産に成功したのかね」
「我々のアダム計画への妨害工作…当初の予定より功を奏しているようだ」
冬月はこちらに向き直り、怪訝そうな表情を浮かべた。
馬鹿な老人だ。
「しかしゼーレは…いや、キール議長はそこまで甘くはなかろう?」
センセイと同じく、老いたのですよ。
「しかし、現実の事象がその事実を肯定している。エヴァシリーズは5号機を
持って生産終了だろうな」
「五号機は良い。しかし…委員会の鳴り物入りで送られたあの少年、フィフス
は使うのかね…?」
「彼は最後の使者にして、神の誕生の為の供物。言わば、神を神たらしめる為
に必要だ」
ふ、と軽くため息を付き、冬月は再び窓に目を向ける。
「キリストはユダの存在無くしては、キリスト足り得なかった…か」
38015-8:02/06/02 21:37 ID:???
<碇>

誰もいない静かな午後のリビング。
アスカとはあれから顔を合わせていない。
ミサトさんとも、もうまともに話をする事すら出来ない。
…綾波だけ、入院中に来てくれた。
でも、ほっとしてもいる。
あの事を…トウジの事とか、使徒に閉じ込められた時の事とかを聞かれるのが
怖かったから。

セミの声が外から漏れ聞こえる。
弦の調整を終え、すぅと、息を吸い久しぶりのチェロに弦を入れる。
バッヘルベルのカノン。
自分の演奏を聞きながら思う。
もう、何者かになる事は出来ない。
俺は…自分から卒業する事は決して出来ないと。
ぽたぽたと、頬を伝う涙がチェロに零れ落ちて行く。

電話の音…?
涙を袖で拭い、チェロを脇のテーブルに置いて電話に出る。
「…貴方に真実を教えてあげる。今から、NERVまで来て頂戴」
リツコさん…?
真実なんてもうどうでも良い。
「別に何も知りたくはありません。用件はそれだけですか?」
電話の向こうでリツコさんは、声を押し殺し笑っていた。
「貴方らしいわね。でも、アスカとミサトは承諾してくれたのよ?」
3811:02/06/02 21:49 ID:???
>341
後輪だなんて初めて言われたので、見た瞬間逃げてしまいましたよ(w

>352
そのHN…。
ぶるぶるがたがた。
そして、369で安心。

>358
アスカたんはCaが足りないんです!

>370
いや、本当に有難うございます。
おおお。怒涛の予感。さても作者様もノッテおられることかと。
がむばてくさい。つっぱしってって
速いねぇ〜
加持暗殺はリツコにしたのか。
38415-9:02/06/03 20:57 ID:???
<惣流>

あれから一月弱。
最初は何が起こったのか分からなかった。
入院中に受けたミサトからの説明では、シンジの初号機の暴走により、虚数
空間から実存宇宙への特異点の発生、それによる使徒の内部崩壊が起こった
らしい。
「…それって、使徒が内面に抱えていた一つの宇宙が、初号機の力で崩壊した
って事?」
「確かリツコはそれらしい事、言ってたわね」

そして、シンジは初号機に溶けてしまった。
私は全てを頭の中から追い出して、必死に訓練やテストに励んだ。
少しでも、みんなに認めて貰える様に。
…それなのに、それなのにッ!
あのお人形のファーストにすら、シンクロ率を抜かれてしまった。

そして、初めての生理。
遅いほうでも、早いほうでも無い。
正に、偏差的には標準そのもの。
でも、頭が痛い。
胸が悪い。
下腹が鈍痛に支配され、鉛のように重い。
糞ったれ…!
子供なんか、絶対にいらないのに。
赤飯。
38615-10:02/06/03 20:58 ID:???
それから暫くしてシンジのサルベージが無事、成功したとミサトから聞いた。
私はそれからは、家に一度も帰っていない。

何とは無しに、街を彷徨い歩いていた。
時々私に声をかけて来る、馬鹿男どもがいたのだが保安部員が彼等をどこかへ
と連れて行く。
ふん…。
その時、携帯端末にリツコから連絡が入る。
「…黙って聞いて頂戴。今から、ガードを解除するわ。シンジくんとミサトと
アナタに真実を教えてあげる」

<赤木>

シンジくんとアスカが、黙って私の後をついて来る。
「やっぱり、此処で待っていたのね…ミサト」
セントラルドグマの入り口でミサトは腕組みし、壁に寄りかかりながら目を閉
じていた。
彼女は顎をドアにしゃくりながら、促す。
「ごたくは良いわ。さ、見せて貰おうじゃないの。真実をね」
38715-11:02/06/03 20:58 ID:???
──人工進化研究所・ARTIFICIAL EVOLUTION LABORATORY──
放棄されて久しい、この区画。

シンジくんが呟く。
「まるで…綾波の部屋だ」
「そう。此処は綾波レイが生まれ育った場所。彼女の潜在意識、空気と水は此
処のイメージが強いのね」
アスカは嫌悪の表情を浮かべ、吐き捨てるかのように言う。
「お人形にぴったりの良い部屋じゃない。一生ここに居れば良かったのよ…」
「そんな…そんな事…」と、シンジ君。
そうして、二人とも押し黙ってしまう。
私はミサトが突きつけている拳銃の感触を感じながら、本音を吐露する。
「アスカの言う通りよ、シンジくん。あの…化け物は本来作るべきでは無かっ
たのよ」
ミサトは更に強く銃を突き付けて「何言ってんのよ…あんた…!」と、怒りを
湛えていた。
「そうねミサト。私が見せたいものはこんなモノでは無いから」
38815-12:02/06/03 20:59 ID:???
後ろでアスカが息を呑む。
「な…ッ! 何なのよ…これ!?」
馬鹿な子。
貴女もシンジくんも…これから完全に壊してあげる。
それと…ドイツ経由で送った資料…後は、ゼーレが全てを執り行う予定だ。
「ただのゴミ捨て場よ。失敗作のね。本当に覚えていない…シンジくん? 貴方
も居たのよ。お母さんが消える瞬間此処にね」
「リツコ…!」
ミサト…貴女も馬鹿なのよ。
父を求めて、結局は加持くんを失った。
でも、一番の大馬鹿者は私。
口元を手で押さえ、屈み込んでいるアスカの肩に優しく手を置き「生理3日目だか
ら、辛い…?」と私。
アスカはきっと、私を睨みつけ肩に置かれた私の手を振り払う。
38915-13:02/06/03 21:01 ID:???
<碇>

目まぐるしく、よって立つ現実が捻じ曲がり、変質して行く。
綾波…作られた…?
エヴァの墓場…母さん…?
俺の隣にアスカの息づかいと温かみを感じる。
でも、触れる事は出来ない。
話し掛ける事すら…適わない。
ミサトさんは厳しい表情を崩さず、リツコさんに銃を突きつけながら、更にドグマ
の奥へと俺達は向っていた。

そうして暗闇の中、ぽっかりと浮かんでいる脳のような形をした物体に辿り付く。
ピッ。
電子音と伴に、正面が淡い橙色の光に満たされる。
その揺らぐ光の先には…。
「綾波…レイ?」
頬が引き攣り、目尻がぴくぴくと痙攣する。
何なんだよ…何なんだよ…これは……!
隣のアスカの声も震えている。
「…ま、まさか本当にお人形だったとはね。ふ、ふん。とんだお笑い草だわ…。リ
ツコ…これはクローンなのね?」
「ダミープラグの生産部品。ただのモノ。みんな、サルベージされたモノだけれど、
魂はあの子にしか宿らなかった…」
綾波と出会い、そうして得た来た絆。
触れると儚く消える、見た事はない雪という物に似ている。
…ほら、やっぱり…もう、駄目なんだ。
39015-14:02/06/03 21:02 ID:???
<惣流>

人形は嫌。人形は嫌。人形は嫌。
ファーストはやっぱり、お人形だった。
嫌だ。
自分が沢山いるだなんて、考えるのも嫌だ。
リツコは嘲笑いながら、熱っぽい視線を私に向けている。
「あら? あまり驚かなかったようね…アスカ。でも、これならどうかしら」
ピッ。
次は右側から橙色の光が溢れ出る。
そこには…。
そこには……。
そこには………。

ワタシガタクサン浮いている。
喉の奥から、擦れた言葉にならない呻きのような吐息が漏れ出る。
体全体が激しく震え、膝が砕けた。
冷たい床に崩れ落ちながら、私は私のココロも崩れ落ちていくのを感じている。
首をいやいやしながら、耳を塞ぎ、目を堅く閉じて現実から自らの中へと必死に
逃避する。
「……ぁ…マ…マぁ……。あああ……コンナノ…嫌ぁーぁぁぁっツ!!!」
39115-15:02/06/03 21:02 ID:???
現実は容赦なく、私のココロを陵辱して行く。
「リツコ…これは一体……?!」
「惣流・アスカ・ラングレーはね。二人目なの。アスカも覚えていないかしら?貴女、
ドイツを出てからの記憶が無いでしょう…?」
もう、いい。
黙れ。
「チルドレンはね、全員記憶と体のバックアップを用意しているのよ。エヴァを騙す
には、あなた達のカラダとココロが必要だから」
ウルサイ。
黙れ。
「…アスカ、貴女はね。日本に来る際の使徒との遭遇戦。即ち、初陣で死んだのよ。
そうして、ドイツから搬送されたからっぽのカラダに、私が魂を入れて作り上げたの
が…貴女」
黙れ。黙れ。黙れ。黙れ黙れ黙れ…っ!
…どいつもこいつも、私を…この私をモノ扱いしやがってッ!
オマエラが利用する為の、人形じゃない! 私はぁぁぁっ!
だから、ママもキライ。
みんな、みんなキライだ。
……殺してやる……
頑張れ頑張れ。もう少しでがす。
最近山場ですね。
心理描写エヴァ。ってジャンルがあるなら合格点でしょう(えらそうに>俺)
以前にも書いたのですが、特定のキャラへの愛情も憎悪も
込めて書いてはいないのですが、ストーリーの関係上不幸
になったとしても、それは決してヘイトではありませんの
で、責めないで下さいませ…。

後、レスを頂くととても嬉しいです。
指摘でも批評でも何なり、是非お願いします!

>382
大体の落し所は考えてあるのですが、
書く時間が…。

>383
リツコたんはアンチヒロインとして、大好きですから。
あの暗い陰が好きです。
と、一応フォロ。

>385
確かに。
赤パン
39415-16:02/06/04 20:18 ID:???
<赤木>

「アンタ、自分が何をやっているのか分かってるの!?」
ミサト。
貴女だって、本当は自分が何を望んでいるのか分かっているのかしら。
「ええ。でも、これで喜劇は終わりにしましょう」
ピッ。
左側面の水槽に浮かぶモノを、曝す。
良く見て頂戴。
あの人とあの女の息子…碇シンジくん。

「これは…シンジ君?!」
「そう。でもそれだけじゃないのよ。彼も…アスカと同じ、二人目なのよ…」
シンジくんは、紙のように顔面を蒼白にし、頬を引き攣らせながら、虚ろな瞳の中に、
自分自身やアスカやレイの培養体を映し込んでいる。
アスカは床に這い蹲り、頭を抱えて小動物のようにその細い肩を細かく震わせていた。
ミサトは銃をがちゃりと震わせる。「もう…止めなさい。リツコ…」
「覚えているでしょう? シンジくん、ミサト。第五使徒ラミエルの加粒子砲の直撃。
その時、死んだのよ…シンジくん、貴方は」
ぶざまね。
私は。
結局、自分の絶望を他人に分け与えているに過ぎない。
でも、止められない。
所詮、理性なんて…大脳新皮質の儚い足掻きだから。
39515-17:02/06/04 20:19 ID:???
「当然、この事は碇司令も了承済み。…あの人は他人の事なんてどうでも良いのよ…。
自分の息子すら自らのエゴの対象でしかないから」
ミサトは私の頬を打つ。
「それはアンタも同じでしょ…! 赤木博士…」
「ええ…! でも、私はあの人の為にどんな事でもやったわ! それが禁忌に触れよう
が、人の道を外れようがっ!」
虚しさと寂しさが絶望を生み、胸を熱く、涙腺を緩ませる。
「でも、私は負けた。此処に沢山浮いているモノにすら…! あの人に取って私はモノ
以下だったのよ…!」
私はその場で、膝と両手を床に付き、泣きじゃくる。
操作端末は音を立てて床に転がり落ちた。
胸が熱く、目頭からは涙が溢れ続ける。
……母さん。……お祖母ちゃん、……そして、死に場所を求めて消えたアノ子。
懐かしい顔が脳裏を過り、その瞬間私の意識は永遠の闇へと消えて行った。
 
39615-18:02/06/04 20:19 ID:???
<葛城>

それは、まさに一瞬の出来事だった。
リツコの狂った独白、この私達の周囲一面に浮いている…シンジ君達、チルドレンの異
様な光景。
私自身も、正気と狂気と狭間に揺れていた。
床に両手を付き、幼子のように泣きじゃくるリツコの肩に触れようとした瞬間。

アスカが私の手から拳銃を奪い取り、私達に背中を向けているリツコの頭部に、何発も
何発も執拗に銃弾を叩き込む。

バぁーン! パンッ! パン! パァン! パァァン! パンッ!

乾いた音が、ターミナルドグマに木霊し、消えて行った。
リツコ……私の旧友でもありエヴァシリーズ開発の功労者でもあった女性の頭部は、潰
れたトマトのようにべったりと弾けた。
脳髄や頭骨の欠片…脱色した彼女の髪の毛や血糊が床一面にぶちまけられる。
39715-19:02/06/04 20:20 ID:???
全ては、モノクロの映画の中で起こったかのような、この非現実感。
でも、その血の匂いが私に現実を伝える。
「…う…っぐ」
私は嘔吐した。
そうして、口の周りの吐瀉物を袖で拭いながら、全身全霊の意思を込めて、震える声を
絞り出す。
「…ぁ、アスカ…どうして………」
私の声など無いかのように、アスカはリツコが落とした操作端末を拾い上げ、二三ボタ
ンを操作する。
ごぼごぼごぼ…。
ゆっくりと、水槽の中のシンジ君が、アスカが、レイがそのヒトとしての形を失い、崩
れて行く。
ゆらゆらとLCLに揺れる、チルドレンの髪…そして、内臓や肉片。

私は深く息を吸い、ゆっくりとアスカに向い手を差し出す。
「アスカ。お願い、まず銃をこっちに…」
アスカはその蒼い双眸を見開き、睫毛を戦慄かせている。
その瞳は何も映してはいなかった。
彼女の手から銃を受け取り、私はアスカを抱きすくめる。
あーあ。
リツコファンショック。
399398:02/06/04 20:29 ID:???
デモ(・∀・)イイ!!
あの時シンジ君はミサトさんに殺されてたのか。
4011:02/06/04 20:49 ID:???
>392
及第点サンクス。
確かに山場ですね。

>398
すまそ。
リツコたんは、いやエヴァキャラはやはり悲劇が良く
似合うような感がしますです。

>400
ラミエルの攻撃でアポーンしました。
一応、その後のゲンドウのセリフが伏線になってます。
リツコサン好きなんだけど・・・完結させたら、特別に許そう。
うっきゃー!!
久々に背筋にくるぜ。
こんなとこで佳作にであえるとはおもわなかったぜ。
描写がエグ…
モノ食いながら読むんじゃなかっった。
イイ!もっと猿と牛を(以下略
40615-20:02/06/05 19:14 ID:???
<碇>

バぁーン! パンッ! パン! パァン! パァァン! パンッ!

銃声が轟く度に、自身の肩を抱きながら身を竦まる。
もう嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だっっッ!!
でも…でも、やっぱり死ぬのも嫌だ…。
ヒトの死体を始めて見た。
さっきまで、生きて動いて話していたのに…血を撒き散らして死んでいる。
…俺が今まで考えていた¨死¨とは違った、肉体を伴った形の死。
考えていた¨死¨とは違って、圧倒的な生々しさが伴っている。
「ぅ…っ」
そうして、ミサトさんのように俺も床によつばいになり、嘔吐していた。

頭の中は混乱し、酔ったかのように視点が定まらず、ぼぅっとする。
「ぁぁぁぁぁあああ!!」
意味も無く喚か無いと、耐えられない。
…アスカが怖い。
もう、アスカを見る事すら出来ずに、アスカとミサトさんから背を向けて走り去ろ
うとした瞬間。
「シンジ君、待ちなさいッ! …ごめんね。結局、私はあなた方を家族にする事も、
幸せにする事も出来なかった…でも……でもね…」
ミサトさんの言葉は、最後の語尾は涙で掠れて聞き取れない。
俺は、アスカ達に背を向けたままその場でしゃがみ込んでしまう。
視界の隅では、俺達がばらばらになって、LCLをゆらゆらと漂い、まるでその手はお
いでおいでをしているかのように、揺れていた。
40715-21:02/06/05 19:15 ID:???
<冬月>

第三新東京市政庁上空に、使徒が定点回転を続けていた。
「光学及び各種センサー群観測所は何をしていた」
「それが…副指令。MAGIによるタイムレコードを遡っての分析によると、使徒は衛
星軌道上に突如出現し、そのまま大気圏を降下して、直接この第三新東京に舞い降
りた模様です」
正に、天使かね。
「葛城三佐及び赤木博士、セカンドとサードのチルドレンはどうした」
「現在、諜報部が全力を尽くして捜索中ですが、以前補足出来ません」
やれやれ、内憂外患か。
まったく、俺にはこのような役柄は似合わんのだがね…碇。
俺は碇が発令所に到着した所を捕まえた。

「報告は受けた。零号機と五号機での殲滅しかあるまい」
俺は碇の言葉に口を挟む。
…これも、私の数少ない仕事の内さね。
「だが、今のこの局面でユダを使うのは得策ではあるまい。レイに単独で出撃させて
はどうだ?」
碇は「それは出来ない」と言うだけで、後は沈黙あるのみ。
レイは未だお前の希望であり、俺の絶望の産物でもある。
やはり、忘れる事は出来んか。
……ユイ君。
俺は本当にこれで良かったのかな。
40815-22:02/06/05 19:15 ID:???
<綾波>

あれから、碇君には数回会った。
本部では無く、病院で。
碇君は本部にも、学校にも来ない。
アスカは学校には来ない。
何故?
二人がいるべき場所で、二人が居ないと何だか良くない。
司令の部屋には、もう行かない。
私の部屋には誰も来ない。

「…葛城三佐不在の為、今回も私が指揮を取る。レイとフィフスは敵の状況を窺いつ
つ、出来るだけ遠距離戦で敵を殲滅しろ。以上だ」
やはり、司令は碇君では無く、碇君は司令では無いから。
高層ビルに巻き付いている、光の紐。
いつか読んだ、¨世界神話大全・形而下に置ける霊的存在の章¨の挿絵。
天使の輪に似ていた。

貴方は誰?
何故、此処に来るの?
どうして、ヒトを傷つけるの?
その時。
「やはり、君は優しいね…レイさん」
「わからない」
モニタから微笑む彼は…心地よい。
「僕達は両立する事が出来ない。でも、君ならばあるいは…」
「来るわ」
「そのようだね」
いえい。オウエソさげ
41015-23:02/06/06 20:28 ID:???
<渚>

突然、彼は形態を変えて、僕達に迫る。
やはり彼は、僕をアダムへと到る一番の障害と判断したようだ。
僕はもう、アダムに還るつもりは無い事を伝えるすべは無く。
リリンの言葉、そして歌。
不完全な群体としてのリリンが生み出した、最高の文化だ。
そう、こういうとき、僕達は歌を歌うことすら出来ないのだから。

五号機は天を駆ける事が出来る。
僕は、飛行のためのシステムを起動させる。

──OPERATION FLY SYSTEM Ver0.89──

背中から白い翼を生やして、ビルの合間を縫いながら彼との一時的接触を避けていく。
一神教のモチーフを用いての、彼等の忌むべき存在であるアダムからの五号機。
悲しいほどにリリンの事を僕は理解出来ない。
さて。
気が付くと、僕は歌を口ずさんでいた。
綾波レイが不思議そうに尋ねる。
「それ、何?」
「ベートーベンの交響曲第9番第四楽章、歌だよ」
「歌? あ、そこッ!」
彼女が僕に迫っていた、彼をバレットライフルで地上から牽制する。
「合唱だよ。レイさんも歌わないかい」
「私、歌…知らないから。ぅ…くっ!」
彼は僕を追い回しながらも、逆方向から彼女を襲撃したようだ。
41115-24:02/06/06 20:29 ID:???
僕は、彼の追撃をかわしながら綾波レイの腹部を貫通している彼を、攻撃する。
ごめんね。
彼の痛み、寂しさ…虚しさが伝わる。
リリンを滅ぼしてまで…お互いを拒絶してまでもアダムへと到らなくてはならない、僕達
の虚しさ。
リリンと何ら変わりなく、全ては¨GOD'IN HIS HEAVEN.RIGHT WITH THE WORLD.¨神は天に
いませり。世は全て事も無し。か…。
「……ぁ…ぅぁ。ぅぅ…あ」
苦しげな、綾波レイの呻き声が聞こえる。
僕は、彼の痛みの叫びを無視し、プログナイフを彼に向け振るう。

……幾万幾億の夜を経ても、僕達は同じ事をただ、繰り返している。
破滅と再生。
死と新生。
でも、今回は違う。
幾星霜の時を経て、歴史のウロボロスから、僕達シトもシンジくん達ヒトも解放されるべ
きだ。
41215-25:02/06/06 20:29 ID:???
<綾波>

シトの心を感じる。
そう…私と同じ心を。
侵食率は20%を超えている。
どこまでが彼で、どこまでが私?
渚くんを追うのを止め、第三新東京の地下へと。
ジオフロントへとシトは向って行く。
これは多分、碇くんと一つになりたい私の心。
駄目。

「これで死ぬかもしれないね」
「どうしてそういうことを言うの?」

「あなたは死なないわ」
「私が守るもの」

昔の事を想いだす事は少ない。
でも、覚えている…碇くんとの約束。
碇くんは私を守ってくれた。
私を選んでくれたから。
41315-26:02/06/06 20:31 ID:???
「何をやっている…!? レイ! こちらから停止信号を送れ…早く、今すぐにだ!」
司令の顔、声、匂い。
かっては心地よかったモノ。
でも、もういらない。
司令の眼鏡よりも、みんなで写した写真が好きだから…好き?
好き…?
そう、これが好きという言葉の意味。
「駄目です。こちらからの停止信号は受付ません!」 
「くっ…。レイ、馬鹿な真似は止せ!」

碇くんの顔、声、匂いが好きだから。
駄目。
………?
胸がもやもやする。
「これが涙?」
LCLを漂う球状の珠。
私の目からぽろぽろと零れて漂う。
「泣いているのは…私?」
寂しいのも私。
41415-27:02/06/06 20:31 ID:???
彼等シトの虚しさと、寂しさ。
私達ヒトの虚しさと、寂しさ。
そして私の虚しさと、寂しさ。
同じだった。
ようやく、好きと事。
そして、一人は寂しいと言う事を知った。
全てが白い閃光に包まれる刹那…碇くんやアスカ、渚くんや鈴原君やみんなの顔が過
って…。

──ただいま──

──おかえりなさい── 
うっぎゃー!。予想されたとはいえ、すげぇ展開。
で、オウエソさげ
ついにレイ炭
4171:02/06/06 21:40 ID:???
週末には根を入れます。
上手く行けば、今週中に終れるかなぁ。

>402
すまそ。
頑張ります。
>403
ありがたいお言葉です…はい。
まぁ、2ちゃんは一番垣根が低いですからね。
>404
私も劇場版で胸が悪くなりました。
アスカたんの…脳みそ弐号機。
>405
何でミサトは牛なのかなぁ。
>409
毎度、すみませんねぇ。
>415
またまた、どうも。
>416
さて、貞元版はどうなりますか。
ようやく終る目処が立ちました!
何とか、今晩中に仕上げて、明日には少しずつアプしたい
です!
待ってるよ。
42015-28:02/06/08 02:29 ID:???
<葛城>

「どうやら終ったようね…」
私は身動き一つしないアスカをしっかりと抱きとめながら、轟音と振動で先ほどまで、
ぱらぱらと建材の欠片が降り注いでいた天井に顔を上げて呟く。
……私は、自分自身の業を使徒にぶつける為の手段として、このNERVに入った。
だけれども、今は全てが虚しく感じる。
誰一人として、幸福になる事が出来なかった。
彼等は…シンジくん達だけは、私が守って行こうと思っていた。
「…そして、これがその結果ね……」
私の呟きも、アスカの虚ろなココロには小波一つ立てる事が出来ない。
そして、私も彼等も一番大切なモノを失った。
「……加持くん…」
もう、後悔はしたくない。
私はアスカを…彼等を守る。
胸に掛かる十字架を強く強く握り締める。
この中には、加持くんが残してくれたチップ…彼のココロも納められているから。
42115-29 :02/06/08 02:30 ID:???
「シンジくん。リツコの事は全て私が独断で行ったという事で…いいわね?」
彼は俯きながら、何かぶつぶつと呟いている。
「……もう嫌だ…もう嫌だ……助けてカヲルくん…カヲルくん…助けて……」
何も言えない…。
でも今は、少なくとも今は泣く時ではないから。
シンジくんの両肩を掴み揺さぶりながら「…いい、シンジくん。自分に取って都合の
良い他人。それは本当の意味での大切なヒトでは無いの。辛いのは分かる…でも」
シンジくんはその場でしゃがみ込み、涙まじりに「ごめん…ごめんなさい。許して。
僕をどうか許して下さい…」と。
「全てが終るまでは…私達は泣く事すら許されてはいないのよ…」
私の呟きと、シンジくんの嗚咽だけが虚ろに木霊していた。
42215-30:02/06/08 02:30 ID:???
<碇>

…怖い。
ミサトさんも、アスカも、綾波も…そして自分自身もみんなみんな怖いんだ。
ねぇ? どうして僕を産んだの…母さん?
父さんは僕の事なんてこれっぽっちも考えていなかった。
自分の為のただの道具。
他人はみんな、自分勝手に自分の事だけをこっちに押し付けて、僕の事なんて、
何も考えてくれない。
どうしてだよ! どうして僕ばかり責められなきゃならないんだ!
アスカの…。
アスカの…その瞳は無言で僕を糾弾している。

どうして私を助けてくれないの?
どうして私を見てくれないの?
どうして私を見捨てたの?
どうして私を……。
42315-31:02/06/08 02:31 ID:???
だって、怖いんだ。
僕だって二人目だ。
最初の僕は消えて無くなってしまった。
今の僕は、最初の僕の偽者だったんだ。
アスカも…綾波も。
何故生きているのか、何故此処にいるのか分からない。
それなのに、ミサトさんもアスカも僕を責める。
だから…助けて、カヲルくん。
もう、僕には君しかいないんだ。
でも、本当は知っている。
それは見せかけの…キボウ。
42416-1:02/06/08 02:32 ID:???
<ゲンドウ>

「何故、査問会に掛けられているかは君自身が一番良く分かっているはずだ」
「左様。第三新東京市の消滅。並びに、ジオフロントの露呈。更に、君が我等のアダム
再生計画への妨害工作を弄していた事も、全ては白日に曝されておるのだよ」
…老人どもを甘く見過ぎたか…。
だが、もう遅い。
約束の時が来た。
「…そのような事実はありません。しかし、零号機の自爆によって、貴方がたの大切な最
後の使者が失われずにすんだのも又、事実です」
「それは結果論だろう…碇。そして、君も又彼を、必要としていた。それだけの事だ」
そこまで、ご存知でしたか…キール議長。
しかし…ターミナルドグマのリリスの消滅…これは知るまい。
…俺は臆病者だ。
だからこそ、セカンドインパクトの地獄を乗り越え、神への長い道を歩んできたのだ。
犠牲も大きかった。
…ユイ。
…シンジ。
42516-2:02/06/08 02:33 ID:???
老人どもの先にあるものは未来ではない。
死そのものだ。
そのような者どもに邪魔はさせない。

「君は神を屠る事が本当に出来るとでも思っているのかね?」
「愚かな…。我等に出来る事は神に膝を折、頭を垂れてその慈悲を請うのみ」
「原罪の時より、幾度も繰り返すこの世界」
「今回こそ、今回こそは我等が手により贖罪を行い、世界を正当なる白き月よりのア
ダムに」
「そうして、我等は輪廻の苦しみから解脱し、永遠の無へと還る事が出来る」
「その道は、長くそして険しかった…だが、今ようやく」
人は神を屠り、白き月からのアダム…そして、その末裔たる使徒を全て殲滅する事に
によってのみ、未来を得る事が出来る。
無への回帰など、近代のパラダイムの袋小路に過ぎない…。
「死は何も生みませんよ」

「死は君たちに与えよう」
「だが、君たちもそれにより救われる」
「そうして、白き月よりのアダムの穢れを払い、それをもって禊とし、我等が黒き月
よりのヒトが犯しし罪を寛恕願う」
42616-3:02/06/08 02:34 ID:???
そして、全てのモノリスが…ふっと、風に吹かれた儚い灯火のように消えた。
「やれやれ、やはり最後の敵は同じニンゲンだったか…」
それはどうですかな…冬月センセイ。
「葛城三佐の件はどうなった…?」
冬月は、ゆらりと首を振りながら。
「…現在は諜報部の尋問の後、保安部に身柄を略式的に拘束されているがね。しかし
…」
そこで一息つき言葉を紡ぐ。
「どちらにしても、彼女は釈放せざるを得まい? この時点での拘束などナンセンス
だからな…」
「ああ…」
冬月は何かを思い出しているかのように、天井を見遣りながら。
「しかし…リリスがね…。これも彼女の意思かな……」
「………」
42716-4:02/06/08 02:35 ID:???
<碇>

あれからアスカは人形になってしまった。
口も利かず、身動き一つしない。
僕も一層の事、人形になりたい。
そうしてようやく気が付いた。
はは…。
ココロの一人称も¨俺¨から¨僕¨にいつのまにか変わってしまった。
馬鹿みたいだ…。
ミサトさんも居ない。
アスカも居ない。
一緒に暮らしていた人たちはみんな、僕の手の届かない所へと行ってしまった。
僕にはもう、帰る場所はどこにも無い。
だから、残されたカラッポのマンションで一人、幾日も幾日もチェロを弾き続ける。

ベランダから山間に消えていく、夕日が良く見える。
少しだけ目を細めながら、僕たちが守ってきた街を…その廃墟を見詰める。
結局、学校のみんなも…ケンスケも委員長もセンセイもみんなみんな…死んでしま
った。
…何だったのだろう。
此処に来て、僕がやってきた事は。
零れ落ちる砂を掌で掬うかのように、サラサラと全ては零れ落ちていった。
…自分自身すら。
42816-5:02/06/08 02:36 ID:???
ぴぃんぽーん。

呼び鈴の音。
呼び鈴…?
「…ぁの…? NERVの方ですか…?」
懐かしい、とても懐かしい声。
「僕だよ…渚カヲルだよ。シンジくん」
急いで、鍵を外してドアを開けると。
「…あ、綾波……」
カヲルくんの後ろには、綾波が佇んでいた。
綾波は僕に微笑みかけている。
落日の最後の光が、僕たち三人を赤く赤く染め上げる。

「私、来ないほうが良かった?」
「…そ、そんな事……」
いつもの綾波のぼそぼそとした話し方。
でも、何か違うような気がする。
…綾波の瞳は黒では無かったから。
そして…彼女はこんなにも優しく微笑む事はまれだったから。
そうして、カヲルくんと綾波を部屋に招き入れる。
そういえば…此処をヒトが尋ねるのは何ヶ月ぶりだろう…。
カヲルくんはテーブルに置いてあった僕のチェロを眺めてから、ふっと、
その弦とチェロを手にとり演奏する。
¨ムーンライトセレナーデ¨
42916-6:02/06/08 02:37 ID:???
「カヲルくんも…チェロ弾けたんだね…」
返答は言葉ではなく、チェロからの音色が答えていた。
そのまま…演奏を続けながら、突然。
「ねぇ…シンジくん。僕たちの事、好きかい?」
微笑みと共に。
「…ぇ…? ぅ…うん」
気恥ずかしい…言葉。
でも僕はもう、どうする事も出来ないんだ…。
ヒトを好きになるなんて…そんな事。
「…なら、お願い。ただの魂のイレモノであるカラダに捕らわれないで」
かすかに小首を傾げながら、僕を見詰める綾波。
綾波…?
「…少なくとも、僕はシンジくん。君達と同じさ…。レイさんは違うけどね」
綾波は首を横に振り、カヲルくんの言葉を軽く否定する。
「違わない。だって、今の私のココロは…彼女がくれたものだから」
「……! カヲルくん…? ぁ…綾波…? 何を言っているのかわからないよ…」
「君の事は何だって知っているさ。ね…レイさん」
綾波が静かにこくりと頷く。
カヲルくん達は一体、何なのだろう。
でも、彼等が好き…その事は本当だから。
そうして…。
「碇くん。私、碇くんの知っている綾波レイでは無いの」
「僕の知っている綾波…じゃないって…そんなの分かんないよ…」
カヲルくんは演奏を中断し、チェロをテーブルに置く。
「彼女は…綾波レイだよ。そして…リリスでもあるのさ」
43016-7:02/06/08 03:02 ID:???
<惣流>

……も…う………嫌……

………マ……マ…………

「アスカさん、お久しぶり」
「……お邪魔します」
「…………」

「言葉を紡がないと何も始まらない…さあ、勇気を出して」
「碇くん。お願い…逃げないで。自分から…なにより彼女から」

私は夢を見ている。
今は失われた…日常の夢を。

「……ぁ、アスカ………僕は…僕は……」
「頑張って碇くん」
「…でも、僕は駄目なんだ…。いつも、逃げてごまかして…そして臆病でそれに
自分の事しか考える事が出来なくて…」
「そんな事はないさ。なら、君の目から溢れるその涙はなんだい?」

温かい…雨。
温もりの雨。
43116-8:02/06/08 03:03 ID:???
「聞いたんだ…カヲルくんから…綾波から……シトの事、ヒトの事…そして、
父さんや神様の事を……。ねぇアスカ…お願い。元気になって、そして又僕を馬
鹿にしてよ…!」

小さい頃、ママと遊園地に行った。
その時に乗った回転木馬。
その時と同じように、私の身体が何かに揺さぶられて揺れている。

「もう、僕は…誰も失いたくない。アスカも…ミサトさんも…みんなみんな…。
もう…僕の周りから人が居なくなるのは嫌なんだ…。だから…だから…もう一
度エヴァに乗って、そして…そして…エヴァに乗っていた僕たち自身と…さよなら
しようよ…」

「僕たちシトは残酷な天使のテーゼを幾度幾度も演じ、その度にヒトはサードイン
パクト…自らを閉ざし、そして死と新生を繰り返して来た。でも、終りにしよう。
僕たちシトとヒトに課せられた運命をね」

「私達は知っていた。でも、逃げていたの…その繰り返される運命から。ヒトは私
達から知恵の実を盗んだ十八番目のシト。でも、もういいの。知ったから。ヒトの
知恵が生み出したココロ、そしてシンジくんとアスカ…そしてみんなの事を」
43216-9:02/06/08 03:04 ID:???
懐かしくもあり、厭わしくもある…声が聞こえる。
…もう、私は戻ってはいけないの。

「ねぇ…アスカッ! 起きて…起きてよ…っ! お願い……お願い…だから、ねぇ…」

声が告げている内容は理解出来る。
でも、もうこの世界には私の居場所は何処にも無い。
私が存在している意味も無く…私を必要としてくれる人は誰も居ない。
…………いない?
「…僕だって、トウジを殺した人殺しだ。僕はアスカが人殺しだろうと、クローンだろ
うとどうだっていい…」

私の頬を伝う液体と共に、唇に触れる温かい感触を感じた。
……シンジ。
あの時…私も初めてだったのよ…。

「ねぇ…アスカ…。また、今までのように僕の側にいて僕を…僕を……馬鹿にしてよ!!」

……………。
ま、シンジの奴がここまで言えたんだ。
私にだって…出来ないはずが無い。
やってやろうじゃないのよ…私を…私達を利用した奴等をみんな殺してやる…。
私の胸に泣き縋っているシンジに向け、ゆっくりと瞼を開きながら。

「…いつまで抱きついてるのよ…気持ち悪い。……この…馬鹿シンジ」
43316-10:02/06/08 03:05 ID:???
<葛城>

「こちらです…葛城三佐」
まだ、階級を剥奪されていないからか…或いは正式な決定が下っていないのか、こわ
もての保安諜報部員の態度は丁重だった。
監禁室に入る前に「…悪いけど、端末を貸してくれない?」と、彼等に請う。
「特に問題はありません。ただ、外部との連絡は出来ない仕様ですのでそのおつもり
で願います」
そう…何も問題は無い。
私には…加持くんが残してくれたこのチップがあるから。

その後、形式的な取調べが行われるだけで、私の身柄は宙ぶらりんになっている。
最初の尋問の場で。
「…ところで、アスカとシンジくんはどうしているの?」
一尉の襟章を付けた、この場の責任者らしき男が答えた。
「セカンドチルドレンは1週間ほどの入院の後に、今は退院して今は碇司令の息子さ
んと三佐のマンションで暮らしているよ」
そこで、この眉間に深くしわを刻んだ男は呟く。
「…正直、司令の為さる事は私には理解出来ん。監視は付けているが、チルドレンを
放置とは。ファーストやフィフスがロストするたびに責められるのは我々なのだがね…」
…アスカが…あれから……。
少しだけ、心の荷が下りたような気がした。

私も、やれる事だけはやらなくてはならない。
彼等の為にも、いや自分自身の為に。
そして、取調べの間を縫って、幾日も幾日も加持くんからのメッセージを解読し、読み
ふけった。
そうして、おぼろげな輪郭を理解した。
…結局、誰もが悲しく哀れな存在だった。
神…と呼ばれる¨何か¨に踊らされて…皆、苦しみの輪廻からの解放を望んでいる。
「…やっぱりアンタが一番馬鹿よ…リツコ」
私はこの時初めて彼女の為に泣いた。
43416-11:02/06/08 03:06 ID:???
<碇>

アスカが昨日退院した。
またいつものように何気ない、そして…とても大切な日常が流れて行く。
アスカとはあの、ターミナルドグマの奥で起こった事は何も話してはいない。
決して忘れる事も、認める事も出来ない事。
だから、その痛みから目を背け耳を塞ぎながら、それに背を向けて穏やかな日常を営ん
で行く。

だけれども……やはり、アスカも僕も決して癒える事のない傷を抱えている事には何ら
変わりは無く。
夕飯の後始末をしながら、ふと先ほどまでの事を思い浮かべる。
アスカはリビングの食卓の椅子に座り、テレビを見ている。
こちらに背を向けていて…その表情は窺い知る事は出来ないけれど。
そう、ついさっきまではカヲルくんも綾波もそこに座っていた。

お茶を沸かし、四人分用意してから僕もテーブルに付く。
「…大体話しは分かったわ。アンタ達が言いたい事は、まず第一に魂は繰り返しており、
肉体は所詮仮初の器と言う事。そして、第二にその魂の繰り返しは神と呼ばれる¨何者
か¨によって意図的に引き起こされているって事ね」
43516-12:02/06/08 03:07 ID:???
綾波はこくりと頷く。
そうして、ベランダに視線を向け、雲の切れ目から覗く黄色い三日月を見上げていた。
「まさかその¨何者か¨が本当に神とは言わないわよね?」
カヲルくんが「勿論。彼も僕たちと同じ…生物。でも、この星に彼が辿り付いた時…
リリンがファーストインパクトと呼ぶ原初の時より、この星の生命の進化は彼が綴って
いる」
アスカは…ぽっりと「…それを普通は神と呼ぶのよ」と呟く。
カヲルくんと綾波の話を理解する事は出来る。
でも、スケールが大きすぎて実感が湧かない。
今、僕の隣で両手で茶碗を抱えるように持ちながら、お茶を飲んでいる綾波が…前に一
度見た…地下の巨人とは信じられないし、カヲルくんがシトである事が信じられないように。

アスカは綾波の顔をじろじろと眺め「…瞳の色以外、ファーストと変わりないわね…。
でも…」と口ごもる。
綾波が「でも…何」と先を促し。
アスカはそっけない風を装いながら。
「でも…本当のファーストは死んじゃったのよね…。私は結局…いえ、何でもないわ」
「私は綾波レイ。だって、私には心が…魂がなかったもの。彼女の心は私の心だから」
そうして、制服の胸ポケットに優しく手を置く。
「アンタ…さっきから気になってたんだけど、そのポケットに何か入ってるの?」
綾波はアスカにはにかむ。
そうしてポケットからすぅと一枚のスナップ写真を取り出す。
取り出した写真を大切そうにテーブルに置いた。
43616-13:02/06/08 03:08 ID:???
──芦ノ湖へとみんなで出かけた時の集合写真──

アスカの表情はまるで今にも泣き出しそうな、幼子のように何だか頼りなさげだった
のを覚えている。
「……そっか。それなりに…楽しかったもんね、あの頃」
アスカがその写真を手に取り、搾り出すように呟く。
そんなアスカを綾波は優しい目で見詰めていた。

茶碗を洗い終えて、アスカの方を向くと何時の間にかテレビが消えていて、彼女もリ
ビングから居なくなっていた。
僕は「ねぇ…アスカ何処…?」と心細さを隠しながら彼女を求める。
アスカは僕に背中を向けてベランダから、雲の合間の月を見上げていた。
僕はそんな彼女の背中を見詰めながら、食卓の椅子に座る。
43716-14:02/06/08 03:08 ID:???
と、突然。
「…あの写真、懐かしかったわね……」
「…うん」
「結局、ヒカリもトウジもケンスケもみんなみんな…死じゃったわよね…」
「……うん」
「私達が守っていたこの街も無くなって……私は人を殺してしまったし」
「………」
「取り返しのつかない事だけが残って…何なんだろ」
「………」
「アンタね、さっきから相槌ばっかり! 少しは何とか言ったらどう!」
「………うん」
「アンタ……ね…」
アスカの細い肩は夜風に吹かれて、小さく震えている。
「ね。アスカ。もう寒いからベランダから上がったほうがいいよ」
僕に背を向けたまま、アスカは一言「うん」と呟き、声を押し殺して泣いていた。
僕は天井を見上げながら「生まれた理由も、生きて行く意味もまだなにも分からない
けど…でも、僕が知り合った人達…アスカ達が居るから生き行けるのかもしれない」

「この…馬鹿…シンジ…」

ぎこちない言葉。
ままごとのような日常の生活。
それらを紡ぎながら、僕達は必死に生きて行く。
僕達はNERVへと毎日通い、そうして此処に帰る日々を送って。
そして…夢の使者に呼ばれる朝が来る。
4381:02/06/08 03:11 ID:???
七割がた完成でした。
夜は書きやすくていいなぁ。

また、明日頑張ります。
43916-15:02/06/08 14:53 ID:???
<冬月>

「衛星からの画像をメインモニタに回せ」
オペレータの息を呑む音が聞こえる。
…ほう、綺麗なものだね。
光輝く、奇妙な鳥のような形状の使徒。
日本の遥か上空を、静止軌道から睥睨している。
その時。
「…そ、そんな…こんな時にっ!」
やれやれ、今度は何か。
「どうした」
「そ、それが…日本政府からA-801が発令されました…!」
特例による法的保護の破棄及び指揮権の日本政府への委譲…か。
まさか…この段階で先駆けを告げるとは。
私の左隣では、碇が含み笑いを浮かべている。
「…さて、委員会からのこの最後通告…どうするつもりかね?」
自らの右手を擦りながら「…これは前哨戦に過ぎん。冬月…葛城三佐を此処に呼べ」
と、俺に命る。
「チルドレンはどうするかね。もしや、これが終わりの始まりかもしれんな」
ふ…と、碇は厭な笑いを浮かべている。
「…レイは当然、待機させろ。サカンド、サードはエヴァにて待機。フィフスは別命
あるまで待機の事」
やはり…死海文書の預言どうり、繰り返す終焉の始まりか…。
…さて、碇。
お前は…ユイくんと共に我等閉塞したヒトの運命を解き放つ事が出来るかな。
44016-16:02/06/08 14:54 ID:???
<ローレンツ>

東方より救世主の先駆けを告げる星が瞬いている。
まさに2000年前、私の今は無き故国で救世主が現れ際、その星は現れたという。
そして…東方よりの三賢者カスパー、メルキオール、バルタザール。
道は長く、そして険しかった。
今、約束の時。

両親は私が幼子の折に、ダッハフの強制収容所で亡くなった。
そうした民族の苦難の末の、我等が故国の再建そして、セカンドインパクトの
際の新型爆弾の投下による消滅。
全てを動かす力を持ちながらも、全てを把握する事は出来ない。
その当時、国連監視委員会から提出された報告映像を思い出す。
セカンドインパクト後の地獄の現出。
家を失い、親を失い、子を失い、全てを失った人々の顔…顔…顔。
ビルのガラスが捻じ曲がり、コンクリートが砕けている。
土が硝子化し、ヒトの定住が可能な多くの土地が失われた。
しかし、アダムと言う…魂なき神の降臨を防ぐ為には、止むを得なかった。

ヒトの苦悩を全て取り払う為に、これから私は自らの手を更に血で染めようと
している。
44116-17 :02/06/08 14:56 ID:???
「…これよりは主の御名を…渚カヲルと命名させて頂きます」
アダムからサルベージされた多くの肉体。
そして、魂が宿りしは…彼、白き月よりの正統なる後継者。
主はこのような、醜くけがれた私にすら、微笑みを投げかけ恩寵を賜れた。
私の頬にその御手が優しく、触れる。
「リリン…。アナタはとても悲しい顔をしているね。どうしてなんだい?」
私は跪き、ひれ伏す。
「主よ…勿体ないお言葉です。我の事などどうでも宜しいのです。主へとこ
の世界を返還する約束の時が間近です。全ての不完全なる使徒が消滅した時、
その時こそ約束の時となるでしょう」
主の瞳は…優しさと悲しみが内包されていたのを覚えている…。

そこで、取り留めのない回想を振り払い。
「では、故事にならい東方よりの三賢者…MAGIシステムを遣わそう」
44216-18:02/06/08 14:57 ID:???
<葛城>

「葛城三佐。碇司令がお呼びです」
突然開かれた扉から漏れ出る光が、暗闇に慣れた私の目を刺激する。
目を細めながら、その開かれたドアへと向う。
「…これをどうぞ」
と、この前の一尉から没収されていた私の銃が手渡された。
「これは…どういう事?」
「お話は司令からどうぞ」
……お咎めなし…か。
リツコ、アンタはやっぱり死に損よ…。

そうして、久方ぶりの発令所…司令の眼前に私は立っている。
他のみんなの射すような視線が痛い。
特に…伊吹二尉の視線は殺意すら込められていた。
「葛城三佐。分かっていよう…? 君が此処に呼ばれた理由」
このメサイアコンプレックス…いえ、究極のマザコン野郎を睨みつける。
「…はい」
「…現時刻をもって、君に作戦指揮の全権を委ねる。以上だ」
やっぱり、最後の最後まで私を利用しようとするのね…でもいいわ。
乗ってやろうじゃないの。
44316-19 :02/06/08 14:59 ID:???
「シンジくん達はどうしているのでしょうか?」
「細かい話は冬月にで……」
その時、全てのモニタ画面が真っ赤に染まり…警報が鳴り響く。

「日向君…状況を!」
彼の気持ちを知っていながら…だからこそ、彼を利用する私。
「現在MAGIシステムはハッキングを受けています! 少なくともMAGI同タイプ5。
中国、ドイツ、米国、第二新東京からの侵入を確認しました!」
…こんな時、リツコが居たら…嫌、逆に彼女には任せる事は出来なかっただろう。
彼我戦力差は5対1。
さて…どうしますか。
頭で適わないのならば…力押しあるのみ。
「…現時刻を持って、本部のNAGIシステムの放棄及び物理的破壊を行います。作戦
遂行には閉じたシステムの旧世代電算機を使用します」
発令所を職員の驚愕の声が轟く。
…リツコ、そして赤木ナオコ博士。
これが門外漢に出来る、たった一つの冴えたやりかた。
ごめんなさい。
44416-20:02/06/08 15:00 ID:???
<碇>

先ほどから、エヴァのエントリープラグの中で待機している。
その心地よい暗闇の中で、僕は綾波とカヲルくんとの先ほどの会話をゆっくりと反芻
する。

けたたましい、緊急警報が鳴り響く中、僕とアスカは無言でロッカールームでプラグ
スーツに着替えていた。

沈黙。

カーテン越しにアスカへと声を掛ける。
「…ねぇ、アスカ」
「…何よ」
「…ぅ…うん。やっぱりまだ、使徒を倒さなくちゃならないのかな?」
ジーっ!
急にカーテンが開く音がし、アスカが真剣な面持ちで佇んでいた。
「ど、どうしたの?」
アスカは俯きながら、必死に言葉を探している風だった。

その時そっと、ドアをノックする音。

「シンジくん、アスカ。入ってもいい」
リリス…いや、綾波だ。
「馬鹿シンジがまだ裸だけど、入ってもいいわよ」
と、アスカが僕にいたずらっぽく微笑みながら、そう言う。
44516-21:02/06/08 15:02 ID:???
「シンジくん、アスカさん。僕達はお別れを言いに来たんだ」
綾波は首を振りながら「私はお別れじゃない…」と呟く。
カヲルくんは苦笑し、続ける。
「…今、此処に襲来中のシトが消えると…僕が最後の使者になる。そして、僕
の為のシシャ達が現れる。その時こそ…僕達シトと君達ヒトを縛り付けていた
運命に別れを告げよう」
アスカは何だか寂しそうな表情を浮かべながら、カヲルくんの話を真剣に聞い
ていた。
綾波はぽっりと「私も零号機で出るから」と俯きかげんで呟いた。
「ぇ…でも、綾波の零号機はもうないんじゃあ…」
少しだけ寂しそうに微笑みながら、僕の問いの答える綾波。
「…私の身体から、直に再生できるから」
……そっか。
でも、もう僕は拘らない…いや、どうだっていいんだ。
綾波は綾波だし、それは僕やアスカ、そしてカヲルくんにだって言えることだ
から。

「…ねぇ……シンジ」
アスカからの声で、ふと物思いから覚める。
音声モードでお互いの顔は見る事が出来ない。
「何…アスカ?」
耳に痛いほどの沈黙が何十秒か続いた後。
「………ありがとう」
44616-22:02/06/08 15:03 ID:???
<ローレンツ>

力に対しては、力で。
小賢しい不完全なる我等がヒト。
では、その力に対しては更なる力を持って抗しよう。
全てが終るまで、今ひとたび血を流さなければならない。
その歴史の終焉間際まで相争うが我等には似合いというものだろう。
出エジプト時の、赤子の大量殺戮…勅命者ヨシュアによる虐殺…キリストの血。
ポグロム…ゲットー…アウシュビッツ…。
やはり…我が民族…私がヒトの終わりを告げなくてはならない。

「…僕は主ではないよ。年老いたリリン。だって…ほら」
主はいと高き天を指差しながら。
「ほら。あれが¨神¨だよ」
吹き抜けの天井から、夜空が覗いており…月が煌煌と輝いていた。

しかし…具象化された¨神¨は…アダムからの正統なる後継者…主タブリスし
かおられないのです。
44716-23:02/06/08 15:05 ID:???
<惣流>

「ミサト…!」
「ミサトさんっ!」
私とシンジは異口同音に同じ言葉を口にした。
「はぁーい。元気してた…シンちゃん、アスカ。…ごめんなさい、心配かけて。
この作戦は私に指揮が任せられたから……」
そこで言葉を切り、ミサトの表情が硬くなる。
「……私は私なりの方法で色々な事を知ったわ。だから…これで全てに決着を
つけましょう!」
私はどうして今でも私でいられて、あまつさえエヴァに乗る事が出来るのか分
からない。
…でも、一つだけ。
シンジ達が居たから…私は、私の形を今でも保っていられる。
ミサトの事も、ファースト…レイの事も私は誤解していた。
いや、知ろうともしなかった。
自分だけしか見えなくて…今でもそうだけど、でも…少しは変われたような気
がするから。

「……分かっているわ、ミサト。そして…その後があったとしたら…私は私の
した事に自分自身で責任を取るから…。だからミサトには感謝してるわ」
シンジが情けない声で「そんな…アスカ…」と。
バーカ。
声が震えてるわよ…馬鹿シンジ。
「…アスカの意思は了解したわ。でも、今は…必ず生きて帰って!」
そっか…私が求めていたものは、こんなにも近くにあったのに。
でも、気づかないまま…終らなくて、本当に良かった。
さあもうすこし。がんばって。
44916-24:02/06/08 23:59 ID:???
<ゲンドウ>

光学観測施設が次々に、その信号をロストして行く。
「葛城三佐。状況はどうか」
急ごしらえの旧世代電算機に張り付いていた三佐は、私を睨みつけながら。
「…南のハブステーションからの映像を回します」
やはり…戦自の投入か。
冬月が私に耳打ちする。
「…碇。此処は俺達に任せて…お前は行った方が良い」
やはり、絶望と希望は同じ硬貨の裏表かもしれん。
だからこそ、ヒトはその硬貨の一面だけを見てその希望に縋る…。
「葛城三佐。フィフスの五号機に地下の槍を使わせろ。五号機は大気圏外活動
も想定済みだからな」
親の仇のように、彼女は執拗に私を睨みつけている。
「…それは私の判断です…碇司令」
「…そうか」
時は満ちたよ…ユイ。
今、行く。
「…冬月先生。後を頼みます」
「ああ。ユイくんに宜しくな」
45016-25:02/06/09 00:00 ID:???
<葛城>

何処かへと消える司令。
佇む、副指令。
でも、そんな奴等に関わり合っている時間は…無い。
「戦自の現在の侵入率の概算は!」
「はい! 地下第三隔壁破壊。第二層に侵入されました! 概算としては本部
施設の約4割が占拠された計算です!」
発令所のメイン及びサブのモニタには、幾重にも分割された本部施設各所の実
況が流れ続けている。
銃声。
悲鳴。
嗚咽。
怒号。
投降するものにすら、無条件発砲が許可されているようだった。
画面が血の色一色に染まっている。
…それに対し、ネルフの保安部員は何ら敵に打撃を与えていない。
「…無理もないか。みんなヒト殺す事になれていないものね……」
45116-26:02/06/09 00:01 ID:???
「日向君。この発令所の外部から通じるルートへの、爆破と特殊ベークライトの
抽入同時にお願い」
彼は怪訝な顔で私に問い返す。
「…葛城さん。そうすると…発令所以外の本部施設の職員…見捨てる事になりま
すよ…」
私は彼の視線を正面から受け、繰り返す。
「…命令よ。急いで」
各モニタからは、救援を求める悲鳴…断末魔、そしてそれら全てかき消す銃声が
流れ続けている。
せめて、目を背けない事だけが私に出来る唯一の手向け。

「それともう一つお願い。全周波回線でこう伝達して。貴軍が攻撃の手を一時休
めぬ場合、我等本部施設の自爆も辞さず。尚、BC兵器の無条件使用の選択も捨て
去る意思無し。しからずれば、我等に小一時間の猶予を与えたし。さすれば、無
条件降伏を選択する用意あり…とね」
「…本気ですか」
「まさか…時間稼ぎのはったりよ」
45216-27:02/06/09 00:01 ID:???
<渚>

自らの仲間を食み、ついには自らをも食む…リリン。
でも、それが君達の強さでもあり又、可哀相な議長の絶望の源でもある。
僕は五号機のケージの前で腰を下ろし、歌を歌う。
隣にはリリス。
「聞こえる…渚くん。もう時間が無いわ。衛星軌道上の使徒には現在の所、まっ
たく動きがないけれど…」
「分かっていますよ…葛城さん。貴女は知っているのでしょう…? 僕の事を」
「…ええ。でもね…馬鹿な話だけど……私はアナタを信じます」
綾波レイ…リリスがその足先で、LCLをちゃぷちゃぷと弄んでいる。
「葛城さんが僕を信じる根拠はあるのですか?」
暫しの沈黙。
「女の勘…かしらね。……私は、アナタ達を倒す事に人生を掛けてきたの。でも
ね、それでは結局誰も幸せになる事が出来なかった…。シンジくんとアスカが信
じたアナタ、私も信じるわ」

「ところでレイがロストしたままなの。渚くん…分からないかしら?」
綾波レイは僕の方に顔を向けて、静かに首を横に振る。
「…いえ。でも、彼女は大丈夫ですよ…きっとね」

そして僕は此処にいる。
かって、僕達使徒が目指すべき場所であったセントラルドグマ、ヘブンズドアの
先。
今は、LCLの底にロンギヌスの槍がたゆたっているだけの場所。
僕はロンギヌスの槍を手に取り、蒼い月が支配する夜の空間へと飛翔する。
45317-1:02/06/09 00:02 ID:???
<碇>

「エヴァンゲリオン初号機、エヴァンゲリオン弐号機リフトオフ!」
僕が始めてエヴァに乗って出撃した日。
その日と同じく、満月が煌煌と輝く闇夜が広がっていた。
いたるところで、白い閃光が上がり…煙が立ち込めている。
リフトオフした瞬間、アンビリカルケーブルは軍隊の砲撃で断線してしまった。
「ふふん。馬鹿ね。もう、そんな¨臍の紐¨のような邪魔臭い物はいらないのよ!」
「アスカ…大丈夫なの」
「何が?」
僕の方が口ごもってしまう。
「いや…だから、エヴァの操縦…」
怒るかと思いきや…アスカは優しく微笑んでいる。
「…レイに聞いたから。ママはずっと、私を見守ってくれていたって」
45417-2:02/06/09 00:03 ID:???
「…いい、エヴァ両機はジオフロントに展開中の戦自の部隊は無視して」
そしてメインモニタにジオフロントの地形図が投影された。
何箇所かの場所に、赤くマーキングされる。
「敵は指令中枢を幾つかに分けているわ。その赤い所が予測される敵の指令中枢よ。
…ごめんなさいね。アナタがたにこんな事、させたくは無いのだけど…」
僕はヒトを殺すのも…シトを殺すのも嫌だ。
でも…僕が此処に来た理由。
みんなと知り合って…沢山の人達がいなくなったけど、でも…まだ生きているみんな
を失いたくないから。

「最大戦速で…あまり被害は出さずに片を付けよう、アスカ」
「そんな事分かってるわよ。ま、ユニゾンの時のように失敗しないようにしてよね」

時が全てを癒してくれる。
二度とは来ないと思っていたけれど、時だけが癒してくれるモノもあるから。
 
45517-3:02/06/09 00:04 ID:???
<ローレンツ>

何故、今更にあがくのだ碇。
ヒトの歴史が終わり、新たなるシトの時代が始まるだけだというのに。
不完全な群体であるヒトは、傷つけ…傷つく定めから逃れる事は出来ない。
私は…そのヒトを定めから解放する、必ずや。

「主よ…お言葉ですが、我等を作りし神は我等を愛しては居られないのです。しかし、
主よ…貴方ならばヒトが消え去り後、全ての生けとし生きるモノに限りない愛を注ぐ
事が出来ましょう」
主タブリスは、穏やかにその白髪を揺らしながら首を振った。
「老いたるリリン。それは違う。君は逃げているだけなんだ。全てに愛を注ぐ事が出
来ない事も、傷つけあう事も、全ては君達次第で変えられるんだよ」
「しかし、私は多くのモノを見過ぎてしまいました。そして…私自身も穢れに穢れて
しまい…それでも私はヒトを愛し、だからこそ…正統なる白き月よりの主に全てを託
し、我等は無に還りたいのです…」

赤木博士…君のダミープラグが人類に福音を齎す。
リリスからの、エヴァ量産機…そして主のアダムからのエヴァ五号機。
その、主のエヴァ五号機がリリスよりのエヴァ量産機により磔刑にされ、主タブリス
の原罪の禊は行われる。
そして、セフィロトの樹へとエヴァ五号機が還元されて、ヒトの時代は終わり…シト
の時代が訪れよう。
「主よ…。贖罪の為の十二のシシャを遣わします」
45617-4:02/06/09 00:06 ID:???
<惣流>

「エヴァシリーズ…完成していたの」
「…エヴァ…参号機…?!」
夜空には雲一つなく、夜の清澄な空気が凛とした雰囲気を漂わせている。
その夜空を蒼い月と使徒と星々が彩る中、エヴァ長距離輸送機よりエヴァシリ
ーズが自由落下を始める。
激しい地響きと振動…土煙を立てながら次々と地面に叩きつけられるように落
着して…。

──REI AYANAMI──

チッ。
ダミープラグって訳ね。
全部で十二体だから…二人で六体づつ…か。
「いい…シンジくん、アスカ。エヴァシリーズは必ず殲滅するのよ! 今、渚
くんもそっちに向ってるわ。必ず…生きて帰るのよ二人ともッ!」

私のエヴァ弐号機とシンジのエヴァ初号機。
エヴァ量産機に360度包囲される中、お互いの背中をあわせて、死角をお互いに
庇いあう。
「……決着を付けよう…エヴァに乗っていた僕達自身に…」
シンジの顔から血の気が引いていた。
…無理も無いか。
私だって…怖い。
でも、ヒトを殺した私がそんな事、言う権利があるはずもなく。
「…そう…そうね。じゃ…行きましょ……シンジっ!」
45717-5:02/06/09 00:09 ID:???
私は狂ったかのように、エヴァ量産機に駆け寄りその頭部をプログナイフで一撃
の元に粉砕し、返す刀でもう一体のエヴァ量産機の腹部の内臓をずぶずぶと抉る。
まるで、噴水のような音を立てて、ヒトと同じ色をした血飛沫を撒き散らしなが
ら奴等は倒れこむ。
「はぁはぁ…これで後四体っ!」
その時、エヴァ量産機二体が私を挟み込み、バレットライフルを乱射して来た。
力を込めて、空高くジャンプする。
ガガガガガッ!
同士討ちの形となり、体のあちこちから血を噴出しているエヴァ量産機を組み伏
せて、プログナイフを無茶苦茶に突き立てる。
バキィ。
チッ…プログナイフが無ったって。
もう一体のエヴァ量産機に馬乗りになりながら、その首を力の限り締め付ける。
ガギィ。
頚骨が粉砕された嫌な音と共に、その長い手足が弛緩する。
45817-5:02/06/09 00:11 ID:???
と、エヴァ量産機の腕が伸び、私の弐号機の足首を掴み引きずり倒す。
そうして、先ほどとは逆にエヴァ量産機に押し倒されて首を締められる。
肺が虚しく酸素を求め、喉から漏れ出る喘ぎ。
「…っ…ぅぁ」
「アスカ…っ!」
エヴァ初号機の物凄い跳躍、そしてそのままの勢いを殺さず、着地と共にその腕を
がエヴァ量産機の頭部に振り下ろされる。
ベチャっ、と脳髄と血を撒き散らしながらエヴァ量産機は仰向けに倒れこんだ。
「はぁはぁはぁ。大丈夫…アスカ?」
私は額に汗でべっとりと張り付く髪を撫でつけながら「うん。ありがと…シンジ」
その時は、何故か素直に言えた。

「…くぅ…こん畜生…っ!」
「畜生畜生…離れろ…このっ!」
最後の二体に私達は同時に、後ろから羽交い絞めにされ、プログナイフを肩と言わ
ず背中と言わず…突き立てられる。
「……痛…ァ…くっ! 殺してやるっ!」
「…あああ…がぁ…畜生…っ…」
45917-6:02/06/09 00:20 ID:???
──まだ、死なせないわ──

ママ…?
その時、私の意志とは関係無く弐号機からATフィールドが展開される。
そのATフィールドが、私達を羽交い絞めにするエヴァ量産機の体を包み込み圧縮す
る。
ぐちゃぁ。
エヴァ量産機はとても不快な音と共に血をATフィールドに飛び散らせながら、頭部
から地面に倒れこむ。

「…はぁはぁ……ざっとこんなものね」
「…うん。これで後は…」

私達のエヴァは返り血を浴びた姿のまま、遥けき彼方の虚空に浮かぶ月を見上げる。
その眩いばかりの蒼い月光が…世界をその色に染め上げていた。
46017-7:02/06/09 00:21 ID:???
<冬月>

もう、発令所にすら俺の居場所は無いのかな。
旧世代の電算機の計測値を見遣っていると…可視波長のエネルギー波? それも、
全地球規模…この星を覆っている。
「…葛城三佐。使徒からの指向性のエネルギー波が……」
その時オペレータの一人…マヤ君と言ったか…が、イヤホンを叩きつけ叫び出す。
「嘘……もう…もうこんなの嫌厭厭ァァァ!!」
仲間のオペレータが錯乱する彼女を必死に押さえつけている。
もう一人のオペレータが瘧を起こしたかのように、体も声も震わせながら。
「…ふ、副指令…葛城三佐。ぇ、衛星からの…映像を御覧下さい………」
そして、そのデータを発令所主モニタに回して…。
葛城三佐以下、みな声も無く立ち尽している。
先ほどの、戦自への打撃及びエヴァ量産機殲滅時の歓声が嘘のようだ。

「……結局、ヒトを滅ぼすモノは…ヒト……か」
俺は苦い言葉を吐き出す。
…ユイ君。
やはり、ヒトの未来は否定されたよ。
46117-8:02/06/09 00:22 ID:???
<葛城>

主モニタには、漆黒の宇宙に浮かぶこの星の全ての大陸で、眩い閃光が煌いて
いる映像が映し出されている。
皆、声も無く立ち尽くすのみ。
戦自の指揮系統も失われた為か、或いは彼等の忠誠対象が消滅した為か、全て
の戦闘行為は現在停止している。
全ては…見ての通り。
…だが、義務感から私はのどからせり上る苦いものに耐えながら、呟く。
「……状況説明…頼む…わ」
「…新型爆弾及び熱核兵器による、世界主要都市への…無差別攻撃……です。
第二新東京の消滅も確認。此処にも約10分後に第一波が到来します……糞っ!」
悔しそうに、端末を拳で叩きつけている。
…結局、ヒトの未来は否定されたの……?
「ショックアブソーバを全開! エヴァ両機の回収急いでっ!」
46217-9:02/06/09 00:33 ID:???
いや、このまま使徒に勝利をくれてやるものですか。
そして彼等が…或いは。
「エヴァ両機の回収は撤回します」
そう、やらなくてはならない…全ての清算をね。
「所で……分析終った? 日向君」
「はい…。MAGIなら即答だったんですが…。どうやら、衛星軌道上の使徒による
未知のエネルギー波はヒトの精神に作用する形の指向波だったようです。それが
…この惑星全体に照射され結果、大国間の核の応酬…まさか、旧世紀の悪夢がこ
の時代で…これがサードインパクトとは…皮肉なものです…」
私は唇を噛み締めながら、彼の報告を聞く。
微かな痛みと共に、口の中に血の鉄の味が広がった。

「…これは簡潔で良いわ。本部施設が核の直撃に耐えうるか否か。そして…人類
存続の可能性の有無…そのシミュレーション…お願い」
答えは聞く前から分かっている…けれど。
46317-10:02/06/09 00:34 ID:???
<ゲンドウ>

「やはり此処に居たかレイ」
ヒトの未来は老人どもが画策した事象とは違った形でその、終焉を迎えようとし
ている。
やはり、今回も又死海文書は覆せなかったか。
LCLに足を浸しながら、俺に背を向けて座っているレイに声を掛ける。
……近づくにつれ、俺の中の不安は膨らんで行く…だがこれでいい。
「……苦悩を突き抜け歓喜に到れ…か。何故歌うのだ…レイ」
レイは…いや、リリスは私に向き直り「歌、好きだから」と誰に言うでも無く、
呟く。
「…そうか」
俺の希望、冬月の絶望…。
俺は神になることは出来ない…その資格が無い。
しかし…シンジとキョウコ博士の娘…お互いを傷つけあう事しか知らない…その
欠けたココロが引き合い、溶け合う事によって。
俺は少なくとも議長や委員会をミスリードする事だけは出来たはずだ。
46417-11:02/06/09 00:35 ID:???
「何がそんなに辛いの?」
リリスは俺を見詰めている。
その瞳は…俺を哀れんでいた。

「…俺は、俺にはこの世界は生き難かった…。だが、閉塞した人類を変える事も
まして、新たなる扉を開けることなど…俺には出来ない」
「怖かったのね。自分も含めて…この世界全てが」
だから、もう一度会いたかった…いや、共に生きて行きたかった。
ユイとシンジと…共に。
「ああ。繰り返す輪廻からの解放、そして人類の新世紀。お前達が…チルドレン
を導いてくれる事を願いながら」
「さあ、預かっていたものを返そう。全てはシンジ達とお前達に委ねられたのだ
からな」
俺はリリスの腹部にアダムを宿した右腕をつき入れ、有るべき場所へと補完した。
右手を失い、全てを失った俺の後ろをリリスが無言で指差す。
そこには。
「………ユイ」
この時を、ただひたすらにこの時を待ちわびていた…。
…俺はユイをかき抱き続けた…時の終わりまで。
46517-12:02/06/09 00:36 ID:???
<ローレンツ>

些か予定とは異なったが、良い…全てこれで良い。
この後の浄化された世界では、主による新世紀が始まる。
「…皆、今までご苦労だった。君達の故国の様子はどうかね」

アメリカ理事「やはり、あの大統領は適任では無かったようだ。しかし、全ては神の
元での予定調和。これも神の御業と信じたいものですな」

ロシア理事「しかし、これでようやく我等の2000年…いや、繰り返された世界を勘案
すると…我々は何万年の間、働いて来たのでしょうかな…」

フランス理事「左様。長く険しい我等の義務も今、ようやく終わりを告げ…我等の死
を持って…シトによる新世紀が始まるのでしょうな」
46617-13:02/06/09 00:49 ID:???
イギリス理事「後は、主が天上の¨神¨…月を破壊することにより全てが完結です。
後は主にお任せし、我等は甘き死を感受するのみ」

世界は今、ヴァルプルギスナハト(悪魔の夜祭り)を迎えている。
そして、悪魔は誰でもない…たかが精神への干渉でこのような事態を招く、ヒト自身
であった。

大陸間弾道弾の此処への着弾まで、後10秒。
私の奇怪なる長い生も、今この時の為にあった。

「…では、人類に永遠の安息がもたらされん事を」
46717-14:02/06/09 00:50 ID:???
<渚>

ロンギヌスの槍を片手に、ようやく地上に飛び立つ事が出来た。
月が綺麗だ。
そう、あの月こそが神と呼ばれる¨何者か¨、即ち全ての命の源である無慈悲な
夜の女王。
「シンジくん、アスカさんご苦労様。どうやら、僕を迎えに来たシシャを倒して
くれたようだね」
「カヲルくん…っ! 本当に…来てくれたんだ…」
そう、シンジくん。
君にはその笑顔がとても良く似合う。
「アンタね。いつもいつも…タイミングが悪すぎるのよッ!」
そう、アスカさん。
君にも笑顔が一番良く似合っている。

「さあ、始めよう。僕がロンギヌスの槍を投擲した瞬間、シンジくんとアスカさ
んはその槍にATフィールド…神を拒絶するココロの壁をぶつけて欲しいんだ」
「…分かったよ…カヲルくん」
「良いわよ。やってやろうじゃないの。私達を玩具にした神とやらを殺してやる」
46817-15:02/06/09 00:51 ID:???
その絶対的に他者を拒絶するココロの壁、でもそれは同時に脆くもある。
だから、君達リリンは…好意に値するんだよ。
さて…もう一人。
「…レイさん。手伝って貰えるかい」
シンジくん達が一斉に僕の五号機に視線を送る。
見なくても分かっている。
五号機の背後には、綾波レイの零号機が月光を浴び佇んでいる事を。

「これ、アナタに還すから」
と、彼女の零号機の右手が、僕の五号機の額に触れる。

──15年ぶりだね──

──オカエナサイ──
46917-16:02/06/09 00:52 ID:???
から、僕はもう…リリンと共にある事は出来ない。
でもその前に、僕達からリリンへと最後の手向けを渡さなくてはならない。
「レイさん。君もシンジ君達と同じように頼んだよ」
「…分かったわ」
モニタに映る綾波レイは僕を寂しそうに見詰めている。
いいんだよ。
シンジくん達から貰った思い出、それがある限り僕は永遠に生きていける。
たった一人でもね。
でも、リリス…君はどうするんだい。
47017-17:02/06/09 00:53 ID:???
<葛城>

発令所の指揮系統は崩壊した。
迫り来る死の恐怖から、支給品のピストルで自らの頭部を打ち抜く銃声が
単発的に響いて来る。
私はシンジくん達に最後の通信を入れようとした時。

パァーン。

乾いた銃声の音。
口を開いた瞬間、ごぼっ…と喉から血が溢れ出た。
胸に手を触れると、熱いべっとりとしたものが私の掌に纏わりつく。
いつも着けていた、十字架は…その中心に銃弾による穴が穿たれ…床に落
ちていた。

パンーっ!

私は振り向きざまに、その相手に対し発砲した。

ヒトの肉体が床に崩れ落ちる音が聞こえた。
「……マ…ヤ…ちゃん…? どうして…ごふ…っ」
最後の問いは、肺から喉に逆流する自らの苦い血に邪魔をされて言葉にな
らない。
47117-18:02/06/09 00:54 ID:???
彼女はうつ伏せに倒れ、床に血だまりを広げている。
手足を痙攣させながら、彼女は顔を上げてその虚ろな瞳で私をねめつけている。
「……だって…先…輩の仇…だから…リ………輩…………」
そうして彼女はがくりと、自らの血だまりに落ち込んだ。

私は指揮卓に寄りかかりながら、日向君にシンジくん達への回線を開いて
貰っている。
……私、これで良かったのよね…加持くん…。

<碇>

…僕は此処に来て、色々なモノを得てそして色々なモノを失った。
でも、まだこの手に残っているモノを失わない為に…そして、繰り返す苦し
みを断ち切る為に。

「……良い、シンジくん…みんな。結果はどうであろうと…何かを為そうと
した、その事に意味があるわ。だから…自分自身で決めた事の結果がどうで
あろうと……それは正しかったの…よ。それに……いえ、帰ってきたら…又
話しましょう…ね…」
47217-19:02/06/09 00:55 ID:???
そこで、向こうから通信が切られる。
最後のミサトさんの、とてもとても優しい微笑み。
まるで、お別れみたいな言葉。
どうしてだろう…何も分かっていないのに、涙が止まらないや。
主モニタのアスカも…泣いていた。
「……ねぇ…!? どうして…どうして、こうなっちゃうのよ…ねぇ!」
僕は何も答える事が出来ない。

そして、その時が来た。
カヲルくんが夜空を高く舞い、槍を月に向かい投擲する。
母さん…力を貸して…っ!
何故だが、そんな祈りを胸に溜め込みながら。
「ATフィールド全開ッッッ!!」
「こんのーぉお…っ!! 私達はアンタの玩具じゃないのよぉぉっっ!!」
「フィールド展開! これが…私の意思だから」

槍は僕達三人のATフィールドによって、一瞬の内に暗い夜空に吸い込まれ
て消えた。
47317-20:02/06/09 01:15 ID:???
<冬月>

「そうか…葛城三佐は亡くなったか……」
俺はその場で深く瞑目する。
年寄りばかりが生き残ってしまう。
だが、それも後僅かな時間だが。
「……ジオフロント内で強力なATフィールドを確認! 槍が…ロンギヌス
の槍が光速の数十%の速度で大気圏を離脱し、衛星軌道上の使徒を差し貫い
た後…月に向っています。速度は以前、減退せず…」
今…神もヒトもシトも全てが無に還るのか…。
いや、ユイくんが残した初号機そして弐号機…そして、聖母たるリリス…全
ては彼らに委ねられた…か。

「周回軌道衛星の映像を回せ。そう…月の映像だ」
47417-21:02/06/09 01:17 ID:???
槍が小さくなり、肉眼では確認が不可能となり…蒼い月に吸い込まれて行く
ように消えた。
そうして……。
………! この状況ですらまだ、驚くという感情が残っていたとは……。
月は…月はそれ自体が一つの眼球だった。
その瞳が見開かれているのを…我等被造物が目にする日が来ようとは。
そのレイのように紅い瞳から血を宇宙空間に撒き散らしながら、大きくその
瞳が揺れて…。
やがて網膜が広がり…白濁して行く。
そして…ふっと、月は消えた。
まるで初めからそこには何も無かったかのように、暗黒の虚無の空間が冷え
冷えと広がっている…。
俺は大きく一つため息を付き「碇。こちらは…全て終ったよ。お前はユイく
んに会えたかね」と呟き、椅子に崩れ落ちる。
47517-22:02/06/09 01:18 ID:???
<惣流>

「…消えちゃった…月。これからどうなるんだろ…?」
潮汐力が失われた事により、これからの地球環境は激変するはずだから。
ようやく…やうやく…全てにけりがついた。
…このまま私は罪を抱えて生きていけるのだろうか。
その時。
突然、夜が昼になったかのような激しい閃光が、全てを白く染め上げる。
エヴァの自動流入光量調整機能がなければ、失明は免れ得ないほどの白い
閃光、その瞬間地面は沸き立ち大気が沸騰する。
そうして…私達が見たものは。
……誰もが無言だった。
NERV本部があったジオフロントが…ただ、私達のエヴァとその完全なる球
体の空間を除いて全てが消滅していた。

私はエヴァの特殊回線を開き、衛星軌道上の監視衛星にリンクして…。
「やっぱり…か」
全身から力が抜ける。
でも一面、少しだけほっとしてもいた。
罪を背負い、全てを失ったまま生きて行けるほど私は強くないから。
…これで、本当に全てが終った……。
47617-23:02/06/09 01:18 ID:???
「…終っちゃった…全部。この世界にはもう…ヒトは私とアンタ二人だけね…。
まったく…畜生…っ!」
でも、感情は私を裏切る。
涙と怒りの奔流が止まらない。
「……何で私がアンタなんかと心中しなくちゃならないのよ…ッ! この私がっ!」
シンジは、疲れきったような顔をしてぐったりと、頭を抱えて座り込んでいる。
何とか言いなさいよ…! お願い…何とか言ってよ…。
47717-24:02/06/09 01:19 ID:???
<渚>

シトもヒトもこれでようやく、長い苦しみの輪廻から抜け出す事が出来た。
しかし、その結果がこの何も無い…シトもヒトも全てが死に絶えた、苦しみも無いけ
れど喜びも可能性も何もない、完全なる虚無の世界。
僕と綾波レイが生まれてきた理由。
それは、シンジくんとアスカ…そしてリリンに新たなる未来を開く為だったのかもし
れない。
モニタの中で、アスカさんが両手で顔を覆いながら体を震わせて声も無く嗚咽してい
る。
「まだ、この星が生まれてから10数億年。もう一度、やり直そう? 輪廻の無い、一
回きりの世界をね」
アスカさんは僕の真意を測るように、僕の瞳を覗き込む。
「……でも、今の私達はやっぱり死ぬのよね?」
僕は首を振りながら「そうとも言えるし、そうではないとも言えるかな。君達の体を
構成する細胞…そこから、また始めるんだよ」
「神無き世界で、命がどのように進化して行くのか分かるの? もう、ヒトもシトも
発生しないかもしれないでしょ…」

ごめんね…アスカさん。
僕は君が望んでいない、真実しか語れないから。
「それは僕にも分からない。でも、生命には自らを復元する力があるから、きっと大
丈夫」
47817-25:02/06/09 01:20 ID:???
<碇>

僕は自分の頭を抱えながら、全てを自分の中から追い出した。
アスカの悲痛な嗚咽や叫びも…彼女達の存在も。
……これでエヴァに乗っていた自分にけりを付ける事が出来たと思った、その瞬間。
僕達が帰るはずだった…NERVが世界が…みんなみんな消えて無くなってしまった。
…とっても、疲れた。
アスカの怒声や、嗚咽…その苦しみに僕は何も答える事が出来ない。
もう、僕は誰とも会うことも話す事も出来ない。
それは、とってもとっても寂しいけれど、もう傷つく事も苦しむ事もない世界。
そして、ここは気持ちがいい。
他人が存在せず、ただ僕だけがこの世界の全てだから。
「………これが、僕の望んだ世界だったのかな」

そうして、僕は通信回線を完全に切断しようと、手を伸ばした時。
47917-26:02/06/09 01:29 ID:???
「碇くん。アナタとアスカは私が守るから。だから…心を閉ざさないで」
綾波…。
ごめんね。
でももう、本当に駄目なんだ。
だって……エヴァの中、母さんの胎内に還ってしまったから。
それに…正直、エヴァに乗った自分と決別しても…僕はトウジを殺した人殺しで
ある事には変わりがないから。
それを背負ってまで…生きていけるか分からなかったんだ。

「…シンジくん? 君は本当にこれでいいのかい」
だって、如何しようもないじゃないか。
世界は消えたのに、エヴァから降りる事も出来ない僕達がこれから生きて行ける
訳がない。
…エヴァから離れようとしたんだ。
でも、結局…母さんの胎内に閉じ込められてしまった。
永遠に。

僕はアスカに…みんなに、さよならを言う為に回線を開く。
これが多分最後の通信。

僕の正面の主モニタにはみんなの顔が映っている。
48017-27:02/06/09 01:30 ID:???
アスカ…泣きじゃくりながら僕に縋るような、それでいて幾分かの…多分、苛立
ちを湛えた視線を向けている。

カヲルくん…カヲルくんはやはり、いつもと同じ包み込むような温かい微笑みを
僕に向けてくれている。

綾波…綾波を見るたびにずっと、感じてた事があるんだ。そう、やっぱり綾波は
やっぱりお母さんみたいだ。僕だけの母さんでは無くて、みんなの。
いつものように何も表情は浮かべていないけれど、その瞳は僕を優しく見つめて
くれている。

「みんな今までありがとう。こんな僕と関わりを持ってくれて。初めてだったん
だ。他の人とこんなに長く関わりを持って…話したり遊んだり…出来たのは」
悲しいけれど、涙が出ない。
でもその分、胸が抉られるほど、寂しくて悲しい。
「此処に来て辛い事ばかりだった。でも、みんなと会えて良かった。その気持ち
だけは本当だから…さようなら」
48117-28:02/06/09 01:32 ID:???
「待って…。私は可能性に賭ける。……星が生まれ、そして死んでいくほどに長
い時間を経ても、もう一度生まれたいから…」
アスカは全てを吹っ切ったかのような、迷いの無い表情で僕を見詰めている。
僕は…。
僕は……。
そう。
アスカとカヲルくんのさっきの話は聞いていたんだ。
でも後、一歩を踏み出す勇気が無かった。
そして…アスカが僕に、その一歩を踏み出すための勇気をくれた。

こくりと、首を縦に一回。
「僕ももう一度生まれて、アスカに…みんなにもう一度会いたい。そして…エヴ
ァに乗らずに、トウジを殺す事も無かった僕になりたい」
アスカの瞳からぽろぽろと涙が溢れて、丸い玉になりLCLに拡散して行く。
「…私も、エヴァに乗らないで人を殺す事が無かった自分になりたい。でも、シ
ンジにも、みんなにももう一度会いたい。普通の人生を送ってみたいから」

カヲルくんはモニタから僕達を見詰めて「本当のいいのかい?」と尋ねる。
僕とアスカは同時に頷く。
綾波は祈るように、両手を組み瞳を閉じている。
そして瞼をゆっくりと開きながら「大丈夫。貴方達リリンは私が守るから」と、
慈愛に満ちた微笑を浮かべた。
48217-29:02/06/09 01:34 ID:???
僕の初号機を綾波の零号機が背中から包み込むように、両手を回し抱いている。
アスカの弐号機をカヲルくんの五号機が力強く、両手を回し抱いている。
向かい合う、初号機と弐号機の間に…ロンギヌスの槍が再び地上に戻り、その長い枝
の両端の部分が、蛇が巻き合うかのような鋭い切っ先を向い会う僕等に向けていた。
そうして、その両端の切っ先が初号機と弐号機のコアへと吸い込まれて行く。
その、切っ先がコアに触れる寸前。

「アスカ。これでお別れじゃないよね?」
「当たり前じゃない。アンタみたいな馬鹿…私以外誰が相手にするのよ」

──シンジくん、アスカさん。これで本当にお別れだね。僕は、この星に再び命の種を
播種した後、旅に出るから。僕達シトが生まれた証を残す為にね──

──碇くん、安心して。私、リリンのお母さんになるから。そして、待ってる。みんな
が又、私に会いに来てくれるのを──

「綾波、カヲルくん…お願い」
「さあ、アンタ達頼んだわよ」
483エピローグ1:02/06/09 01:36 ID:???
「ふーふふ…ふふふふ……♪」
リリスは一人、海辺で歌を歌っていた。
彼女と同じ存在であった…彼から教えてもらった歌を。
彼女は補完され、細胞に還元されたシンジ達が無数に漂う海水を一掬いし、ゆっくりと
その掌の海水を海へと戻す。
そして、制服の胸ポケットから…彼女とみんなの集合写真を取り出し、慈しむかのよう
にその写真を胸に抱き…目を閉じる。
「ふふふふ…ふ…ふふ……♪」
温かい夏の日を浴びながら、彼女は微笑んでいた。
484エピローグ2:02/06/09 01:49 ID:???
階段から降りると、いつものように母さんがリビングで食事をしている。
父さんは僕の朝食をテーブルに置きながら「早く朝食を取れ。もう、時間だ」と、何故
か今日は機嫌が悪い。
そういえば、昨日出版社の人が家に来てたっけ。
さては、父さん…また期日に間に合わなかったんだ。
「おはよう。父さんね昨日から…機嫌悪いのよ。自分が悪い癖に困った人…」
「…お前だって、つい最近学会での発表が間に合わないと大騒ぎしていた癖にな」
やれやれ。
夫婦喧嘩なんて聞いてられない。
僕はさっさと、朝食を済ませて家を出る。

「よ! おはようさん」
「あ、おはよう」
やっぱり、こいつは朝からテンション高いよ…まったく。
「ところでな…センセイに折り入って頼みがあるんやけど」
はぁ。
またか。
「…どうせ、宿題写させろっていうんだろ」

そして僕達は他愛の無い世間話をしながら、学校へと向う。
「…でな。ワシ妹の宿題見てやったんや。まぁ、小学生の理科や。楽勝だと思ったら…」
「分からなかった…だろ? で、どんな問題だったの」
「うぅん。ああ、そう。地球が出来てからの年月を述べよちゅう問題があったわな」
まったく…そんなの、今は幼稚園児でも分かるよ。
46億年だろ。
下手なくせにバスケばかりやらないで、少しは勉強しろよな。
485エピローグ3:02/06/09 01:51 ID:???
と、向こうから他校の女の子二人組みが歩いて来た。
一人は普通の女の子だったけど。
もう一人の女の子は外人…かな?
その子は柔らかな栗毛色の髪を風になびいている。
その髪を軽く押さえつけながら友達と楽しそうに会話しながらこっちに近づいて来て…。
僕は……その子の顔に視線を向けたまま、道の真ん中で立ち尽くしてしまう。
「ちょっと、アンタね。さっきから私をじろじろ眺めるは、道の真ん中で通行の邪魔を
するわ…アンタ馬鹿ぁ?」
…僕を睨みつけていた表情が、少しづつ憤りから不思議そうな表情へと変わって行く。

そして………僕も…………不思議な感覚に捕らわれて………。




「……カ?」
「シ…ジ?」


気持ちの良い風が頬を撫でる夏の終わり。
僕達二人の時間が再び動き出す。

終劇
486名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/06/09 01:57 ID:DRL3a/N.
1さん、完結、おめでとうです。
久々に面白い作品読ませてもらいました。
4871 :02/06/09 01:57 ID:???
ようやく、完結させる事が出来ました。
まずは、私のこのような無謀な行為を温かく見守って
下さり、激励や感想などを戴けました事に深く感謝致
します。
特に、時々下さる読んでいるよレスや、落ち込んだ時
に励まして頂けた事、とても嬉しかったです。

SS書きの面白さを知った事から、出来れば、アプした
いと考えているのですが、その際に手直しもしたいと
思っておりまして、皆様がお読みになられて、伏線が
上手く処理されていなかったり、或いは余計な描写又
は、足りない描写など、気になる点が御座いましたら
是非、ご教授お願い致します。

後、やはり読んでみての感想を頂けたら大変嬉しいで
すね。
是非、感想やご批評の程、宜しくお願い致します。
最後に、アプの仕方が良く分からないので、どこか分
かりやすいスレを教えて頂けたら、感謝の極みです。

始めに考えていた展開とは大きく変わってしまいまし
た。
そして、特にEOE解釈はまったくの独自の解釈であり、
あまり突っ込まないで下さい(w
属性は無しかなぁと、考えていたのですが、書き手
の手を離れてアスカたんの動く事動く事。
客観的に判断して、ややLAS寄りでした。
・・・凄ぇ。
いい話を読ませてもらったよ。
感動した。

ありがとう。
あんた最高だよ。
最後の出会い方は秀逸。
レイとかとは出会うのかい?
1さん お疲れ様でした。
話が独自の展開へと傾き始めた頃から、毎回目が離せませんでした。
途中放棄されるSSが多い中で、しっかり完結させたということだけでも賞賛に値しますが、
内容も十分に味読に耐える素晴らしい話だったと思います。
http://isweb32.infoseek.co.jp/play/eva-2ch/index.html

エヴァ板支援。
ここのあぷろだだったらもんだいないんでない?


とにもかくにも、無事完結。それだけでも昨今では「たいしたもの」
だとおもいます。なおかつ面白いとくればもういうことなしです。

・・・まぁ多少「?」とおもう所もありましたが(とくに最初期)
それも「とりようによって」程度かと。

とりあえず、おつかれさまでした。
うぷされるころには、さらに洗練されることを。

ってか自サイトつくったら?凡百のサイトのよりよっぽどおもしろかったし、
次回作もきたいされ。
蛇足しつれい。
4921:02/06/09 19:49 ID:???
>488
なんだかとても照れくさいですが、素直に嬉しいですね。
>489
一応、読んだ方の判断にお任せします。
でも、レイにも幸せになって欲しいですね。
>490
本当にありがとう御座います。
やはり、温かく見守って頂けた事が一番嬉しかったです。
>491
おお、アプロダご教授感謝致します。
確かに、私自身始めの部分は読み返すのが恥ずかしいですね(w
自サイト作製には大変興味があるのですが、作り方がまったく分か
らないのが困り者です…。
PC初心者板にでも行けば、教えて頂けるものでしょうかね。
優しい。の人みたいに、インデックスページとテキストだけでいいんじゃん?

SS読む人はSSを読みにくるんだし。
リアライズアゲインの置いてあるサイトなんかは好きですが。
かんたんそうでもあるし藁
494名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/06/09 20:21 ID:vR.hsQPo
LRS書いてください。
>493
確かに。
出来るだけ簡単のではないと、私の手には終えないので(w

>494
私もレイは好きなんですが、本編準拠だとLRSにするのは
非常に難しいという罠がありますからね。
でも、機会があったら挑戦はしたいですね。
>>本編準拠だとLRSにするのは
非常に難しいという罠がありますからね。

そう言えるヒトが書くストーリーは、読者もついていけます。
次回作期待。
遅ればせながら完結おめでとうございます。
久しぶりに引き込まれて読みました。特に後半のほうはグイグイと。

ただ、描写が省かれてると厳しいなと感じました。何やってるか、何考えてるのかがわかりにくい・・・
本編とほとんど同じなら軽い書き込みのほうが良いと思いますが。

書く気あるなら次回作期待です。無いなら待ってますんで。
さあて、新たなる挑戦者はまだかね?
>>498
お前がやれ
最初の方は殆ど書き直しですね…。
後、細かい部分と誤字脱字を修正し終えたら、ここでアプ報告
致します。

>496
本編準拠は今回一度書いたので、次はやはりEOE後ですかねぇ。
あれは難しいけれど、挑戦のし甲斐がありますね。
いつになるかは分かりませんが…。

>497
多分、新しいのは書くとは思うのですが、今はネタ
を考え中ですね。
また、書く事がありましたらその時も宜しくお願い致します。
このスレッドは500を超えました。
もうくだらないので、新しいスレッドを立てないでくださいです。。。
502匿名希望 ◆XxkhyTro:02/06/15 01:26 ID:???
時に、西暦9700年。
人類は未だに国際宇宙ステーション(ISS)を完成させてはいなかった・・・。







う〜ん、やっぱり小説を書くのは難しいや。

そういえばこれ、エヴァとまったく関係ないような・・・。
5031:02/06/15 03:38 ID:???
今、HP作っているのですが何だか難しいです。
DIONの簡単な奴で作っているのですが、完成には程遠いです。
基本的に土日しかいじれないし…。
まだ、本当に試作段階ですが、これから何とか形にして行きます。
よかったら、覗いてみてください。

ttp://www.h4.dion.ne.jp/~evaff.ss
5041:02/06/15 10:43 ID:???
はぁ…HTML難しいものですね…。
まだ、今しばらく時間がかかることと思います…。
はぁ…鬱だ。
1.印象だけだが
無意味な画像や無意味な背景は無くても良いんでは?
「見やすさ」と「見栄え」は両立できなきゃ見やすさ優先で行った
方が良いでそ。凝るのはスキル身に付けてからで遅くない。
文章のイメージを補完するカットを付けたいなら、もっと真面目に
素材集を研究した方が良いんでないかな?
単なる間に合わせならいっそシンプルな方が好感持てるよ。

2.リンクの張り方
基本的な事だけど、連載作のファイルは一覧とは別に各ページから
次の章へと「つづく」のリンクが欲しい所。
頭に「もどる(前の章へ)」と「HOME」を付けて、下に「続く(次の章へ)」
と「HOME」を両方用意するのが親切かと思われ。

3.重箱の隅
細かい事を言えば、文字のフォントをわざわざMS PゴシやOsaka
に「各段落で」指定してるのが意味不明。
ひょっとしてHTMLエディタがクソなのかな? 何使ってんの?

4.もっと細かい事
BRタグのみの改行は、長文では行間詰まって見にくいかも。
Pタグでは開き過ぎるのでスタイルシートが使いたいとこだけど、これ
はエディタがクソでは手打ちになるからハードル高過ぎるかな?

何はともあれ、中身は良いんだからがんがって欲しい。
うい0^

HP設置おめっとさんです。

↑のひとの意見に概ね同意ですが、
昨今のレベルではそろほどおもいともおもいませんでした。

まあ、あとは気長に。なんでもやってるうちにスキルはついてきますからね。
>>503
のサイト
50ゲットした(W

設置おめでとうございます。
落ち着いた感じのサイトだと思います。
改訂版の完結を待たせていただくデス
では。
>503
53?げとだたよ

感想なのですが、ださかった・・・
もっとシンプルなの目指した方がよいのでは?
基本的に505の1と2に同意です・・・。

なんにしろHP開設おめでとうございます。改訂がんばってくださいね。
509名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/06/16 13:32 ID:Bqcnez2k
…OSが逝ってしまい復旧の目処が…。
たたられているのかなぁ。

>505
実はあれ、DIOMユーザーだと作ることが出来る、
ものすごく簡単なHP作成のキットで作ったので
私自身はHTMLに関する知識は皆無なんです…。
ただ、素材をクリック選択するだけで…。

あのHPだと、長文が載せれないのもきついですね。
多分、全面的なやり直しか、急遽HTML勉強して
廃棄及び作り直ししかないです…。

>506、507、508
駄ページの閲覧ありがとうございます(w
上述でもあるように、まだまだ先は遠いい
です…。
EOE後のSS、早く書きたいのですが…。
ただ単に、アプした方がよかったかなぁ。
いやいや、あぷはアクマデ緊急避難でしょう。
サイト作っちゃえば、歴史にのこるしね。

ふとしたときに、だれかがだれかにすすめ、新しいどくしゃが連綿と。

とりあえずばんがってくさい。
で、誰か新作書こうかなぁ、って思っている人いないの?
>>511
お前が書け
513名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/06/21 02:28 ID:xRiLZSkQ
AIRのうずくまりシンジくんが逆行してくる話ってあったっけ?
意味不明というか、スレ違い。
もし無ければここで書いてみようかなと思ったんです。
精神崩壊のシンジくんが逆行してきて、そのままEVAに放り込まれる話を。
>>515

「悔恨と思慕の狭間で」
が、割と近いかな。
ちょっと特殊だけど。
サンクス。
読んでみます。
518ファザー:02/06/21 14:13 ID:???
>511
誰も書かないのかな?もし書かないんだったらパパが書き始めちゃうぞ〜。
タイトルは【新世紀エヴァンゲリオン・アルカ】の予定。
エヴァ小説について語らんか?スレの163だったりしますが。
内容はアレです。エヴァンゲリオンの企画書段階の小説化です。設定使ったオリジナルみたいなやつだけど。

ブツブツやってくんでよろしくおねがいします。
待ってるよ。
保全あげ
企画書系か。(勝手に呼んでる)期待。
522ファザー:02/06/22 00:33 ID:???
プロットは完成してるんですよ。
まぁ、プロットを完成させて作品完結できなかった人なんてゴマンといるんでしょうけどね…。
ガクガクブルブル。
自分がそうならないことを祈りつつ、予告編をば。(w

だって、予告編でもやってないと時間が持たないから…生温かい目で見守ってください。
523ファザー:02/06/22 00:35 ID:???
「私は階段を1歩駆け上がる。道に迷い、リリンを踏み台にしてでもな!」

古代遺跡アルカ…適わぬ夢を見る大地。

「エア君がっ!駄目だよ…人を犠牲にして成り立つ幸せなんて、そんなの幸せじゃないっ!」

一つの世界が終わり、新たな神話が始まる。

「リリス…君だけだ…。君だけが…我々の…最後の…」



  新世紀エヴァンゲリオン・アルカ



「僕は今まで流されて生きてきた。だから…これからは、自分の意志で生きたい」
「ママは…わたしを捨てたんじゃない…。わかってる。わかってるの」
「碇君…わたし…」

ボトリ

「綾波ッ!?腕がっ!!」
「そう…もう駄目なのね…。…アルカが、泣いてる…」

月が震え、大地が泣き叫ぶ。月から降臨せし、最強の使徒。

『バカ…そんなに泣きそうな顔して……それなら最初から犠牲にならなければいいのに!』
『福音をもたらすモノよ…俺を…アルカを……終わらせてくれ…』
5241:02/06/22 01:59 ID:???
コンバンワ。
>ファザーさん
私も企画書ものは気になっておりました。
折角スレがあるのに使われないのはもったいないので、
是非に頑張って下さい。
…一読者として期待しております。

>ALL
私の駄HPの掲示板にも同じ事を書いたのですがご容赦下さい。

一応、HTMLの手打ちをしたのですが、家の
PCのビデオドライブが逝っていて、色が確
認出来ません。
SS内で、文章は白。背景は黒にしたのです
が、そのようになっておりますでしょうか?
ご親切な方、確認したら教えて下さい。

 
>>524
大丈夫、ちゃんとなってるよ。ただ最初の方の「序章・PAIN」って文字が
背景と同色で見えない。
5261:02/06/22 02:27 ID:???
>525
ありがとう御座います!
読みやすさなどはどんなものでしょうか?
一応、このスレの前レスのお話は参考にさせて頂いたの
ですが…。
>>526
行間はあれくらいで読みやすいと思う。

ただし解像度と文字サイズによっては、横スクロールさせないと読めない。
おり返す様にした方が吉。

それと、改行の位置が微妙なのはDIONの作成ページの仕様かな?
これ↓とかね。
>ミサトさんは眉を軽く顰め、僕を見遣りながら「元気ないわねー。どうしたの? 学
>校…不安?」と、尋ねる。

余裕が有ったら左右余白も指定するとイイかも。
……俺の好みだけどね
528ファザー:02/06/23 00:21 ID:???
すいません。どうしても週末は忙しくて、開始は月曜日になりそうです。
ずっと小説を書いてられたらどんなに良いだろうか…。ふぅ、土日くらい休みたいです。

とりあえず月曜日にはプロローグをスタートさせたいと思っています。
5291:02/06/23 01:27 ID:???
>527
今、書き溜めているので明日あたりにでもあぷと一緒に
直しますね。余白指定…またまた難しいHTMLかも。
しかし、他の方のHPを見ると彼我の違いに愕然としたり。
(…SSのLV然り、HTML作成能力等々)
ま、出来るだけコンスタンスに逝きたいですね。
>>529

余白指定のスタイルシートはこんな感じ。

<STYLE TYPE="text/css">
<!--
BODY { margin:0 60 0 60 ; }
-->
</STYLE>

ま、参考程度にね。
5311:02/06/23 20:51 ID:???
あの、何か変なところが御座いましたら是非
ご指摘下さい。
前レスにもありますように、色の表示が少し
変ですので。

>528
楽しみにしております。
中々書く時間って取り難いですよね…。

>530
ありがとう御座います。
早速、使わせて頂きました(w
それにしても、書き直しだけでこんなに労力を要するとは
思わなかったです…。
更新見マスタ。
下に行くほど字が大きくなってます。
ソースを見るに、<h2>タグが</H>では閉じられない模様。
場所は「1、放りだされた〜」と「2、触れ合う〜」のトコロ。
5331:02/06/23 23:32 ID:???
>532

ああ…(汗
しかも→<h2>序章・PAIN</h2>の数値を弄ると、本文も
大きくなってしまいます…。
HP板へ行くしかなさそうですね…。
ご指摘ありがとう御座います。
5341:02/06/24 22:21 ID:???
>532
HTML板の方々にご助言頂き直し及び更新しますた。
本当にありがとう御座います。
535ファザー:02/06/28 13:32 ID:???
"アルカ"はプロットを真剣に組みなおしたいので、書くのは中止しました。
そもそもSS初心者が長編に挑戦しようというのが少々無謀なのかも・・・。
その代わりに、修行も兼ねて短編を一本。
駄作になる可能性大ですが、やはり生暖かい目で見守ってくださいませ。

それでは参りまする。
536EOE1-1:02/06/28 13:37 ID:???
THE EXCHANGE OF EVANGELION
1.「始まりの、始まり」



気がついたときにはここに居た。
学生服を来て、小さな鞄を持って、少年の姿形をしてここに居た。
呆然とした頭を振り絞り、とりあえず鞄の中身をチェックしようと考える。
ガサゴソと漁ってはみるが、正直なところロクなものが入っていない。

ティッシュとハンカチと…S−DATと…封筒?
他のものはどうでもよかったが、茶色い封筒が妙に気になった。
既に一度見ているのであろう。上のほうが綺麗に破られている。
未だに思考はまとまらない。こう言ってはなんだが、本能だけで動いているようなこの状況。

「…なんだこりゃ」

思わず声に出してしまい、慌てて周りを見渡してみる。
…誰もいない。
537EOE1-2:02/06/28 13:38 ID:???
封筒の中には一枚のルーズリーフの紙と、何やら色々落書きされた写真一枚。
ルーズリーフの紙には「来い 碇ゲンドウ」とだけ書かれている。
ほんの少しだけ、達筆かもしれないという感じがした。
写真にはサングラスをかけた妙齢の女性が写っている。
胸に自信があるのか、「ここに注目!」とか胸に向かって矢印が。
「・・・か、つ・・・」
一瞬自分の"何か"がピクッと反応したような気がした。
自分が無意識に声を発したことには気付かない。


呆然としていた頭が、さらに一層呆然としたような感傷を受けた。
例えるなら、今までが"混乱"だったとしたら今現在は"大混乱"といったところだろう。
何がなんだかサッパリなのだ。右も左もわからない。
いや、流石に方向はわかるか。

少年はゴロッと横になり、何気なく空を見上げてみる。
真っ青快晴から天気。雲一つ…くらいはあるが、とにかく良いお天気だ。洗濯日和。
何気なく制服のポケットをあさくってみた。3つあるポケットを全部だ。
地味なサイフが出てきて、開けてみたら学生証を一枚発見。
538EOE1-3:02/06/28 13:40 ID:???
「…碇…シンジ?」

そうか。俺は碇シンジっていうのか。はっはっは。
なんて馬鹿なことを考えているうちに、事態はとんでもないことへと発展した。
突然頭上を戦闘機が通りぬける。スピード違反なんて完全無視だ。
目出度く大混乱は超混乱に進化した。
進化の終着点は自滅。このままでは冗談抜きにやばい…。本能がそう警告を発している。


さて。
化け物も見た。ミサイルがすぐそこに落っこちた。
自分が何者なのかもわからない。どうしてここに居るのかもわからない。
どうしてこんな状況になっているのかわからない。わからない理由が、わからない。
これでもかというほどのわからないずくめに涙が出てきた。

そんな折、強烈なドリフトをかましながらこちらへと爆走する車を発見。
「あれはアルピーヌ・ルノー、か…?」何故かそんなことはわかったりする。

ピクッ。
まただ。先ほどから何度も何度も、自分の中の"何か"が反応している。
警告を発しているような、いや、もしかしたら何か自分の大切なものを指し示しているような。
ふと自分は今、人生の中で最も重要な分岐点に差し掛かっているんじゃないだろうか・・・
なんて考えが頭に浮かんだ。
539EOE1-4:02/06/28 14:00 ID:???
「アンタが碇シンジねっ!?乗って!」

ルノーから顔を出したのは写真に写っていた人だった。
黒い長髪が似合っている女性だ。サングラスのせいで顔の半分を窺い知ることは出来ないが。
・・・非常事態であることは明らかだというのに、ボーっとそんなことを考えてしまう。

「あ〜っ!乗ってって言ってるでしょっ!あたしが乗れって言ったらさっさと乗れぇっ!」
「す、すまんっ!」

金切り声の怒声が上がった。
彼女の表情、口調、そして身にまとう雰囲気。それら全てに恐怖を感じ、急いでルノーに乗り込む。
ドアを閉めるのと同時に、シートベルトを締める暇もなくルノーは急発進した。
突然体に襲い掛かってきたGに「ぐっ」と声が漏れてしまう。

「で」
「・・・は?」
「どうなの?アンタが碇シンジで合ってるのよね?」

この女性のハンドル捌きはなかなかのものだ。
ギリギリのところではあるが、必要最小限の動きで瓦礫やらミサイルの破片やらを避けている。
そんな彼女の様子を見て事態を忘れて愉快な気分になってきた。
540EOE1-5:02/06/28 14:11 ID:???
「ははっ。そうらしいな」

いきなり笑い始めたシンジを女性は一瞬呆けたような表情をし、すぐに睨みつけるように視線を動かした。

「アンタ・・・余裕ね・・・」
「いや、別に余裕ってわけでもないんだが・・・」
「ん・・・?って、"そうらしい"ってどういうことよ」
「ああ。自分でも把握しきれていないんだが・・・っと前っ!」

女性は無言でハンドルを切り、不意をつくかのように落下してきた瓦礫を華麗に回避した。
ヒュゥッ。不謹慎にも感嘆の意をこめて口笛を吹いてしまう。

「あんたバカァっ!?こんなときによくそんな飄々とした態度取れるわねぇっ!」

悪態をつきながらも必死にハンドルを操作する女性を見て、シンジは苦笑しながら肩をいさめてみせた。

「さぁ・・・なにぶん自分が何者かもわからない状況なものでね」
>>肩をいさめて
は、すくめて
のほうが日本人的にしっくりくるかも。
ひょっとして方言?

あとは面白いです。短編とのことなので、このまま破綻無く完結までかっぽ
していってくさい。
>「あんたバカァっ!?こんなときによくそんな飄々とした態度取れるわねぇっ!」

うーむ。
写真の女性の非描写が少ないのでもしやと思っていたが……。
543ファザー:02/06/28 23:28 ID:???
なんか短編というほど短編にはならないような気がしてきた…。
まぁ、長くなったら長くなったで良しとして…いい、のかな?(w

>541
あ。本当だ。「肩をすくめる」のほうが明らかに良い感じですね。
書き直しの機会があれば修正しておきたいと思いますです。

>542
あまり深くねじった作品にはしないつもりなので、さらっと流しちゃうと思います。
あ〜…。なんか確実にネタのかぶっている他作品があると思いますが、笑って許してくらはい…。


では、続きを。
544EOE2-1:02/06/28 23:29 ID:???
THE EXCHANGE OF EVANGELION
2.「始まりの、途中」



「えぇーーーーーーーっ!き、記憶喪失ぅっ!?」

突然襲いかかった超音波攻撃にシンジは気を失いそうになった。
咄嗟に耳を押さえることが出来たのは非常に幸運であった。
もしあと1歩タイミングが遅かったら…、シンジはそう考えながら冷や汗を拭い取る。
隣を見ると呆然とした表情のままハンドルをきる女性の姿。

…運転自体はしっかりこなしているのが素晴らしい。


「あ、ああ…。どうにも自分のことが思い出せなくてな…。
 サイフの中にあった学生証で、一応自分の名前だけは確認できたんだが」
「冗談…って、そんなことを言うような顔じゃないわよねぇ…」

チラリと視線を横に向け、大袈裟にため息をついてみせる。
シンジはまいったなぁといった感じに頭をポリポリとかいた。
545EOE2-2:02/06/28 23:30 ID:???
「まいったわねぇ…これじゃリツコに何言われるか…」
「…りつこ?」
「うぅーーーっ…あ!そういえば自己紹介がまだだったわね。
 あたしは葛城ミサト。ミサトって呼んでくれて結構よ。名字で呼ばれるのはあんま好きじゃないの」
「かつ…らぎ?」
「あぁーーーー…嫌だなぁ。リツコ怒るんだろうなぁ…ああ見えて短気だからぁ…」

ミサトはさりげなく自己紹介を終え、ブツブツと独り言続けていた。
シンジはミサトの顔を呆然と眺めながら、その名前を口の中で反芻する。
…まただ。
自分の中に存在する"何か"が訴えているのだ。
黒髪。ルノー。リツコ。葛城。
最初から1ピース欠けているパズルにピースを当てはめていく感覚。
何が正しくて何が間違えているのか。そんなことはわかるはずがない。
何しろ、自分のことでさえ何一つ確証を持つことができないのだ。

シンジはもう一度隣のミサトの顔を見てみる。

葛城…ミサト。
自分は記憶喪失で、しかもこの女性とは初めて顔を合わせているらしいこの状況。
自分が何をしたいのか、何を思いたいのか、何を知りたいのか、それさえもわからない。
ただ、何かを感じるのだ。
546EOE2-3:02/06/28 23:40 ID:???
ミサトはブツブツと独り愚痴を続ける。
その隣でシンジは顎に手を当てて、ゆっくりと物思いにふけっていた。

漸くルノーは戦場を抜け出し、当たりには静けさが戻った。




「葛城一尉……どういうことか、説明して…」
「うっ…」

シンジの目の前で妙齢の女性が二人、睨み合っているこの状況。
とりあえずシンジはここにやってくるまでの時間である程度の説明は受けた。
自分はやはり碇シンジであることに間違い無いということ、
今は自分の父がいるネルフという組織に向かっているところだということ、
先に拝見させていただいたバケモノは使徒という名前で、人類の敵であるということ。

ネルフに何故自分が向かっているのかという質問には、
「自分の目と耳で確認しなさい」という答えが返ってきた。実に答えになっていない。

命からがらネルフに到着した二人ではあるが、その出迎えは決して暖かいものではなかった。
ミサトが先程から恐れていた絶対零度の視線。
直撃を被ったわけでもないシンジでさえ、冷や汗が止まらない。
547EOE2-4:02/06/28 23:45 ID:???
「だ、だからぁ…あたしがこのコ見つけたときは時既に遅しってわけでぇ…」
「…そう……遅刻をしたアナタのせいで、時既に遅しとなってしまったのね…」
「あぅーー…ご、ごめんってばぁ…リツコぉ〜」

ミサトにネチネチと口撃を加えている女性の名前は赤木リツコ。
絶対零度の視線を食らうついでに、一応…あくまで一応の自己紹介をしてもらった。
他にも何か言っていたような気がするが、冷や汗いっぱいだったシンジは何も覚えていない。

「…別にいい…」
「え?ホント?そうね。こんな大変なときだからね!」
「…後で碇司令にしっかり報告しておくから…」
「うげっ!」

冷や汗を流しながら二人のやり取りを見ていたシンジだったが、
だんだん慣れてくるとこの状況が面白く思えてくるようになってきた。
先程もそんな感じがあったような気がする。
自分は案外気楽な人間だったのかもしれないな…。シンジは頭の中でそんなことを考えたりした。
そして、その一瞬の油断が悲劇を生み出してしまった。つい、プッと吹き出してしまったのだ。

「…アンタ楽しそうねぇ…」
「…何がおかしいの…」
「うっ…」
5481:02/06/29 00:30 ID:???
色々なアイデアがあるものですね。
というか、542のレスを読むまで気付かなかった
自分って一体…。
文章力の高さも羨ましいです…。
次の更新も楽しみです。
どなたかロボっ娘属性のあるお方、
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1004855813/l50
の354の願いを叶えてあげてください・・




漏れでは無理ですた・・・
550ファザー:02/06/30 10:21 ID:E1.cPwjs
次の更新は今日の夜か、明日の夜になりそうです。
ああ…たったこれだけ書いただけなのに、もう加筆・修正したくなってきた…。
プロット(なんて言えるものじゃないけど)はできてるんだから、
さっさと書き上げて修正してまとめたいと思う今日この頃。であ。
551名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/06/30 12:01 ID:bTpg.muM
>>1
かなーり、いまさらなので気が引けるんですが・・・ 完結してたんですねすごい!

新作のFFをぶっとして読んだのは久しぶりです。
途中、かなり痛いというか、世界が継続できた場合に問題以外残らない展開だったので
最後にリセットされたのはよかったです(笑)
(世界のリセットという予定があったから、あそこまでやったと言ったほうが正解でしょうか?)

やっぱ最後にほっとできるの話がイイ!! ヽ(∇⌒ヽ)(ノ⌒∇)ノ です♪
552EOE2-5:02/07/01 23:48 ID:???
シンジが一歩下がると二人も一歩詰め寄る。
シンジが二歩下がると二人も二歩詰め寄る。
明らかに危機的状況であるこの場面で、こんなことをしているのだから度胸がある。
単にぬけているだけなのかもしれないが、とりあえずシンジはピンチだった。
二人に詰め寄られながら辺りを見渡して助けを求める視線を振りまく。

…いた。
助けてくれそうな人を、正面上方のブースに発見。
シンジは満面の笑顔を浮かべてその人物に声をかけた。

「おーいっ!助け「久しぶりだね、シンジ」」

逆光でよくわからなかったのだが、どうやら背の高い男のようだ。
シンジの声に割り込むようにして突然語り掛けてきた。
先程からのやり取りをずっと見ていたらしい。語り掛けるタイミングを掴めなかった…といったところだろう。

「えっと…」
「彼が碇司令。アンタのお父さん、碇ゲンドウよ」

見知らぬ相手に声をかけられ、どうしたものかと考え込むシンジにミサトが声をかけた。
隣に立っているリツコはゆっくりと視線をゲンドウに移し、シンジの横から離れる。
シンジがどうやら記憶喪失になってしまったということを説明しなければならないのだ。
5531:02/07/03 18:56 ID:???
>551
今読み直すと、中々に酷いものがありますが読んでくださり
ありがとうございます!
…しかし、ラストが些かご都合主義だったのでは無いかと反
省してみたり。
少し考えないと…。

後、以前ご指摘いただいた部分、昨日の更新の時に直したは
ずなんですが、また変な部分がございましたらご指摘宜しく
お願い致します。
がんがれ1よ。ボチボチとね。
555一発ネタ:02/07/07 03:23 ID:???
戦闘妖精・綾波

南極大陸の一角に突如出現した巨大な光の柱。
それは、未知の敵、使徒が地球侵略用に造った超空間通路だった。
国連は、その通路の向こう側――
ガフの部屋と名づけた未知の惑星で使徒をくい止めるべく特務機関NERVを設立、
使徒を惑星ガフの部屋上に閉じこめることに成功した。
しかし、それから30年以上たった現在も、人類と使徒の戦争は続いている。
その終わりが見えない戦いの最前線に、1人のパイロットがいた。
彼の名は碇シンジ。
信じるものは愛機「綾波」のみ。
決して感情に左右されない機械のようなエヴァドライバー。
味方に死神と呼ばれる虚無的なパイロットとスーパー戦闘機
エヴァンゲリオン・パーソナルネーム「綾波」の存在が、
膠着状態を維持していた戦線に微妙な波紋を投げかける。
この戦いに本当に必要なのは、機械か? それとも人間か?
かつて人類が体験したことのない熾烈な戦いが、いま始まろうとしていた。

ある日、任務を終え帰投中だった「綾波」は、所属不明の戦闘機による襲撃を受けた。
「綾波」が使徒だと告げるその不明機はNERVのエヴァそのものだったが、パイロットの
碇シンジはためらうことなく撃墜する。
辛くも危機を脱し、「綾波」は基地へ帰還を果たした。
しかし、彼を待っていたのは、シンジの友軍機撃墜の疑いを追求する査問会だった。
「綾波」が敵だというなら、それは使徒だ。
人間よりも機械である「綾波」の判断を信用したから、自分は生きている。
だから「綾波」は正しいと断言するシンジに、周囲は違和感を覚えるが、
シンジの機械的な判断が彼自身と「綾波」を救い、NERVが貴重な戦力を
失わずに済んだことだけは、何人も疑いようのない事実だった。
結局、不明機の正体はわからないまま、シンジは任務に復帰。
ふたたび「綾波」と共に戦場へ飛び立つが……。
556一発ネタ:02/07/07 03:32 ID:???
碇シンジ
戦闘偵察機エヴァンゲリオン―パーソナルネーム「綾波」のパイロット。三等空士。
心に大きな傷を持っており、他人との接触を嫌い全ての物事を「僕には関係ない」の
一言で無視している。これは本人は自覚していないが、再び裏切られ傷つくことを
恐れているため自衛手段として無意識に機械のようにふるまっているだけ。
非常に冷徹な戦闘マシンの様に見られがちだが、実は傷つきやすいナイーブな性格。
「どんな犠牲を払ってでも、たとえ味方を見殺しにしようとも、使徒の情報を収集し必ず帰還せよ」
と言う、冷酷な至上命令を受けており、またそれを疑問にも思わず機械のように実行している。
このような性格が転じてシンジはエヴァの戦闘知性体である綾波との愛称は抜群によい。

葛城ミサト 30歳
特務機関NERV 作戦部部長。階級は三佐。
過去の自分にそっくりなシンジを何かと気にかけているシンジの上司。
仕事だけでなくプライベートでもつきあいがあり、シンジの良き理解者。
姉的存在である。

惣流・アスカ・ラングレー 14歳
10歳で博士号を取った天才医師。
NERVでは航空生理学、航空精神医学のスペシャリストとしてカウンセリングを専門に行っている。

綾波
シンジの乗る戦闘機エヴァに搭載されている戦闘知性体
>>555-556
戦闘妖精雪風とエヴァンゲリオンのパロか。
ちょっと面白そうだと思ったのでage
けど、SSじゃないからここじゃNGかも。
558軍事的に正しくないエヴァ1:02/07/09 01:00 ID:???
第拾四話/ゼーレ、魂の座

『時に、西暦2015年』
『第3の使徒』
『サキエル、襲来』
『使徒に対する通常兵器の効果が認められる』
『国連軍は作戦の遂行を決断』
『28発の巡航ミサイルにより、使徒、殲滅』
『エヴァンゲリオン初号機、起動に成功するも出撃の機会なし』
『同事件での犠牲者は存在せず』
『鈴原トウジの作文より抜粋』
「わしの妹はまだ小2です。この間の騒ぎではしゃいでました。
妹を無事に守ってくれた大人たちに感謝します」

『第4の使徒』
『シャムシエル、襲来』
『当時、地対空迎撃システム稼働率100%』
『第3新東京市、戦闘形態移行率96・8%』
『洞木ヒカリの手記(一部)』
「いつも友達と避難訓練ばかりやっていたから、いまさらって感じで、
実感なかったです。怖いとか感じませんでした」
『万全の体制に加え、国連軍と共に』
『使徒、殲滅』
559軍事的に正しくないエヴァ2:02/07/09 01:00 ID:???
『第5の使徒』
『ラミエル、襲来』
『難攻不落の目標に対し』
『サード・チルドレン 碇シンジ』
『エヴァンゲリオン初号機、初出撃』
『初号機、胸部を破損するも、大意なし』
『第5使徒、および初号機にA・T・フィールドの発生を確認』
『初号機、目標のA・T・フィールドを侵食』
『使徒、殲滅』
『迎撃システム、一部破損』

『第6の使徒』
『ガギエル、襲来』
「シナリオから少し離れた事件だな」
「だが結果は予測範囲以内です。修正は効きます」
『太平洋艦隊の零距離射撃にて、使徒、殲滅』
『国連海軍の被害、認められず』

『第7の使徒』
『イスラフェル、襲来』
『N2爆雷により、構成物質の99・89%の焼却に成功』
『事実上、使徒、殲滅』
560軍事的に正しくないエヴァ3:02/07/09 01:01 ID:???
『第8の使徒』
『サンダルフォン、浅間山中にて、発見』
『その高圧に耐えきれず、自壊』

『第9の使徒』
『マトリエル、襲来』
『沈黙を守ったネルフに対し、空自、独自に作戦を展開』
『使徒、殲滅』

『第10の使徒』
『サハクィエル、襲来』
『成層圏より飛来する目標は、大気中にて消滅』
「君の組織、一体なんのために存在しているのかね」

『第11の使徒』
『襲来事実は、現在未確認』
『以下、ネルフ職員の証言』
「いやぁ、搬入したパーツに変なシミみたいのがついてましてね、
その場で焼却処分しましたよ」
561軍事的に正しくないエヴァ4:02/07/09 01:02 ID:???
『第12の使徒』
『レリエル、襲来』
『初のエヴァンゲリオン3機による同時作戦展開』
『初号機の威嚇射撃にて、使徒、殲滅』

『第13の使徒』
『エヴァンゲリオン参号機に侵食』
『フォース・チルドレン 鈴原トウジ』
『驚異的な精神力にて、使徒を抑圧』
『エヴァ参号機と共に、廃棄』
『この一件での犠牲者、認められず』
「いかん、早すぎる」

『第14の使徒』
『ゼルエル、襲来』
『圧倒的な兵力を誇るも』
『セカンド・チルドレン 惣流・アスカ・ラングレー』
『エヴァンゲリオン弐号機にて、出撃』
『一斉射撃にて、使徒、殲滅』
「使徒がここまで弱いとは、予定外だな」

『第15の使徒』
『衛星軌道上に存在を確認』
『しかし、そのまま第2宇宙速度を突破』
「まして、宇宙へと逃げ出すとは」
562軍事的に正しくないエヴァ5:02/07/09 01:03 ID:???
『第16の使徒』
『アルミサエル、襲来』
『ファースト・チルドレン 綾波レイ』
『エヴァンゲリオン零号機にて、出撃』
『使徒、殲滅』
「タイムスケジュールは、すでに死海文書の記述より逸脱しておりますな」

『第17の使徒』
『タブリス』
『フィフス・チルドレン 渚カヲル』
『アダムとの接触を試みるが』
『サード・チルドレンの微笑に陥落』
「セントラルドグマへの侵入を許すとは」
「・・・それは問題の本質ではないと思いますが・・・・」
「だが、君が新たにシナリオを作る必要は、ない」
「しかし、拾五話から弐拾四話までは、話がなくなってしまいますが・・」
「チルドレンたちに遊ばせておけ。どうせそれで満足する輩だ」
「分かりました。全てはガイナのシナリオのままに」

おしまい。
正しくねぇ〜〜 でもいいかも(藁

真面目に書かれたものが読んでみたい罠
なんで止まってるのさ
565:02/07/18 22:28 ID:???
566:02/07/20 23:07 ID:???
アイスキャンディーをほおばりながら、家に帰る途中だった。
その日は朝から30℃を超える猛暑で、額から吹き出る汗を何度も拭った。
太陽はほぼ真上から照りつけていて、
その陽射しに体中の水分が蒸発してゆくのが分かるような、そんな夏の日だった。

歩きながら、碧くて深い空を見上げてみた。
飲まれてしまうような深い碧の中に、大きな白い雲が浮かんでいる。
あの白い雲の向こうには、どんな世界が広がっているのだろう。
どんな人たちが暮らしているのだろう。
小さな頃、よく思っては想像にふけっていたものだ。
どんな世界を夢見ていたのかも、もう思い出すこともできない。
今となっては、遠い昔のことだ。
567:02/07/20 23:08 ID:???
しばらく、空を見上げながら歩いていた。
こんなに夏の光りがまぶしくても、やっぱり空を眺めるのが好きだった。
アイスキャンディーは少し溶けだしていて、指先がべとついていた。

気がつけば、辺りには人ひとりとしていなかった。
見たこともない街並みが広がっていた。
行ったこともない街に辿り着いていた。
行ったことがないけれど、記憶の片隅に残っている街だった。

一瞬、頭がピストルで撃ち抜かれたみたいに痛くなった。
足元はふらついて、景色がグルグル回っていた。
そんな幻覚も、暑さのせいかもしれない。
きっとすぐ直るはずさ。

でもこんな妄想に取り付かれてるなんて、もうお終いだな。
568:02/07/20 23:09 ID:???
とりあえず、アヤしいクスリ使った覚えはない。

初めに思ったことはそれだったね。
でも、それならどう説明すればいい? この現状を。
モノレールが止まってる。
電話も繋がらない。
「住民は指定のシェルターに避難するように」ってアナウンスが繰り返されている。
ビルのガラスに映った俺は中学生ほどの、制服姿のあどけない男の子。
胸ポケットに入っていたのは、ロングヘアのキレイなお姉さんの写真。
背負ったカバンの中で見つけたのは『碇シンジ』っていう学生証・・・
昔のアニメ、エヴァってアニメの第1話の冒頭のシーンだよな。これって。
569:02/07/20 23:09 ID:???
だってさ、おかしいんだよ。
そもそもおかしいんだよ。
俺、ごく普通の19才の大学生だったはずなんだ。
今日は前期最終日でさ、午前中だけで講義が終わって、明日から夏休みだったはずなんだ。
これまで19年間生きてきた記憶、思い出、ちゃんとあるんだ。

でもさ、碇シンジとしての14年間の記憶もあるんだ。
570:02/07/20 23:10 ID:???
・・・・・・・・・・・・・・
さ、どうしようか?
こんな時ってさぁ、どうすればいいと思う?
えっと、よく『ここはどこ、私は誰』って言うよな。
それじゃ俺はどこにいたっけ?
真夏の空の下だったな。白い雲の向こうに思いをはせてさ。
・・・ここも、真夏の空の下だ。やっぱり白い雲が見えるし。
なんだ。なにも変わりないじゃん。

それじゃあさ、俺の名前を思い出そう。
俺の名前はそう・・・伸二っていうんだよな。
サッカー選手の小野伸二と同じ字でさ。
・・・伸二、そう、シンジだ。
なぁんだ、何も問題ないじゃないか。
571:02/07/20 23:11 ID:???
・・・・・・・・・・・・・・
分かった!
もしかしたらさ、これってアレでしょ?
エヴァのファンフィクションていうの読んだことあるんだ。
その中にさ、今の俺と同じような状況になる作品があったんだ。
体験モノってヤツ?
それだろ! 今の俺って。


・・・・・・・・・・・・・・
もぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜いやっ!!!!!!!!
なんなの? 俺。
そんなにエヴァのFFが読みたいの、ねぇ?


・・・・・・・・・・・・・・
そういえばこんな話もあったね。
夢だと思ったらほっぺたをつねってみろ。
ちゃんと痛かったら現実だから安心しろ、って。


痛くなかったんだ。



アハアハアハハ・・・
572:02/07/20 23:12 ID:???
な、やっぱり夢だろ。これ。
つまりこれからゲンちゃんの所に行って
「俺はおまえを許さない」とか
「危険手当は出撃一回につき十兆円、現金で払え」とか叫んじゃったり、
保護者になってくれるミサトさんに「大人の勝手ですね」とか言っちゃったり、
リッちゃんに「どうせ母さんには勝てるわけないのに」とか言っちゃったり、
何も知らないレイちゃんに「綾波は僕が守るから」とか言っちゃったり、
そんな夢を見ればいいんだよね。

俺、そんな度胸ないって・・・


そんなこと考えてるとさ、変な怪物が見えてきたんだ。
あぁ、これが第3使徒だなって、すぐピンときたよ。
だって、形が同じなんだもん。昔アニメで見たのとさ。
その怪物の周りをさ、たくさんの飛行機が飛んでいるんだ。
飛行機が巡航ミサイルを撃つんだけどさ、赤い壁に阻まれちゃってるんだよ。
あぁ、ATフィールドなんだなってすぐピンときたよ。
そのうちさ、VTOLって言うんだっけ?
戦闘機が一機さ、落ちてきたんだ。
ここでさ、すぐピンときたよ。
夢なら、次に気づいた時は覚めていてくれるはずだ。
本当に体験モノなら、ここでミサトさんが来るはずだ。



・・・・・・・・・・・・・・
体験モノかよ。
573:02/07/20 23:13 ID:???
「ごめんね、遅れちゃって」
「いえ、それより・・・」
「あの怪物のこと?
 国連軍の湾岸戦車隊も全滅したわ。
 軍のミサイルじゃ何発撃ったって、あいつにダメージを与えられない」
いや、そんなことじゃなくてさ・・・
「それより・・・この車って」
「あぁ、私のお気に入りよ。カッコイイでしょ」
飛ばしてるのは真っ黒いポンティアック。
「この車・・・もしかして1975年型ですか?」
「そうよ。こんなときに落ち着いてるのね」
・・・ちょっと待ってくれないか。
「あの・・・ポンティアックより真っ赤なルノーの方が似合ってそうですけど」
「ルノーも持ってるわよ。たまたま今日はポンティアックな気分だったけどネ」

・・・・・・・・・・・・・・
アハハアハアハアハハハハハハアハ・・・


なんなんだよ、この夢。

エヴァ+ブランキー?
そりゃブランキー好きだし、一時期はかなり聞きまくったけどさ。
・・・だから、こんな夢見ちゃってるのかな。
でもさ、仮にもしこれが体験モノFFだとしても、
ブランキーが絡んでくるときっと著作権とかに問題があるよね。
だからすぐ終わってくれるよね。
すぐ現実に戻ってくれるよね。
俺はいま胸、なでおろしたよ。
5741発ネタでした:02/07/20 23:15 ID:???
前に語らんかかどこかで言ってたエヴァ+ブランキーモノです
最近このスレ、人気がなかったんで載せてみました。

それだけです。んでは。
575誰殺了雄駒鳥?:02/07/26 00:27 ID:z+Vd312f
新規スレッド立てられなかったので、替え歌ですが。
元ネタはボンジョビの「livi' in a prayer」
576誰殺了雄駒鳥?:02/07/26 00:32 ID:z+Vd312f
一番


未来の話だ、そう先のことでもないけど

シンジは命がけで闘っていた
平和に暮らしていたのに、父親に呼びつけられて最前線へ
辛い話さ、まったく
レイはそんなシンジを命がけでかばう。絆のため。
レイは言う
「逃げたいのなら逃げれば?でもそれからどうするの
自分のおかれた状況で最善を尽くすしかないの。
大丈夫、あなたは私が守るもの。
さあ、時間よ。
これまで何とかやってきたじゃない。
だから、明日の命を祈りましょう。
きっと上手くいくわ、誓ってもいい。
577誰殺了雄駒鳥?:02/07/26 00:40 ID:z+Vd312f
二番
 
シンジはチェロをケースから出した
今ではもうあの伸びやかな音色を出せない
辛い話さ、まったく
レイは無へと帰りたがっている。
彼女が自暴自棄になると、シンジがいう
「せっかく生まれてきたんだ、だから君は生き続けないといけない。
そしたらきっと、生きててよかったと思えるときが来るよ。
だから、笑って見せて。
色々あったけど、君はこうして生きている。
このささやかな安らぎが、どうか消えませんように
立てる?もうサヨナラなんていうなよ。
君にも僕にも、帰るところがある」
>>574
俺って言ってる時点でなぁ・・・
579574:02/07/26 03:49 ID:???
>>578
あ、今さらレスが・・
スイマセン。
これ、もとは某FFに対抗して最低体験LASになる予定だったモノなんですよね。
企画倒れしちゃったんですけど。
俺シンジなのはその名残でということで勘弁してください。
580名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/07/26 15:52 ID:vMZS5PKZ
エヴァFFとかエヴァSSってなんですか?
続き書いてよ
FF=ファンフィクション
SS=サイドストーリー
583sage:02/07/26 19:03 ID:???
>>582
ご丁寧にありがとうございます。
ということは
>>582
ご丁寧にありがとうございます
ということはFFもSSもファンの方が書いたものですね
>>584
FFというか、SSというかによって派閥があるので要注意や(w
ホシュ
5871 :02/08/03 15:49 ID:???
あの…申し訳ないのですがサイトを移転させたので、宣伝させて
頂きます。
ttp://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Pastel/2032/
になりました。
以前のレスどおりこちらでのSSをまとめてDL出来るようにも
なっていますので、宜しかったら覗いて見てください。

後、>566からのは私、書いてません。
書いてくだされば、誰でもいいんですけどね。

5881:02/08/03 15:53 ID:???
間違えましたこっちです。
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Christie/2414/
5891:02/08/03 18:18 ID:???
>588
いやはや、面白い人ですね(w
ssの方もチェックさせて頂きます。
590名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/08/04 17:24 ID:5t9xpAym
保全あげ。
誰か新しいの書いてプリーズ。
『いい加減な人々』


エントリープラグ


案外、思ったよりも簡単だった。
レバーだのシートだのは要するに飾りで、僕は浮かんでいれば良かった。
父さんが座っているだけでいいと言った意味がようやくわかる。
パッキンの人の話はチンプンカンプンでほとんど覚えていなかったけど、
これなら何とかなるかもしれないと言う気になった。

まぁ、それは大いなる気のせいだった。
僕は殴り合いの喧嘩の一つもしたことが無いモヤシガイだってことをすっかり忘れてた。
大体、喧嘩になりそうな時は後ろから椅子でぶん殴るものなのだ。
でも、この紫のロボットがぶん回せそうな椅子はどこにも見当たらないし、
第一、あの『使徒』とか言う怪獣は殴ったところでビビってくれそうにない。

怪獣は槍みたいな腕をブンブン振り回すし、僕の乗ってるロボットを串刺しにしようと
槍をザクザク突き出してくる。
僕は必死で逃げ回った。当たると痛そうだから。
非常に困った。困ったので僕は逃げることにした。

でも、このロボットのコクピットにはドアの取っ手が見当たらなかった。
蹴ろうが叩こうが開きそうに無い。
例の乳のデカいお姐さんがガーガー喚いているのが聞える。けど、聞き流した。
逃げようとしてる僕に怒ってるだろうから。怒られるのは好きじゃない。

コクピットの内壁をガンガン蹴っていると、いきなり僕の足が焼けるように痛んだ。それはもう、滅茶苦茶痛い。
蹴り過ぎて足が攣ったのかと思ったが、どうやらそうじゃない。痛い箇所は太ももだった。
僕が逃げ出そうと四苦八苦している最中に、怪獣がロボットの太ももを刺したのだ。痛い箇所が一致している。
僕は直感的に察した。ロボットの損傷を僕も感じるのだ。

何となく道理が通っているような気がしないでもない。
僕が考えるだけでロボットは動いてくれる。
ってことは僕はロボットの脳に当たるんだろう。痛いを感じるのは脳だから。
だから、僕も痛いわけだ。でも、どう考えてもこれって欠陥商品だろうと、
僕は痛む足を抑えつつ思った。

後は記憶が無い。視界が真っ白に染まって、右目と後頭部が死ぬ程痛くなった。
その痛みに耐え兼ねて、僕は失神したらしい。

気がついた時には、僕は全然違う場所にいたのだった。
病室


見舞いに来た父さんは凄く感じが悪かった。
「生きているな? 良し」
とだけ言って、何だか嬉しそうにスキップして病室を出ていった。
一応見舞いに来たのは事実だけど、息子の無事を喜ぶ態度じゃない。腹立ち紛れに
父さんの後をつけたら、他の病室に入っていった。そっと覗くと、僕と同じくらい
の年代の女の子がベッドにいるのが見えた。女の子は怪我をしているようで、包帯を
巻いていた。父さんは優しげに声をかけ、リンゴを剥き始めた。

僕は驚愕した。自分の父親がロリータコンプレックスで女子中学生を囲ってるなんて
僕の想像を越えた事実だ。援助交際とかそう言うのだけはやらない硬派な親父だと思
ってたけど、それは僕の見込み違いだったようだ。

見なかったことにしよう。
見なかったことにしたかったが、五分ごとに父さんがあの髭面で女子中学生にキスを
迫るシーンが思い浮かんで鬱だった。当てもなく病院を歩いて忘れよう忘れようと努
力していると、かの乳デカお姐さんに出会った。僕を探していたらしい。

僕の視線はお姐さんの胸に釘付けで、父さんのおぞましいキスシーンは忘れることが
できた。妄想はお姐さんの胸に挟まれて窒息すると言うところまでいった。これ以上
見ていると勃起しそうだったので、僕は視線を外した。

お姐さんは何やら一方的に話していたが、僕はさっぱり聞いていなかった。ずっと胸
を見ていたせいもあるけど、問題は20秒以上人の話に集中できない僕の性格上の
欠陥だった。僕が勃起を恐れて視線を外すと、何だか乳お姐さんは気の毒そうに眉を
寄せ、「お父さんと暮らさなくていいの?」と聞いた。

勃起しそうなのを気取られたかと思ったので、僕は少し焦った。そして、「いや、そ
の…」とシドロモドロになると、乳お姐さんは「お父さんが嫌い?」と聞いた。好き
でも嫌いでもないと答えた。でも、あえて一緒に住みたいと思うほど好きでもないの
で、どうでもいいとも答えた。
「なーんか暗い子ねぇ。人間、積極的にならなきゃダメよ?」
なんてことを言われたので、「はぁ」と答えた。それがマズかった。
お姐さんは突然、烈火の如く怒り出した。覇気が無い、そう言う態度ではこれから困
ることになると凄い剣幕で、僕はえらいことになったと思った。きっとヒステリーと
呼ばれる症状だ。それか癇癪か、とにかく尋常じゃないと思った。おっぱいどころじゃ
無くなってしまった。

お姐さんは怒り狂いながら僕の首根っこを捕まえ、どこかに電話しはじめた。首をつ
かまれ、ぎゅっと締められたときに胸の感触を感じて、また僕は勃起しそうになった。
女性の胸の感触を感じたのは初めてだった。今夜は自己処理することになるだろう。

電話の内容も、さっぱり聞いてなかった。僕は胸の感触に夢中だったからだ。少し苦し
かったけど、それ以上に至福だった。

「シンジくんは今日から私と一緒に暮らすことになったから」

目がすっかり据わった表情で、お姐さんが僕に宣告した。さすがの僕もこの一言には
驚きを隠せなかった。でも、実際問題としてこれは美味しいことになったものだと思
った。1人で暮らすのには慣れているが、色々面倒ゴトが多いし、何より乳お姐さん
が同居人なんて状況はこれから先なかなか無さそうだからだ。問題になりそうなのは
自己処理がやりにくくなることだけだが、これはなんとでもなるだろう。いざとなっ
たら深夜にトイレで済ませるつもりだ。

こうして、僕は第三新東京市での生活を始めることになった。
オモロイ。続きに期待。
学校


僕は一応軍人で、ミサトさん直下の部下と言う扱いだった。
だから学校は行かなくて済むのだと思っていたのだけれど、ネルフにも世間体がある
から学校には通えと言うお達しだった。軍人は上の命令に逆らってはいけないらしい
ので、僕は素直に従った。今までとそんなに生活が変わるわけじゃあないのだから平
気だ。

僕は学校ではいわゆるイジメられっ子だった。人の話を一切聞けないから、自然と孤
立することになってしまったのだ。そして、級友達の誘いはすべて断り続けた。休み
時間に暑いグラウンドに出て遊ぶなんて僕からすれば狂気の沙汰だ。

僕は自分では過失が無いと思っているけれど、級友達にとって僕は戦犯だったらしい。
幾度となく繰り返された歩み寄りを一方的に破棄したのは罪なのだ。
だから酷くイジメを受けることになった。
最初の二週間は耐えに耐えた。無視されることには全く平気なものだったが、上履き
を隠されたり、文房具を壊されたり、実害を被るような手合いには酷く参った。頬を
殴られると青く腫れ上がるのだ。しかも非常に痛い。
ある日、僕はどうして自分が我慢する必要があるのか真剣に悩みぬいた末に、そんな
必要は無いのだと思い至った。それからは何かあるたびに級友の後頭部に椅子をお見
舞いすることにした。級友達が泡を吹くまで滅多打ちにするのが僕の手口である。

その結果として表立ったイジメは無くなったが、相変わらず僕は無視され、嫌われた。
だが、実害は無くなったのでホっとした。針の筵のような教室で、恐怖と好奇と嫌悪
の混じった視線には耐えつづけねばならなかったのだが。

僕にとっての学校とは要するにそう言う場所だった。戦場のようなものだ。いつ撃たれ
るかわからず、僕は常に臨戦体制。
だから転校することには賛成こそすれ、反対する理由はひとつも無い。
次はイジメを受けないようにしようと思うのだった。
せーの
600GEX
ワラタ
6021:02/08/07 22:06 ID:???
>>591

久しぶりの新作SS、楽しく拝読しました。
何だか電波ユンユン♪(w のシンジ…例のコピペ(シンジが
RPGの主人公のように、人を殺傷するシュールな奴)にも通じる
感じで面白いです。

さて、アスカたんがどのように扱われるか期待大です。
ちょっとスパシンぽくなりそうなのが、心配。
駒鳥とか、あれで一気に白けたので。
今日は朝からお腹の調子が良くなかった。悪いことの前兆だったのかもしれない。
学校ではエヴァのパイロットであることで皆から凄く注目された。こんなことは初めて
だったから、少し気分が良かった。ちやほやされるのは少し照れ臭いけど、嬉しかった。
でも、その後に鈴原君と言うクラスメートに呼び出されてぶん殴られた。理由は、僕が
操縦していたエヴァのせいで妹が怪我したからだった。僕は自分は悪く無いと思ったか
ら謝らなかった。そうしたらあと三回殴られてしまった。周りに椅子は無かったし、鈴
原君はとても喧嘩が強そうだったので、僕は抵抗しなかった。武器が無い状態で喧嘩を
すると、大抵は被害が拡大するからだ。嵐が過ぎるまでは亀のように手足をひっこめて
いるのがいい。

鼻血を拭いていると、携帯電話が鳴った。また使徒が現れたので、出撃とのことだった。
殴られた顔が酷く痛んだけど、ネルフに行けばバンソウコウを貼ってもらえるだろうか
ら、僕は急いでネルフに向かった。やっぱり学校ではろくな目に会わないと思った。

ネルフについてすぐにプラグスーツに着替えてエヴァに乗った。ミサトさんにバンソウ
コウを貼ってもらえると思っていたけど、ミサトさんは発令所にいるから会えなかった。
代わりにリツコさんが切れていた口元を消毒してくれた。バンソウコウは貼らなかった。
LCLの中にいればすぐに良くなるんだそうだ。
シャムシェル


使徒は何だか気持ち悪い形をしていた。僕は練習した通りにパレットライフルを照準し
て迷わずに撃った。むしゃくしゃしていたから、容赦しようなんて気持ちはこれっぽっ
ちも沸いてこなかった。早く死んでしまえと、それだけを考えていた。

けど、僕は練習よりも弾を撃ち過ぎた。弾着の煙で使徒の姿が見えなくなったから、使
徒が死んだかどうかわからなかった。構わずもっと弾を撃とうかと思ったら、弾は撃ち
尽くした後だった。僕はらしくもなく興奮したらしい。

弾奏を交換しようと思って兵装ビルまで下がったら、今まで僕のいた場所に何か光のよ
うなものが弾けた。そして光が僕の目の前を横切ったのがわかった。僕は咄嗟にライフ
ルでそれを遮ろうとしたら、ライフルは何か鋭いカッターナイフで切り裂かれたみたい
に真っ二つになってしまった。

僕は心底怖くなって後ろを向いて走った。実際はエヴァが走っているのだけど、僕は無
意識にプラグの中で足をバタバタさせていた。それくらいに焦っていた。またミサトさ
んの声が聞えたけど、内容まではわからなかった。

使徒から逃げることはできなかった。使徒は伸縮自在の光る鞭みたいなもので僕の、エ
ヴァの足をつかんでいたからだ。つかまれているところが焼けるように熱くて痛かった。

次の瞬間には、僕は体重を失ってしまったかのように空へ投げ上げられてしまっていた。
衝撃で、一瞬息が詰まった。背中が痛いし、プラグのレバーで頭を打った。さすってみ
るとたんこぶができていた。今日はよく怪我をする日だ。
こんなに痛い目に合わされて、僕は少し腹を立てていた。エヴァは僕と違って喧嘩が強
いから、僕の気も大きくなっているようだった。いつになく好戦的な気分で使徒を見る
と、使徒はゆっくりこちらに向かっているところだった。

僕は僕をいじめる奴を滅多切りにして殺すシーンを何度も妄想したことがあった。エヴァ
は僕のイメージどおりに動くから、妄想の中で何度もやったようにナイフで八つ裂きに
してやろうと僕は考えた。背筋がぞくりとした。僕には今それだけの力がある。

でも、その興奮は一瞬で醒めた。コンソールが警告音を鳴らし、信じられないものを画
面に映し出したからだ。そこには僕を殴った級友と、その友達がいた。腰を抜かしたか
のように地面にへたりこんで涙を浮かべている。滑稽な姿に、僕は笑いそうになった。
僕を殴った奴が泣きそうな顔をして座り込んでいる。こんな愉快なことは無い。

でも、これは不味い事態だった。下手に動いたらこの二人を踏み潰してしまうかもしれ
ない。迷っている間に、使徒が近くに来てしまった。使徒の振るった鞭を両手でつかむ
と、両手の平が焼けるように痛んだ。きっとこの鞭は物凄い高温なんだろう。火傷しそ
うな熱さだった。でも、僕は鞭を離さなかった。これを顔に当てられたらたまらない。

僕はまた急激に、沸騰したやかんのように腹が立ってきた。この間抜けないじめっ子達
のせいで動くに動けない。いっそ踏み潰してやろうかと考えた。でも、エヴァの足の裏
に伝わるリアルな感触を想像したら気持ち悪くなったので踏み潰すのは嫌だなと思った。
本当に邪魔な奴等だ。僕はこの間抜け共を見捨てて使徒と戦おうと考えた。不可抗力だ。
使徒と戦っているのは僕だから、現場の判断と言う奴だ。そう考えていると、ミサトさ
んがそこの2人をプラグに載せなさいと命令した。

僕はこの命令には本当は従いたくなかった。このエヴァと言うロボットは僕のものだ。
だから触れられたくないし、プラグの中に入らせるなんて真っ平ゴメンだ。でも、命令
に逆らうことはできない。僕は不承不承ながらシンクロをロックして2人をプラグに招き
入れた。少し気分が悪かった。大切な部屋に土足で踏み入られた気分だった。

でも、もう邪魔モノはいない。僕はつかんでいた鞭を思い切り引っ張って、そして使徒
をけりつけた。エヴァの力は物凄くて、使徒は数百メートルは吹っ飛んでいった。

ミサトさんが撤退の命令を出した。でも、僕は聞えなかったことにした。命令を聞いた
ら従わなきゃいけないから、聞えなかったことにしたのだ。僕は何も返事をせずにプロ
グナイフを取り出して、使徒に向かって思いっきり走った。

何かしら叫んだと思う。あーだったかおーだったかわからない。とにかく叫んでいれば
ミサトさんの命令は聞えなかった。そして使徒の胸の真ん中にあるコアにナイフを突き
たてた。

20秒くらいで、使徒は動かなくなった。
エヴァからおりてすぐに、級友達はミサトさんに物凄い勢いでひっぱたかれていた。いい
気味だと思っていたら、僕もひっぱたかれた。勝ったのにどうして叩くのかわからないと
言うと、命令に従わないからこれは懲罰なのだと言った。僕は命令なんか聞えなかったと
言ったけど、ミサトさんが泣き出して僕を抱きしめたので、この件は別にいいかと思った。
抱きしめて貰えたから、ビンタ一発くらい安いものだ。心配されるのは悪い気分じゃない。

級友2人は黒服のいかめしい人たちに連行されていった。彼等がどうなるのか聞くと、親御
を呼んでたっぷり説教するのだとミサトさんは不敵に笑った。僕はすっかり機嫌を直して
いたので、2人のことはどうでもよくなった。

ミサトさんがどうして撤退せずに突っ込んで行ったのか尋ねた。だから僕は正直に殺して
やりたかったと答えた。実際、気持ちが昂ぶってどうしようも無かったから、これは仕方
無かったのだと説明した。ミサトさんはもう一度馬鹿と言って僕を叱ったけど、口調は優
しかった。だから僕は素直にごめんなさいと言った。

ミサトさんに今後は絶対命令無視しないと約束してから、2人でご飯を食べに行った。食堂
には綾波がいた。綾波は僕と同じエヴァのパイロットで、中学生でありながら40親父の
父さんと恋仲の変な子だ。とても無口で、しゃべってるのを見たことが無い。でも僕も大
してしゃべるほうじゃないから、あまり交流は無かった。

でも今日の僕は少し気が大きくなっていた。綾波のところへ行って、使徒を倒したことを
話した。パイロット仲間だから、他に話題は無かった。でも、綾波は冷ややかにこっちを
一瞥して、黙々とカレーを食べていた。僕は冷水を浴びせられた気分になった。
もちろん、誉めてくれるだろうとかそんなことは期待してなかった。でも、ほとんど完全
に無視されるとも思ってなかったし、綾波は何時にも増して何だか不機嫌なように思えた。
もしかすると僕が手柄を独り占めにしたと思っているのかもしれない。僕はこれ以上こじ
れる前に退散した。綾波は少し苦手だ。

ミサトさんがフラれちゃったわねってからかってきたから、僕は少し不本意な気分になっ
た。ミサトさんは大好きだけど、こう言う冗談を言う時は好きじゃない。

家に帰ってすぐに寝ることにした。何だか相当に疲れてる気がしたからだ。
ベッドに入って布団を被ると、級友のことを思い出した。あの鈴原君の顔は余り見たく無
いなと思った。明日学校に行くのが物凄く億劫な気分になってくる。また殴られたらどう
しようと思って、次は上手く避けることができるようにイメージトレーニングした。
右からのパンチはこっちにこう避けて…とやっている間に眠くなってきたので、そのまま
何時の間にか僕は眠ってしまっていた。

今日は本当に疲れる一日だったから、夢も見ないで、眠った。
一人称はこういうのあっているなぁ。
トウジとケンスケの処遇が気になっていたが、あのまま殺しても”駒鳥”よろしく、サイコな方向に行っちゃうしね。難しいところだよね。
手足が折れるくらいは良かったかもしれない。
AGE
続き書いてけれ。
613名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/08/25 19:42 ID:3u5vLwt9
SSの下書き、設定等はどれぐらい必要?
本文の長さと同じくらいでしょうか?
>>613
そんなもの必要無いかな、個人的には。
まずは、赴くままに書いてみてそれから添削でいいんじゃない?
まずは、このスレでゴー!
あんまし簡単にいうなよー。
ちゃんと完結できるように、せめてオチだけは用意しといてくれ。>>613
6162chネラーカヲル。:02/08/30 12:13 ID:???

「ふんふんふ〜ん♪」

湖に木霊す鼻歌。
その優しい音色にシンジは顔を上げた。
誰かを思い起こさせる赤い瞳と目が合う。
銀髪の少年はシンジに向かって笑いかけた。

「鼻歌マンセー。
 そうは思わないかい? 碇シンジ君」

「ま、まんせぇ?
 あの、えっと……どうして僕の名前を?」

「君の名前がageられているからさ。
 晒しageってヤツだね。
 メール欄にはきちんとsageと書かなきゃいけないよ?」

「君が何を言っているのかわからないよ……」
6172chネラーカヲル。:02/08/30 12:14 ID:???
シンジの戸惑いをカヲルは軽く流した。
にこやかに微笑んで手を差し出す。
握手を要求しているようだ。

「僕は三者力ヲノレ。よろしくね」

「さんものちからをのれ??
 変わった名前だね…・・」

「『ちから』は漢字。『を』はそのままカタカナに。
 そして『のれ』は半角カナさ。
 力ヲノレでいいよ。碇シンジ君」

「は、はぁ。
 僕もシンジでいいよ」

二人はがっちりと握手を交わした。
シンジは懐かしい人の温かみに心が安らぐのを感じる。

「……祭りだワショーイ……」

力ヲノレがそう呟いたことに、シンジが気付く事はなかった。
6182chネラーカヲル。:02/08/30 12:15 ID:???
「力ヲノレ君が使徒だったなんてっ!
 僕を裏切ったな力ヲノレ君っ!! 父さんと同じで裏切ったんだ!!!」

シンジは怒りに任せてトリガーを叩いた。
力ヲノレが使徒なんてことは信じたくないことだった。
しかしそれは真実だったのである。
現に力ヲノレ君はシンクロすることなく、2号機を操っている。
人には決してできないことだ。

シンジの涙でぼやけた視界に、赤い2号機が飛び込んで来た。
近くを漂う小さな人影。
力ヲノレだ。

彼にナイフを突き立てようとすると2号機がそれを遮った。

「彼女は君に止めておいて欲しかったんだ。
 ツェペーリ逝ってよしっ! ってことさ」

微笑みながら呟く力ヲノレ。
シンジは何とか2号機を撃退する。
初号機の大きな手がついに力ヲノレを捕らえた。

「力ヲノレ君、どうして……」
6192chネラーカヲル。:02/08/30 12:16 ID:???
「お前は本当に僕が必要なのかと問いたい、問い詰めたい、1晩付きっきりで問い詰めたい。
 お前は誰かに傍にいて欲しいだけちゃうんかと。
 誰でもいいんちゃうんかと」

「力ヲノレ君、分からないよ……」

「もうね、アホかと、馬鹿かと。
 150円やるからその手を離せと。
 僕はもうぶちぎれですよ?」

「……」

「得意げな顔して何が、分からないよ、だ。
 めでてーな。壊すか壊されるか、そんなのすっこんでろ。
 ネルフは雰囲気がいーんじゃねぇか、素人はこれ、最強な罠」

「……」

「首チョンパきぼんぬ」

「力ヲノレ君、逝ってよしっ!」

「オマエ――」

――ぶちっ……ぽちゃん。
ハゲワラ
何か書かない?
ここで書くのってどうしても書き込みがメンドウだからなぁ・・・
行数とか投稿回数とか気にしちゃうし
624616:02/09/05 20:54 ID:???
もう1個書いていいかな?
ちょっとシリアスに行きます。
625616:02/09/05 20:55 ID:???
あるところに一人の男の子がいました。
色々な人たちに裏切られ、様々なことに傷つけられた、可哀想な男の子です。
男の子は絶望の沼に埋もれながら、赤い世界に座りこんでいました。

しかし神様はその子を見捨てたりはしませんでした。
彼は神の力を手に入れていたのです。

彼はもう一度やり直すことを決意しました。
いいえ、やり直すのではありません。
創り直すのです。
あの狂った世界を、正しい世界へと導くために。
悪人が悪人として裁かれる、本当の世界を築くために。
626616:02/09/05 20:56 ID:???
「あはははははっ!」

真っ暗な部屋の中で、俺は笑っていた。
何もかもうまくいった。

赤毛猿アスカも偽善者ミサトもキチガイリツコもぶっ殺してやった。
ヨボヨボの冬月もぶっ殺してやった。
憎たらしい父は、今でも司令室で地獄を見ているはずだ。

「あはははははっ!」

もう一度声を上げて笑う。
何とも愉快だ。
世界とはこういうモノであるべきなんだよ。
最高だ。
最高の世界だ。

俺は一しきり笑って、真っ暗な部屋を出た。
ドアの横の壁に、レイがもたれていた。
素早くその唇を奪う。
レイは顔を曇らせ、甘い息を吐いた。
627616:02/09/05 20:57 ID:???
誰も居ないネルフの廊下を歩き、司令室へ向かう。
今日はどうやって髭を苛めてやろうか……。
俺は篭もった笑い声を漏らした。
誰も居ない廊下に、その音はよく響く。

司令室のドアを空けると、ヤツが居た。
昨日と同じ格好でイスに縛り付けられている。
爪は全て剥がされ、指は幾本かが欠けていた。
男性器のあった場所には木の切り株のような肉があるだけ。
昨日俺がナイフで切りとってやったのだ。

「おい、起きてるか」

腫れ上がったそいつの顔を殴る。
力なく、そいつは項垂れた。
最初は反抗してやがったのに、このごろはめっきり元気がない。
興ざめだ。

「おら、起きろっ!」

今度は腹を思いっきり蹴ってやった。
イスにもたれたそいつが大きくバウンドする。
しかし動かない。

切れた。
生意気なそいつに、俺の我慢は限界を超えた。
我を忘れてボコボコにする。
殴って蹴って、骨だって折ってやった。
不潔なあごひげを引っ張って、顔面を机に叩きつける。
ごきり、と嫌な音がした。
628616:02/09/05 20:58 ID:???
「けっ、死にやがった……」

骸となった肉塊に向かって唾を吐く。
なんだか胸が苦しくなる感情が頭をもたげたが、それも一瞬だ。

「あははははははっ!」

精一杯の大声で笑う。
俺の目的は達成された。
これほど喜ばしいことはない。
宴だ。
今日はレイと二人で宴をしよう。

「あははははははっ!!」

俺の声が、俺以外の人が居なくなった司令室に木霊する。
耳が痛くなるほどに、その声は大きく空気を震わせた。
静かだ。
急に静かになった。

「あははははははっ!!!」

俺は必死に笑い声を捻り出して、逃げるように司令室を出た。
レイが居る。
思わず俺は、その細い体に抱きついた。
ネルフの白い壁が、おかしなことに、滲んで見えた。
629616:02/09/05 20:59 ID:???
「そう、終わったのね……」

ジュースをゆっくりと傾けながら、レイが呟いた。

「そう、終わったよ……」

なぜだか、自分のことを俺と言う気がしなくなった。
異様なほどの脱力感が僕を襲う。

「僕は、これで……良かったのかな……」

「さぁ」

冷たい彼女の言葉に、僕はカッとなった。
考えるより先に手が出た。
彼女の頬を張る音が、虚しく響き渡る。

「……ごめん」

僕の謝罪を、彼女は聞き流した。
赤く腫れた頬を気にも止めず、彼女が低く呟く。

「……あなたが決めたことよ?」

相変わらず彼女は言葉が足らない。
さっきの僕の問いへの答えということなのだろう。
630616:02/09/05 21:01 ID:???
「僕のことはいいんだ。
 綾波はどう思うのか、それが知りたいんだ」

僕の縋りつくような声に、彼女は眉一つ動かさなかった。

「私はあなたに従う。
 ただそれだけよ……」

「それじゃあただの人形じゃないかっ!!」

憤然と僕は叫んだ。
彼女は動じない。

「あなたが望んだことよ」

彼女の表情は変わらない。
蝋で出来た人形のようだった。

「違うっ!!」

僕は頭を振った。
631616:02/09/05 21:01 ID:???
「違うっ!! 僕はそんな『綾波』を望んじゃいないっ!!!」

「いいえ、あなたは望んだわ。
 だから私がここにいるのだもの」

頭に血が上った。
冷え切った彼女の声が恨めしい。
人形の目で僕を見つめて、彼女は更に言葉を続けた。

「私があなたの望んだモノじゃないと言うのなら、
 あなたはどんなモノを望んだの?」

僕が望んだモノ?

僕の頭は混乱した。
何とか言葉を探し、口に出す。
632616:02/09/05 21:03 ID:???
「僕を裏切らなくて……優しくて……僕にかまってくれて……」

「勝手ね……」

きっぱりと彼女は切り捨てた。

「ここはあなたが望んだ世界。
 あなたの望んだままの世界だったはずよ?
 誰かがあなたを裏切った?
 誰かがあなたに冷たくした?
 誰かがあなたを無視した?」

「したよ。
 ミサトさんや、アスカや、リツコさんや……」

指折り数える僕に、彼女は首を振って見せた。

「それは、『この世界で』?」

「違うけど……」

「じゃあそれはあなたの思い込みね」

「違うよっ!
 きっとこの世界でだって、ヤツらは変わらないっ!!」
633616:02/09/05 21:04 ID:???
「前の世界で、その人たちはあなたに酷いことをしたの?」

頷いた。
彼女は変わらないあの瞳で僕を見つめる。

「本当にそう?
 その人たちにはそうするしか方法がなかったのではなくて?」

僕は黙り込んだ。
追い討ちをかけるように、彼女は淡々と言葉を紡ぐ。
634616:02/09/05 21:05 ID:???
「彼らを理解しようとした?
 自分だけが苦しんだと思っていない?
 司令だって、副司令だって、葛城一尉だって、赤木博士だって、
 2号機パイロットだって……そして、私だって、苦しんでいたことを知ってる?」

赤い瞳の中に僕が映っていた。
情けなくて、どうしようもない、僕の嫌いな僕だ。
嫌なことから逃げ出して、
他人から逃げ出して、
赤い瞳の中に居る僕は、どこへ向かおうとしているのだろう。

「誰だって辛いのよ。
 でもそれが当然。
 苦しいのなら苦しめばいい。
 ただ受け止めればいいだけ。
 解決策なんてものは、そう簡単に見つかるものではないわ。
 でも、だからと言って、他人にその苦しみをぶつけてはいけない。
 他人には他人の苦労がある。
 あなたがぶつける苦しみは、それはあなたのモノでしょう?」

寡黙な普段の様子からは考えられないほど、熱心に彼女は話し続けた。
人形のようだった彼女は、いつのまにか僕よりもよっぽど立派な人間となっていた。
いや。
始めからそうだったのかもしれない。
彼女は僕なんかより――。
635616:02/09/05 21:05 ID:???
「――自分を卑下しないで」

僕の心を見透かして、彼女は厳しい目で僕を見ていた。

「……そうやってまた逃げるの?」

「でも……でもこの世界は終わってしまった。
 また僕が終わらせてしまったんだ……」

「終わってなんかいないわ」

俯く僕に、彼女は強い口調で呟いた。

「どういうこと?」

「ここは補完世界の中。
 赤い海の底よ。
 補完計画はまだ終わっていない。
 現実は何も変わってはいないわ」

「どういう……」

もう一度、僕が問おうとした瞬間に、彼女はぐにゃりと歪んだ。
636616:02/09/05 21:07 ID:???
気がつけば、赤い砂浜にいた。
ただ広くて何も無い、あの砂浜だ。
空は抜けるように高く、雲一つ存在しない。
赤い海は絶え間無く、波音を聞かせてくれていた。

傍らには、やはり彼女がいた。
赤い髪の少女。

薬漬けにして、殺したはずなのに、確かにそこに横たわっている。
僕は何度も頬をつねった。
しかし彼女の姿は揺るがない。
紛れの無い現実だった。

「……アスカ……」

掠れた声で、そう呟く。
刹那、彼女が跳ね起きた。

怒りに肩を震わせて、底冷えする瞳で僕を見た。
有無を言わさずギタギタにされる。
僕は、一切抵抗しなかった。
637616:02/09/05 21:07 ID:???
どれだけの時が経ったのかは分からない。

彼女は僕の横に、また寝っ転がっていた。
殴り疲れたらしい。
ぜぇぜぇと肩で息をしている。

かける言葉が思い浮かばずに呆然と彼女を見ていると、
真剣な表情のまま、彼女が口を開いた。

「……なんかムカツク……」

素直な言葉が嬉しかった。

「……ごめん」

ほんの少し微笑んで、僕は、何とかそれだけ口にした。

―完―
638616:02/09/05 21:15 ID:???
自分で書いてて、自分で意味わかんなくなりました。
所要時間2時間。
一応断罪逆行というジャンルに向けてのお話です。

スレをかなり無駄使いしてしまってスマソ
お見事、2時間ですか。1人称としてくどくなく、テンポが良いですね。分量も適度です。


>>625-637
断罪モノはあんまり好きじゃないんだけど、これは終わり方が結構好きだった
断罪モノっていうより、断罪に対するアンチテーゼでしょ。
断罪部分が多すぎると、最後で救いを持ってくるにはやり過ぎという感じになる。
あれだけやっといて、こんなもんじゃ許されないだろ、という風に。
そういうことを考えると、断罪部分の描写を詰め込みすぎないのは良いのでは。
さらりと流したからこそ、最後に少し希望を持たせることができたんでしょう。
616ってことは上の、2ちゃんねらーカヲルを書いた人だよな。
なんかギャップがすげぇ。
2ちゃんねらーカヲル、個人的にはかなりツボなんだよなぁ。
久しぶりにこのスレ見て>>616-619にワラタ。
アサピー版とかニダー版とか出来そうだな。
>625〜637
616さん、面白かったよ
ただ「ボコボコ」と「ギタギタ」の表現をやめたら
もっと良いかも
646名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/09/11 04:07 ID:opoyVYpj
こんなのはどう?
宇宙戦艦エヴァンゲリオンっ!
でも漏れは書けないから だれか かけ!
もうすでにどっかにあるよ。多分そのもののタイトルで。
ところで、宇宙戦艦は何を想定してるの?
ナデシコっぽいのがいいなと思うのだが・・・すれ違いか?
スマソ
ナデシコ系は多分あるよ。探して見れ。多分完結してるのはないだろうけど…
そういえば、5年ぐらい前にヤマトをパロッた
宇宙戦艦エヴァンゲリオンってあったよ。

既にサイトは閉鎖されてるが、URLは控えてあるので、WebArchiveから適当に探してくれ。
ただし、最新話(?)はバックアップされてないようだ(4話はdパート、5話はbパートまであったと思う)。
ttp://web.archive.org/web/*/www.dokidoki.or.jp/home2/kouhei/


あと、同じタイトルの別作品がここにもあった。
ttp://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Cell/9653/raitagensui/syosai.htm
渚カヲルによるエヴァ強奪発生、さらに第一使徒アダムの待つセントラルドグマへと
降下を開始。
接触阻止を図るネルフは、碇シンジ、惣流・アスカ・ラングレーを投入、残されたエヴァで追撃を開始。
最下層の擬似南極、アダムの待つ扉の前でエヴァシリーズ同士が激突する。
アダムとエヴァの邂逅の是非を賭けて。
戦いの末、残りしは初号機と弐号機。
扉は開かれず、邂逅は阻止された。
しかし、ネルフの損害も莫大なものとなった。
稼動可能なエヴァを全て失い、今後の使徒もしくはそれに類する相手との有効な交戦手段は皆無。
そして、人類補完計画の開始まで残された時間はあとわずか。

静止と沈黙の中行われた戦闘が終わり、エヴァの回収作業が開始されネルフ全体に喧騒が戻ってきた中、変わらず静寂な一角があった。
発令所最上段、司令席で二人の男が無言で前方のスクリーンを凝視していた。
着席しているのが碇ゲンドウ、冬月がその右横に立っている。
画面は縦穴の入り口とそこから下に伸びるワイヤーが映っている。

冬月はそれを見ながら、弐号機と初号機の現在位置を確認する。
(まだ、四分の一上がったところか・・とするとここまで登り終えるまでには少しあるな)
(しかし、
冬月はエヴァの現在位置と、回収完了予定時刻を確認した。
その後、今回の事件の経緯、影響について初めて冷静に推測する。
回収中は、ゲンドウ、冬月共にやるべき実務はない。
(それに、二人ともあの状態ではな・・)
現在、コンタクト不可となってしまった二人のパイロット、シンジとアスカ。
多分、オペレーター席では現在二人の処置について激論が戦わされているだろう。
下を見ると、伊吹マヤの背後でミサトとリツコが口論中だった。
今度は、ミサトがオペレーター席デスクを左手で叩いた。
リツコの説明を受け入れることが出来ないのだろう。
(まあ、前回はサルベージ出来たが今回は・・)
前は一人でよかったが、今度は二人。両者とも回収できるか。

652エヴァヲタEVA1:02/09/21 23:14 ID:???
「お先しつれいしまーす」
「おう。お疲れ」

やれやれ。バイトは気楽だね。こっちゃ残業、ってか徹夜コースだな。
親父は商工会の旅行だし、納期間に合うのか?って感じだな。

あーくそ。最近ネットも見れて無いなぁ。ロスト何話くらい読んでないかな。
あやさん所の桑畑氏のヤツももう三話くらいいってるかなぁ。
もうそろそろ魂の降る里も更新してるだろうしな。

ってボーっとしてる場合じゃねぇ。とっとと取りかかるか・・・・


653エヴァヲタEVA2:02/09/21 23:27 ID:???
・・・ふう。なんとか〆出し間に合ったな。やれやれ。ニ、三日ゆっくり出来るな。
読んで無いSS大分発表されてるだろうな。七つ目玉はどうだろう。
ぬまと氏ン所も最近チェックしてなかったな。


・・・やっぱ七つ目玉イイな。このしゃべらんけど良く脳味噌回転してるレイ最高。
見えない明日で、もああクルとは思わなかったな。どうなるんだろ。ロストもう
訳わかんね。でも構成上手だから読んでしまうな。いつか時間とれたら一気再読しよう。

今日は掘り出し物発見。我流ってやつは面白くなりそうだ。なんしか考察系のぺーじ
にある奴は設定や作者の目的がしっかりしてるから安心して読めるな。
でら氏のイタモノも二部になってから面白いな。もうエヴァじゃ無い気もするけど。

・・・ってもうこんな時間か。明日はゆっくり出来るけど、もう寝とくか。ちょっと
バテ気味だし。


あ、NEON GENESISチェックするの忘れてた。チッ、もう回線切っちまったぜ。
また明日だな。
654エヴァヲタEVA3:02/09/22 00:02 ID:???
・・・なんか寝つけないな。ちょっと気ぃ立ってるのか?やれやれ。

そういや俺シンジものだったらこのまま寝て起きたらエヴァ世界。ってパターン
多かったっけ。・・・ははっ。今ちょっと想像しちまったぜ。実写版ミサトって
スゲェ別嬪だろうなぁ、とか。  あぁ俺ってヲタクだって再認識だ。
でもちょっとイイかもとかおもったりして。最近マジで仕事しかしてないしなぁ。
出会いも無いし。このまま数年後お見合い結婚って流れが見え透いてるんだよなぁ。
実写版リツコ見てみたいなァ・・・・・・寝よ。







・・・・・・・・・で、目が醒めたら知らない部屋で、ヒョロくさい中学生に
なっちまった俺が居たってわけだ。

         マジですか!!!
俺シンジかよ
駄目ですか。
>>656
がんがれ
まあ女性にとってのドリーム小説みたいなもんだしな>俺シンジもの
ここで俺ケンスケだと斬新だ
それじゃ現実の自分とほぼ同義じゃん。
そういや、大昔に学園世界で俺カヲルつーのを見たことがあるな。
俺アスカきぼう!
俺冬月で完結させたら神
俺青葉!!
俺ヒカリで逆行断罪
俺ゲンドウで逆行断罪LOS
667もうやめよう:02/09/28 11:57 ID:???
俺庵野で逆行断罪…
SENETVUS POPLVS QVE ROMANVS
669名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/10/04 19:57 ID:5DUikqhS
ナニ?
670名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/10/04 23:44 ID:myxYdEsr
佐藤大輔が俺シンジって奴、読んでみたいな。
>>670
それの流れで小林源文の俺シンジを連想した上、
某研究者@軍事板名物コテハンの俺シンジまで
連想してしまった漏れは逝っちゃってますか?

「まあ矢張りATフィールドは何者にも侵されない
心の壁という訳だろうがバンカーバスターやレールガン等の
質量兵器の数百発の同時飽和攻撃を受ければ限度は有る訳なのだろうか」
>671を見たら某研カヲルというネタを受信してしまった。

「上まあ矢張り歌は良いと思うわけだがリリンが生んだ文化の
極致と言うべきだろうか」

「上って……誰も居ないし。君は?」

「上まあ名を尋ねるならまず自分から名乗るべきと思うわけだが
僕はカヲル。渚カヲルと言う訳だがヲに付いてはワヲンのヲを間
違い無く表記して頂けると有り難く思う訳だが」

「う……うん、気を付けるよ。僕は……」

「まあ尋ねるまでもなくこちらは知っているわけだがシンジ君」

「え、どうして僕の名前を?」

「矢張り君は少し自分というモノを自覚した方が良さそうだ思うわけ
だがそれも含めて魅力的な人物と言う事も出来るのだろうか(苦笑」

「いや、ニガワライされても良く分からないよ、渚君」

「矢張り名前は簡単にカヲルで良いと思うがどうか」

「……これって会話が成立してると言えるのかなぁ」
禿藁>>672
>>672
んで、そのカヲルを見て思わず「猊下!?」と叫んでしまい、
不本意にも元軍事板住人であることがバレてしまった
ゲンドウと冬月とか。
675名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/10/05 23:08 ID:pe+5Q8nY
つか、これじゃあエヴァなんて要らなさそうだな>佐藤大輔の俺シンジ。
いきなりゼーレをオメガ7で暗殺しそうだ。
某研究者って軍事板の名物コテハンなのか
よく海外蹴球板でも見かける
>>676
そーだよ。なんかあちこち遠征してるみたいだけど。

んで、ここが某研究者本人がやってるページ。「職業:金融・不動産」というのが謎だ(w
ttp://www.aa.wakwak.com/~boukenkyuusha/



ついでに、知ってるかもしれないが、
軍板のコテハン・一等自営業氏が漫画家・小林源文先生。
軍事板のバナーも書いてるyo!
ttp://banners.cside.biz/

オメガ7な軍事板ロゴはこれだな。
ttp://banners.cside.biz/bn-045.gif
保全
保全
保全
681エヴァヲタEVA4:02/10/19 22:45 ID:???
・・・休日の朝の気だるい目覚め。俺は目を瞑ったまま時計を取ろうと身をのりだして・・・
ベッドから転げ落ちた。とっさに受身だけはとったものの、ナニがなんだか。俺は昨日「敷布団」
で寝た筈だよな。などとぼんやりと考えながら辺りを見回す。白で統一された清潔そうだが無
機質な部屋。まるで病院のような・・・って病院?ナニ?俺どうなったんだ?と、とっさに身体
をまさぐって、その体がずいぶんと貧弱な物になっている事に気付く。・・・頭が真っ白にな
った。一体俺の体はどうなっちまったんだ。まるで中学生の小僧のようのに生っ白い手足。あ
ばらの感触がわかる薄い胸板。そして・・・。作りつけの姿見に飛びつく。

黒髪を短く切りそろえた少年らしい髪型。整った造作の小作りな顔。中学生くらいの。・・・
・・・「俺」じゃねえ。誰だコレは。

姿見の前で呆然としながら、知らぬ間にわめき声を上げていたらしい。看護婦の誰何の声に我
に帰った。
「碇さんどう「おっ俺っ!なんやこれ!こっこんな貧弱な体にっ!顔も!」
そこまでわめいて気がついた。碇?・・・っておい!まさか・・・。 もう一度姿見に向き直
る。女めいた柔和な輪郭。黒髪、サラサラの。そして身体を見下ろす。やっぱり貧弱な身体だ。
それこそ中学生のような。そこでまた思考停止していた俺に、看護婦がもう一度声を掛ける。
碇さん。どうされましたか?と。マジか?・・・俺はためらいつつも、痞え痞え声を出す。
「あのー・・・俺って、もしかして碇シンジなんすか?」
看護婦の答えは「是」。俺はその声と、患者を心配するその目を見て、また思考停止した。
682エヴァヲタEVA5:02/10/21 22:52 ID:???

気がつけば、俺はベッドに収まって半身をおこしていた。目の前には白衣の女性。金髪。細面。
泣き黒子。ああ、赤木リツコだ。俺は何故か平静にそう受け入れてた。精神の何処かが麻痺した
ような感覚。そのまま何を思うことも無く赤木リツコを見ていると、声を掛けられた。
「シンジ君。具合はどう?」
「いや、具合言われても・・・」
「そう。診断の結果は得に問題はないそうよ。それよりも、先刻までの記憶に混乱がみられる
ようね。何がどうなったのか覚えているかしら。いいえその前に貴方の名前は?」
その質問に、漸く俺の頭も少しは動き始めたようだ。って言ってもまだ殆ど空白だけどな。で
も何故か既にこの状況を受け入れ始めている自分もいる。さしあたっては返答だ。こう答える
べきなんだろう。俺の無意識領域で数多のSSが飛び交っていたようなきもするが実際にはこ
んなにつらつらと考えてたわけじゃ無い。言葉の方がすべり出たようだ。
「ええと、碇、シンジ・・やと思いますけど」
「・・・じゃあシンジ君。どうして処々にいるか覚えているかしら?」
683名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/10/23 16:08 ID:7OrAlvyi
がんばれ関西人age。
今さらだけど、逆行で普通シンジ物をしてみたいんだけどいいかな?
ganngare
>>684
期待して待ってるよ
687test01-01:02/10/27 20:58 ID:???
目が覚めたら、僕は昔の自分の部屋にいた。
どうしたんだろう。
わけがわからない。
よく思い出してみる。
確か、アスカの弐号機が白いエヴァに食われていて、それから気がついたらアスカの首を
絞めていた。
その間のことは憶えていない。
ただ、もう一度みんなに会いたいと思ったことだけは憶えている。
それからのことも記憶にない。

僕は今、どうなっているのか調べた。
しばらくして、先生の所にいること、そして、今が中学入学前の春ということがわかった。
その後、僕は病院に入院した。
どうやら、錯乱していたらしい。
そして、夏が終わる頃、僕は学校へ通うようになった。

この頃には、僕はもう投げやりになっていた。
もう流されるのに身をまかそうと。
でも、あの時、もう一度みんなに会いたいと思ったことだけは確かだから、今度は
少しだけ人とふれ合おうと思った。
自分が世界に対して少しだけ心を開いたら、世界が少しだけ楽しくなった。
学校にも友達ができた。
先生とも前よりはわかりあえたような気がする。
この日常が心地よくて、僕はあのことを忘れていた。
いや、思い出さないようにしていたんだ
688test01-02:02/10/27 21:00 ID:???
「来い。」
父さんから手紙が来た。
突然だった。
しばらく、僕はぼうっと手紙を眺めていた。
ああ、この日が来たのか。
また、あそこに行かなくてはならないのだろうか。
でも、
父さんには会いたくない。
ミサトさん。僕はミサトさんの期待に応えることができかった。
ミサトさんに会わす顔がない。
アスカには、僕は酷いことばかりした。
あの時、アスカを見殺しにし、そして首を絞めた。
アスカに会わす顔がない。
それに、アスカの顔を見るのがとても怖い。
綾波。キミは命をかけて僕を助けたのに、僕はキミから逃げてしまった。
こんな僕がキミに会う資格は無いのかもしれない。
カヲル君は、黙って僕を許すんだろうね。
でも、僕は自分を許すことができないよ。
689test01-03:02/10/27 21:01 ID:???
結局、僕は楽な方に逃げていただけだ。
エヴァに乗って怖い目にあいたくない。
あそこに行っても、楽しいことなど何もない。
それに、みんなに会うのが怖い。

サードインパクトが起こっても、その時は僕だけでなく、みんな死ぬんだ。
だったら、別にどうなっても関係ない。
その時まで、今の日常を穏やかに過ごしたい。
それが逃げているだけだとは考えないようにして。
だから、先生に「行きません」と言った。
先生は一言「わかった」とだけ言った。

そして、変わらぬ日常が続いていった。
690test01-04:02/10/27 22:56 ID:???
変化は突然やってきた。
その日、僕は山岸さんと図書館で勉強していた。
山岸さんは、僕が退院して学校に行くようになってから、何かと親切にしてくれた。
それが、僕には心地よくて、山岸さんに甘えていた。
「碇君。」
「何?」
「あそこ。なんか怖そうな人たちがいるの。」
僕は、その方向を見た。
一瞬、息ができなくなった。
知ってる制服だ。
「碇シンジ君だね。」
「・・・・・」
「Nerv特殊条例により、キミに強制徴兵が適用された。おとなしく我々に従ってもらう。」
「・・・・・」
「おい。」
そして、僕は連行された。
最後に、山岸さんの「碇君。」という声だけを憶えている。
691test01-05:02/10/27 23:00 ID:???
「碇シンジ君ね。Nerv作戦本部の葛城ミサトよ。」
懐かしい声が聞こえた。
でも、僕はミサトさんの目を正視することができず、俯いて床を見ていた。
「聞いてるの?」
「・・・・・」
「まあ、いいわ。シンジ君、あなたにはこれからエヴァに乗ってもらいます。」
おそるおそるミサトさんの顔を見た。
ミサトさんは、僕が話を聞いていると思ったのか、また話し始めた。

ようするにこれからエヴァに乗って、空から落ちてくる使徒を手で受け止めろということだった。
その間、僕は無言。
最後に、
「シンジ君、あなたに拒否権はないわ。じゃあ、リツコ、あとお願い。」
そう言って、行ってしまった。
それから、リツコさんがいろいろと説明した。
リツコさんの顔を見て、たくさんの綾波が崩れていった光景を思い出してしまった。
気持ちが沈んでいくのが、はっきりとわかった。
ただ、元の場所へ帰りたい。

そして、また僕はエヴァの中にいた。
あはは、どうやっても僕はエヴァから逃げることはできないらしい。
なんか、もうどうでも。
でも、できることなら帰りたい。
692名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/10/28 07:07 ID:Y29vDPZy
山岸さんとどう知り合ったのか、落下使徒までの間に何があったのか、等の疑問はあるがオモシロそうだ。
重箱なツッコミイヤン。
>>692
一応、裏ストーリーとして考えていますが、一人称なうえ、力量不足なので、
ここまででは省きました。どこかで入れられればと思ってますが。
使徒戦は弐号機が初めから招集されていることになってます。
6951:02/10/28 13:53 ID:???
>>694
とても面白かったです。
あのゲンドウからの手紙を断ったら…というifから引きこまれました。
アスカが始めから来ている事など、とても興味深く続き楽しみにしています。
では、駄文でしたが失礼します。
696test:02/10/28 16:09 ID:???
書いていて、自分の力量不足を痛感しました。このストーリーテンポで
最後まで進むのは無理です。
それで、ストーリーを簡潔に追うような感じで短編になればと思います。
1さん、および数少ない期待してくれる方、申し訳ないです。
6971:02/10/28 19:12 ID:???
>>696
いえいえ。プレッシャーにならない程度に頑張って下さい。
多少短い方が、読みやすかったりしますし(w
698test21-01:02/10/29 10:27 ID:???
目が覚めたら、僕は先生の家にいた。
どうしたんだろう。
確か、アスカの弐号機が白いエヴァに食われていた。
それからは憶えていない。
ただ、もう一度みんなに会いたいと願ったのは憶えている。
気がついたらアスカの首を絞めていた。
そこで記憶が消えていた。

どうやら、中学入学前の春だったらしい。
どうやらというのは、僕は錯乱して、病院で長期カウセリングを受けていたから。
ようやく落ちついて、学校へ通うようになったのは夏が終わる頃だった。

もう一度みんなに会いたいと思ったことだけは本当だから、今度は世界に対して
少しだけ心を開いた。
そうしたら、学校にも友達ができた。
先生とも前よりはわかりあえたような気がする。
僕は、今、この時が本当に楽しかった。
699test21-02:02/10/29 10:29 ID:???
「来い。」
父さんから手紙が来た。
突然だった。
いや、違う。
このことを思い出さないようにしていただけだ。

あの時のことを思い出していた。
楽しかったことはあったと思う。
でも、嫌なことがたくさんあった。
あの時の僕は、みんなに何もしなかった。
ミサトさん、アスカ、綾波、みんなの顔を見ると、自分でいられなくなるだろう。

もし、僕が行かなければどうなるのだろう。
綾波はどうなる?

誰かが、僕は「予備」だと言ったのを思い出した。
あーそうか。
僕は綾波の予備だったのか。
それに、あのダミープラグもある。
だから、父さんは何度も帰れと言ったんだね。
それなら、僕はここにいるよ。
今の日常が楽しいからね。
だから、先生に「行きません」と言った。
先生は一言「わかった」とだけ言った。

そして、変わらぬ日常が続くはずだった。
数ヶ月後。
僕は山岸さんと図書館で勉強していたとき、僕はNervに拉致られた。
最後に、山岸さんの「碇君。」という声だけが耳に残った。

「碇シンジ君ね。Nerv作戦本部の葛城ミサトよ。」
懐かしい声が聞こえた。
でも、僕はただ床を見て黙っていた。
ミサトさんの顔を見るのがつらいから。
それでもミサトさんは、僕が話を聞いていると思ったのか、また話し始めた。

ようするにエヴァに乗って、空から落ちてくる使徒を手で受け止めろということだった。
ミサトさんは余裕が無いようで、いらついていた。
僕に拒否権は無いそうだ。
それから、リツコさんがいろいろと説明した。
リツコさんの顔を見て、たくさんの綾波が崩れていった光景を思い出してしまった。
一瞬、意識がとんだ。

そして、また僕はエヴァの中にいた。
もう、なるようにしかならないよね。
701test21-04:02/10/29 10:33 ID:???
零号機と弐号機が見えた。
アスカと綾波には、まだ会ってない。
向こうからの回線は来ない。
僕から会う勇気はない。

使徒が落ちてきた。
やっぱり、僕が一番最初に受け止めた。
でも、今度は僕は耐えられなかった。
意識が白くなり、そして消えた。

それから、ダミーシステムが起動。
その後は、めちゃくちゃだったみたいだ。
使徒が消滅してから、アスカや綾波にも攻撃したらしい。
結局、内蔵電源が切れて止まったようだけど。

僕は、いつもの病室で目を覚ました。
誰もいない。
目を覚ます時、いつも綾波が横にいたのを思い出した。
彼女は、やっぱり僕が心配だったのかな?
そうだったら、うれしいと思う。
だから、今、さびしい。
702test21-05:02/10/29 10:36 ID:???
その後、リツコさんにいろいろと聞かれた。
ほとんど憶えていないと答えたけど。
それから、父さんと衛星回線で話をした。
久しぶりに父さんの顔をみた。
憎しみは無い。
ただ、父さんとは絶対に分かり合えないと確認できただけだ。
今回の徴兵は、ミサトさんの独断だったらしい。
それでどうしたいのかを聞かれた。
「帰りたい」
一言、そうつぶやいた。
それで終わり。

帰り際に、廊下でアスカと綾波に出会った。
「アンタ、サードチルドレンね。」
「臆病者に用はないわ。さっさと帰りなさい。」
アスカは、やっぱりアスカだった。
その姿は眩しく、それゆえにベッドの上のアスカを思い出し、気持ちが沈んでしまった。
綾波は無言で僕を見つめ、そして歩き去っていった。
何か綾波に言葉をかけたかったが、何も言えなかった。
703test21-06:02/10/29 10:38 ID:???
やっぱり、学校は楽しかった。
でも、アスカと綾波のことを考えることが多くなった。
そんな時、僕は病人のような顔になるようで、いつも山岸さんに心配された。

そして、僕はまたNervに拉致られた。
もう普通の生活は無理だとあきらめた。
ただ、アスカと綾波を手伝ってみようとは思った。

発令所について、僕は目眩がした。
アスカと綾波がディラックの海に沈んでいた。
ミサトさんもリツコさんも、打つ手がないようだった。
もちろん僕もどうしていいかわからない。
あの時、僕は何もしていないのだから。
父さん、司令が僕に言った。
「ただ座っていればいい。それ以上は望まん。あとはダミーがする。」
つまり、ダミーシステムで起動はまだ無理なので、僕が起動させなければならないらしい。
でも、アレには嫌な思い出しかない。
「僕に動かしてくれるなら乗ってもいい。」
以外にも、司令はそれを了承した。
どうせ、最後はダミーを使えばいいと思っているのだろう。
でも、僕はエヴァに乗ることにした。
704test21-07:02/10/29 11:12 ID:???
その後、司令の命令でターミナルドグマと呼ばれる地下に降りて、白い巨人に
刺さっている槍を引き抜いた。
この白い巨人は何なのだろう?
でも、今はそれにかまっている場合ではない。
槍を持って地上に出た。
すると、足下に黒い影が拡がった。
命令通りにその影に槍を突き刺す。
影は一瞬にして白くなり、そして消えてしまった。
頭上の白黒のスイカみたいな球体も光を発し、消えてしまった。
そして、球体があったところから零号機と弐号機が落ちてきた。

すぐさま弐号機と零号機に駆け寄り、エヴァからプラグを引き出した。
アスカは元気だった。
「アンタ、サード?」
アスカは僕を見るなり、そう言った。
それから、綾波のプラグを開いて、中を見た。
綾波は動かなかった。
そんな...
「綾波ー。起きてよ、綾波ー。」
何度も何度も呼びかけた。
すると、綾波の目が開いた。
赤い綺麗な瞳が僕を正気に戻させた。
「どうして、泣いているの?」
僕はどうやら泣いていたらしい。
「うれしいからだよ。」
「どうして? あなたが泣く理由がわからないわ。」
「いいよ。理由なんて」
「私はあなたを知らない。あなたは私のことを知ってるの?」
今の綾波が、僕の知ってる綾波ではないことを僕は思い出し、違う理由で
僕は泣いてしまった。
綾波は、僕をただ不思議そうに眺めていた。
やっぱり、駄目です。へたくそすぎます。文章もなかなか短くならないし、
ストーリーもイマイチ。一応、最後までの展開は考えているんですが。
いきなり、EoEまで書こうとしたのがまずかったのでしょうか。
706test21-08:02/10/29 15:19 ID:???
その後、僕は予備パイロットとして登録された。
もう、ここまで来たら引き返せないと思ったので、それについては抵抗しなかった。
Nervの職員を紹介され、アスカと綾波にも正式に紹介された。
アスカは、やっぱり綺麗だった。
綾波は、じーっと僕を見つめていた。
その後、僕はNervの官舎に住み、そこから学校へ通った。
クラスはやっぱり2-A。
そこには、トウジ、ケンスケ、洞木さんがいた。
アスカと洞木さんは以前と同じで仲がいいようだ。
綾波は、以前と同じに本を読んでいるか窓の外を眺めていた。
ただ、時々、綾波の視線は感じた。

今回、ミサトさんと同居にならないでほっとしていた。
アスカとは距離を取っていた方がいいだろう。
僕とアスカは近すぎる。
だから、傷つけあっていたんだ。
それにアスカは、僕の知っているアスカじゃない。
ミサトさん、綾波、トウジ、ケンスケ、洞木さん。
みんなを僕は知っているけど、みんなは僕を知らない。
もう一度、みんなに会いたいとあの時、僕は思ったけれど、ここにいるのは知らない人たちだ。
だから、みんなに僕はどう接したらいいのかわからない。
707test21-09:02/10/29 15:21 ID:???
父さんは、綾波に違う誰かを見ていた。
たぶん、母さんを見ていたんだろう。
なんか、そのような気がする。
僕は、今の綾波を、前の2人目の綾波として見てしまうのだろうか。
それだけは嫌だ。
父さんと同じになりたくはない。
3人目の綾波か。
あの時、なぜ綾波から逃げ出したのだろう。
人じゃないから。
でも、カヲル君も人ではなかった。
僕を知らなかったから。
そう、そうかもしれない。
知ってる人なのに、違う誰か。
それが怖いのかもしれない。
結局、今、ここにいるみんなは、以前とは別人と思うしかないのかもしれない。
それを僕ができるかどうか自信がないけど。
708test21-10:02/10/29 15:23 ID:???
今回、僕のシンクロ率は低い。
50%ぐらいだ。
そのせいだろうか、アスカが少し僕に優しい。
いろいろと、僕に世話してくれる。
アスカは、第3使徒が来た時には、もうここにいたということだった。
今まで綾波と二人で使徒を撃退してきたと言った。
でも、「私が主に活躍したけどね」と胸を張っていたけど。
「もう前回のようなことはないわ。だから、サードは何もしないで見てなさい。」
「僕は何もしてないよ。ただ、命令に従っただけだよ。」
「あー、うるさい。アンタは黙って私の言うことを聞いていればいいのよ」
やっぱり、アスカはアスカだった。
709test21-11:02/10/29 15:27 ID:???
綾波はやっぱり綾波だった。
あいさつをしても、返事は無い。
でも、時たま視線を感じる。
「あなたはどうして泣いたの?」
突然、聞かれた。
「どうしてと言われても。よくわからないよ。」
「どうして、綾波はそんなことを聞くの?」
「・・・・・わからない。でも気になった。」
「・・・今まで私の前で泣いた人がいなかったからかもしれない。」
「なんか、うまく言えないけど。わからなくてもいいんじゃないかな。だって、
綾波は僕じゃないんだから。でも、わかり合おうとすることはできると思う。
・・・なに言ってるんだろうね、僕は。」
綾波はただ前を見つめていた。
やっぱり、綾波はよくわからない。
でも、綾波といると心地よい感じがする。
だから、
「あのさ、友達になってくれないかな。」
気がついたら、そう言っていた。
「命令?」
「いや、そうじゃないけど、うーん、お願いかなあ。」
「お願い?」
「うーん、それもなんか違うような。ただ、綾波と友達になりたいんだ。駄目かな?」
綾波はしばらく僕を見つめ、それから、
「かまわないわ。」
と言った。
710test21-12:02/10/29 15:29 ID:???
それからしばらくは平穏だった。
僕がパイロットだとクラスのみんなに知れわたって、やっぱりケンスケが近づいてきた。
それが縁でトウジ達と多少は話すようになった。
でも、以前のように親友とは言えないのだろう。
アスカとは、学校でも少しは話す。
綾波とは、友達になったのだろうか?
話しかければ、僕の方を向いてくれるし、ごくまれに返事を返してくれることもある。
でも、あの頃は、もっと綾波と話をしていたような。
駄目だな、また前の綾波と重ねてしまった。
今は今と思わないと。

ある日、トウジが放送で校長室へ呼ばれた。
たぶん3号機のパイロットのことだろう。
ケンスケが3号機がこっちに来るようなことを言っていたの思い出した。
トウジには3号機に乗って欲しくない。
でも、僕には何もできない。
未来を知っているといっても、僕は無力だ。
それに、もう僕が知っている未来とは大きく異なっている。
いったい、これからどうなるのだろう。
711test21-13:02/10/29 15:30 ID:???
エヴァに関わるようになって、最近は昔のことを思い出すようになっていた。
そして、初号機に母さんが取り込まれたことを思い出した。
だから、初号機の中は優しい感じがするのかな。
母さんは、初号機の中で何を考えているのだろう。

松代で3号機の起動試験が行われた。
その日、僕は本部でシュミレーション訓練をしていた。
日向さんが、今日は3号機の起動試験だと教えてくれた。
それで、僕はこれから起こることをずっと考えていた。
もし、3号機が使徒に乗っ取られたら、僕はどうすれば。

でも、その日は何事もなく終わった。
いったいどうしたんだ。
使徒は来なかったのか。
そして、僕はほっとしていた。
712test21-14:02/10/29 16:54 ID:???
それから、トウジとはNerv本部の中でよく会うようになった。
よく会うようになると、自然に仲もよくなった。
ある時、僕たち四人が訓練の合間に休憩していたら、トウジが僕に聞いてきた。
「碇は、なんでエヴァに乗ってるんや?」
「なんでかな。でも、僕は一回エヴァに乗ることから逃げ出したことがあるんだ。」
「情けないやっちゃなー。それで、またどうして乗るようになったんだ。」
「どうしてって言われても、無理矢理ここに連れてこられたからね。それで、ここに来て、
もう乗るしかないような事態になっていて、それからなし崩し的に乗るようになったんだよ。」
「サード、アンタはホントに情けないわね。でも、安心しなさい。アンタの出番はもう無いから。」
「うん、そうだといいよ。本当に。」
でも、そうはならないことを僕はわかっていた。
「綾波は、なんでエヴァに乗るんや?」
綾波は、じっと宙を見つめ、それから、
「絆だから。」
「どういうことや?」
「みんなとの絆。私にはエヴァしかないから。エヴァだけが私とみんなを繋いでいるの。」
「そうか、なんやわからんが、綾波も苦労しとるんやな。」
僕をただ綾波を見つめていた。
713test21-15:02/10/29 16:56 ID:???
訓練後、僕は綾波を待った。
何を言っていいのかわからないけど、何かを言わなければならないと思った。
「綾波。」
「なに?」
「あ、あのさ。」
それから、僕は何も言えずにいたら、綾波が僕の目をまっすぐに見つめはじめた。
「えーと、その、絆のことだけど。綾波は本当にエヴァしかないと思っているの?」
「ええ、そうよ。私には他に何もないもの。」
「でも、その、僕は綾波とエヴァが無くても、絆を結びたいと思っているよ。」
「・・・・・」
「いや、綾波が嫌なら仕方がないけど。でも、・・・・・」
「どうして?」
「えっ。」
「どうして? 碇君、あなたはどうしてわたしにかまうの?」
「それはそのー、・・・綾波と仲良くなりたいからかな。」
「よくわからないわ。」
「そうだね。よくわからないね。でも、綾波とは仲良くなりたいんだよ。」
それから、綾波は僕をしばらく見つめ、そして帰ってしまった。
ただ、僕が綾波に「じゃあ、また明日。」と声をかけたら、綾波から「また明日。」と
初めて返事が返ってきた。
714test21-16:02/10/29 16:57 ID:???
それからは、綾波との距離が縮まったと思う。
一緒にいても前と変わらずに、会話もほとんど無いけど、空気が優しくなった
ような気がする。
アスカとは、相変わらずかな。
でも、アスカは眩しいくらいに元気だ。
いつまでも、元気なアスカを見ていたいと思った。

使徒は突然やってきた。
あの、めちゃくちゃ強いヤツだ。
迎撃に、零号機と弐号機が出た。
僕とトウジは待機。
だが、明らかに零号機と弐号機は劣勢だった。
ミサトさんが、初号機と3号機の発進を命じた。
その時、司令が口をはさんだ。
「初号機はダミープラグで起動。」
やっぱり、僕は予備なんだね、父さん。
3号機が先に出て、そして使徒に一瞬にしてやられてしまった。
トウジが無事なので安心した。
アスカと綾波も防戦一方だった。
その時、初号機が現れた。
もう、その後は凄惨を極めた。
使徒を殴る、蹴る、引き裂く。
そして、使徒を食べ始めた。
その姿は、古の悪魔が人間を食べる様子を僕たちに思い浮かばせた。
そして、初号機は満腹になったのか、動きを止めた。
715test:02/10/29 20:06 ID:???
なんか、書いていて、1さんの作品とそのまんま同じような気がしてきました。
元は、シンジの性格改変のための逆行、シンジがゲンドウの手紙を無視した場合
どうなるのか、そしてその場合、ダミープラグで物語が進んでしまうのではないか
という疑問が出発点でした。他にもありますが、今の段階ではこれくらいです。
そして、大まかなストーリーを決め、物語を進めていたら、1さんのダミーに
ついての部分に似かよってしまいました。今後のストーリーはもちろん違う展開に
なりますが、似ている部分があるのに、このまま進めていいのかどうか、疑問を
感じてます。
読んでいる人はほとんどいないと思いますが、ここまできて止めるのもと
思ってもいるし、どうしましょう。
そんなに似てないと思うけど。
717test:02/10/29 20:16 ID:???
えーと、ダミープラグで運用可能になると、アスカの存在意義が薄らいで、
その結果、アスカがどうなってしまうのかとか。
似てないと思われるなら、それに越したことはないのですが。
718test:02/10/29 20:26 ID:???
次の文章がまだでした。このあたりが似ていると思うのですが。
719test21-17:02/10/29 20:26 ID:???
初号機は凍結となった。
理由は、僕にはわからない。
リツコさんが、S2機関がどうのこうのと言っていた。
たぶん、それが関係しているのだろう。
それにしても、ダミープラグはなぜあんなに凶暴なのだろう?
昔、あの水槽の前でリツコさんが、綾波がダミーのコアだと言っていたのを思いだした。
でも、綾波があんなに凶暴だとはどうしても思えない。
そういえば、あの水槽にはまだ綾波がたくさんいるのだろうか?
あれがあるから綾波は苦しんでいるのだろうか?
でも、僕にはどうすることもできない。
720test21-18:02/10/29 20:27 ID:???
アスカは荒れていた。
自分の手で使徒を撃退できなかったのが相当悔しいようだ。
「あのダミープラグってなんなの。サード、あんたはエヴァに乗れなくて悔しくないの。」
「僕にはどうしようもないよ。所詮、予備パイロットだし。」
「そう、それよ。予備ってどういうこと。ダミープラグが正規ということなの?」
「たぶんそうだよ。これからはもうパイロットは必要ないんだ。」
「・・・・・、そんな、あたし達はチルドレン、選ばれた人間のはずよ。」
僕は黙ってアスカを見つめることしかできなかった。

それからはまた訓練の繰り返しの日々になった。
アスカはやっぱり荒れていた。
なにかというと、リツコさんにダミープラグのことでつっかかっていった。
アスカには、エヴァが必要なのだろう。
でも、僕はアスカには、エヴァなんて必要ないと思う。
アスカは綺麗だし、頭もいいし、人気者だし。
もっと、他の道を選んでもいいと思う。
そんなことをアスカに言ったら、
「あんたに私のなにがわかるのよっ。」
と、怒られてしまった。
721エヴァヲタEVA5:02/10/29 20:47 ID:???
似てるって思う人には似てるだろうし、そうでない人にはそうでない。

漏れは「面白ければなんても」な人。
大事なのはキャラが立ってるかどうかだとおもうなり。


とりあえず書き切ってみよう。ナニカがつかめるはず。
俺は面白いと思う。
ぜひ最後まで書ききって欲しいと思う。
7231:02/10/29 23:10 ID:???
気にする事は無いと思いますよ。
読んで面白い、これ最強ですから(w
負担にならないようでしたら、ゼルエルまで来た事だし是非
EOEまで期待してます。

もしかして、こちらが考えている終局と重なるのではと、
少しだけドキドキ。
まぁ、その時は真似させて頂きます。(w
724test:02/10/30 04:53 ID:???
読んでくれている人がいて嬉しいです。大丈夫なようなのでがんばってみます。
リ・アゲインは読んでますが、私にはあのような深いアイデアは作れないので、
重なることは無いと思います。
性格的に甘くなってしまいがちですし。
725test21-19:02/10/30 10:23 ID:???
先日のアスカとの会話がきっかけで、僕は将来のことを考え始めた。
もしかすると、もう僕はエヴァに乗ることはないかもしれないし、前のような
つらいことは起きないかもしれない。
これから起きる未来から、逃げているだけかもしれないけど、それでも考えていた。
アスカはどう考えているのか知りたくなって、聞いてみた。
「あたしは、エヴァに乗って、自分の才能を世の中に示すのよ。」
「・・・・・」
「そう、あたしは一番にならなければならないの。これからもずっと。」
「でも、惣流さん。将来もエヴァに乗るかどうかはわからないよ。僕なんて、
チルドレンと言っても、必要とされてないパイロットだしね。」
「・・・」
「きっと、僕も惣流さんもエヴァに乗らなくなるような時が来ると思う。その時は
どうすればいいのかな。」
「あたしは、・・・・・そんな将来のことなんてわからないわよ。それより、サード、
アンタはどう考えているの?」
「僕は、また先生の所に帰ると思う。そして、普通に学校に行って、普通に暮らすと思う。」
「まあ、サードはそんなところよね。」
「あはは、そうだね。でも、惣流さんは大丈夫だよ。たぶん何をやっても一番になれるよ。
それに、惣流さんは綺麗だしね。」
「なっ、なにを言うのよ。」
僕は調子にのって言いすぎたらしい。
アスカに頭を思いっきり叩かれた。
「じゃあ、惣流さん、訓練に戻るよ。」
僕は席を立った。
訓練に向かおうとした時、アスカが僕を呼び止めた。
「シンジ。これから、アンタのことをシンジと呼ぶから、アンタもあたしのことを
アスカと呼びなさい。わかった?」
「うん、わかったよ。」
空気が軽くなったような気がした。
726test21-20:02/10/30 10:27 ID:???
綾波は、将来をどう考えているのだろう?
綾波の生まれについては、多少はわかっているつもりだ。
綾波が、自分には代わりがいるからとか言っていたのを思いだした。
でも、僕は綾波の生まれがどうであろうと、大きな問題ではないと思う。
カヲル君は使徒だったけど、そんなの関係なかった。
綾波は、綾波だと思う。
だから、綾波にもこれからのことを聞いてみた。
「綾波は、将来どうするの?」
「将来?」
「そう、将来。」
「・・・・・・・・、わたしに未来は無いわ。ただ、消えていくことだけが私の望み。」
「そ、そんな。・・・そんな悲しいこと言わないでよ。」
「でも、それが事実。」
綾波の顔がわずかに憂いを含んでいた。
727test21-21:02/10/30 10:29 ID:???
「それでも、僕は、綾波にも未来はあると思う。だから、・・・」
「私は、司令にしか必要とされていない。司令のために生き、そして消えていくの。」
「そんなのおかしいよ。父さんのために消えるなんて。綾波には、綾波の未来があるよ。
絶対に。」
「わたしには何もないもの。」
「僕との、僕との絆はどうなの? 僕は綾波との絆は絶対にあると思っているよ。
それに、アスカとの絆もきっとあるよ。」
「・・・」
「将来のことなんて、全然わからないかもしれないけど、僕は、ずっと綾波との
絆を持っていたい。」
「・・・・・」
綾波は、ぽつりと、
「みらい。」
とつぶやいた。
僕は、うまく自分の気持ちを伝えられたのだろうか。
その後、綾波は訓練があるからと、立ち去っていった。
立ち去る瞬間、僕は綾波の微笑みを見たような気がする。
ほんの小さな笑みだけど、澄み渡るような透明できれいな笑みだった。
728test21-22:02/10/30 14:11 ID:???
綾波とアスカが地上でエヴァの演習をすることになった。
僕とトウジは、その様子を発令所で見ていた。
零号機が起動開始した。
そして、突然、爆発した。
モニターには何も映らない。
警報が鳴り、青葉さんが叫んだ。
「パターン青、使徒です。位置は、・・・・・」
「どうしたの? 青葉君。」
ミサトさんが叫んだ。
「零号機です。」
そんな、まさか、あのエヴァを乗っ取る使徒が零号機に。
僕は、体が震え、立っていられなくなった。
「零号機、セントラルドグマに進入、メインシャフトを下降しています。」
「まさか、ターミナルドグマを目指しているというの。」
「マヤちゃん、零号機と回線は繋がらない?」
「駄目です。応答無しです。停止信号、射出信号、共に反応無しです。」
「アスカ、直ちに零号機を追って。すぐに、3号機を向かわせるわ。」
「ミサト、任せといて。零号機を止めてみせるわ。」
「アスカ、レイをお願い。」
729test21-23:02/10/30 14:12 ID:???
トウジにミサトさんから出撃命令が下ったその時、司令が宣言した。
「エヴァンゲリオン零号機は現時刻を持って破棄。目標を第14使徒と認定する。」
「しかし、司令。それでは、レイが。」
「使徒の殲滅。それが我々の任務だ。」
僕は父さんに向かって叫んだ。
「父さんは綾波を見捨てるの? 僕はそんなの認めないよ。」
しかし、父さんは僕のことを無視して、ミサトさんに命令した。
「弐号機、3号機により、直ちに使徒を殲滅。以上だ。」
父さんは、綾波のことが大切じゃなかったのか?
だから、零号機が暴走した時、真っ先に駆けつけたんじゃなったのか?
もう、父さんを何一つ信じることはできないよ。
さよなら、父さん。

僕は何もできずに発令所のモニターを見ていた。
僕は無力だ。
何もできない。
せめて、アスカとトウジが何とかしてくれることを祈ることしかできない。
730test21-24:02/10/30 14:14 ID:???
「弐号機、第14使徒とターミナルドグマ・レベル8付近で接触。交戦状態に入りました。」
「まずいわ。あそこにはプラントが。ミサト、アスカに回線繋いで。」
「リツコ、回線を繋いだわ。」
「なに? リツコ。今、余裕がないのよ。」
「アスカ、そこで戦ってはダメ。最下層に零号機をおびき寄せて。」
「そんなこと言われても。こっちも必死なのよ。」
「3号機、第14使徒に接触。交戦状態に入ります。」
「第14使徒、および弐号機、3号機、ターミナルドグマ最下層に到達。」
ここで、モニターから映像が消え、音声のみになった。
「リツコ、これ、どういうことよ。」
「あそこは最重要機密なの。映像は出せないわ。」
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ。」
「無理なものは無理よ。」
「くっ。」
「ミサト。どうすればいい? ファーストをどうやって助ける?」
「そや、ミサトさん。どないすればいいんや?」
「アスカ、・・・・・」
「セカンドチルドレン、フォースチルドレン、敵は使徒だ。即刻殲滅しろ。」
「そんな、できるわけないでしょ。」
「弐号機、左腕上部損傷。3号機、右大腿部損傷。」
「初号機を現時刻をもって凍結解除。ダミープラグにて起動。直ちにターミナルドグマへ
向かわせろ。」
731test21-25:02/10/30 14:17 ID:???
ダミープラグだと、トウジの時と同じになってしまう。
「父さん、止めてよ。僕が初号機で出るから、ダミープラグを使うのは止めてよ。」
「何をしている、葛城三佐、すぐ実行しろ。」
「は、はい。・・・・・ごめん、シンジ君。」

「初号機、第14使徒に接触。交戦状態に入ります。」
「ミサト、どういうことよ、これ。」
「アスカ、初号機がダミープラグで起動しているの。だから、アスカと鈴原君は
後方で待機していて。」
「そんな、納得できるわけないでしょ。ファーストはどうなるのよ。」
「お願い、アスカ。あなたまで失うわけにはいかないのよ。」
「でも、・・・・・あっ!」
732test21-26:02/10/30 14:18 ID:???
この時、爆発音が聞こえ、床が大きく揺れた。
そして、通信機のスピーカーからノイズが流れた。
しばらくして、
「使徒、消滅しました。」
残酷な報告が告げられた。
「弐号機、3号機は大破しましたが、パイロットは無事です。初号機は活動停止しました。」
「ターミナルドグマ・レベル6まで消失。」
「なっ、マヤ、ダミープラントはどうなったの?」
「・・・・・消失しました。」
「な、なんてことなの・・・・」

僕は、またしても綾波を失ってしまったのか。
いったい、何度繰り返せばいいんだ。
あやなみ.....


「第一部終了」
733test:02/10/30 14:25 ID:???
とりあえず、ここまでを第1部としました。
理由は、今後は、第3者的視点を入れたいと思いましたので。
いい加減とはいえ、ここまでシンジ一人称で進めて、これから変えるのは整合性を
損ないますし。何も考えないで、進めたつけですね。
今後は、第3者的視点を入れるといっても、基本的にシンジ一人称にするつもり
ですし、シンジの知らない状況説明と会話が入るくらいになります。
できれば、これからもお付き合いください。
734test:02/10/30 16:36 ID:???
一応、補足説明を。
物語冒頭での記述がありますが、基本的にシンジは、EoEで弐号機が量産機に
食われているとこまでで、シンジが見聞きしたことしか知ってません。
よって、シンジがなんでも知っているということは無いです。
あと、特殊能力もないです。
特別、美形ということでもないし、普通の少年としています。
ならべく、シンジが説教臭くならないようにと心がけましたが、
うまくいっているかどうかわかりません。
また、今回はシンジの所に手紙が来るのが多少早くなり、そのため、アスカを
招集することができたとしています。この辺は物語中で説明できなく、力不足
を感じてます。

それにしても、あまりの下手さに恥ずかしいです。語彙が少なく、構成も
今からやり直したいし、状況がよくわからないし。そうなると、アイデア
勝負になるけど、それもイマイチですし。
正直、もう恥ずかしいのでやめたい気持ちはありますが、なんとか続けたいです。
完結する場合は、あと数日で終わらせたいのですが。
ここが変とか、批判があれば、助かります。初心者なので、そういう指摘が
大変参考になります。
構成については、作者を差し置いて言うことではないので。

掲示板連載と言う性質上、もうすでに、「必要最小限の描写」ってのに
なってるとおもう。あとの肉付けは、終わってからリライトで、でいいとおもう。
アンデルセンさんみたいに。

いまはとにかくストーリーを進めて。

なんでもすれ、なんだから、書き捨て上等だよ。
完結まで書いてこそ、なにか得るものも有るとおもうし。

乱文しつれい。
7361:02/10/30 20:18 ID:???
あまり私がしゃしゃり出るのも良く無いとは思うのですが…。

>>734
ストーリー展開だけを追うという、いわば骨組の形での展開なので
、分かり難いのは如何ともし難いと思いますよ。
後、一人称は普通の三人称と違って、状況説明などが難しいので私
もそれで苦戦しております。

まずは書き上げてみて、アイデア等をそのままにしておくのが勿体無い
ようでしたら、肉付けをする形でHPを立ち上げるなり、このスレ(w
に書き込むなるのどの方法があると思いますので、完成させて見ては
如何でしょう?

結構面白いので、個人的には期待しております。
頑張って下さいね。
737test:02/10/30 21:42 ID:???
>>735-736
読んでくださって、なおかつ助言をいただいて、ありがとうございます。
とにかく、最後までがんばってみようと思ってます。
738test22-27:02/10/30 21:46 ID:???
[第二部]

司令室にて、
「ダミープラントは消滅。レイのパーツは全て失われました。残っているのは、
初号機に搭載されているダミーのみです。」
「ふむ、それでレイの魂の行方は?」
「不明です。残ったダミーにも魂は確認されませんでした。消滅の可能性が高いと
推定されます。ただ、・・・・・」
「なんだね、赤木博士。言ってみたまえ。」
「リリスに微かな質量増加が確認されました。」
「馬鹿な。リリスはロンギヌスの槍により成長を抑制しているはずだ。」
「ですが、確かに増加しています。」
「ご苦労、赤木博士。下がってよろしい。」
「はい。」

「困ったぞ、碇。レイが失われた今、シナリオの遂行は不可能だ。それに、
リリスが覚醒したとなれば、我々に制御する手段はない。」
「シナリオは破棄する。我々の補完計画が遂行不能となった今、今後はゼーレの
シナリオを防止することに全力を向けねばなるまい。」
「ふむ。ユイ君の意志に従うならば、そうせざるをえまい。だが、ユイ君に
会うのもあきらめてしまうのか?」
「先生、私はあきらめたわけではありませんよ。」
739test22-28:02/10/30 21:50 ID:???
アスカとトウジは、入院している。
アスカは軽傷で、一週間ぐらいで退院できるようだ。
トウジは、骨折が数カ所と、内臓破裂を起こし、全治3ヶ月だそうだ。
でも、完治すれば、今まで通りの生活できるとのことだ。
綾波は、公式に死亡となった。
ダミープラントなど無くなって良かったのだろう。
でも、綾波がいない今となっては、もうどうでもいい。
またしても、僕は何もできなかった。
ただ、見ていることしかできなかった。
こんなことになるなら、どうして最初からエヴァに乗らなかったんだ。
僕は、自分が許せない。

僕は、アスカを見舞いに行っている。
また、アスカに縋っている。
でも、一人でいると壊れてしまいそうなんだ。
「シンジ、アンタの気持ちもわからなくはないわ。でも、いつまでそうしているつもりなの?」
「アスカ。僕は、.....」
「アンタは、あたしに逃げているだけよ。そんなで、いいと思っているの?」
「わかっているよ。わかっているけど、...」
僕はアスカの病室を逃げ出していた。
740test22-29:02/10/30 21:53 ID:???
弐号機と3号機の破損は大きいらしく、しばらくは初号機のみとなった。
そして、僕はまた訓練の日々を過ごした。
でも、どうせ僕はエヴァに乗ることはないと思っているので、訓練が身に入らなかった。
時間は残酷だ。
僕はだんだんと綾波を思い出すことが少なくなっていった。
これでいいのかもしれなし、よくないのかもしれない。
でも、自分を責め続ける僕がいる。

アスカが退院した。
弐号機の修理に時間がかかると言われても、アスカは平然としていた。
「なんか、馬鹿らしくなったのよ。」
アスカは無表情にそう言った。
「どうせ、あたしがいなくても、ダミープラグでエヴァは動くしね。それに、
あーも簡単にファーストを見殺しにするNervにも嫌気がさしたわ。」
「アスカは、綾波のことが好きだったの?」
「嫌いよ。でも、...今まで一緒に戦ってきたからね。やっぱり、仲間なのよ。」
アスカは、そっぽを向きながらそう言った。
僕は、アスカに聞こえないくらい小さな声で「ありがとう。」と言った。
741test22-30:02/10/30 21:54 ID:???
あの精神汚染をする使徒が来た。
やっぱり、ダミープラグで初号機を出撃させた。
この頃には、ある程度、制御できるようになったのかポジトロンライフルを装備していた。
そして、使徒からの光線に初号機が包まれた。

「心理グラフが乱れています。精神汚染が始まります。」
「そんな。ダミープラグに汚染しているというの。」
「マヤ、初号機に停止命令を送って。いそいで!」
「駄目です。初号機、全ての信号を拒否しています。」

初号機は動かなくなり、そして光線は止まった。
その後、初号機は回収され、再度、起動が試みられたが起動しなかった。
そして、次に僕がエヴァに乗ることになった。
しかし、使徒をただ静観するしかなかった。
すると、使徒は第三東京使上空に下降を始めた。
僕に、出撃命令が出た。
エヴァが起動するかどうか不安だったが、あっさりと起動した。
そして、ポジトロンライフルによって使徒は殲滅された。
742test23-31:02/10/31 13:18 ID:???
もう、ダミープラグは無い。
これからは、僕がエヴァに乗って戦わなければならない。
戦うのは怖いけど、ダミーが無くなって良かった。
傷つくのは、僕だけで十分だ。
体の痛みなんて、心の痛みに比べればどうってことない。

今日も、エヴァに乗っている。
気のせいか、前よりもエヴァの中にいるのが気持ちいい。
母さんなのかな? この感じは。

次の使徒は、前に綾波を奪ったヤツだ。
今、戦えるのは、僕と初号機しかいない。
あの使徒に勝つことができるのだろうか?
あの時、僕は何もできなかった。
743test23-32:02/10/31 13:20 ID:???
〈目標接近、強羅絶対防衛線を通過。〉

僕は、前と同じように使徒と戦っている。
使徒は蛇のようになって、初号機に襲いかかってくる。
それを避けるので精一杯だ。
だが、それももう限界だった。

〈目標、初号機と物理的接触。〉
〈生体部品が浸食されていきます!〉

体に激痛が走った。
意識が朦朧としてくる。

〈侵食率が20%を越えました!〉

「誰?」
『ボクと一つにならない?』
「キミは僕?」
『そう、ボクはキミで、キミはボクだよ。」
「そうなのかな?」
『ボクの心をキミにも分けてあげる、この気持ち、キミにも分けてあげる。』
744test23-33:02/10/31 13:21 ID:???

母さん。
〈この子には、明るい未来を見せておきたいんです。〉
消えてしまった。
綾波。
〈だめ、私がいなくなったら、ATフィールドは消えてしまう。〉
消えてしまった。
アスカ。
〈気持ち悪い。〉
あの時のアスカにはもう謝ることもできない。


〈侵食率が70%を越えました! このままでは完全に融合してしまいます。〉


『痛いだろ?心が痛だろ?』
「痛い、いや違う、寂しい、そう寂しいのかもしれない。」
『寂しい?わからない。』
「独りが嫌なんだよ。独りでいるのが嫌なんだろ? それを【寂しい】と言うんだ。」
『それはキミの心だよ。悲しみに満ち満ちている、キミ自身の心だ。』
745test23-34:02/10/31 13:24 ID:???
意識が戻った。
どうしたんだ、僕は。
泣いているのか。
「僕は、みんなと一つになりたいのか? でも、...」
また、意識が遠くなった。

『さあ、ボクと一つになろう。』
「でも、僕はキミじゃないよ。一つになんかなれないよ。」
『そんなことはないよ。ボクはキミの欠けた心なんだ。だから、一つになることは、
それはとても気持ちのいいことなんだよ。』
「そうなのかな?」
『そうだよ。』
「なら、一つになってもいいかもしれ...」

〈ダメ! 碇君!〉
えっ、綾波?
〈シンジ、あなたは私が守るわ。〉
母さん?

「そうだ、あの時、僕は、もう一度みんなに会いたいと思ったんだ。」
「だから、キミとは一つになれないよ。」
「だから、たすけて...」

〈わかったわ。〉


ここは?
エヴァの中?
僕は、助かったのか?
746test:02/10/31 13:45 ID:???
しかし、初めてなのに、掲示板SSで、本編再構築系をEoEまで書こうとは、
私はとんでもなく無謀なことをしているんですね。
二部になってからは、なるべく本編の1話1話に対応させようと思って
います。番号が変わっていることに気づいていただければと。
747test24-35:02/10/31 16:56 ID:???
司令室
「第16使徒は、初号機と完全に融合しています。素体にも、その影響が見られます。」
「コアの方はどうなのかね?」
「コアについては、変化はありません。」
「だが、使徒が融合しているのだよ。コアに変化が無いはずなかろう。」
「いえ、すべてデータにおいて、コアに異常は現れておりません。」
「ふむ、それでは初号機はこれまで通りに運用できるのかね?」
「はい、初号機は現段階では制御下にあり、運用には差し支えありません。
しかし、万全を期するなら、初号機の再凍結を提案します。」
「初号機は凍結する。赤木博士は、弐号機、3号機の修理を急ぎたまえ。」
「はい。」
「ご苦労、赤木博士。」
「失礼します。」
司令室を出て行くリツコの口元が歪んでいた。
748test24-36:02/10/31 16:59 ID:???
僕はいつもの病室にいた。
どのようにして助かったのか、僕にはわからない。
「アンタ、ついてるわね。」
アスカが笑っていた。

退院してから、毎日、僕は街を彷徨っていた。
カヲル君を待っていた。
もう、誰にもいなくなって欲しくない。
だから、カヲル君と話し合いたい。

ハミングが聞こえる。
僕は振り向いた。
「歌はいいねぇ、歌は心を潤してくれる、リリンの生み出した文化の極みだよ、
そう感じないか? 碇シンジ君。」
「カヲル君。」
僕は、無意識に呟いていた。
「おや、ぼくを知っているのかい?」
「えっ、あ、うん。」
「ふふ、光栄だね。」
「カヲル君?」
「なんだい、碇君?」
「あ、いや、えーと、僕のことは、シンジでいいよ。」
僕は、カヲル君を懐かしく見ていた。
結局、この時、カヲル君には何も言えなかった。
749test24-37:02/10/31 17:00 ID:???
その後、本部で僕とアスカにカヲル君が紹介された。
なんだか、アスカはカヲル君のことが気にくわないようだった。
アスカにもカヲル君と仲良くなって欲しい。

定期試験を終えた後、僕はゲートでカヲル君を待っていた。
「ぼくを待っててくれたのかい?」
「うん。そうなんだ。」
たぶん、この後、一緒に風呂に入るだろうと確信していた。

大浴場で、やっぱりカヲル君と並んで湯船に浸かっていた。
「人間は、寂しさを永久になくすことはできない。人は一人だからね。ただ、
忘れることができるから、人は生きて行けるのさ。」
「でも、僕には忘れることはできないよ。」
そして、カヲル君は手を重ねてきた。
「ガラスのように繊細だね。特に君の心は。」
「僕が?」
「そう、好意に値するよ。」
「僕には、よくわからないよ。」
カヲル君は、あの微笑みを浮かべて、僕を見ていた。
750test24-38:02/10/31 17:03 ID:???
カヲル君の部屋で、一緒に寝ることになった。
ちゃんと、カヲル君と話し合わないといけない。
「君は何を話したいんだい?」
「え?」
「ぼくに聞いて欲しい事があるんだろ?」
「いろいろあったんだ。...ここに来て。でも、本当はもっと前から僕は
ここに来ていたんだ。」
「どういうことだい?」
「.....僕は、カヲル君が使徒だと知っているよ。本当は、カヲル君が
何のためにここに来たのかも知っているんだ。」

そして、僕は今までのことを全てカヲル君に話していた。

「だから、カヲル君には、あそこに行って欲しくないんだ。」
「シンジ君、その頼みは無理だよ。」
「どうして?」
「僕が生き続けることが、僕の運命だからだよ。結果、人が滅びてもね。だから、
人類が生き残るには、僕の方が滅びなくてはならない。その選択は、シンジ君、
キミにしてもらいたいね。」
「でも、僕は、カヲル君と一緒に生きたいよ。」
「それは無理だよ。シンジ君とぼくは、別種の生き物だからね。」
751test24-39:02/10/31 17:05 ID:???
「僕には、僕には、そんなの関係ないよ。だって、綾波とはわかりあえたよ。
だから、カヲル君とも..」
「そう言ってくれて、うれしいよ、シンジ君。でも、アダムに生まれしモノは、
アダムに還らねばならないんだよ。それが、ぼくの存在理由なんだ。」
「そ、そんな。」
「だから、シンジ君、その時が来たら、迷わないで選んで欲しい。ぼくが生き残るか、
キミたち人類が生き残るのかを。シンジ君が人類をとっても、ぼくはかまわないよ。
ぼくにとって、生と死は等価値なんだ。自らの死、それが唯一の絶対的自由なんだよ。
そして、君は死すべき存在ではない。」
「そんなこと絶対にできないよ。それに、初号機は今、動かせないし。」
「それは困ったね。誰か他の人に頼むしかないかな。」
「そんなこと、誰にもさせやしないよ。」
その時、カヲル君と目が合った。
そして、カヲル君は一言。
「僕は君に会うために、生まれて来たのかも知れない。」

僕は、何も言えなくなり、そして布団にもぐり込んだ。

しばらくして、カヲル君の声が聞こえた。
「綾波レイ君か。会ってみたかったな。」
752test24-40:02/10/31 17:07 ID:???
その日、僕は本部でカヲル君をどうやって止めようか考えていた。
しかし、警報が鳴り響いた。


「セントラルドグマにATフィールドの発生を確認!」
「3号機?」
「いえ、パターン青!間違いありません!使徒です!」
「何ですって!?」

「使徒…あの少年が?」
「エヴァ弐号機に追撃させろ。」
「待って、僕に行かせて!」
「初号機は凍結中だ。葛城三佐、いかなる方法をもってしても、目標の
ターミナルドグマ進入を阻止しろ。」


僕は、また見ていることしかできないのか。
753test24-41:02/10/31 17:09 ID:???
「アスカ、急いで追って!」
「ミサト、わかってるって。」
「アスカ、カヲル君を殺さないで、お願いだから。」
「シンジ...」

「エヴァ両機、最下層まで到達。」
「目標、ターミナルドグマまで、あと20。」

強い衝撃が襲った。

「最終安全装置、解除!」
「ヘヴンズドアが、開いて行きます」

そして、しばらくして警報が止まった。
「使徒、殲滅。」

綾波、カヲル君、いったい僕は何人失えばいいというんだ。


更衣室
「アスカ、つらいことさせてごめん。」
「いいわ、ミサト。シンジがするよりマシよ。あいつ、フィフスと仲が良かったようだったしね。」
「でも、それじゃあ、アスカがシンジ君に...」
「あたしは...別にシンジに嫌われてもかまわないわよ。」
754test:02/10/31 17:28 ID:???
やっと、ここまで来ました。
それにしても、戦闘描写がしょぼいというか、無いですね。
そろそろタイトルぐらいは決めた方がいいのかな
がんがれげれ。
応援てすちゅうー
756test:02/10/31 18:45 ID:???
>>755
読んでくれて、ありがとうございます。ホントにうれしいです。

そして、重大なミスに気付きました。ゼルエル戦でヘヴンズドアは
吹き飛んで無くなっていたのです。うーむ、再建されてたとするしか
ないのかな。でも、それより、3層上まで吹き飛んでいるし。
恥ずかしいです。
ゼルエルでなく、バルディエルですね。
恥の上塗りでした。はーーー。
>>test
連載?始まってから毎日読みにきてます。
細かいことはとりあえず気にせず書いちゃって
あとから・・・ってのがいいんじゃないでしょうか?
一読み手として私は細かいことは考えずに
楽しく読ませていただいてます。重箱の隅は
あとから修正しましょ(笑

あ、無理はしないでくださいね。
759test25air-42:02/10/31 21:16 ID:???
僕は、初号機のケイジに来ていた。
そして、初号機に向かって、呟いていた。
「母さん。綾波もカヲル君もいなくなってしまったよ。」
「前と同じになってしまったんだ。」
「みんなに会いたかっただけなのに、みんなはもういなかった。」
「でも、こっちの世界でも、綾波やカヲル君とまた絆が持てたんだ。」
「それなのに、いなくなってしまった。」
「みんながいないのに、僕はここにいてもいいのかな?」
「ねえ、母さん、教えてよ。」
僕は、泣いていた。
760test25air-43:02/10/31 21:18 ID:???
SEELE
「約束の時が来た。ロンギヌスの槍、リリス、そしてアダムによる補完の遂行を願うぞ。」

「人は、エヴァを生み出すためにその存在があったのです。」
「人は新たな世界へと進むべきなのです。そのためのエヴァシリーズです。」

「我らは人の形を捨ててまで、エヴァという名の箱船に乗ることはない。」
「これは通過儀式なのだ。閉鎖した人類が、再生するための。」
「滅びの宿命は、新生の喜びでもある。」
「神も人も、全ての生命が死を以って、やがて一つになるために。」

「死は何も生みませんよ。」

「死は、君たちに与えよう。」

モノリスは闇の中に消えていく。

「人は、生きて行こうとする所にその存在がある。それが、自らエヴァに残った
彼女の願いだからな。」

761test25air-44:02/10/31 21:20 ID:???
ネルフ本部、発令所
モニターに、「EMERGENCY」の表示が突然現れる。
「敵はマギか...」
「全ての外部端末からデータ侵入、マギへのハッキングを目指しています。」
「やはりな、侵入者は松代のマギ2号か?」
「いえ、少なくともマギタイプ5、ドイツと中国、アメリカからの侵入が確認できます。」
「ゼーレは総力を挙げているな、彼我兵力差は1対5、分が悪いぞ。」

「マズイな、マギの占拠は本部のそれと同義だからな。」
「予想されていたことだ。赤木博士による対応で十分だろう。」

「総員、第一種警戒態勢」



僕は、発令所に来ていた。
何かが起こっていた。
前のように、軍隊が攻めてくるのだろうか?
みんな、死んでしまうのだろうか?
僕は、これからエヴァに乗るのだろうか?
僕が、エヴァに乗らないと、ミサトさん、アスカ、みんな、死んでしまうのだろうか?
前みたいに、エヴァに乗るのは怖くない。
でも、僕は、この世界で生きていてもいいのだろうか?

762test25air-45:02/10/31 21:22 ID:???
発令所
「冬月先生、後を頼みます。」
「分かっている、ユイ君によろしくな。」
ゲンドウは、そのままリフトを降りていった。



SEELE
「碇はマギに対し、第666プロテクトをかけた。この突破は容易ではない。」
「マギの接収は、中止せざるを得ないな。」
「でき得るだけ穏便に進めたかったのだが致し方あるまい。本部施設の直接占拠を行う。」
「だが、碇は日本政府を懐柔している。かの国の軍隊は動かんぞ。」
「今から、UNを動かすには、碇に時間を与えてしまう。」
「それに、ヤツにはエヴァが二機ある。この戦力差は大きい。」
「忌むべき存在のエヴァ、またも我らの妨げとなるか...。やはり毒は、
同じ毒をもって制すべきだな。」

763test25air-46:02/10/31 21:23 ID:???
発令所
「Nerv各支部より、量産機の発進が確認されました。4時間後に本部上空に集結します。」
「中国より、弾道弾が発射されました。」
「アスカ、シンジ君、エヴァに待機していて。」
「初号機は凍結中だ。」
「副司令! そのようなことを言ってる場合では。」
「だめだ。」
「ミサト、あたしに任せて。」
「アスカ、 ごめん。」



まただ。
また、僕は見てるだけなのか。
僕なんて、生きていてもいいかどうかわからないのに。
それなのに、僕が残って、アスカだけが戦うのか。
どうして、どうして、僕は何もできないんだ。



初号機ケイジ
ゲンドウが初号機の前に立っている。
「ユイ。」
ゲンドウは呟いていた。
764test:02/10/31 21:30 ID:???
ここまでが、Air編です。
しかし、ほとんど本編と同じです。
ホント、情けないです。
次の、「まごころを、君に」編で終わりになります。
ここで本編と違う展開になる予定ですが、どうなってしまうのか。
エピローグは無い予定です。
今夜中には、仕上げられると思います。
どうか、もう少しだけお付き合いください。
765test:02/10/31 21:38 ID:???
>>758さん、ありがとうございます。
ちょっと、誰も読んでいなかったらどうしようと不安があるので、レスうれしいです。
7661:02/10/31 21:51 ID:???
>testさん
少なくとも、私は読んでいるのでご安心を(w
…さて、どのように違う展開へと導かれて行くのか楽しみです。
ふと「エヴァにロボット第零原則絡めたら面白いかな?」と思ったんだけど、もしかしたら
そういうの既にあったっけ?
>>767
悪くないアイディアだと思う。
769test26need-47:02/11/01 05:07 ID:???
[まごころを、君に]


初号機ケイジ
ゲンドウは、初号機のコアの前に立っている。
コアをただじっと見つめている。
そして、ゆっくりと言葉を紡いだ。

「アダムは既に私とともにある。ユイと再び会うには、これしかない。レイが失われた今、アダムにより、直接エヴァにダイヴするしか方法は無い。さあ、私をユイの許へ導いてくれ。」

ゲンドウは、アダムが埋め込まれている右手をコアに触れさせ、そして押し込んだ。
そして、そのまま、ゲンドウの体は、コアの中に沈んでいき、消えた。
幾ばくかの時間が流れ、そして、

「ユイ! 私を拒むのか?」

ゲンドウの体が再びコアの前に姿を現す。
右手は喪失していた。

「ユイ!」

そして、ゲンドウの体は、LCLに溶けていった。
770test26need-48:02/11/01 05:09 ID:???

「無様ね。」

リツコが、ケイジに現れ、寂しげにつぶやき、そして、ゲンドウだったLCLを、
ただ見つめていた。
だが、長い間、それを見ていることはなかった。

「誰?」

リツコが顔を上げ、そして、驚愕の表情を浮かべた。

「あっ、あなたは碇ユイ?」

碇ユイの姿をした者が、そこに立っていた。
しかし、髪は蒼銀で、瞳は深紅であった。

「いえ、違うわね。あなたは、第16使徒アルミサエルね?」

その者は、無表情にリツコの目を見つめ、そして、口を開いた。
771test26need-49:02/11/01 05:11 ID:???

「私は、...綾波レイ。」
「違う。アルミサエルよ。」
「私は綾波レイ。ただ、それだけ。」
「違う!」
「体は魂の器にすぎない。それをあなたは、赤木博士は良く知っているはず。」
「そう、そういうこと。...初号機のコアは、零号機が消滅した後から変化
していたわ。それはレイ、あなたがいたからなのね。では、リリスに宿った魂は、
あれは何なの?」
「あれもわたし。」
「どういうこと?」

しかし、レイはそれには答えず、その場を去っていく。
リツコはそれをただ見送るしかなかった。
772test26need-50:02/11/01 05:12 ID:???
Nerv本部頭上、第三東京市
弐号機のエントリープラグ中で、アスカは上空を見ている。

「エヴァシリーズ、完成していたの?」

弐号機の上空で、五号機から十三号機までの白い量産型エヴァがゆっくりと旋回している。
そして、エヴァシリーズは、弐号機の周りに降り立つ。



発令所
「いい? アスカ、エヴァシリーズは必ず殲滅するのよ。シンジ君もすぐに上げるわ。
頑張って。」
「葛城三佐、初号機の出撃は認められん。」
「しかし、副司令! 弐号機だけでは、量産機を殲滅することは不可能です。」
「だが、...」
「副司令!!」
「わかった。初号機の出撃を認めよう。初号機、現時刻をもって凍結解除。」
「シンジ君、急いでアスカを助けたあげて。」
「はい。」

冬月は、モニターに映る初号機を見ながら呟いた。
「碇、お前はユイ君に会えたのか?」
773test26need-51:02/11/01 05:14 ID:???

Nerv本部頭上、第三東京市
弐号機は、エヴァシリーズに囲まれている。

「必ず殲滅ね。ミサトも軽く言ってくれちゃって。」

そして、弐号機とエヴァシリーズとの戦闘が開始された。

戦闘は、膠着状態に陥っていく。

「もう、しつこいわねえ! バカシンジなんかあてにできないのに!」
「あたしは、負けてらんないのよ!」
774test26need-52:02/11/01 05:15 ID:???

僕は、初号機に乗り込んだ。
エントリープラグの中は、微かに昨日までと違う感じがした。

「母さん、僕は、この世界で生きていてもいいのかどうか、まだわからないよ。」
「でも、ここでアスカまで失ってしまったら、僕はもう...」
「だから、母さん、僕を助けて。」

気のせいかもしれないけど、母さんがそれに答えてくれたように感じた。
そして、僕と初号機は、アスカの戦っている戦場に降り立った。

「シンジ、なにやってたのよ。遅いじゃない。」
「ごめん、アスカ。」
「ふっ、まあいいわ。シンジ、いくわよ。」
「わかった。」
775test26need-53:02/11/01 05:17 ID:???

初号機と弐号機は、エヴァシリーズに対して、優勢に戦いを進めていた。
弐号機が、量産機のコアを握りつぶそうとするその時、弐号機の後方に槍が飛んできた。
弐号機は、ATフィールドを展開して、槍を防いだかに見えた。
しかし、槍は形を変え、そして、ATフィールドを浸食していった。

「ロンギヌスの槍?」

アスカが叫んだ。
そして、弐号機の左肩に槍が刺さっていった。

「アスカ!! 大丈夫?」
「これくらい、なんてことないのよっ。」
776test26need-54:02/11/01 05:19 ID:???

僕たちは、追いつめられていった。
初号機の腹部に槍が刺さった。
激痛が走る。
弐号機も、もう限界が近い。
また、駄目なのか?
僕は、このまま負けてしまうのか?
アスカを失ってしまうのか?
そんなのいやだ。
誰か、助けて。

初号機の胸部に槍が刺さった。

「うあああーー」
777test26need-55:02/11/01 05:20 ID:???
ターミナルドグマ
レイは無言で、リリスを見ている。
そして、呟いた。

「碇君が呼んでる。」

レイの体が、赤いATフィールドの球に包まれる。
レイは宙に浮き上がり、リリスの胸に向かっていく。
そして、リリスの胸の中にレイは入ろうとしている。

− ただいま −

− ・・・・・ −
778test26need-56:02/11/01 05:22 ID:???

レイは、はじき飛ばされ、落下していく。
そして、着地した。
レイは、困惑した表情で呟いた。

「なぜ?」
「・・・・・」
「そう、私はわたし、あなたじゃないのね。」

リリスの胸から、ロンギヌスの槍が抜け落ち、顔に被されていた仮面が落ちた。
リリスは、打ち付けられている十字架から離れ、LCLの海へ落ちる。
そして、リリスは起きあがり、その体が膨張していった
779test26need-57:02/11/01 05:23 ID:???

発令所
「ターミナルドグマより正体不明の高エネルギー体が、急速接近中!」
「ATフィールドを確認! 分析パターン青!」
「まさか、使徒?」
「いや、違う!」
「ヒト、人間です!」

巨大化したリリスが、発令所を通過していった。
780test26need-58:02/11/01 05:24 ID:???

ターミナルドグマ
レイは、LCLの湖のほとりに立っている。

「わたしは、どうすれば。」
「碇君...」
「碇君、あなたはわたしが守るわ。」

レイは、ロンギヌスの槍に近づく。
そして、手に触れる。
ロンギヌスの槍は、収縮し、レイの身長程度の大きさになった。
レイは、槍を掴み、そして、宙に浮き、上昇していった。



地上に、リリスが現れた。
そして、リリスに導かれるように、エヴァシリーズは、リリスの体の中に取り込まれていく。
781test26need-59:02/11/01 05:25 ID:???

SEELE
「ついに我らの願いが始まる。」
「いささか数が足りぬが、止むを得まい。」
「エヴァシリーズを本来の姿に。我ら人類に福音をもたらす、真の姿に。等しき死と祈りを以って、人々を真の姿に。」
「それは、魂の安らぎでもある。では、儀式を始めよう。」

「悠久の時を示す」
「赤き土の禊ぎを以って」
「まずはジオフロントを」
「真の姿に」
782test26need-60:02/11/01 05:27 ID:???

ジオフロントが、黒い球体になって浮かび上がり、上昇を始める。
それは、まさに黒き月と呼ぶにふさわしいものであった。

リリスは、さらに巨大化し、そして、人々のLCL化が始まった。



キール
「始まりと終わりは同じ所にある。よい、全てはこれでよい。」
そして、キールは機械の部分を残して、LCLに溶けていった。
783test26need-61:02/11/01 05:28 ID:???

アスカの弐号機は無事なようだ。
僕は、ただ量産機が白い巨人の中に入っていくのを眺めていた。
僕も、あの中に入っていくのだろうか?
あの中に入ると、どうなるのだろう?
死ぬのかな?
アスカを助けたかった。
それも、もう無理かもしれない。
ミサトさんは無事なのかな?
せめて、生き残って欲しいな。
僕は、やっと楽になるのかな?
それでも、別にいいや。

最後に、もう一度、綾波に会いたかったな。


「碇君!」


「えっ、綾波! 綾波なの?」

784test26need-62:02/11/01 05:30 ID:???
綾波が槍を持って、初号機の前に浮いていた。
その姿は、母さんに似ていたけど、綾波だと見た瞬間にわかった。

「碇君、あなたは死なないわ。わたしが守るもの。」

「綾波、生きていたんだね。」

「・・・・・」

「どうしたの?」

「碇君に、最後に、もう一度、会いたかった。」
「さよなら。」

「綾波! さよならって、なんだよ? どこへも行かないでよ。綾波!!」

綾波は、初号機を見つめ、そして、白い巨人の中に入っていった。

「そんな、せっかく。また会えたのに。」
「おいていかないでよ。」
「僕は、綾波と一緒にいたいよ。」

「母さん、お願い、綾波の許へ連れて行って。」

初号機は、空を飛び、そして、綾波を追って、白い巨人の中に入っていった。
785test26need-63:02/11/01 05:31 ID:???

巨人の中に入った瞬間、何も見えなくなった。
いや、違う。
なんか、昔の記憶に、これと同じことがあった。
あー、そうか。
これは、前の時と同じなんだね。
みんなが溶け合っているんだね。
どうして、あの時のことを今まで忘れていたのかな?

でも、今は、綾波を探さないと。

「碇君。」

綾波の声が聞こえ、その方向を向いたら、綾波がいた。

「綾波。」
「どうしてきたの?」

綾波は悲しげな表情を見せた。
786test26need-64:02/11/01 05:34 ID:???

「だって、僕は綾波と一緒にいたいんだ。」
「わたしは、碇君にもうつらい思いをさせたくない。」
「どういうこと?」
「碇君は、前の世界でとてもつらい思いをしてきた。だから、もう、そのような思いをさせたくなかった。」
「僕のこと、知ってたの?」
「ええ、知っていたわ。わたしは、綾波レイの体を失ってから、初号機のコアの中にいたの。」
「・・・・・」
「そして、碇君の心を知ったわ。シンクロとは心と心が繋がることだから。」
「・・・・・」
「そして、わたし自身の心に気付いた。」
「・・・・・」
「だから、碇君、あなたには生きていて欲しいの。」
「僕は、綾波と一緒に生きていたい。」
「それはダメ。」
「どうして?」
「わたしは、これから、ロンギヌスの槍とわたし自身の力を使って、ATフィールドを発生させ、リリスを押さえ込むわ。」
「リリスって、この巨人のこと?」
「そう。そして、わたしの体の中に、リリスを閉じこめ、そして、槍によって、わたしは消えるの。」
「・・・」
787test26need-65:02/11/01 05:36 ID:???

「碇君が、このままここにいれば、わたしと一緒に消えてしまうわ。」
「どうして、どうして、いつも綾波は勝手に行っちゃうんだよ。僕は、また寂しい
思いをしなくちゃいけないの? 綾波のいない世界なんて寂しいよ。僕は、
そんな世界にいたくないよ。」
「碇君。」
「だから、僕も連れて行ってよ。」
「碇君。でも、アスカや葛城三佐や、みんなにもう会えなくなるのよ。それでもいいの?」
「アスカやミサトさんには、いつか会えるよ。今は、綾波と一緒にいたいんだ。」

綾波は、いつかの微笑みを浮かべていた。

「碇君。わたしもあなたと一緒にいたい。それがわたしの心。」
「綾波。僕もキミと一緒にいたい。」

綾波の体が輝き始めた。
それは、とてもきれいな姿だった。
僕は、それを最後まで見つめていた。
そして、意識がだんだんと消えていった。
最後に、母さんの声が聞こえた。

〈シンジ、あなたは死なないわ。〉

788test26need-66:02/11/01 05:38 ID:???


僕は、気がついた時、湖のほとりにいた。
僕は、綾波と一緒に行けなかったのか?
そんな。
どうして、どうしてなんだよ。母さん!
僕は、なにも考えることができなくなった。


声が聞こえた

「碇君。」
「えっ、綾波なの? どこにいるの?」

僕は、必死になって周りを探した。

「碇君、ここ。あなたの心の中。」
「心の中?」
「そう、あの時、わたしの魂と碇君の魂が一つになった。そして、ユイさん、
碇君のお母さんの力によって、碇君は、その体を保つことができた。」
「綾波は、僕の中にいるのか..」
「でも、こうして話すことも、もうすぐできなくなるわ。」
「どうして?」
789test26need-67:02/11/01 05:42 ID:???
「綾波は、僕の中にいるのか..」
「でも、こうして話すことも、もうすぐできなくなるわ。」
「どうして?」

「もうすぐ、魂が完全に一つになるから。今は、まだ不完全だから、こうして
話すことができる。」
「そんな..」
「碇君、悲しまないで。わたしは今、しあわせ。こうして、碇君と一緒にいられるから。」
「でも、...」
「いつか、わたしたちはまた会えるわ。体は魂の器。だから、今だけでは無いの。
何年、何千年、先になろうと、わたしたちはきっと会えるわ。」
「僕は、...」
「わたしは、碇君にまた会えるのが楽しみ。そう、これが楽しいという気持ちなのね。」
「綾波! きっと、きっとだよ。絶対にまた会おうね。きっとだよ!」
「ええ、わかったわ、碇君。」

そして、綾波の声は聞こえなくなった。


綾波、たぶん、僕が今、生きている間には、キミに会えないと思う。
でも、それでも、僕は、キミに会うのを楽しみに待ってるよ。
それまで、僕は、綾波、キミと母さんに助けてもらったこの体で、精一杯、生きていくよ。



『 Last Smile , again 』

fin.
790solan:02/11/01 05:51 ID:???
後書きにかえて

最後まで応援してくださった、みなさま、本当にありがとうございます。
このような、読むに値しないような文章を最後まで読んでくださって、感謝の気持ちでいっぱいです。

今回、書きたい気持ちになったのには理由があります。
不愉快になる方もおられるかもしれませんが、その時は本当に申し訳ありません。
ですが、やっぱり一言いいたいです。
私は、正統派系逆行物、もしくは本編再構築物を読んで、不満がありました。
で、その不満を解消するために自分で書いてみましたが、まったく失敗に
終わったと言っていい結果になりました。世の作家の方々の凄さを思い知らされ、
そして、いかに完結まで至ることが大変かがわかりました。
いままで、エヴァ板でバッシングしていた皆さん、本当に申し訳ないです。
さて、その不満を少し言いたいと思います。
なぜ、シンジ君はあんなに大人なんだろう? なぜ、いつも過去に戻る時は
ミサトさんがいるんだろう? なぜ、カヲル君はいつも仲間になるのだろう?
と、重箱の隅をつつくような疑問が、この他にもたくさんありました。
それに、本編EoEですが、シンジは勝手に還っていったからいいけど、
残った綾波レイはどうなるの?と思いました。あれだけ、シンジと
一つになりたかった彼女を、一人残していくのは、ちょっとかわいそう
ではないかと。だからといって、安易に人間にするのも、どうかと思いました。
それに、彼女は彼女として認めるべきではないかと思いました。
心が人であれば人とか、それは彼女に失礼なのではないかと。
それをテーマにした名作が多数ありますが、自分なりの結末も書きたくなりました。
と、このようなことを言っていますが、自分の書いた物を見て、自分も、全然、
ダメではないかと反省してます。
791solan:02/11/01 05:53 ID:???

本文において、綾波のパーツが消えてからの魂の行方とか、説明不足になって
いる部分は作中に入れられない力量不足で、申し訳ないです。また、最後の魂が
融合しているのに、また分かれるのかとかは、笑って見過ごしてください。
後日談というか、他の人たちはどうなったのかを書くかどうか迷いましたが、
蛇足な感じがしましたのでやめました。これは、今でも迷っています。

あと、ラスト2話のEoE劇中セリフは、某サイトを参考にしました。
サイト名を書くのも失礼かと思いますので、ここでお詫びいたします。

最後に、せっかくここまで書いたので、誰か拾ってくれる方がいれば
とてもうれしいです。自分で、投稿するのも恥ずかしいので。
その時は、手直しして、もう少しまともにします。

ありがとうございました。

solan
お疲れ。
乙彼様。楽しい時間をどうも。
794722,758:02/11/01 22:46 ID:???
>>solan
おつかれ〜。
面白かったよん。
7951:02/11/02 00:25 ID:???
>solanさん
完結おめでとう御座います。
楽しく、すらすらと最後まで読む事が出来ました。
どちらかというと属性が無い(ややLRS?)で、最後は悲しくもあり、
又、僅かだけれども希望も、又という印象を受けました。
透明な感じの作品でしたね。

私のHPで乗せて頂かせても良いのですが、HTMLが未だままならない
ヘタレなので、他の方が適任かと。
或いは、ご自身でHPを開いてみるのもまた一興かもしれませんね。
ご自身で都合が付かない場合、そしてどうしても名乗りをあげて
下さる方がいらっしゃらなかったりしたらば、私で宜しければ協力
させて頂きます。
…本当に、当方はへぼですが。
796solan:02/11/02 02:35 ID:???
>>792-795
ありがとうございます。読んでもらえてうれしいです。

>>1さん
一日たって、冷静になってみたら、今のままでは恥ずかしすぎますので、
自分で直してから、その後どうするか、今一度、考えてみようと思います。
せっかくの申し出、申し訳ありません。

底が見えてしまいますが、少しネタの話をします。
この読み物は、悲しすぎる本編の、特に後半部分に対するアンチテーゼの
つもりです。その意味でも、本編エピソードに対して、結果が逆になる
シーンを意図的に書いたつもりです。そして、結末はこんなですが、
自分としては、ハッピーエンドだと思っています。
また、本編の名セリフを違うシーンで使ってみようと試みました。
そういうこともあって、自分としては、創作というよりも、本編の
再編集物になったのではと思います。

あと、属性の話ですが、恋愛を属性とするなら、やっぱり無属性と
して書きました。ですが、この話は、綾波レイの話として書きました。
あまり登場してませんが。
アスカですが、当初は、中盤で、自立するということでNervを去って、
物語から退場させ、そのかわり、レイを早々と復活させる予定でした。
しかし、書いていたら、アスカを退場させるのが惜しくなりました。
実に、いいキャラだと気づいてしまい、結局、最後まで動いていました。
なんか、LASが多い理由の一つがわかった感じがします。
797yashima-01:02/11/02 19:29 ID:???
『決戦、第3新東京市、その後』


「ゴメンなさい。こういう時、どんな顔すればいいのか、分からないの...」

「笑えばいいと思うよ。」

綾波は、その困惑した表情から、ゆっくりと表情を変え、そして微笑みを浮かべた。
その微笑みは、月の光に照らされ、とても綺麗だった。



朝、トウジとケンスケが迎えに来た。
トウジは、僕が両手に包帯を巻いていたのに気づいて、わけを尋ねてきた。
僕は、理由を言うのが恥ずかしかったので、曖昧に答えた。
それでも、トウジはしつこく聞いてきたので、僕は洞木さんのことについて
トウジに聞き返した。
トウジは、びっくりして目を丸くし、あたふたした。
その様子がおかしく、僕は声をあげて笑ってしまった。
798yashima-02:02/11/02 19:30 ID:???
通学路の途中、十字路を曲がった。
少し前の方に、水色の髪の女の子が見えた。
あの髪色は、綾波だ。
綾波は、あの後、体の方は大丈夫だったみたいだ。
僕は、ほっとして、そして、綾波に朝の挨拶をしたくなった。
トウジとケンスケに一声かけて、綾波の方へ走り出した。
そして、綾波の横に並び、挨拶をした。

「おはよう、綾波。」

綾波は、僕の方を振り向いた。
そして、微笑みを浮かべ、微かに聞こえるくらい小さな声で挨拶を返した。

「おはよう、碇君。」

僕は、とてもびっくりした。
なんか、予感はしていたが、あの綾波が微笑みながら挨拶をしたのが信じられなかった。
でも、確かに綾波は挨拶をしてくれた。
僕は、とても嬉しい気持ちになった。
その様子を見ていたトウジとケンスケにからかわれたが、僕は全然気にならなかった。
799yashima-03:02/11/02 19:32 ID:???
それから、綾波は変わった。
いつも、微笑んでいた。
なんか、雰囲気が変わったと思う。
リツコさんなんて、とても驚いて、綾波を検査するのどうのと、解剖しかねない勢いだった。
ミサトさんはにやけた顔で、僕に綾波と何があったのかしつこく聞いてきた。
少し煩わしかったけど、ちょっと嬉しい感じがした。
学校でも、前のような人を寄せ付けない感じが薄らいだのか、クラスの人たちに
声をかけられるようになった。
返事はめったに返さないようだったけど、これはいい変化だと僕は思った。

それから、本部の中で、父さんと綾波が話しているのを見ても、以前よりも
嫌な気持ちにはならなくなった。
綾波が、父さんにだけ見せていた微笑みを、僕にも見せてくれるから。
いや、僕だけでない、みんなに微笑むから。


と、その時、僕は嬉しかった。

800yashima-04:02/11/02 19:34 ID:???
その後、綾波は、どんどん表情豊かになっていった。
相変わらず、自分から話すことは少なかったけど、話しかければ返事は
返ってくるようになった。
そして、雑談とかにも加わるようになった。
初めて、綾波が冗談を言った時、僕はとても驚いたよ。
だって、あの綾波がだよ。
その時、僕はしばらく呆けたようになっていたらしい。

それから、綾波は、マヤさんやミサトさん達と普通に話すようになった。
マヤさんとは、ファッションなどの女の子の話をするのが好きなようだ。
綾波を押し倒してしまって以来、綾波の部屋には行っていないけど、あの病室のような
部屋も、今は変わっているのかなと思うと、ちょっと心が弾んだ感じになった。

この綾波の変化を、ミサトさんはとっても喜んだ。
ミサトさんは、積極的に綾波と接した。
食事にも綾波をよく誘うようになった。

この時、僕は嫌な予感を感じた。
801yashima-05:02/11/02 19:36 ID:???
それから、綾波は、どんどんミサトさんのようになっていった。
綾波が、ミサトさんのようになると、話が合うのか、ますますミサトさんは
綾波と一緒にいるようになった。
ある時、本部の食堂で、ミサトさんと綾波が一緒に食事をしているのを見かけた。
その光景を目にした時、僕は目眩がして、立ち眩みをしてしまった。
なんと、綾波が、ミサトさんと一緒に生ビールを飲んで、スルメをかじっているんだ。
そして、ミサトさんと一緒になって、ガハハハ、と大声で笑うんだよ。
他の職員の人は、そのミサトさんと綾波の姿を遠巻きに引きつった顔をしながら見ていた。
マヤさんは、「わたしがもっとしっかりしていれば。」と、目に涙を浮かべて呟いていた。
僕は、この光景を見ていられなくなり、リツコさんの研究室へ駆け込んだ。

「リ、リツコさん! 綾波が大変なんです!」

僕は、息をぜえぜえしながら、リツコさんに訴えた。

「シンジ君、落ち着いて。」
「でも、綾波が!」
「知っているわ。レイが、ミサト化していることでしょ。」
「そ、そうなんですよ。綾波が、今、ミサトさんとビールを飲んでるんですよ。」
「それも知ってるわ。ここのモニターで見ていたから。」
802yashima-06:02/11/02 19:38 ID:???

そのモニターを覗いたら、ミサトさんと綾波のいるテーブルには、すでに空ジョッキが
10ぐらい置かれていた。
僕は、またしても目眩をしてしまった。

「リツコさん! 知ってるなら、綾波を止めてください。お願いします。」
「シンジ君、残念ながら、それはもう私には無理よ。もう、レイは、私から
離れてしまったの。私の命令にレイは従わないわ。」
「でも、綾波がこのままミサトさんのようになってもいいんですか?」
「それでも、私にはどうすることもできないの。ごめんなさい、シンジ君。」
「そんな...」

僕は、絶望に打ちのめさせながら、リツコさんの部屋を後にした。

あの綾波はもうもどって来ないのだろうか。
あの物静かだけど。優しい感じがする綾波はどこへいってしまったのだろう。
803yashima-07:02/11/02 19:40 ID:???
でも、僕はここで自分の嫌な部分を見つけてしまった。
僕は、綾波がもっと普通の女の子になるように望んでいたはずだ。
そして、綾波が女の子らしくなった時、僕は嬉しかったはずだ。
それなのに、今の綾波を見て、昔の綾波を望むなんて。
僕は、なんて勝手な人間なんだ。
最低だ。

それから、僕は今の綾波を受け入れようと決心した。
例え、綾波がミサトさんと同じになってしまっても、僕はそれを受け入れるよ。
だって、綾波は綾波なんだから。

その後、綾波は、まったくミサトさんと同じようになってしまった。
ミサトさんと一緒になって、僕をからかうし、僕が困るのを楽しむかのように
抱きついてきたり。
学校でも、綾波はミサトさんだった。
今までの綾波とのギャップが大きすぎて、クラスのみんなは混乱していた。
洞木さんは、そんな綾波を見て、涙を流していた。
僕は、早くみんなが今の綾波に慣れればいいなと思っていた。
804yashima-08:02/11/02 19:41 ID:???
本部の廊下で、父さんと綾波が一緒にいるのを見てしまった。
綾波は、父さんと話をしていた。
何を話しているのかは聞こえなかったが、唾を飛ばすくらいの勢いでしゃべっていた。
そして、綾波は、父さんの後頭部を叩いていた。
それも、思いっきり、何度も。
父さんは、サングラスを落とし、目に涙を浮かべていた。
そして、ぶつぶつと何かを呟いていた。

僕は、怖くなって逃げ出してしまった。

それから、綾波と父さんが楽しそうにしていても、少しも嫉妬しなくなった。
逆に、父さんのようにはなりたくないと思った。
これは僕にとって、いい変化なのだろうか?

その後も、綾波はミサトさんと仲がよかった。
それをリツコさんは、不満げに、そしてあきらめ顔で見ていた。
805yashima-09:02/11/02 19:42 ID:???
訓練が続く日々、綾波は、特殊訓練とかで一週間、松代へ行くとのことだった。
綾波が、行ってしまってからは、なんか寂しい感じがした。
ミサトさんも寂しいようで、今まで綾波に向けてたエネルギーを僕に向けていた。
僕は、いつしか綾波のことをいつも考えるようになっていた。
そして、早く綾波が帰ってくればいいと思っていた。

そして、一週間が過ぎて、綾波が戻ってきた。

学校で、綾波に挨拶しても返事が返ってこなかった。
なんか、昔のあの綾波が戻ってきたようだった。
僕は、綾波に向かってしゃべった。
806yashima-10:02/11/02 19:43 ID:???

「綾波、訓練はどうだった?」
「何?」
「松代の訓練だけど。」
「あなた、誰?」
「えっ、僕だよ、シンジだよ。」
「そう。」
「どうしたの? 僕のこと忘れたの?」
「いえ、知らないの。多分、私は三人目だと思うから。」

綾波は、無表情に呟いた。
僕は、怖くなって。綾波から逃げ出してしまった。

その後、綾波は、ほとんど感情を表さなくなった。
僕は、あのミサトさん綾波を思い出し、泣いていた。
昔の綾波が戻ってくれば、明るい綾波を望んでしまっている。
僕は、最低だ。

end.
807yashima-00:02/11/02 19:45 ID:???
なんか、落ちがバレバレです。
それに、こんな話、どこかにありそうだし。
最低ですね。
う、うっわぁ〜ギャグかと思ったら…
こういう展開もありかと思っていたら、こう落とすとは……展開にうなりましたが、
最後でケパァッ!?て、感じですた。保存しとこ。
810solan:02/11/02 19:58 ID:???
>>808-809
読んでくださって、ありがとうございます。
今日、浮かんだアイデアをそのまま書いてしまいました。
なんか、まともな明るい話は、私には書けないのでしょうか。
ちょっと、鬱が入ってます
アンタセンスあるよ。
812tears-01:02/11/03 16:31 ID:???
『涙、その後、another』


「この事は極秘とします。プラグは回収、関係部品は処分して 」


赤木リツコは、ターミナルドグマのダミープラントに向かっていた。
綾波レイのパーツに魂が宿っているのを確認し、記憶を定着させるためである。
赤木リツコは、葛藤していた。
碇ゲンドウが執着している綾波レイを復活させるのに抵抗を感じていた。
できることなら、このまま綾波レイを葬りたかった。
しかし、それではゲンドウの計画に支障をきたす。
自分はまだゲンドウに必要とされていたい。
だが、しかし、...

ドアの前に、リツコは辿りついた。
このドアの向こう側は、ダミープラントである。
カードセンサーに、IDカードを通し、ドアを開いた。
そして、カードキーのスイッチを押し、室内照明に明かりを灯した。
813tears-02:02/11/03 16:32 ID:???

「なっ!」

リツコは、驚愕していた。
それもそのはずである。
この部屋中に、多数の綾波レイが床の上に立って、一斉に自分に対して振り向いたのである。

壁全面の水槽の中にいるはずのレイは、全て水槽から出ていた。
そして、一斉にしゃべり始めた。

「あなた、誰?」
「ここ、寒い」
「そう、よかったわね」
「わたしは、綾波レイ?」
「わたしに、名前は無いもの」
814tears-03:02/11/03 16:32 ID:???
もう、収拾がつかない状態である。
かの赤木リツコでさえ、正気を戻すのに数分を要した。
しかし、そこは赤木リツコである。
その後の対応は早かった。
すぐに、ダミープラント内を密閉し、催眠ガスで綾波レイ達をひとまず眠らせた。
次に、司令室に連絡を入れ、ゲンドウと冬月を呼び、今後の対応を協議するよう事を
運んだ。

すぐさま、ゲンドウと冬月はやってきた。
連絡を入れてから、3分、驚異的な早さである。
ゲンドウは、レイ達が床の上で眠っている姿をただ眺めていた。
そのサングラスで隠された表情から、ゲンドウの胸の内を推し量ることはできない。
だが、ゲンドウの膝が震えていた。
冬月は、呆然と、その光景を見て、ただ一言つぶやいた。

「ガフの部屋は、空ではなかったのか」
815tears-04:02/11/03 16:34 ID:???
ゲンドウは、平静を保っているように、威厳ある声でリツコに問うた。

「赤木博士、説明したまえ」
「はい。副司令の考え通りに、ガフの部屋は空では無かったようです。ですが、
その自我は極めて薄く、今まで顕在化しなかったと見られます。それが、今回の
綾波レイの消滅により、その魂が活性化され、自我が表面化したと推定されます」
「それでは、レイの魂の行方はどうなったのかね?」
「それは、これらパーツ全てに移ったものと見られます」
「それは、本当かね?」
「はい。パーツによって、綾波レイと認識している者と、そうでない者が見られます。
そのことから類推するに、本来持っていた自我と綾波レイとしての自我がせめぎあってる
ものと見られます。」

冬月は、黙って考え込んでいる。
ゲンドウは、やはり不動の状態で立っていた。

「碇、まずいぞ。このままでは、計画に支障が起きる」

それに、ゲンドウは、いつもの決めゼリフで答えた。

「ふっ、問題無い」
816tears-05:02/11/03 16:35 ID:???
だが、冬月が即座に異議をはさんだ。

「バカ者! 問題大ありだ」
「落ち着け、冬月。約束の時まで、あと少しだ。もう、ダミーなど必要ない。
一体だけ残して、あとは全て処分すればよかろう」
「まあ、オマエがそれで良いのなら、私には異存はないが。それでいいのか?」
「ふっ、問題無い」

ゲンドウは即答した。
ゲンドウにとって、碇ユイに再会すること、そして碇ユイの望んでいた補完計画を
実行することが全てである。
綾波レイは、碇ユイの面影を残し、その姿に碇ユイをゲンドウは見ていた。
だが、それも目的の完遂にとっては些事であった。
約束の時が、近づいている今、綾波レイは一体が存在していれば十分であった。

「赤木博士、レイはこれで全てかね?」
「はっ! 申し訳ありません。まだ確認しておりません。直ちに確認します。」
817tears-06:02/11/03 16:36 ID:???
数分の後、リツコは絶句していた。

「どうしたのかね? 赤木博士。」
「パーツが5体、不明です。」
「どういうことだね?」
「は、はい。ここから逃亡したものと...」
「馬鹿な、センサーなどに察知されずにここから出て行けるわけがないではないか」
「しかし、確かに5体、足りません。それに、リリスとして覚醒しつつあるとすれば、
ここから脱出することも可能かと」
「どうする、碇? レイの捜索に諜報部は使えんぞ」
「もう事態は切迫している。諜報部を総動員して捜索する」
「だが、それではレイの秘密が漏れてしまう」
「冬月、今はそのようなことにこだわるべきではない。それに、諜報員を消せば、
すむことだ」

冬月は、それを聞いて、あきらめ顔で同意した。

「ま、やむえないか」
「赤木博士、パーツを一体残し、あとは全て処分したまえ」
「はい」
818tears-07:02/11/03 16:37 ID:???
だが、この時、レイ達は意識が覚醒しつつあった。
そして、「処分」の声に反応し、一斉に起きあがった。
その後、わらわらとドアの方へレイ達は駆け寄った。

この事態に慌てたのは、ゲンドウ達三人である。
レイの総数73人。
そのレイが、一斉に騒ぎ始めたのである。
これにすぐさま対処するのは無理というものである。

「赤木博士! 何とかしたまえ!」
「しかし、副司令。これだけの数のレイが逃げようとしているのです。無理です。」
「えーい、いいから、なんとかしたまえ!」

その後、なんとかレイ達を回収したが、さらに7体の行方がつかめなくなった。
ゲンドウ達三人は、疲れ切った表情で立ち尽くしていた。
819tears-08:02/11/03 16:37 ID:???

本部地下で、ゲンドウ達が混乱していた頃、シンジはかつて第三東京市だった
湖の畔に座っていた。
シンジは、絶望していた。
レイが自分を助けるために、自爆したのである。
それを、シンジはなすすべくも無く、見ていたのである。
シンジは、その事実を受け止めることができるほど強くはない。

「綾波」

シンジは、レイの名を呟いた。
儚げで、今にも消えそうな少女。
その少女が、本当に消えてしまったのである。
シンジは、レイに対して恋心と呼ぶべきものは持っていないかもしれない。
だが、確かにシンジはレイを求めていた。
それは、自分の失われた半身が、レイであるかのようであった。
それゆえに、レイが消えたことに対して、シンジは絶望していた。
820tears-09:02/11/03 16:38 ID:???

「碇君。」

レイの声が、シンジに聞こえた。
シンジは、一瞬、我が耳を疑った。

「碇君。」

もう一度、レイの声が聞こえた。
シンジは、辺りを見回した。
そして、レイを見つけた。
湖の中にレイは裸で立っていた。
シンジは、心の底から喜びを感じていた。
そして、シンジはレイへ駆け寄った。
レイが裸であることも忘れていた。

「あ、綾波。生きていたんだね」
821tears-10:02/11/03 16:39 ID:???

「ええ、そうよ。碇君。」
「ええ、そうよ。碇君。」
「ええ、そうよ。碇君。」
「ええ、そうよ。碇君。」
「ええ、そうよ。碇君。」

「へっ!???」

声は、シンジの周りから聞こえてきた。
シンジは、ゆっくりと周りを見回した。
そこには、シンジを囲むように、5人のレイが立っていた。
しかも、全員が全裸である。
シンジは、我が目を疑った。
あの綾波レイが、5人もいるのである。
シンジは、レイを失った悲しみのあまり、幻を見ていると判断した。
そう、シンジは、お得意の逃避をしたのである。
そして、シンジは湖の中に倒れた。

「「「「「 碇君!」」」」」

レイ達は、シンジに駆け寄り、シンジを抱きかかえた。
それも、5人で抱きかかえた。
シンジは、なぜかにやけ顔で気を失っていた。



つづく
822tears- solan:02/11/03 16:40 ID:???
鯨さんの新作から、思いつきました。
それにしても、オリジナリティが無いです。
なんかムーミンに出てくるニョロニョロみたいだな。
824722,758:02/11/04 00:56 ID:???
なんか面白い。
どう決着つけるかきになる。
がんがれがれ。
応援てすちゅうー
826salan:02/11/04 14:37 ID:???
>>823-825
ありがとうございます。面白くないようなら、止めようかと思ってましたが、
続けようと元気づけられました。
綾波がいっぱいネタは、けっこう良くあるネタなので、うまく自分の色が
出せればと思ってます。初の三人称、ちゃんと書ければいいのですが。
こういうの好き。
>>827
ありがとう。
それでは、つづけます。でも、ストーリーがなかなか進みませんでした。
829tears-11:02/11/06 03:58 ID:???

洞木ヒカリは、まだ第三新東京市にいた。
彼女は、今、郊外のホテルに仮住いしている。
彼女の姉と妹はすでに疎開していた。
彼女が好意を寄せていた鈴原トウジは、すでに転院している。
だが、それはもう過去のこととなっていた。
当然、彼のことは心配である。
しかし、それは友人としてである。
彼を見舞いに行った毎日の日々が、彼女にそれを教えた。
彼は、彼女を友人としての扱いしかしなかった。
彼女は、初めはそれを悲しいと思ったが、そのうちに自分がそれほど悲しんで
いないことに気付いた。
そして、彼女はそのこと自体を悲しんだが、すぐに自分を取り戻した。
自分の恋は、恋では無かったことがわかったが、そういうものかもしれないと納得した。
だから、彼女がここに留まるのに理由は無いはずである。
830tears-12:02/11/06 03:59 ID:???
惣流・アスカ・ラングレー。

ヒカリは、アスカのことが心配だったのである。
ヒカリの家にアスカが身を寄せてから、すでに二週間以上経っていた。
昨日は、ヒカリの家が消えた。
Nervの職員である彼女の父に、ヒカリも疎開するように強く勧められていた。
だが、ヒカリはアスカを一人残すことはできなかった。
ヒカリとアスカのつき合いは、ほんの数ヶ月である。
だがアスカは、ヒカリにとって一番の親友と呼ぶべき存在になっていた。
理由はわからない。
強いて言えば、波長が合ったということだろう。
でも、ヒカリにとって、それで十分であった。

今、アスカは、自分の殻の中に閉じ籠もろうとしている。
いや、すでに手遅れかもしれない。
しかし、ヒカリはアスカを助けたかった。
自分では無理かもしれないことは、わかっている。
でも、それでもヒカリは、アスカを助けることを諦めなかった。
831tears-13:02/11/06 04:01 ID:???
「アスカ、ちょっと買い物に行ってくるから」

ヒカリは、近くのコンビニに行くために部屋を後にした。
ホテルの一室で、アスカはゲームをずっとしていた。
本当は、アスカも外へ連れ出したかったが、アスカは頑として動かなかった。
だから、ヒカリは一人で外へ出た。
気分転換に外へ出たかったのが、大きな理由でもあった。

この辺りも、だいぶ疎開が進んでいた。
そのため、一番近いコンビニまで歩いて15分ほどかかる。
だが、それもヒカリにとっては、いい散歩道である。
しばらく、歩いて、目的地まであと少しのところで、ヒカリは裸で立っている
少女を見つけた。
空色の髪で、肌が異様なほど白い少女であった。

「綾波さん! どうしたの!?」
832tears-14:02/11/06 04:03 ID:???
ヒカリは、すぐに少女の元へ駆け寄って、声をかけた。
少女は、きょとんとした顔でヒカリの顔を見ている。

「とりあえず、これを着て」

ヒカリは、自分のジャケットを少女に羽織らせた。
次に、コンビニに走って行き、タオルを買い、少女の体に巻いた。
そして、すぐにホテルへ彼女を連れて帰った。
その間、少女は自分の身に何が起こっているのかわかっていないのか、何も話さず、
されるがままになっていた。
ヒカリは、少女のそのような状態に疑問を持ったが、それよりも裸でいるという
異常な事態に気が動転し、それどころではなかった。
そして、自分の部屋にアスカがいるということも忘れていた。

ヒカリが少女を伴って部屋に入った時、アスカは一瞬、動きが止まった。
次に、立ち上がり、肩を震わせ、大声で叫んだ。

「アンタ、どうしてここにいるのよ!!」
833tears-15:02/11/06 04:05 ID:???

その声に、少女はびくっと体を震えさせた。
そして、怯えた目でヒカリを見た。
その姿を見て、アスカはさらに声をあげた。

「だまってないで、何か言いなさいよ!」

少女はうずくまってしまった。
ヒカリは、その様子を呆然と見ていたが、すぐに少女に駆け寄った。

「綾波さん、怖がらなくても大丈夫よ」

そして、アスカに向かって、優しく話した。

「アスカ、ごめんなさい。でも、綾波さんが裸で立っていて、放っておくことが
できなかったの」
「綾波さんも、なんだか様子が変だったし。だから、アスカ、お願い」
834tears-16:02/11/06 04:07 ID:???
アスカは、少女とヒカリを見た。
しばらくの間、二人を黙って見た。
そして、またゲームを始めた。
ヒカリは、ほっとした。
アスカとレイの仲が悪いことを、ヒカリは知っていた。
レイを連れてくることは、アスカに良い影響を与えることはないと感じていた。
だが、ヒカリは、この裸の少女を見放すようなことができる心を持ってはいない。

「綾波さん、とりあえずシャワーを浴びて」

ヒカリは、少女をシャワールームに連れて行った。
依然として、少女はよくわかっていないようだった。
ヒカリは、少女にいろいろと質問をしたかったが、とにかく裸でいたので、少女に
シャワーを浴びさせることが先だと判断した。
そして、少女のための下着などを買うために、またコンビニへ行くことにした。

「アスカ、また出かけるけど、綾波さんのことをお願いね」

アスカは、黙ってヒカリに振り向いたが、すぐにまたゲームに戻った。
ヒカリはそれを見て、軽くため息をつき、部屋を出た。
835tears-17:02/11/06 04:09 ID:???
いそいでコンビニへ行き、買い物を済ませた。
夕方近くになり、空が赤くなっていた。
もう、路上に人影はほとんど無かった。
帰り道は、自然と足が速くなる。
ホテルの前に着いた時、ヒカリは再び裸の少女を目にした。

「綾波さん。どうして、裸で部屋から出てきたの?」

その言葉に、少女は答えた。

「あなた、...洞木さん?」

その様子に、ヒカリは違和感を感じたが、とにかく少女を部屋に連れ帰った。
自分の部屋の前に着き、ヒカリはドアを開け、室内を見た。
すると、そこには、今、自分の横にいる少女と同じ姿をした少女が濡れたまま立っていた。
ヒカリは、自分の横を見た。
そこにも、少女がいる。
部屋の中にも少女がいる。
ヒカリは、しばらく立ち尽くし、一言、言った。

「綾波さんって、双子だったのね」

ヒカリは、自分の中の常識で、自分を納得させようとした。



つづく
836solan:02/11/06 05:49 ID:???
この話、どうしましょう。このままで行くと、掲示板SSとしては、かなり長く
なりそうです。初めは、一発ネタで短編にするつもりが、こんなことになるとは。
面白くないなら、止めてもいいかなと思っています。

今、三人称で書いてますが、アスカとレイの内面描写は書かない方針です。
スキル不足なので、彼女たちの心情を書くと、別人になってしまうと思うので。
837722,758などなど(w:02/11/06 22:25 ID:???
もう俺の頭の中も混乱です。
がんばってください。
とりあえず続けてみたら?
ついでに漏れんちにも2、3人回してくれ(w
>>837-838
ごめんなさい。書いていて、どうにこうにも面白くありません。
なんか、ある作品と似てきましたし。とりあえず止めます。申し訳ないです。
残念。でも、「つづく」って書いたのだからなんとかまとめてみては?
そういうキボンはなしですか?
>>840
もうちょっと書いているんですが、それが自分で読んでいて面白くないのです。
ホントは、もう少し楽しい感じにするつもりが、だんだんとイタモノ風味に
なりそうで。では、書いた分まで出します。
842tears-18:02/11/07 23:21 ID:???
この喧噪に気づいたのか、アスカがヒカリ達の方に来た。
アスカは、同じ顔をしたレイ達を見て、目を見開いた。
そして、口をぱくぱくさせ、二人のレイを交互に何度も見た。

「ア、アンタ、どうして二人いるの?」

レイ達は、アスカを見ている。
その表情に感情は無い。

「ヒカリ。これどういうこと?」
「綾波さんが、裸で外にいたから連れてきたの」

ヒカリの答えはずれていた。

「そうじゃなくて、どうして優等生が二人いるのよ?」
「え、綾波さんは双子なんでしょ」

すでにヒカリの中では、レイは双子になっていた。

「なんだか、アタシ、疲れてるみたい。寝るわ」
843tears-19:02/11/07 23:22 ID:???
アスカは、ぼーっとした顔になり、そのままベットにもぐり込み、寝てしまった。
ヒカリは、アスカのことが心配だったが、今は裸でいるレイのことが先と考え、
さっきまで外にいたレイを風呂に入れさせた。
次に、始めに連れてきた方のレイに、自分の服を着させた。
片方のレイが、風呂に入っている間に、ヒカリはもう一人のレイに質問をした。

「綾波さんは、お姉さんの方?」

質問のベクトルが、多少違ってしまったらしい。

「・・・・・」

レイは、無言である。
ヒカリは、レイが何も話さないのはいつものことだと思ったが、それにしても様子が
おかしい事が気になった。

「もしかして、綾波さん、記憶が無いの?」

「・・・・・」
844tears-20:02/11/07 23:23 ID:???
やはり無言である。
いい加減、ヒカリもいらいらしてきた時、レイが浴室から出てきた。
今度は、濡れた体を拭いていた。
ヒカリは、こちらのレイにも自分の服を着させた。
レイは、Tシャツとジーンズ姿である。
そして、レイは呟いた。

「ゆるい、...短い」
「な、な、な、な、な」

ヒカリは、顔を真っ赤にして慌てている。
レイは、ヒカリの方には目もくれず、もう一人のレイを見つめた。

「あなたは、わたし?」
「そうかもしれない。でも、違うかもしれない」

初めてレイがしゃべった。

「わたしは、綾波レイ。あなたは?」
「わからない。わたしは誰?」
845tears-21:02/11/07 23:23 ID:???
その様子を、ヒカリは黙って見ていたが、ここで口をはさんだ。

「じゃあ、あなたの方が綾波さんなのね。」

そう言って、ヒカリは綾波レイと名乗った方に問いかけた
やはり、考える方向を見失っているらしい。

「そうだと思う」
「思う?」
「洞木さん、弐号機パイロット、.....ここはどこ?」
「えっ、ここはホテルだけど」
「どうしてここにいるの?.....碇君」

この言葉に、もう一人のレイは反応した。

「碇君。その言葉、知ってる」

この会話を、アスカはベッドの中で聞いていた。
アスカは寝たふりをしていただけであった。
そして、アスカはガバッと跳ね起きた。
846tears-22:02/11/07 23:24 ID:???

「アンタたち!..」

アスカは言葉を繋げようとした。
だが、アスカに向けられたレイ達の、以前のレイであってレイでない雰囲気に
押されて、言葉を失った。

「...アンタ、本当にファースト?」
「アナタは、セカンドチルドレン?」

その言葉を聞いて、アスカは息を詰まらせた。

「...わたしは、もうエヴァに乗れない。だから、チルドレンでは...」

アスカは、泣きそうな顔になって俯いた。

「そう、アナタも何もないのね。わたしも同じ。」

綾波レイと名乗ったレイが、アスカを優しく抱いた。
もう一人のレイは、「碇君」と呟いていた。

「妹さんの名前はなんていうのかしら」

ヒカリは、やはり考えることがずれていた。

847tears-23:02/11/07 23:25 ID:???

時間は、シンジが湖畔で気を失った時まで遡る。
葛城ミサトは、地上で日向マコトと会っていた。
ミサトは、加持リョウジの最後の電話を聞いて、悲しみに明け暮れていたが、
次にNervに疑問を持ち始めた。
その疑問を解決することが、加持に託された自分の使命だと思いこんだ。
だが、それは逃避しているに過ぎなかった。
加持の死から、そうやって目をそらしているだけであった。
だが、ミサトはそれに気づかないふりをし、Nervの深部へ足を踏み込もうとしていた。
ミサトは、日向の自分へ向ける好意を知っていた。
知っていて、ミサトは日向を利用することを選んだ。
それが、さらにミサトの心を刺し、その結果、子供達を見捨てている要因の
一つになっていた。

日向との話が終わり、車に乗り込もうとした時、遠くの湖畔に人がいるのに、
ミサトは気づいた。
裸の女の子が数人いるように見える。
ミサトは、すぐに女の子達が綾波レイだと判断した。
髪が水色の女の子は、レイしかありえないからである。
どうしてレイが何人もいるのか疑問に感じたが、すぐにレイ達の方へ向かった。
レイ達のそばに着いた時、ミサトはやはり驚いた。
隣にいる日向も、口を開けたまま固まっている。
そして、ミサトはレイ達の中でシンジが気を失っているのに気づいた。
848tears-24:02/11/07 23:26 ID:???

「シンジ君!」

とりあえず、ミサトの中の優先順位はシンジが一番であるらしい。
ミサトは、レイ達の中に入り、シンジを抱きかかえ、頬を軽く叩いた。
その様子を、レイ達は不満げに見ている。
それを日向は見ている。

「あ、ミサトさん」

シンジが意識を取り戻した。

「シンジ君、大丈夫?」

その問いに、シンジは夢うつつの状態で答えた。

「夢を見てました。綾波の夢です。僕は綾波のことがかなりショックだったのかな。
その夢に何人もの綾波が出てきました。そして、全員で『碇君』と呼ぶんですよ。
なんかおかしいですよね」
「シンジ君、それは夢ではないわ」
「どういうことですか?」
「周りを見てごらんなさい」
849tears-25:02/11/07 23:26 ID:???
シンジは、ミサトから目を離し、周りを見渡した。
そして、シンジを見下ろすレイ達を見た。

「あははは、まだ夢なんだね」

そう言って、シンジはまた気を失ってしまった。
ミサトは、そんなシンジをやれやれといった感じで見た。
それから、ミサトはレイ達を見、問いかけた。

「あなた達、レイなの?」

それに、レイ達の一人が答えた。

「そう、だと思う」
「どういうことか説明してもらえる?」
「わからない。.....でも、碇君が呼んでいたから、ここに来た」

そういって、レイはシンジに抱きついた。
それを見た残りのレイもシンジに抱きつき始めた。
ミサトは、レイ達に押しのけられてしまった。
日向に話しかけた。
850tears-26:02/11/07 23:27 ID:???

「日向君、どう思う?」
「は、はい、葛城さん。自分にも、どういうことかさっぱりわかりませんよ。
でも、彼女たちは、もしかするとファーストチルドレンのクローンなのかも
しれませんね」
「そうね。そう考えるのが、一番しっくりするわ。それに、わたしの感では、
ダミープラグの秘密にも絡んでいる」
「ダミープラグですか」
「たぶん」
「それより、これからどうします?」
「そうね...」

ミサトの本領は、普通ではありえない事態の時ほど発揮する。
851tears-27:02/11/07 23:28 ID:???

「このまま、本部に彼女たちを連れ帰りましょう」
「しかし、それでは彼女たちが赤木さんたちに見つかりますよ」
「それだからいいのよ。本部の全職員に彼女たちを見てもらうの。そうすれば、
リツコや司令達には手が出せなくなるわ」
「ですが、」
「もし、このまま隠すとしても、いつかは見つかるわ。その時は、たぶん闇に葬り
去られる。彼女たちも生きていないかもしれない。司令なら、そのくらいはするわ」
「そうですね。わかりました。迎えの車を呼びましょう」
「お願い、日向君。あっ、それからリツコ達に絶対にわからないように。あと、
なにか着る物も持ってきてもらって」
「わかりました。まかせてください」

それから、しばらくの後、迎えの車が来て、彼女たちと共にNerv本部へと向かった。
852tears-28:02/11/07 23:29 ID:???
一行が本部に着き、ミサト達は人目を憚るように裏口から、人通りの少ない通路を
通って発令所へ向かった。
その間、ミサトはシンジを背負っていた。
発令所に近づくにつれ、人とすれ違うようになる。
レイ達を見た人は、いずれも驚いたようにして立ち尽くした。
そして、発令所に着いた。
発令所には、司令やリツコはいなかったが、まだ人が大勢いた。

「はい、はい、みんな注目」

ミサトは、手を叩きながら大声で呼びかけた。
オペレーター達は、ミサトの方を見て、一様に驚いた。
死んだと思われていたレイが5人もいるのである。
驚かない方が無理である。
853tears-29:02/11/07 23:30 ID:???
「ファーストチルドレン、綾波レイは生きてました。ですが、どういうわけか
5人います。まあ、それで、みんな、よろしくね」

よろしくと言われても、あまりのことにオペレーター達は反応ができなかった。
だが、マヤはいち早く立ち直った。
マヤは、ダミープラグに関わっていた。
そのため、この事態が、レイのパーツに関わることだと判断した。
マヤは、リツコへ連絡を入れようとした。

「マヤちゃん。リツコへの電話は、ちょっちして欲しくないのよね。もうしばらくは」

ミサトは、マヤに有無を言わせぬ迫力で迫った。

「あと、シンジ君が気を失っているの。ちょっと見てもらえないかな?」

マヤは、頷くしかなかった。

以上です。自分としては、軽い感じのコメディーを書きたいのですが。
>>854
ええ!
い、以上なんですか(笑
確かにヒカリのずれた感想とか、笑みを浮かべたまま
気を失ったシンジとか笑えるけど、もうちょっとなんか重いのかと思ってました。

以上って言われて無性にこの後リツコやゲンドウが
どう対処するのか気になって眠れません(笑
>>855
いえ、書いてあるのがこれで全部と言うことです。
ここから、イタくなりそうです。そして、終わりまで、さらに長くなりそうです。
なんか、連載物を途中で止めたくなる作家さん達の気持ちが少しわかった感じです。
無理矢理ハピーエンドにすれ
858840:02/11/09 00:26 ID:???
続き読みマスタ。ありがとです。
イタくなるのが嫌で止めるのか、長くなるのが嫌で辞めるのかはわからんですが、
イタくなるのを避ける手段としてヒカリをボケたおさせてみるとか、
話のキーとなるどこか一点を180度反転させてみるとか。
長くなるのを避けるなら、描写を薄くして(重要なポイントだけ残して)省いて逝くとか。
ああいや、そんなえらそげなこといえる立場じゃないんですが。
>>858
止めたい理由は、面白くないからなのです。
これ以上、続けても仕方がないかな、と思っているのです。
860858:02/11/09 19:18 ID:???
>>859
そうですか。惜しいなぁ。
861tears:02/11/10 04:47 ID:???
>>860
そう言ってもらえるとうれしいのですが。
正直に言いますと、書いていて楽しく無いんですよね。ちょっと、つらいです。
でも、そういうことなら、続けてみようかと思いました。
でも、期待はしないでください。自信がないので。
86201:02/11/10 05:30 ID:???
( お約束で構成され、落ちがダメダメです )


僕のファーストキスは最悪だった。

暇つぶしだからという理由でキスすることになった。
キスしている時は、彼女に鼻をつままれた。
そして、キスの後、彼女は何度もうがいをした。

僕は、死にたくなった。


その翌日の朝、相変わらず、シンジは朝食の用意をしていた。
本当は、シンジはサボりたかった。
だが、サボると同居人の二人から文句を言われる。
シンジにとって、文句を言われることはとてもつらい。
だから、渋々ながらも朝食を作る。

「お、おはよう」

シンジは、アスカに朝の挨拶をした。
だが、アスカはそれには返事をせず、シャワーを浴びに行った。
シンジは、やはり自分が悪いのかと思い、落ち込んでいく。
だが、シンジも男の子である。
アスカと一緒に朝食を摂っている時、ついついアスカの唇を見てしまう。
そして、顔を赤くし、すぐさま青くする。
キスの感触を思い出すも、すぐに、嫌な部分を思い出し、自己嫌悪に陥るのは
シンジゆえであろう。
86302:02/11/10 05:30 ID:???

「はー、キスか」

シンジは、学校で自分の席に座って、呟いていた。
昨日のことを思い出し、ぼーっとしている。

「どうしたの、碇君?」

僕はその声に驚いて、顔を上げると、目の前に洞木さんがいた。

「あ、おはよう」
「おはよう、碇君」

洞木さんが笑顔で挨拶を返した。
その笑顔が、とてもかわいらしくて、僕は洞木さんに見とれてしまった。
そして、いつしか洞木さんの口元を見ていた。

「大丈夫?」

洞木さんは、そんな僕の様子を、体の調子が悪いと思ったようだ。

「ううん、大丈夫、なんでもないよ」

僕は、平気な顔をして答えた。

「そう。じゃあ、安心ね」

そう言って、洞木さんは自分の席へ戻った。
僕は、初めて洞木さんを意識していた。
86403:02/11/10 05:31 ID:???
綾波レイが、教室に入ってきた。
彼女に注意を払う人は少ない。
シンジは、その少ない一人である。

「おはよう」

シンジは、レイに挨拶をした。
だが、レイからの挨拶は返ってこない。
仕方ないか、とシンジは思った。
シンジは今までレイが学校に来た時は、挨拶をしていたが、挨拶が返ってきたことが
無かった。
だから、これはいつものことである。
しかし、シンジはレイの顔をじーっと見ていた。
いや、正確にいうと、レイの唇を見ていた。

なんか、柔らかそうだな。

シンジの考えていることは、こんなところである。
この時は、昨日のキスのことは忘れていた。
だが、シンジの幸せもここまでであった。
アスカが教室に入ってきたのである。
そして、また昨日のことを思い出し、シンジは深く落ち込んでいった。
86504:02/11/10 05:33 ID:???
シンジのシンクロ率は落ちていた。
ミサトやリツコに理由を聞かれたが、シンジは曖昧に答えていた。
あまりにも情けない理由で言えなかったのである。

アスカは、シンジに対して以前と変わらぬ態度で接していた。
それが、シンジをますます落ち込ませていた。
どうして自分だけがつらい思いをしなければならないのか。
シンジは、休憩室のイスに座って、深くため息をついた。

「どうしたんだい、シンジ君」
「あ、加持さん」

加持が、無精髭をさすりながら、シンジの横に座った。

「一人で悩んでいるのは良くないなあ。どうだい、オレでよかったら相談にのるよ」
「はあ」

加持の申し出に対して、シンジの生返事を返した。
それを見た加持は、もう一押しと思い、言葉をかけた。

「なあ、シンジ君。オレは、キミより長く生きてるんだ。そんなに経験豊富と言えないが、
相談にのることくらいはできるさ」

シンジは、しばらく加持を見て、考え込み、そして意を決して打ち明けた。
86605:02/11/10 05:34 ID:???

「そうか、なるほど。シンジ君は、その女の子に嫌われたと思って心配なんだな」
「い、いえ。そんなことは、」
「はははは、そんなに慌てることないよ。で、その女の子とは誰だい? アスカかな?」
「いえ、違い、.....そうです」
「そうか、アスカか。まあ、アスカは素直じゃないからな。きっと照れてたんだよ」
「そうなんですか!?」
「ああ、そうだと思うな」
「そうか、そうだったのか」
「シンジ君」
「はい」
「そういう時は男がリードしなければいけない」
「リードですか」
「ああ、そうだ。それに、シンジ君は大人のキスを知っているかい?」
「いえ、知りませんが」
「そうか。大人のキスとはだ、」
86706:02/11/10 05:35 ID:???
その後、延々と加持のキス講座が続いた。
それを聞き終えて、シンジは大人になったような気分になった。

「わかりました、加持さん。僕、がんばります」
「シンジ君、がんばれよ」

シンジはアスカを探しに走り出した。
そして、シンジはアスカを見つけた。
次に、アスカを抱き寄せ、キスした。
アスカは、突然のことになすすべくもなく、キスされた。
だが、次の瞬間、アスカは驚いた。
シンジが、アスカの中に舌を入れたのだった。
そして、アスカはシンジを突き飛ばした。

「な、な、な、何するのよー!!」

そう叫んで、尻餅をついてるシンジの胸に蹴りを入れた。
シンジは、そのまま倒れて、気絶した。
それを見たアスカは、顔を真っ赤にして走り去った。
86807:02/11/10 05:37 ID:???
シンジは入院した。
肋骨が5本折れたのである。
それでも、一週間で退院できるとのことであった。
見舞いに来た加持に、シンジは文句を言った。

「無理にキスをしたらダメだ。ムードを考えないと」
「ムードですか」
「そうだ。女の子は繊細だからな」

シンジは、何が悪かったのか考えた。
だが、シンジのにぶい頭では結論が出なかった。

レイが、一度、見舞いに来た。
レイの顔を見て、シンジはレイとのキスを想像した。
しかし、その想像は絵にならなかった。

「綾波とのキスは想像できないや。それに、綾波にムードといっても」

シンジは、病室で独り言を言ってた。
考え事に夢中で、病室に人が入ってきたのに気づかなかった。

「ムードってなに?」
「えっ!」
86908:02/11/10 05:39 ID:???
シンジは、声の方を見た。
そこには、ヒカリがいた。

「あ、洞木さん。いつ来たの?」
「さっきからよ。声をかけても碇君、気づいてくれないんだもん」
「ごめん。...見舞いに来てくれたんだ」
「ええ、本当はアスカも一緒に来たんだけど、入り口の所で帰っちゃって」
「アスカも来てたんだ」
「そうなの。碇君、アスカを連れて来れなくて、ごめんなさい。その怪我、
アスカがしたんでしょ」
「ううん、僕が悪いんだ。だから、洞木さんも気にすることないよ。それに、
洞木さんが見舞いに来てくれて、とっても嬉しいよ」
「碇君」

なんか、いい雰囲気になったと僕は思った。
加持さん、これがムードというものなんですね。
僕は、洞木さんの手を取って、両手で包み込んだ。
そして、洞木さんの目をじっと見つめた。
洞木さんは、初め驚いているようだったが、黙って目を閉じた。
そして、僕は洞木さんの顔に近づき、目を閉じた。
キスをしようとした瞬間、胸に強烈な痛みを感じた。
87009:02/11/10 05:40 ID:???

「アンタ、なにしてんのよ!!」

僕は、あまりの痛さに息ができなかった。
洞木さんは、僕を心配してくれていた。
だが、それを見て、アスカはますますヒートアップし、そして僕の頬をグーで殴った。
僕は、そのまま気絶した。
その後、さらに2本肋骨が折れ、前回折れた肋骨が肺に刺さりそうになっていたらしい。
僕の退院は、さらに一週間延びた。
加持さんが見舞いに来て、僕はまた加持さんに文句を言った。
加持さんは、やれやれといった感じで僕に話しかけた。

「シンジ君は、誰が好きなんだい?」

それに、僕は答えられなかった。
そして、そのことを退院までずっと考えていた。
その間、アスカも洞木さんも見舞いには来てくれなかった。
87110:02/11/10 05:42 ID:???
シンジは、退院して家に戻った。
案の定、家の中はゴミの山になっていた。
部屋中を掃除していた時、アスカが帰ってきた。

「アンタ、帰ってきたの」

そう言って、アスカは自室へ入っていった。
シンジは、その一言を聞いて涙ぐんでいた。
それから、アスカは前と同じようにシンジに接していた。
そのようなアスカに、シンジは戸惑った。
やっぱり、アスカはよくわからないや。
それが、シンジの出した結論であった。
だが、自分の存在を無視されているようで、シンジは相変わらず落ち込んでいた。


久しぶりに、シンジは学校へ行った。
教室で、シンジはヒカリに挨拶をした。
ヒカリは、微かに顔を赤くして挨拶を返した。
にぶいシンジは、それに気がつかない。
その様子を、アスカは不機嫌に見ていた。

朝のホームルームが始まり、黒板の前に茶色の髪の女の子が立っていた。

「霧島マナです、よろしく」
87211:02/11/10 05:44 ID:???
その転校生の席は、シンジの隣になった。
その日、一日中、マナはシンジに話しかけていた。
シンジは、どうして自分なんだろう、と思ったが、マナがかわいいので、
別にどうでもいいやと思っていた。
それからは、毎日、マナはシンジと一緒にいた。
それをアスカは忌々しげに見ていた。

「霧島マナはスパイよ!」

夕食の時、突然、アスカが言った。
シンジは、またアスカが馬鹿なことを言っていると思い、そのまま聞き流した。
実は、シンジはそれどころではなかったのである。
週末に、マナと芦ノ湖でのデートを約束していて、そのことで頭がいっぱいだったのだ。
アスカは、そのようなシンジを見て、腹を立てていたが、本当にシンジのことが心配だった。


翌日、学校の帰りに、シンジはマナと別れてから、本屋へ向かった。
シンジは、デートコースをどうするか決めるために、その手の雑誌を買うためである。
帰りに、シンジは加持とリツコに会った。
そして、そのまま三人でファミレスへ行き、夕食を共にした。
その時に、シンジは週末のデートについて相談した。
その後、リツコは仕事があるからと先に帰っていった。
シンジと加持の二人になった。
87312:02/11/10 05:46 ID:???

「なあ、シンジ君。デートとなれば、キスするかもしれないな」
「な、加持さん。まだ、僕たちは中学生ですよ。初めてのデートでキスするわけ
ないじゃないですか」
「でも、シンジ君はアスカとはキスしたんだろ。それに、洞木さんと言ったかな、
その娘ともキスしそうになったんだろ」
「そうですけど」
「まあ、深く考えることはない。ただ、そのようなこともあるかもしれないということだ」
「そうなんでしょうか」
「シンジ君、今度は失敗しないようにな」
「そうですね」

シンジは、また落ち込んでしまった。
だが、すでに話がキスすることになっていることに、シンジは気づいていない。

「シンジ君は、霧島さんのことが好きなんだろ?」
「よくわかりません。でも、好きかもしれません」
「今はまだそれでいい。だがな、シンジ君。その娘が大切なら、彼女を傷つけない
ようにしなくてはな」
「はあ」
「まずはだ、優しく、軽くキスする。それから、・・・・・・・・・・・・・」

そして、加持のキス講座が始まった。
それを、シンジは一字一句漏らさず、聞いていた。

「わかったかい、シンジ君」
「わかりました、加持さん。ありがとうございます」
「デート、がんばれよ」
「はい」

もう、シンジはやる気満々であった。
87413:02/11/10 05:48 ID:???
デート当日、マナは白いワンピースとお揃いの帽子を被って、待ち合わせの場所に待っていた。
シンジは、少し遅れてやって来た。
白いワンピース姿のマナに、シンジは見とれ、これからのデートに胸を弾ませていた。

その後は、芦ノ湖の遊覧船に乗り、次にロープウェイで箱根の山に登って、見晴らしの
いいところで二人はお弁当を食べた。
この時、マナはシンジに、「マナ」と呼ぶようにお願いした。
シンジも、恥ずかしいながらも、「マナ」と呼ぶようになった。
そして、最後に箱根の温泉街に二人は行った。

「シンジ、露天風呂に行きましょう?」
「え、でも、ここ混浴だよ」
「わたしはいいよ。シンジはわたしと一緒じゃ嫌なの?」

こう言われては、シンジは断れるはずはなかった。
なし崩し的にシンジは、マナと一緒に温泉に入っている。
マナは、体にバスタオルを巻いているだけの姿である。
二人は、背中合わせに座っている。
シンジは、マナが気になって仕方がなかった。
87514:02/11/10 05:49 ID:???

「シンジ」
「なに、マナ?」
「わたし、シンジのことが好き」
「え、ええ!」
「だから、わたしのことを信じて欲しいの。お願い」

マナは、シンジの手に、自分の手を重ねた。
シンジは、とてもドキドキしていたが、ここで加持のアドバイスを思い出した。

「僕は、たぶんマナが好きだと思う。でも、そうでないとしてもマナのことは信じるよ」
「シンジ」

そして、シンジはマナの方を向き、肩を優しく抱いた。
シンジとマナは、そのまま唇を重ねていた。
長い間、そのままだったが、次にシンジは大人のキスをマナにぶちかました。
マナは、とろんとして、シンジのなすがままになっていた。
だが、悲しいことに、シンジはその先を加持に教わってはいなかった。
シンジは、これからどうするか悩んでいたが、のぼせそうになったので仕方なく、
温泉から出た。
それでも、シンジは大満足であった。

加持さん、僕は大人になりました。

シンジは、こんなことを思っていたが、まだまだ子供であった。
87615:02/11/10 05:51 ID:???
その夜、家に戻ってから、シンジはミサトにデートのことを聞かれた。
アスカは、ヒカリの家にお泊まりである。
普段なら、ミサトにからかわれて、あたふたするシンジであったが、大人になったと
勘違いしているシンジは、ひと味違っていた。

「ねー、シンちゃん。マナちゃんと、キスしたの?」
「当然ですよ、ミサトさん」
「え、シンちゃん、本当なの?」
「本当です」
「シンちゃん、大人になっちゃたのね」

ミサトは、かなり酔いが回っていた。

「ええ、大人のキスもしましたよ」
「ほんとうーに?」
「本当です」

と、シンジが返事をした瞬間、ミサトがシンジにキスをぶちかました。
それも、濃厚なやつである。
シンジは、ぼーっとなって、目がうつろである。

「シンちゃん、これが大人のキスよ」

だが、シンジの返事はない。
シンジは、そのまま自室に戻り、ベットに横になった。

加持さん、僕はまだまだ子供でした。
でも、これで大人になりました。

シンジは、間違った自信をつけてしまった。
87716:02/11/10 05:53 ID:???
それから、よりいっそうシンジとマナは、一緒にいるようになった。
ただし、芦ノ湖デートの時から、進展は無かった。
それを、忌々しげに見ている目があった。
アスカである。
だが、それ以上にヒカリは、やきもちを焼いていた。
ヒカリは、病院でシンジとキスしそうになって以来、シンジのことが気になっていた。
あの時は、雰囲気に流されたと思ったが、それからはシンジのことばかり考えるようになった。
ゆえに、今の状況は、ヒカリにとって許し難いものがある。
マナが転校してきてからは、めずらしく、シンジは一人で家へ帰ることになった。

「碇君、ちょっといい?」

シンジが帰ろうと、席を立ったところにヒカリが声をかけた。
教室には、二人の他に人はいない。

「なに、洞木さん?」

ヒカリは少しためらったが、意を決してシンジに話しかけた。

「碇君は、わたしのことをどう思っているの?」
「え、ええ」
「病院で、わたしにキスを迫ったのに、今は霧島さんと仲良くして、わたし、碇君のことが全然わからない」

ヒカリは、目に涙を溜めて訴えた。
シンジは、これに狼狽えた。
どうすればいいのか、必死に考えたが、パニック寸前である。

加持さん、僕はどうすればいいんですか。
87817:02/11/10 05:54 ID:???
シンジは、既に心の師匠になっている加持を思い浮かべた。
そして、シンジは決心した。

「洞木さん」

ヒカリにキスをぶちかましたのである。
それも、とっても熱いやつを。
シンジが、唇を離したら、ヒカリは床に座り込んでしまった。
シンジは、ヒカリを抱きかかえ、イスに座らせた。

「洞木さん、その、僕の気持ちはこうだから」

まったく意味のわからない答えを言って、シンジは教室を出て行った。
それをヒカリは、顔を赤く染めて見送った。


シンジは悩んでいた。
いったい、僕は誰が好きなんだろう。
マナは、僕に好きと言ってくれた。
洞木さんは、僕のことが好きなのかな?
ミサトさんは、僕に優しくしてくれる。
アスカも、時々、僕に優しいんだ。
結局、僕に優しくしてくれる人なら誰でもいいんだろうか。
87918
しかし、その後、事態は急変した。
戦自のトライデント脱走事件とマナが関係していることがわかったのである。
シンジは、「信じて」と言ったマナを信じたかった。
だが、今まで人生で裏切られ続けてきたシンジは、マナを疑い始めていた。
そして、シンジ達にトライデント追撃命令が下った。
追撃戦の後、シンジとマナ、そしてマナの同僚でトライデントのパイロットである
ムサシが相対した。
初号機は、零号機に抱えられて回収され、アスカは弐号機の中で3人を見守っていた。

「マナ、だいじょうぶ?」
「シンジー!」
「マナ、こっちに来るんだ」

「ダメだ」

ムサシが、割って入った。

「マナ、オレと一緒に来てくれ」

そう言って、ムサシがマナの腕を取ったその時、

「ぐっ!」

ムサシが、崩れ落ちた。
マナが、ムサシのみぞおちに肘打ちを食らわせたのである。

「シンジー、怖かったー」

マナは、シンジに抱きついた。
シンジは、事態の変化についていけず、抱かれたままになっていた。
それを見ていたアスカは、爆発寸前である。