アンタッチャブル 事件記者 鳴海遼子 その2

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1名無しさん@ピンキー
ドラマ「アンタッチャブル〜事件記者鳴海遼子〜」のエロパロスレです。
エロなしも歓迎。
鳴海兄妹でも鷹藤でも、妄想して萌えましょう。

前スレ
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1261533345/

保管庫
ttp://www22.atwiki.jp/loveuntouchable/
2名無しさん@ピンキー:2010/12/07(火) 20:22:26 ID:Vot4iASG
スレ立て、ありがとうございます〜。

これでさらに新たな闇が暴かれていくのを楽しみにしてます!w
3新スレ祝い 小ネタ 遠山:2010/12/08(水) 00:03:54 ID:XAOHjQTf
「ついに2スレ目か…」
「あ、遠山さん、久しぶりです」
「鷹藤君、きみ、鳴海さんとつきあってるそうだね。勇気があると思っていたけど、そこまでとは…」
「…そうですけど。それよりどうしたんです。アンタッチャブルを去って以来ですよね」
「それについては俺から話そうか」
「鳴海洸至!」
「死体が無いから、もしかしたらと思っていたがやはり生きていたのか」
「そんなことはどうでもいい。それより、この男が何故ここに現れたかその理由を知りたくないか、
 鷹藤君」
「理由って、通りかかっただけですよね」
「ああ」
「それだけじゃないさ。本当は悔しかったんですよねえ、遠山さん」
「悔しかったって、なんのことだよ」
「鷹藤君、前スレでの遠山の登場回数、数えてみたことがあるか」
「ええっと…。あれ?」
「そう、0回だ。会話の中にチラッとでるだけで、SSに取り上げられることはない。
 鷹藤君も当初は殴られ蹴られ縛られ薬を打たれと散々だったが、最近はいい思いをすることも増えている。
 腹の立つ話だが、あの片山ですら遼子とあんなことをしたんだぞ。だが、遠山は」
「僕は彼女に対して一ミリたりとももそんな気持ちを抱いたことはないから、別に気にしていない」
「そうか。じゃあ別に来ることもなかったんじゃないか。ここはエロパロ板だぞ。
 出たら最後、どんな行為をさせられるかわかったもんじゃない。俺と来たら…。まあそれはいい。
 だが、遠山がこれから先ここに出ることがあるかどうか」
「どういう意味だ」
「容姿端麗、頭脳明晰、冷静沈着と、完全に思えるキャラクターの遠山だが、残念なことにそれが仇となった。
 隙がなさ過ぎて、妄想しにくいんだよ」
「くっ」
「あ、そうか…。隙のない人間の話は確かに面白みに欠けるな」
「鷹藤君、君まで」
「時々、ズバッと本質を突くのが鷹藤君の怖いところだよ。ここには牛丸大使まで出てるのに、
 散々だなあ、遠山さん。完璧に近い君にも不得手な分野があったということか」
「嬉しそうだな、この人…。ああ、あいつが昔遠山さんに熱を上げてたから、そのせいか…」
4名無しさん@ピンキー:2010/12/08(水) 01:09:43 ID:t3XfLBa0
お兄ちゃんw
5名無しさん@ピンキー:2010/12/08(水) 05:04:37 ID:pTxwBc23
>出たら最後、どんな行為をさせられるかわかったもんじゃない。俺と来たら…。

いえいえ、嬉々としてやってたような気がwww
6名無しさん@ピンキー:2010/12/08(水) 09:09:09 ID:7ULsgHay
>いえいえ、嬉々としてやってたような気がwww
禿同ww

ドラマ始まる前は遼子と遠山さんで番宣してたから、てっきり
そのカップルだと思っていたら・・・w
7名無しさん@ピンキー:2010/12/09(木) 10:34:54 ID:GMFarrg7
頼まれてもいないのに、前スレ「774号の客」の続きができました.
ナースコスプレプレイのはずが…。
しかも長い。すいません。
スレの即死回避ということで、お許しを…。
860 Miles an Hour 鷹藤編 1:2010/12/09(木) 10:36:00 ID:GMFarrg7
鷹藤の躰が宙を舞った。

ナース服姿の遼子が開いたドアから鷹藤を見つめていた。最後に何か遼子は言ったようだった。
だが、鷹藤は遼子の声を聞くことなくワゴン車の外に放り出された。
鷹藤を放りだした後、開いたままの側面のスライドドアから、黒いニット帽の男が驚いた表情を浮かべ鷹藤を
見ていた。
身を切るように冷たい冬の風を感じた次の瞬間、鷹藤はガムテープで後ろ手に縛られた状態でできることが
少ないながらも頭をすくめた。

次の瞬間、アスファルトに左肩が触れた。鷹藤の躰の中で鈍い音が響く。道路で鷹藤の躰が軽くバウンドする。
そして道路を何度かわからないほど転がり、鷹藤はやがて止まった。
どこが痛むかわからぬほど躰中が痛んでいた。その痛みに襲われながら顔を上げ、走り去るワゴン車を見ようとした。
だが額の上を切ったらしく、とめどなく流れる血が眼に入り鷹藤の視界が赤く染まる。
見えない目で周りを見回す。スピードを上げ走り去るエンジン音が遠くに聞こえた。
立ち上がろうとする。躰じゅうが痛んで動けなかった。
強い光を感じて振り返る。後続車のライトか。
大きな摩擦音を立て、止まる音。
タイヤの焦げる匂い。開くドアの音。駈けてくる足音。
大きな手が鷹藤を掴んだ。口に張られたガムテープを、鷹藤の唇が痛むのも構わず一気に取る。

「動けるか」
聞き覚えのある声だった。だが、いまの衝撃のせいで誰の声か思い出せない。
「俺の車に乗れ」
「あいつが、俺の彼女が攫われたんだ…。助けないと」
男の肩を借り、よろめきながら歩く。足は折れていないようだ。ただ肩が、左肩がひどく痛んだ。
「彼女か…。手伝おう。乗れ」
鷹藤が身をかがめ、男の車の助手席に座った。
グローブボックスから男が万能ナイフを取りだし、鷹藤を縛るガムテープを切った。
運転席に座った男が鷹藤の額の傷に触れた。それから何か布をあてる。

「そこは切れただけのようだな。さあ、行くぞ鷹藤くん」

男が鷹藤の名を呼んだ。鷹藤が驚いて眼の周りの血を拭う。
見覚えのある横顔。
そこにいるのは遼子の死んだはずの兄、鳴海洸至だった。
鷹藤の躰がシートにめりこむ。
猛獣の唸り声にも似た音をタイヤがたて、車が急加速で走り出した。


街灯に照らしだされる洸至の横顔を鷹藤は茫然と見ていた。
遼子と溶け合う程に躰を重ねあわせていた、ほんの30分前。
こうして遼子の兄、名無しの権兵衛こと鳴海洸至と再会することになるとは思いもよらなかった。
960 Miles an Hour 鷹藤編 2:2010/12/09(木) 10:37:57 ID:GMFarrg7
「で、結局そっちかよ」
ナース服に身を包んだ遼子が、ドレッサーの前で制帽をピンで留めていた。
「セーラー服はね…。あの事件のあと、卒業式で着たのが最後なんだけど、見ちゃうと思い出しちゃって」
遼子の横顔に翳が過ぎる。
あの事件。遼子の兄が両親と自宅を吹き飛ばした事件。全てのはじまりだった。
「でもね、お兄ちゃんがわたしの卒業式に出席したら、わたしのこと馬鹿にしていた子とか、殆ど話したことの
 ない子までわたしとお兄ちゃんのところにやってきて、一緒に写真撮ろうって頼んだのよ。お兄ちゃん、
 かっこよかったから」
「へえ」

遼子の兄。名無しの権兵衛。数多の人を殺し、関わったものの人生を変えた男だった。
だが、やはり遼子にとっては犯罪者というよりは、家族としての記憶の中に兄はいるようだった。
「ごめんね、鷹藤くんの前でこんな話しちゃって」
「いいよ」
遼子の兄、鳴海洸至は自分の両親だけでなく鷹藤の家族も吹き飛ばした。父と母と兄と。
許せない…と思う時もある。
だが、洸至を名無しの権兵衛と知るまでは、もし兄が生きていたらこんな感じだったろうかと、その背に兄の
背中を重ね合わせたりした。
そのせいか事件の後も単純には憎めなかった。
洸至に対する恨みの気持ちよりは、裏切られた悲しみの方が強かった気がする。

「俺もあんたの兄さんに世話になったし、嫌いじゃないよ」
遼子の後ろからその細い躰を抱きしめた。
そのうなじに唇を落とす。
「ん…」
「で、看護婦さん、俺に何してくれんの?」
「何って…あ…」
鷹藤が遼子の顎に手を添え、顔だけ後ろを向かせると唇を重ねた。
すぐに舌が絡まり合う。
鷹藤の顎から耳の下へと蔦のように遼子の手がのび、髪の中へ差し入れられた。
「んん…」
遼子の喉の奥から甘い声が響く。鷹藤が唇を離した。

「これじゃ俺がやってることになっちまうな。あんたはどうしたい…」
遼子が顔を赤らめ下を向いた。
「こんな格好なんて初めてだし…。やっぱり恥ずかしいよ、鷹藤くん」
「じゃあ、また俺の好きにしていいんだな、看護婦さん」
遼子ナース服だが、鷹藤は先ほど躰を重ねたときからまだ服を脱がず、ほどけたネクタイとワイシャツ、
下はスラックスのままだった。
鷹藤がネクタイを外す。
遼子の手首を重ねさせると、緩く縛る。
「いたずらするときに邪魔だからな」
鷹藤が遼子の戒められた両手に頭をくぐらせると、恋人の腕の中に来た。二人の躰が密着する。
「これだけ近いと、看護婦さんになんでもできるぜ」
「もう…」

あまりの顔の近さに遼子が眼をそらした。
鷹藤が眼の前にきた遼子の耳たぶを口に含むと、それだけで遼子の腰が震える。
遼子の腰に手を廻し逃げられないようにすると、鷹藤は制服の下に手を入れた。
「あれ…。あんたあれから下着はいてないのか」
「だって…」
遼子が言い淀む。
「そうだよな、あれだけ濡れちゃはけないよな。ナース服の下がノーパンって、やってくれってこと?」
滑らかな太ももを撫で上げると、鷹藤は遼子の亀裂にいきなり指を挿れた。
「ひゃんっ…」
湿った音が波の音のように部屋に響く。
1060 Miles an Hour 鷹藤編 3:2010/12/09(木) 10:38:44 ID:GMFarrg7
「ねえ、あんたが風呂上がってから俺触ってもいないのに、なんでこんなに濡れてんの」
「んんっ」
「声、堪えるなって。ラブホだったらいくらでも出していいから」
立ったまま鷹藤の指が中を掻き立て、指の付け根がリズミカルに遼子のクリトリスを押しつぶす。
「きゃ、あ、あ、あ、ああんっ」
「すげえいやらしい声。鏡見てみろって。自分から片足上げてよがってる看護婦姿のあんたが映ってる」
遼子がドレッサーに目を遣り、また顔を赤らめた。
鏡の中には、ナース服を着たまま内奥に指を突きたてられ、紅潮し快感に眉をひそめながらこちらを見る
自分がいた。
「いやっ」
「こんなやらしい看護婦がいたら入院も楽しいかもな」
腰から這い上がる感覚に、遼子の膝の力が抜ける。だが戒められた両手が鷹藤の首に廻されており、鷹藤から
躰を離すことも敵わず、たた快楽に震えるしかない。
「や、ああ、ああん」
鷹藤が叩きつける指の音、潰れる様な水音。
「だめ、立ったまま、あんっ、いっちゃう」
「じゃ、いけって。俺の眼の前でいけって」
鷹藤が指を送りだす速度を上げる。水音のリズムが上がる。遼子の息が切れ切れになる。
「恥ずか…いや、きゃあ、あああ、ああんっ」
遼子の膝から力が完全に抜けるが、戒められた両手が支えとなり床の上に膝立ちなった。

鷹藤も床の上に座る。鷹藤自身を引き出すと、遼子の腰を抱え自分の腰の上に座らせた。
ゆっくりと遼子の中に突きいれる。
「あ、ああああんんっ」
指とは違う太さ、質量が遼子の中を埋めていく。遼子が痺れるような感覚に腰を逃がそうとする。
それはまた遼子に次の快楽を送りこむだけだった。
「ひゃああああんんっ」
その快楽のせいで遼子の膝から力が抜け、一気に根元まで受け入れてしまった。
激烈な快楽に遼子がのけぞった。
「んっ」
鷹藤も包まれた感覚にうめく。
「…看護婦さん、今度はあんたが動く番だろ」
「ん…気持ちいい…ですか?」
乱れつつ遼子が少し芝居っ気を出してきた。鷹藤がほくそ笑む。
「看護婦さん、俺、疲れて動けないみたいなんだ。あんたが動いて気持ち良くしてくれよ」
「は…はい…」
眉をひそめながら、遼子が鷹藤に腰をこすりつけ、リズミカルに動き始める。
「あんっ…」
「よがってばっかりいないで、もっと気持ち良くしてくれよ」
制服姿の遼子が必死に腰を振る。制帽からほつれた髪が額から垂れ、それも一緒に揺れる。
鷹藤が遼子の襟元のボタンを片手ではずしていく。
ボタンを外すと襟元から差し入れ、掌で押し包むと遼子の柔らかな肉を揉む。
「ふぅっ…」
1160 Miles an Hour 鷹藤編 4:2010/12/09(木) 10:39:36 ID:GMFarrg7
「このままだといけないぜ、お互い」
もちろんそんなことはない。
鷹藤が激しく動かす時とは違う、まろやかな快楽が二人のつながった部分から拡がっている。
その快楽に呼応するように、鷹藤の精を呑み尽くそうと遼子の中が蠢いて、鷹藤を追い詰めていた。
「どう…ですか」
「もっと…もっとしてくれ…」
言葉で追い立てていた鷹藤にも余裕はなくなっていた。
「はい…」
遼子が激しく腰を振る。
「きゃあ、あ…あああ。いい、ああ…」
遼子も襲い来る快楽に悶え喘ぐだけになっている。
目を閉じ、快楽に耐えかね眉間に皺を浮かべながら、絶え間なく甘い吐息を漏らす遼子の顔を間近に見ていて、
鷹藤ももう律動を堪えることができなくなっていた。
下から遼子を激しく突き上げる。
「きゃあああああああんっ」
遼子の髪が乱れ、制帽から髪が幾筋もこぼれ落ちる。
のけぞり白い喉をさらす遼子の頭に手を添えると、鷹藤は深く口づけた。
「んっ、んんっ」
背筋に射精の予感が駈ける。
「中に…出すぞ」
「あああああんっ」
押しつけるように何度か強く突き上げると、鷹藤は遼子の中に精を放った。


「おい…」
意識を手放した遼子の頬をぺちぺちと鷹藤が叩く。
「ん…」
結局床の上でまた躰を重ねてしまった。遼子は猫足のドレッサーの足元にしどけなく横たわっていた。
「せっかくでっかいベッドあるのに、2度も床の上でやっちまったな」
片肘をつき、遼子の傍らに添い寝しながら鷹藤が苦笑した。
「鷹藤くんが2回もするから、動けない…」
遼子の手首を縛るネクタイもそのままだった。それを鷹藤が外してやる。
「あんたも頑張ったもんな」
鷹藤が遼子を抱き上げ、ベッドに運ぼうとした。

「ちょ、ちょっと待って鷹藤くん!」
遼子が何かを見たのか、ドレッサーの下に眼を遣ったまま、鷹藤の腕の中で暴れた。
「なんだよ、いきなり。別にベッドですぐにもう一回やろうってわけじゃ…」
「そうじゃないの、わたしのこと降ろして。ドレッサーの引き出しの下に何かあるのよ」
「動けないんじゃなかったのかよ」
さっきまでの蕩け切った声ではなく、仕事中の相棒の顔になっていた。その勢いに押され、鷹藤が遼子を降ろす。
遼子の眼が、猫足のドレッサーに据えられた。白の何の変哲もないドレッサーだ。
中央に抽斗がひとつ、右側に3段の引き出しがある。
猫足のドレッサーの中央の抽斗の下に遼子が頭を入れ、見上げた。
「鷹藤くん…これ」
テープをはがす音が聞こえた。
抽斗の裏に何かがテープで留められていたらしい。遼子の手の中に、鍵があった。

「鍵…。コインロッカーの鍵だな、これ」
駅のコインロッカーによくある、黄色いプラスチックの楕円型のキーホルダーがついた鍵だ。
ふたりでキーホルダーの文字を読む。
「新・東口・356」
遼子の眼に記者としての光が宿る。
「あんた、何かやる気だろ…。ほっとけって」
「ねえ鷹藤くん、事件の匂いよ!開けて普通のものだったら警察に届ければいいし」
「ラブホのドレッサーの下に貼りつけてあった鍵でロッカーを勝手に開けましたって言うのかよ」
「そんなの編集部に垂れこみがあったことにすればいいじゃない」
遼子はもう、このいわくありげな鍵に夢中になっているようだ。
1260 Miles an Hour 鷹藤編 5:2010/12/09(木) 10:40:32 ID:GMFarrg7
「待てよ、じゃ、シャワーだけでも浴びてから行こうぜ」
「早くしてね」
遼子がナース服を脱ごうとボタンに手をかけた時。
控えめにドアをノックする音が響いた。二人が顔を見合わせる。
「何かしら…」
鷹藤がドアへ脇に立ち、ドアの向こうの相手に声をかけた。
「誰だ」
「フロントです。入室時のサービスドリンクの提供を忘れてまして、いまお持ちしたのですが」
「いや、ドリンクはいいよ。もう出るから」
「そうですか」
鍵穴の中を何かが這いまわる音がした。
次の瞬間、猛烈な勢いでドアが開き、鷹藤は額を強かに打った。
「な…」
どう見てもカタギには見えない男が3人押し入ってきた。
スキンヘッドとニット帽の男はレスラーのように大きな躰と太い腕を誇示するように胸を張り先を歩き、
その後ろを細身で短髪の男が歩いてくる。
スキンヘッドの男が叫び声を上げようとした遼子の口を押さえつける。
その手を遼子がすかさず噛んだ。男は舌うちをすると躊躇なく遼子を撲り、腹に当て身をくらわせると肩に
担ぎあげた。
鷹藤が叫び声を上げようとした時。

後頭部を殴られ、視界が暗転した。


つづきます。すいません。
13名無しさん@ピンキー:2010/12/09(木) 14:29:00 ID:zZG/EHoR
>>8-12
ナースプレイ、キターー!
と思ったら、お兄ちゃんも、殴られ鷹藤君もキターー!
って、遼子の攫われた時の格好、かなりエロ・・・いやヤバイんじゃあ。。

つづき、wktkwktkしながら待ってます!!!!
1460 Miles an Hour 遼子編 1:2010/12/09(木) 22:29:41 ID:GMFarrg7
>>8-12の続きです。

遼子が眼を醒まし、最初に目に飛び込んできたのは、車の室内灯だった。
口元に鈍痛。胃のあたりが重く、吐き気がこみ上げる。
遼子がいるのはワンボックスカーのようだ。座席はなく、運転席の後ろは全て荷台となっている。
遼子はその中央に横たえられていた。
周りに目をめぐらす。遼子の頭のあたりに男がひとり。足元に男が二人。足元にいるひとりは短髪で細身、
もうひとりは筋肉で固太りしたように見えるニット帽の男だった。
ニット帽の男の隣に口にガムテープを張られ、殴られたのか、右の眼元が蒼く腫れた鷹藤がいた。

「ああ、そうだ。鍵は無事回収した。ホテルにサツ風の男が来てたんで慌てたが、関係なかったようだ。
 焦って押し入ったせいで、余計な荷物が二つ増えた。しかしこいつらも鍵のことを知っている。
鍵を持って慌てて部屋を出ようとしていた。そこに連れて行くから、何か知らないか吐かせてくれ。もう少しで着く」
抑揚のない声だった。遼子の足元にいる、短髪をハリネズミのように立てた細身の男が携帯で話していた。
「起きたか」
携帯をしまうと男は遼子に声をかけた。
「何よあなたたち!」
「お前らこそ誰だ。何故鍵に気付いた」
男が目を細め遼子の顔を覗きこむ。
「何故って、たまたまドレッサーの下に目をやったら見えただけよ!ただそれだけなのに攫うなんて!
 わたしたちを帰しなさいよ!」
状況を省みない遼子の威勢のよさに、鷹藤が首を振る。これ以上刺激するな、とジェスチャーで遼子に必死で
伝えてるが、遼子は止まらなかった。

「鍵ひとつで、わたしたちを拉致するなんておかしいじゃない」
男たちを刺激して、言葉を促そうとしていた。
「その鍵ひとつで何千万もの金が動くとしてもか」
「え…」
「演技だとしたら上出来だな。まあいい。これから行く場所でお前らにいろいろな方法で話を聞くことに
 なるからな」
「どういうこと…」

「俺の知り合いの話だ。馴染みになった風俗の女に、寝物語でちょっとした商売の秘密を教えてやった。
 簡単に言えば大口の取引の話だ。その女には小さな息子がいた。金がない女は引き取ることが
 できずにずっと離れ離れだ。女は血迷った。取引の金をうまいことすり替えた。ヤバい金の上前を跳ねた。
 そしてあるコインロッカーに隠した。だが追手が迫っている。女は適当な客を捉まえて、とあるホテルに
 入った。そしてその部屋に鍵を隠した…」
「それがまさか…」
男がふっと笑った。
「お前らが関係してようが、無関係だろうがもうどうでもいい。知ってしまった以上はこのまま帰すわけに
 いかないってことだ」
「最初っから帰す気なんてなかったのね」
「帰す気あったら拉致らねえよ」
鷹藤の隣で煙草をふかしていた黒のニット帽をかぶった男が笑った。

「その女だがな、あのホテルに隠したことを吐いたのは足の指が二本だけになってからだとさ」
その言葉に鷹藤が顔色を無くした。遼子を気遣うような視線を寄こす。
「お前らも知ってること吐いてもらうのに、いろいろ試すことになりそうだ。今のうち休んでおけ」
細身の男が言った。
1560 Miles an Hour 遼子編 2:2010/12/09(木) 22:30:51 ID:GMFarrg7
「その前にこの女いただいてもいいだろ」

遼子の頭のあたりにいたスキンヘッドの男がすり寄ってきた。
「ああ、好きにしろ」
細身の男が興味なさそうに言うと、煙草に火を点けた。
スキンヘッドの男が遼子の両手を抑えるとニット帽の男が遼子の足元にやってきた。
「いや、やめてよ!」
「おい、この女、下着はいてねえ。丸見えだ」
スキンヘッドの男が涎を垂らしながら言った。その下卑た笑みに遼子の全身に鳥肌が立つ。
ニット帽の男が遼子の太ももの上で芋虫のような指を蠢かせた時、傍らにいた鷹藤が狂ったように暴れ始めた。
叫ぼうにもガムテープが声を封じ、後ろ手に縛られているので躰を揺することしかできなくても鷹藤は暴れた。
すかさずスキンヘッドの男が腹に拳をめりこませる。

両手が自由になった隙を見逃さず、遼子がワゴン車のスライドドアのロックを解き、ドアを開けた。
真冬の冷気が一気に遼子の躰を冷やす。
胸が悪くなるような男の臭気が籠った車内に新鮮な空気が入り、遼子は寒さより心地よさを感じていた。
躊躇している暇はなかった。かなり危険な方法だが、鷹藤を助けるとしたらこれしかない。
スライドドアの前に座る、戒められたままの鷹藤の躰を押す。
二人の眼があった。鷹藤の眼が何故だと訴えていた。

―――好きだからに決まってるでしょ、鷹藤くん。

「鷹藤くん、逃げて!」
車外に放りだされた鷹藤に声をかけるが聞えただろうか。
後続の車が、突然車から落ちてきた鷹藤に驚き、急ブレーキをかけた。
遼子も飛びだそうとしたが、スキンヘッドの男の手が、遼子の襟元を掴む。
代わりにニット帽の男が身を乗り出して、鷹藤を見る。
「後ろの車の運転手に保護されちまった」
ニット帽の男がドアを閉めた。そして遼子に頬を打った。男からすれば軽く打っただけのようだが、
遼子の躰がスライドドアの反対側の窓まで吹き飛んだ。

「仕方がないな。この女は解体部屋で急いで始末しよう。全く、ややこしくしてくれるよお前は」
短髪の男が携帯でメールをしながら面倒くさそうに言った。
解体部屋。その言葉の意味するところを察知して、遼子の背筋を冷たいものが走る。
「命がけで彼氏を守るんだから、見上げた女だよ」
ニット帽の男がぬらぬらと眼を光らせ遼子を見ていた。

「見上げた女だけど、ノーパンでナースの服着てんだから笑えるよな。あの世に行く前にいい思いさせてやるよ」
ニット帽の男が遼子を押し倒すと、股関節が痛くなるほど両足を開かせた。
「奥まで丸見えだ。おいおい、大事なところから、さっきの男のザーメン出てるぜ」
「や、やめてよ!」
隠そうとした手を、スキンヘッドの男のゴツゴツとした手が捉えた。
もう足を閉じることも、隠すこともままならない。
腰をよじるが、男たちの視線は遼子の太ももの付け根に釘付けとなったままだ。
ニット帽の男の太い指が、遼子の亀裂をなぞる。
指先のザラザラした感覚のおぞましさに、遼子の全身が粟立った。
「見ろよ。濡れてんのか、ザーメンかわからねえけど、トロトロだぜ。この女。すぐ挿れられそうだ」
スキンヘッドの男がニット帽の男と眼を合わせて、情欲に満ちた顔を歪ませた。
眼の前で展開されている光景にも細身の男は眉ひとつ動かさず、退屈そうに煙草を吸っていた。
1660 Miles an Hour 遼子編 3:2010/12/09(木) 22:32:48 ID:GMFarrg7
ニット帽の男がジャージを降ろすと、腹につく程に反り返ったものが姿を現した。
根元にはおびただしい数の異様な突起がついている。
突起がランダムに配置されたさまは、人口的に作り出された皮膚病のようだ。

あまりのグロテスクさに遼子は吐き気をもよおした。
「さっきまであの兄ちゃんの挿れてたんだろ。俺のはそれよりいいぜ。見てわかるだろ、真珠入りだからな。
最初厭がっても、すぐにひいひい泣くぜ、あんたも」
「いや、いやあああ!やめてよ!あんたのなんか厭よ!」
暴れようにも、ニット帽の男が遼子の足をがっちりと掴んでいるので、背をのけぞらせ、腰をひねることくらいしかできない。
「こうじゃないとな。女犯る時は、少しくらい暴れねえと面白みがねえから」
遼子の反抗は、男たちの情欲を嗜虐心をくすぐり、欲望をたぎらせただけだった。
今度は遼子の顎をスキンヘッドの男が人とは思えぬほどの力で抑える。
頬に男の指がめりこむ。
「叫んだって誰も助けに来ねえって。諦めて、俺のも咥えてくれよ」
遼子の顔のすぐ横に、スキンヘッドの男のものが差しだされていた。
子供の腕ほどの太さのものが遼子の口元へ寄せられた。
「んんんっ」
遼子が必死で口を閉じる。
汗とアンモニアが混じり合い発酵した臭気をまき散らしながら、男の巨大なものが遼子の鼻先でちらつく。
顎を抑えていた手をはずすと、男は遼子の鼻をつまんだ。息が出来なくなったが、遼子はこらえた。
口を開けたら、男のものが口に突きいれられる。遼子は必死に耐えた。
だが、それにも限界はやってくる。
空気を求めて遼子が口を開いた時、男のものが口に入れられた。
「んんっ、んぐっ!」
汗臭く、すえた男の匂い。吐き気がこみ上げる。
「そっちも始めたんなら、こっちも始めるか。すぐ気持ち良くしてやるからよ」
遼子の片脚を高々と掲げると、ニット帽の男がグロテスクなものを遼子の亀裂にあてがった。
粘着質にチャンスに食い下がり、諦めなかった遼子の前にいま絶望が訪れようとしていた。
眼に涙を浮かべ、絶望の中、遼子はかつて自分を支え続けた大きな背中を求めていた。

…おにい…ちゃん…。

その時、猛り狂った獣の咆哮が聞こえた気がした。
そして、激しい衝撃で車が揺れた。


次でラストです。長いですね、すいません。
1760 Miles an Hour 洸至編 1:2010/12/10(金) 09:13:00 ID:rsRbzkbZ
フロントの男から聞いた言葉に洸至は衝撃を受け、よろめきつつホテルを後にした。
コスプレ。
セーラー服、ナース服、ストッキングプレイ、セーラー服、ナース服、ストッキング…。
遼子がしたとおぼしきプレイが頭の中でこだまする。
悲しみで洸至の足元がふらつく。それなのに遼子のコスプレ姿が洸至の頭を占めていた。
手塩にかけて育てた、慈しみ守り育てた、あの華のように美しい遼子が鷹藤とそんなことをするようになるとは。
涙ぐみそうになった時、洸至は自分に向けられている視線を感じた。
公安ならこんなあからさまな視線は送らない。警察か。
素知らぬふりをして、よろめきながら道を歩く。

チラチラと向けられる視線は、警察官の張り付くような視線とも違う。洸至はぶらぶらと歩いて行った。
しばらく歩いたところで、その視線を感じなくなってから、洸至は視線の主を探して元の場所に戻った。
遼子のいるホテルの傍に、スモークを張ったワンボックス車―――ハイエースが停まっている。
少し離れた場所から、ニット帽をかぶった男と、スキンヘッドの男がホテルの出入り口を窺っていた。
全身黒ずくめ、いかつい背中からは暴力の匂いがした。裏社会の人間のようだ。
それが遼子のいるホテルに何の用だ…。
胸騒ぎがした。

洸至は携帯を取り出し、馴染みの情報屋に電話かけた。
「俺だ。少し教えて欲しいことがある…」

情報屋によると、シャブがらみのトラブルが起きているようだった。
そして血眼になってあるものを探しているらしい。
その為には手段を選ばない種類の人間達が群れとなり、この街を這いまわっている。
埠頭にある解体部屋―――拷問の為の部屋がフル回転だと情報屋は言った。

洸至が通話を終えると、ハイエースから、長身で細身の男が降りてきた。

3人でラブホテルの門をくぐる。
洸至の胸に滲むように厭な予感が拡がっていく。
しばらくすると、ぐったりした様子の遼子と鷹藤がスキンヘッドとニット帽の男に担がれ、ハイエースに乗せられた。
それから車が走り出した。

洸至は近くに停めていた自分の車―――ポルシェに乗り込むと、その後を追った。

眼が眩むほどまばゆい都心を抜けると、ハイエースは埠頭の倉庫街へ行く道へ入った。
ここでは街灯がまばらになり、まだ夜は夜らしく、闇の領域となる。
洸至は気付かれないように、間に車を2台挟みながら慎重に尾行していた。
車の中で始末することはないはずだ。ラブホテルから攫われた時、肩に担がれた遼子が微かに動いたのが見えた。
まだ生きている。
埠頭に着く前に、片を付ける。
だが洸至の神経が焦燥のあまり耳触りな音を立てていた。

倉庫街へ近づくと、車もまばらになり、走っているのはハイエースと洸至の乗るポルシェだけだ。
突然、ハイエースのスライドドアが開いた。
鷹藤が放り出される。アクセルを踏んで轢いてしまおうかと思ったが、瞬時に頭を切り替え急ブレーキを
踏みつつ、ハンドルを捌いて鷹藤を避ける。
洸至は車から飛び出すと、鷹藤の元へと駈けよった。

ガムテープで後ろ手に縛られ、口にもガムテープが張ってある鷹藤はまるで芋虫だ。
さっきのプレイの内容を思い出し、洸至はガムテープに手をかけると憎しみを籠めて一気にはがした。
「動けるか」
鷹藤に声をかける。
額が切れ、血がとめどなく流れているが動けるようだ。心配はないように見えた。
「俺の車に乗れ」
洸至は鷹藤の腕を取り自分の車へと促した。
1860 Miles an Hour 洸至編 2:2010/12/10(金) 09:14:57 ID:rsRbzkbZ
「あいつが、俺の彼女が攫われたんだ…。助けないと」
彼女。違う俺の遼子だ…、という言葉が喉まで出かかるが、洸至はかろうじてこらえた。

「彼女か…。手伝おう。乗れ」
平静を装って鷹藤に声をかける。
グローブボックスからナイフを取り出すと、洸至はナイフを鷹藤の首筋に当てかけた。
洸至の脳裏に遼子の悲しげな顔が浮かぶ。
結局洸至は鷹藤を縛るガムテープを切った。
ポケットからハンカチを取り出し、額の傷にあてる。

「そこは切れただけのようだな。さあ、行くぞ鷹藤くん」
驚いた鷹藤が洸至を見た。
エンジンが唸り、洸至の車が疾走する。

倉庫街へ入る前の直線道路。
両脇にはガードレール。仕掛けるには最適の場所だ。

「まさか…。いや、やっぱり生きてたんですか。いままでどうしてたんですか」

鷹藤の問いかけを洸至は無視した。今は過去を語る時間などない。それに鷹藤に教えてやる義理もない。
「車に乗っている敵の数を教えてくれ。倉庫に入れば敵が増える。ここらへんで片をつける。
 鷹藤君にも手伝ってもらうかもしれない。いいか」
額の血を洸至のハンカチで抑えながら鷹藤が肯く。
「中にいるのは運転手と、後部に3人います。全員素人じゃない。このままだとアイツが…」
そう言いながら左肩が痛むのか、鷹藤が顔をしかめた。

「わかった。だが、どうしてあんな男たちが遼子を拉致するんだ。また取材でヤバいことに首を突っ込んだのか」
「違いますよ。たまたま入ったラブホテルの部屋に、ヤバいものが隠してあってそれを取り返しに来たやつらが
 いきなり部屋に入ってきて、それで」
「まったく…。事件を引き寄せる体質なのかな、遼子は。部屋で一体何をしていたんだ?君たちは」
「それより、あいつを助けないと」
「もしかしたら事件と関係しているかもしれない。教えてくれ、鷹藤くん」
関係している訳がない。ただの好奇心だった。
「いや、それはその…」
「取材で入ったのか」
「たまたまプライベートで」
「何か特別なことでもしたのか?そのせいかもしれない」
「別に…。コスプレしたくらいで…」
「コスプレ?だから遼子は看護婦の姿だったのか」
「す、すいません…それより、アイツ、まだ下着穿いてないんです。このままだとアイツあの車の中のやつらに」
「下着…」
洸至の眼の奥が赤くなる。躰中をアドレナリンが駈けめぐる。
これは怒りなのか。違う。身を焦がすような嫉妬と羨望だった。

ノーパンの遼子と看護婦プレイ…!

洸至は流れるようにシフトレバーとクラッチを操作し、アクセルを床につく程に、踏み込んだ。
「鷹藤くん、シートベルトをするんだ!」
鷹藤への嫉妬と羨望をすべて怒りへと変え、洸至はハイエースを追い詰める。
排気ガスをまき散らしながら300馬力のエンジンが咆哮する。洸至と同様に生贄を求めて猛り狂う。
洸至はポルシェの鼻づらをハイエースの右後部にめり込ませた。

激しい衝撃。
だがその衝撃を受けながら洸至は笑みを浮かべていた。
洸至は狂気に近い想いを全て暴力に変え、吐き出す快感に包まれていた。

1960 Miles an Hour 洸至編 3:2010/12/10(金) 09:15:44 ID:rsRbzkbZ
金属質の悲鳴をあげ、ハイエースがガードレールに押しつけられる。
ハイエースのスピードが落ちるが、運転手はアクセルをベタ踏みしているらしく、断末魔の叫びを上げながら
ハイエースは疾走する。
「鷹藤くん、ハンドル頼む」
洸至は運転席の窓を開けると、身を乗り出し銃を構えた。
シートベルトを外した鷹藤が慌ててハンドルを握る。

冬の風が洸至の身を切る。だが洸至は躰に充ちるアドレナリンのせいで恐怖も寒さも感じていなかった。
後部タイヤを狙う。2発ずつ撃ちこむ。ハイエースのタイヤがバーストした。
前輪だけではスピードは出ない。ポルシェに側面を押さえつけられ、ハイエースのスピードが徐々に
落ちていく。
「グローブボックスに銃がある。君は一度使ったことがあるから使い方はわかるな。間違っても俺と遼子は
 撃つんじゃないぞ。車が止まったら、俺の車を盾にして銃を構えろ」
鷹藤がグローブボックスからベレッタを取りだした。銃を握ると、意を決したように洸至を見る。
洸至がハンドルを切り、ポルシェをハイエースに思いっきり押しつけた。
また耳障りな音を立てて、火花を散らしながらハイエースの塗装とスピードが落ちていく。

運転席から銃を持った手が現れた。乾いた発射音。ポルシェのフロントガラスが一瞬で白に変わる。
一発の銃弾で作られたヒビが、フロントガラス全体を覆っていた。
洸至は隣の鷹藤をチラッと見た。身をすくめてはいるが、残念ながら当たっていないようだった。
銃のグリップでガラスを叩き割ると、洸至は見晴らしが良くなり、12月の風が吹き付けるフロントから躊躇なく撃つ。
運転手の肩から赤い飛沫が散る。ハイエースのフロントガラスが赤く染まる。
気を失った運転手がブレーキを踏んだらしい。
ガラスに爪を立てるような音をたて、道路上で反回転し、スライドドアをこちらにむける形でようやくハイエース
が止まった。
ハイエースの手前にポルシェを止めた。
「鷹藤くん、頼んだぞ!」
洸至がポルシェを飛びだし、ハイエース後部にまわる。
ハイエースのスライドドアが勢い良く開いた音が聞こえた。
「うらあああ!!!」
ハイエースから男の叫び声。銃を構えた鷹藤のところへ銃弾の雨が降る。
鷹藤がいい囮になってくれていた。鷹藤はポルシェのドアに隠れながら弾丸の雨に晒されていた。

ハイエースの後部ドアに手をかけると、洸至が一気に開ける。
洸至の正面にナース服姿の遼子がいた。口からは血が流れている。
遼子は暴れ、スキンヘッドの男に抑えつけられようとしていた。
洸至は反射的に、男の頭に銃弾をぶち込んだ。

不意打ちに驚いた様子のニット帽の男が、鷹藤に向けていた銃を洸至に向ける。
細身の男の眼が驚きで見開かれ、口から煙草が落ちる。男が胸元に手を入れた。
洸至が、遼子以外の車内の人間全てに銃弾を叩きこむ。狭い車内に轟音が響く。
残弾が尽きた。素早くリロードし構える。

ハイエースの車内に、硝煙と血の匂いと、うめき声が充満する。
細身の男が口から血を吐きながら苦笑いしていた。まだ息があるようだ。洸至が男に銃口を向けた。
男は胸元から携帯電話を出したが、それは手から滑り落ちた。
「仲間を囮につかったのかよ。いい性格だな、あんた」
「あいつなら、お前らに撃たれても良かったんでな」
本心に近い言葉だった。洸至が男の携帯を手に取る。発信しようとしたが、洸至に撃たれてできなかったようだ。
細身の男が喘ぎながら言う。
2060 Miles an Hour 洸至編 4:2010/12/10(金) 09:17:01 ID:rsRbzkbZ
「俺らに手を出して、ただで済むと思うか…お前ら全員東京湾で魚礁になるぞ…」
「お前らの組織こそ、俺たちに手を出してただで済むと思うと?」
何を言っているのかわからないといった顔で、死にかけた男が洸至を見た。
その男の傍に洸至がかがむ。

「お前らが手を出したのは『名無しの権兵衛』の妹だよ。そして俺がその『名無しの権兵衛』だ。
 手を出しちゃいけない相手に手を出したのはお前らだ。あらゆる手を使ってこの落し前はつけてもらう。
この携帯でいろいろわかりそうだな…お前らの組織はおしまいだよ」
洸至の昏く冷たい目で見据えられながら、細身の男が乾いた笑い声を上げた。
そしてそのまま動かなくなった。

「お兄ちゃん…」
ナース服姿の遼子が洸至を見る。髪は乱れ、口元に殴られた跡。だがやはり妹は美しかった。
ジャケットを脱ぎ、妹にかける。洸至は遼子を抱きかかえると、濃厚な血の匂いが漂う車内から二人で出た。
「夢じゃないんだ…。わたし、さっきお兄ちゃんに助けてって言ったのよ。そうしたら本当にお兄ちゃんが
 助けに来てくれるなんて」
洸至の胸に遼子が顔をうずめた。シャツ越しに、遼子の涙と温もりを感じた。その髪をそっと撫でる。
硝煙の匂いも遼子の甘い匂いは消せないようだった。洸至は、遼子の匂いを久々に胸一杯に吸い込んだ。
「何もされてないか?怪我してるじゃないか」
「変なことされそうになった時、お兄ちゃんが車をぶつけてくれたから…。それとね、これは違うの…」
言い淀んだ遼子の視線の先には、スキンヘッドの男のズボンからだらしなく出ているしなびたものがあった。
付け根に血が滲んでいる。
「そうか」

洸至が遼子を降ろすと、ジャケットの前を合わせてやり、遼子のナース服とはだけた胸元を隠した。
「すごい恰好だ。ちゃんと隠せよ」
遼子が顔を赤らめた。
鷹藤が駆け寄ってきた。
「鷹藤くん…」
「大丈夫か…」
遼子が洸至の腕の中から、鷹藤の元へと行く。
鷹藤が片手で遼子を抱きとめた。
「痛ってえ!」
鷹藤は痛みに顔をしかめるが、口元は笑っていた。

「大丈夫?鷹藤くん。もしかしてあの時」
「あんたに車から放り出された時の怪我。大したことねえから気にすんな。それより」
遼子の頬を怪我していない方の手で鷹藤が包む。
「俺を助けるために無茶すんな。俺だけ助かったって、嬉しくとも何ともねえんだからな」
「うん…だけど鷹藤くんだけでも助けたかったの…」
「わかってる。だからもう無茶すんな」
「うん」
抱き合う二人を洸至はぼんやりと見ていた。

俺がどうあがいても、兄妹でしかいられないんだな、俺たちは。
どれ程尽くしても愛しても、結局は省みられない不毛さに溜息を吐くと、車が動くか確認するため洸至は
歩きだした。

遼子が鷹藤の腕の中から叫ぶ。
「お兄ちゃん行かないで!」
遼子の悲しげな声が響く。
その時だった。
「動くな」
「鷹藤くん駄目よ!やめて!」
鷹藤が銃を構えて、洸至に向けていた。
2160 Miles an Hour 洸至編 5:2010/12/10(金) 09:17:46 ID:rsRbzkbZ
「銃は殺したい相手にだけ向けるものだぞ。鷹藤くん」
洸至が振り向き鷹藤を見た。オレンジ色の街灯に照らされ、鷹藤の手の中の銃が鈍く光る。
「殺したい訳じゃない。でも止めるにはこれしかない。あんたは自首して、それで罪償って妹の傍にいるべきだと思う」
「で、塀の中で吊るされろと?」
「裁判してみなきゃわからないだろ。父親に虐待されてたことで情状酌量されるかもしれない」
無視して歩きだそうとした洸至の耳に、鷹藤が撃鉄をあげる音が入った。

「撃つなら撃てばいい。俺はお前にとって仇だからな。撃たれても異存はないさ」

「鷹藤くんやめて!お兄ちゃんが助けてくれたのに!」
「俺はあんたを憎んでないし恨んでない。ただ…裏切られたのは悲しかった。嵌められてさ、罪をなすり
 つけられて…。あんたのこと、兄貴っぽく思ってた時もあったんだぜ。今度は遠くに行かないでこっちの
 世界にいてくれよ」

まったく。

だから鷹藤が殺せなかった。
遼子と鷹藤が近づきつつあるのを感じた時、洸至は焦燥と嫉妬にかられ全力でそれを阻止しようとした。
だが、殺すという選択肢はその中にはなかった。罠に嵌め、陥れても、その命を取ろうとは思わなかった。
これがもし遠山や片山だったら、即座に命を奪っていただろう。

どうも憎めないのだ。この男は。

自分がこの男の家族全てを奪った負い目もあったのかもしれない。
だがそれだけではなかった。遼子と鷹藤の保護者のような立場でいるのも悪くないと思う時もあった。

「動くなよ。撃つぞ」
洸至は鷹藤の言葉を無視して歩き始めた。
ポルシェのエンジン音からすると、まだ走れそうだ。
運転席に散らばったガラスを取り除けると、洸至が座った。車に遼子が駆け寄ってきた。
遼子がドア越しに洸至に手を伸ばす。その手を洸至が掴んだ。

「一緒に行こう、遼子」

「お兄ちゃんこそ、こっちにいて。何とかする方法考えようよ、罪を償ってそして…」
それが夢物語にしか過ぎないことは妹の悲しげな眼が語っていた。
裁判を受ければ、どうあっても死刑は免れないことをお互い良く判っている。

「鷹藤くん。俺が素人同然の君に、銃をそのまま渡すと思うか?」
「何だって…」
「弾倉は空だよ。君を囮に使ったんだよ。遼子のこと頼むぞ」
「そりゃないだろ。待てって、行くなって」
追いすがる遼子に怪我をさせないようにゆるゆると車は走り出す。
遼子の手が離れた。寂しげな顔。これが妹を間近にみる最後になるだろうか。
いつも俺は遼子のこんな顔しか見ていない気がする。

―――それも全て俺のせいか。

二人がポルシェに辿りつく前に、洸至はアクセルを踏み走り出した。

サイドミラーに走る二人の姿が映る。
ずっと見ていたかった。だが、見ていたらそこに留まってしまいそうで、洸至は眼を前方に移すとそれを
見ないようにした。

あの二人のいる世界に、居場所がない。そのことを改めて思い知らされる。
本物の家族を殺した時より、いま二人と別れた時の方が、洸至は心が千切れるような思いがしていた。
フロントガラスがないので、12月の凍るような風が車内を吹き抜ける。
視界が滲むのは、吹き付ける風のせいで眼が乾いたからだ。
眼から噴き出る熱いものを押し戻すようにして拭うと、洸至は想いを振り切る為にスピードを上げた。
22名無しさん@ピンキー:2010/12/10(金) 09:23:20 ID:rsRbzkbZ
長すぎてごめんなさい。

鷹藤とお兄ちゃんにタッグを組ませて遼子救出をさせたい
一心でこんな長い話を書いてしまいました。
すいません。
23名無しさん@ピンキー:2010/12/10(金) 10:41:55 ID:aHMi3JHs
ぐっっっじょぉぉぉぶです!
素晴らしいです!
何か一つの映画とかドラマを堪能しつくした気分です。

お兄ちゃんの、鷹藤くんに対して所々で見せる
あまりにも正直すぎる態度や思いが…w
(ひき殺されなくて良かったね!w)
遼子への想いも変わらずで微笑ましすぎますw

お兄ちゃん、これで最後とかいわず、
どんどん2人の前に現れちゃって下さい!
24名無しさん@ピンキー:2010/12/10(金) 20:03:32 ID:Hxma58me
ぐっじょぶ。
25名無しさん@ピンキー:2010/12/11(土) 17:07:55 ID:LsE8VkJd
GJ!です。
読みながら、ハラハラドキドキしちゃいました!
そして最後は切なくて…。

お兄ちゃん、遼子にジャケット着せたままですよね?
ジャケットを返してもらいに、是非クリスマスあたりに
再登場して欲しいです〜!

ところで、遼子と鷹藤は、無事に帰れたのだろうか?とか
ちゃんと鷹藤は傷心の遼子をフォローしたのか?とか
余計な心配もしてみたりw
26名無しさん@ピンキー:2010/12/11(土) 20:08:34 ID:J42b/msb
聖夜にお兄ちゃんが堀部安兵衛のコスプレで帰ってきた!、

「忠臣蔵〜その男 大石内蔵助」の公式HPができてた。
12月25日放送だそうですw
前髪、髭無しだけど見ます。
27名無しさん@ピンキー:2010/12/12(日) 20:15:56 ID:STrNmlii
そろそろ
あんた じゃなくて 遼子って呼んであげて、鷹藤くん。
せめてベッドの中だけでも。
でも、最近ベッドではヤってなかったね。
28名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 16:37:07 ID:QO/K+hZ1
相棒プロデューサーのブログによると、
12月23日関東エリアで、「相棒−劇場版II−」メイキング映像が放送されるそうな。
お兄ちゃんが映るかな…。

丸の内TOEIで初日舞台挨拶(9時30分回上映終了後)でお兄ちゃんが登壇予定
なので、行ける方は是非どうぞ。私はいけませんが(泣)
29名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 17:40:26 ID:txr1tnVM
私は明日の舞台挨拶付き試写会に行ってきます!
お兄ちゃんも登壇予定なので、今から楽しみで
今夜は眠れそうにもありませんw
30名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 17:52:19 ID:QO/K+hZ1
>>29
羨ましい限りです!

可能であれば、試写会のレポートを後日チラッとでも書きこんで頂ければ…。

お兄ちゃんのカッコよさとか色気とかフェロモンとかでいいんで…w
31名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 18:32:45 ID:txr1tnVM
>>30
了解しましたw

当方の表現力では、お兄ちゃんのカッコよさや、色気やフェロモンなどを
とても全部伝えきれないとは思いますが頑張ってレポします!

期待せずにお待ち下さい。。
32名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 21:26:54 ID:PKWa/oLI
舞台挨拶はありませんでしたが、相棒の試写会行って来ました!
もちろん、ネタバレになるので色々書きませんが、これだけは……

お兄ちゃんファンなら、絶っっっっ対に観てください!!

髭あり前髪ありのお兄ちゃんの、あまりのカッコよさと駄々漏れの色気に、
ヤバい!オレ本気で萌え死ぬ!!と思いますたww

早く皆さんと語り合いたいですw

ちょっとこのお兄ちゃんへの萌えテンションで、
何か投下したくてたまらないですが、時間が…orz
33名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 21:55:44 ID:QO/K+hZ1
>>32
>髭あり前髪ありのお兄ちゃんの、あまりのカッコよさと駄々漏れの色気に、
 ヤバい!オレ本気で萌え死ぬ!!と思いますたww

オレも早く萌え死にたい。お兄ちゃんで萌え死ぬなら本望。
でもスケジュールの関係で年末にならなきゃ劇場にいけない…(´・ω・`)
なので、投下待ってます〜w
34名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 23:04:26 ID:PKWa/oLI
まだキュンキュンした気持ちがおさまらず、連投すみませんw

今回の相棒劇場版、お兄ちゃんのあーんな姿やこーんな姿が見られて、
「え?何?アンタファンへのサービスなのか?」
と本気で思う程でした。

特に最初の30分ですでに萌え死ぬ確率9割ですがw、
それからもまだまだ全編でお兄ちゃんの魅力に
ヤられまくりますのでご注意を!

なんかエロいw

去年の「メリークリスマス」から一年、本当に素晴らしい
クリスマスプレゼントですよ!
35名無しさん@ピンキー:2010/12/14(火) 17:29:53 ID:sPM/Y1Yj
相棒劇場版2のレッドカーペットに、小澤さん登場!
髭ありのスーツ姿で、まさに「お兄ちゃん」そのままでハァハァ(*´Д`*)
めちゃくちゃカッコ良かったです!

明日のワイドショーでやるかもなので、要チェックです。
36名無しさん@ピンキー:2010/12/14(火) 19:54:55 ID:AS+k4ay6
>>35
報告ありがとうございます。あすのワイドショーは録画します!!!
な、生お兄ちゃん…。
髭ありスーツ姿を生で…!うわあああ。

現時点で髭ありということは、1月スタートの新ドラ「LADY」も
髭ありスーツの可能性が高まりましたねw
37名無しさん@ピンキー:2010/12/14(火) 21:22:58 ID:sPM/Y1Yj
今日のレッドカーペットで、幸運にもベスポジをゲットする事ができたので、
小澤さんが歩いて来た時に、かなり必死にw「小澤さーーん!」
(「お兄ちゃーーん」とは言えませんでしたw)と呼びかけていたら、
「え?オレ?」みたいな感じで反応して近づいてきてくれて、

なんと!!

握手してもらえました!!(萌死)

一瞬の出来事と、あまりの衝撃に、握手の瞬間の記憶が……orz

でもとてもあたたかかったのは覚えています。

そして、握手後は全身の震えが止まらずww

こんな幸運はもう絶対一生ないですよね。。
38名無しさん@ピンキー:2010/12/14(火) 22:28:07 ID:AS+k4ay6
>>37
>「え?オレ?」みたいな感じで反応して近づいてきてくれて、

なんと!!

握手してもらえました!!(萌死)

うおおおおおおおおおおおおおおっ。良かったなあ。
読んでるこっちも震えが来る。

しかも「えっ?オレ?」みたいな感じで反応…。
それを想像しただけで萌え死ねる。
39名無しさん@ピンキー:2010/12/14(火) 22:28:17 ID:v2yMQOrr
40名無しさん@ピンキー:2010/12/14(火) 22:45:09 ID:sPM/Y1Yj
>>38
ありがとうございます。
本当にお兄ちゃんと握手できたのは奇跡でした。

握手の後、振り向いたスーツの背中に向かって、柵がなかったら
遼子のようにすがりついて「行かないでぇぇ」ってやる所でしたww

>>39
お兄ちゃんがいっぱーーい!
ありがとうございます。

完成披露試写会には行けなかったので、行けた方のレポお待ちしてます。
41名無しさん@ピンキー:2010/12/15(水) 00:08:05 ID:irnvVHo1
完成披露試写会に行ってきました!!

もうすでに色々ネットの記事になっているみたいですが、
小澤さんを中心にww拙いですがレポさせていただきます。

画像やレポの通り、小澤さんは髭ありのスーツ姿で、しかも
みなさん警視庁の各部の刑事(役)の方々ばかりなので、
そんな人々と並んで立っていると、もう「公安部 鳴海洸至」
そのもので、脚を肩幅ぐらいに開いて、手を前に組んだ立ち姿に
ずーーーっと見惚れてましたw

立ち位置は及川さんと隣同士で、何やら親しげにお話していたので
仲が良いのかな?と思っていたら、卒業した学校が同じということでした。
(及川さんが先輩で、小澤さんが勝手に存じ上げていましたみたいなことを
言ってました。)

小澤さんの挨拶の一言目は「サンキュー」
これは、最初の水谷さんが一言目に発した「サンキュー」を
真似たものだったのですが、見事客席の笑いを取って、
「良かった〜、うけた〜」と安心してましたwww

相棒2人とは初共演でしたが、及川さんとは同じ学校の卒業生、水谷さんとは、
家族でよく行く蕎麦屋が水谷さんと同じ店ということでつながりがあったそうですw

その他、小西さんは「ようこそ相棒へ」って主演の2人に言ってもらえたのに
自分は言ってもらえなかった…とすねたり、フォトセッションの動画を撮る時に
「手を振ってくださーい」というリクエストに、一人だけ両手で手を振っていたり、
もうあんなにカッコいいのに、そんなかわいい一面もあって、そんなのを
みせられたコッチは心拍数あがりまくりでした。。


肝心の映画自体は、昨日ご覧になった方も書かれていますが、
お兄ちゃん主役?ってくらいスゴイです!!!
ご覧になる時は、萌え死ぬ覚悟と、タオルを用意することをおススメしますw
42名無しさん@ピンキー:2010/12/15(水) 05:59:56 ID:cQRm8kx/
>>41
レポありがとうございます!!!
一人だけ両手を振るお兄ちゃん…!何と…何と愛らしい!
ますます惚れてまうやろ〜!!!!

>お兄ちゃん主役?ってくらいスゴイです!!!
ご覧になる時は、萌え死ぬ覚悟と、タオルを用意することをおススメしますw

お兄ちゃんで萌え死ぬなら本望ですw皆さんの素晴らしいレポのおかげで
期待度がグングン上がっていきます。公開後は小澤さんファン増えそうですねw
43倉庫の中:2010/12/16(木) 12:32:47 ID:JWv8cJll
>>27のお言葉を受けてできたお話です。
だけどエロなしすいません。60 Miles an Hourの後日談です。
44倉庫の中 1:2010/12/16(木) 12:33:42 ID:JWv8cJll
アンタッチャブル編集部の気だるい午後。
単調な作業と、部屋の暖気が眠気を誘う。
鷹藤は降りて来る瞼と闘いながら、定位置のソファーに座り書類整理をしていた。
「鷹藤、お前それ終わったら、こっちもコピーな。あと、そこにある段ボール倉庫に持って行けよ」
編集長室から声が飛んできた。

埠頭の事件から2週間経った。
あの日車から突き落とされた鷹藤は、左肩脱臼と打撲だけで済んでいたが、左腕は固定されていて、カメラマン
としてまだ仕事復帰できていなかった。いまは編集部で日々雑用をしている。
鷹藤はデスクで原稿を書く遼子を見た。
事件記者として、鳴海洸至の妹として数々の修羅場をくぐってきたせいか遼子は以前と変わらぬ様子で仕事を
している。
遼子の口元にあった打撲の跡は大分薄くなっていた。
今も一心不乱に原稿を書いている遼子の外見からわかる事件の名残はそれぐらいだが、内面のダメージは目に見
えないだけに心配だった。
鷹藤がぼんやりと相棒を見ていると、後ろから声をかけられた。
「里香も一緒にいってあげます。鷹藤さんひとりじゃ大変そうだから」
まだ片腕を固定されまままの鷹藤では、手押し車に書類の詰まった段ボールを乗せるのが大変そうだと思った
のか里香がやってきて台車に乗せるのを手伝ってくれた。

福梅書房の廊下には各編集部から溢れ出たロッカーや段ボールが無造作に置いてある。
それを避けながら、編集室から出てすぐのところにある倉庫へ向う。
「まったく人使い荒いですよね、新しい編集長も」
「クビにされなかっただけマシだと思ってるよ。あと1週間はカメラが持てそうにないからさ」
「でも、鷹藤さんもやりますよね。仕事帰りに鳴海さん連れてホテル行くなんて」
「いや、だからそれは、不審な人物を見てアイツが…」
一応遼子の記事ではそういうことにしていた。全国の読者にはプレイベートで様々なプレイをするつもり
で期待に胸を膨らませ、鷹藤が遼子の手を引きラブホテルの門をくぐったことは伏せている。
記事の中で、そこと、もう一箇所だけは真実ではないことが書かれている。

「鳴海さんは鷹藤さんがノリノリで連れて行ったって言ってましたよ」
「あいつ、そんなこと言ってたのか」
鷹藤が驚いて里香を見ながら、倉庫のドアを開ける。
薄汚れた窓ガラスから入る沈みかけた陽を受け、埃が舞う中に人影がいた。
「あれ?美鈴さん?」
鷹藤が驚いていると、里香が倉庫の扉を閉め、後ろ手に鍵を閉めた。
「なにすんだよ、里香ちゃん」
「鷹藤さんにちょっと聞きたいことがありまして」
里香が首を傾げ、微笑んでいった。
「何だよ…」
鷹藤の元へ、ハイヒールの踵を響かせながら美鈴がやってきた。
「鷹藤くん」
「はい」
鷹藤は美鈴の雰囲気に押され、思わず返事をしていた。
「フォローしてるんでしょうね。鳴海さんがお兄さんとまた別れたあと」
「なんのことだよ」
45倉庫の中 1:2010/12/16(木) 12:34:37 ID:JWv8cJll
埠頭での事件の後、5分と経たずに救急車とパトカーが列をなしてやってきた。
鷹藤と遼子が通報したわけではない。たぶん、それも遼子の兄、鳴海洸至がしたことなのだろう。
遼子と鷹藤は、今度の件で自分たちを救った男の事を警察には話さなかった。
知らない男だ。たまたま助けてくれた、この男たちと対立する組織の殺し屋だろう。そう口裏を合わせた。
鷹藤と遼子も、洸至に罪を償わせるべきだという点では一致している。
だが、警察に情報を与え、洸至についての捜査がはじまったら洸至はきっと深く地下にもぐり、再び会えなく
なるような気がしていた。もう一度会って、自首を促す為にその為に洸至のことを二人は警察に伏せることにした。

警察も最初はその男についての証言を信用していないようだったが、遼子と鷹藤を攫った組織の事務所が別の
組織に連続して襲撃されようになり、その結果遼子と鷹藤の一件も組織同士の抗争に巻き込まれたものと見な
され、二人の嘘は暴かれないまま今日に至っている。

「あなたたちを攫った組織、他の組織に襲撃されて今抗争になってるわ。その上、その組織に不利な情報が
どんどん警察に流れてる。あの組織、遅かれ早かれ壊滅よ。ねえ鷹藤くん、自分自身は動かないで、他の
組織を動かしてターゲットを追い詰めるこのやり方、見たことない?」
「さあ、おれ記者じゃないから」
「目が泳いでるわよ。わかってるでしょ。まるっきり、名無しの権兵衛――鳴海さんのお兄さんのやり口よ」
美鈴が鷹藤の耳元で囁いた。ほのかな香水の香りが鷹藤の鼻をくすぐる。
驚いた鷹藤が間近にある美鈴の顔を見る。

二人の眼が合った。
「わかるわよ。それぐらい。私だって鳴海さんのお兄さんのことを知らない訳じゃないもの」
「何の話だよ」
「つまりあの現場にはお兄さんがいたのよ。だからあなたがたに危害を加えた男たちだけが撃たれて死に、
 あなたたちは撃たれなかった。鷹藤くんが言うような組織の殺し屋なら、目撃者であるあなたたちが
 真っ先に撃たれておかしくないわ」
「…」
「わたしだって、鳴海さんのお兄さんのせいで妹が殺されたから、言いたいことも山ほどあるし、警察に
 捕まるべきだって思ってる。だけど鳴海さんのことは別。女として一番厭な目にあった上に、久しぶり
 に再会できたお兄さんとすぐ別れることになった鳴海さんのことを思うとね…」
「一体何の話だよ」
美鈴が更に鷹藤に顔を近づけ、睨むようにその眼を覗きこむ。

「鷹藤くん、あなたもしかして二人きりの時にも「あんた」って呼んでるんじゃないでしょうね」
「はあ?」
内容の飛躍に鷹藤の脳がついていかなかった。
「傷ついてるのに、無理して仕事しまくってる鳴海さんのフォローちゃんとできてるのかって聞いてるの」
鷹藤の鼻先に美鈴の整いすぎて冷たい印象すらあたえる美貌がある。
だが、その眼の奥は熱く燃えていた。
「あなたたち、つきあって何カ月?」

「いや。さあ…よくわからないな…」
首を傾げとぼけながら鷹藤が後ずさる。
46倉庫の中 3:2010/12/16(木) 12:35:33 ID:JWv8cJll

「里香の調査によると付き合い始めたのは今年の3月あたりですね」

里香が表紙にお菓子のイラストがたくさん描かれたかわいらしい手帖を見ながら言った。
「里、里香ちゃんなんでそれ知ってんだよ」
里香が手帖のページをめくる。
「二人の距離が近づいたのが昨年のクリスマスイブで、初詣も二人で行ってます。バレンタインデーに
 鳴海さんが手作りの力作チョコレートを鷹藤さんにあげて、それで鷹藤さんがお腹を壊して寝込んだ時に
 鳴海さんが泊って看病したときはさすがに何もなかったようですけど、全快後にようやくお泊りまでいったようです」
「なんで知ってるんだよ!」
「里香も記者のはしくれですから」
手帖を閉じると、里香が鷹藤を見てにっこりと笑った。鷹藤にはそれが悪魔の頬笑みに見えた。

「それなのに、まだ「あんた」呼ばわりなの」
腕を組んで、仁王立ちの美鈴が冷たく突き放すように言った。
「だってそれは、言いにくいだろ」
「まだ照れてるの?」
鷹藤が言葉に詰まると、その様子を見て、美鈴がため息を吐いた。
「どうして男ってのは、変なところばっかり気にするのかしら。いい、鷹藤くんが考えるべきは鳴海さんの
ことだけよ。俺がお前を守ってやるって勢いで「遼子」って呼んであげなさいよ。女はそういうのを言葉に
出さなくても待ってるんだから。あなたたち見てると、こっちがじれったくなるわ」
「は…はい」
鷹藤はその勢いに気圧されて、思わず返事をしてしまった。

「じゃあ、練習ね。私に続けて。りょうこ」
美鈴の言葉に、鷹藤は眼を点にしていた。

「は?」
「照れないで名前呼ぶ為の練習よ。はい、りょうこ」
「いいってば、出してくれよ」
ドアの前には手帖を抱くようにして持ちながら、里香が立っていた。
「言えたら出してあげます」
後ろの美鈴も、ドアの前の里香もそうしない限り、出す気はなさそうだった。
諦めたように肩を落とした後、鷹藤が小さな声で言った。
「りょ、りょうこ」

「もっと大きな声で」
「そうですよ、それじゃ鳴海さんに聞えませんよ」
「りょうこ」
「まだまだね」
美鈴の低い声が飛ぶ。
「りょうこ!…いいだろ、出してくれよ」
「もっと大きな声で!」
「りょうこ!!!」
「いいじゃない。もう一度」
「遼子〜!!!」
ほとんどやけだった。
「言えるじゃない、鷹藤くん」
美鈴が首を傾げて、勝ち誇った笑みを浮かべている。
「やったんだから、いい加減出してくれないか」
鷹藤はぐったりした様子で、ため息交じりに言った。
47倉庫の中 4:2010/12/16(木) 12:37:31 ID:JWv8cJll
その少し前、アンタッチャブル編集室。

コーヒーカップ片手に中原が部屋を見回していた。
「鷹藤くんどこいったのかな?」
「あれ?」
一心不乱に記事を書いていた遼子が、顔を上げる。
ソファーを見ると鷹藤の姿がない。
「里香ちゃんと台車を押して倉庫に行ったようですけど、遅いですね」
城之内も不思議顔だ。
その時だった。

「りょうこ」

部屋に残っていた3人が顔を見合わせる。
「何だ今の」
「何でしょう」
3人が首を傾げていると、
「りょうこ!」
もう一度聞えて来た。その声で遼子が立ちあがった。
「鷹藤くんの声じゃないですか」
中原と城之内の視線が遼子に集中する。

「りょうこ!!!」

「ラブラブだねえ、鳴海さん」
にやけた中原にからかわれ、顔を真っ赤にして遼子が俯いた。
「ぜったいに名前で呼ばせてあげないんだから…」
遼子の握りしめた拳がぷるぷる震えている。

「遼子〜!!!!!」

「あんな大声で、何考えてるのよ!」
遼子が編集室を飛び出した。倉庫へ向ったようだ。

「まだ下の名前で呼んでなかったんですね」
城之内が開いたままのドアを見ながら言った。
「あの二人だからね。俺はそんな気してたけど」
「僕もです」
倉庫の方から遼子と鷹藤の口論する声が聞こえてきた。
「下の名前で呼ぶようになるには、まだまだかかりそうですね」
その声を聞きながら、城之内が席についた。
「そうみたいだねえ」
二人の中年編集部員はパソコンに向かうと、何事もなかったかのように仕事を再開した。



エロなしお目汚しごめんなさい。
これから訪れるお兄ちゃん祭りまでもほんのつなぎになれば…。
48名無しさん@ピンキー:2010/12/16(木) 12:43:03 ID:JWv8cJll
すいません、連番間違ってました。
>>45は「倉庫の中2」になるはずが、1になってます。
49名無しさん@ピンキー:2010/12/16(木) 13:20:55 ID:O4zM4jNF
>>44-47
GJです!!
2人の交際履歴を把握している里香ちゃんすげえww
是非とも今度はベッドの中で「遼子」とちゃんと
呼んでいるのを聞きたいですね!

相棒を観て、八重樫さんのシチュエーションをお兄ちゃんに置き換えて
ものすごく書きたいのですが、公開前はネタバレになっちゃいますよね。
公開後の投下目指して、もう一度アンタDVDみて萌えて来ますw
50名無しさん@ピンキー:2010/12/16(木) 15:15:44 ID:JWv8cJll
お兄ちゃん、テレ朝スペシャルドラマが続きますね。
明治時代の実話を元にした仇打ちもののようです。
吉村昭原作ということは、かなり重厚なドラマかな…。

でも前髪&髭あり!明治ということはフロックコート着るのかな。
期待大です。しかも写真がカッコいい。

ttp://www.tv-asahi.co.jp/ikonari/
51名無しさん@ピンキー:2010/12/16(木) 15:19:18 ID:O4zM4jNF
>>50
うわーうわー、超カッコいい!!
本当にテレ朝専属のような怒濤の出演ですねw

また、遼子の中の人とも競演してくれないかな・・・
(里見八犬伝は競演ですがまったくからんでいないんですよね)
52名無しさん@ピンキー:2010/12/16(木) 19:09:57 ID:JWv8cJll
連投失礼。
ドラマ「LADY〜最後のプロファイル」の公式ツイートによると、
先ほど小澤さんがクランクインしたらしい。
ここをフォローしておくと、撮影中の小澤さん情報がちらほらキャッチ
できるかもしれません。
53名無しさん@ピンキー:2010/12/18(土) 00:51:13 ID:mizNlzjJ
仲間さんのサスペンスドラマで、仲間さんの浴衣姿が可愛くて、
寝室へのお姫様抱っこがエロくて、勢いで書いてしまった。
後悔はしていないw
というわけで、遼子と鷹藤が温泉に来て浴衣に着替えたら?です。




気がついたら、鷹藤は遼子を抱きしめていた。

「鷹藤くん?」
鷹藤の腕の中から見上げてくる遼子に唇を重ねたが、月明かりに照らされる浴衣姿の
遼子を間近で見たくて、すぐに鷹藤は唇を離した。

遼子はまだ目を閉じていた。
「綺麗だ…」
そっと頬に手を当てる。
遼子の閉じていた目がゆっくりと開いて鷹藤を捕らえた。
鷹藤と目が合うと恥ずかしかったのか、少しだけ笑って遼子は鷹藤の胸に顔を埋めた。

遼子を抱き上げると、遼子は黙って鷹藤に身体を預けた。
鷹藤は遼子を抱きかかえたまま隣の寝室に向かうと、布団の上にゆっくりと遼子を横たえる。

そのまま遼子に圧し掛かり口づけようとすると、何故か遼子が笑っていた。
「どうかした?」
「何か…変な感じ…」
「何が?」
「布団だし…浴衣だし…」
「興奮してたり?」
鷹藤が耳に口付けるようにして囁く。
「ん…そうかも…」
遼子の頭が逃げないように左手を当てながら、右耳を舌で舐め上げる。

鷹藤は肘を着いて遼子に圧し掛かるが、いつものベッドのスプリングマットとは違い、
身体が沈みこまない。
肘に感じる布団越しの畳の感触。
いつもと違うシチュエーションに鷹藤自身が興奮していた。

思わず激しく遼子に口付け、無理やり口をこじ開けて舌を差し入れた。
唾液を注ぎながら、舌で口内を犯す。
「うぅ…ふぅっ!」
舌を一番奥まで差し込んで、縮こまっていた遼子の舌を楽しむように追いかけて
無理矢理絡める。

遼子の手の力がだんだん抜けてきたのを見計らい、左手一本で遼子の手を纏め上げる。
キスを続けながら、浴衣の薄い布地越しに、肩、脇腹、腰、太腿と、遼子の身体を撫で回す。
すでに浴衣の裾は既にだらしなく肌蹴ていて、下着も丸見えだった。
54名無しさん@ピンキー:2010/12/18(土) 00:53:02 ID:mizNlzjJ
吐息を漏らしながら切なげに足を摺り寄せる遼子を尻目に、内腿を優しく撫で上げて帯に手をかけ、
少しだけ身体を引き寄せて一緒に引き抜いてやった。
大きく開かれた合わせ目から、遼子の胸がのぞいている。

「んんっ…」
鷹藤の右手が合わせ目から差し入れられる。
浴衣なので、遼子はブラをしていなかった。
鷹藤が直に触れる柔らかな塊を好きなように弄ぶと、零れ出てしまう啼き声が恥ずかしいのか、
遼子が自分の口を塞ごうとする。
「俺しか見てねぇんだから…我慢すんなよ。」
「それは…そう…なん…だけど…あんっ」
胸をやわやわと揉まれてるうちに鷹藤の手がコリッと硬くなった場所に当たり、それを軽く指で挟む。
「やぁっ…あぁんっ」
鷹藤は掌で包み込むように胸を覆うと、強弱をつけながらゆっくり揉み回す。

遼子の浴衣の合わせ目に左手をかけて、大きく浴衣を肌蹴けさせる。
体に巻きついているだけの布切れになった浴衣姿の遼子を、鷹藤は胸を愛撫しながら
身体全体を舐め回すように視姦する。
そんな鷹藤の視線に気付くことなく、身をくねらせて感じ入る遼子の姿が、
鷹藤の興奮をさらに煽り、下半身に熱の塊がどんどん落ちていき腰が重くなる。

「あぁん!あっ、あぁ、やっ…」
舌で突起を愛撫しながら、遼子の感じている顔を楽しむ。
遼子はそれに途中で気がついたが、喘ぎながらも鷹藤の行為をじっと見つめていた。

「や…そんなに…見ない…で」
「なんで?」
「だって…恥ずか…しい…」
「そんなもん、今さらだろ?」
「んぁっ!」
きゅっと、胸の突起を甘く噛み上げると、遼子の身体がビクンと跳ねた。

鷹藤は胸を揉み続けながらもう一方の手を下へ忍ばせ、鷹藤の指先が秘裂をなぞる。
「あっ…んっ」
遼子の唇から微かな吐息が洩れ、その声に誘われるかのように、更に鷹藤の指が蠢きだす。
秘裂に浅く沈められた指が縦になぞりはじめる。
「っふ、ああ!」
くちゅっという淫らな水音が辺りに響きだす。

「せっかく風呂入って下着替えたのに、もう汚れちまったな?」
「あぁっ!やぁっ…!」
鷹藤は遼子から乱暴に下着を剥ぎ取ると、遼子の片足を持ち上げ、
震える花弁を夜気に晒すとそこに顔を埋める。
遼子は、秘所にひやりとした舌を感じて反射的に体が逃げたが、そんな彼女の抗議を無視し、
蜜口を鷹藤の舌がなぞる。
「やっ!あん!!」
襞の一枚一枚を丁寧に舐めあげられる感覚に肌が粟立ち、遼子は思わず敷布を引き寄せて握る。
55名無しさん@ピンキー:2010/12/18(土) 00:53:56 ID:mizNlzjJ
鷹藤は、遼子から零れる蜜を舐め取りながら、花芽を舌で押し潰す。
「あっぁっあぁん!」
舌で触れるたびに、遼子の腰が浮き上がる。
鷹藤はとめどなく溢れる愛液を飲み下すと、ゆっくりと上体を起こして、
敷布を硬く握り締めていた遼子の指を解く。

二人の手のひらが重なり、指が絡まる。
「もっと、気持ちよく、熱くなろうぜ?」
鷹藤は遼子の耳元でそう囁くと、遼子の脚をさらに開かせて脚の間に体を割り込ませた。
そしてとろけた秘所に熱い肉塊を押し当て、ゆっくりと遼子の中に入ってくる。

「ああぁぁぁ」
遼子から一段と大きな声が漏れる。
内壁を擦り上げながら、内部に入り込む鷹藤自身しっかりと受け入れた遼子の体は、快楽から震えていた。
ゆっくりと内部に馴染ませるように動いていた鷹藤の腰が、やがてリズミカルに抜き差しを繰り返し始める。
「んっ!うぅん!」
鷹藤が動くたびに、愛液の撥ねる音と遼子の嬌声が甘く部屋に響き、それに重なるように
鷹藤が息を吐く音が荒く混じり、部屋にこだまする。

「んっ…あふっ…んん…」
「すげぇ…気持ちいい。熱くて柔らかくて…蕩けちまいそう。」
そんなことを言いながらも鷹藤はゆるゆると動き続ける。
先端が抜けない程度に引き抜かれ今度はグッと強く押し込む。
ゆっくりしたリズムで何度もそれを繰り返される。
「ふっ…んんんっ!!ああ…いい…」
ぐちゅぐちゅと二人をつなぐ淫らな音が部屋に響く。

そして、根元まで埋められた鷹藤の熱い楔が、遼子の一番深い部分を探り出す。
「あああんっ!」
最奥に当たる感覚に、遼子が喘ぐ。

鷹藤は、遼子の脚を抱え上げ、より深く楔を埋め込む。
「あっ!あん!…っ!わ…たし…もう…ダメ…!」
ガクガクと快楽に体を震わせながら、遼子が切なそうに喘いだ。
「イキたいか?」
遼子の限界が近いことを感じながら、鷹藤はそう囁いて、わざとゆっくりと遼子の中から
楔を引き抜く。
「ああっ!いやぁ!」
体の中から与えられる刺激を奪われ、遼子が悲鳴を上げた。
「でも、一人じゃいかせねーぜ?」
「やっ!鷹藤…くん!」
遼子が鷹藤の背中に腕をまわしてしがみつく。
鷹藤は遼子のすべてを感じようと、激しく腰を動かす。

「オレと一緒にいこうぜ?」
鷹藤はそう熱く囁くと、一気に遼子に突きいれ、遼子の中一杯に鷹藤が入り込む。
「あっ!あああああっっ!もう…イクっ!イッちゃぅ…!」
遼子は待ち焦がれたその刺激に絶叫しながら、一気に脱力した。
熱い濁流が胎内に流れ込み、そして遼子は意識を手放した。   
56名無しさん@ピンキー:2010/12/18(土) 00:59:53 ID:mizNlzjJ
以上です。
すみません、中途半端ですが今夜は一発まででw
二発目以降は…おいおい…

あ、鷹藤が「遼子」と呼んでなくてすみません…orz
せっかくあんなに練習したのにww
57名無しさん@ピンキー:2010/12/18(土) 07:35:34 ID:Ounz3wOv
>>53-56
温泉エロGJ!!!
浴衣、布団、確かにエロい。普段の数倍エロくなるw
二人の温泉旅行の場合、どっちが手配するのかな。
遼子に任せるととんでもないところへ泊る羽目になりそうだけど。

しかし温泉だと帯もタオルもあるので、手枷、目隠しとプレイも多彩にwwww
この温泉旅行の裏で、兄はきっと悶々としながら妄想で頭がいっぱいだろうなw

遼子の中の人出演なのにヌルさに挫折してSPEC見てた…(汗)
浴衣+お姫様だっこなんておいしいシーンがあったとは…orz
58名無しさん@ピンキー:2010/12/18(土) 08:35:16 ID:0+qBifOg
浴衣でエロ、GJです!
自分も昨日のドラマ見ていて、仲間さんの温泉入浴シーンから
布団へのお姫様だっこ場面まで萌えてましたww

そして浴衣姿で遼子をお姫様だっこするお兄ちゃんを妄想して、
1人でキュン死にしてた自分は、兄以上の変態ですみませんw
59名無しさん@ピンキー:2010/12/18(土) 09:04:52 ID:Ounz3wOv
>>58
大丈夫、それは誰しも考える。
>>53の書き込みを見てすぐに、兄+浴衣+お姫様だっこで既に妄想完成してる
自分がここにいる。

脳内では、兄が帯紐で楽しそうなことをしておりますよw
60名無しさん@ピンキー:2010/12/18(土) 09:52:26 ID:0+qBifOg
>>59
ナカーマww

その楽しそうな妄想を是非ともココに!!
6159:2010/12/18(土) 18:11:49 ID:Ounz3wOv
お兄ちゃんと温泉旅行でけた。

>>53-56の鷹藤2発目投下のあとがいいかな。
どうでしょう、>>53-56

あと、エロなしだが2年前のクリスマスイブの兄妹もできた。
エロなしでよければ、そのうち投下します。
62名無しさん@ピンキー:2010/12/18(土) 20:45:17 ID:/096pX0V
wktkしてお待ちしております。
6353-56:2010/12/19(日) 00:46:34 ID:HxWaP+Wf
ID変わっちゃったかな?53-56です。

>>61
鷹藤二発目は、もう浴衣とか関係なくヤッてるだけですのでw
お兄ちゃんと温泉旅行を投下お願いします!

クリスマスイブ兄妹も楽しみにしてます〜。
6459:2010/12/19(日) 06:56:04 ID:bGf98PBi
>>62
>>63ありがとうございます。

浴衣とか関係なくヤッてる鷹藤、頑張れ、腰痛めるなよぉ〜!
ということで投下します。
65山の宿にて 1:2010/12/19(日) 07:28:44 ID:bGf98PBi
鄙びた温泉街だった。東京から何度か電車を乗り継いで辿りつける所にそこはある。
江戸時代からの温泉地だったが、時代の波に乗り遅れ、時間が止まったような風情の街だった。
セピア色にくすんだ街並み。閑散とした目抜き通り。
今時の若い女性には敬遠されそうな街だったが、数百年もの間湧き続けている温泉の質がいいということで、
遼子がこの温泉街を選び、普段世話になっている洸至へと1泊2日の温泉旅行をプレゼントしたのだった。

宿に着くと、洸至が宿帳を書いた。
鳴海洸至 遼子。二人の名を連ねて書く。
まるで夫婦みたいだと洸至はひとりほくそ笑んだ。
それから部屋の鍵を受け取ると、仲居が先導し、二人を部屋へ案内した。
百年以上磨かれ続け、黒壇のごとく艶を持ち光る廊下を、洸至は遼子と並んで歩く。
歩きながら遼子が洸至に囁いた。
「お風呂は24時間入れるのよ。ご飯はお部屋だし。あとね、予算の関係でお兄ちゃんと一緒の部屋だけど…。
 いいよね?」
洸至に異存があるわけがなかった。

荷物を解くと、お互いに見ないようにして浴衣に着がえ、それぞれ風呂に入り、その後閑散とした街を二人で
ひやかし歩いた。
遼子はここぞとばかりに何度も湯に入り、地元食材がふんだんに使われた豪華な夕食で腹を満たしたあとも
すぐにタオルを手に大浴場へと繰り出した。

妹のはしゃぐ様子を思い出しながら洸至が部屋でビールを飲んでいると、フロントから電話が入った。

「お連れ様がのぼせられたようでして…。気付くのが遅れて申し訳ございません。
ご心配のようでしたら、お医者様をお呼びしましょうか」
和服姿の女将は、一分の隙なくセットされた頭を、何度も下げながら洸至に謝った。
風呂に入り過ぎてのぼせたようで、遼子は脱衣場で貧血を起こして倒れていたらしい。

「いえ、結構です。妹が少し欲張って入り過ぎたんでしょう。部屋で休ませておけば大丈夫だと思います。
こちらこそご迷惑おかけしたようで、すみませんでした」
平身低頭と言った風情の女将を宥めると、洸至がそう言って女湯の前で浴衣姿の遼子を引き取った。

妹を横抱きにしながら、旅館の廊下を歩く。
すれ違う客が、軽々と女一人を抱いて歩く洸至を驚いた顔をして見る。
洸至の後ろを氷と水を載せたお盆を持った仲居がついて歩く。
「気がつかれたこちらを飲ませてください」
仲居はのぼせる客に慣れているようで、すぐに氷水の入った盆をもってきたのだ。

「まったくなあ、久しぶりの温泉だからって欲張って入るから…」
洸至が妹の上気した顔を見入る。
部屋に着くと、仲居がドアを開けてくれた。
次に仲居が開けた襖の向こうを見て、洸至が絶句した。

布団がぴったりとくっつけられて敷かれているのだ。
まるで初夜の新枕だ。しかもご丁寧に枕元にティッシュと行燈の形をしたランプ。
仲居が枕元にお盆を置くと、
「ごゆっくり」
と言って部屋を出て行った。

別に仲居は含みがあって言ったわけではないだろうが、洸至の頭の中で様々な意味が渦巻く。
宿帳に書いた「鳴海洸至 遼子」の文字が過ぎる。
思いっきり夫婦と誤解されたようだった。

洸至の喉が思わず鳴る。
しかしその後眼を閉じ、煩悩を振り払うように頭を振った。

「少し冷まさないとな…」
横たえた遼子の隣に肘枕をついて添い寝し、洸至は女将から借りた布張りの団扇で、妹を扇ぐ。
ぐったりとした様子の遼子だが、爽やかな風を感じ、心地良さそうに目を閉じている。
66山の宿にて 2:2010/12/19(日) 07:30:08 ID:bGf98PBi
眠りながら熱さから逃れるように首を振る妹を見て、洸至が今度は浴衣の襟元を緩めてやる。

普段は陶器のような白さを湛えた妹の肌が、今は熱さのせいかほんのり桜色に染まっていた。
まだ熱が逃げきっていないのだろう、遼子はうっすらと汗ばんでいた。
洗面所で濡らしたタオルで、額、頬、首筋を拭いているうちに開いた胸元が眼に入った。

「拭いてやるだけだからな、拭いて…」

やましさを打ち消すようにひとり事を言いながら胸元の奥へタオルを持った手を入れた。
柔らかな膨らみ間にも汗が光る。妹が風邪をひかないようにそこを拭く。
親指の先が柔らかな肉に触れた。洸至の動きが止まる。

そこの熱く吸いつくような感触に、洸至の躰が一気に熱を持った。
妹の様子を窺うが、まだ気付いた様子はない。長湯が起した貧血のせいで、意識と無意識の間を漂っているようだ。
手をそのまま柔らかな肉に這わせる。乳房の頂きの上を滑らす。洸至にタオルで撫でまわされているうちに
遼子の知らぬところで躰だけが反応していたのか、洸至の指にコリッとした感触があたった。
「んっ…」
その声で洸至は動きを止めた。遼子は敏感なところを触れられ、無意識のうちに声を出したようだ。
まだ目は閉じたまま眠るような表情で横たわっている。

その遼子の様子に、洸至の動きの大胆さが増した。
最初は気付かれぬように、ささやかな動きだったのが、いつしかタオルを脇に置き己が手で遼子の肌を
撫でまわしていた。
浴衣の襟元は肩まで開き、半球の乳房から臍までが露わになっている。裾もはだけ、浴衣の帯はただ腰に巻き
つけられた紐と化していた。
妹はまだ発汗していた。その汗を、洸至は今度は舌で舐めとることにした。

額から垂れる汗、首筋を流れる汗、胸の谷間にうっすらと湧く汗…。汗を舐めとり、肌を舌で濡らす。
こうすればもっと早く熱も逃げるだろう。上半身を上から下へ辿った舌を、今度はまた上へ滑らす。
そうしているうちに、汗など流れていない妹の唇に洸至は唇を重ねた。

ここは乾いているから、湿らす必要があると思ったからだ。音を立てながら、妹の唇をねっとりとついばむ。
半開きの妹の唇へ舌を割りいれた。
妹の乾いた喉を唾液でうるおす為に、洸至は舌を送り込む。

くちゅっ…。くちゅ…。粘体の生物が這いまわるような淫らな音を立てて妹の舌を吸う。

まだ妹が目覚める様子はない。

今度は唇を首筋から鎖骨、鎖骨から柔らかな乳房へと滑らす。
まだ汗でしっとりとしている肌を味わいながら、乳房の頂きを吸う。
左右の乳房を中央に寄せると、音を立ててその頂を交互に吸い始めた。熱を帯び、硬さを増した頂きに湿り気を与えて
熱を早く逃がしてやるためだった。

「んんっ」
眉根をひそめ、遼子が白い喉を晒した。
「遼子…」
「冷たくて…気持ちいい…」
遼子がうっとりとしたように微笑むと目を開けた。
「おにい…ちゃん…?」

遼子のぼんやりとした視界には、黒く強い髪を揺らめかせながら己の乳房を吸う兄の姿があった。

「おに…!」
抵抗の言葉を上げる前に、遼子の唇を洸至が唇で塞ぐ。
67山の宿にて 3:2010/12/19(日) 07:30:59 ID:bGf98PBi
はだけた浴衣から露わになった白の下着の中に指を潜り込ませ、既にうるんだ亀裂に洸至は一気に指を埋め込んだ。
兄に抵抗する前に、遼子の躰を快楽が貫いた。
「はんっ」
洸至は妹の唇を舌で犯しながら、指で亀裂を掻き回す。
遼子の腕が洸至の躰を押すが、洸至の指が作り出す快楽に抵抗する意思を集中することができずに、ただただ
翻弄されていた。
洸至の胸を押す力が弱まるにつれ、遼子の太ももが無意識のうちに開き始める。
その様子を見てから、洸至が唇を離した。
だが、指は更なる激しさで水音を立てながら動かしたままだ。
「だめ…だめ…、んっ…こんなことしちゃ…」
涙を浮かべ、時折走る快楽に身を震わせがら遼子が拒否を示すように首を振る。
「のぼせて倒れたお前を介抱してただけだよ」
嘘ではない。いまはそこからかけ離れた行為になっているとはいえ、当初そのつもりだったのは確かだ。

「かい…ほうでこんなこと…し…ああああんっ」
洸至が話しかけながら、指を遼子の中で曲げた。躰が蕩けるポイントを過たず突いたようだった。
遼子は言葉にならず、最後は嬌声に変わっていく。
「俺のことが嫌いか?」
「はぁっ、はあああああっんんっ。す、好き!だけどきょうだ…いだから、お兄ちゃんとして好きだから、
こんなことしちゃ、ああああっん、だめっな…んっ」
指の付け根を叩きつけるようにして、抜き差しはじめると、遼子は快楽の為喉を晒す。
それでも健気に兄に訴えようとする妹がいじらしくて、洸至はもっと深い悦楽へ遼子を叩き落とすことにした。

「俺もお前が好きだよ。だから兄妹以上のことをお前にしてやりたいんだ」

妹の両手を片手で抑えながら、遼子の浴衣の帯を取った。浴衣がはだけ白の下着だけをつけた躰に、行燈の形をライトから出される柔らかな光が淫靡な陰影をつける。
洸至の舌で散々弄ばれた乳房の頂きは遼子の意に反して屹立し、汗と唾液で濡れた肌が洸至を誘う。
その帯で妹の両手を頭の上で縛り上げると、今度は下着に手をかけた。

「湿ったままだと、風邪引くだろ?」
口調だけなら妹を気遣う兄のものだ。だがその眼は獲物を食らい尽くす捕食者の眼だった。
下着を剥ぎ取ると、妹の膝を開かせる。遼子も必死に抵抗しているが、すでに快楽にほだされたあとで、遼子の
意志よりも快楽を求める本能が主導権を握り始めていた。
洸至が軽く力を籠めると遼子膝がゆるゆると開く。

「ああ…」
遼子が絶望の声を上げた。
だが、洸至はその中に含まれた微かな期待にも気付いていた。
もうそこはすっかり濡れ、薄茶色のすぼまりにまで蜜が滴り、ライトの光を受けて叢がてらてらと輝いていた。

「濡れてるじゃないか。このままだと気持ち悪いだろ?きれいにしてやるから」
洸至の舌がそれを舐めとる。汗よりも塩気の少ないその体液を、丁寧に丁寧に舐めとり始めた。
亀裂の形をなぞり、硬さを増すクリトリスをそそのかしながら、漏れ出る蜜をすべて吸い取る。
「いやっ…だめぇ…」
戒められた両手で、遼子が洸至の頭を押そうとするが、洸至はその両手を左手で軽々と押しのけると、
臍のあたりで抑えつけた。
68山の宿にて 4:2010/12/19(日) 07:31:50 ID:bGf98PBi
温泉街の夜の静寂の中、湿った音が部屋に響く。
抵抗していたはずの遼子からも荒い息が漏れる。遼子の膝に入れていた力が抜け始め、右手で抑える必要がなくなると
洸至は右手の指をまた亀裂に入れてやる。一気に二本、根元まで入れた。
「きゃっんんんんんっ…・」
遼子が軽く達したようだった。

「遼子、声、堪えなくてもいいぞ」
「いやっ…お兄ちゃん、もう…やめて」
洸至はこたえることをやめた。洸至は兄妹のくびきなど忘れさせる程の快楽で、妹の口を封じることにした。
洸至がクリトリスに軽く歯を立てる。

「きゃあああっ」
敏感になり過ぎた小さな粒に、大きすぎる刺激。間髪いれずに洸至が猛然と指を抜き差ししはじめた。
そのままクリトリス全体を唇で覆うと吸い続ける。そして舌でつつく。
泡を立てて蜜が飛び散る。吸いつき、跳ねる淫らな水の音。
切れ目のない悲鳴めいた啼き声を遼子があげる。
「やぁ、あああっ、ああああっ、いいいっ、いいいのぉ、いく、いっちゃう!」
付近の静寂を切り裂くように遼子が啼いた。
両手を戒められ、浴衣が肩にしか残っていない姿で遼子はしばしのけぞると、それから弛緩した。

「すごい姿だぞ…。もう、こっちも我慢できないんだ…」
遼子の太ももの間に身を入れ、遼子の上に洸至がのしかかる。
下着を下ろすと、洸至の猛りきったものが姿を現した。遼子のとば口にそれが当たる。
「誰にも許されないよ…こんなこと」
蕩け切り、力が入らない状態ながら、遼子は最後の抵抗をする。
「許されなくたっていい。俺はお前と秘密を分けあえて嬉しいよ…」

「だめ…」
遼子が眼をそらし、顔を横に向けた。
「俺だけの秘密だったんだ…」
遼子の頬に洸至が額をあてた。
「ずっと…ずっと好きだった…遼子、この秘密…少しだけでも分け合ってくれ」
囁く洸至の声に嘘はなかった。
遼子の瞳が揺れる。
ただ躰の欲望だけではなく、洸至がずっとしまっていた想い。それが遼子の心も揺らした。
「…秘密…だよ。二人だけの」
戒められた両手のまま、遼子が洸至の頬を包む。
洸至は、今度は優しく遼子と唇を重ねた。
同時に洸至自身を遼子の亀裂にあてがうと、奥深くへ埋めはじめる。

「はあっ…おおきい…」
「きつくて熱いよ…遼子」
せり上がる快楽に震える妹の唇を貪りながら、洸至はゆっくりと奥へ奥へ自分自身を送っていく。

「あああっ」
あまりの快楽に、遼子が眼を閉じ吐息を漏らす。
付け根まで自身を送り込んだ後、洸至は動きを止め遼子を抱きしめた。

「全部入った…すごくきつくて気持ちいいよ」
「しちゃいけないことなのに…どうしよう…気持ち良すぎておかしくなりそう…」
「おかしくなろう、二人で」
ゆっくりと抜き差しを始める。たゆたう波のようにゆったりと二人の躰が揺れる。
69山の宿にて 5:2010/12/19(日) 07:32:48 ID:bGf98PBi
「はあっ」
性急さのない抜き差しは、すぐには追い詰めないが、じんわりと全身に快楽をひろめていく。
遼子の肌がまたもじっとりと汗ばんできた。
重なり合う洸至の躰にも汗が浮く。洸至が遼子の腕を戒めた帯を外す。遼子が洸至の首を抱いた。
洸至の動きに呼応するように、遼子も腰を振り始めた。
緩慢な動きが波のように快楽をひろめ、それは性急な時のものより深く大きく遼子を呑みこみ始めたようだった。
「はあ…。ああ…いい」
遼子の息が上がっていく。快楽の果てへ、遼子はもう一度昇り始めていた。
遼子の躰がもう一度熱を持ち始めたのを見計らって、洸至が猛然と突きあげ始めた。
「いやっ。ああああっ、すごい、ああっ」
洸至が突きあげながら遼子の腰を上げる。
「見ろって。全部入ってるの見えるか」
遼子が結合部を見る。遼子の亀裂から、蜜をまき散らしながら洸至のものが抜き差しされている。

「ああっ…」
顔を赤らめながらも、遼子はそこから目を背けなかった。
「感じてんのか、いやらしいな、いま、すごく締まったぞ」
「いやっ。いじわるいわないで…」
遼子の背に手を廻し、洸至は妹の躰を起した。

座る洸至の上に、遼子が乗る。今度は洸至が下から突き上げる。
布団に寝ながらの行為より、奥に当たるのか遼子の声がひときわ高くなった。
「ああっだめ、もう…」
「こっちも駄目だ。締まる…」
切なそうな顔で洸至を見ると、まるで快楽の向こうへ行くのを恐れるように遼子が兄の口を貪る。
「いこう、一緒にいこう遼子」
激しい破裂音を立てて洸至が下から突き上げた。
「きゃあっ…ああああああっ」
洸至の腕の中、遼子の力が抜けた。
70山の宿にて 6:2010/12/19(日) 07:35:11 ID:bGf98PBi
「鳴海さん、もうすぐ突入です」

その声で洸至は気がついたようだった。それまで、モニターを見る片山の隣で珍しく洸至がぼんやりしていた。
いま二人は公安のワンボックスカーの中にいた。
外側は電気工事用車両に見えるが、中にはぎっしりと盗聴用電子機器、通信機器が積まれている。

モニターの中では、黒づくめに眼だし帽とヘルメットをかぶった男たちがハンドガンを持ち、とあるビルの
前で突入準備をしていた。
新興宗教団体と結びつき、武装強化しはじめた過激派集団の武器庫への急襲作戦だった。
洸至と片山は直接の突入要員ではないが、公安として組織の監視にあたっていた関係から、この突入に立ちあう
ことになっていた。
モニターの向こうの光景を、耳にイヤホンを差し飛び交う無線を聞きながら洸至が冷たい目で見ていた。

「まったく…なんで今日なんだ。もっと先の予定だったろうが」

洸至のこの一言が、片山には意外だった。
それは突入の性急さに怒るというより、本来の休暇を取りあげられた怨嗟の声に聞えたのだ。
今まで洸至がそんなことで不平を言うのを聞いたことはなかった。
「ここ2、3日でやつらの倉庫への武器搬入が活発になり、以前からのテロ計画を前倒ししたと見なされて
 今日の突入になったようです」
「本当なら今日は…まあいい」

「あ、遼子さんと旅行でしたっけ」

洸至が片山を睨んだ。
片山は口をつぐみ、モニターに視線を注いだ。
その横で洸至はぶつぶつと独り言を言っていた。
「温泉だったんだぞ…ふたりで…同じ部屋のはずだったんだ…。なかなか休暇があわなくてようやく…」
片山は聞えないふりをした。
「もし遼子がのぼせたら…そうしたら俺は…。どれ程楽しみにしていたと…。パンフレット片手にどれ程
イメージトレーニングしたと…」
ここで片山が下手な相槌を打てば、洸至に撃たれそうな気がした。それ程の不機嫌さだった。

「突入開始30秒前です」
片山と洸至のイヤホンに、女性職員の低い声が入った。
隣の洸至を眼に入れるのが恐ろしくて、片山はその声とモニターに集中することにした。


仲よし兄妹旅行がこうなってしまった。
優しく介抱していたのが、やっぱり気付けば変態にw
浴衣姿のお兄ちゃんがくつろぐ姿を書くだけで異常に楽しい。
お目汚し失礼しました。
71名無しさん@ピンキー:2010/12/19(日) 12:10:39 ID:q550mFqY
お兄ちゃんの温泉シミュレーション、GJ!!!
濡れていても、乾いていても、どっちも舐めちゃうお兄ちゃんが大好きですwww

お兄ちゃんの浴衣姿、想像しただけで鼻血が…
エロい、エロすぎる!

ヤってるだけの鷹藤も待ってまーすw
72名無しさん@ピンキー:2010/12/19(日) 20:35:44 ID:bGf98PBi
「山の宿にて」を書いた者です。
浴衣姿のお兄ちゃん、エロ以外でも妄想が止まりませんでした。
「山の宿にて」で妄想したんですが、本筋から離れ過ぎる&長くなり過ぎる為
没にしたお兄ちゃんシーンをデザート代わりにどうぞw

・露天風呂で女湯の遼子から声を掛けられる男湯にいるお兄ちゃん。
・部屋にあった将棋を見つけて、遼子にせがまれ、二人で将棋崩しをするお兄ちゃん。
 (将棋崩しがわからない方はググってください)
・温泉街の射的の店で遼子に景品を取ってやるお兄ちゃん。
・久々に温泉に入り、日ごろの激務の疲れがどっと出て、浴衣姿でうたたねする
 お兄ちゃん。それを見た遼子が、眠る兄に羽織をかけてやる。
 そして兄の隣に自分も寝る。
・部屋の窓辺に腰掛け、ビール片手に景色を眺めるお兄ちゃん。
・夕食時に、焼いた川魚を上手に食べられなくて、遼子に骨を取ってもらうお兄ちゃん。
 「こういうところだけ子供っぽんだから。彼女ができたら、笑われちゃうよ」
 と言われて、
 「別に俺はお前がいれば」
 と、もごもご言ってから、ビールを喉に流し込むお兄ちゃん。
・温泉街で卓球場を見つけて遼子と卓球をするお兄ちゃん。
 二人でラリーしている時、
 「今度彼氏が出来たら、彼氏とここ来ようかな」
 という遼子の一言で、思わずミスショットしてしまうお兄ちゃん。

こんな風にお兄ちゃんと旅行できたら…(遠い目)
73名無しさん@ピンキー:2010/12/19(日) 20:50:15 ID:DV9o6o8z
普段はりょうこさん呼びで
74名無しさん@ピンキー:2010/12/19(日) 21:02:49 ID:DV9o6o8z
27を書いたものですが、<<44さんGJです!

左手固定された鷹藤を色んな意味でお世話
しちゃうりょうこさんを妄想してしまいました。鷹藤全快後は二人でご無沙汰期間をうめたのでしょう。
しばらくラブホはイケなさそうですな。
75名無しさん@ピンキー:2010/12/20(月) 22:52:52 ID:71wpPs8F
>>72
デザート、ごちそうさまです!
どれもこれも素晴らしい!!
おかげで脳内では、いまだに鳴海兄妹が温泉旅行中ですww
762008/12/24:2010/12/21(火) 10:21:47 ID:lR+II0Mk
連投すいません。23日以降は相棒祭りwになりそうなので、今のうちに
投下しておきます。
エロなしのクリスマスイブの話です。ただし二年前の。
772008/12/24 1:2010/12/21(火) 10:22:34 ID:lR+II0Mk
洸至はサバの味噌煮定食を食べていた。
テーブル席2つ、カウンター5席の小さな定食屋だった。客はテーブル席を占める洸至以外いない。
白い三角巾をつけた定食屋の女房が退屈そうにテレビを見ていた。
奥では亭主が仕舞支度をしているのか、せっせと調理器具を洗う音のほかは、テレビから流れる空々しい笑い
声だけが店に響いていた。テレビではお笑い芸人がサンタの衣裳を着たアイドルをからかっている。
この店の中でクリスマスらしい雰囲気を醸し出すものがあるとすれば、この画面だけだった。
だから、洸至はこの店を選んだ。

今日も終日張り込み予定だったのだが、その人物がいきなり監視対象から外された。
片山と洸至は明日から別の人物の張り込みをすることになるが、今晩の予定がいきなり空くこととなった。
予定外だった。
その予定外の出来事に片山は喜ぶと適当な女のところへ電話をして、今晩しけ込む先を決めたようだった。
洸至にすれば仕事でクリスマスのことなど忘れて一日が終われば良かったのだが。

洸至はクリスマスがあまり好きではなかった。

親のいた頃のクリスマスにいい思い出などなかった。
そもそも親からプレゼントなどもらったこともない。遼子が御馳走を頬張る横で、ぼそぼそと飯だけ食っていた。
家族のクリスマスパーティーに顔を出すことはあっても、そこの料理に手をつけることは許されなかった。
チキンも、ケーキも眺めるだけのものだった。
遼子が成長し、洸至に対する親の仕打ちに気付きそうになるまでは、洸至がクリスマスイブに食べるものは
白米だけだった。

だからこの時期、家族連れの多いファミレスに行くのは苦痛だった。
幸せそうに笑う家族を見ていると、子供たちに御馳走を腹いっぱい食べさせている親を見ると、胸に苦いもの
が広がるからだ。あの頃抱え続けた身を焦がすような憎悪を思い出すからだ。

遼子と二人暮らしが始まって、洸至は初めてこの行事も悪くないと思った。
洸至は生まれて初めてプレゼントをもらった。妹が編んでくれた手袋だった。
右手と左手の大きさが違う手袋。不器用だが、愛情がこもっていることは確かなプレゼントだった。

遼子と行う季節行事は全て楽しかった。親がいた時には遠巻きに眺めるだけのものだった。
正月、節分、桃の節句、端午の節句、七夕、月見、クリスマス…。
貧しかったし、大したことが出来た訳ではない。
だが、ささやかに兄妹二人で行うことの、共に祝うものがいる喜びをその頃の洸至は噛みしめていた。

それはお互いに一人暮らしを始めたあとも続いていた。
クリスマスも予定が合えばふたりで少し豪華な夕食を食べに行くか、部屋で遼子の手料理を食べ、お互いに
プレゼントを贈り合った。

だが今年はそうはいかなかった。
スケジュールが合わなかったわけではない。遼子が男と過ごすらしいのだ。

洸至は箸で漬物をつかむと、口に放り込みボリボリと音を立てながら食べた。

「お兄ちゃん今年はね、彼と過ごすことになりそうなの…」
電話口で遼子がはにかむように言った。相手は遠山とかいう、国民ジャーナルの記者らしい。
その電話を洸至が受けた時、洸至の表情を傍で見ていた片山の顔が恐怖で引き攣っていた。
782008/12/24 2:2010/12/21(火) 10:23:28 ID:lR+II0Mk

まったく腹立たしい。
クリスマスが嫌いになった。
遼子が他の男と過ごしているかと思うと、他のカップルすら目にするのが厭になった。
カップル全てが遼子と遠山に見えた。

だから、カップルも家族連れも絶対に来そうにないこの店で遅めの夕食を取ることにした。
洸至にとって、クリスマスのクの字もないこの空間は居心地が良かった。
飯を食い終わり、年季の入ったレジの前で会計を済ませた時、定食屋の女房が洸至に飴をひとつかみ渡した。
「クリスマスだからね」
洸至は一瞬目をしばたかせたがそれを受け取り、礼を言うとポケットに入れた。


道行くカップルを目に入れないようにして歩く。
路上でも、地下道でも、駅のホームでも、電車でも、改札でも、コンビニでも、カフェでも立ち飲み屋でさえも
その全てにカップルがいた。
その全てが幸せそうに見えた。寒風が吹きすさぶ中でも、皆暖かそうに見えた。
きっと遼子もそんな夜を過ごしているのだろう。
ひどく寂しかった。そして妬ましかった。
まるで振られた男の心境だな、と、コートの襟元を合わせ自嘲気味に笑う。
まさしく自分はそうだからだ。

家でコーヒーをいれるのも億劫で、家の手前の自販機で缶コーヒーを買った。
洸至はかじかむ指に温もりを与えるように、コートのポケットの中で缶を弄びながらアパートの階段を昇った。

洸至の部屋の前に、しゃがみこむ妹の姿があった。
寒風で冷えたはずの洸至の躰が一気に熱をもった。
妹の片手にシャンパンの瓶。そこから中身が零れて、遼子の服と廊下を濡らしていた。
「遼子?お前どうしたんだよ」
洸至が駆け寄ると、妹が顔を上げた。
廊下の白色灯に照らされた遼子の顔は赤らみ、蕩けたように見える眼もとからは涙が零れ落ちていた。
「お兄ちゃん…しろうちゃんがね、わらしと過ごす気なんかないって、ふぇっ…ふぇぇぇえええええぇんっ」
遼子の言葉が途中から大泣きに変わる。
洸至は妹の肩を抱き、背中をさすってやる。
「わかった。落ち着けって。とりあえず入れ。な?」

クリスマスも悪くない、洸至はそう思った。


洸至は部屋に遼子を上げて、今晩の出来事を聞いた。
遼子がシャンパンを持って遠山の部屋に行った時、既に女の先客がいて遼子は追い出されたらしい。
話を聞くうちに、この恋もいつもの遼子の一方通行な恋だと合点がいき、洸至は親身に話を聞くふりをしなが
ら安堵に胸を撫で下ろしていた。
ひとしきり話を聞いて、遼子が落ち付いた頃を見計らって洸至は風呂を勧めた。
遼子の洋服がシャンパンで濡れてべたついていたし、ずっと屋外で洸至を待っていたせいで躰は冷え切っていた。
それに洸至は、風呂上がりの妹の濡れた髪を見るのが好きだった。
792008/12/24 3:2010/12/21(火) 10:24:22 ID:lR+II0Mk

男のもののジャージを着た遼子が自分の手を枕にうつぶせになり、洸至のベッドに横たわっていた。
遼子のまだほのかに濡れた髪は、いつにもまして艶を持ちベッドの上に広がっている。
「俺達ペアルックだな、まるで」
濡れた髪を拭きながら洸至が笑って言った。
遼子に抱く男としての気持ちをそらすべく、妹をからかう兄の仮面をつける。
しどけなく横たわっていた遼子が赤みのある眼もとで、似たようなジャージ姿の洸至を見ると、笑った。
「干しとけば明日には乾くさ。始発で帰れば出勤前に着替えられるだろ?今日は泊っていけよ」
部屋にはシャンパンで濡れた遼子のスカートとシャツが干してある。
「お兄ちゃん、ありがとう。いきなり来たのに部屋に入れてくれて、ジャージまで借りちゃった」
「いいさ、それ、おととしお前がくれたやつだよ」
「まだ持っててくれたんだ…」
「お前からもらったやつは捨てられないさ」
「お兄ちゃんも彼女といるかも、って思ったんだけど、史郎ちゃんとこんなことになった後にひとりの部屋に
帰りたくなくって」
「俺もそうだよ」
思わず本心を言ってしまった。洸至が遼子を横目で見る。兄の秘密の一端を垣間見た妹がにやけていた。
「えっ?あ、お兄ちゃんも誰かに振られたんだ…」
洸至の目元が険しくなり、押し黙ると、その様子を見た遼子が慌てて言葉を続けた。
「そ、それでね、真っ先に思い浮かんだのがお兄ちゃんの顔だったから、つい、来ちゃった」
「忙しすぎて、彼女を作る暇なんかないさ。それに俺の部屋はお前にとって実家みたいなもんなんだから、
いつ帰ってきてもいいんだぞ。遠慮なんかするなよ」
「お兄ちゃん、本当にありがとう」
遼子が頬を染めたのは、酔いなのか照れなのかはっきりしなかったが、首を傾げ微笑む様は華のように美しかった。

「お前が来るってわかってたら、ケーキでも買っておいたんだけどな。あ、飴ならあるぞ。食べるか?」
「いいよ…、こんな遅くに食べたら…太っちゃう…」
洸至が来るまでにシャンパンを飲み強かに酔っていた遼子は、風呂に入って躰が温まったせいか一気に眠く
なったらしい。返事が緩慢になっていた。
「だけどプレゼントだけは買っておいたんだぞ」
洸至は遼子の枕元に、紙袋を置いた。
「メリークリスマス、遼子。それ開けてみろって」
返事がない。
遼子は目を閉じて、静かな寝息を立てていた。
「マフラー買ったんだけどな」
洸至はしばらく寝顔を見つめた後、妹に布団をかけてやる。遼子が軽く身動きしたが、眠りは深そうだった。
洸至が遼子の濡れた髪を撫でる。妹の髪を一筋取る。
そして、髪の香りを心行くまで吸い込んでから、その髪に口づけた。

これが自分に許す兄を越えた行為。

唇に口づけたら、きっと止まれないのがわかっていた。
兄でいる為に、踏みとどまる為に洸至は妹の髪にしか口づけられなかった。
だったら口づけなどしなければいいのだ。それはわかっている。
だが口づけせずにはいられなかった。
それ程の想い。そして、きっと永遠に届かぬ想い。

「お前は何もくれなくていいから」
妹の顔にかかる髪の毛を指で梳く。
「妹でいいから。ずっと俺の傍に居てくれ」
妹の眠るベッドにもたれかかりながら、洸至はその寝顔をいつまでも見つめていた。
802008/12/24 おまけ:2010/12/21(火) 10:25:28 ID:lR+II0Mk
鷹藤は待ち合わせ場所に急いでいた。
昼飯を食べていた時に、クリスマスイブにひとりで過ごす野郎同士で飲むぞという電話があった。
仕事終わりの時間が読めないので、適当な返事をしていたが、意外に早く終わったので鷹藤もそれに参加する
ことにしたのだ。

鷹藤がアンタッチャブルで働くようになってから、彼女とは別れていた。

その彼女とは友人の紹介で知り合い付き合っていたのだが、平日はもちろん、休日に事件が起これば呼び出し
がかかる仕事のせいですれ違いが続き、いつしかメールも電話も回数が減っていった。
そして好きな人が出来たという彼女からの電話を最後に、連絡は途絶えた。
今の彼氏が、彼女を鷹藤に紹介した友人だったというのを人づてに聞いた。

街中が浮き立っている夜に、マンションの部屋で一人過ごすよりは、束の間でも気の合う仲間同士で
飲んでいた方が楽しいに決まっている。
たとえ、その飲み会のあとで数倍の侘しさが押し寄せて来ようとも。

大声が聞こえた。女の声だろうか。道行く人々が大声の方向を見た。
「らによおぉ!見れもんじゃないわよ!」
前方でよろめきながら、こちらへ向って歩く女がいた。千鳥足でシャンパンボトルを片手に歩いている。
少し離れているので顔ははっきりとは見えないが、地味目の服装がなんとなく残念な印象を与える女だった。
「なんだあれ」
鷹藤が足を止め、茫然と見ていると、女がこちらを見た。
鷹藤は慌てて目をそらすと、また歩き始めた。
「女がひとりで歩いてるからって、声かけようっていうの!そんなに安い女じゃないんだから」
鷹藤の背に女の声が飛ぶ。

「違うってば。俺、そういうつもりねえし」
小さな声で言い訳めいたひとりごとをいいながら鷹藤は足を早めた。
こんなのに絡まれて約束の時間に遅れるのも厭だった。
「ちょっと、話は終わってないろよ」
その幸薄そうな女の大声があたりに響く。鷹藤は待ち合わせ場所に急ぐため走り出した。
前方に友人がいた。
「あの女の人、お前の知り合い?」
友人がにやつきながら鷹藤の肩ごしに女を見ていた。

「いや、知らない女。絡まれそうになってさ」
後ろをむけば女に絡まれそうな気がして、鷹藤は振り返らずに言った。
「結構美人なのにな。あんなひどい酔い方するんじゃ、彼氏大変だな」
友人が女の方をまじまじと見ながら言った。

「彼氏居そうに見えねえけどさ。俺だったらあんな奴の面倒見るのはごめんだな」

「それもそうだな」
「しろうちゃ〜ん!ふぇっふえええっん」
辺りに響く女の声が、いつしか泣き声に変わっていた。
クリスマスイブに振られるなんて、ついてない女…。肩ごしに振り返ると、女も背を向けて、よろめきながら
歩いていた。
何故か気がかりで、その女がタクシーに乗るところまで鷹藤は眼で追っていた。
それから鷹藤は友人と肩を並べて歩きはじめると、華やぐ街の中へ消えていった。



ちなみに、お兄ちゃんがプレゼントしたマフラーは最終回で遼子がつけているマフラーのつもりで書きました。
エロなしすいません。
81名無しさん@ピンキー:2010/12/21(火) 17:05:54 ID:22Svw/w7
クリスマスイブエピソード、GJ!!

エロ無しですが、兄は十分エロかったですw
マフラーの裏設定もいいですね。
それを頭に最終回を観ると、また萌えられそうですw
82名無しさん@ピンキー:2010/12/22(水) 17:49:26 ID:nO6ecv4J
相棒 劇場版Uのレッドカーペットイベント、プレミア試写会の動画です。
ttp://dogatch.jp/cinema/aibou/special/

スーツ姿はまさにお兄ちゃん。かっこよすぎる。
公開すぐは無理そうだが、早く見たい〜!!!
83名無しさん@ピンキー:2010/12/22(水) 21:05:32 ID:eaicMDHm
明日からいよいよ相棒公開ですね!

一足早く試写会で萌え死んだ者ですが、ネタバレはいつからOKでせうか?
84名無しさん@ピンキー:2010/12/22(水) 23:43:35 ID:TjGvAyA8
>>82
うわぁぁぁぁぁぁ
お兄ちゃんだぁぁぁぁぁ

すみません、あまりにもかっこよすぎるんですが、どうすればいいですか?
85名無しさん@ピンキー:2010/12/23(木) 07:16:44 ID:VMzp5gsh
>>83
つ、遂に今日だ…!!!!
一応1週間猶予を設けて、12月31日あたり解禁でどうでしょう。
皆さんいかがでしょうか。
86名無しさん@ピンキー:2010/12/23(木) 10:04:56 ID:UPNkOcuw
正直、別作品での中の人話はそろそろスレチな気がするんですが・・・
87名無しさん@ピンキー:2010/12/23(木) 11:05:04 ID:VMzp5gsh
>>86
不快に思われていたら、すいません。

中の人情報は厳密にはスレチですが、それが新たな萌えの燃料になり、
新たなアンタSSが生まれればいいのでは、と、ユルく考えております。

>>53>>63のように、中の人の他出演作の萌えから生まれるSSも
ございますので、しばらくの間ご容赦いただければ…。
88名無しさん@ピンキー:2010/12/23(木) 23:30:16 ID:KweDcmQ4
小澤さん情報嬉しいけどスレチだよな〜とは思ってた
楽しんでるのに水を差すのは悪いと思って黙っていたけど…

男性俳優板があるからそっちに小澤さんのスレを立てるのはどうだろう?
89名無しさん@ピンキー:2010/12/23(木) 23:53:59 ID:VMzp5gsh
スレチという意見が多いようなので、
今後小澤さん情報は

男性俳優板にスレを立てるか、
大河ドラマ板に現存する 【西郷】小澤征悦【吉之助】スレに
ttp://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/nhkdrama/1199326186/
投下ということにしますか。
90名無しさん@ピンキー:2010/12/24(金) 00:40:07 ID:OkzdRf+J
小澤さん関係の書き込みについては了解しました。

閑話休題。

浴衣プレイはありましたが、温泉行ったのに、温泉(お風呂)プレイ
無しはないだろー!と思いまして、クリスマスイブなので、
遼子×鷹藤で甘め(当社比)を投下します。



「ねぇ、鷹藤君、せっかくだから温泉に寄っていかない?」

取材でとある温泉地を訪れた遼子と鷹藤。
あまり観光客もいない、鄙びた温泉街だった。

取材も無事に終え、遼子と鷹藤はとある温泉宿に入った。

「見て見て!露天風呂がついてる!」
「へえ、部屋付露天風呂なんて豪勢じゃん」

座敷の奥の障子を開けると、小さな露天風呂があった。
湯煙に誘われるように一歩踏み出すと、ざぁっと波の寄せる音が押し寄せてきた。

「波の音が聞こえる。きっと明るければ海が見えたんだね。」
取材を終えてからチェックインしたので、あたりは既にとっぷりと日も暮れてしまっている。
真っ黒に塗り潰された空間から、波の音だけがやけに大きく響いてくる。

「な、一緒に風呂に入ろうぜ?」
鷹藤が遼子を誘う。
ちょっと前までは「絶対に嫌!」とか言っていた遼子だが、何度も肌を重ねるうちに
慣れたのか、最近は拒まないようになった。
恥ずかしがる遼子をその気にさせるのも嫌いじゃないが、どうせなら二人で楽しみたい。


「あったかくってきもちいい〜〜〜!」
遼子が無邪気な声をあげる。

「お疲れさま、鷹藤くん。おかげでいい記事書けそう。」
「ま、お疲れ様はお互い様だけどな」
「…静かだね」
「ああ」
波の音以外は、2人の声しかない。

鷹藤は遼子の腕を取って引き寄せると、横抱きに抱え込み、濡れた手で遼子の髪を撫でる。
頭を鷹藤の胸に預け、遼子は気持ちよさそうに目を閉じる。
ほんのりと上気した頬に唇を押し当てて、否定の反応がないのを確認してから、唇を啄ばんだ。

「ふ…うぅん…」
甘い唾液を貪るように、遼子の口内を蹂躙する。
擦り合わせるたびに遼子の喉の奥から漏れる声が、切なく鷹藤を煽る。
91名無しさん@ピンキー:2010/12/24(金) 00:50:34 ID:OkzdRf+J
うなじを滑って肩甲骨の辺りに指を彷徨わすと、遼子の背筋が反り返る。
お湯が跳ねる音がして、遼子の胸の敏感な部分に鷹藤の手が触れると、
柔らかな膨らみをこね始める。
「あっ…あんっ…」
桜色の先端にそっと吸い付き、次第に硬くなってきた頂点を柔らかく刺激すると、
遼子は色づいた肢体をくねらせた。
湯の表面が不規則に揺れる。

反対側の突起も指で摘んで優しくすり潰すと、鷹藤の肩に顔をすり付けながら悶え始めた。
「やっ、あぁんっ!!」

「今度はこっち」
鷹藤の指が、遼子の亀裂にのびる。
「やっ…」
「先にイかせてやるから」
「あ…んっ」
遼子の身体を、鷹藤が抱え上げて縁石に座らせる。両足の間に鷹藤の頭を挟む格好になって、
遼子は恥ずかしくて反射的に足を閉じようとしたが、簡単に抑えられてしまった。

鷹藤の指が充血した遼子の花芽の上で円を描くと、遼子は刺激に堪えきれずに鷹藤の腕にしがみつく。
お湯の音か遼子から発せられる音かわからない水音が響く。
既にどろどろに蕩けた部分に、鷹藤の中指が沈む。
「ひっ!ひゃうっ!」

鷹藤はゆるやかに内壁を撫で始める。
「いい…気持ちいいの…あっ、おかしくなっちゃう…」
「こんな風呂の中でもイクなんて、ホントにやらしいな」
内股に唇を寄せてきつく吸い上げ、鷹藤はいくつも遼子の肌に赤い花を咲かせていく。
「イきそうなんだろ?イくってちゃんと言えよ」
「…イ…あっ…イッちゃう…あん…あああっ!」
ぐりぐりと敏感な部分を強く引っかかれ、遼子は目の前に花火が散り、鷹藤の髪を掴んで絶叫し果てた。
92名無しさん@ピンキー:2010/12/24(金) 01:03:07 ID:OkzdRf+J
「あたし、気絶してた?」
「ほんの少しな」
ぐったりと力のない身体を湯の中で抱きしめていた鷹藤に、遼子が問う。

「でも、これで満足ってわけじゃないだろ?」
「え…?」
鷹藤は遼子を縁石にしがみつかせて、その両手に指を絡め、後ろからゆっくりと貫く。
「あっ!…はぁ…ん」
奥まで沈めて、鷹藤は一旦動きを止めた。
「気持ちいいぜ、すぐにでもイッちまいそうだ。」
鷹藤の荒い吐息が、遼子の耳朶を熱くなぶる。

そして再開された激しい動きに体を揺らされ、何とか倒れないように遼子は自身の体を支えるが、
指では届かなかった部分への刺激に遼子の身体の力が抜けていく。

「あっ!あんっ!いやっ!いやぁっ!」
「そんなにキツク吸い付くなよ…もたねぇ…」
鷹藤はそう言うと、一旦楔を引き抜く。
その刺激に遼子は声をあげる間もなく、今度は体を反転させられる。

ゆっくりと腰を下ろされて再び鷹藤自身がお湯と共に中に入ってくる。
遼子は目を閉じて受けとめ、そして一番深いところまで入ったところで長く息を吐いた。
満足感に目を開けて、遼子は目の前の鷹藤と視線を絡ませる。

「鷹藤君」
「ん?」
「あったかくて気持ちいい…」
「温泉が?それともオレが?」
「ん…どっちも…かな?」
遼子は小さく笑いながら鷹藤の首に手を回して抱きしめると、ゆっくりと甘い動きが再開された。




そのあと、浴衣で2回戦に続く…とw
駄文失礼しました。

お兄ちゃんへもクリスマスプレゼントをあげたいをあげたいので、(プレゼントは「遼子」設定でww)
>>77様の2年前のイブ設定のお話をお借りしてもよろしいでしょうか?
9377:2010/12/24(金) 06:44:47 ID:AuHPBIlZ
>>90-92
最近ヤリまくりな二人の温泉エロGJです!!
遼子は憶えるのが遅かった分、味をしめるとものすごい勢いで学習しそうw
兄と遼子では出ない甘さがいいですね。

設定どうぞ〜ヽ(´ー`)ノ
生殺しお兄ちゃんに、是非素敵なプレゼントをあげてください。
94名無しさん@ピンキー:2010/12/24(金) 22:48:00 ID:bkdeAVsE
スレを立てるならやっぱりイブがいいなかぁ、と

ということで立てました

ΩΩ小澤征悦ΩΩ
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/actor/1293198266/l50

こちらのスレでもお兄ちゃん…もとい、小澤征悦さんのことを熱く語ってくださいね♪







Merry Christmas
95名無しさん@ピンキー:2010/12/24(金) 22:49:11 ID:bkdeAVsE
あ;
×いいなかぁ
○いいかなぁ
96名無しさん@ピンキー:2010/12/24(金) 23:01:54 ID:AuHPBIlZ
>>94
ありがとうございます〜(∩´∀`)∩
97名無しさん@ピンキー:2010/12/25(土) 00:26:18 ID:5Q6d7Dpj
>>94
96だが、書き忘れた。

いいクリスマスプレゼントありがとう
Merry Christmas!
98名無しさん@ピンキー:2010/12/25(土) 14:52:07 ID:WbHHRz+6
☆メリークリスマス☆

>>93
ありがとうございます、設定お借りします。
というわけで、史朗ちゃんにフラれてシャンパン自棄酒の遼子が
お兄ちゃんを誘ってみました。



「しろうちゃ〜ん!ふぇっふえええっん」
洸至の部屋に上がってからも、遼子はまだ泣いていた。
洸至は妹の隣に腰を下ろし、しゃくりあげる妹の背中をやさしくさする。
「遼子、大丈夫か?」
洸至が妹の顔をのぞき込もうとした途端、「お兄ちゃ〜〜ん」という言葉と共に、
いきなり遼子が洸至に抱きついた。

「りょ、りょ、遼子?」
急に妹に抱きつかれ、顔を胸にうずめられ、思わず動揺が言葉に出てしまう。
「ねぇ……お兄ちゃん……」
洸至の胸にうずめていた顔をあげて兄を見つめる遼子の目からは、まだ涙がとめどなくあふれていた。
「私って、色気ない?抱きたいとか思わない?」
「はぁぁ?」
あまりに突拍子もない妹の言葉に、思わずマヌケな返事をしてしまう。
「さっきね、しろうちゃんの部屋にいた女の人はね、キレイでね、スタイルも抜群でね、胸もおっきくてね…ふえええぇん」
話ながら、ついさっき自分が目の当たりにした光景を思い出したのだろう、また遼子が泣き出す。

「大丈夫。遼子は十分魅力的だぞ?それがわからない男の方がどうかしてるんだ。」
傷ついている妹を慰めようと口にした言葉だが、それは洸至の本心である。
「…本当に?」
「あぁ」
上目遣いで涙に濡れた瞳で兄を見つめる妹を、洸至はまっすぐ見つめ返して頷く。
「じゃあ…」
「ん?」
「お兄ちゃん、証明してくれる?」
「あっ?」
「今、魅力的だって言ってくれたよね?だったらお兄ちゃん、抱いてくれる?」
今、もしもさっき買った缶コーヒーを飲んでいたら、確実に吹き出していただろう。
それぐらい破壊力のある言葉を妹は口にした。
あまりにも甘美な誘いと、その衝撃にめまいがしてくる。

しかし、何とか最後の理性を総動員して、洸至は遼子と向き合う。
「遼子、お前飲みすぎだぞ。さっさとシャワー浴びてこい!」
そう言って遼子を脱衣所に押し込めた。
99名無しさん@ピンキー:2010/12/25(土) 15:06:45 ID:WbHHRz+6
遼子がシャワーを浴びている間、先程の缶コーヒーを取り出すとリビングで飲みはじめた。
すっかりぬるくなってしまっていたが、そんなことはどうでも良かった。

頬を赤く染めた妹の顔、涙に濡れた瞳、荒い息、そしてその唇から紡がれたあまりにも甘い言葉。

夢には何度も見ていたが、それが現実となると、情けない程動揺している自分がいた。

あのまま、遼子を押し倒していたら……

そんな邪念を振り払うかのように、勢いよく缶コーヒーを傾ける。

シャワーを浴びれば、遼子の酔いも多少は覚めるだろう。
たとえ酔っ払いの戯れ言であろうと、たった1回だけでも、
あんな言葉を妹の口から聞けただけで満足だ。

クリスマスイブの、思いがけない遼子からのプレゼントに思わず頬をゆるませていると、
遼子が風呂場から出てきた音がした。

「落ち着いたか、遼子?」
洸至が声をかけながら、何気なく振り返った瞬間…

今度は確実に洸至はコーヒーを吹き出した。
そこには、バスタオル1枚を巻きつけただけの遼子がいた。

「お前…!なんて格好!!」
むせ返りながら何とか話しかけると、遼子が洸至の隣にちょこんと座る。
「ねぇ。やっぱり…色気…ない?」
遼子は酔いで蕩けた視線で、洸至を見つめる。
「…やっぱり、無いんだ…」
洸至が黙って答えないのを、遼子は肯定と受け取ったらしい。
俯いたまま遼子は立ち上がろうとした。
その妹の腕を洸至は取ると、そのまま体を引き寄せて抱きしめ、激しく口づける。

「んっ!」
その性急なキスに最初は遼子は戸惑っていたが、次第に洸至の舌の動きに答えるように深いものになる。
遼子の腕が洸至の背中にまわされ、きつく抱き合う。自然と遼子の胸が押し付けられる。
唇を離すと、遼子の目は潤み、恍惚とした表情で洸至を見あげている

この表情を見て、この状況で、色気が無い…という男がいるなら見てみたい。

どこかで洸至の中の「理性の切れる音」が聞こえた気がした。

「遼子…」
「うん?」
洸至の言葉を待っている遼子の耳元に洸至は口を寄せると、低くて甘い声でささやいた。

「証明してやる。」
耳元に囁いて、遼子に口付ける。
100名無しさん@ピンキー:2010/12/25(土) 15:17:12 ID:WbHHRz+6
……すみません、続きは今夜投下を目指します…。
こんな感じで兄妹エロに逝きます。
101名無しさん@ピンキー:2010/12/25(土) 15:24:02 ID:5Q6d7Dpj
>>100
聖夜に素晴らしいプレゼントありがとうございます!
PCの前で正座して待ちます!

缶コーヒーを吹く兄…w
兄の証明が楽しみです〜。
102名無しさん@ピンキー:2010/12/25(土) 23:55:21 ID:KufcJWNE
クリスマス兄妹エロの続きです。
ただヤッてるだけで、この後の時系列とか作品背景とか無視してます、すみません。





洸至は遼子を抱きかかえると、リビングから洸至の部屋のベッドまでいわゆる「お姫さまだっこ」をして遼子を運んだ。
そして遼子をベッドに横たえると、再び口づけをかわす。

「……綺麗だ。」
囁きと共に熱い吐息を溢すの唇がそっと、遼子の首筋に落ちる。
軽い痛みと共に甘い痺れが駆け抜けると、白い肌には所有の証となる紅の花が咲いた。
「はぁ…ん……」
「もう、お前が嫌がっても泣いても止めないからな。」
「ん…いいよ…」
愛しい妹の潤んだ瞳と、震える声。

舌を絡めるキスをしながら、洸至は遼子の肌に手を這わせる。
滑らかな肌をゆっくりと味わいながら、遼子の胸に手を這わせる。
両手で乳房を包むと、遼子の体がピクンと震えた。
その反応を楽しむように、洸至はゆっくりと遼子の胸を包み、柔らかくもみ始める。

自分の服を脱ぎ捨て、遼子のバスタオルもはぎ取ると、先ほどまで感触を楽しんでいた胸のふくらみを直接味わう。
「ふっ、あぁ」
両方の頂を唇と指で弄ばれ、遼子の口からは快楽の声が漏れる。

大きな掌が優し
103名無しさん@ピンキー:2010/12/26(日) 00:01:43 ID:KufcJWNE
すみません、途中で切れてた…orz


大きな掌が優しく包み込むように乳房を揉みしだき、熱い唇は啄ばむ様に優しく触れる。
そして、輪郭をなぞるように舌と指を這わせ、硬くなった乳首を摘み、
舌で丁寧に転がし甘噛みすると、遼子の唇から漏れる吐息が甘さを帯びる。

その変化を感じ取ると。洸至の手が内股を摩り上げ、蜜を滴らせる繁みへと伸びる。
スッ…と花弁をなぞると、そこはすでに潤っていた。
「……もう濡れてるな。」
意地悪く囁く洸至の台詞に遼子は羞恥心を煽られ、思わず顔を背ける。

洸至はゆっくりと、指を遼子の中にに差し込む。
「いっっ…」
しかし、初めての異物の進入に、僅かに寄せられた遼子の眉根が苦痛を訴える。

「痛いか…?遼子、力…抜け…」
だが、慣れぬ行為に遼子の身体は強張るばかりだった。
「……俺の肩を握っていろ。」
そう言って、洸至は身体をずらすと、遼子の膝を左右に開く。

「あ……いやっ…!!」
自分さえも知らない秘所を兄の目の前に晒され、思わず遼子の口から拒否の言葉が漏れる。
亀裂の間近に洸至の息遣いを感じ、更に遼子の身体が強張るが、熱く蠢く舌が押し広げられた花弁をなぞると
次第に遼子の強張りが解けていく。
「あふっ」
トロリと溢れ出る蜜を、勿体ないとばかりに吸い付くと、噛み締めていた遼子の唇から耐え切れないような甘い吐息が零れる。

洸至は、蜜壷を丹念に味わうと舌を抜き、もう一度遼子の中に人差し指を差し入れると、そこは先程よりは容易に進入を許す。
浅いところを探れば、バネ仕掛けのように妹の体が撥ねる。一本、二本と太さを変えて壁を探る。
主張する洸至の下腹部は早く入りたいと叫んでいたが、それを押さえつけて愛撫を深めるのは、楽しい苦痛だった。
柔らかな濡れた壁にゆっくりと力を入れる。
深く突いたり、浅くかき回したり、指を広げて四方に刺激を与えたり。
その度にあがる嬌声も心地よく、ますます苛めてしまう。かき回すたびに鳴る水音も、たまらない。

「遼子…、すごい色っぽいぞ。」
洸至が熱い吐息まじりの声で囁く。
「ん…おにい…ちゃん…」
遼子が熱に潤んだ瞳で兄を見つめる。
104名無しさん@ピンキー:2010/12/26(日) 00:06:10 ID:KufcJWNE
花芽を舌で転がしながら、蜜が泡立つほどに中を掻き混ぜてやる。
その度に中からとろとろと新しい蜜が溢れてくる。
「あっ…あぁっ!」
天井のザラリとした部分を指を曲げて擦ると、遼子の背が切なく反り、指が激しく締め付けられた。
「……ここがイイ、のか?」
「あぁ……やっ…そこ…あぁ!!!」
気持ちよすぎるのか、感じているのか、苦しいのか、遼子はぽろぽろと泣きながら喘いでいた。
洸至は指を前後に動かしながら、花芽をきつく吸い上げる。
「あぁっ!もう…もう…あぁぁぁん!」
「イクか?」
遼子は悲鳴と共に全身を震わせて達した。
胎内からゆっくりと指を引き抜くと、白く泡立った粘液が指に絡みついてる。
それすら愛しくてもったいなくて、洸至は一つ残らず大切に舐め取った。

「いい、か……?」
洸至の眼差しが再び、熱を纏う。
「…………。」
その台詞の意味を理解した遼子は静かに頷いた。

シーツを握り締めていた遼子の手が宙を彷徨う。
洸至は縋るように伸ばされた手を捉えると、遼子の白く長い指に己の指を絡めた。
「……遼子」
「お兄ちゃん…来て…」
洸至は遼子の脚を抱えあげると、熱く脈打つ自身を遼子の中に埋めていった。

「……か、はっ……あぁ」
「く……ぅっ。」
内壁を擦りながら埋め込まれる楔に、遼子の中が熱く絡みつく。
洸至は痛みに仰け反る遼子の身体を優しく抱き締め、苦痛に喘ぐ唇を塞いだ。
ゆっくり、押し広げるように腰を入れると、やがて遮るモノが行く手を阻む。
洸至がグッと腰を入れた瞬間、喉の奥から、くぐもった呻きが上がる。

絡めた遼子の指に力が篭り、立てられた爪が洸至の手に食い込んだ。
「……大丈夫か?」
「……う、ん。」
雫を湛えた目尻にそっと唇を落とす。

洸至の腰が遼子を気遣うようにゆっくりと抽出を始める。
「もう、少し……我慢してくれ」
「あ……あぁ……っ、ん。」
いつしか、遼子の唇からも嬌声が漏れ始める。
その声に誘われるように、洸至の刻むリズムも次第にスピードを増す。

律動が激しくなるに連れ、洸至の全身から汗が流れだし、雫となった汗は遼子の身体に雨となって降り注ぐ。
洸至を受け入れ、熱を持ち始めた遼子の身体の上で二人の汗が交じり合う。
「はぁっ!あぁっ!」
シーツをきつく握り絞めながら遼子は悶えた。

105名無しさん@ピンキー:2010/12/26(日) 00:22:25 ID:TEev/PU5
一定のリズムを刻みながら、洸至は遼子から立ち上る淫靡な芳香に酔う。
「遼子…」
遼子と指を絡めあい、深く口付けを交わす。
愛しい妹の喘ぐ姿に見惚れながら、洸至は遼子のすべてを感じようと、無我夢中で腰を叩き付けた。

「あっ!ああん!も…う…わた…し…また…ああ…んっ!」
遼子が兄の背中に腕をまわしてしがみつく。
遼子の最後の「おねだり」に洸至が激しく遼子の最奥を突き上げると、遼子は洸至をきつく締め付け、
絶頂を迎え、そのまま意識を飛ばした。

同時に、洸至も遼子の胎内に己の“想い”を全て注ぎ込んだ。

しばらくしてそっと遼子の胎内から自身を引き抜くと、
吐き出した精とともに、そこには赤い血が混じっていた。

「遼子…」
洸至は気を失った愛しい妹の唇に優しく口付ける。

「メリークリスマス…良い夢を」

クリスマスは悪くない、洸至はクリスマスが好きになれそうだった。



あぁ、クリスマス過ぎちゃうし、結末が中途半端だし、
色々何だかごめんなさい。
ここまでやっておきながら、遼子は翌朝二日酔い記憶喪失ってことで!(逃亡)
106名無しさん@ピンキー:2010/12/26(日) 06:47:32 ID:m5K7nH99
>>102-105
兄妹エロが来たワァ*・゚・*:.。..。.:*・゚(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:*・゚・*!!!!!

兄妹メリクリエロGJ!!
兄と読者にとって最高のプレゼントありがとうございます。
遼子の初めてを孤独に過ごす予定のクリスマスに頂けたら、
兄、相当嬉しかったろうな〜w
107名無しさん@ピンキー:2010/12/26(日) 23:21:38 ID:fJsy3AtZ
兄と鷹藤にサンドイッチされちゃう遼子の夢を見た…。
なんて淫らな夢だろう。
108名無しさん@ピンキー:2010/12/27(月) 07:12:40 ID:AYTRGnAf
>>107
し、詳細プリーズ…!!!

しかし兄と鷹藤ってサンドイッチしながら、主導権争いで
喧嘩してそうなイメージがw
109名無しさん@ピンキー:2010/12/27(月) 08:25:56 ID:T6cV2SSE
>>107
な、なんて淫らで素敵な夢…

兄がいたら、鷹藤は遠慮がちになりそうだが、遼子が絡むと違うかな?ww

で、どちらが前で…
110名無しさん@ピンキー:2010/12/27(月) 22:49:25 ID:25Ly1a9u
107です。
その夢を見た日は内容もよく知らずになんとなく無料AV動画を観てた。
したらサンドイッチもので…w
わおーと思いつつも最後まで観て、そのあと眠りについたら淫らな夢を観てしまったという。

どうして三人がそういうことになったのかはわからずw
いきなり三人でかっちゅん状態で、鷹藤が下で前を、兄が上から後ろを責めてた。
たぶん初めての行為で遼子を気遣って兄はゆっくりと動いてあげてた。

遼子はたぶん初めてなはずなのにかなり感じててトロトロふにゃふにゃになってて
自分から鷹藤にキスをせがんで舌を絡めててやらしかったなー。
そんな遼子と鷹藤を見た兄『二人の世界になってるなーコラー』って感じで
急激にガンガンと後ろを責め始め、遼子は身体をのけぞらせて感じまくり。

自分の責めで感じまくる遼子を見てニヤリな兄。
兄にはかなわねーなーな顔の鷹藤。

といった感じの夢、だったと思う。たぶん。

夢では観てないけど、その身体をのけぞらした遼子と兄がキスをする姿を想像して
2度美味しい私なのでしたw
111名無しさん@ピンキー:2010/12/27(月) 23:13:44 ID:T6cV2SSE
>>110
美味しいおすそ分けありがとうございます!
脳内で妄想再生して鼻血でましたww

自分も初夢でそんな素敵な夢が見られますよーにw
112名無しさん@ピンキー:2010/12/27(月) 23:24:27 ID:AYTRGnAf
>>110
何度でも脳内リピートできそうな濃密なエロ夢ありがとうございます。

>身体をのけぞらした遼子と兄がキスをする姿を想像して

うわああああ!エロい!今晩いい夢が見れそうです。
113名無しさん@ピンキー:2010/12/28(火) 07:27:38 ID:WKVliy/p
兄派と鷹藤派がはっきり別れてるね。
1からの流れ見てたら兄派優勢ですな。
喧嘩しない程度に鷹藤派がんがれ。
114名無しさん@ピンキー:2010/12/28(火) 14:09:28 ID:nLhITh1l
特にどっち派のつもりもないけどなー。
鷹藤×遼子のほほえましいバカップルも好きだし
兄×遼子の禁断のエロカップルも好き。

早い話が、アンタが好きなんですw
というわけで、今年もあとわずかですが、
来年も沢山の素敵アンタSSが読めますように・・・
真冬に輝くオリオンにお願い☆
115名無しさん@ピンキー:2010/12/30(木) 03:52:32 ID:hVL9ISjp
クリスマス終わっちゃったし
年またぎとか、姫はじめとかどうでしょう!

職人さん?降臨きぼん。
116名無しさん@ピンキー:2010/12/30(木) 22:46:33 ID:J0RRRDIX
「姫はじめ」着物プレイでしょうか?ハァハァ
117名無しさん@ピンキー:2010/12/31(金) 14:31:36 ID:jadvs6yz
着物かぁ…
十二単な感じを想像してしまったw


初詣エッチもいいなぁ。
流行りのポンチョを羽織ってる遼子。ポンチョの下はブラと厚手のセーターのみ…。
遼子の後ろに回り込み後ろから手を差し込み器用にブラのホックを外す○○。

突然のことにびっくりしている遼子をしりめに、混雑しているのをいいことに
ぴったりと密着した状態で柔らかな胸をそっと包み込む○○。

外気で冷えている遼子の乳房に○○の手の温もりがじんわりと沁みる。
声が漏れそうになるのを堪える遼子。
乳首はすでに痛いほど尖がっていて、刺激されるたびに身体がひくついて…。

みたいな…。
118名無しさん@ピンキー:2010/12/31(金) 14:54:37 ID:QYqlBZ79
年末ネタSSが出来たが…。残念ながらエロなし。
投下は見合わせた方がいいだろうか。
119名無しさん@ピンキー:2010/12/31(金) 15:14:48 ID:PTm3NiEk
>>117
十二単は脱がすのが大変そうだw

ポンチョ!遼子似合いそう!
どんどん揉んじゃいなよ!ww

>>118
遼子達がどんな年末を過ごしているのか知りたいです。
エロ無しでも構いません〜。
120名無しさん@ピンキー:2010/12/31(金) 16:28:58 ID:QYqlBZ79
姫初めで盛り上がっているところ失礼します。
久しぶりに書きたくなったエロくなる前の鷹遼です。
去年の年末です。エロなしすいません。

>>119
ありがとうございます。
投下させていただきます。
1212009/12/31 1:2010/12/31(金) 16:29:54 ID:QYqlBZ79
指先が冷たくなっていた。足元からも冷えが忍び寄る。
この部屋は寒いのかもしれない。
そう遼子は思ったが、エアコンのリモコンに手を伸ばそうともせず、またスコッチを手酌した。
手が言うことを聞かず、琥珀色の液体がグラスから溢れてテーブルに零れた。
自分で思う以上に酔っているようだが、どうでもよかった。

兄が居た頃、この部屋は遼子にとっていつも暖かく、そして安全な場所だった。
仕事で落ち込めば、兄がそれとなく話を聞いてくれた。
うまくいかない恋に行き詰ると相談に乗ってくれた。
話せないような悩みがある時でも、ただ傍にいてくれた。
部屋に他の人間の体温があるだけでひどく落ち込むことを避けられた。
居てくれる。それだけでよかった。

だが、兄はもういない。
いまこの2DKの部屋はただ広く、骨身まで沁みるような冷気に満ちていた。
それを忘れる為にまたグラスを傾ける。
兄がよく飲んでいた洋酒。味はわからない。ただ喉を通る熱だけは確かだった。

テレビでは紅白歌合戦が始まっていた。
華やかに着飾った歌手たち、紙吹雪舞い散る舞台。去年は兄と見ていた。
二人で年越しのカップそばを食べながら、平穏な年の瀬を退屈しながらも楽しんでいた。
その裏で兄が進めていたことも知らずに。

お兄ちゃんを最初の事件の前に止めていたら、私がお兄ちゃんの感じていた痛みをわかっていたら…。
赤と白で彩られたステージと、舞台の上で歌う歌手の姿が滲んで見えた。

その時、遼子の携帯が震えた。
鷹藤からのメールだった。
『あんた今何してんの?』
実家でぬくぬくと過ごしながら、暇を持て余しているのだろうか。

クリスマスイブの夜、道行くカップルと同じように、イルミネーションが輝く樹木の回廊を二人で歩いた。
それから二人でラーメンを食べに行った。
あの距離。少し手を伸ばせば、触れられるほど傍にいたあの時。
あの時の自分たちはまるで…。

今までだったら、そうなった相手とバージンロードを歩く姿もありありと心に描くことが出来た。
しかし、鷹藤とはそうできなかった。同僚として、相棒として大切にもしたかったし、なによりも鷹藤は
兄の事件で家族を全て失っている。鷹藤から見れば、遼子は敵の妹になる。
鷹藤の家族の墓参りを許してくれたとはいえ、過剰な期待も、強い思いを抱くことにも踏み切れないでいた。

『部屋でのんびりしてる』
そっけない返事だが、それだけの文字を打つのにも時間がかかった。
本当はもっと書きたいことがあった。もっと伝えたいことがあった。
だが酔いのせいか、指はそれ以上動かなかった。

すぐに返信が来た。

『クリスマスに俺が言ったこと憶えてる?』
1222009/12/31 2:2010/12/31(金) 16:31:38 ID:QYqlBZ79
遼子は首を傾げた。
クリスマス…。ラーメンを食べに行った時、鷹藤相手なのに遼子は緊張してしまい、ラーメン屋で
ビール大びん2本と、日本酒2合をほぼ一気に空けてしまった。
そのために、店を出る時は鷹藤に肩を貸してもらわねばならぬ程酔っていた。
あの時、ひどく真面目な顔で鷹藤が何か言っていたような気がする。
だがその時言われた言葉は、遼子の酔いのまわった頭に残らなかった。
そういえば、仕事納めの時にも、クリスマスの約束だけど、あんたさえ良ければとか何か言っていた
気もするが、その時も遼子は軽く聞き流していた。

『なんだっけ?』
のろのろと文字を打つ。
テレビから歓声が聞こえた。部屋の寒さがまた増した気がした。

「あ〜もう、やっぱり憶えてねえのかよ!」

玄関先からの大声に遼子は飛びあがった。
ふらつきながらも玄関に辿りつくと、ドアスコープを覗きこんだ。
不貞腐れた顔の鷹藤が居た。
ドアを開け、鷹藤に遼子が怒鳴った。
「そんな大声だして…。それにいきなり押しかけるなんて何よ!近所迷惑じゃない」
「忘れたあんたが悪い。っていうか、なんだよその顔。飲み過ぎだろうが」
鷹藤が遼子を睨んだ。

「私が酔ってるからって、女の一人暮らしに上がりこもうっていうの」
鷹藤が片手に持ったコンビニの袋を掲げた。
「どうせ酒ばっかり飲んで、ろくなもの食ってねえだろ」
「年末くらいお酒飲んでテレビ見て過ごしてもいいじゃない」
「ひとりで?」
「大人の女はね、孤独を楽しんでこそなのよ」
「眼、泣いた後あるけど」
遼子が慌てて涙の跡を拭う隙をついて、鷹藤が玄関に入りこんだ。

「ちょっと、鷹藤くんどういうつもり?」
遼子は狭い玄関先で鷹藤と向きあった。
怒る遼子をよそに、鷹藤は室内を見回している。鷹藤はリビングのテーブルの上に乗る洋酒の瓶や、床にある
ビールの空き缶の山を見てからリビングの壁に眼を止めた。
「あんた寒くないの、この部屋。それにしてもひでーな、やっぱり…」
憐れむような独り言だった。
「何よ、いきなり人の家にあがって、それはないじゃない」
「片山さんがやったあの落書きまだそのままじゃねえか」
疑いを逸らすべく、兄と片山が自作自演でやった毒々しい色のスプレーでの落書きは壁一面にまだそのまま残っている。
「来年になったら、内装屋さんが来て張り替えてくれるんだけど…」
自分の恥部を見られたような気になり、遼子は鷹藤から眼をそらした。

「で、あんたはここで年越しするのかよ」
「だってここは私の家だもの。ここが一番落ち着くわ」
「こんだけ落書き残っててもか」
鷹藤が疑うように遼子を見ながら言った。
「当然でしょ」
遼子は虚勢と共に胸を反らした。弱みは見せたくなかった。
「…俺だったらここで年越しするのは嫌だな」
「失礼なこと言わないでよ」
「こんな部屋じゃ落ち着かないだろ。色々思い出してさ」
「いい思い出だってあるもの」
だがその思い出は遼子を押しつぶそうとしていた。だからこそ酒が必要だった。
1232009/12/31 3:2010/12/31(金) 16:32:48 ID:QYqlBZ79
「逆の思い出もあるだろ」

「…ここは私の部屋だし、ここしか私は行く場所が無いのよ」
思わず出た本音。
弱みをさらけ出した今の顔を鷹藤には見られたくなかった。遼子は思わず俯いた。

「…行くところが他にあったらどうする?」
その声に遼子が顔を上げると、鷹藤が遼子を見ていた。
気のせいか遼子は鷹藤の視線をいつもより柔らかく感じた。

「俺、クリスマスの時言ったろ、あんたがもし、年末年始ひとりぼっちで落書きだらけの部屋に居るんだったら、
 俺の家、来ないかって。広くないけど落書きもないし、少しはましだって」
その言葉に遼子の胸が熱くなって息がつまった。
「…どうしてよ」
遼子はようやく言葉を絞り出した。
「何が」
「下心あるんでしょ?いきなり部屋に連れ込もうなんて」
眼のふちに熱いものが溢れそうになるのを感じながら、遼子は言った。

「…俺はあんたが心配なだけ。部屋のリフォームもしないまま、一人でこの部屋にずっといるのは
 辛いだけだろ。かといって俺と同じで安月給のあんたに年末年始ホテルに泊まる金なんかなさそうだし」
鷹藤がそっけなく言った。

「もし、俺と一緒が厭だったら、あんたが俺の部屋を自由に使って、俺は実家に行けばいい。狭いけど俺の部屋
本もあるし、ゲームもある。悪くないと思うけど」
「し、下心が見え見えよ。それで流されるような安い女だと思ってつけこもうっていうのね」
鷹藤が心底呆れたような顔をして遼子を見た。遼子は溢れる涙を気取られぬように、下を向いた。
だが、肩が震えるのは止められなかった。

「あのさあ、男がこういうこと言う時、下心しかないってあんたは思ってるのか。…下心以外にあると
 思うけどな」
鷹藤の眼が、ひどく真面目に何かを訴えていた。
遼子を驚かさないようにだろうか、ゆっくりと鷹藤が手を伸ばす。

「あんたの兄さんのこととか、いろいろあったけどさ…。ほっとけないだろ、守りたいって思ってるあんたのこと」
コンビニのレジ袋を提げていない方の手で、遼子を抱き寄せた。

鷹藤の胸に遼子は顔をうずめていた。そこは温かかった。
この部屋で感じた久しぶりの温もりだった。遼子の震える背をなだめるために鷹藤の手が優しく撫でる。
遼子に温もりを分けるように鷹藤はしばらく抱きしめていた。それから遼子の頬に手を添え、上を向かせると
顔を近づけた。

「鷹藤君あのね…」
「いいから目、閉じて…」
鷹藤の唇が触れようとした時だった。
遼子の腹が盛大になった。
鷹藤の動きが止まる。酔いで赤くなった遼子の顔が更に赤くなった。

「殆ど食べないでお酒飲んでたからお腹すいちゃったみたい…。鷹藤くんの持ってきた袋からいい匂いしてるからつい…」
「まったくあんたは…」
鷹藤が苦笑いしてから、二人の間にレジ袋を掲げた。
「肉まん買って来たんだ。あとでゆっくり食べようぜ」
「あと…?」
「このあと」
鷹藤が微笑んで、遼子に顔を近づける。
鷹藤の温かい腕の中で、遼子も今度は瞳を閉じた。



新春一発目は、ふたりに一発やらせる予定です。今回はすいません。
124名無しさん@ピンキー:2010/12/31(金) 18:00:39 ID:PTm3NiEk
年末エピソード、GJ!
年明けの1発、楽しみにしてます!
1発といわず、何発でも…ww
1252010/12/31-2011/1/1 1:2010/12/31(金) 20:31:54 ID:QYqlBZ79
連投失礼。
カウントダウンイベントです。こっちもエロなしすいません。


まるで祭りのようだ。普段は車が行きかう道路は封鎖され、そこには大勢の人間が居た。
群衆の合間には警備に当たる警察官の姿がある。
交差点そばにあるビルの電光掲示板を見つめるものも、携帯電話を見るもの、隣合わせに立つ者と談笑するもの、
その全ての顔がほころんでいた。
電光掲示板には11:58と数字が浮かんでいる。
新年まであと2分。
見上げた遼子の背を誰かが押した。身動きがとれない程の人ごみだった。
群衆の中ではぐれるのが怖くて、遼子は隣に立つ鷹藤の手を握った。

大手のソーシャルネットワーク運営会社が、日本でもNYのタイムズスクエアのカウントダウンイベント
並みのイベントを行おうと、その加入者に呼びかけた。
イベント内容も、繁華街の道路を封鎖し、真夜中に花火を打ち上げるなど、欧米のイベントそのままのものだ。
ここまで大規模で本格的な街頭でのカウントダウンイベントは日本初だった。
そのせいか、当初予想されていたよりも大勢の人間が押しかけていた。
「すごい人ね」
遼子が隣に居る鷹藤に言った。
「あんたみたいな暇人が来てるんだろ」
鷹藤があきれ顔でまわりを見回していた。
「なあ、向こうっぽいカウントダウンイベントってことはさ」
鷹藤が言い終わらないうちに、電光掲示板に30の数字が浮かんだ。
「29!28!27!」
周りの人間がカウントダウンを始めた。声が束になり真冬の夜風の中響き渡る。
「5・4・3・2・1…」

電光掲示板に2011の文字が大きく映し出された。
群衆がいる道路の周りのビルの屋上から大量の紙吹雪がまかれ、まるで本当の雪のように新年を喜ぶ人々の
上に降り注ぐ。

ビルの向こうから、花火が大輪の華を空に描くのが見えた。
それから、打ち上げ花火が連射される。腹に響く打ち上げ音が轟く。
だがそれも群衆のあげる歓声にかき消されていた。
花火を見あげる遼子を鷹藤が抱き寄せた。
そして白い紙吹雪が舞い降りるなか、鷹藤は遼子にキスをした。

「ハッピーニューイヤー!」
どこかしこからそう言う声が聞こえた。
遼子の周りの人々も、欧米のカウントダウンイベントのように、恋人や友人であろうとなかろうと、近くに居合わ
せた者同士キスをしていた。

空で瞬く花火がお互いの顔を照らすなか、二人は唇を離した。
「鷹藤君、おめでとう」
「ああ。今年もいい年にしようぜ、お互い」
「うん…」
二人だけの静かな語らいの時間はすぐに絶たれた。

鷹藤の後ろから数人の派手な格好をした若い女がやってくると、遼子と隔てるように鷹藤を囲んだ。
「ちょっとお、お兄さんもその人ばっかりじゃなくて、こっちおいでよ!」
1262010/12/31-2011/1/1 2:2010/12/31(金) 20:35:27 ID:QYqlBZ79
「なんだよ、おい!」
鷹藤も抵抗するが、若い女たちに取り囲まれ姿が見えなくなった。
「た、鷹藤君…」
鷹藤の元へ行こうとした遼子を後ろから誰かが抱きしめた。

「きゃっ…。な、何!」
いきなりのことに遼子が軽くパニックになった時だった。
「ハッピーニューイヤー、遼子」
忘れもしない声が遼子の耳をくすぐる。懐かしい温もりが遼子を包んでいた。
そして遼子の頬にそっと唇が触れた。
「もしかして…お兄ちゃん?」
遼子を抱きしめていた手が離れた。

遼子が振り返る。長身の男の背中が遠のいていく。
遼子が兄の方へ手を伸ばすが、人ごみに阻まれた。
紙吹雪が舞い落ちる中、抱き合う男女や肩を組み騒ぐ若い男たちの姿の向こうに、見覚えのある背中が消えていく。
「お兄ちゃん!お願い!待って!行かないで!」
人をかき分けて進もうとする遼子の腕を、顔じゅうにリップグロスたっぷりのキスマークをつけた鷹藤が掴んだ。
「どうしたんだよ?」
「お兄ちゃんが…」
「あんたの兄さんが?」
遼子の視線の方向へ鷹藤も眼を向けた。
兄の背中はもう見えなくなっていた。
「居たの、私の傍に居たの」
「…そうか」
「…次は、次こそはわたしお兄ちゃんの手、離さない」
「…」
鷹藤は遼子にその手を掴んでどうするかを聞いてこなかった。

きっと鷹藤もわかっているのだろう。その手を掴んで警察に行かせるべきだと思っていたとしても、
遼子がそうできるかどうか逡巡していることを。
遼子の人生全てを狂わせておきながら、己の人生をかけて遼子を守ろうとした相手の手を手放せるか迷っていることを。

「捜しに行くぞ。きっとまだ遠くに行ってないはずだ」
人ごみをかき分けながら鷹藤が歩きだした。
「警察だってたくさんいる中にやってくるんだから、逃げ切る自信あるんだろうな。だけど、あんたの前に姿を
 現したのは追いかけて来いってことだろ」
鷹藤が遼子の手を強く握った。
「じゃ、追いかけてやろうぜ。あんたの兄さんがまた何かを始める前に。今度こそ止めてやろう。な?
 今度のあんたはひとりじゃない。きっと止められるさ」
「そうね…きっとそう」
遼子は鷹藤と離れないように、きつくその手を握り返すと二人で人波をかき分け,兄の姿を求め歩いて行った。


そして来年も三角関係は続く…。
エロなし失礼しました。皆さま、良いお年を〜。
127名無しさん@ピンキー:2010/12/31(金) 21:50:40 ID:PTm3NiEk
カウントダウン第2弾もありがとうございます!

来年も素敵な作品が投下されるのを楽しみにしてます。

遼子の中の人の、着物姿が可愛いなぁ…と眺めつつ
皆さまどうぞ良いお年を。
128iomikuji idama:2011/01/01(土) 19:00:25 ID:kcOZll29
あけましておめでとうございます。
今年もいろいろ萌えれるといいですねー。
129名無しさん@ピンキー:2011/01/03(月) 22:07:41 ID:dM49Lmuu
新作きてたんですね!プラトニックな鷹遼もイイ
がしかし、新年初エッチに期待。
130名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 16:33:54 ID:s0JsDFVD
新年初エロは、爽やかに鷹遼姫初めのつもりが、気付けば
3人汗塗れのサンドイッチのことばっかり考えている。
131名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 17:28:22 ID:4t1mN+T4
遅くなりましたが、あけおめです。

>>130
いや、サンドイッチでも、お正月らしく豪華でいいんじゃないっすか?w
132名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 22:51:59 ID:FsN8mNdC
姫初めならやっぱり着物だよねー。

色白な遼子には赤襦袢を着せて、腰紐は解かずに少し肌蹴させて。

赤襦袢に隠された中では兄と鷹藤のモノが激しくピストンのサンドイッチ。

ちょっと被虐的にするなら両手は縛って上に吊るしちゃうとかねー。
133名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 23:25:58 ID:JI8LoOCX
鷹遼なら遼子がホロ酔いで自分から誘っちゃう
みたいな感じでも全然イイな。
浴衣と違って着物は何かと大変そうだ。

鷹藤カメラマンだしエロなしで遼子の着物撮影とかもいいなぁ。
134名無しさん@ピンキー:2011/01/07(金) 00:09:37 ID:Ozr6qK0f
赤襦袢もいいけれど、いろいろあってド淫乱もいいかな、と。
新春一発目が、一発で済まなくなった。
失礼して投下。今度も長いです。すいません。

>>133
エロなし撮影会、素直になりきれないコンチクショウな感じの鷹藤を妄想した。
135134:2011/01/07(金) 00:23:15 ID:Ozr6qK0f
しまった、タイトル考えてなかった。
投下延期します。
136名無しさん@ピンキー:2011/01/07(金) 09:50:27 ID:EIcAIMiB
投下、正座してお待ちしております。
137名無しさん@ピンキー:2011/01/07(金) 23:47:35 ID:Pqn55pO0
エロの絡んだ話ができないからか小澤さんの単独スレは過疎ってますね
138135:2011/01/08(土) 01:12:59 ID:nrxQcHnZ
サンドイッチ仕上がりました。
投下します。
139夜の果てに 1:2011/01/08(土) 01:14:49 ID:nrxQcHnZ
交差点で、携帯電話を手に鷹藤は途方に暮れていた。
アンタッチャブル編集部から駐車場へ歩く途中で、赤信号につかまった。
足を止めたついでに、今日連絡の取れない遼子へ電話をしてみたのだがまたも繋がらなかった。
鷹藤の胸が不安で重くなっていく。

鷹藤と遼子が付き合いはじめてからもう1年近く経つが、離れて仕事をする時はいつもうるさい位メール
や電話を鷹藤にかけてくる遼子が、今日に限って半日以上かけてこない。
心配になった鷹藤が何度も連絡を取ろうとしたが、遼子の携帯電話は電源すら入っていないようだった。
今日はいつもと違い、鷹藤は遼子とではなく城之内と一日組んでいた。
与党内で若手議員によるクーデター、それによる幹事長の更迭との情報を掴んでその取材をしていた。
だが、それもガセネタだったらしく、日付が変わる時刻まで取材に当たったが空振りに終わった。

昼ごろに、芸能人のスキャンダルのネタ元に会うために遼子が編集部を出ていってから連絡が無い。
編集部にも鷹藤にも連絡はなく、こちらがかけても遼子の携帯電話につながらない。
背筋を冷たいものが走る。
もしかしたら携帯電話の電源を何かの事情で切ってそのままなのかもしれないが、編集部に連絡ひとつ寄越さな
いのは遼子らしくない。

信号が青に変わった。

鷹藤が歩きだした時、莫迦みたいなスピードを出した車が眼の前を走り抜けた。
鷹藤はその車を茫然としながら見送った。
と、走り抜けたはずの車が10メートル程進んでから急停止し、白煙とタイヤの焦げる臭いをまき散らし
ながらバックすると、鷹藤の前で急停止した。
助手席のドアが勢いをつけて開き、大きな手が驚いて立ちすくむ鷹藤を車内に引きずりこむ。

「何すんだよてめえ!」
強張った喉を動かし、鷹藤が引きずりこんだ相手を見た。
死んだはずの遼子の兄、鳴海洸至が血走った眼で鷹藤を見ていた。
死者が眼の前にいることの衝撃に鷹藤が浸る間もなく、洸至が怒鳴る。
「ドアを閉めろ!」
鷹藤がドアが締めきらないうちに、洸至はアクセルを踏んだ。
「何だっていうんだよ。俺をどうする気だ!」
「説明は後だ。今は後ろの遼子をなんとかしないと」
後部座席に目をやった鷹藤は茫然とした。

そこには横たわり、半裸で悶える遼子がいた。
上はキャミソール、下は足首のあたりに引っかかっているショーツだけだった。
遼子は左手で自分の太ももを抱えると亀裂の奥まで見せつけるように大きく開き、右手で亀裂を弄くりせつなげ
な喘ぎ声を絶えず漏らしていた。
街路灯の微かな光が、遼子の濡れた太ももと、大きく開いた襞を照らす。
暗がりでもわかるほどそこは濡れていた。
溢れ出た蜜がシートを濡らすもの構わず、遼子は右手の中指を亀裂に沈め音が立つ程激しく抜き差ししていた。
「はぁ、あぁああんっ、欲しいの…もっとすごいのが欲しい…」
口を閉じるのを忘れ、鷹藤はその光景を見ていた。
遼子は鷹藤と躰を合わせることに慣れたとはいえ、鷹藤の前でもこんな行為をしたことはなかった。
それを車内で、しかも実の兄と鷹藤の眼前でしていた。
食い入るような鷹藤の視線に気づくことなく、遼子は没頭している。
鷹藤は愕然としながらも、遼子の亀裂が卑猥に指を咥えこみ、蜜を吐き出す様から眼離せないでいた。
140夜の果てに 2:2011/01/08(土) 01:15:55 ID:nrxQcHnZ
「もういいだろ」
運転席の洸至が鷹藤に声をかけた。
その声で我に帰った鷹藤が洸至を睨みつけた。

「一体なんだよ、これ…。何をしたんだよ!!」
衝撃から目を醒ました鷹藤が洸至に怒鳴る。
「ひので教団。憶えているか?」
ひので教団…。忘れもしない、鷹藤と遼子が組んで最初に取材したいわゆる「予言報道」事件、ジャーナリスト
有栖川を使って敵対する企業に不利な事実をねつ造し、時には死者を伴う事故までも引き起こした事件の黒幕
のカルト教団だ。
「ひので教団と有栖川は邪魔だったんだよ。だから俺がアンタッチャブルに情報を流して潰させた。
もともと公安にマークされていたから破壊行為の発覚もあって、俺の目論見通りあっという間に教団は解散、
教祖代理は塀の中だ。大体の信者は他の新興宗教団体に流れたが、西園寺のような狂信的な信者は地下に
潜って教祖代理を未だにあがめている。そいつらにとって教団を潰した名無しの権兵衛と、記事を書いた
アンタッチャブルの記者は不倶戴天の敵ってわけだ」
洸至が話している間も、車内に遼子の喘ぎ声が響く。遼子の出す濃厚な雌の匂いが車内に満ちていた。
鷹藤の理性が揺らぎかけるのを意識して押し留めていた。

「記事を書いた上に、遼子は名無しの権兵衛の妹にあたる。復讐するには最高の相手だ。奴らは、遼子を死ぬ
より酷い目に合わせることにした。薬を喰わせて輪姦す。しかもその映像をネットで流す気だったらしい。
最低だよ…本当に最低だ」
洸至が不愉快そうに眼を細めた。
「…教団にいる俺の内通者から情報があった。遼子が薬を喰わされた後だったが、何とか取り返すことが出来た」
「あいつを攫った奴らは?」
洸至は答えず、口元に笑みを浮かべた。目に昏い光が宿る。
鷹藤がその表情に思わず息を呑んだ時、洸至のシャツの襟元に赤い飛沫がついていることに気がついた。
「奴らにはそれなりの償いをしてもらったよ。問題は遼子だ。薬が抜けるまで眼が離せない。
 かといって法に触れる薬を奴らが喰わせたせいで病院にも連れていけない。だから恋人であるお前が遼子の
面倒を見てくれ。場所と医薬品は俺が用意する。…全ては俺のせいだからな」
洸至がそう言った時も、後部差席の遼子は喘ぎ続け、己の躰を貪っていた。



都心の瀟洒なマンション――その一室が洸至の隠れ家だった。
広い室内に最低限の家具とベッドしかない殺風景な部屋に洸至は二人を案内した。
「この部屋の防音は完璧だ。外に音が漏れる心配がない。遼子がいくら騒いでも大丈夫だ」
「で、どうすりゃいいんだよ」
「お願い、しよ?ね?鷹藤くんしよ?」
男二人が会話をする間にも、半裸の遼子は愛撫を懇願し鷹藤の耳を舐めあげていた。
「…薬を喰わせた場所が問題なんだよ。奴ら直接遼子の粘膜に喰わせやがった」
「粘膜?」
耳の穴に舌を入れられて話に集中できない。
それに遼子が発する雌の匂いが鷹藤の理性を掻き乱す。
「…これ以上言わすのか、俺に。」
洸至が妹の姿から目を逸らしながら言った。
「ヤクザがよく使う手だよ。そこに薬を入れれば女は全身性感帯だ。その状態じゃ鎮静剤すら効かない。
 効いている間は何をしても眠らずに男を欲しがるんだよ。…遼子が眠ったら点滴を打って身体から早く
排出させるから、それまでお前が傍に居てやってくれ」
141夜の果てに 3:2011/01/08(土) 01:17:33 ID:nrxQcHnZ
「眠るまで、俺に傍に居ろってのは」
「抱いて…いっぱいして。おかしくなりそう…」
虚ろな目で愛撫をせがむ遼子の声が部屋に漂う。妹の聞くに堪えない言葉を聞いて洸至が唇を噛んだ。
「つまりそういうことだ。遼子が満足して眠ったら電話をくれ。俺は外で待っている」
洸至が鷹藤に遼子を任せ部屋を出ようとした時、遼子が兄の元へふらつきながら歩いて行く。
キャミソールの肩ひもが落ちて、乳房が見えかかっていた。

「お兄ちゃん…行かないで」

潤みきった眼で遼子が微笑む。だが目に普段の遼子にある理知の光は無い。
黒く塗りつぶされたような瞳を見て、洸至の顔が哀しげに歪んだ。
「遼子…鷹藤くんが傍に居るから、俺がいなくても大丈夫だ」
妹を振り切るように踵を返した洸至の手首を遼子が掴む。
「お兄ちゃん…またわたしを置いていくの?」
その言葉で洸至が足を止めた。
「遼子…」
洸至の首に遼子が腕を廻し躰を押し付ける。
「ずっと一緒に居て…もう置いていかないで…」
遼子が兄の首を舐めながら、太ももに手を這わせた。
洸至に抵抗のそぶりはない。
理性を手放した遼子には、今まで見たことのない淫靡な美しさが宿っていた。
それに囚われたように洸至は動けず、妹のなすがままになっていた。

「おい、目を覚ませってば!兄さん相手に何してるんだよ」
後ろから鷹藤が遼子を抱きとめる。
「…寂しかったのよ…お兄ちゃんのせいで…」
「俺のせいか」
洸至が遼子の頬を大きな手で包んだ。それを了解と勘違いした遼子が兄に口づけをしようとした。
「だめだって!兄妹なんだから!」
鷹藤が遼子を洸至から離そうと腕に力を籠め後ろへ引っ張った。引き離されまいと、遼子が洸至の腕を掴む。
3人はもつれるようにしてベッドの上に倒れ込んだ。

「ふふ…」
遼子が楽しげに微笑む。
「3人だったら寂しくない…」
遼子を挟み困惑する鷹藤と洸至の視線が合った。
鷹藤の首に手を廻し遼子が唇を重ねる。ねっとりと舌を絡ませ、鷹藤の唇を遼子が蹂躙する。
鷹藤の唇が熱を持つ前に、遼子は唇を離すと、今度は洸至の唇と重ねた。
遼子の舌が出す湿った音が鷹藤の耳を打つ。

「遼子…!」
押しのけようとする洸至の首を抱きしめ、遼子が兄の唇を覆うと舌を這わせる。
「やめろって!」
鷹藤が遼子の肩を掴み、兄から引き離す。遼子が不満げに鼻を鳴らした。
それから鷹藤の顎に手を添えると遼子はまた唇を重ねた。
しばらく鷹藤の唇を貪ると遼子は満足げに唇を離し、恋人の眼を見た。
「鷹藤君…お兄ちゃんに嫉妬してるの?」
遼子の光のない瞳を鷹藤は見ていられなかった。
ここに居るのは遼子であり、遼子ではない。その印がこの光のない瞳だった。

「そんなわけないだろ!あんたら兄妹なんだぞ。こんなことしたら、後であんたが辛いだろうが。
早く元に戻ってくれよ」
「いいじゃない…兄妹でも…お兄ちゃん私が嫌い?」
遼子が首を傾げ蕩けきった眼で洸至を見る。
「…好きだよ、遼子が」
仰向けで横たわる洸至の声は掠れていた。
「わたしもお兄ちゃんが好きよ」
遼子が洸至の太ももに手を這わせる。
142夜の果てに 4:2011/01/08(土) 01:19:01 ID:nrxQcHnZ
「違う。その好きじゃ…」

遼子の手が服の上から洸至自身に触れた。
「違うのに、どうしてお兄ちゃんのここがこんなになってるの…?」
服の上からでもわかるほど屹立したものを遼子が愛おしげに撫でる。
「だったら抱いてよ…めちゃくちゃにして。躰が変なの。お願い…助けて…」

兄を撫で上げる遼子の腕を鷹藤が掴んだ。
「抱いてやるから。俺があんたをめちゃくちゃにしてやるから、兄さんとそんなことするなって」
鷹藤が後ろから遼子の乳房を揉みあげる。
遼子からすぐに甘い声が漏れ始めた。
「こうして欲しいんだろ。俺で我慢しろって」
洸至の視線を痛いほど感じながら、鷹藤が遼子の汗で光るうなじに舌を這わせ、張りつめた乳房の先を指で弾く。
「ふぅっ」
男からの快楽に遼子は満足そうに喘ぐ。
遼子は身をよじり喘ぎながらも、鷹藤の硬くなったものを求め、左手で服の上から形を辿っていた。
「ねえ鷹藤君、もっと…もっとしよ…」
鷹藤が遼子の亀裂へ指を潜り込ませ、音が立つ程掻き回し始めた。
「きゃあんんっ」
鷹藤の手で乱れながら、遼子が兄へ空いている手を伸ばす。

「お兄ちゃんも来て…私を助けて…」

洸至が音を立てて唾を呑みこんだ。そして伸べられた遼子の手を取る。
「最低だな…俺は」
洸至が自嘲気味にそう言った。
諦めたような笑みを浮かべ、洸至は遼子に口づけをした。

兄妹の立てる舌の音が響く。
自分の恋人が艶めかしく兄と舌を絡め合わせる光景は、おぞましいことのはずなのに鷹藤はひどく興奮していた。車に引き摺りこまれた時から、鷹藤の理性は掻き乱され続けていた。
遼子の誘惑で洸至が自分を保てなくなった時に、鷹藤の理性も振りきれていた。
この行為の後、自分たちを待ち受けるのは罪悪感と自己嫌悪、そして理性の側に留まれなかったお互いへの
憎悪かもしれないが、鷹藤と洸至は止まれないでいた。
薬で理性を失った遼子の欲望を満たしてやるなんていう詭弁は捨てた。
自分たちもただ肉の欲望に支配されただけだ。
本能を刺激する熱気と遼子の雌の芳香に酔い、堕ちた。
理性の果てへ。

洸至の唇を心行くまで貪った後、遼子が今度は鷹藤の唇を求めた。
遼子の舌がすぐに鷹藤の舌を絡めとる。男の本能に絡みつく淫靡な口づけ。
こんなキスを今まで遼子と交わしたことはなかった。
遼子が唇を離し、鷹藤の唾液を味わうように己の唇を舐めた。
理性を捨てた遼子からは、淫らな美しさが漂う。
その表情で、鷹藤の心が欲望に震える。遼子を今すぐにでも押し倒したかった。

「もっと欲しい…」
だが次に遼子が求めたのは鷹藤ではなく洸至だった。
躰を起した遼子が洸至にのしかかると、兄のベルトを外し屹立したものを引き出す。
血管が浮き立ち、反り返るそれを見た遼子が艶然と微笑む。そして口に含んだ。
「んんっ、っふぅ」
口に含まれている洸至より、奉仕している遼子の方がまさぐられているような声を出す。
首を振り、頬をすぼませながら、兄のものを口で扱きあげる。
「いいよ…遼子…最高だ」
顔を隠すように垂れる遼子の黒髪を、洸至がかきあげた。
「おいひい…」
洸至自身を根元まで咥えると、淫猥な音を立てながら兄を吸いあげる。
遼子が尻をつきあげ、後ろに居る鷹藤に襞の奥まで見せつけるように脚を開いた。
143夜の果てに 5:2011/01/08(土) 01:24:59 ID:nrxQcHnZ
「わかったよ…。こっちも欲しいんだろ。…くれてやるよ」
鷹藤はデニムを下ろすと、一気に遼子の中に己を突きいれた。
「きゃああああっ」
待ちかねた快楽に遼子が口を離し、シーツに顔を擦りつけ喘ぐ。
鷹藤はすぐに激しく腰を送り始めた。
肉と肉のぶつかり合う音と、粘着質の水音を立てながら遼子と鷹藤が揺れる。

「やんっ、あっ、あんっ、すごいっ」
「遼子、俺を忘れるなよ」
洸至が遼子の顎を掴むと、半開きの唇に洸至自身を咥えさせる。
遼子はすぐに口での愛撫を再開したが、後ろから鷹藤に激しく突きたてられ、先ほどまでのようにはできず
ただ咥えながら喘ぐのみだった。
「んっ、んっ、んっ」
「すごい締めてくるぜ、あんたのあそこ」
汗を滴らせながら、鷹藤が遼子を後ろから犯す。
いつものいたわり合い、心を重ね合う行為ではなかった。
遼子の心はどこかに置き去りのまま、ただただ躰をぶつけ合うだけの行為。

「やんっ、んんっ」
「いきまくって、いつものあんたに帰ってくれよ」
鷹藤は腰を突きたてながら、遼子の背筋に舌を這わせる。
「こんなのあんたじゃ…」
薬で狂う遼子を洸至と二人で凌辱していた。
これじゃ、ひので教団のやつらと何も変わらない。
だが本能の狂奔に身を任せ白熱する行為に鷹藤は罪悪感を抱きつつ、猛る躰を止められないでいた。
「んんっ、んっ、ん」
「いきそうだ…」
熱く潤む遼子の内奥がいつも以上に鷹藤を煽り、そして男の精を求め蠢いていた。

「こっちもだ…」
遼子の口を犯す洸至も終わりが近いようだった。
「遼子、離せ…じゃないと…」
洸至が遼子の肩を掴み引き離そうとするが、その言葉を聞いて、逆に遼子が激しく首を振り、兄を扱き
はじめた。
「だめだ、遼…」
洸至の躰が痙攣した。
「畜生…」
虚脱したあと、洸至は上を向いて溜息を吐いた。
妹の唇で洸至が果てるのを見て、鷹藤の中でも何かが決壊した。
最後に遼子の尻に激しく腰を打ち付けると、鷹藤も遼子の中に精を放った。


興奮のあと、肩で息をしながら鷹藤と洸至が遼子を見下ろしていた。
「ねえ…もっと…」
薄く眼を開いた遼子が鷹藤と兄に手を伸ばす。
ベッドにしどけなく横たわる遼子の口元と亀裂からは白濁した液が垂れ落ちていた。
男二人の精を吸いあげた後も、遼子の躰の火照りは収まらぬようだった。
「どうなってんだよ…」
「薬が持続している間は、狂ったように男が欲しくなるんだよ。あと2,3時間は続くな」
「ねえ…3人でしようよ…。もっと楽しくって、仲良くなれる方法があるじゃない…」

半身を起し、遼子が二人を誘う。
「さっきは鷹藤くんがこっちだったから…今度はお兄ちゃんをこっちに頂戴」
遼子が洸至を抱き寄せる。
「遼子、駄目だ」
洸至の口ばかりの抵抗を見透かすように遼子が洸至を押し倒す。
「お前が後で苦しむのを見たくない。だから止めよう」
「ここまで来て、逃げるの?お兄ちゃんらしくないよ」
洸至自身が鎌首をもたげ、天を指す程になっているのを見て遼子が笑みを浮かべた。
144夜の果てに 6:2011/01/08(土) 01:27:09 ID:nrxQcHnZ
「もう今更怖いことなんかないよ」

洸至の上に遼子が跨ると洸至自身に遼子の亀裂を擦りつけた。
「んんっ、やっぱり大きい…。お兄ちゃん、これでも私が欲しくないの?」
「欲しくない訳ないだろ…」
哀しげな笑みを浮かべた洸至が、遼子の腰を掴む。
「…ずっと欲しかったよ。お前が。お前だけが」
「じゃあ、来て…」
見つめ合いながら、洸至が遼子の中に自身をゆっくりと沈めていく。
兄を根元まで咥えこむと、遼子が満足げに息を吐いた。
乳房を晒すようにのけぞりながら、腰を動かし始める。

「ああっ…いっぱい入っているよ…」
兄妹が繋がったところから、鷹藤の樹液と遼子の蜜が入り混ざり合ったものが流れ落ちる。
「きゃっ…んんっ…ねえ、後ろに頂戴…鷹藤君…前にしたよね、こっちで」
遼子が抜き差ししながら鷹藤を求めた。遼子の求めることは明らかだった。
勢いで過去に数度だけした事を求めていた。
「そっちも開発済みとはね…」
遼子の下で腰を動かす洸至の眉間には深い皺が刻まれていた。
鷹藤が洸至のその表情に怯んだ時、遼子が悦楽の声を上げた。
「お兄ちゃんの…すごい…いいっ…奥に当たるの…やんっ、あんっ」
男二人の間にあった剣呑な空気が霧散する。また鷹藤と洸至はまた肉の欲望へと心を囚われていった。
「お前だってすごく締まってるよ…」
「すごくいい…兄妹だっていいじゃない、気持ち良ければそれで…」
洸至が先ほど精を放った遼子の唇に口づけした。口に残る白濁した液を舌で絡めあい吸い合う。
洸至は腰を動かしながら、妹の胸を揉んだ。
血を分けた兄妹が快楽に汗を浮かべ、躰を貪り合っていた。

おぞましくも恐ろしい位淫靡な光景だった。普段自分との行為の時ここまでの熱を遼子が発したことはなかった。
その光景を見た鷹藤の胸の奥が嫉妬に疼きながらも、腰のあたりは熱を持ち、痛いほど張りつめていた。
太ももまで垂れた遼子の蜜を指に取ると、恋人の望みを果たす為に遼子の後ろにそれを擦りつけた。
「もうこっちもヒクヒクしてる…そんなにしたいのかよ、あんた」
この部屋にもう禁忌などない。
禁忌を恐れる心など、鷹藤と洸至は捨てていた。脳髄を爛れさせる程の悦楽を前に、残るのはほんの少し
ばかりの罪悪感のみ。
遼子の心を置き去りにして、踏みにじることへの罪悪感。

―――もしかしたら、この罪悪感すら快感の一部にしてるのかもな。
そう思いながら、鷹藤は遼子のすぼまりへ指をねじ込んでいく。
汗を浮かべた背をのけぞらせながら、遼子が今度は鷹藤の唇を求めた。
洸至の視線を感じながら、鷹藤は遼子の唇を舌で犯す。
薬のせいか遼子の後ろのすぼまりも、すぐに鷹藤を受けいれられるほどほぐれていた。

「欲しい?」
「いっぱい欲しい…」
洸至の胸に遼子の躰を預けさせ、鷹藤をそこに沈めていく。
「あ、ああああっ…」
悲鳴にも似た嬌声を遼子があげた。
鷹藤がゆっくりと抜き差しをはじめると、肉の壁一枚向こうで洸至のものが肉を擦るのを感じた。
流れる汗は、鷹藤のものなのか遼子の汗なのか、それとも洸至の汗なのか判然としないほど3人はもつれ絡みあっていた。
145夜の果てに 7:2011/01/08(土) 01:28:40 ID:nrxQcHnZ
「きゃああっ、壊れちゃう…すごいの…いっぱいですごいの…」
「これが欲しかったんだろ」
遼子の耳を鷹藤が舌で弄ぶ。

「鷹藤君…お兄ちゃん…もっと、お願い…」
こめかみから汗を滴らせながら、遼子が切なげに懇願する。
「滅茶苦茶にしてやるよ」
そう言うと、洸至が猛然と腰を使い始めた。
それに合わせて、鷹藤も後ろを責め立てる。
男二人に貫かれ、髪を振り乱し涎を垂らしながら遼子が悶え続けていた。
「最高だろ。これでいいんだろ。男二人にやられて」
3人の躰は溶け合うほど重なり合うのに、その中心に居るはずの遼子の心はここに無い。
心がここに無いからこそこんな行為が出来ていた。俺たちはまるで獣だ。快楽だけを貪る獣。
「や、うん…好き…ああっん…こうされるの好き…それに二人とも好きだから…」

その言葉に羞恥で鷹藤の耳が熱を持った。
遼子の首筋に額を擦りつけ、目を瞑る。
「あんたの躰でこんなことしてる俺達にそんなこと言うなって」
鷹藤の殊勝な言葉を聞かせたくなかったのか、洸至が遼子の頭を抱き、突きあげるリズムを上げた。
それで遼子の快楽の度合いが上がったのが、鷹藤を締め付ける強さでわかる。
「ああっ、やああっ、いく、いくのお、いっちゃうっ!!!!」
「一緒にいってやる、一緒にいこう遼子」
洸至が遼子と唇を重ねた。もう遼子に舌を絡め合わせる力は残っていないようだった。
兄のなすがままになり、舌を吸われていた。

「んんっ、あんっ、きゃあああああああっ」
唇を離し、遼子がのけぞった。
「中に出してやるから」
洸至が妹の耳元で囁く。
鷹藤も強く抜き差しし打ち付けた。
「駄目…もう駄目…いくっ」
遼子の背が硬直していく。
「そんなに締めるなって、こっちもいきそうだ」
締めつけられ、射精感を堪える鷹藤の額の汗が遼子の背に滴り落ちた。
「きゃああああん、いく、いっちゃう!」
「…っ。こっちもだ」
洸至が内腿を震わせ遼子の中に精を放つ。
遼子はその時既に意識を手放し、洸至の上に倒れ込んでいた。
限界が訪れた鷹藤が遼子の中に全てを放つと、汗にまみれた恋人の背中に躰を預けた。



遼子の枕元にある椅子に座る鷹藤の横に立って、洸至が輸液の滴下速度を調節した。
ベッドのそばに置いたコートハンガーを点滴スタンドの代わりにして、遼子に点滴をしている。
あのあと鷹藤が汗と精液に塗れた躰を拭いたのもあって、安らかな表情で静かな寝息を立てる遼子からは、
憑かれたように男を求めたあの狂態の名残など微塵も感じられない。
146夜の果てに 8:2011/01/08(土) 01:30:10 ID:nrxQcHnZ
「これをひと袋点滴すれば、たぶん大丈夫だろう」
鷹藤が洸至に探るような視線を送った。
「薬抜き用の点滴だ。医師免許を持っている奴に作らせたものだから安心しろ」
一人の女を奪い合うようにして貪った二人の男は、眠る遼子を見つめながらぎこちない会話を交わした。
「あと2時間くらいで眼を醒ますはずだ。使われた薬からすると、記憶が残っている確率は五分五分だ」
もしさっきの饗宴を遼子が憶えていたら。きっと、自分を責め苛むだろう。
現に今、鷹藤も身を焦がす程の罪悪感に苦しんでいた。
表面上は変わりなく見える洸至も、眼の奥が沈んでいるように見える。

「起きるまでここで待ってるよ。あんたは」
「俺もここにいる。もし遼子が全てを憶えていたら…今度こそ永遠に憎まれるだろうな。兄の俺が
 あんな最低なことをしたんだ」
椅子をひきずってベッドの傍に置くと、洸至が座った。
「それがわかってて、起きるのを待ってるのかよ」
「今更逃げたってしょうがないだろ」
洸至が遼子の寝顔を見つめた。

「誘惑に負けたのは俺だ。俺が全部悪いんだよ」

薬で理性を無くしたから、誘惑に負けたから、それだけの理由で血を分けた兄妹があそこまでお互いの躰を
貪れるだろうか。
―――ずっと欲しかったよ、お前が、お前だけが。
洸至の言葉が蘇る。
ずっと心の奥底で息をひそめていた想いがあったからこそ血縁の枷を振り切って、あそこまでの行為に至れた
ように鷹藤には思えた。
愛し合う兄妹の痴態が脳裏を過ぎる。
三人で淫らに躰を重ねた時も、自分は疎外されていたように感じていた。
もしかしたら、想いを秘めていたのは洸至だけではなく、遼子もかもしれない。
…これは鷹藤の単なる妄想だ。確証は無い。

この部屋で起こったことも全てが鷹藤の妄想であって欲しかった。
だが見つめ合い躰を重ねた兄妹の発する熱も、あの行為もすべてが現実だった。
男の欲望を全て叶えたようなあの光景、あの体験は地獄の始まりだった。

遼子が眼を醒ました時、都合良く全てを忘れていたとしても、鷹藤はこの部屋で起こったことを忘れないだろう。
あの時憶えた微かな嫉妬と疑念、遼子を凌辱した罪悪感を身中に抱いたまま、これからの日々を送ることになる。

遼子が全てを憶えていたとしたら、今度は別の地獄か始まる。
身を裂くような自己嫌悪で己を責め苛む遼子の苦しみを傍で見つめ、その痛みを分けあう日々が始まるだろう。

―――あんたは俺にどの地獄をくれるんだ?
鷹藤は答えを求めて遼子を見た。
安らかに眠る遼子は、鷹藤のざわつく心とは対照的に満足げな表情を浮かべていた。

…どっちでもいいか。
次にあんたが眼を醒ました時に、またいつものあんたに戻ってくれればそれでいい。
できれば、この部屋での記憶は夢の中に置き去りにして帰ってきてくれ。
そうすればあんたの心だけでも救われる。
この長い夜の果てに、哀しみを抱えるのは俺だけでいい。
祈るような気持ちで、鷹藤は遼子の眼が再び開くのを待ち続けていた。



新春一発目から、サンドイッチしても兄に寝取られるという鷹藤悲惨物語になってしまった。
長すぎてすいません。
147名無しさん@ピンキー:2011/01/08(土) 08:49:38 ID:zrqqMPP4
新年一発(?)目に相応しい、兄と鷹藤による豪華なサンドイッチ!
堪能させていただきました、GJです!

これで、兄と鷹藤もきょうだ…ry
148名無しさん@ピンキー:2011/01/09(日) 21:51:31 ID:XJ5zmJiQ
「姫はじめ」ネタなのに、エロなしになってしまった。
お正月もだいぶ過ぎたのに、こんなネタでごめんなさい。




「あ〜!疲れたぁ!」
遼子は部屋に入るなりそう叫んだ。

今日は1月2日。
世間ではまだお正月ムード一色だが、遼子と鷹藤は元日早々から、
芸能人カップルの張り込み取材を命じられ、ついさっき漸く解放され
遼子は鷹藤と共に、鷹藤の部屋に戻ってきたのだ。

「ま、とりあえずお目当ての2ショット写真も撮れたし、新年早々
幸先いいスタートなんじゃねーの?」
鷹藤が遼子にビールを渡しながら、労をねぎらうように言う。
「うーん、まぁ、そうなのかな?」
「そういうことで」
2人はリビングに腰をおろすと、ビールを開ける。

「じゃあ…明けましておめでとう!鷹藤君。今年もよろしくね。」
「その挨拶は年明けたときに一応言ったけど…ま、改めて、こっちこそ
今年もよろしくな。」
そう言ってビールの缶を合わせる。

「そういえば、今日って2日だよね?」
「あぁ、そうだけど?」
「じゃあさ、『ひめはじめ』の日だね!鷹藤君、『ひめはじめ』する?」
途端、鷹藤はビールを噴き出した。

「ちょっと!やだ、どうしたの?大丈夫?」
「げほっげほっ…いや…その…『ひめはじめ』って…」
「そう『ひめはじめ』って、2日にやるものなんでしょ?いつもはね、お兄ちゃんと
お正月にしてたんだけど…」
「へっ??ええええええええ??」
鷹藤は、ただただ遼子の口から発せられる言葉のあまりの衝撃に驚愕の声をあげるしかなかった。

「何よ、さっきから!鷹藤君、ちょっと変よ?」
「…えーっと…ひとつ…聞いてもいいか?」
「??なに??」
とりあえず落ちつこうと自分に言い聞かせ、鷹藤はキョトンとした顔で鷹藤の言葉を待つ
遼子と向きあう。

「アンタの言ってる『ひめはじめ』って…」
「うん、『姫飯初め(ひめいいはじめ)』。新年の2日目に、初めて
『姫飯』…つまりやわらかいご飯を食べる日なんでしょ?」
その言葉を聞いて、鷹藤ががっくりと肩を落とす。
149名無しさん@ピンキー:2011/01/09(日) 21:59:14 ID:XJ5zmJiQ

「お兄ちゃんが教えてくれてね。だからそれからはお兄ちゃんとお正月は
2人でご飯食べてたんだけど……?鷹藤君?どうしたの??何か変??」
「いや、うん、えーっと、確かに間違っちゃいないんだけどさ…」

絶対あの人、妹の口から『ひめはじめ』って言わせたかっただけだろう!

と鷹藤は心の中で叫んだ後に、遼子にそっと耳打ちする。

「『姫はじめ』って言ったらな…普通は…………」
鷹藤の言葉を聞き、途端に遼子の顔が真っ赤に染まる。
「え?ウソ!!やだ!!」
「そんなの、高校生だって知ってるぜ?」
「えぇ!どうしよう!」
「何が?」
「さっき美鈴さんに編集部出るとき『鳴海さん、鷹藤君と姫はじめ?』って聞かれたから
『はい』って答えちゃった!!」
「…どおりで…」
別件で同じく正月から編集部に出てきていた美鈴から、帰る間際の鷹藤に向けられた
憐憫の情がこもったような一瞥を思い出しながら、鷹藤が納得する。

「ま、だったらさ」
鷹藤は、まだ顔を赤くしたまま俯く遼子の肩を抱き寄せる。
「せっかくアンタから『姫はじめ』しようって誘ってくれたんだから」
「え?ちょっと!だからそれは違う意味で…やっ!」
耳元に囁いて、遼子に口付ける。
「っふ、ううん」
「『姫はじめ』しようぜ?……イヤか?」
「イヤ……じゃない……」
「思いっきり可愛がってやるからさ。」
鷹藤は深く遼子の唇を貪りながら、遼子の体をベッドに押し倒した。




エロなしですみません。この後は新年できなかった分を鷹藤は
取り戻す予定ですw
そしてお兄ちゃ出てきていないのに、変態でごめんなさい。

新年早々、お目汚し失礼しました。
150名無しさん@ピンキー:2011/01/09(日) 23:01:46 ID:k7X/8I+G
>>148-149
エロなしでも「姫初め」GJ!
遼子に「姫初め」と言わせ、ご飯茶碗片手に眼を細めている兄が眼に浮かぶ…w
新春から変態風味が効いていてたまらない。

その続きも楽しみですw

「姫飯」という言葉、初めて知りました。
勉強になるなあ、エロパロ板。
151名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 03:26:27 ID:rSU418lT
姫初め続きを妄想しちゃいました!GJ

ところで、兄も鷹藤くんもヒゲがあるけど、
ヒゲがあるという部分を強調してエロを書いて頂けないでしょうか?

ヒゲの人とイタシタことないのでどんな感じかなと思いまして…。
152名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 16:04:01 ID:7afdk0Np
姫初め、勘違い遼子にGJ!ww

ヒゲかぁ・・・
無精ヒゲ程度だと、キスする時に「ちょっとジョリジョリするー」
ぐらいだよね?w
経験者の方、経験に基づいたお話し待ってますw
153名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 17:48:42 ID:r11wMZ93
ヒゲとの経験ないから、
ヒゲ主体のエロというと、鷹藤のヒゲの感触で
遼子が兄のことを思い出してなつかしみ、それを鷹藤が嫉妬して
遼子を攻めまくるぐらいしか考えつかない貧困な想像力…orz。

後学のためにもヒゲと…できれば兄としてみ(以下略)

という訳で、経験者の方、宜しくお願いします…w
154名無しさん@ピンキー:2011/01/13(木) 23:51:48 ID:kAWeNugT

明日は私と美鈴さんのコンビで若手政治家の会見、
美鈴さんの話しによるとかなりのイケメンでこの若手政治家
を落とすべく、編集長に頼みこんで私とのコンビ
で行くらしい。美鈴さんは明日にかなりかけてるらしく
ミニスカスーツを用意した。
私はそんな会見よりも明日鷹藤くんが中原さんとのコンビで
風俗店に取材にいくことが気掛かりでしょうがない。

帰り際、美鈴さんからの忠告で
中原さんは仕事終わりにハメはずして遊んで帰ったり
積極的な女の子からプライベートで誘われたり。
中原さんは若い女の子になぜかモテるから。
で、鷹藤くんも男だし何があるかわからないから
浮気防止の為に今夜はあなたが頑張りなさいって。


すいません、ちょっと浮かんだんで書いてみたんだけど
エロが書けなかった。
鷹遼同棲設定です。
中原さんすいません勝手に遊び人設定にしちゃいました。

続きどなたかお願い…。
155ひめはじめ その2 1:2011/01/14(金) 14:59:03 ID:pHIUZFwF
おヒゲも、同棲ラブラブも無視して、今頃「姫始め」のつづきを投下(…すみません)。
ただ三発目が書きたかっただけとの噂もw



「んっ!ううん!」
鷹藤の愛撫に遼子の胸の突起が硬く立ち上がるのが、胸を包む布の上からでも分かった。
背中に手をまわして、ブラのホックをはずす。
舌を絡めるキスをしながら、両手で乳房を包むと、遼子の体がピクンと震える。
その反応を楽しむように、鷹藤はゆっくりと遼子の胸を包み、柔らかくもみ始める。
口付けられたままの遼子の唇から、声にならない吐息が漏れた。
遼子の下唇を軽く噛み、舌でそのまま耳まですうっとなめ上げ、胸の愛撫を続けていた両手が
その先端を同時に強く摘みあげる。

「あぁん!」
いきなりの強い刺激に、遼子は思わず身体を仰け反らせて反応する。
鷹藤は、遼子の喉元に唇を滑らせると、愛撫で硬くなった乳首を唇に含む。
「やん!」
遼子が今度は甘く啼く。
鷹藤は唇に咥えた乳首を舌先で舐めながら、もう片方は指に挟み込んで、揉み込み愛撫する。
「んっ!あっ!ああん!」
鷹藤の与える愛撫に、遼子の唇からは甘い声が漏れる。

鷹藤は、唇で遼子の乳房に所有の烙印を刻みつつ、手は遼子の脚に這わせると、ゆっくりを両脚を開かせた。
「ここに、欲しい?」
鷹藤が下着の上から遼子の秘所を撫でながら耳元で囁くと、遼子が小さく頷く。
そんな遼子を鷹藤は愛おしそうに見つめると、ちゅっと音を立ててキスをする。
「いっぱい気持ちよくしてやるから・・・。」
そして、下着の中へ手を入れると、秘所を弄った。
そこはもうすでに濡れていて、指を動かす度に、くちゅくちゅと厭らしい音を立てる。

「…んんんっ!あっ!…いい…」
鷹藤の唇は遼子の首筋を、左手は胸を、右手は秘所を、ゆっくりと弄ぶ。
そんな愛撫に、遼子も甘い啼き声を漏らし、時折キスを強請り、敏感に反応する。

「なあ、そろそろ…いいか…?」
「…あたしも…鷹藤君が欲しい…」
その言葉に、鷹藤は遼子の服を全て脱がせ、自分も全裸になると、遼子を組敷いた。
そして、身体を起こして遼子の膝頭に手をかけると、一気に奥へ叩き付けた。
「あぁぁん!」
まちかねた刺激に、遼子が悲鳴をあげる。
鷹藤はその勢いのまま、何度も何度も腰を叩き付け、遼子は激しい揺さぶりにシーツをきゅっと握りしめた。

抜き差ししたまま、鷹藤は手をかけていた遼子の膝を大きく割ると、二人の結合部が鷹藤の目の前に曝される。
「もうぐちゃぐちゃだな…ココ」
「もっと…」
うっすらと目を開けて遼子が鷹藤にねだる。
「言われなくてもしてやるよ。」
遼子の足を一度閉じると、その足を伸ばして片方の肩に掛け、足を抱きしめる様にして腰を打ち付ける。 
156ひめはじめ その2 2:2011/01/14(金) 14:59:29 ID:pHIUZFwF
「あっ、あっ、あぁん!!」
腕に抱えている遼子の足が震えだす。
「もうイク…か?」
鷹藤が狭くなった秘裂に自身を押し込むと、遼子の甘美な叫び声と粘液が飛び散る低い音が部屋に滲み渡る。
「…イクっ!イッちゃう!」
「イケよ!何度でもっ!」
「ああぁぁぁっ!」
一際長い尾を引く絶叫を残して遼子は達すると、そのまま意識を手放した。

気を失っている遼子を、鷹藤は目を覚まさせようと何度も口付けながら、まだ繋がったままのモノで
ゆるゆると刺激する。
「う…ぁ…」
「起きた?」
きゅと中が締まって遼子の代わりに返事をする。そんな刺激が、鷹藤に快感の余韻を味わせてくれる。

「せっかくの『姫はじめ』なんだ。今夜は声が枯れるまで啼かせてやるからな?」
鷹藤はニヤリと笑って自身を引き抜くと、今度は遼子の体をうつ伏せにし、腰を引き上げた。
支えを失っている遼子の体は必然的に前のめりにシーツへと沈む。

鷹藤の熱い唇が背骨に沿って這い上がり、花弁のような痕跡を刻んでいく。
「んんっ!…なに?…ひぁん!」
遼子の言葉は嬌声に摩り替わる。

鷹藤が遼子の中に二本の指を埋め込むと、一度達したソコは、すんなりと指を飲み込んだ。
「やあぁ!」
遼子は腰を高く突き上げ、指の抜き差しにあわせて眉を寄せて喘ぐ。
嬌声にかぶる様に、淫猥な水音が部屋に響く。

埋め込んだ二本の指を引き抜き、指に絡んだ蜜を舐めとると、遼子の腰を引き寄せる。
そして再び硬さを取り戻したモノを秘所にあてがう。
「いや…さっき…」
しかし鷹藤は遼子の言葉を無視し、遼子の中に深々と突き立てる。
再び繋がりあった部分から掻き出された蜜が太腿を伝って布団を濡らす。
「思いっきり可愛がってやるって言っただろ?」
耳元でそう囁くと、ゆっくりと動き始める。
「ダメっ!もう!あぁぁぁ!」
頭を振りながら遼子は限界を訴えるが、鷹藤は遼子を責める手を緩めない。

鷹藤は身体を起こし、左手で遼子の左腕を掴んで引き寄せると、遼子の上半身が浮く。
そして右手で遼子の腰を支えたまま、今度は最奥だけをひたすら突いた。
「あぁっ!あぁん!はぁっぁん!やぁぁあぁぁっ!」
遼子から切ない叫び声が再び上がり始め、鷹藤の身体から飛び散る汗が遼子の背中に受け止められる。

「今日はココがいいのか?」
「んあぁっ!いいっ…のお!」
遼子も喘ぎながら何とか右手だけで身体を支えようとしていたが、乱れたベッドに力なく沈んだまま
腰だけを高々と突き出しているしかできなかった。
そんな体勢に恥ずかしさを感じつつ、遼子には逃げ出す体力も気力も無い。
徐々に抜き差しが激しくなり、一際激しく腰を打ち付ける。
157ひめはじめ その2 3:2011/01/14(金) 15:00:02 ID:pHIUZFwF
「鷹藤くん!また、私…イっちゃ…あぁぁぁぁ!」
鷹藤の腕に掛かる遼子の重みが増し、体内の楔が締め上げられると、鷹藤も熱い濁流を遼子の中に注ぎ込んだ。
そして駆け抜ける快感に遼子も悲鳴をあげてのけぞった。

「このまま、抜かずにもう1回いけるかも」
そんなことを遼子を後ろから抱きしめながら、鷹藤は耳元で囁く。
「もう…ダメ…」
遼子は達した余韻に浸りながら、何とか掠れ声で呻く。

「そういえばさ」
「…なに?」
「『姫はじめ』って『馬の初乗り』の日って意味もあるんだよな?」
「…え?」
鷹藤はそう言って、いたずらを思いついた子供のように不適な笑みを浮かべた。

「そっちの『ひめ(飛馬)始め』もしてみねぇ?」
「…んあっ!」
遼子が鷹藤の言葉に理解を示すよりも早く、鷹藤は繋がった体勢のまま遼子の身体を引き起こして反転させると
遼子に騎乗位の体勢を取らせる。
そして、遼子の腰を拘束して、下から貫くと同時に遼子の身体を落とした。
遼子は自分の重さでより深くを突かれ、一瞬、息が詰まる。
「やぁ!あああああん!」
さらに鷹藤が下から激しく突き上げると、遼子の体がのけぞり、遼子の高い叫び声が部屋に響く。

「やっ、は…あっ、いやぁ」
遼子の身体は与えられる快感に震え上がり、細かい抽送に押し出されるように、短い喘ぎが零れ、切なげに眉が歪む。
鷹藤は円を描くように腰を回しつつ、遼子の内壁により多く自身を擦り付ける為に幾度も角度を変えて突き、
やがて跳ねらせるように遼子の体を持ち上げ揺さぶった。
柔らかく丸みを帯びた尻に、鷹藤の指が食い込んでいく。
「んんっ…はぁ…ぁっ」
遼子はそんな鷹藤の動きに合わせて腰を振り続けた。

「あぁ!」
悲鳴をあげて視線を落とせば、自分の中に鷹藤のモノがが抜き差しされる光景が目に入り、遼子は固く瞳を閉じる。
しかしそうすることで、余計に自分の中の動きを思い知らされる。
崩れ落ちそうになる体を支えるため、鷹藤の首に腕を回してしがみつく。
荒い息と、嬌声が交じり合う。
唇を重ね、息もつけないほどに深く舌を絡めあう。
二人とも吐息が熱い。

口付けながら、鷹藤はまた奥まで楔を差し込む。
「まだこれぐらい大丈夫だよな?」
すでに意識が朦朧としている遼子に繰り返し口付けながら、中に埋めたモノをギリギリまで引き抜き、
一番太い部分を入り口辺りで抜き差しする。

「あぁ…ん…」
遼子の中から溢れる蜜は留まるところを知らない。
胎内をみたした遼子と鷹藤の液体が混ざり合い、淫靡な音とともに蜜壷から溢れ、大腿を伝う。
158ひめはじめ その2 4:2011/01/14(金) 15:00:26 ID:pHIUZFwF
「ねぇ、お願い、鷹藤…くん…」
快楽に浮かされながら、譫言のように遼子が言う。
「ん?」
遼子の瞳が、しっかりと鷹藤を捕らえる。
「お願い…私を…離さ…ないで…」
喘ぎ疲れて掠れた遼子の声。だが、しっかりと鷹藤の耳に届いた。
「私を…置いて…行かないで…」
誰のことを思いながら言っているのかは鷹藤には痛いほどわかる。

「アンタが離せって言っても離さねーよ。」
「ずっと…?」
「あぁ。ずっと。」
鷹藤のその言葉を聞いて、遼子が微笑む。
それはあまりにも淫らで美しい笑顔。
愛しい女が自分だけに向けた笑顔に、鷹藤は、ただ欲望のまま獣のように激しい突き上げを開始した。

「あっ!あっ!やぁっ!も・・・う・・・あぁん!」
「くっ・・・そんなに締め付けんなって」
鷹藤は遼子の腰を引き寄せると、最後の一滴までも余さず激情を解き放った。
「ひぁ、…あ、熱…ぃ、ぁああぁぁぁっ!」
意識が一気に高く登りつめ、それから静かに堕ちていく。
放出を終えた時には二人共互いに汗塗れで、絡まり合ったまま暫く動けないで居た。

「鷹藤…くん…」
遼子がうっとりとした表情で鷹藤を見つめると、唇を重ねキスを求めた。
快楽の名残に荒い息を吐きながら、二人は口付けを交わす。
先ほどまで淫らな音と熱い空気で覆われていた部屋は、少しずつその温度を下げていく。

「ずっと…一緒だよ?」
そう囁いた遼子の笑顔に、鷹藤は一瞬眩しそうに瞳を細めた後、遼子の身体を抱きしめた。
そして、そっと遼子の耳元に唇を寄せて囁く。
「来年も、再来年も…な…」
「うん」
「だからさ」
鷹藤は遼子の頬に軽くキスをしながら、言葉を続ける。

「来年もまた、二人で『姫始め』しような?」
「…バカ!」
遼子は口ではそう返しながらも、小さくこくんと頷いた。 





いい加減時期はずれで申し訳ありません。
「姫はじめ」でググったら、ネタが思いついたもので…
駄文、失礼しました。


他の皆さまと同じく、ヒゲのある方との経験が無いため、ヒゲプレイ(?)がわからない…orz
159名無しさん@ピンキー:2011/01/14(金) 15:35:48 ID:ddpDqq9+
>>155-158
ぐっじょおおおおおおおぶっ!
エロさに鼻息荒く、思い合う切なさに溜息つきつつ読みました!
遅くなっても構いません、愛ある上にエロいお話ありがとう!

しっかし抜かずの3発とは、鷹藤も若いのう…(*´∀`*)
160名無しさん@ピンキー:2011/01/17(月) 10:10:24 ID:J62FsTZp
姫はじめ第2弾、GJ!です。
堪能させていただきました。

姫はじめには色々な意味があるんですね、勉強になりましたw
161名無しさん@ピンキー:2011/01/18(火) 22:00:46 ID:cxmw1VMc
美しい隣人の檀れいの夫役をお兄ちゃんがやればいいのにーw
確かマイヤー(仲間由紀恵の役)と檀れいの夫は不倫関係になるらしいし。
162名無しさん@ピンキー:2011/01/18(火) 23:41:58 ID:3qfKQmtF
まさか仲間さんの口から再び「またお会いしましたね」というセリフが聞けるとは!
(今日の隣人にて)

実況で「アンタッチャブルじゃん」って連呼されてて、ちょっと嬉しかったw
163名無しさん@ピンキー:2011/01/19(水) 19:03:22 ID:J8IoPLDC
髭はちょっと伸びてると、たまに刺さって痛いんだよ・・・
お兄ちゃんはあまり長いほうじゃないだろうけど、やっぱり気になるかもしれないね。
164名無しさん@ピンキー:2011/01/22(土) 21:22:24 ID:enqNLsBr
かなり下がってたんで一旦アゲ。
職人さんは他にいっちゃいましたかね…。
165名無しさん@ピンキー:2011/01/22(土) 22:03:36 ID:u56ebY3/
規制に引っかかって書き込みできなかった…。

そろそろ遼子はバレンタインに向けて、色々本を買いこんで
いるんだろうかw
166夢魔 1:2011/01/23(日) 17:08:42 ID:va3a2HfN
なんの脈絡も無く、兄×遼子投下。
ちょっぴりダークかも。そして無駄に長いです。
以前の、編集長タクシー話の兄リミット解除ver後の設定です。
作者様、勝手に設定お借りしてすみません。




「ただいま」
洸至の声が玄関に響く。
他愛も無い言葉なのに、遼子の心臓はドキリと音を立てる。

「お、おかえりなさい、お兄ちゃん」
しかしそれを悟られないように、遼子はつとめて普段どおりに振舞おうとする。
「今日は早かったんだね。仕事は一息ついたの?」
「ああ、とりあえず今日で張り込みと内偵は終わったよ。」

とある夜、いつもの部屋で、いつも通りに交わされているように見える、兄妹の会話。

「お兄ちゃん、ごはんは?」
「ん、食べてきた。」
「そ、そう。じゃあ私、お風呂先に入っちゃっていいかな…?」
「あぁ、いいぞ。」
気まずい雰囲気になってしまう前に、遼子はその場を離れた。

「はぁ…」
暖かい湯に身を沈めると、強張っていた身体から力が抜けため息が零れる。
「いつも通りのお兄ちゃん…だよね…」
遼子はそっと自分の肩を抱き、肩から肘に手を滑らせる。

遼子の脳裏には、一週間前の出来事がよみがえる。

兄が、自分のこの身体に触れた記憶。
その兄が与える快楽の波に溺れた自分の痴態。

しかし、次の日の朝、遼子が目覚めた時はきちんと服を着て、自分のベッドで眠っていた。
そしてそこには、前夜の享楽の名残の欠片は一切残されていなかった。
リビングで新聞を読んでいる兄も普段とまったく変わらぬ、いつもの兄だった。

だからそれは酔った自分が見た淫らな夢だと思った。

そう、夢に決まってる。
兄が、自分にあんな事する訳が無い。

そう思って、そのことを忘れるように努めた。
幸いそれから一週間、兄は張り込みや内偵やらで忙しいらしく泊り込みが続き、
帰ってきたとしても遼子とはすれ違いの生活だったため、兄と顔をあわせる機会がないまま
遼子は普段通りの生活を過ごすことができた。
167夢魔 2:2011/01/23(日) 17:09:21 ID:va3a2HfN
しかし、その間も、遼子の脳裏には、兄の唇の感触、指の動き、耳元で囁く声、
自分を見つめる眼差しが、まるで現実のように何度も鮮明に蘇っていた。

「夢!夢!そう!アレは夢!」
そんな淫靡な記憶をあえて無視して、遼子は意識を切り替えようとする。

と、その時、いきなりバスルームの明かりが落ちて真っ暗になった。

「きゃっ、な、なに??停電?」
遼子は慌てて手探りでバスルームから出ようとしたが、浴槽から立ち上がった途端に
眩暈に襲われた。
どうやら考え事をしていた間に、長く湯につかりすぎてしまったらしい。

「おい、遼子、大丈夫か?」
遼子がバスルームの床にうずくまっていると、バスルームの扉の向こうから懐中電灯の光と共に
洸至の声が響く。
「ブレーカー上げたんだがつかないところをみると、停電みたいだな。…おい、遼子?どうした?」
返事がない事を訝しく思ったらしく、洸至が「入るぞ」と声をかけて、バスルームに足を踏み入れる。

「遼子!おい!しっかりしろ!」
顔を上げることも出来ずに床にうずくまる遼子の姿を見て、洸至は状況を把握したらしく、
一端バスルームを出ると、タオルと水のペットボトルを手に戻ってきた。
そして遼子の身体にバスタオルを羽織らせると、ペットボトルを遼子の口元まで持っていく。
「大丈夫か?ゆっくり飲め」
「ん…」
冷たい水が身体に染み込み、漸く眩暈が引いた遼子は、のろのろと顔をあげる。

「あ…り…がとう…おにい…ちゃん…。もう…だいじょう…ぶ」
「無理にしゃべるな。」
「ごめん…なさい」
「まったく…このままじゃ風邪ひくぞ」
そう言いながら、洸至はもう持っていたもう1枚のバスタオルで、濡れた遼子の身体を拭き始める。

「やっ!やだ…!」
「じっとしてろ。」
遼子は驚いて止めさせようとするが、まだ身体は重く、言うことを聞いてくれない。
兄の手を止めることもできず、そのまま身体を預けていると、少しずつ意識が戻ってくる。

「んっ!」
胸の部分にタオル越しの兄の手を感じ、遼子の身体が思わず反応する。
「どうした?遼子?」
「あ…何でも…な…」
次の瞬間、洸至の手のひらが遼子の胸の蕾に押し当てられる。
胸のふくらみをゆっくりと揉みしだく兄の手は、タオル越しとはいえ、先ほどとは違い
あきらかに遼子の身体に快楽を与えようとしている。 
168夢魔 3:2011/01/23(日) 17:09:52 ID:va3a2HfN
「あんっ!」
一週間前の記憶が蘇り、遼子の口から甘い声が漏れる。
「…感じているのか?」
「!?」
耳元に囁かれた言葉に思わず顔をあげた瞬間、遼子は洸至に唇を奪われる。

反射的に唇を閉じたが、洸至の舌はゆっくりと遼子の唇を舐めあげ、思わず吐息を漏らしたときに
スルリと口内へと侵入してきた。
やわらかくて暖かい舌が歯を丁寧になぞった後、戸惑う遼子の舌を探り出し、絡みつく。
流し込まれる唾液が溢れ、遼子の口元から流れるが、それでも洸至は口付けを止めようとしない。

深い口付けに遼子が意識を奪われている間に、洸至の手は遼子の身体を包んでいたバスタオルを
取り払う。

「んんんっ!!」
遼子は「ダメっ!」と叫ぼうとしたが、唇を絡めとられたままでは、それは言葉にならなかった。
そして今度はタオル越しではなく、直接肌を弄ばれる。
人差し指の腹で胸の蕾を優しく弧を描く様になぞられ、優しく摘みあげられると、
その強い刺激に思わず吐息がもれる。

「もうこんなに固くなってる…」
そう耳元で囁き、洸至の唇は遼子の唇から首筋へと流れた雫の後をなぞると、耳朶へ軽く歯を立てる。
「あっ…やだ…やめて…おにい…ちゃ…」
「素直じゃないな、遼子は…」
露になった遼子の白い胸元から鎖骨までを、洸至の唇と舌がなぞり胸元まで降りてくると、
敏感になった蕾に熱い息が吹きかけられる。
そして洸至は、いきなり遼子の蕾に強く吸い付いた。

「ああぁぁ!」
突然の強い刺激に、遼子は身をよじりながら声をあげる。
「あっ…はぁ…ん…」
一度あがってしまった声はもう止める事はできず、甘い響きとなって暗いバスルームにこだまする。

洸至の唇がたっぷりと片方の蕾を堪能し、反対側の蕾への愛撫を始めた時、遼子のわき腹を弄っていた
洸至の手がゆっくりと肌をすべり、太腿から遼子の足の付け根へとたどり着く。
その場所は、すでに熱い蜜が溢れていた。

「いやっ!そんな…触っちゃ…ダメ…んっ!」
次々に与えられる愛撫に意識を奪われながらも、遼子は何とか抵抗を見せる。
「おにい…ちゃん…お願い…やめ…」
けれど、足の間にはいつのまにか洸至の身体が入り込み、足を閉じることはできない。
洸至の指が、花弁の一枚一枚を確かめるように蠢く。
「いや…やめ…て…ああんっ!」
襞をなぞっていた指先が、ゆっくりと遼子の中に埋め込まれると、
遼子はその刺激に嬌声と共に背をのけぞらす。
169夢魔 3:2011/01/23(日) 17:10:18 ID:va3a2HfN
「遼子、お前のココ…すごい濡れてるぞ…」
「そんなこと…言わない…で…」
「ほら…俺の指をこんなに締め付けて…離さない」
二本、三本と増やされる指を、蜜を滴らせながら受け入れていく。

「あっ…あああん…おにい…ちゃん…」
顔を出し始めた花芽を、親指で優しく擦り始めた頃には、もう快楽を欲する自分自身を
遼子は止めることが出来なくなっていて、甘い声で兄を呼ぶ。

その時、いきなり眩しい光が遼子の瞳を襲い、遼子は思わずぎゅっと瞳を閉じる。

「あぁ…停電、直ったんだな。」
洸至はそう呟くと、遼子の中を弄っていた指をずるりと抜いた。
「はぁん!」
突然なくなった刺激に遼子の腰が淫らに動き、先ほどまでの愛撫が痺れのように残り、
どうすることもできない疼きを生み出す。
そして遼子の身体の奥から、また新たな蜜が流れ落ちるのを感じる。

「遼子、大丈夫か?」
自分にかけられた声に、ほんの少し前まで自分を翻弄していた甘い響きがなくなっていることに驚き
遼子はゆっくりと瞳を開いた。
その視界に映ったのは、じっと自分を見つめる兄の姿。

風呂場でのぼせた妹を心配する、兄の姿。
いつもの、やさしい、兄の姿。

けれど、その瞳の中に、遼子は欲望を溶かし込んだ男のモノを見つけた。

「立てるか?」
自分を気遣う優しい声と、欲望を滾らせる男の視線。
「それとも…?」
洸至は少し首を傾げてそう問いかけると、自分の手を口元に寄せ、
そこに滴る蜜を遼子に見せ付けるように舐めた。

今まで自分の中をかき回していた兄の指、そしてそこに絡まった自分から溢れた蜜。
それを舌で舐めとる兄の淫靡な仕草に、遼子の身体の心はさらに熱を持っていく。

遼子の様子を見て、口元に笑みを浮かべながら、洸至は遼子へゆっくりと近づいていく。
「このまま…続きをするか?」
耳元に囁かれる、低い、欲望を煽る、男の声。

遼子が自分の中に蠢く欲望を抑えきれず、僅かに頷くと、洸至はゆっくりと遼子を床へと押し倒した。
床の冷たさに、遼子の背中がぴくりと震える。
あらわになった胸を隠そうとした両手は、兄に捕まり頭の上へと縫い付けられてしまった。
そのまま、洸至は動きを止めて、妹をじっと見つめる。   
「キレイ…だな…」
「やだ…そんなに…みないで…」
ゆっくりと首筋から胸、胸から腹へと兄の視線が降りていく。
170夢魔 5:2011/01/23(日) 17:10:59 ID:va3a2HfN
「どうして?本当にキレイだぞ?」
そしてゆっくりと足を左右に割り広げられ、遼子の秘所が、明るい照明の下、兄の目前に晒される。
「ほら、ココも…こんなにきれいじゃないか。」
「いや…」
うっとりと告げるような兄の声に、遼子は恥ずかしさで全身を赤く染めながら身を捩る。
しかし、洸至の視線は、遼子の秘所を捕らえて離さない。

「あん…いやぁ…」
直接触られている訳でもないのに、兄の視線と、吐息を感じて、遼子からは吐息が零れる。
そして蜜壷からはふたたび熱い蜜がとろけだす。

「こんなに濡らして…そんなに欲しいのか?」
兄に視姦され、言葉でも責められ、遼子の腰が淫らに揺れる。
「お願い…いじわる…しないで…」
涙をこぼして哀願する遼子を愛しげに見つめた洸至は、目尻の涙を唇で吸い取り、優しい口付けを落とす。
そして、遼子の足の間に身体をずらすと、花弁を舐め上げる。
「ひゃっ!」
いきなりの刺激に逃げ出そうとする遼子の腰を押さえつけて、あふれ出す蜜を喉の奥へと流し込み、
さらに舌を蠢かす。

「はぁ…ん!…あぁっ!」
先ほどまで指で弄ばれていた花芽はもうすでに膨らみ、愛撫をねだるかのように存在を主張していた。
それに熱い舌が唾液を絡ませ、舌先で軽くつついたかと思うと、また唇で優しく包み込む。

「やぁっ!!!」
「…気持ちいいか?」
遼子の唇から絶え間なく嬌声が漏れ始めると、洸至は目を細めながらそう問いかける。
「気持ちいいか?遼子」
洸至が言葉を発するたび、その熱い吐息が花芽にかかる。

「あぁ!いいっ!気持ち…いい…のぉ!」
「漸く素直になったな。じゃあ、ご褒美だ。」
そう言うと、洸至は舌を花芯の奥へをねじ込み、熱く蠢く襞を直接刺激し始める。
「ああぁ!」
遼子の足が震えだし、その時が近いことを告げる。
それを見た洸至は、最後の仕上げとばかりに花芽に強く吸い付き、軽く歯を立てた。
「きゃあぁぁぁぁぁ!」
その瞬間、遼子の意識が弾け、頭は真っ白に染められた。

しかし、洸至の舌は、遼子から溢れる蜜をまだ貪りつづけていた。
「あぁ…いやぁ…」
休む間もなく与えられる刺激は、達したばかりの身体には強すぎるのか、遼子は身体を震わし身悶える。

しばらく遼子を貪っていた洸至は身体を起こすと、ベルトをはずし、ズボンのジッパーを下げる。
そしてズボンの中ではちきれんばかりになっていた自身を取り出すと、遼子に囁いた。
「遼子、俺も気持ちよくしてくれるか?」
「…ん…」
妹の熱に潤んだ瞳を見下ろしながら、洸至は遼子の脚を抱えあげると、
熱く脈打つ自身を遼子の中に埋めた。  
171夢魔 6:2011/01/23(日) 17:11:29 ID:va3a2HfN
「あぁっ!あっ!」
内壁を擦りながら埋め込まれる楔に、遼子の中が熱く絡みつく。
「遼子…お前の中、すごく気持ち良いぞ。」
「ああんっ!」
洸至は根元まで埋め込むと、ゆっくりと動き始める。
ぐちゅぐちゅと二人をつなぐ淫らな音が、遼子の喘ぐ声に混じってバスルームに響く。

「やっ!あん!」
遼子が兄の背中に腕をまわしてしがみつく。
洸至は遼子のすべてを感じようと、激しく腰を動かした。
「あっ!ああん!も…う…やんっ!ああ…っ!」
洸至が激しく遼子の最奥を突き上げると、遼子が締め付けた。
「くっ!」
たまらず、洸至が欲望を遼子の中へとぶちまけるのと、高く、長く響いた遼子の声が途切れ、
その身体が糸の切れた操り人形のように投げ出されたのは同時だった。
そして、放出を終えた洸至は遼子の上へと覆いかぶさった。

バスルームには、快楽に溺れた乱れた呼吸が響いていが、荒々しい呼吸が漸く収まり始めると、
洸至は改めて自分の下にある妹の姿に目を留めた。
透き通るような肌や、自分とまだ繋がったまま、蜜と白濁した自分のものを溢れ出す秘所を
あらわにした姿は、とても淫らで美しかった。
ゆっくりと自身を引き抜くと、その感触に遼子の身体がぴくりと反応したが、
その瞳は閉じられたままだった。

「遼子…」
その名を囁く。
「遼子…遼子…」
気を失っている妹の身体をそっと抱きしめ、頬をすり合わせる。

一週間前、酔って雌の芳香を漂わせて帰ってきた妹を無理やり抱いた。
ずっと思い続けていた自分のこの思い。
それをあの日、抑えきれなくなった。

こんな風に、瞳を潤ませるなんて。
こんな風に、甘い啼き声を上げるなんて。

一度堰を切って流れ出した欲望は、とどまる事を知らなかった。

何もかも、全部を知り尽くしたい。
そして、自分のモノにしてしまいたい。

そして何よりも欲しかったのは、身体でも快楽でもなく、ただ、自分を切望する
彼女の声だったのだろうか。

たった一度のはずだったその行為。
遼子の記憶が酔ってあやふやだった事をいい事に、何も無かったように装った。
そして遼子も、自分と兄の間に起きた事柄を、夢だと思い込んだようだった。

それで、終わるはずだった。
172夢魔 7:2011/01/23(日) 17:13:16 ID:va3a2HfN
けれど。
あの時の、あの遼子の声は、ふとした瞬間に蘇り、洸至を追い詰めていった。
一度知ってしまった甘さを、忘れることが出来なかった。
そして、もう一度欲しいと思う気持ちを。

遼子によって苛まれる心は、遼子にしか癒せない。

また人として犯してはならない罪を重ねることになろうとも、もう手放すことは出来なかった。

洸至は自分のシャツを脱ぐと、まだ気を失ったままの妹の肩へとそっと着せる。
そして優しく抱き上げると、そっとその唇に自らの唇を重ねる。

「愛してる…」
こんな最低な方法で遼子を手に入れ、それを浅ましくも繰り返す自分は拒絶されて当然だろう。

「それでも…離さないからな?」
目覚めたら、いつも通り。
今日も、またお前がみた悪夢だ。




間違えて「3」がダブってしまった…ごめんなさい。

某仲間さんの新ドラマの停電シーンで妄想したのがきっかけですw
いつまでも「ナイトメア」でごまかせるとは思えないけど、2回目ぐらいまでは
兄に言われれば、遼子なら言いくるめられそう?
長くてすみませんでした。
173名無しさん@ピンキー:2011/01/24(月) 23:06:47 ID:cbQAsN+Q
>>164
乙!
規制のせいで書きこめないのかもしれない。

>>166-72
GJです!!!
編集長タクシーの作者です。またしても規制に巻き込まれてレスつけるのが遅くなりました。
まだ規制中なので、今回は代行してもらっています。2月までには規制解除してほしい…(悲)

暗いエロ話最高です!兄の情念スパーク、しかも場所は風呂で停電の最中とは!
こういう夢魔なら何度でもカモーンです。
遼子だったらあと1回くらいは誤魔化しできそうな気も…w
174名無しさん@ピンキー:2011/01/27(木) 22:41:52 ID:XlPqEl/N
停電プレイ(?)GJ!です。
暗いところで責めておいて、明るくなってメインとは、さすが兄w

是非あともう1回ぐらい誤魔化してやってもらいたいものですww
175名無しさん@ピンキー:2011/01/28(金) 19:08:35 ID:AOWqsyTJ
ようやく規制解除キターー

読めるのに、GJできないのがもどかしく…。
作者の皆さま、素敵な作品を色々ありがとうございます!!

節分とかバレンタインとかホワイトデーとか
これからも楽しみにしてます!
176名無しさん@ピンキー:2011/01/29(土) 17:13:01 ID:1d/Puq8E
規制解除キター!

>>154の妄想の続きが出来ました。
鷹藤の取材が翌日ではなくその日だったり、と多少アレンジしてしまいました。
その上長くてすいません。
177リハビリ 1:2011/01/29(土) 17:14:02 ID:1d/Puq8E
遼子は明日の取材対象の写真を見た。
写真の中には歯並びのよい白い歯を光らせ、爽やかに笑う青年が映っていた。
写真越しでもわかるほど仕立てのいい上品なスーツの胸元には議員バッチが光る。
イケメンにして有名代議士の2世、つまり容貌も血筋も申し分なく、順風の人生を約束された男だった。
家柄とその容貌もあって世間の関心は高く、プライベートを窺いしれるようなインタビューをすれば部数を稼げる
こと間違いないはずなのだが、週刊誌の取材を受けないことで有名でインタビューは全て親の代から懇意に
している大手新聞のみ。

ガードの堅い相手の取材申し込みに、週刊誌として初めて美鈴が成功した。
過去に垂らしこんだ男か、そのために新しく垂らしこんだ男かはわからないが、とにかくそういった人脈を
フル活用したらしい。
取材には政治経済専門の城之内を伴って行くと思われたが、何故か美鈴は遼子を指名した。
それで遼子は明日の資料を読みこんでいたのだが、美鈴は一向に資料を読む素振りすら見せず、先ほどから
遼子の向いの席でずっと忙しそうに携帯でメールをしている。

「ねえ、美鈴さん、この人が最近政治理論専門誌に出した論文のことなんだけど」
「鳴海さんが読んでおいてくれる?」
携帯から目を上げ、美鈴が遼子を見てニコッと笑った。
「いいけど…」
「じゃ、そっちは鳴海さんに任せるわ。あとね、言いにくいんだけど…。明日の取材、ミニのスーツで着て
 くれないかしら?」
「わたしが?ミニ…?」
「そういうのが好きな人なんだって。いい記事を書くなら、サービスも大事でしょ?明日の為にスキンケアも
 よろしくね。グッズが無ければわたしがあげるから。インタビューされる方だって、綺麗な人にされたいでしょ」
単なる政治家へのインタビューというよりは、美鈴の中に少し違う思惑があるような気がした。
…例えば玉の輿とか。それは遼子の考え過ぎだろうか。

「そんなこと…。わたしは真正面から切りこむわよ」
「堅いことばっかり言ってたら、大事なものを取り逃がすかもしれないわよ。ただ媚びるのなら馬鹿だけど、
 計算上の媚は女の武器よ。鳴海さんももうちょっとその辺ちゃんとしないと。媚もない堅い女なんてすぐ飽き
 られちゃうんだから。…そういえば鷹藤くんの今日の取材相手、AV出身の風俗嬢だったかしら。鷹藤君、
 その女優のファンって言っていたような気がするわ」
今日は鷹藤は遼子とではなく、終日中原と組んで、AV引退後に風俗で働いている元女優たちの取材に行って
いた。
美鈴が身を乗り出して、声を潜めて言った。

「中原さんって、女の子から話を引き出すのが上手なの。それで取材のあと意気投合して飲みに行くことも多いのよ。
 それにつきあっていたら鷹藤君だってきっと…。しかも昔ファンだったかわいい女の子が傍に居れば」
「た、鷹藤君はそんなタイプじゃないし、わたしのこと大事にしてくれているし。わたしだって…」
「でもね、そう思うんならファッションなり態度なりで鳴海さんが鷹藤くんに示さないと、いつか誰かに
 とられちゃうわよ。ま、わたしのことじゃないからいいんだけど」
178リハビリ 2:2011/01/29(土) 17:15:05 ID:1d/Puq8E
「鷹藤くんがそんなにモテるわけないじゃない」
その時、遼子の携帯が震えた。鷹藤からのメールだ。
『中原さんに連れられて、取材相手の子たちと飲みに行くことになった。帰り少し遅くなる』
文面を見た遼子が不安そうな顔をした時、美鈴の猫の様な眼が光った。
「鳴海さんがそう思ってるだけだったりして。意外とかっこいいわよ、鷹藤君。彼女だって胡坐かいていると
 危ないかもね。…で、鷹藤くんも男だし、今日は浮気しなくても今後何があるかわからないわよ。
浮気防止の為に今夜はあなたが頑張ってみたら?」


遼子が鷹藤のマンションに着いた時、部屋に灯りはついていなかった。部屋の主はまだ帰っていないようだ。
埠頭での事件のあと、まだ心配だから、と鷹藤は遼子にしばらく自分の家に身を寄せるように言った。
それ以来3週間ばかり半同棲状態が続いている。
いつものように合い鍵で部屋に入ると、明日に備えて遼子は美鈴お勧めの入浴剤を入れた風呂につかり、美鈴
からもらったパックをした。
普段はドラッグストアで買う、ゆずの香りつきのグリーンの入浴剤しか使わないが、美鈴からもらった入浴剤
は薔薇と、名前はわからないが数種類の花の香りがした。甘くはないが心落ち着かせるいい香りだった。
風呂上がりの躰をバスタオルに包んで、部屋に置いてあるスタンドミラーで肌の調子を見る。
パックや高価そうな入浴剤のおかげで肌の調子も良くなった気がする。

―――ここまでしてくれた美鈴さんには悪いけど、やっぱり明日はいつもの服装で行こう。ジャーナリストは
胸の谷間で仕事する訳じゃないんだから。

胸の谷間…。
バスタオルの下にある自分の胸をのぞきこんだ。ほどほどの膨らみの間に、ささやかな谷間がある。
編集部でこっそりのぞいた、今日の中原と鷹藤の取材相手の資料にはFカップとあった。
『おっぱいをつかったローションプレイで人気』とも書かれていた。
体験記事ではないから、そのAV女優とプレイするはずはない。でも、その後の飲み会で盛り上がって…。
中原さんがいい感じで場を盛り上げて、そうこうしているうちに鷹藤君とその女優さんが隣になって。
鷹藤君だって若いし、顔だって悪くない…というか、精悍でワイルドでちょっと悪そうに見えるけど、眼元は
とても優しげだし。

…そんな鷹藤君を女の子の方が放っておかなかったら?

鷹藤君の手を取って、ラブホテルに連れて行って…。
『ビデオ見ててくれたの?ずっとファンだったの?ありがとう、特別にサービスしてあげる』
彼女がローションを胸の谷間につけて、そして…。

鷹藤の家に身を寄せ始めて3週間以上経っているが、実はあの事件から一度も男女の関係はない。
もちろんあの事件で怪我をした鷹藤の腕がしばらく固定されていて、それどころではなかったのもある。
それと、あの事件で凌辱されかかった遼子が抱えた恐怖心を思ってか、鷹藤もあれ以来遼子を求めてこない
せいもあった。
付き合い始めてからもっとも長い御無沙汰期間が二人の間に到来していた。

―――浮気防止のために、今夜はあなたが頑張ってみたら。
美鈴の言葉が耳に蘇る。
だけど、もう鷹藤くんが浮気した後だったら…。
鷹藤君を取り返すには…。そのためには。

「で、でもわたし、ローションつけておっぱいプレイなんて無理〜!」
遼子が胸の谷間を見ながら呻いていた時だった。

「あんた何してんの。ローションって?」
鷹藤が玄関の靴脱ぎに立って、半裸の遼子を見ていた。
179リハビリ 3:2011/01/29(土) 17:15:53 ID:1d/Puq8E
「た、鷹藤君こそ何してんのよ!」
「…自分の部屋に帰ってきて何で怒られるんだよ」
鷹藤が不満そうに言いながら靴を脱いだ。
「いい匂いするんだけど。あ、あんたの新しい入浴剤の匂いか。じゃ、俺も風呂入るかな…」
「ちょ、ちょっと待ってよ。帰ってきてすぐお風呂って不自然じゃない」
「はあ?」
ジャケットを脱ぎながら、鷹藤が首を傾げた。
「他の女の人と飲んできて、それで盛り上がってホテル行ったから、証拠隠滅のためにすぐお風呂に入って
 シャンプーの匂いの違いとか誤魔化そうっていうのね」
「なんだよそれ。もしかして俺の浮気疑ってんの?」
鷹藤が怪訝そうな顔をしながら、遼子の傍にやってきた。

「だ、だっていつもこんなに遅い時間にならないし、ずっとファンだった女優さんと一緒だったら」
「んなわけねえだろうが。中原さんに連れられて2次会まで行かされたけど、ずっと普通に話してただけだって」
鷹藤が語気を強めて言った。
「でも、きれいな女の人の隣で飲んでたんでしょ。中原さんの女の子連れの飲み会は盛り上がるって美鈴さんが」
「…たまに離れて仕事してみると面白いもんだな。あんたもしかして俺の取材相手に焼いてる?」
バスタオルを巻いた遼子の腰に鷹藤が両手を廻し抱き寄せた。
そこに怒りはなく、心なしか嬉しそうな顔で遼子の顔を覗きこんでいる。
「焼いてなんか…」
「こんなにいい匂いさせて…。今日のあんたすごくきれいに見えるよ」
「誤魔化さないで」
「これ以上、説明することなんかないって。俺はただ飲んでいただけなんだから。言葉で説明してもわからなさ
 そうなら、どうすればあんたはわかってくれるんだよ?」

外から帰って来たばかりの鷹藤の冷たい手が遼子の頬を包み、そしてそっと口づけをした。
「これでどう?」
鷹藤が勝利を確信したかのように微笑む。
すぐに離された鷹藤のやわらかく冷たい唇が恋しくて、背伸びをすると今度は遼子から口づけた。
この感触を、鷹藤の温もりを誰にも取られたくなくて、鷹藤の首をきつく抱いて唇を押し付ける。

「もっと…」
かき抱いた鷹藤の耳元で遼子は囁いた。
「…いいよ。あんたが厭っていうまでわからせてやるからさ」

また唇が重なる。久しぶりの鷹藤の舌の感触だった。想いを分けあうような深い口づけをゆっくりとしながら、
鷹藤が遼子の冷たくなりかけた肌を指先で撫でる。それだけで遼子の吐息が熱くなる。
鷹藤が遼子をベッドに横たえると、バスタオルの端を手に取り、そっとそれを開いた。
遼子の肌がまとった、美鈴の入浴剤の香りが部屋じゅうに広がる。
鷹藤の両手がゆっくりと遼子の躰のラインを下から上へ辿る。
「俺の手、冷たい?」
「大丈夫…」
鷹藤の掌が遼子の柔らかな乳房をつつむとゆっくりと揉み始めた。

「たった何週間かしてなかっただけなのに、俺、すげえ緊張してる」
鷹藤が照れたように笑う。鷹藤の指が冷たいのは緊張のせいもあるのか。
お互い見つめ合って、くすりと笑った。

「童貞の気分だよ、まるで」 
外気にさらされ冷えた遼子の乳房の先を鷹藤の唇が捉えた。
冷たい唇に対して、温かな口内が遼子の蕾を包み、柔らかく濡れた舌先が先端を撫でた。
「んっ…」
甘美な疼きが遼子の胸の奥に広がる。愛しさと快楽とが混ざり合い、吐息になって遼子の唇から漏れた。
鷹藤の唇が触れていない方は、冷たい手が揉みながら、親指で乳房の先をそそのかし続けている。
「あ…」
吐息から小さな声へ。遼子の唇から紡がれる音が変わる。
遼子が鷹藤の肩をぎゅっと掴んだ。
「感じてる…?」
鷹藤が耳たぶに息がかかるほどの近さで囁く
180リハビリ 4:2011/01/29(土) 17:17:08 ID:1d/Puq8E
「久しぶりだから…すごく…感じちゃうの…」
鷹藤の唇を乞うように遼子が顔を寄せた。鷹藤もそれに応えてすぐに唇を重ねる。
舌を絡ませながら、鷹藤の手が遼子の臍から下へと伸びていく。
鷹藤の指が早く欲しくて、遼子は鷹藤を急かすように激しく口づけていた。
待ちかねた感触が遼子のそこに訪れた。心地よさに遼子の息が思わず止まる。
鷹藤が中指で楽器を弾くように濡れた泉を叩くと、溢れた蜜がはしたない音を立てた。
「びしょびしょだよ、あんたのここ」
鷹藤が意地悪く微笑む。

すぐに鷹藤の指が遼子の中に潜り込んできた。
「ああぁ…」
熱く潤む遼子の襞の奥まで指を入れると、音を立てながら抜き差しし始めた。
「聞える?あんたすごい音出してる」
鷹藤は遼子のどこを突けば蕩けるか知り尽くした指の動きで遼子を翻弄する。
「いやっ」
濡れた音が部屋中に響く。遼子が否定しても、己の秘所が立てる音が全てを証明していた。
「もっとほしいだろ」
激しく指を叩きつけながら、乳房へ、鳩尾へ、臍へ、腰骨へ、鷹藤の唇が遼子の躰を旅していく。
その旅の終点―――唇が遼子のクリトリスに触れた。
「きゃああああんっ」
熱い唇が激しく吸い始めると、遼子の頭の中が一瞬白熱する。

抜き差しされる指と、鷹藤の唇がもたらすあまりの快楽から逃れるように遼子の腰が浮いた。
それでも、鷹藤の唇も指も遼子を責めることを止めない。
「いやっ、ああん…」
鷹藤が少しずつ角度を変えながら指をねじ込む。
抜き差しされるたびに、泡を立てて蜜が飛び散った。
「いい、いく…あんっ」
鷹藤の指が襞の奥を擦り、快楽を引き起こしていく。
花芯に吸いつく唇が、遼子を快楽の果てに追い込んでいく。
腰のあたりにある鷹藤の頭を遼子が抱いた。
「駄目、ああっ、鷹藤くっ…」
あとは言葉にならなかった。
花芯をひときわ強く吸われた時、遼子の躰に痺れるような快楽が走った。
遼子が細く締まった太ももを震わせると、汗で光る白い喉を晒し崩れ落ちた。


達して麻痺したようになった遼子を見下ろしながら、鷹藤が服を脱ぎ始めた。
「明日も仕事だけど…今日はそう簡単に終われなさそうだな、お互い」
情欲に塗れた行為をしているはずなのに、鷹藤の笑顔には少年のような純真さがあった。
それを見た遼子の胸の奥が切ない音を立てた。
気だるい躰を遼子が起すと、屹立した鷹藤自身へ手を伸ばす。
躰が、心が、芯から鷹藤を求めていた。

「今度は私が気持ち良くしてあげるね…」
鷹藤の少し濡れた亀頭を口に含む。
ちゅぷっ…と音を立てて吸いたてると、鷹藤が息を呑んだ。
そこはほんのり潮の味がした。
遼子が唇を大胆に開くと、喉の奥まで鷹藤自身を受け入れる。首を振りながら、ゆっくりとすぼめた唇で扱く。
裏筋をじっくりと舐めあげ、亀頭の先の柔らかな部分を舌で弄ぶ。
鷹藤の快楽に同調するように、遼子も腰を揺らしていた。
血管が浮き出るほど猛る鷹藤自身を舌で、唇でやさしく宥めるように愛撫しつづける遼子の頬を鷹藤の手が包む。
その手はもう冷えていなかった。

「ふっ…」
遼子の肩に置かれたもう片方の鷹藤の手に力がこめられる。
遼子が唇を離し、鷹藤を見上げた。
181リハビリ 5:2011/01/29(土) 17:18:21 ID:1d/Puq8E
「気持ちいい…?」
「ああ、しばらくぶりのせいかな、今日のあんたはすごいよ」
「鷹藤君に喜んで欲しいの…だから」
遼子が身を起すと、乳房で鷹藤自身を挟んだ。
「えっ?あっ…あんた、これって」
「は、恥ずかしいから見ないでっ」
先ほどまで眉をひそめ腰を振りながら男のものを咥えていたくせに、いきなり恥じらう遼子に鷹藤が噴き出した。
「見ないでって、こういうのは見て楽しむものだし」
「じゃ、じゃあ黙ってよ!一生懸命やるんだから!」
顔だけではなく、全身も桃色に染めながら遼子が柔らかな乳房で鷹藤を包む。

「んっ…」
唇とも、遼子の内奥とも違う快美感に堪え切れず、鷹藤が歯と歯の間から吐息ともつかない呻きを漏らした。
「だから黙ってってば!」
胸を寄せ、挟みながら乳房で鷹藤を扱きあげる。だが遼子が想像したよりも滑りが良くない。
もっと、もっと鷹藤君を気持ちよくさせたいのに…。
「ああ、やっぱりローションが無いと駄目なのかな…」
眉をひそめ遼子が哀しげにつぶやいた時だった。
「ローションの代わりならたくさんあるだろ」
「きゃっ」
鷹藤が遼子の股の間に手を入れると、後ろのすぼまりから亀裂、花芯を押しつぶすようにして手を滑らせた。
鷹藤の掌が遼子の蜜でねっとりと濡れる。その蜜を鷹藤は遼子の乳房の間に塗りたくった。

「天然のローション。続き…してくれる?」
「うん…」
蜜で潤い、滑りの良くなった胸の谷間で再び遼子が鷹藤を包んだ。
ぬぷ、ぬぷ…乳房を濡らす蜜の淫らな音と、乳房の間から顔を出した鷹藤の亀頭を咥える遼子の唇の音が部屋に
響く。
「…っ、…すごい眺め」
遼子の胸の谷間で鷹藤の先走りと遼子の蜜が絡みあう。
そこから立つ雄と雌の匂いと、入浴剤の乾いた花のような残り香が混ざり合い鷹藤の脳髄を甘く痺れさせた。
「言わないで…」
遼子の耳が桃色を通り越して赤くなる。
女が恥じらいながら、淫らな行為に耽る様がいかに男の欲望をかきたてているか気付かぬまま、遼子は必死に
鷹藤を扱く。
「駄目だもう…」
男の本能を刺激する香と光景に酔い、陶然とした声で鷹藤が言った。
「駄目…?」
「我慢できないってこと」
鷹藤が遼子を押し倒した。ベッドに横たわる遼子の上に鷹藤が躰を重ねる。
鷹藤が腰のものを遼子の脚の付け根にすりつけた。

「あんたもこれ、欲しいだろ?」
「うん…」
鷹藤が遼子の脚を開いた。鷹藤自身を胸で扱いていた時にもずっと溢れ続けていた蜜が、太ももから膝の
あたりまで濡らし、遼子の足をぬめぬめと光らせていた。
その中央で桃色の襞が鷹藤を誘うように微かに開く。
そこにあてがうと、鷹藤はゆっくりと自身を沈め始めた。

「や…あっ、いいっ…」
柔肉を押し開きながら、鷹藤の熱が遼子を埋めていく。
「あんたのなか、すごく熱い…」
遼子の太ももの付け根と、鷹藤の腰が隙間なく密着した。
「ねえ…鷹藤君…」
遼子の手が鷹藤の顔を引き寄せると、二人は唇を重ねた。
離れがたい思いを示すように、熱を分けあいながら舌を絡める。
「少し…動かないで…」
せつなそうに瞼を震わせながら遼子が囁く。
182リハビリ 6:2011/01/29(土) 17:19:34 ID:1d/Puq8E
「ああ」
「お願い、抱きしめて…離さないで」
繋がったまま鷹藤が遼子を抱きしめた。遼子の腕が蔦のように鷹藤の首に絡む。
「大丈夫…遼子のこと絶対に離したりしないから」
夢から醒めたような顔で遼子が鷹藤を見た。

「りょ、りょうこ…って」
「あんたの兄さんの代わりに、ずっと俺があんたの傍に居るから…守るから…。だから俺の腕の中だけでも
 遼子って呼ばせてくれよ」
「すごく恥ずかしいんだけど…」
鷹藤の首を抱いて、遼子が赤くなった顔を見られまいとするが、逆に真紅に染まった耳たぶをさらけ出した
だけだ。

「ここまでやっといて今更?」
これ以上無い位太ももを開き、自分の最奥まで鷹藤を受け入れておいてなお恥じらう遼子の耳たぶを鷹藤が
甘く噛んだ。
「きゃんっ…だって…」
「俺じゃ兄さんの代わりになれない?」
深みのある黒い瞳が愛おしげに遼子を見ていた。
「そんなことないよ…。代わりじゃなくていい。鷹藤くんがいい…。鷹藤君お願い…ずっと傍に居てね」
「離れないって…ずっと遼子の傍に居る」
鷹藤が腕の中の遼子の髪を梳いて恋人の顔を露わにすると、また口づけた。

「ねえ…相談なんだけどさ」
「なに…」
「動いていいか…?もう限界かも」
遼子が小さく肯いた。
鷹藤が己を引き抜こうと動き始めると、遼子の柔肉が通路を狭めて久々の感触を引き離すまいと抵抗した。
それを圧し広げながら引き抜く動きに、遼子の腰が震えた。
「やあっ…あんっ」
「…くっ締めすぎだって」
「私…なに…も」
「もう駄目だ…動くぞ」
遼子の戸惑いに構う余裕は鷹藤の中に残っていないようだった。抜きさしする強さが上がっていく。
さっきまでの優しさ溢れる抱擁が、遼子を蹂躙し快楽を貪る雄の動きへと変わった。
「やん…あ…あんっ」
遼子の亀裂から溢れ出た蜜を、鷹藤の猛る肉が押しつぶし音を立てる。
鷹藤に抉られ、突かれる遼子の溢路が悦楽で満たされていく。
「すごい!ああ…い…いいの!」
鷹藤の首を抱く遼子の腕から力が抜けていく。
快楽の為投げ出された手に鷹藤が手を重ね、ベッドに埋める。

「あ…あんっ…」
汗を浮かべた二人の躰がぶつかり合う。
先ほどまで冷えていた鷹藤の躰に熱がみなぎり、行き場を求めて体内を駈けまわっていた。
「鷹藤君…好き…好きなの…」
その熱に浮かされた遼子の口から、うわごとのように鷹藤への想いが溢れ出る。
「俺も…遼子が…」
鷹藤も胸の昂まりを抑えることができなくなっていた。
遼子を掻き分ける動きがさらに激しさを増す。
「い…いや…あああ…いい…あ…っ」
鷹藤の作り出す快楽全てに身を任せた遼子の、眼の前が白く眩む。
二人の躰が出す熱のせいで、遼子はもう何も考えられないでいた。
「出すから…全部受け止めて…」
183リハビリ 7:2011/01/29(土) 19:55:46 ID:1d/Puq8E
「あ…はぁぁぁぁ…」
喉を震わせながら遼子が弛緩していく。
開いたままの遼子の唇に鷹藤が口づける。遼子も夢見るように眼を閉じたまま舌を絡ませ応えた。
火照った躰と心を離すには、まだ夜は深い。
一度火がついた今、朝までの残りの時間お互いの熱と想いを分かち合いしかなさそうだった。


「取材、うまくいってよかった」
遼子は2世議員の取材帰りに、美鈴と二人並んで歩いていた。
昨夜鷹藤と空が白むまで躰を重ねた割には、目覚めは良く、肌の調子も悪くなかった。
身支度しながら遼子は、美鈴に悪いとは思ったがやはり普段通りの服装でインタビューした。
下品にならない程度のミニスカートを着た美鈴を無視するように、その2世議員は身を乗り出し遼子の質問に
答え、また快活に応対した。
しかも、あなたのような勉強家の方となら有意義な意見交換ができそうだから、と、後日食事会の為に時間を
空けてくれるという。
女に眼の眩んだ二世議員と思っていたら、意外と芯のしっかりした人物のようだった。
今回のインタビューはいい記事になりそうだし、今後もこのコネクションは重宝しそうだ。
…やっぱり、記者って最後は知性がものをいうのよね。
遼子は心の中でガッツポーズをした。

「わたしの思った通りになってよかったわ」
大股で歩く美鈴に落胆した様子はなかった。
「思った通り?」
「そ。気付かなかった?あの人、あなたに夢中よ」
「えええっ?学術書の論文まで読んだリサーチに喜んでたんじゃ…」
美鈴の言葉があまりにも意外で、遼子は間抜けな声を出していた。
「ある意味、リサーチの勝利といえるわね。この場合は私のリサーチの勝利。あの男の好きなタイプをぶつけ
 た私のね」
「好きなタイプって、どういうこと。わたしはてっきり美鈴さんがあの人のことを狙っているとばかり…」
「いやよあんなシスコン。代議士なんて落選すれば無職だし、金持ちでもパパのお財布をあてにしている
 男なんて願い下げだわ」
口に出すのも厭わしそうに美鈴が眉をひそめた。
184リハビリ 8:2011/01/29(土) 19:56:31 ID:1d/Puq8E
「シスコン?」
「地方にある実家から離れて東京で活動するときはいつもお姉さんの家に身を寄せてるのよ、彼。
 大手新聞のインタビューにしか答えないのも、全部お姉さんの指示。浮いた噂ひとつないのは、彼が
 お姉さんに夢中だからよ。これは彼の学生時代には有名な話だったみたい。でね、これがお姉さん」
美鈴が携帯を取り出すと、メールに添付された画像を遼子に見せた。
整った顔立ちの長い黒髪の女性が映っていた。
清楚なスーツに身を包み、墨ですっと描かれたような切れ長の眼のはしを少し下に曲げ微笑んでいる。

「わからない…?彼女あなたに似てるの」
「そ、それで美鈴さん、わたしを指名したの」
「お姉さんに恋焦がれていても、まさか恋人にする訳にいかないじゃない。でも、そんな男の眼の前にお姉さん
そっくりな女性が現れたら、大喜びよね。願望を満たす相手が見つかったんだから。インタビューの時、
獲物にくらいつく男の眼であなたを見ながら政治を語るんだもの、私、笑いを堪えるの大変だったのよ」
「な…」
「今日のためにスキンケアさせておいてよかったわ。あと…誰かさんにかわいがってもらったのもね。
 どんな化粧より、一番女をきれいに見せるもの」
その言葉を聞いて、遼子の首から耳までが見事なまでの朱に染まった。
「ミニスカート着て来いって言ったのも…。鷹藤くんの浮気をにおわせたのも…」
遼子の声が低くなったのを知ってか知らずか、美鈴が遼子を見て微笑んだ。

「清楚な服装が好きな人なの。ミニを着ろって言うと、きっとむきになって逆の恰好するじゃない、鳴海さんって。
下手に気合い入れた格好されるより、普通の格好の方が彼好みだから。浮気を匂わせたのは悪かったけど、
おかげで久しぶりに彼に可愛がってもらえたでしょ。結果オーライでどう?」
整いすぎた美鈴の笑顔が、遼子には一瞬悪魔の顔に見えた。
「別にあの議員と寝ろ、とは言わないけど、親交を深めておいて損はないでしょ。あとね、今度の記事は共同
執筆ってことにしましょ」
「それより、美鈴さん…なんで久しぶり…とか知っているの…」
呻くように遼子が言うと、脚を止めて美鈴が遼子を一瞥した。
「呆れるほどわかりやすいのよ、あなたたち。だから見ているとじれったい時もあるわ。そのせいで、おせっかい
 しちゃうのよね。あなたたちにずっと続いて欲しいから」
そう言って遼子を見る美鈴に取り澄ました猫のような気取りはなく、その奥に隠していた素顔の美鈴を見せていた。
「柄にもないこと言っちゃった。忘れて」
早足で歩きだした美鈴の耳が少し赤かった。

美鈴の意外な一面を見て遼子が微笑むと、鷹藤の待つ福梅書房へ歩き出した。



>>154力量不足のため、最初の設定どおりにできずにすいません。

そう言えばまだ鷹藤にヤリながら「遼子」と言わせてなかったので、そのネタもぶち込み、
パイずりもさせてないな、ということでそのネタもぶち込み、
しかも「倉庫の中」の後日談でもあり、154の妄想を補完した闇鍋のようなブツになりました。

本当はヤってる最中に「俊一」と呼ばせるつもりだったんですが、自分が吹いてしまって挫折しました。
だれか遼子に俊一と呼ばせてあげて下さい。
185名無しさん@ピンキー:2011/01/29(土) 20:26:52 ID:Qkmf4NEA
>>177-184
ぐっじょおおおぶ!です!規制解除、万歳!!

「遼子呼び」ネタも、パイずりも入っていて、
とても充実した素晴らしい内容でした。
闇鍋なんてとんでもないっす!ありがとうございました。

シスコンの2世議員が、ブラコンの遼子に変な気をおこして
遼子がピンチになったりしないだろうか・・・と、「ワクワク」
もとい「ドキドキ」妄想してみたりw
186名無しさん@ピンキー:2011/01/30(日) 09:22:07 ID:8BMuNRuJ
>>177-184

ありがとう!!154設定少しでも取り入れてくれて
感謝。

次は鷹藤が遼子の浮気を心配するのかな?
とか
遼子が雑誌で勉強したスローセックスを実戦する
のかな?とか
ネタがうかんじゃいました。
美鈴さんには二人をしっかり見守ってて欲しい。
187小ネタ 恵方巻:2011/02/03(木) 22:51:46 ID:XSJ8ALH0
「あんた何見てるの?」
「あ、これ。お兄ちゃんが残していったものの中にあったアルバム。警察がお兄ちゃんの部屋にあったものは
 ほとんど持っていったんだけど、これは返してくれたの」
「へえ。恵方巻食べてるあんたの写真か」
「おかしいよね。お兄ちゃんったら、こんな写真ばっかり」
「このアルバム、あんたの写真ばっかりなんだな」
「そうなの。最初見た時はちょっと照れ臭かったんだけど、でも、お父さんとお母さんが死んじゃってから
 お兄ちゃんが親代わりになって私のこと育ててくれたでしょ。そういうのもあって、私の成長アルバム
 みたいなのを作ったんじゃないかな」
「…このアルバム、結構手垢ついてる。何度も見返したんだ」
「お兄ちゃん、きっと私のこと娘みたいに思ってたのね」
「娘、…ねえ。なあ、恵方巻の写真とソフトクリーム食べてる写真、何度も見たんだな」
「おかしな写真が好きなんだね、お兄ちゃん」
「っていうかさ、このアルバムどこに置いてあった?」
「たしか、ベッドの下。ちょうど枕の真下あたりに隠すみたいにして置いてあったから、警察も犯行の計画書
 かと思って念入りに調べたって言ってた」
「その隠し場所って」
「恥ずかしかったのね、私に知られるのが」
「恥ずかしいだろうな。たぶん、それズリネ…」
「え?」
「いや、なんでもない。じゃ、恵方巻食べるか」
「うん」
「ところでさ、あんた恵方巻の由来って知ってる?」
「お兄ちゃんにも前聞かれたかも。でも結局お兄ちゃんも教えてくれなかったのよね。
 食べてる私のこと見てるだけで」
「想像して楽しんでたんだな…。じゃあ後であんたに実技してもらいながら教えてやるよ」
「実技?わたし、太巻きはまだ巻けないよ?」
「巻けなくていいよ。最近あんたが上手になったやつのほうが俺は好きだから」


恵方巻、一説には花街の姐さん達が旦那衆の前でお新香巻きを尺八食いした遊びが発祥とも言われています。
そう思うと、恵方巻を食べるのがますます楽しくなる。
188名無しさん@ピンキー:2011/02/04(金) 10:21:14 ID:Y+37nvbB
GJです!
恵方巻きにそんな一説が!!

兄の特製アルバム、是非とも見てみたいw
189ふたりの木陰 1:2011/02/07(月) 20:26:44 ID:Z4slRGGf
「リハビリ」に出てきた議員のせいで、鷹藤が嫉妬する話です。



郊外での取材を終え、遼子を乗せた鷹藤の車が都心への道を急いでいた。
落ちかけた陽が、助手席の遼子を照らす。その表情は心なしか硬い。
「間に合う?」
「誰が運転してると思うんだよ。楽勝だって」
「だったらいいけど」
「やたら気にするんだな。そんなに大事か?あの坊ちゃん議員」
二世議員の緋山にインタビューしてから、彼に気に入られた遼子はそれから何度か意見交換と称しての食事会
に呼ばれていた。もちろん、そのたびに政界や彼自身の小さいが記事にするには充分なネタを流してもらっている。いいネタ元を掴んだと遼子も内心ほくそ笑んではいるのだが、美鈴の言うとおり、彼は記者としてだけで
はなく、それ以上の存在として遼子を見ているように思える時があった。

「だって、いいネタ提供してくれるし…」
遼子も女として見られるくすぐったさを感じない訳ではない。だが遼子にとって緋山は純粋にネタ元でしかない。
鷹藤もそれをわかっていると思ったのだが。
「特別な相手ってことか。家柄もいいし、顔もいいしな」
今日の鷹藤はやけにつっかかる。
「何よ。取材だって言ってるじゃない」
「ただの取材相手の為に、パックして、高い入浴剤入れた風呂入って普段つけない香水までつけるのかよ。
やりすぎだろ。気がありますって言ってるようなもんじゃねえか」
「気に入ってもらってもっと記事につながるネタをもらうために、相手に気持ち良く話してもらいたいから
いろいろ気を遣ってるだけよ」
「他のインタビューの時こんなことしなかったよな」

鷹藤が、車通りもまばらな側道に車を入れた。
点在する工場の脇をしばらく走ると、人通りの無い工場脇の小道で車を止めた。
工場の無機質さを打ち消す為にか、工場の塀の周りには楡が植えてある。
しかし黄色い葉も落ち裸になった枝を晒し、寒々しく整然と楡の木が並ぶ姿はその通りの寂しさを
強調するだけだった。
そのせいか、その道に人が通る気配など全くない。

「鷹藤くん…どういうつもり」
運転席から鷹藤が遼子を睨む。
「昨日の夜から、ずっとこの男の話ばっかりだぜ、あんた。そんなに楽しみなのか、あの男に会うのが」
「違うわよ、緋山さんと話すといい記事かけることが多いから。それで嬉しくって」
「それだけかよ」
「当たり前でしょ」
「そうか」

鷹藤がエンジンを停めてキーを抜くと、車を降りて歩き出した。
薄暮の中、鷹藤の姿が闇に紛れようとしていた。
「待ってよ!どうしたのよ。早く車に乗って」
鷹藤の元へ走り寄ると遼子が腕を掴んだ。
「ねえ、聞いてるの」
鷹藤が足を止め振り返ると、遼子を抱き寄せいきなり唇を重ねた。
「…鷹藤くん!」

逃れようとする遼子の首の後ろを抑えつけ強引に舌を入れる。
「ん…」
鷹藤が遼子のコートの前をかき分け、その下にあるスカートの裾をまくりあげる。
たくしあげられた裾から冷気と共に鷹藤の手が遼子の太ももを這う。
「どうしたのよいきなり!こんなところで」
「ここじゃいやか」
鷹藤は楡の木に遼子の躰を押しつけた。手の動きは止むことなく、ストッキングの上から遼子の太ももを
撫でまわしている。
190ふたりの木陰 2:2011/02/07(月) 20:28:56 ID:Z4slRGGf
「…当たり前じゃない。いつ人が通るかわからないし…これから取材なのよ」
「取材に間に合うように送るよ。だからあんたを抱かせて。ここで」
「…何言ってるのよ」
遼子が眉をひそめて鷹藤を見上げた。
「俺が焼かないとでも思ってたのかよ。嬉しそうな顔して、躰の手入れをして会いに行くあんたを見ててさ」
鷹藤にふざけた素振りなどなかった。ひどく真面目な顔をして遼子の眼を見つめている。
「鷹藤くん、私、浮気なんてしないから…」
「あんたはそんなタイプじゃない。だけど心配なんだよ。莫迦みたいだろ」

鷹藤の唇が、遼子の額を、こめかみを、頬を愛撫する。
「…浮気なんかしないから…んっ」
首筋に唇を落とされた時、遼子の声の質が甘えを帯びたものに変わった。
鷹藤の舌先が遼子の首筋を撫でる。
「大丈夫。人通らないから」
コートの中に鷹藤の冷たい手が入りこんできた。
厚いコートの上からは見えないはずの乳首のありかを、鷹藤の指は正確に憶えているようだった。
セーターの下に手を入れブラの上から過たず乳首を唆す。遼子の発火点を知り尽くした指の動きで翻弄する。
屋外で、しかもこれから仕事だというのに、こんなことをしていて良いわけが無い。
だから太ももを堅く閉じ、鷹藤を拒絶しなければと遼子は思うのだが、意に反してそこから力が抜けていく。

「駄目…恥ずかしい」
自分の口から洩れたのが、拒否の言葉ではなく、行為を受け入れての羞恥の言葉だということにも気付かぬ
程、遼子の意識は淫らに溶けはじめていた。
守りを解いた遼子の太ももの間に鷹藤が掌を入れた。
鷹藤の手がストッキングの上から太ももを撫でる。指先が触れるか触れないかの愛撫。太ももの中ほどで
往復する鷹藤の指がもどかしくて、愛撫を求めるように遼子は自ら脚を開き鷹藤の腰に絡めていた。
「すぐ欲しいの?」
ストッキングの下に鷹藤が手を入れた。
遼子の下着の上から茂みを撫でる。中指が下着のクロッチに触れた。
「湿ってる…」

鷹藤の指が下着の中に入りこんだ。茂みの奥に指が触れる。
「きゃっ」
「早く終わらせて、あの男に会いたいんだ」
「違う…」
「じゃあ外でこういうことされるのが嬉しくって濡れてんの」
「…そんなわけないじゃない」
「あっそ」
鷹藤の口調が冷たくて、遼子は思わず泣きそうになった。

「鷹藤君だから。鷹藤君が好きだから…だからこんなところでもできるの」
唇を震わせ、遼子が切なげに鷹藤を見上げた。

「わかる…?ここで、こんなことされてもいいくらい好きなの…浮気なんてできるわけないじゃない」
遼子を見つめ返す鷹藤の瞳が揺れた。
「ごめん…。俺も…あんたが好きだ…。本当にごめん」

遼子の眼の端に盛り上がった涙を鷹藤が唇で受ける。
それから恋人に唇を重ねる。温かな舌が、満足げに遼子の口内を蠢きまわる。
愛しさを乗せて、二人は舌を絡め合わせた。
舌を絡ませながら、鷹藤が指二本を遼子の中に差し込む。
「あっ…」
待ちかねた感触に遼子が思わず声を漏らす。
「声出すとさすがに誰か通った時気付かれるから。声出さないで」
遼子を犯すように指を下から突き上げる。
191ふたりの木陰 3:2011/02/07(月) 20:31:37 ID:Z4slRGGf
「ふっ…んっ」
切なげに眉をひそめ、唇を噛む遼子の顔を鷹藤が見つめながら、指で昂ぶらせていく。
「足、上げて。そしたらもっとよくなるから」
遼子が片脚の太ももを上げると、鷹藤の指がつくポイントが変わった。
遼子の中のざらつく天井を掻き乱す。

「あっ、そこ駄目…」 
片足を上げ、快楽のポイントを突かれた遼子が喉を震わせながら言う。
「声、出さないで」
「でも…あんっ…」
コートの下から水の跳ねる音が響く。
「すごく感じてるだろ」
花芯に親指の腹が当たる様にしながら、鷹藤が指を叩きつけ続ける。
「はぁっ…あんっ…」
躰に火をつけられ、間断のない喘ぎ声しか遼子は紡げなくなっていた。
声を堪える為鷹藤のジャケットの襟を遼子が噛んだ。

「んんっ…」
「いやらしいな、あんたのあそこが、涎たらして欲しがっているよ」
「お願い…もう駄目…入れて…お願い」
腰を震わせ、鷹藤の首を強く抱きながら遼子が溺れるように喘いだ。
鷹藤が遼子を後ろ向きにすると、木を抱くようにして立たせ、腰を後ろに突きださせる。
それからストッキングとショーツを一気にずり下げ、既に漲っていた自身をあてがった。

「あ…んっ」
遼子を木に押し付け、下から上へとねじ込むようにして自身を埋めていった。
「は…ぁぁあぁ…」
二人の躰の合わせ目から水音がたつ。
「すごい音…いつもよりすげえ濡れてる」
湿り気のある音が木立の中で響く。
「音だけでやってることばれちまうよ」
「いやっ…」
太ももを濡らしながら、遼子の蜜が這うようにして脚を伝わり落ちていく。
鷹藤の靴が楡の枯れ葉を踏み荒らす音と、遼子の潤んだ花を捏ねる音が並木道の静寂を破る。

「いく…いっちゃう…いや…やぁっ」
足元がぐらつき、眼も眩むような快楽に襲われ、遼子の躰から力が抜けそうになる。
崩れ落ちそうな躰を支えるために、遼子は顔を木に顔を押し付け幹を強く抱いた。
「あんたの中に出すぞ」
「あ…駄目…取材なのに」
鷹藤が遼子の理性を揺らす程強く抜き差ししはじめた。鷹藤自身が遼子の中でさらに膨張する。
「…っ。じゃあ服に出していいか」
鷹藤が荒い息を遼子の耳にかけながら囁く。

「駄目…あ…もうっ…欲しい…欲しいの鷹藤くん…!全部ちょうだい」

「ああ」
更に激しい音を立て、鷹藤自身が遼子の肉の中で暴れた。
ここがどこであろうともうどうでもよかった。遼子の意識は悦楽の中に溶けていく。
「もう…いく…いくぅっ」
遼子がそう喘いだ時、中で鷹藤が弾けたのを感じた。
遼子の背後から鷹藤が唇を寄せた。遼子も快楽の中、名残りを惜しむように舌を自ら絡めていった。

192ふたりの木陰 4:2011/02/07(月) 20:34:48 ID:Z4slRGGf

鷹藤の運転で都心に戻った二人は手をつなぎ歩いていた。
つなぎ合わせた手から伝わる温もりは、先ほどの屋外での行為の余韻と、胸に充ちる相手への愛しさを呼び
起こす。
「今日はここなの」
見上げると首が痛くなるほどの高層ビル。その上階を占める外資系高級ホテルの中にある中華料理店が今日の
食事会の場所だった。
「…大丈夫だからね。浮気なんて」
「わかってるって」
鷹藤が照れくさそうに言う。
「あんなことして悪かった」
「わたし、もう行くね。終わったらすぐ帰るから、部屋で待ってて。鷹藤くんあのね、
 …わたし…さっきのあれ、そんなに嫌いじゃないかも…」
遼子が恥ずかしそうにそう言うと、つなぎ合わせた手を解いて歩きだした。
「へ…えええええ!?」
茫然と立ち尽くす鷹藤を尻目に微笑すると、遼子はホテルの回転ドアをくぐった。


お目汚し失礼しました。
真冬だってのに嫉妬のあまりの青姦させちゃいました。
二人とも風邪ひかないといいんですが。
193名無しさん@ピンキー:2011/02/07(月) 22:27:21 ID:bFfnf3Z5
>>189-192
おおぅ!冬の寒空の下の青姦、グッジョブです!
遼子と鷹藤の2人は、ますます色々なプレイを体験していきますなぁw
どんどんヤッちゃって下さい!!!
194罠 1:2011/02/07(月) 22:57:44 ID:Z4slRGGf
連投失礼します。実は「ふたりの木陰」の続き。
今度は「リハビリ」に出てきた議員が遼子に悪さします。しかもエロなしごめんなさい。


「鳴海さん、今日はいつにも増してきれいですよ」
「は?」
高級ホテルのバーの静かな囁きに満ちたフロアに遼子の間抜けな声が響いた。
思わず出た言葉に赤くなり、身をすくめて遼子は周囲を見回した。皆それなりに地位もあり、こういう場所で
時間を潰すことに慣れているのか、遼子の振る舞いに眉をひそめるような不躾な真似をするものはいなかった。
少し離れたところにいるバーテンダーもすました顔で立っている。

「もう…緋山先生ったら、お上手なんだから〜!おほほほ〜」
てれ隠しに遼子がぎこちなく笑った後、また気づまりな沈黙が訪れた。

隣にいる青年――緋山秀和の襟元には議員バッチが光る。
先日美鈴と共にインタビューしてから何度目かの食事会だった。いつもは美鈴や、緋山のスタッフとも
一緒に食事を取るのだが、待てども美鈴は来ない。何度もメールしているが返事がなかった。
遼子が緋山の姉に似ていると美鈴に聞いてから、緋山が遼子を見るときの視線の強さがくすぐったくもあり、
どことなく恐ろしくもあった。
食事が終わると緋山のスタッフが帰り、遼子は緋山に誘われるまま食事会が開かれた中華料理店の上階にある
バーに来ていた。
―――このまま部屋に誘われても、私はなびかないわよ。そんな安い女じゃないんだから…。

「いい匂いがしますね。僕の好きな香水に似ている」
美鈴が選んだ香水だった。緋山の姉もつけているという香水。
それにしても美鈴はどこからそんな情報を得るのだろうか?遼子がそう思った時だった。

「知り合いもつけている匂いだ。でもつける人によって匂いも変わるのかもしれない。こう言ったら失礼
 かもしれないが―――とても官能的な匂いに感じますよ」
「そ、そうかしら…つけすぎたかな」
自分の手首の匂いを犬のように嗅ぐ遼子の様子を見て、緋山が形のいい象牙色の歯を見せて笑った。
「面白い人だ、あなたは。ユニークでどこか憎めない。それなのに妙になまめかしく見える時がある」
「またまた〜。よく言われます〜」
動揺して遼子は、受け流しているのか、真に受けているのか微妙な返答をしてしまった。
微妙な空気の中、携帯を出しては相手の気を損ねそうだ。だが、二人で飲んでいるとどうにも落ち着かない。
遼子は美鈴からの連絡を待ちわびていた。

「巻瀬さんなら来ませんよ。彼女に情報を流しているスタッフと今頃は楽しくしているんじゃないかな」
ロックグラスを傾けながら緋山が言った。
遼子の様子から、美鈴を待っているのを見抜いていたようだった。

「…このホテルに部屋をとってあるんですよ」
緋山が真顔で言った。
―――大丈夫、鷹藤くん浮気なんてしないから。
遼子が断わりの言葉を告げようとした時だった。

「折り入って話したいことがあるんですよ。あなたのお兄さんの情報」
緋山が身を乗り出し、遼子の耳元で囁いた。
「兄の情報?」
断ることを忘れ、遼子は急きこむようにして言った。
その様子を見て緋山が笑みを浮かべる。
「そう。死んだことになっている君のお兄さん。だが、警察も馬鹿じゃない、君の兄さんの生存を確信
して追っているようですよ。秘密裏にですがね。もし僕がその捜査情報を入手しているとしたら」
「お兄ちゃんのこと知っているの?」
195罠 2:2011/02/07(月) 22:59:57 ID:Z4slRGGf
「ええ。僕はあなたにその情報を提供できます。ここにありますよ」
緋山は人差し指で自分のこめかみを指した。
「僕は嘘をつきません」
「教えてくれるんですか」
「もちろん」
緋山がにっこりと笑った。
「ですが、ここでは言えません。下に部屋をとってあります。そこに来たら教えてあげますよ」
カウンターに乗せられていた遼子の手に、緋山が手を重ねた。

「へへへへ…部屋って」
「余人に聞かせたくない話ですしね。静かなところの方が話しやすい」
緋山が選挙民向けの完璧な笑顔を作った。美しく手入れされた歯が、唇からちらりとのぞく。
「来るか来ないかは鳴海さんの自由です。来なければ情報は得られない。それだけのことです。
どうします。どちらにせよ、今日僕はその部屋に泊ります」

「…本当に知ってるんですか。兄のこと」
「来ればわかりますよ」
緋山の笑顔の奥で、その瞳が凍てつく光を放って見えた。
この青年はもしかしたら見かけどおりの人間ではないのかもしれない。
だが、洸至のことを出されて遼子は後に引けなくなっていた。
立ち上がった緋山の後に続いて、遼子もバーを出ていった。


堅い表情で部屋の入り口に立ちつくす遼子に、緊張をほぐそうと緋山が笑顔で話しかける。
「いい部屋でしょう?」
「は、はい!」
「そんなに硬くならないで。緊張してるみたいだね。何か飲む」
「いえ、いいです。あの、わたし、来ましたよ。だからお願いです。お兄ちゃんのこと教えてください!」
「この部屋に来て、夜景も見ずに帰るのはもったいないですよ」
緋山が遼子の手を取ると、窓際へ誘った。
「なかなかいい眺めでしょう。カーテンを開けていても誰にも見られる心配はありませんよ。この辺で一番の
 高層ビルですから」
さりげなく緋山が遼子の肩を抱いた。
「だけど、緋山さん、わたしそんなつもりじゃ」
その手から逃れて、遼子は向き合った。上背のある緋山が遼子を見下ろしていた。

「じゃ、どんなつもりだったの。今日はいやに艶めかしい目をしてこっちを見ていたじゃないか」
緋山と食事をしながら、遼子は時折、さっきの鷹藤との行為を反芻していた。
それがこの男に火をつけたのだろうか。
緋山が手を伸ばす。
遼子の首筋を冷たい掌が撫で上げた。
「や、やめてください!」
緋山の動きが止まった。遼子を見据えながら口元だけは微笑んでいる。
「…欲しくないならいいよ」
氷のような声だった。
「な、何がですか」
緋山が遼子の耳元に唇を寄せた。

「お兄さんの情報」
生温かい息が遼子の耳にかかる。ぞっとした。
「ここで君が部屋を出れば、永遠に君はお兄さんに近づけない」
「お兄ちゃん…」
「お兄さんに会いたいのなら」
緋山が遼子のスカートの上から太ももを撫でる。
「あっ…」
太ももを這う緋山の腕を遼子が手が押し止め、密着する二人の躰に隙間を作ろうと身をよじった。
「動かないで…そうすれば僕は君に情報をあげる。いい交換条件だろう?君は兄さんの情報を、
 僕は君を得る」
196罠 3:2011/02/07(月) 23:02:10 ID:Z4slRGGf

遼子がゆっくりと緋山を見上げた。
「わたし…?違うわ。あなたが欲しいのはお姉さんでしょ」
緋山の眼の端が不愉快そうに一度だけ痙攣した。

「知っていたんだ」
「あなたが好きなのはお姉さんだけ。わたしはその代わり」
手がスカートの中に入れられた。緋山の指先が遼子の太ももの感触を確かめるようにゆっくりと上へと辿る。
「やめ…やめてください!」
遼子が緋山の手を払いのけると、ドアへ向けて駈け出した。
その遼子の腕を緋山が掴む。

「お兄さんに会えなくなるぞ」
「こんな方法で情報を得てお兄ちゃんのところに辿りついたとしたら、わたし、きっとお兄ちゃんの顔を
 まっすぐに見れない。そんな私がお兄ちゃんに自首しろなんて言えない」
「きれいごと言うなよ。君がお兄さんに会いたいのは何のためだ?ずっと育ててくれたその胸に甘えたい
 からじゃないのか。それとも両親を殺された恨みを晴らすためか。自首なんて嘘はやめて本当のこと言えよ」
「違う!そんなのじゃない!わたしは罪を…償ってほしいの。それだけよ」
「きれいごとだけじゃ、兄さんのいる世界には辿りつけないぞ」
歩きかけた遼子の足が止まった。

「どうして女ってのはこうも面倒なんだ。素直になったらどうだ。なりふり構わず欲しいんだろ。
 兄さんの情報が。違うな――兄さんが欲しいんだ。君も僕と一緒だ」
「違う…違う!」
「嘘はよせって。僕は君より正直だよ。自分の中の気持ちを自覚している。僕は姉さんが憎くて憎くて
 たまらないんだ。君だって兄さんが憎いだろ?あれだけ君に迷惑をかけたんだ。だけど君はその兄さんの
 温もりが忘れられないんだ。だから部屋に入ったらどうなるかわかっていてもここに来た。他の
 男に抱かれてでも欲しいんだろ。兄さんのことが。すごいよ、僕にはそこまでの想いは無い」

「違う…」
反駁する遼子の言葉は弱かった。
男として兄を見たことなどなかった。だけど――。
別れる直前に全てを明かしたホテルの部屋で、兄が放つ空気と熱はそれまでの兄とはまるで違っていた。
そこに恐怖を覚えつつも、心の奥底で遼子は兄が見せた翳りに惹かれていた。
兄が警察に連行されていく時、思わず駆け寄り兄の背中に身を預けたあの一瞬、遼子の躰の芯の熱が上がったのを
憶えている。
そのことを言い当てられたような気がして、遼子の眼の前が暗くなる。

「その口調だと違うようには思えないけどね」
緋山が冷ややかに笑った。
「あの女は好きでもない男と結婚する羽目になって、結婚前、部屋でよく泣いていたよ。そのくせ、今は夜
になるとその男に散々啼かされてるんだ。楽しげにね。家じゅうに響くほどの声だ。うんざりだよ。
そんな姉にも、その姉が欲しくてたまらない僕自身も。だけど姉に似た君を抱けたら…少しは気が晴れるかもしれない」
緋山が腕を引くと、力の抜けた遼子を抱き寄せた。
197罠 4:2011/02/07(月) 23:04:10 ID:Z4slRGGf
「やめて!わたしは自力でお兄ちゃんに辿りついてみせる。だから離して!」
緋山の腕の中で正気に返った遼子が抗う。
「そう。じゃあ好きにすればいい。僕も好きにするから」
腕の中の遼子に唇を押し付ける。ナメクジのような舌の感触に遼子が嫌悪感も露わに唇を離した。
「やめて!誰か…」
遼子が身をよじり、そこから逃れようとしたとき、緋山が遼子の頬を撲った。

「な…」
「素直になれって」
「嫌…」
今度は反対側を撲つ。
「好きなんだろ。こうされるのが」
「誰の事を…きゃっ」
遼子をベッドに押し倒すと馬乗りになりまた遼子の頬を撲つ。
塗りつぶされたような黒目の奥で見ているのは遼子ではないようだった。

「好きですって言わないのかよ。いつも男にこうされて啼いてるだろ」
「違う…わたしじゃ…」
「もっとって言えよ。あなたもっと、って。いつも言っているみたいにさ。夜通しよがりながら言ってるだろ」
緋山は止まらなかった。痛みに遼子が悲鳴を上げると、楽しげに笑いながら遼子撲ち続けた。

「いや…やめて」
遼子叫び声を上げようと開けた口を緋山が唇で塞ぐ。
その細い躰のどこにそんな力があるのか、緋山が遼子のシャツの襟元を引くと、ボタンが音を立てて飛び散った。
シャンパン色のブラが露わになる。それを乱暴に引き下ろすと、遼子の柔らかな乳房を形が変わるほど強く揉む。
恐怖と痛みから遼子の視界が涙で滲んだ。

「鷹藤くん…お兄ちゃん…助けて…」
遼子が弱弱しく呻いたときだった。

けたたましいベルの音が鳴り響いた。
緋山が手を止める。
「火事…?」
その隙を見逃さず遼子が緋山を押しのけると、一目散にドアに駈け出した。
「待て!」
その声を無視して廊下に躍り出る。廊下でも非常ベルが鳴り響いていた。
それぞれの部屋からも客が各々顔をだして、訝しげに見あっている。

「こっちだ」
誰かが遼子の手を取った。
「いや…」
「俺だって。逃げるぞ」
聞き覚えのある声。顔を上げると、鷹藤が遼子を見ていた。
遼子の胸元を合わせてから、自分のジャケットを遼子にかけた。
「鷹藤くん…」
「君の荷物だ。返すよ」
背後からかけられた声に二人が振り向くと、緋山が遼子の鞄を手に廊下に立っていた。
悪鬼のようだった表情から一転、爽やかな貴公子然として緋山が微笑んでいた。

「ただで済むと思うなよ。なんてことしたんだよ」
鷹藤が緋山を睨みながら鞄を受け取った。
鞄を手渡す時に見た緋山の瞳の奥にある冷たさに、遼子は本性を見る思いだった。
鷹藤と歩きだした遼子の背に、緋山の冷ややかな声が投げかけられた。

「君の方から僕を誘ったんだ。三流週刊誌のたわごとなんて誰も信じない。女性記者が取材対象を誘惑なんて
 よくある話だからね」
198罠 5:2011/02/07(月) 23:06:11 ID:Z4slRGGf
「…なんだと?これみりゃわかるだろ?襲ったのは手前だろうが!」
鷹藤がいきり立って、拳を固め向っていくのを遼子が手を引いて止めた。
その様子を緋山が楽しげに見ていた。
「ここで殴ったらこの人の思うつぼよ。…いつかきっと記事にするから。それより、よくこの階にいるって
わかったね。美鈴さんから教えてもらったの?」
緋山を無視して二人はまた歩きだした。

「いや…美鈴さんじゃない。やっぱりあんたと一緒に帰ろうと思ってさ、この辺うろついてたんだ。
そしたら見たことのないアドレスからメールが来た。あんたが危険だからすぐにこの階に行けって」
「それって一体…」
「メールにはこんなことも書いてあった。そんな男は知らない、罠だって」
二人は顔を見合わせた。
「このメールの送り主って…」



首都高速を見下ろす公園の展望台に男が二人立っていた。
二人がいる公園は見晴らしはいいが、山かげになるため日あたりのわるい陰気な場所で、日中でも人影は
まばらだ。
以前は自殺の名所として有名で、いまもその名残として飛び降り防止用の金網が展望台に張りめぐらせてある。
風に乗って展望台にまで排気ガス臭気と、耳障りな走行音が漂ってきていた。

『あの女は好きでもない男と結婚する羽目になって、結婚前、部屋でよく泣いていたよ。そのくせ、今は夜
になるとその男に散々啼かされてるんだ。楽しげにね。家じゅうに響くほどの声だ。うんざりだよ。
そんな姉にも、その姉が欲しくてたまらない僕にも』
ボイスレコーダーの停止ボタンを押すと、黒いスーツ姿の男が言った。

「これはあんたの姉さんには聞かせられないな」
「いつの間に録ったんだ」
緋山が端正な顔を歪める。
「遼子の鞄に盗聴器を仕掛けておいた。大事な妹だからな」
鳴海洸至が邪気のない顔で緋山を見た。
「この続きを選挙民が聞いたらどう思うかな。もっと…もっとか。女を打たないと興奮しないタイプなのか」
「その質問に答える必要が?」
199罠 6:2011/02/07(月) 23:08:55 ID:Z4slRGGf
「いや。それはどうでもいい。お前は友達の記者の力も借りて、遼子が汚い手で誘惑したと吹聴している
 みたいだな。それに反論しようとした遼子の記事を親と政党から圧力をかけて握りつぶして、それで逃げ
 切れると思っていたのか。これを聞けば俺をダシにあんたが遼子を部屋に連れ込んだって子供にもわかるぞ。
 俺は妹の名誉のためにもこれを公表しようと思うが。君はどう思う?」
「それは…困る」

「じゃあ交渉成立だ。この事実を伏せる代わりに、こちらの依頼を聞いて欲しい。手始めに遼子から手を
 引いてもらおう。犯罪者の妹としてただでさえ肩身が狭い思いをしてるんだ。お前を警察に訴えても
 本気にしてもらえなかったようだしな。誤解があったとお前からマスコミに公表して手打ちしろ。
 次の依頼はそのうち伝える。もちろん、ただで聞いてくれてとは言わないさ、礼はするよ。邪魔な人間を蹴落
 とす手助けをしてやろう。それだけじゃない、好みの女も捜してやる。もちろん、遼子以外でだが」
「…犯罪者と手を組めるわけがないだろう」

「お前の言葉じゃないが、受ける受けないはお前の自由だ。受けなかったら主要週刊誌と新聞、それとネットにこれ
 を流すだけだ。そうしたら、愛する姉さんから罵られ、華麗なお前の経歴も、地位も全て消え去り残るのは汚名だけだろうな」
洸至は柔和な笑顔を見せながら言った。
それがたまらなく不気味で、緋山は背筋がざわつくのを感じていた。

「僕には選択の余地などないってことか」
「腹の中に憎悪を抱えているお前のような人間は嫌いじゃない。前のパートナーはいろいろあっていなくなって
 しまったからな。君みたいな立場の人間がいると、仕事がしやすい」
「何をする気だ」

「政治家の仕事と一緒だよ。世の中を良く作り変えるのさ」
洸至が首都高を見降ろしながら微笑んだ。
緋山は首に冷たく湿った息を吹きかけられたような気がした。

緋山が声をあげて笑った。
逃れられない泥沼の中に居る自分の状況に笑うしかなかった。
笑いすぎて涙が出た。おかしかったからじゃない。純然たる恐怖と絶望からだった。
逃れるためには、金網を突き破りここから飛び降りることしか選択肢はなさそうだった。
緋山は笑いながら泣いた。罠にはまったのが誰か、今ようやくわかった緋山の笑いは止まらなかった。
いつまでもいつまでも。
その様子を、腕組みをした洸至が檻の中の動物を観察するように楽しげに見ていた。



部屋にバーンと入って遼子を助け、ついでに相手をボコボコにしちゃうお兄ちゃんもいいんですが、
遼子を撲った議員を陰湿に追い詰めて楽しむお兄ちゃんも「名無しの権兵衛」っぽくてまたいいかな、と。
エロもなくて長くて自己満足ですいません。
200名無しさん@ピンキー:2011/02/08(火) 17:56:43 ID:j4nWVLW+
GJ!!です。
名無しの権兵衛の本領発揮なお兄ちゃん、素敵すぎてクラクラしました。

もう本気でこれらの素晴らしいエピソードをもとに、
パート2作って欲しいっす!


ところで、遼子の鞄の盗聴器はいつから…
青姦の時は鞄は車の中?それとも…(汗
壁に耳あり、障子に目あり、鞄に兄の監視あり、鷹藤くん気をつけて!w
201名無しさん@ピンキー:2011/02/09(水) 00:13:23 ID:vXLZ3r5N
相変わらずラブラブなふたりですねw
でもやっぱりお兄ちゃんが好き!

こんな事を書いたらスレチだと言われそうですが、お兄ちゃんがCMに出ててビックリしつつ嬉しかったです。思わず「お兄ちゃん」と言いそうになりましたw
202名無しさん@ピンキー:2011/02/09(水) 09:27:31 ID:MOx32RWz
>>201
お兄ちゃんは器用そうだから、料理も上手な気がする。
でも遼子にそれを知られると遼子の手料理が食べれないからあえて作っていない
気が。
お兄ちゃんに芋ジャー&エプロンで、料理されたら確実に萌え死ぬな。
203名無しさん@ピンキー:2011/02/14(月) 21:47:54 ID:imG6aS8Y
チョコねた読みたいっす!
エロエロでもほのぼの系でも。
204名無しさん@ピンキー:2011/02/15(火) 23:09:38 ID:VE3DD803
おにいちゃんがカレーのCMしてるからカレーネタもよいなw
205名無しさん@ピンキー:2011/02/17(木) 19:57:29 ID:c/gYQwD1
小澤さんの出る「遺恨あり」の番宣を、美鈴さんの中の人がやっていた。
ということは、お兄ちゃんと美鈴さんが出るんですね〜。

これでヒロインが仲間さんだったら最高だったのに。。

とか思っていたら、いつの間にかバレンタインも過ぎ…

遼子と鷹藤は、チョコレートプレイはしたんだろうか?w
206名無しさん@ピンキー:2011/02/24(木) 22:35:59 ID:ps03IiAs
3月はひな祭りとホワイトデーぐらいですかね。
ラブラブホワイトデー期待。
207名無しさん@ピンキー:2011/02/25(金) 16:32:27 ID:iFYhVL1/
今の仲間さんのドラマを見てて、ついつい高知の蹴られっぷりを鷹藤に重ねてしまうw
渡部の役もおにいちゃんがやったらいろいろおもしろかったのにな
208バレンタインと鯛焼き :2011/02/27(日) 14:51:31.06 ID:AP4x7Dpr
規制のせいでバレンタインから大幅に遅れた上に小ネタでスイマセン。


「ただいま」
洸至が帰って来た時、遼子はこたつの中にいた。こたつの上に辞書、教科書、参考書とノートを広げている。
高校生の妹はセーターの上に半纏を着こみ、寒さに身を縮こませながらストーブも付けずに勉強をしていたようだ。
兄と妹だけの二人暮らし。学費は奨学金でなんとかなったが、いまのところ生活費は洸至のバイト代だけだった。
それだけで兄妹二人の生活を賄おうというのだから、当然、二人の暮らしは貧しかった。

「早かったんだね、お兄ちゃん」
こたつに入ったままの遼子が洸至を笑顔で迎えた。
「今日はバイト早く終わったんだよ」
遼子の元へ洸至がやってくると、遼子がこたつの上からそれらのものをよける。
まるで、何かがそこに置かれるのを待ち受けるように。
「嬉しそうだな」

満面の笑みの遼子につられるように洸至も笑顔になるとこたつに入った。

「だって年に一度のチョコレートの日なんだもん。今日だけなんだから、チョコが沢山食べられる日って」

遼子の眼は、洸至が持っていた紙袋―――高級洋菓子店のものや、高級百貨店の店名がついた紙袋ばかり数個
―――に釘づけになっている。

「俺よりこっちが待ち遠しかったんだろ。ほら、お前の分だ」
洸至が遼子に紙袋を全て渡す。
「今年もたくさんだね!7…8、9…。これ食べちゃっていい?」
「いいぞ。お前好きだろ、チョコレート。俺、チョコは苦手だから」
紙袋の中を覗き品定めをしてから、遼子が兄を上目遣いに見た。
「きっとお兄ちゃんのこと本命で、一生懸命ラッピングした人だっているかもしれないよ〜」

「いるわけないだろ。全部義理チョコだって」
洸至が肩をすくめる。
「でもこれ高級チョコレートだよ。一粒400円くらいするんじゃない?8個入りってお金かかってるよ」
「じゃあ金のかかった義理チョコなんだろ」

「…お兄ちゃんがそう言うのなら、そうなのかな。じゃ、わたしが今年も全部貰っちゃうね」
紙袋を脇によけると、遼子がこたつの真ん中に小さな紙袋を置いた。
「そのかわり、これ、お兄ちゃんにあげる」

「お、ありがとう。チョコより、俺はこっちの方がいいよ」
洸至が紙袋に手を伸ばすと、中に入っていた鯛焼きを取り出し、頬張り始めた。
「一個100円の鯛焼き3つで、こんなにチョコもらっちゃって悪い気もするけど」
「300円だって、お前には大金だろ。俺はこれでいいよ」
遼子が一瞬すまなさそうな顔をしたが、顔をほころばせながら鯛焼きを食べる洸至のあまりに幸せそうな様子に
また笑顔になる。

「俺の本命だからな、嬉しいよ」
もぐもぐと口を動かしながら洸至が言った。

「そんなに好きなんだ、鯛焼き」
「まあ…そうだな」

「じゃあ、来年も鯛焼き買ってあげるね!」
「頼むよ」
「もちろん。じゃ、またお兄ちゃんのと交換ね」
「…交換なのか…」

209208:2011/02/27(日) 14:55:44.10 ID:AP4x7Dpr
オチが微妙ですいません。修業し直します。

しかも警視庁に入ってからはお兄ちゃんプレゼントはそんなに貰っていなさそうなので、
学生時代にしてしまいました。

>>205
チョコレートプレイについて遼子が勘違いして、鷹藤のナニに
熱々のチョコレートかけてチョコバナナにしようとして怒られる、とかしか思いつかない…orz
210名無しさん@ピンキー:2011/03/02(水) 09:21:45.91 ID:8IuynWFu
バレンタイン小ネタ、GJです!
学生時代の兄妹もほのぼのしていていいですね〜♪

やっぱり「公安」だとなかなかチョコは貰えないんですかねw
211名無しさん@ピンキー:2011/03/02(水) 23:10:12.79 ID:asFvY6e3
明日は楽しいひな祭り。

ラブラブひな祭り、ほのぼのひな祭り、エロエロひな祭り・・・

その他諸々お待ちしております。。
212布団の中 1:2011/03/10(木) 14:45:19.25 ID:MCJ6IL62
若き日のお兄ちゃんです。


布団の中、寝そべりながら洸至は懐中電灯の明かりで手元を照らしていた。
いささか心もとない灯りではあるが、活字を追うには充分だ。

窓に当たる雨粒は、アパートの薄いガラスを突き破るような勢いで叩きつけられている。電気もつかないし、この音では眠れそうにない。
集中できないながらも、活字を追いながら台風が過ぎるのを待っていた。
ときどき、ごう、という音とともに家が揺れ、そのあと突風に呼応するように家があげるうめき声めいた音が鳴る。

いくら古いアパートとはいえ、突風で倒れる事はないとは思うが、限界に近い風をまともに浴びて
悲鳴を上げているのは確かだった。
洸至と遼子が今住んでいるのは、築40年は経とうかという古い木造のアパートだ。

それでも、4畳半と狭いながらも2階に1室、1階に台所に続いた6畳一間があり、
高校生の妹と大学生の兄がひとつ屋根の下暮らすには、プライバシーもそこそこ確保
できる点が魅力的で――もちろん家賃の面においてもだが――、それでここに決めたの
だが、やはりこういう嵐の夜には少々心もとないのは否めない。

杉の子育英基金のおかげで大学に進学できたが、遼子との生活費は別だ。
明日も早くから配送のバイトがある。
しかし、この分だと台風で配送スケジュールが大幅に狂い、どう考えても残業になりそうだ。
残業代は嬉しいが、勉強時間が減るのは正直痛い。本来ならもう寝ている時間だが、眠れないなら、
締め切りの迫ったレポート用の文献を読み込むしかなかった。
風が生み出す轟音の中、退屈な内容の学術書を読んでいると、人の気配を感じて洸至が振り返った。

懐中電灯の光を向けた先に、眩しそうに片手を眼のあたりにかざして立つ妹がいた。
停電の中、手探りで2階の自室から降りて来たらしい。

「遼子、どうした?雨漏りでもしたか?」
「ううん、ねえ、そっちに行ってもいい…?」
「ああ」
そろそろと近づくと、妹は洸至の布団の横にちょこんと正座した。

「お兄ちゃん、今日、ここで寝てもいい?上の部屋の窓、すごい音がして怖いの」
妹は恥ずかしそうにうつむいて、パジャマの膝のあたりをむしっている。
「…じゃ、俺が上で寝ようか」
「そ、そうじゃなくって、一緒に寝て欲しいの」

暗がりの中、妹を見ると、表情が見えないほど俯いている。
「お前なあ、高1にもなって、ひとりで眠れないのか」

強い風が吹く前の、一呼吸のような間が空いたとき、ぽたっ、という音とともに遼子の握りしめた手の上へ、涙がこぼれおちた。
驚いて、遼子の顔を覗き込む。

「思い出しちゃったの。お父さんとお母さんが死んだ時のこと。風の音が、お父さんたちを死なせた
爆弾の音みたいに聞こえて」
嗚咽を上げながら、絞り出すように遼子が言った。

あの家が爆ぜた時、妹は現場に居なかったはずだ。
だが、吹き飛ばされた家の破片、道路に舞い散ったガラス。燃えて炭化した柱の残骸。
その惨状から聞こえるはずのない音を聞いたのか。
妹の想像の中でのみ鳴り響いた音がいま、台風の風の音と重なり、父と母の死の現場の記憶を
呼び起こしたようだった。

次の瞬間、また凄まじい音とともに一際強い風が吹き、家が揺れた。
「いやっ」
洸至は、頭を抱え込むようにして身を縮めた妹の体を思わず抱きとめた。
213布団の中 2:2011/03/10(木) 14:47:01.24 ID:MCJ6IL62
洸至が落とした懐中電灯が転がり、全く意味のないところを陰鬱に照らす。
見てわかるほどではなかったが、こうして妹を腕の中に抱いた時、その体が細かく震えていることに気がついた。
洸至は、小動物を抱いた時のような頼りない感触と体温を妹のパジャマ越しに感じていた。

「大丈夫だよ、遼子。大丈夫…」
妹の背中を優しく撫でる。
涙で濡れた瞳で、妹が洸至を見あげた。
「この家、飛んで行ったりしないかな」
まるでおとぎ話だ。風で家が吹き飛ぶなんて考えるなんて。
「こんなボロでも飛んで行かないさ」
笑ってその顔を覗き込むと、妹も微かに笑ったように見えた。
「今日は特別だ。いいぞ、ここに寝ても。上から布団持ってきてやるから、待ってろ」
洸至が立ちあがりかけたとき、
「いらない」
遼子が言った。

「いらないって、お前、どうするんだよ」
「…一緒のお布団で寝たいの…いやかな」
妹なんかと寝れるかよ、という顔をしながらも、洸至の心音は跳ね上がりこの音が風の音でかき消されたことに
正直安心していた。
「しょうがないな。入れよ」
遼子は礼を言うと、待ちかねていたかのように洸至の隣に滑り込んだ。

「昔、風が強い時こうやってお兄ちゃんのお布団で寝たよね。憶えてる?」
「そんなこともあったか」

昔。
親父やおふくろが居たころ。
みぞおちへ叩きこまれた親父の膝。蹴り飛ばされた背中。脇腹へ叩きこまれた拳。
暴力こそが日常だった。親父は暴力の味と憎悪を俺に教えてくれた。

毎日父から暴力を振るわれ、助けを求めた俺に母は手を差し伸べようともしなかった。
原因を作ったのは自分なのに、殴られる俺を靴に付いた糞を見るような眼で見ていた。

薄い膜で隔てられて、家族の中に入れなかったあの頃。
求めても愛されず、求める事をあきらめて、憎悪こそが友だったあの頃。

だが、人の温もりを知らないまま大人になるはずだった自分に、こんなにも温かいものがあると
教えてくれたのは、小さかった遼子の温もりだった。
両親の愛を一身に受けて、向日葵のように屈託なく明るく育った妹の微笑み。
自分に向けられたそれを見た時、暗闇の中に一条の光を見たような気がした。
幼い妹を抱きしめて眠りについたあの夜たちを忘れる筈もない。

「お兄ちゃんの布団に私が入ると、ぎゅっ、てしてくれたよね。お兄ちゃんにそうされるの、
 好きだったんだ。怖い夢を見て泣いていると、守ってやるから大丈夫って言ってくれて」
214布団の中 3:2011/03/10(木) 14:47:58.48 ID:MCJ6IL62
暴力が日常と化し、恐怖がなじみ深い感情となった頃には何も感じていなかった。
それは何かを感じていたら、耐えられない日々を生き抜くための子供なりの自衛手段だった。

あの頃、怖い夢を見た遼子を守るといって抱きしめていたのは、守るためではなく、
俺が幼い遼子にすがりつくためだったのかもしれない。
そのぬくもりに守られていたのは俺だった。
だから遼子の微笑みも、言葉も、愛情も、抱擁も、まどろみも、涙も、悲しみも全て欲しくなった。
抱きしめた遼子のぬくもりとともにそれらが溶け出てきて、心を失った自分が、また別の
存在になれる気がして、
あの頃の俺は妹を抱きしめていた。

読みかけの本を閉じると、こちらに背を向けるようにして横になっている妹に体を添わせた。
そして腕を遼子の体に廻す。
まだ遼子の震えは止まっていなかった。
「今日は特別だぞ」
腕の中で小さく遼子がうなずいた。

「もう、これで大丈夫だから。安心して寝るといい」

意識しなくても、洸至の鼻を刺激する己のものとは違う匂い。
幼い日、腕に抱いた時のような性の未分化な幼児の匂いではなく、その匂いは
女性特有の淡く甘い匂いだった。小学生のころ抱きしめた時とは違い、少しずつ女らしい厚みと豊かさを身に付けた体。
匂いも、体の線も、もう少女のそれではなくなりつつあることに戸惑いながらも、柔らかさに安らぎと違う
心地よさも感じていた。

「こうしてると、怖いことなんかなくなっちゃうね。不思議」
遼子の声で現実に引きもどされた。
「何だよそれ」
「お兄ちゃんと一緒にいるからかな。お兄ちゃんが懐中電灯で本を読んでる灯りがあったから、
降りてこられたの。お兄ちゃんはいつもそう。私のこと照らして、道を示してくれる。だからお兄ちゃんといると安心なの」
自分が遼子を照らしているなんて思ったこともなかった。
ずっと照らされているだけだと思っていた。

ちっぽけな家での、妹との二人暮らし。住宅街の取るに足らない灯りのひとつだ。
だがその灯りは、洸至にとって守るに値するものだった。

―――その為に後戻りのできない道を歩き始めたとしても。

「俺をそんなに持ち上げても、ラーメンに卵入れるのは週末だけだぞ」
「もう、違ってば。そんなつもりじゃないって」
いつもの妹の口調に戻っている。いつの間にか震えは止まっていた。
「遅いから寝よう。明日も学校だろ」
「うん」
かりそめの幸せかもしれないが、いま腕の中にある遼子の温もりは本物だ。
それを今晩だけでも逃したくなくて、廻した腕に力を込めた。


変態兄ビギンズ。
最初は優しい爽やか兄だったのが、こんな生殺しが続いたせいであんな変態に…。
エロなしですいません。
215212-214:2011/03/10(木) 14:51:51.13 ID:MCJ6IL62
季節ネタ、カレーネタじゃなくてすいません…。

216名無しさん@ピンキー:2011/03/10(木) 20:50:23.97 ID:Wb7MH7kS
>>215
かな〜り過疎ってたから書き手さん誰もいなくな
ってたと思った。
新作乙!


最後に?鷹遼の誰もいないオフィスでのシチュ
をリクします!!
217名無しさん@ピンキー:2011/03/10(木) 22:21:41.05 ID:d91cnNxh
>>212-214
GJ!です。
兄、せつないなぁ・・・。でもそこがキュンキュンくるんですがw

今クールの小澤さんのドラマも、仲間さんのドラマも
いよいよクライマックスですね。
どちらのドラマの最終回もどうなるのか楽しみです!

嗚呼、ホワイトデーネタを書きたいけど、時間が無い・・・orz
218名無しさん@ピンキー:2011/03/10(木) 22:47:04.68 ID:MCJ6IL62
>>216
了解です。でも時間かかるかも。カレーネタが先になるかもしれません。

>>217
ひと段落したらでもいいので、投下待ってます〜!

仲間さんドラマの沙希さんとお兄ちゃんを例のバーで会話させてみたら
結構面白そう。
219名無しさん@ピンキー:2011/03/10(木) 22:50:24.01 ID:MCJ6IL62
>>217
最後と言わず…、というのを忘れていました。
220名無しさん@ピンキー:2011/03/16(水) 11:24:10.92 ID:ayYddtSq
こちらのスレの方の皆さまは、地震は大丈夫だったでしょうか。

どうぞ一日も早く復興しますように・・・
221名無しさん@ピンキー:2011/03/16(水) 15:41:01.67 ID:+diYAbrg
>>220
心配ありがとう。こちらは無事です。
皆無事だといいけれど…。
222名無しさん@ピンキー:2011/03/16(水) 16:45:31.04 ID:+diYAbrg
「最近このスレも大分過疎って来たから、俺もようやく遼子の相手をしないで済むと思っていたんだがな…。
 遼子一筋といえど、間違っても妹に手を出すようなケダモノじゃないぞ俺は。
 …ここの住人が皆無事だといいが。
 >>220のように俺の無事を確認するような殊勝な住人もいるようだから、仕方がない…住人サービスの為に
 一肌脱ごう。じゃあ遼子頼むぞ」
「頼むって?」
「これは皆の為にやることだ。俺がやりたいとがそういうことじゃないからな」
「えっ。なんでわたしの服を脱がせるの、お、お兄ちゃん!」
223名無しさん@ピンキー:2011/03/16(水) 18:51:33.65 ID:wZfn5jW+
>>220
関東地方住人ですが、無事です、ありがとうございます。

余震とか停電とかでまだ落ち着かないですが、
被災地の方のご苦労に比べたらこんなもん。。

そんな中、>>220でお兄ちゃんと遼子に久しぶりに会えて
嬉しかったです。

みんなで頑張っていきましょう!
224名無しさん@ピンキー:2011/03/22(火) 22:53:33.16 ID:bVw5M2sU
>>221、223
ご無事なようで何よりです。

火曜22時、仲間さんドラマがもうないのは寂しい・・・。
小澤さんのドラマは、最終回は今週に放送があるみたいですね。

まだまだ大変な状況は続きそうですが、少しずつでも元に戻っていくことを
切に願っています。

>>222
皆の為にお願いしますw>兄
225本誌美人記者による体験手記!1:2011/03/27(日) 23:31:59.13 ID:0HrEin7Q
PCにこんなのが残っていた。とても長いピュアピュア時代の鷹藤×遼子。微エロなのにすごく長い。
すいません。


遼子は時計を睨んだ。
8時16分。美鈴が部屋を出て行ってからもう50分以上経つ。
部屋がだいぶ暑くなって、ほんのり自分の肌が汗ばんでいるのがわかる。
エアコンの設定温度をさっき下げたばかりだが、また下げることにした。
エアコンが効いてくるまで、美鈴が置いていった女性誌をうちわ代わりにして風を送りながら、テレビを見ることにした。
コンビニに行った美鈴がいつまでたっても帰ってこないので、らしくもなく心細くなっている。
本来なら、遼子を一人にしてはいけないはずだ。
そりの合わない美鈴といえ、この時ばかりは、美鈴の顔が早く見たかった。
そのためか、カードキーを通して、ロックが解除された音がやたら頼もしく聞こえた。

「美鈴さん、帰ってこないかと思ったんだか…ら」
「美鈴さんじゃねえけど」
コンビニの袋を手にした鷹藤が部屋に入ってきた。
「なんだよ、その格好」
ジャージ姿で、首にタオルを巻き、手にうちわ代わりの女性誌を手にした遼子の姿に驚いている。
「そっちこそ何よ。美鈴さんは?」
「用があるから帰るって。俺は編集長に言われて来たんだけど。何やってんの」
「今日は合コンがあるのにわざわざ付き合ってあげてるのよ、って言っておいて、
やっぱり仕事より合コンとったのか〜!」

「一体何の話だよ。それより、なに、この部屋。その格好」

「編集長から説明は聞いたの?」
「いや。取材終わって編集部に帰ったら、編集長から美鈴さんが急用で抜けるから、
お前が面倒見ろって。あんたの飯買ってから、この部屋に行くように言われただけ」
そう言って鷹藤は部屋を見回した。なんの変哲もないシティホテルのツインのベッドルームだが、
部屋にそぐわないものが水のペットボトルにまざってデスクに置いてある。
「なんで体温計に血圧計とメジャーがあるんだよ…。健康ものの企画か?」
「健康…、じゃなくって、お色気系よ」
遼子は苦々しくこの企画に参加するに至った過程を思い出した。


「なんなの、この薬」
中原のデスクの上の薬を持って、美鈴が言った。
「これ使うとさ、なんかわかんないけど、胸が大きくなるんだと。南米からの輸入品。
ラッシュの店長がくれたんだよ」
中原も自信なさげだ。
ラッシュとは中原がネタ元にしているいかがわしい雑貨店で、記事にできそうなグッズ類があればと、
定期的に足を運んでいるらしい。
「馬鹿らしい。記事にしてもらって売り上げ伸ばそうって魂胆見え見えじゃない」
中原のデスクに薬を置くと、美鈴はコーヒーを取りに去っていった。
中原自身も半信半疑らしく、パソコンに向かいタイプしはじめてから、薬のことはすっかり忘れている
ようだった。
編集部で、誰も注目していない薬に、遼子は熱い視線を送っていた。

胸が大きくなる…。
遼子自身、小さい訳ではないが、大きいに越したことはない。
胸が大きいというのは、いろいろ有利になるに違いない。
素敵な出会い、合コン、お見合い、婚活。
高学歴の履歴書よりも、ピュリッツァー賞の記事を書いた栄誉よりも、
男女間においてダイレクトに作用するものがあるとすれば、大きな胸だ、と遼子は思う。
知性も気立てももちろん大事だ。だが、今そのどちらも兼ね備えている(と思っている)遼子に足りない
ものといえば、女性として男性の目を引き付けるポイントだ。
226本誌美人記者による体験手記!2:2011/03/27(日) 23:33:12.33 ID:0HrEin7Q
―――胸が大きくなったら、史郎ちゃんも私のこと、また違った目で見てくれるかも。

そうしたら、二人で飲みに行かないかなんて誘われたりして、二人並んで高級ホテルの
バーのカウンターで飲んで、「ちょっと雰囲気かわった?」なんて言われて。
あ、その時は胸元が開いた服を着なきゃ…。
遼子が、自分の手持ちの服を思い出しながら選んでいたとき、
「よお!」
突如肩を叩かれ、現実に引き戻された。

遼子の顔の横に樫村の顔があり、同じものを見ている。
「欲しいのか、その薬」
「編集長。そんなことないですよ。インチキくさい薬だな、と思って」
「そうか。そうだな。…その割に熱心に見てたな」
微笑んでいるが、遼子を見る目は笑っていない。
獲物をとらえた獣の目だ。
遼子は途轍もなく嫌な予感がした。
「見てませんって」
「よし、みんな聞いてくれ。先週の部数の集計が出た。残念ながら、最近部数の伸びが悪い。そこでだ」
編集部の注目を集める意味で、樫村は間を置いた。
「次号のメインはお色気企画で行く」
「編集長。名無しの権兵衛の記事のおかげで、三流週刊誌から社会派としてアピールできたのに」
遼子が声をあげた。
「社会派は聞こえはいいが、部数につながらん。最近、名無しの権兵衛も鳴りをひそめ、
記事が書けない。追跡記事もスクープが無ければ部数が伸びない。だが、お色気記事は部数に直結する」

そう言うと、遼子に視線を寄こした。
名無しの権兵衛について追い続けてはいるが、最近、遼子はスクープを飛ばしていない。
遼子は視線をそらした。
「目玉記事は中原さんメインで企画を進めるからな。あとはグラビア、下半身がらみのスキャンダル…体験記事」
「体験…?なんの」
疑問を口にした美鈴が、いぶかしげに樫村を見ている。
「この薬のだ」
樫村は中原のデスクの薬を指差した。
「この薬、商品名は『グラン・バスト』。そうだろ」
「え、ええ」
「最近、豊胸効果を謳って出回っているらしいが、ちょっとした被害が出ているという噂がある」
「被害って、健康被害ですか」
城之内が聞いてきた。

「いや、犯罪だ」
編集部の空気が変わった。
「犯罪?この薬で。詐欺ですか」
中原も意外そうだ。
「強制わいせつ未遂にあった女性が少なくとも3人いる。いま伝手を頼ってウラをとっているところだ。みんなこの薬を飲んで、歩いていただけで襲われた。それも人通りの多い道を歩いているときにだ。
人通りの多いところだったから、すぐ助けが来たんだがな。
不思議なのは、襲った側はそんな前歴も性癖もない人間ばかりだったって事だ」
「何それ」
美鈴は、いかにも信用していない白けきった顔をしている。
「そこで、わが編集部で体験記事を書いてレポートする。
『謎の豊胸剤を当誌の美人記者が体験!驚愕の結果が!?』これでどうだ」

「私は嫌よ」
美鈴が即答した。誰も美鈴にやれとは言っていないが、編集部の美人記者といえば
自分だといわんばかりの早さだった。
遼子の肩に置かれた樫村の手に力が込められた。
「こういうのは、新入りがする仕事だ」
遼子はちらりと里香を見た。里香が遼子から視線をそらした。
「里香ちゃん、ですか…」
227本誌美人記者による体験手記!3:2011/03/27(日) 23:34:37.72 ID:0HrEin7Q
遼子がこうつぶやいた時、即座に樫村が否定した。
「いや、鳴海くん。君だ」
「なんで私が!」
「里見君は君より若いがこの編集部では先輩だろ。編集部に一番最近入ったのは君じゃないか。
いま、名無しの権兵衛も鳴りをひそめてるし、張り込みが必要なスキャンダルもない。
この編集部で一番身体が空いているのは君だろ。君しかいないじゃないか」

「美人、て」
違うんじゃない、美鈴がひやかすように笑った。
「週刊誌の世界では、どんな顔であったとしても記事になれば美人がつくだろう。
美人OL、美人詐欺師、美人議員、美人看護婦…。その理屈でいけば、体験記事をものに
する鳴海君が美人記者になってもおかしくはない」
この会話からすると、そんなに私に美人がつくのがおかしいのか。
胸の奥から湧き上がる怒りに、遼子は樫村と美鈴の名を怨みノートに書き記すことにした。
「鳴海君、そんなに怒るなって。もし、薬を飲んでそのまま何もなければ、それを
面白おかしく書けばいいだけだ。ついでに、大きくなった胸が残れば、悪くないじゃ
ないか。安心しろ、安全には最大限気を配る」


その結果、鷹藤とこうして二人、部屋にいる羽目になった。
安全って、鷹藤が遼子を監視するだけだ。鷹藤で本当に大丈夫なんだろうか。
鷹藤が遼子を襲いっこないということなんだろう。そもそもこの薬に効き目があるなんて、編集長はじめ、
編集部の誰も思っていないということか。
鷹藤が来てもう1時間経つ。30分置きに体温と血圧と胸囲を図っているが体温と血圧が微増しただけで、
一番期待していた胸囲に至ってはなんの変化もなかった。
午後7時に飲んで2時間と少し経つが、変化はない。
この実験は空振りかもしれない。
そうだったら、遼子の腕で記事を面白いものに仕上げるしかない。
「不安そうだな」
遼子に背を向け、ライティングデスク前の椅子に座り、薬の瓶をもてあそびながら鷹藤が話しかけてきた。
「一応、成分分析を民間の研究所に急ぎでしてもらって、毒物はないって結果が出たわ。向精神薬の
成分に似たものも入っていないし、その意味では安心して飲んだけど。ただ、飲んでから襲われるま
で、
半日くらいで起こったみたいなの。だから今日だけホテルで缶詰めになって様子を見ることにしたのよ」
「やってて楽しくはないよな」
「人体実験よ。される側になったら誰だってそうじゃない」
「仕事だ。頑張れよ」
人ごとだと思って。鷹藤の背中を睨みつけた。

「全部鏡に映ってるんだけど」
デスクの上の鏡に、鷹藤の肩ごしにベットの上から睨みつける遼子が映っていた。
「そんなつもりじゃ」
「じゃ、どんなつもり」
「かっこいい髪形だな、と」
あまりにも見え透いた嘘で、とっさに口に出して後悔した。

「あんたはそう思った相手、睨むんだ。男が出来ない訳だよ」
鏡の中から、鷹藤が呆れたように遼子を見ている。
「それにしてもさ、なんでジャージなの。もうちょっとあるだろ、恰好」
「一番動きやすくって、楽だから。変?」
「ま、いいんじゃない。あんたが良ければ」
いつもながらそっけない態度。
年上に対する敬意も、遼子のような大人の女性に対する接し方もなっていない。
だから彼女もできないのよ、と遼子は思った。
228本誌美人記者による体験手記!4:2011/03/27(日) 23:37:29.23 ID:0HrEin7Q
「ところでさ、あんた期待してるだろ」

「何をよ」
「胸がでかくなるの」
「そんなことないわよ」
核心をつかれて、声がうわずってしまった。
「胸が大きくなったときに備えて、あんたの手持ちの服で一番伸びる服着たんだろ」
図星だった。
「実験に臨んで、リラックスするためよ」
「ふーん。そうなんだ」
明らかに信用していない口ぶりだ。鷹藤が遼子を見た。
「それより、この部屋寒くないか」

「私は暑いくらいだけど」
「嘘だろ。エアコンの設定温度17度ってなんだよ。冷やしすぎだろ」
「だって暑いじゃない。このホテルのエアコンがおかしいのよ」
遼子はあまりに暑いので、ジャージのジッパーを胸の下あたりまで降ろした。それでも足りずに、美鈴の置いていった女性誌でまた扇ぎ始めた。

「それもやめろよ」
「なんでよ」
「風を送られると、なんていうか、香水が」
「香水?着けてないわよ。わたし」
「へ?すげーこう、いい感じの匂いがするんだけど。でも多少きついかな」
「何言ってるのよ。そっちが何か付けてるんじゃないの」
「俺も付けてないよ」
鷹藤は立ち上がると、遼子の方へ歩いてきた。遼子のそばで立ち止まると、しきりに匂いを嗅いでいる。

「やっぱりあんただよ」
遼子自身も、腕やジャージを持ち上げて嗅いでみるが、全くの無臭だ。
「いい匂いなんだけど、わからないか?」
そう言われて、遼子もまた自分の手首のあたりを嗅いでみるが、全くわからなかった。試しに口に手をかざし
息を吐いて、自分の息の匂いも嗅いでみたが、鷹藤が買ってきた焼肉丼のニンニクの残り香がしただけだ。
どう考えても色気のある匂いではない。
「やっぱり何の匂いもしないわよ」
そう言って顔を上げると、間近に鷹藤の顔が来ていて驚いた。
「ホント、いい匂いなんだ。嬉しくなるほど、いい匂いなんだよ」
鷹藤の顔が近づく。
「な、なにしてるのよ」
無意識に首筋に顔を近づけていた鷹藤は、目が覚めたようにして止まった。
「あ、ごめん…。あれ、おっかしいな」
遼子を見つめる目が、いつもの半ば馬鹿にしたような目つきではなくなっている。

「あんたってさ、美人だったのか」
「はあ」
女としては最上級に近い言葉を贈られたはずなのに、遼子の口から出たのは、なんとも間抜けな返事だった。
遼子の妄想の中では遠山からそれに近い言葉を数限りなく言われているが、現実の世界でそんなことを言われ
たことはない。
実際言われた時、まともに返答することが至難の業であることを、この時遼子は思い知った。
だが、自分の恰好と言えば、暑さでだらしなくジッパーを降ろしたジャージに首にはタオルだ。
こんな状況でそんなことを言う鷹藤を疑った。
だがこちらを見つめる鷹藤の目にふざけた感じが無い。それが逆に不気味だった。

「鷹藤君、どうしたの」
鷹藤の目の前で手を振る。
「あんた、いい匂いするな」
陶然としながらこちらを見る鷹藤に異様なものを感じて、遼子は後ずさった。
「逃げるなって」
口元は笑っているが、目つきは真面目そのものだ。
「ちょっと、なんだか普段と違うよ、鷹藤くん」

suiton
0
229本誌美人記者による体験手記!5:2011/03/27(日) 23:38:46.34 ID:0HrEin7Q

股間をけり上げればいいのだろうか。だがそれは痴漢相手にすることだ。
いま鷹藤がしていることは限りなくそれに近いが、なんとなく、遼子は腕の中で心地よさを感じてしまっている。
鷹藤の温もりが気持ちよくて、遼子は思わず同僚の腕の中で一瞬目を閉じてしまった。
ただ、これは様子がおかしい。
あんなにいつも遼子のことを馬鹿にする鷹藤が突然こんな風になるなんて、やはりあり得ない。
「離して…」
鷹藤の腕の中で抗う。

「離せないんだ。すごく、いい匂いで。ずっとそばにいたくなるような匂いで」
そう言いながら、鷹藤は遼子の顔に乱れて落ちてきた髪を愛しげに梳いている。
なすがままの遼子は、鷹藤の言葉を反芻していた。
匂い。さっきからこの言葉ばかり出てくる。
『グラン・バスト』バカげた商品名のあの薬が頭にひらめいた。
あれを飲んでから、身体が火照って、暑くなってきて…。豊胸剤じゃない。あれは。
みんな飲んでから半日以内に襲われた…。一体あれは何の薬だ。

「鷹藤くん、目を覚まして。おかしいよ」
「目なら開いてるよ。あんたこそ、暴れるなよ」
遼子を抱きしめる鷹藤の腕に力が込められ、二人の身体が密着する。
二人の顔が近づいた。
「怒るわよ」
「怒れよ。あんたが悪いんだ。こんな匂いさせるあんたが」
遼子の中で何かが爆発した。

「匂い匂いって、あなたが欲しいのは私じゃないんでしょ!私の匂いだけでしょ!」
遼子は鷹藤の腕の中で猛烈に暴れはじめた。
この人が求めているのは私じゃなくて、私の出す匂い。
この人が欲しいのは自分じゃないとわかると、どうしようもなく腹が立った。

「いつも馬鹿にしてるくせに!こんな時だけ、こんな時だけ!」
怒りにまかせて、鷹藤の胸板を何度も叩く。何度も叩いているうちに、鷹藤の顔に当たった。
「あれ…」
呆けたような顔をした鷹藤がそこにいた。正気に戻ったかと、遼子は一瞬喜んだ。
「殴ってきても、あんた、かわいいな」
鷹藤は完全に狂気の領域に足を踏み入れてしまったらしい。
「好きでもないくせに、欲望に身をまかせるなんて最低だよ!鷹藤くん、お願い離して!目を覚まして!」
怒りを通り越して、どうしようもない程のむなしさで遼子は悲しくなっていた。

「好きじゃない…。違う。好きだから嬉しいんだ。好きな女からこんないい匂いして、二人でいられるって、
すげー幸せなんだよ」
夢見るような顔をして鷹藤は言った。

官能的な匂いに支配されて言った言葉に違いないが、それでも、遼子はその言葉の中にすこしでも真実があればと願ってしまった。
その遼子の一瞬の空白を鷹藤は見逃さなかった。抱いた腕に力を込め、唇を重ねる。
「んんん!」
遼子は逃れようもなく、なすがまま唇を奪われた。

どうして自分がここまで腹を立てているのか、遼子はようやく気付いた。
自分は、きっと鷹藤に少なからず好意を抱いている。
だからこそこんな形で、本心とは思えない告白を耳にするのがどうしようもなく腹が立つのだ。
なんとか顔を動かし、そこから逃れようとするが、鷹藤の唇は執拗に遼子を求めた。
頬に、首に、切れ目なく唇を落とし続ける。経験がないに等しい遼子にとっても、これは欲望のままの行為というより、
それなりの思いがこもっている行為にも思えた。

もしかしたら、それは遼子の願望なのかもしれないが。
suiton
0
230225-229:2011/03/27(日) 23:58:06.60 ID:0HrEin7Q
すいません、残りは後日に投下します。
231225-229 :2011/03/28(月) 07:32:48.88 ID:TToV2Eh+
228、229の書き込みの下にある「suiton」の文字ですが、
連投したため、荒らしと思われたようです。

http://info.2ch.net/wiki/index.php?%C7%A6%CB%A1%C4%A1%B4%AC%CA%AA

あと「本誌美人記者による体験記事!5」の冒頭で抜けていた部分がありますので、
再掲します。スレ消費しちゃってすいません。
232本誌美人記者による体験手記!5(再):2011/03/28(月) 07:34:43.48 ID:TToV2Eh+
「鷹藤君、どうしたの」
鷹藤の目の前で手を振る。
「あんた、いい匂いするな」
陶然としながらこちらを見る鷹藤に異様なものを感じて、遼子は後ずさった。
「逃げるなって」
口元は笑っているが、目つきは真面目そのものだ。
「ちょっと、なんだか普段と違うよ、鷹藤くん」
鷹藤の手が伸びる。それから逃れるべく、別方向に歩みだそうとしたとき、肩を掴まれた。
「逃げないでくれ」
いきなり鷹藤が抱きしめてきた。経験がないだけに、こんな場合どうしていいのかわからずに鷹藤の腕の中
で遼子は慌てていた。

股間をけり上げればいいのだろうか。だがそれは痴漢相手にすることだ。
いま鷹藤がしていることは限りなくそれに近いが、なんとなく、遼子は腕の中で心地よさを感じてしまっている。
鷹藤の温もりが気持ちよくて、遼子は思わず同僚の腕の中で一瞬目を閉じてしまった。
ただ、これは様子がおかしい。
あんなにいつも遼子のことを馬鹿にする鷹藤が突然こんな風になるなんて、やはりあり得ない。
「離して…」
鷹藤の腕の中で抗う。

「離せないんだ。すごく、いい匂いで。ずっとそばにいたくなるような匂いで」
そう言いながら、鷹藤は遼子の顔に乱れて落ちてきた髪を愛しげに梳いている。
なすがままの遼子は、鷹藤の言葉を反芻していた。
匂い。さっきからこの言葉ばかり出てくる。
『グラン・バスト』バカげた商品名のあの薬が頭にひらめいた。
あれを飲んでから、身体が火照って、暑くなってきて…。豊胸剤じゃない。あれは。
みんな飲んでから半日以内に襲われた…。一体あれは何の薬だ。

「鷹藤くん、目を覚まして。おかしいよ」
「目なら開いてるよ。あんたこそ、暴れるなよ」
遼子を抱きしめる鷹藤の腕に力が込められ、二人の身体が密着する。
二人の顔が近づいた。
「怒るわよ」
「怒れよ。あんたが悪いんだ。こんな匂いさせるあんたが」
遼子の中で何かが爆発した。

「匂い匂いって、あなたが欲しいのは私じゃないんでしょ!私の匂いだけでしょ!」
遼子は鷹藤の腕の中で猛烈に暴れはじめた。
この人が求めているのは私じゃなくて、私の出す匂い。
この人が欲しいのは自分じゃないとわかると、どうしようもなく腹が立った。

「いつも馬鹿にしてるくせに!こんな時だけ、こんな時だけ!」
怒りにまかせて、鷹藤の胸板を何度も叩く。何度も叩いているうちに、鷹藤の顔に当たった。
「あれ…」
呆けたような顔をした鷹藤がそこにいた。正気に戻ったかと、遼子は一瞬喜んだ。
「殴ってきても、あんた、かわいいな」
鷹藤は完全に狂気の領域に足を踏み入れてしまったらしい。
「好きでもないくせに、欲望に身をまかせるなんて最低だよ!鷹藤くん、お願い離して!目を覚まして!」
怒りを通り越して、どうしようもない程のむなしさで遼子は悲しくなっていた。

「好きじゃない…。違う。好きだから嬉しいんだ。好きな女からこんないい匂いして、二人でいられるって、
すげー幸せなんだよ」
夢見るような顔をして鷹藤は言った。

官能的な匂いに支配されて言った言葉に違いないが、それでも、遼子はその言葉の中にすこしでも真実があればと願ってしまった。
その遼子の一瞬の空白を鷹藤は見逃さなかった。抱いた腕に力を込め、唇を重ねる。
「んんん!」
遼子は逃れようもなく、なすがまま唇を奪われた。
233本誌美人記者による体験手記!6:2011/03/28(月) 07:35:28.12 ID:TToV2Eh+
どうして自分がここまで腹を立てているのか、遼子はようやく気付いた。
自分は、きっと鷹藤に少なからず好意を抱いている。
だからこそこんな形で、本心とは思えない告白を耳にするのがどうしようもなく腹が立つのだ。
なんとか顔を動かし、そこから逃れようとするが、鷹藤の唇は執拗に遼子を求めた。
頬に、首に、切れ目なく唇を落とし続ける。経験がないに等しい遼子にとっても、これは欲望のままの行為というより、
それなりの思いがこもっている行為にも思えた。

もしかしたら、それは遼子の願望なのかもしれない。

だが、なんとしても鷹藤を元に戻さなければ。
このまま続けばもちろん遼子もつらいが、鷹藤も正気に戻った時きっと、もっと気まずい思いをするはずだ。

もう、こうなったら残る手はひとつしかない。
遼子は頭を後ろへ大きく振りかぶると、鷹藤めがけて繰り出した。
石と石とがぶつかるような鈍い音が部屋に響いた。
「いってええええええ!」
甘さひとつない、いつもの鷹藤の声だ。
「あんた何するんだよ!」
鷹藤が額を押え、涙目でこちらを見ている。
「元に戻った…」
遼子は力が抜けてその場にへたり込んだ。

遼子は水で濡らしたタオルを鷹藤の額に当てた。
「つまりなにか。これは豊胸剤じゃないのか」
額にこぶを作られて、鷹藤は不機嫌そうだった。
「たぶん、これ、強力な媚薬、というか、モテ薬だと思う」
「いいじゃん」
「よくないわよ。さっきどうなったか忘れたの。」
遼子も額に濡らしたタオルを当てている。冷やしてもなお痛んだ。
「この薬を飲むと、その人間の身体から相手の性衝動を突き動かす匂いが出るんじゃないのかしら。
フェロモンみたいなものを出すのよ」
「モテ薬っていって売り出せば売れそうだな。でもなんでこれが豊胸剤ってことになったんだよ」
「それはよくわからないけど、輸入したとき、翻訳を間違ったとか」
「ありがちだな。あと、もしかしたら、襲われて胸揉まれて大きくなるってことじゃねえの」
「馬鹿言わないでよ」

でも鷹藤の言ったこともあながち間違っていないかもしれない。
あのまま遼子が渾身の頭突きをかまさなかったら、今頃どうなっていたか。
鷹藤は頭突きをされて不服そうだが、そうすることで二人を守ったのだから、感謝されても、怨まれるいわれはない。

「とにかく、このまま放っておくのは危険よ」
「ちょっと待て」
鷹藤が遮った。
「その記事どこまで書くんだよ」
「私が薬を飲んで、それから鷹藤君に襲われて頭突きするまで。貞操は自分で守ったと書いておくから」
「待てよ。それじゃ、俺があんたを襲ったこと、編集部のみんなだけじゃなく、読者全員にばれちゃうだろうが。
俺の立場はどうなんの」
「わからないように、カメラマンTとか、カメラマン某にしておくわよ」
「駄目だって」
「この薬の危険性を証明してくれたじゃない。ちゃんと感謝の言葉もいれてあげる」
抗議をしても無駄と思ったのか鷹藤は押し黙った。
しばしの沈黙の後、鷹藤の目が細くなった。
「じゃあさ、公平さを保つ意味でも、これ書いてくれよな。薬のせいとはいえ、抱きしめられて私も嬉しかったって」
「そ、そんなことないわよ」
遼子の反応を見た鷹藤の口元が緩んだように見えた。
234本誌美人記者による体験手記!7:2011/03/28(月) 07:38:43.83 ID:TToV2Eh+
「ああなっていた時の記憶がないってわけじゃないんだ。気持ちいい夢の中で勝手に身体が動いてる感じなんだよ。
あの時、あんたに何をしたかもおぼえているし、あんたがどんな顔したかもおぼえてる」
「嘘!」
「抱きついた時、あんた、腕の中で一瞬目を閉じたんだぜ。おぼえてないのかよ。俺はしっかり見てた」
「次、どうするか考えてたのよ」
遼子の心臓の鼓動がドラムを乱打するようなリズムと爆音に変わっている。
鷹藤にこの音が聞こえなければいいが。
音はごまかせても、紅潮する頬の色はごまかせそうになかった。
「じゃ何であの時、気持ちよさそうな顔したんだよ。あんた、考え事する時、あんな変にうっとりした顔してたっけ。
いつも話しかけづらい難しい顔してた気がするけど」

「そんな一瞬のことおぼえてないわよ。…何言ったか、おぼえてるんだ」
鷹藤の目が泳いだ。

「ねえ、さっき、好きだからって言わなかった?」
「言ってねえよ」
「私聞いたわよ。好きだから嬉しいって」
ベッドの端に座っていた鷹藤は表情を見られないようにするためか、くるりと反転して
遼子に背を向けた。鷹藤のそばににじり寄り、耳もとで囁いた。
「それとも、あの匂いのせいでおかしくなったせいなの?」

振り向いた鷹藤と目が合った。
「そうだよ」
「…そうだよね」
あれだけ心臓から鳴り響いていた音が、次第に静かになっていく。潮が引く音が聞こえるようだたった。体温が一気に下がっていく。
こんなに自分が落胆するとは思わなかった。

「って言えたらいいんだけどな」

鷹藤は恥ずかしそうに肩をすくめた。
「ところであんた、何でそんなにがっかりしてるんだよ」
「べ、別に。がっかりなんかしてないわよ」
「わかりやすいんだよ、あんた。顔に出過ぎなんだって。好きだって言われて喜んで、そのこと追求するくせに、
違うとわかったらあからさまにがっかりしてさ、それってつまり」
鷹藤が遼子との距離を詰める。

「あんただって」
息がかかる程近い。
「そうなんだろ」
鷹藤の体温を感じた次の瞬間、唇がまた触れた。
今度は押しつけるような感じではなく、ゆっくりと時間をかけて遼子の唇をたしかめるような優しいキスだった。
「これも記事にする?」
鷹藤が遼子の目を覗きこんでいる。薬の効果はもうないはずなのに、声は甘かった。
鷹藤のことも書かずに、薬の危険性を知らしめる記事を書くのは至難の業だ。
それに、ここから先のことは記事にできそうもない。
「無理そう…」
記者としての遼子の意識は鷹藤の感触と温もりに追いやられ、記事のことは意識の向こう側へ消えていった。



そのころ、たぶんお兄ちゃんは部屋で悶々としながら待っているはず。
他の職人さんが来るまでの暇つぶしにどうぞ…。長くて甘くてすいません。
235名無しさん@ピンキー:2011/03/28(月) 12:34:14.08 ID:w08XBR4s
ピュアピュアGJ!!
ほっこり癒されました、ありがとうございます。

もしも部屋でお兄ちゃんに見守られながら薬を飲んでいたら・・・(妄想)
236名無しさん@ピンキー:2011/03/28(月) 17:00:02.07 ID:4KN6mK7J
新作GJです!!
お兄ちゃんは残り香に速攻で気づいて(ry
237名無しさん@ピンキー:2011/03/28(月) 21:33:07.56 ID:BVGSl+Io
これはなんだか新鮮でいいなぁ。
乙!
238あなたに似た人 1:2011/03/31(木) 23:02:53.46 ID:W3ORuXiZ
連投失礼します。
お兄ちゃんが大阪で遼子のそっくりさんに会う話が先にできたので投下。



ふた席ほど離れた椅子に座ったのは、髪の長い女だった。
黒の上品なワンピースに身を包み、バーには似合わない柔らかで温かな感じのする香水をつけていた。
常連らしく、マスターに「いつもの」とオーダーしただけで朱色のカクテルが女に差し出された。
肩から流れる漆黒の髪を女が払い、カクテルを口に運ぶ。
女の黒髪は、妹の黒髪を連想させた。そのせいで、洸至はその女に長く眼を留めていた。
視線に気づいた女が洸至を見た。
その時、洸至の息は止まりそうになった。

そこに妹がいた。


その日、洸至は大阪に来ていた。
緋山の講演会に出席するためだ。もちろん、スタッフとしてではなく、一聴衆としてだった。
緋山はこの時もいつも通り、朗々と演説した。
蝋細工のように整った顔を紅潮させ、要所要所で適切なアクションを取り聴衆を飽きさせないようにしていた。

やがて講演会場は、宗教の集会にも似た熱気を持ち始めた。
緋山の語る理想を、聴衆は幻視しているかのように、うっとりとした眼をしながら聞いていた。
言葉だけで選挙民を惹きつけるのは酔わせるのは政治家として欠いてはならぬ資質だ。
それは詐欺師にもエセ宗教家にも共通する資質でもあるが。
洸至は皮肉な笑みを浮かべると、演説を終えた緋山に向けて拍手した。

万雷の拍手の中、満足げに聴衆を見回す緋山と洸至の眼が合った。
聴衆の中に洸至を認めた緋山の表情が一瞬強張る。
その表情を確認した洸至は席を立ち、拍手が鳴り響く中会場を後にした。

集団の毒気にあてられた洸至は、会場を出るとネクタイを緩めた。
首都高を見下ろす公園で洸至が緋山に会ってから、もう数カ月経つ。
それからは直接会うことを避け、電話で連絡を取り合うのみだった。
だが、声だけでは首輪は締められない。
最近、緋山は洸至の指示に対して反発するようになってきた。
だから不意打ちのようにこうして姿を現すことで、洸至は飼い犬の首輪を締め直すことにした。
恐怖と言う名の首輪を。
効果は緋山のあの眼でわかった。これでまたしばらく従順な男に戻るだろう。

一仕事終えた洸至は、夜の街へ向っていった。
美味い酒でも飲んで講演会場で感じた毒気を抜きたかった。
いつもはホテルのバーで飲んでいるが、今日は外の空気が吸いたくて、見知らぬ街をぶらぶらと歩いた。
しばらく歩いた後、洸至はとあるビルの袖看板に眼を留めた。
『Bar NEST』
店名が気に入り、洸至はその店のドアを開けた。

長いカウンターの奥に、バーテンダーがひとり。
バーテンダーの背にある酒棚のバックライトがほんのりと辺りを照らす、落ち着いた雰囲気のバーだった。
気取った音楽がかかることもない、静かに飲めそうな店だ。
一見の客に眉をひそめることもなく椅子に座った洸至の前にバーテンダーがコースターを置いた。
「ボウモアを」
バーテンダーから供された酒を、洸至がゆっくりと味わっていた時、新しい客が来た。

それがこの女だった。
239あなたに似た人 2:2011/03/31(木) 23:04:49.64 ID:W3ORuXiZ

「どうかしました?」

女の声で洸至は我に帰った。
鈴の音のような透き通る声。それも妹に似ていた。
だが別人だ。遼子に眼の前の女が持つような翳りなどない。男の視線を微笑みで受け流すような器用さもない。
バーで男からこんな視線を送られたら、照れまくって手元にあるグラスを一気飲みするのが落ちだ。

女を眼にしたことで、洸至の胸の奥で蓋をしていたはずの妹への想いが熱を持ち、息を吹き返す。
もう手にできない、遼子のとの生活の記憶が痛みと共に彩り豊かに洸至の中で蘇り始めた。
「不躾な視線でしたね。失礼しました」
無礼にならない程度に視線をはずし、洸至は詫びた。
「いいですよ。もしかして、誰か大切なひとのことを思い出していたんですか?」

「…」
公安時代から、動揺を相手に気取られぬように、心中を表に現さないようにしていたはずだった。
だが、息を吹き返した妹への想いがそれを無効にしたようだ。
「図星って顔してる。だってそんな顔していたんですもの」
クスクスと笑って女が洸至の方を向いた。
「初対面でこんなこと言って変な女だと思ったでしょ。わたしも、昔、大切な人と離れ離れになったから…。
 だから良く似た人に会えた時嬉しくって、でも信じられなくて。その時の私も、きっと今のあなた
 みたいな顔をしたのかな、って思って」
洸至は曖昧に微笑んだ。

首を傾げ、洸至を見る様はまるで遼子の生き映しだ。
そこに最愛の妹の面影を見て、洸至の胸にせつない痛みが広がっていく。

「確かに知り合いに似ていたので、驚きました」
「他人のそら似ね。もう、その人には会えないの?」
「遠い所に居ますから」
「わたしと一緒ね。きっとあなたにとって大事な人だったのね。その人」
「そうかもしれませんね」
「悔しく…ない?」
女の声が翳りを持った。
「悔しい?」
「その人に会えなくなって」
「…」
「わたしはただ待つなんて嫌。あなたがもしそれで寂しくて、傷ついたなら、ちゃんと知らせないと。
 どんな方法を使っても知らせないと」
洸至は女を見た。
グラスのふちに指を滑らせながら語る女の口元は微笑んでいるように見える。
しかし、どこか遠くを見据える眼には昏い光が宿っていた。

「悪いのは…俺だから。だからもうどうしようもない」
自分の口から出た言葉に、洸至は驚いていた。普段なら他人にこんなことを話したことはない。
見ず知らずの行きずりの女だからか警戒を解いているのか。
それとも、この女と遼子を重ね合わせているのか。

「あなただけ…?どちらが一方だけが悪いなんてことはないんじゃない。好きなのね。その人のことが。
 だから庇ってる」

洸至はそれに答えず、スコッチを口に含んだ。北海に面した潮風の強い島で作られた酒は、ほのかに磯の香りがした。
磯の香りは、遼子との別離の夜の記憶を呼び覚ます。
「本当に…好きなんですね」
女がぽつりと言った。
「遠く離れていても、そんなに想ってもらえたら幸せかもしれないですね。その人」

「だといいんですが」
240あなたに似た人 3:2011/03/31(木) 23:06:34.94 ID:W3ORuXiZ
遼子の親を、上司を奪ったのは俺だ。遼子を守るため事件を捏造し、真実から遠ざけ続けた結果、
俺があいつに与えたのは犯罪者の妹としての汚名だけだ。
恨まれていて当然なのに、そんな俺の為に遼子は涙を流してくれた。
憐みだったのか、俺の魂を救えなかったことへの後悔なのか。

自分に破滅をもたらしたが、そんな女を憎めるはずがない。
そして忘れられるはずもない。

「でも、わたしだったら懲らしめちゃうかな。わたしがもしあなただったら、傷ついた分、相手にも傷を
負わせたいと思うもの」
軽い調子で女が言ったが、その言葉の中には鈍く光る悪意があった。

洸至は隣の女を見た。

遼子は、自分の中にある正義を信じていた。
こんな世の中で、ジャーナリストとして取材をしていれば、人間に幻滅するような事件にぶち当たるのは
一度や二度ではないはずだ。
それでも、遼子は正義を信じた。理想を失わなかった。

緋山が語る理想は、聴衆を幻惑し己の利になる様に人々を操る為の詐術だ。

だが遼子は自分の青臭い理想を純粋に信じていた。
悪意だけは形として存在しているような世の中で、まるで幻のようにおぼろげな正義を求めて遼子は記者
として戦い続けていた。
巨悪を追求し、真実を暴くことでそれを形にできると信じているように。
そんな妹の姿が洸至には眩しかった。
決して手にできない光をその中に見ていた。

そんな遼子とは違い、この女は何も信じていない。
人間など信じていない。遼子の生き映しだが、まるでコインの裏表だ。
遼子が陽の光なら、この女はその影だ。
遼子が善を信じるなら、この女はその逆。
微笑む女の口元は、闇夜をくり抜くように浮かぶ月のようだった。

「嘘ですって」
洸至の微妙な変化を読み取ったのか、女が悪戯っぽく笑った。

「変なこと言っちゃって、ごめんなさい。今日待ち合わせの人が遅れているものだから…」
「振られそうですか」
硬くなりかけた空気を和らげるように洸至が言った。
「そうかもしれませんね。もしそうだったら、今日はあなたに付き合ってもらおうかしら」
グラスを口元に運んだ洸至が手を止めた。
「相手に振られた、似た者同士って気がするし…」
女がそこで言葉を切った。店のドアが開く音がした。
息せき切って入ってきた客が、女の隣に座った。

「すいません。仕事で少し遅れました。待ちましたか」
半白の髪を撫でつけた、整った顔立ちの中年の男だった。
贅肉のないタイトなスーツ姿は中年の臭みなど感じさせず、今でも若い女を惹きつけそうだ。

「いえ…。あの方がお話相手になってくれて」
男が女越しに洸至を見て会釈した。
それから女に男は囁く。
「よければ、食事にでも行きませんか」

囁き声の中に潜む雄の本能に気付いて、洸至は心の中で笑った。
中年にもなって、この男は女の躰を待てないらしい。完全にこの女の虜と言ったところか。
241あなたに似た人 4:2011/03/31(木) 23:09:03.91 ID:W3ORuXiZ
「そうですね。行きましょうか」
女の中にある余裕。誰がこの関係をコントロールしているかは明らかだった。

二人が席を立った時、女が洸至を見た。
「お話できて楽しかったです。また、お会いできたらいいですね」
「ええ」 
あいさつ代わりに洸至はグラスを掲げた。

女が店を出ていった後も、女がつけていた香水の残り香が漂う。
この香水はあの女には似合わない。きっと、さっきの男の好みに合わせたのだろう。
柔らかさと甘さの中に少し幼さが漂う匂い。少し野暮ったい様な、日向の香り。

―――まるで、遼子のような匂い。

「同じものを」
バーテンダーがうなずくと、洸至のグラスに琥珀色の液体を注いだ。
洸至は、残り香に包まれながら女が呼び起こした妹の記憶と、もう少しだけ酒を飲むことにした。



お兄ちゃんmeets遼子のそっくりさん。たぶん名前はマイ(ry
自己満足でした、すいません。
現在「本誌美人記者による体験手記」お兄ちゃん篇書いてます。
仕上がったら投下します。
242名無しさん@ピンキー:2011/04/01(金) 00:17:35.37 ID:sBLsyRKV
うおぉぉぉぉ
マイ○ーさん(仮名w)キターーーーー!
素晴らしいコラボ、ありがとうございます!

そして東京では、遼子が某管理官とその先輩が食事している所に
同席してしまうんですね、わかりますww

体験取材のお兄ちゃん編も、楽しみにしてます。
243名無しさん@ピンキー:2011/04/01(金) 20:41:13.55 ID:JTkKbwok
イイヨイイヨー(・∀・)
そしてお兄ちゃんは籐カバンを持った手品師とか
ジャージ着用のメガネ女教師も見かけるのですねww

ん?思ったより絡みづらいな・・・
244本誌美人記者の兄による体験手記 1:2011/04/04(月) 21:51:13.50 ID:D9ZRtmJg
春らしく爽やか兄妹話です。



背中に手を廻す遼子の顔が、自分の胸に押し付けられた時、その柔らかな感触に洸至の鼓動が高鳴った。
遼子が洸至に抱きつくようにして手を広げ、メジャーを洸至の背中から前に回している。
妹の髪からほのかに漂うシャンプーの甘い香りが洸至の鼻をくすぐる。
洸至は、すぐ下にある妹の顔を盗み見た。
メジャーの数字を読み取ろうとすがめられた眼や、そこから流れる鼻梁の美しいライン、半開きの唇。
今夜の遼子は、妙になまめかしい。それに胸に当たる吐息も熱い。
いつもは無防備過ぎてあどけなさすら感じる遼子が、今は思わず見入ってしまう程の色気を漂わせていた。
どうやら自分は、妹と密着しているせいで年甲斐もなく舞い上がっているらしい。

洸至は妹に見られぬように苦笑した。
このまま間近にある妹の顔を見つめていたら、鼓動が部屋中に響く程になりそうで、洸至は顔を背けると軽口を
叩いて気を紛らわせることにした

「遼子どうだ?やっぱり変化ないだろ?」
「うん…」
歯切れの悪い返事だった。メジャーの数字を見ていたとはいえ、遼子らしくない。

そういえば、今部屋に入って来た時も妙に内またで、歩きにくそうにしていた。
「どうした?遼子。元気ないな。お前もしかして腹でも痛いのか?」
今日の夕食は、遼子が買ってきた大盛り焼肉丼サラダ付きだった。
しかも遼子はダイエットの為に、焼肉丼に唐辛子をかなり振りかけていた。
それを一気に平らげたせいで、腹具合がおかしくなったのかもしれない。
その時、遼子が洸至の躰にもたれかかると、手にしていたメジャーを落とした。

「落ちたぞ、りょ…」
遼子が洸至の胸に廻した両腕に力を籠めた。
まるで恋人に抱きつくように、洸至の胸に顔を埋める。
そして温もりを確かめるように頬を擦りつける。

洸至の心臓が爆音を鳴らした。
「すごく…いい匂い…」
陶然として洸至を見上げた遼子の眼はすっかり潤みきっていた。
胸に廻していた手を外すと、遼子が洸至の頬を掌で包む。
「お願い…抱きしめて」

妹の誘惑の言葉に、鼓動が限界を越えてさらに高鳴る。洸至の肋骨の奥で、心臓が存在感たっぷりに暴れ回っていた。
遼子の要求に本能が応えようとするのを、理性を総動員して洸至は押しとどめた。
妹の背中に廻そうとした震える手を、洸至は肩に置き直す。
「りょ、遼子…一体何を」
遼子がつま先立ちになった。身長差のある洸至の唇へ顔を寄せる。
遼子の濡れて光る唇が開く。
「お兄ちゃんお願い、キスして。苦しくってたまらないの」
耳の奥まで響く己の心臓の音を聞きながら洸至は思った。

―――心臓がもたない。このままだと俺は確実に死ぬ。
245本誌美人記者の兄による体験手記 2:2011/04/04(月) 21:52:08.37 ID:D9ZRtmJg
洸至が死を覚悟する、少し前。
「で、これがその薬か」
鳴海家のリビングのテーブルの上に、輸入品らしいサプリメントの瓶が置いてあった。
白いプラスチック製の瓶には極彩色のオウムらしい鳥と、熱帯雨林の絵。
スペイン語で書かれた商品名の上に、日本語の商品名のシールが貼られている。
そこにはゴシック体のカタカナで「グラン・バスト」と書かれていた。

「見るからに怪しい薬だな、確かに」
洸至が瓶を手に取り、横のラベルの文字を見ようとしたが、これもスペイン語なので、何が書いてあるか
さっぱりわからない。
「でしょ。でね、編集長が調べたところによると、これを飲んだ女の人が何人か襲われたらしいの。
 人通りの多い道路でね。その女性を保護したはずの警察官も抱きついたっていう噂もあるわ。
変でしょ?だからこの薬を調べることになったんだけど…」
「その為にお前が飲むのか?」
「しょうがないじゃない。来週号の売りの記事なんだもん。『本誌美人記者による体験手記!』って
 タイトルだって決まってるんだから。私がやるしかないわよ」
遼子は仕方が無さそうに肩をすくめた。乗り気ではなさそうに見えるが、「本誌美人記者」と言った時、
「美人」の所を遼子はさりげなく強調して言っていた。

「編集長に上手く乗せられたんじゃないのか。なあ、美人記者さん」

「もう、からかわないでよ、お兄ちゃん。鷹藤くんも同じことを言ってたけど」
遼子がむくれた。妹のそんな素振りが可愛くて、洸至の頬が緩む。

「こんな怪しい薬を飲んで胸が大きくなる訳ないだろ。男はな、胸が大きくなくてもそんなに気にしないと思うぞ。
胸よりももっと大事なものがあるだろ。気配りとか、愛嬌とか。そっちの方が大事だよ」
「だって大きい方がアピールできるし、…そっか、気にしないのか」
「ほどほどの方がいいと思うけどな」
「そっか…」
リビングをしばし沈黙が支配した。

「で、でも世の女性の為の取材なんだから、茶化さないで。これを飲んで手記にしないと原稿にならないもん。
 返して」
記者としての使命を思い出した遼子が、洸至が持つ瓶へ手を伸ばした。
「豊胸効果なんてあるかどうかも怪しい薬じゃないか。それより、お前がこれを飲んでまた妙なことに巻き込まれ
ないか、そっちの方が俺は心配だよ。だからこんな薬、お前に飲ませるわけにはいかない」
「お兄ちゃん!」
洸至がとられないように後ろへと瓶を持った手を伸ばした。
遼子がなおも取ろうと立ち上がると、洸至も取られないように立ち上がる。
立ち上がった洸至が瓶を持った手を上に伸ばすと、身長差のある遼子では届かない。
ウサギのように飛び跳ねる遼子を尻目に、洸至は瓶を開けると、1錠口に放り込んだ。

「あっ」

「俺が飲んだ結果をお前が記事にしろよ。自分の体験ってことにしてさ」
「そんなぁ」
「データは取れよ。それでいいだろ」
遼子が恨めしげに洸至を見上げた。
「お兄ちゃんの胸が大きくなってどうするのよ」
「…やっぱり豊胸効果期待していたのか、お前…」
246本誌美人記者の兄による体験手記 3:2011/04/04(月) 21:53:09.89 ID:D9ZRtmJg
それから二度の計測時に、遼子が洸至の体温、血圧そして胸囲を測ったが、体温と血圧が微増したくらいで、
胸囲には変化がなかった。
洸至が薬を飲んでからずっと遼子はむくれていたが、今度行列に並ばないと買えないロールケーキを洸至が
買ってきてやることでようやく機嫌が良くなった。
部屋が少し暑くなった気がしたので団扇であおぎながら、洸至は暇つぶしの模型作りにいそしみ、三度目の
計測を待った。

そして三度目の計測時。遼子の方がおかしくなった。


「すごくいい匂い。…こんないい匂い嗅いだことない…。嬉しくなっちゃう」
遼子が洸至の唇を求めて背を伸ばすが、洸至が顔を逸らして妹の唇から逃げる。
「ずっと傍にいて…抱きしめて…」
遼子がうっとりとした顔で洸至の胸に頬を擦りつけた。

洸至の心臓は呆れるほどの爆音を轟かせている。しかし未だ洸至の息の根は止まっていなかった。
死を覚悟する程の興奮と幸福感に襲われたが、妹の様子に、ある違和感を覚えてから洸至は警察官らしい冷静
さをすぐに取り戻していた。

…匂い。
遼子はこの言葉ばかり発している。
俺から漂うという匂いのことばかり、うわ言の様に言っている。

その匂いに遼子は酔い、その匂いを発する相手を求めているだけだ。
―――遼子が求めているのは俺ではない。
そのことが洸至の熱を冷ました。

温もりに名残り惜しさを覚えながら、密着する妹の躰をひきはがす。
遼子の肩に手を置き、洸至は妹の眼を覗きこんだ。
「遼子…眼を醒ませ。お前は何かに酔っているんだ。いつものお前じゃない」
「でも、わたし離れたくないよ。こんないい匂いするお兄ちゃんから、離れたくない」
遼子が洸至の首にしがみつく。
「駄目だ…。頼む、遼子離せって!こんなことしていいわけがないだろ?兄妹なんだから」
洸至が遼子から身を離そうと決意した時、唇に柔らかなものが重なった。
「!!!」
遼子が洸至の唇を奪っていた。
ずっと夢見ていた瞬間の訪れに、洸至の理性が揺らぎかける。

その時、15年間耐え続けた、眼も眩むような誘惑の数々を洸至は思い出していた。

成長するにつれて変わる遼子の甘い匂い。
夏場に暑いからといって、ノーブラにタンクトップとホットパンツ姿で洸至の前をぶらつく遼子。
ソフトクリームを舐める舌の動き。湯上りにバスタオルを巻いただけで冷蔵庫を開ける後ろ姿。
怖い夢を見たと言って一緒に寝た夜の温もり。
その翌日、腕の中で微笑み、「おはよう」と言った時のこと。


それに耐えられたのは、いつか思いを告げる日を夢見ていたからだ。
自分の罪、自分の欲望、その全てを遼子にぶちまけた末に溶け合い重なり合う日のことを。

だからこんな風になし崩しに遼子を奪うのは違う。
「グラン・バスト」なんていうふざけた商品名の妙な薬のせいで兄妹という枷から自由になるなんて、美学に反する。

―――どうしたら、遼子を止められる?

洸至は理性の残りの部分を総動員して、この事態を収拾させる術を考えようとしていた。
だが遼子の唇の感触に意識が吸い寄せられていく。このまま流されろと本能が洸至に囁く。
247本誌美人記者の兄による体験手記 4:2011/04/04(月) 21:57:24.25 ID:D9ZRtmJg
妹に当て身を喰らわせて、気絶させるか?
こういう状況とはいえ、遼子に手を上げることを洸至は躊躇した。
だったら…。

自分の躰からその匂いをさせなければいい。
遼子を突き離すと、妹が後ろから追いかけてくるのも構わずに、洸至は風呂に走った。
風呂場のドアを勢いよく開ける。
バスタブには、数時間前に入った風呂の残り湯がまだあった。洸至は、服を着たままそこに飛び込んだ。

洸至がぬるま湯の中に頭まで沈め、顔を出すと、風呂場の入り口に立つきょとんとした顔の遼子と眼が合った。
さっきまであった艶は、その表情から消え去っていた。
「あれ…。おかしいな。さっきまでいい匂いしてたのに…」
それから遼子は口をつぐむと、見る見るうちに赤くなっていった。
「私…お兄ちゃんに…あ、あんなこと…! お、お兄ちゃんごめん!」
耳まで朱に染めると、遼子は恥ずかしくなったのか自分の部屋に飛び込むようにして入り、音を立てて扉を閉めた。

遼子のあの様子では、さっきまで自分が兄にしていたことの記憶はあるようだ。
この結末を、少しほろ苦くもあったが、良かったと洸至は思いこむことにした。
もし、あのまま流されていたら、お互いにいたたまれず共にいられなくなるところだった。
しばらくは遼子も顔を合わせづらいだろうが、まだ薬のせいでのアクシデントとして笑い話にできる。
俺が何も気にしていないと言えば、遼子だってすぐに立ち直るだろう。

「でも、どうしよう。史郎ちゃんじゃなくてお兄ちゃんにあんなことしちゃった…。史郎ちゃんだったら
良かったのに〜。ふえ、ふえええ〜ん」
扉を閉めたので聞えないと思ったのか、遼子の部屋から狼狽しきった独り言と泣き声が聞こえてきた。

―――遠山だったら良かったのに…?
それを聞いた洸至の心の中で、何かが砕け散った。

洸至は樫村を怨んだ。
そして洸至に極限までの忍耐を強い、聞きたくもない遼子の本音を聞かされるような状況を作り出した報いを
あとで樫村にきっちり受けさせてやることを心に誓った。

そして、バスタブの中でずぶ濡れになりながら、ひとりさめざめと泣いた。



「本誌美人記者による体験手記」のお兄ちゃん篇ですが、お兄ちゃん悲惨オチになりました。
その上エロくなくてすいません…(汗)。
お兄ちゃん微エロが楽しくてつい…(大汗)
248名無しさん@ピンキー:2011/04/04(月) 22:42:37.82 ID:ibv5EeGJ
GJ!!!!

なんだろう、バスタブに服のまま飛び込むお兄ちゃんが
愛おしすぎてこちらまで泣けてきたw

編集長・・・ご愁傷様です・・・
249名無しさん@ピンキー:2011/04/06(水) 21:52:18.42 ID:PtKzkYxc
爽やか兄妹話、ありがとうございます。
まさか、兄の体験記だとは思いませんでしたw

亀ですが、
>>216さんの「鷹遼の誰もいないオフィスでのシチュ 」に
挑戦中。
軽く、挫折中w
その前に、このスレで初めて史朗ちゃんを現実に絡ませるか
思案中。

「中」ばかり・・・orz
250名無しさん@ピンキー:2011/04/10(日) 14:48:07.86 ID:cP7DNf2/
>>249
亀でも宜しくです!
遠山初登場も楽しみだ〜!
251お花見1:2011/04/10(日) 18:49:56.97 ID:M/t08Pfj
遼子が取材先で兄絡みの事でネチネチ責められて、ショボーンと傷ついたエピを
史朗ちゃんを絡ませて書いていたら、その後の誰もいない編集部での鷹藤×遼子が
先に出来てしまいました。
無駄に長いです、すみません。


鷹藤がすでに暗くなった編集部に入ると、机の上で突っ伏して寝ている遼子の顔を
パソコンのモニターの光が照らしていた。

「おい」
鷹藤は、寝息を立てている遼子の頬に手をかけると、その頬はほんのりと桜色に染まっていた。
「こんな所で寝てると風邪ひくぞ?」
闇に浮かぶ遼子の睫毛の長さや肌の白さに思わず息を呑みながら、声をかける。

「ん・・・」
遼子が擽ったそうに微笑む。
「んん・・・鷹藤・・・くん・・・」
遼子が漏らした自分を呼ぶ寝言の甘い声が、行為をしている時のそれととても似ていて
鷹藤は思わず動揺してしまう。

「遼子?」
二人きりの時しか呼ばない恋人の名前を囁きながら、鷹藤は今度はその頬にキスを落とす。
その唇に伝わる感触は予想外に冷たく、今度は耳でそれを確かめる。
耳に口付けて、舌でゆっくりと側線を撫でると、遼子は眠っていても感じているのか
「んん・・・」と声を漏らし身を捩る。
遼子の長い髪に指を絡め、そのまま下までおろしていくと、それは一度も
引っかかる事はなく頼りないまでにストンと解ける。
「キレイだ・・・な・・・」
思わず口をついて正直な気持ちを呟いてしまう。
良い香りのする髪に口付けて、今度は本気で起こしにかかる。

「遼子、起きろ」
普段の寝起きは決して良くない遼子だが、さすがにこの体制での眠りは
浅かったのか、ううんとかわいらしい声を出すと、ゆっくりと目を開けた。

「ん・・・アレ??・・・鷹藤・・・くん??」
まだ寝ぼけ眼で鷹藤を見つめる遼子の唇に、鷹藤は自身の唇を押し当てる。
何度か角度を変えて、柔らかな唇を塞ぎ、戯れに歯を立てる。
「んん!」
鷹藤の早急な口付けに驚いた遼子が、思わず身を捩って唇を離す。

「ちょっと、鷹藤君!いきなり何よ!」
「何って・・・目覚めのキス」
「やめてよ、ココ、編集部よ。それに何で鷹藤君がいるのよ。」
少しむくれた様子で上目遣いに鷹藤を見つめながら遼子が問いかける。
252お花見2:2011/04/10(日) 18:59:03.34 ID:M/t08Pfj
「連絡があったんだよ。遠山さんから。」
「史朗ちゃんから?・・・・・・あっ!」
遼子がはっと何かを思い出したような表情に変わる。
「聞いたよ、今日の取材のこと。で、ヤケ酒あおって酔ったアンタを
家まで送ろうとしたら、編集部に寄って原稿仕上げるって言い張って、
強引にタクシーを降りたからって」
「そう・・・」
遼子はそう呟くと、顔を伏せて鷹藤から視線をそらす。

「なんで・・・」
「え?」
「なんで遠山さんに相談するんだよ。オレじゃダメなのか?」
「そんなんじゃ・・・。しろ・・・遠山さんとは偶然会って、それで。」
「言っただろ?アンタの兄さんの代わりに、ずっと俺がアンタの傍に居るから…
守るからって…。だからさ、一人で抱え込むなよ、兄さんの事も。」
鷹藤は遼子の肩に手を置き、恋人の眼を覗きこんだ。

「・・・」
鷹藤の真剣な眼差しと言葉からあふれる優しさに、遼子は胸がいっぱいになる。
「鷹藤君は、やさしすぎるよ。」
「俺が?」
「鷹藤君も事件の被害者なのに、それなのに変わらずやさしくしてくれるから。
だから私、甘えちゃって。ふえ、ふえええ〜ん」
そう言うと、我慢していた涙が堰を切ったように溢れ出す。

鷹藤は、そっと遼子の腰に両手を廻すとやさしく抱き寄せた。
「甘えて欲しいんだよ。」
「でも・・・でも・・・」
「アンタの事が、好きだから。大事だから。それだけじゃダメか?」
鷹藤はそう囁きながら遼子の顔を覗きこむと、そしてそっと口づけをした。

「いいの?」
唇を離した遼子が上目遣いに鷹藤を見つめ返す。
鷹藤は返事の代わりにちゅっと音を立てて唇を吸い、その後に角度を変えながら、
深く遼子に口付けた。

「あ・・・」
鼻に抜ける甘い声が、遼子の喉から耐え切れずに漏れた瞬間には、もうなし崩しに二人は
ソファーへと転がり込んでいた。
弾けとんだ理性と、耐え切れぬ激情の合間に、刹那ゆるく絡んだ視線が最高に甘ったるい。
「鷹藤君、ダメだよ。編集部だよ・・・」
「知ってる。」
鷹藤は短く答えるだけで、手管を留めることは無かった。

遼子の細い手首をしっかりとソファーに縫いとめながら、鷹藤のもう片方の手が、
するりとブラウスをたくし上げてその中に滑り込む。

やわらかく弾力のある双丘のふくらみに触れれば、遼子は小さく身悶え、
熱い息を吐いて、遼子の方から唇を求めてきた。
唇が触れると共に、鷹藤の首に両腕も巻きついてくる。 
253お花見3:2011/04/10(日) 19:03:32.27 ID:M/t08Pfj
しかし、いつもと違う場所、ましてや編集部での行為に遼子自身がまだ戸惑っているのがわかる。
わずかにもれる吐息が震えているのが愛しく、鷹藤は淡く微笑んだ。
「気にするなって、誰も来ないから。」
重なる口づけの合間に、間近で目線を合わせて可笑しそうに鷹藤が耳元で囁けば、
遼子は一瞬動きを止め、やがて物申し気な表情で上目遣いに鷹藤を睨み、小さく頬を膨らませる。
「だって・・・」
拗ねた表情に静かに返す返事も、なおさらに甘い。

鷹藤は、今すぐにでも衝動的に、思いつく限り攻め立ててどうにかしてやりたくなるような、
けれど大切に優しく、包み込んでいつくしんでおきたいような、複雑な気持ちに駆られた。
「鷹藤君?」
「あんまり煽るなよ」
その語尾は、もう一瞬も待ちきれないといった様子のままに、唇が首筋のやわらかい肌に吸い付く音に
まぎれて消える。

首筋に埋められた鷹藤の頭に、遼子は擽ったそうに身をよじった。
「煽るって・・・ん・・・ぁん・・・」
遼子に言葉をみなまで言わせずに、しっとりと湿った肌を生暖かい熱が線を描く様に這う。
執拗なその熱は、鎖骨やぬ根のふくらみを花を散らしながら通り抜け、赤い頂を
水音を立てて湿らせた。
すでに固くなっていたそこに何度も吸い付かれ、その感覚に、遼子の息が徐々に乱れ始める。

場所が場所だけに、周囲を気にして我慢しようとしていても、白い喉を仰け反らせながら
時折艶を含んだ甘い声が遼子から漏れ聞こえるたびに、聴覚を刺激するその音が
昂ぶりを連れてきて、背筋が震える。

鷹藤が、遼子のスカートをたくし上げ、太腿で隠されていた部分を撫でるようにそっと指をのばして
きゅと探れば、そこはすでに濡れてきていた。

「遼子・・・」
そう、甘く名前を呼ばれ、瞼に、頬に、首に、胸に、唇に優しく口付けの雨が降れば
遼子は幸せでどうしようもなくて、泣きたくなる。
いつもはそっけなく自分のことを「アンタ」呼ばわりする鷹藤が、二人が睦び交わる時だけは
熱に浮かされたうわ言の様に遼子の名を呼ぶ。
それが訪れる瞬間が、遼子は好きだった。

鷹藤が遼子の着ているものを全て脱がすと、遼子のほっそりとした白い裸体が暗い空間に
艶やかに浮かび上がる。
鷹藤が、やわらかな膨らみに唇を押し当てて、音を立てながらかわるがわるに吸うと、
遼子は艶を含んで、しなやかに美しく身を反らしてもだえる。

「鷹藤君・・・」
遼子はうっすらと目に涙を浮かべ、やさしく見下ろす鷹藤の首に両手をまわして、
ぎゅっと引き寄せると、涙で潤む目で鷹藤をうっとりと見上げる。
「ん?」
「今日の事、黙っててごめんね。心配してくれてありがとう。・・・大好き。」
とまるで幼子のように、純真に笑った。
254お花見4:2011/04/10(日) 19:08:16.60 ID:M/t08Pfj
「――――っ」
その表情と仕草が堪らず、鷹藤が呼吸さえ奪い、食らいつくように深く唇を重ねれば
そこから先はもう流されていくばかりだった。

貪るような口付けの嵐の中で、ふとした息継ぎの切れ目に、鷹藤に組み敷かれたままの
遼子が、遠慮がちに目を開けてそっと自分を抱く鷹藤の肌に触れようとする。
すると、鷹藤にその手を攫われぎゅっと握ったまま、遼子はソファーへ力任せに押し付けられた。

「・・・見すぎ」
「えっ?」
鷹藤の呟きに、遼子はぱちくりと瞬きをした。
至近距離で瞳を見つめると、何とも言えないはにかんだ表情を浮かべ、遼子の視界を掌で覆った。

「さっきまで場所気にしてたのに、余裕じゃん。」
視界を覆われたまま、耳元で囁かれれば、遼子の背筋がぞくりと仰け反る。

余裕なんて、ない

遼子がそう反論する間もなく、鷹藤の指がスルリと遼子の両足の間に滑り込む。

もうすでに、口付けや愛撫だけで潤っていたそこを、躊躇うことなく鷹藤が探ってみれば、
遼子の唇からは細い喘ぎが次々に漏れた。
さらに、胸を揉みしだかれ、固くなった蕾を捏ねられ、遼子は胸に与えられる刺激に反応することにも
忙しい。
滑らかなロングヘアーを乱し、悶えるように身を捩る遼子をさらに高みに押し上げようと、
鷹藤が、絡み付いてくる壁を縦横無尽に撫でると、遼子の啼く声が高く小刻みになり、その声に
一層余裕がなくなっていった。

「あっ・・・はっ・・・」
遼子が奏でる、溶けそうに甘い歌を聴きながら、それを暫く執拗に続けると、温かい液が
遼子の内部からどんどん溢れ、鷹藤の指を伝う。
そしてそれは遼子の太腿を伝い、しとどにソファーにも溢れていく。

「・・・あっ・・・んんっ・・・鷹藤・・・くん・・・」
遼子は無意識のうちに両膝を立て、そこを攻める指を導くように大きく開き、腰を浮かせていた。
鷹藤の指の動きに合わせて遼子の腰が自然とせつなげに、それに押し当てるかのように
揺れ始める。
その動きに合わせて零れる遼子の声に、鷹藤の意識もどんどんと甘く捕らわれていく。

「――いいか?」
遼子は肩で呼吸をしながら、そっと目を開けて鷹藤に向かって微笑んだ。
遼子の微笑みに、鷹藤も笑みを返すと、深い口付けと共に、遼子の中心に
鷹藤自身をあてがい、押し進めてくる。

はじめはゆっくりと――そして徐々に刻まれ、加速していく律動に、愛し合う水音と
肌が弾けあう音が大きくなっていく。
「あ・・・あぁ・・・」
それと共に、遼子の細かな喘ぎが、耐え切れぬ啼き声へと変わっていった。
255お花見5:2011/04/10(日) 19:13:33.16 ID:M/t08Pfj
交わった部分から激しく揺さぶられ、淫らな音と共に細かな泡が立つ。
そして遼子も鷹藤の腰へ脚を絡め、自らを昂ぶらせようと動いていた。

「・・・くっ」
白くはじけ飛びそうになる意識の中で、遼子が鷹藤を締め付ければ、鷹藤の
喉からも一瞬苦しそうな息が漏れ、反射的に遼子の背を掻き抱いた。
最奥に放たれる熱と共に襲い来る、とてつもない幸せと快感に、遼子は二・三度
身をうち震わせ、そして意識を手放した。

果てた後の静けさの中、電源をつけたままの遼子のパソコンの起動音だけが
編集部の中に響いていた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

翌朝、遼子が編集部で記事の続きを書いていると、ハイヒールの足音と共に
編集部のドアが開いた。
「鳴海さん、おはよう」
「あ、おはようございます、美鈴さん」
編集部に響く声に、遼子が肩越しに振り返りながら返事をする。

「ふーん」
美鈴は机に荷物を降ろすと、何か意味ありげな笑みを浮かべつつ、遼子に近づいてきた。
「な・・・何ですか?美鈴さん」
思わず反射的に遼子は後ずさったが、美鈴はお構い無しにぐっと顔を近づけ、
妙に距離をつめられた遼子は、居心地悪げに美鈴をじっと見つめる。
すると、美鈴は、ふっと意味ありげに笑い、昨日、二人が愛し合ったソファーで
いつもの様に寝ている鷹藤に一瞥をくれると、遼子の項をすうっと撫でた。

「ひゃっ!」
項に走った冷たい指の感触に、思わず遼子が叫び声をあげて身を竦める。
「最近は温かくなってきたけど、昨日の夜は、ココは一段と熱かったみたいね。」

その言葉に、遼子は顔を真っ赤にしたまま、空気の足りない魚のように口をパクパクさせる。
「なっ・・・なっ・・・」
そんな遼子の様子にも、まるで何事も無かったように美鈴は会話を続ける。

「何でわかるのかって?何度も言ってるでしょ、あなた達わかりやすすぎるって。それに・・・」
遼子の耳元で、さらに美鈴は吐息まじりに囁く。
「項にキレイに花が咲いてるわよ。こんな所でお花見ができると思わなかったわ。」
「―――っ!!!!」
遼子は項を反射的に押さえ、声にならない叫びを上げ、何も言い返せない。
それを見て美鈴は、「ふふっ」と実に楽しそうに笑みを浮かべる。

「ウソよ」
項を隠すように両手で押さえたまま、隠れるようにうずくまっている遼子に向かって
美鈴は苦笑を漏らす。
256お花見6:2011/04/10(日) 19:16:19.86 ID:M/t08Pfj
「あいかわらずからかい甲斐があるわね、鳴海さん」
遼子の手を項から外させて、腕をひっぱりあげながら美鈴は堪えきれずに笑い出す。
「ひどい!美鈴さん!!」
恨めしそうな瞳で見上げた遼子に、美鈴はしれっとしながら笑い続ける。

「昨日、遠山さんから連絡があったのよ。あなたのことでね。」
美鈴は急に真顔になり、遼子を見つめる。
「えっ・・・」
「多分2人のことだから大丈夫だと思うけど、美鈴君が見守ってやってくれってね。」
「美鈴さん・・・」
「なんで私が遠山さんからあなたたちのお守りを頼まれなきゃいけないのよ!!」
口調は不満そうだが、遼子と鷹藤をかわるがわる見つめる視線はやさしかった。

「ま、やっぱり大丈夫だったみたいね。」
「美鈴さん・・・」
次の瞬間、美鈴は机の上にあった雑誌を遼子の目の前に広げた。

「ところで鳴海さん、この雑誌に載ってた行列のロールケーキ、美味しそうじゃない?」
「えっ?・・・うわぁ!美味しそう!!」
「でしょ?じゃ、今日取材に行く作家さんに持って行きたいから、よろしく」
「へっ?」
「『へっ』じゃないわよ。それで手を打つって言ってるのよ。それとも何?
記者とカメラマンの仕事場での密会記事を書いてほしいの??」
「うう・・・」
遼子には返す言葉もない。

「鷹藤君!起きて!出かけるわよ!!」
「いってらっしゃい。よろしくね♪」
遼子はソファーで寝ている鷹藤を叩き起こすと、まだ状況を飲み込めていない鷹藤を残して
大股で編集部を出て行った。



お花見ネタも考えていましたが、結局美鈴さんの台詞だけになってしまいました。
お目汚し、失礼しました。
史朗ちゃんとのエロのない絡み、チャレンジしてみます。
257名無しさん@ピンキー:2011/04/11(月) 10:27:52.31 ID:sRBvWv1L
GJ!!!!です〜。
春らしい鷹遼の爽やかエロ、和めます。
遠山と美鈴さんも面倒見の良さにも和めました。

でも編集部には兄が仕掛けた盗聴器が残ってそうな…w
258名無しさん@ピンキー:2011/04/12(火) 09:55:58.88 ID:GvGMI+EC
GJ!です。
みんなの優しさにほっこりしました。

盗聴器!ありそうww

そろそろ、またお兄ちゃんにも、妄想じゃなくて、
良い(?)思いしてもらいたいですね〜。
259本誌美人記者兄妹による体験手記 1:2011/04/13(水) 10:54:11.83 ID:jEzOoUXf
頼まれてもいないのに出来た「グラン・バスト」お兄ちゃん篇その2です。
これでおしまいにしますので…すいません。しかも長い。すいません。


「お兄ちゃん達に送ってもらって助かっちゃった」
片山の車の後部座席の真ん中に、遼子がちょこんと座っていた。
「珍しく俺たちも今日は早く上がれたんでな。礼なら片山に言えよ」
「礼なんていいですよ、遼子さんならいつでも乗せてあげますから」
片山がハンドルを握りながら軽い調子で言った。
その片山を洸至が横目で睨む。
「…なんて言ったらお兄さんに怒られちゃいますね」
片山が笑っていったが、微妙にひきつっているように見えた。
「お兄ちゃんも乗せてもらってるのに、もう」
遼子が洸至をたしなめた。遼子にそう言われて、助手席の洸至が黙り込んだ。
普段は見られない光景を目にして片山が吹き出した。
「おい」
その片山を洸至がまた睨む。
「片山さん、せっかくだから家でお茶でも飲んで行きませんか。ただで乗せてもらったら悪い気がするし」
運転席と助手席の間に流れる微妙な空気など、気にしてない様子で遼子が言った。
「いいんですか?」
「俺達を降ろしたらさっさと帰っていいぞ」
洸至が窓枠に肘をつき、窓の外を見ながら低い声で言う。
「兄妹で乗せてもらってそれはないでしょ。片山さん、遠慮しないで寄ってください」

鳴海家のリビングにコーヒーの香りが漂う。
キッチンでエプロン姿の遼子がコーヒーを淹れていた。
「すいません、お邪魔しちゃって」
「送ってもらったんだから、これくらいお礼しないと」
遼子が片山と洸至をみて微笑んだ。
「コーヒー飲んだら早く帰れよ」
片山の隣で洸至がネクタイを緩めながら憮然として言う。
「お兄ちゃん、そういうこと言わないの」
「そう言えばお前、今日鷹藤君と実験だとか言ってなかったか」
片山の前で何度もたしなめられるのが厭なのか、洸至がそれとなく話題を変えた。
「そうなの。それが鷹藤君が今日風邪ひいて帰っちゃって。しょうがないから、家ですることにしたの」
マグカップをお盆の上に載せながら遼子が言った。
「実験ってなんだよ」
「そこに上がってるでしょ。サプリメントを飲んで、その効果を報告するんだけど…」
リビングのテーブルの上に、輸入品らしいサプリメントの瓶が置いてあった。
白いプラスチック製の瓶には極彩色のオウムらしい鳥と、熱帯雨林の絵。
「それにどうして鷹藤君が?」
洸至が訝しげに言った。
「編集長の話だと、このサプリメントを飲んだ女性が相次いで襲われたらしいの。大事には至らなかった
 らしいけど、歩いているだけで男に襲われたんだって。それでね、私がこれを飲んでレポートすることに
 なったのよ。鷹藤くんは万が一に備えての護衛代わりだったんだけど、お兄ちゃんがいれば護衛なんていらないね」
「これ、商品名グランバストって言うんですか」
洸至から瓶を手渡された片山がそれをしげしげと眺めていた。
「バスト?おい遼子、これどんな効果のあるサプリメントなんだ」
商品名を知った洸至の目が細くなる。
「ちょっと胸が…大きくなる…かも」
キッチンの遼子が声を潜めた。
260本誌美人記者兄妹による体験手記 2:2011/04/13(水) 10:54:54.96 ID:jEzOoUXf
「だから体験記事書くことにしたのか」
洸至が声を荒げた。その声に驚いた遼子がカップをひとつ落とした。
「そんなに大きな声出さないでよ。もう、びっくりしちゃった」
マグカップは割れなかったが、まき散らされたコーヒーがキッチンの床に大きな地図を描く。
それを遼子がキッチンペーパーで拭いた。片山が遼子の元へ行き、片づけを手伝い始めた。
「だって、ちょっとくらい大きい方がいいじゃない」
「危ないだろ。もし何かあったらどうするんだよ。そんな実験駄目だぞ。俺が生活安全の知り合いにあたって
 調べてみるから。それからにしろって」
「でも…もう飲んじゃったし」
「はあ?飲んだ?」
「別に何も起こってないじゃない」
「そうですよ。心配しすぎですって、鳴海さん」
片山が、コーヒーを拭く遼子を手伝いながら言った。
「そうよ、お兄ちゃん。あ、片山さんいいですよ」
「気にしないでください。…いい匂いがしますね」
片山が眼を細めて、うっとりとした顔をして言った。
「このコーヒー?そんなに高いものじゃないけど…」
「コーヒーじゃなく…」
「違う匂い?どこかでカレーでも作ってるのかな」
遼子が顔を上げ、周囲の匂いを嗅いだ。
「食べ物じゃないですよ。こういう匂いのする人…初めてだ。最高ですよ、遼子さん」
「え?」
コーヒーを拭く遼子の手の上に、片山が手を重ねた。
驚いた遼子が身を引くが、片山はそれに構わず遼子の背に手を廻すと抱き寄せた。
「えっ?ええええっ?」
遼子はまだ状況が呑み込めないでいた。
いつも兄の隣で穏やかに立っている片山とは、まるで別人だ。
間近にある片山の顔は微かに紅潮し、目が不穏な光を湛えているように見えた。
「片山さん、あの、えっと」
「すごくいい匂いですよ…。それが遼子さんを今まで以上に素敵に見せるんだ」
片山の顔が近づく。男の息が遼子の肌にかかる。

その時だった。
「片山!遼子から離れろ!」
凄まじい剣幕で、洸至が片山の肩を掴んだ。
普段ならこんな状況の時、片山は洸至への怯えを目に滲ませるのだが今は不敵に笑った。
「邪魔しないでくださいよぉ。遼子さんはぼくがもらいますから」
反撃されないと思った洸至の不意を突いて、片山が洸至の腹に拳をめり込ませた。
洸至の動きが止まる。
「か、片山…」
片山が動きを止めた洸至の上半身を押さえると、腹に2度、3度と膝蹴りを入れた。
そのたびに洸至の躰が跳ね上がる。
「片山さん!お兄ちゃん、一体どうなってるの」
遼子は眼の前の光景が信じられなかった。キッチンで男二人がもみ合っていた。
それも普段は兄に対して敬意を払っているように見える片山が、洸至に暴力を振るっているだけに遼子は尚更
信じられないでいた。

「鳴海さんが片付いたら、すぐそっちに行きますから」
遼子を見て片山が微笑む。だが瞳の奥はがらんどうのようだ。
それを見た遼子の足がすくんだ。
ここにいるのは片山じゃない。一体…。
リビングのテーブルの上にある『グラン・バスト』の瓶が目に入った。
「まさか…これで?」
261本誌美人記者兄妹による体験手記 3:2011/04/13(水) 10:55:37.38 ID:jEzOoUXf
遼子の前に洸至が転がり、システムキッチンにぶつかってきた。
「お兄ちゃん…!」
遼子が声をかけ、揺さぶっても洸至は動かない。
「遼子さん、こっち来て下さいよぉ…」
片山が遼子の手を取り、立ち上がらせようとする。
だが遼子は首を振った。
「やめてよ…お兄ちゃんが怪我しちゃったのに…」
片山は遼子の手を引き、洸至の部屋のベッドに連れて行こうと引き摺り始めた。
「いや、お兄ちゃん…!」
洸至に取りすがろうと暴れる遼子に舌打ちすると、片山が遼子の胴に手を廻し脇に抱えるようにして歩きだした。
「遼子さんがそんな匂いさせて俺を誘うから…」
楽しげに片山が遼子を見た。
「だから欲しくなっちゃうじゃないですか」
「いや…やめて…」
片山が嫌がる遼子を抱き寄せ、顔を近づけた時だった。

「いい加減にしろ」
地の底から響く様な声がした。
驚いた片山が振り返ると、その顎に洸至の掌底が打ちこまれた。
リビングに鈍い音が響く。それから片山がスローモーションのようにゆっくりと遼子の上に倒れた。
「か、片山さん?」
膝の上で昏倒する片山に遼子が恐る恐る声をかけた。

「大丈夫だぞ、遼子。片山は気絶している」
遼子が顔を上げると、洸至がほっとしたような顔をして見ていた。
口の中を切ったのか、洸至の唇の端から血が流れている。
「手加減するのを見越して思いっきりやりやがって…」
片山に散々殴られた腹をさすりながら洸至が顔をしかめた。
「遼子、一体…どういうことだ?」
「わたしもわからないの…。それよりお兄ちゃん大丈夫?」
遼子が泣きそうな顔をしながら、洸至の口元から流れた血を親指でそっと拭った。
「大丈夫だって、これくらい。お前こそ大丈夫か?」
洸至がその遼子の手を取った。
それは微かに震えていた。
「ちょっと、怖かった…かな」
遼子が首を傾げ笑顔を作ったが、無理しているのが洸至の目にも明らかだった。
「俺がいるから、もう大丈夫だぞ」
洸至が遼子の肩を抱いた。
「うん…お兄ちゃんが居て良かった…」
兄の胸から伝わる温もり、肩を抱く力の強さに遼子はこの上ない安心感を覚えていた。
「片山が起きたら、どういうことか聞いてみよう。どうも片山らしくないからな」
「もしかして、サプリメントと関係あるのかな」
「かもな。…遼子、お前そういえば香水でもつけているのか?」
「へ?史郎ちゃんと会えそうなときはつけるけど、今日は鷹藤君との仕事だからつけてないよ」
「そうか…すごく…甘くていい匂いがするんだよ。親父やおふくろがいなくなって、お前と二人っきりになった
 時に感じた匂いに似てるな。好きなんだ、この匂い」
遼子が自分の匂いを確かめるべく、服の匂いを嗅いでいた時だった。
「匂い…?」
―――そう言えば、さっき片山さんも匂いって…。

遼子がゆっくりと首を巡らせ、隣の兄を見た。
兄も遼子を見つめていた。
片山と同じ眼で。
遼子が反射的に身を硬くして、兄の傍から身を引こうとした。しかし洸至が肩を抱く手に力を籠め、離そうと
しない。
「お兄ちゃん…」
「どうした?遼子。離れる必要なんてないだろ」
「で、でも」
上背のある洸至が遼子の腰に手を廻し、きつく抱いた。抱き寄せられた遼子の躰が軽く持ちあがり、つま先だけ
がかろうじて床についていた。
262本誌美人記者兄妹による体験手記 4:2011/04/13(水) 10:56:41.30 ID:jEzOoUXf

「本当にいい匂いだ。俺の好きな、遼子の匂い」

腕も封じられ、逃れられない遼子の眼の前に陶然とした洸至の顔がある。
いつもの厳しさも、その奥に隠された優しさも消え、瞳にあるのは遼子が兄の中に見たことのない男の欲望だけだ。
そこにいるのは遼子の知らない兄だった。
「お、お兄ちゃん、ね、離して。逃げたりしないから」
「俺は今幸せなんだ。もう少しこうさせてくれよ」
酒を飲んでもこんなに蕩けた顔を見せたことのない洸至が、酔ったように微笑んだ。
「兄妹でこんなに躰くっつけてたら、変でしょ。だから」
「兄妹だっていいだろ。俺は遼子が好きなんだ」
洸至が唇を寄せた。遼子が顔を逸らし、そこから必死に逃れる。
「駄目駄目駄目〜!!!」
遼子は足をばたつかせ、洸至の足を蹴りあげた。
その拍子に二人の躰が離れ、お互いに床に転がる。遼子は兄から少しでも離れるべく、自分の部屋に向かって
駈けだした。
「遼子、待てって」
緊迫感のない声で、洸至が遼子を呼んだ。それもいつもの洸至らしくなくて、遼子は泣きそうになる。
どうしたらいいかわからない。でも、このまま兄に身を任せることだけは避けなければならない。
遼子が部屋に入った時、洸至が遼子の肩を掴んだ。
足をもつれさせた遼子がベッドの上に倒れこむ。その上に洸至が乗った。
「逃げるなって」
「だって」
「俺はお前が好きなんだよ」
「この好きは違う。兄妹として好きってことでしょ。お兄ちゃんはおかしくなってるの。お願い、眼を醒まして」
遼子に覆いかぶさる洸至の理性へと、遼子は訴えた。
「わからないのか?俺は兄妹として好きなんじゃない。こんなことをするのはお前を女として好きだからに決まってるだろ」
遼子に馬乗りになりながら、洸至がネクタイを外した。
「何言ってるの?兄妹なんだよ」
理性を失っているはずの洸至の言葉だが、その言葉に嘘が無いように聞えて、遼子は慄然とした。
「兄妹だから我慢してたんだ。だけど…お前がこんな匂いさせるから…だから止まれなくなったんだ」
洸至が遼子の掌に手を重ね、逃れられないようにベッドに縫いつける。
ゆっくりと洸至が遼子の唇を求めた。
「いやっ」
遼子が顔を背けると、洸至は無防備にさらけ出された首筋に唇を落とす。
「駄目!」
「どうして」
洸至が遼子の唇に舌を這わせる。まだ男を知らぬ妹の肌を兄の舌が穢す。
心は恐怖で慄えているに、兄の舌が遼子の躰を一瞬熱くした。
「お兄ちゃんだもの…兄妹だもの」
「俺はそんなこと、もう構わない」
遼子が顔を動かせないように、洸至が顎を掴んだ。
洸至の唇が遼子のものに重なる。
「んんっ」
音を立てながら、洸至が遼子の唇を吸う。
食いしばる歯の上を洸至の舌が撫でる。優しくそそのかし、固く閉ざされた歯の隙間に入る隙を窺っていた。
遼子の意識が唇に集中していた時、洸至が遼子の腰からゆっくり胸へと手を滑らせる。
驚いた拍子に、遼子が息を飲み唇を開けてしまった。
その隙を見逃さず、洸至の舌が歯の間に潜り込み遼子の舌に絡みつく。
「んんんんんっ」
兄の舌は微かに血の味がした。遼子を守るために負った傷からの血だ。
そこまでして守ってくれた兄が今度は…。
それが悔しくて遼子の目じりに涙が浮かぶ。遼子は、兄のその想いを踏みにじらせた何かに猛烈に怒っていた。
遼子の溢れて止まらぬ涙を見て、洸至が動きを止めた。
「…そんなに嫌か」
263本誌美人記者兄妹による体験手記 6:2011/04/13(水) 10:58:10.74 ID:jEzOoUXf
心配そうに遼子の顔を覗きこむ兄の瞳の奥に、理性の光が微かに見えた。
「いや!嫌だよ…!こんなことされたら、大好きなのに、お兄ちゃんが嫌いになっちゃうよ!」
洸至の微かに残された理性に遼子は訴えかけた。
「お願い、いつまでも大好きなお兄ちゃんのままでいて」
「くそ…でも離したくない…離せないんだ、お前のことが…俺はずっと…」
「お願いずっと好きでいさせて…」
「くそ…」
洸至が何かを振り切る様に歯を食いしばった。
「好きでいさせて…か」
洸至がゆっくりと遼子から躰を離す。
「でも…離したくない…今の俺にはこれがやっとだ…お前を守るには…これしかない」
そう言うと、洸至は頭を振りかぶり、遼子の頭上にある壁に突っ込むようにして頭をぶつけた。
鈍い音がして、洸至が遼子の上に崩れ落ちる。
「…え?お兄ちゃん…お兄ちゃん!!!!」


洸至が眼を醒ました時、部屋は暗かった。
少し身を起すだけでも、額がひどく痛んだ。手をあてると、そこには冷たいタオルが置かれていた。
タオル越しでも相当腫れているのがわかるくらいの大きなこぶができている。

部屋に遼子の姿はなかった。
自分が壁に頭を打ち付ける前遼子にしたことが蘇る。遼子の柔らかな躰を俺はきつく抱きしめた。
そして血の味のする口づけ―――。
洸至は頭を抱えた。
あんなことしたら、遼子が出て行って当然だ。兄としてしてはならぬことを…。
常日頃、夢の中でだけ許していた甘美な悪戯を、薬に酔っていたとはいえ遼子にしてしまった。
遼子を失ったあまりの寂しさに、腫れあがった額以上に洸至の胸は痛んだ。

「あ、お兄ちゃん起きたの?」
もう聞けないと思っていた妹の声だった。
洸至が振り返ると、洗面器をお盆に載せた遼子が部屋に入り口に立っていた。
「遼子…出て行ったかと思ったよ」
洸至の真剣な声色を遼子が笑顔で受け流した。
「お兄ちゃん、真面目な顔して何言ってるの?私が出ていく訳ないでしょ」
遼子が笑ってお盆を置いた。
「片山は」
「さっき帰したの。お兄ちゃんみたいに、眼を醒ました時にはいつのも片山さんに戻っていたから。
それから片山さん、鳴海さんにあんなことしてしまって、ってすごい勢いで謝っていたのよ。明日会ったら
お兄ちゃんも許してあげて。元はと言えば私が調べていた薬のせいだし…」
遼子が洗面器の中のタオルを絞ると、洸至の額にあるタオルを取った。
「腫れてるね〜。このこぶ、明日も目立つかもよ」
タオルの下のこぶをしげしげと見て遼子がそう言った。それから濡らしたタオルを洸至の額に当てる。
「ごめんな、遼子」
洸至はその後言葉をつなげなかった。
いつもは嘘をまき散らし真実を隠蔽し捻じ曲げる自分が、まるで無力だ。
遼子を押さえつけ抱きしめながら囁いた真実のせいで、この舌が嘘を紡がなくなっている。
「薬のせいよ。この薬のこと記事にしないと危険よね…」
遼子が眼を伏せ洗面器の中に入れたタオルをゆすぎながら言った。
「片山さんはあの時のこと、憶えているって言っていたけど…。ただ薬のせいで、眼の前にいた私が恋人みたいに
 見えたって。お兄ちゃんもそう?あの時私のこと本当にそう思ったの?」
洸至の口の中がカラカラに渇いているせいで、舌がうまく動かない。
264本誌美人記者兄妹による体験手記 6:2011/04/13(水) 11:02:10.17 ID:jEzOoUXf
かろうじて洸至が出せた言葉は、呻くように言った「ああ」という一言だけだった。
その一言の中に、洸至の想いが詰まっていた。

あの時、本当に恋人だと思っていた。
いつもそうであればと願っていたように。

兄が、兄以上の思いを持って自分を見ていたと遼子に知られたのだろうか。それとも…。
洸至は、遼子の次の言葉を待っていた。
遼子が何を言うかで運命が決まる。ほんのわずかな時間だが、洸至には永遠にもひとしい時間に感じられた。

「ってことは、私が史郎ちゃんの前でこれを使えば…」
拒絶され嫌悪されることを予期して洸至の心は衝撃に備えていたが、別の方向からの衝撃が洸至を襲った。

「史郎…?前にお前を振った男か」
洸至がのろのろと遼子の方を見た。

遼子が顔を赤くして目を逸らした。
「べ、別にこの薬を悪用しようなんて考えてないんだからね。その、史郎ちゃん…遠山さんみたいに
 理性的な人の前でこの薬を使ったらどうなるかなって思っただけであって、下心からじゃないからね!
記者としての純粋な探求心よ」
「待て遼子…俺がああなったのは」

「薬のせいでしょ?お兄ちゃんはあんなことする人じゃないもの」
遼子が首を傾げて洸至を見た。露とも疑いを抱かぬ、洸至を信じきった眼だった。

「…そうだな」
洸至の舌が、遼子の信頼に応えて再び嘘を紡ぎ始めた。
―――もうすこしだけ兄妹でいよう。
安堵とほろ苦い諦めが洸至の胸の中に拡がっていく。
洸至の眼に、リビングのテーブルの上の例のサプリメントが止まった。

洸至はタオルが落ちるのも構わずに立ち上がると、そのサプリメントを手に取りトイレに向った。
兄の思惑に気付いた遼子の制止の声を無視して、瓶を開けると中の錠剤をトイレの中に捨てた。
「遼子、こういう薬を使って思いを遂げても空しいだけだぞ」
薬に幻惑された時に見た遼子は本当に美しかった。遼子の濡れた唇の感触、血の味の口づけ。
あの甘美な瞬間は俺だけのものだ。
「そんなぁ」
遠山なんかに味わわせてやるものか。俺はそれ程お人よしじゃない。
「本当に好きだったら正面から当たるんだな」
肩を落とす遼子を見ながら洸至は言うと、レバーをひねり全てを洗い流した。


エロなしごめんなさい。次こそは兄にいい思いをさせます。
不憫な兄が可愛くて、今回も不憫オチにしてしまいました。
あと連番間違いました(汗)>>263が本誌美人記者兄妹による体験手記5です。
265名無しさん@ピンキー:2011/04/13(水) 14:04:57.92 ID:ii2VETGt
>>251-256
編集部プレイ、GJです。
遠山さん登場も楽しみにしてます!

>>259-264
体験手記「お兄ちゃん編2」GJです。堪能しました。
グランバストで結局良い目を見たのは鷹藤君だけか?w
兄よ、遼子にも薬を飲ませれば、お互い合意の上で・・・げほげほ
266名無しさん@ピンキー:2011/04/13(水) 20:07:55.09 ID:hT352SUg
グランバストは鷹遼はキスだけでおわれるの?


そんなことないよね、続き頼みます。
リクエストはだいだい書いてくれるよ書き手さんに感謝。
267名無しさん@ピンキー:2011/04/19(火) 11:46:50.92 ID:KNPBCni9
某管理官とその先輩が酒を飲んでいるところに遼子が現れる話が
出来ましたが、需要あるだろうか…(汗)
268名無しさん@ピンキー:2011/04/19(火) 12:49:43.45 ID:0XczDys2
>>267
はい!はい!はい!
思いっきりあります!!!
正座してお待ちしております。
269あなたに似た人 遼子編1:2011/04/19(火) 16:53:32.40 ID:KNPBCni9
遼子がお兄ちゃんに似た某管理官に会うお話です。


藤堂が柘植に連れられて行った店は大衆居酒屋だった。
普段の自分なら絶対に入らないであろう店だ。

硝子の引き戸を開けると、客の話し声でざわめく向こうから「いらっしゃい!」と威勢のいい掛け声が響いた。
カウンターの奥から、焼き物を見ながら剥げ頭にねじり鉢巻きを巻いた中年の男がこちらを見て、柘植に眼で
挨拶をする。
カウンターもテーブル席もほとんど客で埋まっていたが、でっぷりと太ったお多福顔の女将らしき女が
柘植と藤堂を奥の空いている座席へと促した。
藤堂と柘植が座敷に座ると、女将がおしぼりとお通しを置いた。

「寒い日が続いてるけど、柘植さん、風邪ひいてないかい?あんた細すぎるからね、たっぷり食べなよ。
 さ、今日は何にする」
飲み屋の女将というより、独身寮の寮母のような雰囲気だ。
270269:2011/04/19(火) 17:03:34.20 ID:KNPBCni9
>>268
困りました。わたしの忍法帳のレベルが低いために、一レスあたりの
文字数制限がきつくて、まったくSS投下げできません(涙)
しばらくレベル上げしてから、再度投下します。
271268:2011/04/19(火) 17:29:43.51 ID:0XczDys2
>>270
キターと思ったら、忍法帳ェ・・・
投下、楽しみにしてます。
272あなたに似た人 遼子編1:2011/04/27(水) 09:37:29.36 ID:xdfkutPs
遼子がお兄ちゃんに似た某管理官に会うお話です。
ようやく投下。


藤堂が柘植に連れられて行った店は大衆居酒屋だった。
普段の自分なら絶対に入らないであろう店だ。

硝子の引き戸を開けると、客の話し声でざわめく向こうから「いらっしゃい!」と威勢のいい掛け声が響いた。
カウンターの奥から、焼き物を見ながら剥げ頭にねじり鉢巻きを巻いた中年の男がこちらを見て、柘植に眼で
挨拶をする。
カウンターもテーブル席もほとんど客で埋まっていたが、でっぷりと太ったお多福顔の女将らしき女が
柘植と藤堂を奥の空いている座席へと促した。
藤堂と柘植が座敷に座ると、女将がおしぼりとお通しを置いた。

「寒い日が続いてるけど、柘植さん、風邪ひいてないかい?あんた細すぎるからね、たっぷり食べなよ。
 さ、今日は何にする」
飲み屋の女将というより、独身寮の寮母のような雰囲気だ。
「俺はいつもの焼酎と煮込み大盛りで。あとは女将さん適当に見つくろってくれ。藤堂、お前も同じでいいか」
「ええ」
美味い酒は置いていそうにない。藤堂は柘植と合わせることにした。
熱いお絞りで手を拭く藤堂を見て、柘植が言った。
「その顔じゃ俺がケチったと思ったか?」
「先輩のおごりですからね。贅沢はいいませんよ」
何年かぶりで柘植と酒を飲む。藤堂はそれだけで良かった。

「ここの大将が酒が好きな男でさ、こう見えてこの店は全国のうまい焼酎を揃えてある。それとこの店の煮込み
は絶品だ」
「先輩がそう言うのなら、信じましょうか」
藤堂が皮肉な笑みを浮かべると、柘植もつられるように薄く笑った。
「でも正直意外でした。先輩がこういう店に来るなんて」
「気取った店で飲んだくれていると思ったか?」
「もう少しゆっくり飲める店に行くと思ってましたよ」
「そういう店で飲み始めると全てを忘れるまで飲み続けちまう。だから、これくらいにぎやかな店の方がいい。ここで飲み過ぎると女将に叱られるしな」

藤堂には、柘植が痛飲する理由が判っていた。
5年前の事件―――あの事件のあと柘植はキャリアとしての道を外れた。
冷徹になりきれない男にキャリアは無理だ。そう思って藤堂は降格した柘植を見送った。
だが憧れつづけた男を追い越した藤堂の胸には割り切れないものが残っていた。
それが先日、5年前の事件の真相が明らかになり、柘植が捜査へ怨念に近い情熱を燃やす理由が判った時 
内部闘争に明け暮れ、出世することを目標とする自分よりもキャリアの道を外れたはずの柘植の背中が大きく見えた。
273あなたに似た人 遼子編2:2011/04/27(水) 09:40:43.28 ID:xdfkutPs
「もう女将さんに叱られるまで飲み過ぎることはなくなるんじゃないですか」
5年前の事件のケリはついた。悪夢を忘れるように飲む必要はないはずだ。
「どうかな」
柘植の眼の奥が一瞬昏くなった。まだ、はるか昔に幼い妹を失った痛みが燠火のように燻っているのだろうか。
その時、二人の座敷の横に誰かが立った。
女将が焼酎を持ってきたかと思って、二人がそちらを向いた。

「お、お兄ちゃん…!」
髪をひとつに結い、肩から鞄をかけた女が立っていた。
驚きで大きな瞳が更に見開かれ、次に言うべき言葉を失っていた。
柘植と藤堂か顔を見合わせる。知らない女だった。


藤堂は憮然としながらグラスを煽った。
座敷にさっきの女が上がって柘植の隣で正座していた。
女から名刺を受取った柘植が、何故か女に同席するように声をかけたのだ。
「取材だったら遠慮していただきたい」
藤堂が冷たく投げかけると、女が肯いた。
女は週刊アンタッチャブルの記者と名乗った。今泉の事件についての取材で藤堂のところへ来たようだった。
「も、もう取材はいいです」
女は柘植の隣に座って、藤堂をちらちらと見ていた。その視線が藤堂には正直うざったい。

「もしかして、君の兄さんは鳴海洸至か」
女の名刺を見ながら柘植が言った。

「鳴海…?」
永倉コンツェルンの総裁、永倉を使いこの社会を変えようとした狂信者。スキャンダルで政敵を追い落とし、
邪魔者は躊躇わず殺した――自分の両親も含めて――生来の犯罪者にして、警視庁創設以来最悪の裏切り者
―――それが鳴海洸至だ。
「確かに似てるな、鳴海に」
柘植が藤堂に視線を据えた。

「似てる…?俺が、その鳴海にですか」
「ああ。俺も何年か公安にいたからな。一緒の班にはならなかったが、顔は憶えてるよ。出来る奴だったらしい」
あの事件のあと、警視庁の威信は失墜した。その張本人の妹か。藤堂を見つめる女と眼が合った。
藤堂の凍てつくような視線を感じ、女が慌てて俯いた。
「兄は沢山の人に迷惑をかけました…。でも…どんなに酷い人間だと言われても私にはたった一人の兄なんです。
 もう会えないと思っていたのに、そっくりな人に会えてうれしくて…その…つい」
女が上目づかいに藤堂を見た。
「でも別に私にはあなたと話すことなど無い。取材じゃないなら、お引き取り願いたい。今はプライベートな
 時間なんですよ」
「ええ、判ってます…じゃあ、取材は忘れてプライベートで一緒に飲みます。女将さん、わたしに生中ひとつ!」
女が手を上げて従業員に合図した。
「なんだそりゃ」
柘植が苦笑しながらすかさず突っ込んだ。
274あなたに似た人 遼子編3:2011/04/27(水) 09:47:35.40 ID:xdfkutPs
「それにしても、警視庁にはお前に似た男がよくいるな」
柘植の言葉に、藤堂の胸に苦いものが広がる。
藤堂は警視庁籠城事件の後のことを思い出していた。
籠城事件の時、藤堂は他の署であった捜査会議に出席していた。警視庁籠城事件の一報を受け、会議終了後
警視庁に駈けつけた時には事件は収束していた。
事件の夜、すれ違う職員達がみな訝しげな顔をする理由がわからないまま歩いていると、他の係の伊丹とかいう
捜査員に「生きてやがったのか手前」と飛びかかられた。
藤堂には何が何だかわからなかった。
翌日の新聞に掲載された籠城犯の顔写真を見て、藤堂の係の刑事達が驚いた顔をしていた。
自分では判らないが、その八重樫という元組対の男と藤堂は瓜二つだという。

あの事件の後に藤堂が職員食堂で昼飯を食べていた時、やけにじっとこちらを見つめている女性職員と眼が
合った。
藤堂が昼飯を食べ終わった後にエレベーターに乗ると、偶然その女も乗ってきた。
女の方が先にエレベーターを降りたのだが、ドアが閉まる直前、女が振り返った。
「八重樫君…」
黒目がちで大きな瞳から、一筋の涙が零れ落ちた。
藤堂にはさっぱり理由がわからず、エレベーターの中で女の涙に困惑し続けていた。
もしかしたら、あの女もそうだったのか…。藤堂の中に誰か――八重樫の面影を重ねていたのだろうか。

「あのお、乾杯しませんか」
ぼんやりとしていた藤堂に女が声をかけた。
「どうして」
柘植とのサシで飲む酒を邪魔され、藤堂は不機嫌だった。
「いいよ」
柘植がグラスを上げた。
「先輩!」
「藤堂、固いこと言うなよ。今晩、こうして飲むだけならいいだろ」
「じゃ、かんぱーい!」
藤堂の意見など無視して二人は乾杯していた。藤堂はグラスを合わせることなく、一気にグラスの中の
ものを空けた。
グラスをテーブルに置くと、またも女と目が合った。
懐かしさと愛おしさを籠めた、藤堂が感じたことのない視線でこちらを見ていた。
「全く…台無しだ…」
藤堂は思わず眼を逸らし、苦虫を噛み潰したような顔をして焼酎のボトルに手を伸ばした。


「何で君が先に酔い潰れるんだ」

「えへへへへ、お兄ちゃん…」
「俺は君の兄じゃないんだぞ」
何故か藤堂の隣に、その女記者――鳴海遼子が座っていた。藤堂に腕を絡め、嬉しそうに肩に頭を預けている。
藤堂がいくら冷たくあしらっても、この女には効かないようだ。
自分の都合にいい方に解釈して幸せそうに藤堂を見ていた。

「すっかり懐かれたな」
柘植がグラスを口元に運びながら言った。
275あなたに似た人 遼子編4:2011/04/27(水) 11:29:44.03 ID:xdfkutPs
「懐かれたって、勘違いしてるだけですよ、先輩」
「かもな。たまにそういうのもいいだろ。お前は少し固すぎる」
「柘植さんっていい人!お兄ちゃんも見習わなきゃ!」

「だから俺は君の兄さんじゃない。あんな犯罪者と一緒にするな!」
いつまでも間違い続けられることに耐えきれなくなった藤堂が怒鳴った。

一瞬、店の中がしん…と静まり返る。
すぐに他人のテーブルのいざこざなどなかったように、店にざわめきが戻ってきた。
しかし、藤堂のいるテーブルは気づまりな沈黙に支配されたままだ。
藤堂の隣で遼子がうなだれていた。
柘植との酒を邪魔された怒りもあってだろうか、藤堂は遼子を叱責する自分を止められないでいた。
「君の兄さんが何人殺したと思っているんだ。関係のない人間の命までたくさん奪った。子供だって殺そうとした。
しかも警視庁の創設以来の恥晒しだ。よくそんな人間を懐かしめるな。こっちにすればいい迷惑だ!」

「迷惑…ですよね。ただ似てるだけで一緒に飲もうっていうなんて。勝手なことを言っているのはわかってるんです。
だけど、懐かしくて嬉しくて…だからいけないと思っていても自分の気持ちが止められなかったんです…。
ごめんなさい。本当にごめんなさい」
遼子が俯いたまま肩を落としていた。
「本当に勝手だ」
追い打ちをかけるように、藤堂が吐き捨てた。

「藤堂、そのくらいにしておけ」
柘植が制した。俯いたままの遼子は動かない。
「鳴海は確かに犯罪者だ。だがな、いくら他人から憎まれようとこの子にとって鳴海は家族だ。そこのところは
ちょっと考えてやれって」
「ですが」

「お前にはわからないかもしれないな。大事な人間が眼の前から突然いなくなった時の気持ちとかさ。
 もうこの世にいないとしても、夢でもいいからもう一度会いたいと思うんだよ。それがどんなに愚かな願い
 かわかっていても、そう思うことを止められないんだ、残された人間は」
遼子はまだ顔を上げない。軽く躰が揺れていた。泣いているのかもしれない。
「俺だって…そうだ」
柘植が聞こえるか聞えいないかの声で呟いた。
藤堂が顔を上げた。向いに座る柘植からはいつものように表情から何を想うのかは読み取れない。

俯いた遼子の躰がゆらりと崩れ、藤堂の膝の上にもたれかかってきた。
「お…おい!」
遼子は静かな寝息を立てていた。
「おにい…ちゃん」
「彼女、途中から聞いてなかったみたいだな。お前にあれだけ言われて寝られるなんて、すごい奴だ」
柘植が苦笑した。
276あなたに似た人 遼子編5:2011/04/27(水) 11:41:38.88 ID:xdfkutPs
「彼女は両親も兄貴に殺されたはずだ。あの事件の後、鳴海の記事を彼女自身が書いた。憶えてるか?」

普段なら週刊誌など読まない藤堂もあの号のアンタッチャブルは読んだ。警視庁の威信を失墜させ、政界をも
巻き込んだ大スキャンダルをたった一人で起こした男について冷静な筆致で、『名無しの権兵衛』の犯罪を詳らか
にした記事で、3流週刊誌とは思えぬ読み応えのある内容だった。
後にその記事を書いたのが、『名無しの権兵衛』の妹によるものだと知って藤堂は驚いた。

「記事を書く時はあれだけ冷静に分析できるくせに、眼の前に兄貴に似た男がいただけでこんな風になっちまうんだな。
 兄さんに似ているお前に甘え切ってるよ」
藤堂が遼子の躰をどかせようとした時だった。
「もうすこしそのままでいてやったらどうだ」
「どうしてですか?」
「彼女、すごく幸せそうな顔をして寝てるぞ」
藤堂の膝にもたれかかり眠る遼子の口元は微かに緩んで、安らかな表情を浮かべている。
「兄さんに膝枕でもしてもらっている夢でも見ているんだろ」
「全く…」
「どれだけ迷惑かけられても、兄貴は兄貴、か」
柘植はそうつぶやくと、眠る女に自分のコートをかけてやった。
今日の柘植はやけに優しい。

―――お兄ちゃん。
あの女は俺達にそう声をかけた。

鳴海遼子が藤堂の中に兄を見たように、柘植も彼女に自分の妹を重ね合わせているのだろうか。
生きていれば、柘植の行方不明の妹はこの女ぐらいの年になるはずだ。

藤堂は、心地よさそうに寝息を立て眠る遼子を見た。
遺族や世間から冷たく見られたことは一度や二度ではないはずだ。
刑事として現場に出ることは少ないながらも、加害者家族がどれだけ世間から冷たくあしらわれるかぐらいは
藤堂も知っている。

―――それでもまだ会いたいと想えるのか。
柘植や遼子が持つ、そこまで誰かを想う感情は藤堂には判らなかった。

藤堂の太ももの布地越しに遼子の体温が伝わる。
俺がキャリアとして上を目指し続けて切り捨てたものがこの重さと温もりなのかもしれない。

あれ程の事件を起してもまだ誰かに想われ続ける鳴海洸至や八重樫が藤堂には少し羨ましかった。
もし自分が――あり得ないことだか――そういった事件を起こしたとしてもなお、自分の為に泣いてくれる誰か
が藤堂には思い浮ばないでいた。

できれば、柘植だけでも――。
そう思いかけて藤堂は止めた。自分らしくないと苦笑し、焼酎の入ったグラスを口元に運んだ。


エロなしすいません。お兄ちゃんのそっくりさんに会った遼子はこんな風になりそうで…。
277名無しさん@ピンキー:2011/04/27(水) 16:29:44.84 ID:HVHARy3F
>>272-276
某管理官エピソード、お待ちしておりました!そしてGJです!!!
まさか、警視庁籠城事件まで絡んで来るとは思わず、
素晴らしいコラボに、読みながらニヤニヤが止まりませんでしたw

警視庁には似た人がいっぱいいて、管理官は大変そうですねww
278名無しさん@ピンキー:2011/04/29(金) 20:44:49.31 ID:ef4/J8aZ
管理官編、良かったです!
遼子も健気でかわいいですね。
そして、膝枕・・・是非自分も兄の膝枕で寝てみた・・・げふんげふん。
279名無しさん@ピンキー:2011/05/01(日) 10:35:07.74 ID:uGCxcF0/
>>266
お待たせしました、「グランバスト」鷹遼編の続きエロ篇です
相変わらず長いので、何回かに分けて投下。
280キスの後には 1:2011/05/01(日) 10:39:01.50 ID:uGCxcF0/
ベッドの上で並んで座る鷹藤と唇を重ねながら、遼子は戸惑っていた。
以前読んだ雑誌では、キスの時鼻の角度に気をつけるとかそう言ったことは書いてあった気がするが、唇を
重ねながら鼻で呼吸をするのかしないのかまで書いていなかった。

―――でも、こんな気持ちのいいものなら、息するの忘れてもいいかも…。

脳に酸素が行かない状態ながら遼子がそんなことを考えていると、鷹藤が唇を離した。
「ぷはっ。く、苦しい!」
遼子が陸に上がった魚のように大きく口を開けて空気を吸い込んだ。
「どうしたんだよ…」
眉間に皺をよせ、鷹藤がその様子を見ていた。

「あ、あのね、別にキスをしてる時息をどうしたらいいかわからなかった訳じゃないのよ。私が息をしてその
匂いでさっきみたいにまた鷹藤君がおかしくなったら困るから、だから息を止めていただけでね」

困ったような顔をしたあと、鷹藤がふっと笑った。
鷹藤の笑顔を間近で見ただけで、遼子の胸が高鳴り、そのことに遼子は戸惑っていた。
「この状況で俺がおかしくなっても、全然困らないだろ」
遼子の黒髪をかきあげると露わになった首筋に唇を落とした。
「きゃっ」
初めて男の唇を首筋にもらい、遼子の躰が軽く跳ねる。
「ところでさ、あんたキスもしたことないのか」
カメラマンとして取材に同行する時に遼子へ軽口を叩くときの口調だが、遼子を見つめる瞳はいつもとは違い
柔らかな光を湛えていた。

「あるわよ!合コンの時のポッキーゲームとか、罰ゲームとか」
「それキスの回数にカウントするのかよ。憐れを催す程あんたモテなかったんだな」
「違う…理想が高すぎただけ!」
「あ、そ。じゃあ俺はそんな理想の高いあんたのお眼鏡にかなったってことでいいんだな」
「え…あ…」
核心をつかれ、遼子が顔を赤らめてたじろいだ。その遼子の顎に手を添えると、鷹藤が顔を近づけてきた。

「キスするときは普通に息、してていいから」
野性的な顔立ちなのに鷹藤くんの睫毛は意外と長いんだな、遼子がそんなどうでもいいことを考えているうちに
鷹藤の唇が触れるか触れないかの距離にある。

「でも、眼は閉じてくれよ」
間近で自分を見つめる視線に気づいた鷹藤が、照れたように眼を逸らす。
遼子があわてて強く瞳を閉じると同時に、鷹藤の唇が触れた。
鷹藤の唇はうっとりするほど柔らかく温かい。
鷹藤の温もりをもっと近くで感じたくて、遼子は鷹藤の背に手を廻した

キスをしながら、抱きしめられた鷹藤の口元が緩んだ気がした。
鷹藤も喜んでくれているのだろうか。だったら嬉しいと思う。
遼子の気持ちに応えるように、背に廻す鷹藤の手にも力が籠められる。
そしてゆっくりと遼子をベッドに横たえた。胸に感じる鷹藤の重みが心地よかった。
鷹藤の開いた唇の間から、舌が遼子の口の中へ潜り込んでくる。
遼子は少し慌てたが、鷹藤に遅れまいと必死で舌を絡ませた。
281キスの後には 2:2011/05/01(日) 10:43:01.89 ID:uGCxcF0/
いつもは憎まれ口しか紡ぎださない鷹藤の舌はベルベッドのようになめらかで心地いい。
唇を離した時、優しくも荒々しい口づけが名残り惜しくて遼子は溜息を吐いた。
「あんたの息が甘い…」
鷹藤が囁く。遼子の耳たぶに唇が当たるほど近くで。
そう言う鷹藤の声も甘い。耳に当たる熱い息に、その声に、遼子の中の熱も上がる。
「なあ…俺達、もう離れないと…」
遼子は離れたくなくて、鷹藤をまたぎゅっと抱きしめた。
「このままだと…俺、止まれないから」

「いいの…」
鷹藤が遼子の顔を見つめた。
「いいのか?だって初め」
「いいの!」
遼子が鷹藤の言葉を遮った。
30近くで処女なんて恥ずかしくて、鷹藤にも言って欲しくなかった。
「でも俺はちゃんとあんたの為にホテルの部屋とって、それで…」
「いまはもう離れたくないの。鷹藤君とずっとこうしていたいの…駄目?」
いつもは虚勢を張るばかりの遼子の口から出た、率直な言葉に鷹藤の瞳が揺れる。

「あんたにこれだけは言っておくよ。今からすることは、薬のせいでもなんでもないからな。俺、本当に
 あんたのことが好きだから…」
最後の方は声が掠れていた。遼子の太ももに、デニム越しに鷹藤の熱く昂ぶったものが当たっている。
遼子もそうだ。生まれて初めて感じる欲望が躰じゅうを駈け廻っている。
欲望だけではない。
男性に対して遼子がこれまで愛や恋だと思っていたものとは違う感情が胸から溢れそうになっていた。


暗闇の中、鷹藤の肌に指を滑らせる。
初めて触れる男の肌は遼子が想像していたより柔らかかった。
鷹藤とそうすることを決意しても、やっぱり恥ずかしくて部屋の電気は消してもらった。
ホテルの遮光カーテンの隙間から入る灯りが暗闇を薄く切り取る。
灯りと言うには頼りない光だ。
だが裸で抱き合う二人に灯りなど必要はなかった。
真の暗闇に近い部屋で姿が見えなくても、手を伸ばせばすぐそばに鷹藤がいる。
静かな部屋にはささやかな吐息と、舌から洩れでる水音だけが響き渡る。
今は言葉よりも絡め合う舌が想いを告げていた。

唇を重ねながら、遼子の肌の感触を鷹藤が指で確かめている。
それから、遼子を驚かせないようにそっと双丘を掌で包んだ。
「んっ」
鷹藤が遼子の胸をゆっくりと下から上へもみ上げる。そして人差し指で、乳房にある蕾を弄んだ。
「や…あっ」
熱く密やかな遼子の吐息が、とろけるような甘さを含んだ声に変わる。

「気持ちいい…?」
「う、うん…」
「じゃ、もっと声聞かせて…」
遼子の蕾を鷹藤が音を立てて口に含んだ。

「ゃあっ」
温かく湿る鷹藤の口内に包まれ、舌先で蕾を嬲られ吸われる。
もう片方の乳房をゆっくりと揉みながら、その先端を鷹藤の指先が円を描くように廻っていた。
鷹藤の舌先のささやかな動きが遼子の本能を乱れさせる。
「感じてるんだ」
「いやっ」
282キスの後には 3:2011/05/01(日) 10:50:46.61 ID:uGCxcF0/

初めてなのに…。初めてでこんな声を出したら、鷹藤に何と思われるだろう。
淫乱な三十路女なんて…そんな風に思われたら…。

遼子は自分の手の甲を口に強く押し当て声を堪えようとした。
「くっ…んんっ」
鷹藤の舌が動くたびに、魚のように躰が跳ねてしまう。
押し当てた手の甲から、忍び啼くような声が漏れ出ていることに気付かず、遼子が悶える。
「声…堪えなくていいんだぜ。そうしてる方がよっぽどやらしいって」
「だって…ひゃっ」

遼子の太ももに置かれた鷹藤の掌が、ぴったりと閉じられた太もも合わせ目に沿って動く。
遼子の叢に指が触れると、鷹藤は太ももの合わせ目に指を侵食させていく。
感触を楽しむように鷹藤の人さし指が遼子の叢をかきまわした。
「あっ…」
すでに溢れ出でた蜜で、水草のようになった繁みの中に鷹藤が指を入れる。
「すげえ…。濡れてる…」
「言わないで…」
「なんで。嬉しいよ。あんたも欲しいってことだろ。俺のことが…」
鷹藤が指を遼子の秘裂にそわせて動かした。

「っやぁっ!!!」
中指で秘裂の上を撫でられた時、痺れるような快楽が遼子の躰を駈け廻った。
「ここ、気持ちいいんだ」
遼子の反応を楽しむように、鷹藤がそこを弄くる。
乳房を責め続けられながらの新たな快楽に、遼子の声が上がっていく。
「やめ…そんな…いやらし…い女じゃ…やんっ…ない…あああっ」
「悶えまくってる割に、まだ余裕あるみたいだな」
鷹藤が指を止めた。

「なあ脚…もっと開いて」
全身汗ばむほどの快楽に悶えながらも、遼子の太ももは恥ずかしさからぴったりと合わせられたままだった。
「…恥ずかしい」
遼子が顔を逸らした。
「これから俺のことここに挿れるんだぜ」
鷹藤が遼子の秘所に中指の第一関節まで挿れた。
「きゃっ…」
「ほぐさないとあんたが辛いから。だから脚開いて…」
指を秘所の中で微かに上下させながら鷹藤が優しく囁いた。
「いやらしい女だって思わない…?」
間近にある鷹藤の顔を遼子が見つめる。

「俺はいやらしいあんたが見たい。あんたのどんな姿もきっと好きだから」
遼子が鷹藤の首を抱いた。
「脚、開くけど…お願い…恥ずかしいから見ないで」
「いいよ」
遼子が膝に入れていた力を抜いた。鷹藤が太ももを押し開き、手をその間に置いた。
それから遼子と唇を重ねると、指をゆっくりとそこに沈めていく。
「んっ…」
鷹藤は付け根まで指を秘所に埋め込み、しばらく中指で円を描くようにして微かに開いた入り口をほぐしていく。
それでいて、そこのすぐ上の真珠のような粒を親指で撫でまわすことも忘れない。
「やんっ…あっ…」

「俺の首抱いたあんたのせいで、さっきから耳元でいやらしい声聞かされまくって変になりそうだよ」
遼子を言葉で煽りながら、鷹藤が遼子の中で指を曲げ膣壁を擦りまたも乱れさせる。
283キスの後には 4:2011/05/01(日) 12:06:59.15 ID:uGCxcF0/
「そん…なぁっ…やんっ」
「それとこの音も…すごいよ」
足を大きく開かせ、遼子に聞えるように鷹藤が中指で水音を奏でる。

ぐっちゅ、ぐっちゅ、にっちゃ、にっちゃ。

部屋に響き渡るあまりにもはしたない音。
「や…あ…あんっ恥ずか…しい」
恥ずかしさのあまり、手で顔を覆った遼子の乳房に吸いつきながら、鷹藤が尚も秘所を責める。
飛沫となって飛び散った蜜が、シーツを濡らしていた。
「あんたがそう言っている割に、音、どんどんすごくなってるけど」
鷹藤が潜り込ませる指を二本に増やし、さらに激しく指を動かした。
「駄目…あっ…いいの…あん…だ…め…あ…あ…あ…」
羞恥から悦楽へ、遼子の意識が揺れ始めた。鷹藤の指の抽送のリズムに合わせて、嬌声が上がる。
やがて鷹藤の唇が乳房からそれ、臍の方へと移動し始めた。
「あ…あっ、ん…そっちは駄目!恥ずかしいの」
「きっときれいだから。見せてくれよ」
遼子が羞恥から閉じようとした太ももを、男の逞しい手が抑えつける。
「やっ!お願いやめて!」
恥ずかしいぐらい開かされ、奥までさらけ出すような姿勢の遼子を鷹藤が満足げに眺めた。
「すげえきれいだよ。濡れて光って…誘ってる」
鷹藤の吐息が叢にかかった。それから鷹藤の舌が遼子の襞をなぞる。
「お願い、やめ…いゃっ…あんっ…」
次に遼子の陰核を鷹藤の舌先が嬲った。そして溢れ出た蜜を舌で全てすくうように舐めまわし、音を立てて啜った。
「ああああっ」
目尻に涙を浮かべながら、遼子が啼いた。
恥ずかしさの為に顔を覆っていた手を外し、枕元のシーツを掴みながら首を打ち振り快楽にのめりこんでいる。
処女がせつなげに腰を振り、悶える姿の淫靡さに気付くことなく遼子が啼いていた。

「なあ…もうあんた見てるだけで我慢できなくなりそうだ。挿れて…いいか?」
その姿を見て堪え切れなくなった鷹藤が囁いてから遼子の額に額を合わせた。
「うん…」
鷹藤が身を起すと、ベッドサイドテーブルの上から何かを手にとり、包みを破いた。
「これ着けてる姿ってすげえカッコ悪いけど、エチケットだからさ」
鷹藤が恥ずかしそうに言う。
「確かにカッコ悪いかも」
遼子が身をかがめて装着する鷹藤の姿を見て少し笑った。
「…でも、嬉しい。鷹藤君が私のこと大事にしてくれてると思えるから」
鷹藤は答えずに、遼子の上にのしかかった。
もしかしたら照れくさくて、何も言えなかったのかもしれない。
「挿れるから…。痛かったら言えよ」
「うん」
鷹藤が遼子の秘裂に自身をあてがうと、ゆっくりと遼子の肉の壁を開いて入っていった。
「あ…痛っ…」
指とは全然違った。太さも大きさも。今度は快楽からでなく、痛みのために全身から汗が噴き出す。
いたわるようにゆっくりと進んでいるのに、鷹藤自身が与える痛みは遼子の躰を引き裂くようだ。
「我慢できる?」
心配そうに鷹藤が遼子の眼を覗きこむ。
「だ、大丈夫」
痛いのはきっと、最初だけだから…だから私が我慢すれば。
苦痛の声を堪えるために、遼子が鷹藤にしがみついた。
284キスの後には 5:2011/05/01(日) 12:16:39.48 ID:uGCxcF0/

「痛かったら、俺の背中に爪立てていいから」
鷹藤の手が遼子の頬を壊れものを扱うように優しくさすった。
「えっ?」
遼子が顔をあげると、鷹藤が遼子の額に浮かんだ汗を舐めとる。
「俺ばっかり気持ちいい思いして、ごめんな。だから俺にも少し痛みを分けてくれよ。それぐらい受けるから」
「…ありがとう」
遼子は、鷹藤の背に爪を立てる気にはならなかった。
その優しさだけで、この痛みを堪えられそうだったから。

鷹藤が遼子の肉を掻き分けながら進むうちに、遼子の躰を走る痛みが鋭いものから、鈍い痛みへと質が変わって
いく。
鷹藤の腰と遼子の太ももの付け根が密着した。
「奥まで入ったよ…。やっと、あんたとひとつになれた」
鷹藤が遼子に口づけた。
「どう?我慢できそう」
顔にかかる遼子の髪を梳きながら鷹藤が聞いた。
「うん…。鷹藤君こそもう我慢できないんじゃない?ちょっと腰が動いてる」
眉間に皺をよせながら、遼子は泣き笑いに近い表情を浮かべた。
「ばれた?」
鷹藤も遼子を見つめ微笑んだ。
「じゃ、動くから、もうちょっと我慢してくれるか」
少し辛そうな顔してから、鷹藤が動き始めた。遼子を思いやって、鷹藤の胸も痛んでいるのかもしれない。
「悪いなんて思わないで、わたしで気持ち良くなって。それでわたし、嬉しいから」
鷹藤の顎を遼子の白く細い指が撫でる。指に当たる髭の感触が心地よかった。
「ああ」

鷹藤が躰を起し、遼子の手に自分の手を重ねて指を絡めると再び動き始めた。
「くっ…」
遼子の痛みの声を聞きつつも、鷹藤が腰の動きを速める。
遼子を思いやる心よりも、男としての本能に流されているのかもしれない。さっきまでの動きとは違い、遼子を
征服するような動物的な動きに変わっている。
うっすらと汗が浮いた鷹藤の躰から雄の匂いがした。
鷹藤のその荒々しい動きに遼子も最初は酷い痛みを感じていたが、いまは苦痛だけではない。
敏感な粒を弄ばれていたのときに感じたものとは別種の悦びが、鷹藤と繋がったところから拡がっている。
「あっ…」
「もう少しだから」
鷹藤が遼子と唇を重ねる。
「んっ…んんんっ」
貪るように口づけながら、鷹藤が腰を激しく打ち付ける。
痛みのために止まりかけた蜜が、二人の合わせ目から溢れていた。
「や…あ…あん…あ…あ…」
明らかに、痛みからではない声が遼子からあがる。
「あんた締めすぎ…すぐにいきそうだ」
「あ…いい…いいの…」
喉を晒しのけぞり始めた遼子を鷹藤がきつく抱きしめると、遼子もしがみつくようにして手を廻す。
「駄目だ…」
鷹藤が微かに腰を振るわせると、力を抜いて遼子の上に身を投げ出した。
285キスの後には 6:2011/05/01(日) 12:41:53.03 ID:uGCxcF0/
ベッドのヘッドボードに上半身を持たれかけながら、鷹藤がミネラルウォーターを喉を鳴らして飲んでいた。
まだ遼子はけだるさに包まれ、鷹藤の隣でベッドに横たわっている。
「あんたも水飲む?」
「ん…まだいい」
「疲れたんなら、口移しで飲ませてやってもいいんだぜ」
鷹藤が笑みを浮かべて遼子の頬を撫でた。
「もう…!」
「そんなことして、またしたくなっても困るもんな。ゴムねえし」
鷹藤がミネラルウォーターをベッドサイドテーブルに置いた。
「ねえ、あれいつも持ち歩いてるの」
鷹藤の動きが止まる。
「あれって?」
「あれよ」
察してくれない鷹藤を遼子が横目で睨む。

「あれ?」
「さっきの…コンドーム!」
「ああ、あれね」
「だから、いつも持ち歩いてるの?」
「別に…。この間友達と飲んだ時にもらったんだよ」
「それから取材の時でも持ち歩いてたんだ。隙あればって思ってたのね。そういうことしか考えてないんだ」
遼子が鷹藤に背を向け、毛布をかぶった。
「なんでそうなるんだよ!お、俺だって久しぶりに」
「あ。久しぶりだったんだ」
遼子が毛布から眼だけを出し、にやけ顔で隣の相棒を見る。
「それよりさ、あんた俺からかってる暇があったら、記事どうするか考えたらどうなんだよ」
「え?」

「え、じゃねえし。で、どうすんの?『グラン・バスト』飲んだら彼氏が出来て、処女喪失もできました、
 ってそのまんま書くのかよ。俺はカメラマン某にしてくれれば別にいいけどさ」
「しょ、処女喪失って…!史郎ちゃんと昔一夜過ごしたこともあったのよ」
「あの時はなんにもなかったって遠山さんは言ってたぜ。ベッドであんたに勝手に寝られてすげえ迷惑したって。
じゃあさ、あんたが処女じゃなかったら、このシーツに付いた赤い染みなんなんだよ」
「え…!あ…」
遼子がシーツの染みに気付いて、慌ててかけ布団で見えないように隠した。
その様子を見て鷹藤が眼を細める。
「今日あったこと、そのまま記事にしたら怪しげな通販の売り文句そのままだな。私はこれで彼氏が出来ましたって」
「ど、どうしよう…」

「朝まで時間があるから、ゆっくり考えてろって。早く考えられたら、ご褒美やるから」
鷹藤の言葉を遼子は最後まで聞いていないようだ。
ベッドサイドテーブルからメモ帳を手に取ると、ぶつぶつ独り言をいいながらどうやって記事をまとめるか考え
始めていた。
寝乱れた髪もそのままに、ほんのりと頬を紅潮させたまま、真剣に考えこむ遼子の横顔を鷹藤が盗み見る。
いままで皆無に等しかった色気が遼子から漂っていた。
「いくら編集部のみんなに隠しても、きっとバレバレだな、こりゃ」
「もう、静かにしてよ」
「ゴムなしでどうするかな…」
集中した遼子に、鷹藤の呟きが耳に入った様子もない。
遼子が記事に集中している間、鷹藤は遼子が記事を考えたあとのご褒美の中身を考えひとりにやついていた。
286280-285:2011/05/01(日) 12:51:54.95 ID:uGCxcF0/
お目汚し失礼しました。相変わらず長くてすいません。
ピュアピュアな雰囲気を引き摺っているのでエロくないかも。すいません。

で、書いているうちにお兄ちゃんがカレー作りながらエロいことを考えて実行する話を思いついた。
そのうち投下します。
287名無しさん@ピンキー:2011/05/01(日) 18:03:28.51 ID:EEDJW4Dx
ぐっじょおぶ!
お初モノは良いですねぇ。
さらに遼子の処女な反応がいちいちツボですた。

お兄ちゃんのカレープレイ(?)も期待してます!
288名無しさん@ピンキー:2011/05/08(日) 16:40:51.10 ID:HHZr6nzg
ほしゅ (´∀`∩)↑age↑
289ディナーはカレー 1:2011/05/10(火) 09:59:06.61 ID:La81qor1
「キスの後には」を書いていて思いついたカレー話です。
エロなしです。すいません。


鳴海家のキッチンにリズミカルな包丁の音が響く。
キッチンにジャージ姿の洸至が立ち、玉ねぎを薄切りにしていた。
まな板の傍に置かれているボウルには見事にスライスされた玉ねぎが山盛りになり、ボウルの隣に置かれた
バッドには下ごしらえされた肉と野菜が入れられている。

警視庁の独身寮を出て一人暮らしを始めてから洸至は時折料理をするようになっていた。
最初は暇つぶしの為だった。料理本を一冊買ってきて、非番の日に自分好みの料理を作り始めた。
カレー、ハンバーグ、パスタ、魚の煮込み、肉じゃが…。
考え事をする時―――特に、もうひとつの仕事の計画を練る時に、料理はちょうど良かった。
机上で考えるよりも、何かをしながらの方がいいアイデアが浮かぶ。
それもただ炒める料理ではなく、じっくりと煮込む料理がそれに向いていた。
材料の計量、下ごしらえ、そして加工。
料理は爆弾作りの工程と似ているせいか上達も早かった。
いまは何の苦もなく包丁を振るえるようになっている。

妹と同居してからは忙しさを口実に料理を作らなくなっていた。
もちろん、表と裏の仕事に忙殺されていたせいもあるが、何よりも妹の手料理を洸至は楽しみにしていた。

フライパンに入れた油とバターから湯気が立つと、洸至は薄切りにした玉ねぎを入れた。
玉ねぎから甘く食欲をそそる香りが立ち始める。
じっくりと玉ねぎを炒めながら、洸至は最近の遼子の変化のことを思った。

あの夜、遼子からメールが来た。
今日は仕事で泊りになるから気にしないで先に寝てて、いつも通りの文章だった。
雑誌記者の遼子が、徹夜で仕事するのは珍しいことではない。
だが、「泊り」という言葉に妙なひっかかりを覚えたのは確かだ。
そして翌日。
寝ぐせ頭で洸至が歯を磨いている時、妹が帰ってきた。
「朝まで大変だったな、りょ…」
洸至は絶句した。
玄関を開け、朝日を背に帰ってきた遼子の表情にはいままでにない輝きがあった。
「仕事で遅くなっちゃった」
部屋に入ってきた妹の横顔からは、洸至が見たこともないしっとりとした色気が漂う。
洸至は動けなかった。

前日の妹とは明らかに何かが違う。

何かを知ったのだ。

「本当に、仕事だったのか?」
「し、仕事だから、へ、変に思わないでね」
そんなわけがないのは、うろたえる妹の様子から見て取れた。
遼子が洸至に教えられない何かを知った。
290ディナーはカレー 2:2011/05/10(火) 10:25:54.34 ID:La81qor1

「お兄ちゃん、どうしたの?寝ぼけてる?」
妹が笑顔で洸至を見た。
その時の遼子は美しかった。
胸から溢れる歓びのせいで、内から光を放っているような笑顔。
妹がはにかみながら洸至に隠すのは後ろ暗い秘密ではなかった。
宝物のように時折取り出し、微笑むようなそんな記憶を遼子は俺に隠している。

女を最も輝かせるもの、遼子が知ったもの、それは―――。

タマネギがきつね色になってから、洸至はフライパンに角切りにした牛肉を入れた。
肉の色が変わり風味が付いたところで残りの野菜を入れ炒めた。
それから、冷蔵庫に残っていた野菜の切れ端と鶏ガラからとったダシが入った鍋に、炒め上がったものを入れ、
ローリエを加えて煮込み始める。
鍋から、食欲をそそる匂いがしてきた。


遼子が朝帰りしたその日は仕事にならなかった。
福梅書房傍の路地裏に停めた車の中で、不機嫌に助手席に座る洸至に片山は怯え続けた。
洸至の耳にはイヤホン。アンタッチャブル編集部を盗聴していた。
そして知った。
『グラン・バスト』という怪しげな薬と、その効果を確かめるために昨日遼子が鷹藤とホテルの部屋に缶詰に
なったことを。
イヤホンを耳から引きちぎるようにして取ると、洸至は懐から携帯を出し二カ所に電話をかけた。
ひとつは生活安全にいる同期。
もうひとつは裏で商売する薬屋へだった。

その日の夕食は遼子が作ってくれた。
「結局、実験の記事が没になっちゃったのよ。その雑貨屋さんに警視庁の捜査が入って、わたしの実体験よりも
捜査状況と被害についての記事に変わっちゃったから」
キッチンに立ち、チキンラーメンに湯を注ぎながら遼子が少し残念そうに言った。
「お前、苦労したのに残念だったな」
洸至は気のないふりを装いながら、遼子の様子を窺っていた。
遼子からは、キッチンに立つ後ろ姿からもほのかに色気が漂うような気がしていた。
「く、苦労っていうか…。うまく記事が書けるか自信がないからそれで良かったのかもしれないけど」
声に潜む微かな狼狽。
記事がうまく書けなさそうでも、それでも喰らいついてしつこく粘るのが遼子だ。
遼子らしくなかった。
そこから、昨夜何があったか考えると、洸至はひとつの可能性しか思いつかない。
でも、そうであって欲しくなかった。自分が遼子に教えられないものを、他人には教えてもらいたくなかった。
しかも鷹藤のような奴になど、もってのほかだ。
「お兄ちゃん、できたよ〜」
エプロン姿の遼子が、チキンラーメンを運んできた。
その声に洸至はほっとした。

―――遼子はいつもと変わらない…考え過ぎだな、俺も。
洸至が苦笑いしながら箸を取った。
291ディナーはカレー 3:2011/05/10(火) 10:46:37.60 ID:La81qor1
遼子が洸至の前にラーメンを置こうとかがんだ。
その時、カットソーから胸元がのぞいた。
鎖骨の少し下に赤い花が咲いていた。誰かの唇が遼子の肌に咲かせた花。

洸至の眼の前が暗くなった。


野菜に火が通ったようだ。
肉と野菜の甘い匂いがキッチンに漂い始めた。
洸至は市販のカレールーを折りながら鍋に入れた。
その後にケチャップとソース、冷蔵庫にあったヨーグルトを少し入れかき混ぜながら煮込む。


遼子にそれを教えた男が、まさか梨野の弟だとは。
「あの事件、君がやったんだろ?」
奨学会の階段で、俺にそう声をかけたあいつは反応を見て愉しんでいた。
檻に入れた蟷螂をいじめて愉しむ子供のような無邪気な残酷さがその表情にはあった。

あの瞬間思った。
こいつは一生俺につきまとい、俺を苦しめて愉しむ気だと。
だから排除したまでだ。
それが今になって、またも俺の望みを砕こうというのか。

―――どこまで俺の邪魔をする気だ、梨野。
だが、お前の思い通りにはさせない。
お前は弟を使って俺から遼子を奪った気でいるのかもしれないが、奪われたのなら、奪い返せばいい。
それだけのことだ。
遼子はお前の弟には渡さない。

玄関のドアが開いた。
「ただいま〜。外まですごくいい匂いしてるよ〜」
帰宅した遼子がキッチンに立つ洸至の傍へ来た。
長い睫毛に縁取られた、大きな瞳が洸至を見る。
遼子の瞳はいつも以上に濡れた輝きを湛えていた。
その輝きをもたらしたのが、自分以外の男だと思うと洸至の躰が嫉妬で灼きつくされそうだ。
「お兄ちゃんの方が料理上手なんだから、いつも料理してくれればいいのに」
遼子が肘で洸至をつついた。
昏い感情に引き摺られそうになったが、その感触で洸至は我に帰った。
「お前なあ、俺だって暇じゃないんだぞ。今日は非番だからゆっくり料理できたけどな、いつもって訳には
 いかないよ」
「そうか、でもちょっと残念」
「俺はお前の手料理が食べたいんだよ」
洸至のその言葉に遼子が微笑んだ。
「お兄ちゃん、そういえば今日はゆっくりできたの」
「ああ、そうだな。料理しながら色々と考えることができたよ」

「そう、良かった。じゃ、早く着替えてカレー食べようっと」
遼子が鞄を手に自分の部屋へ向い、着替えの為に部屋の戸を閉めた。

洸至は、白いプラスチックボトルのサプリメントをジャージのポケットから取り出した。
「本当に効くといいんだが」
そう言ってカレーの仕上げに瓶の中身を鍋の中に入れかき混ぜると、洸至は笑みを浮かべた。


お目汚し失礼しました。
お兄ちゃんがお鍋にいれたカレールーはもちろんCMのアレです。
292名無しさん@ピンキー:2011/05/10(火) 13:49:31.53 ID:wEGReibm
>>289-291
GJです!!!
兄のカレーはブイヨンペーストが決め手なんですねw
是非ともご相伴に預かりたいです。

そして、仕上げにアレを入れたカレーを食べた2人の
「兄妹エロはディナーの後で」wを期待して待っていても
良いのでしょうか?!
293名無しさん@ピンキー:2011/05/11(水) 22:27:33.94 ID:99QXrbMJ
お兄ちゃんの料理姿を妄想して、一人ニヤニヤ
しながら読みました!

しかもちょっといけない事考えながらなんて、
さすがお兄ちゃん!

294お兄ちゃんは心配性1:2011/05/12(木) 22:55:06.59 ID:FccNTNNP
短めのお話を。



「ただい・・・」
洸至がアパートのドアを開け、いつも通り先に帰ってきているであろう妹に声をかける。

すると。

「いやぁ!!片山さん、だめぇ!」
開いたリビングに通じるドアの向こうから、妹の切羽詰った声が聞こえてきた。

「遼子?!」
その声に洸至が驚いていると、続いて男の声が聞こえてきた。

「遼子ちゃん!」
その声は、片山の声だった。

「片山さん!中はやめて、お願い!外に、外に出して!」
「外に?わかりました。…じゃあ、いきますよ。」
「早く…私…もう…」

2人の会話を聞いた洸至は耳を疑った。

まさか、片山が遼子を?

そんなはずはないと思いながらも、洸至は勢いよくリビングのドアを開けた。

「遼子!大丈夫か!」
自分が思っていたよりも大きな声だったらしい。

「お兄ちゃん!」「鳴海さん!」
その声に驚いた様子の遼子と片山が同時に振り返る。

「おい、どうしたん・・・」
「お兄ちゃん、動かないで!」
「あ、じゃあ、いきますよ、遼子さん」
状況がまったく飲み込めていない洸至をさておき、2人がまた何やらリビング内を動き出す。

「やったー!」
しばらくして、今度は遼子の嬉しそうな声がリビングに響いた。
「一体、何が…」
まだ状況が理解できないまま、リビングの入り口で立っている洸至に、遼子が近づく。
「お兄ちゃん、おかえり。もう大丈夫だから、入っていいよ。」
「すみません、鳴海さん。お騒がせしました。」
「大丈夫って…どういうことだ?何があった!」
玄関で2人の会話を聞いた時にカッと沸騰した頭は今はだいぶ落ち着いていたが、
さりげなく片山を睨みつけながら洸至が遼子に問いかける。
295お兄ちゃんは心配性2:2011/05/12(木) 22:59:11.23 ID:FccNTNNP

「ゴキブリが出たの!ほら、ここ数日ちょっと暑くなってきてたじゃない?で、片山さんに
追い出すのを手伝ってもらったの。」
「いや〜、遼子さんが急に悲鳴をあげたんでビックリしましたよ。」
顔を見合わせる2人の手には、確かに対ゴキブリ対策と思われるスリッパと新聞紙が握られていた。

しかし、根本的な疑問は解決されていない。
洸至の声が、一段と低くなる。
「ゴキブリはわかった。…それで?そもそも片山が何でここにいるんだ?」
「お兄ちゃんが忘れた書類をわざわざ届けてくれたのよ?車で近くまで来たからって。」
「ほう…書類を…」
そう言って洸至が片山を見やると、片山はすっかりその視線に射竦められていた。

「あの、じゃあ俺はこれで。お邪魔しました。」
空気を読んだ片山が、そそくさとその場を立ち去ろうとする。
「え?今からコーヒー入れますから、飲んでいって下さいよ。」
空気が読めていない遼子が、それを引きとめようとする。

しかし、洸至の無言の圧力によって、片山はアパートをあとにした。

リビングにはいつもの通り、兄妹2人しかいなくなった。

「もー、お兄ちゃん、何で機嫌悪いの?何か仕事であったの?」
コーヒーを飲みながら、まだ空気が読めていない様子で遼子が問う。
「…」
黙って洸至はコーヒーを啜る。

「あ、そうだ、お兄ちゃん!明日片山さんに、車に乗せてもらったお礼もしておいてね。」
「車?」
「帰るとき、ちょうどウチに向かっている片山さんに会ってね。乗せてもらったの。」
「そうか、わかった。」

そうだな、片山には、ちゃんとお礼をしないとな。

歪められていた洸至の唇の端が、ニヤッと上がったのを遼子は気付かなかった。


エロくない上に、ありがちなオチですみません。
駄文、失礼しました。

お兄ちゃんと遼子も書きたいんですが、いつも遼子陵辱verになってしまう
貧困な妄想力が悲しい。
甘いエロエロ設定がおりてきますように。
296名無しさん@ピンキー:2011/05/14(土) 17:45:05.45 ID:9uzcYAyc
ぐっじょぶ!

そして、陵辱でもいいじゃないか…
お待ちしてます。
(もちろん、甘々も大歓迎ですw)
297名無しさん@ピンキー:2011/05/15(日) 23:26:07.00 ID:1wM0FaUA
スレチだけど、JINの原作の絵からいくと仁先生はお兄ちゃん(小澤さん)が向いてる
と、どっかのブログで見かけて。
なら咲さんは遼子(仲間さん)だなーと。
でも竜馬の役は誰がいいのか思い浮かばない…。
298名無しさん@ピンキー:2011/05/20(金) 17:49:50.06 ID:DA4vkrOW
解除されたこの隙に…!

「ディナーはカレー」の続きです。兄妹エロ突入編です。
妹が自分を慰めているのを兄が目撃したら…のシチュエーションものです。
エロいというより、ちょっとダークな兄になっちゃいました。すいません。
そしてとんでもなく長くなったので、遼子編と洸至編に分かれます。
299ディナーの後には 遼子編 1:2011/05/20(金) 19:15:33.77 ID:DA4vkrOW
遼子の枕元に置いていた携帯電話が震え、メールの着信を知らせるライトが光った。
布団に入っていた遼子がすぐに手を伸ばし、その内容を確認する。
『寝てた?』
鷹藤からだった。
『布団に入ってるけどまだ寝てなかったよ。鷹藤君は何してるの?』
遼子が返信すると、すぐに返信が来た。
『俺もベッドに入ってるけど眠れなくてさ。晩飯何食べた?』
『お兄ちゃんがカレー作ってくれたの。すごくおいしかった』
『あんたの兄さんって料理するんだ。器用なんだな。俺は牛鍋丼。本当はあんたの声が聞きたい。電話できないか?』
『お兄ちゃんが起きちゃうからだめ。また明日会えるから。おやすみ』

―――そっけなかったかな。
だが、こうして終わらせないと夜通しメールをすることになってしまう。
遼子も鷹藤の声が聞きたかった。
いま遼子は兄の部屋に居候している身だ。だから深夜に電話をすることははばかられた。

遼子は手の中の携帯電話を見つめた。

こんな風にメールするなんて、まるで中高生の恋愛だ。そう思うと少しおかしかった。
青臭くて、まるで明日がないかのようにお互いの声を聞きたがって。
日中だってずっと一緒なのに、こうして夜離れるだけでもたまらなく寂しく感じている。
鷹藤の温もりを知ったあの夜から、遼子が彼のことを考えない夜は無い。
眼を閉じれば鷹藤のことばかりだ。
黒く長い睫毛に縁取られた深みのある瞳が自分を見つめていた時のこと、車の助手席に座った時にふっと香った
鷹藤の匂い。
遼子を求めた唇、キスをした時の髭の感触、遼子を乱した指とそして鷹藤の-―――。

気付くと遼子はパジャマの胸元に手を入れていた。
鷹藤のことを思い出すといつもそうだ。
あの時火をつけられた躰が、また快楽を催促する。
遼子が耳を澄ました。
先ほどまで兄の部屋から聞こえていた物音がしなくなったところを見ると、今日珍しく非番だった兄も寝たの
だろう。

さっきまでメールを送りあった携帯電話の中に、鷹藤の名残りがあるような気がして遼子はそっとそれを頬に寄せる。
そしてもう片方の手でパジャマの胸元のボタンを外し、自分の乳房に手を這わせた。
あの時に鷹藤が触れたように下から上へ、揉みあげる。人差し指でまだ柔らかい乳房の蕾に触れた。
指先で少し撫でまわすだけで、すぐにそこが硬さを増した。
自分で触れているのに、思わず吐息が漏れ出る。
鷹藤と一夜を過ごすまでは自分に触れたことなど無かった。
なのにいまは、夜毎鷹藤のことを思い出し、鷹藤のぬくもりが無い夜に自分を慰めていた。

あの夜、鷹藤が教えてくれたのだ。
遼子の躰のどこをどう触れば快楽を引き出せるかを。
あれ以来鷹藤の優秀な生徒となった遼子は鷹藤の指や舌が教えたその場所を自分の指で触り、あの夜の快楽
を反芻している。
300ディナーの後には 遼子編 2:2011/05/20(金) 19:31:00.63 ID:DA4vkrOW
胸をもみしだきながら、太股の合わせ目に指を這わせる。下着の中に手を入れた。
既に下着に貼りつくほど蜜が溢れていた。
くちゅ…。
布団越しで聞えないはずなのに、ぬかるむ自分の秘所の音が聞こえるような気がした。
中指で少し充血し始めた花芯を撫でる。
「ふ…」
そっと触れただけで全身が粟立つような快楽が走る。
堪え切れなくなった遼子は秘裂の中に指を潜り込ませた。熱く潤むそこは遼子の細い指でいっぱいになる。
こんな狭い所に鷹藤のものが入ったなんていまだに信じられない。
遼子は眼を閉じた。瞼の向こうにあの夜の鷹藤の姿が浮かんだ。
汗を光らせ、切実な欲望に満ちた視線で遼子を射ぬきながら責め立てた鷹藤の姿が。
鷹藤の幻影と同調するように遼子は指の付け根で秘裂の上の粒を押しつぶすようにしながら抜き差ししはじめた。
「んっ…」
声を立てないように唇を噛んだ。
閉じられていた太ももは大きく開かれ、自然と鷹藤を受け入れる時のような姿勢になっていた。
「はぁ…、ふ…」
鷹藤の唇が恋しかった。責め立てられながら、激しく口づけを交わしたかった。
その想いが募れば募る程遼子の指は激しく動き、掛け布団が乱れ遼子の上からずり落ちようとしていた。
遼子が立てる水音で部屋が満たされる。
秘所からせり上がってくる快楽に、瞼を震わせながら遼子が愛しい男の名を呼んだ。

「鷹藤君…」

部屋にふっとあの時の鷹藤から感じた匂いがした。
「遼子、変な声聞えたぞ」

その声に驚き、遼子は動きを止めた。
目を見開くと部屋の入り口に兄の姿があった。足音も襖を開ける音もしなかった。
遼子は驚いて跳ね起き、掛け布団で身を隠した。
暗がりなので、兄の表情はうかがえない。
ただ長身の兄のシルエットが遼子の部屋の入り口に浮かんでいた。

遼子の全身から汗が噴き出す。
「具合でも悪いのか?」
心配げに言う口調からすると、兄はさっきまでの自分の姿を見ていないようだ。
遼子の枕元に兄がやってきた。
「だ、大丈夫。ちょっと疲れて、マ、マッサージ…そうよマッサージしてただけなの」
「どこのマッサージしてたんだ、遼子?」
そう言った兄の口元が緩んだ。
「えっ?」
布団の下に隠されていた遼子の右手の手首を抑え二人の間に掲げさせた。
人差し指と中指が暗闇の中、わずかな光を受け艶めかしく光っている。
「これは…?」
兄が首を傾げて遼子に聞いた。
「いやっ、ね、えっと、あの」
うろたえる遼子を尻目に、洸至がその指を口に含む。
兄が音を立てて遼子の指に残された蜜を啜る。
「やっ駄目!」
遼子が手を引こうとするが、兄のたくましい手が締めつけて離さない。
指を根元まで舐めまわし、それだけでは飽き足らずに指の股にまでじっくりと舌を這わせはじめた。
その光景に遼子が思わず息を飲んだ。
自分の恥ずべき秘密を知られてすっかりすくんでいたはずなのに、兄の舌先の感触が遼子の欲望をまたかき立てる。
301ディナーの後には 遼子編 3:2011/05/20(金) 19:43:17.78 ID:DA4vkrOW
遼子の吐息が上がる。兄の舌が遼子を乱す。
服の下で遼子の乳房の頂きが硬さを増してきたせいか、乳房の先端とパジャマの生地がこすれあっていた。

「ここまで濡れてたよ」
兄が蟲惑的に微笑む。今までの洸至から感じたことのなかった雄の匂いが微かにした。
その香りに遼子は囚われ、嫌悪すべき状況なのに何故か遼子の心は洸至に惹きつけられていく。
遼子が肉欲の味を知ったせいなのだろうか。
今は眼の前の兄が欲しくてたまらなくなっていた。

――――どうしよう。わたし、これじゃ誰でもいいことになっちゃう…。だけど。

「お前さえ良ければ…、俺がもっと教えてやろうか。マッサージをさ」
兄が言ったのは、あまりに異様な申し出だった。
すぐにでも否定し、拒絶しなければ。遼子の脳髄のどこかで理性がそう叫んでいる。
しかし遼子は渇望から唇を嘗め、兄にじっと熱い視線を注いでいた。
「返事がないな…でもその様子は…」
洸至が抗う力を失った妹の右手を引いて抱き寄せた。
「だめ…」
口先だけの抵抗であるのは遼子にもわかっていた。
遼子の意識は、ジャージの下にある、兄の引き締まった躰に吸い寄せられている。
この躰が欲しくてたまらない。
「何が知りたい?なんでも教えてやるよ」
洸至が妹の耳元で楽しげに囁いた。



302ディナーの後には 洸至編 1:2011/05/21(土) 06:53:30.94 ID:YWSCYxDd
遼子のベッドの上には、さっきまで遼子が鷹藤そのもののように大事に持っていた携帯電話が放り投げてあった。
「鷹藤君とメールしなくていいのか」
脚を開いた遼子の後ろに洸至が座っていた。
下着を脱いだ妹の脚を大きく開かせその内腿を指先でゆっくりとさする。

「ぁ…」
返事代わりに遼子は快楽からの吐息を漏らした。
遼子のベッドに上がった洸至は遼子に強く触れることも無く、ずっと指の先で微かに躰じゅうを撫でまわすだけだ。
それがもう10分以上続いている。
たったそれだけの行為で遼子の秘所からは蜜が溢れ続け、シーツの上に大きな染みをつけていた。
遼子を焦らしに焦らし、理性が弾けるのを待つ洸至も部屋に充ちる遼子の匂いに眩暈がしそうなほど興奮
している。

「いい匂いだよ。部屋中お前の匂いだけだ」
「お願い…お兄ちゃん、もう、ちょうだい…」
「何を」
遼子の首を兄が舌で舐めながら聞いた。
「もっと気持ち良くなりたいの…」
「本当に遼子は素直でかわいいよ」
洸至が遼子の顎を掴むと、そっと唇を重ねた。
遼子が重ねた唇から兄の中へ舌を入れようとした時、あえて洸至が身を引く。
洸至の鼻先で妹の瞼が切なげに瞬いた。
「いかないで…」
兄の温もりを求めて遼子が手を伸ばす。
その言葉を背に洸至はほくそ笑む。
部屋のテーブルに置いてあった化粧用の二つ折りの大きな鏡を手に取ると洸至が戻ってきた。

「俺がお前をそのままにする訳ないだろ」
また遼子の後ろに座ると、洸至は遼子の開いた太ももの間にその鏡を置いた。
「いや!」
遼子が太ももを閉じようとするが、兄が足を後ろから絡め膝を押さえつける。
大きく開かれた遼子の秘所が、薄暗がりの鏡の中に映っていた。
「すごいよ…見えるか?シーツまで濡れて…」
洸至の言葉と息に、遼子の耳朶が熱を持ち赤くなった。
「やめて…言わないで…」
遼子が鏡に映った自分のグロテスクな秘所から眼を逸らそうにも逸らせないでいた。
あまりの淫らな眺めに視線が吸い寄せられている。
そこは蠢き蜜を吐き出し快楽だけを貪欲に求める生き物のように見えていた。

「ここを初めて見るのか?じゃ、奥まで見せてやるよ」
洸至が遼子の秘所に人差し指と中指をあてがうと襞を大きく開いた。
微かな光を受けて、襞の一枚一枚が淫靡に輝く。
襞に包まれた中央には薔薇のつぼみのように可愛らしいとば口と、その上に薄く色づく花芯がある。
洸至の指がとば口をそそのかす。
「きれいな色だよ。遼子のここは。ほらここが…男を迎えるところだ。この間もしたんだろ?」
溢れる蜜が跳ね、ぴちゃりと音を立てた。
「違っ…」
「違うんだったら、どうしてこんなに濡れるんだよ。クリトリスも充血してるじゃないか。見てみろよ。
赤く膨らんで、触ってくれって誘ってるみたいだ。男を知らない躰がこんな風になるのか」
303ディナーの後には 洸至編 2:2011/05/21(土) 08:02:58.88 ID:YWSCYxDd
「や…」
「ほら、お前のここが欲しがってるんだよ。欲しいんだろ?」
中指がとば口をゆっくりと辿る。それだけで洸至の指先はふやけそうなほど濡れた。
遼子が振り返り、あまりの興奮から兄に縋りつくような視線を送った。

「いじわる言わないで…ちょうだい…欲しいの…欲しくておかしくなっちゃいそう」
「いいぞ。だけど、俺にお前のマッサージを見せてくれたらな」
洸至が舌で遼子の耳たぶを嬲った。
「やだ…そんなの…」
「欲しくないのか」
洸至が遼子の尻に洸至自身を押し当て、鷹藤のものとは違う感触をジャージ越しに遼子に伝えた。
興奮からだろか、遼子の肩が震えた。
「…欲しい…」
遼子は舌舐めずりし、兄に流し眼を送った。それを見た洸至が眼を細める。


遼子の白い指が、赤く色づき蜜を吐き出す秘裂にあてがわれゆっくりと沈んでいく様子が鏡に映っていた。
「はぁ…ん」
鼻から甘い息を吐きながら、遼子が肩を震わせた。
中指を付け根まで呑みこませると、遼子はゆっくりと抜き差しし始めた。
「ぁ…ん…」
「お前は本当にいやらしい妹だよ…聞えていないと思ってたのか…『マッサージ』の時の声がさ」
洸至が楽しげに囁く。
「やっ…違う…」
「毎晩毎晩あえいでただろ。それに今、俺にこうして見られてるのに、お前の指は止まらないで
どんどん激しく動いてるじゃないか。俺に見られて感じてるんだろ」
「ふ…ぁぁ…んんっ」
洸至の言葉でいたぶられ、自分の中指で秘裂を嬲り、そしてその様子を鏡で見つめながら遼子は快楽に溺れていく。
「や…ぁああああ」
洸至の胸に寄りかかりながら、喉を晒していても遼子の視線は鏡に据えられたままだ。

「自分で自分を犯す様子を見てまた感じてるのか。お前は本当に…淫乱だよ」
「いんらん…じゃ…ない…」
「認めろよ、遼子。『私は淫乱な妹です』って言えたら、ご褒美をやるぞ」
腰を振りながら、指で自分を貪る遼子が切なげに洸至を見上げた。
洸至が後ろから遼子のパジャマのボタンを外し、硬くしこった乳房の先の蕾を意地悪くつまむ。
「きゃぁん!」
「もっといいご褒美、欲しくないのか」
「…ほしい…の…」
狂気に近い程の渇望に支配されているのだろう、遼子は喘ぎながら言った。
「いうんだ、遼子」
洸至が冷然とした声で囁いた。

「私…は……いん…らんな…い…もうと…です…」

あまり恥ずかしさとの男の躰への欲求からか、遼子は眼の端に涙を浮かべていた。
「いい子だ」
己をまさぐる妹の右手に洸至が右手を重ねた。
遼子の中指の上のから、洸至も中指を埋め込んでいく。
まだ狭い肉の道に指が二本。熱く潤む遼子の内奥の感触に洸至も思わず唾を飲み込んだ。
「…っ!!!!」
あまりの快楽にのけぞった遼子の息が止まる。

洸至が遼子の顎を掴むと、鏡が見えるように下を向かせた。
「見ろよ、遼子。俺の指とお前の指が入ってる。男の指が入って喜んでるぞ、お前のここ。指に絡みついてくる…」
重ね合わせた兄妹の指が、遼子の卑猥に赤みを増した秘裂に呑み込まれていた。
吐き出された蜜で濡れ、シーツには恥ずかしい位に大きな染みが広がっている。
304ディナーの後には 洸至編 3:2011/05/21(土) 08:15:30.06 ID:YWSCYxDd
「はぁっん…やん…」
洸至が中指を揺さぶり始めると、泡と激しい水音を立てて蜜が飛び散る。
「いや…あっ…あんあんあんあん!!」
洸至の手の下にある遼子の指が己の秘裂の中とクリトリスを容赦なく責め立てる。
「きゃ…やん…もう…だめ…おかしいの…こんなの初めて…!!!」
遼子がのけぞり兄の躰にもたれかかる。
妹に口づけし、舌を絡めながら洸至が激しく指を突き立てはじめた。
半裸の姿で、兄の膝の上で人形のように遼子が揺れる。
「やん…あん…いく…いいっ…いく、いっちゃうよ…!おにいちゃん、いっちゃう!」
ひと際高い声で遼子が細く啼いた。それから、遼子の躰から力が抜け落ちていく。


「ご褒美はまだあるんだぞ、遼子」
肩で息をする遼子をベッドに横たえると、洸至がジャージを脱ぎ始めた。
「欲しいものがあるんだろ。教えてくれよ」
洸至が全てを脱ぎ、立ち膝で遼子を見下ろす。
遼子が洸至の筋肉、そして股間にそそりたつものを見た時、眼が輝いた。
洸至の肌に遼子が指を這わせる。肌の感触を楽しんでいるかのようにゆっくりと。
そして兄の首に手を廻すと抱き寄せ、貪るように口づけた。
「お兄ちゃんが…欲しいの…ちょうだい」
遼子が唇を離し、猛禽のように眼を輝かせて洸至を見た。
理性も禁忌も恐れぬ遼子の表情はいままで洸至が見た中で一番美しかった。
自分が焦がれたものを手に入れた男は満足げに微笑むと、遼子の脚をゆっくりと押し開いた。

その時、遼子の携帯が震えた。
二人の動きが止まる。
携帯電話のウインドウに映された名前を見た遼子が思わず呟いた。

「鷹藤…くん?」

遼子の眼が大きく見開かれた。遼子の表情から淫らな美しさが消えていく。
「お兄ちゃん…だめよ…やっぱりだめ…兄妹でこんなことしちゃ…」
遼子の手が洸至の胸を押し、逃れようとした。
「いまさら…?」
洸至の声が冷気を帯びた。
これ以上は無い程に大きく妹の脚を開かせると、洸至は己のものを一気に突きいれた。
「だめ…駄目なの…ああああっ…」
理性を取り戻したとはいえ、遼子の躰はまだ悦楽にほだされたままだ。
まだ男の躰を憶えたばかりで、初めてに近い状態で固いながらも遼子の肉の道は洸至の大きなものを締めつけ
ながら迎え入れた。
「きついよ…遼子」
根元まで自身を埋め込むと洸至はゆっくりと息を吐いた。

繋がりあう兄妹の横で、遼子の携帯が寂しそうに震えている。
それに眼を遣った洸至が、悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「まさか…やめ…」
洸至はイルミネーションを光らせながら震える遼子の携帯を手に取ると、通話ボタンを押し遼子の耳に当てた。
『あんた、起きてた?』
遼子の半開きの唇は言葉を紡げないでいる。
恋人から電話を受けた時に、別の男と-―-しかも自分の兄と寝ているのだ。
何を言ったらいいのか、思い浮ぶはずもない。
その妹の様子を洸至が楽しげに見ていた。
「ねて…た…」
ようやく絞り出した声は、いつもより上ずっていた。
『そっか、ごめんな。少しでいいからあんたの声が聞きたくてさ』
洸至が遼子の太ももを抱えた。それだけで繋がった所では潰れるような水音とともに蜜が滴り落ちた。
305ディナーの後には 洸至編 4:2011/05/21(土) 09:06:35.36 ID:YWSCYxDd
「きゃっ…」
『どうかしたか。なんか声、変だけど』
「ううん…もう…寝ないと…やんっ」
洸至が遼子と鷹藤の会話を聞きながら、ゆっくりと腰を動かし始めたのだ。
遼子は胸の奥からせり上がる喘ぎ声を堪えようと、必死で歯を食いしばっていた。
しかし歯の間から漏れ出る短く高い声は、肉欲の存在を電話の向こうの相手に伝えていた。
『あんた…まさか…』
「ちが…ちがうの鷹藤君…あん…」
喘ぎながら、遼子の表情が硬くなっていく。

『ひとりで…してたのか…』

鷹藤は恋人の浮気を露とも疑っていないようだった。
遼子の昂ぶった声は己の情事を反芻してのものと誤解しているのだろう。

「えっ…違う…の…んっ」
『声でわかるよ。そういうことしてるって。あんたの声のせいで俺だっておかしくなりそうだよ』
「違う…違…あんっ」
洸至と遼子の繋ぎ目から、ぬちゃぬちゃと音が立つ。
鷹藤と遼子の会話を聞きながら、洸至が抽送のリズムをあげていく。
「やっ…あんっ…」

『すごいな…この間のあんた以上だよ』
電話越しの鷹藤の声も興奮で掠れ、呼吸が荒くなっていた。
「あんつ…違うの…違うの…」
『何想像してそんなになってるんだよ』 
「何…もっあああああっ」
今度は洸至が遼子の太ももを大きく拡げさせより深く繋がると、子宮口にあたるほどの勢いで突き始める。
『俺のアレ思い出してんの?それが入ってる時のこと想像してたんだろ。そういう声だよ…』
「入ってる…入ってるのぉ…あん…だめっ…」
「ほんっと、いやらしいなあんたって…。普段はあんななのに…その声…最高だよ…」
鷹藤が言葉で遼子を責めながら、己も昂ぶらせているらしい。
呼吸がどんどん忙しなくなっているのが、携帯から離れた洸至にも聞えるほどだ。

「やっ…あんっ…あ…」
洸至の刻むリズムに合わせて遼子の啼き声が高まっていく。
鷹藤の方からは何も聞えなくなっていた。聴覚に意識を集中させ、自分ものぼりつめようということなのだろう。
「あっ…だめ…おかしく…鷹藤君、聞かないでお願いっ」
『最後までキッチリ聞いてやるよ。いけって…あんたの声聞かせてくれよ』
「駄目…違うの…鷹藤君、だめ…もうだめ…あああっ…」
遼子がのけぞり胸を震わせながらのぼりつめていく。

『すげえ声…こっちもいきそうだよ…』
「いくいくいっちゃう…だめえええええっ」
洸至が激しく数度突くと弓なりになるほどのけぞった遼子の動きが止まり、それから崩れ落ちた。
気を遣ったらしい。
躰中にしっとりと汗が浮き、妹の白い裸体に淫らな艶を与えていた。
遼子の眼の焦点がゆっくりと結ばれはじめる。

「鷹藤君、おやすみ。わたし…すごく…疲れちゃった」
肩で荒い息をしながら、遼子が携帯電話へ哀しげに囁く。
そして遼子が咎めるように洸至を見てから携帯電話を奪い取ると、通話を切り電源を落とした。
306ディナーの後には 洸至編 5:2011/05/21(土) 09:37:15.60 ID:YWSCYxDd
「もう鷹藤君と話さなくていいのか」
洸至の下にいる遼子が顔を背けた。妹の顔は洸至の位置からは窺えない。
肩が震えているのは涙のせいだろうか。
「怒ったのか。でもなあ遼子」
洸至が遼子の耳元に口を寄せた。
「電話していた時、お前のここ凄くよく締まったぞ。恋人と電話しながら別の男のものを咥える
 状況が良かったんだろ。俺に絡みついて離そうとしなかったんだ。いまだって、俺の太ももまで濡れる
ぐらい溢れてる。聞えるか、この音」
洸至が軽く腰を動かしただけで、繋がった部分が水音を立てた。
「やんっ…違うもの…そんな女じゃない」
それに応えず、洸至は憐れむように妹を見つめていた。
薬が端緒だったとはいえ、遼子は異常な程に乱れていた。そしてその遼子を追いたてる自分も…。
兄妹でこんな風に狂えるのは、もしかしたら淫らな母親の血のせいか。
洸至はその言葉を飲み込むと遼子の脚を肩に載せ、激しく遼子を揺り動かし始めた。

「ん…ぁん…だめ…あん…」
「今度はこっちもいかせてくれよ。さっきの鷹藤君のように」
「ああっ!やんっ」
洸至は遼子のパジャマの前をはだけると程良い大きさの乳房に手を這わせ、その頂を指で弄ぶ。
「この声も聞かせてやりたかったな。鷹藤君に」
「いやっ…もうやめて…」
口先では拒否していても、遼子の膣内で肉が洸至にまとわりつき全てを吸いあげるがごとく蠢いていた。

濡れた破裂音を部屋中に響かせながら、洸至が腰を妹に打ち付ける。
遼子の躰に汗が浮かぶ。
汗、雌の匂い、遼子の匂い。
長い間苦しめられていた熱病に近い思いとともに、その全てが洸至を狂わせる。
妹を言葉でいたぶり、優位にいるように見せかけながら洸至こそが気が触れそうな程欲望に追い立てられていた。

「やん…あああっ…あんっ…」
「…お前だけなんだよ…ずっとずっと…」
洸至の腰の動きが更に激しさを増し、遼子を抉るような動きに変わっていく。

「…っいきそう…また…やんっ…や…」
遼子がまた喉を晒し、のけぞり始めた。
「そんなに締めるな・…!こっちもいきそうだ…」
洸至はまたも妹に深く口づけるとベッドが軋む程打ち付ける。
「あ…やんんんんっ…いく…いくっ、またいっちゃう!!」
「くっ…!」
洸至が微かに腰を震わせると、己のものを引き抜いて妹の腹の上に白濁したものを迸らせた。
307ディナーの後には 洸至編 6:2011/05/21(土) 10:02:56.63 ID:YWSCYxDd
息を整える洸至の下で遼子が哀しげに呟いた。
「誰にも許されない…私…どうして」
間近にある洸至の顔を、遼子が目尻に涙を浮かべながら見た。
「鷹藤君にも秘密にしておけばいい」
遼子が眼を見開いた。
「鷹藤君を裏切ったのよ…!私は失くしたの…全部…人として大事なもの全部…」
「わかるよ、罪悪感は苦しいよな…。でも味わった快楽はそれ以上じゃなかったか?今…見えるものが違うはずだ」
遼子が胸の痛みからか、顔を歪めた。

「お前は失くしていないさ。逆に手に入れたんだよ…恋人として過ごせる鷹藤と…淫らな本当のお前を見せられる俺と」
汗を浮かべた妹を洸至が愛しげに見つめる。
「大丈夫さ…俺とお前だけの秘密だ…」

新しい絆。
他人には決して明かせない秘密こそが俺達の新しい絆だ。
二人の躰に流れる同族の血以上に後ろめたい秘密こそが二人を強固に結びつける。

「俺がずっと…傍にいてやるから。秘密も、お前もずっと守るさ…」
洸至は身を起すと、投げ出された遼子の手に己の手を重ねると指を絡め合わせた。

「鷹藤君が好きなの…」
それを聞いた洸至の胸が痛む。これほどの汚濁に塗れてなお、遼子は汚れの無い愛を求めていた。

―――俺と一緒か。
闇の底で這いまわり光を求め続けた俺と、自分の中の光を失い贖うように鷹藤を求める遼子と…。

「好きなのに…」
妹の目尻から涙が一筋零れ落ちた。
洸至はそれ以上言葉を聞きたくなくて、妹の唇を奪った。
鷹藤を求める言葉を紡いだはずの妹の舌は、洸至の舌に激しく絡みついてくる。

たとえ遼子の心が純粋な愛を求めても―――。

遼子の躰は俺からきっと離れられない。
淫らで昏い牢獄に妹を繋ぎとめた男はなぜか哀しげな表情を浮かべていた。
そして遼子をきつく抱き寄せると更に深く口づけた。



長くてすいません。鏡を使った羞恥プレイ、電話実況生中継などの使いたかったネタも入れたので長くなっちゃいました。
兄妹エロ実況生中継聞いても、真相に気付いていないで自家発電した鷹藤。
一発抜いて、きっと良く眠れたはずですw鷹藤ファンのみなさま、すいません。
今回の兄、多少変態気味かもしれません。すいませんでした〜。
308名無しさん@ピンキー:2011/05/21(土) 19:12:57.73 ID:sabnnRjA
カレーディナーの後の兄妹エロ、ありがとうございます!
堪能させていただきました(*´∀`*)

ダークでエロエロなお兄ちゃん、大好きですw
きっと遼子の1人マッサージを聞きながら
一発目は自家発電してから遼子の部屋に入ったに違いないw

鷹藤くんも、テレホンセ○クスできたから良いぢゃないか!
309名無しさん@ピンキー:2011/05/27(金) 21:01:06.94 ID:zCB7eSn2
美鈴さんと遠山で考えてたら、いつの間にか美鈴さんとお兄ちゃんが
またもエロいことしてる話になった。
310名無しさん@ピンキー:2011/05/29(日) 22:51:49.91 ID:/Tl1EvcF
電話中継ネタを読んで、今度は兄が思いっきりわざと音を聞かせて
鷹藤を不幸のどん底に落とすverが浮かんだw
311名無しさん@ピンキー:2011/05/30(月) 00:35:04.64 ID:0GRNL/RZ
>>310
どん底ver楽しみ過ぎるwww
それを聞かされた時の鷹藤の顔を想像するだけで、ご飯何倍でもいけるwww
312名無しさん@ピンキー:2011/06/02(木) 11:00:00.70 ID:aVG8B8he
遅くなりましたが、ぐっじょぶ!!!です。

遼子の「こんなの初めて」が、以前の仲間さんのドラマでの
口調で脳内再生されて、さらに萌えました。
ありがとうございます。

美鈴さんとお兄ちゃんの組み合わせは、上級な香りがするw

どん底もいいなぁww
313ハイヒール 1:2011/06/10(金) 09:28:40.26 ID:RSN12lsI
兄×美鈴、という至極どうでもいい組み合わせなんですが、エロくなる組み合わせでもあります。
二人は美鈴さんが鳴海家居候時に一発やってた設定になってます。長すぎごめんなさい。


ハイヒールを履いた足が痛い。
普段は痛みを感じることはあまりないが、退屈になると無理をさせている足が悲鳴を上げる。
それとも女であることを装うことに飽きると、この痛みを感じるのだろうか。

ホテルのバーカウンターに座りながら、美鈴はぼんやりとそんなことを考えていた。

自分の肉体を美しくみせるための苦痛すら自分を飾る道具になる時もあれば、それがただひたすら厭わしく
感じる時もある。
今日はそんな夜だった。

「巻瀬さん、あなた、今日もこのまま帰るんですか」
美鈴の隣にいた男が声を潜めて言った。
「ええ。これからまた仕事なの」
足の痛みも物憂げな気分も、眼の前のこの退屈な男のせいだ。腹の中ではそう思っているが、美鈴は華やかな
微笑みを浮かべた。
「欲しいものを取るだけとったら用済みってことですか」
メガネの下にある男の眼に、剣呑な光が宿る。
思いつめて風呂に入るのを忘れているのだろうか、髪が少し脂ぎり、汗の臭いがした。
国会議員の私設秘書―――それがこの男の職業だった。
美鈴は、今をときめく若手議員の私生活を知ろうと近づいた。初めは口も堅かった男も、美鈴と幾度か会い、
美鈴が二人きりでの逢瀬をちらつかせる度に少しずつ議員の秘密を明かすようなり、褒美のような形で美鈴も
男の望むものを与え続けた。

しかし、得るものは得た。この男と親密な関係を保つ理由ももうそろそろなくなりつつある。
「わたし、川俣さんと楽しい時間を過ごせて良かったと思っているのに。そんな風に仰るなんて」
美鈴は傷ついたような顔をして、少し拗ねてみせる。
「それもまた演技なんだ」
川俣は表情を崩すことなく、ねめつけるような眼で美鈴を見た。

―――深入りさせすぎたかしら…。
笑顔で川俣の顔を見返しながら美鈴は思った。

ハニートラップならお手の物のはずだった。
事実、今までは男をある程度悦ばせ手なずけ、相手を深入りさせないうちに情報を手に入れ、幾度もスクープを
ものにしてきた。
今回もいつも通りに仕事をしてきたつもりだ。
思わせぶりな言葉、仕草―――視線。それで籠絡し、欲しいものを手に入れる。
美鈴は情報を得、男は美鈴の躰をほんのわずかな間得る。
男どもを満足させても美鈴にとってはエクスタシーも何もない退屈な抱擁でしかなかったが。

そして得るものを得た後には引くのみ。しかし今回は引き際を間違ったのだろうか。
川俣がグラスの横にあった美鈴の手首をとった。
「あなたに情報を流しているのが先生にばれましてね。いつもならそういったことは気になさらない先生が、
今回僕が情報を流したことが気に入らないらしく、当たりがきつくてね。最近は事務所に居づらいんですよ。」
他人が見ても判るほどのぼせあがった自分を責めるべきだろうが、川俣にそんな考えは毛頭ないようだった。
314ハイヒール 2:2011/06/10(金) 13:40:14.21 ID:RSN12lsI
「僕に抱かれている時、悦んでいるようなふりをしてあなたは退屈そうな顔をしていたんですよ。
気付いてなかったんでしょうね。だからそんな顔をさせたくなくて、僕は必死になった。それなのに、尽くし
た僕をあっさり捨てる気ですか」
川俣の目つきがおかしい。
美鈴の手首に痛みが走った。川俣が手首を握る手に強い力を籠めたようだ。
「痛い…川俣さん、離して。川俣さん、そんなことする人じゃないのに」
「あんたのせいだろ」
川俣の眼が血走っていた。
そこに恐怖を感じ、美鈴は手をひねり手首を自由にすると立ち上がった。
「ごめんなさいね…川俣さん。わたし、もういかないと」
「俺を置いてか」
川俣が美鈴の肩に手を置いて、行かせまいとする。肩に置かれた指が、美鈴の服に食い込んだ。
カウンターの向こうのバーテンダーが心配そうな顔をしてこちらを見ていた。
川俣は完全に頭に血が上っている。誰かに助けを求めて切り抜けるべきか…。
そうしてもこの男は今後もきっとつきまとうだろう。
この男に抱かれていた時に、他の誰かを思い浮かべていた自分のミスだった。
自分らしくもない。そしてそれを、この男に気付かれていた自分の甘さに美鈴は唇を噛んだ。

「巻瀬さんじゃないですか」
聞き覚えのある声だった。
背後から声をかけられた美鈴が振り返ると、大柄の男が立っていた。
黒ぶちの眼鏡をかけているが、いかつい顎のラインは忘れもしない―――。

川俣が驚いた顔をして男を見上げていた。
「あんたは…」
「楠田といいます。あなたは…彼女のお知り合いですか?」
男の視線を感じ、川俣が肩に置いていた手を引いた。

「知り合いというか…。なあ、美鈴」
その手を今度は美鈴の腰に廻す。美鈴を独占しているのを誇示するように腰に廻した手に力を籠め抱き寄せた。美鈴が驚いて川俣を見た。川俣が卑屈な笑みを浮かべて見返した。
「そうですか…。他人の女に手を出すとはいい度胸ですね」

男は丁寧な口調で言ったが、低い声音が恫喝しているかのように響いた。
川俣の表情が強張る。
そして川俣の言葉など意に介さぬように、今度は男が美鈴を抱き寄せ、自分の傍らに置いた。
「彼女が迷惑していると言っていたのはあんたのことか」
川俣が助けを求めるように美鈴を見た。
美鈴は眼を逸らした。

「あまり出過ぎた真似をすると仕事も信用も失うことになりますよ。本来なら議員が世話になっている相手に
 ばらまく為の金券を自分の小遣いにしていると知られたら、あなただって、いよいよ事務所にいられなくなるでしょう?」
「何でそれを知ってるんだよ…」
川俣が蒼ざめる。
「わたしもこう見えてジャーナリストのはしくれでしてね。見たところ飲み過ぎのようだ…お帰りになれらた
方がいいんじゃないですか」
男は余裕たっぷりに言った。
川俣が男を見て、それから美鈴に視線を移した。
その時の川俣の瞳の奥には怯えが滲んでいた。
315ハイヒール 3:2011/06/10(金) 13:58:13.15 ID:RSN12lsI
そうだろう、いまの川俣は蛇に睨まれた蛙と一緒だ。
誰かの威光を笠に着て威張るのではない、純粋に暴力と恐怖で他人を支配する男―――それがいま美鈴の隣に
立っている男なのだから。

「みす…巻瀬さん、じゃ、僕はこれで」
川俣は紙幣を数枚カウンターに置くと、そそくさと立ち去った。

「余計なことをしたかな」
隣に居る男が美鈴を見た。
「いいえ、助かったわ。たまに誰かに守られるお姫様気取りも悪くないものね。ありがとう、鳴海さん」
それを聞いた男――−鳴海洸至の頬が緩んだ。


「手回しがいいのね。部屋をとってあるなんて」
バーの階上にあるセミスイートに二人は居た。
「まさか。懐かしい顔を見かけたんでね。慌ててフロントに電話して部屋をとってもらったんだ」
「懐かしい顔を見かけたら、鳴海さんはすぐに部屋に誘うのかしら」
美鈴は眼下に広がる夜景を見るふりをしながら、硝子に映る洸至の姿を見つめていた。
硝子の中では、ルームサービスでオーダーしたシャンパンをリラックスした様子の洸至がグラスに注いでいる。
「この方がゆっくり話せるだろ。人前に長居出来ない境遇だからね。通報もせず、君があっさり俺についてくる
とは思わなかったから、正直少し驚いたよ」
「あなたに興味があるの。警察なんかに邪魔されたくないもの」
美鈴の横にグラスを持った洸至が来た。
美鈴にシャンパンを手渡す。
「再会を祝して、でいいのかしら」
「君の好きにすればいい」
二人はグラスを合わせた。

「妹の仇を相手に乾杯するなんてね」
「…すまない。それだけで済まないのはわかっている」
美鈴はシャンパンを喉に流し込んだ。細かな泡が喉を心地よくおりていく。
「で、何の用かしら鳴海さん。あなたがわざわざ私に会いに来るなんて。何をたくらんでいるの?」
「あの夜が忘れられなかったんだよ」
「まさか」
美鈴が冷然と笑った。だが心の中はざわついていた。

名無しの権兵衛に妹を殺され、身の危険を感じて転々としていた美鈴が落ち付いた先のひとつが鳴海家だった。
警視庁公安部の刑事である兄鳴海洸至と、その妹で美鈴の同僚である遼子の家なら安心して過ごせた。

そしてある夜――-。
信じていたが裏切られそれでも忘れられなかった男のことを思い出した美鈴は、束の間忘れたくて、
洸至と躰を重ねた。
あの夜、洸至も誰かと美鈴を重ね合わせていたようだった。
お互い、そこには居ない誰かを抱き、そして抱かれた。

それからまもなく、名無しの権兵衛の正体が明らかになった。

美鈴を保護し、そして一夜だけ自分を抱いた男―――鳴海洸至だった。

妹の仇。美鈴の信頼も何もかもを裏切り全てをズタズタにした男。
しかし美鈴は憎しみしか抱けないはずの男のことを思い出すたびに、何故か心の奥が疼いていた。

「君はあっさり忘れたのか」
洸至がグラスを傾けた。
シャンパンが喉を通る時に、喉仏が動く。男らしい首筋の線に、美鈴の視線は思わず吸い寄せられていた。
316ハイヒール 4:2011/06/10(金) 14:06:22.58 ID:RSN12lsI
「そうかもね」
美鈴が曖昧な笑みを浮かべて言った。
「…俺もまだまだだな」
「冗談はもういいわ。私をどうする気なの?」
「別に。世間話がしたかっただけだよ」
「例えば…私の同僚が婚約した話とかかしら…」
「聞きたいね」
洸至がベッドに腰掛けた。
「あれだけの事件を乗り越えたから二人だから付き合ってすぐに結婚を意識したみたい。そして二人とも
 ある男のせいで家族を全て失っていた…。だから自分たちの家族を早く持ちたかったのかもね。
でもね、結婚を決めたら、男の親戚の猛反対にあったらしいわ。
相手の女性の家族に問題があったから。それはあなたがよくご存じよね。男の家族はみんな相手の女性の
お兄さんに殺されたのよ。それにその人は世間を騒がせた犯罪者だった。親戚だったら許すわけがないわ。
…男は反対を押し切ってでも彼女と結婚する気だったみたいだけど。それぐらい彼女のことが好きなのね、彼。
それでも何度か話し合ううちに、親戚がその女性のことを気に入って婚約できたらしいわ。何ヶ月かすれば
皆から祝福された花嫁になるのよ、彼女」
「そうか…」
うつむく洸至の顔に翳がさす。それを見た美鈴の心に残酷な喜びが広がっていく。
「婚約が決まって指輪をもらったあとその子、本当に嬉しそうに笑ってたわ。お兄ちゃんに見せてあげられ
たら…って。結婚を反対される理由になったのに、それでもまだお兄さんを思うなんて優しい子よね」
洸至から表情が消え、どこか遠くを見ているような眼をしていた。
「もっと飲む?」
「ああ」
声を洸至が絞り出すようにして言った。
美鈴はボトルクーラーからシャンパンを取り出すと歩きだした。
何故か洸至の前だと、足の痛みを感じなかった。せいいっぱい気取って、美しく見えるように歩く。

「君の望みは何だ?」
シャンパンを継いでもらいなから洸至が言った。
「私の望み?」
「婚約するまであの二人のことだ、すんなりいくわけがないだろ。俺が事件を起こし、君の妹まで手にかけた。
 なのに君は遼子を助け、二人が婚約できるように助言し励ましたんだろう?」

「相変わらず耳が早いわね。ここにもあるのかしら?盗聴器」
美鈴が芝居がかった仕草で周囲を見回した。
「俺だってそこまで悪趣味じゃないさ」
「わたしは遼子が好きなのよ。天然で明るくて、いじらしくて不器用で…。どういうわけかほって
おけないのよ、彼女。それは鷹藤くんも一緒かもしれないけど」
「それだけか?」
洸至が美鈴からボトルを取り、床の上に置いた。
それから美鈴を抱き寄せる。

「何…?」
「言ったろ。あの夜が忘れられなかったって」
「嘘つきね…」
グラスからシャンパンを口に含むと、洸至が美鈴にキスをした。
二人の口が繋ぎ合わさったところから、シャンパンと舌が流れ込んでくる。
シャンパンの芳醇な香りに包まれながら、美鈴は洸至と舌を絡め合わせた。
317ハイヒール 5:2011/06/10(金) 15:10:28.28 ID:RSN12lsI
「んっ…」
生まれたままの姿となり、ベッドに横たわる美鈴の長い脚に洸至が舌を這わせていた。
太ももから膝、膝からふくらはぎ…。
ふくらはぎを持ち、足を抱えると美鈴の足の指を洸至が口に含んだ。
「…っ」
敏感な指の股を舌で嬲られ、美鈴は思わず吐息を漏らした。
指の股をチロチロと舌で舐めたあと、洸至の唇が親指を吸いあげる。
「本当にきれいな足だ」
舌が今度は踝、アキレス腱、そして内腿へと上がっていく。
美鈴の息が期待で荒くなる。
太ももを押し開くと、美鈴の秘所に洸至が唇をつけた。

「ここもきれいな色だ…」
秘所を唇で覆い、舌先でクリトリスの包皮を剥いた。
「ひっ…」
敏感なそこに痛い位の快感が襲いかかる。
洸至がクリトリスを舌で念入りに嬲り始めた時、それだけで美鈴は達していた。
快感に震える美鈴を休ませる気などないようだった。
洸至が更に舌で秘所を責める。クリトリスを吸いながら、指を二本送り込む。
「ああっ」
自分の全身に汗が浮かんでいるのがわかる。
枕を鷲づかみにして悦楽からの声を堪えなければ、気が狂いそうだ。

美鈴は洸至と寝た後も、幾人かの男と躰を重ねた。しかし乱れたふりをしながら、心はいつも冷めていた。
それは仕事の一環でしかなかったからだ。そして誰も美鈴の心にも躰にも火をつけなかった。
今はそんな演技など必要ない。
ずっと渇いていた心と躰が、求め続けていたものを得て潤い乱れていた。

「いい味だよ、君は」
洸至が満足げに美鈴の足の間で囁く。
その息が秘所にあたり、それもまた快感となって美鈴を震わせた。
洸至が激しく抜き差しながら、クリトリスを苛めぬく。
「あっ…あああっ」
あまりの快楽に美鈴の腰が逃げるようにベッドの上を跳ねまわる。
逃げられないように洸至が指が食い込む程強く美鈴の尻を握った。
「あああっ…いいの…ああっ」
秘所から零れる蜜の音が部屋中に響く。
洸至がクリトリスを強く吸った時、美鈴はまたも達していた。

荒い息をしながら、美鈴が身を起した。
洸至の腰に唇を寄せると、微笑んだ。
「あの時、わたしももっと味わいたかった。今度は口でさせてね」
「ああ」
美鈴が洸至の肩を押し、ベッドに横になるように促した。
臍に当たるほど反り返った洸至自身を美鈴は優しく手に取ると、舌で形を確かめ始めた。
じっくりと裏筋に舌を這わせ亀頭のくぼみの形をなぞる。
「くっ」
空いている方の手で陰嚢を包み込み、今度は蟻の門渡りを舌で責める。
洸至自身が美鈴の手の中で跳ねた。
「気持ちいいのね…。素直に反応してる…かわいいわ」
そう言うや否や、美鈴は洸至自身を一気に口に含んだ。
318ハイヒール 6:2011/06/10(金) 15:24:53.38 ID:RSN12lsI
「…!」
ハニートラップで寝る男たちにここまで奉仕はしない。
美鈴にここまでさせたのは洸至と…遠山だけだった。
名無しの権兵衛の事件が無ければ、近づくこともなかった男。
お互いに利用しあい、時に躰を交わした。
何故か美鈴の心を狂おしくかき立てるのは、あの事件で運命を狂わされた男たちばかりだった。

根元まで咥えると、今度は微かに首を震わせ唇で扱きあげる。
もちろん、その間も舌で鈴口を唆すことも忘れない。
鈴口に苦みのある潮の味がした。先走りの味だ。洸至がそこまで感じていると思うと、美鈴は嬉しかった。

首を激しく振って洸至の快楽を煽る。
「すごいな…」
奉仕する横顔がよく見えるように、洸至が揺れる美鈴の髪をかきあげた。
流し眼で視線を送りながら、唇で尚も激しく扱くと洸至が眼を閉じ枕に頭を預けた。
「もう…外してくれ…じゃないと」
「口に頂戴…」
音を立てて洸至自身から口を外すと、美鈴はそれを手で扱きながら囁いた。
「…好きにしろ」
根元も手で扱きながら、唇で舌先で洸至自身を煽り続ける。
洸至の吐息が荒さを増した。
陰のうの下にある薄褐色のすぼまった部分に美鈴が指を這わせて円を描くようにしてほぐす。
「おい…!やめろ!」
洸至が身を硬くしたが、美鈴は意に介さず指をそこに入れ始めた。

自分の運命と人生を弄んだ男を、束の間弄んでみたくなった。
洸至の躰をもっと深く知りたくなっていた。
更なる激しさで洸至自身を啜りあげながら、中指を第一関節まで入れる。
中で指をゆっくりと蠢かせポイントを探す。
洸至の太ももが大きく震えたのを見て、そこを弄くりながら舌で裏筋を嘗め洸至自身を唇で激しく扱きぬく。
そこが美鈴の中指をひと際強く締めつけた刹那、洸至が大きく息を吐いた。

「くっ…!!」
喉奥に少し苦くどろっとした液体が流れ込む。
美鈴は喉を鳴らしながら全て飲み込んだ。

「おいしかったわ。鳴海さん」
唇の端から流れ落ちる洸至の樹液を人さし指で拭きながら美鈴が言った。
その姿を見た洸至が眼を細める。
「まったく君には驚かされるよ。男たちが群がる訳だ」
自分がここまでの欲望に突き動かされたことはなかった。こんなことは他の男たちにしたことなどない。
それをおくびにも出さず美鈴は応えた。
「ねえ…今度は二人で楽しみましょうよ」

仰向けの洸至の上に美鈴が跨る。
洸至に見えるように大きく脚を拡げると、一度達したばかりなのにまたも硬度を増した洸至自身を秘裂に
あてがう。
「見てて…あなたのが入ってく…」
美鈴が腰を沈めた。
少し沈めるだけで繋がった部分から震えるような快楽が広がる。
眼を閉じその感覚に溺れたいが、美鈴は自分がこの場を支配していると思わせるように洸至を見据え洸至自身を咥えこんでいく。
その美鈴の様子を、洸至が熱のこもった眼で見つめていた。
微笑みを浮かべながら美鈴は根元まで洸至自身呑み込むと、快楽からため息をついた。
319ハイヒール 7:2011/06/10(金) 15:34:50.36 ID:RSN12lsI
「奥まであたる…」
息を吐きながら、今度は腰をグラインドさせはじめた。
「どう?鳴海さん」

「リードされるのも悪くない…」
洸至の声にはまだ余裕がある。
美鈴は眩暈がする程の快楽に震えそうになっているのに。

「君はいじらしいな」
洸至が不意打ちに言った。
「えっ…」
虚をつかれた美鈴の動きが止まる。
まるで女王のように振舞っていた美鈴を洸至はいじらしいと言った。
その言葉の真意を図りかね、美鈴は戸惑った。
「これくらいで、俺がどうになかると…?本当にかわいいよ」
洸至が美鈴の腰を掴むとゆっくりと揺り動かし始める。

「妹さんの復讐をしたいんだろ…君は…」
「あっ…」
腰を動かしながら洸至が美鈴の乳房の頂きを親指で弄くりまわす。
「君なりの方法の復讐だ…。俺が最も苦しむ方法を…遼子を誰か別の男のものにして…そして俺が苦しむ様を
 見るために…」
「んんっ…違う…彼女が幸せになるように…」
「君はそんな殊勝な女じゃないだろ。あの夜俺が誰を想いながら君を抱いていたか知っていたのか…道理で熱心に
二人を結びつけたがったわけだ…」
ぶつかり合う腰が乾いた音を、繋がりあう粘膜が湿った音を立てる。

「ああっ…すご…い!」
美鈴の躰全体が揺れる程、洸至が下から突き上げる。
「もし遼子を利用して…傷つけて俺に復讐する気だったら…」
突然、洸至が動きを止め、美鈴の首を右手で掴んだ。
美鈴が息をのむ。哀しげな眼でに洸至を見つめ返した。
それを見る洸至の眼に昏い炎が宿っているように見えた。
「いいのよ、別に」
洸至が少し手に力を籠めれば、美鈴の細い首など一瞬で縊ることができるだろう。
快楽で火照った躰が、また別の期待で燃え上がっていた。

強がりではなかった。今この時、そしてこの男になら―――美鈴は一瞬そう思った。

縊られることを覚悟した時、洸至が力を抜いた。
「血も流れない復讐か。君らしい」
洸至が手を離す。

「だがな、俺が奪われたままだと思うか」
冷たい目が美鈴を見据えていた。
「…奪えないのがわかっているからよ…んんんんっ…」
洸至がまたゆっくりと腰を動かし始めた。
「あなたが…遼子を腕づくで奪って…やん…そうしたら遼子は光を失うの…あなたの愛した妹じゃなくなる
…だからあなたは…黙って見ているよりほかないのよ…やあっ」
美鈴と繋がったまま身を起すと、洸至はそのまま上になり激しく腰を使い始めた。
「やんっ…あああああっ」
洸至が射るように美鈴を見る。その眼は快楽からなのか、苦悩からなのか切なそうに細められていた。
「出来ないと?」
洸至の動きが蹂躙する動きに変わる。
「やああっ…」
「出来るさ。出来るとも。遼子を俺のものに…」
苦しげに洸至が囁いた。
美鈴の全身に汗が浮く。快楽に理性が溶けそうだ。今この口は真実しか紡がない。
320ハイヒール 8:2011/06/10(金) 15:50:34.02 ID:RSN12lsI
「駄目よ…あなた…愛しすぎたの…、あっ…だから触れられない…」
「違う…!」
洸至の額から汗が滴り落ち、美鈴の頬を濡らした。
「あなたは…ずっと孤独に…妹の幸せな姿を覗き見ることしかできないの…あなたは…かわいそうなひと…」
憐れむ美鈴の唇を洸至の唇が塞いだ。

洸至が更なる激しさで美鈴を責め立てる。怒りと憎悪も―――それに妹への永久に叶わぬ思いも籠っているのだろうか。
復讐したいと願い続け、憎しみそして焦がれていた相手の首を美鈴は強く抱いた。
「ああっいいの…」
二人の合わせ目から快楽が溢れる。
「いいのっ…洸至…さん!」
美鈴の脳髄が快楽で白熱する。
「あっ…やっ…いく…いっちゃううう!」
絶頂に向け美鈴の躰が浮き上がるような感覚に包まれた時、耳元で洸至が何かを呟いた。
きっと悦楽のなか意図せずに漏れ出た言葉だろう。
意識を手放す寸前、美鈴の眼から涙が一筋零れ落ちた。



美鈴が眼醒めた時、洸至は部屋に居なかった。
用心深い男のことだから、部屋に残る指紋も全て拭き取ったあとだろう。

けだるい躰をゆっくりと起こすと、美鈴は窓の外の夜景をぼんやりと見ていた。
ホテルの大振りの窓ガラスに、あどけないとも言える表情を浮かべた自分が映っている。

洸至がこの部屋に居た痕跡は美鈴の躰に残る快楽の残滓だけだった。
――わたしを消さなかったのは…通報などしないと。
それを洸至は知っていた。

警察の手を借りずとも、美鈴の復讐は完成していたからだ。
復讐と言っても、妹を奪われた美鈴が今度は洸至の手の届かぬところに遼子を行かせる手助けをしただけだが。
一度は洸至の手で闇に落ちかけた遼子を、鷹藤と共に手を取り光溢れる未来へと歩ませる―――。

塀の中に入れるよりも、自由に動き回らせて妹の幸せになっていく姿を見続ける方があの男には辛いはずだ。
死よりも辛い想いを抱えて、あの男はまた闇の中を這いまわることになるだろう。
永久に届かぬ想いとともに。
洸至は復讐と言ったが、…こんな甘い復讐などない。
美鈴のしたことは、亡き妹への弔いのためというよりも、振り向いてはくれぬ男への意趣返しに似ていた。

―――憎い相手の苦悶する様を見て目的を果たしたはずなのに…。
洸至が最後に呟いた言葉が美鈴の胸を抉っていた。

「りょうこ…」

それが美鈴を抱きながら洸至が呟いた言葉。
ひどく空しかった。
膝をかかえて顔をうずめると、美鈴はベッドの中で静かに泣いた。




利用する相手と、自分がメロメロになった相手と、見せる顔が違うかな、と思ったらこんな感じの
美鈴さんになっちゃいました。しおらしいですね。すいません。
しかも、遼子を婚約させてちゃいました。それに長すぎたりと色々すいません。
321名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/10(金) 22:19:43.70 ID:V54LFGxp
兄×美鈴さん、GJです。
エロい!w
テクニック豊富な二人の絡みは、R25ぐらいでしょうか?w
322名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/13(月) 21:38:37.97 ID:DGNDneKm
電話中継、鷹藤どん底verを投稿しようと思ったら、
どうやらレベルが低いらしい・・・。
323電話中継1:2011/06/13(月) 22:05:19.41 ID:DGNDneKm
駄文をこっそり投下。
無駄に長い、「電話中継、鷹藤どん底ver(※救い無し)」ですw
兄×遼ですが、ちょっと無理やりっぽいので、苦手な方はスルーして下さい。



「久しぶりだな、遼子。」
「やっぱり、最近起きてるテロ未遂事件は、お兄ちゃんの仕業だったんだ。」
都内近郊の廃工場で、遼子は死んだはずの兄、鳴海洸至と対峙していた。

もう2度と会えないと思っていたはずなのに、遼子は再び生きて現れた兄の姿を目の前にしても、不思議と落ち着いていた。

それはどこかで、兄が死んでいないと思っていたのだろうか。
そして、また会いたいと願っていた気持ちがそうさせるのか。

そんな遼子の気持ちを知ってか知らずか、洸至は微笑みさえ浮かべながら、遼子に一歩一歩近づいてくる。
「残念だけど、今回の新興宗教団体を隠れ蓑にしたテロ計画は、もう来週には『アンタッチャブル』で記事になるわ。
だからお兄ちゃんお願い、もうこんな事は…」
「俺がお前に、いや、お前たちに見つかるようなヘマをするわけないだろう?わざとここにたどり着くように
お前と鷹藤くんの周りに、情報を漏らしておいたんだよ。」
遼子の強い意志を持った言葉が洸至の言葉で遮ぎられると、遼子の瞳はその言葉に驚いて見開かれた。

「私をわざとここにおびき寄せたって事?」
「俺がお前に堂々と会いに行く訳には行かないからな。だから、遼子、お前の方から来てもらおうと思ってな。」
「…どうして?」
「わからないのか?遼子、お前を迎えに来たんだよ。もうお前一人にさせたりしない。俺と一緒に生きていこう。」
その間にも、兄妹の間はじりじりと狭まっていた。
324電話中継2:2011/06/13(月) 22:08:04.37 ID:DGNDneKm
「いや…って言ったら?」
「俺たちはこの世でたった2人の兄妹じゃないか。いや、それだけじゃない。遼子、お前ももう気付いているはずだ。俺は、お前を…」
しかしその言葉を無視するように、遼子は兄を見つめ、凜として言い放つ。
「今から、此処に警察を呼ぶから…お兄ちゃん、お願い。自首して」
そういうと、遼子は携帯を取り出して握り締める。

「いや…と言ったら?」
洸至が冷たい口調で、わざと遼子の言葉を真似る。

遼子は、目の前で自分を見つめる兄の瞳の中に、あの時、あのホテルで見た闇を見た気がした
この目は・・・兄の目じゃない。遼子の知らなかった「名無しの権兵衛」の目。

遼子が感じたのはその事実と、微かな恐怖。
自然と携帯を強く握り締め、ゆっくりと距離を取ろうとする。
その時、遼子の手の中の携帯電話が鳴った。
「鷹藤君?!」
遼子がその音に思わず反応し洸至から目を放した隙に、洸至が遼子の手から携帯を奪おうと遼子の手をつかむ。

「やめて!」
腕をつかみあげられ、遼子の手から携帯が床へと落ちる。
慌てて携帯を拾おうとした遼子を、乱暴な手が阻み、ぐいと痛いくらいの力で洸至に引き寄せられ、ふわりと体が宙を浮く。
「お兄ちゃんっ!何するの!!」
あっという間に抱きかかえられ、開放を訴えるように暴れようとしても洸至の眼差しが怖くて碌に手を動かすこともできない。
射抜くような、自分を見つめる眼差しが、遼子には怖かった。

洸至が遼子にこういう目を向けたことなど、今まで一度もなかった。
だから…自分は一番近くにいながら、兄の闇に気づかなかった。そして、兄の闇を知ってからも、どこかでまだ兄を信じている自分がいた。
それなのに、今、ここにいる洸至は明らかに違う。まるで何の感情もないような、そんな目が遼子には堪え難かった。
325電話中継3:2011/06/13(月) 22:09:50.21 ID:DGNDneKm
浮いた体は、あっという間に堅い床に沈められ、床の冷たさに思わず声が漏れる。
「あ…やっ!」
洸至はそれに僅かに笑った。嘲るようにではあったが、そこには表情があった。

…いつもの…お兄ちゃん?

口元に笑みを湛えた洸至に遼子は怒りよりも安心感を覚え、その安心感が、遼子に言葉を紡がせる。
「お兄ちゃん、ふざけないで。」
遼子の四肢はまるで鏡に向かい合っているかのように洸至によって封じられている。
それでも遼子はまだ強気でいられた。言葉と同時に遼子は必死で手足を動かす。

が、まるで動かない。否、動けない。
長く続く攻防も、また洸至の表情のない顔を見ると恐怖へと変わっていく。
じりじりと追い込まれるような感覚に、遼子の額に汗が浮き出ていた。

「携帯、切れたな」
何時の間にか、どれほど時間が経ったのか。携帯の着信音はぴんと張り詰めた空気に消えていた。
暫くの後、洸至は遼子の手足の拘束を解くと、腰のあたりに体重を乗せたまま、まだ床の上にある携帯に手を伸ばした。
そしてゆっくりと画面に目を遣り、着信履歴に残る『鷹藤』の表示を一瞥する。

「鷹藤君、遼子のこと心配しているみたいだな。」
遼子は洸至のその行動の間にも必死に起き上がろうと、両腕を立たせ足に力を入れて、上にずり上がろうとする。
が、洸至の重みでまるで動けない。
「…重いよ…お兄ちゃん。お願い、どいて」
洸至の意図するところがわからない。自分がどうされるのかわからない。不安と恐怖心が思考を塞ぎ、口調にも泣き声が混じる。

そんな遼子の様子に、漸く洸至が遼子の上から体重を移動させた。
軽くなった体に、慌てて遼子が動き出す。が、それもまた洸至によって封じられた。
まるで猫が獲物を弄ぶように、同じ動きを何度も繰り返される。
326電話中継4:2011/06/13(月) 22:26:22.08 ID:DGNDneKm
やがて、疲れて鈍くなった遼子の体は、簡単に反転させられうつ伏せにさせられ、床に這いつくばるような形になる。
「や…何?」
遼子が言った途端、腰が洸至によって持ち上げられ、膝立ちになった姿勢のまま、手と胸は洸至によって床に押さえつけられる。
そして、支えていた足すらも洸至によって簡単に開かれた。
体勢の悪さに、息苦しさが体を走り、顔と胸を圧迫されて大きな声が出ない。
おまけに洸至の顔が見えず、遼子は泣きそうになりながら、必死に洸至に訴えかけた。
「お兄ちゃん…やめて…苦し…い」
遼子が言ったと同時に、手の拘束が解かれた。だけど、きっとまた悪戯に拘束される…そう思うと、遼子の体は恐怖で硬直し動けない。

すると、背中から洸至の冷たい声がした。
「お前が俺を拒むのは…鷹藤…いや、梨野の…弟のせいか?」
声と同時に、洸至の手がスカートを腰の辺りまで上げ、強引にショーツを膝のあたりまで下げ始めた。
空気に触れてひやりとした感触を感じた遼子は、無け無しの力で必死に暴れた。
「いやぁ!何っ!やめてっ!!!」
遼子が言葉を吐き出した途端、剥き出しになった秘裂に何かが触れた。
「ひゃ…っ!」
電流が体を駆け抜け、遼子が小さな声をあげる。ぬるぬると遼子の秘裂を上下したのは、洸至の舌。
動くたびに遼子が短い悲鳴のような声で反応する。手は自由になっても、もう逃げられない。

「お前を、梨野の弟には渡さない…」
すでに鷹藤と恋人同士となり、女として性に慣らされていた遼子の体は、洸至の執拗な舌技によって徐々にその官能の淵へと追い詰められる。
乾いた場所に、唾液以外の音が立ち始める。
327電話中継5:2011/06/13(月) 22:33:58.88 ID:DGNDneKm
「う…っ…いや…やめ…て、おにい…ちゃん」
遼子の口からも、拒否の言葉と共に、疼き出した体から漏れる甘い響きが出始める。
秘裂から菊花までゆっくりと動く舌。そして再び蜜の溢れる場所へ返ってくると、
弾力のある温かな中へと挿し込まれる。

「お願い…こんなの…あ…はぁっ…んんっ」
息をしようとすれば、その口から吐息に混じって甘い声が漏れてしまう。
敏感な体は、確実に洸至によって翻弄させられていった。
抵抗したい理性と、そのまま快楽に流されたい本能。
その狭間で遼子は苦しみながら、しかし身体は洸至の動きに声をあげ、挿し込まれた舌を無意識に締め上げる。

「イヤらしい体だな。無理矢理されていやがってたんじゃなかったのか?腰動いてるぞ」
黙って舌での愛撫を続けていた洸至が、遼子の腰がゆっくりと揺れ始たのに気付いて言葉を紡いだ。

遼子は羞恥に床を握り締めるように指先に力を入れたが、感じ始めた体は、その先を求めてどんどん熱くなる。
必死に堪えようとしても、洸至の動きは激しさをますばかり。
今まで知らなかった兄の闇、いつもとは違う声に、恐怖や違和感がついて行かない。
それを阻むのは、意思とは反対にある体。遼子は葛藤する心と体に混乱しながらも、最後の抵抗の言葉を振り絞った。
「や…めて…っ」
しかし、それは虚しく床へ散っていった。

蜜は重みに耐えられずに足を伝い床へと流れる。それが粘着質のものでなければ、ポタポタと音を立てて落ちるに違いない。
洸至はそんな遼子の従順な体と、相反する哀れな抵抗に笑みを浮かべた。

「そんなんでいやがってるって言えるのか?こんなにイヤらしく涎垂らして、こんなに充血させて。…こうされて本当は悦んでるんだろう?」
328電話中継6:2011/06/13(月) 22:39:03.33 ID:DGNDneKm
「ちがっ…ああっ!」
膝がガクガクと震える。膝の力を解放してやりたいのに、洸至がそれを阻む。
「なんだ、遼子。もうイきそうなのか?」
遼子が首を振って否定すると、今度は洸至の指が濡れた秘裂を往復する。
指に絡みついた蜜を舐めとり、そして再び秘裂を撫で、緩やかな愛撫が再開される。
一本だけ挿れられた指は、中の襞を確認するかのようにゆっくりとしか動かない。
「…やめ…て…お願…い」
「なんだ?聞こえないぞ」
妹の懇願に、洸至が悪戯な笑みを浮かべて聞きかえす。
その間も、指は中と外を執拗に移動し、蜜がイヤらしい音を響かせる。

そのとき、再び、床に放り出した遼子の携帯の着信音が倉庫内に響く。
乱れた息のまま、朦朧とする意識の中で遼子がゆっくりと顔だけをそちらへ向けると、
遼子の視界に洸至の手が入ってきて、携帯を握る。
そして洸至の空いた手はぐちゅぐちゅと淫靡な音を立てて、再び遼子を翻弄し始めた。

止んだ着信音の変わりに、響いてきたのは遠くに聞こえる誰かの声。そして兄の声。

「遼子、電話だ」
遼子は何とか体勢を立て直そうとするが、また洸至の手によって腰を抱えられてしまう。
今度は尻を突き出したような姿勢でうつ伏せにされ、そしてその姿勢のまま、遼子は差し出された携帯を手に取った。

「…は…い」
『オレ、鷹藤だけど。一瞬間違えたかと思ったよ。…今、誰かと一緒か?』
「鷹藤君…」
遼子の体に緊張が走る。
『もしもし?どうかしたのか?さっきも何度鳴らしても出なかったし。』
何も知らない恋人の声。
遼子はどうにかその場を取り繕おうと、震える声を抑えながら必死に絞り出した。
まさか、今、自分が陵辱されているなど、絶対に知られたくない。しかも、血を分けた実の兄に。
329電話中継7:2011/06/13(月) 22:40:20.53 ID:DGNDneKm
「あ…ううん、大…丈夫」
震えこそ電話越しには伝わらなかったようであったが、言葉が途切れ途切れになり声が掠れてしまった。
それは鷹藤に不審さを感じ取らせた。
『おい、何かあったのか?』
優しい恋人の言葉も今は辛いだけ。早く、早く切りたい。遼子は必死で自分を演じる。
「ううん、ホント大丈夫。でも…ごめん…今は」
そこまで振り絞るように言ったとき、いきなり体に激しい熱が走った。
より一層高く持ち上げられ、剥き出しになった秘裂に、洸至の楔が突き刺さったのだ。

「あああっ!」
突然のことに、遼子が悲鳴をあげる。
『遼子!?』
遼子が息を吸い込むと同時に洸至のものが最奥へと射し込まれ、強烈な快感に、遼子の口からは吐き出した息と共に甘い声が漏れる。
「あ…はっ…う…」
手に持っていた携帯が落ちそうになり、必死に僅かな理性でそれを握り締める。
緩やかな抽送が繰り返され、電話越しでも聞き取れそうな水音が響く。

『遼子!』
「…ごめ…ん、鷹藤君・・・ごめ…んね・・・」
鷹藤に聞かれたくない。知られたくない。溺れそうになる自分に、遼子は必死で言葉を返し携帯を切ろうとした。

が、次の瞬間洸至によって、携帯を奪われた。
うつ伏せにさせられている為に、兄が何をするのか、何を考えているのかわからない。
小さく響く鷹藤の自分を呼ぶ声に、遼子は必死でそこから逃れようとするが、その度に洸至自身がねじ込まれる。
痛みにも似た快感を堪える遼子を他所に、洸至がゆっくりと携帯を耳に当てた。

「悪いが遼子は今、手が離せないんだ」
『お前は…』
必死で指を噛んで声を抑えようとする遼子の手を引き剥がし、また緩やかな刺激を与えてくる。
無理矢理響かせられる声は、鷹藤にも届いているのだろうか。
330電話中継8:2011/06/13(月) 22:42:01.40 ID:DGNDneKm
「久しぶりだな、鷹藤君。」
『…遼子に…何をしてるんだ!』
「ああ、聞こえないのか」
洸至はそう言って携帯を持った手を腰に添えると、今度は激しく腰を動かした。
「あ…んっ…いやぁ…やめ・・・て・・・」
淫らな水音と肌のぶつかる音。そしてそれに合わせてくぐもった声が響く。
数秒それを聞かせると、洸至は再び携帯を耳に当てた。

「こういうことだ」
『…貴様…っ!』
「俺がいない間、随分と遼子と親しくなったようだな。」
『おい!アンタ、自分が何してるのかわかってるのか!』
「だが、お前に遼子をやる約束をした憶えはないんでね。遼子は、俺のモノだ、返してもらおう。」
『何云ってるんだ!アイツは…遼子は、お前のモノなんかじゃねぇ!』
「『遼子』呼ばわりか。ふん。随分感じやすいんだな、遼子は。これもお前のおかげか?」
『やめろ!やめてくれ!』
「俺は別にやめても構わないが、今やめたら遼子が辛いだろう?」
洸至の顔が歪む。

激しい行為に、遼子の体に小刻みな痙攣が走り出す。
しかし、もう限界に達しようとしていた遼子からいきなり洸至は自身は引き抜いた。
圧迫感と快感が体から引いていき、遼子が大きく息を吐く。

洸至はそんな遼子の体を持ち上げて仰向けにさせると、遼子が言葉を上げる間もなく、再び楔を打ち込み始める。
「んん…んっ…っ」
体を激しく揺らされて、遼子は口元を手の甲で抑えた。声を堪えるしか遼子にはできない。
だが、そんな遼子の指先に触れた洸至の唇は優しかった。
そして一瞬、洸至の顔に寂しさが浮かび上がる。
辛そうな顔…遼子はそう思った。それだけで何故か遼子の瞳からは涙が溢れる。
331電話中継9:2011/06/13(月) 22:43:21.52 ID:DGNDneKm
洸至はそんな遼子を見ながら頬を撫でると、ゆっくりと携帯越しに鷹藤に話し掛ける。
「聞きたいんなら聞いていろ」
そう言って携帯を近くの床に置くと、洸至は今度はじっくりと遼子への愛撫を始めた。
ブラウスを脱がせ、胸を覆っているブラジャーを取り外す。
そして洸至もシャツを脱ぎさり、汗の浮かんだ白い肌にゆっくりと唇を這わせながら腰を揺り動かしていった。
「んっ…」
洸至の的確な愛撫は、遼子の理性を簡単に突き崩す。
「遼子…」
愛しげに名を呼んで、漸くこの行為が始まってからはじめて洸至の唇が遼子の唇を捉えた。
唇からも二人の交わる音がぴちゃぴちゃと音が響いていく。

「んん…っ…はぁっ、はぁっ」
長い口付けを終えて、遼子が空気を貪るように吸い込むと、洸至は今度は硬く尖った胸の頂へ唇を移動させた。
舌で転がし、甘く噛み、強く長く吸い上げる。遼子はその刺激に眉根を寄せ、必死に堪える。
腰の抽送は徐々に激しさを増し、遼子はそれに上下に揺らされながら、洸至の頭を抱え足を絡ませた。

「おにい…ちゃん」
遼子の言葉に、洸至の動きがますます激しくなる。
「あっ…や…あっ…会いた…かった…っ」
「ああ…」
「寂し…かった…の」
「…知ってる」
「おにい…ちゃん…」
「遼子、お前だけなんだ…お前だけ…」
最後の兄が自分を呼ぶ声が切なくて、遼子は激しく揺さぶられながら必死で洸至を抱きしめた。
体の奥から、意識の遠くから、何かがやってくる。

「あっ……ああっ…イクっ…イッちゃう!あああっ!」
「…っ」
332電話中継10:2011/06/13(月) 22:44:50.05 ID:DGNDneKm
壮絶なエクスタシーの波が遼子を襲い、中を蹂躙していた洸至を締めつける。
熱く痛いくらいに心地よい蜜壷に、洸至は我慢できずに欲望を開放した。
長い射精が続き、その間も遼子は体を痙攣させて大きな波に身を任せ、そして兄に抱かれたまま意識を手放した。

洸至は遼子の中から自身を抜くと、床に置いた携帯電話を手に取った。

まだ電話は繋がっているだろうか。
それとも切れているだろうか。

しかし洸至はそれを確かめる事無く、電源を切った。

「梨野、お前の思い通りにはさせないよ。」




以上です。
細切れになってしまい失礼しました。
兄と美鈴さんのレベルの高いエロに比べて、駄目駄目ですみません…。
そして尻切れっぽくってさらにすみません…。
もう少し遼子が兄を受け入れるverも考えてはいたんですが、こんなもんで挫折。
鷹藤君にはお詫びに、鷹×遼エロを進呈予定ww

その前に、500超えてしまうでしょうか?
333名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/14(火) 09:46:52.00 ID:P1UVMQDF
>>323-332
GJすぎる!!!!!
兄エロいっ!すばらしい描写にため息つきまくりです。
エロに入る前の妹を弄ぶ兄とか、エロ突入後もただマシーンのように責め続ける兄…!!!
やがて快楽から兄を受け入れる遼子の背徳美に溢れた感じもいいですね!
でもって、受話器の向こうで流したであろう鷹藤の涙に乾杯☆

鷹×遼エロも楽しみです。500越えまだしなさそうだから、
不憫な鷹藤の為にも、投下是非よろしくです!
334名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/23(木) 23:44:04.75 ID:wlT2w6bn
どん底に落としてしまった鷹藤君へのお詫び(?)鷹×遼です。


「鷹藤君は、夢を見る?」
「はぁ?」
唐突に遼子が鷹藤に問いかける。
せっかく鷹藤の部屋のベッドに並んで腰掛けている…という状況で
甘い雰囲気になってきたのを邪魔されて、鷹藤の口からは思わず間抜けな声が漏れる。

「最近ね、私、夢を見ないの…」
「最近徹夜で張り込み続きだったから、疲れてるだけなんじゃね?」
「ううん、そうじゃない。夢を見ているのかもしれないけど、真っ暗なの。誰もいないの。
ただ闇があるだけ、そこに私一人なの。」
そう言って顔を上げて鷹藤を見つめた遼子の瞳は潤んでいた。

「安心しろって。俺が側にいてやるから。」
目尻にたまる涙をそっと掬い取るように口付ける。

「鷹藤君が…ずっと?」
「あぁ、ずっと。アンタがどこにいたって俺はアンタを見つけ出すよ。」
あれだけ色々な事があったのだ。
今は、鷹藤というパートナーの存在があるとはいえ、遼子が不安になるのも無理は無い。

「夢の中にだって行ってやるよ。」
「鷹藤くん…」
最後の言葉が、言葉になったかもわからないうちに、どちらからともなく、
待ちきれないといった具合に唇を重ねていた。
いつもは優しく、触れて啄ばむような口付けから徐々に深く深く気持ちを重ねてゆくのに、
今日は互いの唇が触れ合った瞬間から激しく、すぐに二人の舌がひとつになって口内を
舞い狂う。
唇を、舌を、聴くに淫らな音が立つほどに激しく吸いあったまま、鷹藤の手は遼子の
服を脱がしていく。
335名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/23(木) 23:45:59.79 ID:1xGoDjFE
そして離れまいとぴったりと抱き合いながら、二人はベッドへと倒れこんだ。

鷹藤の唇が、遼子の顎から胸、さらに白い太腿にまで達すると、遼子は
その甘い刺激に鼻に抜ける甘い声を漏らし、身体を捩るように右足を引いて
膝を立てる。

いったん、鷹藤の唇がまた上の方に這い、肌へ紅い華を散らし続けている間にも、
両手がせわしなく揉み続けたやわらかな乳房にたどり着く。
「あっ…ん」
片方のやわらかい丘に指を沈め、もう片方には吸い音を立てて食らいつき、
紅く尖った先端を味わうように舌で転がして時に歯を軽く立てると、
遼子の細く白い喉が震えてのけ反る。

乳房の柔らかさを丹念に味わいつつも、その間に鷹藤の左手は下がり、
太腿を撫でつつ、その愛撫が休まる事はなく時折、遼子の秘所に指先が触れる。
遼子が一番感じるところを攻め過ぎずに焦らすその動きは、確信的だった。
「んっ…あっ…ふっ…」
そのたびに、遼子の喉からは声が細く漏れる。

鷹藤がさらに遼子の中に指を潜ませると、遼子は無意識のうちに腰を浮かせ、
さらに奥深く鷹藤の指を咥え込む。

「遼子…」
熱に浮かされるように名を呼び、鷹藤が襞に触れた指を激しく動かすたびに、
遼子の身体はぴくぴくと振るえ反り返る。
「やっ…あっ…あっ…」
鷹藤の動きに素直に上がる遼子の声に、鷹藤もまた昂ぶって耐え切れなくなり、
遼子の脚の付け根の間に顔を埋め、まだ熟しきる前の果実のようなそこに舌先を当てる。
とろりと最奥から溢れてくる甘い遼子の蜜の勢いは止まらない。

「…いい…いいの…」
鷹藤が、舌先をそこへ深く挿しいれて焦らすように抜き差しすると、遼子は高い声を
あげながら夢中で鷹藤の頭をかき抱き、その脚を鷹藤の身体へ巻きつけてくる。
336名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/23(木) 23:48:00.05 ID:1xGoDjFE
そして鷹藤が舌を抜いて体勢を起こした時、遼子が鷹藤の腕を不意に引っ張った。
「どうした?」
いつもならその流れのまま鷹藤を迎え入れていた遼子が、鷹藤の事をじっと見上げている。

「鷹藤君も…気持ちよくなって…」
そう告げた遼子の瞳はこれ以上ない程扇情的で、それに鷹藤が見とれている間に、
鷹藤の視界がぐるりと変わった。

急に遼子が半身を起こして身体を回転させて鷹藤を下にすると、仰向けにした鷹藤の脚の方へ顔を運ぶ。
そして、鷹藤の顔の上をまたぐ格好になった。
鷹藤は驚いて訳がわからなかったが、目の前に遼子の秘所が晒されれば理性が弾けとび
また夢中でそれに吸い付き食らいつく。

溺れるがままに味わい始めた途端、急に痺れるような快感が鷹藤の全身を貫いた。
身体を起せぬまま視線だけを前方に投げれば、遼子が鷹藤のものに舌を這わせ、
口に咥えていた。

「りょ…うこ…」
「ぅっ、んっ…ふ…」
そして遼子はその幹の根元に右手を添えると、強弱をつけて揉んでいる。
握り締め、咥えたまま頭を上下に振って、男根に絶えず刺激を送る。
「……う…ぁ…」
たどたどしくも、けれど懸命に鷹藤自身を舌で愛撫し続ける遼子への愛しさと、
その快感が全身を満たし、鷹藤はたまらず精を吐きだしそうになる。

しかし、快楽の渦に飲み込まれつつも、鷹藤は僅かに残った意識で遼子の脚をぐいと押し上げ
体勢を入れ替えると、そのまま昂ぶった己を遼子の秘所へ後背位から一気に突き挿れる。

「あっ――」
一瞬、驚いた遼子の声が漏れた後、それはすぐに絶え間なく奏でられる激しい嬌声に変わった。
腰を高く持ち上げられ、さらに背後から突かれ揺さぶられ、恍惚の表情で喘ぎ続ける言葉は
もう何の意味すら持たない。

「遼子」
愛しい人の、自分を呼ぶ声。
背に腰に、たくましい胸が触れ、掻き抱かれ…
身体の最奥に熱い思いを感じ、同時に遼子は意識を手放した。
337名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/23(木) 23:49:27.98 ID:1xGoDjFE

「おはよう、遼子」
鷹藤が微笑んで朝の挨拶を投げかければ、遼子もまだ夢現ながら笑顔を作る。
「おはよう、鷹藤君」
その表情の可愛らしさに、鷹藤は思わず腕に乗っていた遼子の頭を
自分の肩へ引き寄せ抱き込むと、少し寝汗の滲んだ額に口付けた。

「すごく、幸せそうな顔で眠ってたぜ」
触れる唇の心地よさに目を閉じながら、遼子はうっとりと呟く。
「うん…すごく幸せな夢を見てた。鷹藤君がいて、編集部のみんながいて、編集長もいて、
史朗ちゃんがいて、美鈴さんの妹さんも、史朗ちゃんのお父さんもいて………お兄ちゃんもいた。」
そう本当に幸せそうな遼子の様子を、鷹藤は目を細めて眺めていた。

しかし、鷹藤は小さく苦笑しながら呟く。
「今、もしアンタの兄さんが生きててココを訪ねてこられたら、間違いなく俺、
殴られるんだろうな…」
「え?お兄ちゃんに?」
「いや、殴られるだけならいいか…それよりきっと…」
「そうかな?お兄ちゃん、鷹藤君の事を弟みたいに思っていたんじゃないのかな。
だから殴ったりしないよ。」
無邪気にそう鷹藤に微笑みかける遼子を眺めながら、鷹藤は
『そういう意味じゃないし、それにそんな人が、あんな風に俺を陥れてくれるんだ。』
とは言えずに、曖昧に笑顔を作るだけだった。



その後、鷹藤は悪夢のような電話中継の餌食に…w
69ってやってないよな…と思って入れてみましたが、
あんまりエロくなりませんでした、すみません。
貴重なスペースありがとうございました。
他の皆様の作品を読んで、精進します。。
338名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/23(木) 23:51:38.44 ID:1xGoDjFE

「おはよう、遼子」
鷹藤が微笑んで朝の挨拶を投げかければ、遼子もまだ夢現ながら笑顔を作る。
「おはよう、鷹藤君」
その表情の可愛らしさに、鷹藤は思わず腕に乗っていた遼子の頭を
自分の肩へ引き寄せ抱き込むと、少し寝汗の滲んだ額に口付けた。

「すごく、幸せそうな顔で眠ってたぜ」
触れる唇の心地よさに目を閉じながら、遼子はうっとりと呟く。
「うん…すごく幸せな夢を見てた。鷹藤君がいて、編集部のみんながいて、編集長もいて、
史朗ちゃんがいて、美鈴さんの妹さんも、史朗ちゃんのお父さんもいて………お兄ちゃんもいた。」
そう本当に幸せそうな遼子の様子を、鷹藤は目を細めて眺めていた。

しかし、鷹藤は小さく苦笑しながら呟く。
「今、もしアンタの兄さんが生きててココを訪ねてこられたら、間違いなく俺、
殴られるんだろうな…」
「え?お兄ちゃんに?」
「いや、殴られるだけならいいか…それよりきっと…」
「そうかな?お兄ちゃん、鷹藤君の事を弟みたいに思っていたんじゃないのかな。
だから殴ったりしないよ。」
無邪気にそう鷹藤に微笑みかける遼子を眺めながら、鷹藤は
『そういう意味じゃないし、それにそんな人が、あんな風に俺を陥れてくれるんだ。』
とは言えずに、曖昧に笑顔を作るだけだった。



その後、鷹藤は悪夢のような電話中継の餌食に…w
69ってやってないよな…と思って入れてみましたが、
あんまりエロくなりませんでした、すみません。
貴重なスペースありがとうございました。
他の皆様の作品を読んで、精進します。。
339名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/23(木) 23:52:49.05 ID:1xGoDjFE
うわぁ、ダブってしまいました。ごめんなさい…。
340名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/24(金) 09:37:23.06 ID:dg2BVnRy
>>334-339
GJです!
ダークな兄のエロに対して、遼子を思いやる鷹藤のエロくも優しい抱擁も
いいですね〜!
でもこのあと地獄の電話中継が待っているのか。鷹藤不憫すぎるw

恋敵にさえならなければ、鷹藤と兄は意外と上手くやっていた気がする。
鷹藤が遼子に手を出そうとしたばかりに…www
341名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/24(金) 12:23:10.81 ID:Gm3K7QFC
兄×遼も、鷹×遼もGJです!!
どっちの組み合わせも良くってたまりませんね〜。

あとは史朗ちゃん?w(でも想像つかないな〜)
342名無しさん@ピンキー:2011/07/06(水) 22:17:39.10 ID:ROnz6tbw
7月期ドラマで、遼子の中の人と鷹藤の中の人の共通点は「男装」?w
343名無しさん@ピンキー:2011/07/07(木) 00:29:43.04 ID:QzCZhfGQ
>>342を読んで、取材の為に男装した遼子に兄がいけないことをする妄想が
すぐに浮かんだw
344名無しさん@ピンキー:2011/07/07(木) 11:47:00.02 ID:MNj1ngQF
>>343
なんて素敵な妄想ww

今日は七夕、これからもたくさんの素晴らしい作品が読めるよう
短冊に願いを込めて、天の川にお願い☆
345名無しさん@ピンキー:2011/07/12(火) 19:24:34.27 ID:x3h8gOZm
鷹藤の中の人、高校生に見えない気もするがそれもまたいい味w
次は遼子の中の人の男装か…w
346名無しさん@ピンキー:2011/07/12(火) 22:52:16.18 ID:0miWyeBy
イケメンな高校生だらけのドラマを見て


「え?全寮制の男子校に潜入取材?……って誰が?」
「何言ってるの、鷹藤くんに決まってるじゃない!」
「オ、オレ?!だってオレもう2…」
「大丈夫!ヒゲ剃ったら、鷹藤くんまだまだ高校生でいけるって!」
「だからって何カミソリ用意してるんだよ!オレはまだ行くなんて一言も…」
「男がゴチャゴチャ言わないの!ジャーナリズムのためよ!ほら!」
「いや、だからカミソリ持って嬉しそうにするなって!」



……という編集部での会話が浮かんだw
347名無しさん@ピンキー:2011/07/13(水) 09:40:43.46 ID:us7BuwLs
>>346
エロなし和んだw
きっと編集部の周りの人たちもニヤニヤして見てるんだろうなあ。

大変ベタな妄想だが、全寮制の男子校に兄が潜入するとしたら、
白衣+眼鏡の養護教諭に化けて欲しい。ちょいダサめで寝ぐせがついてる感じで。
348名無しさん@ピンキー:2011/07/13(水) 17:11:44.41 ID:nNcldoBz
数学とか理科教師でもおk
349名無しさん@ピンキー:2011/07/14(木) 22:30:31.81 ID:co1te9/R
あれ?

白衣姿の教師な兄と、ヒゲ無しのイケメン高校生鷹藤と、
男装の遼子との学園生活を妄想したら、
鼻血でてきたw
350名無しさん@ピンキー:2011/07/16(土) 01:11:52.38 ID:QGVmXd8F
就職難で採用先が決まらず、悩みぬいた遼子が男性教師しか採用しない高校に
性別欄を偽造して書類を送ったら採用されて、男装して四苦八苦しながら寮生活を
送るラブコメ…w

遼子の面倒を何故か良くみてくれる物理教師が兄で、
鷹藤が遼子の正体を知る不良学生、遼子が憧れる社会科教師が遠山w

でもこの登場人物でラブコメってどうなのw
351名無しさん@ピンキー:2011/07/16(土) 01:18:34.15 ID:QGVmXd8F
アンタッチャブルの枠組みを使うとこういう学園ドラマになるのだろうか…w

アンタッチャブル 潜入教師 鳴海遼子
――その学園には、触れてはいけない闇がある――

【あらすじ】
創立されてまだ10年に満たない新興校であるが、有力大学入学者ランキングの上位に食い込む程多く
優秀な生徒を排出し、広く名を知られるようになった私立永倉高校。
全寮制の男子校で、独自のプログラムで生徒の能力開発をするその高校にひとりの国語教師が赴任した。

名前は鳴海遼。中性的な顔立ちの小柄な男性だ。
だが小さい身体に似合わず、意欲的に生徒にぶつかる熱血教師である。

しかしその正体は15年前の爆弾テロにより両親を失った鳴海遼子という女性だった。
―――この学校にその事件の犯人『名無しの権兵衛』がいるかもしれない。
ある筋からもたらされた情報をもとに、彼女はこの高校を調べあげた。濃厚になる疑惑。
そこで彼女は自ら内部に潜り込むことを決意した。
しかし学校の方針として教師も男性しか採用されない。
そこで彼女とった手段は―――男装。

多感な時期を男だらけの空間で過ごす知性と野心に満ちた高校生たちに手を焼き、正体を知られぬように
日々神経をすり減らす日々を送りながら父と母が死んだ事件の真相を追う遼子。
そんな中、次々と不可解な事件が学園内で起こる。
彼女は先に永倉学園に採用された化学教師の兄洸至と、ひょんなことから彼女の正体を知った
新聞部の部員鷹藤俊一とともに彼女はそれらの事件を解決していくこととなる。

もちろんラスボスは白衣の兄で。最後の対決の場所は理科の実験室でどうだろうwww 
352名無しさん@ピンキー:2011/07/19(火) 11:53:25.60 ID:P8kB+LaX
>351
「潜入教師」って響きだけで、何かエロいw

そして遼子の中の人のドラマで、着物を脱ぐ場面があってドキドキした。
洋服もいいけど、やっぱり着物を脱ぐ仕草って萌える。
353男装 1:2011/07/20(水) 15:36:23.31 ID:tihnPYWQ
もしも、遼子が男装してイケメンパラダイスに行こうとしたら…。
エロなし長くてごめんなさいです。


それは勤務時間が不規則な仕事に就いた鳴海兄妹からすると珍しい夜だった。
洸至も遼子も珍しく仕事が早く終わり夕食前に二人揃って自宅にいた。
遼子は夕食を作る前に取材の準備があるからといって部屋の扉を閉め切り、中でなにやらごそごそしている。
洸至も着替えもせずに模型が置かれた机の前に陣取ると、夕食の前に趣味の模型作りをしばし楽しんでいた。
洸至が小さな部品に接着剤を着け、模型のビルの窓枠部分にそれを置こうとしたときだった。

「お兄ちゃん〜!ちょっと手伝ってくれない?」
遼子の大声に驚いて、洸至は部品を全く見当違いの場所につけてしまった。
急いでそれをはずし、模型に残った接着剤の跡を手元にあった布で拭き取った。
「後は残らなさそうだな・・・」
ほっと一息ついて、洸至は手にした布を見て愕然とした。
「あ〜!」
洗濯された自分のトランクスで拭いてしまった。
遼子が畳んで置いてくれていた洗濯物の山から、慌てて手にとってしまったらしい。
苦笑いしながら洸至は立ち上がると、遼子の部屋に向かった。

「なんだよ、手伝いって。遼子が大声出すから、驚いて…うわっ?」
遼子の部屋に入った洸至が今度は大声を出す番だった。
「遼…子?」
妹の部屋にスーツ姿の小柄な男がいた。
襟足や前髪が少し長めの髪形で、細身の黒っぽいスーツを着ている。
色の白い肌に、栗毛色の髪を持った中性的な顔立ちの男。
黒目のはっきりした双眸が洸至を捉えると爽やかな笑い声を立てた。
「えへへ、どうかな」
男が妹の透明感のある声で言った。
遼子だった。
メイクを落とし、遼子の特徴である漆黒の美しい髪をウィッグの中に隠したせいで兄の洸至でも一瞬誰かわからなかった。

「どうかなって…なんだよその格好」
当惑する洸至の顔を見て、妹はいたずらがうまくいった時の子供のような満足げな表情を浮かべている。
「今度ね、ここに潜入取材することにしたの」
男装の遼子から渡されたのは、とあるセミナーの募集チラシだった。
『合宿セミナー 次世代のリーダーを生み出す自己啓発の2泊3日』というコピーの下にはカメラに笑顔を向け
る整った顔立ちの青年達―――洸至の眼から見ても美青年ばかりが写っている。
「よくある自己啓発セミナーみたいだな」
「それも男子限定なの。それでね、このセミナーを受けると、面接で通りやすくなるって言う口コミが
拡がって就職活動中の学生たちが結構受けているのよ」
「で?お前が動くって事は何かあったんだろ」
チラシを持つ洸至の手を覗きこみながら遼子が続ける。
354男装 2:2011/07/20(水) 15:40:32.89 ID:tihnPYWQ
「結構な数の学生がセミナーを受けて、満足いく結果を得た。だけど、一部の学生は帰ってくる
 ことなく、そのまま団体の寮に入ってそのままそこで生活してるわ。優秀でしかも容姿端麗な学生ばかり…。
 その団体の寮のことを付近の住民はイケメンパラダイスと呼んでいるけどね。そしてみんな一流企業や
 官公庁に就職が決まっているの。優秀な人材を独占して、狙った場所に送り込む意図を感じない?
 何か匂うのよ、ここ」

洸至の傍でそう解説する遼子は、いつもの黒髪がないのでまるで別人のようだ。
しかし、躰から漂う甘い匂いは妹のものだ。
洸至は妹に気付かれないようにその匂いを愉しんでいた。
「洗脳か」
「かも…って話よ」
警視庁公安部の方で何か情報を持っていないか、探りを入れるように妹が洸至を見ていた。
いくらかわいい妹でも捜査員として捜査情報を流していい訳がない。
だが、この眼で見られるといつも洸至はその禁を破りそうになる。
しかし今回は洸至の所属する公安部でもこの団体の情報は掴んでいなかった。
「初めてみる団体名だな…。まだ活動を始めたばかりで眼をつけられていないんだろう」
「そっか…」
「この団体に潜入ってお前…男子限定なんだろ?」
「だからこの格好なのよ。お兄ちゃんだって部屋に入って来た時驚いていたじゃない。男の人だと思ったでしょ?」
遼子がスーツのポケットに手を入れ得意げに胸を張った。
「ちょ、ちょっと待て、遼子。そりゃ部屋に入った時には驚いたが、まさかお前の部屋に男がいるって
 思わなかったからであって」
「男に見えたなら成功ね」
「一瞬だけだ。それに編集部には適任者がいるじゃないか。大学生役なら鷹藤君に行かせればいいだろ」
年だってお前の方が上じゃないかという言葉は飲み込んだ。
「鷹藤君はどう見ても学生に見えないじゃない。髭生えてるし。女性の方が肌理も細かいから若く見える…はず」
自分に言い聞かせるように遼子が言った。
「髭なら剃ればいいだろ」
「鷹藤君、絶対剃らないって意地になってるのよ。それに鷹藤君じゃ記事を書けないもの」
「ちょっとしたレポートぐらいならかけるだろ。そんな男だらけのセミナーに男装して潜入なんて危ないじゃないか」
「お兄ちゃんも騙せたんだからきっと上手くいくって」
洸至は遼子の必死さに妙なひっかかりを憶えた。

―――付近の住民はイケメンパラダイスって呼んでいるわ。
さっきの遼子の言葉が脳裏を過ぎる。

「お前…行きたいのか」
眼をすがめて自分を見る兄の視線に気づいた遼子が明らかにうろたえ始めた。
「えっ、違うわよジャーナリストとして、家族を引き裂くような洗脳を施す団体は放っておけないだけで、
 別にイケメンだらけの寮に行ってみたいなとかそういうことじゃないんだからね」
「やっぱり目的はそっちか…」
洸至の喉奥からは部屋の温度を下げるような低い声が出ていた。
355男装 3:2011/07/20(水) 15:45:05.45 ID:tihnPYWQ
その声に一瞬怯んだが、イケメンだらけの寮に行きたい一心からであろうか、遼子は尚も食い下がる。
「ジャーナリズムと雑誌の売り上げの為で私の下心からじゃないからね!で、でね。男装して行くにあったって、スーツ着用の決まりなの。だけどネクタイを上手く締められなくて…。それでお兄ちゃんに教えて
もらおうと思ったの。お兄ちゃん上手じゃない」
強張りかけた空気を融かすような遼子の甘え声。
この声のせいで、俺はいつもこうして遼子に乗せられてしまう。

「お前、俺が制服から刑事になった頃にネクタイの結び方教えてくれたじゃないか。俺が上手く締められなくってさ」
妹が着ているワイシャツの襟下からだらりと垂れたネクタイを洸至は思わず手に取っていた。

「ネクタイを締めてあげるのはできるんだけど、自分でやるとなると勝手が違うみたいで」
遼子がまた上目遣いで洸至を見る。無防備な甘えと視線。
それをされると洸至が大抵の頼みなら聞いてくれるとわかってやっているなら計算高い性悪女だ。
しかし遼子は全く無自覚だった。
計算がないだけに逆に性質が悪いといえるかもしれないが、それは遼子の無垢な部分の現れともいえた。

「懐かしいな…昔こうやって俺のネクタイ結んでくれたんだよな」
遼子のネクタイを掴むと、洸至が結びはじめた。
「俺の手元見てろよ。こうして…こうする…」
するすると洸至がネクタイを結ぶ手順を、焼きつけるように遼子が熱心に見ている。
こんなにも間近で遼子の表情を見るのは久しぶりだ。
ネクタイを持つ手に力を籠めて、このまま妹を抱き寄せてしまいたかった。
男装姿の遼子も中性的で悪くない。
兄と妹の倒錯した関係と、男装した妹に絡みつく自分の躰を想像して洸至の心が震える。

その時、ネクタイを結ぶ洸至の手の甲が遼子の硬い胸に触れた。
「遼子…これは?」
「ブラジャーするわけにいかないから、胸をサラシで巻いているの。きつくって…」
洸至は眩暈がした。
抑えつけられた妹の双丘を思わず想像して、欲望が振りきれそうになっている。
理性を総動員してそれを抑えこみながら洸至は作業を続けた。

「潜入取材の為ならしょうがないわよ。イケメンがいっぱいの寮に行く為なら…」
最後の仕上げに、結び目のところを軽く締めるはずが、その言葉を聞いて洸至は思わず力を入れて締めて
しまった。
男装姿の遼子と寝食を共にするであろう未だ見たことのない男たちへの嫉妬が赤く煌めき洸至の視界を奪う。
「お兄ちゃん、く、苦しい!」
遼子が慌てふためく。

「駄目だ駄目だ!」
洸至は首を振ると、遼子のネクタイをいきなり緩め始めた。
「お前をそんな所に行かせる訳にはいかない」
「ちょ、ちょっとお兄ちゃんどうしたの」
「男に化けるのがちょっとぐらい上手くいっても、ばれない訳がないだろ」
「トイレとか、お風呂とかなら上手くやるし…」
「そこでばれなくとも、すぐにばれるさ」
洸至が尋問相手に出す時の冷気に満ちた声を出して囁く。
356男装 4:2011/07/20(水) 15:53:08.27 ID:tihnPYWQ
手の中のネクタイを弄びながら、遼子の怯えを感じ取り洸至は背徳的な快感を憶えていた。
「匂いだよ」
「えっ…」

「男だらけの集団にずっといて、たまに外に出ると自分が女の匂いに敏感になっているのがわかるんだよ。
 警察学校の寮に居た時がそうだった。お前がこれから行くセミナーの寮もそうなんだろ?サメが遠くの血の
 匂いを嗅ぎつけるように、飢えた男の中に女が入ってみろ、すぐに匂いを嗅ぎつけられて何をされるか
 わかったもんじゃないぞ。しかも組織の秘密を脅かそうとする女記者とばれたら…」
「洗脳はするけど、そこまで酷いことをする集団じゃないかもしれないじゃない!」
「組織の秘密を守るためなら何だってするぞ、そういう奴らは。そして、女相手の口封じの手段で最悪にして
 最も効果的なのが…わかるだろ?」
洸至が最後まで言わずとも、遼子も察したらしい。顔が蒼ざめる。

「そうなる前に逃げるって」
恐怖を振り払うように遼子がひきつった笑みを浮かべる。
「ネクタイの使い方ってのは首に結ぶだけじゃないんだぞ」
遼子の手を掴むと、洸至はあっという間に両手をネクタイで縛りあげた。

「これでも逃げられるか」
「そうされたら走って逃げるわ」
「でもな、両手を封じられると走りにくいんだ。バランスも崩しやすいんだぞ」
「きゃあっ」
洸至が遼子の背を押すと、あっさりとバランスを崩した遼子がベッドに倒れ込んだ。

「だろ?」
洸至が小首を傾げて遼子を見る。
妹の瞳に浮かぶ困惑と怯え。
遼子にそんな眼で見て欲しくないと思うと同時に、その眼で見られ洸至は昏い喜びも感じていた。
自分のネクタイを外し、遼子の細い2本の脚をまた縛る。

「あっという間に動けなくなったぞ。これでどうやって逃げる?」
「叫んで…」
「叫び声が誰にも届かなかったら?」
洸至が遼子の顔の横に手を置くと、のしかかるようにして覗きこむ。
「男だらけの場所だ…セミナーは禁欲生活が基本だからな…そこに組織を崩壊させようとして来た女がいたら…
 それもお前みたいな女だったら…」

洸至がワイシャツのボタンをあえてゆっくりと外していく。
遼子の白い肌が露わになる。
またひとつ。
鎖骨のくぼみが美しい陰影を作っているが見える。
またひとつボタンを外す。
白いサラシに抑えつけられ、潰れた双丘の谷間が見える。
外見上は中性的な男性だが、胸にある女性的な膨らみとのギャップはあまりに淫靡だ。

「サラシだって外されるぞ」
「お兄ちゃん…怖い…」
「上はサラシ…下も男物のパンツだろ。飢えた男たちにとってはたまらない演出だろうな。きっとそれも剥ぎ取られる」
両手両足をネクタイで拘束された遼子が怯えきった眼で洸至を見ていた。
「やだ…」
洸至が遼子の耳元に口を寄せ囁いた。
「潜入取材すればこんな目に遭うかもしれない。無理せずに鷹藤君に頼むんだな」
357男装 5:2011/07/20(水) 16:09:20.46 ID:tihnPYWQ
「…鷹藤君にお願いしてみる」
「いい子だ」
そう言うと洸至は笑顔を作って、身を起した。
それから妹を拘束していたネクタイを優しく外す。
「どんなに危険かわかったみたいだな」
「うん…」
まだ恐怖からか、遼子は放心状態といった呈だ。
「着替えて夕飯にしよう」
洸至が遼子の部屋から出る時にそう声をかけた。
「そ、そうだね。お兄ちゃんも着替えて。私すぐ作るから」
「ああ、頼む。危険だとわかってくれてうれしいよ、遼子」
「私も考えが甘かったってわかって良かった。でもちょっと怖かったかな」
遼子がウィッグを外して首を振った。
さらさらと長い漆黒の髪が流れ落ちる。
普段の自分に戻ると、洸至に向け遼子がぎこちなく微笑んだ。
「お前は危険を知らなさ過ぎるから、俺もちょっとやりすぎた。ごめんな」
「いいよ、ありがとう」
洸至は遼子の部屋を出て扉を閉めた。
そこで足を止める。洸至は遼子の部屋の様子を窺った。
「鷹藤君、いまちょっといい?例の取材の件なんだけど…」
遼子が携帯を取り出して鷹藤に電話をかけ始めたらしい。
取材は鷹藤に譲る気になったようだ。
洸至は安堵と共に奇妙な失望感を憶えていた。

もし洸至があれ程脅しても、遼子が取材に行くと言っていたら…。
危険な取材をやめさせるという名のもとに己の欲望に身を任せ、先ほどの行為の続きけられたかもしれない。

だがあと少しだけ兄妹でいたい。このままごとじみた共同生活を続けたい。
共に笑い、他愛のない会話を交わし、同じ時間を共有する。
遼子にとってこれは気の置けない家族と過ごすリラックスできる生活だろう。
しかし俺にとっては脳髄の皺一本一本に全て刻みつけたい程のかげがえの無い生活だった。
だからいまここで踏みとどまるのが当然だ。
それにいつかこの偽りの安寧の日々は終わりを告げる。そのことは自分が一番わかっている。

しかし―――。
関係を破壊してもたらされる快楽を思いながら自分の部屋に入ると、洸至は扉を閉めた。


お目汚し失礼しました。
鷹藤の中の人の番組、視聴率ヤバいですね。打ち切りになりませんように…。
358名無しさん@ピンキー:2011/07/21(木) 19:54:52.04 ID:4IlQiyNF
>>353-357
うわぁあ、萌える
ヤバい、ヤバい、ネクタイ拘束系お兄ちゃんは鉄板
GJ!!です
359名無しさん@ピンキー:2011/07/22(金) 12:10:36.35 ID:hrea02PF
GJ!GJ!です!

お兄ちゃん、そのままヤッチマイナー!……とも何度思ったことかww
360名無しさん@ピンキー:2011/07/26(火) 23:49:34.16 ID:5E/Xdg8P
花火大会などで浴衣の人を見かける季節になりましたね。

遼子の中の人もCMで浴衣姿だし、鷹藤に遼子の浴衣を脱がして貰いたくなったw
361名無しさん@ピンキー:2011/08/07(日) 21:19:04.50 ID:dZKSofI5
仲間さんのドラマの公式HPで見られる次週予告動画で、
仲間さんの着物がはだけ、胸の白いサラシがのぞく場面が!!!

>>353-357のSSを思い出して、鼻血でました。
362名無しさん@ピンキー:2011/08/24(水) 13:13:11.33 ID:RDPyTK+6
夏なので浴衣ネタを書いていたが、時間が無くて途中から進んでない・・・。
8月が終わるまでには!
363名無しさん@ピンキー:2011/08/24(水) 16:35:47.32 ID:qfbYi4sn
>>362
おお!投下が楽しみ!
ちょうどこちらも鷹遼浴衣と遠山×遼子エロが仕上がりました。
が、どちらも長い…(汗)スレまたぎそうで投下できない。
次スレで投下しますね。
っていうか、遠山×遼子エロなんて需要あるのか…。
364名無しさん@ピンキー:2011/08/25(木) 00:12:05.70 ID:RbZPxrUX
>>363
遼子×史朗ちゃん、是非とも読みたいっす!!
楽しみにしてます!
365花火1:2011/08/31(水) 09:45:25.01 ID:WmaAxpZf
スレ梅に駄作を投下。
何とか8月中に滑り込ませたかった浴衣プレイw
ちょっと青姦ネタも入ってしまいました。



「どうしたんだよ、そんな格好して」
遼子は鷹藤に見せ付けるように鷹藤の目の前でくるりと一回転してみせる。

「美鈴さんがね、貸してくれたの。自分はもっと良いの着て行くからって。
で、着せてもらって、下駄まで借りちゃった。」
目の前の遼子は、深い青の地に桔梗の花が散った柄の浴衣に、薄い黄色の兵児帯を締めていた。
長い髪も、キレイに結わえ上げられている。

「何?ひょっとして見とれてるの?」
口を開けたまま遼子を見ている鷹藤の間抜けな表情をみた遼子は、悪戯っぽく笑う。
「見とれてなんか…」

今日は近くで規模の大きい花火大会が開催される。
遼子と鷹藤も仕事終わりに2人で花火を観に行く予定だった。

それを聞きつけた美鈴が気を利かせて(?)遼子に浴衣を着付けてくれたのだ。

…そんな会話を交わしたのが今から約2時間前の出来事。

しかし、今、遼子はその浴衣姿で必死に机のパソコンに向かって原稿を打ち込んでいる。

「ねぇ、何で私こんな格好で仕事してなきゃいけないの?」
遼子が手は動かしたまま、傍らで缶コーヒーを飲んでいる鷹藤に愚痴る。
「しょうがねーじゃん、国のお偉いさん達の選挙が急に決まったんだから。」
「それはそうだけど…」
急に政局に動きがあり、最新号の記事の差し替え分が、運悪く編集部に残っていた
遼子に課せられてしまったのだ。
366花火2:2011/08/31(水) 09:46:11.17 ID:WmaAxpZf
その時、編集部の窓の外で、夜空に大輪の華が咲く音が響いた。

「あぁ!もう!花火はじまっちゃった!」
「…みたいだな」
「あと少しで出来るんだけど…もう間に合わないかな。」
遼子の口調に、あきらめが混ざる。

「せっかく浴衣着たのにな。鷹藤君と花火見たかったのに。」
そういって鷹藤に向かって寂しそうに笑う遼子を見た時、鷹藤は何かに突き動かされるように
缶コーヒーをテーブルに置くと、遼子の手を取って立ち上がった。

「何?どうしたの?どこ行くの?」
「屋上」
「え…でもまだ原稿が…」
「花火、見たいんだろ。ここからじゃ遠いかもしれないけど、上がればちょっとは
見られるだろうからさ。」

遼子の手を引いて編集部から出て階段を上がる。
屋上の扉を開けると、夜の熱風が吹きつけてきた。
纏わりつくような風の中、ネオン瞬くビルの狭間に大輪の華が咲いていた。

「きれ〜〜〜」
遼子は手摺に手を掛け、空を見つめていた。
鷹藤は花火に背を向けて、遼子の隣に立ち、手摺に身を預けると、傍らの遼子が
柔らかな笑みを浮かべて鷹藤を見上げた。

「ありがと、鷹藤くん」
白い腕が背中へとまわされ、肩に重みを感じた。
鷹藤は指を伸ばして、遼子のこめかみから頬へと指先を滑らせ、顎を引き上げた。

「なに?」
艶やかな唇がうっすらと開く。
軽く顔を傾け、唇を重ねた。
反射的に胸板を突き放そうと動く手首を封じ、口腔を蹂躙する。
歯列をなぞり、口蓋にふれた。
「んん…」
逃げ惑う舌を絡め取り、強く吸う。
下唇を甘噛みし、角度を変えながら何度も執拗に吐息を重ね、唇を離した。
唾液で濡れた唇の間に銀の糸がかかり、直ぐに途切れた。
367花火3:2011/08/31(水) 09:46:58.38 ID:WmaAxpZf

「ちょっと!いきなり何するの」
顔を真っ赤にしてうろたえる遼子の言葉を無視して、鷹藤は襟元から垣間見える喉のくぼみに
唇を落として赤い花を咲かせる。
「何って、気持ちいいこと」
耳朶で囁くと、遼子は項まで赤く染まる。

「浴衣姿にそそられるっていうのはホントなんだな。」
腰に手を回して、華奢な身体を引き寄せる。
「そ、そそられるって…。それよりも花火…」
恥ずかしげに俯こうとする顎を再び引き上げ、唇を重ねる。
そして、手は浴衣の上から胸を揉んだ。

「あれ?アンタ、ブラジャーしてないの?」
「だ、だ、だって、美鈴さんが下着はつけないほうがキレイに着られるって言うから…」
遼子の耳朶が一層朱に染まる。

「ちょっと…こんな所じゃ見られちゃう…」
「みんな花火の方しか見てねーよ。」
遼子を手摺につかまらせ、背後から覆いかぶさるように深く抱き込む。
そして、浴衣の袷目から右手を滑り込ませ、直接肌に触れた。
汗ばんだ肌が掌に吸い付くようだ。
胸の頂を摘むと、鼻にかかった甘い声が漏れる。

鷹藤は細い項に口付け、痕を刻みつける。
上前を払い、その隙間に手を差し入れる。そして、下着の上から秘裂をなぞり時折、窪みを強く押して刺激する。
生み出される蜜で徐々にショーツが濡れ始め、鷹藤は股布をずらして直に触れる。
卑猥な水音が密やかに聞こえてくる。

「っ…は…ぁ…」
押し殺した嬌声が、花火の音にかき消される。
もっと遼子の声が聴きたくて、鷹藤は指を蜜の源へと深く沈めた。
絡みつく内襞を掻き分け、粘膜をつま先で軽く引っかく。
胎内を探る指を増やし、抜き差しを繰り返すと、溢れた蜜が内腿を伝う。
遼子は眉を寄せて仰け反りながら、指先が白くなるほどに手摺を握り締めていた。

「あぁっ!!」
指を曲げて、遼子の中の敏感な一点を強く刺激すれば、腕の中の身体が跳ね上がる。
十分に膣内を掻き回した指を引き抜き、浴衣の裾を腰まで捲り上げ、濡れた下着をひき下ろす。
368花火4:2011/08/31(水) 09:47:55.72 ID:WmaAxpZf
白い双丘を夜気に晒して撫で回し、軽く力をこめて左右に押し広げると、蜜壷から蜜が滴る。
鷹藤はベルトを緩め、ズボンの中から滾る楔を取り出し、愛液に濡れそぼつ秘裂を、
その切っ先でなぞった。
「あっ…ん」
甘い声が唇から漏れる。
「挿れて欲しい?」
耳朶を甘噛みしながら訪ねると、遼子は頬を染めつつ小さく頷く。
「珍しく素直じゃん。」
鷹藤の揶揄に、手摺を握る指先に力がこもった。
背後からじわじわと時間をかけて、遼子の胎内へと侵入する。

「っは…っ…んんっ!」
深々と根元まで突き立て、苦しげに喘ぐ遼子の中で動き出す。
鷹藤は、胸を弄りながら細い腰を抱え込み、抜き差しを繰り返す。
腰から太腿へと掌を滑らせ、浴衣の袷目から手を差し入れ、楔を咥え込む花弁をなぞった。
蜜にまみれるそこに触れる度に締め付けられ、背筋を快感が駆け抜ける。

「あん…だ、だめ!そんなとこ触っちゃ……ん!」
肉芽を刺激しつつ、楔で奥を突き上げると、つま先が微かに中に浮いた。

「もう、イキそう?」
耳元で囁くと、遼子は硬く瞼を閉じ、激しく首を振って否定する。
「アンタ、ここ擦られるの好きだよな?」
激しい抜き差しを繰り返し、蜜壷を攻め抜くと、内襞が甘く絡みつく。
「ちが…っ、やぁ…」
遼子は眉を寄せて、何かに縋ろうと鷹藤の腕に爪をたてる。
「あっ、あっ…ダメぇ…もうっ…!」
一気に膣内が収縮し、華奢な身体の痙攣にあわせて、膣口が鷹藤自身をきつく締め上げた。

「イッた?」
「んっ…はぁ…ぁ」
達した余韻に陶然とした表情を浮かべる遼子は、脱力して鷹藤の肩にもたれかかる。
鷹藤は唇を、遼子の仰け反る首筋に這わせて、汗で額に張り付いた髪の毛を払う。
遼子は汗の滲む胸を忙しなく上下させ、懸命に息を整えようとしていた。
遼子の唇が何か言葉を紡ごうとしているが、声にならない。

鷹藤は今にも崩れ落ちそうになっている身体を支え、繋がりあったまま、その場に腰をおろした。
369花火5:2011/08/31(水) 09:48:55.37 ID:WmaAxpZf
「ひぁっ!」
自然に、自重によって、楔をより深く銜え込まされる形になり、遼子は短い悲鳴を上げる。
遼子の脚の間に膝を割り込ませ、左右に大きく開き、閉じられない様に固定する。
「ま、待って…もう…ダメ!」
鷹藤は遼子の儚い抵抗を封じ、遼子の胸元を大きく開き、浴衣を肘まで引き下ろす。
夜目にも赤く染まった乳房が夜風に晒され、小さく震えた。
鷹藤は震える二つの膨らみを掌で包み込み、形が変わるほどに強く揉む。
頂の蕾を指で弄ると、整った指先が撥ねた。

裾から手を滑り込ませ、蜜に濡れる結合部をなぞり、下から突き上げると、腕の中の身体は
しなやかに撥ね、やまない嬌声が夜風に浚われた。

打ち上げられた花火が夜空に大輪の華を咲かせる。
むき出しにされた両肩がさらに紅く染まり、色とりどりの閃光に照らされた。
掌で体の曲線を辿りながら、鷹藤は遼子の耳元に唇を寄せる。

「ちゃんと見ないと。」
「なに…を…?」
「花火」
「無理…言わないで…よ…んん!」
悩ましい反駁も、再び音に消える。
「…あっ…また…ダメ!イッちゃう!」
高い声を上げて仰け反る遼子を花火が照らす。
鷹藤はのたうつ身体をきつく抱きしめ、最後の一滴まで遼子の胎内に吐き出した。

遼子が落ち着くまで待ち、腰を押し上げて胎内から肉棒を引き抜くと、艶めいた声が漏れる。
綻びた花弁からは、白濁した駅が溢れて太腿を伝っていた。

ショーツは片脚の膝の辺りに丸まって絡みついたまま。
淫靡な姿にまたそそられるが、鷹藤はその衝動を無理矢理押し殺し、
自分の身を整えると、遼子の捲れ上がった裾を下ろし、整えてやる。
そして座ったまま、しどけなく自分にもたれかかる遼子を抱きしめた。
370花火6:2011/08/31(水) 09:50:30.61 ID:WmaAxpZf
いつの間にか、花火は終わっていた。

遼子の瞼が開くと、その双眸には非難の色が色濃く浮かんでいる。
遼子は浴衣の襟元を引き上げて、剥き出しの肩を隠す。

「美鈴さんに何て言おう・・・」
浴衣には大きな皺が刻まれ、体液で湿ってしまっている部分もある。

「うん、まぁ、薄々こうなることは察しているとは思うけどな。」
見事に彼女の思惑に乗ってしまった感もあるが、あまり考えない方が
いいのかもしれない。

「それにしたって、こんなとこでするなんて・・・」
鷹藤の肩に顔を埋め、少し怒りも加わった口調で遼子が呟く。
「おかげで花火もあんまり見られなかったし。花火見せてくれるためにココに来たんじゃなかったの?」
恨みがましい声に、鷹藤は苦笑する。
「まぁ…それは…。で、立てるか?」
「ん・・・」
遼子は小さく頷くが、何故か動こうとはしなかった。
鷹藤が訝しく思っていると、シャツを掴む遼子の指先に力がこもった。
「ごめん…やっぱり無理みたい。動いたら、零れちゃいそう…」
小さな声で口にしながら、耳を真っ赤に染めて俯いている。

鷹藤は再び苦笑すると、遼子を横抱きに抱え上げた。
「来年こそ、花火大会見に行こうな。」
「うん、そうだね。」
そして鷹藤は、軽く遼子の額に唇を落とした。



以上、お目汚し失礼しました。
新スレでの新作投下を楽しみに、ドロンしますw
371名無しさん@ピンキー:2011/09/01(木) 17:17:46.02 ID:SwYXTYGC
待っていました浴衣鷹遼!
福梅書房屋上プレイGJです!!
でもうかつに青姦すると兄が遠眼鏡で見てるかも!気をつけろ鷹藤w

そして浴衣を返す時に美鈴さんに散々からかわれる遼子の姿が目に浮かぶwww
372名無しさん@ピンキー:2011/09/01(木) 22:49:44.72 ID:g7XONRV6
ふぉぉ!浴衣プレイGJです!!

確かに兄が別のビルの屋上から見ていそうだww
花火の音で銃声も消されるぞ、気をつけろ!ww
373花火の貌 1:2011/09/05(月) 22:33:42.65 ID:gjf2i+ng
素晴らしい浴衣エロの後で心苦しいのですが、とりあえず投下。
これでちょうど埋まるかな…?いつもながら長くてすいません。


スイッチを入れしばらく経ち、ようやく鷹藤の部屋の年代物のエアコンが冷気を帯びた心地よい風を
吐き出し始めた。
部屋の持ち主の悪癖のせいか、その風はほのかに煙草臭い。

「部屋が冷えるまで時間かかりそうだから、これでも飲んで待っててくれよ」
鷹藤は冷蔵庫から出したばかりのビールを相方に差し出した。
「ありがとう」
紺地に白で百合柄を染め抜いた古風な柄の浴衣に臙脂色の帯を締め、鷹藤のPCの前に膝を崩して座った遼子がビールを受け取ると鷹藤を見上げほほえんだ。
リビングのガラステーブルの上に置かれたノート型パソコンの画面に映る花火の画像を遼子は見ていた。

雑然とした独身男のむさ苦しい部屋で、遼子だけが色彩を持ったかのような艶やかな姿だ。
遼子は浴衣に合わせて華やかなまとめ髪にしている。後れ毛が何本かかかった白いうなじが眩しかった。
鷹藤は汗で光るそのうなじを、指で辿ったこの間の夜のことを思い出していた。
赤い唇から漏れ出た微かな喘ぎ声が耳の奥で蘇る。

「きれいに撮れてるじゃない」
遼子のその声で、淫らな夢想から鷹藤は引き戻された。
「お、おう。そりゃプロだからな」
鷹藤はぎこちなく応えると、自分の缶ビールを手に遼子の傍らの床に胡座をかいた。
それから、テーブルの横に置いてあった遼子の下駄を手に取る。
黒塗りの下駄だが、紫色の鼻緒が外れていた。
「直せそう?」
鷹藤の手元をのぞき込みながら遼子が言った。遼子の汗の匂いがした。
不快ではない、心地よい匂いだった。粉っぽいような、さわやかな女の匂い。
その匂いに包まれながら、切れた鼻緒を直すべく部屋にあったビニールテープを手にして鷹藤は鼻緒の紐を継ぎ始めた。


東京の夏の風物詩ともいえる大きな花火大会の取材の帰り道、鷹藤が遼子を歩いて駅まで送っている途中で下駄の鼻緒が切れた。
それを修理するべく、花火大会の会場からほど近い鷹藤の家に寄ったのだ。
取材と言っても、鷹藤が週刊アンタッチャブルの巻末グラビア用の写真を撮るだけで遼子の仕事はなかった。
軽い取材を兼ねた夏祭りデートだ。

鷹藤にすれば、15年ぶりの花火だった。
友達に花火を見に行こうと誘われても、鷹藤は何か理由をつけては断っていた。
嫌いだった訳ではない。花火は好きだった。家族がいた頃は毎年家族全員で見に行っていた。
高学年になっても、花火大会で興奮しはしゃぎ迷子になりそうな鷹藤の手を父と母の手が包んでいた。
その後ろから冷めたような笑みを浮かべ、離れたところを兄公平が歩く。
人波の中、兄の姿を探し振り返る鷹藤の瞳を捉えた兄の目は温かかった。
河川沿いの道を花火大会の会場までそうやって往き帰りした。それが鷹藤家の夏の恒例行事だった。
しかし、今鷹藤の家族はもういない。
その孤独を残酷なまでに味わうことになるせいで、事件から何年経っても鷹藤は花火大会に足を運べないでいた。
374花火の貌 2:2011/09/05(月) 22:45:20.56 ID:gjf2i+ng
だが遼子となら行ける気がした。遼子と一緒なら、切ない夏の記憶を呼び起こすことなく前へ進める気がした。
だから軽い調子で暇だったら花火の取材手伝えよ、と誘ったのだ。
鷹藤に誘われたとき、遼子は取材にかこつけて誘うなんて…と言った後に、
どうしても一緒に来てほしいならいってあげないこともないわよ、と遼子は小さな声で付け加えた。

待ち合わせ場所で遼子の姿を見た鷹藤はくわえていた煙草を落とした。
口では気乗りしない風だったのに、遼子は浴衣姿で来た。
紺地の百合柄の浴衣に帯の臙脂が鮮やかに映えている。
そして不器用な遼子から想像もつかない程美しく結い上げられた髪。
もしかしたら、このために美容院でセットしたのかもしれない。
華やかな色使いの浴衣が流行っているなかで、落ち着いた柄の浴衣は逆に人目を引いた。
浴衣や髪型だけのせいではない、遼子自身が放つ輝きのせいかもしれない。
普段取材するときには見せたことのない喜びに満ちた笑顔。
そのせいか、女連れであろうとなかろうと、道行く男たちの不躾なまでの視線が遼子に送られていた。
周囲の男たちの視線から少しでも早く遠ざけたくて、鷹藤は遼子の手を取ると撮影ポイントへ急いだ。
鷹藤の手を遼子がそっと握り返したとき、そのほんの小さな仕草で自分のの心臓がひときわ高く鳴ったのがわかった。


鷹藤の家のノートパソコンの画面には、今夜の花火が色とりどりの花弁を開き夜空を彩っているさまが映っていた。
「今日あんたハナビじゃなくて何見てたんだよ」
鷹藤が鼻緒を継ぎながら、パソコンに見入っている遼子の横顔に問いかけた。
「別に・・・花火観てたわよ・・」
遼子はとぼけて次の写真を映すべく、マウスをクリックしたがその音は少し忙しなかった。
「俺が気づかないとでも思ったのかよ。周りの客はみんな空を見上げてるのに、あんただけ周りをキョロキョロ
 見回してさ。あの時俺、写真撮っていたから何も言わないでいたけど、何か気になることでもあったのか」
「ちょっとね」
「ちょっと何だよ」
「聞いても笑わない?」
「ああ」
少し間を空けて遼子がいった。

「花火を見上げる人の中に、もう会えなくなった人もそこにいることがあるって、昔聞いたの。
 花火って、死んだ人も生きている人と一緒に楽しむためのものだって。だから…」
そんな迷信を信じている自分を恥じいるように遼子は微かな声で言った。

遼子の両親も鷹藤の家族同様、遼子の兄である鳴海洸至に爆弾で吹き飛ばされこの世にいない。
しかし、そんな迷信にまですがりついてまで、遼子が会いたい人間は15年前に死んだ家族だけなのだろうか。
東京湾に消えた遼子の兄―――遼子から全てを奪いながら15年間遼子を慈しみ守り続けた
男のことを鷹藤は思い浮かべていた。
「でもね、前にお兄ちゃんと花火を観たときもきょろきょろして怒られちゃった。後ろばかり
 振り返っていたら、大事なものを見逃すぞって」
兄のことを語るときに遼子の中で懐かしさと苦さの入り交じった感情が去来するのか、遼子の横顔が微かに歪んだ。
375花火の貌 3:2011/09/05(月) 22:46:45.44 ID:gjf2i+ng
それを見た鷹藤は手にしていた下駄を床に置くと、右手で遼子をそっと抱き寄せた。
「どうしたの、いきなり…」
腕の中の遼子が、当惑した顔で鷹藤を見た。
「なんとなくじゃ駄目か?」
「駄目」
見つめ返す遼子が笑って言う。

「浴衣姿のあんたに欲情した」
鷹藤が遼子の耳にこう囁くとくすぐったいのか身をよじって遼子が明るい笑い声をたてる。

時々、怖くなる時がある。
今のように遼子と他愛のないことで笑い、共に過ごしている時がそうだった。
自分の親兄弟を奪った男に、もうこの世にいないはずの男にこの幸せな時間を奪われそうな,そんな気がするのだ。
鳴海洸至は死んだ。死者に遼子は奪えない。
自分がここまで鳴海洸至のことを恐れるのは、いま本当の幸せを掴みかけているせいなのだろうか。

「帰り道、鼻緒が切れたから部屋にあがっただけよ。鷹藤君だってそういうことしないって…」
「言ったかな」
反駁の言葉を紡ごうとした遼子の唇を、鷹藤は唇で塞いだ。
すぐに互いの舌が絡み合う。

遼子の手が鷹藤の首を抱くと、二人の口づけはさらに深さを増した。
鷹藤が両手で遼子の顔を包む。口づけを交わしながら、鷹藤は手を首筋からその下に滑らせた。
浴衣の襟元から左手を這わせ柔らかな肉の感触を楽しむ。
「んっ…」
快楽に溶けていこうとする自分をとどめるように眉根を寄せ耐える姿は浴衣姿も相まってなんとも可憐だ。
しかし、それが逆に男の嗜虐心をそそる。
興奮からか身をよじる遼子の浴衣の裾が割れ、そこから艶めかしく汗で光る太股が見えていた。
そこに鷹藤が右手を這わせると遼子の息はひときわ荒さを増した。

「触って欲しいんだ」
羞恥を煽る質問して遼子の反応を楽しみながら、内ももの柔らかい肉を撫で回す。
遼子からの返事は勿論ない。
鷹藤と躰を重ねて幾月か経ち、快楽を貪欲に求める躰になったとはいえ、ほんの数ヶ月前に処女を散らしたばかりで初心な遼子が言葉にできようはずもない。
しかし遼子の荒い吐息は理性が快楽を前に融けていく徴だ。
それはどんな言葉よりも如実に遼子の心を示していた。

「どこ触って欲しいか言えって」
「駄目…」
浴衣の襟元が乱れるのも構わず、躰をくねらせながら遼子がむなしい抵抗する。
「何が…いつもしてるだろ」
遼子の首筋に口づけの雨を降らせながら鷹藤が言った。
「お風呂入ってないもの…。暑い中、ずっと人混みの中に居たんだもの。わたし、汗の匂いがするわ。
だからお風呂に入ってからにしよ、ね、鷹藤くん」
遼子が鷹藤の腕の中から上目遣いで鷹藤を見上げる。
「このままじゃ嫌か」
「だって恥ずかしいし」
返答をじらし、沈黙をしばし楽しんだあと鷹藤は口を開いた。
「でもさ、浴衣姿のあんたを抱く機会、俺がみすみす見逃すと思うか」
意地悪な笑みを浮かべると、鷹藤は浴衣の裾に入れた手を蠢かし遼子の下着の上から花芯を指でさすった。
「やぁ!だめ、だめなの!」
下着の股の部分は、もうすっかり濡れていた。
「こんだけ濡れてて?」
「やんっ」
鷹藤の腕の中で遼子の躰が跳ねる。
376花火の貌 4:2011/09/05(月) 22:51:26.65 ID:gjf2i+ng
「あんたの汗の匂いも全部味わいたいんだって」
鷹藤が下着越しに花芯の上に置いた中指を細かく振動させる。
「ひぃっ」

遼子はその刺激に太股をわななかせ、鷹藤の胸に顔をすり付けると途切れ途切れの啼き声を上げた。
「やぁっ、はあんっ」
しつこく遼子の花芯をいじめ続けると、下着の股の部分が重くなるほど濡れてきた。
鷹藤は浴衣の裾を割り、唇を太股に這わせながら遼子の下着を脱がせていく。

「トロトロだよ、あんたのココ。こんだけ濡れて、あんたこのまま帰れるのかよ」
膝裏を押さえ尻を心持ち掲げさせると、鷹藤は濡れてひくつく遼子の花弁に顔を近づけた。
「あんたの好きなことしてやるから」
すでに露にまみれた遼子の花弁を眺めながら鷹藤が言った。
「やぁっ、駄目!お風呂入ってないし、汗かいているもの、駄目なの!鷹藤君お願いそんなことしないで!」
脚を大きく開かれたままの遼子が慌てて鷹藤を押しとどめようとする。

滑稽な姿だが、遼子は必死だ。愛するものに自分の汚れた匂いなど嗅いで欲しくないのだ。
止めようとする遼子の抵抗が逆に愉しくて、鷹藤はいつも通り遼子の花芯に舌を這わせ始めた。
汗の塩気と、くせのない甘さがある遼子の蜜に、浴衣の中に封じられていた濃厚な女の匂いが
絡み合い鷹藤の脳を欲望が侵す。
鷹藤は遼子に見える高さまで太股を抱えあげると、それから襞の中に舌をねじ込んだ。
「やんっ」

音を立て遼子の膣道を舌で犯し続ける。襞の一枚一枚を数えるように舌で掘り起こす。
花芯には軽く歯を立て、溢れた蜜を行儀の悪い音をたててすする。
そして鷹藤はそれを全て遼子に見えるようにしていた。
「やぁっ、やんっ、駄目、恥ずかしいの…駄目ぇっ」
遼子は譫言のように抵抗の言葉を漏らすが、鷹藤は顔面に遼子の視線を痛いくらいに感じていた。
鷹藤が遼子を流し見ると、遼子は恥ずかしそうに顔を背けた。

「恥ずかしいんじゃなかったの?」
挑発するように囁き、遼子に顔を近づけると鷹藤は唇を重ねた。
遼子の汗や蜜の味を本人に味わわせるように舌を遼子の唇の中に押し入れる。
恥ずかしがっていたはずの遼子は、その味を楽しむかのように舌で鷹藤の口内を貪っていた。
情欲のスイッチが入った遼子に気をよくした鷹藤は、指を遼子の花芯に埋め膣壁を擦り、遼子を煽る。

「んんんっんっ」
遼子の吐息が甘さと荒さを増していく。
人混みの中で感じた汗の匂いとは違う、心地よい女の匂いで鷹藤の部屋が満たされていく。
鷹藤はおもむろに唇をはずすと、恋人の耳元で囁いた。

「どんな味がした」
「いやらしい…味…」
とろけそうな瞳で鷹藤を見つめながら遼子が言った。

「そんな顔になるってことは…ここに俺のが欲しいんだろ、もう」
埋めたままの指を激しく揺り動かすと、割れた浴衣の裾から淫らがましい水音が立つ。
浴衣の襟をずらし、乳房にむしゃぶりつきたいがしっかり着付けられた遼子の浴衣は簡単に脱がせられそうにない。
鷹藤は浴衣の女を脱がせる初めての経験に戸惑いながらも、丁寧に包まれたプレゼントの包装を解く手順と同じように
一番外側でそれを包んでいる帯からはずしていくことにした。
377花火の貌 5:2011/09/05(月) 22:56:15.04 ID:gjf2i+ng
しかしただ脱がせても面白くない。
遼子の膣道を犯す指にもう一本添え、それを少し曲げ膣壁の遼子が乱れるポイントを刺激してやりならが脱がせることにした。
中指と人差し指で膣道のざらつく壁をこねくり回し、親指で花芯をさすってやる。
「あああっすごいっあああんっ」
激しく顔を振り、上擦った声で遼子が啼く。
指を動かす手を止めず空いてた方の手で遼子の帯をはずしながら、鷹藤が声を潜めて言った。
「声大きいと隣の部屋に聞こえるぜ」
その言葉を聞いて遼子が手の甲に唇を当て、軽く歯を立てながら必死に声を堪えはじめた。
忍び啼く声の合間に、蜜が飛び散る音が響く。
蜜つぼから飛び散る蜜は遼子の内側で快楽に溶ける心を示すように白濁し粘度を増していた。

美容院でセットされたであろう遼子の髪も乱れ、きちんと着付けられた浴衣の襟元は解けその下からブラジャーの肩紐が見え隠れしている。
ブラジャーの肩紐を鷹藤が唇でずらし、乳房にむしゃぶりつくと遼子が隣室への配慮など忘れ、喉を晒しまた喘いだ。
身をよじり乱れ悶える遼子の動きで帯が解け、伊達締めだけで繋ぎとめられた浴衣が蝶の羽のように床に広がっていく。
浴衣の中央で遼子が鷹藤の唇と指で乱されて、蜘蛛の糸に絡め取られそこから逃れようとする蝶のごとくに身をくねらせていた。
その姿を見て我慢ができなくなった鷹藤はベルトをはずし、デニムを押し下げると遼子の花弁にあてがった。

「欲しい?」
黒く濡れた瞳をせつなげに光らせ、遼子がうなずいた。
遼子の中から鷹藤が指を引き抜く。
遼子の口元にその指を持って行くと、鷹藤の指から滴り落ちる己の蜜を赤い舌で舐めとり、口内に迎え入れた。
指の愛撫を受けながら、鷹藤が己を遼子の花弁にあてがうと奥深くまで突き入れた。
「はあっ」
熱く潤む遼子の肉の道が鷹藤自身を包み込んでいく。
このシチュエーションが遼子を燃え立たせるのか、いつも以上に遼子の肉の道は蠢き締め付けていた。
「すげえな、あんたのここ」

声を出せない遼子は、代わりに鷹藤の指を軽く噛み鷹藤自身がもたらす快楽に耐えようとしていた。
ほつれた髪が幾筋も頬に垂れ、赤い唇に男の指をくわえ込む遼子の姿は凄絶なまでに淫らだ。
眼前に繰り広げられる光景もまた快楽のひとつ。
そして遼子とつながったところから、痛いほどの快楽が鷹藤を襲う。

「そんなに欲しかったんだ。すげえ締めてくる」
「だって、こんな風にされたら誰だって…やああああっ」
遼子の右足を抱えると、鷹藤が激しく突き始めた。
ぬちゃ、にゅちゃ、ぐちゃっぐちゃっ、ぬぷっ。
遼子の花弁から溢れた蜜が鷹藤の腰に潰され、女の羞恥心を煽るような音を立てる。

「やだっこんな音・・・あああんっす、すごいのっ」
鷹藤に揺さぶられ乱れながら、遼子が叫んだ。
「もっと欲しいんだろ」
遼子の両手を掴むと、繋がったまま遼子の上半身を起こしてやる。
鷹藤が下になりその上に遼子が跨がる。
ほつれた髪に半裸の浴衣姿の遼子を鷹藤は下から眺め楽しみながら、その光景にいっそうの彩りを加えるべく、
今度は下から遼子の躰が跳ねるほど強く突き上げはじめた。
378花火の貌 6:2011/09/05(月) 23:01:20.41 ID:gjf2i+ng
「ひゃっ…ああああんっ」
コンクリートの壁で遮られたマンションとはいえ、これほどの声なら周囲に聞こえるかもしれない。
だが周囲の住民に乱れよがる自分の声を聞かせることの恥ずかしさよりも、突き上げる鷹藤の肉の棒がもたらす
快楽だけが遼子を満たしていた。
揺れる度に遼子の肩から浴衣がずり落ち、白い肌が露わになっていく。
悦楽から汗を帯びた遼子の肌がシルクのような光沢を得ていた。
締め上げる遼子の膣壁の心地良さもさることながら、それ以上に眼前のこの光景が鷹藤の視覚を犯し快楽を高めていた。
鷹藤の背筋に終局の予感が走る。
鷹藤は歯を食いしばりそれに耐えながら、汗を滴らせ遼子を突き上げ続ける。
脳髄が溶けそうなほどの快楽を、そう簡単に手放したくはない。

パソコンのモニターでは、鷹藤が撮った花火の写真がスライドーショーモードになっており、自動的に次の写真が映し出されていた。
鷹藤の上で揺れる遼子の横顔を、その花火の赤や緑が彩っている。

「あっはぁっ、あああっ、やああああっ」
遼子を突く湿った破裂音が部屋中に響き、遼子の喘ぎ声がそれに重なった。
鷹藤がどれほど拒否したとしても、快楽には終わりがある。
「もうだめ、だめぇっ」
遼子の躰が細かく震えはじめた。それと同時に蜜壷が鷹藤を一際強く締め付ける。
鷹藤はもう射精を堪えることができなくなっていた。
「やんっ、あああっ、ああっ!いくっ、いっちゃう!」
その言葉を合図に、鷹藤は遼子の胎内に樹液を迸らせた。
花火に照らされながら達した遼子が、痙攣しながらゆっくりと鷹藤の上に身を投げ出した。


まだ半裸に近い状態で浴衣を身にまとった遼子を後ろから抱きながら、鷹藤は情事のあとの余韻を楽しんでいた。
「汗の匂いなんか気にならなかったろ」
そういってから、鷹藤は汗で光る遼子のうなじに口づけた。
「うん…」
まだ絶頂のけだるさから抜けきっていない遼子が、鷹藤の腕枕で床に横たわったままパソコンのモニターにうつる花火を観ていた。
「そういえば、さっきあんたが言ってた会いたい人の顔を探す話だけどさ、相手のこと見つけられたのか」
遼子が鷹藤の腕の中で軽く首を横に振った。
「そうか。残念だったな」

家族の不在を思い知るようで行けなかった花火大会だったが、遼子となら行けると思ったのは―――遼子となら
前を向いて新たな生活を作っていけるような気がしたからだ。

鷹藤はそれほどにまで思っていたが、遼子の心はまだ誰か別の面影を追い求めているのだろうか。
手の届かない誰かのことを。
そう思うと少し寂しかった。

「でもね、わたし、途中から探すのを止めたの。…後ろばかり向いて、大事なものをもう無くしたくない。
今、鷹藤君と一緒に居られて、私とても幸せだから」
その言葉に鷹藤の鼻の奥がつんとした。
「だから来年もまた行こうね、花火大会」
そう言って遼子が自分を抱く鷹藤の手を取り、指を絡め合わせた。
「ああ」
自分の声が少し潤んでいることに気付きながら、鷹藤は答えた。


お目汚し失礼しました。
ちょっとセンチメンタルな鷹藤になってしまったw
379名無しさん@ピンキー:2011/09/06(火) 09:15:27.52 ID:gxrH62Y1
いやいやいや、鷹藤の部屋での浴衣プレイも素晴らしいです!
鷹藤に見事にエロエロ開発されている遼子が可愛すぎるw

これで新スレ移行ですかね?
3スレ目にして初登場の史朗ちゃんに期待!
380名無しさん@ピンキー:2011/09/07(水) 21:25:54.58 ID:x9sqBQQ8
新スレ…立てられるかな?

何か入れた方がいい文言などありますでしょうか。
381名無しさん@ピンキー:2011/09/07(水) 23:20:13.81 ID:x9sqBQQ8
LVが足りず、新スレ立てられませんでした…すみません。
382名無しさん@ピンキー
>>380-381
代わりに新スレ立てておきました↓

アンタッチャブル 事件記者 鳴海遼子その3
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1315481308/l50

これでまだまだ萌え続けられるw