【あかほん・濱中】氏家ト全 31時間目【妹・生徒会】

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1名無しさん@ピンキー
前スレ
【あかほん・濱中】氏家ト全 30時間目【妹・生徒会】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1284051863/
過去スレ
【あかほん・濱中】氏家ト全 29時間目【妹・生徒会】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1258008134/
【あかほん・濱中】氏家ト全 28時間目【妹・生徒会】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1243252379/
【あかほん・濱中】氏家ト全 27時間目【妹・生徒会】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1230295418/
【あかほん・濱中】氏家ト全 26時間目【妹・生徒会】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1220494538/
【あかほん・濱中】氏家ト全 25時間目【妹・生徒会】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1210176219/
【あかほん・濱中】氏家ト全 24時間目【妹・生徒会】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1196308247/
【あかほん・濱中】氏家ト全 23時間目【妹・生徒会】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1179570516/
【あかほん】【濱中】氏家ト全総合 22時間目【妹】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1167016800/
【あかほん】【濱中】氏家ト全総合 21時間目【妹】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1158053539/
【あかほん】【濱中】氏家ト全総合 20時間目【妹】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1153304002/
【あかほん】【濱中】氏家ト全総合 19時間目【妹】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1150028186/
【濱中アイ】氏家ト全総合 18時間目【妹は思春期】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1145727127/
【濱中アイ】氏家ト全総合 17時間目【妹は思春期】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1142255932/
【濱中アイ】氏家ト全総合 16時間目【妹は思春期】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1139468699/
【濱中アイ】氏家ト全総合 15時間目【妹は思春期】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1137258988/
【濱中アイ】氏家ト全総合 14時間目【妹は思春期】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1135925974/
【濱中アイ】氏家ト全総合 13時間目【妹は思春期】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1134125251/
2名無しさん@ピンキー:2010/11/01(月) 02:17:24 ID:E08sENPh
過去スレ続き
【濱中アイ】氏家ト全総合 12時間目【妹は思春期】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1132404885/
【濱中アイ】氏家ト全総合 11時間目【妹は思春期】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1129514442/
【濱中アイ】氏家ト全総合 10時間目【妹は思春期】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1127110404/
【濱中アイ】氏家ト全総合 9時間目【妹は思春期】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1125079101/
【妹】氏家ト全総合 8時間目【濱中アイ】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1122381257/
【濱中アイ】氏家ト全総合 7時間目【妹は思春期】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1120910446/
【濱中アイ】氏家ト全総合 6時間目【思春期】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1118937114/
【女子大生】氏家ト全総合 5時間目【思春期】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1117279379/
【家庭教師】氏家ト全総合 4時間目【思春期】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1114597887/
【カテキョ】氏家ト全総合 3時間目【妹】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1109699736/
【濱中】氏家ト全総合 2時間目【妹】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1106563195/
家 庭 教 師 濱 中 ア イ
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1095652398/
3名無しさん@ピンキー:2010/11/01(月) 02:18:37 ID:E08sENPh
古田氏作のSS保管庫(旧保管庫、更新停止)
ttp://yellow.ribbon.to/~hamanaka
SS保管庫wiki (新保管庫)
ttp://wiki.livedoor.jp/uziietozen/d/FrontPage
4名無しさん@ピンキー:2010/11/01(月) 02:19:12 ID:E08sENPh
【お願い】
作品の投下は以下のようにしてくれると助かります。
(1).投下します宣言
(2).本編投下
(3).ここまでです宣言
5名無しさん@ピンキー:2010/11/01(月) 02:19:37 ID:E08sENPh
また、作品のタイトルは上記の(1)、(3)のどちらでも良いのですが、
1行独占で書いてくれると助かります。本文に紛れると見落としてしまうことがあるので。
↓こんな感じ
タイトル:「?????」
名前欄はこれまで通り作家さんのコテでよいです。
6名無しさん@ピンキー:2010/11/01(月) 02:20:00 ID:E08sENPh
【氏家ト全作品】
・女子大生家庭教師濱中アイ(週刊少年マガジン連載、完結。単行本全6巻)
・妹は思春期(週刊ヤングマガジン連載、完結。単行本全10巻)
・アイドルのあかほん(週刊少年マガジン連載、完結。単行本全1巻)
・妹はひまわり組(別冊ヤングマガジン連載、完結。妹は思春期の二巻から収録)

・生徒会役員共(週刊少年マガジン連載中、単行本は現在第4巻まで)
・ハナとプチ(シリウス読み切り。生徒会役員共&オールキャラクターズに収録)
7名無しさん@ピンキー:2010/11/01(月) 08:01:47 ID:YvcL8Ava
イチモツ
クンニ!
8名無しさん@ピンキー:2010/11/02(火) 07:10:36 ID:e5ZFsAAe
シノ「新スレが立ったのか。これはもう>>1モツと言うしかないな」
タカ「それを言うなら>>1乙でしょうが・・・・・・」

>>7
盗用・翻案スマソ・・・・・
9前編5 ◆vLXBuC8goU :2010/11/02(火) 13:16:00 ID:RAtVqB+i
憂鬱そうな面持ちにて指定された場所へと向かう少女がいた。桜才生徒会書記を務める七条アリアだ。

 昨日のことだった。いつもの生徒会活動を終えて、さああとは帰宅するばかりとなった夕刻。
 一学年下で後輩の津田タカトシから声を掛けられた。
 いわゆる天然なところがあり、また人の感情の機微にやや疎いところがあるアリアにも、タカトシが極度の緊
張状態であることを察することができた。
 それくらいタカトシの表情は硬かった。
 タカトシからの要件は実に簡潔なものだった。

 『相談に乗ってほしいことがあるので、少しお時間をいただけますか』と。
 
 どこか改まったタカトシのその口調にアリアは困惑したものの、お稽古の時間まででいいならと返した。
 不思議に思えてならなかった。普段、相談事とくればタカトシはシノへとしていたはずだった。
 時折、その場に同席することもありはしたものの、あくまでもメインはシノ。
 自分はオマケとしているにすぎないと、アリアはそう解釈していた。
 それがどうしたことなのだろうか。タカトシは親友ではなくて自分を指名してきた。
 そしてシノもスズも下校したことで、ふたりきりとなった生徒会室にて。
 心臓の鼓動が早くなるのを感じていたアリアへとタカトシが話したことは、

 『あなたのことが好きです』

と、まっすぐなまでの告白だった。
 なにを言われたのかすぐさま理解できずにフリーズしてしまったアリアを、タカトシは忍耐強く待った。
 衝撃的だった。
 数瞬置いて我に返ったアリアは思わず『えっ、私?』と、タカトシ以外は自分しかいない室内を動揺の余りき
ょろきょろと見回してしまったほどに衝撃的だった。
 
 『先輩はお金持ちのお嬢様でオレはしがない中流家庭の息子ですから、つり合いが取れていないことは十分に
 理解しています。でももうじき先輩と会長は生徒会から引退していなくなってしまう。そう考えると我慢でき
 なくて……。
 だからそのつまり、オレの彼女……いや、オレを先輩の彼氏にしてください』

 顔面にびっしりと脂汗を浮かべて、まったく余裕のなさそうな様子で告白してくれたタカトシ。
 その彼の姿は、ただただ可愛くて可愛くてしょうがなかった。異性から愛を告げられて気をよくしない人間な
どいない。
 もちろん、アリアもまたそうだった。
 どこか甘酸っぱい空気が立ち込めてきた生徒会室にて、電子メロディー音が流れてきた。自分のものだと気づ
いたアリアは、タカトシへとごめんねと告げて確認する。
 バッグから取り出して端末を開いてみれば、液晶画面に出島さんと表示されていた。
 次いで時刻を確認したところ、出島が校門へと迎えにきている時間であった。
 そろそろ出ないとお稽古に間に合わなくなってしまう。そのため、タカトシに返事は明日まで待ってほしいと
告げて、アリアは慌ただしく生徒会室をあとにした。
 そのため、どこか暗い色の笑みを湛えたタカトシの姿に気づくことはなかった。

 その日の晩。
 お稽古を終えて屋敷に帰ったアリアは悩んでいた。
 タカトシからの告白にどう返事をすればいいのだろうかと。
 女子だけでなく男子をも引いてしまう重量感たっぷりの下ネタを繰り出すアリアではあるが、そういった純
10前編6 ◆vLXBuC8goU :2010/11/02(火) 13:17:07 ID:RAtVqB+i
粋な恋愛経験はまったくゼロの状態であった。
 地元だけでなくて全国的にも顔の利く名家のご令嬢。
 しかしながらありがちな箱入り育ちではなく、両親の教育方針もあり小学校・中学校はともに公立校と、それ
なりに異性と接する機会があった。
 だがそれでも、男子生徒および同性が好きな女子生徒がアプローチを掛けてくることは皆無だった。
 迂闊に手を出そうものならアリア本人ではなくて、彼女の実家より裏からどのようなことをされるのかわかっ
たものではないのだから。
 つまり、アリアは人生初の告白を受けてしまったわけで。
 どのようにすればいいのかと煩悶するばかりであった。
 とてもじゃないが冷静ではいられなかった。天蓋付の豪奢なベッドの中央にてふかふかの枕を抱えたアリアは、
タカトシのことを考えてみる。
 タカトシのことをどう思っているのか。
 嫌いではない。いや、どちらかといえば好きなほうだと思う。
 容姿それなり、運動もまたそれなり、そして成績面もそれなり。
 以前、誰かがそうタカトシのことを評していた。
 しかし、生徒会メンバーとしての身内贔屓な面もあるかもしれないが、平均値は十分に超えているとアリアは
考える。
 確かに物足りない面もあり、まだまだ頼りないところもあるにはある。
 それでもそれをタカトシ本人が自覚しており、真摯に取り組んで自分に足りないところを埋めていこう自身を
磨こうと努力するところを、シノとスズだけでなくてアリアも高く評価している。
 異性のことをここまで真剣に考えたことが、はたして今までの人生であっただろうか。
 ぽふっと愛用の枕に顔を埋めるアリア。
 お日様のにおいがした。
 出島を始め多くの使用人たちが毎日掃除を頑張ってくれていることにより、布団だけでなく枕もちゃんと日に
干されている。
 身体がぽかぽかしてくるのを感じていた。寝具からのものだけではない。タカトシからの告白を受けたことを
思い出すとよりそれは顕著となった。
 しかし、実際のところどうなのだろう。
 タカトシのことは好きだ……たぶん。
 ただ告白を受諾し付き合うとすればそう遠くない将来に、男女の契りを交わさなければならない日が来ること
だろう。
 いくら真面目で優しく紳士的なタカトシといえど、そういった性的なことに間違いなく興味があるはずだ。
 だが今の時点では、タカトシのことを肌を重ねあって愛し合いたいと思うまで好きであるとは、またそのレベ
ルに達するまで彼のことを好きになれるかはわからない。
 下ネタを連発するアリアといえど、お年頃の乙女でもあるのだ。
 生涯にただ一度きりの初体験。
 本当に心からこの身を捧げたいと思える相手とそのときを迎えたい。
 ふぅっと景気の悪いため息をひとつついて、そして考えがまとまった。
 津田タカトシはその人ではない。告白は断ろうと。




                                   (続く)
11 ◆vLXBuC8goU :2010/11/02(火) 13:19:22 ID:RAtVqB+i
以上で投下完了です。お付き合いいただいた方、お疲れ様でした。

自分のミスでスレをまたぐ形となってしまいまして、申し訳ありません。

後編へと続きます。それではまた。
12名無しさん@ピンキー:2010/11/02(火) 17:56:03 ID:l+SiBRYk
乙&GJ!
後編楽しみにしてます!
13名無しさん@ピンキー:2010/11/02(火) 18:35:00 ID:26ONuwRl
>>1
>>11
14名無しさん@ピンキー:2010/11/02(火) 19:02:25 ID:FuwgsejP
ストックホルム?に掛かってるシノかわいいよシノ
15名無しさん@ピンキー:2010/11/02(火) 23:07:51 ID:Zy8Wp/Xd
>>1
>>11 GJ 続きが気になったぞ、俺の下半身をどうしてくれる。
16 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/02(火) 23:33:43 ID:Zy8Wp/Xd
連レス失礼しま。

前スレ>>424からパクったプロットを文章化してみた。
してみたらハロウィンに間に合わなかった。
それどころか未完状態だけど、これ以上季節外すのも良くないと思って投下。
続きはそのうち書く。エロくなるまで書く。とにかく俺に餌をくれた>>424に感謝。
タカトシ×カエデです。
タイトル:男の娘と女の子
以下、諸注意。ピンと来たらNG推奨。

・今までもアレなくらい長かったけど、それより長い。超長い。大体40行×19レス。
・今回投下分で全体構想の半分未満。今後も長い。
・つまり未完なので半端で終わり。しかも全くエロくない。紳士は特に注意。
・女装ネタが苦手な人も注意。
・キャラ違い上等という覚悟。
・要するに真面目で平凡なラブコメ。死にたい。
・ハロウィンパーティの内容とか会場とかが原作と違う。
・やたらとイケメン扱いされる津田。

それでもよろしければ。
17 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/02(火) 23:34:46 ID:Zy8Wp/Xd
男と女は生物学的には同種の生物であるが、俗説としては全く別の生き物である、と言う意見がある。
身体の構造は違う、力が違う、価値観が違う、etc。
異性が苦手な人間と言うのは、要するにこれらの違いを受け入れがたい者の事だ。
五十嵐カエデの男性恐怖症は、男性へのトラウマに起因するものではない。
五十嵐が男性と価値観を共有出来ない事……否、自分は男性の価値観を共有出来ない、と深く思い込んでしまっている事による。
男は不潔。男はいい加減でだらしない。男はふしだら。……と言った具合に。
逆に、もしその思い込みが消えてなくなってしまえば。

………………………………………………………………………………

「……うむ、中々似合うな」
「やっぱり徹底的にやった甲斐があったわ」

桜才学園生徒会室の中心で先輩二人からの謎の賛辞を浴びつつ、津田タカトシは己の身に降りかかった災難の意味を考えていた。
一体自分が何をした。いや、確かに遅刻しかけたけれども。
ハロウィンの仮装イベントが今日であることも知っているけれども。
それが自分が女装を強要される理由になるのだろうか。いや、ならない。
生徒会室に入室した途端に素早く服を剥がれて、代わりに魔女の衣装を着させられる理由になるだろうか。いや、ならない。
金髪ウィッグを被らされ、脚の毛という毛を剃り尽くされ、付け睫毛に付け爪に青いカラーコンタクト、あげくファンデーションを基礎とした無駄に徹底したお化粧をされる理由になるだろうか。
ならねぇっつってんだろ。津田は毒づいた。

「なんなんです、これ……」
「見ての通り、ハロウィン用の衣装だぞ。魔女っ娘の」
「オレの衣装は吸血鬼だったと思うんですが」

津田は立ち上がり、自分の今の姿を眺める。
黒くて鍔の広い尖り帽子。黒いマントと竹箒。
簡単ではあるが要点を押さえた、まさしく完璧な魔女の衣装であった。
ちなみにマントの下は、どこの店で買ったのか、テカテカのコスプレ用のセーラー服。
購入先が気になったが聞かない方が精神衛生上はよっぽど健康である。
代わりに、よくサイズあったなーと、現実逃避に似た無駄な考えが津田の脳裏によぎった。
怒りを通り越して呆れ、諦めが先立つ。ふふふ、と女々しい津田の薄ら笑いを見て、七条が満足げに頷いた。

「うんうん、津田君、可愛いよ。
 意外とお肌も綺麗だったし、化粧も乗りやすくて助かったわ」
「オレは助かってません……」

七条が全ての元凶であった。
服を剥いて化粧を施したのは、他ならぬ彼女だ。
18 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/02(火) 23:35:26 ID:Zy8Wp/Xd
ちなみに脚の毛を剃ったのは。

「どこからどう見ても完璧な白人美少女だ。写真を撮っておくか」
「勘弁してください」

T字カミソリを手にしている天草は、腕組みして真顔でそう言っていた。
イベント事当日の天草は普段よりもテンションが高く、すぐに羽目を外したがってしまう困った少女であった。
しかしその割には彼女の仕事ぶりは丁寧且つ完璧で、津田は元々毛の薄い男であったが、脚はそれこそ最初から毛なんて生えてなかったかの如く綺麗に剃り尽くされている。
決して会長が毛を剃り慣れている訳ではない。……訳ではないと思う。
津田は人の育毛事情の詮索を早々に切り上げた。今は自分の事情で精一杯だ。

「なんの罰ゲームですか、これ」
「今流行の男の娘だ。
 私としては本格的にふたなりっ娘を目指したかったんだが」
「もう喋らないで下さい」

津田は青筋を額に浮かべながら静かにそう言った。
余興で脚の毛まで剃られた津田としてはここで如何な反駁をしようとも許されるだろうが、彼自身にそんなつもりはなかった。
過ぎた事は仕方がない。
入学当初から周りに流されつつもやってこれた津田にとっては、この事件すら大した問題ではない、と言えた。
この一時だけなら別に良いや。さっさと脱いでしまおう、と帽子の鍔に手をかけた時。
天草がとんでもない事を口にした。

「折角だし、今日は一日その格好をしてもらうか」
「それは良いわね。津田君、結構似合ってるし」
「箒に跨がっても、男は擦れないだろうしな」
「当たり前だ」

先輩二人のとんでもない会話に割って入る金髪の美少女、津田。
ちなみに今の所蚊帳の外である萩村は、どうやら津田の着替えを直接見る勇気がなかったらしい。一部始終そっぽを向きつづけ耳まで真っ赤になっている。
普通の女子はこうやって反応するのにこの二人ときたら……。さしもの津田でも突っ込みどころの多さに頭を抱えていた。

「勘弁して下さいよ、一日このカッコって……」
「君には悪いが、もう時間がない。ちゃんとその格好で来るんだぞ」
「そうだよ。さ、私達も準備しなきゃ」
「え、ちょっと待」

ハロウィンパーティ開始まではまだ三十分程はある筈なのだが、天草と七条は口を尖らせる。
二人ともそんなに着るのに時間がかかるような手の込んだ衣装ではないのだが、これは単なる津田から逃げる口実だった。
津田の返事も聞かずに足早に生徒会室を後にする先輩達二人。
目の前で無情に締まる生徒会室のドアの前で、津田は立ち尽くしていた。
19 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/02(火) 23:36:03 ID:Zy8Wp/Xd
まさか、本当にこの格好で行かなきゃいけないのだろうか。
この格好で、クラスメイトと顔を合わせなきゃならないのだろうか。
暫く呆然とした後、後ろを振り返る。復活したらしいチビッコいジャックランタンが、無機質で邪悪な微笑みをこちらに向けていた。

「……萩村」
「なに?」
「オレ、どうすればいいかな」

萩村は逡巡した後、津田の脇をすり抜けて扉に手をかけた。

「……似合ってるわよ」

諦観の念を込めて萩村が呟いた。つまりは、そう言う事だった。

………………………………………………………………………………

風紀委員長五十嵐カエデは、その日も校内の見回りを敢行していた。
特に今日は生徒会主催のハロウィンのイベントが開催される。
であれば、生徒会はイベント進行に手を回さざるを得なくなり、校内のパトロールも碌に出来ない。
イベントともなれば、生徒達も気が高揚して、学生としては逸脱した行動をとる可能性も考えられる。
だからこそイベントの間は風紀委員会の出番であると、少なくとも五十嵐カエデは熱意に燃えていた。
見回りは委員長としての義務ではないのだが、使命ではあると五十嵐は信じていた。
風紀委員と言う立場は、ある意味では生徒会以上に身の振りに気をつけなければならない。
例え全校生徒を敵に回そうとも、風紀委員は校則厳守を以て善しとするのだ。それが五十嵐の信念であった。
いつも以上に辺りに気を配る五十嵐の前方から、二人の女生徒が姿を現す。

「なんか、やっぱり落ち着かないなぁ」
「案外誰も気づかないんじゃない?」

一人は背の低いジャックランタン。顔は見えないが、背丈から、彼女が萩村スズである事は明白である。
もう一人は背の高い魔女。青い瞳、色白で金髪。五十嵐にとって見覚えのない人物であった。
黒いマントの下はセーラー服。だが、女性にしては背が高い。
一体誰だろうか。五十嵐は懸命に記憶を辿るが、やはりあの女性の姿は浮かんでこない。

「あ、五十嵐先輩」

五十嵐に気づいた萩村が、声をかけてきた。
20 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/02(火) 23:37:02 ID:Zy8Wp/Xd
五十嵐は笑顔で手を挙げて返し、そして彼女の隣の黒い布の塊を再度見やる。
ステレオタイプの魔女のコスプレに違いはないのだが……この違和感はなんだろう。
モヤモヤした気分を抱えながら、五十嵐は魔女に目をやる。

「そちらはもしかして、萩村さんのお友達かしら?」

五十嵐の意外な反応に、萩村も津田も驚愕した。
どうやら五十嵐は、この魔女がコスプレをしている少女……のコスプレをしている津田だと気づいていないらしかった。
傍目から見れば無理はない。七条謹製のメイクアップにより、津田の外見は完璧に女性のそれである。
更に言えば、青い目に金髪と言う日本人離れした容姿が、上背の高さと化粧による肌の白さに言い訳の余地を与えてしまっていた。
帽子とマントの襟で、顔が少し隠れてしまっている事も勘違いの要因である。
だからこそ五十嵐は、その少女が萩村と親しげに話していたにも関わらず、津田を津田と認識出来ないでいた。
萩村さんは帰国子女だ。遠い海の向こうから彼女の友人が遊びにきているのだろう。
五十嵐は、その自分の結論に疑問すら抱かなかった。

「初めまして、風紀委員長の五十嵐カエデと申します」
「………………」
「あ、もしかしてあんまり日本語がわからないのかしら。Nice to meet you」

何故か笑いを堪えるように肩を震わせる萩村を怪訝に思いつつも、五十嵐は萩村の友人らしき少女に手を差し出す。
握手を求めているようだが、当然津田は躊躇する。
一応気づいてないらしいが、流石に握手すれば手の堅さとかでバレるんじゃないか?
男性恐怖症の五十嵐が、男の自分の手を握れば卒倒するのでは?
そんな懸念なぞどこ吹く風の五十嵐は、未だに手を引っ込める気配はない。
萩村も成り行きを静観している。
どうすればいい、と目で尋ねてみても、カボチャの向こうにある萩村の瞳に津田のアイコンタクトは届かない。
ええい、ままよ。津田は五十嵐の手を握り返した。
五十嵐の手の冷たい感触が返ってくる。普段の五十嵐なら身体を震わせて、津田の手を振り払うだろう。
……しかし五十嵐は平然としている。どうやら、バレてはいないらしいが。

「ど、どうも」

流石に声色でバレる。津田はそう確信していたのだが、五十嵐は津田の声を聞いて微笑みを返した。

「あら、日本語お上手なのね。お名前は?」
「名前って……」

オレは津田ですよ、と言いかけるが、咄嗟にその言葉を飲み込む。
今ここで真実を言えば、五十嵐先輩はどう反応をするだろうか。
取りあえず震えながら手を振り払う。
そして、どうして女装しているのかを問われる。
21 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/02(火) 23:37:34 ID:Zy8Wp/Xd
正確に答えようにも、そもそも五十嵐が信用してくれるかどうかも怪しい。
そのまま変態扱いされるのが関の山ではなかろうか。
だったら、いっそこのまま嘘を突き通してしまった方がいい。
津田は思い直して、口角を上げて微笑みながら、普段より高めの声を出した。

「私、タカコっていいます」
「……!」

隣の萩村が絶句しているのが分かるが、この際そのまま黙っていてもらおう。

「そう、タカコさん……と言う事は、日本の方?」
「父はアメリカ人ですが、母が日本人なんです」

咄嗟に設定を捏造しながら、冷や汗を垂らす津田。
五十嵐が一切疑問を持っていない事が救いであるが、隣の萩村がいつ爆発するかが怖い。

「その格好は……ハロウィンの?」
「はい。今日はイベントがあるとスズちゃんに窺いまして。
 折角誘ってもらったんで、参加させて頂く事になりました」
「そうですか……似合ってますよ」
「ありがとうございます」

五十嵐は感心したように津田を上から下まで眺め、一つ頷いた後にようやく津田の手を離した。
いつ感づかれるか背筋が寒くなるような思いだったが、五十嵐が気づく気配は全く無い。
まるで男性恐怖症なんて嘘なんじゃないか、と津田が思うくらいに五十嵐の所作は自然だった。

「桜才学園にようこそ、タカコさん。これから、よろしくね」
「よろしくお願いします」

丁寧におじぎをする五十嵐に、津田は帽子とウィッグを押さえて頭を下げる。
そして顔を上げた先にあった五十嵐の人懐っこい笑みを見て、津田は戸惑いを覚える。
普段見る彼女の表情は大抵脅えた顔もしくは不機嫌そうな仏頂面。
それもそうだ、恐怖の対象である男の自分を見て、彼女が笑う筈がないのだ。
新鮮な五十嵐の側面を見れて、少し得をした気分になる津田であった。

「では、私はこれで。
 ハロウィンパーティの方にも、後で少し顔を出しますので」

五十嵐は二人の脇を抜けて、そのまま階段の踊り場へ消えていく。
その背中が完全に見えなくなった頃。萩村が蚊の鳴くような小声で尋ねてきた。
22 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/02(火) 23:38:08 ID:Zy8Wp/Xd
少し顔が赤いのは、津田の気のせいではない。

「ねぇアンタ今、私の事ス、スズちゃんって……」
「ん?萩村、何か言った?」

あまりに無神経な津田の言動に、萩村は呆れて盛大に長嘆した。
期待したのが間違いだ、と話題を五十嵐に戻す。

「……何で素直に言わないのよ」
「バラしても良い事ないだろ?」

津田は既に声のトーンを戻していた。声色に面倒臭そうな色を添えつつ。
まさかこの時のその場限りの嘘が招く結果なんて、まるで考えもしないまま。

………………………………………………………………………………

ハロウィンパーティの会場は体育館であった。
パーティに参加している生徒達は何かしら怪物のコスプレをしている。
フランケンシュタイン、吸血鬼、狼男にジェイソンまで居る。
しかし大体の生徒は生徒会が用意したジャックランタンか魔女の帽子を身につけている。
七条先輩が大量に持ってきた猫耳を借りている、別の意味で気合いの入った女生徒もそこそこ見受けられた。

「割と人集まったわね」
「カボチャが無駄にならなくて良かったよ」

部室で飽きる程カボチャの顔を彫っていた津田は、満足げに嘆息した。
体育館に並べられた幾つもの長机には、甘い香りを放つクッキーを始めとした菓子類が並んでいる。
参加人数分に十分に行き渡るかどうか不安だが、いざと言う時は焼き足しすれば良い。
仕事の大半が準備段階でのものだったので、津田と萩村がやらねばならない事は精々見回り程度であった。
だからこそ津田は見回りに神経を研ぎすます。具体的には周りの視線に。

「あ、スズちゃん!」

背後から声が聞こえた。隣の萩村が振り返る。津田は咄嗟に萩村から一歩離れた。
頭に猫耳を乗せた轟ネネが二人の背後から駆け寄ってきた。津田は振り向かずにそのまま前を見つめ続ける。

「みんな向こうに居るよ。スズちゃんも来なよ」
「そう。ありがとう、ネネ」
「そう言えば、津田君知ってる? さっきから探してるんだけど見つからなくて」

萩村が隣の魔女を見上げた。魔女は小さく首を横に振る。萩村は小さく頷き、轟に向き直る。

「さぁね。どっかで寝てるんじゃない? 疲れてるって言ってたし」
23 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/02(火) 23:38:40 ID:Zy8Wp/Xd
「ふぅん……大変なんだね、生徒会って」
「アイツが軟弱なのよ。それよりみんな、どんな格好してるの?」
「皆面白いし、可愛いよ。例えばムツミちゃんとかは……」

徐々に遠ざかっていく二人の声。
津田はそれを確認し、嘆息する。萩村の隣に居ればクラスメイトには流石にバレるし、無闇にからかわれるリスクを増やす必要もない。
五十嵐の手前、自分の正体を知る人間は少ない方がいい。今日一日は完全に別人として過ごそう。
津田は決意を新たに、一先ずクッキーでも摘もうと手近な皿に手を伸ばす。

「あ、すみません」

誰かの手に触れた。
振り向いて手の持ち主を見やると、ついさっき別れたばかりの女生徒が立っていた。

「あら、タカコちゃん」
「五十嵐さん……」
「奇遇ね」

行儀のいい事にクッキーを一つ齧って一々飲み込んでから五十嵐は口を開く。
頭に乗っけている黒い三角帽は津田のものと同形であり、対照色だからか、栗色の髪がよく映えていた。
津田は一つ咳払い。少し声の調子を上げて、にこやかに挨拶を返す。

「そうですね、ついさっきぶりです」
「こら、口に物を入れたまま喋らないの」
「す、すみません」

流石は風紀委員長。細かい部分の作法にまで睨みをきかせている。

「五十嵐さんも魔女の格好ですか」
「えぇ。ジャックランタンは肩が凝るもの。
 猫耳は……その、恥ずかしいし」
「そうですね」

確かにそうだ。津田は自分が猫耳を付けた情景を思い浮かべてみる。
……今の外見ならまだしも、元の自分がつける場面は想像しても気持ちのいいものではない。
それを人に見られるとなれば、今のこの格好よりもよっぽど恥ずかしい気さえする。

「でも、五十嵐さんなら、案外似合いそうですけどね」
「そ、そうかしら……?」

津田にそう言われて、案外まんざらでもなさそうな五十嵐。
24 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/02(火) 23:39:19 ID:Zy8Wp/Xd
自分の周りの猫耳少女を見回して、五十嵐は少し口を尖らせて唸る。

「折角だし、借りて……いや、しかし……風紀委員長の私があのような……」
「悩む余地はあるんですね」
「い、いえ! 別にそう言う訳では」
「良いと思いますケド。こんな日じゃなきゃそんな格好出来ないし」
「そ、そうかなぁ……」

照れながら困ったように目を泳がせて口元を緩める五十嵐の姿は、津田にとって一々新鮮であった。
五十嵐は風紀委員長と言う肩書きの意味する通り、もっと固い人物だと思っていた。
彼女が普通の女の子然としている姿を津田は想像した事もなかったせいだろう。
この人はこんな顔も出来るのか……。当たり前の事だが、それでも津田は完全に虚をつかれていた。
惚けて固まってしまった津田を、五十嵐は不思議そうに見る。

「……どうしました?」
「い、いや! なんでも」

津田は慌てて取り繕い、二つ目のクッキーを齧って間を持たせようとする。
五十嵐は誤魔化された事に首を傾げるが、大して気にはかけていないようだった。
だが恥ずかしげに目を逸らしている津田を眺めて、ふと五十嵐は呟く。

「タカコさんって、不思議な人ね」
「不思議って……え、え? どこがですか?」

バレたのか、という不安を抱くが、それは津田の杞憂であった。

「なんだか、初めて会った気がしないわ。
 自分でも不思議だけど……なんででしょうね」
「さぁ……」

だって初めてじゃないし。津田はその言葉を心に留めた。
五十嵐は少し津田に近付いて、帽子の鍔が額に当たる程の至近距離から、目を細めて津田の顔を見つめる。
異様に近くからジッと見つめられる津田は、心臓の動悸が早まるのを感じた。
やばい、流石にここまで近いとバレる。津田は少し身を反らせて、ちょっとでも距離を稼ごうとする。
しかしその分五十嵐は近付いてくるので、結局逃げる術はない。
殆ど身体を密着させるようにしても尚、五十嵐は注視をやめない。

「何処かで……お会いしませんでした? 本当に?」
25 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/02(火) 23:40:02 ID:Zy8Wp/Xd
五十嵐の、クッキーの甘い匂いのする吐息に頭を揺さぶられながら、津田は必死で答える。

「もしかしたら過去に会ったかもしれませんケドどっちも覚えてないんですし」

少し声の裏返った津田は早口で捲し立てた。
五十嵐は胸中の妙なつっかえにケリがつかない事を不満を覚えつつも、一応は津田の意見に納得を示し、顔を遠ざけた。
ようやく安堵できた津田は、未だに激しい心音を抑えつけるように胸に手を置く。

「それもそうね」

五十嵐が満面の笑みを津田に向けた。
まるで慈愛に満ちた母のような、しかし元気溢れる少女のような笑顔。
頬に出来たえくぼを見るのは、津田にとっては紛れもなく初めてであった。
ある意味では初対面と何ら変わりないな。津田はそう結論づける。
女として五十嵐の自然体と接する機会が男の津田にある筈がない。
恐怖症と言う制限を持たない五十嵐とは、津田も初対面であった。

「さてと、そろそろ見回りに戻らなければ……。
 折角日本に来たのですし、楽しんでいって下さいね」
「あ、ありがとうございます」

五十嵐は胸の脇で小さく手を振って、津田に軽く会釈しながら振り返り、人混みの中に消えていく。
あの人の新たな面を知れたのは良かったケド、これは少し心臓に悪いな。
津田は五十嵐の背中を見送って胸を撫で下ろす。
これでようやく一心地つける。そう、津田は思っていた。
なのに、何故。
何でこんなに動悸が激しいんだ。危機は去ったのに、どうしてさっきより心臓がうるさいんだ。
五十嵐の満面の笑みが、瞼に焼き付いて離れない。
……ちょっと驚いただけだ。五十嵐さんがあんな顔する所なんて、初めて見るから。
無理矢理であったが、津田は自分にそう言い聞かせた。
その結論に懐疑的な自分の本心からは、今の所は目を背けつつ。

………………………………………………………………………………

「お疲れ様、津田君」

パーティを終えて生徒会室で先に休んでいた七条は、草臥れた様子で入室した津田に労いの言葉をかける。
26 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/02(火) 23:40:33 ID:Zy8Wp/Xd
帽子をウィッグごと脱ぎ去った津田は、スカートを穿いているにもかかわらず脚を開いたまま椅子の背もたれに寄りかかった。

「何だか疲れてるみたいね」
「本当ですよ……もう金輪際勘弁して下さいね」
「あらそう?意外と楽しそうだったじゃない」

そう言ってお茶を差し出す七条。津田はすみません、と一気に茶の半分程を飲み干した。
気疲れのせいだろうか、適度に熱い茶が身体の芯に染み渡る。
残りの茶も飲み干して、津田はマントの紐を解きつつ言う。

「どう見たら楽しそうに見えたんですか。
 誰かにバレないか戦々恐々でしたよ」
「でも、見ている分には楽しかったよ」

そうそう、七条先輩ってこういう人だよな。津田は既に諦めていた。
セーラー服のスカーフを解くのに躍起になっていた為、次の七条の言葉は完全に不意打ちであった。

「五十嵐さんと仲良くなれたみたいだしね」
「…………え」
「随分楽しそうにお話してたじゃない。タカコちゃん、だっけ?」
「あ、アレはバレたら後が面倒だと思って仕方なくですね……」

優雅に緑茶を啜る七条は、狼狽える津田に容赦なく言及を続けた。
津田もすぐに我に返る。別にやましい事は何も無い訳だし。必死に言い訳するまでもない。

「向こうは全く気づかなかったみたいですケド。
 今となっては騙しているみたいで悪い気がしてます」
「……今はそれでいいよ」

七条は少し物憂げに、湯呑みを見つめて呟く。
空気が変わった事に気がついた津田は、だらけた格好を正して七条の言葉を待つ。

「五十嵐さんって、男性恐怖症でしょう?」
「そうですね……」

今までの彼女の行動を鑑みれば頷ける。異性と触れ合うだけで身体が震え、近付くだけで脅える程の、正真正銘の男性恐怖症だ。
男性不信が原因ではないらしいのだが、症状は軽いとは到底言えないだろう。

「シノちゃんも前からその相談を受けててね……。
 色々と考えてはいるんだけど、どれも上手くいかないって」
27 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/02(火) 23:41:06 ID:Zy8Wp/Xd
「………………」
「私は、やっぱりちゃんと男の子と触れ合う機会が五十嵐さんには足りないって思ったの。
 だから、きっと一度でもちゃんと誰かに向き合えれば克服出来るんじゃないかって。
 そのためには、やっぱりどんな形であっても、一度男の子と交流出来れば……」
「まさか、七条先輩……」

津田は唾を飲む。まさか、彼女はそこまで見越してオレにこんな女装を……化粧までさせて?

「そのために、オレに魔女のコスプレを」
「それは、単に面白かったからだよ?」

盛大な肩透かしを喰らった津田を見て微笑む七条は、そのまま話を続ける。

「でも、偶然に偶然が重なって、五十嵐さんも今日、津田君と普通に接する事が出来たわ」
「オレと、って言うか架空の女の子と、ですよ」
「それでも、大きな一歩だよ。だからさ」

七条は少し身を乗り出して、津田に微笑みかける。
目に宿る光は、輝きと表現すべきかギラつきと表現すべきか迷うような光り方をしている。

「これからも度々、その格好してみない?」
「……七条先輩、絶対楽しんでますよね」
「私も楽しめて、五十嵐さんの男性恐怖症も直せて、津田君も女装に目覚めて、一石三鳥だわ」
「オレが目覚めるのは利じゃねえ」

しかし、激しいツッコミの割には、津田は案外まんざらな気分ではなかった。
この格好なら、五十嵐先輩と普通に話せる。それは魅力的と言えない事はない。
でもたったそれだけのために色々と犠牲にする必要があるのだろうか。
……津田は少しだけ迷い、結局止めだと結論づける。

「オレは遠慮しま」
「五十嵐さんが男性恐怖症のままでいいの?」
「え」
「学生のうちはまだ良いケド、社会に出たらどうしても男の人と接する機会はあるわ。
 結婚もして、子供を産んだりもするかも知れないでしょう。
 でも、五十嵐さんが今のままじゃ……きっととても苦労するわ。
 治すなら、今が一番良いと思うの。千載一遇のチャンスなのよ」
「………………」
「ね、津田君。人助けだと思って」
28 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/02(火) 23:41:37 ID:Zy8Wp/Xd
「うっ」

まるで天草が乗り移ったかのように真剣に懇願する七条。
津田は悩んでしまった。女装への逃げ道が開けてしまった。
人助け、と言うワードは非常に卑怯だ。ここで断れば悪人扱いされてしまう。
だから津田は曖昧に首を縦に振る事しか出来ない。

「……気が、向いたらって事で」
「うん。よろしくね」

そこで生徒会室の扉が開き、草臥れた様子の天草と萩村がなだれ込んできた。
二人の会話はそれによって中断され、再び騒がしくなる生徒会室に、先程までの真面目な空気は押しのけられてしまった。

………………………………………………………………………………

気が向いたら、と言うのは津田の気が向いたら、の意だと津田は思っていた。
勿論彼はそのつもりで言ったし、普通に言葉の意味を捉えれば間違っていないのだが、短い言葉はいかようにも都合良く解釈出来る。
例えばこの場合の七条の曲解は『私の気が向いたら』であった。

「……どうでしょうか、お嬢様」
「凄いわ、出島さん。とても急ごしらえとは思えない。
 私がやった時よりもよっぽど完璧な女の子だわ」

ハロウィンから丁度一週間後の翌週土曜日。
呼ばれたのが津田一人だけと知った時点で、津田は嫌な予感はしていた。
わざわざ津田家の前に黒塗りのリムジンが止まった時に、津田は確信と諦観を極めていた。
謀られていると気づいてしまった事はある意味幸運だった。
七条家に到着早々に出島に襲いかかられて、あっという間に服(下着含む)を持っていかれた事に、大した驚愕を覚えなかったからだ。
抵抗したし、抵抗が無駄だと言う事も知っていたし、自分はこの際どんな女装でもやってやろうという覚悟もその時には決まっていた。
それでも津田は悲しみに暮れていた。主に出島さんに全裸を見られてしまった事に対して。
一方の出島は特別何の感慨もないらしい。男性慣れしているからだろうが、それはそれで津田は癪であった。

「この服、どうしたんですか?」
「私の私服の中でサイズ一番大きいの物を選びました」

津田の当然の疑問に、出島は丁寧に腰を折り畳んで、平然と言ってのけた。
今津田は七条の部屋の中心に立たされて、女二人に穴が空く程眺められている。
視線を意識しないように、着せられた服を見下ろした。デニムジーンズに白の裾の広いチュニックと言う簡単な格好で、スニーカーに至っては津田の自前の物だ。
女性としては長身の出島の服とは言え、男としてもそこそこの体格がある津田に合うサイズが殆どなかったのだろう。
中性的な服装でありそれだけでは単なる適当な女装だが、七条のそれを遥かに凌駕する出島の化粧技術が、女装独特の違和感を完全に打ち消していた。
29 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/02(火) 23:42:07 ID:Zy8Wp/Xd
ちなみに金髪ウィッグとブルーのカラーコンタクトは既に装着済み。これはデフォルト装備らしい。今回はパッドとブラのオプション付きだ。胸の辺りの違和感が気持ち悪い。
津田の周りをグルグルと回っていた七条が満足げに鼻から息を抜いてガッツポーズ。

「これなら大丈夫だね!」
「何が大丈夫だと……」
「五十嵐さんとのデート」

相変わらず重い言葉も平気で吐く七条。
津田は困惑を隠せないし、隠すつもりもなかった。

「……五十嵐さんと? デート? オレがですか?」
「うん。二人っきりで。
 あ、五十嵐さんにはもう昨日、連絡入れてあるから心配要らないよ」
「そこの心配はしてません」

冗談ではない。この場合の二人っきりと言うのは勿論津田と五十嵐を指す。
実は最初からこうなる予感はしていたが、出来ればそれは夢物語であって欲しかった。

「大体、なんで二人っきりなんですか」
「お嬢様はこれから華道の教室へ行かねばなりません」
「ごめんね。本当は付き添いたかったんだけど……。
 スズちゃんもシノちゃんも用事があるらしくって」

謝る七条からは、ビックリする位誠意が感じられなかった。津田にはそれが分かってしまった。
だったらデートの予定の方を取り下げればいいのに。
そもそも華道教室がある事くらい分かってたでしょうが。これはわざとだろ、絶対。
そんな事を言い出してもどうせ誰も聞きやしないから、津田の口からは溜め息が漏れるばかりだ。

「五十嵐さんとは駅前に待ち合わせております。
 華道教室までの道程ですので、そこまでお送りしましょう」
「頑張ってね、タカコちゃん」

そういう要らん気遣いは出来るんだな、アンタらは。
金髪ウィッグ越しに頭を掻いて、津田は大人しく出島に言に従い、七条家を後にした。

………………………………………………………………………………

七条が来れないと言う連絡を受けたのはついさっき、所謂ドタキャンだ。
携帯電話をポケットに仕舞い込んで五十嵐カエデは駅前で一人、憤慨していた。
一体なんなんだ、これは。
昨日の晩に突然電話で七条から土曜の予定を聞かれて、空いていると答えれば一緒に出掛けようと言う。
30 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/02(火) 23:42:45 ID:Zy8Wp/Xd
彼女とは特別仲良くはないが断る理由もないと、急な誘いではあったが、五十嵐はOKした。
そして今日、少し早めに出て待っていれば、集合時間五分前に『ごめん、他の大事な用事ができちゃった』である。
電話口で『もう一人の子はちゃんと行くから』と言ったのも減点だ。
もう一人居るなら前もって言っておいて欲しい。小五月蝿い姑のような事を考えながら、堅物の五十嵐は苛ついていた。

「あの人は本当に……マイペースというか」

巻き込まれるこっちの身にもなって欲しい。五十嵐の偽らざる本心であった。
いっそ帰ってしまいたかったが、もう一人来るのであればこの場を去る訳には行かない。
時計を気にしながら待っていると、集合時間三分後に、背後から声がかかった。

「すみません、遅れました!」
「あら、貴方は……」

やってきたのは、背の高い金髪青眼で色白の少女。簡素でボーイッシュな服装は中々様になっていた。
そう、この人は確かハロウィンパーティで見た……。

「タカコちゃん、だったわよね」
「はい」

女性にしては少し低めの声で、息を整えながら彼女はそう答えた。
もう一人と言うのはてっきり天草だと考えていた五十嵐は、安堵の溜め息を吐いた。
天草は悪い人ではないが、少々癖が強い。下ネタを堂々と吐く彼女は苦手だった。
ハロウィンの時に知り合ったこの少女は、中々人懐っこく、親しみやすい人だったと記憶している。

「貴方、七条さんともお知り合いだったのね」
「えぇ。本当に、色々と良くして頂いてます……」

何故か尻窄みに呟くタカコに……津田に、五十嵐は妙な影を感じるが、次の瞬間、津田は既に顔を上げていた。

「それよりも、どうします、今日」
「そうね。……どうしようか」

女二人……もとい、男一人と女一人、額を突き合わせて唸る。
七条主催だったせいで、殆ど二人ともノープラン。
味気ないが取りあえずは適当にぶらついて間を持たせよう。先に結論を出したのは津田だった。
しかし、口を開こうとした途端の事である。
グゥ、と音が聞こえた。津田の腹の辺りから。
今朝は早くから七条先輩の家に連れて行かれて、朝食も碌に摂っていない。津田は今更それを思い出した。
時間は正午ちょっと過ぎ。いい加減津田の腹の虫が不機嫌になっていた。
31 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/02(火) 23:43:14 ID:Zy8Wp/Xd
音はしっかりと五十嵐にも届いており、彼女は思わず吹き出して破顔した。

「とりあえず、ご飯にしましょうか」
「………………」

津田は恥ずかしさで顔を赤らめて俯きつつも、黙って首を縦に振った。

………………………………………………………………………………

その後のデート自体は至って普通の過程をなぞった。
ファミレスで食事、駅前をウインドウショッピング、そしてゲームセンターで気の向くまま遊び倒す。
男と女のデートと考えても、ギリギリ及第点程度は取れるような、楽しい時間を過ごせた。
そう。素直に楽しかったと、津田は今日一日のデートに満足していた。
津田は隣でプリクラの画面を興味深げに操作する五十嵐を横目で見つめつつ、今日一日を振り返る。
トイレに中座する際は細心の注意を払い、自分の思う女性らしい仕草を立ち振る舞いの随所にちりばめた。
今日のデートのあらゆる場面で正体がバレないかどうか背筋を寒くしていたが、特に感づかれた様子はない。
猛烈な気苦労とストレスを感じているが、不思議と辛いとは思わなかった。
癒しの要因は、他ならぬ五十嵐の存在であった。
ファミレスで馬鹿な話に花を咲かせ、財布と相談しながら窓の向こうのバッグや服とにらめっこし、喧しい音と光が飛び交うゲームセンターではしゃぐ、五十嵐カエデであった。
真面目一辺倒だった彼女のイメージは、津田の中では完全に過去の物となっていた。
真面目は真面目だが、緩める所は緩められる、オンオフのメリハリが出来る女性。
津田の中の五十嵐像は、それで固まり始めていた。
その隣の五十嵐は、未だにプリクラの画面操作に四苦八苦している。
至近距離で画面を注視しながら渋面を作り、低く唸る五十嵐を見かねて、津田は声をかけた。

「五十嵐さんは、プリクラはあんまり撮らないんですか?」
「え、えぇ。結構前に撮って、それきりです。
 その時も操作は友人に任せっきりでしたし……。
 なんだか、最近のは色々と面倒ですね」
「……ちょっといいですかね」

面倒と言うよりはバリエーションが増えただけだが、確かに要求される操作は増えている。
津田は五十嵐の背後から手を伸ばして、代わりにプリクラを操作してやる。
津田も到底慣れているとは言えなかったが、飲み込み自体は早く操作の方法はすぐに理解出来た。

「フレームは……これなんかどうでしょうか。
 あぁ、でも後で落書きするんならあんまりゴテゴテしてない方が……。
 そうだ、明るさはどうしましょう。ちょっと明るめの方がいいのかな。
 撮影モードって……なんだこれ。五十嵐さん、わかります?」

津田は五十嵐に尋ねようと、目の前で背中を向けている五十嵐に声をかける。
32 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/02(火) 23:43:52 ID:Zy8Wp/Xd
しかし、暫く待ってみても返事はない。

「……五十嵐さん?」

流石に怪訝に思った津田が五十嵐の顔を横から窺う。
すぐ目の前、目と鼻の先に五十嵐がいた。彼女の凛々しい横顔が間近にある筈だった。
しかし、津田の目に映った五十嵐の顔はどういう訳か惚けたような表情。
頬が桃色に染まっていて、彼女は胸に手を当てて肩を窄めていた。
急に縮こまってどうしたんだろう。津田はその理由を考え、すぐに正解を見つける。
今の自分の体勢を考えてみればわかる。津田は五十嵐の背中から、殆ど抱きついているような格好だ。
彼女の肩の辺りに顔を置いているような、身体をくっつけた状態なのだ。
擬似的な密室空間での密着。それが今の現状であった。津田はようやくその事実に気がついた。

「す、すみません!」

津田は慌てて身を引く。
平時の津田だったら到底そんな事はしなかった筈なのだが、今の津田は女装中と言う特殊な状態であった。
普通に仲の良い友達の距離で接してしまった。でも、オレ……と言うか『私』は五十嵐さんの友達、って事で良いんだよな。
もしかしてバレたのか?あんだけ近い所から声を聞けばバレて当然だけど、彼女の様子を見る限り、オレに脅えている訳ではないらしい。
じゃ、バレてないのか?だったらくっついても別に何とも思わないだろう。
なのに五十嵐さんはどうしてこんな顔をしてるんだ。ああもう何が何だか分からない。
頭の中で疑心と焦燥がせめぎあう混乱の極地の中、津田は頭を抱えてしゃがみ込んでしまいたい衝動を必死で押さえていた。

「……別に、謝る必要はありません」

五十嵐は津田に振り返り、冷静な声を取り繕ってそう言った。
顔にはまだ少し朱が差しているが、そこに津田を拒否する顔色は浮かんでいない。
それだけで津田は心の底から安堵を覚える。

「そう、ですね」
「はい。……兎に角、一度撮ってみましょう」

口調が少々固くなった五十嵐は、何かに急かされるように画面上を適当に操作して、早々に撮影までこぎつけた。
プリクラの可愛らしいアナウンスがカウントダウンしているが、津田の耳にはその言葉が入ってこなかった。
隣の五十嵐もそれは同じなのだが、津田がそれに気がつく事はとうとうないまま、撮影は終了した。

………………………………………………………………………………
33 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/02(火) 23:44:37 ID:Zy8Wp/Xd
外はいつの間にやら夕暮れを過ぎ、濃紺の空に一番星と月が並んで輝いていた。
津田と五十嵐は、少し距離をおいてゲームセンターを後にする。
気まずい。少なくとも津田はそう感じていた。
先程のアレ以降、五十嵐は口を閉ざしたままだし、声をかけようにも話題が思い浮かばない。
兎に角、この空気を一刻も早く打開しなければ。
頭は依然として明瞭ではないが、津田は二歩前の五十嵐の肩に手を置こうと脚を速める。
しかし五十嵐は背中に目でも付いているかのように津田の手を躱し、振り返った。
顔色はすっかり元に戻っている。
それどころか、今日の楽しかった思い出すらも何処かに置き忘れたかのような仏頂面で、津田を見た。

「時間も遅いですし、そろそろ帰りますよ」
「……はい」
「学生の身分で夜遊びは厳禁です。
 特にゲームセンター等への入場は制限されますのでタカコさんも、まっすぐ家に帰って下さいね」
「わかりました……」

津田の返事で満足したのか、五十嵐は津田に背を向けて、そのまま町の雑踏へ消えていく。別れの挨拶もなしに。
津田は追いかけようかとも考えたが、すぐに足を止めた。かける言葉がなかった。
諦めよう。今日はもう、帰ろう。疲れたし、さっさと寝よう。
津田は自宅へ足を向けるが、そこで携帯電話が唸りを上げる。
……七条からのメールであった。華道教室終わったからいつ服取りに来ても大丈夫だよ、とある。
人質に取られている私服の回収と、今着ている女装の返却。これだけは最低限やらなければならない事だ。
携帯電話に八つ当たりしたい気分を押し殺して、津田はトボトボと七条家へと方向転換した。
まるで証明写真でも撮ったかのような、無表情の二人の美少女の映るプリクラを握りしめながら。

………………………………………………………………………………

走るような早さで自宅の玄関に飛び込み、ただいまも言わずに自室へのドアを開け、電気も付けずにそのまま床に寝転がる。
薄暗い自室の中で、五十嵐は自分の顔の熱さの原因を考察する。
原因は分からない訳では無い。プリクラ機の中で起こった、事件とも呼べぬ事件のせい。
一体どうしてしまったんだ、私は。
気さくで気遣いの出来る気だてのいい娘。五十嵐はタカコをそう評価していたし、今でもそれは変わらない。
早々に彼女と別れたのは、あの子に原因があるのではない。私のせいだ。
プリクラの狭い空間の中で身体を寄せて、耳元で何でもない言葉を囁かれた時、何故か思考が停止した。
茫洋とした状態で彼女の顔を見た時、何故か心臓が暴れ出した。
そう、まるで……恋煩いでもしたかの様に。

「……そんなの」

そんなのおかしい。五十嵐は首を振って、その考えを必死に追い出す。
私は女。タカコちゃんも女だ。
34 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/02(火) 23:45:05 ID:Zy8Wp/Xd
確かに私は男性と接するのは苦手だけど、それは同性愛に端を発するものではない。
男性が嫌いだから女性に走ったりした訳でもない。
女性を恋愛の対象として考えた事なんて、人生でたったの一度だってない。
理想とする男性像だって漠然としているがあるにはあるし、将来的にはまだ見ぬ誰かと結婚するつもりだってある。
女の子に恋をするなんて、五十嵐にとっては有り得ない状態であった。
有り得ない、有り得ない。そう心の奥で呟けば呟く程、五十嵐はタカコの事を意識せざるを得ない。
思い出される彼女の声、顔、仕草。
女性としては大きい身体。少し低い声。頼りがいのある言動。
中性的な女性だとは思っていたが、それが自分が恋をする理由になるのだろうか。
いや、ならない。即座に五十嵐は自己否定した。
どれだけ男前に感じても、彼女は女性なんだ。だからきっと自分のこの気持ちも、一時の気紛れだ。
男性恐怖症がたたって、自分も段々訳が分からない状態になっているんだろう。
この性分は早めに治したいものだ。五十嵐は一心地ついて安堵の溜め息を吐く。
身体を起こすと、暗い部屋の一点から光が放たれている。
携帯電話が鳴っていた。相手は七条アリア。今の事態の遠因とも言える学友からの着信である。

「もしもし」
「あ、もしもし?ゴメンね、今日行けなくて」

声色こそ申し訳なさそうであるが、あまり反省している様子はない。
五十嵐は持ち前の洞察力でそれを察するが、今はそれに言及しても詮無いことだ。

「それはもう良いです。それで、何か用が?」
「用って程でもないんだけど、今日どうだったかなぁって。
 楽しかった?」
「えぇ」

楽しかった事に間違いはない。五十嵐は素直にそう返した。しかし七条の方は首を傾げる。

「そう?でも津……タカコちゃん、何か辛そうだったよ?」
「……辛そう?」
「うん。帰り際、家に服を取り……じゃなくて、ちょっと用事があってね。
 話聞いたんだけど、五十嵐さんを怒らせちゃったみたいだって」
「別に怒ったりは……」

全く記憶にない、とは言えなかった。
今日の別れ際を思い出して、五十嵐は深く反省した。
今にして思えば、あの時は自分の気持ちの整理も碌に出来ないで、ただただ普段通りの自分の行動を思い出して実行する事で精一杯だった。
別れの挨拶をした覚えもない。風紀委員長が聞いて呆れるような無礼な振る舞いだった。
まるで八つ当たりで照れ隠しをする幼い子供じゃないか。五十嵐は自分に呆れた。
35 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/02(火) 23:46:13 ID:Zy8Wp/Xd
「別に怒っていたのではありません。
 ですが……タカコさんには悪い事をしました。
 申し訳ありませんが、代わりに謝ってもらっても」
「……代わりに?」

七条が鸚鵡返しに問う。不満点を取り上げて再び五十嵐にぶつけるかのように。

「私が代わりに謝っていいの?」
「……」

遠回しに非難されているのは当然分かるし、七条の言いたい事も頷ける。
自分で蒔いた種くらい、自分でどうにかしろ。
五十嵐はごもっともだと反省した。
直接彼女と口を聞くには少しばかり勇気が要るが、臆している場合ではない。
折角出来た友達が、自分のせいで苦しんでいる。それは真面目に生きてきた五十嵐にとって目を背けて良い事ではなかった。

「いえ、今の話はなかった事にして下さい。
 その代わりと言っては何ですが、タカコさんの電話番号を聞いても?」
「勿論いいよ」

七条は嬉々として番号を告げ、何度も確認した上でにこやかに電話を切った。
何だか踊らされているような気がしてならないけれど、今すべき事はタカコへの連絡である。
今日の事をちゃんと謝って仲直りを果たして、それから……。
日付を確認する。明日は日曜日。今日から続けて休日である。
出来れば……。五十嵐は心の内に決意を固める。
出来るのであれば、今日の私の行動の原因をちゃんと確認したい。
彼女に感じてしまったときめきが、偽であると証明したい。
五十嵐は貰ったばかりの番号に電話をかける。
そして、彼女の事を飽くまでも友人として好いていると言う事を、他ならぬ自分自身に示してやろう。

「あ、もしもし。五十嵐カエデですが」
36 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/02(火) 23:48:12 ID:Zy8Wp/Xd
半端だけどここまで。投下終了。続きは出来るだけ頑張る。
しょっぱなからスレの容量喰い過ぎだろコレ……。
お目汚し失礼しました。
37名無しさん@ピンキー:2010/11/03(水) 00:31:31 ID:SlcibcCg
早速の投下乙であります!
この引きは卑怯すぎるw続きが来るまで全裸待機せざるを得ない
38名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 01:57:19 ID:j1flgF4K
そういえば星単位の危機だったな


ゴセイナイトがあの笛守っちゃ駄目だったの?
39名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 01:57:40 ID:j1flgF4K
すみません完全に誤爆です
40名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 08:35:15 ID:nveUIZfG
うひょーGJ&乙!
心理描写上手いですねぇ
引き続き投下待ってます!
カエデ可愛いよカエデ
誤爆が出るくらい活気付いてきたこのスレに永久の幸あれ!
41名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 10:34:02 ID:c6wwxBm+
乙!

しかし新規職人さんたちの技量が半端ない
42名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 20:07:36 ID:ZKrzJ/tO
>>36
これは続きを期待せざるをえない

新規の職人さんもだけど、新しく来た住人もスレに定着してくれるといいな
43名無しさん@ピンキー:2010/11/05(金) 21:48:53 ID:2WOpvwop
ここにきてカエデの人気が上昇していますな。
44名無しさん@ピンキー:2010/11/05(金) 23:04:48 ID:0uMRTm1T
カエデって、ちょっとでもタガ外れたらとんでもねーエロ娘になりそうだw
45名無しさん@ピンキー:2010/11/06(土) 12:47:41 ID:FD70nhRg
そろそろトッキーの人気も上昇する頃だな
46名無しさん@ピンキー:2010/11/06(土) 13:42:49 ID:TXcnje/H
トッキーは二期に期待。
声優誰になるかな?
ブラックラグーンでレヴィやった人とか?
47名無しさん@ピンキー:2010/11/06(土) 18:08:14 ID:hZSra62x
シノってミサキやカナミよりは胸あるよな
48IQ180少女の苦悩 その5:2010/11/07(日) 06:43:14 ID:DlnrjKDX
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1284051863/396
または
http://wiki.livedoor.jp/uziietozen/d/IQ180%be%af%bd%f7%a4%ce%b6%ec%c7%ba%a1%a1%a4%bd%a4%ce%a3%b4
IQ180少女の苦悩 その4
の続きー

------------------------------------------------------------

「津田。この資料なのだが表にして欲しいんだ」
「そのバインダーの終わりのほうにグラフをつけておきましたけど、それでもいいですか?」
「…む、これはなかなかうまく纏めているな」

 所は生徒会室。いつものような会議の最中、シノ会長に褒められた津田タカトシを
嬉しそうに見ているのは萩村スズだったりする。
 七条アリアが尋ねる。
「津田君。ポスターの原稿ってできてるかしら?」
「はい。これです」
「あら、素敵なイラストね」
「どういたしまして」
「なるほど。なかなかよく描けてるじゃないか。ところで校内用はどんなだ?」
「え? 今日中に必要なのは校外用だけじゃなかったんですか?」
「昨晩メールしたじゃないか」
「すいません、充電切れてて見てませんでした」
「じゃあ校外用しかないのか。それはまずいな。印刷所には今日中に二枚原稿を出さないといけないんだ」
 ちょっと慌てるタカトシは言う。
「仮で作っといた文字だけ版のはあるんですけど、絵柄はまだです」

 そんなタカトシにスズはファイルを突きつける。
「津田。ほら、去年と一昨年の校内ポスターよ。これ参考にしてちゃっちゃと今仕上げちゃいなさいよ」
「あ、ありがとう萩村」
「じゃあ私が絵を描くわ〜」
 タカトシが文字レイアウトをパソコンで打ち、ポスカを手にアリアがフリーダムな絵を書き始める。

 そんなタカトシとアリアを見ながら、生徒会長の天草シノは嬉しそうにスズに言う。

「……しかし萩村は大人になったな」
「え?」
「今までだったら、『なんでそんなのもやってないのよ!』とか怒ってるところだ。
 なのにちゃんと前向きな対応が出来たのはやはり津田のような大きな男といっしょに生徒会で活動しているからだな。
 ……ああ、もちろん「大きな」というのは股間のイチモツのサイズのことを言ってるわけじゃないぞ?」
「…ナニ言ってるんですか」
 呆れながらもアリアと一緒に作業しているタカトシを見ながら、どこか寂しそうな顔でツッコむスズ。
「やはり成長したな。一年の頃の萩村だったら『そんな下品な事いわないで下さい!!』と怒ってるところだ」
「…そうでしょうか」
「ああ、間違いない」

 そんな生徒会活動も終わり、タカトシとスズは一緒に下校しようとしている。
 シノがそんな二人をからかうのはいつものこと。
「萩村は今日も津田の家庭教師をやるのか。大変だな」
 微笑みながらアリアも続ける。
「頑張ってねスズちゃん」

「しかし津田のは萩村には大きすぎるかも知れないな」
 いつものようにシモなネタを続けるあたりはシノらしいといえばシノらしい。
「まあ。それは一大事ね」
 顔色一つ変えずに続けるアリア。
「津田。あんまり深く入れないようにするんだぞ。萩村が裂けちゃうかもしれないからな」
 いつもどおりの口調で、いつものようにシノが言う。
49IQ180少女の苦悩 その5:2010/11/07(日) 06:43:47 ID:DlnrjKDX
 いつもどおりの口調で、いつものようにシノが言う。

――ピシ

 スズの胸の奥で、何かにヒビが入るような音がした。

 普通ならばスズは完全にスルーしていたであろうそんな軽口だったが、なぜだか今回だけはどうしようもできなかった。
 それはスズがずっと悩んでいたことだったから。
 どんなにタカトシのことが好きでも、タカトシとは結ばれることができない。
 タカトシに女の子のすべての初めてを捧げたいと思っても、果たすことができない。

 夜寝るときも、朝起きたときも、タカトシとキスをして別れたすぐ後にもスズを苛むそんな重くて暗い悩み。
 スズの心の一番奥にわだかまるそんな黒い疼痛はずっとスズを悩ませ続けていた。

 だからスズはどうしてもガマンできなかった。


「そんなことはまだしてません!!」
 スズは会長とアリアにそう叫ぶ。






 一瞬の沈黙の後、シノとアリアは反応する。
「…ほう」
 驚いた表情で意味ありげに頷いてみせるシノ。
「……まあ♥」
 びっくりしつつも楽しそうな笑顔で口に手を当てるアリア。

 そして、その言葉を発した三秒後に自分の言った言葉の意味を理解してしまうスズ。
『まだ』
 今はまだ。今のところは。きっとそのうち。

 言い訳をしようにも、頭の中が真っ白になってしまったスズは何も言えずに顔を真っ赤にしたまま口をぱくぱくさせることしかできない。

 そんなスズの視界をタカトシが遮る。
「…会長。アリア先輩。俺と、萩村は、付き合ってます!」
 あまり広くない生徒会室にタカトシの緊張気味の声が響く。

「……俺が萩村のことが好きで、告白して、付き合い始めました!
 悪いのは俺です!
 処分するのなら俺だけを処分してください!」

 スズを庇うようにシノとアリアの前に立ちはだかるタカトシ。
 タカトシは腰を直角に折り頭を下げている。

 こんな緊急事態なのに、タカトシの男らしさにスズは何故だか息が苦しくなってしまう。
 タカトシに今すぐ抱きつきたい。キスをしたい。
 そんな気持ちが胸の中に溢れてきてしまう。

 だから。
 だからこそ、スズはタカトシにそんなことをさせてはいられなかった。

 誰がなんと言おうと、それは絶対に正しいものだったから。
 スズを抱きしめてくれるタカトシの腕は暖かくて、硬く太くて、優しかった。
 その腕に抱きしめられる以上の幸せなことは、スズの17年の人生の中で一度も無かった。
 タカトシが好きだと言ってくれて、抱きしめてくれるのは間違ったことじゃないから。
 タカトシがキスしてくれるときの幸せな気持ちは、絶対間違っちゃいない。
50IQ180少女の苦悩 その5:2010/11/07(日) 06:44:09 ID:DlnrjKDX
 校則がなんと定めようが、タカトシとの関係を間違っているとは言わせない。
 だから、スズはタカトシの腕を取りタカトシの頭を上げさせる。
「津田は悪くないです!」
 そう叫びながら、スズは生徒会長天草シノに立ち向かう。
 タカトシを守るため。
 タカトシと自分の関係を守るため。
 その小さい身体を張って生徒会権力に立ち向かう。


 しかし、それに対する生徒会長の言葉は予想外のものだった。

「まあ、悪くはないだろうな」

「え?」
「…」

 驚いた表情のタカトシと、声にならないスズ。

 タカトシは言う。
「あの、その、俺と萩村は付き合ってるんですよ?」
「だからどうした?」
 クールな答えの天草シノ。
「まあ。ラブラブなのね」
 七条アリアは嬉しそうに微笑んでいる。

「……。わが校の校則では校内恋愛は禁止だが、校外であれば恋愛は自由だ」
「そうよ。スズちゃんと津田くんが好き同士ならなにも問題はないわ」

 そんな風に、二人の関係は何気に問題なく生徒会の中に受け入れられてしまった。
 あっけなく。拍子抜けするくらいに自然に。








 下校途中。
 顔を赤くしたスズは、タカトシと手をつなぎながら下校している。
 普段ならそんなことはしないのだが、今日はなぜかそんな気分らしい。
 でもその小さな手のひらがかすかに震えてるのをタカトシは見逃さない。

「萩村大丈夫? 震えてるけど、体調悪いの?」

 タカトシの手のひらがスズのかわいらしいおでこに当てられる。

「風邪かな。今日の勉強会中止にしようか?」
「…っ!! ち、違うから! 風邪とかじゃないから!」
 そう言いながらタカトシの腕に捉まるようにしている萩村スズ。
 タカトシがシノに対して二人の関係を告白したときから、スズはおかしくなっていた。
 スズの小さな胸の中で、言葉にならない熱いなにかがぐるぐると渦巻いている。

 スズはタカトシと腕を組みながら玄関に入る。
 玄関ドアが閉まった瞬間、靴を脱ごうと屈んでいたタカトシは何かに押し倒される。

 それはタカトシの身体の小さな彼女であり、熱に潤んだ瞳の可愛い女の子だった。
51IQ180少女の苦悩 その5:2010/11/07(日) 06:44:52 ID:DlnrjKDX
 スズが震えながら玄関の上がり框の上で、タカトシを押し倒すようにしている。
 スズはタカトシに囁く。
「うち、両親、今日、いないから」
 そして有無を言わさずそのままキスをする。
 スズの小さな桜色の唇が、タカトシのそれに押し当てられている。


 そんなスズをタカトシは可愛いと思う。
 すごく可愛くて、とても大切で、片手で強く抱きしめながらその頬にもう片手を添えながらキスをしかえす。


 ただのキスでは満足しないのか、タカトシの舌を誘うように口付けしながらスズはその唇を軽く開く。
 誘われるようにタカトシの舌が薄い桜色のスズの唇を割り、その内側の粘膜を犯すように乱入する。
 スズの小さな前歯を舐め、歯茎を優しく撫で、口の中でおずおずと待ち構えているスズの舌を絡め取る。

 そしてタカトシはスズの口の中に唾液を流し込む。

 その熱さにスズの脳は焼き切れてしまいそうなほどの興奮を覚える。
 喉が無意識のうちにこくんと動き、タカトシの味のする唾液を飲下してしまうスズ。
 それは媚薬のように、スズの身体を興奮させる。
 その味が、タカトシの体臭を凝集したような、男っぽいけど不快ではないその味が、スズの女の子の器官をジクジクと熱くさせていく。

「萩村、舌出してみて」
 スズが興奮に震えながら舌を突き出すと、タカトシはその舌を唇できゅっとはさむようにして愛撫する。
 ちゅう、と吸いたくりながら、体温の高いスズの唾液を味わい、スズの口内に混ぜ合わされた二人の唾液を戻す。

 伸ばされた舌がひく、ひく、と動きタカトシにはスズがその唾液を嚥下したのがわかる。

 息苦しくなるまで二人のキスは続き、そして荒い息とともに二人はごく近くで顔を見合わせる。

「津田…私の部屋、連れてって」
 甘えるようにタカトシの首に抱きつくスズ。

 タカトシはスズの背中と膝の裏に腕を回し、恋人の身体を軽々と持ち上げる。

 タカトシの力強さと熱さを感じながら、スズは軽い恍惚感に包まれていた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ごめん今日はここまで
次回こそエチシーン有で完結する予定
もうちょっとだけ待って
52名無しさん@ピンキー:2010/11/07(日) 11:16:44 ID:3i/L+kTb
乙&GJ!
相変わらずスズが可愛い!!
全裸で期待してます!
53 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/07(日) 11:26:24 ID:2wLHKmDq
うおおぉぉぉ生殺しだ……
GJ!続き待ってます!
54名無しさん@ピンキー:2010/11/07(日) 18:58:00 ID:EsVh5mlK
みなさんGJ!



To.まとめwiki管理人さん
CC.スレ職人&住人皆様へ

新スレに移ったことですし、まことに勝手ながらまとめwikiを更新させていただきました
何分素人作業なので、色々粗があると思いますがご容赦ください
足りない作品、作者別まとめミス、カップリング別まとめミス等ありましたら、指摘していただければ適宜修正したいと思います
また、要望さえあれば題名の修正もいたしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします
55名無しさん@ピンキー:2010/11/07(日) 21:41:01 ID:rv6UQ6Kr
ここも日本シリーズに負けずに熱い!
56名無しさん@ピンキー:2010/11/07(日) 22:06:56 ID:y9vXOT5V
誰か柳本も書いてやれよw
57名無しさん@ピンキー:2010/11/07(日) 22:18:59 ID:7U5DezI+
柳本とかいらんだろ
このスレで主人公以外の男キャラが使われることなんてほとんどないし、柴原さんと付き合った鈴木君でさえこなかったんだしいらない
58名無しさん@ピンキー:2010/11/07(日) 22:46:16 ID:iPSCC0qW
>>54
お前さんも職人さんたちと同じくらいGJ&乙だ
59名無しさん@ピンキー:2010/11/07(日) 22:52:30 ID:1XCJd76x
敢えて出すとすれば柳本視点で見るタカトシ達とかかな
60名無しさん@ピンキー:2010/11/07(日) 23:11:05 ID:kwGv5PRu
俺的にはこのスレでトッキーの出番が非常に少ないのがつらい
61名無しさん@ピンキー:2010/11/07(日) 23:21:53 ID:y9vXOT5V
陵辱とか汚れ役はタカトシより柳本とかにやらせておけば良いと思うんだがなぁ
62名無しさん@ピンキー:2010/11/07(日) 23:31:19 ID:kYy5e5Dc
個人的な意見だけど、寝取られっぽくて嫌な感じだ
柳本を主役に据える場合の話だけど
63名無しさん@ピンキー:2010/11/07(日) 23:43:45 ID:RW7Mhusx
タカトシと少女の校内情事を偶然見てしまう柳本君ならどうか>柳本視点
64名無しさん@ピンキー:2010/11/07(日) 23:50:10 ID:O+mczhQF
色んなタカトシ×○○な絡みを見るんだが全ては柳本の妄想だったとか
65名無しさん@ピンキー:2010/11/07(日) 23:59:10 ID:EsVh5mlK
>>59
とある桜才学園男子生徒の日記

○月×日 晴れ
昼休み、津田と会長が歩いているのを見かけた
二人の顔が赤くなっているように見えたが…気のせいか?

○月△日 晴れ
放課後、津田が七条先輩と歩いているのを見かけた
腕なんか組みやがって!羨ましい!

○月□日 晴れのち曇り
昼休みの終わり、津田が萩村と手をつなぎながら教室に戻ってきた
あれ?今日って生徒会ないんだよな?

○月=日 曇り
下校時刻間際、教室で津田が三葉と向かい合っているのを見かけた
二人とも真っ赤な顔で黙っている。あの元気がとりえの三葉が…珍しいこともあるもんだ

○月%日 曇りのち晴れ
昼休み、コトミちゃんが津田を連れて教室を出て行った。戻ってきたのは5時間目が終わってから
2時間もどこで何やってたんだ?

○月$日 曇りのち雨
今日は津田は休みだった。萩村と三葉が時々心配そうに津田の席を眺めていた
聞くところによるとコトミちゃんも休んだらしい。兄妹で風邪か?

△月#日 雨のち晴れ
昨日に続き津田は休み。今日は萩村と三葉も休みだった
また、会長と七条先輩も休みだったらしい。生徒会は大丈夫なのか?

△月○日 晴れ
今日は3人とも登校してきた。風邪が治ったようで何よりだ
が、心なしか会話がギクシャクしているように見える。とくに萩村と三葉が

△月&日 曇り
生徒会室の前を通りかかると、横島先生が立っていた
何をしているのか聞いてみると、『重要な会議をしているので邪魔が入らないように見張っている』そうだ
それってつまり戦力外通知されたんじゃね?

△月=日 雨のち晴れ
今日は二人で学食に来た。ここ最近、休み時間のたびに会長やら七条先輩やらコトミちゃんやらが津田を連れて出て行くので話ができなかったが、久々のバカトークのチャンスだ

「よぅ津田!ここ最近忙しかったみたいだけど、たまには帰りにゲーセンでもどうよ?」
「…なぁ柳本、お前、母子手帳の5カードってどう思う?」
「は?」



やっつけだがこんな感じ?
66名無しさん@ピンキー:2010/11/07(日) 23:59:47 ID:3i/L+kTb
>>54
乙&GJです!
SS職人さん達が鋭意製作できるのも、まとめWIKIを管理、更新される方があってこそなんですよね
好きなSSをいつでも何回も読むことができることがどれだけ幸せか、それを思うと感謝の気持ちが止まりません
本当にありがとうございます!
67名無しさん@ピンキー:2010/11/08(月) 00:12:02 ID:yLWdjQKJ
>>62
スクールデイズの澤永みたいな感じだよね>寝取られ
矢吹先生も言ってたけど美味しい思いをするのは主人公だけでOK
68名無しさん@ピンキー:2010/11/08(月) 01:08:56 ID:hzx7pqjT
>>65
こういうのもありだと思うwwwwwGJ

つか母子手帳の5カードとかwwwwww
69名無しさん@ピンキー:2010/11/08(月) 02:52:36 ID:FSCT89cV
みんな乙です。
前スレの『つまりシノのプレゼントは携帯電話だったんだよ!
ΩΩΩ<な、何だってぇ!』
な設定の続きを3レス分。まだ終らない
70名無しさん@ピンキー:2010/11/08(月) 02:53:09 ID:FSCT89cV
今年の元日は新春に相応しく身が引き締まる寒さだった。さりげなく付けてき
たネックレスのチェーンが冷たくなり、首筋に不快感を与える。流石に失敗だ
ったかもしれない。
「シノちゃんそのネックレス素敵ね。どこで買ったの?」
「えっ?あ、あぁこれは…」
「それ、俺のプレゼントのやつですよ。ほら、クリスマスの時の」
動揺するシノに代わってアリアの質問に答えたのは津田だった。それも見越し
てなのか、アリアはいつも通り穏やかな笑みを浮かべたままだ。
「ペアリングじゃなくて良いの?」
「な、何を言って…!」
「ほら勃つ前のに嵌めてあげたら勃った後に締め付けられて、Mの津田君に…」
「除夜の鐘も焼石に水だぜ」

「じゃあアリア、萩村、八日の新年会議でまた会おう」
「バイバイ津田君、シノちゃん」
「はい、失礼します」
駅でアリアとスズの二人と別れた。落ち着いた雰囲気があるアリアと並ぶと、
親子のようにすら見えたが、口に出したら鉄拳制裁だろうと津田は黙って電車
が発車し、見えなくなるまで見届けた。
「…津田」
「はい?」
「い…今から少し時間はあるか?」
「えぇ、大丈夫ですよ」
「そ、そうか。なら今からちょっと付き合って欲しいんだ」
年末年始の仕度やらで忘れかけていたが、携帯電話についての事だろう。津田
は快く引き受け、一緒に電車に乗り込んだ。いくつか先の駅で降り、駅前のチ
ェーンの喫茶店に入った。
「元日から営業だなんて、フタバは凄いですね」
「うむ。しかし、働く側はろくに正月の行事を過ごせないだろうな」
「やっぱり、正月は家の事でもありますしね」
「そ、そうだな!正月を過ごす相手は家族だな!!」
「…?」
津田は注文したホットコーヒーを少しだけ口にした。こういう店には来たこと
がなかったし、商品の大半が何がなんだか分からない名前の中、シンプルで分
かりやすい名前の物を選んだだけだ。
71『恋人定額・中-2』:2010/11/08(月) 02:54:48 ID:FSCT89cV
「津田…あの携帯電話なのだがな…あれには私の番号が入っているはずだ」
「先輩の…ですか?」
「う、うむ。いや…あれは…だから……私との専用というか…その…連絡用と
して欲しいのだ」
いつになく覇気がないシノの言葉を津田は丁寧に聞いた。
「副会長たる君と連絡を取る必要も増えることと思ってだな…」
「会長」
「な、なんだ?」
「プライベートでかけちゃダメですか?」
「な、な、な…」
「俺、会長ともっと一緒に居たいんです。だから…」
「だめだ!」
元日とあって、店内にはシノと津田しか居なかったのが幸い、急に大きな声を
出そうと周りの空気を壊すことはなかった。
「…すいません。俺なんか勘違いしちゃって」
「違う!」
「え?」
「こ、これは私の告白だ!君の言葉でうやむやにしてはいけない。卑怯だ!」
沸点がどこにあるのか良く分からないが、シノは目を閉じて深呼吸をした。気
持ちを落ち着かせると、目を開き、しっかりと津田を見つめる。真剣で全力な
姿勢はいつもと変わらないが、力強さがない。必死に恐怖と戦っている目だ。
「津田、私は君のことが好きだ…」
「会長…」
「だから、出来るだけ君と一緒に居たい。辛いときに真っ先に相談してほしい
し、楽しいことを分かち合いたい。そう思っている」
そこまで言うと、シノは大きく息を吐いて津田の手を取った。
「私と一緒に居てくれないか?」


温かい手だ。握ってきたシノの手は、冬場でありながらしっかりと熱を持って
いた。一緒に居てほしい。シノはそう言った。普段、自分の行動に自信と責任
を持っているシノが実に弱々しく精一杯の告白をしてきた。
もう津田の答えは決まっている。
「勿論、宜しくお願いします。会長」
「…うん。ありがとう」
シノの目に光るものが見えたが、津田はあえて触れなかった。ただ、とても綺
麗だと思った。
72『恋人定額・中-3』:2010/11/08(月) 02:55:48 ID:FSCT89cV
「それで…津田」
「はい」
シノは改めて津田を見つめた。その時には既にしっかりとしたいつも通りのシ
ノに戻っていた。
「二人きりのときは私のことは出来れば気安く呼んで欲しい」
「気安く…ですか?」
「うむ。肩書きや生徒会での関係ではなく、一人の女として見てほしい。私も
出来るだけ親しい呼び方で呼ぶよう心がけるつもりだ…タ、タカとか…。か、
勘違いするなっ!熟練の手淫を期待しているわけじゃないぞ!!」
「全国の加藤さんに謝れ!」
いつも通りの思春期脳に、津田は少しだけ安心感を覚えた。シノには異性とし
て憧れていたし、これからの日々に期待しているのは確かだが、同時に未知に
対しての不安もあった。シノも同じ不安を抱いているのは明らかだった。
それを和ませようと振る舞うのも実にシノらしい。安堵から自然と笑みがこぼ
れる。
「な、なんだ急に…」
「これからもよろしくお願いします。シノさん」
呼べた。下の名前で呼んだだけなのに、ぐっと距離が縮まった気がしてならな
い。
「やっぱり最初っから呼び捨ては躊躇っちゃうんで。さん付けで」
「……タカ」
「シノさん」
津田の口に、シノの注文したエスプレッソの香りが広がる。『続き』をしたい。
脈打つ度に大きくなる欲望にかられ津田はシノの耳元で囁いた。
「シノさん。いいですか?」
何をとは言わない。普段から下ネタを乱発する割りに、シノは顔を真っ赤にし
て頷くだけだった。
73名無しさん@ピンキー:2010/11/08(月) 02:57:19 ID:FSCT89cV
前編と中-1にタイトルつけわすれ
正確にはタイトル考えてなかった…
ではでは
74名無しさん@ピンキー:2010/11/08(月) 12:07:56 ID:ysZtXB6/
乙乙
新職人さんが次々現れ佳作をどんどん投下、
ほんとに黄金期に戻ったようだ
75名無しさん@ピンキー:2010/11/08(月) 15:24:39 ID:IPb7jtID
>>73
乙&GJです、続きも楽しみに待ってますよ

保管庫のなかの人も仕事早いね、もう収められていた
管理人さんも忙しかったりするだろうから、非常に助かると思う
これからもよろしくです
76名無しさん@ピンキー:2010/11/08(月) 15:41:34 ID:XkAJWB4a
>>73
GJ!最近メインヒロイン的なシノがあまり書かれないから十分燃料補充できたw

アニメ化効果で人がきてくれて本当に良かった
ただこういうことを書いてもいいのか分からないけど郭氏が最近投下が無くて寂しいですよ・・・
77名無しさん@ピンキー:2010/11/08(月) 16:53:20 ID:NHs3+1wO
>>73
GJ&乙!


過去スレが読めないからわからんが、郭氏は今、単身赴任か何かでネット環境が無いとかなんとかいってなかったっけか(間違えだったらスマン)
あと、黄金期に戻ったんじゃなくて、今こそが本当の黄金期な気がするぜ
78名無しさん@ピンキー:2010/11/08(月) 19:32:29 ID:yLWdjQKJ
>>73
GJ!

タカシノはやっぱ王道や!
79名無しさん@ピンキー:2010/11/08(月) 19:38:23 ID:XkAJWB4a
>>77
なんとそんな事情が、なら仕方ないね
80名無しさん@ピンキー:2010/11/08(月) 22:46:50 ID:yUzzdyyO
前スレくらいに会社幹部が不祥事起こして退職したおかげで
郭氏が昇進して超多忙になったとか書いてたよ。
郭氏は今三十代後半らしいから色々大変な時期なんだろうな
長年ここを支え続けてくれた最古参職人だからいつか復帰してくれると思うぜ
81名無しさん@ピンキー:2010/11/08(月) 23:56:47 ID:yLWdjQKJ
ピンキリ氏もどうしてるんだろ
あとそら氏に役員共題材で書いてほしい
82名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 00:29:22 ID:mvfRQhju
ところで生徒会と濱中のミックスSSって存在するの?
83名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 00:31:21 ID:YoNz7cKn
マサ×ミサキとタカトシ×シノのWデートとか
アヤナとタカトシとか妄想の余地はいっぱいある
84 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/09(火) 01:41:08 ID:/qol+E+W
前回の>>16から>>35に投下した物の続きです。タカトシ×カエデ。
色々とカオスになった。主にカエデちゃんが。
一応収拾はついたけど、筆者もよく分かんない乙女心のオンパレード。
エロはもう少し待って下さい。次回は絶対エロくなります。
以下諸注意。ピンと来たらNGを。

・大体40行×21レス消費予定。
・未完で、エロくない。ごめん。
・女装ネタが苦手な人は引き続き注意。
・キャラ違い上等という覚悟は継続必須。
・真面目くさったラブコメでも読んでやらぁと言う寛容さ。
・下ネタギャグ分がほぼ0と言う罠。全体的に話が重い。
・シノの扱いが悪い。
・病みかける女、五十嵐カエデ。でもヤンデレじゃない。
・復活の早い女、五十嵐カエデ。
・都合の良い女、五十嵐カエデ。

それでもよろしければ。
85 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/09(火) 01:41:45 ID:/qol+E+W
翌日、津田は再び七条家を経由して、駅前を訪れていた。
二日連続で迷惑ではないかと心配したが、七条と出島はむしろ楽しげであった。
五十嵐からの突然の電話に地声で対応しかけてしまったのはつい昨日の事。
もし五十嵐の第一声が『もしもし、タカコちゃん?』でなければ、もろにバレていただろう。
今思い出しても津田は背筋は寒くなる思いがした。
電話の内容は、非礼を詫びたいので日曜日また何処かに遊びに行こうという誘いだった。
二日続けての女装。疲れが溜まっていたが、断ると言う発想は浮かばない。
切っ掛けこそ渋々のデートだったが、五十嵐の男性恐怖症の治療とか、そんな建前は最早必要ないくらいに津田は五十嵐とのデートを楽しみであった。
五十嵐の、男の津田には決して見せない表情を、もっと知りたくなっていた。
だからこそ女装が苦行であっても、むしろ昨日の挽回が出来ると、津田は昨日よりも遥かに気合いを入れて今日と言う日に望む事ができた。
空模様が怪しいのが気がかりであるが、一日曇りを宣言した天気予報を信じ、津田は薄曇りの中一人五十嵐を待つ。

「ごめんなさい、待たせたかしら」

津田の背中に声がかかる。
振り返った先に居た五十嵐カエデは、少し津田から距離をおいて薄く微笑んだ。
昨日出来たわだかまりは未だに二人の間に横たわり、僅かな溝を生み出している。
津田はそれを修復する為に、五十嵐は溝の原因を見極める為に、今この場に立っていた。

「昨日は駅南だったから、今日は少し電車に乗りませんか?」
「いいですけど、どこへ?」
「見たい映画がありまして」

五十嵐は津田を真っ直ぐ見つめて、飽くまで慇懃な姿勢を下さない。
まるでこれから戦場にでも向かうかのような眼力に気圧され、津田は一も二もなく頷いた。

………………………………………………………………………………

映画と言えばデートスポットの定番中の定番である。
隣に居る交際相手と同じ時間、同じ物語を共有する事で、恋人との共感を得る。
薄暗いシアターは独特の閉塞的な空間を生み出し、周りに居る筈の大勢の人間はかかしと化す。
まるで二人っきりのような錯覚とともに視界一杯に展開される情緒溢れる物語に心を大きく揺さぶられるのだ。
恋愛映画等はそれは顕著で、自分と恋人が映画の登場人物に必然的に置き換えられ、激動の末に結ばれる結末を期待してしまう。
五十嵐の狙いはまさにその点であった。
昨日感じてしまった、今隣で背筋を伸ばして画面を見つめる少女へのときめきが偽りのものであるならば、私は終始この映画を冷静に鑑賞する事が出来よう。
登場人物のイケメンの若手俳優が演じる主人公をタカコに置き換える事もない。
初主演を勤める新人女優演じるヒロインが私だったら、等と考えて心臓を高鳴らせたりも勿論しない筈。
そう意気込んで映画を鑑賞し始めてから約三十分。
早くも五十嵐の目論みには暗雲が立ちこめ始めていた。
二人で摘む為に購入したカップ入りのポップコーンは、何故か既に底が見え始めている。
津田が食べたのかと言えばそう言う訳では無く、五十嵐の食指が矢鱈と進んだのだ。
86 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/09(火) 01:42:27 ID:/qol+E+W
軽めではあるが昼食は摂って来ていて空腹ではなかった筈なのだが、手を伸ばさずにはいられなかった。
では余程ポップコーンが美味いのかといえば、極めて普通の塩味である。
落ち着かなかったのだ。流石に貧乏揺すりはマズいと意識的に我慢しているが、兎に角落ち着かなかった。
隣の少女が一体どういう気分で映画を鑑賞しているかが気になって気になって仕方がなかった。
五十嵐は遂に我慢の限界を迎え、隣の津田の表情を横目で盗み見る。
入場前に見る映画が恋愛映画だと聞かされた時に、そう言う映画って初めてなんですよと少し困ったように苦笑していたタカコは、今ではまるで食い入るように真剣な眼差しを映画に向けている。
精悍な横顔だ。五十嵐は自分を誤魔化す間もなく、その横顔に釘付けとなる。
強く前を射抜く視線、引き絞られた薄い唇が……端的に言えば、格好良かった。
津田には、出島が化粧を徹底的に施している。殆ど男には見られない程度には完璧な女装である。
しかし、男性恐怖症という心の病と長年付き合って来た五十嵐は、それでも尚彼に残る男性的な部分を無意識的に見出していた。
津田を津田とは……つまり男性とは認識しないため、五十嵐は彼とまともに付き合っていられる。
怖れずに接する事が出来ているからこそ、彼の放つ異性的要素に無意識的に惹かれていた。
もしやある意味では。五十嵐は自身でもとんでもないと思う考えが頭をよぎった。
ある意味タカコは、私にとって見れば理想の交際相手と言えるのでは無いだろうか。

「…………はっ!」

五十嵐は頭を振る。朝、いつも以上に形に気を配って結った三つ編みが左右に揺れた。
なんて馬鹿な事を考えているんだ私は。いくら何でもそれはダメだ。
と言うより今日はそれを否定しに来たのに自分は一体何をしているんだ。
そもそも彼女がレズビアンに興味を……いや、それ以前だ。私が嫌なんだ。嫌な筈なんだ。
だがもう一方では、タカコちゃんとならアリじゃないか、とほざく心がある。
その心を押し殺す為に、どうにか自分の視線を隣のタカコから引き剥がし、目のやり場に困った挙げ句結局前を向く。
主人公とヒロインのキスシーンと言う、最悪のタイミングで。
見てしまったが最後、隣の少女を意識せざるを得ない。
タカコとのキスを想像するな、と言う方が無理だった。
五十嵐は渾身の力で目を瞑って俯いて、胸の辺りに握り拳を作る。ダメージは甚大であった。
もうレズでも何でもいいじゃないか。どうせ男とまともに付き合えない事くらい分かっているんだし。
五十嵐の確固たる意志に、そんな虫食いが生じた。
今日は敵が多い日だ。だが、これ以上手傷を負う訳には行かない。
五十嵐は自分の心の問題を周りに押し付けて、ひたすらに映画の終了を、ジッと我慢して耐えるしかなかった。

………………………………………………………………………………

映画鑑賞後、エントランスで激しい雨を振らす空を呆然と見つめる二人の少女もとい、男と女が居た。
天気予報は嘘つきだ。津田は唇を噛み締め、やはり傘を用意しておくべきだったと鉛色の曇天を見上げる。
それは五十嵐も同じで、土砂降りを前に思案顔をし続けている。
すぐ止むような疎雨ならばまだしも、足元に跳ね返る程の強い雨脚。
濡れるのを承知で走って帰るのは些か憚られる。かといってこのまま待っても雨が弱まる保証はない。
最寄りのコンビニは見渡す範囲には存在せず、滅多に来ない地区なので二人とも地理感覚も極めてあやふや。雨の中を彷徨うのはゴメンだった。
もう一本映画でも見てちょっと待ってみるか、とも思ったが、二人とも疲れて果てていた。
87 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/09(火) 01:42:57 ID:/qol+E+W
津田は女装の気苦労。五十嵐は自分がレズに目覚めたのではと言う危惧。
理由は違えど心の内は、さっさと帰って眠りたい、である。

「仕方ない……コンビニ探してきます」
「え?」
「傘二本買ってきますんで、そのまま待ってて下さい」
「あ、ちょっと」

二人で濡れ鼠と化すまでもない。オレが行って二本買ってくれば十分だ。
耐えかねた津田が傘の調達を申し出るがはやいか、雨天を構わずに駆け出した。
五十嵐が声をかける間もなかった。
伸ばしかけた手を引っ込めて、五十嵐は少しずつ遠のく津田の背中を見つめる。
やがて、津田は町を行き交う人の波に呑まれていってしまった。
……頼れる人だ。五十嵐はまた、津田に惹かれる要素を発見してしまった。
その事が今の彼女には悩みの種でしかない。私に優しくして、惑わさないでくれ。
貴方を愛しく思ってしまうような行動を、とらないでくれ。これ以上、貴方を好きになりたくない。
五十嵐は心の中にこべりつく懊悩を頭を振って追い払い、雨天の中に足を踏み入れてしまう。
やはり私が行くべきだ。五十嵐は駆け出した。
結局二人とも取り返しがつかないくらい水に濡れるが、そんな事は五十嵐にとってはどうだっていい。もっと大事な事がある。
優しくされて喜ぶ自分を否定したかったのか。
雨に打たれて頭を冷やしたかったという自虐的な理由か。
もしくは年上としての矜持を保つためだったのか。
それとも単に、消えて行く彼女の背中が名残惜しくて追いかけたかっただけか。
或いは……自分に優しくするタカコをこれ以上好きにならない為に、タカコからの優しさをあえて蔑ろにしたかったのか。
様々な理由を混ぜ込んで、パンプスの踵を鳴らしながら五十嵐は雨の中、金髪の少女を捜す。

「はぁ……はぁ……」

息が上がる。指先が冷える。足がもつれる。

「タカコちゃん……」

目はひたすらに長身の金髪を求めて彷徨う。
見知らぬ町中を這いずり回り、見知らぬ人達に冷めた視線を送られ、それでも五十嵐は足を止めない。
疲弊し始めていた身体を必死で奮い起こして、五十嵐は顔を毅然と上げて、町を見回した。
視界の中に彼女が居ない事を確認し、次の街角を曲がる。何度もそれを繰り返していく。

「どこに……行ったの?」

そして、ふと自問する。
唐突に浮かび上がったかに思えた疑問だが、今まで彼女の心に燻り続けていた当然の疑問だ。
88 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/09(火) 01:43:42 ID:/qol+E+W
どうして自分はこんなに必死なのか。大人しく待っていれば良い話じゃないか。
どうして待ってられないんだ。たったの十数分待つ事も出来ず、今私は何十分彼女を捜しているんだ。

「もう……嫌……」

自分が何者であるかを全部忘れて、大声で泣き叫んでしまいたかった。
大声であの子の名前を呼んで、自分の心の内の決着をつけてしまいたかった。
半ば諦めに近かった。でも、それが真理なのだ。もう虚しい自己否定も疲れた。
気がついてしまった。手遅れだった。このまま全てを押し殺す事は、最早不可能な程に膨らんでしまった。
ここまで突き動かされる感情が偽の訳がない。
ここまで彼女を求める私の心が、嘘偽り虚構なんかで、あって良い筈がない!

「五十嵐さん!」

……雨の中をどれだけ探した後だろうか。
時間の感覚も失せた頃、追いかけていた筈だった少女に、背中から声をかけられた。
振り返った先に居た、二つの傘を携えた少女は、肩で息をしながら少し怒ったように顔を顰めた。

「あぁ、タカコちゃん……」
「あぁ、じゃなくて。待ってて下さいって言いましたよね?
 電話かけても全然出ないし……何かあったのかって心配したじゃないですか」
「ごめんなさい」

五十嵐は差し出された傘を受け取り、力無く微笑んだ。
この人は、必死になって私を探してくれたんだ。
こんな酷い雨の中を、私の為に駆け回ってくれたんだ。
やっぱり、優しい人だ。
青い瞳を見つめ、心がとても温かくなる。暴走した意識が安堵によって落ち着きを取り戻す。
ダメだ、もう私は、この人じゃなきゃダメなんだ。五十嵐は確信めいた言葉を口の中で呟いた。
受け取った新品のビニール傘を道ばたに投げ捨てて、ふらふらと津田に歩み寄り、そのまましなだれかかる。
往来のど真ん中だと言う事も気にせず、津田の困惑顔も見えず、自分が同世代達の手本となるべき風紀委員長だと言う事も忘れて。
五十嵐は津田の胸の中でもう一度呟く。

「……ごめんなさい」

貴方を好きになって、ごめんなさい。
頬を伝う涙を土砂降りの雨が隠してくれた事が、五十嵐の唯一の慰めだった。

………………………………………………………………………………
89 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/09(火) 01:44:13 ID:/qol+E+W
津田は、様子のおかしい五十嵐をつれて、どうにか電車に乗り地元に帰還。
十一月の冷たい雨に晒された五十嵐をこのまま放っておく訳には行かない。
しかし五十嵐は先程から一切の応対をせずに黙り込み、手を引かねばまともについて来る事も出来ずにいる。
家に送り届けようにも、五十嵐の家が分からない。まさかオレの家に行く訳にもいかないよな。
悩む時間も惜しい津田は、一先ず再び七条家にお邪魔する事に決めた。
どうせ後々寄らなければならないんだし、一人くらい増えてもあの家ならきっとOKしてくれる。

「うん。わかった、いいよ」

電話口で七条は気前よく笑った。二つ返事とはまさしくこの事であった。
七条アリアがおおらかな人物で良かったと、津田はこの時ばかりは感謝していた。
七条家の玄関に辿り着いたのは既に夜に差し掛かるような時刻であった。
豪奢な玄関のインターホンを鳴らし、七条が待ちかねた様子で顔を出す。

「いらっしゃ……」

二人の様子に、流石の七条も一瞬凍り付く。
津田は半ばメイクが剥がれかけており、非常に顔色が悪い。と言うか、青い。
後ろの五十嵐はまるで幽霊のように無感情な顔で、髪から滴る雨水が恐怖を煽る。
少し遅めの本格的和製ハロウィンに、七条は一瞬背筋が寒くなるがすぐに笑顔を取り繕う。

「出島さんがお風呂湧かしてるから、あったまってきてね」
「ありがとうございます。じゃ、五十嵐さん先にどうぞ」
「……はい」

まるでゾンビのようにおぼつかない足取りで、出島につれられて五十嵐はその場からゆっくりと去っていく。
その背中を見送った後、七条は頬を膨らませて津田を睨む。

「もう、津田君。五十嵐さんに何したの?」
「それがオレにもさっぱりで」

映画を見終え、雨が降っていたので二人分の傘を買いにコンビニに走った。
その後映画館に戻ってみると、五十嵐が見当たらない。
電話をかけても応答はないので、もしかして何か事件に巻き込まれたのではと必死に町中を探しまわると、雨の中を立ち尽くす五十嵐を発見した。
それから後はずっとあの調子である。
七条は津田の話を聞き終えて、少し頭をひねって結論を出す。

「アノ日だったんじゃない?」
「先輩、無理に下ネタに繋げなくても良いですよ」
「だって……」
90 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/09(火) 01:44:40 ID:/qol+E+W
不満を露にする七条。
言わんとしている事は津田にも分かったが、折というものもある。
津田と七条は、互いに眉間に皺を寄せながら、五十嵐を待つ間しばし頭を悩ませた。

………………………………………………………………………………

風呂から上がった後も、五十嵐は暗い表情を崩さずに俯き加減なままである。
そんな状態でも入浴を終えた五十嵐は、七条の自室で紅茶を頂いていた。

「……大丈夫ですか?」

茶の用意を済ませた出島が尋ねる。
今、七条は部屋には居ない。無理を言って、席を外してもらった。津田は入れ替わりで入浴中だ。
五十嵐と出島と言う、極めて珍しい組み合わせであった。
出島さんと話がしたい。五十嵐がそう言った時、誰よりも出島が一番驚愕していた。
客用の紅茶と茶菓子を机に並べ、出島は五十嵐の横に侍る。
動揺しつつも、メイドとして客をもてなす勤めは果たす。プロの姿勢は崩れない。

「すみません、突然お邪魔してしまいまして。
 それに、わざわざ七条さんに席を外して頂いて……」
「……私は何も。お嬢様が良いと仰るのならば」

折角お嬢様が相談に乗ろうとやる気になっていたのに、と出島は内心では残念に感じていた。
遠回しに迷惑がっている事が言外から滲んでいるが、五十嵐は五十嵐で必死である。
何があったのか七条は優しく尋ねてくれるだろうが、話す気にはなれなかった。
経験薄な二人では、出ない結論がある。先駆者に聞かねば、見えてこない話もある。
五十嵐は意を決して、出島に振り返った。

「前にお聞きしたのですが……貴方は、確か七条さんの事を、その」
「愛しております。それこそ、食べてしまいたい程に」

言い辛そうな五十嵐に気を遣った出島は、憚る事なくそう言った。
口元から涎が垂れかかっているが、五十嵐はそれを意図的に無視する。

「つまりそれは、俗に言う」
「主従の禁断の恋です」
「いや、そっちもそうかも知れませんが、そうじゃなくて」
「レズビアン、と言う意味でしょうか?」

一々察しが良くて助かる。五十嵐は台詞を先取りする出島に感謝した。

「はい。その、レズビアンって……どういう気持ちなのかな、と」
91 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/09(火) 01:45:03 ID:/qol+E+W
「私も専門ではありませんが……そうですね。
 ビアンだからこういう気持ち、と言う感覚はありません。
 対象が男でも女でも、抱く恋心は等しいものです」

出島は目を開いて、五十嵐に諭すようにそう言った。

「悩んでおられますね。タカコさんの事で」
「いや!そういうのでは」
「僭越ながら申し上げますが……とても隠せてはおりませんよ。
 お嬢様の御学友に、一使用人ごときが挟む口は無いと存じておりますが……一つだけ」

出島は少し悲しげに五十嵐を見つめ、言葉小さに呟いた。

「あまり深く悩んではいけません。
 私も自分の性癖に付いては悩んだ時期もありました。
 しかし、いつまでも自分を偽るのは無理なのです。
 いつか暴かれる嘘を自分につくより、もっと素直に生きる方が良いと私は思います」

やはり先人の言葉は重みが違う。
五十嵐は自分で言い聞かせるより遥かに心が落ち着いたのを実感して、紅茶を口に運ぶ。
そこでようやく、口にした紅茶の味を知る。鼻腔を抜ける上品な芳香と柔らかな舌触りに、五十嵐は舌を巻く。
こんなに美味しいものを味わう余裕もなかったのか、と。

「そうですね……出島さん、ありがとうございました。
 やはり、貴方に聞いて良かったです」
「いえ。私こそ、出過ぎた進言を失礼しました」

飽くまでも出島はプロの姿勢を崩さない。徹底していた。
私も男子と接する場合でもこれくらい冷静でいたいものだと、五十嵐は何となく思いつつ、腰を上げる。
一つの決意を、絶やさぬうちに果たす為に。
立ち上がった五十嵐を見て、出島がピクリと眉を動かす。

「あの、どちらへ?」
「タカコちゃんの所へ。もう、これ以上悩まないうちに全てを話してきます。
 拒絶されたら、それはそれで構いません。兎に角、決着をつけたいと思いまして」
「………………」

プロの仮面に僅かなひびが生じた。
マズい。今津田さんは、風呂場で冷えた身体を温めている。
当然女装は解かれており、女装を施すためには私が行かねばならない。
今彼女にタカコ=津田だとバレてしまえば、一体どうなるか。
92 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/09(火) 01:45:28 ID:/qol+E+W
男性恐怖症の彼女が、実は自分はビアンではなくて普通の男に恋をしていると知って。
彼女はどんな心境になるのだろうか。
出島は戦慄を覚えた。いつか正体を明かすにしても、まだ時期尚早だ。
ドアに向かって歩む五十嵐の腕を掴んで、出島は少し早口になる。

「タカコさんは現在入浴中ですので、後ほどでもよろしいのでは?」
「……お風呂場にいるんですね?」
「そうです。そうですが、今申し上げた通り、タカコさんは入浴中でして」
「別にいいじゃないですか?女同士なら気兼ねせずとも」
「ですが、意中の相手の裸を見る事になるのですよ?良いのですか?
 食べちゃったくなりませんか?ヤリたくなりませんか?」
「なりませんよ……それに出島さんは、七条さんと入浴する事もあるんでしょう?
 私と同じ状況ではないでしょうか」
「それは……」

とうとう言葉に詰まる出島。
出島は気転は利くが頭の回転自体が早い訳では無い。
逆に言い負かされて、しかしそれでも尚、出島は必死で食らいつく為の言葉を探す。
それを隙と見た五十嵐は、出島の手を引き剥がして、ドアに向かって駆ける。
出島は慌てて後を追うが、五十嵐の行動は早かった。
ドアを開きっぱなしのまま部屋から廊下に抜ける五十嵐。
背後遥か彼方から追ってくる出島にも構わず、五十嵐は己の記憶を頼りに風呂場へ向かう。
一階、厨房脇を抜けて、二つ目の扉。五十嵐の記憶は正確だった。

「ここだ……」

やがて目的地に着いたときは既に出島の姿も見当たらず、五十嵐は一つ呼吸を整える。
彼女と懇ろになる覚悟は出来たか、告白の言葉は考えたか、断られた時にどう自分を慰めるかは決まっているか。
全ての心の準備を瞬く間に終えた五十嵐は、広い脱衣所の扉に手をかけた。
願わくば数瞬後には、幸せな未来が待っている事を祈りつつ。
自分がこうして行動した結果が招くのは破滅でしか有り得ないと言う事を、知る由もなく。

………………………………………………………………………………

風呂の中で自分の姿を見て、ようやく自分が男だと実感するのも変な話だ。
津田はそれに苦笑しながら風呂で暖まった身体を拭き、脱衣所で先程の五十嵐の挙動に気を向けていた。
五十嵐の様子は、今にして思えば今日一日ずっとおかしかった。
待ち合わせ場所にいた時も妙に緊迫していたし、映画を見ていた時も落ち着きはなかった。たまにこちらを見たと思えばすぐに顔を俯ける。
そこそこ興味を惹かれる映画だったが、五十嵐の不審な挙動が気になって内容はあまり覚えていない。
終わった後、帰るまでだって、そもそもどうして彼女は雨の中に立っていたんだろうか。
五十嵐は理性的な人だ。待っていろと言われれば、理由を考えた上で待機するだろう。
93 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/09(火) 01:45:52 ID:/qol+E+W
もし問題があっても、電話を使う事くらい走り回っていた津田でさえ容易に気づく。
そして、今に至るまでの過程は更に奇妙だ。
雨天の中で、五十嵐が胸に飛び込んで来た。ごめんなさい、と消え入るような声で呟きながら。
それを思い出して、津田は少し口を尖らせる。
別にやましい気持ちはないと思っていた筈なのに、どうも照れる。
全身を雨に打たれて、暗い町の中に佇む少女の小さく細い背中を思い出して、顔が熱くなる。
自分の顎の少し下辺りにある五十嵐のつむじを見ていると、たまらない気分になったのを思い出す。
右手にあった邪魔なビニール傘なんて投げ出して、胸の中の小さな彼女を力の限り抱きしめたくなったのを、思い出す。
惚けた五十嵐の手を引いてここまで来た時に、何故か大変な状況においても、妙に心音が高鳴っていたのを……思い出す。

「……ふぅ」

津田は頭を拭きながら盛大に溜め息を吐く。
今はオレの事より、五十嵐先輩の方が大変なんだ。
理由はさっぱりだけど、きっとオレに原因がある。
七条先輩と出島さんに五十嵐先輩が何か話してくれていれば良いんだけど。
頭髪を乾かしつつ、津田は下着一枚で出島か七条の来訪を待つ。
一度見られた裸だ。もう何度見られようが構う事はない。
五十嵐が先に帰宅したのであれば七条がここを訪れ、そうでなければ出島が来て女装を施す手筈になっている。
出来れば前者が有り難いが、今後の五十嵐との付き合いを考えると、また女装してでも五十嵐と話がしておきたい。
女装する上では出島のサポートが必要だ。風呂上がりで再び女装するのは面倒だが、この際仕方がない。
一応服くらいは身につけておくか、と津田は金髪のウィッグに手をかける。
丁度そのタイミングで、脱衣所の扉が開かれた。
七条、出島であればノックする。しかし扉は全く前触れ無く開かれた。
驚いて脱衣所の外にいた人を見やり、津田は更に己の目を疑う。

「……え」

気のせいだろうか。五十嵐カエデが扉の向こう側にいた。
目がおかしくなったのかと本気で悩んだ。否、悩みたかった。
しかし現実は無情なもので、何度目を擦っても目の前の人は変身したりしない。

「…………あ、れ?」

そしてそれは五十嵐にも言える事であった。
なんでこの人がここに居るの。扉の向こうに居るべきは、タカコちゃんではなかったの。
その金髪の、タカコちゃんと同じ髪型のウィッグを持って、津田副会長、貴方は何をしているの。
脱衣所の籠にあるのは、タカコちゃんの服なのに、津田君、貴方は何故下着一丁なの。
洗面台に置いてある青いカラーコンタクトは、一体何に使うつもりなの。
混乱の最中で、津田が慌てたようにあたふたと身振り手振りを繰り返すのが目に入ってきた。
彼が何か言い訳をしているという事実は、間違いなく認識できた。
94 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/09(火) 01:46:34 ID:/qol+E+W
何故?何故言い訳をする必要がある?勝手に入って来たのは私なのに、非難すらしないのは、どうして?
……幾多の疑問はやがて、五十嵐の中で線を結び始める。
彼女の、女にしては高い背、低い声。当然だ、男なんだから。
彼女と初めて会った気がしないのは、もう彼と何度も顔を合わせているから。
彼女との初対面が学校だったのは、彼が桜才の生徒だから。
彼女が萩村さんと一緒に居たのは、彼が生徒会役員だから。
今津田君が慌てているのは、彼の正体こそがタカコだから。
全ての疑問の結論が津田タカトシ=タカコを示していた。

「あ、あ…………」

楽しく食事を共にしていた時も、肩を並べて歩いてた時も、プリクラを一緒にとった時も。
映画を一緒に見ていた時も、タカコの胸に飛び込んだ時も、手を引かれてここまで来た時も。
すべて、彼女は彼女ではなく、彼だった。
それが現実だった。悪い夢であったらとどれほど思っても無駄だった。
もう止めてくれとどれほど思ってみても、頭は点と点を線で結んでいく。
そうか。彼女が男なら、私はレズビアンじゃないんだ。
私が恋していた相手は、本当は男で、しかも見知った人だったんだ。
この二日間私は、男性と二人っきりで過ごしていたんだ。
あまつさえ抱きついて、手を繋いで、恋愛映画を鑑賞して……恋人のように過ごしたんだ。
この目の前の男と。

「あ、ああ、あああぁぁ」

五十嵐の身体が激しく震えた。足腰の力があっという間に抜け、尻餅をついた。
呼吸が荒くなる。過呼吸で胸が苦しい。何も考えられない程に頭に色々な考えが錯綜する。
津田が慌てた様子で五十嵐に手を差し伸べる。大丈夫ですか、という言葉が遠くから聞こえたかのように錯覚した。

「やめて!」

条件反射的に、津田の手を払いのけた。力の入らない身体をどうにか立たせ、壁伝いに身体を引きずらせてにゆっくりと後ずさる。
途端に気分が悪くなってきた。男性と幾度となく触れ合ったこの身体が忌むべきものにすら思えた。
優しさから津田が近付いて来ているのは分かっている。でも、五十嵐は怖かったのだ。
あれだけ優しく接してくれた、タカコだった頃の津田の事を知りつつも、五十嵐は彼を拒否し続ける。
嫌だ、来ないで、怖い。怖い、怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。

「あの、大丈」
「嫌!嫌だ!来ないでよ、来ないでぇ!」

五十嵐は幼い子供のように泣きじゃくり、七条家の長い長い廊下を駆け出した。
恥も外聞もなく、ただひたすらに喚きながら、五十嵐は声の残滓を残しながら、津田から去っていく。
95 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/09(火) 01:47:21 ID:/qol+E+W
ようやく駆けつけた出島、七条。そして五十嵐の背を見送る津田。
三人とも、ただただ立ち尽くしていた。誰も、彼女を追いかける勇気がなかった。

………………………………………………………………………………

翌日月曜日の放課後の事である。
本日の生徒会活動は、今まで片手間であった文化祭の準備の本格的始動。
秋の目白押しの行事群に、生徒会としては一分一秒も無駄に出来る時間はないのだ。

「だと言うのに、みんな何をしている……」

生徒会室の上座で、天草シノは一足先に仕事に取りかかりながら、中々集まらない他の三人に苛立っていた。
七条は少し寄る所がある、と言って教室で別れたが、萩村と津田は連絡すらない。
授業放課から優に三十分は経過しており、これは遅刻を通り越してサボっているのではないかと疑ってしまう。
津田も萩村も真面目な後輩だからそんな心配はないと思っているが……。
こちらから連絡を入れるかどうか迷っていた頃、不意に生徒会室の戸が開く。
人影の大きさから考えて、これは津田だろう。天草は溜め息混じりにドアの方に目をやる。

「遅いぞ、津……田……」

天草は、入室して来た津田のあまりの憔悴っぷりに息を呑む。
目の下が隈で真っ黒な男は、背中を丸めて幽鬼の如き足取りで自分の席に腰掛けて頭を抱えた。
天草は遅れて済みませんとか、失礼しますとか、入室の際の挨拶がないぞ、と注意する事すら出来ないでいた。

「おい、どうした」

元気がないとか言う以前に生気が無い津田に、天草はおっかなびっくり尋ねる。
実は腹が痛くて、等と軽く返してくれる事を期待したが、当然違う。

「昨日、眠れなくて……」
「そ、そうかなるほど、良いオカズでも見つけたのか?」
「………………」

ボケをスルーして、津田は渋面を天草に向けた。
殺意すら篭っている視線に天草は一瞬だけ脅えるが、ここで負けては会長の名が廃る。

「どうしたんだ、そんな顔をして。
 もしかして何か、悩みでもあるのか?」

津田はコクリと首を縦に深々と振る。その様子から考えて、根は深刻らしい。
96 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/09(火) 01:47:52 ID:/qol+E+W
会長としては、副会長が辛い思いをしているのに見捨てる訳には行かない。
天草は怖じけずに、津田の為を思って単刀直入に切り込んだ。
親身になって聞いてやれば仲も深まるだろう、と言う少々の下心がない訳ではなかったが。

「……一人で悩むより会長に相談した方がいいって、さっき七条先輩に言われて」
「アリアに?」
「萩村も、オレの相談事が終わるまで待ってるって言ってくれました……」

つまり他の二人が来ないのは、津田に配慮しての事だったらしい。
だったら早く来てくれれば良いのに。こんな時に何だが、時間の猶予はあまりないんだ。
天草がそれを言ってやると、津田は天草から目を逸らしたが、小さな声で続きを話す。

「会長に言ったら、怒られるかもしれないから……」
「要らない心配をするな、津田」

天草は津田の肩に手を置いて、少しだけ口角を上げる。
安心させてやるのが第一だ。相談事は折を見ておいおい聞いていけば良い。

「私は生徒会長だが、今は一人の先輩として見てくれ。
 君に何かやましい事があろうとも、私はそれについて言及したりしないさ。
 勿論口外しないし、私の個人的な感傷を挟んだりもしない。安心しろ」
「……ありがとうございます、気を遣ってもらって」

幾分かは津田の顔色が良くなったのを見て、天草は一心地つく。
顔を上げた津田は、姿勢を正して、身体ごと天草の方をむく。

「相談と言うのは……五十嵐先輩の事で」
「……五十嵐?」

天草は津田の口から出て来た、ある意味子馬よりも驚くべき単語に首を傾げる。
五十嵐とは、風紀委員長の五十嵐カエデの事……だろう。
何故今その名が出て来て、どういう経緯で津田が彼女の事で悩まなければならないんだ。
天草は、津田に話の続きを促す。

「ハロウィンパーティの日、オレ、女装させられたじゃないですか」
「ん?……んむぅ」
「……覚えてないなら、いいです」

オレの脚の毛まで剃った癖に。
津田の小さなぼやきを耳にして、天草はやっと思い出し、苦笑いを浮かべた。

「あぁ、すまんすまん、あの時は少しテンションが上がってしまっていてな」
97 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/09(火) 01:48:22 ID:/qol+E+W
「それはもう良いです……で、その日五十嵐先輩に会いましてね」

ここで話が五十嵐と繋がってくるらしい。天草は続きを聞く。

「女装していたオレをオレだって……津田だって分からなかったみたいなんですよ。
 バレて後々になって色々言い訳するのも嫌だから、適当に別人の振りして誤魔化したんです」
「ほぅ、それで?」
「一昨日、七条先輩に呼ばれてまた女装させられて……五十嵐先輩と遊びに出掛けたんですよ。
 女装して、オレだって気づかれない状態のままで」
「ほぅ、それ……え?」

天草としては聞き捨てならない言葉が出て来た。確認の為に津田の話を一度中断させる。

「五十嵐と、出掛けたのか?」
「はい、二人で」

二人……。男女一組それ即ち、デートに等しいじゃないか。
天草は動揺するが、それを表に出さないように咳払いを一つして、会話を再開させる。

「……それで、昨日も一緒に恋愛映画を」
「ま、待て待て」

流石に天草も気がかりが我慢の限界を超える。二日連続?しかも恋愛映画?二人っきりで?
完全に仲睦まじいカップルの休日じゃないか。どうして私がその事実を知らないんだ。アリアは知っているのに。
……じゃなくて、だ。これは校内恋愛と言う校則違反に……いや、それもいかん。
さっきやましい事があっても何も言わないと宣言したばかりだ。
どれだけ気にかかろうとも今は私情を挟むまいと、天草は自分に言い聞かせる。

「……悪かった。続けてくれ」
「はい。帰り際、雨に濡れちゃって、七条先輩の家で風呂に入れてもらった時に……。
 五十嵐さんにバレてしまいまして」

津田には悪いと思いつつも、天草は内心でほぅと安心していた。
自分が男と二日間一緒に遊んでいたと知って、五十嵐もさぞ驚いただろう。
男性恐怖症の五十嵐にはいい薬になったんじゃないか?
少しだけざまぁみろと思いつつ、天草は津田の相談の見当もつけた。

「それで変態扱いでもされて、悩んでいるのか?
 しかし今の所、君に女装癖のあると言う噂は立っていないぞ。
 五十嵐も口が堅い。だからそんなに心配しなくても」
98 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/09(火) 01:48:49 ID:/qol+E+W
「……そうじゃないです」

天草は肩を透かされた事を意外に思った。
周りの目が気になる思春期の男子とって、妙な噂が立つのは死ぬよりも辛いだろう。
しかし津田はそれよりも深い悩みがあると言う。
天草の心に少しだけ好奇心が芽生え、結局直接津田の口から聞き出す事にした。

「猛烈な勢いで拒絶されたんですよ、五十嵐さんに。
 ……それだけなら今までと大して変わりないんですケドね。
 でも短い時間だったけど、五十嵐さんと一緒に過ごしてきて、それで急に脅えられて……。
 逃げていく五十嵐さんを見てて、凄く辛くなったんですよ」
「…………それは、津田、まさか」
「単に前みたいに戻っただけなのに、眠れない程苦しいんです。
 もう死んでも五十嵐さんの微笑む顔を見れないって思うと……。
 二度とあの人と二人で過ごせないって思うと、死にたくなるくらい悲しいんです。
 でも、それのおかげで、ようやく気づきました」

いくら色恋沙汰に鈍くても、流石にその次の言葉は予想出来た。
止めろ、と言うのは簡単だが、天草にもプライドがあった。
もうそれ以上口を開かないでくれ、分かってるからもう黙れ。
その言葉がどうしても喉の辺りでつかえてしまう。
女としての天草を、会長としての天草が邪魔をする。
津田は待ってくれない。早く止めないと、言われてしまう。
いや、今の私は単なる相談役。私情を挟まない言う約束を反故にする事は出来ない。
二つの対立する心を抱える天草に、津田は容赦なく話を続ける。

「オレ、五十嵐さんが好きなんです。
 ……嫌われてから気づくなんて馬鹿な話ですケド、それが本心なんです」

津田は真っ直ぐに天草を見つめていた。
嘘偽りの色はない。彼は天草を信頼して、話すのも辛い程の悩みを打ち明けていた。
彼は本気で五十嵐の事を想っていた。だからこそ、これ程苦しむ事が出来たんだろう……。
天草は急に肩の力が抜けた気がした。女としての天草が完全に倒れた瞬間だった。

「そうか」

思ったよりも普通の声が出せている事は天草にとって幸いであった。

「それで津田、お前はどうしたいんだ。私に何を相談しに来たんだ?
 諦めるための心構えを聞きたいのか?」
99 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/09(火) 01:49:17 ID:/qol+E+W
「……諦めるなんて、オレには無理です」
「なるほどな……」

最後の希望が確実に死んだのを確認した天草は、かえって清々しい気分になる。
後顧の憂いなく、彼を支援出来そうだ。津田の力になれるのであれば、それはそれで嬉しい事ではあった。

「私には経験もないから、あまり助言が出来ないのが残念だが……そうだな。
 君と過ごした二日間、五十嵐も十分に楽しんでいたんだろう?」
「はい」

津田は自信を持って首を縦に振った。
そこまで言い切れるなら、もう何も問題はないだろうと天草は薄く微笑んで、話を続ける。

「なら、君が心配するような事は何も無いさ。
 君がいくら女装していたとしても、君は君だ。
 君には良い所があるって、五十嵐だってきっと心の何処かでは分かっている。
 五十嵐が君を拒絶したのは、君が男だからであって、君が津田タカトシだからではない」
「……どういう事ですか?」
「まだ希望はある、と言っているんだ」

天草は両手を津田の肩に乗せて、額をくっつけるような距離から津田を睨みつけた。
憔悴で惚けた彼に気合いを入れてやるため、天草は口調を荒げる。

「しっかりしろ、津田。好きなんだろう、五十嵐が。このまま終わる気もないんだろう?
 だったら何も悩むな。確かに五十嵐は男性恐怖症だが、それがどうした。
 アイツの男性恐怖症をオレが治してやる、くらいの大口を叩いてみせろ!
 そんな自信もないのに五十嵐と付き合いたいと言っているのか!」
「……そんな訳、ないでしょう」

静かに、だがハッキリと津田は天草の目を見つめて否定した。
諦めるなんて到底無理だ。この想いを蔑ろにして生きていくなんて、オレには出来ない。
心の内に燃える彼の言葉を瞳から読み取った天草は、津田から顔を離して自分の席に付く。
どうやら、余程五十嵐に惚れているらしい。その事に、天草は少しだけ救われた気がした。

「なら、もう行け。こうしている間も、五十嵐との距離は開くばかりだぞ。
 五十嵐は今日も校内の見回りをしているだろうが、時間が時間だ。
 もう帰る頃かもしれん。急げ、津田!」
「分かりました! 会長、本当に」

津田は立ち上がる。そして、生徒会室の扉の前に立って、足を止めた。
何をしている、さっさと行け。天草は心の底から願う。
100 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/09(火) 01:49:43 ID:/qol+E+W
後輩の前で無様に泣く様なんて見せる訳にはいかないから。
今泣けば、津田は何事かと私に気をかけてしまう。彼の気を引く事が出来てしまう。
だからこそ私が我慢出来ているうちに、変な考えを起こす前に、早く行ってくれ。
天草は震える肩を自分の手で押さえ込んで、必死に涙を堪えていた。
津田は振り返って、背中を押してくれた天草に深々と頭を下げる。
五十嵐の慇懃さと礼儀正しさが移ったかのような自然な所作であった。

「本当に、ありがとうございました!」

突風でも巻き起こすような勢いで、津田は走り去っていく。
その背中を見送る気力もない天草は、突っ伏して声も漏らさずに静かに机を涙で濡らす。
五十嵐への悪い感情を抱く前に、まず自分への憤怒と叱責が先立った。
何故、私はもっと早く行動しなかったのか。津田との距離を縮めておきながら、どうして私は今まで何も言わなかったのか。
後悔先に立たず。天草はその言葉を噛み締めながら、きっと空気を読んで来ないのであろう二人の役員に感謝していた。

………………………………………………………………………………

今日普通に登校出来た事は、五十嵐にとっては奇跡的に幸いな事であった。
昨日あれだけの事がありながら……と五十嵐は回想する。
五十嵐は昨日の事を明確には覚えていない。どうやって家に帰ったかもよく分からない。
あまりの衝撃にこの世の全てが信じられなくなって、ただひたすらに外界を拒否したのは覚えている。
津田に脅えて喚きちらした事も、なんとなく記憶の片隅には残っている。
しかしそれでも五十嵐は、喚き疲れて泥のように眠った後の今日、普段通りの朝を迎えていた。
普段通りに朝食を摂り、普段通りに登校し、普段通りに授業を受け普段通りに友達と談笑し普段通りに校内を見回った。

「…………ふぅ」

校内の見回りと言っても、彼女が回れるのは男子生徒の居ない三年生のクラスと特別教室くらい。
今日はそれに加えて生徒会室前も避けた。
風紀委員長としてどうなんだ、と自分でも思うが、行けないものは行けない。
五十嵐は、津田の事に関して未だに困惑していた。
嫌いになったとは一概には言い難いような、複雑な感情が胸に渦巻いている。
昨日はショックの余り彼に酷い言葉を吐いてしまった。
だが、タカコちゃんの色々な違和感の正体が、彼女が男だったという答えを得て納得がいったからだろうか、今昨日の事を思い出してみても、身体が拒否反応を示す事はない。
むしろ五十嵐は、昨日の自分の身勝手さと醜態を晒した事に頭が痛くなる思いだった。
そしてそれを津田や七条に謝りに行く勇気もない自分の不甲斐なさも、彼女を落ち込ませる原因であった。

「そろそろ、帰ろうかな」

五十嵐は独り言を呟き、廊下を歩きながら今日、もう幾度となく考えた事柄を何度も見直す。
そもそも津田君は何故女装していたのだろう。
101 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/09(火) 01:50:06 ID:/qol+E+W
私を騙し、笑い者にする為だろうか。しかし、これでも人を見る目には自信がある。
あの温和そうな男が、そんな事の為に女装等と言う大それた事を考えたりはしない。
彼の優しささえも偽りのものだったとは、五十嵐には到底考えられなかった。
そして……一体私は彼をどう思っているのだろうか。
私が恋焦がれたのは、タカコちゃんであって津田君ではない。
今だって、女装していた津田君を……タカコちゃんの事を忘れられないでいる。
土日でのデートに端を発する彼女への淡い想いが所詮幻想であったとは、今でも納得がいかない。
しかし、タカコちゃん=津田君なのだから、必然的に私は津田君に恋焦がれている事になる。
それが五十嵐の懊悩の種であった。
私は男性に触れる事も出来ない程の男性恐怖症だと言うのに、彼の事が好きなのだろうか。
津田の顔を頭に思い浮かべてみる。……特別、何かしらの感情が湧いて来る事はない。
やっぱりあの恋は終わったんだ。半ば、自分に言い聞かせるようにそう考えた。
五十嵐は下駄箱から自分の靴を取り出し、靴を履き替える。
秋も深まり、日の入りも早くなった。寒くなる前に早く帰ろう。
そして帰路への足を一歩踏み出した時。

「五十嵐先輩!」

デジャブというものは本当にあると言う事を、五十嵐はこの時初めて知った。
聞き覚えのある声が背後から叫んでいた。まるで昨日の出来事の繰り返しだった。
初めてときめきを感じた、聞き間違いなんて有り得ない、五十嵐が最も求めていた声だった。
思わず振り返った先にいたのは、五十嵐が一番会いたい人であると同時に、最も避けたい人物。

「……津田副会長」
「はぁ、良かった……まだ、帰って、なかったん、ですね」

息も絶え絶えな津田は、呼吸を整える間さえ惜しく五十嵐に歩み寄る。
五十嵐は思わず身を引こうとするが、身体が動かなかった。
動悸の原因はどっちだ。身体が震えているのは、恐怖か歓喜か、どっちが原因なんだ。
何か言わねば。五十嵐は焦り、碌に考えずに言葉を吐く。

「玄関では、く、靴は履き替えなさい」
「あぁ、すみません」

津田はおざなりに返し、歩みを止めずに五十嵐の前に立つ。そして、軽く頭を下げた。

「まずは謝らせて下さい。
 昨日の事と、その前の事と……女装して、先輩を騙すような事をして」
「………………」
「話せば長いんですが、色々と事情がありまして……。
 ただ、言い訳染みてますケド騙すつもりとかそういうのは全然なくて、ですね……」
102 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/09(火) 01:50:38 ID:/qol+E+W
「それは……もう良いです。それくらいは分かります。貴方は、悪い人ではない」

五十嵐は、ポツリポツリとだが、確かにそう口にした。
津田は誤解が生じていない事に安堵するが、すぐに気を引き締め直す。
自分がこれから口にする言葉に比べれば、この程度は何て事なく済ませねばならない。
自分を落ち着ける為の深呼吸を終え、津田は五十嵐に、更に一歩近付く。
五十嵐はやはり逃げずに、津田の方を見上げていた。

「それから、もう一つお話があります」
「な、なんでしょう」

津田の真面目な居直りに、五十嵐も思わず緊張を覚える。
まさに、愛の告白の際の独特の雰囲気と言うものがそこにあった。
一体何の話なのかと察する事の出来ない人間はまずいない。
いつ言うかを期待しながら待つような、ある種の様式美に五十嵐も無意識的に従っていた。
ほんの数秒もなかった筈なのに、五十嵐は何十分も待っているような心地だった。

「オレは……オレは、貴方と一緒に過ごして、貴方が好きになりました。
 だから、オレと付き合って下さい!」

一言一言を噛み締めるように、津田は五十嵐の目を見つめて言った。
シンプルで飾りっ気もない告白だったが、五十嵐は当惑した。
何を言われるのか何となく予想していたのに、頭がオーバーヒートする。
告白された事は五十嵐にも何度かあったが、それまでで感じた事のない様な衝撃だった。
今までは男性恐怖症を理由に、早々に彼らの告白を断ってきた。
今もそのつもりで、すぐに彼に背を向けて帰宅するのが、彼女の思う理想的な展開である。
しかし、彼の顔から目が中々離せないでいる。映画館での精悍なタカコの横顔が思い出された。
想像上と、いざ実際に目にするには、驚く程違っていた。タカコと津田は、瓜二つだった。
別人なのに……いや、同一人物だったか。
五十嵐の中で、段々とタカコと津田の境界線が曖昧になり始めてきていた。

「………………」
「あの……先輩?」

固まったまま動かない五十嵐を前に十数秒。いい加減不思議に思った津田は、口を開いた。
五十嵐は何度も瞬きし、口を開きっぱなしのまま。顔色は赤と青で忙しなくスイッチしている。

「……大丈夫、大丈夫です。少し、驚いただけですから」

津田の声が五十嵐の再起動のキーとなった。
五十嵐はあちらこちらに目を向けて、俯いたり見上げたりと落ち着きがない。
103 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/09(火) 01:51:09 ID:/qol+E+W
逃げるか立ち向かうかを迷った挙げ句。五十嵐は震える唇を開いた。

「私は……私は……」

始めは断るつもりだったが、目の前の彼が徐々にタカコちゃんに見え始めた。
タカコちゃんの事は好きだ。だけど……男の人は、怖い。
だけどタカコちゃんは津田君だ。でも、タカコちゃんは怖くない。
タカコちゃんは格好良いし、津田君もそれほど悪くはない。
何よりも、彼の声と顔にはタカコちゃんの面影がある。
いや、逆なんだ。タカコちゃんとしての顔から少し覗いた彼の言動に、私は惹かれたんだ。
ならやっぱり彼が好きなんだろうか。いや、私が好きなのはタカコちゃんだ。
堂々巡りにも程のある思考のループの中で、五十嵐は途方に暮れた。
答えが出ない。私はどうすればいい。
誰かが答えを教えてくれる訳もなく、五十嵐はただただ苦悩する。

「私は……わた、しは……」

後ろを向いて、駆け出したくなった。肩に力が篭り、足が震えた。
逃げ出したいが、何も言わずに去るなんて、そんな酷い事出来る訳がない。
五十嵐は二進も三進もいかない状態であった。
助けを求める先として唯一五十嵐が思いつくのは津田だった。
五十嵐は、涙に潤んだ目を津田に向ける。
その五十嵐の辛そうな様子に、津田は思わず手を伸ばしてしまった。
昨日、雨に佇んでいた彼女がダブって見えた。放っておけないと、直感した。

「あ……」

津田に手を取られて、五十嵐は目を見開く。
ダメだ、男の人に触られたら、私は震えてしまう。
五十嵐は襲い来る寒気に備えて目を思い切り瞑るが……。

「あれ……?」

手は震えない。寒気も来ない。怖さも感じない。
むしろ、少し心が安らいだ。何故、と一番驚いたのは五十嵐だった。
五十嵐は疑問の種を探求すべく、足を一歩前へ進めた。

「わ、い、五十嵐先輩!」

五十嵐が、狼狽える津田を無視して身体を密着させる。
彼の胸に自分の耳を押し当てて、津田の高鳴る心音を感じ取る。
104 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/09(火) 01:51:38 ID:/qol+E+W
これほど男性と触れても、症状が出ない。五十嵐はしばらくそのままの体勢で、何度も何度も自分に確認をとる。
タカコちゃんと、全く同じだ。五十嵐は目を丸くした。
自分をすっぽり覆ってしまう、私が恋した優しい彼女の胸の中そのものだった。
突然くっつかれた津田は気が気ではないが、その間はずっと両手を高々と上げて身体を硬直させている。

「先輩……そろそろ、その……」
「あ!ごめんなさい!」

五十嵐は津田から離れ、今自分のした行為を思い出し、顔を真っ赤に染め上げる。
しばしの沈黙の後、津田が口を開いた。

「あの、今のって……OKって事で、いいんですよ……ね?」
「え!? あ、それは……」

手を取ったのは津田だが、抱きついてきたのは五十嵐の方だ。
無言で抱きつくのは、普通に返事をするよりも親愛の情を意味していると、津田は解釈した。
しかし五十嵐は未だに迷う。最早迷う余地なんて殆どないのに。
五十嵐は、タカコという人物に惹かれたが、そのタカコとは津田の持つ一面に過ぎないのだ。
好きな人は、始めから一人だけだった。
タカコちゃんが好きだけど津田君は違うなんて考え方の方が虚構だったのだ。
切っ掛けはともかくとしても、私は目の前の人が好きになったんだ。
タカコちゃんなんて人は初めから居なくて、私が好きになったのは、津田君なんだ。
彼の温かい手に、広い胸に、頼れる背中に、格好良い横顔に、恋をしていたんだ。
五十嵐の結論は既に出ていた。
唯一の懸念は、男性恐怖症という自分の性分。いや、自分がそう思い込んでいる性分だけだ。
今身を以て解決した問題の筈なのに、長年の付き合いからか、男性恐怖症と言う自分のブランドが離れるのを嫌がっていた。
またしても言葉に詰まっている五十嵐の心境が、津田には少しだけ読み取れていた。
だからこそ押すなら今だと、今度は自分から前に出る。
昨日と違い、己の感情に素直に従って、彼女を両手で抱擁する。
五十嵐は驚きに身を竦めるが、黙って為すがままになっている。
津田はそのまま五十嵐の耳に口を寄せて、優しい声で囁いた。

「……怖く、ないですか?」
「……はい」
「震えは?」
「……ありません」
「動悸が激しくなったり、してないですか?」
「……それは、します」
「オレもです」
105 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/09(火) 01:52:02 ID:/qol+E+W
津田も五十嵐も、クスリと笑いあう。お互いそれを確認して、津田はもう一つだけ、簡潔に問う。

「オレと、付き合ってくれませんか?」
「……はい」

二人は忘我の心地だった。心を通わせて、歓喜に溢れていた。
男性恐怖症を克服したのかどうかは分からない。それでも、私は彼とだったら……。
五十嵐は自分を振り回した感情にようやく決着のついた今この瞬間を、しっかりと胸に刻み込んだ。
そして顔を上げて津田を見る。何故今まで彼を見て震えていたのかと、昔の自分が馬鹿らしくさえ思えた。

「これから、よろしくね。津田君」
「は、はい!」

一足先に我を取り戻した五十嵐は、まだ少し笑みが固く見える。
男性恐怖症が完全に消えてなくなったと見る事は、まだ出来ないらしかった。
いつか彼女の自然な微笑みを見るために。
津田は決意を新たにする意味を込めて、もう一度五十嵐を力強く抱き締めた。
106 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/09(火) 01:54:05 ID:/qol+E+W
以上で投下終わりです。
なんか完結っぽい終わり方してるけど、一応続く予定です。
でも、多分次は単品としても読めるようになる気がする……。
何はともあれ長々、お目汚し失礼しました。
107宣銅烈 ◆OHssXGjkyo :2010/11/09(火) 02:15:13 ID:iBdm4tzJ
> ◆ZAtwiNsO4g 様

乙&GJ!!

最近カエデモノが多くなってたり、スレの活気を感じますね。


タイミングがよろしくありませんが投下します。

タイトル:副会長、御乱心 その6
カップリング:アリア×タカトシ

↓それでわ
108宣銅烈 ◆OHssXGjkyo :2010/11/09(火) 02:15:50 ID:iBdm4tzJ
「生徒会以外でも会長の右腕として一緒にいたいんです」

昨日の放課後、生徒会室にて2人はいた。
会長である天草シノと、副会長の津田タカトシ。

「これで処女じゃなくなってしまったか。残念だ」

「非処女な会長も好きですよ」

あの日、2人は確かに肌を重ね合った。
貪るものではない、暖かな愛の育み。少なくとも彼女はそう思っていた。

――以上が、私と津田の秘密よ。

聞いてしまったのだ。
教室に戻ろうとした道で、横島先生が話をしていたのを。

「タカトシが……横島先生と?」

津田の性愛が初とは思えない程にちぐはぐさが無かった。
疑問に思いながらも心の奥底に封印していたのに、知ってしまった。


聞き耳を立てていると突然、扉が開く。
そこにいたのは、風紀委員長の五十嵐カエデだった。

「なァ……ッ!!」

「天草……会長……」

相談室の奥には生徒会顧問の横島が腕を組んでいる。
彼女が、全てをカエデに喋ったのだ。

「待って!!」

その言葉はシノに届くことはない。
彼女は場所にいることが出来ず、駆け抜けていった。何もかも忘れたくて。
109宣銅烈 ◆OHssXGjkyo :2010/11/09(火) 02:16:33 ID:iBdm4tzJ
「はあっ……はあっ……」

色んな場所を走って、結局シノは廊下を彷徨うことしか出来なかった。
窓の外から入ってくる微風が気持ちいい。

「タカトシ……」

こんなときでも脳裏に浮かぶのは、副会長の津田タカトシだった。
いつからだろう、彼のことを副会長以上の存在に感じたのは。
こんなに強い恋をしたことはなかったのに、初めて幸せを肌で感じることが出来たのに。

初夜を超えた先でここまで悲しい気持ちを懐くとは思わなかった。
それも全て、相談室での話を聞いてしまったから。横島と津田の間に秘められた真実に、気付いてしまったから。


津田はアリアを想っていた。
シノが想っていたように、いやそれよりも前かもしれない。

昨日、確かにシノは告白を受けていた。
あの時の津田の眼に、揺らぎはなかった。誰よりも自分を想っていた。それだけは確信している。

だからといって捨て去ることの出来ない過去。
もし津田がアリアに告白したのが事実だとしたならば、それを彼女が受け入れたのならば。
否、もし断られたとしたならば、自分に来た想いは代替でしかないのか。

「いや……そんな筈は」

断言など出来ない。
アリアは頼り甲斐のある生徒会メンバーであり、無二の親友。彼女に対してのマイナスイメージなど持てる筈もない。
だからこそシノは葛藤してしまうのだ。

津田が告白したのが事実か、それを確かめる術はない。
本人達に訊けばいいが真実が帰ってくる保証はない。それ以上に訊く勇気すら湧かないだろう。

「もし本当に……タカトシが告白していたら……」

全く心当たりがないわけじゃない。
津田の表情が著しく崩れていた、アリアがシノの前から離れたその日が一日だけあった。


――1ヶ月前の、夏休みの日だ。

シノは反芻する。
自分の推測が事実だとするならば、全てが動き出したのはその日ではないのかと。
110宣銅烈 ◆OHssXGjkyo :2010/11/09(火) 02:17:09 ID:iBdm4tzJ
その日は、生徒会雑務を学校で行っていた。
生徒会室に一番乗りを果たしたのは、会長である天草シノ。鍵を開け、朝一番の新鮮な風を部屋に取り込んでいく。

「おはよう、シノちゃん」

二番目にやってきたのは書記である七条アリア。
ウェーブのかかった茶色の髪が風に揺れ、豊かな胸がぷるんと振るえる。

「おはようアリア、今日は随分と早いな」

「ふふっ。いつもシノちゃんに任せとくのも悪いもの」

アリアは所謂お嬢様だ。
家庭が豊かだというだけではない、物腰も柔らかで暖かい空気を持っている。誰に対しても明るく微笑んでいるのだ。

「イチジクのおかげで体調も良くなったし」

仮に下ネタを言おうとも、それだけは変わらない。
ツッコミ技能は副会長レベルに達していないシノは、ボケ被せもツッコミもせずに着席する。


暫くして、シノは作業を始まる。
残り2人が来ていない為、レジュメを分ける程度の簡単なものに限定されるが。
一方のアリアは、携帯電話をチェックしているようだ。

「シノちゃん。ちょっとお手洗い行ってくるね」

「ああ……分かった」

彼女の表情には何処か違和感があった。
だが敢えてシノは追及することなく、この場はシノだけが取り残された。

「おはようございます」

「ああ、おはよう萩村」

アリアがいなくなって数分が経つ頃、会計の萩村スズが姿を現した。
今日も彼女は背が低いようだ。

「七条先輩と津田は?」

「アリアはトイレ、津田はまだ来てないぞ」

「そうですか……」

座布団を確認し、スズは着席する。
シノから貰ったレジュメに目を通し、彼女も作業へと移った。
111宣銅烈 ◆OHssXGjkyo :2010/11/09(火) 02:18:12 ID:iBdm4tzJ
一方のアリアは、トイレになど行ってはいなかった。
携帯電話のEメールを確認し、無人である筈の相談室にいたのだ。

「メール読んだよ……津田くん。話って?」

だがそこは無人ではなかった。
今はアリアと、副会長の津田タカトシがいる。

何も知らない無垢な彼女と、固き決意を決めた男がそこにいたのだ。
全てを決めた津田は迷わなかった。

「七条先輩のことが……ずっと好きでした。オレと一緒になってくれませんか?」

好きだという気持ちだけを、実直に伝える。
視線を歪ませず、疾しい気持ちを見せず、心の底から湧きあがってくる本当の気持ちを示す。

「まあ……」

そこまで言ってしまえば、彼の眼を見れば、「好き」の意味も「一緒」の意味も分かる。
たった一人の男子である津田が、自分を選んだということを知る。

だからこそアリアは一置きして、自分の想いを伝える。

「……私も津田くんのこと好きだよ。生徒会の仕事もガンバってるし、話してても面白いし」

彼女のかますボケは、単なる下ネタというよりはディープで重たい。時にはシノでさえ圧倒してしまう程の。
そんな話にだって津田はいつでもついてくる。パートナーとしてでも申し分のない程、波長が合うのだ。

「これからも、生徒会での活躍期待してるよ」

アリアの笑顔が、これほど津田を苦しめたことはなかった。
その一言が、告白の答えを示していた。ずっと知りたくて、知りたくなかった答えを。

「だから私は、津田くんとは付き合えない。ごめんね」

津田は後輩でしかなかった。
その事実が放心を生んでしまう。表せない感情が次々と浮かび上がってくる。
112宣銅烈 ◆OHssXGjkyo :2010/11/09(火) 02:19:26 ID:iBdm4tzJ

――絶対に諦めたくない。

恋する女の微笑みを前に、引くことなどできやしない。
彼女を遠い存在にしたくは無かった。何としても、手を伸ばすのだ。

「嫌だ……先輩と付き合えないなら、生徒会も辞める」

分かっている。
それが酷く幼稚であることを、そんなことで惹く女性などいやしないのだと。

「こんな目の前にいるのに、諦めるなんてしたくない」

形振り構わず、自分の気持ちだけを伝える。
我儘であることは傍から見れば明らか、だが一つだけ真理はある。

七条アリアに恋していること、それは揺らぎない真理。

「津田くん……」

アリアの心には葛藤が生まれていた。
単なる後輩としか思えなかった津田の、知らなかった一面。
生半可な決意ではないだろう、彼女も生半可な答えでは許されないのだ。

ふと胸ポケットからメモ帳を取り出し、ペンで書いていく。
そしてそれを破り、津田へと示す。

「放課後、ここに来て。誰にも言っちゃダメだよ」
113宣銅烈 ◆OHssXGjkyo :2010/11/09(火) 02:19:51 ID:iBdm4tzJ
それから間もなくして、2人は生徒会室へと戻った。
不自然に思われないよう、最初に入るのは津田だ。

「おはようございます……」

「おはよう津田」

「津田……どうかしたの?」

「ただの夏バテだよ、ハハ……」

彼の異変に気付いたのは、スズであった。
告白に体力を使い切った津田は、精神的疲弊からうつ伏せになってしまった。

津田が戻って暫くが経ち、アリアが戻る。
トイレと行って出てからには、不自然に長いのだが。

「ゴメンね、お手洗い長くなっちゃって」

「ハハハ、お手洗いというよりアナル洗いだったんだな」

「ふふふっ…やっぱりシノちゃんは鋭いわねー」

アリアには一切の違和感がなかった。
後輩に、それも目の前にいる彼に告白されたというのに、一欠けらの動揺すらもないのだ。

「津田君、元気ないわね。昨夜は自家発電に勤しんでたのかしら」

「あり得るな。溜まってないのについついオナニー……といったところか」

自然だからこそ、津田にも話を振っていくのだ。
避けることはしない、彼女の優しさが透けているようだった。

「なんで私を見るんですか。ツッコミませんよ」

「しょうがないな。今日は静かに過ごさなければならないようだ」

「賢者モードと勘違いされちゃうわね」

「えと……ありえねーよ」

「スズちゃん、まだまだねー」

津田が意気消沈した生徒会だが、未だ嵐の音聞こえず。
今日も平和だった。
114宣銅烈 ◆OHssXGjkyo :2010/11/09(火) 02:21:26 ID:iBdm4tzJ
間もなく放課後になろうとしていた頃、小さな事件が起こる。
シノが冷や汗を垂らしながら何度もカバンの中身を確認していたのだ。

「おかしいな……」

「どうしたんですか?会長」

「鍵がないんだ。なくしたのかもしれない」

鍵の紛失。完璧人間な会長らしくない代物であった。
だがそんなフォローさえもお手の物なのが、IQ180所以なのだ。

「津田と探しておきますので、会長達は先に帰っていいですよ」

スズの助けに、シノは安堵し荷物をまとめる。

「じゃあそうするか」

「そうね。スズちゃん見つけたら報告してね」

「はい、お疲れ様でした」

こうしてシノとアリアは一足先に下校した。
一方の津田とスズは、生徒会室に残されたんのだ。
だが津田は相変わらずで、ぐったりしたままである。
115宣銅烈 ◆OHssXGjkyo :2010/11/09(火) 02:22:41 ID:iBdm4tzJ
「津田、何ボーッとしてんの。探すわよ」

スズは背を叩き促すが、反応は何も返ってこない。
いつもとは違うことに、苛立ちから胸元を掴む。

「アンタたるんでんじゃないの?早く起きなさいよ」

無理矢理引っ張ったことで、津田はなんとか起きることが出来た。
だが、彼の意思は遠い彼方へと向かっている。

「どうしたの?」

「何でもない……今日はもう帰る」

荷物を肩にかけ、津田はドアに触れる。
スズは感じていた、今帰してしまったら届かない存在になってしまうということを。

「待ちなさいよ……」

だが彼女の言葉は届かない。
既に津田の姿はなく、生徒会室には独りが取り残されたのだ。

「辛いことがあるんなら言いなさいよ……仲間じゃない」

誰もいない教室で、スズは想いを寄せた彼へと言葉を漏らす。
分かっている、彼に伝わらないことも。

「津田のこと、ずっと好きだったのに……」

気がつくと、スズは涙を流していた。
今日は特別な日だった。そして津田と「彼女」の間に起きた異変も気づいていた。
だからこそ、何としても今日伝えなければならなかった。

それなのに、最後の一歩が踏み出せなかった。
自責の念が彼女を襲い、一晩中涙が枯れることはなかった。
116宣銅烈 ◆OHssXGjkyo :2010/11/09(火) 02:23:08 ID:iBdm4tzJ
スズから離れた津田は、メモを見ながら指定の場所へとやって来ていた。
七条邸に近いが見たこともない景色で、大通りの車がやけに煩い。

「おまたせ」

そこに現れたのはアリアだった。
先程までの制服姿ではない、所謂ネグリジェと呼ばれるものだった。

「先輩、すごく似合ってますよ」

「ホント?ありがと」

津田が褒めると反射的にアリアは微笑み返す。
まさにお嬢様といった風貌で、一般男児はリアクションに困ってしまうようだ。
それからアリアの案内で、邸宅へと向かう。あの場所は七条邸の裏側だったのだ。

「どうぞ」

「はっはい……」

1階の窓を開け、アリアは彼を促す。
裏から侵入するというのは背徳感のあるもので、興奮は増す。

「ご家族は?」

「昨日から家族旅行してて……出島さんもお休みとってるの」

誰もいないのなら裏口から入る必要ないのでは――と津田は思ってしまうが、近所の目もある。
まさに「誰にも知られたくない」ということなのだ。

部屋へと上がり、明かりがつく。
かつてこの部屋には生徒会メンバーで来たことがあり、大きく変わった点はない。
二人きりということだけだ。津田の動悸が強くなり、彼女の目を見ることが出来ない。

そこで2人に暫しの沈黙が流れる。
どういった意図でアリアは呼んだのか。誰もいないことを狙い。
ネグリジェという性的要素の強い服装――彼女は夜は服を着ないらしく、男性を手前に全裸というわけにはいかないだろうが。

アリアもどこか、頬を赤く染めていた。

「津田くん……」
117宣銅烈 ◆OHssXGjkyo :2010/11/09(火) 02:24:02 ID:iBdm4tzJ
先に沈黙を破ったのはアリア。
津田は静かに、だが確かに彼女を見つめる。

「津田くんの好きだっていう気持ち……すごく嬉しかった」

間接照明のおぼろげさが、彼女を妖しく輝かせる。
左の目から、光の筋が伝う。

「でも私は、シノちゃんを裏切れないの。シノちゃんの気持ち、知ってるから……」

笑っているようで泣いていた。
彼女の脳裏を過るのは、生徒会の仲間であり無二の親友であるシノ。
シノが津田に好意を持っていることは、近くにいる自分が一番知っていた。だからこそ応援していた、だからこそ涙を流すのだ。

「好きな気持ちがあるなら、私のことを抱いて。そして……忘れて」

一歩ずつ、津田のもとへと歩いていく。
着なれない布着を剥ぎながら、強烈な魅力を輝かせながら彼に迫っていく。

「シノちゃんを受け止めてあげて……」

目が眩む程の愛を、津田は両の腕へと抱え込んだ。
手を離せば飛んでいってしまう、二度と手にすることの出来ない幸せを抱きしめながら、津田は涙を溢した。

誰からとも言わず、キスを交わした。
そこには高校生相応の粗雑さや、官能の欠片もなかった。
悲しみを誤魔化すかのように、まるで互いに暴行を加えるかのように、野性のままに口づけたのだ。

「先輩……オレは諦めませんから」

自らの服を全て剥ぎ、アリアをベッドへと押し倒す。

「うん……」

それが叶わないことだとアリアは知っていた。
だからこそ追及はしない。
津田は、自らを彼女の奥へと挿しこんでいく。

「先輩……アリア先輩!!」

「あぁぁん…ん…んん…タ…タカくんッ」

鮮烈なまでに広がる悦楽が、自らを解放させ自分にしがみつくアリアが、津田を眩ませる。
忘れるわけがない、諦め切れるわけがない。
先程の約束も津田は忘れ、昂った感情を彼女にぶつける。
118宣銅烈 ◆OHssXGjkyo :2010/11/09(火) 02:24:34 ID:iBdm4tzJ
ほんの前まで童貞だった彼に、テクニックなどある筈もなかった。
あるのは溢れ出る性欲、そして異常にまで昂った感情だった。

「ああっ……あっ…あっ……」

細いウエストを右手で撫でながら、豊かに揺れる胸を撫でる。
性行為を「食べる」と表現することはあるが、まさにそれを体現していた。
全身でアリアを感じ、満たしていくのだ。

「もう……オレ」

「っあん……わ…私も……タカ……くんっ……」

どくんと強い感情が流れ、アリアの奥を汚していく。
極限の疲労が体を遅い、つい彼女の体を離してしまう。

「すっ……スミマセン」

「ハァッ…いいの。私も……気持ちよかったし」

だが津田はどこか満足していなかった。
このまま放したら、彼女がいなくなる気がしたのだ。
こんなことで離れてほしくなかった。
自棄になりつつも、好きな気持ちは止めることが出来なかった。もう一度、アリアに抱きついた。

「先輩!!」

「キャッ……タカくん、もう…」

後ろから抱きついて虚をつくことが出来た。
彼女は強い抵抗を見せていない、もう一度愛を重ねることが出来るのだ。

粗ぶる気持ちは止められない。
津田はアリアのアナルを撫で、そこに突き入れた。

「うッ!!そこは……違……」

「先輩は、こっちの方が好きなんでしょ?」

アリアとは1年以上にも渡る付き合いなのだ。
性癖だってお手の物、最初から津田は決めていたのだ。
119宣銅烈 ◆OHssXGjkyo :2010/11/09(火) 02:26:25 ID:iBdm4tzJ
「こっちの方が、やっぱキツイな」

「バカ……バカァッ……」

アリアは両手で顔を塞ぎ、身を捩っていた。
そこにお嬢様はいなかった。いるのは性の悦楽を耐える雌だけ。

「やだっ……やだぁっ……タカくん、見ないで」

「見てるよ先輩。すっごくイヤらしいよ」

スピード自体は先程より遅いものだったが、官能は更に増していた。

「もうダメ……私、イッちゃう」

息を乱しながらアリアは顔を背ける。
お互いの限界はもう目の前だった。

「先輩……先輩……」

「タカくん……タカくぅん!!」

二度目の射精。
だがそれは先程よりも強いものであり、アリアも肢体が浮く感覚に襲われた。

「先輩……俺は絶対、アリア先輩のこと忘れませんから」

「タカくん、ダメよ。タカくんはシノちゃんのため――に」

津田の誓いを惑わすかのようなアリアの口を、強引に塞ぐ。

誰にも祝福されない秘密の恋が上手くいくなんて、誰も思っていない。
それでも津田は躊躇わずに、アリアを愛したのだ。
120宣銅烈 ◆OHssXGjkyo :2010/11/09(火) 02:27:20 ID:iBdm4tzJ
そして夜は更け、アリアはベッドで睡眠の世界についていた。
左横には津田がいた。

「……う〜ん、タカくん」

いつの間にか呼び方が変わっていたのも気にせず、津田は頬にキスをして立ち上がる。

「トイレ……」

暗く、明かりさえも分からない部屋からなんとかドアを探し、廊下へと出た。

廊下はセキュリティを解除しているのか、僅かな明かりも音さえもしない。
初心者に分かりづらい道を潜りぬけ、なんとか用を足すことに成功する。

おぼろげな記憶を頼りに、暗闇の道をもう一度戻る。

「痛ッ!!」

だがその瞬間、人影らしきものが通りぶつかってしまったのだ。

「すっすみません!」

反射神経で謝ってしまうが、どこか違和感があった。
家族は旅行で出かけており、出島さんは休養。人影はいない筈なのだ。

津田が疑問で頭が一杯になっていた瞬間、ライトが光り、その姿が映し出される。


「出島さん……」

カチューシャまでつけた長身の女性、間違いなくメイドの出島サヤカだった。
冷や汗がひたりと落ちて、絨毯の床に滲む。

「なんで貴方がここにいるのですか?」

出島さんは冷たく訊き返す。
どうやら大人しく寝ることは出来ないみたいだ。
121宣銅烈 ◆OHssXGjkyo :2010/11/09(火) 02:31:32 ID:iBdm4tzJ
誤字見られましたが、Eは終了です。


Eで終わらせる予定でしたが
出島さん組みこんだらFまで行くんで分けました。
122名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 05:14:50 ID:YoNz7cKn
両氏とも乙です
カエデかわいいよカエデ
シノは悲恋が似合うなぁ

タカトシ、スズともヤったんじゃないの?
123名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 21:42:50 ID:lnxzXLCN
◆ZAtwiNsO4g氏、宣銅烈氏お二人とも乙です。
それにしても古くからの住人としては往年の黄金期を彷彿とさせてただただ嬉しい
限りです。
124名無しさん@ピンキー:2010/11/10(水) 03:51:22 ID:udDrziBw
怒濤の投下ラッシュGJ!

そして新キャラ登場
125名無しさん@ピンキー:2010/11/10(水) 17:50:31 ID:HxU6sxZT
投下ラッシュ乙&GJ!
さしずめ今は第二期の黄金時代というべきか
勢い的にも質的にも過去を上回ることを望む!
126名無しさん@ピンキー:2010/11/10(水) 21:22:50 ID:c1djzG0o
>>124
他校の生徒会長でシノに勝るとも劣らない剛の者が出て来たね・・・・・

今後桜才の連中とどう絡むのか見モノだわ。
127名無しさん@ピンキー:2010/11/11(木) 02:05:11 ID:pkF/MQgn
>>剛の者

とりあえず、拳王もとい性王が頭をよぎり
自然とジョインジョインシノォが頭の中に聞こえた


となるとケンはわからんがユリアは津田か
128名無しさん@ピンキー:2010/11/11(木) 12:32:11 ID:Wo0/b/gx
何と誤射精ですねわかります
129名無しさん@ピンキー:2010/11/12(金) 00:28:50 ID:2A8hlvab
魚見かわいいよ魚見
130名無しさん@ピンキー:2010/11/12(金) 04:27:26 ID:TAM273kA
ウォーミーをさがせ
131名無しさん@ピンキー:2010/11/13(土) 11:42:39 ID:k5rLeAZR
ウォーミーは英陵の生徒会長か
リンコとかマサヒコでてこないかな
132名無しさん@ピンキー:2010/11/13(土) 21:14:31 ID:hrypJUWU
久しぶりにマサヒコ見たいな
133名無しさん@ピンキー:2010/11/13(土) 22:49:18 ID:pfec0ijh
TB見るにおそらく別人状態だろうな
134名無しさん@ピンキー:2010/11/14(日) 16:20:52 ID:k4MfsSXa
今さら妹を単行本で一気読みした

まとめて読むと、9巻アキのエロコスが全体を通して一番破壊力あった

個人的には今岡に萌えた
シンジの好きな仕草(女が髪をかき上げる仕草)を聞いて
それができるように髪を伸ばそうとする彼女が可愛かった

絵柄の安定しない初期の頃から、何気に高校生と中学生とを描き分けてたのに驚いた
パッと見だけで、エーコチカマホの顔立ちがカナミ達よりも幼いと判る
画力のポテンシャルが当時からパネェ
135名無しさん@ピンキー:2010/11/14(日) 22:05:58 ID:Mk0/aSuW
カエデ可愛いなぁ
「欲求不満?」って言われたのが原因なら、普通に男の人は好きなんではなかろうか。
周りの子から冷かされるのが嫌だから男と一緒にいるのが苦手で…
二人きりで誰もみてない所ではタカトシに甘えてラブ×2してる…そんな妄想
136名無しさん@ピンキー:2010/11/14(日) 23:03:10 ID:gnz9/1e8
主人公なのに投下少ないアイとシノって…
137名無しさん@ピンキー:2010/11/14(日) 23:56:14 ID:BMxgT2kp
えっ、主人公ってタカトシだろ?
メインヒロインの位置づけはシノだと思うが
138名無しさん@ピンキー:2010/11/15(月) 05:00:03 ID:ATu0dvRE
実はタカトシがメインヒロイン説を主張してみる
139名無しさん@ピンキー:2010/11/15(月) 11:34:02 ID:KG8+0WE3
アイはミサキやアヤナに食われて、完全に脇役化しちゃってるからなあ('A`)
140名無しさん@ピンキー:2010/11/15(月) 13:10:17 ID:Q/4gKpHP
氏家作品の中でほぼ唯一恋愛模様(?)が書かれたのがミサキで、アイ先生じゃなかったからなぁ。
思春期の今岡とかはエッセンス程度で深く考えてなかったみたいだし。
141名無しさん@ピンキー:2010/11/15(月) 17:25:31 ID:cy/L1tzp
恋愛要素強くすると、下ネタがより生々しくなる可能性があるからな
氏家本人は「あんま考えてない」とか言ってるが、案外ちゃんと計算してるのかも試練
142名無しさん@ピンキー:2010/11/17(水) 11:40:39 ID:1Jt9VGWi
某板の「妻に愛してると言ってみるスレ」みたいなシチュで
マサヒコ×ミサキとかマサ×アヤナを書いたら面白いだろうなと思ったけど残念ながらまだ俺は童貞だった
143名無しさん@ピンキー:2010/11/17(水) 12:06:26 ID:t9swn77G
罰ゲーム「○○に愛してると言ってみるゲーム」
ただしネタバレは全員に言い終わってからのみ可!みたいな
144名無しさん@ピンキー:2010/11/17(水) 13:26:03 ID:EvnZaTLB
>>141
思春期で割と最初のほうに出てきたカップルのネタみたいなの多くなりそうだな

今思春期読み返してたんだがカナミがシンジに押し倒されながら告白されて、顔真っ赤になりながら受け入れるって妄想が・・・誰かこの疼きを止めてくれ!
145名無しさん@ピンキー:2010/11/20(土) 01:31:16 ID:Igymh/JA
>>144
君が書けばいい!このスレはそうやって書く側になった人が山のようにいるんだから!

うん、まあ濱中、思春期物が読みたいだけなんだ頑張ってくれ
146名無しさん@ピンキー:2010/11/20(土) 23:06:13 ID:2nF9bCbP
なんだかんだで、良い意味で信者がついてるよな、氏家漫画
147名無しさん@ピンキー:2010/11/21(日) 01:09:52 ID:e75kEwCV
ラブラブなマサヒコとミサキの話を読みたいです
148 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/21(日) 01:20:15 ID:OC1K7Syv
>>85から>>105に投下した物の続きです。タカトシ×カエデ。
今回はエロパロにそぐう内容になった……らいいなぁと思いつつ書きますた。
『タカトシとカエデが付き合っている』と言う設定の下でなら、単品でも読めるかも知れません。
以下諸注意。ピンと来たらNG推奨です。

・大体40行×22レス消費予定。
・キャラ崩壊上等と言う覚悟。特にカエデ。
・初体験の初々しさと言う名の焦れったさ。

それでもよろしければ。
149 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/21(日) 01:21:04 ID:OC1K7Syv
季節は冬へと移ろい、人肌が恋しい時期の真っただ中の頃である。
五十嵐カエデと津田タカトシの交際は継続中であるが、その事実を知る人間は少ない。
相談に乗ってくれた天草、馴れ初めに深く関わる七条は勿論だが、二人を経由して萩村も承知済みである。
津田の妹コトミにも当然バレているが、言ってしまえばその四名にしか知られていない。
幸いにも生徒会からは、学園内でイチャつかなければ良いと申し付けられている。
津田にとっては辛抱するのが大変であったが、五十嵐は風紀委員長を勤めているだけあって自分を律する心は強かった。
そもそも五十嵐は津田と違い、強い信念を持って風紀委員長を勤めている。己の風紀の乱れなぞ認める訳には行かない。
五十嵐にもキツく言い聞かされていたお陰か、津田にも一応は生徒会からのお達しは厳守出来ていた。
お陰で今日まで大したスキャンダルもなく、二人はこの数ヶ月を過ごしている。
あれだけ劇的な始まり方をした付き合いだが、進展そのものの速度は極めて遅く、二人ともキスすら記憶にない。
津田は何となしに始めた五十嵐との馴れ初めの回想を終えて、炬燵机を挟んだ向かいに腰掛ける五十嵐に目をやった。
だが五十嵐の目線の先は津田ではなく、赤本と既に大半が文字で埋まっているノート。
大学受験が彼女に迫っていた。センターを既に終え、本試験は数週間後。
彼女が受験する大学は、ここからそう遠くない国立大だそうだ。

「そろそろ、休憩にしませんか」
「……そうね」

五十嵐が満足げに自己採点を終えたのを見計らって、津田はそう切り出す。
彼も五十嵐に付き合ってテスト勉強をしていたのだが数分前に既に投げ出していた。

「お茶でも入れましょうか?」
「うん。ありがとう」

津田は炬燵から立ち上がり部屋を出る。
二人は津田の自室を会場に、勉強会を開いていた。
津田は二年生最後の定期テストの、五十嵐は来るべき二次試験の為の。
恋人同士でいう勉強会とは往々にして二人で会う為の口実に過ぎないのだが、少なくとも五十嵐にはそんな半端な気持ちはない。
津田としては面白くないが、そこが五十嵐の長所だと割り切って、彼も素直に勉学に励んでいる。
お陰で今回のテストは中々良い点が取れるだろう。
他愛ない事を考えながらキッチンでやかんに火を入れて、茶葉を探して台所を彷徨っていると、リビングでテレビを見ていた妹が顔を覗かせた。

「あれ、タカ兄、なにしてんの?」
「休憩。飲み物でも入れようかなって」
「私にもちょーだい。あ、コーヒー? それとも緑茶? 紅茶?」
「……どれがいいかな」
「お義姉さんは何がいいって?」
「お義姉さんって……お前」

照れながら返すタカトシに、コトミはニヒヒ、と悪戯っぽく微笑んだ。
150 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/21(日) 01:21:35 ID:OC1K7Syv
オヤツを探しに来たらしく、コトミは会話を片手間に冷蔵庫を開けて物色を始めた。

「まぁまぁ、いいじゃんいいじゃん。そのうちそう呼ぶ日が来るかもしれないし。
 それとも、遂にタカ兄も遊び人に」
「んな訳あるか」

少し不機嫌になったタカトシだが、コトミは大して気にせずに続ける。

「そうだよね。エッチどころかキスもまだなのに遊びも何も」
「……ねぇ、そう言う情報ってどっから仕入れてくるの?」

兄の当然の疑問は無視し、コトミは今までとは打って変わって顔付きを改める。

「タカ兄、もう付き合って三ヶ月くらいでしょ? そろそろ良いんじゃない?」
「余計なお世話だ。オレ達にはオレ達のペースがあるし」

兄はどうやら楽観しているらしいが耳年増なコトミにとってはつまらない展開であり、少し危惧を感じていた。
確かに二人で一緒に居る時は適度にイチャついているし、大きな喧嘩も特に無く順風満帆な交際を続けているようにも見える。
だが、先に進展していく様が見受けられない。
五十嵐が大学に進学したら、二人が会う時間は今よりも更に減る。
五十嵐の男性恐怖症もタカトシのお陰で幾分かましになったが、だからこそ大学と言う新しい環境を得れば五十嵐の心変わりだって有り得る。
清い交際と言えば聞こえこそ良いが、それで破局に至ってしまっては元も子もない。
肉体関係と言えば聞こえは最悪だが、愛あるセックスは二人の絆をより強固にする。
そろそろABCくらい済ませてちゃんと繋ぎ止めておくべきだ。
コトミは前から、彼女にしては珍しく真剣にタカトシにそう言っていたのだが、タカトシは溜め息混じりに馬耳東風の様相。
……多分。コトミは考える。
多分、タカ兄もそこそこ頑張っていたのだろうが、カエデ先輩のあの性格だ。
先輩には風紀委員長としての誇りがある。自分がそんなふしだらな事はとても、と考えてるんだろう。
しかし、ひたすらお預けを喰らっているタカ兄が他の女の子に走らない保証もない。
タカ兄は気づいていないが、未だに彼の隣を虎視眈々と狙い続けている女の子は何人もいる。
フィクションではむしろ好物だケド、現実のNTRはこの上なくおぞましい行為だ。
コトミは性知識に通じているだけあり、愛憎の招く悲劇の凄惨さを理解していた。
カエデ先輩は、頼れる良いお義姉さんになりそうで気に入っているし、タカ兄の事は言わずもがな。
何より両想いの筈の二人がすれ違ってしまうのは見たくない。だから、妹の自分が頑張らねば。
コトミはやる気に漲っていた。
で、頑張るとは何をするかだが実はコトミは既に作戦を練って、実行に移す寸前までフェイズを進めていた。
具体的な作戦内容は極めて彼女らしい、繊細さも緻密さも身も蓋も突拍子も無い、大雑把なものであるが。

「……ねぇ、タカ兄」
「ん?」
151 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/21(日) 01:22:09 ID:OC1K7Syv
「お茶、私が入れておくから戻ってて良いよ」

オヤツはプリンに決まったらしいコトミは冷蔵庫を閉めながら、タカトシにそう言った。
タカトシは憚る事なく額を顰める。
兄妹仲が良いが故に、妹がこういう顔をする時は大抵何か妙な企みをしている時だと見当がついてしまった。

「いや、いいよ」
「心配しないでいいって。こんな時にドジっ子アピールしないから」
「その心配はしてない」

中々頑な態度を崩さないタカトシに、コトミは口を尖らせて、次の作戦に移行する。
押してダメなら引いてみろ。
コトミは両手の指先を胸の前で突つき合わせながら、タカトシに潤んだ瞳を向ける。

「……私は、タカ兄とカエデ先輩が少しでも長い時間一緒に居れたらなって思っただけなのに」
「…………いきなりなんだよ」
「カエデ先輩、勉強と委員会で忙しいでしょ? タカ兄も生徒会の引き継ぎとかそろそろ始まるし。
 中々会う時間もないって、愚痴ってたじゃん。
 私も二人の事は応援したいし、少しでも手伝わせてくれると、嬉しいんだケド」

何か企みがあるのは見え見えなのだが、妹の懇願を無碍にするのも可哀想だ。
ついにタカトシは折れて、一つ溜め息を吐く。

「……分かったよ。そこまで言うなら、お前に任せる」
「オッケー!んじゃ、戻った戻った!あ、コーヒーで良いよね?」
「ん、良いけど何で」
「混ぜや……私のオヤツがプリンだから。お茶は合わないでしょ?」

何か言いかけたようだが、生憎タカトシの耳には届かなかった。
妹の態度への警戒は崩さないが、タカトシは確信を持てずに言いがかりをつける事は出来ずにいた。
諦めてすごすごと自室へ帰っていくタカトシを見送り、コトミは口角を高く上げる。

………………………………………………………………………………

「失礼しまーす」

にこやかにコトミがタカトシの部屋に入室。
タカトシと五十嵐は机を挟んで、雑談に耽っていた。
机の上には未だに勉強道具が並んでいる。休憩後、まだしばらく勉強を続けるのだろう。
そして勉強が終われば、五十嵐は帰宅する。悲しい事に、この二人にとってはそれが平常なのだ。
でも、今日は果たしてどうなるかな。コトミは自分の顔に浮かぶニヤけを必死で堪えた。
152 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/21(日) 01:22:58 ID:OC1K7Syv
「コーヒー、どうぞ」
「あぁ、ありがとうコトミちゃん」
「タカ兄も」
「サンキュ」

二つのマグカップを……タカトシには彼用の、五十嵐には来客用のカップを差し出す。
どちらがどっちか間違っていないか、コトミはしつこいぐらい視線で確認を取った。
タカトシは妹の所作の違和感を一早く察知していたが、五十嵐は勿論気づかない。
受け取ったコーヒーを一つ啜って、鼻から息を抜き、タカトシを見やる。

「どうしたの、津田君」
「……いえ。何でも」

タカトシは五十嵐の手前、あまり妹に強気に出る事が出来ない。
このコーヒーには何かある気がする。タカトシの勘であった。
恐る恐るコーヒーに顔を近づけ、匂いを嗅ぐ。至って普通のブラックコーヒーの香り。
もう一度コトミの方を向く。妹は少し不機嫌そうに頬を膨らませていた。
疑うなんて酷いよ、と訴えかける目。タカトシは、完全に突き返すタイミングを失った。
今更要らない等と言えば、コトミよりも先に五十嵐に叱られてしまうだろう。
仕方ない、とタカトシは意を決してコーヒーを口にする。
インスタントの香ばしい薫りが口に広がるだけで、特に妙な味はしない。
単なる考え過ぎだったのかな、とタカトシはコトミに視線で謝罪の意を表する。
別に良いよと兄に返しつつ、二人がコーヒーを口にしたのを確認した後コトミはお盆を手に立ち上がった。

「……じゃ、私ちょっと出掛けてくるから」
「ん?もう夕方だぞ」
「そ、だからお夕飯の買い物。今日、お父さんもお母さんもいないじゃん」
「それならオレが後で」
「いいっていいって。私が行くからさ、ゆっくりしていって下さい、お義姉さん」

そそくさと部屋から立ち去るコトミを見送ってから、五十嵐が問う。

「お義姉さんって……?」
「まぁ、勝手に言ってるだけですから」

ふーん、と然程興味なさげに呟くが、五十嵐はまんざらでもなかった。
実際今は彼以外の相手を考える事は出来ない。彼の事は心底愛している。
そして多少は改善されてきたが、彼以外の男性とは未だに触れ合うのすら躊躇ってしまう。
それに、と五十嵐は緩みっ放しの頬をマグカップで隠しながら妄想を膨らませる。
大学はそれ程遠くないし、少し距離が空くけど交際は続けられる。
今は高校生で、しかも風紀委員会の委員長であるから、不純異性交遊を容認する事は出来ない。
153 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/21(日) 01:23:36 ID:OC1K7Syv
津田君もそれは承知しているのだが、ごく稀に我慢出来なくなったのか、何度か押し切られそうになった事はある。
キスくらいは良いじゃないかとも言われたが、五十嵐はそれすらも断っていた。
キスだけで終わる自信がなかったのだ。もしかしたら私も我慢出来なくなって、自分から求めに行ってしまうのでは、と怖じ気づいていた。
だから肉体的な接触は、精々手を繋ぐ程度という、小学生レベルの恋愛であった。
それでも愛想を尽かさずに恋人でいてくれる彼には申し訳ないとは思うが、それももう少しの辛抱だ。
高校を卒業すれば、風紀委員長の肩書きは意味を失う。校内恋愛禁止の校則を気にする必要がなくなる。
一応世間的にも、未成年ではあるが年少者と見なされる事はないし、異性との交際で誰かに後ろ指を指される事もない。
その時がくれば、彼も私も我慢する必要はなくなる。思う存分愛を確かめ合えば良い。
初めてだらけで少し気後れしそうだけど、彼の事は信頼している。きっと大丈夫だ。
これ程までに春が待ち遠しかったのは、人生で初めての事だった。
憂いない未来を迎える為にも、今は受験に備えなければと五十嵐は気合いを入れ直す。

「さて、もうひと頑張りしましょうか」
「……オレも、そうします」

コーヒーを飲み干した津田も、一度大きく伸びをした後に首を回してそう言った。
空のマグカップ二つが炬燵の上に仲良く並び立った。
そしてここまでは全て、津田コトミの目論見通りだと言う事実を、二人は知らない。

………………………………………………………………………………

初めに異変に気がついたのは五十嵐だった。
妙に暑い。炬燵に長い間入っていたからだろうか。

「炬燵、切ってもらってもいい?」
「そうですね、少し暑いし」

津田が炬燵の電源を切ったのを確認して、津田から見えないように少しロングスカートの裾を上げて、足を出して外気に晒す。
着ていたセーターを脱ぎ、下に着ていたYシャツの袖を捲る。
対面に座る津田も暑いのか、パーカーの襟を掴んでしきりにパタパタと仰いでいる。
暖房でも付いているのかと五十嵐は津田の部屋を見回すが、この部屋にエアコンはない。
暫くすれば冷めるか、と五十嵐はペンを握り直し赤本を眺めるが、問題を解く気が起きない。
と言うよりも、解ける気がしない。
問題を目で追う気力はあるんだが、三文読むと最初の内容を忘れてしまっている。
疲れているのかしら……と目を揉んで大きく伸びをする。
津田もやる気を失ったかのように炬燵のすぐ後ろにあるベッドに寄りかかって、天井を仰ぎ見る。

「……どうしたの?」
「何か、頭がボーッとしちゃって。全然集中出来ないな……」

津田も同じだったらしく、先程から手首を回したり首を捻ったり肩を揉んだりと、落ち着きがない。
154 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/21(日) 01:24:01 ID:OC1K7Syv
彼は疲れを感じている訳では無い様で、身体を動かしたいらしく、しきりに腕を振っている。
津田の野球の仮想フォームを眺めて、五十嵐の口は無意識に開いた。

「そう言えば、津田君って野球やってたんだっけ?」
「はい。小学生の頃に」
「そう……」

普段だったらそのままとりとめもない雑談が交わされるのに五十嵐はそこから句が継げなかった。
信じられないくらい言葉が思い浮かばない。脳が思考を放棄していることに、五十嵐はようやく気づいた。
これ以上の学習は効果無しと判断した五十嵐は、本を閉じて鞄にしまう。

「ダメね。何だか身体がだるい」
「……風邪ですか?」
「多分違うと思うけど……疲れてるのかしら」

五十嵐は溜め息をつきながら、炬燵机に顎を付けた。たまに見せる、緩んだ五十嵐の素の表情であった。
津田はそんな五十嵐をジッと見つめている。
普段の厳格な彼女と違った一面を独占している事が、今の彼に取ってはなにより幸せな事に思えていた。
熱視線に気づいたのか、五十嵐も津田を見上げる。
何秒間見つめ合っただろうか。流石に気恥ずかしかったのか、津田がやがて顔を赤らめて視線を外す。

「津田君の負けね」
「何の勝負ですか……じゃぁ、もう一戦やりましょうか?」

そう言って、津田は五十嵐に顔を近づけて、間近で両目を見続ける。
受けて立つ五十嵐は瞬きすら堪えて津田に視線を返す。
余裕を見せる五十嵐に、津田は更に顔を近付けて、五十嵐を見返す。

「…………」
「…………」

段々と二人の顔が近付いている事は分かっている。
いつもだったらそろそろ五十嵐が断りを入れてくる。
キスももう少し待って欲しい、と謝るくらいの距離だ。
津田は己の懸念をよそに、恐る恐る前進する。一々五十嵐に確認をとるように、距離を測りながら。
あれ、このまま進んでいいの?と津田は逆に困惑してしまった。
五十嵐は何故かフリーズしたまま。目はちゃんと開いているし、瞬きもしている。
彼女は彼女で、そろそろ津田君を止めないとマズいんじゃないのか、と考えつつも声に出してまで止めるかどうかに疑問すら湧いていた。
あ、あ、もう付く、もう付く、と惚けた頭の中で、五十嵐は何処か遠い世界の出来事のように客観的に実況していた。
津田はほんの数ミリ間を開けて止まる。最後の確認を五十嵐にする。
155 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/21(日) 01:24:28 ID:OC1K7Syv
一方の五十嵐は目を瞑った。その後の結果がどうなるか、まさか分からなかった訳でもないのに。

「…………ん!」

津田は迷う事なく距離を0にする。
ファーストキスにしては些か激し過ぎる、貪るような接吻だった。
まるでこれまで溜まりに溜まった鬱憤を全て晴らすかのような、後退を知らない猛獣のように。

「ん……ん、ぅ」

五十嵐の苦しそうな声が漏れた。津田の聞いた事のない、艶っぽい喘ぎ。
それを糧に、津田の心は更に燃え盛る。
津田は身を乗り出し、炬燵机の上に乗って五十嵐を掻き抱いて距離を詰める。
机の上のマグカップが二つとも音を立てて倒れた。津田のノートがうつ伏せに床に転がる。
二人ともそんなものを見る余裕なく、相手の唇に没頭し、色に溺れていく。
やがて津田の舌が、五十嵐の口内に侵入してきた。

「んん!」

五十嵐は驚いて歯を閉じかけるが、舌を噛んではいけないとギリギリ踏みとどまる。
津田の大きな舌の、ザラザラとした感触が、彼女の口腔全体に染み渡っていく。
歯茎が、舌の裏が、歯の隙間一筋一筋が、愛おしげに舐め犯し尽くされていく。
口の中に突入してきた魔物に為す術無く蹂躙されて、五十嵐は目の前が赤く染まった。

「う、ぁ」
「おっと」

ガクリ、と背筋の力が抜けて、五十嵐は倒れそうになる。津田は咄嗟にそれを支えた。
力が入らないのか、五十嵐は両腕を投げ出しながら、茫洋とした視線を津田に曖昧に向ける。

「……ありがとう」
「いえ……」

机の上から五十嵐側に降り、津田は五十嵐に身体を寄りかからせる。
正面から抱き合って、津田はそのまま五十嵐の背に回した手で、五十嵐を擦る。
Yシャツの固い質感をほぐすように、ゆっくりと優しく手を動かす。

「……ね、ねぇ。津田君、ちょっと、待っ、てよ」

言っている五十嵐は、首の力すら抜けたのか、津田の肩に頭を乗せて、段々と呼吸を深くしていく。
ふぅ、ふぅ、と声に出る程荒く深い呼吸。津田の鼻に仄かにコーヒーの薫りが届いた。
156 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/21(日) 01:24:50 ID:OC1K7Syv
あぁ、待って、止めてと、うわごとのように繰り返す割には、五十嵐は一切抗いの意志を示さない。
津田は少し間を開けて、左手で彼女の胴を支えながら、五十嵐の背にある右手を徐々に彼女の腹に寄せはじめる。
先程から臍の辺りを行ったり来たりしている津田の片手の存在には、五十嵐も気づいている。
このままでは胸への侵略さえ許してしまいかねない。
胸は、性的な接触を想起させる箇所だ。そこに触れてしまえば引き下がれなくなる。
五十嵐はそれだけは、まだ我慢の時だと己を奮い立たせようとするが、身体に力が入らない。
動こうと津田の身体を支えに上体を持ち上げようとするが、僅かに身じろぎが出来るだけだ。それが更なる仇を生む。
津田からしてみれば、恋人が自分に身体を擦り付けてよがっているようにしか見えなかった。
辛抱なんて出来る筈はない。

「五十嵐さん……!」

津田が服の上から五十嵐の胸に触れた。
力を込めすぎないように注意を払いつつ、両胸の頂点を撫で回す。
五十嵐は取り返しがつかない事になったと嘆きつつも、襲い来る背徳感に酔いしれいていた。
自分が打ち砕かれる様を、心の何処かで笑い転げながら見つめているような気分だった。
どことなく悲劇のヒロインぶっている自分が、少し可哀想で可愛らしくさえ思えてしまった。
抵抗する手段どころか抵抗そのものすら考えず、ひたすらに津田の拙い愛撫に振り回されていた。

「きゃぁ!」

ふと、首筋に熱を感じる。津田が五十嵐の白いうなじ吸い付いていた。
悲鳴と嬌声の中間のような声を上げ、五十嵐は津田に為すがままに快楽を享受する。
段々とペースが上がってくる。背中に回された手も再び活動を開始する。
頭痛がした。覚醒した意識が頭の中をピンボールのように飛び回り、脳髄に打ち付けていた。
触れられている胸の奥で心臓が燃える。舐め回されている首筋が融ける。支えられている背中が焼ける。
目に直接光を流し込まれたような、奇怪な感覚を覚えた。

「あ!あ、ああ!ダ、メ!ダメぇ!」

全身を温い炎が焦がし尽くすような、熱い痺れが襲いかかる。
肉体に快楽を叩き付けられ、五十嵐は数秒間呼吸を止めた。
痙攣によって跳ね上がる。二度三度、四度と、津田の膝上で身体が大きく振れる。
そして、まるで眠りにつくかのように脱力した。津田は支え切れずに、五十嵐と一緒に倒れ込んでしまう。

「……大丈夫、ですか?」
「…………あんまり」

五十嵐はかろうじて一言だけ声を発した。
息は整う気配を見せない。視界は定まる様子がない。意識だけは、落ち着きを取り戻していた。
157 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/21(日) 01:25:15 ID:OC1K7Syv
キスとペッティングの初歩で達すると言うのが異常である事には彼女も気づいていた。
人から与えられた快楽と考えても、これはあまりに良過ぎる。
どうしてこうなったのか。
五十嵐は現状を確認する。今日は日曜日。彼の両親は不在。
妹さんはコーヒーを入れて、出掛けていって、不在。
家には二人きりと言う謀ったかのようなシチュエーション。
恋人同士の単なる戯れ合いが、いつの間にやらセックス半歩手前。
一体どこから歯車が狂ったんだと少し考えると、一つだけ気がかりが見つかった。
コトミちゃんの入れたコーヒーに、津田君は何かを懸念している様子だった。
もしかして、コーヒーに本当に妙な物が入っていたのでは?

「あの、津田く」

開きかけた口が唇で塞がれる。覆いかぶさっていた津田が、またしても五十嵐に襲いかかった。
かろうじて歯を噛み合わせ、舌の侵入を防ぎ、津田の身体を優しく押し返す。

「ま、待って」
「待てません……!」

津田は据わった目を五十嵐に向けて、少し荒い呼吸をしていた。
我慢の限界はとうの昔に通り越し、その上目の前には津田の望む全てが横たわっている。
今それを掴まずしていつ掴む。ここまで行ったんだ、もう今更歯止めは利かない。
後先を考える津田の冷静さはつい先程、音を立てて崩れ去ったばかりだ。
津田はジリジリと這うように、五十嵐との距離を詰めていく。
思わず五十嵐は身を引くが、狭い室内で逃げ道なんて碌にない。背中に津田のベッドが当たる。
このままでは喰われる。五十嵐は冷や汗を垂らした。
その時、ブーンと言う無機質な音が耳に届いた。藁をも縋る思いで音に向かって手を伸ばす。
掴んだものは津田の携帯電話だった。メールの着信だ。
恋人の携帯だからと構っている余裕なく、五十嵐は思わずその内容に目を通してしまった。
差出人は津田コトミ。内容は……。

「そろそろ媚薬も効いてくると思うから頑張ってね……って」

津田の懸念は現実のものだった。コーヒーには何かが仕込まれていたらしい。
私のものに、いや、もしかしたら津田君のものにも、性的欲求を促進するような何かしらが。
そうか、思えば初めからおかしかったんだ。冬真っ盛りなのに暑い、なんて感じるなんて。
キスどころか胸への愛撫まで許してしまうなんて。
優しい彼が野生の犬のようなケダモノに変身してしまうなんて。
あぁ、良かった。こうなったのは私のせいでも津田君のせいでもなく、コトミちゃんのせいなんだ。
……悪者を一人に押し付ければ、これから先は仕方のない事だと割り切れる。
158 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/21(日) 01:25:54 ID:OC1K7Syv
高校卒業まではと死守してきた貞操を奪われるのもコトミちゃんのせい。
このまま私が津田君に骨の髄までしゃぶり尽くされても、コトミちゃんのせい。
そして彼に呼応するように私までもが興奮してきたのもコトミちゃんのせいだ。
あの子には後でちょっとお説教をしなければならないなぁ、と白々しく心で呟く。
薬を言い訳にすればまだ仕切り直しが出来た事なんて分かり切っていたが、五十嵐は口を噤んだ。
五十嵐も我慢出来なくなっていた。ここから一歩、二歩も三歩も先の世界が見てみたくなってしまった。
仕方ない仕方ないと自分に言い聞かせ、諦めをもってベッドに昇り、津田に向かって背筋を正して正座した後、三つ指をついて深々と頭を下げる。
せめて優しくしてくれるように、と祈りながら。

「……よろしくお願いします」

緊張し切った顔を上げた五十嵐に、津田は力無く微笑み返し、そのまま彼女を押し倒した。

………………………………………………………………………………

興奮によった赤く染まった視界。頭に遡る血流。歓喜に猛り狂う心臓。
津田は自分の中に眠っていた欲望の大きさに驚愕を覚えつつも、それを押さえ込む気はしなかった。
五十嵐の同意を受けて、遠慮というものは完全に消え失せた。
彼女のお願いします、という言葉は耳には届いているし、意味を解する程度の理性も未だに死んではいない。
なにより、自分にとっても未知の領域に足を踏み入れていかなければならない上に、失敗は許されない。
しかしいざ本格的に致すとなると、津田も思わず唾を飲んで躊躇う。
津田の勝手な欲望のままに段階を踏んでいった先程とは違い、今は完全なる和姦。
突き進む己の性欲を制御しながら、自分を頼っている五十嵐をリードしていかなければならないという重責が彼の双肩に課せられる。
戯れ合いではない恋人との交わりに緊張しているらしく、石像のように身を固めて動かない五十嵐を前に、津田は少しだけ頭を悩ませた。
とにかく、先程と同じ要領でやっていこう。
押し倒した五十嵐の顎と首のラインを舌でなぞりながら、震える指でシャツのボタンを外していく。
もう片方の手は、緊張のあまりガチガチに凍り付いている五十嵐を安心させるために、彼女の肩を優しく撫で付ける。
五十嵐は強く目を瞑ったまま、津田の唇から逃げるように首をあちらこちらに振り回す。

「……ん、んん、く」

感度の高まりのせいか、たったこれだけの接触でも皮膚が過敏に反応を示している。
今更恥ずかしがっているのか、五十嵐は声を押し殺しているらしい。
それが煩わしく思えた津田は一旦顔を上げて、塞がっている五十嵐の口を舌でこじ開ける。
閉じた歯を舌でノックすると、おそるおそる顎が開いていく。すかさず津田の舌が中に飛び込んだ。

「んむぅ、ん、ん〜!」

流れ込んでくる唾や舌を上手く受け入れられず、五十嵐の口端から泡立った唾液が零れる。
段々と声を潜める余裕もなくなり始め、五十嵐の硬直も抜けていく。
津田はその間にもボタンを外す指は止めずに、今、最後のボタンを外した。
159 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/21(日) 01:29:43 ID:OC1K7Syv
その手は更に五十嵐の下半身へと向かう。ロングスカートに手がかかるが、そこから手に迷いが出る。
スカートの脱がし方なんて知らないぞ、オレ。
津田は顔を離して下に向けて確認しようとすると、不意に五十嵐に手を掴まれた。
そのまま誘導され、津田の指にファスナーが引っかかる。
思わず津田は、目を開けて至近距離の五十嵐の潤んだ瞳を見やる。

「……」

しっかりしてくれ、と言われた気がした。
すみません、と謝罪を視線に込めて、津田は指にかかったファスナーを一気に下ろす。
五十嵐の口元から離れてスカートを引きずり下ろし、そこで初めて、津田は横たわる五十嵐の全容を見る。
前を全開にしているフリル付きのYシャツが汗で透けており、奥に見える白いブラジャーが意外と大きな胸を包んでいた。
下のショーツも無地の白色で、股の部分がうっすらと濡れて色濃い。
五十嵐の口の周りが二人分の唾液で濡れ、光を反射して艶かしく輝く。
二つの三つ編みが所々ほつれて、ベッドの上に乱れた髪が広がっている。
その姿は、単なる裸よりもよっぽど津田の情欲を掻き立てた。
津田は手の中にあるスカートをベッドの脇にわざわざ折り畳んでから床に置き、五十嵐の背に腕を回して身体を起こさせる。
開いた足の間に五十嵐の座らせて、後ろから抱え込むような体勢をとらせた。
着ていたパーカーを脱ぎ捨て、下のTシャツも放り出し、津田は五十嵐との接触を直に感じ取る。
そして目の前にあった五十嵐の火照った耳にかぶりつく。

「ひぃん!」

可愛らしい鳴き声を上げながら、五十嵐の身体が震える。
……思えば付き合う切っ掛けである女装デートの時も、耳元で囁いた時に先輩は様子が変わっていた。
もしかしたら五十嵐さんって、耳が弱いんだろうか。会長みたいに。と彼が下らない事を考えていると。

「…………」

五十嵐が津田の脚を抓った。津田が他の女性の事を考えていたのは、彼女にはバレてしまっているらしい。
失態続きの津田は、挽回の手段として五十嵐の耳元で囁く。

「……ごめん、カエデさん」

出来るだけ優しく、しかし低い声で。
未だに自分の恋人を名字で呼び合っていた二人は、中々その呼称を変えるタイミングを掴みかねていた。
今津田がそれに先んじて一歩前に進んでくれた事に気を良くしたのか、五十嵐は指を離し、代わりに彼の脚を愛おしげに優しく擦る。

「タカ、トシ君、口が……いい」

顔を津田に向けた五十嵐が、今度は自ら津田にキスをする。
160 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/21(日) 01:30:30 ID:OC1K7Syv
津田のように口の中を唾で塗りつぶすような深い接吻ではなく、軽く唇同士で触れ合う程の可愛らしい口づけを幾度となく繰り返す。
チュッ、チュッ、と規則正しい音が聴覚から性欲を刺激していく。

「そろそろ、脱がしますよ」

付かず離れずの口づけに焦れた津田が、五十嵐の追撃を遮って小さく言った。
五十嵐との間にある薄いYシャツを邪魔に感じ、津田は少々強引に引っ張り上げて五十嵐を剥く。
流石にYシャツを畳んでやる程の精神的余裕も時間的猶予もないので、丸めてベッド脇に放り出し、後ろから五十嵐の胸に指をかける。
ブラジャーの中に左手を突っ込んで、直に感触を楽しむ。

「……あふぅ」

首を少しのけ反らせて、五十嵐は息を吐いた。
胸を揉む一方で、右手を背中の方にも滑り込ませ、少しもたつきながらも静かにホックを外す。
左手にかかっていた圧迫感がなくなり、ブラを指で弾くと、ポトリと五十嵐の膝の上に転がり落ちた。
津田は今まで考えた事はなかったが、五十嵐は着痩せするタイプらしい。主に胸部が。
零れ出てきた乳房が掌に収まり切らない。下から支えると、重みすら感じる。
そうか、女の人の胸ってこんなに重いのか。と、意味不明な感動を覚えていた。
ホックを外した腕も前に回し、津田は自分の胸板を五十嵐の背に密着させる。
そして五十嵐の身体の正面で腕を交差し、右手で左の、左手で右の胸を触る。
張りのある五十嵐の胸の質感を堪能するように、指を親指から小指まで蠕動させた。
指が埋まる柔らかい肉感、撥ね除けんばかりの弾力。矛盾した二つの性質が混在していた。
なるほど確かにこれは男なら誰でも求めたくなる感触だ、と津田は当事者になって初めてそれを実感した。

「あ! ……んぅ!」

乳首を人差し指と中指で挟み込み、少し転がしてやる。やはりそこは特別感度が良いらしく、五十嵐の声の調子が一音上がる。
感じているのがバレたくないのか、五十嵐は自分の口を、津田とのキスで蓋しようとまたしても後ろを向きかける。
しかし、津田はそれに先んじて再び五十嵐の耳に吸い付いていた。

「ひゃぃん!」

耳たぶを甘く噛み、時折舌先を耳の中に這わせて、掻き回す。
ヌチャ、ヌチャという水音が五十嵐の脳に直接響き渡った。

「あぅ!や、やめ、ひあ、やめ、てぇ!き、きた、ないからぁ」

五十嵐の懇願を、津田は聞く耳もたずに無視して行為に没頭し続ける。
止めるつもりは更々ないらしく、少しだけ酸っぱ苦い五十嵐の耳腔を舐め回し続ける。
耳の中を、広義的には脳内すらも揺さぶられて、五十嵐の理性は段々と行き場を失い始める。
161 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/21(日) 01:31:06 ID:OC1K7Syv
「こ、これ、や、やめ、て!お、ねがぃ!が、まんが、でき、ひぃ!」

止めるものか。切なく叫ぶ五十嵐を見て、津田の心の中に眠っていた悪戯心が出しゃばりだす。
むしろ一層いやらしい五十嵐が見たくなり、津田は右手を素早く五十嵐の腹を経由して、更にその下へと向かわせる。
性器に伸びた魔の手に気付き、五十嵐は息を呑む。
既に愛液に濡れぼそり、汚れからの保護と言う下着としての役割を放棄したショーツがそこにある。
イヤイヤと首を振ろうにも、耳を固定されて満足に動く事も出来ない。
ゆっくりと秘所に迫り来る津田の指先を、期待と不安の入り交じった視線で見つめる事しか許されない。
指先が、性器に至る。そこに五十嵐の雌の部分がある事を確かめるように、津田の指は執拗に彼女の陰唇を下着越しになぞる。

「あ!あぁ!だ、ダメ!ダメェ!」

先程達したときと同じように、ダメ、ダメと叫ぶ五十嵐。
どうやらその言葉が絶頂が近いと言う合図らしいと見当をつけた津田は、より一層指に、舌に力を込める。
舌先を耳腔内で細かく振り、乳首を強く抓り上げ、性器に伸ばした指の腹で、陰唇から飛び出た突起を強く擦る。

「ダメ!ダ、ダ……」

五十嵐の視線が段々と蕩け始めた。津田は、素早く下着の中に手を入れる。
そして、直に五十嵐の陰核を親指と人差し指で挟んで押しつぶした。

「ぁぁあ、あ、ああああああぁぁ!」

五十嵐は絹を裂くような叫び声を上げた。
肌が粟立ち、津田に伝播するほどにその身を震わせ、快楽に痺れる。
長く叫んだ後で、喉の奥からか細い息が漏れたのを最後に、五十嵐は津田に寄りかかった。
息を荒げ、汗にまみれた肢体を晒しながら、少しだけ険しい顔で津田を見上げる。

「……やめてって言ったでしょう」
「すみません、つい夢中になっちゃって」

津田は執拗に耳を弄んだ事を言われているのだと思っていたが、五十嵐が口を尖らせる原因はそこではない。
薬のせいか、身体があまりにも敏感になり過ぎている。前戯で時間をかけすぎると体力が保たない。
覚悟を決めた以上、この場で最後までやりたい。だからあんまり責めすぎないで欲しい。
これ以上の体力消耗は危険と判断した五十嵐は、渋々であったが自分から切り出す事にした。

「ねぇ、タカトシ君、もう……」

脚を擦り合わせて誘う五十嵐の淫美な姿に、津田は唾を飲んで頷きを返す。
いよいよ前戯は終了し、本番が始まる。
一線を越えたか否かで、自分達の関係の何かが大きく変わろうとしているのを、二人はしっかりと感じていた。
162 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/21(日) 01:31:48 ID:OC1K7Syv
緊張感に空気が急激に張りつめる。
津田は自分の震えを隠すように、ズボンをパンツと共に素早く脱いで放り捨て、五十嵐のショーツを引く。
陰毛までも湿って糸を引く程に五十嵐は濡れていた。
さぁいつでも来いと言わんばかりに性器が時折、ピクピクと震えている。
津田の陰茎も既に何分も前から準備を完了している。雌を求めて、頼もしくいきり立っている。
こちらも、すぐにでも挿入は可能であった。
しかし、津田はここである一つの問題が浮上した事に頭を悩ませていた。

「……どうしたの?」
「……ゴムが」
「ゴム?」
「コンドームが……無いかもしれません」
「え?」

津田は冷や汗を垂らしながら小さく呟く。五十嵐も驚きに声を上げた。
津田は必死に頭を回転させる。今更後には引けないが、このまま前に進む訳にもいかない。
買いに出るとしても、そんな事を言い出せば五十嵐は勿論、津田のモチベーションも下がる。
そういえば、随分前に妹が寄越したものが部屋の何処かで眠っているかもしれないが、確証はない。
探している間に冷めるのがオチだ。
……仕方ない。用意してないオレが悪いよな。今日はここまでか……。
と津田が諦めかけた時、五十嵐が首を傾げて炬燵机の上を指差す。

「あれって、そうじゃないの?」

指差す先に目を向けると、四角くて薄い袋が倒れた津田のマグカップの外側底部分にテープで貼付けてあった。
……何だアレ。
津田は思わず目を剥いて顔を引き攣らせつつ、それを拾い上げる。紛う事無き避妊具の王道、コンドームが何故かそこにあった。
当然津田が用意した訳ではなく、五十嵐が持ち込んだものでもない。
候補は一人しかいなかった。

「……コトミか」

いつもだったら説教の一つでもくれてやりたいが、今の彼にとっては妹は救世主であった。
妹に心の内で平伏しながらカップに張り付いてた袋を剥がして中身を取り出す。
付け方は知識としては身に付いている。初めての装着には違和感を覚えるが、今はそんな事を言っている場合ではない。
津田がコンドームの扱いに四苦八苦している間、五十嵐は彼の陰茎を目の当たりにしていた。
他の何かを見た訳では無いが、こんな肥大な物を自分の身体に受け入れるのかと思うと若干の目眩を感じざるを得ない。
少し尻込みしている様子の五十嵐がこれ以上冷める前に、と津田は五十嵐に向き直る。

「気を取り直して……ちょっといいですかね」
163 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/21(日) 01:32:26 ID:OC1K7Syv
「う、うん」

身を起こしていた五十嵐を寝かせ、腰の下に枕を敷く。
初体験の際の痛みはこうやって腰を少し上げると多少マシになるらしいと、会長がしたり顔して話していたっけ。
眉唾物の俗説だが、やらないよりは良い筈だ。
下世話な知識を知らぬうちに吸収していた津田は、下ネタへのツッコミを強要される己の境遇にこの時初めて感謝した。

「じゃぁ……挿れますよ」
「うん……」

入れるべき穴を何度も確認し、津田は意を決して陰茎をあてがった。
可能な限り遅く、そして慎重に、ゆっくりと五十嵐の内部へと侵入していく。
鈴口の辺りまでが陰唇に隠れた頃、津田は五十嵐の方を見る。
緊張で呼吸が荒い五十嵐の脇腹の辺りを撫でて彼女を安心させようと試みつつ、津田は再び下半身の方を窺う。ほんの数ミリ進めるのにも、津田は気を配った。
陰唇を通り抜けようやく穴と呼べる部分まで先端が進んだ頃、五十嵐が少しだけ痛みに目を瞑る。

「大丈夫ですか?」
「……うん、大丈夫。ありがとう」

半信半疑ながらも、津田はもう数ミリ前進する。

「んっ!」

亀頭の中程まで隠れた頃、思わず五十嵐は声をあげる。
腰を引きかける津田だったが、五十嵐が咄嗟に津田の手を握った。

「だ、大丈夫……続けて」

不安げな津田の顔に、五十嵐は微笑みを取り繕った。
今のは確かに多少痛んだが、ここから先を考えればこんな場所で尻込みしている場合じゃない。
五十嵐は津田の手を一層強く握った。指を絡めて、互いの体温をより強く感じ取る。
津田はそれを握り返し、今一度気を取り直して挿入を再開する。

「…………!」

五十嵐にも意地があったのか、襲い来る痛みに耐えつつも、何とか息を止めて声を押し殺す。
亀頭がようやく五十嵐に収まった。そこで一度前進を止める津田。
五十嵐も胸に支えていた息を吐き出し、途中休憩を挟む。
鈍い痛みが腰の辺りからせり上がってくるのにも段々と慣れ始めて、津田の方を窺うと、彼の表情も険しかった。
津田も必死で耐えていた。痛みだけにではない。今動かすとすぐに出してしまいそうだった。
五十嵐の膣は津田の陰茎を締め潰す程に食いつき、これまで彼の体験した事のない程の快感と結構な痛みを彼に与える。
164 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/21(日) 01:33:03 ID:OC1K7Syv
しばらく呼吸を落ち着けて、肩の力を抜き、ようやく津田は動き始めた。

「ぅいたぁっ!」

全体の三分の一程が埋没し、五十嵐はとうとう耐えかねて首を反らす。
膣壁を無理矢理押し広げられて、筋組織がプチプチと引き千切れて悲鳴を上げている。
巨大な棒に内臓が押しつぶされるような、身体を引き裂くような、先程までとは比べ物にならない未体験の痛みが五十嵐の身体に走った。
津田は心苦しかったが、五十嵐の背中を擦りつつそのまま腰を進める。

「ぐ!ぐ、ぎ!いっ!ひっ!いぅ!」

腰を進める度に訪れる、堪え難い痛みを鈍い呻きで訴える五十嵐。
行き場を失った、空いている方の手は必死に津田のベッドのシーツを握りしめて皺だらけにしている。
逃げるように身を捩らせる彼女の身体を、津田は強引に抱き締めて引き止めた。
眉間に寄る深い皺。強く瞑られた目から零れ落ちる涙。食いしばられた歯。
そして口から吐かれる苦痛の言葉が、五十嵐の現状を如実に表している。
津田はそれらから目を背けて、五十嵐の身体に腰を押し進める。
このままではのは忍びないが、今止めても、どうあっても感じなければならないこの痛みを先延ばしにするだけだ。
だから、ごめんなさい。今は少し強引にいかせてもらいます。津田はそう心の中で頭を下げた。
代わりに、五十嵐の手を一層力強く握ってやる。オレはちゃんとここに居ます、と五十嵐に感じ取らせる為に。
痛みを誤魔化すような効果はないものの、津田の手の温かさに、五十嵐は幾分かは救われた。
タカトシ君が側に居る。私を見ている。だったら、私もしっかりしなければ。
この痛みは、恋人との触れ合いの上で、感じなければならない必要なもの。
タカトシ君と私が恋人である証拠なんだ。
だから大丈夫。頑張れる、と五十嵐は津田の手から、確かに勇気をもらっていた。
……やがて、先行していた亀頭が前進を止める。と言うよりは、それ以上進めなくなった。
先端に何かが当たる。膣を開通し、どうやら子宮口にまで至っているらしい。
二人の恥骨が丁度触れ合う位置で、津田の進撃は停止した。

「全部、入りました。カエデさん」

その一言に安堵を覚えたのか、五十嵐は溜め息をついて、涙を指で拭った。
津田に微笑もうとするが、痛みのせいかその笑みはぎこちない。

「た、大した事なかったわね」
「今更強がらんでも」

強がりではなく、五十嵐は実際に想像していたよりは随分とマシな痛みに驚いていた。
津田が初めての割に上手いのか、薬の効果に痛みを鈍らせる成分でも含まれていたのか、単に痛みに鈍感なのか、腰の下の枕のお陰か。
未だに心脈と同じリズムで刻まれる痛みにも慣れ始め、五十嵐は首を持ち上げた。
結合部を直接目にして、五十嵐は軽く気が遠くなった。
165 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/21(日) 01:33:31 ID:OC1K7Syv
始めて見る、生々しい男女の交わり合いがそこにあった。
少し血で濡れた陰毛同士が絡み合った奥で、津田の陰茎を、自分の膣が飲み込んでいる様がマジマジと観察出来た。
うわぁ、本当にこんな風に入るんだ、と言う幼稚な感想を抱いた。
そしてもう後に引く事が出来ない何よりの証拠でもあった。
自分の処女は高校卒業までは守る、という思惑は完膚なきまでに叩き潰されてしまったのだ。
意志を通せなかった不甲斐なさを悲観するが、もう今更それを振り返っても仕方ないと言う諦観の念を受け入れるのは、意外と容易い事だった。
しかしセックスそのものが終わりを迎えた訳では無いし、むしろ今ようやくスタートしたばかり。
感傷に浸るにはまだ早すぎた。

「ちょっと、動きますよ」
「うん……ひぐ!」

津田が腰を引くと、痛みがぶり返してきたか、五十嵐が鋭い悲鳴を上げ、身体が大きく跳ねた。
どうやら少し待った方がいいらしい。津田はそう判断し、それ以上下半身を動かさないように気をつけながら身を屈める。
五十嵐の髪の一本一本すら慈しむように頭を撫でながら、何度目になるのか分からないキスをする。
今までのような貪欲なものではない、優しく触れるような、五十嵐が求めてきた口づけ。
空いていた片手は、僅かに逡巡した後、津田自身の欲の為に使う事にした。
即ち、五十嵐の豊満な胸に、である。

「ん……ふ、んぅん」

口端から五十嵐が声を漏らす。
やわやわと、出来るだけ低刺激を意識して、津田は五本ある指の腹で五十嵐の胸を撫で回す。
胸の輪郭を辿るように、左に右に、右から左に上に下に、揉む事もなく指で触れる。

「ふ、んふ、ふ、ふふふ……」

五十嵐の声から艶かしさが影を潜め、代わりに笑い声が交じり始めた。

「く、くすぐったい……!」

五十嵐の、激痛で強張った表情が少しずつ破顔していく。
痛いやらくすぐったいやらで、五十嵐は自分の形作るべき表情が段々と分からなくなってきていた。
全身の凝り固まった筋肉が緩み、笑い声が彼女の不規則だった呼吸を整えていく。
五十嵐の最奥に突き刺さる異形を、彼女の身体が受け入れ始めていた。
痛い程津田を締め付けていた膣壁に、僅かな緩みが生じる。
ヌルリ、と五十嵐の体内で津田の陰茎が蠢いた。

「あん!」

五十嵐の身体が小さく身じろぎ、彼女の喉の奥から可愛らしい声が漏れた。
166 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/21(日) 01:34:22 ID:OC1K7Syv
五十嵐は目を見開いて、自分の口を片手で隠す。
驚くべき出来事だった。痛みの中に、僅かだが快感があった。
津田もきょとんとした顔で五十嵐を見やり、悩んだ挙げ句に耳元に口を寄せる。

「動いてもいいですか?」
「……うん」

五十嵐は深々と頷きを返し、自分の目尻に残る涙を指で掬う。
津田は先程とは逆に、上半身を五十嵐に密着させたまま、少しずつ腰を離していく。
絡み付く粘膜と蠢く膣壁、全身で感じる恋人の体温。耳に飛び込む五十嵐と自分の息づかい。兎に角、興奮する要素には暇がなかった。
津田は今すぐに腰を思う様振りたかった。五十嵐を労るうちに息を潜めていた津田の中のケダモノが再び目覚める。
自分の肉欲、五十嵐への想い、急激に迫り来る射精感を津田は全て御しながら、ゆっくりと腰を引く。
半分程抜いて、同じ速度で五十嵐の中を進む。
たったの一度の注送をようやく終えて、津田はもう一度腰を引き始める。

「痛くないですか?」
「……まだ、ちょっと。でも慣れてきたわ」

心の余裕を取り戻したのか、五十嵐は上気した頬にえくぼを浮かべた。
津田は五十嵐に一度軽いキスをした後、投げ出されていた自分の脚の位置を調節し直す。
より動きやすく、より気持ちの良い角度に体勢を組み直し、津田は再び五十嵐に身体を押し込む。
そして、引く。押し込んで、引き戻す。また進んで、戻る。
次第に動きが速くなり、距離が長くなる。一撃毎に遠慮がなくなっていく。

「ん……はぁ、は、あん! は、あぁ」

快感が苦痛と釣り合い始めた五十嵐の声に嬌声が交じる。
痺れるような痛みが未だに下半身を支配しつつも、ズン、ズンという重低音のような衝撃が彼女の脳を蕩けさせる。
中で膣壁が擦れる度に全身が熱を帯び、もっともっと欲しくなる。
膣液が溢れ出し、肉の棒を包み込むように濡らして潤滑を更に促進し、痛みを和らげていく。
クチャ、クチャと言う水音が、二人の脳内を蝕んでいく。

「ん、ん! あ、う、は」

短い喘ぎが津田を加速させ、五十嵐がそれに呼応して声を上げる。
その循環が、自分が相手を愛し、相手に愛されている事を、二人に共感させる。
天井知らずに相手を求める心が増していき、今の現状すらもどかしく感じる。
これ以上距離が縮まらない事が切なくなる。身体の距離は0も0、もっと近付くにはどうすればいい。
二人に残されていた詰められる距離というは、もう碌な隙間のない心の距離だけであった。

「カエデさん、カエデさん……!」
「タカ、トシ君……タカトシ君!」
167 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/21(日) 01:34:50 ID:OC1K7Syv
どちらともなく恋人の名前を呼び、相手の存在を確認する。
激しく乱れる心を互いに曝け出し、お互いがお互いを抱き込もうと躍起になる。
二人には、もはや性的な快感に酔うことも、痛みに耐えることも頭にはなかった。
互いの心を自分ではない相手に捧げ合っている今の瞬間が愛おしくて、泣きたいくらい嬉しかった。
そんな中でも、津田は次第に頭に上り始めた血の意味を嫌がおうにも理解しなければならなくなる。
一体どれくらいの間、こうしていたのかは分からない。しかし、限界は近い。
もう少し、もう少しとどれだけ思っても、最早止まらない腰の動きは、速度を落とす事すら出来ないでいる。
性欲の本質である子作りを為さんがばかりに、精液が津田の精嚢を突き破るような勢いで溢れかけていた。
必死でせき止めるも、もうあと数秒も保たない。津田はそれを自覚していた。

「カエデさん、もう、イキます!」
「ん、う、ん!いい、よ!もう!」

五十嵐の言葉は最早耳に届いてはいなかったが、津田は自分の忍耐を解放した。
腰が深く埋まる。奥へ奥へと、限界を超えて尚も先に進めとばかりに、陰茎が激しくのたうち回る。
尿道を通る精液が猛烈な摩擦熱を残しながら、亀頭の先から噴射される。

「あ、あう……ううぅぅ」

呻くような声が耳に届くが、五十嵐のものか自分のものか、津田には分からなかった。
津田は背をのけ反らせて、いつまで続くのか分からない強烈な射精を味わっていた。
腕を立てて身体を震わせて、開放感を全身で喜びに還元して、達成感に昇華させる。
あぁ、最後までちゃんと、やれたんだ。
安堵によるものか、腕に力が抜けて、五十嵐の身体にのしかかる。
五十嵐は倒れ込んできた津田の頭を胸の辺りで受け止めて、汗ばんで少し髪の濡れた頭を優しく撫でてやる。

「……どう、だった?」

息も絶え絶えな五十嵐の問いは、どことなく不安げな色を孕んでいた。
津田は直後に自分が情けなく思えた。
今日、一番辛かったのは貴方なのに。何でオレが真っ先にその言葉をかけてやれない。
オレは自分勝手に腰振って、一人で気持ちよくなって、何やってるんだ。
津田は黙々としたまま、五十嵐の手を優しくどけて上体を持ち上げてる。
そして未だに五十嵐の中に収まっていた、激し過ぎる射精で尿道が痛む自分の息子を引き抜く。
まだ硬度が抜けない陰茎に被せられたコンドームが、真っ赤な血に染まっている。
見れば、五十嵐の局部からは鮮血が滴り、腰の下の枕に赤い斑点が飛び散っていた。
津田は炬燵の上に置いてあったティッシュをとって、五十嵐の股を拭う。

「やっぱり、痛かったですよね……すみません」
168 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/21(日) 01:35:17 ID:OC1K7Syv
コンドームを取り外して、ティッシュに包んでゴミ箱に放り捨てる。
津田は五十嵐に頭を垂れて、後悔の念を露にした。もっと色々やりようがあったんじゃないか、と疑心が生ずる。
五十嵐の辛そうな声がフラッシュバックして、津田は完全に賢者タイムを通り越して、自己嫌悪に陥りかけていた。
そんな津田を見て、五十嵐は身体を起こして目の端を釣り上げた。

「タカトシ君。今は私が質問したのよ?で、どうだったの?」
「ごめんなさい……気持ち、良かったです」

一言一言に謝罪を込める、平謝りする子供のように肩を窄める津田。
五十嵐はそれを見て、少し呆れたように口を尖らせる。

「一々謝らなくていいわ……最初からそう言ってよ。
 不安になったわ。気を使わせ過ぎてないかなって」
「そんなの……それより、カエデさんは大丈夫ですか?」

おずおず問いかける津田に、カエデはやれやれと首を振った。
いつもは年下の割には頼りになるのに、こういう時はやっぱり後輩に見えちゃうな。
それもまた彼の可愛い所か、と内心ほくそ笑みながら、五十嵐は津田に答える。

「そんな顔しないの……確かに痛かったけど、それでいいんだから。
 最後の方は……その、ちょっと……気持ち、よかったし」

全てを終えて羞恥心が顔を出したのか、五十嵐は尻窄みに、囁くように言った。
それを聞き届けて、津田は五十嵐を抱き寄せる。

「今日は……色々とすみませんでした。
 カエデさんばっかりに辛い思いさせて」
「それは、追々でいいじゃない。まだまだ先は長いわ」
「それと、ありがとうございました。オレの我が儘に付き合わせちゃって」
「……私の方こそ。優しくしてくれてありがとう」

互いが互いを褒め讃えるような抱擁。
大層な苦難であったが、二人で一緒に乗り越えた事でしか得られない喜びがそこにあった。
津田は、妹の言い聞かせが間違っていなかった事を再認識する。
一線を越えてより深くなった恋人との絆を、二人は確かに感じ取っていた。
いつまでも、いつまでもこうしていたい。
二人は目を閉じて、静かに相手の鼓動を感じ取っ「たっだいまー!」……玄関から響き渡った声に、二人の身体は一気に氷点下に投げ出されたかのように冷める。

「まさか……」
「……このタイミングで!」
169 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/21(日) 01:37:14 ID:OC1K7Syv
誰の声かなんて考えるまでもない。
津田コトミ。この事態の主犯にして、下手すれば二人以上にこの瞬間を待ちわびていた変態、もとい可憐なる乙女。
随分と気を遣ったのだろう、夕飯の買い物に相当な時間をかけて、彼女が今ようやく帰宅した。
コトミにしてみれば、この二人が事に及んでいるのは想定の範囲内と言うよりは完全に思惑通りであるが、だからと言ってこの事実を知られる訳にはいかなかった。
生徒会副会長と風紀委員長が勢いに任せて激しく愛し合ったと言うスキャンダラスなニュースの漏洩が僅かでも考えられる事態になってはならない。
流石にデリカシーくらいはあると信じたいが、今彼女がこの部屋に突入してくる可能性さえある。

「……ヤバい。取りあえず隠さなきゃ」

津田の行動は早かった。
一早く立ち上がった津田は、ベッドから未だに上手く動けない五十嵐を抱え上げて床に下ろし、ベッドに毛布を被せて破瓜の血を隠す。
投げ出されていた衣服を分けて、五十嵐の分は彼女に投げて寄越し、自分の分を身につける。

「すみません。服、急いで着て下さい。窓開けるんで」
「え、えぇ」

津田の行動の迅速ぶりに呆気にとられつつも、五十嵐は自分の身体に何とか力を込めて衣服を身に着け始める。
彼が妹対策に慣れているのは、つまり過去に勝手に入られた事があるのだろう。ソロ活動の時とかに。
……五十嵐は自然に浮かんだソロ活動と言う言葉に少し頭を痛めた。あの人達から移ったんだ……多分。
五十嵐が人知れず落ち込んでいる間にも、津田は既に服を身につけ、窓を開けて枯風を室内に招く。
炬燵布団、カーペット、その他諸々に消臭剤をかけて、匂いを誤魔化す。
そして、ゴミ箱の中に大量の丸めたティッシュを詰め込んで、それを更に炬燵の中にしまって隠す。
そこまでする必要あるの?五十嵐は視線で尋ねる。
あります。津田も目で即答した。

「やっほー、タカ兄、はかどってるー?」

ノックせずに元気に飛び込んできたコトミの挨拶と、二人が再び炬燵に脚を潜らせて学習道具を机に並べたのは、全く同時のタイミングだった。
二人とも冷静を繕って、真剣な目をノートに向ける。勿論内容なんて読んでいない。
コトミはそれを見て首を傾げる。

「……あれ、あんまりはかどってない?」
「いや、結構出来たぞ、勉強」
「そうね、流石に疲れたわ」
「そっちじゃなくって、アッチのほうなんだケドな……」

バクバクと踊る心臓を押さえ込みつつ、タカトシは眉を顰めて声色を厳しくする。

「それよりお前、要らんものコップの底に仕込むんじゃない」
「いやいや、要るでしょ。アレがなきゃ危険だよ」
「それ以前の話だ」
170 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/21(日) 01:37:59 ID:OC1K7Syv
タカトシは、内心では感謝している事をお首にも出さずに苦言を呈する。
コトミはうぐ、と少し身を引いた。
兄の真面目くさった説教は苦手らしく、コトミはすぐ逃げられるようにドアを背にしたまま質問を続ける。

「タカ兄、メール見てないの?」
「メール? ……見てないぞ。何か送ったのか?」

タカトシは、コトミからのメールには本当に気がついていない。
その時はタカトシは理性が吹っ飛びかける寸前で、携帯電話を構う余裕はなかった。
メールを勝手に見た五十嵐だけがコトミの質問の意味を解していたが、五十嵐は無言でノートにペンを走らせる。
タカトシの演技ではない素のとぼけっぷりに、コトミはあっちゃぁと額に手を押さえた。

「……全く、タカ兄ときたら……」
「何だよその目は」

コトミの哀れなものを見る視線に、タカトシは半ば本気で怒りを露にしていた。
それを躱すように、コトミは早々に後ろを振り向いて、部屋を後にする。
が、もう一度部屋の中に顔を覗かせて、小さな声で尋ねた。
不安げに、不満げに、私の欲は何一つ充足していない、と言いたげに口を尖らせながら。

「ねぇ、二人とも……本当に、何にもなかったの?」
「なんにもなかったよ」

タカトシはカモフラージュが成功した事に安心しながら、妹に朗らかに返す。
そして五十嵐に向き直って、微笑みかける。

「ねぇ、カエデさん」
「そうね、タカトシ君」

五十嵐は未だにノートから顔を上げていなかったが、口元は緩んでいるのがコトミからですらよく見える。
二人の息のあった掛け合いを効いて、コトミは頷いた。
二度三度と頷いて、嬉しそうに微笑んで、少し頬を赤らめて二人に手を振って部屋を出ていく。

「お疲れ様、そんで、ご馳走様!」

名前で呼び合う程の仲に進展するような、何かしらはあったんだね。
コトミは深い詮索は無粋だと思い直して、意気揚々と兄の部屋を後にした。

………………………………………………………………………………

「そうだタカ兄、なんにもなかったんならアレ、返してよ」
「え」
171 ◆ZAtwiNsO4g :2010/11/21(日) 01:40:13 ID:OC1K7Syv
投下終了です。スレの空気は読まずに破壊するもの。
規制喰らったときは心臓止まるかと思た。
最後若干投げっぱなしですが、『男の娘と女の子』は完結って事で。
長々お目汚し失礼しました。
172名無しさん@ピンキー:2010/11/21(日) 06:44:13 ID:agcrtszg
すばらしい
173名無しさん@ピンキー:2010/11/21(日) 21:17:22 ID:3F01YtGA
長編、お疲れさまです。とにかくカエデがかわいすぎる。
174名無しさん@ピンキー:2010/11/21(日) 23:04:58 ID:eUEeXCWD
>>171
乙&GJですよ
カエデかわいいよカエデ
次回作も勝手に期待していますよ
175名無しさん@ピンキー:2010/11/22(月) 23:56:42 ID:u5v7plSS
これは、すばらしいの一言です。
今人気投票をやったらカエデが大幅に順位を上げそう。
176名無しさん@ピンキー:2010/11/23(火) 02:09:20 ID:yqnLEtdv
これは凄いものを読んだ
スレが今、本当の進化をしている……
177名無しさん@ピンキー:2010/11/23(火) 08:25:21 ID:1MvzaRSl
乙&GJ!
氏家先生はこのスレを監視している説が以前出てたから
このSSのおかげでカエデがレギュラー並の扱いになる日がくると信じてる
178名無しさん@ピンキー:2010/11/24(水) 03:04:12 ID:OkyD79QK
最近ムツミ分が足りない…元祖恋愛要員なのに
まぁそれ言うならメインヒロインのシノも作品少ないけどさ
179名無しさん@ピンキー:2010/11/24(水) 15:26:09 ID:WmSI8bm7
足りないなら自分で書けばいいじゃない
それがエロパロ魂
180名無しさん@ピンキー:2010/11/25(木) 04:54:11 ID:k5sapx2w
自分でカいてはいるんだけどなあ
181名無しさん@ピンキー:2010/11/25(木) 09:55:35 ID:QGsozZAj
>>180がカいているのかはSSだろうか、マスだろうか?
182名無しさん@ピンキー:2010/11/27(土) 15:20:33 ID:mTJOX+JB
どちらもカいてこその紳士だろう
183名無しさん@ピンキー:2010/11/27(土) 15:29:50 ID:Sq1Gx1gb
自給自足か
184名無しさん@ピンキー:2010/11/27(土) 16:25:32 ID:lqkXGjCi
俺は職人のSSのみでカかせて貰ってるから小作人ってところか
185名無しさん@ピンキー:2010/11/27(土) 19:50:03 ID:oKkghgah
ホストマサヒコシリーズの続きが気になりますです。あれが楽しみで楽しみで…
郭夫妻、そのうちお願い致します。
186名無しさん@ピンキー:2010/11/28(日) 01:06:05 ID:a6o3a5/T
やっぱ男キャラはマサヒコが一番人気なの?
確かにタカトシはぱっとしないけどさ
187名無しさん@ピンキー:2010/11/28(日) 01:11:27 ID:7tPC62ef
俺の妹がなんちゃら〜妹は思春期バージョン

カナミ「お兄ちゃん、人生相談があるの…」
シンジ「どうした?こんな夜中に…」
カナミ「私の部屋来て。」
シンジ「あ、あぁ…」

〜ここからカナミの部屋でのやり取り〜
カナミ「あのね、実は私…これが趣味なの!」
シンジ「…いや、今更…押し入れの中のアダルトグッズやエロゲなら知ってたぞ」
カナミ「あれ?やっぱり…てへへ」


思い付きでやった。
188名無しさん@ピンキー:2010/11/28(日) 01:18:58 ID:7tPC62ef
>>187の続き

カナミ「でもね、気づいてた?実は共通点があることに…」
シンジ「共通点?……言われてみれば、妹もののエロゲばかりだな…」
カナミ「そうだね。」
シンジ「どうしてだ…」
カナミ「そりゃあ、ねぇ…」
シンジ「その意味ありげな視線をやめろ!!」


書き込んでから思い付いてしまった…
189名無しさん@ピンキー:2010/11/29(月) 11:07:30 ID:jB+HH8Uv
シンジ&タカトシ『俺の妹がこんなに思春期なわけがない』


すまん、↑見てただ頭に浮かんだだけだ
190名無しさん@ピンキー:2010/11/29(月) 20:11:46 ID:qWgclS6j
あっちの兄妹と違って、シンジもタカトシも基本、妹とは仲良いからなぁ…
191名無しさん@ピンキー:2010/11/30(火) 19:53:51 ID:UCeSX4xi
エロゲに理解がある妹か・・・
192名無しさん@ピンキー:2010/12/01(水) 01:11:29 ID:CoxRntTo
うちの妹じゃないか>理解ある妹
まぁうちの妹はエロゲじゃなくアマガミのキャラが可愛くて好きって言ってたが。
193名無しさん@ピンキー:2010/12/02(木) 00:27:51 ID:kWmTmKL0
私の事じゃないか>理解ある妹
194恋人定額 終−1:2010/12/02(木) 21:59:05 ID:6QMqDpcE
遅くなりましたが>>72の続き


「シノさん…」
シノの顔が赤く見えるのは、ベットの脇のランプが妖しい色で光っているせい
だけではないだろう。
「ん…ん…う…っ」
何度も何度も、自分達がお互いを恋人と認め合った事を確かめるかのように唇
を重ねた。
いま、津田の下にいるシノは生徒会長でも先輩でもボケ役でもなく、躊躇うこ
となく津田に一心の愛を向ける個人、天草シノ以外の何者でもなかった。
「タカ、もっと…」
−もっと触って…−
熱っぽい声で耳元で囁きながら、シノは津田の手をとって自分の胸へ当てさせ
た。
「小さいが…」
「気にしてませんよ」
「…おっぱい星人じゃなくて良かった」
「強いて言うならシノさん星人ですよ」
ちょっと照れ臭そうに言うと、津田はシノの胸にある腕を動かしはじめた。
(うわっ…気持ち良い)
他にない感触に感嘆の声を上げそうにすらなった。セーターとブラジャーがあ
るにも関わらず、その柔らかさははっきりと伝わってくる。
「やっぱり…脱いでからに…っ…ちょっとごわごわして…」
普段、胸へのコンプレックスが強いシノが自分にだけ見せてくれる。それだけ
で津田は果ててしまいそうになった。シノの乙女然とした言動は、本人は意図
していないだろうが、男の心を高ぶらせた。
(綺麗な肌…)
シノの裸体は、一瞬性欲の対象としてでなく高尚な芸術のように思えた。
「……萎えてしまったか…?」
「いや、綺麗だな…って。ありがとうございます」
「な、なんで礼を?」
「分からないです…けど、なんか…」
それ以上は抑えられず、津田はシノの胸にむしゃぶりつく。若い性欲が、抑え
られずにシノにのみ向かっていた。
195恋人定額 終−2:2010/12/02(木) 21:59:44 ID:6QMqDpcE
津田が狂ったように自分の体を求めてくる。シノにとってそれが何より嬉しか
った。
涎まみれになった乳房からはジンジンと熱っぽい甘い痺れが込み上げてくる。
腹に津田の体が当たって擦れる度に、堪えられずに声が漏れた。
津田の手だと思っての自慰と、実際に触ってもらうのではまるで違う。五感を
全て酷使して津田を感じていたい。壊れてしまってもいい。シノは背をのけ反
らせて喘ぐ。
「シノさ…っ〜」
「!?…タカ!?」
不意に津田が奇妙な震えを起こしてから止まり、困り果てた顔になった。
「す…すいません。その…出ちゃいました」
布団を覗き込んで、確認するまでもなかった。なんだかはにかんでしまうよい
な匂いが押し寄せてきていた。布団の暗がりの中で、津田のモノとシーツの間
に糸が引いている。シノにまじまじと見られて、津田は赤面した。
「気にする事はないよ…むしろ私をちゃんと女として扱ってくれて嬉しいし…」
「シノさん」
「欲しいな…タカのが」
返事はキスで返してくれた。不慣れな手つきでコンドームを付けると、津田は
目で最終確認を取る。
「うん、良いよ」
「シノさん…!」
入って来る、異性。初めて受け入れるのが、最初に愛した人であるという幸せに
シノは瞳を濡らした。
「ど、どうですか?初めては痛いって言うし…」
「うん。ちょっと痛いのと、違和感はあるな。けど…」
「けど?」
「それ以上に、幸せだ」
「っ〜。なんかもう、止まれないかも」
津田の顔から不安の色が薄れ、幸福と興奮が強くなる。シノは一度頷いて了解
の意を伝えた。
途端、往復する津田のモノ。やはり動きが加わると痛みもますが、自分の上で
必死になっている津田を見ると、幸福感が優る。
196名無しさん@ピンキー:2010/12/02(木) 22:02:23 ID:6QMqDpcE
以上です。魚見さん可愛い…
では
197恋人定額 終わりの終わり:2010/12/02(木) 22:11:03 ID:6QMqDpcE
あれ…最後のが書き込めてなかった


「っは、ふっ…」
「タカ…良い…!凄く…ッ!!タカが!!うぁ!」
全校生徒から慕われるシノが、憧れの眼差しを受けるシノが、自分のものを受
け入れ、快感に息を乱している。半ば信じられない現実を確かめるように、津
田は何度もシノの名前を呼んだ。
「シノさん!シノさん…シノさん!!好きです!ずっと…!!」
「っあぁ!た、タカぁ!!私もだ…んん!!キス!キスして…!!」
乱暴に舌と舌を絡め、二人の境界をなくすかのように唾液を混ぜ合わせる。
津田は込み上げる欲求を抑え切れず、シノの口周りを、頬を、整ったその顔を
自らのものだと言わんばかりに舐め回した。
「タカ…んぷふっ…!」
シノもそれに応えるように舌を津田の顔に這わせる。
「シノさん…俺…!!」
「うん…良いよ…!タカ…」
一緒に…−
言おうとした続きは、押し寄せる快楽の波に掻き消され、代わりに一際大きな
声が出た。シノの上で津田が震えている。
(あぁ…終わった…んだ…)
嵐のような情愛ははたと止み、代わりに心地良い木漏れ日のような愛おしい感
情で心が満たされる。
「けど…ちょっとだけ…お休み、タカ」


「あの携帯、その…」
「分かってます。シノさん以外は入れませんから」
日は沈んでいた。やはり冬場の昼は短い。だが、不思議と寒くはなかった。
「ありがとう…いつでも連絡してくれ。あ、あと10時前後はお得だぞ!」
「えっ?通話料は時間帯関係ないんじゃ…?」
「私がたいてい一人でしてる時間だからな!これでテレ〇ラ要らずだ!」
「今までも頼ってない!!」
「っふ…ふふ。あぁ、私達はこのくらいがちょうど良いのかもな。これからも
よろしくな、タカ」
足を止めたシノが津田に向かって右手を出す。津田はそれを左手で取った。こ
れでは握手にならない。ただシノは満足げだ。
「よろしくお願いします。シノさん」
放さず繋いだまま、二人はゆっくりとした足取りで駅へ向かった。










天草シノはハッとなって振り返る。
「皆、二期もよろしくな!」
「そういうのは告知出てからにしなさい!!」
198名無しさん@ピンキー:2010/12/03(金) 00:27:34 ID:nyuAFOM4
完結超乙!

オチわろた
199名無しさん@ピンキー:2010/12/04(土) 01:50:29 ID:heauZMM6
>>197
GJ!!
そういうオチでくるとは思わなんだ

二期ってやるんかな、三巻と四巻があるからボリューム的には十分可能だとは
思うけど
200名無しさん@ピンキー:2010/12/04(土) 03:47:49 ID:deT0zZSi
魚見さんってオナニーするの?
201名無しさん@ピンキー:2010/12/04(土) 22:41:51 ID:ASFlbI4i
思春期だものするに決まってる

>>199
2期もして欲しいけどそれより濱中か思春期をして欲しい
202名無しさん@ピンキー:2010/12/05(日) 03:53:09 ID:qswWlzNc
加藤鷹はオナニーしないらしいよ
203名無しさん@ピンキー:2010/12/05(日) 23:23:33 ID:XF5oRsKo
>>202
高校生と比較する相手じゃねーぞ、と
204名無しさん@ピンキー:2010/12/06(月) 05:09:11 ID:uYNUv8dd
スクイズの誠が役員共を食いまくるSSの投下オッケー?
205名無しさん@ピンキー:2010/12/06(月) 05:57:25 ID:4m/0TxdT
NO THANK YOU
206名無しさん@ピンキー:2010/12/06(月) 18:07:13 ID:z0bLdhkz
そういうのってコラボとかクロスとかのスレ扱いになるのかね(あるのか知らんが)

タカトシやシンジ、マサヒコが誠化して女性陣を食いまくる話なら…
ダメだな、そうなるともはや氏家キャラではないw
207名無しさん@ピンキー:2010/12/06(月) 20:43:57 ID:ofjS4KsP
どう考えても食われる側だよな
208名無しさん@ピンキー:2010/12/07(火) 00:29:22 ID:mXbefU0m
上で柳本の話になった際も言われたが、美味しい思いをするのはタカトシやマサヒコだけでいい
てか彼等だからこそいい
想像してみろ?柳本がシノやムツミ、スズとセクロスして許せるか?
209名無しさん@ピンキー:2010/12/07(火) 03:52:43 ID:o/jq3ncE
>>200
魚見「自慰に関してはコメントを控えさせていただきますが、前戯(うぉーみングアップ)なら得意ですよ。魚見だけに」
210名無しさん@ピンキー:2010/12/07(火) 08:55:39 ID:G/iiRP0f
>>209
畑(出来る…!!)
211名無しさん@ピンキー:2010/12/07(火) 21:29:36 ID:qSYYv0HX
氏家作品の男キャラにしては珍しく柳本は相手がいないからな
カズヤは置いといて鈴木君には柴原さん坪井先生には小宮山豊田先生にはリョーコと相手がいたのに柳本不憫だなw
212名無しさん@ピンキー:2010/12/07(火) 23:35:07 ID:mXbefU0m
かといってムツミやスズの安易な救済キャラってのも嫌だなぁ
213名無しさん@ピンキー:2010/12/08(水) 00:11:53 ID:dHSbe394
柳本は柔道モブ達がいるじゃない
214名無しさん@ピンキー:2010/12/08(水) 02:37:44 ID:0ecHaUyY
役員共のキャラで自慰してないのっているのかな
215宣銅烈 ◆OHssXGjkyo :2010/12/08(水) 03:26:29 ID:ypEL9v1S
てすと
216宣銅烈 ◆OHssXGjkyo :2010/12/08(水) 03:28:00 ID:ypEL9v1S
夜遅過ぎですが、投下します。
今回で「副会長、御乱心」のシリーズは完結です。


タイトル:副会長、御乱心 その7
カップリング:サヤカ×タカトシ

↓でわでわ
217宣銅烈 ◆OHssXGjkyo :2010/12/08(水) 03:28:39 ID:ypEL9v1S
月が照らす豪邸。
建物そのものが眠っているかのような静かさから一転する。

「なんで貴方がここにいるのですか?」

用を足して部屋に戻ろうとする津田を引きとめたのは、休みだった筈のメイド・出島サヤカだった。
彼女は感情をモロに出すことはせず、冷たく問い詰める。

一方の津田は答えられない。
彼は疾しいことをしているのだ。彼女が心服する七条アリアと性を重ねたのだから。
だから冷や汗が垂れるのをどうすることも出来ない。

だがその無言は答えを知らせているのと同じだった。
自らの体に沁みた情事の汗やアリアの体液、それに気付くことはない。
無論、出島さんは勘付いた。

「もしかして……お嬢様に手を出したのですか?」

鋭き黒い目が、芯を突く。
分かっている。何を言おうが、彼女を丸めこませるのは不可能だった。
冷や汗を堪えながら、津田は反論しようとする。

「そんなことあり――ッ!!」


しかし津田の答えは、突然襲いかかってきた電流によって封じられた。
意識が飛ぶ瞬間に彼の視線は捉えていた。出島さんの左手にスタンガンが見えていたのだ。

「言い訳なんて聞きたくありませんよ。津田さん」

ばたりと動かなくなった津田の後頭を、冷徹に踏みつける。
そして自らの奥底から湧き上がってくる感情を示すかの如く、微笑する。

「貴方には、躾が必要なようですね……」

その表情は七条の人間すら知らない表情だった。
まるで、過去を振り返るかのような……。
218宣銅烈 ◆OHssXGjkyo :2010/12/08(水) 03:29:10 ID:ypEL9v1S
「――ううっ…」

暗闇の中で、彼は悶えていた。
どこにいるのかも、どうしているのかも分からない。

覚醒しているのか、それとも失神から覚めていないのか。
両手は後ろで組まれ、自由が利かない。縄で締め付けている。

両目を膜が覆い、視界は完全に塞がれる。

エアコンが動いているのか、微風がやけに強く感じる。肌を浸していく。
そこで彼は、服すらも着ていないことに気付く。

彼を襲うのは、ひたりひたりと落ちてくる雫だった。
熱い雫が腹へと落ちる。液体の筈なのに肌から離れることもなく、熱が粘着する。

彼を蝕むのはそれだけではなかった。
胸部を冷たく尖ったものが伝う。左と右を撫でるように、時に強く。
それは臍を伝う瞬間、重みを増して襲いかかった。

「痛ッ!!」

あまりもの奇襲に津田は悲鳴をあげてしまう。
そんな悲鳴に呼応するかの如く、攻撃はぴたりと止む。

「気がつきましたか?」

そして頭上から声が聞こえる。
先程まで廊下で対峙していた、メイドの出島サヤカだった。

「出島さん、止めて下さいよ。すぐに解い――ッア!!」

懇願を踏みにじるかのように、強烈に臍を踏みつける。
彼女の表情が分からない分、恐怖も計り知れないものになっていた。

「誰が意見していいと言いました?」

変わらない声色が恐怖を煽る。
胸元に滴る熱い液体は相変わらず続き、冷えて凝固していく。

「津田さん、貴方は後悔しなければなりません」

出島さんは津田の腹を踏みつけ、断罪する。
ピシという謎の音が数回聞こえ、右の方向から強い風が二度三度押し寄せる。

「お嬢様に手を出したことを……身をもってね」

その瞬間、乾いた音が轟き、津田を襲った。
激烈なまでの衝撃が、彼の胸元へと響く。
219宣銅烈 ◆OHssXGjkyo :2010/12/08(水) 03:30:00 ID:ypEL9v1S
「ヅ…ああああぁっ!」

彼を襲ったのは鞭だった。
凝固した蝋と共に肉へと食い込み、痣を残す。
痣はミミズ脹れとなり苦しみを肌が覚える。

「随分と喧しい声で鳴きますね。情けない」

津田の悲鳴は、加虐嗜好のエッセンスでしかなかった。
もう一度彼女は、鞭を振り下ろす。

「それでも男ですか!?」

九尾鞭が左肩に襲いかかり、痛みから皮膚が熱を帯びる。
突発的に襲いかかってくる攻撃に、津田はどうすることも出来なかった。
まさにマグロ状態だったのだ。

攻撃はそれだけじゃなく、下半身にも及ぶ。
出島さんのヒールが腹部から降りていき、自らの分身へと這っていく。

「こんな粗末なモノでお嬢様を……」

彼女の発言には、侮蔑と落胆が込められていた。
凶器と化したヒールが分身を踏みつけ、茎や雁首をぐるぐると乱雑にかき回す。

「うっうわ……や、やめて……」

津田には抵抗の言葉が出なかった。
出たのは哀願。決して解放されず加虐だけを打ち続けている現状から逃れられない。

だが体は精神とは別の反応を見せていたのだ。
熱くなり、上向きになっていく。

「ははっ…はははははっ!!」

視界が黒くあろうとも、自分の状態を知ることは容易だった。
自らの暴走が情けない形で露わになった。そして彼女の嘲笑が聞こえるのだ。

「踏みつけられて興奮して……貴方は本当に変態ですね」

出島さんの声色は、今までにない程高くなっていた。
彼女の昂った感情が、更なる攻撃を起こす。ヒールで茎の下にある、巾着を強打する。
220宣銅烈 ◆OHssXGjkyo :2010/12/08(水) 03:30:31 ID:ypEL9v1S
「うぐっ……」

容赦ない一撃に、津田は横向きになる。
目隠しをしているため攻撃の出所が分からない、それ故に痛みも容赦ないのだ。
異常なまでの衝撃が全身を襲い、呼吸が瞬間静止する。

「はははっ……汚いオトコ」

涙が溜まっているのか、アイマスクが湿っている。
マゾヒストな面が多少あろうとも、津田は普通の高校生でしかない。本職を相手に欲望を向けられる筈もない。
それなのに、もう一人の自分はそうではなかった。更なる苛めを望んでいた。天を突く程真っ直ぐに望んでいた。

「変態……汚らわしい変態」

知らない声だった。
津田にとって、出島さんは単なるメイドでしかない。変なところがあるにしても、至って寡黙な。
性倒錯は誰にでもある。だがこの現状は誰が見ても異常という他はなかった。

不安、恐怖、屈辱。
マイナスの感情が津田の思考回路を何度も巡らせる。
まるで自分の中にある「期待」の感情を抑圧するかのように。

「津田さん、楽になりたいですか?」

精神が崩壊と忍耐の狭間で揺れていると、ふと彼女が語りかけた。
津田は女神のような包容感を覚え、無心に頷く。

想いが通じたのか、両手を封じていた縄が解かれる。
解放を信じた次の瞬間、再び腹部に強い痛みが走る。ヒールがまたも、彼を襲う。

「じゃあこのままオナニーして下さい。そうしたら御褒美をあげますよ」

彼女の出した条件は、天使と悪魔の両面を秘めたものだった。
だが依然として腹部は抑えつけられており自由が利かない。恐怖心が彼を縛り、無意識の内に束縛を受容してしまった。
結局、彼女の申し出を拒む道などなかった。
津田は蔑まれた瞳を刺々しく感じながら、右手を分身へと伸ばしていく。

そして津田は、静かに自慰を始めた。
茎と雁首の間を何度も往復し、悦を脳内に自覚させる。

二度の性交のしたばかりだ。そう簡単に爆発させることなど出来ない。
それでも津田は、横島先生との筆降ろしやアリアとのアナルセックスを反芻させながら、感情を昂らせていった。

「男のオナニーってのは何度見ても滑稽ですね」

自分からは見えない、情けない姿を彼女だけが見ている。
不思議な感覚が猛った感情を満ちさせていく。溢れさせていく。

「ハアッ……ハァッ……!!」

「もうイクんですか?私に蔑まれながら射精するんですか?」

何を言われようとも、終焉へと向かう肴にしか思えない。
そして津田は何度も身を反らしながら、白き感情を爆発させた。
221宣銅烈 ◆OHssXGjkyo :2010/12/08(水) 03:31:00 ID:ypEL9v1S
感情の結晶は、一直線に跳躍し彼女の太股へと付着していく。
まるで「それ」自体に感情があるかのように吸い付き、独特の臭いを発していた。

「ハァッ…出島……さん」

役割を終えた分身は暫しと縮こまり、津田はユラユラと白くなった感情を揺らす。
アイマスク越しの彼女の表情を知る術もなく、声色からの想像力で補うしかなかった。

「ちゃんとしましたね……これが、私からの御褒美ですよ」

僅かな声の振るえを津田は感知する。
そして両の手首を抑えつけられ、目の前に人の影を察知する。

瞬間、勢いよく生温い液体が顔面を濡らす。
シャワーのようにも思えたが、排他的な臭いが確信させた。
鞭に叩かれ、蝋を垂らされ、自慰を強要されても微かに護っていた自尊心が崩壊していくのを感じていく。

「ふう……」

出島さんは暫しの恍惚に浸る。
だが津田の感情はピークを越えていた。彼の面を湿気らすものは、排液だけではない。目から毀れるものも混じっているのだ。

「……情けないですね」

ふと彼女は溜息をつく。
彼の精神が砕けてしまう早さに絶望したのか、久々のことに興奮してやり過ぎたことを反省しているのか。
いずれにせよ、精を放ち自尊心を圧し折られた彼をこのまま攻めること、それはプレイとは言わない。単なる暴力だ。

引き際は弁えている。
出島さんは津田の腰あたりを跨ぐように膝をつけ、体臭と尿臭の混じったアイマスクを剥ぐ。

「津田さん、もういいですよ」

仰向けになっている津田の視線はボンテージ姿の出島さんを捉えている。少なくとも傍からそう見えていた。
だが、違っていた。彼の目は虚ろで、天井をぼんやりと眺めているようだった。

「今日のところはもう帰って下さい。お嬢様の話はまた後日に」

廃人一歩手前まで追い詰めるつもりはなかったが、無為に女を喰らう彼には良い薬になった筈だ。
出島さんはそう確信し、彼から離れようとする。しかし彼女の右腕にずしりという感覚が襲い、身動きが取れなくなる。

「津田……さん?」
222宣銅烈 ◆OHssXGjkyo :2010/12/08(水) 03:31:33 ID:ypEL9v1S
津田はその手を、固く握っていた。
擦り切れた理性と剥き出しになった本能が、彼女を捉える。語らずとも、真意を知ることが出来る。

「しょうがないですね」

ふと出島さんは笑みを溢し、下着を脱ぎ捨てる。
先程までの加虐嗜好に満ちた嘲笑でない、日常を楽しむ自然な笑顔だった。

お粗末な月の光は、場を妖艶に映す。真意を隠し、薄らと自らの都合だけに照らして。
津田の視線は下へと動き、彼女を捉えようとする。だがあまりの暗さから、アイマスクをしていたときとは違った不安が襲う。

「津田さん……力を抜いて」

瞬間、額や鼻や顎に出島さんの手が伸び、跨る格好となる。
自らに、彼女がぶつかる。そしてゆっくりと奥まで沈んでいく。

「はっ…はあああっん……」

「……うっ……つぁあ…ッ…」

そして二人は静かに重なった。
月下の寝室に男と女。まさしくこの場に相応しい格好となった。

「手加減はっ……しっ…しませんよ」

「……ハイ……ッ………ッ!!」

出島さんの挑発に返事をしたかと思うと、急激に彼女は攻撃を開始した。
上下左右に留まらずに斜めまでも動く腰、緩めたかと思えば唐突に締まる膣、ざらつき触れる度に身を仰け反ってしまう程の奥。
全てが彼を襲い、精神を狂わせる。

「も……もうッ………」

早くも津田は限界点に達しようとしていた。
四度目の到達点。体力も精神力も、全てが限界だった。

「ホラッ…出しなさい。いっぱいブチ撒けなさい」

だが出島さんのテクニックが、視線さえも感情の爆発へと向かわせていく。
津田は両足を一瞬張り、一回もう一回と身を仰け反らせていった。その度に出島さんはビクンと撥ね、彼の強さを受け止めていた。
223宣銅烈 ◆OHssXGjkyo :2010/12/08(水) 03:45:47 ID:ypEL9v1S
どれだけの時が経ったであろうか。
激しい彼女の攻めが終わり、二人は繋がったまま抱き合っていた。
互いに言葉は発しない。
語ることに意味などない、そのことをどちらとも分かっていたから。

出島さんは想っていた。
こんな性を交わしたのは、今までにあったのか。そう思う程に激しい悦を覚えていた。
互いがエゴをぶつけ合った。攻撃的なエゴと、自棄的なエゴが。

だが後悔などしていなかった。分かりあうことがなかったとしても。
そして気付いていなかった。背後の扉が開いていたことに。


「二人とも……何してるの?」

迷子の子供のように、振るえた声。
無論、出島さんでも津田の声でもない。

「お嬢様……」

出島さんは目を疑ったかのように見開いていた。
よりによって見られてはいけない、まさにその場面を見られてしまったのだから。
一切の言い訳すら通じない、冷徹な空気。少なくとも津田はそう感じていた。

「アリア先輩、これは違うんです!!」

だからこそ、言い訳がましくも抵抗する。
繋がっている現状を、忘れてしまう程に。
224宣銅烈 ◆OHssXGjkyo :2010/12/08(水) 03:46:35 ID:ypEL9v1S
「何も言わないで!タカくん、私……」

即座に繕う権利は阻害される。常に受身である彼に、反撃の許しはやってこない。
アリアは俯き、振戦していた。もしかしたら泣いているかもしれない、こんな早い浮気に絶望していたって何ら不思議ではないのだ。
だが彼女は津田が思うより上の言葉で返す。

「……濡れてきちゃった」

想像の遥か先に聞こえた言葉を津田が受け入れるより前に、アリアは行動に移していた。
あっという間に仮初のネグリジェを脱ぎ捨て、淫靡な肢体を見せる。

「えっ…イミが分かんないんですけど」

「大丈夫ですよ、津田さん。こういうプレイも、私がじっくり教えてあげますから」

繋がりを外し、出島さんが言う。
アリアを前にして、彼女はメイドに戻ったのだ。

「だから三人で、気持ちよくなろっ」

新たな世界への幕開けが聞こえたかと思うと、津田の目の前に巨大な谷間が襲う。
言うまでもなく、アリアの胸である。

「うぐうっ……」

表面で苦しさを装うも、次に来る出島さんによる口淫も全ては極度の快楽にあった。
まだまだ戦える。その確信が、更なる欲望を目覚めさせる。


そして――。
225宣銅烈 ◆OHssXGjkyo :2010/12/08(水) 03:47:01 ID:ypEL9v1S
「そして世にも恐ろしい淫乱な夜の宴が待ってるんだあーッ!!」

――と反芻を飛び越えた長い長い妄想をしていた天草シノの前から、一人の女性が歩を進めてくる。
それはまさしく、彼が想っていたその人であった。

「アリア……」

「どうしたの?シノちゃん」

七条アリア。生徒会書記であり、シノにとっては無二の親友。それでいて、津田の意中にあった人。
気がつけば、シノは彼女に抱擁していたのだ。

もし二人が付き合っているとすれば、自分の妄想にあったことが真実と化してしまう。
知りたい気持ちと怖い気持ちが交差し、縋るしかなかった。自分が遠く及ばない女性だったとしても。


気を落ちつけたシノは、自分にあったことを全てアリアに話した。
昨日の放課後に告白されたこと、受け入れて愛を交わしたこと。更には、以前に横島先生が筆下ろしをして。
そして、アリアに告白したということも。

「正直に答えてほしい。アリアは、タカ――津田から告白されたのか?」

「……うん。でも断っちゃった」

彼女は即答した。
確かにアリアは、シノやスズ達よりか津田との距離は広いように見られてはいたが……。
理由はそれだけではないようだ。

「だって……シノちゃんの気持ち知ってたから」

それが全てだった。
生徒会メンバーとして、親友として、誰よりもシノに近い存在として、気持ちに気付いていたのだ。
だからこそ彼女は、受け入れることを拒否した。

「私がシノちゃんを裏切るわけないじゃない」

そう言ってアリアはウィンクを決める。
真に彼女は親友だったのだ。これで全ては解決した、少なくともそう思っていた。
この二人だけが。


「――それ、どういう意味ですか?」
226宣銅烈 ◆OHssXGjkyo :2010/12/08(水) 03:47:22 ID:ypEL9v1S
「萩村……」

「あれ、スズちゃん?」

二人の会話に割り込んできたのは、生徒会会計の萩村スズ。そして保護者に見えるのはスズのクラスメイトである轟ネネだ。
普段から棘があるような話し方をする彼女だが、敵意は明らかに二人に向けられている。

「タカは私と付き合ってるんですが」

スズの話に偽りはなかった。
アリアが告白を受けた日、スズは彼に想いを伝えて実っていた。それから現在に至るまで別れの話すら出したことはない。

だからこそ彼女は怒りの念を持っていた。
自分を差し置いて延々と津田の話をしていたことを、そしてシノが津田に特別な感情を懐いていることを。

「違うぞ萩村。私は昨日にタカトシから告白を受けてる」

「は?何勝手に名前で呼んじゃってるんですか、妄想は止めて下さいよ。私は夏からずっと付き合ってます。もう何回もヤッてます」

「あらあら。うふふ」

「私はスズちゃんの味方だよっ!」

突然訪れた波紋に戸惑いを見せるシノ、彼女らしくなく喧嘩口調になってしまうスズ、笑うしかないアリア、改めてバイブを取り出す轟。


「津田さんは保健室で休まれてますよ。本人に訊かれてはどうですか?」

修羅と化した場に、投げ込まれるガソリン。
突然現れた新聞部の畑ランコの言葉に、誰もが疑いもなく聞き入れる。
そして二人は勇み足で向かい出す。

「タカトシに聞いてみよう。萩村とのことは気の迷いだと言ってくれる筈だ」

「馬鹿言わないで下さい。タカは絶対私のことを取りますから」

「面白そうね〜」

「スズちゃん、報告待ってるね」

手を振る轟以外の、生徒会メンバー三人娘はそれぞれが感情を孕みながら保健室へと向かう。
彼がそこで、ムツミとの性交をしているなど想像することもなく……。
227宣銅烈 ◆OHssXGjkyo :2010/12/08(水) 03:47:58 ID:ypEL9v1S
「ところで今回オレら出番なかったな〜」

彼女らが保健室を開けて真実を知る頃、わき役共である柳本君が呟いていた。

「なかったな〜」

同じく現れたのは、同じくわき役共かつ柔道部ナンバー3の中里さんだ。
保健室で悦に浸っているムツミとは対照的に、誰とも絡むことなく出番が与えられていなかったのだ。

「まあ……いつものことだけど」

柳本君は窓に背を預けて空を見る。
この諦めの良さこそが、わき役でい続けるポイントだ。所詮自分達は「彼ら」の付属品としてしか価値をもたないのだから。

そんなこんなでぼんやりしていると始業のチャイムが鳴る。
どうやら生徒に戻る時間が来たようだ。

「もう授業か。さっさと戻るか」

「……おうっ」

そう言って彼は右手を横に出し、それを中里さんが強く握る。
頬を染めながら、お互いを見つめてゆっくりと教室に戻っていく。


「やっぱりあの二人……」

そんなわき役共を片隅で見守っていたのは、柔道部の海辺さん。
物語の隅で動いて別のストーリーを、たった一人で見守っていたのだった……。



-完-
228宣銅烈 ◆OHssXGjkyo :2010/12/08(水) 03:52:11 ID:ypEL9v1S
途中で規制に邪魔されながらも、なんとか完結です。
その1が8月更新になってるから4ヶ月かかったことになりますが……。

次回作はパロディで上下話か、トッキー話か、番外かのどれかになるかと思います。

それでは失敬しました。
229誤字報告 ◆OHssXGjkyo :2010/12/08(水) 03:55:04 ID:ypEL9v1S
>>227

× 物語の隅で動いて別のストーリーを、たった一人で見守っていたのだった……。

○ 物語の隅で動いていた別のストーリーを、たった一人で見守っていたのだった……。
230名無しさん@ピンキー:2010/12/08(水) 17:16:58 ID:p7X1GXzX
乙です!
231名無しさん@ピンキー:2010/12/08(水) 22:49:13 ID:ueNh8cSD
乙&GJ!

トッキー話…だと…!?
232名無しさん@ピンキー:2010/12/09(木) 06:11:21 ID:jkZtiCym
アリアに逆レイプされたいんですがどうしたらいいですか?
233名無しさん@ピンキー:2010/12/09(木) 14:20:53 ID:OHrzS3ZL
>>232
まずは妄想する
そしてかけばいい


升かSSかはお好きなほうで
234名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 20:25:47 ID:OYrH/w9A
つまりシコシコと頑張るわけですね!
235名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 20:39:52 ID:RzYcoqBm
百合モノを書く職人ってあんまりいないのかな?
氏家作品は女の子多いから需要があると思ってるんだけど
236名無しさん@ピンキー:2010/12/14(火) 01:04:51 ID:xFw/Alfg
百合といえばマリリスト氏・・・
237名無しさん@ピンキー:2010/12/14(火) 11:37:11 ID:MXNROWDm
自演乙が大晦日の対戦ガードの発表記者会見で生徒会役員共のアリアコスをしていたらしい……


まさかここの住人じゃ……
238名無しさん@ピンキー:2010/12/14(火) 13:00:40 ID:L45I1ClI
マジだったんで吹いた

本人が選んだかスタッフが選らんだのか分からんけど
239名無しさん@ピンキー:2010/12/14(火) 14:12:17 ID:RIOtn6hG
つまり>>237、君が自演乙選手だな
というわけで自演乙



あり?
240名無しさん@ピンキー:2010/12/14(火) 19:38:07 ID:8lZPs7oC
しかしコスをやってもらえる日がくるとは。
241名無しさん@ピンキー:2010/12/14(火) 22:08:03 ID:KT762SAv
シノではなくアリアにしたところがミソだな( ゚∀゚)
242名無しさん@ピンキー:2010/12/14(火) 23:46:42 ID:4jan9xXJ
つまりその下はノーパ




どうでもいいや
243名無しさん@ピンキー:2010/12/16(木) 07:25:05 ID:+UVmf918
条例通ったな……
内容的にアニメ2期どころか、連載も危ういな……

掲載誌が変わる辺りだろうけど
244名無しさん@ピンキー:2010/12/16(木) 12:25:39 ID:C4IcuNEa
さすがに大丈夫だろ
これが駄目ならこっち系の大半は駄目になるぞ
245名無しさん@ピンキー:2010/12/17(金) 00:53:06 ID:/8zRsyA+
条例の記事といっしょにyahooのトップでネタになっててわろた
246名無しさん@ピンキー:2010/12/17(金) 16:25:38 ID:hwNKC1V8
氏家作品は全部傑作だからおk
247名無しさん@ピンキー:2010/12/17(金) 19:27:38 ID:rzOPWIEZ
ケツ作ですって!?
248名無しさん@ピンキー:2010/12/18(土) 07:57:44 ID:G5t7Yax5
ケツ作、つまりアナルものなら規制されない
アリア大勝利!
249 ◆LYfQOwf8Qc :2010/12/18(土) 13:28:47 ID:eJS1rO4k
tst
250Y-275 ◆LYfQOwf8Qc :2010/12/18(土) 13:42:07 ID:eJS1rO4k
皆様ご無沙汰しております。
やっとこ書けたので投下します。
取り合えず29時間目>>883の続きから。
スルー対象ワードは
「悪ノリ」
「諸々強引」
「まだ未完結」
で。
久しぶりの投下なので諸々不手際あると思いますが、よろしくお願いします。
251Y-275 ◆LYfQOwf8Qc :2010/12/18(土) 13:44:04 ID:eJS1rO4k

………………………………

会長たっての希望であるラブホテルへ移動。
行き道では終始無言だった2人。
ただ、その頬は真っ赤で、ちょっと浮ついたような期待しているような表情は妙に印象的だった。
今、2人はシャワーを浴びている。
2人同時に浴びる意味は分からないんだが…
「片方が浴びているうちに、片方と盛り上がられていても嫌だろう。」
「あれ?」
「回想は心の内に留めておいた方が良いぞ。」
そうですか、口から零れてましたか。
失礼しました。
「まったく。もうすっかり、エロゲの主人公だな。」
そんな事を言いながら、体にバスタオルを巻いた会長が左に座る。
「……………………」
シャワーを浴びてから終始無言の萩村は、それに伴って、俺の右に腰を下ろす。
その姿は会長と同じく、バスタオルを巻いただけ。
ちなみに俺も同じ。
─ぽふ
瞬時後、左側から緩やかに預けられる体温。
直に肌同士が触れ合っているので、その体温が強く伝わってくる。
普段の会長の体温は分からないが、火照っているような気がする。
「さて、どうするのだ…」
そう会長が呟く。
「どうしましょうね…」
なんだか、2人だけの会話のようになってしまっているが、萩村も当然いる。
終始無言の萩村は何かをしてくるような気配はない。
「とりあえず、キスでもすれば良いのか…?」
「そ、そうですね、キスしましょうか…」
微妙に震えてしまう声。
ヘタレ感満載。
そうして、徐々に会長の方へ体重を傾ける。
「ちゅっ、ふ、は…」
そのまま、唇は柔らかく会長の唇に触れる。
反対側にいる萩村を気にしながら。
「ちゅっ……、次は萩村の番だぞ。」
口を離した会長がそう口にする。
「へ?」
意味がわからずマヌケな声を上げてしまう。
「平等に、な……」
会長なりの気遣いらしい。
「というわけで、萩村…」
「う、うん……」
照れなのか、恥ずかしさなのか、小さい声で萩村が返す。
「下の名前では呼べないのか?」
そんな俺達のやり取りに横から会長が口を挟む。
「いや、照れ臭くて…」
会長の言葉にそう応える。
と、同時に、萩村の方へ向かう間に一気に気恥ずかしさが流れ込む。
「……私も、名前で呼んでほしい……」
会長に対して応えた俺の横で萩村が顔を真っ赤にしながら消え入りそうな声で言う。
普段の尊大な萩村とは対照的な姿。
「う…」
その様は不覚にも俺の心の内をうまく捕らえるわけで、
「わかった。」
その心を素直に表現するためにも、自らの意志を表明する。
「……ス、ズ…スズ……これで良いかな?」
「タカトシ…」
名前を呼ばれた瞬間に、はぎm……スズの瞳に潤いが増したのは手にとるように分かった。
252Y-275 ◆LYfQOwf8Qc :2010/12/18(土) 13:46:09 ID:eJS1rO4k
ずっと見つめ合っていた瞳は、輝きを増して、俺の心を捕らえる。
「ん、ちゅぅ……」
その瞳に吸い込まれたのか、はたまた近づいてきたのか…
俺の視界いっぱいまで広がると、唇に熱を燈す。
「ん、ふ、ちゅっ、……っ、」
萩m…スズの温もりを感じて温かな気持ちが流れ込んでくる。
「あー、なんかズルイ!!すごいムードのあるキスを!!」
それを横から見ていた会長…いや、シノが声をあげる。
アニメ版ハイテンション風に。
「ちゅ…ふあっ、………あっ…」
それに応える為にスズと唇を離すと、名残惜しそうな声を残す。
その瞬間のスズの切なそうな表情は偉く印象的だったのだが、次の瞬間には、唇はシノの熱と触れ合う。
「ちゅ、ふ、ちゅ、ちゅ……ちぅ…」
何度も軽く押し当て離れてを繰り返し、甘えてくるような動作でキスをしてくる会長もといシノ。
普段の凛とした姿とのギャップの破壊力は抜群だ。
それにしても、中々に下の名前で呼ぶということに慣れない…
「………………ん、ちゅ…」
暫くは沈黙していたスズが俺の首筋に唇を押し当ててくる。
「……っ!、ん、ちゅ、」
ぞわぞわと駆け巡るその感触に一瞬呻き声を上げかけるのだが、その声は唇ごとシノに飲み込まれてしまう。
「ちゅ、ん、ふ…」
うっとりと瞳を閉じながら、唇を合わせてきたシノ。
最初は短く押し当てるだけだったキスは、やがて啄むような動きへと変化していく。
「ちゅ、ん…タカトシ…」
スズは、何度も俺の身体に唇を押し当てながら俺の名を呼ぶ。
何故にこんなに人の下の名前を呼ぶことに違和感が無いのだろう…
首筋から南下して肩甲骨の辺りや、二の腕へと丹念に何度も何度も。
「ん、ふ、ちゅっ、ちぅ……ちゅ、れろ…れる…」
そうして、スズの動きに意識が向かった俺を呼び戻すように、俺の唇の間から何かが侵入してくる。
「れろ、ふ、んちゅぴ、ふ、れる…」
好き勝手に暴れ回るそれがシノの舌だと理解するのに少しばかり時間がかかった。
「ちゅぴ……ふ、はぁ、少しは興奮したか?」
何度も唾液を交換した後で、シノがそんなことを言いながら顔を離す。
そこで俺の視線と熱っぽいシノの視線は交わる。
その瞳から目を逸らすことが出来ず、見つめ合ったまま俺はどう答えるべきか逡巡する。
「……………」
視線を交わせて、沈黙する俺達に合わせるようにスズの動きも止まる。
しばしの間が3人の間に流れ込む。
「…………っ!、ス、スズ…!」
その間を1番最初に動かしたのはスズ。
俺の背中から回り込んで来た腕が、脇腹から南下して真っ直ぐに下半身へと伸びていくのが分かる。
「……大きくなってる。」
「…………っ!」
一瞬の沈黙の隙を着くような不意打ち。
口数は少ないけれど、スズの手によって確実に行為は前に進む。
時には引っ張り、時には押されて。
「……っ、あっ、スズ……く、」
身長相応に小さい萩村の手が、俺のペニスを掴む。
腰に巻いたバスタオルの上にその形を浮かび上がらせていく。
「おお、ホントだ。」
そこにシノも自然と視線を向けてくる。
興味津々といった具合の視線。
「……………っ!」
そうして視線を向けられると物凄く抵抗感がある。
シノから向けられる好奇心の瞳を何とかしないと、羞恥で顔が燃え上がりそうになってしまう。
「…すごい…ん、ちゅっ、ん…」
視線を注ぎながら何かを言おうとしたシノの唇を自らの唇で塞ぐ。
「ん、れる…ちゅぷ…ふ、ちゅ、んんっ、ちゅ、れろ……っ、ふぁ、」
先程そうされたのと逆さまにこちらから舌を送り込む。
あっという間に、シノの舌に触れて、唾液を混ぜ合わせながら、絡み合わせる。
253Y-275 ◆LYfQOwf8Qc :2010/12/18(土) 13:48:02 ID:eJS1rO4k
「れふ、ちゅ、れる、ちゅっ、ふぁ、ちゅぅぅ……っ」
特有の水っぽい味にシノの香りが混ざって、興奮していく自分自身がよく分かる。
「きゃっ、今、ビクッって…」
当然それは背後から俺をまさぐるスズにもペニスの反応で伝わる。
「ん、んっ、ふあっ、れ、る、ちゅ、ふ、ちゅぷ…」
先程まで強く感じていた羞恥はそれを上回る興奮に上書きされる。
「ん、ぷちゅ……ふぁ、」
興奮の赴くままに、シノの胸に触れる。
瞬間、唇から離れていく温もりと、耳を抜ける艶声。
「ふぁっ、…あっ、ぅ……ふ…あっ…っ!」
その声に後押しされながら、リズミカルにシノの胸を揉む。
それに合わせるようにゆるゆると吐き出される吐息。
「…………ふんっ!」
昂りの赴くままに動く俺の腕を留まらせるのに十分な音声が響く。
背後から聞こえたそれは、今の状況に置いていかれた人物からの不満。
「どうした萩村?」
俺の動きが止まるとともに、シノがスズに問い掛ける。
「いや、なんでもありません…」
何でもないことこの上ない表情でスズがそんなことを宣う。
「ふむ…」
そんなスズを見ながらシノは思案顔。
何と無くだが、スズの考えは分かる。
つまるところ、1人だけ置き去りなのが気に食わないのだ。
けれど、それを認めて口にするのは躊躇われる。
だって、恐がりを隠して、人に子供っぽいと思われることを誰よりも嫌うスズだから。
愛ごい奴め。
「ほら、スズ。」
スズの方へ向き直る。
「萩村。」
そうして、会長も似たような答えに至ったのか、スズの側へと回り込む。
「…ちゅ、ふあっ、」
スズの方へ向き直って、抱き寄せると、唇を重ねる。
それだけで、スズは蕩けてしまいそうな表情になる。
「ふあっ、っ、会長……っ、」
俺の腕の中にいるスズの背中にシノが唇を落とす。
「寂しかったのだな。」
名前を呼ばれたシノは、そんなことをスズに言う。
「……ち、違いますよ、わ、私はただ…」
「違うのか?」
「ええ、その…揉むほどある会長の胸が羨ましかったというか、何と言うか…」
「「ぷっ、」」
そうして紡がれた予想外の言葉に、俺とシノは吹き出してしまう。
「こら〜、笑うなぁ、しかもあんた胸揉んで興奮してたでしょ!!その、アレがすごい反応してたもの。」
赤くなりながら、そんなことを言う。
「しかし、萩村初めてだぞ、そんなことを言われたの。」
そんなことを口にしながら、シノの目元は笑っている。
「そ、その確かに、私は胸無いけど、だからって…」
シノはよく自らの胸が小さいと言う。
だが、スズに関しては、小さいどころの騒ぎでは無い。
根本的に無いのだ。
口には出さないだけで、こちらも強くコンプレックスを感じているのだろう。
「わかったよ。」
そんなことを考え、スズのバスタオルをどける。
「あっ、、くすぐったい……っ、」
揉むことが出来ないので、そこにある蕾の片方に唇を落とす。
くすぐったい等と口にしながらも、先程のシノと同じ色の息をスズは吐き出す。
「んっ、ふ、んっ……っ」
必死に声を飲み込んで、それ以上熱い息が出てこないように、スズは口を閉ざしながら息を吐き出す。
「んんっ、っ、ふ、……ふ……っ!」
口に含んだ乳首は反応して固さを得ていくのにも関わらず、頑なにその唇は閉ざされたまま。
254Y-275 ◆LYfQOwf8Qc :2010/12/18(土) 13:50:22 ID:eJS1rO4k
「なぁ、スズ、なんでそんなに我慢してるんだ…」
どうしてもそんな姿が気になってしまって、スズに声をかける。
「べ、別に我慢なんかしてないわよ…」
嘘だと思う。
「そっか、分かった。」
それだけ言うと、再び、乳首に唇をつける。
吸い付くように、転がすように、意識して先程よりも、せわしなく口内を使って愛撫していく。
「ん、ふ、んん…ふ、……っ、ぁ…っ!」
それと比例するように、スズの吐息も荒くなる。
「ん、ん、あっ、会ちょ…ちゅぷ…ちゅ、れふ、あっ、ん、ふあっ……あう…」
執拗にスズの乳首をなぶりつつ、聞こえた水音に、そちらへと視線を向けると、シノに口をこじ開けられる
スズの姿。
「ふあっ、ふっ、ぷちゅ、ちゅぅ……ふ、あっ、ぷちゅ…れる、れ…る……っ!」
深く口内で舌を絡めるのでは無く、所謂ベロチュー状態で常に口を開かせた状態のまま、
シノはスズの舌と自らの舌を絡めあう。
そうされる事によって、喉の奥で飲み込まれるようにくぐもっていた声は、
徐々に吐息と交ざりはじめる。
「あっ、ふあっ、っ……れる、っ……ちゅうぅぅぅ…」
2人が舌を絡ませているところからは水音と、唾液がもれる。
その光景は卑猥極まりないわけで…
「なぁ、萩村、なんでそんなに声出したがらないのだ?」
ひっそりとその光景で興奮していた俺を嘲笑するように、シノがキスを辞めて問い掛ける。
「んんっ、ふ、ん、だ…だって、エッチな奴だって、ふ、あっ……っ、思われたくないから……っ!」
その問いに、スズは合間合間に興奮の色を乗せた声を挟みながら答える。
さすがに観念したようではある。
「そういえば、さっきから1番積極的だよな…もしかして、ムッツリか?」
その言葉に行為を止めるのは今度は俺の番。
ぷっくりと勃ちあがったスズの乳首を視界で捉えながら、問う。
「……っ、そんなんじゃないわよ!」
否定はしたものの、その態度はよくあるツンデレのテンプレにしか見えない。
まぁ、身体的なコンプレックス的な事ばかりが先に立つけど、七条先輩達に囲まれてればなぁ…
そして常識人であるが故なのだろう。
スズもスズで思春期らしい。
ま、ムッツリではないそういうことにしておこう。
「なによ、その目は。」
そんなことを考える俺を射ぬくような目を向けられる。
「ふふ、萩村、別に良いじゃないか。私達と同年代なのだから。むしろ、興味があるのが普通だろう。」
そんなスズにシノが宣う。
「とはいえ、ムッツリだが…」
「ムキーッ!」
で、しっかりと落とすシノだった。
こういうやり取りちょっと面白い。
クスッとしてしまう。
「さ、それはさておき続きだ。後がつかえているのだからな…」
前半はからっと、後半は意味ありげ。
そんな感じにシノが言う。
「え、あ、はい、そうですね。」
とはいえ、一度手を止めてしまえば、きっかけが再び必要となるわけで…
「ふむ。分かった、私が下を担当する。君は引き続き上半身をよろしく。」
「「え」」
俺とスズの声がハモる。
次の瞬間には、スズはベッドに横たえされていた。
「ふふ、つるつる。」
そうして、スズの足を開いて、そこを食い入るように見つめると、シノはご満悦。
「や!見ないでください。」
「ふふ、見られて感じるのか?」
「それは無いです。でもはずかしぃ…」
最後は消え入りそうな声。
「ふふ、良いではないか、良いではないか。ちゅ、じゅっ。」
それに悪代官の言葉を返すとシノはスズの恥部に口をつける。
255Y-275 ◆LYfQOwf8Qc :2010/12/18(土) 13:52:08 ID:eJS1rO4k
「ふあっ、っ……っ!!」
その瞬間にスズの声が一瞬漏れだして、すぐにまた引っ込める。
「ふふ。ちゃんと感じているのだな。感度はよさ気と見た。」
口を離したシノとスズの間に糸がかかる。
つーか、普通にエロいな…
「さ、君も…」
そうして、シノに促される。
「んんっ、っ、は、ふ、んんっ……」
促されるまま、再び俺はスズの乳首に口をつける。
先程から多少の間を置いたとはいえ、そこは固く尖り自己主張を俺に返してくる。
「ふあっ、舌入れちゃダメ……っ、っ、っ、」
俺が再開すると同時に、シノも再びスズの股間に顔を埋める。
完全に顔を埋めてしまって、目から上しか見えないが、スズの言から察するに舌が膣内でうごめいているらしい。
「ん、んんっ、ん、ふ、んんっっ!ダメ、ふあっ、声出ちゃう……っ!」
スズの乳首を摘みながら、反対側を口内で弄ぶ。
「じゅ、ちゅぷ、じゅぷ、ふは…」
わざと音を立てている。
そうとしか思えないような音を立てながら下半身を責めるシノに、声を忍ぶにはスズは限界らしい。
「ふあっ、あっ……っ、あっ、ふ、やだ、気持ち悪い声……あっ、でちゃう……あぅ、っ、」
ビクビクと何度も身体を跳ねさせながら反応を示す。
「ん、ふあっ……あ、ぅ……っ!」
シノが先程そう呟いたように、感度はすこぶる良いようだ。
「あっ、ふあっ、あっ、あっ……っ、」
女の子の今まで生きてきた中で、一度も見たことの無い艶姿。
その声は、キンキンと耳に響きながらも快い。
「タカトシ、これくらいなら大丈夫じゃないか?」
そうして、夢中になっているうちにシノから声をかけられる。
「ふ……は、……」
そうして、顔を上げてスズの方を伺うと、少し辛そうに、顔に腕をあてている。
腕の下の顔は上気していて茹蛸みたいだ。
「そ、それじゃ……スズ?」
意をけしてスズに声をかける。
「……ふ、は、好きにすれば良いじゃない……」
相変わらず顔に腕を被せたままで、スズはそう返してくる。
「優しくしなさいよ…バカ…」
何と無く刺々しいには刺々しいのだけれど、お決まりのフレーズでしめるスズ。
ベタなんだけれど、いざそのフレーズを使われる機会が回ってくるとくるものがある。
「うん。出来る限り優しくするよ。」
そう言って微笑みかける。
「……っ、早くしなさいよね…」
「あ、あぁ…」
ちらりと一瞥した後のその言葉はどこかぶっきらぼう。
その言葉に従って俺は、徐々に自らのペニスをスズの股間に埋めていく。
「──っっ!」
体重に押されて先が埋もれていくと、スズは短く息を吐きだす。
埋もれたなんて形容するにはちょっと違くて、めり込んだと言う方がスズにとっては
適切なのかもしれない。
「───っつ、っ、痛いわよ、……バカ!」
バタバタと手を動かす。
本気で痛がっているのがよく分かってしまう。
「……っ、ぃっ、今、辞めようとかおもってるでしょ……ぃっ、」
折れかける心はスズに呼び止められる。
「ここまで…っ、しといて、辞められたら、怨むわよ……っ…っ!どうすれば良いか分からないもの」
そう続ける。
抱かれることを、そんな風にスズが思っていると知ってしまうと、退路を断たれてしまう。
「…わかった。」
その気持ちに答えなければ。
そういう思いが沸いて来る。
一瞬退きかけた腰に、再び体重をかける。
256Y-275 ◆LYfQOwf8Qc :2010/12/18(土) 13:54:58 ID:eJS1rO4k
「……っ、ぃ、っ、……か、はっ!」
暫く真っ直ぐにスズに押し込まれていたペニスは一度強い抵抗に阻まれて、なおも腰を進める。
「っ、っ、〜〜〜!!」
「………くっ!」
強く押し付け、そこを通過すると、リアクションは対称的なものになる。
短く息を吐き出して、苦悶の表情を浮かべるスズと、亀頭を
今まで以上の熱で包まれて、快感に声をあげる俺。
「……ぃっ、っうぅ……痛いって聞いてたけど、こんな、なんて知ら……なかったわよ……!」
呻いてから感想をスズが漏らす。
対称的な感想を抱いているなんて知れたら、怒りそうだな…
「スズ、きつくなくなったら教えて」
焦らずにスズを気遣う。
「っ、う、うん……ちょっと、だけ。待って……」
そう言われてお預け。
スズの表情を見つめながら、俺は暫く身体の動きを止める。
「ふ、は、はぁ〜っ、っ、」
ゆるゆると息を吐き出して、自らの息を整えるスズ。
………なんだけど、
「っ、あっ、バカ、まだ動くな……っっ!」
スズの息継ぎに呼応する、微妙な刺激に、スズの中に突き刺したそこは反応してしまう。
「っ、ふ、……っ、はぁ、」
若干痛みの色を混ぜる吐息を吐きながら、いかつい目を向けられてしまう。

「ごめん、スズ…」
その目に居心地が悪くなって口をつくのは謝罪の言葉。
「……っ、ふ、良いから、動かないで……!」
その言葉を発した振動までもスズには伝わるらしい。
「……………………」
その様子に、普段から耳年増なシノも黙り込んでしまう。
「……っ、ふ、少しは、収まってきたわ、少しなら動いても大丈夫だと思う…」
そのまま3人で沈黙。
暫くして、スズがそう告げてくる。
「うん。それじゃあ…」
正直、それだけを口にするのがやっとだった。
ここまでのスズの様子を目の当たりにしてしまっているのだから。
257Y-275 ◆LYfQOwf8Qc :2010/12/18(土) 13:55:58 ID:eJS1rO4k

「ん、っ、っ、っ……あっ、まだ、ジンジンする……っ、」
ゆっくりと腰をひく。
狭い中を擦るような感覚に腰は震えてしまう。
けれども、細心の注意を払って、中に挿入した時と同じ道を辿って、それ以上中を傷つけないようにする。
それでも、スズが伝えてくる違和感。
「ふあっ、あっ、」
もう1度。
狭い中を擦りつけるように入っていく。
「んんっ、ふ……っ、」
2度3度同じ動きを繰り返す。
「ふ、あっ、っ、っっ、あっ…」
そうして繰り返す度に腰に快感が走る。
スズの体格そのままに狭い中を行き来する。
「ん、っ、……ふあっ、あっ、っく、」
スズの反応を見ながら、奥歯を噛み締めながら注挿を繰り返す。
俺が感じているのと同じぐらい気持ち良くなってほしいと願いながら。
「ふあっ、あっ、ふあっ……っ、〜〜っ!」
徐々に、ただきついだけから、スズの内側からの潤滑で、ぬめるようになってくる。
それでも、狭さは相変わらずで、何度も何度も、スズの内側に自らを擦りつける。
「あっ、あっ、っ〜〜っ!あふ、あ、ぅ、んんっ、」
徐々に色合いが変化していくスズの吐息に若干の安堵を覚える。
「んん、ふわっ、っ、く、んんっ!……っ!」
注意深く耳を立てていたスズの吐息から注意がそれると、スズの膣内の愛液を撹拌して、
立てる音を強く知覚する。
「んん、あっ、っ、っ、っ、あっ〜〜っ、タカトシ……っ!」
「うわ、もう……っ!」
そこまで来てしまえば、当初から我慢していたものが一気に込み上げてくるのが分かる。
知覚した耳から伝わる音や、明らかに再び戻ってきたスズの艶姿が堰を切るのは時間の問題だった。
「ふわぁ、っ、〜〜っ!中……出てる……っく、っっ!」
余りの快感に脳内を白く染め上げられながら、俺はスズの中に自らを放っていく。

………………………………
258Y-275 ◆LYfQOwf8Qc :2010/12/18(土) 14:04:27 ID:eJS1rO4k
一先ず以上です。
続きはボチボチマイペースで書いてきます。
で、私事で大変に恐縮なのですが、今日を逃すと、もう年内投下が不可能なので、
もう1つ投下します。
前スレ?前々スレ?の雑談にあった、
『ムツミ胸大きくなってね?』→『それはry』
の流れから作ったSS。
スルー対象ワードは
「轟さんキャラ変」
「有りがちな展開、有りがちな心理描写」
「展開強引」
いつもの如く中だしで、締めが強引です。
生暖かい目で見てやってください。
259Y-275 ◆LYfQOwf8Qc :2010/12/18(土) 14:06:30 ID:eJS1rO4k

「………………………」
感じる視線。
ここ最近ずっと感じている。
いや、視線の主は知っているし、視線の理由も知っている。
「はぁ…」
だからこそ、自然と溜息を零す。
「……………………っ!」
それから、視線をそちらへ移す。
視線の主は、常にこちらを見ているのだから、自然と視線同士はぶつかり合う。
目が合った瞬間に、相手は息を飲み、照れたように頬を赤くし、視線を下に向ける。
その表情に、普段俺の見知った、よく見かける姿は微塵も無い。
別段、その事に、不安も何も感じはしない。
だって、余りにその瞳の理由がバカげているから。
「はぁ……」
もう1度溜息を吐く。
さて、どこから、説明すれば良いのだろうか?
同じタイミングで三葉の吐いた溜息が耳へ届く。

………………………………

『あのね、タカトシ君…』
三葉がそう切り出したのは昨日の事。
ちょっと話がある、とのメールを受信して、互いに放課活動を終えてから、教室で落ち合った時の事。
夏に差し掛かり始めて、日の伸びた放課後は、ただその場にいるだけでも、じんわりと汗をかく。
『なんか、タカトシ君を見てると妙な気分になるんだよね…』
唐突にそんな事を口にした三葉。
これは、まさかアレなのか?
だとしたら、全校生徒の規範たる生徒会メンバーとしてどうなのだろうか?
そんなことを思いながらも、続く言葉を待つことにした。
『何て言うのかなぁ、もどかしいというか、ムズムズするというか?』
『…………は?』
そうして続いた言葉に呆然として、マヌケな声を俺は漏らした。
そして、問う。
『何か変な物でも食べたのか?』
今思えば、薮蛇だったと思う。
雉も鳴かずば打たれまい。
回想して、同じ意味の言葉を、頭で弄ぶ。
『ううん。そんな覚えはないよ。ただ…』
『ただ?』
『ネネちゃんから、、ちょっとね…』
変に言い淀んだ三葉。
それよりも、轟さんの名前を聞いた時点で、俺は嫌な予感しかしなかった訳で…
『それが、原因だろうな…』
『え?そうなの?』
『ああ。』
何も知らないであろう、三葉にはそれ以上は聞かない。
と言うか聞きたくなかった訳で、それから先は、
『轟さんと相談する』
それだけを三葉に伝え、その場は一先ず解散となった。
260Y-275 ◆LYfQOwf8Qc :2010/12/18(土) 14:08:12 ID:eJS1rO4k

『はい、もしもし。』
その晩。
三葉との事もあり、轟さんに電話をかける。
『夜遅くにゴメン。三葉の事なんだけど…』
『ムツミちゃんのこと?』
『そう。』
妙に冷静に轟さんに短く返事をする。
『なんか、変な事吹き込まなかったか?』
『ううん。別に。』
『……………』
あっさりと否定されてしまう。
それでも、普段の轟さんを知る身としては、訝しく思うわけで、
『ただ、ローターの使い方を教えてあげただけだよ。』
『それだー!!』
電話越しなのに、エロボケ時の特有の良い笑顔が頭に浮かぶ。
思わず大きな声を張り上げてしまう。
『はぁ…』
そして、溜息。
『大丈夫だよ。ちゃんと刺激強く改造しといたから』
『そういう問題じゃない!』
根本的に"大丈夫"の概念が違うらしい。
三葉にローター…
なんだそのまるで結び付かない組み合わせ。
で、そこからさらに俺に繋がる訳だ。
だって、三葉がローターの使い方を指南された結果、俺を見て呆ける三葉がいるわけで…
『で、なにか、俺に纏わることを吹き込まなかったか?』
ずばり核心に迫る。
『オカズ』
『…は?』
『オカズとして推薦しておいたよ。』
『……………………』
つまりはそういう事だった。
あまりの発言に、俺はその後、全ての気力を投げ出してしまった。

………………………………

その晩は、その後三葉に電話。
『必要以上に他言しないように。』
それだけを伝えた。
それから、まぁ、少なからず他の女子もするようだということ、
形は違えと男もそういう感情を抱くことがあるということを付け足しておいた。
それでも、視線を感じるときは、家に帰って行為をすれば落ち着くであろう事を伝え、
ことなきを得ている。
三葉はピュアというか、無垢過ぎるんだよなぁ…
そんなことを思う。
俺だって男だし、年頃だし行為に耽ることが無いといえば嘘になる。
某ツンデレさん的な言い回しをすれば、持て余す訳だ。
ただ、その由縁を理解はしている。
環境が環境だし、悶々としていても仕方が無い、割り切って致す部分もある。
ただ、三葉の場合はどうだろうか?
少なくとも、子供を作る行為ぐらいはわかるはず。
小学4年位の時、あるいは中学の時、その手の授業は受けているはずだから。
ただ、その過程は一切知らないと思う。
その証拠に、回りの思春期共の発言に取り残されているわけで…
つまりは、今、視線を浴びている事に対する根本的な解決は出来ていない。
悶々としているのであれば、自慰行為をすれば良いと伝えているだけ。
その感情がどこから来て、どこへ向かっているのかは、理解させられていない。
「ムツミちゃん、おっぱい大きくなったよね。」
不意打ちでかけられた声に盛大に驚く。
261Y-275 ◆LYfQOwf8Qc :2010/12/18(土) 14:09:55 ID:eJS1rO4k
休み時間に三葉について色々考えていた自らを、引き戻されるには十分過ぎる。
「やっぱり、自分で揉んでるのかな?」
言ってる事がおっさん過ぎやしないだろうか?
問題のきっかけとなった人物は、前の席に腰を下ろす。
「あの調子だと、今日もオナニーしそうだよね。」
セクハラ以外の何物でもない。
敢えて適当な相槌のみで、何も答えずにいると轟さんは続ける。
「なんか、でも、あそこまでピュアだと罪悪感感じちゃうよ。」
「そうなのか?」
「うん。」
一応真面目な部分もあるにはあるらしい。
始めて見るそれに若干驚く。
「だったら始めからやるなよ…」
でも、それよりも、毒づいてしまう自分が先に出る。
そして溜息。
「流石に、性別の違う俺には、これ以上はお手上げさ。」
愚痴を零す。
「ねーねー、ムツミちゃん」
って、聞いちゃいねー!!
気付けば横にいたはずの轟さんは三葉の元へ。
謎だ…
直前の少しは常識人っぽいところを持ってる発言(我ながら言ってることが酷い)
と併せて、いまいち掴みきれない。
そんな轟さんは、今、三葉の耳に手を当てながら、何か内緒話をしている。
ただ、その三葉の視線は相変わらずこちらに向いている。
つまりはあの話題の中心にいるのは、明らかに俺なのだろう。
ホントに掴めない人だなぁ…
横目でチラリとそちらを見る。
まぁ、好きに言ってください。
それによって、今置かれている問題が解決するのであれば…
正直言って、先程から掴みきれない雲のような面を見せている轟さんに惑わされているのかもしれないが…
下手すれば、新たにいらないことを吹き込んでるかもしれないしなぁ…
そんなことを考えていると、話しが終わったらしく、轟さんがこちらに向かってくる。
とりあえずこちらに話し掛けてくるつもりらしいので、よぉ、なんて声をかけようと構えた、
のだが、それよりも早く轟さんが口を開く。
「結局解決できるのは、津田君だと思うよ。」
いきなりの言葉。
三葉のところに行く前にそこまでは聞いていたようだ。
つくづく、この人は良く分からん。
「とりあえず、今日、生徒会終わったら、教室に戻って来てってムツミちゃんから。」
戸惑う俺を置き去りに轟さんがそう告げる。
「分かった」
特有の良い笑顔。
やっぱり、この人は掴めない。
そんな事を考えてしまった時点で、俺に断りを入れるなどありえなかった。

………………………………
262Y-275 ◆LYfQOwf8Qc :2010/12/18(土) 14:11:43 ID:eJS1rO4k

「ごめんね、タカトシ君。」
放課後。
教室に戻って来て、暫くして、三葉が教室へと戻ってくる。
「いや、気にしなくて良いよ。」
「ううん。気にするよ。ごめん。」
ここのところの三葉はいつもこんな感じだ。
ちょっとシュンとしているような感じだ。
「それで、話って?」
とりあえず本題に入る。
ただでさえ、時間は遅いのだから。
「う、うん。あ、あのね…」
もぞもぞと居心地の悪そうな三葉。
その表情はやはりここ最近よく見掛ける表情。
以前のトレードマークの快活さはなりを潜めてしまっている。
「あのね、ネネちゃんがね…」
ゆっくりだが、確実に三葉は言葉を紡ぐ。
「わ、私はタカトシ君に恋してるんじゃないかって…」
最後に向かいフェードアウトしながら、顔を赤くしながら言う。
…………って、何か凄く重要な事言わなかったか?
状況の説明に終始してしまっていて、後から理解が追いついた脳が混乱する。
「だから、タカトシ君をおかずにして、ろーたーを使うと凄く気持ちいいんだって…」
三葉の口から聞くとは思わなかった単語。
それを用いながら三葉が紡いだ言葉。
思わず目を背けたくなる。
「女の子は皆そうだから、不自然な事じゃないって…」
三葉はそう締め括る。
告白。
形はどうであれ告白。
分かってる。
分かってはいるのだが、ここ数日の三葉に纏わることが、余りにバカげ過ぎていて、
正直、どうすれば良いのだろうか?と逡巡してしまう。
「三葉、俺…」
とりあえず、三葉の言葉に何か、と思って口を開くのだが、何を言って良いかわからず言葉が詰まる。
「この感触は、タカトシ君にしか満たす事が出来ないって、ネネちゃんが…」
俺のそんな様子に躊躇いがちに三葉がそう口にする。
その言葉を聞いた瞬間、脳裏に浮かぶのは轟さんの良い笑顔。
「くそっ、あのメガネ…」
小声で悪態をつく。
「タカトシ君と身体を重ねて、満たして貰ってって…」
どこまで分かっているのかは分からないが、本人は本気で信じて疑わないらしい。
そんな様子がかえって三葉らしいなんて思ってしまう。
だから、
だからこそ、
「お前、意味わかってんのか?」
問う。
「ううん。分からないよ。」
赤い表情のまま、三葉は口を開く。
「タカトシ君のことを信じてるから…」
それはどういう事なのだろう?
そんな風に思う。
「だから、私は、ネネちゃんに教えられた事をするだけだよ。」
ここ最近見かけなかった、意志の篭った瞳を三葉が向けてくる。
話はおしまい。そう言わんばかりに、その意志を携えて、三葉は俺に向かって歩を進める。
「三葉…」
俺の声よりも早く三葉の腕が伸びて来て、俺に絡まる。
「ん、ふ、ちゅ……」
「ちょ、こら……っ!」
そこから、首筋に熱を感じるまではあっと言う間。
三葉に抱き着かれた態勢で、首筋にキスをされる。
263Y-275 ◆LYfQOwf8Qc :2010/12/18(土) 14:14:05 ID:eJS1rO4k
「やめ……っ!」
「ふ、ちゅっ、ちゅ……あむ……」
俺が声をあげるのもお構い無しに、三葉は首筋に唇を這わしてくる。
そうして、繰り返されている内にどんどんと三葉との身体の密着度合いが上がっていく…
いや、違うのか?
俺が三葉の事を意識しだしているのだろうか?
「ん、ちゅ……どう?ネネちゃんは、こうすれば、その気になるって…」
「あぁ…」
潤んだ瞳で見上げながら三葉が言う。
キスをするために当然のように密着してきた三葉の最近大きくなった胸が押し上げてくる。
「その気になった?」
なおも問いかけてくる三葉。
こちらに疑問を投げ掛けているにも関わらず、こちらが否定する余地の無い強い瞳。
NOと答えたら、どうするつもりなのだろう、と思ってしまう。
でも、そんな考えはある種無駄な考え。
何故なら、
「三葉、俺も男だから…」
正直言って断る気にならない。
俺だって年頃の男だから。
「うん。分かってる。」
「その気になったら、やめられないと思う…酷くしちゃうかもしれない…」
その気になってしまったからこそ、三葉の意志を伺う。
「タカトシ君の事、信じてるから。それに…」
「それに?」
「身体を重ねることは、私の好きって気持ちをタカトシ君に分ける行為だって、ネネちゃんから聞いたから
私は自分の気持ちも確かめたいし、この気持ちも分けたいと思う。
私は後悔しないから。」
そう言って、赤い頬で三葉は笑う。

………………………………

「ふあっ、ふ、あ…ぅ…っ!」
三葉の耳を甘噛みしながら、最近もっぱら大きくなったと評される胸に触れる。
ブラウスの心地よい触り心地の奥から柔らかさが俺の指を押し返す。
それだけで、脳が沸騰しそうになりながら、その先を渇望する。
「はっ、ふっ……あっ、タカトシ君……っ、」
徐々に荒く指を動かしながら、執拗に舌と唇で三葉の耳を責め立てる。
「ん、あっ……っ」
徐々に熱くなっていく三葉の息遣いが耳朶を撫でる。
その熱い吐息に押されるように、俺の中の興奮も大きくなる。
「ん、ふ、あぅ…ん、ふぁっ、タカトシくん…っ」
ブラウス越しでも三葉の胸が熱を持って、徐々に柔らかくなってくるのが分かる。
そんななのに、これが直に触れたらどうなってしまうのだろうか?
そんなことを考える。
「んんっ、ふ、はっ、ん…ん、あ……、」
その感情は大きくなってもどかしくなる。
「三葉、直にさわって良いかな?」
人間の欲は大きい。
もどかしさまでを感じてしまえば、後は簡単で、すらすらと言葉は口をつく。
「……うん…」
その言葉に三葉は顔を赤くしながらも一応は頷いてくれる。
一体どんなことを考えているのだろうか?
「ううん。気にしなくて良いよ…」
俺の表情にそれが映っていたのだろうか?
ブラウスに指をかけながら、三葉がそんなことを言う。
「タカトシ君がリードしてくれないと私は分からないんだし…」
「あ、あぁ…」
改めて、三葉は無垢なんだなと思う。
そんな三葉が戸惑いながら、俺のリードで俺と交わる…
何とも言い難い気持ちになる。
264Y-275 ◆LYfQOwf8Qc :2010/12/18(土) 14:16:00 ID:eJS1rO4k
とはいえ、今更退くことも出来ず…
そんなことを思う心とは裏腹に、三葉の素肌に触れることに思いを馳せてしまう自分自身がいる。
「綺麗だ…」
そんなことを考えている俺の目の前で、三葉はブラウスの全てのボタンを外し終える。
そうして、ブラジャーをたくしあげて、自由になった乳房に思わずそんなことを口にしてしまう。
「恥ずかしいよ…」
そんなことを言いながらも、三葉はけしてさらけ出したそこを隠そうとはしない。
なるほど、同性をして美乳だと形容された三葉のそれは異性として、見事なまでに魅力を感じる。
きめ細かい三葉の肌に、強く主張をする丸み。
その肌の色とは対照の色だけれども、うまく中和して淡く色付く先端。
引き寄せられるようにその先端に口づける。
「……っ!あっ、ふあっ……っ!」
口づけた瞬間に身体を震わせた三葉の反応は直で俺へと伝わってくる。
「っ、あぅ、ふあっ、あっ……っ、あっ、先っぽ気持ち……いい…あ…ふ、」
その言葉は三葉の身体の方も伝えてくる。
口に含んだ乳首は俺の唇を押し上げる。
「んんっ、ふあっ、……っ、あ、あん、ふ……っ、あ、」
快い感触と音声が脳を焦がす。
その衝動のまま腕を三葉の太股へて伸ばす。
「あ……っ!ふあっ、んんっ、」
身体をびくつかせて、手の動きに合わせながら三葉が声をあげる。
「っ、ふあっ、ん、タカトシくん……ふあっ、……っ、1人より……全然、ふあっ、っく、気持ちいい」
そういって、三葉の腕が俺の頭へと回される。
委細構わずに、そのまま吸い付きながら、指を立てて、三葉の引き締まった太股を撫で回す。
「あっ、っあ、あっ……ふあっ、あっ、……っ!」
指が内股に回り、足の付け根に近づけば近づくほど、三葉の艶のある声は色濃くなる。
「ふあっ、っ、気持ちいいよぉ、……っ、あふ…」
敏感に反応を示しながら、声をあげる。
太股に触れる指先に熱が篭る。
「あっ、あぅ、んん……っ、っ、……っ、」
三葉の快感に震える声を耳で心地よく捉えながら、愛撫を続行する。
果たして熱くなっているのは俺の指と三葉自身のどちらなのだろうかと思う。
「んふ、ふあっ、あっ、ん、んん、っ……あふ、タカトシ君……っ!」
きっと、その両方なのだろう。
快感に脳が蕩けているのは俺も一緒。
三葉の感じている姿を目で耳で興奮している。
互いに蕩けて、混ざり合って熱を共有する。
「ん、おかしくなっひゃ……ぅ、っ、くはぁ…」
そして、欲を抱く。
熱を感じる指先が熱源に直で触れたら、その中で溺れたらどうなってしまうのだろうか。と。
「…………っ、く、ぅん!」
またしても、そこまで至れば躊躇いは無くて、すんなりと、指先は三葉のショーツに触れる。
その瞬間に三葉の嬌声は音の無い嬌声に変わる。
口に含んだ三葉の乳房を弄ぶ余裕などもはや無くて、夢中でクロッチの部分をずらして、
三葉のそこに指を沈める。
「ふあっ、あっ……っ、ふぅあっ、指……指……っ、中、ふあっ、こんなに気持ちいいなんて、ふあっ、っ、、私、知らない…っ、」
恐らく三葉自身でさえ、弄ったことの無いであろうところを縦横無尽に動き回る。
「っ、ん、く、ふあっ、あふ……っ、っ!中らめ、飛んじゃ……ふあ……っ!」
指を曲げて、その熱ごと掻き出すように動かすと、呂律さえ怪しく三葉は感じまくる。
「ふぁっ、っ、ふあっ、っ、ん、ん、……ふぁっ、っ、ん、ん、…ふあっ、…っ、っ、っ、んんんんっ!」
瞬間頭に回された三葉の腕から力が抜けるのが分かる。
俺は慌てて指を引き抜くと、三葉が倒れないよう抱き止める。
その態勢で自然と三葉と視線を重ねる。
三葉は蕩けきった瞳で肩で息をしていた。

………………………………
265Y-275 ◆LYfQOwf8Qc :2010/12/18(土) 14:17:47 ID:eJS1rO4k

「それじゃ、三葉…」
「うん。」
良い?とは目で問う。
息の整った三葉は机の上。
座して足を開いて、自らの秘所をさらけ出す。
十分に潤っているそこを確認してから、俺はそこにペニスを当てがい、前に突き出していく。
「っ、ん…ふ、はぁ……」
三葉のぬかるみに滑り込んだ亀頭を慎重に前に進める。
「んんっ、ジンジンする……っ、〜〜!!!」
ジンジンすると三葉が声を漏らした次の瞬間には、ペニスに何かが破れるような感覚が伝わる。
三葉の吐く息に苦悶の色が乗るのが分かる。
「っ、いったあああぁぁぁっ……」
柔道で普段からある程度の痛みに慣れているはずである三葉をもってしても顔を歪める。
いつの間にか俺の肩を掴んでいた三葉の手に力が篭って、爪を立て、肉に食い込むのが分かる。
「大丈夫か?」
ホントはこんなことを聞くのも失礼だったかもしれないけれど、『大丈夫』そんな言葉が口をつく。
「っ、っ〜〜っ!」
苦悶の表情を浮かべながら、首を縦に動かす三葉。
嘘だと瞬間的に分かる嘘。
「〜〜っ、…っ、ふっ、」
苦悶の表情の三葉に杭を打ち込んで痛みを与えているのは俺自身。
俺が与えた痛みなのだと自覚してしまうと、一気に脳内が白くなってしまう。
「わ、悪い…」
またしても陳腐な言葉が口をついてしまう。
苦悶の表情を浮かべる三葉は苦々しくて、見てるこちらまで苦しみを覚えてしまう。
「……ん、ん、っ、っ、あっ!……タカトシ君?……っ、」
いてもたってもいられなくて、三葉を抱きしめる。
抱きしめた三葉は良い臭いがして、少しふわふわした気持ちになる。
なんとかして三葉の苦痛の色を取り除きたい。
そして、
─笑顔が見たい
そんな事を自然に思う。
きっと、どこかで、三葉が笑顔でいる事が当たり前になっている自分がいることに気づく。
きっとどこかで、三葉の笑顔に惹かれている自らがいることの証拠なのだろうと思う。
「ふあっ、っ……ちゅ、ん、ふ、ちゅ……」
衝動的に三葉と唇を合わせる。
ふわふわした気持ちはまた違ったものに変化する。
「ん、んちゅ、ふ、ちゅ、……っ、」
快い感覚に何度も何度も調子に乗ってしまう。
変化した気持ちはけして不快なものではなかった。
自らが三葉に惹かれていることを認められたから。
最初は青い衝動だけだったはずなのに、確かに三葉から流れ込んできたそれは、やがて自らを包んでいく。
「ん、ちゅうぅ、ふわ……タカ、トシ君…っ…?」
「三葉……いや、ムツミ。」
何故か名前で呼ばなければいけない気がした。
いつも下の名前で呼んでくれる三葉に失礼な気がして。
「ムツミの気持ち、確かに伝わった気がする。俺もムツミの事を好きみたいだ。」
「……!タカトシ君!」
悔しいけれど、轟さんが言った言葉の意味が分かってしまう。
その言葉を考えてしまえば考えてしまうほど、三葉に対する感情は大きくなる。
「ちゅ、………っ、」
何も言わずにまた三葉と唇を合わせる。
「キスって気持ちいいね……」
徐々に息の整った三葉がそう口にする。
繋がっている下半身も疼きに似た快感を覚えているはずなのに、確かに唇に快感を覚える。
「ちゅ、ふ、ちゅ、ちゅぅ……」
俺の身体に絡み付いた三葉の腕が優しいものになりながら、首筋まで移動すると手繰り寄せられる。
三葉からのキス。
それはやっぱり気持ちいい。
266Y-275 ◆LYfQOwf8Qc :2010/12/18(土) 14:19:31 ID:eJS1rO4k
先程の紅潮したのとは違う、薄桃色に染まった三葉の表情にドキドキとしてしまう。
「三葉、そろそろ大丈夫?」
「うん。もう、あまり痛くないよ。だけど…」
「だけど?」
「また名前で呼んでほしいよ…呼び方戻っちゃってる…」
「悪いムツミ。」
思わず苦笑い。
「うん!」
その言葉にムツミの表情に笑顔が張り付く。
「それじゃ、動くな。きつかったら言ってくれ。」
「動く……っ、きゃっ!」
「わ、悪い、大丈夫か?」
ひいた腰に反応したムツミに若干焦ってしまう。
「ううん。違うの…さっき指で弄られた時より気持ち良くて、びっくりしちゃっただけだよ…」
その言葉に胸を撫で下ろす。
キスをしたり、気持ちを伝えたりしたことが、ムツミにリラックスをもたらしたのだろうか?
よく女の人は気持ちの部分が与える影響が大きいなんて聞くしな…
そんなことを考える。
「そっか、なら…」
「んんっっっ、ふわぁ……」
ぬちゃぬちゃと音を立てながら、再びムツミの中に自らを埋める。
「ん、ふわ、ふわぁ、……っ、んんっ、」
それから腰を引き出して、また腰を打ち付ける。
「あっ、ふわ、あ、ふぁっ、……っ、ちゅ、ちゅむ、〜〜っ、」
そのまま、ムツミの唇を啄む。
「ちゅぷ、ちゅ、……ふ、ちゅ、あっ、ふわ……っ!」
上から下から伝わる快感に脳を痺れさせながら、本能のまま、唾液を交換する。
「ん、ふっ、ん、ふぁ、っ、あっ、……ん、中……っ!すごっ……っ!」
ムツミと身体を交わす事に夢中になる。
「あっ、ふあっ、っ、っ、ふあっ……んんっ、ふわあっ、ん、ふ……っ、」
ムツミの喘ぎ声が直接脳に響き渡る。
それも1つの刺激として、押し寄せる波に身を任せる。
「ん、ふわ、……っ、あっ、あっ、あっ、ふあっ……っ、タカトシ君〜〜っ!」
ビクビクと快感に反応を示すムツミ。
合わせるように、きゅうきゅうと収縮を繰り返す膣内。
ムツミが気持ち良くなれば、俺も気持ち良くなって、1つの快感を2人で共有している感覚に陥る。
「あっ、ふあっ、あぅ、……タカト、シ君……っ、気持ちいいょ……っ、ふあっ、」
潤んだ声でムツミが呟く。
「ん、ふあっ、……あっ、っ、ああっ、ふあっ、〜〜!」
ムツミから伝わる快感に押し流されながら、必死に腰を揺する。
「ん、っ、ふあっ、あっ、んん、っ、っ、あっ、あっふぁ……、んん!」
何度も何度も腰を動かすうちに快感にすっかり蕩けてしまって、感覚が麻痺していく。
「あっ、っあ、……っ!っ、ふあっ、んんっ、ふあっ……っ、あっ、っぅん……っ、」
それでも、ムツミへの思いが強く杭を打ち、その場に踏み止まらせる。
「……くっ!」
そうこうするうちに、もう1つ太い芯が打ち込まれる。
突如込み上げる射精感。
「あっ、あぅ、ふあっ、……っ、んん、あっ、」
トロトロに蕩けきったムツミの顔を見ながら、絶頂に向かって突き進む。
「ふぁっ、っ、ふあっ、っ、ん、ん、……ふぁっ、っ、ん、ん、…ふあっ、…っ、っ、っ、んんんんっ!」
そうこうするうちに、限界まで膨らんだそれが爆ぜる。
「……ん、ふ、はぁ……っ、」
放出したそれと同じ色に染まった脳内を正気に戻しながら、目に映ったのは、
ムツミの秘所から垂れ落ちる、少しピンク色の2人の初めての証だった。

………………………………
267Y-275 ◆LYfQOwf8Qc :2010/12/18(土) 14:20:36 ID:eJS1rO4k

「あらあら、熱々だね。2人とも。」
それから暫く、それぞれの活動を終えた放課後、ムツミと待ち合わせて帰る下駄箱で
轟さんに声をかけられる。
確かに楽しくお喋りなぞしてたので、そのやっかみを否定する事は出来ない。
あれから、ムツミと何度か遊びに行ったし、身体を重ねた。
最初が唐突過ぎて、コンドームを用意出来なかった為、ちゃんと事のあらましをムツミに説明するのは
一苦労だった。
1番困ったのは、無しでするより気持ち良くないと文句を言われた時。
無垢な少女に、快楽を覚えさせた代償は大きい。
「あ、ネネちゃん!」
ムツミの声が轟さんに返る。
幸いその場は、身体を重ねる事にもっと良くなってくるらしいという言葉で事なきを得た。
情報の出所は勿論目の前の眼鏡女子である。
「今日はこれから伊達メガネ買いに行くんだ〜」
エロゲの主人公よろしく、回想に耽っていた俺を現実に引き戻す、不穏当な言葉。
「ホントに眼鏡かけてるとタカトシ君、もっと気持ち良くなるの?」
「そうだよ、メガネ萌えって言って…」
「んなわけねーだろ!」
未だに轟さんには色々入れ知恵されてる様子のムツミだった。
そんな俺達の横でニコニコ笑う轟さん。
相変わらず何を考えているかは分からない。
無垢だったムツミが染まるきっかけを作った轟さん。
その実績は罪深い。
ただ、本当はムツミの気持ちを知っていた。
そんな気もする。
どちらにせよ、俺にとっては良い事だったのかもしれない。
ムツミから気持ちを受け取って2人で共有する関係になれたのだから──
268Y-275 ◆LYfQOwf8Qc :2010/12/18(土) 14:33:09 ID:eJS1rO4k
以上です。
冒頭辺りでご理解いただけるように、このSS書きはじめた頃は生徒会アニメやってました苦笑
忙しくて、なかなか書けなくて、グダグダしてたら、思い切り季節外れに苦笑

遅ればせながら、ここまで投下された職人諸氏乙そしてGJでございます。
自分は先程書いた通り、年内はもう投下出来ないので、クリスマス〜年末は読み手に回ります。

いつもムツミモノ書くときに轟さんが軍師的ポジションになってしまいます。
話を転ばせやすいので…
本来の轟さんのポジションのエロネタ豊富なロボ研 部員という美味しい立場を
いつか利用してやりたいなと思いつつ…
今はそんな感じのを馬鹿ゲー風にSSにしようと思案中です。
一兎を追って〜の続き〜完結と併せて、また忙しくなるまでに投下できればと思いつつ。
中々上手く書けない昨今ですが期待しないでいて頂けると光栄です。

それでは皆様、よいクリスマス、よいお年を。
長々駄文乱文失礼しました。
失礼致します。
269名無しさん@ピンキー:2010/12/18(土) 19:12:59 ID:VA8qhEvf
乙であります!
GJですイイヨイイヨー


そういや今年はクリスマス投下大会はあるかな?
270名無しさん@ピンキー:2010/12/21(火) 02:02:20 ID:dhLGjjx0
ムツミ好きにとってはたまらない、gj!
271ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2010/12/24(金) 00:23:53 ID:c4mWl5py
お疲れ様です。
生徒会役員共で、クリスマス……というか忘年会で非エロ、下会話ネタです。
タイトルは『イク年クル年』でお願いします。
272ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2010/12/24(金) 00:28:45 ID:c4mWl5py
 その日は朝から雪だった。
そして夜も雪だった。
ちなみに昼は雪ではなかった(曇りだった)。
 季節は冬、そして学校は今日で二学期が終わり。
夏とは比べるべくもないが、学生にはそれなりの期間の休みがある。
社会人になってみれば、夏と冬と、そして春にまとまった休みがあるなど、
体験してきたクセに俄かに信じられない(と言うか理解し難い)ものがあるが、
まあ、学生故の特権とでも思って無理矢理納得する他ない。
 ま、それはそれ。
学生の身であれば、そんな感情を抱くのはまだまだ先の話。
学生は学生らしく、休みを満喫すれば良いのだ。
そう、学生らしく。

 ◆ ◆ ◆

「しかし、今年も色々あったな」
「うふふ、そうねー」
 太陽系の第三惑星、地球は東アジアの島国、日本のとある所にある、とある高校、私立桜才学園。
そこの生徒会室では、ささやかながらも忘年会が開かれていた。
無論、集っているのはここの生徒会役員共で、未成年であるから、
テーブルの上に並んでいるのは、コーラやお茶、コーヒー、オレンジジュースといったもので、酒の類は一切無い。
まあ、一人オトナがいて、缶ビールを堂々と持ち込もうとしたが、
生徒会長に没収されて流しに全部捨てられた、なんてことはつい十分程前に起こったが。
「光陰矢の如し、とは言いますけど、そんな感じですね」
「津田、何だか年寄り臭いわよ」
 現在、生徒会室にいるのは、
まず生徒会長の三年生、天草シノ。
そして書記の三年生、七条アリア。
次に会計の二年生、萩村スズ。
で、副会長の二年生、津田タカトシ。
……と、いった面子である。
最後にもう一人、顧問の横島ナルコもいるのだが、
シノにビールを捨てられてから、不貞腐れているのか落ち込んでいるのか、
部屋の隅で三角座りをしながら、無言で壁の方を向いているので、忘年会のメンバーに入れていいかは微妙なところである。
ちなみに、三角座りは椅子の上でのこと。
なかなかに器用である、と言えるかもしれない。
「一年が経つのは早い……とは言っても、実際は多くの出来事があったわけだしな」
「そうですね」
 テーブルの上には、ケーキも並んでいる。
七条家に仕えるメイド、出島サヤカがこしらえたものである。
料理が得意というだけあり、味も見かけも、有名なケーキ店のものに勝るとも劣らない。
ケーキの他にはポテトチップスやポッキー等のお菓子もある。
七面鳥の丸焼きは無い。
当初はサヤカが作る予定だったが、運び込むのに手間がかかる(何しろ学校の中だ)ということで取りやめになった。
273ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2010/12/24(金) 00:31:48 ID:c4mWl5py
「まず、初詣に行ったな」
「人が多くて大変だったね」
「そして姫始めもイッたな」
「汁が多くて大変だったね」
「おかしい、もういきなりおかしい」
「何? 津田、犯したいだと!? ち、ちつぜん君は何を言う!」
「言ってねぇ。当然俺は言ってねえ」
「え、イッてないの? やだ津田君、もしかして」
「……何なのこのコント」
 シノとアリアはボケである。
しかも下方面のボケである。
おまけにかなりヘビーである。
だけど二人共処女である。
アナルおそろ、もといあな恐ろしや。
「そして春には無事進学して」
「新入生も入って来たね」
「オトナへの階段を一歩上って」
「お尻の穴にも入って来たね」
「何が? 一体ナニが?」
「何? ナニはナニに決まっているだろう!」
「ナンじゃそりゃあ」
「お尻だけに、ナニはアレにケツテイ、なんて」
「……津田の妹のコトミちゃんとか、入学してきたわよね」
 タカトシとスズはツッコミである。
しかも台詞の大半がツッコミである。
それでもツッコミきれないことがある。
ちなみにタカトシは童貞、スズは処女である。
別にナニも恐ろしくない。
「職業アンケートもやったな」
「一位がメイドさんだったのよね」
「出島さんに色々と教えてもらったな。手取り足取り腰取り」
「奉仕の心と羞恥に耐える技術の勉強だったね」
「あながち間違ってないのが怖いな」
「何? アナルがガチだと? 君はやっぱりそっち方面の!」
「ガチで違うつーの」
「大丈夫だよ津田君、出島さんは開発技術も一流だから」
「……そもそも一位がメイドってどうなのよ」
 役員共全員、未経験のチェリーである。
だけど会話の内容はほとんどが下ネタに関わることばかりである。
どんな話題でもそっちの方向に流れてしまったりする。
ついでに言うと、関わりがある人物がこれまた揃って下ネタ方面の猛者ばかりである(一部ピュアあり)。
やっぱガチで恐ろしい生徒会役員共である。
274ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2010/12/24(金) 00:34:20 ID:c4mWl5py
「そう言えば、ムツミ達がインターハイに出場したな」
「柔道部ね。発足してまだ一年足らずなのに、凄いね」
「インしてハイになって出たわけだな」
「勃起して一瞬足らずなのに、量が凄いね」
「わざとらしすぎて、もう突っ込むのもアレだな」
「何? どこに突っ込むのだ、アレを!」
「……」
「津田君たらもう、男の子なんだから」
「……コーラのおかわり、誰かいる?」
 こんなやりとりが一年通じてある生徒会ってどうなのよ。
しかも進学校で、元女子校なのよ。
思春期真っただ中のコーコーセーの下っぷりに学力の高低は関係無いし、
女子校は男子校よりある意味下の度合いは強いのかもしれないが、
突き抜けっぷりがちょっと異常な気がするっていうことなのよ。
怖いとか恐ろしいとかそういうレベルで語れないのかもよ。
「ガマン大会もやったな」
「厚着をして、コタツに入ったよね」
「だが、暑さを追求するなら、あれではまだ足りなかったかもしれん」
「厚着をして、コタツに入って、男女の営みをすれば良かったのね」
「出来るわけねー」
「何? 出来ない? まさか津田、き、君は不能!」
「……オー、ノー」
「暑過ぎたから一時的に萎えただけだよ、津田君はきっと大丈夫よ」
「……ケーキ、おいしい」
 どうやったらこの流れは止まるというのか。
いや、実際止まらないか。
タカトシとスズが一年半、ツッコミまくってこの結果。
一時的に萎えてもまたすぐ復活してどうにもならないというわけで、どうしようもないってか。
「英稜高校と交流も行ったな」
「会長の魚見さん、おもしろい人だったね」
「ああ、これからも引き続き意見を交換しあいたいものだ」
「お互いに学びあえるといいねー、色々と」
「交歓とか交感とか、色々学びあうとか、向こうは会長や七条先輩についていけないと思いますよ」
「何? 何のことだ津田? 何を言っているんだ」
「あーもーちくしょー、普通の会話なのに下臭を覚えてツッコミをしてしまう俺はどうせ駄目な男ですよ!」
「魚見さんもおもしろい人だけど、津田君もおもしろい人だよね」
「……もうぼちぼち片付けますよ、時間だし」

 ◆ ◆ ◆
275ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2010/12/24(金) 00:37:50 ID:c4mWl5py
 その生徒会は下ネタに溢れていた。
そして今も溢れている。
ちなみに昔はどうだったかはわからない。
 季節は冬、そして学校は今日で二学期が終わり。
三年生は受検に向けて最後の追い込みをせねばならず、二年生は将来のことをそろそろ考えなければならない。
社会人になってみれば、受検なんぞは一体何の為にあんなに頑張ったのか、と思ってしまうシロモノである。
体験してきたクセに俄かに信じられない(と言うか思い出すのもイヤ)ものがあるが、
まあ、学生故の試練とでも思って無理矢理納得する他ない。
 ま、それはそれ。
学生の身の上なれば、避けられぬ近い未来の話。
学生は学生らしく、どうすれば良いかを考えて休みを過ごせば良いのだ。
そう、学生らしく。



 F   I   N












「おお、大事なこと忘れていた」
「なあに、大事なことって?」
「アニメ化されたな、私達」
「あ、そうだったね、一番大きな出来事だったわよね」
「え、何この流れ。ってこれがオチ? オチてないのにオチ?」
「ほーら津田ぁ、紙コップ捨てるからビニール袋取ってきなさいよ。あと横島先生も手伝って下さい、ほら!」
「後片付けだけに、お後がよろしいようで―――ということだな!」
「あらあら、シノちゃんったら」
「横島先生、椅子もなおしますから立って下さい」
「今日はもう、てか今年はもうこれ以上つっこまん。突っ込まんぞー!」
「何? 津田、どこにつっこ」
「もういいってんだあ!」
「あら、つっこんだ」
「さ、終わりです。帰りますよ?」 



 メリークリスマス
 そして皆様、良いお年を……
276ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2010/12/24(金) 00:40:20 ID:c4mWl5py
以上です。
タカトシ×スズの話、頓挫しまくってます。

ではまた来年……。
277名無しさん@ピンキー:2010/12/24(金) 00:42:05 ID:f/33NJ4A
リアルタイム投下乙です今から読ませてもらいます
今年もお疲れ様でした来年もがんばってください
278518 ◆8/MtyDeTiY :2010/12/26(日) 13:11:17 ID:Ndd837yD
orz

NGワードは「マサヒコ×リンコ エロなし」

279518 ◆8/MtyDeTiY :2010/12/26(日) 13:12:01 ID:Ndd837yD
街にクリスマスソングが鳴り響くこの季節。
幸せが世に溢れるこの時期。
そんな素敵なシーズンに。
……登校したら友人が教室でボコボコにされていた。
「たす……こ……ぼ」
「よくわからんが、お前が悪い」
「え〜……」
クリスマスまで後数日の出来事。



さて。
べつにマサヒコ、血も涙もない悪鬼ではない。
友人がリアルに袋叩きにされていたのならば助けに入る程度の友情も男気もある。
……あるのだが。
なんせ現状加害者が女子生徒しかいない。
被害者が馬鹿なこと言ったかやったのだろうことは想像に難くない。
事実、その絶賛袋叩き中の一団の向こうで涙を拭う女子生徒の姿が――
「って、的山?」
泣いていたのはそこそこ親しい少女だった。
マサヒコが近づくと、後は任せたとの意思表示だろうか?そばで慰めていた女子生徒が場所を譲ってくれた。
「どーしたんだよいったい?」
「……小久保君」
潤んだ目でマサヒコを見上げ、ポツリとつぶやいた。
「サンタさんって、いるよね?」
「……」
なんてこった、と。
マサヒコはため息が出そうなところを飲みこむ。
リンコは続ける。
「わたしがね、サンタさんはいるって言ったら」
「あいつがいないって言ったわけか」
ボコボコになった友人を指差すマサヒコの言葉にスンスンと鼻をすすりながら頷く。
「そうか……」
大体話が飲みこめてきた。

朝、リンコ、友人と間近のクリスマスのことで談笑。
      ↓
リンコ、サンタさんになに貰おうか発言。
      ↓
マサヒコの友人、サンタなんかいねーよ発言。
      ↓
リンコ、泣く。
      ↓
友人、女子生徒有志によりボッコボコ ←今ここか。

さて、そうなってくるとこの先が問題だ。
「ねえ小久保君」
次にリンコが発するであろう言葉がマサヒコには手に取るようにわかる。
「サンタさん」
そしてその質問に答えることは、
「いる……よね?」
難題極まる。
280518 ◆8/MtyDeTiY :2010/12/26(日) 13:12:50 ID:Ndd837yD
やべえ。どう答えるのが正解だ!?
全身から冷や汗をたらしながら周囲を覗うと。
み〜んながこっちを注目してるのにマサヒコと目が会いそうになると素知らぬ顔をされるという放置っぷり。
新手のいやがらせ?
いやちがう。
誰もリンコからの質問の答えをもち合わせていないのだ。
真実を話して夢を壊すか、嘘をついて夢を夢のままにしておくか。
どちらが正しいのか?
わからない。
だから、マサヒコに丸投げだ。
やりたくないことは他人任せ。
しょうがないじゃない、人間だもの。
「え〜っとな、的山、それは……」
「それは?」
「……放課後、ゆっくり話してやるよ」
マサヒコも、とりあえず放課後まで投げた。
しょうがないじゃない、現代っ子だもの。



昼休み

「と、ゆーわけなのでアドバイスをください」
「知らん」

ツーツーツー  ピッピッピ ←リダイヤル

「アドバイスをください」
「あのな、わたしは一応仕事中だぞ?」
「今ならお昼休憩ぐらいじゃないですか?」
「……銀行ってのはその時間帯が忙しいのよ」
「窓口担当じゃないじゃないですか」
「……チッ」
「舌打ち、やめてください」
「……ハッ」
「鼻で笑うのもやめてください」
「……」
「蔑んだ目で見るのもやめてください」
「いや、電話なのに何でわかるのよ」
「シックスセンスです」
「え? セックスセン――」
「その口閉じやがれ」
「……そう……じゃあ、真面目に言わせてもらうわよ」
「はい。お願いします」
「マサ……」
「はい」
「リンコを悲しませたらお前の後ろの貞操を貰う。以上」

ツーツーツー

「……」
状況が軽く悪化しましたけれどもなにか?


・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・
281518 ◆8/MtyDeTiY :2010/12/26(日) 13:13:30 ID:Ndd837yD
放課後

「ねえ小久保君。朝の話のつづき」
「あ、ああ」
放課後になった瞬間、走って逃げようという考えも浮かんだ。
だが、服の裾をきゅっと掴んで、弱々しく、捨てられた子犬のような目で見上げられては。
男として腹を括らざるを得ない。
「まあ座れよ」
「うん」
教室の一角。
向かい合って座る。
その周りに集まる集団。
「……帰れ」
「「まあまあ気にしない」」
野次馬なクラスメイトたち。
発端の男子生徒の姿も。
包帯が痛々しい。
やれやれと、マサヒコはため息をつき、改めてリンコと向き合う。
「さて。サンタがいるかいないか、だったな」
「うん。いるよね? サンタさん」
「結論から言う」
誰かがゴクリとつばを飲む音がした。
「俺は見たことない」
は〜っと呆れたようなため息が聞こえた。
「だからいるかいないかわからない」
うまく逃げたな、なんて声が聞こえる。
じゃあお前が話せよ!と心の中で絶叫。
しかし、まあこれで丸く収まっただろう、と高を括っていたら。
「よーするにいないってことだよ」
包帯姿のバカが余計な一言。
「いるもん! サンタさんいるもん!」
珍しいリンコの大きな声。
「いねえって。どーやって世界中の子供にプレゼント配るんだよ。無理だろ常考……」
「「……」」
「あ、やべ……」
女子生徒有志に取り囲まれる包帯男。
血の雨が降るかと思われた瞬間。
「結婚するとさ」
「へ?」
マサヒコが語り出した。
「そのうち……まあ、色々あって子供が出来るよな?」
「? うん」
「そーするとしばらくしてから電話が掛かってくるわけだ」
「?? だれから?」
「サンタ」
「え? サンタさんから」
きょとんとする。
リンコのみならず周りの友人たちもハテナ顔に。
「サンタさんからなんて電話が掛かってくるの?」
「お子さんの誕生おめでとうございますってな」
マサヒコの言葉はさらに続く。
282518 ◆8/MtyDeTiY :2010/12/26(日) 13:14:04 ID:Ndd837yD
「そんで任命されるわけだ」
「任命? なにに?」
「サンタクロースに」
「え!?」
「生まれた子の為だけのサンタクロースに任命されるんだ。
だから、サンタは一人しかいなくても世界中の子供たちにプレゼントを配れる……ってとこかな」
「じゃあ、お父さんとお母さんがサンタさんなの?」
「さて、な」
マサヒコは両手を広げ、肩を竦めて見せる。
「さっきも言った通り俺はサンタを見たことない。声を聞いたこともないよ」
そう言って、ふと真面目な顔になる。
「的山は、いやか?」
「え?」
「お父さんと、お母さんがサンタだと、いやか? 偽者のサンタだって、嫌いになるか?」
「!? そ、そんなことないよ! お父さんも! お母さんも! 大好きだもん!!」
「そっか」
言葉を聞き、マサヒコはリンコの頭をぽんぽんと叩く。
「だったら、そーいうことで良いだろ? 両親がお前だけのサンタクロースってことで」
「うん!!」
にぱっとうれしそうにリンコは笑顔になる。
その笑顔を見て、マサヒコはほっと息を吐く。
どうやら説得はうまく――
「なんだよ……その与太話は。つまんねー」
「……」
――バカがいる。
包帯を巻いたバカがいる。
そんなバカに周りの人間は殺意を覚える。
貴様……またそんなこと言うのか、と。
一方のマサヒコは、呆れた様子で頬を掻いて一言。
「……お前さ、子供じゃないんだから。意地悪して気を引こうとかバカなことするなよ」
「なっ!?」
包帯を巻いた彼は顔を赤らめつつ、声を大にして反論する。
「バカ言ってんじゃねえ! そんなわけないだろーが!」
「じゃあさ……もう黙ってろ」
「っ……」
いつもは温厚なマサヒコの目に宿るのは、わずかばかりの怒り。
これ以上俺の友人を悲しませたら許さない……そんな無言の威圧で彼を黙らせた後、マサヒコは改めてリンコに向き直る。
彼女は、不安そうな顔をしていた。
マサヒコの言うことには確かに無理があるし、包帯の彼の言う様に与太話のようにも感じられる。
心が揺れているのだろう。
サンタは、いるのか、いないのか。
やむなくマサヒコはある意味で賭けに出た。
「まあさ、訳知り顔でサンタのこと語ったわけだけど、俺もよくわかんないんだよな」
「え?」
「だって俺には子供いないしさ。だからサンタから電話なんて来たことないし」
「でも……じゃあさっきの話は?」
「ほとんど嘘だよ」
「「!!??」」
これにはリンコのみならず周りで聞いていた級友たちも驚く。
283518 ◆8/MtyDeTiY :2010/12/26(日) 13:14:38 ID:Ndd837yD
「うそ……だったの?」
「半分な」
「……半分?」
「そう。俺にとってのサンタは両親だった。
そんで、俺が大人になって、子供ができたら俺がサンタになる」
「サンタさんからの電話は?」
「知らない。だって俺にはまだ子供いないからさ。電話があるかどうかは子供が生まれた時の楽しみに取っておくよ」
そう言って笑う。
そんなマサヒコの笑顔を見てリンコは考える。
「子供がいれば、私にもわかるかな? サンタさんが居るか、居ないか?」
「ああ。わかるさ」
確信を持って、マサヒコは答える。
サンタは居ないけれど、リンコは、純粋で優しいから。
だから、子供のためにサンタを演じるだろう。
そして気づくことだろう。
両親も同じ思いで居ただろうことに。
「小久保君」
なんてことをマサヒコが考えていたらリンコが手を握ってきた。
「ん? どした?」
「子供を作ろう!!」
「はいぃ!?」
マサヒコのみならず級友たちも目を剥いて驚く。
この娘ナニ言ってんだ、と。
「そーすれば私にもわかるんでしょ? サンタさんが居るか居ないか」
「いや、確かにそう言ったけど!」
「ね〜いいでしょ?」
「待て、落ち着こう的山」
「私のこと……キライ?」
「キライじゃない。キライじゃないけど、とにかく落ち着け」
「ね〜いいでしょ〜? わたし小久保君のこども欲しい〜!」
「ぬぁ……」
Q.なに?これって告白?告白なの?
A.否。天然です。
そんなことはマサヒコも、級友たちもよ〜くわかっている。
わかっているが……
「こくぼくぅ〜ん……」
思わず勘違いしそうになってしまう。
事実包帯の彼は口から魂が抜けかけているし、女子生徒の中には「きゃ〜」なんて黄色い声援を上げているものまで居る。
「あ、あのな的山。そーいうことはほんとに好きな人とするべきだとおもうぞ」
「うん。わたし小久保君のこと好きだよ」
Q.なに?これって告白?告白なの?
A.た、たぶん。
「い、いや、だから的山」
「も〜! 小久保君! こーいう時女の子に恥かかせちゃダメだよ」
言うが早いか。
リンコはマサヒコへと顔を近づけ、そして――
「ってまてぃ!」
あわや粘膜接触というところでマサヒコが押しとどめる。
284518 ◆8/MtyDeTiY :2010/12/26(日) 13:15:13 ID:Ndd837yD
「こんな衆人環視の前でなにする気だ」
「じゃあ二人きりのときだったらいいの?」
「そーじゃねーよ! おい誰かこいつ止めて……ってあれぇ!?」
いつのまにやら教室には誰もいない。
二人きりでしっかりやれよ!と言わんばかりに誰もいない。
いちゃつく所を見せ付けられてはかなわん……と言わんばかりに誰もいない!
居なくて良いときに居やがって、居て欲しいときに居やがらねえし!
「ん〜……」
「だから待てー!!」
結局。
見まわりの教師に発見されるまでこのやり取りは続いたとか続かなかったとか。







余談ではあるが。
肝心のクリスマスにマサヒコとリンコ、二人仲良く歩く姿が見られたとか。
納まるところに納まったようで、なによりなにより。


END
285518 ◆8/MtyDeTiY :2010/12/26(日) 13:16:55 ID:Ndd837yD
以上クリスマスネタ終了。







以下アニメのころに書いてた話。
NGワード「タカトシ×ランコ エロなし」
286518 ◆8/MtyDeTiY :2010/12/26(日) 13:18:02 ID:Ndd837yD
畑ランコは桜才学園新聞部の部長。
得意技はメディアに関わるものとしてそれはどうだろう……な捏造。
そんな彼女もたまには真面目に仕事をすることがある。


今回、それが裏目に出た。


最近、桜才学園の周りに変質者が出るらしい。
そんな情報を得た新聞部。
「……学校周辺の人通りの少ない場所や街灯の少ない場所、つまり変質者が出るだろう場所に当たりをつけて
そこの写真を新聞に載せて注意を喚起しましょう」
部長であるランコの鶴の一声で新聞部一同はそれぞれ分担を決めて写真撮影に向かった。
ランコが向かったのはそれほど危険度が高くはない場所……普通の住宅街のちょっと人通りの少ない一画。
普段人気のない児童公園内(たまに生徒がショートカットしたりする)でもなく。
街灯のない大きな神社の境内(同上)でもない。
本当に、何処にでもありそうな普通の街中で。
変質者に会った。
撮影に集中していたランコは肩を叩かれて始めてその男に気づいたのだ。
帽子を目深にかぶり、サングラスにマスク、とどめとばかりな季節はずれのロングコートの下は……はいてない。
これでもかと言う変質者だった。
ハアハアと息の荒いその男。
サングラス故にその目は見えないが、それが、恐怖を誘う。
「っ!」
すぐさま逃げようとした。
たが手を掴まれた。
手を、股間に、導かれそうになった。
死に物狂いで手を振り解き、逃げた。
恐怖で足が絡む。
10メートルも走らぬうちに息が上がる。
男の足音が聞こえる。
すぐ後ろに、聞こえる。
声を出すべきだ。
出ない。
出せない!
手が伸びてくる気配。
もう2、3歩で手が掛かる。
恐怖が思考を奪い去る。
いやだ。
だめだ。
こわい。
ぎゅっと強く目をつぶる。
と、
「おっ?」
ぼすっと。
何かにぶつかった。
287518 ◆8/MtyDeTiY :2010/12/26(日) 13:18:38 ID:Ndd837yD
「あ、畑せんぱ――」
目をあける。
生徒会副会長津田タカトシ。
胸に飛び込んできたランコに驚きながら、その背後の男を目にして顔を強張らせ、ランコを背に庇い変質者と対峙する。
「つ、津田君……」
「下がってください! あとできれば通報を!!」
タカトシは出きるだけ大きな声でランコに指示を出す。
その間、変質者から視線を反らさない。
ぶらりぶら〜りと見苦しいものが目に入るが……反らすわけにはいかない。
生徒会役員を務めるタカトシの元には一般よりも少しばかり多くの情報が入ってくる。
例えば……変質者が逆上して暴れた、とか。
果たして。
変質者はタカトシの姿を見ると、興を削がれたか、不快を覚えたか。
右手でポケットからなにかを取り出し、手を大きく振る。
ジャキン、という音がしたかと思うと、1メートルほどの金属棒がその手に現れる。
特殊警棒。
「先輩下がって!」
タカトシの声と同時に、変質者はタカトシに右手のそれを振り下ろす。
ランコを背にしたタカトシに避けるという選択肢を選ぶことはできない。
やむなく、右手でその一撃を受ける。
バキッという、鈍い音と激痛。
それに歯を食いしばって耐えつつ、左足を踏み出し、同時に左の拳を相手の顔のあたりに全力で叩きこむ。
ゴッという、これも鈍い音と共に相手はもんどりうって倒れる。
当たり所が良かったのだろうか、ぴくぴく痙攣するだけで起き上がって来る気配がない。
「い、いまのうちに警察に……」
右手を庇いつつ、タカトシが通報しようとしたところで、
「きゃぁぁぁ!!」
ランコが恐怖から解放されたかのように大きな悲鳴を上げた。


その後、悲鳴を聞いて付近を巡回していた警察官が数人とんできて変質者は現行犯逮捕された。
タカトシとランコは事情を聞かれることになったのだが、その前にタカトシは病院送りになることとなる。
何しろ右手に関節がもう一つ増えていたのだから無理もない。
結果としてランコ一人が警察から聴取を受けることになる……かと思われた。
「すいません、もうちょっと待っててもらって良いですか?」
「待ってるって……どうして?」
救急車の救命士の言葉にタカトシは答える。
「畑先輩の身内の方がこられるまで待っていたいんです」
普段から何を考えているかわからず、飄々としている畑ランコ。
だが、彼女も普通の女子高生なのだ。
恐い思いをしただろう。
その後すぐに一人で警察官とはいえ、知らない大人に囲まれるのは不安なのではないか?
そんな思いから、タカトシは留まった。


程なくしてランコの母親が現場に到着。
警察からの連絡に動転していた母親は、無事な娘の姿を見て抱きしめる。
そんな母親に「大丈夫だから」とぎゅっと抱きつく娘。
その姿を見て、ようやく。
タカトシは病院へと向かった。
その優しさはなにより、彼の彼女への愛情ゆえの優しさ。

そう、津田タカトシは畑ランコに恋していたのだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・
288518 ◆8/MtyDeTiY :2010/12/26(日) 13:20:08 ID:Ndd837yD
「畑は居るかぁ!!」
ドバンッ!とすさまじい勢いで新聞部のドアが開けられる。
思わず「先輩なら世界の中心で女子大生家庭教師濱中アイを読むといってオーストラリアに旅立ちました」といってしまいそうな勢い。
それほどの勢いで新聞部にやってきたのは生徒会長天草シノとその仲間たち−1。
タカトシは検査入院でお休み。
「なんだこの記事は!!」
そういうシノの手に握られているのは本日緊急発売の校内新聞「変質者は無事につかまったでござる、の巻き」だ。
ふざけたネーミングだこと。
「……えっと、それがなにか?」
新聞部の部員が冷や汗を掻きながら対応する。
「つ、津田が畑に恋してるとか! そんなわけないだろうが!」
「えっと……事実が全体の半分以上占めてればそれってもう真実ですよね?」
「そんなわけないでしょ」
「ひぃっ!」
にゅっと、テーブルの向こう側からスズが顔を出し、驚く新聞部員。
「そうだよねぇ〜……嘘は良くないと思うな〜」
にっこり微笑むアリア。
だがその笑顔は黒い。
効果音で言うと「ごごごごごごっ」て感じだ。
冷や汗が止まらない。
確かに、新聞の内容は半分本当。
逆にいえば半分だけ本当。
ランコが変質者と遭遇し、そこにタカトシが通りかかり、怪我をしつつも撃退した。
それは事実。
それ以外のこととなると……どこぞの地検も真っ青の脚色と捏造の嵐。
だから何処から文句みたいなモノは来るだろうし、怒られるかな〜とは思っていたのだが。
「それで、これは、どーいうことなのだ?」
「え、えっと……」
まさか生徒会役員共が直々に、総がかりでやってこようとは。
見抜けなんだわ!
「い、今担当者が不在ですので追って連絡させていただきたく――」
「その担当者って誰なの?」
「もちろん畑先輩ですよ」
「その畑さんは何処にいるのかな〜?」
「知りませんよ」
「……本当に知らないのか?」
「ホントにですよ!」
冷や汗をだらだら流しながら答える。
知らないけれど、予想ができてしまうから。
畑リンコが何処にいるって?
そんなもの簡単に予想がつくじゃなイカ。
こんな原稿を書く彼女がいるところなんてそれは………

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・
289518 ◆8/MtyDeTiY :2010/12/26(日) 13:20:43 ID:Ndd837yD

「……リンゴが剥けました」
「えっと……畑先輩?」
「……上手に剥けました〜」
「誰のまね? 何のまね?」
「……美味美味」
「あ……自分で食べちゃうんですね……」
「……欲しかったんですか?」
「あ、いえ。別にそーいうわけでは」
「……特別ですよ? はい、あ〜ん」
「え? あ、いや。自分で食べられますんで」
「……」
「えっと……あ〜ん」
「……おいしいですか?」
「はい。おいしいです」
「……もうひとついかがです?」
「…いただきます」
「……では…あ〜ん」
「……あ〜ん」

とある病院での一コマ。
この数分後に少女が3人ばかり飛びこんできて阿鼻叫喚地獄絵図になるとはお釈迦様でもわかるまい。



END
290518 ◆8/MtyDeTiY :2010/12/26(日) 13:23:43 ID:Ndd837yD
終了。
誤字脱字表現違いシングルベルだった男に哀れみの視線を送るのは勘弁な。

クリスマスって救世主が生まれた日と聞きました。
彼は世界は救っても私を救ってはくださらないようです。

来年こそ本気出すorz
291名無しさん@ピンキー:2010/12/26(日) 15:33:29 ID:RAlybhGp
518氏、久しぶりの投下乙&GJです!
相変わらずの軽妙さが実にお見事、来年もよろしくお願いします
292名無しさん@ピンキー:2010/12/26(日) 15:36:30 ID:h9gKPPjB
このスレにもサンタが来てたのか
GJ!>ALL
293名無しさん@ピンキー:2010/12/27(月) 11:46:04 ID:r86N8SvJ
518氏
乙&GJ!
294名無しさん@ピンキー:2010/12/27(月) 12:53:32 ID:ALzhgUoh
両氏、いいクリトリスプレゼントだった!
来年もまたよろしくお願いします!
295名無しさん@ピンキー:2010/12/28(火) 17:17:09 ID:7dyr3EKl
518氏、お帰りなさいまし。
296名無しさん@ピンキー:2010/12/30(木) 22:02:43 ID:I6LY7tva
そろそろageとくか
297名無しさん@ピンキー:2010/12/31(金) 11:57:23 ID:is2dozf8
冬コミに生徒会のやつあった?
298名無しさん@ピンキー:2010/12/31(金) 17:20:55 ID:V3u3SSOg
スズの本が何冊かあった。
299名無しさん@ピンキー:2010/12/31(金) 22:34:42 ID:is2dozf8
シノやアリアは無いのかな

アリアのコスプレをした自演乙が勝利してくれたので
来年は生徒会にいいことあるはず
二期来てくれ
300名無しさん@ピンキー:2010/12/31(金) 23:59:44 ID:4NsPWXym
あけ
おめこ
とよろ
301名無しさん@ピンキー:2011/01/01(土) 00:51:02 ID:E34X7cH7
あけ
おめこ

とよろ
302名無しさん@ピンキー:2011/01/01(土) 01:43:37 ID:YOMDizTg
あけ
おめこ
とよろ
303名無しさん@ピンキー:2011/01/01(土) 07:56:27 ID:7WjwkpP4
あけ
おめこ
とよろ
304名無しさん@ピンキー:2011/01/01(土) 13:39:16 ID:kyEGCovK
あけ
おめこ
とよろ

新年一発目よろしく
305名無しさん@ピンキー:2011/01/03(月) 23:31:47 ID:8wQ9dhi2
おまいら
あけ
おめこ
とよろ
306名無しさん@ピンキー:2011/01/04(火) 10:17:23 ID:YA3he1ss
本スレ規制で書けないから、こちらに。
ミサキチOAD出演ktkr
307名無しさん@ピンキー:2011/01/04(火) 18:51:18 ID:ORQYuLFc
カエデがトッキーのちっぱいにタッチするシーンは見れますか?
308名無しさん@ピンキー:2011/01/04(火) 19:05:27 ID:QZ/5wBXZ
濱中もアニメ化してくれー
309名無しさん@ピンキー:2011/01/04(火) 19:22:42 ID:+gNWEH9A
冬コミで生徒会のやつが1サークルだけメロンと虎にあったのだが
表紙がハズレか?と思いつつ買ったのだが
まあ中身はまあまあ良かった
表紙が良くて中身は悪いのは多々あるが
逆パターンは珍しいな
310名無しさん@ピンキー:2011/01/05(水) 00:07:46 ID:MzWj38Hr
濱中がアニメ化してアヤナが出たら死んでもいい
311名無しさん@ピンキー:2011/01/05(水) 01:30:43 ID:tfIBDze5
濱中のキャストを予想するか
アヤナは平野
312名無しさん@ピンキー:2011/01/05(水) 02:15:05 ID:17CvtMZg
アヤナは藤田咲

思春期がアニメ化して今岡(cv:伊藤静)が出たら悶絶する
313名無しさん@ピンキー:2011/01/05(水) 02:21:53 ID:K6w7tOLN
源氏名で言ってくれないとわかんないよ
314名無しさん@ピンキー:2011/01/05(水) 14:44:59 ID:XL54tJDE
しかし、マガジン本編でもやったぱりやってくれたな

あけ
おめこ
とよろ

もはや伝統芸
315名無しさん@ピンキー:2011/01/05(水) 17:16:50 ID:oa1kbINM
少年誌でも包み隠さずなw
かかってこいよ都知事、自分が書いた作品を棚に上げてかかってこい
316名無しさん@ピンキー:2011/01/05(水) 19:55:35 ID:S09CylWO
パイパーン3ェ……
317名無しさん@ピンキー:2011/01/05(水) 22:36:39 ID:0gxx4NR8
この乳輪の輝きを恐れぬのなら、かかってこい!
318名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 13:20:43 ID:5p8XGX+m
アイは生天目さんあたりがやるのか( ゚∀゚)
319名無しさん@ピンキー:2011/01/07(金) 16:50:33 ID:YHTbm5Sx
な…生天目さん
320名無しさん@ピンキー:2011/01/07(金) 21:54:31 ID:ki6ab9Mh
トッキーとミサキチがOVAに出演か。
このまま勢いに乗って思春期もアニメ化しちまいなよー!
321名無しさん@ピンキー:2011/01/08(土) 00:54:02 ID:IYuRlyvJ
これでトッキー人気が上がってここでSSが…だったらいいな
322名無しさん@ピンキー:2011/01/08(土) 05:46:16 ID:48s3+Pge
ここってエロ無しおkだったよな?
323名無しさん@ピンキー:2011/01/08(土) 12:26:05 ID:+GWxSZUh
>>322
おkだよ
324名無しさん@ピンキー:2011/01/08(土) 17:14:49 ID:h35ZwjZp
正月だったからスズに俺のお○玉上げたら喜んでくれた
325 ◆vLXBuC8goU :2011/01/08(土) 21:42:38 ID:dG11SHPG
トリップテスト
326 ◆vLXBuC8goU :2011/01/08(土) 21:43:17 ID:dG11SHPG
こんばんは。凌辱ものアリア編(だけど夢オチ)の後編を投下します。

以下、注意事項です。


・凌辱注意(百合・アナル・3P(二穴責め)など)
・夢オチ
・長いです(前編の二倍強)


それでは次スレより投下開始です。
327後編1 ◆vLXBuC8goU :2011/01/08(土) 21:44:13 ID:dG11SHPG
渡り廊下を歩き指定された場所である旧校舎の一室――生徒会が倉庫としている教室へとやってきたアリア。
 なにぶん年代物の建物であるため、使用されている建材もまた古いものであった。そのため出入り口のドアを
飾る窓ガラスは曇りガラスとなっており、なかに待ち人がいるかはわからなかった。
 「ん、よし」
 ぎゅっと両の拳を握って覚悟を決めたアリアは、そっとドアを開けて室内へと足を踏み入れた。
 「失礼します――あっ、津田くん?」
 アリアの待ち人はすでに来ていたのだが、目に入ったその人の横顔がどうにも見たことのない表情をしていた
ため、アリアが彼を呼ぶ声は疑問形となる。
 「ああ、先輩。わざわざありがとうございます」
 「えっ、ああ、うん。気にしないで」
 さっと柔和な微笑を浮かべてタカトシが歩み寄ってきたことで、アリアは先ほど抱いた懸念を打ち消した。
 教室として使用されていたころは数多くの机が並んでいたであろうこの場所。
 時が移り時代が変わったことで、ガラクタに近いものが無造作に置かれている場へとなった。
 人の出入りがなく埃っぽい室内にいるのは、アリアとタカトシのふたりだけ。
 返事をするのに自分たちが現在使っている校舎ではダメなのかと思いはしたものの、誰かに聞かれるのは好ま
しくはないだろう。
 「それで、七条先輩。昨日のことなんですけど……」
 顔を紅潮させたタカトシが問う。
 「うん、そのあの……」
 思いを寄せてくれているこの少年へと、彼にとっては死刑宣告にも等しいことを告げなければならない。
 正直、気が重い。
 昨夜に告白を断ると決意してから今この場に来るまで、何度もシミュレーションを重ねてきた。用意してきた
内容をもう一度脳内にて確認。
 タカトシをまっすぐに見据える。
 「その、津田くん。あなたの気持ちに応えることはできません。ごめんなさい」
 ここで言葉を区切って深々とアリアは頭を下げた。タカトシを傷つけてしまった以上、こうするしかないと思
っていたからだ。
 頭を上げて目の前の少年の反応を確認する。さきほどまでの微笑はなかった。
 その姿を見て胸が痛んだが、なぜ振るのかということを今一度詳しく説明していくアリア。
 確かに今それを口にすることは、残酷なことだとアリア自身にもよくわかっている。
 しかしそれが自分の責務なのだからと言い聞かせて、タカトシから目をそらさずにいた。
 「私、そのこういうことって初めての経験だったから、どうすればいいのかなって昨日からずっと考えてたの。
 それで気づいたの。津田くんのことは好きだよ。でもそれはお付き合いしたいって思えるほどのものではない
 っていうか……」
 「…………」
 「こんな中途半端な気持ちで告白に応じたら、津田くんにとても失礼だから、津田くんのことを深く傷つける
 ことになると思ったから……」
 「……そうですか」
 合わせていた視線を外したタカトシが深く息を吐いた。
 「でも、告白してもらって嬉しいって気持ちはあったの、これは本当だよ。それと生徒会の仲間として好きっ
 てことは変わらないから、だからその、これからも今まで通りに接してくれると嬉しいです」
 まったく表情のなかったタカトシの顔に、今このときではもっとも相応しくないものが飾った。
 それは笑顔だった。
328後編2 ◆vLXBuC8goU :2011/01/08(土) 21:45:05 ID:dG11SHPG
 (どうして津田くんは笑っているんだろう……?)
 特に無理をして笑っているというふうには見受けられなかった。
 正直、理解しがたかった。振られてしまった形となった人間が、笑顔を浮かべるだろうか。
 なにかおかしいのではないか。
 きょとんとしているアリアの様子にはさほど関心を示すことなく、タカトシは大仰に肩をすくめた。
 「まいったな、ホント。できれば無理矢理ってやりたくないんですけどね。まあ、告白を素直に受け入れてく
 れると思っちゃいませんでしたけど」
 頭を振ったタカトシは普段しっかりと締めているネクタイをさっと解き放つと、次いでブレザーを無造作に後
ろへと放り投げてアリアへと歩み寄る。
 まったく予想外の展開が続いてしまっていることで、思考だけでなく身体も固まってしまっているアリア。
 そんなアリアのほっそりとした顎を捉えて顔を上向かせると、タカトシはご令嬢の可憐な唇へと口づけていっ
た。
 自分がなにをされているのかわからなかった。開きっぱなしだった双眸が瞬いたその刹那。
 「んっ、やぁあ……っ」
 我に返ったアリアがタカトシの胸を押して後ずさり距離をとる。
 唇へと残る初めてのキスの感触。
 それはけっしてロマンチックなものなどではなく、穢されてしまったという印象を強くアリアへと植えつけて
いた。
 目頭が熱くなる。それにより零れ落ちてきそうな涙を必死に堪えた。
 「どうして? 津田くん……あなた、なにを考えているの!?」
 こんな大声を出したのは、はたしていつ以来のことだろうか。
 「なにって、キスしたいからした。それだけですけど」
 しれっとなんでもないとばかりに返してきたタカトシの態度に、腹の底から熱い感情が沸き起こってくる。
 「私がさっきした返事を理解できなかったの? 私は……私は津田くんのことを振ったんだよ!?」
 「そんなの理解できてますよ、頭の出来があまりよろしくないオレなんかでもね。別にどうだっていいんです
 よ、先輩がオレのことをどう思っていようが」
 「え……っ」
 「オレのことを受け入れてくれないんなら、無理矢理にでもオレのモノにするだけですから」
 「…………」
 傲慢すぎるタカトシの態度に思わず言葉を失うアリア。距離を詰められて顎を再び捉えられたところで、
 
 ――パァンッ

 自然と右手が一閃していた。
 「……っぅ」
 「見損なったよ、津田くん。いまどき珍しいホントにいい子だと思っていたのに。なのに……なのにこんなこ
 とするなんて。もう許さないんだから……。
 このことを告発してあなたを生徒会……ううん、桜才から追い出すんだから」
 張られた頬をおさえていた手をゆっくりと離したタカトシは、目を細めてアリアを睨み付けた。
 「オレのほうこそ幻滅ですよ。金持ちなのにそれを鼻にかけない気さくな人だと思っていたんですがね。
 結局、実家の力を使ってオレを追放しようってことでしょ。がっかりですよ」
 「……もういいっ」
329後編3 ◆vLXBuC8goU :2011/01/08(土) 21:46:02 ID:dG11SHPG
 ここで問答を繰り返していても埒が明かない。それに目の前にいる男はもう自分に対して容赦しないだろう。
 ならばここにこれ以上いるのは危険だ。
 反転してアリアは駆け出すと、元来た出入り口の引き戸へと手を掛けようとした――ところ、それよりも早く
それは開いてしまった。
 そしてアリアの目に親友である天草シノが飛び込んできた。
 「どうしたんだ、アリア。それに津田も着衣を乱して一体なにをしている?」
 室内へと足を踏み入れたシノが後ろ手にドアを閉めた。
 後輩と親友の間にただならぬ事態が起こったことを感じ取ったシノの表情は、冷徹そのものだった。
 「シノちゃん、津田くんが、津田くんが……」
 自分ひとりでは頭がどうにかなってしまいそうだったが、図らずも心強い味方が現れたことでアリアに少しば
かりの余裕が生まれた。
 「津田がどうしたのだ?」
 「私のことをその無理矢理……」
 「レイプされそうになった、か」
 「えっ」
 驚きのあまりに言葉を失い、二の句をつげずにいたアリアは今一度シノの顔を窺った。
 にやりと口の端をつりあげたシノを見てアリアは再び絶句する。
 見たこともない表情を湛えた親友がそこにはいた。
 その隙をついたシノがアリアの背後に素早く回ると、隠し持っていた手錠で後ろ手に拘束してきた。
 「えっ、し、シノちゃん……?」
 両手を縛られたアリアの背中を押してシノはタカトシのもとへと向かう。そしてアリアを放って愛しい男の胸
へと飛び込んでいった。
 ぺたんと尻餅をつく形となったアリアを尻目に、シノはタカトシへと甘えていく。
 「ふふっ、どうだタカトシ。素晴らしいタイミングだっただろう?」
 「ええ、完璧でした」
 「なあ、タカトシ。ご褒美が欲しいな」
 顔を赤らめて上目使いに見詰めてくるシノへと、タカトシは自身の唇を落とす。シノはタカトシの首筋へ、タ
カトシはシノのウェストへとそれぞれ腕を回し濃厚な口づけを交し合う。
 「シノちゃん!? いったいなにをしているの!?」
 まったく予想外の展開が連続しているため、頭がくらくらとしてきているアリアが親友を呼ぶ声は恐慌に溢れ
ていた。
 「……んっ、ふぅ。そうだな、説明してやらねばな」
 「ええ」
 タカトシとシノが意味深げに視線を交し合う。
 シノが愛しい男に身体を預けたまま、視線だけをアリアへとやると紅唇を開いた。
 「単刀直入に言おう。アリア、私とともにタカトシの女になれ。これは要請などではない。決定事項だ」
 「……つ、つだくんのおんな? し、しのちゃんといっしょ……?」
 瞳を大きく開いたアリアが、自身の言葉を繰り返してきたことに満足したシノがひとつ大きく頷いていった。
 「ああ。それによりアリア、お前はこれからタカトシにレイプされることになる」
 「えっ、し、シノちゃん? わ、私を私を助けに来てくれたんじゃないの……!?」
 「違うな。私がここにいるのはタカトシがアリアをモノにするのをサポートするためだ」
330後編4 ◆vLXBuC8goU :2011/01/08(土) 21:46:54 ID:dG11SHPG
 「…………」
 「だいたい、おかしいと思わないのか? 用事もないのにこんな辺鄙な場所に来ると思うか? 私はおまえた
 ちのやり取りを隣の教室から窺っていたんだ」
 シノが淡々と事実を述べていく。アリアが到底受け入れられようがない事実を淡々と。
 「そうだ、シノさん」
 「うん?」
 呆然とするばかりであるアリアを放置したふたりが、ひそひそと会話を交わしていく。
 「――というのは、どうでしょう?」
 「ほう、それは悪くないな。しかし、タカトシ。きみはそれでいいのか?」
 「もちろん、途中で混ぜてもらいますが……。七条先輩にあなたは誰のモノになったのかってことを、よく教
 えてあげてください」
 露悪的な表情を湛えた共犯者たちが離れる。
 タカトシは近くに無造作に出されていたパイプ椅子へとどっかりと腰を下ろし、シノはアリアへと近づくと前
もって用意していた体育用マットへと、アリアを押し倒していった。
 「し、シノちゃん、や、やだよ……。冗談だよね?」
 覆いかぶさってきたシノへとどうすればいいのかとアリアは戸惑う。タカトシ相手ならば迷うことなく抵抗す
ることを選んだだろうが、シノは大事な親友である。
 「シノちゃんは津田くんに騙されているんだよ」
 「騙されているなんて生易しいものではなかったぞ」
 「え……っ」
 「私もタカトシに無理矢理されたのだからな。初体験がレイプだなんて悪夢そのものだったが……」
 「……っ!?」
 「今では身も心もタカトシのものだ。さて、おしゃべりはここまでにしようか」
 「……んンっ!?」
 アリアはまたしても唇を奪われてしまった。それも同性である親友から。
 シノを傷つけてしまうのは本意ではないアリアは、どうすればいいのかわからずに戸惑ってしまう。
 ひとまず頑強に口を閉じていたのだが、人間も生き物である以上は新鮮な空気を吸って肺に満たしていかなけ
ればならない。
 アリアが酸素を求めて僅かに口を開いたその刹那に、そのときを待ちかねていたシノの舌がアリアの口内へと
ぬるりと侵入していった。
 「はむんっ、くちゅっ、れろっ、えろーンッ」
 「んっ、ふっあぁぁああ……っ」
 初めて経験するディープキスの感触にアリアの肢体はぶるりと震えていく。
 決して不快なのではない。
 至極丁寧なその動きに身も心もなにもかもが蕩かされていくような錯覚さえ受けてしまう。
 無理矢理なはずなのに、なぜこんなにも興奮してしまうのだろう。
 (な、なに、なんなの? キスって……キスだけでこれだけ気持ちよくなれるものなの?)
 驚きから見開かれていた両の瞳がとろんと下がっていく。それに伴い、組み敷かれている可憐な少女の頬は紅
色へと染まっていった。
 五分、それとも十分? いや、もっとだろうか。
 アリアの口内を蹂躙し尽したシノが唇を離した。ふたりが口づけを交わしていた証である唾液による銀糸の橋
が生まれ、間もなくそれは途切れた。
331後編5 ◆vLXBuC8goU :2011/01/08(土) 21:47:55 ID:dG11SHPG
 「はぁっ、はぁっ、ん」
 呼吸を乱しているアリアが切なげに自分を見上げてくることで、自身が思い描いている方向へと移っているこ
とを確かめたシノがニヤリと笑う。
 「ふふ、キスは気持ちいいだろう。次にいかせてもらうとするか」
 アリアのブレザーのボタンを外して同様にまたブラウスも肌蹴させていく。
 次いで背面へと手を回すと素早くホックを外してブラジャーを外していった。肩紐がないタイプのものであっ
たため、簡単にむしり取られてしまった。
 そしてご令嬢の魅惑の双丘が姿を現した。
 口づけの余韻のためだろうか。頂を飾るふたつの蕾は早くも体積を増しており、自己主張してきている。
 「まったくイヤらしいお嬢様だな。同じ女である私からだというのに、それも無理矢理だというのに、こんな
 に浅ましく大きくして」
 男の手のひらでもたっぷりと余るだろうそのボリューム感溢れる乳房。女の身であるシノがそれを包みこめる
はずはない。
 しかしそのぶん愛撫は丁寧なものとなる。同性ならではの繊細なタッチでアリアの性感を確実に引き出してい
く。
 「ん、ん、はぅ……くっうん」
 
 ――触ってほしい、屹立している乳首を乱暴にしごいてほしい

 特に敏感な性感帯である胸の頂。だがシノが触れてくるのはあくまでもたっぷりとした乳肉のみであって、乳
輪にさえ近づいてくれなかった。
 「やっ、そんな……、こんなこんなのって……っ」
 あまりの生殺しにアリアの双眸から堪えきれなくなった涙が、つーっと頬を伝った。
 特に敏感な性感帯を教え合っている仲だ。
 アリアが自分に対してなにを求めてきているかを察するなど、造作もないことである。
 「今度からはしてほしいことはちゃんと言葉にするんだぞ。だがまあ、今回だけはサービスだ。それ」
 絶え間なく続いていた刺激により大きくなっていた両の乳首を、それぞれ右手左手の親指および人差し指そして
中指でこねくり回す。
 絶妙な加減でコントロールされたそれにより、アリアの身体がビクンと大きく跳ねていった。
 「あああっ、こんなおかしいのに……っ!!」
 下腹部の奥からどっぷりとイヤらしい汁が溢れてべっとりと下着を汚していっていることを、半ば他人事のよう
にさえアリアは遠く感じていた。

 「さて、と」
 「ええ、頃合いですかね」
 絶頂へと押し上げられてしまったことで放心してしまっているアリアを尻目に、シノが離れて控えていたタカト
シと視線を交し合う。
 タカトシが腰を上げたことで彼が座っていたパイプ椅子がギシッと音をたてた。
 シノから場を譲られたタカトシが、アリアの両ひざの裏へ手をやってぐいっと開脚させていく。
 「やっ、ダメ、見ちゃダメ……」
 「今日は貞操帯はなしですか。手間が省けて助かりますよ。もっとも先輩にとっては最悪の事態でしょうけど」
 身体に力の入らないアリアはろくに抵抗らしい抵抗をできず、はいていたショーツをあっさりと脱がされてしま
った。
 愛液をたっぷりと吸ったことで、クロッチ部に恥ずかしいシミを作ったそれを脇へとやられ、タカトシがアリア
の陰部へとネットリとした視線を注いでいく。
332後編6 ◆vLXBuC8goU :2011/01/08(土) 21:48:49 ID:dG11SHPG
 両手を手錠で拘束されていることで哀願のセリフを紡ぐぐらいしかできない。
 もっとも凌辱者がそれを聞き入れようはずがなく、左右の手で陰唇を割り開いていった。 
 そして露わになったもっとも恥ずべき部位を凝視されているアリアは、涙ながらに首を振るうばかりだった。
 たっぷりと淫らなシロップでコーティングされた膣前庭を目にしたタカトシは、露悪的な笑みを浮かべた。
 「地元だけでなくて全国的にも有数の名家のお嬢様が、いいんですかね……こんなに淫乱で」
 「ひぃやあぁあぁ……っ」
 言葉で指先でアリアを弄んでいたタカトシは、ベルトを外してズボンと下着を脱ぐとパンパンに張りつめている
男性器を取り出してきた。
 目の前にいる新たな獲物を捉えて普段とは比較にならないまでに大きくなっているそれ。
 先ほどのシノがアリアを辱めている前座を目にしたことで、かつてないほどに興奮していることは明らかだった。
 (ああ、もうダメ……。私は津田くんに犯されちゃうんだ)
 タカトシが物欲しげに蠢いている小さな窪みへと亀頭をあてがう。今まさに正常位にて貫かれようとしているア
リアへと凌辱者が微笑んだ。
 「一発目は痛いだけだと思うけど、我慢してくださいね」
 「あっ、ヤァァんっ、あぁぁあ……っ!?」
 挿入してからすぐに感じられた障壁――処女膜に対してなんら構うことなく、一気にぶち抜いていった。
 そのときアリアは下腹部からなにかを裂かれる感覚をえていた。
 涙が再び溢れてきてしまう。
 身体的な痛さはもちろん、無理矢理に貞操を奪われたことによる心の痛みが酷かった。
 「やっぱりこの感触は独特なものがあるっていうか」
 初めてであったということおよび、まだ十代の瑞々しい肉体ならではの締め付け具合にタカトシは額に汗を浮か
べて呻く。
 「んっ、あっ、い、痛い、の……」
 射精感をやり過ごしたタカトシが自身に組み敷かれて声を震わせるアリアを見下ろす。
 涙目で慈悲を乞うご令嬢のその姿。それは後輩である少年の保護欲ではなくて嗜虐心へと火をつけただけであっ
た。
 残念ながら。
 膣内奥深くまで入り込んでいた肉棒を膣から出る寸前まで後退させていく。アリアが擦過による鈍痛に顔を顰め
ているがそれに構うことなく、ずどんと再び突き入れていく。
 手が拘束されて不自由なアリアの身体が大きくのけぞった。
 遠慮なく自らの快楽追及のため腰を振っていくタカトシ。それに対してアリアは続いている痛みに懸命に耐えて
いた。
 早くこんな苦痛の時間は終わってほしい。
 そう思い願いさえしていたのだが――。
 「はぁぁん、やっ、そ、そこ……っ」
 「ん、どうしたんですか?」
 次第にこなれてきたアリアの膣内は胎内の奥より、ねっとりと粘度の高い液を分泌していた。それはアリアの意
思とは反して、タカトシを楽しませるためのものでもある。
 痛みから快感へと徐々にシフトしつつあるアリアの性感。
 女性にとってもっとも神聖そして大切な器官の入り口――子宮口を、コツコツと刺激されていることが、その主
因であるようだ。
 それを察知したタカトシが集中的にその部位を責めていく。
333後編7 ◆vLXBuC8goU :2011/01/08(土) 21:49:34 ID:dG11SHPG
ともに一番敏感な粘膜同士を擦りあわせている男女が、一際声高に吠える。
 もはや、アリアの口唇から紡がれるのは痛みを訴えるものでもなく、またタカトシへの拒絶の言葉でもなかった。
 「あぁぁあっ、そんな、そんな……こんなこんな、ハァァンっ、ダメなのに……っ」
 「口ではイヤだのなんだの言っても、結局は身体は素直なんですよね」
 「あっ、はぁっ、アアッ」
 「もうずっぽりとオレのを美味そうに咥えて離そうとしてません、からね!」
 単純に前後させていた腰の動きを時計回りに回転させて、生まれてくる快楽にアクセントをつけていくタカトシ。
 「だめ、だめなの、そんなそんな奥までズポズポさせちゃ……ああぁぁっ」
 タカトシはただひたすらにアリアを嬲っていく。
 自分の快楽を追及するためはもちろんだが、この組み敷いている可憐なお嬢様を屈服させ堕とすために嬲っていく。
 先ほど弱点と知ったばかりである子宮口をより強く突かれたことにより、アリアの身体が一際大きく跳ねた。
 アリアが望まぬ絶頂へと導いたことを見届け満足したタカトシは、素早く膣内から逸物を抜き出すと彼女の滑らか
な腹部へと精を放出していった。


 「まだまだこんなもんじゃないですよ」
 「あ、んン……っ」
 脱ぎ捨てていたズボンから取り出したポケットティッシュで、射精した跡を拭ったタカトシは再度勃起してきてい
るモノをアリアへと挿入していった。
 排除するではなくむしろ歓迎するかのようにして膣壁はペニスを包み込んでいく。
 そしてアリア本人も性的絶頂へと押しやられたため、身体に力が入らずにすんなりとタカトシを受け入れてしまっ
た。
 アリアを抱えたタカトシが今度は自身が仰向けに寝そべっていく。挿入されたままなその様子は騎乗位そのもので
あったが、タカトシが左手でアリアの上半身を抱き寄せたことにより、変則的なものへとなった。
 「先輩はこっちのほうが好きなんでしたっけ」
 「んん、やっ、お尻は、お尻はダメ……ぇっ」
 繋がったままである陰部から溢れる愛液を右手の指へと絡めたタカトシが、アリアの肛門へとそれをねじ込んでい
った。
 初めて男に触れられたそこは戸惑いを見せたものの、もともとそちらの性癖があることもあってか難なく受け入れ
ていった。
 めり込まされていった人差し指と中指がぐいぐいとなんの遠慮もなく、腸壁を抉った。
 ごりごりと擦られ続けたことでアリアの身体がビクンっと跳ねそうになったが、タカトシに抱きすくめられている
ことでそれもままならない。
 名家のご令嬢としてあってはならないアナル絶頂へと達したことで、だらしなく緩んだその顔。
 (やぁあぁ、見ちゃだめ、ダメなの……。でも、でもお尻、気持ち良すぎて……)
 「あっ、はぁぁああん……っ」
 悩ましげな吐息をついて余韻に浸っているアリアから視線を外したタカトシ。
 「シノさん。用意はいいですか?」
 「ああ、この通りだ」
 自分の身体を挟んで会話を交わしている親友と後輩の少年の姿にいまいち得心のいかなかったアリア。
 タカトシの指が離れたことで、物欲しげに蠢いている菊座へと新たな感触が訪れた。
334後編8 ◆vLXBuC8goU :2011/01/08(土) 21:50:20 ID:dG11SHPG
 「んんっ!? なに、なにをしているの、シノちゃん!?」
 違和感に気づかされたアリアが半身をひねって背後へと目を向けると、そこにはシノがいた。
 しかし、いつもの彼女とは明らかに違う、腰部へと視線を釘づけにされてしまう。
 そこには女性であるシノにはあるはずのないものである男性器があったのだ。
 もちろん、それは本物でない。男の性器を模したペニスバンドを黒革パンツへと装着したシノだった。
 「君たちのセックスを見ていて昂ぶっているからだろうな。私もタカトシに抱かれているときに近いぐらいに興奮
 している」
 瞳を怪しげに爛々と輝かせたシノが、ぴたりとアリアのアヌスへと照準を合わせた。
 「しかし、タカトシ。本当にいいのか?」
 「ええ、オレはそっちは興味ないもので。これからは三人で楽しみましょう」
 「ああ、そうだな」
 シノとタカトシが揃って露悪的な笑みを交わしている。今までの様子に呑まれていたアリアがはっとする。
 「そ、そんな、そんなの入るわけないよ!?」
 「さっき無様なアナルアクメを晒したことを忘れたのか? それに普段からここを弄っているというのに、説得力
 などないぞ」
 「んっ、ゃあぁっ、ダメぇ」
 話はこれで終わりとばかりに疑似ペニスをアリアの肛門内部へと挿入を開始するシノ。
 「ふっ、んんっ、これはなかなかきついな……」
 「……っ!!」
 あまりの違和感にアリアは悲鳴をあげることさえままならなかった。たださえ膣内にタカトシの逸物を挿れられて
いるというのに、本来排泄するための器官であるアナルを犯されてしまう。
 加えてシノはまったく初めての経験でもあるために加減らしい加減ができずに、最後の根本まで一気に挿入してし
まった。
 「んっ、二穴責めって痛いほど締め付けてくるって、本当だったんですね。オレのチ○ポ、七条先輩に食いちぎら
 れそうですよ」
 苦悶の表情で冷や汗を流すアリアの頬をタカトシは撫でる。
 「どうです、お気に入りの場所を犯されてる感想は」
 「…………」
 アリアは黙ってただ首を左右に振るう。せいぜい指を入れたり小さ目なアナルビーズを使用したりという程度であ
ったため、あまりの強烈なその刺激を持て余していた。
 「それならこれはどうだ」
 「んっ、やだ、そこは……」
 アリアの後ろの処女を奪ったシノが、繋がっている下半身へと手を滑らせていった。そしてクリトリスを中指の腹
でこねくり回していく。
 被っていた包皮を剥かれたそこは、敏感な反応を見せていった。
 (あ、そんな、もうイヤなはずなのに……)
 「じゃあ、オレはこっちを」
 シノの行動を受けてタカトシは自身の胸板へと乗ってきている豊かな乳房を、両手ですくいその肌触りを堪能する。
 甘い声を隠し切れなくなってきたアリアの反応にいたく満足し、たっぷりとしたそれを思うがままに弄んでいく。
 「んっ、やっ、そんな……乳首噛んだら、だめぇ」
 舐める吸うだけでは飽き足らず、しこりきっている乳首を軽く噛んでいくタカトシ。
 培ってきた経験を発揮して弄んでいる対象を追い詰めていくタカトシは、意味ありげにアリアに覆いかぶさってい
るシノと視線を交わした。
335後編9 ◆vLXBuC8goU :2011/01/08(土) 21:51:08 ID:dG11SHPG
 アリアの性感を十分に引き出したと判断し、ふたりが動き出す。
 ぐちゅぐちゅとタカトシに貫かれている女性器が、ぬちゅぬちゅとシノが疑似ペニスで犯している排泄器官が卑猥
すぎる音を奏でる。
 初めこそぎこちなかったものの、タカトシとシノの動きは次第に呼吸が合っていった。
 それにより苦痛さえ訴えていたアリアから甘い吐息が漏れてくる。
 「はぁ、っくぅん、そんな奥ばっかりズンズンしてきちゃ……だめ。ひゃんっ!?」
 「ふふっ、なにがダメなものか。タカトシのものをオマ○コでずっぽりと美味そうに咥えて、私からはお尻を犯さ
 れて悦んでいるくせに」
 直腸粘膜を犯すシノの動きもスムーズなもので、また彼女自身も余裕がでてきたらしく、背面からちろちろとアリ
アの耳朶を舐っていく。
 「んー、なんか妬けますね。オレのことも忘れないでください、よっと」
 先ほどの交わりで発見したばかりのアリアの弱点である子宮口を執拗にタカトシは小突いていった。
 やや鼻に掛かった喘ぎを漏らすアリアの唇。次はそこへと狙いを定めてタカトシは口づけた。
 「ちゅ……くちゅっ……ぴちゃっ……ちゅるっ、れろ……っ」
 タカトシを拒絶することなくアリアはそれを受け入れた。両の瞳をとろんと蕩けさせてタカトシのされるがままに
キスを受け入れる。
 「んっ……あっ」
 キスを中断されたことで不満げな様子のアリアへとタカトシは語りかける。
 「オレのものになる気にはなりましたか?」
 「それは、でも……」
 「なにも難しいことじゃない。アリア、私もずっと一緒だぞ」
 「シノちゃん……」
 大好きな親友とならこれもまた悪くない。それにシノをここまで虜にした男だ。精神的にも肉体的にも抗い続ける
ことなど不可能だろう。
 いくばくかの逡巡の末、顔を紅潮させたアリアが言葉を紡いだ。
 「私は……津田くんのものです」
 タカトシは言葉による返事ではなく行動で返した。
 それを察したシノも彼の腰の動きに合わせる。
 粘膜同士が擦れることによって生じる卑猥極まりない音が溢れていく。
 (ああっ、オチ○チンが奥でびくびくしてきてる)
 もたらされてくる快楽から絶え間なく喘ぎ声をあげて、口元からは興奮のため涎さえ流しながらアリアはそのとき
が訪れるのを感じ取った。
 「さあ、先輩。どこに出してほしいですか……!?」
 「んっ、ああっ、このまま、このまま……私の膣内で、出して、ください……っ」
 シノが耳たぶを甘噛みしてクリトリスへと刺激を送り、タカトシが巨乳を揉みしだいてと絶え間ない快楽責めへと
晒されているアリアがそう漏らす。
 この上に膣内射精をされればどんな絶頂が訪れるのだろうかと思うと、それによる妊娠の危険性さえ脇へと追いや
りただ懇願していた。
 「ひっ、いやっ、おっきいの、おっきいのがキてる……。あっ、いっ、こんな、いっく……アッアアァァァッ!!」
 タカトシとシノがそれぞれ膣奥と肛門奥を大きく突いていったことで、自慰もさきほど犯されたときに味わわされ
た絶頂どころではない、より大きな快感の波へとアリアは呑まれていった。
 男の精液で膣を満たされるという女としての充足感に浸りながら、アリアは意識を手放していった。
336後編10 ◆vLXBuC8goU :2011/01/08(土) 21:52:01 ID:dG11SHPG

 「んっ、いいっ、そこ、奥もっとズンズンしてぇ……っ!!」
 意識を喪失していたのははたしてどれぐらいであっただろうか。気づけば手の拘束具は外されて自由となっており、
制服を全て脱がされて生まれたときの姿へとなっていることに、アリアは気づいた。
 (ん……っ)
 上半身を起こしたところで股間から粘着性を帯びた液体が溢れてきた。
 夢ではなかったのだということを思い知らされる。
 そして意識を覚醒させるきっかけとなった声が聞こえてくるところ――少しばかり離れた体育マットの上でタカト
シに犯されるシノの姿が、目に入った。
 獣のように交わるふたりに対して嫌悪感は生じなかった。
 貞操を強引に奪ってきたタカトシへと憎しみを抱くこともない。
 自分という存在を忘れ去られてしまったという印象を受けて、純粋な寂しさの感情が胸へと募る。
 ふとシノと目が合う。

 『なにをしているんだ。早くこっちにこい。一緒に気持ち良くなろう』

 そうシノの目が語りかけてきているように感じられたアリアは、おぼつかない足取りながら苦労して親友と後輩が
交わっているマットへとたどり着く。
 「津田くん、私のことも、もっと可愛がってください」



 「――という感じの夢だったの」
 「……そうか」
 親友であるアリアから相談に乗ってほしいことがあると言われたのが、今朝方に登校した折のことだった。
 今日は生徒会活動がないことだし、また自身もこれといってやりたいことがあるわけでもない。時間が空いて
いたこともあってふたつ返事で了承したシノだったのだが。
 アリアから連れてこられたのは、桜才学園近くの駅前に先日オープンしたばかりのアイスクリームショップで
あった。
 入店する前は買い食いは校則違反だと言って、どこか公園にでも行こうと話したのがシノ。
 それをアリアは、
 「うちの家がやっている会社のお店なの。まだできて間もないからどういった商品が主力客となる中高生に受
 けるのかって調査も兼ねて、シノちゃんをご招待しました。
 シノちゃんはモニターさんだから、お代はいらないよ。だから、買い食いじゃないよね。
 あっ、もちろん私の相談にも乗ってもらうけどね」
 と返してきた。
 それが屁理屈であるということは、シノも理解している。
 しかしながら、彼女もまた甘いものには目のない女子高生でもあるのだ。
 いくばくかの葛藤を経て、結局入店を果たしてしまった。
 一般客たちが入っているスペースとは別の個室に通されたシノとアリアは、店の責任者らしい男性が恭しく持
ってきた色彩豊かなアイスへと舌鼓を打っていた。
 それもしばらくして落ち着いたころ。
 アリアが語り出した話の内容に、どう反応すればいいのかと困ってしまったシノは、とりあえずただそうかと
だけ返してしまった。
337後編11 ◆vLXBuC8goU :2011/01/08(土) 21:52:53 ID:dG11SHPG
 ちらりとアリアの様子を窺う。ご令嬢はどうやらお怒りのご様子だ。
 「まあ、夢であったとしても、知っている人間から乱暴されるというのはいい気分ではないだろうな」
 夢での出来事とはいえ、シノ自身もその凌辱劇に関わっていたということもあってか、どうコメントすればよ
いのか苦慮している。
 「そうじゃないの」
 「……? なにがだ?」
 「アリア編って話なのに目立っているのはシノちゃんのほうだったんだよ。これって看板に偽りありだよね、
 羊頭狗肉だよ。津田くんとシノちゃんのラブラブっぷりのほうが遥かに目立っているんだもん」
 「その、なんだ、アリア。なんのことを言っているのかさっぱりだぞ」
 「あっ、ごめんなさい。話が逸れちゃったね」
 「しかし、そうか。ラブラブなのか」
 親友の満更でもなさそうな姿を目にして、アリアはぷくっと頬を軽く膨らませて不満を意思表示した。
 「それでね、シノちゃん。ここからが本題なんだけど」
 こほんと軽く咳払いをしたアリアへと意識を戻す。
 「私、わかったの。私は津田くんのことが好きなんだって」
 「……っ!?」
 シノの双眸が驚愕に見開かれる。手にしていたスプーンがぽろりとテーブル上に落ちていった。
 「津田のことが好き、なのか?」
 オウム返ししてしまったシノの目をまっすぐに見て、アリアは大きくひとつ頷いた。
 「うん。ほら、以前に私のお見合いの話があったでしょ。そのときに私の恋人役をイヤな顔しないでやってく
 れたときにね、なんかいいなーって思っちゃったっていうかね。
 それと普段、私がちょっとした冗談を言ってもちゃんと返してくれるしね」
 「…………」
 時折繰り出されてくる重量感たっぷりな親友のジョーク。アリアにとってそれはあくまでも軽いものであるら
しい。
 「今ではお婿さんになってほしい人ランキングの堂々のトップなんだよ」
 「……そうか。ちなみにアリア。そのランキングでは津田以外の人間は誰がランクインしているんだ?」
 「いないよ」
 「は?」
 アリアがふるふると首を左右に振るう。
 「だから、津田くんだけ。シノちゃん、私はそんな気の多いふしだらな女なんかじゃないよ」
 「……アリア。津田しかいないのなら、それはランキングとはいわないんじゃないか?」
 シノの言葉にきょとんとしたアリアは、大きな瞳をパチクリとさせると手のひら同士をポンと合わせた。
 「ああ、そうだね」
 なんだかどっと疲れた気がしてシノは大きく肩を落とした。
 (そうか。アリアは津田のことが好きなのか。これは応援してやらねばならない……のだよな。しかし)
 胸の奥にチクチクとしたものが刺さってくるかのような感覚を受けた。
 これはいったいなんだというのだろう。
 「――ノちゃん。シノちゃんってば」
 「ん、ああ、すまない」
 アリアが腰を上げて肩を揺さぶってきたことで、黙考していたシノはこの場へと意識を戻した。
 「それと確認したいことがあるんだけど……シノちゃんも好きなんでしょ、津田くんのこと」
338後編12 ◆vLXBuC8goU :2011/01/08(土) 21:53:39 ID:dG11SHPG
 「……っ!?」
 さきほど胸に突き刺さっていたものが一気に氷解していくのを感じた。
 しかし、その対象人物へと恋心を語ってきた親友がいる手前、顔に出すわけにはいかない。
 「な、なにをバカなことを言っているんだ。津田はあくまでも右腕だ。それ以上でもそれ以下でも……ない」
 アリアから視線を外して顔を伏せたシノが紡いだその言葉は、実に苦しげなものだった。
 「シノちゃん、バレバレだよ。もちろん、今の態度で確信できたっていうのもあるけど。でも、ずっとシノち
 ゃんのことを見ている私にはわかっちゃってるんだから。
 津田くんと話してるときのシノちゃんって、本当に嬉しそうないい笑顔をしているんだもの」
 伏せていた顔を上げてアリアへと視線を戻す。アリアはいつもと同じたおやかな微笑みを浮かべていた。
 親友とはいえ恋敵である女を前にして、なぜ笑うことができるのだろう。
 「私ね、シノちゃんのことも好きなの。一生仲のいいお友達でいられたらなって思ってる。でも、さっきも話
 したように津田くんのことも好き。もし仮に彼とお付き合いすることになったら、シノちゃんとの関係も変わ
 ったものになるかもしれない」
 「…………」
 「逆の場合、シノちゃんが津田くんとそういう関係になったら、私は複雑な気分になると思う。幸せなふたり
 に嫉妬して八つ当たりしちゃうかもしれない」
 アイスと同じくして用意されていたミネラルウォーターへと口をつけたアリア。それを口にして喉の渇きを潤
していく。
 そうしたというのに、もう喉がカラカラになってしまった。自分が緊張しているのだということを、改めて気
づかされる。
 とんでもないことを提案しようとしているということは、よくわかっているつもりだ。
 件の夢を見る以前から――おそらくシノも自分と同じ人に思いを寄せていると気づいた折から、想像していた
ことでもあるそれ。
 (大丈夫。こうすれば私たち三人は幸せになれるもの)
 同じく緊張して硬い表情のシノを見据える。
 「私とシノちゃんと津田くんの三人で付き合えばいいんだよ。これなら私もシノちゃんも自分の気持ちにウソ
 をつかずに正直になれて、皆で変わらずに……ううん、もっと幸せになれるよ」
 

 家路への道を歩んでいくシノの姿があった。アリアより車で送ってあげると言われたのだが、それは断り闇に
染まりつつある夕刻の空の下を黙々と歩いていく。
 

 『私は初恋を成就させることができて、あっ、シノちゃんもだよね。とにかくふたりとも幸せになれます。私
 たちの友情にヒビが入るってこともありません』
 『し、しかし、津田は、津田の気持ちはどうするのだ?』
 『それも心配なし。津田くんは私のこともシノちゃんのことも好きだから。津田くんって私の胸をよく見てい
 るように、シノちゃんの足――特に太ももとお尻をよく視姦しているんだよ……って、あれ、シノちゃん気づ
 いてなかったの?』
 『あっ、ああ。知らなかった……』
 『津田くんは津田くんでタイプの違う女の子ふたりを彼女にすることができて、言うまでもなく幸せだよね。
 正にハーレムだよ。仮に恋人にしたいと思うまで好きじゃなかったとしても、私たちふたりで籠絡しちゃえば
 イチコロだよ、絶対』
339後編13 ◆vLXBuC8goU :2011/01/08(土) 21:54:28 ID:dG11SHPG
 「まさかあんなことを言い出すとは思わなかったな」
 思わず独り言を漏らしてしまったシノ。幸いにして辺りにはシノ以外に人の姿は見られなかった。
 ひとりの男とふたりの女が付き合う。他人様に知られれば、奇異に見えて後ろ指を指されてしまうのは間違い
のない関係だ。
 だが、それでもシノは嬉しかった。
 自分もまたアリアとはこれから先も生涯を通して良き友人関係でいたいと思っていた。
 アリアも同じ気持ちだと言ってくれた。
 深いところで繋がっていたということが確認できて、純粋に嬉しかったのだ。
 加えてアリアは、シノがタカトシへと抱いていた感情の正体を知るきっかけを与えてくれた。
 異常な関係を結ぼうとしているということは理解できている。
 だが、それでも信じることができる。自分たち三人にとって悪くない――いや、心地よい関係へと発展させる
ことができるだろうと。
 「…………」
 覚悟は決まった。自宅から程近い公園まで戻って来たシノは、歩みを止めて手に提げていた鞄より携帯電話を
取り出した。
 閉じていた端末を開いて履歴から親友の番号を探し出すと、ボタンを押していった。
 

 体育祭そして他校には見られないハロウィンパーティーさらには文化祭と、怒涛のイベントラッシュを乗り切
ってきたことで、どことなくだらけた雰囲気が醸し出されている休み時間の二年B組の教室にて。
 友人らとのんびり談笑していたタカトシが、自身の携帯電話が震えていることに気づいた。
 どうやら電話ではなくてメールらしい。
 ちきちきとボタンを操作して中身を確認する。
 「なんだ、どうしたんだろ」
 差出人は共に生徒会で働く仲間で、またタカトシにとっては直属の上司となる生徒会長の天草シノからだった。

 『放課後に話がある。生徒会室にて待っている』

 とだけ記されていた。
 伝えたい用件だけを明瞭簡潔に。実にシノらしい文面ではあるものの、呼び出されるようなことに特別心当たり
がないタカトシは困惑していた。
 「……っ!?」
 再び端末が震えだしたことで、タカトシは思わずびくりとしてしまった。

 『ちゃんと来ないとダメよ♪』

 今度の差出人はシノの親友で、同じく生徒会メンバーである書記のおねえさまからであった。
 これ一通だけではなんのことだかわからないが、とりあえずアリアが一枚噛んでいるということは間違いないよ
うだ。
 「……ふぅっ」
 生徒会活動が休みの日に突然の呼び出し。
 どことなく悪い予感がしつつも、ふたりの先輩へと短く了承の返信をすると机へと突っ伏していった。

340後編14 ◆vLXBuC8goU :2011/01/08(土) 21:55:08 ID:dG11SHPG
 そしてやってきた放課の時間。
 体育館やグラウンドから部活動に励んでいる体育会系クラブの部員たちが、発している威勢のいい掛け声が上が
っているのをぼんやりと聞きつつ。
 タカトシは目の前にいるふたりの少女――言うまでもなくシノ&アリアからの提案をを受けて、固まってしまっ
ていた。
 「…………」
 「あ、アリア。やっぱりもう少し時間を掛けていくべきだったんじゃないのか?」
 「ううん、こういうことは先手必勝だよ、シノちゃん。私たちがまごまごしているうちに別の誰かに津田くんを
 もっていかれるかもしれないんだよ」
 「むっ」
 「大丈夫。一度手を出させて関係を持てば、あとはずっと私たちのターンだから。私たち好みの男の子へと調教
 ……じゃなかった、カスタマイズしほうだいだよ」
 「……っ!? そうだな、私たちの明るい未来のためにもここが踏ん張りどころだな」
 さっと背を向けてヒソヒソと話しているシノとアリア。
 なんだか怖い単語が聞こえてきた気がしたが、聞き間違いであってほしい。
 というか、カスタマイズってほとんど意味が変わらないだろうと。
 「会長、オレ、オレ……会長のことがずっと好きだったんです!」
 シノの肩をつかんだアリアが、タカトシの声真似をしてシノへと告白していく。
 「そうか、ありがとう。だが、私はきみへのアリアの気持ちを知っている。だから、親友を裏切ることなどでき
 ないんだ。諦めてくれ……」
 「そんな、そんな……。それでもオレは会長のことが……っ」
 アリアがシノを抱き寄せていったところで――。
 「あのー、ふたりとも」
 シノとアリアによる寸劇から完全に置いてきぼりを食らっていたタカトシが、堪らず声を掛けていった。
 「とまあ、こんな具合に浮気プレイも可能だぞ」
 「もちろん、逆バージョンもありだよ。さあ、津田くん」
 くるりと振り返ってきたふたりの先輩が、妖艶な笑みを浮かべていた。
 ブレザーを脱いでリボンタイをもしゅるりと解き放ち、ブラウスもボタンを外して前を肌蹴てそれぞれ白い肌を
露出してきたシノとアリア。
 すっと素早く近づいて、それぞれタカトシの腕と自身の腕を絡めて組んでいく。
 もちろん、タカトシの逃走防止といった面もあるその行為。次いでタカトシの耳元で囁いていく。
 「お楽しみの時間だぞ、津田」
 「私とシノちゃんのカラダをたっぷりと味わってね」
 右腕にはシノの慎ましやかな胸の感触、左腕にはアリアのたわわに実っている胸の感触。
 焦り続ける自分とは対照的に、どこか冷静なところもあることを感じていたタカトシは思う。
 
 初体験から3Pだなんてそうはないんじゃないだろうか、と。
 そしてふたりの尻に敷かれるのは確実だな、と。



                                     (おしまい)
341 ◆vLXBuC8goU :2011/01/08(土) 21:55:58 ID:dG11SHPG
以上で投下完了となります。お付き合いいただいた方、お疲れ様でした。

前編から二か月余り空いてしまいまして、すみませんでした。

今年ものんびり活動していきますので、よろしくお願いします。

それではまた。
342名無しさん@ピンキー:2011/01/08(土) 22:18:26 ID:3TVRVkYa
>>341
シノとアリアがエロ可愛すぎる。力の限り乙&GJです!
リアルの負担にならない範囲で今後の投下も全裸待機でお待ちしてます
343名無しさん@ピンキー:2011/01/09(日) 01:19:22 ID:SLcUFfS3
>>341
アリアかわいいよアリア
344名無しさん@ピンキー:2011/01/09(日) 04:02:07 ID:fGNcEXTX
一人のけ者のスズ・・・。
順当にいけば一番タカトシとくっきそうなのに。
345名無しさん@ピンキー:2011/01/09(日) 17:54:15 ID:C3+sKX/0
オナペットになった書記と会計も見たいよ
346名無しさん@ピンキー:2011/01/11(火) 14:39:58 ID:tmNGzsP/
役員共の女の子ってオナニーするんですか!?
347名無しさん@ピンキー:2011/01/11(火) 15:09:35 ID:9QxX7zTv
しないわけないじゃん
みんなしてる
348名無しさん@ピンキー:2011/01/11(火) 17:33:59 ID:uklbIZ12
ムツミ「タカトシくん、オナニーって何?」
349名無しさん@ピンキー:2011/01/11(火) 22:22:04 ID:gE2WD71O
タカトシ「カエデ、手本を見せてやってくれないか」
350名無しさん@ピンキー:2011/01/11(火) 23:51:23 ID:Ms8WZ/2i
調教済みかよ
351名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 02:53:52 ID:o6SQNXHn
トッキーネタ書く人おらんねー
352名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 05:16:07 ID:9l5HyCM3
>>351
しばらく待っててくれ
353名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 13:16:06 ID:bv9RY+g8
>>352
期待してます、横からだが
354名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 15:37:21 ID:cmk1xPFD
トッキーもオナニーするんですか?
355名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 16:12:11 ID:Fujy5XId
コトミに色々もらったのを使っちゃうよ
356名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 17:06:11 ID:N/KLaWFm
ああいう気の強い女にアナルを舐めさせたい
357名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 22:43:42 ID:9l5HyCM3
アナル舐めさせたいとか引くわ
普通逆に舐めるだろ
358名無しさん@ピンキー:2011/01/13(木) 00:12:44 ID:52Ouk1IP
ホモか・・・
359名無しさん@ピンキー:2011/01/13(木) 00:52:12 ID:dMJIQDF9
畑「>>357はホモ…と」
360名無しさん@ピンキー:2011/01/13(木) 02:21:55 ID:UUXzbrzG
トッキーはいつもコトミにしてもらうからオナニーしない説
361名無しさん@ピンキー:2011/01/13(木) 02:29:55 ID:OjTon8Wr
>>360
あの二人はそういう関係だと思う
362名無しさん@ピンキー:2011/01/14(金) 00:03:54 ID:XG8/N+Gy
アニメは女子中学生に人気だったらしい。
ってことは、最近の中学生はみんなコトミみたいな子なんだな。
363名無しさん@ピンキー:2011/01/14(金) 01:10:24 ID:I4En6xOW
西野カナ的人気か
364名無しさん@ピンキー:2011/01/14(金) 01:28:00 ID:iVvhNO9j
イキたくてイキたくて(バイブが)震える〜♪
365名無しさん@ピンキー:2011/01/14(金) 01:46:16 ID:2HVD2TwU
>>361
( ;∀;)イイハナシダナー
366名無しさん@ピンキー:2011/01/14(金) 01:52:40 ID:3yF1fmaH
コトミみたいな中学生がいっぱいいたら保健の授業がカオスになるな
367名無しさん@ピンキー:2011/01/15(土) 10:26:40 ID:wFLiLXup
遅ればせながら>>341

そうかシノとアリアが竿姉妹化かー・・・・・
二人ともタカトシに生中出しを強要してその子を孕むわけですね、分かりm(ry
368名無しさん@ピンキー:2011/01/16(日) 16:07:12 ID:+YiqeU6q
竿“姉妹”というなら、どちらが姉か妹かはっきりしないと
369名無しさん@ピンキー:2011/01/17(月) 13:11:03 ID:tbTESdjk
>>368
先にタカトシと合体した方が姉って扱いになるんだけど
シノとアリアの事だからどっちが先に合体するか譲り合う可能性が
370名無しさん@ピンキー:2011/01/17(月) 14:50:43 ID:G78Uwrth
見た感じだけならアリアがお姉さんって感じだけどな

ホワン♪たゆん♪って雰囲気で
371名無しさん@ピンキー:2011/01/17(月) 14:54:24 ID:YVsvpYd3
まさかの抜け駆けでスズが長女に
372名無しさん@ピンキー:2011/01/17(月) 15:17:17 ID:v/omyBh3
役員共でスールになるんですね
373名無しさん@ピンキー:2011/01/18(火) 16:53:03 ID:WC8Aw4S0
コトミ「わーい!私妹が欲しかったんですよー!」
374名無しさん@ピンキー:2011/01/18(火) 19:24:47 ID:J+vPHdLe
>>373
役員共「なん……だと…?」
375名無しさん@ピンキー:2011/01/18(火) 19:28:13 ID:I05MbwPS
ここはタカトシが女装するということで解決
376名無しさん@ピンキー:2011/01/18(火) 21:31:04 ID:69a/Mhup
>>373
お前が竿長女だったのか!!
377名無しさん@ピンキー:2011/01/19(水) 03:20:20 ID:k+EXVZeK
ウオミーでウオニー
378名無しさん@ピンキー:2011/01/19(水) 16:53:17 ID:8eLxD8i0
シノが中学の時に彼氏がいて、初体験を隠し撮りされてたとかいう誰得展開がないのがいいよな
379名無しさん@ピンキー:2011/01/20(木) 01:52:47 ID:vBxZWXhK
ウオミーはショタ属性ということは
今週の扉絵のウオミーは目線と表情から察するに
ウオミー的にストライクなショタっ子を発見して
逆レイプしようとしてる瞬間なのではないでしょうか

タモリさん、これってトリビアになりませんか?
380名無しさん@ピンキー:2011/01/20(木) 16:06:15 ID:Wau2jnbU
糞笑いすぎて射精した
381名無しさん@ピンキー:2011/01/21(金) 23:22:20 ID:pmpJSrtD
>>379
スズに男装させたら食い付くんじゃね?
まさに魚の如く
382名無しさん@ピンキー:2011/01/22(土) 21:40:17 ID:Lk+q2RAA
最近さみしいのう
383名無しさん@ピンキー:2011/01/22(土) 22:51:58 ID:fimGesOG
テスト
384名無しさん@ピンキー:2011/01/22(土) 22:53:44 ID:fimGesOG
ようやく規制解除された…8ヶ月は長かったぜorz
385名無しさん@ピンキー:2011/01/23(日) 00:14:50 ID:ACycZgFO
おかえり
386名無しさん@ピンキー:2011/01/23(日) 00:25:12 ID:2hJJsVCW
>>379
 ある朝、津田タカトシがエロい夢からふと覚めてみると、ベッドの中で自分の姿が一人の、
とてつもなく幼げな男の子に変わってしまっているのに気がついた。
 っていうか若返っていた。
 柔らかい筋肉の背中を下にして、仰向けになっていて、ちょっとばかり頭をもたげると、
縦にふくらんだ、褐色の、弓形の固い陰部が見えた。
 このような異常事態でも朝立ちしている自分に情けなさに津田タカトシは多少鬱になったが、
おかげで賢者のような冷静さを取り戻すことに成功した。
 事態の解決のために、津田は先ず妹のコトミに相談を持ちかけた。
 彼女も最初は混乱を見せたが、某会長や某書記のように並々ならぬ環境適応力を持った人物ではある。
どこかから津田の幼少時の服を引っ張り出してきて着せてくれた。
 「ヤ、ヤバいよタカ兄……」
 「ああ、本当にヤバいぜ。いったいどうやったら元の姿に戻れ──
 「昔はわからなかったけど、タカ兄、かわいすぎるよ……」
 「……はい?」
 「そのかわいさでポロシャツと半ズボンだなんて犯罪的だよ……。そっちの趣味の人に見つかったら
即座にお持ち帰りされて逆レイプされちゃうね。……ここは私に任せて。責任もって面倒見るから!
安心して、立派に育てるからね。そうだ!一緒にお風呂に入ろう!ほらもうここで服脱いじゃおうね。
……うわぁ、タカ兄ってこの歳の頃からもう既に立派だったんだねフヒヒ」
 津田タカトシは服を奪い取り、疾風の如く逃げ出した。
387名無しさん@ピンキー:2011/01/23(日) 00:27:32 ID:2hJJsVCW
 外は雨天。街の真ん中までたどり着くと、逃走のために限界まで減らした体力と雨を避けるため
屋根つきのバス停に身を寄せた。
 「まぁ……!」
 すると、そこには一人の女子高生が同じくバス停の下で雨宿りをしていた。
 (この人は、魚見さん!?助けてもらおうか、いや、そもそも俺だとわからないはず)
 津田が、息切れのため、体も動かせず、声も出せず、ハァハァと深呼吸をしていると、彼女の
様子がおかしいことに気づいた。右手を頬に当てて、その顔は紅潮している。さらに下腹部付近に
ある左手はモジモジと腰のうねりに合わせて怪しく動いている。
 津田の脳裏に先程兄の貞操を奪おうとした変態妹の言葉がよぎった。
 (そっちの趣味の人に見つかったら――)
 頭の中に警報が鳴り響いたが、残念ながら今の津田にさらなる逃走用のエネルギーは無かった。
 「…………いただきます」
 女子高生の瞳が怪しく光った。
 女子高生とショタっ子の行方は誰も知らない。


388名無しさん@ピンキー:2011/01/23(日) 15:31:33 ID:j5qHBhrM
ショタトシ、シリーズ化希望
389名無しさん@ピンキー:2011/01/27(木) 06:34:55 ID:FZaje3LP
age
390名無しさん@ピンキー:2011/01/30(日) 12:53:47 ID:JM4GjI/H
姉ショタは浪漫
391名無しさん@ピンキー:2011/01/30(日) 15:06:18 ID:tfZuwMsZ
勝手に続き(笑)
ショタトシ:コトミ変

>>386
しかし回りこまれてしまった!

で。
「にゅふふふふ〜♪」
「…………」
程よく温まった湯船に、女子高生のコトミと元男子高校生のタカトシが一緒に浸かっていた。
「お兄ちゃん可愛い〜♪」すりすり
「バッ!あまり動くな!」
「何で?」
「何でってそりゃ…」
「むふふ〜♪妹のおっぱいに欲情しちゃった?」
「誰が!」
「タカ兄は素直じゃないなぁ…よし、カラダに聞いてみよう」
「ちょ、おまっ!」
「あ、コッチもちっちゃくなってる」
「触るな!後ちっちゃい言うな!」
「解ってるよタカ兄。タカ兄のは立派だもんね〜?…むにむに」
「だから触るなって言って「あ、カタくなってきた」おいいいいいいっ!?」
触られ続けたせいか、中身が高校生のままだからなのか、だんだん股間に血液が集中してくる。
「バッ…こら…やめ…」
「ハァハァ…ど、どうしようタカ兄。あたし変な気分になってきた…」
「だから触るのを止めろって言ってんだ…んっ!」
「ひゃぅん!タカ兄動かないで、髪が乳首に…」
「だから手を離せって…っ!」
「ぁ…はっ…!」
無意識の動きが、お互いの快感を呼び合っている。
「コトミ…だめだ、もう…!」
「タカ兄、あたし、あたし…!」

ちゃぷ

と湯が跳ねた。同時に

「「っーーーーー!!」」

絶頂へと押し上げられる二人。

「「はぁ…はぁ…」」
荒い息のまま、お互いを見つめる。
「コトミ…」
「タカ兄…」
もう、止められなかった。



続きはwebで!(嘘
392名無しさん@ピンキー:2011/01/30(日) 21:44:42 ID:mkd5xffa
GJ!

最近匿名の職人が多いですね
393名無しさん@ピンキー:2011/02/01(火) 00:33:10 ID:ireU6eov
アリアさんの演劇練習の為に犬にされたタカトシ
394名無しさん@ピンキー:2011/02/01(火) 02:29:55 ID:p43pgzVD
一時間後

「何で七条先輩が首輪つけてるんですか? あと、その尻尾は一体どこに繋がってるんですか!
 そして何でそんな熱く潤んだで俺を見つめてくるんですか!?」
395名無しさん@ピンキー:2011/02/01(火) 07:35:19 ID:ireU6eov
アリア「くぅ〜ん…」
396名無しさん@ピンキー:2011/02/01(火) 14:51:38 ID:bZnL1DXm
スズ「にゃ……にゃ〜ん///」
397名無しさん@ピンキー:2011/02/02(水) 01:11:52 ID:tSwyoJjp
シノ「ブヒー!ブヒー!」

タカトシ「どうしてこうなった・・・」
398名無しさん@ピンキー:2011/02/02(水) 14:04:13 ID:qwWl58Bk
魚見(魚の鳴き声がわかりません……)
399名無しさん@ピンキー:2011/02/02(水) 19:23:08 ID:2SOweKZb
ムツミ「わふわふ!」
轟「……………」(ヴィ〜ン)
400名無しさん@ピンキー:2011/02/03(木) 00:36:23 ID:Dafs716n
コトミ「ベンベンベン」
トッキー「それは三味線だろ」
401名無しさん@ピンキー:2011/02/03(木) 01:51:09 ID:1da4dDFV
>>398
魚見「ギョギョー!この男マグロです!」
402名無しさん@ピンキー:2011/02/03(木) 08:13:51 ID:GYcJ8an7
ワロタ
403名無しさん@ピンキー:2011/02/04(金) 20:02:24 ID:5IK1lBkM
トキニーしよう
404名無しさん@ピンキー:2011/02/04(金) 21:16:52 ID:GYqIMgIw
よし しよう
405名無しさん@ピンキー:2011/02/07(月) 04:26:35 ID:ThbBrdAJ
よし ティッシュある?
406名無しさん@ピンキー:2011/02/08(火) 01:16:35 ID:Eg6Kd6Gx
時「うっうっコトミ・・・!」ドピュ
時「ふぅ・・」
407名無しさん@ピンキー:2011/02/08(火) 01:19:14 ID:yl6sqykL
トッキーは名前で呼ぶならコトミの事なんて呼ぶんだろう
「お前」って呼んでるところしか見たことないし
408名無しさん@ピンキー:2011/02/08(火) 12:49:22 ID:ZlIKdxyQ
「お前」=「嫁」ってことだよ言わせんな恥ずかしい
409名無しさん@ピンキー:2011/02/09(水) 13:15:14 ID:pTfU4aEL
コトミちゃんって呼んでるよ
410名無しさん@ピンキー:2011/02/10(木) 06:35:27 ID:WaFjbICh
っつか、ムツミはコトミを何と呼ぶのか?
411名無しさん@ピンキー:2011/02/11(金) 01:49:21 ID:qD/+VxO7
メス豚
412名無しさん@ピンキー:2011/02/11(金) 21:59:40 ID:uonPNNAH
ムツミはそんなこと言わない
413名無しさん@ピンキー:2011/02/11(金) 22:24:37 ID:Mg4PYdDu
普通に『(義妹と書いて)コトミちゃん』じゃね?
414名無しさん@ピンキー:2011/02/11(金) 23:19:50 ID:0shZCajT
コトミは「もう一人の私」って呼ぶの?
415名無しさん@ピンキー:2011/02/12(土) 00:07:24 ID:Vg5OW63t
久しぶりにラブラブなタカシノが読みたい
416名無しさん@ピンキー:2011/02/12(土) 00:10:14 ID:6xhmNuoS
>>414
ムツミはシノとの方が似てる気がするぜ。
時々表紙絵 でコトミかムツミか悩むときあるけど。
417名無しさん@ピンキー:2011/02/14(月) 23:26:15 ID:VJWQuKug
そろそろ投下ほしいな
418名無しさん@ピンキー:2011/02/15(火) 02:22:54 ID:/peHcI9M
419尺つなぎ:2011/02/17(木) 23:46:45 ID:MsgamLFp
――Yes we can, can, can, can
Can, can, can, can〜♪

天草&津田「どうもー生徒会役員共でーす」
津田「役員共って言っても今日は2人だけですねえ」
天草「むむっそうだな」
津田「それでも仲良くやっていきたいと思ってるんですけど。会長、なんで赤くなってるんですか?」
天草「こっこれは……ただの発情期だ!」
津田「その発言を聞いて、オレは背筋が凍えましたけど」
天草「なにっ!」
津田「それはおいといて、そんなこんなで始めていきたいんですけども。実はオレたち高校で生徒会やってまして……」
天草「津田、私は寒いことを言ったのか?」
津田「至っていつも通りですよ。ただテレビ的にはアウトなだけです」
天草「そ…そうか」
津田「……それで、この生徒会で会長を務めているのが、こちらの天草先輩なんです」
天草「よろしく、私が生徒会長の天草シノだ」
津田「決まりましたね」
天草「威厳あったか?」
津田「登場一言思い出して下さいよ。それでオレが副会長をやってるんです」
天草「右腕っていうとやらしい響きがするな」
津田「まだそこまで言ってませんよ。何勝手に想像してるんですか?」
天草「なんだと!なんでもかんでも性ネタに結びつけるほど、思春期じゃないぞ」
津田「さっき発情期って言ってたじゃないですか」
天草「むむっ、いい加減にしろっ!!」
天草&津田「ありがとうございましたー」
420名無しさん@ピンキー:2011/02/20(日) 01:04:36.64 ID:zGoNh98z
おちんこを妹は思春期で脳内再生しようと試みるも腐女子がいないぜ
421名無しさん@ピンキー:2011/02/20(日) 21:25:37.68 ID:9Wra7FSX
>419
次の投下までのつなぎありがとう。
422名無しさん@ピンキー:2011/02/24(木) 02:09:01 ID:9uppmx4X
アリアのアナルほじほじ
423名無しさん@ピンキー:2011/02/24(木) 21:55:14 ID:gLEcBTPg
投下ねー
424ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2011/02/26(土) 22:48:22.68 ID:KpRDXudv
異動が決まりまして、落ち着いたら(四月半ば以降)にまた投下再開したいと思います。
425名無しさん@ピンキー:2011/02/27(日) 01:18:48.61 ID:e/9wvGYl
やだ…放置プレイされちゃう
426名無しさん@ピンキー:2011/03/01(火) 21:09:40.61 ID:CcrbPCPt
ただ自分は待つのみである。
427名無しさん@ピンキー:2011/03/01(火) 22:27:16.30 ID:v42Eiyid
萩村!萩村!萩村!萩村ぁぁあああわぁああああああああああああああああああああああん!!!
あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!萩村萩村萩村ぁああぁわぁああああ!!!
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん
んはぁっ!萩村スズの金色ブロンドのツインテ0ルをクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!
間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!
3巻のスズたんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!
アニメ2期放送されて良かったね萩村!あぁあああああ!かわいい!スズたん!かわいい!あっああぁああ!
5巻も発売されて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!
ぐあああああああああああ!!!アニメ2期なんて現実じゃない!!!!あ…漫画も声優もよく考えたら…
 ス ズ ち ゃ ん は 現実 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!!
そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!桜才ぃいいああ!!
この!ちきしょー!やめてやる!!副会長なんかやめ…て…え!?見…てる?3巻表紙のスズちゃんが俺を見てる?
アニメ3巻の萩村が俺を見てるぞ!萩村が俺を見てるぞ!同人誌のスズたんが俺を見てるぞ!!
アニメのスズちゃんが俺に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ!
いやっほぉおおおおおおお!!!俺には萩村がいる!!やったよ会長!!ひとりでできるもん!!!
あ、コミックのスズちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!!
あっあんああっああんあアリア様ぁあ!!コ、コトミー!!三葉ぁああああああ!!!柳本ぉぉおおお!!
ううっうぅうう!!俺の精子よ萩村へ届け!!生徒会室で昼寝する萩村へ届け!!


ドピュ


タカにぃ……?


コ…コトミ、これはちが


(以下略)
428名無しさん@ピンキー:2011/03/02(水) 14:50:18.98 ID:tmvbVZ3h
>>427
くそwwwwこんなオチでwwww



しかし、今週のうおみーの発言は、色々と創造をかきたてられるな……
429名無しさん@ピンキー:2011/03/03(木) 00:50:38.21 ID:vplHBFVn
ムツミ「タカトシ君タカトシ君タカトシ君タカトシ君タカトシ君タカトシ君タカトシ君タカトシ君
タカトシ君タカトシ君タカトシ君タカトシ君タカトシ君タカトシ君タカトシ君タカトシ君タカトシ君
タカトシ君タカトシ君タカトシ君タカトシ君タカトシ君タカトシ君タカトシ君タカトシ君タカトシ君
タカトシ君タカトシ君タカトシ君タカトシ君タカトシ君タカトシ君タカトシ君タカトシクンタカトシクン
タカトシクンタカトシクンタカトシクンタカトシクンタカトシクンタカトシクンタカトシクンタカトシクン
タカトシクンタカトシクンタカトシクンタカトシクンタカトシクンタカトシクンタカトシクンタカトシクン
タカトシクンタカトシクンタカトシクンタカトシクンタカトシクンタカトシクンタカトシクンタカトシクン
タカトシクンタカトシクンタカトシクンタカトシクンタカトシクンタカトシクンタカトシクンタカトシクン
タカトシクンタカトシクンタカトシクンタカトシクンタカトシクンタカトシクン

 ・
  ・
   このチョコ食べてもらえば……タカトシ君の一部になれるんだね…
体の中で溶け合うワタシとタカトシ君
はぁ、タカトシクン…」


ウオミーの言ったことを妄想するとこんななるもんな…
正直堪らん。
430名無しさん@ピンキー:2011/03/03(木) 01:59:52.57 ID:QyusMQRD
ウオミーのジト目かわいすぎる
431名無しさん@ピンキー:2011/03/05(土) 04:24:09.42 ID:yhGmXXmx
デートとか言っちゃうウオミーかわいい
432名無しさん@ピンキー:2011/03/05(土) 22:45:53.72 ID:d1wiyO9i
ウオミーカワイー
433名無しさん@ピンキー:2011/03/06(日) 00:01:21.54 ID:AXfZJX30
シノ「色んな国の国旗があるな」

コトミ「ベネズエラ、ノルウェー、グアテマラ」

アリア「さすがコトミちゃん、こっちの国は?」青ナプキン

コトミ「なにが国だ!!クンニしろオラアアアアァア」
434名無しさん@ピンキー:2011/03/06(日) 01:07:40.51 ID:PR23zkxW
マサアヤナを久しぶりに書いてたけどしばらく書いてなかったからか酷いありさまだった
やっぱり書き続けないと駄目だな
435名無しさん@ピンキー:2011/03/06(日) 01:09:15.09 ID:Ks5W0cf9
>>434
わかるわ。
シノ×タカトシが酷い出来に…
436名無しさん@ピンキー:2011/03/06(日) 03:27:03.73 ID:v6intEQJ
>>434-435
とりあえず投下してみようか?

さぁ、おじさん達に恥ずかしいモノ全部曝け出してごらん?
437名無しさん@ピンキー:2011/03/06(日) 04:13:51.34 ID:soyOTDd9
まあ落ち着け、Hのときだってヤろうとしてるのにむこうからヤってって言われると萎えるだろ?
438名無しさん@ピンキー:2011/03/07(月) 13:58:28.28 ID:bzWxmkno
>>437
すまない、むしろどんなプレイをしようかと燃えてしまうんだ……

439名無しさん@ピンキー:2011/03/08(火) 03:40:40.99 ID:uwPOiGuL
落ち着けよ
おまえら童貞だろ
440名無しさん@ピンキー:2011/03/08(火) 04:12:45.43 ID:2jgBQqqQ
>>439
え?
441ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2011/03/09(水) 22:23:20.37 ID:1OpPdI0t
 次は四月半ば以降、とか言っときながら、今週号のスズの可愛さにやられてしまったので、アルコールの勢いも借りて投下。
小話ですのでエロ無し。
タイトルは『しんそこ』でお願いします。
442ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2011/03/09(水) 22:29:21.55 ID:1OpPdI0t
 【心底】―しんそこ、しんてい―
  @<名>
   1・心の奥。
     心根。
     本当の気持ち。




 萩村スズは今、キッチンにいた。
何故かと言うと、夕食の準備をする為に。
「……塩は、これくらいでいいかな」
 スズは、料理をすることが別に苦手ではない。
人間として自立する為には習得すべき必須技能と思い、母から色々と教わってきた。
いずれ海外に留学したいという気持ちがあり、現実にそうなった場合、
自炊が出来るか出来ないかは、大きく現地での生活も変わってくる。
観光に行くならまだしも、勉学が主目的であるなら、
体調の自己管理は完璧に行ってしかるべきであり、
留学が『向こうの水が合わないから日本に帰ってきました』などという結末を迎えたのでは、
それこそ情けないの極地である、とスズ自身は考えていた。
「人参は……これくらいの大きさでいいかな」
 で、そんなスズの背後で、彼女の母が笑顔で立っている。
基本、スズは全く家事を手伝わない娘ではない。
先の理由から、自分で出来ることは自分でするといったスタンスで、
料理にしろ洗濯にしろ掃除にしろ、やれる範囲でやってきたし、
母の手伝いをすることも、それに伴って多かった。
「もうちょっと小さい方が、味が染みると思うわ」
「もうちょっと?」
「そう、ほんのもうちょっと」
 スズの母は、家事がそれなりに出来る。
完璧というわけではないが、妻として、そして母として、その技能はまあまあなものを持っている。
一つ一つの技術はともかくとしても、
洗濯が苦手などこぞの良家のメイドよりかは、トータルバランスがとれていると言えようか。
「しかし珍しいわね、スズが食事を作ってくれるなんて」
「そう? 今まででも何度もあったと思うけど」
「そうね、何度もあったわね」
「……やっぱり『珍しい』の意味がよくわからないんだけど」
「うふふ」
「?」
 スズの母は、一見のほほんとした印象を他者に与える。
事実、性格はマイペースであり、几帳面気味なスズはそれに振り回されることが多々ある。
「学校で何かあったのかなー、と思って」
「へ!?」
 が、それ故か、やたらと鋭い一面も持っている。
そして、またそれがスズを振り回すことに繋がったりする。
443ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2011/03/09(水) 22:32:28.41 ID:1OpPdI0t
「べ、別に何もないんだけれど」
「ふーん」
「な、何よ……」
「津田君、かしら?」
「ふえっ!?」
 母の言葉に、思わずスズはおたまを床に落としそうになった。
その動揺ぶりが、母に確信を与えてしまうということことを、当然彼女はわかっていない。
「あら、大当たりー♪」
「なななな、なんでアイツの名前が急に出てくるのよ!」
 母と娘の人生経験の差、と言いきってしまうのは簡単だが、案外スズは、この手の揺さぶりに弱いところがある。
覚られまいと頑張れば頑張る程にボロが出るのが人間というものだが、
結構、スズはそれが表情等に出やすいタチであるのだ。
「だって、帰ってきていきなりだったじゃない? 今日の夕食は私が作る、って言ったの」
 スズの母は、まるで魔法少女のタクトのように、右手の人差指を楽しげに宙に泳がせてみせた。
何となく、教師が生徒に数式の手解きをするかの如くの態度である。
「スズがこんなふうに急に行動を起こす時って、必ず分かりやすい原因があるのよねえ」
「わ、分かりやすい原因……?」
「そう」
 パン、とスズの母は、両手を打ち合わせた。
先程までの笑顔が微笑みの範疇なら、今の笑顔は、満面のそれである。
「ねえ、スズが牛乳を毎日のように飲み始めたのって、いつの頃だったか覚えてる?」
「……」
「私は覚えてるわよ、小学校に入学して、最初の身体測定の日だったわ」
 子供の立場からすれば、何でそんなくだらないことを延々と覚えてるんだ、とツッコミたくなるが、これが母というものである。
本当に、子供からすればどうでもいいことを、『母』はやたら詳しく覚えているものなのだ。
そして、何かにつれて引き合いに出したがる。
これは父は決してやらないことである。
『母』という『人種』の、特性であるかもしれない。
「色んな外国語の勉強をいきなりしはじめた日は?」
「……」
「中学の英語の最初のテストで満点を取った時よね。留学したい、って言いだしたのも確かそれから」
 息子にとって、父はいつの日か、必ず追い越すべき対象であるという。
だが、母は、息子や娘にとって、決して追い抜くことが出来ない大いなる壁であるのかもしれない。
『その身体の中から生まれたのだ』という覆しようのない事実が、
生物的にも、そして精神的にも、母の子に対する優位を決定的なものにしているのだろうか。
「オーダーメイドの服がいい、と言いだしたのはいつ?」
「……」
「お風呂に一人で入る、って言いだしたのはいつ?」
「……」
「買い物に一人で行ける、って言いだしたのは? ……あら、お鍋吹いてるわよ?」
「……え? あ、きゃあ!」
 おたまを放り投げ、慌てて火を落とすスズ。
そして半瞬の後、おたまを投げ出したことに気付き、床を探る。
その挙動一つひとつが、母にとって、実に楽しく、そしてわかりやすい。
444ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2011/03/09(水) 22:38:17.01 ID:1OpPdI0t
「そうねー、私のピンク色のヒダヒダの脳が推理するに」
「やけに卑猥な脳ね……」
「津田君が何らかの理由でお弁当を持って来てなくて」
「あ」
「他の女の子が、じゃあ私が作ってあげようかって言って」
「い」
「で、彼にもっと近づきたくて、そして大人っぽいところをアピールしたくて」
「う」
「思わず彼に好きな食べ物が何か聞いちゃって」
「え」
「微妙にかわされちゃって、ちょっと悔しくなっちゃって―――ってところかしら? 今日の夕食作りの理由」
「おおおおおおおおおお!?」
 スズは愕然、という様子で立ち尽くした。
ここまで完璧に当てられて、それで平然を装っていることの出来る彼女ではない。
「うふふ、今日はまた新しく、私の記憶に刻まれるべき記念日になりそうね?」
「ちちち、違うわ! べべべ、別に津田なんて関係ない! わわ、私が作りたいから作るだけで、そんなりりり理由なんて!」
「あらあら、そんなにおたまを振り回して力説しなくても、私にはよくわかってるわよ?」
「わかってなーい! 全然わかってない!」
 今更スズがどう足掻こうと、最早手遅れ。
ここまで態度に表わしてしまっては、もうそれら全てが、母にとっての『調味料』になるだけである。
「でもねえ、スズ」
「ななな、何よ!?」
「多分、ライバルは多いわよ?」
「ななななな、なにぬね」
「単に好きな物を作ってあげるだけじゃあ駄目だと思うわ、さらにそこにプラス一枚、いいえ二枚も三枚も上乗せされるものがないと」
「のののののの」
「何だか津田君、すっごく鈍感そうじゃない? オンナゴコロに。嫌でも気づくようにしてあげないと」
「ののののノー、NO! 津田は、津田は関係ないってば!」
「うふふふ、ほら、お料理の続きをしないと、お父さん帰ってきちゃう」
 母にしてみれば、推理も何も、娘の心底はハナから見えていたのだ。
今日のことではない、それよりもずっと前から。
娘が初めて、津田タカトシという少年を、家に連れてきた時から。
「おたまはいいけど、包丁は振り回さないでね?」
「わわわ、わかってるわよ!」
 その意味では、今日が母の記憶に刻まれる記念日ではない。
津田タカトシと娘が出会った、その日が真の記念日になるのであろう。
いずれ、娘と津田タカトシが結ばれた時に、もしくは恋破れ、また別の良い男性と結ばれた時に、『引き合い』に出すべき―――。
445ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2011/03/09(水) 22:41:23.41 ID:1OpPdI0t
「料理は欲情……じゃない、愛情よ。それが一番の奥にあるの。大丈夫、いつか機会が来るから」
「来ない! 来るわけない! 来ちゃだめえ! つつつ、津田は関係ない! 絶対に、ぜーったいに!」
「はいはい。ほら、そこはお砂糖じゃないわよ」
「わかってる! わかってるう!」
「私はスズを応援するわよ、心から、ね」
「わかってる、わかってるう!」
「あら、わかってくれて何よりね」
「!? わ、わ、わかってない! 私はわかってないー!」
「指、切っちゃ駄目よ?」
「わかってるっ!」
「アナタの為にお弁当作ったけど慣れないから指を包丁で切っちゃったてへっ、何てのは彼には通じないとおもうし」
「わかってなーい!」
「津田君なら、多分本気で心配しちゃうんじゃないかしら」
「わかってるーっ!」
「ふふふ」
 娘の慌てぶりを、母は笑った。
心の底から、嬉しそうに。



 【心底/真底】―しんそこ、しんてい―
  @<名>
   2:物事の最も奥。
     一番深いところ。
  A<副>
    心から。
    本当に。




 F  I  N     
446ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2011/03/09(水) 22:43:50.35 ID:1OpPdI0t
以上。
エロ無くてすいません。
447名無しさん@ピンキー:2011/03/10(木) 01:20:45.94 ID:6vtZUZ8w
久しぶりに乙です
448名無しさん@ピンキー:2011/03/10(木) 01:25:58.60 ID:tRAVUBHF
久し振りの慈雨、ピンキリ氏乙&GJです!
今週号のスズは確かに素晴らしかったが発売日に即ネタにしてこのクオリティ、
流石の一言です
449名無しさん@ピンキー:2011/03/10(木) 04:40:48.45 ID:E1jdIA2t
スズかわいい
スズママもかわいいよスズママ

そして頑張ってタカトシを落とせるといいね
GJ!!
450名無しさん@ピンキー:2011/03/10(木) 22:11:16.99 ID:EctMrbv3
ピンキリ氏、久しぶりですGJ!
451名無しさん@ピンキー:2011/03/12(土) 00:58:34.93 ID:ydTnCWk5
みな無事である事を祈る
452名無しさん@ピンキー:2011/03/12(土) 02:26:44.10 ID:9Cdh/lIC
ピンキリ氏さすが!
GJです

氏のを見てたらネタ思いついた
453名無しさん@ピンキー:2011/03/14(月) 04:53:59.37 ID:6m/a7AJo
作者とか関係なしにここの住人皆の無事を祈る……
454名無しさん@ピンキー:2011/03/14(月) 21:41:22.35 ID:HDqlspQ2
無事でよかった
455名無しさん@ピンキー:2011/03/15(火) 05:56:29.35 ID:WXEDOGOp
みんな大丈夫か?
456ペピトーン:2011/03/17(木) 16:06:10.31 ID:KjAPwhZo
生きてます。津波から必死に逃げてきました。
457名無しさん@ピンキー:2011/03/17(木) 18:53:45.96 ID:gM/nRuLA
おお、御無事で何よりです>ペピトーン氏
458名無しさん@ピンキー:2011/03/17(木) 21:12:43.57 ID:906gHhII
ペピトーン氏、大変だったと思いますが、ご無事なようで安堵しました
氏家先生の無事も確認されたようだし、
他の職人さんや住人も無事でありますように
459名無しさん@ピンキー:2011/03/19(土) 13:21:45.47 ID:IE0nUSIp
ペピトーン氏無事でなにより
あと、西日本の職人・住人はとりあえず無事ということか
460名無しさん@ピンキー:2011/03/22(火) 10:12:33.41 ID:Udrp7Hxd
スズが津田に滅茶苦茶に凌辱されてしまう妄想でオナヌーした。
461名無しさん@ピンキー:2011/03/23(水) 19:44:10.81 ID:fcqdTqq/
>>460
本来ならそういうSSが今までにいくつも投下されてるはずなんだが、
妄想パワーがそういう凌辱系に向かないこのスレは、ある意味恐ろしいまでに変態紳士の巣窟
462名無しさん@ピンキー:2011/03/23(水) 22:30:55.00 ID:6XJXoMqv
愛のある陵辱なら・・・
463名無しさん@ピンキー:2011/03/24(木) 03:15:07.47 ID:2Iqdby1m
スズには
生徒会室で居眠りをしてる津田にこっそりキスをしてみるのが関の山
464名無しさん@ピンキー:2011/03/25(金) 19:08:00.41 ID:5OHL5bxD
>>463
そこは逆じゃね?

眠ってるスズについキスをしてしまう津田

丁度気がつくが夢だと思い込んで積極的に津田を求めてしまうスズ

スズが素直な気持ちを告白

抱き合ってアタフタしてる間にスズ再睡眠

とりあえず何もなかったことにして悶々としてる津田

ってのがふと浮かんだんだけど、生憎文章には起こせないんで箇条書きが関の山だった俺涙目orz
465名無しさん@ピンキー:2011/03/28(月) 23:58:19.21 ID:DgLGQRzm
そこまで書けるなら文章にできるはずだ
466名無しさん@ピンキー:2011/03/29(火) 18:01:35.68 ID:zWFqblJE
災害が収まったら、ここの住人職人と酒を酌み交わしてえなあ
467名無しさん@ピンキー:2011/03/29(火) 23:57:27.93 ID:vndCVav/
>>466
死亡フラグ
468名無しさん@ピンキー:2011/03/31(木) 13:37:44.90 ID:FEC2rrIE
次週休載なのはやっぱり震災の関係かな
469名無しさん@ピンキー:2011/04/06(水) 03:07:35.41 ID:g1EVeaN/
そうだろう
470名無しさん@ピンキー:2011/04/07(木) 22:56:17.93 ID:UKNHJaup
濱中アイ懐かしいな
471名無しさん@ピンキー:2011/04/09(土) 12:48:58.27 ID:EuuHBX2W
初期カナミこそ至高。
ムツミも捨て難いが…
472名無しさん@ピンキー:2011/04/11(月) 00:18:49.38 ID:HQmEfqvt
そろそろ投下ないかな
473名無しさん@ピンキー:2011/04/12(火) 23:44:01.98 ID:XhAYLFQW
津田とオリキャラ女子クラスメイトとの絡みとか、そういうのはあんまり良くないかな。
対象がオリキャラだとイメージ浮かばないかと思うんだけど、ちょっと構想があったり。
474名無しさん@ピンキー:2011/04/14(木) 00:53:05.06 ID:gnkAz1le
今週の女子同士の戯れ的ネタ良いよなー。
このあと時間あったら、即興で挑戦してみるわ。
475名無しさん@ピンキー:2011/04/14(木) 00:57:39.81 ID:7oePXfv7
ぜひ
476Y-275 ◆LYfQOwf8Qc :2011/04/14(木) 03:41:12.50 ID:gnkAz1le
というわけで投下します。
今週号の魅力度100よりの小ネタ。
というか「if」的な話。
エロ無し、即興。
ドタバタラブコメチックな妄想で。
477Y-275 ◆LYfQOwf8Qc :2011/04/14(木) 03:42:48.05 ID:gnkAz1le

「七条先輩って良い香りしますね」
「え?」
目の前で繰り広げられるやり取り。
もの凄く女子的って気がする。
「…………………」
でも数の暴力の前に俺は無力である。
この手の話題は参加せずに、やり過ごすに限る。
1年弱の間に身につけた自らを守る術。
「やはりいいコンディショナー使ってるんですか?」
「なんか照れるなー」
鼻を鳴らしながら七条先輩の匂いを嗅ぐ萩村を視界に留めながらも素知らぬフリ。
「確かに良い香りだ…」
萩村に伴うように会長も匂いを嗅ぎ出す。
「アリアの体臭香水を売りに出せるくらいだ…」
そして続く会長の呟き。
本人達は何とも思ってないんだろうけど、正直言って無防備過ぎる気がする。
ちょっとドキドキしてしまう。
「そうかな…」
照れ気味に、俯き加減で七条先輩は呟く。
「ふむ、その辺は異性の津田も交えてだな…」
「え…」
やり過ごすのに限ると決め込んでいた俺は、突然のフリに戸惑ってしまう。
本来であれば、ツッコミでもなんでもいれて、やり過ごすところなのだろうけれども…
「嫌?」
「いや、あの…」
会長のその発言に七条先輩はすでにその気である。
下ネタさえ炸裂させてなければ美少女である七条先輩に、そんな風に言われれば、返答に困ってしまう。
「………………」
「………………」
「………………」
ドギマギとしながら、煮え切らない態度の俺に3人からの視線が向けられる。
常識人である萩村さえも一緒になっての有様である。
どうもこう、萩村も女子同士の戯れの延長で、こちらに接してる節がある。
時々ある、こうした状況下では、俺に行き場は無くなってしまう。
「…解りました」
もう1度言うと数の暴力の前に俺は無力である。
とは言え、今回のことは無理のあるフリでも何でもない。
はっきり言ってしまえば、七条先輩から良い匂いが漂ってることに覚えはある。
それは、会長や萩村も一緒ではあるけれど…
ちょっと遠目から匂いを嗅いで、『確かに良い匂いですね』とでもコメントすれば終わること。
必要であれば、会長と萩村も良い匂いがすると付け加えれば全て良い方向に収まる。
「それじゃあ、失礼します…」
そう言って俺は七条先輩に近づいていく。
「うん。」
七条先輩の声が聞こえて、次の瞬間に俺の視界は暗転する。
「「………………っ!!」」
暗転した俺に伝わるのは、鼻を抜ける良い匂いと息を呑む、2人の台詞、それから柔らかい感触…
「どうかな?」
「ふぁい、ふぃふぃにをいでふ…」
状況もわからぬまま、耳に届いた七条先輩の声に応えるも、言葉はうまく出て行かず
くぐもった響きとなって、俺の耳に返ってくる。
まるで小さい頃に枕か何かに顔を埋めて声をだs…
「ふを…!!」
そこで気づいて慌てて、体を捻る。
「どうしたの津田君?」
けれど体は抜けなくて、耳に届いたのは七条先輩の声。
そこで俺は、確信する。
今、俺は七条先輩に抱き寄せられているのだと…
「ア、アリア、津田を解放してやったらどうだ?」
478Y-275 ◆LYfQOwf8Qc :2011/04/14(木) 03:44:29.35 ID:gnkAz1le
「うーん?」
本気で多分分かっていないであろう声が会長に返る。
七条先輩の属性…お嬢様、巨乳、生徒会そして天然。
無駄な言葉が脳内を駆け巡る。
これはまずい、かなりまずい。
俺は手も使って、状況の脱却を謀る。
「きゃ、津田君、くすぐったいよ…」
俺の手が変な所に触れたのか、七条先輩は身をよじる。
それに合わせて、俺が頭を埋めた胸が震えて…
「それ以上はダメだ、アリアーー!!」
会長が大きな声を出す。
「そうです、七条先輩!!」
脳みそが沸騰しそうになりながら、2人の声にすがる。
「あ、そっかぁ…」
その声でようやく気づいたのか、俺は解放される。
暗転した視界にいきなり飛び込んできた光りに一瞬くらっとしてしまう。
「大丈夫か津田!」
「ちょ、津田!!」
「津田君!!」
一瞬よろめいた俺に3人が駆け寄ってくる。
俺を取り囲んだ3人は、3者3様の匂いを振り撒いていた。

………………………………………………………

「はぁ、」
ため息を零す。
そのあとしばらくして、平常に戻った俺を待っていたのは、説教。
それから、程なくして、普通に生徒会の仕事をして現在に至る。
一端、教室に戻ると言った先輩方2名を見送って、帰りの準備を進める。
「ねぇ」
「ん、どうした?」
そんな俺に声をかけてきた萩村。
「七条先輩の匂いどうだったのよ?」
結局うやむやになってしまったことを萩村が聞いてくる。
「あ、あぁ、確かに良い匂いだった。でもあれは…」
それに俺は一応応えるのだが、同時に苦笑い。
「ふ、ふーん、そう…」
あれ?
てっきり、今やすっかり浸透しきったドヤ顔って表現が似合うリアクションが
返ってくると思ったのだけど、どうも違う萩村のリアクション。
「そこにいて…」
「は?」
「良いから、そこにいなさいよ!!」
意味が分からない。
萩村のこの言葉と、その前のリアクションがあまりに繋がら無さ過ぎる。
「……む!」
そんなことを考えながら、ボケッとしていた俺の膝に跨がると、萩村は一思いに俺を抱き寄せる。
最も今回は視界は暗転しない。
身長差的にそれは出来なかったらしい。
「どう?」
なので、直に耳元に響く萩村の声。
「いや、どうって…」
「私の匂いは?」
ドギマギしながらの俺の答えに、萩村が続ける。
「いや、良い匂いだけど…」
気圧されて、そう答える。
「本当?」
「あぁ、本当。」
「ん、そっか、なら良いわ。」
俺の答えにそっと萩村はそう答えて、俺の膝から降りる。
479Y-275 ◆LYfQOwf8Qc :2011/04/14(木) 03:46:00.31 ID:gnkAz1le
「ほら、津田、校門向かうわよ。」
それから、踵を返して、萩村はそう宣う。

………………………………………………………

「遅くなりました。」
校門で待っていた2人にそう声をかける。
「さぁ、帰ろうか。」
それに返ってくるのは会長の声。
その声に伴って、俺達は歩きだす。
いつものように、前に3人が進み、少し俺が下がる恰好で。
そうすると、鼻を掠める良い匂いに、俺は気を取られる。
今日はイロイロありすぎた。
匂いを嗅いで感想を求められる。
それに抱き寄せるという行為が混ざって、大分ややこしいことになった気がする。
そして、否応無く、俺は皆の匂いを意識してしまうようになったわけで…
風にのって届くそれに、イロイロと思いは巡ってしまう。
「さて、分かれ道だな…」
そんなことを考えていると帰り道はあっという間。
「それじゃあ、私たちはこっちね。」
「行きましょうか、七条先輩。」
「それじゃあ、バイバイ、シノちゃん、津田君。」
そう言って、手を振る七条先輩。
「お疲れ様です。」
それだけで、踵を返す萩村。
2人とも、自分達がした行為をどう思っているんだろうか?
別れ際、そんなことが頭に浮かぶ。
「さて、私達も行こうか。」
「はい。」
思考から、俺を引き戻した会長の声にそう応える。
それから遅れていた歩みを進めて、俺は会長に並んで歩きだす。
「そうだ、津田よ。」
暫く歩みを進めたところで、会長に声をかけられる。
「アリアの匂いはどうだった?」
「良い匂いでしたよ、ただ、なにm「ふむ。そうか。」」
最後までは言わせて貰えずに会長は短く相槌を打つ。
何となく第六感が働きかけたので、抱き寄せる必要性は無かったのではとは言えないまま。
それからの会長は素早くて、俺と会長が正面から向き合ったかと思うと、
「それでは、私の匂いはどうだ?」
あっという間に俺と会長は密着する。
「……………………」
ちょうど抱き着かれたような恰好で、会長の顔は見えない。
でも、確かに伝わる温もりに、やっぱりか。と思ってしまう。
でも、それは全く不快じゃなくて、七条先輩の一件以来意識してしまっている匂いが快く
俺の鼻を抜けるわけで…
「会長の匂いも良い匂いで、俺は好きですよ。」
だから、萩村にしたそれよりもちょっとだけ、エッセンスを付け加えて、そう口にする。
「うん…」
会長はそれ以上は言わずに自然と俺から離れていく。
離れながら、風に揺れた、会長の綺麗な黒髪から良い匂いを漂わせながら…
480Y-275 ◆LYfQOwf8Qc :2011/04/14(木) 03:51:06.25 ID:gnkAz1le
いや、なんか申し訳ない仕上がりです。
相変わらずオチつけるの下手だなと。
ほぼ勢いのみ。
「もしあの場にタカトシがいて…」
から妄想して、アリアの胸の感触をなんて思ったら、張り合うスズとシノも捨て難いなと。
ちょっと嫉妬してる女の子の可愛さって良いよね。ぐらいに思って頂ければ光栄です。
それでは駄文乱文失礼しました。
失礼いたします。
481名無しさん@ピンキー:2011/04/14(木) 12:42:36.27 ID:OMzqjIhU
お前のSS漏れなく原作キャラの性格や設定無視した
キャラ崩壊だらけの糞だから二度と来るな
◆ZAtwiNsO4g氏の爪の垢でも煎じて飲めよクズ
482名無しさん@ピンキー:2011/04/14(木) 12:46:41.20 ID:X/kY2/TG
>>480
いいよいいよー
483名無しさん@ピンキー:2011/04/14(木) 19:12:34.78 ID:oDofx1H3
>>480
GJ!
タカトシは罪な男だ・・・
484名無しさん@ピンキー:2011/04/14(木) 23:18:24.33 ID:PSs6lQZQ
女の子の匂いって それだけで「初恋と青春」な感じなんだよな。
できればこのあと、シノアリアスズの誰かと恋心の芽生えや、小さな葛藤など書いてみてほしいです。
485名無しさん@ピンキー:2011/04/15(金) 11:18:31.65 ID:b3804I/v
Y−275氏、乙です。久々の投下作品、楽しませてもらいました。
486名無しさん@ピンキー:2011/04/16(土) 19:17:31.29 ID:sJGh+uuF
>>480
いいよいいよ〜GJ
また来てくれるの待ってる


OVA見たが、色々フリーダムで吹いたwwww
487名無しさん@ピンキー:2011/04/16(土) 20:42:07.80 ID:I6O3i80E
やっぱり住人としては限定版購入かね
しかしスレ初期からいた身としては、アニメ化自体が未だに奇跡の出来事だわ
488新参者:2011/04/17(日) 01:55:41.84 ID:CoWW7Oyx
はじめまして。「生徒会の一存で百合」スレに2度長文を書いたけど、過疎すぎて寂しくなったので、こちらにも失礼します。
エロのないギャグを書いてみました。拙い文ではありますが、どうぞよろしくお願いします。
それでは、始めます。
489新参者:2011/04/17(日) 02:00:07.09 ID:CoWW7Oyx
私は叶ミホ。いたいけな16歳の女子高生です。

出番が少ないので、地味に思われるかもしれないですけど、実は連載が始まってからフルネームが出たのは3番目に早いという息の長いキャラです。
城島先輩への想いはそのころからつのる一方なんですが、未だに報われないんです……。
でも、今日は違います。
なんと、先輩と二人きりでデート的なことをするんです!
今回は「親戚の高校生にプレゼントを贈りたいけど、何が喜ばれるか分からないので一緒に買い物に付き合ってください。というか、そのまま付き合ってください!」作戦です。
この作戦の概要を小宮山先生に話して、先生のほうから先輩にそれとなく話を振ってもらったんです。やさしい先輩は二つ返事で了解してくれたそうです。さすが先輩!
思えばこれまで、ドジッ娘をアピールしたり、マフラーを編んだり、ラブレターを書いたりしてきました。すべての失敗も、きっと今日のためにあったんです。
今日は気合いがみなぎってますよ。勝負下着も穿いてるし、準備万端。絶対に先輩をメロメロにしてみせます!
というわけで、私は今とある繁華街にいます。待ち合わせの時間が近いから、そろそろ先輩が来るかなー。
おっ、後ろからそれっぽい気配と匂いが……。
「叶さん」
ブシュ――――――――!!!!!!!
「大丈夫!? いきなり噴水のように鼻血出してるけど!?」
「だっ、大丈夫です。今日は多い日なので」
(やっぱりこの子はカナミと同じ人種だ……)
心配そうな瞳で先輩が見つめてくれています! つかみはバッチリですね!
「はい。ティッシュあるから、使っていいよ」
「先輩。(ティッシュを鼻へ)挿入してください……」
「そのネタ、前も言ってたよね?」
うーん、これは失敗だったかも。ちょっと焦っちゃいました。
490新参者:2011/04/17(日) 02:02:17.34 ID:CoWW7Oyx
「先輩。私の乳首……じゃなくて、首を叩いてください。もしよければ、乳首でもいいですけど」
(俺ってそういうキャラ認識なのかな……。カナミが変なこと言いふらしてなきゃいいが)
先輩が私の後ろに回って、そっと首を叩いてくれます。心地よい痛み。また何かに目覚めちゃいそう。
「止まりました。ありがとうございます」
「もし、体調が優れないならすこし休もうか?」
「そうですね。では、お言葉に甘えて。あそこに休憩2時間で6千円のホテルが――」
「さて、すぐ買い物に行こう」
先輩って照れ屋さんですよね……。
ゆっくりと歩き出す先輩のすこし後ろを、私も寄り添うように歩きます。
「ところでさ、叶さん」
「はい」
「ずいぶん早く来てたよね。俺も十五分くらい前に着いちゃって、さすがにまだいないかなと思ってたから驚いたよ。いつからいたの?」
「5時間前からです」
「そんなに!? この暑い中を!?」
「はい。先輩のためなら、これくらい平気です。でも、もう下着までビショビショです」
「それは汗で、だよね?」
「はい。どちらにしろ、この後濡れちゃう予定なので、同じですよね」
「同意を求めないで」
 ふと、道路脇に目をやると、自動販売機がありました。
「先輩。暑くてのどが渇きませんか?」
「たしかに。何か飲む?」
「私のラブジュースはどうですか?」
「おっ、ちょうど自販機がそこに」
先輩ってシャイですよね……。
491新参者:2011/04/17(日) 02:04:13.89 ID:CoWW7Oyx
先輩が自販機のそばまで行き、カバンからおそらく財布を取り出そうとしてます。
ここで作戦ナンバー1「1巻のリベンジ! 落とした小銭を拾おうとして、指先が触れあうときめきシチュエーション」を発動します!
ジュースを買おうとする先輩目がけて、うっかり転んでしまう私。
こぼれる小銭。触れ合う指と指。気まずそうに見つめ合う二人。そして……禁断の領域へ。
うん。これならイケます。というか、もうイッちゃいそうです。
先輩が財布を取り出す瞬間に狙いを定めます。
……よし、今だ!
「便利な世の中になったよね。携帯をかざすだけで、一瞬で買えるんだから」
「…………」
文明の利器のバカ……。1巻発売当時はそんなの無かったのに……。 
「何がいい?」
「……えっと、ビタミンウォーターをお願いします」
せめて、この後のことを考えて体力をつけておこう。
「ありがとうございます。休日に無理やり付き合ってもらってるのに、色々すいません」
「気にしなくていいよ。ちょっとここで休もうか」
コーラを買った先輩と、しばしの休憩タイムです。
「親戚って高校生の男だっけ? どんな人なの?」
あっ、そういえば、その設定を全然考えてなかった……。
どうしよう……黙っていたら不審に思われちゃうから、先輩のことを話してごまかそう。
492新参者:2011/04/17(日) 02:05:55.19 ID:CoWW7Oyx
「背が高くて、やさしくて、たくましくて――」
「うんうん」
「ア○ルが好きなんです」
 危うく先輩がコーラを吹き出しそうになりました。
「ただ、その人には恋人がいるという噂がありまして……」
「恋人?」
「はい。右手が恋人なんです」
 先輩が派手に咳きこみました。
「なっ、何だろう。妙に親近感を感じる……」
「そうですか? だとしたら、先輩が欲しいものを買えば、きっとその子も喜びますね」
 よし! 上手い具合にまとまった!
「というわけで、先輩。何か欲しいものってありますか?」
「俺? うーん、そうだなあ……」
「CD? 本? DVD? それとも、ワ・タ・シ?」
「洋服とか欲しいかな」
先輩って不器用ですよね……。せっかく、可愛らしくウィンクまでしたのになぁ……。
 でも、これくらいでめげちゃう私じゃないです。だてに単行本10巻分も経験を積んでないですよ。
「ファッションなら、この近くにいいお店があります。すごく品ぞろえが豊富なんで、きっと喜びますよ」
「へぇー、どんなお店なの?」
「『大人のコスプレ』ってところで、ナース服からSM女王に至るまで多種多様な――」
「それは喜ぶというより悦ぶための人が行く所じゃないかな」
活字じゃないと伝わりにくいネタです。
でも、ファッションはいいアイディアです。素晴らしいことを思いついちゃいました。ふふふ。
493新参者:2011/04/17(日) 02:07:24.80 ID:CoWW7Oyx
「でしたら、メンズファッションの専門店が近くにありますので、そこがいいと思います」
飲み物を途中まで飲んで、また一緒に歩き出します。
お店に入ると、ブランド物からお手頃な物まで、シャツにジーンズにアクセサリーまで色々と置いてありました。
「親戚の子は、先輩と体型が似てるんです。なので、先輩が試着してぴったりだったら、その子にも合うはずなんです」
「そっか。じゃあ、好きなものがあったら遠慮なく言ってくれていいよ」
「えっと、そしたら早速、あのトランクスをお願いします」
「下着を試着!? しかも上じゃなくて下を!?」
「はい。ぜひ。今すぐ。ここで。有無を言わさず」
「いや、たぶん、その子もシャツやズボンのほうが嬉しいと思うよ」
残念……。先輩が直接アレをつけたトランクスを手に入れられると思ったのに……。
あっ、でも、想像しただけで……。
ブシュ――――――――!!!!!!!
「また!?」
「大丈夫です。下の血はまだ出てませんから」
「何の安心感も得られないよ!」
本日2度目なので、それほど出ずにすぐ止まりました。
「そうしたら、せめてジーンズでお願いします」
「何が“せめて”なのかよく分からないけど……」
先輩がちょっと疲れた様子で首をかしげます。
適当にカッコいいジーンズを選んで、先輩に試着してもらい、それを買いました。先輩のぬくもりがしみ込んだジーンズ……家宝にして、毎日拝みます。
帰り道。すっかり夕焼け色に街は染まっていました。
いよいよ、本日のメインイベントです。
494新参者:2011/04/17(日) 02:08:54.41 ID:CoWW7Oyx
そう! 告白です!
ドキドキして胸が張り裂けそうです。でも、今夜になれば、処女膜が張り裂けるから同じことですよね。
「先輩。今日は本当にありがとうございました」
「いや、俺も何だかんだ楽しかったよ」
「先輩……あの、その」
「ん?」
がんばれ。私。勇気を出して。
「実は、わっ、私、先輩のことが――」
「あっ、お兄さん。こんにちは」
「ああ、アキちゃん。どっか行ってたの?」
「はい。ちょっと買い物してて、その帰りなんですよ。えっと、そちらの方は?」
「ああ、彼女はカナミと同じ委員会にいる――」
「こんなところでにっくきライバルと出くわすなんて……、絶対に負けませんから!」
「叶さん?」
「私がライバル?」
「3Pなんて認めませんから!」
『ええっ!?』 
不思議そうに私を見つめる先輩とライバルを置いて、私は夕焼けに向かって走りだしました。
うぅ……結局、最後はこんな形になっちゃうなんて。
でも、次こそは、努力が報われるようにがんばります!
とりあえず、今日は先輩が身に付けたジーンズをオカズにして、寝ようかな。
495名無しさん@ピンキー:2011/04/17(日) 13:07:37.18 ID:9oSesaWI
終わりかな?新参者氏GJです
ミホ積極的になりすぎだろw
496名無しさん@ピンキー:2011/04/17(日) 17:06:42.11 ID:BCpFreMm
新参者氏、乙です。
ノリが良かったし、いろいろと忘れていた事を思い出させてくれました。
497名無しさん@ピンキー:2011/04/18(月) 00:14:27.80 ID:bUzAsQ1U
両氏乙〜
久々の投下だし、OVAにはミサキチ出るし俺は死んでもいい‥
498名無しさん@ピンキー:2011/04/18(月) 01:28:36.52 ID:5ZG+wiLu
新参者氏乙です!
原作最新刊でアヤナも出たしアイ先生にも出て欲しいもんだw
499名無しさん@ピンキー:2011/04/19(火) 00:29:49.77 ID:LRitXpJ+
久しぶりに甘々なタカトシ×シノが読みたい
500名無しさん@ピンキー:2011/04/20(水) 21:37:17.73 ID:7bNAj3Pj
パソコン初心者+下ネタ大好きのシノはワンクリック詐欺にあいそう
501名無しさん@ピンキー:2011/04/21(木) 01:24:04.05 ID:+Z8QlfIA
>>499
ちょっとアウトローなタカトシ×シノ書いてみる
とかレスかまして自分を奮起させる
502名無しさん@ピンキー:2011/04/21(木) 01:35:23.02 ID:NbFe2/tf
その言葉信じたぞ
503名無しさん@ピンキー:2011/04/21(木) 02:08:44.68 ID:969GBRNz
スカトローはちょっと…
504場つなぎ:2011/04/21(木) 19:58:24.52 ID:nEZAJS4B
自分はエロやラブコメが書けないので、期待する意味を込めて場つなぎの投稿。

タイトル「座談会『ツッコミの憂鬱』」
505場つなぎ:2011/04/21(木) 20:02:00.63 ID:nEZAJS4B
参加者 矢野アキ・天野ミサキ・萩村スズ

アキ「えっと、まずは挨拶かな? はじめまして」
ミサキ「はじめまして。……何だか、緊張しますね」
スズ「はじめまして。そんなに肩肘張らず、気楽にいけばいいわ」
アキ「そうだね。それで、今回のテーマが『ツッコミの憂鬱』なんだけど――」
二人『はあ……』
アキ「反応早っ! やっぱり、疲れる?」
スズ「ただのギャグとかならまだしも、あの人たちは、そっち系の話題ばかりだから」
ミサキ「そうですよね。正直、反応に困ります」
アキ「みんな同じ気持ちかぁ。氏家作品に出たからには仕方ないのかもしれないけど、ボケに対してツッコミの担当が少ないから余計に疲れるよね」
ミサキ「ああ、そういう意味では私は恵まれていますね。主要キャラのうちボケが三人で、ツッコミも私を含めて三人ですから」
アキ「えぇーっ、うらやましいなぁ。私なんて、同じ学年だけでもボケが五人はいるよ」
スズ「困るのは、新キャラは基本的にボケってことよね。負担が増える一方だわ」
ミサキ「でも、考え方を変えると、必然的に私たちは出番も増えるってことですよね。ボケだけだと漫画は成立しませんし」
スズ「たしかにね」
アキ「あー、だからかなぁ」
スズ「何が?」
アキ「私さ、人気投票で1位だったんだよ。見た目も男っぽい私がどうしてかなって思ったんだけど、要するに、出番が多くて読者の印象に残ってたってだけかもね」
ミサキ「そんなことないですよ。アキさんはスタイルもいいですし。うらやましいです……。私なんて、料理も裁縫も出来ないし、女性としての魅力に欠けてます……」
アキ「いやいや、ミサキちゃんはかわいいし頭もいいし、私からすればよっぽどうらやましいよ! それに、ミサキちゃんも人気投票1位でしょ? だから、自信持っていいと思うよ!」
スズ「…………」
二人『……あっ!』
スズ「いいのよ、変に気を遣わなくても。一応、トップ3には入ったんだから。ただ、それまでの『髪が黄色系のツッコミキャラが1位を取る』という流れを止めてしまったことには、責任を感じているわ」
ミサキ「そんな、責任なんて……」
スズ「私の場合、出番は多くても、頭頂部しか映ってないことが多々あるからね」
506場つなぎ:2011/04/21(木) 20:04:08.61 ID:nEZAJS4B
ミサキ「でっ、でも、萩村先輩はものすごく頭がいいですし、いつも冷静に周りをフォローできる姿に憧れます。私も萩村先輩のようになりたいです」
スズ「……ありがと。ごめんね。変な空気にしちゃって」
ミサキ「いえ、とんでもないです」
アキ「萩村さんって、アニメで人気が急上昇したらしいよ。なんか、どこかの掲示板で萩村さんの人気がすごいんだってさ」
スズ「そうなの? それは嬉しいわ」
アキ「私もアニメ出てみたいなぁ。楽しそう」
ミサキ「……なんか、あれですね。ツッコミキャラだけだと、すごく平和ですね」
アキ「たしかに。誰かがボケるわけでもないし」
スズ「読者的には退屈かもしれないけど、私としてはとても居心地いいわ」
アキ「じゃあ、ちょっと盛り上げるために読者からの質問コーナーいこうか。事前にハガキを送ってもらっているから、紹介するね」
スズ「ラジオみたいね。久しぶりの感覚だわ」
アキ「まずはペンネーム『新聞部部長』さん。『みなさん、彼氏はいらっしゃいますか?』だってさ。ミサキちゃんは?」
ミサキ「えっ!? あっ、その、なんていうか……」
スズ「いるの?」
ミサキ「……はい」
アキ「照れちゃって、かわいいなぁ。もちろん、その人のこと好きなんだよね?」
ミサキ「うぅ……恥ずかしいです」
スズ「好きなの?」
ミサキ「……大好きです」
アキ「うひゃー、お幸せに。萩村さんはどう?」
スズ「私は、べつに、津田のこととか何とも思ってないわよ」
アキ「津田? それってどういう人?」
スズ「副会長だけど、仕事はまだまだ遅いし、人前では緊張しっぱなしだし、しっかりしてほしいわ。……まあ、優しいところもあるけど」
ミサキ「ちょっとだけ会ったことありますけど、すごく穏やかな感じの方でした」
507場つなぎ:2011/04/21(木) 20:07:54.30 ID:nEZAJS4B
アキ「ふーん。最後に私だけど、特に好きな人はいないよ。じゃあ、次のハガキ。ペンネーム『ひまわり先生』から。『一番ツッコミに困る相手は誰ですか? ちなみに私は、同僚の先生です』とのこと。またミサキちゃんから聞こうかな」
ミサキ「えっと、私は中村先生ですね。学校の先生じゃなくて、家庭教師なんですけど、いろいろと知識が豊富すぎてついて行けないです」
スズ「私は七条先輩かしら。生徒会の書記で、何ていうか、常識では理解できないことを平気でするの。時々、私のほうが間違っているのかなって思うわ」
アキ「二人ともすごそうだね……。私はマナカかな。同じクラスの友だちで、最初は無口だったのに、どんどん自分から積極的にボケに絡むようになって、しかも掴みどころのない感じだからツッコミも難しいんだよね」
ミサキ「改めて、私たちって色々と大変ですね……。でも、それでも私は毎日楽しく過ごせています。お二人はどうですか?」
スズ「そうね。私も今のリズムに慣れちゃったから、これはこれで楽しいわよ」
アキ「ツッコミで怒ることもあるけど、それ以上に、笑っている時間があるからね」
ミサキ「それを聞いて安心しました。今日はありがとうございました」
アキ「いつか三人で一つの作品に出られるといいね。そうすれば、ツッコミが3倍になって怖いものなし!」
スズ「ボケも3倍になるわよ?」
アキ「……それは危険すぎるね」

終わり
508名無しさん@ピンキー:2011/04/22(金) 09:00:40.82 ID:6xm33aC8
乙です。キャラの組み合わせが新鮮でした。
509>>501:2011/04/22(金) 22:46:47.04 ID:wYGgPlV8
乙です!クロスオーバーのSSは大好物なので凄くうれしい…
もっと増えてほしいなー

アウトローなシノ×タカトシができたので投下します
と言っても1レスしかないんですけど…
510>>501:2011/04/22(金) 22:49:16.53 ID:wYGgPlV8
IN某掲示板既婚板 

結婚に至った過程を思い出して語るスレ

531 名前:名無しさん@お腹いっぱい。
嫁 当時生徒会長2年生
俺 共学化一年目、28人しかいない男子生徒の中の一人

制服の着方がだらしないと言われ、直される

なぜか生徒会に入れられる

嫁が卒業するときに告白される

付き合い始める

結婚

532 名前:名無しさん@お腹いっぱい。

>なぜか生徒会に入れられる
のところをkwsk

533 名前:名無しさん@お腹いっぱい。

>>532
その後小さい会計やら令嬢書記なんかが現れて話し込んでる内にチャイムがなり俺遅刻確定。
俺「こんなところでgdgdやってたから遅刻したじゃん!」
嫁「お詫びに君を生徒会に入れてあげよう」
俺「えっ」

ってな顛末。
付き合い始めてから「なんで俺のこと生徒会に入れたの?」ってきいたら
「いや、あのときはそんなちょっとかっこいいな、なんて思った訳じゃなくてだな、ほ、ほらあのとき言っただろうえーと(以下弁解続く)」
とか顔真っ赤にしてぶつぶつ言ってたのが可愛かったなー。あれももう5年前くらいになるのか…

子どもはいないけど楽しくやってます。
ただ嫁がまだ思春期抜けてなくて下ネタばかり言うのがたまにきず…
美人なのに…
511>>501:2011/04/22(金) 22:50:23.53 ID:wYGgPlV8
534 名前:名無しさん@お腹いっぱい。

>>533
おいこら付き合ったきっかけとか結婚のこととかまだ話すこと残ってるだろーが

535 名前:名無しさん@お腹いっぱい。
>>534

卒業式の日に呼び出される
ついでに俺は嫁の後を継いで生徒会長になっていたので何か個人的にこれからのことをアドバイスされるのだろうな、とばかり思っていたのだが…

嫁「おい俺」
俺「卒業おめでとうございます会長」
嫁「ありがとう。今日は…えーとそのだな、君にいいたいことが…」
俺「生徒会長としてのアドバイスですね。まだまだ成り立てで至らない所もある、と思うのでなんなりビシバシと言ってください会長」
嫁「…」
俺「あれ?会長?」
嫁「…じゃない」
俺「え?」
嫁、うつむき加減に顔を真っ赤にしながら
嫁「もう…私は…会長じゃないぞ…」
俺「いや、そんなこと言っても会長は俺にとっての会長d嫁「私は君にとっての会長でしかないのか!?」
俺、意味が分からず言葉に詰まる。嫁真っ赤な顔に涙をいっぱい溜めて俺を見つめてくる
嫁「つ、っつまりだな…わ、わわ、私と…付き合ってくれ!君が好きだ!」
で、付き合い始める。

プロポーズは俺から。やっぱ男として決めんといかんだろって。
場所は母校の、嫁が告白してくれた体育館裏で

「俺と結婚してください」ってシンプルに言ったよ。
わんわん泣いてしがみついてきたなぁ。あの時も可愛かった…
以上です


536 名前:名無しさん@お腹いっぱい。
>>535
もげろ


537 名前:名無しさん@お腹いっぱい。
>>535
もげろ


538 名前:名無しさん@お腹いっぱい。
 ヽ('A`)ノ  >>535 もげてしまへ
  (  )
  ノω|

 

 ヽ('A`)ノ  >エッ
  (  )    ω
  ノ |  〜゙

 

  マッテー ( 'A)ノ    ω
       イ )     ~
      ν  〉
512名無しさん@ピンキー:2011/04/24(日) 19:56:04.24 ID:52JvWoVi
乙です。少しずつでも投下があってうれしいなあ。
513名無しさん@ピンキー:2011/04/24(日) 22:10:58.12 ID:aefx29S6
乙〜

>>511のマッテーで吹いちまったよチクショーWWWW
514 ◆ZAtwiNsO4g :2011/04/25(月) 00:40:36.18 ID:5hzQ+Edh
>>509 乙です〜。

お久しぶりでございます。しばらく冬眠してました。
起きたら役員共の新刊とアニメが出てました。見てたらまた妄想が湧いてきました。とっても嬉しいです。
書けちゃったんで投下します。
スズ×タカトシです。
タイトル:そして、二人
以下、諸注意と言うか、内容に関する雑記。嫌な予感したらNG推奨。

・大体40改行×12レスの予定。
・キャラ違いは二次創作の華。
・エロが書けるシチュエーションは思いつかなかった。ごめんなさい。
・しっとりラブコメを目指したらベタベタしてた。
・鬱くないけど、全体的にみんな大人しい。
・私はシノちゃん大好きです。だから虐めたくなるんです。扱いが悪いのはそのせいです。

それでもよろしければ。
515 ◆ZAtwiNsO4g :2011/04/25(月) 00:41:43.95 ID:5hzQ+Edh
恋仲でも血縁でもない男女二人っきりのシチュエーションが発生する原因は、実はあまり多くない。
特別に友情を育んだ仲でない限り、二人になる必然性が薄いからだ。
或いは仕事の残業仲間。或いはたまたま同じ帰り道。或いは町中での出会い。
常に「偶然」と言う言葉が付き纏うだろう。
しかし数少ない必然による二人っきりのシチュエーションも、ない訳では無い。
例えば……先輩二人が卒業してしまい、役員が二人だけになった生徒会。

  *

十一月も下旬となると、風に冬の匂いが交じり始める。
茶色く枯れた木の葉が宙を舞う校庭を見下ろす津田タカトシは、身を震わせながら生徒会室の片隅に鎮座する石油ファンヒーターに電源を入れ、その正面にしゃがみ込んだ。
職員室からのお下がりが一番に回ってくるのは、生徒会の特権か、或いは生徒会顧問の横島ナルコの横暴か策略か。人望でない事は分かるのだが。
ボシュ、と言う情けない音を立てて着火した石油ファンヒーターに両手をかざしながら、津田は温風を浴びてようやく一心地ついた。

「あら、津田だけ?」

左手の方から聞こえてきた声を発したのは、生徒会の同僚である萩村スズ。
相変わらず、しゃがみ込んでいる津田の目線の高さは、立っている萩村のそれと一致している。
正面から見えた少女の、少し驚いた顔から目を離して、津田はホワイトボードの方を顎でしゃくった。

「先に来てたみたい」

図書室で勉強してくる、と言うメッセージの書かれたそのホワイトボードを見て、萩村は納得がいった。
今日の仕事はごくごく少量の書類整理。
受験勉強に忙しい三年生二人の手を借りるまでもなく終わる程の、簡単な作業である。

「最近は生徒会も暇ね」

手を擦り合わせながら萩村は津田の隣に並んでストーブの温風を浴びて顔を綻ばせる。
隣の彼女に少しスペースを譲った津田は、てんてこ舞いだった数週間前の生徒会を思い出して、苦笑いする。
文化祭と言う一年で最大の行事を終えた桜才学園は、季節外れの蝉の抜け殻のように活気を失っていた。
生徒会もそれは例外とは言い難く、平常業務であった雑務は日に日にその仕事量を減らしていくばかり。
量質共に、今後四人がかりですべき仕事もあまりない。
そう判断した生徒会長の天草シノは、次第に生徒会の仕事を後輩二人に任せるようになり始めた。
決して楽をしようと言う邪な考えはない。ただ、今後の事を考えて、の事である。

「この冬はまだ良いケド、来年は大変だろうな」
「…………」

萩村は目を伏せて口を噤む。
516 ◆ZAtwiNsO4g :2011/04/25(月) 00:42:38.65 ID:5hzQ+Edh
萩村と津田の一つ下の学年、一年生には生徒会役員はいない。
来年の一年生は生徒会に入るだろうか。或いは、今の一年生の中にも、来年は生徒会役員を志すものが現れるかもしれない。
だが、もし現れなかったら?

「会長も、一応オレ達の事考えてくれてるのかな」

未だにストーブで身体を温めている津田は、振り返った先にある長机に置かれた紙束を見てそう言った。
「来年に備えて出来るだけ早く片付けられるように練習しろ」と書かれたメモが、紙束の脇に添えられている。

「会長、締める所はちゃんと締めてるからね」

萩村は言ってから、頭の中で天草が「あぁ、締めてるぞ、下の口とか」と得意げに言い放ち、隣で七条が「私も縄を締めてるわ」と微笑んでいる想像がわき起こったのを全力で否定した。
傍らで頭を振り回す萩村を怪訝な目で見た後、津田はようやく立ち上がって自らの定位置に座り、紙束に手を伸ばす。

「来年の部費予算申請書か。随分と気が早いな」
「今年もやりくりはカツカツだったからね。早めに提出してもらわないと処理も追いつかないし、なんせ……」

萩村は続けて飛び出しかけた言葉を咄嗟に飲み込み、ストーブから離れて津田の隣に腰掛ける。
紙束の上から十枚程を一気に取り去り、萩村は鞄からノートを取り出してペンを走らせ始める。
電卓を使うまでもなく素早く計算を行ない、書類に集計結果をしたためていく。

「……ねぇ、津田」
「ん?」

萩村がふいに口を開いた。
津田は一旦書類から目を離す。萩村は顔を上げないまま、手を止めないまま、かろうじて津田の耳に届くか細い声で尋ねる。

「来年から……二人になるのかな」

津田は手を止めた。目を瞑って二秒唸り、目を開けて三秒唸り、腕を組んで五秒後、計十秒かけて答える。

「流石に、辛いよなぁ。こう言う書類整理とか服装チェックとかはまだしも、学校行事とか委員会会議が……」
「……………………」
「来年はオレ達も勧誘活動をした方が良いかもしれない」

津田の真面目な声を聞いて、萩村は動いていた手を止める。目はまだノートを見つめている。

「…………」
「萩村はどう思う?」

萩村は無表情のままであった。ただ、何の感情も持っていない訳では無い。
517 ◆ZAtwiNsO4g :2011/04/25(月) 00:43:31.00 ID:5hzQ+Edh
どんな顔をしていいのか分からないと言うのが、彼女の本音であった。

「……私は」

一瞬の間。そして、彼女の小さな唇は津田にとっては意外な言葉を吐く。

「このままでも大丈夫だと思う」

あらかじめ用意していた原稿を読み上げるように、感情の起伏なくそう答えた萩村。
頭一つ下にある萩村の頭頂部を、津田は怪訝な顔で見やった。

「どうして?」
「……………………」

萩村は答えず、再び書類の整理を始めた。津田は文句を言う代わりに、溜め息をついて予算額の並ぶそのリストを眺めやった。
最近、津田から見た萩村はいつも物静かであった。
教室での彼女は普段とそれほど変わりない。クラスメイトに囲まれて、他愛ない話に談笑している。
しかし、ここに来ると途端に彼女は静まり返る。借りてきた猫のように大人しく、粛々と仕事に手をつける。
以前は二人だけになった時でも、もう少し話していた筈だ、と津田は思い返す。
萩村は、少しだけ変わった。何が変わったのかは、津田には分からない。

「ふああぁ……」

欠伸を一つ。肺に吸い込まれた空気はまだ少し冷たく感じられた。
生徒会室は狭いが、普段よりも二人少ないこの空間は必要以上に広々としていた。
寒々しいな、と津田は妙にセンチな気分でそう思う。

「コトミは」
「駄目だと思うわよ」
「オレも言ってから気がついた……」

萩村に言われるまでもない。津田コトミのグウタラっぷりは、兄である津田タカトシが一番良く知っている。
津田自身もどこか抜けた人間であったのだが、コトミはそれ以上。
下ネタの知識、反射神経だけは天草や七条と並ぶ、或いはそれ以上なのだが、それだけで生徒会役員が務まる訳ではない。

「でも、やっぱり新役員は必要じゃないか?
 来年オレ達だけで回すのは苦しいし、再来年は生徒会消滅、なんて事になりかねないだろ」
「……その時は風紀委員会と教職員が各クラスから代表者を選出して、生徒会役員の選挙を行なう手筈になってる。
 校則で定まっているわ」

萩村が言った事を確認するために胸ポケットから生徒手帳を取り出した津田。
518 ◆ZAtwiNsO4g :2011/04/25(月) 00:44:10.86 ID:5hzQ+Edh
そして校則の欄を隅から隅まで眺めやって、ようやくその一文を発見して目を剥いた。
恐らく、元々適用される事を前提としていない校則なのだろう。いざと言う時の穴を潰す、形だけの。
再来年の事を考えると、この校則の世話になるかもしれない。津田は赤ペンでアンダーラインを引いた。

「良くこんなの覚えてるな。凄い端っこの方に書いてあるぞ」
「これくらいアンタも覚えておきなさいよ。次期生徒会長なんだから」

萩村の鋭い指摘を受けて、津田は頭を掻きながら手帳を胸ポケットに収めた。
萩村は、生徒会役員の勧誘には消極的……と言うよりは、最早否定的である。
再び理由を尋ねようとする津田に、萩村は先んじて口を開いた。

「生徒会は自らの意志で来る者のみを受け入れる」

今年の春の天草の言葉を、萩村は繰り返した。

「半端な気持ちで入ってきて、いい加減な仕事をされたら困るわ。
 逆に仕事が増えるかもしれないわよ」

萩村の弁を津田は身を以て理解出来ていた。事実、半端な気持ちで入れられた彼も、当初は足を引っ張ってばかりだった。
しかし現在は、他の役員にもそれなりにあてにされていると自負している。
始めは役に立たなくても、近くで自分達の仕事を教えてあげれば、段々慣れてくれる筈だ。
後々の事を考えれば、生徒会はやはり人員補充を検討すべきだろう。
津田の意見は、萩村の言葉では変わらない。

「今までは四人居た。でも、半分になるんだぞ?
 二人じゃ、出来る事も半分……いや、それ以下になる」
「私が三人分働くわ。アンタは心配しないでも結構よ」

萩村はあっけらかんと言ってのけるが、流石に津田も顔を顰める。

「それは無茶だと思うケド」
「……大丈夫だってば」

萩村の言葉は固い。まるで、津田の言葉を無視しているようにさえ見えた。
津田は思い悩む。
前から言動の中に見た目相応の幼い感情が紛れ込む事の多かった萩村なのだが、今回は今までよりも遥かに顕著だ。
理論を構築せず、大局を見据えず、ただ妙に幼い意地だけが、彼女の思考を濁らせている。
現にこの会話の最中、萩村の左手は忙しく消しゴムを動かしている。
会話をしながらとは言え、五桁六桁程度の足し算で計算違いをするなんて、平時の彼女では有り得ない事なのだ。

「……ちょっと飲み物買ってくる」

萩村はそう言って立ち上がり、早足で生徒会室から出ていく。
519 ◆ZAtwiNsO4g :2011/04/25(月) 00:44:46.56 ID:5hzQ+Edh
まるで、逃げているようだ。
津田の目にそう映ってしまう程、萩村の背中は彼女の焦りを感じさせていた。

「………………」

一人取り残された津田は、再び窓の外に目を向けた。
数人の女生徒が、マフラーに首を埋めながら桜才学園から薄暗い町へと下校していくのが見える。
つい数日前までこの時間は、もう少し日が高かった筈である。随分と日が落ちるのが早くなった。
光陰矢の如し。一日一日が多忙によって、或いはちょっと卑猥で愉快な青春によって、あっという間に過ぎ去っていく。
……来年の今頃は、果たしてこの生徒会室に誰が居るのだろう。
津田は考えてみるが、すぐに思考を切り替える。
……今すべきは、書類整理。これ位はさっさと終わらせて、会長を安心させてやろう。
津田は一度背伸びして気を入れ直した後、再び紙の束に手を伸ばした。

  *

萩村は200mlパックの牛乳を購買部で購入した後、すぐに生徒会室に戻る気にはなれなかった。
あてどなく廊下をふらつきながら、萩村は片手でこめかみを揉む。
頭が重い。気分が優れない。原因は風邪かとも考えたが、咳も熱もなければ、鼻水も出ない。
何故か苛立つ。原因は、やはり分からない。
最近、津田の顔を見ていると、どうしてか居心地が悪くなるのだ。
別に彼の事を嫌っている訳では無い。それだけは断じてない事は、萩村は胸を張って言い切る事が出来る。
彼は良くやっている。始めの頃こそ役立たずだったものの、飲み込みは悪くなく、微力ながら助力となった。
今では副会長として会長である天草の補佐もこなす、名実共に生徒会役員の一員となっている。
そんな彼の隣で、彼の一番近くでその成長ぶりを見てきた萩村だって分かっている。
そこそこ普通の人間であれば、この生徒会に於いて多少なりとも戦力になると言う事を。
分かっている筈なのに、何故か肯定する事には躊躇いがあった。
肯定出来ない理由は、萩村には幾つも思いつく。
会長の言う通り、確固たる意志を持った者にしか生徒会を執行してもらいたくない。
伝統ある生徒会室に、半端な気持ちを持ったものを入室させたくない。
どれもこれも、決定的な理由足り得る訳では無い。しっくりくる、とは萩村自身も思っていない。
だが、別に合理的である必要はない。ここは歴史深い桜才学園。古きを重んじる事に何の問題があろうか。

「そうよ……別に、二人でだって……」

二人でだって、やれる筈。
萩村は何故かこの言葉に特別な愛着が湧いていた。
行事の際にはこれまで以上に各委員会の助力を仰げば、雑務の類いを各委員会に委託すれば。
下部組織にあたる委員会との連携強化によって生徒会への負担を減らす事が出来れば、恐らく二人でも運営は可能なのだ。
そう、二人でも大丈夫なんだ。私と、津田が居ればどうにかなるんだ。
自分自身に言い聞かせると、萩村は苛立ちが収まっていくのを実感出来る。
520 ◆ZAtwiNsO4g :2011/04/25(月) 00:45:53.45 ID:5hzQ+Edh
安心、とは少し違う。だが、胸の奥がじんわりと暖まるような、そんな穏やかな感情が湧いてくるのだ。
ようやく落ち着いてきた心を胸に抱え、萩村は生徒会室の扉を開ける。
その先に居た津田は、真剣な顔でノートにペンを走らせている。
手に握っているのは萩村のペン。そしてノートも同様に、萩村の会計帳。

「津田、なにやってるの?」
「あぁ、おかえり、萩村。ちょっと会計の仕事、やってみたんだけど……」

困ったような苦笑いをしながら、取り上げたノートを開いて萩村に向ける。

「案外時間かかるね、これ。オレには出来ないよ」
「アンタねぇ……」

萩村は呆れたような声を吐くが、内心では少しだけ嬉しい気分でさえあった。
息子から親孝行をされた親のような、弟から頼れる男の片鱗を見た姉のような気分であった。
口元に薄く笑いを浮かべながら、萩村は席に付いて牛乳の封を切る。

「……津田」

ノートを受け取った萩村はゆっくりした口調で、津田に問いかける。

「アンタは、自信無い?」
「…………生徒会長になる自信も、二人で生徒会を運営する事も」

津田は申し訳なさそうにそう言った。
如何にも津田らしい、頼りない言動だったが、萩村は鼻から息を抜いて微笑んでみせる。

「だらしないわよ、津田」

萩村は腕を組んで、胸を反らす。後ろの二束の金髪が、少し揺れた。

「アンタは次期会長なんだから、もっとしゃんとしなさいよ」

萩村は津田を叱咤する意味を込めて、腕を目一杯伸ばして津田の肩を叩いてやる。
叩かれた津田は萩村を見ずに、キョトンとした顔で呟く。

「萩村は、どうしてそんなに楽しそうなんだ?」
「……え?」

津田に指摘されて、萩村はようやく自分の声が少し弾んでいる事に気がつく。
521 ◆ZAtwiNsO4g :2011/04/25(月) 00:46:20.81 ID:5hzQ+Edh
楽しそうだっただろうか、今の自分は。

「私、別にそんなには……」
「でも、元気になったみたいで良かったよ」

津田は優しく微笑みかける。
萩村は少し顔を伏せて、今にも喜色を浮かばせかねない口元を必死に抑えつける。

「最近の萩村、落ち着きがなかったから」
「…………」

津田にも気がつかれていたようだ。
鈍そうなくせに、案外洞察力はあるらしい。
次期会長は伊達じゃないかもしれない、と萩村は素直に感心した。

「そうだ、津田」

完全な思いつきであったが、萩村は思い留まる事はなかった。
積極的に行動する理由はないが、行動しない理由もない。
折角良い機会なのだから、津田が次期会長として相応しいかどうか、私が見極めてやろうじゃないか。
萩村は飲みかけの牛乳を机の上に置いて、津田に向き直った。

「会長がやってるみたいに、相談事を受けてみてくれない?」
「オレが? 誰の?」

萩村は黙って首肯して立ち上がり、いつも七条が腰掛けている椅子に座り、正面から津田に向き合った。

「……私の」

萩村は何故か、少しだけ心臓が高鳴ったのを感じた。

  *

「最近、ちょっと落ち着かないってのは……津田も分かってるって言ったわよね」

萩村の言葉に、津田は首肯した。

「教室とかだと普段通りだけど、生徒会の活動中は、ソワソワしたりダンマリしたりしてるよ」
「情けないなぁ……自分の事って、案外分からないものなのね」

萩村は頬を掻きながら、少し照れたように津田から視線を外す。
522 ◆ZAtwiNsO4g :2011/04/25(月) 00:47:09.54 ID:5hzQ+Edh
津田はそんな萩村の次の言葉を、黙って待っていた。

「…………私も不安なんだと思う」

萩村は弱音を吐いた。
常に気を張っている萩村が、肉親でない誰かに自分の弱い面を見せるのは初めてかもしれなかった。
その相手が気心知れた津田である事を、萩村は幸運と考える事にした。

「会長も、七条先輩も居なくなって、私達二人だけで生徒会やっていけるのかなって……」

それは紛れもなく萩村の本心。
しかし、それはたったの一部でしかない。
不安は確かにあるが、不安とは違う何かも紛れもなく……と言うよりも、その不安以外の何かの方が遥かに大きい。
もっと前向きな、肯定的な何か。萩村の頭脳でも把握し切れない、しっくりこない、頭の中のもや。

「でも、何でか分からないケド……二人で頑張るのも良いかも知れないって思うの」

言い淀みながらも、萩村はハッキリとそう言った。
自分の中で整合性さえ付かない我が儘。子供の駄々となんら変わりない、矛盾。
そんな自覚はある。自覚しているが、それは整理が付けられる事とは別の話。

「二人でやれば大丈夫って……二人で、頑張りたいって……」

呟くように、萩村は続ける。
そう。隣に津田が居れば、自分は頑張れる。
ふと、疑問が浮かぶ。なんでそんなに津田に拘るのだろう。
彼は少しだけ後から生徒会に入ってきた、双子の弟のような存在だ。
大切な友人だし、同僚だし、付き合いも長い。
それだけなら良かった。彼は、ちょっと頼りないけど可愛らしい友人の一人になっただろう。
なら、そうじゃないのか? 萩村は自問する。

「……そうか」

黙って聞いていた津田は、短く返した。
523 ◆ZAtwiNsO4g :2011/04/25(月) 00:47:55.35 ID:5hzQ+Edh
そして逡巡した後、津田は萩村の目を見つめながら、自分の答えを述べる。

「オレ、驚いたよ。萩村でも、そんな風に悩んだりするんだなって」
「……どう言う意味よ」

身長の事でしょっちゅう悩んでいる筈なのだが、津田はその事は今は無視する事にしたようだ。

「萩村っていっつも自信満々だし、頭も良いし失敗とかも全然ないし。
 三人分働くってのも、萩村なら本当にやるかも知れないなって思ったんだ」
「……………………」
「いいよ、萩村。オレも、生徒会には、それなりにやる気がある人が来てほしい。
 ……オレはそうじゃなかったケドね」

津田の意外な言葉に、萩村は顔を上げる。
目を見開いた萩村の顔に、津田は照れたように頭を掻く。

「もし新入生も生徒会に来なくって、本当に生徒会が二人だけになっても、その時はその時だ。
 でも、萩村一人に仕事をさせる訳にもいかないな。オレも頑張るよ」
「…………津田」

萩村は津田に自分の意見を肯定されて嬉しい気持ちと、それと同時に、未だに不満の声を上げる心の片隅の感情に訝しむ二種類の気持ちに戸惑っていた。
何に満足していないんだ。私はまだ彼に何かを求めているのか。
悩める原因を、彼の意見を折ってまで解決したと言うのに、これ以上何を……。

「二人っきり、か……改めて考えると、なんか照れるなぁ」
「なっ」

津田のふいの一言が、萩村の心の中に重い衝撃を加えていった。
そう。二人っきりになる。自分と、津田が。放課後、毎日の様に、男女が、この部屋で、二人っきりに。
その様は萩村には容易に想像がついた。
ホワイトボードを背にした生徒会長の津田が、時折萩村に声をかけ、萩村がそれに答えを返す、静かなる日常。
多忙に追われて愚痴を言い合いながら、それでも二人で頑張っていく、そんな未来。
そこには他に誰も居ない。天草、七条は勿論、現れるかもしれない新入生の役員さえも。
来年以降、津田と自分以外の誰かがこの生徒会室に出入りする様が、どうしても想像出来ない。
津田と自分以外の誰かが、二人の間に割って入る様を、どうしても考えたくない。
「二人だけ」で居るその想像上の萩村と津田は、それでも楽しそうに笑っている。
あぁ、とようやく萩村は腑に落ちた。
ただの友達? 弟のような存在? とんでもない話である。
彼は、一緒に居るのが嬉しい存在だが、それだけではない。彼は、「二人っきりで」一緒にいるのが嬉しい存在。
自分の独占欲の中心に、彼の存在がいつの間にか滑り込んできていた。
524 ◆ZAtwiNsO4g :2011/04/25(月) 00:48:26.73 ID:5hzQ+Edh
そんな人間を、世間一般では何という。

「……萩村?」

萩村は立ち上がり、耳まで真っ赤になりながら、津田の隣の椅子さえも通り過ぎて、椅子に座る津田を至近距離から睨みつけるように見つめる。
萩村は、すぐに行動に出た。
机の上に置かれていた彼の腕を高く掲げ、己の身体をその腕の内側に滑り込ませる。

「うわ、ちょ、え」

津田が慌てたような声を上げながら、椅子の上で盆踊りを行なう。
暴れる彼の腕を押さえ込んで、萩村は津田の膝の上に腰掛けて、津田の腕を自分の胴に回して、全身を押し付けた。

「は、萩、村……? 何を」
「…………」

津田の上ずった声に返事をせず、萩村は津田の腕の感触を享受していた。
堅い、男の腕だった。自分の身体に巻き付けていると、今日までの苛立ちの全てに理由があった事が理解出来た。
恥ずかしさは勿論あったが、今更取り返しはつかない。
ずっと。天草や七条の卒業を意識して以来、ずっと萩村はこうしたかったのだ。
津田を独占して、彼と二人で、こうして触れ合ってみたかった。
異性との触れ合いを意識して、胸を躍らせたかった。

「ねぇ、津田」

振り返ると、目と鼻の先に津田の狼狽した顔がある。
彼の頬に淡い朱色が差している。自分の顔とどっちが熱いだろうか。くっつけ合って試してみるのも、良いかもしれない。
萩村はゆっくりと顔を近づけていく。
津田は未だに呆気にとられた顔のままだが、拒絶の意志は見て取れない。

「津田……タカ、トシ……」
「…………」

津田タカトシは何も言わない。目を白黒させたまま、多分未だに状況が良く分かっていない。
後に何があるかは、まだ分からない。嫌われるかも、罵倒されるかも、叩かれるかもしれない。
けれど今ならば、全てが叶う。ならいっそ。このまま……いっそ。
萩村の心の最後のタガが外れた、丁度その時。

「あぁ、この部屋はあったか……ぃ……」

ガチャリ、と言う金属の音。ドアノブの、回る音だった。
525 ◆ZAtwiNsO4g :2011/04/25(月) 00:49:03.63 ID:5hzQ+Edh
生徒会室の温かくて、一部だけちょっと熱くなった空気に、冬の廊下の寒々しい冷風が舞い込んでくる。
その風に長い黒髪を遊ばせる人影が、生徒会室の中に飛び込んできた。
振り返らなくても声で分かる。入って来たのは天草シノ。
萩村の判断は素早かった。即座に津田に額をくっつけて、低い声で唸り始める。

「うーん、熱はないみたいね」
「……………………」
「あ、会長、どうも」

萩村は振り返り、未だに惚けている津田の膝から降り立って丁寧に頭を下げた。
天草は目を点にして口を間抜けに開きながら、津田と萩村の間で視線を往復させた。

「……なぁ、萩村。今」
「津田が熱っぽかったようなので。
 ほら、現に今もボーッとしてるでしょう?」

萩村の言う通り、津田はまだ少し惚けている。
顔も紅潮しているし、今この瞬間からこの場面を見たら、きっと天草も津田の体調を気遣うだろう。
だが。

「明らかに、抱き合って」
「津田が辛そうなんで、立たせるのも可哀想だと思いまして。
 私の身長だとああしないと頭が届かないんです」

萩村は振り返って、津田を見る。我に返った津田に、萩村は鋭い視線をぶつける。
天草から見えない、ギリギリの角度を計算して、だ。無駄に頭脳を使う萩村であった。

「そうよね、津田ぁ!」
「え? え? ……あ、あぁ」

津田は曖昧に答える。
天草は未だに信じられないと言いたげに額に皺を寄せていたが、やがて諦めたように嘆息。

「……分かった、信じる事にしよう。
 ところで、書類の整理は終わったかな?」

そう言って机の上に残っている、まだ半分しか片付いていない書類の束を見て、天草は静かに目を瞑る。

「あまり進んでないようだが」
「津田がこんなんですし、実は私もそれ程体調は良くなくて。
 季節の変わり目で、風邪も流行ってますしね」

コホンコホン、とこれ見よがしに咳をして見せる萩村。
526 ◆ZAtwiNsO4g :2011/04/25(月) 00:50:02.38 ID:5hzQ+Edh
これには天草は疑う余地を挟まずに、そのままの意味で受け取り、手にしていた鞄を机の上に置いた。

「どれ、私も手伝うとするか……」
「いえ会長。それには及びません」

今しがた置かれた鞄を差し出して、萩村は胸を張った。

「これは私達が処理すべき仕事です。
 会長達は受験勉強でお疲れのようですし、今日はお帰りになった方が良いかと」
「いや、しかしなぁ……」

天草は顔を顰めて、チラチラと萩村の顔色を窺う顔の赤い津田と、身体から苛立ちの空気を醸し出す萩村を見て、閉口した。
何となく、萩村の声色に刺が交じっているのに気がついていた天草は、萩村から鞄を受け取って、もう一度机に置いた。

「今日は私も手伝う事にしよう。
 今後も、出来るだけ様子を見に来るようにする」
「いえ、そんな。先輩に悪いです」
「なに、良い気分転換になるさ。勉強ばかりでは流石に疲れるしな」

互いに困ったような笑顔を浮かべている天草と萩村を見て、津田は少しだけ背中に冷たい物を感じた。
しかしそれはほんの一瞬の出来事。
寒気はすぐに収まり、天草は自分の席で書類整理を始め、萩村は津田の隣に腰掛けて、予算の会計を始める。
……どうやら続きは、来年の春以降になりそうだ。
萩村は悔しい気持ちを抑えつけるように、残っていた牛乳パックの中身を一気に吸い上げた。
527 ◆ZAtwiNsO4g :2011/04/25(月) 00:50:46.95 ID:5hzQ+Edh
終了です。お目汚し失礼致しました。
528名無しさん@ピンキー:2011/04/25(月) 01:02:23.97 ID:S1hbwEUU
ワッフルワッフル
529名無しさん@ピンキー:2011/04/25(月) 01:11:53.42 ID:Yf23sChH
GJ!
530名無しさん@ピンキー:2011/04/25(月) 07:13:45.64 ID:+2f1+mva
ワッフルワッフル
531名無しさん@ピンキー:2011/04/25(月) 08:40:08.65 ID:tbqzDPkP
GJ!
続きが見てえなー
スズたんちゅっちゅ
532名無しさん@ピンキー:2011/04/27(水) 14:07:09.37 ID:NEVe2TRh
相変わらずいい仕事なさる
533名無しさん@ピンキー:2011/04/29(金) 01:31:21.04 ID:6CPoun6g
>>527
GJ!
スズかわいいな
534名無しさん@ピンキー:2011/05/02(月) 03:05:23.01 ID:vQ6jjTHP
コトミ「確かに、タカ兄も縞パン好きだし」
でどん引きはしたもののそれから着用する下着は無意識に縞模様が多くなっていくカエデ
とかだったら胸熱
535名無しさん@ピンキー:2011/05/04(水) 22:43:57.24 ID:niZhlJjk
「仲良し兄妹」と「異性が苦手な風紀委員」が偶然街中で出会う→オチが縞パンどん引き
氏家方程式の凄さを改めて思い知るな
536名無しさん@ピンキー:2011/05/10(火) 10:46:24.64 ID:E2vqzXp8
ゴールデンウィークとは何だったのか
537名無しさん@ピンキー:2011/05/12(木) 12:00:37.91 ID:T/F/aCfr
レッドウィーク
538名無しさん@ピンキー:2011/05/14(土) 16:38:30.93 ID:Ivtc+Nsr
つまりアノ日か

シノが重くなる日か
539名無しさん@ピンキー:2011/05/15(日) 21:24:22.29 ID:op5ZAKDg
スズはまだ来てないから大丈夫
540名無しさん@ピンキー:2011/05/15(日) 23:44:49.03 ID:oe8ZbmBo
「こんな身体でも来とるわ!」
だそうです
541名無しさん@ピンキー:2011/05/16(月) 01:18:36.42 ID:lHgAdfpn
まあ津田が止めるんだけどね
542名無しさん@ピンキー:2011/05/18(水) 19:34:21.84 ID:nNpLYTBI
シノ「>>539

スズ「すみません会長、来てないではなく……その、来なくなりました……///」


シノ「なん……だと……」



タカ「(入れなくなった……)」
543名無しさん@ピンキー:2011/05/19(木) 19:16:33.14 ID:vHJL3Cfi
スズの体格ならまず帝王切開だな
544名無しさん@ピンキー:2011/05/21(土) 00:06:16.76 ID:DpAx17dx
ウオミーのエロ可愛いSS読みたい
545名無しさん@ピンキー:2011/05/27(金) 21:58:04.79 ID:tQQR8jgw
テスト
546名無しさん@ピンキー:2011/06/01(水) 03:56:47.09 ID:NJZKReeS
アリアはパンツを持ってるのだろうか
547名無しさん@ピンキー:2011/06/03(金) 21:58:21.49 ID:r3JsNXMu
ムツミがタンポン派だったら泣けるな。何故か・・・
548ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2011/06/05(日) 00:04:15.81 ID:/+SnaMen
お疲れ様です。
仕事があまりに忙しくて投下がなかなか出来ませんが、6月中には何とか一本をと考えとります。
549名無しさん@ピンキー:2011/06/09(木) 00:15:29.99 ID:djNlh9+u
今週のタカは寝てるスズを抱えてどまで行ったんだろう

と考えたら、妄想と胸が膨らむな
あ、会長。貴女の胸は関係ないっす。
550名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/10(金) 09:19:52.48 ID:Kp1ikVpr
今日はトッキーの記念日
551名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/10(金) 15:17:12.22 ID:6dw8H4lq
>>548
あんたも相当居残ってるなここに
もう何年目だよ
552名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/10(金) 20:56:31.67 ID:lRnJ7Ff1
俺も読むだけなら初代スレ誕生の時からいるんだけどなあ
553名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/11(土) 01:20:04.93 ID:Jc+dD1hZ
>>552
初代っていつ頃なんだ?
俺は何時間かはおぼえてないけど、6年くらい前から見てたな……
554名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/11(土) 16:17:04.01 ID:DgUzMSle
ウオミーが可愛すぎて生きるのが辛い
555名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/11(土) 22:12:14.26 ID:0oqA+hEg
初代スレは2004年か
結構歴史あんのね、このスレ
556名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/11(土) 23:41:42.69 ID:bzpeOGOW
そろそろウオミーのSSが投下されてもいいはず
557名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/12(日) 00:01:56.15 ID:9HI3lweX
俺の部屋にウオミーが投下されるのはいつなんだ
558名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/12(日) 01:40:47.07 ID:tQsUcspZ
再来年のクリスマスまで待て
559名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/19(日) 22:16:56.89 ID:z67vE04O
保全
560名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/20(月) 17:08:31.99 ID:qV+kXJoN
めっきり減ったねえ
561 忍法帖【Lv=2,xxxP】 :2011/06/24(金) 19:53:37.75 ID:PKae/hn3
注意:レベルが低いんでかなりブツ切りになります



「「「「…………」」」」



現在、ここ桜才学園生徒会室は、重苦しい空気に満ちていた。
「…………」
腕を組み、無言で見下ろしてくる、我が桜才学園生徒会長・天草シノ。
「あらあら、うふふ♪」
笑顔で青筋を立てている、生徒会書記・七条アリア。
「ブツブツブツブツ…」
俯き加減で何やらブツブツ呟いている、会計・萩村スズ。
「…(うるうるうる)」
手を胸元で合わせ、涙目になって見つめている、柔道部部長・三葉ムツミ。
「…(ニヤニヤ)」
何が面白いのか、ニヤニヤしながら成り行きを見守っている、一年無所属・津田コトミ。
「…(プルプルプルプル)」
そして、そんな彼女達の前で、床に正座している俺こと、津田タカトシ。



「さて、申し開きはあるか?……津田」



抑揚のない、平坦な声色。普段も(下ネタ以外のときは)それに近いが、今は輪をかいて冷たい。
「ねぇ津田君♪あなたを取り巻く状況もわかるし、溢れるリビドーに抵抗できないという年齢なのもわかるわ…でも、さすがにこれはないんじゃないかしら♪」
笑顔で俺を覗き込む七条先輩。だが、妙なプレッシャーを発しているようにも感じられる。背後に黒いオーラが見えたのは気のせいだと思いたい。
562 忍法帖【Lv=2,xxxP】 :2011/06/24(金) 19:54:39.22 ID:PKae/hn3
「津田のバカ津田のバカ私だけって言ったのに私だけって言ったのにブツブツ…」
黒いオーラといえばこちらも負けてない。虹彩のなくなった目で先ほどからしきりに何かを呟いている萩村。怖い。
「津田君…」
三葉、頼むからそんな目で見ないでくれ。いや、言いたいことは解る。解るんだが…スマン!
「いや〜、タカ兄にこんな甲斐性があったなんて知らなかったよ〜♪」
笑ってないで助けろコトミ!っていうかなぜいる!?



「で、どう責任を取るつもりだ?」



皆の放つプレッシャーで胃が痛い。ホント、何でこんなことになったんだろう…



こと始まりは、下校中、コトミが暴漢に襲われたことだった。
津田家から学校まで徒歩10分。基本的に商店街や住宅街を通るのだが、一箇所だけ、日が落ちると同時に人気のなくなる公園がある。コトミが襲われたのはそんな場所だった。
その時は、たまたま俺と一緒に帰っていた三葉が、その柔道の腕を奮い、事なきを得た。
「津田君、ちゃんとコトミちゃんを守ってあげなくちゃダメだよ?お兄ちゃんなんだからね!」
「ああ、そうだな。大丈夫か?コトミ?」
「う、うん。ありがとう、タカ兄、三葉先輩」
「なんのなんの!これくらいお安い御用だよ!」
力こぶを作る三葉がこの上なく頼もしかった。
それ以降、下校時刻が遅くなる日は、コトミは俺と一緒に帰るようになった。
まあそれはいい。
問題はその数日後、今度は三葉が襲われた。
563 忍法帖【Lv=2,xxxP】 :2011/06/24(金) 19:55:41.90 ID:PKae/hn3
たまたま三葉の家の方に用事があった俺は、三葉の叫び声を聞いて即駆け出した
俺が駆けつけたときには、三葉は5人がかりで手足を封じられ、制服を破かれ、犯される寸前といったところだった。
頭に血が上った俺は深く考えるまでもなく特攻。まあ多勢に無勢で返り討ちにはされたが、奴等が再び三葉に目を向ける頃には、呼んでおいた警察が到着、バカ共はその場で御用となった。
「タカトシ君!しっかりしてタカトシ君!」
「み、三葉…ケガはないか?」
「私よりもタカトシ君が…!!」
「三葉には、コトミを守ってくれた恩があるからな…借りを返しただけだよ…」
「タカトシ君!!」
その後は気絶してしまったのでよくは覚えていない。目が覚めたら自宅のベッドの上だった。
後で話を聞くと、つかまった5人は元から素行不良で、カツアゲやら万引きやら相当のワルだったらしい。
「身を呈して女の子を助けるだなんて、タカ兄もやるね!」
「たまたま気付けただけだよ。でも、間に合って本当によかった」

さて、ここで話が終われば、他愛もない青春の1ページということでカタがついたのだろうが、問題はその後に起こった。

「ねえタカトシ君。ちょっと相談があるんだけど…」
「ん?」
普段使われていない教室。三葉に呼び出された俺は、最近になって発生した彼女の癖について相談されていた。
「男性恐怖症?」
「うん…」
どうもこの間の一件が後を引いているらしく、男の前に立つと無意識に緊張してしまうらしい。
「それって五十嵐先輩のような?」
「あそこまで酷くはないと思うんだけど…だんだん悪化しているような気がするの」
最初は少し緊張する程度だったが、今では指も触れなくなってきているという。
「私、どうしたらいいのかな?」
564 忍法帖【Lv=2,xxxP】 :2011/06/24(金) 19:56:48.50 ID:PKae/hn3
「う〜ん…」
まさか、三葉からこんなデリケートな相談をされるとは思っても見なかった。
いや、彼女が大雑把だと言っているわけではないのだが。
「あれ?じゃあ今もひょっとして?」
「ううん。タカトシ君だけは別だよ?何でか知らないけど…ほら」
そう言って手を握られる。
「何で?」
「さあ?」
…まあいいや。
「ちょっとまってて。コトミを呼んでみるから」
「コトミちゃん?」
「あいつも軽く男性恐怖症になっていたからな。どうやって克服したのかアドバイスが出来るかと思ってさ」
「ああ、そういえばそうだったね」
嫌な思い出を蒸し返すようで気が引けるが、友人が本当に悩んでいるのだ。肌の一枚や二枚、強制的に脱がせてもバチはあたらないだろう。
「な〜に〜?タカ兄?」
コトミを呼び出して軽く説明。
「あ〜あれね〜。うん。気持ちはわかりますよ」
しきりに頷く。
「どうすればいいかな?」
「まあ手はあるにはあるんだけど…」
言葉を切って俺を見るコトミ?ナゼミディルンディス?
「三葉先輩。ちょっと」
教室の隅っこに三葉を引っ張っていく。
小声であーだこーだやっていると、結論が出たのかコトミはイイ顔で、三葉は顔を少し赤くして戻ってきた。
「タカ兄。三葉先輩は本当に困ってるんだよね?」
「ああ」
「タカ兄は先輩を助けたいんだよね?」
565 忍法帖【Lv=2,xxxP】 :2011/06/24(金) 19:58:14.90 ID:PKae/hn3
「ああ」
「そのためなら、タカ兄はなんでもできるよね?」
「勿論だ。三葉、俺に出来ることなら何でも言ってくれ」
「あ…ありがとう…タカトシ君…」
途端に真っ赤になる三葉。なぜ?
「ふっふっふ。その言葉が聞きたかった。タカ兄、手っ取り早く治す方法があるんだけど、試してみる?」
「ああ。俺にも出来ることがあるならな」
「じゃあ簡単だね」
そして、コトミは満面の笑顔で、とんでもない事を口にした。



「タカ兄と先輩がエッチすればいいんだよ♪」



( ゚д゚)…

(゚д゚)
566 忍法帖【Lv=2,xxxP】 :2011/06/24(金) 19:59:49.53 ID:PKae/hn3
以上、終わり
唐突にハーレムものが書きたくなったので書きなぐってみた
567名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/24(金) 23:15:49.79 ID:jkzjSkV/
ムツミかわいいよムツミ
568名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/25(土) 00:48:04.81 ID:UBLCqjVS
津田こっちみんな

そして何故いるオンドゥルw
569名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/25(土) 01:37:24.68 ID:6DeeHLV7
タカトシこっちみんなwwww

乙!
570名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/25(土) 06:07:05.04 ID:vWwWC0vj
>>566
期待してる
571名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/28(火) 19:08:59.76 ID:wnuF4oaZ
乙です。
久々の投下はうれしい。
572名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/30(木) 00:11:29.13 ID:nwxuWRJH
今週は休みか……

あれ?休載とか珍しい方だよね?
これは何かあるのか……いやまさか
573名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/30(木) 01:46:10.00 ID:3XbXy12F
生理休暇だよ
574名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/30(木) 08:36:29.74 ID:nwxuWRJH
なるほど……(筆が)重い日か
575名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/30(木) 14:40:36.19 ID:rqbmRckr
連載当時は小学5年生だったト全ちゃんだから
そりゃ生理もきますわな
576ピンキリ@携帯:2011/07/03(日) 02:31:36.87 ID:BoENZ8yq
規制中で6月中に投下できませんでした。
話そのものは出来てるので、また規制解除されたら投下します。
577名無しさん@ピンキー:2011/07/03(日) 15:00:54.99 ID:I+g9ANNW
どんまい
578名無しさん@ピンキー:2011/07/05(火) 19:09:05.20 ID:x6UEky7S
ピンキリ氏、いつでもお待ちしております。
579名無しさん@ピンキー:2011/07/05(火) 23:32:27.06 ID:FmKi7fuh
トッキーはコトミの嫁
580名無しさん@ピンキー:2011/07/05(火) 23:55:04.10 ID:8fbmHonN
>>579
逆だろJK
いやどっちでもおいしいんだけど
581名無しさん@ピンキー:2011/07/06(水) 00:19:19.05 ID:MjKkdufx
これがコトトキ派とトキコト派の内紛の始まりである
582名無しさん@ピンキー:2011/07/06(水) 16:23:34.24 ID:4OtpbejG
だがそこに現れるコトスズ(後輩攻め)派が乱入
583名無しさん@ピンキー:2011/07/07(木) 00:23:38.10 ID:8Q8eOrwD
ごく一部ではコトッキーと言われてたり言われてなかったりするらしい
584名無しさん@ピンキー:2011/07/08(金) 03:09:02.26 ID:1wxXsVof
タカトシの容姿と性格なら女子生徒の大半から好意を持たれてる
って状況は無くもないんだよな
タカトシがその気になればハーレムも有り得る訳で
下手すりゃ某グループ会長?みたいに365人愛人状態になったりして
585名無しさん@ピンキー:2011/07/08(金) 13:34:48.98 ID:m45eEcUS
ウオミーは淫乱
586名無しさん@ピンキー:2011/07/08(金) 14:45:51.55 ID:RoWRvxpi
ウオミーの孕みー?
587名無しさん@ピンキー:2011/07/10(日) 00:52:21.48 ID:r/eXEeM6
ウオミーレイプミー
588名無しさん@ピンキー:2011/07/10(日) 02:18:40.97 ID:4my8Clwh
ギブミーチョコレート?
589名無しさん@ピンキー:2011/07/10(日) 15:37:28.36 ID:jYYy03Io
ジェネラルマッカーサー?
590名無しさん@ピンキー:2011/07/10(日) 17:20:00.70 ID:bhhehK31
アイワズゲイ
591名無しさん@ピンキー:2011/07/13(水) 21:29:47.54 ID:CU/y1Qto
ここの投下は最初にカップリング明記してた方がいいの?
そういうのに厳しいスレもあるからさ…
592名無しさん@ピンキー:2011/07/14(木) 04:30:55.28 ID:6wa6C+4e
それが無難なんじゃあないの
593名無しさん@ピンキー:2011/07/14(木) 09:15:25.89 ID:gqN5LYVP
>>591
絶対ってわけじゃないんだけど
カップリング以外にもNTRやらレイプ、凌辱等読む側によっては苦手な人が多そうなジャンルの場合も最初に一言あると助かる


後は>>4-5あたりを参考にしてくれタマえ。
594名無しさん@ピンキー:2011/07/19(火) 18:23:09.60 ID:nP0DspRq
まあ文句言われたくなかったらやって然るべきじゃないかな
文句言われたいならその場合ではないけど
595名無しさん@ピンキー:2011/07/19(火) 20:24:25.86 ID:NSLWeRmG
期待あげぽ
596名無しさん@ピンキー:2011/07/20(水) 22:11:03.86 ID:E3m3TPww
今週号のおかげで妄想が止まらない、氏家狙ってやがるなwww
597ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2011/07/21(木) 22:36:28.57 ID:UZci6wAl
お疲れ様です。
生徒会役員共で、直接エロ無しの下ネタ会話あり。
規制に巻き込まれたおかげで投下時期を逃しました。
タイトルは……思いつかないので無題で。

では投下。
598ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2011/07/21(木) 22:39:23.04 ID:UZci6wAl
 人には向き・不向きがある。
「人間皆平等」なんてのは人権上の思想であって、能力上の概念ではない。
絶対的な能力の限界、というものは確実にある。
無論、本人の努力や指導者の手腕によっては、その限界を超えるとまではいかなくとも、
ギリギリいっぱいまで発揮することも可能で、その結果、「向いてない人間」が「向いている人間」を負かすことだってある。
だがしかし、本来備えている「器の大きさ」を根本的に覆すのは、相当に困難なことであるのだ。


「無事、高総体も終わりましたね」
「ああ、参加した皆に大きな怪我がなくて何よりだった」
 窓から差し込む夕陽の光が、会話する二人の半身に落ち、くっきりとした明と暗を浮かび上がらせる。
場所は私立桜才学園高等部の生徒会室、
言葉を交わしているのは生徒会会長の天草シノと、副会長の津田タカトシである。
「三葉が柔道で優勝しましたし、知り合いに活躍した者がいると何だか自分まで誇らしい気持ちになりますね」
「トッキーも頑張って優勝したな。彼女もたいしたものだ」
 二人の手元には、お茶の湯呑みがある。
その中には、温かい緑茶が注がれている。
書記の七条アリアが淹れたもので、茶葉も彼女が実家から持って逸品だ。
暑さも厳しい近頃であるが、気持ちを落ち着け、リラックスさせるには、冷たいお茶より温かいお茶の方が良い。
「ケーキ、切れました」
「お、すまんな萩村」
 そこに、会計の萩村スズが皿にケーキを乗せて持ってきた。
たっぷりとクリームが詰まったロールケーキで、先年に学校の側に出来たケーキ屋の売れ筋商品だ。
行事帰りとは言え、本来なら「学生の買い食いは禁止」なる校則があり、
家庭からの持ち込みや学校での料理講習以外では、こういったものは校内では食べられない(もっとも、学生の希望で食堂のメニューに一時的にケーキが並んだことはあった)。
だがこれは、生徒会顧問の横島ナルコが特別に「おごるわよ」と生徒会の為に買ってくれたものであるので、校則の適用外である。
まあ、高総体で桜才の生徒達がそれなりに活躍もしたので、ささやかな祝賀会という扱いにしておけば良い話ではあった。
「横島先生の分は?」
「大丈夫、ちゃんととってあるわ」
 アリアが、スズと自分の分のお茶を持ってやってきた。
「紅茶じゃなくてごめんね、シノちゃん」
「何、きらしているのなら仕方がない。それに、ケーキと緑茶が合わないわけではないしな」
 シノ、タカトシ、アリア、スズが、それぞれのポジションにつく。
テーブルに対し、どの位置に座るかは、自然と決まっている。
ホワイトボードの前、所謂上座的な場所にシノ、
その右側にタカトシ、タカトシの向こう側にスズ、シノの左側にアリア、となる。
顧問の横島ナルコが座る場所は、こういうお茶会的な場合は大抵アリアの隣となる。
会議の際は、テーブルから離れて座ることが基本となっている。
ナルコ的には、「顧問として控えた位置に」という思いがあるのかもしれない。
ま、性格と所業は決して控えてたりしないわけだが。
599ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2011/07/21(木) 22:42:54.69 ID:UZci6wAl
「だが、皆の活躍を見ていると、なんだか私も滾ってくるな」
「敢えて聞きますが、ナニがですか」
 で、控えてないのはシノもまた同様である。
容姿端麗、学業優秀な彼女だが、言動が極端に「下方面」に偏りがちという欠点がある。
日頃の生徒会における些細な出来事でも、そちらに話題が行ってしまうのは、
彼女と、そして同じ欠点を抱えるアリアに因るところが大きい(無論、横島ナルコも)。
「決まっているだろう、血だ」
「ああ良かった、まともな答で」
 そして、それにツッコミという名の歯止めをかけるのは、タカトシとスズの仕事になっている。
ある意味、バランスの取れた生徒会と言えるかもしれない。
大幅なマイナスがギリギリなマイナスになる、程度の話ではあるが。
「シノちゃん、スポーツ得意だもんね」
「もし会長という立場でなければ、何かしらの運動部に所属していたかもしれないな」
 アリアが言ったように、シノはスポーツもよく出来る。
体育の授業では、時には運動部所属の生徒よりも良い成績を残すことがあるくらいだ。
「会長が運動部ですか……。何が一番あってますかね」
「剣道部とかどうですか? 桜才にはありませんけど」
 シノが剣道具をつけている姿を、タカトシとスズは想像した。
見た目は凛々しい彼女であるからして、かなり似合っているように二人には思える。
「剣道か……竿でビシバシと相手を叩くわけだな」
「間違ってませんけど間違ってますね、色々と」
「面にぶっかけて、そして思い切り突くわけだね」
「七条先輩も間違ってます」
 台無しである。
だが、これが、これこそが生徒会の日常。
タカトシとスズも、いい加減さすがに慣れた。
と言うか、慣れないとやってられない。
「柔道はどうですか? 実際、以前に助っ人として出たこともあるわけですし」
 スズが流れを断ち切るように、別の種目を挙げた。
出来るだけシノやアリアに話を引っ張らせないのが、下方面の二人のトークを遮るコツである。
「そうだな、寝技でこう、スーンっと」
「四十八手だね、シノちゃん」
「全国の柔道愛好家に謝って下さい」
 いつぞやも同じツッコミしたなー、とタカトシは思った。
コツを使っても、常に下トークをぶった切れるわけではない。
「だがしかし、トッキーはよく優勝出来たな。ドジっ娘なのに」
「本番に強いんでしょう。もともと空手も強いし、格闘技に対して素質があるんじゃないですか?」
 三葉ムツミはもともと今総体の有力選手であった。
何せ、自ら柔道部を立ち上げ、ほとんど素人同然の面子を率いながらインターハイに進出させてしまうくらいの猛者である。
一方のトッキーは半ば無理矢理部に加入させられ、それほど時間も経っていない。
いくら空手というベースがあるとはいえ、それでもいきなり優勝したのだから、彼女の持つポテンシャルの高さが伺い知れる。
「成る程、本番に強い……か」
「じゃあいざという時は一発着床オッケーだね」
「彼女がこの場にいたら怒りますよ」
 まあ、一見コワモテで不良っぽいが、進学校とされる桜才に合格し、
補習にもちゃんと出て、部活動や行事にもしっかりと参加している彼女である。
何だかんだで、根は素直で真面目なのだ。
600ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2011/07/21(木) 22:46:02.73 ID:UZci6wAl
「球技はどうですか?」
「球技というと、バレーボールやバスケットボール、ソフトボールやハンドボールか」
 はむ、とケーキをフォークで口に運びながら、スズの問いにシノは答えた。
いささか行儀が悪いが、これも、気を許せる仲間の前だから見せられる姿であろう。
「私は女だからな。タマの扱いにはあまり慣れていないんだが」
「そういう意味じゃねーんですよ」
「大丈夫よシノちゃん、どんな球技でも球を二つ使うスポーツは無いわ。一つだけなら女でもどうにかなると思うの」
「どういう理屈ですか」
「大きい球よりも小さい球の方がいいわよね。だって私達、常日頃からが弄くっているもの。小さい豆のような―――」
「はいストップして下さーい」
 ツッコミつつ、タカトシとスズは思った。
バレーにしてもバスケにしても、ソフトボールにしても、どのような球技のユニフォームでも、シノはそれなりに似合う気がする、と。
本人は少し残念だろうが、スレンダーな彼女には、どんなユニフォームでも合うっちゃ合うのだ。
一方、アリアはそうではない。
立派に女性として発達した身体の彼女だと、何だか卑猥に思えてしまう。
コスプレ的な意味で。
「サッカーとかどうですか?」
「サッカーか……。小学校の頃、男子に混じってやったことはある。まあさっき言ったように、慣れてるわけじゃないが」
「へえ」
「お前はずっと前に張り付いとけ、と言われたな。ゴールネットに向けて蹴ってればいい、とも言われた」
「……成る程」
 タカトシはサッカーの経験がある。
だから、シノが男子連にそう言われたことの真意がわかる。
子供のサッカーにおいては、誰もがフォワードでストライカーになりたがる。
キャ○テン翼や黄金の中盤世代の印象が強いから、皆がMFをやりたがるというのは、実は嘘である。
「ゴールを決めるのが一番カッコイイ」という子供の思考は基本、絶対なのだ(サッカーの本場たる欧州や南米では違うかもしれないが)。
その中で、男子から「前に居とけ」と言われたということは、それだけシノが「出来るヤツ」だったという証明であるのだ。
「さすがですね、会長」
「な、何だ津田。真顔で」
「いや、御立派です」
「そ、そ、それは嫌味か? 皮肉か? わ、私の胸はそれ程」
「そーいう意味で言ってねーです」
 ロールケーキの味が、タカトシにはがよくわからない。
美味いんだろうけど美味いのかな、という感じだ。
味覚にも影響を与えるシノのエロトーク、恐るべし。
それとも、タカトシの精神力が未だに未熟なのか。
「陸上競技はどうですか」
 スズがまた目先を変える。
先程からシノやアリアを遮っているようだが、やや口調が単調なのは、もしかしたら眠たいのかもしれない。
女性としての証が毎月来ているスズも、午睡を必要とするくらいに身体そのものは幼い。
本人には不満もあろうが、生理的な欲求には逆らえない。
601ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2011/07/21(木) 22:49:49.99 ID:UZci6wAl
「短距離よりかは長距離の方が良いな」
「どうしてですか」
「すぐにイクとはしたない女と思われるかもしれないだろう」
「何の話ですか」
「あ、だが短い期間で連続にイクというのもそれはそれで」
「ありだよね、シノちゃん」
「ねーよ」
 ツッコミながらタカトシは思った。
ここに横島ナルコと、妹の津田コトミがいなくて良かったと。
ナルコは高総体に参加した生徒の引率という立場でもあったので、現在校長に総体での結果を報告中。
自分で買ってきたケーキを食べられないのはさぞかし残念であろう(生徒会役員共は揃って良い子?ばかりだから、彼女の分まで食べないが)。
コトミはトッキーと一緒に帰っていった。
「トッキーの最後の技はまるで、満足に動かない右足の為に左足が秘めたる力を解放して―――」とかナントカ言いながら。
 横島ナルコもコトミも、かなりの下ネタファイターであるからして、
シノとアリアに絡むとさらに倍率ドンになり、タカトシとスズにかかる負担が増えてしまう。
「弓道とか」
「的のど真ん中を射抜くわけだな。ドピュッと」
「新体操」
「リボンにクラブに広い床、様々な表現が出来そうだ」
「ボート競技」
「カクわけか、一所懸命」
「バドミントン」
「羽根はもうつけているぞ」
「水泳……」
「ビショビショだな!」
 どないせえっちゅうねん。
タカトシは天を仰いだ。
頼みのスズは、すでにうつらうつらしている。
アリアは「うふふふふ」と微笑みを浮かべており、本格的にスイッチが入る直前といった感じである。


「……会長はスポーツに向いてないのかもしれませんね」
 タカトシは溜め息をつきつつ、言った。
こうなったら、多少強引でも、話を終息させねばならない。
もう少しすると横島ナルコが戻ってくる。
スズが半ば離脱した状況の今では、そうなると待っているのは三人の暴走のみである。
「何? そんな話はしていないぞ、君のアレが左向きか右向きかなんて」
「そーいうこと言ってんじゃねーんだよ」
「じゃああれね、スポーツするより剥いて弄って発散を」
「そーいう話でもねーんですよ」
 人には、向き不向きがあるものだ。
果たして、自分はツッコミに向いているのだろうか。
「人は剥いてしまえば、誰だって裸だー」
「裸だったらやることは一つね、シノちゃん」
「だが半剥きという状態も良いものだと思わないか、アリア」
「うんうん、どんなユニフォームでも、半脱ぎはそそるよね」
 自分の方にもたれかかってくる、小さく寝息をたてているスズをそっと手で支えつつ、タカトシは思った。
例え向いていたとしても、ツッコミで優劣つけるスポーツなんて世界の何処にも無いよな―――と。



 F  I  N
602ピンキリ ◆UsBfe3iKus :2011/07/21(木) 22:51:42.33 ID:UZci6wAl
以上です。
生徒会の再度のOAD化は嬉しいニュースでした。

ではまた
603名無しさん@ピンキー:2011/07/21(木) 23:44:34.62 ID:u8GXfLic
乙です
 
シノ「津田、どうだったか?スッキリしたか?」
タカトシ「何の事ですか?会長」
シノ「ナニって、今年の今日は……」
 
分かる人だけ分かって下さい
604名無しさん@ピンキー:2011/07/22(金) 00:22:41.80 ID:dcTaDyIj
>>603
おしいなー
今日が終わっちゃったよ

>>602
乙です!
生徒会OAD化…
と言うことは二期は無しか…orz
605名無しさん@ピンキー:2011/07/22(金) 06:11:46.62 ID:bwBWiP1e
乙です。
606名無しさん@ピンキー:2011/07/22(金) 07:48:36.20 ID:moVjpQA+
乙!
607名無しさん@ピンキー:2011/07/23(土) 00:17:45.50 ID:sBV8Kk8j
短いのを一つ書き終えたので勢いで投下
タカトシ×スズ
単行本4巻119ページの続きと思ってください
そんなにエロくないです
608ピロートーク:1:2011/07/23(土) 00:20:20.84 ID:sBV8Kk8j
「そういえばさ…昼に会長が言ってた『使える穴が二つ』って何だろ?」
「ん?何の話?」
「いや、4Pがどうのって七条先輩が言った後に言ってたじゃん。一つはまぁ…わかるとして、もう一つって?」
「そうね…『やおい穴』じゃないの?」
「何その『やおい穴』って」
「腐女子の人たちがネタで使ってんのよ。男の人のココに穴があるって」
「うわっ!変なとこ触るなよ」
「なーにビクッとしてんのよ…ってなんで大きくなってんのよ!」
「しょうがないだろ、萩村が変なところ触るから…」
「もう2回もしたのに元気ねぇ(呆」
「そりゃ相手が萩村だからね」
「…///」
「で…こうなると男としてはつらいワケなんだけど…」
「またぁ?もう時間無いわよ」
「そこを何とか!」
「…いいわよ、ただし一つ質問に答えてくれたらね」
「え、なに?」
「昼に畑さんが言ってたわよね…『津田副会長は何気に女子に人気ありますよ』って」
「え、あ、いやそれは畑さんが勝手に…」
「ホントでしょうね?たとえば五十嵐さんとか…」
「あの人は男性恐怖症じゃん。近づいてもいないって」
「じゃあ、三葉さんとかどうなの?」
「いや、三葉はただのクラスメイトだって!柔道部作る時にちょっと協力したりとかはあったけど…」
「ホントに?向こうはそうは思ってないかもしれないわよ」

「…(ガバッ」
「きゃ…んもー何よ急に上になって…」
「いくら女の子に人気があっても、俺が好きなのは萩村だけだよ」
「っ……そういうこと言うから心配だっての…」
「ん?何か言った?」
「な、何でもないわよ…あと、そういうこと言うときは下の名前で呼んでよね…」
「わかった。好きだよ、スズ」
「…なんでそう不意打ちするかな…」
「顔真っ赤だよ、萩村」
「う、うるさいわよ!ほら、時間無いんだからさっさと済ませるわよ」
609ピロートーク:2:2011/07/23(土) 00:22:23.85 ID:sBV8Kk8j
「早くしなさいよ津田、休憩時間が終わっちゃうわよ」
「ちょっと待って…靴下が見当たらなくて…てあったあった」
「ほら、もうチェックアウトしないと延長料金取られるわよ」
「わかったよ、お待たせ」
「あ、津田…ちょっとベッドに座ってくれる?」
「え…何?時間無いんじゃ」

Chu…

「…え?」
「会長が言ってた『使える穴』のもう一つは…口よ、きっと」
「…あぁ…なるほど、さすが萩村」
「アンタの場合は口から出る言葉を使って会長とかたぶらかしそうだけど」
「だからそんなことしないって」
「もちろん、私もさせないわ…タカトシ」
「え、あ…萩む」
「さぁ、もう行くわよ!」

〜完〜
610名無しさん@ピンキー:2011/07/23(土) 00:25:47.40 ID:sBV8Kk8j
以上です
初投稿ということもあり、お目汚し失礼しましたorz

津田くんは万人に丁寧な(時々突っ込み)対応をするけど、惚れた相手にはどんな態度を取るのかいまいち不明
デレるのか、天然ジゴロか、偉そうになるのか

というか今後それがわかる日が来るんだろうか…?
611名無しさん@ピンキー:2011/07/23(土) 08:27:35.00 ID:pGh4lDXY
>>610
gj
いーよいーよ。スズ可愛いよスズ
次の投下も待ってるよ!


確かにタカトシがどうなるかは想像つかないな……
612名無しさん@ピンキー:2011/07/25(月) 03:19:26.04 ID:vzzntbvZ
>>610
スズはタカトシと結ばれる以外に幸せになる姿が想像できないな
GJ!
613名無しさん@ピンキー:2011/07/30(土) 12:11:17.03 ID:Lv+dkSAY
アリアと堕落したセックスしたい
614名無しさん@ピンキー:2011/08/02(火) 15:48:36.92 ID:qk9vnmit
おっぱい揉みたい
615名無しさん@ピンキー:2011/08/05(金) 15:17:47.17 ID:WT9idt/z
凄く空気を読まないスレだが・・・wiki最近更新されてないね(´・ω・`)
じゃあオレがヤれってことかサーセン
616名無しさん@ピンキー:2011/08/11(木) 17:18:51.28 ID:SUMef76d
自分、ネットはエロサイト見ることしかできないんで……
617 忍法帖【Lv=2,xxxP】 :2011/08/16(火) 10:19:23.28 ID:csxIroxy
生徒会役員共小ネタ
カップリングなし
若干クロスオーバー注意
618 忍法帖【Lv=2,xxxP】 :2011/08/16(火) 10:20:32.99 ID:csxIroxy
「俺にだって好きな人くらいいますよ」
「「「は!?」」」



いつもの部屋、いつもの時間、いつものメンバーで仕事をしていた生徒会役員共。
今日も今日とて下ネタが乱舞していた。
さて、今日のお題は…
「時にアリア、いつかの見合いの話なんだが、あれ以降そのテの話題は上がらないのか?」
「う〜ん、特にないわね。あの時は出島さんのおかげで白紙になったんだけど、『今は結婚する気はありません』ってお父様に直談判したら、『そうか』で済まされたわ」
「そうなのか」
「よかったじゃないですか先輩」
「今時政略結婚なんてナンセンスです」
「ありがとう2人とも」
聞けば、本当に見合い程度で済ませるつもりだったらしく、元から交際や結婚などは考えていなかったそうだ。
七条先輩のお父さん曰く、『女子校に通っていて男性に免疫のないであろう娘を何とかしたかった』だけらしい。なんて人騒がせな。
「でもゴメンね津田君」
「何がですか?」
「折角彼氏役として練習してもらったのに、結局別方向から解決しちゃったし…」
「ああ。気にしないでください。穏便に解決したなら何よりじゃないですか」
出島さんのおかげで彼氏役の出番もなくなった。
まあ、もったいないと言えばもったいないが、俺程度が先輩に釣り合うとは正直思っていない。大体俺は…
「残念だったわね。あわよくば、そのまま七条先輩と付き合えたかもしれないのに」
「な、何言ってるんだよ!」
「もう津田君ったら♪性欲満載なんだから♪」
「それを言うなら下心だ。まあ男の下半身は節操無しというからな」
「うわぁ…」
「引かないでくれ萩村ー!」
619 忍法帖【Lv=1,xxxP】 :2011/08/16(火) 10:38:41.63 ID:csxIroxy
身体だけでなく、椅子ごと津田から遠ざかる萩村。まさかここで下ネタトークが来るとは思っていなかった。
「ハッハッハ!しかし結婚相手か…アリアは、どんな男と結婚したいと思う?」
「そうね…う〜ん…実は、これと言って特にこだわりはないのよね」
「そうなのか?」
「いずれは結婚したいとは思ってるのよ?ただ今は嫌だなってだけ」
「そうなんですか」
そもそも俺達はまだ高校生だ。法律上は、先輩はもう結婚できる年齢だが、高校生で夫婦になりたいなんていう人は少ないだろう(居ないとは言わないが)。
「強いて言うなら若い方がいいわね。ほら、夜の性活って重要でしょ?『性の不一致で離婚』なんて状況は避けたいのよね〜」
「そうだな。互いの性癖はちゃんと理解し合わなければ、夫婦性活は成り立たんだろう。重要なことだ」
さっきから『せいかつ』の『せい』の字が違うような気がするのは気のせいかね?
「シノちゃんはどんな人が好み?」
「そうだな…公私共々私を支えてくれる男性がいいな」
「あらあら。理想は高いわね〜?」
同感だった。会長は本当に何でも出来る。まあ欠点(すぐ下ネタに走る)もあるが、大抵のことをそつなくこなしてしまえるのだ。
その会長を公私にわたって補佐するのは、よほどの人間でなければ不可能だろう。俺には到底無理だな。
620 忍法帖【Lv=1,xxxP】 :2011/08/16(火) 10:40:59.98 ID:csxIroxy
「夫婦というのは互いに助け合わねばならん。そしてお互いを思いやらねばならない。そう、例え残業で疲たとしても、毎晩の性交渉を疎かにするような男は勘弁だな」
「そうね。大事なことよね?」
なぜこの二人は一々こんな言い回しをするのだろうか?下ネタを挟まなければ会話できない病にでもかかってるのか?
「なあ萩村、ちょっとジュース買いに行っていいかな?」
「却下。あんた暫く戻ってこない気でしょう?」
チッ!バレたか!
「萩村はどうだ?」
「ふぇっ!?」
突然話を振られてうろたえる萩村。
「スズちゃんはどんな男の人が好み?やっぱり小さい子が好きじゃないとダメなのかしら?」
「ロリコンは犯罪だ!いや、しかし萩村の場合はいいのか?」
「あらあら?ちゃんと入るの?」
「何がですか!?」
前の話でヒートアップしているのか、マシンガントークが収まらない先輩二人。
「いかんぞ萩村。ちゃんと入り口を解しておかないと裂けてしまうぞ。まずは体格に合ったものから順に太さをだな」
621 忍法帖【Lv=1,xxxP】 :2011/08/16(火) 10:44:10.33 ID:csxIroxy
「その口閉じろー!!」
「あらあら。それとも無理やりこじ開けられるのが好きなのかしら?案外スズちゃんもMなのね♪」
「人なんだと思ってるんですか!!」
『女三人寄れば姦しい』という諺(?)を身を持って知った俺である。
っていうか、身のやり場がない。普段からガールズトークに晒されてはいるが、こういう時に男ってのは肩身が狭いものである。
「私なんかより津田はどうなのよ?」
「ぅげっ!」
ここで俺に振るか!?
「アンタは好きな女の子とかいるの?」
「ふむ。やはり男からの視点も欲しいところだな」
「そうね〜…参考までに聞かせてくれると嬉しいわね?」
何をニヤニヤしてるんだこの女子3人は。
「…まさか萩村から話を振られるとは思わなかったよ…実は―――」
「やっぱり胸が大きくないとダメなのか!?」
「そんなことはないわよね?むしろ、スズちゃんみたいにちっちゃい子がいいのかしら?」
「変態」


622 忍法帖【Lv=1,xxxP】 :2011/08/16(火) 10:46:30.86 ID:csxIroxy

「だから少しは人の話を聞いてください!俺にだって好きな人くらいいますよ!」



「「「はっ!?」」」
「あっ!」
しまった。俺としたことが…
ヒートアップしていた思考が急速に冷えていく。女子三人が呆然と俺を見つめていた。
「…すいません。失言でした」
「ほぉぅ…津田がなぁ…」
「へ〜、そ〜なんだ〜…ふ〜ん…」
「あらあら?うふふふふふふふふふ♪」
がっくりと首を垂れる俺。なんて迂闊な…
視線を戻すと、何やら怪しい笑顔を浮かべる3人がいた。
「…忘れてください…ってのは無理ですよね」
「…安心しろ。無理に聞こうとは思わない…だが一つだけ確認させてくれ。その女性は我が校の生徒か?」
何かを期待するような、何かに怯えるような目で俺を伺う会長。
「いえ、別の高校です。年は一つ上で」
恐らく永久に手は届かないのだろうが、それでも俺が彼女を想うのは自由だ…と思いたい。
「そ、そうか…はっ!?勘違いするなよ!?校則に『校内恋愛禁止』とあるからな!生徒会役員ともあろう者が、自ら校則を破るわけにはいかない、ただそれを確認したかっただけなんだぞ!?」
623 忍法帖【Lv=1,xxxP】 :2011/08/16(火) 10:49:01.00 ID:csxIroxy
「そ、そうよね!恋愛は自由だものね!誰を好きになろうと、それは本人の意思次第よね!?」
「…ま、まぁがんばりなさいよ…お、応援ぐらいはしてあげるわ…」
「ありがとうございます会長。七条先輩と萩村も」
その後は微妙な雰囲気で、会話も最低限のまま終了した。



「あっはっはっはっはっは!!」
「笑うな!!」
夕食後、生徒会室での一件をコトミに話したら大爆笑された。
「それはタカ兄が悪いよ。まさかあの人達の前でカミングアウトするなんて」
「言うな。解ってる」
頭を抱える俺。
「それにしても、タカ兄も諦めが悪いというかなんというか…そんなにカナミお姉ちゃんのこと好きなの?」
「いいだろ別に…」
城嶋カナミ。俺の父さんの妹の子。従姉に当たる女性だ。
子供の頃、祖父と祖母の家に遊びに行った時に知り合い、お兄さんのシンジさん共々、今でも電話やメールなどでやり取りする間柄である。
「でもお兄ちゃん、カナミお姉ちゃんは…」
「解ってる…解ってるさ…」
カナミさんは、既につき合っている男性がいる。ぶっちゃけると、彼女の兄である城嶋シンジさんだ。
624 忍法帖【Lv=1,xxxP】 :2011/08/16(火) 10:51:15.93 ID:csxIroxy
当初は兄妹で恋愛なんてどうかと思ったのだが、心底幸せそうに笑う二人を見て、俺はキレイスッパリ諦めた。
まあ、それとカナミさんが好きだという気持ちは別物だが。
「さすがにシンジお兄ちゃんにカナミお姉ちゃんを下さいとは言えないよね?」
「昔はともかく今はなぁ…」
シンジさんが高校を卒業するまでは、付きまとってくるカナミさんに辟易していたそうだが、今はむしろカナミさん以外の女性は考えられないそうだ。
その心境の変化をたずねてみたところ、

『お酒の力って怖いよな…』

一体ナニがあった?
「それはそうと、明日からメッチャからかわれるんだろうな…欝だ」
「私でよければ、いつでもタカ兄を慰めてあげるよ?心も身体もね♪」
「心はともかく身体は勘弁してください」
俺は速攻で妹に土下座した。
625 忍法帖【Lv=1,xxxP】 :2011/08/16(火) 10:57:03.47 ID:csxIroxy


一方その頃

〜七条家・アリアの部屋〜
「それにしても驚いちゃったね?」
「ああ。まさか津田にな…」
パジャマ姿のシノと、ネグリジェのアリアが向き合っていた。
「どんな女性(ヒト)なんだろうな…」
「そうね…」
いつもなら夜遅くまで和気藹々と話しをしているのだが、この日は会話もそこそこに、それぞれ布団へともぐっていった。

〜萩村家・スズの部屋〜
「津田…」
部屋着で机に向かっているスズ。ノートを開いてはいるものの、白紙に近い状態だ。
「津田…」
呆然と遠くを見詰めるような瞳…
「津田…」
ミシリ、と右手のシャープペンシルが軋んだ。
626 忍法帖【Lv=1,xxxP】 :2011/08/16(火) 10:59:06.97 ID:csxIroxy
以上終わり
途中で書込み禁止喰らったときは焦ったw
627名無しさん@ピンキー:2011/08/16(火) 11:00:53.04 ID:FNQ7Zl81
GJ・・・!
いい感じにニヨニヨできましたw
思春期キャラが出てきて俺的に嬉しかった!
628名無しさん@ピンキー:2011/08/17(水) 21:50:36.98 ID:JZMT0vBf
コトミとの近親相姦SS希望
コトミはタカトシに彼女出来たらヤンデレ化しそう
629 忍法帖【Lv=2,xxxP】 :2011/08/18(木) 03:30:53.26 ID:CpdcrokE
>>628
相手にもよるんじゃないか?
モブの場合:
「タカ兄どいてそいつ殺せない!」

接点の少ない女性(畑、魚見、五十嵐など)の場合:
「アンタなんかより私の方がタカ兄のこと知ってるんだから!!」

接点の多い女性(生徒会役員共、三葉など)の場合:
「取引しませんか?私は2号でもいいですよ?」

時の場合:
「ねえトッキー、お兄ちゃんの彼女にならない?
 二人でタカ兄を目一杯愛してあげようよ♪」

タカトシの場合:
「ねえタカ兄。ダメだよ?女の子の前でそんなに無防備にしてちゃ。
 簡単に襲われちゃうよ?…こんなふうにね!」

こうですか?わか(ry
630名無しさん@ピンキー:2011/08/18(木) 13:07:42.57 ID:2HL2n1RA
>>626
オイオイ、ここからが本番じゃまいか!
早くしてくれないと、夏だが風邪を引いてしまう!

631名無しさん@ピンキー:2011/08/18(木) 13:19:05.54 ID:73k5VNaV
タカトシに恋人できたら、祝福しないといけないのに、祝福できない自分に葛藤しそう>コトミ
そして一夜だけの過ちを・・・。
632名無しさん@ピンキー:2011/08/18(木) 20:55:58.26 ID:lH8/pzD3
藤林丈司は裏切り者
633 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/08/19(金) 18:49:47.86 ID:Bakb7J5g
>>631
ちょっと書いてみた。

コトミ視点。
タカトシに彼女あり
ヤンデレ(?)注意
634 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/08/19(金) 18:50:59.86 ID:Bakb7J5g
○月×日
タカ兄に彼女が出来た。
あの地味で鈍感で朴念仁のタカ兄を射止めるなんてどんな人かと思ったが、相手の名を聞いて納得した。
あの人はいつもタカ兄のそばにいるし、タカ兄のいいところも悪いところも、それなりに知る機会もあったのだろう。
同時にタカ兄に同情する。これから彼女に振り回されることになるのだ。ご愁傷様。



どうでもいいけど、この咽の奥に○○何かが引っかかるような感覚は一体何なのだろうか?



○月△日
昼休み、生徒会室に行くと、タカ兄と彼女がお弁当を食べていた。もちろん恋人同士定番の「あ〜ん」だ。
ノックもしないでいきなり扉を開けたのは悪かったけど、あそこまで怒ることはないと思う。ちゃんと空気を読んでさっさと出てきたのに。
他の人達には内緒なんだろうか?まあその方が背徳的な感じがして萌えるかもしれないけど。



ちなみに、時間の関係でお昼は一人で食べた。好物の玉子焼きもあったのに、なぜか美味しく感じなかった。



○月□日
最近、タカ兄と一緒に下校していない。彼女さんと一緒に帰っているのはわかるが、たった一人の妹である私を放っておくのはどうかと思う。
腹いせにトッキーと一緒に帰ってやった。基本的に私が一方的に話すような感じだが、ところどころで見せるドジッ娘属性というか天然っぽいところは反則だと思う。
これがギャップ萌えってやつなのか。トッキー恐るべし!



そう言えば、タカ兄に彼女が出来るまでは、殆ど毎日二人でこの道を歩いていたんだっけ。
…家ってこんなに遠かったかな?


635 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/08/19(金) 18:52:34.67 ID:Bakb7J5g

×月○日
最近タカ兄の帰りが遅い。学校行事が増えてくる時期なので、仕方がないといえば仕方がないのだが、それでも去年は、どんなに遅くても7時過ぎには帰ってきていた。
なのに最近は8時。9時を回る日もある。問いただすと生徒会の仕事だと言っていたが、本当にそれだけなのだろうか?
確かに疲れてはいるようだが、それ以上に楽しそうな空気を感じる。ぁゃιぃ。



タカ兄…まさかとは思うけど、生徒会の仕事にかこつけて…いや、邪推はすまい。



△月×日
久しぶりにタカ兄と一緒に帰った。彼女の方は用事があるらしく、『浮気しないように見張っていてくれ』と言われた。
それは無用な心配と言う奴だ。隠れて浮気できるほど甲斐性がある兄ではない。(断言)
それにしても、折角私と帰っているというのに、彼女さんの話しかしないのはどうしたものかと思う。
思わず『色ボケ』と言ってしまった私はきっと悪くない。うん。



タカ兄の口から彼女さんの名前が出るたびに、胸が締め付けられるように苦しくなるのは何か病気なのかな?まだ処女だから性病ではないと思うのだが。



△月□日
タカ兄がデートに出かけた。『友達と遊びに行って来る』と言っていたが、妙にめかしこんでいたのだから真実はいわずもがもなだ。
中が睦まじいのはいいことなのだが、それに反比例して私との時間は激減している。
別にそれをどうこう言うつもりはないが、あまり舞い上がっていると見ている方は白けてくるので程々にしてほしい。



今日は一人きりか…何だかさびし…うん。寂しいな…
636 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/08/19(金) 18:54:07.68 ID:Bakb7J5g

△月=日
タカ兄が外泊してきた。本人は『何もない』と言っているが、前日が彼女さんとのデートだったのだから本当に『ナニも』なかったのかは怪しいものだ。
十中八九彼女さんの家に泊まったのだろう。それでナニもなかったのならむしろヘタレと罵ってやる。
女の子を泣かせる男は執行猶予無しで死刑なのだ。ジャッジメントですの!



本当に何もなかったのかな?信じていいのかな?…って、私は何を信じたいのだろうか?



?月?日
タカ兄は私と一緒だった。生まれてから今までずっと一緒だった。
私達は仲がよかった。時にはケンカもしたこともある。でも、すぐに仲直りした。
私にとっては、タカ兄がそばにいることが当たり前だった。タカ兄にとっても、私がとなりにいるのがあたりまえなのだ。
そう。タカ兄のそばにいるべきなのは私だ。私だけがタカ兄のとなりにいる資格があるのだ。
タカ兄は騙されてるんだ。あの女に騙されてるんだ。助けなきゃ。タカ兄が傷つくまえに助けなければ。
タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。
タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。
タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。
タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。
タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。
タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。
タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。
タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。タカ兄。



637 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/08/19(金) 18:55:47.76 ID:Bakb7J5g

□月×日
なんだかとても怖い夢を見た。私が私でなくなっていくような夢だ。
その割りに気分はとてもスッキリしている。ここ最近ずっと胸に圧し掛かっていた何かがポロリと取れた気分だ。
ああ、今なら何でも出来る気がする。そうだ。今日はタカ兄と『二人きりで』学校へ行こう。彼女さんが迎えに来ようと知ったことか。



「おはよう!タカ兄!」



私は元気よく部屋の扉を開け放った。
638 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/08/19(金) 18:58:49.27 ID:Bakb7J5g
以上終わり
書きながら『ねーよ』とか思ったのは秘密w
タカトシの彼女役は好きに想像してください(マテ

ちょっと早いかもしれませんが、次スレ用意しておいたほうがいいのかな?
俺はこの通りレベルが低いんでどなたかたのんますm(_ _)m
639名無しさん@ピンキー:2011/08/19(金) 22:50:17.24 ID:9Z+7+hn1
GJです
ヤンデレコトミもいいよね!
640名無しさん@ピンキー:2011/08/20(土) 11:25:52.08 ID:9viAuc4h
ヤンデレって過去にもあったのかな?
保管庫はジャンル別されてないけど、スズとか怖そうで見てみたいな。
641名無しさん@ピンキー:2011/08/20(土) 23:23:47.38 ID:4MsibCNa
ヤンデレ化した時の得物妄想
シノ様→日本刀
アリア→猟銃
スズ→毒薬
コトミ→包丁
ムツミ→素手
カエデ→斧
ウオミー→鉈
642名無しさん@ピンキー:2011/08/21(日) 20:52:59.05 ID:SdxsAqXP
>>640
カナミとかムツミとかであった気がする
643名無しさん@ピンキー:2011/08/22(月) 00:59:48.32 ID:rDPVM0I/
あげ
644名無しさん@ピンキー:2011/08/22(月) 08:36:57.94 ID:6TIBfLQa
>>641
>シノ様→日本刀
シノ「ひとーつ人の心を弄び
   ふたーつふしだらな交際関係
   みっつ淫らな津田タカトシを
   誅してくれよう天草シノ!」

こうで(ry
645名無しさん@ピンキー:2011/08/22(月) 11:27:32.98 ID:FTCWfLdN
ヤンデレ化しても何だかんだ言って
みんなタカトシのブツを得物にしてくれそうで困る
646名無しさん@ピンキー:2011/08/22(月) 19:20:32.13 ID:HRMwx93s
スズちゃんをくすぐり責めで壊したい
小柄なスズちゃんは超くすぐったがりだと思うんだ
だがどうしてもドSで鬼畜なタカトシが想像できなくて書けないでいるorz
647名無しさん@ピンキー:2011/08/23(火) 12:08:03.71 ID:DHa8YE9D
>>646
くすぐったがりな娘相手なら普通に押さえつけてくすぐるだけでも充分に鬼畜だよ
6481/2:2011/08/23(火) 17:50:02.49 ID:Wdbw38Gg
>>386
亀レスっつーか遅レスもいいとこっつーか、まあ過疎っぽいし保守にでもなればいいかなとか思ったり思わなかったりもするが、なんか昔書いたのを発掘したので折角だから投下

ショタトシ・出島編〜メイドの淫らな昼下がり(?)〜

「はぁっ!はぁっ!」
なぜか幼児化してしまった津田タカトシ。獣の目になって襲い来る妹から逃れ、商店街を走っていた。
「ったくコトミの奴め!」
元に戻ったら必ず復讐してやると誓い、折角縮んだのだから子供料金で何か出来ないかとうろついていたのだが…
「どうしてこうなった?」
「お茶をどうぞ」
目の前にはヘッドドレスに紺のワンピース、そしてフリル付のエプロンを着た女性…ぶっちゃけ七条家のメイドさん、出島がタカトシを見つめていた。
心なしか口元がむずむずしているような気もする。
「ありがとうございます。それで七じょ…この家の人は?」
「お嬢様は旦那様、奥様と共に出かけております。夕方まで戻らないと」
「は、はぁ…」
そもそもなぜ自分がここにいるのかと回想してみると、

『ちょいとそこいくお坊ちゃん。お姉さんがイイコトしてあげましょうハァハァ』
『NO THANK YOU!俺はNOと言える日本時だZE☆』
『ランニング&ショートパンツとは中々ショタを心得ていていますね。実においしそうですハァハァ』
『知らないのか!?俺はNOとしか言わない男だ!』
『ではあなたの考えを変えてあげましょう。一人で大丈夫ですか?』
『YES!』
『NOとしか言わないのではなかったのですか?嘘をつく悪い子にはお仕置きが必要ですね。さあお姉さんといらっしゃい。大丈夫痛くしないから気持ちいいから大人の階段を昇らせてあげるからむしろ姉さんが大人にシテあげるからハァハァ』
『逃げなきゃダメだ!逃げなきゃダメだ!逃げなきゃダメだ!』
『知らなかったのですか?メイドからは逃げられません』

「ああ、これって拉致っていうじゃなかったっけ?」
「何か仰いましたか?」
「いえ、何でも」
折角淹れてもらったのだからと、出された紅茶を一杯口にするタカトシ。
「…飲みましたね?」
649 忍法帖【Lv=6,xxxP】 :2011/08/23(火) 17:50:39.47 ID:Wdbw38Gg
紅茶がのどを通ると同時にボソリと呟く出島。
「ええ、飲みましたけど…」
「お味の程はいかがでしたか?」
「お、おいしかったです…」
「そうですか」
ニコリ、と無表情キャラに似合わない笑顔を浮かべる出島。
「(考えすぎだったか?)」
とタカトシが考えを改めようとした瞬間。
「ではお風呂に行きましょう」
「WHY?」
思わず英語で問いかける。
「出会った当初から気になっていましたが、少々汗をかかれているようですね。使用人用の風呂で申し訳ありませんが、シャワーを浴びていただきたいと」
「ああ、そうですか」
春先とは言え、かなり長距離を走ったのと、コトミから逃れるために無茶をしたのとで、それなりに汗はかいていた。
「じゃあお言葉に甘えます」
「はい。行きましょう」
申し出を受け入れ、使用人用の風呂へ移動する。
脱衣所でタカトシが服を脱いでいると…
「あの〜、出島さん?」
「はい、何でしょうか?」
「どうして服を脱いでいるのですか?」
「私もお風呂に入るからですが」
「じゃあ俺は後で「何を仰います」
クワッ!と目を見開くメイド。
「あなたの年頃の少年はちゃんと見張っていないとお風呂で溺れてしまうかもしれません」
「いや俺は大丈―――」
「そもそも、昔からの夢の一つ、『可愛い男の子と一緒にお・ふ・ろ♪』が叶おうとしているのです。この機を逃せましょうか!?」
「いや、ちょっとおちつ―――」
「大丈夫です。殿方の喜ばせ方…ゲフンゲフン…身体の洗い方は熟知しております」
「ぅわーぉ」
「それに言ったではありませんか。『お姉さんが大人にシテあげる』と」
「あれマジだったんですか!?」
「犯る気と書いて『マジ』です」
「ダメだこの人!色んな意味でダメだ!!」
「大丈夫。壊しはしませんよ。まぁ、私がいないとダメな身体になってしまうかもしれませんが」
「ちょ…」
「では逝きましょうお坊ちゃま。天国に案内してさしあげます」
「どうしてこうなった!?どうしてこうなったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
津田の叫び声は、浴室と脱衣所を分ける扉によって遮られてしまった…



その後、津田タカトシが元に戻れたかどうかは神の味噌汁。
650名無しさん@ピンキー:2011/08/23(火) 17:51:37.12 ID:Wdbw38Gg
メ欄書き換え忘れた。ゴメン
ショタトシ出島編は以上です
651 忍法帖【Lv=7,xxxP】 :2011/08/24(水) 08:10:17.57 ID:DFfaZpqM
保守
652名無しさん@ピンキー:2011/08/26(金) 17:02:38.01 ID:gW5phFon
ようやくレベル10になったので新スレ立てて来た

【あかほん・濱中】氏家ト全 32時間目【妹・生徒会】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1314345456/l50
653 忍法帖【Lv=12,xxxPT】 :2011/08/28(日) 23:58:28.09 ID:BdoWA6UI
保守
654 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 :2011/08/30(火) 23:04:35.91 ID:ed33Tm9r
人がいねー
お題の殆どを雑談から貰ってる俺には、オリジナルネタなんてつくれねぇよ…
655 忍法帖【Lv=14,xxxPT】 :2011/09/02(金) 13:50:29.62 ID:fyNbIMIr
保守
656名無しさん@ピンキー:2011/09/07(水) 00:43:28.55 ID:lOTAdb7u
いつの間にかLvが0に戻っていたorz
また仕様変更とかあったのか?
657名無しさん@ピンキー:2011/09/12(月) 21:45:06.07 ID:qlvxTaet
ほす
658名無しさん@ピンキー
こっちもう保守しないでええで