スクールデイズの分岐ルートを考えるスレ part9

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1名無しさん@ピンキー
もしかしたらあり得たかもしれない物語。
ひょっとしたら辿り着けたかもしれない結末。
そうした幾つもの可能性が重なり合ってるのがSchool Daysです。
そこで、スクイズで可能だったと思われる展開を自由な発想でSSにしてみませんか。
もちろん、Over flow関連作全てが「あり得た可能性」に含まれるので他作もアリです。

刹那
「次スレは980レス、480KB超えたら立てて。
 荒らしはスルー。
 ここは基本的にsage推奨だから。メール欄にsageって入力して。
 これらは、このスレの約束事だから。ちゃんと守って」

前スレ スクールデイズの分岐ルートを考えるスレ part8
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1268576367/

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1:http://sakura03.bbspink.com/eroparo/kako/1193/11939/1193987088.html
2:http://yomi.bbspink.com/eroparo/kako/1199/11993/1199367974.html
3:http://yomi.bbspink.com/eroparo/kako/1202/12025/1202532657.html
4:http://yomi.bbspink.com/eroparo/kako/1203/12039/1203986961.html
5:http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1207811343/
6:http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1214095427/
7:http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1221993335/
2名無しさん@ピンキー:2010/08/21(土) 21:22:30 ID:qn5whzXj
>>1乙女
3名無しさん@ピンキー:2010/08/22(日) 00:36:08 ID:V4r2bVNy
4名無しさん@ピンキー:2010/08/22(日) 21:16:17 ID:QSP+yvq8
・・・あれ?、前スレもうなくなったの?

なんでまた・・・
5SINGO:2010/08/26(木) 00:18:55 ID:6Qm8xNQ+
【マジカルハート心ちゃん】〜第二部〜

誠 「大変だレイパー!みんなが泰介化してる!」
泰介「そりゃ大変…って、待てコラ!俺とレイパーを逆にして喋るな!」
登校するなり誠と泰介は、昇降口で惨劇を目の当たりにした。
罵声、悲鳴、怒号、恐喝、イジメ、暴力、破壊、強姦。
榊野学園は未曾有(正確には日常茶飯事)の危機に陥っていた。
ゴミ焼却炉から謎のガスが噴出、学園全体に充満。それに伴い、人々の暴徒化。

泰介「この謎のガスを吸うと、例によって凶暴化するみたいだな。誠は平気なのか?」
誠 「ああ。俺には効果無いみたいだ。泰介はもともとレイパーだから意味無いみたいだし」
泰介「しばくぞコノヤロウ!」

教室に入ると、昇降口同様、中ではバトルロワイヤルが繰り広げられていた。
そこへ遠山松平コンビが登校して来て、
遠山「ちっ、カラか。澤永、火ィ貸せや」
泰介「あれ?清浦にビビってた遠山が煙草くわえてる」
遠山「しょうがねーだろ!清浦の命令ひとつで田中にシメられるんだしよ」
松平「かったりい。パチンコにでも行くか。伊藤、あり金全部よこせ」
泰介「あれ?清浦にビビってた松平が喝アゲしてる」
松平「しょうがねーだろ!清浦の命令ひとつで田中にシメられるんだしよ」
誠 「二人とも、ガスの影響で不良化してるな」
遠山「俺達はもともと不良だ!」
泰介「そーだったのか?二人ともショボ過ぎて、意気がってるだけの小心者に見えた」
松平「ざけんな!今日は清浦も田中も居ねー!日頃の鬱憤はらしてやる!」
泰介「そーいえば、あの二人、まだ来てねーのか?姿が見えないし」
誠 「不幸中の幸いだな。あの二人が凶暴化したら俺達もタダじゃ済まないだろうし」
泰介「てか、他の連中も凶暴化してるし、とばっちり来る前に避難しよーぜ」
遠・松「スルーすんな!ぶっ飛ばすぞ!」

6SINGO:2010/08/26(木) 00:20:06 ID:6Qm8xNQ+
そこへ、
ガシャーン!!!
何者かが窓を蹴り破って飛び込んで来た。ガラス破片が泰介の顔面に突き刺さる。
心 「愛と性技の魔法少女マジカルハート参上!誠君、助けに来たよっ!」
誠 「いや、ありがたいんだけど、普通にドア開けて入ってよ。泰介、悶絶してるし」
心 「そんな事より。覚悟しなさい悪党ども!必殺マジカルスティック!」
松平のキンタ○を直撃。松平、悶絶。
心 「必殺マジカル三角木馬!!」
遠山に股裂きの刑。遠山、悶絶。
心 「必殺マジカル強制収容所送り!!!」
暴徒達を北朝魚羊に売り飛ばす。ナイス暴徒がナイスボート。
泰介「待てェー!マジで必殺する気かァ!?てか、この娘、正義の味方じゃ無ぇー!!!」
誠 「性技とか言ってたし、どうやら彼女もこのガスで凶暴化したみたいだな」

言葉「どこですか清浦さん!?出てきなさい!ブチ殺して差し上げます!!」
言葉が、学祭用の角材を振り回しながら叫んでいた。
言葉の足元で世界、加藤、甘露寺の三人が昏倒していた。三人の頭にトーテムポール状のタンコブ。
誠 「うーむ。やっぱり言葉もガスで凶暴化してる…」
言葉「あら誠君。ちょうどいい所に。さあセクロスしましょう」
誠 「うわー!何の脈絡も伏線も無いー!!!」
ずっこん、ばっこん。

試合終了。
言葉「あれ?私、今まで何を…?」
誠 「言葉、正気に戻ったのか?」
泰介「どーやら、セクロスすると洗脳が解けるみたいだな。チン圧で鎮圧しろってか?」
誠 「一人一人犯していくのか?いくらレイパーが泰介でも限界があるだろ」
泰介「だから、俺とレイパーを逆にして喋るな!同義語だと思われるだろ!」
言葉「不潔です」
泰介「うう。犯人を見つけてガスを止めるのが先決だな。犯人の目星はついてるけど、問題は…」
誠 「ああ。どこに潜んでるか、皆目見当がつかないな。やっぱり俺が自慢の欲棒で一人づつ…」
言葉「あのぅ。ガスなら焼却炉から発生してましたけど。そこに犯人も居るのでは…?」
誠 「!!くそっ…盲点だった…」
泰介「謀ったな、シャー!」(←ガノレマ風に)
心 「なんか敵が凄かったみたいな言い方してる。てか二人とも、どうして気付かないかなあ?」
言葉「誠君は純粋だから。澤永さんは単純だから」

7SINGO:2010/08/26(木) 00:22:10 ID:6Qm8xNQ+
誠と泰介が辿り着いたそこには、予想通りの人物が立っていた。
世界征服を企む悪の秘密結社、その頭領ドクターS。
そして、ドクターSの腹心というか片腕というか家来というか奴隷というか、とにかくドクターSの下僕で
田中にそっくりな大男がいた(ので、便宜上この大男を田中と仮名する)。

誠 「そこまでだ、ドクターS!やっぱり、お前の仕業だったんだな」
ドクターSは振り向いた。なぜか修道院の尼僧のコスプレをしている。
S 「そうよ。けど、その呼び方は止めて。今日から私は慈愛の使者シスターS」
泰介「??…とにかく、今すぐこのガスを止めろ!」
S 「貴方に言われるまでもない。このまま民の暴徒化を黙って見過ごす訳にはいかない」
泰介「??…なんかS、いつもと性格が180度違ってねーか?」
誠 「…まさかとは思うけど。なあS、このガスの効果って、もしかして…」
S 「そう。善人を外道にし、外道を善人にしてしまう。私はガスマスクをつけ忘れて善人に」
泰介「自爆かよ!」
誠 「外道を善人に…。どうりでレイ泰介がマトモになった訳だ…」
泰介「今おもいっきりレイパーって言いかけただろ!てか自分を棚に上げて言うな!」
S 「それはともかく。恐るべき効果だった。創造主である私をも洗脳するとわ」
泰介「自分が間抜けなのに、さも自分の作品が凄かったみたいに言うな!」
誠 「まあ、いいか。要はガスを止めれば万事解決だし」
S 「それが可能なら、すでに私がしてる」
泰介「…おいおい。この物語のラスボスって、まさか…」
S 「そのまさかよ。外道を善人に。善人を外道に…」
勇者の前に立ち塞がったのは、ドクターSの下僕、
田中だった。

8SINGO:2010/08/26(木) 00:23:25 ID:6Qm8xNQ+
泰介「よりによって、コイツが暴徒化かよ…」
誠 「タチ悪いな」
田中「俺は悪の道に目覚めた。お前達も我が同胞になれ」
誠 「それ無理。泰介、このガスのせいでレイパー辞めたから」
泰介「お前こそ人間のクズ辞めたくせに」
誠 「いや、俺は(セクロスで)元に戻ったから生涯現役で行くぞ。ハーレムは男の浪漫だしな」
泰介「それはそれで西園寺に刺されるから、やめとけ」
田中「あくまで拒むか。ならば少々痛い目にあってもらおう」
泰介「へ?」
田中、すばやく泰介の背後に回り込み、
田中「ひざカックン♪」
泰介、バランスを崩され、勢いで5mはフッ飛ばされて壁に激突。
田中、泰介の背中をまくり上げ、そこにビンタ。
田中「もみじ♪」
泰介、背中を紅葉形に充血させて、勢いで5mはフッ飛ばされて壁に激突。
田中、ダブルフィンガーを泰介の尻に突き立てる。
田中「カンチョー♪」
泰介、勢いで5m上空にフッ飛ばされて、その高さから地面に墜落。
S 「流石は悪の道に堕ちた聖者。光もスカートめくり食らって風圧でスカート粉々にされてたし」
誠 「悪じゃなくて、ただの悪戯小僧だろ。威力がオーガ並だけど」
S 「打つ手なしね」
誠 「そうでもない。実は田中を正気に戻す方法がある」
S 「それを先に言いなさいよ。もっと早く澤永を救えたのに」
誠 「いや、展開が面白くなるから黙ってた。それに万が一、柔よく剛を制すかも知れないし」
S 「それ田中(柔道部)の専売特許。てか、もう澤永(の目が)死んでるし、次は伊藤の番かも」
誠 「ヤバ…。実はな、洗脳された奴を元に戻すには、セクロスすればいいんだ」
S 「ふざけんな、この万年発情野郎」
誠 「いやホントだってば。ちゃんと言葉が証明してくれた…らしい」
S 「なら試してみる」
Sは懐からエネマシリンヂを取り出し、それを田中の尻に突き刺した。
誠 「ははあ、なるほど。はは、あなるほど。…って、またそのオチかよ」
てか学校になんてモノ持ち込んでんだ、この痴女わ。

こうして、
例によって田中は撃破され、例によって榊野町につかの間の平和が訪れましたとさ。
めでたし、めでたし。

泰介「…ちっとも、めでたく無ぇ……ぐふっ」

おわりんぐ
9SINGO:2010/08/26(木) 00:26:23 ID:6Qm8xNQ+
終わりです
10名無しさん@ピンキー:2010/08/26(木) 01:45:35 ID:RV5bSAdJ
>>9
いつもお疲れ様です。これからもよろしくです。
11SINGO:2010/08/27(金) 09:35:39 ID:I60kL9eN
>>10
こちらこそ
よろしく36
12丁字屋:2010/08/28(土) 03:59:35 ID:aYxoFT0p
あれ?前の板消えていたんですね?

>>1
遅ればせながら乙です。

では「贄と成就」アフター
続きいきます。
13丁字屋:2010/08/28(土) 04:00:09 ID:aYxoFT0p

「ち、違うっ!」
僕はまたも地雷を踏んでしまったことを自覚しつつ、
路夏の言葉を否定するが、路夏はジトッとした目で僕を見つめてくる。

「ち、違うんだよ、路夏。僕は覗いていたわけじゃなくて、ただ扉の前で声を聞いていただけで…!」
「うわっ、じゃあ勇気は盗聴魔だったんだ!!」
「だ、だから違う!」
うわあ…なんかますます泥沼にはまっていってるような気がするけど、とにかく誤解を解かなくちゃ…。

「そうじゃなくて、僕はそういうつもりはなかったんだけど、西園寺たちの後をつけた時にたまたま…」
「後をつけた?じゃあ勇気ってストーカー!?」
「ち〜が〜う〜」




その後、結局路夏はきちんと納得したとは言いがたかったが、とりあえず桂のことを考えることが先決だということと、
放課後になったこともあって、僕への覗き盗聴魔&ストーカー疑惑問題はとりあえず先送りになった。
いや、疑惑というより濡れ衣なんだけど…。

ともあれ放課後になったからには路夏は部活に行かなくてはならないし、
僕はこのままここで図書委員の仕事につくことになる。
間もなく花山院先輩もやってくるだろう。

…ん?
そう言えば花山院先輩って甘露寺の彼氏なんだよな。
もしかして先輩から甘露寺に一言言ってもらえば、とりあえずいじめはやめさせることができるんじゃないか?

14丁字屋:2010/08/28(土) 04:00:54 ID:aYxoFT0p



「ダメだな」
間もなく図書館に現れた先輩が、僕らの依頼に対する答としてまず発したのはそんなあっさりした一言だった。

路夏と僕は
「そ、そんな…」
「何故ですか?」
と、同時にそう言葉を発していた。

「じゃあ先輩は自分の彼女が苛めを扇動してるのを放っておくって言うんですか!?」
「いや、そうは言わないけどな…。
 ただ今の状況で俺が七海に何か言っても、逆に…その桂って子が俺をたらしこんで
 言わせてるって七海に思われそうな気がしてな…」

「ま、まさかそんな…」
と僕は言いかけるが、
「それは…あるかも…」
そう言ったのは路夏だった。

そしてそれに答えるような先輩の、
「ああ、勇気はわからないかも知れないけどな、
七海のヤツはそういうところがあるんだよ。
 それに、仮に俺の頼みで七海が苛めから表立って手を引いたとしても、
 その桂って子を嫌ってるヤツは他にも多いんだろう?
 だとしたら、結局苛めは影でより陰湿に続けられるだけだと思うぞ」
という言葉に、僕は納得させられると共に、桂を助けることの難しさを再確認する。

だが先輩は
「大体なあ、俺なんかに相談するんなら、もっとすぐ近くに相談すべき相手がいるだろ」
と言った。
え?誰だ?

「もしかしてして…知恵先輩?」
路夏の問いかけに、先輩はこくりと頷く。
15丁字屋:2010/08/28(土) 04:01:26 ID:aYxoFT0p

「で、でもこれは一年生だけのことだし、問題をあまり大きくするのは…」
反論する路夏に、僕も
「そ、それに姉ちゃんなんかに相談したってむしろ引っかき回されるだけっていうか…」
そう言いかけるが、

「お前な、少しは自分の姉を信用しろよ。
 俺もあいつとは馬は合わないけどな、そういう場合に間違った行動とるようなヤツじゃないし、
 その意味ではかなり信用してるからな」
と、やたら姉ちゃんに相談することを推してくる。

僕と路夏は顔を見合わせるが、
「まあ七海も大きく関わってることだし、俺の方からも足利のヤツにメールしておくから、
 今からだと…部活が終わってからになるか…。まあきちんと相談してみろ」
と姉ちゃんに相談することを強く推し、僕と路夏は再び顔を見合わせる。

路夏は結局姉ちゃんに相談することに同意した。
元々路夏が姉ちゃんに相談しなかったのは、さっき路夏自身が言ったように、
ことを大きくしたくないという考えからで、路夏は姉ちゃんのことは
元々尊敬していたので、さほど異論はないようだった。

僕はというと、あまり気が進まないものの、
現状で桂を助けるいい考えが見つかってない以上藁にもすがるという気持ちで
姉ちゃんに相談することに同意した。
16丁字屋:2010/08/28(土) 04:01:49 ID:aYxoFT0p

そして、時間は経ち、路夏から部活が終わり、姉ちゃんが部室で待っているというメールがきた。
図書館を閉めようとしたら鍵が見つからず、やや遅れて女バスの部室に入ると、
路夏と一緒に、姉ちゃんが
「遅いぞ」
と不機嫌そうに出迎えた。

僕が少々遅れた間に、殆どのことは路夏が説明してくれていた。
そして僕らは姉ちゃんに苛めの現状を見せるために4組…桂のクラスの教室に移動する。

4組の桂の席は相変わらず悪意溢れる落書きがびっしり書かれ、
教室後ろにある桂のものと思しきロッカーは落書きばかりでなくベコベコになっており、
たして開閉できるのかどうかも怪しい。

それらを見た姉ちゃんは、
「なるほど、こりゃひどいねえ。
 やっている方は面白がってるだけかも知れないけど、やられてる方にしてみりゃたまらないね」
と、眉をしかめて言った。
いや、むしろその声音には怒りすら感じられた。
僕は姉ちゃんはどちらかと言うといじめっこ気質と思っていただけに、これは意外だった。

更に姉ちゃんは
「わかったよ。甘露寺たちの苛め行為はきっちりやめさせる」
あっさりとそう言った。
17丁字屋:2010/08/28(土) 04:02:49 ID:aYxoFT0p

「ちょ、姉ちゃん。姉ちゃんは桂のこと知らないんだろ?
 言わば他人ごとなのにそんなに安請け合いしていいのかよ?」
「ばかだね、勇気は!
 他人ごとのわけがないでしょ!」
「え?じゃあ姉ちゃん桂を知ってるのか?」
「知るわけないでしょ。
 こっちにとって問題は苛められてる方じゃなくて苛めてる方なんだよ」
「え?」

「だから早い話、女バスが中心になって苛めなんかしているなんて学校に知れたら、
 何らかの処分は避けられないってこと!
 ましてや万が一これが原因で何かの事件になって外部にまでことが公けになれば、
 うちの部がそれなりに名目だけに、マスコミにでも叩かれたりしたら、最悪廃部だってあり得るんだから!」
「あ…」
「まったく…路夏もこんなニブイ勇気になんか相談する前に、すぐ私に相談して欲しかったわね」
「す…すみません…」
姉ちゃんの言葉に路夏が恐縮して謝る。

「まあいいわ。 ただ、その子…桂だっけ?
 その子が寝取られただの、それでもよりを戻そうとしながら元カレに冷たくされてるだの、
 その辺のゴタゴタは私ゃ無関係なんだし知ったことじゃないからね。
 あんたらが何とかしてやりたいって言うんなら、あんたらで勝手にやりなよ」
「あ、うん…」

姉ちゃんのもの言いはぶっきらぼうではあったけど、
少なくとも苛めに関してはバスケ部内部の問題としてきちんと片をつけてくれるであろうと、
そう信頼させてくれる響きがあった。
そして姉ちゃんは更に言葉を続けた。
18丁字屋:2010/08/28(土) 04:03:25 ID:aYxoFT0p

「それにしてもあの伊藤ってヤツまで絡んでいるとはね…」
「え?姉ちゃん、伊藤を知ってるの?」
「そりゃあね、学園祭の頃に路夏が一緒に回るだの言ってたヤツでしょ。
 あの頃は私らも散々ふりまわされたからね」
「あ…すみません…」
と路夏。

「いや。まあいいんだけどね。
 それに私も、駅でその伊藤ってのが、人目もはばからずに女子とキスしてるところも見ているしね。
 たしか、見た目ちょっとおとなしそうなヤツだよね?」
 その姉ちゃんの言葉を受け、路夏が
「あ、写真ありますけど…」
と、昼に桂から送信してもらった、西園寺が自分でカメラを構えて撮った、
伊藤、西園寺、桂が同じフレームに入った写真を見せる。

姉ちゃんはその写真の伊藤を見て言った。
「そうそう、たしかにこいつよ。あ、こっちのこの子!この子とキスしてたのよ」
「その人が西園寺さんです」
姉ちゃんが指して言った写真の中の女子を見て、路夏が言う。

「へえ、この子が寝取った方か…。可愛い顔してよくやるわよねえ。
 とすると、こっちの髪の長い方が寝取られた挙げ句に苛めにあってる子?」
「はい、桂さんです」

「ふうん。たしかにおとなしそうで、いかにも苛めに合いそうな感じの子ね……
 ……あれ?この子?」
と、写真の桂を見ていた姉ちゃんが変な反応をし、
「ねえ、この子のもうちょっと大きな写真ない?」
妙に険しい顔でそんなことを訊いてきた。
19丁字屋:2010/08/28(土) 04:04:15 ID:aYxoFT0p

「あ、はい。ありますけど…」
そう答えた路夏は、今度は桂と伊藤のツーショット写真を携帯に表示した。
それを見た姉ちゃんは…
「やっぱりこの子…。でも…そんな……」
そう言いながら顔を青ざめていた。

「ね、姉ちゃん?どうしたんだよ?桂のこと知ってるのか?」
だが姉ちゃんは僕の問いには答えず、
「ねえ、この子が学園祭から少しの間つき合っていたっていう男……
 さっき路夏は、この子は本当は付き合いたくなかったらしいって言ってたけど、
 その男の写真ある?
 あるわよね。 勇気の友達だっていうんだから…」
そう、どこか怖い顔で訊いてきた。

「澤永の写真?
 姉ちゃん、どうしたんだよ一体?
 それにいきなり写真なんて言われても…」
「いいから早く見せな!!」

そう言って怒鳴る姉ちゃんは何か尋常ではない雰囲気で、
僕は気圧されるように、自分の携帯にあった澤永の写真を見せた。
「やっぱり…」
写真を見てそう呟く姉ちゃんは、どこか震えているようでもあった。

そして
「本当にどうしたんだよ、姉ちゃん?顔が青いぞ」
という僕の言葉にもまともに答えず、
「勇気。私、明日この桂って子と…それから澤永ってヤツとも話したいから、
 あんたから連絡して段取り組んどいて」。
20丁字屋:2010/08/28(土) 05:06:59 ID:aYxoFT0p

「え?本当にどうしたんだよ、姉ちゃん?
苛め以外のことは自分に関係ないんじゃなかったのかよ!?」
「うるさいわね。どうやらこの話は私にも無関係じゃなかったってことよ!」
「な?どういうことだよ?」
本当にどういうことだ?姉ちゃんともこの話が無関係じゃないって?

「いちいちうるさいわね!
 あんたは私の言う通りにすればいいのよ。
 そうね、桂さんと会うのが朝一番…桂さんに始業より一時間早く来るように言って。
 澤永に会うのは昼休みにして……
 で、苛めの件にケリをつけるのは放課後。部活開始前にするわ。
 勇気、桂さんと澤永との段取りの方、よろしくね。
 じゃあ私は明日のことで色々一人で考えたいから…」

結局その心変わりの真意もさっぱりわからぬまま、
姉ちゃんはそう言って一人でとっとと4組の教室を出ていき、
取り残された僕と路夏は顔を見合わせる。

どうにも姉ちゃんが何を考えているか、その態度が理解できないまま、
ただそれでも僕…そしておそらくは路夏も、
ことを請け負ってくれた姉ちゃんが事態を好転させてくれることをやはり期待していた。

21丁字屋:2010/08/28(土) 05:08:10 ID:aYxoFT0p

今回はここまでです。

主人公の勇気が墓穴ばかり掘って、まったく頼りにならないので、
結局知恵姉さんが動き出しました。
22名無しさん@ピンキー:2010/08/28(土) 19:46:07 ID:Jh9kzezW
知恵は気付いたようだな、泰介が言葉に「何を」したかを……
悪役時代ばりに怖い一面見せるのか?
あと、女バス内部の状態も気になる 路夏の部活仲間の麦や留夏たちはどうも
言葉苛めには内心嫌がってる気が>丁字屋氏
23mark:2010/08/28(土) 19:51:09 ID:Jh9kzezW
私も久しぶりに短編投下。サマイズ寄りのほのぼのワールド。
乙女・可憐姉妹にはこういうの似合いそう。 誠のクソ親父だけでなく
彼女達にとってもいたるは天敵だな(笑)


「ああこれ、これは200円だよ。…え、まけてくれって?
うーん、それはちょっと…… わかった、じゃあ半額でいい?」

やっぱり、主婦の押しは強い。さすがの私もたじたじで思わず苦笑いだ。
合間をみて、可憐が話しかけてきた。
「お姉、どうそっちは?」
「結構大変ね。フリーマーケットの売り子も」

今日は夏祭り。
今年は地域振興を兼ねて、夜店以外にも各家庭からいらない物を持ち寄って
20ブースほどのミニフリーマーケットをやる事になったのだが、出店者の1人が当日になって
急に来れなくなったのだ。
それだけなら、ふーんで終わる事なんだけど、
あろうことか、うちのクソ親父がその人の代わりを引き受けてしまったのだ。

本当なら父さんが売り場で物を売るはずなのだが、
父さんは町内会の役員も務めているので、神輿の調整や打ち合わせなどで忙しく、
売り場まで手が回らない。
むさい男が売り場にまわるよりは、美少女2人がしたほうが売上げもいいだろうと
おだてられ、私と可憐が売り場で物を売る事となった。

「まったく、父さんも人がいいもんなあ。可愛い娘がチンピラにナンパされるとか、
少しは心配しないのかね?」
「いいじゃん。お神輿の手伝いやらされるより、こっちのが面白いもん」
「まあね。去年はバタバタし過ぎで神輿をダメにしちゃいそうになったし。
細かい仕事やるより、こっちの方が性に合ってるよ」

代役を引き受けた代わりに、売り上げの半分が私達のふところに入るというわけだ。
出品してるものは生活用品や雑貨、衣類が大半で、どの位の値段で売ってほしいかは予め教えられているが、
物によってはその場の交渉で値段が変動する。
初めての経験で戸惑う事も多いけど、下手なアルバイトよりも面白いし、実入りがいい。
24mark:2010/08/28(土) 19:51:48 ID:Jh9kzezW
「あ、センパ〜イ!こっちこっち」
「加藤。今日は妹も一緒か。2人でフリーマーケット出してたんだ」
「残念。うちらはピンチヒッターよ。バイト代わりみたいなもんかな」
夏休みに入ってからは殆ど顔合わす機会なかったけど、伊藤がお祭にやって来た。
どっちかといえば出不精なタイプだが、祭の活気に誘われたのかな?

「あれ…?」
「どうしたんだ加藤?俺の服に何かついてるのか?」
「いや、そうじゃなくて」
私は伊藤の後ろに隠れていた小さな女の子に目が行っていた。

「伊藤どうしたのよ、その女の子」
「まさか、先輩の隠し子だったりします?」
「バカ、そんなわけないでしょ!」
伊藤が苦笑いし出す。まったくもう、可憐ときたら失礼な!
そういえば、この子誰かに似てるような……

「こいつは俺の妹で、いたる。ほら、ごあいさつは?」
「こんにちは、いたぅです…」
「きゃー、かわいい〜!」
たどたどしい口調でぺこりとおじぎをした。そんな仕草に
可憐が騒ぎ出し、私は『いたるちゃんが驚いちゃうでしょ』と
一発かまして黙らせる。
なるほど。道理で伊藤と目鼻立ちがよく似てるわけだ。

「伊藤って、兄妹いたんだ。初めて知ったよ」
「まあ色々あって、妹とは離れて暮らしてるんだ。今日は祭だから
一緒に過ごすって、ずっと前から約束してたんだよ」
「そうだったんだ…… 何か悪い事聞いちゃったかな」
「気にすんなよ。お前らしくないぞ」

「友人のよしみで安くしとくよ。いたるちゃんも
何か気に入ったものがあったら、言ってね」
「…………」
あれ?反応してこない。
やっぱり人見知りが激しいのかな、この子は……

「いたる。このお姉ちゃんにおねだりしたら、いたるの好きなもの、普段より
安く買えるかもしれないぞ」
「おにーちゃが、そうゆーなら」
25mark:2010/08/28(土) 19:52:25 ID:Jh9kzezW
「うーん、うーん…」
やっぱり兄の座は強し、か。
伊藤にうながされ、ようやくいたるちゃんが選び出した。
これが生意気なハナタレ小僧なら、適当に相手して追い払ってやるところだが、
『伊藤の妹』に、ぞんざいな扱いするわけにはいかない。

「これがいい」
「これがほしいのね。えーと、これは700円か。
じゃ、特別に200円でどうかな?」
「このカエルちゃんなら、もうもってるだろ。別のにしなさい」
「やーだ。これがいーの」
「いいじゃない伊藤。久しぶりに会えたんでしょ?これくらい」
「そうだけど、甘やかしすぎるのはよくないだろ」
意外にもこういう所は厳しいようだ。
私にもこれくらい頼りがいあって引っ張ってくれたらなあ…
なんて事は口が裂けても(いやホントに裂けたら困るけど)言えないが。

結局今日は特別という事で伊藤も折れ、お目当てのものが
いたるちゃんのものになった。
「ありがとな加藤。こら、お前もちゃんとありがとうって言いなさい」
「あいがとぅ」
「どういたしまして。伊藤も何か買ってったら?」
「うーん… 俺は遠慮しとくよ。別に今ほしい物はないし」
「そう。まだここにいるから、気が向いたら来て」
「ああ、そうする」
まあ、しょうがないか。
せっかく兄妹水入らずの時間過ごしてるんだし。
伊藤も喜んでくれて悪い気はしない。
うん。今日の私は心の中でいい事言うなあ。(ホントは2人で周りたいけど…)

「そんなつれない事言わないでくださいよぉ。伊藤センパイ」
そんな私のオトメ心をぶち壊すかのように、可憐の能天気な声が響く。
しかも微妙に艶っぽさを含んでるというか……ってオイ!?
26mark:2010/08/28(土) 19:52:50 ID:Jh9kzezW
「こらー!あんた伊藤に何してんのよー!」
「お姉の考える事なんか、お見通しでいっ。私は直球狙いだもん」
私の怒声などどこ吹く風で、
可憐は私よりも豊かなムネ(怒)を伊藤の腕に押し付けやがった。

「私は純粋にいたるちゃんに好きなもの選んで欲しいから!」
「そういうのが、ネコ被ってるってゆーのよ。オネエのいくじなし〜」
「おいおい、お前らなに2人でケンカしてるんだよ?
てゆーか、可憐、腕に何で押し付けるんだよ…その…」
「先輩はこういう事されるの…イヤ?」
「いや、そりゃ感触が柔らかいというか……って、子供いる前でやめてくれよ」
「そうだそうだ!ガキの癖に色気で誘惑して金もうけしようなんて、
魂胆が気に入らないわよ!」

もっともらしい正論を言ったつもりだが、ええい、離れろ。
この小悪魔妹め。
10センチとは言わない、せめてあと5センチあれば私だって……
嗚呼、世の中は理不尽すぎる。


「まったく!ちょっと目離すとロクな事しないんだから」
「ぶう。だって持ち場離れられないじゃん。これだと」
「しょうがないでしょ。まだ終わるまで時間あるのに、誰もいないんじゃ
泥棒されちゃうじゃない」
(こういうトコは変に常識人だもんな、オネエ)

フリマーの誘いに乗らないで、お神輿の手伝いに回ってれば、
適当にフケて、先輩と少しでも一緒にいられたかもなあ…
神社の森でなら、いくらニブい先輩でも、ムードが高まって応えてくれると思うのに。
ああでも、いたるちゃんがいたからやっぱりダメか。

さっきの誠へのちょっかいも半分は本気だったが、誠の妹を探る意味合いも兼ねていた。
姉を出し抜き、憧れの誠を篭絡できたとしても、
いたるというあの女の子の信頼を得るのは、さらに難しいかもしれない――
そう可憐は感じていた。

(もしかしてあの子、私たちが思ってるより、遥かにタフかも?)
売上金が順調に増えていくのとは裏腹に、苦笑いする乙女と可憐であった。
そんな、夏のひととき。


(おしまい)
27名無しさん@ピンキー:2010/09/03(金) 15:49:21 ID:GCZncceY
ヤンデレを返り討ち 逮捕逮捕
28名無しさん@ピンキー:2010/09/04(土) 22:35:24 ID:cYXN3yPN
誠に女を殴る能力は無いだろうが
29名無しさん@ピンキー:2010/09/08(水) 23:18:40 ID:fnGEqt77
うむ
30名無しさん@ピンキー:2010/09/10(金) 14:03:51 ID:N7bp/Im9
たしか、いたるって小さいころから乙女と知り合いだったんじゃないっけ?

で、たしか「(故意ではないが)いたるをぶつけた」みたいなことやって、彼女の記憶に残っているはず。
31名無しさん@ピンキー:2010/09/11(土) 13:25:09 ID:b28RKBxE
>>30
それで当ってる。

三つ巴ルートの風呂場で
乙女の事を怖いだとか嫌いだとか言ってた。
なお、乙女ルートだと、優しい人だと評価してたが、これは可憐と勘違いしたもの思われる。
32丁字屋:2010/09/18(土) 19:39:11 ID:fr35kmPO
>>20
からの続きです。
「贄と成就」アフター

33丁字屋:2010/09/18(土) 19:39:54 ID:fr35kmPO

翌朝、僕は姉ちゃんといつもより一時間早く家を出た。
夕べはあれから、姉ちゃんに言われたように桂と澤永に連絡をとってあり、桂も一時間早く来ている筈だ。
電車の中では、姉ちゃんは僕に、桂や澤永はどんな人間かと訊いてきた。
そして桂のことはともかく、澤永に関しては、僕の
「騒がしいし鬱陶しいヤツだけど決して悪いヤツじゃない」
という言葉がいかにも符に落ちないかの様子厳しい表情でいた。


学校に着き、桂と昨日と同じ図書館の司書室で落ち合う。
桂は姉ちゃんを一目見て少し怯えたようだったが、僕が自分の姉ちゃんだと紹介すると安心したようだ。
それでも姉ちゃんがバスケ部だと名乗ると再び表情に警戒の色が走ったが、姉ちゃんが微笑んで
「大丈夫。心配しないで。弟がそうであるように、私もあなたの味方だから。
だから、私を信じて」
と言うと
「あ…はい」
と、安心したように返答した。

て言うか、この時の姉ちゃんの微笑みは、弟の僕でさえほとんど見たことのないほど優しい微笑みで、
更に「信じて」と言った時の表情は本当に真剣で、
桂を心から安心させるのに十分足り得た。
だが僕は、姉ちゃんが初対面の桂のことに対してなぜそんなに真剣になっているのかが不思議だった。

そして
「じゃあ勇気、あんたはもう出てっていいわ」
そう姉ちゃんが言った。
「ええっ?」
「二人だけで話したいから、あんたがいると邪魔なのよ。わかったら出ていきなさい。
あと、覗いたり盗み聞きでもしたら許さないからね!」

一方的にそう言われるや、僕は図書館から追い出されてしまった。
僕は姉ちゃんが桂と二人だけで何を話すのか気になったけど、
覗いたり盗み聞きをしようとは思わなかった。
「覗いたり盗み聞きでもしたら許さない」と言った時の姉ちゃんの声が恐ろしく本気だったのもあるが、
流石に昨日路夏に覗き魔だの盗聴魔だのとあらぬ誤解を受けたばかりで、そんなこと出来るもんか。
34丁字屋:2010/09/18(土) 19:40:29 ID:fr35kmPO

というわけで、僕は図書館を出てぶらぶらする。
しかし始業まではまだ全然時間があるせいか、校内に全く人影はなくさびしい。
まあ仕方ないから教室でぼうっとしてるしかないか……。
そう思って自分の教室に向かうと、4組の教室に見覚えのある人影があった。黒田だ。
でも何で黒田が4組の教室に?
しかも黒田は桂の席のところにいて、桂の机をじっと見ている。

「黒田…おはよう…」
僕は思いきって声をかけた。
「あ、足利……おはよ」
少し驚いたように、どこか呆けたように黒田が応えた。
「しかし黒田、こんな朝早く4組の教室なんかで何やってるんだよ?
それにそこは…」

「桂さんの席でしょ」
「ああ」
「…………ひどいものよね」
黒田は、相変わらず落書きだらけの桂の机を見ながら険しい表情でそう言った。
「ああ…ひどいもんさ」
そしてかすかな沈黙のあと、僕は少し躊躇したがそれでも黒田に尋ねた。
「黒田は、これを見てもやっぱり桂のことをいい気味だと思うのか?」
「……足利はどう思う…?」
「僕は、黒田がそんなヤツとは思わないよ」
僕がそう答えると、黒田は
「ありがと。足利はいいヤツよね」
そう薄く笑って言った。

「でも足利の言う通り。
私、昨日足利に話を聞いてずっと考えてたの。
本当なら今朝だって通学電車で七海と、桂さんが伊藤に近づこうとするなら邪魔する筈だったんだけどね、
 七海がそれだけじゃなくて他でも苛めを煽ってるって知ったら、なんだか一緒に行動する気になれなくて、
 それで、なんとなく誰とも顔合わせるのも嫌で、こんなに早く学校来ちゃってさ、結局やることないから、
 じやあ桂さんが本当に足利の言うように苛められてるのか確かめてみようかなってここにきたんだけどね…」
「予想以上にひどかったか?」
「うん。
……七海のヤツ、こんなひどいことさせてたんだ…」
そう静かに言う黒田は、やはり友人の非道に怒っているように見えた。
35丁字屋:2010/09/18(土) 19:40:54 ID:fr35kmPO
 
僕はそういう黒田を友達として嬉しく思うと共に、それでも釘をさしておかねばならないことがあった。
「なあ、黒田、お前甘露寺のこと怒ってるか!?」
「まあね」
「そっか。ただ、この問題についてはバスケ部の問題でもあるからって、
今姉ちゃんが、早急にやめさせようと動いてるんだ」
「え?そうなんだ。そう言えば足利のお姉さんってバスケ部だったわね」
「ああ、だから黒田も甘露寺に何か言いたいことはあるかも知れないけど、
とりあえずそのことが終わるまで待って欲しい…」
「ふうん。あんた結局桂さんのために、いろいろ動いてるんだ?
 あんたのお姉さんが動いてるってのも、あんたが頼んだからなんでしょ?」
「あ、ああ。まあ頼んだとはいえ、姉ちゃんの方も、何だか知らないけど予想外に桂に肩入れしてるみたいなんだよな」
「ふうん…。でもあんた、そんなことしてて彼女に怒られても知らないわよ。
喜連川さんだっけ…相当にやきもち焼きみたいじゃない?」
「そ、それは無用の心配ってやつだ。何しろ……ん…いや…」
何しろこのことを相談してきたのは路夏の方なんだから……と言いかけて僕は躊躇する。

路夏が桂の味方だと、黒田の口から甘露寺の耳にでも入ったら、路夏のバスケ部内での立場が悪くなるかも知れないからだ。
だが、
「そっか。喜連川さんも桂さんの味方なんだ」
「ななななな、何言ってるんだよ!?そんなわけないだろ!」
図星を突かれ、ついうろたえてしまった僕を見て、黒田が苦笑する。
「全くもう足利は…。そんなにうろたえてたら、そうですって言ってるのと同じよ」
「あうう…。け、けど黒田、頼むからこのことは…」
「わかってるわよ。七海には言わないでっていうんでしょ?
 喜連川さんもたしかバスケ部だもんね。
 桂さんに味方しているなんてわかったら、立場悪くなっちゃうって言うんでしょ?」
「あ、ああ、頼む」

察しのいい黒田は、僕の頼みに再び苦笑しながら頷き、だがやがて真顔になって僕に尋ねてきた。
「でも…なんで?」
「え?」
「なんであんたと言い、あんたの彼女お姉さんと言い、桂さんなんかに肩入れするのよ?」
「黒田?」
「私、七海が桂さんに対してやってることはたしかによくないと思うけど、
 だからといって元々悪いのは、世界から伊藤を横取りしようとしてる桂さんなんだし、
 そのことは私、世界の友達として許せない。
 ………それに、澤永をもて遊んだことだって……」
黒田はそこまで言うと押し黙った。
36丁字屋:2010/09/18(土) 19:41:32 ID:fr35kmPO

黒田は苛めはよくないと思いながら、やはり桂に対しては決していい感情を持ってはいないのだ。
だが、そこには黒田の誤解も存在する。
だがその誤解を解くことに僕は躊躇する。
それは黒田の友人や…そして好きな相手を貶めることになるかも知れないからだ。
しかしそれでも僕はそれを口にする。

「なあ、黒田はさ、桂が西園寺から伊藤を横取りしようとしているって言うけど、本当はそうじゃないんだ」
「え?足利、何言ってるの?」
「本当は西園寺の方が、元々桂の彼氏だった伊藤を西園寺が横取りしたんだよ」
「はぁ?何言ってるの?そんなわけないじゃない」
「黒田も友達がそんな人間だなんて思いたくないだろうけど、でも本当なんだ。
 それだけじゃない。西園寺ははじめ、自分から友達になろうだなんて言って桂に近づいて……」
…そして桂に伊藤を紹介して、二人が付き合うようになったら応援するようなことまで桂に言っておきながら、 
桂の知らない間に伊藤と関係を持って、それがばれると開き直ったように桂を遠ざけて…
そう、まるで桂の心を弄ぶみたいに…。

だが、それを語り終えたあと、
「それって、桂さんから聞いたことなんでしょ?」
「あ、ああ。そうだけど…」
「呆れたわね。あんた、そんな一方の言い分だけ信じて、それでそんないい加減なこと言わないでよね!
 大体、桂さんが世界と友達だったとか、伊藤と付き合ってたとか、ましてやそれを世界が仲立ちしていたなんて、
 そんなの聞いたことないし、もしそうなら世界は私たちに一言くらい言ってくれる筈だよ」
 そう言って黒田は怒りをあらわにした。
だが、昨日桂の携帯から送ってもらった、伊藤と桂、西園寺と桂のツーショット、彼ら3人のスリーショット写真を見せると、
3人が共通の知り合いだとは思ってもいなかった黒田はかなり戸惑った表情になる。

「それにな、澤永のことも、桂が弄んだっていうより、伊藤たちにそんなふうにされて傷ついていた桂に、
 澤永の方が何か強引なことをしたとか考えられないか?」
「さ、澤永がそんな…」
「でもあいつ、空気が読めないって言うか、相手の気持ち考えないところがあるだろ?」
「そ、そりゃあ確かに……でも……桂さんがそう言ったの?」
「いや、はっきりそうは言わなかったけど、澤永と付き合っていた時は嫌だったって……
 それに、そのことに触れられること自体つらそうだった…。
 澤永に悪気はなかったにしろ、とにかく桂に嫌な思いをさせていたのは確かだと思う…」
「ふうん…」
37丁字屋:2010/09/18(土) 19:42:14 ID:fr35kmPO

最初は僕の言うことを信じなかった黒田も、今は何か考え込むような表情になっている。
そんな黒田に僕はもう一つ質問する。
「なあ、ところで黒田は、4組での桂苛めの直接実行しているやつが誰か知ってるか?」
「え?」
「こういう落書きにせよ、中心になって直接実行してるやつは多分そんなに多くはないと思うんだ。
そいつらが誰なのか、名前とかわからないかな?」

だがその質問に黒田は呆れたように、
「あのね足利、私は昨日あんたから初めて桂さんへの苛めがあるって聞いたのよ。
それなのにどうしてそんなこと知ってると思うのよ?」
「あ、ああ…」
それもそうか。まあ僕も今朝姉ちゃんから、苛めの実行犯がわかるようなら調べておくようにと言われていたから一応聞いてみただけなんだが…。

「それにね…」
そう言って黒田が続ける。
「確かに桂さんと世界や伊藤の間柄のことは私は知らなかったし、
世界がそのことを話してくれなかったことも符に落ちないけど、
だからと言って、世界が伊藤を桂さんから奪ったとか結論づけられないし、
澤永が桂さんに嫌な思いをさせていたなんてのも推測じゃない。
私、やっぱりそんなこと信じられないわ」
「そ、そうか…」

確かに黒田信じてくれないのもわかる。
僕の言ったことだって何の証拠もないのだし、ましてや親しい友達や好きな相手を疑いたくなんてないだろう。
「ま、あんたはせいぜい頑張って桂さんを助けてあげることね。
昨日も言ったけど、私は協力はしないけど邪魔もしないから」
そう言い捨てて黒田は去り、僕も仕方なく自分の教室に向かった。

姉ちゃんは一体桂とどういう話をしているんだろう?
桂に嫌な思いはさせてないだろうか?
そんなことが色々と気にはなったけど、とりあえずあとで桂にメールで聞いてみることにしよう。

38丁字屋:2010/09/18(土) 19:42:38 ID:fr35kmPO
今回はここまでです。
39名無しさん@ピンキー:2010/09/19(日) 11:24:25 ID:Irz8qfzZ
全ての真相が明らかになった時、勇気はどう考え、行動するんだろうな……
光は泰介とはもちろん、世界や七海との付き合いを完全に切るんじゃないかね
言葉が泰介にされた事を馬鹿正直に打ち明けはしなくても、乙女に苛められた
経験のある路夏が推測で辿り着く可能性あるし

ま、何にしても過疎の酷いスレで数少ない良心だ>丁字屋氏
40名無しさん@ピンキー:2010/09/19(日) 12:49:09 ID:Cht6zLEd
乙ですっ!!

姉と泰助がどう関与してるのか判らんが…
続き楽しみっす!!
41名無しさん@ピンキー:2010/09/25(土) 21:44:46 ID:1gyonOni
ついにマスターアップ…

世界・言葉・乙女の輪姦は、あるかね…
42名無しさん@ピンキー:2010/09/26(日) 01:02:22 ID:A9lZe74I
留学中、刹那はある剣をエジプトの夜店で買う。
刹那は言葉が居合いをやっている事を思い出し、その剣を贈る事にした。

アヌビス神「伊藤誠を殺せ!澤永泰介をブッた切れ!西園寺世界をまっぷたつにしろッ!
おまえは達人だ…剣の達人だ…誰よりも強い、なんでも切れる!」
言葉様「黙っていて下さい、斬る相手ぐらい私が決めます…
道具が人間に意見しないで下さい。塩水に漬けますよ」
アヌビス神「りょ、了解しました(何故、洗脳が効かないんだ…)」
43名無しさん@ピンキー:2010/09/26(日) 10:25:13 ID:AIlprtkB
>>42
ジョジョの奇妙な冒険第3部のアヌビス神…。
洗脳が効かないとは言葉恐るべし…。
44名無しさん@ピンキー:2010/09/26(日) 14:16:40 ID:A9lZe74I
言葉様の殺害候補
1.足利勇気(彼氏を寝取った男)
2.西園寺世界(実はずっと裏切っていた)
3.澤永泰介(アレを切り落しても正当防衛、沢越止のように去勢されても仕方が無い)
45名無しさん@ピンキー:2010/09/26(日) 16:47:16 ID:AIlprtkB
暴力的なプロポーションの持ち主である言葉は、その胸で誠を虜にする事にした。


・学校の屋上で…。

「ほぉら…誠君、おっぱいの時間ですよ〜♪ ぱふぱふ、ぱふぱふ…v」
「ああ…言葉のおっぱい、気持ち良いよ〜」

 誠の顔を優しく胸に挟み込んで、ぱふぱふする言葉。


・浮気予防策?

「誠君、もし浮気したら…こうですよ?」
「むぐっ!? く、苦しい…(気持ち良いけど、息が出来ない!!)」
「浮気したら、本当に窒息させますからね?」
「は、はい…」

 言葉は誠の顔を胸に強く抱き締め、窒息寸前まで離さない。
46名無しさん@ピンキー:2010/09/26(日) 17:47:50 ID:A9lZe74I
>>45
続編主人公(男)を性的に食ったあの男が胸ぐらいでどうにかなるのか。
可愛ければ男でも構わないストライクゾーンの広さと、沢越止譲りの性欲を持つ奴がそれぐらいではどうにもならない。
47名無しさん@ピンキー:2010/09/28(火) 10:48:57 ID:P4oacMWy
いっそ、皆女の子の「スクールレズ」はどうだろうか?
48名無しさん@ピンキー:2010/09/29(水) 23:40:37 ID:62rhc4bv
止と息子達が勇気を巡って刃傷沙汰に陥るバトロワルートはどうだろう。
49名無しさん@ピンキー:2010/10/02(土) 00:35:25 ID:GfwoTM4i
刑務所編
50名無しさん@ピンキー:2010/10/02(土) 01:52:25 ID:TQv0TUwB
いっそ言葉や世界や刹那を一斉に集めて
「俺は全員好きだ。だから、全員とエッチするし、全員平等に愛してやる。だから喧嘩するな」
こういったら修羅場になんねーんじゃね。

誠にそんな芸当は期待薄だけど
51丁字屋:2010/10/02(土) 20:14:35 ID:8NDsAgaL
>過疎の酷いスレで数少ない良心だ
本人はむしろ悪人なんですけどねw
というわけで「贄と成就」アフター
>>37
からの続きです。

52丁字屋:2010/10/02(土) 20:15:11 ID:8NDsAgaL

一時間目の授業中に、僕はメールで桂に、姉ちゃんと何を話していたのか訊いてみた。
やがてきた返事は、
「知恵さんには私のつらい状況を、本当に心配していただきました」
というものだったが、具体的にどういう話がされたかは、さっぱりわからなかった。
ただ、最後に
「知恵さんて本当にいい人ですね」
書かれていたことから、どうやら姉ちゃんが桂に嫌な思いをさせたりはしなかったようだと察せられ、安心した。
メールで路夏にそのことを報告すると、路夏も安心したようだった。

そして昼休みになった。

澤永には姉ちゃんの待っている図書館の司書室に行くように言ってあるが、僕は行かなかった。
またも僕は席を外すようにという姉ちゃんの指示だった。
しかし姉ちゃんも澤永と二人だけで一体何を話すというのだろう?

そんなことを考えつつ、学食で食事をしていると、
「足利、同席していい?」
そう言って黒田が、食事の盆を持って僕の向かいに座ってきた。

「おいおい?またいつかみたいに僕と付き合ってるとか誤解されても知らないぞ」
 僕がそう言うと、黒田は薄く笑って逆に問い返してきた。
「ふふっ、そんなこともあったわね。
でも、そうなって困るのは、むしろ彼女のいるあんたの方じゃないの?」
「おあいにくさま。あの頃は僕も路夏に信じてもらえなくて苦労したけど、
 今じゃ何があっても信じてくれるって言われてるんでね」
「うわっ、のろけてんじゃないわよ!」
「イヒヒ」
と、笑ってみるものの、最近は地雷のふみすぎで本当に信頼されているものやら…
まあ、それは口には出さないけど…。

と、その時黒田が、
「でも、あの頃はよかったわ。そんな程度のことで、腹を立てたりむきになったりしてたんだものね」
そう言って暗く笑った。
「黒田?」

「足利、私、世界に確かめたの。足利の言ったこと…。
 桂さんに伊藤を紹介して、二人の恋を応援しながら、こっそり伊藤と関係を持っていたのか…って」
「ええっ?!」
ちょっ、それはあまりにストレート過ぎじゃあ… で、でも…。
「そ、それでどう答えた?」
「そんなわけないって言ってた」
「そ、そうか…」

そりゃそうだよな。そんなこと正直に認めるわけがない。
だが黒田は一層暗い表情になって続ける。
「でもね…そう言いながら、世界、ずいぶん動揺してて…」
「あ…うん」
「つらいよね…」
「うん?」
「友達が苛めをしてるって知るのも、友達に嘘つかれるのも…
 嘘つかれてるってわかっちゃうのも…つらいよ…」
黒田はそう言うと、盆の上にあったカレーライスを黙々と食べ始めた。
53丁字屋:2010/10/02(土) 20:15:42 ID:8NDsAgaL

だが、無表情にも見える黒田の顔が、しかし僕にはなんだか泣いているように見えて…。
そう、友達の暗い本質を知ってしまった黒田はやはり傷ついているのだろう。
だから…

「なあ、黒田。うんこ味のカレーとカレー味のうんこ、お前だったらどっち食べる?」
「んんっ、…ぶぐほっ!がふっ!」
黒田は食べていたカレーが変な器官にでも入ったのか妙な咳き込み方をすると
電光石火の如く履いていた上履きを手に取って頭上に振り上げると、
「人がカレー食べてる時になんつー質問しとるんじゃーっ!!」
スパーーーーン!!
雄叫びと共に、僕の頭頂部に全力の一撃を食らわせた。

…い、痛い。…でも…。
「少しは、元気出たみたいだな」
僕がそう言うと、黒田は一瞬きょとんとした後…
「足利はやっぱりいいやつね」
そう笑いつつ、しかし
「ただ、いいやつだけど、バカなのが玉にキズだわ」
そう心底呆れたように言った。

「うう…ひどい言われようだ」
「ひどいのはあんたよ。私、まだカレー半分以上残っているのよ」
「ごめん。なんなら僕のうどんと交換するか?」
「別にいいわよ」
そう言うと、黒田は再びカレーを食べ始め、僕もうどんを口に運ぶ。

とその時黒田が…
「ねぇ、いま足利の食べてるのって、中学の時標本で見た寄生虫みたいよね」
!?!?
「げふっ!ぐは!?」
僕は思いきり咳き込み、うどんが鼻から出そうになった。

「けほっ、く、黒田はなんてこと言うんだ」
「ふふ〜ん。さっきの仕返しよ」
「し、仕返しにしても女の子が寄生虫とか言うか?普通?」
「今時の女の子はフリーダムなのよ。おほほほほ」
そう笑って勝ち誇る黒田だけど、さっき上履きで叩いたのは仕返しじゃなかったのか?

とか思っていると
「ゴホン」
と隣から大きなせき払いが聞こえた。
そして僕と黒田は気づいた。
周囲の人間全てが僕たちをもの凄い目で睨んでいることに。

ハハッ。そりゃ、学食でうんこだの寄生虫だの言ってたら当然だな。
気まずくなった僕らは、食べ掛けのままトレイを返す。
54丁字屋:2010/10/02(土) 20:16:13 ID:8NDsAgaL

そして、そそくさと学食を出ると
「全くもう、足利のせいで中途半端なお昼になっちゃったじゃない!」
「なんだよ!?僕だけのせいじゃないだろ」
「あーもう!うっさい!! ばーか」
「あー、バカって言うやつは自分がバカなんだぞ」
「しょ、小学生か、あんたは?ま、身長は小学生と変わりないみたいだけど…」
「あーっ!黒田、僕の一番気にしてることを…!」
などと他愛もない言い合いをしていた。

でも僕も黒田も本気で怒っているのではなく、黒田の顔はどこか楽しそうだった。
その黒田が
「そういえばさあ足利、桂さんを実質的に苛めてるのが誰かわかったわよ」
と軽い調子で言ってきた。

「え?」
「いや、私今日2時間目の教科書忘れて4組に借りに行ったのよ。
 それであのクラスに私たちと同じ中学の森がいるでしょ」
「ああ、知ってる」
「あの子って如何にも苛めに参加してそうでしょ?だから何気なく探ってみたのよ。
 で、やっぱりあの子苛めに積極的に参加してて、
 私が世界の友達だって言ったら誇らしくペラペラしゃべってくれたわ」

黒田が森から聞いた話によると、路夏の言っていた通り、
4組で苛めの音頭を取っているのはやはりバスケ部の加藤であり、
率先して実行しているのは、森ともう二人、小泉と小渕という女子で、いずれも加藤とかなり親しいということだ。
机やロッカーの落書き以外にも、悪質な嫌がらせをしているらしい。

「ただ、とりあえず暴力的なことはまだされてないみたい。それだけでもよかったわ」
そう黒田が言った時、僕は思わず微笑んでいた。

「な、何笑ってるのよ?」
「ん?いや…、黒田もやっぱり桂のこと心配しているんだなって」
「な、何よそれ!?」
「何って、黒田が今自分で言ったじゃないか。桂が暴力を受けてないだけでも「よかった」って…」
「!?そ、それは…っ」
僕が指摘した途端、黒田の顔が真っ赤になる。

「いいから、照れなくたっていいだろ?」
「もう、うっさい、うっさい!!あたしもう行くからね!」
そう言って僕に背を向けた。

「黒田。苛めのことも調べてくれてありがとうな。
 あと…元気出せよ」
僕がその背に向けそう言うと、黒田は
「うっさい、ばーか」
とそのまま歩いて行くが、
ふと立ち止まって振り返ると、
「でも…ありがとね。足利…」
そう言って微笑むと、踵を返して走り去った。

55丁字屋:2010/10/02(土) 20:16:38 ID:8NDsAgaL

と、突然
「でも、ありがとね。足利…」
と、今さっきの黒田と同じ口調で後ろから声がした。
振り返ると、
「勇気、また黒田さんと仲良くしてる…」
「ろ、路夏!?」
そう言いながら、路夏がジト目で僕を睨みながら立っていた。

「ホントにもう…勇気は、ちょっと目を離すとすぐこれなんだから…」
「ち、ちがうよ路夏…誤解だ」
僕はあわてて弁解しようとするが…
「あんなに楽しそうに話してて何が誤解なんだか。だったら黒田さんと何話してたの?」
「それは…」

僕は路夏に、黒田が西園寺や甘露寺と親しくそれ故に桂には辛くあたっていたが、
西園寺や甘露寺の桂への仕打ちを知ってショックを受けていることを話した。
「ふうん。そうなんだ」
僕の話を聞いて路夏も考えこんだ表情になる。

「だからさ、路夏。黒田も辛いと思うんだよ」
「うん」
「だから、黒田に少しだけ優しくしてあげてもいいだろ?」
僕が真剣な気持ちでそう問うと、路夏は少しの間僕の顔を見つめて、
「もう、ずるいよ勇気。そんなふうに言われたらダメだって言えないじゃない」
そう言ってどこか困ったような顔で微笑んだ。

「それに、何があっても勇気のこと信じるって言っちゃったしね」
「う、うん。僕のことは本当に信じてくれていいから」
それは僕の本音だった。
そう、僕は伊藤とは違う。路夏を裏切ったり悲しませたり決してするもんか。

そう心の中で改めて強く思う僕だったが、
路夏はそんな僕を見てため息をつくと、
「はあ…それにしても、女装趣味で覗き魔で盗聴魔のストーカーを信じろとか、
まったくどういう罰ゲームなんだか…」
「あうう…そ、それは…」




とまあそんな感じに、残りの昼休みの時間を、僕は路夏と穏やかな(?)時間を過ごしたのだった。

56丁字屋:2010/10/02(土) 20:17:07 ID:8NDsAgaL

今回は以上です。

57名無しさん@ピンキー:2010/10/07(木) 23:49:33 ID:OBAXaosZ
丁字屋氏いつも乙です。
これからの展開に期待しつつ勇気や路夏にいつもニヤニヤさせてもらってます。

自分も短編を投下させていただきます、
58眠り姫の伝言1/3:2010/10/07(木) 23:51:54 ID:OBAXaosZ
「ただいま〜」
「しぃー、お姉、声が大きいっ」
「えっ?」

家に帰るなり、可憐に言われた一言に私はきょとんとしてしまった。
何があったのかと可憐のいる部屋をのぞいて見ると、

「すぅ  すぅ」

「あれ?いたる……ちゃん?」

「お姉、おかえり、いたるちゃん来てたんだけど、
今寝ちゃったんだ」

居間のソファーですやすやと眠るいたる、
周りの様子を見るとどうやら2人で遊んでいたらしく
遊び疲れたといった所だろうか一度かたしてから再び散らかったような
惨状をみせている。

可憐の話だと、駅前で偶然いたるちゃんと会って、伊藤に連絡した結果、
伊藤が帰ってくるまで家で待つ事にしたのだ。
そういえば天気予報だとこれから雨が降るとか言っていたような気もする
まあ雨が降って無くても、いたるちゃんをずっと待たせる訳にもいかないし
保護者である伊藤に連絡したのなら別に問題は無いだろう、
そんなことをいたるの寝顔を見ながら考えていた、

「可憐ーちょっと来てくれる、」
「あっ、はいはい、じゃあお姉、ちょっといたるちゃん見ててね」
「ちょっと可憐」

引きとめようとしつつも可憐は呼ばれた母親の所へと向かっていった、
母親にも寝てる子どもがいるからとか言ってる声がかすかに聞こえる。
59眠り姫の伝言2/3:2010/10/07(木) 23:52:48 ID:OBAXaosZ
かくして居間には私と寝ているいたるちゃんの2人きりになった、

「おにーちゃ、むにゃむにゃ」

「ふふ、伊藤の夢でも見てるのかな」

いたるちゃんの寝言を聞いてふと顔が緩む、
と、ここで私はある事を思いついた、
昔TVか何かで聞いた睡眠学習に関する事を特集していたことで
寝てる間でも人間の脳は活動していて、寝てる時に聞いたことは
頭の中に入って行き易い、小さい子どもなら尚更影響を受けやすいとのことだ、
さらに伊藤はいたるちゃんから影響を受ける事が多い、

そこで私はいたるちゃんの耳元で起こさないような小さな声で呟いた。

「おにーちゃは加藤のおねーちゃと一緒がいい、
おにーちゃは加藤のおねーちゃと一緒がいい、
おにーちゃは加藤のおねーちゃと一緒がいい、
おにーちゃは加藤のおねーちゃと一緒がいい、
おにーちゃは加藤のおねーちゃと一緒がいい、
おにーちゃは加藤のおねーちゃと一緒がいい、
おにーちゃは加藤のおねーちゃと一緒がいい、
おにーちゃは加藤のおねーちゃと一緒がいい、
おにーちゃは加藤のおねーちゃと一緒がいい。」

「んぅ〜・・・むにゃむにゃ・・・すぅ」

少しうなされた様子はあったものの、いたるちゃんは再び寝ている、
よしっ、ここはもう一回、と思ったらドアのベルがなる、どうやら伊藤が来たらしい。


「今日はいたるを預かってもらって、本当に助かりました」
「いーのよ、娘がもう一人増えたみたいで私も楽しかったから」
「いたるちゃん、また遊びにきてね」
「えへ」
「じゃあ伊藤、またね」
「ああ、またな」

いたるを引き取りに来た誠は私たちの家族に簡単な挨拶とお礼を言って
帰っていった、また伊藤が家に来る事があったらいいなと思いつつ家の中に入っていった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
60眠り姫の伝言3/3:2010/10/07(木) 23:55:43 ID:OBAXaosZ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それから数週間の時が流れる、伊藤はというと、桂や西園寺さんと付き合っているとかいう話は聞いたけど、
別にそんなこと無かった、ううん本当はどちらか、あるいは両方と付き合っていたのかもしれないが
今は私の隣で一緒に私の家へと向かっている。伊藤も相当悩んでいたらしく、
なにかきっかけがあれば桂や西園寺さん、はたまた山県あたりと付き合ってかも知れないが
今、伊藤は私と二人きりの帰路についている。

どうも伊藤が悩んでいる時にたまたま伊藤の家に来ていたいたるちゃんの助言があったのが
決定打になったとの事だ、なんでも最近いたるちゃんは「おにーちゃは加藤のおねーちゃと一緒がいい、」
と言っており、伊藤にしてみれば相手を選ぶきっかけとなってたとのことだ。
まさかあの時の擬似催眠学習がここまで成果をもたらすとは正直思ってもいなかった。
本当にとんでもない程の効果が出たのだから。。。    ただ…………

「あっ、先輩」
「ああ、可憐待たせちゃった、かな?」
「大丈夫です、私も今学校から帰ってきたところですから、
じゃあ先輩、早速デート行きましょ。私、榊野町に行きたい。
先輩知ってます、この前TVで紹介されてたケーキのお店行きたい!」
「ああ俺も見た、じゃあ早速行こうか?」
「うん、先輩には私が食べさせてあげますからね」
「おいおい、あんまり茶化すなよ」
「先輩照れちゃって」

そういって伊藤は可憐と榊野町にと行ってしまった。
そう、誠が選んだ相手は私ではなく妹の可憐だったのだ
今日も家で待ち合わせがあったから一緒に帰ってきたからに過ぎない
昔からの親友として、もしくは伊藤の恋人の姉として
そりゃぁ、いたるちゃんにしてみれば可憐も“加藤のおねーちゃ”
なのかもしれないけど、どうして私じゃないのよ!

やり場の無い怒りを持ちつつカップルとなっている
伊藤と可憐の背中を私は眺めていた。
61眠り姫の伝言:2010/10/07(木) 23:59:43 ID:OBAXaosZ
以上です、
みなさんの実力には及ばないかもしれませんが
楽しんでいただければ幸いです。

62名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 18:29:09 ID:xBMRZ5jK
>>61

やはり乙女は嫌われてたか

この調子でがんがん力作かいて下さい
63SINGO:2010/10/12(火) 02:28:35 ID:ShKmWWUq
どうも。
久しぶりに小説版スクイズ読んでみて、
思うところがあったんでハーブェスト言葉編をいじくってみました。
ので投稿します。

【例えば、こんな物語】
  X(cross)

※18禁
64SINGO:2010/10/12(火) 02:29:50 ID:ShKmWWUq
【例えば、こんな物語】
  X(cross)

桂言葉の手には大きな風呂敷包み。中身は、誠の為に作ってきた重箱弁当。
早起きして母親の手も借りずに一所懸命に作った自信作だった。
言葉は誠の喜ぶ顔を想像して、笑顔を浮かべた。
昼休み。
弁当を持って誠のもとへ行こうとすると、
「!?」
何かに躓き、言葉は前のめりに床に倒れた。手にした弁当が床に落ちる。
それを見たクラスメイト女子の反応は冷ややかだった。
「あーら。何か引っ掛けちゃった?」
言葉の斜め後ろで加藤乙女が薄ら笑いを浮かべながらとぼけた。
ようやく言葉は、加藤が(しかも意図的に)足を引っ掛けてきた事を理解した。
(痛た…。膝を擦りむいたかも。…いえ、そんな事より!)
言葉は弁当を探した。
「ごめんねぇ、桂さん♪」森来実の楽しそうな笑み。
すでに弁当は、偶然を装った森の足で蹴り飛ばされていた。
弁当は、遠くまで転がり、包みが解かれ、無惨にも中身がぶちまけられた。
「あーあ。汚いなあ」「桂さん。教室を汚さないでもらえる?」
小泉夏美と小渕みなみが悪態をついた。
(非道い……。誠君のお弁当が…)
汚れた料理を誠に食べさせるなど、言葉には考えられなかった。
言葉は、自分が嫌がらせを受けた事より何より、誠の昼食が失われた事に深く悲しんだ。
加藤達四人は、さらに追い打ちをかける。
「うわ。こいつ、目に涙いっぱい溜めてる」
「そんなに、お腹がすいてたのぉー?」
だが、いつまでたっても言葉が弁当を見つめたままで抗議してこないので、加藤達はシラケてしまう。
「じゃ、行こうか」
「桂が悪いんだからね♪ちゃんと掃除して綺麗にしておきなさいよ」
結局、言葉は弁当を破棄し、水筒だけを持って待ち合わせ場所へ向かった。

校舎屋上では、伊藤誠がベンチに座って言葉を待っていた。
「遅いぞ、言葉」
「…ごめんなさい」
「??…言葉…?」
「あの…お弁当作ってきたんですけど、その、私ドジだから、ちょっと引っ掛けて落としちゃって…」
「いいよ。じゃ、購買で何か買ってこよう」
「ごめんなさい…ごめんなさい」
「いいって」
言葉は、ただただ謝った。何度も何度も。

65SINGO:2010/10/12(火) 02:31:13 ID:ShKmWWUq
学生食堂兼購買部は大勢の生徒で賑わっていた。
「ふーん。じゃあ、その甘露寺さんの友達…西園寺さんて人が影の黒幕なんだ?」
一角のテーブルで、女子三人が言葉イジメについて喋っていた。
「…にしても。あの時の桂の表情、見た?目に涙ためて、超笑えたよ」
「あんなでっかい弁当、持ってくんなっての♪」
「乙女が足引っ掛けた時さ、弁当無事だったじゃん。来実の蹴りで全部ひっくり返ったもんね」

そこへ誠がやって来て、
(ん?…今、誰かが世界と言葉の話をしてたような…?)
誠はその声の主を見つけ、利き耳を立てようとしたら、
「おい」
いきなり背後から肩を掴まれて、誠の思考は中断した。
誠が振り向くと、そこには小柄な眼鏡少年がいた。
足利勇気。何かと誠に突っ掛かってくる少年。
誠が桂言葉と西園寺世界を二股にかけている事が 、足利にとっては気に入らないらしい。
「また、お前か…。今度は何だよ?」
誠はウンザリ顔でぼやいた。
「桂がイジメられてる。お前、彼氏だろ。何とかしてやれよ」
「言葉が?…誰にだよ?」
誠は訝しげに尋ねた。
実のところ、誠は足利を疑っていた。なぜなら足利は誠を敵視しているから。
自分に敵意を持つ人間のコトバなど胡散臭い、というのが理由だ。
だから今回、足利からの言葉情報も、どうせ俺を責める為の作り話だろ?と誠は疑ってかかった。
「加藤って奴だ。桂と同じクラスの。なんか女子でグループ組んで桂を…」
加藤乙女。誠の中学生時代からの女友達だ。
誠の眉がツリ上がった。怒りの目。
だが、その矛先は加藤ではなく、目の前の足利に向けられた。
(加藤がそんな事するわけ無いだろ。俺の親友を悪く言うな)
加藤の事なら俺が一番よく知ってる、と誠は自負している。少なくとも、中学が違う足利よりかは。
「いつ?どこで?…現場を見たのか?」
「いや、直接見た訳じゃないけど…」
(ほらみろ。テキトーなコト言うな)
だが、ここで反発しても面倒臭い事になりそうなので、誠は
「わかったよ」と好意的に受け取った。
「そうか。じゃあ桂の事、頼んだぞ」
足利は気付かない。自分の助言が誠を動かすには至らなかった事に。
誠は、ただメッセージを受け取っただけだった。

この後、もし誠が事の真偽を確かめるため行動したなら、大切なものを失わずに済んだかも知れない。
だが誠は、足利の言う事は信じられないという理由だけで、言葉イジメの可能性まで否定した。
誠は気付かない。すぐ後ろで、女子三人が各々の言葉イジメを賛賞していた事に。

66SINGO:2010/10/12(火) 02:33:03 ID:ShKmWWUq

夜。
誠は本当の恋人を自宅に招き入れた。
「今日、お母さんは?」
「夜勤だから大丈夫」
「この前、キスの途中で鉢合わせしそうになって、焦ったよー」
「ちゃんと世界の事、紹介しとけば良かったよな。俺の彼女ですってさ」
誠はキッチンへと向かう。
「世界、何か飲む?」
「そんなの、あとあと」
「何のあとなんだか」
「んもう。わかってるくせに」

しばらくして、
パンパンパンパン。部屋で二人が腰を打ち付け合う音が響く。二人の結合部から湿った水音も。
世界は壁に手をつき、形の良い尻を誠に向けている。その世界を誠が後ろから攻めたてる。
「すごい…世界のココ…締まるッ!」
「ふああっ、熱いっ…もっと突いてぇっ!」
「世界……最高だ、世界」
「ああイク、イッちゃう……ああああっ!」
痙攣し、上体をのけぞらせる世界。
「……なんだ、もうイッちゃったのか。世界はホントH大好きだな」
「…ハアハア……誠のせいに決まってるじゃない。一日に七回もHしたのはドコの誰?」
「仕方ないだろ。世界のアソコ、気持ち良すぎるんだから」
「ねえ誠。私の事、好き?」
「好きだよ。世界の事が好きだ」
「桂さんよりも好き?」
「ああ。セカイで一番、世界の事を愛してる」

誠も世界も気付かない。
すでに何者かが伊藤宅内に侵入していて、ベランダから二人の情事を覗き見ている事など。
まして、それが何らかの理由で玄関の合鍵を確保した桂言葉であるなど、誰が想像できるだろうか。
「あ〜もう。体中ベトベト。誠、絶倫。シャワー貸して」
「待てよ、俺も一緒に…」

しばらくして、
違和感を抱いたのは、バスルームで第2ラウンドを終えたその後だった。
バスルームから自室に戻った誠はベッドに座って、何となくカーテンの隙間に目を向けて、
(??…ベランダの鍵が開いてる?)
誠は鍵を閉めるついでにベランダを覗いてみた。
風があるせいか雪がベランダ内にまで入り込んでいて、床が真っ白に染まっていた。
その床に、なぜか一箇所だけ不自然に雪がとけている部分があった。
「そういえば、誠。お風呂でHしてた時、何か笑い声が聞こえてこなかった?」

一体いつどこで選択を間違えたのか。後日、誠は惨劇を目の当たりにする事となる。
誠は気付かない。自分が選択を間違えた事すらも。

End
67SINGO:2010/10/12(火) 02:36:20 ID:ShKmWWUq
終わりです。即興で書いたんでクオリティ低いですが。


【オマケ】

誠 「んー。何て言うか、お約束展開ってやつだったな」
勇気「せっかくイジメ情報を掴んだってのに、何でこうなるんだよ!?」
山県「足利君が悪い」
勇気「何でだよ!!ちゃんと伊藤にアドバイスしただろ!!」
刹那「時と場所を選んで。てか空気読め」
勇気「迅速にアシストしたのに!!」
黒田「や、足利のせいで三馬鹿の尻尾を掴み損ねた訳だしー」
勇気「待て!僕の言うこと信じない伊藤が悪いんだろ!?てか何でお前ら伊藤の肩持つわけ!?」
誠 「足利が邪魔しなければ、俺は言葉を助けに行けたのになあ」
勇気「なに威風堂々と責任転嫁してんだこの屑野郎!!おい桂、何とか言ってやれ」
言葉「誠君は悪くありません。誠君は (以下省略) ですから」
勇気「しまったー!こいつ、超伊藤マンセー女だったァー!!!」
黒田「てかデイズシリーズの女子はみんな伊藤菌に毒されてるから、足利に勝ち目は無いわよ」
勇気「なんてこった…気が付けば、クロイズばりの四面楚歌に…」
泰介「気を落とすな。俺がついてるだろ」
勇気「信じられるのは路夏と姉ちゃんだけか…」
泰介「俺は無視かよ!」

そのころ、路夏と知恵ねーちゃんは盗撮ビデオを占有してヲナニーしてましたとさ。
めでたし、めでたし。

世界「何なの、このグダグダな終わり方わ…」

おわりんぐ
68名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 11:43:45 ID:SUKF/lmV
すごく面白かったです!
惨劇後の二人の様子が気になります。
誠はめちゃくちゃ後悔しそうだけど勇気はどうすんだろ?
伊藤は何もしなかった=黒幕は伊藤と思い込んで新たな惨劇とか・・・
69SINGO:2010/10/12(火) 18:20:02 ID:ShKmWWUq
>>68
ありがとうございます。

もともと企画段階では勇気不在、
単に誠が学食で「不運にも」「タイミング悪く」「三馬鹿の言葉イジメ自慢を聞き逃して」ノコギリEnd
でしたが、
味付け感覚で入れた勇気が思いのほか活躍してくれました。
70名無しさん@ピンキー:2010/10/22(金) 22:19:58 ID:U23hunTh
桂言葉容疑者殺人容疑で逮捕。
懲役10年
71SINGO:2010/10/25(月) 01:49:55 ID:AtkY0cwf
どうも。
今日のSSは私のお気に入りキャラ田中と刹那のストーリーです。
が、今回の田中はあくまで語り手。
活躍するのはオリキャラの松方君です。

【例えば、こんな物語】番外編
〜Last Promise〜

72SINGO:2010/10/25(月) 01:50:59 ID:AtkY0cwf
【例えば、こんな物語】番外編
〜Last Promise〜

ある土曜日の午後、榊野町を歩いていたら、いきなり見知らぬ男に声をかけられた。
「田中?やっぱし田中!久しぶりやん!相変わらずデカイなー。また背ェ伸びたんか?」
…ええと、どちら様?
「ワイや、ワイ…て言うても覚えてへんか。ガキのころ一回会うたきりやしなー」

妙な関西弁の男は松方陟と名乗った。
松方の話では、子供のころ松方はある病気で入院していて、たまたま出会った俺に励まされたらしい。
…すまん。俺、全然覚えていない。
「まあ、こうして会うたのも何かの縁や。ビールで乾杯と行こか。待っとれや」
言うなり松方はコンビニへとダッシュした。俺が制止する暇も無かった。
俺が唖然としている所へ、
「あ、田中。奇遇ね、こんな所で会うなんて」四人の少女達が話しかけてきた。
クラスメイトの清浦刹那、西園寺世界、黒田光、甘露寺七海だった。
「私達これから買物なの。田中、暇なら一緒に来る?」
「ランジェリーショップまで」
…遠慮します。てか俺のガタイでそこに入ったら絶対、警察に通報されるだろ。

清浦達と別れると、
「見とったでー。四股かあ?お前も隅に置けへんなー」いつの間にか松方が俺の背後にいた。
どこぞのエロゲー主人公じゃあるまいし、人聞きの悪いこと言うな。
「誰やねんあの可愛い子ちゃん達。ワイにも紹介せい」
わかったから、昼間から路上でビールは止めろ。てか俺は未成年だ。

「ふーん。西園寺世界に清浦刹那に以下略かー。格好ええ名前やん」
ものすごい省略の仕方だな。てか、気安く呼び捨てるな。
「田中。お前、あのリボンちゃんに惚れとるやろ?確か刹那とかゆうたか」
ぶっフォ!!…なぜ初見一発でバレる!?エスパーか、お前は!?
「隠し事しても無駄やでー。ワイには天のお告げが聞こえるんや」
この日から、俺と松方の奇妙な交友が始まった。

後日。
松方は大胆な提案をしてきた。
「よっしゃ田中、ワイがお前の恋、応援したる。そのかわり、ワイと世界の仲を取り持ってーな」
よりによって一番競争率の高い西園寺か。気の毒だが諦めろ。彼女はもう他に好きな男がいる。
「知っとるで。伊藤誠ゆう男やろ?」
なぜ、お前が知っている?しかもフルネームまで。
「天のお告げがあってん」
また、それか。
「さっそくライバル登場かー。ワイも負けてられへんな。残り少ないこの命、世界の為に懸けるでー」
大袈裟だな。命懸けときたか。
「あ、言い忘れとった。実はワイな、不治の死病やねん。余命あと半年て言われてん」
その割には御チャラけているな。ソレも天のお告げとやらか?
「そうや」松方は終始、笑顔だった。

73SINGO:2010/10/25(月) 01:52:06 ID:AtkY0cwf
さらに後日。
松方の恋は無情にも引き裂かれる事となる。
西園寺が伊藤ひとすじだからという理由ではない。 松方の不治の死病が原因だから…でもない。
悪夢のような報せ。
西園寺が救急車で病院に運ばれた。
失血性ショック。西園寺が四組の桂言葉に、ノコギリで首筋を斬り裂かれたのだ。
西園寺は緊急手術を受け、なんとかギリギリのところで一命を取り留めた。
だが昏睡状態のまま意識が戻らない。担当医の説明では、意識が戻る可能性は薄いらしい。

清浦は学校に来なくなった。病院に泊まり込んで西園寺に付きっきりで看病しているのだ。
俺は伊藤、黒田、甘露寺ほかクラスメイト達と共に、西園寺の見舞いに行った。
実のところ、俺は清浦の事の方が心配だった。(もちろん西園寺の事も心配だが)
その俺の不安は的中する事となる。まるで死んだ様に眠る西園寺の隣で、
清浦はやつれていた。目の下に隈ができ、頬がこけ、生気が感じられない。
ただ椅子に座ったまま、西園寺を見つめたまま微動だにしない清浦。
テーブル上の、清浦への差し入れ弁当も、ほとんど手付かずのままだ。
「大丈夫。世界はきっと良くなる」
「刹那、一睡もしてないの?一度、家に帰ってゆっくり休んだら?」
「てか、ご飯ちゃんと食べてる?」
「そろそろ学校にも顔出してよ。みんな心配してる」
クラスメイトが励ましや慰めや心配のコトバを口にしたが、
「………ん……」清浦は虚ろな返事をしてくるだけだった。

そんなやりとりをする日が何日か続き、やがて伊藤も学校に来なくなり、
一週間以上が過ぎた。依然、西園寺は意識不明のまま。

榊野学園。
放課後、校門で松方が俺を待っていた。
そういえば、しばらく会っていなかったな。最後に会ったのは、あのノコギリ事件の前日だったか。
「おう田中。ちと難儀な事になってもうてな。耳貸しィ。刹那にバレたら発狂もんやで」
すでに知っている。この件を、俺や清浦が知らない訳が無い。…てか、お前、今頃知ったのか?
「世界がヤバイんは知っとる!伊藤や伊藤!あいつ、ヤケクソになってもうたんか?元々ああなんか?」
そういえば、伊藤あれから学校に来ていないな。清浦と同じく、西園寺に付きっきりなのだろう?
「んな訳あるか!世界が選んだ男やから、どんな男前かと思うたら、とんだクソガキやったわ!」
何だ?何の話だ?伊藤が何か、しでかしたのか?
「ああ、スマン。喋る順番、逆やった」
松方は、これは天のお告げとちゃうで、と前置きして、
「伊藤の奴、浮気しとるで。世界が目ェ醒まさへんのをええ事に、家に女つれ込んどった。三人も」

74SINGO:2010/10/25(月) 01:53:09 ID:AtkY0cwf
一ヶ月が過ぎた。
榊野総合病院、病室。あれから何度ここを訪れただろうか。
西園寺は相変わらず昏睡状態のままだった。
今日も清浦が西園寺の隣で椅子に座っていて、相変わらず…いや、さらに衰弱していた。
…なあ清浦。いつまでそうしているつもりだ?
「…ずっと。ずっと世界を守るの。私には世界しかいないから」
そんな寂しいこと言わないでくれ。
「もし世界が逝亡くなったら…世界の存在を認めなかった桂さんとこの世の中に復讐してやる」
やめてくれ。そんな事、西園寺は望んでいない。むしろ悲しむ。黒田も甘露寺も。…それに俺もだ。
みんな心配している。清浦が少しでも友達を大切に思っているなら、あいつらを安心させてやってくれ。
「私には世界だけいれば、それでいい。心配するだけで助けてくれない友達なんて、いらない」
清浦は全てを拒絶した。

俺は逃げる様に病室を出て、待合室に行きベンチに座りこんだ。頭を抱える。
くそっ。俺は、どうすればいい?
俺は無力だ。誰も守れない。清浦の心の支えにもなれない。図体がデカイだけのデクの棒だ。
清浦は俺を拒絶した。俺なんかが傍にいても清浦の重荷になるだけだ。
「まったく…世界守るて気張るんはええけど、自分が倒れてもうたらモトもコも無いでー」
松方だった。いつの間にか俺の隣にいて、清浦の事をぼやいていた。
「自分の幸せ犠牲にしても誰も喜ばへんのに、いつまで死人との約束引きずるつもりやねん」
こら、西園寺はまだ生きているぞ。勝手に死なすな。
「ちゃうちゃう…いや、スマン。そやな、お前の言う通りや。…世界は必ず目ェ醒ます」

「…で、田中。結局、刹那に喋らへんかったんか?伊藤の浮気を」
俺に出来る訳が無いだろう。残酷な真実で、さらに清浦の心を閉ざす事など。
「そーか。刹那の百年の恋も冷めたら、デクの棒にもチャンスが回ってくる思うたのにな」
なぜ、お前が知っている?清浦が伊藤に惚れている事を。
松方は、天のお告げがあってん、と答えて、
「まあ、お前がそんな卑怯モンやったら、ワイがド突いとったけどな。さすがワイの見込んだ漢や」
そんな格好良いものではない。ただ俺が臆病者なだけだ。
「実はワイな、世界が目ェ醒まさん方がええとも思うとった。そしたら世界はワイのモンになるしな」
おい、いきなり何を言い出す?
「世界が目ェ醒ましたら、またあのクソガキと付き合うやろ?なら、いっその事…ってな」
想い人を、あんな男に渡したくない、か。その気持ちは解らないでもない。
「けどな、お前の泣き顔見て気ィ変わったで。こりゃ、力づくでも世界の目ェ醒まさなアカンてな」
そう言うと松方は、西園寺の病室へ向かって歩き出した。
おい待て。力づくって…お前、何をする気だ?
「今まで黙っとったけどな。実はワイ、天の使いやねん。死人を生き返らせるチカラがあるんや」

75SINGO:2010/10/25(月) 01:54:08 ID:AtkY0cwf
再び病室。
俺達(というか松方)のいきなりの入室に、
「田中。その人、誰?知り合い?」清浦は怪訝そうな視線を向けた。
「ワイが誰かなんて、どーでもええ。このままやったら世界が目ェ醒ます前にアンタがくたばってまうで」
「ほっといて」
「そーもいかへん。アンタがくたばったら田中が泣くさかい。せやから世界を起こしに来たんや。
……田中がな」
??…え?俺が??お前、何を言っている??
「…田中が?」
「今まで黙っとったけどな、実は田中、天の使いやねん。死人を生き返らせるチカラがあるんや」
「ふざけないで!!」清浦の怒声。
そうだぞ。こんな時にそんな冗談を言うなんて、非常識にも程がある。
すると松方は俺の右手を掴み、俺を西園寺のもとまで歩み寄せた。すぐ前に昏睡状態の西園寺。
「まあ見とき。恋するデクの棒は強いでー」
松方は俺の右掌を西園寺の額に押し付けた。強引に。
数秒後、信じられない事が起きた。
昏睡状態のはずの、西園寺の両目が開いたのだ。
「え?嘘…!?世界!?」清浦が驚く。
う、嘘だろ?
信じられない。こんな事、絶対に有り得ない。俺も清浦も幻覚を見ているのか?
「…あれ?何で刹那と田中がココに?てか、ココどこ?確か私、桂さんに首を…」
西園寺はハテナ顔。だが、その意識はしっかり回復しているようだ。
「世界、良かった!!……ありがとう田中、凄い!」
いや違う。俺には、そんな力は無い。
そうだ、さっき西園寺に手をかざしたのは俺だけではなかった。これは俺が起こした奇跡ではない。
「言うたやろ。天の使いや、って」
お前か?お前の力なんだな?
だが、当の本人は、
いない。どこに行った?
『まったく世話がやけるな。けど、これで安心して二人を任せられる。頼んだぞ田中』
ただ声だけが聞こえてくる。が、その姿が見当たらない。廊下に出て捜しても、どこにもいない。
「待って、出て来て!あなた誰なの!?」清浦も一緒になって捜す。
『さすがにワイの…いや、僕の顔を思い出せないか。けど、それでいい。それでいいんだ、刹那』
知り合いだったのか?
『いつまでも死人との約束なんか引きずるもんじゃない』
「何でその事を?ねえ田中、彼は誰なの!?」
誰って、ただの顔見知りだ。子供の頃に一度会った程度の。名前は松方陟といって…。
「陟?ありえない!ノボル兄さんがここにいるわけ無い!!」
やはり知り合いだったのか。だが、ありえないも何も、さっきまでココにいただろう。
「…ノボル?ノボルさんなら、とっくに死んでるでしょ。私達が子供の頃に」
西園寺が、事もなげに言った。
『ああ。今度こそ本当にサヨナラだ。世界、僕は君の事が好きだった』
松方の声は、それっきり聞こえてこなかった。

76SINGO:2010/10/25(月) 01:55:43 ID:AtkY0cwf
あれから数日が過ぎた。
西園寺は退院し、清浦も元気を取り戻した。
西園寺は伊藤とバカップルぶりを披露し、清浦がそれを暖かく見守っている。
(言いたい事は山ほどあるが、人の幸せに水をさすほど俺は野暮ではない)
俺達は、いつもの日常を取り戻した。
ただ、松方だけが、いない。
あの日の西園寺の目覚めと共に、松方は忽然と町から姿を消した。まるで最初からいなかったかの様に。
(そういえば、あいつ不治の死病とか言っていたな)
「何者だったの?あの陟さんて人は」清浦が尋ねてきた。
よく知らない。会って数回しか話をしていない。
子供の頃に俺と出会っていたらしいが、俺にはその記憶が全く無い。
もしかしたら、出会いすら無かったのかも知れない。
清浦の方が詳しいのでは?
「ノボルさんは私の初恋の人だったの。まあ、あの人は世界にゾッコンだったんだけど」
子供の頃に亡くなったとか言っていたな。ノボルさんも不治の死病に侵されていたのか?
「うん。世界を守ってくれ、そう言い遺してノボルさんは息を引き取ったの」
それでか。清浦が異様なまでに西園寺に執着していたのは。伊藤を西園寺に譲ったのも、そのためか?
「約束したから」
そういえば、松方は死人との約束がどうとか言っていた。残り少ないこの命を世界の為に懸ける、とも。
あいつもノボルさんも、西園寺の幸せをを守りたかったんだな。
あいつが、清浦の言うノボルさんと同一人物なのかどうかは、わからない。だが、
『今まで黙っとったけどな。実はワイ、天の使いやねん』
もしかしたら、あいつは本当に天の使いだったのかも知れないな。
「ぷっ。田中、意外にロマンチスト」
おっと。つい感傷的になってしまった。まるで親友を失った気分だ。
そう。俺は、あいつと親友になりたかったのだ。
解り合えたかも知れない漢の最期。
あいつの正体が何であれ、もっと一緒にいたかった。もっと話をしたかった。
だから、サヨナラは言わない。冥福も祈らない。だが、これだけは…
ありがとう、陟。


そういえば俺、まだ自分の気持ちを伝えていなかったな。
「?…何?」
「俺、ずっと前から清浦さんの事が…」

End
77SINGO:2010/10/25(月) 01:57:47 ID:AtkY0cwf
終わりです。
あまりにもご都合良すぎる展開ですが、やっぱり最後はハッピーエンドが良いですよね。

ドラマCD「Little Promise」をお聞きになると、より一層、味わい深くなります。
78名無しさん@ピンキー:2010/10/29(金) 19:46:46 ID:WEz2z1BS
いよおおおおおおおおおおおおおし!!
79名無しさん@ピンキー:2010/11/01(月) 19:39:13 ID:IJcBjw0O
その調子だぁ!
80名無しさん@ピンキー:2010/11/05(金) 20:21:46 ID:2iLGACk8
保守
81名無しさん@ピンキー:2010/11/05(金) 23:44:12 ID:KCxZlirf
逮捕逮捕逮捕
82名無しさん@ピンキー:2010/11/06(土) 19:53:16 ID:iXoLoOVf
七海が誠に突き上げられてあの美巨乳を激しく揺さぶらせる姿とか、
駅弁へ移行後に堪らず長い四肢を誠の背に絡めてしがみ付く姿とか、
組み敷かれた体位で大量の精液を注ぎ込まれて達してしまう姿とか、
もっと見てみたかった
83名無しさん@ピンキー:2010/11/06(土) 22:33:48 ID:rLNRQ8cM
クロイズの七海エンドの補完か
是非読んでみたいね
84名無しさん@ピンキー:2010/11/07(日) 18:42:55 ID:kR5bSCQk
身長173cm B98-W68-H91
とんでもスクリプトによると体重59kg

ド迫力ボディが素晴らしい
85名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 14:15:15 ID:rkIDXXz9
いいぞぉ!
86名無しさん@ピンキー:2010/11/10(水) 10:28:32 ID:KTUj6HWU
七海が光と路夏の目の前でも構わず誠を求めてる大声を、
家の外まで来てた乙女に聞かれるってのも良いなw
87名無しさん@ピンキー:2010/11/10(水) 14:08:02 ID:Bzi40744
>>86
スクイズ乙女ルートだと
玄関前に言葉が居残ってるかもしれないのに
乙女H始めたよな
88名無しさん@ピンキー:2010/11/10(水) 19:22:53 ID:By1re5s9
七海は誠に激しく突き上げられながら
惚けてしまい、絶頂間際には自分から
膣内射精を懇願してしまうわけか

股間が熱くなるな…不覚にも
89名無しさん@ピンキー:2010/11/13(土) 19:05:05 ID:jEUN2U7U
身長170cm以上、体重60kg近い体格の良い女を駅弁ファックするのは結構しんどい
90名無しさん@ピンキー:2010/11/14(日) 09:19:13 ID:uEUzdxc5
対面座位なら行けるだろ
何せベッドは4Pも可能なくらい広くてごっついしw
91丁字屋:2010/11/15(月) 19:57:57 ID:wAVvZXEj
久しぶりです。
規制に巻き込まれてましたがようやく解除。

というわけで「贄と成就」アフター

>>55
からの続きです。
92丁字屋:2010/11/15(月) 19:58:42 ID:wAVvZXEj

姉ちゃんがいじめにけりをつけると言っていた放課後になった。
僕は既に黒田から聞いたいじめの実行犯のことはメールで連絡しており、
一方姉ちゃんからは、図書館にくるように指示を受けていた。

指示通り図書館に行くと、既に姉ちゃんと桂が来ており、花山院先輩の姿もあった。
姉ちゃんは僕の顔を見るなり
「来たね。じゃあとりあえず、あんたはここで桂さんと一緒にいてやりな。
 で、私が連絡したら桂さんのクラス…1年4組の教室に二人できな」
と言い、更に桂に
「桂さんそれでいいね?」
と訊いた。
そしてそれに対する
「はい」
という桂の返事には、やはり姉ちゃんに対する信頼のようなものが伺えた。

そして僕は
「ところで姉ちゃん、いじめにけりをつけるって、一体どうするつもりなんだ?」
そう尋ねていた。」
その僕の問いに、姉ちゃんは
「どうするもなにも、うちの部の下級生がおいたをしてるんだ。
上級生としてきちんと説教してやめさせる。それだけだよ」
と、さも当たり前だろと言わんばかりに答えた。
て言うか、何とも当たり前な答えだった。
どうも僕は姉ちゃんのことだから、何かエキセントリックなことでもするんじゃないかと考えすぎていたようである。

「それから花山院、今回はあんたの彼女にはかなり厳しいことになるけど承知しておいてよ」
「ああ、。自分の彼女のフォローくらいは自分でするから、お前が正しいと思うようにやってくれ」
花山院先輩は、いつもは姉ちゃんと口喧嘩しているが、いまの姉ちゃんの言葉に対する返答からは、
やはり姉ちゃんへの信頼のようなものが感じられた。

そして、
「じゃあ行ってくるよ」
そう言って姉ちゃんは図書館を出て行くが、僕はその後を追った。
姉ちゃんに聞きたいことがあったからだ。

93丁字屋:2010/11/15(月) 19:59:44 ID:wAVvZXEj

「姉ちゃん…」
「ん?どうしたの勇気。図書館で桂さんと一緒に待ってろって言ったでしょ」
「ちょっと聞きたいことがあるんだ」
「何?」
「澤永のことなんだけど…」
「澤永…君?」
姉ちゃんは一瞬訝しげな顔になる。

澤永は、今日午後の授業に出ていなかった。
心配する黒田からの「何か知らないか」というメールで僕はそれを知ったのだが、
澤永は気まぐれに授業をサボるようなヤツじゃあないし、
昼休みに姉ちゃんと話した時に何かあったのではないかと僕には思えた。

そのことを姉ちゃんに問うと
姉ちゃんは少し困ったような顔をして頭をかき、やがて僕の顔をまっすぐ見ると、
「そうだね。簡単に話しておこうか」
そう言って話し始めた。

「まず、澤永君は…あんたや路夏も推測はしていたようだけど…桂さんに対して嫌なことをした。
 そして、桂さんはそのことでひどく傷ついた」
「やっぱり……でも、嫌なことって一体…?」

「ただね勇気、澤永君には悪気はなかったんだ。
 彼は今日まで、自分が桂さんを傷つけていたなんて露ほども思っていなかった。
 それは無知と言うにあまりに愚かなことだけど…」
「……」
「でも澤永君は今日、ようやく自分のしたことの意味と重さを知った。
 私が教えたから…。
 そして彼は、今自分のしたことに反省し、後悔している」
「うん……」

「それでも、姉ちゃんは澤永君を殴ったわ」
「え?」

「いくら反省し、後悔しても、やはり罰が必要なことはあるの。
 それにこのことは澤永君も納得ずくのこと。
 いや、私に殴られたところで、彼はこの先も自分のしたことの重さに苛まれるだろうけど、
 それもまた彼が受けるべき罰よ…」
「……」
一体澤永は何をしたというんだ?
姉ちゃんはいまだそれを口にしないが、僕はそれが気になる一方で、
それを知るのがこわい気がしていた。
だが……

「だから、澤永君が桂さんに何をしたのかを勇気が知る必要はないの」

「え?」
94丁字屋:2010/11/15(月) 20:00:16 ID:wAVvZXEj

「この先澤永君が自身のしたことに苦しむのは澤永君自身の問題だし、
 桂さんはこのことは忘れたいと思っている。
 だから、あんたは何も聞かずに、澤永君とも桂さんとも今まで通り普通に付き合いな」
「で…でも…」

「いいね、勇気。あんたは何も知らなくていいの。
 わかった?」

まるで念を押すような、そして諭すような姉ちゃんの言葉は、なんだかひどく優しい声で、
 でもそう言った時の姉ちゃんの眼は、なんだかひどく悲しげで、
だから僕は、
「うん。わかった」
ただそう答えた。

姉ちゃんはその答えに満足したように満面の笑みを浮かべると、
「よし、いい子だ」
そう言って僕の頭を優しく撫でた。

僕はそれまで、姉ちゃんに今回のことを任せるのには、
姉ちゃんのことだからかえって話をややこしくさせるのではと不安があった。
でも今姉ちゃんの笑顔を見て…姉ちゃんに撫でられた頭が気持ちよくて、
そんな不安は吹き飛んでしまった。

うん、姉ちゃんに任せておけば大丈夫だ。

そして僕は、
「じゃ、行ってくるからあんたも図書館に戻ってな」
そう言って背を向けた姉ちゃんを見送って、図書館に戻った。
95丁字屋:2010/11/15(月) 20:01:26 ID:wAVvZXEj

図書館で姉ちゃんから連絡が入るのを待つ間、桂には不安そうな様子はなく、
やはり姉ちゃんを全面的に信頼していることが見て取れた。

僕は桂に訊いてみた。
「桂は…姉ちゃんが怖くないのか?」
「え?」
「いや、姉ちゃんてさ、顔も性格も結構キツイし、僕なんか奴隷のように扱うし、
バスケ部の一年でも姉ちゃんを怖がってるヤツも少なくないし、だから…」
「いえ。確かに今朝、初めてお会いした時には正直言うと少し怖いなって思いました。
でも、お話してみると知恵さんってすごく優しいですし、私のことを本当に思ってくださって…」
そう目を細めて言う桂の頬は、僕にはうっすらと赤らんで見えた。
姉ちゃん?桂と一体何を?

結局一時間近く待っただろうか、姉ちゃんからメールがきた。

指示通り4組の教室に入った途端、桂が動揺した。
って言うか、僕も少し動揺した。
教室の後ろに一列に、女バスの一年の面々がユニフォーム姿で並んでいたのだ。
その中には路夏や甘露寺、そして僕のクラスの細川、畠山、今川もいた。
いや、三人ばかり、ユニフォームでなく制服姿の者もいて、1人は…森だった。
ということはあとの2人は、森同様に4組でのいじめの実行犯である小渕と小泉というヤツか。
そしてみんなどこかうなだれたような列の脇に姉ちゃんと、
もう1人…あれは確か女バスの部長の渋川さん…がいた。
96丁字屋:2010/11/15(月) 20:03:18 ID:wAVvZXEj

ともあれ、僕らが教室の扉を開けると、その全員が一斉にこちらに注目した。
細川たちは一瞬、何で僕がいるのかと言いたそうな怪訝な表情をする。
姉ちゃんはこちらを見ると
「来たね。じゃあ桂さん、こっちへ」
と桂を手招きし、桂もこくりとうなずいて、そちらへ向かった。

「あなたが桂さんね」
そう言って桂に声をかけたのは渋川さんだった。
「バスケ部の部長の渋川です。
 今回はうちの一年生たちがあなたに随分ひどい事をしたみたいで、
 部長としても本当に申し訳なく思っているわ。
 本当にごめんなさい」
「あ…いえ、そんな…」
渋川さんの丁寧な謝罪に桂はかえって恐縮する。

「で、ここにいるのが桂さんに嫌な思いをさせた連中よ。
 計画、指示した者もいるし、まあ直接的には何もしないとはいえ、止めなかった者もいる。
 そしてもちろん直接嫌がらせを実行した者も・・・。
 ほら、あんたたち、謝りな」
姉ちゃんがそう言うと、一年の列が半歩前に出て、

ともあれ、僕らが教室の扉を開けると、その全員が一斉にこちらに注目した。
細川たちは一瞬、何で僕がいるのかと言いたそうな怪訝な表情をする。
姉ちゃんはこちらを見ると
「来たね。じゃあ桂さん、こっちへ」
と桂を手招きし、桂もこくりとうなずいて、そちらへ向かった。

「あなたが桂さんね」
そう言って桂に声をかけたのは渋川さんだった。
「バスケ部の部長の渋川です。
 今回はうちの一年生たちがあなたに随分ひどい事をしたみたいで、
 部長としても本当に申し訳なく思っているわ。
 本当にごめんなさい」
「あ…いえ、そんな…」
渋川さんの丁寧な謝罪に桂はかえって恐縮する。

「で、ここにいるのが桂さんに嫌な思いをさせた連中よ。
 計画、指示した者もいるし、まあ直接的には何もしないとはいえ、止めなかった者もいる。
 そしてもちろん直接嫌がらせを実行した者も・・・。
 ほら、あんたたち、謝りな」
姉ちゃんがそう言うと、一年の列が半歩前に出て、
「ごめんなさい」
と一斉に謝った。
本当にすまなそうな様子の者が殆どだが、中には不服そうな顔の者もいる。
甘露寺もそうだし、森なんかはそういう感情が顔にもろに出ている。

続けて姉ちゃんが桂に言う。
「まあこの連中には一応きつく説教はしたわ。
 あと、桂さんの机やロッカーもきれいにさせた。
 まあロッカーの方は元通りというわけにはいかなかったけどね…」
見ると、確かに桂の机やロッカーの落書きは、きれいに消されていた。
ロッカーの方の蹴られた跡であろうへこみはさすがに元通りにならなかったようだが。
「あと、落書きで使えなくなった教科書も、きちんと弁償させるから」
「そ、そんな…弁償なんて…」
「いや、こういうことはケジメが大切だから」
「は、はい…」

97丁字屋:2010/11/15(月) 20:05:54 ID:wAVvZXEj
(↑すいません、なんか文章が一部ダブっちゃいましたー汗)



「無論、桂さんの感じてきた精神的苦痛を考えれば、これだけで済むとは思っていないよ。
 けど…、桂さん、どうする?
 全員一発づつ殴るとかでもいいし、
 無論学校側からきちんと処罰して欲しいって言うならそれもやむを得ない」
姉ちゃんがそう言った時、一年生たちが動揺を見せた。
それはそうだろう。
学校側に処罰を求めるとなれば、明確に集団いじめという事件になるということだし、
特に主犯とも言える甘露寺や実行犯の加藤や森たちなどは、相応の処分を覚悟しなくてはならないだろう。
まあそれだけのことをしたのだから当然の報いと言えばそれまでだが…。
しかし…

「いえ、いいんです。みなさんには、きちんと謝っていただきましたし、
 これ以上ことを荒立てたいとは思いません」
桂がそう言うと、一年生の間に安堵の空気が流れた。
「桂さん、本当にそれでいいの?」
渋川先輩が念をを押すように訊いたが、桂は
「はい」
と小さく、だがはっきり答えた。

それを受けるように姉ちゃんは優しく微笑み、
「桂さんは優しいね」
と桂に、一転して厳しい表情で一年生部員たちに、
「…あんたたち、わかってるの?
 あんたたちはこういう子によってたかってひどいことしていたんだよ!」
ときつく言い放った。
言われた一年生は殆どがうなだれ、中にはすすり泣きしている者もいる。
 
「じゃあ桂さん、本当にごめんなさいね。
 とにかくもうあなたへの嫌がらせなんてさせないから、
 とりあえず今日は安心して、ゆっくり休んでね」
と、改めて渋川先輩が謝る。
しかし桂は逆に
「いえ、こちらこそありがとうございました」
と礼を言って頭を下げた。
98丁字屋:2010/11/15(月) 20:06:47 ID:wAVvZXEj

そして桂はそのまま教室を出ようとするが、
「桂さん。待って」
と声がした。
声は細川だった。
細川は桂の前に出てくると
「私は直接桂さんに何かしたってわけじゃないけど、
 それでも桂さんにひどいことしようってみんなが決めた時、
 それを間違っているとわかっていても、
 自分は何もしていないって自分に言い訳して知らないふりを通していた。
 でも、結局それも桂さんを苦しめることになっていたのは変わりないから…
 だから…ごめんなさい!」
そう言って深々と頭を下げた。

すると畠山と今川も前に出てきて
「私も、本当はこんなの嫌だなって思っていながら、反対できなくて、
 みんなに同調して……ごめんなさい!」
「私も……ごめんなさい!」
とやはり深々頭を下げた。

更に他の面々も次々と前に出てきて、
「私もごめんなさい」
「私は正直言うと桂さんのことあまり好きじゃないけど、
 でも今回みたいなことはやっぱりしちゃいけなかった。
 だから…ごめんなさい」
「私もごめんなさい」
「ごめんなさい…」
と頭を下げた。
桂はそのたびに
「いえ、いいんです…」
と困ったように答えながら、でもやはりどこか嬉しそうだった。
また、姉ちゃんもその様子を嬉しそうに見ていた。
99丁字屋:2010/11/15(月) 20:31:38 ID:wAVvZXEj

しかし肝心の実行犯、主犯と言える森や加藤たちは、
「悪かったわ」
という一言だけをいかにも嫌々言っているようだった。
そして最後に甘露寺も前に出てきて
「桂。あんたが伊藤に手を出そうとしていることについては、まだ言いたいこともあるけど、
今回のことは…とにかく悪かった…」
と、あまり申し訳なさが感じられない様子ながら、それでも頭を下げた。

すると桂が甘露寺に話しかけた。
「いえ…ただ、甘露寺さん…」
「ん?」
「安心してください。私、もう誠くんには近づきませんから」
「え?」
桂の言葉に甘露寺が驚きの表情を見せた。
いや、甘露寺だけじゃない。
路夏も、加藤たちも、姉ちゃんも今の桂の言葉は予想外だったのか驚いた顔をしている。
僕だってそうだ。

僕は桂が本当に伊藤を好きなのだと痛切に感じていたし、
今回のいじめにしても、
甘露寺が一度警告した時に、もし桂が伊藤への思いをあきらめていれば起こらなかったはずのことだ。
すなわち桂は自分がどんな目に合おうと伊藤への思いを貫こうとしていたんだ。
それが、もういじめの心配はなくなったのに伊藤にはもう近づかないって…一体どういうことだ?
100丁字屋:2010/11/15(月) 20:32:00 ID:wAVvZXEj

そして甘露寺が
「ちょっと何言ってるの?
それじゃあんた、やっぱり遊びで伊藤に手を出してたってわけ?」
と、まるで腹を立てたように疑問を口にする。
だが桂は甘露寺をまっすぐ見返した。

「いえ、誠君のことは本当に好きでしたし、自分は誠君の彼女だとずっと思っていました」
「だ、だったら何で?」
「でも、誠君が本当に私の彼氏だったら、
いえ、彼氏じゃなく友達だったとしても、
 私が今回みたいなつらい目にあっている時に助けてくれるはずですよね?」
「で、でも、今回のことは伊藤にはわからないようにやっていたからね」
どこか凛とした桂の雰囲気に呑まれつつ、伊藤の弁護めいたことをいう甘露寺だが、桂が続ける。
「いえ、それでも少しでも私のことを見てくれていれば、
 きっと私のつらい状況に気づいてくれたはずです。
 結局誠君は私のことなんて少しも見てくれていなかったんです。
 でも、おかげで私気づけました。
 ほんのわずかなつながりだったとしても、
 私のことを見てくれて、私のことを思ってくれて、私を助けてくれる人がいることに…。
 私はそうした人たちこそを、これからは大切にしたいと思います」
そう言いながら、桂が僕や路夏、そして姉ちゃんの方をちらりと見たような気がした。
 
そして桂は、
「それでは、失礼します」
そう言って一礼すると教室を出て行った。
そこにいる皆が呆然と桂を見送ったが、僕は我に返るとあわてて後を追う。

101丁字屋:2010/11/15(月) 20:33:10 ID:wAVvZXEj

「桂…」
「あ、足利君」
僕はすぐに桂に追いつき、声をかけた。
桂は僕の方に向き直ると
「足利君。今回は本当にありがとうございました」
そう言って頭を下げてきた。
僕はそんな桂の態度にむしろ恐縮する。
だって…

「い、いや、僕は何も出来なかったから。
今回のことは殆ど姉ちゃんのしてくれたことだし…」
「ええ。もちろん知恵さんには心から感謝しています。
でも、知恵さんに相談してくれたのは足利君ですよね?
でしたらやはり足利君のおかげでもあります」
桂はそうにっこり笑って言った。
しかしそれでも…

「それは、そういうふうに考えたらそうかも知れないけど、
でも、やっぱり違うよ」
「え?」

「桂がさっき4組の教室で言ったことだけど、あれって僕のことでもあるんだろ?」
「はい」
僕の問いに、桂は迷うことなく肯定した。
「僕はさ、学園祭の頃、桂の伊藤への思いを応援してた」
「はい…」
「最初は、伊藤が路夏に手を出してると思って、
桂に伊藤をしっかり掴まえてもらわなければって、そういう気持ちだった。
でも、桂が本当に伊藤を好きなんだなって感じて、いつしか心から応援していた…」
そう、それは、一度は西園寺を殺そうと血迷うほどの過剰な思い入れだった。
けど…

「けど、桂が澤永と付き合い始めたって聞いた時、僕は何だか裏切られたような気がして…、
本当は、桂はそれからもずっと苦しんでいたのに、僕はむしろ桂から目を逸らしていたんだ。
そして路夏が教えてくれなければ桂の苦しんでいることに、多分ずっと気づかなかったはずだ。
僕なんて、結局伊藤と大して変わりないよ」
「……」
「だから、桂が僕に感謝することなんてないんだよ」

「…いいえ。そんなことありません」
「え?」
「それでも、足利君は結局私の方を見てくれて、心から心配してくれました。
 私のために足利君は女の子の格好までしてくれて、私の味方だって言ってくれて、
 私本当に嬉しかったです」
桂は笑顔をくずさず、僕をまっすぐ見つめてそう言った。

そうか、結局、桂は〃こういうやつ〃なんだ。

「そうか…」
「はい、そうですよ」
そう言った桂の笑顔はあまりにまぶしくて、
僕は桂がこうして満面の笑顔を浮かべられるようになったことを素直に喜ぼうと思った。

102丁字屋:2010/11/15(月) 20:33:41 ID:wAVvZXEj




一週間が経った。

あの後のことであるが、

女バス一年女子に関しては、
取り敢えず説教を食らったことと桂に謝ったことでそれ以上の処分はなかったようだが、
首謀者の甘露寺だけは一週間の練習禁止となった。

また、女バスの皆が桂に謝ったあの後、路夏と加藤だけ姉ちゃんに残されて、何か話があったようだ。
その後加藤の顔に殴られたようなアザが見られたが、
詳しいことは姉ちゃんも路夏も教えてくれなかった。

細川たちは、桂をいじめから救おうという動きが、元々僕や路夏から起きたことを察したが、
元々いじめに乗り気でなかった彼女らにはむしろ感謝され、
心配していたような、路夏の女バスでの立場が悪くなるようなことはなかった。

女バスと言えば、学園祭前はあまりうまくいっていない雰囲気だった姉ちゃんと渋川さんも、
あの日を境にうまくいっているようだ。

桂へのいじめのことをようやく知った伊藤は、今頃になって桂への気遣いを見せたらしいが、
一方の桂の方が殆ど相手にしなかったらしい。

一方で、僕や路夏が周囲に桂への誤解を解かせようとしたこともあって、
元々は桂と伊藤が恋仲でありながら、
桂の友達であったはずの西園寺が影で伊藤と関係を持ったという事実は徐々に周知のことになっていった。

そのためかどうか、伊藤と西園寺の間は、ギクシャクし始め、
また、西園寺が友人の桂を裏切っていた事実が知れるにつれ冷たい視線を受けるようになった西園寺は、
ここ数日学校を休んでいるという。

澤永はあの翌日には学校に出てきたが、やはり顔には殴られたアザがあった。
澤永はそのことについては何も語らず、僕も姉ちゃんに言われたように何も聞かなかった。
ただ、澤永は以前より少し暗くなったようだ。

黒田は、西園寺や甘露寺と距離を置くようになり、少々寂しそうにしている。

そして桂はと言うと、なんと驚いたことに、あの日の翌日に女バスのマネージャーとなった。
一年女子はなど負い目がある故か、最初こそ桂に気をつかっていたが、
桂はいじめられていたことなど全く気にしていない様子で、皆もそんな桂に好感をもち、
すぐに自然に溶け込んで皆と仲良くやっているという。
また、几帳面な性格な桂は優秀なマネージャーでもあるようだ。、

僕はと言えば、相変わらずで、放課後は花山院先輩と二人で図書館で委員の仕事だ。
桂は女バスのマネージャーとクラス委員とで忙しいらしく、
そのため以前のように図書館で姿を見ることもない。
おかげで返却機がつまることはなくなったけど、そんな日々を僕はどこか寂しく感じていた。

ー完ー

103丁字屋:2010/11/15(月) 20:39:49 ID:wAVvZXEj
というわけで完結です。

え?まだ色々不明な点がある?
そうですか?
それでは・・・

104丁字屋:2010/11/15(月) 20:40:16 ID:wAVvZXEj

ー幕間ー

勇気「え?これで終わりなのか?!」
知恵「何驚いてんのよ?
桂さんのいじめも止んだ上、女バスのマネージャーになって友達もできたみたいだし、
勇気と路夏の桂さんを助けるという当初の目的も達成できたわけだし
万事めでたしめでたしじゃないの」
路夏「で、でも私、最後の方は全然出番ないっていうか、
  てっきり最後は私と勇気のラブラブなシーンだと思ったのに…」
勇気「僕だって、自分の台詞にもあったけど、結局解決したのは殆ど姉ちゃんで、
  主人公なのに全然何もしてないような…」
路夏「そうよねえ。勇気のしたことと言ったら、散々地雷踏んだのと女装エッチくらいよね(ため息)」
勇気「あうう…」
知恵「まあ、勇気じゃあ結局主人公の器じゃなかったってことじゃない?
  最初からあたしを主役にしておけばいいものを…」
勇気「な、なんだよそれ! 大体姉ちゃんだって何してたんだかさっぱりわからないじゃないか!
  何か色々最初から知ってたみたいだけど、その辺のことや、桂や澤永と何話してたんだかもわからないし、
  これじゃ読者から文句がくるよ!」
路夏「まあ結局勇気視点だとわからないことが多いってことよね。
  あーあ、やっぱり勇気は主人公に向かなかったってことなのかなぁ」
勇気「あうう…路夏まで…」
知恵「まあ、読者がわけがわからないのはさすがに困りものだし、
  私が勇気たちから相談を受けた辺りから第三者視点でのストーリー補完でもしますか」
路夏「それでは次回から、補完ストーリーとなります。
  勇気が主人公じゃなくなったおかっげで、物語がわかりやすくなりまーす」
勇気「あうう、ひどい言われようだ…」

105名無しさん@ピンキー:2010/11/15(月) 21:20:51 ID:mNWdLjp9
まずは本編の完結ご苦労様です>丁字屋氏
言葉がジャーマネになるのは予想外 普通なら虐めの中心だった乙女や七海が在籍する
女バスには関わりたくないと思うけど、まあ誠以外の他人に目を向けられる
ようになったので、そこは進歩したということにしときますか(笑)。

知恵や路夏の視点だと、下手すりゃ(万一真相知った場合)勇気が再び短気を起こしかねない
くらい厳しいやりとりがあったと想像できるがどうだろう
106名無しさん@ピンキー:2010/11/22(月) 15:42:39 ID:Fca8EAub
gj!
107名無しさん@ピンキー:2010/11/24(水) 15:16:03 ID:SeuCkxfM
えーっと、言葉×姉ちゃんENDかw?
108丁字屋:2010/11/28(日) 04:55:10 ID:ubvco3Nh
「贄と成就」アフター 補完編です。
勇気たちが知恵に相談した直後から展開します。

今回は基本三人称ですが、主に知恵視点が多いかな。

109丁字屋:2010/11/28(日) 04:56:05 ID:ubvco3Nh
「まさか、あの二人が…男も女も勇気の知り合いだったとはね…」
知恵はベッドに横になりながら呟いた。
先ほど勇気と路夏から受けた、
女バスの一年を中心に行われているいじめをなんとかしてほしいという相談は知恵の苦い記憶を刺激した。
「ふう、結局逃げることはできないのね」
再び呟く知恵。

そう、知恵は一度その現実から逃げた。
自分のしたことがもたらした悲劇から…。
しかし、その現実が再び目の前に立ちはだかった以上…
今度は、逃げるわけにはいかない。
桂言葉…彼女を今度は救わなくちゃ…。
知恵は改めてそう決意すると、起き上がって携帯を手に取った。

まずはいじめのことをなんとかする手筈を取らないとね。
そして知恵が連絡を取ったのは、バスケ部の部長である渋川津々美の携帯だった。

津々美はなかなか電話に出ず、十回近くコールしてようやく出た時の
「何よ。こんな時間に…」
という声もひどく不機嫌そうだった。

そう、知恵は津々美と学園祭前からずっとうまくいっていなかった。
体育会女子の伝統である休憩室設置を中止させようとした津々美に知恵が反意を示し、
結果休憩室は結局設置されると共に
休憩室中止に策を弄した津々美は部内でのいくばくかの信用を損なうこととなった。
津々美は元々自分に反抗的だった知恵をよく思っていなかったが、
そのことで二人の溝は決定的になったと共に、知恵を半ば恨んでいるのだ。

だが、そんなことは構ってはいられないとばかりに、知恵は電話の向こうの津々美に話かけた。
「部のことで大事な相談があるの」
「何?何の話か知らないけど、私抜きで勝手に進めればいいじゃないの」
「渋川、お願い聞いて。
 これはバスケ部全体の問題なの。
 あんたの部長としての判断が必要なのよ」
「部長としての判断?今更何言ってるの。
休憩室のことじゃ率先して、その私の判断に逆らったくせに!」

知恵の相談に対し、敵意むき出しで拒絶する渋川だが…
「休憩室のことは私が悪かったし、謝るわ。
 ううん、渋川の言った通りあんなものつくるべきじゃなかった…。
 あんなもの作らなければ…よかったの…」
それは知恵の本心だった。
そしてそれゆえに、彼女の言葉の最後はどこか悲痛な響きを帯びていた。
渋川もまたそれを感じ取った。

「ちょっと…足利一体どうしたの?」
「バカよね、私、今頃やっと気づくなんて…。ううん、
 本当は学園祭の時から気づいてた。
 それなのに私はその現実から逃げて…。
 だから、ごめん…」
「べ、別に謝らなくても…。
それより足利、何か変よ。大丈夫なの?」

「大丈夫よ。
 それより相談に乗ってくれる?」
「う、うん。とにかく話を聞かせて」
どこか尋常でない知恵の様子に、ようやく津々美もその相談に耳を傾ける。
そして知恵も、渋川が心を開いてくれたことに安堵して改めて相談を口にした。
110丁字屋:2010/11/28(日) 05:00:54 ID:ubvco3Nh
すんません。めちゃくちゃ短いですが今回は導入ということでココまで。
自戒は知恵と言葉の対面。

>勇気が再び短気を起こしかねない
>くらい厳しいやりとりがあったと想像できるがどうだろう

>言葉×姉ちゃんENDかw?

まあその辺も含めて補完していきます。
111名無しさん@ピンキー:2010/11/30(火) 18:51:44 ID:2hCttHG8
楽しみにまってますよ>丁字屋氏

悪役だったスクイズ時代とは思えない変貌ぶりね知恵姐さん
結果的に重すぎない処分にしたのは、言葉が大ごとにするのを
望まなかったのもあるが、一連の問題に対する自責の念が強かったのもありそうだな
ただ乙女に関しては、再び問題を起こさせないように手を打ったんだろうと
(泰介の件を持ち出して恫喝したか?)
112名無しさん@ピンキー:2010/12/14(火) 01:27:36 ID:PMlotcOm
我が最愛の伴侶
伊藤誠
やすらかにここに眠る
享年 16歳

もう誰も彼から
奪うことはできない
もう誰も彼に
与えることはできない

海から贈られたものを
ただ海に返しただけ

                桂言葉
113丁字屋:2010/12/15(水) 04:03:47 ID:eFTTvxN0
「贄と成就」アフター 補完編
投下します。
114丁字屋:2010/12/15(水) 04:04:36 ID:eFTTvxN0
次の日の朝図書館の司書室で、自分に桂言葉を紹介した勇気に、知恵は席を外させた。
勇気には、これからこの子とする話は聞かせられないからね。
そう思いながら、知恵は言葉と向き合う。

言葉は、やはり緊張していた。
目の前にいる足利知恵は、昨日自分の味方になると言ってくれた
(しかもそれを言うために女装までしてくれた)勇気の姉だし、
自分に悪意を持っているとは思えないが、
それでも現在自分に対して行われている執拗な嫌がらせの首謀者と言える
七海や乙女の所属する女子バスケ部の人間だというし、
知恵の大柄な体格とややきつめな顔だちも言葉を萎縮させた。

だが知恵は言葉と向き合うや、
「桂さん。今回のことは本当にごめんなさい。バスケ部の上級生として心から謝罪します」
と、深々と頭を下げた。

「あ、あの…そんな、足利くんのお姉さんが頭を下げることなんて…」
言葉は戸惑った。
たしかに今回のことは、バスケ部である七海や乙女が中心になって行われていることはわかっている。
だが、だからと言ってそれはバスケ部の公式な活動とは関わりないところで行われていることで、
上級生には何の責任もない筈だし、知恵が謝罪する必要もない筈だ。

だが、目の前で頭を下げる知恵の言葉と態度は誠実だった。
それゆえ言葉の心から知恵に対する一種恐れのような感情は消え失せ、逆に好意が生まれていた。

頭を上げた知恵は、言葉に向けて言葉を続けた。

「桂さん…、私、他にも桂さんには謝らなくちゃいけないことがあるの」
「え?」
「ただ、その前に少し話をしていい?」
「は…はい…」
それと私のことは…〃勇気の姉さん〃って呼び方もなんだから、知恵って呼んでね」
「はい。
知恵…さん」
「うん」

しかし知恵が自分に何を謝らなければならないと言うのか…、言葉には思いあたることはなかった。

115丁字屋:2010/12/15(水) 04:05:26 ID:eFTTvxN0

改めて言葉と向き直った知恵は、
勇気たちから聞いた言葉と誠、世界の関係を改めて確認し、言葉の気持ちを確かめた。

「じゃあ桂さんは、その伊藤ってやつのことがずっと好きなのね?」
「はい。私は誠君の彼女ですから…」
「そっか」
誠への気持ちの確認に対するはっきりした返事に、知恵は言葉の真剣な思いを感じ取った。
「だったら、澤永君と付き合っている時は辛かったわよね?」
「え?」
「勇気や路夏は、桂さんが一時とはいえ澤永君と付き合っていたことを不思議がっていたわ。
桂さんは勇気たちには、そのことについては何も言わなかったみたいだけど、
どうやら澤永君が桂さんに何か嫌なことをしたんじゃないかって思いあたってはいるみたいだけどね…」
「……」
「でも、やっぱり言えないわよね。
いえ、思い出したくもないわよね。
あんな…こと…」
「……」

知恵の言葉を聞きながら言葉は考える。
知恵は何のことを言っているのだろうか?
「あんなこと」って、まさか、あのことを知っているのだろうか?
いや、密室の中で起こったあのことを知恵が知っているわけがない…。
でも…。

思いを巡らしている言葉に、知恵が語りかけ続ける。
「桂さん、あの…学園祭の時の休憩室なんだけどね、
事故があったりするとまずいと思ってカメラが設置してあったのよ。
設置したのは私なんだけど…」
「え?」
「そのカメラに、映ってたの。
あなたと…その…澤永君とのこと…」
「あ…」
やはり、知恵は知っていたのだ。

そして知恵は悲痛な表情で言葉を続ける。
「もちろんその時は誰と誰かなんてわからなかったけど、
ただ、女子を男子が無理やり…その…乱暴していたのはわかった。
だから、昨日勇気たちから女バスの一年からいじめられている女子がいるって聞いて、
あなたのその女子…写真を見て驚いたわ…」
「……」

言葉は沈黙していた。なんと言葉を発していいかわからなかった。
その一方で、あの時の記憶が生々しく甦るような気がして、うつむいて唇を噛んだ。
次の瞬間、言葉は自分をふわりとした感触がつつみこむのを感じた。
116丁字屋:2010/12/15(水) 04:06:03 ID:eFTTvxN0
言葉が顔を上げると、知恵が優しく自分を抱きしめていた。

「え?あ、あの…足利君のお姉さん?」
「知恵でいいわ…」
「知恵…さん…」
「勇気たちから聞いたわ。桂さんが、つらい現実を見ても、友達に裏切られても、
 一人の男子をずっと一途に思い続けてきたかって…」
「……」
「だからこそ、勇気たちは一時とは言え桂さんが澤永君と付き合っていたのを不思議がっていたけど…。
 一時とは言え、桂さんが自分の思いを断ち切ろうと考えなければならないくらい、
 あのことは辛かったのよね」
「……はい」

知恵の言葉は、あの頃の言葉の心情を的確に言い当てていた。
そのためか、自分を抱きしめる知恵の腕の感触のあたたかさのためか、
言葉は素直に返事をしていた。

「それでも、今桂さんは、再び自分の思いを貫こうと、
 誰にどんな妨害や嫌がらせを受けても頑張ってきたのね」
「はい」
「桂さんはえらいね。
 …そして…強いね」
「いいえ。私、強くなんてないです。
 あの時も…誠君を諦めかけた時も、泣きました…」
「大きな声で?」
「え?」
「桂さんは、誰もいないところで一人で…声を押し殺して泣いていたんじゃないの?」
「あ…」
「それが桂さんの強さ…。
 でもね、本当に辛い時は思い切り泣いていいのよ」
「泣いて…いい?」
「ええ」
「……」

言葉は戸惑っていた。
そう、確かに知恵の言った通りだった。
優しくも厳しい両親に常に心の強さを求められ、
自身もその期待に応えるようにして生きてきた言葉は、
だからこそ、今回のことでも、泣きたくなっても泣いちゃ駄目だと自分に言い聞かせ、
それでもこらえ切れない時も声を押し殺し、常に一人で泣いていた。
強くあるためにはそうしなくてはならないと信じてきた。
だが、今優しく自分を抱きしめている人は、思い切り泣いていいと言う。
そしてその言葉の響きは、抱きしめられている感触と共に、どこか甘美なものに感じられた。
そう感じた時、言葉の頬を涙がつたっていた。
117丁字屋:2010/12/15(水) 04:06:39 ID:eFTTvxN0
その涙をぬぐうことなく、言葉は
「泣いて…いいんですね?」
と再び問う。そして…
「いいのよ。桂さんの辛かったことも、悲しかったことも、全部私が受けとめてあげるから」
知恵が優しくそうこたえた瞬間、
「うわあああああぁぁん!」
言葉は知恵の胸の中で大声で泣き出した。
知恵はそんな言葉をギュッと抱きしめる。

言葉は知恵の腕のぬくもりを感じながら
これ迄の辛かったことを全て吐き出すようにしばらく泣き続けたが、やがて泣きやんだ。

知恵はそれを待っていたかのように
「ごめんなさい。桂さん」
静かにそう言った。
「何故…謝るんですか?」
「さっきも言ったように、私はあなたが学園祭の時にひどくつらい目にあっていたのを知っていた。
 でも、私はそれを見なかったことにした」
「……」
「それを問題にして騒ぎになることを桂さん……いえ、その時は桂さんって知らなかったけど、
 乱暴された女の子が望むとは思えなかったってこともあるけど、
 本当はただ厄介ごとから逃げただけ…。
 乱暴された女の子が…桂さんがそのことでどれだけつらい思いをしているかなんて
 真剣に考えようともしなかったし、力になってあげようとも思わなかった」
「……」

「それに…あの部屋を…あの休憩室を作ることを強引に進めたのは私なのよ…」
「え?」
「まあ元々は体育会女子の伝統だったんだけど、
 ただ、今年は本当はやめようって話になりかけたの。
 でも、私はそれに反対して、周りを巻き込んであの部屋を作るように話をもっていった」
「知恵…さんが…?」
「そう。みんなに学園祭でいい思い出を作って欲しいって気持ちもあったし、
 私自身も思い出を作りたかった。
 ま、私の場合は結局好きな人は誘えなかったけど…」
「……」
「でも、もしあの部屋がなければ、桂さんはあんな目に合わなかったかも知れない」
「そ、そんな…」

「ううん、結果的に私は私のしたことで桂さんをひどく傷つけて……
 だから、ごめんなさい、桂さん…」
そう声を震わせる知恵の、言葉を抱きしめる腕がいつの間にか震えていた。
118丁字屋:2010/12/15(水) 04:07:18 ID:eFTTvxN0
言葉が顔を上げると、知恵は今にも泣き出しそうな顔をしていた。
そして言葉は気づいた。
先ほど知恵は、言葉が乱暴された映像を見なかったことにしたと言いながら、
ずっと悔やみ続けていたのだと。

そう、知恵は知恵なりによかれと思ってあの休憩室の設置を進めたのだし、
そのために誰かが傷つくだなんて思いもしなかった。
だがその休憩室で起こった現実を目の当たりにしてから、
知恵はずっと心のどこかで、自分を責め続けていたのだ。

それがわかった言葉は、知恵を抱き返していた。

「桂…さん…」
「知恵さんもつらかったんですね」
「そ、そんな…こと…」
「泣いていいんですよ」
「え?」
そう言われた瞬間、知恵の頬を涙がつたっていた。

そして知恵は気づいた。自分は自分のもたらした現実から目をそらしながら、
本当はずっと泣きたかったんだと。

それでも、知恵は涙をこらえるように
しかしすすり泣き出した。
泣いている間、知恵は
「ごめんなさい、桂さん」
そう何度も謝り、言葉はただ
「いいんです…」
と答えた。

やがて泣き止んだ知恵は、照れくさそうに苦笑いしながら口を開く。
「私、桂さんを助けるために来たのに、
 逆に泣いたりして…みっともないね」
「いいんですよ。本当に辛い時は思い切り泣いていいんです」
「え?」
「辛かったことも、悲しかったことも、全部私が受けとめてあげます」

「……桂さん、それ、さっき私が言ったのと同じだよ」
「ふふっ、そうですね」
そう言って二人は笑い合った。

119丁字屋:2010/12/15(水) 04:07:52 ID:eFTTvxN0
「ところで知恵さん…」
「ん、何?」
「私が…その、乱暴されている時の映像ですけど…」
「え?ああ、安心して。
あれは私しか見てないし、テープも処分したから。
カメラを仕掛けておいたことを知ってた他の人間にも、カメラの故障で何も映っていなかったって言ってあるし」
「そう…ですか」
そう答えながら、言葉はほっとした表情を浮かべた。

「まあ桂さんのことがなかったら、みんなの輝かしい戦積のお披露目として上映会を開こうとか
ちょっと考えてたりもしたんだけどね」
「上映会?」
「うん、本人たちには事前に知らせないで、ちょっとしたサプライズイベントとしてね」
その知恵の言葉に、言葉は少し顔をしかめた。

「そういうのはよくないと思います」
「え?」
「私は、私達の年頃ではそういうのはまだ早いと思ってますけど、
ただ、いずれにしても、それは女の子にとっても男の子にとっても大切なイベントだと思うし、
それをみんなで見て楽しもうなんて…よくないと思います」

そう困ったような顔で言う言葉に対し、知恵は一瞬きょとんとして、やがて優しく微笑み
「へへ、桂さんにお説教されちゃった」
いたずらっ子のように舌を出しながらそう言った。

「あ、ごめんなさい…。私のために力になってくれるっていう知恵さんに、偉そうなことを言ってしまって…」
「ううん、桂さんは偉いね」
「え?」
「自分がつらい目にあっていながら、他の人のことを心配できるんだもん」
「そ、そんなこと…」
「ううん、桂さんは偉い!」
そう言うと、知恵は言葉の頭を優しく撫でた。

言葉は頬を薄く赤らめながら、自分の頭を撫でる手のひらの感触に、
先ほど知恵に強く抱き締められた時と同じぬくもりを感じていた。

知恵は、勇気に頼まれたからとか、自分の罪の償いのためとかではなく、
目の前にいるまっすぐで心やさしい後輩のために心から力になりたいと感じていた。

120丁字屋:2010/12/15(水) 04:09:19 ID:eFTTvxN0

やがて始業時間が近づき、言葉で知恵もそれぞれの教室に向かった。

教室に入った言葉に最初に向けられるのは相変わらず、体育会女子を中心にした、多くの冷たい視線であり、
席につこうとする彼女を迎えるのは、自身を誹謗する心ない落書きに埋め尽くされた机…。
だが今の言葉は、そのことをいつもほどつらくは感じなかった。
先ほどの知恵とのふれあいで、心が暖かい何かで満たされていたからだ。

そう、知恵は自分のつらさをわかってくれた。そして自身も知恵つらさをわかってあげられた…。
それは、言葉にとって初めてのことだった。
そしてそのことが、言葉の心をかつてないほどに暖かく満たしていた。

そして、そんなふうに自分の心を満たしてくれた知恵だからこそ、
今の言葉の窮状を早急になんとかしてくれるという言葉を安心して信じられた。
いや、知恵だけではない。
昨日の、勇気や路夏が自分の力になってくれると言ってくれた時も、
それまでどこか追いつめられていた自分の心がスッと楽になるのを感じた。

一方で言葉は思う。
自分が好きだった…自分の心のほとんどを占めていた…いや、今でもそうである筈の伊藤誠は、
果たしてこれまでこんなふうに自分の心を安らかにさせてくれたことがあっただろうか…と。

恋人同士の関係だった筈が世界と関係をもつと共に自分を避けるようになり、
一度は友達からやり直そうと言ってくれたけど…、
そう――

「今まで誠くんは私の心を今のように安らかにさせてくれたことはなかった。
 誠くんが私に与えてくれたのは、結局ただ不安だけだったんじゃないだろうか…」

そう思いあたった時、言葉は、あんなにも強かった筈の誠への想いが急速に冷めていくのを感じた。

121丁字屋:2010/12/15(水) 04:33:04 ID:eFTTvxN0

今回は以上です。
次回は知恵vs泰介編です。
ただ次回の投下は来年の投下になると思います。
来年は少し投下ペースが上げられると思うのですが・・・。
122名無しさん@ピンキー:2010/12/15(水) 09:04:09 ID:b1XZcGz8
>>121

確かにこれなら誠から離れる展開が不自然じゃなくなるか
というか知恵姉さん漢前w
123名無しさん@ピンキー:2010/12/25(土) 16:06:23 ID:uaBqCU/7
124丁字屋:2010/12/27(月) 04:06:55 ID:emv0pNtG
前回次の投下は来年と書きましたが、泰介編が一段落ついたので
「贄と成就」アフター 補完編 の続きを投下します。


125丁字屋:2010/12/27(月) 04:07:55 ID:emv0pNtG

昼休みになり、知恵は再び図書館の司書室に向かった。
そこには勇気経由で呼び出されていた泰介が待っていた。

「澤永…泰介くんね? 勇気の姉よ」
「は、はい。あの〜、俺に用って一体何でしょうか?」
泰介はどこか知恵にびびっているかのような様子で、そう聞いてきた。
知恵は勇気から、泰介が自分のことを「おっかなそうな姉ちゃん」と言っていたと聞いており、
その態度をなるほどとしか思わなかったが、
どこか卑屈そうな泰介を見ながら、その脳裏に、あのビデオテープの映像を思い浮かべる。

「こいつが桂さんを…あんないい子を無理やり…」
そう思いながら、
目の前の男をとりあえず一発思いきり殴りたいという衝動が沸き上がる。
だが勇気は泰介のことを、決して悪い奴ではないと言っていた。
それを考えて、知恵は衝動的な暴力を思い止める。
まずはどんなつもりで泰介が言葉に乱暴を働いたのか確かめるべく、
知恵はストレートな言葉で質問を発した。

「とぼけないで答えてほしいんだけど、澤永君、学園祭の時に桂さんに乱暴したわよね?」
「え?乱暴って…?」
「とぼけないでって言ってるでしょ。
嫌がる桂さんを無理やり抱いたでしょ?!」
「えっ…あ、ああ…って、な、何で知ってるんですか?」
泰介はとぼけていたわけではないのか、
言い直した知恵の質問を肯定すると共に逆に質問を返してきた。

その悪びれない態度に知恵は戸惑った。
その知恵に更に、泰介は質問を重ねる。
「ねぇ、何で知ってるんですか?
…あ、足利のお姉さんって確かバスケ部でしたよね。
じゃあもしかして加藤に聞いたんすか?」
「加藤…?」
「一年4組の加藤っすよ。
あいつも確か女子バスケ部でしょ?」
「加藤…乙女のこと?」
「そう…って、あれ?加藤に聞いたんじゃあないんですか?」
「な、何でここで加藤の名前が出てくるのよ?!」
126丁字屋:2010/12/27(月) 04:08:29 ID:emv0pNtG

意外な名前が出てきたことに驚きながら、知恵は逆に聞き返した。
無論部の後輩である加藤乙女のことは知っている。
だが何故今彼女の名前が出てくるのだろうか。
そう言えば加藤は言葉と同じ一年4組で、
路夏が言うには現在言葉を苛めている実行犯の中心ということだ。
そんなことを思い巡らせていると、泰介が答えた。
「何でって…加藤が、俺に桂さんを抱けって言ってくれたんですよ」
「なっ!?」

「あの時、桂さん、男に…あ、そいつ俺の友達の誠って奴なんですけどね、
 誠の奴に振られたらしくて、そしたら加藤が俺に抱いて慰めてやれって勧めてくれて。
 俺も桂さんのこといいなって前から思ってたし…」
「…な、何を言ってるの?
 大体桂さんはその時あんたを好きだったわけでもなんでもないんでしょ!?」
「ええ。でも加藤が無理やりにでも抱いちゃえば、
 桂さんも俺のことを好きになってくれるって言ってくれて……」
「……」
「まああの時も、最初は桂さん嫌がったけど、だんだんおとなしくなったし、
 あれって俺のことを受け入れてくれたってことなんだろうけど…」
「……」
「まあ実際、あの後桂さんは俺の彼女になってくれたんだけど、
 でも、しばらくして結局俺振られちゃったんですよね。
 なんででしょ?」

『こいつは一体何を…言ってるの…?』
知恵は呆然となった。自分の目の前の男は、彼女にとって理解できない存在だった。
そしてその口から出てきた加藤乙女という自分の後輩の名前…。
これは一体どういうことなのか?
知恵は激しく混乱しながら、
「と、とにかくその時のことをもっと詳しく聞かせなさい」
そう言うしかなかった。

127丁字屋:2010/12/27(月) 04:09:01 ID:emv0pNtG

そして知恵は澤永と話をするうちに、理解した。
泰介という男は、確かに勇気の言うとおり悪い人間ではない。
ただ、性の知識や観念あるいは女の子の心理の理解が呆れるほどに乏しいのだと…
自身の行為がどれほど残酷な行為か…言葉をどれだけ傷つけたかが、
全くわかっていないのだと、知恵は理解した。

だから知恵はそんな泰介に、噛んで含めるように、
彼のしたことがどれだけ言葉の心に深い傷を負わせたかを言って聞かせた。

知恵の言葉によって、自らの行為の残酷さと重みを初めて知った泰介は、
かなりのショックを受けた。
「本来あんたのしたことは強姦罪っていう犯罪で、本来は警察に捕まることよ。
 ただ、事件になれば桂さんが乱暴されたことが公になってむしろあの子を傷つけることになるし、
 だからあんたを警察につき出すつもりはないわ」
そう言う知恵の言葉にも、特にホッとした様子を見せることもなく、
「俺、桂さんに謝った方がいいですよね?」
力なくそう訊いてきた。

しかし知恵は黙って首を横にふった。
「一応反省はしているってことね。
 でも桂さんはもうあのことを忘れて前に進もうとしているわ。
 今さらあんたが謝っても、桂さんの心を惑わせるだけ…。
 あんたは謝ることも出来ずに、罰を受けることもできずに、一人で後悔し続けなさい。
 それがあんたの受ける報いよ」

泰介はその知恵の言葉に
「そう…ですか…」
とだけ言うと、うなだれた。
「無念そうね。罰があった方が気が楽ってことかしら?」
「そう…かも知れません…」
「そっか。なら、顔を上げなさい」
「え?」
知恵の言葉に何だかわからずに顔を上げた泰介の頬に――

ガッ!

知恵の鉄拳が放たれた。
それは容赦のない一撃で、泰介の頬は真っ赤に腫れ上がった。
「あんたの犯した罪には釣り合わないけど、これが私の与えてあげられる精一杯の罰よ」
その知恵の言葉に泰介は、知恵の言葉通り罰を受けたことでわずかでも救われたのであろうか、
「はい…」
と静かに答えると、一礼をして部屋を出て行った。

知恵はその背中を見送った後、泰介を殴った拳を悲しく見つめた。

128丁字屋:2010/12/27(月) 04:10:18 ID:emv0pNtG
今回は以上です。
次の投下はさすがに来年になります。
129名無しさん@ピンキー:2010/12/27(月) 17:35:51 ID:5tEDWamX
よいお年を>丁字屋氏

さすがの泰介も一応反省したか…
行動する前にもう少し考えろやと大いに言いたくなるが
乙女は知恵が詰問しても最初はしらばっくれるか、証拠はあるのかと
悪あがきしそうだが、そこは元悪役として格の違いを彼女(と読者)に
見せつける方向でいくのかな? まあでも、実質的に部を仕切っている彼女でも
全てが見通せているわけではないんだな
130名無しさん@ピンキー:2011/01/01(土) 13:23:48 ID:l7mlb74n
あけおめ
三馬鹿スレの年越し4PネタをSS化してみた


来実「年、明けちゃったねぇ。あけおめ〜」
夏美「え? うわ…マジ、もう12時回ってる!」
みなみ「夏美、年越しの瞬間だけはTV見たがってたもんね…」
来実「でもぉ…ホント言うと、私はイキながら年越しできたから、ラッキー♪」
夏美「ちょ…来実、時計見てたなら知らせなさいよ!」
みなみ「私も、TV見たかったな…」
来実「え〜。だってぇ、夏美ちゃんもみなみちゃんも伊藤に夢中で抱き付いてたしぃ、
   全然聞いてくれなかったでしょぉ」
夏美「う…。あ、あっち向きながらバックで突かれてたあんたに、あたし達のイク所が
   見えるわけないじゃない」
みなみ「そ、そうだよ。私達は、伊藤が離してくれなかっただけだもん…!」
来実「あははっ。2人とも、図星だったんだぁ〜」
みなみ「もう…来実ったら」
夏美「まったく、新年早々…まぁいいや、それじゃ代わりにお年玉を貰うとしようかな」
来実「お年玉?」
夏美「決まってるでしょ、次の伊藤のアレ。来実は私達がちゃんとイクまで、ベッドから
   降りててよね」
みなみ「あは、それいい!」
来実「え〜! そんなぁ…罰ゲームっぽいよぉ」
夏美「ゲームじゃなくガチで罰。ちょっとは反省しなさいよ」
みなみ「そうそう。伊藤を楽しむのは、みんな平等にって決めたもん。初めての時」
来実「む〜…」
夏美「さて、そういうわけだから伊藤。寝たふりしてないで、さっさと準備してよね」
誠「……バレてた?」
夏美「あたし達の話を聞きながらムクムク復活させてて、気付かれないとでも?」
みなみ「甘いよ、伊藤」
誠「ははは…」
夏美「ケチらないでよ。あんたの財布、まだまだ入ってるんだから……ふふふ…」
131名無しさん@ピンキー:2011/01/04(火) 10:30:09 ID:xz3ziaOz
おめ!

いいぞぉ!!
132名無しさん@ピンキー:2011/01/04(火) 12:15:34 ID:s8o9+d0R
今更ながら>>130をちょっとだけ改稿
こうした方が更に無料配布Daysの三馬鹿らしくてエロい


来実「年、明けちゃったねぇ。あけおめ〜」
夏美「え? うわ…マジ、もう12時回ってる!」
みなみ「夏美、年越しの瞬間だけはTV見たがってたもんね…」
来実「でもぉ…ホント言うと、私はイキながら年越しできたから、ラッキー♪」
夏美「ちょ…来実、時計見てたなら知らせなさいよ!」
みなみ「私も、TV見たかったな…」
来実「えぇ〜? だってぇ、夏美ちゃんもみなみちゃんも伊藤に夢中で抱き付いてたしぃ、
   全然聞いてくれなかったでしょぉ」
夏美「そ、それは、その…あ、あっち向きながらバックで突かれてたあんたに、あたし達の
   イク所が見えるわけないじゃない!」
みなみ「そ、そうだよ。私達は、伊藤がずっと離してくれなかっただけだもん…!」
来実「あははっ。2人とも、図星だったんだぁ〜♪」
みなみ「! も、もう…来実ったら」
夏美「まったく、新年早々…まぁいいや、それじゃ代わりにお年玉を貰うとしようかな」
来実「お年玉?」
夏美「決まってるでしょ。次の伊藤のアレよ、アレ。来実はあたし達がちゃんとイクまで、
   ベッドから降りててよね」
みなみ「あは、それいい!」
来実「え〜! そんなぁ…罰ゲームっぽいよぉ」
夏美「ゲームじゃなくガチで罰。ちょっとは反省しなさいよ」
みなみ「そうそう。伊藤を楽しむのは、みんな平等にって決めたもん。初めての時」
来実「む〜…」
夏美「さて、そういうわけだから伊藤。寝たふりしてないで、さっさと準備してよね」
誠「……バレてた?」
夏美「あたし達の話を聞きながらムクムク復活させてて、気付かれないとでも?」
みなみ「甘いよ、伊藤」
誠「ははは…。! お、おい…扱くなって。気が早いなあ、小泉は…」
夏美「ケチらないでよ。あんたの財布、まだこんなに入ってるんだから……ふふふ…」
133名無しさん@ピンキー:2011/01/16(日) 02:16:49 ID:3qNCqWSG
保守ついでに没SS曝します
134名無しさん@ピンキー:2011/01/16(日) 02:17:42 ID:3qNCqWSG
「えっ、母さん再婚するの?」
突然の母の再婚に誠は驚きを隠せない、が
「ええ、榛名さんって人なんだけど、結婚を前提で付き合ってほしいって
言われちゃって、今度誠にも紹介するわね」
正直驚いてはいるものの母さんの幸せそうな顔を見てるとなんだか安心できる、
別に俺に反対する理由もないし今は素直に母さんを祝福してあげたい・・・

それから数年の時が流れる、俺もついに結婚をする事になって、相手は……

「しっかし、山県さんと伊藤がねぇ……まあ中学時代のよりを戻したって
言えばいいのかな?」
「山県さん、お姉が迷惑かけてたみたいですけど結婚するからには幸せになってくださいね」
「黒田さん、可憐ちゃん、結婚式に来てくれてありがとう、
でももうこれからは山県じゃなくて榛名、はるな愛だからね」

どうしてだろうか、今これから結婚する相手が一瞬男っぽく見えたのはどうしてだろうか…

終わり
135名無しさん@ピンキー:2011/01/16(日) 19:07:33 ID:Ehx+02Bq
おいおいw
136名無しさん@ピンキー:2011/01/16(日) 19:30:36 ID:28+9KE5C
誠と三馬鹿の4Pは本編のちゃんとしたシーンとして見たかったな…
137名無しさん@ピンキー:2011/01/21(金) 17:47:38 ID:46cgGfj0
期待の為にも保守しておこう
138丁字屋:2011/01/30(日) 20:05:16 ID:ZT9PDTds
年末に投下ペースが上げられるかもと書きましたが、
まったくそんなことはありませんでした。スイマセン。
ともあれ「贄と成就」アフター 補完編
>>127 からの続きを投下します
139丁字屋:2011/01/30(日) 20:06:35 ID:ZT9PDTds
放課後になった。
いつものように部室で着替えた女子バスケ部の一年生たちは、
先輩たちが練習に出て行った後も、待機するように指示され、何事かと訝りながら部室に残っていた。
只一人路夏だけは、それが言葉へのいじめをやめさせるための、
知恵主導による指示であることを予測していたが、どのような形でそれが為されるかはわかっていなかった。

やがて部室の扉が開くと入ってきたのは、四組の来実、夏美、みなみの三人だった。
「あれ?あんたたち何しに来たの?」
訊いたのは乙女である。
「え?私たち乙女が呼んでるっていうから来たんだけど」
答えたのは夏美だが、乙女に彼女らを呼んだ覚えはなかった。

と、その時夏美らの後ろから部長の津々美と知恵が姿を見せ、
「どうやら主要な面子が揃ったようね」
という知恵の言葉と共に、
入り口のところで入るかどうか迷っていた夏美らを強引に押し込むようにして入ってきて扉を閉めた。
津々美と知恵が2人とも厳しい顔をして一年生たちを睨むと、一年生は皆緊張する。

「まさか…桂のこと…?」
乙女だけがそう思った。
今ここにいる女子バスケ部の一年生と夏美たち三人を繋げるのは、言葉のことだけだからだ。
そしてそんな乙女の推測を肯定するかのように、
「あんたら、みんなで言いあわせてくだらないいじめをしてるみたいだね」
と津々美が厳しい声で訊いてきた。

140丁字屋:2011/01/30(日) 20:07:23 ID:ZT9PDTds

その言葉で一年生全員が何のことか察したようだったが、
誰もその言葉を肯定するでもなくただ黙りこんだが、七海だけは
「何のことを、言っているのかわかりません」
と言い返した。

津々美はその七海と、うつむいている一年生たちを舐め回すように見回すと、
「おとぼけとは甘露寺さんらしくないわね。
 ならはっきり言うわよ。一年四組の桂さんのことよ。
 まあ露骨な形で実行しているのは一部の者らしいけど…」
言いながら乙女や夏美らの方に視線を向け
「でもこのバスケ部を中心に体育会一年でがっちり協力体制が出来ているらしいじゃない?」

その言葉に一年生たちは皆「やはりそのことか」と言わんばかりの表情になるが、
七海は怯まず、むしろ落ち着いたように、
「ああ、そのことですか。
それだったらいじめなんかじゃあありませんよ」
と静かに言い返す。

「ふうん、いじめじゃないなら何なのかしら?」
「桂は私のクラスメート…友達から彼氏を横取りしようとしているんです。
 あの子中学の時から彼女のいる男子をもてあそぶみたいに次々誘惑して。
 それに今回は警告までしてあげたのに…。
 だからあれは桂の自業自得…制裁ですから、」

その七海の言葉を受けて
「そ、そうです。私、同じクラスだからわかりますけど、
 桂のやついつも男に色目使っていい気になってて、だから少し懲らしめているだけです」
 加勢するように言ったのは乙女だった。

その瞬間、乙女は気づかなかったが、
それまでずっと津々美の後ろで黙って腕組みしていた知恵が、刺すような視線を乙女に向けた。
ただ一人それに気づいた路夏が、寒気がするほどの冷たさをその視線に感じた瞬間、
バン!!
という衝撃音と共に
「ふざけるんじゃないわ!」
という声が部室内に響いた。

声は津々美のものであり、音は彼女が壁を殴った音だった。
「制裁ですって? 懲らしめですって?
 そんなことで自分らのしたことを正当化できると思ったら大間違いよ。
 どんな理由があってもね、大勢で無抵抗な一人をいたぶるなんて、下衆のやることよ!」
そう一気に言い放った
その迫力に、一年生たちは皆、七海さえも気圧されていた。

141丁字屋:2011/01/30(日) 20:07:59 ID:ZT9PDTds

津々美は元々穏やかな性格で人当たりもやわらかかった。
そんな性格に加え、学園祭直前に伝統の休憩室設置の中止の画策を失敗して以来
部長としての威厳も陰り、生彩を欠いていた。
そんな彼女が突然見せたあまりに意外な厳しさ、激しさだったからこそ、一年生たちは圧倒されたのである。
そして更に津々美の言葉は続く。

「私も今日、まだ誰も登校してない朝のうちに、一年四組の教室の様子を見てきたけど、
 確認するまでもなく、マジックで書いた落書きで埋め尽くされてる机が桂さんの席で、
 やっぱり落書きだらけでオマケにベコベコにへこんでるのが桂さんのロッカーだってわかったわ。
 小学生のガキみたいな幼稚なやり方だけど、ああいうのが一番相手を傷つけるのよ」
「そんな…桂のやつはこんなぐらいで傷つくようなヤツじゃないですよ。
 あいつはふてぶてしくて…」
津々美の言葉に対し、そう言いかけた乙女だが、
「いじめてる方はそうやって身勝手な理屈を言うのよ!」
と厳しい言葉を叩きつけられ、黙りこんだ。
その乙女を、知恵は相変わらず鋭い視線で見つめていた。
 
更に津々美は一年生全員に問いかけるように言う。
「このことが問題になったら、あんたら一体どう責任を取るつもり?」
その言葉に一年生たちはざわめき、
「問題って…」
「責任って…何?」
そんな問いかけとも呟きとも知れない声が聞こえてくる。

そしてその声に応えるように津々美は続ける。
「あんたたちがいくら屁理屈こねたって、はっきりいじめだからね。
 しかも部をあげて、他の部にまで協力を仰いでる大がかりなものなんだから、
 こんなことが学校に知れたらあんたたち一人一人だけじゃない。
 このバスケ部そのものに大きな処分があることは間違いないわ」

そして、それまで黙っていた知恵が
「あーあ、伝統ある榊野女子バスケ部も私たちの代で廃部かな? まいったねこりゃ」
と頭を掻きながら他人事のような口調でぶっきらぼうに言った。
その言葉に一年生たちのざわめきが一層大きくなる。
そして津々美が知恵の言葉を受けるように更に続ける。

「足利の言う通り、廃部だって十分考えられるわ。
 言っておくけど、直接いじめに加わらなくても、知ってて止めなかった者も同罪よ!
 名門と言われている榊野女子バスケ部が、あんたらのくだらない行いのせいで廃部になったりしたら、
 私たちの先輩が築き上げてきた伝統も名誉もあんたたちのせいで台無しになるのよ。
 あんたたちはその覚悟があるんでしょうね!?」
その厳しい言葉に、一年生たちが一際大きくざわめく。

142丁字屋:2011/01/30(日) 20:08:31 ID:ZT9PDTds

「そ、そんな…」
「私たちそんなつもりじゃ…」
「私、加藤たちが何やっているかなんて知らなかったし…」
そんな声が聞こえてくるなか、
七海がズイと前に出ると、神妙な顔で頭をさげた。

「すみませんでした。今回のことは私が軽率でした。
 すぐに中止しますし、他の部への協力依頼も早急に取り下げます。
 いいわね、乙女?」
「あ、う…うん。 先輩、すみませんでした」
七海に振られた乙女もあわてて頭をさげる。

そして、それに追随するように、
「すみませんでした」
「申し訳ありません」
「ごめんなさい」
と、次々と一年生たちが頭を下げた。
中には泣きそうになっている者もいる。

だが、津々美も、知恵もそんな一年生たちを醒めた様子で見据えていた。
そして
「すみませんでした…ねぇ…」
津々美がそうため息混じりに呟く。

「え?」
きょとんとなる一年生たちに、今度は知恵が口を開いた。
「あんたたち、そんな殊勝な気持ちがあるんなら、もっと謝らなきゃならない相手が他にいるんじゃないの?」
その問いかけの意味を一年生たちはすぐに理解した。

そしてしばらくの沈黙のあと、
「あ…あの、私、桂さんに謝ります」
そうおずおずと言ったのは留夏だった。
それをきっかけに、他の一年生たちも
「私も謝ります」
「私も…」
と次々に言葉への謝罪の意思を口にする。

そして、
「甘露寺さん…、加藤さんも謝るよね?」
麦が、未だにその意思を口にしてない二人に問いかけた。

「わかりました。私が責任者ですし、謝ります。乙女もいいわね?」
「う、うん。わかった」
七海は不服さを押し隠すように、
乙女それも隠せず、唇を噛みながらそう言った。

「そっちの三人、あんたらはうちの部とは無関係だけど、桂さんを直接いじめていたんでしょ?どうするの?」
知恵に質問を振られた夏美、みなみ、来実は、「何で私達まで…」と言わんばかりの表情で、
しかし場の雰囲気に逆らえぬように
「はい…」
「私達も謝ります…」
と口にした。

143丁字屋:2011/01/30(日) 20:09:05 ID:ZT9PDTds

一年生たちの意思が確認されると、知恵は図書館の司書室で待機していた勇気に、
一年四組の教室に言葉を連れてくるようにメールで指示する。
津々美は言葉が待っている旨を告げて、移動を促した。

その津々美の
「言っておくけど、あなたたちの何人かはさっき許してくださいって言ってたけど、
 あなたたちを許すかどうか決めるのは桂さんだからね。
 もし許してもらえない時はそれなりの問題になることをわきまえておきなさい」
 という言葉に、一年生たちの顔に改めて不安と緊張が走った。






女バス部員たちの謝罪に対し、言葉は無条件で全てを許した。
そして言葉と勇気が教室を出て行ったあと、津々美は一年生たちに練習に向かうように促した。
「今日のしごきはきついから覚悟しなさい」
という言葉にも、言葉が許してくれたことで一年生たちは気持ちに余裕が出たのか、
「はい、よろしくお願いします!」
そうはっきり答えた。

だが、
「加藤と喜連川、二人は少し残って」
そう知恵が言った。
144丁字屋:2011/01/30(日) 20:10:25 ID:ZT9PDTds
今回は以上です。
しかしこんなペースでいつ終わるんだろうか?
145名無しさん@ピンキー:2011/01/30(日) 21:24:04 ID:8puNGW+h
部長が意外(?)にも、手堅く纏めてくれたましたね
本当は内々だけで解決しない方がいいんだけど、
そうなると部長や知恵が言った通りのことになるだろうしなあ……>丁字屋氏

煮詰まって匙投げたのかとちょっと心配したです
146名無しさん@ピンキー:2011/01/30(日) 23:40:44 ID:4Is8ybMB
渋川さんいいねえ

そういえば女子バスケ部は強豪部だったな…
内ゲバばかりですっかり忘れていたw
147名無しさん@ピンキー:2011/02/01(火) 22:53:48 ID:HfT1zzbK
足利一族全員集合
148名無しさん@ピンキー:2011/02/02(水) 16:22:54 ID:7keI+uEc
乙です。
個人的希望ですが、今後の展開で甘露寺や加藤、三馬鹿や西園寺に制裁描写があるシーンがあれば満足です。
たとえば甘露寺ですが、付き合ってる先輩に「いじめをするような女とは付き合えない」とか言われてふられるとか、
西園寺は光たちに嘘を言ったことを責められるとか(伊藤は最初言葉と交際してたことや、言葉とは友達だったこと云々)、
あと、前回の作品の終わりごろに伊藤が言葉に気遣いを見せるも、言葉がほとんど相手にしなかった描写がありましたが、
その辺ところもできれば書いてほしいです。(←特にこれが見たい!そして誠ざまぁ言いたい!(笑))
でも、丁字屋さん忙しそうだしなぁ・・・どう書くかも本人次第だし・・・。
149名無しさん@ピンキー:2011/02/03(木) 12:40:40 ID:Kuq0kQSl
>148
言いたいことはわかるんだが、少し注文が多すぎるような気がします。
あまり細かい事まで言い過ぎると、作者が書きにくくなると思うから程々にお願いします。
続きに期待しています。
150名無しさん@ピンキー:2011/02/03(木) 23:50:09 ID:cQ2grJG5
>149
すいません。ほどほどにします。
151名無しさん@ピンキー:2011/02/05(土) 15:37:52 ID:JkzbwBqN
西園寺世界
逮捕→少年院→逆送→刑務所→死刑
152名無しさん@ピンキー:2011/02/13(日) 19:22:11 ID:awqZUADP
三馬鹿に期待して保守
153バレンタイン協奏曲0/4:2011/02/14(月) 01:16:59 ID:61Bb+Z2w
三馬鹿は出てきませんがバレンタインネタの短編投下します。
エロはありませんがよかったらどうぞ
154バレンタイン協奏曲1/4:2011/02/14(月) 01:19:02 ID:61Bb+Z2w

「ただいま」
「おにーちゃおかえり」
「なんだいたる来てたのか」
「うんあのねあのね、ちょこれーと作ってたの」
「チョコレート?ああ、明日はバレンタインか」
「いたるってばクラスのみんなにチョコあげるんだって
張り切っちゃって」

明日は2月14日のバレンタインいたるに限らず
女の子はチョコレートを好きな相手にプレゼント
をしようとするのだ。
もっとも恋愛に限らず好きな人にあげようとしている人も多い
実際今年のいたるは兄の誠や母の他に大勢の友達に
チョコレートをあげようとしている人も中にはいる。
義理チョコともまた違う、友チョコとでもいったらいいのだろうか
なんでもいたるは明日クラスのみんなにチョコレートをあげるんだと張り切っている。
「よーしいたる俺も手伝ってやる。」
「え、いーの?やったー」
今は母親が手伝っているとはいえもうすぐ夜勤の時間になるので
替わりに誠がいたるのチョコレート作りを手伝う事にしたのだ。

「そうだいたる隠し味にこれとこれを入れて
あとかき混ぜるときは……」
「そーなの?じゃーそーする」
普段から料理をする人からの意見として聞いたのか
単純に兄からの意見だから聞いたのかは分からないが
なんだかんだでチョコ作りに乗り気になっている誠と共に
多くのチョコレートを完成させた。

「できたー」
「うん、これなら上出来だ、……にしてもずい分沢山作ったな」
「えへへー、みんなにあげるのー。チョコあげるとみんなニコニコってよろこぶのー」
「そっか、みんなにあげるのか……にしてもこの数は多すぎだよなさては母さんも
分量を間違えたのか」
もし本当にいたるがクラスのみんなにあげるとしても余ってしまうのは目に見えている量である。
さらに言えば母さんが会社の人たちに渡すってことも無さそうである。

「んーとね、それじゃーおにーちゃからもチョコ、あげなよ」
「へ、俺も?」
「うん、おにーちゃからもみんなにチョコあげるのー、」
「………そっかじゃあそうするかな」
155バレンタイン協奏曲2/4:2011/02/14(月) 01:20:47 ID:61Bb+Z2w

翌日

誠はカバンの中にチョコを5つ入れて学校に向かっていった。
昨日はいたるからの妙な提案に乗ってしまったもののこれは一体どうしたらいいものか?
いたるからもらった分は昨日食べたとしてよくよく考えるとこれは相当おかしい事ではないのだろうか
女の子同士ならまだしも俺からチョコもらって喜ぶ奴なんているのか?

「おっす誠どうしたんだ何か考えこんだ顔して、、ははーんさては
バレンタインでチョコレートもらう宛がないから不安になってんだな」
「そんな訳ないだろ、泰輔とは違うからな」
「なんだよなんだよ、見てろよ俺だってチョコもらってやっからな」

などと強気になってはいるがとてもじゃないが泰輔はもらえそうになさそうに無い
別に俺だってもらえる宛があるわけではないのだが
まっ、これも友達のよしみって奴か

「泰輔、お前はチョコレートもらえ無そうだからこれをやる。」

そういって誠はカバンからチョコレートを取り出す。
「ちょっと待て誠、誠にあげたチョコレートなんて俺がもらってもうれしかねーよ
つかお前やっぱりチョコもらってたんだな」

「心配すんな、俺からというよりはいたるからだ」
「へ、いたるちゃんっていうとお前の妹の?」
「ああ、なんでもあいつ今年はクラスのみんなにあげるんだって張り切って
沢山チョコ作ってたからな、それで俺には本来もらった分のチョコの他に
こうやってあげる分を少し渡されてたんだ」
「そういうことなら、へへありがたくもらっておくぜ、誠あとでいたるちゃんにお礼
言っといてくれよな、今度お礼にいたるちゃんに俺の愛をプレゼントしてあげるから」
「やめろって」
そういって泰輔はチョコを受け取る、何処と無く照れくさい表情をしているのは気のせいだろうか
まあコイツの場合は身内以外からチョコをもらったこと無いんだろうな、

その様子を遠くから見ている影があった。
「誠のやつ、何で澤永になんてチョコあげてんのよ」
「誠君、ひょっとしてそういう趣味が……」
「………伊藤、どうして」
「伊藤の奴なんであんなになってるのよ」
「あーもうここじゃ何言ってるのかぜんぜん聞こえないじゃない」
西園寺世界、桂言葉、山県愛、加藤乙女
この五人に共通することは伊藤誠に恋をして今日のバレンタインに
チョコレートを渡そうと考えて少し先回りして偶然にも同じところで待ち伏せをしていたのだ。
他にチョコレートをあげる人がいる以上はけん制の意味を込めて場所を替えるわけにも行かないので
同じ場所で待つ異様な集団が形成されていたのであった。
それだけならいいのだがやっと近づいてきた伊藤誠が何故か澤永にチョコを渡し
その澤永が顔を赤らめていたのだ。
不順極まりない予想にしていなかった事態に4人が4人驚きを隠せずにいたのだ。
せめて声が聞こえていたらそんな勘違いもせずに済んだかもしれないが
チョコを渡し顔を赤らめる男2人に絶句していた。
もっとも、それでチョコを渡すことを諦めるような人はここにはいないが、
156バレンタイン協奏曲3/4:2011/02/14(月) 01:22:05 ID:61Bb+Z2w
「あぁーーーー伊藤!!あんた何やってんのよ」
「流石にそれは痛いとしか言い様がないぞ」
「変態」
「黒田、それに甘路寺、清浦までどうしたんだよ朝からそんな大声出して」
「いや、だれでも驚くって、そんな男同士でチョコ渡してたら」
「どうせ澤永の奴誰からもチョコもらえなさそうだから俺が恵んでやったのさ」
「伊藤、あんたって奴はーーーー」
黒田の大声が朝の通学路に響き渡る。

「冗談だって朝からそんな大声出すなよ、妹が沢山チョコ作って、手伝ったお礼って
俺に配る様の分って少し渡されちゃって、それでさっき澤永に一つ渡したってわけ、
どうせだから三人にもやるよ、ほら」
「あ、ああ」
「どうも」
「あ、ありがと」
ある意味最も予想外な相手からチョコをもらった三人は少しあっけに取られていたが
伊藤がパイプ役になった、伊藤の妹からの友チョコのすぐに状況を理解できた。

今伊藤たちに近づいたのは黒田が澤永にチョコを渡すためであり甘路寺と清浦が付き添って
いただけなのだが伊藤からのチョコは正直予想外の事態であった。
「へぇ伊藤の妹がねぇ、あっ、意外とウマいかも」
「どれどれ、(ぱくっ)げ、マジでうまいかも……」
「おいしい」
このチョコって澤永ももらってる事を考えると今渡すのは不味いか……
事情が事情だけど伊藤と比べられるのは何か嫌だし、
「じゃじゃあ私たちは先学校言ってるね」
「あ、おい光」
「まったく」
そういって2人は先に走って学校に行ってしまった。澤永に渡すつもりが渡せなかったチョコレートを持ったまま……

「なんだったんだあいつら?」
「さあ」

結局チョコだけ受け取ってもらっていった光と七海が慌てて学校へ向かっていく姿を
誠達は不思議そうに見ていた。チャイムが鳴るにはまだ時間があるというのに
ただ、誠を標的とした4つの影は今の一連の声を聞いていた。
さっきとは違いこっちに声が届いており一連の事態を把握することが出来たのであった。

「なるほどね、いたるちゃんが作ったのを伊藤が持ってきたって訳ね」
「だからチョコをもらえそうに無いと思われる澤永に一つあげたってことか」
「なら早速チョコ受け取ってチョコもーらお」
「あっちょっと待ちなさいよ」
「い…伊藤、いいいまさらなんだけど義理チョコ作ったんだけど受け取ってくれるかな?」
「か…加藤?」
「誠……チョ…チョコ、作ってみたんだ、そそれで食べてもらえないかな?」
「愛?」
「誠、お願い!!受け取って」
「世界?」
「誠君、一生懸命作りました…受け取ってください」
「こ…言葉?」
157バレンタイン協奏曲4/4:2011/02/14(月) 01:23:11 ID:61Bb+Z2w
隠れていた4人が一斉に現れてチョコを誠に渡そうとする、
チョコの種類は多種多様でごく普通のバレンタインチョコから本当に食べて大丈夫なものか分からないものまである
ただ言える事は全部俺の為に精一杯作ったものであるということだ。
これ、本当に受け取って良いのか、いや、全部受け取らないと後が怖い、
一人だけ受け取らなかったから、ショックで逆恨みに発展して包丁でグサリ……いやいや
でもこんないっぺんに渡されたんだから

「あ、ああじゃあみんな受け取るよ、は、ははは」
「なんだよ伊藤の奴、お前ばっかりモテやがって」

そういって誠はみんなからのチョコを受け取るものの
みな視線はどこか厳しいものを感じた。
自分のチョコだけを受け取ってほしいという意思の表れではあるが
逆に一つだけチョコを選んで後は受け取らないなんて事をすれば命の保障すらない
のかもしれない、そんななか誠はなんとかみんなのチョコを受け取った。
どれか一つのみを選ぶということをせずに……。

折角のチョコなのになんなんだ、この妙な重苦しい空気は
なんとかなんないのかよ、!そうだ
「あ〜あありがとそそそうだ、昨日俺も昨日いたるとチョコ作ったんだけど
よかったらどうかな」

「えっ、誠がチョコ作ったの?」
「誠君の作ったチョコですか、わぁありがとうございます。」
「へぇ、いたるちゃんと作ったんだ」
「私にくれるの?」

誠からのチョコに一堂が期待を寄せている、先に貰った澤永は既にチョコを食べてしまっているが、
「あ、ああいたるが沢山作ってくれて助かったよ
ええと……」
カバンの中にある昨日作ったチョコを探し出す。みんなに喜んでもらえる
バレンタインの最終手段をカバンの中から取り出そうとしたが…

「あれ、一つしか……残ってない!!!?」

「!!」
「!!」
「!!」
「!!」

4人が何かに勘づいたように誠を見ている。

「で、その残ったチョコを誰に渡すんだ?」

澤永は他人事のようにありながら羨ましそうに聞いている。
冗談じゃない、これじゃ渡さなかった相手に何されるか分かったもんじゃない
一部女性のカバンの中には凶器のようなものが顔をのぞかせている。
これはやばい、かなりやばい状況なのではないんだろうか

こうなるんならいたるからもうちょっとチョコもらって置けばよかったのかな
そういって誠は思い出す、今日チョコを渡した相手は澤永、黒田、甘露時、清浦の4人
そして今手元に残っているのが1個
つまり他の人に渡さなければこんなことにならずに済んだのだ。
「「さあ、さあその私の為に残しておいてくれたバレンタインの愛のしるしを頂戴!!」」
謎のオーラ溢れる4つの視線が誠に向けられる。これから行われるチョコレート争奪戦は
一つの悲劇なのかそれとも喜劇なのかそう思うには俺にはまだ若すぎて……。


おしまい
158バレンタイン協奏曲:2011/02/14(月) 01:26:51 ID:61Bb+Z2w
以上です、まだまだ未熟で他の作者様方の足下にも及ばないレベルかもしれませんが楽しんでいただけたら幸いです。
159名無しさん@ピンキー:2011/02/15(火) 00:03:27 ID:sXpQUwMa
gj!

いいですねえバレンタイン
160丁字屋:2011/02/16(水) 21:36:39 ID:L8ceAH81
贄と成就」アフター 補完編
>>143 からの続きを投下します

161丁字屋:2011/02/16(水) 21:38:27 ID:L8ceAH81
四組の教室には知恵と乙女、路夏だけが残っていた。

しかし二人に残るように言った知恵は、他の人間がいなくなったあとも、
壁に背をもたれて腕を組んだまま言葉を発することなく,
乙女と路夏は立ったまま知恵が何か口にするのを待っていた。
三人しかいない教室は沈黙と、そしてどこか不気味な緊張が支配していた。

そしてその緊張に耐え切れないように乙女が唇を開いた。
「あ、あの、用事があるなら早くしてもらえませんか?」

その言葉に、知恵は思い出したように顔を上げると二人にゆっくりと近づいていき、
「今回のことで、桂さんに対しての直接的ないじめって、主には加藤さんがやっていたのよね?」
そう乙女に訊いた。

乙女はそれに対して
「い、今さらそんなことを蒸し返すんですか!?
さっき部長が今回のことはみんな同罪だって言ってたのに
私だけ改めて説教しようって言うんですか!?」
そう剥きになったが、知恵は聞き流すかのように、
「加藤さん、いじめって楽しい?」
そう質問を重ねた。

乙女はまた何か言おうとしたが、
知恵の目がじっと自分を見据えているのに気付いて言葉を飲みこんだ。

そのままわずかな沈黙の後、
「どうしたの、加藤さん。
 一応私は質問しているつもりなんだけど…。
 加藤さんは、人を傷つけることが楽しいのかって…」
言葉こそ柔らかいものの、知恵の乙女を見据える視線は鋭く、
乙女は萎縮しながら、それでも
「そ、そんなこそ、答える必要ありません…」
そう言葉をしぼり出した。

だが
「いいから答えなさい!」
突然知恵の語気が鋭くなる。
乙女は一瞬びくっとして、それでも強がるような口調で
「た、楽しいっていうか、とにかくさっきは一応謝りましたけど、
 桂がムカつくやつってのは変わってませんから、
 あいつが辛い目見るのはいい気味だとは思ってました」
そう言った。

知恵は無表情に、それを聞いていたが、
「加藤さんは、そこにいる喜連川にも、結構嫌な思いさせてるみたいだけど、
 やっぱり気に食わないから?」
と、更に質問した。

162丁字屋:2011/02/16(水) 21:39:11 ID:L8ceAH81

「!?」
それまでかやの外にいた形だった路夏が、
急に自分の名前が出たことにドキリとするのと同時に、
「な、喜連川の味方をして説教しようって言うんですか?」
乙女が知恵にそう問い返した。
路夏もまた、知恵がこの機会に自分のために乙女に意見してくれるのだろうかと一瞬思ったが、
やはり何だか違うような気がした。
そして知恵も、
「別にそのことで、説教なんてする気はないわ。
 私だって似たようなものだしね」
「え?」
「私だって気に食わない相手には辛くあたったりするわ。
 実際渋川にだって反抗的な態度取っていたし、
 学祭の前に休憩室のことであいつが立場なくしたのをいい気味って思ったからね。
 だからそのことで説教なんてする気はないわ」
そう言ってまた黙った。

やがてまた、沈黙に耐え切れないように乙女が
「だったら何なんですか!?
 さっきから持って回ったような態度で…。
 言いたいことがあるならはっきり言ってください!」
そう、どこかヒステリックに言った。

その言葉に、知恵は
「そうね。私もやっぱり回りくどいのは苦手なのよね!?」
そう静かに言うと乙女の前に立った。
「ねえ加藤さん、確かに気に食わない相手を傷つけたりすることは誰でもあるし、
 私たちはまだ若いんだから尚更感情だけで行動してしまうものだわ。
 ……けどね……
 物事には限度ってものもあるのよ」
そこまで言い、次の瞬間…

ゴッ!!

鈍い打撃音と共に、知恵の拳が乙女の右頬にめり込み、
「がっ!」
叫びと共にふっ飛んだ乙女の身体が壁に背中から激突して、そのまま崩れ落ちた。

163丁字屋:2011/02/16(水) 21:39:47 ID:L8ceAH81

「う…ああ…」
乙女は苦痛に呻きながら顔をあげることもできないようだ。
ことの成り行きに言葉を失っていた路夏だが、やがて我に返ったように乙女に駆け寄り
「ちょっ…大丈夫?」
そう言って顔を覗きこんだ。

「!?」
乙女の殴られた頬は腫れ上がり、口の中を切ったらしく口の端から血が流れていた。
路夏は知恵の方を振り返る。
「先輩、どうしてこんなこと…」
「路夏、あんたも加藤には頭にきてたんでしょ?
 少しは溜飲が下がったんじゃないの?」
「そ、そんなこと…」
「そんなことない? 路夏は優しいわね。
 でもあいにく私はそんな優しい気持ちにはならないわね」

知恵の言葉の響きは冷たかったが、路夏には知恵の瞳がどこか悲しげに見えた。
その時、乙女が顔を上げ腫れた頬を押さえながら
「先輩、こんなことしてただですむと思ってるんですか?」
そう言って知恵を睨みつけた。
そうだ、ただですむわけはないと路夏も思った。

そして知恵自身も
「そうねえ。これは明らかに暴力事件だからねえ、
 加藤さんに大事にされたら、私は間違いなく休学…いや、退学かしらね?」
そう…しかし他人ごとのような涼しい顔で言った。
その言い方がかんにさわったのか、乙女は一層激しく知恵を睨みつける。

路夏は混乱していた。知恵が変に落ち着いていることもそうだが、
そもそも知恵が何故乙女を殴ったかがわからない。
言葉をいじめたことや、自分のことは路夏にとっても腹の立つことだが、
だからと言って知恵がここまで激しい暴力を振るう理由にはならないと思う。
何が知恵をここまで怒らせたのか、その路夏の疑問は、しかし直後に知恵自身の口から明らかにされた。

「でも、私一人退学なんてごめんだから、加藤さんも道連れになってもらうわよ」
「え?」
「あんたが、澤永君を唆して桂さんに乱暴させたことも公けにしてしてあげるって言っているのよ」
「な!? どうしてそれを……あ…」
乙女は、知恵の言葉に反射的に発しかけた言葉を飲みこみ、しまったという表情をする。
まさに語るに落ちた形になったわけだが、知恵はそんな乙女に対して更に言葉を続ける。

「どうして知ったかって? 澤永君当人に聞いたのよ。
 あの子は少し特殊みたいでね、
 自分のしたことが桂さんを傷つけたなんて全くわかっていなかったみたいで、
 あんたに唆されたことを何でもないことみたいに話してくれたわ。
 …ああ、自分だけが殴られるのが不公平だって思うなら安心していいわよ。
 澤永君も同じように殴っておいたから」
乙女は観念したかのようにうなだれ、
知恵はその様子に無表情に、ただ憐れむような視線を送る。

164丁字屋:2011/02/16(水) 21:40:55 ID:L8ceAH81

そして路夏は、知恵の言ったことの意味をようやく理解して乙女の方を見る。
乙女はさっきまで睨み付けていたはずの知恵から目を背けており、
それが知恵の言ったことを真実だと語っているかのようだった。
「ああ、さっき澤永君は桂さんを傷つけたことをわかっていなかったって言ったけど、
 きちんと話したらちゃんと理解して後悔もしていたわ」

「加藤…あんた…」
乙女は一瞬、自分の名に反応したように路夏の方を見るが、すぐに目をそらした。
路夏はまだ信じられなかった。
確かに乙女は、中学時代から自分が気に食わない相手には激しいいじめを行っていた。
乙女のためにノイローゼになって転校した子だっていたし、その容赦のなさは、
かつては乙女の嫌がらせを受けた当事者だった自身が身にしみていた。
けど…
『澤永君を唆して桂さんに乱暴させた』
先ほどの知恵の言葉が頭の中でリフレインする。

そんな…こと…
それは、いくらなんでも…
『物事には限度ってものもあるのよ』
さっき知恵が言ったように…
限度を越えている…!

そして知恵が口を再び開いた。
「どうしたの、加藤さん? 私のことをただじゃ済まさないんじゃなかったの?
 なんなら今すぐ職員室に駆け込んで、私に殴られたって訴えてきてもいいのよ」
まるで挑発するような知恵の言葉に対し、乙女は何も言い返せないまま、
追い詰められたような表情になってうつむいていた。
そんな乙女の様子を、路夏は無様だと感じていた。

165丁字屋:2011/02/16(水) 21:41:16 ID:L8ceAH81

「どうしたの、加藤さん?痛くて口も聞けない?」
そう問われても乙女は黙ったままだった。
知恵は構わず言葉を続ける。
「でもそんな痛みはしばらくすれば引いてくれるわ。
…けどね、あんたが負わせた桂さんの心の傷は今あんたが感じているのよりずっと痛くて、
そして今も桂さんはその痛みに苦しんでいるのよ」

乙女は黙ってうつむいたままだったが、知恵は更に続ける。
「まああんたには、自分がどれだけ酷いことをしたか、わかってないんだろうけど…
 でもね、あんたはいつか自分のしたことを後悔して、その罪で自分を責めることになるわ。
 そして、もし後悔しないとしたら…
 それはあんたが心底から屑になったってことよ!」
鋭く言い放たれた知恵の言葉に、乙女ははっとしたように顔をあげた。

「その顔じゃあ部活には出られないでしょう。
いい機会だから、自分のしたことをじっくり考えなさい。
…行くわよ、喜連川」
「あ…はいっ」
そうして知恵と路夏は部室から出て行ったが、
残された乙女は、うずくまったまま動こうとしなかった。

166丁字屋:2011/02/16(水) 21:42:05 ID:L8ceAH81
今回は以上です

>>148
取り敢えず乙女を殴っておきましたw
167名無しさん@ピンキー:2011/02/16(水) 23:51:43 ID:6oeObiKt
乙です。
でも、エロパロ的には、知恵×言葉を期待してしまうwww
168148:2011/02/17(木) 10:45:57 ID:o3WiLN/z
いやっほおおおいいいい!
乙です!あーすっきり!
169名無しさん@ピンキー:2011/02/17(木) 19:37:46 ID:rcyKQqXf
gj!


いったいどうなってしまうのか!?
170名無しさん@ピンキー:2011/02/18(金) 16:46:50 ID:po29vo5B
GJ! どうなるのか注意深く見守っていきたい
171名無しさん@ピンキー:2011/02/18(金) 21:29:56 ID:XiqzhG5s

この知恵姉さんなら言葉とレズでもいいやw
172名無しさん@ピンキー:2011/02/25(金) 19:33:55 ID:Ms/AY0l9
保守
173名無しさん@ピンキー:2011/03/02(水) 19:14:18.37 ID:YjMo2Afg
乙女のデカいケツ最高!
174名無しさん@ピンキー:2011/03/10(木) 10:12:04.24 ID:3jWQ5AXX
保守
175SINGO:2011/03/11(金) 02:23:16.70 ID:ib6ysJte
【アホゲバトル2】

山県「ねえ誠。私、名案を思いついたんだけど」
誠 「それは凄いな。まあ頑張ってくれ」スタスタ
山県「待って!聞いてよ!」
誠 「面倒臭いな。で、何?」
山県「私、クロイズで攻略ヒロインに昇格したし、次は私メインのゲームが出てもいいと思うの」
誠 「上級者向けゲームになりそうだな」
山県「うん、大人のアブナイ恋ってやつ」
誠 「いや、難易度が。山県、空気キャラだから誰にも気付いてもらえないだろうし」
山県「そっち!?」
誠 「いっその事、バトルゲームみたいにしたらどうだ?サマイズのオマケのアレみたいに」
山県「ええと、どんなゲームだっけ?」
誠 「主人公の寝取り女がライバルの猟奇女を倒して意中の美少年をGetするゲーム」
山県「誠、そういう認識だったんだ……」
誠 「モテる男は辛いよな。多くの女に想われても、この体はひとつしかないのに」
山県「何かムショーにイラッとくるんだけど私」

誠 「じゃあ主人公は山県って事で、タイトルはアホゲバトル2でいいよな」
山県「私、アホ毛じゃないし!」
誠 「いや髪の色がアホだろソレ。どうゆうファッションセンスしてんだ?」
山県「これ地毛だよぅ!髪染めるの校則違反だから、黒く染められないの!!」
誠 「訂正。頭がアホだ」

誠 「とりあえずライバルキャラ呼び出すから、そいつ倒して足利Getしろ」
山県「ええ!?誠じゃなくて?てか何で足利君なの!?」
誠 「だって山県は足利の攻略ヒロインだろ」
山県「そういえば、そうだった……」

176SINGO:2011/03/11(金) 02:25:10.79 ID:ib6ysJte
誠 「じゃあゲームスタートと行くか。ライバルは俺が適当に用意しておいたから頑張れ」
山県「誰?」
誠 「女バスのDQN女。なんか足利の貞操を狙ってるらしいし」
山県「え〜?あのマッシブ不良?私、勝てるかな?」

加藤乙女があらわれた!

山県「ええェー!?確かに女バスでDQNだけど、足利君とは何の接点も無いよ!」
誠 「そうなのか?クロイズのパッケージにでかでかと載ってたから、てっきり攻略ヒロインかと…」
山県「それパッケージ詐欺!エロゲ情報誌のも詐欺だから!しかも降格されて、もうヒロインじゃないし!」
誠 「でも胸糞悪い女だろ?俺と山県の仲を裂いたし、言葉をイジメたし、アニメで俺を振りやがったし」
山県「最後のは自業自得!てか誠、公私混同してるー!!」
加藤「山県。よくも人をDQN呼ばわりしてくれたわね」
誠 「確かにDQNは言い過ぎだぞ」
山県「ちょ!先に言ったのは誠だよぅ!!」
加藤「あったまに来た。山県、覚悟はいい?」
誠 「まあ落ち着け加藤。暴力は良くない。お前もスポーツマンならバスケで勝負しろよ」
加藤「伊藤がそう言うなら…」
山県「ずるい!それ加藤さんの得意分野!」
加藤「じゃあ元祖みたいに刃物バトルで行く?」
山県「……バスケでいいです……」

てな訳で、バトルスタート。

山県「加藤さん、ちょ、反則やめ、痛い痛い痛い!眼鏡が割れヒデブッ!は、鼻血がー!」
誠 「気を付けろー。試合で大ケガしても、それは事故として処理されるから」
山県「てかバスケは反則3回超えたら退場じゃヒデブッ!」
加藤「オラオラオラオラ!!」
山県(このままだと、やられる!こうなったら奥の手)

山県は死んだフリを使った!

加藤「あースッキリした。じゃあねー伊藤」

加藤はいなくなった!

177SINGO:2011/03/11(金) 02:27:10.76 ID:ib6ysJte
誠 「山県、生きてるかー?」
山県「あ痛たた…。殺されるかと思った」
誠 「うーん。ちょっと難易度高かったか。あいつ、山県の天敵だし」
山県「や、そうゆう問題じゃなくて…」
誠 「じゃあ気を取り直して第2ステージ行ってみようか」
山県「えー?まだ続くの?」
誠 「当然だろ。恋敵はまだまだいる」
山県「せめて足利君と接点のあるキャラ出してよ。喜連川さんとか綿女のビッチとか」

西園寺世界があらわれた!!

山県「ええェー!?また何の接点も無いキャラ来たー!」
誠 「そうなのか?足利、何か世界を図書室に呼び出したり、ストーキングしてたから、てっきり…」
山県「それ桂さんと誠をくっつける為の裏工作だから!」
誠 「それに世界は俺を殺りやがったし」
山県「だからそれ誠の自業自得!てか西園寺さんも降格されて、もうヒロインじゃないし!」
世界「ムカっ。山県さん、攻略ヒロインに昇格したからって調子に乗ってるの?」

バトルスタート。

山県「西園寺さん、ちょ、やめ痛い痛い痛い!ぎゃああ、背中に出刃包丁が!!血が、血があァ!!」
世界「無駄無駄無駄無駄!!」
山県(このままだと、やられる!ならば、もう一回……!!)
誠 「あー山県。世界は相手がガチで死ぬまで滅多刺しにするから、フリ程度じゃダメだぞ」
山県「だからアニメ設定を持ち込まないで!!」
誠 「あ、そうそう。ガチで死ねば世界は逃げ去るから。だから山県も死ね」
山県「なにげに非道いアドバイス!!」

山県はガチ死んだフリを使った!!
世界は逃げ去った!!

178SINGO:2011/03/11(金) 02:32:47.85 ID:ib6ysJte
誠 「山県、生きてるかー?」
ギュッ、ギュッ、ギュッ。
ドックン、ドックン。
山県「ゼエゼエ…。まさか自分のスタンドで自分の心臓を止める事になるとは思わなかったよー」
誠 「凄いな山県。ガチで死んで世界を騙したのか。DIO様もビックリの荒技だな」
山県「セルフ心臓マッサージがあと一秒遅れてたら御陀仏だったよ…」
誠 「てか山県、負けてばっかじゃダメだろ。足利の貞操を守ってこその主役なのに」
山県「だったら足利君の貞操と関係あるキャラ出してよ」
誠 「わかったよ。じゃあ、第3ステージ行ってみようか」

言葉様があらわれた!!

山県「言ってるそばから超無関係キャラ来たコレ!!」
誠 「言葉、足利と仲いいし。休憩室に入って足利に乳揉ませてたし」
山県「だから桂さんは非攻略キャラだってば!!クロイズ製作前からの決定事項!!」
言葉「確か貴女は休憩室で誠君にイヤラシイことしてた変質者ですね?でわ、斬首します」
山県「あなたの言動が一番変質者なんですけど!!!」

問答無用でバトルスタート。

山県「桂さん、ちょ、やめ痛い痛い痛い!ぎゃああ、首にノコギリが!!血が、血があァ!!」
誠 「こら山県。さっきから逃げてばっかだろ。闘え。ゆうに手ェ出す雌豚は一刻も早く消えるべきだ」
山県「雌豚って桂さんの事だよね!?私の事じゃないよね!?てか誠、ホモルート入ってるー!!」
言葉「あははははは!!!」
山県(これヤバイ!こうなったら、もう一回心臓を…)

山県はガチ死んだフリを使った!!

誠 「あー山県。言葉は死体の首斬ったり死体の腹裂いたりするから、死んだら余計に逆効果だぞ」
山県「ええぇー!?それを早く言ってェー!!!」
誠 「いや、すでにアニメでネタバレしてるだろ」

ゲームオーバー


誠 「次は喜連川を排除するか」ニヤリ

中に誰もいませEND

179名無しさん@ピンキー:2011/03/11(金) 02:35:56.97 ID:ib6ysJte
終わりです。
ちなみに元祖アホゲバトルはサマイズのゲームディスク内に入っています。
180名無しさん@ピンキー:2011/03/11(金) 09:17:25.99 ID:D11hDzBi
まとめサイトないの?
181名無しさん@ピンキー:2011/03/11(金) 22:48:20.56 ID:X9NqH9Qw
>>180
ないお。


作るって言ってくれた人も居たけど、
職人さん方が収録に難色を示したので、以降誰もそんな物好きは出てこなくなったとさ。

過去ログ変換器(http://mirrorhenkan.g.ribbon.to/)とかにかけて、コツコツ見るがよろし。
182名無しさん@ピンキー:2011/03/24(木) 00:49:26.53 ID:iz6powG1
失意ルートをベースにSS考えてるけど人いるかな?
一応勇気と言葉メインです。
183名無しさん@ピンキー:2011/03/24(木) 03:26:26.51 ID:Md52zAKe
いるよー

最近規制が厳しいから、みんな書き込めてないだけだと思われ
184名無しさん@ピンキー:2011/03/24(木) 03:45:31.55 ID:iz6powG1
良かった。
それじゃ「失意」アフター投下します↓
185名無しさん@ピンキー:2011/03/24(木) 03:51:25.30 ID:iz6powG1
「ま…誠くん!」
「言葉……言葉の胸、気持ちいい…気持ちいいよ」

屋上で一心不乱に胸に顔を埋めてくる彼氏を抱きしめながら
言葉は必死に自分に言い聞かせていた。

誠くんは私の事が好き。

「言葉…愛してる……」

その一言で言葉の些細な不安をいつも彼方まで飛ばしてくれる。


「え?行かなかった?」
「は、はい。すみません…」

翌日の昼休み、言葉は図書室で勇気に貰った映画のチケットを返却した。

「…桂、もしかして伊藤とまたこじれてる?」
「そ、そんな事はありません。らぶらぶです!昨日だって誠くんと屋上で…」

そこまでまくし立て自分の失言に赤面して押し黙る。

「あー、はいはい。彼氏といちゃつくのに忙しかったんだろ。
ノロケなくていいから」
「……」

返却されたチケットを受け取りながら勇気が淡々と答える。

あの「失意」の学祭後は暫く塞いでいたけれど、最近は日常会話をする程度の元気は出てきたようだ。

「それより伊藤の所に行かなくていいの?
学祭終わってからベッタリだったのに」
「誠くん…今日は委員会の用事があるとかで…」
「また浮気?」
「違います!」

ムキになって反応する言葉と淡々とからかう勇気。

学祭前によく見た光景の再現に、路夏は図書室の前で立ち尽くした。

186名無しさん@ピンキー:2011/03/24(木) 04:23:57.70 ID:iz6powG1
『本当に何でもないから。
友達の言うことだけじゃなくて、少しは僕の言うことを信じてよ!僕が路夏を好きだって気持ちを!』

学祭当日、今川や黒田や桂、他校の女子との浮気疑惑が表面化し
問い詰められた時に勇気が発した台詞。

「……謝ろうと思ったのに…」

わかってる。
ただの言い訳だ。本当は謝る資格さえない。
私は桂さんみたいに好きな人を真っ直ぐ信じる事が出来なかった。

『もう女バスには関わらない』

後日、女子バスケ部のメンバーたちと謝罪した時に
目を逸らしてポツリと洩らした勇気の一言が忘れられない。
最初に彼の信頼を裏切ったのは私たちだ。

「喜連川?」
「…伊藤…」
「どうしたの?」

罪悪感に押し潰されそうになった路夏に誠が優しく声をかけた。
かすかに聞こえる談笑から逃れたくて
路夏は図書室から背を向けた。

「お、おい。喜連川」

後ろから誠が心配そうに追ってくるが路夏は歩みを止める事が出来ない。

「私の事よりも、桂さんの心配したら?
図書室で勇気と楽しそうにしてるよ」
「え…?」
「伊藤、桂さんに何か嫌われてたりして?」
「言葉が…」
「愛情が足りてないんじゃないの?」

ただの八つ当たりなのに、止められない。

誠の表情が路夏の何気ない一言で暗く凍りついた。
187名無しさん@ピンキー:2011/03/24(木) 04:35:07.45 ID:iz6powG1
「わ、私の事よりも足利君の話です。
あ、あれから喜連川さんとは話をして…」
「その話はもういいよ」

図書室で強引に話を切り替えた言葉に勇気が冷たく言い切った。

この話題になるといつも勇気の空気が変わる。

誤解とはいえあれだけ大勢に罵られ一方的に否定されたのだ。
一番好きだった相手にさえも信じてもらえず。
ショックで心を閉ざすのも無理はない。


「僕はもう考えないようにしてるから」
「そんな…」

無表情に答える勇気にかける言葉が見つからない。

「桂は伊藤の事だけを考えてればいいよ。
また何かあったら相談くらいは乗るから」
「足利君…」

チケットが目の前に再び突き返される。

「期日は今日までだから伊藤と行ってきなよ」
「で、ですが…」
「いいから」

話を切り上げる様に予鈴が鳴った。


「どうしたの?言葉…考え事?」
「ま、誠くん…き、今日はえ、映画に行きませんか?
最近はエッチばっかりで…その…」
「言葉は俺とエッチするのが嫌い?」
「そ、そんな事なっ、ひゃぁっ」

会話を交わしながら言葉の身体をまさぐるのは止めない誠。

「言葉…俺もう家まで我慢出来ないよ…」
「ま、誠くん…映画…アッ」

屋上で再び誠が言葉に覆い被さる。
胸中で勇気に謝罪しながら、言葉は必死に誠の名前を呼び続ける。

手から落ちたチケットを誠が自覚なく踏みつけた。


188名無しさん@ピンキー:2011/03/24(木) 06:03:49.65 ID:iz6powG1
キリが良いので取りあえず以上です。
続きはまた近々投下します。

…何かキャラが違いますね…スミマセン…
189名無しさん@ピンキー:2011/03/26(土) 11:34:34.10 ID:cOdXg4a3
愛が足りてない→セクロスが足りてないとか
やっぱ誠はどこまでいっても誠だな
190名無しさん@ピンキー:2011/03/26(土) 17:27:50.04 ID:QoaEolDA
失意アフター投下します
>>187の続きです
191名無しさん@ピンキー:2011/03/26(土) 17:32:48.78 ID:QoaEolDA
「ま、誠くん!」

屋上で、食事をそっちのけにして身体をまさぐる誠から言葉は必死に逃れた。

「言葉…俺が嫌いなの?」
「ち、違います。た、ただ、今はお昼休みですから。
きょ、今日はお弁当を作ってきたんですよ?」
「そんな事より言葉が欲しいんだ」

弁当箱を払いのけて、誠が言葉に覆い被さる。
早起きして作った弁当箱が無残に地面に転がった。

『エッチが好きなだけだと思うけど?』

誰に言われた言葉だったか、気付いたら言葉は咄嗟に誠の手を振り払っていた。

「っ!」
「こ、言葉…」

呆然と固まる誠に言葉が必死に弁解を続ける。

「ま、誠くん。私、誠くんとするのが嫌な訳じゃないんです…
ただ…その…今は一緒にお弁当を食べたくて」
「…わかった」

しかし、次の日から誠は屋上に来なくなった。


「…で、心ちゃんって言うんだけど」
「またその話ですか」
「一度会ってみろって。向こうも乗り気だし。
小さい子は真っ直ぐに信頼してくれるからいいぞぉ」
「はは…信頼っすか」
「お、おい。勇気」

思わず失笑し、花山院先輩から逃れる様に
勇気は図書室から屋上に向かった。

192名無しさん@ピンキー:2011/03/26(土) 17:38:53.41 ID:QoaEolDA
「あれ?桂。伊藤と一緒じゃないんだ?」
「…はい」

屋上で、食べて貰えない弁当箱を抱えながら言葉が俯く。

「桂たちが中庭でいちゃついてる隙に屋上を私物化しようと思ってたんだけど…」
「ま…誠くん、中庭にいたんですか?」
「うん?遠目だったからはっきりとは見えなかったんだけど多分ね」

行かなきゃ。
もう一度謝ればきっと許してくれるはずだから。
もう一週間もお昼を一緒に過ごしてない。
顔を合わせるのはエッチをする放課後だけだ。謝ればきっとすぐに仲直り出来る。
そうすれば―…昼休みもエッチをするんだろうか?

言葉は弁当箱を抱えて立ち上がるが、足を動かせない。

少し離れたベンチで、勇気が菓子パンを食べ始め
そわそわと言葉がベンチに座り直した。

「何だよ?また伊藤とケンカでもしたの?」
「そ、そんな事ないです」
「…ふーん。じゃあ映画どうだった?」
「え?あっ、た、楽しかったですよ。
誠くんは途中で私にもたれて眠っちゃいましたけど…とっても…」
「ノロケなくていいって」
「…はい…」

それきり会話が止まり、気まずい沈黙が屋上に流れた。
193名無しさん@ピンキー:2011/03/26(土) 17:42:36.05 ID:QoaEolDA
「それで。
いつまで屋上にいるんだ?」
「え?」
「伊藤と一緒に食べたいなら早く中庭に行けよ。
僕は屋上でゆっくりしたいんだけど」
「で、でも…」

しかし言葉はなかなかベンチから立ち上がらない。

「まだ何かあるの?」
「あ…あの。喜連川さんのこと…」
「その話はもういいって言っただろ」

勇気の語尾に怒りが含まれ、躊躇するが続ける。

「…あ…足利くんはまだ喜連川さんの事が好き…ですよね」
「もういいって」
「が、学祭の時は…その…すれ違ってしまったけど
足利くんの真っ直ぐな気持ちはきっと届…」
「もういいって言ってるだろ!そーゆーのは学祭の時に言ってくれよ!」

勇気の張り上げた声に言葉の身体が強張る。

「っ」
「…あ……ご、ごめん。
でも本当にいいから…
早く中庭に行けよ。もう昼休み終わるし」
「足利くん…」
「行けって」

まだ何か言いたそうにしていた言葉を無理やり追い出し、勇気はベンチに深くもたれて目を閉じた。

『嘘つき!』

気を抜くとまた学祭の嫌な記憶を思い出す。
何故か今川と浮気していると言いがかりをつけられ
女バスの連中と路夏に問いつめられた記憶だ。

194名無しさん@ピンキー:2011/03/26(土) 17:47:47.15 ID:QoaEolDA
『路夏、信じてくれ。僕は』
『全然っ!信じられないっ!勢いでまくし立てて騙そうとしてただけじゃないっ!』
『違うっ!』
『嘘つきっ!大っ嫌いっ!!』
『っ』
『ま、諦めな。はい、これゴムの補充ね』
『……嫌だ。
もう…こんなの…嫌だぁぁぁあーっ!』
『あーあ、逆ギレだよ』
『見苦しいね』
『路夏、気をしっかり持ってね』

誰も信じてくれなかった。

泣き腫らした目で家に帰ると申し訳なさそうに姉が出迎えた。

『お、お帰り、勇気。
悪かったわね…わ、私、完全に早とちりして。ごめん。
ろ、路夏たちも本当に反省してるから…』

手のひらを返した様に、謝る姉に勇気の不信感が更に募る。

『…何を今さら…
諦めろって言って話聞いてくれなかったのは姉ちゃんたちだろ』
『だ、だからそれは誤解だって…』
『もう女バスには関わらないよ』
『勇気っ』

以来、姉を含めた女バスとは口もきいてない。

一人で空回りした自分が情けなくて恥ずかしくて悔しくて、
思い出すとまた涙が出そうになる。

「…そうだよな。先輩の言う通り…小さい子なら信じてくれたかな。
心ちゃんだっけ?…ははは」

携帯を取り出す最中、ベンチに置き忘れてある小分けしたタッパーの包みが目についた。
おそらく桂の忘れ物だろう。

「僕はもう…いいんだ」

強引に勇気が屋上から追い出したから忘れたのかもしれない。

「…先輩の言う通り小さい子に慰めて貰うんだ」

最後まで何か言いたそうにしていた言葉を思い出す。先輩を呼び出そうとした携帯を動かせない。

「……くそっ!」

勇気は言葉の忘れ物を乱暴に掴んだ。

伊藤と映画に行けなかった事くらいわかってる。桂は嘘が下手だから。
だから僕はどんくさい桂の相談に乗るだけだ。

勇気はそう自分に言い聞かせて、屋上を後にした。

195名無しさん@ピンキー:2011/03/26(土) 17:56:44.15 ID:QoaEolDA
言葉は息を切らせて中庭を走っていた。

誠くん、誠くん、誠くん。

いくら探しても見つからない。
早く一緒にお昼を食べたい。怒らせてしまった事を謝りたい。今日のお弁当はこの間より自信があるから。
それから、それからどうすれば足利くんと喜連川さんがやり直せるのか教えて欲しい。
私には無理でも誠くんならきっと助けてくれるから―…

「や、やだ。もう、誰か来たらどうするのよ」
「そんな事言って…路夏のココ…もうこんなになってる」
「ま…まだするの?ンっ」

中庭にいたのは誠と路夏だった。

「大丈夫。足利と仲直りするまでの練習だよ…浮気じゃないって」
「い、伊藤…だめ…勇気に嫌われちゃう…」
「これ以上嫌われる事はないって言ったのは路夏だよ。
大丈夫、練習だから…」
「ん…あぁっ」

初めは乗り気では無かった路夏も誠から優しく身体をまさぐられ耳元で囁かれるうちに
いつしか自分から腰を振る様になっていた。

『浮気じゃないから。練習だから』

罪悪感に苛まれそうになる度に誠がそう囁いた。

「やだ、伊藤…アツい…アツいよぅっ…伊藤っ」
「名前で呼んで…路夏…」
「アァゥッ!まっ、まっ…誠ォゥ!」

足を腰に巻き付けて貪る様に誠の唇に吸い付く路夏。

ガチャン。

言葉の弁当箱が地面に落ちて
誠と路夏が弾かれた様に振り返った。
196名無しさん@ピンキー:2011/03/26(土) 17:57:56.03 ID:QoaEolDA
ひとまず以上です。
続きはまた近いうちに。
197丁字屋:2011/03/26(土) 20:23:52.74 ID:9NKoa8PQ
長らく規制で書き込めなかったうちに、いつの間にか新作も連投されててうれしい限りです。
あと自分の作品への感想ありがとうございます。
そんなわけで「贄と成就」アフター、
>>165からの続きです。
198丁字屋:2011/03/26(土) 20:25:59.47 ID:9NKoa8PQ
知恵は部室から出てしばらく黙って歩いていたが、
ふと立ち止まると、後ろからついてきていた路夏の方を振り返った。
「つき合わせて悪かったわね」
「あ、いえ…。それより先輩、何故私をあの場に残したんですか?」
そう、路夏にはそれがずっと疑問だった。

だが知恵はそれには答えずに
「加藤には悪いことしたわ…」
そう悲しそうに言った。
「そ、そんなこと…。加藤のやつ、桂さんにそんな…ひどいことしておいて、
 そのくせ今回もいじめの先頭に立って…、
 それって桂さんにあんなことをしたのを全然悪いと思ってないってことじゃないですか!
 そんなの殴って当然です!」
路夏は知恵の言葉を即座にそう否定した。

だが知恵はそんな路夏の方を見て
「そうじゃないのよ」
「え?」
「そもそもあの休憩室がなかったら、
 桂さんが乱暴されることなんかなかったはずよね。
 そして、元々渋川が中止にしようって言ってた休憩室の設置を強引に押し進めたのは私…。
 だから私のせいなのよね」

「そ、そんな… いくら休憩室があったからって、
 そこで同級生に乱暴しようとかさせようとか普通は考えません。
 先輩のせいだなんて、そんなわけないです!!」
そう力説する路夏に、知恵は再びかぶりを振って言葉を続ける。

「でもね、やっぱりそこにあんな部屋があったことがあの二人を邪な行動に走らせたのは事実…。
結局私があの二人の背中を押したようなものよ」
「……」
「それに、自分のしたことの重みにようやく気づいた澤永君は今、その罪の重さにひどく苛まれているわ。
 加藤も、いつかつかない自分の罪の重さに苛まれる時がくるでしょうね」
「……」
路夏はそんな知恵の言葉を黙って聞きながら、
しかし乙女が反省する時がくるだろうか甚だしく疑問に思っていた。

知恵は更に言葉を続ける。
「二人とも可哀想だよね。
 いくら反省したって取り返しなんかつくはずないのに…。
 でも、そんな罪を二人に背負わせてしまうきっかけを作ったのはやっぱり私なのよね」
「そんな…」
何度も自分のせいだと言う知恵の言葉を再び否定しようとしながら、路夏は気づく。
知恵自身もまた、自らの罪に苛まれているのだということに。

「さて、それじゃあ私は部活に行くけど、あんたはどうする?」
「じゃ…じゃあ私も…」 
言いかけながら、路夏は考える。
結局知恵の答えてくれなかった、知恵があの場に自分を残したわけを…。
199丁字屋:2011/03/26(土) 20:29:26.10 ID:9NKoa8PQ

そして…
「あの、今日私、部活休みます」
路夏は知恵をまっすぐ見てそう言った。
知恵はその言葉に
「そう。わかったわ」
と答えた。
路夏をまっすぐ見返すその顔は、少しだけ微笑んでいるように見えた。

そして知恵は踵を返すと体育館に向かう。
そして路夏は――


乙女はあれからずっと部室で、うつむいてうずくまったままだったが、
扉が開く音がして顔をあげた。
入ってきたのは路夏だった。

乙女は、なんだ…という顔をして再びうつむいたが、路夏はそのすぐ側に立つ。
乙女は気配でそれに気付き、
「何か用?」
そう顔を上げないまま訊いた。
路夏は答えるように
「無様ね」
と言ったが、その言葉に乙女は一瞬ぴくりと反応したものの、顔を上げなかった。

そしてしばらくの沈黙の後、再び路夏が口を開いた。
「あんた、いつまでもそんなところに座りこんでいたら、
 誰か来た時にその頬の腫れのこと聞かれるわよ?」
「あ…」
乙女は気づいたように頬を押さえる。
「それに、いずれにしても冷やした方がいいし、とりあえず保健室に行きましょ」
「え?」
乙女は、自分のことを嫌っているはずの路夏が
何故自分を気遣うようなことを言うのかわからないまま、
それでも扉を開けて廊下に出ようとする路夏の後を追うように腰を上げた。

200丁字屋:2011/03/26(土) 20:31:28.81 ID:9NKoa8PQ


保健室で、乙女は濡れタオルで腫れた頬を冷やしていた。
路夏はそれを少し離れてしばらく黙って眺めていたが、
「大丈夫?」
そう訊いた。
「え?…あ、うん」
そう答えながら、乙女は未だに、
路夏が何故自分を気遣うような言動をするのか疑問だった。
むしろ路夏は自分を嫌っているはずだ。
殴られた自分を見れば、いい気味だって思うはずだと…。

そして
「あんた、私が殴られたこといい気味だって思っているんでしょ?」
思ったことをそのまま口に出した。
そして路夏も
「そんなの当たり前でしょ」
と、乙女の問いかけを否定せず、更に言葉を続ける。

「あんた、今まで私にどれだけいやな思いさせたと思ってるのよ?
 その上、桂さんにあんなこと…。
 一発殴られたくらいじゃあ全然足りないって思っているわ」
「そう…」
路夏の言葉に乙女はそれだけ言って、再びうつむいた。

「どうしたのよ、加藤?
 あんた、いつもならここまで言われたら、下手すりゃ殴りかかってくるのに、
 今日はずいぶんおとなしいじゃない?
 少しは先輩に殴られたのがこたえたってわけ?」
「……」
「ま、私としてもあんたがそこまで打ちのめされてるんなら、
 本来なら日頃の恨みで追い打ちでもかけてやるところなんだけどね…」
「……」
「ただ、足利先輩はそんなこと望んでないのよね」
「え?」
その路夏の言葉に、乙女は顔を上げる。
「足利が…」

「先輩言ってたわ。あんたにすまないことしたって…。
 …殴ったことじゃなくてね…
 あんたがもしこの先桂さんにしたことの重さに気づいて反省した時に…
 ま、私はあんたが反省する時がくるなんて怪しいもんだと思ってるけどね…
 まあそれでももしあんたが反省したらさ、
 自分の犯した罪にひどく苛まれることになるだろうって…
 でももしあの休憩室がなければ、あんたがそんなことしようと考えることもなかったって」
「……」
「そして、部長が中止させようとしていた休憩室の設置を強引に進めたのは自分だから、
 …だからあんたに思い罪を背負わせてしまったって、そう言って自分を責めていたわ…」

「…足利が…そんなことを…?」
「そうよ。いつ反省するかもわからない、
 いや、この先もずっと反省なんかしないかも知れないあんたなんかのために罪悪感背負うなんて、
 ホント先輩もバカみたいよね」
路夏がため息まじりにそう言うと、乙女は
「そう…」
それだけ言うと、再び顔を伏せた。
201丁字屋:2011/03/26(土) 20:33:37.60 ID:9NKoa8PQ
 
しかしわずかな沈黙のあと、
「そんなの…ホントにバカみたいじゃない…」
そう呟くように言った乙女を路夏が見ると、その肩が震えていた。
「加藤…?」
乙女は顔を上げないまま言葉を続ける。

「私だってわかっていたわよ。自分が恐ろしいことしたってことは…。
 確かに、男に媚び売ってる桂に男の怖さを思い知らせてやろうって思って
 澤永のヤツを唆したのは私だけど、あいつがあんなに嫌がる桂を
 まさか最後までやっちゃうなんて思ってもいなかった。
 でもあの時、夏美たちも一緒に笑ってたし、いい気味だとも思ったし…、
 それでもあの後、私はずっと自分のしたことが怖かった…」
「……」
「今度のことだって、
 七海から話があった時は、これ以上桂にひどいことするのは…って思ったけど、
 桂が伊藤に手を出してるって聞いてあいつまだ懲りないのかって腹も立ったし、
 他のみんなもなんか私に期待してたみたいだったし…だから…」
乙女はそこで言葉を途切れさせた。

それを聞いていた路夏は、まるで自分勝手な言い分だと思ったが、
それが乙女の懺悔であるかのようにも聞こえた。
そして路夏は気づく。
乙女は本当は自分の罪に気づいていたのだと。
本当はやめたかったのだと。

そして路夏は改めて思い出す。
乙女は平気で他人を傷つけるくせに、肝心なところでは誰より度胸のないチキンだってことに。
そう、乙女は罪をわかっていなが認められなかった、
自分自身を止めることすらできない…そんな度胸すらない意気地無しだったのだ。

それでも乙女は言葉を更に攻撃することで逃げて、逃げることで自分を保って、
しかし知恵にその罪を暴かれたことで逃げ場を失ったのだ。
そして路夏は、今目の前で逃げ場を失い追い詰められて震えている乙女を、
愚かだと思い、
無様だと思い、
しかし、憐れだとも思った。
202丁字屋:2011/03/26(土) 20:36:23.92 ID:9NKoa8PQ

そして…
「あんた、今日うちに来る?」
そう乙女に訊いていた。

「え?」
「あんた、その顔で自分の家に帰ったら色々訊かれるわよ。
うちならお母さんお店だし、誰もいないからさ」
「あんた…、なんで?」
「さっきも言ったでしょ?
足利先輩は私に、あんたの力になって欲しかったんだと、だから、あの場に私を残したんだと思う」
「足利が…、でも、なんであんたに?
 私とあんたが仲悪いことは足利だって知ってるに…」
「さあ?まあ私の人徳ってヤツじゃない?」
「……」

「それに…」
「え?」
「なんにせよ、あんたとは長い付き合いだしね…」
「!」
その路夏の言葉に乙女は一瞬きょとんとし
「そっか…」
と頷いた。
路夏にはその顔が一瞬苦く笑ったように見えた

203丁字屋:2011/03/26(土) 20:38:29.26 ID:9NKoa8PQ


結局乙女は路夏の家に行った。
だからといって別に仲良く話していたわけではない。
実際路夏は乙女が言葉にした仕打ちに対し、
ひどい、最低の行いだと何度も罵倒した。

これまでの乙女なら、路夏に罵倒など受ければムキになり、
下手をすれば掴み合いのケンカになっていたところだが、
乙女は黙って罵倒を受けるだけだった。
そしてその表情も路夏の言葉を不快に感じているようではなく、
むしろ穏やかだった。

やがて乙女が口を開いた。

「私はさ…」
「え?」
「私は、そうやって自分を責められるのを待っていたかも知れない…。
私は桂にしたことを心の中で正当化して、それからもずっと桂につらく当たって、
今回の七海の話にも乗ったけど、
そうやって逃げることで、逆にどんどん逃げ場を失って追い詰められていた気がする。
だから、そうやってはっきり責めてもらえると、なんだかすっきりする…」
そう言って乙女は口元を歪めて薄く笑った。

乙女は、罵倒を受けることが罪の償いになると思って気が楽になっているのだろうか、
だとすればムシがいいとも路夏は思いながら、
そんな乙女はやはり憐れだと思った。
更に乙女は続ける。

「喜連川…」
「ん?」
「私はあんたのことなんか死ねばいいって、ずっと思っていた。
あんただけじゃなく、桂のことだって…」
「……」
「でも、もしあんたや桂がホントに死んだら、例え私のせいじゃなくても、
私はそれを願っていたって事実にずっと怯えることになったと思う…」
「加藤がそういうチキンだってことなんか、ずっと前から知ってるわよ」
「そっか…」
乙女は苦笑しながら続ける。

「だから、足利にも感謝しないと…」
「え?」
「足利が殴ってくれたことで、
私が追い詰められていた袋小路を打ち破ってくれたような気がするから…」
「……」
204丁字屋:2011/03/26(土) 20:40:45.74 ID:9NKoa8PQ

何だかずいぶん殊勝になったものだと路夏は思った。
「だったら明日先輩にその気持ちをそのまま伝えてあげるのね」
「うん…」
「あと前から思ってたけど、いくら目の前にいないからって先輩を呼び捨てはやめなよ」
「うん…」
「……」
乙女が知恵に感謝の気持ちを伝えれば、
現在それに関わることで自分を責めている知恵の気持ちも楽にはなるだろう。

ただ、それでも、乙女が言葉にしたこと、加えて自分に対してしてきた仕打ちを考えれば、
その乙女に、知恵ほど優しい気持ちにはなれなかった。
ただ、自分の言うことを素直に聞く乙女に、そ
れでもこれまでは嫌悪しかなかったのに対し、ちがった感情が生じてもいることを感じていた。


翌朝、登校した乙女は、路夏の言葉に従うように、知恵に昨日のことに対する感謝の気持ちを伝えた。
知恵はその素直な態度に面食らいながら、
乙女が本当に反省していると感じ取ると、嬉しそうに微笑んだ。

更に乙女は知恵に相談があると言った。
それは言葉に学園祭の時に自分がしたことを告白し、謝りたいということだったが、
知恵はそれに対し、首を横に振った。

「澤永君にも言ったけど、桂さんはもうあのことを忘れようとしているの。
 それなのに今またその時のことを蒸し返して、
 ましてやそんな残酷な悪意が自身に向けられていたなんて明かしても、
 ただ混乱させて、ショックを与えるだけ…」
「……」
「罪の意識を負ってしまった以上、本来は謝るべきだし、
 謝ることで罪を犯した人間にとっても救いになるんだろうけど…、
 でもあなたは謝ることも出来ずに自分の犯した罪に責められ続けなければならないの。
 それがあなたの受ける罰よ」

「……そう…ですね……」
悲しそうに目を伏せる乙女だが、知恵は再び口を開く。
「けどね…」
「え?」
「謝ることはできなくても、償うことは出来るのよ」
「償う…。でも、どうやって…?」
「それは、私にもわからないけど、あなたにその気持ちがあれば必ず機会はくるわ」
そう言って知恵は優しく微笑み、
「がんばって」
という言葉と共に乙女の頭を優しく撫でた。

乙女はうつむきながら、昨日は自分を殴ったその手の感触をとても温かく感じ、
「はい」
と小さく、しかしはっきり答えた。
そしてその頬はうっすらと染まっていた。

205丁字屋:2011/03/26(土) 20:43:05.52 ID:9NKoa8PQ

今回は以上です。
知恵姉さんが乙女にもフラグを立ててしまったようです。

206148:2011/03/27(日) 12:34:40.51 ID:69op4Xus
乙です。
やっと続きが投下されましたね、まってました。まあ今はこんな状況ですからね...。
乙女改心しましたか。こいつは私の中では人を傷つけることが大好きな腐れ外道なんですがねぇ...あ、三馬鹿は今回の内容よると改心
しませんね。
今後どうなるか、楽しみにしてます。

追伸
最後に、次回予告みたいなものがあれば幸いです..と言うのはわがままですね。
あ!無理して書かなくていいですよ(笑)





207名無しさん@ピンキー:2011/03/28(月) 01:32:23.05 ID:yQkpJxNk
GJ!
208名無しさん@ピンキー:2011/03/30(水) 09:38:45.59 ID:RAwyB1oe
>>206
虎の威を借る狐たちは"虎"="乙女"が居なければ、
自然とおとなしくなるんじゃないですか?
こういう手合いは自分から積極的に虐めをやるほど
根性もなさそうだし。
逆に今度は自分が虐められるんじゃないかと
心理的に怯えてたりして。哀れチキンの末路(笑)
209名無しさん@ピンキー:2011/03/30(水) 22:55:56.19 ID:Y+U93v8q
仮定妄想自己完結
ひでえメンヘラだな
210名無しさん@ピンキー:2011/03/31(木) 22:15:31.82 ID:4Ce0RxRq
ここで保守がてらに小ネタを

七海「先輩、わざわざ呼び出して何の用ですか」
知恵「今年一年入ってきたけど、貴方一番態度悪いって言われてるわよ。素行が悪すぎるのよね。それ一番言われてるから。まあ、この動画見て」
―休憩室プレイ視聴中―
七海「ち、違います!私、こんなんじゃ」
知恵「はあー、何が違うのか私には理解に苦しむね」(冷静)
―リプレイ―
知恵「やっぱり貴方じゃないの!」(憤怒)
七海「……」
知恵「個室に〜、彼氏連れ込んで〜、真昼間から〜、セックスかしら〜?部活馬鹿にしてるのかしらね〜?」
七海「すいません」
知恵「あー、あー、女バスの風紀が無茶苦茶だわ」
七海「すいません」
知恵「貴方じゃ話にならないから顧問の先生呼んできてよ」
七海「すいません、それだけは。すいません許してください、何でもしますんんで!」
知恵「ん?」
知恵「今何でもするっていったわよね?」
むにゅ
七海「えっ、それは……」
知恵「先生を呼んでもいいのよ」

七海の制服をめくり上げ、股座を舐め上げる。
知恵「今度はこっちも舐めてもらわないとねえ」
七海「すいません、それだけは勘弁してください」
知恵「先生にチクられたくないでしょう?」
七海「勘弁してください……」
知恵「歯を立てるんじゃないわよ、先輩は大事に扱わないとね」
知恵「なかなか上手いじゃない。彼氏に仕込まれたのかしら」

今度は鞄から張り型を取り出す。
七海「次は何をするんですか」
知恵「この上にまたがりなさい」
七海「それは……勘弁してください」
知恵「悪いと思ってるなら、やりなさいよ」(鬼畜)
七海「ん、ふん、くう」
知恵もペニスバンドを装着し、七海を犯し始める。
七海「アッー!アッー!アッー!いっちゃう」
知恵「明日も練習はあるのよ」(小声)
こうして、女バスの裏活動は更けていく。

School Daysでの知恵は下衆すぎるので、思いっきり下衆くしてみました。
どうせホモをやるなら、ニコニコでホモビでも見て参考にすれば言いのに(´・ω・`)
211名無しさん@ピンキー:2011/04/01(金) 13:59:49.73 ID:ZH0oytol
>>210
逆に男の娘系な方向強めた方がよかったんじゃね
変にリアルっぽいホモ表現がきつかったしw>クロイズ
212210:2011/04/01(金) 15:25:13.41 ID:AEglR7TM
>>211
コメント、アリシャス!
正直、刹那の世界に対する視線は汚いと思う。
213名無しさん@ピンキー:2011/04/02(土) 23:55:44.35 ID:0fd0v0TW
いたるSS書いてた者です
今でもブログの方で心や12話Ifの感想を書いていただいたりして恐縮してます
新作のリクエストとか頂きましたが今かなり多忙な状態なのでちょっと無理そうです

でも一読者として読みに来させていただきますので
現役の皆様がんばってくださいね
214名無しさん@ピンキー:2011/04/13(水) 20:43:03.54 ID:wCSCjvL8
保守
215 忍法帖【Lv=1,xxxP】 :2011/04/21(木) 20:13:54.79 ID:XK5yeclV
保守
216名無しさん@ピンキー:2011/04/24(日) 17:39:25.73 ID:93+vnnrf
もし本当に世界がラグビー部員で、しかもビアンだったらとか、
しょうもない妄想をしてしまった。
217名無しさん@ピンキー:2011/04/24(日) 17:51:41.76 ID:c6NgFBjq
>>216
そんなタカさんみたいな体格なってそうな世界は嫌だw
218名無しさん@ピンキー:2011/04/25(月) 00:38:04.39 ID:x5EZCkkj
しかし、公式の世界の絵を見比べると、
スクイズの時に比べて、クロイズのほうは肩幅が2倍になってるんだよなあ。
天文部の幽霊部員をしながら、地元の女子ラグビークラブでハカを踊ってるんですかね?
219名無しさん@ピンキー:2011/04/25(月) 08:52:06.49 ID:ySeLSduN
>>218
父親がそこそこ体格いいから、そっちの遺伝と思えばなんとか
現実でも某女性声優みたいに立派な肩幅の女性もいるし
220名無しさん@ピンキー:2011/04/25(月) 20:49:42.56 ID:NMC7FS2Q
ガタイがいいのはむしろ踊子さんの遺で・・・
221名無しさん@ピンキー:2011/05/06(金) 22:52:47.64 ID:tC7hMy7e
保守
222名無しさん@ピンキー:2011/05/10(火) 22:07:21.62 ID:POnsiv2c
保守
223名無しさん@ピンキー:2011/05/23(月) 01:04:27.13 ID:akEAPKN4
保守
224名無しさん@ピンキー:2011/06/04(土) 23:22:03.83 ID:eSiyqvH8
保守
225丁字屋:2011/06/05(日) 21:35:23.43 ID:6OXdKoAX
長らくご無沙汰しておりました。
肉親の不幸やら引越しやらが重なってしばらく書き込みが出来ませんでしたが、
「贄と成就アフター」204からの続き、完結編投下します。
今回は、再び勇気視点の語りとなります。

226丁字屋:2011/06/05(日) 21:39:29.90 ID:6OXdKoAX
あの出来事から一ヶ月が経った。
まああの後の大きな変化と言えば、伊藤が西園寺とはっきり別れたということ。
それだけならともかく、僕を驚かせたのは黒田が伊藤とつきあい始めたということだ。

それについて黒田が僕に話してくれたことがある――

黒田はあのあと澤永に告白したんだと言った。
「前は澤永と付き合ってた桂さんを逆恨みもしたけど、そんなのいけないと思ってね。
でも、結局振られちゃった。
自分にはそんな資格はないとかわかんないこと言ってたけど、
結局澤永にとって私はその程度の存分だったのよね。
そう思うと寂しくなっちゃった」
そう言った黒田は、その時西園寺と別れて寂しそうにしている伊藤が気になりはじめたと言い、
同族相憐れむってやつかなと笑った。



227丁字屋:2011/06/06(月) 19:34:00.39 ID:t4udV5I3

「伊藤はね、本当は桂さんがまだ好きなのよね。
 あんなふうに取り返しがつかなくなってから気づくなんて本当にバカだと思うけど…。
 それでも…私」
「……好き…なのか?」
「…さあね。ただ伊藤って…」
「…ん?」
次の瞬間黒田はにんまり微笑み言った。
「エッチが凄く上手いっていうか、気持ちいいのよ!」
「……はあ!?」
「あの下のテクなら、学校中の女子相手に商売できるわね、うん!」
「黒田…お前なぁ…」
「やあねえ、冗談よ、冗談。
 私もさ、あんたみたいな、他人のために一生懸命になれるお人好しの馬鹿と友達なことを
 少しは誇りたいから、あんたに顔向けできないようなことはしないわよ!」

228丁字屋:2011/06/06(月) 19:44:37.23 ID:t4udV5I3

そう笑って言った黒田に、
「俺は伊藤のことは好きになれないけど、
 それでも…応援するよ」
と言うと、
「うん……ありがと」
そう答えた黒田はどこか嬉しそうに…しかしどこか寂しそうに微笑んでいた。



一方西園寺はここのところずっと学校を休んでいる。
伊藤と別れたことや、その伊藤が友人だった黒田と付き合い始めたことがショックだったのだろうか、
だとしたら、僕がしたことも原因なのかも知れない。

229丁字屋:2011/06/06(月) 19:50:38.03 ID:t4udV5I3

自分がしたことは正しかったと思っているけど…
「もう二度と、世界を傷つけないで」
…あの時の清浦との約束を思い出すと少しだけ胸が痛む。

そしてある日の放課後、
「清浦、許してくれよ。でも仕方なかったんだ。わかってくれるよな?」
異国に行った清浦を思いながら、そう、思わず口に出して呟いた時…
「許すか、ボケ」
そんな声が聞こえてきたかと思うと、
僕は背中を蹴られ、前のめりに顔面から無様に倒れていた。

230丁字屋:2011/06/06(月) 19:57:26.98 ID:t4udV5I3

振り向くと、他ならない清浦が腕組みして僕を見下ろしていた。
「……って、清浦!?
 お、お前、フランスにいるはずじゃあ?」
僕の言葉に対し清浦はバツが悪そうに、
「また母親が日本に転勤になった」
と言った。
「そ、そうか。そりゃあ…で、学校とかどうするんだ?」
「なんとかここ(榊野)に復学できるらしい。今手続きしてきたところ」
「そ、そうか。それは良かったな」
僕は心からそう言ったのだが、清浦は不機嫌そうに
「ちっともよくない」
と言った。
「え?」
「世界のこと…」
「あ、あうう…ご、ごめん…」
そう謝ってうなだれる僕に、清浦は
「はあ…まあいい…」
そう言ってため息をついた。
231丁字屋:2011/06/06(月) 20:03:10.14 ID:t4udV5I3

「!?…許してくれるのか?」
「今回のことはだいたい光から聞いた。
 世界や伊藤、七海が桂さんにしていたことも…」
「……」
「もし今回足利が動いてくれなかったら、
 もっと酷いことになっていたかも知れない。
 桂さんだけじゃなく、世界にとっても。
 だから世界は自業自得。
 光も、伊藤と付き合うことになったことは私に対してはバツが悪そうにしていたけど、 
 世界のしていたことよりはましだって開き直ってるところもあるみたいだしね…」
そう言って清浦は少しだけ微笑み、
「だから、足利のしたことは正しいことだし、気にしないで。
世界のことは私が何とかする」
と言ってくれた。
232丁字屋:2011/06/06(月) 20:06:15.06 ID:t4udV5I3

僕は少しの沈黙のあと、
「じゃあさっきの蹴りはなんなんだ?」
とつっこんだが、
「まあ感情は理性では抑制出来ぬものだ」
と清浦はすました表情で返してきた。
…が、よく見ると申し訳なさそうな目をしている。

だから僕は
「まあ結果的に約束を破ったのはこっちだし、
 少しくらい蹴られたり殴られたりするのは我慢してやるよ」
そう言ってやると清浦は
「うん、ありがとう…」
そう答えて少しだけ微笑んだ…
…のはいいのだが、そのあと
「では遠慮なく…」
といきなり地面に落ちている角材を拾おうとしたのであわてて止める。
「おい、凶器はやめろ!」
「ちぇ、残念」
澄ましたように言う清浦。
どうもこいつはよくわからない。
233丁字屋:2011/06/06(月) 20:12:23.62 ID:t4udV5I3

と、再び清浦が口を開く。
「ところで足利、以前足利にあげた制服なんだけど、
 こうして復学になった以上また必要になってしまった。
 悪いが返してもらえると助かる」
あ……。
僕は一瞬返答につまる。
「ん? どうしたの足利?」
「う…あ、あのな…清浦…返すのはいいんだけど…」
「?」
「アレ、少し使用しているんだけどいいか?」
「!?」
清浦は一瞬きょとんとしたあと、ニンマリと笑う。



234丁字屋:2011/06/06(月) 20:23:56.30 ID:t4udV5I3
「ほうほう、足利も結局ソッチに目覚めましたか?」
「うう…それは…」
「そうか。足利が毎晩可愛い彼女と女装プレイで楽しんでるなら仕方ない」
「な…!?」
「私も足利の毎晩の楽しみを取り上げるほど野暮ではない。
 制服のことはキッパリ諦めるとしよう」
「あ、あのな…清浦…」
「では私はこれから新しい制服を買って、
 その後変態女装プレイに目覚めた男に傷つけられた親友を慰めにいくとしよう。
 さらば…」
「あ…ああ…」

清浦は背を向けて去って行った。
しかし清浦…、お前の言ったのは完全に誤解…と言いたいところなんだけど……
あうう…。




235丁字屋:2011/06/06(月) 20:28:09.70 ID:t4udV5I3


その夜、うちには三人の客があり、いつものように賑やかになっている。
客のうち一人は路夏、あとの二人は桂と加藤だった。

路夏はもちろん僕のところに来ているのだが、
桂と加藤は、あの事件以来姉ちゃんを慕って毎晩のようにうちに来ているのだ。
それも尋常な慕い方ではなく、
二人とも姉ちゃんを見つめる瞳がいつも潤んでいてまるで恋する少女のまなざしで、
姉ちゃんを間に挟んでまるで恋のはさや当てをえんじ、姉ちゃんを辟易させている。

今日は今日とて――

236丁字屋:2011/06/06(月) 20:39:35.32 ID:t4udV5I3

「もうっ加藤さん!知恵さんにそんなにくつっかないでください!
 知恵さんは加藤さんのものじゃないんですから!」
「何よ、桂こそ知恵先輩にべたべたしないでよ!
 あんたの先輩じゃないのよ!」
「いや…むしろ二人ともあまりくつっかないでほしいんだけど…」
「ほら、加藤さん、知恵さんも嫌がってますよ!」
「何よ、先輩は桂のことを迷惑がってるのよ!」
「いや、だから二人ともなんだけど…」
「知恵先輩もはっきりしてください!
 私と桂、どっちを選ぶんですか!?」
「そうです!加藤さんに気兼ねすることなんかありません!
 私を選ぶってはっきり言ってください!」
「ちょっと桂、何決めつけてるのよ!
 先輩は私を選んでくれますよね!?」
「い、いや、だから私にはそっちのシュミはないから…」
「ともかく桂、私はあんたに色々ひどいことをしてきたし、
 未だに謝れていない一番大切なこともあるけど、それはともかく、
 どちらが知恵先輩のものは正々堂々と勝負しましょ!」
「今一つ何を言ってるのかわからないところもありますけど、
 加藤さんが正々堂々と言うなら私も正々堂々受けて立ちます!」
「いや、あの…だから私の意思は…?」

――そんなやりとりが姉ちゃんの部屋から聞こえてくる。
237丁字屋:2011/06/06(月) 20:44:00.59 ID:t4udV5I3

そしてその様子を聞きながら路夏が
「はあ…加藤ってたくましいなぁ」
としみじみ言う。

「とにかく知恵さん、今日は家には外泊すると断ってありますから、ゆっくり楽しみましょう」
「あ、桂ずるい!
だったら私も泊まります! 今夜は眠らせませんよ、先輩」
「え…ええええぇぇっっ!?」

更に姉ちゃんの部屋からそんな会話が聞こえるなか、路夏が僕の袖を引っ張った。
「ん?」
「ねぇ勇気、向こうも女の子同士で楽しんでることだし、
 私たちも〃女の子同士〃で楽しみましょ」
艶っぽい視線と共にそう言って微笑む路夏
「え…あ…うん」


238丁字屋:2011/06/06(月) 20:47:42.79 ID:t4udV5I3

…そう、路夏はあれ以来、僕を女装させてのエッチ…
疑似レズプレイというべきか…にすっかりハマってしまったのだ。
つまり清浦の言っていたのは誤解どころか完全に図星だったのである。

「ほら、早く!」
その路夏の言葉と共に今夜も女子の制服に着替える僕の耳に、
姉ちゃんの悲鳴のようなものが聞こえたような気がした。

…はあ、桂へのいじめを始めとした様々なトラブルが収まったのはいいんだけど、
僕と姉ちゃんは姉弟揃って
なんだかいけない道に足を踏み込んでいるような気がする今日このごろなのである。

―完―

239丁字屋:2011/06/06(月) 20:50:56.66 ID:t4udV5I3
以上で終了です。
途中で規制がかかって、投下にブランクが開いてしまいました。あしからず。
て言うか忍法帖うっとおしいわ(汗
でわでわ〜
240名無しさん@ピンキー:2011/06/07(火) 21:50:33.31 ID:hAqSr6cq
gj!
241名無しさん@ピンキー:2011/06/08(水) 19:09:41.26 ID:GyNbptCm
ブラ棒
242名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/14(火) 08:14:10.77 ID:kBtbCySn

つか、姉ちゃんネコなのかw
243名無しさん@ピンキー:2011/06/16(木) 21:44:01.75 ID:87hmSIeX
ある日の沢越家


理沙「ではでは、空さんの店長就任を記念してカンパーイ!」
全員「カンパーイ」

誠「すみません…俺まで」
止「まあそう畏まるな」
理央「自分の家のようにしてていいのよ」
誠「ありがとうございます」

理香「空お兄ちゃん、おめでとう」チュッ
いたる「おめでと」チュッ
空「ありがとうな」ギュッ
いたる「えへへー」

りでる「な〜によ空ったら。鼻の下伸ばしちゃって」ツーン
りん「空ったら昔からロリコンなんだから」ツーン
空「そんなことないぞ!妊婦萌えでもあるぞ!」
りでる「えっ?」ピクン
りん「空…」キュン


空「ただし!ロリかつ妊婦の方がさらに優先度が高いだけだ!」ギュッ
理香「えへへーいいでしょー」

りん「うん。ぶっとばす」
りでる「私にもやらせてください」


ドカーン
ギャー
キィィィ


いたる「ほうちょうびゅーん」
止「はっはっは。元気があってよろしい。こりゃあ今年はまた皆懐妊かのう」
理央「それは素晴らしいですね。また賑やかになります」
誠(うん、いたるは連れて帰ろう)


その頃
踊子「…もう閉店よ」
瞬「弟に追いつかれた…」カラン
踊子「…またチャンスあるわよ」
244名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/17(金) 19:07:19.35 ID:cS/tzcHn
「失意」アフターの人もう来ないのかな?楽しみにしてるんだが
245名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/22(水) 02:01:27.05 ID:mdSA2ClL
甘露寺七海の得意技は3P(スリーポイント)
246名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/26(日) 11:32:51.63 ID:K36r1ycq
世界輪姦モノないの?

途中で誠が来るけど
「…?!、ぷはっ!(無理やり三穴されててて口に咥えさせられたペニスを吐き出し)、
ま、誠ぉ…たすけ「みんな張り切ってるねそのまま壊していいよ」えっ?…」

不良「ヒャハハ…オメ―は捨てられたんだよ…オイ交代だ」
「ま、まことーっ!…もごぉっ!…! …!… …」

な感じで一つたのんます
247名無しさん@ピンキー:2011/07/04(月) 02:13:22.94 ID:dk+c7NeI
久しぶりに短編投下
サマイズのことぴーからせっちゃんへのアフターです。

登場人物
伊藤誠、清浦刹那、桂言葉
248ニックネーム1/3:2011/07/04(月) 02:15:53.26 ID:dk+c7NeI
「ことぴー、お待たせ」

「せっちゃん、誠君まで来てくれたんですね」

昼休みに校庭で一人待っていた言葉の元に友人の刹那と誠が
やってきた。

夏休みの偶然の出会いから刹那と誠は恋人同士となり共に
桂言葉の友達となった、クラスは違うものの同じ学年という事もあり
こうして2学期になってからも一緒にいることが自然と多くなってた。
誠と刹那はそれぞれが持ってきた少し大きめのお弁当箱、
そして言葉が用意したレモネードの入った魔法瓶を取り出して
3人はお昼ごはんを食べ始めた。

「わぁ、これせっちゃんが作ったの?ぱくっ おいしい」

「ことぴー、どんどん食べてね」

「それで、こっちは誠君が作ってくれたんですね」
「ああ、言葉もたっぷり食べてくれ!」

昼休み、3人穏やかな時間がゆっくりと進んでいく
互いに談笑しながら、血を見るようなドロドロとした三角関係とは何の縁も無いと思われる
ただ、言葉には一つ気になっていることがあった。

「せっちゃんごめんね、本当だったら彼氏と二人でお昼ご飯だったのに私まで来ちゃって」
「そんなこと無いって、私たちがことぴーを誘ったんだから」
「誠君だって2人きりでお昼食べたかったんじゃないですか?」
「俺は3人で食べれて嬉しかったけどな、なんたって言葉にはせっちゃんには無い大きな胸がry・・・」
「スケベ!」

誠が最後まで言う前に刹那のとび蹴りが誠の後頭部を直撃する、
ある意味二人の間では日常茶飯事の光景ではあるが、言葉には少し刺激が強かったかもしれない
249ニックネーム2/3:2011/07/04(月) 02:16:38.88 ID:dk+c7NeI
「ま、誠君大丈夫ですか!」
「あ、ああ」
「彼女が気にしてる事を平気で言い出したから、天罰」
「うっごめん」
「わかればよろしい」

そういいながら二人は息を合わせたかのような同じタイミングで言葉からもらったレモネードを飲み始めた
そんなやり取りをしている二人を見て言葉は微笑んでいた、
少し前までは考えられなかった友達と一緒の昼休みが嬉しかったから、思わず笑みがこぼれてしまう。

「ことぴー、このレモネードおいしい」
「今日せっちゃんと一緒にお昼するってお母さんにいったら作り方教えてくれたの」
「これ言葉が作ったのか?、だったら次は言葉もお弁当作ってみんなで食べようぜ」

誠の突然の提案、レモネードこそ言葉の母の指導の下うまく作って見せられたが言葉の料理の腕は
お世辞にもうまいと言えるものではないのだが、誠と刹那はそんなこと知らないのだ。

そして同時に誠は小さな違和感に気づいていた、それは言葉のしゃべり方である。
せっちゃんに対しての話し方であった。

夏休み以降言葉とはよく話すようになっていたがこうやってせっちゃんとの話し方を聞き比べると
やっぱり変な感じがするのだ、別に俺のが年上という訳じゃないのに、何でだろう
このまま黙っておこうとも思ったが折角だし聞いてみる事にした

「言葉ってどうして俺とせっちゃんで話し方違うのってどうして?」
「えっ?誠君と話してるときってそんなに違います?」
250ニックネーム3/3:2011/07/04(月) 02:18:15.78 ID:dk+c7NeI
突然の質問にとまどっていたが

「まこちゃん、私とことぴーは友達同士だから敬語は使わないって約束してるの
それと気軽にことぴー、せっちゃんって呼び合ってるから、ねことぴー」
「うん」

そう言って言葉と相槌を打った刹那がフォローに入る、
確かに言葉のことをことぴーと呼んでいるのはせっちゃんだけだし
俺に俺に敬語を使うというよりはせっちゃんにだけ敬語を使ってないと言った方が正しいのかもしれない

「ことぴーって呼んであげたら敬語を使わずに話してくれるんじゃない?」

「「!!!」」

「せ、せっちゃん!!?何言って」

刹那の謎のフォローに戸惑う言葉、つられたように誠も少し戸惑っているのか、しかし気を取り直したように
誠は言葉に声を駆ける

「じゃあ俺も“ことぴー”って呼べばいいのかな?」

「えっえっ、あのっ・・・うん、じゃあ私も“まこちゃん”って呼んでもいいの・・・かな?」

「ああ、改めてよろしくな、ことぴー」
「うん、まこちゃんもよろしくね」

はたして彼にたいしてここまで打ち解けさせてよかったのだろうかと不安になりながらも
照れくさそうに話しているまこちゃんとことぴーを刹那は眺めていた。

夏休みは終わったものの榊野での学園生活はまだ長い、
そしてまこちゃんとの恋人同士の生活ももっともっと長いものだと願いながら。


251ニックネーム:2011/07/04(月) 02:22:31.66 ID:dk+c7NeI
以上です、誠と言葉をまこちゃん、ことぴーと言わせたいがために作ってみました。


あとマイペースで書いてた長編?が11話まで書き終えてから致命傷なミスを
発見してむしゃくしゃして書いたってのもあるかもorz

勢いで書いた作品ですが感想等あればお待ちしています
252名無しさん@ピンキー:2011/07/04(月) 09:28:56.58 ID:R+7Lewy6
和んだ。GJッス。
こーいうほのぼの系も良いな。
253名無しさん@ピンキー:2011/07/10(日) 22:15:48.59 ID:EE/ObtHP
保守
254名無しさん@ピンキー:2011/07/12(火) 22:26:23.35 ID:jcL0sc5Y
保守
255名無しさん@ピンキー:2011/07/21(木) 19:26:21.58 ID:FrUa2NMZ
保守
256 忍法帖【Lv=19,xxxPT】 :2011/07/26(火) 19:24:04.45 ID:/uFWvS28
保守
257名無しさん@ピンキー:2011/07/28(木) 23:58:18.37 ID:oF0+1sYb
保守
258名無しさん@ピンキー:2011/08/03(水) 22:23:30.98 ID:WyJmkV+B
保守
259名無しさん@ピンキー:2011/08/18(木) 20:30:24.92 ID:ldIWNsXF
保守
260名無しさん@ピンキー:2011/08/25(木) 10:02:16.74 ID:448Q+UDy
保守
261名無しさん@ピンキー:2011/09/03(土) 20:13:01.89 ID:UXSh2zXR
保守
262名無しさん@ピンキー:2011/09/14(水) 00:00:19.59 ID:UTk9j7WG
保守
263乙女1:2011/09/25(日) 03:45:54.75 ID:iTKR8CcH
「みんな誠を狙ってるっていうのに、私は・・」
夕日に染まる校舎の屋上。ベンチで横になり空を見上げているのは、加藤乙女。
ここ数週間の目まぐるしい誠争奪劇で完全なアウェイ状態な乙女は、
違う男でも捕まえてさっさとこの未練を断ち切ろうかと真剣に悩んでいた。
「誠とはいろいろと仲良くやってきたけど、なんだか遠い存在のように思えてきたなぁ。」

「乙女が恋愛で悩むなんて、珍しすぎて雨でも降りそう〜」
「うるさいわね!私だって一応女だし、これでも恋だってする。」
ボソリとつぶやく乙女に、いつもの取り巻き三人組の森が声をかけてきた。
軽いジャブをモロに食らいながらも必死の抵抗、しかしそれもむなしく。
「黄昏が似合いますな!」 乙女の表情が若干ゆがむ。
「次喋ったらぶん殴るから。」 握りこぶしを森の前に差し出して一時休戦。

「乙女は誠ってやつをどうしたいのさ?」
「ええ? そりゃあ付き合えたらいいなって思っててぇ・・。」
「セックスしたいんでしょ。」
どストレートな返しにたじろぐ乙女は焦りを隠すようにして俯く。
「そ、そんなれたら・・・いいなぁ・・・っておんもってるだけっ!」
「じゃぁじゃあ、彼氏もちの私が乙女ちゃんに恋愛指南でもしてあげましょーか!?」
「要らぬお節介よ!まったくぅ・・帰る。」

プンとすねた乙女。だがその表情には、照れの様なものがみえた。
「・・・ように見えたのは気のせいですね。」(森談)
264名無しさん@ピンキー:2011/09/25(日) 04:07:40.24 ID:iTKR8CcH
一方ここは乙女家の一室。

「すんごいもの見つけちゃった・・」
鬼の居ぬ間になんとやら。乙女の部屋の本棚を漁る妹、可憐。
彼女の手に握られていたのは一通の手紙であった。
宛名は誠と書かれ、しっかり封がしてあるラブレターのような"何か"。
「良識ある大人の可憐さんがこれをあけることはないから安心してね、オネエ。」

ビリビリバリバリ!!ポイッ
「っていうのは嘘で、私は子供だから許されるんでぇす。」
三つ折にされた手紙を開いていくと、20行にびっしり書かれた一途なメッセージがずらずらり。
「うっわぁー恥ずかしい!でも気になる。ちょっと部屋に戻って読もうっと。」
そそくさと可憐は手紙を持ち帰りベッドイン。懐中電灯を使って手紙を読むことに。

玄関のドアが、がちゃり。
「可憐、帰ってる?夕飯の買い物頼まれてたから買ってきたんだけど。
ねぇー、返事しなさいよ。」
姉の帰宅もなんのその。乙女さんへの警戒心ゼロな可憐は、
一人ベッドの中でニヤニヤしながら姉のラブレターを読み続ける。
「・・・で、私が誠のことを気になりだしたのはー昨年の秋のことでー」
姉の誠への愛をつづったラブレターを音読する妹。気づかない姉。
「可憐、部屋にいるなら返事しなさいよ。何読んでるのよあんた・・。」

「明日の試験範囲の確認よ。お姉も近々試験でしょ!」
「ベッドの中で懐中電灯つけながら試験勉強とか、目が悪くなるでしょ。」
「そうだね!」

姉はため息をついて自室に戻ていった。
「しめしめ、続きは今夜のお楽しみ。」
極悪可憐様のお楽しみはまだまだこれから。
265名無しさん@ピンキー:2011/09/25(日) 04:24:07.40 ID:iTKR8CcH
「森式、男を落とすテクニックをご拝聴いただきましてぇ、
あーりがとぉーございましたー!!」
拍手を求める森にしぶしぶ乙女は拍手で応える。
「そんな簡単にいけば今頃こうならなかったんじゃない?」
反論する乙女に、森は手を腰に当てて講師のように一言。
「そうしてこなかった乙女のせい。」
「何よ私だってね・・・一生懸命努力したつもりなのに。」

落ち込む乙女に強烈なストレートパンチが続く─
「いい?乙女はすでにスタート直後にこけてるの。顔面から。その恋敵の名前・・・
世界だっけ?桂だっけ?山県もか。って多すぎる気がするのはおいといて、
そいつらにあっちふらふらこっちふらふらしてる誠のめを覚まさせるの!!
それをするにはまず言葉。ことのはじゃないよ、コトバね!
"幼馴染とかそういう関係じゃなくて・・・女として見てほしいのマコトくーん!"っとか、
そう言えば相手も少しは意識するでしょ?まずそこなんだよ!
とりあえずマークしときました。寄るなハエどもって誠に近づけさせない。
分かった!!!?鉄壁の乙女ならできるでしょ。」

乙女は軽くうなづく。案外素直な性格だったりする。
「・・・・鉄壁って胸のこといってる?」
「ああ、そういう解釈もできるね、あははは!」
「くすすすっ」
乙女の強烈なボディブローが森の腹にねじ込まれていく。
266名無しさん@ピンキー:2011/09/25(日) 04:46:01.67 ID:iTKR8CcH
時間は夜八時。乙女の部屋。
「ハァア、いまどきラブレターなんて遅れてる気がする。渡すよりも思い切って・・・ってあれ?」
本棚に隠しておいた誠へのラブレターがどこにも無い。無い。無い。
「まだ鞄の中にも入れてないから本棚の奥にあるはず・・。」
バスケで流した汗をシャワーで洗い流したのに、背中にたれる汗は何だろう。
「あああれれ??森に書くように言われてたラブレターが・・・」

念のため・・・念のためではあるが妹に問いただしてみようと決意する乙女。
「妹を疑いたくは無いけど、可憐のことだし・・。」
あまり信用されていない可憐である。
急いで可憐の部屋へ走る。がちゃり。
「可憐、ちょっと聞くけど本棚の奥にあったもの知らない?」
「しぇっ?! しぇらない・・・」
「そう・・・試験勉強がんばんなさいよ?」
「はーい。」

可憐が犯人ではないとすると部屋に勝手に入る人間はほかにいない。
「私が単純にしまう場所を変えたのか?それとも破棄したの?
いやいや、三日三晩考えに考えてひねり出した言葉が凝縮された恋文!なくす訳が無い。」
落ち着きがなくなっている乙女の様子を扉の隙間からのぞく可憐。
「見つかったら私多分・・・うぅっ。」
本棚のどこかにあるとすれば、何かの表紙で本のなかに紛れ込んでいるかもしれない。
「本はざっと50冊。手紙を入れていたのは上から二段目、つまりここのどれかにある!」
乙女は徹夜で本漁りをはじめた。

「やばい、ゴミ箱の中に封筒捨ててたんだ・・・あわわ!」
可憐は見る見る顔が真っ青になっていく。
「お姉がゴミ箱に気づく前に回収しなきゃ、あの恥ずかしすぎる手紙が私の遺書になっちゃう・・・」
二人あたふたしていても夕日は止まることなく沈んでいく。
267名無しさん@ピンキー:2011/09/25(日) 04:47:50.19 ID:iTKR8CcH
最後の一行は飛ばしてください
268名無しさん@ピンキー:2011/10/23(日) 12:38:17.25 ID:8iGNs4P7
保守
269名無しさん@ピンキー:2011/11/06(日) 06:40:27.62 ID:5BhL0+uL
かん
270名無しさん@ピンキー:2011/12/12(月) 20:22:44.09 ID:TSMsa1Yl
保守
271名無しさん@ピンキー:2011/12/16(金) 13:09:50.85 ID:JD/t7R/H
七海のエロシーンで抜きまくり
272名無しさん@ピンキー:2011/12/26(月) 18:58:16.99 ID:6A4WWzN5
ふう
273名無しさん@ピンキー:2012/01/17(火) 22:12:22.76 ID:+UQJWcXF
保守
274名無しさん@ピンキー:2012/02/11(土) 12:39:48.64 ID:v0M3ELoC
これからはここが賑わいそうな予感…
275名無しさん@ピンキー
オバフロ解散するかもしれないって……マジだろうか
それとも死ぬ死ぬ詐欺だろうか