お姫様でエロなスレ13

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1名無しさん@ピンキー
やんごとないお姫様をテーマにした総合スレです。
エロな小説(オリジナルでもパロでも)投下の他、姫に関する萌え話などでマターリ楽しみましょう。

■前スレ■
お姫様でエロなスレ12
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1261994789/l50

■過去スレ■
囚われのお姫様って
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/sm/1073571845/
お姫様でエロなスレ2
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1133193721/
お姫様でエロなスレ3
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1148836416/
お姫様でエロなスレ4
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1157393191/
お姫様でエロなスレ5
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1166529179/
お姫様でエロなスレ6
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1178961024/
お姫様でエロなスレ7
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1196012780/
お姫様でエロなスレ8
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1209913078/
お姫様でエロなスレ9
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お姫様でエロなスレ10
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1229610737/
お姫様でエロなスレ11
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1236072726/


■関連スレ■
【従者】 主従でエロ小説 第七章 【お嬢様】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1263220316/l50
古代・中世ファンタジー・オリジナルエロパロスレ4
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1246868732/
【ギリシア】世界の神話でエロパロ創世3【北欧】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1238066898/

■保管庫■
http://vs8.f-t-s.com/~pinkprincess/princess/index.html
http://www14.atwiki.jp/princess-ss/

気位の高い姫への強姦・陵辱SS、囚われの姫への調教SSなど以外にも、
エロ姫が権力のまま他者を蹂躙するSS、民衆の為に剣振るう英雄姫の敗北SS、
姫と身分違いの男とが愛を貫くような和姦・純愛SSも可。基本的に何でもあり。

ただし幅広く同居する為に、ハードグロほか荒れかねない極端な属性は
SS投下時にスルー用警告よろ。スカ程度なら大丈夫っぽい。逆に住人も、
警告があり姫さえ出れば、他スレで放逐されがちな属性も受け入れヨロ。

姫のタイプも、高貴で繊細な姫、武闘派姫から、親近感ある庶民派お姫様。
中世西洋風な姫、和風な姫から、砂漠や辺境や南海の国の姫。王女、皇女、
貴族令嬢、または王妃や女王まで、姫っぽいなら何でもあり。
ライトファンタジー、重厚ファンタジー、歴史モノと、背景も職人の自由で
2名無しさん@ピンキー:2010/07/27(火) 17:53:38 ID:8i/nYf8A
では投下します。

「レンと小さなお姫様」の最終話、5の投下です。

5だけはどうしても、「メイファと皇子様5」のあたりを読んでおかないと「??」な
展開になってますね。全然通じないことはないと思いますけど。

ようやく非エロ展開から脱しましたです。

大規模規制がまたあってるとかで、連投規制がちょっと怖いです。
3レンと小さなお姫様5:2010/07/27(火) 17:58:28 ID:8i/nYf8A

婚儀は、滞りなく進んだ。
中華の国たるこの国が、異国の姫を迎え入れる式典は、国の威信を示すように盛大に
執り行われた。
花嫁の真紅の衣装に身を包んで豪奢に着飾ったメイファも、それはそれは綺麗だった
けれど、大勢に囲まれた中で喋りもせずじっと座っているだけというのは退屈だった。
まあ、メイファと約束したから、じっと大人しくはしておいたけれど。

  *   *   *

「──困ります、あの、まだ姫様は支度がお済みではございません!」
その侍女は、必死に僕を押し留めた。いや、押し留めようとした。
しかし、異国から着たばかりとはいえ、シン国の皇族の身体に下級の身分の者が触れる
ことは許されていない、という程度の知識は、持ち合わせているようだった。強引に
歩を進めると、彼女は道を空けざるを得ず、かわりに房室の中に居た他の侍女たちも
わらわらと寄って来て、こぞって僕の非常識を非難し始めた。
「わあ、新鮮な反応。まるで六年半前、この国に来たばかりのメイファみたいだ。
懐かしいねえ。」
婚儀が終わってすぐに、僕はメイファを訪ねた。男の方は着替えも支度も大して時間は
かからないのに、女の支度というのは、特に花嫁にもなると異常に時間がかかる。
その間ぼんやり待っているのも退屈だし、ましてや客の相手なんか真っ平ごめんだ。
せめてメイファとお喋りくらいは許して欲しいものだ。退屈で長くて疲れる儀式の間は
ずっと我慢していたのだから。

僕が喧騒をのんびり楽しんでいると、房室の奥から凛とした声が響き渡った。
「やめなさい! その人はそれで普通なのだ。今更何か言った程度でどうにかなるなら、
とっくに素行は直っているだろう。」
彼女は鏡に向かって、髪をほどいている最中らしかった。金糸で刺繍を施された上着と
二重の上帯はもうはずされていて、内側に着ていた吉祥色である鮮烈な真紅色の、
無地の絹製の襦裙のみを纏っている。複雑な髪型を結っていた髪は半分くらいが解かれ、
残りの細かな三つ編みが、ふわふわに揺れる解いた髪の中にいく筋も残っていた。
彼女は鏡の前から立ち上がり、背筋をぴんと伸ばしてこちらを真っ直ぐに見据えていた。
主人のはっきりとした言葉に、侍女たちも一斉に押し黙る。

「メイファ。逢いたかった。」
「何が『逢いたかった』だっっ!! 今日は朝からずっと、顔をつき合わせておっただろう?!」
「ずうっと澄ました顔でじっとしてなきゃならないなんて、やっぱつまんないよねえ?
でも我慢したよ、メイファのために。
ところで君が連れてきた侍女さんたちは、『こちらの事情』にはあまり精通してない
みたいだねえ?
反応が初々しくて、面白いよ。」
メイファはくっと息を詰まらせた。
「それは…っ、本人の居ないところで悪い評判を話すのもどうかと思って、躊躇って
おったのだ。」
「うんうん。メイファは陰口叩くのって、嫌いだもんね? 偉いなあ」
僕はにっこり笑って同意する。
「黙れっ! 私も少しは説明しておくべきだったと、反省しているところだ
…馬鹿にするなっ!」
「やだなあ。苦労して迎えたばかりの妻を、どうして馬鹿になんて」
「その細目っっ!! 細目のにやにや笑いが、馬鹿にしているっ!! 
絶対、馬鹿にしているっっ!!」
「世の中には『絶対』なんて、本当は滅多に無いんだよ?」
「詭弁を弄するな──────ッッ!!
大体、こんなところで何をしている?! 着替えが早く終わるとは言っても、
シン国の第三皇子たるおまえに目通りを望む客人ならいくらでも…。」
4レンと小さなお姫様5:2010/07/27(火) 18:01:00 ID:8i/nYf8A

「放って来た。いちいち顔見なくても、名簿に名前書かしときゃいいよ。
おっさん達の顔ばっか見てもつまんないし。メイファと話してた方がずっと楽しい。」
「つまるとかつまらんとかの問題ではないっっ!! 真面目にやれっっ!!」
「メイファ、婚儀を終えたばかりの美しい主人の剣幕を前にして、君の祖国から
長旅をして付いてきた健気な侍女たちが動揺しているよ?」
言われてメイファは、はっと後ろに目をやる。解きかけの髪のまま言い合いを始めた
主人を、侍女たちはおろおろと見守っていた。
「すまない…おまえ達。大国の第三皇子ともなればさぞや素晴らしい方なのだろうと
夢を膨らませているので…ちょっと言いづらかったのだ。その…色々と問題行動が多めだとか…。
別に悪い奴じゃないし…。」
「夢見るって、大切だよね? 皆の夢を壊さないようにしてあげて、メイファは優しいなあ。
君達のご主人様の事は大切にするし、この国が提示した条件も本物だから、安心していいよ。」
「黙れ元凶。体良く放蕩者の皇子のお目付け役を押し付けられたようなものだと気づいて
いたら、もっと条件をふっかけておくのだった。」
「ふふ…。言い得て妙だね。メイファは色恋には鈍いけど、頭はいいんだよね。
頼りになるなあ。」
「この…っ、変人! 嘘吐き!! 恥知らずっ!!」
「人聞き悪いねえ。何をそんなに拗ねているのかな? この可愛い花嫁さんは。」
怒りと羞恥に震え始めた彼女を眺めながら、僕はとぼけた振りをする。

メイファは紅く塗られた唇をきりっと噛んだ。
「おのれ、白々しいことを…。
──おまえ達、もういいから下がれ。わたしは、レンに話がある。」
周囲の侍女たちにざわり、と動揺が走った。
「でも姫様、御髪(おぐし)もまだお済みではありませんし、このあと湯浴みと
お召し替えが…。」
「ひとこと言ってやらないと、新床の準備などできんっ!
幸い、レンが放ったらかしにしてきた客人達以外は、今日は公のことは終わりだ。
シン国の皇族の皆様方も、今日はこのレンが婚儀の間中大人しくしていただけで、
心底驚いているだろうよ。身内の事で多少予定がずれても、他でもないレンの事だ、
今更何か言われることもあるまい。
わたしでも、一通りのことは出来るから、わたしが呼ぶまで席をはずしてくれないか。
──お願いだ。」
付き従ってきた主人に真剣に懇願されれば、侍女たちもそうそう否とは言えない
ようだった。戸惑いながらも、しずしずと出て行く。
最後の一人が房室を後にして、僕とメイファは二人きりで向かい合った。


「良かったの? 侍女の皆さん、下がらせちゃって。」
「良かったも何も、おまえが大人しくしていればこんなことには…っ。」
「でもメイファのほうも、これを侍女に見られるのは、嫌だったんじゃないの? 
ちょうどいいから、このまま湯浴みまで、自分でする気だよね?」
ここは花嫁のために特別に用意された控えの間なので、隣室に湯浴みの準備が
既にしてあるのだ。
紅い襦裙の合わせ襟に指先を掛けて、ついと左右に緩める。
柔らかなふくらみの白い谷間があらわになって、そこに残されたいくつもの
紅い花弁のような跡が見え隠れした。昨晩、僕がつけたものだ。
「これはっ…おまえがっ…! 何度も、嫌だって言ったのに…っ」
「そうだっけ? まあ、あんな声で言われても、ちょっと拒否には取れないよね。」
「なんなのだ声、声って…。あんなもの、どこかから勝手に出てしまうのだ。
わたしのせいではない。」
メイファの国では、貞節と節制が美徳で、シン国に留学中も、そういった方面の
噂話はせずに育ってしまったらしい。嬌声を上げるのが演技でもなんでもなく、
抑えようもなく自然に出てしまうのだと告白してしまうことが、どれほど男を興奮
させるのか、彼女は気づいていない。
細い腰に腕を廻して抱き寄せ、少し開いた襟元に指を滑らせた。
5レンと小さなお姫様5:2010/07/27(火) 18:04:28 ID:8i/nYf8A

「…ひゃっ?!」
彼女は驚いて身体を震わせる。その様子があまりにも愛らしくて、開いた襟元から
首筋にかけて、音を立てるようにして何度も口づけた。
「あ…あ…、駄目、まだ、話は終わっていない…っ」
たちまちのうちにメイファの声にも甘い吐息が混じりだす。
「聞いてる、続けて?」
僕は舌で、指で、唇で、存分に胸元と首筋に皮膚の柔らかさを味わいながら言った。
「レンの、嘘吐きぃ…っ、狼藉者…っ、わたしは、あんなことまで、許した
おぼえはない…っ…」
「『あんなこと』って、何かな? 服の下に、愛の跡をいくつも残したこと?
それとも、あのあと二回も『した』ことかな?」
メイファはさっと顔を赤らめ、さらに泣きそうな声を出す。
「あぅ…う…。レンの、ばかぁ…っ。」
「どちらも、『嘘吐き』とまでは、言えないな。だって、『これ以上は何もしない』とか、
その類のことを約束したわけじゃないしね。
約束を取り付けるときは、ちゃんと条件を確認しないといけないよ?」
「この、詭弁家…、詐欺師…っ!」
「メイファは、騙されやすそうで心配だなあ。シン国の宮廷は、騙しあいで成り立ってる
とこあるからねえ。
暫くは、ちゃんと見ておいてあげないといけないな。」
僕は彼女の、くったりと力を失いつつある身体を抱き上げて、傍にある応接卓の上に
腰を下ろさせた。両脇に背もたれつきの椅子が三脚ずつ揃っているが、今は卓上には
何も置いていない。

「何をするっ?! 卓は、座るものではない!」
「高さが丁度いいから。ちょっと、借りようと思って。」
「や…っ、離せ…っ…」
彼女は抵抗の意思を見せるが、その力はもう弱々しくて、僕は、彼女の上体をゆっくりと
卓上に抑えつけた。
「昨日は婚儀の前だから、見えないところにしかつけられなかったけど、今日はもういいよね?
君が僕のものになった証を、誰の目にも明らかに──」
両腕を押さえ込んだまま、柔らかな首筋の皮膚に唇をつけて、思うざま吸いたてる。
「や…っ、見えるとこは駄目! みえるとこはだめ!! やぁ、ああぁあぁぁ──────ッッ!!」
メイファは僕の下で身体を震わせながら、語尾を高く長く伸ばす悲鳴を上げた。抗議の
意図を伝えたいのかもしれないが、何も知らない彼女は、こんな声を上げることがどれだけ
男を猛らせるのか、分かっていない。

思うに、貞節やら節制やらといった、彼女が大好きな道徳観念も、所詮は男社会の産物だ。
かつてはその頑なさに辟易したが、こうして自分のものにしてしまえば、実は男にとって
魅惑的な女を育て上げるためのものだったのかと思うほどだ。
無垢で、何も知らないがゆえに刺激に対して無防備に鋭敏に反応してしまうメイファは、
それほどに蟲惑的だった。
勿論、こうしてつけられる印がどんな意味を持つかさえ、彼女は全く知らなかった。
それは男女の交わりの最中にしかつかないこと、少し見れば他の跡と区別がつくこと、
程度にもよるが数日の間は消えないこと──は、昨晩、彼女の肌を弄っている合間に
そっと教えてあげた。
明かりを灯してその紅い跡を見せてあげたときの表情の、可愛かったこと──
6名無しさん@ピンキー:2010/07/27(火) 18:05:06 ID:YZKIN+9H
C
7レンと小さなお姫様5:2010/07/27(火) 18:08:14 ID:8i/nYf8A

「…ぁ、はぁ、い、嫌だって、言ったのに…っ。」
メイファは潤んだ瞳の端に涙をため、震える声でそう言った。
「どうして毎回、嫌だって言っても、聞く耳を持たないのだ?! き、昨日だって…!」
「…ああ、でも最後は嫌って言わなかったし、どんどん感じやすくなって…。
三回目は、なかでイッたよね? 凄く、可愛かった。」
「勝手な事ばかり、言うなっ!! この…嘘吐き! 我儘! えと…色狂いっ!」
顔を真っ赤にして、必死になって罵倒の言葉を捜すメイファは、やはり
とんでもなく、可愛い。
もっと美辞麗句を使えばいいのに、心の中でも言葉でも、出てくるのは
『可愛い』ばかりだ。
相当、浮かれている。

卓上に彼女の身体を押し倒したまま、僕は囁いた。
「ねえメイファ。メイファの中に、入りたいな。」
「だ、駄目。湯浴みも着替えもまだだし、あの、侍女は待たせているだけだし、支度が」
衣越しに、固くいきり立った股間のモノを彼女の秘所のあたりに押し当てる。その固さの
意味も、何を望まれているかも、彼女はもう知っている。
「じゃあ、僕が脱がしてあげよう。」
「そういうことじゃ…ないっ・・・」
早速、彼女の裳裾をたくし上げてすらりと伸びた白い脚をあらわにする。膝から太腿の
素肌に手を這わせ、その滑らかな感触を愉しんだ。
「メイファのなかに、入りたいな。」
「…だ、め…」
「入りたい」
「…や…っ…」
単純に繰り返すだけでも、徐々に拒否の勢いが無くなって、か細い声になってくる。
楽しい。
でも、メイファはちょっと押しに弱いみたいだから、外に出すときはそこも気をつけて
おいてあげないといけない。

太腿から指を滑らせ、繁みの中へと分け入ってゆくと、そこは既にしっとりと濡れていた。
「君のここは、欲しがっているみたいだけど?」
ひくつく秘唇に、指を差し入れる。昨日から何度も弄り続けた身体はひどく敏感になって
いて、刺激に反応して奥から蜜を溢れさせる。それを知っていながら、わざと言ってみる。
「昨日、男を知ったばかりなのに、もうこんなにするなんて、メイファは淫乱だね。」
「そんな…っ」
反論する言葉も持たない哀れなお姫様は、顔をますます赤くして、羞恥に震える事しか出来ない。
僕はそっと自分の下帯を解いて下衣をずらし、衣の間から痛いほどにみなぎった
陽根を取り出す。
「──じゃあ入るね。」
彼女の片腿を持ち上げて脚を開かせると、濡れそぼった割れ目にそれを押し当てる。
「…え? や、やぁぁああぁあぁっ!!」
準備の整っていたそこは難なく僕の一部を飲み込んだ。

「……ぁ……っ…だめ、だめぇ…っ…」
「──メイファ。暴れないで。」
身を捩って逃れようともがく彼女の両手首をふたたび卓上に押さえつけ、抗議の言葉を
零そうとする唇を強引に塞いだ。
「…ふ…っ、…んんっ…」
唇を割って舌を差し入れ、何かを言わんとする舌を絡め取った。そのまま罵倒も嬌声も、
全てを奪い取るように激しく吸いたてる。
夢中になって貪っていると、やがて組み伏せた身体からも腕からも、徐々に力が抜けていく。
かわりに吐息には、甘えるような響きが混じり始めた。
力が抜けて柔らかくなった彼女の舌を、あらためてゆっくりと味わう。舌先で優しく
舐めあげ、さすり、唾液を絡めて撫でてあげる。
それから、濡れた口腔内を丹念に調べるようにして舌で辿った。
そうしているうちにも繋がった身体が、狂おしいほどの熱を放ち出す。
唇を離すとメイファは、蕩け切った瞳をしていた。
8レンと小さなお姫様5:2010/07/27(火) 18:11:57 ID:8i/nYf8A

「いい表情になってきたね…どうする? 続ける? やめる?」
「あ…、あ…、ひどい、ひどい…!」
彼女は蕩けた瞳のまま、泣きそうな声で抗議した。
「途中でやめたらどうしようもなくなって、もっと狂うんだって、おまえは、
知っていたんだな…。
知っていて、昨日も、あんなに…っ」
「それはメイファが、意地っ張りだから…。つい、焦らしてあげたくなっちゃうんだよね。
でも、可愛くおねだりできたら、ちゃんとしてあげたでしょ?
それで、ちゃんと気持ちよくなったでしょ?」
「…うう…」
「ふふ、ちょっと思い出しただけで、また反応して。
そんなに良かった?
大丈夫、僕は優しいから、今日はおねだりしなくても、してあげる。」
僕は腰をゆっくりと動かし始めた。まだほとんど動いていないにもかかわらず、
メイファの締め付けは厳しくて、長い口づけの間にも達してしまいそうだった。
それはメイファのほうも同じようで、たちまち弓なりに身体を反らせて切迫した声を上げる。

「…あ、あぁ…っ…」
「気持ちいいの? メイファ。」
彼女はもうすすり泣くような甘い声を漏らすしか出来ないようだった。かわりに
僕の背中に両腕を廻し、両脚を絡めてぎゅっとしがみつき、こくこくと頷いて肯定を示す。
「…僕もだ。」
そのまま少し激しく揺らすと、か細く高い声を放って彼女はあっさりと達した。
昨日から幾度目かの交わりで慣れてきた彼女の身体は、僕のそれをびくびくと締め付けて、
昨夜幾度か精を放っていなければ、僕のほうも耐え切れずに達していたに違いない。

「メイファ、いったね? いくときは、ちゃんと僕に教えなさいって、言ってるだろう?」
「あ…、でも、わか、らない…。」
彼女はほんの昨日、処女を散らしたばかりで、絶頂だってまだほとんど経験が無い。
そんな状態で前もって分かるはずも無いのに、僕はわざと意地悪なことを言いつける。
こんな風に、瞳を揺らして僕の言葉に戸惑う様が見たいから。
「いけない子だね、メイファ。」
いつもだったらキッと見返して反論するはずだけど、慣れない絶頂を迎えたばかりの彼女は、
蕩けた瞳を少し伏せて、身体を震わせるだけだ。
「…悪い子だ。」
きっと、いつも凄くいい子の彼女が、言われ慣れてるはずもない言葉を、優しく甘く耳許で囁く。

「お仕置きに、次は少し激しくしようか。」
そこでやっと彼女は、自分の内部に残っているそれがまだ固いままなのに気づいたようで、
僅かに身じろぎする。
「や…っ、もう、無理…っ。ゆるして…。」
今にも泣き出しそうに震えた声で、頭を振って懇願なんかされたら完全に逆効果だというのに、
それを全く分かっていないところも更に可愛い。
「僕のほうは、まだ終わっていない。
それとも、途中でやめて、苦しさにのたうちまわれと言うの? 昨夜の君のように」
「うぅ…」
昨日散々焦らされた苦しみを思い出したようで、途端に抵抗をやめて大人しくなる。
メイファはいつだって、自分と同じ苦しみを他人に味わわせるのを良しとしない、思いやり
溢れる娘なのだ。
少し名残惜しげに彼女の中から陰茎を引き抜くと、彼女の身体を抱えるようにして
向きを変えさせる。
真紅の花嫁衣裳をしどけなく乱れさせ、豊かな髪をうねらせて、僕の花嫁はうつ伏せの
上体だけを卓上にぐったりと預けた。
そして、たくし上げられた裳裾からすらりとした脚を露出させて、従順に僕を待っていた。
僕はその割れ目に引き抜いた陰茎をあてがうと、もう躊躇わずに一気に貫く。
彼女は短く悲鳴を上げたが、一度気をやったそこは柔らかく充血して僕の一部を押し包んだ。
それから、言った通りに少し激しめに突き始める。彼女のそこはもう充分に慣れていて、
遠慮はいらなかった。
9レンと小さなお姫様5:2010/07/27(火) 18:14:49 ID:8i/nYf8A

女の身体というのは、不思議だ。たった一晩のうちに、刻々とその姿を変える。
メイファはいま、時間をかけてゆっくりと開いた美しい花だ。たっぷりと蜜を含んで、
あたりに甘い芳香を撒き散らして。
どうして、貪らずにいられよう。
婚姻という形に特にこだわりは無くて、彼女にその気さえあればいつでも奪ってしまう
つもりだったけど、結婚前にこんな状態にしてしまわなくて良かったと思った。
契約という鎖で縛る前にこんなに魅力的になられたら、心配で仕方が無い。
「メイファ、好きだよ。」
後ろからそう囁いて、乱れた上衣の首元を引き下げて、うなじに口づけた。
抱き締めるようにして、肌蹴た前合わせからこぼれる乳房を掬い上げる。固く
しこったその先端は、愛撫されるのを待っていた。

「あぁ…っ、ああ、そこ、駄目…っ」
「こんなに身体は反応してるくせに、メイファは嘘吐きだね。」
きゅっと固くなった先端をつまんでこりこりと転がしてあげると、僕を包み込んだ
媚肉が切なげに収縮を繰り返す。
「嘘吐き。嘘吐きなメイファ。
ほら、今度こそ『いく』って、言わないの? また、いきそうなんでしょう?」
僕はもうほとんど声すら上げれなくなっている彼女を更に弄る。
「…ほら、言ってごらん。この可愛いお口と舌は何のためについているのかな?」
卓上にうつ伏せになっている彼女の顎に手を添えて僅かに上を向かせ、上下の唇を
何度も指先で辿った。
そして唇を割って中指を口中に侵入させ、その中にある柔らかく濡れた舌をまさぐる。
「んん…っ…」
彼女は苦しげに、しかし甘く喘ぎ声を漏らしながら、それでも僕の指に応えるように
舌を動かした。
僕は口中の熱く濡れた感触をゆっくりと愉しんでから指を引き抜き、指に纏った唾液を
赤い唇に塗りつけるように動かしながら、もう一度彼女を促す。
「…言ってごらん。」
「あ…あ…、い、く…っ」
メイファはようやく、揺れる声でその言葉を口にした。
「よく、できました。」
僕は一層強く彼女の中を突き上げた。どのみち、僕のほうももう限界に近い。

受け止めて欲しい、受け入れて欲しい。そして許して欲しい。僕がどんなに汚くて、
捩じれていて、澱んでいても。
それがいつでも僕の密やかな願いだ。
僕は何もかもを叩きつけるように、彼女の中に自分自身を打ち付けると、その最奥に
欲望の塊を吐き出した。
10レンと小さなお姫様5:2010/07/27(火) 18:17:03 ID:8i/nYf8A

  *   *   *

「結局、こんな事になって…どんな顔をして侍女達を呼べばいいのやら」
「どんなって…普通に。新婚の夫婦が睦まじいのは、別に非難されるべき事じゃない。」
僕はメイファが座っていた姿見の前の椅子に腰掛けて、膝の上にメイファを横向きに
座らせていた。
指先まですっかり力の抜けてしまっているメイファは、大した抵抗も出来ずに
されるがままだ。
かわりに、彼女の髪に残っている幾筋もの小さな三つ編みを解いてあげていた。
解くだけなら大した技術もいらないし、何より艶のある長い髪に思う存分指を
絡ませる事が出来て、楽しい。
「うぅ…、目一杯文句を言ってやるはずだったのに…。
今回はすっかりレンの我儘に付き合わされてしまったが、毎回こうはいかないからな。
きっとあれだ、おまえの性根が歪んでいるのだ。
わたしが、おまえの性根を叩き直してやる。」
思いっきり難題に取り組む宣言をしてしまっていることに、気づいているのか
いないのか。メイファが何かに奮闘する様もまた想像するだけで可愛い。
ごく軽い気持ちで、質問で返した。
「ふうん。叩き直して、どうするのかな?」
「幸せに、してやる。」

「……っ。」
僕は虚を衝かれて、一瞬押し黙る。
メイファは、さも当然で自然なことのように何の気負いも無く、唄うように続けた。
「何か、おかしいかな?
そんなに何もかもを持っていて、何もかもに優れているのに、妙に不幸せそうな顔を
しているのは、やっぱりどこかおかしいと思うぞ。
レンはもっと、幸せを感じるべきだし、感じられるはずだ。
難しいことじゃない、小さな幸せってやつからで良いんだ。」
何だそれ。何だそれは。完全に不意打ち。
だからメイファは油断ならない。
好きな娘にそんなことを言われて、このうえもなく幸せな気持ちにならない奴なんか
いるものか。
僕は泣いていいのか笑っていいのかわからなくなって、香油の香りを漂わせながら
ふわふわと波打つ君の髪に顔をうずめる。
きっと君なら、上手に笑うんだろうな。上手に、蕩けるような極上の笑顔を見せて、
相手の心を魅了するのだろうけれど。
「まあ、わたしがそれを見たいだけ、なんだけどな。
なんか見ていたい気持ちになるんだ、レンがこの先、どんな風に生きるのか。
そして、せっかくなら、幸せに生きるところが見たい。
自覚の無いメイファは、更に追い討ちをかける。何これ。この容赦の無い破壊力。
11レンと小さなお姫様5:2010/07/27(火) 18:19:54 ID:8i/nYf8A

「…メイファは、格好いいね。惚れ直すよ。」
君の首筋に抱きついたまま、ようやくそれだけを言うと、彼女はむぅ…と小さく頷いた。
「そうか…。レンはそういうことで惚れ直すのか。…憶えておく。」
もごもごと、打って変わって照れくさそうに呟く。
「それであの…。惚れ直す、というからには、その前も、惚れていたということで相違ないな?」
うわ、今度はなんか素っ頓狂なこと言い出した。
「はあ? 何を今更。」
「あの…ごめん。何か凄く好かれているのは分かるのだが、何故そんなに好かれている
のかは、まだなんか分からないというか。
髪や肌を侍女たちが磨いてくれても、それが好かれるということなのか。
美しさで言うなら、わたしなど足元にも及ばない美姫が沢山、王都にはいるはずで。」
「メイファは、鈍いからなあ。君のどこをどう好きかなんて、六年間で言い尽くした
気がするよ。」
僕は苦笑交じりにそう返した。もしもどこが、と訊かれたとしても、今更短い言葉で
言い表せるような気はしない。
「うぅ…鈍いということは、少しは自覚している…。だから、これからちょっとずつ、
憶えていく。
好きって、どういうことなのか。
好かれるって、どういうことなのか。
愛するって、どういうことなのか。
愛されるって、どういうことなのか。」
メイファは、やはりどんなときにも真面目だ。どんなことにも真剣に、真正面から
向き合って。
そんな彼女に、きっとこれからも、何度でも惚れ直してしまうことだろう。

「レンに代わって表に出るという話も、よく見て、よく考えて、レンが一番良く
なるようにする。
責任を引き受けるのも、幸せを感じる上では割と重要だからな。」
僕は漸くそこで顔を上げた。彼女の嫌う皮肉そうな笑みではなく、もっと嬉しそうな
表情が、うまく作れていることを願って。

「メイファは、責任感あるもんね?
君の、言う通りなのかもしれない。
今までは、自分のことだけで手一杯だった。
でももう僕も、子供ではないしね
君が隣りに居てくれるのなら、君と共に、僕に何が出来るのか探そう。
僕に出来ないことは君が、僕に出来ないことは君が、きっと補い合えるだろう。」

彼女は不思議そうに訊く。
「レンにも、出来ないことってあるの。」
「あるよ。メイファにとっては簡単すぎて、ちょっと想像つかないことばかりだろうな。」
「わたしでも、レンの役に立つ?」
「うん。」
「わたしでなければ、ならない?」
「うん。」
メイファは、僕の膝の上で、はにかみながらほんのりと頬を染めた。やっぱりメイファは、
こんなときにはどうしようもなく人を魅了する素敵な表情を見せるのだ。
12名無しさん@ピンキー:2010/07/27(火) 18:21:36 ID:YZKIN+9H
C
13レンと小さなお姫様5:2010/07/27(火) 18:22:03 ID:8i/nYf8A

「それで、順序としては、この後湯浴みってわけだね?
メイファはこの恥ずかしい身体を侍女に見せるのが嫌で、自分で入るつもり
だったんだよね。」
「ご…語弊のある言い方をするなっ。
これは、おまえが跡をつけた所為で…!
うわ、首筋にも、本当に遠慮なく特大のを?!」
彼女は鏡で自分につけられた紅い跡を確認して驚いたような声を上げる。
「つける時にも、ちゃんとそう言ったでしょ?
ひとりで湯浴みの作業を全部するのは大変だから、僕が手伝ってあげよう。」
「いらんっ! レンのほうだっていつも、手伝われる方だろう?! 人のを手伝ったこと
なんて、無いくせに!!」
「いつも手伝われているからこそ、手伝い方も分かります。」
「わからんっ! 何だその論理?!
わたしだって、自分で入ったことくらいあるっ!!
いいから去れ、邪魔するなー!!」
僕は真っ赤になって暴れる新妻を眺めながら、このまま強引に手伝うべきか、
それとも身体を洗ってあげる楽しみは後日に取っておいて、怒らせないようここは
引き下がるべきか、割と真剣に思案していた。

  *   *   *

その後──

シン国では初の女性宰相が誕生したり、夷狄を退けた名将が居たりしたけれど、
それはまた、別のお話。






        ────終────
14名無しさん@ピンキー:2010/07/27(火) 18:25:38 ID:8i/nYf8A
支援、ありがとうございました! 大感謝です!

エロ展開まで長くてスマンかったです。しかも投下間隔が一週間って、長かったですね。
3→4は二週間かかるし。

筆が遅いので、次に来るときは、今度こそ、充分に書き溜めてから来るつもりです。
では、忘れた頃に、また来ます。
15名無しさん@ピンキー:2010/07/27(火) 18:28:43 ID:YZKIN+9H
一番槍GJ!

次回も待ってます!
16名無しさん@ピンキー:2010/07/27(火) 19:19:38 ID:1J27LAm5
スレ立て乙&GJ!

17名無しさん@ピンキー:2010/07/27(火) 20:51:18 ID:myedW1MT
三番目GJ、行きます!
甘々の新婚初日、ありがとうございました
息子はともかく、娘にはメチャ甘なお父さんになりそうだw
18名無しさん@ピンキー:2010/07/27(火) 22:02:54 ID:BqewHtW3
>>17 わかるw

自分の子には男女区別なく愛情は持つだろうけど、
娘にはべたぼれあまあま
息子は教育係にお任せコースで
ってイメージが浮かんだ。


中華作者様乙でした。全編楽しく拝読しました。
19名無しさん@ピンキー:2010/07/27(火) 23:06:14 ID:mXL8Aou1
物凄くエロイ…そして良い話
なんというGJ…
レンもメイファも可愛いのう

……おふぅ
20名無しさん@ピンキー:2010/07/27(火) 23:36:25 ID:0cX260hZ
480KB超えたスレ一週間レスなしでDATだっけ
じゃ梅小ネタある人とか以外は前スレは放置でいいのかな
21名無しさん@ピンキー:2010/07/28(水) 00:24:44 ID:cQKvOKik
あい>>1
22名無しさん@ピンキー:2010/07/28(水) 01:09:31 ID:XNtpJ4AB
数日間放置してあるようなら、10KB程度の埋めネタ落とします
すぐは無理だけど
23名無しさん@ピンキー:2010/07/28(水) 03:49:25 ID:Vz2dXfkm
>>1
スレ立てと投下GJGJ!
西の田舎で領主生活おくる二人も見てみたいw

>>22
全裸で待ってる
24名無しさん@ピンキー:2010/07/28(水) 11:12:12 ID:l7e7yix3
GJGJ!
レンってほんとにメイファがかわいくて仕方ないんですね

わかってていろいろ言葉で責めてるとこがエロくて萌えました

メイファ視点とレン視点と、どちらもすごく楽しめました

もちろん楽しみに待ってたので、早い投下だとこちらはありがたいですが、間隔があいても作者さんのペースで全然構わないと思いますよ

ぜひまた作品を披露してくださいね〜
25名無しさん@ピンキー:2010/07/28(水) 11:25:47 ID:FGtm9JrA
今482KBだから10KB程度ならかえって前スレ延命しちゃうんじゃないか?
それはこっちに落として前スレは放置でいいと思うよ
ちょこちょこやってるとかえって延命しちゃって二重スレ状態が長引く
26名無しさん@ピンキー:2010/07/28(水) 16:25:57 ID:XNtpJ4AB
>>22

>>25
ごもっとも
カキコんでから気付きましたw ご指摘ありがとう
そうさせて戴きます。
27名無しさん@ピンキー:2010/07/30(金) 22:50:13 ID:JtDNHYEv
お疲れ様
28名無しさん@ピンキー:2010/08/01(日) 08:32:11 ID:IDjj8aLk
ええと、割と初心者なんでスレ立てに際して色々と慌ててしまいましたね。モチツケ自分。
小ネタは書き始めたので、せっかくだから書き上げて投下しておきます。

「中華の国の物語」番外編小ネタ
タイトル【昼休み】

百合系?妄想少女の暴走話。エロなし、ギャグ風味。
メイファは下級生の女の子からも人気があったって設定でした。
色々と妄想してますが、罪の無い乙女の妄想ですから…。
29昼休み:2010/08/01(日) 08:34:48 ID:IDjj8aLk

「──なんですって?! メイファお姉さまがあの男と結婚?!」
その噂が彼女にもたらされたのは、夏の休暇に入る少し前の、昼休みのことだった。
「許せない…あの男。のらりくらりと胡散臭くていかがわしくて、ぜんっぜん、
お姉さまに相応しくないわ! 在学中は歯牙にもかけられていなかったくせに…
一体どんな汚い手を…っ!」
「普通に政略結婚だろ」

この春に卒院した、一級上の異国の姫君、ラン メイファ女史と、その前の年に
卒院したこの国の皇族男性の結婚話。客観的には順当な話に怒りまくっているのは
俺の同期生、裏の通称は『黙ってりゃ可愛い』の榎二娘[チァ アルニァン]である。
彼女と俺、直胡風[チ ホゥフォン]は同郷のよしみで──同郷と言っても、王都の
この学院に来てから知り合った、ただ同じ州の出身というだけだが──よく話す仲
だった。ただ通称の通り、『黙ってりゃ』可愛い、なので、よく話すのも良いんだか
悪いんだか…って感じではあったが。
彼女は黙ってりゃそこそこの容姿と、鈴を鳴らすような声でとんでもないことを喋り始める。

「いいえっ!! あんなに相手にしていなかったのだから、お姉さまだってお嫌だったはず!
…そうだわ、女子学寮に残っていた下働きの女の話だと、あの男、春の休暇の間に女子
学寮に来たことがあるとか言ってた…!
他の貴族の娘たちは全員、帰郷していて…。
まさかあの男、私たちの目がないのをいいことに、お姉さまにあんなことやこんなことを…!
いいえそうに違いないわ、きっとお嫁にいけなくなるようなことをされて、それで泣く泣く
結婚を承諾せざるをえなかったのだわ…!
なんてうらやま…いえ、卑劣なのかしら!!」
「おまえこそ普通に不敬だろ。何だその妄想。」

昨年までは『あの方』に不穏な口の利き方をすれば、どこに居ても上級生が真っ青になって
飛んできて、『悪いことは言わないからその辺にしておいた方がいい』と忠告されていたもの
だが、彼らが卒院してしまえば、割と野放しである。
いや、以前から、男に対しては厳しかったが、女に対しては眼中に無いというか、あまり
厳しくなくて、だからこそアルニァンもここまで暴走しているのかもしれないが。
それにしても仮にも皇族の一員に向かってあの男とかそんな口の利き方をしてもいいのか
と思うが、突っ込む余裕もなくこの同期生は凄い勢いで妄想を垂れ流している。

「はっ…そういうことなら、機会はまだあったはずだわ。
お姉様が遅くなった学院からの帰り道、暗がりで…!! ああ、なんてこと!!
そういえばあの男、昨年はお姉さまの帰り道でよく目撃されてっ…!!」
「護衛がついてるだろ」
「護衛なんてシン国に雇われている奴らよ。いざとなれば皇族に逆らえる筈も無いわ。
侍女だってそうよ。…あぁっ!! ということは、夜這いの手引きだって簡単だわ?!」

「おまえさっき、女子学寮では『わたしたちがの目がなかったから』とか言ってなかったか。
女子学寮は大して広くもないひとつの邸(やしき)なんだから、他の奴らが居る時は無理だろ。」
アルニァンの妄想のあまりのひどさについ真面目に突っ込みを入れてしまう。
「いいえ、侵入さえ出来れば、声を出させない方法なんていくらでもあるわ!
可哀想なお姉様!! 安全だと思っていた自室に侵入されて、眠っている間に手足を拘束されて、
口には何か噛まされて…!!
ああっ!! わたくしが同じ房室に寝泊りして、お守りするんだったわ! はぁ…はぁ…」
「どう考えてもおまえが一番危ないだろ。つーかラン女史に対しても、物凄く失礼だろその妄想。」
一応合いの手を入れてはみたものの、最早全く聞いている様子も無い。

「大国の軍事力にモノを言わせてお姉様の国に結婚を迫って──いえ、経済力かしら?
いずれにせよお姉様の祖国は小国の朝貢国、逆らえる筈も無いわ。
無理矢理奪ってきて妻にして──ということは、お姉様のあの極上のしなやかな肢体に
夜な夜なあんなことやこんなことを出来るってこと?!
なんて、うらやまねたましいッッ!!」
「女の癖に、ありえない本音がだだ漏れだぞ、アルニァン。
つーか、なんか生々しいな。女子寮では、もしかして一緒に風呂でも入ったりすんのか?」
30昼休み:2010/08/01(日) 08:37:47 ID:IDjj8aLk

「まさか!! お姉様は、シン国がお招きしている『留学生』よ? 国賓よ?
いつも侍女がきっちりついていてそんな気軽なこと、出来やしないわ。
でもね、抜け道はあるの。
自由に外出しにくいお姉様と一緒に、女の子だけで近場の温泉旅行を企画したことが
あったの。
女子寮では抜け駆け禁止協定があるから、皆でよ。
といっても、そのときはお姉様も含めて五人だったけどね。
事前に申請さえ出しておけば、近場の外出くらい駄目ってこと無いし。
何よりメイファお姉様も大変、喜んでくださって…。

──勿論目的は、 裸 の お つ き あ い 。」

アルニァンは、うら若き乙女にあるまじき腹黒さで、にやりと笑った。
「…はあ。」
俺が護衛なら、こんな危ない奴との小旅行なんて許可しないが。

「わたしたちも、とっても楽しかったわ…!!
お姉様の身体を洗って差し上げるときはね、『お背中お流しします。』って、
言い切らなきゃ駄目なの。
『お背中お流ししましょうか?』では、断る隙があるものね。
お姉様はお優しいから、ちょっと強引に迫れば学友の少女の申し出を無下に
断ったりなんて、なさらないのよ。
お姉様は、大変肌がきめ細やかで、すべすべで…何というか、さすが王族のお姫様、
『素材が違う』って感じ?
勿論それだけではなくて、お姉様はお体を鍛えてらっしゃるから、全身引き締まっていて、
その身体の線の美しいこと!!
胸の方は…その、痩せていらっしゃるから多少控えめではあるのだけれど、形は美しいし、
充分柔らかいし。」
「やわ…っ?! ちょっと待て、触ったのか?!」

「あらやだ、黙ってるから無視してるのかと思ったら、しっかり聞いてるのね。
女同士でお風呂に入るんだから、当然でしょ? むしろそれが目的でしょ?
コツはね、あくまで可愛く、明るく、爽やかに。」
「…何やってんだ女ども。」
「女同士だから楽しいんでしょ? すべすべだし、可愛いし、柔らかいし。
お湯に浸かってほんのりと桜色に染まったお姉様の肌も素敵だったわ…!!」
俺が護衛だったら、こいつは姫様に近づけちゃ駄目だと思った。

「まさかそのノリで、宿でも雑魚寝したんじゃ無いだろうな。」
「何言ってるのよ雑魚寝なんて…お姉様に、似つかわしくないわ。
他の子達だって貴族の娘なんですから、それぞれ侍女付きで来てたし、
部屋は別々に取ったわ。
ただ、夜は寂しくなって、皆でお姉様のお部屋にお邪魔したけど。」
「同じことだろうが。」
「そんなこと無いわ、夜半にはおいとましたし。
お姉様を寝不足にして、お肌を荒れさせるわけにもいかないしね。
まあ、それまでにくすぐり倒したり、寝台で添い寝させてもらったりしたけど。
濡れた浴衣越しの肌もいいけど、薄布の夜着もお可愛らしくて。
また瞼の少し重くなった頃が、しどけなくて色っぽくて」

「さっさと開放してやれよ。ラン女史も闖入者を追い出さないとどうせ
眠れないんだから!」
過去の話に突っ込んでも無駄と知りながら、俺はしつこい下級生に付きまとわれる
人気者のお姫様に同情した。
「お姉様だって翌朝楽しかったって言ってくださったわよ。」
「ああいう気品のある姫様が『昨日は酷い目に逢った〜』とか、愚痴を言えるはず無いだろ?!
察してやれよそのくらい!」
31昼休み:2010/08/01(日) 08:41:38 ID:IDjj8aLk

「違うわっ! お姉様は心根も綺麗でいらっしゃるから、私たちの心のこもったもてなしに、
そんなひどいこと、お考えにならないわ!!
あんたは知らなくともねえ、お姉様の美しいところは外見もだけど何より内面! なのよ!」
そう言ってアルニァンはうっとりと遠い目をした。


「そう、あれはわたくしがこの王都に来て間もない頃…。
女史学寮のお姉様方が、親睦会も兼ねて茶話会を開いてくださったことがあったの。
お姉様方のうちお一人が、わざわざ侍女にできたてのお菓子を買いに行かせて。」
いきなりさらに過去話か。女の話はどうもぽんぽん飛んでちょっと辛い。まあ、ついていく
必要も無いが。
「揚げ菓子だったわ。
でもね、買ってくる途中でちょっとした事故があって、その侍女が二、三個落としてしまったの。
勿論余分に買ってはおいたようなんだけど、結果的に、ひとり分足りなくなって…
そのとき、真っ先に譲ってくださったのが、メイファお姉様よ!」

「要は食い気か。
おまえ、甘いもの好きだしな。」
「揚げ菓子が好きなのは、そのときからよ!! 
ひとり分足りないと分かったときには、微妙な雰囲気が流れて。だってそのお菓子からは、
凶悪なほどに美味しそうな香りが流れてきていたんだもの。あの香りの魔力に逆らえる
女の子なんて、そうそういやしないわ。
誰もが、足りない状況と自分のことを考えて押し黙っている、と思っていたら…。
メイファお姉様があのよく通る素敵な声で、おっしゃったの。
『わたしの分はいいから、侍女を怒らないでやってくれないかな』
…って。
ああ!! なんて素晴らしいのかしら!! とっさに場の雰囲気を変えた上に、侍女のことまで
思いやって…!!」

「ああ、なんか人徳あるもんな、ラン女史。
あれなら皇族に嫁いでも大丈夫なんじゃないか。」
「ちょっと!! ひとが美しい思い出に浸っているときに、嫌なこと思い出させないでよ!!
ともかく順序から言えば、そのとき最下級生であったわたくしが辞退するのが筋だわ。
そう申し上げたら…っ。お、お姉様は、半分こにしようって……!!
あぁっ…!! あの白魚のような指で、手ずからお割り下さって、しかも奥ゆかしくも
小さい方をお取りになって…!!」
「そこはおまえが小さい方取るとこだろ」

「うるさいわね! お姉様のお優しさに水差さないでくれる?
そのときの菓子の味の、甘美だったこと…!!
私はそのとき思ったの、世の中には、こんなに美味しくて、素敵なものがあるんだって。
一生懸命お勉強を頑張って、この学院に入って良かった!!って。
そのあと、同じお店で何度も同じ揚げ菓子を買い求めてはみたけど、あのときほど美味しく
感じたことは無いわ。」
「まあ、状況でメシが美味くなったりすることって、あるよな。」

「あら、珍しく同意してくれるのね。
そうなの、そのときのお菓子は、とってもとっても美味しかったのよ…!!
…とってもね。」
少し遠くを見つめるようにして、アルニァンは、溜息をつくように最後の言葉を呟いた。
「…そうか。」
その感傷ぶりにほんのちょっと共感しかけたその刹那。
32昼休み:2010/08/01(日) 08:43:29 ID:IDjj8aLk

「ああ…わたくしがせめて男だったら、お姉様を攫って逃げて差し上げるのに。」
うわ、まだ話し続ける気か。いい加減にしろ。
せめてさっきの表情のまま黙ってろ。
「普通に身分違いだろ。つか迷惑。」
「それも駄目なら、一夜限りの美しい思い出とかっ…!!
はっ?! 一夜限りなら、女同士でも出来ないことはないわね?
問題はお姉様のほうが腕っ節がお強いことだけれど、それはいくらでも方策はあるわ…!!」
俺は確信した。こいつを、姫様の半径五里以内に立ち入らせては駄目だ。
姫様の祖国が、遠い西の辺境で良かった。

そのときやっと、昼休みの終わりを告げる鐘が二回、打ち鳴らされるのが聞こえた。
ようやく、このとんでもない妄想話から開放される。
「やれやれ、次の講義の時間だ。
アルニァン、王族や皇族とは格が違うとはいえ、おまえだって出るとこ出れば貴族の
お姫様なんだから、もう少し言動には気をつけた方がいいぞ。」
「あら、わたくしだって、出るとこ出れば貴族のお姫様なのですから、場面くらい
ちゃんと読めますとも。
いざとなったときの猫被りの鮮やかさを、あなたにお見せできないのが残念ですけど。
それに、他人には話しづらい妄想話を一緒に楽しむのも、わたしなりの親愛の情の
現われなのですけれどね。」

「親愛の情なら、もうちょっとましな現し方をしろ。」
俺が少し苦い顔でそう吐き捨てると、アルニァンは女の子特有の甘ったるい笑い方で
ふふっと笑った。
そしていつもの、鈴を鳴らすような声で言う。
「さあ、次の講義に遅れますわよ!」
そして明るい色の裳裾を翻し、簪の飾りを揺らしながら、俺の前を軽やかに駆け出した。



        ────終────
33名無しさん@ピンキー:2010/08/01(日) 08:46:04 ID:IDjj8aLk
以上です。
では自分も次の姫様待ちに入ります。
姫様来ないかなー。
34名無しさん@ピンキー:2010/08/02(月) 11:39:31 ID:LgrBnxCx
完結してさみしかったから小ネタうれしいです

それにしても…レンがあんまりな言われようでw

35名無しさん@ピンキー:2010/08/05(木) 17:58:56 ID:CcMWFFdn
エルドとセシリアの作者です。
「桃色の鞠(後編)」を保管庫に入れました。
少しだけ誤字も修正しました。

そして自分勝手なお願いなのですが、
旧保管庫にある「白いリボン」を新保管庫にも入れたいなと思っています。
もちろん、そのままでも結構なのですが、
みなさまどのようにお考えでしょうか。
36名無しさん@ピンキー:2010/08/05(木) 19:29:55 ID:V72AgnzR
おお!乙です
作者さんならいいんじゃないかな
ただ何か気兼ねや引っかかりがあるなら、
シリーズのとこに、第一話はこちらと案内したり直リン貼ったりするのもありでは
37名無しさん@ピンキー:2010/08/05(木) 22:12:34 ID:tbd870kK
>>35
乙です。
まとめてくれると読み返しやすくてうれしいな。
38名無しさん@ピンキー:2010/08/06(金) 21:34:03 ID:m5zb/pUy
>>35
乙です

保管庫の件、管理人さんか作業さんか作業する方が大変でなければよいですが

読む方としてはどちらでもよいです
39名無しさん@ピンキー:2010/08/06(金) 21:34:59 ID:m5zb/pUy
すみません
作業さんとは作者さんの間違いです
40名無しさん@ピンキー:2010/08/07(土) 13:17:40 ID:b0V+4V/w
自分は新参者のときどこに1話があるのか迷ったので、
白いリボンも一緒の保管庫に置いてあると嬉しいです
41名無しさん@ピンキー:2010/08/08(日) 00:50:35 ID:q2gcJI+l
こんな話題をダラダラ引っ張られたら投下しにくくね?

>>35もそろそろどっちか結論出しなよ

つか最初から自分で決めたらいいのに
42名無しさん@ピンキー:2010/08/08(日) 06:00:02 ID:oxrhBKVN
話題のいかんに関わらず投下は少ないし(泣)
噛み付くほどのことでは・・・
43名無しさん@ピンキー:2010/08/08(日) 09:14:42 ID:s9BQ37lu
遅くなってすみません。
ご意見ありがとうございました。
白いリボンを新保管庫にも収録させて頂きます。

投下をストップさせていたなら申し訳ない。
44名無しさん@ピンキー:2010/08/08(日) 10:56:14 ID:7UtHHMPK
>>41>>43
共に乙

>>42
この程度のことで噛み付き扱いするのが、むしろ余計
45名無しさん@ピンキー:2010/08/08(日) 13:04:45 ID:dsxrYl1D
なんでもいいからエロい姫書けよ、おう早くしろよ
46名無しさん@ピンキー:2010/08/08(日) 21:36:56 ID:q2gcJI+l
>>41だが言葉が悪く噛みついたように受け取られたなら申し訳ない

結果はもう見えてたからいいんじゃ…と思ったまで

おとなしくROMって姫を待つよ
47名無しさん@ピンキー:2010/08/09(月) 00:29:08 ID:Uoq2p+QN
結果は見えていても、バロメータ確認にはなったからいいよ
48名無しさん@ピンキー:2010/08/10(火) 19:19:07 ID:hNLavXuM
は?
49名無しさん@ピンキー:2010/08/10(火) 22:47:55 ID:T9mD7KZo
ひ?
50名無しさん@ピンキー:2010/08/11(水) 01:34:01 ID:sMvlzQFV
ぎ?
51名無しさん@ピンキー:2010/08/17(火) 02:28:54 ID:aDxKP74c
ん?
52名無しさん@ピンキー:2010/08/18(水) 23:57:25 ID:BtGCHwAH
エルドとセシリア の続きが読みたい・・・
53名無しさん@ピンキー:2010/08/19(木) 09:11:41 ID:ikK2Wr1v
未完の話も沢山あるから、その続きも読みたい。
帝国の皇女様とかどうなった。

エルドとセシリアも、あれで完結とか思ってないので、引き続き待ってる
エルド頑張れ
54名無しさん@ピンキー:2010/08/19(木) 13:02:35 ID:lHglUQVX
完結でいいよ…
YES意見引き出すためだけの保管庫移動アンケートとか
しかも意見いくつか集まってんのに数日放置とか
正直うざいわ
55名無しさん@ピンキー:2010/08/19(木) 13:49:56 ID:5iuA715h
良作が終わっても、カス掴んでも泣かない
富樫のHHみたいな作品は まだまし。
fivestarや美内すずえのガラスの仮面みたいに、存命中に終わるかどうかの作品
画太郎の漫遊記みたいに完結したけれどコアすぎるモノ

それよりも圧倒的な数の打ち切りが多いんだよ〜

ベルモンド、P2!(?)、瞳のカドプレパス、バレーボール、BLUE DRAGON、ユンボル
、M&Y、ツギハギ、HAND'S、OVERTIME、斬、みえるひと、村雨、タカヤ、ポルタ、
k.o.sen、muddy、ポセイドン、勇者学、バリハケン、ダブルアーツ ぼっけさん、マイスター、アスクレピオス
切法師、カイン、コート、waqwaq、ゲドー、ぷーやん、スピンちゃん、ごっちゃんです、
LIVE、サラブレッド、神撫手、サソリ、神奈川磯南風天組、キックスメガミックス、闇神コウ、
SANTA、ウルトラレッド、タトゥーハーツ、AON、グラナダ、SWORD BREAKER、NUMBER10、ソワカ
、あっけら貫刃帖、サクラテツ、グランバガン、I'm A FAKER、マジャシャンズスクエア、鴉、
GBW、虎次郎、バカバカしいの、りりむキッス、純情パイン

56名無しさん@ピンキー:2010/08/20(金) 19:36:30 ID:jRpJ4ADx
バカバカしいの、だけ知ってる。
57名無しさん@ピンキー:2010/08/20(金) 21:49:31 ID:LuCX7juC
>>29-32
亀ですが乙!!
実はレンもメイファ近辺の女生徒も全員チェックしてるに1元
さらに、アルニャンもきっちり要注意人物の1人としてリストに入っているに10元
58名無しさん@ピンキー:2010/08/22(日) 20:10:41 ID:WsffPang
お姫様から精神的に虐められたい…
59名無しさん@ピンキー:2010/08/26(木) 23:35:35 ID:9EdrX3VL
>>58でなんか浮かんだ

姫「このっ……豚!」
下僕「は?」
姫「ひっ……!ごめんなさい言ってみただけです……」
60名無しさん@ピンキー:2010/08/27(金) 21:32:13 ID:Xx6UW8mi
覇王の孫娘
前編
エロ無し





「姫様―!姫様―!」
静かな昼下がりの午後、屋敷内を駆け回る一人の青年がいた。
「あ、キルシェ様。どうなさいました、大声を出されて」
廊下の反対側から、ワーウフルのメイド―――ティニアとアリアエル
がティーポットとカップをのせたカートを押しながらやってきた。
「どうしたもこうしたもない!ティニー、アリア!姫様はどちらに行かれたんだ!」
青年はティニーの両肩をがしりとつかみ、凄まじい剣幕で両肩の脱臼を目論むが如く
ガクンガクン揺らした。
「やめて下さい!やめて下さい!犯さないで!」
いきなり泣き叫ぶメイドに青年は怒鳴った。
「誰がだ!アリア、知らないか!」
青年はもう一人のメイドに激しい剣幕で振りむいた。
「え、ええっと…その…わかりません」
申し訳なさそうにもう一人のメイドが頭を下げた。
「ああ…一体、どちらに行かれたというのだ!?姫様にもしものことあれば陛下に申し訳が立たん
もしや、姫様に口止めされているのではあるまいな!?」
ギクッとなった二人のメイドだが、それを誤魔化すようにティニアが言った。
「そんな!?適当に理由つけて犯そうと――――――!?」
ティニアは両手を頬にあて、悲壮な顔をした。
「違う!誰がお前なんぞ犯すか!頼まれたってするわけないだろ!」
「私がワーウルフだからって差別してるんですか!?」
「種族は関係ない!だいたい昼間から若い娘が犯すとか犯さないとか――――――」
ワーワーギャーギャー…もはや収拾がつかなくなってきた。
「そもそも私が留守の間、一体何をしていたんだお前達は!メイド失格だ!減給してやるからな!」
「ええッ!?減給だけは勘弁して下さい!御飯が食べられなくなってしまいます〜」
「身体で払いますから減給だけは!」
収拾がつかない三人を遠巻きに最年少のメイドが小さな手に封書を持ち、ぼそっと呟いた。
「あ、あの……キルシェ様、ひ、姫様のお部屋にお手紙が……」


『覇王の孫娘』


かつて『大陸の窓口』と呼ばれ帝国西部方面軍の拠点であった都市は
今や行楽地としてその名を馳せていた。港近くの露店には
様々な輸入品と海産物がずらりと陳列され、行き交う人々で大通りはごった返していた。
さらにこの季節にしか輸入されない東方大陸の珍しい品々は特に観光客の目を引き、
『土産に』と飛ぶように売れ、また都市が有する長大な砂浜には、毎年のように多くの海水浴客が訪れ、活気に満ち溢れていた。
61名無しさん@ピンキー:2010/08/27(金) 21:33:13 ID:Xx6UW8mi
『宿屋ボナパルト』

「いやぁ…お久しぶりですねぇ姫様」
「いくらお客さんが多いからって姫様はダメだよ、イツファさん。誤解されちゃう」
ワイワイガヤガヤと騒がしい宿の食堂で昼食を取っていた少女が言った。
「ああ、ごめんねぇ…でも、あんなにちっちゃかったのに、
少し見ない間にすっかり大きくなって……ティル様にそっくりですよ」
手に持った料理をテーブルにならべ、イツファと呼ばれた女将は笑った。
『おーい、ビッククラブの丸焼き、上がったぞ』
カウンターの奥から野太い声が聞こえた。ここの主人だろう。
「はーい、今行くよ。じゃ後で、エッジにでも街を案内させますから、ごゆっくり♪」
「ありがとう、イツファさん」
少女は愛想良く笑うと、テーブルを囲んでいる連れに向き直った。
「あの方は主様の御知り合いですか?」
と自前の箸で魚の塩焼きを摘んでいた黒髪の女性が言った。
「うん。母様とプリンおばさんのね…リーフェイは初めてかな?」
貝と唐辛子のパスタをフォークでくるくると捲きながら少女は言った。
「ええ…あの身のこなし…シノビの心得があるようで」
「もぐもぐ……さすがリーフェイ、当たり♪……ああ〜夏休み中にやっと海に来ることができたわ。
女子校はそれなりに楽しいけど息が詰まるんだよねぇ、御丁寧な貴族の女の子ばっかりだし。
『リューティル様、ごきげんいかが?』とか『お姉様、お慕い申し上げております』とか……
はぁ……共学の小さい学校の方がよかったなぁ…」
少女の隣に座っている少年が眉をひそめて小さな声で言った。
「でもよかったんですか、リュティ様?キルシェさんに無断で?」
その問いに少女は貝のフライをパリパリと食べながら、ぞんざいに答えた。
「え〜?いいの、いいの。キルシェに言ったって、『海に行かれるのであれば、安全の為に最高級の宿泊施設を』
とか言って、絶対つまらなくなるのは目に見えてるもん。出店に行かせてくれないし。頭、固いんだから」
ふんっと鼻を鳴らして少女は言った。その口真似がおかしかったのかリーフェイはクスッと笑って言った。
「ですが……私とセイヴィアが留守ということ知れば…キルシェさんならおおよそ行き先は検討がつくと思いますが」
「大丈夫だよ。ちゃんと置き手紙してきから」
えっへんと胸を張って、少女は答えた。
「主様、その置き手紙には何と書かれたのですか?」
「『7日程、屋敷を開けます。探すな、絶対』って」
「…………そ、それはさすがに心配されるかと」
セイヴィアが苦笑しながら言った。それにキッと眉を上げて少女は答える。
「でもさ、『首都に行きます』とか書いたら、連絡されてまた父様とか母様に叱られるし、
兄様も『リューティルも年頃なんだからもう少し落ち着けばいいのに』とか言われるんだよ?他にどう書けって言うのよ?」
「確かに……勘の良いキルシェさんであれば……偽ってもすぐバレますし…」
「そんな事より、念願の海に来ることができたんだし、早く海に行こうよ♪この日の為に可愛い水着買ったんだから」

62名無しさん@ピンキー:2010/08/27(金) 22:41:57 ID:RvYV+dWa
何ー?! ハッピーエンド編の更に子供世代編ですとー!!
これは期待せざるをえないwktk
お転婆姫様可愛い
63名無しさん@ピンキー:2010/08/29(日) 22:03:52 ID:eECJC5Av
続き待つ!
宿屋の食事が美味しそうだな
夏の海でどんな姫様っぷりを発揮してくれるのか楽しみ
64名無しさん@ピンキー:2010/09/02(木) 17:08:34 ID:7Q42Lv0t
wikiから転載

PINKBBSの方には類似スレがあり立ててはいけないような気がしたので
独断ですが作ってしまいました。
無論、閉鎖しろといわれたら閉鎖いたします。
ご意見だけでも書き込みよろしくお願いします。
SSも投下していただけるならうれしいです。
ファンタジー世界の戦う女(女兵士)総合スレ避難所(仮)
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/14092/ -- (名無しさん)
2010-08-31 15:45:49
65名無しさん@ピンキー:2010/09/03(金) 21:03:57 ID:yz0QDRwq
覇王の孫娘
水着
ちょいエロ
少し長いです




「海だー!海だよ!うみィ!いい風〜最高だよ♪」
絵に描いたような青空の下に広がる青い海に少女は歓声を上げた。
白い砂浜に見える人々は何百人といるだろうが、それでも十分な間隔が開いている。
それだけこの砂浜が長大なのだろう。少女は麦わら帽子を被り、水着の上に白いシャツを着て
砂浜を駆けていった。海に入る直前、帽子とシャツをセイヴィアに向かって投げた。
『持っていてね』と叫び、そのまま波に向かってに突進していった。
「リュティ様、お一人では…」
後から付いてきた少年は肩に掛けたクーラボックスを置き、はぁ〜とため息をついた。
「……大丈夫かな…」
「セイヴィアもキルシェさんの心配性が伝染したか?」
「そんな事はないよ――――――」
顔を赤くしながらセイヴィアはリーフェイから目をそらした。
「どうしてリーフェイも水着を着ているの?」
セイヴィアの後ろに立つ、リーフェイの姿はビキニの上にシャツを羽織っている出で立ちだ。
問題なのは、そのリーフェイのスタイル。
エキゾチックな黒髪に歩くたびにゆっさゆっさと揺れる豊満な胸、そして見事にくびれた腰から
伸びるお尻のラインにすらりとした四肢。やや褐色に焼けた肌と水着の境目から覗く白い肌。
神話の世界から抜け出てきた女神はこのような容姿なのではないか?というぐらい輝いて見える。
「海だし、海だから、海だろう?護衛を兼ねて水着の方が自然かつ目立たない、それに機能的で動きやすいからだが?」
「おもいっきり目立ってるよ……黒髪の女性ってだけで十分目立つのに…」
それに『もっともらしく聞こえるけど、海で泳ぎたいだけでしょ?』というようにセイヴィアはジト目でリーフェイを見た。
「泳ぎたいって素直に言えば――――――」
「主様がお一人では危険だ、行ってくる」
セイヴィアの言葉を遮ってリーフェイはリューティルと同じようにシャツを放り出し、海にバシャバシャと入り、泳ぎだした。
何故かその顔が輝いて見えた事に少年はさらに深いため息をついた。
「いやっほぉう!!」
バシャンっと激しい波しぶきを上げて少女は海面から飛び跳ねた。
リューティルの水着は蒼色と白色を基調としたワンピースタイプで、控えめな胸部に可愛らしく
ディフォルメされたノコギリザメがプリントされており、お臍と背中が大きく開いたオーダーメイドなデザインの代物だ。
「ああ…気持ちいい…ほんと、来て良かったぁ…」
バシャバシャと海面を叩き、海水をすくっては天まで届けと言わんばかりに振りまく。
母譲りの赤い瞳をもつ眼が細められ、満天の笑みをもって波に身を任せる少女は真の底から海を満喫しているようだ。
「主様、追いつきましたよ。あまり遠くへは行かないでください」
黒い髪から水を滴らせながらリーフェイが側に寄ってきた。
66名無しさん@ピンキー:2010/09/03(金) 21:04:42 ID:yz0QDRwq
「ん〜あんまりに気持ちよくて…このまま寝ちゃいそうだよ〜って…あ、あ、足がつった!!―――ごぼごぼごぼ」
そう言ってリューティルは海中に姿を消した。
「あ、主様っ!」
いきなりの事態に声を上げたリーフェイの後ろからその豊満な胸がむにゅっと鷲掴みにされた。
「なっ――――!?」
「前から思ってたけどリーフェイのおっぱい大きいねぇ♪どうしたらこんな大きくなるの!?」
にひひひとイタズラっぽく笑ってみせるのはもちろんリューティル。
どこかの危ないおじさんよろしく少女はその細い指を
リューフェイのおっぱいに食い込ませて、むにゅむにゅっと柔乳の感触と圧倒的な質量を楽しんだ。
「このおっぱいでセイヴィアをたぶらかしてるのかなぁ?あれ、乳首がコリコリしてきたよ♪」
「あ、主様!…そんなに揉まないで…くだ………んっ!?」
リーフェイは思わず鼻に掛かったような甘い声を漏らしてしまった。
「いやん、色っぽい声。ひょっとして感じちゃった?私って意外とテクニシャンなのかな〜♪」
「あ、主様!」
リーフェイの声に胸から手を離し、ゴメンネとちょろっと舌を出す少女にリーフェイはふぅと息をつくと
「………お返しです!」
すかさずリューティルの胸部に手を押し当てた。
「ひゃあ!?」
むにゅとまではいかないが、ふにふにとした感触の慎ましながらも張りがあるリューティルのおっぱい。
(わたしもこれくらいの方がよかったのに…)と思いつつ、悪ノリしたリーフェイは言った。
「ダメですよ、許しません。お仕置きです」
「きゃはははっ!やだっくすぐったいよォ♪」
バシャン、バシャンと一際大きな波しぶきをたてて二人はじゃれあった。

「はああ…金槌な自分が恨めしい……」
荷物の番をさせられている少年が口にくわえたアイスをカプっと噛んだ。
「あ、当たりだ。もう一本もらえるかな」
パラソルを立て、水捌けのよい布の上に寝そべるセイヴィアは今し方食した
アイスの棒をペロペロとなめていた。
「ねぇ、ボク」
「はい?」
顔を上げてみるとそこには翼を持った女性がこちらを見ていた。
真っ白な純白の翼が光に反射して神々しい…有翼人の女性だ。
麦わら帽子をかぶり、スレンダーなスタイルに珍しい模様が描かれた水着を着ている。
東方大陸の模様だろうか。セイヴィアは返答に窮した。
有翼人の女性をこんな間近で見ることは初めてだったのだ。
「あ、ごめんなさい。お邪魔だった?今日はお父さんとお母さんと一緒に海に来たの?」
女性が前屈みになったせいで胸が強調されてみえる。
「い、いえ、いえいえ、友人達と来たんです…そ、それに僕はそんなに年下じゃ」
実際のところ、セイヴィアの年齢は14歳。だが祖先にエルフの血が混じっており、
なおかつ童顔で背丈が低いため、かなり低い年齢に見られてしまう。
それこそ、この広い海水浴場でキョロキョロしていたら『ボク、迷子?』と沿岸警備員に言われるくらいの年齢に。
67名無しさん@ピンキー:2010/09/03(金) 21:05:18 ID:yz0QDRwq
「でも私よりは年下よね?」
「ええっと…たぶん…」
顔を赤くしながら、あわてふためくセイヴィアを見て、女性は微笑んで言った。
「私も友人と来たの。でも具合を悪くしちゃって、宿で休んでいるのよ。君は?」
「あ、僕は泳ぐのが苦手で……」
苦笑するセイヴィアに女性は『そっか……君も一人で荷物番なんて大変だね』と返した。
「そっか………はぁ…海に来たのに一人じゃつまらないし……悪いんだけど、
お姉さんにサンオイルを塗ってくれないかな?見ての通り翼と背中は塗れなくて、ね、お願い」
「で……で、でも…初対面の…女性の肌に触れるのは…」
「大丈夫、私はそんなの気にしないから、そうだ、君の名前は何て言うの?」
「あ、僕はセイヴィア=アンザックスっていいます。友人からは『セイヴィア』って」
「セイヴィア君ね。じゃ、サンオイルは翼専用とお肌用があって、初めは翼から使って」
有翼人の女性はテキパキと手に持っていたデーパックから容器を並べ、セイヴィアの横にうつ伏せになった。
そして背中で結んでいた水着の紐を解き、女性は言った。
「あ〜苦しかった。じゃ、お願いね、セイヴィア君」
有翼人の女性は翼があるためワンピースタイプの水着を
基本的に着す事が難しい。その為、ビキニタイプの水着を着する事が多い。
翼の隙間から見え隠れする白い肌、むにゅと圧迫された胸、そしてスレンダーな腰から続くお尻の谷間。
セイヴィアの顔はもう真っ赤だ。
「え、えーと…」
セイヴィア震える手で翼用のサンオイルを手に塗りつけた。翼に手が触れた時、女性が「セイヴィア君」と声を上げた。
「は、はいい!?」
セイヴィアはビクッと身を震わせた。
「ごっめーん。私、まだ名前を言ってなかったよね」
「え、ええ…あ、そ、そういえば……」
「私の名前はテュアロッテ。テュアロッテ=ラバッツ。『ロッテ』って呼んで」
68名無しさん@ピンキー:2010/09/03(金) 21:05:55 ID:yz0QDRwq
その夜

『宿屋ボナパルト』
「あ〜海、最高!楽しかった〜♪すっごく綺麗だったし、ね、リーフェイ♪」
夕食のテーブルを囲み、リンゴジュース片手にリューティルは上機嫌に言った。
「そうですね♪久しぶりの海はいいものです」
「天気もよくって、お昼に食べた貝の壺焼きもクラーケンの足焼きも美味しかったし。妾は大満足じゃってね」
ベーコンとナスの冷製パスタにタバスコをちょんちょんと掛けながらリューティルは言った。
「はぐはぐ…セイヴィアもカナヅチなんて言わないで海に入れば良かったのに」
「そうだ。泳ぎなら私が指南してやったのに…」
魚介スープをすくっていたスプーンでセイヴィアを指し、リーフェイは納得のいかない顔で言った。
「え、で、でも…ま、その…荷物番だし…僕は…ね…」
心なしかセイヴィアの顔が赤く明るい。海に来て荷物持ちをさせられたセイヴィアなら
気落ちした顔に『はぁ〜僕も泳げたらなぁ』という台詞を吐くはずだ。
「ヤケにニヤニヤしちゃって何かあったの?綺麗な女の人に声をかけてもらったとか?一緒に遊んだとか?」
「そんな…リュティ様――――――」
「セイヴィア、そうなのか?」
リーフェイの眼が鋭くなる。
「そんなことないって」
あたふたとあわてるセイヴィアにリューティルは助け船を出してやった。
「まぁ、セイヴィアに限ってそんな甲斐性はないと思うけど。
あ、リーフェイ、そのお魚の炊き込み御飯、少し頂戴」
「どうぞ、主様。野菜と塩の味が効いていて美味しいですよ」
自前の箸で器用に小皿に御飯を取り分けるリーフェイ。
「ん〜これも美味しい♪海と山の幸のコラボって感じだよね。本当、屋敷を抜け出してよかった♪」
「それはよかったですね、姫様。食事の後は夜店に行かれるおつもりですか?」
「もちろんだよ。たこ焼き食べたいし、夜食のデザートも。東洋のアクセサリーとかもみたいし、
可愛いは欲しいな。学校の友達のお土産も買うつもり」
「そうですか、こんな夜更けから…」
「大丈夫だよ。リーフェイもセイヴィアもいるし……て、あ、あれ?リーフェイ?セイヴィア?」
さっきまで明るかった二人が、下を向き、最後の晩餐みたいな暗い雰囲気になっている。
そして、その横にいつの間に席についていたのか、ぷるぷると震えている人物が一人。
「そうですね……『お』・『め』・『つ』・『け』・『や』・『く』・『の』!!『護衛』が『二人』もいるのですから…」
「あ…あー…あの……や、やぁ、キルシェ………」
「やっとみつけましたよ!リューティル様!!」
69名無しさん@ピンキー:2010/09/03(金) 21:06:46 ID:yz0QDRwq
「まったく、どれほど心配したと思っているのですか!姫様!屋敷に帰ったと思ったら、こんな置き手紙を残して!」
バッと屋敷の私室にあった置き手紙を差し出し、キルシェは叫んだ。
もちろん場所は大衆ひしめく食堂でなく、今日、リューティルが泊まる部屋。
「キルシェだってティニーとアリアに聞いたとか言ってるけど、どうせ二人に減給するとか言って脅したんでしょ!?酷いよ!」
事の顛末をキルシェから聞いてリューティルは言った。あの二人がキルシェに問い詰められて、素直に答えるハズがない。
「そのような些細なこと………そんなことより、リューティル様の御身にもしもの事があれば、このキルシェ=マイステン、
両陛下に申し訳がたちません。父も母もその為に私をお目付役に推挙してくれたのです!」
「そんな事言って!また父様とか母様にいいつける気でしょ!?」
「当然です!」
「トールおじさんだってキエルヴァおばさんだってキルシェみたいに頑固じゃないし、とっても優しいのに
なんでキルシェはそんなに厳しくて頑固なの!?」
「父と母は関係ありません。私は私です」
「このわからず屋!」
「それはこちらの台詞です。姫様、どうして私に一言おっしゃってくれないのですか!?」
「だってキルシェに言ったら、海には来ることはできても、夜店とか屋台とか絶対に行かせてくれないじゃない。
私は前みたいな高級ホテルなんてイヤなの!一人で食べる高級料理なんて全然、美味しくない!」
普通の宿がいいの!安くても皆と一緒に食べる料理はすごく美味しいんだよ!」
70名無しさん@ピンキー:2010/09/03(金) 21:07:08 ID:yz0QDRwq
「何をおっしゃるかと思えば…リューティル様は一国の姫なのですよ?宿泊施設も料理も一級品であってしかるべきなのです。
それに、この二人の力を疑っているワケではありませんが、万が一という事があってからでは遅いのです!」
キルシェは激しい剣幕で、一気にまくし立てた。その生真面目さは『紅髪の騎士』と謳われた母をも凌ぐ。
その激しい剣幕に圧されながらもリーフェイが言った。
「キルシェさんのお怒りはごもっともです。ですが主様を責めないで下さい。責められるべきは私達です」
「当たり前だ!リーフェイ、セイヴィア!大陸軍から特に優秀な武術家と魔法剣士を選抜したのは何の為だと思っている!?
姫様のお目付役を何と心得ているんだ!そのお前達が姫様を諭すどころか――――――」

「黙りなさい」

キルシェが怒気をあらわにし、口を開いた時、リューティルの口調が変わった。
その場にいた三人がリューティルが放つ威厳に一気に圧倒された。
背筋が凍り、呼吸がとまる。その射抜くような眼の力だけで魂を砕かれたように萎縮してしまう。
かつての大陸を支配した覇王の血を受け継ぐ、皇女だけが成せる術だった。
「いくらキルシェでも…いくらキルシェでも二人を責める事は絶対に許さない…」
しかしリューティルはそれ以上何も言わず、その気を消すように俯いた。
再び顔を上げたリューティルは赤い瞳にいっぱいの涙を浮かべ、言った。
「キルシェが心配してくれるのは……わかってた……ごめんなさい」
「ひ、姫様……」
さすがのキルシェもその様子に口をつぐんでしまった。
「………でも……来たかったんだもん……」
リューティルはポロポロと涙を流しながら続けた。
「私が悪かったのはわかってる……でも…夏休みくらい…いいじゃない……豪華なホテルとか食事なんかより
普通の宿の…皆と一緒にテーブルを囲んでお食事したり、海で遊んだり…したかったんだもん」
それはリューティルの心からの願いであった。幼い頃は首都で皇族としての教育を受け、
より環境の整った女子学校に通学することになった。
それに伴って学校からほど近い場所にあったマイステン家の屋敷に寄宿する事となったリューティル。
首都の堅苦しい生活から開放され、羽を伸ばしたい気持ちは、キルシェでも理解できた。
「………明日、屋敷に帰ります…だからティニーやアリアをリーフェイとセイヴィアを許して…」
キルシェの胸に顔を疼くめ、搾り出すような声でリューティルは言った。
そのまま、しばらく、気まずい沈黙が流れた。その沈黙を破るように声を発したのはキルシェだった。
「………わ、わかりました。私も少々、考えが足りなかったようです…よ、夜の店もいいでしょう。
姫様の御学友の事もありますし……宿のイツファさんも姫様の宿泊を歓迎されているご様子です……」
「キルシェ…」
「た、ただし条件があります。私も同行します、案内はイツファさんが申し出てくれている子息に」
「…あ…あるがとう…ありがとう、キルシェ」
リューティルは涙を拭って、再びキルシェの胸に顔を疼くめた。
そんな様子を見ていたルーフェイはセイヴィアに視線で合図して、言った。
「では私達は罰として、ここに残ります。主様はキルシェさんがいれば何も問題はないと思いますし」
「なッ!?」
「いいの、リーフェイ?セイヴィアも」
「はい、お二人で楽しんでいらしてください。僕達は宿で帰りを待ちます」
二人の護衛の粋な計らいであった。


71名無しさん@ピンキー:2010/09/04(土) 22:40:17 ID:W6k3QUzI
キルシェはヘスタトールに立ち位置が似てると思ったら息子か!
今回の姫様のお相手はキルシェなのかな

話題を逸らすのが上手いワーウルフのメイドとか、お子ちゃまを誘惑する有翼人のお姉さんとか
色々な種族が出て来て気になるな
でも一番気になるのはクラーケンの足を採ってくる漁師さんだな
どんだけ戦闘能力高いんだろう
72名無しさん@ピンキー:2010/09/04(土) 23:33:56 ID:bAZWUNWV
>>71

作者の補足

有翼人のお姉さんは
覇王の娘〜の勇者軍にいた幼女です。

クラーケン…確かに
タイ○ンの戦いにでてきたクラーケンは無理ですね。
この世界のクラーケンは現代のイカぐらいの設定にしときます。
73名無しさん@ピンキー:2010/09/05(日) 12:51:25 ID:cuhbtu45
クラーケンの幼子だったとか
74名無しさん@ピンキー:2010/09/05(日) 18:29:01 ID:GTZrsliS
>>73
その考えはなかった。

また長くなるけど
次でエロ本番にします。
75名無しさん@ピンキー:2010/09/08(水) 14:34:24 ID:A94NAaQN
せめてもう少し纏まってから投下してくれねーかな・・・
ダラダラ細切れ投下されても困るんだが
76名無しさん@ピンキー:2010/09/08(水) 22:40:47 ID:WGh5g/N7

181 :名無しさん@ピンキー:2010/09/08(水) 21:45:26 ID:o/LQkBPy
経験がないときは綿密な取材が代わりになるよ!
このスレが唯一の取材の場なこともあるんだから、取材の邪魔はしないでスルーすればいいのに

ところで
どうしよう、俺の行ってるスレ、過疎でほとんど発言する奴いないんだが、
近頃書き手に対する暴言を吐く奴がいる…。
一週間間隔で2回落としただけで細切れ投下されても困るとか…
書き手だって、あんまりスレが寂しいから間隔あけて投下が続くようにしてるのかもしれないのに
俺が楽しみにしてた話なだけにがっかりする
ここで書き手擁護しても更に荒れるだけだし、だんまりを決め込むしかないのかな?

そのスレに投下する予定のSS書いてるんだが、投下する勇気が折れたw
そろそろ自サイトでも検討するか
…って見てるだけの(読み手としてGJはしてるよ!)俺がこんなに凹むってことは、そいつ荒らしかな?

182 :名無しさん@ピンキー:2010/09/08(水) 21:51:03 ID:sHD5k3ey
2・3レスの超短い話をぽつぽつ落としてるなら纏めて書け、細切れ乙と言われても仕方ない。
逆に7レス以上とかのそこそこ量がある投下なら何も悪いことではない。
77名無しさん@ピンキー:2010/09/09(木) 18:40:09 ID:6icgvmKO
どうでもいいが、お姫様がドレスの裾を乱してハアハア言う話が読みたいお(´・ω・`)
78名無しさん@ピンキー:2010/09/10(金) 10:35:26 ID:CVxmOlUE
>>77
走らせりゃいいんだな?
79名無しさん@ピンキー:2010/09/10(金) 17:20:22 ID:SHyLsa2B
>>78
ちょw
まあ、それでもいい。
80名無しさん@ピンキー:2010/09/11(土) 22:18:22 ID:boo3iOpL
覇王の孫娘
リューティル×キルシェ
エロ本番




「あれ、キルシェさんも来てたの」
宿の一階に下りるとカウンター越しに見慣れた顔の少女がこちらを見て声を上げた。
リューティルと同年代の少女で名前をエッジというワーキャットの少女だ。
ただその肌は褐色に日焼けしており、いかにも海の男ならぬ女の子。
ワーキャットのトレードマークである耳をピンッと立てて腕を組んだ。
「母ちゃんからは聞いてなかったけどなぁ?おーい、リーチェ、名簿」
少女がカウンターの奥に声を掛けると、名簿を抱えた女の子がやってきた。
こちらはエッジの妹のリーチェルだ。
「めいぼ、めいぼ、はい、エッジ姉ちゃん」
「よーし、んでキルシェさんは宿泊する?つーか、するよね?
こんな時間だし。朝御飯付きにしとく?リュティと合わせて4名にしとけば割引で安くなるし。
リュティ達の宿泊期間はあと2日になってるけど、合わせるとさらに安くなってお得だよ?」
「あ…ああ、任せる」
エッジは『毎度ありがとうございます』と営業スマイルで名簿にチェックしていく。
元々素質があるのか、なかなかに商売上手な少女であった。
「部屋はリュティと同部屋で決定ね。そこしか開いてないし。後は他のお付きの人と相談して」
矢継ぎ早に言って、少女は名簿を閉じた。
「ちょっと待て…姫様と同室などと、セイヴィアと同室にしてく――――――」
その言葉を遮ってエッジは言った。
「だから、問題があるんだったらお付きの人と部屋を交換すればいいだろ?
頭固いよキルシェさん、それくらいの事でこっちは何も言わないから安心しな」
「し、しかしだな――」
さすがのキルシェも物怖じしないエッジには言い返すことができない。
「それでいいよ。エッジ、出店の案内よろしくね」
リューティルが間に入ってようやく話がついた。
「りょーかい。バイト料分はきっちり働くから任せて。先週から海神の祭りやってるから人が多いしね」
エッジはボナパルトと可愛く刺繍されたエプロンを外すとカウンターをひょいと飛び越し、リュティ達の前に立った。
「では、このボク、エッジ=ボナパルトがお二人の夜のデートの先導をさせていただきま〜す」
「だ、誰が…デートだ!私はただ姫様の――――――」
真っ赤になって怒鳴るキルシェ。
「はいはい。キルシェもエッジの冗談に突っかからないよーに。ね?」
81名無しさん@ピンキー:2010/09/11(土) 22:19:16 ID:boo3iOpL
夜の大通りは昼間のように人通りが多く、活気づいていた。
祭りの関係だろう。観光客が涼しげな格好をして食事や屋台を楽しんでいる。
「メインストリートは人が多いし、店も落ち着いてみれないから、裏の方がいいんだ。こっち、こっち」
エッジに案内された裏通りは地元の若者達の憩いの場となっていた。
いかつい漁師のおじさん達が野外の酒場で賭け事に興じていたり、軽快な音楽に合わせて
若者達がダンスに興じていたり、表通りとは違った活気があった。
「よォエッジ、随分格好いい兄ちゃん連れてんじゃねぇか。そっちのお嬢ちゃんも」
煙草をくわえた女性が露店から声をかけてきた。
「おばさん、こんばんは。今夜はお客さん連れてきたんだ。
リュティ、ここのアクセサリーは一押しだよ。東洋の珍しい物がたくさんあるよ」
「ほんとだ。首都じゃ見たことないのばっかり」
露店に飾られている耳飾りや装飾品は大陸では見ないモノばかりだ。
キルシェも東洋の短剣や剣に目を向け、その美しい装飾に関心の言葉をあげていた。
「この緑色の耳飾り、可愛いね…お土産にしようかな。あ、こっちのネックレスもいい〜♪」
「この剣の刃……大陸の剣より鋭い…実に美しい反りですね。こちらに短剣も…」
「こっちの貝のアクセサリーも変わってるね」
ワイワイと珍しい品物に実に楽しそうな面々であった。
その後、いくつかの夜店や穴場の店などをまわり、
すっかりご満悦のリューティル一行は砂浜が見える野外露店で涼んでいた。

「ボクのお母さんから聞いた話だけど………大戦後、しばらくこの辺りは甲殻を纏った海洋生物がウヨウヨいたらしいんだ。
ほとんど退治したんだけどその亡霊がいまでも時折、出るらしいよ。あ……キルシェさんはこういう話、嫌いだっけ?」
「バカバカしい、亡霊など……姫様、申し訳ありません、その…お手洗いに」
「一人で大丈夫?怖くない?着いていってあげようか?」
リューティルにからかわれて、顔を赤くしたキルシェはぷいっと余所を向いて言った。
「………結構です」
キルシェが店のお手洗いにトボトボと歩いていく。エッジはジュースを飲みながら、ふと言った
「クセェクセェ…リュティから非処女のニオイがするなぁ」
「ぶっ!?い、いきなりだね……エッジ」
「いやぁ〜いつまでもお転婆姫と思っていたら…ヤることはヤってるんだねぇ〜
うん、うん、ボクは嬉しいよ」
「エッジは好きだね…そういう会話…」
「だっておもしろいじゃん。でさ、でさ、相手はキルシェさんでしょ?どんな感じなの?
大きい?上手いの?お姫様だからリューティル×キルシェなの?それとも逆?」
「ノンノン、秘密でーす。いくらエッジでもそれだけは秘密」
「え〜、教えてよ。教えて〜」
色恋沙汰が大好きなワーキャットの願いは空しく夜風に消えていった。
82名無しさん@ピンキー:2010/09/11(土) 22:20:18 ID:boo3iOpL

「あ、おじょーさま、お帰りなさいませ」
店番をしていたリーチェが愛想良く挨拶をした。
リューティルは可愛い店番の頭を撫でた。
「ははは、ただいま。その挨拶はイツファさんに教えて貰ったの?」
次に入ってきたのはキルシェ
「お帰りなさーい、パパ♪」
「だ、誰がパパだ。私はただの客だ!それにそんな年齢ではない!
まったく、イツファさんはどういう教育を……ブツブツ」
そして最後にエッジ
「お帰りなさいませ、おじょうーさま?」
「おい、リーチェ…今、疑問系にしただろ?」
ぐいぐいと首を絞めるエッジに軽く挨拶をしてリューティルとキルシェは二階へと上がっていった。

「姫様、部屋割りですが…」
リューティルの宿泊する部屋へと土産や購入した品を置き、キルシェは言った。
「ああ、キルシェと私ね。」
「は?な、何を仰っているのですか!?私とセイヴィアでしょう?」
リューティルの言葉にぎょっとするキルシェ。
「キルシェこそ何言ってるの?あの二人の邪魔をするつもり?たぶん、今、真っ最中だよ?」
「なっ…何を」
「それで、これから私達も。ねぇ、キルシェ……心配して来てくれたんだし、ケンカの後は
いつも燃えるもんね?」
「ひ、姫様、いけませ――――――」
あわあわとあわてるキルシェにリューティルは甘い吐息を乗せて言った。
―――チュッ―――
「私が言ってるんだから、逆らわないの。次に拒否したら反逆罪で処刑だからね」
くすくす笑って、リューティルはキルシェの頬に啄むようなキスを繰り返した。
「なっ…ひ、姫様……」
「いやぁ…キルシュが可愛いいなぁって思って…私のおっぱい…少し大きくなったんだよ?わかる?」
するすると私服の前を開き、下着を晒す。
「そ、そんな……ふしだらな…質問は」
絶対の忠誠の元にリューティルに仕えるキルシェ。だがそう言っても立派な青年だ。
年頃の姫の肌に情欲の念を抱かぬわけではない。
83名無しさん@ピンキー:2010/09/11(土) 22:21:05 ID:boo3iOpL
「ふふん…でも、ここは正直なんだよね」
リューティルの手がキルシェのアソコをズボンの上からぐにゅっと触った。
「あっぐぅ!ひ、姫様…わ、私は仕える身です。主君と交わるなど、それは許されないことです」
「そうかな?兄様が立太子されて父様の跡を継ぐから、私は比較的自由なんだよ。
それに今更でしょ、毎回その台詞言ってるよね?…聞き飽きちゃったよ。
大丈夫、もしキルシェとの間に赤ちゃんできても皆、祝福してくれるって」
「そんなワケないでしょう!大問題ですよ!」
「また、そんな事言って…私が純血を捧げた相手なんだから、観念しなさい。」
「た、確かに…それは光栄ですが……わ、私は」
「ふふふ、毎回、そういう反応だからキルシェは頑固って言われるんだよね。
でも、そういう意味での頑固は好きよ」
リューティルはキルシェに身を預け、耳元で囁いた。
「キルシェ…主君として貴方に命じます…私の唇にキスしなさい」
「あ…う…ぎょ、御意」

「ん…ちゅ…あ…」
「はぁ…う……ひ、姫様…うっ」
ベッドに腰掛け、その足元に踞るリューティルをキルシェは直視できずにいた。
己の勃起したペニスを口と手で奉仕する主君を見るだけで思わず射精してしまいそうになる。
必死に目をつぶり、頭中で考えるのは、先日言い争ったメイド連。
ワーウルフは容姿こそ良いがキルシェにとっては性欲の対象外だ。
ティニーやアリアの容姿を浮かべるだけで射精感はなんとか押さえることが出来る。
「キルシェ……私って下手?…いつもにゃかにゃか…らさないひ気持ち良いところ……
んっ…はぁ、責めてる…ちゅ…ちゅもりなんらけど」
「ひ、姫様…く、口に含みながら…うぐっ」
「ふふ…じゃ、喋らないで集中するね…」
リューティルは手で扱きながら、口をすぼめ丹念に吸い、先端を舌で責め続けた。
「あっ…ああっ、ひ、姫様…い、いけません…は、離して」
「ええ〜イけないの〜♪」
キルシェのペニスがさっきよりも太く熱く、そして太くなっている事をはっきりと感じた
リューティルは袋を手で揉みほぐしながら、裏筋に舌を這わせた。
「あが…だ、ダメです…ひ、姫…さ――――――」
「いいよ…らひても…飲んへあひぇる…」
キルシェが天を仰ぎ、腰を引いた。しかし、それは一瞬遅かった。
結果は最悪。リューティルの顔にキルシェの精液がぶちまけられた。
キルシェの白濁液は普段からオナニーしていないのではないかと思うほど濃く、
液と言うよりは糊のような塊がリューティルの顔を汚した。
「ああ…ああ…ひ、姫…姫さ…ま…うっうう」
しかしキルシェは主君の口淫によって口内射精を回避できたと
思いこみ、その達成感に満足しているのか目を閉じ、荒い息をついている。
「あーあ……私の顔、汚されちゃった…髪もカピカピ…酷いなぁ…キルシェ」
84名無しさん@ピンキー:2010/09/11(土) 22:21:40 ID:boo3iOpL

「ん…ひ、姫様…」
「私の顔を汚した罰として、第一皇女の権限でキルシェに私との性交を命じます。異論は?」
「あ、ありません…」
騎乗の姫は口元をフフンと吊り上げ、言った。
リューティルはその血の成せる技か、女性優位なこの体位が好きなようだ。
「ん…よろしい……んっ、あ…は」
リューティルの秘所は充分に潤っており、キルシェの先端部分を簡単に飲み込んだ。
隙間なくキルシェの亀頭に密着する狭い膣口に、「あ…うぐ!」とキルシェはうめき声を出す。
「では!」
リューティルは一瞬の間を置いて、一気に腰を下ろした。
「はぁ……ぐうう!」
ぐちゅっと淫らな粘着音を上げて、キルシェのペニスが完全に飲み込まれた。
「は…あ…ひ、姫…」
ドクン…ドクンと膣内で大きくペニスが震えた。
「ん…あは……キルシェの…おっきい」
「だ・・・だめ…です・・・・」
このままイきたい、わだかまる精子を姫の膣内にぶちまけたいという願望と
いくら迫られたとはいえ、何度も汚すことは避けなければならないという忠誠心。
そんな事を知って知らずか、リューティルは腰を動かし始める。
「あはっ…んっ……気持ちいいよ…キルシェも…素直になって、私のここに忠誠を尽くして」
キルシェの上に座れば、ペニスの先端は膣内を押し上げる。
リューティルはその感触を味わうため先端の部分まで腰を持ち上げ、一気に落とす。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
キルシェも必死になって快楽に抵抗する。
目の前には薄褐色に焼けた四肢と境界線を引いたような真っ白い胴体がある。
リューティルが動くたびに桜色の突起をもつ淡い二つの膨らみぷるんぷるんと揺れ
結合部からはぐちゃぐちゃと卑猥な音が聞える。
「どお?キルシェ、興奮する…海に来ると…んふっ…こういう風に焼けるんだよ?」
「はっ…あぐ…!!」
キルシェは目を瞑り、歯を食いしばって耐える。
しかし身体はもう意志とは無関係に腰が動き、下からリューティルを突き上げる。
「あはっ…はっ…キルシェの身体も素直に…ん…なってきたね」
そう言うとリューティルはベッドの上から立ち上がり、床におりた。
続けてキルシェも立ち上がらせると、リューティルはベッドに両手を着き、お尻をキルシェに突き出した。
「今度は後ろからお願い。思いっきり動いていいて」
「はぁ…はぁ…ひ、姫…様」
キルシェは反りかえりすぎるぺニスをつかみ、リューティルの後ろに立つ。
瑞々しい桃のような尻にもくっきりとした境界線が引かれていた。
「ひ…姫様…の……」
キルシェ早熟な胸にはおとるものの、立派にもりあがった尻肉にたまらない魅力を感じていた
ゴクリと生唾を飲み込む音がはっきりと聞こえた。
「…両陛下………お、お許し…下さい」
キルシェはリューティルの腰をぐっと引き寄せ、ピンクの割れ目に先端を合わせた。
「おいで、キルシェ」
85名無しさん@ピンキー:2010/09/11(土) 22:22:25 ID:boo3iOpL

「あんっ…あはっ…あああっ!」
「うっ…ぐう…んん」
パン生地のように柔らかいリューティルの尻に腰を打ちつけ、キルシェは呻いた。
耳をつくリューティルの嬌声がさらに興奮を高める。
キルシェはリューティルの腰を掴み、下腹部を尻に叩きつける様に激しく動き出した。
「あっああっ!はげし、激しい…キルシェ」
「申し訳ありません。もう止められ――ん、ああっ…ん、ううう」
語尾を強めたキルシェはリューティルの腰を
抱きかかえるように掴むと腰を叩きつけた。
「あううっ!あっあっあ」
ズッズと突かれる度に前のめりになるリューティル。
キルシェは背後からぷるっぷるっとはねまわるリューティルの胸を
撫でるように愛撫し、その乳首を搾乳するように指で扱きあげた。
「あ、やあっ!」
「姫様、姫様…」
キルシェはリューティルの両肩を掴み、そのうなじにむしゃぶりついた。
「はあっ…そこ…私…よわっあん!」
リューティルはベッドに突っ伏すようにして倒れ込んだ。
「さ、最後…ベッドの…ううっ…上で」
リューティルは突き上げられるたびに、ベッドの上へ、上へと押し上げられるように動いた。
「はぁはぁ…んっく…う…うっ!」
ベッドの上に這うようにして動くリューティルの背中に密着し、キルシェは腰を上から尻に叩きつけた。
むにゅむにゅとした柔尻の感触、膣壁が熱いアレで擦られる快感は何物にも代え難く、抗えない。
「も…もうダメです!」
「んっ…いいよ、キルシェ、そのまま…あはっ…あっわ、私…あっはああっ!」
リューティルが先に達し、膣口がキュウウと収縮した。
あまりの締めつけにキルシェはリューテイルを背後から抱き締め、
そのもり上がった尻肉に腰を叩きつけた。
「で、出る!ひ、姫様!」
キルシェが眉間に皺を寄せ、歯を食いしばった。
どぶっという音に続いて堰が決壊したような射精がリューティルの膣内を直撃した。
「あっんっんんんううう熱い、熱いよキルシェのんんんっ!」
圧倒的な放出感に打ち震える腹部。体内に埋め込まれたモノから猛々しく放出される
熱い液体が広がっていく感覚。キルシェが快感に打ち震える顔。
身体に感じる体温がとても心地よかった。
「姫様…姫様…」
ビクンビクンとひきつる腰。キルシェも収縮を繰り返す膣口のヒダにペニスを
絡め取られ、ぐちゅぐちゅと搾り取られる快感は脳がとろけそうなほど甘美だった。
まるでペニスから魂が吸い取られるような極上の快楽。
またリューティルの体内に埋め込んだ分身から淫らな音を立てて放出されるたびに
甘い声を発し、悶える姫の顔はこの上なく美しく、また愛おしかった。
仕える主人を組み敷き、その尻に欲望を叩きつけ、体内に射精した情欲が雄の征服欲を満たしていく。
「はぁ…はあ…はっ…」
しばらくそのままで両者は動けなかった。先に動いたのはキルシェだ。
萎えたペニスをずるっと引き抜き、荒い息をつくリューティルから離れた。
「んっ…あ…」
目の前には淫らな性交を終えた皇女が俯せになっている。
尻の谷間から時折、どろっと逆流してくる白濁液、乱れた髪、身体のいたる所につけられた唇の跡。
「……私のお尻…視姦してるところ…悪いんだけど…タオル濡らして持ってきてくれないかな?」
「は、はい。も、申し訳ありません!」
あわてて部屋を出るキルシェ。それを確認してリューティルは身を起こした。
「……ん…ぅ」
起きあがった反動で膣口から太腿をつたって精液が垂れ落ちた。
「エッチだ……すんごくエッチ…でも生で出してもプリンおばさんの術で
できないようになってるんだよね……キルシェに悪いことしちゃった」

エピローグへ続く
86名無しさん@ピンキー:2010/09/13(月) 07:06:05 ID:1+dIVLmi
>>85
GJ!姫様エロいぜ!
エピローグ楽しみに全裸してます
87名無しさん@ピンキー:2010/09/16(木) 10:17:30 ID:OjKkaocZ
>>85
亀だけどGJです!
キルシェは、強く出てるようでいて、ベッドに入ると受けになっちゃうとこが
パパにそっくりw
やはり、主従と言うより惚れた弱みなんでしょうかね。
エロい上に実は一途な姫様も可愛い。
88名無しさん@ピンキー:2010/09/18(土) 02:07:32 ID:GvQMvxE3
覇王の孫娘
エピローグ






「――――――何、またリューティルが?」
「…も、申し訳ございません。皇后陛下」
旧・帝国領の首都にそびえる城の一室で頭を垂れた騎士が恐縮した面持ちで答えた。
「ふむ……困ったものだな」
皇后は「はぁ…」と短いため息をつき、こめかみに手を当てた。
「私がキルシェをお目付役に推挙したのが間違いでした。な、何とお詫びすればよいか…」
その騎士のトレードマークでもある紅い髪がビクビクと震える様は見るからに哀れだ。
「いやいや、キルシェが悪いワケではない。あのじゃじゃ馬がよこす便りには
よく仕えてくれていると毎回のように書かれている……我が娘ながら……人を見る眼は確かだ。
そなたが詫びる必要はない」
「は…で、ですが…」
「今回の件か?」
「は、はい」
皇后は事の詳細が記されている報告書に目を通した。
89名無しさん@ピンキー:2010/09/18(土) 02:08:07 ID:GvQMvxE3
「ふむ……ヘスタプリン…いや、宰相はどう思う?」
側に控えていたダークエルフの女宰相に皇后は意見を求めた。
「ええ、特に問題はないかと思います」
あっけらかんと答える宰相。その言葉に女騎士はがばっと立ち上がって言った。
「な、何を申されますか!宰相殿、わ、私の…い、いえ我が子息が皇女殿下と、そ、その海に
行ったのですよ!他の従者はたったの2人!しかも宿泊した部屋は2部屋と言うではないですか!」
「ええ、だから特に問題はないと思うのですが?キエルヴァ殿、何か問題でもあるというのですか?」
きょとんとした宰相に女騎士はぶるぶると拳を震わせながら言った。
「さ、宰相殿……男女が一つの屋根の下で2日も宿泊を共にしたのですよ!?ま、間違いでもあったら!」
「なるほど。しかし貴女のおっしゃる『間違い』の真相は確かめようがないでしょう?
ご本人に聞くわけにもまいりませんし。もし、借りに貴女のいう『間違い』があったのなら、
一ヶ月くらいすれば皇女様のお腹が大きくなっているでしょうから、それからご子息を咎めればよいのではありませんか?」
「な、何を言っているのですか!そのような事態になれば咎めてどうにもならないではありませんか!?」
女騎士が顔を真っ赤にして反論したが、それを遮るように皇后が神妙な面持ちで静かに言った。
「……その場合は……キルシェに責任をとってもらうか……」
「そ、そんな……ざ、斬首ですか…い、一族郎党だ、断絶ですか…」
皇后の言葉に女騎士は実に悲壮な顔をした。
「いや…そんなつもりはない、責任というのは婚儀の……だが王がな…娘を愛して病まない王が何と言うか…」
皇后は太子を連れ、諸外国を訪問中の王の顔を思い浮かべた。
「ああ、確かにその問題がありました。皇女様がお生まれになった時、『結婚する男は私に剣で勝った者だけ』
とか言ってましたし…もし婚前交渉などの事実があったら…」
「ああ……史上希な……実にくだらん御前試合が開かれそうだな…」
げんなりとして皇后が言った。
「と、とにかく…こ、この事はここにいる陛下と宰相殿、そして私だけの話に…」
「そうですね。お兄様に知られたら、『御迷惑をおかけしました』と書き残して自害しそうですし…
もし、王に知れようものなら全騎士団を率いて、リューティル様が下宿されている屋敷を包囲しそうです」
「ああ、あり得る話だな……はぁ…誰に似たのやら…じゃじゃ馬め」
皇后は再度、深いため息をついた。
90名無しさん@ピンキー:2010/09/18(土) 02:08:34 ID:GvQMvxE3

「で、実際のところどうなのです?」
自室に戻った宰相は一人で呟くように言った。
「はい……宰相様の読み通りです」
壁に掛けてある絵画から聞き慣れた声が聞こえた。
「そうですか…エッジさんには悪いことをしましたね」
「いえ、皇女様と親しいエッジは何も知りません。探りをいれたのは、その下の妹の方ですから」
それには宰相も驚いたようだ。
「そうなのですか」
「ええ。私の血を一番強く引いていると思います。もしかしたら私以上の間者になるかもしれません」
「それは楽しみですね……まぁ、キエルヴァさんのいう『間違い』は杞憂に終わるのですが……
心配事といえばキエルヴァさんの胃に穴が開くか、開かないかぐらいでしょう………
貴女の宿の方は盛況なようですね。よいことです」
「あははは…おかげさまで…息子や娘がよく手伝ってくれますし、旦那の料理も評判で」
「では今回の報酬はこれで……海の宿……いつか私も行ってみたいものです」
「大歓迎ですよ、宰相様……というか、宰相様はまだご結婚はされないのですか?」
「伴侶…となる人はいるのですが…まだ、しばらくは…」
宰相は微笑んで言った。
「はぁ…さいですか。では、私はこれで」
「ええ、御苦労様でした」
気配が去るとシーンと静まりかえった執務室。
ヘスタプリンは椅子にもたれかかると腕を組んだ。
「結婚かぁ……一族の姫というのは大変です」

END
91名無しさん@ピンキー:2010/09/19(日) 08:26:36 ID:1unZKJWR
GJ!!!!

パパは親衛隊で包囲しちゃうのかw
キルシェも弱くはなさそうだけど、かつての勇者様が相手じゃなあ…
いざとなると覇王の孫で勇者の娘の姫様が一番強そう。
なんにしてもみんなが幸せそうで良かった。
92名無しさん@ピンキー:2010/09/19(日) 22:35:56 ID:h3HmSof7
覇王の娘〜は一応、これで完結。

ハッピーエンドなオリジナルは久しぶり。
基本的に他人様の設定を借りて書く書き手だったので読んでくれた方には
本当に感謝してます。
どうもありがとうございました。
93名無しさん@ピンキー:2010/09/21(火) 18:37:41 ID:MrVPwlAA
>>92

GJGJ! 完結お疲れ様ー
また機会があれば投下してくだされ
94名無しさん@ピンキー:2010/09/26(日) 00:56:50 ID:0ED3Hv+k
誰か大乱交仮面舞踏会を開いてくれ
95名無しさん@ピンキー:2010/09/26(日) 02:01:09 ID:Badw0Yjg
三日で書き上げるので待っていて下さい
96名無しさん@ピンキー:2010/09/26(日) 03:45:42 ID:/ZwjaDJ4
大乱闘仮面武道会でよけばww
97名無しさん@ピンキー:2010/09/29(水) 00:42:24 ID:TGcTIHa3
>>95期待
98名無しさん@ピンキー:2010/10/02(土) 06:26:23 ID:dMrGcUin
そろそろ?
99名無しさん@ピンキー:2010/10/04(月) 00:07:52 ID:YLimVQzg
やっぱりお姫様は縦巻きロールだよ
縦ロールの束を引っ張られながら犯されている所が見たい

猫みたいな顔立ちで三白顔のお姫様がいい
100名無しさん@ピンキー:2010/10/04(月) 18:52:07 ID:Xuj7Njkt
[姫君と見習い魔術師]の人はもう2chにはいないのかな
101名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 05:10:33 ID:eh77ePnG
犬の人も他スレでも書いてないぽいya
102名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 00:25:38 ID:1P6n8yR5
そういう拘りが、反発を呼んだんだろーよ
103名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 14:12:31 ID:i2ZvovYR
特定の職人に付き纏うのは迷惑行為じゃね
104名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 23:15:44 ID:WR+sCLLV
保守
105名無しさん@ピンキー:2010/10/15(金) 14:25:14 ID:pwR6lG4a
保守保守保守保守保守ほh
106名無しさん@ピンキー:2010/10/22(金) 22:35:33 ID:UiPaU01q
保守
107名無しさん@ピンキー:2010/10/23(土) 11:31:04 ID:LP08P3wc
姫様の設定とかあったら何か書いてみたい。
108名無しさん@ピンキー:2010/10/23(土) 19:31:44 ID:32QwfXnF
リクエストを募るって事か?
109名無しさん@ピンキー:2010/10/23(土) 19:50:25 ID:nMA4wJke
んじゃ、今までこのスレになかった方向性のお姫様で
110名無しさん@ピンキー:2010/10/23(土) 23:59:26 ID:LR0tjB1l
武闘派な姫はいたかな?
111名無しさん@ピンキー:2010/10/24(日) 11:45:03 ID:grsJWS4t
ネットで知り合った外国人男性と
いい仲になった少女。
彼は実は某国の王子だったという玉の輿姫。
112名無しさん@ピンキー:2010/10/24(日) 22:39:00 ID:0sisST0Z
それは姫じゃないだろ
113名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 13:36:22 ID:AxZZnLdg
シーランド並の小国の姫だったんだよ!
114名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 14:03:22 ID:vkOQCiuz
むしろ王子のビジュアルが…
北の某国の後継者を想像してしまった。
115名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 17:18:45 ID:xyrfwX20
>>114
後継者の方は知らんが、脱落したまさおの方ならありえなくもない
116名無しさん@ピンキー:2010/10/26(火) 04:21:52 ID:xvCQm7Nd
極悪独裁者の後継者である一人娘と、民衆のためにクーデターを企む青年将校の純愛で
117名無しさん@ピンキー:2010/10/26(火) 07:01:23 ID:/9LCizf4
姫×女騎士みたいなのって需要あります?
OKなら書いてみます
118名無しさん@ピンキー:2010/10/26(火) 07:47:22 ID:HzUpDa92
百合オッケーかってこと? 特に問題ないと思うよ
どうしても不安なら、百合スレに投下してから、こっちでも教えてください
119名無しさん@ピンキー:2010/10/26(火) 15:34:01 ID:8/2e2GcO
女騎士を愛している姫にペニスが生えて犯すヤツ何かの漫画にあったな。
姫が魔王で犯すと魔族化(頭に角が生える程度)
するという当時にしてみれば斬新な漫画だった気がする。
120名無しさん@ピンキー:2010/10/26(火) 22:19:59 ID:11zua5VX
>>116
何それ萌える
121107:2010/10/27(水) 00:35:55 ID:uequ/3W6
>>116
この設定で書かせて下さい。厳密にいうと1人娘ではなくなりますが、…

>>覇王の娘作者様
申し訳ないんですが、
自分が考えている世界観にぴったりなので
設定をお借りしたいのですが構いませんか?
122名無しさん@ピンキー:2010/10/27(水) 11:29:31 ID:JP2jCZ5F
そろそろ潮時なんかな
123名無しさん@ピンキー:2010/10/27(水) 11:30:31 ID:JP2jCZ5F
てーかさ
考えている世界観なんてものがあるのなら
別に他人から借りなくてもいいよな
いいよな
124名無しさん@ピンキー:2010/10/27(水) 11:40:34 ID:YwVSNUdj
二次創作がしたいってこと?
125名無しさん@ピンキー:2010/10/27(水) 15:16:35 ID:rYByqm+9
>>121さん
覇王の娘〜の作者です。
自分はこのスレが活性化して楽しんでいただければ
いいと思っていますので世界観設定に関してはどうぞ。
他の方が書かれる自分の作品は楽しみです。
126名無しさん@ピンキー:2010/10/29(金) 01:24:14 ID:EWqbgvbD
期待してます
127名無しさん@ピンキー:2010/11/01(月) 00:12:53 ID:CpOneQy7
>>107で書いた者です。
前編が出来ましたので投下します。







かつて大陸を支配した王も、元を正せば大陸南部を拠点とした小国の君主であった。
軍馬に跨り、戦場を駆ける君主に常に付き従う者が二人いた。
一人は後に君主の妻となる女騎士。
もう一人は軍師として仕える、青年。
幼い頃より共に笑い、泣き、苦楽を共に過ごした親友であった。
やがて君主は大陸を平定し、強大な帝国を築く。
女騎士を正妻として迎え、軍師として仕えた青年も妻を迎えた。
帝国は益々、栄えるはずだった。しかし、君主は全ての頂点に立つ者として
『大陸に平穏を保たねばならない、再び戦乱の世に戻してはならない』という思いがあった。
いつの頃からか……誰かがこの座を奪うのではないか?…と君主は人の心を疑うようになった。
今、この座を奪われては、再び大陸は戦乱の世に戻ってしまう…と人の心を疑う思いが日に日に強くなっていった。
そして王の心が闇に閉ざされるきっかけを作ったのは皮肉にも、王の世継ぎが誕生した日だった。
側室を持たなかった王には待望の世継ぎであったが、生まれたのは元気な女の子であった。
さらに王妃の産後の容態が思わしくなく、そのまま帰らぬ人となってしまった。
幼い赤ん坊を前に王は、一つの結論に辿り着く。

疑わしき者は全て消さなければならない。

そして謀反を疑われた者は全て処刑された。その中には無実の罪を問われた者の少なくはなかった。
あまりに度が過ぎた粛清に対して、かつて軍師は君主に諫言した。
しかし、もはや疑心暗鬼の塊と化していた君主はその軍師を筆頭にその一族郎党を全て処刑してしまった。
王は自ら親友を処刑した事で自責の念に駆られたのか、ようやく冷静さを取り戻したが既に時は遅く
王は臣下、万民から『魔王』と呼ばれ、恐怖の対象となると共に多くの怨恨を背負った。
128名無しさん@ピンキー:2010/11/01(月) 00:14:01 ID:CpOneQy7

「……有能な将校さんはこんないい部屋で寝泊まりできるのね」
朝の日差しが差しこむ部屋で若い女性がくるまったシーツから顔を出した。
「ははは、何度修理しても雨漏りする兵舎が懐かしいよ」
「贔屓だわ。とっても贔屓。同じ王に仕える身なのに」
「ルナは近衛騎兵団の副長だからね、俺とは武勲の数が違うのさ……」
既にベッドから出て、制服を身につけた青年騎士が水差しと2つのグラスを持って来た。
「……気兼ねなくシャワーが浴びられる貴方が羨ましいわ」
ルナと呼ばれた女性が半身を起こしてグラスを受け取る。
群青色の髪に赤い瞳が印象的な女性だ。何気なしに水を飲んでいるだけなのに不思議と見とれてしまう。
「私なんて身体を拭くのがやっとなのに……ん?…やだ」
青年の視線に気付いたルナはシーツから覗いている乳を隠し、顔を赤らめた。
「あ、ごめん……そんなつもりじゃなかったんだけど」
「もう……」
近頃は帝国内外で兵士の行き来が激しい。
その理由は帝国に反旗を翻す部族や小国によって帝国領内の街道が寸断され、物品の流通に支障が出ているからだ。
特に貴重な真水や塩などの供給がここ数日、滞っている。先に大規模な暴動が街道で起こったためだ。
さらに国境外の少数民族及び、森林地帯のエルフ、地下探鉱のドワーフ達が同盟を組み、着々と軍備を進めているという。
また帝国内でも一部の者達がその同盟組織と内通しているという噂がある。果ては王の暗殺まで画策しているとか、ないとか…
「なら前線の部隊に転属するかい?ルーナンティ=エレオノーレ君。
我が第1騎兵団は君を歓迎するよ。毎日、乾燥豆のスープに塩漬け肉と水割り酒のフルコースで」
水を飲み干した女性は軽く笑って
「遠慮しておくわ。キース=フィリップマン第一騎兵団長…………もう行くの?」
「ああ、朝議の時間だからね。シャワーは自由に使うといい。じゃ、また後で」
「ありがとう、いってらっしゃい」


「失礼致します。お呼びでしょうか」
「………入れ」
城内に設けられている塔の中で、最も高い塔の一室
城下が一望できる部屋の主にルーナンティは低い声で入室を告げた。
「ルーナンティ=エレオノーレ近衛騎兵副団長であります」
「………近くに寄れ」
暗い室内で椅子に座す男の声にルーナンティはゆっくりと歩み寄った。
「ここ最近、お前に命じた任務の報告書に同じ文字が記されている」
「い、いえ…そのような事は――――――あっ」
男はいきなりルーナンティの尻に指を食い込ませた。
129名無しさん@ピンキー:2010/11/01(月) 00:14:58 ID:CpOneQy7
「事細かに記されているが……要は『成果なし』と言うことだ。これが何を意味するか、わかるか?」
「じ…事実を述べているだけです…わ、私は―――んっ…く」
男の指がさらに下部に伸び、ぐっと上へ突き上げた。
「フィリップマン…とか言ったか…あの男は有能すぎるのだ。それに人徳もあるとあれば計画とやらに携わっているかもしれん。
風の噂では……私を暗殺する計画というではないか。お前をあの男へ近づけたのは、
暗殺計画に関わっているであろう者共を調べ上げるためだ。
それを命じて4ヶ月も経つ…それほど時間がかかっておるのには、他にワケがあるのではないか?
男と女……床を共にする中では寝物語に何を囁いているかわからんからな?特にお前は」
男がルーナンティの眼を射抜くように睨んだ。
「わ、私は……あの者にそのような感情は……んっ…は」
男の手がさらにルーナンティを弄(まさぐ)る。
「我が血を分けた娘で無ければその首をとうに刎ねているところだ。あの男の下で股を開くだけがお前の任務か?」
「……断じて…そんな…心構えではありません…」
「お前の身体には母親と同じように淫らな血が流れているのだ。男を狂わせるセイレーンの血がな。
その能力(チカラ)を使ってもこの程度とは……」
男は報告書の束をルーナンティへと投げつけた。宙を舞う紙の中でルーナンテイは静かに言った。
「…母は貴女を愛していたと………ち、父上」
ルーナンティは目を閉じ、震える声で答えた。
「何だ、それは?」
しかし、男は殺気を帯びた声で答えた。
「――――――し、失礼しました。陛下」
「お前の存在は、私しか知らん。この世で私の血を正統に受け継いでいるのは第一皇女のみ」
「………はい」
「あと一週間の猶予を与えてやろう……その汚れた雌犬の身体をもって、忠誠を示せ。
もしも、あの男が計画にたずさわっていたとしても…あの男だけは生かしてやる。
舌を抜いて生かせておけば裏切りの憎悪の矛先は全てあの男に。お前もその方が楽しめるだろう?」
「……し、承知致しました。計画の首謀者、必ずや……」
「その言葉、努々、忘れるな……」
130名無しさん@ピンキー:2010/11/01(月) 00:16:16 ID:CpOneQy7

「………」
数日後、首都の郊外の娼館がひしめき合う地区をキースは歩いていた。
「ねぇん、騎士さまぁん、お願い、私を買ってくれないかい?」
一人の街娼が腕を絡ませてきた。大きく開いた胸元を見せつけるよう言った。
「ああ……そうだな」
「ふふふ…『料金は』?」
「『それ相応で』………ハンナ、集まっているか?」
「そこの角の酒場よ。あと1時間は巡回の兵士が来ないわ」
娼婦はボソとキースに呟くようにいうとさっと路地へと入った。
酒場のドアを3回叩き、さらに3回叩く。するとドアが開いた。
「遅いぞ、キース。お前が最後だ。皆、揃っている」
ドアを開いたのはルーナンティの上司である近衛騎士団長のハリーだった。
酒場に入ると帝国の名だたる将校と同盟組織の代表が集結していた。
「遠路痛み入る、この計画の責任者、キース=フィリップマンだ」
「前置きはけっこうです。時間が惜しい、本題に入って下さい」
どこかの少数民族の族長だろうか?どこか気品がある。
美しい青い髪に尖った耳、エルフの女性だ。
「決行はこれより7日後の半月の夜だ。抜け道に精通しているというのは君か?」
キースの視線が一人の男性に向けられた。
「ああ。とある縁でラズライト公に協力している者だ。あんた達よりあの城の構造を知り尽くしている自信はある」
男がテーブルに置いた詳細な城内地図を指し、言った。
「ここに兵舎がある。奥から2番目兵舎の屋根は新築でもしていなければ今も雨漏りがしている。
そして側溝を流れる水は地下水路に流れず、逆流して兵舎の床を水浸しにする…違うかい?」
「……君の素性に興味があるな。正解だ、王を討つメンバーに君が入っている事は心強い」
「王を討つメンバーは申し分ないが…皇女を討つメンバーの編成はどうする。
聞けば、あの王の力を受け継いでいるらしいではないか、生かしておくのは危険だ」
ドワーフの男が言った。これには近衛騎兵団長のハリーが答えた。
「そうしたいのは山々だが、皇女の部屋まで距離がありすぎる。我等、近衛隊の者でさえ
ここには近づけん。皇女直属の者達がガードしている。ここは確実に王のみに的を絞りたい。
王が死ねば、この強大な帝国をまとめ上げることはいくら皇女とて容易ではないだろう?
皇女を討つのは、盟約通りに各部族の代表で議会制を敷き、帝国から自由を取り戻してからでも遅くはない」
「帝国の残党をまとめる事は容易ではない…確かに、あなた方をみていれば納得がいきます」
先のエルフの女性が言った。
「そういう事だ。あとは――――――」
そして最後の会合が終わり、メンバーは別々に散っていった。
残ったのはキースと近衛騎兵団のハリーだけだ。
「いよいよだな……」
「………ああ」
131名無しさん@ピンキー:2010/11/01(月) 00:17:19 ID:CpOneQy7

二人は酒場から出て、城下にある兵士御用達の酒場に入った。
「こうしてお前と二人で話すのは久しぶりだ。近衛騎兵団は都の警備ばかりで暇でな」
葡萄酒が入ったボトルを置き、ハリーは上機嫌に言った。
「お前が近衛騎兵団に入る前に会ったきりか……確か2年も前だな」
「辺境の平定じゃかなり武勲を挙げたそうじゃないか。聞かせてくれよ」
ハリーはキースのカップに酒を注ぎながら言った。が、キースは一口煽るとボソッと呟いた。
「………酷いもんだ」
「ん?」
「国境の外にいる部族は皆、敵に見えてくる。帝国の圧政と無理な併合が原因だ。
彼等は我々を憎んでいる。道ですれ違う荷馬車に弓兵が潜んでいて射かけてきた事もあった。
商品を売る女が箱の中から出したピストルで頭を撃たれたヤツもいたよ」
「………そうか」
「リセを覚えているか?」
「お前の副官だった女だな」
「花売り子供のバスケットに爆薬が仕掛けてあってな…リセの脚ごと吹き飛んだんだ。
俺は必死で彼女の脚を探したよ。
だけど見つからないんだ……俺はもう血まみれのリセを抱えることしか出来なかった。
息も絶え絶えに言うんだよ……『帰りたい…故郷に帰りたい…』って…似たような兵は他にも大勢いた……
そうしてこちら側の報復が始まった。女を殺して、子供を殺して疑わしいヤツは皆、殺した。
『殺さなきゃ、殺される』って自分を納得させながらな」
「もういい、もう終わった事だキース……お前のおかげで故郷に帰れた奴もたくさんいるんだ。お前は悪者じゃない」
「いや、俺の方こそすまん。悪い酒になってしまったな……そんなつもりで話したんじゃないんだ。
こんな戦は早く終わらせたいと思ってな…」
「だが、正直……辺境の平定からお前が戻った時、嬉しかったよ。よく生きて帰ってきてくれた」
「感謝するよ…戦友」
キースはふと言った。ハリーに耳をかすように身振りで伝えると
「ひとつ提案があるんだが」
「どうした」
「ルーナンティを仲間とは言わないが、何とか逃がすことはできないか?」
「エレオノーレをか?冗談じゃない。無理だ。あいつは大した実績もなく王の命令で配属されたヤツだぞ?
貴族の養女とされているが素性は不明だ。息が掛かってるに決まっている。
いくらお前とつき合っていると言っても……それは無理だ」
「……彼女を愛しているんだ。何も知らずにあんな王を守って死ぬなんて――――――
決行の前に何とか彼女だけでも」
「いいか、キース冷製になれ。あの女は俺の副官だ。監視役といってもいい。
彼女は常に俺の側に控えているんだ。決行する時に彼女が生きていたら俺が殺られる」
132名無しさん@ピンキー:2010/11/01(月) 00:22:04 ID:CpOneQy7

「…………どうにもできないのか」
キースは酒が回らない程度に話を切り上げ、自室へと戻った。
決行までの数日間は教育隊での任務をこなすだけだ。指揮下にあった第一騎兵団には新たな指揮官が配属されているが
ただのお飾りにすぎない。何年もの間、戦場を共にした兵士や兵長達は自分の命令に従う。
決起の日は指揮官を消し、首都の主要な機関を制圧する手筈になっている。確かに彼女とはつき合って何ヶ月も経たない。
つき合う事は…今思えば副官の……リセの事を忘れたかったからかもしれない。
ルーナンティの笑顔を見る内に癒されていくような感じがしたのは確かだ。血まみれのリセの夢をもう見ることはなくなった。
だが、王を暗殺することによって再びルーナンティが死ぬような事があっては……
「くそ……」
苛立ちを隠さずにドアを開けた。頬を撫でる一陣の風……そこにいたのはルーナンティだった。
「キース、おかえりなさい」
「あ…ああ…すまない。君が来ているとは思わなくて……外で一杯やってきたんだ。ど、どうしたんだ?こんな夜に」
明らかに動揺している、心臓の鼓動が何かを警戒するように脈打つ。戦場で何度か経験した事がある。
何かがおかしい、自分の身に危機が迫っている。だが、その何かがわからない。その何かとは…まさか――――――
「キース」
その言葉に、キースは思わず声を上げた。心臓が鷲掴みにされるような声。ルーナンティに圧倒されている?
この声と優しく微笑みを浮かべた眼に見つめられただけで?
「抱いて下さい」
ルーナンティは後ろを向き、するするとスカート捲り、下着を着けていない臀部を晒した。
月の光に照らされ、色白の男を狂わせる女の肌はいつもとは違う妖艶な色気を漂わせていた。
例えて言うなら…セイレーンが持つという…魅惑の…否応なしに魅了されるという色気だ。
「ルナ……?」
「貴方が欲しくてたまらないのです」
こちらを振り向いたルーナンティの肢体。まるで神話で語り継がれるような女神がそのまま顕現したような美しさだった。
年相応に実っている乳房も、それを支える胸筋によって張り出し、その頂きでツンと慎ましくも存在を主張している桜色の突起。
大胆にくびれている腰から太腿の艶やかな曲線美、腹部にうっすらと浮かぶ腹筋は男性のような武骨なものではなく
股間部の淡い茂みへと続くなめらかな線を描いている。
「何も言わずに……キース」
それはまさに女神だった。女神には違いないが、魅了した者を
破滅へと誘う深淵の女神、セイレンの化身だった。



>>116さんの極悪独裁者の後継者である一人娘と、
民衆のためにクーデターを企む青年将校の純愛で…
とは若干異なりますがご容赦を。

>>125
覇王の作者様、本当に感謝します。
文体を真似て見たんですが、戦場の雰囲気はどうしても出来ませんでした。
ごめんなさい。
133名無しさん@ピンキー:2010/11/02(火) 17:12:55 ID:i02rbYCy
自演乙。
134名無しさん@ピンキー:2010/11/02(火) 17:40:24 ID:yEcxAPzX
何の自演だよw
135名無しさん@ピンキー:2010/11/02(火) 19:37:55 ID:ZUbuua4J
文体を真似た事
それが精巧過ぎて>>133には自演に見えたんだよ!
136名無しさん@ピンキー:2010/11/02(火) 20:44:11 ID:RVnFSEdq
まあ今更だな
137名無しさん@ピンキー:2010/11/02(火) 21:19:44 ID:yEcxAPzX
なんでも自演に見えちゃう病の人か。
その人に「自分の真似の自演」をして何のメリットがあるんだよw
138名無しさん@ピンキー:2010/11/03(水) 00:04:14 ID:SmiadNFe
誰か感想書いてやれよ
139名無しさん@ピンキー:2010/11/03(水) 01:22:07 ID:2J+8z4sf
設定委ねたとみせてこんな変化球されても
正直どうしていいのか困る
140名無しさん@ピンキー:2010/11/03(水) 02:09:31 ID:xy8bhW71
で、結局自演なの?
141名無しさん@ピンキー:2010/11/03(水) 02:29:37 ID:LcA5g+rP
自演と考える理由が全くない
基地外にしかわからない理論か?
142名無しさん@ピンキー:2010/11/03(水) 02:31:09 ID:nV27sTZ5
他の作者さん来ないかなぁ…中華の姫様好きだったんだけど、もっとエロがみたい
143名無しさん@ピンキー:2010/11/03(水) 02:32:54 ID:2J+8z4sf
そういうのは限がないよ
144名無しさん@ピンキー:2010/11/03(水) 09:14:22 ID:C8LKUfJa
あーあ
指摘しちゃったか
145名無しさん@ピンキー:2010/11/03(水) 17:38:22 ID:xPXJQq/s
で、もし仮に同一人物なら何か問題でもあるの?
>>1のどこに違反してるのか、論理的に説明してくれない?
146名無しさん@ピンキー:2010/11/03(水) 17:45:37 ID:LcA5g+rP
同じ奴がID変えながら騒いでいるだけ
つまり、自演だ自演だと騒いでいる奴が、まさに自演している本人だという
なんかの妖怪譚のような状態w
147名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 00:09:34 ID:4PPpYdyk
投下待ち
148名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 01:32:29 ID:ylnGqrEq
荒んでんなあ
お姫様に癒して欲しい
149名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 04:22:50 ID:kHuKj1pq
アナルプレイもおKだろうか
150名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 22:01:39 ID:NhWnE+cD
スレタイ内容に外れなければ、あとは注意書きしとけばいいんでない?
自分は痔主なんでアナルものは一律スルーするがなー。
151名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 22:25:50 ID:kHuKj1pq
そっか。
兄から国を乗っ取った叔父が、政略婚に使う予定の姪に懸想して…というのを妄想したもので。
152名無しさん@ピンキー:2010/11/05(金) 12:06:35 ID:EGcHCQRL
内容の確認くらいは惜しまない
誘い受けなら知らんけど
153名無しさん@ピンキー:2010/11/05(金) 17:10:45 ID:bWxWQS19
西洋のお姫様は中世時代は下着を履いてたんだっけ?
舞踏会の時、トイレとか立ったままとか聞いた覚えがある
154名無しさん@ピンキー:2010/11/05(金) 23:27:08 ID:KCxZlirf
同世代がいいなー
155名無しさん@ピンキー:2010/11/06(土) 20:43:59 ID:p34B6+o+
書くと言ってみたものの筆が進まないorz
156名無しさん@ピンキー:2010/11/07(日) 01:00:48 ID:QfMRjAKC
ですよねー
157名無しさん@ピンキー:2010/11/07(日) 10:09:51 ID:iRH7XIqk
誘い受けと進行状況報告いらねえから
158Dark Force 2 「城砦都市」 ◆l2GahqrhOU :2010/11/07(日) 22:16:24 ID:d7L9TO2D
投下します。
前作は保管庫等でご確認ください。

・ちょいエロ
・グロ注意
159Dark Force 2 「城砦都市」 ◆l2GahqrhOU :2010/11/07(日) 22:18:50 ID:d7L9TO2D
青竜の川の戦いから一ヶ月。
クリスティーナ率いるソレンスタム共和国軍は、ベルイマン王国王都を目指して西進を続け、王国軍と四度交戦をし、勝利を収めていた。
王女復帰以来の快進撃で、兵士達は戦勝への希望に沸き立っていたが、一方で首脳部はそうもいかなかった。
「わかっているとは思うが、私たちは余裕があるわけではない」
野営地に張られた天幕の中で、机に置かれた地図を叩きながら、クリスティーナは言った。
机を囲んでいるのはエイナルをはじめとした、クリスティーナへの忠義の厚い士官達である。
夕刻に始まった作戦会議は、喧々諤々としてまとまらず、すでに夜半を迎えていた。
議題となっているのは、地図上に刺された一本の針。
そこに位置する城砦都市、フェーンストレムの扱いについてであった。
「人も物も、何より時間も、一切の無駄は許されぬ。フェーンストレムについての対応の誤りは、最終的な戦争の敗北に繋がるだろう」
鋭い目で周囲の男達の顔を見渡しながら、クリスティーナは言う。
それに応じてある士官が言った。
「私は、フェーンストレムは友好的な都市だと考えます。かの都市の城主シーグル伯は、国を裏切るような方ではありませぬ。今後のためにも早急に合流し、補給と軍の再編を行うべき

かと思われます」
また別の士官が応じた。
「私は、フェーンストレムは敵性であると考えます。姫殿下の参戦以前では、彼らの支援さえあれば勝利したと思われる戦場もあります。それをしなかったのは、彼らがすでに敵に通じ

ていたからだと考えるのが妥当でしょう」
まったく逆の彼らの意見だが、どちらの言い分にも理があった。
今回の戦争におけるフェーンストレムの挙動には、判断を迷わせるものがあったのだ。
フェーンストレムは共和国西部に位置する都市であるため、共和国軍の敗走によって、戦争の初期に敵の勢力圏に置かれた。
とはいえ城砦都市の名は伊達ではなく、ベルイマン王国軍数万に囲まれてもその門を開かずに立て篭もり、結局王国軍はフェーンストレムを攻略することなく、わずかの兵を残して東進

することとなった。
王国軍のこの判断に、共和国軍は狂喜した。
敵兵力を背後に残したままで進軍するなど、挟撃してくださいと言っているようなもので、通常取られる手ではなかったからだ。
当時の軍首脳部はフェーンストレムの鉄壁の守りを称え、教科書通りに挟撃を計画した。
東進してきた王国軍を迎え撃つに当たり、フェーンストレムと呼応して戦い、勝利を収めようとしたのだ。
しかしこの計画は失敗した。
フェーンストレムは共和国軍の呼びかけに応じることなく、結局共和国軍は王国軍に正面から撃破されてしまったのだ。
これについては裏切りとも、そもそも連絡が成功していなかったのだとも言われ、共和国軍の間で諸説を呼んだ。
結局真実はわからぬままで、フェーンストレムは門戸を堅く閉ざして一切の動きを見せず、この度クリスティーナの進軍によってその姿を半年ぶりに共和国軍の前に晒すこととなったの

である。
160Dark Force 2 「城砦都市」 ◆l2GahqrhOU :2010/11/07(日) 22:20:48 ID:d7L9TO2D
一連の報告を聞いていたクリスティーナは当初、フェーンストレムを敵性と判断し、攻略する心積もりでいた。
そうしなければ、王国軍を追ってさらに西進したところで、それこそ教科書通りの挟撃を受ける可能性があったからだ。
ただ、フェーンストレムは攻城兵器に対する備えも、魔法に対する防御力も、非常に優れた城砦都市で、どうやって攻略したものかと頭を痛めていた。
共和国軍はクリスティーナの活躍で連勝を続けているが、総兵力ではまだまだベルイマンに劣る。
攻城戦で兵を消費することは避けたかったし、敵が別働隊で首都を狙う可能性がある以上、いたずらに時間を費やすわけにもいかなかった。
フェーンストレムに近付く道中、悩み続けていたクリスティーナだったが、昨日思わぬ使者があった。
沈黙を守り続けたフェーンストレムから、開城を伝える使者がやってきたのだ。
「フェーンストレムは王女殿下と共和国軍による解放を待ち望んでおります」
使者はそう言って、クリスティーナの軍勢の全面的な受け入れと補給、フェーンストレムの擁する軍の共和国軍への合流を申し出た。
戦争中の先の挙動については、やはり連絡が取れていなかったことと、都市の防備で手一杯だったことを理由とした。
クリスティーナは笑顔で礼を言って使者を帰し、一晩悩んだ末に作戦会議を開き、今に至るというわけである。
フェーンストレムの友好敵性判断において、士官たちはうまい具合に半分に割れてしまっていた。
「クリスティーナ様、いかがなさいますか。明日には我が軍は、フェーンストレムに到達することになりますが」
エイナルが尋ねる。
全員の目が、金髪の王姫に向いた。
「ふん……。結局今のままでは、どちらとは決められぬか」
よし、とクリスティーナは身を起こした。
「先遣隊を出すことにする」
「先遣隊……ですか?」
「ああ。仮にフェーンストレムが敵性であった場合、奴らを警戒させることにはなるが仕方あるまい。信じるには足りぬし、いらぬ諍いを起こせるほどには我が軍は余裕が無い」
クリスティーナは腰に手を当てて、やや小さめの胸をぐいと突き出した。
「軍議は以上だ。フェーンストレムをいつでも攻められるよう準備は怠るな」
クリスティーナの言葉に、士官たちは一斉に敬礼をし、天幕を出て行った。
夜の闇の中、各々自分の部隊の陣へと戻っていく道中で、一人の士官が誰にともなく尋ねた。
「……前から疑問に思っていたんだがな、我らが姫殿下は、どうしていつも最後には、ああやって胸を強調するんだ?」
ああ、と答える声があった。
「エイナル様に聞いたことがあったんだがな。恐らく姫殿下なりの、威厳を高めるポーズなのではと仰ってたぞ」
「姫殿下は、今更そんなところで威厳を高めようとする必要もないだろうに」
「まったくだ」
「……それに、威厳を示すには小さすぎて駄目だよな」
「馬鹿! 聞かれたら殺されるぞ!」
士官たちは笑いながら、互いの武運を祈る挨拶をして別れた。
161Dark Force 2 「城砦都市」 ◆l2GahqrhOU :2010/11/07(日) 22:22:32 ID:d7L9TO2D
「くしゅんっ!」
「クリスティーナ様、お体の具合が悪いのですか?」
天幕の中でくしゃみをしたクリスティーナに、アーネとメルタが慌てて駆け寄った。
「すぐに上着を……」
「ああ、問題ない。どこかで誰かに過小評価を受けている……そんな予感だ」
「は?」
「とにかく、体調については大丈夫だ。下がれ」
二人の侍女がしずしずと下がっていく。
クリスティーナは机の脇に置かれた椅子に、どかと乱暴に腰を下ろした。
「さて……どうしたものかな、エイナルよ」
「先遣隊のメンバーですか?」
「ああ。相手の情報を正しく得て、なおかつ生きて帰る。優秀な者でなくては務まらん。まあ、一人は決まっているのだがな」
言ってクリスティーナは、アーネを見た。
「アーネ、行ってくれるか」
「お任せください、クリスティーナ様」
アーネはにこりと笑って頷いた。
エイナルもメルタも、特に驚くことはなかった。
アーネは性技に優れているだけでなく、会話や人心掌握にも優れ、男性向きの諜報員として活動することがこれまでにもあったのだ。
一方でメルタは拷問や調教に優れている。
二人の侍女はそれなりの役割分担をもって、クリスティーナに仕えていた。
「……しかし、アーネ一人ではまだ確度が足りぬ。危険性も高い。せめてもう一人……」
クリスティーナの呟きに、メルタが「それでしたら」と応じた。
「エイナル様はいかがでしょう」
「エイナルだと?」
クリスティーナは馬鹿馬鹿しいとばかりに首を振った。
「ありえぬ。エイナルは諜報に関しては、士官学校で訓練を受けた程度であろう」
「しかし、今回に限っては、適した人間関係をお持ちなのですよ」
ああ、とアーネも頷いた。
「確かにエイナル様は適任かもしれませんね。フェーンストレム城主の娘、ウルリーカ伯爵令嬢様は……」
「そう。エイナル様の御婚約者でいらっしゃいましたから」
何故だか嬉しそうにアーネとメルタは言った。
「婚約者……だと?」
クリスティーナは椅子に座ったままで脚を組み、エイナルを睨んだ。
いつもとどこか違った威圧感。
エイナルは思わずその場で姿勢を正してしまった。
「初耳だな。貴様、そんなものが居たのか」
「はい。しかし、過去のものです」
「どういうことだ?」
「既に解消しております。今現在、私と彼女は無関係です。……とはいえ、親交があったのは確かですし、他の者よりかは先遣隊に適任かも知れませんね」
ふむ、とクリスティーナは腕を組んだ。
「どのくらい親しいのだ、その何とかいう伯爵令嬢や、シーグル伯とは。関係が悪化して婚約解消となったのなら、適任とは言えぬぞ」
「そう、ですね……。ウルリーカやシーグル伯との付き合いは、長さで言うと婚約解消当時で六年ほどありました。それなりに良好な関係であったと思います。
婚約解消については、関係の悪化と言うよりかは、時世の流れといいますか……」
162Dark Force 2 「城砦都市」 ◆l2GahqrhOU :2010/11/07(日) 22:22:59 ID:d7L9TO2D
「何だ。はっきり言え」
逡巡するエイナルに、クリスティーナは二人の侍女を促した。
「知っているなら話せ」
「……クリスティーナ様の幽閉に伴って近い者が処分された際、エイナル様は領地を削られました。恐らくはその影響で、家格の釣り合いが取れなくなったのではないかと」
メルタの説明にクリスティーナは頷き、再びエイナルに目を向けた。
「迷惑をかけたな」
「いえ、そのようなことはございません」
「私と仲良くしたばかりに、未来の妻を失うとは。惜しいことをしたと思っているのだろう」
「親同士が決めた取り決めであり、私にとってはそれ以上でもそれ以下でもありません」
「正直に言えば、この戦争が終わった後で取り計らってやらぬこともないぞ?」
クリスティーナは笑って言ったが、声はあくまで冷たかった。
「……彼女に関しては、懐かしいという感情はありますが……わざわざ関係を戻す意志はありません。今はこの国を想うことで精一杯だというのが、私の正直な気持ちです」
「よろしい。シーグル伯が裏切っていて、その一族を処分することになった時には、貴様はウルリーカを切れるということだな」
「はい」
「わかった。納得した」
そう言いながら、クリスティーナは王女らしからぬ乱暴な仕草で頭を掻いた。
心のどこかにもやつくものがあったが、何を聞けばよいのか、彼女自身わかりかねていた。
「まあ……よい。エイナル、貴様を先遣隊のメンバーにする。シーグル伯とその娘ウルリーカの周囲を探れ」
「はい」
「以上だ。今日はもう下がれ」
エイナルは頭を下げて天幕を後にした。
残されたクリスティーナは、椅子に深くもたれかかる。
アーネとメルタが、覗き込むようにしてその顔を見た。
「……何だ? 何かおかしなことでもあったか?」
「い、いえ。そろそろ湯浴みの準備をしようかと思いまして……ねえ、アーネ?」
「そうね、メルタ」
言って、アーネとメルタは「ほほほ」と笑う。
あからさまにおかしな様子の二人ではあったが、クリスティーナは気にすることも無く、
「そうだな。今日は何だか疲れた……」
と椅子に身を沈めて息をついた。
慌しく湯浴みの支度を始めた二人を、クリスティーナはぼんやりと見ていた、が。
「むぅ……」
呻き声を出すと、手招きしてアーネを近くに呼び寄せた。
「アーネ、余裕があればの話だがな……」
アーネの耳元で何事か囁く。
アーネは心得たとばかりに大きく頷いた。
163Dark Force 2 「城砦都市」 ◆l2GahqrhOU :2010/11/07(日) 22:23:29 ID:d7L9TO2D
翌日、エイナルとアーネは数人の供の者を連れて、城砦都市フェーンストレムへ先遣隊として向かった。
馬に乗って半日。
そびえたつ城砦都市の姿は、エイナルにとっては懐かしいものでもあった。
「父に連れられて何度か訪れたことはあったが……改めて見るに、頑丈な造りの都市だな」
人口五万を擁し、共和国西部の経済の中心として発展してきた大規模都市。
その街並みは重厚な城壁に囲まれ、外部から見ることはかなわない。
城壁の上や、ところどころに開いた窓には、強力なバリスタや石弓が備え付けられている。
城壁を囲むように、防衛用の陣の組まれた陸地があり、その外側には敵の侵入を阻む二重に掘られた堀が水をたたえていた。
都市内部に至る道はわずか三本で、いずれも跳ね橋を上げてしまえば、フェーンストレムは完全な孤立した要塞となることができた。
「最後にシーグル伯とウルリーカ様にお会いしたのは、どれくらい前なのですか?」
トコトコと馬に乗ったアーネが近付いてきた。
「……四年前、クリスティーナ様とともにベルイマンへ攻勢をかける道中もここを通った。その時が最後かな」
「婚約解消の際は……?」
「手紙が一通送られてきただけだった」
「となると、四年ぶりの再会ですか。胸が高鳴りますね」
アーネは手綱を放し、うっとりとした目をして胸の前で手を組んだ。
「父親の決断で無理矢理仲を引き裂かれた婚約者二人。男は不屈の愛で再起し、一軍の雄として恋人を迎えに現れたのである……」
「昨晩も言ったが、私たちの場合はその仲を決めたのも父親同士だからな。君の言うようなことは何も無い」
苦笑しつつエイナルは言った。
「アーネもメルタも、この件に関してはやけに絡むな」
「そりゃあ私たちだって年頃の女ですもの。ラブロマンスは大好物でございますよ」
「そういうものか」
「そういうものです」
「だが残念ながら、私に関しては期待されるものはないよ」
「さて、どうでしょうね……」
ふふふ、と妖しげに笑って、アーネは馬上で肩をゆらした。
そうこうしているうちに、一行は城門の前に着いた。
(封魔の建材か……さすがだな)
城壁の材質を横目で改めつつ、エイナルは城門を通過した。
長年城砦都市としての役割を果たしてきただけあって、防御に関する積み重ねは、ずば抜けたものがあるのだろう。
クリスティーナがこの都市の扱いに慎重になるのも頷けた。
(できるならば友好的であって欲しいが……)
エイナルは顔を上げる。
石造りの街並みの中に、一際大きな建物が見えた。
飾り気の無い砦のようなその城は、フェーンストレムの政治の中心であり、シーグル伯の居城でもあった。
164Dark Force 2 「城砦都市」 ◆l2GahqrhOU :2010/11/07(日) 22:24:38 ID:d7L9TO2D
城に入ってすぐに、エイナル他数人の代表者は、大会議室に通された。
アーネはというと、表向き下働きの者として入ってきたので、エイナルたちとは扱いが異なった。
彼女は代表者たちの泊まることになる部屋に他の下働きの者達と一緒に通され、荷物を広げることになった。
(予定通りではあるか……)
長方形のテーブルにずらりと顔を並べたフェーンストレムの評議会の面々を見つつ、エイナルは思った。
エイナル他代表者たちと、下働きの者達とで、二本の諜報の筋を作ることが、事前に話し合われていた方策であった。
(アーネはきっとうまくやるだろう)
三年前、彼女の諜報員としての仕事ぶりを目の当たりにしたことが何度かあったが、実に見事なものだった。
(問題はこちらか……)
エイナルは姿勢を正し、礼をした。
「この度は我々共和国第一軍の受け入れ及び支援の申し出をいただき、ありがとうございます。王女殿下の使いとしてやってまいりました、エイナル・グンナー・イェールオースです」
堂々とした声が会議室に響き渡る。
入り口から正面、一番奥の席に座っていた男が立ち上がった。
「ようこそおいでくださいました。我々フェーンストレムの評議会は、共和国軍による解放を心待ちにしておりました」
あごひげを豊かにたくわえた、鷹揚に笑う老人。
四年前と比べて老いた印象はあるが、紛れも無く、エイナルがかつて幾度となく会ったフェーンストレム城主、ロベルト・エクルンド・シーグル伯爵その人だった。
「受け入れにせよ支援にせよ、礼を言われることでもありませぬ。共和国臣民として、当然のことですからな」
シーグル伯爵はそう言って、エイナルたちに席に座るよう促した。
(まあ、型通りの挨拶か)
シーグル伯爵と真向かいの席に座りながら、エイナルは思った。
シーグル伯爵をはじめとした二十名からなるフェーンストレム評議会は、決して馬鹿ではない。
クリスティーナが入城する前にこうして先遣隊がやってきたことの意味をわかっているはずだった。
(従うつもりでも裏切るつもりでも、疑念を持たれているとわかった以上、心中穏やかではないだろう)
テーブルを囲む評議会の面々。
シーグル伯爵は一人にこにこと笑い、他の者たちは皆、じっとエイナルたち代表団を見つめていた。
「シーグル伯爵、王女殿下は大変お喜びになっております」
エイナルが口を開いた。
「ほう、そうですか」
「ただ、王女殿下なりに心配していることもございまして……」
「といいますと?」
シーグル伯爵はあくまで笑顔を崩さない。
食えない老人だと、エイナルは思った。
「王女殿下の連れている軍勢は、二万を越えます。それだけの人数が入城するとなると、フェーンストレムの負担はかなりのものになるはずです。
王女殿下は、申し出を受けることでフェーンストレムの民の重荷となるのではないかと、胸を痛めております」
「ははは。なるほどなるほど」
シーグル伯爵は二度三度と頷き、
「信用がありませんな、我がフェーンストレムも」
やはり笑いながら言った。
「大丈夫。二万の軍が増えたところで、それを養うだけの蓄えはあります」
「心強いお言葉です。しかし……」
「いやいや、わかりました。いっそ街を見てもらった方が早い。食料庫をはじめとしたいくつかの施設を見てください」
エイナルは頷いた。
(やはりこの老人はわかっているな……)
フェーンストレムの施設を見ることは、エイナルたちの望むところだった。
そしてそれは、共和国軍の疑念を打ち消したいフェーンストレムにとっても望むところのはずであった。
しかし、疑念を打ち消したいという想いがそのまま恭順の意を示すものとは限らない。
裏切る意図を持っていた場合も、同様のことが言えるのだ。
(ここまでは既定路線か)
ここからだとエイナルは思った。
「ではお言葉に甘えるとして、フェーンストレムの軍施設及び城砦の地図をお借りしてもよろしいですか?」
「よろしいでしょう」
「ではそれを手に、今日一日、街を歩かせていただきます」
「ええ、ええ。ご自由に。我々の誇るこの街の姿を思う存分ご覧になってください」
それ以上話すことは無かった。
シーグル伯爵以外の評議員は、やはりただじっとエイナルたちを見ているだけだった。
そしてシーグル伯爵は、終始その笑顔を崩さなかった。
165Dark Force 2 「城砦都市」 ◆l2GahqrhOU :2010/11/07(日) 22:25:10 ID:d7L9TO2D
数刻後、フェーンストレムの政務官から地図を受け取ったエイナルは、城の外に出た。
「さて、まずはどこから見るか……」
地図を広げて、各軍施設の位置を確認する。
これらを見て回ることは当然こなさなければならない仕事ではあったが、地図に記載されている軍施設が全てなのかを確認することこそが彼にとっての重要な任務だった。
軍施設と城砦の地図となると、敵の手に渡すのは非常に危険な情報である。
真に味方だったら包み隠さず情報を明かすだろうし、敵だったなら重要な部分は隠すだろう。
地図に描かれている情報と実際に自分が見て確認する情報を比べることで、フェーンストレムの敵性を判断することができるはずだった。
「どう回っていくのが効率がいいかな……」
地図を片手に思考するエイナルの前に、辻馬車が一台止まった。
「街を見て回るのでしたら、ご一緒にいかがですか?」
「え?」
馬車の中から声をかけられ、エイナルは戸惑ってしまう。
くすくすと忍び笑いが聞こえて、馬車の扉が開いた。
「もう私の声を忘れてしまったのかしら?」
狭い座席に、一輪の花のように、少女が座っていた。
淡い水色のドレスに細身を包み、静かに微笑みながら、どこか虚ろな、ぼんやりとした目でエイナルを見つめている。
「ちょっと薄情なんじゃないかしら、エイナル」
長い薄灰の髪を揺らして、少女は言った。
「ウルリーカ……」
「お久しぶり。さすがに名前は覚えていてくれたみたいね」
嬉しそうに笑うウルリーカに、エイナルは顔をしかめた。
「何をしに来たんだ?」
「あなたに会いに来たのよ。それ以外にあると思うの?」
「シーグル伯から聞いたのか」
「ええ」
「ならわかっているだろう。俺は今回遊びに来たわけじゃないんだ」
「ええ、わかってますとも。だからこそ、ご一緒にいかがと聞いたんじゃないの」
どうしようかと、エイナルは考えた。
ウルリーカに接触することで得られる情報もあるだろう。
しかし、これから行う地図の確認作業については、彼女の目があっては正直困るところもあった。
何も言わないまま思案に暮れるエイナルを見て、ウルリーカはまたくすくすと笑った。
「あなたのお仕事については理解しているから、大丈夫よ。邪魔をすることは絶対に無いわ」
「……」
「王女殿下はフェーンストレムをお疑いなのでしょう? もしあなたの邪魔なんてしようものなら、大変じゃないの」
「それはそうだがね……」
「それに、この街は広いわよ。徒歩よりかは馬車の方がいいし、この街で育った娘の道案内があった方が、お仕事も幾分か楽になるんじゃないかしら」
エイナルは嘆息して馬車に乗り込んだ。
「立場上、君の案内を受けることは出来ないがね」
「あら、悲しいわ」
そう言いながら、エイナルのために席を詰めるウルリーカは、どこか嬉しそうだった。
166Dark Force 2 「城砦都市」 ◆l2GahqrhOU :2010/11/07(日) 22:26:18 ID:d7L9TO2D
エイナルは地道に作業を進めていった。
地図に描かれた軍施設を見て回り、地図に描かれていない施設が無いかを丹念に調べた。
代表団の他の者たちと分担しているとはいえ、それでも見るべきところはかなりの広範囲に渡る。
軍事物資の蓄え、城砦内の兵員用通路、防御用の陣の組み方、備え付けの射撃武器の種類と数、各所に動員できる兵数など、渡された資料と相違がないか一つ一つ見ていった。
城砦都市を照らす午後の陽に汗を流しながら黙々と作業をこなすエイナルに、ウルリーカは笑って言った。
「相変わらず真面目なのね」
「真面目にならざるを得ないだろ。我が軍の命運がかかっているかもしれないんだから」
「暗黒神の娘、クリスティーナ王女殿下一の腹心、エイナル・グンナー・イェールオース、か……」
街の景色と地図を見比べ、なにやら書き込みをしているエイナルの傍にウルリーカは寄り添うように立った。
「ねえ、恨んでる? 私たちのこと」
「何をだ?」
「その……婚約破棄について。あなたを見捨てたことになるでしょう」
「当時の情勢なら仕方ないだろう。シーグル伯の判断は間違いでは無いよ。俺が今こうして再び身を立てることができているのは、本当にただの偶然だからな」
エイナルは空を見上げた。
気付けば日は大分傾いてしまっている。
城壁の作る大きな影が、二人の立っている広場を覆いつくそうとしていた。
「本当に……気にしていないのね」
ウルリーカの声の様子がそれまでと変わった気がした。
エイナルが振り返って見ると、ウルリーカは脱力したように肩を落としていた。
「少しは気にしていて欲しかったなぁ……」
「変わった人だな、君。恨まれたいのか」
「そうじゃなくて……執着して欲しかった。私に」
「執着?」
「もっと、怒ったり、悔しがったり、してくれてるかなって思っていたのだけれど……」
「さっきも言ったが、事情が事情だから、責める訳にもいかんしな」
困り顔のエイナルの肩を、ウルリーカはぱんぱんと叩いた。
そしてエイナルの肩に手を置いたままうなだれてしまった。
「いえ、そういうことじゃなくてね……」
「うん?」
「……いいわ。そういうところも、あなたのいいところだものね」
エイナルは何とも言えず、しばらくそのままで居た。
風がウルリーカの薄灰の髪を揺らす。
微かな香水の香りが、エイナルに届いた。
どれくらい経っただろうか。
ウルリーカが顔を上げ、エイナルから離れた。
その表情は元通り、遠くを見つめる瞳に、穏やかな笑みを浮かべていた。
「ごめん、ちょっと仕事の邪魔しちゃったわね」
「気にしなくていいさ。もうほとんど終わりだ。次に行くところで最後だからね」
エイナルが最後に向かったのは、南の城壁だった。
それまでと同様に周囲の軍事施設、城壁内部の通路を調べ、最後には城壁の上部へと上った。
城壁上部には強力なバリスタが一定の間隔を置いて備え付けられ、見張りの兵が表の平原へと目を凝らしていた。
城壁はかなりの高さがあり、はるか遠くまで見通すことができた。
(これでは軍を動かしてもすぐに察知されてしまうな。そしてこの城壁……質は高くはないが、一応全て封魔の建材だ。
クリスティーナ様の魔法を防ぐまでは至らないが、多少効果は薄まるだろう)
エイナルは目を細めて、現在自軍が野営している地を見たが、さすがに目視することはできなかった。
167Dark Force 2 「城砦都市」 ◆l2GahqrhOU :2010/11/07(日) 22:28:12 ID:d7L9TO2D
「何を考えているの?」
ウルリーカが横に並んで尋ねた。
「いや、いい景色だなと思って」
「嘘つき。そんな顔じゃなかったわよ」
「……」
「あなたの考えていることだったら、大抵わかるわよ。幼い時からずっと一緒だったんだから。あなたのお母様の次にあなたを知っている女なんだから」
ウルリーカは城壁の淵に腕をおいて寄りかかり、はあ、とため息をついた。
「信頼は失うのは簡単で、取り戻すのは難しいって本当よね。フェーンストレムも私も、どうしたらあなたからの信頼を取り戻せるのかしら」
「ウルリーカ、ドレスが汚れるぞ」
「いいわよ。どうせ何を着ようがあなたは気に留めないのだろうし」
言って、ウルリーカはまたため息をついた。
「ねえ、今日二人で街を巡って何も感じなかった? 私たちの思い出の場所だって、いくつも通り過ぎたのよ?」
「懐かしい思いはしたよ」
「昔、二人でこの街を駆けていたあの頃を、楽しかったと思ってくれてはいるということかしら」
「まあ、それはそうだな」
「だったら、これから先も、同じ風に思い出を作っていきたい……なんて思ったりはしない?」
ウルリーカはそれまでのぼんやりとした視線とは違い、はっきりとエイナルを見据えて言った。
緊張からか、細い唇の端が微かに震えていた。
「思い出、か」
「……念のため言っておくと、お散歩をしたいという意味じゃないのよ。私は……」
「いや、意味は通じてる。大体わかってる」
エイナルは地図を畳んだ。
「今更調子のいい話だと思うかもしれないけれど、私はあなたと……以前の関係に戻りたいと思ってる。あなたの婚約者に戻ることを……望んでいます」
「……」
「私は、あなたとの婚約を破棄するつもりなんてなかった。あの時、お父様が勝手に……」
ううん、とウルリーカは首を横に振った。
「あなたからしたら同じことよね。あの時私たちがあなたを見捨てたことに変わりはない。でも、できるなら、戻りたい。あの頃に」
「気持ちは嬉しいが、今は戦時だからな。そういった話をする時ではないよ」
「今でなければ、いつするのよ。あなたはすぐにここを通り過ぎていってしまうのに」
「……一応言っておくと、俺は元老院に睨まれている立場にあることは変わりはないんだ。俺と関係を戻したとしても、君に得になるとは限らないぞ」
「やっぱり意味が通じてないし、わかってないじゃない。私は損得の問題で言ってるんじゃないの。あなたを愛しているから、あなたの婚約者に戻りたいと言っているのよ」
エイナルは一瞬呆けてしまった。
予想外の言葉だった。
ウルリーカがこうして接近してくるのは、あくまで今回の疑惑を晴らすためと、今後の政治のためだと考えていたのだ。
これから国政において権力を握る可能性のあるクリスティーナと、その部下である自分と繋がりを作っておきたい。
そういう意図の下の行動だと思っていた。
168Dark Force 2 「城砦都市」 ◆l2GahqrhOU :2010/11/07(日) 22:28:36 ID:d7L9TO2D
「信じていない顔ね」
「い、いや……そういうわけでもないが、突然で……」
「突然のつもりは無かったんだけどな。でも昔からあなたは、愛だの恋だのには疎かったものね。ねえ、エイナル……」
ウルリーカは縋るように言った。
「どうしたら、もう一度私を信じてくれる? 何をしたらいい? 私、あなたの信頼を取り戻せるなら、なんだってできるわ」
女性にこのように正面切って情熱をぶつけられたことのなかったエイナルは、心中戸惑ってしまった。
が、あくまで任務でこの街に来ていることを思い起こし、努めて冷静にふるまった。
(どうしよう……彼女は本気なのか……? だとしたら……)
嬉しくないわけではなかった。
既に思いは断ったとはいえ、かつての婚約者であり、淡い恋心が無かったと言えなくはないのだ。
(彼女の言葉をそのまま信じる理由は何一つないが……)
ウルリーカは何でもすると言っている。
取引のしどころなのかも知れないと、エイナルは思った。
「ウルリーカ、君はお父上の……シーグル伯の私室に出入りは可能か?」
「え? ええ、それはできるけれど……」
「俺を手引きすることは?」
「……できるわ」
ウルリーカは察したのか、エイナルを見つめてはっきりと頷いた。
「それをしたら、あなたは私をもう一度信じてくれるの?」
「ああ。だが、いいのか? フェーンストレムのさらに重要な機密を晒すことになるんだぞ」
エイナルが手に入れたいと考えているのは、フェーンストレムの政治面の記録だった。
外交文書をはじめ、フェーンストレムの戦略規模での方針を明らかにする資料があると考えられた。
「かまわないわ。私はあなたの信頼を得られる。フェーンストレムへの疑いも晴れる。一石二鳥だもの」
もしウルリーカが本気で自分に好意を抱いてくれているなら、その気持ちを利用するようで胸が痛みもした。
しかし、彼女の言うとおり、この取引は双方に利益のあるもののはずだった。
「そろそろ風が冷たくなってきたな……」
太陽が西の空に沈もうとしている。
地平線がキラキラと橙赤色に輝いて見えた。
エイナルは、足元に気をつけるように言いながら、ウルリーカの手を取って城壁を下った。

その晩、城内の与えられた部屋で、エイナルはアーネに紙の束を渡した。
「何ですか、これは?」
「フェーンストレムの政治資料だ」
「ど、どこで手に入れたんですか、そのようなものを」
「まあ、どうにかな」
アーネは小さく笑った。
「ウルリーカ様ですか? どうにか仲良くやっているようですが」
「……この資料はすぐに戻さねばならん。速読の訓練は受けているんだろう?」
「ええ、一応ですけどね」
アーネは紙の束をぱらぱらとめくり始めた。
三十分もしないうちに、その作業は終わった。
かくして、城砦都市フェーンストレムは、政治面軍事面ともに、全ての情報を共和国軍の前に晒されたかに思われた。
「……これによりますと、どうやらフェーンストレムは友好的な方針にあるようですね」
「そうか」
エイナルはほっとしながら応じた。
「でも、最後に判断するのはクリスティーナ様ですから、まだわかりませんけど」
アーネは書類を閉じつつ、笑って言った。
169Dark Force 2 「城砦都市」 ◆l2GahqrhOU :2010/11/07(日) 22:36:12 ID:d7L9TO2D
「結論を言う。フェーンストレムを敵性と判断し、城主シーグル伯爵とその一族を処罰する」
翌日、調査結果を携えて帰還したエイナルたちの報告を聞いてクリスティーナの発した言葉は、それだった。
「え……?」
天幕の中にはクリスティーナとエイナルとアーネとメルタ。
いつものメンバーの中で、抗議の声をあげたのはエイナル一人だった。
「ちょ、ちょっと待ってください、クリスティーナ様。フェーンストレムが敵……なんですか?」
「ああ。何を驚いている? 元々その可能性は十分にあっただろう」
「いえ、し、しかし……」
昨日自分を含めた代表団が調査した結果と、エイナルがウルリーカを通して入手した資料から判断して、フェーンストレムは友好的な都市だとエイナルは報告していた。
「貴様の報告はあくまで判断材料の一つに過ぎない。決めるのは私だ、エイナル」
「それは……そうですが」
「アーネの方からの報告もあってな。敵と判断するのが適切だと考えた」
「アーネの調査結果は、どのようなものだったのですか?」
「食糧の流通に関する調査を命じていた」
クリスティーナは説明した。
「半年間、王国勢力圏内に孤立していたのだ。包囲されている以上物資の出入りは一切無い。市民の食糧事情に変化が出るのが普通だろう」
行政の資料はごまかせても、人々の経済活動はそうそうごまかすことはできない。
アーネは街の商店などを巡り、複数の商人が外部と商取引をしていたことを突き止めていた。
「つまりは、ベルイマン側の包囲はポーズだったということだ。本気で攻めるなら兵糧攻めをするはずだからな」
「しかし、私の調査では……」
「簡単な話だ。貴様は偽の情報を掴まされたということだろう」
クリスティーナは一言のもとにエイナルの意見を切った。
「奇襲をかけるぞ。フェーンストレムには既に私たちが向かうことを伝えてある。連中、城門で城主自ら出迎えてくれるそうだからな。出会い頭で首をとってやる」
「しかし……クリスティーナ様」
食い下がるエイナルに、クリスティーナは眉をぴくりと動かした。
いかにも不快だというような表情だった。
「なんだエイナル。随分しつこいな」
「問答無用で殺すには、若干証拠として薄いのではないのでしょうか。商人だって生活がかかっている以上、命がけで商売をやっているのです。
彼らの手法が、ベルイマンの監視を超えるものであったとしても不思議ではありません。実際、ベルイマンもフェーンストレムに残していた兵は少数だったわけですし……」
「そうだな。結局のところ、確証は持てん。だが、少しでも疑いがある以上、殺せる機会に殺しておいた方が楽で安全だ。だからそうするというだけのことだ」
「しかしそれでは、諸侯を怯えさせることになります」
「ほう?」
クリスティーナは椅子に座って脚を組んだ。
長年の経験から、アーネとメルタには、それが彼女がいらついている時の仕草だとわかっていた。
「また突然だな。まあいい、聞かせてみよ」
「失礼ながら、共和国貴族の中には、クリスティーナ様を恐れている者たちも多くおります。今回の件については、外部者の彼らから見れば、クリスティーナ様に対してあくまで従順な態度を示していたフェーンストレムが、いわれ無き処罰を受けたように見えるでしょう。
そうなると、クリスティーナ様は貴族に対して理不尽な行いをする人物として、さらに彼らの心が離れていくことになります。先のことを考えると、そのような事態は、決して望ましいことではないかと思われます。同じ戦うにせよ、敵を減らして味方を増やす戦いとするべきです」
懸命に思うところを伝えるエイナルに、クリスティーナは冷たかった。
170Dark Force 2 「城砦都市」 ◆l2GahqrhOU :2010/11/07(日) 22:36:44 ID:d7L9TO2D
「必死だな、エイナルよ」
「それは……クリスティーナ様の今後のためにも……」
「私のため? 例の女に裏切られたと思いたくないからではないのか?」
「例の女とは……?」
「あれだよ。貴様の元婚約者。ウルリーカとか言ったか。貴様の言う資料は、奴との接触の結果得られたものなのだろう?」
「そうですが……」
そうなのだろうかと、エイナルは思った。
自分はウルリーカに裏切られたと思いたくないゆえに、クリスティーナの判断に抗おうとしているのだろうか。
「……そんなことはありません。私が考えるのは、最終的な共和国軍の利益のことだけです」
「自分でも気付いていないだけだ。くだらん女にひっかかりおって。その女が工作活動として貴様に偽の資料を流したのでないと、どうして言える?」
「私もそれは常に考慮しておりましたが、信頼するに足ると判断をしました」
「だから、その根拠はどこにあるというのだ?」
「それは……」
あの時、何だってできると言った時に彼女が浮かべていた涙。
そこにエイナルは心を動かされていた。
そしてそこに、彼女を信じる論理的な根拠は何一つ無かった。
「言えぬのか」
「……彼女の態度から、です」
「態度、ね。女は自身の利益のためならいくらでも嘘をつく。平気な顔で男を騙し、利用する。わからぬか」
クリスティーナは吐き捨てるように言った。
「普段の貴様なら、もっと冷静に事の軽重を判断できるはずだ。今後のため? 明日殺されたら今後も何もないだろう。証拠が薄いだと? 私は自分が殺されてからでないと連中を処罰できぬのか」
「それは……」
「……これだけ言っても、貴様の考えは変わらぬか。連中を奇襲で殺す、この処罰には反対だと、言い続けるのか」
「いえ。私はクリスティーナ様の臣ですから。クリスティーナ様の決定に従います」
「私はそんなことを望んでいるんじゃない!」
クリスティーナはエイナルを怒鳴りつけ、机を拳で叩いた。
同時に、机の上に置かれていたティーポットが、触れられてもいないのに粉々に砕け散る。
感情が昂ぶるあまり、彼女の魔力が漏れ出てしまった結果だった。
「……よろしい。エイナルよ。私から貴様に証拠を示してやろう」
「証拠……ですか?」
「ああ。明日、フェーンストレム入城の折には、最低限の兵しか連れずに行く。出会い頭の奇襲は無しだ。連中が本性を露わす様を貴様に見せてやる」
「姫様……! そんな……!」
アーネとメルタが慌てて諫めに入った。
「危険です。おやめください」
「問題無い。エイナルに女を見る目を養っておくことこそ重要だ。この有様では、今後も色香に迷って判断を誤らないとも限らないからな」
クリスティーナはエイナルをぴしりと指でさし、命じた。
「明日、私と貴様と、近衛騎士団の選抜隊のみで先行して入城する。シーグル伯とその娘には、私がフェーンストレムでの歓待を大いに期待していると伝えておけ」
「クリスティーナ様……私は……」
「もう寝る。貴様も寝ておけ。剣の手入れを忘れるなよ」
エイナルの言葉を聞こうとはせず、クリスティーナは踵を返すと天幕の奥の寝所へと姿を消した。
クリスティーナが行った後もその場に佇んでいたエイナルに、アーネとメルタが声をかけた。
「姫様の言う通り、エイナル様もお休みなさいませ」
「そうです。気にしても始まりませんわ。これからできることは、万が一の時に姫様をしっかりとお守りすることだけです」
二人は笑顔でエイナルの肩にそれぞれの手を置いた。
「誰が悪いわけでもありません」
「姫様も人である以上、ああやって意固地になることがあるんですのよ」
どうやら慰めている様子の二人に礼を言い、エイナルは天幕を後にした。
171Dark Force 2 「城砦都市」 ◆l2GahqrhOU :2010/11/07(日) 22:37:42 ID:d7L9TO2D
翌日、クリスティーナは、エイナルと精兵二十名を連れて、フェーンストレムに入城した。
城主シーグル伯爵は、それを城門で出迎え、クリスティーナも笑顔で受けた。
クリスティーナの一行は早速街の中心の城に通され、歓待の宴が催されることとなった。
大広間へと案内され、眼下に広がるフェーンストレムの街並みを眺めながらの立食パーティで、貴族や商人たちと歓談する。
その中で、かねて命じられていた通り、エイナルはクリスティーナの傍を片時も離れなかった。
「私の傍を離れるなよ。酒も食べ物も我慢しろ。私と違って、お前は毒を盛られたらお終いだからな」
入城前のクリスティーナの言葉を思い返しながら、何か異変があった時にすぐに対応できるよう、注意深く周囲を見ていた。
エイナルたちと共に来た精兵たちは最低限の武装をし、普通に飲み食いをしていた。
彼らは魔術師としての能力を有する兵であり、クリスティーナほどではないにしろ毒に対する抵抗力を持っていたため、ある程度の自由が認められていたのだ。
とはいえ、あらかじめ相手からの奇襲を待ち受ける作戦であることを伝えられていたため、はめを外す者はいなかった。
クリスティーナのもとには、街の有力者たちが次々に挨拶に来た。
「クリスティーナ様……この街を、この国を、そのお力でどうかお守りください」
「私どもにできることがあれば、何なりとお申し付けください」
「今後はクリスティーナ様に、ますますの忠誠を誓います」
彼女の武勇を称え、恭順の意を示す貴族や商人たちに、クリスティーナはいかにも姫君らしい丁寧な仕草で応じた。
「こちらこそ、未熟な身でありますゆえ、皆様にお力添えをいただくことも多々あると思います。どうぞよろしくお願いいたします」
クリスティーナのその態度に、挨拶に来た者たちは一様に驚いた顔を見せていた。
「やれやれ。連中の想像の中では、私はよほど礼儀のなっていない小娘だったらしいな」
「彼らは、元老院の流した噂しか知りませんからね」
そういうエイナルも、普段さっぱりとした物言いをするクリスティーナが淑やかに話している様子を見ていると、つい可笑しく思ってしまう。
笑いをこらえるエイナルを不審げに見るクリスティーナに、また挨拶に来る者がいた。
「姫様、お初にお目にかかります」
薄灰の髪を揺らし、桃色のドレスをまとった少女が頭を下げる。
「私、フェーンストレム城主、シーグル伯が娘、ウルリーカでございます」
「貴様……あなたが、ウルリーカ嬢ですか。エイナルから話は聞いております」
緊張の面持ちのウルリーカに対し、クリスティーナは満面の笑みで応じた。
「このたびは、私たち共和国軍とフェーンストレムの友好のために、良く働いてくれたそうですね。心より礼を申し上げます」
「姫様、そんな……!」
頭を下げるクリスティーナに、ウルリーカは慌てた様子で、顔の前で手を振った。
「私たちはもとよりこの国の臣民です。結束することが当然なのです」
「そう言っていただけて何よりです」
クリスティーナがウルリーカに右手を差し出し、二人は穏やかに握手を交わす。
そうして、笑顔のまま、クリスティーナはウルリーカの右手を強く、強く握りしめた。
「っ……! 姫様……?」
「ウルリーカ嬢、お聞きしたいのですが、この広間は最近改築が行われましたか?」
「いえ、そのようなことはございませんが……」
「嘘をつくな。街の石工たちに確認済みだ。部屋の壁を張り替える工事を行ったのだろう」
不意に鋭い目つきになり、口調も変わったクリスティーナに、ウルリーカは思わず身を震わせた。
「……! ……はい。姫様をお出迎えするためということで、急ぎ飾り立てるように改築をいたしました。しかしもとは迎える準備が無かったなんて、身内の恥でありますので、伝えるのをためらってしまって……」
「なるほどな」
クリスティーナがウルリーカの右手を離した。
172Dark Force 2 「城砦都市」 ◆l2GahqrhOU :2010/11/07(日) 22:39:32 ID:d7L9TO2D
「あの……姫様……? 私……」
「話はわかった。気にせず行ってくれ。少し酔ってしまったようなのでな」
「でも……」
「去れ」
クリスティーナの視線の威圧感に耐えかねて、ウルリーカはそのまま退いた。
不安げな眼差しでエイナルを見るも、エイナルは硬い表情のまま、何ら応じることはなかった。
ウルリーカが居なくなった後で、エイナルが苦々しげに呟いた。
「クリスティーナ様、今の話は……」
「ああ。石工の話もアーネが得てきたものだ。封魔の石材がこの広間全体に張り巡らされているようだな。
私が幽閉されていた間に少しは技術が進歩したのか……見た目には簡単にわからぬし、私も今に至るまで魔力を抑えられていることに気がつかなかった。遅効魔術というのだろうが、見事なものだ」
クリスティーナは不敵に笑った。
「連中、どうやらラベリを踏襲するつもりらしい」
「クリスティーナ様、申し訳ございません。私は……また……過ちを犯してしまったようです」
ラベリの名を聞き、エイナルは俯いた。
かつてクリスティーナをラベリの館に行かせ、死の危険にさらしてしまった自分――
あれだけ後悔をしながら、また同様のことをしてしまったのだという思いが、エイナルの心の内に強烈な自己嫌悪の感情を呼び起こしていた。
「暗い顔をするな、エイナルよ。こちらまで気が沈む」
「は……申し訳ございません」
ふむ、とクリスティーナは白いドレスに包まれた細腰に手をかけ、頷いてみせた。
「とはいえ、貴様は真面目な男だからな。落ち込むなというのも無理な話か」
「いえ。クリスティーナ様の仰ることでしたら、私は……」
エイナルの言葉を、クリスティーナは手で制した。
「待て。それ以上は言うな。また怒ってしまいそうだからな」
「……?」
クリスティーナは軽く咳払いをして、エイナルを正面から見つめた。
「……確かに今回のことで、貴様にはいくつか改めてもらわねばならないところはある。まあ、その、女を見る目はその最たるものだが……。いずれにせよ誤解して欲しくないのは、私は貴様に反省を求めても、服従は求めていないということだ」
クリスティーナの透き通った青い瞳が、エイナルをひたと見据える。
宴のざわめきの中、クリスティーナは静かに、しかし彼女の想いを込めて、言葉を紡いだ。
「今回はたまたま私が正しく、貴様が間違っていた。だが、私が間違っていることだってこの先いくらでもあるだろう。
その時に、正確な判断のもと私に意見するのは、貴様でなければならない。私が唯一最後まで信じると決めた、貴様でなければならないのだ」
「クリスティーナ様……」
「他の者が言ったのでは、私は自分が納得するまで決して考えを改めることはないだろう。しかし貴様の言うことなら、納得できなくでも信じて、考えを改めることができる。
だから、服従はするな。私に思う全てをぶつけて、必要なら私を導いてくれ。私は貴様に服従されても……貴様とそんな関係になっても、嬉しくないのだ」
クリスティーナは視線を逸らし、会場の遠く離れた場所にいるシーグル伯爵を見た。
ちょうど、ウルリーカと何やら話をしているところだった。
「……今回ここに来たのも、エイナル、貴様の言うことに一理あると思ったからなのだぞ」
「そうなのですか?」
「ああ。貴族たちの反発心を煽るのはよろしくないと貴様は言ったな。あの時は私も少々気が荒れていて、あんな態度を取ってしまったが……貴様の言う通り、味方を増やす戦いをしようと決めたのだ」
しかし、とクリスティーナは続けた。
「絶対に許せない者たちもいる。それは仕方ないことだ」
遠く距離をおいて、クリスティーナとシーグル伯爵の目が合った。
次の瞬間、勢いよく大広間の扉が開け放たれ、銀の鎧を着込んだ兵士たちが流れこんできた。
173Dark Force 2 「城砦都市」 ◆l2GahqrhOU :2010/11/07(日) 22:40:31 ID:d7L9TO2D
会場のあちこちから驚きの悲鳴が上がる。
何が起こったのかと戸惑う人々がいる一方で、彼らを壁際に誘導する者たち、剣を抜き兵士たちに指示を出す者たちが迅速に動いていた。
宴の会場は一瞬のうちに、クリスティーナを包囲する戦陣へと変わった。
部屋の中央にクリスティーナとエイナル、近衛騎士団の精兵二十名が集まり、それを囲むようにフェーンストレムの貴族と数十名の兵が、さらにその外側に商人や貴族の子女たちが怯えた様子で立っていた。
「お互い猿芝居はここまでか」
クリスティーナが笑って言った。
「さすがは暗黒神の娘ですな。相当に毒を盛ったのに、酔ってしまったという程度とは……」
「そうか。毒も盛っていたか。ラベリのおかげで体が慣れたのかも知れぬな。大して変わりないようだ」
クリスティーナは自らを囲むフェーンストレムの一団を見回した。
「この程度の兵で足りるのか? ラベリは数百名は用意したぞ?」
「まだまだ、広間の外にたくさんの兵が控えております。姫様……ラベリ公爵は失敗したが、私は違う。準備に準備を重ねましたからな。もうお気づきのようだが、この広間に張られた封魔の結界は特殊なものです。
完全に効力を発揮するのには時間を要する。逆に言うと、今あなたを囲む我が城砦都市の精鋭たちは、しばらくの間は魔術を行使できるということです」
言って、シーグル伯爵は静かに剣を抜いた。
「ほう……自身も戦うのか」
「城砦都市の貴族がなぜ貴族たるか。それは街を守る力に優れていたからです。我々一人ひとりが強力な兵なのですよ。姫様……」
そこには鷹揚に笑う老人の姿は無かった。
数十年の長きにわたって要衝を守り抜いてきた、老獪な戦士の姿があった。
「我々の全力と、封魔に抑えられたあなた様のお力。勝負です」
シーグル伯爵が剣を振り上げる。
突撃の合図に備えて城砦都市の兵たちが身構え、鎧の鳴る音が響く。
「待て。シーグルよ。最後に一言言っておきたい」
「よろしいでしょう」
「ベルイマンに付いたのは、我が方が負けると、そう考えたからか」
「そうなりますな」
「力不足と見られたか……ならば」
クリスティーナは胸を張り、フェーンストレムの貴族たちを、商人たちを、その子弟たちを、鋭い眼で見た。
「聞け! フェーンストレムの臣民よ! これより我々は互いが決死の戦いに臨むことになる! この戦いの中で、私の……我々の力を認めたならば、即座に降伏するが良い! 今後の忠誠と引き換えに、命は助けてやる! 暗黒神の娘の力を、しかと確かめよ!」
朗々と響かせたクリスティーナの言葉が終わると同時に、シーグル伯爵は剣を振り下ろした。
フェーンストレムの兵と貴族が、一斉にクリスティーナたちに襲いかかった。
第一陣は、クリスティーナの放った炎に為す術も無く焼き払われ、全員が膝から下を残して塵となった。
「クリスティーナ様。魔力はいかがですか?」
「遠距離は無理だが、周囲には行使できるな。エイナル、兵たちを私の周囲から離さないようにせよ」
第二陣はさらに多人数で、クリスティーナたちを完全に囲むようにして切りかかって来た。
同時に、シーグル伯爵の前に控えた魔術師の一団が氷魔術を放ち、弓兵が周囲三百六十度から満遍なく矢を放つ。
クリスティーナの眼前に現れた無数の鋭い氷塊は黒い炎の前に消え失せ、向かってきた矢も見えない壁に阻まれたかのように弾かれたが、ほとんどの兵は打ち洩らされ、クリスティーナと近衛兵たちに刃が届くこととなった。
が、そこは選び抜かれた精兵というだけあり、エイナルも剣を振るって、難なく第二陣も撃破した。
174Dark Force 2 「城砦都市」 ◆l2GahqrhOU :2010/11/07(日) 22:42:23 ID:d7L9TO2D
「なるほど。確かにラベリよりは考えているようだな」
「あの氷魔術は厄介ですか?」
「正直、な。矢のように分散してくれれば周囲に均等に壁を張るだけで済むが、ああして一点突破の攻撃を混ぜられると、どうしてもそちらに力を傾けざるをえん。処理が複雑になる分、攻撃で打ち洩らしが出てしまう」
「そこまで計算してやっているのだとしたら、大したものですね」
「ああ。連中、今ので有効な攻撃方法と判断しただろう。どんどん仕掛けてくるぞ」
非戦闘員は広間の外に退避させられ、その分を進入した兵が埋める。
魔術師と弓兵と歩兵による、間断の無い波状攻撃が始まった。
クリスティーナたちも敵軍も、必死の戦いだった。
死体の山が積みあがるも、またすぐに兵は補充された。
圧倒的な多数対少数の戦いにも関わらず、クリスティーナの一団はよく戦ったが、次第に疲弊していくことは避けられなかった。
一人、また一人と負傷し、少しずつ包囲の輪を縮められることとなった。
「……やはり、あの魔術師どもを何とかせねばならぬな」
「ええ。一応、策はあります」
「申してみよ」
炎が肉を焦がす臭いの漂う中、クリスティーナとエイナルは肩を並べて戦いながら、言葉を交わした。
「シーグル伯の周囲の魔術師たちも、そろそろ封魔の結界の影響を受けて魔術を使えなくなり、退くことになるでしょう」
「だが、またすぐに別の魔術師が補充されるのだろう?」
「補充されないようにすればよいのです。幸い、広間の扉は、あちらの一か所のみとなっております」
「……なるほどな。戦死者が出ることは避けられぬか」
クリスティーナはエイナルの策を瞬時に理解し、苦い顔をした。
「今我々が、一回の突撃に対して処理している敵は二十名ほど。この広間の中に入る敵は百名ほど。……数刻耐えられる面子であれば、どうにか生き残ることはできると思われます」
「よし。人選等は任せる。準備ができたら言ってくれ」
「クリスティーナ様、何名でしたら同時に飛ばせますか?」
「何人でも問題は無い。こちらの戦力との兼ね合い次第だな」
エイナルは頷いて、前線から退いた。
近衛騎士団の二十名は、まだ全員が生きて戦っていた。
エイナルはその中から、負傷の無い者を実力順に四名選び、防衛線の内側に招き入れた。
「これより君たちを、あちらの扉の付近に飛ばす。君たちはどうにかして扉を閉めた後、その状態を維持してくれ。外には敵がひしめいている……極めて危険な任務だが……」
選ばれた四名は一様に頷く。
近衛騎士団長である女性騎士、ディアナ・バルテルスが力強く言った。
「姫様が勝利するなら、我々はその務め、何としても果たしましょう。扉の外でなら、我々も魔術を行使できますので。戦い抜いてみせますよ」
笑ってみせる騎士たちに、エイナルは、
「すまない……。何としても数刻で終わらせる。必ず生き延びてくれ」
と頭を下げた。
そしてすぐに、他の兵たちにも指示を出した。
「これよりしばらく、クリスティーナ様の攻撃援護は無くなる。その間君たちには敵の全てを相手してもらわねばならないし、クリスティーナ様を守るために防衛線を広げてもらうことになる。辛い戦いになるが、今しばらく耐えてくれ」
「お任せを」
敵を切り捨てた一人が言った。
他の者は言葉を発する余裕は無かったが、エイナルの指示通り素早く防衛線を広げ、クリスティーナを前線から下げた。
175Dark Force 2 「城砦都市」 ◆l2GahqrhOU :2010/11/07(日) 22:42:50 ID:d7L9TO2D
「クリスティーナ様。準備が整いました」
「よし、いくぞ」
騎士団長のディアナを含んだ四名が、クリスティーナの周囲に立った。
「封魔の結界の中で私ができるのは、最初の一投だけだ。離れてしまえば力は及ばぬので、着地時の調整などはできない。各々上手くやってくれ」
四人が頷く。
次の瞬間、ちょうどラベリ公爵を処分した時のように、クリスティーナは見えない力で四人を扉の方向に向けて跳ね飛ばした。
取り囲む兵たちの頭上を越えて、近衛兵たちは扉の外へと一直線に投げ出された。
落下する直前、ディアナは空中で身をよじるようにして手を振るい、起こした風で敵兵を薙ぎ払って、敵中に空いた空間に着地した。
「扉を!」
ディアナの叫びに、シーグル伯爵は顔色を変えた。
「いかん! 奴らを殺せ!」
しかし、ディアナたちの行動は素早かった。
封魔の結界を逃れたディアナは、次いで起こした風刃で廊下に控えた敵兵を薙ぎ倒した。
間髪いれず、もう一人の近衛兵が風刃に耐えていた控えの魔術師の元まで駆けて、袈裟がけに斬り殺した。
残る二人は広間の扉を閉めて、内部から簡単に開かぬよう、床に氷塊を作り出した。
「よし。一人は扉を見張れ。内部から壊しにかかるなら、すぐに報告せよ」
言って、ディアナは廊下の先を見た。
数えきれない兵たちが、隊列を組んで向かってきていた。
「同時に相手をすることになる数は限られている。各個撃破を続ければ、我々の勝利だ」
必ず生き延びてくれ――
そう言ったエイナルの顔を、ディアナは思い返した。
「生きて帰りますよ。姫様と……あなたのために」
176Dark Force 2 「城砦都市」 ◆l2GahqrhOU :2010/11/07(日) 22:43:20 ID:d7L9TO2D
四人を飛ばしたクリスティーナは、すぐに戦線に復帰した。
扉を閉められたシーグル伯爵は、数名に扉の破壊を言い渡し、他の者たちには総攻撃を命じた。
封魔の結界の影響下で魔術を行使できる者たちがいたからこそ、戦力が拮抗していたのだ。
今広間の中にいる魔術師たちの魔力が完全に封じられれば、勝負がどちらに流れるかは明らかだった。
いずれにせよ、増援を断たれたフェーンストレム軍は一回の突撃ごとに数を削られ、次第にクリスティーナたちに前進を許すことになった。
ついに魔術師の一人が氷魔術を放たなくなった時、クリスティーナはシーグル伯爵に呼びかけた。
「諦めろ。わかっているだろう。もう貴様は詰んでいる」
「まだまだ……外の四人さえ破ることができれば……!」
「そうだな。私も情けをかける余裕など無かったな」
クリスティーナの軍勢は攻撃をしのぎながら、少しずつシーグル伯爵に迫った。
ついにシーグル伯爵の周囲に配された魔術師たちが全員魔術を封じられた時、趨勢は決定的なものとなった。
クリスティーナは魔術の防御に当てていた力を完全に攻撃に回し、襲いかかる敵をあらかた焼き尽くした。
ここに至って、広間に留まって兵たちを指揮していたフェーンストレム貴族は、一人、また一人と降伏し、剣を捨てた。
「よし。武装を剥がしてまとめておけ」
近衛騎士団に一言命じて、クリスティーナはシーグル伯爵の元へと、血に染まった床の上を歩いて行った。
「貴様は最後まで降伏をしないのだな」
「許していただけるとは思っておりませぬゆえ」
「よろしい」
クリスティーナはシーグル伯爵も同様に捕虜とすることを命じると、扉へと向かった。
「行くぞ、エイナル。残敵の掃討だ」
「はっ……」
扉の外に呼びかけ、扉を開かせる。
ディアナたちは傷を負いながらも、どうにか敵を退けていた。
「姫様……!」
「待たせたな。少し休んでおけ」
「いえ。私は大丈夫です。姫様の戦、お供させていただきます」
クリスティーナとエイナル、ディアナの三人は、投降を呼びかけながら城内の敵を掃討していった。
シーグル伯爵が捕虜となったことから、ほとんどの敵は戦意を喪失していて、皆呼び掛けに応じて武器を捨てていった。
夕刻、共和国軍本隊の入城を前に、フェーンストレムは完全にクリスティーナの指揮下に置かれることとなった。
177Dark Force 2 「城砦都市」 ◆l2GahqrhOU :2010/11/07(日) 22:44:08 ID:d7L9TO2D
「さて……降伏しなかったのは貴様のみだ。シーグル伯爵よ」
両手を縛られて床に座らされたシーグル伯爵と、娘のウルリーカを前に、クリスティーナは言った。
広間にしつらわれた椅子に座り、傍にはアーネとメルタ、そしてエイナルが控えている。
先ほどの戦闘の跡は綺麗に片づけられていたが、広間には西日が差し込み、床を真っ赤に染め上げていた。
「私に反逆した以上、どうなるかはわかっているな」
「覚悟はできております」
シーグル伯爵は静かに続けた。
「しかし、ウルリーカの処刑はどうか許していただけないでしょうか。私はこの娘を使ってエイナル殿に偽の情報を流しましたが、娘は……ウルリーカは、私の意図など知らず、ただ己の感情に忠実に動いたのみなのです。私がこの娘の想いを利用しただけなのです」
シーグル伯爵とウルリーカがエイナルを見た。
エイナルは首を横に振った。
「シーグル伯爵、お分かりでしょう。反乱は一族全員が処罰されることが決まっております。あなたの言葉が本当であれ嘘であれ、ウルリーカは処罰を免れえない。それが抑止力であり、あなたのしたことはそれだけ大きなことなのです」
言って、エイナルは剣を抜いた。
「むぅう……」
「エイナル……」
シーグル伯爵が唸り声をあげる一方で、ウルリーカはエイナルの名を呟いて涙をこぼした。
「……仕方ないものね。いいわ。あなたに殺されるなら。ただ、信じてほしいの。私には、あなたを裏切るつもりは無かったと」
「……すまない」
エイナルが剣を振り上げた、その時。
「待て」
クリスティーナがあからさまに不機嫌そうな声で止めた。
「クリスティーナ様?」
「エイナル。貴様、信じたのか。今の、その女の言葉を」
「え、いえ……いずれにせよ、私は両名を切ることにためらいはありません」
「信じたのかどうなのか、聞いているのだ」
「正直、わかりません。私には彼女の言が真実なのか……判断しかねます」
「ふむ」
クリスティーナはメルタに視線をやった。
「薬の用意はあるか?」
「はい。大抵のものをお持ちしております」
「この女に一番強力な薬を注げ。壊れてもかまわぬ」
メルタはいそいそと、傍らに置かれた鞄を開き、いつか見た銀色の漏斗を取り出した。
アーネは心得たもので、ウルリーカの上体を床に押し倒すと、尻を突き出させる姿勢にして、するりと下着を下げた。
「い、や……! 何を……!」
悲鳴を上げるウルリーカに、メルタが優しく囁きかけた。
「いいことですよ、ウルリーカ様。うまく姫様のお気に召せば、命が助かるかもしれません」
「え……?」
混乱の中にあるウルリーカをよそに、メルタはずぶずぶと彼女の尻の穴に金属の管を沈めていく。
そうして、慣れた手つきで漏斗に透明な液体を注ぎ始めた。
178Dark Force 2 「城砦都市」 ◆l2GahqrhOU :2010/11/07(日) 22:44:58 ID:d7L9TO2D
「あ、あ……なに……? やぁあ……」
薬の効果は劇的に表れた。
ウルリーカは床に顔を押しつけ、尻を突き出したままで身をよじり、悩ましげな声をあげた。
「ふぁあ……! あっ! んふぅう……! んん……!」
ぷしゅ、とはじけるような音を立てて、ウルリーカは小便を漏らしてしまう。
捉えどころのなかった虚ろな目を、さらにとろけさせて、ウルリーカは小便を垂れ流しながら腰を上下した。
「ああ……! や……熱い……あああ……!」
髪と同じ薄灰色の陰毛の中に、肉の花びらが真っ赤に充血しているのが見て取れる。
ウルリーカはたまらず、足を広げた蛙のような姿勢で小便に濡れた床に寝そべり、秘所を床にせわしなく擦りつけた。
「ああ……ああああ……! いい……! あそこ気持ちいい……!」
「ふふ……そこを弄ると解消されることは知っていたか。なかなか耳年増なご令嬢だな」
クリスティーナは笑いながら、シーグル伯爵を見た。
「さて……父娘相姦は先日見て飽きがあるからな。ここはまた違った余興と行くか」
「兵たちを呼びますか?」
メルタの問いに、クリスティーナは頷いた。
「そうだな。今回の戦いで勲功のある、近衛騎士団の四名を呼べ。……と、団長のディアナは女であったか」
「では、ディアナを除いた三名を?」
「そうだな。ディアナにはまた別に褒美をくれてやることとしよう。それ以外の三名を呼べ」
数刻後、部屋に通された近衛騎士団員は、一人だけであった。
「三人のうち二人は重傷を負っていて、怪我の治療中です」
「よろしい。一人いれば十分だ」
アーネの報告にクリスティーナは頷く。
騎士団員はというと、いまや父親の肩に股間を擦りつけて咽び泣く伯爵令嬢の姿を見て、唖然としていた。
「ひ、姫様、これは……」
「今回の戦利品だ。貴様が好きにしてよいぞ」
「はっ……しかし……」
「あまりに好みでないなら強制はできぬがな。ただ、私も昼の戦いでだいぶ魔力を消耗してしまったのでな。協力してもらえると非常にありがたい」
その言葉に、近衛騎士団員は頷いた。
クリスティーナの魔力の補充のためという大義名分を得て、良心の壁を乗り越えてウルリーカに近付く。
アーネとメルタが彼のためにウルリーカを床に引き倒し、その股を限界まで割り広げた。
「あ……ああ……!」
ぬらりと濡れた秘所が衆目に晒されるも、ウルリーカはもはや快楽のことしか考えられなかった。
「早く……! おまんこ早く何とかしてください……!」
薬に精神を壊され、ウルリーカは自らの秘所を両手の指で広げて懇願した。
「お願い……! 私を……気持ち良く……!」
団員がアーネに促されてズボンを下ろし、勃起したペニスをウルリーカの充血した秘所に押しあてた。
そうして腰を前に突き出し、伯爵令嬢の膣に一兵士のペニスが少しずつ呑みこまれていった。
「はぁ……ああぁあ……!」
初めての体験だというのに、ウルリーカは悦楽の声をあげてしまう。
団員は無我夢中で腰を動かした。
「は! ああ! んはぁあ! あああ……!」
間断なく声を上げて顔をのけぞらせるウルリーカを見ながら、クリスティーナはエイナルに問いかけた。
「どうだ。元婚約者が犯される姿は」
「特に感慨はありませんね」
「本当か?」
クリスティーナはエイナルの股間をちらりと見たが、これまでと変わらず、こんな状況を目にしても彼のそこは変化の無いままだった。
「ふむ……相変わらずだな、貴様は。だが、どうやらウルリーカに未練が無いというのは本当らしいな」
「はい。嘘偽りありません」
クリスティーナはウルリーカと騎士団員の方を見た。
ドレスを剥かれ、形の良い乳を揺らしながら、ウルリーカは後ろから突かれて涎を垂らしていた。
179Dark Force 2 「城砦都市」 ◆l2GahqrhOU :2010/11/07(日) 22:45:38 ID:d7L9TO2D
「いいっ……! いいっ! 来ちゃいますっ! あ、あ! 何か来るの! いいっ……!!」
肉と肉のぶつかる音がして、ウルリーカはがくがくと体を震わせた。
「そろそろか……」
クリスティーナは呟くとエイナルに命じ、四つん這いで乱れるウルリーカの前にシーグル伯爵を座らせた。
「どうだ。娘が初めての絶頂を迎えようとしているぞ」
「……」
俯いたまま、シーグル伯爵は答えなかった。
一方で、父親が目の前に居るというのに、ウルリーカはだらしない顔をさらしたままで性の快楽に完全にはまり込んでいた。
「あふ! んがっ! ふぅうぁああぁあっ〜! いくっ! まんこいくっ! いくっぅううう!」
舌を突き出して白目をむき、ウルリーカは再び小便を漏らしてしまった。
その瞬間、クリスティーナが鋭い声でエイナルに命じた。
「エイナル! シーグルの首をはねよ!」
「……!」
握っていた剣で、エイナルはシーグル伯爵の首をはねた。
苦々しい表情のままの首が床に転げ落ち、血が盛大に噴き出す。
その飛沫が、絶頂のただ中にあったウルリーカの舌に付いた。
「あひゃ! お、お父様ぁああぁいぃいいいっ! お、おと……! んひゃぁあ!」
涙を流しながら為す術も無くいかされるウルリーカを、クリスティーナが嘲るように笑った。
「父親の首が目の前で無くなっても絶頂は止まらぬか。業の深い女だな。エイナルよ、このような女に、今後引っ掛かってはならぬぞ」
「はっ……」
剣に付いた血を拭きながら、エイナルはしっかりとした声で返事をした。
その様子に満足げに頷くクリスティーナだったが、
「……クリスティーナ様。お気持ちはお察しいたしますが、これでは団員が続けられません」
メルタの言葉に表情を曇らせた。
見ると、先ほどまでウルリーカを突いていた騎士団員は、死体から顔を背けるようにしてウルリーカから離れてしまっていた。
「む……すまないことをしたな。せっかくの褒美だというのに」
「い、いえ。私のことならお気になさらずに」
固い顔で答える団員に、クリスティーナは笑いかけた。
「無理をするな。貴様のおかげで私の魔力もなかなかに溜まった。また別に褒美をとらせるから、考えておくように」
クリスティーナはアーネに団員の世話を言い渡し、メルタにはウルリーカを貧民街に捨て置くように命じた。
「貧民街に……ですか?」
「ああ。乞食どもの精液便所にしてやれ。自ら命を絶たない限りは、殺さずにおいてやる」
180Dark Force 2 「城砦都市」 ◆l2GahqrhOU :2010/11/07(日) 22:46:37 ID:d7L9TO2D
アーネとメルタが慌ただしく動きだす。
アーネと団員がシーグル伯爵の死体を運び出し、メルタは足腰の立たなくなっているウルリーカを連れだして、クリスティーナとエイナルの二人だけが広間に残された。
「……異存は無いな、エイナルよ」
窓の外、紫に染まる空を見上げて、クリスティーナは言った。
「今夜はゆっくりと休んでおけ。明日からこの城砦都市を把握する膨大な手続きが待っているからな」
「はい……」
一礼をして、エイナルは広間を去った。
その後ろ姿を見届けたクリスティーナは、椅子に腰かけて、深く息をついた。
「はぁ……やりすぎたかな」
「何がですか?」
応じたのは、団員を途中まで送って戻って来たアーネだった。
「いや……その……エイナルの様子はどうだった?」
「エイナル様ですか? ついさっきそこですれ違いましたけど……。そうですね、さすがに落ち込んでいた様子です」
「そうか……」
クリスティーナは浮かない顔で、また深くため息をついた。
「どうしたのですか? やはり戦いの後でお疲れに……? 湯浴みをいたしますか?」
「その、な。ウルリーカの件は、やりすぎたかな……と」
普段勇ましい美姫の、不安げな表情に、アーネは思わず微笑んでしまった。
あの時、先遣隊としてフェーンストレムに赴く前の夜、彼女にエイナルとウルリーカの仲を調べるよう言ってきた時のクリスティーナの表情も、ちょうど今のような具合だったと思い出す。
「姫様が気に病む必要はありませんよ。仕方のないことです」
「そう……なのか?」
「はい。それが女ってものですから」
にこりと笑って、アーネは床の血の掃除を始めたのだった。
181 ◆l2GahqrhOU :2010/11/07(日) 22:48:23 ID:d7L9TO2D
以上です。
182名無しさん@ピンキー:2010/11/07(日) 23:17:10 ID:QfMRjAKC
G乙
前作読み返してくる
183名無しさん@ピンキー:2010/11/08(月) 10:12:32 ID:Pq9swQFU
なんというスウェーデン風味
184名無しさん@ピンキー:2010/11/08(月) 14:29:34 ID:BZrrcVZm
何を望んでいるのかわからん
185名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 01:51:33 ID:F2nzekTA
超GJ!
前作が気に入っていたので、続き待ってた!

残酷姫がこのスレ的に新鮮で非常に良い
186名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 03:53:01 ID:i2NnfhXX
ウルリーカかわいそすぐる…
187名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 05:36:06 ID:v/aFIxgl
>>181
GJ、超イカス。
どうやら始まりそうだ、過去ログを漁る日々が・・・!
188名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 10:50:18 ID:UQJeM+oB
>>186同意
投下はありがたいけど
陵辱・輪姦・クスリ有あたりは注意書きとしてしっかり書いといてくれないと
というかこんな陰湿残虐強姦がちょいエロっておま
189名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 15:10:05 ID:qnd7uedH
GJ!
俺も保管庫の読み返してきたわ
190名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 19:40:04 ID:zHvag0JG
ひでえ
確かにこれは注意書きほしいな
191名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 19:45:41 ID:AIfBxdCC
GJ
話続くみたいだし、次からは告知して貰えばそれでいいんじゃない?
192名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 22:05:31 ID:4UwIgU5f
何となく作っていた姫…というより戦記風味な武闘派姫の話。
>>181さんの後に投下なのも申し訳ないですが投下します。

戦闘描写にグロ有り
姫様入浴シーン
ブレ○ブハート




ガタン、ゴトン、ガタン、ゴトン………
僕が向かうのは戦場。
僕と同じ貨物馬車に乗っているのは、西部で未だ抵抗を続ける勢力を平定する為に徴兵された若者ばかりだ。
戦況は予想外に激戦らしく、ろくな訓練もなしにこの貨物馬車に押し込められた。
装備はない。戦地で支給されるのだろうか?
ガタン…ゴトン……ガタン………ゴトン……馬車の列が止まった。
ガララッ、薄暗い貨物馬車の扉が開き、まばゆい光と共に―――
「ぐあっ」
「うっ!?」
「ぎゃ!」
――矢が雨のように降り注いだ。
「全員、降車!急げ!!」
矢が次々と貨物車に乗っていた者達に突き刺さる中、僕は転がるように貨物車から飛び出した。
その眼に飛び込んできた光景に僕は唖然とした。
枯れ果てた木々と泥と湿気にまみれる大地が一面に広がっていた。
その時、凛とした声が遥いた。
「貨物馬車を守れ!防盾隊は何をしている!」
一頭の馬に乗った黒い甲冑の騎士が叫んだ。
その一喝と共に、貨物馬車と補充兵の周りに大きな盾を持った兵が駆け寄ってきた。
ほどなくして矢が飛んでこなくなり、僕はほっと息をついた。
「ルージュ様、敵の残存部隊に我が軍の騎兵が突撃を開始致しました。まもなく状況は回復しましょう」
後から駆けてきた魔術師がさっき叫んだ黒い甲冑の騎士に言った。
(……ルージュ?)
どこかで聞いた名前だと思っているとその黒い騎士が僕の前に馬を進めてきた。
193名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 22:06:41 ID:4UwIgU5f
「少年、名は?」
「えっ…あ…?」
「名は何と言う?」
「は、はい。ラメルと言います」
「年齢(とし)は?」
「はい……12です」
「そうか。私の侍従が先刻、戦死した…本日付けをもって私付きの侍従に命ずる」
「え………!?」
「返事は?」
「は、はい!」

数時間後。
「よろしいのですか?」
「………」
軍陣営の将校用のテントの中でティゴルは言った。
「何がだ?」
「彼は弟君によく似ている」
「…………」
「容姿も声も……ですが彼は弟君ではない」
ティゴルは一呼吸おき、言った。
「そして……弟君の代わりでもないのです」
「―――っ!」
ルージュはキッとティゴルを睨んだ。
「………ソレが私が侍従を選んだ理由だというのか?」
「僕の眼にはそう映りました」
ルージュはティゴルの視線を逃れるように踵を返した。
その背に縋るようにティゴルは続けた。
「ルージュ、貴女らしくありません。侍従を選ぶのは構いませんが、僕の―――」
「少し疲れた……一人にしてくれ」
「ルージュ」
なおも食い下がるティゴルに僅かに振り向き、ルージュは言った。
「出ていけ………これは命令だ」
「…………わかりました………失礼します」
ティゴルは目を伏せ、頭を垂れるとテントの外へと出て行った。
「………」
甲冑のままルージュは簡易ベッドに腰をかけた。
そしてふぅと息をつくと両手で身体をゆっくりと抱いた。
「…………」
震える肩を押さえながら、ルージュは自分に言い聞かせるように何度も呟いた。
「わかっている……弟は…ルリエスはもうこの世にはいない………わかっているんだ」
194名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 22:08:27 ID:4UwIgU5f
翌朝、僕は陣営の本部に呼び出され、正式にあの騎士の……いや王国騎士団長であり、
騎士団長でもあるマリアルージュ=クロスティリア様の侍従に任ぜられた。
よかった、ツイてる…と僕は思った。

元々、口減らしの為に兵隊に出された僕だ。
帰っても迎えてくれる家はない。
王女付きの侍従であればまともな食事にありつけるだろうし、前線で戦うよりマシだろう。
と命令書を持ち、思案していた。
が……どうやらそれは甘い考えだった。
「あ…あの、マリアルージュ様」
「私を呼ぶときはルージュでいい」
「あ、は…はい、あのルージュ様、これはなんですか?」
「朝食だ」
侍従になってからの初仕事はルージュ様の食事の用意。献立は………
「……冷めた豆のスープに肉の塩漬け、この黴びたパンが?」
「ああ」
「コックが間違えたんでしょうか、これがルージュ様のお食事とは―――」
「補給が乏しいのでな、仕方がないんだ。パンの黴びた部分は削って食え。
水は飲料水も含め、優先的に医療班にまわしているから我々の分はない。
だからといって川の水は飲むな、バクテリアが多い、死ぬぞ。喉が渇いたらビールを飲め、傷んでいるが軽い腹痛程度ですむ」
これが女性の台詞か?ああ、なんかパンをナイフで削って食べてるよ……をいをい。
それにこのテントの中……なぜか…ものすごく臭い。
大量の生ゴミが腐ったようなひどい臭いが……自然と僕の眼は朝食をとるルージュ様の方へと移った。
……まさかな……
195名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 22:09:29 ID:4UwIgU5f
そんな考えを見透かしたかのように我が主君は答えた。
「酷い臭いだろう?」
「えっ……?」
「汗と土と血と女の臭いだ……まるで家畜小屋だな。まぁ……一月もろくに身体を洗っていない…許してくれ」
「…………」
僕は何も言えずただ下を向いていた。
「これでも前線の兵士よりはマシだというのだから……戦場というのは本当に酷い場所だよ。
貴族どもは一日ともたんだろう。」
鼻で笑って、削ったパンをスープに付けて口に運ぶルージュ様。
口とは裏腹に、その眼光は野生の狼のようだ。
「お前も覚悟しておけ。戦場がどんな場所か直にわかるはずだ」
ルージュ様はふふっと不敵に笑い、干し肉を囓りビールを一気に煽った。

今日は本陣の作戦本部テントで作戦会議、戦況は昨日の戦闘で対岸に敵軍を追いやったことで王国軍が優勢になったという。
対岸の後方には広い草原があるのみ、そこが決戦の場になるのだそうだ。
相手は王国軍の併合策を『侵略』と称して抵抗するこの小国『ラトゥカ』の王とそれに従う一部の国民。
それはそうだ、併合されれば王家はどうなるかわからない。
小さいなりにも独立した国の王ならば、抵抗するだろう。
きっかけは小さな反乱だったらしい、それを鎮圧に向かった王国軍警備隊が破れ、
勢いづいた民衆が続々と集結し、それを聞いた王が決起しクロスティリア王国と対決するに至ったらしい。
「ルージュ様、敵は疲弊しております。戦力差はこちらの3分の1、我が軍の騎士団で踏みつぶしてやりましょう」
会議の中、若い上級騎士が言った。
「………」
ルージュ様は腕を組んだまま、じっと机の上の戦況板を見ている。
「敵の装備はどうだ?騎馬は?」
「は、ラトゥカ軍には正規の軍組織がありません。民兵が主で、武器は剣に斧や槍、はては鉈や鋤で武装しているそうです。
騎馬は20騎程度のようであります」
皆がどっと笑う。
「昼間の戦闘で敵の弓兵隊はほぼ壊滅させました。所詮は農民の軍隊、烏合の衆です」
196名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 22:10:12 ID:4UwIgU5f
「その烏合の衆相手に我が軍の補充兵達に被害が出たのだ。それはどう説明する?」
ルージュ様の低い声に騎士達が言葉に詰まった。
「……姫、敵の動きは非常に巧妙です。兵の質は低いかもしれませんがそれを組織している王。
もしくは幹部に、よほど兵法に長けた者がいると考えるべきです。」
ルージュ様の後ろに控えていた老軍師が言った。
その後ろには、若い魔術師が控えている。
あ、ルージュ様と初めて会った時にいた人だ。
「爺、私もそう思う……が、対岸に渡った奴らは河を渡る我らに攻撃はしてこなかった。
覚悟を決めたとは考えれぬか?」
「ご冗談を。彼らはこの戦に『勝つ』つもりでしょう。」
おじいさんがふふふっと笑った。
「シャレール殿、それは我らを騎士団を愚弄しているのか!?」
勇んでいた若い騎士がすごい形相で睨んだ。
「そんなつもりはない。が、現にただの民兵相手にここまで苦戦しているのは事実。
それでも強引に攻めるというのなら、お主の騎馬隊で明日、敵の歩兵を攻撃すればよい。
100もあればたやすく突破できるだろう?」
「言われなくとも!ルージュ様、明日の先方は私に務めさせて下さい。
見事、ラトゥカ王の首を討ち取って御覧に入れましょう」
「……わかった。そなたの直属の部隊に先陣を務めてもらおう」
「はは」
そして作戦会議は終わり、本部にはルージュ様と僕。
おじいさんと若い魔術師だけが残った。
197名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 22:11:06 ID:4UwIgU5f
「爺……100の騎馬、潰す気か?」
「姫、民衆の『乱』というモノは時として最も強い軍隊となります。
その恐ろしさを将来、王国を統べる貴女様の眼にしっかりと焼き付けていただきたい。
その為なら100の騎馬、惜しくはありません。」
「……軍師たるヴァレリアス=ムスムリ=シャレール殿の言葉であっても……
100の騎馬は騎士団の一部、それをむざむざ―――」
「姫、王となる者は大局を見極めねばならぬ時もございます」
「それでは父上と変わらぬではないかっ!」
ルージュ様が吼えた。
「父上は己の敵には容赦のない方。謀反の疑いをかけられ処罰された臣下も1人や2人ではない。
それ故に一昔前は内からは『魔王』と、外からは『クロスティリアの覇王』と呼ばれていた……
私はそのような王にはなりたくはない!」
「ならばなおのこと。王であろうと思うのであれば、まず民の恐ろしさを知らねば………。
そのために『情』を捨てねばならぬ時もございます」
「今がその時だと?」
「左様、1500の騎士団の内の100、残りの1400と歩兵5000の為に……」
「……承知した。爺、任せるぞ。」
「御英断、この爺は嬉しく思います。姫はやはり王となられるお方です」
「……下がって休め。明日は決戦だ。ティゴル、お前も明日は存分に働いてもらうぞ」
「はい、お任せを」
そう言っておじいさんとあの魔術師……ティゴルさんは出て行った。
「ラメル、私は身体を清める。手伝え」
「え…あ、はいっ!」
眠くて立ったままウトウトしていた僕はルージュ様の声にびくっとした。
…って身体を清めるって?
198名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 22:12:04 ID:4UwIgU5f
僕は今、ものすごく緊張している。
鼓動が高ぶり、息苦しい。
それはそうだ…この一枚のしきりの布を隔てて向こうは裸のルージュ様が湯浴みをされているのだから。
「ふぅ……生き返る……補給が間に合ってよかった。決戦の前は身体を清めるのは王家のしきたり…
だからと言って濁った河の水で洗うのはごめんだからな」
「は……はぁ」
……そんなことを言われてもな……
「ラメル、こっちへ来て背中を流してくれないか」
ええええええ!?
「で、ですが……ぼ、僕は…」
「気にするな、お前に己の裸体を見られたからといってどうと言うことはない」
「し、しかし……」
「お前も脱ぐんだからな?」
……お許し下さい、ルージュ様…観念して、僕は服を脱ぎ失礼しますと言って
しきり用の布を抜け、中へと入っていった。
そこには栗色の髪の女神が座っていた。
ほんのりと紅ののった白い肌に蒼い眼、均整の取れた年相応の女性が
湯を張った簡易浴槽の中からこちらを見ていた。
「何を固まっている、こっちへ来い」
「は…はひ!?」
あんまりの衝撃に僕の声は上ずっていた。
「その石鹸を泡立てて、タオルで背中を頼む」
そう言って僕に背を向け、ルージュ様は前を向き鏡を見ながら髪を洗い始めた。
浴槽に入り、僕は指示された通りにルージュ様の背を洗い始めた。
……僕の未熟なアソコも知らず知らずのうちに催している。うう…情けない……あれ…?
しばらく洗っている内に僕はルージュ様の背に大小の傷があることに気がついた。
いや…背中だけじゃない、腕にも足にもいたるところに擦り傷や切り傷、打撲の後がある。
「……気がついたか?」
「えっ?」
「この傷跡は……私がお前ぐらいの年齢には父上に剣術をたたき込まれていた。
容赦なく模擬剣で朝から夜遅くまで打ち据えられてな」
199名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 22:13:24 ID:4UwIgU5f
「………」
「そして次の年には戦場にいた。父上の傍らで戦を見ていたよ。
恐ろしかった、矢が飛んできて腕に刺さった時は死ぬかと思った」
ルージュ様は己の過去を淡々と語った。
「……そうして父上の命で初めて人を殺めたとき、震えが止まらなかった。
苦悶の声と表情をしながら倒れる敵の捕虜…あの肉を斬る感触と血のにおい、
斬られた腹部から飛び出す臓物は今でも覚えている……」
「………ルージュ……様?」
「だが父上は『すぐ慣れる』と言った。そうして私は人を殺めることに慣れた私は………
こうして今、また人を殺めるためにここにいる」
僕はうまく返事が返せなかった。
何と返せばいいのか思いつかなかったけど……こう返した。
「……どうして僕にそのようなお話を?」
「………ふむ……どうしてかと問われると……」
ルージュ様は少し考える素振りをした。
「あ…す、すみません」
「ふふ、謝ることはない。…そうだな…ただ聞いてほしかった……そう答えておこうか」
「あ、は、はい」
そう言ってルージュ様はクスっと笑った、つられて僕も笑う。
初めは怖いイメージがあったけど……本当は…優しい人なんだ……こんな人が僕の姉さんだったらいいのにな。
そう思った僕は言ってみた。
「あ…あの…」
「うん?」
「お…お姉ちゃん!」
「―――!?」
あ、あれ?ルージュ様が眼を見開いたまま固まってる…あ、こ、言葉使いか。
もっと上品に言わないと。
「じゃなくて……え、えーと…あ、姉上!」
「ル……ルリエス……?」
「…え?」
「ルリエス!!」
え、えええええっ!?ル、ルージュ様がぼ、僕にがばっとだ、抱きついて―――!?
「ル、ルージュ様っ!?ルージュ様っ!落ち着いて下さい!ぼ、僕に、そ、そんな―――僕はラメルです!
貴女の侍従のラメルです!」
「ラメル―――あ、す、すまんっ!」
ルージュ様はハッと我に返り、僕から離れた。
「い…いえ、ですがルリエスって―――」
そう言いかけた僕をルージュ様はギロッと睨んだ。その眼をみた瞬間、僕は殺されると思った。
「あ…あの…ご、ごめんな……」
震えて声が出ない、蛇に睨まれた蛙みたいだ。
そんな僕にルージュ様は詰め寄り、噛みつくように言った。
「聞くな。二度と。誰にも……わかったな?」
200名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 22:14:24 ID:4UwIgU5f
「ティゴル……」
陣営の中を二人の影がゆっくりとした足取りで歩いていく。
「はい、お祖父様」
「儂は姫が男であったなら……と思うことが時々ある」
「はい……それはよくわかります」
「だか……姫は王になれる力量は十二分にある。
臣下を見る良い眼と耳と人徳を持ち合わせておる。王譲りの覇気と武も」
「はい……」
老人は陣営の前に広がる河を見ながらふいに呟いた。
「―――『女』に戻してはならんぞ」
ティゴルはその言葉に口元を引き締めた。
「……お祖父様」
「そのためにお前を姫の側につけた」
老人は足下の石を拾い、河の中に軽く投げ込んだ。
「……はい」
そして老人はゆっくりと屈み、腰を大きな石の上におろした。
「姫が『女』の心を取り戻せばこの強大な王国を統べる事は誰もできなくなる……」
老人の老いた眼には河ではなく、王国の行く末が映っているのかもしれない。
「………」
「よいな、己の使命を全うせよ。これはお前の祖父ではなく師として命ずる。」
老人の眼が鋭く光った。
「お任せ下さい、我が師よ」


よく晴れた晴天の空の下、ラトゥカ国の言葉で『ヴェラ』という平原に各々の武器を持った民達が立っていた。
それぞれの顔は土と血に汚れ、粗末な衣服を纏っている。
その姿はまさしく王国の圧政に決起した農民という言葉がふさわしい。
ラトゥカ王は騎乗し、民兵の集団の先頭にいた。
王家に伝わる武具を身につけ、頭には略式の鉄製の王冠をかぶっていた。
ルージュより五つほど年上だろうか、年若い青年だがその姿には『王』たる風格は十分に備わっている。
その王の元に馬に乗った斥候が駆け寄る。
「敵の数は?」
「およそ5倍です」
「騎馬は?」
「2000騎ほど。それとは別に100騎が先陣を務めています。歩兵は3000は超えるかと」
「……そうか……」
その言葉に王の表情が曇る。
「貴方がそんな顔をなされては民達が動揺してしまいますよ。」
王の後ろに控えていた軍師が言った。
「……そうだな、すまぬ。」
「明らかに劣勢ですが、逆にこれを打ち破れば国は独立国として認められます。
心配は無用です、僕の言った通りにして頂ければ必ず勝てます。」
長身の軍師はにこやかにそう言った。
「ああ。貴方には感謝している、ヴィナード殿。この国の為に尽力してくれた恩、必ず―――」
「その言葉、この戦を勝利した折りに―――来ましたよ」
地鳴りを思わせる騎馬の蹄の音と共に平原の向こうに見えるランスの先端。
そして金属音をきしめかせ、槍、斧、弓、剣を装備した歩兵が隊列を組み、行進してきた。
201名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 22:15:30 ID:4UwIgU5f

「爺……あれがラトゥカの残存軍か」
「左様でございます」
決戦の日、僕はルージュ様の後ろに控えていた。
侍従者には武器はない、とりあえず腕を前で組み、指示を待つ。
それにしても壮観だ……整列した槍兵に、歩兵、弓兵。
ひらめく軍旗に色とりどりの指示旗。
特に騎士団は蒼色の鎧で統一されているので格好いい。
「歩兵のみの軍など……姫様、シャレール様、よろしいですか?」
昨日、勇んでいた騎士が兜を片手に言った。
よろしいですか…というのはもちろん騎馬で突撃していいですか?と言う意味だろう。
「待て、とりあえず国王の条件を伝える」
ルージュ様が若い騎士に言った。
「は?……し、しかし―――」
若い騎士が口ごもった。
「……たとえ国王が守らぬ条件であっても合戦の礼儀というものはあろう」
「ですが、ルージュ様自らは危険です。相手は蛮族、礼儀など―――」
若い騎士の声はおじいさんの笑い声に遮られた。
「よいよい、そなたは英気を養っておれ。姫、面倒ごとはこの爺とティゴルにお任せ下さい。」
「この軍の指揮官は私だ。爺、ティゴル、ラメルついてこい」
そう言うとルージュ様はクロスティリア軍旗と停戦軍旗を持った騎手を伴って馬を走らせた。
「……やれやれ…ティゴル行くぞ」
「はい」
ティゴルさんはにこにこと笑っている。こうなることがわかっていたようだ。
そして僕達は馬を走らせた。

「おや……めずらしく使者が来ましたね……どうしますかアルガス様?」
「会おう……戦にも礼儀はある」
「まぁ……そうですね」
ラトゥカ王と軍師は手綱を握った。
202名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 22:16:30 ID:4UwIgU5f
「ラトゥカ王、アルガス=フィリア=ラトゥカだ」
驚いた、ルージュ様と同じくらいに若い人が敵の王様だったなんて。
「アルガス殿、初めてお目にかかる。私はクロスティリア王国第一王女、
マリアルージュ・ティクラ・クロスティリアだ。」
ルージュ様が名乗り、続けておじいさんとティゴルさんが名乗った。
「国王の条件を伝える。『軍を引き、王国に忠誠を誓い、従属するならこの領土の統治権を与え、
王家の世襲を認める』との事だ。」
ルージュ様が書状を見せた。
「マリアルージュ殿、申し出はありがたいが我らは貴女の父王に屈しません」
「アルガス殿、今一度お考えを。これ以上、両軍の血を―――」
ルージュ様が口を開いた時、ラトゥカ王の後ろに控えた軍師らしい人が言った。
「今度はこちらの条件です」
「口を慎め。マリアルージュ様の御前であるぞ」
おじいさんが厳格な口調で怒鳴った。びっくりした……怖い声。
「そちらの条件は聞きましたよ。今度はこちらの条件では?」
「貴様、名は?」
全く動じていない敵の軍師にルージュ様は鋭い口調で言った。
「申し遅れました、僕はヴィナードと言います」
「それでそちらの条件とは?」
「姫―――」
おじいさんが口を挟んだ。
「よい。そちらの条件を申してみろ。」
「ありがとうございます。では、こちらの条件です。」
何か……ルージュ様を前にして笑顔で言うなんて緊張感にかけるな…この軍師さん。
「旗を降ろして、数十年に及ぶ圧政、略奪、暴行を民に謝罪しながら王国に帰って下さい」
「…………」
「承知すればよし、承知しなければ今日ここで皆殺しにします」
………笑顔ですごいこと言う軍師さんだな。
でもルージュ様はそれを黙って聞いている。
「………ほう、なかなかの条件だ。だが―――」
ルージュ様が口を開こうとした時―――
「まだ条件は終わってませんよ、黙って聞いて下さい」
………すげえや、この軍師さん。
「帰る前に指揮官であるマリアルージュ様には隊列の前に進み出て頂き、
両足の間に頭を突っ込み、ご自分のケツにキスしていただけますか?
その方が我が軍の眼の包容になるでしょうし、僕も大変嬉しいです」
敵の王様は目を閉じ、ふぅ…とため息をついている。こっちのおじいさんはなぜかにやにや。
ティゴルさんは眉をひそめ、ルージュ様は―――切れていた。
「……アルガス殿、貴方はよい軍師をお持ちだ。戦場で会いましょう」
「……光栄です、マリアルージュ殿」
そうして両軍の交渉は決裂した。
203名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 22:17:34 ID:4UwIgU5f
「品のない条件だな、ヴィナード殿」
苦笑しながらラトゥカ王アルガスは言った。
「そうですか?是非、承諾してほしい条件だったんですけど………」
残念ですね…と言った感じで答える軍師。
「貴方は長生きしますよ」
「ええ、僕もそう思います。では、作戦通りに―――」
「心得た」

「ははは、なかなか愉快な軍師でしたな」
おじいさんが大きな声で笑った。
「ふふふ……あの条件……そうなればさぞ嬉しかったろう、ティゴル、ラメル?」
「いえ」
「とととととんでもない」
あ、あの……ルージュ様……眼が笑ってません。
「では……騎馬の援護をしますか……姫」
「わかっている、弓だ。」
その言葉と共に、矢の刺繍が入った指示旗を持った騎手が隊列の前を駆け抜けた。
「弓兵隊!」
「弓兵隊、前へ!」
「弓兵隊戦闘準備!」
隊列の指揮官が次々と声を張り上げた。
一列に並んだ先陣の騎馬隊の前に弓と矢筒を担いだ弓兵が駆け足で整列した。

「弓ですか……マニュアル通りの効果的な戦術ですね」
「あれだけの弓兵……さすがはクロスティリアだな」
ラトゥカ軍の民兵達がどよめき始めた。
「では、よろしくお願いします」
「ああ」
アルガスは短く答えると剣を引き抜き、天に掲げた。
「案じるな皆の者!この戦、我らは勝つ!鬨の声を上げよ!」
よく通る声でアルガスは高々に宣言した。
ウオオオオオォォォォォォォォ!!
民達が王に負けまいと声をあげ、叫んだ。
「王国に負けるな!!」
「ラトゥカ王万歳っ!!」
「王国軍は皆殺しだ!!」
「王国の魔女を殺せ!!」
雄叫びを上げ、剣の柄で盾をならし、挑発するように音頭をとる民兵達。

……すごい士気だ……僕はチラッとルージュ様を見た。
「勢いづいていますな……士気は上々といったところですか。
あの若い王に人徳は十分あるようです」
おじいさんが感心したように言った。
「そうでなければ張り合いがない……特にあの軍師……ふふふふ」
我が主君はまだ切れてる。
204名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 22:18:27 ID:4UwIgU5f
「弓兵隊!」
その声を共に弓に矢をつがえ、敵陣に届くよう角度を調節し構える弓兵達。
「放て!」
矢が風にのり、雨のように敵陣に降り注ぐ。あの角度から落ちれば、盾も貫通するだろう。
「そのまま3連射。先陣隊、敵陣に突撃せよ!」
「は!ラトゥカ王の首、必ずや討ち取ってみせます!」
あの若い兵士が兜をかぶり、100名の騎馬で横一列に突撃を開始した。
風のように疾走する騎馬兵団。

「我が方の損害は?」
矢が降り注ぐ中、アルガスが騎乗している側近に問う。
「は。盾で防いでいますが歩兵1500の中、100は―――ぎゃ」
側近の首に矢が突き刺さった。
「さすが……といった所ですか…」
盾で頭を保護しながらヴィナードが言った。
「次は―――」
「本命のご登場です」
軍師の言葉と共に轟音を立てながら甲冑を纏った騎兵が突撃してきた。
さすがに士気の高い民兵も動揺を隠せない。
「待て―――」
アルガスは馬から降り、剣を上げ声を張り上げる。
「騎馬隊突撃!!」
「ウラアアアアアアアアアアッ!!」
100の騎兵が喊声を上げ、一斉にランスを構えた。
「待て―――」
騎馬隊まで残り20メートルをきった。
風のように迫り来る騎馬兵。
「待て―――」
残り10メートル、9、8、7、6,5―――
「今だ!!」
「上げろ!!」
「突き出せ!!」
アルガスは叫び、足元に草をかぶせ偽装してあった木製の長槍を騎馬に向かって
一斉に立ち上げた。それはまさしく槍の壁であった。
「な、何っ―――ぎゃああ!」
「ぐぎっ!?」
「うわあああああっ!」
完全に突撃の体勢に入っていた騎馬兵達に馬を止める術はない。
勢い余った騎馬は自ら串刺しになり、騎馬兵は重い甲冑を纏ったまま騎馬の断末魔と共に
敵兵の中に放り出された。

「な……―――」
「どうですかな、姫。あれが民の力、知恵、そして怒りというものです」
おじいさんは対峙する敵陣でよってたかって叩き殺されている味方の騎馬兵と敵兵を
指さし、ルージュ様に言った。
「爺……まさか最初からこれを―――!?」
「敵がろくな騎馬や武器もなしに対峙している敵陣……頭をひねればすぐ察します。彼らには
我ら王国軍の常識は通じませぬ。」
「………許せ」
ルージュ様は唇を噛み、全滅した100の騎馬隊に目をつむった。
「さて、こちらは歩兵を出しますか、おい」
おじいさんが騎手に合図した。剣の刺繍が入った指示旗が隊列の前を横切った。
「槍兵、斧兵、歩兵隊前進!」
「歩兵前進!!」
「全歩兵隊前へ!」
騎馬隊の横から槍兵を先頭に歩兵が駆け足で前進を開始した。
「待て、先頭は私が―――」
「恐れながら……姫様はしばしお待ちいただけますかな」
「爺、まだ何かあるというのか?」
「おそらくは……」
205名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 22:19:07 ID:4UwIgU5f
「ん〜良い感じに勢いつきましたね。これで敵の歩兵が前進してくれば……」
騎兵の骸と共に串刺しになった騎馬や、叩き殺された騎兵を眺めながらヴィナードは言った。
「………我が軍の弓の出番か…」
返り血にまみれ、荒い息をつくアルガスが馬上の軍師を見上げ問う。
「そうです。その後、こちらの総攻撃に移ります。王は騎乗してください」
「わかった。弓兵に火矢を放つよう命じろ」
アルガスは側近に命じた。
「わかりました。弓兵、火矢準備、目標、敵歩兵群中央―――」
数少ないラトゥカの弓兵が油を染み込ませた布で鏃をくるみ、火をつけた。
「放て!!」
数十本の矢が前進する王国歩兵群の中央めがけて降り注ぐ。

「火矢だと―――敵の弓兵は全滅したはずではないのか?」
「準備のよろしいことで……予(あらかじ)め草原に『油』ですかな……」
眉をひそめるルージュ様に余裕の表情をするおじいさん。
ティゴルさんは眼を背けた。
そして次の瞬間、ボゥという音と共に歩兵群が炎に包まれた。

「ああああああっ!」
「火がっ!火がああああっ!?」
「ぎゃあああっ!!」
草原にまいてあった油に火が引火し歩兵群を十字に裂くように火の手が広がり、
運の悪い兵士は火だるまになり転げ回った。
隊列を組んで前進していた歩兵は4つに分断され、混乱と共に完全に孤立した。

「では王、総攻撃をお願いします」
「ラトゥカの民達よ!突撃!!」
「うおおおおおおおっ!」
「突っ込めええええ!」
地鳴りのような声と共にラトゥカの民が武器を掲げ、分断された王国軍に襲いかかった。
ラトゥカの騎馬隊も王と共に続き、歩兵の隊列に斬り込んでいく。
「全歩兵隊、迎撃!」
「敵を迎え撃て」
ラトゥカの歩兵も王国軍と接触し、壮絶な白兵戦が始まった。
「民兵風情が!死ね!」
ラトゥカ兵士は王国軍兵士の頭を木槌で潰し、棍棒で殴りつけ、首にナイフを突き立てる。
王国軍もまけてはいない、槍で相手の腹を貫き、剣で頭をなぎはらい、斧で腕をたたき落とす。
「蛮族が!くたばれ!」
草原は強烈な血のにおいと絶叫に包まれた。
「王国軍め、親父の仇だ!!」
ある兵士は鍬を王国兵の足につきたて、よろめいたところに跳びかかりナイフで喉元を切り裂いた。、
また別の民兵は斧で足を叩き落とし、そして転げ回る王国兵の顔に再び斧を振り下ろす。飛び散る脳漿。
「王国兵は皆殺しだ!ぶっ殺してやる」
またある者はその腕で王国兵を投げ飛ばし、その上から胴体目掛け鍬を何度も振り下ろす。
王国兵のはらわたが飛び出し、絶叫した。
「この野郎、この野郎!」
積年の恨みを晴らすように瀕死の王国兵の身体に何度も剣を突き立てる者。
既に絶命している王国兵の身体にまだ斧を振り下ろす者、様々だ。
憎悪の炎を眼に宿した民兵の襲撃に孤立した王国兵は各個撃破されつつあった。
アルガスは騎馬軍とともに歩兵軍の間を駆けめぐり、馬上から剣を振り下ろし、王国歩兵の
隊列を突き崩し始めた。
206名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 22:19:49 ID:4UwIgU5f
「な……何なんだ…これは…。わ、我がクロスティリア王国軍が―――」
「おわかりになりましたかな姫?これが民の反乱をいうものです……まさに地獄絵図ですな」
……さすがにこの光景は僕に耐えられなかった。
人の血みどろの戦い、手足がもげ、頭や身体が鈍器で潰され、貫かれ、切り裂かれる。
あふれるはらわた、血、骨、脳漿………草原一帯は血の海と化していた。
「さて……茶番は終わりましょうか。王国軍をここまでコケにした者を生かしてはおけませんからな」
おじいさんの目付きが変わった。
「爺―――?」
「弓兵に矢が尽きるまで射かけろと命じろ。」
おじいさんが弓兵隊の隊長に命じた。
「し、しかし―――それでは味方の兵を傷つけてしまいます」
おじいさんはその隊長の言葉に首をかしげた。
「それがどうした?」
「は……?」
おじいさんの意図をつかみかねたのか弓兵の隊長が言葉に詰まった。
「別働隊の兵がいくらでもおるのだ。攻撃しろ、二度は言わんぞ」
「は、は!了解しました!」
「爺!やめろ!命令を撤回しろ!」
「お言葉ながら姫―――私の独断で待機中の騎馬500と2000の歩兵を敵の後方へ移動させました。
これより殲滅戦を開始します」
「………爺、これも…味方の兵が味方の矢によって倒れることも耐えろと言うのか?」
「左様でございます」
兜をかぶったルージュ様の目が狼のように鋭くなった。
「ラメル、お前はここに残れ!爺、私はこちらの騎馬兵を率い、先陣をきる。よいな?」
「よろしくお願い致します。弓兵隊、放て!」

「ぐっ!?」
「ぎゃ!」
「味方の―――うぐ!」
「やめろっ!やめてくれ俺たちは味方―――ぐあ!」
乱戦の中、後方から再び矢が降り注いだ。敵味方関係なく矢が突き刺さる。
背中に、胸部に、腹部に、頭部に、顔面に……。
「くっ…王国軍め敵味方関係なしか…ヴィナード殿は。ヴィナード殿はどうした!」
盾で矢を防ぎながらアルガスは叫んだ。
207名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 22:20:38 ID:4UwIgU5f
「先ほどから見あたりません!」
アルガスの近くにいた側近が叫び返す。
「乱戦に呑まれたか……」
「王!こ、後方から敵の騎馬隊が!!」
「さらに前方より突撃する騎馬隊を確認!」
「何だと!?まさか―――王国軍は最初からこれを…」
矢の雨がようやく止んだかと思うと今度は後ろからランスを構えた騎馬兵の一斉突撃。
虚を突かれた民兵は反応が遅れ、突進してきた騎馬にはね飛ばされ、あるいはランスの餌食になった。
その一斉突撃の後、さらにルージュ率いる騎兵の再突撃、前後から騎兵に踏み倒され、
バラバラに分断され、突き崩された民兵達の後ろから王国兵が喊声を上げ大挙して押し寄せた。
再び激突するラトゥカ民兵と王国兵。
が、多勢に無勢、騎馬兵の馬上からの剣や歩兵の剣槍の前に次々と倒れていった。
「…ここまでか……」
アルガスは馬上から周囲の戦況に唇を結んだ。
「そして貴方の命も―――ラトゥカ王」
アルガスはその言葉に瞳を閉じ、その声の主に振り向いた。
「さすが百戦錬磨のクロスティリア王国軍……このアルガス、兜を脱ぎました。」
「我が軍をここまで苦戦させたアルガス殿の讃辞、光栄です」
「それに栗色の髪に蒼の甲冑…マリアルージュ殿、貴女はまるで神話の戦乙女(ヴァルキリー)のようで………」
「ならば降伏されよ。悪いようにはしない、民の命は保証する」
ルージュは剣の切っ先をアルガスに向けた。
「貴女の父上……『クロスティリアの覇王』にそのような慈悲があるとは思えません」
「―――っ……」
ルージュはその言葉を聞き、僅かに眉をひそめた。
「それとも………今までそうやって諸国を滅ぼしてきたのですか?」
「違う…」
「覇王に従わぬ諸国を討ち滅ぼす魔の戦姫として?」
「違う…私は―――」
「これ以上、言葉は不要のようですね……マリアルージュ殿」
「聞いてくれ、アルガス殿」
「否、いざ勝負!」
「アルガス殿―――!」
208名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 22:22:06 ID:4UwIgU5f
「ルージュ様……」
僕は最後方におじいさん、ティゴルさんと共に馬に乗ったまま待機している。
「心配する必要はありませんよ、ラメル君」
「え…で、でも…」
「少し馬から降りてもらえますか?」
ティゴルさんが馬から降り、続けて僕にも降りるように言った。
「あ、は、はい……」
ティゴルさんは僕の脇に立った。
「心配する必要はない―――そう言ったはずです」
「ひっ―――」
僕の後ろ……おじいさんや弓兵の人達から見えないようにティゴルさんは
僕の背中にナイフを当てた。
「ティ…ティゴルさ―――」
「黙って前を向いて下さい。向かないと殺しますよ?」
「そ、そんな……な、なんで―――」
「死にたくなかったら僕の質問に正直に答えて下さい。」
僕は急な展開について行けず、言われるままに前を向いた。
「君はルージュからルリエスという弟君の話を聞きましたね?」
「…は、はい……」
「そして君はルージュに『姉』、もしくは君が『弟』だと思わせるような発言をしましたか?」
「………」
「答えて下さい。殺しますよ?」
「は……はい!」
僕の背にグィと当たる冷たい刃に戦慄した。
「そうですか……ラメル君、君にとっては関係ない話をしますが動かないで聞いて下さい」
「……はい…」
「ルージュにはルリエスという弟がいました。公には発表されてませんから君が知らないのは当然ですが……
もともと身体が弱く、才にも乏しかったルリエス王子は病死した―――子に恵まれなかった王に残されたのはルージュのみ
……そして王はルージュを『王子』として扱うようになり、君くらいの年齢には剣術、体術、兵法……
おおよそ王子に必要な教育を叩き込みました。
ルリエスと違い、才に恵まれていたルージュは優れた王国の後継者として、武将として、そして王国軍の象徴に……」
ティゴルさんの声が僕の頭の中でルージュ様の言葉と重なる。
(『この傷跡は……私がお前ぐらいの年齢には父上に剣術を
―――容赦なく模擬剣で朝から夜遅くまで打ち据えら――
そして次の年には戦場に――父上の傍らで――父上の命で初めて人を殺めたとき、震えが止まら
―――あの肉を斬る感触と血のにおい、斬られた腹部から飛び出す臓物は今でも覚え
――だが父上は『すぐ慣れる』と言った。そうして私は、人を殺―――』)
ティゴルさんの話は続く。
「君はルリエス様と瓜二つ……君が側にいればルージュは『優れた王国の後継者』からただの『姉』に戻ってしまうのですよ……
ただの『女』にね」
そして震える僕は昨夜と同じ質問をした。
「ど…どうしてその話を僕に…?」
「そうですね―――ただ聞いて欲しかった―――とでも言いましょうか。」
「え―――?」
「死んでいく君にせめてものの手向けとして―――」
「え、そ、そんな殺さないって―――」
「嘘ですよ、死んで下さい」
ティゴルさんが何か呪文を唱える、すると僕の胸の前に矢が現れ始めた。
「物質転移の魔法です……今この戦場に飛び交っている矢の1本をここに」
「い、いやだ、やだっ!死にたくない!死にたくないよ!!」
「飛んでいるところを―――」
「僕はまだ生きたいんだ!こんな年齢で死にたくない!いやだ、いやだよぉぉぉ!!」
僕は精一杯、もがき何とかおじさんの方を振り返った。
「た、助け―――」
その時、おじいさんはフッと口元を上げ、笑った。そして言った。
「ああ…そういえばルリエスも死ぬ前にそう言っておったな」
こ、このおじいさんもティゴルさんと―――ぐっ!?痛い…痛いよ…
ル、ルージュさ………まし、…死に……た……く…な…………」
209名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 22:24:09 ID:4UwIgU5f

「な……なんだと……ラメルが…そんなバカな!」
アルガスを討ち取ったルージュが本陣に戻った時、怒鳴った。
「飛んできた矢に……一瞬でしたので……」
「我々の弓兵隊の者にも被害が出ております、敵の弓兵の最期の抵抗でしょうな」
震えるルージュにティゴルとヴァレリアスが報告した。
「〜〜〜っっっ―――――――っっ!!」
ルージュは兜を地にたたきつけた。
言いようのない怒りは時に人を鬼に変えていく。
「ルージュ様、ラトゥカ王の城にて捕らえた皇女にございます」
「……后はどうした?」
「は、ラトゥカ后は服毒にて既に――――」
ルージュは縄に拘束された皇女に歩み寄った。
年齢はルージュより1つか2つ、下だろう。
「そなた、名は?」
「―――――ラ、ラトゥカ第一王女、シャンレナと申します」
震えるその王女にその言葉にルージュは微笑み、縄を解いた。
「私も王国の第一王女だ」
多少、安堵したのかシャンレナの表情が幾分柔らかくなった。
「王女を捕らえた部隊は?」
「は、第二十七歩兵小隊にございます」
「その者達の褒美はこの王女だ、連れて行け。存分に楽しめとな」
「ひ、い、いやっそんな―――――――」
シャンレナの顔色が一気に青ざめた。
「姫、よろしいのですか?」
ヴァレリアスが控えめに問う。
「このような蛮小国の王族など家畜同然だろう?捕らえた貴族の娘や女官も褒美として同様に扱え、わかったな」
「は、は……了解致しました。」


END
210名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 22:27:43 ID:4UwIgU5f
やたら長くてすみません。
捕まった王女様は例によって戦火されてるのでそっちに投下しときました。
それとルージュ様と侍従君はぶっちゃけ入浴後ヤッちゃってるのですが
そのシーンはまた投下しますのでご容赦ください。
211名無しさん@ピンキー:2010/11/11(木) 16:33:06 ID:WtJIf+qg
注文ばかりつけているようで心苦しくは思うんだが
エロなし分だけ投下するようなら、最初から戦火にまとめて投下がスマートなんじゃと思う
212名無しさん@ピンキー:2010/11/12(金) 02:41:45 ID:RRm3ArOh
思うだけにしとけば?
213名無しさん@ピンキー:2010/11/13(土) 21:55:53 ID:2WdZpNQ7
お姫様のかぼちゃパンツ
214名無しさん@ピンキー:2010/11/14(日) 00:15:09 ID:3ucWBXUZ
最近の殺伐さ加減は異常
ここって基本甘々路線が歓迎なのかい?
215名無しさん@ピンキー:2010/11/14(日) 00:18:47 ID:AZ0NtzGM
何でもありだろう
俺は残酷姫も武闘姫も好きだよ
216名無しさん@ピンキー:2010/11/14(日) 08:50:57 ID:4NSN7VWW
単に陵辱等の注意書きも最初にちゃんとしてない投下とか
エロなし投下で肝心のエロは他スレとかいう意味不明投下が続いてるからだろ
殺伐とか論点すり替えたり甘々路線に責任転嫁するのはお門違い
217名無しさん@ピンキー:2010/11/14(日) 10:10:32 ID:Olpb11OM
読んでないからスルーしてた
エロ無しだったのかよ
218名無しさん@ピンキー:2010/11/15(月) 11:50:10 ID:2dthJa8m
エロ無しでも構わんだろう

ただ、戦火スレだってエロのない部分は一切不要というわけではなし、
姫スレで「エロ部分は戦火スレで」、
戦火スレで「前振り部分は姫スレで」とやるよりは
どちらか片方にまとめて投下の方が面倒がなくていいんじゃないかってことで
219名無しさん@ピンキー:2010/11/17(水) 00:09:40 ID:RYJg75xD
武闘派な姫が英雄の血を引く女勇者から魔族退治の報酬に
長年付き添い、剣術とかを教育してきた従者の男を仲間に欲しい
と言われ、対抗心からその女勇者に同行し
自分より戦功を立てなければ従者は渡さない事を宣言し、魔族退治競争を行うものの
熱くなりすぎて深追いして魔族の仕掛けた策で
女勇者も巻き込み拘束されてしまい、苛烈な責めを受ける・・・


というシチュエーションの夢を今朝見た
220名無しさん@ピンキー:2010/11/17(水) 14:51:19 ID:1oLiDJay
ふわふわロリロリなお姫様がいない……
221名無しさん@ピンキー:2010/11/18(木) 09:42:08 ID:1sOJhQQL
ふわふわロリロリな外見や性格だけと性的な部分だけはにゅるにゅるトロトロなお姫様
222名無しさん@ピンキー:2010/11/19(金) 18:37:41 ID:kFHCxAW/
ほしゅ
223名無しさん@ピンキー:2010/11/29(月) 23:30:04 ID:N5Cd5QJj
内親王とかありかしらん。架空戦記的な
224名無しさん@ピンキー:2010/12/09(木) 03:28:20 ID:52llitba
いんじゃないかな。
時代にもよるかもだけど。
225名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 04:26:28 ID:M8E6Mu4r
投下するの?
226名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 23:35:26 ID:QebsCuZC
◆ファンタジー世界の戦う女(女兵士)総合スレ 7◆
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1292249974/

立てました
どうぞよろしく
227名無しさん@ピンキー:2010/12/17(金) 15:55:42 ID:h30Wxf08
ひ、ひめ!!
228名無しさん@ピンキー:2010/12/17(金) 23:08:38 ID:rDGAWEtn
>>226
超おつです
229名無しさん@ピンキー:2010/12/29(水) 04:33:31 ID:ZD3iKK+H
スレ違いかも知れんけど、お姫様の話しなんだけど
風の谷のナウシカで父を殺されたナウシカが逆上して成人男性を3人ほど
殴り殺した時は怖かった
「あーあみんな殺しちまいやがって」って台詞にゾッとした
怒ると怖いぞお姫様
230名無しさん@ピンキー:2010/12/29(水) 07:45:54 ID:nzj3TJv1
>>229
表情変わるもんな、テトは逃げるし
231名無しさん@ピンキー:2010/12/29(水) 17:47:04 ID:ZrbYo7mZ
ナウシカも殺意の波動に目覚めることがあるのか
232名無しさん@ピンキー:2010/12/30(木) 00:17:06 ID:gAxo/iXL
逆上プリンセス
233名無しさん@ピンキー:2010/12/30(木) 01:20:51 ID:09bA6QDR
レイプ→淫乱下剋上エンドは数あれど逆上皆殺しエンドはあまりないな
234名無しさん@ピンキー:2010/12/30(木) 01:23:54 ID:FYbYJjiK
ナウシカはクシャナもお姫様だからお姫様好きにはいいよ
天使系のナウシカと(いろんな意味で)戦う姫様クシャナの違うタイプがいるからね
ナウシカも戦ってるけど甘ちゃん的な雰囲気

しかし映画はともかく漫画版読むと毎回欝になる
235名無しさん@ピンキー:2010/12/30(木) 02:37:50 ID:1NO3xYI5
ナウシカはアスベルが実はヒーローじゃなくて驚いたな。
ママ…
236 【だん吉】 【1712円】 :2011/01/01(土) 00:01:56 ID:nTLRFrYU
あけおめ
今年も姫君に幸あれ
237双蜜月の夜 ◆Xcel6MOqW. :2011/01/06(木) 02:45:49 ID:pkYVSD8O
お正月休みの間に書きためたものを投下致します。

・魔王ラナ・デュランは白雪姫の誉れ高い姫とその継母の美女がいる国をさっくり征服。
二人を一気に手中に収めウハウハという話。
・バリ陵辱です。一人でも多くの人に楽しんで頂きたいと思いラストシーン以外
ライトに仕上げて頑張りました。(感想には個人差があります)



ハネムーン
双蜜月の夜

昔々の話です。ある国に、それは信じられないほど可愛らしいお姫様がいました。
真っ直ぐな髪の毛が黒曜石みたく輝き、同じく黒目がちの大きな瞳はまるで星を宿す夜空のようです。
そしてそれらをひときわ際立たせるのが、一度も陽の光に当たったことがないかに思える、抜けるように真っ白な

肌でした。
お姫様の名はリリィ姫と言いましたが、人々はまさしく白百合の高貴と清廉を表す名前とは思いつつも、
もっぱら美しい肌を称して白雪姫、と呼んでいました。
そんな白雪姫には同じほど抜きん出た容姿を持つお母様がおりました。といっても、実の母親ではなく、
父王様が一年前に娶(めと)いになったのです。
この方はシェラ王女と言い、年のころは不明ですが二十代前半にも見えるようなきめの細かい肌や
清純な風貌で、白雪姫と比べて全く劣らない、思わず目を疑うほどの美しさをお持ちになっているのでした。
また、外見の他にも大変すばらしい方で、馬術や礼儀作法たしなみ、芸術にも非常に優れており、
その聡明さは夫に代わって国家を運営していっても遜色がないかと思われるぐらいです。
リリィは優しく淑やかで愛らしいお母様が心の底から大好きでした。
とても繊細で細やかな方で、自分がちょっと乗馬に失敗してひざの下をすりむいたのをお見せしただけで、
ビー玉みたいな瞳を真ん丸にして、すぐに泣きそうになってしまうのです。
その度にリリィは”決してこの方を泣かせるようなことをしてはいけない”と反省するのです。
もともと、リリィ姫は快活な性格で、ほんの少々元気すぎるところもあります。
そういった点では自分と対照的なお母様を見て、逆に自分がこの人を守ってあげようという気さえわいてくるの
でした。
そんな心根が、自身を黒い欲望の渦へ巻き込んでしまうとは知らずに・・・・・・。

場所が変わって、ここは何やら刺々しい空気が渦巻く城内。窓の外は雷ではないのにどす黒い天候です。
不穏な風がびょうびょうと吹きすさぶ、そう、ここは人々が暮らしているのとは少し違う世界。
広いお城の玉座に、若い男が片方だけ頬杖をついて無造作に座っています。
その表情には一言、こう書いてありました。”退屈”と。
豪く整った顔立ちをした男ですが、瞳は気だるげで、どこか冷たさを宿していました。
「あぁ、暇だ、暇ヒマ。何でこんなに暇なんだろう」
「そりゃ、貴方が【魔王】だからじゃないですか? 頂点に立ってる人って、暇なものですし」
すぐ傍にいた手下が身も蓋もなく答えると、男は思いきり横目で睨みつけました。
若干怯んだ手下はとりなすように言います。
「デュラン様もこの魔界を統治されるまで、それなりに海千山千でスリリングな経験もなさいましたが、
最近はすっかり反逆者もいなくなって落ち着かれましたもんね。人間界にも最近遊びに行かれないですしねぇ」
「まあな・・・・・・」
少し考えながら、玉座の男は返事をしました。
この男は魔王ラナ・デュランと言い、一見は無害そうな甘い相貌と、それから想像もつかないような
凶悪な攻撃力が特徴です。
彼は、腹が減ったときに牧場の羊百頭を持ち帰ってきたり、きまぐれに山を移動させたりして、
人々にとっては数々の不可解な凶事を引き起こした張本人でありましたが、
それ以外に害悪を及ぼしたことはなく、たまに人間たちの様子が映し出される鏡を眺めて
退屈しのぎをする程度です。
238双蜜月の夜2 ◆Xcel6MOqW. :2011/01/06(木) 02:47:31 ID:pkYVSD8O
「そうだ、久々に見てみよう。なんか面白いもの映んないかなー」
「かしこまりました、どうぞ」
若王は自分に見えるように用意された鏡を眺め始めました。チャンネルを探るように、頭の中に
それとなく見たいものを思い浮かべます。これを感じ取り、鏡は王の希望に沿う対象を映し出すのです。
スリリングな光景を望んだら、戦の様子が浮かんでくるといった具合に。
「おおっ?!」
今回浮かんだのは、ゆるやかにうねる長い赤髪に垂れ目の切れ長の瞳の絶世の美女です。
どうやら彼女は部屋にかけられた鏡を覗いているようで、その一挙一動がこちらにそのまま映ります。
デュランは食い入るように見つめ始めました。
「これはデュラン様、大好物ですねー。それにしてもホンモノの上玉ですね」
そう、デュランはとてつもなく好色であり、すさまじく面食いなのです。
「これだ! 俺、この女に会いにいきたい。というか行くぜ! おい、この女の居場所はどこだ?」
「えー、この人は、キュラス国の妃のようです・・・・・・あれ? 調べたところ、この女性はあまり庶民の話題には
上ってませんね。娘のほうが美人で有名のようですよ。仇名は……白雪姫」
「なに、まだ話題に上るほど有名な美人の娘がいるのか? これは……ひひひ」
いやらしい笑いですね……と心の中で思ったままにしておき、若い王様を見送ったのでした。



「カカカカ! 弱い弱い、人間てほーんと弱すぎー」
異次元空間をすぐさま通り抜け、さっそく白雪姫のいる国へ降り立ったデュラン。どれだけ兵を総動員しようと
魔王の力に及ぶわけもなく、あっという間に国はただ一人に制圧されてしまったのです。
「ほんと、こう手ごたえがないと逆に面白みにかけるな。向こうへ帰っても暇だし、
ここを足がかりにしてしばらく近隣諸国を侵略していってやるかなー。カカカ」
新しい遊びを思いついた子供の表情で爽快に笑います。
「あ・・・あの」
おずおずと、白雪姫のお母様であるシェラ王女が申し出ました。
「ん?」
「夫は……国王様はどうしました!? 会わせてください!」
シェラは夫でない男が玉座に座っているという現実にしっかりと対峙しつつ、堂々と尋ねました。
その瞳は弱弱しい中に強さがきらめいています。
兵士に自由を奪われたシェラを上から下まで眺めると、デュランがにやりと言いました。
「心配しなくても別に殺してないよ。地下牢に投獄したぜ、今さっき」
「な……何てこと。そこに入るべきは貴方ですのに!」
はっきりと憎しみを浮かべ、毅然とデュランに立ち向かいます。
「あーそんなこと言っていいのかな。あんまり反抗すると、一緒に牢屋に入れちゃうぞ」
「そうして下さい。夫と一緒に私も……」
「ただし、俺が飽きるまでさんざん抱いた後でだけどなー、カカカ!」
残虐に笑って見せると、王女はさっと血の気が引いたようで、歯がゆそうに唇をかみ締めます。
「それにしても、噂によると同じくらい美人の娘がいるみたいだが、見当たらないなあ」
改めて辺りを見回しながら言いました。
「今日はあの娘は出かけています! こうなったことが噂で広まり知ったら、もう二度とここへは帰って
こないでしょう! せめてもの幸いです!」
透き通る声が辺りに響き渡ります。ですがデュランは余裕の表情を崩しません。
「そんなの皆で探したらすぐさ。この国の兵士は俺の支配下にあるんだぜ」
「頭の良い子だからそう簡単に捉まりませんわ。隣の国に逃げ込むのが先です」
「そこで、お母様が捕まってるってお触れを出したらどうかな? 素直に出てきたら、どちらかは解放してあげる
んだけどな」
これぞ魔王という顔でにやっと笑います。
239双蜜月の夜3 ◆Xcel6MOqW. :2011/01/06(木) 02:50:13 ID:pkYVSD8O


とっぷりと日がくれ、夜の帳が辺りを覆い尽しています。妖しく光る月が、流れる雲にさえぎられ
見えたり隠れたりしています。
「約束です! お母様をここから逃がしてください!」
後ろ手に縛られ、それでも勝気な瞳をぶつけつつ白雪姫は叫びます。
「何のこと? 約束なんてしてたっけなぁ」
邪気たっぷりに軽い口調で言い放たれ、リリィは言葉につまり、ぶるぶると体を震わせました。
「そんな約束守るわけねーじゃん、お姫様って単純だなあ」
かっかっかっと笑いながら、目の前に並ぶ二人の王女たちを満足げに眺めました。
城はもうすっかり自分が支配しきってしまい、逆らう者は誰もいません。王が使用していた寝室で、
捕らえられたシェラとリリィはなすすべもなく寝台の上に身を折り横たわっています。
「カカカ! 一気に二人もこんな美形が手に入るなんてな! 今日は吉日だぜ!!」
魔王は歓喜に充ちていました。
シェラ王女はある程度覚悟を決めた様子で、じっと沈黙しています。その瞳には若干憔悴の色が混じり、
これから起こる嵐を見据えているかのようです。
すらりとした足を投げ出して上半身を引いた姿勢ですが、着衣の乱れによりぎりぎりまで太腿が
あらわになっており、もう少しで豊満な乳房は服からはみ出してしまいそうです。
たとえようもなく色っぽい姿を、デュランははばかることなくじろじろと視線で舐め廻します。
泣いたり喚いたりせず眉を少し下げてこちらの出方を伺っている顔つきは、迎合しているわけでもなく
抗いを感じさせつつも、捕まえられた犬みたく弱弱しく脅えています。
ただの若い男性なら目が合っただけで達してしまうぐらいの女性の芳香が一面に匂いたっているのでした。


「お母様を、放して!」
いやらしく義母を見つめる視線に我慢ならずリリィが叫ぶと、我に返った魔王は負けん気の強い娘に
目を向けました。母とは対照的に、これから起きる出来事を大変怖がっており、威勢でその感情を紛らわそうと
しているのが伺えます。
諦めや媚びは一切なく、夜空の如く深く黒い瞳で、鋭くデュランを睨みます。
「私は、どうなってもいいから……!」
「いえ、私の方を好きにして。せめてこの娘だけは、見逃して下さい……」
泣きそうになって訴える娘をお母様が牽制し、切に詰まった表情で懇願しました。
お互いを庇いあう親子の様子を、魔王はしばらく何か考え込むふりをして黙って聞いていましたが、
ふと顔を上げました。
「じゃあ白雪姫ちゃん、君を逃がしてあげるとしよう」
「え、本当ですか!?」
シェラが思わず声を上げました。「しかし、だ」
王女を無視してリリィ姫の眼前にぴしっと指を突き出します。
「それならお前の分までこのお母様をより酷く激しく蹂躙するとしよう」
「!?」
さあどうする? という目をされて、言われるまでも無くリリィは答えました。
「私もこのまま相手にして! お母様一人を残せるわけない!」
そう言うと思った、と魔王は笑いました。
「待って、どちらか一人だけでいいでしょう!?」
「どっちを見逃してもどちらかが後悔するみたいだから、平等にしないとな」
言うと、リリィの小さな顎を手にとって無造作に上に引き上げました。「あっ!」
「やめて下さい……!」
シェラがすぐ傍で泣きそうな顔をしています。リリィはたまらず吐き捨てました。
「人でなし! 貴方なんて弱くて男としてサイテーだわ!」
その敵意に充ちた表情を、デュランは美しいと感じました。
「一つ聞こう。もし従者から、今から城に帰ったらどちらにせよお母様も自分も陵辱されると聞いても、
帰ってきたか?」
「来ました!」
ハッキリと答えます。デュランは思わず目を細めました。
「いい子だな……たっぷり、可愛がってやるぜ」
240双蜜月の4 ◆Xcel6MOqW. :2011/01/06(木) 02:52:19 ID:pkYVSD8O

抵抗する間もなく唇が奪われます。初めて割り込んでくる男の舌に、リリィは思わず目を閉じて体を震わせます。
その隙に大きな手が二の腕からわき腹、太腿と、体中をまさぐります。舌は唇を離れると首筋に移動し、
咲く前のつぼみの爽やかな甘い芳香を存分に吸い込みつつ、容赦なく清潔な肌を食んでいきます。
「……やめて!」
リリィは涙を流して嫌がりますが、魔王は手を止めません。もともと腕が後ろで封じられている
ので、身をよじらすしかない肢体を、からかうように絡めとっていきます。
「さっきまでの威勢はどこにいったのかな?」
「んっ……くぅ……」
頭がぐらぐらしてくるのを感じながらもリリィ姫は薄目を開けると、
ありったけの気強さをこめた眼で魔王を射抜きました。
ですがそれすらもぴりぴりと心地よいエッセンスに感じられ、デュランはかかか、と高く笑いながら、
リリィを胡坐をかいた膝の上に座らせると、

震えがおさまらない体を丹念に愛撫しつつ、手際よく服を脱がせていき、ふっくらした頬に口付けをしました。
「可愛い子だ……わざわざ犯されに戻ってくるなんてな。俺も礼儀を尽して一晩かけて存分に愛して
やらねばなるまい」
「……ゃ、あだっ……やだ、いやだ!」
わざと秘部に触れないように、太腿を何度も行き来していた手が、とうとう下着の中に差し入れられると
堪えきれずリリィ姫は悲鳴を上げました。同時に「待って!!」と凛とした声が魔王を制しました。
「その子はまだ……何も知らないんです」
「ひっく、お母様……」
しゃくり上げながらリリィ姫がすがるようにお母様を見つめます。
「リリィはまだ十七なんです。本当に何も知らないんです……!」
「十七なんてもう十分オトナだぜ。俺が教えてやろうってのに邪魔すんなよ。それとも
自分を先にして欲しいってことか」


ぴくりと頬を動しましたが、シェラはとても強く気高い顔つきをしていました。
「お母様!!」
「ええ、私が先にお相手を致します。その娘はその後でも……いいでしょう?」
「いいぜ」
デュランはリリィを体から離しました。
「縄も解いて頂けませんか。もう私たちには逃げることなんてできないのですから……」
「あぁ、そうだな。わかった」
「きゃっ!」
荒い手つきでしたが素早く二人の縄を解いてあげると、娘との間に割りこみシェラ王女が身を詰めてきます。
潤んだ瞳が、ねっとりとした大人の雰囲気を漂わせています。
「カカカ! いいお母さんだな、男と女の営みを、ちゃーんと娘に教えてやるってさ」
「お母様……お母様……お母様……」
リリィは真っ青な顔になっています。デュランはリラックスして仰向けに寝転がりました。
「じゃあ、脱がせてもらおうかな。ちゃんとサービスしてくれよ?」
「わかりました……」
シェラは、デュランの体の上に腰を下ろすと、身をかがめて纏っている衣服を取り去り始めました。
下を向くと薄い部屋着から、もう乳房がこぼれ始めます。
横から手が突き出され、丸い乳房を鷲づかみにします。びくりと背中を逸らせるも、王女の気品を失わないまま、
シェラは続けていきます。
恥ずかしげにうつむく綺麗な顔を見ながら、デュランはかすかに顎を上向けちゅっと唇をすぼめました。
ほんの少しの間ためらうも、ゆっくりとシェラは彼に唇を重ねます。
ぐい、と頭を押さえ、逃れられないようにしてから魔王は丹念に舌の裏側まで舐め上げます。
「んふぅ……」
溜まらず漏れた苦しげな吐息から、口付けの深さが伝わってきて、リリィは思わず血が止まるほど唇を
噛みました。
男の体の上に乗っかったシェラは、静かに唇を下へ移動させていき、湿った音を立てて長い首筋に
押し当てます。次に厚い胸に移り、乳首だけ外してその周りをじっくりと刺激していきます。
わざとかそうでないのか、不意に先端を舌がかすめると、ついデュランは声を漏らしました。
僅かに首を上げると、満足そうに言います。
241双蜜月の5 ◆Xcel6MOqW. :2011/01/06(木) 02:54:59 ID:pkYVSD8O

「さすがじゃないか。年上のジジイをたらしこんで一国の王女におさまっただけあるな」
「馬鹿なことを……」
自分のペースに巻き返すかのように、デュランがシェラの部屋着の前あわせをぐっと両手で掴み、
思いきり左右に引き裂くと、ぷるんと張りのある胸が解放されました。
上半身を起こし、子供が乳を貰うように吸い付きます。強く弱く、先端をねぶりながら。
手は絹のような背中を滑り、桃を思わせるつるつるした尻の割れ目に差し入れます。
「どうした、続けてくれよ」「はい……」
耳を舐められながら命じられ、シェラは顔を赤らめて、両手で自分の乳房を硬い胸板にこすりつけます。
薄い部屋着を引きずりおろされ、髪の色と同じ赤い茂みが露わになると、股間をすり合わせるようにして、
太腿を艶(なまめ)かしくデュランの足に絡めます。
大きな胸をしばらく揉みしだいたり、口に入れたりしていたデュランですが、
唐突に胸の先端をきゅっと両手で掴みました。

「あっ、ん!」
びりりと走った痛みに思わず顔を歪めます。すると今度は秘所の表面を二本の指が強くこすり出し、
ずぶずぶと指の腹を内側に押ししずめます。
「どうだ? 久々にあのジジイ以外の男にいじられるのは」
「あっ……嫌……」
魔王の肩に手を置き、シェラはわなわなと体をのけぞらせます。その暗く伏せた瞳を見て、デュランは
不意にシェラの肩越しにぬっと手を突き出して、リリィを呼び寄せました。


「来いよ! 二人いっぺんに遊んでやる」「えっ……」
「やめて! 私の方を先に」
「お前が先だろ、わかってるよ。でもずっと一人で見てるだけで退屈そうだから構ってやる」
拒めるわけもなく手を取ったリリィの腕を引っ張って、デュランは細い体を抱き寄せました。
「まだこんなもの着てたのか? 暑そうだから脱がしてやれよ」
「はい……」
わずかに残った衣服を母の手で剥がされ、一糸纏わぬ姿になってしまい、耐え切れず顔を逸らし俯くリリィの
顔を無理矢理上げると、その羞恥心に濡れた瞳をじっくりと眺めました。
「どうだった? お前の美しい母親がみずから俺に身を捧げるのは。感じたか?」
「……ぇっく……」
「でもお前も今から同じことになるんだぜ。あれよりもっといやらしいことをされたりしたりする」
そう言い、後ろからリリィ乳房を両手で掴み上げると、やぁん、いやっ、とリリィは悲痛な声で嫌がります。
「それにしても、本当に……陶器を触ってるみたいな肌だな……」
その指先の感触に、魔王は感嘆しました。人形に光を当てているかに思える、寝室の中で真っ白に浮かび上がる
触れただけで破れて血が流れ出しそうな肌です。胸の辺りも静脈が透けて見えているのでした。
しゃくり上げる様子は年齢よりも幼さを感じますが、それが逆に汚れのない純真さを際立たせています。
ふと下腹部に熱いものが上がってきて、デュランはリリィの小さな手をとって
ズボンの上から”そこ”に押し当てました。
「!! ……やだぁ、何、やだっ……」
「硬くなってるだろ? すごく。それに、熱いぜ」
全く無知のリリィでも、激しく嫌がり咄嗟に手を引っ込めようとしますが、上から押さえられているので
逃げることが出来ません。
「お前らの裸を見てると、どうにもいかんな……」
魔王は衣服を脱ぎさってそそり立つものを解放しました。いやっ!とリリィは眼を瞑って顔を背けます。
思わず目を見張っていますが、さすがに落ち着いた様子のシェラに向き直り、
「アンタはさすがに”これ”を見て怖がったりしないよな?」
242双蜜月の6 ◆Xcel6MOqW. :2011/01/06(木) 02:55:59 ID:pkYVSD8O

「え、えぇ。失礼致します……」
観念して、そっと顔を近づけると、根元からこわごわと舌を滑らせ始めました。
デュランの分身にそっと白魚に似た指を添え、下から上へと顔を上下します。
そろそろと五本の指を不揃いに動かし、キノコの笠の部分に差し掛かると、裏側をで摺り上げます。
しばらくの間、そうやって丁寧に奉仕をしていましたが、硬さが最高潮に達したと思うと細い指を外し、
口いっぱいに肉の棒を含みいれました。何ともいえない塩っぽい味が口中に広がります。
目を閉じて少し眉間に皺を寄せ、苦しげな表情をしますが、清潔な顔とは裏腹に情熱的な舌の動きで、
単調かと思えば不規則に、肉茎を刺激し、欲望を吸い取ります。

「ん、く、っ」
透明の唾液が先端をおおい、熱く、やわらかい感触がすっぽり包み込んだかと思うと、
時に烈しく、時に弱く、リズムをつけてしごきながら、指はそっとその下の玉袋を優しく撫で始めるの
でした。ぞわっと、何かが強烈にデュランの背筋を這いました。
「……うっ、これは凄い……」
はは、と思わず笑いながら、成熟した技巧にしばらく身を任せ、うっ、と短く言い、思いきり放出します。
待ち構えていたようですが、咄嗟に喉の奥に飛び込んでくる熱い多量の粘液に、シェラはむせ返りました。
口の端からとろりとした白いものが尾を引き垂れています。
「上手だな、ここの王様で訓練した? それともその前からかな?」
「……想像にお任せします」
「かかか、じゃあお返ししてやるぜ!」
そう言ったかと思うと、シェラはもうベッドの上に腿を大きく開き仰向けに転がされていました。
隠す手段もなく、思わずしゃぶりつきたくなるようなツヤのあるサーモンピンクの秘所が晒され、
デュランは間髪入れずにそこへ鼻をうずめました。

「! ……ぁんっ……」
乱暴に割れ目に舌をくぐらせ、内側をえぐるように舌でこすります。
シェラは抵抗せず、口元に手を当て目を閉じされるがままになっていました。
しばらくすると、熱い吐息が辺りに充満し、乾いた空気が粘り気を持った熱っぽい空間に変質してきました。
あっ、あんっ……と、細く弱く、すすり泣きのような声を王女様は上げ続けているのでした。
「あぁ、……はぁんっ……」
ちゅっ、ちゅくっと、デュランはわざと音が立つように舐め続けます。
太腿を抱えられ、なすすべもなく一番恥ずかしいところを汚される王女に、デュランは言います。
「ずいぶん感じてるな。今日会ったばかりの、自分の国に攻め入ってきて夫を捕えた男に、
アソコを舐められて、そんなに気持ちいいか?」
「……嫌……そんなこと言わないで……」
243双蜜月の7 ◆Xcel6MOqW. :2011/01/06(木) 02:57:59 ID:pkYVSD8O

「かかか、淫乱な女だぜ、なあ! 娘が見てる前で股を広げられてこんなに感じられるなんてな!
こんな王女さまなんて国民も大変だな!」
いやいやをするみたいにかすかに首を振り、シェラは滲んだ瞳で懇願します。
「いやっ……リリィ、見ないで、お母様を見ないで!」
デュランが舌を離すと、透明な液が一筋の糸を引いています。
「ふふん、そんなに欲しがるならくれてやる」
「あぁっ」
シェラを抱き起こして四つんばいにさせると、すでに限界に近く熱くなったものを入り口にあてがい、
くちゅっと、凝縮した音がして、デュランは一息に腰を押し進めました。

「あっ、あああん!!」
喉元を思わず天井に向け、シェラは嬌声を響かせます。最初は窮屈でしたが、そこを押し破り通り抜けると、
あとはずぶずぶと熱い沼にどこまでも沈みこんでいく感じがしました。
「かかかか、これは名器だ! 終わりなく入っていくみたいだぜ……!」
「はっ、ああんっ……」
デュランのものを全て飲み込んだ瞬間、びりびりと王女の全身が痙れ、
浅くなってまた奥まで突き入れられるたびに、リリィが聞いたことの無い泣き声を上げるのでした。
水が打ちつけられる音が、デュランが腰を引いては押し、ぶつける度に繰り返されます。
白い背中の上で波打つ赤い髪を強く掴んで、魔王は前のめりになり、最後の仕上げに入ります。
柔らかい臀部を掴んだ指がぐっと食い込むと、シェラはのたうつように頭を振り痺れが止みません。
「あっ、あっ、あっ」
「限界だろ? 今イカせてやるぜ」
そう言い、ひときわ深くシェラの真ん中に突き立てました。「あ、ああぁあん!!」
ぱぁんと、爆発したかのように、シェラの中で熱い感触が一気に広がりました。ばしばしと自分の中に
それらがぶつかるのと同時に、二度、三度全身を痙攣させ、シェラ王女はシーツの上に沈みこみました。
少しの間、二人はそのままの姿でいましたが、デュラン王が己のものを引き抜くと、
とろりと白い液が一緒に流れ出してきました。
満足げに息を整え、デュランは目の焦点を失いかけているリリィに向き直りました。


「かかかっ、あー最高だったぜ! お前のお母様は何度でも出来そうなぐらい、アソコのとろけるみたいな
具合も締め付けも抜群だ!」
手首を掴まれてリリィはびくりと、体を強張らせます。そのまま自分の方へ抱き寄せると、
無遠慮にか細い肢体を弄りながら、耳元で囁きました。
「母親であれだけいいんだから、お前はもっと俺を楽しませてくれるんだろうな?」
「……あぅ……」
嫌がる気力も無くなったのか、幾分大人しくなってぎゅっと目を瞑り、肌を撫で続ける手にじっと耐えます。
そのまま吐息と一緒に舌を耳の中に差込んでやると、
「っ! あん、やぁっ……!」
と逃げ出すぐらい激しく反応するのでした。しばらく引いては突いてを繰り返していると、
リリィは真っ赤になってふるふると震えながら泣き始めました。思わずくすくすと笑いながら、
「こんな穴でそんなに嫌がってちゃ、ここだとどうなるのかな?」
「あっ? い、ゃぁんっ」
244双蜜月の8 ◆Xcel6MOqW. :2011/01/06(木) 03:00:44 ID:pkYVSD8O

直にざらついた指が、覆うもののなくなった局所に触れます。二本の指はしばらく柔らかく押し返す
弾力を楽しむかのように周辺の丘を揉んだ後、閉じたクレバスをすーっとなぞりました。
「やぁ、やだあっ……」
泣きべそをかくリリィの、子供じみた反応がむらむらと被虐心を加速させるのをデュランは感じました。
「やだ? 嫌だって言ったか?」
えっ、えっくとしゃくりながらリリィは何度も頷きました。
「どこを触られるのが嫌なんだ? ここか?」
言い、指を割れ目の中に押し進めます。姫は言葉を失いました。
そのままぐいぐいと秘所へ押し入れていきます。
「痛っ……いたい……っ」
中のものを掻き出すように往復させると、一旦引き抜き、再びいっそう深く突き入れました。

「やぁぁん!」
根元まで指を入れきられ、感じたことのない異物感が体の真ん中を突き抜けました。太腿がぴいんと硬直します。
きついな、と言いながら、デュランは内側で指を開き周りを押し広げます。
今度抜くと、かたまりみたいな血が二本の指にしっかりこびりついていました。
それを舌で舐め取ると、青ざめて涙を流すリリィに「痛かったか?」と尋ねます。
間をおいて、やっと彼女は一度だけ頷きました。

「かかか、でも今こうやっとかないと後がもっと大変だからなぁ」
すでに破瓜の痛みに打ちひしがれたみたく肩を震わすリリィに、追い討ちをかけるように、デュランは
鞘に包まれた肉の豆をめくり出し指の腹で押しつぶしました。
「!! ……あっ……」
ぱっちりした瞳を見開き、リリィは声にならない声をあげます。くりくりと、円を描いて何度も
そこがすり潰されます。生まれて初めての感覚に、咄嗟に「やだ、あぁ、いやだ、あっ!!」と
わけも分からず叫んでいました。
「嫌か。何がそんなに嫌なのかな」
「っぅ……とにかく嫌ぁっ」
「とにかく、ね」
ふふ、と笑いながらも指の動きを止めようとはしません。やだ、やだ、やだとリリィは懇願します。
口の端を上げて、デュランは指を離しました。
「そうか、ここを触られるとそんなに嫌か。じゃあやめるとしよう」
リリィがほっとしたのと同時に、デュランは体を組み替えて、後ろからリリィの小さなお尻に舌を突き立てます。
抵抗する間もなく、桜色の花芯を彼は舐め始めました。
「ぁつ、……っ!?……」
熱くしこった舌を固く平らにして、デュランは小さなピンク色の豆を容赦なく摺り、唾液で濡らします。
信じられない感覚が、決壊寸前だった理性を吹き飛ばしてしまいました。体中を何かが走り抜けます。
「あっ、やだ、やめぇっ……、やめて下さいっ」
「こうするんならいいだろう? 指と違って痛くないしな」
「……ぜんぜんっ……だめぇ……」
だめ、やめて、と激しくかぶりを振りながら訴え続けます。
「あれも駄目、これも駄目。そんな我が侭はきけないな」
奥を何度も強く探りながら、わざと冷静に言います。そんな、と悲痛な声が聞こえてきます。
「お母様、助けて、お母様っ」


すがられて、どうしたら良いかわからず躊躇するシェラを、デュランは呼び寄せました。「来いよ」
「はい……」
「”ここ”は俺がしてやるから、上側をほぐしといてやれよ」
「は、い」
「!?」
仰向けに寝転がったデュランの、顔の上をまたがされた状態のリリィに向かい合って、シェラは娘の
美しい肌にそっと手を触れます。リリィはお母様ぁ、と子供みたいな声を出しました。
「お母様に手伝ってもらいなさい」
割れ目の中に鼻をうずめたままデュランは言いました。シェラは、両手を使って、
下から指を滑らせて娘の小ぶりな胸を揉みあげます。
245双蜜月の9 ◆Xcel6MOqW. :2011/01/06(木) 03:03:46 ID:pkYVSD8O

「あっ、うぅっ」
豊満に熟したシェラの体は違い、お世辞にも肉感的とはいえない、まさしく熟れる前の果実を思わす
瑞々しいエロティックな肢体を、シェラはいとおしむように優しく愛撫します。
男の手つきとはまた違った感触が体を這い、リリィは腿を掴まれて秘部を舐められたまま
目をとろりとさせました。
ちょうど手にすっぽり収まる程度の大きさの乳房を、ぱくりとシェラは口にしました。
もう片方をゆっくりと、細い指で掴んだり撫でたりしながら、繊細に刺激し続けます。
「やだ……」

照れたみたいにリリィは漏らします。シェラが口を離すと、色づき始めた苺に似た先端が、今までと違い固く
屹立しています。くすっと笑い、「お母様のも触って……」と娘の手を取り、己の揺れる乳房にあてがいました。
「お母様の、柔らかい……」
顔を赤くして、玩具を得た子供の顔で、大きな胸の弾力を確かめ続けます。
「貴方のもすごく可愛いわ」
「それに、お肌もすべすべ……」
「リリィの方がもっとよ……」
「んっ」
乳房の先端がくっつくほど距離が詰められ、デュランの顔の上で二つの体が密着し絡み合います。
お互いの胸を押し当てあい、シェラはリリィの小さな臀部に手をまわし、指を差し入れます。
「あっ、んぅ……」
母の胸に抱かれた気持ちになって、リリィは心が幾分落ち着いていくのです。
ふふ、と体の下でその様子を見ていたデュランが楽しそうに笑いました。
「だんだん湿ってきてるぜ。初体験で男に舐められて濡れるなんて、いやらしいお姫様だな」
「やんっ……」

思わずリリィは体をよじりますが、太腿をがっちり抱えられているので、かすかに上半身を動かすしか
出来ず、いっそうシェラが指を強くします。
「あっ、んっ」
「恥ずかしがらなくていいのよ。感じたままにしていいの……その方があなたのためなの」
「私の、ため?」
「体を傷つけなくて済むから……」
その通り、とデュランが言います。
「あんまり痛かったら可哀相だから、ぜーんぶお前のためにしてやってんだぜ? あれもこれも、みんな。
こっちだってなにも好き好んで痛い思いしたいわけじゃねーんだよ」
「いたい、おもい?」
男の人も痛いのは、どうして? ともつれた舌でリリィは尋ねますが、デュランはそれには答えず
かすかに口の端をあげて笑っただけでした。


しばらくそんなことを続けていると、リリィ姫は大分限界が近くなってきたようで、目が焦点を失い、
呼吸が浅くなり、全身が今までとは違った感じで小刻みに震えだします。
「どうだ、ここを男に責められて、オッパイをお母様に遊ばれてる気分は?」
「あっ、あぅ……んんぅ……」
「ふふ、白い肌が段々湯上りみたいに染まってきてるぞ」
流れ出てくる温かい汁をいっそう強く吸い、すっかり固く濡れた豆を口に含んで、舌の上で転がします。
「あっ!!」
泣きながらびくんと大きく体を震わします。臀部の間をまさぐっていたお母様の指には、白い液体が
ねっとりと絡み付いています。最後の仕上げとばかりに、魔王はひときわ舌に力を込めました。
「はぁっ……あぁ、ああん! あん!」
「ほら、ひくひくしてるぞ」
顔を幾分離して、デュランが言うと、甲高い嬌声が部屋中に反響します。
「これだけしたら並みの女だったら三回は達してるぜ?」

恐れ入ったという口振りで言います。処女は、貫通した経験が無いため、絶頂という快楽のシグナルが
脳に刻み込まれていないのだというのが彼の自論でした。
「じゃあメインデッシュを頂くとするか。最後までとっておいたんだからな」
言い、リリィをベッドの上に寝かせると、立派になったものに念のため唾をつけ、秘境の入り口にあてがいます。
あっ!! と、弾かれたようにリリィが身を固くします。
246双蜜月の10 ◆Xcel6MOqW. :2011/01/06(木) 03:05:33 ID:pkYVSD8O

「これじゃ挿れられないだろ?」
脅える瞳を覗き込み、髪を撫でながらやけに優しく言います。
「やだ、こわいっ……」
腕の下から逃げ出そうとするリリィを組み伏せたまま、熱く屹立したものを、わざとゆっくりと太腿に
擦りつけます。やんっ、とますます声を大きくするリリィを、サディスティックな気持ちで見下ろします。

「挿れないと終わらないぞ。今まで頑張って来たんだろう? もう少しでゴールだ」
「……ひっく……これで、もう許してくれる……?」
「ああ、許すとも」
「お母様も……私も解放してくれる……?」
「今日のところはな」
少しの間悲しげな顔をしましたが、やがてリリィは観念したようにふっと体から力を脱きました。
目で笑うと、デュランはリリィの膝を抱え、割り込ませた体を一息に彼女の中に進ませました。
ああ、あぅぅ!! とリリィは痛々しい声で嫌がりましたが、少ししてうっすらと目を開けました。
体の真ん中に、自分以外の人のものが入っているのは、なんだかとても変な感じではありましたが、
我慢できない感触ではない、と思い上を見上げると、デュランは慈しむような顔で自分を
見下ろしていました。何かを感じる暇はなく、魔王はぐっと身を進めると、
まだ完全に入りきっていないものをリリィの中に沈めたのです。

その時に、逞しくたぎった棒が根元まで突き入れられ、瞬間、ばりっと何かが裂ける音が頭の中に
響いた気がしました。
「!! ……やっ……い……たいっ……!! やだぁ!!」
たまらず叫びました。魔王は腰を引いてはまた押し込め、自身をリリィの奥に突き挿いれます。
「お願い、動かないで……っ」
「動かないわけにはいかないからな」
やだ、やだぁと泣き喚くところに、わざと素っ気無く言い捨てます。そして、瞳を閉じて軽く眉間に皺を寄せ、
己の先端に神経を集中させるのでした。
その顔を見ていると、急に自分がいやらしくなったみたいな気がしてきて、リリィは顔を横に背けました。
「カカカ……! お前の母親にはどこまでも呑みこまれるみたいな感じがしたが、
お前は少し浅い感じがするな。激しくすると壊しちまいそうだ」
「あっ、あっ! あっ……!」

言いながらも、容赦なく突き続けます。どんどん加速し、激しくなってく動きに合わせて、
リリィの体は波に浮いた木の葉のようにがくがくと揺れます。
それでも自分の中を彼が往復するたびに、自然と苦悶とも抵抗ともとれない声が口から出てくるのです。
花芯はじんじんと燃えており、自分が熱いのか出し入れされているものが熱いのか、最早
わからなくなってくるのでした。思わずうわ言が漏れ出します。
「痛いっ……あつぃっ……」
「俺だって熱い」

耳元でそっと言われ、激しい渦の中心で吹き飛ばされてしまう気分になってきて、
リリィは無意識にデュランの首元にまわした腕にぎゅっと力を込めました。デュランは唇を繋げます。
天井がぐるぐると回って落ちてくる感覚に囚われ、固く目を閉じて、デュランの腰が
泣きたいくらい強く打ち付けられるのをじっと耐え続けました。
やがてだんだんと速度をゆるめ、デュランは波をかくように大ぶりにゆっくりと動き始めました。
一撃一撃に渾身の力を込め、リリィを貫くと、唇を小さな耳に寄せて、息をかけながら「あったかいぜ」と
囁きます。
するとすぐにじわっと熱い感触が、リリィの中に広がったのです。
さらに魔王は自分のものを素早く引き抜くと、目下の真っ白な腹におさえつけ、そのまま残りを放出しまし
た。清楚な乳房、鎖骨、頬に、飛んだものが付着します。
それを嫌がる暇もなく、ぷつっと、張詰めた糸が切れ、リリィの意識は真っ暗な闇へ引きずられていきました。
247双蜜月の夜11 ◆Xcel6MOqW. :2011/01/06(木) 03:07:24 ID:pkYVSD8O

「落ちちゃったか。まあいいや」
デュランは一部始終を見守っていたシェラに向き直ると、いやらしい肉体を弄りだしました。
「……っ」
「アンタはまだまだ、限界じゃないだろう?」
ふんっと笑って、潤んだ瞳を挑発的に見返します。
「綺麗な顔して、先に音をあげるのはこっちじゃないかと思うぜ」
そんな、と短く答え、そのまま何も言わずにうつむき、野卑な手が自分の体をいいようにするのを
黙って受け入れます。
口元をゆるめながら、デュランはまだ濡れたままの花芯に手を挿し入れました。
ぴくんと全身が跳ね、哀願するような何ともいえない切なげな眼で魔王を見つめます。
目と目を合わせたまま、指を往復させてやると、ねちゃねちゃと水っぽい音が辺りに響きます。
「んっ……ああ……」
しっとりとした苦しげな声を聴いていると、思わずぞわぞわと背筋に上ってくるものがあります。
魔王は手を止めずに、シェラの耳元に口を寄せると、低い声で呟きました。
「お前」
シェラが声を出さず瞬きをすると、長い睫毛が音もなく上下します。

「わざと娘の居場所を俺に教えて、捕まるようにしただろう? あいつが俺に犯されるように仕向けたな」
切れ長の瞳が揺らぎ、デュランはいっそう強く指に力を込めました。
「……何を仰いますの……」
「そうだろう? 隣の国に逃げ込むのが先だなんて、かばってるフリして、国境いで王女が行きそうな
場所なんて、この辺であの森ぐらいしかないぜ」
不意に強く侵入してきた中指に、シェラは思わずあっ、と喘ぎます。
「言いがかりです、誤解ですわ……」
はっ、と短く吐き捨て、デュランはシェラから体を離しました。

「逃がそうと思ったらいくらでも手段はあった筈だぜ」
「……」
「あいつが俺に抱かれてるときも、内心では喜んでたな。私を先になんて、貞淑なお母様面して、
最後は娘が淫らになるよう自ら手伝ってたじゃねえかよ」
「あれは貴方が命じたことではありませんか」
無言で、デュランはでシェラの瞳を真っ直ぐに見据えました。
それに負けない気強さで、シェラも何も言わずに静かにそれを見つめ続けました。

「……本当は、娘の美しさを苦々しく思っていたな。あいつから浅ましい肉欲を引き出して、
自分より貶めたかったんだろう? 女として、リリィの存在に嫉妬していたな」
何を言うでもなく、否定も、釈明もせずに、シェラはついと顔を横に背けました。
その目線の先には、冷たい闇の中に彷徨って、まだ還ってきていない娘の姿がありました。
それをじっと見つめるシェラは、リリィが見たことの無いお母様の顔をしていました。
248双蜜月の夜12 ◆Xcel6MOqW. :2011/01/06(木) 03:10:09 ID:pkYVSD8O




エピローグ



かつん、かつんと冷たい石牢に足音が響き、ぬっと人影が姿を現します。
「!?」
「かかか、気分はどうだ? キュラスの元国王様」
「あ、お前は……!! こ、この、下品で恥知らずの無礼者が!!」
「元気そうだな! でもたった半日でさっそく老けたみたいに見えるぜ! まー、これを見てもまだ
俺にそんな口が叩けるかな?」
哀れな国王は息を呑み、言葉を失いました。薄暗い牢獄に現れた人影は「二つ」だったからです。
自分を失墜させ地の獄に追いやった悪党の後ろに、細い肢体がよろめきながら裸で立っています。
「リ、リリィ!!」
「お父様……!!」
かっかっかっと小気味良さそうに笑いながら、デュランは一糸纏わぬリリィを鉄格子の前に立たせました。
「かかか、わざわざ連れてきてやった俺って優しいだろ? 半日ぶりの感動の対面のようだしな!」
「お父様を出してください!」
リリィがきっと振り返って睨みました。デュランは「あぁん?」と馬鹿にしたように半眼で見下ろすと、
「何を勘違いしてるんだ、お前。出すわけないだろが。もっとも、お父様は自分からもう出てこないかも
しれませんが! かか、今から始まることを目にして、まだここから出たいと思うかな?」
そう言い、父王の目の前で、リリィの胸を掴んで薄桃色の割れ目に指をなぞらせました。
あっ、と高い悲鳴が石の天井や壁に反響します。
「や、やめ……やめろ!!」
さーっと国王様は体中の血が下がり、顔面を蒼白にして叫びました。
249双蜜月の夜13 ◆Xcel6MOqW. :2011/01/06(木) 03:14:11 ID:pkYVSD8O


それを丁度良いBGMとばかりに、魔王は端正な顔を冷酷に歪ませ、手を止めずリリィの体を蹂躙していきます。
「ぁつ、や……やめて! やめてぇ!」
両腕を後ろで縛られ、自由を奪われたリリィは激しく抵抗しますが、魔王がやめるはずもありません。
ますます強い力で、大きな手を上下させて、手の平で清潔な乳房をすりあげます。

「……っ今日はもう、許して、くれるって……言ったのにっ……」
「さぁ、そんなこと言ったかな」
「……ぁ、そん、なっ」
「見ろよ、もうここがこんなに固くなってるぜ。ちょっと触っただけなのに、ずいぶん敏感だな?
お父様の前でされて、感じてるんじゃないのか?」

鉄格子の向こうによく見えるように、白い胸を下から持ち上げ、澄んだピンク色の石みたいになった先端を
指の腹でなぞりました。
「っぅう!!」
リリィの背中が大きく反るのを見て、魔王はカカカと哄笑します。
「やっぱり、このぐらいの大きさの方が感度がいいみたいだな! お前のお母様なんかあれだけ大きいと
こっちも大変だぜ。いくら揉みしだいてもなかなか満足できないようだしな!」
それを聞いて国王の目が暗く揺らぎました。
「まさか……シェラまで」
「そぉ、カカカ、二人とも仲良く俺の女にしてやったわけだ! だってどっちか一人を放っておいたら
可哀相だろう? 感謝しろよ、ハハハハーッ」


わんわんと笑い声が辺りに響き渡りました。冷たい格子を握り締めた手が、痙攣するように震えています。
見開かれた目はどろりと濁っており、顔に刻まれた皺よりも深く、暗い闇が根ざしています。
それを見たデュランはとどめと言わんばかりに、リリィの腰を浮かしました。
「っ、あ、やっ」
膝の下に手を差し入れられると、丁度デュランの腰の上で太腿が左右に大きく開き、隠すすべもなく
秘部が丸出しになります。まるで親が子供にオシッコをさせる格好になってしまい、リリィは我を忘れて
泣き喚きました。
「な……何を……」
わななく唇で国王が尋ねました。
「カカカッ、今からこいつが俺の女だってことをわからせてやる」
「やだぁ、こんなの嫌!! やめて下さいっ」
父親の目の前で無理矢理花びらをこじあけられ、リリィは聞いてるほうがいたたまれなくなるほど
全霊を篭めて嫌がりました。しかしそれすらもデュランにはそよ風に感じられるらしく、
平気な顔で続けます。

「別に俺はどっちを連れてきても良かったんだぜ。でもやっぱり目の前で犯されるのは妻より娘を見たほうが、
より楽しいだろうと思ってな」
かかか、と笑って自身のズボンのチャックを下ろし、天を仰いで熱くなっているものを、
リリィの花芯にあてがうと、リリィがいっそう強く全身を揺らし最後まで抵抗します。

「いゃっ……いやっ……こんな格好、やめて下さい……お父様の前で、やめて!!」

「馬鹿だなあ、お前。父親の目の前だから、こんな格好でやるんじゃないか」

冷たく言い放ち、鉄みたいに固くなったものをリリィの中に埋めます。めりっ、と、拒むみたいな抵抗が
あり、それをかまわず押し破り、中へ突き挿していきます。
「ぁつ、あぁああ……っ!」
「かかか、こいつの内側はちょっと窮屈だがいい具合だ! なあ、お前はお母様にも負けないぐらい、
俺を悦ばせてくれるぜ!」
「いゃ、いや、いやぁっ……やだぁ……」
自分とリリィの繋がった部分を格子の前へ突き出し見せ付けながら、デュランは腰を振るのをやめません。
正気を失ったようにリリィはいや、いやと呟き続けます。
250双蜜月の夜らすと ◆Xcel6MOqW. :2011/01/06(木) 03:15:58 ID:pkYVSD8O

「よく見えるだろう? 可愛い割れ目に、野卑な男のものが突き刺さってるんだぜ。興奮するだろ、カカカ!」
すでに言葉も出ない状態で、糸が切れた人形のように老王はだらりと全身を弛緩させていました。
「いや……いや……」
「かかか、お前は俺を締め付けて離さないな。一秒でも長く、お父様の前でこうされてたいのか」
「いやっ……」
腰を強く突き上げられるたびに、リリィから悲痛な声が漏れます。
助けることも出来ずそれを聴く毎に、国王様は何かを失っていくのでした。
「これでわかったろ? 今日からこの国はまるごと全部、俺のもんだぜ、カーッカッカッカッ! 妻も娘もな!」
「もう……許して……」
高笑いするデュランの腕の中で、リリィは一言、そう呟きました。全てをあきらめた口調でした。
魔王は承知し、一定のリズムで動かしていた腰を速め、より力を入れます。
「ラストだ。ようく、見とけよっ」
宣告すると、何度か肉の壁を往復した後、爆発寸前の棒を引き抜きました。一瞬ぶるっと全身を震わし、
こみ上がったものを一度に吐き出すと、リリィのうすピンク色の花芯がぶわりと白くまみれていきます。
国王は目に光を宿さずそれを見届けました。
「ぁっ……ぁぅ……」
今度は気絶できなかったリリィが涙で濡らす頬に、デュランは唇を押し当てて、
「お母様よりもっと、いい女にしてやる。……これは嘘じゃないぜ」
と告げたのでした。

おわり
251 ◆Xcel6MOqW. :2011/01/06(木) 03:17:39 ID:pkYVSD8O


何だか読み辛くて申し訳ありません。
252名無しさん@ピンキー:2011/01/07(金) 14:34:57 ID:TCnJ4SIS
GJ

ざっと見の時は笑い方に違和感有ったがちゃんと読むと大丈夫だったや
というか上手いな
253名無しさん@ピンキー:2011/01/07(金) 21:16:41 ID:j5tte5kI
面白かったんだけど、お義母さんは王妃では?
254 ◆Xcel6MOqW. :2011/01/09(日) 00:38:23 ID:SEwLhF0d
感想ありがとうございます

>>252 文章上でキャラを表すために特徴を持たせてみました。

>>253 間違えました。すみません。
 
255欲望の城 ◆Xcel6MOqW. :2011/01/11(火) 02:28:28 ID:wx46CpOs

>>237-250を投下したものです。
試しに2話目を書いてみたので、空気を読まずに連投をしてみたいと思います。


・超女好き魔王のデュラン様×お姫様です。

・丁度二部構成で、前半和姦で後半強姦です。
後半は尻穴調教なので嫌いな方は注意されて下さい。


「欲望の城」



「あっ、ああんっ」

白いもやがたちこめる広い浴室に、甘い声が響きわたり辺りを埋め尽くしていく。
はりめぐらされた湯が波うつなかに、男と女の影がゆらいでいる。

「あっ……や、あぁんっ! あんっ……そ、そこは……だ、だめっ……」
「そこって、どこだ?」

わざと言いながら、男は長い舌で女の尻をさらに奥まで突いてやる。
ビクンと身体を震わせ、女は懇願した。

「ゃあんっ……だめ、ですっ、デュラン様ぁ」

とろけた瞳を向け、女は後ろから自分の尻をかかえこんでいる男を振り返った。
首元からたれた汗が上むきの乳房までながれ、桜色をした先端をうるおわせた。

「ここがお前の弱点か? かか」
「……っ、なの、しってるくせに……」

とぼけたそぶりで尋ねる男を、こらえ切れない涙によって滲んだ眼で、非難がましく見つめる。
デュランと呼ばれた男は、それを面白がる顔つきで、ますます先ほどからの行為をはげしくした。
いや、いやぁとデュランの顔のうえの女は、頭を振ってせつない泣き声をあげる。
そのたびに黒檀みたくつややかな漆黒の髪の毛がゆれ、ほそい背中のうえで跳ねるのである。

「だめ……だめぇ……」

口元ににぎった手をあて、女ははきだすみたいにつぶやく。もはや限界が近いようすで、
白い肌はうっすらと色づき、タイルの上に横たわったからだを小刻みにふるわせ、最後に登りつめてくる何かをま

ちながら
黙って男の舌を受け入れつづけた。
そして
「ぁっ、デュラン様あぁ、ぁあん!」

と、水面から陸にあがった魚がのたうつように、勢いよくはずむと、しびれた舌で長いあいだ声をふるわせて叫び

、やがてぐったりとした。
水にひたしきったスポンジをしぼったみたくとめどなく、温かくてすこしねばり気のある液体が
デュランの舌の上にどんどんとながれ出して来る。
おのれから吸い、舐めるというよりは、労せずにそれをすくい取って呑みこむだけでよかった。
女のからだとは別の生き物になったように、ぬれそぼった花びらだけが、二度、三度なみうった。


256欲望の城 ◆Xcel6MOqW. :2011/01/11(火) 02:29:51 ID:wx46CpOs
「ぁあん……また、口だけで……イカされちゃった……」
意識をかすみがかった中においたまま、うっとりと女はのべた。

「おまえ、ここがまだねだるみたいにヒクヒクしてるぞ。ええ?」
「だって、気持ち良かったんですもの……」

太ももに、汗や湯にしてはとろみを帯びてゆっくりとつたうものがあった。
ぱしゃっと、からだを動かした振動がつたわっていって、すこしはなれたところで水がはねた。
見わたすと、大人が十人ははいれそうな大きな湯船である。
デュランはよくここでこうして、名目上の妻であるリリィと意のままに睦みあっている。デュランは魔界を統べる

王であったが、
この国をきまぐれで征服してしまったため、一人娘であり民の憧れだったリリィ王女を無理矢理ものにしてしまっ

たのだ。
最初ははげしくデュランに抵抗していたリリィだが、優しく甘く、昼夜問わず夫として彼女につくし、時には有無

をいわさず強く抱き、
なだめすかしつつも逆らえないことを教えこんでいくと、いまではすっかりこのとおりである。


なれないうちはデュランのものを見るたびに、子供のように目を丸くして泣きながら嫌がっていたが、あせらずじ

っくりと
さわらせ、においをかがせ、口にいれさせしていると、すこしずつ免疫がついてきて、やがてはいとおしむ目つき


自分からくわえ込むことができるようになった。
ほそい肢体に小ぶりな胸は、いかにもこれから膨らみ咲きほこることを告げるつぼみのように感じられた。
まだ年端がゆかず素直なのが幸いして、いちど感情で夫をうけいれてしまえば、
リリィはデュランの教えによく従い、感じるままに悦び、自分の官能を高め、いわれた通りに花ひらいていった。
デュランも若々しい体をゆっくりと開かせ、女として育て上げ、自分を刻み込んでいくことに、楽しさとよろこび

を感じていた。
そのためには幼い妻の機嫌を取ったり、これから隣の国をどう陥落していってやろうかと考えをめぐらしている時

にうるさく話しかけられて、
怒鳴って追い払うわけもいかないので相手をしてやったり、抱き合わない日でもせがむので手は一緒につないで寝

てやったり、
たまにわずらわしく思う時はあるが、ちっとも苦にならないのであった。

257欲望の城 ◆Xcel6MOqW. :2011/01/11(火) 02:34:32 ID:wx46CpOs


「お前って奴は。せっかく洗ってやったのに、またべちゃべちゃじゃないか」
さきほどお互いの体を洗いっこしたばかりだが、リリィの太ももはこのまま下着もつけれぬほど、とろとろと幾つもの筋で汚れてしまっている。
そうしたのは自分でも、そ知らぬ口ぶりで、デュランはとがめた。

「はい……ごめんなさい、デュラン様……」
「しょうがねぇなぁ、洗いなおしてやるから、もっかい浸かりなおすんだな」
そう言って、長い髪を散らしてタイルの上にうつぶせているリリィを、父親みたく抱きおこして風呂のなかであぐらをかく
自分のひざの上にすわらせた。
腹まで湯につかり、リリィはなぜか少しあわてた。
「少し……熱いです」
「ぬるいよりいいじゃないか」
主である彼の好みに合わせて温度を調整してある。リリィが落ち着かずそわそわと体をくねらせるのを面白がる目つきで、
デュランは柔らかい腿をなでた。

「あんっ」
足のつけねを両側とも、ほどよい強さでさすられ、リリィは思わず背中から力がぬけじっとした。それをいいことに、デュランは
好きなように指を細いしげみにまもられた奥まですすめていった。
「あっ、駄目ぇ」
ちっとも真剣みをおびない声でリリィは止める。あたたかいがあきらかに湯とは感触の違う、卵の白身みたくとろりと
絡みつくものが指をおおい、デュランは口のはしを上げてかすかに笑った。
「俺が何度洗ってやっても意味がないじゃないか」
「ごめんなさぁい……」
「淫乱なやつだな。熱い湯に浸かって反省するがいい」
じゃぶんと、自分の身を引き沈めてさらに深く湯船につかる。当然ひざの上に座っていたリリィも一緒に体が下がり、
肩までたゆまぬ水面に引きこまれてしまった。

「あッ、だ、駄目! わたし、駄目なんですっ……」
華奢な肩をばたつかせ、リリィはまじめな顔で立ち上がろうとするが、デュランはくすくす笑いうしろから若妻のからだをかかえこんでいる。
「いいじゃないか、そんなに嫌がらなくたって」
「ほんと、駄目っ」
頭をふって涙目で訴える。笑ったままデュランがぱっと手を放すと、リリィは急いで湯船から出た。
実際はみじかい間の出来事だったが、すでにリリィの柔い肌はつよく吸われたみたいに全身が真っ赤に染め上がっているのである。

「ひどいっ、デュラン様っ。わたし熱いお湯が苦手って知ってて、意地悪なさるなんてっ」
からだ中から湯気を出しながら本気で抗議する。そのようすを、肩ひじをついてデュランは笑いながら眺めた。

「本当にすぐ肌の色が変わるんだな。まるで全身薔薇の花が咲いたみたいになってるぜ」
「生まれつきこうなんだから、仕方ないじゃないですかぁ」
リリィは白雪姫という仇名があるほど、陶器みたく透けた、日焼けのない真っ白な肌をしている。

「そう怒るなよ。俺はお前がそうなってるのを見るのが好きなんだ」
「こっちは、たまりません……」
ふと扇情的な瞳で見つめられて、リリィはどぎまぎと答えた。

「じゃあ俺がそっちに行けばいいか」
ざばっと、勢いよく立ち上がると、まだ興奮したままの肌を冷ましているリリィのそばへよった。
おおうものもなく、ぶら下がった状態でもじゅうぶん大きさのわかるものが目線の高さにあり、リリィは頬を赤らめた。

258欲望の城 ◆Xcel6MOqW. :2011/01/11(火) 02:38:50 ID:wx46CpOs

水滴が流れるつるつるしたタイルの上で、デュランはリリィにおおいかぶさり、二人はからみあった。
「あっ、あんっ」
甘いあえぎが、周囲に反響し、高い天井に吸い込まれてはやがて消えた。
デュランが胸のあいだから乳房を、小山を登るみたいにじっくりと舐め、だんだんと舌のつかない箇所がせばまっていくのに応じて
桜色の先端はひとりでに立ち上がった。
「小ーさいくせに敏感じゃないか」
もう片方を、手の平の中できゅっと握りつぶしてやる。痛みではなく悦びの声をリリィはあげた。
デュランは面白そうに言った。

「やっぱり、このぐらいの大きさのほうが感度がいいんだな。かか、あまり牛みたいな女を相手にしてても、お前より鈍い
気がするぜ。そう思わないか?」
力をいれすぎずに、何度もすっぽりと手におさめた胸をつぶしてやると、指の間から上向いた先端がはみ出る。
リリィはこれ以上ない恥ずかしさで、熱くなった頬をそむけた。まるで河原の透明な小石みたいに、つんと固く、ピンク色に
澄んでいる先端を、デュランは口にいれてねぶった。

「ぁぅ……」
「でも尻はすこし小さすぎるかもな」
口をはなし、言ったとおりに華奢で小さな臀部をなで、あいだに指を差し込む。もうすでにとろりと流れ出てくるものがある。

「……さっき洗ってやったばかりじゃなかったっけな」
「そうです……」
「おまえはいったい、何回おれに無駄な労働をさせたら気がすむんだよ」
「ごめんなさぁい……」
呆れた口調をつくり、デュランは形のよい胸をあさく上下させる妻をみおろした。

「仕方ねえな。じゃ、こっちもそれなりに準備万端にしてもらおうかな」

つと明るい口ぶりで笑った。リリィは意思をのみこみ、ぴくんと肩を動かす。その瞳は潤いときめいた。
そのままタイルの上にあお向けに寝転がったデュランのものに、リリィはそっと顔を近づける。
顔をかすかに持ち上げて、わかるか? とデュランは尋ねた。

「わかりました、っ、あんっ!」
驚いた声をあげる。床に沿うデュランの横にからだをよせていたのが、あっという間にだき上げられ、リリィは逞しい体の上に
上下はんたいに寝転がるかたちになった。

かすかにかぶりを振り、困って嫌がる。
「この格好……いやですっ、いやらしい……淫らな……」
育ちの良い瞳を困惑の色でくもらせ、上品な頬を紅く染めている。

「同じような体勢で、四つんばいにして後ろから舐めたりなんてさんざやってるじゃねえか」
「だって……こんな、恥ずかしい……」
相手にせずデュランはつめたく言い返す。太ももをつかまれ、尻をいやおうなしに左右に開けられ、花芯もその上の菊状の秘穴も
さらけ出された格好のまま、リリィは首だけ振り返って泣きそうな目を向けた。
自分の顔のすぐ下には、夫のものがある。
お互いに同時にその行為に没頭してしまうというのが、まさしくそれしか頭にない獣みたいな、浅ましいみだれたことに思えたのだ。
259欲望の城 ◆Xcel6MOqW. :2011/01/11(火) 02:44:44 ID:wx46CpOs

「ほら、ん?」
腕をのばして自身のものをもちあげ、リリィの小さな頬にぴたぴたと押し当てた。思わずリリィは目を瞑る。はやくしろよ、と言いながら、
自分は薄ピンクに深く裂けたリリィのあわいの奥へ舌をさしいれたのである。
「んんっ」
とっさに喉から高い声がほとばしり、背すじがぴんと緊張する。
「ん、ぁ、あんっ」
初々しくからだをはずませるが、脚からがっちりと太い腕にかかえられているので、逃げようがない。
最後まで抵抗するみたいにかすかに首をふるリリィに、デュランは割れ目からすこし舌をはなすと、

「わかるか、と聞いただろ。わかりましたって言ったなら、今さら嫌がるんじゃねえ」

「あっ……は、い……デュランさま……」

ぴしゃりと叱られ、観念したリリィは根元に手を添えて目下のものを口に含んだ。自分の秘所をまさぐる舌に応じるように、
敏感な先端をやわらかい舌でこすり上げ、茎を丁寧に沿ってから、口にいれる。

「んふぅ……」
立派なものを奥まで口におさめると、思わず鼻から吐息がもれる。苦しげに眉根をよせ、綺麗な顔にしわをつくった。
口の中でどんどん硬くなっていく棒に巻きつけるみたいに、舌を動かす。が、デュランが慣れたようすで硬くしこらせた舌を
リリィの花芯のなかであばれさせ、膣壁を裂き、奥まではいり込み、すりあげると、

「んっ、ふぅ、んんぅ!」

じぶんの奉仕に徹するどころではなくなり、頭が真っ白になり、塞がれた喉から泣き声をあげた。
しかしやめると怒られるし、ますます筆舌に尽しがたい技巧をもって責められ、わけがわからなくなってしまうので、
せめて正気を保ってやり遂げようと、気丈に我をとり戻し、可愛らしい舌で行為をつづける。
しばらく二人は、お互いの股間に顔をうずめあって、ぴちゃ、くちゃっと水っぽい音をたてながら、じぶんのすべきことに熱中していた。
しかし、やはり先に音をあげたのはリリィだった。
不意に唾液にまみれたデュランのものから口をはなすと、焦点の定まらない瞳でうしろをふり返った。

「あっ……はぁ、ん……さ……ま……」
「ん?」

とろけきった眼で、自分をみつめ懇願するリリィを、デュランはあえて気づかぬふりをする。

「どうした?」
「……も、駄目……あぁっ!!」

言うあいだに、ちゅっと中を吸われ、リリィはひときわ大きな声をあげた。
デュランの体の上で小刻みにふるえていた白い体が、ビクンビクンと上下する。


「ゆるして、お願い……」

しゃくり上げながら頼むのを断われず、デュランは体を起こした。蕩けた花芯は、すでに決壊が近いことを訴えるように
閉じては開き、頂点まで導かれるのをねだっている。
それを承知し、あえてゆっくりと、焦らしながらデュランは浴槽のふちに腰かけた。ちゃぷんと足が熱い湯にさらわれる。
そして切ない表情のリリィの汗ばんだ体を、そのうえにすわらせる。

260欲望の城 ◆Xcel6MOqW. :2011/01/11(火) 02:51:49 ID:wx46CpOs

「あっ……こんな格好で……」
「たまにはいいだろう」
「まるで重なり合った椅子……みたいです……」

にやりと笑い、戸惑うリリィの腰をつかまえると、濡れきった花芯を下から思いきり突いた。
「あ、ああぁあん!!」
はばかることなく喉から存分に嬌声が放たれる。じゃぶ、じゃぶ、と二人が体を動かすたびに、足元の水面がみだれ波となっている。

「ぁっ、……いつもと……別のトコに……あたってるっ……」

真下からはらわたをぐいぐいと掻きまわされる感じがして、リリィは堪らず口のはしから涎をたらす。デュランは気がつくたびに
それをうしろから、舌でぬぐってやった。

彼女の全身がゆれるたびに、空中に艶のある髪がおどり、花の香りのような微香を発した。
後ろ側からリリィの髪に鼻をつっこんでかぐわしいそれを吸い込みながら、デュランは腰を突き上げつづけた。

ふと、きゅうぅと目いっぱいの力でリリィのうちがわが自身を締めつけるのに気づくと、動きを止め、そのまま腰を引き抜いた。
ぬるんっ、とまざり合った多量の粘液と共に、あばれていたものがするりと抜け出てくる。
事態をのみこめずリリィは哀しげに問いただす。

「っ、なん、で……やめちゃうんですかっ?……」
「まあ、待て。ちょっと休憩させてくれ」

とぼけたそぶりで、あらためて湯船に入りなおそうとするのを、リリィは子供の声で泣きじゃくりながら止めた。
「やだっ……そ、んなのっ。もうちょっと……なのにぃ……」
やれやれ、とあやすみたいに、頬を濡らす涙を指でぬぐってやりながら、魔王はたずねた。
「ちょっとも我慢できないのか?」
「……でき、ま、せんっ。デュランさまの、いじわるっ……」
「しゃーねぇなあ」
物分りのいい兄みたいな表情になって、デュランは完全に浴槽の外に出ると、
「じゃあ、頭を下げて四つんばいになれ。犬みたいにな。……もっと、尻を高く突きだせ。そうだ」

と命じる。リリィはすぐさま、いうとおりにするのだった。
「とんだ淫乱王女さまだ、かかかっ」
いい、いきり立ったままのものを、飽きれるほど柔らかい尻のあわいの真ん中へ押し挿れた。

「はぁ、あぁん、あぁぁあんっ」

今ほどよりもはげしく呼吸をみだして、リリィはなめらかなタイルに胸をおしあてながら、ゆすられるままに体を揺らす。
あっ、あぁんっと泣き声に似た甘い歓声が響くたび、ぐちゃ、ぐちょっと、沼をかき乱すのと同じみだらな水音が発せられるのである。
261欲望の城 ◆Xcel6MOqW. :2011/01/11(火) 02:53:57 ID:wx46CpOs

「気持ちいいか?」
「っ……いぃっ……デュラン様っ……デュラン様ぁっ」
「そうか、かか、初めはあんなに嫌がってたくせにな」
「あぁああん!」

ひたいから汗を飛び散らしながら、感慨深くデュランは言った。すでに何も聞こえなくなっているリリィのわめき声がどこまでもあたりを埋めていく。
うぶな花芯は、そそり立つ棒を何度でもいとも簡単にのみこんでいくのである。デュランは、自分の背中にも
登りつめてくるものを感じた。


「あぁんっ……デュラン様ぁっ……大好きっ……」


くちびるが震え、限界まで喉から声をしぼり出したリリィは、デュランが腰をはなすと浴場の床のうえに崩れ落ち、
真っ白な体を茹でられたみたいに紅色に染め、全身をびっちゃりと濡らしていた。
とろとろと、さっきまでデュランのものを吸い込んでいた花びらから、粘性の液体が流れ垂れている。

それを冷静な面持ちで眺めると、うつぶせにたおれこんでいるリリィの髪をすこしつかみ、耳元に口をよせ、
異常に端正な顔をした魔王はそっとこう囁いたのである。

「今度は、ちゃんと顔が見えるようにやってやるよ」
「……はい、デュラン様あ……」

若い姫君では、こうされては心が移ってしまうのも無理はない。




浴場から帰ったデュランを、待ち構えているものがもう一つあった。
じつは今夜はこちらがメインデッシュだと言ってもいい。デュランは髪をもう一度綺麗に整え、上等のローブを着て寝所のビロードのカーテンをひいた。
ビクリ、と、音が立つぐらい身をふるわせ、体をひいた女の姿があった。
茶髪の髪を一つにまとめ、青い瞳がくりくりと丸い、可愛らしい美人である。
キッと、勝気な目つきでデュランを見すえると、若干見た目よりひくい声でのべた。

「お放しください! この、恥知らずの、野卑な蛮人が!」
「やなこった。お姫様のわりに口が悪ぃなぁ。カカカ」

後ろで両腕をしばられているので、ベッドの上で寝転がるしかないのである。それをからかうように、デュランは見下ろしてやる。
この女はマリー姫といい、商人が多く経済が発展しているので、デュランが欲しくなって攻め落とした国から連れて来た王女である。
年は18で、リリィより一歳うえなだけだが、すでに結婚もしている。
今晩のうちに、この哀れな王女もいただいてしまおうというわけである。

ピンク色のドレスに包まれた肉体はほどよく豊満で、年齢さながらの瑞々しさと、すでにある程度をうけいれた熟れた感じが
服の上からもあらわれている。
まるで舌なめずりするような目つきでじぶんを眺めているデュランに気づき、思わずマリーは後ずさった。


「か、帰してください。私に近寄らないで」
「それは無理だな。言わなくたってわかってるだろう」

余談を許さない口ぶりで答えられ、のみ込みの早い王女はいくぶんか諦めた顔つきで、暗く目をふせた。
262欲望の城 ◆Xcel6MOqW. :2011/01/11(火) 02:57:20 ID:wx46CpOs
「……わかりました。わたしをいいようにして気が済むのでしたら、臣下や侍女の命の安全とひきかえに、好きなようにしたらいい」
「ああ、約束するとも。別に男を殺したって俺になんの利もないしな。じゃ、さっそく」

言うなり王女に身をつめたデュランは、マリーをうつぶせにすると、長いドレスの裾を大きくまくり上げ、
服を着せたまま下半身だけ露出した格好にさせた。

羞恥に震える柔らかな尻に指をくいこませ、たわむれにぱしん、と叩いてみる。

「うぅっ」

思わず体を跳ね上げさせるマリーをにやにやと眺め、尻よりもっと柔らかく温かいあわいに二本の指を差し込ませる。
拒むみたいに閉じた道を、気にせずにこじ開き、指の腹をうちがわに埋めていく。

「あ、あぁっ」

気丈な姫様だが泣きながらたまらず声を上げる。いやいやするように頭を振るのを、サディスティックな気持ちで見ながら、
好きなように中で指を動かすのである。
お互いに服は着たまま、王女様の大事な部分だけがぽっかりとあらわになって、いいようにいじられている。

「かか、こういうのもたまにはいいもんだろ。新鮮な気分で」
「……」
「え、どうした? それとも裸に剥かれる方が好みかな?」
「……これで、わたくしを貶めたつもりですか?」

マリーは気強く魔王に言い返した。ふとデュランは真顔になる。
いつもの扇情的な問いかけ遊びがつうじる相手ではない。それが不意を突かれたからではなく、自分を首だけ振り返って
見返すマリーの瞳が、まるで何でもない男をみるかのように、恐れや萎縮のない、凛としたものだったからである。


「何だと?」
「この程度のことで、わたくしを辱めているつもりですか、と訊いているのです。ふふ、王というには、ずいぶん
小さなことで、満足されるのね……」

せいいっぱい虚勢をはり、気高くマリーは告げた。だが内心はそのとおりではないことは、小さく震える肩をみれば一目瞭然だった。
なのでデュランは言った。

「強がるんじゃない」
「強がりではありません。今から、わたくしを犯すんでしょう。好きなように、されるといいわ。でも、私は、そんなことでは
けっして汚れないのです。
何故なら、わたくしはすでに夫のある身。ただ一人貞操を捧げた、ただ一人の方がいるのです!
わたくしはその方にわたくしの全てを差し上げてきた。わたくしはほんとうの男と女の睦みをもう知っているのです。
だから、今さら貴方に犯されたところで、何も怖くない! さあ、それで満足されるなら、好きなようにしなさいよ!」

ふふんと息を吐いて、マリーは口に笑みさえ浮かべながら、差しだすようにからだをじっとさせた。
263欲望の城 ◆Xcel6MOqW. :2011/01/11(火) 03:00:46 ID:wx46CpOs

「…………」

言葉をうけて、デュランは真剣に手を止めてしまった。
じっさいに、指を挿しいれた秘所の反応を見ても、リリィの時とはすこし違う、いちどは男のものをのみ込んだことのある
肉壁のぐあいである。
回数は、多くないかもしれないにしても、そう期間の空かないうちに夫を受け容れてきたことがうかがえる。
彼女の言い分もよくよく考えをめぐらすと理解できる気もするし、デュランはこのままいうとおりに秘所を奪ってやるのも
つまらなく思えてきた。

もちろん少々手荒に抱いて、生意気なからだにたっぷり自分をしみ込ませ貫いてやることも出来るのだが、
どう煽ったところでどうせ心の中で、夫の顔を思い浮かべて結ばれている気分で自分をうけいれているのだろうし、
他の男の使用済みをあなたは喜んでいるのよ、と言われているようなもので乗り気にならなかった。
何より気に食わなかったのは、自分をちっとも怖がらずにその辺りの男と同じ重みのない目線で見ていることだった。

(泣き喚いて一生俺のからだを忘れられないようでないと気がすまない……とは言わないが、もう少し、真剣に脅えてくれないと、面白くないよな)

デュランの中に、ふつふつと黒いとがった欲望が、加虐心をともなって、ミルクが焦げるようにわきあがってくる。
そして、ふと目にとまったのは、うつぶせになり尻をつき出して、下着を引きずりおろされているので、かくすことのできず
露わになった花びらのその上の、控えめな菊に似た秘穴である。
じぶんの中にある欲求がかたまってくるのを感じつつ、デュランはそこに指をあてた。

「!? 、っ」

ひときわ大きくマリーの尻が上下に震えた。
ここは、まだだな。そう確信し、こんどは舌をあてた。さっと、下から上へ撫でてやる。

「っ、な、なにをなさるのですっ」
すっかり動揺した様子で王女様はとがめた。わざとゆっくりと何気なくデュランは答える。

「あなたの尻穴を舐めているのです、王女様」
「な、何故そのようなっ……」
「ずいぶんあわててるな。ここは、誰にも触れられたことがないのか? そうなんだな?」
「当たり前ですっ。そのような、けだものじみた……汚らわしい……」
「では、ここを犯して、お前にもけだものになってもらうとしよう」

そういうと、しこらせた舌を一点の穴へあてがい、中へくぐらせた。
あからさまにマリーの身体が抵抗をはじめる。尻をがっちりつかんで固定してやり、デュランはどんどん舌を中へ、奥へと
進ませてやる。イソギンチャクに咥えられているような、伸縮する道だ。
てらてらとナメクジが這ったみたいに透明な唾液が、辺りを濡らす。そのまま、突いては引くように引っ込めては伸ばしきって
出し入れしてやる。マリーははげしく嫌がった。

「嫌、嫌、嫌ぁ!」
「言っとくがその反応はおれを喜ばせるだけだぜ」

ふんっと、冷たく言い放って、デュランはいっさい舌をゆるめず行為をつづけた。心なしか、ほんのりと身体全体が色づいてきた
気がする。調子づいて、ますます舌にこめる力を強くしてやる。
マリーの嫌悪の声を合図に、舌を抜くと、一筋の糸が透明に繋がっていた。
それを見て、今度は人差し指をくわえて濡らすと、爪がでてないのを確認して皺のおおい穴にあてがってやり、中へと進ませた。
264欲望の城 ◆Xcel6MOqW. :2011/01/11(火) 03:06:37 ID:wx46CpOs

「! っ、いやぁ、いたっ……ぁっ……」

整った顔をおおきく歪ませ、マリーはふくらはぎのあたりをふるわせた。
とうぜんそう簡単にははいらないが、気にせず進むぶんだけいれて、下側にあてて往復させこすってやる。

「やだ、やめてっ……お願いです……」
本来の少女らしさをうかべた顔で、やっとマリー姫は哀願をはじめた。
それを見て、デュランはカカカ、と満足げに笑った。むらむらと湧き上がって来る衝動があった。
その高まりを迎え、デュランは熱くたぎったおのれのものを引きずりだすのだった。

「っ、ま、さかっ」
「そう。ここに、挿れるぜ」
じっくりと恐怖を煽るみたく告げる。硬く屹立した先端は、その秘穴よりだいぶ大きい。マリーは信じがたいものをみたように目を見開いた。
デュランは楽しい気持ちだった。何も処女花を散らすというのではないが、他の男のものが何度も出し入れされているものを
(図らずもそう意識させられたものを)手に入れるよりも、前人未踏の秘所を克服してやったほうが気持ちは高ぶるに決まっている。


「嫌です、それだけは、ゆるしてっ」
「君らしくない、さっきまでの威勢はどこにいったのかな?」
「ごめんなさい……、お願いだから、やめてくださいっ、お願いだからぁっ」
「ふぅん、そんなに嫌か。お前が何度も旦那と出し入れを楽しんでる穴と、かわりゃしないと思うけどなぁ。
こっちが良くて、こっちがそんなに汚らわしいのか」
「だってっ……”そこ”は、あさましい……獣みたい……」

聞くものが同情してしまうそぶりで、マリー姫は最後まで嫌がったが、叶わぬことだった。
すっかり泣き濡れた瞳でデュランを見つめるマリーの菊穴を、笑みをつくったままデュランは己のものを挿しいれた。
「ぁあぁあああ!!」

獣に近い叫び声をあげ、マリーは身体中を硬直させた。
デュランは顔に汗をにじませ、「今日は貫通式だな」とつぶやいた。可哀相な気もしたが、達成感があった。腰を進ませるのにとうぜん苦労すると、

「息を吸え。吸ったらしぜんと力がゆるんで、開くから」
「っ……あ……」

答えることはできないものの、耳元でいわれた言葉を必死でまもり、痛みを軽減しようとつとめた。
なんとか半分くらいまで埋めると、それ以上はせずに、デュランは自分の手ではいりきってない自分のものを
しごきながら、ゆっくりと腰を動かして二度、三度往復させた。
柔らかい肉の壁が傷つくのがわかり、そっと引き抜くと、それでもすぐに身体中から上がってくるものがあって、菊の穴めがけて出してやった。
それは流れて、花芯まで垂れている。

放心したように泣きながら、暗い闇へひきずり落ちたまま、未だ戻ってきていないマリーの瞳をのぞきこんで、

「……たまには獣になるのもいいもんだぜ」

と言ってやった。


●おしまい●
265名無しさん@ピンキー:2011/01/13(木) 00:58:21 ID:02MbmJnN
イイ!
266名無しさん@ピンキー:2011/01/18(火) 20:02:03 ID:35jECYKm
GJ!
良かったよ
267名無しさん@ピンキー:2011/01/19(水) 23:54:28 ID:vcwSH0hP
いい
268名無しさん@ピンキー:2011/01/20(木) 23:55:22 ID:zTkpuKVy
姫というか皇女なんだけど30代40代50代の既婚子持ちは駄目?
269名無しさん@ピンキー:2011/01/22(土) 02:33:03 ID:8o1p7MPv
30代を過ぎたら年齢をぼかして描写するのをお勧めする
それか、魔法かなんかで若返っておくとか、不老長寿の種族だとかの設定でやるとか
270名無しさん@ピンキー:2011/01/22(土) 21:15:37 ID:tH1Q6fkv
熟女も需要ありますよ
271名無しさん@ピンキー:2011/01/23(日) 13:00:07 ID:V/y/FKFF
>>255 GJ!
女好きのデュラン様は結構包容力ありそうだ
イイ男路線でもいいんじゃないかと思うな

>>268-270
このスレの嗜好は幅広いよな
272名無しさん@ピンキー:2011/01/24(月) 15:04:54 ID:hnttWmCx
脚を手に入れた人魚姫が全裸で王子に拾われる場面は昔からものすごくムラムラする
あれ、姫が意識を取り戻して出来たての下半身を髪で隠すまでは間違いなく王子に視姦されてたと思うんだ
273名無しさん@ピンキー:2011/01/24(月) 15:40:39 ID:1dLF9Ivp
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274名無しさん@ピンキー:2011/01/24(月) 23:56:34 ID:yXiRjyOn
>>269
皇女たちはその高貴な血筋目当てに(まだ死んでいないが)死ぬまで強姦妊娠出産させられて子持ちどころか孫やひ孫もいるのに妊娠してしまう皇女もいるぞ
しかし子宮と卵巣以外は美女ではあるが普通に年を取ります
275名無しさん@ピンキー:2011/01/29(土) 16:49:53 ID:/h+V0w8R
まとめサイト、淫乱姫のやつってどこに行ったの?
塔の中で、姫が自分を集団で犯させるやつ
どっちのサイトにも無くね?
276名無しさん@ピンキー:2011/01/30(日) 04:37:28 ID:n2j7yAD4
>>275
wikiのリストの1番下のやつじゃなくて?
277名無しさん@ピンキー:2011/01/30(日) 21:24:20 ID:mAvzSpv5
otu
278名無しさん@ピンキー:2011/02/07(月) 00:11:40 ID:pW22Y3zN
保守。
279名無しさん@ピンキー:2011/02/10(木) 21:36:48 ID:FYWE6Dzh
囚われのお姫様って 復刻版
http://set.bbspink.com/test/read.cgi/sm/1297336701/l50
280名無しさん@ピンキー:2011/02/17(木) 10:17:27 ID:l6PjC7Lc
281名無しさん@ピンキー:2011/02/23(水) 00:46:56.14 ID:eoCGoCkR
ほしゅ
282名無しさん@ピンキー:2011/02/25(金) 02:21:10 ID:UfWQiiKS
保守
283名無しさん@ピンキー:2011/02/27(日) 02:44:45.18 ID:njs+8j0H
トゥーランドットのあらすじを見てたけどあの姫は残酷だけど美しいな
結婚をしたくなくて謎を出したのに、最終的には一番大嫌いな男と結婚して
本気でいやがる姫とかみたい
284名無しさん@ピンキー:2011/02/27(日) 11:25:47.18 ID:qxv4YwAY
>>283
男嫌い&求婚者を殺しまくってた理由は一応『先祖の姫が戦火されて殺された復讐』だったっけ

プッチーニの歌劇だと聴衆の同情(と萌えも?)をかっさらうのは王子の女奴隷w
王子は行動が訳わからんし、全然魅力感じないな
トゥーランドット姫も前半の残酷振りは好きだが、王子に惚れた途端につまらん女に見えてしまう
285名無しさん@ピンキー:2011/03/03(木) 11:09:49.04 ID:+dbwZ4KR
6投下。
NTR?
姫鬼畜
286姫鬼畜 1/6:2011/03/03(木) 11:11:22.57 ID:+dbwZ4KR
石畳の上に二人の男女が転がされて居た。
城の中は薄暗く、さらに石造りの部屋は寒さすら感じる。だが…気持ちが高ぶっているテトリアにはちょうど良いぐらいの室温だった。
「待たせたわね」
踵をならして入って来た少女に石の上で固まっていた二人が顔を上げる。
そう、その顔が見たかったの。
二段上にしつらえてある柔らかい敷き物を敷いた椅子に腰掛ける。
「ごきげんいかが?アリア国王、そしてナタリー女王」
一年前は同じ場所にいた。そして今は違う。隣国同士で戦い、アリアは負けた。そして、公開処刑された。二人揃って。
その二人がここにいる。なんのために?決まっている。私の為にだ。
「本当に気の毒だったわ。アリアのあの二人…ただ、あなた達に似ていると言うだけで、公開処刑だもの」
ナタリーの目に涙が浮かんだ。その場を見せられたからだ。ナタリーとして処刑された娘は喋る事を許されぬよう舌を抜かれていた。アリア国王としてその横に立って青年も似たようなものだった。
柔らかい金髪が揺れ、アリアがテトリアを見上げた。
「処刑されたはずの我々をなぜ、ここに呼ぶ」
「決まっているわ」
テトリアが笑った。
「遊ぶためよ」
ナタリーが悲鳴を上げた。

部屋の隅から四人の男が現れた。それぞれ屈強な男だった。慣れた手つきでナタリーの服を引き裂いて行く。
「やめてええーっ!」
石造りの部屋に悲鳴が反響して心地よい。テトリアは笑った。同じ姫として比べられる事が多かった。たおやかで、女らしく、美しい。ナタリーの賛美なら幾らでも聞いた。
そのナタリーが黒い髪を振り乱しながらあっというまに裸に剥かれて行く。
「ナタリーっ!」
アリアが叫んだ。自分の妻が面前で裸にされていく。怒りで身体を震わせるが壁に拘束され身動きが取れない。ただ鎖だけがうるさい音を立てた。
「テトリア姫っ!やめてくださいっ」
アリアが叫ぶ。その叫びも心地よい。まだ自分にこの場をどうにかできるという気持ちでもあるのか。既に、処刑されこの世にいない人間だというのに。
「ナタリー、王を黙らせなさい。じゃないと首を切らせるわよ」
男が片刃のナイフをアリアの首筋に当てた。ナタリーがそれを見てがたがたと震える。
「ナタリー…あなたさえ頑張ったらどうにかなるかもしれないって考えてみたら?」
287姫鬼畜 2/6:2011/03/03(木) 11:12:59.79 ID:+dbwZ4KR
自分で口にして苦笑いする。なんて嘘っぽい言葉。ナタリーの頑張りなどでこの状態が変わるわけではない。アリアも聞くな!と叫んでいる。その度にアリアの首筋に赤い血の筋が流れる。
「ナタリー…あなたはアリアを愛してるんでしょう?」
愛という言葉にナタリーが反応した。…さすが、世間知らずのお姫様だわ。うまい具合に魚を引き寄せる事ができたらしい。テトリアが歌うように呟く。
「愛する人の為なら…自分の命など…」
テトリアの唇が上がる。アリアがテトリアを睨み付けた。顔から血の気が引いている。テトリアがアリアと視線を合わせた。
「アリア国王。もしあなたが舌でも噛んで自ら命を絶ったら…ナタリーを裸のまま町に放り出すわよ」
そして笑う。
「戦が終わった後の祭りは賑やかだわ。表も裏もね。自分の国があったのだもの…そこらへんは分かってらっしゃるわよね?」
アリア国の若い娘たちは兵士の慰み者になっている。戦争とはそういうものだ。ひどい扱いを受ける。ただの性欲処理の為に。
アリアが息を飲んだ。ナタリーが顔を埋めて泣く。二人の命はテトリアの物だ。
テトリアが金髪を揺らして気持ちよさげに笑った。

ナタリーが悲鳴を上げた。高い机の上に仰向けに寝かせられ両手足とも机の脚に拘束される。
「はしたないわね。少しは静かになさいな」
机の上から黒い髪が零れて流れた。テトリアが椅子から下り近付いて来る。手にした扇子を軽く開いたり閉じたりしながらナタリーの足元に立った。
「あら、臭うわ」
からかいを含んだ口調にナタリーが顔を赤らめる。捕虜となり水浴びなとさせてもらっていない。
「水は?」
テトリアの言葉の意味が分からずナタリーは首だけをあげようとして…いきなり腹の上にぶちまけられた桶の水に悲鳴を上げた。
「あらあら…綺麗にしてあげるんだから、そんなに叫ばないでよ」
テトリアが濡れないようにアリアの横に移動する。四人の男がナタリーの身体に桶の水をひっくり返しては身体を拭き上げていた。優しさなどない。
開いかされた股の間もごしごしと拭かれ、ナタリーが喉が裂けんばかりの悲鳴を上げる。
「ナタリーは、つまらない女だったでしょ」
テトリアの言葉にアリアが弾かれたようにテトリアを見た。テトリアが扇で口元を隠しながら笑う。
288姫鬼畜 3/6:2011/03/03(木) 11:14:30.33 ID:+dbwZ4KR
「真面目で、美しく、しとやかで」
ナタリーの長所をあげて笑った。そして、落とす。
「まるで丸太だったんじゃない?」
アリアの頬がカッと染まる。それはテトリアが知っている事ではないはずだ。国王と女王の寝室の事など。
「…見ていたらいいわ。ナタリーがどれだけ変わっていくのか」
ようやく最後の桶が水をひっくり返し、その飛沫を丁寧に男達が拭いた。テトリアが再びナタリーに近寄る。
「あら、震えているの…可哀相に」
水の冷たさと、男達に勝手に身体を拭われたショックでナタリーは歯の根が合わない状態で震えていた。唇の色が血の気が引き青い。テトリアが可哀相にと扇子をナタリーの唇に当てた。
「すぐに温めて上げるわ」
扇子を開きナタリーの視界を塞ぐ。ナタリーの足元に男が立った。下半身から凶暴なペニスが天をつく勢いでそそり立っている。
「ナタリーっ!」
アリアが叫んだ。だが、男の方が早かった。
「さ、温まりなさい」
「ひいっ?!」
ぎちっとナタリーの腟が悲鳴を上げた。濡れてもいない腟にペニスが捩じ込まれる。
「ほら、緩めないと裂けるわよ」
「ナタリーっ?!」
緩めたら収まるとかいう問題のサイズではない。アリアしか知らないナタリーの腟は引きつるように動きチリッとした痛みを伴なった。
「あら、血がでちゃったの」
テトリアが苦笑いする。裂けた。ナタリーの身体に汗が浮かんだ。荒い息が続け様に上がる。
「まあ、温まったみたいだし…取りあえず抜いて」
ずるっと男が身を引いた。三分の一も入らなかった。しかも微かに血で汚れた。男がぽっかりと開いた腟を覗き込む。入口が少し切れた程度なら問題ない。
「テトリア姫っ!」
アリアの悲鳴が部屋に響いた。テトリアが振り返る。
「なに?」
「あなたも姫だろうっ?!なぜこんなひどい事ができるっ!」
まったく似合いの夫婦だ。綺麗事で育った者同士の美しい結婚。そんな甘ちゃんだから、寝室の側女がいつの間にかテトリアの手先だったとか気がつかないままこんな事になっている。
そして、まだ気がついていない。ナタリーが狂うまでこの部屋から出る事はないのだということも。
「そうね。姫としてナタリーを見習わせて頂くわ」
男二人がナタリーの脚の脇に立った。
「まさか、国王の前で気をやるなんてことをなさらないでしょう?姫ならば」
289姫鬼畜 4/6:2011/03/03(木) 11:16:23.82 ID:+dbwZ4KR
男達の指がナタリーの秘部に伸びた。指になにか油のような物をつけている。アリアには分からないはずだ。だからナタリーは男達に弄ばれて気をやるように見えるはず。
それが媚薬のせいで、ナタリーの思いとは裏腹だというのに。
「ナタリー、頑張ってね?お手本を私に見せてね。」
「テトリア…許して」
「許す?なんの事?アリアに言われて私が反省するのよ?さあ、夫の前で醜態を曝さないでね」
テトリアが扇子で口元を隠した。ぞくぞくする。このナタリーが私に許しを乞うなんて。
男が木の枕を持って来た。それをナタリーの頭の下に置く。ナタリーが足元に立つ男二人に怯え…その奥の壁に顔を真っ赤にしたアリアがいるのを見て大きく肩を震わせた。
指が触れる。先程小さな傷になった箇所を撫で、腟を一度大きく抉る。下働き独特の太い指はそれだけできついとナタリーに感じさせた。クリトリスに触れられる。そしてその下の粘膜にも指が触れる。
はあ…っとナタリーは息を吐いた。こんな屈辱など、死んでいった国民の悔しさを思えば耐え切れるはずだった。耐え切れるはず。しかも、夫であるアリアの目の前だ。耐えなければならなかった。
「…すごいわ。やっぱりナタリーね」
テトリアの感心したような声がする。そう、耐えるの…耐えるのよ。
「きっと、アリアがうますぎてナタリーは普通の男では感じなくなってしまったのね」
テトリアの言葉にナタリーの頬が赤く染まった。テトリアが扇子の影で笑う。肉欲など、知らぬ夫婦が。
「あら、どうしたのかしら」
テトリアが不思議そうにナタリーの脚の間を覗き込んだ。
「この溢れているのはなに?」
腟からトロトロと愛液が零れ始めていた。
「さっきの水がまだ残っていたのね…気持ち悪いでしょう?今、拭わせるわ」
テトリアの扇子が男の肩を叩いた。男が顔をナタリーの秘部に埋める。
「ひああああっ?!」
ジュッ、ジュッ!と音を立てて愛液を喉を鳴らしながら吸い取られナタリーは悲鳴を上げた。
「あら…姫と思えぬ悲鳴だわ。」
「いやっ、らめえっ?!」
舌先が腟に捩り込まれる。舌で腟の中をくすぐられる感覚にナタリーは激しく身体を机の上でバウンドさせた。
「まあ、拭いてもらっているだけでしょう?」
石の壁にナタリーの悲鳴と音を立てて吸われていく愛液の音しかしない。
290姫鬼畜 5/6:2011/03/03(木) 11:17:58.62 ID:+dbwZ4KR
「いやっ、だめぇぇっ…」
「ナタリーっ?!」
アリアがナタリーの嬌態に驚いたような顔をした。テトリアが笑う。妻を満足させる事も知らなかったのか。
「まあ、ナタリー?どうしたの?アリアが驚いているわ」
「だめぇぇっ!見ないでっ!見ないでぇぇっ!」
ナタリーの頭の下に置かれていた枕が音を立てて床に落ちた。男がナタリーの頭を固定する。ナタリーは身体を襲うなにかに怯え狂ったように身体を捩らせていた。
「まあ、ナタリー。急にどうしたの」
テトリアがナタリーの顔に顔を近付ける。その口元が笑っている。
「…可哀相に。あなた、今まで女の喜びを知らなかったのね」
ナタリーが目を見開いてテトリアを見た。
「アリアの目の前で、初めて女の喜びを感じるのよ…別の男でね」
「いやああああっ!」
秘部を覆っていた男の唇がクリトリスに移動した。鞘を軽く唇で揉み、先から飛び出した突起を舌で転がす。
「あぎっ、あ…ぐっ」
ナタリーの身体が大きく強張り…がくがくと弛緩していった。

「まあ、拭き取れないぐらいなのね」
男が唇をナタリーから放した。ナタリーと男の唇の間を粘液が伝って落ちた。
「ねえ、これがなんか分かる?拭っても拭えないのよ…水じゃないみたい」
ナタリーの愛液を扇子の先ですくいとり、アリアに見せる。妻の激しく嬌態にしばし唖然としていたアリアだが顔を背けた。
その頬に扇子を塗り付けてやる。テトリアが笑った。
「素敵な姫だわ。あんなに激しく気をやるなんて…あなたは果報者だったわね」
アリアは答えなかった。テトリアが笑いながら扇子を下げる。そしてアリアのズボンの中できつそうに収まっている物の先を叩いた。アリアが呻きを堪え、強く目を閉じた。テトリアは面白くて仕方がない。
「まさか、妻が他の男に遊ばれているのを見て、こんなにしてるとか言わないでよ」
もう一度、扇子を振る。軽い音とアリアの喉の奥の呻きが重なる。
「素晴らしい王だこと」
テトリアがナタリーを振り向いた。ぐったりと机で伸びているナタリーはこんな時でも美しかった。
「ナタリー。あなたは幸せ者だわ」
ぼんやりとした目がテトリアを見る。再び、ナタリーの頭に枕が置かれた。
「アリア国王は、心が広いわ。あなたが誰と戯れようが気になさらぬそうよ」
そして、再び扇子を強く振る。今度はアリアの口から呻きが上がった。
291姫鬼畜 6/6:2011/03/03(木) 11:19:06.24 ID:+dbwZ4KR
「ほら、あなたが他の男と戯れていても、こんなに固くなってる」
「違うっ!ナタリー!聞くなっ!」
「ナタリー、違わないわ…アリア国王はあなたがどんなに淫乱に変わっても構わないと言っているのよ。」
テトリアが笑った。ナタリーが泣きじゃくる。黒い髪が汚れた頬に張り付いた。混乱している。可哀相に。初めての女の喜び。そして効果の出始めた媚薬。アリアの固くなったペニス。
テトリアがテーブルに置いてあった猿轡を男に渡した。慣れた手つきでアリアの口に猿轡が嵌められる。
「アリアにひどいことをしないでっ!」
ナタリーが泣いた。テトリアが頷く。
「大丈夫よ。これ以上はひどいことはしないわ」
ナタリーが本当?と顔を覗き込む。
「言ったでしょう?あなたの頑張り次第だと」
ナタリーの目が揺れる。テトリアが言い聞かせるよう言葉を続ける。
「あなたが頑張るだけでアリアはひどい目にはあわないの…」
さあ、逃げ道は絶った。テトリアが笑った。
「頑張るわよね?」
ナタリーが泣きながら頷く。男達がナタリーを囲むように立った。まるで祭壇に乗った生け贄のようだ。テトリアは軽く輪から抜ける。
「姫だもの」
凌辱の始まりだった。

292名無しさん@ピンキー:2011/03/03(木) 17:08:31.36 ID:U2P9ixSt
夫や恋人の目の前での凌辱は大好物ですGJ!続き読みたい
293名無しさん@ピンキー:2011/03/08(火) 01:18:31.62 ID:eJP0IFA5
GJ!
294名無しさん@ピンキー:2011/03/16(水) 22:59:29.96 ID:miRRE1pS
age
295名無しさん@ピンキー:2011/03/23(水) 01:34:41.50 ID:u1S6vhz2
保守
296名無しさん@ピンキー:2011/04/20(水) 00:19:21.80 ID:xRQMziev
ほす
297名無しさん@ピンキー:2011/04/30(土) 19:24:07.80 ID:RmckH41Y
保守
298名無しさん@ピンキー:2011/05/23(月) 21:24:29.10 ID:+RIiCifH
うーん…
姉王女(男勝り、わけありの婚約者つき)に
妹の姫様(超勝ち気、シスコン、姉にのみデレ)が
ずっと憧れてきたけど片想いで報われない話を書いてたが
姉のほうもまんざらでもなくなってきて一夜を共にしそうだ

姉王女には婚約者に操をたてさせてきたんだが…キャラが勝手に動いた
「婚約者もお前も両方手にする!」とか言いだしちゃってね
いや、作者が面白がってきたのもあるけどw
でも、この姫様の幸せは姉しかないようなのも作者としてはわかるしなあ
299名無しさん@ピンキー:2011/05/24(火) 00:28:02.17 ID:xG8V+TRP
>>298
ぜひ投下してくれ
300名無しさん@ピンキー:2011/05/26(木) 18:18:29.39 ID:05Aoiz7o
俺のお姫様はどこー
301名無しさん@ピンキー:2011/05/27(金) 01:49:07.79 ID:7ZBNpn0u
>>299
そう言ってくれると嬉しいですね、ありがとう。
きっかけとなった事件とか関係者達とか過去の話とかが見えてきて、
書いていったら字数がどんどん伸びていって…どうなる事やら。
302名無しさん@ピンキー:2011/06/03(金) 13:43:33.89 ID:jMMxZnPI
保守
303保守小ネタ:2011/06/05(日) 14:42:37.64 ID:A2dcK3PW
■幼姫のキノコ狩り■

昔々あるところに、仲睦まじい王様とお妃様がいました。
夫婦の趣味はSMでした。

今夜も二人は熱い変態プレイに興じていました。
その様子を、寝室の入り口の隙間から覗く幼女がいました。
王様とお妃様の間に生まれたお姫様です。

両親の特殊な夜の営みを目撃してしまったお姫様は、屈託なく尋ねました。
「お母さま、どうして裸ん坊のお父さまの上に乗っかっているの?
 それに、お母さま魔女みたい」
ボンデージファッションに身を包んだお妃様は、適当に誤魔化しました。
「お父様とお馬さんゴッコをしていたのよ。ふつう、服を着ているお馬さんはいないでしょう?」
「そっかあ」

新たな疑問を発見したお姫様は、また屈託なく尋ねました。
「お父さまのお股から生えている、あの変なキノコはなあに?」

お妃様が質問に答えようとすると、寝台に座って様子を見ていた王様が窘めました。
「王妃、そのくらいにしておけ。姫の教育に悪い」
お妃様は王様につかつかと歩み寄り、ハイヒールの踵で股間を踏みました。
黒い鞭でお尻も叩きました。
「おい、馬ァ。誰が、人間様の言語を喋って良いと許可した?」
「……ヒヒィ〜ン」
まだプレイは続いているのです。

お妃様は母親の表情になって、お姫様を抱き上げ額にキスをしました。
「お父様の変な茸はね、殿方にしか生えていない特別な茸なの。
 食べるととても美味しいのよ。……さあ、もう遅いからお休みなさい。妾の可愛い子」
「はあい、お母さま」

侍女に寝台まで運んで貰いながら、お姫様は考えていました。
(いいなあ。わらわもお母さまみたいにお馬さんが欲しいな。
 おいしいキノコも食べてみたい……どんな味なんだろう)
お気に入りの縫いぐるみを抱きしめ、お姫様は眠りにつきました。
304保守小ネタ:2011/06/05(日) 14:44:53.54 ID:A2dcK3PW
次の日、お姫様は近衛騎士隊長の息子を呼びつけました。
お姫様のよき遊び相手で将来有望な少年です。

お姫様はさっそくおねだりしました。
「お馬さんゴッコしようよ」
「ふふっ、仕方ないなあ。姫様もまだまだ子供ですね。
 分かりました、僕の背中に乗っていいですよ」
お姫様の幼さを微笑ましく思いながら、少年は四つん這いになりました。
「早くお洋服をぬいで。服を着ているお馬さんなんか、ふつういないもの」
「エ゛ッ」

お姫様は更に変態的要求を続けました。
「あなたの変なキノコが見たいの。キノコキノコ! お股の変なキノコさっさと出して」
「え、なっ……僕のキノコ、ですか? まだ僕たちはそんな関係では……」
お姫様に想いを寄せている少年は赤くなりました。

しかし少年は意を決し、自分を解放しました。
「僕の全てを見て下さあい!」
「なにコレ、ちっこい。ぷすす。お父さまのキノコと違う」
辱めの言葉に少年のキノコは大きくなってしまいました。

「わあ、伸びた。もっと伸びるの? どこまで伸びるの?」
キャッキャと喜んだお姫様は、小さなキノコをピーッと引っ張りました。
「ぴゃあああっ」
すると、先っぽから白いキノコ汁が飛び散りました。
お姫様が少年との結婚を決めた瞬間です。

いつしか、少年は逞しい青年騎士へと成長していました。
全裸の青年はお姫様の染みつきパンティを被りながら、進言しました。
「姫様。僕の茸は今が食べ頃です。どうぞ、収穫なさって下さい」
「ムシャァ」
程よく熟れて今が旬のキノコを、お姫様はパクリと食べてしまいました。
王国には末永く平和が続きました。

めでたし、めでたし。キノコキノコ。
305名無しさん@ピンキー:2011/06/06(月) 13:00:02.26 ID:CeBG4UQg
ぷすすw
306名無しさん@ピンキー:2011/06/06(月) 20:21:54.84 ID:P3Ur7AyT
なにこれフイタwwww
GJww
307名無しさん@ピンキー:2011/06/07(火) 15:55:10.72 ID:foYU/OXq
ムシャアテラフイタwww
308名無しさん@ピンキー:2011/06/09(木) 16:25:41.85 ID:wRiijEc8
ワロタGJwww
母親モードと女王様モードの切り替えが早い王妃が好きだw
309名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/18(土) 18:28:42.28 ID:BU530x7q
ぷすすとムシャアにクソワロタwww
キャラ全員の描写もいい
これ続きが読みたいぞw
310名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/18(土) 20:02:31.83 ID:b9/S5yYY
GJ
ちょっときのこの山買いに逝って来る
311名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/22(水) 02:07:00.04 ID:X86YAjMr
保守
312名無しさん@自治スレで設定変更議論中:2011/06/26(日) 20:53:22.28 ID:H2xzHe6i
313名無しさん@ピンキー:2011/07/02(土) 08:02:14.81 ID:a2wTX04I
保守
314名無しさん@ピンキー:2011/07/14(木) 20:02:52.32 ID:g05aslj+
保守
315名無しさん@ピンキー:2011/07/29(金) 01:49:47.59 ID:gWJVfjaW
お姫様〜!
316名無しさん@ピンキー:2011/07/29(金) 20:30:13.71 ID:Vys3v3cw
藤林丈司は変態
317名無しさん@ピンキー:2011/08/02(火) 19:18:43.94 ID:TXlBVDzV
藤林丈司
318名無しさん@ピンキー:2011/08/10(水) 04:58:17.71 ID:pFdtN8rG
保守
319名無しさん@ピンキー:2011/08/20(土) 14:27:42.52 ID:jgfi1ULf
保守
320名無しさん@ピンキー:2011/08/25(木) 02:42:33.32 ID:Zdi0zxfz
姫君と見習い魔術師
って6話までですか
321名無しさん@ピンキー:2011/09/02(金) 09:49:51.48 ID:HooJlfGV
>>320
保管庫に6話(未完)ってあったらそこまでだろう
322名無しさん@ピンキー:2011/09/02(金) 20:36:33.31 ID:wkL/g3KQ
お姫様の陰毛
323名無しさん@ピンキー:2011/09/02(金) 21:42:06.68 ID:tJ0mU6MZ
藤林丈司は裏切り者
324名無しさん@ピンキー:2011/09/05(月) 04:04:15.90 ID:9aCXRwW9
保守がわりに投下します。
本来は童話スレに投下するつもりで書いてあったものですが、あちらが復活する気配もないので。

このレスを含めずに全9レスの予定です。
NGワードはタイトル「シンデレラ」でお願いします。
325名無しさん@ピンキー:2011/09/05(月) 04:04:43.99 ID:9aCXRwW9
昔々、とある地方にシンデレラという名前のそれはそれは魅力的な伯爵令嬢がいました。
人々は「あれは神の御業に違いない。男神が美貌を与え、それに嫉妬した女神が彼女から思慮を奪ってしまった
のだ」と噂しました。
そう、シンデレラは至って無邪気に色香を撒き散らすタイプの娘だったのです。
彼女が13歳になる頃には既に屋敷には夜這いが列を作るような有り様でした。

最初にシンデレラの蜜壺を開いたのは彼女の父親でした。
親子の午睡が恋人たちの抱擁になったのは彼女がわずかに12歳の時のこと。
シンデレラの母君がそれに気づいた時には既に彼女は肉の快楽の虜となっていました。
母君はそれを深く嘆き、父君をシンデレラから遠ざけると、彼女をそれは厳しく躾けようとなさったのです。




「もう!お母様ったらアレもだめコレもだめって!」

シンデレラは母君の部屋から出た途端にぶつぶつと文句を言い始めました。
それに相槌を打つのは、教育係のドロテアです。
ドロテアは王宮で女官をしていた経験を買われて行儀作法の教師になった女でした。
年をとって少し太りすぎてはいましたが、往年の美貌はまだそれなりに残っていました。

「どうなさったのです、シンデレラ様?」
「もう、お母様ったら何にでもガミガミ怒るのよ。あたくしは頼まれただけなのに!」
「と申しますと?」
「あのね、大公家の騎士の方が苦しがっていたから、助けてさしあげたの。あたくしの蜜の鞘に騎士様の陽根を
収めないと死んでしまうのですって…」
「はあ。」
「騎士様が大いなる祝福を2回もくださって、あたくし幸せだったわ…やっぱり若い勢いってスゴイのよ、太い
陽根でヒダをごりごり擦られて、子壺を何度も突き上げられて、もうあたくし何度天使を見たことか――」
「シンデレラ様、それで奥方様がどうなさったんです?」
「ああ、そうそう。3回目をしている時に見つかってしまったの。そりゃお母様の謁見室を子種汁で汚してしま
ったのは悪かったと思っているわ。あたくしだっていけないとは思ったのよ、でも…」

ドロテアは頭の中は肉欲を満たすことでいっぱいのこの娘がちょっぴり気の毒になりました。
幼い頃から男たちに開発されたシンデレラの肉体は14歳にして男の陽根なしでは一日たりとも我慢できないよ
うな代物へ変わり果てていたので。
まるで虫を呼ぶ食虫植物のように、シンデレラの唇と乳房は男たちを引き寄せて止むことがありませんでした。

「シンデレラ様、おかわいそうに。さぞお困りのことでしょう?」
「そうなの。お母様ったら自分で慰めるのもダメって言うんですもの…」

ドロテアはさも親切そうにシンデレラの肩に手を置きました。
シンデレラの透き通る肌の吸い付くような感触、そしてこちらを見つめる潤んだ瞳、赤い果実のような唇。
一瞬ドロテアは息を呑みましたが、意を決して恐ろしい話をシンデレラに持ちかけたのです。

「――実は、奥方様に邪魔をさせない方法がないわけではないんです。」
「えっ、本当?教えて頂戴!」
「ええ…でも…」
「なあに?もう焦らさないで!!」
「実は――」

ドロテアの話にシンデレラは熱心に聞き入りました。

シンデレラの母君が不義の疑いをかけられて屋敷から追放されたのはそれから3日後でした。
もちろんドロテアに悪知恵を与えられたシンデレラが、父君にあることないことを言った結果でした。
これでシンデレラは自由の身になるはずでした。
326シンデレラ(2/9):2011/09/05(月) 04:05:25.97 ID:9aCXRwW9
1ヶ月後。
シンデレラは屋敷の地下室にいました。

母君が追い出された後に父君が迎えた後添えはなんとドロテアでした。
ドロテアは正妻の座に収まると、父君にシンデレラの悪行三昧を吹き込みました。
母君の話と違い、こちらは事実ばかりでしたのでシンデレラには申し開きのしようもありません。

「なんということだ。我が妻我が娘がこのような尻軽女だったとは。」

嘆く父君に更にドロテアが吹き込みます。

「旦那様、そのシンデレラも旦那様の種かどうか…14歳にしてあの色香、伯爵家の血とは…」
「おお!なんということだ!」

父君は絶望して天を仰ぎました。
「実の娘ではなければ旦那様も近親相姦の罪から免れましょう」というドロテアの悪魔の囁きが彼の心から最後
の躊躇いを消し去りました。
そのことに対する良心の呵責に彼は長年苛まれながらも娘の肉体を諦めることができなかったからです。

かくして、父君とドロテアはシンデレラを地下室に追いやり掃除女の仕事を与えました。
シンデレラが今まで使っていた豪華な離れにはドロテアの二人の連れ子が収まりました。
かくしてシンデレラは昼は掃除女として床を這い、夜は地下室でドロテアの連れてきた男相手に春をひさぐ売春
婦となったのです。

それでもシンデレラは幸せでした。
何故って、ガミガミとうるさく干渉されることなく毎日殿方との交接ができるのですから。
もともとキレイ好きなシンデレラには掃除もそれほど苦ではありませんでした。

「あッ、ああああッ!そう、ソコぉ、ソコがイイのぉ!!」

今日も今日とて、地下室にはシンデレラの啼泣が響きわたっています。
相手は郡の会計官です。
連れ子を貴族に嫁がせようと策略を巡らすドロテアは、シンデレラに身体を張った情報収集をさせていました。
シンデレラの熟れた蜜壺に締め上げられると、どの男も大切な秘密を何でも教えてくれるのです。
重要な情報――どこそこの子爵家の三男は辺境投資が当たって大変羽振りがいいとか――をドロテアに伝えれば
豪勢な食事のおこぼれにありつくことができました。

もちろん不満がないわけではありません。
ドロテアの連れてくる男はどれも年寄りばかりで、シンデレラを気絶するほどヨガラせてくれる人がいません。
今日の会計官もたったの3突きで子種汁を出してしまいました。
これではシンデレラは到底満足することができません。

(ああ、若い男の堅い陽根でゴリゴリ突かれてみたいのに――!)
327シンデレラ(3/9):2011/09/05(月) 04:05:56.82 ID:9aCXRwW9
ある時、お城で王子様のための舞踏会が開かれることになり、身分ある人々が全て招待されることになりました。
シンデレラと二人の義姉ももちろん裕福な家の令嬢として招待されていました。

いよいよ今晩が舞踏会という日。
下の姉、優しいけれど太って醜いウルスラが言います。

「シンデレラ、あなたも来れるとよかったのにね。」

上の姉、枯れ枝のように細いけれど卑劣で意地の悪いアストリッドが言います。

「まあウルスラ、こんな売女を連れていったら私たちまで子種汁臭いと哂われるわ。」

シンデレラは心のなかで「あらいい匂いなのに」と思いましたが黙っていました。
昨夜の客から聞いたばかりの話で心がいっぱいだったので。

(本当なのかしら、今夜の舞踏会の後に秘密の宴が開かれるというのは。)

昨日の客は王宮の衛兵でした。
その男が言うには、王子様は最初からデキレースの妃選びにうんざりしていらっしゃるのだとか。
そこで王子様のご学友が中心になって、王子様が気楽に女体遊びができるように遊女や好き者の女官などが集め
られているのだとか。

「あなたのような方でしたら大歓迎ですよ」と衛兵はシンデレラに髪飾りをくれました。
その赤い珊瑚が遊び女の証なのだそうです。

シンデレラは股間をもじもじさせながら母と二人の義姉の舞踏会の支度を手伝いました。
三人を送り出し、自分もこっそり隠しておいたドレスを来て屋敷を出ようとしたシンデレラの前に立ちはだかる
人物がいました。
父君です。

「シンデレラ、どこへ行くんだい?」
「ああ、お父様…いえ、旦那様、どこにも参りませんわ…」
「さてはヨソの男と逢引の約束でもしていたな?この淫売娘が!」

父君はシンデレラのドレスをめくり上げると蜜壺に指を差し入れました。

「あ、はあんッ!」
「もう濡れているじゃないか!おまけに下着もつけずに!どういうことだ!!」
「あ、ああ…だ、旦那様に可愛がっていただきたくてこんなになってしまったんです…」

シンデレラがしおらしいところを見せると父君は相好をくずしていそいそとズボンを脱ぎました。

「そうかそうか、奥方はどうせ夜中まで戻らないだろう、久々にたっぷり可愛がってやろうな…」
「あ、はあッ、お父様――!!」

一旦行為が始まってしまえばお互い知り尽くした身体です。
ドレスを来たまま獣の姿勢で後ろから貫かれたシンデレラは鋭い悲鳴を上げました。
敏感なヒダと最奥を一度に攻められて、シンデレラの背骨が軋みます。

「ぐひゅうう!!イイ!お父様ッ!はあああんッ!」
「この売女ッ!おおぅ、何て、具合がいいんだッ!ああ、シンデレラ――!」
328シンデレラ(4/9):2011/09/05(月) 04:06:26.67 ID:9aCXRwW9
すっかり満足した父君が寝入ってしまうと、シンデレラはそっと寝台から抜け出しました。
数えきれないほど気を遣ったシンデレラでしたが、若く逞しい男たちの陽根を想像しただけで行きたくて行きた
くて堪らなくなってしまったのです。

(今からでも間に合うかしら?)

ドレスは父君の子種汁ですっかり汚されてしまってとても使えません。

「どうしよう、何を着ればいいかしら?」

すると父君が寝言で「何も着なくていいよ、裸が一番…むにゃ」と答えてくれたではありませんか。

「そうよね!どうせ裸になるのだし!」とシンデレラは何も身につけない身体にマントだけを羽織った姿で家を
出ました。
馬丁と門番は普段から手懐けておきましたので、喜んで門を開けて馬車を出してくれました。
ただし「深夜の12時まで」という条件付きで。



シンデレラが会場に入ると宴はまさに最高潮でした。
王宮の一角にあるその広間にはあちこちから嬌声やため息が響き、牡の匂いがむせかえるようです。
シンデレラがうっとりと深呼吸をしながらマントを脱ぎ去ると、周囲の男女があっと息を呑みます。

白大理石のようにきめ細かい光沢を放つ肌は肉欲への期待からほんのりバラ色に染まり、重力に逆らうように持
ち上がる豊かな乳房、妖しく潤む瞳、蠱惑的に開く紅い唇、股間を薄く彩る金色の陰毛。
広間にはいずれ劣らぬ美女ばかりでしたが、一番美しいのはシンデレラでした。
シンデレラは優美に歩を進めると、中央でひとりでいる男性に近寄りました。

「ごきげんよう、何故あなたにはお相手がいらっしゃらないの?」
「やあ。」

相手の男性の股間にぶら下がるモノを見て、シンデレラの胸がときめきました。
それは半勃起状態でも膝に達するのではないかと思うほどに長大なものだったからです。
シンデレラは気付いていませんでしたが、実はこの男性こそが王子で学友たちが集めた遊女たちも王子の相手を
諦めたところだったのです。

「はは、見ただろう?コレだからどの女性も痛がってね。」

シンデレラの蜜壺がじゅんと音を立てて疼きました。
こんなに長いモノで突かれたらどんなに気持がイイのか想像もつきません。
シンデレラは本能に命じられるままに王子の前に跪いてソレを口に含みました。

「おい君…おおっ、うっ!」

長すぎるモノがシンデレラの口の中で更に膨れ上がりましたが、シンデレラの場数を踏んだ喉がそれを難なく受
け止めます。

「おうっ、はああん!」

シンデレラがじゅぶっじゅぶっと湿った音を立てて頭を何度か前後させると、王子はまるで女の子のような声を
上げながらシンデレラの喉に子種汁を叩きつけました。
さすがにたまらずにむせ返ったシンデレラを、王子は無言で押し倒します。

「だめだ!もう我慢できない!!」
「ひッ、ひいいいいッ!あ、さ、裂けちゃうぅぅ!」

シンデレラの悲鳴に、周囲の人の目が二人に向けられました。
329シンデレラ(5/9):2011/09/05(月) 04:06:57.15 ID:9aCXRwW9
広間中の者たちが、可憐なシンデレラの身体が引き裂かれてしまうと固唾を呑んだ時です。
パンパンパンという肉を叩く音が広場に響き始めました。

「はあッ!すごいのぉ!おっきいいいいい!!」
「ああ、こ、これが女体!」

あまりの巨根ゆえに童貞同然であった王子はシンデレラの蜜壺の感触に驚嘆していました。
巨根を呑み込みながらなお奥へと誘うように蠢く内部のヒダ。
そんな動きを体験するのは王子にはほとんど初めてのことでした。
(まあ本当のことを言えばシンデレラの蜜壺は父君との交接により開いていたわけでしたが。)
今までの数少ない経験では、中に収めるだけで精一杯で前後に動かすことなど無理でしたので。

シンデレラも王子の陽根が与える刺激、更には自らの肉体の可能性に驚嘆していました。
あんなに長大なモノ、受け入れるだけで精一杯だと思ったのに。
一旦馴染んだ後にソレがもたらしたものは今までに経験したことのなかった圧迫感と快感でした。

そしてまた、広間の男女も驚嘆していました。
誰もが断念した王子の巨根を受け入れ、貪欲に快感を貪ることができる娘がいたとは、と。
それだけではありません。
その娘は顔も肉体もまるで女神のように美しいではありませんか。
「あの娘はどこの誰か」と囁き合う声をよそに、中心の二人はいよいよ限界に近づいていました。

「ひぃッ!イイいいいッ!イクぅぅぅ!!」
「はぁぁぁッ!」

シンデレラの絶頂の凄まじい収縮には王子は耐えられようもありませんでした。
再びか細い悲鳴とともに王子はシンデレラの中に子種汁を放出していました。

恍惚の中で、二人は口づけを交わしていました。
もうこの相手なしではこのような快感を得られないことをお互いが理解していました。

「美しい人よ、名前を…」

王子がそう言った時です。
シンデレラは壁の時計が12時を指そうとしていることに気づきました。
いけない!
このままではマント1枚の恥ずかしい姿で家まで歩いて帰らなければいけなくなる!

「ご、ごめんあそばせっ!」

シンデレラは王子を突き飛ばすように立ち上がると、マントを手に駆け出しました。
王子がこっそり後をつけるように従僕に指示していたことも知らずに。
330シンデレラ(6/9):2011/09/05(月) 04:07:34.31 ID:9aCXRwW9
「さあ我が息子チャーミングよ、どの令嬢を妃に娶ることにしたのじゃ?」

舞踏会から3日目の朝、王妃は息子に尋ねました。
側近によればあれ以来、熱に浮かされたように宙をみつめたかと思うと赤面してため息をついたり――まるで初
恋を知った少年のような態度を見せているとか。
舞踏会の前の憂鬱そうな様子と比べて、「これは手応えがあったに違いない」と王妃は喜びました。
なにしろ今回の舞踏会に向けての王妃の決意は並々ならぬものがありました。
噂に聞く内外の美姫100人に王妃は直々に面談を行い、1年をかけて自ら選び抜いた10人を王子妃候補とし
て招いていたのです。
(そんなことしてるから息子に「もううんざり」なんて言われてしまったわけですが。)

王子は王妃の質問には答えずに、従僕に赤いビロードに包まれたものを持ってこさせました。

「なんじゃ?」

促されるままに手に取った王妃は、その大理石で出来たモノを見るなり真っ赤になりました。

「こ、これは…!」
「そうです。私の勃起した陽根と同じ形につくらせたものです。我が妃になる女性は、これを受け入れることが
出来る女性でなければなりません。」
「う、噂には聞いていたがこれほどとは…」

王の陽根とは似ても似つかぬこの巨根は一体誰の遺伝なのだろう――と、王妃の脳裏に浮気相手たちの顔が次々
に浮かびましたが、王が隣にいることを思い出すと慌てて威儀を正しました。

「そうなのです。私も王子以前に一人の男性ですし、未来の王として子作りの義務がある以上はこの条件は絶対に譲れないことはお分かりいただけるかと。」
「う、うむむ…」

王子の言うことはまことに理に適っていると思われたので、王妃は王子妃候補たちを一室に集めてそれを見せる
ことにしました。
王妃が選び抜いた美姫たちはいずれも気位の高い乙女たちであったので、その張型をみるや、ある者は卒倒し、
ある者は激怒し、ある者は赤面し――まあいずれも「そのようなことで試されるとは心外である」という結論に
達して退出していってしまったのです。

途方にくれた王妃は王子に相談することにしました。
王妃候補がすべて去ってしまったことを告げると王子はにっこりと微笑み、「それならば近郊の貴族の娘を候補
としてはいかがでしょう」と某伯爵の名前を挙げました。
某伯爵夫人から娘を売り込まれたことを思い出した王妃は「さても我が息子が醜女好みとは」と首を振りながら
も執事に例の張形を持たせるように指示を出したのです。
331シンデレラ(7/9):2011/09/05(月) 04:07:59.12 ID:9aCXRwW9
さて王家の執事一行を迎えてドロテアは得意の絶頂にありました。
その執事が「王子殿下直々のご指名により当家が最初の訪問先に選ばれまして」などと言うものですから無理も
ありません。
二人の娘、アストリッドとウルスラをごてごてと着飾らせて居間に並ばせました。

執事が「この張形を収められる娘を王子殿下の妻とする」と高らかに宣言しました。
ドロテアがあっけに取られていると従僕が赤いビロードのクッションに載せた張形を恭しく取り出したではあり
ませんか。

「こ、これは!?」
「王子殿下の陽根にございます。これを受け入れてなお男に快楽を与えられる娘を王子殿下がご所望にございま
すので。」
「これが…」

ドロテアは自分の腕のように巨大な張形を目にしてゴクリと生唾を呑み込みました。
日頃から娘たちには口が酸っぱくなるほどに貞節を説いていました。
ですがこうなれば話は別、これを挿れることができさえすれば王子妃になれるのですから。
ドロテアはまずアストリッドに命じました。

「お、お母様!無理ですわ!!」
「可愛いアストリッド、私はあなたがこっそり馬丁を寝室に引きこんでいたことを知っていますよ。さあ、あな
たならきっと出来ますよ。」

アストリッドはうんうん唸りながら張形を収めようとしましたが、まるで桃のような先端すら挿れることもでき
ません。

「ひい、無理!無理です!!」
「何を言うのです、ここで我慢すれば王妃になれるのですよ!?」
「あ?ひぃ、ぎゃああああ!」

ドロテアが無理やりに収めようとするものですからアストリッドの膣は無残に裂けてしまいました。

次はウルスラです。

「お母様…痛いのはいやです…無理…」
「可愛いウルスラ、私はあなたが告解司祭と睦み合っていたことを知っていますよ。」
「でもお母様、あれはお尻の穴です…」
「いいのです、どうせどの穴でもわかりはしませんから。さあ、あなたならできますよ。」

ウルスラもうんうん唸りながら張形を収めようとしましたが、やはり膣が裂けてしまって果たせません。

痛みでしくしく泣く二人の娘にもう一度試してみるように促すドロテアに執事が言いました。

「奥方殿、こちらにはもうお一人お嬢様がいらっしゃいますね?」
「あ、あの娘は…王子殿下の妃になどなれる器ではございません…!」

執事はにやりと笑うと「いらっしゃるのですね?」と念を押した上でシンデレラを連れてくるようにと伯爵家の
使用人に命じました。
こうなればもうドロテアには逆らうことはできません。
332名無しさん@ピンキー:2011/09/05(月) 04:17:25.24 ID:/RFUUOvO
支援
333シンデレラ(8/9):2011/09/05(月) 04:17:47.79 ID:9aCXRwW9
台所でかまど掃除をしていたシンデレラは階上の居間で起こっていたことに全く気付いていませんでした。
それどころかシンデレラの頭の中はあの夜の出来事でいっぱいだったのです。

(ああ…またあの殿方に会うためにはどうしたらいいのかしら…お名前だけでも伺っておけば…)

あれから屋敷に帰ったシンデレラは約束通りに門番や馬丁と明け方まで交わりました。
ですがいつものように満足することはありませんでした。
その後の客人相手での交接でも一緒です。
シンデレラの蜜壺は変幻自在に収縮するので相手をする男たちはまったく気付くことはありませんでしたが、限
界まで拡張された状態での快感を一度知ってしまったシンデレラにはその差は歴然でした。

張形で自分を慰めようにもあのように長大な張形などあるわけもなく、シンデレラの欲求不満は深刻でした。
シンデレラは自分でも気づかぬうちにかまどの角に股間を擦りつけていました。

(ああ、切ない…いっそ今度はどなたかに拳を挿れてもらおうかしら…)

シンデレラが突然呼び出されたのは、まさにそんな時でした。
シンデレラの肌着同然の長衣は灰だらけで、それを見た伯爵やドロテアは顔を顰めました。

ですがその美しさに執事たち一行はほうと息を呑みました。
王子から「醜い二人の娘以外にも美しい娘がいるはずだ」と聞かされていた執事はこれこそが王子がお探しの人
に違いないと確信したのです。

そこで恭しくシンデレラの前に跪き、張形を掲げて口上を述べました。

「我が主チャーミング王子の陽根を象りしものにございます。王子殿下はこれを受け入れてなお男に快楽を与え
られる娘をお探しでいらっしゃいます。」

シンデレラは呆気に取られました。
これは間違いなくあの夜の殿方の陽根に違いないけれど、ということはあの方は王子様?

「さあ、どうぞお試しください。」

シンデレラは迷いながらもその張型に指を這わせました。
間違いありません。
その張り出したカリの部分をなぞるとシンデレラの蜜壺が疼きました。
ずっしりと重みのある張形を床に置くと、シンデレラはその上に跨るように腰を落としました。
334シンデレラ(9/9):2011/09/05(月) 04:19:13.77 ID:9aCXRwW9
「おおっ!」
「ま、まあ!!」

張形がするするとシンデレラの胎内に吸い込まれると、一同から驚きの声が上がります。
ついに根元までずっぽりと挿入されたのを確認するや執事が高らかに王子妃決定を宣言しました。
肝心のシンデレラは張形に夢中でそれを聞くゆとりはなかったようですが。

知らせを聞いた王子が飛んでくると、居間ではまさにあの時の娘が張型相手に絶頂を極めていました。
愛液まみれの張形を優しく抜き取りながら王子はシンデレラに告げました。

「やはりあの時の方ですね!ああ、どうか私の妻になってください!」
「あああン、はあン、ゆ、夢かしら…あの方が…」
「私も夢を見ているようです、あなたをこうして腕の中に抱けるなんて…」
「ああ、夢ではないのですね…嬉しい…あ、むむん…」

居間には伯爵家の人々や執事一行がいるというのに夢中で口づけを交わす二人を、人々は苦笑いをして見守るこ
としかできませんでした。


伯爵はシンデレラを実の娘であると認め、伯爵令嬢として嫁がせることをドロテアにも承諾させました。
ドロテアは狡猾にも自分の二人の娘にも王家の姻戚に相応しい結婚相手を見つけることという条件をつけること
を忘れませんでしたが。

王と王妃もひと目でシンデレラのことを気に入ってしまいました。
美しさももちろんのことでしたが、賢さや気高さが足りないかわりに素直で愛らしい様子に王子がべた惚れなの
がすぐにわかったからです。
見るからに肉食系ですぐに孫を見せてくれそうな点も王妃には高ポイントでした。

王子様と結婚したシンデレラは、ずっと幸せに暮らしましたとさ――多分ね。








=========
投下終了です。
お付き合いいただきありがとうございました。
335名無しさん@ピンキー:2011/09/05(月) 07:42:41.88 ID:pNMrIbKm
面白かったです、GJ!
336名無しさん@ピンキー:2011/09/05(月) 22:57:38.67 ID:yr6qVhE4
GJ!
> 「でもお母様、あれはお尻の穴です…」
> 「いいのです、どうせどの穴でもわかりはしませんから。さあ、あなたならできますよ。」
これに吹いたw

御伽噺口調なのにやってることがエロスでたまらんね
337名無しさん@ピンキー:2011/09/06(火) 00:13:46.82 ID:BoXFSIiu
GJ
面白かった!
これぞエロパロだ
338名無しさん@ピンキー:2011/09/06(火) 00:26:31.78 ID:vLA5+Flh
投下GJ

テンポ良くて読み易い
書き慣れている感じだな
339名無しさん@ピンキー:2011/09/06(火) 08:41:56.97 ID:pSgwOqWG
うははGJ
ぶんか社のグリム童話なんちゃらいう雑誌に載ってそうなノリだw
340名無しさん@ピンキー:2011/09/06(火) 10:13:40.95 ID:ET5yUKAL
GJ
登場人物がいちいちビッチだったりエロかったりで面白かった
シンデレラと王子様は意外と末永く仲良くできるかも
341名無しさん@ピンキー:2011/09/08(木) 01:04:39.46 ID:n7c0peES
楽しかった
GJ
342名無しさん@ピンキー:2011/09/13(火) 09:21:58.38 ID:Y3q7MdTQ
保守
343名無しさん@ピンキー:2011/09/17(土) 11:03:26.84 ID:sXsJoO66
GJ保守
344名無しさん@ピンキー:2011/09/18(日) 20:07:04.39 ID:ZH1gaLlG
>>312
美人ばかりだな
345名無しさん@ピンキー:2011/09/18(日) 22:21:51.58 ID:DVWagmq6
日本のは間違ってもお姫様なんて呼べる代物じゃないからなw
346名無しさん@ピンキー:2011/09/19(月) 02:01:47.24 ID:ppWzc+8g
かわいいだろうが
347名無しさん@ピンキー:2011/09/19(月) 18:03:43.87 ID:wQoh9MTf
どれが?
愛子とかニートより酷いじゃんw
348名無しさん@ピンキー:2011/09/19(月) 19:12:20.21 ID:drgtgTV4
日本の皇室は男も女もブサニートぞろい
文句言っても仕方ない
349名無しさん@ピンキー:2011/09/20(火) 05:18:03.13 ID:aI17idCR
スウェーデンのマデレーンは…なんか妄想かきたてられていいねw
母上の現王妃もむちゃくちゃ美人だった。
スウェーデンのロイヤルファミリーは「世界一エロティックな王室」に選ばれたこともある。

王妃が美しいことで有名なヨルダン王家、二男二女は全員お父ちゃんのタレ目遺伝子が
発動しててタレ目好きにはたまらんw

そして我が軍では今年の天皇誕生日に眞子ちゃんがいよいよティアラ装備でバルコニーに立つ!
350名無しさん@ピンキー:2011/09/20(火) 09:48:14.46 ID:TPGL5mLD
>>348
秋篠宮家がいるだろうが
351名無しさん@ピンキー:2011/09/20(火) 14:34:55.64 ID:SXfmDztp
微妙
352名無しさん@ピンキー:2011/09/20(火) 15:24:30.77 ID:5TLB9mx/
秋篠宮家はアレなんだよなあ
353名無しさん@ピンキー:2011/09/21(水) 18:39:28.64 ID:mP2jSSML
いつから自分を棚に上げて他人の容姿を侮辱するスレになったんだか
354名無しさん@ピンキー:2011/09/22(木) 14:41:51.55 ID:smBhE3MQ
眞子さまは中学入学の頃はガチで可愛かったけど、今はすっかりレスラー体型で残念だ。
愛子さまは皇太子そっくりだと思ってたけど、最近美智子さまに似てきたから
美人になる可能性はあるけど、あまりそそられない。

やっぱり佳子さまが一番可愛いいし、妄想のしがいがある。
355名無しさん@ピンキー:2011/09/23(金) 00:30:49.57 ID:cgeNbNAk
日本の皇室はお姫様って感じではないんだよなあ
356名無しさん@ピンキー:2011/09/23(金) 07:20:18.67 ID:3EF3X3J5
まあ、なんつーか
高貴さのステ低いよね、あそこ
357名無しさん@ピンキー:2011/09/23(金) 18:52:04.21 ID:2ahb0Omb
マジニートだしなw
358名無しさん@ピンキー:2011/09/23(金) 20:48:35.39 ID:v/spsDhm
皇室の陰口を叩くスレ
359名無しさん@ピンキー:2011/09/24(土) 12:07:25.38 ID:sUu3R/tl
エロパロ板の糞ニートが皇室を笑うとか
360名無しさん@ピンキー:2011/09/25(日) 04:23:44.25 ID:BaiNy8Mp
やなスレになったもんだ
361名無しさん@ピンキー:2011/09/25(日) 23:58:50.61 ID:+PYeWWY+
まあ異なっていても、他人の価値観は尊重すべきだやな
難しい話題だ
362名無しさん@ピンキー:2011/09/26(月) 03:00:04.74 ID:iNRoccE8
ここはリアル姫の容姿叩きをする為のスレじゃないからな?
他行けよ
363名無しさん@ピンキー:2011/09/26(月) 07:09:11.56 ID:+gvWrpya
基本的に同意見だが
テンプレ見直すとどこにもリアルはNGとかねぇのな……
 
後、容姿の話してるのは言いだしたヤツ一人だけだし
それも別に叩いてる訳ではないよーな
364名無しさん@ピンキー:2011/09/30(金) 00:44:39.98 ID:24ctu76s
真面目な話、親王の娘は女王になるんでなかったっけ?
365名無しさん@ピンキー:2011/09/30(金) 20:25:41.02 ID:VWKcL2JC
皇室典範では皇孫までは親王。
明治以前は宣下されたら親王。
366名無しさん@ピンキー:2011/10/02(日) 11:02:39.01 ID:G8VFHQtb
話題豚切り失礼します。
姫様の話を久しぶりに書いたのでそっと置いていきます。

以前『中華の国の物語』と題して投下した作品の続き的なものですが、キャラは変わっているので
前のは読んでなくても大丈夫だと思います。
大国と戦い、敗戦した民族の男の子が姫様に拾われて……という流れの話ですが、
ぬるいのでハードな(戦火的な)ものを期待されると必ずがっかりします。

1と2でひと段落するので、2はまた数日後に来ます。
『ユゥとメイリン』の1です。7レスの予定。
367ユゥとメイリン1 1/7 :2011/10/02(日) 11:04:40.19 ID:G8VFHQtb
──ふるさとの人々は、どうしているだろうか。
凍えていないだろうか、ひどい扱いを受けていないだろうか、食べ物はちゃんと、足りているだろうか。

そんなことを考えながら僕は、広いお邸の回廊から、暗い夜空を見上げていた。
この四角く切り取られた空も、故郷の空へと繋がっているのだろう。僕は、随分遠くへと、連れて
こられてしまったけれど。
ふたたびあの懐かしい故郷の土を踏むことは、あるのだろうか。
いや、絶対に帰る。生きてさえいれば、願いを捨てずにいれば、いつか道は開けるはずだ。
そう思ってなければ、今にもくじけてしまいそうだった。
両手には、板状の手枷が嵌められている。
僕は、奴隷としてここへ連れてこられたのだ。
異郷の地で、誰かに所有され、踏みにじられるために。

「おい」
背の高い男が、僕を呼ぶ。
「付いて来い、おまえの主になる方に、引き会わせる。」
僕は黙って、彼の後ろを歩いた。

──こいつ、気にいった。おれに、くれ──
敵陣で、シン国側の兵士に押さえつけられた僕を前に、そう言い放った甲高い声を思い出す。顔は
よく見えなかったが、小柄で、多分かなり子供だ。
僕は、子供特有の残酷さを思って、暗澹とした。
これからどんな目に、合わされるのかも分からない。できれば面白半分の拷問とかは、是非やめて欲しい。
まあ、自分から宣戦布告をした上に、なすすべもなくシン国の正規軍に捻り潰されて滅んだ『クニ』
の民に、何か発言権があるとも思えないけど。
僕は少し投げやりな気分で、前を歩く男の背中を見た。

まあ、いいや。
僕は既に裏切り者だ。どうなったっていい。
故郷の人たちさえ安全なら、それでいいや。
僕の処遇については、何も求めない。かわりに、生き残った人たちの命と、最低限の扱いを
──この冬を越せるだけの衣食の保障を、僕は求めた。
是、と答えたあの『偉い人』に少しでも人の心があるなら、その約束だけは守られるはずだ。

前の男が突然に歩みを止めて、僕はその大きな背中にぶつかってしまう。
「ここだ。憶えておけ」
憶えておけと言われても、僕はこんなに扉と回廊の続く建物ばかりのところなんか初めてだし、
木も岩も草もないところで何を目印にすればいいのか、皆目見当がつかなかった。
ただ、男が足を止めた扉は、上品な飴色の光沢を湛え、草花の文様で美しく装飾されていて、
なんだか特別な扉のようだ。
「一応、言っておくが」
男はちら、と僕を振り返って見た。
「姫様に粗相をしてはならん。大事な方だからな。何かあればおまえの首など、すぐに飛ぶ。」

 ひ め さ ま ?

何となく、思っていたのと違う単語を突然聞いたような気がして、少し混乱する。
「あの、それってどういう…」
「会えば判る。──姫様、連れてまいりました」
男は僕の質問を無視して扉の奥に呼びかけた。

「入れ」
扉の奥からは、よく通る澄んだ女の子の声がした。
368ユゥとメイリン1 2/7 :2011/10/02(日) 11:07:12.60 ID:G8VFHQtb

扉の先にあったのは、柔らかな色調で纏められた、広々とした房室。
大きな花器がいくつか置いてあり、そこには色とりどりの、見た事もないような鮮やかで大輪の
華々が咲き乱れていた。
部屋の中央にある長椅子から女の子がすっと立ち上がり、こちらへ歩いてきた。
その光景をぼんやりと眺めながら僕は、

──ああ、花仙って本当にいるんだな──

などと考えていた。
花仙は花に宿る魂と言われ、稀に人の姿を取って現れ、花の美しさを具現化したようなその姿で、
人を惑わすと言う。言い伝えでしか聞いたことはないけれど、その子の姿は、まさに、花仙そのもののように思えた。
僕は瞬きも忘れて、光り輝くようなその姿を見ていた。
白い花弁を思わせるみずみずしい肌、桜桃のようにつややかで透明感のある小さな唇。
玉(ぎょく)のように濡れて光る大きな瞳。豊かな黒髪は、右側でゆるく編んで前に垂らされている。
淡い薄紅色の衣は臙脂色の腰帯で留められ、足元までをなめらかに覆っていた。

「こら、跪け。」
男に肩を押されて我に還る。僕は手枷がついた両手をだらりと下げ、完全に放心状態だったみたいだ。
僕の心も、仙界から現実に引き戻される。信じられないほどに美しく、本当に花仙のようだけれど、
その子は僕が跪く相手というわけだ。
「よい、近う寄れ」
姫様、と呼ばれたその子は、鈴を鳴らすような素敵な声でそう言う。こんな声で命令されたら、
うっかり何でも聞いてしまいそうだ。数歩だけ進んで僕は膝をついた。

「桂花の民の首長家、ウォン家の三男、ウォン・ユゥだな? 歳は、十七」
彼女はすらすらと、僕の素性を述べた。その通りです、と僕は頷く。
「大義であった、ツァオ。下がってよい。」
僕を連れてきた背の高い男はツァオという名だったらしい。彼女が優雅に微笑みかけてその労を
ねぎらうと、彼は一礼して、ほとんど音を立てずに扉の向こうへと消えた。

「さて…ユゥは、シン国語が分かるのだったな?」
「多少は。簡単な、ことなら」
「なかなかよい発音だ、ユゥ。」
彼女は軽く頷いて、僕のシン国語を褒めてくれた。その仕草のひとつひとつさえ、優雅で綺麗だと思う。

なんなんだろうこの状況。
花仙と見まごうばかりの綺麗な女の子と、ふたりっきりで。僕は奴隷の手枷をつけて、跪いて。

「わたしは、先の桂花の戦いで軍師を務めたチェン・シュンレンの娘、チェン・メイリン。
今日から、おまえの主となる。」
……はい? どうやら重要なことを一気にまくし立てられたような気がするけど、耳も頭も
ついていけません。あくまで『簡単なことなら分かる』程度ですから。
とりあえず、この綺麗な子がチェン・メイリンって名前なのはわかった。
「全ては分からずとも、よい。ひとまず、ここではわたしに従わねばならぬということだけ、理解せよ。」
彼女は膝立ちのままの僕の前までゆっくりと歩いてきて、僕の顎に手を添えて上向かせる。僕の顔を
覗き込むようにして、ちょっとだけ甘えるような声で囁く。
「…わかった? ユゥ。」
その言い様があまりにも可愛くて、僕は思わず頷いてしまう。
「よかった。じゃあ、こっちに来て。」
メイリンはちょうど親戚の子を家の中に案内するように、手枷のついた僕の手をとって歩き出した。四方を
白い紗で覆われた一角に腰を下ろしてから、そこに枕が置いてあることに気づく。
「あの…ここは……?」
寝台?
杏色の天蓋から薄手の紗が垂れ下がり、中には何かいいかおりのする香が焚いてある。
「ウォン家の子、ウォン・ユゥよ。おまえに、命令を与える。」
メイリンは僕の隣に腰を下ろすと、ぴっ、と背筋を伸ばして、改まった声でそう言った。
「主たるわたしの、夜伽をつとめよ。」
369ユゥとメイリン1 3/7 :2011/10/02(日) 11:09:33.01 ID:G8VFHQtb


……。

……………………………。

………………………………………………………………えっ?

…すみません、なんか今、すごい言葉を聞いたような。寝台に来て、よとぎ、とか何とか。

そうだ。これは空耳です。女の子に縁のなかった僕が、いきなりこんな状況で女の子とふたりきりに
なってしまった所為で、いけない妄想をしているんです。きっとそうです。

「ユゥ、……いや、なの?」
メイリンは固まった僕の耳許に囁いた。
あの、耳に息吹きかけるのやめてください。心臓が爆発しそうになったじゃないですか。
「嫌、っていうか、状況が、ぜんぜん分からないんですけど。」
既に心臓は早鐘のように打っている。こんなに可愛い子に間近で見つめられて、だめ? なんて
聞かれたら、手枷さえついてなければ、もうどうなっていたか分からない。
そういやこの部屋に来る前、やたらとがしがし洗われたけど、まさかそういう意味か?!

「おまえは主たるわたしに従う義務がある。そのわたしが望んでいる、おまえに否やは許されていない。」
「えっと……。そもそもそういうことは普通、結婚した男女が行うことかと。」
一応、頑張って常識で抵抗してみる。シン国にだって貞節の概念はあるはず……っていうか、
シン国のほうがそういうの、厳しいんじゃなかったっけ? え? 僕どこか間違ってる?
「わたしはそういう普通は好かぬ。男ならば女遊びが許されているのに、何故女はいけない?」
とっくに僕の頭の限界を超えています。お母さん、シン国はまじ恐いところです。
僕の十七年間の常識がなんだかひとつも通用しません。僕ちょっとこの国を舐めてたかもしれません。
「いや僕の『クニ』では男もあんまやらな……」
「そんなことはどうでもいい」
一蹴された。ずい、とメイリンがこちらに体を寄せてくる。ああ待って、恥ずかしいところが
恥ずかしい状態になってるのがばれる。
「…きみなら、誰を誘ったって、嫌とは言われないでしょう?!」
メイリンは本当に、僕が十七まで生きてきて目にした中で、一番綺麗な女の子だった。と言っても、
年頃になってからは、禄に妹以外の女の子と口を利いたことすらないのだけれど。
「別に、誰でもいいなどとは言っておらぬ。」
メイリンは少し憮然とした。可愛い子は、怒った顔も物凄く可愛いものなんだ。
「知り合いの貴族の子弟は、気軽に誘えぬ。すぐにそのまま結婚話に発展してしまうからな。
かといって、全く見知らぬ相手では、素性が知れぬ。あまりに身分が低くても障りがある。
金で体を売る男娼も考えたが、もともと男の相手をする男であるので、なよっとして食指が動かぬ。」
男の相手をする男。なんか凄いことを聞いちゃった気がするが、既に色んなことが僕の理解力の限界を
軽々と越えているので、全力で聞かなかったことにする。
「そこで、おまえだ。先の桂花の戦いで、わたしが、おまえを見つけた。
父上に願い出て、おまえは、わたしのものとなった。」

「──ちょっと待って、あの戦いに、きみも参加していた?」
僕がそういうと、メイリンはちょっと驚いたように目を丸く見開いた。
「わたしがその旨、父上に申し出たのは、おまえの目の前だったではないか。ちゃんとおまえにも
分かるように、桂花の言葉で言ったはずだが」
370ユゥとメイリン1 4/7 :2011/10/02(日) 11:12:25.57 ID:G8VFHQtb

──ちちうえ、こいつ、気にいった。おれに、くれ──
確かに、あのたどたどしい言葉は、シン国の言葉ではなく桂花の民の言葉で発せられていた。言われて
みれば、甲高い子供の声だと思っていたけれど、メイリンの声に似ていなくもない。
「あのときの子供が、……きみ?」
「無礼な。わたしはもう十六である。子供などではない。」
男の子であれば、あの声の高さはさぞ子供だろうと思っていた。でも、まさかあの戦場に女の子がいたとは。
「……シン国では、女の子も従軍するものなの?」
少なくとも僕が見た限りでは、僕らが闘ったシン国正規軍の兵士達は皆鍛え上げられた体躯の男の武人達だったけど。
「ふむ。あの時は父上が珍しく軍師として兵も指揮なさるとのことだったので、無理を言って末席に加えて
もらったのだ。なんと言っても、父上が表舞台に直接お出ましになることなど、滅多にないからな。
代わりに、護衛のような屈強な部下を、ごっそりつけられてしまったが。」
では、あのときメイリンがちちうえ、と呼んだ──僕が交渉した相手が、メイリンの父親なのか。

なんか、不思議な人だった。
シン国軍に投降した僕が、ともかく一番偉い人に会わせてくれ、と言い続けた結果、出てきたのが
その人だった。ひとりだけ軍装をつけておらず──それが軍師という立場ゆえなのか──軽やかな
服の裾をなびかせながら、ほとんど足音を立てずに歩いた。
それは力強く大地を踏みしめて歩く武人達の中で、一種独特な雰囲気を醸し出していた。
先陣を切った選りすぐりの部隊は、シン国軍の前にあっけなく総崩れになり、老人と子供ばかりの
後続部隊を降伏させる代わりに、彼らと、里に残る女子供の命を助けて欲しい、と嘆願する僕を、
肯定とも否定ともつかぬ薄い笑みで見つめていた。
あの『偉い人』の娘なら、メイリンは相当に偉い『お姫様』なのだろう。

「あのときは、おまえに、してやられたな。
おまえの放った火が、一つしかない山道で、我らの追撃を阻んだ。
見事であったぞ、あの判断の早さと正確さも、撤退の指揮も、炎の扱いも、それからそのあとの、父上を
前にしての交渉も。
山道を埋めた炎は、おまえの言うとおり、何もせずともきっかり半日で鎮火した。」

桂花の民は、主に焼畑で農業を営んで暮らす、平和な民だった。だから誰でも山に火を放つときの
技術を身につけているし、伝統的に里と外界を繋ぐ山道には、それなりの用意がしてあるのだ。
ただ、圧倒的に僕らは、戦いに向いていなかったのだ……と、今となっては思わざるを得ない。

「おまえには、感謝しているよ。」
「……え?」
「わたしの率いる隊は、おまえの率いる後続部隊と、衝突する寸前だった。
だが、捕らえてみれば、おまえの隊にいたのは、おまえより若い子供ばかりではないか。
おまえのおかげでわたしは、部下に子供を斬らせずに済んだ。」
そのときのメイリンの声は、深い苦しみと痛みを湛えていて、ようやく僕は、目の前の綺麗な
女の子が、あの血なまぐさい戦場に、本当に居たのだと理解した。

唐突に、あのときの感情が喉元までぐっとせりあがってきた。
「──僕は、弱虫で、裏切り者だっただけだ…!!」
どうすることも出来ずに、僕は手枷に拘束された手をぎゅっと握り締めた。
桂花の民の誇りを賭けて、死んでもなお進むべきなのだと、父も兄も信じていたし、真っ先にそうした。
決して、シン国に膝を屈してはならないと、一度屈してしまえば、誇りは奪われ、聖地は穢され、
なにもかもを奪い去られて死よりも耐え難い恥辱が待っているのだと。
そしてたくさんの男達が、その志に殉じた。
鍬を振るい、鳥を撃つだけの桂花の民は、シン国の兵士と比べると、子供のような貧弱さだった。
武器の持ち方一つでさえ、圧倒的な差があった。ほとんどの者は、まともに切り結ぶことさえ、
出来なかったに違いない。
でも僕は、僕の親しい人たち、大切な人たちの血が流れ、命が失われてゆくのを目の当たりにして、
最後まで抵抗して命を散らすのが正しいこととは、思えなかった。父と兄と、それに従った多くの
桂花の男達に背いても、あれ以上の同胞の血を流すのを、止めたかった。
裏切り者と、呼ばれることになっても。
371ユゥとメイリン1 5/7 :2011/10/02(日) 11:14:26.69 ID:G8VFHQtb

「そんなことはない」
震える僕のこぶしに、ほっそりとしてなめらかな手が重なる。
「そんなことは、ない。おまえのしたことの価値は、いずれ分かるだろう。
おまえの故郷の者達にも、おまえ自身にも。」
鈴を鳴らすような美しい声で、落ち着いて確信を持ってそんなことを言われると、まるで天の啓示の
ように聞こえてしまう。
「…慰めてくれなくても、いいよ。」
心の中に湧いてくるそんな妄想を振り払うように、僕は言葉を絞り出した。
「慰めているのでは、ない。だからおまえを気に入ったと、言いたいのだ。」
メイリンは何の迷いもなく、大きな目でまっすぐに僕を見て言った。僕のほうが恥ずかしくて俯いてしまう。
「……ありがとう。」
相変わらず状況は掴めないけれど、なんだか元気づけようとしてくれていることは分かる。
こんなに綺麗な女の子に心配してもらえるのは、それだけで幸運なことに思えた。


「よし。では納得できたところで、しようか。」
ちょっと待って何を。
「……えっ? 今の話で、すっかり毒気抜かれたところなんだけど。」
ようやく恥ずかしいところも普通の状態に戻ったところなんだけど。えっ?
「そうは言っても、もう兄上達に、宣言してしまった。今夜中に完遂してみせると。
わたしは、嘘は吐かぬ。言った以上は、やらねばなるまい。」
「それは良い心掛けだと思うけど! 内容によっては!!!」
「何事にも全力で取り組まねばならぬ!! たとえ小事であろうと!
そうは思わないか、ユゥ。」
言ってる内容が妙に立派なのが、更に困る。
シン国人はやっぱり横暴です。誰か助けて。

そこではっと気がついた。
桂花の民の間では、シン国のことを『チェンの世』と、言い習わしていた。広い国土を統べる中華の国
とは言え、今はチェンという名の皇帝が預かっているに過ぎぬ。長い歴史の中、皇帝の姓は何度も
入れ替わって来た。そしてシン国のなかではおいそれと口にすることの出来ぬという皇帝の姓を、
気安く呼ぶことによって、かの国に従わないという意思を表明するという習慣でもあった。
「チェン・メイリン……、チェン…?」
「おや、やっと気づいたか、チェンは国姓である。」
そしてメイリンは今、同音の姓ではなく、はっきりと皇帝と同じ国姓、『陳(チェン)』であると言った。
「皇族の、お姫様……?」
「今の皇帝陛下は、わたしの叔父上である。父上は、陛下の弟君で、親王殿下である。」
ええええええええええええ。 この国の、皇帝の、姪?!
「じゃあ、僕には最初に名乗れと言った割に、自分のことは最後まで『名もなき軍師』とか言って、
頑として名乗らなかったあの『偉い人』も、すっごい身分の人?!!」
「今言ったではないか…親王殿下だと。父上は、御自分の名を出すのがひどくお嫌いなのだ。」
更にメイリンは、誇らしげに胸を張った。
「ちなみに母上は、この国の宰相閣下であらせられる。」

僕は反射的に後ろに身を引いた。どういう家族だよ。
「そんなすごいお姫様が、どうしてこんな酔狂を?!」
いや、そういえば、身分が凄く高い人たちのほうが、変わったことをしでかすとか聞いたことがある。
「酔狂では、ない。ものは試しだ。」
高貴なお姫様のメイリンは、堂々と言った。そのふたつの違いが分かりません。
「兄上様達には、そういうことも経験しておいた方が視野が広まると、父上が言っておられた。
では女たるわたしはどうすればよいのですか、と問うと」
「問うと?」
「気に入ったものが居れば、世話してやる、と仰った。」
どういう父親だよ?! やっぱりシン国の身分の高い奴らは、ぶっ飛んでる。
「そこで、おまえだ。──これを言うのは、二度目だな。
まだるっこしい。奥の手を使うか。」
372ユゥとメイリン1 6/7 :2011/10/02(日) 11:16:55.12 ID:G8VFHQtb
そういうとメイリンは、つと立って、しゅるり、と帯を解き始めた。
そして、何事かと目を見張る僕に少し微笑んで、肩から衣をするっと落とす。
続いて下着も同じようにして、するりと落とし、何者にも覆われない彼女の裸体があらわになった。

そこに現れたのは、神仙による造形。完璧な曲線、完璧な色調、究極の美しさ。
神秘的なほどになだらかな曲線を描く胸の二つのふくらみ、なめらかなお腹の真ん中で生命の
繋がりの名残りを主張する小さな臍、健やかにまっすぐに伸びる細くて長い二つの脚。なにより、
脚の付け根にうっすらと息づく、未知の茂み。
神聖なものを見てしまった驚きで、僕は呼吸すら忘れていた。

「……なんだ。特に何も起こらんな」
すっかり固まってしまった僕を見て、生まれたままの姿になったメイリンはつまらなそうに口を尖らせる。
「どうしても堕としたい男が居るときには、おまえはただ、服を脱げばいいよって、父上が仰ったのに。」
なにその性教育?! シン国の上流階級ってどうなってんの?!! 実践的過ぎるだろ!!!!!
「『これ』をつけたままでは、どうにもならないよ。」
こんな状況になっても飛びかからずに済んだのは、手枷が両手にしっかりと嵌っていたから。ともかく
何をするにも、この板状の枷がやたらとつっかかって、自由を制限される。
屈辱的な、奴隷の証。
「ふむ、それか。」
メイリンは少し考えるような顔をして、無防備な姿のままで首を傾げた。ああもう、目のやり場に困る。
「それは今夜は、外してはならんと厳命を受けておる。
敬愛する父上の命ゆえ、逆らうわけにはゆかぬ。」
「やっぱり。少なくとも今夜はそういうことをするなっていう」
「黙れっ!! おまえに父上の何が分かる。わたしのほうがずっと、父上様のことを理解しているのだからな!!!
父上は、やれるならやってみればいい、と仰った。」
「それは普通に解釈すると、『無理だからやめとけ』って意味なんじゃ…。」
「違ーうっ!! 父上はいつもちゃんと、わたしのすることを認めて下さるっ!!」
メイリンは座ったまま手足をばたばたさせて、地団太を踏んだ。
可愛い。なんか凄く、可愛い。

「いいのだ。おまえが不自由なぶん、わたしがしてやる。それでいいはずだ。」
メイリンは甘く蕩けるように微笑んだ。こんなときも彼女は、凶悪なまでに可愛い。


メイリンは僕の手枷で縛められた腕の間に、輪をくぐるようにしてするり、と入ってきた。
そのまま僕の膝の上に腰を下ろすと、逃げようもなくほんの近くで、目が合う。
うわあ、近い近い近い近い近い近いっっ!!!!

「まずは、くちづけから。いいなら、目を瞑って。」
何言ってんの? 混乱しすぎで、彼女の言ってることがぜんぜん分からない。顔が、頭が熱くて、
目が廻りそう。
もはや、現実感など皆無だった。夢のように綺麗な唇が眼前で動いて、何事かを囁いている。それは
どこか遠くで鳴る鈴の音のようで、意味が頭の中に入ってこない。
訳も分からずその大きな瞳や、長い睫が動くのを凝視していたけれど、ふいにその目が翳って、僕は
急いで目を閉じる。
哀しそうな顔は、見たくない。

その瞬間、唇に何かとんでもなく柔らかいものが触れ、すぐに離れた。
「えっ……、なに今の」
やっぱりこの子は花仙じゃないだろうか。触れたとき、なにか花のような匂いがした。
それに、あの感触。あんなに柔らかいものが、この世にあったなんて。
「次は、ユゥから。」
373ユゥとメイリン1 7/7 :2011/10/02(日) 11:18:56.01 ID:G8VFHQtb

ほとんど思考が溶けかかっていた僕は、言われるままに彼女に顔を近づけた。もう一度唇が重なる。
やっぱり信じられないほど柔らかい。そしてやっぱり、花のような香りが不思議に香る。
柔らかさの記憶が、離れた途端に消えるのが惜しくて、誘われるままに何度もくちづけた。何度も
触れ合い、だんだんに下唇と、続いて上唇の感触を味わうように食んでゆく。
触れれば触れるほど欲しくなり、花のような香りに誘われて、舌で彼女の口腔内を探ろうとするまで、
それほどかからなかった。
その間にメイリンは、器用に僕の帯を解き、上衣の紐を解いて、僕の服の前を肌蹴させていた。

「…あ」
「あ」
唇を離して声を上げたのは、同時だったかもしれない。メイリンの手が、僕の下衣に伸びたのだ。
そこには当然、恥ずかしい部分があるわけで。
「ユゥ…、これは、なに?」
うわあ恥ずかしいっ!! うっかり硬くしているところを女の子に触られたあああああ。
僕の股間は、しっかりと盛り上がってその存在を主張していた。
恥ずかしい。まじ恥ずかしい。なんなんだこの恥ずかしさ。ほとんど拷問だ。

しかしメイリンは、眦を下げ、顔中で嬉しそうに笑った。
「やはり…やはり、父上の仰ることに、間違いはない!!」
そう言うと、肩を震わせて、くふふ、と可愛らしい笑い声を立てた。
「ここがこうなっているということは、ユゥはわたしに、堕ちた?」
いや、そこがそうなってたのは、もっと前からですけど。
笑みを含んだ悪戯っぽい目で、上目遣いに僕を見ながら器用にするすると下衣の紐を解いてゆく。
その手際の良さを不思議な気分で眺めていると、彼女は言った。
「一時はわたしも軍装をしていたのでな、男の装いには慣れている。軍では、素早く動かねばならぬし。」
そうですかそうですか……。聞いているうちに、順調に腰巻まで緩められて、座っているから
全部脱げるわけではないけれど、覗き込むと服の中に『それ』が顔を出す状態になる。

「ほぉ…、ふんふん、そうか。」
メイリンは顔を出したそれを覗き込んで、そんなことを言う。
なにその曖昧な相槌。何でもいいからハッキリ言ってよ。

するとメイリンは、白魚のように細くてなめらかな手を僕の下衣の中に差し込んで、すっかり怒張した
僕のそれを、さわさわと触りだした。ふたつの手のひらと十本の指が、風に弄られる草のように
さらさらと僕のそこを撫でてゆく。

あっ、駄目。いまはだめ。なんかまずい。
度重なる刺激に、僕のそこは地味に限界が来ていた。このままそんなに細くて綺麗なすべすべの手に
撫でられてたらまずい。
「うわあ駄目────ッッ!!!!」
が、もう遅かった。僕の分身は理性とは関係なく快感を拾い、否応なく登りつめてゆく。
押し止めようもなく快感がせりあがってきて、僕は初めての他人の手による射精を、メイリンの
手の中で迎えた。




     ──続く──
374名無しさん@ピンキー:2011/10/02(日) 11:24:50.38 ID:EfpYyk2m
>>373
盛大にGJ!
375名無しさん@ピンキー:2011/10/02(日) 11:28:26.02 ID:G8VFHQtb
以上です。
書き忘れてたけど、メイリンは男勝りでちょっと男言葉気味です。

では、数日後にまた来ます。
376名無しさん@ピンキー:2011/10/02(日) 11:40:06.24 ID:7bcYtqs2
うわあすげえ萌えるw
メイリンってシンとメイファの娘だよね、あの母親から
何をどうしたらこんな大胆な娘が……w
377名無しさん@ピンキー:2011/10/02(日) 12:33:51.33 ID:lK44Yfwn
にやにやがとまんねw

ただ一個だけ
もう出てこないかもだけど父親のお兄さんは伯父さんなんでよろしく
378名無しさん@ピンキー:2011/10/03(月) 08:43:32.36 ID:q10vrDYF
わっふるわっふる
379名無しさん@ピンキー:2011/10/03(月) 14:54:55.16 ID:ofFGkfGd
久々の新作おいしすぎるw グッジョブ!!
380名無しさん@ピンキー:2011/10/04(火) 20:08:58.20 ID:9uBcTcIX
前回投下後すぐからGJ下さった皆様、ありがとうございました。激しく感謝です。

投下します。
「ユゥとメイリン」2です。

メイリンは、容姿は母親似で色白美少女、中身は父親似で、早熟かつ奔放という凶悪な取り合わせ。
おまけにパパっ子です。
381ユゥとメイリン2 1/8:2011/10/04(火) 20:11:02.81 ID:9uBcTcIX

……。

……………………………。

──────生まれてきて、ごめんなさい。


僕は強烈な自己嫌悪の中にいた。
メイリンは、僕の腕をするりと抜けて、何か拭くもの……と、取りに行っている。
なんなんだこの状況。捕虜になって、奴隷に落とされたかと思えば、かつての敵軍の『偉い人』
の家に連れてこられて、その娘でありかつ敵将であった女の子に、いいように弄ばれて。
あまつさえ……、その、出してしまったとは。
ひとつも、故郷の人たちに申し開きできません。桂花の民の誇りも何もあったもんじゃない。
虫ケラ以下です。もう死んだほうがいい。

確かにこれも、誇りを傷つけるのにはいい方法かもしれないけど……ってああああああ。
「駄目ッッ!!!! そんなばっちいもん舐めちゃ駄目──────────────ッッッ!!!!!!!」
僕は寝台を離れたメイリンのところへ飛んでいってその手をはたいた。
あろうことかメイリンは、赤い舌をちろりと出して、その手のひらについた僕の白濁液を舐めようと
していた。
メイリンは、なにを言われているのか分からない、といった風情で僕に聞く。
「男というのは、女にこれを飲ませたりして喜ぶものではないのか?」
「なにそれっ?! そんな変なこと、どこで聞いたのっ?!」
やっぱりシン国の上流階級はぶっ飛んでる。
「……閨房学の本で読んだ。」
メイリンは当然のように答えた。
さすが長い歴史を持つ文字文化の国。ありとあらゆる書物があるとは聞いてたけど、そっち系の
本もあるのか。
僕はこの中華の国の文化の層の厚さと奥深さを垣間見たような気がして、眩暈がした。
「そんなにひどい味でもなかったな。思ったより薄味で。でも生臭くて、しょっぱいな。」
味の感想とかいいから。もうやめて。何の拷問。
「そういう変なこと喜ぶ人達のことはもういいから。汚いから拭いてっ!!」
僕はメイリンの持っていた手拭いを取り上げてその手を拭き出した。手枷は、指までは拘束して
いないから、正面にあるものなら掴める。でもやっぱり、細かい作業は無理で、全部は拭いて
しまえないからまたメイリンに返す。

「じゃあ、これも脱いで」
「え?」
「汚れたから、拭かないと。」
「ちょっ……」
そっちも拭いてあげる、と、半分以上脱がされていた下衣と腰巻をすっかり取り去られてしまう。
僕の恥ずかしい部分は一度精を放ったにも関わらず上を向いたままなのだが、メイリンはそれには
あまり注意を払わず、やっぱり濡らしたほうがいいかな、などと細かい。
結局、寝室の隅にある手洗い鉢で濡らした布を持ってきて拭いてくれる。
「すっごいお姫様なのに、よく動くんだね」
僕は素直に褒めた。シン国の貴族といえば、箸の上げ下げまで他人任せにしてふんぞり返っている
ものだとばかり思っていた。
「ふむ。先だっては従軍もしたからな。あれは自分のことを自分でやる良い機会だった。
それに父上から、この白いべたっとしたものを体内に入れてはならんと言われておる。」
あ、そうか避妊か。何という具体的な指導。どういう父親。
382ユゥとメイリン2 2/8:2011/10/04(火) 20:13:03.64 ID:9uBcTcIX

そこでメイリンはふと思いついたように、寝台の枕元に置いてある折った紙をこちらに寄越した。
「父上から、おまえに。」
桂花の民もシン国と同じように漢字を採り入れているから、口頭より書面のほうが、はるかに
意味を取るのは楽だ。
かさり、とそれを開いて絶句した。
『うちの娘に、中出ししたら首を刎ねるからね。』
……というような意味のことが、書いてあった。
「なんか、首を刎ねる、とか書いてありますけど。」
「ああ、父上は、そういった御冗談がお好きなのだ。」
メイリンは全く本気にしていないようだった。
でも、このメイリンが娘で、父親が可愛がっていないはずがない。可愛い娘に手を出す男に対する
警告が、単なる誇張表現なはずがないじゃないか。
どうしてこの手紙を最初に見せてくれないのか。見ていたら、もっと用心したのに。色々と。
っていうか、さっきの流れが既に危なくなかった?! 命の危機じゃなかった?!

「よぉし終わったっ。続きをしよう、ユゥ。」
メイリンは手拭いの始末が終わったらしく、後ろからとん、と抱き付いてきた。手枷の所為で上衣は
羽織ったままなのが口惜しい。肌と肌の触れ合う感触が、気が遠くなるほどに心地良いのだ。
胸のふたつの膨らみも、控えめながらしっかりとその柔らかい存在感を主張している。

「続き、って……」
僕はちょっと苦笑した。そういうことを強制するにしては、メイリンはあまりにまっすぐで屈託がない。
「きみは、したこと、あるの。」
「無い。そう、言わなかったか?」
なのになんだろう、この暴力的なまでの人を惹きつける魅力は。
ただ綺麗なだけでも、ただ可愛いだけでもない、もっと生き生きとしたなにか。
生命力に溢れていて、まっすぐで、輝いているのに、どこか危なっかしくて、目を離せない。
なんかもう、この子には何かの仙術か妖術でもかかっているんじゃないだろうか。
頭ではまだ敵方の人間だと思っているのに、何かしてあげたくて堪らないなんて。

「僕で、いいの」
「おまえが、気に入った。もう何度も言っている。」
ああもう、この手枷が邪魔。本当に邪魔。これさえなければ、こんな可愛い子に抱きつかれて
おきながらじっとしているなんて、勿体ないことしないのに。

「あのさ」
僕は背中にくっついているメイリンに話しかけた。
「こういうのって、男の体の準備はすぐに整うけど、女の子の方は、なかなか準備できない
もんなんじゃないの?」
「ふむ、おまえの言うとおりだな。最終的には、これだ。」
メイリンは、潔く頷くと、ぱっと手を離して寝台の脇の小卓に置いてある陶製の小瓶を取り上げた。
「香油。これで、滑りを良くする。」
そんな方法もあるのか。さすが悠久の歴史を持つ中華の国、あまりの奥深さに吃驚だよ。
「経験無い女の子でも、それで痛くなくなるの」
「それは知らぬ。何しろまだ試したことは無いから。」
メイリンは素直に知らないことは知らないと認めた。
なんだろうこの危なっかしさ。罠か、策略か。いや罠に決まってる。
383ユゥとメイリン2 3/8:2011/10/04(火) 20:15:04.55 ID:9uBcTcIX

「普通は、男のほうが色々してあげるんだろうけど」
桂花の民の中では、女は十四、男は十五で成人の儀式を行い、それが終われば大人として扱われる。
僕ももう大人として、そのときの行為についてはかなりあからさまな話まで聞いていた。僕はもう
十七で、普通ならとっくに嫁取りしていてもおかしくない歳なのだけど、何しろ故郷は、大国シン国に
戦を仕掛けねばならないほどに、窮乏していたのだ。
「僕は『これ』がついてるし、今夜は外してもらえないそうだし」
僕はちょっと手枷を上げて見せた。こんなの付いてたら色々と無理だし、外してはいけないと厳命
されたってことは、やっぱりやめておけって意味だと思うんだ。

「────だから、舐めていい?」

…………。
何を言ってるんだ僕は。
目の前の女の子がとんでもなく綺麗で可愛いお姫様で、なんだか危なっかしくて魅力的で、
触りまくりたくてしょうがないからってどうかしてる。っていうか僕の頭の中もかなり前からおかしい。

「…ふむ。……許す。」
メイリンはぽぅっと目元を朱に染めて少し目を伏せた。
可愛い。凶悪なまでに可愛い。
僕は少しかがんで、俯いたメイリンの唇にそっとくちづけた。
柔らかい、信じられないほどに柔らかい唇。その形の良い唇を、そっと舌を出して舐めてみる。
「…っ…」
何か言いたげに、その唇がひくりと震えた。

断言します。もしこれが罠なら、かからずにいられる男なんていません。
だからもう、仕方ないんです。

メイリンはよろけて、後ろの寝台にすとんと腰をついた。僕は木製の手枷が彼女の体を傷つけない
ように、その足元に跪いて太腿のあたりから唇を這わせ始めた。
陶器のような肌は、触れてみると柔らかくて暖かくて、少し吸い立てると破れてしまいそうだった。
「…あっ…、ああ……んっ」
メイリンはすぐに甘い声を上げ始めた。頭の芯を痺れさせるような、魔力を孕んだ不思議な声。

「どうして、そんな声を出すの」
僕はメイリンの顔を見上げた。その表情はとろんと蕩け、瞳は色っぽく潤んでいる。
「それも、本に書いてあった? 男をその気にさせるには、そうやって喘ぎなさいって」
メイリンはゆっくりと黒く長い睫をしばたかせた。もうどんな些細な仕草も、僕を煽る為にやっている
としか思えない。
「わかんない…。なんか、出てくる…。」
「へえ? 例えばこういうことで?」
「やっ、ああっ……」
僕が目の前の白い肌を思い切り吸うと、途端にまた高い声が上がる。
腿の外側より内側、より柔らかな部分へと進むたびに、声は少しずつ高くなっていく。
僕は彼女の中心部に早急に到達するのを避けて、脚の付け根を通ってもっと上の方へと移動した。
なだらかにくびれた腰、その真ん中にちょんと座っている小さな臍。
脇腹も、背中も、そのほかのどんな部分も、刺激するとどういう声を上げるのかくまなく調べた。
──そして、胸。
384ユゥとメイリン2 4/8:2011/10/04(火) 20:17:05.64 ID:9uBcTcIX

メイリンの胸は、まだ薄い肉付きだったけれど、吃驚するほど綺麗な曲線を描いていた。
その曲線の上に、そうっと顔を預けてみる。
こんな風にする日がが来るのを待っていたけど、まさかこんな綺麗な女の子相手に、こんな状況で
こうするとは思わなかった。
手が使えないので、頬擦りするように愛撫する。メイリンの体のどこでもがすべすべして触り心地が
良かったけど、やっぱりここは別格だ。頬擦りするたびにころんと硬くなってくる先端が、
「わたしを食べて」と待っている赤い果実のようで、誘われるままに口に含んで舌の上で転がす。
「あぁっ…、やっ、だめっ……」
嫌、も駄目、も、気持ちがいいって意味だ。さっきから何度も聞いて、分かってきた。
「はあっ、ああ、ユゥっ、ユゥっ!」
順にもう片方も口に含んであげると、メイリンは切なげに僕の名を呼んだ。
「気持ちイイんだ……可愛い」
可愛い、可愛い、可愛い。

今のメイリンは、花というより甘い果実のようだ。
ほんのりと赤く色づいて、齧られるたびに甘い声を上げる仙界の桃。
甘い芳香を纏って、甘露の蜜を滴らせて。
老いにも若きにも精力を漲らせ、ひとくちで桃源郷の夢を見せるという。
もっと、食べたい。
ぜんぶ、食べてしまいたい。
僕は夢中で彼女の体中を貪った。

でも、どれだけ食べても──足りない。
体の中の熱が、発散していかないのだ。
むしろ、どんどん熱くなってきて、そうか、と思った。
こういう風に『する』んだ──たしかにそれは、まるで世界の深いところに隠してある謎に
触れたような感覚だった。

「ねえ、きみの方は、『準備』できた?」
「ん……んー?」
メイリンは、とろんとした目で僕を見つめる。
罠だ。こんなに可愛い仕草をするのは、罠に決まってる。
僕はますます深く罠に捕われていくのを感じた。でもどうしようもない。蟻地獄に嵌った
虫みたいなものだ。

「触ってみても、いい?」
手枷がついているとは言え、手指が自由なので、触れないことはない。ただし、ぴったりと
閉じた脚の隙間に滑り込ませるなんてことは出来ないから、メイリンにもそれなりに『協力』
して貰わなければならなかったけれど。
「『それ』は結構不便だな……」
手首の周りの板が思ったよりも引っかかって、割と大胆な姿勢を余儀なくされたメイリンは、
恥ずかしげに呟いた。
僕はといえば、手枷が邪魔で、初めて目にするはずの女の子の秘密の部分が良く見えないのが
残念だった。まあ、そこまで冷静に観察する余裕も、ありはしなかったけれど。
手探りで最初に触れたところは存外に渇いていて、まだぜんぜん濡れてないのかと思ったけど、
合わせ目のところをなぞるように指を這わすと、あるところで突然、熟れ過ぎた果実がぱちんと
弾けるように何かが弾けて、中からとろりとした蜜が潤沢に溢れてきた。
「ああっ! 駄目っ、だめっ!!」
メイリンがぎゅっとそこを押さえるようにして甘ったるい声で叫んだ。切羽詰っていても、
彼女の可愛さには容赦がない。
385ユゥとメイリン2 5/8:2011/10/04(火) 20:19:37.48 ID:9uBcTcIX

その奥はとろとろの蜜壺のようだった。どこまでが蜜でどこまでが壁なのか分からないくらいに
蜜が溢れていた。
「潤滑油って、これでもまだ必要かな?」
僕はその蜜口の狭さを試すように指を動かした。ここに、僕の股間でいきり立っているものを
入れて動かしたら、どんな感じだろうと想像しながら。指を動かすたびに、メイリンは短く
悲鳴を上げながら、腰を揺らした。
「凄いね…奥からどんどん溢れてくる」
たっぷりとした蜜に指を絡めながら、中に入れるのを一本から二本、そして慣らしながら
三本に増やしていった。その度に、痛みを堪える短い声が上がる。
「痛い?」
僕は少し手を止めてメイリンに聞いた。彼女はこくりと頷く。
「痛いなら、ここでやめてもいいよ。もうそれなりに、頑張ったと思うし」
誰が承服しても僕の股間だけは承服しそうになかったが、一応格好つけてそう言ってみる。

メイリンは少し僕を睨んで、こう言った。
「…い、いじわる…っ」
どうしよう。この可愛い子を今すぐ抱きしめられないこの手の不自由が恨めしい。
「耐えられぬほどでは、ない。今夜中に最後までやると、…何度言わすのだ」
それから、柔らかそうな頬をぷっと膨らませて言う。
「女のわたしに、こんなこと、何度も言わすな。」 

どちらかというと、意地悪なのは僕よりもメイリンのほうだと思うんだ。
訳も分からないままにこんなところへ連れてきて、いきなり『夜伽』だなんて。
お姫様で、とんでもなく可愛くて綺麗で、見てるだけでうっとりしちゃう女の子なら、
どんなことでも思い通りになるとでも言うんだろうか。
それでも、僕もすっかり言うなりになってる訳だけど。

「じゃあ、挿れていい?」
メイリンは少し目を見開いて頬を染め、それから俯いて小さく頷いた。
僕は横たわったメイリンを、さっきと同じように手枷と腕の間に入れてあげた。木製の枷に
頭が当たって痛くないように、寝台にある布団の端を噛んで引っ張ってきて、間に挟んでやる。
こうしているとひどく近くて、ぎゅっと抱きしめあってるみたいだ。
なんか、勘違いしそうになる。
僕とメイリンは恋人同士で、メイリンは僕のことがとても好きで、たったいま僕に純潔を捧げて
くれるような、そんな幻想を抱きそうになる。

「ほら、自分でちゃんと、脚を開いて。僕が不自由な分、…きみがしてくれるんでしょう?」
おずおずと開く膝のあいだに強引に割って入り、ぬるついた彼女の秘所に、怒張しきった僕の
分身を押し当てる。
「僕のこれも、きみの手で導いて。このままじゃ入らないよ。
さあ、脚はもっと開いて?」
メイリンは真っ赤になって僕のそこに手を添えた。
ああ、すっごく可愛い。どうしたらいいんだろう。どうしてくれよう。

少しのあいだ躊躇うように、彼女の細い指が僕のそれの先端を撫でていたが、意を決したように
きゅっとつかんで、ぬるりとした秘所の最奥へと連れて行った。
「これで、いい?」
辿り着いたそこは少し窪んで、押すと少しづつ奥へと埋まっていくような感触だった。
「いいみたい……ほら、入る…」
腰を落とすと、先端だけはわりあい簡単に入った。メイリンは、浅い呼吸を繰り返しながら痛みに
耐えている。
「こんなに濡れるのに、本当に初めてなんだね」
ゆっくり、ゆっくりと、僕はメイリンの奥へ分け入ってゆく。
どうしてあげるのが一番いいのかは分からないけど、僕に出来る限りの力で、優しくしてあげたかった。
386ユゥとメイリン2 6/8:2011/10/04(火) 20:21:38.34 ID:9uBcTcIX

「ひ…っ……」
びくんと、僕の下にある細い体が跳ねる。
反射的に痛みから逃げようとする身体を、上腕だけで押さえ込んだ。
「もう少しだから。逃げないで」
「あっ……、あっ……、あぁ……」
身体を震わせるメイリンを抱きしめながら、僕は僕の分身を最後まで彼女の中に埋め込んだ。
「分かる? メイリン」
僕はうんと優しく彼女の耳許に囁いた。
「僕ときみが、最後まで繋がってる。これでもう、きみは処女じゃないね」
メイリンがその気になって誘えば大抵の男は喜んで誘いに乗るだろう。どうしてそんな彼女が僕を
選んだのかはまだよく分からないけど、確かに僕が彼女の最初の男になったのだという事実は、
ある種の充足感をもたらした。

「…いたいのは、これで、おしまい?」
メイリンが、瞳を潤ませて訊く。
「さあ…どうなのかな? 僕だって、別に慣れてる訳じゃないし」
ゆっくりと腰を引いた。そしてまた、元の位置まで押し込む。
「あぁっ! …あっ、あっ……」
「まだ痛い? メイリン」
「やっ、いたいっ、動いちゃだめっ。」
「僕は気持ちいい」
ひくり、とメイリンが息を飲むのが分かる。
「きみの中、熱くてきつくて、最高に気持ちいい」
「ほん…と? わたし……きもち、いい? あっ駄目っ! 動いちゃ駄目っ!!」
「ごめん、止まらないみたい」
理性だけで動きを止めるには、初めての女の子の身体は気持ち良過ぎたし、メイリンは
可愛過ぎた。

「だめっ! …なんか、へんなのっ!! からだが、へんっ…! …落ちちゃう!!」
「落ちないよ」
「やあっ、あぁ──っ!! どこかに、落ちちゃうっ!!!」
メイリンはやわらかく身体をのけぞらせて、甘く切なげに叫んだ。
「つかまってなよ、僕に」
そう言うと、彼女は素直にぎゅっと縋り付いて来る。全く、どこまで可愛くすれば
気が済むんだ、このお姫様は。
「それから、痛いんだったら、そんなに可愛い声出しちゃだめ。僕が興奮しすぎて、
優しくしてあげられなくなる。」
「だって、ユゥが…、やぁっ、…あぁっ!!」
「痛いだけじゃないんだろう? さっきから、動かすたびに滑りが良くなって…っ。
ほら、もうぐちゅぐちゅ音がしてる。聞こえる?!」
僕はわざと水音が響くように腰を動かした。メイリンの頬が羞恥に赤く染まる。
「メイリンは、外側は綺麗なお姫様なのに、内側は、いやらしい女の子なんだね。
……いやらしくて、最高だ。」
僕は心の底から、最高、ともう一度口に出した。本当にメイリンは、なにもかもが良すぎる。

「最高すぎて、僕のほうも、もう保たなそうだ。ねえ、終わっていい?」
メイリンは僕に縋りついたまま首を縦に振った。
身体の奥に燻った快感を解き放つように、最後に大きく腰を振った。メイリンの声が、
ひときわ大きく上がる。
「あぁ────…っ、あっ、あぁあぁ────……」
高く甘く響くその声に包まれながら、僕は自分の分身を引き抜き、欲望の塊を彼女の
なめらかな肌の上に放った。
387ユゥとメイリン2 7/8:2011/10/04(火) 20:23:39.22 ID:9uBcTcIX

   *     *     

───ユゥ、起きなさい。もう日が昇ってしまうわ。お父様達はもうお出かけになったわよ。

母さんの手が僕を揺り起こす。

───もう、そんなか。
   母さん、今日はなぜだかひどく体が重いんだ。
   もう少しだけ、寝かせてくれないかな、この懐かしい寝床で。

あれ、変だな? 自分の家なのに、懐かしく感じるなんて。
毎日ここに居て、他のところへ行ったことなんてないのに。
そんなはずは、ないのに。    


「ユゥ? ユゥ!! 起きて。」
気がつくと、鈴を鳴らすような声が僕を呼んでいた。
もうすぐ日が昇るどころではない。すっかり昇りきった陽光が寝台に射し込んで、あたりを
きらきらと輝かせている。
その中でも、ひときわ輝いているのは……。
そうだ、メイリンだ。この綺麗な女の子の名は、メイリン。

だんだん意識が現実に戻ってきた。
そうか、僕は故郷を離れ、シン国の王都に連れてこられて…。
突然、昨夜のことを思い出して赤くなった。
そういえばあのあと、ほぼそのまま寝てしまったのだった。
途中でメイリンが、甘えるように擦り寄ってきて、抱きつかれると身動きが取れないんだけど、
どうしようと思ったとこまでは憶えている。なんのことはない、そのあとすぐに寝入ってしまったらしい。
連日の緊張や、ここへ連れてこられるまでの旅程の疲れも相まって、泥のように眠ってしまった。

メイリンは昨夜とは違ってきっちりと髪を編み上げ、編んだ髪の一房ずつを両脇に垂らしていた。
花の形の飾りのついた簪が、纏め髪を飾っている。
そして落ち着いた色の襦裙を纏って、海老茶色と萌黄色の帯を重ねてきっちりと締めていた。
「わたしはもうすぐ出かけねばならぬから、その前に、朝食を持ってきた。
お腹すいた? 食べられる? ユゥ。」
「ものすごく、すいてる……」
問われて初めて、自分がひどく空腹なのに気づいた。素直にそれを告げると、メイリンは嬉しそうに
顔を綻ばせた。
「よかった。じゃあ食べよう」
手を引かれるままに寝台を出ようとして、はたと気づく。
きちんと装いを整えたメイリンと違って、僕は昨日のままだった。
手枷がついているので辛うじて上衣は体に残っているけど、着乱れてよれよれ。
あれ、手枷がついてたら、着替えとかどうするんだろう。

メイリンは固まった僕に気づいて言った。
「あ…そうか。昨日の服はもう洗濯に持っていってもらったし…そうだ!」
彼女はその辺に掛けてあった上着をしゅっと取ると、僕の腰にぐるぐると巻きつけ、何かの帯で留めた。
「これで、よしっ!!」
上着は紅と金色の花の文様が規則的に並んでいる上質な生地のもので、きっとメイリンのだ。
それを腰に巻きつけた姿というのは、冷静に考えればそれなりに恥ずかしかったが、メイリンが
すごく良い思いつきをしたみたいに得意満面の笑みを浮かべているので、黙って従うことにする。
まあ、ここにはいま二人しか居ないし、メイリンがいいなら良いか。
「朝食を取ったら、あとでおまえの世話をする下男が来る。着替えもそのときに出来る。
旅の疲れもあるであろう、それが終わったら今日のところはゆっくりしておくといい。
わたしたちが帰ったら今後のことを話す。これから、忙しくなるぞ。」
メイリンはそんな風に今日の予定を語った。相変わらず状況がつかめないが、何かを後で
説明してくれるらしい。

388ユゥとメイリン2 8/8:2011/10/04(火) 20:25:40.00 ID:9uBcTcIX

手を引かれて小卓の脇の椅子に座る。小卓には、盆に載ったお粥と香の物があり、お粥は白い
湯気を上げていた。
「ひとり分……きみのは?」
「わたしはもう、兄上様たちと共に頂いた。
これはおまえ用に、温めて貰った。冷めないうちに食べよう。」
とても美味しそうだし、お腹も減っていたけれど、匙を取ろうとすると手枷が盆に引っかかってしまう。
「不便だな、それは。じゃあ…はい。」
メイリンは僕の代わりに匙を取ってお粥を掬うと、息を吹きかけて冷まし、唇の端につけて
熱さを確かめてから、僕に差し出した。
メイリンはすっごいお姫様なのに、こういうところは実に細やかだ。

女の子に食べさせてもらうのもどうかと思ったが、本当に泣きそうなくらい空腹だったので、
目の前の匙を口に含む。
粥は、鶏粥だった。鶏で取った旨みのある出汁に、生姜と葱が効いていて、肌寒い朝なのに、
ひとくちで体の隅々にまで滋養が染み渡って、温まる。あまつさえ、上には薄く切った蒸し鶏も
載っていて、朝からこんな贅沢なものを食べるのは久しぶりだと思った。
「…美味しい。」
「そうであろ? 我が家の料理人は、腕が良いのだ。」
メイリンは、まるで自分自身が褒められたかのように嬉しそうにする。
「急がずに、粥でも良く噛んで食べるのだぞ。空腹なときは特に。」
「……分かってるよ。」
本当に変わってるところは物凄く変わってるのに、こんなところはやけに地に足が着いた感じだ。
もう一度、メイリンの差し出した匙から食べる。美味しい。
メイリンがそんな僕をじっと見てるのが、なんだかくすぐったい。

ああ、なんだろうこの状況。
支配者に決して屈するまいと思っていたのに、一夜にしてすっかり馴れ合っている。
シン国に桂花のクニを滅ぼされ、長年住み続けた土地を追われた、故郷の人たちにどう考えても
申し訳が立たない。

ごめんなさい。いつかあの桂花山へ再び戻る日が来て、皆の前に立つことがあれば、何度でも
謝ります。どんな風にでも懺悔します。

だからいまは、もう少し、このままで。




     ──続く──
389名無しさん@ピンキー:2011/10/04(火) 20:27:40.93 ID:9uBcTcIX

以上8レスです。
続くとありますが、ここでひと段落つくので、今回の投下はひとまずここまでです。

>>377
おおう、間違ってました…御指摘有難うございます。感謝です!


続きが書きあがったらまた来ます。
多分忘れかけた頃にまた来ます。
390名無しさん@ピンキー:2011/10/05(水) 04:23:52.80 ID:EM3AQimO
超GJ !!!!! 堪能した !!!!!
391名無しさん@ピンキー:2011/10/05(水) 10:11:18.92 ID:YIkEPseB
二人とも可愛すぎます(*´Д`)ハァハァ/lァ/lァ/ヽァ/ヽァ
GJ!!!!!!!!!!!!!
392名無しさん@ピンキー:2011/10/05(水) 16:35:06.00 ID:tfHoAbWl
ハウツー本も読んでて知識あるのに処女で誘い受け、
快感に対しての初々しい反応が最高に可愛くてエロいですね〜

なんとなくですが、メイリンの読んだ本とは、学術書を装っているけど
実は男性向けに意図して編集された本なのかなぁwと思ったり。
それを読みながら、つまり女性の私はこうすれば、いやむしろ…とか
真面目に考えながら"勉強する"メイリンを妄想してまた萌えます。
393名無しさん@ピンキー:2011/10/06(木) 04:53:38.99 ID:H2Wx7A2t
>>376
ああ! あの二人の娘か!!
確かに父親似だけど妙に真面目なところは母親似だねw

気の強いお姫様、女性側からの積極的アプローチって展開
好物なので大変おいしくいただきました。続きもお待ちしてます。
394名無しさん@ピンキー:2011/10/07(金) 20:20:51.05 ID:qk3hsDBF
GJ
ファザコンで男勝りって最高だな
395名無しさん@ピンキー:2011/10/08(土) 00:09:33.38 ID:WF973KFQ
GJ!ところどころ女の子らしい顔が覗くのが可愛い
396名無しさん@ピンキー:2011/10/08(土) 01:40:22.51 ID:SYOh1Mjr
GJ

なんか流れ的にこれだけで終わりそうだったけど最後の行を見て安心した
397名無しさん@ピンキー:2011/10/08(土) 11:33:14.34 ID:+CSaa/Kl
GJ
いつもは強気なのに本番になると防戦一方なのが可愛い
398名無しさん@ピンキー:2011/10/16(日) 23:29:52.98 ID:AWBDAiAK
保守
399名無しさん@ピンキー:2011/10/18(火) 10:45:49.90 ID:IWxf/m0W
>>389
ユゥ君、中出ししなくても先走り汁にも
オタマジャクシが含まれているぞ!
これからは口か後ろで我慢しなさい!

やっぱり前主人公の子供や孫の話はいいな。
また書きたくなってきたぜ
400名無しさん@ピンキー:2011/10/23(日) 22:51:37.74 ID:7ZU6tCrY
保守
401名無しさん@ピンキー:2011/10/28(金) 22:34:55.04 ID:dHLa/utT
偽物?の東宮に強姦される実は正真正銘の皇女様は?
402名無しさん@ピンキー:2011/10/29(土) 01:11:04.40 ID:lOw09/iB
このスレのお姫様っていうのは西洋のだけ?
403名無しさん@ピンキー:2011/10/29(土) 03:05:23.51 ID:Ltx3FN+/
>>401
アリでしょw
日本のお姫様もとてもよい
古代を除いて皇女はほとんど結婚しなかったというところも良い
もちろん天皇に入内も降嫁もあったしそれはそれでいいが、
斎宮斎院なんてのも萌える
斎院なのに恋したら狂斎院と呼ばれちゃった姫がいるとかね、萌え要素はたっぷりです

>>402
中華もあったというのになにを言ってるんだw
どんな国でもアリだろう
姫=王の娘ってわけじゃなく高貴な女性のことでもあるから、
大名の娘とかでも姫だし、貴族の娘でも姫だろう
404名無しさん@ピンキー:2011/11/09(水) 00:27:37.07 ID:1HzsCBjF
>>389
遅レスだけど久しぶりに来たら中華の姫の続編来てた!
しかも娘!可愛いし、ファザコンだし!超期待しています


覇王の娘〜書いてた者です。ボーイッシュな姫様モノ書いたんですが
投下してもいいですか?
405名無しさん@ピンキー:2011/11/09(水) 00:36:30.33 ID:GGVIectq
>>404

是非
406名無しさん@ピンキー:2011/11/09(水) 21:22:51.01 ID:tPUqYz7U
>>404
よしこい
407名無しさん@ピンキー:2011/11/10(木) 00:05:57.41 ID:DSR9rAh+
覇王の娘〜外伝
前編
エロ無し



「嫌ですよ父上。そもそも、今回の外交が『お見合い』だって僕は聞いていませんでしたし」
「それでも何人かいただろう?ラズライト公の姫など、適任だと思うが……パーティでも
向こうから話しかけて来たそうじゃないか?」
「えーえー、確かにハイエルフのお姫様は清楚な感じで綺麗な人でしたよ」
「そうだろう、そうだろう」
うんうんと実に満足気に王は頷いた。
「でも、その姫が頬を赤らめながら『あの…皇子様…わたくし…
実はとんでもないマゾヒストなのでも、もし…一緒になった暁には…
あの…その…毎晩…は、激しく虐めて、破壊して下さい』
って言った瞬間……僕の絶望感がどれほどだったか……想像できます?」
「……え?」
王は皇子の言葉に一瞬、時が止まった。
「その前に行った国の王女なんて
『皇子様、1日に何回くらい自慰しますか?私は1日に3回はしてしまいますの。
今も…皇子様の事を思うだけで手が勝手に…』とか…他の王女は
『わーい、お兄様、一緒にお風呂に入りましょ♪』ってあれ犯罪ですよね!あの王女様何歳ですか!?
あとは一見まともそうなワーウルフの姫なんて
『私ね、四六時中交尾のことばかり考えているの。
後ろからパンパンって激しい交尾を想像すると…ね、皇子様…私と子作りしましょうよ♪』
とか力ずくで迫ってくるし!皆、初対面ですよ!?
だいたい皆、これみよがしに胸だの太腿だの強調しているドレス来ていますし!!
もちろん全員、丁重にお断りしましたが………父上、人選を誤っていませんか?」
(テ、ティファニー…お淑やかな感じだったのに……え、Mだったのか…
しかも子供にまで遺伝して…第一候補だったのに!他の王女も…ああ…)
なにやらボソボソと毒づいている王に皇子は再度言った。
「父上」
「ええ、あー……ああ……それは…なぁティータ」
王は困り果てて、馬車に同席しているダークエルフの女秘書官に助けを求めた。
「はい、陛下。容姿、性癖等は全て陛下の御趣向に合わせて選抜致しました」
顔面蒼白な父を見て、皇子はボソっと呟いた。
「………父上、母上に言いつけますよ」
王の愛を一心に受けるために側室を廃した后の耳に入れば、どうなるか…
サァァー…と王の顔から血の気が引いた。
408名無しさん@ピンキー:2011/11/10(木) 00:06:33.35 ID:DSR9rAh+
「ティータ、頼むからそういった冗談はやめてくれ。心臓に悪い」
「はい、申し訳ありませんでした。殿下、これは私の冗談です」
真面目な顔をして秘書官は言った。
「本当かな……?」
横目でチラッと父を見る皇子。
その視線から逃れるように、王は明後日の方向を向いた。
「あ〜ゴホン、確か…そういえばこの近くにも国があったな」
「はい。国名はヴァルズガイスト、大きな湖の近くに王の居城があります」
「…ヴァルガ…ヴァルズ…なんっだって?」
「ヴェルガズイズド、強そうな国名だから覚えていたんだ」
「陛下、僭越ながら正しくはヴァルズガイストです。古代語で『武道』を指し、
その名の通り大戦以前より武術に優れた者を多く輩出しています。
また旧帝国と同盟関係にあり、大戦勃発後も自治を認められていた国です」
「それはすごいね……御祖父上様は近隣諸国は全部併合していったって母上から聞いていたけど…例外な国か」
皇子が身を乗り出して言った。
「しかし、もともと耕作に適した土壌が少なく、大陸の中でも5本の指にはいるほどの小国です。
初代の王は先王様の戦友の一人であったのですが大戦前に亡くなっています」
「そういえば、その話は后から聞いた事があるな。確か…第一王子がニ代目として戴冠したとか…」
とこれは王が言った。
「はい。大戦中に若くしてその第一王子が戴冠し、現在にいたります。子女に関しては……」
ティータが資料を何枚か捲り、言った。
「病死した后との間に王女を一人もうけています。年齢は殿下より一つ下か同い年のようです」
「その王女の写真はないの?」
皇子が言った。なかなかに面食いらしい。
「は…何分、辺境ですので……ですが初代の王は大戦以前、帝国内でブロマイドが出回るほどの
美男子だったそうでして、現王もその血を受け継いでいるそうです。また無くなった后も美女だったそうです」
「そうか……」
ティータの言葉を聞き、王は少し思案するような仕草を見せ、言った。
「早馬を飛ばしてくれないか……予定にはなかったが訪問しよう」
「は…?し、しかし、ヴァルズガイストまでは距離にして5日ほどかかりますが…」
ダークエルフの秘書官はやや難色を示した。
旧帝国の王が訪問とあれば、小国とはいえ、それなりの準備がある。
「諸外国を訪問……といっても、ほとんどお忍びのようなモノだ。
それに元同盟国なら対応は心得ているだろう。7日後に立ち寄ると伝えればいい。
それまでその城の近くの湖畔に陣を張ろう」
「畏まりました、陛下」
409名無しさん@ピンキー:2011/11/10(木) 00:10:21.84 ID:Sp1EToz9

覇王の娘〜SS『帝国の皇子と小国の姫』

ボクの名前はスティア=ヴァルズガイスト。
ヴァルズガイスト…って厳つい姓だけど、古代語で『武道』という意味。
ボクはその名前を冠する国の第一王女だ。
だけど……国とはいうものの、その規模は大陸の中でもワースト5位には入る程の小さい国だ。
これっといった観光名所もなく、耕作面積も大きくはない。
国民が餓えることはないけど、いかんせん収穫量が少ないので
実に質素な食事で日々を過ごさなければならなかった。
それは王族も例外じゃない。本来ならば、こういった小国は先の大戦で滅んでいるのだが
この国がやってこられたのは『武道』の名を冠するだけに武術に長けた人材を
多く輩出して帝国の同盟国として大いに貢献してきたからだ。
亡くなったお祖父ちゃんが帝国の亡き王と古い友人だったということも大きかったんだろう。
戦時中でも物資がどっさり送られてきた。しかし終戦をむかえ、帝国の領土が縮小されてしまい、
それに伴ってボク達の国は大戦前に逆戻りしてしまった。
質素な食事……王族なのにイワシの缶詰を食べているのはウチくらいしかなんじゃないかな?
大陸が平和になったのはいいけどさ。
410名無しさん@ピンキー:2011/11/10(木) 00:15:49.40 ID:Sp1EToz9
そんなある日、なんとこの国に旧・帝国の新王と皇子が訪問するという知らせが来た。
しかも7日後に――――――
知らせを受けた城の中では侍女、侍従、文官、兵士、大臣達が忙しく動いている。
国賓を迎える式典準備に、色んな書類、警護、清掃等々、みんな手慣れたものだ。
しかし、問題なのはボクの食事だ。いつも質素な食事を新王に出すわけにはいかない。
従ってこの先1ヶ月分の食材が全て晩餐会につぎ込まれる。
つまり、いつも質素な食事がさらに質素になるのだ。
朝・昼・晩の食事はお粥に干し肉かチーズの切れ端、葡萄酒を3倍の水で薄めた貧乏酒、最後に塩。
これは50年くらい前の船乗りの食事か?晩餐まで7日もある…3日辺りから気が狂いそうになった。
「父上……今夜はゆで卵がありますね」
「言うな娘よ……悲しくなる」
これが王と王女であるボクの会話……ああ、無情。
しかも薪もオーブン用に注ぎ込まれるので身体を洗うのは近くに流れる川だ。
今は忙しいのでお付きの侍女もいない。
ボクはベルトを緩めてズボンを脱ぎ、ブーツやシャツ、下着を脱ぐ。
スカートや女モノの服は何かの行事の時しか着ることはない。
そもそも川に来る時にフリフリのスカートなんか履いてきたら
小枝に引っかかって邪魔にしかならない。
ボクは素っ裸になると大きめのタオルをもって川に入って行く。冷たくて気持ちがいい。
この川は近くにある湖へと流れ込んでおり、流れも緩やかで身体を洗うのには適している。
泳いで岩場の陰まで来ると持っていたタオルと石鹸でごしごしと身体を洗う。
「う〜ん……少し、育ったかな?」
ふにっとボクはおっぱいを触って呟いた。おっぱいそこそこ
お尻の肉付きは少し余分かもしれない…年相応だろうか?
411名無しさん@ピンキー:2011/11/10(木) 00:16:44.37 ID:Sp1EToz9
いやいや、以前侍女に借りて読んだ諸外国の姫様はこんなモンじゃない。
特に東の公国…ラズライトのハイエルフの姫様は女神みたいだ。
水位は腰までの深さだけど、ボクは背面の格好で目を閉じ、流れに身を任せた。
「ん〜いい気持ち……」
――――ガサッ――――
微かな者音、閉じていた眼をパッと開き、川底に足をつけて振り向いた。
そこには一人の少年がいた。年齢にすると同じ年齢くらいだろうか、ぽかんと口を開けている。
「あ………」
「あ………」
気まずい沈黙が流れる、ボクはおっぱいを手で隠して。
「見た?」
ボクの第一声はソレだった。そんじょそこらのお嬢様みたいに
「きゃあああ」なんて反応はしないし、そもそもできない。
「――――ッッ見てない、見てないよ!?」
あわてて少年は弁解する。身なりからしてかなりいい身分なのだろう。
旅行中の貴族の子息が迷い込んだのかもしれない。
「ふぅん…………でも、今は見ているよね…」
「あ…う…ご、ごめん!」
少年はあわてて後ろを向く。タオルを身体に巻き付け、ボクは川に身を沈めた。
「もうこっち向いてもいいよ」
少年はおずおずと向き直った。
(……貴族であればそれ相応の対価を貰わないとね)
ボクは胸中で笑い、手を差し出した。
向き直った少年はきょとんとして言った。
「手を引けばいいの?」
んなワケないだろう?出すもの出せってーの
「違う、違う。わかるでしょ?ボクの辞書に『無料』って言葉はないの」
「ボ、ボクって………君、女の子だよね?」
だからなんだ?女は一人称が『私』じゃないといかないのか?
「そんなことどうでもいいじゃない。『わたくし』とでも言って欲しいの?
冗談じゃない。ボクはそういう言葉遣いが嫌いなの」
んべっと舌を出して言ってやった。
「わかったよ、じゃコレでいい?」
少年は渋々、革袋から硬貨を3枚取りだした。
「はぁ?硬貨じゃないよ、紙幣!それも最高額の紙幣3枚!」
舐めやがって、貴族のクセにせこいヤツだなーもう!
「そんなに!?」
「この身体に不満があるっていうの?」
ボクはタオルに手を掛けた。見せるつもりはないけど。
「わ、わああああっ!タ、タオルを取らないで!は、払う、払うから!」
そう言って少年からお金を手に入れたボクは上機嫌で城に帰った。
412名無しさん@ピンキー:2011/11/10(木) 00:17:04.21 ID:Sp1EToz9
お金はこっそり貯金して、十分に貯まったらいつかは行ってみたいお忍びの海水浴。
生まれてから海を見たことがないボクにとっての密かな夢。
はあーあ…帝国のお姫様はいいよねぇ…きっと最高級のホテルに美味しい料理、
ふかふかのベッドで夏の海を楽しむことができるんだろうなぁ…
そんなこんなで城に帰り、ベッドに潜り込む。
ああ…ホントに羽毛100パーセントのふかふかベッドが羨ましい。
そして旧帝国の王と皇子が来国する日になった。旧帝国の王に会うのはこれが初めてだ。
なんでも元勇者軍の一員で大戦を終戦に導いた一人だとか、
大戦中、共に戦った皇女様と恋仲になったとか色々な逸話がある人物だ。
少し前にそれを原作にした本が出て、ベストセラーになった。
特に若い女性を中心に爆発的に売れたらしい。
ボクも購入して読んだ。脚色はあるのだろうけど、なかなかおもしろかった。
それにエッチな部分もけっこうあったのでオカズに使ったことは内緒だ。
そんなことを思案していると父上が耳打ちしてきた。
「娘や、お前はただ黙ってにっこり微笑んでいればいいのだぞ」
「はいはい、笑いますよ。お国の為に、民の為にってね。でも父上、ちゃんとお辞儀
できるかわからないよ。『てぃあら』でしたっけ?このちゃらちゃらした飾り
……重くて、重くて床に頭突きしちまいそうです」
父上はしばらくこめかみに手をあて、言った。
「死んでも喋るな。頼むから」
「あいよ、父上」
そして件(くだん)の王とその皇子が謁見の間に入ってきた。
うん、王様はナイスミドル、お髭もセクシー、渋いぜ。
……で、皇子の方は――――――眼があった。
「あ………」
「あ………」
ボクと皇子の声がハモった。

続く
413名無しさん@ピンキー:2011/11/10(木) 01:14:46.13 ID:ZBz9kJrS
乙!
そしてドMハイエルフ王女の話が気になって仕方がない(ぇ
414名無しさん@ピンキー:2011/11/10(木) 09:58:01.41 ID:abTLofhr
ハイエルフ王女は政略結婚の為に、そしてそれで国が守れるならと進んで調教されたんだろう、多分
415名無しさん@ピンキー:2011/11/10(木) 09:59:08.70 ID:d3finnxl
乙乙!! 続き期待!!
皇子様頑張れ。てかパパ頑張れ。
416名無しさん@ピンキー:2011/11/11(金) 01:01:45.56 ID:hNs5pqcq
遅ればせながら乙
 ボーイッシュかわいいよ、ボーイッシュ
417名無しさん@ピンキー:2011/11/13(日) 11:00:26.35 ID:zHQfvy8V
>>407 乙!
姫様が増えるのは喜ばしい。
続き期待。

投下します。

ユゥとメイリン3 です。
注意:非エロ〜微エロ
7レスの予定。
418ユゥとメイリン3 1/7:2011/11/13(日) 11:02:29.82 ID:zHQfvy8V
その年の秋、僕らの『クニ』は滅んだ。
新たな領地の領有を主張して大国シン国と衝突し、開戦した。
戦いが始まってしまえば、力の差は歴然としていた。圧倒的な兵力の差に、僕らはなすすべもなく
踏み潰されるしかなかった。
静かな山地である桂花山で、ひっそりと焼畑による農業を営む僕たちが、どうして大国シン国と戦を
構えなければならなかったのかと言えば──ただ、飢えていたのだ。
はじまりは、旱魃による不作だった。暑く、雨の降らない夏があり、井戸は枯れ、川は干上がり、
作物は収穫を待たずして枯れた。
その年は、まだ良かった。僅かながら蓄えもあったし、森の恵みはまだ充分にあり、食べられる
木の実や野草、それに森の獣や鳥を狩って凌ぐことができた。

だが、次の年は、寒い夏だった。
作物はまたしても実らず、森の木の実も多くは青いままだった。
僕らのクニにあった蓄えは、そこで尽きた。次の年まで食いつなぐには、野草や木の皮、木の根まで、
口にできるありとあらゆるものを食べた。
次の年にはほどほどの実りがあったが、蓄えが尽きていた僕らは早い時期に収穫せねばならなかった。
その頃から森は荒れ、森の獣も鳥も、目に見えて減っていた。
まるで何かの、歯車が狂ってしまったようだった。焼畑のために放った火ではなく、失火による
山火事も何度かあったし、僕らは尽きた蓄えを増やせないまま、収穫の細った森の恵みに頼っていた。
僕自身もまた、何年ものあいだ、お腹いっぱいに食べたことなんてほとんどなかった。桂花の民の中には
飢えのために病に罹って死ぬ者もいた。
僕らはシン国とは極力交流を持たずに暮らしていたが、こっそりと山を下りて食糧を調達してくる者たちも
いた。けれど元々、僕らにはシン国で価値のある財貨などの蓄えもなく、僅かな宝石などの家宝も次々と
買い叩かれたのだった。

そして、この夏。
前の旱魃から五年目に当たる年、再びひどい旱魃に見舞われたのを機に、僕らは遠い祖先が領有していた
という山の麓のいくつかの丘地の所有権を要求した。当然その土地の現在の主であるシン国は僕らの勝手を
許さず、交渉は決裂して秋には開戦に至った。

僕らの『クニ』だって、全く勝算がないまま戦を始めたわけではない。多くの桂花の民はそう思っていた
のだろう。
もう昔語りにしか残らないほど遠い昔、シン国の前の前の王朝あたりのときに、この巨大な中華の国と
戦って、そこそこの勝利を収めていたのだ。
しかしそのときの戦いは、自陣に深く敵を誘い込んでの、地の利を生かした戦いだった。狭い山道では、
おのずと敵兵も細い列にならざるを得ない。そのときの桂花の民は、鬱蒼とした森の木々の間に身を
潜めての挟撃、岩落とし、炎攻めなどを駆使して敵将を討ち取ったらしい。
あとから考えると、僕らが地の利のある桂花山を降りて戦おうとした時点で、もう負けは見えていたと
言わざるを得ない。そして後でシン国側に残った前の戦いの記録を見せてもらったことがあるが、前に
僕らが勝ったと思っていた時の王朝は、さして大きな国でもなく、既に内政は乱れており、山奥の蛮族
との戦いにあまり重きを置いていなかった。
桂花山はさして魅力のある土地でもなく、そのときの王は、境界線をほどほどのところで引いて終わりに
するのをよしとしたのだ。


この秋、身の程知らずの要求をした山奥の弱小民族に対して、シン国は精鋭の正規軍を差し向けた。
初めからあまり時間をかけず、短期決戦の構えだった。
そして僕らは、捻り潰された。
残った人々は、女子供に至るまで全て捕虜となり、先祖代々の土地を離れてシン国に隷属することになる。
419ユゥとメイリン3 2/7:2011/11/13(日) 11:04:44.83 ID:zHQfvy8V

それでも、僕は願った。
お願いだから、あきらめてしまわないで。どうか、生き残って。
狂った歯車は元に戻せないと、全てを投げ捨ててしまわないで。
たとえ桂花の山を失い、散り散りになったとしても、僕らの誇りを忘れないで。
貧しくとも僕らは山の神々と共に生きていた。どこへ行くにしても、神々はきっと僕らとともに在る。

僕の切実な訴えは、果たしてどのくらい彼らに届いたのだろうか。


桂花の民の先陣部隊は、ほとんどがあっという間に戦死するか、捕らえられてしまった。

──残った後続部隊と、里に残る女子供を、我々シン国の指示に従うよう、説得すること。

それがあの『偉い人』と交わした約束だった。

──彼らは全て捕虜となってこの地を離れて貰う。 
  従順である限りは、身の安全と食の確保を約束しよう。
  ただし、反抗する者は、即座に斬る。

戦のときに負った傷が元で、その後すぐに高熱を出してしまい、どこかの施療院らしきところに
放り込まれてしまったので、生き残った人たちがその後どうなったのか僕は知らない。

何日くらいそこで、寝ていたのかも憶えていない。ともかく傷が癒えるまではそこで留め置かれ、
それから王都までの長い旅程を馬車の荷台で辿ることになる。


     *     *     *

「……。」
「……。」
「……。」
「……。」

夕方になって帰宅したメイリンの家族との対面は、まず無言の睨み合いから始まった。
メイリンの言ったとおり、昼に着替えをさせてもらったものの、僕の両腕にはまだ木製の手枷が
嵌ったままだ。
「父上はいつもの通り、どこかへお出かけになっておられる。母上もいつもの通り、お仕事が忙しく、
帰りは夜半頃になるであろうと。
というわけで、いま会わせておけるわたしの家族を紹介しておく。
一番右に居られるのがわたしの上の兄君で、ユイウ兄様。刑部で市中警邏の仕事をなさっておられる。
その横が、下の兄君で、スゥフォン兄様。こちらは戸部の通商部で、王都と他地域の商いの認可の
お仕事をなさっておられる。
一番左が、わたしの弟。名前はシゥウェン。わたしと同じ盛陽学院に通っており、なかなかの秀才だ。」
その中でひとり、上機嫌で話し続けているのが、メイリン。にこにこと僕のほうを見て喋っているので
気付かないようだが、後ろのメイリンの兄弟たちは揃って僕のことを視線だけで射殺しそうな勢いで
睨んでいる。なんか恐い。

「…ねっ、兄上様?」
くるりとメイリンが振り返った途端に、妹に柔和に微笑む兄の笑顔に早変わりして、その見事な豹変ぶりに
僕は目を剥く。弟のほうは若干無表情で、視線の険しさが瞬時に消えるくらいか。
恐い。シン国人なんか恐い。
420ユゥとメイリン3 3/7:2011/11/13(日) 11:06:45.79 ID:zHQfvy8V

「兄上様たちにはかねてからの約束通り、ユゥに武芸と学問を教えて頂く。
ユイウ兄様には剣技を、スゥフォン兄様には地理と通商学と歴史学をひととおり。
そのほかはわたしが教える。」

「姉様、僕は?」
一呼吸置いて、一番左にいたメイリンの弟が声を上げた。
「ああ、シゥウェン。おまえの賢さはよく分かっているが、まだ幼い。
いまは自分の学業にしっかりと励め。必要以上に他人に時間をかける必要はない。
おまえの賢さには、皆が期待しているのだからな。」
メイリンは急にお姉さんぶった口調で話し始める。
「姉様だってまだ学院生でしょう。そんなのに関わっている暇は、ないんじゃないの。」
「ふむ。そうは言っても、ユゥはわたしの従僕として頂いたのだから、私が責任を持って教育せねばならぬ。」
彼は少し幼さの残る顔立ちを、不満そうに歪めた。メイリンよりも二、三歳下だろうか。

「俺達年長の奴らにはもう期待も何も無いから手伝えって?」
右側に立っていた年長の兄、と紹介された男の人が口を開いた。一番背が高く、鍛え上げられた精悍な
体つきをしている。男らしい顔立ちだが、目元はメイリンにそっくりだ。
「そんな、兄上様方はそれぞれの部署で将来を嘱望される優秀な人材ではありませんか。だからこそ、
ユゥの教育に力をお貸しいただきたいとお願いしたはずです。
特に、ユイウ兄様の剣技は既に母上様をも凌駕するほどです。ユゥは是非、兄上様の御指導を
賜りたいのです。」
「確かに山出しの小僧がひとり、来るとは聞いていたが……こんなどこの馬の骨とも知れん奴とは
聞いていない。」
「何を仰っておいでです? ユゥはウォン家の三男、身元はしっかりしております。」
彼は少し苛々したように視線を彷徨わせた。
「それがしっかりした内に入るか。……そうではなく、おまえ付きだとは聞いていない。」
「ユイウ兄様、兄様もわたしが父上にそのことをお願いした、あの場にいらしたではありませんか。」
メイリンはくすり、と笑った。
「……だからわざわざ俺に分からん言葉を使って交渉したのか!! 
あんな辺鄙な山奥の方言など、いちいち憶えられるか!!」

メイリンと上の兄君が言い合っている間、僕はスゥフォンと紹介された次兄から観察されて、いや、
静かに睨みつけられていた。
顔立ちは、メイリンの父親であるあの『偉い人』に一番似ているかもしれない。少し癖のある髪を
結い上げて、整った、表情の読めない顔をこちらに向けて、深い色の瞳でじっ……とこちらを見ている。
なんというか、蛇に睨まれた蛙というのは、こんな気持ちなんだろうか。見られているだけなのに、
脂汗が出る。
「兄様、わたくしのたってのお願い、聞き届けていただけませんか?」
少し次兄のほうに気を取られている間に、メイリンが褒める戦術から媚びる戦術へと路線変更したようだ。
僕にも妹がいるから分かる。とびっきりの可愛い声で、少し上目遣いに媚びた目で『お願い』する、
特に可愛がられている妹ならではの必殺技だ。
「……っ。別に、駄目だとは言っておらぬ。父上から仰せつかっていることだしな。」
そして可愛い妹を持つ兄の例に漏れず、この家の長兄もまたメイリン必殺の『お願い』には弱いようだった。
「良かった、ユイウ兄様、大好きっ。」
メイリンは、背の高い兄にぎゅっと抱きついた。多分この兄妹の中で、メイリンが最強なんじゃないだろうか。
421ユゥとメイリン3 4/7:2011/11/13(日) 11:08:50.72 ID:zHQfvy8V

「ところでメイリン、教える範囲なんだけど」
僕を静かに睨んでいたメイリンの次兄は、すっと表情を入れ替えるようにして柔和な笑顔を浮かべて
メイリンに話しかけた。
その隙に長兄のユイウという人が、僕とがっしりと肩を組んで、メイリンに背を向けるようにして話し始める。
「よぉ、馬の骨。」
不穏だ。口許は笑っているが、目は笑っていない。
表情を強張らせた僕に、彼は低い声で訊いた。
「おまえ、うちの妹に手を出したのか。」
「えっ?」
「訊かれたことには正直に答えろ。おまえ、昨夜うちの妹に手を出したのか。」
かなり、恐い。でも、メイリンは兄達に焚きつけられたとか言ってたので、ここは正直に答えておかないと
まずい気がする。
「出しました。」
「最後までか。」
「最後までです。」
「よし、死んどけ。」

彼は表情も変えずにそう言った。
ひっ、という短い悲鳴さえ上げる余裕は無かった。せめて何か抵抗しようにも、手枷が嵌っていて自由に
動けない。視界がじんわりと暗く霞み、訳も分からぬまま闇の底に沈んでゆくような感覚に恐怖した、そのとき。
「ユイウ兄様、ユゥを苛めないでっ!」
メイリンの、声がした。
首に巻きついていた腕が離れ、げほげほごほごほ、と咳き込みながらやっと、息が苦しいという感覚もなしに
首を絞められていたのだと気付く。
「苛めてるんじゃない、既に稽古だ。手の自由を奪われたくらいで弱くなるなど、本当の強さじゃない。」
座り込んで頭痛と眩暈に耐えている僕の視界に、いい匂いと共にふわりとメイリンの裳裾がひらめく。
「もぉっ!! そういうのは、ユイウ兄様くらいの達人の話でしょう!!
ユゥはまだこれからなのだから、弱い者いじめです!!
手枷がついてるうちは、兄上様達に任せては危ない。稽古は手枷が外れてからですっ!!」

メイリンは怒ったようにそう言い放つと、僕の手枷の嵌められた手を取って歩き出した。
僕はふんわりとした服の裾が僕の服に纏わりつくようにひらひらと舞うのを、不思議な気持ちで眺めていた。
「父上のお許しが出れば、その面倒な枷も外して貰える。
明日か、多分明後日までにはお許しが出ると思う。『二、三日大人しくしていれば』、外してくださると
仰ったから。
だからユゥ、しばらくは、大人しくしていてね。」
しばらくも何も、こんな手枷をつけたまま大人しくする以外にどうしていればいいのだろう。
「父上は一旦お出かけになったらいつお戻りになるか分からないからね。ひと月お戻りにならない
こともざらだよ。」
後ろから、メイリンの次兄のスゥフォン様が口を挟んできた。あくまで優しげな口調で。しかしその
内容には毒が含まれている。
「違いますっ! わたくしに二、三日と約束なさったのだから、父上はちゃんとお戻りになられますっ!!」
「いいから離れろ、年頃の娘が、はしたない」
今度は大きな手がぐい、と僕とメイリンをふたつに分けた。上の兄、ユイウ様だ。
「兄上様方、今日はもういいですっ!! 後はわたしが、邸を案内しますから!!」
「案内なら俺たちもいたほうがいいだろう、なあ?」
後ろを見ると、メイリンの兄弟たちは三人とも付いてきていた。

422ユゥとメイリン3 5/7:2011/11/13(日) 11:10:51.96 ID:zHQfvy8V

メイリンに小声で聞いてみる。
「なんか昨日、『兄上達に焚きつけられたから』みたいなこと、言ってなかった? それにしては
雰囲気がやけに恐いんだけど。」
「ど・こ・の・世界に、可愛い妹にふしだらなことを焚き付ける兄がいる?! 常識的に考えろ!! 
もう一遍死んどくか?!」
即座に頭上から威圧的な声が降ってくる。うわあ、昨日の今日で常識を要求されるとは思わなかった。
常識ってどこに行けば貰えますか。それって美味しいですか。是非教えていただきたい。
「兄上様達は、いつもこうなのだ。わたしが何かしらしようとすると、いつもお前には無理だ、
やめておけと邪魔をなさる。だからわたしは必ずやり遂げる、と宣言したのだ。」
メイリンは少し口を尖らせて言った。彼女の中では全くこの論理に矛盾は無いようだった。
そういえば昨日、父親の意向についてはしつこいくらいに聞いたけど、兄君の意向については言及し忘れたような。

「くっ…! この、はねっかえりが……!!」
屈強そうなメイリンの兄は苦々しげに言った。でもその言葉の端々に、妹をどうしようもなく可愛く
思っている兄の情が滲み出ている。
それで漸く、さっきから命の危険に晒されている理由が分かってきた。
メイリンの兄弟にとっては、僕は可愛い妹に付いた悪い虫。つまんで地面に捨てて踏み潰したい存在なのだ。
一応僕にも妹がいるので、その気持ちだけは分かる。

「それにしても、あれだけメイリンを溺愛している父上が、こういう下僕の存在を許すとはな。
来たとたんに一刀両断にされるかと思っていたが。」
「僕は端から細切れにして塩漬けにされるかと思っていたけどね。」
あくまで無骨そうな長兄に、次兄が優雅に応える。しかしその内容は、優雅とは程遠い。
「気にするな。兄上様方も、こういった御冗談がお好きなのだ。」
微妙な表情をしている僕を覗き込んで、花のような笑顔を浮かべたメイリンがそう言う。
メイリンの中では、完全に冗談ということで決着済みのようだった。が、僕には完全に本気にしか見えない。

「あ、あのね。さっき学問とか武芸とか言ってたけど、なんのこと? 僕はこれからここで、何をすればいいの?」
「馴れ馴れしい口を利くな。身分を弁えろ。」
メイリンに尋ねると、答えより先に後ろから厳しい声がかかる。
「ふむ。ユゥはわたしが貰った、わたしの従者。わたしの役に立つ人材になって貰う」
武芸だの学問だのと、奴隷には過ぎた待遇のような気もするが、そうか、役に立つためにはそれなりに
物を知っておけと言うことか。
「つまり、今のままでは全く役に立たない邪魔者というわけだね。」
やはり後ろから茶々が入る。
「もぉっ! スゥフォン兄様までっ!! 邪魔なのは兄上様のほうです、もうついてこないでっ!!」
「本当のことですよ、姉上。現状は正しく認識しないと、成長もありません。」
「シゥウェンまで。もう、う〜る〜さ〜い〜!」
メイリンはうんざりした声を出した。でも、だんだんこの兄弟の関係が見えてきた。
一番上の兄、ユイウ様は、強そう。そしてやや無骨。
二番目の兄、スゥフォン様は、上品だけど中身は怖そう。
メイリンの弟、シゥウェンは無口で、たまに言う一言がキツい。
兄弟仲は良く、そしてみんな、メイリンが好き。必然的にメイリンにつく悪い虫、僕のことは嫌い。

僕の立場は結構微妙なとこにあるみたいだ。
特に上の兄、首を締められて数秒で意識が遠のくとか、危険すぎる。

423ユゥとメイリン3 6/7:2011/11/13(日) 11:15:07.85 ID:zHQfvy8V

回廊を歩いていたメイリンが、ひた、と歩を止める。
「ここから向こうが、北の棟。北の棟は、父上と母上の居室。入っては駄目、憶えておいて。」
僕は辺りを見廻して、回廊脇の中庭に橙の木があるのを見つけた。美しく色づいた実が、もがれずにいくつも
実っている。夕暮れの明かりの中でその枝ぶりと葉の大きさを、僕は必死に記憶に留めた。
「母上は厳格な方だからな。おまえがメイリンに手を出したことが知れたら、即座にぶった斬られるぞ。」
上の兄、ユイウ様は楽しそうにそう言った。
「やめてください兄上。ユゥが固まっています。
大丈夫だからね、ユゥ。母上様は厳しいが、慈愛に満ちた方だ。ちゃんと話せば、必ず分かって下さる。
その……えーっと、近々、ちゃんと話す。それまではくれぐれも、北の棟には足を踏み入れないで。」
メイリンは最後のほう、目を泳がせて言った。ちょっと本当に大丈夫なの。
「メイリンは、母上の厳しさを甘く見すぎだ。むしろ今夜にでも行って、早々に斬られればすっきりする。」
「わだかまりは早いうちに解消したほうがいいしね。」
もちろん後ろの兄君達は上機嫌だ。振り返るとメイリンの弟も無言で頷いて同意を示している。

「もぉっ! みんな、ユゥは……わたしの、大事な、従者なのだから、苛めないでっ。
行こう、ユゥ。」
メイリンは枷のついた僕の腕に、細い腕を絡ませて早足で歩き出す。でもその速さは、後ろの兄弟を
完全に振り切ってしまうほどではなくて、やはり兄妹の仲の良さを感じさせた。
「ちょっと待て、おまえら、くっつき過ぎだ。」
「兄上っ! ユゥの件は、他でもない、父上様にお許しを得ているのですっ!!
ですから、兄上であろうと、例え母上様であろうと、文句は言わせませんっ!!」
年上の兄君達も、メイリンの気迫にはちょっと気圧されたようだった。でもメイリン、そんなに
ぎゅっと腕を抱え込まれたら、その……胸のふくらみが…当たる。

「まあ…いいか。そのうちそいつがヘマをして、父上に斬られることになるだろうしな」
「ユイウ兄様は、野蛮だなあ。一刀両断なんて、苦痛を感じさせる暇もないじゃないか。
殺すにしても、もっとじっくりゆっくり苦痛を味あわせてからにしないと。」
「…おまえ、そういうとこは父上似だよな。」
後ろのふたりは、僕に聞かせるように会話している。多分…気にしたら負けだ。
「もぉっ! 兄上様方、ユゥが怯えますっ!
父上様とて道理を弁えた御方、わたしの大切な従者であるユゥに、非道はなさいません!!」
メイリンはあくまでそんなことはないと言い張る。
「ユゥ、わたしはおまえの主。おまえの事は、わたしが守るから。」
メイリンは揺るがない瞳とまっすぐな声でそんなことを口にする。僕が守られる側ってのはちょっと
情けないが、こんなときのメイリンはかっこいい。どのみち僕としては、メイリンを信じてついて
行くしかなさそうだ。
それはそれとして……当たってる、柔らかいとこが。

「ユゥの当面の目標は……そうだな、まずはわが国のことを学び、わが国の考え方を、知恵を学び……
その上で、おまえの『クニ』とわたし達の国が、なぜ戦わねばならなかったのか、他の道はなかったのか、
おまえの言葉で、わたしに語れ。」
「……えっ。」
なぜ、戦わねばならなかったのか。こんなにも巨大で、圧倒的な国を相手に。
そんなこと、僕が聞きたい。
メイリンは、僕の動揺が分かったみたいだ。
「案ずるな、お前の知らぬことを、答えよという訳ではない。
ただ、おまえの部族の者は皆、頑なで、自らの都合をまくし立てるばかりで話にならぬのだ。
いまは……まだよい。わたしとおまえでは、育った土壌も、培ってきた知識も習慣も、何もかもが
まるで違う。
まずは学ぶのだ、この国の在りようと、文化と技術を。そしてわたし達が見てきたものを知り、
同じように世界を見ることが出来るようになって、その上でおまえの知るところを語れ。」
メイリンが何を聞きたいのか、何を知りたいのか、今の僕には分からなかった。
ただあの戦が、僕達が何もかもを失った愚かなあの戦が、何故起こったのか。それは、僕こそが知りたい
ことだ。
もしかしたら、故郷に向かう道筋も、その中から見えてくるかもしれない。

424ユゥとメイリン3 7/7:2011/11/13(日) 11:17:14.10 ID:zHQfvy8V

「わかった。……よくは分からないけど、頑張ってみる。
僕も、君と同じ世界が、見てみたい。なるべく、御期待に沿えるよう、努力するよ。」
僕の新しいご主人様、綺麗で可愛くてちょっとかっこいい高貴なお姫様のメイリンは、はにかんだように
少し笑った。


     *     *     *

その夜も、普通にメイリンの房室に呼ばれた。
メイリンは、僕を迎え入れると、貝の容れ物に入った軟膏を出して、僕の手首の手枷で擦れた部分に
塗ってくれた。木製の手枷と手首の隙間に、細くてなめらかな指を入れて、白い軟膏をくるくると塗って
ゆくのが妙にくすぐったい。
「じきに、この面倒な手枷も取れる。そうしたらもっとちゃんと塗ってやる。
痕に、ならなければいいけど。」
「この程度の擦り傷に、薬なんて勿体ないよ。放っときゃ治るよ。」
メイリンは形のいい唇をキッと引き結んで言う。
「そういうわけには、いかぬ。甘く見ていて、化膿したらどうする。
第一、痕が残ったら、わたしが、見るたびに痛い。」
それからぽうっと、頬を薄赤く染める。
「その……昨夜は、無理をかけて、済まなかった。
なるべく、ああいう、無理強いはしないから。」
僕も昨日のメイリンを思い出してかあっと顔が熱くなる。
確かにちょっと強引だったけど……、可愛くて柔らかくて熱くて濡れて、一言で要約するなら……最高だった。
「今日は兄上達がうるさくて疲れた……もう寝よう。」
メイリンは僕を寝台まで連れて行き、としっ、と押して横向きに倒れ込ませる。
「あれ? さっき、無理強いはしないって……」
「うん、しない。だから、今日は眠るだけ。」
メイリンは爽やかな笑顔でそう返した。眠るだけ……ってちょっと。
「僕の寝る場所は、使用人部屋の端の方に確保してあるって、案内されたんだけど。」
「そんなものは、放っておけばよい。こちらの方が断然広いし、一人くらい増えても平気だ。寝具だって、
間違いなくこちらの方が良い物だぞ。」
メイリンは横向きに倒れっぱなしの僕にのしかかるようにして顔を覗き込む。
「ユゥは……わたしのこと、嫌い? 一緒に眠るだけも、いや?」
「嫌い……では、ないけど……」
いやあのね。嫌いじゃないからこそ、そういうの、困るんだけど。
「ならば、良いであろ? これから寒い季節になる。ふたりで、眠った方が暖かい。」
メイリンはそのままちゅっと、僕の頬にくちづけた。だから、そういうのが、困るんだってば。

結局僕はメイリンに上質な布団の中に引きずり込まれてしまった。横向きに寝て、両手は前で手枷に
拘束されたまま、後ろにはメイリンがくっついて、腕さえ廻してくる。
「ふふ…、やっぱり、暖かくて、気持ちいい。」
眠たげな声でそう言うメイリン。少しの間、冷たい足を絡めて来たりとごそごそやっていたが、
触れ合った足先が温まってくる頃には、もう健やかな寝息が聞こえてきた。

──昨日の今日で、どうしてそう簡単に眠ってしまえる?!

そりゃあ朝早くに起きて夕方まで出かけていたメイリンと、言いつけ通りにゆっくり過ごしていた
僕とでは、疲れ方も違うんだろうけど。
両手を拘束されて、背中側にはとびっきりの可愛い女の子が寝ていて。
こんな状況で眠れる男がいたら、そいつは絶対に神経がおかしい。
昨夜とは違う意味で、なんの拷問。

425ユゥとメイリン3 8/7:2011/11/13(日) 11:19:15.00 ID:zHQfvy8V

なんだか、メイリンの兄弟も不穏だし、メイリンの母親も、父親も安全とは言いがたい。
でも、一番の脅威は、メイリンじゃないかと思うんだ。
暴力的なまでの可愛さ、有無を言わせぬ強引さ、巧妙に仕組まれているとしか思えない、危なっかしさ。
いつか故郷に帰れるその日まで、本当にこの邸で生き抜いていけるのだろうか。
僕は二晩目にして、早速不安になってきた。
とりあえず、今晩をどう乗り切ればいいのか分からない。
後ろでメイリンがこてんと寝返りを打った。まさかとは思っていたが、しっかりと気持ちよさげに
眠っていらっしゃる?!
なんて可愛くて、残酷な凶器なんだろう。
耐えろ、耐えろ僕。
故郷の土を踏むまでは、どんなことにも耐えてみせると、誓ったじゃないか。
どんなに夜が耐え難くて辛くて長くても、いつか、朝は来るのだから。

……多分。





        ───続く───
426ユゥとメイリン3 8/7:2011/11/13(日) 11:21:15.83 ID:zHQfvy8V
行の数えミス…8レスになってしまいました。失礼。

という訳で、今回はお預け。
ユゥ君が夜のお勤めをやる次の話も近日中に投下します。
427名無しさん@ピンキー:2011/11/13(日) 15:36:07.08 ID:nkMiEw47
GJです!
兄たちの嫌がらせが今から楽しみでたまりませんw
428名無しさん@ピンキー:2011/11/13(日) 22:52:45.88 ID:tiCKE6Rc
GJ!!
メイリン可愛いよメイリン
429名無しさん@ピンキー:2011/11/14(月) 00:45:44.38 ID:4XISIEDT
GJ!
 お母さんもお元気なようでなにより
430名無しさん@ピンキー:2011/11/14(月) 11:11:36.75 ID:ps/BUX+t
父と母の部屋に行ってはいけないのはラブラブにゃんにゃんしてるからか
今まで4人の子をもうけた調教の軌跡があるからか…
つかユゥ君がメイリンの初めてをもらったワケで今後は兄や弟に会う度に
命を狙われるな
431名無しさん@ピンキー:2011/11/14(月) 20:23:11.19 ID:yj43Hz1w
こんなにかわいい妹/姉君が男を奴隷として連れ込んでHするはずがない
かわいくて無邪気なようで女の武器も端々に見せるメイリンに骨抜きにされてて
この仕打ち(?)では兄弟も動転して当然、長兄に至っては南無としかw

かわいくて(いつも)柔らかくて(腕組んで)熱くて(添い寝で)濡れて(くちづけて)…
ユゥ君の理性は皮肉にも板切れのおかげで弾けずに済んだのかなw
432名無しさん@ピンキー:2011/11/15(火) 03:44:04.95 ID:G4xISbVi
理性を残すための手枷じゃね?
初日の状況なんか、手枷がなかったらユゥの方から押し倒してただろうし。
それやったら確実に死罪w
433名無しさん@ピンキー:2011/11/16(水) 19:58:56.22 ID:GuTyUTgW
GJと感想有難うございます。

投下します。「ユゥとメイリン4」
今回は夜のお勤めやってます。
11レスの予定。
434ユゥとメイリン4 1/11:2011/11/16(水) 20:00:56.99 ID:GuTyUTgW

「ユゥ…今宵の…夜伽を……命じる。」
「はい、姫様、仰せのままに。」

四方に薄い紗を垂らした褥の中に、メイリンの鈴を鳴らすような声が響く。僕はその前に引き入れ
られていた。いつも通りの言葉なのに、この言葉を言うときのメイリンは、いつだってうっすらと
頬を染めて恥ずかしそうにする。
僕がこの邸に来てから、三月(みつき)が経とうとしており、季節は厳しい冬へと向かっていた。
森で暮らすには、これからが最も厳しい季節だ。

僕の故郷の人たちは、この冬をどう乗り越えるのか気がかりで仕方なかったが、そのことは誰にも
訊けずにいた。訊こうとすると、頭の中にあの戦のときの光景が広がって、喉が詰まってしまう。
彼らは、猛々しいシン国の兵士たちと比べたら頭一つ分も小さく弱々しい僕等の兵の首を薙ぎ払うのに、
一瞬の躊躇もなかった。
もし、残った者たちが反抗したら──それが、女子供ばかりでも──迷うことなく、粛清されて
しまうのではないのか?

お願いだから、生き残っていて。
ぼくは心の中でいつもそう祈っていた。
父さんや兄さん達は、あの凄惨な殺戮の中で、どうなったのかは分からない。かなり、希みは薄いと思う。
せめて、戦に出ていなかった母さんや妹のユイは、無事でいて欲しい。どうか、無事で。

「ユゥ、なんだか上の空。心配事があるなら、話してみて。」
メイリンに話してみようかと思うこともあった。だけど──もし、無事じゃなかったら?
いつか家族と共に、あの故郷へ還ることがぼくの心の支えなのに、その望みが断たれてしまったら、
僕はどうやって生きていけばいいのかすら分からない。
第一、数千の民の中に埋もれているはずのたった二人を、どうやって見つけてもらえばいいのかも、
見当がつかなかった。そう思うと、話してみようと思う度に、何故か踏みとどまってしまう。

「別に何でもありませんよ、姫様。」
僕はもやもやとした心の曇りを隅に押しやって、笑顔を作ってみせる。我ながら薄っぺらい笑顔だ。
「もぉっ。ユゥはいつまで経っても、よそよそしい……。それに、二人だけのときは、敬語はやめてと
言っている。」
メイリンはぷっと頬を膨らませて、拗ねた顔になった。僕を取り巻く特殊な状況には随分慣れてきたが、
この可愛さにはなかなか慣れない。この可愛らしい顔が、僕のことで表情を変えるのが、いつだって
嬉しくて仕方ない。
「馴れ馴れしい口を利いたら、ユイウ様に殺されます。」
メイリンの兄、ユイウ様は特に僕の態度に厳しかった。従僕のうち一人だけが主人格の人間に
馴れ馴れしい口を利いては、使用人全体の規律の緩みに繋がると一歩も譲らなかった。それはそれで
尤もな意見であると思うし、メイリンも反論はしなかった。

それに、僕自身も、メイリンに深入りしすぎるのは良くないと思うのだ。桂花の民の『クニ』はシン国に
滅ぼされたけれど、僕はどうやっても、桂花の民だと思っているし。
こうしてこの邸に馴染んで、表面上は従っていても、いつかあの山に還るべきだと思う。僕の体中の血が、
あの故郷の山を、懐かしい空気を、森に棲まう、僕たちを守る神々の気配を求めているのだ。
ただ、奴隷の身から脱して故郷への道を歩むには、知識だって必要だし、体を鍛えておくことも武術を
身につけておく言だって間違いなく役に立つ。それだけだ。
別に毎日熱心に書物を暗記したり、体を鍛えたりしてるのはそのためであって、決してメイリンの嬉しそうな
顔が見たいからではない──と、思う。
まあ、メイリンが嬉しそうな顔をするのも、悪いことじゃないからいいんだけど。
435ユゥとメイリン4 2/11:2011/11/16(水) 20:02:58.23 ID:GuTyUTgW

「…だから今は二人きりであって、人の耳など無いと言っておるのに。
ユゥはわたしより、ユイウ兄様の言うことを聞くの。」
形のいい唇をちょっと尖らせて、上目遣いに僕を見る。兄弟や両親だけでなく、この邸中の使用人にも愛され、
可愛がられているメイリンは、なんというか、甘え上手だ。使用人たちも男女問わず、姫様、姫様と呼んで
世話を焼きたがる。普通なら我儘放題に育つところなのに、メイリンは何故か細やかな気配りのできる
思い遣りのある女の子で、それがまた好かれているのだった。
まあだから、僕がメイリンを可愛く思うのも、何かしてあげたいと思うのも、普通だと思う、うん。

「いつだって君の言うとおりにしてるじゃないか、僕のご主人様。」
僕はメイリンの要求どおりに口調を変えて、座っているメイリンを抱き寄せる。
そして小さな顎をちょっと持ち上げて、桜桃のように瑞々しい唇に僕の唇を重ねた。
『夜伽を始めるときはまずくちづけから。』それが、メイリンとの約束だ。
メイリンの唇はとても、とても柔らかで、触れるときはちょっと緊張する。壊さないように、傷つけない
ように、宝物のように丁重に扱わなければいけない気がする。
角度を変えながら何度か優しく唇を食み、湯浴みの後に緩やかに編んである濡れた髪をそっと撫でる。
近づいたメイリンの髪と肌から、湯を使った後のいい匂いが立ち昇ってきて、僕は軽く眩暈を覚える。

「そうやって優しくすれば、わたしが黙ると思って。ユゥはいつもずるい。……あっ」
頬、耳許へとくちづけを落としてゆき、首筋にくちづけたとき、メイリンは小さく声を上げた。
声につられて激しく吸い立てそうになったが、見える場所に跡を残すのは厳禁だ。ゆるくくちづけて
あげる。
彼女の夜着の帯を解いて、白い薄布の下着だけの姿にすると、胸の先端がうっすらと勃ちあがって
いるのが見えた。
「ここ、もう硬くしちゃってるんだ。つんつんにして、弄って欲しそうにしてる。」
「これはっ、そういうんじゃなくてっ、服を脱ぐと体が冷えるからその反応で……やんっ!」
少しからかってあげると、途端に真っ赤になって反論する。でも、勃ち上がりかけた先端を布越しに
指で撫でると、そこはすぐにはっきりと硬くなって存在を主張し始めた。

「姫様は身体の方が素直だね。ここは僕に、弄って欲しいって言ってるよ。」
メイリンの腰を強く抱いて、もう片方の手で胸の先端を転がすように撫でてあげると、僕の胸の中で
彼女は身悶えして快感を訴える。もう一方の胸も、口を近づけて布越しのままちゅっと吸い上げた。
「あんっ、それ、だめっ! まだ、脱いでないのにっ!!」
「駄目、なんて言うときは、大抵イイんだよね……? 本当に、身体の方が素直だ。」
下着を着けたままの胸のふくらみを手で持ち上げるようにして、その先端を再び口に含む。メイリンは
甘く叫んで弓なりに身体をしならせ、僕は支えきれなくなってそっと夜具に横たえた。
そしてその上に覆いかぶさるようにして、両胸を思い切り可愛がってあげる。メイリンは胸をたっぷりと
愛撫されるのが好きなので、右から左、左から右と交互に口に含んで、白い下着の布が濡れて透ける様を
楽しみながら何度も可愛がってあげた。

「布越しばっかりじゃ…やだあっ。直接……触って……っ。」
メイリンが焦れた声を上げる。白い下着姿で両胸の先端だけが淡い赤に透けた姿もなかなかに淫靡で
捨てがたいのだが、お姫様の要求とあらば仕方が無い。腰のところで留める帯はそのままに、合わせ襟を
左右に開くと白いふくらみが零れ出る。両手で包み込むように揉んであげると、メイリンは安心したような
吐息を漏らした。
「は…ぁ…っ」
「本当に姫様は、胸を触られるのが好きだよね。ほら、その所為で最初の頃よりも大きくなってきた。
僕のおかげだよ、嬉しい?」
「ユゥの……おかげ?」
メイリンはなんのこと? とでも言いたげに小首を傾げる。
「女の子の胸ってね、こうやって男に揉まれると大きくなるんだよ。知らなかった?」
「……しらなかった。」
メイリンには姉妹がおらず、性に関する知識の大半は、なにやら怪しげな本を読んでの『独学』になるので、
変な風に偏っている。妙なところで詳しいかと思えば、こういう普通のちょっとしたことを知らなかったりする。
「これからもたくさん揉んで、おっきくしてあげるね、姫様。」
耳許でそう囁くと、メイリンは不満顔で返した。
436ユゥとメイリン4 3/11:2011/11/16(水) 20:05:00.25 ID:GuTyUTgW

「こんな時まで、姫様って呼ばないでっ! ちゃんと名前で、呼んで。メイリン、って。」
勿論心の中ではそう呼びまくっているのだが、僕は極力メイリンの名を口に出して呼ぶのを避けていた。
だって、なんだか、勘違いしてしまいそうだから。僕とメイリンが対等な関係……というよりは、例えば、
恋人のような関係だと。
だから、いつだって大義名分が必要だ。
「それは、命令?」
「う……命令でなくても、その名で呼んで。」
「命令ならば呼ぶよ。」
命令なら、ただ従っているだけだと自分自身にも言い訳が出来る……訳だけど、こうやって眉を寄せて逡巡する
メイリンを見てるのも好きだ。口をぎゅっと結んで、大きな瞳をくるくるさせてちょっとの間悩んでいる。
そして、いつだって最後には折れてくれるのだ。
「じゃあ……命じる。」
メイリンはちょっと不満そうに、でも可愛らしく頬を染めて、恥ずかしそうに小声で呟く。
「──メイリン。」
僕がそう呼んであげると、彼女の長い睫が揺れて、それから大きな黒い瞳が僕を捉える。
「もっと…呼んで。」
「メイリン、メイリン……可愛いね。」
可愛いご主人様をぎゅっと抱きしめてあげる。
「もっと。」
「メイリン。」
「もっと……あぁっ。」

メイリンは短く声を上げた。僕の手が下の繁みを探ったのだ。下着は上も下もすっかり肌蹴て、辛うじて腰の帯で
身体に残っている。着乱れた薄衣の下から惜しげもなく白い肌を覗かせ、甘い声を上げるメイリンは、いつだって
困ってしまうくらいに扇情的だ。
「随分物欲しそうに濡らしてるね……。胸を可愛がられるのが、良かった? 揉んでおっきくして貰うのが、
好きなの?」

「ユゥに……触られるのが……好き…。」
そんな思わせぶりな言葉で、立場の弱い奴隷を弄ぶのはよして欲しい。
僕がどんなに頑張っても、この巨大な中華の国の皇族であるメイリンの特別になんて、なりようがないんだから。
高貴な立場の人間には、特有の責任があることくらい、僕にも分かる。味噌っかすのような扱いだったけど、
この国と比べればあまりにも小さな取るに足らない『クニ』だったけれど、僕もかつて首長家の三男という
立場だったのだから。
若く美しく健康な娘であるメイリンが縁組もせずにいられる期間なんて、あといくらもない。これは儚い、
一時的な遊びに過ぎないのだ。メイリンにとっても、僕にとっても。
だからこそ、のめり込んでしまうのかもしれないけど。
「褒めていただいて、光栄ですよ。……こっちに、触られるのも好き?」
僕はなるべくよそよそしく答えると、彼女の繁みを掻き分けて、その奥の泉を探った。つぷ、と難なく指は、
その源泉を探り当てる。
「ああっ……んん、好き、すき……。」
メイリンはとろんとした瞳で、容赦なく追い討ちをかける。
もうメイリンにはなるべく喋らせない方がいいみたいだ、と思った。そうしないと、メイリンの言葉に甘く
翻弄されて、僕の心が壊れてしまう。
437ユゥとメイリン4 4/11:2011/11/16(水) 20:07:36.28 ID:GuTyUTgW

まだ何か言いたげな可憐な唇を、僕の唇で塞ぐ。歯列を割って侵入し、奥に隠れている舌を絡め取って、
言葉を奪う。
「…んんっ……。」
今の僕はメイリンを気持ちよくさせてあげるためのただの道具だ。それ以上でも、以下でもなく。
だから、ただ役割にだけ、徹すればいい。
彼女の体内に挿れた指を動かすと、細い腰が跳ねる。内側の肉襞は複雑な迷路のようで、いつまで経っても
その全容は理解できないが、彼女が特に感じる所だけは、指が憶えていた。いつもの窪みを擦り上げると、
メイリンは身体を捩って悲鳴を上げた。
「んっ……、は、あぁっ!!」
逃げられてしまった唇を追いかけて、空いたほうの手でメイリンの小さな顎を捕まえる。こちらを向かせて、
有無を言わせずもう一度塞ぐ。
逃がさない。もっと、悦んでしまえばいい。僕の指で、僕の身体で。僕の、腕の中で。
何も考えられなくなるほどに。
刺激を強くしてあげると、メイリンの内側の締め付けが一層きつくなった。それに合わせて、もっと奥の方
へと指を動かす。
「んっ……、ん──っ! んん────っ!!」
そしてついに、メイリンの身体がびくびくと痙攣するように震えた。その波に合わせて奥の方を刺激して
あげると、長い間身体を震わせていた。

「随分、気持ち良くなってたみたい……僕の指がドロドロだ。」
白い肌着のほとんどを肌蹴させてくったりと横たわるメイリンから、僕はにちゅ、と指を引き抜いて言った。
指は粘着質の蜜に濡れて光っている。
「ふふ、やらしい匂い。」
その指を舐めながら、メイリンの匂いと粘り気を愉しむ。いつも着飾って、上品な香を焚き染めている
メイリンも、ここだけは動物的な匂いなところが逆に興奮する。そうやっていると、メイリンがとろんと
蕩けた瞳を恥ずかしげに伏せるのも、またいい。

「命令して。このあと、どうして欲しい?」
メイリンはかあっと顔を赤くした。いつだって、ちゃんと言えるまで焦らしてあげるのだ。
「ユゥの…それを……わたしの…ここに……っ。」
メイリンは耳朶まで真っ赤に染めて、途切れ途切れに口に出す。
「どこに? それじゃ分からないよ。」
笑みを浮かべて聞き返すと、メイリンはふるふると震えながら、肌蹴た下着姿のまま、脚を開いた。
密やかな繁みが間から覗き、躊躇いがちにその中心部を指し示す。
「あ……、ここに…っ、挿れて…。」
「仰せのままに、メイリン。」
可哀相なくらいに真っ赤になっているのでこの辺で許してあげることにする。
ほとんど用をなしていなかった下着の帯を解いて、身体に纏わりつく薄布を剥ぎ、メイリンを生まれたままの
姿に解き放ってあげる。そして僕もまた邪魔な衣は全て脱ぎ捨てた。
無防備に横たわるメイリンの腰を引き寄せると、その中心へ、僕の漲った分身をゆっくりと埋め込む。

「──────っっ!!」
奥まで到達すると、メイリンは僕の背中に軽く爪を立て、脚は爪先までをぴんと伸ばして仰け反る。軽く
達したのかもしれない。
でも僕は、余韻を味わう暇など与えずに、無遠慮に腰を打ちつけた。
「あぁ────っ!! やっ、待っ、激しっ、…ユゥっ!!」
「メイリンがいけないんだよ」
僕に責められてメイリンは、大きな瞳に涙を浮かべて、艶のある編んだ黒髪が乱れるのも構わずにいやいやと
首を激しく振る。
「こんなに濡らして、内の襞も物欲しそうに僕に吸い付かせて…
これじゃあ、ゆっくりなんてしていられないだろう?
ほら、こうして突く度に内が動いて、僕を締め付けてくるよ。わかる?」
答えなど、言わせるつもりもなかった。身体の内も頭の中も、僕でいっぱいにしてしまえばいい。
このときだけは、僕だけを見て、僕だけを感じて、二人で一つになればいい。
438ユゥとメイリン4 5/11:2011/11/16(水) 20:09:39.83 ID:GuTyUTgW

「や……っ、だめ、わたし……、おかしいっ、……また…」
激しく奥まで蹂躙されながら、メイリンは切れ切れにそう告げる。
「貪欲なメイリン。また気持ちよくなっちゃうんだ。
いいよ、どれだけでも快感を貪るといい」
僕はメイリンの片足を抱え上げ、少しだけ角度を変えてまた腰を打ち付ける。メイリンの内部はどこもかしこも
敏感になっていて、新しい刺激を悦んで迎え入れた。
「やぁっ、あぁ────っ、あっ、あぁ───……っ」
悲鳴と同時に、内部の締め付けが激しくなった。僕も一緒に達してしまいそうだったが、ぎりぎりのところで
持ちこたえる。
「またいっちゃったんだ…。一体何回いく気なの?」
僕は少し笑みを浮かべて、メイリンを見下ろした。
本当にメイリンは、なんて可愛い、素直な身体の持ち主なんだろう。
男なら誰だって、メイリンに夢中になるに違いない。

「最後に、後ろから可愛がってあげようね…後ろからされるのも好きでしょう、メイリン?」
「あ……っ、はぁ……っ」
メイリンは何か言おうとしたが、浅く息をするばかりでもう言葉にはならないみたいだ。表情も、身体も、
身体の内もとろとろに蕩けている。
僕はメイリンの向きを変えてうつ伏せに寝かせてあげ、腰を持ち上げようとしたけど、もう足腰が立たない
らしい。こんなになるまで感じてしまうなんて、なんて可愛い。
うつ伏せ寝のまま脚を開かせて、その間から侵入した。
力の無くなったメイリンの身体を後ろから抱きしめながら、最後の力で彼女の身体の最奥を求めるように
腰を打ち付ける。
「────っ!! ──────あっ!! ──────あぁっ!!!」
メイリンの悲鳴はもう声にすらならない。恍惚の中、僕の方も大きな快感がせり上がって来るのを感じた。
「出すね、メイリン。」
短く告げると、僕はメイリンの内から僕の分身を引き抜いた。
勢い良く飛び散った飛沫は、メイリンの背中を汚した。


     *     *     *

この邸に来て三日目に──メイリンが言った通りに──僕は手枷を外して貰った。メイリンが、お許しが
出た、と言って嬉々として鍵を持ってきたので、僕はメイリンの父親に直接会うことはなかった。
メイリンの父親は──この邸の使用人達に聞いたところによると──独特の存在感を持つ、不思議な人らしい。
言い換えると、奇行癖のある変人、とも小声で言っていた。
この巨大な中華の国を統べる皇帝の血に連なる人であり、この家の高貴さの源でもある。現皇帝の即位に
伴って権利を放棄したが、それまでは皇位継承権第三位という高い地位にいた。メイリンは、その地位は
高い実務能力と教養、武術の腕を兼ね揃えているが故の評価であったのだ、と誇らしげに言う。
この邸の使用人にとっても、この邸の主人は横暴でも吝嗇家でもなく、給金の支払いも良いし、使用人の
身内の祝い事にまで贈り物や祝い金をはずんでくれる良い『雇い主』であり、尊敬すべき人であるようだ。
三月(みつき)もの間、この邸にいて、僕がその『父上様』に会ったのはほんの数回。そもそもあまり邸に
帰ってこないし、帰って来たとしても僕は北の棟には立ち入り禁止を言い渡されているので、この
とんでもなく広い邸では、ほぼ顔を合わせる事もない。僕の『クニ』で言えば、ちょっとした集落
くらいの規模があるのだ、この邸は。

439ユゥとメイリン4 6/11:2011/11/16(水) 20:11:47.95 ID:GuTyUTgW

さらに、メイリンの『母上様』に至っては──正直、会うのを恐れてはいたが──その気配すら、感じた
ことはなかった。
「母上様は、近頃大変、忙しい。」
そうメイリンは言う。メイリンの母親は朝廷の高官で、俗に宰相位と呼ばれるものの一つ──具体的に言うと、
中書令──に就いており、ともかく忙しい。
連日のように深夜まで仕事で、たまの休日に帰ってきても寝ているのがやっと、起き出すとまた仕事に行って
しまうらしかった。
「こいつをぶった斬って下さるとしたら、母上しかいないと思ったのだが、お忙しいのでは仕方がない。
お体を壊されぬとよいのだが」
と、苦々しげに呟くのはユイウ様だ。メイリンの父親はこの邸において絶対的な支配力を持っており、
その父親が僕の存在を許している限り、長公子であるユイウ様も、二公子であるスゥフォン様も、簡単には
僕をどうこう出来ないらしい。どうにかできるのは父親に匹敵する権力者、つまり母親しかいないというわけだ。
メイリンの母親は女性でありながら武術の素養があり、この家ではユイウ様にもメイリンにも、そのほかの
兄弟にも剣術を初めとした武術を教えたのは母君であるという話だった。
朝廷の官僚である母君にとっては、剣術も武術も教養の一つであり、王都で催される武術大会では剣術で
そこそこの成績を上げるほどの腕前で、しかも人一倍貞節などの倫理観には厳しいと聞くと──本当に
遭遇しなくて良かった、と思ってしまう。

メイリンの兄、ユイウ様とスゥフォン様には、初対面のときは殺されるかと思ったけど、その下について
習い始めてみると、公平で公正な方たちだった。時々──いや、しばしば──厳しすぎるような気はしたが、
それでもわざと嘘を教えたり、命の危険に晒すようなことはしなかった……と思う。
「言ったであろ? 兄上様達は素晴らしく有能で、将来を嘱望されておるのだ。
あのお二人に勝る教師役は、そうはおるまい。」
メイリンが嬉しげに言う。勿論二人の兄が、大人しく僕なんかの教師役をやっているのは、可愛い妹としての
メイリンの『必殺技』が効いているからなのだが。本当にメイリンは、毎日まめに『兄上様達』に対して、
その『素晴らしい教師ぶり』を絶賛し続け、二人の兄を陥落させるのに余念がなかった。そしてちらりと
聞いたのだが、彼らの『父上様』も僕の教育について口添えをしてくれていたとかいないとか。

そして、学べば学ぶほど、迷いは深まった。
なぜ桂花の民は、そして首長の立場にあった父は、この強大な国と戦を構えようなどと思ったのだろう。
多少なりとも物を知っていれば、敵いようがないことくらい分かりそうなものなのに。
首長として交渉を行い、誰よりもシン国のことを見ていたはずの父やその周りの人々は、一体、何を思って
あの選択をしたのか。本当にただ窮乏していたのか。
他に道はなかったのか。
メイリンがぼくに問いたいことがある……と最初に言ったけれど、それが何かも分からなかった。
ただ──迷う。
知れば知るほどに。
深まれば深まるほどに。


     *     *     *

「勘違いするなよ」
ことあるごとに、この邸の長公子であるユイウ様は僕に釘を刺す。
「妹は誰にだって優しい。例えこの国に反逆して簡単に滅びた民の生き残りであろうと。
メイリンが主人、おまえは下僕、そのことを忘れるな。」
「勘違いなんかしていません。」
僕は極力感情を殺して、平坦に隙なく応える。勘違いなんかしてない。してない……はずだ。
440ユゥとメイリン4 7/11:2011/11/16(水) 20:14:15.10 ID:GuTyUTgW

「妹はいずれふさわしい家格の男と縁組をする。おまえはそれまでのちょっとした遊び相手だ。
外で遊び廻られて、悪い評判が立ってもいけないからな。
あくまで自分の立場を弁えて、出過ぎた真似はするな。必要以上に馴れ馴れしくするな。」
分かってる。
分かってるから、言わないで欲しい、そんなこと。
いずれメイリンが他の男のものになるなんて、考えただけで胸が壊れそうになる。
でも最初から、分かっていたはずだ。メイリンはこの国の、高貴なるお姫様。
僕は敗戦国から拾われた、ただの奴隷。
ちょっといい扱いを受けているのは、メイリンの気まぐれだ。深入りなんかしては駄目だ。

「妹はどこに行ったって男共に物凄く人気があるんだ。…『学院』でも、当然そうだ。
俺とスゥフォンは協力して、妹に近づく悪い虫は徹底的に排除し続けて来た!! …卒院してからは
弟を通じて、片端から妹に近づく奴は潰しておいたのに…っ!! どうして、おまえみたいなのが出てくる?!」
『学院』というのはメイリンが毎日通ってる学問所だ。貴族の中でも特別に選抜を受けた優秀な者
しか通うことが出来ない──つまりメイリンも特別に優秀ってことだ。
女の生徒は少なく、というよりほぼ男ばかり。それでも身分が高いから既に許嫁がいるような男も多い
そうだが、当然メイリンみたいな女の子が居たら好きになってしまう男も少なくないはずで。
どうやらユイウ様を始めとしたメイリンの兄弟達は、そうやってメイリンに近づいてくる男を片っ端から
脅迫したり、権力で圧力を掛けたりして遠ざけておいたらしい。おかげで、メイリンはあんなに綺麗で
可愛くて優しいのに、『学院』の中でメイリンと恋仲になることができた男は一人もいないのだそうだ。

──それが裏目に出たんじゃないですか?

とは、例え思っていても、口に出さないくらいの分別は持ち合わせていた。
僕にも妹がいるから分かる、妹が可愛くて仕方がなくて、守ってやりたいという気持ちが。
そういう点では、僕はユイウ様達に共感を持っていた。
可愛い、可愛い妹。傷が付かないように守ってやりたい。大事に、いつか巣立つその日まで。
むしろ巣立つ必要なんかない、ずっと守ってやりたい。

そしてまた、メイリンの気持ちも分かるのだ。
成長して年頃になり、異性への興味だって芽生えてくる。身体も丸みを帯びて、女らしくなってくる。
なのに守られ過ぎて、言い寄ってくる男の一人もいなくて。
試してみたい、という気持ちだって、出てくるだろう。女としての自分を。

そしてそこで見事に板挟みになっているのが、僕。

心情としてはユイウ様の言ってる事のほうに分があるとは思うけれど、僕の主人はメイリンだし。

「腕は上がった? ユゥ。わたしと、手合わせしようっ!!」
僕がユイウ様に剣を教わっていると、メイリンが割って入ることがあった。メイリンの通っている
『学院』でも剣術を始めとした武術を教えているし、勿論その前からメイリンは母親に手ほどきを
受けているし、何と言ってもメイリンは従軍したことさえあるのだ。
でも、メイリンの外出にはいつだって護衛が付いているわけだから、闘うのなんか他の屈強な男にでも
任せておいて、メイリン自身が強くなる必要はないと思うんだ……なんて言ったら、真っ赤になって
怒り出すんだろうな。
それでもなお、メイリンのあの綺麗な身体に傷をつけるなんて、それだけで罪悪であるように感じる。
『学院』での武術の稽古のために、メイリンの肘や脛なんかに青痣や擦り傷が出来ているのを見つけると、
なんだかもうたまらない気持ちになる。
メイリンみたいなすっごいお姫様は、ずっと誰かが守ってあげればいいと思うんだ。
例えば僕とか……と言うには、まだ弱すぎることは分かっているけれど。
というわけで僕は、メイリンと手合わせなんかしてもひたすら防戦一方なのだった。
441ユゥとメイリン4 8/11:2011/11/16(水) 20:16:45.32 ID:GuTyUTgW

自分から手合わせしよう、と言うだけあって、メイリンはそこそこ強い。さすがにユイウ様ほど強くは
ないけれど。
斬撃に重さはなくとも、相手の弱点や隙を見逃さず、素早く正確に攻めて来る。いつもユイウ様が
言うような、力みと無駄のない理想的な動きというのは、こんな風に美しいものなんだ、と、メイリンの
剣技を見ていて思う。
そして最後には大抵、「手を抜くなー!! 真面目にやれっ!!」と本人に怒られてしまうわけなんだけど。
でも、どんなに怒られても、あの、実は白くて柔らかくてふにふにな身体に、刃の無い木剣とはいえ
打ち込むなんて、僕には到底出来そうも無かった。
そしていつも「虫ケラは死ね」などと言って問答無用で厳しいユイウ様だけど、こんなときは何故か
さりげなくメイリンの方を宥めてくれるのだった。


    *     *     *

メイリンの次兄、スゥフォン様から習ったのは、この国の在りよう。
あまたの州と、その中にある直轄地と地方王の所領。気候と風土によってどのように収量が変化するのか。
千差万別の耕地能力と耕作能力を査定して、その中で租税を徴収するための綿密な記録と、それを基に
した複雑怪奇なまでの計算式。
緻密に組み立てられた構造の中で、人の流れも財貨の動きも、文化の伝播すら管理されていた。それを
可能にする、膨大な数の高等教育を受けた官吏の存在、その手足となって働く、更に膨大な数の胥吏達。
その膨大な人々を支配するための、数々の論理と倫理。そして過去から学ぶための、気の遠くなるような
事例の蓄積。

スゥフォン様から習っていると、しばしばこの国のあまりの大きさに眩暈がする。大きければいいのか
というとそういう訳でもなくて、広い国土を余すことなく管理し、支配権を行き届かせ、違反を許さない
為にかなりの労力を費やしているのだった。
この国がこの形を保つために常に費やしている労力に比べれば、僕達の『クニ』を潰すときに動かした
力などは、ほんの小指一本分くらいだ。
僕らの『クニ』の行く末を決めた人たちは、このことを分かっていたのだろうか。


そして、メイリンから習ったのは──例えば、花のこと。
メイリンの部屋には、沢山の植物の図誌が置いてあった。メイリンは、そのほとんどを憶えているのでは
ないかと思うくらい、植物に詳しいのだ。
対生、互生、輪生、根生。それから、奇数羽状複葉、三出複葉、二回三回複葉、掌状複葉。草の葉の
広げ方にさえ、分類して名前がつけてあった。
花だって、雄しべと雌しべ、花弁と萼だけでなく、葯、花糸、柱頭、花柱、子房、花床、花柄などと、
細かく名前がつけてある。花弁の名前も、花の形状に応じて、舌状花冠、筒状花冠、側弁、唇弁、
上唇、下唇、、旗弁、翼弁、龍骨弁、仏炎苞などなど。ありとあらゆる形状、ありとあらゆる部分に
名前がつけて、分類してあった。
こんなことをしてなんの役に立つのかと問うと、
「命名し、分類し、明らかにすること。それ自体に価値がある。」
と返された。よく分からない。

一番吃驚したのは、イネの仲間の花についてだ。イネの仲間と言っても、そのほとんどは米や雑穀が
取れるわけでもない、畑の脇に生える雑草だ。そういう取るに足らない──と、僕達が思っている──
草についても、熱心に穂の花序を調べ、痩果を包む果胞の形状を調べ、根の形を調べ、場合によっては
その小さな花を分解して雄しべや雌しべの数を調べてあった。勿論、それこそ米粒より小さな花のこと
なので、虫眼鏡とかを使った気の遠くなるような作業になるんじゃないだろうか。
こんなにも役に立たない草を苦労して分類するなんて、とんでもない物好きがいるものだと思っていたら、
メイリンは「存外に役に立つこともある」と言う。シン国で行われている、イネとその仲間の『掛けあわせ』
のことだ。
異なる種類の植物でも、『あいのこ』を作ることがある。それは知っている。
それを利用して、この国では、新しい種類の植物を生み出す試みが行われていると言うのだ。
そのときに掛け合わせる植物は、あまりに遠い仲間であると掛けあわせが成立しない。近すぎると、
新しいものが生まれない。むしろ、遠方から取り寄せたような、ちょっと変わった(と言っても、同じイネ)
仲間だと、上手い具合に両方の長所を兼ね揃えた新しい品種が出来るとメイリンは語る。そのときに、
どのくらい近い仲間なのかを判断するのに、この目の奥が痛くなるような地道な研究が役立つのだそうだ。
442ユゥとメイリン4 9/11:2011/11/16(水) 20:18:46.31 ID:GuTyUTgW

メイリンの語るシン国の技術の話は、僕らの『クニ』の普段の生活からすると、荒唐無稽な夢物語に思えた。
シン国では一部の場所で、春に咲く花を冬に咲かせることすらできるのだと言う。それは仙術の類ではなく、
花の咲く条件を調べつくした末の特別な技術であるのだと彼女は語った。
本当にメイリンは花のことには何でも詳しくて、いまはこの国のお姫様でも、生まれる前はやっぱり花仙
だったんじゃないか、と僕は時々思ってしまう。

メイリンから物を教わるのは、いつも楽しかった。
メイリンの兄上、ユイウ様やスゥフォン様に教わるのが別に楽しくないわけではないが、彼らから教わる
ときはただひたすら知識なり技なりを憶えこんでゆくだけ。
でもメイリンとの時は、必ず一通り話し終えたときに、僕の話を聞いてくれる。
「見た目とか、部分の形状とかを文字と図だけで吃驚するほど細かく分類してあるけど、草ってそれだけ
じゃないんじゃないのかな。僕達は、草の匂いとか味とか、葉っぱに触ると手が切れるとか痛いとか、
何の動物がよくその実を食べるかとか、いつも水辺に生えてるとか、畑に生えてくると根っこが横に
広がって困るとか、草の汁が切り傷に聞くとか腹痛に効くとか、そういうことで憶えてるけど。」
「森に火入れをしたあと、真っ先に生えてくる草木もある。奴らの種は土に埋もれて、炎が来るのを
待っているんだ。そしてそういう植物は、大きくなると大抵燃え易い。」
とか、そういう、僕の育ってきた中で知ってる、何の変哲もないことを話したりする。お義理かも
しれないけど、メイリンが桂花山での暮らしのことを楽しんで聞いてくれると、途端にその話が
宝物のように思えたりするから不思議だ。
そんなことを話し合っていると、いつも知らぬ間に夜は更けた。

夜が更けると、それはいつだって僕とメイリンの時間だ。
その中には当然……その、『夜伽』だって含まれる。
『夜伽』をした夜は、抱き合って眠った。
『夜伽』のない夜は、瞼が重くなるまで語り合って、手を繋いで眠った。
冬の深まる中、暖かい誰かと眠るのは、メイリンの言ったとおり、とても、心地良かった。


     *     *     *

メイリンに深入りしちゃ駄目だ、と、一人のときは結構本気でそう思っているのだ。
でもメイリンは、僕がどんなに決心しても、笑顔一つで易々と打ち砕いてしまう。

「ただいまっ! ユゥ。兄上様達から出された『宿題』は終わった?」
メイリンは帰宅すると、真っ直ぐに僕のところへやってくる。いつも抜群の破壊力だ。
「あのね。」
メイリンは可愛くくふふ、と笑った。
「今日は学院で、先生からいいお菓子を頂いたの。こっそり持って帰ってきたから、あとで半分こしよ。
あ、一個しかないから、他の人には内緒ね。兄上様にもね。」
「一個しかないなら、普通に姫様がお召し上がりになったらいかがですか。」
他人の目があるのでそっけなく敬語で返すと、メイリンはぷくっと膨れ顔になった。
「もぉっ。なんでそういうこというかなあ、ユゥは。一緒に食べたいから、わざわざ持って帰ってきたのに。」

策略だ。
こんなに可愛いのは、何かの策略に決まっている。
そしてこんな策略を考え付くメイリンは、天才に違いない。

メイリンの持ってきたお菓子は、木の実を炒って糖蜜で煮絡めた餡がぎっしり詰まった焼き菓子だった。
メイリンはそれを油紙にくるんで、大事そうに持ってきた。
胡桃、松の実、椎の実。滋養のある大粒の実は、森の中でもご馳走だ。
それが綺麗にアク抜きされて、炒られて蜜に絡まって、美しい型の焼き菓子の中に納まっている。なんだか
上品に畏まった、芸術作品みたいだった。
それはそれとして、美味しいお菓子を食べるときの女の子っていうのは、どうしてこんなに幸せそうな
顔をするんだろう。整った顔をほくほくと緩ませて、時々驚いたりしながら菓子職人の健闘ぶりを讃えている。
僕は手元の菓子はひとくち齧ったままで、そんなメイリンをぼうっと見ていた。今のメイリンを少し齧ったら、
きっとどんなお菓子よりも美味しいに違いない。
舐めて、齧って、食べてしまいたい……。
443ユゥとメイリン4 10/11:2011/11/16(水) 20:20:48.04 ID:GuTyUTgW

「どうしたの、ユゥ。」
メイリンに声を掛けられてはっと我に返り、目を逸らす。
「食べないの? 美味しくないの? 気に入らなかった?」
くるっとした大きな瞳が、心配そうにこちらを覗き込んでいる。
「いやあの、……こういうの、妹のユイに食べさせてあげたら、喜ぶだろうなあ、って思って。」
見透かされたみたいで動揺したのか、それとも木の実が森の冬を思い出させたからか、つい妹の名を口走ってしまう。

「ふむ、ユゥの妹か……会いたい?」
「えっ?」
メイリンがあまりにこともなげに言うので、ちょっと思わぬ話の展開に驚く。
「会えるの?」
それよりもまず、生きているのかどうか知りたい。でも、抵抗すれば容赦なく斬る、と言ったメイリンの
父親の声がよぎる。もし無事じゃないのだったら……知りたくない。
「会いたいなら、そのうち会わせてあげる。その……すぐにというわけではないけど、そのうちに。」
「生きて……いるの? 確かに? 妹と、それから…母さん、も?」
「生きているか、って? 勿論生きている。ウォン家の奥方と、娘のことなら、元気にして居られる。
首長家の者であるし、それなりの扱いをされている。」
知らないとは思わなかった、とメイリンは言う。僕がかなりの日数、あちらに留まっていたので、
その間のことくらいはとうに知っていると思っていたのだと。
何も聞かないのも、落ち着くまであちらにいたからだと思っていたのだと。
そしてメイリンは僕の母と妹に関しては、それなりに気に掛けて、報告を受け取っていたらしい。
僕が、メイリンの従者になってからは。
だから二人は、確かに元気だと彼女は言う。

「今、ユゥの一族は、地元の蒲州を転々として、河堰の補強の労役に駆り出されておる。
労役には食料が支払われる。衣服その他の物資も。だからそう気を揉むほどのこともあるまい。」
「でも、反抗すれば、容赦なく斬るって…」
「ちょっとした脅しだ。貴重な労働力を、そう簡単に斬る筈がないであろ?
ユゥの一族も、最初の労役以降は大人しく従っているようだし、もうそんな脅しの必要も無かろう。」
「最初の労役ってなに?! 何かひどい目にあわせたの?!」
僕が思わず声を荒げるとメイリンはちょっと驚いたような目でぼくを見た。
「あ…ごめん。大きな声出して。」
「よい。許す。……そうか、そこから知らぬのか。案ずるようなことではない。もっと早くに聞けば
良かったのに。」
僕はなんと言っていいか分からなくて、聞けなかった、とだけ言った。

「そうか。わたしがもっと、察してやらねばならなかったのかの?
ユゥが、自分の家族を案じないはずがないのにな。
わたしも知らぬこと、機密のことは言えぬが、母や妹のことくらい、気軽に聞いてくれればよい。
そのうち、おまえの妹にも会わせてやる。これと同じとは言わぬが、同じくらい美味しい菓子を、
妹にも食べさせてやろう。それでいい? ユゥ。」
「……有難うございます。」
僕は跪き、主としてのメイリンに臣下の礼を取ろうとした。そうするのがいい気がした。
奴隷の身分に堕とされたとは言え、メイリンのような立派な主人を持てて幸せだ。

「ちょっと待って、ユゥ。」
メイリンは手を地に付けようとする僕を押し留めた。
「礼を述べるのならば、もっとわたし好みにしてくれても良かろう?
ちゃんと立って、わたしの目を見て、わたしの名を、呼んで。」
メイリンは僕の手を取って立たせた。くるりと大きな瞳で、僕を見据える。

困る。どうしたらいいんだろう。
メイリンはどれだけ時間が経っても、要求どおりにするまで僕を許す気はないようだった。黙っている
僕を期待に満ちた目で見詰めている。
僕は漸く、躊躇いがちに彼女の名を呼ぶ。
「……有難う、メイリン。」
するとメイリンはふんわりと、お菓子よりも甘く蕩けるような笑みを浮かべた。
444ユゥとメイリン4 11/11:2011/11/16(水) 20:23:05.64 ID:GuTyUTgW

ああ。
僕が家族のことも、一族のこともなかなか言い出せなかったのは、本当はこれを恐れていたんじゃ
ないだろうか。
無視される方が、まだいい。冷たく突き放されるのも、人間以下に扱われるのも、既に覚悟していたことだ。
でも、こんな風に、優しく受け止められて、いい扱いをしてもらって、気遣ってもらったりしたら、
もうどうやって、好きにならずにいられるのか分からない。

でもメイリンはこの巨大な中華の国の、皇帝の血に連なるお姫様。僕はただ、彼女に拾われただけの奴隷だ。
いずれ、ふさわしい家格の男に……、そう、僕でない男のものになる。
そのときのことを考えると、心が壊れそうだ。
少なくとも今みたいな関係でいることは出来ないはずだ。僕が夫なら決して許すはずもないし、下僕と
しても……その、嫌だ。
どこか別の邸に移されるのか、メイリンが嫁いでいった後もこの邸に残されるのか、それとも単なる
護衛や従者として、他の男の妻になったメイリンを傍で守ることになるのか。

ここで生き抜く上で、メイリンは最大の脅威だ。可愛い顔をした暴力そのものだ。
今だって、彼女のことを考えるだけで、心臓が軋んで悲鳴を上げる。なのに、ずっと考えていたいだなんて。
いつかあっけなく棄てられるとしても、それでもなにかを捧げたくて仕方がないなんて、僕自身もどっか
おかしい。メイリンの毒にやられてしまっている。甘くて美味しい、仙界から来たような毒に。

ああ、還りたい。あの懐かしい故郷の山に。僕達の神様のいる森に。
そうすれば、どこか狂ったような僕の心も元に戻る。きっと戻る。

だから、いつか必ず還るんだ。




     ──続く──

注:吝嗇家=けち、胥吏=試験なしで現地採用される下っ端事務官
で読んでください。
445名無しさん@ピンキー:2011/11/16(水) 20:25:06.67 ID:GuTyUTgW
以上です。
ちなみに、『父上様』は、いつかメイファに植物の知識を褒められて以来、
博士並みに(無駄に)植物に詳しく、娘もそのアオリを受けて植物マニアに、という設定。
素人ならドン引きするイネの花に関する講釈を聞いても「この子の前世は花仙かも!」
とうっとりしてしまうユゥ君もそれなりに大物。

今回書き溜めている分はここまでなので、また書いたらまた来ます。
筆が遅いので、多分忘れた頃にまた来ます。

446名無しさん@ピンキー:2011/11/16(水) 20:30:46.54 ID:C1YddbrT
わあ、リアルタイムでネ申の投下に遭遇したのは初めて。
こんなに早く続きが読めて幸せです。
お疲れさま、忘れずに待っていますよGJ!!!!!
447名無しさん@ピンキー:2011/11/16(水) 23:16:50.29 ID:DSbmlHcm
乙です。
 冒頭数行で、「ああ、三月無事だったんだ、良かった」と思ったのはきっと自分だけではないはず。

 ・・・ただ、植物マニア+お菓子でお盛んになる薬を盛られたという展開を想像した俺は吊ってくる orz...
448名無しさん@ピンキー:2011/11/17(木) 02:24:47.52 ID:oxAC3zG/
メイリンは良い主人!
あとユゥの妹が気になる。
深読みしすぎかもしれないけど、このお話は逆光源氏?もしそうだとしたらユゥ君は得しすぎ!!
449名無しさん@ピンキー:2011/11/17(木) 10:51:05.62 ID:rZZQV+22
皆可愛過ぎる。
GJ!
450名無しさん@ピンキー:2011/11/17(木) 10:55:44.80 ID:Kz/f2Ncc
ユゥ君の気持ちがたまらんなあ
451名無しさん@ピンキー:2011/11/23(水) 01:03:54.94 ID:JbL+4TFM
一夫多妻制が廃止された石油かなんかを輸出してる超ブルジョワ国で
王様の唯一の本妻を決めるべく48人の妻の中から総選挙する話とかは
どうだろう
452名無しさん@ピンキー:2011/11/23(水) 04:30:11.83 ID:xGl2/XM5
自身の推し妻は選挙で振るわず涙目になる王様
金で投票券をかき集めて何とか推し妻を一位にする王様と、
同じく自分たちの推し妻を何とかセンター(正妻)にしようと暗躍する有力者
そしてそれぞれの推し妻を応援する国民たち

国民的・金と利権と純愛マネーゲームストーリー
453名無しさん@ピンキー:2011/11/23(水) 08:25:18.55 ID:MI4bNnqz
金なんて使わなくてもいくらでも票の操作できるでしょw
454名無しさん@ピンキー:2011/11/26(土) 07:19:34.01 ID:/nT2s2bC
ユゥ君育成ゲームきぼんぬ
455名無しさん@ピンキー:2011/11/26(土) 11:41:13.41 ID:sYzOzbgH
レンとメイファの激しいセックス話もきぼんぬ
456名無しさん@ピンキー:2011/11/30(水) 20:29:41.19 ID:jsYwmFJ7
お姫様系の話を求めて本読んでたらちょっとオモロイ関係性のエピソードを見つけたので職人待ちのつなぎにでも。
単なる小ネタなんでエロくはないです。×な方はスルーお願いします。

登場人物はイギリス王ジョージ二世とその正妃キャロライン、同じくその寵妃ヘンリエッタ。

まーよくある話だけどたいていの場合、王の結婚はほとんど政略結婚で正妃とはほぼ義務のみの関係。
良くて共同統治者であって、恋愛やらセックスの楽しみは寵妃相手ってのがお決まりだったんたけど、

ジョージさんは、長身で金髪美女・頭も切れるキャロラインさんにベタ惚れだったらしい。
国事についても度々正妃の助言をあおぎ(そのため国の真の支配者は彼女だと言われた)、
その愛情の傾け方の度合いも当時には珍しく正妃>>>>>>寵妃だった。

正妃はかんしゃく持ちの王の扱いがうまくて、寵妃ヘンリエッタもまた何かにつけて
正妃を頼って相談したりと国王夫妻+愛人な三人の関係は良好だったとか。

で、ちょっとオモロイというのはキャロラインは王がヘンリエッタと別れようとするたびにそれを阻止したり、
ヘンリエッタの夫が妻を取り戻しにくると(王の愛人は人妻がデフォ)、
あらゆる手を使って宮廷内に彼女を隠して妨害してたとか。金を握らせて夫を黙らせたりとか。

これはヘンリエッタが温和で善良な女性だったらしいので、単にそういう人が寵妃でいる方が御しやすくて
良かったってだけの事だとは思うんだけど『正妃が寵妃を個人的に気に入ってた』とかだったら面白いのになーとか。
王に熱愛されながらも、王の寵妃とも百合百合「お姉様」な関係のお妃、みたいな。

ちなみにその後ヘンリエッタは最初の夫の死によって宮廷を去り(王様大喜び)、再婚した後は幸せに暮らしたとか。

ヘンリエッタが去った後もジョージは寵妃を幾人も迎えたけれど、やはり最愛の女性はキャロラインだったみたいで。

キャロライン臨終の床で「私が死んだら別の人をめとってね……」と言われるもジョージは
「何を言ってるんだ、正妃は君だけだ!愛人はまた作るけど!」と叫んで
瀕死の妃に「なんじゃそら」的なツッコミを入れられたそうな。

でも結局ジョージはその誓いを守って、妃の死後に迎えた寵妃のうちの
誰一人も正妃にはせず、その死後は遺言によってキャロラインの隣に埋葬されたとか。
それぞれの棺の横板を外して死んでからも傍に寄り添えるようにして。

なんかインテリクールビューティーなキャロライン妃が萌えるなーと思って。
457名無しさん@ピンキー:2011/12/01(木) 06:50:31.10 ID:hnWNrWts
フランスのルイ15世王妃マリー・レグザンスカみたいに、夫が女好きすぎて
自分の身がもたないから、夫が愛妾寵姫もつの歓迎した人もいるな。
エスカレートすると、夫が嫌いだからわざと夫に愛人をもつよう薦めたり
自分から愛人候補の女の子をみつくろったりする話も。
458名無しさん@ピンキー:2011/12/01(木) 21:23:59.54 ID:g8x1B/kW
>>457

下2行、皇なつきの「燕京伶人抄」を彷彿した。
459名無しさん@ピンキー:2011/12/03(土) 02:36:13.67 ID:m5x8rCF/
イングランドのウィリアム1世征服王の王妃マティルドは
最初ウィリアム1世が庶子の出ということで結婚を嫌がったという
そんなマティルドをウィリアムは髪を掴んで引きずり回し
何度も踏んづけたりして、無理やり結婚を承諾させたというが
いざ結婚してみたら仲むつまじい夫婦になったそうだ
マティルド、Mだったのかな……つまり夜も……ハァハァ
460名無しさん@ピンキー:2011/12/03(土) 07:20:08.11 ID:pjhZNp1n
昔は政略結婚がデフォだったから、初めて会った時が結婚式だったってケースも
結構あって、それでも仲良い夫婦は仲良かったりする。
見ず知らずの異性といきなり寝所を共にする姫君の戸惑いやらなにやら想像すると萌えるw
461名無しさん@ピンキー:2011/12/06(火) 14:19:01.38 ID:Od0ftPuv
初対面でヤるっていいなぁ
462名無しさん@ピンキー:2011/12/13(火) 00:57:12.29 ID:9TXZRvBX
>>412続き
微エロ




大広間での晩餐会。何度目かの乾杯の後に続く室内楽の演奏。
ビシッとした正装に決めている大臣や盛装に着飾った婦人達。
小国だけどやるときはやるぜ…と豪勢に並べられた
香草を添えた直火焼きの獣肉に川魚の塩焼き、こんがり焼き上がったパンに
カリカリに焼いたベーコンと山菜のパエリア。さらには瑞々しいサラダに甘いスィーツ。
そして葡萄酒に発泡酒。まだまだ数え切れないくらいのごちそうがあった。
立食の形をとっているので大臣、高官達が歓談したり、帝国の王に挨拶したりしている。
でもボクは――――――
「……………」
貼り付けたような笑いを浮かべて、できるだけ皇子から遠ざかっていた。
皇子の名前はリュティス。
中性的な顔立ちなのだが、時折見せるキリッとした表情に仕草は
まぎれもなく男の顔だ。大陸でも特に珍しい紅い瞳が印象的だった。
立ち振る舞い、笑顔に、礼儀等々……さすが帝国の王家の血筋、申し分ない。
それはいい…いい、そう……とってもいいんだけど――――――
(川で裸見たからっていう理由でお金取った相手にどうやって接すればいい?)
『初めまして、ようこそヴァルズガイストへ。第一王女のスティアです♪』
なんて笑顔で言えるわけがない…今さら上品なお姫様を演じたところで何になるのだろう。
気まずい、気まずい、非常に気まずい。極度の緊張に楽しみにしていた料理も美味しくない。
味がしない、まるで鉛を食っているみたいだ。適当に理由をつけてさっさと奥に下がろう。
そう思った矢先に――――――
「スティア、お前もこちらに来て皇子に改めて挨拶せんか」
くっそ、マジで空気を読めよ!呼ぶな、招くな、笑うな、クソ親父!
しかもボクに喋るなとか言っていたよな、ええ?
463名無しさん@ピンキー:2011/12/13(火) 00:59:57.07 ID:9TXZRvBX
「リュイナッツ様、リュティス殿下、こちらが第一王女のスティアです」
親父が上機嫌な顔で言った。酒臭い……クッソ、こいつ酔ってやがる。
「リュイナッ…ツさ…ま、リュティス…様…第一王女のスティアでしゅ――痛ッ」
ああ…噛みすぎて唇噛んじまった。やばい。
「こちらこそ。スティア姫、突然お邪魔してしまって申し訳ありません」
「初めまして。お会いすることができて光栄です、スティア姫。帝国第一皇子リュティス=ザ=ゼオンです」
あーあー…こんばんは、こんばんは。演技はばっちり決まっているよ。皇子様。
ボクは居たたまれなくなって、適当な理由をつけてテラスに逃げた。

「はぁ〜………」
テラスには誰もいなかった。まだ晩餐が始まって間もない頃だ。こんな時間にテラスに出てくる人はいない。
夜風に吹かれて少し気持ちが晴れた。あーあ…落ち着いたらお腹が減ってきたよ……
何か摘んで持ってくればよかった。
「よっと…」
ボクは煉瓦でできた太い手すりに腰を掛け、城下の明かりを眺めた。
いつもはぽつぽつとしかない明かりが今日はいつになく多い。
あ、そういえば今日は収穫祭の日だっけ…すっかり忘れていた。
いつもならお忍びで―――というか皆、顔見知りだけど―――祭りに出て、
なんやかんやと喋り、酒場で腕相撲したり、踊ったりして楽しく飲み食いしている頃だ。
「あーあー…もう、つまんないなぁ」
「そんな所に腰掛けていると危ないですよ」
ふいに後ろから声を掛けられた。声からして侍女のミーナかな?
幼馴染みのミーナとは同じ年齢で気が合う。二人の時は女友達みたいに話したりしていた。
「いいの。ボクは酔ってないし、落ちるようなヘマはしないもん。しかも落ちても平気だし」
手すりの下は森で様々な木々が生えている。余程酔っていない限り、木の枝に掴まる自信はある。
伊達に『武道』の名前を冠しているワケではない。体術を中心に剣、槍、弓、そして銃器の扱い。
余談だけど、銃は1発撃ってから次の弾込めに時間が掛かるのであまり好きじゃない。
「コレ、持ってきたけど…食べます?」
後ろから差し出された取り皿には晩餐での料理が小分けされていた。
「さっすがミーナ、ちょうどお腹が減っていたんだ。ありがと」
そう言って鳥のモモ肉を手で取ってはむっと食べるボク。
「はぐはぐ…ああ、美味しい…さすがは国内産の地鶏の蒸し焼き…
一年に数回しか食べることができない最高の味だ〜ほっぺが落ちそう♪」
「美味しそうだね。僕も持ってきた甲斐があったよ」
「もう、ミーナ…ボクの口調まで真似しな――――――」
「葡萄酒もどうですか?スティア姫」
料理が盛られた小皿を持って来たのは旧帝国の皇子様だった。
「…え、あーん、ゴホン……リュティス殿下には、ご、御機嫌麗しゅ…」
ドレスの裾を持ち上げて、微笑みかけるがうまくいかない。
「ははは、いいよ、いいよ、挨拶は抜きで。一緒に食べよう」
テラスに設けられているテーブルの上に料理を置いて、向かい合うように座ったボク達。
「あ……あの先日は…えっと…ごめんなさい。知らなくて…」
「ああ、そのこと…僕も申し訳なかったし…いいよ。でもお金を取られたのはびっくりしたけど」
「えーと…あ、あの…お返します。今すぐ、取ってきますから」
席を立とうとするボクを手で制して皇子は言った。
「それより僕はスティア姫と話がしたいんだ」
「ボ…あ、い、いや…そのわ、ワタクシ…と?」
噛み噛みの返答。
ああ…普段、使い慣れていない言葉遣いでのお話はかなり疲れるんですが
その意図を汲み取ったのか皇子は言った。
「僕も堅苦しい挨拶とか外用の言葉って疲れるし、普段の君と話をしたいな」
464名無しさん@ピンキー:2011/12/13(火) 01:01:06.04 ID:9TXZRvBX
「はむはむ……そう言えばさ、ティスはどうしてウチに寄ったの?」
ボクは干し葡萄を摘みながら、皇子…いや、ティスに向かっていった。
ティスとは皇子の愛称らしい。素のボクを見てティスは満足そうだ。襟元を弛めて皇子様は答える。
「本当は予定になかったんだけど…父上が寄ってみたいって理由が大半
僕も興味が湧いた…っていう理由が残りの分、ヴァルズガイストには迷惑な話だったかな」
確かに7日間の粗食はもう勘弁して欲しい。晩餐会の御馳走は美味しいけどね。
「ううん、そんなことないよ。この国に来るお客さんはほとんどいないし、他の国には何かの外交でまわっていたの?」
「えー…あ、ああ…そう。色々な用事があってね…」
ティスの声が暗い。他の国で嫌な事があったんだろう。
「ね、ね…聞いてみたいことがあるんだけど、いいかな?」
「ん、何?」
「ティス皇子ってさ、今まで何人くらい女の人としたの?」
単刀直入に聞いてみた。すると王子はこめかみに手をあてて
「………え、ええっとね、君は僕に何が言いたいのかな?」
苦笑しながらティスが言った。
ボクは自分がイメージしていた王子のプライベートについて言ってみることにした。
「皇子様って仕事中の侍女を後ろから襲って『ここがいいの?するするって入っていくはずだよ』
とか言って無理矢理したり、正妻は地位が釣り合う年上の女の人にしておいて
毎晩、毎晩、側室としたり、気に入った貴族の若い娘とか街娘に夜這いして種をつけるのが皇子の仕事なんでしょ?」
「……あ、あのね…何の本を読んだか知らないケド…君はすごく誤解しているよ。
そんなふしだらなことしたら皇位剥奪されて幽閉されるし、最悪の場合は死刑にされちゃうよ。
それにね、他の国は知らないけど、帝国では側室制度は廃止されているの」
「……へぇ…そうなんだ…」
あれぇ…あの本にはノン・フィクションって書いてあったのに。あれはウソか、畜生め。
「そうなの。それに僕はまだ誰とも結婚してないし、もちろんしていません」
その言葉を聞いてボクは身を乗り出し、眼を輝かせて言った。
「あのね、あのね、あのね!30歳まで1度もエッチしないと魔法使い――――――」
「そういう話題はやめてね」
ばっさりと話題を切られてボクはしゅんと意気消沈した。
「………スティア姫、君はこの国をどう思っている?」
ふいに皇子が真面目な顔をして言った。
465名無しさん@ピンキー:2011/12/13(火) 01:02:33.05 ID:9TXZRvBX
「え…どうって……」
「ヴァルズガイスト国は好き?」
「この国?それはもちろん好きだよ。小さくても、何の特産品もない国だけど好き」
これは偽りのない本音だった。だけど皇子はなんだか冷たい眼をして言った。
「この国は山が多い、そのせいで耕作に適した土地が少ないなら山を切り崩せばいい。
山を削れば鉱石や水晶が出てくるかもしれないのになぜしないの?」
なっ……何を言い出すのかと思ったら――――――ボクは毅然として言った。
「山には動物が住んでいるし、時には獲物になる。皇子の言う通り山を切り崩したら
鉱石や水晶なんかが出てくるかもしれないし、出てこないかもしれない。どっちに転んでも
確実に動物の住む場所は無くなる。たとえ動物でも住む場所を追い出すのはよくないことだよ」
「だったら、民の税を上げればいい。そうすれば毎日、美味しい食事が食べられるし、
外交費も工面できるし、耕作技術者も呼べる。それに自然が多い国だし川も湖もある。
綺麗な真水は貴重だし、その利権を使えばそれこそ都市の1つや2つは丸ごと買い上げることができる。
湖や川のおかげで夏場でも涼しいだろうから湖畔の土地を別荘地にして貴族を誘致したり、
湖を開発して夏の行楽地にして、武術大会なんかも開けばこの国はもっと豊かになるよ。」
確かに皇子の言っていることは合理的だ。今の税率を上げれば、
国民の暮らしは一時的に廃れるだろうけどお城では粗食から解放される。
真水の利権を使って他の都市を買い上げれば国民の食事も満たされるし、土地も増えるだろう。
潤った財力で湖や川、夏には最適な避暑地として他国に宣伝し、別荘地にして、
湖を開発して行楽地にすればこの国はもっと豊かになる。残念だけど、戦争に使う武術は太平の世には不要な存在なのだ。
それはわかっている。わかっているけど……でもボクは我慢できずにいった。
466名無しさん@ピンキー:2011/12/13(火) 01:04:12.33 ID:9TXZRvBX
「本気でそう思っているの?」
「逆に聞くけど君はそう思わないの?貧しい暮らしから解放されるのは君も含めてこの国の人達もだよ?」
「でもそれは動物や買い上げた都市の人達を犠牲にして得た暮らしでしょ?」
「君は自国の民と他国の民、どちらが大事なの?」
「そ…それは…ど、どっちも大事だよ。人と人とを天秤に掛けられるワケないじゃない!
それが帝国の皇子の考え――――――」
ボクは熱くなって声を荒げようとした時

「それが王たる者の使命だ」

皇子の紅い瞳がボクを捕らえた。背中が凍り付くような感覚だ。
蛇に睨まれた蛙のように動けないっていうのはこういった感じなのかもしれない。
「――――――って、これお祖父様の言葉なんだけどね」
ティスは笑っているけど、眼だけはボクを見据えたままだ。
ボクはその気を何とか払って、震える声で言った。
「そ、それは間違っている!そ、その考えは間違っているよ!」
「どうして?」
「そんなの決まっているよ。民があっての国じゃないか!みんなを蔑ろにして自分達だけ良い思いして!
他人を犠牲にして成り立つ幸福なんてボクは絶対にいやだ。そんな王は人の上に立つべきじゃない。
ボクはそんな王を絶対に認めない!それにこの国を避暑地?湖を開発?
冗談じゃない、自分の豊かな生活の為に誰かを、動物達を綺麗な湖を犠牲にするくらいなら!
今の生活の方がずっといい!100倍マシだ!」
ボクは声を荒げて言い切った。ここはテラスだ、
晩餐会の音楽にかき消されてどうせ誰にも聞こえやしない。
「ふふ…」
すると皇子は思ったかくすくすと静かに笑った。
「今、笑った?こっちは真面目な話をしているのに!」
「いや、ごめん、ごめん……僕も君の意見には大賛成だ。やっぱり僕の眼に狂いはなかった」
そう言って皇子はボクの手を掴み、眼を輝かせて言った。
「スティア姫、素晴らしい考えだよ」
「あ…え?……い、いや…」
ボクは拍子抜けした。これがさっきまで議論していた皇子なのか?まるで別人のようだ。
「スティア=ヴァルズガイスト第一王女、僕は君のことすっかり気に入っちゃった」
ま、真面目な顔でそう言われると、背中がむず痒くなる。
「ああ、そりゃ……どーも……アリガト…」
「あとは言葉遣いだけだよね。ま、そんなのどうとでもなるし…」
うんうんと何かに納得しながら皇子はボクを見た。
「何をブツブツ言っているの、はっきり言えばいいだろ」
腕を組んで思案に耽っていた皇子は視線をこちらに向けて言った。
「いや、僕さ……君をお嫁さんにもらいたいなって思って」
「はぁ?お嫁さん?」
ボクは思わず声を上げてしまった。この皇子様、何を言っているんだ?
「ボクを嫁にもらいたい?それって結婚したいってこと?冗談でしょ?」
「冗談?スティア、君は一国一城の主のお姫様だし年齢的にはクリアしているから問題ないよ」
「問題大アリだよ。かつての帝国の皇子とボクが釣り合うはずないじゃない。もっと大国の姫様と
結婚するのが当然でしょ?」
467名無しさん@ピンキー:2011/12/13(火) 01:05:02.38 ID:9TXZRvBX
「僕は――――――」
皇子がボクの腕を取った。
「え、な、何を…ちょっとんッんん!?」
柔らかい唇がボクの唇に重なる。こ、これってき、キス!?
……何がど、どうなって!?
「んんぅ!ふッふはッ!ちょっ…皇子!ボ、ボク―――んうううッ!」
逃れようとして、一瞬唇が外れた……けど、すぐに掴まって今度は深いキス。
「――――――本気だよ」
あ、ああ……やばい、何か力が抜ける。な、なんで――――――
クラクラする思考を何とかしようとしているウチに皇子の唇が離れた。
「い、いきなり……何するのよ……」
「僕は本気さ…スティア……僕と結婚して欲しい」
「で、でも…そんな事、急に言われても…」
ボクは自分でも恥ずかしくなるほど乙女な声で俯いた。
「誰が何と言おうとも『否』とは言わせない。それが父上だろうとも母上だろうとも絶対に言わせないさ
もっとも――――――君が『否』だったら話は別だけど?」
あ、ああ…そんな顔して言われると…ヤ、ヤバイ…皇子はそう言ってもう一度キスしてこようとした
ボクはその唇に手をあてて言った。
「だ、ダメ……こ、これ以上…こ、ここテラスだし…誰かが来たら――――――」
「それは『肯定』って事でいいのかな?」
「う、ううう………だからここは、場所が、場所だし!」
「大丈夫。秘書官のティータに『魅了』の魔法使ってもらっているし、ちょっとした魔法なら僕にも使える
……この晩餐会で僕と君、このテラスの存在を希薄にさせる魔法をね」
ちょっとしたって……そ、それってものすごく複雑な高等魔法じゃないの?聞いたことないってそんな魔法。
童貞で30歳にならなくても、正真正銘の魔法使いだったんだ!

ああ…今、ボクはドレスの裾を捲り上げて、テラスの壁に背中を預けている。
立ったままでボクの足元にいる皇子から愛撫を受けている格好だ。
「下着……いいかな?」
「………あ…で、でも」
今日に限って紐パンだ。皇子がスルスルと紐をほどくとハラリと下着が落ちた。は、恥ずかしい…
両脚を開くとうっすらと茂ったアソコが丸見えだ。立ったまま晒すなんて…激しく恥辱。
皇子はボクのお尻に両手を回し、指を食い込ませた。ぐむにゅっと弾む弾力。
「は…あっ…あふっ」
顔から火が出る程恥ずかしいのに自分でも驚くほど変な声がでる。
鼻に掛かったようなイヤらしい声だ。
「んっ…ちゅ」
「あっ…んんぅ!」
皇子の舌がボクのアソコと突起をペロリと舐めた。
「綺麗だね……」
「な、舐めないで…き、汚いよ」
「川で洗っていたのに?とっても綺麗だよ、でもあまり生えてな――――――」
「そんな恥ずかしいこと言うなっ!」
ボクは皇子の頭部をガシッと押さえつけた。
「ハハハ、ごめん、ごめん……でも本当に綺麗だ」
皇子は片方の手で股間を股探りはじめ、一番敏感な突起を指で愛撫した。
「こ、こんな…いや…や、やめ……んんんッ!」
ひとしきりボクのアソコを堪能すると両肩を掴み、立ち上がった
「はっ……ん…ティス…?」
「初めてはココじゃイヤだよね。続きは君の部屋の方がいいと思う」
………う、うう……ここまでしておいて……もう!

続く

次回で完結
>>461初対面でエッチするところで切ってすいません。
468名無しさん@ピンキー:2011/12/13(火) 20:08:58.18 ID:7IFxaKOV
待ってた!
王子様いきなり積極的だな! しかし寸止め・・・
続き期待
469名無しさん@ピンキー:2011/12/14(水) 13:20:05.24 ID:CtQqjWTg
王子様手馴れすぎてるw
ゼッタイ、あちこちの風光明媚な田舎国家でお姫様食い散らかしてるぞw
470名無しさん@ピンキー:2011/12/14(水) 22:19:44.68 ID:z1RcxaTh
男言葉の姫様可愛すぎる
471名無しさん@ピンキー:2011/12/17(土) 14:06:56.89 ID:sxxZq7yq
投下します。『秘密の勉強会』のタイトルで全部で3レスです。

※注意
本格的な百合ではありませんが女同士による擬似フェラです。
472秘密の勉強会1/3:2011/12/17(土) 14:08:58.45 ID:sxxZq7yq
ドレスを身につけた女たちが二人、人払いした部屋の中で顔をつきあわせ
本を開いていた。一人は黒髪、非常に整った顔立ちの美女で名はアウラという。

切れ長の瞳の鋭さが人によっては冷たい印象を与えるかもしれない女性であった。
もう一人は金髪で名はエレノア。若草色のドレスにはわずかだがアウラよりも
質の良いレースがあしらわれている。つぶらな瞳に長い睫毛の愛らしい娘だ。
何より笑顔が華やかな少女であった。

二人の容姿はいずれも魅力的ながら全く似てはいなかったが、姉妹のような
睦まじさで一冊の本を挟んでいた。
まるで姉が妹にはまだ読めない外国語の物語を読んでやるかのように。



「よろしいですか、姫様。これが『口取り』といわれる行為にございます」
そう言ってアウラは本の頁を開き、挿画の一つを指差した。
「まぁ……」
エレノアは思わず柔らかな金髪を揺らしながら口元に手をあてて嘆息する。
その頁にある挿画には裸の女が、同じく裸の男の足と足の間に頭を入れ、
男根を口に含んでいる様が精緻に描かれていた。

外国語の物語などとんでもない。これは紛れもない春本であった。
だがそれを見やるアウラの美貌には羞恥の影など少しも存在しなかった。
淡々と横に書かれた、いかに女性が男根を舌で刺激し男性の欲望を
口内で受けとめるべきかの説明を朗読する。

エレノアは愛らしい顔を困惑で曇らせながらも挿画を真摯な瞳でみつめて言った
「これを、わたしもいずれは旦那様となるべき殿方にするのね」
「ご夫君が望まれるのであればですが」
「そう……ならばやはり嫁入り前の技芸のひとつとして修得しなくてはならないわね。
ええと、こうすればいいのかしら」
エレノアは挿画を見ながら鏡を片手にああでもない、こうでもない、と
舌の動かし方を研究していた。だが成果はどうにも芳しくないらしく
悲しげに眉を寄せると力なく嘆息した。

「駄目だわ……うまくできてるのか、そうでないのかすらもよく分からない……」
「お任せくださいまし、姫様」
すると女主人の嘆きをうけて侍女のアウラがその悩みを解決すべく、
音も立てずにすっと立ち上がると、戸を開けて部屋の外にいた端女を呼び止めた。
「わたくしの部屋にある物入れから、百合の刺繍のしてある袋を
持ってきてちょうだい。部屋の中にいる女官に言えば分かるから」

あまりにもあまりな会話をしているこの二人が何をしているのか、その発端は数ヶ月前にさかのぼる。
王女であるエレノアは年頃ということもあり、そろそろ結婚という話が出始めていた。
相手はまだ決まってはいないが候補はいくつかあるようで、父王とその大臣たちの間で
幾度となく話題があがっていることをエレノア自身も耳にしていた。

家庭教師も今までのように外国語や詩歌だけではなく『男女のしくみ』といった事を
合わせてエレノアに教えるようになり、婚姻とそれに付随する行為をエレノアも理解するようになった。
若い女官たちが笑いさざめきながらひそやかに話していた事の意味がはっきりとして
エレノアは得心していたが、半分坊主のような家庭教師の授業では男女の交わりの説明は
ただ書物のみで行われ、格式はあるが古びた言語で「神が祝福される夫婦の結合」などと
言われても、エレノアには実際の行為がいまいちピンとこないのであった。
473秘密の勉強会2/3:2011/12/17(土) 14:11:09.78 ID:sxxZq7yq
そうしてエレノアは乳姉妹であり腹心の侍女でもあるアウラに相談をしたのであった。
房事のことをもっと色々知りたい、と。
昔からアウラはこの年下の女主人に甘い。頼まれればなんだってするのが常であった。
アウラは房事にまつわる本や道具を集め揃えると、エレノア相手にそれを教材として
二人だけの勉強会を開くようになったのだ。
そして今日は口取り――すなわち男性器を口で刺激する方法を学んでいた。



袋を持ってこさせるとアウラは中から白い筒のようなものを取り出した。
艶やかに白く塗られたその筒は、長さとしてはせいぜい女の手のひらよりも
少し長いくらい。細長い円筒形をしているがその先が玉子のように丸みを帯びていた。

だが丸みを帯びているのは先端だけで、円筒部と先端との間にはくっきりとした
くびれがあった。それが何なのかを知らないエレノアはそれを見て無邪気な笑顔を浮かべた。
「あらなぁにそれ。お人形? かわいいわ」

「人の形を模したもの、という括りでいうならば人形と言えるかもしれませんね。
これはディルドー。性具と呼ばれる類の物です。よろしいですか姫様、これは
この本に描かれた男性器を模したものなのです」
「そんな、では殿方には皆これと同じものがついているの!?」

エレノアは渡されたディルドーをしげしげと眺めていたが、それを聞いて
衝撃を受けたように目を見開いた。そして侍女に言い募る。
「そんなの絶対おかしいわ。だってこれがついてるならわたしだって
気がついたはずよ。殿方はスカートではなくズボンを履いてるのですもの。
これがついてたら、すごく目立ってしまうわ。そうでしょう、アウラ」
「本物のこれは大きさが変わりますので」
「まぁ……伸縮自在なんて、殿方はとても器用なのね」
侍女はそんな事は一言も言ってはいないのだが姫君は大きな勘違いをした。

「……これは男性器の模型ですから、口取りの鍛錬をなさるにはこれが
あった方がやりやすいかと」
「ではこれを口の中に入れれば良いのかしら?」
ディルドーを掴んだまま、侍女にそう問うと教師役の女は首を振った。
「いいえ、いきなり口にお含みになるのは早すぎます。
まずは先端に唇をつけてくださいまし」
言われるがままにそうすると、侍女は次の手順をエレノアに説明した。
「そのまま先っぽを舌でちろちろと舐めて……そうです、その調子ですわ」
「ん……」
「どのくらいの時間そうするかは殿方の反応次第ですが、殿方の陰茎が
しっかりと固くなったら、もう口内に入れてしまって構いません」
エレノアは唇を開くと、思ったよりも大きいその道具を口に含んだ。
「いんけい」の綴りが気になってはいたが、口に物を入れているため喋れず、
尋ねることが出来なかった。

「口に含んだら、唇をすぼませて刺激を与えてください。
中で先端を舌で舐めることもお忘れなく。……けして歯を立ててはなりませんよ」
「うう……」
なかなか大変なようでエレノアは声を洩らしながらも懸命にアウラの指示に従っていた。
姫君の口の端から透明な唾液が一筋流れていく。
「次の段階に参りますわね。失礼いたします」

そう言って侍女は姫君の口の中に入った淫具を掴んだ。
それをゆっくりと滑らし前後に動かしていく。
474秘密の勉強会3/3:2011/12/17(土) 14:13:13.19 ID:sxxZq7yq
「う、……んんっ、あうあ、くるし……」
「鼻で息をなさるんです。そうゆっくりと、舌を動かして……
くびれた所がございますね。そこは舌で分かりますか?
その部分をなめるのです。まんべんなく、じっくりと」
「あ……う、う…っ」
上気した顔でエレノアはぴちゃ、ぴちゃと淫具を舐めていく。
その表情といい、口から出してまた挿れていく時にのぞく桃色の舌といい
それはいやらしく、見るものの劣情を誘うものだったが、姫君の口内を形として
道具で蹂躙する侍女は、あくまでかすかな微笑を浮かべたまま、エレノアの
技巧を教師らしく褒めたり助言するのみで、その表情を変えはしなかった。
そのため姫君も自分がどれだけ淫蕩な姿を見せているのか、はっきりとは理解してはいなかった。

「う……っ」
「もう、このくらいでよろしいでしょう」
アウラはそう言ってエレノアの口から淫具を引き抜いた。
透明な糸が唇と淫具との間をつないでいく。
懐から絹の手巾を取り出すと、アウラは濡れて光る淫具をすっとぬぐって包んだ。
エレノアもまた自分の手巾で唇をぬぐう。
「ねぇアウラ。わたし、うまく出来ていた?」
「もちろんですわ、姫様。初めて挑戦されたとは思えないほどの出来。
なにをなさってもお上手ですね、さすがわたくしの姫様」

アウラに褒められてエレノアは頬を染め、嬉しそうに微笑んだ。
自分を褒めてくれるときのアウラの優しい微笑がエレノアはとても好きだった。
アウラは、尊敬はしているが遠い存在である両親よりも、他国に嫁に行ってしまった
姉妹たちよりもエレノアにとっては身近な存在だ。

「お疲れになったでしょう。お茶の用意をさせましょうね」
そういってアウラはわずかの間にエレノアが大好きな菓子も
用意した茶席を設けてくれたのであった。



夜の静寂の中、寝台で横になったままエレノアは今日の勉強会のことを思い出していた。
(わたしの旦那様になる方は口取りがお好きかしら?)

エレノアはいずれ自分が嫁ぐのは、誰にしろ顔も知らない男なのだということをよく分かっていた。
何が好きか、何が嫌いかも分からない。名前すら知るのは婚姻の少し前だろう。
上二人の姉もそうやって他国に嫁していった。父王の命令で。
それをエレノアは特に不幸だとは思ってはいない。王族としての努めだと割り切っていたからだ。

(夜の営みが上手くできれば、わたしの事を愛していただけなくとも
気に入ってはいただけるかもしれないものね。そうすれば――)

王族の女が嫁ぐ目的はただ一つ。
嫁した国で至尊の冠を受け継ぐべき子を生み落とすことだ。その国に、エレノアの
一族の血の楔を打ち込むことだ。エレノアはうつろに目を見開いて天井を見つめていた。

(きっと大丈夫……)

どこに嫁ぐにしろ、姉であり教育係であり友人でもある乳姉妹のアウラが
きっとついて来てくれるだろう。ならば、けして寂しくはなかった。

(だから、きっと大丈夫……)
エレノアはもう一度、そう胸の内で呟いて瞳を閉じた。

(おわり)
475名無しさん@ピンキー:2011/12/17(土) 14:15:14.96 ID:sxxZq7yq
以上です。
>>456-460にあった昔のお姫様の話みてて、お姫様は政略結婚するにあたって
結婚前に性教育とか受けるのかなー、それって侍女とか乳母が教えるのかなー
悪ノリして過激なこと教える侍女とかいなかったのかなーとか思ってのネタでした。

読んでくれた人ありがとう。
476名無しさん@ピンキー:2011/12/17(土) 16:05:54.70 ID:XUCWspSi
職人様乙です
エレノアが上品エロ可愛いくてツボだ
477名無しさん@ピンキー:2011/12/18(日) 00:30:31.79 ID:xHZomjJV
>>475
おつおつ
すげえ好みな話だわ。アイデアがあればまたこういうの書いて欲しい


ところで保管庫の
http://vs8.f-t-s.com/~pinkprincess/princess/index.html
が消滅してるな。とりあえずWebArchiveでみれたけど放置でいいの?
478名無しさん@ピンキー:2011/12/18(日) 14:41:51.96 ID:gIYZC5oW
>>475 おつ!
侍女はお姫様が淫具舐めてるの見て興奮してんだろうな
処女を傷つけない範囲でエロ調教を展開しそうな


保管庫はトップページが
http://www14.atwiki.jp/princess-ss/pages/1.html
になってる?保管庫自体は存在してるんだな
そろそろこのスレの容量もやばくなってるけど保管庫の中の人はまだいるんだろうか
あるいは保管作業できる人いる?
Wikiだけど、作業によってはロックかかってて俺にはよくわかんないんだ
479名無しさん@ピンキー:2011/12/18(日) 14:56:17.03 ID:gIYZC5oW
連投ゴメン
というか、中の人がなんか作業してくれたっぽい?
11/19が最終更新でなんか保管SS増えてる
480名無しさん@ピンキー:2011/12/18(日) 21:52:08.38 ID:a+7Whlzf
>>479
残念ながら管理人さんはしばらく音沙汰ナシです。
中華の国シリーズから私が作品を保管庫に勝手に増やしています。
481名無しさん@ピンキー:2011/12/19(月) 00:50:25.79 ID:voyjW0PY
>>480さん、ありがとうございます。
覇王の〜の作者ですが
孫娘が保管されてて嬉しかったです。
本当にありがとうございました。
482名無しさん@ピンキー:2011/12/19(月) 17:15:11.65 ID:J3zj+xlg
>>480さん乙です
483 ◆EqHQZWqzB. :2011/12/23(金) 11:09:46.17 ID:wxtxAmp+
オリジナルの姫陵辱物を投下します。
15レスくらいになると思います。
484 ◆EqHQZWqzB. :2011/12/23(金) 11:19:35.49 ID:wxtxAmp+
「そろそろかしら…………」
 教育係に読んでおくように言いつけられた小難しい退屈な本を閉じ、ナトダール王国の第一
王女、ネフェティアは立ち上がった。城の最上階の奥にあるネフェティアの私室には、商人か
らの貢物であるきらびやかな調度品や絵画、ドレスが、差し込む陽光をよりまばゆいものと変
えて室内を明るく照らしていた。
 もっとも、当の本人は、暑さからか分厚いドレスを嫌い、この時期は装飾も控えめな、袖の
ない薄手のワンピースを身につけることが多かった。
「…………」
 窓の外から裏庭を眺めると、退屈そうな顔をした兵士があくび混じりに城内の警備を行って
いるのが見えた。太陽が一番高くなったところであの兵士は食事に出かける……そして交代の
兵士がやってくるまでのわずかな間、裏庭に人はいなくなる。
 このときが、ネフェティアが城を抜け出す唯一の機会だった。
 城の近くにある森の奥には小さな湖があり、今日みたいな暑い日には、水浴びをするために
よくそこに足を運んでいた。一糸纏わぬ姿で、程よく冷たい水に浸かり汗を流す……想像した
だけで気持ちがさわやかになり、少しも待てなくなってしまっていた。
「……この格好なら、大丈夫よね」
 窓の外から顔を出すと、吹き付ける生暖かい風が額を撫で、長い金髪をなびかせる。遅れて
やってくる地面や草の湿った匂い……嗅いでいるだけで蒸し暑さを思い出し、額に汗が浮かん
でしまった。不快感を覚えつつも兵士の動向を窺い続ける。
「あっ、早くしないと」
 兵士が詰め所のほうに向かってのろのろと歩き出す、引き出しから銀でできた鍵を取り出し、
くるぶし辺りまであるワンピースの裾を翻させながら、ネフェティアは足早に裏口へと急いだ。

 ネフェティアが裏庭にたどり着いたころには、すでに兵士の姿は消えていた。周囲にも人気
はないようで、人も、花も、木も、城も……何もかもがが昼寝をしているみたいだった。
「………………」
 裏庭の一番奥まったところにある大きな茂みの向こう、ここにネフェティアとこれを作らせ
た大工しか知らない秘密の出口があった。一見すると外壁と同じ素材のレンガだが、レンガを
貼り付けただけの木の扉であり、その中は外と内を繋ぐトンネルになっている。
 人目を気にしながら、扉の鍵を外す。中に入り同様に扉を閉めて、四つんばいになってトン
ネルを進む。窓がないこの通路はじめじめとしていてどこか黴臭い。絹のハンカチで鼻を押さ
えながら出口へと這い進み、もう一つの扉を開いた。
 「んっ、今日もいい天気ね……」
 いい意味で言ったのではない。ぎらつく太陽の光は毒々しく、ネフェティアの真っ白な肌を
遠くから火で炙っているようだった。それでも城の中に閉じこもっているよりはずっとましだ
と、膝や肘を軽く払い、足取り軽く森のほうへと進む。

――――――――――――――――――――――――
 まばらに立ち並ぶ雑木林の陰でネフェティアの様子を窺う男が一人、足早に森の奥へと進む
彼女を一定の間隔を保ちつつ、足音を殺し後ろから付け回していた。
「……あいつの言ってた話は、本当だったのか」
 数日前、男はかつて城壁の補修を行ったという大工と一緒に酒を飲んだ。そのとき、酔った
大工はネフェティアから特別に金をもらい、隠し扉を作ったという話を男にぽろりと漏らして
しまっていた。
「それにしても、さすがは姫様だな」
 一人でいるゆえの警戒心なのか、ネフェティアは少し歩くと後ろを向いたり落ち着かない様
子できょろきょろと左右に視線を移す。男はその瞬間に、目ざとく彼女の顔を盗み見た。
 腰まである髪は純金を思わせる明るいブロンドで、降り注ぐ木漏れ日を反射しきらきらと光
り輝いていた。エメラルドグリーンの大きな目、小さく、筋が通っている鼻、朝露に濡れた花
びらと見間違えそうな薄桃色の瑞々しい唇、貝殻のように小さな耳……顔立ちはまるで精巧な
美術品のようだったが、湛えた笑みと薔薇色の頬が、彼女が血の通った人間であるとはっきり
と教えてくれた。
「…………」
 次に、男はネフェティアの首から下に目をやった。細くなだらかな肩幅、無骨さとは無縁な
小さな手と真っ白な指は、薄絹のヴェールをかぶせたようだった。
485 ◆EqHQZWqzB. :2011/12/23(金) 11:19:59.90 ID:wxtxAmp+
「たまんねぇな……」
 そして何よりも男の目をひきつけたのは、可憐な外見からは信じられないほどに大きく張り
出している乳房だった。左右の膨らみは大きな水晶玉でも詰まっているのかと思うほどに前に
張り出している。しかしそれは水晶玉とは異なり、呼吸するときでさえ上下にゆさゆさと揺れ
ており、触れなくても柔らかさが見て取れる。
 その一方で、ウエストは引っ込んでおり、強く抱きしめてしまえば折れてしまいそうだった。
お尻は、くびれた腰から急激なカーブを描いており、乳山同様、若さに溢れんばかりに前に飛
び出している。ボリュームゾーンにフィットしたスカート部分からは、かがみ込むと下着のラ
インが見えてしまうほどにむっちりと肉がついていた。
 男はさらに目線を下に移す。丈の長いドレスのせいで太ももの脚線美を見ることはできな
かったが、ネフェティアが歩を進めるたびに裾が風に煽られてめくれ、引き締まったふくらは
ぎや足首はその目におさめることができた。
 
「いい身体してやがるな、へへっ」
 彼女のお尻は、ドレスを破らんばかりに実りきった乳房より大きさではわずかに劣る。しか
し丸みを帯びてきゅっと上を向いた二つの山は、彼女が勢いよく地面を踏み込んだところでぷ
るんっと大きく上下に揺れて、そのたびに男の目が吸い寄せられてしまう
「……早くおっぱいも見せてもらいたいところだぜ」
 薄皮を纏った水蜜桃を思わせる尻も悪くなかったが、最も魅力的なのは乳房だろう。隠され
て見えない生乳はいったいどうなっているのか。蕩けんばかりの肉弾は純白のドレスにも負け
ないほどの抜けるような白さで、血管が青く、うっすらと透けているだろう。その頂点には色
づきかけた小さな木苺があるに違いない。
 そして実際に触ってみれば、激しい自己主張とは裏腹に指はあっさりと飲み込まれ、吸い付
くような汗ばむ肌は、同時に指を優しく押し返してくれるはずだ……ここまで想像したところ
で、男のペニスは今までにないくらいに勃起していた。
「早く触らせてもらわないと、身が持たないな」
 妄想だけで、ここまで股間を熱くしてしまうなんて、オナニーを覚えたての少年じゃないか
と、男は苦笑する。だが、ここまで興奮させられたことで、男はネフェティアに襲い掛かり青
さの残る美しい身体を自分のものにしたくなってしまった。
 幸いにもこの森に入り込む人間は、狩りを生業としている男以外はほとんどおらず、また、
ネフェティアに護衛がついている様子もない。お忍びで森の奥に向かっていると考えれば、万
に一つも隠し扉の存在が明るみになり彼女が城を抜け出せなくなる可能性もある。
 このチャンスを逃す手はない……男は少しずつ距離を詰めながら、ネフェティアを犯す機会
を窺った。

――――――――――――――――――――――――
 うっそうと並ぶ木々に囲まれた湖、木漏れ日が水面を照らし、一点の曇りもない澄み切った
水はそれを反射し、光を当てた鏡のようにまぶしく輝いていた。ほとりまで近づいて、水を手
ですくうと心地よい冷たさが手から腕へと伝わり、汗が引いていく。
「……誰も、いないでしょうね」
 普段から人がいたためしはないのだが、一応左右に視線をずらし誰かいないか確認する。聞
こえるのは風が葉を揺らす音と虫の鳴き声のみ……安心したネフェティアは、待ちきれないと
いわんばかりに袖と背中にあるドレスのボタンに一つ一つ手をかけていく。
 すべてのボタンを外し終えると、くるぶしまでのロングドレスがふわりと地面に落ちた。そ
れを拾い上げて折り目正しくきれいに畳む。
「…………」
 ブラとショーツも脱いでしまおうとしたとき、透明な水面に自分の身体が映し出されて、ふ
とそれに目が行った。赤ん坊の頭ほどある自分の乳房、細い腰からぱんっと蜂のように膨らん
でいるお尻、ネフェティアは自分の身体があまり好きではなかった。
 幼いころから、一国の王女として常に潔癖であることを求められてきた彼女にとって、兵や
従者、貴族から注がれる、異性の卑猥な視線は苦痛でしかない。
「こんなもの、なくなってしまえばいいのに」
 この前も、たまたま胸の開いたドレスを着ていたら、胸の谷間ばかりに目を向けられてすっ
かり参ってしまっていた。また、侍女も着替えや入浴を手伝うときに、彼女の乳房に不躾な視
線を送ることがあり、恥ずかしいやら不愉快やらで、いつの間にか風呂には一人で入るように
なっていた。
486 ◆EqHQZWqzB. :2011/12/23(金) 11:20:27.56 ID:wxtxAmp+
 それに、侍女の中には肉欲から城内で堂々と男と性交にふける者もいるということを小耳に
挟んだ、自らを律し、民の手本とならなければならない立場であるネフェティアにとっては頭
がくらくらするような話であった。
 そもそも、性欲とは無縁な自分ばかりがじっとりと這い回るような視線を一身に浴びなけれ
ばいけないのか、不条理な現実を呪ってしまう。だいたい…………
 ……やめよう、これ以上考えていたら気が滅入ってしまうと、ネフェティアは軽く頭を振っ
て、精緻なレースを設えたシルクのブラを外す。外気に晒された豊かな乳房が、ふるりと揺れ
る、それとおそろいのショーツも脱げば、毛の生えていない、閉じたスリットが湖面に映った。
 成熟した身体とはあまりにかけ離れた子供同然の秘所、毛が生えていないのはネフェティア
だけで、それもまた他人を遠ざける遠因となっていた。

 足の指先をそっと水に浸らせる、前に進むとくるぶしから膝、太ももと身体が冷水の中に沈
んでいった。
「んふっ……」
 さっきまでの暑さが嘘のように、ネフェティアの身体を涼しさが包み込んだ。むっと鼻をつ
く草木の臭いも、緩やかにまとわりつく湿っぽい風も、立ち上る地熱を吸い込み、何倍にも返
して吐き出す陽の光も、何も気にならなくなっていた。
 このときだけは、ナトダールの王女であるということを忘れられる、しゃがんで一気に肩ま
で潜ると、湖水と自分が一つになって溶けあうような気がして、爽快な気持ちよさが全身を包
み込んでくれた。
――――――――――――――――――――――――
 男は、近くの木陰から、ネフェティアの水浴びをする様子を絵に描けるくらいに綿密に観察
していた。生まれたままの姿になった彼女は、男の想像を上回る美しさだった。薄桃色の乳暈
はコインくらいの大きさで、ゆさゆさとたわむ乳房に比べると、不自然なほどに控えめだった。
 その頂点にある先端は、周囲よりも濃い桃色で、木苺というよりは色の薄い小粒なさくらん
ぼに近かった。これもまた、小娘のように控えめなたたずまいだった。
「あんなにいい身体してるのに、ガキみたいなマンコだな……」
 男の予想を大きく裏切ったのは、桃色の中身をわずかに覗かせた無毛の淫裂だった。おそら
く処女なのだろう、女性器とは思えないほどに楚々としており、犯しがたい雰囲気すら匂わせ
ていた。

 太ももに目をやろうとしたところで、ネフェティアが背を向けて水中に沈んでしまう。
「ちっ…………」
 再び立ち上がるのを待っていると、男の近くに彼女のドレスが畳まれているのに気がついた。
運のいいことに、それらは死角に置かれている。
「これだけでも、高く売れそうだな……」
 指触りのいい上品な絹のドレス、施されたレースは目を凝らすとひどく複雑な模様をしてい
た、他にも、大きな宝石のついた指輪やネックレスなど、装飾品はどれも王女としての格にふ
さわしいものばかりだった。
 しかし、小さく重ねられたブラとショーツがそれ以上に男の目を射抜く。小さな布にはふん
わりと彼女のぬくもりがまだ残っていた。男は生唾を飲みながら下着を広げる。
 ドレスと同じく色は白で、まさぐっていると細やかなレースが指に引っかかった。ブラの
カップは大きく、手で包み込めるかといったところだった。一方、同じデザインのショーツは
彼女の巨尻ではこぼれてしまうのではないかと思うほどにカットはきわどく、ヒップ部分の布
地は三角形に近かった。
 下着に顔を近づけた瞬間、水音が湖畔に響き渡る。ネフェティアが立ち上がったみたいだが、
まだこっちへ向かってくる様子はない。安心した男は、雫を滴らせる胸山、秘裂を舐め見つつ、
ショーツを鼻に押し当てた。
「ううっ……!」
 ほんのりとした温もりのすぐ後に、もぎたての果実と花蜜を混ぜ合わせたような甘い匂いが
男の鼻を強烈にくすぐった。ネフェティアの身体の匂いなのだろう、美しい彼女にふさわしい
芳香だが、それと同時に女体から発せられる生々しい汗の匂いも感じられた。
 きれい好きなのか、布地には汚れ一つないが、ここに来るまでに汗をかいており、ショーツ
はわずかに湿っていた。
「はあ、はあ…………っ」
487 ◆EqHQZWqzB. :2011/12/23(金) 11:20:50.90 ID:wxtxAmp+
 急ぎ足のネフェティア……尻からは汗がにじみ、割れ目から潤いがこぼれ、その全てが下着
に染み込み、一つの芳しさを作り上げる。想像しただけで男のペニスは鈴口から先走りを垂れ
流してしまう。
 興奮冷めやらぬまま、今度はブラに持ち替えて、カップの、おそらく乳首が当たっているで
あろう部分に鼻をこすりつけて深く呼吸をした。こちらは、濃厚なミルクを思わせる甘ったる
い香りが目立っていた。
 
 ちょうどカップのに鼻を押し付けて勢いよく呼吸をしながら、男は物陰から彼女の裸を舐め
回すような、疑り深い湿った目で観察する。
 ふっくらした濃い桃色の唇と、初々しさを残した清純な顔をみているだけで、徹底的に汚し
てやりたいという無償に倒錯した感情が男の心中にこみ上げてきた。特に、濡れた唇は、上唇
が薄いが下唇はやや厚くて、砂糖菓子のように甘くおいしそうに見える、思わずふるいつきた
くなるものだった。
 考えうるだけの清らかさを具現化したような顔とは違い、身体は純真無垢な妖精を感じさせ
る透明感の中にも、豊満な乳房やお尻は、生々しい肉を感じさせてくれる。
 身体を動かすたびに、何一つ欠点のない彫像のように優雅な曲線を描く身体を水滴が流れ、
張り詰めた皮膚に弾かれ、その滴が湖面に波紋を作った。ネフェティアが水に濡れたおかげで、
神々しさすら覚えてしまう丸みの頂点にあるチェリーは、シロップを浴びたように照り光り、
甘やかに息づいていた。
 あの巨乳からはこんなにいい匂いがするのか……と、そして、どんな触り心地なんだろうか
……与えられた快楽が、さらに別の妄想を生み、男を支配する。そして自分を慰めるために乳
臭さが残るカップにむしゃぶりつき、染み付いた匂いをすべて吸い取らんばかりに深く、短い
間隔で呼吸を繰り返した。
 視覚と触覚と嗅覚、この3つの刺激が否応なく男を高ぶらせ、ペニスは触れていないにもか
かわらず今にも射精してしまいそうだった。
「今すぐ襲うか……いや、待てよ……」
 物陰から這い出そうとしたところで男は足を止める。裸の彼女を襲うよりも、純白のドレス
を、ショーツを引き裂いて、強引に組み敷いた上で荒々しく処女穴を引き裂きたかった。微塵
の濁りも見えない、きらめく双眸を恐怖に彩らせたかった。咲きほころぶ艶やかな笑顔を悲し
みで塗りつぶしてやりたかった……ネフェティアを見ているだけで男の嗜虐欲はどんどん高
まっていく。
「……服を着るまで、待つか」
限界すれすれの性欲は、もっと近くで彼女の裸を見たいという衝動に変わった。身を隠せると
ころはないだろうかと探すと、ネフェティアの近くに小さな茂みを見つける。こちらを向いて
いないときを見計らって、男はしゃがんだまま茂みへと移動した。
「……これはこれは……」
 男は自分の幸運に心の底から感謝した。ネフェティアの艶かしい、たっぷりと肉のついた身
体が手を伸ばせば届く位置にあるからだった。ここまで近づいたにもかかわらず、油断してい
るのか気づくそぶりすら見せない。
 遠くからではわからなかった肌のきめの細かさ、臍近くにある小さなホクロ、さらにお尻を
突き出した瞬間に深い切れ込みからわずかに見えた桃色の窄まりなど、穴が開いてしまうほど
に鋭く、ねちっこい視線を男はぶつけ続けた。
「早く、ぶちこみてえな……」
 荒くなる息を押し殺そうと、ショーツとブラジャーに顔を埋めるが、匂い立つ花香がさらに
男の興奮を煽り、我慢汁は下着どころかズボンにまで染み出している。

――――――――――――――――――――――――
 水浴びをしている間、すぐ近くから視線を感じていた。さらに、きれいに折りたたんだはず
のドレスや下着が少し散らかっており、それがネフェティアの心配を煽った。
「そろそろ帰らないと、見つかっちゃうかも……」
 食事を済ませた兵士が戻ってくる前に城に帰らなければならない、不安を振り払いつつ下着
を身につけて、ドレスに袖を通した。
 その瞬間、不意に強い力で誰かに抱きすくめられた。振り向けば血走った目をした男が……
身体を動かそうとしてもびくともしない、それどころかどんどん奥まったところに連れて行か
れてしまう。
488 ◆EqHQZWqzB. :2011/12/23(金) 11:21:13.30 ID:wxtxAmp+
「きゃあっ…………!」
「静かにしろ!」
 男が食い締めていた口を大きく開けて、ネフェティアを睨みつけたまま荒々しく怒鳴った。
これに怯んでしまいもがくのを諦めてしまった。男は満足そうに歯を見せて笑い、ネフェティ
アの身体を大木の幹に押し付ける。
 「いいか、大人しくしてないとひどい目にあうぞ」
 怒気が込められた男の声、だがここでひるんではいけないとネフェティアは深呼吸をして何
とか落ち着こうとした。
 
「いったい何が目的なの?」
 声が震えそうになるのを抑え、なんとか凛としたふるまいを保つ。口調こそ取り繕うことが
できたが、必死に逃げ場を求める小動物のような目をしていることには気がついていない。
「お金なら、持っていませんわ。今ならあなたの非礼も許します……ですから、そ、そこをど
きなさい」
「そうは行かないな、俺の目当ては金じゃないんでね」
 男が見せる舌なめずり……捕まえた獲物の哀れな抵抗を馬鹿にするような下卑た態度にネ
フェティアの背筋に寒いものが走った。見下した笑みの男が一歩近づく、後ろは木なので後ず
さりはできない、左右に逃げようとしても足がもつれてうまく動けない。
 そして男の腕がにじり寄り、右手はネフェティアの乳房を、左手は尻を、それぞれ大きな膨
らみを正面から捉える。山の頂点に人差し指が宛がわれたかと思うと、一本、二本と指が増え
て、気がつけば触れた手のひらが円を描くように動き始めていた。
「想像以上だな……エロい身体しやがって」
 伝わる熱はすぐにおぞましさへと変わり、ネフェティアの内心で拒否感と嫌悪感が膨れ上が
る。だが、男に触れられたことなど一度もない彼女にとって、あまりに衝撃的な出来事だから
か、身体は痺れてしまったように動かず、声も出るのはかすれた吐息だけだった。
「このでっかい胸といい、プリプリの尻といい……やるために産まれてきたんじゃないの
か?」
 男の声は低く小さいが、ネフェティアの心と身体を縛り付ける鎖となっていた。抵抗の意思
を示せないのをいいことに、男は口元を歪ませながら、左右の手指を乳房に押し付ける。太く
短い指はだんだんと深く沈み乳肉の中に埋め込まれた。単に触れるだけではない、指と指の隙
間から肉がはみ出すほどの荒々しい接触に痛みすら感じてしまう。
「…………何をするの、やめなさいっ!」
 ようやく、それだけを口に出すことができた。仇相手の憎憎しい目で男を見上げ、身体をず
らそうとするが、男の手は執拗で、乳房から手が離れたのはほんのわずかな瞬間で、再び手に
余る左右の胸山を揉みこまれていく。もう男の目的はネフェティアにもわかっていた。この男
は自分に卑猥なことをしようとしている……侍女たちの生々しい会話が頭の中でぐるぐると響
き始めた。
「いいから大人しくしてろよ……あんまり騒ぐと……」
 男が笑う、風が吹き葉がかさかさと鳴り始めた。周りの木も一部始終を眺めていて、男を囃
し立てているようだった。普段は美しささえ感じる深い森も、今は、異常な状況からか得体の
知れない魔物の口に見える。
 
 それでも、ネフェティアは自分を鼓舞し続けた。自分は王女なのだから、こんなことに負け
てはいけない、立場のない民に好き放題されるなんてあってはならないことだ……こう思うこ
とで、男の手に翻弄され続けていた気持ちが、すっと落ち着いてくる。
「大人しくなんて……できるはずないわ、私を誰だと思ってるの!?」
 いつもと同じ声が出た、これなら相手も引き下がるだろう……そう確信した。
「ナトダールの第一王女、ネフェティア様だろ、それがどうした?」
「どうしたって、わかっているなら早くこの汚らわしい手をどけなさい!」
 男の様子がおかしい、てっきり諦めて逃げ出すかと考えていたが、顔色一つ変えることなく、
胸を揉み続けている。身を捩ったところで手のひらという檻から逃げられるわけでもなく、か
えって手に乳房を強く押し付けてしまい、それが男の興奮を高めているようで、手つきは激し
くなる一方だった。
「姫様だからなんだ? 許してもらえるとでも思ったのか?」
 酷薄な顔で、男は言葉を吐き捨てる。興奮で彩られた瞳は血走ったものへと変わり、ネフェ
ティアは眉根を寄せて目を閉じた。歪みきった男の顔など見たくなかったからだ。
489 ◆EqHQZWqzB. :2011/12/23(金) 11:21:38.80 ID:wxtxAmp+
 だが、視界を封じ込めたことで、逆に男の指の動きが手に取るようにわかってしまった。指
は軽く乳房の頂点をつついて、スプーンを押し付けられたプリンのように乳房を弾ませたかと
思うと、今度は手のひらをいっぱいに広げて山の裾野のほうからわしづかみにする。さらに手
を下に滑らせて半球を持ち上げてたぷたぷと弾ませる。そして今度は……いやになって目を開
けてしまった。
「くっ……いい加減になさい、これ以上の無礼は許しません!」
「助けでも呼ぶのか? いくら叫んでも無駄だぞ、この辺には誰もいないからな」
 確かに男の言う通りだった、この森で誰かに会ったことは一度もない。さらに、自分は内緒
でここに来ているのだから兵が助けに来る可能性もほとんどないだろう。
 だから自分で何とかするしかない、男の目は大きな果実ほどもある肉弾に一身に注がれてい
た。それに、そこに夢中になるあまりネフェティアを押さえつける力は弱くなっていた。逃げ
るなら今しかない……動き回る手が乳房から離れ、お尻へと向かったところで男を突き飛ばし、
背中に隠していた短剣を突き付けた。
――――――――――――――――――――――――
 ネフェティアの思わぬ抵抗に、最初こそ驚いた男だったが、よく見ればナイフを向ける手は
震えていた。使いこなせないのは目に見えて明らかだった。
「そんなおもちゃで何ができる? さっさとそれを捨てろ」
 白い手が差し出したナイフは、木漏れ日を反射して鋭い輝きを放っていた。豪華な装飾が施
されたそれには一瞥しただけで、男の目は襟元の白い肌、華奢な肩、玉のように磨かれた爪、
指先の細さに惹き付けられていた。
「こ、これ以上近づいたら本気で……」
 言いかけたところでナイフを叩き落とし、ネフェティアの頬を軽く平手打ちした。白磁を思
わせるすべすべした、水を含んだ豊かな頬の感触が手に残る。
「ひっ…………!」
「少し悪さが過ぎるんじゃないか? 次はないぞ……」
 ナイフを拾い上げるとそれをネフェティアの口元に寄せ、男は今まで以上に威圧的にささや
く。彼女の肩から力が抜ける、もう抵抗はないだろうと後ろに回した両手でお尻をむぎゅっと
揉み潰した。胸よりは若干小ぶりだが両手に満遍なくのしかかるむっちりとした重みと指を押
し返す弾力、さらには汗で湿ったシルクの生地……男は夢中になって薄皮に包まれた極上の生
尻をこね回す。
「こんな恥ずかしいパンツ履いてて……誘ってたんだろ?」
「うっ、ち、違う……」
 男の言葉を否定するが、ずいぶんと弱弱しくなった。糸のようにか細く、鈴のように心地の
いい声を聞きながら、スカート越しに三角形の布を引っ張って食い込ませ、お尻の中心に指を
向かわせる。布を隔てた先にある、息づく巨尻の温かさ、動くだけでふるふると揺れる肉の柔
らかさを存分に堪能した。
「っ、う……ぅ……」
 ドレスの上からでは我慢できるはずもなく、生地を摘んだ手を開いて、閉じて、を繰り返し
長い裾を捲り上げる。背中越しに見える、露になった尻は絶景だった。下着はよじれて大きな
お尻のほとんどを見せており、サイズ自体も小さいのか生尻に縁の跡がついていた。そこをな
ぞりつつ右手を盛り上がった尻肉に乗せた。
 男と密着しているせいか、お尻から伝わる汗の熱いぬめりを感じる。しかしそれが、肌と指
をいっそう強く吸い付かせ、自然と指の動きも激しくなっていく。
「でかい尻だな……パンツがきつそうだぞ」
 左手でネフェティアをきつく抱き寄せ背中を撫で回しながら、尻肌に押し付けた右手の匂い
をかげば、柔らかな甘い匂いが鼻先をくすぐった。伏目は、睫の濃さからか艶かしく見える。
 
 指すべてを飲み込まんとする蕩けんばかりのお尻、胸板に当たる豊穣な双球、全身から発散
される、気品がたっぷり乗った香り……大輪の花が開くだけ開ききっているような、匂やかな
色気の中にみえるあどけなさ……臍近くに押し付けたペニスはズボンの中でぐちゅぐちゅと溢
れた先走りが音をさせていた。
「お願い……許して…………」
「駄目に決まってるだろ」
 ネフェティアの見開いた目には、不安、恐れ、悲しみ、怒り……ありとあらゆる負の感情が
こもっていた、悪意のない懸命な哀訴を見れば、手心を加えたくなる者がいたとしても不思議
ではない。しかし男は違う、斜めにそそり立つ肉の槍で締まった腹を突きながら、互いの胸部
にできた隙間に手を滑らせ、再び乳房を揉みたくり始める。
490 ◆EqHQZWqzB.
「あっ、うう……こんなこと、絶対に……」
 指に引っかかることのないシルクの肌触りと、わずかなこわばりを指に伝えるブラジャーの
カップ、その次にたっぷりと重たそうに揺れる乳房があった。
 ネフェティアの整った顔を見ながら、乳房を握り、そして離す。手を緩めると圧力から解放
された果肉がふるんっと小さく弾んだ。幼い顔には、違和感すら覚えてしまうほどの巨大な肉
山。まさに母性の象徴であった。
「はあっ、う……気持ち悪い、やめて……」
 さらに、ただ柔らかいだけではなく、強めの弾力で乳房が指を跳ね返す。果物が熟さないま
ま大きく実ったような不自然さを感じるが、それゆえにもっと蹂躙してやりたいという征服感
が胸のうちにこみ上げてくる。
「やれやれ……姫様は文句ばかりだな、じゃあどこを触ってほしいんだ?」
「触らないで、こんなのふざけてるわ…………!」
 歯を鳴らしながら出したのは、消え入りそうな小さな声。男の反撃を恐れているのがあから
さまだった。手をネフェティアの頬にかざせば、びくっと彼女の肩が大きく跳ね、さっきまで
吊るし上がっていた大きな目元から、涙がぽろぽろと落ちてきた。
「……今度口答えをしたら、本気で叩くからな」
「………………」
 黙り込んだネフェティアを尻目に、男は二つの熱い肉の球体を、ドアノブを回す要領で揉み
上げていく。飲み込み、押し返す乳肉の息づきはより大きなものへと変わり、二枚の布から伝
わる熱はさらに温かさを増した。ネフェティアがどれだけ頭で拒否しようと、身体は男の愛撫
によって少しずつ花開こうとしていた。
「っふ、く……ぅ、ん……」
 さらさらとした、光の輪を作るほどに手入れが施された髪も、男が身体をもみくちゃにした
せいで、ほつれ、乱れ始めていた。男は長い髪を手櫛で整えてやりながら、ネフェティアの細
い顎を持ち上げる。
「そろそろだな……」
「……え、きゃあああっ!!」
 怪訝そうな顔はすぐに恐怖と狼狽に彩られた。男が強引に襟元からドレスを引き裂いたから
だった。陽に当たっているとは思えない雪白の柔肌、それが香油を塗りたくったように汗でぬ
らぬらと照り光っていた。カップに押し込められた胸はその大きさが強調されており、思わず
目を奪われてしまう。
「すごいな……」
 そして間髪入れずに二つのカップを繋ぐホックもちぎってしまう。二つに割った大きなメロ
ンのように見事な乳房が、ぷるんと揺れながらまろび出てきた。
 たっぷりと凝脂を乗せた、白い蒸し菓子……指で軽く押せば、ふかふかとした肌の柔らかさ
が心地よかった。その頂点にある乳首は、幼女のそれのようにほとんど成長していない。爪で
引っかいてみるとネフェティアが形のよい眉をしかめた。

「見ない、で…………」
 彼女の言葉など意に介さないといった様子で、男は顔を寄せると控えめな桜色の先端を口に
含んだ。唇で果肉を挟むと、乳肉とは違う固めの反発を感じる。尖らせた舌先を肉苺の形に
そって進ませると、ほんのりとした塩味と甘味が口の中に広がった。
――――――――――――――――――――――――
「ひゃうっ、く、ん……やめ……て、ぅ」
 突然の男の行動、その意味を理解できないで入るうちに乳首にむず痒さを覚える。胸やお尻
を荒々しく揉まれたときとは違い、じわじわと身体の内から何かを引き上げられるような……
心の中を無理矢理覗き込まれるような、変な気分になっていった。
 苦痛は薄い。だが、それが余計にネフェティアの嫌悪感と羞恥心を高めることとなった。鼻
の辺りがツーンとしてきたかと思うと、瞼を焼くほどの熱い涙が頬を、顎を伝い、無残に引き
裂かれたドレスに円いしみを作った。風景が涙の中で、歪みながら分裂し、男の野卑た顔もよ
く見えない。
「やだ、ぁ……離しなさい、んう」
 むき出しの乳房を隠そうとしても、男の手に邪魔をされてしまう。全身が燃え盛るような恥
ずかしさに、今度は頭がふらふらとして、後ろにある木にもたれかかった。男は構わずに、コ
インくらいの大きさの乳輪と、男の小指ほどの乳首に舌をなぞらせてくる。蛇や蛞蝓のように
くねる舌が当たった部分は、一瞬感覚が無くなって、その後すぐに甘い疼きとともに痺れが広
がった。
「何だ? もしかして……気持ちよくなったのか?」