女装SS総合スレ 第6話

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1名無しさん@ピンキー
ここは既存スレに該当しない女装関連のSSを総合的に取り扱うスレです。
無理やり女装させて、嫌がったり、恥ずかしがったりするのをニヨニヨするのもよし、
自分の意思で女装させ、女よりも女らしい子を目指すのもよし、全ては書き手の自由です。
女装っ子を愛でながらまったりと盛り上げていきましょう。

※次スレは>>980または、485KBになったら立てて下さい
(直近に投下予定のある方は、投下作品の容量に応じて前倒し願います)

※age・sageについては各々の判断でお願いします

【前スレ】
女装SS総合スレ 第5話
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1239638689/

関連スレは>>2-
2名無しさん@ピンキー:2010/05/22(土) 18:02:36 ID:2peNZZyj
【既存の女装関連スレ】

強制女装少年エネマ調教 ネオ×7
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1255107219/

ニューハーフ・シーメールでエロパロ3
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1235988834/

↑のシチュに該当するSSはこちらのスレでお願いします。


「偽装彼女」(〜の中の人◆CpBvBAxqv. 様個人作品まとめサイト)
http://10.mbsp.jp/gisouK/


【隣接ジャンル】
女にお尻を犯される男の子 7
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1263548343/

強制女性化小説ない?Part38
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1256648115/

男装少女萌え【10】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1219568508/l50

【女体化】TS系小説総合スレ【男体化】6話目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1214215459/l50
3名無しさん@ピンキー:2010/05/22(土) 18:03:09 ID:2peNZZyj
!注意!

このスレにはさまざまな女装シチュエーション愛好家が集います。
スレの流れによってはあなたとは異なる嗜好の作品が投下される場合もあるかもしれませんが、
自分はその女装シチュは好きではないからと言って否定的な発言をするのはやめましょう。
スレから作者を追い出すなどというのはもってのほかです。
気に入らない作品は専ブラのNG機能等を利用し、黙殺するようにしてください。
あなたが気に入らない作品を好む方もおられますし、その逆もあり得ます。
どうか、このスレに集う皆のことを考えて下さい。お願いいたします
4名無しさん@ピンキー:2010/05/23(日) 10:52:06 ID:yRik8Sl3
>>1
偽装彼女のアドレス消えてるな・・・なんてこった
5名無しさん@ピンキー:2010/05/23(日) 15:30:45 ID:66GRI6I0
インターネットアーカイブでも見れないし、完全にお手上げだ
6名無しさん@ピンキー:2010/05/25(火) 12:06:30 ID:1ymWZWbO
規制のせいか人のいない、この状況下なら、こんなのも許される?

「ひきょたん!」妄想二次SS『けい×あす!?』

★「ひきょたん!」を知らない人への説明★
 容姿端麗&文武両道の女子高生、瀬戸口飛鳥には秘密があった。「彼女」は、とある事情によって小学生の頃から女装し、ずっと女の子として暮らしてきた少年だったのだ。
 ところが、空気の読めない事には定評のある非公認部活「秘境探検部」の面々が、飛鳥を部員に勧誘しようとした挙句、「彼女」の秘密に気づいてしまう。
 学校で男であることがバレたら苛められる……と悩む飛鳥だったが、秘境探検部の4人は、「大丈夫、秘密は守るよ。友達になろう」と暖かく「彼女」を迎える。
 こうして、新入部員となった飛鳥を迎え、めでたく定員の5人を確保した秘境探検部の活動は、今日も無駄にエキサイトしていくのであった……。

・東圭太:「ひきょたん!」の主人公的立場の転校生。半ば強制的に秘境探検部に入部させられた、某ハルヒのキ●ン的ポジションのツッコミ役。
・瀬戸口飛鳥:ツインテールが可愛い4人目のヒロイン……と見せかけて、実は男の娘。ただし、その点を除くと、美人で成績優秀かつスポーツ万能、性格も優しく良識的と、非の打ちどころがない。
・七瀬未来、倉崎彩花、夏木香奈:秘境探検メンバー。原作では(性格はともかく)それなりの美少女なヒロイン達だが、本SSでは単なる脇役扱い。

※以下、「もし、黄金郷探索の回で、圭太があの場面で飛鳥を男だと意識しなかったら」というIFな設定での妄想ストーリーとなっております。
7『けい×あす!?』:2010/05/25(火) 12:07:42 ID:1ymWZWbO
<SIDE:K>

 いきなりだが、東圭太は悩んでいた。
 そりゃもう、今の高校に転校して早々に秘境探検部に入部させられた時なんかメじゃないくらいの激しい悩みっぷりだ。
 高校生くらいの年頃の少年の悩みと言えば、9割方、金か進路か女と相場が決まっている。無論、圭太の悩みも例外ではなく、3番目の女性関連だった。
 (いや……そもそも、アイツは「女」に入るのか?)
 彼が最近妙に意識してしまっているのは、同じ部活の瀬戸口飛鳥という少女……にしか見えない少年(多分)だった。
 そもそも、「彼女」が生物学的に見て♂であるという情報は、同じ部員の 達から聞いた話で、一応本人も認めてはいるのだが、自分の目で確かめていない圭太としては半信半疑といった気持ちがどこかに残っているのだ。
 なにしろ、飛鳥は可愛い。他の秘境探検部のメンバーも、それぞれに個性的な美少女であることは間違いないが、単純にルックスだけで誰が一番好みか、と聞かれたら、圭太はさほど迷うことなく飛鳥を指差すだろう。
 本当にあの髭父親の子なのか疑いたくなるほど、小造りで愛らしく整った顔立ち。耳障りのよい、落ち着いたアルトボイス。
 腰まである黒髪(もちろん自毛)をトレードマークのツインテールに結わえ、どこか控えめな笑顔を浮かべている様子は、自制心にはそれなりに自信がある圭太でさえ、思わず抱きしめたくなるほどだ。
 (……って、そこで抱きしめたらダメじゃん、俺!)
 「煩悩退散!」と自分の頭をポカポカ殴る圭太。
 いや、まぁ、彼自身にもわかってはいるのだ。
 飛鳥が秘境探検部に入部した時の綺麗な笑顔を見たときから、「彼女」に惹かれていることを。
 以来、そのテの気持ちが自分の中に浮かんでくる度に否定してきたのだが、先日のエルドラド探検(まぁ、黄金郷の正体は彩花の家だったわけだが)の際に、ふたりで寄り添って歩いたことが、どうやらトドメになったらしい。
 「不気味な雰囲気に怯える美少女にすがりつかれる」という、男なら一度は体験したい108のシチュエーションのひとつ、しかもその相手が密かに気になっていた「娘」なのだから、無理はない。
 現在の圭太は、流石に「こんな可愛い子が女の子のはずがない」という標語には流石に頷けなくとも、「こんな可愛い子なら男の娘でもいいじゃない」という言葉には、うっかり頷いてしまいそうな危険な精神状況だった。
8『けい×あす!?』:2010/05/25(火) 12:08:21 ID:1ymWZWbO
<SIDE:A>

 一方、瀬戸口飛鳥も、なにやらモヤモヤしたものをその心のうちに抱えていた。

 秘境探検部のメンバーに自分の性別がバレたこと。それはいい。いや、本当はあまりよくないが、彼彼女らは秘密は守ると約束してくれた。一部、口が軽そうなメンツもいるが、彼がストッパーになってくれるだろう。
 秘境探検部への入部。これも別に構わない。部長はなにやらアレで時々ヘンな方向に暴走することもあるが、気兼ねなく素で話したり、バカやったりできる友達がいるというのは、やっぱり楽しいし。
 小学校以来、女装して性別を偽ってきた飛鳥は、これまで他人と接する時は常にバレないよう一歩引いた態度で接してきた。そのことにある程度慣れてはいたが、そういう事を気にせずつきあえる友人ができたのは、ありがたかった。
 最近は、部活時以外でも未来や彩花、香奈と一緒に行動することが増えた。特にこれという用事がなくても、女の子同士(!)でおしゃべりしたり、ウィンドーショッピングしたりするのが、これほど楽しいものだとは思わなかった。
 (まぁ、そのせいか、心なしか部屋が女の子っぽくなってる気もするけど……)
 高校生の女の子、あるいは男子として見てさえ、極めてシンプルで飾り気がなかった飛鳥の部屋も、ぬいぐるみや可愛らしい置物などがいくつか飾られるようになっていた。
 その大半が、未来達と入ったファンシーショップやゲーセンのキャッチャーなどから手に入れたものだ。
 それらに合わせて、先日、ベッドカバーやカーテンも淡い色合いのものに変えたところ、部屋の雰囲気が一気に優しくなった気がするが、これはこれでアリだろう。
 現在のところ、飛鳥の女子高生ライフは順風満帆に見える。それでは、何が問題なのかと言うと……。
9『けい×あす!?』:2010/05/25(火) 12:08:53 ID:1ymWZWbO
 (──彼、なんだよね……)
 脳裏に思い浮かぶのは、クラスメイトであり同じ部活の仲間でもある少年、東圭太のこと。
 格別にイケメンだったり、優れた能力を持ったりするワケではない。せいぜいが中の上、ある意味、どこにでもいるような平凡な男子高校生だろう。
 ただ、その懐はどうやら相当に広いようだ。
 未来を始めとする秘境探検部の濃いメンバーに振り回されながらも、ちゃんと自分の意見は言うし、キチンとツッコミも入れる。その上で、彼女らの暴走を「しょうがないなぁ」と苦笑しながら見守り、フォローしているのだ。
 自分のことだってそうだ。
 未来達3人の場合は、互いに色々貸し借りや引け目みたいなものもあったので、頭から拒絶されないのも納得がいくが、圭太の場合は、そういうしがらみは薄い。
 なのに、自分の本当の性別を知ったあとも、それまでと変わらず普通に友達として接してくれるし、ちゃんと「女の子」に対するようなデリカシーも感じる。
 飛鳥はそれがうれしかった。
 (それに、この間……)
 「黄金郷=彩花の家」事件の時も、暗闇におびえる飛鳥をキチンとエスコートしてくれた。
 圭太の腕にしがみついていた、あの時の自分の態度を思い返すと、飛鳥は顔から火が出るほど恥ずかしく思うと同時に、ほわんと幸福な気分になってしまう。
 「参ったなぁ……私、見かけはともかく、心は普通の男の子のつもりだったんだけど……」
 自室のベッドに寝転がり、困ったような、それでいてどこか嬉しそうな微笑を浮かべながらぬいぐるみを抱きしめる飛鳥の姿は、どこからどう見ても恋する乙女そのものだ。
 一人称が本来の「僕」ではなく、無意識によそゆきの「私」になっていることさえ、気づいてないらしい。
 いったん「好きな男の子」のことを意識しだすと、次第に想像(というか妄想)が暴走気味なのも、いかにも年頃の「少女」らしかった。
 ──その日、飛鳥がインターネット通販でいくつか怪しい品物をポチったのも、まぁ、そんな「恋する乙女」の成せる業(わざ)ということで、納得しよう、ウン。
10『けい×あす!?』:2010/05/25(火) 12:10:35 ID:1ymWZWbO
<SIDE:Girls>

 実のところ、秘境探検部の部活(と言えるか微妙だが)は必ずしも毎日あるわけではない。部活の有無は部長の未来の気分で決まると言っても過言ではないのだ。
 そういうワケで、その土曜日の午後は、飛鳥に家の用事があり、また圭太も教師に呼び出されていたため、なし崩し的に「部活はナシ!」というコトになった。
 もっとも、未来と彩花は幼馴染だし、香奈との付き合いも長い。とくに部活でなくてもこの3人が集まってダベることは、半ば以上習慣になっている。
 学校帰りに、マ●クに入って、他愛もないおしゃべりに花を咲かせていたのだが……。
 「ところで、最近ちょっと思うんだけど」
 なんとはなしに話が途切れた際に、彩花がふと思い出したように新たな話題を提供する。
 「「?」」
 「……けいたんとあすかちゃんの仲が微妙にアヤしくない?」
 「「!」」
 彩花の爆弾発言に、一気にその場のテンションが緊迫する。
 「それは、つまり、その……そういうカンケイというコト?」
 香奈が恐る恐る確かめるように聞く。
 「これは、秘境ね! 確かめる必要があるわ!」
 彩花が無言でうなずいたのを受けて、未来が立ち上がりいつものセリフを吐く。
 「どういうこと?」
 「BL、それは、私たち女の子には決して辿り着くことができない未知なる世界。
けいたん達がその秘密の花園へと旅立とうと言うのなら、ぜひとも覗き……もとい、秘境探検部の仲間として応援して、暖かく見守ってあげなくちゃ!」
 要するに「ふたりを煽ってくっつけた挙句、こっそり覗き見する」と言ってるわけだが、残念ながら、そのことを指摘してそれにストップをかけられる人材は、この場にどちらもいない──というか、むしろそのふたりが対象だった!
 未来のノリに感染しやすい彩花は元より、比較的マジメな香奈も「生BLが身近に見られるかも」という誘惑には抗し難かったらしい。
 その場で「けいたん×あすか LOVE☆LOVE大作戦」が発動することとなってしまったのである。
116:2010/05/25(火) 12:12:12 ID:1ymWZWbO
#とりあえずはココまで。つーか、「男×男の娘(標準状態が女装)のラブコメ」って、ココではアリなのか。アリなら次回、デート→告白→Hのコンボまで書いてみようかと。ナシなら終息します。
12名無しさん@ピンキー:2010/05/25(火) 13:13:10 ID:vFKuAjb6
>3参照。全ては書き手の妄想のままに。
原作は知らないが続編に期待させて頂こう。
13名無しさん@ピンキー:2010/05/26(水) 02:19:34 ID:VfLQBybM
支援させていただこう!
14『けい×あす!?』:2010/05/26(水) 11:03:42 ID:vS7mb3Ze
エロシーン書いてたら、予想外に長くなってきたので、いったんその手前まで投下します。
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<view of A>

 「うーーん……どうしよう、コレ?」
 机の上に置いた2枚の紙片を前に首を捻る。
 それは、借金の証文だとか宝くじ1等の当たり券だとか、そういう大層なものじゃなく、何てことはないただの映画の前売り券──いや、招待券だった。
 チケットに記された映画のタイトルは、流行に疎い僕でもテレビのCMで見かけたことのある有名作品。したり顔の映画評論家が絶賛に近いレベルで褒めていたのを覚えている。
 どうしてそんなものを僕が持っているかと言えば……話は今日の放課後に遡る。

 金曜の放課後という学生にとって一番解放感のある時間帯に、僕らはいつも通り、秘境探検部の活動に精を出していた。
 と言っても、いつも通り七瀬さんが妙なモノに興味を示して「秘境だー!」と突っ走るのを、他のメンバーでフォローしたり、あるいは一緒になって騒いだり、法律違反ギリギリのところで制止したりしてるだけなんだけどね。
 ともあれ、どうしてそういう流れになったのか定かではないけど、なぜか罰ゲームで圭太くんが僕ら4人(+自分)の分のジュースを買いに行くことになった。
 で、彼がいない時に、倉崎さんから、このチケットを渡されたんだ。何でも、倉崎さんのお父さんが経営している系列会社からのツテで、招待券をもらったんだとか。
 倉崎さんたち3人は、すでに招待試写会の時に観てるので、この2枚は僕らに譲るとのこと……って、僕「ら」?
 「そ。飛鳥ちゃんと東くんの分ね。東くんにも、1枚渡しといて」
 なぜか、イイ笑顔で僕にそう告げる倉崎さん。ふと見回すと、なぜか七瀬さんも夏木さんも、同じような生温かい表情を浮かべている。
 いったい何なの?
 「何だったら、けいたんを誘って一緒に観に行ったら? ちょうど明日から封切りだし」
 七瀬さんの言葉自体は別段、そうおかしなものじゃないし、僕も「そうだね」と頷こうとしたんだけど……。
15『けい×あす!?』:2010/05/26(水) 11:04:29 ID:vS7mb3Ze
 「──初デートが映画鑑賞というのはベタだけど悪くない選択ね」
 夏木さんの言葉にピタリと固まる。
 デート?
 「……誰と誰が?」
 「瀬戸口さんが、東くんと」
 律義にわかりきった答えを返してくれる夏木さん……って、いや、そんなコト聞いてるワケじゃなくて!
 「?? ファーストデートともなれば、不慣れなふたりとも緊張して会話が途切れる可能性が高い。でも映画に行けば、少なくとも上映中は黙っていても間が持つし、そのあとも映画自体を話題として会話をつなげられる」
 へ〜、確かにねー……って、そんなトリビアを聞きたいワケでもなくて!
 「まぁまぁ、落ち着いて飛鳥ちゃん。デートってのは未来のちょっとした冗談よ。仲のいい友達同士が映画を観に行くのは、別段おかしくないでしょ」
 そう言いながら、倉崎さん、どうしてさり気なく目を逸らすのさ!?
 「大体、私はおと……」
 と、言いかけて、慌てて口をつぐむ。学校からはけっこう離れた場所の河原だけど、どこに他人の耳があるかもしれないし。
 「ん? だからこそよ。異性とならデートになるかもしれないけど、同性の気の合う友人と出かけるのは別にフツーのコトでしょ?」
 そう言われてしまっては、私もそれ以上、抗議はできない。
 なんとなく、釈然としない気分のまま、私は今週の部活を終えて、帰宅したのだった……って、ダメじゃん! 東くんの分のチケットまで持って帰ってきちゃったよ!!
16『けい×あす!?』:2010/05/26(水) 11:04:57 ID:vS7mb3Ze
 ──とまぁ、そういう経緯で、今、私の目の前に2枚のチケットがあったりするのだ。
 (さすがに、2枚ともガメちゃうわけにはいかないよね?)
 と、自分に言い訳しつつ、私は東くんのケータイに電話してみる。
 「はい、東です」
 「あの……私、瀬戸口です」
 やだ。普段、学校とかではごく自然に話してるのに、どうしてだか緊張してきちゃった。
 「! 瀬戸口さんか。珍しいね。もしかして、何か相談ごと?」
 東くんの声が、僅かに気遣わしげなものに変わる。
 (心配してくれてるんだ……)
 そう思うと、なんとなく心が温かくなる。
 「ううん、そんなんじゃないの。あのね……」
 何とか無難に倉崎さんからもらった映画の招待券のことを説明する。
 「それでね……」
 東くんの明日の予定を聞こうとした矢先に機先を制せられる。
 「ところで、瀬戸口さんは、明日ヒマ?」
 !!
 「う、うん、もうヒマ、チョー暇。何かすることないか探したくなるくらい、ぜんっぜん予定はないよ!」
 「アハハ、だったらさ、よかったらふたりでその映画観に行かない? チケットだけわざわざ持って来てもらうのも悪いし」
 「そ、そうだね、うん、いいと思う!」
 東くんとの待ち合わせの予定を決めて、私は電話を切った。
 「うふ……ウフフフフフ……」
 たぶん、今の私は、はたから見たら凄く締まりのない笑顔をしてると思う。
 「明日の午後は、東くんとお出かけ、かぁ」
 そう、これはあくまで「お出かけ」であり「映画鑑賞」なのだ。断じてデートではない! って、誰に言い訳してるんだろう、私。
 東くんと私はクラスメイトで、部活の仲間で、少なくとも私にとっては、たぶんいちばん親しい友達のひとり。だから、一緒に出かけるのを楽しみにしてたって、別に何ら問題はないのだ、ウン。
 そんなことを考えつつ、私は明日の「お出かけ」の時に着ていくための服を決めようと、いそいそとタンスの中身をひっくり返すのでした。
17『けい×あす!?』:2010/05/26(水) 11:06:30 ID:NLlgqZti
<view of K>

 「ところで、瀬戸口さんは、明日ヒマ?」
 ごくごく自然な風を装って、その言葉を口にするのは、多大な努力が必要だったけど、それだけの甲斐はあったと思う。
 おかげで、瀬戸口さんとふたりっきりで外出できるんだしな!
 生まれて初めてのデートの待ち合わせに遅れないよう、俺は当初の予定より15分ほど早く家を出た。
 ──いや、待て、これはデートなのか?
 「友達どうしが映画を一緒に観る」
 さすがにそれだけではデートとは言えないだろう。
 仮にその相手が「異性」だったら、一応デートと読んでも差し支えないかもしれないが、それだって相手の女の子がコッチを「ただの友達」としか認識してなければ、デートとは言えまい。
 まして、俺が待ち合わせている相手は、(俺的には未確認とは言え)生物学的には同性、男の子なのだ(最近は、「男の娘」という表現もするらしいが)。

 ──そんな風に考えていた時期が、俺にもありました(東圭太・談)

 極めてベタな待ち合わせ場所、駅前広場に瀬戸口さんの姿を見つけた時、そんなゴチャゴチャした思いはすべてフッ飛んだね!
 約束の時間まで、まだ30分近くあると言うのに、「彼女」は人待ち顔にそこに佇んでいた。
 両肩を大きく露出した白いキャミソールドレスの上から、水色のサマーカーディガンを羽織っている。
 何度か見たことのある彼女の私服姿とは異なり、珍しくドレスの裾はロング丈だが、淑やかな雰囲気の彼女にはよく似あっていた。
 足元は少しヒールの高いサンダルを履き、素足なのもあいまって健康的な魅力を振りまいている。
 髪型はいつもと同じくツインテールだが、普段の細紐ではなく大きめのリボンで結んでいるせいか、より可愛らしい印象を受ける。よく見れば、薄く化粧もしているようだ。
 トータルで見ると、清楚で愛らしく、しかも綺麗という3つの萌え要素を無理なく実現していると言えるだろう。道行く男性の3人にひとりが振り返ってるぞ、ヲイ。
18『けい×あす!?』:2010/05/26(水) 11:07:00 ID:NLlgqZti
 このままではナンパ男が寄って来るだろうことは確実なので、俺は足早に彼女のもとに駆け寄った。
 「あ、東くん♪」
 俺の姿に気づいたのか、瀬戸口さんの顔がパッと綻ぶ。
 「(うっ……かわいい!) ゴメン、待たせちゃった?」
 「ううん、私も今来たところだから」
 普通なら彼氏を気遣っての常套句なんだろうけど、まだナンパされてないところを見ると、彼女の言葉通りなのだろう。早めに来てよかったなぁ。
 まだ上映時間まで多少間があったけど、とりあえず映画館に向かって並んで歩く。
 思えば、部活で放課後のひとときはたいてい一緒にいるけど、こうしてふたりっきりで歩くのは初めてなんだよなぁ。
 そう考えると、やはり少なからず緊張してしまう。
 並んで歩きながらも、手をつなぐでも腕をからめるでもない微妙な距離感が、俺達ふたりの関係を如実に物語っているようで、ちょっと歯がゆい。
 それは向こうも同じだったのか、いつもと違ってなんだか会話がぎこちない。
 「……」「……」
 ふと、立ち止まって顔を見合わせると、俺達は同時に「プッ」と噴き出した。
 「アハハ、らしくないね、私たち」
 「ああ、まったくだ」
 ヘンに意識し過ぎちゃあ、楽しめるモンも楽しめないだろう。
 そう思って肩の力を抜いた俺の腕に、いきなり瀬戸口さんがとびついてくる。
 「えいっ♪」
 「わっ!? な、何、どうしたの、瀬戸口さん?」
 「んふふ〜、ね、東くんて、女の子とデートしたコトないよね?」
 「うっ……!」
 いきなり図星を突かれて、精神的にちょっとのけぞる俺。
 「あ、やっぱり。だから、今日は将来恋人が出来た時のための予行演習で、私と模擬デート……ってコトにしない?」
 「俺としては異存はないけど……なんだか瀬戸口さんに悪い気が」
 「全然気にしなくていいよ (私としても役得だし)」
 ? 後半、なんて言ったんだろう?
 ともあれ、そんなわけで、俺達は今日半日、「恋人同士のデートのシミュレーション」をすることになった。
 ──そして、この時、浮かれた俺の脳裏からは、瀬戸口さんが「本当は男」だという情報は、きれいサッパリ抜け落ちていたのだった。
19『けい×あす!?』:2010/05/26(水) 11:07:56 ID:NLlgqZti
 倉崎さんからもらったという招待券の映画は、SFアクション物だった。
 運び屋をしている宇宙船乗りの青年が、いかにもわけありの女海賊から託されたトランクに入っていたのは、人間とほとんど見分けのつかないレプリカントの少女。
 彼女のメモリーに入ったデータを巡って、スペースマフィアや銀河警察と息詰まるチェイスやバトルを繰り広げ、その一方で、お約束ながら青年は機械仕掛けの少女と恋に落ちる。
 大騒動の末、メモリーにある「秘宝」探し当てた後、ラストは十数年後のふたりが辺境の惑星で仲睦まじく暮らす姿を描いてスタッフロールが流れた。
 映画館を出た俺と瀬戸口さんは、近くの喫茶店に入って遅めの昼食をとっていた。
 「ふわ……いい話だったなぁ」
 「さっきの映画、よっぽど気に入ったんだな」
 「うん、王道過ぎて陳腐だって言われるかもしれないけど、私はああいうの好きだなぁ」
 パスタをつつきながら、どこか夢見るような瞳になっている瀬戸口さん。
 そんな姿を見ていると、「やっぱりこの子が男だなんてガセじゃね?」という気がヒシヒシとしてくる。
 けれど、俺のそんな都合のいい考えは、「彼女」とのやりとりですぐにヘシ折られた。
 「特にね、クライマックス直前で、主人公とヒロインがさ、こんなやりとりするじゃない?」

 『貴方が好き。でも……あたしは人間じゃないから』
 『馬鹿、そんなの構うもんか!』
 『あたしは構う。だって、あたしじゃあ、貴方の子供を産んであげることができない』

 「孤児育ちで、家庭とか家族というものに憧れてる主人公のことを思うが故に、ヒロインは身を引こうとするんだよね。なんか……わかる気がするなぁ」
 それは……もしかして、「自分も子供は産めないから」と、そういう意味なのか? つまり、やっぱり瀬戸口さんは男?
20『けい×あす!?』:2010/05/26(水) 11:10:11 ID:NLlgqZti
 ──待てよ。それって逆に言うと、瀬戸口さんにも「子供を産んであげたい」相手がいるってことか? しかも、この状況でそれを口にするってことは……。
 (ここが正念場だぞ、東圭太!)
 意識してか無意識的にかは知らないが、瀬戸口さんは自分の気持ちを婉曲に表明した。あとは、俺がどう答えるか、だ。
 「……でも、主人公はこう答えたよな?」
 『確かに、俺だって子供は好きだ。
  でも、それ以上にお前の事が大好きなんだ。
  仮に人間の女性だって、子供のできない人はいっぱいいる。
  だから、そんな理由でお前のことを諦められるか!』
 「──東くんも、そう思うの?」
 「……ああ、俺も、主人公の意見に賛成だ。好きになった相手が、レプリカントだろうが、猫又だろうが、天使だろうが悪魔だろうが、たいして気にしねーよ」
 仮に男だったとしても、な。
 「あ……」
 ヤバい。なんか瀬戸口さんの目が潤んでる。俺、地雷踏んだのか?
 オロオロする俺を尻目に、瀬戸口さんはハンカチで目元をぬぐうと、深呼吸して気を落ち着かせたみたいだ。
 「東くん、このあと、少しだけ時間もらってもいいかな?」
----------------------------------------------
#まずはココまで。残りは早ければ今晩にでも。それにしても、ラヴコメパートが予想外に長くなってしまった。
#あと、二次創作と言いつつ、ほとんどキャラが別人なのも申し訳ない。ルックスが知りたい人は「瀬戸口飛鳥」でググるといいかも。
21名無しさん@ピンキー:2010/05/26(水) 16:44:33 ID:smLl93Lt
SSとしては非常に萌えます!
早く続きを!

……原作漫画に手を出すかは微妙なところですけど(^^;
飛鳥タンは脇役でしかないようだものなあ
22『けい×あす!?』:2010/05/26(水) 21:06:37 ID:vS7mb3Ze
意外と早く仕上がりました。エピローグまで投下です。
-------------------------------------------------
 喫茶店を出た後、連れて来られたのは、つい先日訪問したばかりの極旋流空手道場──つまり、瀬戸口さんの家だった。
 「お、お邪魔しまーす」
 「あ、気を使わなくていいよ。父さん、今日は家にいないから」
 笑ってそんなこと言う瀬戸口さんに、俺は思わず脱力する。
 「瀬戸口さん……年頃の男、家に上げてそういう事言うと、絶対誤解されるから、ヤメレ」
 「ん?」
 しばらく俺の言葉について考え込んでた彼女は、言いたいことがわかったのか、いきなりボンッと耳まで赤くなった。
 「ちちち、違うよ? 私、別にそういうつもりじゃ……あ、いや、東くんのことは信用してるんだけど、それとは別に」
 テンパる瀬戸口さん、正直めっさ可愛いです。とは言え、このままではラチがあかない。
 「はいはい、落ち着いて。わかってるから。深呼吸深呼吸」
 「う、うん、スーハー」
 やがて落ち着いたのか、まだちょっと顔が赤い瀬戸口さんが、家の中に案内してくれた。
 この間は庭とか道場とか親父さんの部屋とかしか「探検」できなかったが、今日は瀬戸口さん自身の部屋に通される。
 豪勢な日本家屋だけあって、基本的にこの家はどこも和室なんだけど、瀬戸口さんの部屋だけはちょっと趣きが異なる。
 畳の代わりにカーペットが敷かれ、ベッドやクッションが置かれた、いかにも年頃の女の子らしい雰囲気の部屋だ。ちょっと意外……いや、そうでもないかな。
 クッションの上に座り、しばし無言のまま対峙していた俺達だったが、やがて瀬戸口さんが、覚悟を決めたように口を開いた。
 「今日、ここに来てもらったのは、私の素直な気持ちを東くんに聞いて欲しかったからなんだ」
 「うん」
 「たぶん、もう想像はついてると思うけど……」
 そこでいったん言葉を切り、一瞬目を閉じた瀬戸口さんは、スゥッと思い切り息を吸い込んでから、一気に次の言葉を口にした。
23『けい×あす!?』:2010/05/26(水) 21:07:59 ID:vS7mb3Ze
 「東くん、好きです。本当は男の子である僕がこんなこと言うのはおかしいかもしれないけど、でも、どうしても気持ちを伝えたくて……」
 やれやれ。「好きなコ」にそこまで言わせたんだから、それに応えられないようじゃ、男がすたるぞ、東圭太!
 とは言え、こんな時に女心(でいいのかな?)を蕩かすような巧い台詞を吐けるようなら、俺も「年齢=彼女いない歴」という不名誉はとっくに脱却しているだろう。
 「うん、ありがとう。俺も、瀬戸口さんのことが好きだよ」
 だから、へっぽこな俺の口から出たのは、浪漫ちっくというには程遠い、いささか散文的な芸のない言葉だった。
 「!? ウソ……それってLIKEの意味での「好き」だよね」
 そのせいか、瀬戸口さんは目を見張り、そんな風に確認してくる。
 「その要素がないわけじゃないけど、LOVEの意味の方が大きいかな」
 「ほ、ホントに……? 私、こんな格好してるけど、女の子じゃないんだよ?」
 「うん、知ってる。でも、好きになっちゃったんだし仕方ないさ」
 「ど、同情とか、その場凌ぎなら……」
 あー、どうしてこう疑り深いのかね、このお嬢さんは。
 仕方なく俺は、膝立ちになって向かい合って座る瀬戸口さんの肩を両手で掴んで抱き寄せ、そのまま彼女の唇を奪った。
 「んんっ……!」
 初めての経験だから鼻とか歯がぶつかったりとかしないか心配だったけど、幸いにして、そういうありがちなミスをすることもなく、キスすることが出来た。
 (うわっ、女の子(?)の唇ってやわらけー、それにいい匂いだ)
 煩悩が頭をもたげてくるのを抑えて、唇を離す。
 「どう? 信じてくれた?」
 「こ、こここ……」
 ?
 「この馬鹿ぁ〜! 私、初めてだったのにィ!」 バコーン!!
 ぐぁ……さすがは空手経験者、いいストレートだ。奥歯が折れるかと思った。
 「あ……ご、ごめんなさい、つい手が」
 「いや、いいさ。確かにちょっとどころでなく強引なことをしたって自覚はあるし」
 でも、これで俺が本気だってことは十分理解してもらえたと思う。
 「えっと……信じて、いいの?」
 「ぜひとも」
 おっとそうだ。
 「俺の方からもキチンと言わないとな。
 瀬戸口飛鳥さん、好きです、俺とつきあって下さい」
 「あ……」
 目にうっすらと涙を浮かべる彼女。
 「……はい。私も圭太くんのことが、大好きです」
 好きな子を泣かせる男は最低だと言うが、これは嬉し涙なんだろうから、勘弁してもらいたい。
 こうして、俺と瀬戸口さん──飛鳥は、恋人同士となった。
 (ちなみに、互いのことは名前で呼ぶことになった。やったね! いかにも恋人っぽいぜ!)
24『けい×あす!?』:2010/05/26(水) 21:08:43 ID:vS7mb3Ze
 改めて、ちゅっと軽くキスして、瀬戸口さん……もとい飛鳥を抱き寄せると、彼女は嬉しそうに微笑んだ。
 「ああ、可愛いなぁ。なんで飛鳥はこんなに綺麗で可愛いんだ?」
 いかん、俺、生まれて初めて恋人ができた喜びで相当ハイになってるな。とてつもなく、頭の悪い台詞を垂れ流してるぞ。
 「そ、そんなこと言われても……わ、わかんないよ」
 困ったように応える様子もまた愛おしい。
 「でも、圭太くんの目から見て可愛く映ってるんだったら、嬉しいかも」
 くぁーーっ、何、この可愛いイキモノ!
 自分から軽く首を伸ばして自ら俺の唇を受け入れてくれる飛鳥。
 「……ん」
 押し当てられる柔らかな感触に、自然に俺の唇もほころんだ。
 うっすらと開いた飛鳥の唇を、俺は舌先でくすぐり、さらに強く、深く口づける。
 深く合わさった唇から舌を侵入させ、舌先で歯列をなぞる。
 「ふわっ……んんッ……!」
 それだけで、感じてくれたのか、飛鳥は俺の肩にギュッとしがみついてくる。
 口腔内を探り、舌を絡めとる。ぬるりと絡みあう熱く柔らかな舌。
 未知の感触に驚いたのか、飛鳥の身体がビクッと震えたが、しばらくするとぼうっとした様子で、身体の力もすっかり抜けたようだ。
 名残り惜しいが唇を離すと、長く甘いキスに翻弄され、すっかり上気した飛鳥が、とろんとした目で俺の顔を見つめていた。
 「赤くなっちゃって、飛鳥は、ホント可愛いな」
 そう言われて、さらに頬に朱を散らす飛鳥。
 ──まぁ、名残惜しいけど、ここらが潮時か。これ以上ヤっちゃったら、自制できなさそうだし。
 俺は、そっと体を離……そうとしたんだが、その手を飛鳥がつかんで引き止める。
 「その……圭太くんになら……いい、よ」
 何ッ、マジですか!?
 「う、うん」
 恥じらいを含んだ目で俺を見上げる飛鳥。
 「だって、ソコ……」
 彼女の指差す先には、元気ハツラツ状態になったマイサンが。
 「あ〜、いや、その、コレはだな」
 「わかってる。私に、その……よ、欲情してくれたんだよね?」
 年頃の娘さんが、そんなコト言っちゃダメェ! あ、いや、この場合「男の娘」だから、問題ないのか?
 飛鳥の大きな瞳に軽蔑の色はなく、それどころか彼女の目も熱く潤んでいた。
 「はしたないって思うかもしれないけど、私も……」
 うん、まぁ、それはわかる。
 こうして間近から見ても、女の子、それもとびきりの美少女にしか見えないのに、彼女の体のある一点だけが、異なる性を主張しているからだ。
 幸いと言うべきか、16歳男子の平均程度と自負している俺のモノに比べて、ふた回りほど小さいので、一応彼氏としてもメンツは保てそうだ。
 「だから……圭太くんに異論がなければ……その、シて?」
 恥じらいの中に微妙な欲情が滲むという誠に男泣かせな飛鳥の視線に、俺は白旗を上げるしかなかった。
25『けい×あす!?』:2010/05/26(水) 21:09:17 ID:vS7mb3Ze
 飛鳥の身体を、いわゆる「お姫様抱っこ」の姿勢で抱き上げ(華奢な体つきだけあって凄く軽かった!)、ベッドまで運ぶ。
 この部屋に戻って来た直後に、カーディガンは脱いでいたので、今の飛鳥は両肩や胸元が大胆に露出した、白いキャミソールドレス姿だ。
 「えっと……ど、どうぞ」
 「そ、それでは、遠慮なく」
 緊張故か、マヌケなやりとりをしてしまう俺達。いや、本人同士は真剣なんですよ?
 細い肩ひもをズラし、慎重に上半身をはだけさせる。
 「その……胸ないけど、がっかりしないでね」
 「わかってるって。心配性だなぁ」
 飛鳥は、体つきはスレンダーだが色白で、また驚くほど肌のキメが細かい。やっぱ、コレが俺と同じ性別とは思えないよなぁ。
 「えっと、コッチも外すぞ?」
 首筋から鎖骨あたりにかけての肌触りをひとと通り堪能したのち、俺はいよいよベアトップタイプのミントブルーのブラジャーへと手をかけた。
 指先でそうっと触れると、飛鳥は甘い声をあげて身悶える。
 「ちょ……くすぐったいよ。もっと優しく」
 「了解了解」
 と言われても、童貞歴16年の俺に、そこまでの自制心とテクニックを求められても、さすがに無理があるんだが。
 それでも何とかご要望に応えつつブラジャーを外すと、そこにある艶めかしいほどに白い肌と、綺麗な桜色をしたふたつの突起が目に入ってくる。
 「綺麗だ……」
 耳元で囁くと、サッと彼女の頬が朱に染まった。
 「その……ホントにペッタンコだからガッカリしたんじゃない?」
 「ん〜、そうは言うけどなぁ」
 確かに、テレビとかグラビアその他で目にする女性タレントの豊満な胸とは比べ物にならないだろうけど、意外なことに飛鳥の胸は、心持ちではあるが緩やかに隆起していた。
 貧乳ですらない微乳とも言うべき大きさだが、それでも断じてコレは男子の胸じゃないぞ?
 「えっと……思春期の男子も、時としてホルモンバランスとかの関係で、ちょっとオッパイが膨らむことがあるんだって……ヒャンッ!」
 なるほど、コレはそういった幸運な偶然の産物なワケか。
 俺は、運命の悪戯に感謝しつつ、飛鳥のささやかな膨らみを、優しく撫で、揉み、こね回……すのはさすがに無理だったが、いろいろマッサージしてみる。
 本人じゃないからしかとは判断できないが、飛鳥がその度に甘い声で、悶えよがる様は、本物の女性と何ら変わりない……と思う、多分(いや、比較対象がないけど)。
 「感度は良好っと。じゃあ、コッチはどうかな?」
 今度は首筋にくすぐるようなキスを落とすと、飛鳥の身体がビクッと跳ねた。
 「ふわぁぁんっ!」
 すごくわかりやすいなぁ。
 「やっ、あっ、あぁん……!!」
 さらに、その桜色の乳首を唇でついばむと、飛鳥はシーツを握りしめながら体を弓なりに反らせた。
 「ダメ…そこ……くぅん!!」
 どうやら俺の拙い愛撫でも感じてくれているらしい。
 「気持ちいいか?」
 と聞くと、素直に頷いてくれる。
 「でも……私ばっかり気持ちよくさせられるのは、なんかズルい」
 「いや、ずるいと言われましても」
26『けい×あす!?』:2010/05/26(水) 21:09:46 ID:vS7mb3Ze
<view of A>

 「いや、ずるいと言われましても」
 困ったように、圭太くんがそう答えるけど、彼の身体の熱い部分が、私の太股に当たっていることに気づいた。
 (圭太くん……興奮してる)
 自分に対して反応してくれてるのだと思うと、かあっと頭に血が上ってくらくらしてきた。
 (そっか……好きな人が感じてくれるのって、こんなに嬉しいものなんだ)
 素直に欲望を感じてもらえることが誇らしい。
 「私も、圭太くんにシてあげたいよ」
 私にそんな風に欲望を感じているなら、私がその熱をなんとかしてあげたい。
 それに……少し前の自分なら信じられないコトだけど、今の私は、こんなことさえ思っているのだ。
 ──彼の熱く脈打つモノをもっと感じてみたい。
 (あは、やっぱり僕、コワレちゃったのかも……)
 ほんのひと月足らず前、圭太くんがウチのクラスに転校してくる前は、僕は自分が男の子に恋慕し、進んで自らの身体を捧げようとするなんて思ってもみなかった。
 女装こそしてたけど恋愛対象は普通に女の子だった……とは、まぁ言えないかもしれないけど、それでも男子をキチンと「同性」として見てた気がする。
 けれど、圭太くんが転入してきて秘境探検部に入り、そして彼を含めた秘境探検部のみんなが、僕をひとりぼっちの孤独な境遇から引っ張り出してくれた。
 そうして、みんなと交流するうちに……そして、圭太くんに他のメンバー同様女の子として接してもらううちに、「僕」の中の「私」が少しずつ大きくなっていったんだ。
 「女装していることがバレないための女の子の仮面」じゃなく、「彼に恋する女の子」としての自分が……。

 そんな欲求に唆されるままに私は彼のモノに触ろうとしたけど、寸前で圭太くんの手がそれを止めた。
 「あー、悪い。正直、飛鳥の手で今触れられたら、モちそうにないから。いいから、そのままじっとしてて」
 平静を装ってはいたけど、その声には隠しきれない熱情の陰りが滲んでいた。
 「え?」
 ドキリとして彼を見上げる私の前で、圭太くんは自分の指を私の目の前に差し出す。
 「いきなりだとキツそうだから、まずは指から、な?」
 「……うん(ポッ)」
 ──実は、密かに通販で買った大人の玩具で、圭太くんを想って毎晩シてたから、それなりにお尻もこなれてると思うんだけど……オトメの恥じらいと言うか、さすがにそれは言えないよね。
 おそるおそる、私は圭太くんの人差指を舐めた。
 (もうすぐ、コレが私の中のにはい入ってくるんだ)
 そう思うと、より一層愛しく感じる。
 やがて、十分にそれが濡れた頃合いを見計らって、圭太くんは私の唇から指を引き抜く。
 「飛鳥、スカート、まくるぞ?」
 「う、うん……でも、私のソコ見たら、幻滅しない?」
 それだけが心配。なんだかんだ言って、私、圭太くんには自分の女の子っぽいトコロしか、これまで見せてないし。
 「しない。だって、ソレだって俺の大好きな飛鳥の一部だから」
 !
 嬉しい……うれしいよぅ。
 「じゃ、じゃあ……どうぞ♪」
 私はワンピースの裾に手をかけ、思い切って自分からまくりあげた。
 「……っ!」
 彼がハッと息を飲み、食い入るように私の下半身を見つめているのがわかる。
 「綺麗だよ、飛鳥」
 幸いにして、萎えたとか躊躇してるという感じじゃなく、むしろ彼の目に浮かぶ欲情の焔がより一層濃くなったような気がする。
 (しょ、勝負パンツ履いといて正解だったかな)
 そんな益体もない思考が、チラと私の脳裏をかすめた。
 「脱がせても、いいか?」
 答える代わりに私は微かにお尻を浮かせる。
 彼の手が薄水色のショーツにかかり、そっとそれを引き下ろした。
 ピョコン!
 そんな擬音を発しそうな勢いで、私のソレがショーツの下から顔を見せる。
 「ごめんね……」
 「? どうして、謝るんだ?」
 「だ、だって、私のソコ、そんなだし……」
 「はっはっはっ、卑下することはないって。可愛いクリ●リスをお持ちですな」
 茶目っ気たっぷりにウインクして見せる圭太くん。
 あくまで私を「女の子」として扱ってくれる、その気づかいがうれしかった。
27『けい×あす!?』:2010/05/26(水) 21:10:15 ID:vS7mb3Ze
<view of K>

 「はっはっはっ、卑下することはないって。可愛いクリ●リスをお持ちですな」
 これは決して嘘じゃなく、飛鳥のソレは非常に可愛いかった。
 俺の耳までくらいしかない小柄な身長と、とくに鍛えてるわけでもない俺でも楽々抱っこできるくらいの華奢な体格に見合った、控えめなサイズで、かつ包茎。
 (そう言えば、彩花のヤツが動物図鑑で仔象にたとえてたっけ)
 クスリと笑いが漏れそうなのを噛み殺しながら、俺は、愛しい人の愛らしいソレをそっと撫でる。
 実際、薄いピンク色したソレは、自分の股間についているモノと同種の器官だとは思えないほど可憐で、触っても全然嫌悪感は感じない。
 それでも、触れるとビクビクと反応するし、いっちょまえにピン!と屹立する。
 「お、飛鳥、感じてる?」
 「う、うん……圭太くんに触ってもらってるって思うだけで……ゴメンね」
 もじもじと恥じらいながら飛鳥が答える。犯罪的なまでに可愛い表情だ。
 (くぁああ、もう辛抱たまらん!)
 心の中で身もだえしながら、俺はうつ伏せにした飛鳥のお尻を手のひらでつるんっと撫でる。
 ほっそりとしたウェストと言い、ちょっと小ぶりだけど魅力的な曲線を描くヒップラインといい、スラリとした脚線と言い、掌に吸いつくような肌触りと言い……コレが男の下半身だとは、その証拠を目にしていてさえ信じ難い。
 「ヒャン!」と可愛らしい悲鳴をあげる飛鳥に和みつつ、彼女が舐めてくれた指を、尻肉の谷間にある菊門につぷっと差し入れてみる。
 「はうんッ!?」
 「驚いたか? すまん。もうちょっとだけ我慢な」
 びっくりしたのか反射的に前にずり逃げようとする飛鳥の身体を引き寄せて抱き起こすと、俺はベッドに腰掛けて膝の上に横抱きにした。
 ソコに差し入れた指は抜かず、さりとて動かしもせず、じっとさせたままだ。
 「け、けいた、くん?」
 お尻の違和感からか飛鳥が泣きそうな顔で見上げてくるけど、正直、困った顔もまた可愛いから、俺に対しては逆効果だ。いや、むしろ正解なのか?
 「お尻でする時は、こうやって指入れてほぐしたほうがイイって、ばっちゃん……もとい、エロい人が言ってたぞ」
 とは言え、飛鳥のソコは、いくら唾液まみれとは言え、さしたる抵抗もなく俺の人差し指を飲み込んじまったし、飛鳥の「中」は予想以上に熱くぬめっている。
 適度な締め付けと柔らかさ、そしてヌルヌルとした感触は、コレがイチモツだったら……と嫌でも俺の股間をブーストさせた。
 「えっと、ちょっち聞きにくいこと聞くけど……飛鳥、もしかしてコッチは初めてじゃない?」
 「そ、そんなコト、ないよ?」
 なぜに視線を逸らす? そしてなぜ疑問形?
 「うぅ……じ、実は……」
 「実は?」
 「万が一、もしかして、奇跡でも起こったら、圭太くんとこういう関係になれるかもと思って……その……コッソリ練習を」
 練習って何? いや、ナニか。いい、わかった。皆まで言うな。
 視線の端にベッドに下からはみ出たピンク色の物体を確認して、俺は飛鳥の言葉を押しとどめた。
 「で、でも、ひとにシてもらうのは初めてだから! 私、圭太くん、ひと筋だから!!」
 あ〜、そんなに必死に言い募らなくても、わかってるって。
 そもそも、俺と「繋がる」ために頑張って練習してくれてたんだろ?
 けなげじゃないか。ますます惚れ直したね!
 「じゃあ、飛鳥。そろそろ俺のジュニアも限界なんで……スるぞ」
 ハッと息を飲むのがわかる。
 「──うん、お願い」
28『けい×あす!?』:2010/05/26(水) 21:10:44 ID:vS7mb3Ze
<view of A>

 「──うん、お願い」
 意を決して、私がそう懇願すると同時に、アソコから指が引き抜かれ、ベッドの上に四つん這いにさせられる。ほぼ間髪入れず、ズボンを下ろした彼が膝立ちの姿勢で私の背後に立つのがわかった。
 すでに十分トロトロにほぐれたソコに、熱い棒状のモノが押し当てられるのを感じる。
 「あぁ……圭太くん」
 「いくぞ、飛鳥」
 返事する間もなく、ぐいっと熱い塊が、私の身体の中に押し入ってきた。
 「ひゃあ……ああぁぁぁぁーーーっ!」
 それまでとは比べ物にならない、絶叫が私の喉から迸り出る。
 「っ! ごめん、乱暴過ぎたか?」
 「ち、違うの……その……」
 あまりに気持ち良過ぎて。
 さすがに素直にそう口に出すのは恥ずかしいが、彼はおおよそ察してくれたみたい。
 「そういうコトなら、遠慮なく」
 ──ず…ぬぷぷっ!!
 「ふっ…はあぁぁんっ!」
 彼の分身が私の体内に分け入ってくる。剛直が根元まで私を貫くと同時に、脳裏に白い電流のようなものが走った。
 「やはぁ……くっはぁ、は、あああぁぁぁっ!!」
 「あ…もしかして、挿入れただけでイッちゃった? うーん、かわいいよ、飛鳥」
 白濁を噴き出すまでもなくイッてしまった私に、後ろからからみつくように抱きしめながら、甘いキスと優しい囁きをくり返す圭太くん。
 それだけで心身一体となった幸福感に満たされて、私はトロンとした目でボンヤリ彼を見返すことしかできない。
 けれど……それはまだまだ序の口だった。
 「くぅ〜、まったく、飛鳥はどこもかしこも全部かーいいなぁ。正直、俺の自制心がどこまでもつか不安だぜ」
 彼の飾らない賛辞(?)が嬉しい。
 こんなハンパな私のことを、本当に心から愛しく思ってくれていることが、伝わってくるから。
 「──ぃよ」
 「え?」
 「いいよ、我慢しなくても。圭太くんには、私のこと、全部あげる。頭のてっぺんからつま先まで、髪の毛一本から、体内の隅々まで、圭太くんの色に染めあげて」
 ゴクリ、と彼が唾を飲む音が、やけに大きく部屋に響いた。
29『けい×あす!?』:2010/05/26(水) 21:11:14 ID:vS7mb3Ze
<view of K>

 「いいよ、我慢しなくても。圭太くんには、私のこと、全部あげる。頭のてっぺんからつま先まで、髪の毛一本から、体内の隅々まで、圭太くんの色に染めあげて」
 !
 まったく……性欲を持て余す年頃の青少年に、そういう無責任なこと言ったら、どういう結果になるか、わかってんのかね、このお姫さんは。
 まがりなりにも、自分だってその「青少年」の一員だろうに。

 とは言え、恋人にここまで言われて、頑張らないようじゃ、男が廃るよな。
 慎重に全部抜けてしまうギリギリまでイチモツを引き出し、その限界で再び、彼女の体内に突き入れる。
 「ふぁ…は…ひゃぁ…」
 最初はゆっくり、徐々にスピードを上げ、やがて、パンパンと肉同士がぶつかり合う音が聞こえるほど、激しく俺はピストン運動を繰り返していく。
 「あぁ……圭太くん……コレ、何………なんか、もう……身体が痺れて、わけわかんなく……なるよぉ」
 「クッ……そいつは重畳、ってね」
 余裕っぽく振舞ってはいるけど、実のところ、俺のほうにも全然余裕はない。むしろ、今まで暴発しなかったマイサンを褒めてやりたいくらいだ。
 「やぁ…らめぇ………圭太くん、ゆるしてぇ……」
 「オイオイ…今度は、俺がイクまで、我慢しようぜ?」
 「やぁ…でも……このままじゃ、私……おかしくなっちゃうよぉ…」
 「うんうん。おかしくなっていいよ。むしろ、オカシクなりなよ。俺、オカシクなっても、飛鳥のこと大好きだから」
 室内に響く淫らな水音。
 ふたりの荒い呼吸音。
 突き上げる側と突かれる側が漏らす苦鳴にも似た快楽の呻き。
 「けい、た、くん……わたし、またっ、は、ふあああぁぁぁーーっ!」
 「飛鳥、今度こそ、俺もっ、俺も、一緒にっ!」
 「キテっ、けいたくんっ、中にっ、なかにきてぇっーーー!!」
 「射精(だ)すぞ、飛鳥のなかに……くぁああぁぁぁーーっ!!」
 その時の俺たちは、これ以上ないという程にシンクロしていたと思う。
 「ひゃあっ…………あああっっっ!」
 ギュッと飛鳥のアヌスが収縮し、ガクガクッと全身を痙攣させて彼女が達すると同時に俺は、飛鳥の体内に俺自身を解き放つ。
 ドクドクッと飛鳥の深奥部に熱い物が流れ込むのがわかる。
 同時に、今回は飛鳥も自前の陰茎から液を垂れ流しているようだ。
 「ふあぁぁ……圭太くんの精液が入って、くる………私、圭太くんに中出しされてるよぉ……」
 恍惚とした表情で呟く飛鳥の上に体の力を抜いて折り重なりながら、俺は、可能な限り優しい声で、彼女に囁いた。
 「あぁ……すごいきもちよかったぜ、飛鳥」
 幾度目かわからないキスを飛鳥と交わし、彼女の黒髪に顔を埋めながら、俺はこの幸せがずっと続くことを願いつつ、甘やかな幸福感に酔いしれて目を閉じたのだった。

追記)
飛鳥のお父さんは今晩は戻らないそうなので、家に「友達の家に泊まる」と連絡した上で、俺はほぼ丸一昼夜、飛鳥との「らぶらぶイチャイチャライフ〜エロエロもあるよ〜」を楽しんだ。
おかげで日曜の午後、家に戻るころは、ギックリ腰一歩手前の深刻な腰痛に悩まされたが、この幸せの代償としてはささやかなものだろう。
30『けい×あす!?』:2010/05/26(水) 21:11:37 ID:vS7mb3Ze
<Epilogue>

 さて、東圭太と瀬戸口飛鳥が文字通り「身も心も」結ばれた日の翌週。
 いつも通り登校した圭太は、クラスの数人から生温かい視線を感じることになる。言うまでもなく、秘境探検部の三人娘達だ。
 わざわざ、彩花の会社のツテを頼ってまでお膳立てをしたからには、おそらくふたりの気持ちは見透かされているのだろう。
 とは言え、恋人になったことくらいはともかく、そのあとイキつくところまでイッちゃったコトは、流石に他人様に吹聴するような話ではない。
 圭太としては、飛鳥の了解も得たうえで、未来たちには、ふたりがつきあい始めたことを軽く報告するだけに留めようと思っていたのだが……。
 放課後、掃除当番のために未来たちから少し遅れて、いつもの部屋に入った圭太と飛鳥は、「パンッ!」という軽い破裂音とともにクラッカーの洗礼を受けることとなった。
 無論、圭太としても、この程度は想定の範囲内だった。たぶん、デートの時、尾行でもされてたのだろうし。
 部屋に横断幕で「祝・けいたん×あすかちんカップル成立!」と飾られてるのも、この面々がやらかすコトとしては、むしろ大人しい部類だ。
 だが。
 「昨日はお楽しみでしたね!」
 そう、ニコヤカな笑顔で肩をポンと叩いてくる彩花の様子は、どう考えても、「それ以上」の関係になったことを知られていることを物語っている。
 「! まさか、飛鳥の家まで尾けてきたのか?」
 「その通り。そして、その日の夜……どころか、翌日の午後まで、東くんが瀬戸口さんの家から帰らなかったことも確認済みよ」
 三人娘では比較的まともなはずの香奈の無情なこの言葉に、ガックリと圭太はうなだれる。
 「ねーねー、それでそれで? けいたんは優しくしてくれた? あすかちんは未知なるヘヴンに辿り着けたの!?」
 「な、七瀬さん、お、落ち着いて……」
 部屋の向こうでは、未来が興味津津で飛鳥を質問攻めにしている。いつの間にか、彩花と香奈まで、その輪に加わっていた。
 こうなったら、この三人は納得するまで解放してくれないだろう。
 恋人が、あまりに恥ずかしい睦事の内容まで暴露しないよう、天に祈ることぐらいしか、今の圭太にできることはなかった。

 しかしながら、飛鳥も精神の女の子化が進んでいるのか、じつは何気にノロケまくり、三人娘を口から砂糖を吐きたいようなゲンナリした気分にさせたので、以後、秘境探検部では圭太と飛鳥の恋仲をイジることはタブーになったそうな。

-おわり-
316:2010/05/26(水) 21:12:01 ID:vS7mb3Ze
#以上。圭太が微妙にエロゲの主人公っぽいのは本SSの仕様。本物は、ややシニカルだけど、もっとフツーの男子です。
#また、飛鳥が原作の10倍くらい乙女ちっくなのも作者の都合。ただし、「ぼくにん」フレーズは直前の話の流れから自重。
#三人娘が微妙に腐女子臭いのは……わりと原作準拠かも。いずれにしろ、お目汚し、失礼。
32名無しさん@ピンキー:2010/05/27(木) 02:27:04 ID:bb+Luguo
いや良かった
gj
33名無しさん@ピンキー:2010/05/27(木) 03:55:10 ID:9siCCYVB
童貞のくせに事前に指でほぐすことを思いついたりとか確かにエロゲの主人公っぽいかも(^^;
だがしかし男の娘はこれくらい乙女ちっくでオッケーオッケー
というか原作は見た目だけ女という程度のキャラでしかないのだろか……モッタイナイ
いやGJ!!
34名無しさん@ピンキー:2010/06/02(水) 22:06:44 ID:E6JJz5bL
そういえば、先日出たラノベの「MiX! オトコの娘はじめました」が、この界隈の住人的にわりと好評を得そうな気が。まだ途中だけど、エロ妄想してみるかな。
35名無しさん@ピンキー:2010/06/03(木) 03:45:59 ID:JWl9sWk8
バレエ経験があって下手な女子より柔軟な体を持ってるという設定だからセルフフェラ経験は確実にあるだろう。

鏡の前での女装オナニーはやって欲しいところ。
36名無しさん@ピンキー:2010/06/03(木) 08:24:38 ID:ATym2dHs
CrossDaysかい。
37名無しさん@ピンキー:2010/06/06(日) 01:19:01 ID:RdH6zTMe
>>6-30読んだら元ネタが気になってひきょたん!!の単行本買っちまった
38名無しさん@ピンキー:2010/06/12(土) 23:06:49 ID:v29RNnVR
ひきょたんの二次創作とはさすが>>6、いい度胸してるな。
39名無しさん@ピンキー:2010/06/13(日) 08:56:01 ID:oV2z6g2u
>MiX! オトコの娘はじめました

●レオタードを着たままじゃあ、特殊繊維のせいで勃起できない
 →涼子「それじゃあ、別の部分で気持ちよくしてあげる」
 →レオタード姿のまま乳首やお尻などを愛撫されて喘ぐ蘭だが、痛みのために勃起はできず
 →やがて快楽と痛みの条件反射が身体に形成され、ついにどれだけ感じても勃起&射精できなくなる
 →ますます女らしくなる蘭ちゃん。ついに、女子制服姿の時、お尻の処女を涼子withディルドーに奪われ、最後はそのまま出さずに達するドライ逝きを修得
 ……まで妄想した。 誰か書いて〜!
40名無しさん@ピンキー:2010/06/16(水) 01:06:26 ID:DmUFuMuP
MiX! ネタじゃないけど、SS投下。

*例によって、このテのSS特有のご都合主義的嘘が散見されますが、そういうのが気にならない人向け。また、男×男の娘なので、ソチラが嫌いな人も回避推奨。

『おにいちゃん、だいすき』


 ──その悪戯を始めたのは、些細なキッカケだった。

 ボク、千堂真樹(せんどう・まさき)と、ひとつ年上の姉である朋希(ともき)は、中学2年生の姉弟にしては、普段はそれなりに仲がいいほうだと思う。
 これは、朋希が女の子にしてはボーイッシュで活発な嗜好の持ち主で、逆にボクのほうがピアノのお稽古や家事手伝いを好む家庭的な傾向があるせいかもしれない。
 ボクらは双子ではないけど、11ヵ月違いの生まれで学年は同じだったから、あまり年の差を気にすることがないのも影響してるのかも。
 実際、友達の話を聞いてる限りでは、ふつうはこの年頃の姉はやたらと弟を迫害するし、逆に弟は何かと姉に反抗的な態度をとるものらしいし。
 ただ、ボクと朋希の場合、内気で男としては(遺憾ながら)少々頼りないボクのことを、勝気な姉の朋希が引っ張り、保護してくれてるという面があり、それなりにうまくいってたんだ。
 ──そう、あの日までは。
41『おにいちゃん、だいすき』:2010/06/16(水) 01:07:42 ID:DmUFuMuP
 キッカケは、朋希が市内の夏祭りで開催されるイメージガールコンテストに応募したこと。いや、正確には、朋希の名前を使ってミーハーなママが勝手にやったコトなんだけどね。
 何の手違いだか一次書類審査に受かってしまったのはともかく、勝手にそんなコトをされた朋希がヘソを曲げてしまった。
 まぁ、確かに、空手の有段者で、女子サッカー部エースストライカーでもある朋希に「イメージガール」という言葉は似合わないかもね。
 けれど、コンテストの賞品(有名な温泉に家族で二泊三日旅行に招待)に目がくらんだママは、せっかくの機会を惜しんだ。
 ……もう大体わかると思うけど、そこでボクが代役として駆り出されたんだ。
 二次審査は水着だから絶対無理だってボクは主張したんだけど……。
 「大丈夫、マキなら絶対似合うって!」
 ひらひらフリル付きの可愛いワンピース水着(ママが勝手に買ってきたモノ)を手に、ニヤニヤしながらボクに迫る朋希。
 「ごめんね、マキちゃん。でもでも、これも熱海二泊三日のためなの!」
 笑顔のまま、ボクの服を剥ぎ取るママ。
 我が家の二大権力者に迫られては、家庭内ヒエラルキー最下位に位置するボクとしては拒む術はなかった。
 (ちなみに、ママ>トモキ>パパ>ボクの順ね)
 「プッ……ククク、いやぁ、よく似合ってるよ、マキ」
 結局、ボクは朋希のワンピース水着を着せられてしまった。
 「うう。やっぱりちょっともっこりしてる気がするよぅ」
 「大丈夫よ! フリルのひらひらもあるし、マキちゃんのならちっちゃくて可愛いからバレないって」
 ……ママ、その言い草は、地味に傷つくんだけど。
 「あはは、怒らない怒らない。実際よく似合ってるんだし」
 確かに、鏡には女の子として見てもとくに違和感がないボクが映っている。
 「そうだわ! こうすればもっと……ホラ!」
 ママはボクの長めの髪をリボンでささっとツインテールに整える。
 「ほーらぁ、完璧でしょ」
 「う、うん……」
 鏡の中のボクは、自分の目から見てもかなり可愛い部類に入る女の子だった。

 そんなこんなでボクは14歳の少女「千堂朋希」としてコンテストに出場して、どういうワケか二次審査も突破し、最終選考で浴衣(もちろん女の子用)を着て、特技のピアノの弾き語りを披露。
 優勝こそできなかったものの、3位に入賞して、所金3万円をゲットしたんだ。
(ちなみに副賞の温泉旅行ペアチケットは、ママとパパが使用。別にいいんだけど……なんか納得いかない)

 まぁ、そこまでなら、単なるひと夏の笑い話で済むんだけど。
 困ったことにあれ以来、朋希はボクを女装させるのがお気に入りになってしまった。
 夏休みなのをいいことに、朝からボクの部屋に押しかけてきて、可愛い服に着替えさせて、ボクを外に連れまわす。
 パパもママも笑って見てるだけ。ていうかむしろママなんか面白がってて、朋希と一緒に服のカタログ見ながらボクにどれ着せようか和気あいあいと相談してる始末。
 最初のころは、外出の度にドキドキしてたけど……人間、何事も慣れるモンなんだね。実際、何度か知り合いに遭遇したけどバレてなかったし、いつしかボクも開き直って、この一風変わったお出かけを楽しむようになってたんだ。
42『おにいちゃん、だいすき』:2010/06/16(水) 01:08:09 ID:DmUFuMuP
 そんなある日。
 「んーっ! 今日も楽しかったね、真樹!」
 「うん、そうだね。別人になったみたいで、結構楽しいかな」
 今日は、近所の映画館まで姉弟デート(?)。
 例によって、ボクは(主にママの趣味より)ノースリーブでくるぶし丈のサマードレスと女性用ストローハット、足元はオシャレなサンダルといういでたち。
 逆に朋希の方は、髪をベリーショートにしたうえ、カーゴパンツに洗いざらしのTシャツとスニーカーという格好だから、どこから見たって「男の子」。
 しかも、朋希の方がボクより3センチばかり身長が高いから、はたからは「兄妹」にしか見えないだろう。
 「真樹ったら、すっかり女の子生活に馴染んじゃった?」
 「まぁ、誰かさん達のおかげで、ね」
 確かに、こうやって女の子の格好してる時の挙動とかは、色々慣れてきちゃったと思うけどね。内股で歩くとか、スカートの裾を気にするとか。
 「こうなったら、新学期からは、セーラー服着て……モガッ!」
 ボクは慌てて朋希の口を塞いだ。カズくん──従兄の和也さんが向こうから歩いてきたのが見えたから。
 「ん? よぉ、朋希! 相変わらず男前なカッコしてんな」
 「あ、ちーっス、カズくん! クラブ終わったの?」
 カズくんは、僕らにとってはお兄ちゃんみたいな人で、朋希にとってはサッカーの師匠でもあるから、尊敬の意を込めて「カズくん」と呼んでるみたい。
 「ああ。ったく、この炎天下でボールを追いかけるのは正直たまらんぜ。汗が2リットルくらい絞られた気分だ。
 お、そっちは友達か?」 
 カズくんはボクの方を見たので、ドキッとした。
 見ず知らずの人ならともかく、カズくんには、さすがにこの距離だとバレるだろーなぁ。なんだか首をひねってるし。
 「へへへ、カズくんったら気付かないの?」
 けれど、そんなカスくんをからかうような言葉を朋希は投げかける。
 「何がだ? ま、まさか、お前の彼女なのか!? お、男前なヤツだとは思ってたが、そこまでとは……」
 ガクッ! どーゆー勘違いだよ!
 「アハハハハ! そりゃいいな。でもハズレ。このコ、マキだよ。可愛いでしょ?」
 「え? マキって……真樹か!? お、お前、いつから女の子に……」
 びっくりしたようにボクを見つめる。
 身内にそんな目で見られると、さすがに恥ずかしい。自然に頬が赤らんでくる。
 「と、朋希に無理矢理女装させられたんだよ〜」
 モジモジと体をくねらせていると、見下ろすカズくんの視線が、ボクの体に絡みつくように感じて、余計にドキドキしてくる。
 「そ、そうなのか? いや、しかし、可愛いな……まるっきり女の子じゃないか」
 あれ、カズくんも真っ赤になってる? 
 「ちょっとカズくん、何赤くなってんの? コイツ、真樹だぞ?」
 「ん? ああ、そりゃそうだな。でも……」
 その先を聞くのが怖くなったボクは、その場から走って逃げ出した。そのまま、家まで帰り、走り込んでドアを閉める。
 「はぁ、はぁ、はぁ……なんで、ボク、こんなに……ドキドキしてんだろ。それに……」
 ワンピースの下に履いた女物のショーツの下で、ボクのソコが固くなっていることがわかった。
43『おにいちゃん、だいすき』:2010/06/16(水) 01:08:55 ID:DmUFuMuP
 そんな事のあった夜。ボクのケータイにメールが届いた。
 「あれ? カズくんからだ。珍しいな……」
 メールを開くと、そこには思いがけないメッセージがつづられていた。
 『明日、いちばん可愛い恰好して、俺んちに来てくれ』
 え? コレって……どういう意味? ま、まさか……でも、なんで……。
 ボクは悶々としながら布団に潜り込んだ。

 * * * 

 次の日。悩みながらも、ボクはカズくんちの家の門をくぐった。
 ガレージに車が無いところを見ると、叔父さんは外出中みたいだ。
 ──ピンポーン!
 入口の呼び鈴を鳴らすと、すぐにインターフォンから応答があった。
 「誰?」
 「こ、こんにちは。真樹、です」
 「お、よく来たな真樹。ちゃんとオシャレしてきたか?」
 「えっと……うん、たぶん」
 今日の僕の服装は、薄いピンク色のフレアミニのワンピース。白いオーバーニーソックスとショートブーツを履いて、髪型はいつかみたくツインテールに結わえている。
 (自分では、結構可愛いと思うんだけど……)
 カズくんもそう思ってくれるか、ちょっと心配。
 ──心配? なんで?
 自分でもよくわからない感情に心を乱されながら、ボクはカズくんの家上がった。
 リビングに置かれたソファにカズくんは座って待っていた。
 「へーーー……昨日のお嬢様っぽいカッコも良かったけど、そういう可愛らしいのも似合ってるじゃんか」
 褒められて知らず頬が熱くなる。
 「あ、ありがと……それで、カズくん、いったい何の用?」
 「…………」
 無言のまま、カズくんがソファから立ち上がった。
 高校生で、サッカー部のキャプテンをやってる身長180cmのカズくんは、身長150センチちょっとのボクからすると見上げるくらい大きい。
 そのままつかつかとボクの側に近づくと、いきなりがしっと肩を掴まれた。
 「マキ、やっぱ、お前、可愛いな」
 ギュウッと抱きしめられた。
 部活で鍛えたカズくんの力に、非力なボクはとても逆らえない。押しつけられた胸板から、むうっと男の匂いがする。
 「ちょ、待ってよカズくん、ボクは男だってば!」
 「そんなの関係ねぇ! 昨日、女の子の格好してるお前を見た時から、俺、マキが好きになっちまったんだよ……マキのこと、俺のモノにしたいんだ!」
 「ひゃああ………ちょ、ちょっと、おちつ…んぷっ、んむ…ん……」
 カズくんの唇がボクに無理矢理押しつけられ、舌が絡んでくる。「キス」という言葉で思い描いていたのより、ずっと荒っぽく、唾液を吸い上げられる。
 「んぷぅ…んぐ……ぷ…はぁ……」
 そのキスで、ボクはすっかり体の力が抜けてしまった。
 「マキ、マキぃ……」
 カズくんはうわごとのようにボクの名前を呼びながら首筋、胸元を舐め回してくる。
 けれど、男にそんなことされてんのに全然気持ち悪くない。ううん、むしろ、キモチイイ。
 ワンピースの胸元をはだけられ、乳首にキスされた時、ボクはあまりの気持ちよさに、全身を震わせた。
 「可愛いよ、マキ………どんな女の子よりお前の方がいい……」
 「はぅ! そ、そこはやめ、うあぁ…」
 カズくんの指がボクのおちんちんに触れる。さっきからボッキしっぱなしの所を愛撫されてビクビクっと腰が動いた。
 「ふふ、パンツも女物なんだな」
 カズくんはクスリと笑った。
 「す、スカートがめくれた時に見えると、困るから………」
 ボクが俯くと、スカートの裾が大きくまくり上げられた。
 そして、水色のショーツに手が掛けられ……そのまま、スルリと下ろされる。
 「マキ……」
 「カズくん……」
 「昔みたく、「お兄ちゃん」って呼んでみな」
 「お…おにいちゃん……」
 「ん。いいコだ」
 再び唇を奪われる。今度はボクも抵抗しなかった。
 カズくんの舌がボクの口中を蹂躙すると同時に、カズくんの指はボクの下半身を愛撫する。
44『おにいちゃん、だいすき』:2010/06/16(水) 01:09:35 ID:DmUFuMuP
 「んぐ…んむぅ…おにぃちゃぁん、そ、そんなにしたらボク、出るぅ………」
 「ああ、いいぜ。出せよ。イくとこ見ててやるから」
 カズくんの太くて大きくて暖かい指がボクの乳首をこりこりと刺激する。それだけでボクは達してしまった。
 「あ、ぁあーーーーーーああッッッッ!」
 先走りとも射精ともつかない不思議な感覚とともに、ボクのおちんちんから生ぬるい液体がドクドクと溢れ出る。
 「はは、いっぱい出たな、マキ。びしょびしょだ」
 「はうぅぅぅぅぅ……」
 羞恥で真っ赤になるボクは、再三カズくんにキスされた。今度はボクのほうからも積極的に舌をからめる。
 「ん……ぬ……ちゅ……ぬぷっ……はぁはぁ」
 「いいぜ、マキ。じゃあ、今度は俺も気持ちよくしてくれよ?」
 「うん、お兄ちゃん……」
 カズくんは服を全部脱ぐと、ソファに座った。カズくんのちんちんもカチンカチンにボッキしてる。ボクのとは比べものにならない大きさだ。
 ボクはカズくんの開いた股の間に跪く。
 「あぁ……熱い……んと、これでいい、お兄ちゃん?」
 ボクはそれに手を添えて、懸命にシゴく。
 「あ、あああ…キモチいいぞ、マキ…もっとだ!」
 両手を使って擦り上げるようにするとカズくんが声を上げる。
 「うん、わかった」
 真っ赤に腫れ上がり、先走りでぬるぬるになったカズくんのちんちんを、ボクは口に含んだ。
 「んぐ……ふぐぅ……ちゅっ……ごんながんじ?」
 「うぁ、マキぃ…そ、それいいぞ。あぁ!」
 お兄ちゃんが喜んでくれるのが嬉しくて、ボクはますます熱心にソレをしゃぶり続ける。
 「んむ…んん…んぷ」
 カリの裏とか触ると気持ちイイよね…とか思い出しつつ、お兄ちゃんのその部位舐めて上げると、お兄ちゃんは気持ちよさそうな呻きを漏らした。
 「んぷ…んむ…ね、キモチいい、お兄ちゃん? 出そう?」
 「ああマキ、すごくイイよ。出る…イきそう……」
 口の中のお兄ちゃんのちんちんがビクって震えて、お兄ちゃんの体にグッと力が入る。
 あっ、と思った次の瞬間、びしゃっと熱い液体がボクの喉にぶちまけられた。
 「!! んぷぅ…んぐ………」
 「あ、はぁあああ、マキぃ!」
 生臭くて、すごく濃い液体がボクの口の中に広がる。
 一瞬吐き出そうかと思ったけど、ボクはそのままごくんと、飲み込んだ。
 「マキ、お前……飲んだのか?」
 「うん、飲んじゃった。お兄ちゃん、イヤだった?」
 「バカ! んなワケあるか! すごく嬉しいぜ、マキぃ!」
 また思い切り抱きしめられると同時に、体にまだ堅くて熱いちんちんも押しつけられる。
 「なぁ、マキ。俺、出したばっかなのに全然収まんないよ……このままシていいか?」
 「うん……いいよ、お兄ちゃんなら」
 どうしてだろう。
 ボクは今、カズくん――お兄ちゃんになら何をされてもいい気分だった。むしろ、もっとしいろんなコトをして欲しい。
 ソファに座ったお兄ちゃんの太ももに、ボクは向かい合うように跨がった。
 「マキ、お前……もちろん、そっちの経験、無いよな?」
 「うん……て言うか、こんなエッチなコト、他人とする事自体、初めてだよ!」
 「あはは、そりゃそうか。まだ中二だもんな」
 そんなコトを話ながら、つかのまお兄ちゃんのちんちんとボクのおちんちんがヌルリと触れ合う。
45『おにいちゃん、だいすき』:2010/06/16(水) 01:10:05 ID:DmUFuMuP
 お兄ちゃんは、ボクの腰を持ち上げて、自分のちんちんを、ボクのお尻に押し当てた。
 「じゃあ……マキの処女、もらうぞ?」
 「!! うんっ、お兄ちゃんに、ボクの処女、あげる……優しくしてね」
 そういながら、ボクは自分からそっと腰を落とした。
 熱いお兄ちゃんのちんちんがボクのお尻の穴を広げるように押しつけられて…亀頭部分が飲み込まれていくのがわかる。
 「うぁ……クッ、気持ちいいぞ、マキ!」
 「あ…あああ……」
 ボクの腰がグイと掴まれ、お兄ちゃんはジワジワと、けれど確実に自分の腰を打ち込んできた。
 じゅぷっと、ボクの奥までお兄ちゃんのモノが侵入する。
 「ぅあ! はぁ、はぁ………くぅうう、キツい」
 「ああ、マキぃ……マキのオマ●コ、きゅうきゅうに締まって、すげぇ気持ちいいぞ!」
 ボクのお尻を貫いた熱い塊がゆっくりと上下に動き始めた。
 ちょっと痛い。痛いけど………。
 「あはぁ…おにぃちゃぁん………は、激しいよぅ」
 「ああ、マキ……マキ…可愛いよ………マキぃ…」
 突き上げられる度にぬるぬるが分泌され、それと同時に身体の奥底から快感が波のように押し寄せてくる。
 (ああ……女の子ってこんなキモチなのかな?)
 ボクは朦朧としながらそんなことを考えていた。
 「はぁ、はぁ…マキ、俺出そうだ……出してイイか?」
 次第に腰の動きは速く激しくなり、もはやガンガンっと突き上げるような動きになっていたけど、ボクも完全にこの快感に飲み込まれて、今にもイきそうだった。背筋に痺れるような快感が走る。
 「あ、あああ、いいよぉ! お兄ちゃんのちんちん……ボクの体内(なか)にいっぱい出していいよ!!」
 「マキ! うぁ、イくッ!」
 グイグイと腰が突き上げられ、同時にお尻の中に熱いモノをぶちまけられる感触。
 「あふぁぁ…きたぁ…あついよぉ……」
 お腹の中に熱いものが広がる感触を感じるとともに、ボクも今日二度めの絶頂を体験していた。
 ビクンビクンと身体が反り返る。お尻には、まだまだ射精されてる最中で、溢れた精液が入り口から吹きだしてるのがわかった。
 「はぁ、はぁ…」
 ボクはお兄ちゃんの胸に倒れ込んだ。
 同時にぬるっとボクのお尻からお兄ちゃんのちんちんが抜け、ごぽっと精液が流れ出す。
 「気持ちよかったぜ、真樹……」
 「ん、ボクも……お兄ちゃん、大好き♪」
 「ああ、俺もだ」
 また抱き合ってキス。
 (もう、ボクどうなってもいい……ううん、お兄ちゃんと、ずっとこうしていたい)
 ゆっくりと微睡みに落ちながら、そんコトを思った。

 * * * 
46『おにいちゃん、だいすき』:2010/06/16(水) 01:10:55 ID:DmUFuMuP
 「!」
 目が覚めると、まだ早朝だった。
 「な、なんていうエッチな夢を……」
 おまけに布団をめくると、夢精までしていた。
 ボクは真っ赤になりながら、汚れた下着を始末する。
 「メールは……っと。ああ、これは夢じゃなかったんだ」

 ――さて、どうしたものか?
 なんて考えたのは、自分の気持ちを、欲望を認めたくなかったから。
 それでも、本当の気持ちを偽ることなんてできっこない。
 その証拠に、ボクは、あの夢の通りの服を着て、お兄ちゃんの家の玄関に立っているのだから。
 ……いや、ちょっと違うか。
 服装とか髪型は同じだけど、顔には見よう見まねだけど薄くお化粧しているし、下着もちょっと過激でセクシーなブラとショーツを選んできた。
 (ああ……ボク、期待してるんだ……)
 カズくんに……お兄ちゃんに、可愛いって思って欲しい。
 もっと淫らに……大胆に、激しく抱いて欲しい。
 ──ピンポーン!
 入口の呼び鈴を鳴らすと、夢の通りにインターフォンから応答があった。
 「誰?」
 「こんにちは、お兄ちゃん。マキです」
 ボクはうっすらと微笑みながら、お兄ちゃんのいる家へと入っていった。 

−FIN−

以上。ちなみに、マキの外見イメージは「おと×まほ」のかなたん中学生バージョンを想像してください。
47名無しさん@ピンキー:2010/06/17(木) 12:19:14 ID:jA2BnzQj
かなたんの好きなタイプは金色の髪をした
ちょっぴり猫っぽい小さくて可愛い女の子で
男に惚れることはないと思うんだ
オイラが言うんだから間違いない

その点を別にすればGJ!
48名無しさん@ピンキー:2010/06/17(木) 23:24:23 ID:Vda2O0UH
かなたんか……容姿はともかく性格は結構漢らしいところあるからちょっとギャップを感じるな……
だがGJ
49名無しさん@ピンキー:2010/06/19(土) 01:02:57 ID:jkTu8pRp
ちゃんと「外見イメージは」って書いてるんだから、性格云々は言わないお約束だw

それはそうと、GJ!
50 ◆BjNVwmlr0Tfp :2010/07/01(木) 20:51:42 ID:5W0vT2kj
鳥入れたところで、アンタ誰? っていう。

その昔に書いた続くんだかもわからん作品が
保管庫に混ぜてもらえてて恐れおののいた。
入れてくれた方ありがとう。

未完扱いだったので、エロ部分――に、なりきれてるか
大変に怪しいが書いてみた。

   *

(1/5)
 ドレッサーの椅子に座って見下ろす視線の先でアイツはそうすること
が当然だとばかりに四つん這いを続けている。
 ついさっきまで弟だったアイツが、私の衣服を一式身につけ、ウィッ
グやサンダルまで身につけていやらしいメス犬に成り下がっている。
 これで、笑みが浮かばない方がどうかしている。
「ふふふ。さて――」
 私が口を開くと、キャミの肩紐が片方ずり落ちたままの肩がぴくりと
反応した。
51 ◆BjNVwmlr0Tfp :2010/07/01(木) 20:52:03 ID:5W0vT2kj
(2/5)
「今、どんな気分?」
 こみ上げる笑みを隠さず、むしろ大げさに浮かべて言う。
「はずかしい……」
「ドコ見てるの? こっち見て言ってよ」
 そう言うと、アイツは目だけを動かして私を見上げたけど、目が合っ
た瞬間、視線を逸らした。
 こみ上げる恥辱に支配されて顔を歪める様子が、言葉にならない感覚
を呼ぶ。
 私が求めていた感覚が身を焦がしていくのがよくわかった。
 心のブレーキを破壊してしまいそうなこの感覚に身を任せ、感情の赴
くままにアイツと戯れることができるのだから、当然だ。
 アイツの息も随分と荒いが、私も相当だろう。
「女装してオナニーしてるところ見つかって、問い詰められる気分はど
う?」
 少し手を伸ばし、アイツの顎を掴んで目を見つめて言うと、アイツは
この期に及んで目だけを逸らして答えた。
 初めてだというのに、どうすれば私が悦ぶのかを心得ているようにさ
え見えた。
「はずかしい……です」
「へぇ〜。さすがメス犬ね。言葉がわかんないんだ?」
「うぅ……」
「それとも、こんな風にイジめられることを想像してた?」
「ちがっ!」
52 ◆BjNVwmlr0Tfp :2010/07/01(木) 20:52:30 ID:5W0vT2kj
(3/5)
 慌ててこちらを向いたアイツの顔を覗き込みながらゆっくりと顔を近
づけ、アイツの瞳に映る私自身を見つめるようにもう一度言う。
「今、どんな気分? 目を閉じちゃダメよ? ほら、答えて」
 アイツの目の中で私が快感に打ち震えるのを眺めながら、過剰に口紅
を塗りつけた唇が言葉を紡ぐのを待つ。
「はずかしいです……」
「ふーん」
 顔を離し、足を伸ばしてアイツが穿いているひらミニを少しめくって
みる。
「やあぁ」
「ほら、じっとして」
 そのままスカートを持ち上げ、パンツをじっくりと眺める。
 見るまでもなく、アイツの性器は喜びに打ち震えてよだれをたらして
いて、私のお気に入りのパンツをこれでもかというほどにびしょ濡れ
だ。
「…………」
 黙ったまま、アイツの目を覗き込む。
「うぅ……」
「目を逸らさないで。閉じてもダメよ? ほらこっち見て」
「ううぅぅ……」
 私の言葉に反応する高い呻き声に混じっている感情は恥辱のものに違
いないけど、だけど、もう半分が喜びのものだということはこのパンツ
が目や口以上に雄弁に語っている。
「アンタのココは、恥ずかしいとこうなるの? それって、ヘンタイだ
よね?」
 小刻みに首を振っているのは言葉を否定しているからなのか、それと
も喜びに打ち震えているからなのか。
 本当はパンツの中に聞いた方が早いのだろうけど、それじゃあ、面白
味がない。
「うーうー言ってないで何か言ってよ? つまんないじゃない」
「もうだめ……」
「ホントは、いっつもこういうコト想像してたんでしょ? 私の服着
て、メイクして、ウィッグまでかぶってエロ小説読んで、いじめられる
ところ想像してたんでしょ?」
 その答えは、聞くまでもなくすぐ横のノートパソコンが伝えている。
「ほら、ちゃんと自分で言ってみて」
「あああ……。ごめんなさい……」
 涙声と言っても大げさではなさそうな声に、体が震えた。
「だーめ。ちゃんと言いなさい」
「してました……」
「何を?」
「いじめられるところ想像して……。あの、おなにぃ、してました」
「ただしてたんじゃないよね?」
「お姉ちゃんのカッコして、いじめられる想像して、おなにぃしてまし
た」
 百点満点で言えば、七十点くらいだろうか?
53 ◆BjNVwmlr0Tfp :2010/07/01(木) 20:52:56 ID:5W0vT2kj
(4/5)
「へぇ……。メス犬なだけじゃなくて、マゾなんだ?」
 メス犬が、首を大きく振り回しながら鳴いた。……多分、喜んで。
「女装ヘンタイの、メス犬マゾ野郎だね」
 スカートを戻し、ゆっくり立ち上がってアイツを見下ろす。
「ほら、自分で言ってみて? いっつも想像の中で言ってたんでし
ょ?」
「んあああっ! はぁっ……! はっ! んはっ!」
 息を荒げて首を振り回すメス犬めがけて、矢継ぎ早に言葉をぶつけ
る。
「ほら、早く言いなさいよ。ヘンタイ野郎、女装野郎、メス犬野郎、女
装狂いのマゾメス野郎。……なに感じてるの? アンタ本当のヘンタイ
ね? ほら、早く言いなさい。自分で言うの。感じるんでしょ? こん
なこと言われるのがスキなんでしょ? もっと言われたいでしょ? ヘ
ンタイ、ド変態――」
「ああ……。ごめんなさいごめんなさい。女の子のカッコしていじめら
れるのが大好きな変態です。お姉ちゃんのカッコするのが好きな変態で
すぅ!」
「それだけじゃないでしょ? そうやってオナニーするのがたまらなく
スキなんでしょ? いつもどんないやらしいコト想像してたの? ほ
ら、思い出してみなさいよ? いやらしい顔して言ってみなさいよ 命
令よ。女装オナ好きの淫乱メス犬野郎っ!」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……。お姉ちゃんのカッコし
て、いやらしいこと命令されて、お姉ちゃんになりきってオナニーして
……」
「したいでしょ? いつもやってるみたいにオナニーしたいんでしょ?
 ほら、いつもみたいにちゃんとお願いして? どうせ何回もやってた
んでしょ?」
「もうだめもうだめ、おなにーさせてください、おねがいします」
「女装オナニーさせて下さい。お姉さま」
「じょそうおなにーさせてください、おねえさまっ!」
「いっつもこんなコト想像してたんだよね?」
「そうですっ。もうだめ、もうだめ……」
「すれば? 写真撮ってあげるから、いつもみたいにオナれば? 女装
して、私に見られて、言葉で嬲られてコーフンして、オナりなさいよ。
ヘンタイマゾ犬野郎っ!」
 ――この言葉を合図に、メス犬が弾けた。
54 ◆BjNVwmlr0Tfp :2010/07/01(木) 20:53:24 ID:5W0vT2kj
(5/5)
「んああああああああああぁぁっ!」
 片手で性器をこすり上げ、もう片手で全身の性感帯という性感帯を代
わる代わるなで回す。
 乳首を転がしたり、首筋をたどったり、鎖骨を撫でてみたり、脇腹を
くすぐってみたり、浅ましく快感を求める姿は発情したメス犬そのもの
だ。
「……ヘンタイ」
 もう、言葉が届いているのかもわからないけど、私は淫乱なメス犬に
一番ふさわしいと思った言葉を投げかけながら、次々にその痴態をケー
タイに収めていく。
「いつもしてたんだよね? 想像の中でこんな風にいじられてたんだよ
ね?」
 言いながら、目についたバイブを手に取る。
「私になりきっていやらしいこと言われるのが大好きなんだよね?」
「んふっ! んんんっ! ごめんなさいごめんなさい……」
「ヘンタイ、ド変態っ! 淫乱女装オナ狂いのメス犬野郎っ! 私が見
てる前で女装してオナニーしてイキなさいっ!」
 そして、よだれをまき散らしながら、うわごとのように言葉を呟く唇
にそれを突き刺した。
「んぐっ! んふぅぅーーーーーーーーーーーーーっ!」
 淫乱なメス犬の放った性のほとばしりが、何度も何度も、放放物線を
描いた。
「んふっ……かわい」
 うつろな目でおなかを上下させるペットだか彼女だか弟だかわからな
い私だけの可愛いアイツの顔を、そっと撫でた。

(終わり)
55 ◆BjNVwmlr0Tfp :2010/07/01(木) 21:05:09 ID:5W0vT2kj
何回か見直したはずなんだが相変わらず誤字が酷すぎた。正直スマン。
56名無しさん@ピンキー:2010/07/03(土) 00:12:55 ID:ytFQACRs
おお、なんか懐かしい作品の続きが来てる。
まずは完結乙。
そしてGJ!
なかなか良かったよ。
57 ◆BjNVwmlr0Tfp :2010/07/04(日) 11:40:46 ID:EmysEtws
覚えてくれてる人がいたのかw

ド短距離走のごとく疾走した結果
あちこち荒っぽいが、読んでくれてTHX
5856:2010/07/06(火) 03:02:34 ID:cpXbuOk7
>>◆BjNVwmlr0Tfp
一応、ここに投稿された作品は全部テキストファイルにコピペして保存してあるからね。
次回作(あるなら)にも期待してますよ。
59名無しさん@ピンキー:2010/07/13(火) 00:44:08 ID:til6agA8
完結乙です
60名無しさん@ピンキー:2010/07/20(火) 18:54:25 ID:YccpXblR
世は男の娘ブームなのにこのスレの停滞っぷりはなんだ・・
61名無しさん@ピンキー:2010/07/20(火) 20:23:42 ID:m2ROc+At
あまりにSSがなくて寂しいので、昔某所でどん引きされた作品をココ向けに手直しして投下。
※ファンタジー(中世?)っぽい世界が舞台
※前置き、長めです

「ヒメガミ(非・女神)」

 クィンテット子爵家の末っ子であるディアが、初めてその"女神"を見たのは、20歳を迎えたばかりの春の、とあるお茶会でのことだった。

 およそ社交的ではないディアだが、その日は両親に厳命されて仕方なく晴れ着に着替え、あまり親しいとは言えないボラレアス伯爵家が主催するアフターヌーンティーパーティーに顔を出したのだ。
 ボラレアス伯爵家は、武をもって王国に仕える家柄だけに、その邸宅は華美とは程遠かったが、同時に建国以来の貴族の家柄らしい落ち着いた品格に満ちていた。
 また、パーティーに集まっているのも貴族の若手子女が中心で、本格的な夜会と異なりあまり肩肘の張らない雰囲気ではあった。

 しかしながら、やや口下手なうえ、うら若い令嬢が好む流行事やゴシップにも、青年貴族が興じる闘技や賭博事にも疎いディアは、幾人かの顔見知りに会釈をする程度で、基本的には半ば進んで"壁の花"役に収まっていた。
 (もっとも、自分なんかが"花"を自称するのもおこがましいのでしょうけど……)
 やや自嘲気味に己れの貧相な体を見下ろすディア。

 と、その時、人々のざわめきが一段と大きくなった。
 何事かとパーティー開場の入り口の方に目をやった所、頭の中が真っ白になるほどの衝撃がディアを襲った。

62ヒメガミ:2010/07/20(火) 20:25:21 ID:m2ROc+At
 その女性は、まさに大輪の白い薔薇だった。
 まず目を引くのは、満月の光を結晶させたかのように見事なプラチナプロンド。
 「雪花石膏(アラバスター)のような」とは、女性の肌の白さを誉めそやす定形文だが、その修辞に偽りのない実例をディアは初めて目にしていた。
 非のうちどころなく整った、意志の強さを感じさせる顔だち。
 中でも、その翡翠色の瞳は、深い海を覗き込んだときのような神秘を感じさせる。
 やや砕けたこの宴の場にふさわしく、彼女が着ているのはふくらはぎまでの丈の、白いカクテルドレスだったが、それでもその優雅さ優美さは僅かなりとも損なわれていない。
 「──皆様、本日は我がボラレアス伯爵家の催しました茶会にお越し戴き、誠にありがとうございます……」
 澄んだよく通る声には、ただの貴族のお嬢様にはない凛とした気概が感じられる。

 白状するとディアは、この女性――おそらくは、このボラレアス家のご息女、ゲルトルード嬢に、ただのひと目で心を奪われてしまったのだ。

 だから、その後の一連の事実──知己の青年ルーセントの紹介で彼女に引き合わされたときも、彼女に試すような目で見つめられたときも、親しげな口調で話しかけられたときも、ほとんど夢見心地だった。
 そしてあろうことか、後日、彼女から個人的に内輪のお茶会への招待状が届いたとき、ディア――ディアブラス・ルゥリィ・クィンテット青年は、これが何らかの陰謀か悪戯ではないかと勘繰ったものだ。
 まして、そのまま彼女と親しくなり──と言うより彼女に一方的に気に入られて、「おつき合い」が始まり、あれよあれよと言ううちに内々で婚約まで決まってしまうとは……。
63ヒメガミ:2010/07/20(火) 20:27:55 ID:m2ROc+At
 ディアとしては「スプライトに化かされた」という表現がピッタリの心境だ。
 恋人となった当初も、そして今も、自分のどこが2歳年上のゲルトルード嬢のお気にめしたのかサッパリわからない。
 彼女の父のように武技に優れ、国軍の統制に貢献しているわけではない。
 彼女の長兄のように気さくで、そのクセ非常に頭が切れる上級官僚というわけではないし、家を出たと聞く彼女の次兄のように一流冒険者として名を馳せているわけでも、自由闊達な気概を誇っているわけでもない。
 凡庸で気弱な青年。それが、彼の自己認識だ。強いて言うなら、それなりに整った顔だちはしていると言えるかもしれないが、ディア自身は母親譲りの己の容貌があまり好きではなかった。
 大抵の人からは「女の子みたい」と言われるが、成人男性にとって、それは決して誉め言葉ではないだろう。
 体つきも小柄な両親からの遺伝か、成人男子の平均身長はおろか女子の平均に届くかどうかといったところ。さほど大柄とは言えないゲルトルード嬢と殆ど同じくらいの背丈で、向こうがヒールの高い靴を履けば確実に見下ろされる。

 もっとも、単なる「婚約者」から寵愛を受ける「愛人」へと昇格(?)したあと、自分が選ばれた理由に遅まきながら気づくことになるのだが……。

   *   *   *

 伯爵家を訪問したディアは、いつも通り彼女とその両親から歓待を受けたのち夕食をご馳走になり、今日初めて屋敷に泊めてもらうことになった。
 元々、「そういうこと」には疎いタチなので、食後に彼女付きのメイドが来て、手紙を差し出した時も、手紙を読むまではその内容に思いいたらなかった。

 <日付が変わる頃、我が寝室に来られたし ゲーティ>
64ヒメガミ:2010/07/20(火) 20:29:03 ID:m2ROc+At
 「さぁさ、早く部屋に入ってください、ルリ」
 ゲルトルード……ゲーティは、彼をファーストネームの"ディアブラス"でも、愛称の"ディア"でもなく、母方に由来するミドルネームで呼ぶことを好む。
 「その方が貴方には似合ってますから」と言うのが理由だったが、今夜ようやく、彼女の思惑をディア――いや、ルゥリィも正確に理解することとなった。
 「うーん、相変わらずお肌スベスベですわね〜」
 「え、えーっと……」
 「さっ、こちらへどうぞ」
 口を開く前にテキパキと鏡台の前に座らされてしまう。
 「ウフフ……やっぱり。間近で見ても、肌は真っ白ですし、おめめもぱっちり。最高の素材ですわ。ささ、無粋なモノは脱いで!」
 「あの……」
 ゲーティの有無言わさぬ独特のテンポに巻き込まれ、ほとんど抵抗できないまま、上着を脱がされてしまう。代りに手渡された衣類を見てルゥリィは固まった。
 「あのぅ……これって女物、ですよね?」
 「ええ、見ればおわかりでしょう?」
 戸惑うルゥリィをよそに、コルセット、ショーツ、胸当て、パニエといった下着から、ダークブルーのドレス、さらにイヤリングからハイヒールまで、女物の衣装一式が押しつけられる。
 「あ、あのゲルトルードさん。ボクはちょっとお話に来ただけで……」
 「まぁまぁ、そう遠慮なさらないで。ささ、着替えちゃいましょ」
 「いや、遠慮じゃなくて、ちょっと…あの、あっ……」
 瞬く間に上半身を裸に剥かれてしまう。魔法か奇術でも見ているような気分だったが、つぎに気がついたときには、ディアはあっさりとボトムスのベルトまでも外されていた。
 「ウフフフフ♪」
 「あ、や、やめ……」
 何とか死守しようと気張るルゥリィの努力も、ゲーティの手が触れた次の瞬間、呆気なく敗北した。
 「はい。脱げましたわ」
 ゲーティはにっこりと微笑みながら、ルゥリィのスラックスとパンツをポイッポイッと背後に放り捨てる。
65ヒメガミ:2010/07/20(火) 20:30:12 ID:DTWy3ezu
 「うぅ……」
 許婚者とは言え、うら若い美女の前で裸でいる恥ずかしさに、ついルゥリィは内股で前かがみになる。
 「ん〜本当は補正用の器具もつけたほうが見栄えはいいんですけど……今日はかわいい下着だけにしておきましょう」
 「ええっ? いや…あの……」
 「さ……腕を通してくださいな」
 「は、はぃ……」
 ゲーティの迫力に負けたルゥリィは、渋々女物の下着を着始める。全裸のままでいるよりは、多少なりともマシだと思ったからだ。
 慣れないことなのでもたついていると、ゲーティが手際よく手伝ってくれ、瞬く間に下着とドレスの着付けが進む。
 「ここのリボンは前結びですわ。ある程度膨らみを持たせて結ぶと、ホラ、可愛いでしょう? ん〜、コルセットはもっとキツく締めた方がいいかしら。それからお化粧も……」
 そう言えば、世の若い女性の中には、妹や弟を着せ替え人形にしたがる者もいる、と聞いたことはあった。
 (やっぱりボクって、ゲルトルードさんからは弟代わりくらいにしか見られてないんだ……)
 落ち込むルゥリィは、為されるがままでいた。

 「ふぅ、できましたわ。さ……ご覧なさい」
 しばしの後、自分の「仕事」に満足したように「ふぅ」と息をついたゲーティが、姿見の方にルゥリィを向かせた。
 そこには……見たこともないような、可憐な少女が立っていた。
 「こ、これが…ボク……?」
 ついお約束な台詞まで漏らしてしまう。
 「フフフ、可愛いでしょう? やはりわたくしの目に狂いはなかったのですね。 貴方と初めて会った時から、わたくし、ひと目で「ピン!」と来ましたの。
 きっとこのコは、絶好の「美少女」になるって」
 ゲーティが楽しげに話し続けているが、ルゥリィの耳にはほとんど入っていない。
 確かに、ドレスを着てうら若い少女の格好をしたルゥリィの姿は、女としてかなり……いや滅多に見られないほど可愛らしい部類に入るものだった。
 (ほ、ホントにボクなの?)
 元々、体毛が薄く、体つきも貧弱で、それがルゥリィのコンプレックスにもなっていたのだが、まさかその体型がこんなふうに化けるとは、夢にも思っていなかった。
 無意識のうちに、そっと右手を頬に添えてしなを作り、女らしいポーズを取っている。
 「たしかに、かわいい……かも」
 変声期を迎えても、ほとんど子供時代とピッチの変わらなかった声は、そのままでもメゾソプラノの女声に聞こえる。
66ヒメガミ:2010/07/20(火) 20:30:55 ID:DTWy3ezu
 「うふ。このわたくしの見立てですもの。当然ですわ。では……」
 しなやかなゲーティの手が背後から伸び、ルゥリィの肩を掴んだ。
 くるりと半回転させられ、そのまま彼女の両腕に抱き寄せられ、口づけされる。 「!」
 決して、激しくも荒々しくもないキス。それなのに、その行為でルゥリィは「唇を奪われた」と感じる。彼女との初めてのキスは、知らず知らずのうちに、ルゥリィの中に受け身でいることの快感を刻みつけていった。
 「げ、ゲートルードさん……」
 「あら、ダメですよ。ふたりきりの時は……そうですね、「お姉様」とお呼びなさい」
 倒錯的な言葉使いを強要されても、ぼんやりと霞かかかったような頭は拒否することを思いつかない。言われるがままに「妹」として彼女の指示に従い、その行為を受け入れていく。
 強く抱きしめられ、肩や背中を優しく愛撫され、唇や耳、首筋などにキスされて喘ぐ。 全身の肌がふだんの何十倍も敏感になっているようだ。
 「んんんんっ…!!」
 とどめとばかりに、ゲーティの舌がルゥリィの口腔内を蹂躙し、その舌にからみつき、甘い唾液を注ぎ込む。同時に、体中の絶妙なポイントを這い回る彼女の手に快楽のツボを刺激され、ルゥリィは、ビクンビクンと全身をこわばらせてのけぞった。
 ルシリアの局部はピンと固くなってはいたが射精はしていない。それどころかそこに手さえ触れられていないのに、キスと体への愛撫だけで、女のように軽く「イッて」しまったのだ。
 くたっ、とルゥリィの体から力が抜けたのを確認すると、ゲーティは優しくその頬を撫でる。そしてもう一方の手は……スカートの中へ。
 ただし、前にではない。
 「──ひゃっ!」
 ゲーティの手は、ルゥリィのお尻に伸びて、ショーツ越しにそのお尻を優しく撫でていた。
 「あぁん……」
 無意識にルゥリィの口から、とても男とは思えぬ艶めいた嬌声が漏れる。
 「ルリのお尻、キュッと引き締まったいい形をしてますわね。それに――とっても触り心地いいですし」
 ゲーティの手が優しくルゥリィの肌を撫で回す。先程までの興奮の余熱で身体が汗ばんでいるせいか、彼女の掌はルゥリィのお尻にピッタリと吸い付く。
67ヒメガミ:2010/07/20(火) 20:31:38 ID:DTWy3ezu
 ほどなく、お尻の肉を愛撫していた指が、するするとショーツの中に伸びて来て、ふたつの山の中心部にたどりついた。
 「ちょ、ちょっと待ってください、お姉様! そこは……あっ!!」
 ──チュッ!
 首筋に軽く甘噛みしながら、キスをするゲーティ。
 「そこは、なぁに?」
 「や、やめて……!」
 「あら、イヤなの?」
 「えっ、そ、それは……」
 「ウフッ。ウ・ソ・ツ・キ。ルリ、オンナノコなのに……ココを、こんなにおっきくさせてたら、説得力はありませんわよ?」
 クスリと妖艶な笑みを浮かべるゲーティ。その笑みに、ルゥリィは魅入られ、動けなくなってしまう。
 いったん体を放したゲーティは、優しげな笑みを浮かべながら、残酷な命令をルゥリィに下す。
 「さ、ルリ、スカートの裾を持ち上げなさい。そしたら、わたくしがショーツを脱がせてせて差し上げますから」
 「え……?」
 彼女の言葉の意味を理解して、戦慄するルゥリィ。
 しかし、ここに至って「逆らう」という選択肢は、彼に残されていなかった。
 「は、はい……」
 ルゥリィはプルプル震えながら、足首近くまであるドレスの裾を恐る恐る摘む。
 「ウフン、握ってるだけじゃ駄目ですわよ。キチンちゃんと持ち上げなさい」 「………(真っ赤)」
 まるで初心な少女のように(いや、見かけは勿論、心根の点でもあながち間違いではなかったが)首筋まで紅潮させながら、ルゥリィはノロノロとスカートの裾をまくりあげた。
 「こ、これぐらいですか…?」
 完全にショーツが見えるくらいまで、スカートの裾をめくる。
 「ええ、良く出来ましたね。偉いですよ」
 ──チュッ、チュッ!
 真っ赤になったルゥリィの頬に、愛しげにキスをくり返すゲーティ。
 それだけで、ルゥリィのモノは反応してしまう。
 「あらあら、キスする度にピクンピクンと動いて……感じてしまいましたの?
 フフッ、鏡に映ってるのは可愛いオンナノコそのものですのにね?」
 「……!」
 反射的に鏡を見ると、鏡の中には、スカートをめくって快楽に喘ぐ少女が、背後から成熟した美しい女性に抱かれながら、うっとりとしていた。
68ヒメガミ:2010/07/20(火) 20:32:31 ID:DTWy3ezu
 「あ……」
 その光景のもたらす興奮が、熱を持ってルゥリィの脳内を埋め尽くし……程なく「彼女」は、完全に自らの信奉する淫らな女神の手中に堕ちてしまった。

 「く……あ…ハン、や、やぁ……」
 服装を乱したまま、ベッドに横たわるふたり。
 ゲーティの人差し指が、露わになったルゥリィの菊門全体をほぐすように、ゆっくりと刺激する。繊細な指先が、お尻のすぼまりに触れるたび、ルゥリィの口から甘い呻きが漏れた。
 「やっぱり。感じているのですね。さすがわたくしの可愛いルリ」
 それならば、とゲーティはそのままルゥリィの菊門をさらに揉みほぐす。
 菊門がヌルリと体内から漏れ出る液体でぬめってきたころを見計らって、ゲーティは指に代わって、枕元から取り出した細い棒状のモノを其処にグイグイ押しつけた。
 「ウフフ……女の子でも、こちらの穴のほうが好きという人いるそうですわ。  ――あら、失礼。ルリはリッパなオンナノコでしたわね」
 笑いながら、ゲーティのもう片方の手が、はだけられたドレスの襟元からルゥリィの胸へと滑潜り込み、胸当ての中へと伸びてくる。
 指先で軽く乳首をいじられ、軽く摘まれただけで、体内を駆け巡る衝動が、よりいっそうの熱気を帯びる。、
 (う、ウソ……ボク、男の子なのに…オッパイで感じてる……?)
 その自覚は、ルゥリィの"男"としての自覚を壊すのに十分なだけの衝撃を持っていた。 鏡を見れば、そこには顔を真っ赤に染め、スカートを持ち上げたまま身体を震わせるオンナノコの姿がある。
 「……凄くエッチな顔、してますわね?」
 「!!」
 「ホラ、瞳を潤ませて、口を開けて舌を突き出して……欲情してるエッチな女の子の顔ですわ」
 「はぅんっっ……」
 言葉でいじめられるだけで、ルゥリィの体内の快楽の波はますます熱く昂る。

 ――顔を隠したい/ずっと見つめていたい。
 ――手を離して欲しい/もっと続けて欲しい。
 ――もうこんなことはやめて欲しい/ずっと朝まで抱いていて欲しい。

 相反する思いがルゥリィの中で交錯し、徐々に後者の感情が優勢になっていく。
 「フフフ。女の子になる準備が……整ったようですわね」
 フッと耳に熱い吐息を吹き掛けられた瞬間、ルゥリィの全身から力が抜けた。
69ヒメガミ:2010/07/20(火) 20:33:26 ID:DTWy3ezu
 その機を逃さず、黒い張り型がついに「彼女」の体内へとズブリと侵入する。
 「ああっ!!」
 「ダメよ。力まないで。そのままゆっくり息を吐いてみなさい」
 「は、はい……」
 「彼女」が息を吐くのに合わせて、さらに深くゲーティの指が体内に差し込まれる。
 ルゥリィは堪えきれずに再び声をあげた。 苦痛ではない、未知の感覚に戸惑い、声をあげずにはいられなかったのだ。

 身も心もゲーティの与える快楽に支配されているような気がした。
 自分のモノよりひと周り太いが、よく似た形状の人造物が自分の中を掻き回すように動いている。
 固さと弾力を兼ね備えた不思議な素材によって形造られたソレは、ひと突きごとに「彼女」の穴に馴染み、掻き回されるほどに、ルゥリィはその感触に溺れていった。
 お尻をくねらせつつ、ルゥリィは懸命に声を抑えたが、生憎、目の前の情人には(ミストレス)には、すべてお見通しだった。
 「ふふふ、素直に声を出していいんですのよ?」
 ルゥリィのわずかな抵抗を見越したかのように、ゲーティは耳元で熱く囁いた。
 涙目で無言のまま首を横に振るルゥリィを愛しげに眺めると、張り型がルゥリィの「体内」にある「スイッチ」に触れる。
 と、同時に、「彼女」の理性のタガはあっけなく弾け飛んだ。
 「あああぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーッ!」
 激しい快感に襲われたルゥリィは我を忘れ、尻を高くあげくねらせつつ、切なげに身悶える。
 「うふ、ここが気持ちイイんですの?」
 身悶えするルゥリィの反応を確かめつつ、ゲーティは激しくその部分を攻める。
 すでにショーツは完全に脱がされ、脱いだショーツが前のモノにかぶせられ、その上からゲーティの左手がやさしく包み込んでいた。
 体内に打ち込まれた太いクサビの硬さと、自らの分身を包むもの柔らかい暖かさに、ルゥリィの頭の中が真っ白になっていく。
 発情した少女そのものの喘ぎ声をあげながら、お尻を自分からくねらせる。
 頭の中は快楽でいっぱいになっていった。
70ヒメガミ:2010/07/20(火) 20:34:10 ID:DTWy3ezu
 「だめ、もうイく、イっちゃう!」
 「いいわ、イっておしまいなさい!!」
 ゲーティがより一層右手に力を込め、「彼女」の最奥部を突く。
 「ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっっっっ!!」
 反射的にルゥリィの菊門は、偽りの男根を食いちぎらんばかりに締め上げた。
 その瞬間、「彼女」の脳裏で何かが弾けた。

 ──ドックン!

 全身が震える。そして、次の瞬間。

 ──どくっ、どくん、びゅっ、びゅくっ、びゅくっ!

 大量の白濁液を噴き出しながら、倒錯した悦楽を極めつつ、ルゥリィは絶頂を迎えるのだった。


 「どうも、わたくしの嗜好はいささか特殊みたいですの」
 初めての情事のあと、軽く汗を拭いて着替えたのち(ちなみに、案の定、ここでルゥリィに貸し与えられたのは、シルクのネグリジェだった)、ふたりは並んでゲーティのベッドに横たわりつつ、話をしていた。

 ゲルトルード曰く、別に男嫌いとか男性恐怖症と言うわけではないのだが、少なからず同性愛の気があるようで、普通の男性を伴侶とすることが、どうもピンと来なかったらしい。
 「それで……ボク、ですか?」
 「ええ、ひと目見たときから、貴方なら、と思いましたの」
 普通なら、これほどの美女に言われて嬉しいはずの台詞だが、そういう事情があると知っては、やはり素直には喜べない。
 「お嫌でしたかしら? もしどうしても、と言うのなら、婚約解消も……」
 「あ、いえ、全然。そんなことないです!」
 多少特殊な嗜好を持っていたからと言って、ゲーティがルゥリィ、もといディアにとっての「女神」であることに変わりはない。
 女顔だからこそ彼女のハートを射止められたというのなら、この顔に生まれた幸運を素直に喜ぼう。
 「では……以後、末長くお願いしますわね」
 至近距離からニッコリ微笑まれてボウッとなりつつ、慌ててカクカクと首を振るディア。
71ヒメガミ(end):2010/07/20(火) 20:35:57 ID:DTWy3ezu
 「は、はい。こちらこそ」
 故に彼は気づかなかった。
 (よーし、これで大義名分は立ちましたわ。これからは、この子で色々着せ替えが楽しめますわね〜。次はキモノがいいかしら? わたくしと色違いでお揃いのドレスもいいですし……。あ、東方風のエキゾチックな民族衣装とかも捨て難いですわね)
 目の前で薄く微笑む女性が"女神"なんかじゃなく、"女悪魔"にほかならないことに。

 1ヶ月後。
 無事に結婚式をあげたふたりは、新婦の父たるボラレアス伯爵が用意した郊外の別荘で、しばらくラブラブな新婚生活を送っている……はずなのだが。
 そこには、美しき女主人と、メイド服に身を包んだ可憐な少女がいるだけで、新妻の夫たる男性の姿を目にしたことのある者は、近隣には存在しなかった。
 こと此処に至って、ようやくディアは、自分の選択に疑問を抱いたと言う。

 結婚から3年後、「そろそろ孫の顔が見たい」と伯爵夫妻がせっついたことにより、妻の方も妊娠することを決意したのだが……。
 すでに「彼女」の「穴」──いや、全身は散々に開発し尽くされ、射精(だ)すどころか、勃(た)つことさえなしに、絶頂を極められるようになっていた。
 そのため、大量の強精剤と尻穴を激しく突かれることで、無理やり絞り取った精を、注射器で妻の体に注ぎ込むという手立てを取らざるを得なかったのは、自業自得と言うべきか。
 結局、ルゥリィは一生童貞のままであり、またゲーティも本当の意味では処女のままだったが、夫婦仲は極めて睦まじく、可愛いひとり娘にも恵まれて、幸せな生涯を送った。
 まぁ、幸せなんてのは人それぞれなのである。
-fin-
72名無しさん@ピンキー:2010/07/21(水) 00:52:32 ID:IUf7myxp
GJ!!!!!
>昔某所でどん引きされた作品
手直し前も女装要素があったのなら、完全に投下場所を間違ってたんだな
こんな面白い作品、闇に消えなくて良かった良かった
73名無しさん@ピンキー:2010/07/21(水) 01:26:13 ID:wIrVoWr1
>71

乙。
妻が早逝したため、「母」として娘を育てるも、11、2歳くらいの美幼女に成長した娘(ドS。亡き妻似)に、メイドの格好でなぶられ、イカされるその後の主人公を妄想した。
74名無しさん@ピンキー:2010/07/24(土) 00:49:02 ID:v3KHu0SL
>>61GJ!
久々に来たら良いもの見れた
75名無しさん@ピンキー:2010/07/24(土) 10:36:20 ID:HP25z657
実にケシカランもっとヤれ
(もちろん性的な意味ry)
76名無しさん@ピンキー:2010/07/30(金) 09:13:55 ID:kdXUyU4c
#前投下作「ヒメガミ」が比較的好評をいただいたので、調子にのって第二弾!
 これは「ヒメガミ」のゲルトルード様が、まだ年若く(つっても数年前だけど)、ウブだった頃(多少腐女子っぽい傾向はありましたが)の話です。「ヒメガミ」中で触れられていた、次兄(一流冒険者)夫婦のもとを、訪ねたときのお話。

 
『誰が為の幸せ』

 目覚めの気分は最悪に近かった。
 昨晩は、お付きのメイドを連れて、兄夫婦の家に泊めてもらったのだが、慣れぬ寝具のせいか、妙に寝足りてない感覚だ。掛け布団を蹴飛ばしたのか、何だか寒いし、体のあちこちも痛い。とくに手首から肩にかけてが……。
 「!」
 体をよじった瞬間、自らの腕に走った痛みで、ゲーティ――ゲルトルード・アードルファ・ボラレアスは、ハッキリと覚醒した。
 肌寒さを感じたのも道理。いま、彼女は薄い夜着姿のまま引き起こされ、膝をついた姿勢のまま両手首を頭上で高小手に縛られているのだ。縛った縄の一端は、部屋の梁にくくられているようだ。
 「ほぅ……目が覚めたかえ。ほれ、あちらを見や」
 どこか聞き覚えのあるその声に従って目をやれば、暗闇の中で何かが蠢いている。
 「あれ、は……?」
 「ホホホ、もそっとよく見てみやれ」
 耳元で囁く言葉に一層目を凝らすと、それが"人"であるとわかった。
 同時に、そちらから聞こえる"声"も耳に入ってくる。
 「……フッ。いいぞ、レティ。もっと素直に感じるんだ」
 「あぁっ、兄君様ぁ……」
 「!」
77誰が為の幸せ:2010/07/30(金) 09:15:21 ID:kdXUyU4c
 部屋のもう片方の端では、彼女の兄ザナックと、彼女が連れて来たメイド少女との交歓が行われていたのだ。
 ──否。メイド「少女」ではない。
 男嫌いの気があるゲーティが、先月、伯爵家に入ったばかりの見習い使用人の少年を戯れに女装させてみたところ、そのあまりの愛らしさを気に入り、そのままメイドとして自らの近くに置くようになったのだ。
 幸か不幸か他の使用人との面通しなどもまだ済んでいなかったため、そのまま少年レティアスは、「レティシア」という少女として邸内では扱われることになった。
 基本的に利発な子であるレティは、先輩メイド達に教わりながら、次々とメイドとしての知識や礼儀作法、身ごなしなどを覚えていった。
 また、「レティシア」は庶民の出(そして本当は男)とは思えぬほど可憐な容貌の持ち主で、かつ素直で従順な性格だったため、年配者の多い伯爵邸の使用人たちからは娘か孫のように可愛がられていた。
 おかげで、ゲーティが「彼女」を傍に置いても誰も反対せず、むしろ近い将来の伯爵令嬢付侍女(レディースメイド)候補として、現在の担当者(ゲーティたちの乳母)からも期待されているほどだ。

 しかし。
 今、その清純可憐な花は、ゲーティが敬愛する兄の手で摘み取られようとしていた。
 「レティ、おまえ、本当に可愛いな」
 そう言ってザナックはレティの身体を抱きしめると、ゲーティたちの方にちらりと笑ってみせ、優しくメイド服姿の"少女"を寝具の上に押し倒した。
 「兄君様……」
 完全に雰囲気に飲まれているのか、レティに拒絶する素振りはまったく見えない。むしろ頬を紅潮させ、うっとりとした瞳でザナックの方を見るばかりだ。
 嗚呼、こんなコトになるなら、巷で話題の通俗恋愛小説など読ませるんじゃなかった、とゲーティは心の片隅で嘆くが、 それでも倒錯的なその光景から目が離せない。
 「情事でその呼び方はイマイチだな。"ご主人様"と呼んでみな」
 「は、はい。ご主人様……」
 「ん、いいコだ。ちょっと、じっとしてな」
 耳元で囁かれ、その言葉にレティはびくんと反応する。
 ザナックは、首筋、耳たぶ、あるいは頬に何度もキスを繰り返しながら、"彼女"のワンピースのスカートに無骨な手を差し入れ、めくりあげる。
 ふんだんにレースで飾られたコーラルピンクのショーツがあらわになった。
 「ほぅ、なかなか可愛らしい下着だな。男の浪漫をよくわかっている」
 下着の上から、軽く"そこ"を撫でると、レティはビクンと身体を震わせた。
 その反応に満足したザナックは、今度はメイド服の胸元をはだけ、そっと口づけた。
 第二次性徴前だけあって、レティの裸身は未成熟で華奢な印象を与えたが、反面、妖精のような不思議な蠱惑に溢れていた。
 ほとんど脂肪ののっていない胸は薄いが、その分神経は刺激に敏感らしく、チロチロとザナックが舌を這わせるたびに、ピクピクと胸全体を震わせている。
78誰が為の幸せ:2010/07/30(金) 09:16:08 ID:kdXUyU4c
 「ひぐぅっ……」
 豆粒のように小さな乳首を唇で覆ってちろちろと舌を動かすと、レティはしゃくりあげるような声をあげて腹筋を動かした。
 「反応もなかなかだな」
 楽しそうにささやくザナックを、レティはぼんやりとした目で見返した。細めた目の長いまつげに涙がにじみ、桃色の唇からかすかな吐息を漏らしている。
 背中までの長さに伸ばされた黒髪が、薔薇色に染まった頬にかかり、歳不相応な色気を醸し出している。
 どう見ても、"若きご主人様に悪戯されている幼いメイドさん"だ。どこを捜しても、少年らしさは見つからない。喘ぎ声から、身じろぎの仕方に至るまで完璧に美少女のそれで、スカートから伸びる足さえ、力なく外側へと折られている。
 だが、ひとつだけ隠しようがなく"彼女"の本来の性を物語っている部位があった。
 ふとそこを見つけたザナックが微笑む。
 「ここも正直だしな」
 大きくまくりあげられてのぞくピンク色の下着の中に、ザナックの小指ほどの物体がくっきりと浮かび上がっていた。ザナックは下着の上から優しく手をかぶせ、丸めた手のひらでそっと撫でさする。
 「あ、ああっ、うぅ……」
 レティはそこを刺激する快美な感覚に呻き声をあげた。いまだ自慰もしたことがないであろう"彼女"のそこは、予想以上に敏感なようだ。
 「可愛い反応をしてくれるなぁ」
 ストッキングと下着をまとめてずり下ろす。あらわになった内股を撫で上げられ、レティは思わず脚を震わせた。

 次にザナックが口づけた場所は大腿だった。長靴下の保護から解放されたそこに顔を近づけ、はむ、真っ白な柔肌を甘噛みする。
 「ひゃうぅんっ! だ、だめですぅ〜、ご主人様ぁ……」
 レティの漏らした抗議には頓着せず、さらに舌を滑らせ、うぶ毛も生えていない細いすねからふわふわしたふくらはぎまで、ぐるりと唇をめぐらる。
 さらにもう片方の脚で同じことを始めた時点で、とうとうレティは音を上げた。
 「ご、ご主人さま……私、もう、おかしくなっちゃいますぅ……」
 「ははは、スマンスマン。ちと意地悪だったか」
 足にキスをしながらも、ザナックはずっと股間を優しく撫で続けていたのだ。先程以上にそこは充血し、頂上にうっすらと染みをにじませている。
 ザナックはニヤリと"メイド少女"の足下から身を起こした。スカートを持ち上げ、僅かに少女にはあり得ない膨らみを見せている女物の下着を凝視しながら、レティの耳元に顔を寄せる。

 「最後に選ばせてやるよ。レティ、このまま俺に"女"にされるか? もし、どうしてもイヤだって言うなら、ここで止めてやってもいいぜ」
 「……私、女の子になれるんですか?」
 「ああ。お前さんだったら、とびきり可愛くてとびきりエッチな女の子になれるだろうな」
 答えは聞くまでもない。このひと月間、ゲーティによって男性として価値観を打ち壊され、侍女(メイド)としてのソレを植え付けられてきたのだ。
 すでに、レティシア自身の自己認識は、ほとんど「女の子」になっていた。
 それでも、ザナックはあえてそれを本人の口から言わせる。
 「……なる。なります! 私、女の子になりたい!!」
 「いいのか? いまここで俺がしなくても、将来お前を女の子にしてくれる男が現われるかもしれんぞ?」
 「いいえ、兄君……いえご主人様がいいです! どうか、私を"女"にしてください!!」
 「オッケー。了解だ。とびっきりホットに可愛がってやるぜ」
79誰が為の幸せ:2010/07/30(金) 09:16:40 ID:kdXUyU4c
 不意に、レティの唇を奪うザナック。
 一瞬驚いたレティだが、ザナックの舌に口腔内を蹂躙されるにつれ、目をトロンとさせ、力を抜いて彼の口づけを受け入れる。さらには、おずおずと自らも舌を差し出してからめ始める。
 しばしの間、クチュクチュと軟体どうしがからみあう音が辺りに響き、やがてふたりの唇が名残惜しげに離れた。
 「ご主人様ぁ、いまのが……私のファーストキス、です」
 「ほほぅ、そうか。でも、今からもっとスゴいこともしちゃうぜ。このままだど、レティの初体験は全部、俺がもらっちゃうことになるな」
 「ぅん、いいですよ。私の初めて、全部ご主人様にあげます♪」
 ザナックの指示に従って、レティは背中から彼の腕の中に収まる。ザナックの手が再びメイド服のスカートの中に滑り込んだ。
 ぞくっ、とする感覚にレティは背中を震わせた。これが"快感"と言う名の甘い媚薬であることは、すでに知っている。このまま身を任せていれば、ご主人様が、さらなる"快楽"を与えてくれるだろうことも。
 ピンッと尖ったレティのそこに、ザナックは手を伸ばしてきた。"少女"の求めることは、正確に読み取られているようだ。スカートの中で充血したそこを、ザナックは巧みに刺激する。
 「どうだ、レティ?」
 「んっ、んっ……い、いいっ、ですっ!」
 唇を歪めていた少女が、はっと目を見開く。尻に当たるものに気付いたのだ。
 「ご主人様も……興奮してる?」 
 「ああ。おまえがあんまりにも可愛らしいからな」
 「……私が欲しいんですか?」
 「ああ、レティ。お前さんが欲しい。可愛くて柔らかくてあったかいお前の"中"に、入りたくてたまらねぇ」
 レティの胸の奥がジーンと疼いた。
 (男の人に求められることが……こんなに心地いいなんて)
 「はい……存分にどうぞ。今だけは……レティは、ご主人様の恋人(もの)です」
 "少女"は頬を真っ赤に染めながら目を閉じ、覚悟を決めたように両脚を大きく開いた。

 ザナックは満足げな表情で自分も下着を脱ぎ、息子をあらわにする。その部分はすでに十分勃起して、先端部はぬるぬると黒光りしていた。
 あおむけになったレティと向き合うような形で、その股間へと身を割り込ませ、"少女"の蕾の部分に、指で触れる。
 自らのモノの粘液を指先になすりつけていたこともあってか、熱く潤ったそこは呆気ないほどすんなりとザナックの指を受け入れ、飲み込んだ。締めつけ自体はキツいが、内部はヌルヌルと湿っており、指を前後に動かすことはたやすかった。
 「指を入れてるけど、どうだ?」
 「んん……ハァ………すごく、熱い…です」
 どんどん深くにまで、ザナックの指が入って来るのがわかる。ぞわぞわと背骨を這いあがるような違和感を感じるが、すぐにそれが快感へと変換され始める。
 「苦しくはないか?」
 「いい、え……気持ち…いい、かも」
 その言葉に嘘や無理がないことを確認したザナックは、最後の一線を越える決断をした。
 「それじゃあ、いくぞ。大きく息を吐いてみな」
 「はい……」
 可憐な"蕾"に自らのモノをあてがうと……レティが息を吐くのに合せて、ザナックは力を込めて、そこを貫いた!。

 「! うぅっ……」
 「もうちょっとだ。もっと力を抜いてみろ」
 灼熱の塊りが食いこんでくるのを感じながら、レティは、さらに深く息を吐いた。その拍子に、ヌルリとザナックのそれが潜りこんできた。
 「大丈夫か、レティ?」
 「はぁ……い……」
 きつくシーツを握り締めたレティは、何かに耐えるようにその身を震わせている。まだ幼い顔に汗が噴き出していた。
 ザナックはレティの頬に口づけして、舌先でその汗をぬぐってやった。
 「あ……」
 「よく頑張ったな。痛いか?」
 「ちょっとだけ……でも、へいき、です」
 「そうか。もう少しリラックスしてみな。楽になるから」
 その言葉にレティが素直に従い、全身の力を抜いた。途端に、ザナックの息子を包む腸壁から堅さが消え、心地よい柔らかさが残った。ザナックは満足げに微笑み、ゆるゆる腰を動かし始めた。
80誰が為の幸せ:2010/07/30(金) 09:17:32 ID:kdXUyU4c
 一方、レティの身体も、おぞましさと気持ちよさの入り交じった未知の感覚に、徐々に慣れ始め、早くもそれを受け入れていた。
 (あ……腰から下が、あったかいお湯で満たされてるみたい……)
 一度快感を意識すると、それはたちまちにより大きな快楽へと転化し始める。
 何度も出入りを繰り返しつつ、ついにザナックのそれが身体の深奥部まで入ってきたとき、レティの目からは、涙がにじんでいた。痛みからではない。快楽と幸福感のあまり、自然と涙が出てきたのだ。
 「ふわぁ……いい……きもち、いぃよぉ……」
 "ご主人様"に犯されるのが、狂おしいほど気持ちよく、また嬉しかった。
 己れの体内で律動するザナックのモノを感じながらレティは、紛れもなく"女の幸せ"を感じていた。
 「ごしゅじん……さまぁ……あったかい? 私の中、気持ちいい?」
 「ああ……いいぜ、レティ……お前の中がこれほどとは……」
 普段は愛らしく整った顔を紅潮させ、だらしなく口を開いて喘ぐその様子は、その幼い歳に似合わぬ紛れもなく発情しきった"牝"の顔だったが、ザナックはそんな"彼女"を愛しいと感じる。
 「好きだぜ、レティ!」
 「きゃうっ、ん!」
 "彼女"の両足を持ち上げて胸元に抱え込み、真っ白な尻を開かせてより一層深い結合を求める。
 「ご、ごしゅじん……さまぁ……」
 レティが切なげに鳴き声をあげた。
 ぐりぐりと圧力を加えられて、体内がさらに開発されている。
 おへその裏辺りまで、ザナックの先端が届いているのがはっきり分かったる。
 女しか味わえないはずの身体の内側まで愛される快感に、"少女"は酔いしれていた。
 「もっと、して……ずっと私の中で、動いて! これぇ……すごいのォ……」
 「そうしたいのは、ヤマヤマだが……わりぃ、そろそろ限界だ。出すぞ?」
 「だ、出す……って?」
 無垢にして無知な幼いメイドの様子に、ザナックは苦笑しつつ、簡単に説明する。
 「えっと……男はサイコーに気持ちよくなると、アソコから白い液が出るんだ」
 女の中で男がそれを出すと妊娠――赤ちゃんが出来るんだ、と付け加える、
 「つまり……赤ちゃんの種?」
 どうやら、幼いこの子にも、女性が胎内で赤ん坊を育てるというくらいの知識はあったらしい。
 「私、もう女の子なんですよね? だったら、私も赤ちゃんができるんですか?」
 「……もしかしたら、な」
 そんなはずはないと思いつつも、この一時だけは"少女"の夢を壊すまいと嘘をつく。
 「私とご主人様の赤ちゃん……ふわぁ……」
 ザナックに突かれて、絶頂寸前のまま喘ぎながらも、一瞬レティの瞳に夢見るような色が浮かぶ。
 「どうする。外に出すか?」
 「ううん、私、体内(なか)で受けとめたい! ご主人様お願いします!」
 熱に浮かされたようなレティの興奮を感じつつ、ぐいぐいと最後の突き込みを与えて、ザナックは"少女"とともに絶頂へと駆け登る。

 「じゃあ、いくぞレティ! 俺の"子種"、たっぷり受け止めろ」
 「わっ、私も……いくっ! イキますぅ……あっ、ああぁぁぁぁぁーーーーーっ!!!」
 思いきり自分を抱きしめた憧れの男性が、自分の体内に熱い奔流を流し込み、お腹の中をいっぱいに満たしていく。それに触発されて、生まれて初めて"イク"のを感じながら、思わずレティは叫んでいた。
 「兄君様、私、妊娠しちゃうううーーーーーーーッッ!」
81誰が為の幸せ:2010/07/30(金) 09:18:31 ID:kdXUyU4c
 「ハッ!」
 朝日……というには少々明る過ぎる光に起こされるゲーティ。
 周囲を見回せば、何のことはない。王都にあるボラレアス伯爵邸にある、いつもの自分の部屋だ。
 「もしかして……夢なの? わ、わたくしったら、なんて夢を……」
 敬愛する兄夫婦に加えて、妹も同然に可愛がっているコまで巻き込んだ一大エロエロ妄想の発露に、さすがの彼女も朝からズズーーンと気分が沈んだ。
 とは言え、夢とわかって安心したことも確かだ。もし現実なら、今後どんな顔をして兄や義姉に会ったらいいかわからない。

 「お嬢様、さすがにそろそろ……って、あ! 起きられたんですね。おはようございます!」
 「え、ええ。おはよう、レティ」
 毎日、身近にいて世話を焼いてくれる、このメイドの少女(いや、本当は少年だけど)にも、妄想とはいえ申し訳ないことをしてしまった。
 「あ、そう言えば、ご主人……じゃなくて兄君様から、お手紙が届いてましたよ」
 ! いま、何と言いかけたのか、この子は?
 ふと自分の手元を見れば、何か縛られたような痕が……。
 (お、落ち着きなさい、ゲルトルード。あれは、夢。ただの夢なんだから)
 そう自分に言い聞かせながら、彼女は兄からの手紙を開いた。
 ──預けた蝶を、近々そのうち引き取りに行くのでよろしく。byザナック
 「い、いやぁぁあああああああああああああああああーーーーーっ!!!」

-FIN-

#以上。コレがワタシの全力全壊! 正真正銘ネタ切れです。誰か投下プリーズ!
#レティのイメージは、11、2歳くらいの某人形じゃないメイドさんか鬼四姉妹の三女で。
#ちなみにRPG風にキャラを現わすとこんな感じ
 ・ゲーティ:貴族(ノーブル)Lv4、射撃手(アーチャー)Lv1、賢者(セージ)Lv1
 ・ザナック(兄):貴族(ノーブル)Lv1、槍使い(ランサー)Lv8
 ・ミランダ(嫂):東方の巫女(シャーマン)Lv3、射撃手(アーチャー)Lv5
 ・レティ:侍女(メイド)Lv2
82名無しさん@ピンキー:2010/08/06(金) 02:13:19 ID:AXKYCUre
エロ専じゃないけど、個人的にお気に入りの女装小説w
この作者18禁で書いてくれねぇーかなーぁ
今でも十分エロイけどw

異世界に飛ばされた主人公が、女装して女子校に通う話
http://ncode.syosetu.com/n7685l/
83名無しさん@ピンキー:2010/08/06(金) 08:19:54 ID:h4HiDmuL
>>82
まだ途中までしか読んでないけどうまいなこの人
84名無しさん@ピンキー:2010/08/07(土) 10:14:46 ID:zWH2iVsJ
>>82
これはいいな
エロ表現はセーブしてる、って書いてあるけど、十分エロいw
85名無しさん@ピンキー:2010/08/07(土) 11:45:02 ID:IEPF5hfj
>>82
なにこれえろい!良いものを紹介してくれてありがとう!
86名無しさん@ピンキー:2010/08/07(土) 19:48:03 ID:U3BW3IDi
>>82
主人公が巨根な事以外は良かった。
87名無しさん@ピンキー:2010/08/08(日) 00:18:32 ID:zgLIql89
88名無しさん@ピンキー:2010/08/08(日) 00:19:04 ID:zgLIql89
みすたw

>>82
うおーこんな所に掘り出し物がーwwww
89名無しさん@ピンキー:2010/08/08(日) 06:43:09 ID:u0Y316sZ
この作家の他の作品ないのかな
90名無しさん@ピンキー:2010/08/08(日) 08:44:07 ID:l5JdYNyr
主人公が見た目は可愛い生き物だけど中身は男前って
何か親しみを感じるなあと思ったら、そうか
かなたんに通じるものがあるんだな
みやび可愛いよみやびハァハァ

……って
2ちゃんに投下されたSSじゃないのに
ここで萌えてる俺もどうかと思うけど(^^;
91名無しさん@ピンキー:2010/08/10(火) 15:39:40 ID:AyGwFKPb
もっと言うと、ここに感想書いてる奴らはなろうの垢とって感想書いてこい
そっちのが作者喜ぶだろ?
92名無しさん@ピンキー:2010/08/15(日) 07:24:41 ID:0HzKI0sJ
#過疎ってるみたいなので妄想投下。

『今日からお姉ちゃん』

 ──11歳の誕生日に妹が望んだ贈り物は、一風変わった代物だった。
 「あたし、お姉ちゃんが欲しい!」
93今日からお姉ちゃん:2010/08/15(日) 07:25:16 ID:0HzKI0sJ
 いきなり過ぎて何が何だかサッパリわからないと思うので、簡単に説明しておこう。
 僕の名前は日下部柚樹(くさかべ・ゆうき)。この東波頭市に住む小学六年生の男の子だ。
 8月26日生まれの乙女座。血液型はO型。趣味は読書。目下の悩みは、身長がもうちょっと伸びてくれること……かな?
 5年前に母さんが再婚したんで、今の僕には7歳年上の兄さんとひとつ年下の妹がいる。
 マンガとかだと、僕の立場のキャラって、新しい父さんや義理の兄妹とあまり仲が良くないってのが定番だけど、ウチの場合はその心配は無用。
 むしろ、お金持ちで愉快な父さんや、カッコよくて優しい兄さん、お人形みたいに可愛くて僕を慕ってくれる妹のことは、大好きだ。あ……もちろん、若くて美人な母さんのこともね。
 そんなだから、僕らは互いの誕生日には自分なりに心を込めたプレゼントを贈ることにしているんだ。
 ただ、妹の好実(このみ)の今年の誕生日には、父さんと母さんが長期海外出張中(母さんは社長である父さんの秘書もしてるんだ)だから、僕と雄馬兄さんだけでも、できる限り盛大にお祝いしてあげよう……って話し合っていた。
 で、反則かもしれないけど、誕生日プレゼントは何がいいか好実本人に聞いてみたところ、冒頭の答えが返ってきたってワケ。
94今日からお姉ちゃん:2010/08/15(日) 07:25:48 ID:0HzKI0sJ
 でも……。
 「ど、どーしよう、兄さん?」
 「う、うーん、コレが弟や妹だったら、パリに電話して、父さん達に頑張ってもらえば何とかなるんだが……」
 兄さん、下品だよ。
 「む、そうだ! 柚樹、お前、今身長いくつだ?」
 「え? こないだ測った時は153だったけど……」
 クラスでも前から2番目なんだよねー。早く兄さんみたいに大きくなりたいなぁ。
 「確か、好実は150センチだったから……うん、イケるぞ!」
 あ、兄さんがすっごくイイ笑顔してる。あの表情を浮かべてる時は、たいていロクでもないコト企んでるんだよねー。
 ソーッと部屋から逃げ出そうとしたんだけど、兄さんに襟首掴まれちゃった。
 「え、えーと、何かな?」
 「柚樹、お前が「お姉ちゃん」になってやれ!」

#とりあえず、こんな感じの始まり。で、女装した柚樹くん改め「ゆきちゃん」を見て、妹が大喜びで等身大着せ替え人形にしたり、慣れない「お嬢様言葉」でしゃべらされたり……。
#で、ようやく妹が寝付いたあと、自室で、ゆきの苦労をねぎらう兄に、ゆきがフザけて「お兄様」と呼んだら、ソレがツボった兄に押し倒されたり、妙に手慣れた兄の愛撫に逆らえなくて、ゆきちゃんがそのまま……という展開を考案中。需要あります?
95名無しさん@ピンキー:2010/08/15(日) 08:43:00 ID:glNVoizX
需要の有無は関係ない
供給の意思が在るか無いかだ

俺は読みたい
妹の姉になる部分はもちろん、兄の妹になる辺りも詳しく
96名無しさん@ピンキー:2010/08/15(日) 10:36:07 ID:uOxgMB6e
読みたいに決まってるだろう……!!
できれば事が終わったあとも見たい
97名無しさん@ピンキー:2010/08/15(日) 23:44:31 ID:/A3jUYHg
なんか似たようなのを最近見たようなと考えたらこれを思い出した
 ↓
ttp://maniax.dlsite.com/work/=/product_site/1/product_id/RJ063800.html

ま、それはともかく続きキボン
98名無しさん@ピンキー:2010/08/15(日) 23:57:42 ID:Z/hePVL4
パクリかよ
99今日からお姉ちゃん:2010/08/16(月) 08:12:22 ID:AZr+AlJi
 「い、イヤだよ! て言うか、なろうと思ってなれるものなの!?」
 「大丈夫だ。お前なら……お前なら、きっとなれる!」
 兄さんが絶望的な状況下のバスケの試合で主力選手に期待を寄せるチームメイトみたいな表情で言うけど、いくらなんでも無理だと思う。
 「俺を……信じろ!」
 ──ズルいなぁ。
 僕は、この5年間に何度も、いろいろなピンチを兄さんに助けてもらっている(ちょっと悪戯好きだけど、基本的に優しくて親切な人なんだ)。
 そんな真剣な顔で力強く言われたら、信じないワケにはいかないよ。
 「……わかった。兄さんの言葉、信じてみるよ」

 ──で。
 「信じた結果が、この有り様だよ!」
 僕は、鏡を覗き込みながらガックリと肩を落とした。
 「ん? どうした、柚樹、溜め息なんかついて。ほらほら、スマイルスマイル。「女の子」は笑顔がいちばんだぞ?」
 「僕は女の子ぢゃないよ!」って言い返す気も起らない。
 まぁ、大体想像はついてると思うけど、兄さんは、僕に女の子を着せて女装させたんだ。
 いや、そのこと自体は正直、僕も考えないではなかったよ?
 本当に、ほんっとーに悔しいことに、僕は男にしては背が低いし華奢だ。
 適当に好実の服を借りて(妹の服が着れるってのもなぁ)、ロングヘアのカツラでもかぶり、「ほ〜ら、お姉ちゃんですよ〜」ってやれば、とりあえず好実の希望は満たせるかもしれない。
 身長が180センチ以上あるうえ、柔道やっててがちりした体格の兄さんじゃあ、女装したってキモいだけだろうし、僕の方が適任なのもわかってる。
 でも、でもね。
 「こんな本格的にすることないじゃないですかーーー!」
100今日からお姉ちゃん:2010/08/16(月) 08:12:52 ID:AZr+AlJi
 あれから、兄さんはどこか(たぶんガールフレンドの誰か)に電話してたかと思うと、僕を車で連れ出したんだ。
 高校時代に、生徒副会長&柔道部主将をやってた兄さんは凄く顔が広い。もっとも、男友達はともかく、女性の知り合いの半分近くと元恋人関係にあったと言うのは、硬派を志す僕としては正直どうかと思うけど。
 (兄さんいわく、「恋人じゃなくてただのガールフレンド」らしいけど、ただのガールフレンドと抱きついたりチュウしたりするの? 「はれんち」だよ!)
 連れて行かれたのは、とある洋服屋さん。兄さんによるとシャーリーテンプルって子供服の店らしいけど、商店街にあるお店とかと違って、すごくオシャレでブティックっぽい。
 落ち着かなくてちょっとモジモジしてると、見覚えのある金髪の女の人(確か兄さんのガールフレンドのひとり)がやって来た。
 「やっほー、雄ちゃん、お久しぶり〜!」
 「おう、かりん、おひさ」
 「で、この子が電話で言うてた弟さんやね? 昔何度か会ぅたコトあるけど、ボク、ウチのこと覚えてる?」
 「は、はい。こんにちは」
 「や〜ん、礼儀正しいし、ちんまくてカワエエなぁ」
 「で、どうだ、イケそうか?」
 「ま〜かせて! バッチリ素敵なリトルレディに仕上げたげるわ!! 」
 僕を置いてけぼりにして会話が進み、気がつくと、僕は試着室……にしては、ちょっと広い2メートル四方くらいの、壁の一方が鏡張りの部屋に押し込まれていた。
 「柚樹くんやったっけ? ほらほら、さっさと今着てる服脱いだ脱いだ」
 ドッチャリと色んな服を入れた籠を手にしたかりんさんが、僕を急かす。
 顔見知りとは言え、若い女の人の前で服を脱ぐのは恥ずかしかったけど、かりんさんはココの店員さんなんだから、と自分に言い聞かせて、僕は黙ってトレーナーと半ズボンを脱いだ。
101今日からお姉ちゃん:2010/08/16(月) 08:13:38 ID:AZr+AlJi
 「おしおし。あ、靴下とか下着も全部脱いで、スッポンポンになるんやで」
 !! そ、それは……。
 「か、かりんさん、流石に恥ずかしいですよー」
 「気にすることないって。ウチはこの店のマヌカン、いわばプロや。柚樹くんかて、お医者さんや看護師さんに裸見せるのを嫌がったりせんやろ? それと一緒やて」
 いや、理屈はそうかもしれませんけど……。
 とは言え、今までの経験で、この人が気さくに見えて押しの強い人だってことは理解してる。僕は渋々、シャツとパンツ、それに靴下を脱いで裸になった。
 さすがに堂々としてるのは無理(これでもビミョーなお年頃なのだ)なんで、両手で股間を隠しながらモジモジしてると、かりんさんが僕にとんでもないモノを手渡してきた。

#とりあえず続けてみました。エロまでの道は長くなりそう。
 >97、98
 えっと、とりあえず「義理の兄妹・義妹のために女装・義兄にヤられる」というネタの発想元は、その作品です。
 ただ、(体験版しかやってないので定かではありませんが)えらくダークな雰囲気の作品だったんで、明るくカルい雰囲気の話を見たくて、自分で書いてみることにした次第。
 よって、上記の三題話的なネタ以外は完全に私の文章になります。
102 ◆WCS0mIt7Rg :2010/08/16(月) 09:13:48 ID:Fx4VfmE4
荒れてなくて良いスレですね。
今日からお姉ちゃん さんが一段落したら、私も投下させて頂きます。
103名無しさん@ピンキー:2010/08/16(月) 09:32:03 ID:YdaTxMJ6
うむ女装シーンは良い
104名無しさん@ピンキー:2010/08/17(火) 00:51:01 ID:EXSgw/BK
どっちも超期待だ!!!!!!!
105今日からお姉ちゃん:2010/08/17(火) 11:49:44 ID:8lwlpx8T
 「か、かりんさん!」
 こここコレって……。
 「そ、女の子用のショーツや」
 あぅ、はっきり言わないでよ。
 空色と白の横縞模様の可愛らしいパンツを手に僕はうなだれた。
 「えっと、一応確認しますけど、コレを履けってことなんだよね?」
 「そぅや。パンツの用途なんて、履く以外にかぶるくらいしかないやんか」
 いえ、普通は「履く」一択だと思います。
 彼女に促された僕は、これで股間を手で隠す必要もなくなると自分に言いきかせながら、水色の縞パンに足を通した。
 いくら僕が男にしては細身だとは言っても、こんな小さいのが履けるか心配だったんだけど……。
 「──ぴったりだ」
 縞々の下着は、僕の股間を優しく包み込んでくれている。肌触りも、これまで経験したどんな衣服よりも柔らかで心地良かった。
 「……」
 すっかり大人しくなってしまった僕を見て、かりんさんはニヤリと笑うと、続いて別の衣類を差し出してきた。薄く半ば透ける素材でできたシュミーズ(でいいんだっけ?)だった。
 ショーツを履いたカルチャーショックの抜けてない僕は、言われるがままにシュミーズを被った。そして、ソレもまた同様に僕の上半身に言いようのない感覚をもたらしてくれたんだ。
 (いい匂い……それに、やっぱりスベスベしてて、気持ちいいや)
 努めてマジメな顔を維持しようとしたけど、多分見る人が見れば頬が赤いのはバレバレだったんだろうね。
 「ホラ、柚樹くん、次はこれな」
 これまで以上に上機嫌になったかりんさんが、取り出したのは白い長袖ブラウス。男物のカッターシャツと比べて、襟元や袖口にレースの飾りがついてるのが、いかにも女物っぽい。
 こちらもツルツルでピカピカの見たこともない布(あとで聞いたらシルクサテンって言うんだって)で作られてて、身に着けるとそれだけで何だか不思議な気分になった。
106今日からお姉ちゃん:2010/08/17(火) 11:50:14 ID:8lwlpx8T
 男の子とは逆についてるボタンを苦戦しながらはめる。これでとりあえず、ぎりぎりショーツが隠れたので、ちょっとだけ安心かな。
 そして、その次にかりんさんが渡してくれたのは、予想通りというべきか、スカート──ジャンパースカートって言うんだっけ? それとも、ノースリーブのワンピースって言った方がいいのかな?
 基本は黒なんだけど、あちこちに白いレースやフリル、あるいは刺繍で飾られている。
 「背中にファスナーがあるやろ? それを下して足を通すんやで」
 言われたとおりにワンピースを着る。手間取ってた背中のファスナーはかりんさんが上げてくれた。
 「どぅや、柚樹くん? どこか窮屈なトコロとかないか?」
 胸元に黒いリボンを結びながら、かりんさんが聞いてきた。
 「うーーん、大丈夫だと思う。あ、でもウェストがちょっと緩いかも」
 「そ、そうかぁ(いくら12歳やから言うても、男の子が5号で余裕て……柚樹くん、どんだけ逸材やのん!)」
 ?? なんだか、かりんさんの息が荒くなったような……。
 「よし、と。じゃあ、最後はコレな」
 と渡されたのは、白と黒のボーダー柄のニーソックス。試着室の隅に置いてあるスツールに腰掛けて、片方ずつ履いてみる。
 ふくらはぎくらいまでのハイソックスなら幼稚園の頃に履いたこともあるけど、膝より上の太腿までくる靴下なんて初めてだ。
 素材もよく伸びてすべすべで、不思議な感触。
 (女の子の服って、みんな、手触りとか着心地いいなぁ)
 何だかちょっとズルい気がする。
 ふと、かりんさんがニヤニヤしながらこっちを見ているのに気づく。その視線を辿ると……えっ、僕のスカートの中!?
 「や、やだっ!」
 とっさにスカートを抑えてしまう。
 ──よく考えたら、かりんさんには裸から着替えてるところ全部見られてるんだから今更な気もするけど、なんでだか凄く恥ずかし気がしたんだもん。
107今日からお姉ちゃん:2010/08/17(火) 11:50:57 ID:8lwlpx8T
 「グッド、グッドやで、柚樹ちゃん。女の子にせよ男の娘(コ)にせよ、恥じらいこそが、より萌えを引き立たせるスパイスになるんや!」
 ビッと親指を立てて「GJ!」のサインをするかりんさん。よくわかんないけど褒められたんだろーか?
 「そしたら仕上げやな。そのまま鏡の方向いて座ってんか」
 言われた通りにスツールに座ると、かりんさんはブラシを取り出して僕の髪をとき始めた。
 あまりクセのない僕の髪が瞬く間にキレイに整えられる。
 「うーん、このままでもエエけど……エクステ付けてみよかな」
 しばし首をかしげていたかりんさんは、慣れた手つきで髪の毛の束みたいなものを僕の後ろ髪に編みこみ始めた。みるみるうちに、襟にかかるくらいだった僕の髪が背中まであるロングヘアに変貌する。
 自毛との境目の部分は白いリボンを結わえてうまく隠してあるみたいで、一見したところ、とてもカツラ(かりんさんはエクステって言ってたけど)を付けてるようには見えない。
 「最後にレースのヘアタイを付けて……完成や! 雄ちゃん、入って来てもエエで〜!」
 白いカチューシャみたいなものを僕の頭頂部に付けたかりんさんは、自信満々に宣言し、外にいるはずの兄さんに呼びかけた。

# と、いったんココで切ります。少しでもニヤニヤしていただければ、幸甚。
# WCS0mIt7Rgさん、私の方は多分亀のように歩みが遅いので、気にせず随時投下していただいてもよろしいかと。
# 余談ですが、主人公の柚樹は普段がタカ坊(小学生バージョン)で、女装後は高城さん(小学六年生想定)になると考えてください(わからない人、すみません)。
108名無しさん@ピンキー:2010/08/18(水) 18:16:26 ID:UaDLYgNM
高城さん? 放浪息子のキャラ……違ったっけ?(^^;)ゞ
ともあれ続きを裸にニーソックスで待機wktk
109今日からお姉ちゃん:2010/08/18(水) 20:44:29 ID:VXREqaJ1
 試着室に入って来た兄さんは、僕の姿を見るなりポカンと口を開けたかと思うと、今度はヘアタイを付けた頭のてっぺんからニーソックスを履いた足のつま先まで、何度もジーーッと視線を移動させてるみたい。
 やがて、ビッと右手の親指を突き出す。
 「かりん、グッジョブ! 正直見違えたぞ。街ですれ違っても本人とわからんレベルだ」
 「にはは、そうやろそうやろ。まぁ、ウチの見立て半分、残りは本人の素質半分ってトコロやけど」
 え〜、そんな言う程かなぁ?
 僕は改めて鏡に向かってみる。
 試着室の鏡の中からは、ヒラヒラのワンピースを着たお嬢様っぽい女の子がコチラを見返していた。
 (う……確かに、ちょっと可愛いかも)
 たとえばこんな娘がクラスに転校してきたら……正直、気にならないと言えば嘘になる。
 「なぁなぁ、雄ちゃん、妹さんの誕生日は明日なんやろ?」
 「ああ、そうだけど」
 ボーッと鏡に見とれてる僕を尻目に、兄さんとかりんさんが話を進めている。
 「せやったらさぁ、このコ、明日までウチに預けてくれへん? 仕草とかしゃべり方とか、ソレっぽく特訓したげるわ」
 「それは構わん……と言うかむしろ助かるが、いいのか? いや、折角の休日の午後に店に来させた俺が言う台詞じゃないが」
 「ええよええよ、おもしろそーやし」
 「それじゃあ頼むが……襲うなよ?」
 「大丈夫やって。ウチは雄ちゃん一筋やから」
110今日からお姉ちゃん:2010/08/18(水) 20:44:51 ID:VXREqaJ1
 僕が知らない間に、何やら合意がなされているみたい。
 「ほな、行こか、ゆきちゃん」
 「え!? な、何ですか、かりんさん。それにゆきって……」
 「うん、柚樹くん女の子バージョンの呼び名。「ゆう」やと雄ちゃんとカブるしな」
 「ハハッ、そいつはいいな、いただきだ。よし、これから、その姿の時のお前は「ゆき」と呼ぼう。漢字は「柚季」だな」
 「ええーーーーっ! て言うか、かりんさん、僕、このまま外に出るんですか!?」
 「うん。心配せんでも、俯いてしおらしいしてたらまるっきり女の子やし、ウチのマンションまで歩いてここから5分程やさかい」
 うわっ、ひょっとして僕、男として絶体絶命のピンチ!?
 助けを求めるべく視線を向けた兄さんも、どこから取り出したのか、小さな日の丸の手旗をヒラヒラ振っている。
 「達者でな〜。大丈夫、ホネは拾ってやる。明日の朝、迎えに行ってやるから」
 そ、そんなぁ……。
 こうして僕は、市場に売られる仔牛のように、かりんさんの部屋へと拉致(本人の意思に反してるから間違いじゃないと思う)されたのでした。

#当初の予定では、すぐに翌日(誕生日当日)にとぶはずだったのですが、かりんが意外とよく動いてこんな形に。「女の子(男の娘?)特訓」の場面も、あった方がいいですかね?
#由来は東鳩2。「高城」は「草壁さん」の昔(子供時代)の苗字です。
111名無しさん@ピンキー:2010/08/19(木) 00:41:38 ID:7SkoSmkB
特訓おk
112WCS0mIt7Rg:2010/08/21(土) 15:08:18 ID:OY+U8v4w
>>107 さん

お言葉に甘えることにします
巻き添え規制も解除されているようなので、投下します






『ジュンくんの冒険』


このまま外に出て行きたい。

おしゃれな帽子をかぶって、
可愛いバッグを持って・・・買い物に行きたい。

女の子の友達と美味しいもの食べて、写メとって、洋服を見たり・・・


誰も僕に気づかない・・・
この姿が僕だって気づけない・・・

試着室の中、鏡に写る姿を見て確信した。
113WCS0mIt7Rg:2010/08/21(土) 15:09:02 ID:OY+U8v4w
「可愛いお嬢さんねぇ」

「ほんと、目が大きくて髪の毛もサラサラで」

そんな声を聞くと思わずニコリと微笑み返してしまう。
昔からよく言われていたので慣れてる。

僕の名前は斉藤ジュン・・・年齢は12歳。オトコ。

近所の人たちが誉めてくれるように目が大きく、鼻と口は小さい。
肌も白くて女の子みたいだと自分でも思う。
まだ声変わりもしてない。

髪型は少し長めのショートカット。
耳が隠れるくらいで、最近は前髪が伸びてきた。
そろそろ床屋さんにいかなきゃ・・・

鏡を見て恨めしく思う。
どう見ても女の子にしか見えないのに、何で自分はオトコなんだろう。

学校でも女の子の友達も多いし、可愛い服を着てる子を見るとドキドキする。
でも・・・僕のあそこには、おちんちんついてる。

名前だって男か女かわからないってよくいわれるから、
思い切ってスポーツ刈りにしようかと思ったんだけど・・・そんな勇気もない。

「ジュンくん可愛いんだからさ、いっそ女の子のカッコして、外に出てみたらいいじゃない?」

お隣に住んでる5歳年上のお姉ちゃんにそういわれた。
もちろんあっちは僕をからかうつもりで言ったのだろう。

こうみえても僕だってオトコだ。
でも・・・はじめはムッとしたけど、後でだんだんその気持ちが強くなって・・・

今僕は近所のファッションセンターひまむらに来てる。
家を出るときから赤と白のボーダーのTシャツにパーカーを羽織って、デニムのハーフパンツをはいてきた。
それに少し短めの靴下にテニスシューズ。ついでになんとなく可愛いビニール製のバッグも持ってきた。
こんなカッコしてる女の子って、たまにいるよね?
114WCS0mIt7Rg:2010/08/21(土) 15:09:33 ID:OY+U8v4w
少しドキドキしながらお店の中に入る。
平日の昼間だからお客もほとんどいない。これなら安心だ・・・

僕は思い切って女の子の服をいくつか手にとって試着室に入った。

狭い個室の中に鏡が一枚。
自分で持ってきた服をかけるハンガーみたいなのが2つ。
そして姿を隠すカーテン・・・

(まずはこのスカートをはいてみたいな・・・)

赤と黒のチェックのミニスカート。
これに黒いニーソックスとか・・・すごく憧れる。
でも実際にこんなの身につけたことないし・・・どっちが前なんだろ?
色々考えながら自分のショートパンツと履きかえてみた。
たぶんこんなかんじ・・・

(次はこれ・・・ピンクの・・・)

なんて書いてあるかわからないけど、おしゃれで可愛いパーカー。
これはファスナーついてないから上からかぶるだけか!
簡単でいいな、と少し安心した。

鏡の前で自分を見る・・・・・・やばい、すごく可愛い!
自分のことじゃなく、きている服がやっぱり全然違う。
男物とは生地も違うし、なんだか肌触りもいい。

「次の服を試してみよう・・・!」

入店当初のオドオドした気持ちが一転して、ドキドキに変わってきた。
今度はこのフリルのスカートをはいてみよう。
そう思った矢先だった。
115WCS0mIt7Rg:2010/08/21(土) 15:10:05 ID:OY+U8v4w

「お客様失礼ですが・・・」

「っ!!」

きれいな声のお姉さん・・・きっと店員さんだ。
も、もうバレたのかな!?
僕、何にもヘンなことはしてないはずなんだけど・・・

「先ほど店内でお財布を落とされませんでしたか?」

「えっ・・・あ、はいっ・・・ちょっと調べてみます」

少し驚いたが、僕が男だと思って声をかけたわけではないらしい。
外で待つ店員さんに向かって少し声を変えて答える。

「ちゃんと財布はあります・・・」

「そうでしたか。大変申し訳ありませんでした。お買い物をお楽しみくださいませ」

内心ヒヤヒヤしたが、なんとか切り抜けた。
でもなんとなく集中力が途切れたので、僕は着てきた服に着替えると商品を元の位置に戻そうと決めた。

シャッ・・・

周りを見ながらカーテンをあける。目の前には誰もいない。さっきの店員さんも誰だかわからない。
すばやくスカートやパーカーを元に戻すと、僕は急いで店を出ようとした。

「やっぱり男の子だったんだ・・・」

ビクッ!!

試着室から出て左斜め後ろから声をかけられた。

振り返るとそこにはニヤニヤと笑いながら女子大生風のお姉さんが立っていた。
白いシャツに黒いミニスカート・・・
身体の線は細いけど、僕より15センチぐらい背が高い。

バレた・・・僕、警察に連れて行かれちゃうのかな?

「ぼっ、わた、わたしが男の子ですって?」

今ならなんとかごまかせるかもしれない。

116WCS0mIt7Rg:2010/08/21(土) 15:10:37 ID:OY+U8v4w
でもお姉さんは僕の言うことなんか無視して近づいてきた。

ぺたっ

いきなり胸に手を当ててきた!!
もちろん僕は男だからクラスの女の子みたいにおっぱいなんて膨らんでないし・・・バレちゃう・・・・・・

「ああああぁぁ・・・」

「あらごめんなさい・・・女の子なの?」

「ハ、ハイ・・・あんまり触らないでください・・・!」

「ふーん、ちょっとごめんね」

お姉さんの手はゆっくりと僕の胸の上で円を描く。
さらに左のほっぺを撫でられて・・・首筋もツツツーってされて・・・!

「うふふふふ・・・」

足元がフラフラしてくる。なんだか身体が浮いてるみたい。
気づけば僕はお店の壁に背中を預けていた。

「そうよね。こんなに可愛い男の子なんていないよね?」

「はううぅ・・・」

「でも・・・・・・・・・これはなにかな?」

むきゅうっ!!

「ひぐうぅっっ!?」

おちんちんがズキンとする・・・下のほうを見るとお姉さんの細い手が、指がっ!
Tシャツとハーフパンツの隙間を縫って僕を・・・捕らえてる・・・・・・

クニュクニュクニュクニュ・・・

な、なんでこんなになっちゃうの!?
お姉さんの指が動くたびにおちんちんがヘンになってく。
僕の身体が熱くなって、しびれて溶けていっちゃうみたいに・・・

「まだ立ってられるんだ・・・?」

「お姉さん・・・やめて・・・」

「やめないよ? 女の子なんだよね、キミ・・・」


117WCS0mIt7Rg:2010/08/21(土) 15:12:18 ID:OY+U8v4w
「ううっ、うううぅぅ・・・」

僕を追い詰めるお姉さんの言葉。
自分でいっちゃったから何も言い返せないよ。

「へんだなぁ? こんなのついてる女の子って」

ぬちゅ・・・っ

!?

急に何だかお姉さんの指がスベスベしてきた・・・
それだけじゃなくてなんだか僕の身体が

「こんなに硬〜くなっているヨ?」

しばらく僕のおちんちんを・・・握ったり、離したり。擦ったりしてたお姉さんが顔を寄せてきた。

「みんなにいっちゃおうかな? ここにおちんちんがついたヘンな女の人がいます・・・って」

「やめてっ! それだけは!!」

学校にばれたら大変なことになっちゃう。
お母さんにもばれちゃうし友達にも・・・へんな人って言われちゃう・・・
思わず泣きそうになる僕を見て、お姉さんはいった。

「黙ってて欲しいなら、もう一回試着室にいこうか?」

「うぐ・・・・・・はい・・・。」

「いい子♪」

僕は言われるがままにお姉さんについていった。
118WCS0mIt7Rg:2010/08/21(土) 15:12:59 ID:OY+U8v4w
お姉さんは僕に気をつかってなのか、お店の中の洋服をいくつか手に取った。
二人で歩いていれば仲良しの姉妹に見えるのかもしれない。
そして僕はまた・・・さっきの試着室へと入った。
でも今度はお姉さんと二人で・・・

「いつもこんなことしてるの? ねえ、ヘンタイくん」

「僕は・・・フツーです・・・」

「へぇ、そうなの?」

お姉さんから目をそらす。鏡の中の自分と目が合った。

「普通の男の子なのにこんなカッコしちゃうんだ?」

「それは・・・」

「かわいいスカートとか好きなんでしょ? キミ」

狭い空間でお姉さんと向き合う。
最初は気づかなかったけど、なんだかいい匂いがする。
お姉さんの身体から果物みたいな香水の匂いが・・・

「どうなの?」

「好き・・・です」

うっとりしていた僕に問いかけるお姉さん。

「クスッ・・・本当にいい子。もう一度はかせてあげる。足、あげて?」

お姉さんはその場にしゃがみこむと、売り場から持ってきたスカートを僕にはかせ始めた。
119WCS0mIt7Rg:2010/08/21(土) 15:13:42 ID:OY+U8v4w
「本当によく似合うわ。これで見せスパッツでもはかせたら女の子で通るわね・・・」

「は、はずかしいっ・・・カーテン閉めてください」

「大丈夫よ」

僕の目には試着室の外が良く見えた。
知らないおばさんやおじさんが店内を歩いている。

「他のお客さんからは私のかわいい妹・・・にみえるんでしょうね?」

でも僕の学校の友達が来たら絶対にヤバイよ!

「あっ・・・」

そんなことを考えていたら見たことのある女の子たちが入ってきた。
隣のクラスの女の子たちだ。一人だけ名前を知ってる子がいる・・・

「あの服、かわいい〜」

「ホント、あたしも後で着てみたいなっ」

僕のことには気づかず、彼女たちも目の前を通り過ぎた。
やっぱりわからないんだ・・・

思わずため息をつく僕を見て、お姉さんが言う。

「ほっとした?」

「えっ!?」

「じゃあお姉ちゃんにスカートの中を見せてくれるかな?」

シャアァ・・・

試着室のカーテンが閉ざされた。

「ほらみて・・・」

お姉さんは僕の髪を手に持っていた髪ゴムで結んだ。

「髪もこんなに柔らかいんだ・・・これも似合うね?」

鏡の中にいる僕は全くの別人・・・
お姉さんが持ってきた服を着せられて、髪型も少しだけ変わって・・・

キュ・・・

スカートの中にお姉さんの手が忍び込んできた。

「はううぅうっっ!!」

「私は可愛い女のコが好きなの」

さっきと同じようにおちんちんをスベスベされると、身体に力が入らなくなってしまう。
自然にお姉さんの身体にもたれかかると、優しく抱きしめてくれる。
120WCS0mIt7Rg:2010/08/21(土) 15:14:26 ID:OY+U8v4w
「キミ、本当に可愛い・・・もう我慢できない」

「んっっ!!」

僕の背中を抱きしめたお姉さんのほっぺが僕の顔をスリスリしたかとおもったら、無理やり横を向かされた!
そして急に息苦しくなって・・・あっ、これ・・・これってキス・・・キスされたああぁぁ!?

「あばれちゃだめよ?」

「んん・・・うっ、ううぅぅ・・・」

僕の初めてのキス・・・
くやしい、こんなところで・・・!

「お姉さんだって・・・ヘンタイじゃないですか・・・」

「ヘンタイ? 私が??」

半泣き状態で、悔しくて言い返した僕を見てお姉さんは笑う。

「私は女だし、今は男の子の身体を触っているだけだよ? それに・・・」

クチュクチュ・・・

「ふあああぁぁぁっ!!」

おちんちん・・・さわらないで・・・!
さっきよりもズキズキが大きくなって変になっちゃうよぉ・・・

「んあ、あはぁぁっ」

「スカート履いて喜んでる男の子に言われたくないなぁ」

再びお姉さんの腕に抱かれてクタクタになる。

「逃げようとしたら大声出すよ? お父さんやお母さんにバレちゃうよ?」

「やめて! ごめんなさい・・・」

「わかったら言うことを聞きなさい。・・・さあ、鏡に手をついてみて?」

言われるとおりにする。今の僕にはもう・・・それしか出来ない。
121WCS0mIt7Rg:2010/08/21(土) 15:14:57 ID:OY+U8v4w
「はぁ、はぁ・・・お姉さん、僕をどうするん・・・ですか」

「後ろから犯してあげる」

お姉さんの指が僕のお尻を撫でた。
その手つきがエッチなのと、僕の身体がいつもより敏感になっているせいで

「ひゃうっ!!」

「ふふっ、周りに聞こえちゃうよ?」

思わず声を上げた僕の口元を、お姉さんの手が覆い隠した。
鏡の中に映るのは泣いているような、それでいて気持ち良さそうな僕の分身・・・

「すごいスベスベの肌・・・」

「お、お尻をそんなに見ないで・・・はずかしい・・・」

「ここもツルツルで、なんだか不思議」

お姉さんはスカートを大きくめくって、僕を後ろから見つめてる。
僕の大事なところを・・・じっと見てる・・・

「こっちも、こんなにプリプリになってるわね」

「あああぁぁ・・・」

お姉さんの指がおちんちんの根っこのほうに巻きついた。
今度は両手でおちんちんを触られてる!!

ヌリュ・・・ヌル・・・
しゅこっ、しゅこしゅこ・・・
チュク・・・チュックチュッ・・・ク・・・

僕の足が震えて、おちんちんから何かエッチな音がして・・・もうなにがなんだかわからなくなって・・・

「あとでリボン結んであげようか?」

「・・・!?」

「おうちについても外しちゃだめなリボン・・・キミはそれをみて、今から起きることを思い出すの」
122WCS0mIt7Rg:2010/08/21(土) 15:16:31 ID:OY+U8v4w
「何をするつもりなんですか・・・あっ、ああぁぁぁ!!」

お姉さんが僕の右足を持ち上げる。
そしてしゃがみこむと、下から僕のおちんちんに顔を寄せて・・・

はむっ・・・レロ、ペチュ・・・

「あっ、あっ、あっ・・・なにをしてるのおおぉぉ!?」

おちんちんが何かに包まれて熱い・・・熱くてくすぐったくて・・・気持ちいい・・・

「あなたを恥ずかしくしちゃうだけよ?」

「ああっ、あああぁぁぁぁぁ・・・・・・」

「気持ちいい? 震えてるから気持ちいいんだよね? ふふっ」

スカートの中でお姉さんが何かしてる。
僕を気持ちよくする何かを・・・お姉さんはしてるんだ・・・

おちんちんの周りがどんどん熱くなっていく。
気持ちいいのが膨れ上がって、僕の身体が溶けていく・・・

「おねえさ・・・ん! 僕なんだか・・・!」

「もうすぐだね?」

何がもうすぐだかわからないけど、この気持ちいいのが終わりに向かっているのはわかる。
頭のてっぺんがキューンてしてきた・・・僕は・・・僕はああああああぁぁあ!

「ふあああああぁぁぁ!!」

ビクンビクンと腰が震えて、何かが僕のおちんちんから飛び出した。
そしてお姉さんに・・・吸い込まれた・・・

「きっと初めてだったのね・・・ごちそうさま♪」
123WCS0mIt7Rg:2010/08/21(土) 15:17:13 ID:OY+U8v4w

頭の上でお姉さんの声がする。更衣室の中で僕はぼんやりと座り込む。
指先にも足にも全然力が入らない・・・いや、お姉さんに力を吸い取られて動けないんだ。

「キミが着てる服、ぜんぶ私が買ってあげる」

「で、でもっ・・・」

買ってもらっても、おいておくところがない。自分の部屋にも置けないよ・・・。

「だから今度はそれをもって私のおうちにおいで?」

「お姉さんのおうち・・・」

「私が持ってる可愛いお洋服、いっぱい着せてあげるから」

お姉さんはテキパキと動いて僕を元通りの格好にしてくれた。
そしてレジでお会計を済ませると、まるで可愛い妹と腕を組むようにしてお店の外へ出た。

フラつきながら家についた僕は、自分の部屋でこっそりズボンを脱いで見た。
おちんちんの根元に・・・赤いリボンが巻かれている。
まるで僕がお姉さんに買われちゃったみたいに。

そっと触れてみると、さっきの記憶が甦る。
甘い痺れが全身に広がって、お姉さんの口に何かが吸い込まれて・・・

「あっ、ああぁぁ・・・」

自然に左手でおちんちんを上下に擦っていた。
僕は初めて女の人を意識しながらオナニーをおぼえた・・・

興奮が醒めてしばらくすると、頭の中に鳴り響く声に気づいた。

『もうキミは私のものよ?』

僕はお姉さんの最後の言葉を思い出していた。

FIN
124名無しさん@ピンキー:2010/08/21(土) 22:18:48 ID:CwkUwKyQ
>WCS0mIt7Rgさん

GJ! お姉さんのモノになったジュンくんが、部屋で着せ替えさせられながら色々されちゃう話も見たいです。
125名無しさん@ピンキー:2010/08/22(日) 01:24:39 ID:Ppc7vQro
GJ!
次は当然お姉さんの部屋で着せ替え大会だよね?
126名無しさん@ピンキー:2010/08/22(日) 03:17:43 ID:mOuBCwbm
お姉さんの妹とかお友達も加わって数人で着せ替え大会→大乱交キボン!
127今日からお姉ちゃん:2010/08/24(火) 02:56:18 ID:gcujNXd4
 かりんさんのマンションに拉致(?)された僕は、部屋に着くなり別の服に着替えさせられた。
 先ほどの服と一見よく似た黒のワンピース。ただし、さっきのは膝上3センチくらいのミニだったけど、今度は膝が隠れるくらいのスカート丈だし、半袖の肩の部分が大きく膨らんでいる。
 その上に白いエプロンを着けて、靴下は黒いストッキングに履きかえる。パンツの部分も覆うようなコレは「パンティストッキング」って言うんだって。
 (へ〜、ストッキングってこんな感触だったんだ……)
 ニーソックスよりも薄くて、足を締め付けてくる感じ。でも、不思議と嫌じゃない。
 最後に髪型を緩い三つ編みのおさげにして、白いレースのカチューシャを頭につけて完成……って!
 「これ、メイドさんじゃないですか!」
 「おお、ナイスツッコミ。ゆきちゃん、いいリアクションしてるなぁ」
 ケタケタ笑うかりんさん。
 うぅ……もしかして、僕に女の子の仕草や言葉使いを教育するってのはタテマエで、ホントはメイドさんが欲しかっただけじゃないでしょうね?
 「ちゃうちゃう。まぁ確かに、こんな可愛いメイドさんにお世話してもらえたら、幸せやろけどな」
 かりんさんいわく、女の子らしい淑やかな立ち居振る舞いを身に着けるのには、人に仕えてご奉仕するメイドさんという職業(クラス)は最適なんだって。
 で、そのあと僕はかりんさんに言われるがままに、お茶を入れたり、お掃除したり、洗濯物を取り入れて畳んだり……やっぱり、なんかただ働きさせられてるような。
 とは言え、そういう家事をしながら、色々なこと──姿勢だとか、歩き方だとか、スカートの裾さばきだとか、言葉使いだとかを指導してくれたのも確かなんだけどさ。
128今日からお姉ちゃん:2010/08/24(火) 02:56:50 ID:gcujNXd4
 「にしても、ゆきちゃん、筋がエエなぁ。初級メイド道はもう免許皆伝やわ」
 初級ってことは中級とか上級があるのだろーか。
 て言うか、そもそもそれって自慢できることなの!?
 「エエやんか、このご時世、メイド技能(スキル)を持った男のコなんて貴重やで」
 「珍しいからって必ずしも自慢できたり役に立つってことはない気がしますけど」
 まぁ、僕らの家は両親が共働きで不在がちだから、僕も自然と家のお手伝いは一通りこなせるようになってるんだよね。
 「そうかー? ゆきちゃんが休みの日とかにメイドさんしに来てくれるんやったら、少なくともウチは、日給5千円出してもエエで」
 「ご、ごせんえん……(ゴクリ)」
 普通ならアルバイトとか出来ない年頃の僕にとっては大金だ……って、待て待て、流されちゃダメだ!
 「(チッ!)ほな、次はステップ2に行くで。今度は逆の立場の女の子として振る舞ってみよか」
 そこで僕に渡されたのは、オレンジ色のワンピース……と言うかドレス? すごくスベスベの生地で出来てる上、フリルとレースとリボンがいっぱいついてて、スカートの丈はくるぶし近くまである。
 袖の肩の部分が膨らんでるのはメイド服と同様だけど、長袖で手首までピッタリと覆うタイプだ。髪型は真紅の大きなリボンでポニーテイルにされた。
 その上、薄くだけどお化粧までされちゃったんだ! 白粉をはたかれ、眉の形を整えてから、最後に軽く口紅を引く。
 それだけで、鏡に映った僕の姿は、「絵に描いたようなお嬢様」に見えた。
 「ふぇ〜」
 あまりの落差に開いた口がふさがらない。
 「こらこら、レディがはしたなく口を半開きにするものやないで。さ、そろそろ7時半過ぎやし、近くのレストラン行こか」
 「え!? ちょ、ちょっと……」
 否応もなく、マンションのすぐ目の前にあるフランス料理屋さんへと連れて行かれる。
 幸い(?)、それまでと同様にかりんさんが僕の言動をチェックし、直してくれたから、傍目にも、さほどヘンには見えないだろう。
 ──やってる本人は死ぬほど恥ずかしいんだけどね。
129今日からお姉ちゃん:2010/08/24(火) 11:18:17 ID:Afkikez+
*閑話*
<かりんちゃんのワンポイントアドバイス:メイドさん編>
1.言葉づかいはすべて丁寧語で。自分のことは「私」と言いましょう。
  ただし、返事する時、YESなら「はい、畏まりました」、NOなら「申し訳ありません」を頭につけること。どちの場合も深々とお辞儀すると、より完璧です。
2.歩幅は小さく、しずしずと歩きましょう。
  顎は引き気味で、視線も心持ちうつむき加減に。
  手に何も持っていない時は、腰の前で指を伸ばして両手を揃えましょう。
3.許しがない限り、椅子などに座ってはいけません。
  部屋の隅もしくは主人の背後に静かに控えていること。

<かりんちゃんのワンポイントアドバイス:お嬢様編>
1.言葉づかいが丁寧語なのはメイドさんと同様ですが、一人称は「わたくし」に。
  また、語尾に「ですわ」や「かしら」などをつけると、よりそれらしいです。
2.背筋をしゃんと伸ばし、視線も真っ直ぐに。
  大股にならない程度に堂々と歩くこと。
  また、必ず相手の目を見て話しましょう。
3.「アハハ」などと大口を開けて笑ってはいけません。
  「クスクス」「ウフフ」などと上品に、かつ手で口元を隠すこと。
  「オーホホホホ」は上級者向けなので非推奨。
  また、笑顔の安売りはNGですが、礼を言う際にニッコリするのは効果的です

かりん「これさえ守れば、今日からゆきちゃんは、ぱーへくとや!」
ゆき「え〜、本当かなぁ?」
 ……てなやりとりがあったとかなかったとか
130今日からお姉ちゃん:2010/08/25(水) 00:35:46 ID:ZQKeif6c
 「か、かりんさん、ワタクシ、変じゃありませんこと?」
 人目を避けるようにしてマンションに来た時とちがって、大勢の人の前に堂々と出るって言うのは、さすがに気を使う。
 「全然問題ナッシング! むしろ、こんな可憐なお嬢さん、めったに見られへんよ」
 かりんさんは太鼓判を押してくれるけど、どこまで信用できるものか……。
 ドレスに着替える際、僕は下着まで脱がされて、レースで飾られた純白のショーツ(しかも両脇が紐で結んであるヤツ)と、裾がいくぶん長めの同じく純白のスリップを着せられた。
 さらに、脚には太腿までの白いストッキングを履き、それを薄いピンクのガーターベルトとかいう下着で留めてある。
 うぅ……なんだか、微妙にエッチっぽいよぅ。
 その上に、さっき言ったようにオレンジ色の長袖のドレスを着せられ、髪の毛も大きなリボンで後ろで結わえて、オマケにお化粧までされているのだ。
 確かに、この姿を写真に撮って一週間前の僕に見せても、自分だと思わずにドキドキするかもしれない。それくらい普段の僕とはかけ離れた姿だった。

 そうは言っても、やっぱりバレないか気を使う。レストランでは、できるだけおとなしく、お淑やかにふるまったつもりだけど……ちゃんと「お嬢様」に見えてるのかなぁ。
 (ナイスや、ゆきちゃん! 隠しきれないその照れが絶妙のスパイスになって、あたかも「内気な箱入りお嬢さん」的雰囲気を醸し出しとる!)
 かりんさんは、ニヤニヤするばかりで、その事については何も言ってくれないし。
131今日からお姉ちゃん:2010/08/25(水) 00:38:12 ID:ZQKeif6c
 まぁ、兄さんや好実の近況とか、ボクの最近読んだ本の話とかの普通の雑談には応じてくれるんだけど……。
 それに、かりんさんは関西出身だからってワケでもないだろうけど、話術が上手い。
 いつの間にか会話と食事(こちらもすごく美味しかった!)に熱中していた僕は、気が付いたら随分と自然に「お嬢様っぽい話し方」を実践できてるようだった。
 「どや、ゆきちゃん、だいぶ慣れてきたんとちゃう?」
 食後のお茶とスイーツを口にしながら、かりんさんがニヤリと笑う。
 「そう、ですわね。確かに、最初みたいにガチガチに緊張はしてませんけど……」
 改めて意識すると、やはり多少は気になるが、それでも最初みたいにビクビクすることはなくなったと思う。
 「OKOK、それで十分や。ほな、そろそろ出よか」

 かりんさんの部屋に帰ってきた僕らは、「特訓」と言う言葉とは裏腹に、しばらくテレビや雑誌を見たり、ふたりで雑談したりと、ごく当たり前の「休日の夜」を過ごした。
 かりんさんいわく、「こういうのは慣れの問題やからな! それにゆきちゃんは筋がエエし」とのこと。
 確かに、レストランから戻って来てからは、床のクッションに座る時、膝を揃えて横に流す、いわゆる横座りの仕方を指導されただけで、それ以後は特に注意もされてない。
 それだけ、僕の「女の子」っぷりが自然になってきたってコトなんだろうけど……思春期のオトコノコとしては何だか複雑かも。
 と、時計が10時半を指す頃、かりんさんが並んで座っていたソファから立ち上がった。
 「さ、ゆきちゃん、最後の試練や。ふたりでお風呂に入ろ」
 ──え?

#というトコロまで。次回でかりん編は終わり。うーん、本題の妹編に行く前にけっこう文章かけてしまいました。
132名無しさん@ピンキー:2010/08/25(水) 00:38:18 ID:PtzCqjwB
いいぞーもっとやれー
133今日からお姉ちゃん:2010/08/29(日) 17:09:24 ID:xTBC8n+l
 5、6年前ならいざ知らず、さすがにこの歳になって、20歳くらいの綺麗なお姉さんとお風呂に入るというは、謹んで遠慮したい。したいんだけど……。
 「ひ、ひとりで入れますから……」
 と言っても、どうやら、かりんさんは許してくれる気は微塵もないらしい。
 「髪の毛──エクステの手入れとかもあるし、明日に備えてピカピカに磨いてあげるさかい、おねーさんに任し」
 結局、家主にして臨時教育係であるかりんさんに僕が逆らえるワケもなく、ただいまふたりで入浴中デス。
 この部屋のお風呂が一軒家並みに広かったことが僅かな救いかも。
 鼻歌歌いながら体を洗ってるかりんさんの方に背を向けて、僕は湯船に浸かっている。
 (それにしても……)
 僕はチラリと湯船の中の自分の体──具他的には股間に目をやる。
 いくら僕が奥手だからって、さすがに6年生、オナニーとか勃起って言葉も事象も知っているし、シた経験もある。
 それなのに、それなりに美人なお姉さんとふたりでお風呂に入ってるってのに、ほとんど堅くもなってないなんて……。
 ま、まさか、女の子としての教育を受けてる内に、心まで女になっちゃったとか!? そんな……まさか……でも……。
 「あはは、ウチのこと、一応美人やて思っててくれるんやな。ありがとう」
 「!」
 かりんさん、心を読まないでくださいよぅ。
 「フフ、ゆきちゃん、思ってるコトが顔に出すぎやもん。それと、ゆきちゃんのイケナイ部分が反応せんのは、ウチが一服盛ったせいやから、安心しィ」
 かりんさんいわく、レストランでアルコール(白ワイン)を僕の飲み水に垂らしたうえ、さっき飲んだ紅茶にもブランデーが結構入ってたらしい。
 そう言われてみれば、微妙に味が違ったような……心なしか体が火照ってるような気もするし。これって、お酒飲んだ状態ってこと?
134今日からお姉ちゃん:2010/08/29(日) 17:10:14 ID:xTBC8n+l
 さらにダメ押しに、さっき食べたシュークリームには「アソコに血が集まりにくくなる薬」を入れてあったとのこと。
 「はあ、そういうコトですか……」
 「あれぇ、ゆきちゃん、なんか安心した言うより、残念そうな顔してるなぁ」
 「! そ、そんなコトない、です。でも、どうしてこんなことしたんですか?」
 「うーーん、ソレは風呂から上がったあとのお楽しみや。ホラ、ウチが洗ったげるさかい、ゆきちゃんも出た出た!!」
 「やめてくださいよぅ」と言う僕の抗議は勿論スルーされ、結局僕は体の隅々まで……に加えて、おちんちんとお尻の穴を特に念入りに洗われてしまった。
 うぅ、もうお婿に行けないよぅ。
 「大丈夫やて。ゆきちゃんやったら、お嫁の貰い手くらいいっぱいできるから!」
 慰めになってませんよ! そもそもココは冗談でも「じゃあ、私がもらってあげる」って言う場面じゃないんですか!?
 「え〜、でも、ウチ女やし……あ、でも、ゆきちゃんくらい可愛い娘やったら、お嫁さんにするんもエエかもしれんなぁ。家事も上手やし」
 うぅっ、どっちにしても僕、女の子扱いなんですね。

 風呂から上がって体を拭いた僕は、用意されてたパジャマに着替えようと思ったんだけど、かりんさんが「待った」をかけた。
 「最後の仕上げや。ゆきちゃん、床の上に四つん這いになって、こっちにお尻向けてんか」
 「──ハイハイ。わかりましたよ、もぅ」
 どうせ抗議しても無駄だろうし、かりんさんにはさっき体の隅々まで見られちゃったのだから、いまさらだ。
 僕は言われた通りにしたんだけど……その直後のかりんさんの行動を知った時、せめて形だけでも抵抗しなかたことを大いに後悔した。
135今日からお姉ちゃん:2010/08/29(日) 17:10:55 ID:xTBC8n+l
 「うんうん、女の子は素直な方が可愛いで。では、失礼……」
 むんずと僕のタマタマをつかんだかりんさんは、力を入れてグイとソレを僕の体内へと押し込んだ。
 「かはッ……」
 鈍い痛みに一瞬声を詰まらせた僕だけど、そんな僕の様子にお構いなく、かりんさんは手にした救急用テープみたなモノで僕のおちんちんをテープで後ろ向けに固定してしまった。
 さらに、タマが体の中に入ったことで余ってるカワでおちんちんを覆うように寄せてから、再度テープをとめる。
 「ふむ、ま、こんなモンやろか。ゆきちゃん、立って鏡の中見てみぃ」
 何かをやり遂げたような満足げな顔(関西の方では「どや顔」って言うらしい)をしたかりんさんに促されて、ようやく疼痛の収まりつつある僕は、ヨロヨロと立ち上がった。
 「え……こ、コレって……」
 鏡の中には、どう見ても「アソコに絆創膏を貼っただけの真っ裸の女の子」にしか見えない人物が、驚いた顔をしてコチラを見返している。
 てことはつまりコレが……。
 「ぼ、ボクぅ〜!?」
 「ノンノン、ゆきちゃん。ゆきちゃんのキャラに「ボクっ娘」は似合わへんで。オーソドックスに「わたし」て言う方がエエて」
 は、はぁ……それじゃあ……
 「こ、コレがわたしぃ〜!?」
 ──て、ナニ、律儀に言い直してんだろう。
 まぁ、要はそれくらい混乱してたのだと思ってください。
 かりんさんいわく、コレが男の子を女の子に変えるマル秘テクニックらしい。
 「よくそんなの知ってましたね」って感心したら、「インターネットで調べたんえ」とのこと。 それって全然マル秘じゃなような気が……。
 て言うか、お、おトイレとかどうしたらいいんです!?
136今日からお姉ちゃん:2010/08/29(日) 17:11:16 ID:xTBC8n+l
 「ああ、大丈夫よ。後ろのほうに先っちょの部分は出してあるから。ただし、女の子らしく、座ってでないとできんけどな」
 うぅ、本当だ。なんかお尻の穴と本来の位置の中間ぐらいにおちんちんの先がきてるぅ。
 実際、寝る前にトイレに行ったら、言われたとおり腰かけてならおしっこできた。ただし、普段と違って振るワケにはいかないから、出したあとにトイレットペーパーで拭かないといけなかったけど(コレもかりんさんに教えてもらった)。
 「よーし、コレでゆきちゃんは「ゆきちゃんX」へと進化したワケや。まさに完璧やな!」
 はぁ、どうしてこんなにテンション高いんだろう。大体、「ゆきちゃんX」って何? ガ●ダムや仮面ラ●ダーじゃあるまいし。
 「ん? ゆきちゃんZとか、ゆきちゃんOOとかの方がよかったか? もしくは555とかWとか」
 「い、いえ、Xで結構です」
 つ、疲れる……。

 ともかく、そんな大騒ぎの後、パジャマに着替えて(ピンクのフリフリ付きだけど、これくらいじゃ、もはや気にもとめないよ)、ボクはかりんさんが敷いてくれた布団に入って、眠りについた。

 「フフフ……より大きな抵抗感のある出来事を無理にでも受け入れさせれば、その後は些細な違和感は気にならなくなる。まさに、計画通り!」
 かりんさんがイイ笑顔で何か言ってたみたいだけど、ボク、しーらない。

#ようやっとかりん編終了。次は翌朝、兄が迎えに来るところからです。
137名無しさん@ピンキー:2010/08/29(日) 23:19:57 ID:C+yKmWxr
wktk
138今日からお姉ちゃん:2010/09/01(水) 14:04:20 ID:BwtTfcse
 翌日は、かりんさんは仕事があるとのことで7時に起こされた。
 パジャマ姿のまま、ふたりで朝ごはんを食べる。ちなみに、朝食の中身はトーストとハムエッグとプチトマト。
 食後にボクはミルクティー、かりんさんはコーヒー飲んでたところで、玄関のチャイムが鳴った。どうやら兄さんが迎えに来てくれたらしい。
 兄さんにはコーヒーを出してリビングで待っててもらい、ボクらはかりんさんの部屋に入って着替える。
 ちなみに、ボクだけじゃなくかりんさんも着替えるのは、「殿方の前に夜着姿を晒し続けるのは淑女のたしなみに反する」からだって。
 (淑女(レディ)……ねぇ)
 「なんや、ゆきちゃん、何か言いたいコトがありそうやな?」
 「い、いえ、滅相もありません!」

 で、ボクは昨日、ココへ来たときと同じ、シャーリーテンプルの、黒を主体にしたミニドレスに着替えた。
 ただし、かりんさんの強固な主張によって、下着──スリップとショーツは黒のレース地のものに替えられてる。逆にオーバーニーソックスは白一色でタイツみたいに薄い素材のものを履かされた。
 もちろん、髪型もエクステ込みでキチンと整えてもらった。
 昨日はそのまま後ろに流して根元をリボンで緩くまとめるだけだったけど、今日は後ろ髪をひとつにまとめてざっくりと大きな三つ編みにしてから、そのまま左胸の前に持ってきて、先端近くに大きめの深紅のリボンを結んでいる。
 「おお、ナイス・エビテール! かりん、さすがだ」
 「ふっふっふ、そーやろそーやろ」
 ふたりが意味不明な会話をしてる。
139今日からお姉ちゃん:2010/09/01(水) 14:05:53 ID:BwtTfcse
 「じゃ、そろそろ行こうか、ゆき」
 「うん」と返事しかけて、ボクは、はたと気づいてかりんさんの方を見た。
 「ん? ……ああ、なるほど、どういう口調でイったらエエか、わからんのやね。うーーん……「お嬢様」をベーシックにしつつ、あまりエラそうじゃなく、むしろ謙虚な面を前面に押し出した「お嬢さん」が、最適やと思うで」
 わーー、師匠もまた、無茶ブリするなー。
 とは言え、ボクも伊達に半日「修行」は受けてないからね。
 ──コホン! んっ、ンンッ……。
 一瞬目を閉じ、咳ばらいしてから、ボクは師匠(かりんさん)が言ったような人物像を脳裏に思い浮かべる。
 (ボクはお嬢さん……わたくしは、良家のお嬢さん……)
 心中で自分に言い聞かせながら、兄さんの左肘に軽く手をかけつつ、意識して高めに作った声で促した。
 「──はい、それでは、お兄様、参りましょう」
 「…………」
 途端に、ポカンと大口を開ける兄さん。
 「あの……お兄様? わたくし、どこか変でしょうか?」
 「い、いや、全然、まったく、これっぽっちもそんなコトはないぞ!
 じゃあな、かりん。この借りは今度会う時返すよ」
 「かりんさん、諸々ありがとうございました」
 我に返った兄さんの言葉に合わせて、ボクも両手を腰の前で揃えて深々とお辞儀する。
 「いやいや、ウチもなかなか楽しませてもろたさかい、気にせんでエエよ、雄ちゃん、ゆきちゃん」
 いかにも「いい仕事をした!」と言わんばかりのステキな笑顔で手を振るかりんさんに見送られて、ボクらは彼女のマンションをあとにしたのだった。

#あいも変わらず蝸牛の歩み。次回は、短めの雄馬のモノローグを挟んでから、妹の好実と「ごたいめーん」です。
140名無しさん@ピンキー:2010/09/02(木) 00:39:35 ID:6AA4vJTk
GJ!
141今日からお姉ちゃん:2010/09/04(土) 23:36:15 ID:5d7aUXpu
 <兄's View>

 「それで、お兄様、好実には前もって話してあるのですか?」
 上品に膝を揃えて助手席に座っている黒衣の美少女が、はんなりとした(普通は京美人とかに使う形容なんだろうけど、まさにそんな感じなのだ)微笑を湛えて聞いてくる。
 「うんにゃ。こーゆーコトはサプライズが大事だろ。だから、家に帰った時、ゆきも別室で一時待機しててくれ。パーティ用の料理やケーキは、後部席に積んであるから」
 と、平然とした風を装っては答えてはいるものの、実は俺の精神状態はケッコーヤバい。
 (お、落ち着け、日下部雄馬! コイツは男、しかも弟だ! 確かに、俺の理想にドンピシャだが……オトコなんだ!)
 ──訂正、めっちゃヤバい。

 「モゲろ」と非難されるのを承知で言うが、こう見えて俺はそれなりにモテる。
 いや、中学2年くらいまでは、ごくごく地味な優等生(ホラ、いるだろ? 成績はそこそこいいのに影が薄くて目立たないヤツ)タイプだったんだけどね。
 それが中3の時、父親の再婚で義母と義弟が出来た。
 母さんは、あの親父のノリについていける肝っ玉と、実子含めた俺達子供3人を分け隔てなく愛する優しさをもった人で、俺のダサい格好にも色々アドバイスして身ぎれいにしてくれた。
 また、柚樹という俺を慕ってくれる弟ができたことで、弟妹が誇れるような兄になりたいという欲のようなモノが俺に出てきたんだ。
 で、一念発起して生徒会長に立候補したところ、運よく当選。その生徒会活動を通じて、人との接し方を学んだ俺は、高校に入る頃には、既に1年前とは別人のような社交性とノリの良さを身に着け、周囲の好感を集めるようになっていた。
 母さんは「やっぱり、あの人の血よねぇ」と笑ってたけど。心外な!
  で、高校から始めた柔道も、元々筋が良かったのか、みるみるうちに上達して、3年の時には主将を任されるまでになったし、周囲の薦めで高校でも生徒会に入り、同じく3年時には生徒会長に就任した。
142今日からお姉ちゃん:2010/09/04(土) 23:36:40 ID:5d7aUXpu
 多少自惚れさせてもらえば、容貌もそう悪くはない。美形と言い切るには少々骨太過ぎるだろうけど、中の上くらいは十分クリアーしてると思う。
 そうなると……まぁ、入れ食いなワケですよ。と言っても、暴力とか弱みに付け込むようなコトは一度もやってないぞ? 「来る者拒まず、去る者追わず」をポリシーにしてただけで。
 ストライクゾーンがそれなりに広いという自覚はあるし、ややロリっぽい下級生から、教育実習生のお姉さんまで、美味しくいただいた実績もある。
 ただ、関係的にはガールフレンド(セフレ含む)止りで、いわゆる恋人同士の関係になった女性はいなかった。それは大学に入ってからも相変わらずで、どうも、こう、「おつきあいしたい!」と思う女性が現れなかったのだ。
 そんな俺が、どうしてこうも弟の女装した「絵に描いたような美少女」が気になって仕方ないのだろう?
 ──いや、まぁ、答えは出てるんだが。

 「いえ、お兄様だけに準備を任せるのは悪いですから、わたくし、手伝います」
 ニッコリとあどけなく微笑む「ゆき」。クッ……まさか、コイツがこれほどのナリキリ演技派だったとは!
 と言うより、俺としては自分がロリコンだったコトがショックだな、ヲイ。
 高二の時、ひとつ年下だけど、どう見ても中学生1、2年にしか見えない未成熟な後輩を抱いたコトはあるが……。あ、でも、ゆきも来年中学生だし似たようなモンか?
 いや待て、この場合、相手は「男の娘」だからショタコン? あるいは義理とはいえ弟だからブラコン?
 いやいや、でも、俺はあくまで、この目の前の可憐な「少女」に心奪われたワケで……。
 思考が堂々巡りをする中、無事に家まで運転ではきたのは奇跡に近いと思う。
 「じゃ、ゆきはコチラのケーキを持って来てくれ。残りは俺が運ぶから」
 「はい、わかりました」
 あー、もう、とりあえず一旦考えるのヤメ。今は好実のバースデーパーティに集中しよう。
143今日からお姉ちゃん:2010/09/04(土) 23:37:09 ID:5d7aUXpu
 <妹's View>

 今日は、あたしの誕生日。
 大好きなお父さんとお母さんは、残念ながらお仕事で帰って来られないそうだけど、お兄ちゃん達が、「俺達がその分気合い入れるから、期待してろよ」と言ってくれた。
 だから、とても楽しみ。
 学校はもう冬休みに入ってるし──あたしの誕生日、12月23日なの──お寝坊さんしてても平気だから、今日は10時くらいまでベッドの中でゴロゴロしていた。
 ──コン、コン
 と、そこへあたしの部屋をノックする音が。
 「このみィ、いくら冬休みだからって、こんな時間まで寝てると、まぶたがくっついちまうぞ?」
 「はーい、今起きるー!」
 雄馬お兄ちゃんの声に素直に返事して、ベッドから出て、昨日の晩から用意しておいた、ちょっとだけよそ行きの服に着替える。
 えへへ、あたしだってわかってるんだよ。
 一階のリビングでゴソゴソしてたのは、あたしの誕生日パーティの準備してくれてたんだよね?
 そんなトコへ、パジャマ姿で下りていくほど、あたしは「くーきのよめない女」じゃないモン。
 リビングに入ると、予想通りそこは、色紙のチェーンや「好実、11歳のお誕生日おめでとう」と書かれた横断幕で綺麗に飾りつけられ、テーブルの上には色んな御馳走が綺麗に並べてあった。
 「うわぁ〜、おいしそー!」
 思わず目がハート型になるあたしに向かって、「パンッ」という音とともにクラッカーが鳴らされる。
144今日からお姉ちゃん:2010/09/04(土) 23:37:43 ID:5d7aUXpu
 リビングに待っててくれたのは、雄馬お兄ちゃんと……誰だろう、知らない女の人?
 中学生くらいかな。ちょっとゴスロリっぽい黒のミニドレスが、なんて言うか「お嬢様」っぽい雰囲気に、とてもよく似合ってる。
 薄くお化粧してるみたいだけど、同性のあたしから見てもスゴく可愛いし、なんだか年齢より大人っぽく見える感じ。
 いいなぁ〜、あたしも将来、こんな人になりたいなぁ。
 「誕生日おめでとう、好実。とりあえず、コレは俺達からのプレゼントだ」
 と、雄馬お兄ちゃんは、あたしが好きなグーテン・ハウンドの大きなぬいぐるみを渡してくれた。
 「わぁ♪ 雄馬お兄ちゃん、ありがとー」
 リボンをかけられた、50センチくらいあるわんこのぬいぐるみを抱きしめる。
 「えっと……ところで、そちらの女の人は? 雄馬お兄ちゃんのお友達?」
 首を傾げつつ尋ねると、雄馬お兄ちゃんと女の人は顔を見合わせた。
 口を開こうとした女の人の耳元に、雄馬お兄ちゃんが何か囁いた。
 「(えぇっ……本気ですか?)」
 「(いいじゃないか、気づいてみないみたいだし)」
 「(もぅっ、どうなっても知りませんからね!)」
 小声で話合ってたかと思うと、三つ編みにした髪をなびかせながら、女の人があたしの前に歩み寄って来た。
 うわぁ〜、歩き方からして、何か「お嬢」っぽい。
 「お誕生日おめでとう、好実ちゃん。雄馬お兄様には、いつもお世話になってます。わたくしのことは……ゆき、高代ゆきと呼んでくださいね」
 そう言って、すごく上品に微笑む「ゆきさん」の笑顔に、不覚にもあたしは見惚れてしまった。
 ふぇえ〜、コリャ本物だぁ。本物のお嬢様って、いるトコロにはいるんだねぇ。
 「将来こんな人になりたい」とか考えた1分前のあたしに、「や、無理無理!」とツッコミを入れたくなる。
145今日からお姉ちゃん:2010/09/04(土) 23:38:09 ID:5d7aUXpu
 「そうそう、そして、そのゆきは、好実、お前の「お姉ちゃん」でもある」
 雄馬お兄ちゃんがニヤニヤしながら、「爆弾」を落として来た。
 「ちょ……」
 「ええっ……てコトは、ひょっとして、ゆきさんって雄馬お兄ちゃんの恋人さん!?」
 すごーーい! 「俺は自由に生きる風だよ」とかカッコつけてた雄馬お兄ちゃんが、ついに彼女を作ったんだぁ。
 あ、でも、ゆきさんが相手なら納得かも。すごい美少女な上に優しくて上品そうだし、お兄ちゃんのワガママを受け止めつつ、言うべきコトはキチッと言ってくれそう。
 「「ええっ!?」」
 あれ、ふたりとも、何でそんなに驚いてるの?
 「だって、雄馬お兄ちゃんの恋人だから、将来お兄ちゃんと結婚したら、あたしのお姉ちゃんになるんでしょう?」
 「(そうか、そのテがあったか!)」
 「(ど、どうするんですか、お兄様?)」
 「(えぇい、こうなりゃアドリブで乗り切るしかないだろ!)ハッハッハ、実はそうなんだよ。まぁ、実際に「お義姉ちゃん」になるのはまだ先のことだけど、好実には紹介しておいた方がいいと思って」
 「やっぱり〜。うん、あたし、ふたりのこと応援するよ」
 ゆきさんみたいな人が「お姉ちゃん」になってくれたら、あたしもすごく嬉しいしね。
 「ゆきさん、雄馬お兄ちゃんは、少々お調子者で時々悪ノリするけど、本当はとてもいい人なんです。見捨てないであげてくださいね!」
 ギュッとゆきさんの両手を握ってお願いをすると、ゆきさんは、ちょっと困ったような顔をしつつ頷いてくれた。
 「え、ええ、それはよく知ってますから」
 「ありがとうございます! それで、あの……「お姉ちゃん」って呼んでいいですか?」
 上目使いに尋ねると、ゆきさんは今度はクスリと優しい笑みを浮かべつつ、大きく頷いてくれた。
 「ええ、もちろん、構いませんよ」
 「やたーーーっ!!」
 跳び上がって喜ぶあたしを、雄馬お兄ちゃんとゆきさんはニコニコしながら見ている。
 こんな素敵な「お姉ちゃん」が出来るなんて、サイッコーの誕生日プレゼントだよ〜!
 ……ところで、さっきから姿が見えないけど、柚樹お兄ちゃんは、どこ行ったのかな?

#かりん編が長過ぎたので、妹遭遇編はアッサリ風味に。次回、いよいよエロエロ編、始まるよ!(って言っても所詮私の筆力ですから大したコトありませんけど)
146名無しさん@ピンキー:2010/09/05(日) 01:14:18 ID:rQEgFaWF
wktk
147名無しさん@ピンキー:2010/09/05(日) 12:46:30 ID:DEVEqnF1
流れぶった切ってすまんが、どうしても報告したかったので……

御大・前橋梨乃さん復活!
ttp://www.rino-m.jp/rino-2/
148名無しさん@ピンキー:2010/09/06(月) 03:21:17 ID:ulk/O+/v
いいぞいいぞ!
149名無しさん@ピンキー:2010/09/06(月) 23:36:31 ID:hPyOvvO+
女装を扱っている作品の二次とかは投下おkなの?
150名無しさん@ピンキー:2010/09/07(火) 00:15:14 ID:R/Rt0k5p
無問題
151名無しさん@ピンキー:2010/09/08(水) 23:57:12 ID:GkXkuF58
>今日から〜
よし、存分にモゲるが良いよ。(笑)
続きwktk

>149
「そう思ったなら、既に行動は終わって(ry
投下した。なら使ってもいい!
152今日からお姉ちゃん:2010/09/11(土) 22:26:22 ID:PcVmpM2t
 いろいろ面倒な事情を込みで始まった好実のバースデーパーティだけど、パーティ自体は例年どおり──て言うか例年以上に盛り上がって、主役である好実は大満足だったみたい。
 コレは、やっぱり初めて「お姉ちゃん」ができたことが、うれしかったからだろうなぁ。
 (はぁ……いくら好実ちゃんのためを思ってのこととは言え、その本人を騙しているという事実には、やっぱり、罪悪感を抱いてしまいますわね)
 ちなみに、本来のボク──日下部柚樹の行方については、兄さんがトンデモない誤魔化し方をしてくれた。
 いわく、わたくし──高代ゆきは旧家の箱入りお嬢様で、本来は今日もお稽古事があって屋敷を抜け出せなかったんだとか。
 (けれど、雄馬さんに誘われたお誕生会にどうしても行きたかったわたくしは、彼のアドバイスで仮病を装って自室にこもってから、こっそり屋敷を抜け出しました)
 ただ、お付きのメイドさんが協力してくれてるとは言え、ゆきが寝てるはずのベッドが空だと露見するとマズいので、変装した柚樹を影武者代わりに置いてきた……って設定らしい。
 ──何、その穴だらけのホラ話?
 (もっとも、好実ちゃんは、「すごい、マンガみたーい!」って素直に信じてましたけど……)
 素直で純心なのはとってもいいことですけど、そのまま世間に出た時、簡単に騙されちゃうんじゃないかと、ちょっと心配になりますわね……って、ダメだダメだ。
 「良家のお嬢さん・高代ゆき」の演技を、もう6時間以上続けているせいか、口に出す言葉だけじゃなく、頭の中でもお嬢さんっぽく考えちゃってるよ、ボク。
 「どうかしたの、お姉ちゃん?」
 微妙にシャレになってないコトに気付いたボクが、頭を軽く横に振っていると、好実が声をかけてきた。
 「いえ、何でもありませんよ、好実ちゃん」
 ちょっと心配そうな妹に、反射的にニッコリ微笑んで見せちゃうあたり、ボクも結構見栄っ張りなのかもしれない。
 ちなみに、今はみんなでパーティーゲームをしているところ。すごろくと言うかモノポリーっぽいアレね。
 現在、クレバーな兄さんと運と勘がいい好実が1位争いしてて、ボクはダントツの最下位なんだけど……。
 好実は「やっぱりお嬢様だから、こういうのに慣れてないんだ〜」と好意的に解釈してくれてます、ハイ。
 (ゴメンなさい、好実ちゃん、じつはコレがわたくしの実力なんです……)
 サイコロ目が非常に悪いのと、目先の利益についフラフラ流されちゃうんで、この手の運と知略の両方が必要なゲームでは、いっつも負けっぱなしなんだよねー。
153今日からお姉ちゃん:2010/09/11(土) 22:26:55 ID:PcVmpM2t
 ──ブルルッ……
 「す、すみません、好実ちゃん……」
 少しだけ頬を染めながら、好実の耳にあることを囁く。
 「……うん、わかった。こっちだよ、お姉ちゃん」
 「あン? どーした、好実、ゆき?」
 不審げに顔をあげた兄さんに「メッ!」と指を突きつける好実。
 「雄馬お兄ちゃん、女の子にはね、色々あるんだから、詮索したらダメだよ」
 「?? ……ああ、トイレか」
 兄さんが口に出した言葉に、なぜか自然と頬が熱くなってしまう。
 「おーにーいーちゃん! でりかしーのない男性は嫌われるよ? お姉ちゃん、真っ赤になってるじゃない」
 え、いや、そんなはずは……お、御手洗いに行くのは別に恥ずかしいことじゃ……で、でも、よりによってソレを雄馬お兄様に……きゅう〜。
 「だ、大丈夫、お姉ちゃん?」
 「え、ええ、だいじょうぶ、ですわ」
 好実に支えてもらいながら、何とか平常心を取り戻す。
 ──はぁ、ボクって結構自分の演技に酔っちゃうタイプだったんだなぁ。
 さっき、完全に「好きな男性におトイレに行くコトを知られたお嬢様」になりきっちゃってたよ。
 まさかボクが失神しかけるとは思わなかったのか、兄さんも「す、すまん、ゆき。確かに淑女に配慮が足りなかったな」って謝ってくれてる。兄さんの方も半分、コレが演技だということを失念してるのかも。

 とりあえず、ふたりで顔を赤らめてお見合いしててもしょうがないので、ボクは好実に案内されて、お手洗いに向かった。
 や、もちろん自分の家だから場所くらい知ってるけど、「始めてこの家に来たはずの高代ゆき」が間取りを知ってるのはヘンだからね。
 「ありがとう、好実ちゃん」とお礼を言ってから狭い(と言いつつ、ウチのトイレは割かし広めなんだけど)に籠る。
 ワンピースの裾をまくってショーツを膝まで下ろし、スカートが皺にならないように気をつけながら便座に腰を下ろす。
 ……って、今、ボク、何の躊躇もなく座っておしっこしようとしたよね?
 マズいなぁ。いや、今のアソコをテープでとめられてるから、確かにこうしないとおしっこもできないんだけどさ。
 普通ココは、立ったままおしっこしようとして便座を上げたり、それが原因で男だとバレたりするのがお約束じゃないの?
 別に無理にバレたいわけじゃないけど、ボク、どんどん女の子としての習慣に染まってるような……。
154今日からお姉ちゃん:2010/09/11(土) 22:29:00 ID:PcVmpM2t
 まぁ、難しいことを考えるのはあとにしよ。とりあえず、先におトイレしとかないと。
 普段おしっこするとときとはまるで違う、なんとも言い難い感覚でボクの股間から尿が滴り始め、すぐにそれはプシャーッという飛沫に変わった。
 テープでおちんちんごと尿道が押さえられてるからだろうけど、かりんさんいわく、「まさに、コレが女の子のおしっこする様そのもの」らしい(うん、ちゃんと尿が出せるか、昨晩実験されましたよ。うぅっ……)
 いつもより長く感じられる排尿の時間を過ごしてから、そこを拭くためにトイレットペーパーに手を伸ばす。
 (はぁ……これじゃあ、わたくし、まるっきり女の子ですね)
 冗談半分に心の中で呟きながら、視線を前にやってドキッとする。
 ウチのトイレのドアには、身だしなみを整えるために内側に鏡が取り付けられてるんだけど、そこには「黒と白のゴスロリちっくな服装をした可憐な女の子が、おしっこを終えてアソコを拭こうとしている」姿が写っていたんだから。
 ──ボクは、胸の鼓動が加速していくのを止められなかった。

#というワケで、短めですが今回はココまで。寸止めサーセン。
#次回はトイレでモヤモヤしちゃうイケナイゆきちゃん編。早ければ明日の深夜あたりにお届けできるかも。

>149さん
書いちゃえ書いちゃえ!
私も本作の合間に、誰得ですが、短めの「けいあすアフター」を2巻が出た記念に書こうかと企んでいますし。
155名無しさん@ピンキー:2010/09/15(水) 02:48:41 ID:l7JRdsxw
つC
156名無しさん@ピンキー:2010/09/15(水) 07:54:45 ID:jEYoa5RP
ラノベの「えむえむっ」で、主人公の憧れの少女・シホリ姫が、自分の正体を暴露した時、
原作と違って主人公が「それでもいいっ!」と熱暴走して抱きしめてキスをかまし、
そんな思いにシホリ姫(仮)も流され、いきつくところまでいっちゃう話とか、需要ある?
(いや、主人公ヘタレだから、そんなのありえねーってのも確かなんだけど)
157名無しさん@ピンキー:2010/09/15(水) 08:33:40 ID:/ruwZ0o+
すっかり身も心もお嬢様なユキちゃん可愛いよユキちゃん(*´д`)ハァハァ

「今日から」お姉ちゃん……
今日から(ずっと)お姉ちゃん?
今日から(いつまで)お姉ちゃん?
…まぁいずれにせよ
ゆーま『お兄様』に美味しく頂かれるシーンは、じっくり、たっぷり、ねっとりとお願いします。なんとなれば好美やかりんお姉さまとの百合シーンとかも是非w

>>156
ぜひ行き着くトコまでイッちゃってくれw
158今日からお姉ちゃん:2010/09/16(木) 23:25:25 ID:At8eDLfU
 ゴクッ、と音がしそうな勢いで唾を呑み込んでから、できるだけ気を落ちつけて、ボクはひとまずソコを右手に巻いたトイレットペーパーで拭いた。
 昨晩テープを貼られてから、この状態でおトイレに行ったのは、寝る前、起きた直後、かりんさん家を出る直前、そして今が4回目だ。
 でも、前の3回はこの状態に不慣れなことと、よその家にいるということの緊張感で、とくに何事もなく済ませることができたんだけど……。
 どうしよう。なんだかヘンな気分になってきちゃったよぅ。
 そりゃねボクだってもう12歳だから、オナニーくらい知ってるし、シてる──あ、でもたまに、だよ? 週に1回くらい。
 ペース的には一昨日の晩にシたばかりだから、そんなにシたくなるはずないのに……。
 ボクは、息を殺して、テープの切れ目から先っちょだけ出ているおちんちんに右手を伸ば……そうとして躊躇った。
 (今の状態でテープが剥がれたりすると、やっぱりマズいよねぇ?)
 素の状態でワンピース着て、万一おっきくなったら、一発でバレちゃうだろうし……。
 かりんさんの家を出る前に例の「アソコに血が集まりにくくなる薬」の粉薬を飲まされたから、たぶん大丈夫だとは思うんだけどね。
 やむなくボクは、両方の太腿の付け根──擬似的に女の子のアソコっぽい形になってる部分に指先で触れた。
 「あッ……」
 股間のその部分──具体的には後ろに折り曲げられたおちんちんの付け根を触るだけでも、じんわりと気持ちいいのは意外な発見かも。
 ツンツンと繰り返し刺激を与えると、下半身がなんとも言えない気分になってくる。ただ、それは普段おちんちんを触ってる時と違って、もどかしいほどに緩やかな興奮だった。
159今日からお姉ちゃん:2010/09/16(木) 23:26:07 ID:At8eDLfU
 気がつくとボクは、右手でソコを触りながら、左手をなぜか自然に右胸に当てて、ペッタンコ(男のコだから当たり前なんだけど)のはずのそこをゆっくりと撫でさするように揉んでいた。
 学校でスケベでお調子者の友達にコッソリ見せられた、ちょっとHなマンガの中で、ヒロインの女の子が部屋で「シてる」時のポーズが、こんな感じだったかも。
 (そう言えば、あのコも、こんな感じのワンピース着てたよね)
 思い出すと、余計にヘンな気分になってくる。
 「はぁン、切ない、よぅ……」
 吐息を漏らしながら、左右の手の刺激を続けるボク。
 確かに気持ちいいんだけど……どこか物足りない。でも、だからといって、テープを剥がして、おちんちんでスるわけにはいかないし、第一薬のせいか、そんなに硬くなってない。
 もやもやした気持ちをもて余するボクの脳裏に、昨晩、お風呂でかりんさんに全身キレイに洗われた時の記憶が蘇った。

 あの時、他人(それも綺麗な女の人)の手でおちんちん洗ってもらったことにももちろん興奮したけど、それ以上に驚いたのは、胸の乳首をいぢられた時の電流が走ったような衝撃。
 そして──「男の娘なら、こっちもキレイにしとかんとな!」と言われて、お尻を広げられ肛門に直接シャワーの水流を当てられた時の背筋に走ったゾクゾクするような感覚。
 さらに穴の周辺を丁寧にボディシャンプーで洗浄されたのち、かりんさんは人差し指(たぶん)を第一関節くらいまで、ボクの肛門に突き入れたんだ!
 「はぅン! か、かりんさん、何を……」
 「ん? エエことやー(まぁ、「気持ちエエこと」かもしれんけどな)」
 シャンプーでニュルニュルになってたボクのお尻の穴に、かりんさんのいともたやすく指を入れて、穴の付近を優しくかき回した。
 「にぃゃあぁ……や、やめてくださ……なんか、ヘンなきもちに………」
 「いやいや、ゆきちゃん。女の子なら、本来汚いトコロ──股間とか、脇の下とか、お尻の穴とかほど、お風呂ではキレイにせんといかんのよ」
 わざとらしいくらいたっぷりボディシャンプーを付けた指で、かりんさんは楽しそうにボクのソコをいぢりたおしたんだ。
160今日からお姉ちゃん:2010/09/16(木) 23:27:05 ID:At8eDLfU
 (な、なんでこんな時に、思い出しちゃうのよ、もぅ……)
 チラリと横に目をやれば、手洗用小型洗面台の横に液体ハンドソープが置いてある。
 (だ、ダメよ、ゆき、何考えてるの!?)
 で、でも、このままだと、なんだか歩くのもぎこちなくなりそうだし……。
 (そ、それは……わかったわ。けど、ほんのちょっと、試すだけよ。ね?)
 心の中の「わたくし」と会話した後、ボクは右の中指の先にハンドソープの液をちょっとだけ付け、大きくまくりあげたスカートを口でくわえる(コレも、例のマンガでヒロインがしてた格好を真似してるんだけどね)。
 ドキドキしながら右手をゆっくりと股間から後ろの方へと伸ばす。手探りで右中指の先がお尻の穴に届き、ヌルヌルのせいか思いがけないほどあっけなく、ニュルリと中に入り込む。
 「! ッッッーーーーーーッ!!」
 幸いなことに、スカートの端をくわえていたおかげで、ボクの呻きはほとんと外に漏れることがなかったけど、もし口が空いてたら、かなり大きな声で叫んでしまっていただろう。
 痛みでも苦しみでもなく、間違いなくあまりの気持ち良さに。
 (だ、ダメ。こんなの続けてたら、おかしくなっちゃう……)
 もっと奥へ入ろうとする中指を無理やり引き抜き、ボクはショーツを履き直そうとしたんだけど……。
 肛門の少し前、折り曲げられたおちんちんの先端がある場所が、おしっこ以外の液体で濡れていた。
 「あ……なん、で?」
 問いかけるまでもなく、ボクも気づいていた。
 さっきまでのアレが気持ちよかったからだ。オナニーする時も、おちんちんが勃った時、透明な液体が先っちょから出てたし。
161今日からお姉ちゃん:2010/09/16(木) 23:28:28 ID:At8eDLfU
 でも、今のボクのおちんちんは勃ってないし、手で触ってもいないのに、ソコからヌルヌルの液をいつも以上にダラダラと垂れ流していた。
 「ふ、拭かないと……」
 再度トイレットペーパーを手に取り、ソコを拭ったけど、完全に拭き取れてない。いや、拭いても拭いても(ペーパーで刺激されてることもあって)滲み出してくるのだ。
 なんとか「じんわり湿ってる」というレベルに落ち着いたのを確認してから、ボクは黒のショーツを引き上げて股間を隠した。
 さすがにあまり長時間トイレに籠ってると、好実が心配するだろうから、手早く手を洗い、扉の鏡を見ながら身だしなみも整えた。
 鏡の中の「高代ゆき」は、髪がわずかに乱れ、服にも多少皺ができていたが、なぜかさっきまでよりも色っぽく……そしてどこか大人びて見えた。

#と、イケナイひとり遊び(未遂)でした。TPOを考えてガマンした「ゆきちゃん」の意志の固さは大したものですが、その分いまだ体内に「疼き」を抱えているワケで……。次回に乞うご期待!
#鋭い! ↓
>今日から(ずっと)お姉ちゃん?
>今日から(いつまで)お姉ちゃん?
162名無しさん@ピンキー:2010/09/17(金) 00:26:37 ID:QADTJ3M5
ええぞええぞ〜
163名無しさん@ピンキー:2010/09/17(金) 02:30:36 ID:HgpsxhaW
いいぞ!盛り上がってきた!
164名無しさん@ピンキー:2010/09/20(月) 05:23:25 ID:ReWN7TGf
女子校が共学に移行→一人目の男の娘入学→先輩やクラスメイトから可愛がられる
165名無しさん@ピンキー:2010/09/20(月) 11:13:10 ID:y18rKd0J
「オレは女子高生」ですか。
166名無しさん@ピンキー:2010/09/20(月) 17:18:06 ID:TPWhzixm
そんな感じのを読んだ記憶があるが作者名が思い出せない。
167名無しさん@ピンキー:2010/09/20(月) 23:52:41 ID:qJFqj2st
最近はやたら商用に走るサイトが多い気がする。
しかも自分がピンポイントで読みたいのに限って。
168名無しさん@ピンキー:2010/09/21(火) 16:22:11 ID:Fl8Cq6iT
商用って「続き読みたいならお金払ってね」って感じのやつ?
169名無しさん@ピンキー:2010/09/21(火) 20:59:07 ID:5nO5T6t6
>>168
それとか、最初からDLサイト.comに誘導するやつとか。
170今日からお姉ちゃん:2010/09/23(木) 13:41:16 ID:8/Kl7LaZ
 <兄's View>

 クソッ! どうなってるんだ、一体……。
 弟の女装した姿である「ゆき」は、さっきまででさえ十分に女の子らしかった。百戦錬磨とは言わないまでもそれなりに女性経験豊富な俺が、ドキッとして惑わされそうになるくらい。
 けど、トイレから帰って来た彼女は、明らかに様子が違った。
 先ほどまでが「少しでも汚すのを躊躇われるような幼き無垢なる聖女」だとしたら、今のゆきは「清楚な白き花弁が目に眩しいが、それでも花芯から漂う馥郁(ふくいく)たる雌の香りが男を魅惑して止まない一輪の花」だ。
 ──え、何を言ってるかわからない? うん、俺も!
 要はそれだけ混乱しているのだと思ってくれ。
 しかし、この魅了効果は同性(?)には効かないのか、好実は平気な顔でゆきと言葉を交わして、はしゃいでいる。
 結局、集中力と思考力が欠片もなくなった俺がビリでボードゲームは幕を閉じた。

 ダメだ! こんな状態のままでいたら、俺は自分の理性に自身が持てなくなる。
 「好実、そろそろゆきを送って行かないといけないから……」
 「えー、そうなの? まだ早いのにィ」
 残念そうな好実だったが、タイミングよく電話がかかって来た。どうやら、友達が誕生日のお祝いをしてくれるらしい。
 ちょうどいいので、俺は愛車に好実とゆきを乗せ、まずは好実をその友人達のところへ送り届ける。
 続いて、本来はゆき──柚樹も、かりんの店にでも送って、いつもの格好に戻してもらうべきなのだろうが……。
 その時、俺の脳裏からは、隣りに座る「高代ゆき」という少女が、本当は自分の弟であるという意識は、ほとんど消え去っていた。
 俺は無言でハンドルを切り、自宅へと向かった。

 * * * 

 何となく予感はあった。
 ──いや、期待していたのかもしれない。
 なぜなら、「ゆき」としてのボクを想像の中で抱いていたのは、いつも兄さんだったから。
171今日からお姉ちゃん:2010/09/23(木) 13:42:04 ID:8/Kl7LaZ
 何かを堪えるような(元が同性だけにボクにもその意味は分かった)顔した兄さんは、家へとクルマを走らせ、助手席から降りたボクの手を引いて、無言のまま家に入る。
 けれど、そのまま二階へと上がり、3つ並んだボクたちの部屋の前まで来たとき、一瞬立ち止まり、ギリッと奥歯を噛みしめたのち、ボクにこう言ったんだ。
 「──ほら、柚樹、自分の部屋で着替えろよ」
 ……って。
 「お、俺は……ちょっと用が出来たから出かける。鍵は閉めちゃっていいぞ」
 え? いっちゃうの? 本当に?
 ──ボクの事、大切にしてくれてるんだ。
 「……ゆ、き?」
 気がついたらボクは、兄さんの手を掴んでいた。
 「やぁ……いっちゃ……やだぁ」
 「お、おい、ゆき、手を……」
 放せと彼が言い終える前に、上を向いて兄さんの口にボクの唇を押しつける。
 (あぁ……わたくし、ファーストキスをお兄様に捧げたのですね)
 例によって心の呟きが乙女ちっくに変換されるけど、もぅそれは気にならなかった。
 一瞬驚いた顔をしたのち、兄さんはボクを思い切り両手で抱きしめてくれた。
 「バカ、お前、せっかく俺が珍しく紳士を貫こうとしてんのに」
 「ウフフ……雄馬お兄様に無理は似合いませんわ」
 「はは、違いない」
 ふわりとその逞しい両腕でお姫様だっこの形で抱き上げられると、そのまま今度は兄さんの方からキスしてきた。
 差し入れられた彼の舌が、ボクの口内をなぞっていく。初めての体験なのに、気が狂いそうなくらい気持ちいい。
 口づけを交わしたまま、兄さんは足で自室の扉を開けると、ボクを抱いてその中へと入る。
 「知ってるか? 欧米では、結婚式のあと、新郎は新婦をこんな風に抱っこして新居に入るという習慣があるんだぞ?」
 唇を離して、兄さんが耳元で囁く。
 「あら、それでは、わたくしは、これからお兄様のお嫁さんにされてしまうのですね?」
 ふざけて言ったつもりだったのに、兄さんの顔は恐いくらいに真剣だった。
 「ああ、その通り」
 言うが早いか再びボクの唇を貪った。
 舌を絡め、互いの唾液を交換して飲み干す。
 「あぁン……何だかじんじんする……体中がじんじんして、おかしいのぉ」
 「可愛いぞ、ゆき」
 可愛いと、綺麗だと彼に褒めてもらうだけで、身体の芯が熱くなっていく。
 まるで、身体だけでなく脳までもとろける感じ。
 兄さんの言葉だけでも、ボクの体は反応するようになっている。
172今日からお姉ちゃん:2010/09/23(木) 13:42:50 ID:8/Kl7LaZ
 そのまま、優しくベッドの上に横たえられ、今度は軽いキスののち、兄さんの手がボクの体中を撫で回し始めた。
 「ふわぁあっ……」
 不思議。気持ちが高ぶるほど、体中がおかしくなっていく感じ。彼の手がボクのどこをなぞっても、刺激が、快感が伝播して、気持ち良さに狂ってしまいそうになる。
 「感じやすいんだな……ゆき。ますますいぢめたくなるぞ」
 「やぁん……い、いぢめないで、お兄様ぁ……は、恥ずかしい……」
 「へぇ……肌、凄く綺麗だ」
 「あひゃっ! くうんっ……ひゃうっ……気持ち……いいよぉ……」
 襟元をはだけられ、黒い下着に包まれた胸元が露わになる。
 「ほぅ……黒か。意外だったけど、よく似合ってる」
 「ひゃ! ん……ホント?」
 彼の舌がボクの首から鎖骨、そして胸元のあたりを這う。
 耳やうなじなどの敏感な部分を舐められると、身体が勝手にびくんっと小刻みに痙攣してしまう。
 「可愛いさくらんぼだ」
 その一方で、お兄様はわたくしのブラジャーをズラし、ペッタンコの胸を愛撫し始めました。
 「あぁ……ダメぇ、見ないでぇ……」
 わたくしの制止も構わずにお兄様の手は、優しく、けれど大胆にサワサワとわたくしの未成熟な胸を弄んでいます。
 あるいは羽根で撫でるように軽く触れ、
 逆に密着させた掌をにギュッと力を込めて揉みしだき、
 さらに胸の先っちょ──乳首を指先で摘みあげる。
 「やぁ……む、むね……むねぇ……ふあぁん、やだ、やめて……」
 わたくしは、予想だにしなかった未知の感覚に、翻弄され、途切れ途切れに悲鳴をあげることしかできません。
 そして。

 ──コリッ。
 「ひぁっ……そ、それぇ! し、刺激…強すぎますぅ……」
 耳元に熱い吐息をふきかけていたはずのお兄様の唇が、いつの間にかわたくしの胸のポッチをついばんでいました。
 「んっ……そうか? 悪い。あまりに美味そうだったんで、ついな。けど、普通に乳首吸っただけで、そんなになるとはいやらしい子だ」
 「そ、そんなぁ……わたくし、いやらしくなんて……ひゃあぁあんっ!!」
 い、言ってるそばから、甘噛みしないでください!
 「いや、この歳でこんだけ乱れまくるってのは、十分淫乱娘の素質あると思うぜ……こんなにエッチなコ、初めてだ」
 「うぅ………雄馬お兄様は…やらしい子は……お嫌い、ですか……?」
 涙目で見上げると、お兄様はわたくしの目の端にキスして涙を拭い、そっと囁いてくれました。
 「いいや、大好きだよ……特に、ゆきのことはな。世界で一番好きだ」
 「!! おにいさまぁ……」
173今日からお姉ちゃん:2010/09/23(木) 13:43:51 ID:8/Kl7LaZ
 <兄's View>

 嬉し涙をあふれさせたゆきの唇を自らの口で塞ぐ。
 すると彼女も、先ほど以上に積極的に舌をからめてきた。

 ──ジュク……クチュ……ピチャ……
 吐息と唾液のたてる水音だけが、しばし部屋にこだまする。
 さらに、ゆきをすっぽり抱きしめたその体勢のまま、俺は両手を伸ばして、肩から背中、脇、腰へとなだらかな曲線を包み込むように愛撫する。
 そしてついに下半身に到達した俺の手は、スカートの裾をまくりあげた。
 恍惚としていたゆきは一瞬身体を固くしたが、直ぐに俺にその身を委ねてきた。
 未知の感覚に本当は怖気づいているだろうに、それでも俺を信じてくれているのだ。
 胸に湧き上がった愛しさをフィードバックするように、剥き出しになったヒップを優しく撫でさする。
 成熟した女性とは、まろやかさの点では比べるまでもないが、滑らかで吸いつくような肌の手触りは決して負けていない。むしろ、プリプリとした若い肌の弾力が今まで体験したことのない心地よい感覚をもたらしてくれている。

 唇を離した途端、ゆきの口から歳に似合わぬ艶っぽい吐息が漏れた。
 どうやらキスだけでなく、尻への愛撫でも感じてくれているようだ。
 そのまま、小さな円を描くように愛らしい桃尻を外側から揉みしだいていた俺の手は、徐々に身体の中心線へと移動し、遂にその割れ目にまで届いた。
 慎重に黒のショーツを脱がせようとしたが……

 ──ヌチャぁ……
 「ゆき、コレは……」
 「あぁ……お兄様ゴメンなさい」
 トイレでつい尻穴をいぢり、感じてしまったというゆきの告白は、今の俺にとっては天恵にも等しかった。
 「イケナイ娘だなぁ、ゆきは。恋人としてお仕置きしないと」
 ニヤける表情を押さえつつ、俺は「おしおき」の内容を、小さな恋人に告げた。

 * * * 
174今日からお姉ちゃん:2010/09/23(木) 13:45:30 ID:8/Kl7LaZ
#とりあえずは、ここまで。週末には続きから完結まで迎えられるかな?
#なお、ゆきちゃんが耳年増な感じがするのは仕様です。あしからず。
175名無しさん@ピンキー:2010/09/23(木) 15:17:55 ID:KclHPgq8
寸止め……だと…
176名無しさん@ピンキー:2010/09/24(金) 00:34:00 ID:ANNJrcxU
寸止めせつNeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!
最後のシーンはウェディングドレス姿のゆきちゃんとタキシード姿のお兄さまのキスですね(何
177今日からお姉ちゃん:2010/09/26(日) 13:35:43 ID:zxt9b3Km
 「さ、ここに四つん這いになって」
 拒むことができず、わたくしは言われた通りにベッドに両手と両膝をつきました。
 スカートが腰までめくられます。さらに黒いショーツも完全に腿の半ばまで剥きおろされてしまいました。
 (はうぅ……これじゃあ、お兄様にお尻丸出しです……)
 恥ずかしさに、頬が熱くなります。
 「フッ、綺麗だぞ、ゆきのお尻」
 露わになったお尻の肉を、お兄様がモミモミと揉むほぐします。
 その感触に背筋を震わせつつ、どこかもどかしい気持ちもわたくしの中に湧いてきました。
 (ああ……お兄様、わたくしのお尻を……もっといぢってください)
 とくに、今まさに、丸見えになっているはずの、その部分が切ないです。
 「ふむふむ。ゆき、もうちょっとお尻あげてみな」
 お兄様がわたくしのヒップを軽く撫でます。
 さらに恥ずかしい姿勢をさせられるとわかっていても、なぜだか抵抗できません。
 下半身を甘く疼かせながら肘をつき、高々とお尻をかかげます。それによって、お尻の割れ目がぱっくりと開いているのが自分でもわかり、一層顔が赤くなります。
 「おお、ゆきは、コッチの穴も凄く可愛いな!」
 お兄様の称賛に顔が火照ります。
 (そ、そんなところ、自分でも見たことありませんのに……でも、うれしい)
 身悶えしたいほど恥ずかしいのに、なぜだか胸がドキドキします。このまま、お兄様に、ソコを無茶苦茶にされたい……そんな衝動すら湧いてきました。
 そして、わたくしの密やかな期待に、お兄様は応えてくださいました。
 ──ツン!
 「あぁぁぁっ!!」
 ソコを軽く突かれただけで、私は大声をあげてしまいました。反射的に、その部分がすぼまります。
 「お、感度良好だな。ゆきのお尻の穴、ヒクヒクしてるぞ」
 ニヤニヤしながら(いえ、この体勢では見えませんけど、たぶんそのはずです!)言ってから、お兄様は「おっと、そうじゃなかった」と訂正しました。
 「ここは、ゆきのオマ●コだもんな。だからこそ、触られるただけで感じるし、指だっておちんちんだって挿れられるんだし」
 いやらしい言葉を囁かれて、全身が熱くなります。
 でも、お兄様は、本当にわたくしを女の子として愛してくださるようです。それが、嬉しくてたまりません。
178今日からお姉ちゃん:2010/09/26(日) 13:36:19 ID:zxt9b3Km
 「い、いや…お兄様のいじわる………わたしの……お、オマ●コに、ヒドいことしないで……優しくしてください」
 意識しなくても声がか細く震え、女の子として哀願してしまいます。
 「はは、意地悪なんかしないよ。ゆきは可愛い可愛い義妹で、俺の大事な恋人だもの。
 だから……うんと気持ちよくしてやるからな」
 お兄様が、わたくしのソコに顔を寄せたらしく、温かな吐息がかかるのを感じます。
 「ふむ、ちょっと酸っぱい匂いがするな」
 つぶやきが聞こえたかと思う、次の瞬間、なにか温かいモノが穴の周囲をヌルリとこすってきました。
 「あひンッ!!」
 未知の感触に、思わず背中をのけぞらせて悶えてしまいました。気持ちいいのか悪いのか……いえ、気持ちいいのでしょうが、体験したことのないくすぐったさです。
 「ろうら、がんじるらろ(どうだ、感じるだろ)?」
 信じられないことに、今の感触は、お兄様がわたくしのソコにキスして舌で舐めてくださったようです。
 「や、やぁ……だ、ダメですぅ! そんなトコ汚い……」
 「(プハッ)はは、汚いなら余計に綺麗にしないとな。それに……ゆきだっていやらしく腰を振っちゃってるじゃないか」
 そう言われて、初めてわたくしも本心から拒んでないことに気づきました。
 「もっとしてほしいんだろ。オーケー、俺に任せろ」
 わたくしの反応に気をよくしたのか、お兄様は再びソコに唇をつけ、尖らせた舌先で穴周囲のわずかに盛り上がったすぼまりを砥めます。
 「あぁ、あぁ……だめ……ダメなのにィ」
 その悩ましいくすぐったさに、腰の裏がムズムズして、わたくしは声をあげて悶えながら、下半身をくねらせることしかできません。
 ──ピチャピチャ……チュチュッ……ペロペロ。
 本来決して人目には触れないであろう部分を、ねぶりこねまわされ、舌で蹂躙されます。むず痒さを伴う心地よさに、少しもじっとしていられません。
 おちんちんでオナニーした時みたいに即物的な快感ではありませんが、腰の底のほうから少しずつ溜まってくるような未知なる快楽。その深く昏い悦びに、わたくしは少しずつからめとられ、虜になっていきます。
 「ああ……お兄様ぁ……ゆきは、ゆきは……」
 お兄様の舌が、さらに深く穴の入口をほじります。わたくしは腰から下をガクガクと震わせながら、よがりながら、彼の名前を呼ぶことしかできません。
 ついには、両目から涙がにじんできました。
 「お、おい、ちょっと激し過ぎたか?」
 「い、いえ……き、気持ちよ過ぎて……」
179今日からお姉ちゃん:2010/09/26(日) 13:37:04 ID:zxt9b3Km
 「ほほぅ……そうか。泣くほど良かったんだな? じゃあ……」
 ──ズボッ!!
 「あああああぁぁーーーッ!!」
 突然の刺激に、わたくしはのけ反って悲鳴をあげてしまいました。
 いきなりお兄様の指が、わたくしのソコにしてきたからです。おそらく、第二関節ぐらいまでは入ってしまっているでしょう。
 「ゆきのココ、入口のところ、キツキツだな。それに感度も良さそうだし」
 そう囁きながら、お兄様がわたくしに入れた指を確かめるように中で動かします。
 「あ、や、だめ……ああン!」
 これまで経験したことのない、体内を直接触られる妖しい感覚。気持ちいいのか不快なのかすらも定かでなく、それでも、わたくしに不安と同時に同じだけの期待をもたらします。
 「だいぶほぐれてきたか。じゃあ、もう一本……」
 ──ズブッ!
 「ひぁああンっ!」
 お兄様の指が、もう一本ソコに入ってきました。
 最初こそ苦しかったものの、すでに先の指で慣らされていたせいか、しばらくするとわたくしのソコは、お兄様の2本の指を受け入れ、その与えてくれる快感に、陶然と背筋を震わせるまでに感じてしまいます。
 「ん、そろそろだな。ゆき……お前の体内(なか)に挿入(はい)るぞ。いいか?」
 !
 むしろ、それこそが、先ほどから待ち望んでいた言葉でした。
 「はい……はい、お兄様、よろこんで」
 わたくしの返事を確認すると、お兄様は立ち上がり、わたくしのヒップをつかみ、尻たぶをよりいっそう広げてお尻の穴──いえ、オマ●コを露出させました。
 そのまま腰を突き出したせいか、お兄様のおちんちんの先端部が、わたくしのソコに触れているのを感じます。
 ──ぐぐっ……ぐぬうぅっっ……ぬむむむむむっ!
 そのまま、ゆっくりゆっくりと押し付けられたお兄様のモノがわたしくしの中に侵入(はい)ってくるのがわかります。
 「ああっ! うっ……くはああっ……はぁっっつ!」
 堅く充血したモノが押し入る感触に、わたくしは身悶えします。
 「ゆき、キツいかもしれんが、息をゆっくり吐いてみろ。極力身体の力を抜くんだ」
 お兄様のアドバイスに従って息を履き、下半身から力を抜いてみます。
 気分はお兄様に捧げられた生贄、でしょうか。そのまま、アソコを貫かれる感覚にじっと耐えます。
180今日からお姉ちゃん:2010/09/26(日) 13:37:39 ID:zxt9b3Km
 ──ぬりゅっ……ぐにっ……ずんっ!
 「あふうっ……はううううぅっ!」
 お兄様のモノの大半が入ったのでしょう。その先端が腸内の奥の何かを突きあげる感覚が走りました。痛みにも似た、けれど決して不快ではない圧迫感が、脳髄まで押し寄せて来ます。
 一瞬遅れて、お兄様の下腹部がわたくしのお尻に密着しているのがわかりました。
 「よし、よく頑張ったな、ゆき。全部入ったぞ」
 嗚呼、これでわたくし、ロストバージンしちゃったんですね。
 痛みや悲しみではなく、喜びから、再び涙があふれてきました。
 「お兄様……わたくし、これで、お兄様のオンナになったんですね」
 「──ああ、そうだ。俺がゆきを自分のオンナにした。どうだ、痛くないか?」
 お兄様が、微妙に下半身を動かしながら尋ねてきました。彼が身動きする度にその逞しいモノが腸壁を圧迫し、体内がかきまわされます。痛みというより異物感は感じましたが、決して嫌ではありません。
 「え、ええ……大丈夫です。もっとシてください……」
 気がつけば、知らず知らずにおねだりの言葉を口にしていました。
 「そうか? じゃあ、ゆきのお尻マンコ、じゅぷじゅぷさせちゃうぞ。正直、俺の方もだいぶ我慢してるのが辛くなってきたからな。ただし! 痛くなったらすぐに言うんだぞ?」
 この期に及んでもなおわたくしを気遣ってくださるお兄様の想いやりに胸が熱くなります。
 わたくしはコックリとうなずきました。
 「……はい、大丈夫です。お兄様、わたくしのナカで気持ちよくなってください」
 ゆっくりと、抽送が始まりました。小刻みに、位置を確かめるように、お兄様が動きます。
 最初はゆっくりと、丁寧で繊細に。
 ──ぐっ……ぬぷ……ずずっ……ぬちっ……。
 次第にその動きは早く、激しくなっていきます。
 ──ずっ、ずるっ、ぬぷ、ぬちょ…くちゅっ!
 「あっ……う……っくっ……はうンっ、んんっ……」
 けれど、わたくしの呻きは、いつの間にか喘ぎへと変わっていました。
 最初のうちは異物感が強かったのですが、お兄様の気遣いのおかげか、抽送が始まってしばらくすると、すっかりアソコに馴染んでしまったのです。
 そうなってくると、今度は純粋に快楽の刺激だけが体内に注ぎ込まれます。お尻の奥(前立腺と呼ぶのだと、あとで教えてもらいました)を圧迫され、身体の奥が熱くなってきました。
 おちんちんから得られる快楽とは違う、とろけるような甘い切なさ。マイルドで柔らかい心地よさに、わたくしはいつしか心を奪われていました。
181今日からお姉ちゃん:2010/09/26(日) 13:38:31 ID:zxt9b3Km
 「はうっ……んはあ……ああん……」
 「ゆき、お前の胎内、すごく気持ちイイよ」
 微笑いながら、お兄様が耳元に囁いて、ペロリと耳たぶを舐めてくれました。
 「ひゃんっ!」
 別の方向からもたらされた刺激に、思わず悲鳴をあげてしまいます。
 「可愛い声で啼いてくれるなぁ。本物の女の子みたい……いや、それ以上だ」
 ──ぐぐっ、ぱんっ、ぬちっ、ぱん、ぱんっ……。
 お兄様の腰使いが、さらに激しさを増していきます。
 「あああっ……もっと、もっとシテください、お兄様……あはあっ! ひっ! くふうううんっ!!」
 嬌声をあげながら、無意識にそんな風に懇願してしまいます。
 (ああ、すごく気持ちいい……わたくし、本当に女の子になってしまったんですね……)
 ふわふわと身体が浮くような、不思議な感覚。
 信じられないほどの快楽に酔いしれながら、わたくしは、知らず知らずに腰をくねらせ、淫らな吐息を紡いでしまっていました。
 「あっ、はあんっ……くふぅ……ふあぁっ……ひゃうんっ!」
 お兄様の腰が一往復するたびに、自分がどんどん淫らに変化していくのを感じます。
 ぐいぐいと前立腺を圧迫され、狂おしいほどの快感がわたくし全身に押し寄せてきます。
 何度も連続して小さなエクスタシーが生まれて意識がふっと途切れかけるのですが、決定的なソレには至りません。
 そのクセ、押さえられたアソコから出た透明な粘液が、糸を引いて際限なくシーツに垂れ続けます。
 (あぁ、死ぬ、死んじゃう……気持ちよすぎて、もう死んじゃいます! でも、でも………死んでもいいっ!!)
 いつしか、わたくしも、さらなる悦楽を求めて腰を振っていました。
 わたくしたちふたりの腰がぶつかり合い、「パンパンパン!」とリズミカルな音をた立てています。
 身体の芯が熱くなり、頭の奥が痩れて意識が薄れます。
 このまま続けていたら、わたくしは壊れてしまうかもしれません。
 今の状態のままずっと快楽に溺れていたいという気持ちもあるのですが、それではこのまま戻ってこられなくなりそうです。
182今日からお姉ちゃん:2010/09/26(日) 13:42:02 ID:zxt9b3Km
 「お、お願いです、お兄様! これ以上されたらっ! わ、わたくし、おかしくなっ……ひあああっ!」
 けれど、ジレンマに揺れるわたくしの心に、お兄様は悪魔のように甘美な誘惑を囁きます。
 「いいんだよ、おかしくなっても。ゆきがどんなにエッチでいやらしいコに壊れちゃっても、俺は大事にしてあげる。毎日エッチなことしてあげるから。
 だって俺達は恋人だろ?」
 ぞくぞくぞくっ!
 妄執すら感じられるその愛情の籠った言葉に、わたしの理性が一気に沸騰してしまいました。
 「あ、い……イッちゃう、イっちゃうううぅ」
 「くっ、俺も、そろそろ限界だ、ゆき。イクぞ!」
 最後に強くひと突き。それがトドメとなりました。
 「イクイク、あ…あぁぁぁぁぁーーーーーーーッッッ!!!」
 わたくしは、体躯をガクンガクンと波打たせたながら昇りつめます。
 体内に愛しいお兄様の白濁をとぷとぷと注ぎ込まれるのを感じながら、次第に脳裏が真っ白になっていくのを感じ、わたくしはそのまま意識を失いました。

#ゆきちゃん、女になるの巻。続きはおまけに近い終章。来週中にでも?
#ゆき自身は射精せず。例の薬のせいと、ゆきの「自分は女の子」という思い込みのため。トコロテン好きの人、サーセン。
183名無しさん@ピンキー:2010/09/26(日) 14:40:29 ID:HYntXC2O
>>92-
今日からお姉ちゃん

え?
義兄弟で相姦?
12歳で19歳を受け入れ?
は、別に、良いとして

これからも、一人で二人役するの?
とか
それとも、戸籍を変えて?
とか
実は妹さんは気が付いた?
とか
色々
184名無しさん@ピンキー:2010/09/26(日) 16:17:18 ID:+Lj0ksie
ゆきちゃんロストバージンおめでとー
あーウチにもこんな偽妹が欲しいなぁ

>183
朝チュン後に好美に踏み込まれるとかな
まぁ流石に戸籍改竄は無いか
185名無しさん@ピンキー:2010/09/26(日) 18:38:57 ID:iPqFKKmu
戸籍を変えると言うか、元に戻せば、兄弟、兄妹、で無くなるから恋人同士になれ、さらには、結婚出来るかも。


あと、確か、医師が役所に
『2年間連続で、毎日、一日24時間、異性で生活してました。』
とか言えば戸籍の性別を書き換え出来るはず。
一回だけだが。

逆に、学校側は、特に、国立、県立、その外の公立校は、この事には協力する役目が有る。
つまり、男として生活している男装女子も、女になりきっている女装男子も、拒否出来ない。はす。
186名無しさん@ピンキー:2010/09/26(日) 21:27:24 ID:+Lj0ksie
スレ違いな話で申し訳ない、と断りをいれておく。

戸籍、とは手続き上は書き足していくものであって
元に戻す、という事は出来ない。
例えば結婚して離婚した場合は戸籍は元通り真っ白にはならず
結婚した、という事実とその上から抹消印が記される。
離婚する事を俗に『戸籍を汚す』というのはこの為である。

それ以前にゆきは未成年者だからな。
まぁ戸籍とは無関係にSRSなら親の同意があればOKじゃない?
187名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 12:48:48 ID:nxe2awVP
戸籍まで行かなくても、非行みたいに「若気の至り」で済むような
寛容な社会でいいんじゃね?
188名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 15:55:57 ID:lfrGgjG5
ゆきちゃんっぽい画像を探してみた。
 ttp://nukkorosu.80code.com/redirect.php?u=./img/nukkorosu16717.jpg
こういう偽妹(おとうと)がいたら、そりゃあ襲っちゃうのも無理はない
189名無しさん@ピンキー:2010/10/01(金) 11:54:17 ID:ZQM7FmN5
#ほしゅかわりの小ネタ

 ──私立K聖女学院。
 中高一貫教育をうたって昭和初期に創設され、また近年、初等部と大学部も併設された名門女子校である。
 K聖卒業者は「良妻賢母予備軍」として、あるいは「良識と教養を兼ね備えた淑女」として、各方面で引く手あまた。また、出身者によるネットワークも侮れないものがある。
 しかし。
 そんな「乙女の園」に潜り込んだ七人の「男の娘」たちがいた!
 「彼女」らは、昼間は他の女生徒たちの群れに紛れ、何食わぬ顔して学院の生徒として振る舞いつつ、夜は人知れず戦いを繰り返す。
 「姫士(きし)」と呼ばれる彼女達同士の1対1の戦いは「舞闘会(ワルツ)」と称され、いくつかのルールに則って行われる、厳正にして神聖なるもの。
 無論、偽物(まがいもの)の姫たちの頂点に立てるのは、ただひとりの聖王(キング)のみ。
 舞闘会で敗れた者は、姫士の資格と、同時に「男」としての存在も喪い、無力なただの娘(おんなのこ)へと成り下がる。
 掴むのは栄光か……屈辱か?
 いざ、競い合え!
190名無しさん@ピンキー:2010/10/01(金) 11:54:45 ID:ZQM7FmN5
 「……って話はどーだろう?」
 幼馴染(と言っても、向うの方が4歳ほど年上だけど)の微ヲタ大学生の戯言を聞かされて、あたしは溜息をついた。
 「また、妙な妄想展開して……いい歳こいて、克くん、ネットに駄文投下すんのやめたら?」
 「だ、駄文ぢゃない! オリジナルSSだ!」
 いや、せいぜい妄想の垂れ流しでしょ。
 「はいはい。それにしても、その話、どう見たって「F●te」のパクリじゃない」
 「だ、断じて違うぞ! そもそも「7人が最後のひとりになるまで戦う」というコントセプトを、すべて「Fa●e」と即断するのはだな……」
 「じゃあ、「プリンセスワルツ」? そう言えばネーミングも微妙にカブってるわね」
 「え、影響が皆無とは言わんが、断じてパクったわけではない。格調高くオマージュと言ってもらおうか」
 そんなご大層なモンか。
 しかし、これ以上追及すると、SAN値の低い(精神安定的な意味で)この男は、簡単に取り乱してふてくされるだろう。それはそれでウザい。
 「で、その舞闘会とやらはどうやって戦うの?」
 「うむ、それはだな……」
 仕方なく相手をしてやると、「よくぞ聞いてくれました」とばかり嬉々として自分設定を語り出す。
191名無しさん@ピンキー:2010/10/01(金) 11:55:10 ID:ZQM7FmN5
 1.舞闘会は、姫士同士による1対1の戦いであり、他の者が直接助力してはならない。

 2.舞闘会は、人目につかない場所と時間に、姫士が姫士を「招待」して呼び出すことで成立する。

 3.舞闘会は、以下のいずれかによって決着する。
  ・どちらかの行動不能(意識不明含む)
  ・どちらかが口頭で「負け」を認める
  ・どちらかが武装帯(リボン)を切り落とされ、使用不能になる

 「武装帯って何よ?」
 「あ〜、類似作品における宝具とかドレスとかジュムみたいなモンだ」
 いや、だから類似作って認める時点でどーなの?

 4.舞闘会の敗者に対して、勝者は以下のいずれかの事柄を行う権利を持つ。
  ・性交による挿入および射精
  ・全裸にしたのち放置

 「は、はなもはじらうおとめのまえで、しゃせーとか言うなぁ!」ガスッ!!
 「い、いや……乙女は普通………照れ隠しにリバーブロー…放ったりしない……」←悶絶中

 5.4の結果、「体内に勝者の体液を出される」、もしくは「学院の無関係な生徒に男性であると知られる」ことにより、敗者の敗北が完全に確定し、姫士の資格を失う。また、前の方法の場合、敗れた姫士は肉体的にも本物の女性へと変化してしまう。
192名無しさん@ピンキー:2010/10/01(金) 11:55:38 ID:ZQM7FmN5
 「なんつーエロゲ向けの企画……そもそも克くん、幼馴染とは言え、コレ、女の子に語るべき話じゃないと思うよ」
 「なに、気にすることはない」
 その台詞を言っていいのは空気王だけだよ! 少しは気にしろ!
 「はいはい、で、そもそも何でその男の娘たちは戦ってんのよ?」
 あきらめ顔で、そう聞くと、以外にも彼は難しい顔をして眉をしかめた。
 「そこなんだよなぁ。願い事がひとつ叶うとかは流石にアレだし、かと言って
「生徒会長」とか「学院長」の地位ってのもしっくり来ないし……」
 「いや、むしろそれこそがストーリーの根幹でしょ。アマチュアとは言え、物書き目指すなら、キチンと考えようよ」
 うーうーうなって頭抱えている幼馴染を部屋から追い出す。
 まったく……あんなのが先週から教育実習生としてウチの学校に来てるんだから、日本の教育界はどっか間違ってるわ!
 けど……。

 「ヤバいなぁ。記憶、完全には消せてないみたい」
 克くん──克昭の語った「設定」は絵空事じゃなく、ホントのお話。
 つまり、あたしも本当は「女」じゃない。もっとも、家族以外でこの事を知ってるのは、舞闘会をとり仕切る「理事会」くらいで、幼馴染の彼でさえ、あたしのことを女だと信じて疑ってないだろう。
 「どうやっても巻き込まれる運命なのかな?」
 「蒼の姫士」であるあたしと「緋の姫士」の戦いを目撃されたため、一時舞闘会を中断し、彼の記憶を消す処置をしたはずなんだけど……。
 彼はなぜか「自らの妄想」という形で、その記憶を取り戻しているみたい。
 「理事会」は、彼を「裁定者(バトラー)」にしたがってるみたいだけど、あたしは反対。克くんには、せめて幸せな表の道を歩んでほしいのだ。
 「まぁ、もし万が一、あたしが負けたら、お嫁さんにしてもらおうかな♪」
 無論、やすやすと敗退するつもりはない。そう、自らの夢のためにも!
193勝手にスピンオフしてみた 1/3:2010/10/02(土) 19:45:02 ID:+i5IHMSG
 放課後、部活動に勤しむ生徒達の声は遠い。ここは生徒会室。
「くっ、私が踊りきれないなんて……『銀の姫士』以外にも、こんな強敵が」
 後手に部屋のドアを閉めて、珠坂咲音(たまさか さきね)は唇を噛む。その頬は今、
高揚し、僅かに赤みがさして、可憐な美貌を引き立てていた。その精緻な、ビスクドール
にも似た細面を歪め、長く腰まで伸びた赤髪をかきあげる。
 ここは、私立K聖女学院。将来の貴婦人淑女を育てる、秘密の花園。
 そして彼女は……否、彼は、その中にさらに秘密を抱える者だった。
 男子禁制の中にあって、定められた運命に従い、願いを携え挑む者……それが『姫士』
と呼ばれる存在。咲音もまた、その一人。この学院に本来なら存在しない、七人だけの
男だった。だが、彼を見てそれを気付くものは一人もいないだろう。それほどに彼の姿は、
完璧な女子高生に見えたから。華美な制服を着こなすさまなど、堂にいったものだ。
 姫士とは、内なる乙女同士の輪舞を演じる、運命の子達。『舞闘会』と呼ばれる闘いに
身を躍らせる、心は娘、身体は少年の七人。その心身に課せられた宿業は過酷だ。

 1.舞闘会は、姫士同士による1対1の戦いであり、他の者が直接助力してはならない。

 2.舞闘会は、人目につかない場所と時間に、姫士が姫士を「招待」して呼び出すことで成立する。

 3.舞闘会は、以下のいずれかによって決着する。
  ・どちらかの行動不能(意識不明含む)
  ・どちらかが口頭で「負け」を認める
  ・どちらかが武装帯(リボン)を切り落とされ、使用不能になる

 4.舞闘会の敗者に対して、勝者は以下のいずれかの事柄を行う権利を持つ。
  ・性交による挿入および射精
  ・全裸にしたのち放置

 5.4の結果、「体内に勝者の体液を出される」、もしくは「学院の無関係な生徒に男性であると知られる」ことにより、敗者の敗北が完全に確定し、姫士の資格を失う。また、前の方法の場合、敗れた姫士は肉体的にも本物の女性へと変化してしまう。

 そして先程、『緋の姫士』である咲音は、名も知らぬ『蒼の姫士』と引き分けた。
 突然の闖入者の、予期せぬ介入と『理事会』の意向によって。
「この私の剣を、ああも避ける……引き分けてなければ、今頃……」
 その手に念じて、自らの分身である武装帯、『フェイタル・ノクターン』を呼び出す。
それは細かな細工に彩られ、宝石が飾られた細身の剣。静かに振れば、切っ先が撓る。
 咲音は一人、今日を踊り抜けたことに、人知れず安堵していた。
 今日もまだ、咲音は舞闘の場から弾き出されてはいない。
 咲音の願いは、切なる祈りは、まだ死んではいない。
「私は負けない……珠坂咲音、貴女は負けては駄目。あの方と真に結ばれる為に」
 そうして剣を収め、それを虚空へと消せば、今日のダメージが痛みとなって襲った。
 右肩を庇うように抑えて、そっと咲音は窓際へと歩く。
 そんな彼の背を、ドアの開く音が叩いた。
「っと、咲音か……どうしたんだい? まだ残ってたんだ」
 すらりと長身の女生徒が、両手一杯の荷物を持ちながら、生徒会室に入ってきた。その
胸に抱かれてる小包の数々は、どれも可愛らしい包装が施されている。リボンで飾られた
それは、贈り主からの敬愛の気持ちが、如実に表れていた。
「あっ……文緒様」
「あ、こら。僕をそう呼ぶなって。……咲音には、そう呼ばれたくないな」
 現れたのは、ボーイッシュな風体の上級生、咲音より二つ上の三年生だ。ボブカットに
揃えられた、どこか無造作な髪型をさしおいても、美少女と言っていい。健康的に日焼け
した肌が、健全な色気を本人の意思とは裏腹に発散していた。
 四条文緒(しじょう ふみお)、それが、生徒会副会長の名。
 そして、咲音の最も慕い愛する、結ばれるべき相思相愛の人物だった。
194勝手にスピンオフしてみた 2/3:2010/10/02(土) 19:49:14 ID:+i5IHMSG
 文緒はどこかうんざりといった顔色で、贈り物を生徒会室の円卓に放り出す。そうして、
窓際の咲音へと近付いてきた。拒むどころか待ち望んで、咲音は両手を開く。
「全く、みんなが僕を文緒様、文緒姉様って……毎日これじゃ、疲れちゃうよ」
「それは……だって、文緒様は、全校生徒の憧れのお姉様ですもの」
「らしいね。はぁ……でもね、好きでこんな格好してる訳じゃないんだけどな」
「でっ、でで、でも……文緒様は、その……綺麗、です」
 頭一つ程背の高い、文緒の豊満な胸に顔を埋めて、咲音はそう呟いた。
「だから、様付けはよしてって。僕と君は、そんな仲かい? 咲音」
「あっ……ご、ごめんなさい、文緒様」
「ほら、また。ふふ、いけないのはこの唇かな? さあ、いつも通り呼んでごらん」
「ごめんなさい、文緒……私ったら、また、ん! んっ……んんぅ」
 クイと細い顎に指を添えられ、上を向かされた咲音は、優しく唇を奪われた。
 二人は、いわゆるそういう仲だった。
 親しい仲が交わす、挨拶のようなキスではない。心から愛し合う者同士が、互いを啜る
ように、貪るように吸い合う、激しいくちづけ。舌と舌が絡まり、互いの唾液が行き来し、
二人は淫靡な音をたてて、粘膜を味わいあった。
「慕ってくれる娘は多いけど、僕はやっぱり……咲音、君だけが好きだ」
「ああっ、文緒……私もです。文緒は、私にはもったいないくらい、素敵……あっ」
 そっと、咲音を包む文緒の手が、スカートの中へと入ってきた。そうして、今まさに
はち切れんばかりに充血し、女性用の下着からはみ出る咲音自身に触れてくる。
「こんなに固くして……うれしいよ、咲音。僕の可愛い咲音」
 文緒は、咲音が男である事を知る、学院唯一の女生徒だった。姫士を除く全ての中の。
 股間から這い上がる愉悦に、鼻から息を零しながら咲音は思う。思えばいつからだろう?
姫士として使命を理解しつつ、その動機を……勝利し勝ち残った暁の、その望みを持てず
闘っていた日々。それがこうも、薔薇色に彩られたのは、いつからだったか?
 全ては、生徒会で文緒と出会い、惹かれ、解り合い……身体を重ねてからだ。
「さあ、咲音……そこの椅子に。そう、こっちにお尻を向けて」
「は、はい……で、でも、その前に、文緒――」
「うん? ふふ、まだ不安なのかい? 僕はでも、ずっと安心だよ。愛してるからね」
「嬉しいです、文緒……そう言って貰えるなら、私……何も、怖くないです」
 文緒に言われるままに、円卓の椅子を咲音は引っ張り出す。そうして、豪奢な椅子の
背もたれを抱くように、膝立ちで座って、尻を文緒へと突き出した。
 文緒は咲音が男と知っても、それを誰にも告げず胸に秘め、愛してさえくれた。
 互いに周囲から羨望を持って称えられる、偶像としての扱われ方が多かったからかも
しれない。もてはやされながらも、高嶺の花と諦められる、そんな日々が二人を繋げた。
「あっ、あの……文緒、私今日は……お通じが、その、まだ。洗って、ないし」
「相変わらず可愛いことを気にするね。僕がだから、綺麗にしてあげるってば」
 恥らい椅子の背もたれに、咲音はひっしとしがみ付く。そうして身体を強張らせながら、
心の中では望んでいる。それを今、文緒はしてくれる。スカートの中で下着を降ろして、
たわわな桃尻と男性器を露にし、そのすべすべとした表面をなでてくれる。
 その一挙手一投足に、咲音は敏感に反応して、びくびくと身を震わせた。
「僕の可愛い咲音……今、気持ちよくしてあげるからね」
 文緒はそっと屈むと、咲音のスカートの中へと頭を入れ、張りのある尻肉にくちづけ。
そうして、その両の肉をかき分けると、今度は中央で窄まる穢れた菊座にも唇を寄せた。
「あっ、ん……文緒、駄目……やっぱり、今日は」
「嫌かい? 僕はでも、したいんだ。咲音が欲しい」
 文緒の言葉に、咲音は椅子へと爪を立てる。何より欲しい言葉を得た快感を、さらなる
快楽が追ってくる。文緒は手を回して、咲音の男根をしごきつつ、睾丸を揉んでくる。
同時に背後から、尻の穴を丹念に舌でねぶってくるのだ。
「ふあっ! あ、あっ……らめぇ、汚……けどっ、いい。気持ち、いい」
「いつでも出していいからね、咲音。ほら、こんなにゆるんで……可愛いよ」
 文緒の舌が、直腸へと忍び込み、丹念に腸壁をなめてゆく。それが引っ込んだ瞬間には、
しなやかな指が一本、咲音の中へと忍び込んできた。それが前立腺をこりこり愛撫する。
 咲音は声を噛み殺しながら、文緒の手の中へと、大量の精液をぶちまけた。
195勝手にスピンオフしてみた 3/3:2010/10/02(土) 19:52:24 ID:+i5IHMSG
 生徒会室は今、荒い息遣いが密やかに重なっていた。気付けば咲音は、肩で息をしつつ、
絶頂の後の余韻に浸っていた。そんな咲音を、文緒が後から抱きしめてくれる。
「ほら、ごらん……今日も沢山出したね」
 肩越しに耳元で囁く、文緒の唇を咲音は強請り、そして吸い付き、味わう。その間も、
彼が射精した白濁は、文緒の手の中で、クチュクチュと淫らな音を立てていた。
「ん、濃い……咲音の、美味しいよ。次は、僕にも、して」
 咲音から離れるや、文緒は指に遊ばせた精液を舐めながら、円卓に腰掛けた。そうして、
股を開くと、スカートを持ち上げ、その裾を口でくわえる。
「文緒……」
 咲音は迷わず、露になる白い薄布を……染みに濡れる下着へと手をかける。
 文緒は咲音のもどかしい手にクスクス笑いながら、両腿でその頭を挟んで、浮かせた
腰から下着を降ろした。解放された咲音は自然と、文緒の女性器を、豊かな茂みを目に
して、ごくりと生唾を飲み込む。
「本当はね、咲音。僕はここに、咲音みたいな立派なのが生えてて欲しいんだけど」
「私も、文緒みたいな綺麗な……こんなに綺麗な、女の子だったらって、思います」
 そっと、茂みを指でかきわけ、咲音は文緒の秘裂へと唇を寄せた。そこはすでに、
汗と愛液で濡れそぼり、陰核が充血して勃起していた。
 咲音と文緒、互いが互いに、相手を欲していた。愛する故に。
 同時に、相手の身体を、その性別を、自分に求めていた。
 咲音は、文緒のような男に抱かれる、女になりたかった。
 文緒もまた、咲音のような女と交わる、男になりたかったのだ。
「んっ、あ……上手だよ、咲音。そう、そこ……」
「文緒、私もう……さっき出したばかりなのに、こんなに」
「いいよ、おいで。一つになろう、咲音」
「文緒……いっ、挿れますっ」
 そっと口を離すや、身を起こした咲音は、自らの中心で強張る怒張を握り、それを
文緒の股間へとあてがう。そして、ゆっくりと文緒を左右へかきわけ、挿入を果たした。
 二人は今一つになり、締め付けられる快楽に咲音は、強く文緒を抱いた。
「そう、いいよ咲音……僕が、したいように……僕を犯して」
「文緒……私が感じたいように、女を感じて……女の子を、見せてください」
 僅かに腰を引いて、再度強く咲音は自身を押し込む。その度に、快楽が二人の接合部
から、全身に電流となって流れた。その法悦に二人は、あられもなく声をあげる。
 気付けばいつも通り、咲音は文緒を強く抱いて、激しく腰を打ちつけていた。
「あっ、あ……文緒、でっ、出ます……またっ、出ちゃいまふぅぅぅっ」
 肉の襞が執拗に絡みつく、己の中心が爆発するのを咲音は感じていた。
 二度目にも関わらず、込み上げるマグマが絶えることなく、吐き出される。
「ああ……咲音の、子宮に届いてる。子宮に、直接射精されてるぅ」
「文緒の奥に、当たって……ああっ、まだ出る、止まらないっ」
 長い長い射精が終ると、咲音はぱたりと文緒の上に倒れこんだ。そうして、優しく胸に
抱かれて、両手で包まれる。繋がったままの抱擁は、文緒の中で咲音を三度固くさせた。
「いっぱい出たね、咲音。ふふ、可愛いよ……愛してる。今日は、もういいのかい?」
「文緒……ん、もう少し。次は私、文緒のお尻に、したい……です」
「いいよ、好きなだけ……でも、いいな。僕も男だったら良かったのにな」
「でも、そうだったら男と男になっちゃいます。寧ろ、私が女だったら……」
 性別は関係ないと笑って、文緒が咲音にキスをくれる。額に、頬に、首筋に……唇に。
「僕達、何で逆に生まれちゃったんだろうね」
「はい……私が女で、文緒が男だったらよかったのに」
「うん、仮に逆でも、僕はきっと咲音に出会う。そんな気がするんだ」
「そして結ばれる……その日は、私が呼んでみせます。いつかきっと」
 意外そうな顔の文緒の、その唇を今度は、咲音が奪う。
 この愛こそが、よじれた歪な形こそが、彼の闘う理由。
 姫士が舞闘会を勝ち抜き、最後の一人を倒した時……理事会が言う『聖王』の座まで
登り詰めた時。一つだけ、いかなる願いも適うという。いかなる祈りも通じるという。
 ならば、咲音が望みは一つだけ……最愛の人と、性別を交換すること。
 愛し、故に闘い、辱められる……終らない三拍子のワルツは、はじまったばかりだった。
196193:2010/10/02(土) 19:54:11 ID:+i5IHMSG
すんません、「姫士」というワードが、自分の持ちネタと偶然一致したもので…
勝手で失礼かとは思いましたが、続きをスピンオフで書かせて戴きました。
ちなみに自分、Fateは全然知らないので、空気が読めてなかったらスミマセン(汗)
197189:2010/10/02(土) 23:49:38 ID:ocF/a31D
>196さん

いえ、私的には全然問題ナッシングです。
むしろ私なんかの拙い妄想を拾っていただき、恐悦至極。

これで、196さんの設定もお借りすると

・「蒼の姫士」水原咲良(みずはら・さくら)
 →パッと見は今時の女子高生。表向き一族の使命として「舞闘会」に参加。
  武装帯は髪を結うリボン「夜夢雅導」(斬撃属性を持つ鞭)
・「緋の姫士」珠坂咲音(たまさか)
 →赤毛の美少女。生徒会役員。恋人と真に結ばれるべく参加。
  武装帯は細身の剣「フェイタル・ノクターン」
・「銀の姫士」???
 →いわゆる中ボス。武装帯の扱いにおいては最強と言われる。
  物静かな外見に比して実は強敵と戦うことに喜びを見出すタイプ。
・「金の姫士」???
 →表のラスボス。意外な人物。日常では天然なドジっ子だが、それは仮面。
  本当は万事ソツなくこなせる完璧超人。「舞闘会」に疑問を抱く。
・「白光の姫士」???
 →正義感の強い委員長タイプ?
・「影の姫士」??
 →アウトロータイプの転校生?

……ぐらいでしょうか。いえ、思いつきだけで、全然考えてないけど。
七人目(真の実力者)の色は何にすればいいのかなぁ。
198名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 16:53:05 ID:Ara7+7bb
虹色の騎士…対戦相手に合わせて千変万化
てのは如何だろう?若干ベタだが。

てゆかfateより少女革命ウテナ思い出した。
懐かしい…
199名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 16:58:22 ID:Ara7+7bb
あ、あと緋・蒼・碧だとレイアースだなー。とか。(笑)
まぁ複数ヒロイン(?)設定じゃないからソコは扨置いて。
200名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 17:10:34 ID:ODYV6NCd
>>196
GJ!女学園モノの雰囲気がいいね
性別倒錯カップルハァハァ

>>197
透明(無色)の姫士、どんな攻めだろうと守りだろうと陽炎のようにすり抜ける というのを思いついたけど
なんか真ボスとしてのカリスマ性に欠けるというか、中ボス/お助けキャラ/師匠枠だなコレ
赤青・金銀・白黒と対になってるから、どれにも属さずかつレベルが高そうな色の名前と考えると難しいね
201名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 17:23:54 ID:ejE7wlKF
七人目は舞闘会を続ける理事会の懐刀、とか。
最後の一人として、最後の舞闘会『プロムナード』を約束されてる、とか。
その名も『透彩の姫士』、一度も敗北したことのない、謎の根幹とか。
色々と妄想は尽きませんが、時間があればお邪魔にならない程度に続きを…
もっとエロ度数上げて、女装×女装とかも、書いてみたいですねー

PS:自分も後から読み直して、ウテナを思い出しました(笑)
202今日からお姉ちゃん:2010/10/03(日) 22:25:51 ID:8P37QaTv
#ちょっと間があきましたが続きです。
#今回はエピローグ。いきなりブッ飛んだ始まり方かもしれませんが……。

 ──数年後

 地元では有名な私立星河丘学園へと向かう通学路を、中学生くらいの少年少女達が、三々五々に歩いている。
 時刻は午前7時50分。始業にはまだだいぶ余裕があるが、さすがは名門と言うべきか、大半の生徒は学園近くまで来ているようだ。
 ちなみに、その大半は中学生──中等部の生徒たちだ。高等部は全寮制で学園のすぐ裏手に寮があるため、一部の自宅生を除いてほとんど姿は見られない。
 「おはよう、このみっち!」
 「……おっはー」
 友人たちから声をかけられて、大きめのリボンで髪をピギーテイルにまとめた少女は振り返った。
 「あ! おはよ〜、千恵ちゃん、みっちゃん。今朝も早いねぇ」
 「ま、あたしは、ソフト部の朝練があるからね。みっちぃは……」
 「……今朝の占いで、早めに登校するのが、吉と出た」
 元気はつらつスポーツ少女と言った印象の安岡千恵と対照的に、占い同好会の部員である来栖美智子は、朝に似合わぬ陰りのある空気を発しているが、千恵の方は慣れたものだ。
 このふたりに脳天気天然お子様少女な日下部好実を加えた3人は、趣味も嗜好もまちまちなのだがほ、なぜか一年生の頃から仲が良かった。
 「……でも、好実が、この時間に登校していることの方が、驚異的だと、美智子は思う」
 「ま、そうだね。こないだも担任のマナちゃん先生に、いつも遅刻ギリギリなのを注意されてたし」
 「にゃはは……面目ない。今日は日直さんなのですよ〜」
 食べることと寝ることが趣味と公言してはばからない少女は、頭をかいた。
 もっとも「寝る子は育つ」と言う割に、ちんまりとした背丈とツルペタストーンとした体型からは、あまり成長が芳しいようには見えないが。
 「あら、やっぱり、好実ちゃんはいつもお寝坊してたのね」
 「「「!」」」
 そこへ背後から玲瓏たる声がかけられ、三人娘は一斉に振り向く。
 そこには、三人と同じく星河丘学園中等部の制服をまとった──しかし、わずか1学年違いとは思えぬほど、大人びた美貌を持ち、清楚で上品な雰囲気をたたえた少女が佇んでいた。
 「あ、お姉ちゃん!」
 「高代先輩、おはようございます」
 「おはよう……ございます」
 微妙に様相は異なるものの、3人は立ち止まってそれぞれ喜色をその顔に浮かべた。
203今日からお姉ちゃん:2010/10/03(日) 22:26:25 ID:8P37QaTv
 「おはようございます、安岡さん、来栖さん。それから好実ちゃんも二度目になるけど、おはよう。ほら、立ち止まってないで、歩きながらお話しましょう」
 無論、3人に異論はない。
 本物の妹である好実はもちろん、千恵や美智子も、三年生である彼女──高代柚季のことを「頼りになる先輩、かつ素敵なお姉さん」として慕っているのだ。
 他愛もないことを話す妹分3人の言葉をニコニコしながら聴く柚季。ただ、学校が近かったため、その楽しい時間はあまり長く続かなかった。
 「じゃあ、三人とも今日もお勉強、頑張ってね。それと、好実ちゃん、あまりお母様の手をわずらわせてはダメよ?」
 義妹を優しくたしなめると、柚季は三年の教室の方へと去って行った。
 「はぁ〜、やっぱり高代先輩は凄いなぁ」
 「えっへん、そりゃあ、あたしの自慢のお姉ちゃんだもん!」
 「……成績は学年首位かつ運動も万能。生徒会長でおまけに家は大金持ちのお嬢様」
 「学園祭のミス星河丘ジュニア部門で2年連続優勝、今年もトップは不動だろうってもっぱらの評判だし」
 「ふぇっ!? そーなの?」
 きょとんとする好実の様子に苦笑するふたり。
 「まったく、こんなポケポケ子狸さんが先輩の妹だとは、未だに時々信じられないなぁ」
 「……不思議。生命の神秘?」
 「千恵ちゃんもみっちゃんもヒドい〜! それに、お姉ちゃんとあたしは血が繋がってないんだから、しょうがないよ」
 「前に聞いたけど、再婚同士の連れ子だっけ?」
 「うん。高代ってのはお母さんの旧姓なの」
 「……疑問。なぜ、旧姓を? 話を聞く限りでは、家族仲は良さそう……」
 「えぇっと……これ、言っちゃっていいのかなぁ。あのね、実はお姉ちゃん、うちのお兄ちゃんと婚約してるんだ」
 「「えーーー!!」」

 * * * 
204今日からお姉ちゃん:2010/10/03(日) 22:26:49 ID:8P37QaTv
 さて、どうして本来「日下部柚樹」という少年だったはずの存在が、「高代柚季」という女子中学生として学園に通うようになるのか、その理由は、「ゆき」が雄馬と結ばれた直後まで遡る。

 「……き! おい、ゆき、大丈夫か?」
 恋人になったばかりの義兄の声で、「彼女」は意識を取り戻した。どうやら、快楽のあまり、一瞬失神していたようだ。
 「う……大丈夫、ですわ、お兄様」
 起き上がろうとして、未だ自分の「体内」に、愛しい人の分身が挿入(はい)ったままなことに気付く。
 ふと、悪戯心が湧いたゆきは、「えいっ」と可愛らしい声とともにソコを思い切り締めてみる。
 「ぐっ……ちょ、何するんだよ、ゆき?」
 「うふふ、すみません。お兄様とひとつになれたのが嬉しくて、つい」
 微笑む小さな恋人の表情にドキッと見とれた雄馬のモノが、先ほどの刺激もあって再び活力を取り戻し始める。
 「あンッ……お、お兄様、また……」
 「すまん、ゆき。でも、お前が可愛過ぎるのがイケナイ」
 そう言いつつ、2ラウンド目が始まろうとした、その時……。

 ──バタン!
 「ヤッホー! パパとママのお帰りだぞー!」
 「何とか仕事片付けて帰って来たわよ!」

 突然、雄馬の部屋の扉が開いて、ヨーロッパにいるはずの両親が入って来たのだ。
 あまりの予想外な事態に硬直するふたり。
 もっとも、ソレは両親の方も同様だった。
 サプライズで娘の誕生日に帰国したものの、娘の姿は見当たらず、その行方を上の息子に尋ねようとしたら、本人は女の子とニャンニャンしてる真っ最中だったのだから。
 しかも、お相手の女の子は、どう見ても中学生くらいにしか見えないのだ。
 「高校・大学とステディな相手が出来ないと思ったら、まさか雄馬がロリコンだったとは……」
 取り乱す父親を尻目に、いち早く立ち直った母親が夫の手を引っ張る。
 「あなた、色々言いたいことはあるけど、とりあえずココは一時退散しましょ。相手の娘さんに恥をかかせるのは可哀相だわ」
 「あ、ああ、そうだな……雄馬、15分だ。居間で待ってるから、15分経ったらその娘さんを連れて、降りて来い」
205今日からお姉ちゃん:2010/10/03(日) 22:27:21 ID:8P37QaTv
 その後、父母が気づいてないのをイイことに、あくまで「中学生の少女で、雄馬の恋人であるゆき」として押し通そうとしたのだが……あえなく、その目論見は失敗する。
 いや、ゆきがかりんから持たされたポーチに化粧道具や替えの下着が入っており、それを用いて、ほとんど「行為」前と遜色ない美少女に仕上げることはできたのだ。
 実際、父親の方は「ゆき」の淑やかな言動にほぼ完全に騙されており、「中学生というのが問題だが、今後16歳まで清い交際をするなら、ふたりの仲を認めよう」的な流れで落ち着きそうになっていた。
 ところが。
 それまで不気味に沈黙を守っていた母親が、そこで「ゆき」の正体を看破した。服装や化粧は元より、声色や仕草まで完全に変えているのに見抜くとは……これが「実母の勘」と言うヤツだろうか?
 再び状況は振り出しに戻る……いや、むしろ悪化したかと思われたのだが、ここで母親が、息子であるはずの「彼女」に尋ねたのだ。「本当に心から雄馬のことが好きなのか?」と。
 軽々しく答えることを許さない迫力があったが、「ゆき」はハッキリと頷いた。
 「わたくし、お兄様が世界でいちばん好きです! この人の恋人になれるなら、すべてを捨てても構わない!」
 「彼女」の決意を受け止めた母親は、一転容認する立場に回る。
 それでも、普通の家庭なら勘当沙汰になってもおかしくはないはずだが、何気に妻の尻にしかれている上、(義理も含めて)子供たちを溺愛している父も、最後には折れた。
 「仕方ない。それでは、柚樹は「性同一性障害」だったということで手を回すか」
 「あなた、私、いい学校を知ってますわ」
 あれよあれよと言う間に夫婦間で相談がまとまっていく。
 「ふむ、そちらは任せよう。ところで……」
 ズイッとゆきの方に踏み出す父親。
 反射的に雄馬がかばおうとするが、ゆきは「大丈夫ですわ、お兄様」とけなげに踏みとどまってみせる。
 「柚樹……いや、「ゆき」と呼ぼうか。ひとつ頼みがある」
 「な、何でしょう?」
206今日からお姉ちゃん:2010/10/03(日) 22:27:42 ID:8P37QaTv
 と、そこで父親はいかめしい表情を崩した。
 「あ〜、わしのことは、以後、「お父様」と呼んでくれんか?」
 「は? え、ええ、そのつもりでしたけれど……それだけでよろしいのですか、お父様?」
 ゆきの「お父様」と言う言葉にジーーンと感動を噛みしめる父親。
 「うむうむ、美しく成長した娘に「お父様」と呼ばれるのは、やはり男の浪漫よのう……もういっぺん、頼む!」
 「あ、はい……お父様♪」
 サービスして語尾に多少の愛情を込めると、父親は「おふぅ!」と悶絶している。
 「あ〜、浩之さんばっかズルぅい、私だってゆきちゃんと仲良くしたいのにぃ!」
 母親も有能なキャリアウーマンの表情をアッサリ崩して、ゆきに後ろから抱きつく。
 「いやぁ、好実とは違ったタイプのお洋服が似合いそうねー、一緒にお買い物に行くのが楽しみだわ〜」
 「え、えーと……お母様?」
 「あら、だってゆきちゃんもお洒落には興味あるでしょ?
 ……それにその方が雄馬くんをもっとメロメロにできるわよ(ボソッ)」
 「は、はいっ、楽しみですわ、お母様!」
 わいわい、がやがや……。
 先ほどまでのシリアスな空気はどこへやら。すっかり「祝・ふたり目の娘誕生!」といった雰囲気になりつつあるこの部屋の空気に、「義妹兼恋人は俺が護る!」的な覚悟を決めていた雄馬は、すっかり取り残されてしまったのだった。
207今日からお姉ちゃん:2010/10/03(日) 22:28:17 ID:8P37QaTv
 「いや、まぁ、万事丸く納まったんだから、いいけど……なんか納得いかねぇ」
 後日、あの時のことを思い出して、首をひねる雄馬。
 「フフフ……よろしいではないですか。わたくしとしては、お兄様との仲を認めていただけただけでも、十分ですのに、ここまでしていただけたのですから」
 いろいろな裏工作の結果、正式に戸籍名を「高代柚季」と名乗ることになった彼女は、苦笑しながら、恋人に腕をからめて、その身を預ける。
 種を明かせば、母の実家である高代家の養子になり、同時に名前の文字を変更したのだ。
 また、冬休みが明けたら、電車で2駅ほど離れた高代家(つまり祖父母の家)に移り住み、3学期はそちらの学校へと転校する予定だ──もちろん女の子として。
 そして、中学は日下部家の近くにある私学を受け、首尾よく合格したら日下部家に「通学のために下宿する」と言う建前で戻って来る予定だったりする。
 無論、短期間でそれだけのお膳を整えるのはなかなか大変だったようだが、まぁ、現代日本でも、金とコネがあれば多少の無茶は可能らしい。

 そして実際、星河丘学園に入った彼女のマドンナっぷりは、ご覧の通り。
 これは、両親から雄馬と交際を続けるために「女の子らしくする」のはもちろん、「文武両道に励む」ことも条件として出されたからだが、その点、彼女は両親の期待以上の成果を上げたと言えるだろう。
 元々兄の個人教授のおかげで成績は悪くなかったし、体力面は言わずもがな。
 さらに、日下部家は元より、戸籍上の「実家」高城家も相応に歴史ある旧家であり、「彼女」をお嬢様と呼ぶのは(性別はともかく)あながち間違いではなかったりするのだ。
 その高代家には、週末毎に「帰省」している(本人的にはお泊りに行く)のだが、そこでは祖父母から「大和撫子かくあるべし!」的な教育を受けている。
 その薫陶もあって、「良家のお嬢さん」としての演技は演技の域を超えて、すっかり地(ほんもの)になりつつあるのだ。
 おかげで、一年生の頃から男女問わず「高代柚季」の人気は高く、2年生の二学期には前任者から生徒会長に推薦され、中等部全体の9割近い得票で当選していたりする。

 ちなみに、ゆきの身体そのものは未だ外科的な手術などは行っていない。これは、「成長を阻害しないのと、万が一中学の内に気が変わったら」ということらしい。
 ただ、母が伝手で購入してくれたブラジャーやボディスーツなどの補整下着(ファンデーション)が優秀なおかげか、着衣は元より下着姿になっても「彼女」は女性にしか見えなかったりするので、学園でバレる気づかいはないだろう。
208今日からお姉ちゃん:2010/10/03(日) 22:28:43 ID:8P37QaTv
 <妹's View>

 「し、知らなかった……先輩に許婚がいたとは……」
 「……しかも、義理の兄。ちょっと、背徳的」
 まぁ、普通驚くよねぇ。いまどき15歳で婚約者がいて、しかもそれが義理とは言え、兄なんだから。
 「でも、お兄ちゃんとお姉ちゃん、傍から見てても、ほんっとーーーにラブラブなんだよ?」
 それだけは、身近で見てる家族として、自信をもって断言できる!
 ──て言うか、正直目の毒だと思うことも多々あるんだよねー。
 下手すると、お兄ちゃんたちにアテられて、お父さんたちまでイチャイチャし始めるし。
 「ひとり者の乙女としては、時々さびしーのですよ」
 「あはは、それなら、好実も早く恋人作らないとな!」
 「……ちなみに、好実は現在、恋愛大殺界。2年後まで、続く見込み」
 えー!? それって、これから2年間はロクな恋が見つからないってこと?
 うぅ……みっちゃんの占い、結構当たるんだよねぇ。
 学園でのお姉ちゃんは、凛々しくて素敵な女性(?)だし、もちろん家でも基本的にソレは変わりはない。(「柚樹お兄ちゃん」としてはさておき)初対面の時、「憧れの理想像」だと感じた想いは、今でも変わりはない。
 けど、そこに雄馬お兄ちゃんが絡むと、途端にフニャフニャさんになっちゃうからなぁ。
 雄馬お兄ちゃんもお兄ちゃんで、単独ならキリッとした頼りになる男性なのに、お姉ちゃんの前ではただの色ボケさん(ってお父さんが言ってた)だし。
 ま、学園では「理想のお姉様」モードのお姉ちゃんが堪能できるのが救いかな。

 けれど、あたしは忘れていた。お兄ちゃんが大学で教職課程を取っていることを。

 「ただいまご紹介に預かりました、教育実習生の日下部雄馬です。高等部で英語を教えることらになっています。未熟者ではありますが、精一杯頑張ります!」
 朝の中高合同の朝礼で壇上に上がったスーツ姿のお兄ちゃんの姿を見て、あたしはポカンと口を開けることしかできなかった。
 反射的にお姉ちゃんの方に目をやると……嗚呼、なんか瞳をキラキラさせた「恋する乙女」モードに入ってるぅ〜!!
 「へぇ、アレが噂の好実のお兄さんか。結構イケてるじゃん」
 「……案外、まとも…いえ、真面目そう」
 ああ、確かに見た目はね。と言うか、お姉ちゃんが絡まなければ、あの人だって十分自慢の兄なのですよ〜。けど、ねぇ……。
209今日からお姉ちゃん:2010/10/03(日) 22:29:37 ID:8P37QaTv
 * * * 

 好実の予感は当たり、お昼休みの中庭では、ベンチに仲良く並んでお弁当を食べる「兄妹」の姿ががが……。
 「おにょれ、雄馬兄ちゃんめぇ! 学園(ココ)でまで、あたしから「素敵なお姉ちゃん」分を奪うつもりかー!」
 思わず奇声を発する好実に気づく兄と「姉」。
 「あら、好実ちゃん」
 「お、好実も来たのか? 折角だし、一緒に食うか?」
 「今日のお弁当はわたくしが作ったのよ」
 「! わーい、食べるぅー!」
 祖母仕込みの、ゆきの料理スキルは非常に高い。なにせ文化祭の料理コンテストに飛び入りで参加した際、高等部の家庭科部部長をして「ぜひ、家庭科部(ウチ)に欲しい逸材」と言わしめた程だ。
 「あーあ、好実のヤツ、すっかり餌付けされてるね」
 「……アレは、アレで、安定した形。それにアレなら、他の生徒からの嫉妬もかわせる」
 「い、意外と策士だね、お兄さん」
 「……話を聞いた限りでは、7歳違いの恋人同士。周囲から、色々言われ機会も多いと、思う」
 などと、友人たちが見守る中、兄妹3人は仲睦まじく昼食を共にするのだった。
 「ウフフ、今まで以上に学園が楽しくなりそうですわね♪」

-FIN-

#と、これ以上はグダグダになりそうですので、この話はここまで。や、学園編なんて書いたら、口から砂糖吐きそうなラブコメになりそうですし。長らく駄文にお付き合いいただきました皆さん、ありがとうございます。
#ちなみに、雄馬くんは無事教員免許を取得し、翌年、学園に教師として赴任してきます。もちろん、高等部に進級したゆきちゃんは大喜び(そして好実ちゃんは大落胆)。もっとも、学校では真面目に先生してるのですが(少なくとも人前では)。
#なお、中学卒業時にゆきちゅんは性別変更届けを提出、受理される予定。これで、愛しのお兄様との結婚もOK。ご都合主義万歳!
210題名はどうしたらいいだろう 1/3:2010/10/03(日) 22:50:12 ID:ejE7wlKF
 一日は午後へと折り返し、私立K聖女学院はうららかな昼休みに賑わっていた。
 有名デザイナーの手による、フリルとレースが愛らしい、華美な制服。それを揺らす
女生徒達の中に、色彩を澱ませる者が一人。モノクロームのセーラー服姿は、その胸の
スカーフだけが、唯一血のように赤い。
 転校生の名は、有栖影奈(ありす えいな)。漆黒の髪を短く切りそろえ、ヘアバンド
で秀でた額を大きく露にした容姿は、凶暴さを覆い隠して知的に映えた。
「ここが西棟の中庭ですわ、有栖さん。放課後はお姉様方とお茶会もしますのよ」
「あら……皆様、御覧になって、文緒お姉様がいらっしゃるわ」
「まあ、文緒様は今日も珠坂さんを。まるで、本当の姉妹のようですわね」
「お似合いの二人ですわね……あらやだ、私ったらはしたない想像を」
 影奈を案内してくれると、おせっかいを言い出したクラスメイト達。彼女達は皆が皆、
きゃいきゃいとかしましく、影奈を連れ回してくれた。心からの善意にしかし、生い立ち
ゆえに影奈は壁を作る。拒んでしまう。
(見つけた……あいつも姫士か。これで、二人目。オレの獲物……)
 胸の奥で影奈は、込み上げる狂気じみた歓喜を、辛うじて口の中に呟き殺した。
 同時に、殺気を気取られたかのように、赤い髪の少女が……否、少女に扮した同族が、
ちらりとこちらを振り向いた。長身のボーイッシュな上級生に寄り添う、儚げな美少女。
 しかし、見れば影奈には一目瞭然……同じ運命と宿業を背負う、姫士だ。
 交錯する視線を伝い、半秒にも満たぬ瞬間、二人は互いを敵と認識しあった。
「まあ、どうかいたしましたの? 有栖さん、お顔の色がすぐれませんわ」
「あらあら、いけませんわね。そうだわ、保健室に――」
 心配してくれる同級生達の、その一人が伸べた手を、影奈は振り払う。
「もういい。構わないでくれ……群れるのは、嫌いなんだ」
 鋭い眼差しが順々に、同級生のお嬢様達を切り裂いてゆく。
 そうして一人、スカートのポケットに両手を忍ばせると、影奈は肩で風切りながら、
校舎へと引き返した。その瞳には、獲物を見つけた肉食獣の光が宿っていた。
 ――いまだ彼女は、否……彼は気付いていない……美しき獣を狙う、狩人の視線に。

 孤高を気取るも孤独は嫌い……そんな影奈は不思議と、人気のない旧校舎へ来ていた。
 転校してきて間もないのに、この場所だけは、まるで影奈を吸い寄せるように、彼を
招き、一時の安息を与えてくれる。朽ちた暗がりの影に身を置くと、影奈は呟く。
「今のところ、獲物は二人か。珠坂とか言ったか? 奴はいい、普通だ。問題は……」
 自ら姫士であることを隠し、一人の少女としてこの学院に溶け込む。それは、影奈も
同じだが。だが今日、彼は信じられない光景を目にしていた。
「武装帯も露に……水原咲良(みずはら さくら)、どんな奴なんだ?」
 姫士は皆、武装帯と呼ばれる己だけの武器を秘める。そう、秘めているのだ……それは
普段、自らのイメージの中へと、ひそませている筈なのだ。優美なリボン状の姿で。
 それを、堂々と表に出し、あまつさえそのリボンで髪を結っている者がいる。
 それが水原咲良……影奈にはそれは、挑発とさえ思えた。誇らしく髪に飾られた武装帯。
それは、自分が姫士だと自負しているようなもので、扇情的ですらある。
「見た感じ、普通の女子高生……ま、まあ、オレと同じ男だろうけど。でも、あれは」
 見た瞬間、影奈は感じていた。思わず殺気さえ放っていた……先程のように。
 しかし、武装帯も露な咲良は、こちらに気付きもしなかった。大物なのか、それとも。
「……ただの阿呆なのか? どちらにせよ、二人は確認した。あと四人」
 一人薄闇の中、陽光を避けるように影奈は笑う。
 舞闘会と呼ばれる儀式により、互いの性と望みを賭して闘う少年は、全部で七人。
 影奈もまた、他の六人をことごとく打ち倒し、自らの望みを叶えようとしていた。
「とりあえず、どちらから狩るか。そうだな……」
 怜悧に象られた、どこか近付きがたい印象の美少女……日本人形のように白い肌を今、
影奈は僅かに朱に染め、上気させていた。
 えもいわれぬ興奮が込み上げ、闘争本能が高まる。
「とりあえずさっきの、珠坂とかいう奴から招待するか……オレの舞闘会に――」
 自らを抱くように身を閉じながら、影奈は己自身が強張り充血するのを感じていた。
 闘いを求めて、心が焦れる……魂がそよぐ。
 気付けば影奈は、下着からはみ出てスカートを盛り上げる、その強張りを握っていた。
211題名はどうしたらいいだろう 2/3:2010/10/03(日) 22:57:10 ID:ejE7wlKF
「――っ! あ、ああ……ふう」
 昼休みの終わりを告げる鐘の音と共に、自慰に耽っていた影奈は絶頂に達した。白濁が
迸り、とめどなく射精が続く。その法悦の時間に身を震わせながら、彼は飛ばした意識を
かき集める。怪しまれぬよう、あくまでも一生徒として、学院では暮らさなければ。
「最近溜まってたからな、オレ……それより、そろそろ教室に戻らな――誰だっ!」
 背後で小さな拍手と、クスリと笑う冷たい声。それに振り向く影奈は、まだ萎えぬ己を
急いで引き上げた下着で覆った。
「ふふ、可愛い声で鳴くのね……それに、立派なものを生やして。可愛い獲物ですわ」
 そこには、パンパンと軽く手を叩く女生徒が一人、壁にもたれて立っていた。
 影奈は瞬時に、廃屋となった教室の角に身構え、身を強張らせる。
 ――姫士だ。しかも、初めて見る。異国を匂わせる銀髪が、綺麗に縦巻きで揺れていた。
それをかきあげ、クイと眼鏡のブリッジを僅かにあげる少女。制服のタイの色から見て、
影奈より一つ上、三年生だろう。
「オレを今、獲物と言ったか……?」
「ええ。それも、身の程も知らず猛る、獰猛なケダモノですわ。でも、そこが素敵ですの」
「テメェ……姫士だな?」
「はじめまして、影の姫士……わたくしは西園寺いぶみ。改めて、ご招待申し上げますわ」
 いぶみと名乗った少女が、ドレスのような制服のスカートを両手でつまむ。そうして、
優雅にお辞儀をするなり、廃屋の教室は周囲の時間から切り取られた。
「一曲お相手願いますわ……断る理由はないんじゃなくて? 可愛い子猫ちゃん」
「おうっ! オレを狩れると思うな……喰い千切ってやる。こいっ! 銀の姫士っ!」
 既に異空間と化した教室内で、影奈は何かを掴み取るように、虚空へと手を伸べる。
 目の前にいるいぶみもまた、姫士……それも、しろがねの武装帯を繰る、銀の姫士。
「来いッ! 『無明残月』!」
 無明残月、それが影奈の相棒にして分身。望みへと彼を導く、武装帯の名。
 影奈は何もない空間から突如、想念を凝らして、武器を引きずり出す。それは見た目、
一本の黒いリボン。ふわふわと宙を舞うそれを両手で掴み、影奈は慣れた手つきで結ぶ。
 たちまち、結び目を中心に、白木鞘の日本刀が一振り、舞闘の場に顕現した。
 それを居合いに構えて、影奈は僅かに腰を落として、身を沈める。
「踊る前にお聞きしますわ……ええと、子猫ちゃん」
「影奈だ。二年の椿組、有栖影奈」
「影奈というのは、俗っぽい名前ですわね……でも、アリス。この響きは素敵」
 いぶみはうっそりと笑うと、後に手を組み、冷たい微笑を浮かべている。舞闘会へと
影奈を招待しておきながら、いまだ武装帯を出す気配も見せない。
 勝てる――影奈は軸足に荷重をかける。一足飛びに踏み込めば、一撃だ。
「ではアリス……踊りましょう。互いの願いを、祈りを賭けて。闘いましょう」
「手前ぇ……この縦巻きロール眼鏡ッ! オレを……その名で、呼ぶんじゃねぇっ!」
 激昂に影奈は斬りかかった。地を這う影のように、僅か一歩で互いの距離を食い潰す。
 鞘走る刃は黒く光を吸い込み、その鋭利な切っ先は獣の牙となって吼えた。
 ――筈だった。
「おいでなさいな。……『スプリーム・コリドー』。獲物を排撃、撃滅なさい」
「!? な、なっ……」
 抜刀の刹那、影奈は見た。いぶみが宙より白銀のリボンを取り出し、それを何かへと
巻きつけるのを。螺旋を描いてリボンが巻きつき象る、その武装帯が現出するや、彼は
薙ぎ払われて吹き飛んだ。肋骨が軋みを叫んで、二、三本にひびが入るのを感じた。
 目の前に今、巨大な長柄の戦斧を手にする、銀の姫士が笑っていた。
「あらあら、もう終わりでよくて? わたくし、まだ本気じゃありませんのに」
 大の字に伏した影奈は、辛うじて上体を起こして、歩み寄る痩身を見やる。
 その優雅な足取りとは不釣合いな、銀の武装帯は、鈍色に光るポールウェポン。兇刃
煌く、巨大な戦斧は、主の身長に倍する長さ。それを今、いぶみは軽々片手で肩にかける。
 そんな彼女が、一撃で身動きできなくなった影奈の足元に立った。
「貴方にも望みがあるのでしょう……大丈夫ですわ、今日はほんのご挨拶ですもの」
「クッ! ……犯すか、晒せっ! オレを辱めないのかっ!」
「それでは、わたくしの望みが敵いませんもの。わたくしの望みは、身を焦がす闘争」
 いぶみのそれは、手段と目的が逆だった……彼の望みは、ただ闘うことのみだった。
212題名はどうしたらいいだろう 3/3:2010/10/03(日) 23:11:18 ID:ejE7wlKF
 姫士としての実力差に、影奈の視界が滲んで、目が潤んだ。
 そんな彼の目で、ぼやけた輪郭を刻むいぶみは、立ったまま影奈の腹を踏む。
「貴方はまだ強くなりますわ。珠坂さんとか言ったかしら? 彼もまだ」
「クッ、遊びやがったなっ!」
「それと、もう一人面白いコがいますのよ?」
 不意にいぶみはスカートの前を持ち上げ、下着をずらして男根を見せ付けてきた。
 それは勃起していたが、先端まで包皮にくるまれた、小さな小さな肉芽だった。
「水原咲良……あのお方の言葉がなくば、彼から最初に食べてますのに」
 恍惚とした表情で、粗末なイチモツをいぶみは手で包む。小さな白い手の中に、それは
完全に覆われ見えなくなっていった。ただ、クチュクチュと粘膜の音だけが響く。
「御覧なさい、わたくしの粗末なものを。それに引き換え、貴方のこの昂ぶり」
「くっ、よせ……やめ、んんっ!」
 腹部を踏んでいたいぶみの脚が、そのまま下へ、下腹部を撫でて、股間を踏み抜く。
 その足元に勃起した己が圧迫されるのを感じて、ビクンと影奈は身をのけぞらせた。
「立派ですわ。猛々しい。わたくしと違って、こんなにも大きく、太く、固い」
 陶酔にふけりつつ、自らをしごきながら、いぶみは言葉を続ける。
「ごらんなさい、アリス。わたくしはでも、こっちは、ほら。あのお方の為に」
 いぶみは戦斧を、ドン! と影奈の首元……頚動脈のすぐ横へと突き立てる。
 唖然とする影奈の上で、いぶみは下着を膝までおろす。小さな肉芽と睾丸の向こう側に
影奈は小さなリングを……リング状の金具を見た。それへといぶみが指を絡める。
「んふ……アリス、今日の一曲は貴方の負け。だからわたくし、貴方を犯しますわ」
「なっ……クソッ! 女になんか、なってたまるかよ! オレは――」
「勘違いはいけませんわ。まだ、貴方は姫士……もっと、強い姫士におなりなさい」
 いぶみがリングへと指をひっかけ、引っ張る。メリリと音が聞こえてきそうなほどに、
彼の肛門が盛り上がり、その奥から球状の器具が引っ張り出される。細い鎖で繋がった
アナルビーズが、次々と引っ張り出され、最後の一個が抜け切るや、いぶみは法悦に身を
反らした。アナルが呼吸に合わせてパックリ開閉する。
「望みを叶えるとか、女にされてしまうとか……あまり興味ありませんの」
「て、手前ぇ」
「わたくしはただ、強い相手と闘いたいだけ。だから、あのお方と契りましたのよ?」
 影奈の背筋を、戦慄が冷たく走った。目の前の美少年は、狂っている。狂気そのものだ。
 いぶみは、影奈の首元に突き立つ、仰々しい戦斧に手をかけた。その長柄は、主を迎え、
僅かに光るや、集束してリボンの姿へと戻る。それを手に、影奈の股間を踏み躙っていた
いぶみは、屈むやたちまち、影奈の下半身を脱がしてしまった。
「本当に立派……わたくしとは大違い。早く犯したいですわ……ふふ、この匂い、童貞ね」
「やめろ! 手前ぇの中に出してやるぞ! それで手前ぇは姫士じゃなくなるっ!」
「まあ、それは困りますわ。女の子になっては、闘えなくなりますもの。だから」
 いぶみは、手にする白銀のリボンで、影奈の怒張の、その根元をきつく縛り上げた。
 痛みと快楽に、影奈は絶叫を張り上げた。
「これで射精できませんわ。さあ……わたくしの穢れた排泄孔で、犯してさしあげます」
「やめろ、オレは……オレには、好きな女がっ! 初めては、その女って決め――」
 影奈は必死に叫ぶが、身体が力が入らない。そうして大の字に横たわる、彼の股間には、
主の意に反して、ヘソまで反り返る肉柱があった。いぶみがそれを手に、腰を下ろす。
「わたくしのここは、あの方の為に拡張されてますもの……これくらい、ん、んんっ!」
「や、やめてぇっ!」
「初々しいこと。あ、んっ、太い……わたくしのお尻が、貴方の初めてですわ」
 影奈は、充血した己自身が、なんの抵抗もなく肉に包まれるのを感じた。巨根とさえ
言えるそれが、いぶみが完全に馬乗りに腰を下ろすと同時に、すっぽり飲み込まれる。
「あは、いいお顔ですわ……射精できないでしょう? わたくしの中、いいでしょう?」
 気付けば影奈は泣いていた。互いに初夜を迎えると誓った、思い出の人が脳裏を過ぎる。
 そんな彼が放心するのも構わず、いぶみは激しく腰を上下し、直腸で影奈のペニスを
しごき上げる。ゆっくり根元まで飲み込めば、影奈の先端が、S字結腸の入り口に達し、
その敏感な奥へと、こじあげながら進入してくる。
 姫士の数は減らずとも、この日、一人の姫士が暴虐の銀により、純潔を失った。
213210:2010/10/03(日) 23:15:04 ID:ejE7wlKF
以下、暫定キャラ設定Ver2.0

・『蒼の姫士』水原咲良(みずはら さくら)
本編のメインヒロインにして、代々姫士の家系に生まれた、快活闊達な女装男の娘。
どこにでもいる普通の女の子のような性格だが、明るくポジティブで、芯が強い。
兄とも慕い、それ以上の感情を寄せる克昭を巻き込んでしまい、次第に姫士として覚醒。
武装帯は鋭い刃で形成された鞭『夜夢雅導』で、リボン状にして普段は髪を結っている。

・『緋の姫士』珠坂咲音(たまさか さきね)
一年生最高の美少女として、学園のお姉様方から可愛がられる、アイドル的存在。
その正体は、姫士であり、闘いを通じて咲良とは、良きライバル関係へと成長する。
生徒会役員で、同じく副会長の四条文緒と相思相愛であり、肉体関係に及んでいる。
武装帯は鋭く華美な細剣『フェイタル・ノクターン』で、普段は無に隠している。

・『銀の姫士』西園寺いぶみ(さいおんじ いぶみ)
二年生では有名な、元華族の御令嬢であり、誰からも一目置かれる生粋のお嬢様。
最強の武装帯『スプリーム・コリドー』を操り、闘争に狂う銀の姫士でもある。
彼女は叶える望みもなく、ただ姫士同士の舞闘会を楽しむだけの日々を送っている。
いぶみをして「あのお方」と呼ばせるのは、誰であろう金の姫士その人である。

・『金の姫士』???
日常では目立たない二年生だが、ド天然に加えて極度のドジっ娘、トラブルメーカー。
しかし、その無邪気で無垢な言動からは、想像もつかぬ聡明さと知略を持っている。
利害の一致から銀の姫士と契りを交わし従え、彼に闘争を与えつつ、舞闘会の真実を探る。
武装帯は巨大な大鎌状の物を扱うらしいが、いまだその姿を見たものはいない。

・『白光の姫士』???
一年生で、実習生として克昭が担当する、咲良達のクラスの学級委員でもある。
ちなみに咲音も同じクラスで、一年生の姫士三人組は、一緒にいることも少なくない。
彼女は生真面目な性格ゆえに、舞闘会にも真剣だが、咲良には心を徐々に開いてゆく。
武装帯は短剣、それも無数に持ち、二刀流で振るったり投げたりと、攻撃は多彩である。

・『影の姫士』有栖影奈(ありす えいな)
孤高の転校生で二年生、学院内で唯一、モノクロームのセーラー服を着ている。
彼もまた、禁断の愛を成就させるべく、その望みを叶える為に姫士として闘う、が…
好戦的で腕に自信はあったが、いぶみに敗北し純潔を奪われ、次第に変貌してゆく。
武装帯は日本刀『無明残月』で、居合い斬りによる一撃必殺を得意とするようだ。

・『透彩の姫士』???
全てが謎に包まれた、この舞闘会を主催する、理事会の頂点に君臨する人物。
過去全ての舞闘会に勝利し続けるも、望みが叶わず、その闘いを今も続けている。
最終的に舞闘会は、勝ち残った姫士が彼との一騎討ち『プロムナード』で決着する。
武装帯は未だ不明だが、過去全ての舞闘会に勝利した、最強の武装帯を持つ。

…とりあえずまあ、暫定でこんな感じのことを妄想してます。
時間が上手く作れて、皆様が不快でなければ、続きを書かせて戴きたいですね。
あと、「こういうシチュエーションが見たい!」ってのも、あれば是非。
「女装子がフィストファックされるのみたい!」とか、気軽に仰って欲しいです。
後は、原作者さんのアイディアや方向性を、一番尊重したいですね。
まあ、他作品も投下しやすい雰囲気を維持しつつ、楽しんで戴ければと思います。
214189:2010/10/03(日) 23:37:46 ID:8P37QaTv
GJです。
自分の妄想を他人が文章に続けてくださるのは嬉しいなぁ。

・『蒼の姫士』水原咲良(みずはら さくら)
・『緋の姫士』珠坂咲音(たまさか さきね)
↑こう、「咲」の字がダブったので、せっかくなら

・『銀の姫士』西園寺いぶみ(さいおんじ いぶみ)
・『金の姫士』???

・『白光の姫士』???
・『影の姫士』有栖影奈(ありす えいな)

の2組も、何か字をダブらせたいですね。
「金」は八幡伊吹(やわた・いぶき)、「白」は鷺澤奈津芽(さぎさわ・なつめ)とか。
伊吹は「いぶき」と開いてもいいかな。

個人的には、「透彩」より「虹」がお薦めかなぁ。中をとって「虹彩」とか?
裏設定出来には、この人だけは、歴代で代替わりしてないと妄想。
だから、実年齢は実は「女子中高生ってレベルじゃねーぞ」のはずなのに、
外見はむしろ永遠の17歳ちっく(某東方の紫みたいな感じ?)。
215名無しさん@ピンキー:2010/10/04(月) 00:09:35 ID:y6WUUdZf
>>214
そゆの、いいですね…次書く機会があれば、その方向で行きたいです。
個人的には次は、いよいよメインヒロイン、咲良を書きたいですね。
後は、七人目は過去常に勝利し続けて来た「虹彩の姫士」が確かにいいかも。
この舞闘会というドラマの核心にいる、古くからのロリババァ的キャラを妄想します。
あと、咲良の一族は、代々舞闘会でいいとこまで行きつつ、敗北して女にされて…
その子が姫士を受け継いでるという印象なんですが、どうでしょうか。

後はやっぱり、折角だから、設定押しよりも、エロSSのクオリティに気をつけたいですね〜
銀と金、白と黒はやはり、名前は関連性を持たせて、深みを出したいですね。
原作者様提案のお名前は、そのままそっくり頂戴しようと思います(笑)

やっぱり後は、エロくて使えるSSになってるといいなあ、って思います。
216名無しさん@ピンキー:2010/10/04(月) 00:34:18 ID:mWGts9Iq
3日ぶりに来てみたらえらく豊作だなあ
みんなGJ!
217名無しさん@ピンキー:2010/10/04(月) 11:26:09 ID:nShLVtlK
「お姉ちゃん」完結乙彼様。
そして、姫士の話もGJ!

189は虹彩を「虹のような色鮮やか」と言う意味で使ったんだろうけど、本来はこういう意味。

虹彩:虹彩(こうさい)とは、脊椎動物及び軟体動物頭足類の目において、角膜と水晶体の間にある薄い膜。瞳孔の大きさを調節して網膜に入る光の量を調節する役割を持つ。

……が!
これを逆手にとって、第七の姫士は、一見「七色の虹のように武装帯を多様な形に変化させて使いこなす」ことが能力と見せて、実はそれは余技に過ぎず、本当の能力は目(眼力)に関する何か……とミスリードを誘うのはいいかも。
218七姫士舞闘祭_第四楽章 1/3:2010/10/04(月) 22:05:49 ID:y6WUUdZf
 染井克昭は、今朝の不思議な出来事を思い出していた。今思えば、夢だったのではと
さえ思う。彼が見た光景はしかし、記憶だけは鮮明に、今も思惟を支配している。
 それは、理事会を名乗る、一人の少女との出会い。
(彼女が、この学院の理事長? ……そんな筈はない。俺が会った理事長は)
 克昭が教育実習生として、この私立K聖女学院へやってきたのが先週。その時挨拶した
理事長は、七十を過ぎた、品のいい老婆だった。他にも何人か、理事の人間に会ったが、
全て年老いた女性ばかり。
 自然と克昭は、夢ともうつつとも知れぬ追憶へと、想いを馳せた。

 それは確か、朝礼が終ったすぐ後だったと思う。克昭は突然、校内放送で理事室へと
呼び出された。理事室へと歩いた記憶はある。そこで彼を待っていたのは、
「よう来たの……資格を持つ者よ。我は理事会。全なる独り、我こそが理事会よ」
 妖艶な美貌を湛える、華奢な少女が一人。その輪郭だけを逆光が象っている為、克昭は
顔までは見れなかったが。あまやかに香る匂いと、典雅な声色が、すぐさまその主の姿を
克昭に想起させた。見るまでもなく感じる、絶世の美少女。
「あ、あの……俺に何か。あっ、何か俺、やらかしましたか? っちゃ、まずいな」
 すぐさま克昭は、己の失態を探し、叱責される理由を自らに問いただした。
 自分なりに先週から、教員免許を取るべく奮闘してはいたが。何せ彼は、淑女の蕾並ぶ
花園に、迷い込んだ一羽の蝶。この学院、唯一の男なのだから。勿論、教員も皆、女性だ。
 気をつけて接していても、多感な少女を傷付けたのではと、危惧が浮かぶ。
「そうではない。ぬしには資格がある……故の邂逅と思い、我は勝負を預かった」
「へ? あの、何かお叱りでは……資格? 資格って。そもそも、貴女は……?」
「ふむ、記憶は消えておるな。まずは重畳、して……資格について語ろうぞ」
 陽光を背にする人影が、かっと双眸を見開いた。
 虹色の瞳が輝き、その妖しげなゆらめきに克昭は思考を引きずり出された。額の奥が
熱を帯び、脳裏を声が走る。

 ――願いを携え、祈りを胸に……舞闘会に踊れ、乙女にして少年、姫士達よ!
 最後の一人こそ、卒業舞闘(プロムナード)にて、虹彩の姫士とあいまみえん。
 姫士の中の姫士を倒せし者のみ、代価と引き換えに、いかなる望みも叶うだろう……
 太古より、国を変え、時代にひそみ、紡がれてきた運命の糸。
 その名は七姫士舞闘祭(プリンセスワルツ)!!
 敗れし姫士を待つは、恥辱と冒涜……勝者が望むなら、その男性の剥奪!!
 掴むのは栄光か……屈辱か?
 いざ、競い合え!!

 高らかに、歌うように響く声が通り過ぎ、呆然と克昭は立ち尽くした。何故ならそれは、
克昭が最もよく知る内容。彼が創作した、現在も構想中の物語だから。
 それはいつしか、知らぬ間に思い浮かび、これから正に執筆しようとしていたものだ。
「識ったな? いや、思い出した、か……ぬしを今より『裁定者(バトラー)』に任ずる」
 虹の輝きに眇められ、左右非対称の笑みに克昭は頷き、夢遊病のように理事室を出た。
 最後の闘い、卒業舞闘に立ち会う者……それが裁定者だと、背中で甘美な声を聞いて。

 そして今、新たに一年蓮組の副担任を経験すべく、克昭は教室に来ていた。
(夢、じゃない。俺の他に、少女に扮した男の娘が七人。それが互いに闘い――)
「どうかしましたか? 染井先生。あの、自己紹介のほうがまだなのですが」
 不意に克昭は、現実に引き戻された。見れば、ずらり並んだ女生徒が、教卓前の克昭を
見詰めている。学院唯一の男に興味津々の様子だ。確かに若く、ほどよく顔立ちが整った
克昭は、少女達の好奇心をくすぐるだろう。隣の若い女教師さえ、そんな雰囲気だ。
 見知った顔が奥の席で手を振るのを見て、克昭は咳払いと共に一歩踏み出た。
「えー、副担任を任された、染井克昭です。短い期間ですが、よろしくお願いします」
 静かに生徒達に、ざわめきが広がっていた。どこか華やいだ、それでいて清楚な空気は、
お嬢様学校特有のものだ。誰もが濡れた視線で、憧れを込めて克昭を撫でてくる。
(この中に、この学院の中に男の娘が? ……エロパロ女装スレの見過ぎだな、俺は)
 克昭はこの時、自嘲と共に件の記憶を、白昼夢として片付けようとしていた。
219七姫士舞闘祭_第四楽章 2/3:2010/10/04(月) 22:17:31 ID:y6WUUdZf
 副担任とは名ばかりで、ようは教室に常に居て、よく学べという配慮だった。
 午前中の授業を四時間、克昭は全て一年蓮組で過ごした。その優雅な名前が示す通り、
どの生徒も花のように煌びやかだ。一際可憐で儚げな、赤い髪の美少女さえいる。
 国語に歴史、英語、数学……ただ授業の場に居るだけで、克昭は気疲れしてしまった。
 女生徒達は互いに声をひそめつつ、克昭を見てはクスクスと楽しげに笑うのだ。
「やっと解放されたか……あー、なんか疲れた。俺は珍獣かっつーの」
 足取りも重く独り言を零して、克昭は教室を出た。と、腕に抱きついてくる軽い感触。
「克くんっ、お疲れ様っ! ふふ、みんな言ってるぞ? かっこいいって」
 僅かに青みがかった髪を、蒼いリボンでポニーテールに結った少女が、寄り添い克昭を
見上げてくる。彼を兄と慕う幼馴染、水原咲良(みずはら さくら)だ。
「あたしも鼻が高いな。うんうん……ねっ! 一緒にお昼、食べよ?」
 一年蓮組、その蓮の花が咲き誇る泉に、蓮っ葉な元気娘が一人。それが咲良だ。散るが
美となる桜と真逆に、咲くを良しとする快活さが、僅かに疲れを癒してくれる。
 改めて愛らしい幼馴染を見て、克昭は白昼夢の出来事を妄想と斬り捨てた。
「あのな、咲良……じゃない、水原さん。一応、学院では教師と生徒だから」
「っと、ごめんごめん、克くん……じゃないっ、染井先生。お昼、ご一緒しませんか?」
 無敵のスマイルに、思わず克昭はたじろぐ。同時に、妙な違和感。
 咲良の鮮やかに蒼いリボン……それが何故か、嫌に気になった。その時、
「水原さん、染井先生に失礼です。それが師に対する教え子の態度でしょうか」
 やけに固い、固さを作った声が響いた。咲良と振り向けば、そこに三つ編みの少女。
「あ、委員長。克くんはでも、あたしの幼馴染なんだ。お兄ちゃんみたいなもんかな」
「それでもです。親しき仲にも礼儀あり……不躾です。早く離れてください」
 克昭は記憶を総動員して、今時ちょっと見ない、こしきゆかしい美少女の名を探った。
 確か、クラス委員長の鷺澤奈津芽(さぎさわ なつめ)だ。その地味で控えめな容姿は
かえって華美に過ぎる制服と、奇妙な調和をかもしだしている。きっと将来は、典型的な
大和撫子に育つだろう。勝気な釣り目も印象的だ。
「うんうん、水原さん、離れなさい。教師と生徒だからね。あと、ありがとう、鷺澤さん」
 この瞬間、克昭は身近に咲良がいて、つい気が緩んでしまった。
 普段咲良を褒めるように、ポン、と軽く奈津芽の頭を撫でてしまったのだ。
 失敗を察してハッとした時には、顔を真っ赤にした奈津芽は、猛烈な勢いで走り去った。
過剰な反応に驚く克昭は、弾かれたように後を追う咲良を、ただ呆然と見送った。

 咲良は学校の裏庭、大きな楡の木の下で、奈津芽に追いついた。
「委員長……ううん、奈津芽ちゃん。大丈夫? 克くん、悪気はなかっ――」
「来ないで! ……いっ、今なら勝てますよ。蒼の姫士」
 肩を震わせ、奈津芽は耳まで真っ赤になって振り向いた。どこか勝気な表情が今は、
涙目に瞳を潤ませている。何より、立ち尽くす彼女の……彼の股間は膨らんでいた。
「招待なんてしないよ。だってフェアじゃないし……姫士である前に、友達だもん」
「そんなこと言って……武装帯も露に、舞闘会を誘ってる」
 奈津芽の言葉に、咲良は「ああ、これ?」と小さく笑って、頭のリボンに手で触れた。
「母さんの形見なんだ。あたしんち、代々姫士なの。で、これはその誇り」
「ほ、誇り?」
「そ、あたしが世界を変えないと、このおかしなゲームは終らないから」
 普通の姫士ならばイメージに秘する武装帯……咲良がそれをわざわざ、目立つように
髪に飾るのは、理由があった。少しでも早く、全ての姫士に勝利し、舞闘会を終らせる。
それが彼女の望み。代々続く家系の使命。
「それより、奈津芽ちゃん。その体質、姫士だからあたし、解るけど」
「――笑ってもいいですよ。最弱の姫士、それが私。私の望みは、この体質を治すこと」
 白光の姫士、鷺澤奈津芽が抱える秘密。それは、極度の男性過敏症。姫士以外の男性に、
異常に性的な興奮を覚えるのだ。それが彼を舞闘会へと駆り立てる。
「私の武装帯は弱い……私の姫士の力も。でもっ、私は勝ちたいんです!」
 三つ編みを揺らして、奈津芽が両手を頭上に掲げる。その間に光が収束して、一本の
リボンが現出する。さらにそれを結べば、頼りなげな短剣が現れた。
 最弱の武装帯、『イクリプス・ミラージュ』は、刀身に午後の日を反射して光った。
220七姫士舞闘祭_第四楽章 3/3:2010/10/04(月) 22:21:27 ID:y6WUUdZf
「こっ、こないでください、水原さん……招待、しないで。私、勝てません」
「――怯えないで。ね? 招待しないってば」
 咲良が一歩踏み出せば、奈津芽の手の中で、短剣が二本、三本と増えてゆく。
 対して咲良は、髪に結んだリボンを解こうともしない。
「……あたしじゃ、力になれない?」
「来ないで! 刺します」
「それで奈津芽ちゃんが安心するなら、いいよ」
 躊躇わず咲良が身を寄せれば、既に両手に溢れた鋭い刃を、気圧され奈津芽が降ろす。
 怯えるような奈津芽を、咲良は幼子をあやすように抱きしめた。
「よしよし、いい子、いい子。男の人に触られると、ビックリしちゃうんだよね」
「水原、さん? どうして……好機ですよ? 私に勝てるんですよ? 招待、ん、んっ!」
 うろたえる奈津芽の言葉を奪うように、そっと咲良は唇に唇を重ねた。その頑なな蕾を
優しく開かせ、舌へと舌を絡め、互いの吐息を分け合う。長い長いキスに鼻を鳴らせば、
自然と奈津芽の手にする武装帯はリボンに戻り、やがて霧散する。
 二人が光の糸を引いて離れると、ようやく奈津芽も落ち着きを取り戻した。
「落ち着いた? ね、踊らないから。招待、しない。ただ、楽になって欲しいだけ」
 密かに慕う、克昭が原因だったのもある。しかし、咲良は生来、母より武装帯と共に、
母性にも似た優しさを受け継いでいた。
「お、お礼なんていいません……たとえ勝ち目がなくとも、機会を見て、隙を突いて」
「うん。それは奈津芽ちゃんの好きにして。その時は、あたしも全力全開。でも」
 そっと咲良は、奈津芽の股間に手を伸ばす。スカートをめくり、ショーツを雄々しく
盛り上げる、その屹立を手に取った。僅かにショーツをずらし、改めて握る。
「辛いよね? 気持ちは女の子なのに、男の人にうかつに触れないなんて」
「それは……でも、私でも勝てば。勝てば望みが叶うんです。だから、あっ」
「奈津芽ちゃん、もっと楽にして。力、抜いて……ね? あたしに、任せて」
 そっと奈津芽を、咲良は背後の巨木に押し付け、いきりたつ剛直の前に屈み込んだ。
 既に奈津芽の男性自身は、先走りに濡れて包皮を脱ぎ捨て、見事に勃起していた。
「奈津芽ちゃん、仮性なんだ。あたし、口でしてあげるね?」
「あ、まっ……」
「あたしじゃ嫌? 午後の授業もあるし。姫士同士だって、助け合ってもいいと思うけど」
 それだけ言うと、返事を待たずに、咲良は奈津芽の怒張に頬ずりした。その根元へ手を
添え、パンパンに張った一対の宝玉をも愛撫する。そうして、たっぷりと焦らし昂ぶらせ、
咲良はチロリと舌で亀頭を舐めた。鈴口から溢れる、透明な粘液をチロチロ舐める。
「ひゃうっ! 水原、さん……そ、そこは、んぐぅ!」
 咲良は絶妙な舌使いを駆使しつつ、ゆっくりと立派な竿を手でしごきあげてゆく。
 次第に二人の呼吸は荒くなり、肩で息をし始めた。
「元に戻るまで、絞ってあげるね。たっぷり出し――あっ」
 ほんの前戯のつもりだった咲良は、突然の、それも大量の射精に驚いた。だがしかし、
優しく奈津芽を口に含むと、その白濁を飲み下し、吸い上げる。
「私、早いんです……早漏です。そ、その、ごめんなさい……」
「んぷ、ふぅ。奈津芽ちゃん、そゆ時はゴメンじゃなくて、ありがとう、だよ?」
「え? え、ええ……その、ありがとう、ございます。水原さん」
「あと、あたしのことは咲良って呼んで。……嫌? そりゃ、いつか闘うかもだけど」
 鼻先に精液を滴らせながら、いまだ萎えぬ肉柱を手に、咲良は奈津芽を見上げた。
 奈津芽は今、胸の前で手をもじもじ遊ばせながら、俯き視線を逸らしている。先程から
ずっと、顔は火照って紅が差し、茹で上がったように真っ赤だ。
「じゃ、じゃあ……咲良、さん」
「うん。ねえ、まだ固いよ……凄い立派。ほら、剥けた皮をこうすると」
「あぅん!」
 再び、奈津芽は絶頂に達した。咲良の端正な小顔が、白く汚されてゆく。
 しかし、咲良はただ微笑み、愛撫を続け、何度も射精を促す。
「あ、小さくなってきたね……奈津芽ちゃん、早いけど結構、絶倫? ふふふ」
「で、でも、今度は……咲良さんが。私、ちゃんと、お礼はしますから」
「律儀だなあ。そゆとこが委員長だよね、奈津芽ちゃ――あはっ、んんっ」
 こうして二人は、長い昼休みを互いにしごいて咥えあい、姫士同士ながら親密になった。
221名無しさん@ピンキー:2010/10/04(月) 22:25:01 ID:y6WUUdZf
うおお、高まれ俺の厨二センス!開け右手の邪気眼っ!
…すみません、今回はあんましエロくなりませんでした。

>>217
早速設定を頂戴しました、ありがとうございます。
そうですよね、コンタクトとかでよく「虹彩」って話でますもんね。
とりあえず、虹彩の姫士こと理事会さんは眼ヂカラ使ってみました。
222189:2010/10/05(火) 01:08:23 ID:RtVmTfcx
GJ!
厨二的小宇宙の高まりに期待!
……そうですね、「虹彩」、そーいう意味でした、確かにorz
いや、ここは災い転じて福とみなしましょう! ミスリード上等!
そして、表向きの能力は、確かに私も「七つに変形可能な武器(武装帯)」は考えてました。
ただ、真の能力は掟破りの「銃」かなぁ、と。

 「ば、馬鹿な……銃、ですって! 武装帯は最低限、相手の武装帯を「切れる」モノでなければならないはず……」
 「うむ、その通りじゃな。しかし、未熟なる姫士よ。我が武装帯「波鳴眼弩」は、鉛玉ではなく「光」を撃ち出す。
 ──この意味はわかるな?」
 「!」
 嗚呼、確かに自分は固定概念に縛られた愚か者だ。現代科学の延長にだって、高水圧カッターやガスバーナーのような「気体や液体による切断工具」はあるではないか。
 あの武装帯が、それこそSFのレイガンのような性能を持っているなら、他の姫士の武装帯を「切り落とす」ことは容易いだろう。
 そして何より、自分の武装帯は、絶望的にあの銃型武装帯と相性が悪い。これなら、まだ「銀」や「緋」の方がマシだったろう。
 「さて、それでは、しばしの戯れに幕引きといこうかのぅ」
 七人目の姫士のその言葉は、彼女には死刑宣告そのものに聞こえた……。
 ──その日、舞闘会最初の脱落者が出た。

●波鳴眼弩(ヴァナルガンド)
「虹彩の姫士」の武装帯の真なる姿。外見は水晶で出来た古式ゆかしいリボルバー拳銃(コルトピースメーカーとかその辺り)に見える。
ただし、彼女は普段はその形にせず、構成要素である光のエネルギーを制御し、もっぱらショートソードやジャベリン、あるいはモーニングスターなどの近接武器に擬装している(そしてそれらを用いても十二分に強い)。
ちなみに、「ヴァナルガンド」とは、北欧神話で主神オーディンを噛み殺す魔狼フェンリルの別名。また、咲良の持つ「夜夢雅導(ヨルムンガンド)」と何らかの関係があるらしい。
223名無しさん@ピンキー:2010/10/05(火) 01:12:31 ID:ZQRuSrOD
どれが原作者のでどれがシェアなのかがわからなくなってきたw
それともリレー的なのかな
でも面白いからGJ!
できれば目次的なものがほしいね
224名無しさん@ピンキー:2010/10/05(火) 05:41:18 ID:Ri5OGRBQ
>>223

01話>>189
02話>>193
03話>>210
04話>>218

・その他、キャラ紹介や設定的なもの
>>213
>>214
>>222

抜けもあるかもしれんが、現状こんな感じ?
225189:2010/10/05(火) 06:45:01 ID:RtVmTfcx
これは、既に他人の手によって書かれている以上言ってはいけないのかもしれないが……せっかくなので、いまの内に吐露させていただきます。
実は、原案者としては「蒼」の咲良の性格は、もうちょっと微ツンデレ気味なつもりだったりします。
無論、たとえば友人とかに対しては、まさにあんな感じの元気で優しい某なのちゃんみたいな(男の)娘だけど、兄であり幼馴染である腐れ縁でもある克昭に対してだけは、ちょっとツンと言うか当たりがキツいと言うか遠慮がない感じ?
まぁ、それも「やっぱり克くんは、あたしがついてないとダメだよねー」という(歳下の癖に)保護者ぶった感慨プラス微妙な男娘心(オトメごころ)故なんですが。
ちなみに、克昭のオタク趣味自体については、自分もアニメやゲームは割と好きなので、さほど偏見は持ってないものの、「でも、現実と妄想の区別はしっかりつけてね」と釘を刺すのが恒例。
これは、自分がまさにその妄想が具現したが如き「裏」と関わりがある故に、好きな人には陽の当たる道を歩いてほしいという気持ちの現れだったりします。

仔犬系と言うか天真爛漫系は、個人的にはむしろ「金」の伊吹(の表の顔)かな。
このコは、某軽音部のムギちゃんの如く、お嬢様で、ぽわぽわで、天然かつ一風変わった嗜好の持ち主。
何気に基礎スペックは高いんだけど、ドジっ子と口に出して妄想する癖から、「人畜無害な萌えキャラ」と周囲に見られてます(無論、それは半分演技で、怜悧な頭脳の持ち主)。

無論、「七姫士舞闘祭」さんには七姫士舞闘祭さんで、すでに思惑とか組み立てもあるでしょうし、無理に曲げていただく必要はありませんので、あしからず。
(や、元々咲良のパートだけは書くつもりだったのですが、七姫士舞闘祭の仕事が早くて先を越されました)
226218:2010/10/05(火) 11:34:17 ID:Ri5OGRBQ
>>225
原作者様の意図、かなり了解です、ってか書きまくってごめんなさい。
咲良の性格は今後の出番で、少しずつ原作準拠になおしていきますね。
次は金の姫士いぶきを登場させようと思ってましたが、参考にさせて戴きます。
なるほど、むぎちゃん系天然ドジっ娘(でも腹黒?)な感じなんですね。
早ければ明日にも、続きを書かせて戴ければと思います。
原作者様にも、スレの皆様にも楽しんで貰えれば幸いです。
基本的にもう話の大筋は、自分のなかではあるんですが…
希望要望等あれば、誰でも遠慮なく言って貰えれば嬉しいです。
227名無しさん@ピンキー:2010/10/05(火) 20:10:12 ID:kAVkmqry
2人コンビで書いてるように見えてきたのは俺の理解力が足りないからだろうか
何にせよGJです
228189:2010/10/05(火) 23:32:31 ID:RtVmTfcx
>218
やや! 気を使っていただき、ありがとうございます。無理のない範囲で微修正していただけるなら、大変嬉しいです。
あと、222で書いたのはあくまでネタですので、別に第一脱落者に手を下したのが「虹」でなくても結構です。一応、ココでは、こんな状況を想定してました↓
──何度か姫士たち相互の招待による「舞闘会」は行われていたものの、未だ脱落者は0。
(中断したり、勝敗はついたもののペナルティを科さなかったり)
これまでの舞闘会史上であり得なかった事態に焦れた「理事会」が、状況を動かすべく、本来は「卒業舞闘」にてのみ合いまみえるはずの「虹彩の姫士」を介入させてきた……

>227
えっと、スレを私物化してるように見えたなら御免なさい。
218さんとは特に面識はなく、ココでのやりとりは偶発的なものです。
229名無しさん@ピンキー:2010/10/06(水) 16:09:26 ID:vl1CssaD
3レス分、前の続きを投下させていただきます。
以下の属性が苦手な方、スルーをお願いします。

・真性包茎の恥垢ナメナメ
・ゆるゆるケツマンコ
・直腸に温泉浣腸

では、よろしくお願い致します。
230七姫士舞闘祭_第五楽章 1/3:2010/10/06(水) 16:16:57 ID:vl1CssaD
 美少女ばかりが集う私立K聖女学院でも、とりわけ生徒達に人気の乙女が四人。まずは、
下級生達からお姉様と慕われる、四条文緒と、その彼女が選び側におく、珠坂咲音。次に、
今まさに下校せんと廊下を歩く、西園寺いぶみだ。そして最後に――
「あっ、いぶみ先輩っ! 今、お帰りですか? そうだっ、よかったら一緒に、キャッ!」
 自分を呼ぶほんわりとした声に、いぶみは振り返った。
 そこには、何もない場所で転ぶという、特異な才能の持ち主が、尻餅をついていた。
 彼女は、二年生の八幡いぶき。ゆるい表情とは裏腹に、抜群の美貌を持つ、全校生徒の
憧れの的だった。彼女を含む四人を、誰もが羨み、慕い、愛でる。
「あらあら、いぶき。どうなさったの? そんなに慌てて」
 いぶみはいつもの調子で、ほんわかと笑ういぶきに近付き、手を伸べた。
「お花をつみに行こうと思ったら、先輩が見えて。そしたら……あ、あれ?」
 いぶみの手を取る、彼女を中心に、まるでマイナスイオンでも発生しているかのような、
穏やかな空気が広がってゆく。見目麗しい二人の光景に、周囲の生徒も囁きを寄せ合った。
 天然の愛嬌を秘めつつ、愛らしさに溢れた、金髪の小柄な少女が場を和ませている。
「あれれ……ふふっ、おしっこ引っ込んじゃいました」
「まあ。いぶきはいつもマイペースね。それより――」
 小さな手を引き上げて、エヘヘと笑ういぶきの耳元に、そっといぶみは唇を寄せた。
「いぶき、ご報告が……六人目の姫士を確認いたしましたわ」
 一瞬ぽわんとして、瞬きを繰り返すいぶき。しかし彼女は、笑顔を咲かせて立った。
 見るも流麗なこの光景の主役が、二人とも姫士……少年だということは、周囲の者は
誰一人として知らない。唯一知るのは、同じ姫士のみ。
「やっぱり先輩、凄い凄いっ! じゃあ……二人っきりで、お話しましょう」
 柔和な笑みはしかし、星屑を閉じ込めた瞳だけが、笑ってはいなかった。

 いぶみといぶき、二人は連れ立って、人影まばらな放課後の校舎を歩く。
 誰もが振り向く、その視線を連れながら、二人はトイレへ入り、どちらからともなく、
個室に相手を招いて、鍵を閉めた。
 清潔感あふれる清掃の行き届いたトイレは、豪奢で荘厳な作りゆえ、個室も広い。
 完全に周囲から遮断されるや、銀の姫士は「あのお方」と慕う者へ……従う者へと身を
翻して、振り向きひざまずいた。
 まるで主君に仕える騎士のように。姫にかしづく下僕のように。
 そう、いぶきこそが、最強の姫士を従える、金の姫士だった。
「ご報告しますわ、いぶき。六人目は白光の姫士、一年生でしてよ」
 まるで当然のように、ドアに寄りかかり腕を組むいぶきの、そのベルトを外す。そして、
スカートを脱がせば、クマさんパンツの股間が大きく膨らんでいた。
「そう。それで先輩、楽しく戦えましたか?」
「いえ、戦うまでもありませんわ。余りに、弱い。強くなる気配すら感じませんの」
 残念そうに呟きながらも、いぶみは静かに声を弾ませ、いぶきの下着へ両手をかけた。
 そっと降ろせば、ブルンとまろびでた巨根が揺れる。ふんわりとしたいぶきの容姿とは、
余りにかけ離れた、その屹立。凶暴なまでに反り返って、血管が浮き出ていた。
「ああ、いぶき……こんなに。いつ見ても、ご立派ですわ。わたくしとは大違い」
「先輩、好きにしていいんですよ。それと、報告も続けてください」
 雄々しいイチモツに頬ずりしながら、うっとりと眼鏡の奥で瞳を細めるいぶみ。彼女は
縦巻きロールの銀髪を揺らしながら、熱く脈打つペニスへ顔をうずめる。
「白光の姫士は、奇遇にも蒼の姫士、緋の姫士と同じクラスですの……好都合でしてよ」
「そう。うふふ、楽しくなってきましたね、先輩」
 うっそりと冷笑を浮かべると、いぶきは虚空へ手を伸べ、強念を研ぎ澄ませる。すると、
細く綺麗な指が、空間から金色に輝くリボンを取り出した。
 それを手に遊ばせ、宙に躍らせながら、静かにいぶきは言の葉を綴る。
「やはり、七人目は見つかりませんか……それが恐らく、この舞闘会の秘密」
「ああ、いぶき……こんなに猛って。んむ、はふ、ふっ……ん、んっ」
 いぶみが夢中で貪るのを許して、その咥内のねっとりとした感触を楽しむいぶき。
 彼女は、パチン! と指を鳴らして、再び己の武装帯……リボンをしまった。
「ふふ、先輩。今日は六人目を見つけたご褒美をあげますね? さ、座って」
 妖艶な笑みを浮かべるいぶきに従い、口を離したいぶみは、洋式便器に腰掛けた。
231七姫士舞闘祭_第五楽章 2/3:2010/10/06(水) 16:21:20 ID:vl1CssaD
 便器に浅く腰掛け、嬉しそうにいぶみは、スカートを両手で胸までまくりあげる。
 彼女は今、興奮に高揚して頬に朱がさし、瞳を潤ませながら主を、飼い主を見上げた。
「相変わらず先輩は可愛いですね。今日は、たっぷり可愛がってあげますから」
 いぶきは、小さな膨らみを内包した、レースの下着へ手を伸べた。いぶみが腰を浮かせ、
それが脱がされる。無毛の股間に、包皮を余らせた小さな肉芽が勃起していた。
 いぶきは、股を開くいぶみの股間へ顔を近づけ、屈みこむ。
「先輩、相変わらずちっちゃいですね。それにツルツル。皮もこーんなに余って……ふふ」
 無邪気にいぶきは、いぶみ自身の先端で尖る皮を、指でつまんで引っ張る。
 びくびくと身を震わせ、いぶみは押し寄せる快楽に、鼻から喘ぎ声を漏らした。
「さ、先輩? どうして欲しいか、いつもみたいにおねだりしてください」
「わっ、わたくしのを……お口で、して……」
「あらあら? どうしちゃったのかしら。おねだりのしかた、忘れたの、かし、らっ」
 クチュクチュともてあそんでいた余皮に、いぶきは爪を立てた。短い悲鳴が響く。
「っく! あぅ……わ、わたくしの、オチンチンを……」
「そうそう、続けてください。全校生徒の憧れ、いぶみ先輩?」
「わたくしの、粗末で汚いクリペニスを、いぶみのお口で……綺麗に、して、ください」
 満足げに笑って、いぶきは形よい鼻先を、いぶみの小さな突起に近づける。
「確かに、凄い臭い……先輩、わたしの言いつけ、守ってたんですね?」
「は、はいぃ……ずっと、洗ってません。だから、皮の中に」
「皮の中に? わたしに何を綺麗にして欲しいんですか? ほら、言ってください」
「ちっ、恥垢っ! わたくしの、真性包茎のクリペニスに溜まった、臭くて汚い恥垢っ!」
 いぶきは常に、こうしていぶみを辱めることに、快感を感じていた。心身ともに完璧な、
貞淑なお嬢様であるいぶみ。それが今、ずり落ちた眼鏡も構わず、淫らで卑猥な言葉で、
いぶきの意のままに発情しているのだ。
「じゃあ、いつもみたいに、わたしが綺麗にしてあげますね」
 いぶきはパクリと、いぶみを咥えた。
 たちまち咥内に、強い淫臭が充満し、それがいぶきの劣情をさらに煽る。
 いぶきは小さな小さなペニスを丹念にねぶり、口だけで器用に、分厚く男性を覆った、
余皮のヴェールを脱がせてゆく。
「んはっ、ふっ、くぅん……あは、凄い臭い。ほら先輩、剥けてきましたよ」
「はぁん……わたくしの、小さい小さい、クリペニス……」
「本当の女の子みたいですよ、先輩。クリトリスみたい」
 ようやく露になった亀頭は、白い恥垢がこびりついていた。それをいぶきは丹念に舌で、
味わうように舐め取ってゆく。さらには、ペニスと皮の間へと舌を忍ばせる。
「本当に汚いです、先輩。ほら、こんなに……言いつけ守って、偉いですね」
「あ、あっ、そこは……そこ、指入れちゃ、んぁ! ……はぁ、はぁ」
 口を離すやいぶきは、今度は指で、ともすれば元に戻ってしまう皮を剥き、その中へと
進入を果たす。そして、皮と茎の間を、コリコリとほじくり、恥垢をそぎ落とした。
「ほら、先輩。こんなに取れましたよ? はい、あーんして……」
 先走りに濡れた人差し指に、ねっちりとまとわりつく恥垢。
 いぶきが差し出すその指を、いぶみは咥えて吸い付き、自らの淫らな垢を舐めた。
「美味しいですか? 先輩。ふふ、いいお顔」
「はひ……おいひぃれふ……わ、わたくひ……」
「もう、また先輩だけ気持ちよくなって」
 瞳をあらぬ方向へ向けて、いぶみは押し寄せる法悦に震えていた。その口から指を抜き、
いぶきは形よい唇を寄せた。ピチャピチャと、わざと音を立てて互いの舌を絡ませる。
 いぶきの巨大な、雄々しいペニス。
 いぶみの粗末な、稚拙なペニス。
 大小二本の怒張が交差し、抱き合いキスを交わす互いの腹部に突き立てられる。
「ん、ぷはっ! ふう……先輩、もう一つの言いつけも守ってますか?」
「はっ、はひ……」
「こーらっ! まだアヘっちゃ駄目ですよ? ご褒美はこれからですもの」
 いぶきはにこやかに、いぶみが何であるかを問う。いぶみはわななく唇で応えた。
「わたくしは、いぶみの姫士……そして、淫乱な雌豚の、肉奴隷ですわ」
 よく言えました、と微笑み、再度いぶきはキスを与え、舌をすすった。
232七姫士舞闘祭_第五楽章 3/3:2010/10/06(水) 16:25:11 ID:vl1CssaD
 ガチャリと音がして、トイレに誰かが入ってきた。
 その音で、飛びそうになっていたいぶみの意識が、肉体へと戻ってくる。しかし、その
唇を貪るいぶきは、まるで動じた様子もない。寧ろ楽しそうだ。
「皆様、今度の休日の予定は空いてまして?」
「そろそろ冬物を見に、街にも出たいですわね」
「あら素敵。ご一緒しませんこと?」
 かしましい声を弾ませ、続いて隣の個室に人の気配が入り込んだ。他の生徒達は何人か、
鏡の前で髪をいじりながら、週末について談笑している。
「いぶき、あの……」
「大丈夫、先輩が声を出さなければ。ご褒美をつづけますね」
 声をひそめて囁き合うや、最後に深いキスをして、いぶきがいぶみから身を起こした。
「先輩、いつも声が大きいんですもの。楽しみになってきちゃった」
 こんな状況でさえ、楽しげないぶきの笑みが絶えることはない。彼女は静かにそっと、
大股開きのいぶみの、その両腿をかかえる。膝の裏へ腕を通し、ぐいと持ち上げる。
 自然といぶみは、便器の上に寝そべる形で、腰を僅かに高く持ち上げられた。
「ほら、先輩。いつもみたいに自分で脚を……そう、そのポーズ」
 いぶみは主が言うままに、自らの豊満な尻を突き出した。その割れ目の中心に窄まる、
穢れた排泄孔は今、栓がしてある。いぶきが与えた、特大のアナルプラグだ。
「先輩、抜きますよ? 声、出さないでくださいね」
 小声でウィンクして、いぶきがそれへと手を伸べる。
 いぶみがいきめば、ずるりと拳大のアナルプラグがひりだされた。
 それを吐き出したいぶみのアヌスは、ぽっかりと洞のように開いたばかりか、
「あはっ、相変わらず先輩、お尻ゆるいですね。ほら、めくれてますよ?」
 脱肛気味に直腸がめくれて、淫靡なアナルローズを咲かせている。
 いぶきは魔性の笑みを浮かべて、人差し指に中指を沿え、その肉感にあふれた肛門へと
それを突き出す。飛び出た直腸を押し戻しつつ、指が二本、抵抗なく飲み込まれた。
「お待たせしましたわ。ささ、皆様参りましょう」
「今ちょうど、どこのブランドから回ろうか話してましたの」
「毛皮も新調したいですわね……あら、もうこんな時間」
 二人以外の女生徒は、賑やかに声をあげながら出て行った。再び静かになるトイレの中、
いぶみだけが激しく呼吸を貪り、半開きの口から涎をたらしている。
「先輩、よく声出すの我慢できましたねっ! じゃあ、これなら?」
 いぶきは、いぶみの菊門に差し込んだ二本の指を、大きく開いた。そうしてその隙間へ、
更にもう片方の手の指を忍ばせる。いぶきは容赦なく、両手でいぶみをこじ開けた。
「ほんと、だらしない穴……こーんなに広がって。まあ、わたしが拡張したんですけど」
 ムニュムニュと広げられたいぶみは、言葉が声にならず、ひたすら空気を貪る。
「さて、と。最後のご褒美。……先輩、どうして欲しいか、またおねだり」
「は、はひっ……いっ、挿れて、くだ――あ、やっ……抜かない、で」
 露骨に残念そうに、意地悪な笑みで、いぶきは糸引く指を抜いた。
「先輩、そうじゃないですよね? わたし、あんなに教えたのに。さ、もう一度」
「わ、わわ、わたくしの……ケツマンコに、いぶきのオチンチン、挿れて……」
「そうよ、その調子……興奮しちゃう」
「野太いいぶきのオチンチンで、ケツマンコぐちゃぐちゃに犯し――んほぅ!」
 いぶみの言葉を遮り、いぶきは己の剛直をねじ込んだ。するりと根元まで。
「んー、相変わらずゆるいです、先輩。ほら、もっと締めてください?」
 一瞬白目をむいていたいぶみが、眉根を寄せて下腹部に力を込める。
「あは、いい感じです。でも、こうするともっと」
 締め付けを感じながらも、いぶきはベトベトになった両手で、いぶみの首を絞めた。
 途端にいぶみの括約筋が蠢き、直腸を押し広げるいぶきをきつく圧迫する。
「うんうん、いい具合……あ、なんか、おしっこ思い出しちゃった。先輩、しますよ?」
「は、はひ……わたくしは、いぶきのモノ……いぶきの、変態肉便器でひゅ」
 じょろじょろと大量の尿が、いぶみの直腸に注がれ、長時間の放尿が続いた。
 続いて絶頂に達する間際、いぶきは腰を引くと、大量の精液をいぶみの太腿へ放つ。
「はい、ご褒美終わりです。先輩、わたしのおしっこ、零さないでくださいね」
 いぶみの所有者は満面の笑みで、再びアナルプラグを捻じ込み、栓をした。
233名無しさん@ピンキー:2010/10/07(木) 01:19:58 ID:HGwzuGvb
>七姫士舞闘祭の人

相変わらずGJ
エロとキャラ性の両立ができるのはすごいなぁ。
234名無しさん@ピンキー:2010/10/08(金) 17:41:56 ID:HmJ7Cxtp
話をしよう…3スレ分、続き物を投下させていただきます。
以下の属性が苦手な方、スルーをお願いします。

・男の娘がビキニの水着なんだが、大丈夫か?
・パイズリされて顔射なんだが、大丈夫か?
・男の娘が乳首を攻められあへあへだが、大丈夫か?

では、よろしくお願いします。
235七姫士舞闘祭_第六楽章 1/3:2010/10/08(金) 17:45:49 ID:HmJ7Cxtp
 プールサイドに腰掛け、珠坂咲音は恋人を見詰めていた。
 自慢の豪邸に咲音を招き、その片隅に備えられた広い温室プール。深まる秋の中でも、
まるで真夏のように、文緒は泳ぐ。そのしなやかな流線型が美しい。
 二人きりの穏やかな時間をしかし、咲音は感受できずにいた。
 ただ、バシャバシャと脚でプールの水を遊ばせ、今日の昼休みへと思考が引っ張られる。
「うかない顔だね、咲音。何か考え事……心配事かい?」
 文緒が咲音のそばまで泳いできて、プールの底に足をついた。
「ご、ごめんなさい、文緒。何でもないんです」
「そう。ならいいけど……憂いを帯びた今の咲音も、可愛いよ」
 文緒はプールサイドに肘をつき、すぐ隣から咲音を見上げてくる。
 その濡れた手が、ピシャリと水を弾いて、そっと咲音の露な太腿へ触れた。
「それに、水着姿もいい。咲音は泳がないのかい?」
「私……カナズチです」
 一瞬、きょとんとした文緒は、次の瞬間には大輪の笑顔を咲かせた。
「ははっ、そうか、咲音は泳げないのか。学院中の上級生が愛でる、珠坂咲音が」
「も、もうっ、文緒っ! ……そんなに笑わなくても」
「いやあ、ごめんごめん。でも、水着姿は本当に可愛いよ。よく似合ってる」
 咲音は今、その白い肌も露な、きわどい赤のビキニを着ていた。選んだのは勿論文緒だ。
薄い胸を覆う上は、咲音をきちんと採寸したものなので、サイズは丁度いい。薄っすらと
肋骨が浮く、くびれた腰の下には、確かな膨らみを内包した、可憐な三角地帯。
「これなら、一緒に海に行っても、男の子だなんてばれないね、咲音」
「そんなこと、ないです……よく見れば、ばれちゃいますよ」
「大丈夫さ、腰にパレオでも巻けば完璧だ。……咲音、来年こそ一緒に、海に行こうよ」
「はい、文緒。その次の年も、その先も……ずっと、側にいさせてください」
 プールの中の文緒が、咲音の真正面に回りこむ。そうして、両の膝に手を置きながら、
微笑み見上げてくる。咲音はその手が、膝から太腿を這い上がってくる、その感触に身を
震わせた。
 自然と、今まで考え込み、危惧していたことが頭から霧散する。
「脱がすよ……腰、浮かせて。そう、いい子だ」
 するりと、水着の下が脱がされた。
 下半身裸にされた咲音は、されるがままに股を開き、その中央へ文緒を招き入れる。
 文緒は水の中に身を遊ばせながらも、咲音の股間に顔を埋めた。
「ふふ、咲音の匂いがする。いいな、僕にもこれくらい、立派なのがあればな」
「あっ、文緒……息が、くすぐったいです」
「固くなってきた。凄いね、咲音……まだ触ってもいないのに。ほら、元気になってきた」
 咲音は頬を赤らめながらも、僅かに身を反らして己の分身を見下ろした。
 楽しそうにクスクス笑う文緒の美貌と、その側で立派に勃起した屹立が見えた。
「さて、咲音。今日は僕にどうして欲しい? 何でも言ってごらん?」
 文緒はプールからその痩身を起こすと、そのまま咲音を押し倒して身を重ねる。
 水に濡れた文緒を抱きしめ、咲音はそっとその華奢な肩に触れる。ワンピースの競技用
水着を、上だけ脱がせれば、豊満な乳房がまろびでた。形といい張りといい、文緒の乳は、
咲音の密かな憧れだ。
 自分と文緒の性別を入れ替える……その望みがもし叶うなら。その時は自分にも、文緒
のような胸が欲しい。密かにそう思っていた。
「あの、文緒……胸で、して欲しいです」
「ふふ、咲音はホントに僕の胸が好きだな。いいよ、ほら、おいで」
 文緒に言われるままに、咲音は上下を入れ替え、恋人の柳腰に馬乗りになる。
「咲音、ほら……これ、好きだろ? 出したくなったら、顔にかけていいからね?」
 文緒は、立派に強張る咲音の剛直を、己の豊かな胸の谷間に導いた。そうして両側から、
自らの手で乳房を用い、しごく。同時に首を僅かにあげて、その先端へ舌を走らせる。
 咲音は、文緒の顔に覆いかぶさるように、床へと両手を突いた。
「文緒の胸、気持ちいいです……凄い、柔らかくて、温かくて、んぁっ!」
「濡れてきたね。ほら、先走りがこんなに……滑りがよくなってきた」
 いつもの文緒の巧みなリードで、咲音は絶頂に達し、見下ろす顔へと白濁をぶちまける。
 その快感に身震いしながら、一瞬飛んだ意識が、再び黙考へと沈んでいった。
236七姫士舞闘祭_第六楽章 2/3:2010/10/08(金) 17:49:09 ID:HmJ7Cxtp
 それは、すでに日常化しつつある、一年蓮組の昼休みの一コマだった。
「克くんっ、じゃない、染井先生。今日もお昼、ご一緒していいですよねっ?」
 咲音は、今日も元気溌剌、快活そのものの水原咲良を、なんとはなしに見ていた。その
横には、最近親しげな、鷺澤奈津芽の姿がある。ぎこちなく克昭から距離を置いているが、
奈津芽も話の輪に加わっていた。
「あのなぁ、咲良、じゃない、水原さん。あくまで学院では――」
「だって克くん、あたしがちゃんと見てないと、食が偏るんだもん」
「ふふっ、咲良さんのお話は本当だったんですね。染井先生、世話を焼かれてます」
 クスクスと可愛らしく、奈津芽が口に手をあて笑っている。
「そだよ、奈津芽ちゃん。あたしがいないと、克くんってばだらしないんだから」
「お、おいっ、こら……他の生徒にも聞こえちゃうだろ?」
「ゲームとか創作とか、夢中になると大変! 食事も洗濯もぜーんぶあたし任せだもの」
「そ、そりゃお前が勝手に上がりこんできて、勝手にやってることだろぉ〜」
 克昭の狼狽ぶりに、周囲の女生徒へも、暖かな微笑が伝播してゆく。咲良はその性格故、
蓮組では誰とも親しく、ムードメーカーだった。
 否、誰とでもという表現は正しくはない。
 すくなくとも、そう咲音は思っている。彼女は、心を許してなどいないから。
 咲音が心を許す者など、一人しかいないのだから。
「だって、克くんには幸せでいて欲しいもん。……普通に、暮らして欲しい、みたいな?」
 不意に咲良が、切なげな表情に顔をかげらせる。
 姫士の誰もが今や知っている……本人にまだ自覚は少ないが。染井克昭こそ、理事会が
選出した、裁定者。最後の卒業舞闘を見届けるもの。
 そうなったのも、元を辿れば、咲音が咲良に舞闘会を挑んだ、その場を見られたから。
 咲良は一瞬俯いたものの、いつもの笑顔で腰に手を当て、ない胸を張る。
「だいたい、昨日も夜遅くまで……変な小説? ばっかり書いててさ」
「いや、頭に浮かんで来るんだよ。七人の姫士、舞闘会……何でも望みが叶う」
 どうやら克昭には、七姫舞闘祭が、自分の創作する物語に思えるらしい。
「兎に角、名前はまだ決めてないけど、うちみたいな学院に七人の男の娘がだな」
「……克くん? そゆ話、フツーの女の子の前で、しちゃ駄目って言わなかったかな?」
「え、あ、ああ……いや、お前の前だとつい。ゴメンな、鷺澤さん」
 手の平を合わせる克昭が、僅かに身を乗り出すと、奈津芽は後ずさりながらも微笑んだ。
 咲音はただ、そんな三人の姿を……とりわけ裁定者たる克昭を注視する。
「まったく、あたしがいないとこれだもの……」
「いや、咲良がいるからつい、気がゆるむんだと思うんだな。これがな」
「かっこつけても駄目っ。……もう、そのお話、作るのやめようよ。ね?」
「いやー、でも勝手に頭に浮かんでくるんだよ。次は、白光の姫士と影の姫士が――」
 確かに克昭は口にした。
 白光の姫士と影の姫士が、これから踊り、どちらかが敗北すると。
 確かに、どちらかが姫士の資格を失うと。
「そこまで考えたんだけど、そこから先はスレに投下してな――あ、ごめんごめん」
 克昭の言葉に、奈津芽は……白光の姫士は恐れ戦慄き、凝立している。
「ほっ、ほら、克くん! もう、駄目だぞっ! ……大丈夫だよ、奈津芽ちゃん」
「う、うん……で、でで、でも……」
 姫士にとって、裁定者の口から語られる言葉は予言にも等しい。口にした本人に、全く
自覚がなくても。そして、その結果は、まだ語られずとも、咲音には明白に思えた。
「克くん! 今後、その話禁止! さ、みんなでぱっとお昼にしよ? ね? ねっ!」
 うろたえる奈津芽を庇うように、咲良は努めて明るく振舞い、克昭の腕を抱いた。
 そうして引っ張り、教室を出ようとしたところで……一部始終をただ、じっと一人で
見詰めていた咲音と眼が合った。
 思わず眼を背ける咲音に、緊張感のない元気な声が浴びせられる。
「あっ、そうだ! たまにはさ、珠坂さんも……咲音ちゃんも一緒にお昼いこうよ」
「……私が? 私は、文緒と二人で食べるから」
「そっか。いいなー、あの文緒姉様に見初められるなんて。でも、咲音ちゃん可愛いしな」
「それと、あまり私に馴れ馴れしくしないで」
 馴れ合うつもりはないと言い捨てて、その時咲音は、咲良の視線を振り切ったのだった。
237七姫士舞闘祭_第六楽章 3/3:2010/10/08(金) 17:52:26 ID:HmJ7Cxtp
「はい、終わり。咲音の髪、綺麗だね。僕も伸ばそうかな……似合わないだろうけど」
「…………あっ、そ、そそっ、そんなこと、ないです。きっと」
 不意に、咲音は現実に思考を引っ張り戻した。プールで蜜月の時を過ごした二人は今、
シャワールームで続きをしている。咲音の腰まで伸びる赤髪を、たった今文緒が洗って
くれたのだった。
 咲音は、文緒の手が髪をすいて、シャワーの湯が泡を落としてゆくのを感じる。
 姫士は、無関係な人間に男と知られれば、その資格を失う。
 では、男と知った相手が、ただならぬ関係の人間ならば?
 その答が咲音と文緒だった。二人はもう、無関係とは言い切れぬほどに、身も心も重ね、
交わり、通わせていた。互いに肉体とは真逆の性を抱えつつ、愛し合っていた。
「それにしても、咲音は胸があんなに好きなんだもんな。さっきも……ふふっ」
「もう、文緒……だって、文緒は素敵です。私は、文緒みたいに、なりたいんです」
 背後の文緒に振り向き見上げる、咲音の本心だった。
 目の前に今、少女を脱皮しつつある、完璧な裸体が湯を弾いている。ボーイッシュな
風体の長身はしかし、華美な制服を脱げば、抜群のプロポーションだった。
「それは僕も一緒さ。僕だって、咲音みたいになりたいよ」
「だっ、だから私……頑張ります。きっと、最後の一人に、なってみせる」
 咲音の言葉に首を傾げつつも、そっと文緒は最愛の人を抱きしめ、豪奢なタイル張りの
壁へと押し付けた。そのまま唇を重ねて、鼻を鳴らしながら互いの呼吸を奪い合う。
 咲音も夢中で舌に舌を絡めて、丹念にお互いの唾液を混ぜ合った。
「まあでも、咲音はそこいらの娘よりよっぽど、女の子らしいけどね。……ほら」
 つつ、と文緒の指が、咲音の濡れた肌を滑る。そうして、平らな胸の先にある、小さな
蕾を探し当て、指でつまんだ。
「――ぁう! あ、あっ……文緒、らめ……胸は、そこは」
「ほんと、胸が好きだよね。するのも、されるのも……ね、咲音」
 桜色の乳首をもてあそばれ、思わず咲音は唇を離した。ビクンと大きく震えれば、固く
勃起した股間の怒張が、ぶるんと揺れる。文緒は構わず、糸引く咲音の唇を再度舐めつつ、
その舌を柔肌へと這わせてゆく。形よい顎をなぞり、喉仏の目立たぬ喉をねぶって……
 そうして、文緒は、咲音の左右の乳首を、指でほぐしつつ交互にしゃぶりだした。
「咲音、女の子みたいだよ……乳首、固くなってる」
「ふぁ……文緒、そこっ、いいの……乳首、感じるの」
「僕もだよ……痛いぐらい固くなってる。ね、触れてみて」
 言われるままに、咲音は文緒の乳房に触れる。熱心に咲音を壁に押し当て、その胸板へ
舌を躍らせる、文緒の乳首を探し当てる。確かに、その小さな突起は、形良く上向いて、
固くしこりとなっていた。
 咲音がすべやかな指でそれをいじれば、文緒もあえいで身をのけぞらせる。
 二人は湯に打たれながら、互いの乳首を丹念に愛撫しあった。
「文緒、もう……胸は、弱いです、私……」
「ふふ、ふやけてきちゃった……咲音の乳首」
 ずるずるとその場に、壁を背に咲音はへたり込んだ。朦朧とする意識の中、目の前の
文緒の股間が、その豊かな茂みが近付いてくる。文緒がぐいと腰を突き出してくる。
「僕もほら、濡れてる……咲音、今日もたっぷり、僕にそそいで」
 文緒に言われるままに、その秘裂へと指を滑らせれば、湯とは違った粘度の液体が、
咲音に纏わりついてきた。それはクチュクチュと音を立て、その都度文緒を悦ばせる。
「文緒……挿れたいです。文緒の中に、今日も出したいです」
「いいよ、一つになろう……咲音はそのまま。僕が動くから、楽にして」
 文緒はくるりと背を向けると、咲音に腰掛けるように身を屈めた。
 自然と咲音は、目の前の腰を抱き締め、迎え入れる。
「ふふ、可愛い顔して、ここはいつも暴れん坊なんだよね。……ほら、挿ってく」
「あ、ああ……文緒、今日も凄い。し、締まるぅ……」
 柔らかな、暖かな肉路が、咲音の形に押し広げられる。
 文緒が完全に腰を落とし、その確かな重みが、下の咲音を気遣うように密着した。
 咲音自身は、文緒を深々と刺し貫き、その最奥の子宮口へと、鈴口をこすりつける。
「ああ……奥に当たってる。ふふ、今にも爆発しそうだよ、咲音の」
 湯気の中ただ、咲音は愛しい文緒を抱き締め、その中に精を解き放った。
238名無しさん@ピンキー:2010/10/08(金) 21:58:58 ID:mz31HBmj
いいんじゃないかな、ネタ発言で導入がスムーズになってくれてるしね
・・・まあ、いいオナネタだったよ
239名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 02:08:52 ID:Ncavw1Ob
コンセプトがアンシーズにちょっとだけ似てると思った
240名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 07:40:26 ID:HshTB0Ju
姫宮?
241名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 13:04:30 ID:wJeL9Ch8
カカカッと3レスほど投下するが内容はそれほどでもない(謙虚)
一応下の下記の内容が含まれているとアッピルしておく。
苦手な人は忍者だろ?スルーしてかなぐりすてておくんだな。

・最初の1レスはまるまるバトルシーンだけなんですわ?お?
・早漏と男の娘が合わさってこってり搾精が最強に見える
・流石にアナル処女は格が違った初めての肛虐に流血ですね

…色々とすみません、それでは今回もよろしくお願いします。
242七姫士舞闘祭_第七楽章 1/3:2010/10/10(日) 13:12:49 ID:wJeL9Ch8
 彼は……彼女としか形容できぬ容姿の彼は、獲物を前に気配を殺していた。ただ静かに、
漲る殺気を胸に秘めた、美しき肉食獣。その牙と爪は今、二人の姫士に迫る。
(二手に別れた……どちらから狩る? ……くっ、また震えが。手が、震える)
 目の前で今、仲良く下校中だった二人は別れた。その片方が、狭く暗い路地へ曲がる。
 迷わず彼は、先だっての敗北からくる怯えを振り払い、弱者の駆逐を選んだ。
「不用意だなっ! こんな場所で一人になるな――何ぃ!?」
 ビルと塀の隙間、人が一人通るのがやっとの路地裏は、彼を迎えて異界と化した。
「ようこそ、影の姫士。気付いてました……私からご招待して差し上げます」
 影の姫士、有栖影奈は、舞闘会を挑むはずが、逆に招待された。
 白光の姫士、鷺澤奈津芽に。容易い獲物と踏んでいた、最弱の姫士に。
 刻が静止し、色彩を失った路地裏で、奈津芽が虚空より取り出すリボンだけが眩しい。
「この狭い場所で、貴女の剣が……武装帯が振るえますか? 私のように」
 奈津芽の声は、恐怖からか上ずっている。しかし彼は毅然と、白いリボンを震える手で
頭上へと結んだ。たちまち現出する武装帯、イクリプス・ミラージュが刃を並べて増える。
それをまるでトランプのように両手に遊ばせ、奈津芽は影奈をきっと睨んだ。
「面白ぇ……オレを招待するたぁイイ度胸だ。来いっ、無明残月っ! ――っ!?」
 意外な待ち伏せに驚きつつ、高揚感から武装帯を呼ぶ影奈の声が弾む。だが、彼が宙に
黒いリボンを呼び出した瞬間、右肩へ激痛が走った。
 一本の短剣が、まるで生えてきたかのように、突き立っていた。
「わっ、私はこのまま、距離を保って、貴女を射続けます。貴女が意識を失えば――」
「ハハッ、悪ぃ……舐めてたぜ。オレとしたことが。しかし、こいつは傑作だ」
 肩からはとめどなく真っ赤な血が溢れ、モノクロームのセーラー服を濡らしてゆく。
 しかし、それに構わず笑って、影奈はリボンを結び、武装帯を顕現させる。その手に、
白木鞘の日本刀が現れた。
「確かに、この狭さじゃ剣は振れねぇ……そう思ったか? お嬢ちゃん、っと」
「動かないでください! ……今すぐ、自分で武装帯を戻し、引き裂いてください!」
 奈津芽の二投目は、影奈の太腿に命中した。切れ味鋭い短剣が、白い柔肌へ食い込む。
 影の姫士、影奈の技は居合い抜き。しかし、必殺の抜刀術も、この細く狭い空間では、
不可能に思われた。少なくとも、奈津芽はそう確信したからこそ、この場所を選んだのだ。
 だが、それは誤算だったと、彼女は後悔することになる。
 肩と脚との出血にも構わず、影奈は半身に構えて、頭上に無明残月を高々と掲げ上げた。
右手で柄を、左手で鞘を握り、その刀身が路地に平行になるよう、奇妙な構えをとる。
「オレとしたことが、銀の姫士にやられてビビってたか……」
 ニヤリと影奈が怜悧な笑みを浮かべれば、端正な表情に影が差す。
「白光の姫士、鷺澤奈津芽。お前は最弱なんかじゃねぇ……立派な姫士、オレの獲物だ!」
「お願いです! こ、来ないでっ!」
 胸の前で交差させた奈津芽の両手に、その指の間に短剣が無数に光る。鋭い刃は全て、
影奈が半歩、ドン! と踏み込むのと同時に、全力で投げつけられた。
 大地を踏みしめた影奈の脚から、鮮血が噴出す。それにも構わず彼は、縦に無明残月を
抜き放った。殺到する日蝕の幻影を、放たれた衝撃波が蹴散らし、奈津芽に迫る。
「――っ! まだっ! 私は、負けたくない……最弱でも、勝ちたいっ!」
「お前は弱くはねぇよ……オレが、強いだけだ」
 続く刃の嵐の第二波を、今度は垂直に切り上げた斬撃で、影奈は殆ど叩き落す。しかし、
何本かが彼を掠め、セーラー服を朱に染め、裂傷を刻んだ。
 それでも徐々に、影奈は淡々と、距離を食い潰してゆく。
「嫌……こないで。私の望みをっ、希望を奪わないでっ!」
 じりじりと近付く影奈へと、奈津芽は無数に増えるイプリクス・ミラージュを投げる。
 その大半は切り払われ、何本かがセーラー服を血に染めた。
 それでも影奈は止まらない。
「覚悟を決めな。オレは逃げも隠れもしねぇ……勝ちたきゃ、飛び込んでこいっ!」
 無明残月の切っ先が、あと数歩で触れそうな距離で、奈津芽は意を決した。真っ直ぐに
影奈を見据えて、手元の短剣を一本へと練り上げる。それを突き出し、彼は地を蹴った。
「咲良さん……私に勇気を。影の姫士、有栖影奈っ! 勝負です!」
 影奈は突き出された短剣を避け、奈津芽のみぞおちへ無明残月の柄を突き出した。。
 奈津芽は意識が薄れる中、武装帯が白いリボンへ戻るのを感じた。
243七姫士舞闘祭_第七楽章 2/3:2010/10/10(日) 13:16:30 ID:wJeL9Ch8
 ぐい、と三つ編みの髪を引っ張られ、アスファルトに伏す奈津芽は目が覚めた。
 身を起こせば、すぐ目の前に、自分の白いリボンを手にする、影奈の姿があった。
「悪いな、お嬢ちゃん。オレの、勝ちだ」
 影奈の手でビリビリと千切られ、夕暮れの風に白いリボンが舞い散り、消えてゆく。
 奈津芽は姫士として敗北し、その資格を失った。その事実を受け止め、呆然とする彼を、
影奈は見下ろし、その掴んだ三つ編みを手放した。
「いい作戦だったが、オレを甘く見たな。……ん? お前……よく顔を見せろ」
「なっ、や、やめてくださいっ。離して、あっ」
 不意に、奈津芽の顔を見詰めていた影奈が、その手で細い顎を掴んでくる。既に影奈は
体中の傷の止血を終えており、用意のいいことに包帯をあちこちに巻いていた。
 その手でぐいと顔を持ち上げられ、奈津芽は影奈の美貌と向き合った。
「驚いた……クソッ、舞闘会に夢中で気付かなかったぜ。お前、似てる……そっくりだ」
 そう言って不意に、影奈は奈津芽の唇を奪った。突然のくちづけに、驚く奈津芽は眼を
見開く。咄嗟に彼は、咥内に侵入してくる影奈の舌へと、歯を立てていた。
「っ! ……痛ぇな。はは、気の強いとこまで似てやがる」
 影奈は奈津芽から唇を離すと、血の味をペッ、と吐き出しつつ、秀でた額を撫でた。
「気が変わった、お前を犯す。安心しな、女になる前にたっぷり、最後に楽しませてやる」
 影奈は不敵に笑うと、怯える奈津芽のスカートの中へと、手を差し入れた。
「おっ、もう勃ってるじゃねぇか。金玉痛くなるまで搾った挙句、女にしてや――お?」
 スカートの中をまさぐり、半勃ちになった奈津芽自身を握りつつ、影奈は言葉を続けて
いたが……不意に手の中の肉柱が固さを増したと思った、その瞬間には、びくびくと震え、
白濁を吐き出した。三擦り半程度で、奈津芽は達してしまったのだ。
「あ、ああ……やだ、ごめんなさ……」
「いや、謝られてもな。まあ、早いけどまだ固いぜ? こりゃ搾り甲斐がありそうだ」
 いやらしい笑みを浮かべて、影奈は奈津芽のスカートを脱がし、ベタベタになった下着
までも降ろしてしまう。人気のない路地裏で、奈津芽は狭い中、股を開かされた。影奈は
その間に腰を下ろして、包皮を脱ぎ捨てた屹立に顔を寄せる。
「ん、匂いやがるぜ……おい。女になるまで、少し昔話をしてやる」
「え、むかしばな、ひっ! だ、駄目っ! 口は駄目で、んんんっ」
「……本当に早いな、もう二発目かよ。いいぜ、最後だしガンガン出しな」
 影奈がぱくりと口に奈津芽を口に含むや、その唇の僅かな圧だけで、二度目の射精。
 半ば呆れつつも、影奈は咥内にあふれ出す精液を、吸い出すように飲み込んでゆく。
「ん、ふっ……ぷはっ。ふう。昔の話だ。ある孤児院に、天涯孤独の兄妹がいた」
「兄妹……ひょっとして、それが、んふぅ! あ、また出る……はぁ、はぁ」
 言葉を紡ぎながらも、手で影奈が愛撫すれば、奈津芽はまたも絶頂に身を反らす。
「血の繋がった兄妹だが、愛し合ってた。まあ、許されざる禁断の愛ってやつだな」
 クチュクチュと音を立てて、奈津芽のペニスは、影奈の手で根元までしごかれる。
「何とか結ばれる方法はないか、って悩む内に……オレは姫士に選ばれた訳だ」
「そ、それが、貴女の……有栖さんの、望み」
「オレをその名で呼ぶなっ!」
「ひうっ!」
 影奈の指が、奈津芽の敏感な先端に、その鈴口に突き立った。そこからの痛みと快楽が
電気信号となって駆け巡り、またも射精に腰を浮かす奈津芽。
「そうさ、オレは望みを叶え、妹と……ひなたと結ばれる。……筈だった」
「はぁ、はぁ……あぅ、また出て――筈? だった?」
「そうさ、オレの童貞、ひなたの処女……オレ達は純潔を交わして、結ばれる筈だった」
 瞬間、仮性の向けた皮を甘噛みする、影奈の表情が険しくなった。
「でも、オレは汚れちまった……あの女に、銀の姫士に犯されちまった」
「有栖さん……」
「オレをその名で呼ぶな。嫌いなんだ……それと、もう一つ」
 影奈は絶え間ない奈津芽の射精に、顔を汚しながらも呟いた。
「その顔で、その名は呼ばれたくねぇ」
「え? それは……は、はうぅぅ、ま、また出るっ! らめっ、止まらないぃ」
「お前は、オレの妹に……ひなたに、似てるんだよ」
 それだけ言うと、影奈は奈津芽が萎えるまで、ねっぷりとその性器を責め抜いた。
244七姫士舞闘祭_第七楽章 3/3:2010/10/10(日) 13:20:26 ID:wJeL9Ch8
 全てを出し切り、放心状態で奈津芽は路地に半裸をさらし、天を仰いでいた。
 既に男性器は萎え、最後に透明な粘液を弱々しく吐き出した。今はもう、小さくなって
包皮に包まれている。その、最後の残滓を舐めていた影奈が、顔をあげた。
「たっぷり出たな。じゃあ、もう悔いはねぇだろ……それにしても、似てやがる」
 仰向けに寝そべる奈津芽の上に覆いかぶさり、目線を並べると、顔中白濁塗れの影奈は、
再度唇を重ねてきた。力なく奈津芽は、それを受け入れた。影奈の唾液に、自らが放った
精液が混じり、それが自分の唾液と溶け合って、喉を滑り落ちてゆく。
「ん、ふぅ……へへ、見ろよ。オレももうこんなになってるぜ」
 奈津芽は手を影奈に取られて、その股間へと導かれる。
 スカートを盛り上げる怒張が、下着からはみ出て黒光りしていた。
「いまからこいつで女にしてやる」
「い、いや……やめ……」
「そんな顔するなって。折角の美人が台無しだぜ?」
 悪戯をしでかす子供のような笑みを浮かべて、影奈が奈津芽の腰を抱いて持ち上げた。
既に下着を脱ぎ捨てた下半身を、その下へと滑り込ませる。奈津芽は身体を折り曲げられ、
自然とまんぐりがえし……否、ちんぐりがえしの体勢で尻を突き出した。
 呆然とする奈津芽の目の前に、萎えて糸を引く自らの陰茎がぶら下がっている。
「綺麗な色してんじゃねぇか。こっち、初めてか?」
「え? あ、は、はい……」
「安心しな、なるべく痛くしないようにしてやる。なるべく、な」
 奈津芽の桃尻を左右に割って、その谷間の中心へと影奈が舌を這わせた。快感が伝わり、
奈津芽が身を震わせれば、桜色の窄まりがキュムと締まる。しかそ、その穢れた排泄孔を、
影奈の舌は丹念にねぶった。やがて、先を尖らせた舌が、固く閉ざされた菊門をこじあけ、
その中へと進入してくる。
「ふあぅ……くぅん」
「何だか声まで似てる気がするぜ……いいぜ、優しくしてやる。力、抜きな」
 奈津芽は恥辱に塗れて羞恥に悶えながらも、不思議な感覚に法悦を感じていた。
 自分は今、あられもない姿で、勝者に肛虐されている。尻の穴をいじられている。
 それが不謹慎にも、気持ちいいのだ。
「指、挿れるぜ?」
「はい……んくっ!」
「ん、やっぱりキツいな。でも、ほら……ここ、いいだろ?」
「ひゃうっ!」
 影奈の指が、第一関節まで入り込んできた。そうして直腸の粘膜を撫で、汚物の出口を、
これから快楽の入口となる場所をほぐしてくる。奈津芽はただ喘ぎながらも、己が徐々に
弛緩してゆくのを感じた。影奈の指が更に奥へと侵入した瞬間、
「ふあああっ! そ、そこは……いっ、今すご……んくぅ!」
「ここが前立腺だ。いいぜ……もっといい声を、ひなたの声を聞かせてくれ」
 激痛が走るほど射精したのに、むくむくとまた奈津芽自身が充血してゆく。
「だいぶほぐれたな……ちょいとキツいが、挿れるぜ?」
 奈津芽の返事を待たずに、影奈が己自身の濡れそぼる先端を、菊座へと押し当てた。
 刹那、奈津芽は自分が上下左右に、影奈の形に押し開かれる激痛に絶叫した。
「わ、悪ぃ、痛かったか?」
「か、かはっ……あ、あがが……」
「大丈夫、大丈夫だひなた……すぐに気持ちよくなるからな? いい子だ、ひなた……」
 みちみちと音を立てて、影奈は己の剛直を根元まで奈津芽へ押し込んだ。そうして次は、
ゆっくりと引き抜いてゆく。一番の締め付けがカリ首を捉えたところで、また挿入。
 影奈は妹の名を呟きながら、妹そっくりな顔を見下ろし、挿抜に勢いをつけてゆく。
「ああ、ひなた……オレの可愛いひなた。やっぱりひなたは処女だったな。ほら……」
「い、痛い……のに、いい。ふあ、駄目……私、初めてのお尻で……感じてます」
「血でぬめってきた、いいよひなた……うっ、出るっ! 中に出すぞ、ひなた!」
 覆い被さる影奈が、身を反らしてビクンと震えた。同時に奈津芽は、自分の中で熱量が
膨れて弾けるのを感じた。同時に、涙を流す影奈への嫌悪感が、不思議と薄れてゆく。
「あ、ああ……ひなた。ようやく、一つになれた……愛してるよ、ひなた」
 奈津芽は女体化の始まった、膨らんだ胸で、倒れ込む影奈を気付けば抱きとめていた。
245名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 14:54:47 ID:5AY0pD2J
>244
乙です。ついに脱落者が……。

ふと、「七姫士舞闘祭」における「裁定者(バトラー)」の役割って何だろう? と考えたとき、往年のエロアニメ「魔人形(マ・ドール)」が思い浮かんだ。
つまり……裁定者(バトラー)とは、新たなる「虹彩の姫士」のことだったんだよー!
(な、ナンダッテー!)

実は、既に「虹彩の姫士」の肉体は滅びているが、現在は霊魂が残留思念となって現世に留まり、必要な時のみ短時間実体化している。
この状態だと色々不便なため、虹彩の次なる「器」を探してワルツは開催されている。プロムナードで勝利した場合、願い事の直後に「虹彩」にその身体を奪われる運命。
候補たる姫士が、いわゆる男の娘ばかりなのも、「虹彩」が両性具有だったため。
ところが、何の因果か克昭は、ごく普通の男性であったにも関わらず、「虹彩」との同調(シンクロ)値が99.999%と異様に高かったため、「器」として選ばれる。
今回の舞闘祭に出てくる「虹彩の姫士」は、「虹彩」の魂が一時的に彼の身体を乗っ取った姿。
(憑依中は、華奢な肢体、くびれた腰、丸みのあるヒップと、わずかに膨らんだ胸部という、普段とは似ても似つかない体つきになっている。ただし、顔に面影はある)
メインヒロインたる咲良は、はたして「彼女」を下して無事「彼」を奪還できるのか!?

……妄想が暴走した。御免。
246名無しさん@ピンキー:2010/10/11(月) 00:20:49 ID:N1/TcuWm
路地裏でひっそり幕を閉じたな
>>241
見事な仕事だと関心はするがどこもおかしくはない
247名無しさん@ピンキー:2010/10/11(月) 15:36:22 ID:JLQycULS
新作に出られなければ俺だって、3レスほど投下しますよ、猿渡さん!
こんなに俺とスレ住人で意識の差があるとは思わなかった…!
それじゃ、俺…一応断り書きをしたくなっちまうよ…

・今回にだって足コキがありましたよ…専用スレとは比較にならないほどの微妙な足コキがね…
・ちょっと紳士的なスレ住人がいてもストッキング足舐めは別スレのSSで慣れてます!
・いやあ、男の娘同士の尿道性交は微グロでしたね
・何だっていい!裸ワイシャツの夢を実現するチャンスだ!

うざいミストさんネタでしたね…でも、根本的な解決にはなりませんよね?
ってか、ごめんなさい、悪ノリしました、連休だったものでつい…正直スマンカッタ。
次からは普通に内容を前述したうえで、よければ引き続き投下させていただきたいです。

>>245さん
代々の虹彩の姫士が、残留思念として…というのは、自分もちょっと考えてました。
だから、「全なる独り」で、一人でも「理事会」って感じでいこうと思ってます。
裁定者に関する設定に関しても、上手く戴いたエッセンスを生かしたいですね。

>>246さん
今回のでそれが良くわかったよ>>246感謝
まぁ七人の姫士はまさしくオッキの力と言ったところかな
248七姫士舞闘祭_第八楽章 1/3:2010/10/11(月) 15:42:06 ID:JLQycULS
 昼からの曇天は夕暮れ時、冷たい秋雨を地に注ぐ。
「うわー、びしょ濡れだよ〜! 克くん、ほらほら、早く入って入って」
「……俺ん家なんだが。大体、お前が鷺澤さんや珠坂さんと喋ってるから、遅くなって」
「鈍感だなあ、克くんってば。……待ってたんじゃない、克くんの仕事が終るのを」
 水原咲良は口を尖らせながらも、濡れた染井克昭の背を押す。小さなアパートの狭い
玄関で、二人はバタバタと靴を脱いだ。
 咲良は今日は、克昭の世話を焼くべく、彼の帰宅にくっついてきたのだ。
「兎に角脱げ、風邪引くから。ほれ、タオル。後は、あ、これでも着とけ」
「あたし、女の子なんだけど。それ、甲斐甲斐しくお世話に来た娘に言う台詞かな」
 そうは言いつつ、咲良はタオルを受け取り、それを頭からかぶる。すでに制服は雨に
濡れ、水滴が床へと滴っていた。続いて渡されたのは、克昭のワイシャツ。
 咲良は完全に妹的存在な扱いへすねつつも、克昭の優しさが嬉しかった。
 例えその身が、少女以上の可憐さでも……少女の心を内包した少年でも。
「じゃ、じゃあ、着替え借りるね。のぞくなよ? のぞいたら、メッ、だからね」
「はいはい。誰もお前の真っ平らな胸なんか、見ねぇよ」
 パソコンの電源を入れつつ、克昭はおもむろに、濡れた着衣を脱ぎだした。その程よく
引き締まった背中を見て、ドギマギと咲良は脱衣所へと駆け込む。
「……克くんのバカ。全っ然、ムードないんだから」
 素早く華美な制服を脱ぎ、咲良は手近なハンガーへとそれをかける。彼の平坦な胸は今、
スポーツタイプのブラがぴたりと張り付いていた。スカートを脱げば、下のレギンスまで
濡れていた。
 ポニーテールを解き、渡された大きすぎるワイシャツに袖を通して、
「――克くんの匂いだ。克くんの匂いがする」
「ギコナビ、ギコナビ、っと……ん? 何か言ったか?」
 何でもないと応えて、咲良は袖を余らせながら、克昭の匂いに包まれた。
 サイズが大き過ぎて、下をはかなくても、まるでワンピースだ。
 脱衣所を出た咲良を振り返り、流石に克昭も息を飲んで紅くなった。幼馴染とはいえ、
すらりと生脚も露な、美少女然とした咲良に、鼓動を速めているようだ。
 背を向けパソコンに向かう克昭を横目に、少し機嫌をなおして咲良は台所へ。
「そっ、そう言えば珍しいよな。鷺澤さんは兎も角、今日は珠坂さんも」
「え? あ、ああ、うんっ。……ま、まあ、女の子には込み入った話があるんだよ」
「あんま仲良さそうには見えなかったけどな」
「あっちは一年生のアイドル、みんなの可愛い咲音ちゃんだし」
 鷺澤奈津芽の、白金の姫士の敗北は、他の姫士達も敏感に察知していた。故に今日は、
珍しく珠坂咲音から声をかけてきたのだ。勿論、馴れ合いはしないと言いながら。
「でも鷺澤さん、今日は元気なかったな。顔色も良くなかったし、何かあったか?」
 匿名掲示板を見ながらの、克昭の一言に咲良は驚いた。
 腐っても副担任、一応教育者を目指している克昭だ。咲良は思わず感心してしまう。
 しかし、それも次の言葉で、小さな失望と、軽い嫉妬に置き換わった。
「でもこう、年頃だからかな? 今日の鷺澤さん、前よりぐっと女の子っぽ――」
「あ、やーらしー! あたし達をそゆ目で見てるんだ。克くん、エッチ! 変態!」
「ま、待て! 違うぞ咲良。仮に変態だったとしても、変態と言う名の紳士だ、俺は」
 学院から解放された克昭は、いつものオタクで気さくなお兄ちゃんで。マウスをいじる
その背から、再度「違うからな、咲良」と声がして、咲良はクスリと笑った。
 やっぱり、昔から親しんだ名前で、咲良と呼ばれるのが何故か嬉しい。
 しかし、今の咲良は、無邪気にほのかな恋心をくゆらしていられる程、内心は冷静では
いられなかった。友人の奈津芽が敗北し、姫士の資格を、願いと祈りを失ったから。
「やっぱり、早く終らせなきゃ。七姫舞闘祭は……こんな舞闘会の日々は」
 今日、登校した奈津芽の目は、僅かに赤く光がなかった。恐らく泣き明かしたのだろう。
彼は……否、既に彼女となった奈津芽は、男性過敏症の体質を抱えたまま、大人の女へと
成長しなければならない。それが辛いと、咲良の前で彼女は気丈に微笑んだ。
「奈津芽ちゃんの為にも、あたしが影の姫士を……でも、何か雰囲気変わった気がするな」
 陵辱され、肉体の性別を奪われたのに、奈津芽は小さく零した。影の姫士、有栖影奈は
寂しい目をしていたと。そう言う奈津芽の瞳も、切なげに潤んでいた。
 咲良は一層決意も固く、一族に伝わる蒼いリボンを握り、窓辺から雨空を見上げた。
249七姫士舞闘祭_第八楽章 2/3:2010/10/11(月) 15:46:10 ID:JLQycULS
 強さを増す雨の音よりも、淫靡に湿った音を奏であう二人。
 閑散とした豪邸に招かれ、西園寺いぶみは今、八幡いぶきと抱き合い、唇を重ねていた。
 中世の貴族を思わせる洋館は、使用人以外に人の気配はなく、それさえ遠ざけた私室で、
いぶきはソファに腰掛け、膝の上にいぶみを座らせている。
「ん、んっ……ふふ、いぶみ先輩っ、今日は何だか楽しそうですね」
「ええ。わたくし嬉しいんですの、いぶき。影の姫士は、以前より強くなってますわ」
「白金の姫士を倒し、その自信を回復したようですね。うふふ、でも」
「わたくしがまた、それを叩き潰しますの。想像しただけで、もう」
 膝の上で、いぶみは主の首に両手を回す。その顔は興奮に上気して、頬に赤みが差し、
瞳はとろんと潤んでいた。それを抱き寄せるいぶきも、満足げに鼻を鳴らす。
「いぶみ先輩、言ってみてください。想像しただけで、どうなるんですか?」
「あん、いぶきの意地悪……わたくし、闘争を待ち焦がれて……勃起してしまいますわ」
「あらあら、これでも勃ってるんですか? いぶみ先輩」
 いぶきがそっと、スカートの中へと手を忍ばせる。その行き着く先に、レースの薄布を
僅かに盛り上げる、小さな小さな肉芽があった。無毛の股間に、真性包茎の粗末ないぶみ
自身が漲っている。それは余りにも小さく、いぶきは片手で完全に包んでしまえる。
「あン、いぶき……そこ、いいですわ」
「そこ、じゃ解りませんよ、先輩? あは、ビクンビクンしてる」
「わたくしの余った皮、真性包茎の皮。それをいじられると、んっ! そ、それより」
 ねだるような視線をからめて、いぶみもまた、いぶきの股間へと手を伸べる。
 そこにはもう、スカートを隆々と盛り上げる、巨大な肉柱がそびえていた。
「ほら、先輩。また、おねだり忘れてますよ? 何が欲しいんですか?」
「オッ、オチンチン……いぶきの、太くて固い、おっきいオチンチンですわ……」
 恥ずかしそうに、しかし嬉しそうに俯きながら、いぶみが卑猥な隠語を囁いた。
「よく言えました、先輩。じゃあ、床におりて……そう、膝をついて。跪いて」
 いぶきは、己の忠実な下僕を立たせると、こちらへ向かって床に屈ませる。そうして、
僅かに腰を浮かすと、スカートを、次いでクマさんパンツを脱ぎ捨てた。
 露になる怒張に、いぶみが感嘆の笑みに表情を崩す。
「先輩、これが欲しいんですか?」
「はい……いぶきの、臍まで反り返った、野太いオチンチンが、欲し、っぷぅ」
 恍惚にとろけた笑顔で、いぶみがいぶきの股間へと顔を寄せた。しかし、いぶきは突然、
靴を脱ぐと、黒いタイツに覆われた右足で、いぶみの顔を踏んで遠ざけた。
「先輩、今日のご褒美はこれです。今日、わたしのクラスは体育あったんですよ」
「ん、ふっ、ふはっ! ん、んんっ」
「そう、じっくり味わってくださいね。指と指の間も、いつも通り丹念に舐めましょう」
 いぶみは、いぶきの右足を両手で包んで、夢中でその親指にしゃぶりついた。見るも
浅ましく、主の蒸れた足を舐める奴隷を、満足げにいぶきは足蹴にする。もう片方の靴も
脱ぐと、左足はいぶみの股間へと伸びていった。スカートをはだけて、下着の上から足が、
器用に小さなペニスをしごいてゆく。
「やっぱり先輩、変態ですよね。わたしの足を吸って、こんなに固くして」
「ん、ぷはっ、あぅ……だ、だって、いぶきの匂い、興奮するんですもの」
 夢中で匂いを吸い込み、丹念に足へ舌を這わせるいぶみ。その痴態にいぶきも息を荒げ、
自らの剛直を両手で握ってしごきだす。先走る透明な粘液が、クチュクチュと音を立てて
雨音を塗り潰していった。やがて――
「あっ、あ……あうううっ! いぶき、いぶきっ! 凄い、匂いがきつくて……ふあっ!」
 いぶみは身を震わせて達した。いぶきの足だけで、絶頂を向かえたのだ。
「先輩っ、気持ちよかったですか?」
「は、はい……素敵でしたわ。も、もっと、わたくしをいじめて、んぐぅ」
 いぶきは邪笑とも言える妖艶な笑みで、左右の足を入れ替えた。
 ねっぷりといぶみがねぶった右足に代わって、白濁に汚れた左足が顔に押し付けられる。
「先輩が出したんですから、お口で綺麗にしてくださいね」
「は、はい……あは、わたくしの精液、濃いですわ……んふ、ふぅ、はっ」
 いぶみは夢中で、汗の香る、精液に塗れた足を吸った。
 その光景を満足そうに見下ろし、いぶきはソファの背もたれに身を沈めて天井を仰いだ。
 いぶきは容赦なくいぶみを踏みながら、自らの手淫にしばし耽った。
250七姫士舞闘祭_第八楽章 3/3:2010/10/11(月) 15:52:08 ID:JLQycULS
「ふふ、足の指がふやけちゃった」
 いぶきが左足を引っ込めると、唾液の混じった精液が糸を引いた。いぶみはまるで、
甘露を取り上げられたかのように、あうあうとその足を追い、舌を這わせる。そこには、
学院でも憧れのお嬢様、西園寺家の令嬢の面影はなかった。
 ただ、いぶきの飼い慣らす、闘争に狂った雌犬が一匹いるだけ。
 いぶみの舌は、足先から徐々に、いぶきの脚線美を這い上がりはじめた。
「ふふっ、くすぐったいです、先輩。ホント、すぐにトんじゃいますねっ」
「は、はひっ……いぶきの、おいひい……」
「可愛いですよ、先輩。わたしにもっと、恥ずかしい姿をみせてください」
 膝裏から内股へと舌を走らせ、とうとういぶみは、いぶきの大きく開かれた股間へと
到達した。陰嚢はパンパンに張って膨らみ、その上に赤子の腕ほどもある巨大なペニス。
 甘い蜜に吸い寄せられる蝶のように、いぶみは血管が浮き出て脈打つ、見事な屹立へ
舌を滑らせた。両手で握ってもなお、その長さは余りある。
「先輩、今日はどうして欲しいですか? これ、お尻に欲しいですか?」
「ほ、ほひぃれふ……はぁ、はぁ、ん、んんっ、ぷぅ」
 いぶみは既に夢うつつの状態で、いぶきを喉の奥まで飲み込み、唇で根元からしごく。
「んー、でも先輩、お尻ゆるゆるなんですよね。まあ、締まらないこともないですけど」
 クスクスと笑ういぶきは、股間に顔を埋めるいぶみの髪を、その縦にロールした一房を、
指に遊ばせいらいだ。しっとりとした銀髪が、そのうるおいを手に伝えてくる。
 こうしている間も、いぶみの直腸には、巨大なアナルプラグが挿入されている。彼女は
いぶきの手で開発、調教、拡張され、今やアナルプラグがなければ生活できない躯へと、
完全に作り変えられていた。彼の肛門は既に、第二の性器だった。
「先輩もでも、次の舞闘会を前に興奮してるし……そうだ、あれ、しましょうか」
 れるん、と舌全体を使って、裏筋を舐めていたいぶみは、いぶきの言葉に目を細める。
 いぶきはチロリと自らの人差し指を舐めて濡らし、そっと己の鈴口へ当てた。
 ずぶりと、僅かな抵抗で肉が締め付けつつ、その指が第一関節まで尿道へ埋まる。
「ここ、欲しいですか? 先輩っ」
「あ、ああ……いぶき、わたくひ、ほひぃれふ。そこに」
「涎たらしちゃって、ふふ。わたしの可愛い猟犬、西園寺いぶみ。そのお口で言いなさい」
「わ、わたくひの、クリペニスを……いぶきの、ペニマンコに挿れたい、れふぅ」
 身震いに息を弾ませ、いぶきも興奮から視線が濡れていた。自らの尿道を、手馴れた
指使いで愛撫しながら、尚もいぶみに淫らな言葉を言わせ続ける。
「いぶきのデカマラ、わたくひのオナホにしたいでふわ……搾られたくてよ、いぶきぃ」
「いぶみ、わたしは動かないですから、自分でしてくださいね」
 おずおずといぶみは立ち上がると、右手で自分の粗末なものを、左手でいぶきの脈打つ
ものを握る。そうして、ソファに優雅に身を沈める、いぶきに覆い被さった。
 いぶみが自らの手で包皮を脱がせ、互いの先端を近づけた。
 接合……いぶきが深い息を吐き出し、いぶみの芯を飲み込んだ。いぶみはもう、言葉に
ならない声に喘いで、両手でいぶき自身を握って固定し、腰を振り始めた。
「ああ、いいっ、いいれふわ……いぶきのペニマンコ、締まりまひゅ」
「その調子です、先輩。もっとわたしの尿道、犯してください」
「は、はひぃ」
「外からギュッて、してください。そう、外と中から……わたし、感じちゃいますっ」
 両手で余るいぶきのペニスをしっかり握り締めて、いぶきはその尿道へと挿入を果たし、
無我夢中で腰を振っていた。そのサイズ差ゆえに、いぶみは根元まで飲み込まれてしまう。
 やがて、彼はあられもない絶叫を張り上げ、知る限り最高の絶頂に登り詰めた。
「んっ、すご……わたしの中で、先輩のがドクドクいってる。逆流してくるっ」
「ふああっ! 止まらなひぃ、射精とまらなひですわ! ああ……まだ出てまひゅの」
 法悦に眉根を寄せながら、いぶみはいぶきの中に二度目の精を放った。
 しかし、それで二人のこの交わりは、終わりではなかった。
「はい、じゃあ先輩、あーんしてくださいね。二人分、浴びてください」
 ずるりといぶみの萎えたペニスが引き抜かれるや、爆発寸前の男根を手に、いぶきは
ソファから身を起こした。同時にいぶみは、口を開いてだらしなく舌をたれる。
 いぶきは、先程いぶみが放った白濁を、次いで自分の欲望を迸らせた。
 大量の精子を顔で、全身で浴びながら、いぶみの闘争本能は昂ぶり滾った。
251239:2010/10/12(火) 01:17:17 ID:NeAZrHq3
252245:2010/10/12(火) 07:54:07 ID:v4AIT2Qw
乙です〜。キャラ同士の人間関係が明確になってきたぶん、エッチの時の背徳感もプラスですね。
他愛ない妄想にも考慮していただき、感謝の極み!

あと、「勝ち抜くと叶う願い事」ですが、某龍球のごとく完全に「何でも」というのも現実味がアレなので、こんな制限はどうでしょう?

1)願い事は、原則的に優勝者の身に関することのみである。
たとえば、「不老不死になりたい」とか「もっと美しくなりたい」とかなら十分叶う。奈津芽のごとく「健康になりたい」とか咲音の「女の子になりたい」とかもアリ。
2)あるいは人間関係の書き換えも、ある程度可能。
「●●さんの恋人/妹になりたい」とか、逆に「××とは完全に無縁に」とか。ただし、「アメリカ大統領になりたい」くらい影響が大きいと、直接的には難しい。
3)対して、「世界征服したい」とか「世界一の金持ちになりたい」とか、「死んだ人を生き返らせてほしい」とかは、直接的には不可能。
4)ただし、3のような願いも間接的には不可能ではない。
たとえば、死者蘇生は「優勝者の身を代償として」可能。影奈がひなたを甦らせたいと願えば、「影奈の心身を贄(そざい)として、影奈の記憶するひなたの肉体と精神を再現する」という形で実現できる。
金持ちになりたければ、蓄財の才能が身に着く、とか。

……こんな感じでどうでしょう? ただし、姫士たちの大半は、このシステムの詳細については知りません。
253245:2010/10/12(火) 07:56:04 ID:v4AIT2Qw
忘れてた。

5)願いは、意図した形で叶うとは限らない。
たとえば、咲音の「わたしと文緒の性別を交換する」という願いが、ふたりの心を入れ替える形で成就する、とか。
「強くなりたい」と願ったら人外の存在、たとえば悪魔になったりとか。
大富豪の娘になる(立場が書き換わる)ことで「世界一の金持ち」の願いが叶う、とか。

↑コレもお約束ですよね?
254名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 22:07:54 ID:Wfl5bHfw
何だっていい!>>245に乙するチャンスだ!
255名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 22:41:06 ID:Us+k219V
いやあ、>>245は乙でしたね…
256名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 01:28:59 ID:HqplVLkG
突然の書き込みすまない

俺の名前はユウダイ、最近女装にハマッてしまってしまったんだけど
それだけじゃ止まらない疼きが、体の芯から湧いてきてどうしようもないんだ
だから頼みたい
http://www.seospy.net/src/up2125.jpg
この写真を見て、俺を良いなと思ってくれたら下記のURLにアクセスしてくれ
友達になってくれ、待ってるから

http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1286977301/
257名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 06:05:55 ID:wrExkWWV
#小ネタをひとつ投下

 「あ! お兄ちゃん、見て見て〜」
 この学園に来て以来、パーティを組んでいるクラッズ(小人族)の同級生(ただし、年齢は確かひとつ下)が、うれしそうな顔でトテトテと駆け寄って来た。
 「おぅ、おはよう。どうしたんだ、ソレ」
 いつもとはまったく違う格好に、さすがに驚いた。
 魔女っ子のぼうしに魔女っ子ローブ、足元も魔女っ子ブーツで固めた、魔女っ子3点セットだ。念が入ったことに手にはクリスタルマイク。
 「どっかの魔女っ子アイドルかよ……」
 「どう、似合う? 知り合いの子に借りて着てみたんだけど……」
 目の前でクルンと一回転してみせると、短めのローブの裾がヒラリと翻り、一瞬だけパンチラする。
 む、今日は水色と白のストライプか……ぢゃなくて!
 「──まぁ、確かに似合っていると認めるコトはやぶさかじゃない」
 本来、16歳という年齢は魔女っ子としては微妙だろうが、クラッズという種族は、俺達ヒューマンから見ると童顔かつ小柄で、コイツも12、3歳にしか見えないからな。
 とくにコイツの場合、顔も声もかなり可愛いからなおさらだ。
 しかし……。
 「お前さん、性別は男だろーが!」
 「ぷうっ、お兄ちゃん、それは言わない約束だよぉ」
 名前:クラリオ、種族:クラッズ 職業:盗賊、年齢:16歳、性別:♂
 備考:ヒューンお兄ちゃん大好き♪ 将来の夢:お兄ちゃんのお嫁さん

 なまじ盗賊として優秀で、かつ性格自体も決して悪くない(そして容姿も女の子にしか見えない)ため、邪険にもできず、ゴロゴロとすり寄ってくる「妹分」に溜め息をつくしかない少年(人間・普通科)なのだった。

#以上。ゲーム「ととモノ3」がらみで妄想。このあと、クラッズは妹学科へ転科申請しに行きます。
258名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 15:08:56 ID:6/3tZmCd
ととモノには妹学科なんてものがあるとは……
259名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 15:59:38 ID:3jfCV69B
ととモノ最新作は、確か男の娘キャラもエディットできるんですよね…
それはそうと、また3レスほど投下されていただきます。
今回はあんましエロくなりませんでした、ごめんなさい。
それでも楽しんで戴ければ幸いです。

>>252
願いは何でも叶うんですが、「代価」が必ず必要というのを考えてます。
その代価というのが、虹彩の姫士と密接に関わってるという方向です。
あと、世界征服とか億万長者とか、そゆ願いを持つ人は、姫士に選ばれないとか?
基本的に、倒錯したいびつな愛を抱える人間が、姫士に選ばれるような気がします。
咲良のみ代々の姫士ですが、その理由は今後、明らかにできればと思ってます。
260七姫士舞闘祭_第九楽章 1/3:2010/10/16(土) 16:03:20 ID:3jfCV69B
 月明かりが優しく差し込む、静かな夜。
 珠坂咲音は最愛の人を抱き締め、その寝息に胸をくすぐられていた。先程の情熱的な、
互いを求めて貪るような交わり……その快楽の余韻が、華奢な躯に燻っている。
 咲音は今、四条文緒の邸宅に招かれ、寝室で夜を越えようとしていた。
 そんな彼の脱ぎ散らかした制服から、携帯電話の着信音。
「この着信……水原さん」
 文緒を起こさぬよう、優しくその手を振り解いて、咲音はベッドから起き上がる。
 スカートを拾い上げ、そのポケットから携帯電話を取り出し、彼は窓辺に遠ざかった。
「もしもし」
『あっ、咲音ちゃん? 夜にごめんね、寝てた?』
 ちらりと時計の表示を見る咲音。まだ九時前、高校生が寝るような時間じゃない。
 もっとも、彼は確かに水原咲良の言う通り、"寝て"いたが……文緒と熱く、激しく。
「大丈夫だけど、何?」
 ひそめる声が僅かに尖る。咲音は同じ姫士として、咲良達とはなるべく一線を引いて
接しようと決めていたから。いつか決着をつける身なれば、不用意な馴れ合いは無意味だ。
 だが咲良は、そんな咲音の作る壁を、簡単に越えてくる……そういう子だった。
『あたし、これから影の姫士に挑むの。仇討ち、って訳じゃないけど』
「そう」
『それで……その前に、咲音ちゃんにお礼言いたくて』
「お礼? 何が? 私は何も」
『この間、一緒に奈津芽と話してくれたじゃない。ありがと、咲音ちゃん』
「私は、別に……」
『奈津芽ちゃんも、気が楽になったって。それだけ……じゃ、あたし行くね』
 不思議な子だと、咲音は思う。姫士にとって、他の姫士は全て敵。その筈なのに。
「一つだけ忠告するわ。……獣の牙を封じるには、顎門を砕くことね」
『キバを、封じる……アギトを……うんっ! ありがと、咲音ちゃん! また明日ねっ』
 自分でも不思議と、咲根は呟いた言葉を反芻する。この自分が、他の姫士に、咲良に
助言をするなんて。無自覚に感化されてる、しかもそれが不快でない……小さな驚き。
 通話が切れると、背後でシーツがバリバリと音を立てた。
「ふふ、咲音をたっぷり浴びたから……乾いてパリパリになってる」
「あ、文緒……ごめんなさい、起こしてしまいましたか?」
 文緒はその優美な肢体を起こすと、携帯電話を手にする咲音へと歩んでくる。そうして
二人は全裸で、窓から月明かりを見上げて抱き合った。
「友達かい? 咲音の携帯が鳴るなんて、珍しいね」
「友達、ではないです。でも……」
「ふむ、それじゃあもしかして、僕に言えないような関係かな?」
「そっ、そんなことはっ! あ、ん、んっ」
 慌てて否定を小さく叫んだ、咲音の唇が唇で塞がれた。そのまま、言葉は絡み付く舌で
優しく奪われる。ピチャピチャと音をたてて吸い合えば、自然と咲音の股間は、再び血が
集まり身をもたげる。
「ふふ、咲音の珍しい表情を見て、少し嫉妬したのさ。僕だけの咲音だと思ってたから」
「私は、いつでも文緒の、文緒だけのものです」
 咲音は甘えるように、豊かな文緒の胸に顔を埋める。そうして、見上げて再度キスを
ねだった。先程より深く、より一層激しく、二人は唇を重ねる。自然と互いに、抱き合う
その手が相手の股間へと、なめらかな肌を滑っていった。
「あんなにしたのに……また、咲音が欲しくなっちゃった」
「私もです、文緒。文緒が、欲しい」
 咲音が触れる文緒の秘裂は、既に透明な粘液で濡れていた。そしてその奥から、先程
何度も注いだ、自分の精液が垂れてくる。それを指で掬えば、淫靡な音がクチュクチュと
鳴った。
 同時に、文緒が優しく愛撫してくるたびに、背骨を快楽が電流となって駆け上る。
「咲音、もう少ししようか。今度はここも可愛がってあげるよ」
 文緒の手が咲音の背後に、尻に回る。そうして谷間へ指がうずまり、蕾を撫でた。
 鼻から抜けるような声をあげた瞬間、咲音はお姫様のように文緒に抱き上げられる。
 二人の夜は、まだまだ始まったばかりだった。
261七姫士舞闘祭_第九楽章 2/3:2010/10/16(土) 16:08:05 ID:3jfCV69B
「名指しで呼び出すとはいい度胸じゃねぇか……来てやったぜ、蒼の姫士っ!」
 学院の屋上、満天の月明かりを背に受け、その声に咲良は振り返った。携帯をしまう、
その手は翻って、髪に飾られたリボンをするりと解く。蒼みがかった髪がさらり流れて、
夜風にふわりと舞った。
「有栖先輩、姫士として……あたしの招待、受けて貰えますか?」
「いいぜ……オレに逃げる理由はねぇ! こぉい、無明残月っ!」
 影の姫士、有栖影奈が闇夜に手をかかげるや、その闇よりなお色濃い、漆黒のリボンが
虚空より現れる。それを結べば、たちまち彼の手には、白木鞘の日本刀が現れた。
「これで、姫士の泣く日がなくなるなら……夜夢雅導、お願いっ」
 咲良もまた、手に持つ蒼いリボンを結ぶ。それは長く伸びて、刃の連なる鞭へと顕現。
 月光に照らされ、二人の姫士が武装帯も露に、舞闘会へと踊り出した。
「蒼の姫士っ! 水原咲良とかいったか……前から手前は、気に入らなかったんだよっ!」
 影奈が身を低く踏み込んでくる。
 迷わず咲良は、文字通りリボンのように、ひらりと夜夢雅導を翻した。星明りを反射し、
無数の刃が空間を切り裂き、影の姫士を迎え撃つ。夜夢雅導は七つの武装帯の中で特に、
防御力に優れていた。その無軌道な曲線が、影奈の移動を制限し、機動力を奪う。
「しゃらくせぇっ! 細切れにしてやるっ! おおおおっ!」
 攻めあぐねた影奈が、空間を自在に行き交う夜夢雅導へと、手にする無明残月を抜いた。
神速の抜刀術が幾重にも連続して、冷たい光を閃かせる。抜いては斬りつけ、納刀の瞬間、
再び抜刀する。そうして彼は、無理矢理に夜夢雅導の制空権を切り裂いていった。
 武装帯の刃同士が、激しくぶつかり火花を散らす。
「夜夢雅導の防御が……なら、これでっ!」
「日頃から武装帯も露に、髪なんか結いやがって……今夜この場で、引き千切ってやる!」
 静から動へ、防御に徹して展開されていた、夜夢雅導が咲良の手元へ引き寄せられる。
次の瞬間、彼の手から蠢く蛇のごとく、うねる一撃が影奈へと繰り出された。
「単調な攻撃だな? 攻めるのは不得意か……貰ったっ!」
 切っ先鋭い、夜夢雅導の突きを、影奈は見切って避けた。
 同時に、必殺の間合いへと踏み込み、無防備になった咲良の眼前へと迫る。
 抜刀、弧を描く剣閃が咲良を掠めて、大きく横に薙ぎ払われた。後方へ飛びのいた彼の、
制服のスカーフがはらりと切り落とされる。
「ちっ、踏み込みが足りなかったか……ん? 何だ、この違和感……」
 切り払った刃を翻して、影奈は表情を固くした。
 今、確かに自分が優勢、攻めているという、圧しているという感触はある。
 それなのに、対する咲良の目に、怯えも絶望もない。
「まあいい、次で終わりだ。あっけなかったな、蒼の姫士――何っ!」
 影奈が違和感の正体に気付いた、その時には既に決着はついていた。
「牙を、封じる……顎門を、砕くっ!」
 咲良が小さく気勢を叫ぶや、握る夜夢雅導に力を込めた。それは先程の一撃を外して、
長く影奈の後方、闇夜へ伸びて吸い込まれ……そこから折り返して、戻ってきてた。
 今、影奈が左手に握る白木鞘に、夜夢雅導の切っ先が、幾重にも巻きついている。
「しまった、クソォ! 剣が戻せないっ、まさかさっきの一撃はオレじゃなく」
「そう、鞘を狙ったの……背後から。影の姫士の武装帯、本体は……その鞘っ!」
 咲良の双眸が見開かれるや、姫士としての力が夜夢雅導に注ぎ込まれる。
 怒れる大蛇のごとく、夜夢雅導は身をしならせるや、巻きつく鞘を粉々に砕いた。
 同時に、影奈の右手の剣は消失し、左手にほつれたリボンが現れる。黒いリボンは、
ひとりでに千切れて、夜風に舞って霧散した。
 決着……咲良は緊張から解放されへたりこみ、影奈は呆然と立ち尽した。
「馬鹿な、オレが……負けた?」
「ハァ、ハァ……咲音ちゃんが、奈津芽ちゃんが教えてくれた。居合いの弱点は鞘だって」
 姫士にとって唯一にして絶対の武器、武装帯。全ての武装帯には特性があり、それは
知られ過ぎれば、弱点をさらすことにもなる。影の姫士は、今までの舞闘会で武装帯を
振るい過ぎたのだ。結果、複数の姫士に、特性を見抜かれてしまった。
 もっとも、咲良は最初から、真正面からの真っ向勝負のつもりだったが。
「嘘だ……ひなた、オレ……」
 影の姫士もまた、この夜願いと希望を失った。一瞬で、永遠に。
262七姫士舞闘祭_第九楽章 3/3:2010/10/16(土) 16:10:49 ID:3jfCV69B
 咲良は四肢の力が抜け、尻餅をついたまま、呆然と立ち尽くす影奈を見詰めていた。
 その手の夜夢雅導が、彼女の意思を悟ったかのように、蒼いリボンへと変わる。それで
髪を結いなおせば、影奈が顔に手をあて天を仰いだ。彼は、笑っていた。
「フフフ、フハハハハハ! ……もう、終わりだ。最初から、駄目だったんだ」
「あ、あの……」
「あいつに、銀の姫士に犯され、純潔を失った時から……オレは負けてたんだ」
「有栖先輩」
「オレをその名で呼ぶな……まあいい、蒼の姫士。オレを、楽にしてくれよ」
 不意にふらりと、影奈が力なく咲良へと歩み寄ってくる。自然と咲良は後ずさり、背に
屋上の手摺を背負って、身を震わせた。
 咲良に、勝者の権利を行使するつもりはなかった。彼の目的は、全ての姫士に勝利して、
願いを叶えること。太古より続く七姫舞闘祭そのものを、世から消すこと。
「あっ、あの、あたし別に……酷いこと、しないですから。あ、やめ――んんっ!」
 目の前まで来た影奈が、屈んで唇を重ねてきた。
 咲良は目を見開きながらも、弱々しく影奈を押し返す。
「お前の勝ちだ、水原咲良。オレを犯せよ……」
「そんなことしないです! ……そんなことしたって、誰も喜ばない」
「オレが楽になるんじゃ、駄目か?」
「……えっ?」
 驚き見詰め返す咲良の前で、影奈は己のスカートの中へと手を差し入れる。そうして
下着を脱ぐと、セーラー服姿のまま、へたりこんだ咲良に馬乗りになった。
「女になれば、ひなたへの想いも忘れられるだろうよ」
「せ、先輩? あのっ、あたしはただ……あっ」
 上になった影奈が、無表情に顔を凍らせながらも、咲良の股間を愛撫してゆく。すぐに
下着の中で、はち切れんばかりに彼自身が強張った。
「あたしはっ、この七姫舞闘祭を終らせたいだけですっ! もう、誰も泣かな――んっ」
「それが、お前の願いか?」
「ふあっ、や、やめっ……はぁん」
 抗いつつも、咲良の身体は正直だった。巧みな影奈の手淫に、たちまち下着は脱がされ、
スカートを盛り上げる剛直は、脈動しながら勃起していた。
「オレは……妹を愛しちまった。だから、姫士に選ばれた時、嬉しかった。でも……」
「願いを裂かれた姫士達の為にも、あたしはこのゲームを壊します! だから」
 僅かに影奈が腰をずらして、咲良の肉柱を手に、その先端を桃尻の谷間に導く。
 咲良は決意を叫びながらも、逆らうこともできずに、影奈を押し広げた。
「ん、んっ、あ……痛っ、つ……オレも、こっちは初めてだからな」
「だ、駄目……そんなに締めたら、んぁっ!」
「オレの中に出して、オレの想いを断ち切ってくれよ」
 漠然とだが、朦朧とする意識と快楽の中、咲良は察した。以前、奈津芽が言っていた、
影奈が寂しそうに見えた訳が。今、彼は自ら女になることで、禁断の愛を無理矢理にも
忘れようとしているのだ。
「痛ぇ、ケツが裂けちまいそうだ。……あいつも、痛かったんだろうな」
「奈津芽ちゃんは、先輩が寂しそうだって、言ってました」
「オレが……寂しい? あいつが?」
「泣いてたって……先輩、こんなの駄目です。舞闘会でみんなが泣くの、嫌ですっ」
 痛みに顔を僅かに歪めながらも、影奈は咲良の腹に両手を突いて、腰を上下させる。
 咲良は狭い肉路に屹立を搾られる、その快楽と戦いながら、絶頂感をおしとどめた。
 今果てれば、直腸に射精された影奈は女になってしまうから。
「あたしは、体が男でも、女の子に生まれて、育ってよかったです」
「お前……」
「それはきっと、先輩だって同じ筈なんです。だから」
 咲良は弱々しく、しかししっかりと影奈の手を取り、握る。そうして、我慢の限界を
先延ばしにしながら、ゆっくり影奈の下で動いた。身をずらして、影奈の中から自身を
引き抜く。
 間一髪、にゅるんと抜けた瞬間、咲良は大量に射精した。
 その白濁の迸りは、一滴として影奈の中を犯すことはなかった。
263名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 16:59:17 ID:NNn5JCua
カウパーでも妊娠する可能性は有るのでご注意を
264名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 05:57:06 ID:RG00WaDt
こまけぇ(ry
265名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 15:08:01 ID:Mqqx0PGu
動物か何かで想像で妊娠して
けど赤ん坊産めないから途中で諦めるっての思い出した
266名無しさん@ピンキー:2010/10/19(火) 00:43:20 ID:uxZt4dxw
>262
乙でしたー。これだと、影奈は完全リタイアしてないってことかな?
267名無しさん@ピンキー:2010/10/24(日) 17:58:30 ID:4NgwN450
規制が解除されたので、3レスほど投下させて戴きます。
毎度拙作ですが、どうぞよろしくお願い致します。
268七姫士舞闘祭_第十楽章 1/3:2010/10/24(日) 18:03:00 ID:4NgwN450
 鐘の音が学院の午後を告げる。一日は折り返し、未来の淑女良妻達は、昼休みを終えて
授業へと各々戻ってゆく。
 だが、その流れに従わぬ者が一人、屋上で秋風に吹かれ佇んでいた。
 未だ目立つ、学校指定のものではないセーラー服。その赤いスカーフが風に遊ぶ。
 転校生、有栖影奈は今、てすりに背をもたれて天をぼんやり仰いでいた。短く切って
揃えられた髪が揺れる。彼女は弱い日差しさえ眩しいかのように、ヘアバンドで秀でた
広い額に、目を庇うように手の甲をかざした。
「あっ、あの、有栖先輩……授業、始まってしまいます」
 ふと声がして、影奈は目だけで屋上の入口を見やる。そこに立つ意外な人物を認めて、
彼女は首を巡らし、ついで身を起こして向き直った。
「そう言う手前ぇはいいのかよ。……オレに何か用か? 鷺澤奈津芽」
 何故か、影奈の目の前に今、鷺澤奈津芽の姿があった。彼女はもじもじと視線を落とし、
それでもゆっくりと影奈に歩んでくる。
「わ、私、初めて授業を……抜け出してしまいました」
「ハッ、見た目まんまの優等生かよ。で? オレを笑いにでもきたのか?」
 影奈と奈津芽。かつて、姫士だった二人。今はもう、その資格を失った二人。
 しかし皮肉にも、奈津芽の武装帯を引き千切った影奈は、その処女を奪って精を放ち、
勝者の権利を行使した。結果、奈津芽の肉体は完璧な少女に転じ、以前にもまして静かに
色香を放っていた。
 対照的に影奈は、姫士の資格を失ったにも関わらず、未だ少年を秘めている。
 彼に勝利した蒼の姫士、水原咲良は、勝者としての嗜虐を頑なに拒んだ。
 影奈の方から強引に、逃げるように肛虐を強いたにも関わらず。
「わっ、笑うだなんて……ただ、その。……咲良さんと、踊ったと聞いて」
「で、負けた。あの野郎、オレよりドでけぇ望みを引っさげてやがる……奴は、強い」
 影奈の自嘲気味の言葉に、奈津芽も首肯を返す。
 奈津芽の知る咲良は、彼女の親友は、強い。姫士としてではなく、その心根が強いのだ。
 そして、強いだけではなく、優しく温かい。
「七姫舞闘祭そのものを消すとよ……しかも、誰も犯すことなくときたもんだ」
「そ、それじゃあ、有栖先輩は、まだ」
「オレをその名で呼ぶな。ああ、男のまんまさ……だからこうも、胸が痛ぇ」
 すぐ目の前に来た奈津芽の、見上げてくる面影が胸の疼痛を加速させる。
「オレの望みは、妹と……ひなたと一緒になることだった。兄妹を超えた絆があるから」
「私は体質を……私、駄目なんです。男の人に触ると――でも咲良さんなら。だから」
 そっと、奈津芽の手が触れてきた。冷え切った影奈の手を、両手で包み込んでくる。
 影奈は一瞬身を強張らせたが、潤む双眸に見詰められ、そのまま手に手を重ねた。
「やっぱり。私、有栖先輩も平気」
「だから、その顔でそう呼ぶなって……影奈でいい。それと、ちょっといいか」
 小首を傾げる妹の面影が、そっくりな顔が不思議そうに頷いた。
 影奈は奈津芽の三つ編みに手をやり、静かに解いた。
「この方が、似てる。……そっくりだ。本当に、ひなたに瓜二つだ」
 奈津芽の解かれた髪は、ゆるやかにウェーブしながら風にたなびいている。
 それを軽く手で押さえながら、奈津芽は影奈へさらに身を寄せた。
「影奈先輩、寂しそうに笑うから……私あの日から、本当に乙女になってしまいました」
「奈津芽、お前……」
「私、そんなに似てるんですか? 妹さんに」
「あ、ああ。……そういう顔でオレを見る、仕草までそっくりだ」
 余りにも酷似しているので、思わず影奈は目を逸らす。
「じゃあ、妹さんもきっと、今の私と同じ気持ちなんですね」
「ひなたと、同じ? お前、まさか……」
「影奈先輩。……私を今度は、本当の意味で女にして、ください」
 俯き真っ赤になりながら、奈津芽は小さく呟いた。
「どの道私は、女になっても体質があるから……普通の男の人じゃ、駄目です。それに」
「いいのかよ、奈津芽。オレはお前の望みを断った人間なんだぜ?」
「……私、妹さんの代わりでもいいんです。せっ、責任、取ってください」
 姫士としての資格と望みを、共に失った二人の間に、新しい関係が生まれはじめていた。
269七姫士舞闘祭_第十楽章 2/3:2010/10/24(日) 18:04:31 ID:4NgwN450
 奈津芽はこの日、生まれて初めて授業を抜け出した。
 のみならず、学院を勝手に自主早退し、こんな場所まできている。それも初めて。
「何だ、見た目通りお堅いんだな。初めてか?」
「は、はい」
 煌びやかな室内には、大きなソファとテレビ。そして奥にダブルのベッド。
 奈津芽にとってラブホテルとは、既に異空間にも等しいものだった。しかし彼女は、
影奈に誘われるままについて来てしまった。影奈は手馴れた感じで部屋を選んだ。
 再び二人っきりで、しかも今度は密室……それも、情事に耽る為の空間。
「今なら逃げてもいいぜ? ……オレぁ今でも、ひなたのことしか」
「…………隣、いいですか?」
 ソファにしどけなく身を沈める、影奈の隣に奈津芽も腰を下ろした。
 二時間という休憩時間、その一秒一秒を刻む時計の音だけが大きく聞こえる。
 それよりも耳に痛いのは、奈津芽自身の心臓の音だった。
「私、言いましたよね? 妹さんの代わりでもいい、って」
 そっと身を影奈にもたれ、その肩に頬を乗せて奈津芽は呟く。
「妹さんは、何て呼ぶんですか? 影奈先輩のこと」
「そ、そんなこと聞いてどうすんだよ。……お、お兄ちゃん、っていつも」
 照れるような、恥ずかしがるような影奈の声。それを聞いて奈津芽は、そっぽを向く
影奈の耳に唇を寄せる。そっと囁き、同時に股間へと手を伸べる。
「……固くなってるよ、お兄ちゃん」
「おっ、お前っ――」
「お願いです! このまま、私を妹さんだと思って……」
 奈津芽は犯され女にされたあの日から、影奈の寂しげな顔が忘れられなかった。自分を
犯しつつ、この胸に顔を埋めて涙を零したことも。それが今、彼女を背徳へ駆り立てる。
「……ひなたって呼ぶぜ? いいのかよ、そんなので」
「私、身も心も女の子になって、知ったんです。……初恋です」
 一生、男なんて愛せないと思っていた。初恋なんて夢だとも。
 それが姫士に選ばれ、勝てば望みが叶うと知り、奈津芽は闘いに踊った。
 ……そして破れたものの、砕けた望みの欠片を拾うことができたのだ。
 例えそれがいびつに尖って、握れば手の内で身を切る鋭利な欠片でも。
「……駄目だ、手前ぇは似てるがひなたじゃねぇ」
「どうすれば……どこが違いますか? 私に教えてください」
「どこも違わねぇよ……可愛くて生真面目で、でもお前は鷺澤奈津芽だ」
「いや……お兄ちゃん、私じゃ駄目な、んっ! ……ん、ふぁ」
 不意に影奈が唇を重ねてきた。秒針と鼓動だけのリズムに、二人の息遣いと舌遣いが、
淫靡な輪唱を刻んでゆく。奈津芽は今、偽りの愛に身を委ねて、愉悦に身を震わせた。
「んふっ、ふ、ふあああっ! ……はぁ、はぁ」
「……キスだけでイッたか? 女になっても早いな、お前」
「す、すみません……ううん、ごめんなさい、お兄ちゃん」
「……いいんだ、いんだよひなた。さあ、もう一度」
 再びキスを交わして、より深く相手の呼吸を貪り、唾液をすする。クチュクチュと音を
立てて、丹念に唇を吸いあう。その間も、どちらからともなく手は股間や胸へ走った。
「ちゃんと女の子になってるな、ひなた。こんなに胸が」
「お兄ちゃんが私のこと、女の子にしたんだよ。そして、今度は女に……」
「こっちもこんなに濡れて……相変わらずいやらしい子だ、ひなた」
「だってお兄ちゃんが……はぅん! んんんっ、はぁ……」
 影奈の手が股間に伸びて、下着の中の秘裂に触れた。それだけで奈津芽は絶頂に達し、
したたる愛液をさらに迸らせる。既に下着はぐっしょりと濡れていた。
「ひなた、オレもの……いつもみたいに」
「う、うん、お兄ちゃん。ああ、凄い……こんなに固くなってる」
 二人は抱き合い、丹念に互いをまさぐりあいながら、徐々に裸になってゆく。
 奈津芽は今や、正真正銘の少女……ふくよかに丸みを帯びて、胸が膨らんでいる。
 対する影奈は少年ながら、華奢で線が細く、中性的な魅力を帯びていた。
「お兄ちゃん、私シャワーを……綺麗な体で抱かれたいから。先にベッドへ」
 影奈はこの時既に、奈津芽の仕草や言動が、その存在が妹にしか思えなくなっていた。
270七姫士舞闘祭_第十楽章 3/3:2010/10/24(日) 18:05:55 ID:4NgwN450
 浴室のシャワーの音が消えるのを、影奈はベッドで静かに待っていた。
「お兄ちゃん……明かり、消していい? 私、恥ずかしい……初めてだから」
 まるで、本当のひなたと初夜を迎えるかのような錯覚。
 しかし影奈はうっそりと目を細めて、枕元のスイッチを操作。照明が落ちて闇が満ち、
その暗闇になれぬ目を凝らしても何も見えない。
 だが、ゆっくりと人の気配が近付いてくる。
「夢みたいだ……本当にひなたと結ばれる日がくるなんて」
 影奈は、そっと隣に滑り込んできた裸体を、抱き寄せ胸に頭を抱いた。
 まだ微かに、髪が濡れている。そのウェーブのかかった長髪が、ひなたそっくりだ。
「オレ、汚れちまってるけど……でも、ひなたは」
「ううん、お兄ちゃんは綺麗。だって、ずっと私のことだけ想ってくれてるんだもの」
 胸から見上げてくる、奈津芽の瞳から涙が溢れた。その雫をそっと指で拭ってやると、
影奈は奈津芽のまなじりにキスして、その肢体を滑り降りた。
 布団をはだけ、奈津芽の全裸を下に、影奈は優美な曲線に舌を走らせた。
「ふあ、んっ……駄目、お兄ちゃん」
「ひなた、何度イッてもいいんだよ。オレの可愛いひなた……オレだけのひなた」
 奈津芽は最初こそ恥らったが、両の膝を撫でてやると、ゆっくりと股を開いた。
 影奈はその脚線美の間に顔を埋めて、薄っすらと茂る湿り気を帯びた湿地帯へキス。
「ひあっ! あ、ああ……ごめんなさい、お兄ちゃん」
 ちろりと陰核に舌で触れた、それだけで奈津芽は達して潮を吹いた。噴出した愛液が
影奈の顔を濡らす。しかし、それが呼び水となって、より影奈の興奮を煽った。
「気持ちいいかい、ひなた?」
「う、うん……お兄ちゃんのことも、気持ちよくして、あげたい」
 自然と影奈は、奈津芽と上下を逆に身を沈め、二人は互いの股間へ顔を埋めた状態で
重なった。おずおずと自分の屹立を咥えてくる、その稚拙さと初々しさに、影奈自身は
いやおうにも固く強張った。
 同時に、幾度となく達しては潮を吹く、塗れそぼるクレパスへの愛撫に熱がこもる。
「ん、ぷはっ、はあ……お兄ちゃんの、おっきい」
「ひなたのもこんなに濡れて。オ、オレ、もう」
「うん……お兄ちゃん、私の初めてになって」
 影奈は身を起こすと、体を入れ替え奈津芽の……否、既にひなたとしか認知できぬ
少女の腰を僅かに浮かす。正常位で挿入を試みるべく、影奈が膝を折った。
「ひなた、痛かったら言うんだぞ」
「平気……お兄ちゃんと一つになれるんだもの」
 その狭い肉路は、影奈の形に押し開かれるや、暖かな締め付けで迎えてきた。
 同時に、奈津芽は悲鳴を噛み殺す。破瓜の激痛が今、彼女を女にしていた。
「――っ! お、お兄ちゃんの、おっきいよぉ」
「ひなた……平気か? ひな、うっ!」
 妹を気遣った、その瞬間の噴火だった。影奈は達して、膣内に射精していた。
 放心の影奈はただ、奈津芽の胸へと倒れ込む。
「また、その顔……私、お兄ちゃんのひなただよ? ずっと、ひなたでいますから」
「奈津芽……お前、いいのかよ。こんな初めてで、オレでいいのかよ」
「望みを失った者同士、慰めあってもいいじゃないですか……お兄ちゃん」
「…………そうだな、ひなた」
 しばし奈津芽の顔を覗かせながらも、ひなたになりきり影奈を抱き締める。
 少年とは思えぬ程に、姫士と言う名の獣だったとは思えぬ程に、その身は細い。
「いつでも私は、お兄ちゃんのひなたでいてあげるね……二人の時は、いつも」
「ありがとう、奈津芽。お前がオレのひなたでいてくれるなら――」
 妹との愛に、その狂った幻想に別れを告げられる。
 そう呟いて、影奈は奈津芽の胸で泣いた。
「いつか、お前をひなたじゃなく、お前として愛せたら……」
「ううん、そんな日が来なくても、私がお兄ちゃんを、影奈先輩を慰めます」
「……ごめん。ごめんよ、ひなた」
「謝らないでください。私、好きでしてるんです。……好きになったんです」
 真っ暗なラブホテルの一室に、体温を共有する二人の嗚咽が静かに響き渡った。
271名無しさん@ピンキー:2010/10/24(日) 18:47:19 ID:nYNiPN5b
切ないなあ……
272名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 06:14:15 ID:Y/ABQZ+6
確かに切ない……でも、こういう「傷の舐めあい」から的展開は、個人的には割と好み。
続き、期待してマス!
273名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 16:04:09 ID:qk6qRwsU
どなたか、「エリの子部屋」(だったかな)というサイトのURL知っている人いたら教えてください。
274名無しさん@ピンキー:2010/10/29(金) 20:11:27 ID:Vc1tvg0B
http://1860.mitemin.net/i13294/

くっ可愛すぎるだろ
275名無しさん@ピンキー:2010/10/29(金) 20:36:37 ID:RC7sLHMN
過ぎるとまでは行かないが…まぁ可愛いな。
276名無しさん@ピンキー:2010/10/31(日) 19:27:43 ID:shF8KeHc
3レスほど投下させていただきます。
今回は全然エロが足りなくて申し訳ない…
浣腸駄目な人はスルーの方向でお願いします。
ってか、女装エネマスレがあるからスレチなのよね、今回(汗)
277七姫士舞闘祭_第十一楽章 1/3:2010/10/31(日) 19:32:41 ID:shF8KeHc
 学院のトイレ、その個室はお嬢様学校だけあって、豪奢で荘厳だ。
 華美な一室に後ろ手で鍵をかけて、水原咲良は便座を上げて座る。
「ふう、克くんのバカ……気付かないんだ。裁定者になってることに」
 一人、幼馴染の染井克昭を想う。
 克昭が裁定者として定められたことは、全ての姫士が知るところとなっていた。そして、
克昭は無自覚に、その責務を全うしている。即ち、この七姫舞闘祭の行く末を見守りつつ、
その次なる舞闘会を占う……予知する。
 本人に無自覚で、それは創作活動という形で現在行われていた。
「結局、巻き込んじゃった……これも、運命なのかな」
 咲良は一人、俯き独り言を零す。
 彼は少女の姿と心を持った少年……姫士の一人。
 同時に、特別な姫士でもあった。特別な想いを、願いと祈りをも秘めている。
「ま、過ぎたことは仕方ないよね。それより今日も――」
 咲良は気を取り直すと、僅かに腰を下ろして下着を降ろす。
 まろび出たペニスは既に、半勃ちにぶるんと身を震わせ、その先端に粘度の高い透明な
液体を纏っている。克昭を想う都度、咲良は身も心も炙られ焦がれた。
「この間、気持ちよかった……影の姫士の、影奈さんのお尻。う、ううんっ、駄目っ!」
 ぶんぶんと咲良は頭を振り、先日の舞闘会の余韻を振り払う。
 舞踏会に勝利した姫士は、敗北した姫士を陵辱し、犯す権利を得る。
 この権利に強制力はないが、誰もが好み望んで、敗者を辱め少女へと変える。何故なら、
姫士自体が、舞闘会の昂ぶりに性的な興奮を覚えるからだ。互いの望みを賭けた激闘は、
強烈に劣情を煽り、いやがおうにも可憐な少年達の雄を刺激する。
 だが、咲良はその勝者の権利を、自らに戒めていた。
 決して誰も犯さない……誰の少年も、奪わない。
 七姫舞闘祭の終焉を願う彼は、その過程において、誰からも少年の肉体を奪おうとは
しなかった。敗者を辱めないのは、咲良が、彼だけが代々の由緒正しい姫士だから。
「さて、今日も綺麗にしなくちゃ。……他の人はお尻、どしてるのかな」
 咲良は気を取り直して、スカートのポケットから小さな物体を取り出す。
 薬局等で売っている、市販品のイチジク浣腸だ。
 彼は手際よく、自分の桃尻に手を添え、その中心の窄まりを探り当てる。右手で浣腸を
そこへとあてがい、慣れた手つきで挿入し、押しつぶした。
「ふあっ、っ……冷たぁ。ふう。日課とはいえ、辛いんだよね」
 小さな愚痴を零しつつも、気付けば立派に勃起した自分を慰め始める咲良。
 彼は、彼だけは代々、姫士として生まれる宿命を背負った家系であった。
 本来姫士は、七姫舞闘祭に際して、歪んだ愛情と願望を持つものが無作為に選ばれる。
勿論誰もが、年頃の少女よりなお少女らしい、可憐で愛らしい美少年達ばかりだ。彼等は
選ばれるや、見えない声に告げられるまま、舞闘の場に集い踊るのだ。
 そんな中、母も祖母も姫士だったという、咲良は特異な存在とも言えた。
 代々姫士の家系……つまりは、水原家の女性は常に、舞闘に敗れ犯され、女にされた
姫士だったということになる。水原家は武装帯、夜夢雅導を古くより受け継ぐ、いわば
名門の姫士の家系だった。
「んっ、あ、はぁぅ……克くんっ。克くん、好き……好き、なのに」
 一人、徐々に高まる腹痛に呼応するかのように、咲良は放課後の自慰に耽っていた。
 彼の強張りは今、血管を浮き立たせて脈動しながら、先走りに濡れている。
 ぎゅるるる……下腹部が不穏な音を立て始めるや、彼は興奮に登り詰めていった。
「あふぅ、くぅん! ……はぁ、はぁ……今日もいっぱい出――あっ、こ、こっちも」
 射精して絶頂に達すると同時に、咲良は体内の排泄物を残さずひりだした。
 こうして直腸を常に清潔に保つのは、水原家の姫士の伝統でもあった。
「……他の人とか、どうしてるのかな。負けたら犯されるのに。あたしは……」
 咲良は勿論、自分の代で全てを終らせようと誓った。
 夜夢雅導を母から受け継ぎ、次代の姫士になった時に決意した。
 全ての姫士を辱めることなく倒し、七姫舞闘祭自体を世の理から抹消する。
「あたしもでも、誰かに女の子にされちゃうのかな? そうなったらでも――」
 しかし同時に、咲良は一つの淡い夢をも抱いていた。
 もしも自分が負けて陵辱され、一人の少女になったら……克昭と結ばれたい、と。
278七姫士舞闘祭_第十一楽章 2/3:2010/10/31(日) 19:35:29 ID:shF8KeHc
 珍しい取り合わせの三人が、放課後の夕日差し込む教室に残っていた。
「じゃあ何か? 咲良の奴はいっつも、腹ん中綺麗にしてるのか」
「家のしきたりだそうです、お兄ちゃ――影奈先輩」
 鷺澤奈津芽の声に、有栖影奈は怪訝な表情で頷いた。
 既に敗者となった元姫士の二人は、ここ最近は互いに惹かれるように、親しげに学院で
会うようになっていた。それはどこか、慰めあうようですらある。
 そんな二人に興味もなく、馴れ合うつもりはない。
 ――それでも、珠坂咲音は自然と、二人と一緒の時間が増えている。
 今も彼等を待たせている、咲良の人柄が、多くの人間を結び、縁を生んでいた。
「オレか? オレは別に……最初から負ける気、なかったからなあ」
「私も……そこまで考えてなかったから。珠坂さんは?」
 不意に奈津芽に水を向けられ、咲音はむっつり黙っていた口を開いた。
「わ、私は、別に……そ、その、文緒が」
 好きな人の名を呟き、頬が火照るのを感じる。
 咲音もまた二人同様、敗者になることを考え、直腸を洗浄しておくという考えはない。
 決して驕りからではない……咲音の場合は単に、恋人の趣味も関係していた。
「そういやお前、やっぱ文緒と付き合ってんのか」
 からかうような口調で、快活に影奈が腕組みニシシと笑う。
 どこか影のあった転校生の先輩は、ここ最近は険が取れたように穏やかだった。
 その隣にいつも、奈津芽が寄り添っているから。
「珠坂さんは有名だもんね、学院でも」
「おう。先ずはこいつと三年の四条文緒だろ? あと……忘れもしねぇ、オレを汚した」
「三年の、西園寺いぶみ先輩。最強の、銀の姫士」
「ああ。学院の四大アイドルと言えば、もう一人――」
 その時、不意に教室内へと踏み込んでくる足音があった。
 突然の来訪者は、堂々と一年蓮組の教室に来るなり……何もない場所で、派手に転倒。
「いったぁ〜い!」
「……思い出した、こいつだ。二年の八幡いぶき。……何でこんな奴が、なあ」
「さ、さあ……でも影奈先輩。八幡先輩はみんなに人気なんですよ?」
 何もない所で転ぶ才能の持ち主、八幡いぶきは、尻を摩りながら立ち上がった。
 その顔は今緩められて、解けたような笑みを浮かべている。ほんわりとした美少女に
見えるが、彼もまた立派な金の姫士だった。
「エヘ、また転んじゃった。ええと、皆さんとわたしは、初めてお会いしますよね」
 あどけない笑顔のいぶきに対して、三者は三様に身を固くする。
 今、この場で一番緊張しているのは、他ならない咲音自身だった。
 既に敗退した二人と違い、未だ緋の姫士である彼にとって、いぶきは……敵の一人。
「あっ、そう構えないでください。わたし、今日は踊りに来た訳じゃないんです」
 咲音の尖るような気配を察してか、より一層大輪の笑顔を咲かせるいぶき。
「ええと、珠坂さん。あなたは、四条先輩の恋人なんですよねっ?」
 無言で首肯する咲音に、改めて影奈と奈津芽が小さな驚きの声をあげる。
 しかし、いぶきは意味深な笑みを浮かべたまま、口元をムフフと緩めていた。
「……それが、何か?」
「だからこう、きっと珠坂さんの望みは、それに関係してるのかなー、って思って」
 いぶきはただ、斜陽の光に長い影を引き出しながら、独特のゆったりした口調で喋る。
 影奈と奈津芽はただ、互いに黙ってことの成り行きを見守った。
「私は望みを叶える為に、八幡先輩、貴女を倒します。……きっと、あの娘も」
 咲音の脳裏を、いつも優しさで満たされた蒼い影が過ぎる。
 だが、その幻影をあえて振り払うように、彼は毅然と虚空から緋色の武装帯を取り出す。
まるで血の色のようなリボンは、ふわりと空気を静かに震わせ漂い、白い指に絡まる。
「あっ、待ってください。さっきも言いましたけど、わたし踊りにきたんじゃ――」
「こっちの二人は元姫士……見られていても招待は可能よ」
「んー、待って、待ってね珠坂さん。わたし、今日はお話聞いて欲しくて」
 いぶきは金色の武装帯を出すことなく、ただ後に手を組んで一言、
「珠坂さん、いぶみ先輩と一緒に、わたしの下につく気はないですか?」
 唐突で突飛な一言に、場の空気は凍りついた。
279七姫士舞闘祭_第十一楽章 3/3:2010/10/31(日) 19:38:35 ID:shF8KeHc
 重苦しい沈黙を破ったのは、身を折り曲げて笑う影奈の声だった。
「こいつは傑作だ、姫士同士でつるんでどうするつもりだよ!」
「わたしの望みを叶える為です。……どうですか? 珠坂さん」
 あくまでいぶきの声は平静で、楽しげに弾んですらいる。
 それを遮り、傍らの奈津芽が止めるのも聞かず、影奈が吼えた。
「どういうカラクリかは知らねぇが、銀の姫士をけしかけたのも手前ぇか!」
「あっ、いぶみ先輩はああいう人なんです。踊るの、大好きなんですよね」
 ただ舞闘の歓喜と熱狂に、踊り続けること……それだけが、最強の銀の姫士の望み。
 では、それを手駒とする金の姫士の望みとは?
 その答は、おしげもなくあっけなく、微笑みと共に語られた。
「わたし、この七姫舞闘祭の謎が知りたいんです。……そして、ずっと続けたい、かな」
「……なっ! 何言ってやがるっ! そんな、何が面白くてそんな――」
「影奈先輩っ、駄目です。……この人、強い。姫士じゃなくなった今も感じます」
 奈津芽に引き止められて、食って掛かろうとした影奈が食い下がる。
 そんな二人を一瞥して溜息を零すと、再度いぶきは咲音に向き直った。
「負け犬には用はないです。ね、珠坂さん。わたしのお話、考えて貰えますか?」
 不用意なテンションが積み上げられて、場の空気が沸騰する。
 もはやただの美少年でしかない影奈が、怒気を荒げて端正な顔を歪めた。
 その隣では、今にも泣き出しそうな表情で、奈津芽が心配そうに腕に抱きついている。
「わたし、知りたいんです。いまだ謎の七人目……虹彩の姫士のことを」
「!? そ、それは……私だって。でも、私には私の望みが。それに、あの娘は――」
「駄目だよっ、咲音ちゃんっ! 駄目、絶対っ!」
 不意に声が割り込んできた。
 咲良だ。
 彼は今、教室の入口で、振り向くいぶきを真っ直ぐ見詰めて、揺るがぬ歩調を踏みしめ
進んだ。そうして、人形然とした金の姫士に、真っ向から言葉を紡ぐ。
「先輩、お話少し聞こえてました。七姫舞闘祭は……あたしが消してみせますっ!」
「あらあら〜、それは困るわ。こんなに楽しいお祭なのに」
「もう誰も泣かせない……母の、祖母の、血筋の誇りに賭けて! あたし、踊ります」
 決意の宣言にしかし、微塵も動揺を見せず、寧ろ好奇の目を輝かせるいぶき。
「そう、それも不思議なのよね……知りたいわ、水原さん。あなたの血筋、血統が」
「あたしだって解らない……どうしてあたしだけが、代々の姫士なのか。でもっ!」
「きっとそこに、七姫舞闘祭を楽しく存続させる、秘密があるのかもしれないわよね〜」
 うっそりと笑みを浮かべるいぶきは、恍惚にも似た表情で目を細める。
 対する咲良は、毅然といぶきの視線を跳ね返した。
「おう咲良、まだ残ってたのか……って、今日はまた賑やかだなあ、おい」
 克昭が現れたのは、そんな緊張が臨界点に達しかけた時だった。
「まあ、お返事は急ぎませんわ。じゃあ、わたしは今日はこれで。先生、さようならっ!」
「お、おう……気をつけて帰れよー! ……ええと、誰だ? 有名な生徒だよな、あれ」
 いぶきはスカートを翻して、あくまでもマイペースで話を畳むと、行ってしまった。
 後に残されたのは、状況を全く把握できていない克昭。
 そして、四人の生徒だけだった。
「克くん……」
「こら、学院じゃ先生って呼べって。……どうした、何かあったか?」
「……ううん、何でもない」
 繰り返し、何でもないと零しつつ……咲良は克昭のシャツの袖をつまんだ。
 そうして僅かに、前髪が触れるか触れないかの距離で寄り添う。
 他の三人の目を気にしつつ、克昭は何も言わなかった。
「まあいい、オレ等は既に部外者も同然だしな。……負けんなよ、咲良」
「咲良さん、また明日。いっ、一緒に帰ろう、珠坂さん」
 影奈に連れられる奈津芽が、咲音を誘ってくれる。
 咲音は繰り返し、自分になれあう気持ちはないと繰り返しながらも、
「……ん、じゃあ、途中まで。……水原さん。決着はいずれ……いずれ、私達だけで」
「咲音ちゃん。うん、いつか。いつか、きっとね……でも、その時は……」
 言葉の続きを飲み込む咲良をあとに、咲音は教室を後にした。
280239:2010/11/03(水) 02:26:02 ID:GYsStCzt
GJ!
281名無しさん@ピンキー:2010/11/03(水) 19:45:22 ID:fT8gKvCq
>>279
GJを込めて、続きをリクです。
282名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 23:52:40 ID:qHl2TGtG
義理の弟(嫁の弟、15歳)が女装しているのを
知った。
283239:2010/11/05(金) 00:40:18 ID:yHmfkazy
>>282
kwsk
284名無しさん@ピンキー:2010/11/05(金) 13:08:50 ID:Lj6sEHCq
>>282
人気のラノベ/アニメになぞらえて、
「俺の義弟(おとうと)がこんなに可愛いはずがない」
というフレーズが浮かんだ。
姉(=主人公の嫁)といっしょに、主人公ン家に同居してるんだけど、普段は主人公のことを「うだつの上がらない二流サラリーマンw」「社畜乙」とバカにしてる。
でも、ある日、出張から自宅に直帰した主人公が、寝室(嫁と共用)のドアを開けると、姉の高校時代の制服を着てポーズをとる義弟が……。
誰か続きプリーズ!
285名無しさん@ピンキー:2010/11/07(日) 13:37:09 ID:ia4CmYc1
亀だが、「今日からお姉ちゃん」のヒロイン?、高代ゆきちゃんのイメージ、貼ってみる

ttp://nukkorosu.80code.com/redirect.php?u=./img/nukkorosu17624.jpg
286名無しさん@ピンキー:2010/11/07(日) 22:09:12 ID:meDO5YPf
イイヨイイヨー
287名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 07:42:34 ID:NahsbPgf
どちらかといえばくるみのイメージだな…
だがGJだ
288名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 14:58:30 ID:dKkLjA7q
「今日からお姉ちゃん」の作者です。
285さん、ゆきちゃん絵、ありがとうございます。
アップしていただいた画像、髪がもう少し長ければ、かなりイメージ通りです。
──そりゃ、こんな男の娘に「お兄様……」ってウルウル目で見つめられたら、
我慢できないよね!
289名無しさん@ピンキー:2010/11/11(木) 12:51:43 ID:SHZT3+eR
流行りのツンデレ妹(ツン分多め)の流れから、
「異世界から来た妖精?に、無理やり魔法少女?に任命されたものの、
 「中学生にもなって、ンなんかったるいコト、やってらんねーわよ!」
 とキレて、ひとつ年上の兄(ショタ系)に役目を押し付ける妹」
というシチュを妄想した。
で、いざ魔物?が出ると、妹の魔法で魔法少女コスに変身させられて、戦わせられるの(無論、中身は男の娘のまま)。
「ボク、14歳の男の子なのに……恥ずかしい」と恥じらいつつも、街を守るために頑張る兄。
世間(とくにネット)では、「あの魔法少女の正体は!?」って話題になってたり。
あるいは敵のイケメン司令官にも「魔法少女か……可憐だ(ポッ)」とか密かに惚れられてたり。
しまいには、妖精の方も「扱いが難しい妹ちゃんより、お兄ちゃんの方が素直で優しいし、魔法少女に適任かも……」と思い始めたり。
290名無しさん@ピンキー:2010/11/13(土) 15:31:44 ID:APi3d5K0
過去ログか保管庫ありますか?
291名無しさん@ピンキー:2010/11/15(月) 15:59:06 ID:EH+S7W/U
>>290
何度か話は出たんだけど、現状、統一的な保管庫その他はないはず。
292名無しさん@ピンキー:2010/11/17(水) 22:54:59 ID:j4U1gv/L
七姫士舞闘祭の人、続き来ないかなぁ……
無論、新作でもわたしはいっこうに構わん!

293名無しさん@ピンキー:2010/11/19(金) 00:52:18 ID:NfPdA76R
294名無しさん@ピンキー:2010/11/19(金) 22:42:00 ID:INnpUCte
保管子あるよ。
管理してないが
295名無しさん@ピンキー:2010/11/19(金) 23:49:45 ID:oW7/sL9N
もっと頑張れよ!
296名無しさん@ピンキー:2010/11/20(土) 14:32:12 ID:3dumFN8P
>>293
おお!
ホムペ閉鎖した偽装彼女がもう読めないと思ってたので
ありがたや m(_ _)m
297名無しさん@ピンキー:2010/11/22(月) 06:49:03 ID:f14E8XVw
偽装彼女は勿体ないよなぁ……
閉鎖からだいぶ経つけど、いまだに度々読み返してる。
続編出してくれないかなぁ…
298名無しさん@ピンキー:2010/11/22(月) 16:10:31 ID:jf03QYfN
>>297
お持ちならzipでも何でも構わないので下さいませ
何時でも読めると思って保存してなかったんだ…ウェブアーカイブにもないし
299名無しさん@ピンキー:2010/11/22(月) 20:05:10 ID:AWYRBMir
あの頃は良かったよなぁ・・
300名無しさん@ピンキー:2010/11/23(火) 00:48:15 ID:5Np8JL62
>>298
元スレのデータは>>293が置いてくれてるから、そこから抽出くらいはセルフで
301名無しさん@ピンキー:2010/11/23(火) 01:54:48 ID:5kLH1WY8
偽装彼女ならスレに投下しないでHPにだけ掲載してたエピソードが無かったっけ?
読んだの大分前だからよく覚えてないけど…
3026:2010/11/28(日) 18:47:58 ID:4+2dOMIs
過疎り気味みたいなので、このスレの当初に投下した「ひきょたん!」妄想二次の後日談というか、アフター設定での小ネタとか、投下してもいいですか?
短いのの連続だし、あまりエロくないけど、妄想の一助にはなるかと。
303名無しさん@ピンキー:2010/11/29(月) 00:34:13 ID:hxu7FltD
おk
遠慮せずGO!
304名無しさん@ピンキー:2010/11/30(火) 21:54:12 ID:nJk6SSg6
いつも言ってるだろう
『そう思ったならッ!既に行動は(ry』

『投下したッ』なら使っても良い
305「ひきょたん!!」SS『けい×あす/アフター』:2010/12/01(水) 01:59:18 ID:lL9ECn14
※本作は、少年エースにで連載中のマンガ「ひきょたん!!」を基に筆者が妄想をたくましくした二次創作「けい×あす!!」の後日談です。
※原作の説明その他は、>6以下を参照のこと。また、甘くはあってもエロくはありません、多分。
●東圭太:「ひきょたん」の(一応)主人公的立場。本SSでは、タイプの違う美少女3人に囲まれていながら、あえて4人目の男の娘を選んだ勇者。しかし、性格面を考えると、それが一番賢明な選択と言わざるを得ない。
○瀬戸口飛鳥:ツインテールが可愛い本SSのヒロイン……男の娘だけど。原作と異なり、圭太とくっついたことで女の子的思考度がより高まり、見事に「恋する乙女」化している。
・その他の人:脇役(ヒデェ!)


「サンプルofばかっぷる」(8時間目:お買い物でひきょたん より)

 ひきょたん部の面々は、部長の未来の提案で、わざわざ休日に、近くのデパートまで秘境探検用グッズを買いに来ていた。
 「実はあたし、あの百貨店に入った事ないのよね〜」
 「あんた、何年この街に住んでるのよ!?」
 定番の未来と彩花の漫才を聞きながら、密かに圭太は顔をニヤけさせていた。
 (うーん、普段見れない私服姿のみんなも、なかなか花があっていいなぁ)
 実際、その性格を考慮しなければ、未来たち3人は学年有数の美少女と呼んでも間違いではない。
 その証拠に、男ひとりで女4人と連れ立って歩いているように見える圭太に対する、周囲の男性の視線が、まぁ厳しいこと。
 微妙な緊迫感と優越感を圭太が感じてないと言えば、嘘になるだろう。
 しかし……。
306「ひきょたん!!」SS『けい×あす/アフター』:2010/12/01(水) 01:59:48 ID:lL9ECn14
 「あ、圭太くん、百貨店が見えて来ましたよ」
 彼の右腕に軽く腕をからめるようにして寄り添い歩く自らの「彼女」の姿を見て、圭太の笑みが、「ニヤニヤ」から「ニコニコ」へと質が変わる。
 飛鳥の今日の服装は、Vネックの長袖カットソーの下にデニムのミニスカート。足元は黒のニーソックスとライトブラウンのスニーカーでスポーティにまとめている。
 トレードマークのツインテールに、いつもよりやや大きめのリボンを結んでいるのが、こっそりおしゃれだ。
 圭太と結ばれて以来、それまでは半ば成り行きと意地でしていた女の子の服装を、飛鳥はむしろ進んで着るようになっていた。
 「部活」のない時など、比較的常識のある香奈やお嬢様で服のセンスは悪くない彩花などと、ブティックやファンシーショップなどにも寄っているようだ(ちなみに未来は論外)。
 (うーん、やっぱり、飛鳥が一番可愛いなぁ〜」
 「はぅ! け、圭太くん、道端でいきなりそんなコト言わないで〜」
 真っ赤になって照れる飛鳥。
 「ありゃ?」
 どうやら妄想の後半部を知らず口にしていたらしい。
 「ま、ホントのことなんだし、いいじゃないか」
 「うぅ……だーかーらー、もぅっ!」
 プイと顔を背ける飛鳥だが、表情に嬉しさは隠しきれていない。拗ねてるように見せて、実はさっきよりしっかり腕を絡めているのがその証だ。
 実のところ、生物学的性別が♂な飛鳥としては、圭太が同じ部の3人に目移りしないかと、不安な部分もあるのだ。
 もっとも、その懸念を匂わすたびに、圭太はアッサリ笑い飛ばすのだが。
 うっすらピンク色がかった空気がふたりの間に漂う。
 と、そこへ……。
 「──ふたりとも、もぅ少し自重するべき」
 香奈に呆れたような声で指摘されて、ようやくふたりは、周囲の生暖かい視線(ただし、ごく一部の男から圭太へは「憎しみで人が殺せたら」的な殺伐とした視線もあったが)に気づくのだった。
307「ひきょたん!!」SS『けい×あす/アフター』:2010/12/01(水) 02:00:15 ID:lL9ECn14
 デパートに着いたひきょたん部のメンバーは、さっそく本来の目的から脱線していた。

 (今日は、探検用グッズを買いに来たはずなのに……俺達、なんで、こんなところにいるんだ?)
 地下一階の食料品売り場で悩む圭太。
 そう、「春のスイーツフェア開催」という言葉に惑わされた女子4名(約1名は紛いものだが)に、男子部員1名の身では抗しきれなかったのだ。
 (まったく……ヘンなコトに部費を無駄遣いしないといいけどな)
 と、この状況下でいかにもありそうなコトを心配する、ひきょたん部の良心回路その1。ちなみにその2は飛鳥だ。
 「あ、圭太くーん! これ、試食してみたんですけど、すごく美味しいですよ?」
 「へぇ、どれどれ……」
 もっとも、恋人に笑顔でお菓子を差し出されたら、アッサリ陥落する程度の頼りないものではあったが。
 「ホントだ。うまいな」
 「でしょ」
 寄り添って問題の洋菓子が並べてある棚を覗き込む圭太と飛鳥。
 「あら? あなた達ふたり、カップルさん?」
 そばで見ていた販売員のおばさんが「若い子はいいわね〜」的なニヤニヤ笑いを浮かべつつ、ふたりに声をかけてくる。
 「えっと、その……はい」
 一瞬言い淀んだものの、飛鳥の手が己の肘を無意識にかぎゅっと掴んでいるのを感じた圭太は、キッパリ肯定する。
 「そかそか。可愛い娘じゃない。大事にしないとダメよ〜?」
 「え、ええ、そのつもりデス」
 初々しいふたりの様子を気に入ったのか、おばさんは「これ、持って帰って彼女とふたりで食べなさい。あ、気に入ったなら今度はちゃんと買いに来てね〜」と、試供品のお菓子を圭太に押し付ける。
 「はは……ちょっと得しちゃったな。ふたつしかないから、未来達には内緒だぜ?」
 「うん……今日、帰りに圭太くんのお家、寄ってもいい?」
 一連の騒動で、自分たちが何しに来たのか忘れて、すっかりデート気分になっていたふたりは、無論、直後に未来達の「すごくイイ笑顔」に迎えられて涙目になるのだった。
308「ひきょたん!!」SS『けい×あす/アフター』:2010/12/01(水) 02:00:48 ID:lL9ECn14
「Swing in the Rain」(10時間目:雨の日でひきょたん より)

 (は〜、雨の日はやっぱ憂鬱だぜ)
 じめじめ、ムシムシする梅雨に比べればマシと言え、秋も深まった頃の長雨も決して気分のよいものではない。
 とくに、朝学校に向かう時間がどしゃぶりで、おまけに風まで強いと言うのは最悪だ。
 「あ! 圭太くん、おはようございます♪」
 しかし、そんな浮かない通学路でも、偶然想い人と出会えたなら、ラッキーに思えてくるのだから、我ながら現金なものだ……と圭太は苦笑した。
 「ああ、おはよう、飛鳥。奇遇だな」
 「はい! うふふ、ちょっと嬉しい偶然ですね」
 「──だな」
 どちらからともなく微笑みを交わし、並んで歩き始める。
 「しっかし、ものすごい雨だなぁ」
 「そろそろ台風の季節ですからねぇ」
 「おぉ! そういや、そんなものもあったなぁ」
 ここ数年、台風の被害を受けにくい地域に住んでいた圭太は、思い出したようにポン、と手をうった。
 「今日は雨足だけでなく、風も強いし……できれば休校にしてほしいですよ」
 長い髪を手櫛でかきあげながら、飛鳥がボヤく。
 「そっか。女の子は色々大変だなぁ」
 「! はい……」
 ナチュラルに女の子扱いしてもらったのが嬉しかったのか、ピトッと圭太に身を寄せる飛鳥。無論、圭太の方に異論はあるはずもない。
 ところが……。
 「きゃっ! すごい風……」
 「!!」
 ブワンと言う音とともに吹き抜ける風に飛鳥が目を閉じ、顔をしかめるが、圭太の方はそれどころではない。
 先ほどの風にあおられた飛鳥の制服のスカートが大きくまくれあがり、彼女の履いているショーツがモロ見えになったのだ。
 (お、今日はピンクのリボン付きか♪ ……って、違う!)
 心頭を滅却して今の光景を忘れようとする圭太。
 一度ならずイキつくところまでイッてる癖に、ヘンな所で律儀な少年である。
309「ひきょたん!!」SS『けい×あす/アフター』:2010/12/01(水) 02:01:24 ID:lL9ECn14
 だが、圭太が己れの煩悩と戦っているあいだにも、事態は深刻化していた。
 「え……」バキッ!!
 「うわーん、傘が壊れちゃったぁ!」
 なんと、風の勢いに耐えかねた飛鳥の傘のほねがポッキリ折れてしまったのだ。
 「ほら、飛鳥、こっちへ! ズブ濡れになるぞ」
 すかさず「彼女」の肩を抱き寄せ、自分の傘の中に入れた圭太の行動は、「紳士的」と称賛されて然るべきだろう。
 「あ、ありがとう、圭太くん」
 「これぐらい、いいって。俺達、恋人だろ?」
 「そ、そうだね……///」
 ポッと飛鳥が頬を染めるのを見て、圭太も恥ずかしくなったのか、視線をあらぬ方向に逸らす。
 「そ、それにしても、凄い突風だったな」
 「う、うん。あ〜、でもこれじゃ傘、もうダメみたい。いったん家に帰ろうかなぁ」
 「なに、傘くらい学校に予備があるだろうし、このまま行っちまおうぜ」
 「えっと……じゃあ、お世話になりマス」
 ふたりはひとつ傘の下、肩を並べて学校へと向かった。
 「ふぅ……やっぱり、この天気でビニール傘は失敗でしたね。ちょっと濡れちゃいました……」
 「!」
 その言葉通り、微妙に濡れた制服の肩や、湿った艶やかな髪に普段とは異なる艶っぽさを感じて、圭太はドキリとする。
 (お、落ち着け、俺! 朝っぱらからナニ……いや、何考えてんだ! いくら彼女相手だからって……)
 特殊な事情を抱えたコだから、できるだけ大事にしてやりたい。そう思える圭太は、この歳にしてはなかなかデキた少年だと言えるだろう。
 「ほ、ほら、もっと寄らないと濡れるぞ」
 一瞬自分の中に浮かんだよこしまな想いを振り払うように、傘を飛鳥の方にさしかける。
 「ありがとうございます。やっぱり圭太くんは優しいですね」
 飛鳥の敬愛のまなざしが、微妙にくすぐったい。
 「べ、別に……彼女の身を気遣うのは、普通だろ、これくらい」
 ポリポリと頭をかきながら、小声で呟く圭太を見て、飛鳥はクスリと笑う。
 (そういう台詞や行動が、ごく自然に出るからこそ、優しいんだと思いますよ)
 微妙な……けれど、決して不快ではない沈黙がふたりを包む。このままふたりで、どこまでも歩いていきたいような、不思議な気分。
310「ひきょたん!!」SS『けい×あす/アフター』:2010/12/01(水) 02:01:47 ID:lL9ECn14
 「あーーーーっ、けいたんと飛鳥たんだ!」
 「アンタら、朝から相合傘とは……」
 「破廉恥」
 「ち、ちがーーーう! コレには深……くはないけど、ワケがあるんだーーッ!」
 無論、すぐにこうやってひきょたん部員の三人娘に見つかり、そんな穏やかな雰囲気なぞ、アッサリ霧散してしまうワケだが。

<オマケ>
そんなわけで、朝は三人娘の介入もあって平常心で乗り切れた圭太だったが、放課後の図書館探索の際に、踏み台に乗った飛鳥のスカートの中をモロに覗いてしまい、結局青い衝動が暴走。そのまま、図書準備室にふたりで籠り、謎の運動をするハメになるのだった。
──若さっていいなぁ。

-FIN-

#お粗末様でした。できればコミックス2巻を手元に妄想していただけると、より楽しめるかと。
311名無しさん@ピンキー:2010/12/07(火) 18:16:45 ID:nSV8FPuv
乙乙
イチャイチャしやがってけしからんな
312名無しさん@ピンキー:2010/12/15(水) 03:30:58 ID:iJHu2w9I
寂れとるなぁ
313名無しさん@ピンキー:2010/12/20(月) 22:31:55 ID:IdU8OF50
このまま落とすのは忍びないので保守代わりにネタフリ。
同人ゲームとかでエロゲとかでも、主人公女装(つーか男の娘?)物が、近年増えてきたけど、主人公が物語後もそのまま女装を続けるタイプの話ってなかなかないよね。
まぁ、「おとぼく」にせよ「花乙女」にせよ、だいたいが渋々やってるから仕方ないんだけど。
その点、「プリンセスフロンティア」のレキ(女神官)エンドとか、「恋する乙女と守護の盾」の鞠奈エンドとかは、しっかり「女性」としての社会的立場まで確保して女装を続けているあたり、なかなかGJだと思う。
そういう小説とかSSってないモンかね?
314名無しさん@ピンキー:2010/12/24(金) 07:09:07 ID:3QeBBW+E
>>313
姫風呂は女装じゃなくて女体化だろ
315313:2010/12/24(金) 23:52:55 ID:i7nE8+fx
>>314
あれ、そうだっけ。だとすると、ますます思いつかなひ。
ああ、そう言えば「花と乙女」の誰かのENDでも、某グリーンウッドの瞬の家みたく、Wおかみさんやってた気がするな。
ここのSSに応用すると、「老舗旅館の後継者となるべく、女将としての修行に励む男の娘」か。
……あれ、どっかで見たような気が。
316名無しさん@ピンキー:2010/12/25(土) 08:34:44 ID:pDynum/A
ウェブに載ってる小説なら、男性に戻るほうが稀な気がするが。
317名無しさん@ピンキー:2010/12/26(日) 00:37:28 ID:9qXLEY/a
年末までに何か一つ投稿したいな……と思いつつ時間だけが過ぎるorz
318名無しさん@ピンキー:2010/12/27(月) 04:02:30 ID:GW8MOAu6
るいは智を呼ぶなら呪い解かなきゃ女装確定だぜ
319名無しさん@ピンキー:2011/01/04(火) 08:57:52 ID:6x5z6WOc
さげてた(´・ω・`)
320名無しさん@ピンキー:2011/01/10(月) 14:47:58 ID:3sI1oGtK
あらあらうふふ系のお姉さん的な女装キャラが見たいけど
妄想するとどうしても巨乳属性が付随してしまう
豊胸まで行ったら女装の範疇超えちゃうかな?
321名無しさん@ピンキー:2011/01/10(月) 18:44:43 ID:rOZP83KG
>>320
個人的には胸だけで下はまんまならセーフかとも思うが。
それがダメと言うなら、たとえば、某たけのこ交番や、おとボク2みたく
「とても人工物とは思えないクォリティーの特殊パッド」とか、あるいは
唯登詩樹の「マイピュアドール」みたく
「乳首からのヒアルロン酸注入による一時的な豊胸」とかで、いいんじゃない?
322名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 19:16:19 ID:o7FRMaxW
唯登詩樹といえばいけないよゆう子さんの市木望は当時としては衝撃的だったな。
あれの続きを強引に考えたら見た目は落ち着いた熟女の彼が新人を励ましている間に
急接近なんて事もありそう
323名無しさん@ピンキー:2011/01/20(木) 22:26:50 ID:40uYNQ/r
つい先日、ソチラ方面には疎い自分でもたまに名前を聞く、とある乙女ゲーのサブキャラの女の子が「お、イイじゃん、ちょっと好みかも」と思って画像とか集めてみたら、実は女主人公の双子の「兄」であるコトが発覚。
自分としては、乙女ゲーには珍しいかわいい女キャラだと思って気に入ってたのに、男の娘とわかってフクザツな気分。
いや、無論、ココに来てるくらいだから、女装子ヒロインでも無問題っちゃ無問題なんスけどね。
て言うか、エロゲ、ギャルゲだけでなく、最近は乙女ゲーにまで男の娘いるのか。
324名無しさん@ピンキー:2011/01/20(木) 22:35:51 ID:Dgy/SHPB
俺の嫁候補に加えるべく考察したいのでヒントplz
325名無しさん@ピンキー:2011/01/20(木) 23:27:00 ID:hCeLxSVl
薄桜鬼の南雲薫か。
326名無しさん@ピンキー:2011/01/20(木) 23:32:57 ID:4CQgV5um
TVにゃオカマが溢れてるし、やっぱ日本じゃそれほど珍しいもんでもないんだろうかね
外の影響で、一時期アレになったけどさ
327名無しさん@ピンキー:2011/02/01(火) 21:37:25 ID:ESsprGia
過疎ってるな
328名無しさん@ピンキー:2011/02/03(木) 02:33:23 ID:Xn42xmAG
ふたつの「ひきょたん」SSを書いた者ですが、その「ひきょたん」が最終回を迎えてしまいガックリ。
でも、ラストはけいたん×飛鳥な雰囲気(全員集合絵なのに、ふたりだけ手をつないでいる)だったので、やや満足かな。
妄想の燃料としては十分なご褒美でした。
329名無しさん@ピンキー:2011/02/03(木) 23:57:09 ID:Xn42xmAG
このスレ的には、現在アニメ放映中の「あれはゾンビですか」の歩みたいなのはアリなのかな。
いや、某PIXIVとか見たら、割かし可愛らしい男の娘っぽい歩のイラストがあふれてたんで。
330名無しさん@ピンキー:2011/02/10(木) 23:48:58 ID:v8w9rEET

331保守代わり:2011/02/14(月) 21:23:21 ID:zYQpQXQK
連休中にPS2のメモカのデータを整理してて、「ビートダウン」ってゲームがあったのを思い出した。
「マフィアに所属していた5人の腕利きが、ある幹部の陰謀によってハメられ、一転組織から追われる立場に!」ってハードな設定のアクションゲームなんだけど、髪型とか服装とかを(店で買うことで)かなり自由に変えられる。
「追われる立場だから変装している」ってコトなんだけど、男性キャラでも平気で女物のスカートとかドレスとかハイヒールとか着れたりするんだな。
主人公格の青年や筋肉質なデブキャラはさすがにアレだけど、ライバル格の美形優男は、整形病院で肌を白くし、顔や髪型もソレっぽく整えたうえで、全身女装させると、けっこう色っぽくて見られる感じ。
そのまま女のフリをして、組織の追手の横を歩いてスリ抜けたりするのがヘンにスリルがあったなぁ。
──あれ、そんなSS(追手を誤魔化すために女装したら、板について染まる)、どっかになかったっけ?
332名無しさん@ピンキー:2011/02/15(火) 18:47:53 ID:zjWKAcAn
あったな。忘れたけど
333331:2011/02/16(水) 01:37:57 ID:0b0rd7ud
#ゲームのこと思い出したら、ちょっと妄想ががが……。鬼のいぬ間の洗濯?
#とは言え、が、今回は該当シーンなし(ヲイ

『Goddess-damn!!』

第1話.陥穽

 振り返ってみれば、オレたちは調子に乗り過ぎてたのかもしれない。

 ストリートチルドレンのリーダーだった頃に引退した武闘派幹部にその腕を見込まれてファミリー入りした、「暴力の天才児」レイヴン。
 元はショウダンサーだったが、その美貌と優れた身体能力を見込まれ、ファミリーの暗殺者として鍛え上げられた、「闇の薔薇」ジーナ。
 2メートル近い体躯を持つ、いかつい巨漢のプエルトリカンだが、話してみると存外気のいい(ただし、敵には容赦しない)、「人間重戦車」ジェイソン。
 幼少時から南米の戦場で育ち、ローティーンの頃から傭兵まがいのことをやっていたと言う凄腕の女丈夫、「標的処理機」ローラ。
 そして、ドンの非公式な血縁で、作戦参謀と工作員と刺客の三役をひとりで兼ねられるオールマイティなオレ、「三頭の竜」アレン。

 "ファミリー"の準幹部格の有能な若手として、オレ達は互いをライバル視しつつも、同じ任務に関して共同作戦で組むことも多く、いつの間にか奇妙な絆、あるいは連帯感のようなものを感じるようになっていた。
 そして、「いつかは袂を分かつ」ことを承知の上で、オレたちは非公式にチームを組み、ファミリーから任された難度の高い任務を次々にこなして、以前にも増して頭角を現すようになった。

 その過程で、暗黙の了解と、時には拳を交えた「話し合い」の結果、オレたちは「レイヴン・グループ」として密かに手を組むことになったのだ。
 オレが頭にならなかったのは、目立つトップに立つより、裏で謀事をめぐらすナンバー2の方が性にあっていたからだ……断じて、あの単純バカへの友情とか、そういう甘っちょろい理由じゃないことは断言しておこう。
 もとより、ジェイソンは権力闘争よりも仲間を大事にするヤツだし、ローラは「スリルのある戦いとそれに見合った報酬があればいい」と嘯くタイプ。
 まぁ、ジーナだけは別の幹部ユージンの元愛人ということで、ダブルスパイの可能性がないワケじゃない(と言うか、十中八九中そうだ)が、どの道すべてを秘密裏に運ぶことは不可能だ。
 あの女狐には、せいぜいユージン一派とのパイプになってもらおう。

 そんなワケで、非公式ながら半ば公然に近い形で一派を立ち上げたオレたちだったが……どうやら、思った以上に敵を作っていたらしい。
 いや、若手のオレたちがあまりにヤリ手過ぎたため、他の老いぼれや三流連中が危機感を抱いた、ってトコロか。

334331:2011/02/16(水) 01:38:52 ID:0b0rd7ud
 その結果、いよいよ幹部としての正式に認められるのも間近と囁かれるようになった頃に受けた、とある指令で見事に罠にハメられちまったんだ。

 "ファミリー"に属さない、弱小あるいは中立なグループの存在は、必要悪とは言わないまでも黙認されていたし、多少の「活動」もやり過ぎなければ目をつぶる。
 そう、「やり過ぎなければ」。しかし、ヤツらはやり過ぎたのだ。
 その制裁を兼ねて、ヤツらの取引を潰せという命令がオレたち5人に下った。

 今にして思えば、オレたち5人を大っぴらに名指ししてきたことを怪しいと思うべきだったのだろう。
 オレたちの襲撃の情報は先方にバレていて、なけなしの兵隊たちは全て返り討ち。オレたち5人さえ、バラバラに逃げるのがやっとだった。

 さらに悪いことに、組織の内規を司るユージンの奴が、オレたち5人を「任務にカコつけて麻薬とその代金を奪って逃走した裏切り者」として、ファミリー内部で告発しやがった。
 無論、でたらめだ。あの乱戦の中で、ヤクの詰まったクソ重たい箱なんて持ち出す暇はなかったし、札束の入ったトランクも、少なくともオレたち5人の誰も手にしちゃいない。

 ──言うまでもなく、オレ達はハメられたってワケだ。
 正直、ジーナがコッチにいる時点で、そこまでするとは思わなかったぜ。本人も襲撃には本気でうろたえていたし、知らされてなかったのは事実だろう。
 トカゲのしっぽ切りか、あるいはこの期に及んでまだダブルスパイを続けてくれると信頼しているのか……。
 「何、それ? 笑えないジョークね」
 憔悴した表情で悪態をつくジーナ。こうなっちゃあ、ザネッティファミリーの婀娜花「闇の薔薇」もかたなしだな。
 まぁ、見た感じでは、少なくとも後者の可能性は、ゼロではないが限りなく低そうだがな。

 そう、俺達は5人が完全にバラバラになったわけじゃない。
 逃げる時の方向の関係で、レイヴンとジェイソン、オレとジーナが行動を共にすることになった。ローラは単独行動だが、女とは言え、東洋のニンジャじみた隠密行動が可能なアイツが、そう簡単にくたばるはずもないだろう。

 「何にしても、ひとまず身を隠す必要があるな」
 「同感ね……感謝しなさい、あたしが以前使ってたセーフハウスのひとつに連れてってあげる」
 無論、単なる親切心じゃないだろう。この女の考えは読めている。
 裏切ってユージンに俺の身柄を突き出す……という可能性は低い。それをしても自身の安全の保障はないからだ。
 だが、たったひとりで長時間逃亡生活を続けることも難しい。
 「ひとりの方が身軽でいい」なんてのは、本格的な潜入工作活動をしたことのない人間の戯言だ。
335331:2011/02/16(水) 01:39:15 ID:0b0rd7ud
 人間は眠らないと生きてはいけず、眠っている間の警戒は限りなく0に近づく。
 追われる立場にとってソレは致命的だ。
 だからこそ、交替で警戒にあたったり、戦いになった時、仮初にでも背中を預けられる相棒(バディ)が不可欠なのだ。
 そういう意味では、オレたちの中で一番信頼がおけるのは仲間意識の強いジェイソンだろう。あの脳筋単純馬鹿野郎も、まぁ自分から裏切ることはあるまい。
 逆に、ローラの場合、あからさまに裏切ることはなくとも、邪魔だと感じたらアッサリ見捨てられる可能性が低くなさそうだ。
 その意味では、どちらも腹にイチモツ隠し持つタイプのオレとジーナという組み合わせは、ベストとは到底言えないが、頭脳プレイという意味では頼りにできると言えないこともないだろう。

 瞬時にそんな計算はじき出したオレは、多少皮肉げな響きを声ににじませつつ、感謝の言葉を述べた。
 「ふん、まぁ、助かる、と言っておこうか」
 声に含まれた感情の色を読み取ったのか、ジーナは一瞬ピクリと眉をしかめたものの、言い争う時間も惜しいと考えたのか、黙って先に経って歩き始めた。

 * * * 

 (いまいましいったらありゃしない)
 表面上は「クールなデキる女」の表情を取り戻しつつ、ジーナは心の中で悪態をついていた。
 何が……と言えば何もかも、だ。

 ファミリー(の幹部の誰か)にハメられたこと。
 それには、愛人であるユージンも関与しているらしいこと。
 さらに彼は、自分をあっさり切り捨てるつもりらしいこと。
 よりによって、仲間の中で一番苦手な(たぶん同族嫌悪だと理解はしている)アレン坊やと一緒に逃げるハメになったこと。
 そして、そのアレンが、この期に及んでほとんど慌てふためく様を見せないこと。

 それらすべてが、ジーナの勘にさわった。
 無論、最後のふたつは半ば八つ当たりだと理解はしているが、感情はそんなに簡単に納得しないのだ。
 (何とかこの澄ました坊やにひと泡ふかせてやれないかしら?)
 とは言え、自分達は逃亡中の身だ。幸い未だ組織の警戒網は厳しくないが、それほど目立つことをするワケには……。
 (! そうだ!!)
 さしものアレンとて平静ではいられない──それでいて理にかなった、逃亡のためのある「手段」を思いついたジーナは闇の中でニンマリと微笑むのだった。
336331:2011/02/16(水) 01:41:25 ID:0b0rd7ud
#原作の内容はだいぶ忘れてるので、おおよその背景だけ借りてアレンジ。てか、状況説明だけで終わってしまいました。
 ジーナ姐御の思いついた「手段」とは……無論アレですね。

 「ちょ、ちょっと待て! ホントにそこまでやるのか!?」
 「あら、だって組織が捜しているのは、「20代前半の若い男女」よ。女子大生と女子高生の姉妹じゃないわ」
 「そ、それはそうだが……」

次回「第2話.姉妹」、続けていいですかね?
337名無しさん@ピンキー:2011/02/16(水) 02:04:01 ID:67FwmQqL
>>336
是非とも続けてください
338Goddess-damn!!-2:2011/02/16(水) 14:03:37 ID:JZAhlCB4
第2話.姉妹

 ラス・ソンブラスのミドルバイヤー地区──タウンスクウェア地区やホスピタル地区と隣接した、ダウンタウンとアッパータウンのちょうど境目に位置する場所のとあるアパートの一室に、最近ひと組の家族が引っ越して来た。
 「家族」といっても、大学生のニーナ・ウィリアムと高校生のアンナ・ウィリアムという姉妹だ。
 姉の方が、服装や髪型が少々ヤボッたく黒ぶち眼鏡も垢抜けないものの、見事な金髪碧眼のグラマーなのに対して、妹の方は、いかにも東洋系な感じの黒髪黒瞳とスレンダーな体つきの無口な少女だ。
 姉妹の割にあまり似てないと言う人にニーナは「ウチとアニーの母親が違うんや。異母姉妹ってヤツやね!」と、アイダホ訛りでニカッと笑って見せた。
 ニーナいわく「ソンブラス大学に通うために、近くに住む叔父さんのツテで、こっちに引っ越してきた」とのこと。
 女ふたりで住むのは少々物騒では? と心配する人もいたが、「大丈夫や、ウチ、これでもジュードーのブラックベルトやで。おとなしそうに見えるけど、アニーもおかんにアイキドー習っとったし」と胸を張る。
 無論、多少の格闘技の心得があったところで、銃をつきつけられればオシマイなのだが、勇ましくそう言い放つニーナの様子が、いかにも「田舎から出てきたての小娘」っぽくて微笑ましい。
 このおんぼろアパートの住人は、こんな場所に住んでるワリに存外人情に厚いらしく、彼女たち姉妹を何くれにつけて気にかけてくれるようになったのだった。
 おかげで、しばらくすると、少々能天気だが快活なニーナと、控えめで礼儀正しいアンナの美人姉妹は、この界隈のちょっとしたアイドルになっていたのだった──本人達の思惑とは裏腹に。
339Goddess-damn!!-2:2011/02/16(水) 14:04:04 ID:JZAhlCB4
 「あちゃ〜、誤算やったなぁ。できるだけ元のウチらと違うタイプのキャラを演じたつもりやったんやけど」
 おどけたようにペシンと額を叩いて見せる「姉」に、「妹」が押し殺した声で尋ねる。
 「──おい、どうするつもりだ?」
 「こら、アカンて、アンちゃん。どこに人の目や耳があるかわからんのやから、少なくとも外では言葉遣いには気ィつけんと」
 フザけた口ぶりだが目は笑っていない。確かにもっともな話なので、アンナも渋々「いつもの」しゃべり方に戻す。
 「──で、どうするつもりなんですか、姉さん?」
 「うーん、そやなぁ。街の方はまだまだ物騒みたいやし、あまり下手な動きはできんやろし……」
 ほんの一瞬、思案げな表情を浮かべたニーナだったが、ニッと人の悪い笑みを浮かべる。
 「とりあえず、アンちゃんには……」
 「?」
 「ハイスクールに通ってもらおか!」
 「……はぁ!?」

 * * * 

 ダウンタウンの一角にあるバー「THE HALL」のマスターは、裏社会ともつながりがあり、ちょっとした「仕事」の依頼をとりまとめている……ということは、アレンも知っていた。
 だが、ジーナは個人的にもマスターとのツテがあるらしく、あの日、人目を避けてHALLにたどり着いた俺達ふたりを何も言わず迎え、ジーナに奥の一室に通してくれた。
340Goddess-damn!!-2:2011/02/16(水) 14:04:36 ID:JZAhlCB4
 「ここがそのセーフハウスだ、って言うんじゃないだろうな?」
 「まさか! 此処へは、追手の目を誤魔化すための着替えのために寄っただけよ」
 俺が同室にいるのも気にせずに、ジーナはスルスルと扇情的なミニドレスを脱ぎ捨てる。
 「おいおい……」
 無論童貞というワケではないが、さして経験豊かというほどでもない、俺は所在なさげに目をそらした。
 「こんなモンかしら。あ、アンタも着替えなさいよ」
 中年女性が着ているような野暮ったいセーターと膝丈の地味なスカートに着替えたジーナは、ロッカーから取り出した衣類をポイポイと投げてよこした。
 「そうだな。わかった」
 とりあえず当面はジーナの思惑に乗ると決めたのだ。俺も血糊と埃に汚れたトレードマークの革のベストとスラックスを脱ぎ、渡されたタンクトップとスリムジーンズに着替えた。
 「入った?」
 「ああ、多少窮屈だが、贅沢は言わん」
 「へぇ……ソレ、わたしのなんだけどね」
 クスリと笑うジーナの視線を受けて、俺はいぢける。
 「ふんっ、悪かったな。どうせ俺は背が低い」
 自分でも、それなりに整った顔立ちとスマートな体躯を持つと自負しているが、背が5フィート7インチ(約168センチ)しかないことは、多少気にしているのだ。
 女にしてはかなり体格のいいローラはもとより、目の前のジーナにさえ、彼女がヒールの高い靴を履くと抜かれるくらいなのだ。ジェイソンほどバカでかくなくてもいいが、せめて6フィートは欲しいところだ。
 「フフッ、クサらないの。さ、ココはまだダウンタウンのまっただ中だし、長居は無用ね。次は病院に行くわよ」
 「整形か……まぁ、致し方あるまい」
 ラス・ソンブラスで「病院」と言えば、ホスピタル地区の総合病院をさす。
 表の住人は単なる総合病院と認識しているが、裏の住人にとっては、特別料金を払うことで新しい「顔」を作ってくれる便利な場所でもある。
 特に料金を上乗せすることでカルテも破棄してくれるのが有難い。そちらから辿ることがほぼ不可能になるからだ。
341Goddess-damn!!-2:2011/02/16(水) 14:05:03 ID:JZAhlCB4
 数時間後。
 ジーナの方は目じりを少し下げたうえで、わざとソバカスを散らし、美人だが険のある印象を和らげて愛嬌のある顔立ちにしたようだ。
 そして俺は……。
 「おいおい、さすがにコレは変わり過ぎだろう?」
 目の輪郭をひとまわり大きくしたうえ、特殊なコンタクトで瞳の色も黒に変えているのは、まぁいい。ジーナ以上に鋭い俺の目つきはカタギには見えないだろうからな。
 ファミリー入りして以来の俺のトレードマークだった顔のタトゥーを消したのも、その方向でのイメチェンだと理解はできる。
 だが、やや小さめでうっすら桜色を帯びた口元とか、丸味を帯びた頬骨や顎のラインとかは、さすがにやり過ぎだろう?
 「これじゃあ、真面目なカタギを通り越して、オカマみたいだぞ」
 「あ、いい勘してるわね」
 ニヤリと微笑みながらパチンと指を鳴らすジーナ。
 「何……だと!?」
 「正確には、「女の子」になるのよ」
 してやったりという顔つきになる彼女の顔を、俺は一瞬呆気にとられてポカンと見守るしかなかった。
 「組織が捜してるアレンとジーナという「若い男女」じゃなくて、「ふたりの女性」なら格段に見つかりづらいでしょう?」
 確かにそれは道理だ。俺達がレイヴン&ジェイソン、アレン&ジーナ組に分かれたことは、現場にいた人間なら勘づいていてもおかしくない。
 「──お前とローラのふたりと見られる可能性もあるワケだが」
 はかない抵抗も、バッサリ片づけられる。 
 「ローラとあなたの身長の差を見れば、それはないわね」
 俺は、生まれて初めて、自分の背の低さを本気で恨んだ。
 「さて、納得したところで、新居にレッツゴーよ、プリティーガール」

#とりあえずは、ここまで。次はいよいよアレンからアンナへの「変身」シーンです。いわゆるお約束満載になりそうですが……。
342名無しさん@ピンキー:2011/02/17(木) 00:03:51 ID:v2Lf5DP6
いいよいいよ〜
343名無しさん@ピンキー:2011/02/17(木) 01:38:13 ID:Cur9sVLx
ええぞもっとやれー(笑
つC
344Goddess-damn!!-3:2011/02/18(金) 02:03:13 ID:a/WDWYzF
#アメリカの学校は、日本のソレとは色々異なるところがあるみたいなのですが、知識不足のため、その辺りの描写がかなり曖昧になってます。
現地の学校に通った経験のある人からは「おかしいですよカテジナさん!」という点もあるかと思いますが、フィクションとして看過していただければ幸いです。

第3話.学園

 新学期が始まって早々の9月のとある月曜日、ここ、セント・メリーアン学園高等部の各ホームルームでは、担当教師によって学園からの伝達事項が伝えられていた。
 「──今週は以上だ。それと、今日からこのクラスに新しい仲間が加わることになる。ミス・ウィリアム、入りなさい」
 その中で、3年のとあるクラスには、どうやら転入生があったようだ。
 教師の声に答えて、外に待機していた転入生が教室に入ってくる。
 身長は高からず低からずだが、体型はどちらかと言うとスレンダーな印象だろうか。
 トラッドな紺色のブレザーとタータンチェックのプリーツスカートを着て、足元も白いスクールソックスと革のローファーというスタイルは、ダウンタウンに近いこの学園では珍しい。誰もが「優等生」という言葉を脳裏に思い浮かべた。
 肩の長さで切り揃えたストレートな黒髪のボブヘアと伏し目がちな大きな黒い瞳からして東洋系だろうか? あるいは、噂に聞く「ヤマトナデシコ」というヤツかもしれない。
 「──アイダホから来た、アンナ・ウィリアムズです。趣味は、歴史関連の本を読むことと、ジャパンの文化に触れること。皆さん、よろしくお願いします」
 やや小さめだが意外にハスキーなその声での自己紹介も控えめで、如何にも「おとなしい文学少女」風な外見を裏切らぬものだった。
 その微妙に不安そうな表情に、男女問わず「ズキュン!」と庇護欲を刺激されたクラスメイトが複数名いたとかいないとか。
 ──もっとも、「少女」の内心の声は、外面とはおよそ裏腹なモノだったが。
 (クソッ! まさか本気で俺をハイスクールに送り込むとは……アイツの手腕をナメてたな)

 * * * 
345Goddess-damn!!-3:2011/02/18(金) 02:03:45 ID:a/WDWYzF
 奇想天外なジーナの提案──「逃亡生活のために、しばらく女装して女になりすます」というアイデアに呆気にとられた俺は、畳み掛ける彼女の行動についていくのがやっとだった。
 ミドルバイヤー地区にあるアパートの一室に転がり込むと同時に、ジーナは俺をバスルームに押し込み、シャワーを浴びて、頭髪と眉毛以外の体毛を処理するように言う。
 「全部剃れって言うのか?」
 「主にコックの周辺と脇ね。腕とか足はいいわ。脱毛用のクリームがあるからコレを使って。胸毛は……アンタ、あんまりないわよね?」
 「ほっとけ!」
 「じゃあ、ソッチも念のためクリームで脱毛しときなさい」
 なりゆきで差し出された瓶入りクリームを受け取りながら、ようやく冷静さを取り戻しつつある俺は、ジーナの提案を脳裏で検討してみたのたが……確かに、かなり有効であることは認めざるを得なかった。
 それに伴う問題点はふたつ。
 その片方の「俺のプライド」は、この際無視したっていい。元々、「逃亡生活」なんてもの自体が到底自慢できるもんじゃないから、いまさらだ。東洋には「臥薪嘗胆」なんて言葉もあるらしいからな。
 一番の問題は、「いかに女性の平均並みに小柄とはいえ、れっきとした成人男性である俺が、女装したくらいではたして女に見えるのか」ってコトだ。
 この作戦(と割り切ることにした)の主旨からして、オカマじゃあ意味がない。「ナチュラルな女ふたり組」と見えないといけないんだが……大丈夫なのか?
 バスルームで、言われた通り陰部と腋の下の毛を剃り、手足は元より胸や肩に至るまで「脱毛剤」とやらを塗りたくりながら、俺は率直にそう聞いてみたのだが。
 「ええ、問題ないわ。わたしの見立てを信じなさい」
 ジーナの奴は至極自信たっぷりだった。
 まぁ、確かに、コイツの変装やファッションに関する知識が一流なのは認めざるを得ない。
 荒事の片手間に工作員をやってた俺と違い、専門的な潜入訓練その他も受けているはずだ。
 少なくとも今は運命共同体なのだから、俺達にとって不利になるようなコトはすまい……と割り切って、俺は不承不承ながら、ジーナの指示に従うことにした。
 15分後、猛烈な全身のかゆみに挫けそうになっていた俺は、ジーナの「もういいわよ〜」という声と同時に温水シャワーを浴びて、全身についたクリームを洗い流した。
 薄ピンク色の泡の中に細かい黒いものが浮いているのは、おそらく俺の体毛なのだろう。
 視線を下に落とすと、確かにほぼ全ての見える範囲の肌が、まるで生まれたての赤子みたいにスベスベになっている。とりあえず、第一段階は無事クリアーしたみたいだ。
 「終わったぞ」
 乱暴に身体を拭き、下半身にタオルを巻いただけの格好で風呂場から出たが、ジーナの奴は動揺する気配すら見せなかった。
 「グッド! なかなか、イイ感じね。それじゃあまず、タオルをとってベッドの上に四つん這いになって」
 は?
 「おいおい、俺を男娼扱いする気か? ファックしたいなら素直に……」
 「馬鹿、そうじゃないわよ! あなた、股間に余計なモノブラ下げてるでしょ。最初にまず、それを隠すの」
 「余計なモノとは何て言い草だ!」と抗議したかったが、確かに女に化けるのに邪魔なのは間違いない。
 俺は渋々ベッドに上がり、マットレスに両膝と手をついた。
346Goddess-damn!!-3:2011/02/18(金) 02:04:10 ID:a/WDWYzF
 「じゃあ、始めるわね」
 心の準備をする前に、素早く俺の背後──尻の方に歩み寄ったジーナが、両脚のあいだからむんずと俺のスティックを掴み、強引に後ろに押し倒す。
 「イテテテ!! こら、デリケートな場所なんだぞ。もうちょっと丁寧に扱ってくれ」
 「フン、あんまり優しくしたら充血しちゃうでしょ。そうなると面倒なのよ」
 木で鼻をくくるような素っ気ない返事とともに、ジーナは俺のふたつのボールをグイと体内に押し上げた。
 「がっ……な、何しやがる!!」
 男にしかわからない鈍い痛みを感じた俺は、とっさに大声を上げたが、急所を女に握られているせいで、ロクに動けない。
 「あら、ゴメンなさい。でも、「三頭の竜」ともあろう御方なら、この程度の痛み、耐えられると思って」
 嫌味ったらしくそう言うと、ジーナは今度は手に持った何かのチューブの先を俺のスティック下部に塗布し、さらに後ろへと曲げていく。
 すると、信じられないこと、俺のスティックはそのまま後ろ向きに固定されてしまったのだ!!
 「お、おい……一体コレは?」
 さすがに不安げな声になるのを隠しきれない。
 「心配ないわ。手術とかで使われる医療用接着剤を塗ってアナタのモノを貼りつけただけ。そして、さらにこうやって……」
 中味を失って(いや、腹腔内に一時的にカチ上げられただけなんだが)余ったサックの皮をたぐりよせると、スティックの根元を覆い隠すような形で接着剤で貼り合わせたのだ。
 「さ、もういいわよ。立ってみて」
 言われた俺はおそるおそるベッドから降り、フロアに立つと自分の股間を恐る恐る覗きこんだ。
 そこには、普段見慣れた男のシンボルは無く、明らかに女性のソレを連想させる逆三角形の陰りと、縦筋が見えるだけだ。
 「うんうん、我ながらなかなか巧くできたわ。ちょっとくらいなら股間を見られても男だなんてバレないでしょ」
 「そ、そりゃそうかもしれないが……」
 俺は、いきなりアソコからスティックをむしり取られて、去勢されてしまったかのような頼りなさを感じざるを得なかった。

 * * * 
347Goddess-damn!!-3:2011/02/18(金) 02:04:45 ID:a/WDWYzF
 アレンの局部を「加工」しながら、ジーナは密かに興奮していた。
 股間に偽りと言えどクレバスを持ち、体毛のないすべすべの白い肌をしたこの生き物は、どこか天使の如き中性的な蠱惑を感じさせる。
 この無垢な「天使」を「女」の側に引きずり込むことを考えただけで、背筋がゾクゾクしてくる。
 「ちゃんと戻せるんだろうな?」
 さしもの作戦参謀も、このような格好をさせられて、いつもの怜悧さをいささか失っているようだ。声に張りがない。
 「大丈夫よ。接着剤って言ったでしょ。除去剤(リムーバー)を使えば綺麗に剥がせるわ」
 もっとも、リムーバーはまだ買ってないけど……と、心の中でチロリと舌を出す。
 「トイレはどうするんだ?」
 「コックの先っちょまでは別に塞いでないわよ。まぁ、立ちションは無理でしょうけど、これからしばらく「女の子」になるんだから、別に構わないでしょ」
 「シット!」と呻きを漏らしているアレンに、追い打ちをかけるようにろ、ジーナはニコヤカにある「モノ」を差し出す。
 「さ、いつまでも下半身丸出しじゃあはしたないわよ、レディとしてね」
 それは、ピンク色のナイロンパンティだった。


#とりあえず、ここまで。こんな感じで「現在」と「過去」の二部構成で当分進んでいく予定。
#ちなみに、アメリカの学校は、クラス単位で行動することは殆どないそうです(所属としてのホームルーム自体はある模様)。生徒会とか委員会とかも結構違いそう。
348名無しさん@ピンキー:2011/02/18(金) 02:22:40 ID:7zePIWPu
>>347
ゾクゾクしてきた!!!
349名無しさん@ピンキー:2011/02/19(土) 00:58:41 ID:0ngKejxB
つC
350名無しさん@ピンキー:2011/02/19(土) 01:35:51 ID:zSdb9p9S
イイヨイイヨー
351Goddess-damn!!-4:2011/02/19(土) 23:56:53.29 ID:iR2S+jqY
#今回は(今回も?)エロパロ的に見て微妙かも。

第4話.日常

 糊の効いた白い長袖ブラウスに黄色と緑のストライプのネクタイを締め、オリーブグリーンのベストを羽織った少女が、テキパキと朝食(といってもトーストとコーヒーだけだが)の用意をしている。
 「お〜は〜よ〜」
 ベッドルームのドアからは、目をしばしばさせながら少女の姉が、ダボッとしたスウェットの上下に身を包んでフラフラとした足取りで現れた。
 「おはよう、姉さん。ほら、顔洗ってシャキッとして! 今日は私、委員会の関係で早めに家を出ないといけないんだから!」
 「はぁい……」
 腰に手を当てて叱咤する少女の小言もどこ吹く風といった風情で、イス掛けてボーッとしている姉──ニーナの様子は、花の女子大生としてはあまりに情けないものだった。
 キチンと化粧して、髪と服装を整えれば、それなり以上に見られる美人になれるのに……と、嘆息しかけて、少女──アンナは苦笑した。
 とはいっても、あまり美貌が目立ち過ぎても困るのだから。その辺のバランスは難しいトコロだ。
 ニーナの躾の賜物か、それなりに急ぎつつ女として見苦しくない程度の体裁を保ちながら、アンナは手早く朝食を食べ終わると、皿を流しに運ぶ。
 その足で洗面所に入ると、口をマウスウォッシュですすぎ、軽くルージュを引き直してから、身だしなみや髪型に不備がないか確かめる。
 「うーん、ちょっと跳ねてる?」
 髪の癖を直している暇を惜しんだアンナは、寝室にとって返すと、先日友人に付き合って入ったアクセサリーショップで買ったカチューシャで髪型を強制的に整えた。
 「よし!」
 そのまま、すでに用意してあったカバンを手に玄関に向かうと、室内履きのモカシンから外出用のショートブーツに履き替える。
 「行ってきます!」
 ライトグレーのミニスカートを翻しながら、ドアを飛び出して行くアンナ。彼女にしては、珍しく丈の短いスカートを履いているが、スラリと伸びた足は薄手の黒タイツに包まれているので、万一めくれても安心だろう。
 もっとも、ソレ(黒脚)はソレで需要がありそうだが……。
 モキュモキュとトーストを頬張りつつ「ひっえらっさ〜い」と見送るニーナは、妹の姿が見えなくなった時点で、こちらもふと苦笑を漏らした。
 「やれやれ。なんだかんだ言って、結構女子高生ライフに馴染んでるじゃない」
 あの時は、「死か屈辱か」ってな感じの悲壮な顔してたクセに……と、つい半月ほど前のこことを思い出して、ニーナはニヤニヤと人の悪い笑みを浮かべるのだった。

 * * * 
352Goddess-damn!!-4:2011/02/19(土) 23:57:42.39 ID:iR2S+jqY
 渡された淡い桃色の下着を手に、俺は途方に暮れていた。
 いや、何もウブな童貞野郎ってワケじゃなないんだから、女物の下着を間近で目にしたことも、それを手にとったことも、ないわけじゃない。
 が、それはあくまで目の前にいる女が着ている下着を脱がせるという経験だ。断じて、自分がソレを身に着けるためじゃない。
 「ほら早く! まさかパンツの履き方までわからないワケじゃないでしょ?」
 「んなワケあるかよ!」
 笑いを堪えるようなジーナの口調にカチンときた俺は、その勢いに任せてそのナイロン製の布切れに脚を通した。
 パンティは見た目よりは伸縮性に富み、ピッタリと俺の下腹部を覆い隠してくれた。
 とは言え、さすがに普段のままなら、おそらく俺のコックやボールがその存在を主張し、はみ出しかねなかったろうから、先に俺の股間に細工をしたジーナは先見の明があったということだろう。
 チラと見下ろすと、そこには毛の無いすべすべした肌の生白い脚と、ショーツを履いたことでより一層「女」にしか見えない股間が目に入り、それが自分の下半身なのに(いや、だからこそか)俺の心に不可解な興奮をもたらした。
 「で、次は? パット入りのブラジャーか?」
 内心の動揺を押し隠しつつ、ワザと皮肉げに言ってみせたのだが、その程度ではジーナの余裕は毛程も揺るがなかった。
 「うーん、惜しい。あなた、男性としてはかなり細身だけど、それでもウエストのあたりはやっぱりくびれが足りないわ。だから、それを何とかしましょ」
 ジーナがところどころが真珠色に光る白い下着(だろう、多分)を手に近寄ってくる。
 「もしかして、コルセット、ってヤツか?」
 趣味で歴史物の小説を読む俺は、中世欧州の貴婦人や、西部開拓時代の女達が、自分の腰を細く見せるために、そういう矯正具を付けていたという知識はあった。
 「近いけど外れ。これはロングブラジャーね。コルセットとブラの機能を合わせた下着なの……ちょっと苦しいわよ?」
 ちょっとなんてモンじゃない!
 タンクトップ(と言うよりキャミソールか?)に似ていると言えなくもないそれに両腕を通し、背中部上下のホックを留められた時は、「ちょっと窮屈だな」くらいにしか思わなかったのだが、その直後、背中の紐をグイッイと思い切り引っ張られたのだ。
 「イテテッ」と言う俺の苦痛の声にも構わず(コイツ、絶対Sだ)、ジーナはさらに他の2本の紐も締め上げ、おかげで俺は腹筋で呼吸することもままならない状態におかれちまった。
 「それでいいのよ。女の子はお腹じゃなく胸で呼吸するものだから」
 やれやれ、「男が腹式呼吸、女が胸式呼吸」ってのは聞いたことがあったがむ、まさかそんなカラクリがあったとは!
 さらに、その後、腰とは対称的に余った胸のカップにパッドを3枚重ねで押し込まれ、ショーツと同色のスリップを着せられる。
 それにしても、どうして女の下着というヤツは、こんなに軽くて薄くてスベスベした手触りなんだろう。どうにも落ち着かない気分だ。
 「女の子の肌はね、デリケートなの。でも、今はあのクリームでアナタの肌もちょっと敏感になってるから、ちょうどいいはずよ」
 やれやれ。ご配慮、ありがたく戴きます、だ。
353Goddess-damn!!-4:2011/02/19(土) 23:58:10.07 ID:iR2S+jqY
 下着の次に渡されたのは、白い無地のカッターシャツ……いや、布地からするとブラウスか。ボタンが逆なので少しはめづらかったが、それくらいは何とかなる。
 そして、ボトムは当然ながらスカートだった。ここまで徹底したのだから、スラックスの類いを履かせてくれるとは思わなかったので、俺は軽く肩をすくめると、おとなしくそれに脚を通した。
 「ああ、違う違う! そのスカートのジッパーは左横にくるの」
 ……まぁ、スカートなんて履いたことがないんだから仕方なかろう。
 言われたとおり女装を終えた俺は、どれだけ滑稽か……あるいは、かろうじて女に見えないでもないのか、確かめるべく、鏡を覗き込もうとしたのだか、ジーナに止められた。
 「まぁ、待ちなさい。今のあなたは、料理にたとえると、ようやく下ごしらえが済んだだんかいよ。これから、キチンと仕上げてあげるから、おねーさんに任せなさい」
 誰がおねーさんだ!? と思わないでもなかったが、確かに20歳になったばかりの俺より、ジーナは2歳程年上のはずだ。
 毒を食らわば皿まで……という気分で俺は、ジーナがなぜか楽しげに、俺にウィッグをかぶせて化粧を施すのを手持ち無沙汰なまま、見守るのだった。

 * * * 

 なんて逸材! と、ジーナは心中の興奮を隠しきれなかった。
 元々、母親が日系ハーフだと言うアレンは、純粋な白人男性に比べると小柄で華奢な体格をしていたし、体毛も薄い。
 さらに顔立ちも、その鋭い目付きさえなければ映画スターが務まりそうな甘いマスクの持ち主なのだ。本人もそれを自覚していたからこそ、わざと眼力を強め、加えて顔にタトゥーを入れていたのだろう。
 だから、それらの要素をなくせば、女に見せかけることは十分可能だと、ジーナも踏んでいたのだが……。
 本人の髪と同じブルネットのウィッグをつけ、顔に下地をつくり、ファンデーションを塗るだけで、「男」らしい要素はほとんど消えてしまった。
 さらに、シャドーやチーク、マスカラなどの色を乗せていくことで見違えるほど「女らしさ」が加わる。
 最後に未成年の女の子に相応しい明るい色のルージュを唇を彩れば完成だ。
 「う、嘘だろ……」
 ようやく鏡を見せてやった本人が、茫然としているのも無理はない。
 そこにいるのはどこから見てもハイティーンの少女、それも学校のミスコンに出れば十分勝機がありそうな美少女にほかならなかったからだ。
354Goddess-damn!!-4:2011/02/20(日) 00:00:42.17 ID:iR2S+jqY
#と、こんなトコロです。
#個人的な事情で今後しばらくテキストを書く時間と心の余裕がなくなります。このまま放置するのもナニですので、今後どんな話になるのかを、以下にダイジェストで示唆しておきます。

第5話.再会
 「優等生な女子高生」という仮面をかぶったアンナ(アレン)は、図書委員としての仕事の途中で、「ボクシング部のエース」と呼ばれている同級生の少年と出会う。それは、ほかならぬ盟友・レイヴンの偽りの姿だった。彼もまた、この学園に生徒として潜伏していたのだ。
 過去の回想では、ニーナ(ジーナ)に女の子修行をさせられる「アンナ」を描写。

第6話.策謀
 互いの変装に羞恥を押し殺して情報交換するホーク(レイヴン)とアンナ(アレン)。放課後など行動を共にする機会が増えたたため、「ふたりはつきあっている」と言う噂が。
 慌てるアンナと対照的に落ち着いたホークは「ああ、その通りだよ」と肯定し、ふたりは「公認カップル」という扱いに(無論、不自然に見せないための偽装)。
 過去話では、ニーナ・アンナ姉妹が、アパートの御近所の人気者になっていく過程を。

 7話以降では、ホークとアンナがハイスクールライフを(当初は抵抗があったものの徐々に)謳歌する傍ら、女子大生という身分を自称するニーナは、スラム街に潜伏しているローラや、教会の営む孤児院の手伝いをしているジェイソンと接触、反撃の計画を練る。
 最終的に5人の反攻計画は成功。新たな組織の首領(ドン)となったレイヴンの傍らにはひとりの美人秘書の姿が……てな感じになる予定。
 無論、このスレらしく、ニーナ×アンナや、ホーク×アンナなシーンも……入れるつもりです(どこまでエロく描写できるかは不安ですが)。
355名無しさん@ピンキー:2011/02/20(日) 02:14:44.77 ID:1+S+RMtR
>>354
時間がかかったとしても、待ってます!
356名無しさん@ピンキー:2011/02/21(月) 02:23:48.64 ID:2QiIFJLu
つC
待ちますとも!!
357名無しさん@ピンキー:2011/02/24(木) 11:41:16 ID:GYEZcOnj
大半のSSの如く、プレイ/デートの時や罰ゲームで一時的に女装してたり、
「ぱぴねす」の渡良瀬準や「あまあね」の今里真、「ビタスマ」の沖奈恵のごとく、
「男のコだけど、本物以上に可愛いから女子制服着てもいいよね?」
的に公然と女装(というか男の娘)ライフ楽しんでるのも無論いいけど、
「周囲からはごく普通の(かなり可愛い)女の子と思われているけど、
 実は女装した男の娘で、偶然主人公がその秘密を知ってしまう」
というシチュに萌えるのって、自分だけ?
それも、できれば「おとボク」や「花と乙女」みたいな女子高潜入話じゃなく、
ごく普通の共学で、主人公とヒロイン(?)がクラスメイトだったりすると
よりいっそう萌える!
某所の「TOMONA!」とかみたいな作品、誰か書いてくれないかなぁ。
358名無しさん@ピンキー:2011/02/24(木) 16:25:08 ID:1o98w44h
ニーナアンナレイブンってお前はテケナーかw
359名無しさん@ピンキー:2011/02/27(日) 11:52:47.86 ID:UUZeTuez
>>357
PIXIVで「憧れのセンパイ」で小説のタイトル検索
360名無しさん@ピンキー:2011/03/04(金) 23:33:59.52 ID:+2o0Uptl
保守
361名無しさん@ピンキー:2011/03/06(日) 04:44:24.12 ID:Jzt9icEt
おまいたちが何を言っているのか分からないオレは初心者過ぎるのか……。
362名無しさん@ピンキー:2011/03/14(月) 18:19:06.87 ID:omS2sVQs
ラノベ「魔王学校に〜」の主人公ヒロと、ヒロイン付きのメイドの黄泉原冥土(♂)を絡ませるSSを書けないものかと試行錯誤中。
すでに公式の2巻でキワドいトコまでやられとしまった気もするが……。
363名無しさん@ピンキー:2011/03/19(土) 22:11:14.45 ID:1eiwYSPM
>>359
途中からマンネリになってるなあ
364名無しさん@ピンキー:2011/03/20(日) 11:34:21.09 ID:3oHgFV8c
女装系は慣れるまでが華
最後まで楽しめる作品って少ない気がする
365名無しさん@ピンキー:2011/03/22(火) 13:27:23.05 ID:OMPxwUfY
無粋を承知であえて言おう。
「七姫士舞闘祭」の人の続き、来ないかなぁ……。
366名無しさん@ピンキー:2011/03/25(金) 10:25:33.03 ID:7Y0DNRW0
ココって、
「基本的には「女装」のはずなんだけど、ソレを続けているうちに徐々に
 体毛が薄くなり……肌が白くなり……体格が華奢になり……
 ついには胸まで膨らんできてしまう」
ような、SFというかホラーというか不思議系の入った話もアリなのかな?
最終回が主人公(ヒロイン?)の結婚式で、周囲も本人も公認で「女」として認めている(そして実際に身体も女になっているような気配あり)なの結末で。
367名無しさん@ピンキー:2011/03/25(金) 11:03:10.59 ID:LnG10oLu
そういうのは

不気味なモノに寄生されて虜になる娘!!Part15
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1276082367/
【女体化】TS系小説総合スレ【男体化】7話目
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1280806286/

の方が喜ばれると思う
368名無しさん@ピンキー:2011/03/26(土) 04:12:01.51 ID:3XxoABwR
※コチラに載せるか、立場交換スレに載せるか迷った作品。SSと言うより、ドキュメント告白風ネタ……に毛が生えたモノです。微妙にサイコ?
※筆者は特定の国に偏見を抱いているワケではありません。あくまで都合よくデフォルメされたフィクションとして受け止めてください。
※せっかくちょっと暇できたのに、「Goddess-damn!!」の続きほっぽり出して何やってんだか。


『Common Sense?』

 皆さんはご存じでしょうか? 世の中の常識という代物は、強固なように見えて案外脆いものです。
 そのよい例が、国の違い。日本から一歩踏み出してみれば、自分がそれまで信じて疑わなかった「常識」や「普通」とは180度異なる事象に遭遇することも珍しくありません。
 大学時代の私もそうでした。
 小学4年の頃に生みの母が亡くなり、その2年後に父親が今の母親と結婚した……という経歴は持つものの、私自身は、自分のことをごく普通の家庭に生まれ育った平均的な男子学生だと信じていました。
 継母との折り合いも悪くはありませんし、6年前に生まれた妹も私に懐いていました。
 不満が何一つないと言うのは言い過ぎでしょうが、自分がそれなりに恵まれた立場であることは理解していました。強いて言うなら平凡で平穏過ぎて波風が立たないことが不満……と、それが贅沢な悩みであることも理解はしていたのです。
 それでも、2回生の5月に、大学が募集していた「半年間の米国短期留学」に、ちょっとした好奇心と冒険心から応募し、私は見事に受かりました。
 出発は7月の終わりで、8月から2月末までの7ヵ月間、つまり夏休みを除く9〜2月の秋学期&冬学期(日本と異なり、あちらは年度開始月が春とは限りません)を、留学生として過ごすことになります。
 その直前の8月のひと月間は、向こうの風土や習慣に慣れるための準備期間、というところでしょうか。
 高校時代はECC(英会話倶楽部)に所属していましたし、現在在籍している文学部でも、米国児童文学を専攻するつもりなので、英語には多少自信がありましたから、語学力については問題ありません。
 どちらかと言うとインドア派で、ろくにひとり旅をしたこともない私のことを両親は心配しましたが、私からすれば、そんな自分を変えるキッカケにでもなれば……と言う思いもあったので、この時は頑として譲らず、留学を認めてもらいました。
 ──ええ、そうですね。あとから考えると、確かに大きく変わりましたとも。
369『Common Sense?』:2011/03/26(土) 04:13:13.71 ID:3XxoABwR
 さて、羽田から飛行機を乗り継いで、無事にカンザスシティ国際空港に降り立ったものの、何かの都合で迎えの人──ホームステイ先の親御さんが遅れているらしく、私は少し手持ち無沙汰な時間が出来てしまいました。
 幸い先方に電話は通じ、あと30分程で空港に着くとのことなので、私は少し空港内にあるショッピングモールを見て回ることにしました。
 今にして思えば、始めてのアメリカ、しかも童話の中でもお気に入りな「オズの魔法使い」の主人公ドロシーの故郷に来たということで、私はかなり浮かれていたのでしょう。ちょっとスーツケースから目を離した隙に、置き引きにスーツケースを盗まれてしまったのです。
 幸い、パスポートや財布、留学先の許可証などの貴重品は、肩にかけていたボストンバッグに入れていたので無事でしたが、衣類や日用品の大半はあちらに入っています。
 オロオロしながらも、そろそろ待ち合わせの時間になっていたため、仕方なく私は空港のロビーに戻りました。
 「ボーイ、そりゃあ、災難やったなぁ」
 車で迎えに来てくれたチャールズ・リデル氏は、いかにも「田舎のナイスガイ」と言った感じの、気のいい中年男性で、盗難事件を気の毒がってくれましたが、同時に、おそらくスーツケースのは取り戻せないだろうとも言われました。
 「ま、心配せんでエエ。服とかはウチにも同い歳くらいの子がいるさかい、あの子らが貸してくれるやろ」
 バンバンと私の肩を叩きながら、陽気に笑い飛ばすと、リデル氏は車に乗るよう促しました。
 着いた早々の自分の失態に落ち込んでいた私も、道すがら、氏の陽気な語り口と下手なジョークに励まされて、次第に元気を取り戻していきました。
 1時間あまり車を飛ばして着いたリデル氏の家は、日本人的な感覚を差し引いて周囲と比べても、かなり大きな屋敷でした。聞けば郊外にいくつもの農園を持っている大地主なのだとか。日本で言えば、経済的には間違いなくセレブです。
 けれど、リデル家の人々は、私に気遅れを感じさせない、陽気で気さくでとても優しい人々でした。
 「よう来はりましたなぁ。この家を自分の家やと思て、ゆっくりくつろいでおくれやす」
 リデル氏の奥さんであるフランシスさんは、ふくよかな体型ながら、若い頃はさぞかし美人だったのだろうと思わせる40歳前後の女性で、「古き良きアメリカのお母さん」といった印象を受けました。
 「は、初めまして。有栖川蘭童(ありすがわ・らんどう)です。これからしばらくお世話をおかけしますが、よろしくお願い致します」
 最初こそ少しつっかえたものの、何とか無事に自己紹介できました。
 「ヘロゥ! 俺はジェイムズ。ジェイムズ・R・リデル。この秋から大学に通うことになっとる、この家の長男だ」
 息子さんは一学年下でしたか。とてもそうは見えない、堂々とした大人の男性です。ご両親と違って、訛りのないきれいな米語で話しかけてきます。
 「えーっと、アリスグゥ……」
 「有栖川──「ありすがわ・らんどう」、こちら式に言えば「ランドウ・アリスガワ」です。言いにくいなら、略してもらっても、名前でも結構ですよ」
 どうやら、私の苗字は英語圏の人には発音しづらいようです。
 「フーム。それじゃあ……」
 何か思いついたのか、ジェイムズはニヤッと悪戯っ子のような笑みを浮かべます。
 「アリス、でいいかな? その方が言いやすいし」
 !? さすがにソレは……。
 「あら、いいじゃない。その方が似合うと思うわ、貴方、可愛いもの」
 身も蓋もない発言をしてきたのは、ジェイムズの妹とおぼしき金髪の娘さんでした。
370『Common Sense?』:2011/03/26(土) 04:14:09.39 ID:3XxoABwR
 「ハ〜イ! わたしはマリス。マリス・リデル、16歳よ。この家の長女なの」
 マリスは、9月からハイスクールの1年生になるらしいのですが、外見も態度も、とても大人びた少女でした。あとで聞いたところ、運動能力も成績も非常に優秀な、夫妻自慢の娘なのだそうです。
 「よろしくね、アリス・ガーランド」
 「いえ、だから……」
 まるっきり女の子風な呼び方に、抗議しようとしたものの、ジェイムズもリデル夫妻も、
ひとり娘/妹に大甘らしく、「おお、ナイス、ネーミング!」だとか「ユニーク!」だとか感心して、すっかり受け入れています。
 仕方ありません。初対面時から目くじら立てて、あまり悪い印象を持たれるのもはばかられます。コチラの人は、慣れたらファーストネームの「ランドウ」で呼ぶようになるでしょうから、しばらくの辛抱です。
 その時は、そう思って黙っていたのですが、実はこれが大きな間違い。米国では「嫌なものはイヤ」、間違っているならその間違いを即座に指摘するべきだったのです。
 おかげで、その日の内に屋敷の使用人や近所の人にまで、私の名前は「アリス・ガーランド」だと認識されてしまいました。
 コレが、私がアメリカで最初に学んだ日本との常識・慣習の違いからくる教訓でした。

 とは言え、いささかノリが良すぎる傾向はありますが、リデル家の人々はとてもよい人達で、私の為にホームパーティ形式の歓迎会まで開いてくれました。
 肩肘張らないその席で、私はリデル家の知人や近所の人々はもちろん、ジェイズやマリスの友達とも知己を得ることができたのです(無論、その席でも、私のフルネームは「アリス・ガーランド」だと誤解されてしまいましたが)。
 パーティーがお開きになった後、時差や飛行機乗り継ぎの影響で思った以上に疲れていた私は、リデル家に人々に感謝をしつつ「おやすみ」を言って、用意された私用の部屋のベッドで眠りにつきました。

 こうして、私の米国生活は、些細なつまづきこそあれ、ほぼ順調にスタートを切ったかに思われたのですが……。
 すぐに私は、もうひとつの「常識の壁」に直面することになりました。
 身長170センチ、体重55キロの私は、日本にいた頃は、決して大柄とも逞しいとも言えないものの、ごく普通の体格の成人男性だと思っていましたし、周囲の認識も同様でしょう。
 しかし──ここ、米国に於いて私は、明らかに男としては「小さい」のです!
 農場主であり、自ら農作業にも従事しているリデル夫妻や、地元ベースボールチームのスラッガーであるジェイムズはもちろん、4学年下のはずのマリスでさえ、私より3、4センチ高く、ヒールのある靴を履けば、それこそ10センチ以上差が付きます。
 マッチョな男が偏重される傾向のある米国社会に於いては、心身ともに貧弱で未成熟な私なんて到底「立派な男」として認められるわけがありませんでした。

 また、日本人である私にとっては胸毛や腹毛の類いと無縁なのは当り前で、体毛や髭もそれほど濃い方ではありませんでしたが、白人男性であるジェイムズ達にはそれが信じられないようで、何度も「脱毛処理をしたのではないか」と尋ねられました。
 肌の肌理(きめ)に至っては、リデル夫人の若い頃を彷彿とさせる美少女──と言うより「美人」なマリスにさえ、お手入れの方法を聞かれる程。もっとも、このヘンは東洋人と白人の違いだと思ってあきらめてもらうしかないのですが……。

 そして……私が到着早々に着替えを盗まれたという話を覚えてらっしゃるでしょうか?
 確かに、リデル氏のお子さんは快く服を貸してくださいました。
 しかし、私とジェイムズには上背で15センチ、体重にして20キロ以上の差があり、服の貸し借りなんてとうてい不可能です。
 では、誰の服か……と言えば、もうおわかりでしょう。マリスの、それも昨年のジュニアハイ、つまり中学生の頃に着ていた服が今の私にちょうどピッタリなのです。
371『Common Sense?』:2011/03/26(土) 04:14:42.44 ID:3XxoABwR
 それでも、最初の頃はTシャツとジーンズやショートパンツといった、男が着てもさしておかしくない物を貸してくれていたのですが、1週間も経たないうちに、ボトムがホットパンツやスパッツに、上着がチュニックやブラウスに変わりました。
 そのせいか、周囲の私に対する扱いも、大学生の青年ではなくミドルティーンの少女に対するようなものになっていました
 私も、「何かが変だ」と思いつつ、「でもここは米国なんだから、ちょっとくらい習慣が違うのも仕方ない」と思い、ソレに慣れるように努めました。

 ──いえ、正直に言いましょう。私も事実に気づいてはいたのです。
 けれど、そんな風に「本来の自分とは全く違う立場」として扱われ、それに応えることに、私は密かな快感を見出し始めていました。
 日本にいた頃は、「いい年した男」として、あるいは「お兄ちゃん」として、常に「しっかりとした」「おとな」でいなければいけませんでした。
 ですが、本来の私を誰も知らない此処なら、私は「ミドルティーンの少女」として、あるいはジェイムズやマリスの「妹分」として、我ままを言ったり、甘えたりすることもできるのです!(同時に、主にマリスも、初めて出来た「妹」を構うことを楽しんでいたようです)

 そして……リデル家にステイするようになって10日目の朝、マリスから差し出された、ジョーゼットの半袖ワンピースと女物の下着を、私はほとんど躊躇うことなく受け取り、身に着けていました。
 リベラルと言うかユニークと言うか、リデル夫妻も、私がそんな風に変貌していくことに、別段口を挟みませんでした。
 あるいは、溺愛する娘の悪戯に、お人好しな私がつきあっているのだと解釈してたのかもしれません。
 とはいえ、リデル氏などはむしろ家の中に「娘」が増えて心なしか嬉しそうでしたし、夫人も、マリスほどではないものの色々私の世話を焼いてくれてたのですから、消極的に賛成していたと言ってもよいでしょう。

 そう言えば、私が寝泊まりしている四畳半程の部屋は、本来はマリスが少女時代に使っていた部屋だそうです。兄のジェイムズが本宅を出て敷地内に立ったロフトを改装して自室にしたのに伴い、マリスは兄が使っていた広い部屋に移ったのだとか。
 この部屋の広さもまた、私と「兄」と「姉」のヒエラルキーを表しているようで、倒錯的な喜びを私は覚えていました。

 「姉」の勧めに従って、私は髪と眉を金色に染め、目に蒼いコンタクトを入れるようになりました。少しでも姉達に近い姿になって、リデル家の「末娘」として他の人にも認めて欲しかったからです。
 言葉づかいや仕草も、「姉」を手本に真似るようになりました。
 この頃には、私は自分から進んで「アリス・ガーランド」と名乗り、他人にリデル家の関係を聞かれた時も「遠縁の親戚で、マリスの妹みたいなもの」と答えるようになっていました。

 結局、夏休みのあいだ、私は、もっぱら「姉」──マリスの属するコミュニティーと行動を共にすることが多く、そこでは「マリスの妹」として認知されるようになっていました。
372『Common Sense?』:2011/03/26(土) 04:15:17.31 ID:3XxoABwR
 そして、新年度が始まる9月1日。
 さすがに、大学へは男装(当時の私の感覚からすると、まさにそんな感じでした)して行くつもりだったのですが、「姉」が差し出したのは真新しい女物のブレザーとスカートでした。
 それもいいかと言う気になって流された私は、アイビー風のそれを身に着け、「姉」とともに「家」を出ました。
 私が通う予定の大学と、「姉」の入学するハイスクールは、ちょうど同じ方向にあったからです。

 けれど。大学とハイスクールの分かれ道まで来た時、「姉」はとんでもない提案をしてきました。
 私が「マリス・リデル」としてハイスクールに行き、「姉」が大学の講義に出てみてはどうか、と言うのです!
 確かに、今日の姉は、長かった髪を切りダンガリーシャツにジーンズと言う中性的な格好をしているので、一見したところでは性別はわからないでしょう。。
 とは言え、さすがにコレには私もふたつと返事で頷くことはできませんでしたが、「地元の同級生はいないから大丈夫」などと、のらりくらりと押し切られてしまいました。

 物の本やテレビドラマを見ての通りいっぺんな知識はありましたが、やはり実際に初めて体験するハイスクール生活は、刺激的でとても愉快な一日でした。
 私は、初日から夢中になり………「姉」の「じゃあ、これからも、あっちの学校のことは任せたわよ?」という勝ち誇ったような声にも、コクンと従順に頷いていました。

 それからと言うもの、私は「マリス・リデル」としての高校生活を思う存分楽しみ始めました。
 同級生の中には、私の身体的性別に気づいた子もいましたが、普段の振る舞いからして「GID」だと思ったのか、取り立てて騒がれることもなく、私はスクールガールライフを満喫していました。
 スクールガールの花形、チアリーダークラブにも入り、苦しい練習を経て、何とかレギュラーにも選ばれました。
 こう言ってはなんですが、結構男の子にもモテたと思います。

 けれど。
 それは、周囲を嬉々として欺いたことへの罰だったのでしょうか。
 放課後、チア部の練習を終えて、家に帰ろうとしていたさなかの私の携帯電話に、「リデル家にステイ中の大学生が、交通事故で亡くなった」という信じられない知らせが入ったのです。
 無論、その学生とは私の立場になり済ましている「姉」──本物のマリスに違いありません。
 けれど、後ろからのクルマの追突で崖から湖に落ちたという車の中から、助手席に載っていたはずの人物の遺体は、発見されませんでした。
 もっとも、大学の友人からの証言で、事故者に乗っていた(そしてで死んだ)のは、確かに「日本からの留学生、アリスガワ・ランドウ」だと確認され、ステイ元にも、日本にいる家族にも、そう伝えられました。
373『Common Sense?』:2011/03/26(土) 04:15:41.07 ID:3XxoABwR
 その後、当の私が家に帰ったことで、私達がこれまで学校側に行っていた不誠実な入れ替わりは、少なくとも「父母」──リデル夫妻の目には明らかになったはずです。
 嗚呼、それなのに父も母も、私に向かってこう言うのです!
 「お帰り、マリス。今、警察から、アリスに関する残念な知らせが入ったよ」

 いくら目と髪の色彩を同じにしたからと言って、私は「姉」と顔立ちまで似ているわけではありません。
 おそらく、愛娘が死んだことを認めたくない気持ちが、私に「マリス」の姿を投影させているのでしょう。
 ここが最後のチャンスだったのでしょう。
 この時、否定していれば……別の未来が開けたのかもしれません。

 けれども、私は溺愛する娘を亡くして落ち込む「両親」」を、これ以上悲しませたくありませんでした。「兄」は何も言いませんでしたが、私の行動を黙って見守っていてくれました。
 だから……それから、私は家の中でも「マリス」として振る舞い、話し、「家族」に笑いかけるようになったのです。

 ──ええ、それ以来ずっと。
 ハイスクールを出て、大学に通うにようになり、今年の秋の卒業を控えた現在も、私は「マリス・リデル」として生きています。
 最初は贖罪──罪悪感から来る、せめてもの罪滅ぼしのつもりでした。
 ですが……今は違います。
 事故当時の混乱した心境ならともかく、現在は父も母もそろそろ娘の死を受け止めいるはずです。
 その上で何も言わないというのは……恐らく私を許してくれているのでしょう。

 そして、それを踏まえたうえで、私は敢えて「マリス・リデル」であることを望むのです。
 どんな経歴であっても「マリス」は、死んだ「姉」と失われた「アリス」に代わって、幸せになると決めたのですから。
374『Common Sense?』:2011/03/26(土) 04:15:56.98 ID:3XxoABwR
 今日は私の結婚式。ハイスクール時代の知人で、大学に入ってからつきあうようになったルイスと式を挙げました。
 これで、「娘のウェディングドレス姿を見せる」と言う親孝行をひとつ達成できたでしょうか。
 彼──ルイスには、婚約する際に私の事情──本来の肉体的な性別や元の名前、素性について、すべて話してあります。
 実は、ハイスクール時代に密かに通院してホルモン投与をしたおかげか、今の私の胸は手術もしてないのにDカップあり、体型も成熟した女性らしくなっています。
 そのため、長年つきあってきた(ただし肉体関係は持っていなかった)彼も、なまじ浜辺のビキニ姿などを見ているため、私が元は女ではないなんて、夢にも思っていなかったようです。
 けれど、彼は「それでも君を愛している」と断言し、言葉のみならず行動でもそれを証明してくれました。
 本当は、結婚するまで純潔はとっておこうかと考えていたのですけど……。彼の手で「愛される」のは素敵な体験だったとだけ、ノロケさせてもらいましょうか。

 ハネムーンから帰ったら、彼は父の経営する農園の関連会社で働き、私は実家の隣りに立てられた新居で「妻」として彼の帰り待ちつつ、できる限り頻繁に「娘」として里帰りをするつもりです。
 いえ、義務感からではありませんよ。
 だって、私は──マリス・リデル改め、マリス・ドジソンは、家族のことが大好きなのですから!

-FIN-
──────────────────
#うん、見事なまでに支離滅裂ですね。まぁ、枯れ木も山のにぎわいということで。
375名無しさん@ピンキー:2011/03/26(土) 12:31:23.90 ID:hDyB/dDd
>>374
枯れ木も山のにぎわいだなんて、謙遜しすぎ!
素晴らしいもの、読ませていただきましたですよ

あちらでも、続き待っております
376名無しさん@ピンキー:2011/03/28(月) 01:17:59.11 ID:ZKAAw57I
GJ!
377名無しさん@ピンキー:2011/03/28(月) 09:34:07.98 ID:HjuJN36v
女の子しかいない家に引き取られた孤児が服に困るケースがそろそろ出ないものか。
378名無しさん@ピンキー:2011/03/28(月) 20:25:54.58 ID:TFJHoeNp
>377
自分は、ソレと上の「CommonSense」のシチュを合成したような、
「今年で中学卒業なのに、孤児院で養い親の現れなかった主人公だが、偶然、町で困っていた初老の男性を助けたところ、彼はかなりの資産家で、後日主人公の養父に名乗りをあげる。
 優しそうな養父に引き取られて、幸せな日々が始まるかと思った主人公だが、屋敷で与えられたのは、どう見ても女の子の部屋。タンスに入っている服も、すべてローティーンの女の子のもの。
 じつは、養父は数年前に妻と娘を亡くしており、主人公はその娘に瓜二つだったのだ!
 柔和な笑顔の裏に密かな狂気を秘めた養父は、主人公を娘の名前で呼び、愛娘になりきることを要求する」
……なんて話があれば、すごくツボだなぁ。
 その一点(主人公を娘として見ていること)を除くと、養父はとてもいい人で、主人公は葛藤しつつも、娘を失った彼の気持ちに同情して、娘のフリをするようになる……とか、萌えない?
379名無しさん@ピンキー:2011/03/30(水) 11:49:54.15 ID:IJBPSEDz
>>377
孤児とか不謹慎だろ
380名無しさん@ピンキー:2011/03/30(水) 12:25:57.24 ID:HUomgrry
とは言え、今は何して何書いても「不謹慎」になりかねないからなぁ。
そもそもエロス追求すること自体、暮らしに困ってる人から見たら
「不謹慎」になりかねないし。
逆に言うと、じゃあ、どれだけ経ったらそういう「不謹慎」とされる
ネタ書いてもいいのか? という話にもなる。
さすがに「地震」「津波」「原発」「被爆」はアウトにしても、あまり
めくじら立てないほうがいい気も。
381名無しさん@ピンキー:2011/04/03(日) 17:39:02.31 ID:+UpxA+e4
不謹慎て言葉を過剰に使いたがる奴は単に自己陶酔に浸りたいだけだから
スルーしたらいいと思う。

上にも出てるように、地震や津波の話をネタにするのは流石に今しない方がいい気がするがね
382名無しさん@ピンキー:2011/04/04(月) 10:33:09.58 ID:W8oVR5Om
 ファンタジー世界が舞台で、失踪した姫君を代役を、3歳年下の末弟の王子が女装させられるのとかどうかな? 某ゼロの使い魔のフェイスチェンジの魔法みたく、顔だけ変装させる魔法が存在するので、それを利用して。
 それなら代役は誰でも良さそうに思うかもしれないけど、一国の姫君が行方不明だなんて簡単に外部に漏らすわけにはいかず、また王族としての知識や立ち居振る舞いを身に着けていなければならないから、って理由で。
 ちなみに、その国は長子相続が原則で、姫は第一子として国を継ぐ立場にあった(そしてそれに値する器だった)ため、いなくなるのは大問題なので、懸命に捜索中とか。
 末の王子だった頃は、「軟弱で覇気のないミソッカス」的扱いだったのに、姉の代役を務めるようになってからは、真相を知らない周囲がちやほやしてくれるので毎日が楽しく、「姉様が見つからなければいのに」と密かに願ったり。
383名無しさん@ピンキー:2011/04/04(月) 13:22:59.32 ID:nG2UXTGV
384名無しさん@ピンキー:2011/04/04(月) 13:23:47.16 ID:nG2UXTGV
みすった

>>359
今更だけど
pixivじゃなくて、ノクターンにあったぞ
385名無しさん@ピンキー:2011/04/05(火) 01:01:49.45 ID:LTmE3IZc
>>382
早速執筆活動に戻るんだ
386名無しさん@ピンキー:2011/04/06(水) 15:32:26.15 ID:LsnH5jdH
 ──「有栖川蘭童」の死から7年後。
 20歳の青年へと成長した有栖川睦月が、兄の死の真相を知るべく、冬休みを利用してカンザス州へと降り立つ。
 しかし、知り合いも土地勘もなく、かつての兄のステイ先からは歓迎されない状況、おまけに7年も前の話となれば、調査がはかどるはずもない。
 さらに、強盗に遭って有り金残らず奪われた睦月は、今晩雨露をしのぐための場所すら、アテがなかった。
 夜風に震える日本人青年を拾ってくれたのは、金髪の若き人妻、ミセス・ドジソンだった。
 ふとした弾みで、ミセス・ドジソン──マリスが、兄の滞在していたリデル家の娘だと知った睦月は、兄の死についての手掛かりを求めるのだが……。

 ……という電波が、どこからか飛んできた。疲れてるのかなぁ。
387名無しさん@ピンキー:2011/04/07(木) 03:25:28.68 ID:yMXNPlt7
>>386
もっと電波受信の感度を上げよう
388名無しさん@ピンキー:2011/04/10(日) 10:55:20.56 ID:+4A6ZalS
今更ながら偽装彼女読んだが最高だわー
っつーか神作者を追い出した糞野郎をぶちころしてやりたい
女装×女が読みタケりゃエロゲやってろっつーんだよ!!
散々エロゲで出てんだろーが、そんなのつまんねーんだよ、ただの男×女の美少女ゲームだろーが
女装×男だからおもしろいんだろーが、女以上に可愛くて美人な男の娘とか創作の醍醐味だろ
あーあー、偽装彼女の作者さん復帰してくれないかー
ゆかちゃんとしんちゃんの本番読みたいよー
389名無しさん@ピンキー:2011/04/10(日) 21:07:19.07 ID:f+ejZKVp
>>388

確かに「擬装彼女」が神作であることには同意するが、それ以外はどうでもよい、
むしろ邪魔! という態度はどうかと思うぞな、もし。
ただでさえ少ない書き手が、余計によりつかなくなるし。
玉石混交とはよく言うが、拙い、妄想だけが突っ走ったような作品に混じって、
時々名作が生まれる。それが2ちゃんのいいトコじゃないか。
390名無しさん@ピンキー:2011/04/11(月) 00:20:00.70 ID:PL/FCRRn
>>388
お前みたいのがいるからじゃないの
391名無しさん@ピンキー:2011/04/11(月) 03:51:23.74 ID:U2b8uuw5
偽装彼女って、どこで読めますか?
392名無しさん@ピンキー:2011/04/12(火) 01:41:14.09 ID:GKX0Gauw
>>391
過去スレ
393名無しさん@ピンキー:2011/04/17(日) 11:52:54.95 ID:yJK+dmlG
ちとSS書ける環境が整ってないので設定だけ投下
いいシチュ思いついたとか意見もらえると反映するかも

姉(?)三人と弟もの

長女
のほほん系お姉ちゃん。
呑気そうな雰囲気とは裏腹に行動力が馬鹿みたいに高く
「弟がまっすぐ成長するにはお母さんがいないと」と不在の両親のかわりにお母さん役を買って出たまではいいが、
家をふらりと出ると数日後無乳→爆乳になって帰宅。下はいじってない。
弟のためになると思ったことは他の二人を巻き込んでなんでも実行する。

次女
男勝り(?)なポニテお姉ちゃん。
一人称オレでそこらの男よりも男らしい行動をしているのにボーイッシュな女の子にしか見えない変種。
弟に可愛いと言われるのが何よりもの幸せ。
羞恥心に乏しく、女装したまま普通に男子トイレや男子更衣室を利用するので
その道の紳士を無自覚に増やし続けている。

三女
いわゆるツンデレ系だが弟に対してはデレしかない。
三人の中で一番女の子らしいが、実は人一倍肉体的な男性要素が強く、
低めの地声や筋肉質な体格を必死にごまかしたり、体毛や体臭の処理に日夜悪戦苦闘している。
本人の意志とは無関係に女の子にも反応してしまう下半身に翻弄されまくり。
394名無しさん@ピンキー:2011/04/17(日) 16:43:31.93 ID:6gaMRWQc
いいんじゃないかな
三女が少し引っかかるけど、それはそれで
395名無しさん@ピンキー:2011/04/17(日) 23:52:32.78 ID:I9M2vMFi
良いですね、キャラ立ってますし。
それで主人公である弟はどんな感じのキャラなのかな?
396393:2011/04/18(月) 21:15:57.58 ID:+87bi7ki

基本的には常識人だが姉達とのアブノーマルな付き合いの数々に一切躊躇しない程度には異常
姉達に負けず劣らず女顔だが意外にも女装は未経験で姉達とは別ジャンルで周囲に人気
いつ三姉妹+ショタが四姉妹になるのか、というのが近所の話題の種
姉達の性器や精液に嫌悪感はなく、飲むことも出来るがお尻は処女

細かいとこは考えてないけどこんな感じで
途中で続けられなくなって尻切れトンボになるのが怖いので
エロオンリーの短編集にするつもり
閑話休題
地震の影響でNTTがまだ新居に回線引っ張ってくれてないのでPCからの投下が無理なのが現状
最悪の場合は携帯で投稿するかもだが気長に待っててくれると助かる
397名無しさん@ピンキー:2011/04/19(火) 01:18:32.64 ID:Ja6k1dME
おk、全裸で待機する
398名無しさん@ピンキー:2011/04/20(水) 00:19:09.61 ID:W5AU03dK
ハードな展開になりそうで期待
ワクテカしながら行儀良く待ってます
399初めての夜(『Goddess-damn!!』より):2011/04/22(金) 00:09:47.64 ID:1tpaufJa
#393の作品が来るまでのツナギに、ちょこっとHシーン投下。少し前にココに掲載してた「Goddess-damn!!」の最終話直前に入るであろうお話。
(いつになったら再開すんの……とか聞かないのがお約束アルヨ!)
#シチュとしては、ハイスクールのダンスパーティで踊ったアンナ(アレン)とホーク(レイヴン)、気分が盛り上がってそのまま学校を抜け出し、ホークの部屋へ……といったトコロ。

 バスルームに入るとすぐに、アンナはドレスと下着を脱いだ。
 熱いシャワーを浴びながら、改めて今の自分の身体を見下ろすアンナ。
 滑らかで、ほの白い肌。
 筋肉が落ちたせいか、少し華奢な印象のする肢体。
 コルセットやウェストニッパーのおかげか、お腹やウェストあたりはそれなりにくびれてきた感があり、その癖、ヒップは随分と丸味を帯びてきた気がする。
 胸部についても、筋肉で形作られたかつての引きしまった胸板ではなく、「乳房」と呼べるほどの大きさではないが、なだらかながら曲線を描いているのは、ブラジャーを常用しているせいだろうか?
 それについては、じつは、「彼女」の「姉」であるニーナが、彼女達が朝食べるシリアルに、ホルモン剤を粉にして混入している影響もあるのだが、アンナは気付いていない。
 ともかくも、そんな風に、パッと見はいかにも「女としてはやや未成熟なハイティーンの少女」っぽい外見を持つに至ったアンナだが、さすがに下半身の一点に関しては、そうもいかない。
 こっそりバッグから抜き取っておいたジェルのチューブをしぼり、指先にその半透明のジェルを盛る。その指で、アナルのまわりにたっぷりと塗りつけ、さらに内側にもジェルを押し込むようにした。
 その後、手を洗い、軽く化粧を直したアンナは、バッグから、先日ブティックで買ったシースルーのベビードールとショーツ、ガーターベルトとストッキングを取り出し、身に着けた。

 浴室から出て、おぼつかない足取りで、ベッドに向かう。
 ベッドに腰掛けたホークは、アンナを食い入るように見つめている。
 衣裳の虚飾を剥ぎ取った自分を、はたして彼が「女」と見てくれるか、少し心配していたアンナだが、それは杞憂に終わったようだ。それが嬉しい。
 ベッドに近づいたアンナは、彼の膝の上にまたがって座り、その唇にキスした。
 「ホーク、大好きよ」
 むしゃぶりつくように抱きついたアンナは、次の瞬間、ホークにベッドの上に押し倒されていた。
 しばしの間、ふたりはキスを繰り返しながら、互いの体をまさぐり合う。
400初めての夜:2011/04/22(金) 00:10:25.47 ID:1tpaufJa
 「ホーク、あの…あたし……」
 やがて、唇を離したアンナは、荒い息を整えながら、真剣な目でホークを見つめる。
 「ん? どうした、アンナ?」
 アンナは、今更ながらちょっと口ごもった。
 ソレを口にしてしまえば、自分は──いや、自分達は二度と引き返せない場所へと踏みだすことになる。
 周囲を欺くための「偽りの恋人」から「本物」へ。
 それでも、彼女は絆と証がほしかった。彼から愛されているという確かな確証が。
 アンナは覚悟を決めるとともに、その言葉を口にした。
 「ホーク、あたしを……犯して」
 「……いいのか?」
 すでに欲望にギラギラと燃える瞳をしながら、それでも彼女の身を気遣うホークのことが心底愛おしくて、アンナは唇を重ねた。
 「あたしが、シて欲しいの」
 「──わかった。正直、俺も限界だったからな」
 ホークは自分の着ているものを脱ぎ、アンナのネグリジェも脱がせた。
 彼の両手が、アンナの体のあらゆるところをまさぐってきた。緩やかな胸の起伏をもみしだきながらキスし、一方でストッキングの腿をなで上げる。
 ホークの手が、決定的な部分にさしかかる直前で、アンナは喘ぎながら押しとどめた。
 「まだ、もう少しだけ待って。その前に、あなたにもっと感じてもらいたいの
 それは、不完全な「女」である自分に対する不安が言わせた言葉だったが、ホークはその意を汲んでくれたようだ。
 アンナが、ホークのパンツのその部分に手を置くと、すでにホークのコックは、下着の中で、存分に自己主張していた。
 ボクサーパンツを引き下げて中のコックを解放する。
 アンナが握ったとたん、ソレは、さらに大きく、硬くなった。今の長さは9インチ近いだろうか。太さもそれに見合った、立派なモノだ。
 アンナは、こんなに大きなものを、いままで見たことがなかった。自分のが平均をやや下回る程度だとは心得ていたが、まさか2倍近いとは……。

 アンナは、ホークのコックをゆっくりとしごき始めた。より硬くなったと感じられたところで口を近づけ、亀頭にキスする。そしてその唇を太いシャフトの周囲に這わせ、太い亀首に、ルージュの痕跡を残した。
 亀頭を一周にするようにキスすると、次はやさしく口に含む。さらに、ゆっくりと首を上下させながら少しずつ口の中へと呑み込んでいった。その太さは、アンナが口をめいっぱい開かなければならないほどで、ともすれば息がつまりそうだった。
 あるいは唇を強くすぼめ、あるいは舌を使って表面を舐め回し、さらに口の奥へ奥へとコックを送り込んでいく。
 ホークのソレの先から分泌液がしみ出て来たが、躊躇いなくアンナはそれを飲み下した。先走りなんて、美味しいはずがないのに、その味に陶然となっている自分がいることを、アンナは自覚していた。
 (彼の……味だから……)
 そう考えると、さらに喉と胃が熱くなるように感じる。
401初めての夜:2011/04/22(金) 00:11:12.97 ID:1tpaufJa
 * * * 

 ホークは、自分のモノを口にふくんでいるアンナを、信じられない思いで見ていた。
 「レイヴン」でもある彼は、元のアレンのことを──だいぶ記憶がボヤけてしまっては、いたが──一応覚えている。
 かつては若手のホープとしての頂点を競い、様々な事情から盟友となった元親友(口に出したことはなかったが、レイヴンはアレンのことをそう思っていた)が、今、こんなに艶やかな「女」として、自分のコックに奉仕している……。
 嫌悪感は、まったくない。むしろ真逆だ。
 それは、クラクラするほど倒錯的で、狂おしいほどに淫靡な光景だった。ホークは、今にもイキそうになるのを必死で押しとどめなければならなかった。
 (──この女を、どうしても自分のものにしたい)
 これまで以上に強い欲求が、自分の中で身じろぎするのがわかる。
 彼女のすべてをほしいという衝動──それは、初めて学園でアンナ・ウィリアムという少女に出会った時から、心の奥底に抱き続けていた願望だ。
 それが、いま、誰はばかることなく解放されようとしていた。

 ホークは、アンナを仰向けに寝かせその両脚を持ち上げると、その間に膝立ちになった自分の体を割り込ませた。
 アンナのそこに、ホークのモノの先が当たり、さらに圧力が加わった。アンナの両脚から力が抜けたたため、ホークが肩に担ぎあげるような体勢になる。

 ホークの手がアンナのその部分を広げるように動き、アンナは自分の下半身に唯一存在する秘穴に、彼のコックがさらに強く押しつけられるのを感じた。
 アレほど大きなものが、本当に自分の中に入るのか、少し不安になった。
 その瞬間の痛さを思い、恐くもなった。
 「大丈夫か?」
 彼女の躊躇いを見透かしたように、ホークが尋ねてくる。
 それでもアンナは、しっかりと頷いた。
 どうしてもホークを悦ばせたかったのだ。同時に、彼女自身、彼のものになりたかった。
 「力を抜いてくれ、アンナ、深呼吸してリラックスするんだ」
 瞬間、鈍い痛みが走り、彼のものが、アンナの体の深くまで入ってきたのがわかった。
 体の中で感じる彼の大きさに信じられない思いがつのり、体が自然に緊張した。アンナは深く息を吸い、リラックスしようとつとめた。
402初めての夜:2011/04/22(金) 00:11:43.25 ID:1tpaufJa
 と、ホークの先端が、ソコにめり込んでくる感覚があった。
 秘穴を押し広げてくるそれを、アンナは温かいと感じた。
 体温を持った粘膜どうしが馴染みながらそこを開いていくのだ。ホークの隆々たる亀頭が自分の中に収まっていくのも感じ取ることができた。
 それでも、亀頭のいちばん太い部分が通る瞬間は、さすがに激しい痛みが体を貫き、アンナは顔を歪んだ。
 アンナの苦痛の表情に、ホークは動きを止めた。
 「もう少しの辛抱だ、アンナ」
 ホークの右手が彼女の頬を撫で、左手はネグリジェ越しにアンナの乳首をくすぐる。彼の唇が耳やうなじ、あるいは瞼などに優しく口づけていく。
 ギャング時代はもちろん、スポーツマンな高校生となってからも、ほとんど見たことがない、彼の優しい想いやりに、それだけでアンナは幸せな気分になった。
 その感情が身体を満たし、アンナのソコが緩み、彼女の痛みは急速に薄らいでいった。
 アンナは、かすかに腰を揺すって、ホークに動き始めてもいいことを伝える。

 それでもホークは、いきなりピストン運動を始めたりはせず、ゆっくりと体重をかけ、アンナの表情を確かめながら、少しずつ奥へと進んでいった。
 太いコックが、ジワジワと押し広げるように自分の中に入ってくる感覚に、むしろアンナの方が期待感に胸を震わせていた。
 やがて、ホークの睾丸がお尻にあたったことで、彼のすべてが自分の中に入ったことが、アンナにはわかった。
 アンナは、長くて太いソレの形を、自分の体内にはっきりと感じることができた。
 自分がこれほど満たされていると感じたことは、これまで一度もなかった。それは、愛する者と一体になる恍惚感と言えるのかもしれない。
 「もう大丈夫よ。動いて、貴方(ダーリン)」
 瞳を潤ませながら、アンナは自らの頬にあてられたホークの掌に自分の手を重ね、すべてを受け入れる聖母のような表情で、そう告げる。
 「お前が言うなら……始めるぞ、愛しい恋人(ハニー)」
 冗談っぽくそう言うと、ホークは、その腰を大きく抜き差しし始めた。

 彼のひと突きで、燃えるような熱さがアンナの体を貫き、思わず大きな声を上げていた。
 痛みにの似た、けれど決してソレだけではない感覚。
 次の瞬間、アンナの体内には、筆舌に尽くし難い充足感のようなものが湧き上がっていた。
403初めての夜:2011/04/22(金) 00:12:15.98 ID:1tpaufJa
 アンナの表情が蕩けるのを確認すると、ホークは、さらに動きを続け、腰を前後に振る間隔を狭めていく。
 「はぁ、はぁ、はぁ……あっ……あっ……あっ……あぁン!」
 その動きが次第に速くなるに従って、アンナの呼吸も、激しく速くなっていく。

 その速さが最大限に達したところで、ホークは声を上げた。
 「イクぞっ、アンナ!」
 「ええ、キて、ホーク! あたしの中を…あなたのもので…いっぱいにして」
 「中に出すぞ! お前の中を俺の精子で染め上げてやるッ! お前は俺の女(もの)だ!」
 「ええ…ホーク。あたしは……あなたの……女よ……あぁぁぁ……」
 「ぐぅぅぅッ! 」
 ホークは、低いうなり声を上げながら、痙攣するように腰を突き出していた。
 こんなに強力で魔的ともいえるオルガスムは、ホークにとっても初めてのことだ。
 イッてなお、ひと突きごとに背筋に快感のパルスが走り、アンナの体内深くに埋没したコックから大量の精液が彼女の中に注ぎ込まれていく。
 アンナにとってそれは、まるで体内で爆発が起こったような衝撃だった。
 「ひぃァッ! あつぅいのが……キテるぅ……あぁぁぁ」
 腹の中に熱湯を注ぎ込まれたような感覚にアンナも、訳のわからない叫びを上げていた。
 ホークは、いまだに腰を前後に振りつづけている。
 次から次へと発射された大量の精液が、アンナのお腹の奥深くにあたる感覚に合わせて、アンナのお尻も震えた。
 それは、紛れもなくアンナ自身も絶頂に達している証拠だった。
 細かいオルガスムの波が、何度も全身を駆けめぐり、ある一点に集まって、さらなる爆発を起こす。
 ついに、アンナ自身のモノの先端からもピュッが液体が迸って、ベッドの上にこぼれる。
 ソレは、明らかに精液とは異なる透明な液体だった。アンナは、射精することなく「潮」を吹いてイッたのだ。
 ふぅ、と息をついたホークが、彼女の上に倒れ込んでくる。
 筋肉質なその身体は、今の彼女には重たかったが、同時に愛しい重みだった。
 そのまま、口づけとじゃれあい、睦言を交わしながら、ふたりは眠りに落ちたのだった。

#以上。お目汚しでした〜
404名無しさん@ピンキー:2011/04/24(日) 22:36:29.76 ID:0akJRN12
GJ!
乙です。
405名無しさん@ピンキー:2011/04/24(日) 23:19:01.43 ID:j5qI3teJ
>>403

GJ!
です。
406名無しさん@ピンキー:2011/04/24(日) 23:31:24.95 ID:+dU1nbM5
GJ!
本編がここまで進むのを楽しみに待ってます
407名無しさん@ピンキー:2011/05/02(月) 02:38:54.79 ID:8A68t3eS
保守
408保守:2011/05/03(火) 18:38:05.78 ID:O05xmeoM
#保守代わりに昔書いたものを投下。

※警告! 本作は、基本は女装ですが、最後の最後に性転換します。そのあたりが嫌な人は、最初のHが終わった時点で読むのを止めてください。

『My Merry Maid 〜ボクの楽しいメイド生活〜』

 天堂翔吾(てんどう・しょうご)は男だ。
 たとえ、文化祭や体育祭のイベントで頻繁に女装させられたり、占いで「前世は美濃の国のお姫様」と言われたり、高校生にもなって未だ近所のおじさんおばさん達から「ちゃん」づけで呼ばれていようとも、彼の(少なくとも生物学的)性別は、生まれついての男だった。
 あまりリッパとは言えないものの股間にイチモツはちゃんとブラ下がっているし、恋愛観やメンタリティーも男なのだ! 
 ──まぁ、現在の彼を見て「男」と認識する人は皆無だろうが。

 「ほ、本当に、これを着てなきゃいけないの?」
 着ている「服」の裾をつまむ指先が微かに震えている。
 「ええ、そうよ。大丈夫。とってもよく似合ってるもの」
 翔吾のクラスメイトの江戸村早紀(えどむら・さき)はニッコリ笑ってそう言ったが、すぐに不安そうな表情を浮かべる。彼が断らないか心配しているようだった。
 御園坂高校のマドンナとも言うべき彼女の憂い顔には少々クラッと来たが、今の翔吾にとってはそれ以上に気になる懸念事項があった。
 「えっと……僕、お屋敷の掃除や台所の手伝いの仕事だって聞いたんだけど?」
 春休み直前の終業式の日、文化祭の実行委員を通じて多少親しくなった(もっとも恋愛的な要素はまるでなく、単なる「友達」としてだが)早紀に、「緊急に人手がいるのだけど、天堂くん、臨時でバイトしない?」と聞かれて、ふたつ返事で引き受けた。
 その時は、てっきり力仕事で男手がいるのだろうと思いこんでいたのだが……。

 「ええ、その通りよ。ダメかしら?」
 「いや、その、確かにバイトはしたいんだけど、この服は、ちょっと……」
 「私の家って、こういうトコロだから……その、しきたりとかがね。ちょっとばかし、うるさいのよ」
 なるほど、「しきたり」。よくわからないなりに、いかにも説得力のある言葉だった。
409My Merry Maid 〜ボクの楽しいメイド生活〜:2011/05/03(火) 18:38:45.89 ID:O05xmeoM
 江戸村家は、まさに「豪邸」だ。
 サッカーができそうな広い敷地に、見事な薔薇園を備えた西欧風庭園があり、3月なのに綺麗な水を湛えたプールと、芝生の見事なテニスコートまである。
 お屋敷はクラシカルな三階建ての洋館で、やや古風な佇まいではあるものの、建てられた当時は、さぞハイカラだったのだろうと思わせる立派な「お屋敷」だ。
 これだけの家に住む江戸村家も無論一般庶民であるはずがなく、戦前は爵位持ちで、現在も複数の会社の経営に名を連ねている……らしい。
 そういう家の「しきたり」というヤツは、おそらく一庶民には計り知れないものがあるのだろう──たとえば、下働きのアルバイトに来た少年に、メイド服を着せるとか。

 (……って、んなわけあるかーーーーーーッ!!)
 心の中で全力でツッコミを入れる翔吾。
 「天堂くん、去年の体育祭の借り物仮装で女装したでしょ? すごく似合ってて可愛いかったわ。だから、その服も似合うと思ったの」
 翔吾は、あえて言い返さず(返せず?)に、沈黙を守る。
 体育祭の日、「借り物仮装」──借り物競走で借りて来た品で仮装してゴールするというイロモノ競技に出た彼は、引いた紙に「体操服&紺ブルマー」と書かれており、嫌々ながらその格好で駆け抜け、見事(?)に一等賞をとったのだ。
 ちなみに余談だが、その時撮られた「見返りブルマー少女?」の写真は、裏で数多の需要があり、御園坂高写真部の貴重な財源となったと言う。

 「でも、天堂くんがそんなにイヤなら、仕方ないわ。あきらめるね」
 フッと早紀は肩を落とし、寂しそうな笑顔を浮かべている。まるで、雨に濡れた子猫のような表情が、翔吾の罪悪感をチクチク刺激する。
 (うっ……これじゃあ、まるで僕がいじめているみたいじゃないか。泣きたいのは、むしろコッチの方だって!
 でもどうする? 断るのか?)
 しかし、春休みの2週間足らずで15万円、しかもその間の衣食住保証付きと言うのは、ひとり暮らしの高校生にとって、絶大な魅力だ。
 (ええぃっ、ままよ! どの道、これまでだって、周囲の奴らに女装ぐらい何度もさせられてきたじゃないか。女装して金になるんなら、むしろ御の字だろ?)
 女顔に生まれついた17歳の少年の、哀しい開き直りであった。

 「……わかった、やるよ」
 「そう、よかった! ありがとう!」
 途端に早紀は、パッと花が綻ぶような笑顔を見せる。
 (アレ? 泣きそうになってたんじゃあ……)
 嘘泣きだったのだと理解しつつ、翔吾は今更「NO」とは言えず、どうしてこんなコトになったのか、先程までの経緯を思い出していた。

 * * * 
410My Merry Maid 〜ボクの楽しいメイド生活〜:2011/05/03(火) 18:39:14.61 ID:O05xmeoM
<翔吾の回想>

 クラスメイトの頼みで、彼女の家にバイトに来たんだけど……で、でっか〜い!
 今まで街の北側にはあんまり来たことなかったから知らなかったけど、この街にも、こんな御屋敷があったんだなぁ。
 インターホンに、クラスメイト──江戸村早紀さんの紹介で来たと告げると、すぐに邸内に招き入れられた。
 案内してくれたのは、この家のメイド長だと言う篠原実里(しのはら・みのり)さん。
 クラシックなメイド服を着ているけど、いかにもキレ者って印象の20代半ばの女性で、メイドと言うより社長秘書って言われた方が、しっくりきそう。
 やっぱ、これくらいでないと、こんな豪邸を切り盛りできないのかな〜。

 どうやら臨時使用人である僕の直属の上司となるらしい彼女に、仕事を始めるにあたって風呂に入ってから、制服に着替えろと言われた。
 ちょっと不思議に思ったものの、まぁ、身ぎれいにしろってことなんだろうと思って、素直に案内された使用人用の風呂に入ったんだ。

 「ショウゴ、そろそろ風呂は上がりなさい。ここに着替えを置くわ。いいですね?」
 実里さんの声が風呂場のドア越しに聞こえる。
 「は、はいっ。すぐ出ますっ!」
 「よろしい。着方は説明書を付けておきました。それでもわからなかったら、更衣室の外で待っているので、私が教えてあげます。貴方を指導するのも私の役割ですからね」
 そう告げると、脱衣所のドアが閉められ、実里さんの気配は遠ざかって行った。
 「ふう〜」
 実里さんが出ていくと、ようやく緊張がほどけた。
 「なんだか、あの人、ロッテンマイヤーさんみたいだなぁ」
 美人なんだけど、あの人がいると自然と背筋が伸びて、ついシャチほこばってしまう。
 実里さんが全身から漂わせている、ピリピリした空気が、緊張を誘うのだろう。

 バスタオルで身体を拭き、いざ着替えを……と服に手を伸ばした僕は、驚きのあまり硬直した。
 カゴに入っていた折り畳まれた黒っぽい布は、スーツとか作業着じゃない。
 ワンピースだったんた!
 「えっ? えええーーっ!!」
 あわてて着替えのカゴを探ってみる。濃紺のワンピースに白いエプロン、この白い細長いものはニーソックスかな? 頭につけるヒラヒラのついたカチューシャまである。
 よく見れば、床には黒皮製のローファーが揃えて置いてあった。サイズもぴったり25センチだ。ここに僕が履いて来た、くたびれたスニーカーは影も形もない。
 「な、なんでこんなモノが……僕って、臨時の使用人じゃなかったの?」
411My Merry Maid 〜ボクの楽しいメイド生活〜:2011/05/03(火) 18:39:40.22 ID:O05xmeoM
 ともあれ、さすがにメイド服なんて着られない。仕方なく、さっきまで着ていた服を着ようとしたんだけど。
 「あ、あれ?」
 けれど、着てきた服はカゴには既に無かった。もちろん靴も見当たらない。疑いなく実里さんの仕業だろう。
 (そんな……)
 一瞬、風呂場の外にいるはずの実里さんを呼ぼうかと考えるが、さすがに素っ裸で若い女性と対面するは恥ずかし過ぎる。
 (う〜、となると……このメイド服を着るしかないのか)
 籠の中には、女物のショーツとブラジャーまで用意されていた。赤面して鼻血が出そうになるのを懸命にこらえる。

 僕は、充血しかかる愚息をなだめながら、PCから出力したとおぼしき説明書きに従って、自分のサオを後ろ向きに折り畳み、用意されていたテープでとめる。
 元々体毛の薄いタチで、陰部の毛もうぶ毛程度だったから、剃らなくてもテープでとめるのに支障はなかった。
 「アッ!」
 そのままではふたつのタマの収まりが悪かったんだけど、説明書どおりにフクロの皮をテープでとめようといぢっているうちに、タマはふたつとも体内にもぐり込んでしまったみたいだ。
 おかげで僅かな痛みと窮屈さと引き換えに、僕の下半身は、パッと見には何だか女の子のアソコみたいな外見になってしまっていた。
 その状態のまま、少しだけレース飾りのついた白い無地のショーツを穿いた。股間の出っ張りがないから、よりいっそう女の子みたいに見えて、ちょっとドキドキする。

 ショーツとお揃いのデザインっぽいブラジャーをつけるのにはさすがに戸惑ったけど、何とか後ろでホックをとめる。目立たない程度にブラジャーの内側にはパッドが縫い込まれていたので、胸にささやかながら女性らしい膨らみができていた。

 ちょっと顔を赤くしながらワンピースに袖を通す。背中にファスナーがあるタイプだから多少着づらかったけど、なんとか着ることができた。
 その上からさらにエプロンをつけ、ヒモを背中で結ぶ。

 ここまでは何とかできたけど、ニーソックスを穿くのは多少難しかった。繊細なツルツルの柔らかな素材でできているから、爪で引っかけたらすぐ破れちゃいそうだ。
 片足を椅子の上に乗せ、ニーソックスをそろそろと穿いていく。
 「あれ……これって、案外丈夫なのかな」
 働くメイドさん用のニーソックスだからかもしれないけど、爪で引っかけても簡単には伝線しない作りになっているみたい。

 そのままニーソックスのゴムを太腿まであげる。太腿の半ばまでくるニーソックス(正確にはサイハイソックスって言うらしい)のピチッとした感触は、僕にとっても未知の体験だった。
 丈の短いスカートだけだと足元がスースーする感じがして不安だけど、ニーソックスを穿くと多少は安心感があった。
 どうせなら、パンストとかタイツの方が、スパッツみたいで、より安心できるんだけど……。
 あ、でも、逆にむしろよかったのかも。股間に密着するパンストなんか履いたら、下向きにしたアソコがモロにこすれて気持ち良くなっていたに違いない。そんな状態でまともに動けるかは疑問だし。
412My Merry Maid 〜ボクの楽しいメイド生活〜:2011/05/03(火) 18:40:12.25 ID:O05xmeoM
 仕上げとして髪にフリルがついたカチューシャを装着し、服装を整えてバスルームから出ようとしたとき、メイド服の似合う可愛い女の子の姿が一瞬視界をかすめた。
 慌てて振り向くと、よく見れば壁際に全身が映るサイズの大きな姿見が置いてある。
 「えっ? てことは……」
 僕はマジマジと鏡を覗き込んだ。
 「え? こ、これ……僕!?」
 そこにいるのは、紺色のワンピースに白いエプロン、さっぱりしたショートヘアに、髪飾りの白さが映える可愛いメイドさん。
 ほころぶ直前の花のつぼみのように愛らしい少女が、鏡の向こうからこちらを見返していた。
 「こ、これって、ホントに僕なの?」
 信じられない気分だったけど、その証拠に片手を上げると、鏡の中の「少女」も片手を上げる。
 スラリと華奢で未成熟な身体をメイド服に包んだ「少女」は、胸の膨らみは気持ちほどしかなく成長途中の硬さを感じさせるが、それがかえって清楚な印象を与えていた……って、何冷静に解説してるんだ、僕は!
 でも……。
 「こんな間近で見ても、スッピンなのに女の子にしか見えないよ。僕って実は美人だったんだ……」
 すっきりした短めの髪に、どことなく不安げな表情が、護ってあげたい系のかわいさを醸
し出していた。男子高校生としては、背が低くやせっぽちで顔立ちも平凡な僕だけど、女として見ると、背の低さも線の細い気弱な顔立ちも美点になってしまうらしい。
 「うわ〜、なんか可愛い。街で見かけたら、惚れちゃうかも……」
 想像もしなかった自分の可愛さに、胸がキュンと甘く疼く。
 僕は、しばらくボーッと自分に見とれてしまっていた。

 いつまでそうしていたのだろうか。
 コンコンコンッ! とノックの音がして、実里さんの苛立たしげな声が僕を急かした。
 「いつまでボサッとしているのです? 早く出なさい!!」
 「は、はいっ、すぐ出ますっ!」
 僕は慌てて浴室を飛び出した。
 「きゃーーっ、似合うっ! カワイイっ!!」
 「先輩先輩、翔吾くんって、ほんとうに女装が似合いますね! 女の子にしか見えませんよっ!」
 その途端、甲高い嬌声が振ってくる。20歳くらいのメイドさんがふたり、手を取り合ってキャピキャピ騒いでいた。
 「翔吾くん、お化粧しなくても良さそう。なんか悔しいなぁ。男の娘なのに女の子より肌が綺麗だなんて〜」
 「さっき見たときはフツーの子だったのに、女装するとカワイイなんて、凄いすご〜い!」
 好きでやっているわけでもない女装を誉められて、僕は驚きと聡ずかしさで思わず俯いてしまった。でも、気がつけば自然と内股になっている。
413My Merry Maid 〜ボクの楽しいメイド生活〜:2011/05/03(火) 18:40:59.72 ID:O05xmeoM
 (あれ、何だろ。この気持ち……)
 可愛いと誉められると、何だか無性にうれしくなる。
 (ボクはノーマルなのに……別に女装癖とかはないはずなのに……)
 メイド服が僕に魔法を掛けたとしか思えない。何だか身も心もメイドさんに染まっていく気分……って、染まっちゃダメじゃん!
 「きゃーーっ、赤くなってるぅ〜、カワイイ〜!」
 「ちょっと、このほっぺ見てみなさいよ。ほんのり赤くて桃みたい」
 「わ〜っ、目、大きいっ、まつげ長ーい、美少女ぉ! 顔が小さいから、メイド服が良く似合いますねぇ」
 「体型もほっそりしてるから、スレンダーな女の子で通るわね。背もちっちゃくてカワイイし!」
 密かなコンプレックスだった背の低さを、そんな風に褒められるとは思いもしなかった。
 「文香、桃子、騒ぐんじゃありません。「翔子」は江戸村家の新人メイドです。断じて男ではないし、女装しているわけでもない……わかりましたね?」
 メイド長である実里さんが、部下のふたりに厳しい口調で宣言する。
 ……て言うか、いつの間に、僕の名前は「翔吾」から「翔子」に変わったんでしょう? いや、聞くだけ無駄そうだけど。
 「「はーい。わかってまーす」」
 ふたりのメイトは、元気よくそれを肯定した。いや、否定してよ……。

 ちょっと会話が途切れた隙に、僕は思い切って質問してみた。
 「あの……実里さん。江戸村さ……いえ、早紀お嬢様は、どうして僕にこんな格好をさせたんでしょうか?」
 実里さんは真面目っぽいし、悪戯で僕にこんな格好させるとは思えない。となると、雇い主である江戸村さんの意向ってことになるんだけど……。

 そもそも、江戸村さんからは、「使用人の手が足りないので、臨時でバイトとして働いてみない?」と言われただけで、まさかメイドさんをさせられるとは思ってもみなかったんだ。
 ──いや、よく確認せずにアルバイトの契約書にサインした、僕も迂闊なんだろうけどさ。
 「お嬢様は、身の回りの世話をしてほしいからだとおっしゃってます」
 実里さんは、そんな風に答えたけど、無論納得がいくものではなかった。
 「でも、掃除とか洗濯とかなら、普通の格好でもできますよね?」
 「江戸村家の家訓(しきたり)です。それに……いえ、そのうちわかります」
 ──なんだか裏がありそうな口ぶりだった。

 アハハ、ヤバいことに足突っ込んだのかも。助けを求めるように、先輩格のメイドさんふたりに目を向けたんだけど……。
414My Merry Maid 〜ボクの楽しいメイド生活〜:2011/05/03(火) 18:41:31.94 ID:O05xmeoM
 「文香、桃子、ふたりとも、余計なことは言わないように。わかった?」
 「はいっ、わかりましたっ!」
 「わかりましたですぅ」
 実里さんが釘を刺し、文香さんと桃子さんが即座にキビキビと返事する。
 こんなに強硬に口止めしているなら、女装を強いられる理由について、教えてはくれないだろうなぁ。
 (となると、江戸村さんに聞くしかないかなぁ)
 もっとも、本人に直接聞いてもはぐらかされそうだけど。

 「それと、翔子、お嬢様からの伝言です。屋敷からは出ないように」
 へ? そりゃ、住み込みのバイトとは聞いてるけど……。
 む? そう言えば休みがあるのかも聞いてないぞ。迂闊過ぎだろ、僕!
 「少なくとも、春休みの間は屋敷から出てはいけません。これは命令です」
 「──わかりました」
 釈然としないが、臨時とは言え雇われメイドの立場では、僕はそう答えるしかなかった。

 (はぁ……大丈夫かな、ボク)
 うなだれた僕の背を、文香さんの温かい手がボンと叩いた。
 「それじゃあ、こっち来てね。翔子ちゃんの部屋、案内するから」
 先導するようにして歩きだす。僕は、しかたなく文香を追って歩いていく。
 (あれ? ボク、女の子歩きになってる。な、なんで?)
 スカートがばさつくので、大股で歩くことはできず、自然と内股の女の子歩きになってしまう。
 服装が動きを制限してしまうのは、ある意味仕方がないとはいえ、こんなにも簡単に馴染んじゃうなんて……。ひょっとして僕、ソチラの素質あり?
 ふと目を上げると、窓に自分の姿が映っていた。
 メイド服の女の子が、うつむき加減に歩いている。
 あまりの可愛らしさにドキドキする。ヘンな趣味に目覚めちゃいそう。
 (女装って、女装って、気持ちいいかも♪)
 ……いや、目覚めつつあるのかも。
415My Merry Maid 〜ボクの楽しいメイド生活〜:2011/05/03(火) 18:41:54.38 ID:O05xmeoM
 (だ、ダメだっ! ボクは男だ! 男なんだったら!)
 一生懸命自分に言い聞かせていたら、桃子さんと目があった。
 「えっと、翔子ちゃん、聞いてますぅ?」
 「え、は、はい、すみません」
 「もう、ちゃんと聞いててくださいよぉ」
 文香さんがいくつかドアが並んでいる前で立ち止まり、真ん中の部屋の扉を開いた。
 「ここが翔子ちゃんの部屋よ。狭いけどひとり部屋になっているわ。シャワーもあるから自由に使って。お風呂に入りたいなら、11時半から12時の間にしてね」
 「それとぉ、翔子ちゃんの本当の性別は、私たちメイドとお嬢様しか知らないから気をつけてねぇ。あ、トイレとお風呂は共同なの。私達の部屋は隣だからよろしくね〜」
 桃子さんの言葉にちょっと考え込むと、僕は尋ねた。
 「あのう、おトイレは……」
 「無論、女性用を使いなさい」
 背後にいた実里さんに、あっさりそう命じられる。
 「女性用……」
 (まぁ、そうだよね。女装してるんだし、女子トイレは当然か。で、でも、女性用トイレを使うなんて……なんか恥ずかしい)
 それでも、不思議と嫌だと言わなかったのは、何かを期待していたからだろうか?

 「部屋に入ったら、30分の休憩ののち、お嬢様の私室へ出頭するように。わかりましたね?」
 「は、はいっ! 了解ですっ!」
 ギロリと実里さんに睨まれて、思わず直立不動で返事してしまう。
 そんな僕を見て、初めて実里さんが──呆れたようにだけど──笑った。
 「そんなに緊張しなくていいのですよ。最初なんだし、失敗しないなんて元から期待してませんから。でも、翔子、少なくとも時間は厳守するようにね」
 「は、はいっ!」
 (じつは意外に面倒見のいい人なのかも……)
 実里さんに対して改めてそんな感想を抱きながら、僕は用意された部屋に入ったのだった。

 * * * 
416My Merry Maid 〜ボクの楽しいメイド生活〜:2011/05/03(火) 18:42:18.18 ID:O05xmeoM
 あのあと、結局、翔吾は「翔子」としてこの屋敷で働くことを了解した。
 早紀に連れられて、この屋敷の実質的な主とも言うべき彼女の母に引きあわされる。
 「お母様、こちら、翔子さん。私の同級生なんだけど、臨時でメイドさんとして来てくださったの」
 メイド服に身を包んだ「翔子」は、長椅子にゆったりと座って編み物をしている奥様に、おじぎをした。
 早紀の母親は、いかにも奥様然とした人だった。上品な物腰も、古めかしいが上品で高価そうなドレスも、おっとりした笑顔も、他人に世話されることに慣れた人という感じがした。
 「奥様、はじめまして翔子です」
 奥様は「翔子」を見て一瞬だけ驚いた表情を浮かべたものの、すぐに顔をほころばせると、嬉しそうに頷いた。
 「あらあら、可愛らしい方だこと。それにとっても礼儀正しいのね」

 当初は抵抗のあったメイド服だが、いったん着てしまうとしっくりと「翔子」の身体になじみ、どこから見ても上品で控えめなメイドさんになっている。
 服装に引きずられて、態度やしゃべり方までそれにふさわしいものになってしまうと言うのが、中学時代に演劇部に所属していた翔吾の密かな特技(?)だった。
 そのおかげで、中学の頃は文化祭などではちょっとした有名人だった。高校入学後も、それを知る先輩のいる演劇部からスカウトを受けたのだが、翔吾は断っている。
 演劇自体には興味はあったが、部員に女性がふたりしかいないので、女役しか回って来なさそうだったからだ。
 自分が、なりきり、のめり込むタイプであることは、翔吾自身理解していたので、女役に染まることを警戒していたのだが……まさか、バイト先で女装させられることになろうとは、人生とはままならないものだ。

 かくいう今も、奥様が座る長椅子の後ろに大きな姿見があり、メイド服を着た「翔子」の姿が映っており、その自分の姿を見ていると、気恥ずかしさとともに、ジンワリと嬉しさが込み上げてくる。
 (あはっ、ボクってやっぱり可愛いな〜。女の子にしか見えないよ♪)
 女装したのは初めてではないのだが、今回の「メイド」と言う役回りは、翔吾の個性にピッタリ合っていたようだ。予想以上の可愛さに、自分でもノリノリになってるのがわかる。

 「翔子さんは早紀のクラスメイトなのよね。早紀、学校でちゃんとやってる? 皆さんに迷惑をかけてないかしら?」
 「ええ、大丈夫です。江戸村さ……じゃなくて、早紀お嬢様は、クラスのアイドルですから」
 「あらあら、そうなの?」
 「や、やだなあ。そんなことないわよ。私、普通よ〜」
 「いえ、言葉不足でした。お嬢様は、クラスどころか我が校のマドンナだと思います!」
 「も、もうっ、早紀でいいってば。同級生にお嬢様なんて呼ばれたら、背中が痒くなっちゃうわ」
 いかにもメイドらしい言葉づかいが自然にできてしまうのには、自分でも驚く。
417名無しさん@ピンキー:2011/05/03(火) 18:54:11.80 ID:0L2ZPy+9
ふむ……さるさんかな?
つづき、期待。
418My Merry Maid 〜ボクの楽しいメイド生活〜:2011/05/03(火) 19:42:24.42 ID:O05xmeoM
 その後、30分ほど江戸村親子と楽しく会話したのち、「翔子」は解放された。
 今日はとくに用事はないので、部屋に帰って好きにしてよいとのこと。
 「実は、3日後に大切な来客があるの。だから早紀が大掃除をすると言いだしたのよ。実里さんたちだけだと、ちょっと大変だから、どうかお手伝いしてあげてね?」
 「はい、かしこまりました。奥様」
 翔吾は畏まってお辞儀をして、楚々とした仕草で奥様の部屋を退出した。

 古めかしい白熱灯に照らされたほの暗い廊下を歩き、「翔子」のために用意された部屋に向かう。
 この部屋自体、もともとメイド部屋として使われていたらしく、ベッドと作りつけの家具、奥にシャワールームがある。
 部屋の掃除は実里たちがしてくれたのだろうか。ベッドシーツはピンと糊が利いていて、寝転ぶとほのかにいい匂いがした。
 ふと見れば、ベッドの枕元のほうに、タオルと白い服が重ねて置いてあった。
 服を手に取って広げてみる。白いコットンのナイティだった。タックとフリルがいっぱいついた、非常に少女趣味なものだ。
 「これって、寝間着だよね。ボクにこれを着ろってコト?」
 もちろん、ここは「翔子」の部屋なのだから、それ以外の答えはないだろう。
 「まぁ、期間限定とは言え、メイドをやる以上、今更だよね」
 翔吾は、エプロンとカチューシャを外すと、背中のファスナーを上げてメイド服を脱ぎ捨てた。過去何度か女役をさせられたせいで、女物の服の脱ぎ着の仕方も知らないわけではない。
 ナイティを着て、姿見の前に立ってみる。
 (うわぁ〜、ボク、可愛いなぁ……)
 胸が寂しいことさえ除けば、どこから見ても非の打ちどころのない美少女だった。
 翔吾は、うっとりと鏡に映る自分を見つめた。甘い感動が「じーーん」と心の中を満たす。
 これまでにも、劇などで女の子の服を着たことはあるが、これほど素直に自分を可愛いと感じたのは初めての体験だった。
 もしかしたら、事情を知る者も知らぬ者も含めて、この屋敷にいる者が皆、「彼女」をごく自然に女の子として扱ってくれているからかもしれない。
 「あ、そうだ。メイド服……」
 先ほど脱いだメイド服をキチンとハンガーにかけて皺を整えたうえで、壁に吊るす。
 「メイドは身だしなみもキチンとしてないとね」
 本当ならシャワーを浴びるつもりだったのだが、なぜか自分の裸を見たくなくて、翔吾はそのまま布団に潜り込んだ。
 (明日の朝一でシャワー浴びればいいか)
 天堂翔吾のアルバイト初日は、そんな風に至極平穏無事に終わったのだった。

 * * * 
419My Merry Maid 〜ボクの楽しいメイド生活〜:2011/05/03(火) 19:43:20.20 ID:O05xmeoM
<翔吾の日記>

 こうして、ボクのメイド生活が始まったんだけど、じつは意外なほど快適にボクは日々を過ごしていた。
 うん、そりゃあメイドって、華やかな見かけの割に内実は肉体労働だし、けっこうしんどい業務もあるよ? でも、一緒に働いている同僚(正確には先輩)ふたりが美人で楽しい性格をしてるから、そんなに苦にはならないんだ。
 メイド長の実里さんも、慣れてみればいい人だとわかった。無論、仕事には厳しいけど、無茶な要求はしないし、こちらが質問すれば、ちゃんと教えてくれる。そればかりか、慣れないボクのことをこっそりフォローしてくれてるようなフシさえあるんだ。

 それと、ボクが使用人じゃなくて「メイド」でないといけない理由もおおよそ理解できた。
 ──この家には、そもそも男性がひとりもいなかったんだ!
 正確には、通いの運転手さん(57歳)がひとりいるみたいだけど、それだってそろそろ初老と言っていいお歳だしねぇ。
 では、なぜ女性しかいないかと言えば……これまた簡単。厨房を預かる正江さんっておばさんが噂話好きで、色々教えてくれたんだ。
 すなわち、お嬢様──早紀さんが男嫌いだから。
 そう言えば確かに、学校でも男性の人気が高くて何人も告白されてるはずなのに、誰とも恋仲になってるって話は聞かなかったなぁ。
 正江さんによると、どうやらお嬢様は初恋の男の子にヒドいフラレ方をしたらしく、それが男性に対するトラウマになってるんだとか。
 他人行儀に接する分には問題ないんだけど、男性を知人以上には寄せ付けないらしい。
 「あれ、それならボクは?」なんて一瞬思ったけど、今の自分の服装を見て納得する(したくないけど)。要するに、ボクは「男」として見られてなかったワケね。
 ガッカリもしたけど、胸のモヤモヤも晴れて、ボクはスッキリした気分になっていた。
 (こうなった以上は、15万円のために「メイドの翔子」として立派に勤めあげてやろーじゃない!)
 そんな、微妙に間違ってるかもしれない決意を胸に抱いたりもした。
 ──それが、トンデモない勘違いだとは、知らずに。

 * * * 

 「翔子」が江戸村邸で働き始めて4日目。
 この日、奥様が言っていた「大切な来客」がこの屋敷を訪れた。
 リムジンから颯爽と降り立った青年は、白いスーツをパリッと着こなし、「翔子」の目から見ても十二分にカッコよかった。
 (一体どんな育ち方をしたら、こんなにカッコイイ男の人ができるんだろ)
 20代半ばか後半くらいだろうか。歳の割にやや軽薄そうな感じがするものの、それが逆に年頃の女の子には魅力的に映るのかもしれない。
420My Merry Maid 〜ボクの楽しいメイド生活〜:2011/05/03(火) 19:43:56.30 ID:O05xmeoM
 「ようこそおいで下さいました、日ノ宮(ひのみや)様」
 実里に、門の前で青年を出迎える役を任された翔子は、深々と頭を下げる。
 「あれ、見ない顔だけど、君は?」
 「はい、新人メイドの翔子と申します」
 「へ〜、江戸村家に就職したの?」
 興味津津という顔で、色々尋ねてくる。
 「いえ、その……試用期間中です」
 なぜか「アルバイト」と答えるのが憚られた翔子は、咄嗟にそんな言い方をした。
 「そっか。それじゃあ、正式採用されるよう頑張ってね、翔子ちゃん」
 青年はすれ違いざまに翔子の頭をポンポンと撫でた。
 何だか子供扱いされたような気がして、ムッとし……かけて、慌てて自制する「翔子」。
 (落ち着け! 小娘扱いされたからって、別に怒るほどのコトじゃないはずだろ?)
 日ノ宮青年の職業は、考古学者だと聞いていたが、とてもそんなアカデミックな職についているとは思えない、カルい雰囲気の人物だ。
 それとも、ジョーンズ教授やクロフト女史の如く、遺跡探検を主任務としているのだろうか?
 (まさか、ねぇ……)
 自分の子供っぽいイマジネーションに苦笑する。
 ──もっとも、後日、かなりイイ線を突いていた事に気がついて愕然とするのだが。

 「ご案内いたします」
 屋敷の中を先導して歩き、ノックをしてから奥の一室のドアを開く。
 「奥様、日ノ宮様がいらっしゃいました」
 許可を得てドアを開き、頭を下げて青年を招き入れる。
 「いらっしゃい、竜司(りゅうじ)さん、待っていたのよ!」
 奥様は、笑顔を浮かべて日ノ宮を歓待している。
 「御無沙汰しております、奥様。お招きありがとうございます。
 おや? 早紀さんは……」
 「それが着替えに行ったまま、まだ戻って来ないの。翔子さん、早紀の様子を見に行ってくださる?」
 「はい。奥様」
 お辞儀をして部屋を出る。
421My Merry Maid 〜ボクの楽しいメイド生活〜:2011/05/03(火) 19:44:54.91 ID:O05xmeoM
 早紀は、自室でメイド長の実里と何事か相談しているようだった。
 普段見慣れない和服──豪華な振袖を着ている。おそらく、奥様の若い頃のものなのだろうか。少々古めかしいデザインだが、繊細で上品なデザインは、年月を経てなお美しく、早紀を可憐に引き立てていた。
 「お嬢様、日ノ宮様がいらっしゃいました」
 「あら、もうそんな時間? わかった、今行くわ。それから実里……」
 チラリと傍らのメイド長に目配せすると、実里は微かに頷いた。
 「?」
 小首をかしげる翔子に、早紀は優しく微笑む。
 「何でもないのよ。翔子、貴女は実里の指示に従って頂戴」
 「?? はい、承知いたしました」
 疑問はあったが、ここ2、3日の屋敷の生活で「主の言うことに異議を唱えず従う」というメイドの心得は十二分に呑み込んでいたので、素直に従う。
 この家の主従が、よもや自分に危害を加えるなどとは思ってもみなかったからだ。
 もっとも、そういう素直な性格だったからこそ、「翔子」が●●に選ばれたのだろうが。

 * * * 

<「翔子」の困惑>

 「はて……」
 どうして、こんなコトになってるんでしょう?
 正気を取り戻したボクは、ベッドで半裸のまま見覚えある男性の胸に抱かれている状態で首をヒネった。

 えっと確か……昨晩、実里さんに頼まれたんだよね。
 なんでも、お嬢様の婚約者であるあの日ノ宮竜司様が、とんでもない女誑しであることが発覚したらしい。だから、竜司様の悪行を現行犯で押さえて、婚約解消する方向に持って行きたいんだとか。
 ちょっと軽そうではあったけど、そんなに悪い人には見えなかったけどなぁ。むしろ優しそうだと思ったんだけど……いや、でも、人は見かけによらないって言うしね。
 まぁ、それはともかく、メイドの誰かをオトリに引っかけたいんだけど、囮役をボクにしてもらえないか……って話だった。
 確かに、本物の女性だと土壇場で無理矢理ヤられちゃうかもしれないしね。その点、ボクなら、いざこれからって段になっても入れるトコはないし、現場を押さえて「実は男色家だった」という醜聞をチラつかせれば、あっさり引くだろうしね。
 男に媚びを売って誘惑するのは気が進まないけど、これもお世話になった奥様、お嬢様のためだし……と、ボクも最終的には了解したんだ。

 今夜、お嬢様の元に夜這いに来るつもりらしい竜司様を、ボクはお嬢様に代わって部屋で待ち受けた。
422My Merry Maid 〜ボクの楽しいメイド生活〜:2011/05/03(火) 19:47:08.29 ID:O05xmeoM
 お嬢様の部屋は、さすが女の子の部屋だけあって、大きな姿見があり、全身が鏡に映せる。
 (うぅ〜ん。やっぱりボクって可愛いかも)
 お嬢様愛用のネグリジェを着て、鏡の前に立つボク。フリルとタックが胸もとを飾っているので胸がふっくらしてるように見えるし、ストンとしたデザインだから、逆にウエストがほっそりして見える。
 (こうやって見ると、ボクって、しっかり女の子に見えちゃうんだ……)
 お嬢様に似せるべくストレートロングのウィッグを着けてることもあって、確かに自分の顔なのに、どこからどう見ても美少女だった。それも、気弱そうで、抵抗なんてできなさそうな、儚い系の女の子。

 ──やっぱりボクってつくづく女顔だったんだなぁ。
 胸の奥にじーんと甘酸っぱい戦慄が走り抜け、くすぐったい思いにかられてしまうと同時に、ちょっとだけ悔しい気分になる。
 やたら可愛くなってしまったのは、実里さんが施してくれたメイクのおかげもあるからだ。
 口紅とアイラインを引いただけなのに、目がくっきりして愛らしさが2割増しになった気がする。
 うーん、文香さんや桃子さんが教えてくれるって言うし、やっぱりボクもお化粧覚えようかなぁ。
 この時のボクは、「翔子」が春休み限定の偽物少女であることを、ほとんど忘れていたんだと思う。
 いや、だって、このお屋敷に来て以来、ボク、毎日24時間女の子として暮らしてるんだもん、しょうがないよね? 事情を知ってるはずのお嬢様や実里さんたちも、ボクを完全に女の子扱いしてるし……。

 (竜司様、来るかな?)
 きっと来るに違いない。何せ、ボク自ら、「今晩、お嬢様がお待ちです」という伝言を彼に伝えたのだから。
 婚約者の、非の打ちどころのない美少女から誘われて、ここで何もしないようなら、むしろ聖人君子として逆に価値があるだろう。
 据え膳食わぬは何とやら。そういうオトコの心理は、不本意ながらボクにもある程度理解はできた。
 「さてと、準備しなくちゃ……うん、イイ女!」
 鏡に向かってニコッと笑いかけてから、ボクはお嬢様のベッドに潜り込み、掛け布団を頭からかぶった。
 こうして女の子の匂いがする布団の中にいると、ボクの身体の中までその匂いがしみ込んで来そうな、不思議な感覚を覚える。
 ドキドキする心臓を必死になだめていると、しばらくしてドアが開く音がした。気配が動き、入が入ってきたことがわかる。
 「早紀さん、寝てるの?」
 (来たっ!)
 竜司様の声だ。
 彼がベッドのフチに腰掛けたらしく、ギシッと音を立ててベッドが沈む。
 彼の手が布団の中に入り、ボクの手をぎゅっと握ってきた。そして手を引いて引っ張り出すと、手の甲にチュッとキスをする。
 「早紀さん。愛しているよ」
 (うわぁ、ココで、ソレ? キザ過ぎ)
 ゾクゾクッとした悪寒が背中を駆け上がるが、押し殺して寝たフリを続ける。
423My Merry Maid 〜ボクの楽しいメイド生活〜:2011/05/03(火) 19:47:58.96 ID:O05xmeoM
 「? 早紀さん?」
 あ、さすがにいぶかしそうな声をしてるな。
 ボクは眠そうな声を出した。
 「──竜司さん?」
 「あれっ、なんだかいつもと声が違うような……」
 む。意外に鋭い。
 ボクは観念して布団を出て、ベッドの上に正座をした。
 「すみません、竜司様。メイドの翔子です」
 「あぁ、そうだったんだ。道理で声が違うと思ったら……早紀さんは?」
 「お嬢様は……そのぅ……やっぱり怖いとおっしゃられて……」
 「──ウソだろう?」
 心臓がドキンと跳ねた。冷たい汗が背中を伝う。
 「早紀さんは、本当は僕がそんなに好きじゃない。というより、潔癖な彼女はエッチなこと自体したくないと思ってるんじゃないかな?」
 (うーーん、惜しい!)
 実際は、潔癖症だからじゃなくて、男嫌いだからだけど。

 それにしても、この方、意外にお嬢様のこと、よくわかってるんじゃあ……。
 (親同士の決めた許嫁だからって、軽視してるわけじゃないのか)
 と、ちょっと見直した気分になってたボクだけど、次の竜司様の言葉で、思わず呆気にとられた。
 「だから翔子ちゃんが代理に立候補したんだろ? 主人思いなところを見せてポイント稼げるし、Hにもちょっと興味があるから、渡りに船だったんだよね?」
 予想の斜め上を行く回答にクラクラする。
 スゴいなぁ。どこをどうしたら、こんなに都合のいい考えになるんだろう。
 世の中の女に代わって異議を申し立てたい! い、いや、ボクも本当は男だけどさぁ。
 とは言え、この場で竜司様をハメるのには好都合だ。
 「そ、そうなんです……。その、ステキな人だし、初めては竜司様みたいな方がいいなって……で、でも、お嬢様がいるし。けど、お嬢様の話を聞いて、だったら、と思って」
 「うん、実はね。僕も君のことが結構気になってたんだ……」
 (そら来た!)
 実際、あれから何度か顔を合わせた竜司様は、なぜか妙にボクに優しかった。それも、正直言って、ボクがもし本物の女の子なら勘違いしそうなレベルで好意的。
 どうやら女誑しという情報は正確だったみたい。
 そりゃあ、ボクだって、「翔子」が魅力的に見えることは否定しないけどさ。まさか、婚約者の家の、それも会ったばかりのメイドに手を出そうとするなんてね……。
424My Merry Maid 〜ボクの楽しいメイド生活〜:2011/05/03(火) 19:48:41.84 ID:O05xmeoM
 彼はニコリと笑うとボクを抱き寄せ、頬にチユッとキスをした。
 耳元にフゥッと息を吹きかけながら甘い声で囁く。
 「気持ちイイこと、たっぷり教えてあげるよ」
 うなじにそっとキスをされ、ボクはいけない刺激に身を震わせた。
 同性に迫られているというのに、嫌悪感ではない何かがボクの心を騒がせる。
 (くうんっ……ど、どうしてなんだろ……き、気持ちいいよおっ)
 しっかりしなくてはいけないと思うのに、彼の指先がお腹や太腿をまさぐると、それだけで、溶けそうなほどの甘い刺激に身悶えてしまう。

 「あっ、や、やだっ! やっぱりやめるっ、怖いッ!」
 ありったけの理性をかき集めて、ボクはベッドから飛び降りた。
 「この期に及んでやめるなんて言われてもなぁ」
 竜司様は楽しそうに笑いながら無造作に手を伸ばした。ボクが暴れたこともあいまって、彼の指先につかまれた夜着の衿のホックがはじけとび、左の胸が覗いてしまう。
 彼は一瞬目を見張った。
 「えっ? ウソだろ……」
 (あ…………うん、これで大丈夫)
 ボクはホッと胸を撫でおろした。

 実は、さっき与えられた得体の知れない衝動が、いまだに身体の中にくすぶっていて、今力づくで迫られたら、跳ね除けられる自信がなかったんだ。
 「──なるほど。そういうコトか」
 けれど、硬直したのも一瞬のこと、深く頷くと、竜司様は再び手を伸ばし、ボクを抱き寄せたのだ!
 なぜか力の入らないボクは、簡単に組み伏せられてしまう。
 はだけた胸元から覗く薄桃色の胸の突起を、彼の舌が弾く。慣れない刺激にボクはピクピクと胸を震わせる。
 「あっ、あっ、や、やぁーーーん」
 つい女の子みたいな……ううん、女の子そのものな嬌声が漏れたけど、すぐに彼の唇でふさがれてしまう。
 口内を彼の舌が這いまわる。
 (知らなかった……キスってこんなに気持ちイイものなんだ……)
 その気持ちよさに知らずボクのほうからもおずおずと舌を絡めてしまう。
 (こんなのヘンだよぉ……男同士なのィ)
 そう思っても、ボクの身体を蕩かす快楽は、紛れもなく現実のものだった。
425My Merry Maid 〜ボクの楽しいメイド生活〜:2011/05/03(火) 19:49:22.73 ID:O05xmeoM
 ボーッとしている間に、うつ伏せにさせられ、ネグリジェの裾から彼の手が侵入してきた。
 「やぁんっ!」
 抵抗むなしく、ボクの下着(元々はボクの持ち物じゃないんだけど)は膝まで下ろされてしまった。
 お尻に夜気が当たってスースーする。
 「きゃんっ!?」
 竜司様が、ボクのお尻の穴に指先を触れさせる。
 「や…やめて……」
 「キレイだよ、翔子ちゃん」
 男の人の指が、ボクのお尻を撫で回す……恥ずかしさとくすぐったさ、そして得体の知れない熱に浮かされて、思わず涙が滲んでくる。
 竜司様は、その涙をペロリと舐めとると、ハムッと耳を甘噛みしてくる。
 「ひゃっ……だ、ダメですよぉ」
 その一方で、ボクのお尻の筋にそって、人差し指と中指、二本の指がゆっくりと下っているのがわかる。
 まるで、もぎたての果実の感触を楽しむように……そして、ボクの大事なところに触れるか触れないかというところで止まり、また上に戻っていく。
 ほとんど女の子になりきってるボクの心はさらに羞恥を増して、とにかく子猫のように体を丸めて怯えることしかできなかった。
 (やぁっ、ダメなのに……だんだん気持ちよくなって……)

 ──ニュプリッ!

 「ひゃうんッ!」
 ボクの後ろの穴に潜り込んだ指先が、何度も何度もほぐす様にソコを弄る。
 ビクンビクンと痙攣するボクを見て、指が抜かれ、そして……。
 「大丈夫。優しくするから」

 ──ズプッ!!

 「あぁぁっ!!」
 そして……ボクの中に……。
 (ふ、太くて硬いモノが……は、入ってくる……!
 ボク、本当は男のコなのに……男の人のアレが……!)
 言うまでもなく未経験なボクの穴だけど、それでもゆっくりと彼のモノを飲み込んでいくのを感じる。
426My Merry Maid 〜ボクの楽しいメイド生活〜:2011/05/03(火) 19:50:03.92 ID:O05xmeoM
 お腹の奥まで、太くて長い男の人のアレが入っているのが、自分でもわかった。
 「あ……」
 竜司様がゆっくり優しくしてくれたせいか、それほど痛みはなかった。
 でも、自分の体内が他者のモノを入れられ、繋がっていることを実感すると、なぜだかハラハラと涙がこぼれてきた。

 「可愛いよ。涙を浮かべて羞恥に耐えるその顔も、初めての感覚に戸惑い震わせているその華奢な体も」
 竜司様が、指先で優しくボクの涙を拭いながら、耳元で囁いてくれる。それだけで、何だか身体が熱くなってしまうのが不思議だ。
 「じゃあ……そろそろ動くね」
 「だ、ダメです……壊れちゃう……」
 本来入らないはずの穴に侵入した彼のモノ。けれど、一度入ったソレは、最初は緩やかに、次第に激しく出し入れされ、何度も何度も突かれて、ボクのお腹の中をかき回していく。
 そして、ボクの方も、いつしか男の人のソレをくわえ込んで感じてしまっていた。
 最後は白くて熱い精液をボクの体内に大量にブチまけられるのを感じて……。
 「あぁっ、もう、ダメですぅぅっ! り、竜司様、もう、翔子は……翔子はっ!」
 「ハァハァ……も、もっとだ、もっと! 身体の中まで僕色に染めてあげるよ」
 「はいっ、お願いします! 翔子を、竜司様色に染めて! 竜司様のモノにしてぇ!!」

#TS嫌いな人は、ココまでで引き返してください。
#つづきは日付が変わったころに。
427My Merry Maid 〜ボクの楽しいメイド生活〜:2011/05/04(水) 00:30:07.26 ID:NKIWJJTb
#やや蛇足気味なつづき。

 ──思い出しただけで、頬が熱くなってきた。
 こんなメに合わされたと言うのに、ボクは目の前の男性を憎む気になれないのが驚きだった。それどころか、ソッと自分から身体を寄せて……。
 「あれ、なんか胸元にヘンな感覚が」
 慌てて布団をめくると、なぜかボクの胸が膨らんでる!?
 けっこーおっきぃ……B、いやCカップくらいはありそうだ。
 「ええっ!?」
 驚いたボクは、咄嗟にベッドの上に起き上がり、股間に手を当ててみる。
 「──ないっ!」
 このテのシチュエーションのお約束だから、予想はついたけど、まさかボクがそんな事態に巻き込まれるなんて!
 「うふふ、その様子じゃあ、儀式は成功したみたいね」
 茫然としていたボクは、背後から聞こえてきた声にビクリと身を震わせた。
 「お、お嬢様、これは……って、何でェ!?」
 そこに立っていたのは、予想通りお嬢様──江戸村早紀さんだった。
 ただし、全裸というのはさすがに予想外だった。しかも、その股間には、見慣れたようなシロモノが……。
 「お、お嬢様って、もしかしてオトコだったんですか!?」
 「うーん、外れ。正確には両方あるの。いわゆるフタナリね」
 な、なるほど。道理で男の告白を断るワケだ。
 「そ、それはわかりましたけど、何でココに?」
 「あら、ココは元々私の部屋ですもの。私がいたって別におかしくないでしょ」
 それはそうだけど……。  ! も、もしかして!
 「ボクが女の子になったのって……」
 「フフ、正解。そのベッドの下にはね、儀式用の陣図が描いてあったの。竜司さんが気付くかまでは賭けだったけど、どうやら意外に頭はキレるみたいね」
 え? 陣図? え? え?
 「ちなみに……儀式はまだ終わりじゃないの」
 な、何だか無性に嫌な予感が……って、う、動けない!
 「ささ、翔子ちゃんの後ろのバージンは竜司さんに譲ったけど、前の純潔は私がもらっちゃうわね」
 い、イヤーーーッ!
428My Merry Maid 〜ボクの楽しいメイド生活〜:2011/05/04(水) 00:30:37.74 ID:NKIWJJTb
 結局、すべては最初からに仕組まれていたのだ。
 あの後、晴れて正式に江戸村邸のメイドとなった翔子は、一連の出来事のカラクリを聞かされることとなった。
 すべては、江戸村家と日ノ宮家を結び付けるためだった。
 古い歴史を持ち現在では廃れたような陰陽術を伝える両家だが、ここ数代での急速な術師としての凋落に危機感を覚え、互いの血を交わらせることにしたのだ。
 しかし、ひとつ問題があった。
 江戸村家のひとり娘、早紀がフタナリであったこと。
 それだけならまだしも、彼女の生殖能力は、女性としても男性としても極めて弱かったのだ。あるいは、中途半端だったと言ってもよい。
 両家の血を継ぐ者を生むためには、特別な「器」が必要だった。

 「それが、ボク……ってコトですか」
 「そ。変性女子って言ってね、男性から女性に変わった人が、どうしても必要だったの。でも、それは誰でもなれるものじゃないわ」
 厳正な調査の結果、天堂翔吾という少年に資質ありと判明したのが2年前。
 彼に近づくために、早紀はワザワザ同じ高校に入ったのだ。
 「ごめんなさいね……許して、とは言わないし言えないけど。代わりにできることなら何でもするわ」
 そう言って、自らの膨らんだ腹部を愛しそうに眺める早紀。

 あの朝、宣言通り翔子を犯し、彼女の処女を奪った早紀は、疲労困憊の竜司を叩き起こし、さらに翔子の膣内に彼の精を注がせた。
 その結果、早紀の種と竜司の種が翔子の体内で結び付き、翔子の卵子を受精させた。
 その受精卵を、術により翔子の体から早紀の胎内に移したのが現状だった。

 「もぅ……いいですよ、今更。ボクのこと、ちゃんと一生養ってくれるんでしょう?」
 翔子の身体は未だに女性のままだ。
 元に戻る方法はないわけではないのだが、早紀が妊娠中は使えない術らしい。
 それに、翔子自身、いまさら男に戻る気はなくなっていた。
 高校を中退し、名目上は江戸村家に就職したことになっているが、実質的には竜司と早紀の両方の「妻」に等しい扱いを受けているし、両家のトップもこれを認めている。
 なにせ、「二人目」を作る際には、また翔子の協力が必要になるのだから。
 目下の課題は、男の戸籍のまま早紀と結婚するか、女に変更して竜司と結ばれるか。
 なお、早紀と竜司が結婚してお妾に……という案だけは却下させた。「彼女」なりのささやかな意趣返しだ。
429My Merry Maid 〜ボクの楽しいメイド生活〜:2011/05/04(水) 00:31:08.11 ID:NKIWJJTb
 「おーーい、帰ったぞォ!」
 「あれ、あなた、帰りは明日予定じゃなかったの?」
 「HAHAHA! 可愛い嫁さんが待ってると思うと、自然と調査もはかどってね!」
 ちなみに、竜司の本業はフィールドワーク(と言う名前のトレジャーハント)が主体の考古学者だった。無論、日ノ宮流の術も実地で役立てている。術師としての腕前は、早紀に僅かに劣る程度だが、鍛えた肉体でカバーしてるらしい。
 実際、もとは結構なプレイボーイだったらしいが、あの一件以来、翔子にベタ惚れで、浮気のひとつもせずに、彼女の元に戻って来てくれる。

 「お、早紀のお腹も結構大きくなったな。どれどれ」
 「あ、触るなら、ソッとよソッと」
 他人行儀だった早紀との仲も、かなり改善され、「仲のいい友達」レベルにはなっている──かつての翔吾と早紀のように。
 「よーし、父親分を早紀に補給したから、翔子には夫分を補給しちゃうぞ〜」
 「あ、コラ、もうっ……お食事はいいの? 折角、竜司さんの好物作ったのに」
 「それも楽しみだが、僕は翔子を一番に食べたいのだ」
 「ちょ……やん、何でこんなに素早いのよ、もうっ!」
 「おお、やっぱり翔子は純白の下着がよく似合うなぁ」
 「もぅ、おだてたって……あン!」
 あるいはいっそ一夫多妻制の国の国籍を取得して、早紀とふたりで竜司のお嫁さんになると言うのもいいかもしれないな……と色ボケした頭で考える翔子なのだった。

-FIN-

#以上。お目汚し失礼。
430名無しさん@ピンキー:2011/05/04(水) 01:20:59.95 ID:/blwdNtv
GJ

TSスレ向きだったかもね
俺的には最高でした
431名無しさん@ピンキー:2011/05/04(水) 04:29:45.81 ID:cDxZzT1Z
自分にも最高でした。GJ!
どんどんドツボに落ちていく描写が良かったです
432名無しさん@ピンキー:2011/05/04(水) 07:47:25.53 ID:pe/2isNC
おつ
433名無しさん@ピンキー:2011/05/04(水) 20:26:43.90 ID:NKIWJJTb
それにしても、「七姫士舞闘祭」を除くと、現行スレに投下されたSSの8割以上が自分の作品というのは、色々な意味で、正直それでよいのだろーか?(七姫も原案っぽい形で噛んでましたし)
スレとしては寿命なのかなぁ。
自分としては他の人の作品ももっと読みたいんですが──いくら理想のシチュであっても、自分の書いたものだとイマイチ萌えないので。
434名無しさん@ピンキー:2011/05/04(水) 23:25:33.27 ID:nXn+oIH/
GJ!!
TSも好きな俺には無問題
大好物っすよ



ところで、そろそろ次スレ?
435名無しさん@ピンキー:2011/05/04(水) 23:45:42.69 ID:QV1EzIvg
>>433
乙!GJです。
8割以上ほとんど全部って頑張り過ぎですよ。
枯渇しないその創造意欲が羨ましい。
私もネタだけは考えたりするのですが、他の所で書いているものだけで精一杯です。
応援しています。これからも頑張って下さい。
436名無しさん@ピンキー:2011/05/05(木) 12:13:38.62 ID:U9/lkM3P
GJ!
私もTSも好きなんで無問題です。
437名無しさん@ピンキー:2011/05/05(木) 23:24:17.13 ID:LsHDjTwG
TSと女装は別だと思うんだが
438名無しさん@ピンキー
前に、スレまとめサイトを見たときに、女装→TSになった話がいくつかあった気がする。