愛するが故に無理矢理…… Part4

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1名無しさん@ピンキー
愛するが故にレイプor強姦or無理やりしてしまうシチュが好きな奴は集え!
二次でもオリジナルでもおk。
襲う側に深い愛情があればおkおk。
相思相愛なら尚更おkおkおk。
逆レイプもおkおkおkおk。

■前スレ
愛するが故に無理やり…… Part3
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1251197866/

■お約束
・エロパロ板は18禁です。大人の方だけ利用してください。
・原則sage進行。メール欄に半角、小文字で「sage」と記入。
・愛あるレイプに確定的な定義はありません。他人の考え方も尊重しましょう。
・他スレのSS紹介禁止。迷惑をかける可能性があります。
・相手をすると喜ぶので荒らし、煽りは徹底的にスルー。
・投下する方は事前の注意書きをお願いします(特に暴力等描写)。
 事前措置をとればトラブルを回避しやすいと思います。
・書きながらの投下は禁止。書き上げたものをコピペしてください。
・作品の最後には「終り」、「続く」などと宣言してください。
・気に入らない作品はスルーしましょう。好きなものにだけコメントをつければおk。
・感想の域を超えた批評、展開予想はご遠慮ください。
・リクエスト、続き希望は節度を持ち、行き過ぎたなれ合いは控えましょう。
・他人に注意をするときは、丁寧な言葉遣いを心がけましょう。

■過去スレ
 愛あるレイプ Part2
 ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1234146553/
 愛あるレイプ
 ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1197985819/

■保管庫
 2chエロパロ板SS保管庫
 ttp://sslibrary.arings2.com/
 ENTER→オリジナル、シチュエーション系の部屋→17号室
※保管されたくない方は投下時に一言添えてください。
2名無しさん@ピンキー:2010/04/28(水) 13:20:20 ID:KPGr3/3U
テンプレは1レスに納めてみた
3名無しさん@ピンキー:2010/04/28(水) 14:28:31 ID:CKlggcE2
>>1
貴方に乙を
4名無しさん@ピンキー:2010/04/28(水) 18:05:40 ID:7nnWvL4f
>>1
       ,@-@、      ,;"      ゙:、
      ,@ミA=Aツ@    (  ミ=A=彡. ).  こ、これは>>1乙じゃなくて
     @((`・ω・´))@    ヽ(´・ω・`)彡ノ 雷なんだから
       ゞ つ。 。つ      くノ0。 。0ゞ    変な勘違いしないでよね!
    ,;:"⌒⌒⌒⌒゙;,..    .,;"⌒⌒⌒⌒゙:;、
   ,;:,,,,''''  ;;;;''''  ;;;)    (;;;;;;;;;  '''',,,,:;、;;;;;
    ,;:,,,  ;;;;;; ;;;;;  ,,)    (,,;;;;; ;;;;;;  ,,,:;、
     ゙゙〜,,,,,,〜,,,,ノ     ゞ,,,,〜,,,,,,〜""
  ピカッ !  // !  ゚ !  ! // ! ゚  !   !
      !  \\  !    !   \\  !  ゚
        / /  !   !  / / !    !
        \ 二 ̄ ̄>   \ \
           / /
          / /
         /  <___/|
        |______/
5名無しさん@ピンキー:2010/04/29(木) 03:17:34 ID:pxhkIJpQ
乙〜

ところで質問なんだけど、このスレって男性向け?それとも女性向け?
いやいや両方向け?
6名無しさん@ピンキー:2010/04/29(木) 03:59:45 ID:h3egDsCL
>>5
深い愛情を持って愛する相手を凌辱し蹂躙し愛でる心があれば男でも女でも違う生き物でもw
7名無しさん@ピンキー:2010/04/29(木) 20:18:01 ID:oXjtPTgf
新スレ記念
8名無しさん@ピンキー:2010/04/30(金) 02:31:27 ID:be9vfN3m
ものすごくベタベタなんだが、

奴隷や娼婦の女が「自分みたいな女は男に相応しくない」と思い込んで拒絶
男は「あんな連中に股を開いても俺は駄目か」とヤンデレ化
純粋な求愛が一転して、無理やり物にしてしまうというのに萌える
女が生まれた環境や、どうしてもやむを得ずそういう境遇になってしまったなら、なおさら
9名無しさん@ピンキー:2010/04/30(金) 03:48:44 ID:dKXPqTxF
>>8
王道ですね素晴らしい
こういうのは男側がヤンデレ拗らせてる位で丁度良いw
嫉妬とかそんなので余裕もなくなり手篭めしちゃう展開はグッド
10名無しさん@ピンキー:2010/04/30(金) 16:22:08 ID:rng1XyOF
10
11名無しさん@ピンキー:2010/05/01(土) 01:55:10 ID:GA/Hpt2X
>>8-9
それで衝動的に犯した後、自分の行動が超惨めだと気付いて
更に精神的に病んだ感じで女の身体を貪るように犯すの?
12名無しさん@ピンキー:2010/05/01(土) 01:59:08 ID:oVEBArk8
お前らの妄想力に乾杯
最高だろ…
13名無しさん@ピンキー:2010/05/01(土) 03:06:31 ID:um9vjlA+
そういう展開だと既に女側は精神はともかく、身体は性交に馴れきってる訳だし
開発されきった身体が淫乱な反応を見せる度に、男の嫉妬は募って行く訳だ
無理矢理犯されてるのに反応してるのを見て
屑みたいな連中には股を開いて、楽しんでる癖に自分を拒否して
その癖無理矢理犯されると立派に反応してる
これだけで男のプライドと純粋だった恋愛感情をズタズタに引き裂くには十分だな
14名無しさん@ピンキー:2010/05/01(土) 12:51:07 ID:fY8GfpFe
女の方は、そのDVじみた行為でも、屑どもより愛しい男に乱暴される方がいいや、
みたいに幸せ感じちゃうような根っからの不幸属性
より男に喜んでもらいたい、もっと構ってもらいたい、飽きられたくないと、
かつて仕込まれた奉仕で媚びて、男をますます悲しくさせる悪循環

とかだとさらに萌えます
15名無しさん@ピンキー:2010/05/01(土) 13:47:26 ID:GA/Hpt2X
女の方がドMかつ駄目男好きだとますますどつぼという地獄w
16名無しさん@ピンキー:2010/05/01(土) 14:07:32 ID:um9vjlA+
やめて!!!DVレイプ中に媚を売られたりしたら男の精神疾患が更に悪化してヤンデレ拗らせちゃう!!!!
17名無しさん@ピンキー:2010/05/02(日) 01:41:38 ID:98C5bRaQ
お前等楽しそうだが前スレ埋めろよ
18名無しさん@ピンキー:2010/05/02(日) 03:02:11 ID:98C5bRaQ
>>8-16
その女って男が酷い行動を取れば取る程
自分が悪いんだと思って更に奉仕に励みそうだよね
男の罪悪感とか正気度を削岩機で削り取りながら

まぁ他人に妄想書き込めと前スレで言っておいて
自分は書かないのもどうかと思って
19名無しさん@ピンキー:2010/05/02(日) 18:54:54 ID:7fbltE4p
自分はハッピーエンド至上主義ってーか、それに近いもんがあるけど
↑のふたりは悲恋で終わるのも似合いそうだな……と妄想が進む
女をどうしても自分だけのものに出来ないなら……と絶望した男が
女を殺して自分も死ぬ──とか。ベタだが
あるいは心を病んでしまって、もう男の事も誰の事も分からなくなってしまった女を
やっと手に入れた……と一生男が側に置いて面倒見るふたりだけが幸せエンドとか
20名無しさん@ピンキー:2010/05/02(日) 21:58:29 ID:Y/LoOs7F
誰か今スレの妄想でSS書いてくれwwww
21名無しさん@ピンキー:2010/05/02(日) 23:57:12 ID:YFc4S5WH
何だその半端ない妄想力は…
まだだけど投下先はこっちで良い?前スレ埋めるべき?
22名無しさん@ピンキー:2010/05/03(月) 00:24:24 ID:N4bIEW4r
株板だからエロくないけど、218の話の274〜が
このスレの人好みのシチュエーションだと思った。

1よ。今夜も思い出話につきあってくれないか?
http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/stock/1268410402/274
23名無しさん@ピンキー:2010/05/03(月) 00:33:07 ID:OGdnS8Mz
>>21
多分前スレは殆ど容量無いから投下はこちらで良いかと
前スレ埋めるならもう一つAAでも貼れば余裕で埋まる
24名無しさん@ピンキー:2010/05/03(月) 00:46:23 ID:ISk+6IPI
>>19
じゃあ俺は、男に似た子供をボコボコ産まされる過程で、
「母親になるのに弱くちゃいけない!」と開き直った女が、
肝っ玉母ちゃんになっちゃいましたエンディングで
25名無しさん@ピンキー:2010/05/03(月) 02:16:22 ID:KzckkLeb
なぬ
26名無しさん@ピンキー:2010/05/03(月) 03:30:51 ID:ktupx/A1
えーと。んじゃ自分は…

繰り返される凌辱に耐え切れなくなり女が出奔。
それにより男は深く傷つき、わずかに残っていた理性も崩壊する。

数年後、女は新しい家族を得て辺境の村で静かに暮らしていた。
ある日、女は帰りの遅い夫が心配になるが、やがてコンコンとドアを叩く音が聞こえてくる。
ほっと胸を撫で下ろし、鍵を開ける女。
しかしドアの向こう側に佇んでいたのは、血まみれで微笑むあの男だった。
27名無しさん@ピンキー:2010/05/03(月) 10:51:28 ID:jyqxYdSr
少なからず男←女の気持ちがなければ、そこまでくるとただのストーカーレイプ犯罪者
28名無しさん@ピンキー:2010/05/03(月) 11:45:46 ID:G+1bLGxh
男→←女
こういう状態なのにお互いすれ違ってさまった挙げ句に
男が女を無理やり…というのが萌える
29名無しさん@ピンキー:2010/05/03(月) 22:52:30 ID:zv+Btmya
>>27
まあそれも愛するが故に無理矢理ってヤツじゃないかな
30名無しさん@ピンキー:2010/05/04(火) 01:33:02 ID:+ROi7wn5
>>27
それはそれで愛故にだからな
全力で無理矢理寝取りにかかる男もまた良い

>>28
今スレ冒頭での妄想のように痛々しさ全開だと素晴らしいw
31名無しさん@ピンキー:2010/05/04(火) 01:44:49 ID:IhtQPUqX
まぁ行き過ぎた愛の末路として一種のホラーオチはありだと思う。

さすがに最初から最後までそのノリだと、第三者に愛がある事を
納得させる文章書くのはよほど腕がなきゃ難しいとは思うが。
32名無しさん@ピンキー:2010/05/04(火) 09:34:15 ID:4zsCBP+7
>>24
予想外過ぎるw

>>26
しかし>>8以降の妄想だとそれは無さそうなんだよね
男から凌辱受ける以前に屑共から玩具にして弄ばれてて
たとえ酷い仕打ちでも好きな男からのほうが全然マシと思ってるし
それどころか幸せを感じちゃう真性の不幸属性w
33名無しさん@ピンキー:2010/05/04(火) 16:26:27 ID:N4zAsrdp
>24
子供にはめっちゃ素直だったり、可愛いげのある態度取ってたりするとイイかも
開き直れる程強いかどうかは微妙だけど
34名無しさん@ピンキー:2010/05/04(火) 16:47:20 ID:4zsCBP+7
>>33
開き直れる程強いかは謎だが
子供には素直で優しく可愛げのある母親になるんじゃね?
35名無しさん@ピンキー:2010/05/04(火) 17:26:02 ID:tOEnP+Jq
おまいらの話聞いてると飽きねーなw
36名無しさん@ピンキー:2010/05/04(火) 17:46:09 ID:4rBMZmFB
おまいらもう>8-からの設定でSS書いちゃいなYO!
マルチエンドのリレー形式とかでいいからw
37名無しさん@ピンキー:2010/05/04(火) 20:12:44 ID:x5Vf8ZaK
自分の子供を孕み、育て愛する女を見て、自分のものになったと男が安心するか、
子供にすら嫉妬するかで幸福度が変わってくると思います!
38名無しさん@ピンキー:2010/05/04(火) 21:44:37 ID:4zsCBP+7
>>37
相当狂うレベルまで愛が深まったようだがそれはないんでね?
まぁ可能性は低いが子供に嫉妬という可能性が無い訳ではないが
39名無しさん@ピンキー:2010/05/04(火) 21:51:02 ID:lKBf3EDa
おまえらの妄想力に負けじと空気を読まずに続き投下。

【事前の注意事項】
・人が死にます
・寝取られ
・また鬼畜展開

濡れ場のみ希望の方は今度は2/3くらい飛ばして下さい。
以下、投下します。
4039:2010/05/04(火) 21:58:03 ID:Vup45ksR BE:427076328-2BP(0)
って書き込んだ直後に規制とは何だこの仕打ちは。

携帯に転送します…
41偽悪的征服録 Ep.3:2010/05/04(火) 22:27:14 ID:Vup45ksR BE:1307918377-2BP(0)
翌日、ロイドは再び地下へ下り例の部屋の存在を確認したが、マリシアの言う通りそこには扉など存在しなかった。
ついでに既に活動中のアルベニア兵の様子を暫らくの間視察すると、今日もマリシアの部屋へ向かった。

「この国の将官は駄目だろ……」
「え?」

軍事には一切携わっていないであろうマリシアを相手に、ロイドは真っ先にアルベニア軍を批判する。

「新兵の割合が多すぎる。本当に検問してんのかあれは。」
「私はよくわかりませんが……、早急に戦力を揃えているのでは?」
「寝床の確保のためだけに、身体張ってまで他国に力を貸すか?地下で様子を見ていたが、王女に近付く目的で入軍してる連中が結構いるぞ。」
「そう……でしょうか。」
「これだけ忌み嫌われているこの俺が、追放もされずに未だここに居るのもおかしい。そもそもこうまでして他国に手を出す必要性が見出せない。」

困った様子で応対するマリシアに、ロイドは問答無用で畳み掛けた。
事実、ただの寄せ集めの軍隊に団結力など期待できるはずがない。

「マリシア。出撃の時はいつもどこにいる?」
「部屋で様子を眺めています。父に軍事には関与するなと……」
「せめて姿を見せてやれ。士気が上がるぞ。」

マリシアは暫し悩んでいたが、ロイドの助言に対し礼を言うと素直に承諾した。

「貴方も、戦地へ向かわれるんですか?」
「俺が出ると士気が下がる。」
「そ、そうですか。」

苦笑する彼女を背に、用事があると告げ部屋を出ようとすると、今日も背後から呼び止められた。
恥ずかしそうにもじもじしているマリシアに、ロイドは思い出したように口付けすると今度こそ部屋を後にした。



「ロイド、暇ー……」

一度部屋に戻ると、ディアナがなかなか解かれない監禁命令に不服を唱えていた。

「お城の中、見て来ていい?」
「単独行動は駄目だ。」
「じゃ、ついて来て。」

無理もないが、一歩も引く様子が見られない。
ロイドは渋々ディアナの要求を呑み、その日は日没まで散歩に付き合ってやることにした。


条件は既に揃っていた。
城内において、自分が憎まれるべき存在であるということ。
アルベニア軍が、各々の欲望に忠実に集結しているということ。
そして、マリシアが自分に惚れ込んでいるということ。
42偽悪的征服録 Ep.3:2010/05/04(火) 22:30:16 ID:Vup45ksR BE:1201149959-2BP(0)
焦る必要はない。残るは行動を起こすのみ。
上手くいけば、陰でディアナを捜している人物が姿を現すはずだった。
その目論見を確実なものにするためにも、ロイドはその夜も次の夜も、マリシアの元を訪れ彼女を愛した。

全ては降りかかる火の粉を払うための行動。ディアナを追う者を消すためだった。



そして訪れた出陣の時。広場からは既に号令が聞こえている。
ロイドはディアナに何が起きても決して手を出さないよう、常に周囲を警戒するよう指示を出し、彼女を部屋に残した。

マリシアの姿はまだない。ロイドは構わずに軍の司令官の前に堂々と姿を現すと、警戒した様子で迎えられた。

「何用でしょうか。」
「……アルベニア軍も高が知れているな。」

唐突に行われた挑発に、司令官を務める男は不快な表情を見せる。

「相手も小国とは言え、この軍勢で本当に勝てるとでも?」
「……何が言いたい?」
「これだけいい加減に戦力を掻き集めて、内通者がいるとは考えないのか。」
「ここにいる者全員の経歴は既に報告を受けている。」
「俺の分もか?」

眉をひそめる司令官を余所に、ロイドが言わんとしていることをいち早く察したアルベニア国王が口を挟んだ。

「……ロイド殿。まさか裏切るのではあるまいな。」
「……裏切るも何も」

マリシアが訪れるまで時間稼ぎをするつもりだったが、城内への出入り口付近に彼女の気配を感じ取ると、ロイドは迷わず計画実行の引き金を引いた。

「手を貸すと言った覚えはない。」

手を出さないのなら、今ここにいるはずがない。故に、言い放たれたその言葉は、敵対宣言と同義となる。
瞬時にその場が緊迫感に包まれた。相手はラストニアを勝利に導き続け、強大国家に成長させた策略家。厄介事になる前に討たなければならないはずだ。

「現時点を以て貴様を敵と見なす!陛下、御命令を!」

数名のアルベニア兵が槍を構えその矛先をロイドへと向けると、アルベニア王は止むを得ぬといった面持ちで「裏切り者」の始末を命じた。
即座に拘束に掛かる槍兵を相手に、ロイドは軽く抵抗する素振りを見せるもあっさりと捕まった。
異変に気付き、助けに出ようと身を乗り出すディアナを横目で強く睨み付けその動きを制す。
例え国王が指令を出さずとも、この絶好の機会を利用して自分を討ちに来る人間が必ずいるはずだった。

ロイドはゆっくりと、目の前で自分の命を狙う銃兵を見据える。


43偽悪的征服録 Ep.3:2010/05/04(火) 22:33:23 ID:Vup45ksR BE:747381874-2BP(0)
直後、数発の高らかな銃声と共に飛び散った鮮血は、ロイドのものではなかった。
空中に散る血しぶきが、美しく舞う碧い髪を赤く染めていた。

「マリシア…様……?」

掠れた声で呼ばれたのは、国を挙げて護るべき自国の王女の名。
呆然と立ち尽くす槍兵を振り払い、ロイドは自分の身代わりとなったマリシアを見下ろした。その表情に悲しみの色はない。

ロイドはその場に屈み込み、苦痛に顔を歪めながらも身を案じるマリシアを抱き起こした。

「ロイド…様……」
「…………」
「この国の…ために……、死なれては……」

マリシアは息も絶え絶えに、自国軍の非を、そして何の力もない自分が恋い慕ってしまったことを詫びた。
肺を撃たれている。どう見ても致命傷だった。

「……愛している」

何の意味も持たない、せめてもの弔いの言葉を送ると、マリシアは嬉しそうに微笑み静かに目蓋を閉じた。
その途端、軍は崩壊を始める。所詮、ロイドに物を言う度胸など持ち合わせていない人間の集まり。
やり場のない負の感情は引き金を引いた数名の銃兵に矛先を向けられ、その混乱に乗じて乱闘を始める輩も出る始末。


王女を目的として入った新兵は国に従う理由を失い、国王に子種がないことを知っている国の関係者は戦意を喪失する。
マリシアの死は、事実上のアルベニアの滅亡を意味するからだ。

狙いはアルベニア軍の無力化。
何者かが軍を使ってディアナの捜索を企んでいるのなら、この惨状を目の当たりにして黙っているはずがない。

兵の離散。失望の声。悲痛な王の嘆き。そして、目の前で今も尚繰り広げられる惨劇。
ロイドはそれを他人事のように眺めながら、静かにその人物を待った。

全ては指名手配を避けるため、自らの手を汚すことなく遂行された計画。
思惑通りだった。……ここまでは。


「……随分回りくどいやり方をしたものだな。」

背後から聞き覚えのある声が聞こえた。

「ロイド、おまえだな。他人の根城を荒らしやがって。」

ゆっくりと振り向き上を見上げると、1人の魔道士がマントをはためかせ佇んでいた。

「……ジーク」


魔道士ジーク・シルヴィリア。
シルヴィリアという大魔道士一族の家名は、ラストニアの国家勢力並に有名だ。
そして過去にロイドが直々に応戦し、唯一決着を着けられなかった相手でもある。


44偽悪的征服録 Ep.3:2010/05/04(火) 22:35:51 ID:Vup45ksR BE:854150584-2BP(0)
まずい、と思うと同時に、最悪の展開が脳裏を掠めた。

「解せんな。何故わざわざ俺を誘き出した。」
「…………」

ロイドは黙っていた。
余計なことを言うと、ディアナの存在に感付かれる恐れがあるからだ。

このような小国の揉め事にわざわざ首を突っ込み、黒幕を誘き出した理由。
ジークは何かに気付いたように辺りを見回すと、窓から僅かに顔を出しているディアナの姿を目に留めた。
直後、彼の姿が一瞬にして視界から消えると、ロイドはその意味を瞬時に理解しディアナに向かって叫んだ。

「ディアナ!来い!」

ロイドが要求したのはジークが使用したものと同じ、空間移転魔法による移動。
ディアナは直ぐに詠唱を始めるが、それは背後から掛けられた思いも寄らぬ問い掛けにより中断された。

「エルネストの娘か?」
「……!?」

久しく耳にした母の名に、ディアナは思わずその声の元へ振り返る。
ジークは向けられた表情からその答えを察し、即座に催眠の呪を唱えると、いとも簡単に彼女を捕らえた。

倒れかける彼女をマントで包み込み、勝ち誇った表情でロイドを窓から見下ろすと、たちまちその姿を消してしまった。

「……っ!!」

魔道士が現れることは読んでいた。
先日見つけた封鎖された扉は、恐らく結界か何かの効果が切れたためにたまたま現れた、別の空間とを繋ぐ道。
もしくは、あの空間自体が魔道の力で作られたものであると踏んだからだ。

実力は左程気にしてはいなかった。
仮にディアナと対峙したとしても、今の彼女の力ならば勝てると思っていたからだ。

にも関わらず、連れ去られてしまった。
ロイドの計画の失敗要因。それは、予想を遥かに超えた大物が掛かってしまったということ。

助けないわけにはいかない。
ロイドは強く拳を握り締め、急いで城を出た。




──目を覚ますと、ディアナは見知らぬ場所に横たえられていた。
朦朧とした意識の中辺りを見回すと、そこは書斎のような印象を受けた。

「目が覚めたか」

突然掛けられた自分を捕らえた人物の声に、ディアナの意識ははっきりと覚めた。
起き上がると、自分に近付く魔道士の風貌をした男が視界に入る。

「誰……?」
「シルヴィリアって家名、聞いたことくらいあるだろう。」

その人物は大して興味も無さそうにそのまま名を名乗ると、1枚の写真をディアナに向かって弾く。

45偽悪的征服録 Ep.3:2010/05/04(火) 22:37:54 ID:Vup45ksR BE:1121073067-2BP(0)
「ディアナと呼ばれていたな。これはおまえに返す。」

ひらひらと舞い落ちる写真に映し出されていたのは、幼い自分を抱く母の姿。
ロイドにディアナが狙われていると確信させた写真だった。

「母様を知っているの?」
「…………」

一瞬だけばつが悪そうに目を逸らされたが、すぐに何事もなかったかのようにその先を告げられる。

「エルネストを殺したのは俺だからな。」

突然の告白に、ディアナはその意味を理解することができなかった。

「どういうこと……?」
「……あの惨状の中、何故1人だけ生き残ったのか不思議に思ったことはないか?」

言葉の意味を理解できずにいるディアナに構わず、彼は続けた。

「俺の力ではエルネストには勝てなかった。だからおまえの命を使わせてもらった。」
「どうして……?母様が何をしたの?」
「善悪は関係ない。戦争なんてそんなものだ。俺は雇われの身だった。ただそれだけだ。」

淡々と真実を伝える目の前の母の敵よりも、自分を守るために母が死んだのだという事実にディアナは動揺した。

「娘の生存が約束だからな。おまえは俺が後々保護するつもりだった。そこを奴に先を超されたんだ。」
「…………」
「その写真はエルネストが持っていたものだ。姿から生存がばれないよう俺が回収した。」

敵ではない、と主張しているようにも聞こえた。

「……私をどうしたいの」

ディアナは俯いたまま小さな声で問い掛けるが、彼はすぐには答えなかった。
じっと見られているような気がした。

「……師を持つなら魔道士の師を持て。あいつと居てもおまえは伸びない。」

自分の元で強くなれ、ということなのだろう。

「そんなこと……!」
「飽くまでロイドの肩を持つのか?あいつの人間性はおまえもよく知っているだろう。」

ジークの言い分を否定することはできない。
決して彼が善人でないことはわかっている。しかしディアナがロイドを慕うのは、最早理屈ではなかった。

「私を救ったのはあなたじゃない」

強固な意志を感じ取るも、それでもジークはそれを崩しに掛かる。

「ロイドがおまえを仲間にしたのは、エルネストの血を引く魔道士を敵に回したくないからだ。あいつはそういう奴だ。」
「わかってる」
「城の人間が何故奴をあそこまで嫌うかわかるか。前線に立つ者ほどあいつのやり口を知っているからだ。」
46偽悪的征服録 Ep.3:2010/05/04(火) 22:40:03 ID:Vup45ksR BE:2162068799-2BP(0)
「…………」
「アルベニアの騒動もどうせ奴の仕組んだことだろう。あのえげつない手口を目の前で見て何とも思わなかったのか?」

ディアナはジークの言葉を振り払うように首を振った。

「あなたは母様を手に掛けた……」
「任務のためだ。この程度、ロイドの足元にも及ばない。」
「それでもあなたが殺した!」

ロイドの所業を一切聞き入れず、とにかく自分を目の敵にするディアナに、ジークは明らかに苛立った様子を見せた。

「奴に残りの人生を捧げる気か。代々受け継がれてきた魔道士の血を絶やすつもりか?」
「村の殲滅に手を貸しておいて何を……!もう帰して!」

とにかくロイドの元に戻りたい一心で、ディアナはその場に立ち上がり攻撃魔法の詠唱を始めた。
その様子を黙って見ているジークに構わず続けるが、全く魔力が漲っていないことに気付きそれは中断される。

「…………?」
「自分の胸を見てみろ。」

言われるがままに自分の胸元を覗くと、そこにははっきりと、魔封じの印が刻まれていた。
ロイドから常に肌身離さず持つよう言われていた魔封じ対策の防具は既に外されている。
ディアナはここに来て初めて身の危険を感じた。

「魔道士を捕らえるんだ。基本的なことだろう。」

ジークはにやりと笑うと、ゆっくりとディアナに迫る。

「単刀直入に言う。俺の女になれ。悪いようにはしない。」
「い、いや……」

後退りするも、背後は壁。逃走の手立てを考える間もなく、ディアナは壁に身体を押し付けられた。

「断るのなら手荒な真似をすることになる。」

ディアナは気圧されながらも首を振り、拒絶の意を示す。
その様子を見、ジークはディアナの両手を掴むと、聞き取れないほど小さな声で何かを呟いた。

「あうっ!!」

瞬間、掴まれた手を中心に猛烈な痺れがディアナを襲う。身体に力が入らず、その場に座り込んでしまった。
その身に受けたのは、神経への干渉魔法。麻痺状態に陥っていた。
ジークは指先すら動かすことのできない状態のディアナを押し倒し、その身体に手を伸ばした。

「やっ……やめて!」
「止めて欲しいなら要求を呑め。」

既に下腹部より不快な感覚を覚えていた。このままでは手込めにされるのは必至だった。

47偽悪的征服録 Ep.3:2010/05/04(火) 22:41:57 ID:Vup45ksR BE:400383353-2BP(0)
「母様を殺した人になびくわけが……!」
「……ならば力ずくで手に入れる。」

ジークは言いつつディアナの下着を剥ぎ取ると、自分のものをそこに突きつける。

「もう一度言う。俺の女になれ。」

明らかな脅迫行為を受けるも、ディアナは決して首を縦には振らなかった。

「や、やめて、おねが……ああぁっ!!」

言葉を発している最中に、不意打ちのように身を貫かれる。
すぐに、何度も腰を強く叩き付けられた。

「あっ!あぁっ!いやぁ!!」
「……。痛がらないんだな。」

ジークの目の色が変わる。そのまま強く腰を引き寄せられ、色々な角度から執拗に何度も突き回された。
その時々の条件に対する反応を見られているようだった。

「や、あぁっ!ん……!」

ロイドに散々蹂躙し尽くされたその場所がばれないように、出来るだけ声を殺す。
ジークはそれに気付くとディアナの表情をじっくりと観察し始める。
的確にディアナの最も嫌がる場所を探り当てると、確認するように何度も強く突き上げた。

「ああっ!あんっ!や、やめ……!」

ディアナは目を固く閉じ、直に訪れるであろう更に過激な凌辱を覚悟するも、彼の取った行動は予想とは正反対のものだった。
正確に狙いを定め、それなりの速度でそこを突く。それは決して激しいものではなかった。

「んっ……あ、ぁあっ!」

ジークは何も言わずに淡々とディアナを突き続ける。
ロイドに無理やり味わわされた、気が狂いそうになるような快楽ではない。
耐えられそうで耐えられない、その身に溜め込まれ、決して絶頂には届かない快楽。
神経を磨耗する凌辱だった。

「は……あぁっ……!お…お願いっ……、やめっ……!」
「何度も言わせるな。受け入れるなら止めてやる。」
「……っ!!」

ディアナがどれほど懇願しようとも、ジークは無言で犯し続ける。

「や、あぁぁ……っ!や、やだっ……」
「…………」
「っ……そ、それ、辛いの……!」
「……そうか」
「いや……あ、ああぁっ!!」

何を言っても全く取り合って貰えない。
身体的快感と精神的不快感に苛まれ続け、ディアナは始終辛そうな表情を見せたが、決してロイドを裏切るようなことはしなかった。

長時間に渡り喘ぎ続けるディアナに疲労の色が見え始めた頃、ジークは唐突に口を開いた。

「……ディアナ。耐え続ければいずれ解放されるなどと思うな。」
48偽悪的征服録 Ep.3:2010/05/04(火) 22:45:23 ID:Vup45ksR BE:240230333-2BP(0)
言うとすぐに回復魔法を唱え、自分共々その身体を癒す。
回復したのは体力。磨り減らされた精神力が癒されることはない。
ディアナは下腹部の圧迫感が増す感覚を覚え、顔色を変えた。

「いや……!もういや……!」
「承諾するか?」

ジークは頑なに首を振るディアナをその瞳に映すと、再び無言を決め込み僅かにその速度を上げる。

「あっ!ぁ、ああっ!や……」

身体が癒されたことにより、絶頂手前でくすぶり続ける快楽がより鮮明になる。
それはどれほど耐え続けても決して尽きることはなく、ディアナの精神を限界まで追い込んでいった。

「っ……!!も、いや……!助、け……、ロイド……」

ロイドの名を口にした瞬間、中を勢い良く穿られ、ディアナは思わず絶叫する。

「あっ……あああぁぁっ!!」
「こういう状況で他の男の名を呼ぶものじゃない。」

ディアナはここで初めて絶頂を迎えるが、それは一度では済まなかった。

「いやあぁっ!やめてぇっ!!」
「何か言うことはないのか?」


彼は未だに動きを止めない。ディアナは泣きながら謝罪の言葉を口にするが、それでもその動きは止まらなかった。

「他に言うことがあるだろう。」
「ああぁっ!お、お願い!いやああぁっ!!」
「…………」

そのまま一切折れずにいると、有無を言わさず暫らくの間泣き喚かされ、再び心身の衰弱を目的とした凌辱に一転される。無論、回復も忘れない。
快楽の蓄積の強要が再開された。いっそのこと気を失いたかったが、それは決して許されなかった。


終わりなき凌辱が、延々と繰り返された。
ディアナに束の間の休息が与えられたのは、それから半日後。日が変わった頃だった。

「……上手く手懐けられたものだな。少し休ませてやる。よく考えることだ。」
「…………」

最早返事をする気力もない。
ジークはぐったりとして動かないディアナを見遣ると、部屋から姿を消した。

身体の痺れはとうに消えていたが、逃げ出す気力など残されてはいない。
疲弊し切った身体が、休息を欲していた。ディアナは目を閉じると、すぐに眠りに落ちた。


49偽悪的征服録 Ep.3:2010/05/04(火) 22:46:56 ID:Vup45ksR BE:373691827-2BP(0)
数時間後、たいして疲れも取れないうちに名を呼ばれ目を覚ます。

「ディアナ。起きろ。」

目を開けても、あまりの疲労感に身体が動かない。
そうしているうちに未だ乾いていないそこへいきなり挿入され、奥深くを突かれ始めた。
唐突に与えられ始めた快楽に悶えながらも、意識がはっきりせず、目の前の人物を認識できない。

「んっ……!あっ……ロイ、ド……?」
「……おまえは」

強く腰を掴まれる。

「一度言うだけではわからないのか?」

突如強烈な快楽が身を貫き、ディアナはようやく自分の状況を理解した。

「いっ……あっ!ああぁぁっ!!」

乱暴に突き上げられ、捏ねられ、掻き回される。
ディアナは何とか謝罪するが、今度はなかなか許されなかった。

「いやあぁっ……!ごめ、なさいっ……ああぁっ!!」

ジークは謝罪など一切聞き入れず、しばらくの間一方的に激しく攻め立てる。
気絶寸前までディアナを追い込むと回復魔法を唱え、その動きを止めた。

「で、気は変わったか?」
「…………」

ディアナは激しく息を切らし暫らく何の反応も示さなかったが、残された力を振り絞るように弱々しく首を振った。

「……強情だな。母親にそっくりだ。」

言うと、彼は再び責め苦を与え始める。

「ついでに言っておく。助けは期待しない方がいい。奴の力ではここへは来れない。」
「っ……!」

ことごとく希望を奪われ、屈服を強要をされ、ディアナの口から漏れる苦しげな声も酷く弱々しいものとなっていた。


その日は回復魔法に物を言わせ、朝から晩まで犯され続けた。休息は与えられたが、それは再び襲い来る凌辱に対する恐怖心を煽るだけのものだった。
深夜になり、ジークはディアナの著しい衰弱を確認すると、睡眠の確保も兼ね一旦その場を離れた。
朝の一件以来一度も達せられず、行き場のないもどかしい熱に苦しまされていた。要求を断るとどうなるか、存分に思い知らされた。次を耐え抜く自信はもうなかった。

「……ロイド」

ディアナは彼の存在だけを希望に、深い眠りに落ちる。
その頬には涙が伝っていた。
50名無しさん@ピンキー:2010/05/04(火) 22:48:16 ID:Vup45ksR BE:320307326-2BP(0)
以上、続きます。

偽悪がテーマなのに完全に悪者になってしまった……
だが気にしない。
51名無しさん@ピンキー:2010/05/04(火) 23:14:13 ID:4zsCBP+7
ディアナちゃんは健気で可愛いなぁ
寝取られはやはり悔しいと思うがこれはこれで
しかしなんという虐めがいのある女の子
52名無しさん@ピンキー:2010/05/04(火) 23:43:42 ID:6GQvpbiB
>>24の肝っ玉母ちゃんから子は鎹状態で
妊娠できないと思っていたら毎晩の陵辱でご懐妊
子供ができたことで優しくする理由ができた男は態度を改めたりして
女も最初は難色を示すものの理由が理由だけに大人しく受け入れたりして
あとはうまいこと誤解さえとけばハッピーエンドいけるんじゃねとか妄想書き込もうと思ったら

続きキター
ディアナたんかわいいよディアナたん
Sっ気をうまい具合に刺激してくれるなw
個人的にはエロ以外も楽しみだGJ!
53名無しさん@ピンキー:2010/05/04(火) 23:49:20 ID:4zsCBP+7
>>52
貴方のその妄想も詳しく書いていきなされw
54名無しさん@ピンキー:2010/05/05(水) 00:44:36 ID:libkcR/q
>>41-49
これロイドに奪還された後もやっぱりロイドに陵辱されちゃうんだよね
俺の苛められっ娘センサーがそう言ってるの
嫉妬に狂ったロイドさんが早く見たい
55名無しさん@ピンキー:2010/05/05(水) 02:06:17 ID:s0NRMMZu
ディアナタンの新作ktkr
相変わらずかわいいディアナタンが寝取られるとか最高です
乙でした。続き楽しみにしてます
56名無しさん@ピンキー:2010/05/05(水) 02:20:41 ID:OeMerm5k
今回もディアナたん虐めてオーラ全開だね、これは鬼畜にならざるおえない
57名無しさん@ピンキー:2010/05/06(木) 00:24:54 ID:/4v22E39
ディアナちゃんは健気で可愛くて素晴らしいと思うがその行動全てが男の可虐心を煽り立てているな
でもディアナちゃんってドM臭いしそれでも良いのか?w
58名無しさん@ピンキー:2010/05/06(木) 22:53:35 ID:GM4Tl22k
>>49
ここでまさかの誤字…
×屈服を強要をされ
〇屈服を強要され

保管庫管理されてる方、気がついたら直して下さると嬉しいです…

てかちょっと改行多いかな。台詞前後の改行止めるか。


ところで>>8以降の話はどうなったw
59名無しさん@ピンキー:2010/05/06(木) 22:57:36 ID:19eXbY48
>>58
投下されたら話が一時分断されるのもありがちな話
貴方が妄想ネタを突っ込むとまた盛り上がるかもよw
60名無しさん@ピンキー:2010/05/06(木) 23:12:47 ID:GM4Tl22k
>>59
燃料投下するとディアナを虐めるネタが減るんだよなぁ…。
続き物だしネタばれになってしまう。
まぁ、別にいいのか?w
61名無しさん@ピンキー:2010/05/06(木) 23:17:45 ID:jo5hU/+3
>>58
どうしても修正したいなら、保管庫の連絡用スレでお願いするといいよ
62名無しさん@ピンキー:2010/05/07(金) 02:03:43 ID:y4Sv/av6
>>61
どうしてもってわけじゃないけど、了解した。ありがとう。
63名無しさん@ピンキー:2010/05/08(土) 01:59:11 ID:DQ/fJw/E
嫉妬ロイドが楽しみすぐる
64名無しさん@ピンキー:2010/05/08(土) 02:20:51 ID:aKcHcqCW
>>60
何雑談ネタと投下されたSSのネタが被ってるなんてありがちありがちw
楽しみにしてますおw
65名無しさん@ピンキー:2010/05/10(月) 21:14:21 ID:loMiZ56h
ほす。

えーいディアナたんはまだか!
66名無しさん@ピンキー:2010/05/11(火) 00:03:19 ID:EvgcFeKS
>>63
わざわざ寝取られ展開にしたあたりロイドさんを嫉妬の波動に目覚めさせる為だろw
母親の仇に陵辱され好きな男に陵辱されディアナたんも大変だ
67名無しさん@ピンキー:2010/05/11(火) 00:44:06 ID:19IlMZce
あんまり商業作品に愛するが故に無理矢理・・・みたいな展開ってないな。
小説版仮面ライダー555とかはあったけど
68名無しさん@ピンキー:2010/05/11(火) 02:23:11 ID:ZOJiOHvE
少女漫画とかは結構多いけどねー、しかし未遂に終わることも多い。

「リョウ」の12巻で兄の頼朝に襲われる義経(女)とか
「天は赤い河のほとり」で皇太子とか隣国の将軍とかに
しょっちゅう攫われたり襲われてぎりぎりの状態になるユーリとか

この二つは読んでてゾクッときたな〜。
漫画の話自体もドラマチックで面白いし、お勧め!
まあ両方とも未遂だけど。
69名無しさん@ピンキー:2010/05/11(火) 02:39:13 ID:5bDaStSg
他スレだけど、グレンラガンの保管庫にある黒艦長シリーズはまさに愛するが故で超萌えた。

自分の中でディアナたんは久々の超ヒット。
次回、ロイド登場が楽しみでしかたない。

誰か挿絵とか描いてくんないかなー
70名無しさん@ピンキー:2010/05/11(火) 08:21:27 ID:EvgcFeKS
>>68
まぁ、少女漫画とか女性向けラノベにありそうなシチュだしね
陵辱エロゲと少女漫画と女性向けラノベが好きとかなら間違いなくこのシチュを楽しめるw
71名無しさん@ピンキー:2010/05/11(火) 09:16:35 ID:hzIq4ERk
男向けだとヒロインもこっちを憎からず思ってるのがたいていだからなぁ。
脇でそういうネタが出る事はあってもあんまりクローズアップされないし。
72名無しさん@ピンキー:2010/05/11(火) 14:09:16 ID:RUow8idw
>>68
そういえば、ふしぎ遊戯の二部あたりはまさに愛故に…展開だったな。やっぱり未遂で終わってたけど
73名無しさん@ピンキー:2010/05/11(火) 15:10:11 ID:EvgcFeKS
現実世界はともかく創作物では好きな女を犯して陵辱して調教するのは良い事だよね
だって愛なんだもの
74名無しさん@ピンキー:2010/05/11(火) 15:45:30 ID:+ARzHaOf
>>69
他スレSS紹介は職人さんや他スレに迷惑かける可能性あるから禁止になったよ
気をつけてね
75名無しさん@ピンキー:2010/05/12(水) 00:02:02 ID:hzIq4ERk
男の方が一方的な行動に出るとなると、物語の構造的に、女主人公なら
「気づかない内に想いを寄せられてた」て事で比較的楽に演出できるが
男主人公だと「相手が気づかないうちに思いをつのらせて」になるから、
前振り長々やる必要が出てそれ自体がテーマの話じゃないと難いんだよな。
76名無しさん@ピンキー:2010/05/12(水) 00:07:29 ID:rdr+GpiK
>>75
そうか?男主人公が想いを募らせてるのをみるのも楽しいけどw
まぁ、俺は男主人公でも女主人公でも楽しめるが
77名無しさん@ピンキー:2010/05/12(水) 00:19:44 ID:97syqjmN
いや、女向けの作品に要素として出てくる事は多いけど
男向けだとあんまないよね、て流れに対しての話だから。

このスレにいる時点でそりゃ俺らは楽しめるさ。
78名無しさん@ピンキー:2010/05/12(水) 01:29:16 ID:ALEwaVA8
何とか仕上げたがもうダメだ、眠い…
明日には投下してみせる。

あまり見ないようなシチュエーションとして考えてたんだが、女向けにあるのか。
見なかったのは女性誌読まないからか…w
79名無しさん@ピンキー:2010/05/12(水) 09:46:52 ID:F5Ul0DRA
>>78
期待sage
80名無しさん@ピンキー:2010/05/12(水) 19:36:16 ID:e023xN5I
>>78
超期待

ちなみにこの手のシチュが好きなら
少女漫画と女性向けラノベは確かにお勧め
81名無しさん@ピンキー:2010/05/12(水) 22:40:28 ID:ALEwaVA8
>>80
でも未遂に終わるのはなぁ…


相変わらず規制解けませんが投下します。
ご感想を沢山頂きありがとうございました。
会話前後の空行止めるとか言いましたが今更構成変えるのも微妙なのでそのままです。

【事前の一言】
・嫉妬の声が上がってたので取って付けたように嫉妬させてみた
・言うまでもなく鬼畜展開

以降、投下します。
82名無しさん@ピンキー:2010/05/12(水) 22:42:23 ID:5t1Zz4tN
期待age
83偽悪的征服録 Ep.4:2010/05/12(水) 22:47:40 ID:ALEwaVA8
夢を見た。白く眩い光が目の前に迫っていた。
その光の中から、錫杖を携え白い法衣に身を包んだ女性が現れた。
彼女はゆっくりと歩み寄り、疲れ切った身体を起こす。
熱を帯びた身体に触れる冷たい手が、とても気持ち良い。
夢うつつに薄っすらと目を開けると、美しい銀色の髪が頬をくすぐった。

「相当体力を消耗していますね」

……夢ではなかった。
その女性は回復魔法を唱え、見るからに衰弱しているディアナの疲れ切った身体を癒すと、静かに立ち上がった。

「あなたは……?」
「ハイプリースト。破魔を専門とする魔道士です。」

名を聞いたつもりが、職業を答えられる。

「あなたの救助要請を受けています。見つかる前に早くこちらへ。」

ディアナは手を引かれ、空間を裂いて輝く白い光の中へと導かれた。
すぐに視界が開け、鬱蒼と樹木が生い茂った森の中に降り立ち目にしたのは、片時も頭から離れず思い焦がれていた人物。
ハイプリーストと名乗った女性はすぐに、眩く光り続ける空間の裂け目を塞いだ。

「随分時間が掛かったな。」
「結界の先に強大な魔力を感じました。勝手ながら、その気配が消えるのを待たせて頂きました。」
「戦うのは俺だろうが……」
「最初に迎撃されるのは私です。シルヴィリアの人間と遣り合うなんて冗談ではありません。」

ディアナは自分の身に起きたことをいまいち理解できず、2人のやり取りをただ呆然と眺めていた。
わかったのは、ロイドの差し金で自分が助けられたのだということ。
いつも通りだった。彼はどれほど都合の悪い状況であろうと、最後は身を挺してでも助けて出してくれる。

「すまない。これは俺の失態だ。」
「…………」

向き直って詫びるロイドの顔をじっと見ていた。
再会できた嬉しさに今にも泣き出しそうな心持だったが、涙も声も出ず、ただ震えているだけだった。
生き地獄とも言えるほどの苦しみから解放されたという事実も、あまりに突然すぎて信じられなかった。

「ディアナ?……何かされたのか?」

ディアナははっとしたように首を振る。
ジークを庇ったわけではない。ロイドに他の男と関係を持ってしまったことを知られたくなかった。
その様子を見ていた銀髪の白い女性が、ふと何かに気付いたようにディアナを呼び寄せる。

「ディアナさん。ちょっといらっしゃい。」

84偽悪的征服録 Ep.4:2010/05/12(水) 22:49:48 ID:ALEwaVA8
まじまじと胸元を覗き、何かを理解した様子で半歩退くと、解呪の言霊を紡ぎ出す。
それに伴い、胸に刻まれていた魔封じの印は跡形もなく消え去った。

「サービスです」

彼女はそう一言残しロイドに顔を向ける。

「この場所にまだ空間の歪みが残っているはずです。感付かれる前にここを離れましょう。」

今になってようやく、助かったのだという実感が沸いて来た。
ディアナはうずうずした様子でロイドに視線を送り、小さくその名を呼んだ。

「ロイド」
「何だ」
「抱きついていい?」
「…………」

わざと媚びるような目つきで見つめ、期待通りの返答を要求する。

「行くぞ」

あっさりと一蹴され残念そうに肩を落とすディアナを余所に、白い法衣の女性が移動魔法を唱えた。
すぐに景色が変わり、全く知らない街の風景が目に入る。
そのまま酒場へ連れられると、また別の見知らぬ女性が帰りを待ち侘びていた。
細かく波掛かった褐色の髪を高い位置で結い、その身に羽織っている革のジャケットがとても似付かわしい。
加えて色っぽい雰囲気まで兼ね備え、ディアナは思わず見惚れてしまった。

「成功しました。私の役目はここまでです。では。」
「はい、お疲れ様。」

白い女性は振り返ることもなくそのまま消え去ってしまい、やっと我に返る。

「あ、お礼言ってない……」
「いいのよ、仕事なんだから。」

その女性はグラスを持ちながら屈託のない笑顔でディアナを迎えた。

「用は済んだ。帰れ。」
「…………」

その笑顔も、ロイドの一言で引き攣った表情に一変していた。

「ロイド……、あんたは礼の1つくらい言いなさい。」
「礼?金なら払っただろ。」
「あの……、誰?」

ディアナが仲裁するように口を挟むと、彼女が率先して話し掛けて来る。

「あたし、某情報結社のメンバーなの。さっきの白い子も。今回みたいな請負もたまにやってるのよ。あたしのこと、ここではクレアって呼んでね。」
「いいから帰れ。もう用はない。」
「こっちがまだあるの!」

クレアはロイドを怒鳴りつけると、再びディアナに向き合い満面の笑みで問い掛け始める。

「あたし、以前こいつに協力して散々な目に遭ったの。こいつの性悪さはよーく知ってるのよ。ねぇ、ディアナさん。あなた何でこんなのと一緒にいるの?」

85偽悪的征服録 Ep.4:2010/05/12(水) 22:51:54 ID:ALEwaVA8
彼女の持つ独特の空気に圧され、何も言えずにたじろいでいると、ロイドに頭を掴まれ彼女から引き離された。

「答えるな。こいつらに余計な情報を与えるな。」
「あんたがこんなか弱そうな女の子連れるなんて裏があるとしか思えないのよ。この子何かあるの?」
「何もねえよ。」
「じゃあ恋人?好きなの?」
「まさか。」

無意識のうちに表情が曇る。
クレアはそれを目に留めると、グラスの酒を飲み干し満足気に引き下がった。

「ふーん……、まぁいいわ。あとこれ、あたしらのボスからあんたに。」

ロイドに投げ渡されたのは、小さな無線通信機。

「あいつに直接繋がるわ。次からケルミスに直接依頼しなさい。間違ってもあたしに連絡しないでね。」

話の流れから察するに、ケルミスというのは『ボス』のことのようだった。

「……?随分と好待遇だな。」
「金づるだから。」
「…………」

ある意味納得したような面持ちで、ロイドは通信機に何も細工されていないことを確認し懐に納める。

「冗談。面倒な依頼ばっかりしてくるからよ。あの子だってあたしが直接頼んでも動かないんだから。」
「あの、クレアさん。助けて頂いてありがとうございます。」

ディアナは全く途切れる気配のない会話に何とか割り込み頭を下げると、クレアはその頭を撫でながらロイドに悪態をついた。

「あなたは可愛げがあるわね〜。爪の垢でも煎じてこいつに飲ませてやりたいわ。」
「もう用はないだろ。帰れ。」
「わかってるわよ!じゃあね、ロイド。もう二度と会わないことを祈ってるわ。」

しつこく退散を要求するロイドにひらひらと手を振ると、彼女は酒場の扉へと向かった。

「クレア。ちょっと待て。」
「……帰れって言っといて、今度は何。」

煩わしそうに振り向くクレアに構わず、彼が懐から取り出したのは一枚の小切手。
備え付けられていたペンを紙面に走らせると、指に挟んで彼女に突きつけた。
クレアはその額をちらりと見ると、すぐにロイドに視線を戻す。

「何?この額。謝礼?」
「なわけねえだろ。口止め料だ。ディアナの情報は掴んでも一切売るな。」
「……ケルミスに伝えておくわ。じゃあね。」

クレアは小切手を受け取ると踵を返し、酒場から出て行った。
人ごみに紛れ見えなくなるまで、ディアナは相変わらずその後ろ姿に見惚れていた。
ロイドはすぐに、動かないディアナの腕を引っ張り宿へと連れ出す。

86偽悪的征服録 Ep.4:2010/05/12(水) 22:56:01 ID:ALEwaVA8
知らない景色を眺めつつ、それなりに栄えた街だと思った。
取られていた宿も、それなりにしっかりとした部屋だった。

「アルベニアの一件もある。しばらくおとなしくしてるぞ。」
「うん……」

ディアナは扉を閉め、自分に背を向けている彼を見つめる。
街の喧騒から一転して静寂に包まれ、嫌でも頭が冷める。
先ほどまで自分の身に起きていたことを急に思い出し、居た堪れない気持ちになった。

「ロイド」
「何だ」
「抱きついていい?」
「…………」

またか、とでも言いたげな面持ちで振り返るロイドに、ディアナは返事も待たず飛び付いた。
背伸びをして首に腕を回すその姿は、抱きついていると言うよりもしがみ付いていると言う方が正しい。
すぐに引き剥がされるかと思ったが、意外にも黙って身を貸してくれている。
込み上げる感情を必死に抑え、しばらくの間彼に密着したまま離れずにいると、ぽつりと小さく呟く声が聞こえた。

「……疲れないか?」
「疲れる……」

ロイドはそれでも離れないディアナの背に仕方なさそうに手を回し、何気なく腰まで撫で下ろすと、何かに気付いたようにそこで手を止めた。
探るように、そのままゆっくりと手を下まで下ろされる。

「……!?」

ディアナはロイドが何を探ろうとしているのかに気付き慌てて離れようとするが、急に強く抱きすくめられそれは叶わなかった。
なぞる様に、スカートの中を直に撫でられる。

「……下着はどうした」
「……お、落とした……」

苦し紛れの言い訳に、訝しげな表情で顔を覗かれていた。
気まずい沈黙を誤魔化すように軽く笑ってみせると、急に身体を抱きかかえられ無造作にベッドに下ろされた。
膝を挟まれ足を閉じることができずにいると、すぐに指を奥まで差し入れられる。

「えっ……!?あっ……」
「何故こんなに濡れている?」

気が動転し、うまく答えることができない。

「おまえ、何もされてないって言ったよな。」
「う……、うん……」
「じゃあこれは何だ。」

わざとらしく音を立てて中を掻き回され、折角収まっていた熱が再び込み上げて来る。

「う、あっ……、あ、あのっ……!ひ、独りで……」
「……独りで?」

うろたえる余りとんでもないことを口走りそうになっていることに気付き、ディアナは慌てて首を振った。
87偽悪的征服録 Ep.4:2010/05/12(水) 22:57:45 ID:ALEwaVA8
「してないっ!」
「……で?これは?」

耳を付く卑猥な音が更に大きくなり、ディアナは恥辱心と急激に膨れ上がる快感から何も言えずにいた。
既に十分過ぎるほどに熱を溜め込まれているその身体は、すぐに火照り薄桃色に染まる。
ロイドはなかなか口を割らないディアナに業を煮やし、腰のベルトを緩めに掛かった。

「や……、待って!今は駄目!」
「今は?」

指だけでも達しかけたその身体に強いられる、彼の無遠慮で強引なその行為は想像するだけでも耐え難い。
まだ身体の自由が利くうちに、ディアナは何とか今の状況を脱しようと起き上がりベッドから這い出ようとする。
が、難無く捕まり乱暴にベッドに突き飛ばされ、両腕を捻り上げられた。

「……縛られたいか?」

いつもと異なり静かな物言いをする彼に、ディアナは思わず畏縮した。
何も言えずにいると首元に手を添えられ、なだめるように親指で頬を擦られる。
その行為に怯え目を逸らすと、思い切り腰を打ち付けられた。

「ああっ!!」

息をつく間もなく何度も突き上げられ、程なくしてその速度が急激に上がる。
溜まりに溜まった熱が次々と解放されるかのように、ディアナは立て続けに何度も達した。
ロイドはすぐに動きを止め、苦しげに息を切らすディアナを見咎める。

「何もされていない割りにやけに早いな。」

意図が分からなかった。
勘の鋭い彼のこと。一体何をされたのか、どれほど酷い目に遭わされたのか、今までの行動から既に察しているはずなのに、何故わざわざ吐かせようとするのか理解できなかった。

「ディアナ。いい加減白状しろ。」

涙ぐみながらも首を振る。どうしても言いたくなかった。
他の男の手が付いた女だと認めてしまったら、もう旅路を共にできなくなるかもしれないと思っていた。
そして何よりも、全てを奪われかけたあの恐怖を思い出したくなかった。

「目を背けるな。全て吐き出せ。」
「…………」
「原因を作ったのは俺だ。別に責めるわけじゃない。」
「だって……」

辛そうに言い淀むディアナを後押しするように、ロイドは現実を突き付け続ける。
何となく、彼なりにトラウマを払拭させようとしているのだと感じた。
手馴れた感じがするところを見ると、ラストニアでも似たようなことをして来たのだろう。

88偽悪的征服録 Ep.4:2010/05/12(水) 22:59:18 ID:ALEwaVA8
「認めるか?」
「…………」

ディアナは震えながらしばらく黙っていたが、観念したように小さく頷く。
すると、途端に抑えていたはずの涙が溢れた。
慌てて拭おうとすると、その手は静かに押さえられた。

「それでいい」
「っ……!」

声を殺して涙を流すディアナに、ロイドは優しく口付ける。慰めるように頭を撫でられた。
全てを受け入れられたような心地に、僅かながら気持ちが軽くなった気がした。
しかし、それも束の間。落ち着いて来たところで唐突に腰が動く。
勢いの伴わないその動きに、泣き叫びながらも犯され続けた苦い記憶が蘇った。

「やっ……!?やだっ!いやぁ!!」
「……今度はこっちか。世話が焼けるな。」

固く目を閉じながら暴れるディアナを気遣うように、ロイドは力を入れずに突き始める。
それは正しく、先ほどまで受けていた精神を食らい尽くすような陵辱に似たものだった。
ディアナは一層錯乱し涙を零して彼を拒むが、一向にやめる気配を見せてくれない。

「ディアナ。目を開けろ。相手は俺だぞ。」

薄っすらと目を開けても、涙で視界がぼやけていた。
ロイドは仕方なさそうに動きを止め、ディアナの首を持ち上げ上を向かせると、再び唇を合わせた。
それは優しく労わるようなものではなく、情欲をそそるような煽情的なものだった。

「ぅ……んんっ……!」

脳が蕩けるような感覚に堪らず身動ぎすると、唇を強く押し付けられ更に深くまで湿り気を求められる。
逃げても行く先を追われ、すぐに舌を絡み取られてしまう。
やがてディアナがぼんやりと熱に浮かされたような表情を見せると、ロイドは唇を離しもう一度腰を打った。

「んっ……」

同時に口から出たその声は、自分でも信じられないほどに甘いものだった。
その後も突かれる度に、顔を覆いたくなるほど聞くに耐えない声が漏れ、ディアナは赤面する。

「ロ、ロイド……」
「何だ」
「やめて……」

あまりの恥ずかしさに耐えられず、口を押さえ顔を背けていると、それを見たロイドが僅かに笑ったような気がした。
彼の笑みからは嫌な予感しかしない。そしてこの状況下において、その予感が的中しないはずがない。
89偽悪的征服録 Ep.4:2010/05/12(水) 23:01:28 ID:ALEwaVA8
息を呑むと、すぐに全身を痛烈な快感が襲った。
嫌という程経験させられた、絶頂の連続。それを覚悟しなければならなかった。

「っ……、や、あ!ああぁっ!!」

突然始められた激しい抽送に、先ほど果てたばかりにも関わらずディアナはすぐに絶頂を迎えさせられた。
無論それだけでは収まらず、何度か突き上げられる度に簡単に果てる。

「いっ……!あ、あぁっ!!いやぁっ!!」
「……随分溜まってんだな」

泣こうと叫ぼうと、その身体に溜まった熱を全て出し切るまで休息は与えられなかった。
ディアナは彼が動きを止めるまで、苦しいほどの快楽に喘がせられ続けた。もう頭が真っ白になっていた。

「いい、もう、いいっ!!やめっ……!!」
「まだだ」
「いやっ、だめ……!あ、あああぁぁ!!」

大きく身を反らせ、長い痙攣を経る。
今となっては、彼との情事の方がよほどトラウマものだと思った。

「楽になったか?」
「…………」

楽になるどころか、あまりの脱力感に身体が動かない。
乱れた呼吸が整うまで、ロイドは何もせずに黙ってディアナを見つめていた。
身を案じるような人ではない。彼が身動き一つせずに黙り込む時は、大体何かを良からぬことを企んでいる時だ。
今この時も例外ではないと思ったが、身体のほとぼりがなかなか収まらず、そこまで気を回すことはできなかった。

「まだ辛いか」

恐怖心は和らいでいたが、ディアナは小さく頷いた。
そうしておかなければ、また酷く身体を求められてしまうと思ったからだ。

「手っ取り早く忘れさせてやろうか。」
「……?」
「受けた屈辱を遥かに超えるような精神的重圧を与えてやる。」

とんでもないことを軽々と言って退ける。
所謂ショック療法。荒療治にもほどがある。
ロイドはディアナの両足を腕で抱え、身体を二つ折りにするように覆い被さると、暴れさせないよう体重を掛け両手を掴んだ。

「え、やだ……!こんな格好……」

ディアナは再び顔を赤くして抗議するが、それを黙らせるかのように強く突き込まれ、不本意ながら口をつぐむ。
体勢のせいか、先ほどよりも深くまで至っている気がした。

「死ぬほど辛くなったら言え」

ロイドはそう言うと、いきなり中を抉るように掻き回す。

「ああぁぁっ!!」

90偽悪的征服録 Ep.4:2010/05/12(水) 23:02:58 ID:ALEwaVA8
上擦った声が上がった。口をつぐもうにも両手の自由は利かず、抑え込む余裕もない。
溜め込まれた熱を出し切り、多少の休憩が与えられているその身体は簡単には達せられず、改めて与えられ始めた快楽を甘受することとなる。
どうしても慣れることができないその行為に、ディアナは身動き一つできず悶え続けた。

「う、ぁあ……っ!ロイド、辛い……」
「見え透いた嘘をつくな」

掴まれている手に力がこもると同時に、突然最奥をぐりぐりと押し込まれる。
感覚が無くなりそうな程に過ぎる快楽が、全身を襲う。

「っ!!ぁああぁっ!!」

反射的に両手を振り解こうとするが、掴まれる力の方が圧倒的に強く微動だにしない。
一際高い声を上げるディアナを見受け、ロイドは一層勢いを強めた。

「やああぁっ!いや、だめ、つら……ぁぁあああっっ!!!」

辛い、と言い掛けると、殊更動きを激しくされる。何度お願いしてもそれは変わらなかった。
わざわざ逃げ道を提供し、それに縋り付くと徹底的に叩く。実に彼らしいやり方だった。
再び強制的に果てさせられたその身体は、尋常でない快楽に悲鳴を上げるかのように、途絶えることなく震え続けていた。
ロイドは狂ったように喘ぎ続けるディアナから、余力を奪うようにゆっくりと速度を上げ、更に大きく喘がせる。
身を強張らせ息を止めて耐えていると、押し込まれたままいきなり荒々しく掻き回された。

「いやああぁっ!お願……!っ……────っ!!」

仰け反り、最早声も出ない状態で果てるディアナの様子を窺い、ロイドはようやく動きを止める。
これ以上続けられると間違いなく失神していた。
それでも休む暇すら与えられず、ロイドはすぐに肩で息をするディアナを弱く、ゆっくりと突き始める。
気を失わないように細心の注意を払いながら、ディアナの体力がある程度戻るまで続けられた。

「やだ……、もう、やめて……」

ディアナが消え入りそうな声で解放を訴えると、ロイドは表情一つ変えず速度を上げた。

「い、いやぁ……、お願い……、無理、もう無理……」
「我慢しろ」
「だめ……、もう……!ぁ、あっ……、あああぁぁっ!!」

91偽悪的征服録 Ep.4:2010/05/12(水) 23:04:42 ID:ALEwaVA8
即座に奥深くを闇雲に突き立てられ、弱々しい声しか出なかったディアナの口から大きな嬌声が上がった。
時折弱まる勢いに気を抜かされると、何の前触れもなく突然激しく突き上げられる。
その度に身体が跳ねそうになるが、身体をベッドに押し付けられているためそれもできない。
両手は一切の動きを許されず、身を捩ろうとすると必要以上に激しく犯され、妨害される。
身体が自然に発する反応を全て封じられているのがとても辛かった。

「はぁ……、あぁっ……!は、早く……、終わらせ……」

言い掛けた途端揺さぶるように荒々しく突き立てられ、もう何度目かもわからない絶頂に達した。
そしてその動きも、そう簡単には止めてくれない。

「いやあっ!!お願いっ!!もうだめ、辛いの!!」
「……本当か?」

彼が他人の言葉に耳を傾ける時も、ろくなことがない。
頭ではわかっていても、耐え難い絶頂の連続で思考が停止し、ただ頷くことしかできなかった。

「じゃあ我慢しなくていい。楽にしてやる。」
「え……ぁ、ああっ!!や、あぁあああっ!!」

最奥を徹底的に突かれ、果てれば果てるほどその速度は増す。
いくら泣きついても情けの一つさえかけて貰えない。
再び失神寸前まで追い込まれるが、今度は止まってくれなかった。

「っ……ぁっ……い、やっ……!!」

目の前が真っ白になったかと思うと、突如視界が暗転した。
が、すぐに瞬間的な痛みを感じ目を開けさせられる。

「大丈夫か?」

両手で頬を挟まれていた。思い切り叩かれたようだった。

「大丈夫なわけ……」
「大丈夫そうだな」

一度達したのか、抜かれていたそれを再びこじ入れられ、またもや抽送を開始される。

「う、あ……、もう、やだ……」

力無くロイドの肩を押し返そうとすると、再びその手を掴まれベッドに押し付けられた。
限界などとうに超えている。一方的に与えられ続ける快楽が、苦しくて仕方が無かった。

「いや、もう……、どうして……、こんなに……、っ!」

懸命に身動ぎしようとするディアナに見向きもせず、ロイドはしばらく黙っていたが、不意にほとんど聞き取れないほど小さな声で呟いた。

「……どうせこの程度じゃ済まなかったんだろ。」

92偽悪的征服録 Ep.4:2010/05/12(水) 23:06:12 ID:ALEwaVA8
耳元で小さく聞こえた本音とも取れる言葉。それきり、彼は口を閉ざした。
今までの言動は全て、ただの口実なのではないかとさえ思った。

「どういう……んっ、あっ、あ、ああぁあっ!!!」

その先を言わせまいとするように、ロイドはディアナが最も声を上げるその場所を突く。
まるで吹っ切れたように、力任せに腰を打ち込まれ、ディアナは狂おしいほどの快楽に溺れた。

「いやぁっ!!わ、私、何も、してな……ああぁぁっ!!」
「……少し黙ってろ」

強引に唇を奪われ、執拗に同じ場所を突かれる。
初めて身体を重ねられた夜のように、小刻みに、しかしながら重い一突きを何度も見舞われる。
あの時もこれだけは耐えられなかった。そして今も、正気を保つだけで精一杯だった。

「んっ……、っ……!!」

声が出ない。口封じのせいではない。
意に反して涙が零れた。身体が悲鳴を上げているのだと思った。
それでもロイドはディアナの様子を気にする素振りなど全く見せず、黙々と突き続ける。
固く目を閉じ手を強く握りながら、全く終わる気配を見せないその行為が終わるまで我慢し続けるしかなかった。

「──っ!!ぅ、んっ……」

徹底して突き続ける彼に、苦しさを主張するように声を絞り出す。
すると途端に腰の動きが変わった。最も辛いその場所を常に巻き込むように、滅茶苦茶に中を掻き回された。

「っ!!!んんっ!!!」

達する度に動きもしない身体を精一杯動かし、如何にその行為が苦しいかを伝えているのに全く汲み取って貰えない。
しばらく苦しまされた後、早く終わって欲しいという願いも空しく再び黙々と突き始める。
とても耐えられなかったが、抗う術も無かった。
存分に時間をかけ、ロイドはディアナを心行くまで悶えさせると、唇を離した。

「苦しいか」

ディアナは辛そうに息を吐き、縋るような瞳でロイドを見つめながら弱々しく頷いた。
彼は満足気に目を細め、またしても執拗に腰を打つ。唇はすぐに塞がれた。

「や……んっ……」

ジークの言葉が思い出された。自分などロイドの足元にも及ばないと。
彼がどうかは別として、ロイドは間違いなく度が過ぎると思った。

93偽悪的征服録 Ep.4:2010/05/12(水) 23:08:18 ID:ALEwaVA8
このままではいけないと思い、振り払うように顔を逸らすが、唇を追われ再び塞がれる。
振り払えないよう、力を込められていた。それと同時に送り込まれる快楽も強まり、ディアナは心ならずも昇り詰めさせられた。

「んっ……!!ぅっっ!!」

苦しげな声を漏らすと、僅かに唇を外し労いの言葉を掛けられる。

「疲れたか?」

表情を見せて貰えず、一見優しいその言葉が怖かった。
怯えながら頷くと、震えを止めるように手を強く握られた。

「……後でゆっくり休ませてやる。」

直後、不意に始められたのは、激情をぶつけるかのような激しい凌辱。
ロイドは上体がずれないようディアナの肩をしっかりと抱くと、力任せに、自分を刻み込むように何度もその方向へと突き上げる。
痛みを訴えても止めてもらえず、ただエスカレートするだけだった。
自分を知らしめるように強く嬲り続けられ、ディアナは身を焼くような快楽に何度も震え上がった。
名を呼んでも返事さえしない。完全に抗う意志を喪失させられ、ディアナは彼の陵辱に甘んじた。


何度果てても一向に終わる気配を見せないその行為は、まだ辺りが暗いうちに終えられた。
ロイドは珍しく息を切らし、暗緑に艶めく前髪を垂らして俯いている。
身も心も余すところなく支配され、ディアナは泣いていた。
クレアとの会話で、自分への気持ちをはっきりと否定した彼の言葉が、ずっと胸に突き刺さっていた。
わかっていたはずなのに、悲しくて仕方が無かった。

「酷い……こんなの、嫌……」

堪え切れずに嗚咽するディアナに気付き、ロイドは僅かに顔を上げると、何も言わず抱き締める。
しかしそれも、ただの一時的な慰めにしか感じられない。
自分に限らず、彼にとって女を抱くなど造作も無いことなのだ。
それでも、その思考とは相反してディアナは抱擁に応じた。
離れたくない一心で、しっかりと背に手を回した。

だからせめて、彼の暴挙は自分が止めようと心に誓っていた。

94偽悪的征服録 Ep.4:2010/05/12(水) 23:09:27 ID:ALEwaVA8
まどろみ行く意識の中、数年間のように再び絶望から救ってくれた彼への思慕の念からか、あるいは文字通り初めて寝床を共にできる嬉しさからか、不思議と心が満たされつつあるのを感じていた。
どれほど酷い扱いを受けようと、ディアナにとってロイドは絶対的な存在なのだ。


ディアナが泣き疲れて眠るまで、ロイドは一度も口を開かずに抱き締め続けていた。
小さな寝息が聞こえて来た頃、そっと腕を外しベッドから離れようとするが、どうしても背に回された腕が離れない。
無理に引き離して起こしてしまうのも悪く思い、仕方なく隣に身を落ち着かせる。
ディアナが恐怖を忘れ、安心して目覚められるよう、今日だけは抱いておくことにした。

ロイドはディアナの髪に指を絡めそれをじっと眺めながら、一時でも激情に駆られた自分を戒める。
もう当分訪れないであろう今の状況を惜しく思いつつ、ディアナの華奢な身体を引き寄せ静かに目を閉じた。

その心の裏には、愛憎の念が着実に募り始めていた。
95名無しさん@ピンキー:2010/05/12(水) 23:11:21 ID:ALEwaVA8
以上、続きますが少し間が空きます。
次の話が未完全だからです。

RPGっぽく冒険させるとエロに繋げるのが難しい…


てか気付いたら毎回寝て終わってんな
96名無しさん@ピンキー:2010/05/12(水) 23:58:45 ID:e023xN5I
ロイドさんマジツンツン
しかも独占欲もMAXなのか
ディアナたん頑張れと言わざるおえないw
次回も楽しみだ
97名無しさん@ピンキー:2010/05/13(木) 00:23:56 ID:ymxBBqUw
ロイドの漏らした本音に萌えた
ディアナも相変わらずかわいい
乙でした
98名無しさん@ピンキー:2010/05/13(木) 00:40:36 ID:umqG3Fex
こんな状態でもロイドにときめいちゃうディアナちゃんに幸せは訪れるのかw
99名無しさん@ピンキー:2010/05/13(木) 00:44:09 ID:88mDkwYd
うわ、コピペミスしてる。これだから携帯は…

>>93の最後の1文は>>94の「〜存在なのだ。」の後に続きます。
文脈に違和感覚えた方、申し訳ないです。
100名無しさん@ピンキー:2010/05/13(木) 00:51:01 ID:umqG3Fex
>>99
入れ替えて読んでみた
ディアナちゃんがますます駄目男好き、不幸属性な気がしてくるw
101名無しさん@ピンキー:2010/05/13(木) 01:00:49 ID:gnBo20U5
ディアナちゃん健気すぐる

あっちで泣かされこっちで鳴かされ
よし、もっと泣くんだっ

しかしジーク哀れ
帰ってきたらディアナたんのいない空っぽのベッドが・・・
想像するだけで俺なら耐えられない!
102名無しさん@ピンキー:2010/05/13(木) 02:33:43 ID:acxWW7C8
>>101
ジーク可哀想に
俺ならショックで引きこもる


ディアナちゃんはこの調子で酷い扱いが続くのか
股間もとい胸が熱くなるな…
103名無しさん@ピンキー:2010/05/14(金) 00:17:25 ID:g2XGhr7D
毎度ながら感想に感謝。
結構感想や雑談からネタ拾ってるのでありがたいです。

ところで逆レイプ作品もあまりないようだけど需要あるんだろうかw
104名無しさん@ピンキー:2010/05/14(金) 01:04:37 ID:7aGO4+J3
ディアナちゃんマジ健気だわ
毎回楽しみにしてる

>>103
愛があればいいんじゃないか?

今スレの>>8-16とその後のレスの流れが素晴らしい
萌え滾ってそれらのいいとこどりのベタなSS書いてる
ふと心配になったんだが、男40女18の歳の差とか大丈夫だろうか?
スレチだったら設定考え直してみる
105名無しさん@ピンキー:2010/05/14(金) 01:21:53 ID:S2cizcpE
>>103
愛があればおkと>>1も仰っておいでです
つまり全然大丈夫

>>104
むしろ年の差萌えw
投下楽しみにしてます。
106名無しさん@ピンキー:2010/05/14(金) 18:02:15 ID:oy+H5eJg
>>103
逆レイプも大丈夫

>>104
誰か>>8以降の妄想ネタでSS書いてくれないかと思ってたんで期待してます。
107名無しさん@ピンキー:2010/05/14(金) 18:56:26 ID:I3qm0V1n
>>104
あえてたのむ。
男37くらいにならないか。
108名無しさん@ピンキー:2010/05/14(金) 19:06:20 ID:7aGO4+J3
>>107
おk!
というか男も女も年齢ぼやかすか
男は三十代後半、女は二十歳前って感じで
前編中編後編で、前編投下は土日を目標にする
109名無しさん@ピンキー:2010/05/14(金) 19:50:11 ID:LIGaBA0p
期待してます!
110名無しさん@ピンキー:2010/05/14(金) 21:52:59 ID:S2cizcpE
>>108
個人的に男40女18で良い気もしますがそれはそれで年の差で良い感じですね
期待してます。
111名無しさん@ピンキー:2010/05/15(土) 00:12:48 ID:5rynHNsf
>>108
全裸で正座して待機しとくわ
112名無しさん@ピンキー:2010/05/15(土) 00:55:02 ID:qOl5+hso
>>108
107だがありがd
じゃあ>>111に暖房当てながら待ってるw
113リリー 前編:2010/05/15(土) 01:29:35 ID:lrFf477r
今ならプレッシャーで死ねる
おまえらの素晴らしい妄想と雑談に俺の文章力が追いつかない
ズコーさせてしまったらすまん

注意すべきは歳の差くらいだ
親子ぐらいの年齢差はある
元ネタは>>8以降の流れの中にすべてある
タイトルは『リリー』
前編投下します
114リリー 前編:2010/05/15(土) 01:33:18 ID:lrFf477r
 ベッドの上に押さえつけられ若い娘は必死に抵抗する。
「やめてください旦那様!」
 この屋敷の主人は右手を振り上げ、メイドの白い頬を打つ。パシンと肌を打つ音が寝室
に響く。
「汚い男に股を開けても、主人の私には股を開けないのか?私がお前を買った金はお前の
兄弟達の学費になっているんじゃないのか?それにお前は恩も感じないのか?どうなんだ、
リリー」
 リリーはぐっと下唇を噛む。貧しい一般家庭の長女として生まれたリリーは父親の死後、
幼い兄弟達を養うために体を売っていた。毎日のようにありとあらゆる男をその小さな体
に受け入れていたが、次第に兄弟達の成長に体を売った金が追いつかなくなってきていた。
そんな時にどこからともなく現れたのがヴィルヘルムと名乗る三十代半ばほどの貴族の男。
彼は自分の屋敷のメイドとして彼女を買いたいと申し出、高額の小切手を彼女に渡した。
さらに彼は将来的に兄弟の面倒を見てもいいとも言ってくれた。リリーは虫が良すぎる話
に慎重になっていたが、母親は嬉々としてヴィルヘルムの話を飲み、リリーは渋々ヴィル
ヘルムの屋敷に奉公に出ることになった。
 リリーもこの話がけして嬉しくないわけではなかった。兄弟のためとはいえ毎日男に体
を売る生活に疲れ果てていた。そんな時に突然現れた優しそうな紳士。彼のもとで働けた
らどんなにいいか。ヴィルヘルムの屋敷へとやって来て、メイドとして働くようになって
からも、ヴィルヘルムは何かとリリーのことを気遣ってくれた。屋敷の他の使用人達も年
配の者が多いせいか若く働き者のリリーを娘のように可愛がってくれた。自分のような汚
れきった女が高貴な人のお屋敷で働いていいものか、苛められるのではないかと不安に思
っていたリリーは娼婦のような生活を送っていた日々に比べると夢のような生活に一度で
もヴィルヘルムを疑ってしまったことを申し訳なく思った。
 ヴィルヘルムに買われた日から数年。少女だったリリーはすでにいつ結婚してもおかし
くない年頃の娘へと成長していた。使用人達には「恋をしないのか」とか「結婚しないの
か」と冗談まじりに聞かれるが、リリーはいつも困ったように笑って「相手がいないわ」
と答えた。実際はリリーの心の中には恋する相手がいた。頭に白いものが混じり始めたが、
それでもまだ充分に若々しく魅力的なヴィルヘルムが――。親子ほどに歳が離れている上
に身分が違うことは頭ではわかってはいても、ヴィルヘルムへの想いだけは捨てられなか
った。勿論相手になどされないことはわかっている。自分が想いを伝えてもヴィルヘルム
を困らせるだけだ。だからその気持ちを胸の内に仕舞い、ヴィルヘルムのメイドとして一
生を彼に捧げようとリリーは密かに心に誓っていた。
 なのに――、ヴィルヘルムの突然の暴挙にリリーの頭の中は真っ白になった。いつも通
り彼がベッドに入る前に寝室へと酒とグラスを持って来ただけだった。酒を絨毯の上にぶ
ちまけたり、態度が悪かったりというそんな初歩的なミスはしていない。それなのに無言
でベッドに押し倒され、抵抗すれば頬を打たれ、さらには言葉で過去の傷を抉られる。ヴ
ィルヘルムの豹変にリリーが呆然としている間にもヴィルヘルムはリリーの服を剥ぎ取っ
ていく。いつしかリリーの瞳からは涙が溢れ、言い知れぬ恐怖に全身を震わせる。
「旦那様、やめてください。こんなこと……今ならまだ」
 ヴィルヘルムは顔を青くして震えるリリーを見下ろし鼻で笑う。
「今さら淑女ぶる気か?未だに男に媚を売る娼婦が」
「今は、媚など売っていません……」
 かつては生活のために仕方なく男に媚びなければならなかったが、生前の父親が厳しか
ったせいか、リリーは元来男好きではない。学校に通っていた頃はその気の強さも手伝っ
てか男よりも男らしいとまで言われていた男勝りの性格である。
115リリー 前編:2010/05/15(土) 01:35:28 ID:lrFf477r
「本当にそうか?私は昨日君が農夫の若い男とキスしているところを見たぞ。今思い出し
ても情熱的なキスだったな」
 リリーははっと息を飲んだ。確かに前々から農夫の若い男に交際を申し込まれ、しつこ
く付き纏われていた。そして昨日業を煮やした男から無理やり唇を奪われた。あんな場面
を恋焦がれるヴィルヘルムに見られていたとは――。リリーはショックからヴィルヘルム
を直視できずに目を逸らす。
「ふん。認めるのか」
 すでに半裸となっているリリーの胸をヴィルヘルムは鷲掴む。
「痛っ!」
 リリーの悲鳴を無視して、ヴィルヘルムはリリーの胸を捏ね繰り回し、リリーの顔を舐
めるように観察する。
「なかなか大きい胸だな。色んな男に揉まれて大きくなったのか?ちょっと揉んだだけで
乳首が硬くなってきたな」
 悔しいがリリーは否定できず固く目を閉じる。男達の愛撫に慣らされた体は、乱暴に胸
を揉まれただけでも健気に反応を示す。望んだ形ではないとはいえ、相手が好きな男とな
ればなおさらだ。ヴィルヘルムの言うとおりリリーの豊かな白い胸の先端はつんと尖って
存在を主張している。
「お願いですから……」
 そういって胸を揉みしだくヴィルヘルムの手を控えめに掴み、それ以上の行為を止めよ
うと試みる。またヴィルヘルムに罵られるかもしれないとリリーは顔を強張らせてヴィル
ヘルムの顔を窺う。するとヴィルヘルムは手を止めて何事かを考え込むようにしてリリー
を見下ろす。ふとヴィルヘルムの青い瞳が暗くなる。彼はシャツのボタンを外し、その年
齢にしては逞しい胸板をリリーの前に晒し、ズボンと下着を脱ぎ捨てて、ベッドから落と
した。
「君が今でも弟や妹を可愛いと思うならば、娼婦としての経験を発揮して私を喜ばせたら
どうなんだ?」
 ヴィルヘルムの言いたいことをすぐにリリーは理解した。リリーの眼前にヴィルヘルム
の陰茎が突きつけられる。まだ完全には勃ちあがってはいないヴィルヘルムの陰茎を躊躇
なくリリーは口に含む。どうすれば男が喜ぶのか、どこを刺激すれば男は感じるのか、リ
リーは知っていた。唾液をたっぷりと口の中に溜め、舌を絡め、吸い上げながら頭を上下
させる。すぐに陰茎と口の結合部はいやらしい音を立て始める。ヴィルヘルムの感じる場
所を探る。手も使いヴィルヘルムを扱いていると、ヴィルヘルムの陰茎は完全に勃起し、
その先端はリリーの喉まで達する。
「その年齢でそんなにもいやらしくてどうするつもりだ?そんなに体を売る生活に戻りた
いのか?」
 ヴィルヘルムに軽蔑された。もうそんなことは買われる前からわかっていたことだけれ
ど、改めて口に出されると涙がこみ上げる。翡翠の瞳から涙を流しながらも亀頭と尿道口
を刺激するとヴィルヘルムはリリーの頭上で息を荒くする。例え軽蔑されても、せめて愛
しいヴィルヘルムには感じてほしいという一心でヴィルヘルムの陰茎を口と両手で扱き続
けていると、ヴィルヘルムはリリーの髪を掴み、陰茎からぐっと引き離す。そしてリリー
の膝裏を掴み、左右に大きく割り開く。その中心はすでに愛液を垂らし、彼女の尻までも
濡らしていた。
116リリー 前編:2010/05/15(土) 01:36:53 ID:lrFf477r
「君は男のをしゃぶって濡れるのか。とんだ淫乱だな。慣らす必要なんてないんじゃない
のか?」
 ヴィルヘルムがリリーの秘部に指を一本突きいれると、愛液のしたたるそこは易々とヴ
ィルヘルムの無骨な長い指を受け入れ、締めつける。
「もう二本でもいけるな」
 指をもう一本増やすが、長いこと男を受け入れていなかったそこはたっぷりと濡れては
いるものの、口でいうほど緩くはない。意地の悪い質問やリリーの自尊心を傷つける言葉
を口にしながらも、指は丁寧にリリーの中を解し、時折花芯に触れてはリリーの快感を煽
る。リリーもかつての染みついた癖か、甘い嬌声をあげて、ヴィルヘルムの聴覚を刺激す
る。互いの興奮が頂点に達し、ヴィルヘルムはリリーの愛液を溢れさせる入り口に自身を
あてがい、ゆっくりと熱を沈めていく。
「やっあっああんっ」
 抵抗をやめたリリーはヴィルヘルムを喜ばそうと、蕩けきった甘い声を出し、ヴィルヘ
ルムと繋がったそこはヴィルヘルムに絡みつき、ぎゅうぎゅうと締めつける。そんなリリ
ーにヴィルヘルムは眉間に皺を寄せて、何か言い出そうとして口を開いたが、力なく頭を
振り口を閉ざした。腰を引いて、また沈める。若い男のような激しさはないが、彼も女を
喜ばす術は熟知していた。リリーの感じる場所を探し、その場所を見つけては的確に擦り、
突く。
室内に肉と肉のぶつかる乾いた音と結合部から漏れる水音が響き、むせ返るような雄と
雌の匂いが充満する。汗ばんだ肌と肌を密着させ、足を絡ませ合う。もし第三者がこの
場にいれば、この行為が無理やり始められたものだとは思わないだろう。いつの間にかリ
リーの胸元にはヴィルヘルムのつけた赤い痕が散っていた。激しさを増すヴィルヘルムの
腰の動きに合わせリリーも腰を振り、ヴィルヘルムを絶頂へと導く。リリーの中でヴィル
ヘルムがびくびくと震え始めるのを感じ、はっと我に返ったリリーは顔色を変えた。
「膣内だけは、膣内だけはやめてっ」
 十年以上前に正妻を亡くし、それから妻を持とうとしないヴィルヘルムには子供がいな
い。もしヴィルヘルムとの間に子供ができてしまえば、もし将来ヴィルヘルムが妻を娶り、
その妻との間に子供が産まれれば、争いの元になりかねない。ヴィルヘルムの名誉にも関
わる。もしかすると、ヴィルヘルムは子供だけは可愛がってくれるかもしれないが、母親
が身売りをしていたような卑しい身分の女など子供の心境を考えると子供が可哀想だ。リ
リーの懇願にもヴィルヘルムは無言で腰を振り、腰を打ちつける。彼も己の限界を感じて
いるのか額に汗を浮かべて顔を歪める。
「ああぁっ、いやぁっ!」
「くっ……リリー、リリー!」
 ヴィルヘルムはリリーの快感に震える細い体をぎゅっと抱きしめる。挿入がさらに深く
なり、リリーの体がぶるっと震えた。次の瞬間、奥深くにヴィルヘルムの熱い精が吐き出
された。体の奥に熱いものを感じ、恋焦がれたヴィルヘルムの腕の中で、夢と現実とのあ
まりのギャップに絶望を感じながら、リリーは静かに瞼を閉じた。

117名無しさん@ピンキー:2010/05/15(土) 01:41:08 ID:lrFf477r
前編は以上です。中編に続く。
投下してみると短いな
中編もこれくらいの長さになると思う
あと文章と雰囲気ががらりと変わるが中の人間は一緒だ
エロは前編につぎ込んだので、中編以降は妄想ネタ展開重視

118名無しさん@ピンキー:2010/05/15(土) 01:57:51 ID:zKEbskCJ
ぐっじょぶ
中編以降にも期待
119名無しさん@ピンキー:2010/05/15(土) 02:15:50 ID:C+mq99ys
>>113-117
素晴らしい感動した!!
120名無しさん@ピンキー:2010/05/15(土) 02:52:51 ID:5rynHNsf
>>113-117
週末で起きてて良かったw
まさかの全裸待機直後の投下

妄想ネタ展開に期待
ディアナたんといい、こちらのリリーたんといい
健気な女の子だと両思いなのに男が陵辱する展開だと輝くなぁ
旦那様の嫉妬モードが全開な感じが実に良い
121名無しさん@ピンキー:2010/05/15(土) 02:54:07 ID:5rynHNsf
あ、sage忘れた
122名無しさん@ピンキー:2010/05/15(土) 07:01:39 ID:Yy/VsLSE
>>113-117
GJ!中編以降はどのルートを辿るのかw
123名無しさん@ピンキー:2010/05/15(土) 15:17:06 ID:f4Uvp4Uh
リリーの気丈さが激しくイイ!特に陥落前の心理とか、止める仕種とか凄くツボだ
農夫はアレで諦めさせられたんだな…ゴクリ。
つかこのリリーは真面目な分だけ、周りにバレた日には本気で思い詰めそう
近くの関係者大変だなー。がんがれw
124名無しさん@ピンキー:2010/05/15(土) 15:52:37 ID:C+mq99ys
>>123
生真面目な分ヴィルヘルムの名誉やら体裁やらを守る為に必死に秘密にしようとするだろな
まぁ、その行動が更にヴィルヘルムのリリーへの征服欲と酷い性欲を刺激しそうだが
そういやあの農夫は無事なんだろうか?
ヴィルヘルムは完全にあの女は俺の物なので、リリーに近付く男は問答無用でエネミー認定モードにスイッチした臭いがw
125名無しさん@ピンキー:2010/05/16(日) 03:39:40 ID:pTTtgUf9
愛しの旦那様にちんこしゃぶっただけで濡れて、強姦されてる筈なのに嬉しそうに喘ぐだらしのない腐れ淫乱売女と思われたリリーはどうなるの?っと
旦那様的には好きだった好きだったのに、裏切ったな僕の気持ちを裏切ったな!!状態?
126名無しさん@ピンキー:2010/05/16(日) 19:56:25 ID:NEI/lOVE
>>120
俺としても投下直前のまさかの全裸待機だった

前編から色々反応ありがとう
中編投下します
男中心+エロ少なめなんで興味ないやつはスルーするなりNGするなりして避けてくれ
127リリー 中編:2010/05/16(日) 20:07:00 ID:NEI/lOVE
 由緒ある貴族の家に生まれ、何不自由なく育ったヴィルヘルムの悲劇は、彼の成人後に
始まった。彼の結婚直後の両親の事故死。正妻との間にできた子供は死産。その妻も産
後の肥立ちが悪かったのか一年も経たずに病死。それから十年。仕事の方は順調にいって
いたが、私生活の方はいまいちぱっとしなかった。複数の女性と付き合ったが、燃え上が
るような恋ではなかった。皆彼の元から去っていった。そうこうしているうちに、彼も頭
に白髪の混じる歳になっていた。親戚や友人に跡取りのことを心配され、彼も密かに焦り
出したが、元々好き嫌いの激しいヴィルヘルムが見初める女はどこにもいなかった。
 そんな時、馬車の中から街の様子を眺めていると、ふと一人の少女が彼の目に入った。
歳の頃は14、5歳だろうか。淡い茶色の髪を軽く結い上げ、翡翠の瞳を優しげに輝かせ
て、彼女の弟らしき小さな少年の手を引き歩いていく。年齢の割に大人びて、小奇麗な顔
をした少女だった。自分にはあのくらいの年齢の娘がいてもおかしくないなと彼は人知れ
ず苦笑した。それからも同じ時刻、同じ場所で少女を見かけた。弟を連れていることもあ
れば、妹を連れていることもあった。次第に彼は馬車をその場に止めてまで、夕刻の短い
間彼女を観察するのが日課になっていた。くるくると変わる表情。友人らしい少年に向け
て発する気の強い言葉。幼い兄弟にみせる優しい笑顔。そのどれもに夢中になっている自
分にヴィルヘルムは戸惑いを感じた。親子ほどにも歳の離れている少女に自分が惹かれて
いるなど、世間に知られれば何と批判されるだろう。
 年甲斐もなく暴走しそうになる感情に頭を悩ませていたある日、その日はたまたま仕事
で遅くなり、日もほとんど暮れかけている中、ヴィルヘルムは無意識の癖で馬車から彼女
を探した。するとどうだろう、珍しく一人であの少女は歩いているではないか。もうすぐ
辺りは真っ暗になる。そんな時間に無用心だと心配になり、ヴィルヘルムは馬車を降りて、
彼女の後を追った。あわよくば彼女と言葉を交わし、顔見知りになれるかもしれないとい
う淡い下心を抱えて――。
 ヴィルヘルムが止める間もなく、少女は路地裏へと入っていく。通い慣れているのかそ
の足取りに全く躊躇はない。悪い予感を感じながらも、彼は足音を忍ばせ、少女を追う。
ほどなくして少女の先に男を見つけた。長い外套を纏った男だ。表情は暗くてよくわから
ない。少女は男と小声でいくつか言葉を交わし、男の前で膝を突いた。ヴィルヘルムがぎ
ょっと驚いている間に、少女は鳴れた手つきで男の下衣を下ろし、男の萎えたものをその
小さく可憐な口に含んだ。雲の隙間から路地裏に月光が射しこみ、卑猥な行為をそこに浮
かび上がらせる。男が少女の髪を梳くと、少女は気持ち良さそうに目を閉じ、男への愛撫
を続ける。ヴィルヘルムははっと息を飲むが、どうしても男と少女から目が離せない。次
第にヴィルヘルムの中にふつふつと黒い感情が沸き起こる。男のうめき声。少女の唇から
滴り落ちる白濁色の液体。その瞬間、ヴィルヘルムの瞳に暗い嫉妬と憎悪の炎が燃え上が
った。
 少女の身元を割り出すのは容易だった。彼女の名前を知ることも、そして彼女の家が貧
しく、兄弟を養うために彼女が体を売っていることも、簡単に情報は手に入った。リリー
の顧客の情報までも手に入れると、ヴィルヘルムはリリーの顧客を買収し、リリーを経済
的に苦しめた。彼女と彼女の家族を追いつめた頃に、適当に理由をでっちあげ、リリーと
母親を落としにかかった。罠にかけ、弱ったところで、確実に獲物を仕留めにかかる。リ
リーは素性も知らぬヴィルヘルムに警戒を抱き、なかなか首を縦に振ろうとはしなかった。
ヴィルヘルムはもどかしかったが、リリーの賢い一面を知る事ができたと密かに喜び、さ
らにリリーへの歪んだ愛情は増していった。母親に口説き落とされる形でリリーが渋々と
だが、ヴィルヘルムへの奉公を承諾した時は、ヴィルヘルムは飛び上がらんばかりに嬉し
かった。これでリリーが手に入った!二人して馬車へ乗る時、初めてリリーの手に触れた
時は小さく手が震えた。リリーの前ではまるで初めて恋をした少年のように心が弾んだ。
いや、本当に初恋なのかもしれない。

128リリー 中編:2010/05/16(日) 20:09:37 ID:NEI/lOVE
 リリーが屋敷で働くようになり、ヴィルヘルムにとってそれまでの生活が考えられない
ほど幸せな日々が始まった。屋敷の使用人達もたまたま若い働き手がいなかった時にリリ
ーがやってきたこともあり喜んでリリーを受け入れてくれた。ヴィルヘルムの機嫌が以前
よりもずっと良くなり、屋敷全体の雰囲気が格段に良くなった。屋敷のために、ヴィルヘ
ルムのために、一生懸命に働くリリー。自分へと楽しそうに笑いかけてくれるリリー。か
らかうと子供のように拗ねるリリー。他人の目もあり高価なプレゼントを贈ることはでき
ないが、健やかに成長し綺麗になっていくリリー。嗚呼、リリー、リリー。愛している。
君と共にいれるならば、どんな手段も使う。愛してるんだ、リリー。こんな私をわかって
ほしい。

 そんな風にリリーがいるだけでヴィルヘルムの心は満たされ、それから数年間彼女を抱
きたいなどとは一度も思わなかった。そう、あの日までは――。リリーとの幸せな日々が
続いていたのと、仕事が忙しかったせいで、ヴィルヘルムはつい油断していた。屋敷に農
夫の若い男が出入りし、リリーに熱い視線を寄せていたことを。
 呪わしきあの日の夕刻、書斎の窓から見下ろした庭先でリリーと若い男は何か言い争っ
ていた。リリーが若い男と話している。それだけでヴィルヘルムの胸の内に嫉妬の念が沸
き起こる。これは早々に追い払わなければならない。どうやって追い払ってやろうか。い
っそのこと事故に見せかけてあの男をこの世から消し去ってやろうか。ヴィルヘルムが頭
の中で暗い計画を立てていると、彼の視線の先で、ヴィルヘルムが彼らを見ていることも
知らずに、若い農夫の男はリリーの体を引き寄せて、彼女の薔薇色の頬を両手で包み、彼
女の唇を奪った。ヴィルヘルムの目の前が怒りで真っ赤に染まった。私のリリーに触れる
なと叫びたい衝動に駆られる。窓に怒りのままに拳を打ちつけると小さくガラスに亀裂が
入った。リリーは男を突き飛ばし、男の頬を張り飛ばすと、踵を返し屋敷へと駆け込む。
一瞬見えた彼女の顔は、今にも泣きたいのを必死に我慢しているようだった。そうだリリ
ー。それでいい。君を抱きしめていいのは、君にキスしていいのは、私だけだ。今のは何
かの間違いだ。リリー。昔の悪い癖であんな醜い男に媚を売ったんだね。いけない娘だ。
君が頼めば、私がいくらでも君の体を喜ばせてあげるのに。そうだ。ついでに君との間に
子供が出来ればなんて素敵なことだろう。リリー、そうしよう。きっと私達の子供は君に
似てとても可愛いよ。子供を作ろう。春にはみんなでピクニックに行こう。夏は湖の側の
避暑地でのんびりしよう。秋は一緒に子ども達に本を読み聞かせよう。冬は子供の分だけ
クリスマスプレゼントをたくさん用意しなければならないね。嗚呼、愛してるんだ、愛し
てるんだ、愛しいリリー。

「旦那様を誘惑するなんて!なんという恥さらし!ずっと腹に一物抱えていたのかい?金
が欲しいのかい?浅ましい雌猫め!」
 長いこと屋敷に勤める老婆に顔面に水をぶちまけられ、リリーは顔と髪の毛から惨めっ
たらしく水を滴らせる。ヴィルヘルムとリリーが関係を持ったことが公になるのに時間は
かからなかった。ヴィルヘルムは時間があればリリーを寝室に連れ込み、リリーを犯した。
肉体的に追い込む。そして裏ではヴィルヘルムは使用人達にリリーにたぶらかされたとほ
のめかし、屋敷の中でリリーを孤立させていった。精神的にも追いつめられた可哀想なリ
リー。それでもリリーは気丈に振る舞い、仕事を続けるが、肉体的にも精神的にもそろそ
ろ限界が近いだろう。もしかするとすでにその身にヴィルヘルムの子を宿しているかもし
れない愛しいリリーをいつまでも働かせておこうなどとはヴィルヘルムも考えてはいなか
った。リリーをこの屋敷という悲劇の舞台の上で踊らせているのは、リリーに自分を選ば
せるため。一人ぼっちになって、身を震わせて自分に泣き縋ってほしい。そしたら想いを
伝えよう。身も心も私のものになってくれるのならば私はいつまでも君を愛し続けよう。

129リリー 中編:2010/05/16(日) 20:12:04 ID:NEI/lOVE
「ああっ!旦那様っだんなさまぁ」
 ヴィルヘルムの額から汗の玉が滴り落ち、ほんのりと色づいたリリーの若い透き通るよ
うな肌に落ちて弾ける。最初にリリーを抱いた時に比べ、リリーの声はヴィルヘルムに甘
えるような響きを含んでいる。それほどにもうリリーにはヴィルヘルムしかいなかった。
リリーの過去の男の影を掻き消そうとするかのごとくヴィルヘルムはリリーの体を貪る。
リリーが絶頂に達し、彼女を追うように、ヴィルヘルムも彼女の中に吐精する。リリーの
中から陰茎を引き抜くと、彼女の秘裂から白濁がとろりと溢れ出す。それを見て満足そう
にヴィルヘルムは微笑む。胸を上下させはあはあと息を整えていたリリーは突然涙を溢れ
させ両手でその愛らしい顔を覆いわっと泣き出した。初めての事態にヴィルヘルムは目を
見開き、どうしたのかと彼女の肩を揺さぶるが、リリーは首を横に振り嗚咽を漏らす。彼
女を肉体的にも精神的にも追いつめたのは他ならぬヴィルヘルム自身であるが、実際に彼
女の涙を目にするとヴィルヘルムの心は痛んだ。何度となくリリーを言葉で泣かせ、暴力
で泣かせ、自分の痛む心を誤魔化すように、リリーを酷く犯してきた。抱いた後は一瞬の
征服欲で満たされるが、それが過ぎると、ヴィルヘルムはひどく惨めな気持ちになった。
そしてまた同じ事を繰り返してしまう。すでに彼は、そしてリリーも、悪循環に嵌まって
いた。このまま二人でどこまでも堕ちて行くのだろうか。愛しいリリーを手に入れたもの
の、ヴィルヘルムは人としての何か大切なものを確実に失いかけていた――。

 また今夜も涙する歳若いリリーを力でねじ伏せるのか。強い力でリリーの手首を掴み、
顔を覆う両手を外す。現れた翡翠の瞳の暗さにヴィルヘルムは一瞬息を忘れた。
「旦那様、もう、私には、生きる価値もありません……死なせてください。私のようなも
のがあなたの側にいたら……駄目なの……許されないわ……ああっ、誰か私を殺してっ…
…!」
 桜色の唇から紡がれる絶望に満ちた言葉の数々。ヴィルヘルムは余裕なく首を振り、必
死に否定する。
「何を言っているんだ。私に抱かれている限り、私の側にいる限り、君には生きる価値が
ある。馬鹿なことをいうな」
 唇を噛み締め、とめどなく涙を溢れさせるリリーを見下ろし、舌を噛み切って死ぬので
はないかという不安がヴィルヘルムの脳裏を過ぎる。さらに釘を打っておかなかればなら
ない。
「それに」
 一旦言葉を切り、ヴィルヘルムはリリーの下腹部に触れる。その手つきは優しい。
「君のここには、もう私の子供がいるかもしれない。君が死ねば、私の子供が死ぬかもし
れないんだぞ!」
 ヴィルヘルムは声を張り上げるが、その声の震えは隠し切れない。
 底なしの絶望の闇へと一人堕ちていこうとするリリーを繋ぎとめようと、いつの間にか
ヴィルヘルムはリリーの震える体を抱き起こし、しっかりと抱きしめていた。
「私のお腹から産まれてくるなんて……子供が可哀想です」
 ヴィルヘルムの肩に頭を預け、リリーは力なくヴィルヘルムに寄りかかる。
「死ぬより不幸なことはない。昔、正妻との間に一人子供ができたが……死産だった。健
康に育てば、愛してやったのに。何の不自由もさせない。それなのに……」
 リリーの耳元にヴィルヘルムの吐息がかかる。初めてヴィルヘルムの口から語られる彼
の過去。リリーの知らないヴィルヘルムがそこにいた。彼ならばどんなに美しく素晴らし
い女性を妻に持つ事ができるのに、どうして彼の腕の中にいるのは薄汚れた自分なのか。
それでも――、リリーはヴィルヘルムを抱きしめ返す。
「他に……女性は作られないのですか」
 口ではそう問いかけながらも、もしヴィルヘルムが他の女性を連れてきたら、口では祝
福できても、きっと彼の愛を受ける女性に嫉妬してしまうことはリリーにもわかっていた。
「そんなことは君が決めることじゃない」
 ぴしゃりと切り捨てる。それでも――、リリーを抱きしめる腕の力は緩まない。
「とにかく産むんだ。産めば周りの目も変わる。今君が死ねば、君は貴族の子供を殺した
殺人者と同じだ」
「そんな……」
 死という唯一の逃げ道までも塞がれてしまい、リリーの頭の中はからっぽになった。
 ――自分はヴィルヘルムという籠の中から逃げられない。
 その時なのか、その前にか、その後だったのかはわからないが、リリーはヴィルヘルム
の子を宿す。
 そして十月十日後、リリーは彼らの第一子をこの世に産み落とす。
130名無しさん@ピンキー:2010/05/16(日) 20:15:09 ID:NEI/lOVE
中編は以上です。後編へ続く。

本当はおまえらの意見を読みつつ後編書き上げたかったんだが
やらなきゃいけないことが入ったんで書き上げたら即後編投下する
131名無しさん@ピンキー:2010/05/16(日) 20:34:35 ID:Jyggr1dF
GJ!
旦那様最初からヤンデレってたのかよw
リリーカワイソスw 

後編も楽しみだが忙しいなら無理するなよー
あとIDがlove
132名無しさん@ピンキー:2010/05/16(日) 20:36:44 ID:2rNLRlpq
ヴィルヘルムさんパネェw
予想以上のキチっぷり
まぁ、普通に女性への愛情を表現出来る様ならあんな事にはならんか
ヤンデレの男に目を付けられたリリー萌える
133名無しさん@ピンキー:2010/05/16(日) 23:19:19 ID:VAbZCx1h
書いてる人男だったのかww
134名無しさん@ピンキー:2010/05/16(日) 23:32:26 ID:RE55djRp
>>133
女でも一人称に俺って使う人はいる。本体の性別は探るだけ無駄じゃね?

>>130
GJ。歪んだ愛情はとても萌えます。後編にも期待。
135名無しさん@ピンキー:2010/05/17(月) 00:13:02 ID:DBR1t/Jl
旦那様ヤンデレすぎGJ
136名無しさん@ピンキー:2010/05/17(月) 00:38:20 ID:gMPFLB8Q
旦那様的には洒落抜きでこれが初恋だったんだろうな
でも好きになった相手は事情があるとはいえ汚い下層民相手にも股を開く娼婦だったと
初っ端から嫉妬と憎悪で狂った愛情に一直線か
137名無しさん@ピンキー:2010/05/17(月) 00:48:14 ID:6lPh/+OI
>>130
乙です。

旦那様マジ鬼畜ヤンデレw
言葉の暴力と性的暴行以外にも普通に肉体的な暴力も日常的に行ってるんだw
でもそんな二人の関係に萌える。
138名無しさん@ピンキー:2010/05/17(月) 01:00:18 ID:/MgZ47gb
>>131
ありがとう
あんな話書いといてIDがloveって

>>133-134
俺が後編書いてる間に俺の性別が話題になってるw

レスつくの早いな
後編投下します
139リリー 後編:2010/05/17(月) 01:03:05 ID:/MgZ47gb
「お母様、プレゼントです」
「あら。ありがとう、ヨハン」
 リリーは少年の手から綺麗に棘の抜かれた一輪の薔薇を受け取る。白い歯を見せて微笑
む息子にリリーも笑顔を返す。
「また学校で先生に褒められたよ」
「今度は何て?」
「学校で一番賢く、思いやりがあり、気品に富んでいるって」
 ヨハンは自慢げに胸を張る。厳しくて有名な息子の家庭教師にも同じことを言われたば
かりだ。夫は子供をめったに褒めないので、リリーは夫の分まで息子を褒める気持ちで息
子の柔らかい茶髪を撫でる。
「あなたのいいところはすべてお父様譲りよ」
「そんなことはないよ。この僕のお気に入りの瞳は」
 少年は自分の翡翠の瞳を指す。
「お母様のものだ。それに僕が女の子から大人気なのもお母様に似ているからだよ」
「女の子から人気なのも、あなたの力よ」
「そんなことはないよ。ああ、どうしてお母様はそんなにも謙虚なんだろう」
 もっと堂々と自分を誇っていいのにとヨハンは嘆く。ヨハンはもどかしがるが、いくら
息子が優秀で、家が立派でも、リリーの過去が消えることはない。リリー一人ならば何と
言われてもいいが、血というものは、子供に少なからず親の過去を背負わせてしまう。そ
のことをリリーはずっと気に病んでいる。
「本当にヨハンは優秀な学生で、ルートヴィッヒとクラウス、エリザベータの良き兄だと
思ってるわ。でもね、あなたのことが心配なの。私のせいで辛い目に合ってないかしら?」
 ヨハンは眉間に皺を寄せて考えるようにして低く唸る。
「確かに学校にはお母様のことを馬鹿にする愚か者がいるよ。……でもね、そうゆうやつ
らはまず家に連れてくるんだ」
 小首を傾げる母に息子は悪戯っぽく微笑んでみせる。
「お母様に会わせれば一発で態度が変わるよ。あのレヴィンスキ家のだって、学校では行
儀知らずのくせに、お母様の顔を見るなり、姿勢をピンと伸ばして、行儀良くしてるんだ」
「この前の彼ね。私はレヴィンスキ家の行儀作法は素晴らしいとばかり思っていたわ……」
「我が家には及ばないよ。……お母様は僕の誇りだよ。そして僕はお母様の騎士だ」
 ヨハンは身を捩って二人がけのソファの横に座るリリーの頬にキスをする。リリーもヨ
ハンの頬にキスを返す。

 母子二人してヨハンの学校での話を続けていると、部屋のドアがノックされて、乳母の
ゾフィーがヴィルヘルムとリリーの娘エリザベータを抱いて顔を覗かせる。にこにこと笑
うヨハンの顔を見て、ゾフィーは大げさに驚いた顔を作る。
「あら!ヨハン様。とってもご機嫌ですわね」
「そう見える?貸して。エリザベータの面倒は僕が見るよ」
「ではお言葉に甘えて」
 慣れた手つきでヨハンは幼い妹を受け取り、部屋を出て行く。ゾフィーは扉を閉めなが
ら肩を竦めた。
「お気に入りの本が見つからないとかでさっきまでかっかしてたのに、奥様の手にかかれ
ばイチコロね。ちょっと癇癪もちだけど、健康で、賢くて、兄弟思いで、ヨハン様に関し
て何も心配することなんてないわね。あのお顔だし社交界デビューが楽しみだわ」
 歌うようにしてヨハンのことを褒めながら、ゾフィーはソファを弾ませて、リリーの横
へと腰掛ける。
「ゾフィーの目にはそうゆう風に私達が映るのね」
 憂いを帯びたリリーの横顔を見て、ゾフィーは心配そうにリリーの顔を覗きこむ。
「リリー奥様はヨハン様が不満なの?あんな立派な跡継ぎ息子なのに、それはちょっと欲
張りだわ」
 リリーは小さく首を振る。
「違うの。ヨハンも、他の子ども達もみんな良い子よ」
「旦那様もとっても素敵な紳士よ」
 ゾフィーが片目を瞑ると、リリーは力なく微笑む。
140リリー 後編:2010/05/17(月) 01:04:38 ID:/MgZ47gb
「できすぎているなと思うの」
 この十年間で四人の子供に恵まれた。特に第一子が男の子だったせいか、周りのリリー
に対する扱いは一変。さらに続けて第二子も男の子だったせいか、完全に周りからはヴィ
ルヘルムの妻扱いだ。どの子も健康優良児で、妙に賢いというおまけ付き。使用人たちに
もすっかりリリー奥様と呼ばれている。
「思うのよ。これはできすぎた夢なんじゃないかって」
 一時期体を売り生計を立て本気で死まで考えた自分が今では夫と子供に囲まれて生きて
いる。実は自分はまだあの街から逃げられず、疲れ果てたまま、ずっと夢を見続けている
のではないか。
「リリー、失礼」
 リリーの右手をひょいと取るとゾフィーはリリーの手の甲をぎゅうっと抓った。
「痛い!」
 リリーは悲鳴を上げ赤くなった右手の甲を左手で擦る。一方ゾフィーは悪びれた様子も
なく、満足そうに口角を上げる。
「ほら。あなたは夢なんか見てないわ。ようこそ、現実へ」
 リリーはありがとうという言葉の代わりに親友の手を握り締めた。手を繋いだまま、ゾ
フィーはリリーを立たせると、バルコニーへと出る。春風がリリーの髪を揺らし、頬を撫
でていく。様々な花が咲き誇る庭を前にゾフィーは大きく両手を広げる。
「リリー。あなたはヴィルヘルム様の妻なのよ。この屋敷の奥様なのよ。母親なのよ。現
実を見なきゃ。考えなきゃいけない問題はたくさんあるわよ。ヨハン様を将来どこの上級
学校に通わせるか、婚約者をどうするか、新しいクッションの柄はどうするか、私の給料
を上げるべきかどうか……絶対に上げるべきだけど、とりあえずアレをどうにかしましょ
うか」
 ゾフィーが指差す先、息子二人が嫌がる飼い犬の尻尾を掴んで引っ張っている。リリー
はバルコニーから身を乗り出す。
「クラウス!ルートヴィッヒ!乱暴はおやめなさい!」
 飼い犬の尻尾をぱっと離し息子二人は「はーい」と返事をして駆けていく。
「あのやんちゃ二人を叱り飛ばせて、なおかつ言うことを聞かせられるのはリリーだけよ。
きっと血ね。リリーを愛する血を旦那様から受け継いでいるのよ」
「ねぇ、ゾフィー。それだけはやめて」
「照れることはないわ」
「照れてないわよ」
「顔が赤いわ」
 ガラス窓に顔を映し顔を確認したリリーを見てゾフィーはぷっと吹き出す。
「今日もわたくしの勝ちですわね、奥様」
 リリーは苦い顔をするが、ゾフィーに負けるのは嫌いじゃなかった。
「あなたといると本当に楽しいわ」
「私もよ。あなたって元庶民で、貧乏臭くて、気を張らなくていいし、私よりもずっと子
供の扱いが上手くて仕事が楽になるから、最高の奥様だと思ってるわ」
「それは褒めているの?貶しているの?」
「最高の褒め言葉よ!もうこの先こんなに褒めないわよ。ああ、でもね、この際だからあ
なたの短所を言ってあげましょうか?」
 リリーは素直に一度大きく頷く。
「真面目すぎるところよ。旦那様も真面目な方だから、お二人のうちどちらかくらい、も
って楽観的になってもいいと思うわ。わたくしをお手本にしてもよろしくてよ?」
「それは……遠慮しておくわ」
 そう言いながらも、いつもどこか的を射ているゾフィーの言葉はその日もリリーの胸の
内に引っかかった。

141リリー 後編:2010/05/17(月) 01:05:53 ID:/MgZ47gb
「ただいま」
 帰宅した夫の帽子を受け取り、リリーは背の高いヴィルヘルムの顔を見上げる。穏やか
な笑顔を浮かべるヴィルヘルムの目尻には深い皺が刻まれている。リリーと同じように、
彼もしっかりと十年分の歳を重ねていた。
「おかえりなさい」
「何か困ったことはなかったかい?」
 自然な動作でリリーの腰を抱き寄せ、リリーの額にキスを落とす。
「何も。ヨハンが薔薇をプレゼントしてくれたわ」
 ヴィルヘルムは片眉を上げ「何本?」と訊ねる。
「一輪」
「なら、私は百本の薔薇を君に贈るよ」
 たった九歳の息子に嫉妬し張り合おうとするヴィルヘルムにリリーは溜息をつく。
「あなたはヨハンに嫉妬しすぎるわ」
「ヨハンが君を他の男に自慢しすぎるからだよ。すっかり君は有名になってしまって、是
非君に会いたいという男が後を絶たない。私は気も狂わんばかりだ」
 米神に指を当て揉み解すヴィルヘルム。
「もう狂ってるわ」
 彼が過去に犯した卑劣な手口も、どうしようもない嫉妬癖も、その根本にあるリリーへ
の深い愛情も、彼と長く時を過ごすうちに自然とリリーも知っていった。怒りも呆れもし
た。一時期ヴィルヘルムのことを軽蔑したこともあったが、愛する者に軽蔑される辛さを
身にしみて理解していたリリーは過ぎ去ったことをいちいち責めるようなことはしなかっ
た。それにずっと妊娠・出産・子育てに追われ、過去のことに構ってもいられなかった。
「すっかり私のリリーは強くなったね」
 ヴィルヘルムの腕の中で泣きながら震えていたメイドはもういない。彼の目の前にいる
のはすっかり逞しい母親となったリリーだけだ。
「四人の子供の母ですもの。でもそうね……今からあなたの妻として話したいことがある
から、庭に出ましょう」
 リリーに誘われるままにヴィルヘルムはリリーと共に再び夕暮れに染まる庭へと出た。

「私達、話すべきことを話さずにここまで来てしまったわね」
 リリーは夫の書斎の窓を見上げる。十年前、ここでリリーは農夫の若い夫に唇を奪われ
た。その始まりの場所にヴィルヘルムを連れてきて、彼と向かい合うようにして立つ。あ
の窓からヴィルヘルムが何を思って自分のことを見ていたのだろうと思うと胸が苦しくな
った。
「あなたは威厳のあるいい父親よ。最近になって知ったのだけれど、五年前会社は苦しか
ったのでしょう?それなのにあなたはいつも家で使用人たちにとって立派な主人であり、
厳しくも優しい父親であり……こんな私の夫だったわ」
「五年も前のことなんて忘れたよ。私の会社のことは君は本当に心配しなくていい。暇な
貴族が道楽でやっているようなものだ。引き際は心得ているから、危なくなったら潰せば
いいだけだ。これ以上金を蓄えてもしょうがないしね。君も、いつだって子ども達の美し
く優しい母親であり、私を献身的に支えてくれる妻であり、永遠の可愛い恋人であったよ。
……おまけに、天下一の娼婦だ」
「おまけは余計よ」
 ぷいっと顔を背けたリリーの頬は赤く染まっている。しかし甘い雰囲気を払うようにし
て、リリーは真顔でヴィルヘルムの顔を見上げる。ヴィルヘルムもリリーの真剣な雰囲気
を感じ取り、顔を引き締めた。
142名無しさん@ピンキー:2010/05/17(月) 01:07:26 ID:pdo1QwDW
gj!gj!!
後編待ってます!
143リリー 後編:2010/05/17(月) 01:07:39 ID:/MgZ47gb
「私達、なんとか形になって歩んできたけど、一つだけまだ残されたわだかまりがあるわ」
「ああ。あのこと」
 ヴィルヘルムは顔を曇らせる。彼にとっても、彼が犯した罪は、思い出したくもないと
なっていた。当時は感情のままに彼女を犯してしまったが、冷静になって当時を振り返る
と、人間とは思えない卑劣な手口に、自分で自分を悔いた。それからというもの、ヴィル
ヘルムはあの時のことを妻になじられることを恐れるようになった。リリーはまだ一度も
あの時の彼を責めたことはなかったが、多分今がその時なのだろう。リリーが眉を上げた
のを見て、ヴィルヘルムは妻に対して初めて怯えた顔を見せた。
「そうよ。あのことよ。ずっと言わなきゃと思ってたの。だから言うわね」
 ヴィルヘルムは片手を上げてリリーを制止する。
「待ってくれ。覚悟を決めさせてくれ」
「十秒待ってあげる」
 沈黙の十秒間が過ぎ、ヴィルヘルムは喉をからからにさせながら「いいよ」と声を絞り
出した。
「十年前このお屋敷で働いていたメイドのことを覚えてる?」
「茶髪の、翡翠の目をした魅力的なメイドだね。忘れるわけないじゃないか」
「よかったわ、あなたが彼女のことを忘れていなくて!あなたのメイドね……旦那様のこ
とが好きだったのよ」
 そこでリリーは一旦言葉を切り、ヴィルヘルムの表情を窺う。ヴィルヘルムは目を見開
いたままその場に固まっている。
「初恋だったの」
 リリーは頬を赤らめ、小さく笑みを零す。ヴィルヘルムは緊張の糸が切れたのかその場
に膝をついてリリーの両手を握り締め、妻の顔を見上げる。
「君はそんなこと一言も……」
「言えるわけないわ。だってあなたは貴族の男性で、とても大人だった」
「じゃあ、私は君に、なんてことを……」
 ヴィルヘルムの目から一筋の涙が頬を流れ落ちた。リリーは腰を屈めてヴィルヘルムの
額に優しく口づける。
「許します、ヴィルヘルム。あの頃はとても傷ついて、あなたをひどく軽蔑した時もあっ
たけど……でも、あんなことがなければ、あなたと結ばれることも、私達の可愛い子供達
に会うことも、絶対になかった」
「……君はあの頃から私に甘いね」
「そんなことはないわ。許すまでに十年の時間が必要だったもの」
 縺れていた過去の糸を解ききった二人は微笑みあうと、どちらからともなく愛しい相手
の体を抱きしめた。熱い抱擁を交わすヴィルヘルムとリリーを物言わぬ草花だけがただじ
っと見つめていた――。



おわり
144名無しさん@ピンキー:2010/05/17(月) 01:17:10 ID:/MgZ47gb
後編以上です。『リリー』これにて終了。

最後はホラーエンドや悲恋エンドに心引かれつつも、肝っ玉母ちゃん子沢山ハッピーエンドで締めてみた
落として落とした分だけ上げてやったぜ

登場人物については作中で書きたいこと書いてるので特にここで書くべきことがない
合計10レスと一回で投下できそうな量を三つに分けて大量にレス消費したのはすまなかった
SS書き始めて日が浅いので投下前はどうなることかと思ってたけどGJや感想ありがとう

最後に一言。おまえらは妄想してどんどん雑談すべき






145名無しさん@ピンキー:2010/05/17(月) 01:23:46 ID:rYEgiNfR
>>144
リアルタイムきたー
やっぱりハッピーエンドは安心するな。
ホラーエンドが来るかどうか気になってたw

てか、執筆早いな…見習わなければ。
146名無しさん@ピンキー:2010/05/17(月) 01:29:36 ID:/MgZ47gb
>>144
最後変な改行空白すまん
後編前書きでエロなしの注意書き入れるの忘れてた
エロ期待してたやつには申し訳ない
147名無しさん@ピンキー:2010/05/17(月) 01:42:29 ID:gMPFLB8Q
>>144
完結乙です
子は鎹とは良く言った物
148名無しさん@ピンキー:2010/05/17(月) 01:46:47 ID:h8Cf+eZb
超GJ!
なにこのハッピーエンドwww
なんか目から汁がにじんでるんですけどwww
エロとかどうせこのあとベッドで5人目の仕込が行われてるんだろう?

お疲れさま
やることやってまた暇と妄想が溜まったら投下してくれると嬉しいぜ
149名無しさん@ピンキー:2010/05/17(月) 05:23:31 ID:6lPh/+OI
GJ!!!
旦那様のヤンデレっぷりを体感しこの目で見て尚受け入れるだけの度量と包容力を持った
リリーは素敵な女性かつ母ですね。

冷静に考えなくても自分から経済的苦境を演出して
リリーを買ったあげくあんな事までした旦那様は卑劣漢なのにw
まぁそこが良いんだけど
150名無しさん@ピンキー:2010/05/17(月) 07:17:31 ID:Rqfjf4vV
うおお完結してたああGJ!
ホラーや悲恋エンドもそれはそれでよいけど
リリーと旦那さまが幸せになってくれてなんかとてもほっとした…
ヨハンの母ラブっぷり可愛いな。萌えたw
151名無しさん@ピンキー:2010/05/17(月) 09:25:49 ID:bkAWYc88
乙!
実際こういう関係でハッピーエンドってなかなかならないよね。

トマス・ハーディの「テス」に出てくる旦那様アレックって自分的には
ストライクゾーンど真ん中なんだけど、あれはヒロインが強情に拒絶したから
悲劇に終わっちゃった。あんな処女性と女の過去にこだわる冷たい夫より、
レイプはしたけどテスの貧しい家族に手厚く援助したり、
逆境にいる彼女を助けようと一生懸命だったり、責任取ろうとして
結婚申し込んだり明らかに本気でヒロインにほれてるじゃん。
テスがアレックの愛を受け入れさえすればすべて丸く収まるのに〜
とじれったく思ってたからこういう結末のほうが好き。
152名無しさん@ピンキー:2010/05/17(月) 21:41:17 ID:6lPh/+OI
>>151
このスレに居るような人にはあの旦那様は間違いなくストライクだなw
このスレにとっても古典ですね><
153名無しさん@ピンキー:2010/05/17(月) 21:51:38 ID:09bG2nCa
リリーが元メイド、元庶民ということはみんな知ってるだろうが、
元娼婦ということは知っているんだろうか
息子や周囲がそれを知ってしまった時の反応が気になる
154名無しさん@ピンキー:2010/05/18(火) 00:15:29 ID:NgYA9D/P
>>153
娼婦だった事は知らなさそうだな
てかヨハンは父親の事をどう思ってるだろ?
なんか健気で献身的な妻に偉そうにする嫌な主人とか思ってる気もするw
まぁ、周囲にリリーの事をあんまり話さないのは
リリーが他の男の目に触れる事すら嫌だからなんだろうがw
155名無しさん@ピンキー:2010/05/18(火) 01:58:12 ID:bN+htmUs
ところでみんなは女性年上なのは嫌い?
半ば売り物同然に腐れエロ親爺の嫁になりその後未亡人になった女性と
そんな女に恋心を持ち求婚する青年とか
女の方は自分みたいな薄汚れたおばさんでは不釣り合いだと断るのだが
青年は諦めきれず暴挙に…とか良いなぁと思う
156名無しさん@ピンキー:2010/05/18(火) 02:47:20 ID:QK/M/Pto
>>155
とてもよいと思います。

無理して大人ぶって、
「それは一時の気の迷いよ‥」
とか青年を子供扱いするようなことを言って、
キレた青年に襲われればいいと思います。

青年の情熱と有り余る体力にベッドの上で息も絶え絶えの大人の女性に萌える。

青年と未亡人も、少年とお姉さんとかもいいなあ


157名無しさん@ピンキー:2010/05/18(火) 03:50:25 ID:4VpDCPTQ
女性のが年齢も立場も上なのもいいね
本当は嬉しいのに「立場を弁えなさい」とか諭したりしてたら
いつの間にか同じような身分に上り詰めてきた青年に言い寄られて
今度は年齢がどーたらとか言い出して最終的に>>156になればいいと思います

あ、でも青は女性が自分を好きだと確信を持ってから手をだしてほしいなー
鬼畜暴走展開も大好きだが、紳士なのもまた別のよさがあると思うんです
それに女性の男性遍歴がひどいものであれば青年の優しさもひきたつしw
158名無しさん@ピンキー:2010/05/18(火) 04:05:08 ID:NgYA9D/P
>>157
自分に抱かれたら絶対拒めないと青年が確信した所で手を出すのかw
言葉攻めなんかも交えつつ淫乱な美熟女を犯して屈服させるんですね判ります
159名無しさん@ピンキー:2010/05/18(火) 07:02:25 ID:DiFmlrEu
リリーの親とか兄弟がどうなったか気になる。
160名無しさん@ピンキー:2010/05/18(火) 18:06:54 ID:Uz7udXNt
>>156
じゃあ俺は中学生の少年と女子大生のお姉さんで
どうせ女子大生なんてやりまくってんだろと片想いの女子大生を犯しちゃう
でも女子大生の方も年下の少年を密かに好きだったとか
どうも悲恋で終わりそうだな
161名無しさん@ピンキー:2010/05/18(火) 19:10:03 ID:cTAaEtwE
加えて男に片想いしている別の年下の女の存在があれば、その女の方が釣り合うという理由で頑なに男を拒んで、うまくいけば逆上させられるわけですね。

そのうち男が想っている年上の女の存在がばれてしまい、男も年下の女に逆レイプされ、更にそれも年上の女にばれて余計拒まれるという負のスパイラルですね、判ります。
162名無しさん@ピンキー:2010/05/18(火) 21:54:59 ID:NgYA9D/P
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1261994789/395-397
姫様スレのこれとかこのスレの人好きそう

>>160
強姦してみたら処女だったとか色々キツい物があるな
しかもどうせ犯りまくりに違いないと思ってたお姉さんはマンコから破瓜の証を流してしくしく泣いてるのか

>>161
何その泥沼の三角関係
163名無しさん@ピンキー:2010/05/18(火) 23:48:04 ID:bN+htmUs
女性年上でも大丈夫か
性欲が有り余ってて1日何回でも出来る若い男にお姉さんとか大人の女性が無茶苦茶にされるのが好き
164名無しさん@ピンキー:2010/05/19(水) 01:40:42 ID:saqtSLre
遅ればせながらリリーの作者さんGJでした
ハッピーエンドで良かったです

最近スレが活気づいて嬉しい
165名無しさん@ピンキー:2010/05/19(水) 01:50:30 ID:vrE9RDmG
>>164
やはり定期的に続き物の投下があるとスレの盛り上がりが全然違う
166名無しさん@ピンキー:2010/05/19(水) 02:07:54 ID:j5WEl4VP
>>151
アレックいいなアレック
是非「テス」は読みたい

さらにGJと感想ありがとうございます
その後の脇役とかは自分は設定練ってないんでご想像にお任せする
ただヨハンと父親は似たもの同士同族嫌悪してるんじゃないかと思われる
妄想と性欲がどうしようもなくなった時はまた投下しにくるよ
今度はもっとエロ長めになるように努力する
167名無しさん@ピンキー:2010/05/19(水) 02:46:09 ID:vrE9RDmG
>>166
あの親子やっぱり似た物同士なんだw
ヨハンに嫁が出来たらリリーと仲良くなれそうですね
どちらにとっても旦那は頭の痛くなる種だろうしw
168名無しさん@ピンキー:2010/05/19(水) 06:44:04 ID:zGxvN2sy
>>162
晒すなカス
死ね
169名無しさん@ピンキー:2010/05/19(水) 14:12:11 ID:BHI/nIr+
カスは言い過ぎだが
・他スレのSS紹介禁止。迷惑をかける可能性があります。
これ次スレから■お約束の一番上にしたほうがいいかもね

せっかくこれだけスレ内自家発電できてるんだから
ずっと楽しくやってこうよ
170名無しさん@ピンキー:2010/05/19(水) 20:16:34 ID:Se32Nf3H
ここ、書き手が読み手にリクエスト募るのは有り?
171名無しさん@ピンキー:2010/05/19(水) 20:48:17 ID:fCVChYI6
>>170
リクというか妄想を書き連ねたら職人さんが拾ってくれるかも
ディアナたんとかリリーたんとかのとうかの投下経緯的に考えて
さぁ、妄想を書き込んで雑談開始のスイッチを押すんだ
172名無しさん@ピンキー:2010/05/19(水) 20:49:52 ID:fCVChYI6
読み間違えた逆か
173名無しさん@ピンキー:2010/05/19(水) 21:39:36 ID:Se32Nf3H
>>172
まあ、ディアナ書いてる中の人なんだが、ただの救援要請です。
だらだら続けると言っておきながら、話はともかくエロのパターンに苦しみ出した次第で…
スレの特性もあるし、ワンパターンはつまらんだろうし。

リクエストというか雑談でいいので、シチュエーションの案をもっと欲しいと思い始めた次第です。
>>171の通り妄想を拾って始めたので妄想がないとネタ切れ起こすという…


厚かましいようなら時間かけて自分で何とか捻り出す。
手探りで始めて長く続けようってのがそもそも無謀なのかもしれんがw


ちなみに次のネタは逆レイプおkとのことなので確定済みです。近々投下します。
174名無しさん@ピンキー:2010/05/19(水) 22:17:46 ID:HoCmGcyT
>>173
おお、楽しみにしてます!

妄想ネタはきっとこのスレの住人ならほっといてもやってくれるはずだ。

ここは職人さんが投稿してくれるパロは言うまでもなく、
雑談妄想ネタ読んでるだけでもすごく楽しい。

これからもぜひこのスレに賑わって欲しいね。

175名無しさん@ピンキー:2010/05/19(水) 22:21:56 ID:g2dY8iiD
では、テスのアレックも好きだしストックホルム症候群とか萌えまくりだけど
リアルでは誰にも言えない私の妄想を書かせてもらいます。

強制収容所で将校が捕虜の少女と無理矢理関係を持つんだけど
そのうち本気で彼女に惹かれるようになる。でも言えないし表面上はわざと
つらくあたったりするんだけど陰では何かと彼女のために助けてやっている。
で、あるとき彼女を庇うために自分が窮地に追いやられて命が危うくなったりしちゃうんだけど、
うすうす彼の気持ちを感じていた彼女も自分が実は彼を愛するようになっていた事に気づく…みたいな?

これなんかはシンドラーのリストの所長とユダヤ人女性の関係見てて思いついたんだけど
あれも結構ストライクでした…

176名無しさん@ピンキー:2010/05/19(水) 22:46:54 ID:Z9nGl0X0
あんまり見ない好みのシチュを上げるなら、スワッピングとか。

愛はないけどパートナーとしては気の合う夫婦が、仲睦まじい
幼馴染や婚約者達にそれぞれ惚れてしまい……的な。
177名無しさん@ピンキー:2010/05/19(水) 23:31:52 ID:vrE9RDmG
>>175
ストックホルム症候群良いよね
自分に対して女性として生まれてきた事を後悔させるような仕打ちをする
男に恋愛感情を抱いている事に気付き愕然とする女性とか
しかも男の自分を見る目が明らかに唯の慰み者に対する物で無い事に変化している事に気付き
喜んでしまう自分に自己嫌悪とか
178名無しさん@ピンキー:2010/05/20(木) 00:10:45 ID:X3wWt0uK
ストックホルム症候群は萌えるよな…
179名無しさん@ピンキー:2010/05/20(木) 00:29:57 ID:VmI07Bql
>>173
楽しみにしてます

>>176
心まで性的暴行を加えた男に蹂躙されてるのですね、萌えます

>>178
私も好き
180名無しさん@ピンキー:2010/05/20(木) 00:32:18 ID:24z5ExDi
>>175
シンドラーのリストのその二人は自分もストライクだった

実生活では絶対他人に言えない最近の自分の妄想ネタ
兄妹みたいに育った男女の出身国同士が戦争状態へ
男女もそれぞれ自国に帰属・敵対
が、色々事情があって男が女を殺さなければならなくなったが
いざ女を前にすると殺せず、自国に連れ帰り監禁
女を殺さず置いておく理由を作るため女を陵辱して自分の女と言いふらす
男は実の妹のように大切な女を陵辱してしまったことに苦悩するが
女を生かすためにやむを得ず陵辱を繰り返すしかない
女も兄のように慕っていた男に陵辱されて傷つくが男を嫌いになれず苦悩
最終的には幼馴染愛→恋愛にシフト?
これも一種のストックホルム症候群なのだろうか
181名無しさん@ピンキー:2010/05/20(木) 01:16:41 ID:g+x0yWzs
しかしシンドラーのあの所長、かなり男前だったからなー。
あれがただのキモイ親父だったらどんな状況におかれても嫌悪感しか湧かないだろうな。
182名無しさん@ピンキー:2010/05/20(木) 01:45:34 ID:wt2jumL7
俺はブ男と美しい女性の組み合わせが好きです
183名無しさん@ピンキー:2010/05/20(木) 03:18:03 ID:6iGnaO3F
良作が並ぶ中自信はないが投下。
おつまみにでもなればと思います。



「っ…お願い、やめて…」
床に組み伏せられている彼女は涙声で訴えた。表情は窺えないが、おそらく不安と恐怖で満ちていると思う。
尻を突き出す形でうつ伏せになっている彼女に覆い被さり、敏感な場所を弄る。
「…でも先輩、もうぐしょぐしょだよ?」
耳元で囁いて指を入れると、ビクッと身体が跳ねた。
「や…ぁ…っ」
グチュグチュと音を立ててかき回す度に、愛液と押し殺した喘ぎがこぼれる。
そんな先輩が可愛くて、もっと声を聞きたくて、更に激しく責めようと固くなった自身をあてがった。
「っ…!だめ、それは――」
先輩が言い切る前に一気に突き入れる。深く浅く、優しく激しく。
先輩が強く感じてくれる場所を探しながら、夢中で腰を振った。
「あんっ、やあっ…はっ、ああっ!」
この行為が終われば元の関係には戻れない。きっとどうしようもないぐらいに壊れてしまう。
もちろん先輩は悪くない。これは理性を抑えられなかった自分のせいだ。
だから。だから今だけは。
「りんくん、凜…くん、凜くん…っ!!」
凜。俺はこの名前が嫌いだ。小さい頃から女みたいとからかわれて、うんざりだった。
でも先輩に呼ばれるのは嫌じゃなかった。
最初は周りの奴みたいにからかかったりしないからかと思った。でも違った。先輩は自己紹介の時に確かに笑っていた。
でもそれは名前に対してじゃなくて、『よろしくね』という意味だった。
多分きっかけはあれだと思う。先輩の笑顔に、俺は惹かれたんだ。
「っ…凜…くん、凜くん、凜くん…!」
甘い息遣いの合間に俺の名前を呼ぶ。嫌なはずなのに何故そんな事をするんだろう。
でも、もっと呼んで欲しい。こんな最低な事をしているのに。もうそんなふうに呼ばれる権利なんてないのに。
「せん、ぱい…!俺、もう…っ」
「凜くんっ…なかは、だめ…!あんっ、あ、ああっ、――――!!」
もう限界だと感じて引き抜いた直後に先輩はイッた。気を失ったらしく目を閉じてぐったりとしている。
もう終わった。もう戻れない。今の事はきっと一生癒えない傷になっているだろう。
服の乱れを整えて自分が汚してしまったものの始末をしながら、そんな事を考えた。
もう夢は見れない。
「…ごめん。先輩」
自分勝手で最低だけど、あなたが目を覚ますまでは夢を見させて下さい。
そう心の中で呟いて、俺は先輩の頬にキスをした。


おわり
184名無しさん@ピンキー:2010/05/20(木) 21:42:37 ID:R87wxQu0
おまえらの妄想力に感謝。
強制収容所とストックホルム症候群と>>183の先輩で満腹です。

女←女の図も浮かんで来たが流石にスレ違いになりそうだからやめておくw


>>176
スワッピングって同意がなくても成り立つのか?
185名無しさん@ピンキー:2010/05/20(木) 21:59:19 ID:nAwPZCkP
>女←女
愛するが故に無理やりな要素があるんなら、ぜんぜんスレ違いじゃないと思うんだぜ。
個人的には大歓迎だw
186名無しさん@ピンキー:2010/05/20(木) 22:25:13 ID:R87wxQu0
>>185
おk、前言撤回。取り入れる。
187名無しさん@ピンキー:2010/05/20(木) 23:17:34 ID:fQmwNLJS
>>183
おつまみおいしい
超GJ!
またなにか書いてくれ、もう少し長いのとかも。
188名無しさん@ピンキー:2010/05/21(金) 00:15:36 ID:E9x0Pc7V
>>183
おつまみ乙!!

この話の前後も読みたいかも
凛くんと先輩の出会いの話とか

>>185
神無月の巫女みたいな感じですね
そういやアニメ版でも千歌音ちゃんって姫子の処女膜ブチ破ってるよね?
漫画版だと百合棒で貫いてたが
189名無しさん@ピンキー:2010/05/21(金) 00:45:41 ID:ssNP/BPI
百合警報をだしてから投稿してね。
190名無しさん@ピンキー:2010/05/21(金) 00:50:47 ID:HnsD8OmM
ここのスレにでてくる男女は
人工の道具なんて使ったら道具に嫉妬しそう。

やっぱり自分の体使わないと自分がしたって気がしない気がする。
がんばって手で!
191名無しさん@ピンキー:2010/05/21(金) 01:03:30 ID:E9x0Pc7V
>>190
女同士だと私のこのフィンガーが愛する女の膜を貫くとかそんな感じでしょうか?
192名無しさん@ピンキー:2010/05/21(金) 10:39:40 ID:Y/A5leyF
>>183
GJです!この前後が気になるなあ

そしてストックホルムネタがツボすぎる…。いいよな、極限状態って感じが
この気持ちが愛なのかどうか分からない、でも離れられないみたいなの希望
妄想が止まらんw
193名無しさん@ピンキー:2010/05/21(金) 11:45:48 ID:ZaNT8pKX
ストックホルムとか実在の病名あげて萌えるとか流石にやめないか
さすがに異常だよ
194名無しさん@ピンキー:2010/05/21(金) 12:19:03 ID:5vg0TC3g
>>193
ストックホルム症候群は病気じゃないだろ。
あれは自分が助かるための一種の自己暗示みたいなもん。
195名無しさん@ピンキー:2010/05/21(金) 13:28:21 ID:cIQfcSGT
てかこのてのネタで使われるストックホルムって言葉は、正直、女側の描写を
楽に済ませるための「エピソードの記号化」だからなぁ。

スレ的にはむしろ男側の前ふり、例えば発生前からの恋愛感情とか、発生後に
いきなり凌辱ではなく最初は無傷で返すはずが恋愛感情が生まれるてしまい…
などのエピソードの方に行をとられてしまうだろうし。
ここがしっかりないと、愛ゆえに無理やりじゃなくて逆にしか見えないから。
196名無しさん@ピンキー:2010/05/21(金) 18:48:23 ID:E9x0Pc7V
>>195
重要なのは男側の心の動きだな
両思いかそれに近い状態なら女性側の心の動きのスパイスに良い感じ
197名無しさん@ピンキー:2010/05/21(金) 21:21:42 ID:CxzXE7h2
ここでストックホルム萌えーってレス見ると
ヘタリアで原爆萌えーとかほざく腐と同類な感はある
198名無しさん@ピンキー:2010/05/21(金) 21:24:05 ID:Ypvz4d2d
それ言ったらそもそもこのスレに何で来たって話だろ
199名無しさん@ピンキー:2010/05/21(金) 21:45:48 ID:HTr6oKT+
>>198
鬼畜陵辱スレとかに巣食う連中と同じ匂いを感じる
レイプネタを普通に扱うスレでレイプはどうこうとか言ったり
こういう人って純愛物で定番の難病ネタとかどう思ってるのか?
まぁ、こういう連中が沸いたという事はスレ住民も増え活気付いてる証だが
200名無しさん@ピンキー:2010/05/21(金) 22:03:46 ID:5vg0TC3g
おまえら一度ぐぐった方がいい
201名無しさん@ピンキー:2010/05/21(金) 22:13:46 ID:Ypvz4d2d
ググったらリマ症候群でじんわりした
202名無しさん@ピンキー:2010/05/21(金) 22:29:46 ID:cIQfcSGT
まぁこのスレは愛するが故にスレ(凌辱する側に縛りがある)なので
凌辱される側にまつわる属性だけ語られても微妙だなーとは思う。

単に女がストックホルムになっていればいいなら依存スレとかあるし
凌辱する側の感情や行動原理に言及されないとさ。
203名無しさん@ピンキー:2010/05/21(金) 23:47:28 ID:eVLtxhR0
ここの住人って多分依存スレと被ってる人多いよな
かく言う私もその一人でして・・・
204名無しさん@ピンキー:2010/05/22(土) 00:33:42 ID:fkslsr38
前にもこの手の話題で荒れたような…。それでスレタイ変わったんだっけ?
確かにネタ的には不謹慎かもしれないけど、ここはもともとそういう系のスレだし…
それとも凌辱はおkでストックホルムは駄目か?
でも大人なんだし、みんなフィクションとしてちゃんと割りきってるんだし
(二次だからなにをしてもいいという意味ではないが)
つーか、無理矢理萌えもストックホルム萌えも大して変わんない気がするんだ…
205名無しさん@ピンキー:2010/05/22(土) 00:40:38 ID:QvSe7dVZ
というか、エロパロ板にあるスレは
性犯罪の被害者には割とどれも不謹慎だと思うんだ…
だってエロパロだもの
206名無しさん@ピンキー:2010/05/22(土) 00:49:53 ID:Togry1j5
>>201
むしろリマ症候群の方があり
207名無しさん@ピンキー:2010/05/22(土) 01:06:21 ID:Togry1j5
途中だった。
犯罪者が被害者に情がわくっていう逆パターンもあるんだね>リマ症候群

というか特に性犯罪色の強い題材だから
リアルネタを出されると引いちゃうんだろうね。
個人的には好きか嫌いは別として
ネタとしてもストックホルムは単品で出されてもどうも
行為が愛ゆえじゃなくても成立しちゃうのがちょっと。
あ、でも行為の後愛するパターンもokなんだったけ?
208名無しさん@ピンキー:2010/05/22(土) 01:11:57 ID:QvSe7dVZ
ローマの建国神話とかかなり立派なストックホルムだけど
あれはあれでいいもんじゃないかと思う
209名無しさん@ピンキー:2010/05/22(土) 01:16:02 ID:OpxVXg2R
>>207
始めは陵辱目的だったが途中で女に対する情愛に目覚めてもあり…


この手のスレは創作物と現実の区別がつかない人には駄目ですなぁ
一般に言われるのと逆の意味でw
210名無しさん@ピンキー:2010/05/22(土) 01:19:38 ID:ZJdJb/0+
流れぶったぎって悪いんだけど、少年とお姉さんネタ拾っていいかな?
まだどうゆう話にするかも全然決めてないんだけどさ
片想い、相思相愛、悲恋エンド、ハッピーエンドとかどうゆう展開がいいもん?
211名無しさん@ピンキー:2010/05/22(土) 01:21:18 ID:SaFrDGFq
ハーデスとペルセポネーとかいいよね
212名無しさん@ピンキー:2010/05/22(土) 01:22:08 ID:OpxVXg2R
>>210
全然問題ないかと
>片想い、相思相愛、悲恋エンド、ハッピーエンド
ここは自分の好みに合わせて書くのが良いかも
個人的には相思相愛のほうがインパクト強いけど
ラストはどちらでも
213名無しさん@ピンキー:2010/05/22(土) 01:22:43 ID:SaFrDGFq
>>210
展開を考えるのが書き手の仕事だZE!
214名無しさん@ピンキー:2010/05/22(土) 01:24:29 ID:OpxVXg2R
神話関連は確かに参考になる…
215名無しさん@ピンキー:2010/05/22(土) 01:36:03 ID:ZJdJb/0+
>>213
悪かった。
別に考えるのを手抜きしたいってわけではないんだ
前回が結局相思相愛ハッピーエンドだったから
みんな飽きてるようなら次は傾向違った方がいいかなと思っただけ
216名無しさん@ピンキー:2010/05/22(土) 02:06:17 ID:pc/MkAsx
自分の書きたいものをかくんだ!
それが一番いい!

でも自分は全然ハッピーエンド飽きないよ。あきるものじゃないもの!
どん底の修羅場からハッピーエンド行くとなんかより幸せな気分になるし。
両想い好きな人が多いと思うけど、自分は片想いも好きだよ。
片想い→両想いになるのも好きだな。
217名無しさん@ピンキー:2010/05/22(土) 02:46:37 ID:XNlwbyFS
流れが戻ったところ悪いが言わせてくれ。
恥ずかしながらストックホルム症候群の意味を初めて調べた身としては、
ただの人間の自己防衛反応と解釈した。
人の死とか病とか、言いたいことはわかるが見当違いだと思う。

てか、ストックホルム的要素入れて話構成しちまったんだよ。
投下しづらいじゃねえか。するけど。


最後の一言が言いたかっただけです。突っ込まないで下さい。
流れを戻すように続き投下します。

【事前の注意事項】
・逆レイプ(もどき)


今までの1.5倍以上の量があります。少し長いです。16レスほど頂きますw

前半はただの伏線にまみれたRPGです。
面倒な方は2/3くらい飛ばして下さい。

鬼畜要素は少しだけあります。今回は2人とも鬼畜です。和んで下さい。
以下、投下します。
218名無しさん@ピンキー:2010/05/22(土) 02:51:30 ID:XNlwbyFS
補足。
読みづらそうな字・読み間違われたくない字には読み仮名入れました。

以下、投下します。
219偽悪的征服録 Ep.5:2010/05/22(土) 02:52:44 ID:XNlwbyFS
目が覚めると、既に高くまで日が昇り眩しい光を放っていた。
ディアナはまだ腕の中にいる。顔が見えず、寝ているのかどうかよくわからない。
起き上がろうとそっとディアナの腕に手を掛けると、途端に力を篭められた。

「……起きてたのか」
「うん」

ディアナはそれきり何も言わずに現状の体勢を維持し続ける。
あまり強く出ることもできず、しばらくの間じっとしていると不意に小さな声が聞こえた。

「ねえ、私のこと、嫌いなの?」

ディアナは顔を上げず、黙ってロイドの返事を待っている。
ふと、当たり前のようにクレアに言った言葉を思い出す。
加えて昨日の横暴な行為もあり、身に堪えたのだろう。

「嫌われているならこうして生きてない。」

突然ディアナが顔を上げる。驚いた様子で目を見開いていた。

「本当?」

もう、必要以上に突き放すのは止そうと思っていた。
小さく頷いて見せると、ディアナは嬉しそうににっこりと微笑んだ。

「悪かった。もういたぶるような真似はしない。」

ロイドが素直に昨日の蛮行を詫びると、彼女の表情が一変する。

「いたぶってたの?わかってたの?」
「まぁ……」

ディアナは唖然とした表情を浮かべ、勢い良く起き上がりロイドに批難の声を浴びせ掛けた。

「我慢してたのに……!酷い!最低!獣(けだもの)!」

今までの柔順な態度とは打って変わって、遠慮のない猛烈な抗議と罵声が繰り返される。
見たこともないその姿に、ロイドは思わずたじろいだ。

「ディアナ……?おまえ、どうした?」
「言うこと聞いてるだけじゃ駄目だと思ったの。これからは言いたいこと言うから、そのつもりでいてね。」

ディアナは得意気にロイドを見下ろしベッドから抜け出ると、浴室へ向かった。
その姿を目で追いながら、彼女の心にわだかまりが残っていないことを確信する。
安堵とも何ともつかぬ溜息が出た。


その日はジークが何を目的としてディアナを攫ったのか洗い浚い吐かせ、今後の動向を考えなければ
ならなかった。
一時の油断が命取りになる相手。唯一の救いはディアナの抹殺が目的でないこと。
しかし、ディアナは手を打つことを拒んだ。
親の仇を討つために、そしてその身に受けた屈辱を晴らすために、自分の手で討つのだという強い意志を
持っていた。
220偽悪的征服録 Ep.5:2010/05/22(土) 02:54:54 ID:XNlwbyFS
強敵を目標とするのはディアナの成長の上でもプラスになる。
内心、いい加減白黒はっきりさせたいとは思っていたが、彼女の意を汲み要求を呑んだ。


数日後、ディアナの装備を整え彼女の強化計画を練っていると、突然懐に振動を感じた。
振動していたのはクレアから渡された通信機。
通信状態にして黙っていると、変声機で声色を変えられた男の声が聞こえて来た。

『よう』
「…………」
『何とか言えこの野郎。』

クレアの所属する情報屋集団の長とは、以前の無謀な依頼で話したことがある。
馴れ馴れしさ、口の悪さから、ロイドは間違いなくケルミス本人であることを確認し、口を開いた。

「何の用だ。」
『頼みがある。ちょっと使われろ。礼はする。』
「おまえ、そのために持たせたのか?」
『当たり前じゃねえか。』

話によると、最近ラストニアの西の海で小さな孤島が発見され、調査依頼を頼まれているとのこと。
しかし向かった調査メンバーが血塗れで戻り、治療の甲斐も空しく死亡したというのだ。
付き添いの手練の人間も漏れなく殉職し、その辺の連中に頼むわけにはいかないらしい。

『失敗したら俺達の沽券に関わる。おまえみたいな人外な力を持つ人間の力が必要だ。』
「誰が人外だ。」
『リスクが高い分報酬も弾んでやるよ。どうせ金は要らないだろうから、おまえの大好きな剣の情報を
くれてやる。』
「……大好き?」

実は、ロイドは類い稀な名剣収集家だったりする。
愛好家ならば多く存在するが、名剣自体はそれほど存在しないため収集家は数少ない。
しかしその嗜好を知っている人間は数える程度しかいないはずだった。

『使いもしない剣を溜め込んでんだろ?剣士の風上にも置けない奴め。』
「何故おまえがそれを知っている……」
『この俺の情報網をなめんじゃねえ。で、どうだ。引き受けるか?』

不本意ながら、報酬の情報に興味があるのも事実。ディアナの経験蓄積にも役立つかもしれない。
興味津々に様子を窺っているディアナに視線を送り、ロイドはその依頼を引き受けた。

『恩に着るぜ。せめてもの配慮だ、サポート役を一人を付けてやる。そいつに案内して貰え。』

案内役の人間と落ち合う時間を確認すると、すぐに回線が切られた。

「何?情報提供?」
「使いっ走り依頼。」

221偽悪的征服録 Ep.5:2010/05/22(土) 02:56:49 ID:XNlwbyFS
ロイドが簡単に事情を説明すると、ディアナはまるで子供のように目を輝かせた。
赴く先が未開の地であるということに興味をそそられるのだと言う。
落ち合う日時は今日の昼過ぎ。ロイドは適当に時間を潰し、待ち合わせ場所である酒場へと向かった。
入口に設けられているウエスタンドアを通り、指定された隅の席へ足を運ぶ。
そこに座っていた人物と目が合うなり、二人はそのまま押し黙った。

「…………」
「…………」

ディアナはやたらと嬉しそうな顔をしている。
案内役を担うその人物が、沈黙を破るように先に口を切った。

「何であんたが来んのよ……」

席に座っていたのは他ならぬクレアその人。不満に満ち溢れた視線をロイドに注いでいる。

「あたし、帰っていい?」
「ケルミスに報告するぞ。」

おもむろに通信機を懐から出してみせると、クレアは慌てて止めに入った。

「じょ、冗談よ、やめてよ!あいつ平気で減給するんだから!」
「わかったからさっさと案内しろ。」
「くっ……道理であいつ、相手の名前言わないわけだわ。」

クレアは大きな溜息をつくと、諦めたように席を立った。

「クレアさん、宜しくね。」
「あなたがいるのがせめてもの救いね……」

満面の笑みで挨拶するディアナに取り繕ったような笑顔を向けると、クレアはすぐに酒場を後にし二人を
港へと連れ出した。
用意されていた小型のクルーザーに乗せられ、目的の島へ向かい発進する。

「船の操縦免許なんか持ってたのか。」
「小型船だけね。だから適任と言えば適任なんだけど……」

クレアはロイドを横目で見遣る。

「あたし、戦闘はプロじゃないの。何かあったら守ってよね。」
「努力する。」
「…………」

如何にも憂鬱そうな様子を見せ、彼女は舟を走らせ続けた。
数時間後、辿り着いたのはが緑生い茂る小さな孤島。
気温も高く、目前に立ちはだかる密林は正に熱帯雨林。

「先に言っておくけど、報酬の情報が欲しいなら三日以内に片付けてここへ戻って来ることね。」
「報酬?情報?」
「あなた聞いてないの?」

ロイドはディアナには報酬の件は話していない。
下手に詮索され、自分の趣味を露呈するのは願い下げだった。

222偽悪的征服録 Ep.5:2010/05/22(土) 02:59:55 ID:XNlwbyFS
「早く行け。案内役だろ。」
「これから日が沈むけどいいのね?モンスター出るわよ。弱いらしいけど。」
「問題ない。」

クレアはベルトに括り付けられているシザーポーチから位置確認装置を取り出し、現在位置と方角を確認する。

「目的地点でもあるのか?」
「戻って来た連中、皆死ぬ間際に洞窟のドラゴンにやられたって言ってるの。何かあるとすればそこね。
場所は森の奥。後はこのスタート地点さえ記録しておけば方角を頼りにいつでも戻って来れるわ。」
「す、凄い……」

生まれて初めて見る機器に、ディアナは興味深そうに関心を寄せている。
現在位置の登録を終えると三人は密林へと足を踏み入れた。
辺りはすぐに暗くなり、周辺から低級モンスターの蠢く気配が伝わってくる。
照明はクレアの持つ小型のサーチライトと、ディアナの灯す小さな炎のみ。
無論その日のうちに辿り付けるはずもなく、ある程度進んだ先で休息が取られた。
高かった気温は一転して下がり、明かりと敵避けを兼ねて焚き火を起こす。

「全然襲って来ないな、こいつら。」
「臆病な種類らしいわ。寝首を掻くタイプだって話だから、見張りよろしく。」
「…………」

つまり寝るなということだった。
一掃しても良いが数が多い。後から沸いて出てくる敵の相手をするのは労力の無駄でしかない。
クレアはディアナと一緒に横になると、からかうような視線をロイドに送った。

「じゃあ寝るけど、変な気起こして襲っちゃ駄目よ。」
「おまえを襲って俺に何のメリットがあるんだよ……」
「……あんた、それレディに対して失礼だと思わないわけ?」

横で話を聞いていたディアナが一瞬不思議そうな目をロイドに向けたが、すぐにクレアへと戻しジャケットの
端を小さく引っ張る。

「クレアさん」
「ん?」
「どうしたらそんなにスタイル良くなるの?」
「……へ?」

何の脈絡もない問い掛けに、クレアの口から間の抜けた声が上がった。
クレアはちらりとロイドに視線を送り、ディアナの質問の意図を推測する。

「あなた、そんなにあれの気引きたいの?」

ロイドを親指で指し、哀れみの表情をディアナに向けている。

「え!?」
「難儀ねぇ。同情するわ。」
「おまえらさっさと寝ろよ……」

聞くに堪えず、ロイドは二人を早々に休ませる。
ディアナとクレアの相性がそれほど悪くないのは先程の会話からも見て取れる。
223偽悪的征服録 Ep.5:2010/05/22(土) 03:01:53 ID:XNlwbyFS
ロイドは内心、安堵していた。おそらくこの先ずっと、自分の依頼担当者がクレアである可能性が高いからだ。
身を潜めて生きているのはケルミスも同じ。あまり多くの人間の目に触れたくないのはわかっているはず。
そう推察しつつ、ロイドは辺りが明るくなるまで、燃料となる草木を炎にくべては周囲を警戒し続けた。

焚き火が消え、明かりがなくとも周囲の景色を目で認識できるようになった頃、ロイドは地面に寝そべる二人を
叩き起こした。
食料は木に生る果実。道の途中で二人に投げ渡し、先を急ぐ。
しかし洞窟らしき岩陰はなかなか見つからず、太陽の位置から察するに既に昼を過ぎていた。

「本当にこっちで合ってるのか?」
「さぁ?森の奥としか聞いてないし。」

案内役のくせに役に立たない。
ロイドはそう思いながらも、勘を頼りに道なき道を掻き分ける。
傾斜した道を進んで行くと、やがて崖に突き当たった。

「はずれね……」
「ちょっと待って、下見て!」

戻ろうとするクレアを引き止め、ディアナは崖の下を覗き込む。
小さな洞窟が木の葉の隙間から垣間見える。しかし、注視すべきはそこではない。
洞窟の周辺に武装した兵が点在していた。

「ロイド。あれ、あんたのとこの兵じゃないの?」

突き立てられた国旗に描かれているのは、双剣が模られた盾とそれを支える獅子。
それは紛うことなきラストニアの国章。

「……クレア。知っていたわけじゃないだろうな。」
「ラストニア兵が調査しに来てるなんて聞いてないけど?」

クレアは涼しげな顔で否定する。どこか引っ掛かる物言いだった。

「おとなしく下りたら?いつ引き上げるかわからないし、何日も待ってたら報酬貰えないわよ。」

様子を窺っていると、やけに負傷者が多く洞窟へ向かう気配もない。
救援を待っているのだとしたら、当分ここを動かないだろう。
洞窟の入り口はひとつではないが、位置的にどうしても兵の目に留まってしまう。
ディアナの催眠魔法等には頼れない。対策防具を装備されていれば、不審者がいることがばれてしまう。
移動魔法も使用できない。確実に認識できる場所にしか移動できず、その魔力消費は人数と距離に
比例するのだそうだ。
苦慮する様子を見せるロイドにディアナは不思議そうな顔を向けた。

224偽悪的征服録 Ep.5:2010/05/22(土) 03:03:49 ID:XNlwbyFS
「ロイド?敵じゃないんでしょ?出て行けないの?」
「自分から居場所ばらしてどうする。」

ロイドは国を無断で出ている。既に自分を捜すラストニア兵の姿も見ている。
足が付くことを避けるため、宿の記帳や口座等、名前を必要とするものには偽名まで使っている。
ただ、ディアナがそれを知らないだけだった。

「日が落ちるまで待つ。それまで絶対に下りるな。」

ロイドはそう指示すると、日没までその場で息を潜めた。
兵の様子を観察していたが引き上げる気配は微塵も感じられず、作戦を練っている様子まで窺える。
それでもなかなか良案が無いようで、洞窟内へ立ち入る様子は全く見られない。
苦戦を強いられても退却しない理由。この洞窟には何かあるのだろう。

日が沈み洞窟の前に火が熾(おこ)された頃、行動が開始された。

「って言っても、結局出て行くしかないんでしょ?見つかるんじゃないの?」
「考えがある。クレア、そこでおとなしくしてろ。」

崖の高度的に跳んで下りられないことはない。
洞窟付近の様子を窺うクレアに動かないよう指図し、ロイドは静かに彼女の背後に回る。
怪訝な表情を浮かべるディアナに立つよう合図すると、躊躇いなくクレアを蹴り飛ばした。

「ちょっ……!?」

クレアが悲鳴を上げて急斜面を転がり落ちている間に、ロイドはディアナを抱えて素早く崖を下りる。
闇に紛れ、ラストニア兵の注意がクレアに向いている隙に、洞窟内へと進入した。

「ロイド!?クレアさん、どうするの!?」
「ラストニア兵とドラゴン、安全なのはどっちだ。」
「で、でも……、ロイドがいること言わない?」
「そんなことしたら俺に半殺しにされることくらい、あいつならわかってる。」

無論、ディアナを納得させるための理屈に過ぎない。
足手纏いの排除も兼ね、洞窟進入のために利用しただけだった。

ある程度まで進んだところでディアナを下ろし、炎を灯させる。
足元に見えるのは乾いた血痕。人骨も時折見られた。
道はうねりつつも一本道だったが、気掛かりだったラストニアの残兵もいない。
隅に散らばる骸の数も増して来た頃、大きなドーム状の空間に出た。

「行き止まり?ドラゴンなんていないんじゃ……」

ロイドは歩を進めようとするディアナを手で制する。
225偽悪的征服録 Ep.5:2010/05/22(土) 03:05:47 ID:XNlwbyFS
空間の中央には大きな魔方陣が描かれている。
そしてその奥の壁は、まるで壁画のように大量の文字で埋め尽くされていた。

「ディアナ。あの文字見えるか。」
「うーん……、もう少し近付かないと。」

ドラゴンが現れるとすれば、どう考えても目前に描かれている怪しげな魔方陣。
とはいえ立ち止まっているわけにもいかず、文字を確認するために魔方陣を避けて壁に近寄る。

その瞬間、魔方陣が強烈な光を放った。直後そこに現れたのは、一頭の巨大なレッドドラゴン。
大きく轟く咆哮で侵入者を威嚇し始める。

「こいつか……!」

ロイドは即座に剣を抜き、ディアナは腰に括り付けられていた短い杖を構える。
戦いの火蓋を切ったのはディアナが唱えた魔法障壁。
すぐにそれを掻き消すかのように、レッドドラゴンは灼熱の炎を吐き出した。
炎が収まり視界が開けた瞬間、ロイドは剣を携え敵に斬りかかる。
ほんの小手調べのつもりだった。
レッドドラゴンの鱗に刃が届くかと思った瞬間、強烈な反作用の力が働いた。
咄嗟に防御体勢を取るも、ロイドは壁に強く叩き付けられた。

「ロイド!?」

ディアナに他人の身を案じている暇はない。
レッドドラゴンの攻撃の照準はすぐにディアナに移り、前足で叩き潰そうと彼女に襲い掛かる。
軽やかな身のこなしと状況に応じた魔術で攻撃を交わしているが、反撃する余裕がない。
ロイドはその隙に、傍に転がっている小石を手に取り敵に向かって弾いた。
それは先程と同じく、鱗に届く直前に数倍もの勢いで逆方向へと弾き飛ばされた。
原理はよくわからないが、剣で倒すことができないということだけは理解した。
ロイドは地を蹴り、逃げ回るディアナを捕捉する。

「この状態で唱えられるか?」
「やってみる……!」

ディアナは片腕で抱えられたまま攻撃魔法の詠唱を始める。
攻撃の回避は全てロイドに任せ、完成した魔術を高らかに唱えた。
白い光の粒子が集結し、巨大な光線と化して敵を真正面から貫く。どう見ても直撃している。
様子を窺っていると、真横から風を切るような音が聞こえた。
その気配から既(すんで)の所で跳躍し、振り回された尻尾を交わす。

「効いてない……?」
「いや……」

元々ドラゴンは魔力が高く、耐性もある。恐らく多少は効いている。
しかし物理攻撃が効かないということがどうしても解せなかった。
226偽悪的征服録 Ep.5:2010/05/22(土) 03:07:51 ID:XNlwbyFS
ドラゴンの鱗は鋼のような硬さを持つ。故に剣によるダメージが乏しいのならば理解できるが、
衝撃が跳ね返るという現象がどうしても理解できない。

反撃の手立てを考える間もなく、レッドドラゴンは大きな咆哮と共に風の魔術を発動させた。
その瞬間、視界の端で壁の文字が光った気がした。
敵の頭上を中心として放たれる、音速を超える真空波が二人を切り裂く。
ロイドはディアナを庇い、壁へ体当たりするように射程圏外へ移動し、風の刃を回避した。
切り傷の多さから異様な刃の速度を鑑みる。真空刃の速度はせいぜい音速程度のはず。

「ロイド……これ」

ディアナの声に気付き同じ方向に目を向けると、文字が刻まれている壁が目前にあった。
彼女はその壁の文字を見つめている。

「全部禁呪魔法……」
「禁呪魔法……?」

意外な文字の正体に、ロイドは思わず問い返す。
禁呪魔法。それは万物のあるべき姿を歪ませ、自在に操る魔術。
使い方次第では由々しき事態を引き起こし兼ねないために使用を禁じられているが、そもそも扱いが難しく
習得できる人間自体少ない。
先程光った壁の文字がレッドドラゴンの魔術に呼応していたのだとすれば、頭を悩ませていた異常な現象にも
合点がいく。

「こいつ、この壁に刻まれた術を使ってるとみて間違いないな。」
「多分……」

あらゆる侵入者が血祭りに上げられたのは、禁呪魔法に抗う術を持たなかったため。
強力な力に抗うためには、より強い力で捻じ伏せるしかない。
この洞窟のドラゴンを倒すためには、強力な魔道士の存在が必要不可欠なのだ。
ロイドは止まる気配のない猛攻を避けながら、反撃の機会を窺い続ける。

「長期戦はまずい。ディアナ、何か手はあるか?」

剣が通用しない上、悠長に作戦を練る暇もない。
ディアナが手詰まりならば、一旦退却しなければ全滅は必至。
彼女は思い詰めた表情で黙っていたが、意を決したようにロイドに顔を向けた。

「ロイド、下ろして。護らなくていいから時間稼いで。」

ロイドはすぐにディアナを下ろし、レッドドラゴンに向かい囮役を演じる。
ディアナは地に降り立つと、小さな声で今は亡き母に懺悔した。
杖を胸の前に掲げ、虚無を呼ぶ言霊を紡ぐ。瞬時にディアナを黒い結界が覆い、全ての攻撃を遮断する。
227偽悪的征服録 Ep.5:2010/05/22(土) 03:09:48 ID:XNlwbyFS
一定レベル以上の魔術には、術者を護る詠唱結界が伴う。そしてその強さは、唱える魔術のレベルに比例する。
レッドドラゴンが使用する禁呪魔法すら凌ぐその結界は、更に上級の禁呪魔法でしか有り得ない。
大魔道士エルネストも禁呪魔法の使い手として知られていたことを思い出し、ロイドは敵の気を引きながら
ディアナの魔法の完成を待った。

「離れて!」

詠唱終了を意味する声と共に胴体を蹴り、反作用の力を利用してレッドドラゴンから距離を置く。
ディアナはすぐに、その先の禁じられた真言を口にした。

瞬間、空間が割れた。そうとしか表現のしようがない。
隔離された空間の中心部が大きく歪み、直に大きく渦巻く超重力と化す。
それはまさに、濃縮された小型のブラックホール。
レッドドラゴンは咆えることも許されずゆっくりと分子レベルまで分解され、吸い込まれるように消滅した。

ディアナは息を吐き、すぐにロイドの元へ駆け寄り傷を癒す。

「禁呪魔法なんか使えたのか……」
「今のだけ。切り札として母様がひとつだけ教えてくれたの。絶対使うなって言われてたけどね。」

物理攻撃が跳ね返されたのは、力のベクトルとその大きさを強制操作されたため。
風の刃が異様に早かったのは、空気抵抗を極限まで減らされたため。
いずれも自然のあるべき姿を侵す、魔道の禁忌。

回復を終えると、ディアナは静かに壁の文字を見つめた。
勝利と共に手にしたのは、レッドドラゴンを倒すことができた者にのみ与えられる、新たな禁呪魔法の
習得権利。
しかしディアナは壁の一画しか見ていない。食い入るように綴られている文字を読み解いている。
やがて、彼女は気を落とした様子でロイドの元へ歩み寄る。ロイドはその様子には敢えて触れずに声を掛けた。

「もういいのか?」
「うん。こんなの宝の持ち腐れ。」

熾烈な戦いから一転して閑散とした空気に包まれたその空間を出ると、壁の文字は最初から
存在しなかったかのように跡形も無く消え去った。
ロイドは横目でそれを確認し、洞窟の入り口へと歩みを進めた。


入口にはまだラストニア兵の姿が見えたが、帰りは容易い。
ディアナは既に元来た道を認識している。イメージと距離感さえ掴むことが出来れば、空間を渡って
移動することができる。
クレアの姿がなかったが、一先ず道を戻ることにした。

228偽悪的征服録 Ep.5:2010/05/22(土) 03:11:46 ID:XNlwbyFS
「クレアさん、どこに……」
「ここよ」

傍らの木陰から声が聞こえると同時に、クレアが不機嫌そうな顔で目の前に立ちはだかる。
ロイドに罵声を浴びせかけるかと思いきや、シザーポーチから位置登録装置を取り出しロイドに突きつけた。

「これ、壊れたから。」
「何やってんだおまえ……」
「誰のせいよ!」

空に輝く月のおおよその位置から、既に真夜中になっていると推測できる。
あと一日で海辺まで戻らなければならない。

「生きて戻って来たようだし、この際あたしを足蹴にしたことは目を瞑ってあげる。でも方角が
わからないんじゃどうしようもないわ。諦めてそこで屯(たむろ)してる兵士達に聞いてみたら?」
「……クレア、おまえどうやって兵の包囲から抜け出した?」
「迷子の探検家のふりしただけ。」

それが本当ならば、二人が出てくる前に方角を尋ねに戻っても不思議には思われなかったはず。
どうも先程から兵と接触させたがっているように見えたが、口には出さなかった。

「南に向かえばいいんだろ?」

ロイドは周囲よりも比較的高めの木を見つけ、容易く頂まで登ると満天の星空を見上げた。
捜すは北の方角を示すポラリス。弱く輝くその星を見つけると、地面へ跳び下り向かうべき方角を指し示した。

「流石プロの知能犯……」

犯罪者呼ばわりされる筋合いはないが、もう突っ込むのも面倒だった。
方角さえ分かれば、休息を取る時間を考慮しても十分に間に合う。
その日も見張り役を押し付けられ、三人は焚き火の元で身体を休めた。


辺りが明るくなるとすぐにまた出発し、海岸へ向かう。
それなりに距離があったため、辿り着いた頃には日が傾き掛けていた。

「じゃ、詳細報告はケルミスに直接よろしく。あたしはただの案内役だから。」

たいして役に立たなかった気がするが、黙っておいた。
クレアは泊められていたクルーザーにひとり乗り込み、エンジンを掛ける。

「報酬が欲しいなら、夜までそこでじっとしてなさい。じゃあね。」

ディアナに向かって手を振り、彼女は舟を走らせ水平線の彼方へと消えてしまった。

「夜までって……どういうこと?」
「さぁ。」

置いて行かれた以上、言われた通りおとなしく待つしかない。
ロイドがその場に腰を下ろすと、ディアナも隣に座り込んだ。

229偽悪的征服録 Ep.5:2010/05/22(土) 03:14:53 ID:XNlwbyFS
「ロイド、眠そう。」
「そりゃそうだろ……」

何やらにやにやと顔を覗き込んでくるが、眠気もあり無視を決め込む。
やがて日が落ちると、遠く彼方に光が見えた。一隻の小さな舟のようだった。
それは見る見る島の方角へと近付き、海岸へと辿り着く。
すぐに一人の船員が舟を降り辺りを見回すが、二人に気付くと慌てた様子で駆け寄ってきた。

「遭難者というのは君たちか!?」
「え?そ、遭難……?」
「この島に遭難者がいるから救助して欲しいとの連絡が入ったんだ。さぁ、早く舟へ!」

十中八九、ケルミスの仕業だろう。
ロイドは困惑しているディアナの背中を押し、船員に言われるがまま救助船に乗り込んだ。
ほどなくして巨大な客船へと導かれ、「避難」の名目で乗船を許可される。

「本当にいいの?」
「ケルミスの意図だ。問題ない。」

行き先は貿易都市ミランダ。珍品の取引が盛んな都市だが、最近では裏取引が多く行われ闇市場と
化しているという。
曰くつきの剣が出回っていてもおかしくない場所だった。
適当に事情説明を済ますと、二人は空き部屋へ案内された。
今日は客が多く満室状態だったそうだが、出航直前に一部屋分だけキャンセルされたらしい。

「あいつ、手が込んでるな……」

ロイドはひとり呟きながら部屋の鍵を閉め、彼に連絡を取る。
洞窟内の出来事を簡単に報告すると、街に着いたら再度連絡を入れるよう促され、対話が終わる。
通信を切られる前に、ロイドは先日からずっと引っ掛かっていた疑問をケルミスに投げ掛けた。

「ケルミス。正直に答えろ。」
『何だ?』
「クレアは本当にただの案内役か?」
『はは、何勘繰ってんだよ。役に立たなかったか?』

実際、島への移動しか役に立っていない。しかも島の位置など、経緯と緯度さえわかれば済むこと。
どうしても急ぐのならば、場所を知っている魔道士を送り込む方が早い。
位置確認装置が壊れていなければ多少役に立ったのかもしれないが、そもそも本当に転落の際に壊れたのかも
疑わしい。

『考えすぎだろ。こっちも忙しい。もう切るぞ。』
「待て、まだある。」
『今度は何だ……』

声色が変えられていても、早く切ろうとしている様子が良くわかる。

「ラストニアにあの島の情報を流したのはおまえか?」
230偽悪的征服録 Ep.5:2010/05/22(土) 03:20:57 ID:XNlwbyFS
『……何故そう思う?』

根拠はない。ただ、タイミングが良すぎると思っていた。

「……勘だ」
『それじゃあただの濡れ衣だな。もういいだろ、切るぜ。じゃあな。』

一方的に通信が切られる。
裏を返せば、証拠があれば濡れ衣ではないということ。
巧みに詮索をかわされた気がしてならなかったが、今気にしてどうなることでもない。
壁に剣を立て掛け、身体を休めるため椅子に座り目を閉じると、途端に睡魔に襲われた。

「ロイド?眠いの?寝るの?」

目を開けるとディアナに顔を覗き込まれていた。
海岸にいた時から、何やら様子がおかしかったことを思い出す。

「疲れてるんでしょ?寝るならベッドで寝たら?」
「ここでいい。」

不満気な表情を浮かべながらも、尚もディアナは食い下がる。

「動けないの?そんなに眠いの?」

いつになく鬱陶しい。ロイドは無視して再び目を閉じると、そっと腕に手を添えられる感触を覚えた。
そしてその直後、突如全身を襲ったのは脳を直撃するような高電圧。

「目覚めた?」
「…………」

ロイドは無言で立ち上がり、ディアナをベッドに俯せに突き倒す。
そのまま膝で背中を押さえ片腕を引っ張り上げると、ディアナが苦痛の声を上げた。

「痛い痛い!」
「望み通り誘い込まれてやったぞ。これからどうするつもりだ?」

もう暫らく痛めつけていると、耐えられなくなったのか掴んでいる側の手から再び電撃が放たれた。
ディアナはすぐに起き上がり、ロイドを仰向けに倒してその上に座り込む。
偉そうに胸を張るその姿がやけに滑稽だった。

「何がしたいんだおまえは……」
「逆襲。」

柄にもないことを笑顔で言って退ける。

「ロイドが弱ってる時じゃないと怖くてできないの。」

威張って言う台詞ではないが、彼女にとっては今が報復の機会らしい。
ディアナはにやにやしながら再び顔を寄せる。

「屈辱?ねぇ、屈辱?」
「……この程度で?」

挑発してみると、むっとした表情で顔を遠ざけ、彼女は何やら考え込む様子を見せる。
どうしても屈服させたいようだった。

「じゃあ、襲ってあげようか?」
231偽悪的征服録 Ep.5:2010/05/22(土) 03:24:33 ID:XNlwbyFS
ロイドは予想もしなかった提案に眉をひそめた。

「あれだけ全力で嫌がってた奴が何を……」
「だって私のこと、嫌いじゃないんでしょ?嫌いじゃないってことは……」

一週間ほど前の朝の会話を思い出し、ロイドはすぐにその先を否定した。

「待て、好きなんて一言も言ってない。」
「いいの。私が勝手にそう思うようにしてるの。」

ディアナは始終笑顔だった。逆にそれが本気であることを窺わせる。
やがて彼女の手がベルトへと伸びた。

「おい、やめろ。」
「ん?なんで?嫌なの?」

ロイドの制止の声に、ディアナは尚更嬉しそうな顔を見せる。今の彼女に拒絶の言葉は逆効果だった。
しかし、別段心配はしていない。ベルトが外されたところで不意に動きが止める。
このままでは未遂に終わってしまうことに気付いたのだろう。

「…………」

先程とは一転し、困った顔でロイドを見つめている。
彼女はほとんど性行為の知識を持っていない。勃たせ方がわからないのだ。
もしかすると、自分も濡れなければ痛みを生じることも知らないのかもしれない。

ディアナは面白そうに観察されていることに気付き、悔しそうに意気込むと、身体を倒して四つん這いになり
ロイドに顔を近付けた。
自然と胸が押し付けられる形になるが特に気にする様子もなく、唇を塞がれる。
稚拙なその舌使いは、かつて経験した動きを真似ているようにさえ感じられる。

このまま長く続けられていては眠ることなど到底できない。
ロイドは一度満足させてやればおとなしくなるだろうと思い、彼女の拙い行為を手伝ってやることにした。
痺れは既に薄れている。手が動くことを確認すると、舌を押し返して彼女の側に侵入する。

「!?」

驚き、咄嗟に唇を離そうとシーツに手をつくディアナの頭を手で押さえる。
そのまま脚を絡めて太腿を開かせると、未だ湿っていないその場所に指を差し入れ、ゆっくりと掻き回した。
後ずされば自然と指が深くまで達し、前へ進めばより近寄らせようと腰を追われる。
ロイドから離れようと肘を伸ばすが、決して離さない。半ば拘束しているようなものだった。
ディアナはどうにも身動きできず、小さな声を漏らしながらロイドに翻弄され続けた。
中が十分に潤っていることを確認し、徐々に動きを速め何度か軽く果てさせると、一度その拘束を解く。

「んっ……、はぁっ……!な、何を……」
「まだ続けるのか?」
「何か、違う……」

232偽悪的征服録 Ep.5:2010/05/22(土) 03:27:52 ID:XNlwbyFS
まだ満足していないようだった。
ロイドは不本意ながらいきり立ってしまった剛直物を取り出し、ディアナの濡れそぼった秘所に押し当てる。

「座れ。これが希望なんだろ。」
「う……」

軽くとも、絶頂を迎えたことで一段と感じやすくなったその身体には、触れるだけで辛いのかなかなか腰を
下ろせずにいる。

「大口叩いた割りに随分消極的だな。できないなら退けろ。」

悪びれる様子もなく言い放たれたその言葉に、ディアナはロイドを睨み付け、覚悟を決めた様子で腰を沈めた。
しかし思い切りが足りなかったようで、まだ僅かに腰が浮いている。

「座れと言ったはずだ。」
「わかってるっ……!」

ディアナは身体を強張らせ、少しずつ腰を下ろしていく。
やっとの思いで根本まで中に埋めると、ディアナはそれきり動かなくなった。

「これで満足なのか?」
「ち、違う……」

少しずつ腰を動かしてみせるが、すぐに止まってしまう。
締め付け具合から察するに、彼女の力ではもう無理のように感じる。
決して気持ち良くないわけではなかったが、ロイドはそんな素振りは微塵も見せなかった。

「ディアナ」
「……え?」
「動くならこれくらい動け。」

言うとすぐに腰を掴み、大きく前後に揺さぶった。

「え!?や、ちょっ……!あぁっ!!」

一頻り揺すってから止めてやると、ディアナは手を付き苦しそうに息を上げる。
急かすと再び腰を動かし始めるが、それはとても小さな動きだった。
暫らく好きなようにさせた後、ロイドは面倒臭そうに口を開いた。

「ディアナ」
「え?」
「寝ていいか」
「…………」

ディアナは悔しそうに身を震わせ、悔し涙を湛えた顔を勢い良くロイドへ向けた。

「だめっっ!!」
「!?」

飛びつかれた直後、本日三度目の電流が流れる。
蓄積されたダメージと残留する痺れから動けずにいるロイドを目に留め、ディアナは我に返った。
慌てて回復しようと差し出された手を何とか鷲掴みにして見せると、ディアナはびくりと動きを止める。

「……おい」
「……はい」

掴んだ手を強く引き寄せ、ディアナの体勢が崩れたところで身を捻り、ベッドに張り倒す。
233偽悪的征服録 Ep.5:2010/05/22(土) 03:31:03 ID:XNlwbyFS
肩に手を掛け無理やり仰向けにするとゆっくりと自身を埋め込み、ディアナが身動ぎし始めたところで一気に
深くまで貫いた。

「あぅっ!!」
「……何か言いたいことは?」
「……ね、眠いなら寝た方が……」
「…………」

腰を掴み、蜜を掻き出すように何度も鋭く突き上げる。
たちまちディアナが苦悶の表情を浮かべた。

「おい、もう一度言ってみろよ」
「あぁっ!や、やだ!これじゃ、意味ない!」
「知るか!できないなら最初からするな!」

気が立っていたが、約束通り行為の最中に痛めつける真似だけはしない。
代わりに自分の愚行を後悔させるため、とにかく快楽を引き出し体力を奪い続ける。

「いやぁっ!なんでこうなるの!」
「あぁ?自業自得だろ?」

苛立ちを露わにした口ぶりに、ディアナは怯んだ様子で言葉を詰まらせた。
無駄に神経を使う戦闘を経た後仮眠すら取れず、ディアナからは何度も攻撃魔法を食らわされる始末。
おかげで全く長持ちしそうになかったが、先に達してはディアナが図に乗る。
ロイドは早々に昂りを感じ始め、すぐに動きを止めた。
ディアナはその様子から疲労を察し、息を整えつつ心配そうに口を開いた。

「ロイド……、回復する……?」
「…………」

再び動き始めざるを得ない言葉だった。攻撃を受けた相手に回復されるなど以ての外。
突如再開された抽送に、ディアナは驚いて声を上げた。

「な、なんで!?あっ、やぁ、んっ……!」

決して先に力尽きないよう、ゆっくりと中を掻き回す。
必然的に優しい動きとなり、ディアナは従来の激しい刺激とのギャップに戸惑うように小さな嬌声を漏らした。
その声には拒絶の響きはなく、むしろ受け入れているようにさえ感じたが、今のロイドにはどうでもいいこと
だった。
耳に触れていた喘ぎが大きくなって来た頃、徐々に強く腰を打ち絶頂へと追い立てる。
ディアナはその先を欲するような声色で拒絶の言葉を発した。

「いやっ……!も、だめっ……ああぁぁっ!!」
「っ……!」

ディアナはすぐに限界まで昇り詰め、自分の中を貪る熱い塊を強く締め上げると、それが止めとなりロイドも
同時に限界を迎えた。
吐精後の脱力感が甚だしい眠気と化す。ディアナは息を切らし、焦点の定まらない目でロイドを見つめている。
ロイドは最後の力で何とか着衣を整えると、力尽きるようにベッドに倒れ込んだ。

234偽悪的征服録 Ep.5:2010/05/22(土) 03:32:11 ID:XNlwbyFS
「……寝る」

ディアナが寄り添って来る気配を感じたが、既にほとんど意識はなかった。
自分を呼ぶ彼女の声が耳に届く前に、ロイドは完全に眠りに落ちた。
その表情には、僅かながら屈辱感が滲んでいた。

235名無しさん@ピンキー:2010/05/22(土) 03:36:34 ID:XNlwbyFS
以上、続きます。
寝落ちはお約束にしました。
最早メインストーリーにエロくっつけてるだけなのでネタの枯渇がやばい…
詰まったらまた妄想の提供を乞わせて頂きます。むしろもう乞いたいw

また期間が空きそうなので別の方の投下も心待ちにしています。
236名無しさん@ピンキー:2010/05/22(土) 03:49:17 ID:vgGwhZU/
リアルタイムktkr
超GJ!!前半の戦闘部分も面白いしディアナだけじゃなくロイドもなんか可愛かったw
続き楽しみにしてます!


そんな自分はおつまみの作者なんだが、まさかGJ頂けるとは思ってなかったw
183の前後の話が気になると言ってくれた方がいたので、
そっちも含めてまた何かネタが浮かんだら投下したいです。
237名無しさん@ピンキー:2010/05/22(土) 23:58:49 ID:v28zxfJ+
ディアナちゃん可愛いw
そして予想以上の性知識欠如に激しく萌えた
こんな娘を陵辱してたのか…ゴクリ

>>236
おつまみの人も待ってます
238名無しさん@ピンキー:2010/05/23(日) 00:57:14 ID:XV/tknxq
>>235
ディアナの性的な事に関する知識が気になったw
次回も楽しみにしています

>>236
楽しみにしています
239名無しさん@ピンキー:2010/05/23(日) 02:10:46 ID:gVByv9xe
なにもかも知っている女の過去に嫉妬するっていうのもよいが

全く純心な子を襲ってしまうというのも萌えだな。

一応幼馴染で「付き合っている」ことにはなっているんだけど、
大事すぎて、または相手が異常な位純心でそういうことに知識がない子で、
もしくは自分が年上で半保護者的立ち位置なので、
ほぼ昔のまま、保護者のお兄ちゃんを一歩進めた程度の付き合い方をしていて、
色々ちゃんとするまでは、もう少し相手にあわせて
絶対に手をださないでいようと決めているんだけど、
経験や知識が足りなく純情すぎ、男の心に鈍感、無防備で、
男自身や他の男への警戒心も薄い。
それが知らずに色んな面で男のことを煽ったり嫉妬や
(恋愛感情を持っているのは自分だけで実は相手は親愛の情と混同してるんじゃないか)
みたいな不安を覚えさせたりして、
ついにある日、無神経にさえ思えるような言動や、無防備すぎることを女がして
もしくはそこにつけこんだ他の男に奪われそうになって、
抑圧していたものが我慢の限界を超えて全部爆発してしまい、理性が効かなくなる。

みたいな長い妄想を>>237の性知識欠如という言葉のせいでしてしまった。
どうしてくれる。

240237:2010/05/23(日) 02:32:16 ID:/MWgTzJd
>>239
素晴らしい感動した萌えた
そういう娘が無自覚に他の男を煽ってレイプ未遂発生
勿論救出するが自らの無防備過ぎる行動で危機を招いた女にブチ切れて
自分がレイプして美味しく頂くとか最高じゃないか
241名無しさん@ピンキー:2010/05/23(日) 04:09:16 ID:8ySWZhI/
>>239
ときめいた

やっぱこのシチュエーションだと男→女が多いなー
って思って女→男を考えてみたんだけどなかなか難しい


貴族制度でそれなりの家柄の娘さんがいて
家の存続のために政略結婚をさせられる事になったんだけど、
実は何かと気にかけてくれる執事の事が好きで結婚なんてしたくない。
でもそうなれば家はなくなってしまうし相手は上流階級なので断れるわけがない…
ならせめて彼との思い出を、と真夜中に執事の部屋に忍び込んで泣きながら事に及ぶ。とか

一国の姫様が外交で他国に向かう途中で盗賊に襲われ、
偶然通りがかった旅人に救われるが彼は名乗りもせずに去ってしまう。
命の恩人である彼に心を奪われた姫はあらゆる手を使って旅人を探し出し
自分の権力を盾に夜を共にする事を強要する…。とか

ちょっと違う気もするけど恋人を亡くして少し病んでしまった女性が
偶然すれ違った瓜二つな別人を恋人だと思い込んだ。もちろんその人は
彼女の事を知らないのだが、彼女は彼が自分の事を忘れてしまったのかと錯乱。
あんなに愛し合ったじゃない、なら思い出させてあげる、と彼に迫り…。

とかまで考えて疲れた
っていうか最後のは男→女の方がよさそう
242名無しさん@ピンキー:2010/05/23(日) 08:23:59 ID:oJQKyJ8g
武闘派で知られる冷酷な若い大公が
幼なじみ&初恋の中流貴族の令嬢を
本人や周囲に逆らって無理矢理正妃にするんだけど、
妃は馴れない宮廷とツンな夫に鬱った挙句流産し
子供を生めない体になったからと離婚を申し出る。
仕方なく離婚するが大公は好きな女を手放したくないので
本人の望む修道院には行かせず、
王宮の離れに在家尼として住まわせる(脅えるのでセックルはなし)
その後大公は隣国の王女を正妃にめとるが、
この王女、一見天使のようで実は女の子のが好きな腹黒、
どストライクな旦那の前妻をロックオン
まずはお友達から近付き美味しく頂いてしまう
性の快楽を知らなかった前妻は禁断の百合世界に流されてしまう
旦那にバレるとファびょるから、ならいっそ共有してしまえ、と大公&妃×前妻のさんぴーへ


そんなネタを考えたこともありました
243名無しさん@ピンキー:2010/05/23(日) 11:15:15 ID:gB8XjobU
>>241
女→男か・・・

2人は幼稚園ぐらいからの幼なじみで、両方とも好き同士なんだけど、
小学生、中学生、高校生と成長していくと共に、男は、女の容姿と人気の高さに自分は釣り合わないと思って手をひくんだよ。

でも、女は男がそっけなくなった理由が、彼に好きな人ができたからじゃないかと勘違いして、放課後に家へ帰る彼をこっそり尾行するんだけど、運が悪いのか、男は下校途中に可愛い女の子から声をかけられる。
しかし、女の子は男の幼なじみの女が好きな同性愛者。

女に渡して下さいと、彼にラブレターを渡すんだけど、遠くから見ていた女は男が女の子から告白されているとショックを受ける。

その日の夜中、女の子のラブレターを渡しに家にやってきた男を・・・

駄文スマソ。この後の展開が思いつかない。
244名無しさん@ピンキー:2010/05/23(日) 11:18:23 ID:gB8XjobU
さげることすら忘れちまったぜ
245名無しさん@ピンキー:2010/05/23(日) 11:43:47 ID:FzaJUWwh
>241
二つめ、昔見てた女向けスレのエジプト系の話を思い出した
SM的なノリで華やかなの見てみたいなー。国はインドとか中東とかでも可。
>242
何そのハイスペック王女
攻めっぷりが気になるではないか!
大公は大公で奇襲してきそうだし

イイじゃん女の攻ウマーじゃん
246名無しさん@ピンキー:2010/05/23(日) 11:55:18 ID:gVByv9xe
>>241
一番目の執事とお嬢様いいな!
執事の視点もあわせて考えるとさらに萌える。
泣きながら襲ってくるお嬢様、
それを見なきゃならない執事の気持ちを考えると切なくてたまらない。
247名無しさん@ピンキー:2010/05/23(日) 12:54:49 ID:oEXnHEiU
ご感想ありがとうございます…って言いに来たらネタの宝庫と化してた

>>241
令嬢→姫様
執事→姫専属の騎士
でもいけるな。よくあるネタな気はするが
248名無しさん@ピンキー:2010/05/23(日) 12:54:57 ID:Lk0ppNTr
>>242
ちょうど今、そんな感じのSS書いててびびったw
無意識に書き込んだかとかと思ったよ。
もちろん細部は違うんだが。
249名無しさん@ピンキー:2010/05/23(日) 13:33:07 ID:/MWgTzJd
>>242
前妻から感じる不幸オーラがパネェw
離婚した夫と後妻の歪んだ愛と溢れんばかり性欲の餌食に…
これ確実に我慢の限界に来た大公も犯しにくるよね
というか後妻は一応男でもまぁ大丈夫なレズ寄りのバイか?

女→男は女が主で男が従者ならありがちかも
女がハイスペックで男側が自分じゃ釣り合わないと思ってるのも可
でもこれなら釣り合わないと思って我慢してたが…な展開もありか
250名無しさん@ピンキー:2010/05/23(日) 13:52:56 ID:oJQKyJ8g
>>245
王女はふわっふわな正統派の美少女を想定してた(外見は無印ラクスみたいなイマゲ)
そんなのが不幸に磨かれ憂愁を湛えた禁欲的な年上美女(しかも準修道女)
をあれこれ開発するわけです
ま、宮廷の序列を利用したパワハラですね
さんぴー最中もがっつくばかりで女の扱いがなってない旦那に
好きな女の優しい抱き方をレクチャーしたりすればいいと思います
251名無しさん@ピンキー:2010/05/23(日) 14:47:28 ID:8ySWZhI/
お嬢様と執事が人気っぽい?誰かおいしく調理してくれ

>>245
露出度が高くて装飾品がジャラっとしてる感じの
砂漠の国のお姫様をイメージしてたからエスパーかと思ったw
252名無しさん@ピンキー:2010/05/23(日) 15:38:10 ID:/MWgTzJd
>>250
後妻に女の扱いかたを教わり前妻の再調教にチャレンジか
253名無しさん@ピンキー:2010/05/23(日) 18:13:34 ID:oEXnHEiU
流れぶった切って悪いが
愛するが故に無理矢理輪姦ってあり得る?襲われる側は1人な
254名無しさん@ピンキー:2010/05/23(日) 18:34:20 ID:/MWgTzJd
>>253
ありじゃね?
以前好きな幼馴染の女の子に屑共をけしかけ集団レイプの被害者にして
身体にも障碍が残った女の子をお世話して元から自分に依存気味だった
その幼馴染の女の子が完全に自分に依存するよう仕向けた鬼畜な男ヤンデレさんを見掛けた
255名無しさん@ピンキー:2010/05/23(日) 19:15:28 ID:8ySWZhI/
>>253
状況によってはアリかと


仲の良い兄弟がいて二人とも同じ女の子を好きになったんだけど
お互いもう一人のために身を引く事は考えられない。
だったら恨みっこなしで彼女に選んでもらおうと一緒に告白するんだけど
女の子はどちらか一人を選ぶなんて出来ないと結論を出す。
納得のいかない兄弟はじゃあ一番気持ちよくさせた方と付き合ってくれと言い出して三人でベッドに…
とかそんなのを妄想した


ところで今挑戦してる女→男の話が無理やり襲うんじゃなくて
無理やり男の方から襲わせる状況に仕向ける感じになっちゃったんだけど、これはアリ?
256名無しさん@ピンキー:2010/05/23(日) 19:59:59 ID:XV/tknxq
>>239
実に良いシチュ

>>242
>>250
凄い萌えるな
準修道女の元奥さんは旦那をどう思ってるのか
傲慢だが自身の事が好きなのは理解してるんだろうか?
それとも自分は性欲発散の対象としか思われてないと理解してるのか

後、前妻をいびったり、いじめてたりしてたであろう連中は夜道で襲われ
この世の者ではなくなってそうだなw

>>255
まぁ、アリではないかと
257名無しさん@ピンキー:2010/05/23(日) 20:56:38 ID:gVByv9xe
色々な妄想が見れて脳内物質が活性化するな、素晴らしい。
>>253
自分も兄弟とか双子とか、同一性や結びつきの強い同士ならありえると思う。
相手は半分自分みたいなもん、という感覚で。
それ以外だったらちょっと難しいかな?

>>255
ありだと思います。
それでも愛するが故に・・のタイトルには準拠していると思います。
wktkでまってます。
258名無しさん@ピンキー:2010/05/23(日) 21:28:03 ID:htE/qLJq
雑談の流れをぶった切るが投下させて頂く!

注意事項
・エロまでがやたら長い、全体も長い、そしてくどい
・そしてエロも大してエロくない
・似非歴史小説というか似非時代小説っぽい?
・一応身分差モノのつもりだけどそうは見えないかもしれない
・女の性格が若干アレかもしれない

気に入らなかったら「最果ての国の女狐」でNG入れてください。
途中で切れたらバーボン入りしているので続きはまた明日。
それでは行きます。
259最果ての国の女狐:2010/05/23(日) 21:30:05 ID:htE/qLJq
静かに打ち寄せる波の音が、遠く離れたこの地まで届くことはない。
確かにハンス港はアーダット侯爵家の領地内にある。
だが、侯爵家の城から港までは駿馬を飛ばしても半日は掛かる距離にある。
延々と繰り返される細波(さざなみ)の声は、彼のうちにしか聞こえていなかった。
「ジルス様、『最果ての国』からの船が港に到着したとの報せがありました」
「そうか……。1ヶ月、随分遅れたな」
「最近、東では空も海も荒れ狂っているそうです。
 航海の安全のために出発を3週間延ばしたものの、
 結局は嵐に揉まれ更に1週間の遅れが出たと。
 ただし、交易品には傷ひとつ付けていないから安心してほしい、とのことです」
「……その言い草は、父親の方か、それとも娘か?」
「娘の方です、今回もユザンス家の次男は同乗していないそうです」
侯爵家に代々使えている老執事からの報告を聞き終えてから、ジルスと呼ばれた青年は、樫の木の机から窓へと目線を移す。
硝子張りの大きな窓から、いつでも美しく整備されている庭園は一望できるけれども、青い海など見えるはずがなかった。


「そんなこと言うならあなたもあの嵐に遭ってみればいいのよ、ジル。
 あの嵐で商品を守り通せたのは奇跡に近いんだから」
「その代わり、商品の数はいつもの半分以下。
 これじゃあ王都には運べないな、父上も陛下も楽しみにしておられるというのに」
「お偉いさん方の事情なんて知ったこっちゃないわ」
栄えある侯爵家の御曹司に食って掛かる、見慣れぬ「色」の娘。
帆は裂け、柱も何本か折れた、正に満身創痍の船。
東で起きた荒波がいかに激しいものであったかを見る者全てに生々しく伝えている。
最早修復は不可能であろうその船から、積み荷を運び出す男たちの群に、彼女は混ざっていた。
「今回もケリー・ユザンスは来なかったのか、サナ」
「こっちでの商売はしばらく私に任せるってさ。
 殿様の機嫌がようやく好くなりそうだって、父さん喜んでいたから」
沙那と呼ばれた少女は、さも自分のことのように嬉しそうに、長い緑の髪を揺らした。
沙那・ユザンスはここより遙か東の彼方にある『最果ての国』の生まれだ。
しかし、彼女の父親のケリー・ユザンスは、アーダット侯爵領で随一の商家・ユザンス家の出身である。
家督こそ継げないが、それ故に自由に動けた才覚のある彼が、新規開拓と称して宛てもなく船出したのが今からおよそ20年前のこと。
航海の末に死んだと思われた彼が、再びハンスの港に現れたのは、4年前とまだ記憶に新しい。
彼の横から片時も離れない、背の低い緑髪の少女は、見る者全てに鮮烈な印象を与えた。
アーダット領で、いや西の国々の誰にもない緑の髪は、東の国々の人たちが持つ身体的特徴のひとつだ。
金や銀、茶に赤など、個々人異なる髪を持つ西の人に対し、
『最果ての国』を初めとした東の国の人たちは、全員が緑の髪を持っているらしい。
さらに付け加えれば、彼らは皆、黒曜石のように黒い瞳をその目に宿しているという。
しかし、沙那の場合、それは当てはまらない。
彼女は蜜をほんの少し煮詰めたような色の瞳をしていて、それは父ケリー・ユザンスの瞳とほとんど同じ色だったからだ。
「君はまだ17歳だろう?しかも女性だ。
 君にここでの商売の全てを任せるなんて、ケリーは何を考えているんだ」
「あーら、私の国のこと、知りません?
 私の国ではね、13、4も過ぎればもう大人なのよ?
 私みたいなのなんて、全然珍しくないんだから」
小さな沙那の両腕いっぱいに抱えられていた積み荷が、同乗していた船員の手に引き取られる。
彼は紛うこと無き東の人だ。そして西の言葉はまるで分からないらしい。
沙那がアーダットの人間と商売の話をしていると勘違いしたのだろう。
日に焼け、鍛えられ黒光りする太ましい腕に、積み荷は軽々と持ち上げられ、近くの市場へと運ばれていく。
「あー、ちょっと……私が運びたかったのに」
「何が入ってたんだ?」
「金細工の髪飾りよ。金を細く延ばして重ねた逸品でね、
 素晴らしいものよ、お金があれば私が欲しいくらい。
 だけど壊れやすいから私が運んでいたの」
「……君が運ぶと逆に壊れそうだけれど」
「何か言いましたかしら、ジルス・アーダット次期侯爵さま?」
260名無しさん@ピンキー:2010/05/23(日) 21:32:54 ID:htE/qLJq
にーっこりと微笑みを湛える沙那であったが、その声には茨のような棘がいくつも刺さっている。
ジルスは首を軽く横に振った。父親がこの国の生まれであるとは言え、彼女の気質は『最果ての国』人そのものである。
相手が貴族だろうが何だろうが、その姿勢を崩すことは一切ない。
そんな彼女と話していると、時々違和感がふっと現れる。
そしてすぐに消える。何故だろうか。
年齢にしては背が低いからか。緑の髪に蜜色の瞳、その組み合わせがおかしいからだろうか。

西の国の貴族は、いくつも屋敷を持っている。
もちろん本邸は領地内のあるべき場所にあり、それは豪奢な佇まいをしているものだ。
その他の屋敷、つまり別邸なるものをどこに置くかは、その家の性格に任されている。
アーダット侯爵家の別邸のひとつは、ハンスの港からそう離れていないところにあった。
「窮屈そうだね、何度目だっけ?」
「6かいめ……、だけど、慣れない……」
その屋敷への招待を受けた沙那は、先日の威勢のいい態度はどこへ行ったのか、落ちそうなくらい柔らかい椅子の上で縮こまっていた。
テーブルを挟んで向かい側に座るジルスは、至って平静であった。
無駄などひとつもない、流麗な動作でティーカップを持ち、紅茶を飲み、時折焼菓子を摘む。
対しての沙那は、紅茶を飲むにしたって一苦労だ。
この広い客間にメイドが一人もいないのが唯一の救いだった。
「大福が食べたいよぅ……」
「ダイフク?君の国の菓子か?」
「聞けば分かるでしょ」
「美味しいなら是非、僕も食べてみたいな」
「運んでいる最中に腐るから却下」
香り高い紅茶を一口啜ってから、沙那は山盛りのクッキーにようやく手を付けた。
さくさくとした食感が楽しくはあるが、彼女にとっての菓子とは、大福や団子などを指す言葉である。
「ここで作ることは出来ない?」
「小豆がないならまず無理よ。大体、料理はあまり得意じゃありません」
「そんなことはメイドにでも任せればいいだろう」
「……お気楽ですこと。
 それで、本題は何なの?」
完全に熟れる前のオレンジの果実。その色にも彼女の瞳は似ている。白い肌の上にはそばかすが浮いていた。
対するジルスはプラチナブロンドに紫の瞳と、まあ西の貴族らしい色をしている。
昔から変わらずのその容姿で、穏やかな気質を持ち、更に聡明と来たものだから、彼は領民に人気があった。
何せ、ケリー・ユザンスとその娘、沙那の話を受け、『最果ての国』との交易を決断し、父侯をも説き伏せたのは彼なのだ。
そのおかげでアーダットは益々の発展を見せている。
最近、金持ちの間には、かの国の大胆な色遣いを用いた絵の収集が流行となっているが、そのきっかけ作ったのも彼と言っても過言ではないだろう。
「君の船のことだ。あれではもう航行は無理だろう」
「何だ、商談じゃないのね。
 船のことなら気にしなくていいわ。
 商品が傷つくことなくここに到着出来て、それだけで運が良かったもの」
「……帰らないのか?」
考える間もなく、反射的に返したその言葉に、希望のようなものが混じるのは仕方のないことだろう。
解せない行動もする彼女のこと、すぐに落胆することとは分かっていても。
「帰るわよ。船ならもう造船所に頼んでおいたから、心配はないわ」
「その金はどこから出すんだ?
 いくら商家とは言え、そう気軽に買えるものでもないだろう?本家に頼んだのか?」
「……見ての通り、私は東の人間。
 父さんがいればその手も使えただろうけど、私だけじゃ交渉に何年かかるか分からないわ」
大体本家には、私が父さんの子供だと認めない一派もあるらしいしねー。
沙那は笑顔で好ましくない事実を吐きつつ、紅茶をまた一口含んだ。口腔内で転がして遊ぶ。
「……当てがないなら、アーダット侯爵家が負担する。今日はその話で君を呼んだんだ」
口の中で転がる紅茶、行く先も知らず転がる話。
生まれつきの商人たる彼女に翻弄されながらも、ジルスはようやく本題までたどり着く。
「とても、お優しいのね、侯爵様」
「君たち親子の商家がここで貿易を始めて、領内は更に栄えた。その礼がしたい」
「だけどお生憎様、あなたの手を取らずとも、間に合っていますので」
一瞬。それは僅かな間だ。しかしその間、確実に、ジルスの頭は白に染まった。
「…………どうするつもりだ?」
彼のプラチナブロンドは、それは素晴らしく輝いていたが、今この時に限っては、紫の瞳の方が鋭く光っていた。
雨露に濡れる菖蒲よりも輝く紫。素直に綺麗だと思う。
261最果ての国の女狐:2010/05/23(日) 21:34:47 ID:htE/qLJq
「古風な手段よ。お輿入れ。
 少し生き遅れている身だけれど、商売が上手く行っているものだからね、嫁の貰い手はあるのよ。
 私は一人娘だから、家の商売と一緒に私も貰ってくれて、その上大金持ちの殿方って言うのはそこそこにはいるのよ?」
輿入れ。生き遅れ。どこの言葉だ。
この言葉は聞き取れた。嫁。言葉の意味が後からついてくる。
「跡継ぎを作らなくちゃいけないから、しばらくはここに来れなくなるね。
 その間は父さんと旦那にやってもらうことになるから、その時は」
「駄目だッ!」
次がれるはずの言葉は、それよりも大きな声に遮られた。
自分よりも3つも年上の男が、燃える瞳で自らを見下している。
先ほどまでは、どこまでも優雅であったのに。
いや、この男は怒っていても優雅であり、貴族然としている。
「何をそんなに怒っているの、あなたの問題じゃないでしょう」
ここは彼の領域なのに、今平静を保っているのが、異邦人である自分であるという事実に、沙那はおかしくなる。
この男が恋慕のようなものを自分に向けていることは、前々から何となく気づいていた。
それを利用したことも何度かある。
自らの立場を客観的に正確に理解しているならば、そんな感情を抱くことすら間違いと分かるはずだろうに。
年上なのに、甘い感情を持ち合わせている彼が少しだけ羨ましかった。
「君は、僕の……!」
「あなたの気持ちなんて知るわけないでしょ、ジル?」
沙那はジルスをわざと愛称で呼んだ。
領民ですらない、ただの異邦人に、こう呼ばせること自体がおかしいのだ。
あざ笑う商人の瞳は、夕焼けの色にも似ている。
それはそれは、残酷な色であった。
笑みにより細められた目の中にその色を見た時、ジルスの中の何かが切れた。


「だったら、教えてあげるよ……」
その声音は、いつもより低かった。異様なまでに低かった。
それを聴いたから、沙那は自分が失態を犯したことに気づけた。……ようやく。
さりとて、それで冷静さを失う彼女ではない。
「……本題が終わったのなら、帰らせてもらいます。
 他の取引が残っているから」
沙那は立ち上がる。作法などまるで気にせず、足で蹴るように椅子を退かすと、
そのままジルスの顔も見ずに踵を返し、まっすぐに扉に向かおうとした。
だが、たった2、3歩歩いただけで、その腕をジルスに掴まれてしまう。
無言で振り払おうとしても、掴む力が強いし痛い。
「……離して」
「嫌だ」
「子どもみたいねェ、私よりも年上の癖して」
「何とでも言えばいい。
 ……そうだ、船の件をアーダット家に一任するなら、離してやる」
少し、考える。悪い話ではないように聞こえる。
事実、また彼を利用してそういう方向へ仕向けようと考えもした。
だけど、最終的には別の手段を選んだ。それを曲げるつもりはない。
「お断りするわ、離して」
「……仕方ないな」
何が仕方ないのか。純粋な疑問だが答えないだろう。
ジルスは掴んだ腕を勢いよく引いた。
口は減らないが非力な異国の少女は、抵抗する間もなく彼の胸へと引き寄せられる。
沙那の身体を軽々と抱え、彼は奥の続き間へと向かった。
262最果ての国の女狐:2010/05/23(日) 21:36:08 ID:htE/qLJq
続き間は寝室となっていた。
さすが侯爵家、寝室と一口に言うが、沙那が滞在しているホテルの1室よりも2倍は広い。
そんなことを考えている場合ではなかった。
白いベッドの上に、些か乱暴に叩きつけられる。
全身が跳ね飛ぶような寝具など故郷にはないなと考えるが、そういう余裕も本来はないはずだ。
身体の大きな異国の人間に、組み敷かれている状況ならば。
「私は商人だけれど、身体は安く売らないわよ」
「……いくらなら売るんだ」
「そうねぇ、せめて……」
大粒の金剛石がたくさん買えるくらい、と嘯こうとしたところで唇を塞がれた。
ほとんど同時にジルスの舌が沙那の口腔内に侵入する。
歯茎をなぞり、歯列をなぞり、そして自らの舌がなぞられる。
なぞる、と言うよりは絡まれる、と表現した方が正しいか。
舌から伝えられる感覚が、存外に苦しくて、彼の舌から逃れようと抵抗するも、無意味に等しかった。
深く激しい口づけで相手の余力を奪いつつ、ジルスは沙那の上着を脱がせにかかる。
沙那は普段から、商売服と称して『最果ての国』の衣装を着用していた。
その方が売れ行きがよくなるのだという。
しかし今回ばかりはそれが災いした。釦もついていないかの国の衣装は、少しずらすだけですぐに柔肌が露わとなる。
腰に巻かれた青い帯を緩め解くと、ジルスはようやく沙那の唇から離れた。
沙那の息は乱れに乱れ、口からは透明の唾液がだらしなく垂れる。
ジルスの口からも同じく細い銀糸が流れている。
まだ高い日の陽光の下で、それは酷く卑猥に煌めいていた。
沙那の頬は紅潮を始めていたが、目にはまだ力が残っているようだった。
「ふふ……こんな、こと、して……楽しい、の?」
……憎らしいことに、口もまだ達者である。
彼は答えず、今度は彼女の首筋に唇を寄せ、吸いついた。
赤く跡が残るほど吸いつかれては、叩き口も出ない。
はだけた胸に実る丸い乳房を掴まれ、乱暴にこね回されては、軽口の代わりに喘ぐ声が漏れる。
自らの手の中で自在に形を変える白い胸を、面白そうに絶えずいじりながら、ジルスが言う。
「君の方こそ、楽しそうだけれど?」
「た、たのしくなんか、なぁッ、あぅっ」
「ほら、ここが硬くなってきたけれど?楽しくないの?」
「だれが、たの……ッ、やぁっ!」
丸い実の中心で硬さを増していく赤い蕾を、彼は指先で弾く。
それから人差し指と中指で摘んで、引いて、少しだけねじる。
少しずつ強まっていく刺激を、沙那はただただ受けるしかなかった。
やがて、首筋から下へと下りてきたジルスの濡れた唇が、硬く膨らんだ胸の蕾を吸った時、沙那は耐えきれずに声を上げた。
「ああっ、やっ、やめ……」
先ほどまではまだ残っていた余裕が、沙那の顔から完全に消え去る。
真っ赤に頬を染めて、苦痛に顔を歪める今の沙那は、若手の商人などではなく、
官能の味を知り始めた只の女に過ぎなかった。
ジルスは引き続き沙那の乳房を吸い、舌で押し込み、時に甘く噛んで快楽を与えていたが、
先ほど出した喘ぎ声を屈辱と感じたのか、沙那は下唇を噛んで無理矢理に注がれる刺激に抗っていた。
右手でくびれた部分を撫でようが、下腹をさすろうが、ぴくりと反応するだけで意地でも声を上げようとしない。
だから、性急であると自覚はしつつ、彼女の秘された場所を探るしかなかった。
263最果ての国の女狐:2010/05/23(日) 21:37:13 ID:htE/qLJq
彼女の服を脱がせた際、せめてもの慰めということで下半身の下着だけは残していたが、どうせ脱がすので無意味だった。
それでも最後の砦が崩されるのを沙那は黙っては見ていなかった。
下着に手が掛かったのを察知すると、最後に残された力で必死に身を捩る。
が、体格からして違う男に押さえ込まれる。無駄な抵抗、それ以上でもそれ以下でもない。
それでも男の嗜虐心というのは煽られるものだ。
犯される寸前の屈辱に満ち、涙すら浮かべる沙那を見て、ジルスは微笑した。
力のない瞳で自らを見返す沙那の耳に、低い声音でそっと囁く。
「少し慣らしてから、よくしてあげるよ」
沙那は顔を背けたが、ジルスは構わずに行為を続ける。
何もかも取り払われた彼女の秘所に、人差し指を挿し入れる。
そこはしっとりと濡れ始めていたが、男を受け入れるにはまだ足りない。
まだ指1本だがきゅうきゅうと締め付けて離そうとしない柔らかな肉壁を擦ってやると、
沙那もさすがに耐えられなかった。
「あっ、ゃん、やめて、だめぇ……っ」
「こんなことで音を上げていいのかな、サナ」
一度入り口に戻って、てらてらと光る肉豆を摘むと、沙那の声は一層高まった。
抜いて、挿して、強弱をつけながら擦り上げる。
いやいやと拒絶の意を身体全体を使い沙那は示したが、しかしそこだけは本能に忠実であった。
「……もう1本で我慢出来なくなったの?」
「そんな、ことは」
「じゃあ、2本でもいけるね?」
彼女自身に何を訊いても、虚実しか返ってこない。
だから彼女に訪ねても意味がない。
自分勝手な理屈を信じ込み、今度は人差し指と中指を同時にねじ込む。
一瞬だけ、沙那の呼吸が止まったが、何ら問題はない。
むしろ、彼女の秘所は濡れに濡れ、もうこれだけじゃ足りないと哀願している。
二つの指をばらばらに動かし、ぐちょぐちょと淫猥な水音を立てる彼女の中を更にかき混ぜる。
ジルス自身の限界も近づいてきていた。


ベッドの下に脱ぎ落とされた男女の衣類。
何も纏ってはいない自らの身体。同じ状態の男の身体。
口を、首を、胸を、そして、誰も触れたことのない場所を散々いじり回されて、沙那にはもう何かを考える余裕など残っていなかった。
自らの奥が融けるように熱くなっているのを感じる。
そことほど近い場所にある臀部は水浸しになっていて冷たい。
熱いのに冷たい。ちぐはぐな気がした。
もしかすると、航海中の嵐の時よりも酷い目に遭っているのかもしれない……。
しかし、彼女にとっての「嵐」はこれからが本番だった。

痛いほどにそそり勃つそれを、沙那は見ていなかった。
経験のない彼女には、それが自分と何の関係があるのか分からなかったのかもしれない。
この時点でほとんど呆然としていた彼女を現実に戻したのは破瓜の痛みだった。
「……や、いやッ、痛い!」
ジルスの"準備"の間は攻撃が止み、沙那は多少の体力を戻していた。
それを振り絞って再度の抵抗を図るが、何度やっても無駄は無駄。
熱い異物がじわじわと時間を掛けて、自らの内へと侵攻していく様は、恐怖でしかなかった。
同時に感じる痛み。平行して襲い来る未知なる感覚。
どうしても逃れたくて身体を捻れば逆に深く突き刺さる。
更に余力を奪いに来るジルスの唇に自らの唇を塞がれ、絡まれ、吸い尽くされた。
商才に恵まれる異国の少女は、呪いの贄のように身を貪られるしかなかったのだ。
264最果ての国の女狐:2010/05/23(日) 21:37:49 ID:htE/qLJq
沙那の最奥まで自らを差し込んだジルスは、しばし停まっても痛がり続ける沙那を哀れんだ目で見ていた。
ただの島国の娘の癖に、辺境に住む娘の癖に、逆らうから悪いのだ。自分から去ろうとするから悪いのだ。
自分と彼女の結合部から、愛液に混じって赤い液体が滴り落ちているのを見て、彼は内心ほくそ笑む。
彼女から全てを奪ってやった。奪うだけ奪って、もう返してやらない。
そんな思いで彼は再び動き始める。
沙那がうめき声を上げるが、意に介さない。
痛いならば痛がるがいい。気にせずに彼は腰を打つ。
「もう、だめ……ぇっ、ゆる、して……」
沙那は涙ながらに許しを請うが、ジルスの耳には届かない。
彼女の中はとろとろに溶けきっていた。それでいて、ジルス自身に食いついて離さない。
ただ激しくなっていくばかりの動きに、彼女の視界には白い靄がかかり始めていた。
やがて、彼女の中が大きく震え始めた。
彼女が上り詰める間際に、ジルスはより深くより鋭く入り込む。
「ジル……ッ!」
ジルスの愛称を呼んで、沙那は果てた。
同時にジルスも彼女の中に自らの欲望全てをそそぎ込む。
最奥に余すことなく解き放つと、彼は沙那の中から自らを抜き出した。
激しい行為の末に上気した肌は薄紅に染まり、首筋から胸に掛けて赤い花がいくつも咲き乱れていた。
緑の髪は額に張り付き、目尻からはまだ涙が流れ出ていた。
「サナ……」
優しく名を呼んでも返事はなく、せめてもの報いと涙を指で掬い上げる。
今は眠りにつく彼女を、他の男に譲るつもりはなかった。
たとえ、彼女の気持ちがこちらへは向いていなくとも。
265名無しさん@ピンキー:2010/05/23(日) 21:38:36 ID:htE/qLJq
以上です。
長いし、あんまりエロが上手く書けてなくてサーセン
お目汚し失礼しました。
266名無しさん@ピンキー:2010/05/23(日) 21:58:46 ID:oJQKyJ8g
GJ!続きが気になります。
沙那嬢が求婚おkするまで監禁凌辱なヤンデレルートに行くのか
女狐だけにあっさりバイバイルパーンされてしまうのかww


>>249
そうですレズ寄りの両刀
王妃マルゴちっくに実兄と近親相姦的な黒歴史とかあってもいいな
んでそのせいで深層意識で男嫌い→レズ寄りに走ったとか

>>255
前妻は幼少期の大公の好きな娘苛めがトラウマになってて、
旦那に近づかれるだけで怯えて怖がる感じがいいな
あとリリーみたく、身分違いetcの引け目で
素直に寵愛を享受できないというのもアリか
大公は身分柄、女に優しくしたり下手に出たり甘やかす事を知らないので、
愛情が相手に通じない
嫌がって泣かれると自棄になって苛めっ子モード入る(その後一人で落ち込む)タイプとか萌える
267名無しさん@ピンキー:2010/05/23(日) 22:07:37 ID:FfqPuKYk
>>243
続きをだな
268名無しさん@ピンキー:2010/05/23(日) 22:08:25 ID:oEXnHEiU
>>265
GJ!気が強い女の子美味しいです。
一応ルールにもあるので続くのか終わるのか、はっきり最後に書いて欲しい。

>>254
>>255
>>257
なるほど、やっぱり輪姦は難しいな。ちょっと妙案ないか考えてみる…
でもメインの女の子を回しまくるのは可哀想かw
269名無しさん@ピンキー:2010/05/23(日) 22:09:59 ID:CUYx3nBC
>嫌がって泣かれると自棄になって苛めっ子モード入る(その後一人で落ち込む)タイプとか萌える

なにこれ超萌える
愛情の伝え方が分からないとかいいよね
そんで無理矢理→さらに怯えられ…のドツボにハマるとw
270265:2010/05/23(日) 22:32:56 ID:htE/qLJq
>>268
ああごめんなさい
構想はあるので続きます。
ですがお届けは結構先になるかと思います
どんな結末にしようか悩んでたんだ
271名無しさん@ピンキー:2010/05/23(日) 23:25:19 ID:XV/tknxq
>>266
>前妻は幼少期の大公の好きな娘苛めがトラウマになってて、
>旦那に近づかれるだけで怯えて怖がる感じがいいな

>大公は身分柄、女に優しくしたり下手に出たり甘やかす事を知らないので、
>愛情が相手に通じない
>嫌がって泣かれると自棄になって苛めっ子モード入る(その後一人で落ち込む)タイプとか萌える

やべぇマジ萌える
好きな女の子を苛めちゃうのは浪漫だね
女の子がおとなしい娘だと尚良い

しかも元々ナチュラルに男尊女卑的思考でドS
かといって普通に仲がよくて穏やかな男女関係にも憧れてるが
女を屈服させ従属させる事知らないので、酷い事した後満足しつつorzってなるんですね、わかります。

>>268
男のヤンデレなスレに行けば良い手本があるかもかも
272名無しさん@ピンキー:2010/05/23(日) 23:41:33 ID:gVByv9xe
>>265
GGJ!
いいね、厳しく生きてきた商売人の娘って感じがする。
まだ若いのに現実的で打算まで持っているのはその証拠だよね
それだけ甘やかされずに一生懸命生きてきたってことだろう。
多少「あれ」な性格の部分もちょっと気を張って大人ぶってる感じがして逆にいいな。
ジルのちょっと貴族の坊ちゃん的な性格とヤンデレ具合もツボ!

この後の展開に期待!

273名無しさん@ピンキー:2010/05/23(日) 23:50:48 ID:oEXnHEiU
>>270
首を長くして続き待ってます。

>>271
ありがとう、しかし「愛するが故に無理矢理」で成立する回し方を思い着いてしまった。
でもこれ話の終局に近付かなければ使えん…かなり先になるがいずれ回させて貰うw


輪姦使えなくなったからまた凌辱ネタ探さなければ…
274名無しさん@ピンキー:2010/05/24(月) 01:57:57 ID:s7biUMU3
なんかレスが多いから投下されたとのかとwktkしてスレ開いたら
妄想全開のレスばっかりでお前ら…いいぞもっとやれとか思ってたら
投下もキテルー なにこのすれwwwもう大好きだ!

>>265
ちょっと蓮っ葉な感じがかわいくていいじゃまいかw
GJ! 続きも待ってるぜー
275名無しさん@ピンキー:2010/05/24(月) 08:31:06 ID:2z+fYNPZ
>>258-265
投下乙
このボンボンが怒って言いなりにならない女を手籠めに感がたまらん

>>270
次回の投下楽しみにしてます。
276名無しさん@ピンキー:2010/05/24(月) 09:20:37 ID:+Bybn3Mg
また晒しか
>>271
よそのスレに誘導するな馬鹿が
糞スレ住人を送り込まれては迷惑
277名無しさん@ピンキー:2010/05/24(月) 09:34:23 ID:BvA9zTfT
>・他人に注意をするときは、丁寧な言葉遣いを心がけましょう。

このスレを糞スレと称するあたり、粘着君か何かかな
278名無しさん@ピンキー:2010/05/24(月) 14:11:49 ID:D/EVFMVQ
実際に読んでみたい妄想がおおすぐる。

逆レイプの場合はどういう手段をもちいるかが難しいな。
力では敵わないから、
油断させて拘束具や布でベッドに縛る、薬を盛る、
権力や立場を盾にとる等のテクニカルが必要だな。

そんなことを一生懸命考えて遂行しようとする女かわゆす
279名無しさん@ピンキー:2010/05/24(月) 16:27:59 ID:qZB7HmY3
>>278
男性側の心理を利用するのもありだな。

男の子が弱気で、それを知っていて襲い、拒めなくさせたり
自らの服を破って迫り、拒否したら襲われたと証言するぞ、と脅迫したり
相手と親しくて(幼なじみ等)、拒否したら気まずくなる空気を作るとか…。


二番目のはビッチだなww
280名無しさん@ピンキー:2010/05/24(月) 17:31:45 ID:D/EVFMVQ
>>279
二番目をビッチじゃなくしてみた。
お嬢様と執事等の上下関係パターン

やめて下さい、と女をどけようとする男。
ビリッ
「に、逃げようとしたら大声あげるからね、
お、お前に襲われたっていうんだからっ!
お父様にいいつけるんだからっ!そうしたらもうお前、ここにいられなくなるわっ
下手したら剣士の叔父様に、こっ殺されちゃうんだから!
だから、に、逃げないで‥‥っ」

と半泣きで言われたら萌える。
絶対そんなことしないくせに脅迫するっていう。
281名無しさん@ピンキー:2010/05/24(月) 18:20:52 ID:hOgPN19c
>>277
特に粘着じゃなくてもこのスレ基本的に嫌われてるよ
276を擁護するつもりはないが
確かに他スレ晒しみたいなことは一切やめたほうがいいと思う
282名無しさん@ピンキー:2010/05/24(月) 19:41:05 ID:uLKjpKv5
>>1に他スレSS紹介禁止+誘導禁止も入れた方がいいのでは?
283名無しさん@ピンキー:2010/05/24(月) 19:58:00 ID:wQyn/aZb
あからさまに『紹介誘導禁止!』ではなく
『誘導スレ名はヒントに止める方向で
※別スレの名前を出すのはマナー違反』
くらいでいいんじゃないかね?
ガチガチのテンプレをつくると後で後悔する事になるかもしれない
284名無しさん@ピンキー:2010/05/24(月) 20:45:40 ID:7GTrNBGz
>>278
ヤンデレと介護萌えがマイブームだった時に書こうとした事があるなぁ>逆レイプ
亡姉のダンナ兼上官(年齢差20近い)を子供の頃から恋慕してた女士官が
義兄の戦死は必至な外征が決まって抑制がキれ、酒に薬混ぜて意識失わせ、
別荘に監禁してベッドに縛りつけて半ば薬で勃たせて上に乗っかる。
女はかつて義兄の為に偉いさんに身を売ったことがあり、
処女ではないが経験は乏しい。
大好きだった義兄を傷つけて憎まれる行為を
続ける精神的負担に耐えきれず
女は自らも薬物を摂取し壊れていく。
義兄はストックホルム症候群&薬物作用もあってそんな義妹を嫌いきれない…みたいな
285名無しさん@ピンキー:2010/05/24(月) 20:51:32 ID:k7qLvFkt
>>284
何それ読みたい
286名無しさん@ピンキー:2010/05/24(月) 22:04:14 ID:qZB7HmY3
>>280
それで、拙い前戯も終わり、いよいよ挿入の時に、女が処女で破瓜の痛みに悶え苦しみ、苦痛に歪ませた脂汗ダラダラの顔を男に向けて、気持ちいい?と涙目で言われたら更に萌える。
287名無しさん@ピンキー:2010/05/25(火) 00:08:06 ID:5dFrClpd
>>241を拾って即興で書いてみた、後悔はしていない。


「良いですか、私はまだ伯爵家の一員なのです。
 本来ならば貴方がそのような口聞きをするのも許されぬことなのですよ」
「……くっ、うぅっ、お、おじょうさま」
「お黙りなさい。発言を許した覚えはありません」
「で、ですが」
「お黙りなさいと言っているでしょう!」
右手に握られた堅い扇で、胸を強く打たれる。深窓の令嬢の腕力などたかが知れている。大した痛みはない。
むしろ、痛みを感じているのは彼女の方だろう。
上擦った声。涙で潤んだ翠玉は月光に照らされ妖しく光る。だがそれは悲しい光だった。

麗しき一族に生まれれば、それ相応に麗しく在り続けなければならない。それが貴族の運命。
自らに見合った相手と契りを交わし、血と伝統を未来へと伝える子孫を残す。古今東西変わらず綿々と紡がれてきた貴族の務めだ。
一度汚れてしまったのならば、輝きは二度と戻らない。
そうは分かっていても、密かに心寄せていた者と何もなく今生の別れとなるのは嫌だった。
親に見定められた相手が、誉れ高い血の伝え手とは言え、醜男だというのも、彼女をこのような行動に走られた原因の一つかもしれない。

誰にも悟られぬよう、部屋を出るのは案外容易いことだった。自室から彼の部屋までの道筋は何度も何度も確認した。
昨夜も誰にも気づかれずに扉の前まで来ることが出来た。
自らの企ては面白いように成功した。天上におわす神が今宵だけは味方してくださったのだ。
数時間前、今夜で最後になりますね、との言葉とともに振る舞った茶には遅効性の睡眠薬を仕込んでいた。
部屋に忍び込んでも、執事は気づく素振りすら見せない。間抜けなほどに熟睡していた。
それだから、細腕の令嬢でも両手両足をあっさりと縛り付けられ、拍子抜けしたほどだった。
着衣を脱ぎ、初めて頬寄せた胸板は想定していたよりも厚く、それでいて滑らかでもあった。
自室に1冊だけある本の知識を頼りに、彼の首筋を甘く噛む。
豊満とは言えない胸を押しつけると、彼は夢うつつに唸る。感じているのだと嬉しく思った。
首から下腹部へと赤い道筋を付け、やっとの思いで付いた陰茎を小さな口に含む。
伯爵家に仕える若い執事はここで目を覚ました。
ここにはいないはずのお嬢様が、あられもない姿でとんでもないものを吸おうとしている。
止めなければと腕を動かそうとするも、両手両足は既に拘束されていて、どうすることも出来ない。
ならば言葉で解決するしかないと口を開けば叩かれる。彼には何の手段も与えられていなかった。

彼女の口遣いはとても拙いものだ。いかに尊大な口調であろうと未婚の令嬢に実力はない。
ただ、ここにいるはずのない、明らかな間違いであるこの行為に、彼の身体は興奮を覚えていた。
禁断の恋は燃え上がるというが、それは情だけの話ではなく、身体にも当てはまるのかもしれない。
そうして勃ち上がった彼の陰茎を、令嬢は満足気に見下ろす。
優美に微笑みながら、グロテスクなそれを撫でる。まるで犬の毛並みを撫でるかのように。
うふふ、と微かに笑い声を漏らしつつ、彼女は膝立ちする。
「お、やめください、それはいけません」
「何故?お前は私と交わるのが嫌なの?」
「なりません、お嬢様……っああっ」
止める間もない。令嬢は天井に向かい勃つ彼の陰茎を自らの入り口へとあてがう。
そのまま躊躇いもせず腰を落とす。紙一枚の隙間さえなく二人は繋がりあったが、その身分には大きな隔たりがあった。
彼のモノを全て呑み込んでしばらく、令嬢は痛みに耐えていたが、それが引いていくのを確認すると、あくまでもゆっくりと、動き出した。
「あ、う、あぁぁあっ、お、じょう、さま……!」
「ねえ、私の中は気持ちいいかしら?」
上下に腰を振る彼女は酷く淫らで、いつもの愛らしく気高い令嬢とは何もかもが違う。
そのギャップと、熱く膨張した自身からダイレクトに伝わる快感が、彼をさらに昂ぶらせる。
「あァ、うっ、お、じょうさま!」
「…………違う。違うわ、私の名を呼びなさい!」
執事は令嬢の名を叫んだ。この世に一つしかない、誇り高く可憐な彼女の名を。
それと同時に全てが決壊していく。白く滾る液体が彼女の中に注がれる。
自らの奥に熱いモノが解き放たれたのを確認すると、令嬢はまた妖しげに微笑み、
ぐったりとベッドに沈む彼の唇に自らの唇を重ね合わせたのだった。


期待外れだったらごめん。大人しく前の話の続きを書く作業に戻るとする。
288名無しさん@ピンキー:2010/05/25(火) 01:56:30 ID:ZkoUKLaw
他スレ晒しは晒したほう晒されたほう、両方に荒らしがわく可能性もあるからね
スレの空気変わるのを恐れる住民もいるだろうし、せめてヒントくらいにとどめるべきだと思うね

それはそれとして>>287GJ!
「私の名を呼びなさい」に激萌えた
主従関係にあると、名前の呼び方とかも萌えポイントだよなー

上のほうの女子大生と中学生とか、性知識欠如とか、女の扱いを知らないとかいうあたりから
近所のきれいなお姉さんに思いを寄せる中学生が
勢いあまって押し倒し事に及ぼうとするものの
いざ入れようとするといまいち場所がわからず
ほだされた女子大生が導いてあげてラブラブエチーに突入
という妄想が浮かんだんだが、これはこのスレの範疇に入るんだろうか…
289名無しさん@ピンキー:2010/05/25(火) 09:17:40 ID:gLLzSby4
>>287
GJGJ!!気の強いお嬢様テラモエス
このままひそかに関係を重ねてくんだろうなハァハァ

>>288
挿入直前までがちゃんと「無理やり」ならおkだと思う
これまでの投下でも「エロ終えた後本当は両思いだった事に気づく」
パターンはちゃんと受け入れられてるし
それが挿入直前くらいまででもおkなんじゃね?


ところで自分も質問だが、今、版権の少年向けバトルもので
本当は両思いだけど
女は「相手は自分に気がないだろう」と思ってあきらめてる
男は相手の気持ちを知ってるけど「自分は相手に相応しくない」と思ってあきらめてる
でも男が敵に操られて女を襲っちゃう
というのを書いてるんだがこれはここに落としてもおkなのかどうかお伺いしたい
前のスレタイだった「愛あるレイプ」という言葉には当てはまるんだが
今のスレタイの「愛するがゆえに無理やり」かというとどうなんだろうと思ってしまってなあ
襲う方は自分の意思でないとスレタイ的にはダメなのかな?とふと思った

作品スレはあるんだがシチュと心理描写重視の長めのSSに耐性の無さそうなスレでな…
(カップリングのあるシチュ雑談はエロなしの場合禁止されてるくらいだ)
しかも住人の好き嫌いの激しそうなカップリングなんで荒れるような投下物は避けたいのです
ここをお借りできるならお願いしたいのだが…
290名無しさん@ピンキー:2010/05/25(火) 09:22:49 ID:vu0Y58Yj
>>289
別に一次オンリーというルールは無い筈
二次である旨と作品名を明記すれば良いのでは?
291名無しさん@ピンキー:2010/05/25(火) 11:52:29 ID:n49KhWqP
便乗して聞きたいんだけど、二次を投下する時は
作品名とキャラ名のみで大丈夫?
原作ストーリー(投下文に関係する部分)をかい摘まんだ説明
入れた方がいい?
292名無しさん@ピンキー:2010/05/25(火) 11:54:07 ID:ANg6u0Ld
>>287
241だけど拾ってくれてありがとう!
お嬢様のセリフの悲痛な叫びって雰囲気がたまらなく切ない
293名無しさん@ピンキー:2010/05/25(火) 12:01:23 ID:6zKUuL8W
>>291
元ネタ明記してる時点で、知らないけど読むなら何を見てしまおうとそりゃ本人の責任。
これから原作を読もうって人にとってその時点でネタバレになる可能性の方がまずくないか?
294名無しさん@ピンキー:2010/05/25(火) 12:16:41 ID:gqEBrw4x
>>288
ヒントだって結局遠まわしな晒しじゃん
迷惑かける可能性あるしだめだろ
それになんだかんだ言われるのやだしさ
妄想爆発させて自家発電オンリーでいこうぜ
295名無しさん@ピンキー:2010/05/25(火) 12:52:00 ID:LPTBWRG3
>>248
>>242の妄想に惹かれたので期待してる
誰か>>239のネタでも書いてくれないかなw

>>265

こういう女性も良いね

>>287

こういう無理して逆レイプは可愛くて最高ですね

>>291
ひょっとしたらこのスレで二次見かけて
元ネタの作品を見始める人も居るかもしれんし
別にあらすじはいらん気がする
作品名とキャラ名だけで良いと思う。
296名無しさん@ピンキー:2010/05/26(水) 00:35:59 ID:hYmE8GdM
なんというか、男でも女でも追い詰められて
感情と体のぎりぎりの場所で苦しむ姿にゾクッとする。

このスレの場合だいたい両人ともそうだからおいしさ二倍。

これはMなんでしょうかSなんでしょうか。
297名無しさん@ピンキー:2010/05/26(水) 01:16:46 ID:Ye8V2kcs
>>296
ドSでありドMである。
298名無しさん@ピンキー:2010/05/26(水) 09:57:00 ID:hYmE8GdM
なるほど、バランスがいいってことですね。
299名無しさん@ピンキー:2010/05/27(木) 00:34:11 ID:o8XfucWm
お前等急に大人しくなったね
300名無しさん@ピンキー:2010/05/27(木) 00:42:26 ID:NO5D+EIW
>>155あたりに年上のネタがあったので、遅らせばながら。

無理矢理度が低くて、もしかしたらスレチかもしれません。
しかしネタをもらったここで投下したい気持ちなので、
ご容赦を。

10レスくらいを予定。
301年上未亡人×若者:2010/05/27(木) 00:44:08 ID:NO5D+EIW
マグダレーネ・マリア・クローデンは呟いた。
「…どうしたものかしら」
 ほとんど囁きのようなか細い声だったが、同室の男には聞こえてしまったようだった。
「どうかなさいましたか」
「あ、…いいえ、何でも」
 平静を装って外向きの笑顔で取り繕ったが、まさにその男のことである。
 例えば今日のこの訪問だ。未亡人とはいえ一女性の館を訪ねるのに通常は、先に手紙なり使いの者を
寄越すなりして知らせるものであるし、確か以前はこの男――というより未だ若者と呼ぶべきこの人も
律儀に使いを出してきていた。
 いつからか先触れも無く訪れるようになり屋敷の者達もそれがさも当たり前かのように迎え入れ、
客人というより身内のような扱いになっている気がする。
「今回の寄付は賛同者も多く、それは喜ばしいことですが、事務処理が大変ですね」
 その心の内を知ってか知らずか、若者は精悍な顔に春風のような微笑を浮かべている。
「ええ、本当に…」
 しかもこうしてタイミング良く困っていたところに現れるものだから、追い返す訳にもいかない。
 寄付活動についてもそうだった。
 当初は亡き夫、つまり親子どころか孫ほども年の離れたマグダレーネを実家への援助を餌に強引に
結婚を迫ったクローデン男爵から引き継いだ財産が、悪質で罪深い手法で稼がれたものであるために
手元に持っておくのが忍びなく、細々と始めたものだった。
 それが今では、この若者との共同事業のようになっている。
 というよりも、賛同者のリスト、出資金、出資先といった資金の流れについては、マグダレーネには
把握できない複雑さになっており彼の手を借りないことには成り立たない。
302年上未亡人×若者 2:2010/05/27(木) 00:45:28 ID:NO5D+EIW
 ――どういう、つもりなのだろう。
 夫とは結婚して間もなく、公式には心臓の発作ということになっているが実のところは腹上死で、死に
別れた。ほとんど買われたも同然ではあるものの神の御許で夫婦となったからには純潔を夫に捧げ、死後
の眠りが安らかなることを祈り、寡婦として社交界への出席も遠慮していた。
 ゲオルグ・ジークムント・テオ・カルゼン・ブラッハと会ったのはそんな折、ミサに参加したとある
教会だった。マグダレーネが出資している孤児院に彼も出資したいと、それがきっかけだ。
 慈善活動は確かに富む者の嗜みとされるが、皇室とも繋がりがある侯爵家の子息として生まれ、男らしい
が粗野ではなく気品ある顔立ちを父親から、光のように明るいブロンドの髪を母親から譲り受け、これから
貴族会での活躍を約束されているような若きブラッハ子爵にとって、未亡人とはそんなに珍しいものだろう
かと思う。
「今日は、どうされましたか。何か気になることでも」
「……え?」
 いつのまにか後ろにいた子爵が、マグダレーネの机の上の書類を覗き込むような格好になっていた。その
せいでやけに距離が、近い。
「何でもありませんわ」
「そうでしょうか? マグダレーネ」
それは、距離以上に近しい呼び方だった。家族でも恋人でも無い女性の、ファーストネームは使わない。
「――子爵」
 マグダレーネはつとめて冷静に、他人行儀に彼を呼んだ。ゲオルグ・ブラッハは時々、このような近しい
名で呼んだり体や顔を寄せたり、あるいは冗談のように意味ありげな甘い睦言を囁いて、マグダレーネを
困らせることがある。だけどたいていは、こうして拒絶の意思を示せばあっさりと引いてくれるのだ。
「あなたの考えていることを、知りたいのです」
 が、今日は違った。
 服の上からでもさぞかし逞しいと分かる腕が2本、マグダレーネの横に伸ばされて、机の上に到達した。
まるで後ろから抱き込まれているような格好だ。
 どうかしたのは彼のほうだ。いったいどうして今日に限って、そう、よりによってどうして今日。
「どうやら体調が優れませんわ。書類はわたくしが整理して、また改めてご連絡いたします」 
 内心の焦りをうまく隠して、男を追い出そうとした。
 これでも彼よりも何年も長く生きているし、大抵のことは冷静に対処できる。夫の死後、慎ましやかな
寡婦の生活が送れたのも、稀に未亡人の肩書きに物珍しく寄ってくる男性をこうして追い払ってきたから
だった。
303年上未亡人×若者 3:2010/05/27(木) 00:46:33 ID:NO5D+EIW
「体調が? …それはいけませんね」
 声は、耳の直ぐ後ろから聞こえた。
「……あなた様はもっと、賢い方だと思っていましたわ、子爵」
 こんなことをされれば、強引に彼を切らなくてはいけない。
 輝かしい将来を嘱望される若き子爵と金で買われたような年上の未亡人との噂を、社交界に流すことは
絶対に避けなくてはならないと、それは共同で出資を始めた頃からマグダレーネが心に決めていたこと
だった。
「私は只の愚かな男です、あなたの前では…」
 篭った吐息が触れる。
 そしてぬるっとした感触が耳の後ろを辿って、マグダレーネの耳朶をなぶった。
「……っ、悪ふざけが過ぎますわ!」
 悲鳴を押し殺して椅子から立ち上がった。子爵は同時に机から片手を外したが、それでも二人の体の距離
は至近で、マグダレーネは思いがけないほど真っ直ぐで真摯な子爵の青い目を覗き込むことになった。
「お引取りを」
 その目があまりにも真っ直ぐ過ぎて心が揺れそうだったが、断固として告げた。
 それが彼の為でもある。
「嫌です」
「子爵!」
「ゲオグルと」
「あっ」
 紙の束がばさばさと落ちていく音がした。
 ……背中が、痛い。
 机の上に引き倒されたのだ。マグダレーネの両肩を子爵が抑えている。窓から入ってくる光に蔭になって
その表情は良く見えない。
「どうして、こんなことを……今日は、どうかしてますわ」
「あなたのほうこそ」
「え?」
「今日、私に会った時にあなたは少し動揺されたようでした」
「そんなこと……」
「いいえ、あなたのことは、あなたよりも私のほうが良く見ている」
 男の指がそっとマグダレーネの額に乱れた髪を払い、男らしくけれど良く整った顔を近づけてきた。
 青い目は、やはり真摯だった。少しの後ろめたさも乱れも無く、ただ信じた道を真っ直ぐに進む若者の
煌きさえあった。
 ただ、いつもは見たことも無い、熱っぽさが見えるような気がした。
304年上未亡人×若者 4:2010/05/27(木) 00:47:22 ID:NO5D+EIW
「あなたは、僅かに頬を赤らめ、目を逸らされた。それは初めてのことでした。私達が出会ってから初めて」
「気のせいですわ」
 くすりと男が笑った。ほとんど唇同士が触れ合って、吐息が混ざるようだった。
「マグダレーネ……」
 男は大切そうに、熱っぽく名を口に乗せた。
「私は、この日が来るのをずっと、ずっと待ちわびていました」
 唇同士が触れるか触れないかの距離に身じろぎしてマグダレーネは顔を背けたが、そうすると首筋を
差し出すことになることに直ぐに気がついた。同じような焦れったい距離で、顎から首、鎖骨の線を男
の唇が辿っていく。
「やめ……っ」
 思わず声が上擦った。
「あなたに少しずつ近づいて、少しずつ生活に入り込み」
 優しげな唇の感触とは裏腹に、男の手は強引にマグダレーネの背中側に回り、ボタンを半ば引きちぎる
ように外していく。部屋着程度のドレスを着ているためにコルセットもしていないし、ペチコートも簡素な
ものだった。
 そんなことをされれば、直ぐに全てを脱がされてしまう。
「やめて、やめて下さい、子爵…!」
「少しずつ、私が無ければ立ちいかないように」
 はたして子爵は、ドレスを一気に肩から下へと剥ぎ取った。
 そしてうって変わって丁寧な手つきで抵抗を全く気にせずに下着まで外してしまうと、マグダレーネが
隠そうとするのを許さなかった。
「そう、まるであなたの羽を少しずつ剥ぐように、あなたを私から離れないようにするように。そして
ようやくあなたは、今日」
 夫以外の男性に見られるのは初めてだった。
 子爵が身動きせずに見つめているのに耐え切れず、マグダレーネは強く目を瞑った。室内は適温に保たれて
いるのに、体温がじりじりと上がっていく。息が上手く吸えなくて、体を震わせながら細切れに吐き出した。
「……あなたは、美しい」
 子爵の視線が、焼け付くように感じた。
「今なら……、何も無かったことにも出来ますわ」
 マグダレーネは気丈に振舞った。
 確かに未亡人となってから男性と触れ合ったことは無かったが、夫となった男爵は夜の生活は熱心だった。
老齢の夫から受けた屈辱とも言えるような恥ずかしい行為を思えばこれくらいは、生娘でも無いのだから
動揺を見せてはいけない。
 子爵が笑った気配がした。
「無かったことに、ですか?」
305年上未亡人×若者 5:2010/05/27(木) 00:48:25 ID:NO5D+EIW
「わたくしのような女を、……一時期の遊び相手としても選んではいけませんわ」
「何も、分かっていらっしゃらない、あなたは。ほら、ここ……」
 男の長い指が、乳房の下からそっと螺旋を描くように撫でてくる。
「まだ触ってもいないのに、私に見られただけで、可愛らしく立ち上がっています」
 指は、胸の形をなぞるように何度も円を描き肌を辿るが、頂点で硬くなった赤い乳首には触れなかった。
 そう、見られているだけで。胸の先がじりじりと疼く自分の体を、マグダレーネは必死で諌めようとした。
「美しい。そして、とても、淫らだ」
 子爵の声が、まるでマグダレーネの罪を責めているように聞こえた。
 そして、子爵は突然に予想外の質問をした。 
「この体を、ご自身で慰められることもありますか?」  
 何てことを――。
 必死に唇を噛み締めて、息の乱れと動揺を押し殺した。
 子爵が言っていることが、彼の日頃からは想像もつかない淫猥な内容だったからでは無い。マグダレーネが
まさに彼から目を逸らして、隠したい内容だったからだ。
 子爵の視線が観察している。
 心臓の音が彼にまで聞こえてしまうのではないかと思えた。
「ある、のですね」
「違…っ」
 ちゅっと音を立てて初めて乳首に唇が触れた。そのままねっとりと舌が這わせられる感触がする。驚く
ほど敏感になっていたその先端への刺激のせいで、口から甘えたような声が漏れる。
 だめ――
 こんなに取り乱していては、自慰行為をしていたと認めているようなもの。
 夫の死後、女の体は教えられた通りに疼いて、眠れない夜を迎えることがある。子孫を残す為ではない、
色欲に負けて一人で慰める行いは、いつも快楽と罪の意識が共存する。
 人に知られては、生きてはいけないほどの羞恥だと思う。ましてや、この真っ直ぐな青い目で見下ろす
子爵に……
「さあ、正直に言ってください」
 ゲオルグ・ブラッハ子爵、彼のことを考えていたら思わず手が夜着を捲っていた。
 そんなことまで知られたら――。
306年上未亡人×若者 6:2010/05/27(木) 00:49:19 ID:NO5D+EIW
「も、もう…お許し、ください…」
 どうして、彼はどうして来てしまったのだろう。今までなら例え、仮に心の隅に少女の憧れに似たような
淡い気持ちがあったとしても、年上の未亡人と未来を嘱望される子爵として、二人の間に線を引くことが
できたのに。一人の女ではなく、一人の人間として彼と接することができたのに。
 自分の指を使って浅ましく体をまさぐって、ついに彼の名を呼んだ次の瞬間深い快感と後悔に襲われて、
子爵の輝かしい未来の汚点となることにさめざめと泣き濡れたまさに次の日に、どうしてこんなことを。
「あなたは、…泣き顔も美しい」
 瞼の涙を吸い取った子爵の唇が、頬を辿ってマグダレーネの唇を緩く啄ばむ。
 彼への最大の後ろめたさを暴かれそうになったマグダレーネの抵抗は弱々しかった。これ以上の追求を
恐れ、交換条件のように口を薄く開いて、彼を受け入れた。けれど口の中をねっとりと隅々まで探られる
行為は、性行為ととても類似していて、子爵の逞しい物にまさぐられることを想像してしまう。
 とろり…と体が蜜を零していた。


 ◇◇


 子爵は強引だが優しく丹念に、マグダレーネの体の隅々までを検分した。
 今は、机の上に仰向けになったまま脚を広げ、彼の目の前に女の割れ目を晒していた。窓からの明るい
陽の光が何も隠すことなく彼の目に映し出していることを考えると、恥ずかしくてそれだけで涙が溢れ
そうだった。
「私はずっと待ちわびていたのです。あなたが想像するよりもずっと、長いこと」
 息苦しくて喉を反らせながら、体はどろどろに溶けてしまったかのように熱く、上手く動かすことも
できなくて、子爵の意のままにされていた。
 ぴちゃ、ぴちゃ…と、はしたない水音がする。
「こうしてあなたが、体も心も開いてくれることを、ずっと…」
「も……う…」
「どうしましたか。…私が、欲しい? マグダレーネ」
 マグダレーネは乱れた髪をそのまま、緩く首を横に振っていた。
 もう分からなかった。この、苦しいまでの快楽から解き放ってくれるのなら、何をされてもいいと
思っているのに。いつもいつも男性を遠ざけていた心の習慣だけが、最後に拒否を示しているのかも
しれない。
307年上未亡人×若者 7:2010/05/27(木) 00:50:12 ID:NO5D+EIW
 子爵の骨ばった長い指が、マグダレーネの中を掻き回していた。緩く、浅く、深く、全てを明らかに
するように。
 とろとろと、体の中から淫蕩な液体が溢れて男を欲情させる匂いを放っている。それが子爵の指を手を
汚して、臀部や太腿を伝い机にも溢れていることは見なくても分かっていた。
「い、や……です、……もう、ぁ、あっ」
「嫌? 嘘つきですね。ほら、あなたのここから、淫靡な蜜がこんなに溢れて」
「ぁっ…ん、んぅ…!」
「私の指を締め付けている」
 子爵は膣の中をまさぐりながら、戯れのように剥き出しにされた陰核にもぬめぬめと蜜を塗して撫でて
可愛がった。そのくせ、マグダレーネが昇りつめそうになると、すっと手を引き狂わせるように焦らすの
だった。
「あなたの指とどちらがいいですか?」
「い、や……仰らないで……」
「もう、一人で為さる必要は無いのですよ。いつでも私が、咥えさせてあげますからね」
 指が子宮の入り口近くまで入り込んで、膣壁をぬるぬると刺激する。
 だめ。…もっと。力強く太い物で貫いて欲しい。
 違う、そんなことを望んでは…。
 思考が千々に乱れる。
「ここに、もっと奥まで……、ほら、欲しいでしょう」
 満たされそうで満たされない。快感が達しそうで達しない。
「さあ、言ってください。可愛くおねだりできたら、入れて差し上げます」
 子爵の優しく甘い、それでいて悪魔のように誘う声がした。 
 もう、だめ――
 喘いでいるのか言葉を紡いでいるのか、それすらも分からないまま、マグダレーネは唇を震わせた。
「お願い、です。ここに、あなたの……」
 くすりと子爵の笑みが耳に触れた後、マグダレーネの手は捕まれて、熱く脈打つ力強い子爵の半身に
触れた。
「それでは分かりませんよ。……あなたの手で、導いてください」
 子爵は、マグダレーネの手で、その子爵の今にも暴れだしそうな肉棒を入れさせようとしているのだ。
その、はしたなさに淑女の部分がまた罪の意識にさいなまれそうだった。
 けれど、もう――
 頭の中まで熱におかされたみたいに、何も考えることはできなかった。子爵に押し倒されて脚を広げた
はしたない格好のまま、じゅくじゅく蜜を垂れ流している割れ目に宛がって、腰を浮かすようにして中に
沈めていく。
308年上未亡人×若者 8:2010/05/27(木) 00:51:20 ID:NO5D+EIW
「ぁ、あっ……」
「そう、です。そう…」
「ぁっ…ん! 子爵、っ……ぁあ!」
 半ばほどまで到達したあとは、子爵が覆いかぶさった体をそのままに、奥まで捻じ込んだようだった。
蕩けそうに快感に堪えていたマグダレーネの体はあっけなく絶頂に達していた。
 感嘆のような苦悶のような子爵の息が、荒く聞こえる。
「夢のようです、マグダレーネ……、あなたの中は、とても善い」
「やっ、ン、…ぁ、子爵、ぁ…っ」
 子爵の分身が、体の奥までみっちりと入り込んで緩やかな振動を送り込んでくる。
 それはうっとりするほどの喜悦となって密着してる部分から、波紋のように体中に広がっていった。
「ゲオルグと、呼んで下さい」
「動かない、で……くださ……ぁ、あ、ダメ」
「どうして?」
「んぁ、……ァ、ゲオルグ…様、お願いっ…ぁ、ああっ!」
 水の泡が弾けるように、マグダレーネの体は少しの刺激で歓喜を極めていた。体の芯に熱がとぐろを
巻いて快感を絡めとり、小さく何度も爆発を繰り返している。
 勝手に体が快楽を貪って震えて、どうにもできない。子爵は優しくきつく抱きしめ、顔中に口付けを
繰り返した。
「男爵は、亡くなられて良かった」
「何、を……、ぁっ」
「あなたのこの体に触れた男がいるなどと、思うだけで……私の中の悪魔が暴れだしそうです」
「わたくしの、ことで……あなた様が、気を病むこと、など……ぁ、あっ、や」
 子爵がマグダレーネの太腿を持ち上げたせいで、腰がより密着してしまった。マグダレーネから溢れた
蜜が二人の体の間でぬめり、ぬちゃ、ぐちゃと卑猥な音を室内に響かせる。
 なんて、浅ましい――。
 夫でもない男との交合に高まってしまう体を浅ましく思った。なのに、ふしだらな体は子爵の愛撫に
過敏に反応してしまう。
309年上未亡人×若者 9:2010/05/27(木) 00:52:36 ID:NO5D+EIW
「あなただけです。私を狂わせて悪魔にもするのは」
「ひぁ、あっ……そのような、ぁ、ああっん」
「こうして、引き抜こうとすると、あなたの中が吸い付くように纏わりついて」
 ぎりぎりまで浅いところに留まられると、膣の中が足りない何かにひくひくと疼いた。
「奥まで入れると、押し返されるように反発するのに、襞の一つ一つが絡んでくる」
「はぁぅ、…ン、ぁ、仰らない、で……っ」
 言葉にされると本当に、マグダレーネのとろとろになった膣襞が、子爵の逞しい肉棒に触れて絡みついて
快楽を貪っているように思えた。
 子爵が普段は見せない妖しいまでの微笑みで見下ろしている。
 ああ――
 子爵の中の悪魔――は、いるのかもしれない。
 春風のように微笑む子爵しか知らなかった。
 今日は、どこまでもマグダレーネを追い詰めてくる。体を若い力強さで支配し、心の中までも深く犯されて
しまう。
 本当は、子爵との間にずっと一線を置いて接していたのは、自分のためだったとマグダレーネは思った。
 さもないと、直ぐにきっとこの魅力的な若き子爵の虜になってしまうだろうと、初めて会った時から
分かっていたのだ。
「は、ぁん、……わたくし、っぁ、ンンッ」
「いいですよ、一緒に……あなたがあまりにも魅力的過ぎて、私も持ちそうにありません」
 その意味を深く捉える間も無く、膣の中の肉棒が膨れ上がるような感触があった。
「だめ、ぁあっん、……、ぃ、……ぁっ、あっ、ああーーーーっっ!!」
「マグダ…、くっ」
 膣の奥底で子爵が吐き出した精が満ちていく。子爵と繋がってる部分から蕩けるような感覚が広がると
同時に、トグロを巻いていた熱が体の隅々まで走り回って、頭の上から外と放たれていくような気がした。
 とけて、しまいそう……。
 深く強い陶酔感に恍惚となった。
310年上未亡人×若者 10:2010/05/27(木) 00:53:46 ID:NO5D+EIW
 
 少し、気を失っていたのかもしれない。マグダレーネが目を開けると、子爵が額にそっと口付けを落と
して微笑んだ。
「とても、幸せです」
 果たして、これが彼にとって真実の幸せかどうか、マグダレーネは不安に捉われながらも微笑みかえ
した。が、直ぐに違和感に気づいて、目を瞬かせた。
「あ、あの……」
 マグダレーネの中には未だ子爵が存在した。しかも、その大きさも力強さは少しも損なわれていなかった。 
「まさか、一度で終わりだと思われていたのですか?」
「だって、あの…」
 一度でいいと思えるくらい内容が濃かったし体が感じすぎてくたくたなのだとは、恥ずかしくて伝え
られなかった。
「今度は、先ほどよりも長くあなたを楽しませられると思います」
「い、いえ、わたくしは、あの、もう…っ」
「恥らう姿も、愛らしい。わたしの、マグダレーネ」
 何とか止めようと身を捩り、息も絶え絶えに子爵からの愛撫を身に受けながら、マグダレーネは思った。
 これが一時の子爵の気の迷いとしても、もう少し長い快楽的な関係を考えているとしても、子供を授かる
ことは避けなければいけないし、彼の未来のためにも決して人に知られてもいけない。
 が、そのことを伝えられるのはいったい、いつになるのか……。
 




(終わり)
311年上未亡人×若者 10:2010/05/27(木) 00:58:30 ID:NO5D+EIW
中世〜近世のヨーロッパぽい世界ですが、
宗教観とか生活習慣とかその他もろもろは
独自の文化ということでお願いします。
312名無しさん@ピンキー:2010/05/27(木) 01:23:25 ID:0KzU8Ko1
>>311
素晴らしすぎてうまく言葉にできん。
とりあえず萌えた!!子爵もマグダレーネも魅力的すぎる。
文章力はんぱない!超乙!!
313名無しさん@ピンキー:2010/05/27(木) 10:05:24 ID:vPiHZb9b
お前ら誤爆スレで暴走すんなよw
すげー邪魔なんだけど

喧嘩するなら場外乱闘いけ
314名無しさん@ピンキー:2010/05/27(木) 17:31:56 ID:wbBV2rtd
ひっそりと暮らしているお姫様と、彼女に忠誠を誓う騎士。
お姫様と騎士は愛し合っているんだけど、ある日お姫様の政略結婚が決まる。
お姫様は悩み抜いた末、お互いの思いを断ち切るため
その国最高といわれる超高級娼婦を身請けし、騎士と添うよう命じる。
娼婦は初めは抵抗するが、やがて騎士を愛するようになってしまう。
しかし騎士はお姫様一筋で、娼婦に振り向きもしない。
思いあまった娼婦はその手管にかけて騎士を誘惑し、ついに逆レイプする…という妄想中。

315名無しさん@ピンキー:2010/05/27(木) 17:47:19 ID:XTP5gwAt
すばらしすぎる!GJ!GJ!!!
清楚な女性がおねだりを強要されるのって本当にたまらん!
年上未亡人とか最高です!
316名無しさん@ピンキー:2010/05/27(木) 19:15:56 ID:o8XfucWm
最後に出てきた薫子の兄的立場の取り立て人の眼力はヤバいだろ
普通気付かねーよw
どんな経験を積めばあんな能力が身に付くんだ
317名無しさん@ピンキー:2010/05/27(木) 19:16:42 ID:o8XfucWm
あ、誤爆した
318名無しさん@ピンキー:2010/05/27(木) 19:28:28 ID:o8XfucWm
しかも上げてしまった…orz
319名無しさん@ピンキー:2010/05/27(木) 22:39:10 ID:Kiy8HCCd
<<311
GJ!!
年上未亡人ハアハア
加えて子爵のストーカー並の執着ぶりに萌える
320名無しさん@ピンキー:2010/05/27(木) 22:41:43 ID:X1FxPtVF
>>311
GJ!!その後何ラウンドも続けられる様を想像せざるをえない。
321名無しさん@ピンキー:2010/05/28(金) 20:45:01 ID:kvDYSRPd
間が空くと言いつつ、次の話まで構想が出来ているので
一気に書き上げてしまいました。

続き投下の前に、一言陳謝。
我ながら空気読まない・ネタ乞いのレスが多かったと反省…
目に余った方、申し訳ありません。
自分の意志で始めたものですので、黙って自力で完結させます。

では続きを投下します。
百合要素がありますのでNGは名前欄でお願いします。

【事前の注意事項】
・女←女
・若干残虐な描写あり

12レスほど頂きます。以下、投下します。
322偽悪的征服録 Ep.6:2010/05/28(金) 20:47:34 ID:kvDYSRPd
翌日、客船が港に着くと二人は早々に人混みに紛れた。
身元の確認などされては強制送還を食らい兼ねない。船員の目につかないようひっそりと、街へ出た。
貿易都市ミランダ。ここは特に国が統治しているわけでもない、道を歩くと嫌でも様々な道具が目に入る、活気に溢れた商人の街。
ディアナは辺りを見回し、何よりも人の多さに驚いていた。

「こんなに人多くて大丈夫なの?そんな堂々と歩いてて大丈夫?」
「姓がばれなければ問題ない」

ロイドは知名度に反して顔はあまり知られていない。今まで普通に街の宿に泊まる事ができていたのはそのためだ。
国の行事はほとんどさぼっていたし、戦時もよほどのことがなければ自ら出向かない。
出向いたとしても、顔を見た者を生かしてはおかなかった。

「ところで、報酬って何?」
「武器の情報」
「武器?剣?」
「まぁ……」

ロイドは歯切れの悪い返事をする。隠していても、行動を共にしている限りいずればれることに変わりはない。

「二本持つの?今持ってる剣は?」
「別に、どうだっていいだろ。行くぞ」

不思議そうな顔をするディアナの問いを誤魔化すように流し、比較的人気のない場所でケルミスから剣の情報を聞き出した。
聞き出した情報によると、今日の夕刻、とある場所で曰くつきの剣が競売に掛けられるという。名は、魔剣クラウ・ソラス。
どんな隠れた事情があるのかと問い詰めると、実は既に三回ほど市場に出回り、落札者全員がその日のうちに死亡しているという話だった。
そしてその剣は、必ず持ち主の元へと戻るのだ。
思うところがあったが、ひとまず目にしてみなければ話にならない。様々な品を興味深そうに見て回るディアナに付き添い、
夕刻まで時間を潰すと、指定された会場へと足を運んだ。

「ここで競売するの……?」

赴いた先は至って普通の酒場。ディアナが訝しがるのも無理はない。
ロイドはカウンターへ近付くと、ケルミスに指示された通りの注文と、指示通りの雑談をする。
すると、酒場のマスターは自然を装い別室に二人を案内した。別室内の施錠された扉が開けられると、そこに見えるのは
地下へと続く階段。
マスターに見送られ、二人は暗闇に包まれた階段を下り競売会場へと出た。

「す、凄い人……」

323偽悪的征服録 Ep.6:2010/05/28(金) 20:49:34 ID:kvDYSRPd
既に大勢の人間が席に着いていた。客層はおそらく、成金連中や裏社会に生きる者達。
しかし驚くべきは、客層よりも主催者。魔剣クラウ・ソラスの出品者でもある彼(か)の主催者は、ミランダで最も大きな
権力を持つ大富豪。有権者に公認された闇市場なのだから、発展するのも頷ける。
ディアナを連れて空席に座ると、間も無くして競売が始まった。
ロイドは如何にも怪しげな品が競り落とされていく様を、退屈そうに眺めていた。

「ねえ……、競売ってこんなに殺伐としてるものなの?」
「普通の競売じゃないからな」

人が多いため競争率も高く、会場は常に殺気立っていた。
この会場自体が闇取引現場であることをディアナに伝えていなかったが、何かと面倒なので黙っていた。
程無くして、目当ての品が壇上の上へ運ばれてくる。

「これより、本競売の主催者であるトマ・アドルフ氏の出品となります」

司会の声と共に魔剣クラウ・ソラスの競売が開始された。
一見、至って普通の剣。模造品である可能性も否めないが、落札者がことごとく死亡しているという事実が本物であることを
裏付ける。

「あれ?誰も入札しないの?」
「落札者が皆死亡していることを知ってるんだろう」
「ロイド、チャンスじゃない?」
「俺に死ねと?」
「あ、いや……」

剣の正体を知らないのだからディアナの反応は至極真っ当。
魔剣クラウ・ソラスがどういった剣なのか知らずに手を出すと、自分を死に至らしめることとなる。
落札者が死亡したのは当然と言えば当然なのだ。

「クラウ・ソラスは追尾の剣だ。持ち主の意志を刃に宿し、何かの拍子に敵と認識した者の命を奪う」
「何かの拍子?」
「落としてもいいし、投げてもいい。主催者が本当にあの剣を手放す意志を持たなければ、手にした者はいずれ死ぬことになる」

持ち前の剣の知識を披露してやると、ディアナは呆気に取られた表情を見せた。

「……ねえ、ロイド。あれ、初めて見るんでしょ?」
「どうした?」
「詳しいなと思って……」
「……、ケルミスに聞いたんだ」

その場凌ぎの言い訳でディアナの疑問を解消すると、間も無くして入札者なしという結果でクラウ・ソラスの競売は終えられた。
もうここには用はない。ちょうど次の出品物が運ばれて来た頃、席を立とうと肘掛けに手を付くと、ディアナに腕を掴まれ
引き止められた。

324偽悪的征服録 Ep.6:2010/05/28(金) 20:51:11 ID:kvDYSRPd
「ちょっと待って……あれ」

晴れない表情で彼女が見つめているのは次の出品物。目を向けると、ぼろぼろの服を着た少女が競売に掛けられていた。
ここでは人身売買など特に珍しいことではない。
司会が少女の解説を進めていく。身寄りのない、比較的安全な商品だと謳っている。更には、主催者自ら『在庫』が
あると宣伝までしている。

「ねえ、あの子何?どういうこと?」
「これは闇競売だ。別に不思議な光景じゃない」
「闇競売?じゃあ、これ悪いことじゃないの?」

壇上に向かおうとするディアナを無理やり引き止め席に座らせると、ロイドは彼女を諭すような口調で話し掛ける。

「ディアナ、覚えておけ。確定的な善や悪など存在しない。存在するのは個々の観念だ。その観念から大きく外れた
信念こそがその者にとっての悪となる」
「そんなの、違う……」
「今ここに存在する『善』は定められたルールで出品物を競り落とすことだ。今面倒ごとを起こしてみろ、袋叩きに遭うぞ」
「でも……」

彼女は納得がいかない様子で少女を見つめている。その様子を窺いつつ、ロイドは尚も説得を続けた。

「おまえは間違っていない。外に出れば大多数が同じ意見を持つ。そこで初めて、今ここで行われていることが悪となる」
「…………」
「……ディアナ。おまえは何故俺と行動を共にしている?」

ディアナははっとした様子でロイドを見つめた。彼女自身、ロイドを善とは認めていないのだ。
自分の良しと思う行動が、全て善行であるとは限らない。それでも彼女はすぐに、虚ろな瞳を地に落とす少女に目を移す。
身寄りのない少女。自分の境遇と通ずるところがある彼女を放っておけないのだろう。

「……ルールに則ればいいのね」
「ディアナ……?おい、何を……」

制止の声を振り切り、ディアナは壇上へと向かった。
黒い髪を垂らし俯く少女と目を合わせ小さく微笑むと、彼女は強気な表情で主催者に顔を向けた。

「どうしました?お嬢さん」
「この子を解放して。私が代わりに貴方の奴隷になる」
「ディアナ!?」

会場からどよめきが沸き起こった。おそらくこれは、前代未聞の出来事。
主催者であるトマ・アドルフはディアナを品定めするような目でその身なりを観察し、満足そうに頷いた。
325偽悪的征服録 Ep.6:2010/05/28(金) 20:52:49 ID:kvDYSRPd
「いいでしょう。貴女の方が質が良い。会場の皆様、勝手な都合で申し訳ございませんが、こちらの商談は破談とさせて
頂きます」

少女とディアナの交換条件を呑み、彼は声高らかに交渉の成立を宣言した。
ロイドは慌ててディアナの元へ駆け寄り、彼女を一喝する。

「ディアナ、何を考えている!」
「ロイド、この子お願い。捕まってる他の人達も助けてあげたいの」
「一人でできると思っているのか?」
「いざとなったら強行突破すればいい。お願い、私が出てくるまで待ってて」

ディアナは小声でロイドに身勝手な行動の許しを乞う。しかし許すも許すまいも、もう既に交渉は成立してしまっている。
この場で騒ぎを起こすとそれもそれで面倒な事態を引き起こし兼ねない。

「……長くは待たないからな」

ロイドがおとなしく引き下がると、ディアナは申し訳なさそうに微笑んだ。

「別れは済みましたかな?ではお嬢さん、こちらへ」

少女が壇上から降ろされ、代わりにディアナが壇上の奥へと消えていく。
ロイドは小さく舌打ちし、少女を連れてすぐに会場から抜け出した。

「おまえ、名前は」
「……ヘレナ」

年は十五前後といったところ。よほど酷い目遭わされたのか、常に周囲に怯えている。
ディアナに世話を頼まれてしまったのだから、彼女が出てくるまでヘレナの身を守ってやらなければならない。

「身の安全は保障してやる。……あいつに感謝しろよ」

ヘレナは畏縮しながらも小さく頷き、如何にも不機嫌そうなロイドの傍へ近付いた。
幸いなのは、彼女がトマの居場所を知っているということ。ロイドは彼女を連れ、緊張を少しでも解してやるために
街の中を歩き回った。
ヘレナは初めはおどおどしていたが、道端に広げられている商品に目を留めるようになると、すぐにその歩みは軽快なものに
変わった。その様子を確認し、周囲が寝静まった頃にロイドは行動を起こした。

「ヘレナ。奴の屋敷へ案内しろ」
「えっ……」

すぐに彼女の表情が曇る。戻りたくないのは当然だろう。

「行きたくない……」
「身の安全は俺が保障すると言ったはずだ。案内できないのならここに置いていく」
「…………」

ヘレナは怖気づきながらも小さく頷き、おぼつかない足取りでロイドをアドルフ邸へと導いた。
326偽悪的征服録 Ep.6:2010/05/28(金) 20:54:17 ID:kvDYSRPd
屋敷は視界に収まらないほど大きく、警備員の姿も見られる。ロイドはヘレナを連れたまま、正面から堂々と入り口へと向かった。
すぐに数名の警備員に引き止められるが、剣が収められた鞘で彼らを殴り倒し、歩を進める。

「こ、こんなことしていいの……?」
「どう侵入しようと、遅かれ早かれ騒ぎになる。それより奴の部屋へ案内しろ」

彼女にとっても後には引けない状態となっている。怖くとも、ロイドの言われるがままに行動するしかない。
警備員を片っ端から気絶させ、ヘレナの後につく。そして連れられたのは、二階の奥の大きな扉の前。
施錠はされておらず、ドアノブを回すと扉はあっさりと開いた。様子を窺うと、彼(か)の競売主催者がベッドの上で大きな
寝息を立てていた。
ロイドは音を立てずに扉を閉め、静かに剣を抜く。ヘレナが小さな声を漏らしロイドから離れるが、構わない。

「トマ・アドルフ。目を覚ませ」

殺気立った声色で目の前の男を夢から現実へと引き戻す。
彼は寝ぼけた顔で声の主に目を向けると、途端に顔色を一変させた。

「な、何だ貴様!?一体どこから……」

喉元に剣を突きつけられていることに気付き、彼はすぐに威勢を失った。

「競売会場で金髪の女を手に入れただろう。今どこにいる?」
「そ、そんなこと、私が言うとでも……」

言い切らせるよりも早く、ロイドは剣の先を彼の肩へとずらし、何の迷いもなく突き刺した。
シーツに血が滲み、目の前の男の口から苦痛の叫びが発せられる。

「今、どこにいる?」
「わ、わかった!案内する!案内するからやめてくれ!」

剣を引くと、彼は慌てて窓際へと躍り出る。暗くて気付かなかったが、そこには一本の剣が立て掛けられていた。
トマはその剣を手にすると、ロイドへと切っ先を向けた。

「……クラウ・ソラスか」
「ああそうだ!貴様を殺すなどこの剣があれば容易いこと!」

ロイドは顔色一つ変えずに一歩前へ出る。彼は取り乱したように驚き、咄嗟に剣をロイドに向かって投げつけた。
無論、そのような行動は予測済み。ロイドは自らの刃でいとも簡単にその剣を弾き飛ばすと、彼の腹を踏みつけ再び肩へと
剣を突き刺す。

「案内しろ。五体満足でいたいならな」
「ま、待て!知らないんだ!女の管理は別の人間がしているんだ!私じゃない!」
327偽悪的征服録 Ep.6:2010/05/28(金) 20:56:12 ID:kvDYSRPd
「別の人間?」
「カロンという男だ!姿を現さないから私は何も知らないんだ!」

影の権力者と言ったところだろう。悲痛な表情で解放を訴えているが、男の性格からして嘘である可能性もある。
切っ先に力を込め、肩を抉るように剣を捻ってやると、一際大きな苦痛の声が響き渡った。

「本当だ!信じてくれ!そ、そうだ、その剣もおまえにやる!だから助けてくれ!」
「…………」

しばらく拷問を続けてみるも、一向に口を割らない。本当に知らない可能性が高くなりつつあった。
ロイドは先程弾き飛ばしたクラウ・ソラスをちらりと見遣ると、ヘレナに声を掛けた。

「ヘレナ。その剣を取れ。ここへ持って来い」
「ひ……、あ……」

彼女は目の前の凄惨な光景にがくがくと震えている。

「……早くしろ!」

怒気を孕んだ声を発してやると、ヘレナは震えながら剣の柄を掴み、慎重にロイドへと手渡した。
ロイドはクラウ・ソラスを片手に、再び足元で震えている男に目を向ける。

「この剣をやる、と言ったな。本当か?」
「本当だ……!た、助けてくれ……」
「……そうか」

おもむろに、クラウ・ソラスを真上へと放り投げてみせる。そこはロイドの首を飛ばすことも、トマの心臓を
貫くことも可能な範囲。彼の目が恐怖に染まった。
持ち主の意志を反映するその剣は、ゆっくりと孤を描きながら地に近付く。
目の前を、剣が素通りした。そのまま切っ先をトマへと向けて落下し、クラウ・ソラスは彼の心臓を深々と貫いた。

「信用してやる」

ロイドは一言だけ言い残し、クラウ・ソラスをその手中に収めると、怯え切ったヘレナを連れて部屋を出る。
屋敷の主が知らないのだから、誰に聞いてもカロンという男の居場所は知らないだろう。

「あ、あの……、多分、地下だと思います……」

ヘレナがおずおずとロイドに話し掛ける。

「知ってるのか?」
「カロンという人も入り口も知らないです……。でもここ、地下に埋まった収容所の上に建てられているんです」

それが本当ならば彼女の言うことも一理ある。おそらく隠し通路でもあるのだろう。

「何故それを知っている?」
「私、最初清掃や雑用をさせられていたんですけど……、偶然ある部屋で設計図を見つけました」
「それはどこだ」

328偽悪的征服録 Ep.6:2010/05/28(金) 20:57:41 ID:kvDYSRPd
設計図があるのなら、出入り口とその方角と照らし合わせおおよその位置を掴むことができる。
ロイドはヘレナを急かし、足早にその部屋へと向かった。

一方、時は数時間前。ディアナはある一室へ連れられ、監禁されていた。辺りに置かれている様々な拷問器具から、この場所が
監獄か何かであることを窺わせる。
目の前には一人の男が立っていた。中年というにはまだ早い、一見紳士的な男だった。

「あなた、誰?」
「私はカロンという者だ。この場所の管理を一任されている。トマに聞いたよ。自らこんな場所へ来るとはどういうつもりだ?
お嬢さん。」
「……あなたが捕らえている人達を解放しに来たの」
「まぁ、そんなところだろうね。君は身なりもいい。ここには不釣合いだ」

カロンは全てを見抜いているような視線をディアナに向ける。ディアナはそれが不愉快だった。

「どうしてこんなことを……人を何だと思ってるの?」
「愚問だな。トマが何を言ったか知らないが、私は彼女らを助けるためにここに置いている」
「助ける……?」
「百聞は一見に如かずとは良く言ったものだ。一度彼女達に会ってみるといい」
ディアナは彼に引き連れられ、別室へと移動した。そこには通路に面して無数の牢が存在し、獄中からは女性の姿が見られる。
見かけはどう見ても監禁。しかし、中の様子を窺うとそれとは違う雰囲気が漂っているのがわかる。
処遇が非常に良いのだ。床には絨毯が敷かれ、質素ではあるがベッドや机など、生活に必要なものは大体揃っている。
数名の女性と目が合うも、さも興味がなさそうに目を逸らされる。

「話を聞いてみるといい。私が如何に正しいことをしているかが理解できるはずだ」

カロンが牢獄から出て行くと、ディアナは戸惑いながらも数名の女性に話し掛けた。

「あの……、あなた達、ここで何を……?」
「仕事。あなた、何も聞いてないの?何しに来たの?」

粗末ではあるがしっかりとした布の服を身に纏い、一人の女性がディアナの問いに答える。
何やら作業中のようで、手元を覗いてみると白い粉末を小分けにして透明の小さな袋に包んでいる。
それはどう見ても、違法ドラッグ。

「わ、私……、あなた達を助けに……」
「助けに?」

329偽悪的征服録 Ep.6:2010/05/28(金) 20:59:17 ID:kvDYSRPd
辺りから小さな笑い声が聞こえる。ディアナはその光景が信じられなかった。

「教えてあげる。身寄りのない私達をカロン様が保護して下さったの。こうしてあの人の言われた通りの仕事をすれば、
衣食住全てを与えて下さるのよ。私達が望めばそれ以上のこともね……」

つまり、彼は彼女達の弱みに付け込み違法行為を手伝わせているのだ。このようなことは、断じて正しいとは認められない。

「こんなの駄目……目を覚まして!皆、利用されているだけ!ここを出ましょう!」
「ここを出る?」

声を張り上げるディアナに、彼女達は鋭い視線を送る。明らかに敵視されている。

「私達皆孤児でね、ここに来る前は奴隷以下の扱いをされていたの。だから今の生活が幸せなの。あなた、ここを出た後で
私達の生活を保障できるの?」
「それは……」
「昔の生活に戻るのは嫌。脱走者扱いされて追われるのも嫌。あなたは恵まれているからそんな無責任なことを言えるのよ。
わかったら出て行きなさい」

想像もしなかった現実が目前にあった。それと同時に、ロイドに言われた言葉を思い出した。
今の彼女達にとってはカロンこそが正義であり、ここから出そうとするディアナこそが悪なのだ。
仮に牢を破壊したとしても、彼女達は自らの意志でこの収容所を出ないだろう。
間違っていると頭ではわかっていても、彼女達を説得するにはディアナはあまりに無力だった。

「理解したかね?」

不意に、背後から声がした。タイミングを計ったかのように、カロンが部屋へ現れる。

「あなたが皆を洗脳するからこんなことに……!」
「カロン様の悪口を言わないで!」

途端に、獄中の女性達から激しい叱責が飛ぶ。
自分だけの力ではもうどうしようもない。それを痛感させる声だった。
ディアナは膝をつき、ただ呆然と目の前の過酷な現実を見つめていた。

「時にお嬢さん。ここを見られてしまったからには君を帰すことはできない」
「え……?」
「安心したまえ、乱暴などはしない。こちらへ来なさい」

ディアナは強引に別の隔離された部屋へと連れられ、中へ放り込まれた。
顔を上げると、純白の髪を首元で束ねた美しい女性が佇んでいた。

「サラ。この子を君にあげよう。堕としてやりなさい」
「あら……、可愛らしい子」

330偽悪的征服録 Ep.6:2010/05/28(金) 21:00:46 ID:kvDYSRPd
サラと呼ばれた女性はディアナに近付き、吟味するような目で全身を見回す。
扉はすぐに閉められ、外から鍵が掛けられた。

「悪いようにはしないわ。こちらへいらっしゃい」
「……?あの……」

手を引かれベッドに座らせられると、サラはうっとりとした目でディアナを見つめた。
ディアナは彼女が何をしようとしているのか、よくわからなかった。

「あなた、本当に可愛い。本気で惚れちゃった。ねぇ、私のものになってくれる?」
「……え?」

有無を言わさず、サラはディアナをベッドに優しく押し倒す。ディアナは未だに事態を把握し切れていない。

「あの?何を?」
「私、性癖が特殊だから、皆気持ち悪がってこうして隔離されたの……。淋しかったのよ。お願い、ずっと一緒にいて?」

サラの手がディアナの頬へと伸びたかと思うと、ゆっくりと唇を近づけられる。ディアナが驚いて顔を背けると、サラは残念そうに顔を離した。

「あら、キスは駄目?仕方ないわね……。じゃあその分こっちを可愛がってあげる」

彼女はすぐにディアナの胸を肌蹴させ、先端の突起に吸い付いた。巧みに舌を使い、ディアナに甘い刺激を送り込む。

「な!?何を……」

サラはもう片方の胸を撫で回し、先端を優しく摘む。指と指の間で転がしディアナから甘い声を引き出すと、彼女は
満足そうに微笑んだ。

「やめて、下さい……」
「いや。私、あなたが欲しいの」

彼女は妖艶な笑みを浮かべ、ディアナの下腹部に手を伸ばす。下着を下ろされ、中を弄られている。
ディアナはこれから何をされるのか、ようやく理解した。

「いや……!離して……!」
「離さない。もっと感じさせてあげる」

サラはディアナの秘所に指を滑り込ませ、小さな蕾を指の腹で撫でつける。そのまま優しく何度も往復し、ディアナから
切なげな声を引き出し続けた。

「んっ!や……っ、あ……!」
「ふふ、いい声で鳴くのね」
「お願い、こんな、こと……」
「こんなこと?それって、こういうこと?」

中に柔らかな指が入り込む感覚を覚えた。彼女は最初からどこを狙えば良いかわかっているかのように、正確に敏感な箇所を
押し込む。

「ここ、気持ちいいでしょ?」
「あぁっ……、やだ!離して!」

サラを引き離そうと手に力を篭めるも、彼女は意外に力が強かった。次第に淫らな水音が耳につき始めるが、ディアナは尚も
抗い続けた。
331偽悪的征服録 Ep.6:2010/05/28(金) 21:02:16 ID:kvDYSRPd
彼女はその姿でさえも愛しそうな目で見つめ、何度も丁寧に指を擦りつけディアナを絶頂へと導く。
必死の抵抗も空しく、やがてディアナは限界に達した。

「や、やめっ……!ぁああっ!」

ディアナが声を上げて震えると、サラは妖しげな笑みを浮かべて指を引き抜いた。
終わったのかと思いきや、彼女はディアナの内腿に顔を埋めた。
生まれて初めて見るその行動を不思議に思っていると、不意に強い刺激が全身を襲った。
サラはディアナの小さな花弁を口に含み、丹念に舌で愛撫する。ディアナが高い声を上げると、彼女は嬉しそうな顔で
唇を離し、更に奥へと舌を忍ばせた。

「あっ……!」

未知なる感覚に、思わず声が上がる。サラが小さく舌を動かすと、それに釣られて更に甘い声が引き出された。
粘膜が擦れ合う度に、猛烈な快楽が全身を駆け抜ける。ディアナは堪らずに声を上げながら身を捩った。

「やめて!やだ!!」
「暴れちゃ駄目。もっと良くしてあげるから。」

サラはディアナの太腿を押さえ、更に深くまで舌を差し入れ中を舐め回す。
自分の中で蠢くねっとりとした彼女の舌が、ディアナの意志に関係なく二度目の絶頂へと追い立てる。
ディアナは喘ぎながらも引き離そうと彼女の頭に手を置くが、全く力が入らない。
そうしているうちにも限界は近付き、ディアナはあっさりと果てた。

「もうやめて、お願い……」
「じゃあ、ずっとここに居てくれる?」
「それは……」

ディアナが答えを渋ると、彼女は哀しそうな顔で上げ再び指を忍び込ませた。
触れられたくない箇所を執拗に擦り、ディアナに望む答えを強要する。

「ねぇ、一緒にいて……。私が嫌いなの……?」
「そ、そんな……、あぁっ!いやぁ!!」

いくら責め立てても首を振る気配を見せないディアナに、彼女は更に哀しそうな表情を浮かべる。
挿入される指が増え、その動きも激しさを増した。

「これでも……?まだ足りないの……?」
「あ、ぁ、だめっ!やっ……」

ディアナがもう一度果てるまで指の動きは止まらず、その後も解放される気配は感じられなかった。
相手は女性。最悪の場合、彼女の体力が続く限りこの行為は続けられる。
332偽悪的征服録 Ep.6:2010/05/28(金) 21:04:12 ID:kvDYSRPd
魔法を使用して脱出することもできるが、唱えようにもあまりに快楽が邪魔で集中できない。

「わ、わかったから……離して……」
「私と一緒にいてくれるの?」
「うん……」

苦肉の策だった。一瞬でも解放されれば、すぐに外へ出るつもりだった。しかし、それも甘い考えであると思い知らされる。
彼女は嬉しさに目を輝かせ、興奮のあまり再びディアナの胸に吸い付き指の動きを更に速めた。

「い、いやっ……!ああぁぁっ!!」
「ありがとう、私、嬉しい……!」
「やだぁっ!離して!!」
「駄目よ、この程度じゃお礼にもならないわ」

彼女を欺くつもりが、逆に自分の身を苦しめる結果となってしまった。
胸の突起を舐め回され、いくら果てても執拗に指で中を擦り回される。彼女の感謝の行為は終わりが見えなかった。
夜が更けた頃、サラは体力を消耗し動かなくなったディアナに気付き、身体を離した。

「ごめんね、疲れた?もう寝ましょうか……」

ディアナは最後の力を振り絞りサラに抱きつくと、耳元で催眠の魔術を囁いた。途端に彼女の身体から力が抜け、ベッドに倒れこむ。ディアナは小さな声で彼女に謝り、乱れた着衣を整えると、風の刃を
起こして扉を切断し急いで部屋を脱出した。
連れて来られた道は覚えている。わき目も振らずに収容所の入り口へ向かうと、そこにはロイドが少女と共に佇んでいた。

「あ……」
「出てくるまで待てと言うから待っていたんだ。気は済んだか?」
「…………」

誰一人として助け出すことは出来なかった。それどころか、一人の女性を裏切るような行為までしてしまった。
ディアナは悲しげな表情で俯き、無言で結果を伝える。

「ロイド、ごめんなさい。こんな勝手なことを……」
「ロイ……ド……?」

ディアナが彼に侘びを入れると、隣で座り込んでいた少女が何かに気付いたように小さく呟く。
疑いの眼差しを彼に向け、まるで恐れるように口を開いた。

「もしかして……ロイド……総督……?」

ロイドの表情が僅かに変わった。冷たい視線を少女に送り、試すように問い掛ける。

「……だとしたら?」

たちまち、少女の顔が怒りに染まる。

333偽悪的征服録 Ep.6:2010/05/28(金) 21:05:54 ID:kvDYSRPd
「私の村……、ラストニアに潰されたの……!皆、ラストニアのロイド総督は血も涙もない悪魔だって……!さっきも、
あんな惨いことを平然と……!」
「え……?」

一瞬、彼女が何を言っているのかわからなかった。
何の反応もできずに呆然としているうちにも、少女は泣きながら怒りに任せて捲くし立てる。

「返して!村の皆も……、私のお母さんもお父さんも!」

ロイドは彼女に目を合わせたまま暫らく黙っていたが、やがて目を伏せ謝罪の言葉を口にした。

「……悪かったな」
「謝って済むとでも……」

威勢のいい声は次第に小さくなり、途切れた。ロイドが剣を抜いたのだ。

「おまえが今生きているのは、俺の詰めが甘かったからだ。両親が恋しいのなら後を追わせてやる」
「ロイド……!?」

ディアナは慌てて少女に駆け寄り、彼女を抱き締めた。
彼女は怒りと恐怖に震え、涙を目に湛えながら怯えている。

「ディアナ、邪魔だ。退け」
「いや!」

悲痛な叫びがこだました。誰一人助けられなかったのだ。せめて少女一人だけでも自由の身にしたかった。

「……──して」

そう思いを巡らせているうちに、胸の中から小さな声が聞こえた。

「どうして……こんな人と一緒にいるの……」
「…………!」
「あなたも仲間なんでしょ!?離して!!」

今離せば、間違いなくロイドに殺されてしまう。
ディアナは小さな声で謝りながらも、強く彼女を抱き締めた。

「そいつを野放しにすれば助けを呼ばれる。すぐに始末しなければならない類の人間だ」
「それでも駄目!私がずっと見てるから、お願い!」
「ディアナ……!」

苛立った声で名を呼ばれても、決して少女を離さなかった。
やがて、ロイドは諦めたように剣を収め、二人を置いて元来た道を戻り始めた。

「勝手にしろ。ここを出るぞ」

ディアナはやるせない気持ちで彼の背を見つめた。少女の話を聞きながら、気付いてしまったのだ。
もし自分が彼女の立場だったならば、ロイドに当たる人間が一体誰なのか。
彼を慕う自分に、親の仇を憎む資格が果たしてあるのか……

ディアナは少女を立たせ、手を引いて彼の後についた。
天と地を分かつように、重い扉が音を立てて閉じられた。
334名無しさん@ピンキー:2010/05/28(金) 21:11:47 ID:kvDYSRPd
以上、続きます。

補足:剣に関する雑学的な追記です。
神話に出てくるクラウ・ソラスは光の剣であったりと、作中では脚色している部分もありますが、
追尾機能は本当にあるようです。(ソースは趣味で持ってる武具の書籍)

では、次の話が思いついたらまた自家発電に貢献しに来ます。
335名無しさん@ピンキー:2010/05/28(金) 23:42:42 ID:KNBiS2lb
>>300-311
乙ですよ。
>>157-158みたいな感じだな、手を出しても大丈夫だろうって状態にしておいて
自分からおねだりさせるなんて、なんという執念w

>>319
いやどう考えてストーカーだろ、この子爵w

>>321-334
乙!!!
相変わらずディアナたんは不幸を呼んでる気がするw
可愛いから良いけど
次回はまたロイドに犯されるんだろうか?w
336名無しさん@ピンキー:2010/05/29(土) 07:20:16 ID:6+iJtYZy
いつも前書きと後書き長いね
2ch初心者なの?
337名無しさん@ピンキー:2010/05/29(土) 09:51:31 ID:r7uaJhhQ
>>336
さげてもいない奴が2ch初心者ってよく言えたもんだ。
338名無しさん@ピンキー:2010/05/29(土) 13:09:48 ID:WxdL8JBK
【スルー力検定実施中】
            ∧,,∧     ∧,,∧
    ∧ ∧    (    )    ( ・ω・)
   (ω・ )     (  U)     ( つ日ノ   ∧,,∧
   | U       u-u       u-u     ( uω)
    u-u                    (∩∩)

        ∧,,∧      ∩ ∧_∧ 
        (・ω・')    ⊂⌒( ・ω・) 
       ⊂∪∪⊃      `ヽ_∩∩
339名無しさん@ピンキー:2010/05/29(土) 13:44:46 ID:q6LfHNhq
愛故に人は苦しまねばならぬ
340名無しさん@ピンキー:2010/05/29(土) 16:12:41 ID:twVP+dD2
ちゃんと感想書けよ腐女子ども。
341名無しさん@ピンキー:2010/05/29(土) 18:17:59 ID:cWhDfA52
>>334
GJ! 相変わらずディアナたん不憫かわいいよディアナたん
ロイドも相変わらず悪役してていいなw

ネタに関してはコッソリ妄想レスのやり取りに参加してればいいんじゃね
名乗らない限りは書き手かなんてわからないんだからさ
あんまキニスンナ!
342名無しさん@ピンキー:2010/05/30(日) 04:15:18 ID:Wqn1ho2K
亀だけど、少年と年上女性の妄想電波がびんびんきた

女性は、姫なんだが我が儘で知られていて王族的適齢期ちょっと過ぎ(23、24)なのに独身。
業を煮やした兄王が、姫の幼なじみの貴族少年(15〜17)に無理矢理嫁がす。
実は姫は、ちっちゃい頃からちょこまか着いてきて我が儘を聞いてくれた優しい貴族少年が大好き。
ただ年齢が離れてて結婚は出来ないだろうから未婚で通そうとしていた。
だが、いざ結婚となると『自分みたいな我が儘な年増が嫁だったら彼が不幸になる
それなら悪妻を通して周りから離婚させるようにすれば』と婚前より横暴に振る舞う。
一度でも抱かれたりましてや子を孕んだら、独占欲で少年が手放せなくなると
初夜から閨を拒み通し

一方、貴族少年も姫が好き。姫的には無垢な少年に見えていたけど実はかなりのヤンデレで
兄王の弱みを握って姫を、自分が妻を迎えられる年齢まで嫁がせないでいた。
時期がきて念願叶って嫁にしたけど、自分を拒絶する姫の意図が読めず苛々。
でもまぁ我が儘な姫も可愛い気長に口説こうかと思ってたけど、姫が影で侍女に
『早く別れたい』と言ってるのを聞いて、いろいろプツーンときて襲ってしまう。


てな妄想が瞬間風速的にかけぬけました、携帯厨で申し訳ない。
343名無しさん@ピンキー:2010/05/30(日) 09:14:41 ID:oXzBsPYk
>>342
亀だけど、びんびんきた
という所まで理解した。
344名無しさん@ピンキー:2010/05/30(日) 23:29:05 ID:aEQwx3H0
>>334
ディアナちゃん不幸可愛いよディアナちゃん


>>342
よしSS化して投下するんだ!!
345名無しさん@ピンキー:2010/05/30(日) 23:30:58 ID:BuQwsWfJ
サウザー様のスレですねわかります
346名無しさん@ピンキー:2010/05/31(月) 00:12:50 ID:ZhcORpqU
非を詫びてももう無駄?
この先も投下で空気が悪くなるんじゃ元も子もない。
感想くれた方には申し訳ないが未完でも去った方が良さそうか…
347名無しさん@ピンキー:2010/05/31(月) 00:46:13 ID:cFGgds0g
ひとりごとかい?
どこのだれかもわからないきみは
だれにたいしてなんのことをいっているんだ
くわしいことはわからんけど できるかぎりじゅうにんたちとおりあいをつけてやっていけばいいだろ
しゅみをおなじくするじゅうにんどうしなんだから おたがいをきょようするきもちをたいせつにすればいい
とうかはすべてにおいてゆうせんする しかしそれにかきてはあまえてはいけない
さるのなら じぶんでわるくしたくうきをとうかしたものでけしてから さるんだ
ひねくれずおびえず じぶんがやれるだけのことをむりせずにやるんだ
なにかでとめることもされず だれもおいかけない だれもおぼえていないだろう そんなかきてのひとりより>>346
348名無しさん@ピンキー:2010/05/31(月) 01:28:26 ID:o5eZgbiL
>>346
1もう書かない
2別の場所に移り書き続ける
3ここで書き続ける
決めるのは自分
349名無しさん@ピンキー:2010/05/31(月) 01:31:45 ID:671jvM58
>>346
そういうレスが一番空気悪くするんじゃないかね?
非があるなら改善して続きを投下するか、
そんなお伺いをせずに黙って立ち去るか、どっちかにしてくれ。
350名無しさん@ピンキー:2010/05/31(月) 02:41:11 ID:ANP51HXc
読み手の書き込みなんて良きにつけ悪しきにつけ
視聴者が野球中継見ながら選手のプレーにあれこれ好き勝手言ってるようなもんだから
気にするだけ馬鹿馬鹿しいぞ
351名無しさん@ピンキー:2010/05/31(月) 02:45:31 ID:gEq2PvXj
>>346
去ったほうが良いか悪いかと言われれば
去らずに投下したほうが良いに決まっております
352名無しさん@ピンキー:2010/05/31(月) 04:21:33 ID:5xr/MT9y
なにこの茶番
353名無しさん@ピンキー:2010/05/31(月) 10:56:05 ID:FI1l5+8P
>>346
ひき止めてほしいの?
354名無しさん@ピンキー:2010/05/31(月) 14:56:22 ID:O5sLP6rB
ていうか誰なの?
355名無しさん@ピンキー:2010/05/31(月) 18:32:33 ID:m0k3CZoq
これはあれだよ、このスレを愛するがあまり無理矢理書かせるシチュを
書き手が求めてるんだろ、きっと。
356名無しさん@ピンキー:2010/05/31(月) 18:33:18 ID:ORCLhEW7
抽象的な話されても困るよね。
前提条件の無指定、後出し議論ほど面倒なものはない。
357名無しさん@ピンキー:2010/05/31(月) 18:39:31 ID:l5ZGOcYY
何を迷う事が有る?
SS書きなら作品で全て語れば問題無い
それ以外の物に頼らずに
358名無しさん@ピンキー:2010/05/31(月) 18:44:28 ID:ZhcORpqU
ふむ。何だかいろいろと悪かった。

せめてこの空気を払拭すべく>>239-240から妄想した小話を投下させて頂く。
359小話:2010/05/31(月) 18:52:00 ID:ZhcORpqU
今、腕の下で怪訝な表情を浮かべている彼女は、昔から思いを寄せていた幼馴染み。
彼女は非常に人なつっこく、性に関して無頓着を通り越して無知。男に対しても女友達であるように振る舞う。
そしてそれが災いして、先日の二次会の後、彼女は『友達』に襲われそうになった。
彼女には一度、男の怖さというものを教えてやらなければならない。
そう思い家に呼び、早々にベッドに押し倒していた。

「どうしたの?そんな怖い顔して……」
「この状況で危機感も何も感じないんだな?」
「だって、昔はよく一緒に寝てたじゃない」

やはり教え込むしかない。
彼女のTシャツを捲し上げ、白い飾り気のないブラジャーをずらし、小さな胸を晒す。

「あの時俺が止めなかったらどうなっていたか教えてやる」

彼女の胸を揉みしだき、先端に舌を這わせると、彼女は身震いして手足をばたつかせた。

「や、やめて!どうしちゃったの!?」
「君は何も知らなすぎる。一から十まで、全て身体に覚え込ませてやる」

引き離そうとする彼女の手首を掴み、丹念に乳首を舐め、吸い上げる。

「知ってるか?こうすると、女はここが濡れて来るんだ」

ショーツの中に手を潜り込ませ、彼女の茂みの奥に軽く触れる。
縦筋をなぞってやると、彼女は怯えた様子で首を振った。

「やめて、ねぇ、やめてよ……」
「これが何かわかるか?女も男と同じものを持ってるんだ」

指を這わせ、小さな陰核を優しく撫でると彼女の口から甘い声が漏れた。

「ぁっ……」
「次はこっち。これくらい知ってるよな?」

僅かに湿り出したその奥へと指を進め、丁寧に中を往復する。
少しずつ粘着性を伴う液体音が耳につくようになると、彼女は怯えと恥辱が入り交じった表情を浮かべた。

「あっ……、ん……、ねえ、こんなことやめよ……」
「男ってのはな、興奮するとやめられなくなるんだよ」

ショーツを剥ぎ取り、興奮の証を彼女の入口に充てがい、ゆっくりと中へと押し進める。

「やだ……もうやめて、ねぇ、お願い!」

柔らかくもきつい壁を押し分け、根本まで挿入する。彼女の顔が苦痛に染まった。

「い、痛いよ……。どうしてこんな……、抜いてよ……」
「初めてだから痛いんだ。動くぞ」

切実に『お願い』を続ける彼女の中をゆっくりと往復するが、次第に自制心が薄れていく。
360小話:2010/05/31(月) 18:54:31 ID:ZhcORpqU
初めて他人のものを受け入れる彼女の中を、思うがままに掻き回し、擦り回し、突き上げた。

「や……いたっ……!あぁっ!」

痛みを訴えられても、嫌だと言われても、もう止めることはできない。
経緯はどうあれ、ずっと気に掛けていた女の子と今、確かに交わっている。
夢中で腰を振った。痛みを訴える声は聞こえなくなっていったが、行為を拒む声は止まなかった。

「はっ、あぁ!いや、何か、変なの……!や、やめ……!」

彼女は初めて感じる快楽に困惑し、恐れている。
しかし言葉とは裏腹に、自分の中で暴れ回る塊を離すまいと纏わり付き、締め付けている。
その度に抑制が効かなくなっていった。

「ぁああ!いや、だめ、もう……っ!!」
「俺も……!」

共に昇り詰め、彼女にその先の極みを教え込むと、彼女の中で共に果てた。
どちらのものともつかぬ荒い息が混じり合う。
ゆっくりと彼女の中から引き抜くと、精に混ざり赤い純潔の印が滴った。

「ちゃんと……付き合ってからが良かった……」

切なげに呟く彼女を目にし、僅かに後悔の念を覚え目を伏せた。
これからも、彼女が今まで通り笑ってくれることを祈った。
361名無しさん@ピンキー:2010/05/31(月) 18:57:21 ID:ZhcORpqU
以上、短いですが終わりです。
スレの繁栄を願って黙々と文章を起こす作業に専念します。
362名無しさん@ピンキー:2010/05/31(月) 20:58:00 ID:KV3oS6Do
>>359-361
乙!!
さてはこの娘ネンネの振りをしてたな!!!
363名無しさん@ピンキー:2010/05/31(月) 21:30:20 ID:gEq2PvXj
>>361
GJだったですよ。
364名無しさん@ピンキー:2010/06/01(火) 04:20:17 ID:KiiGxIrD
GJ!!
一から十までってことは、まだ十まで達してないに違いない!
これからもあくまでカマトトぶる彼女を無理矢理犯して
イロイロ教えてあげるんですね、わかります
365名無しさん@ピンキー:2010/06/01(火) 07:47:44 ID:hZj86UBf
>>361
投下GJ朝からエロい気分に

>>364
それはいけないなぁ、カマトト振るような女にはちゃんと教育して素直にさせないと…
366名無しさん@ピンキー:2010/06/02(水) 00:58:38 ID:Sx/4SjyV
愛するが故に性教育実践ですね
367名無しさん@ピンキー:2010/06/02(水) 01:54:14 ID:RsOIpnAo
>>366
本当は惹かれてて、しかも身体を持て余し気味なのに大人の余裕(笑)を見せ
怒った性欲全開で思春期真っ盛りの男子中学生に無茶苦茶に犯される美人なオバサンとかも見たい
368名無しさん@ピンキー:2010/06/02(水) 09:22:41 ID:hKJOUD7d
てす
369名無しさん@ピンキー:2010/06/02(水) 10:35:12 ID:b7UafUCz
聖帝サウザー
370名無しさん@ピンキー:2010/06/02(水) 15:42:59 ID:tUOqWk9w
>>367
ふりんはちょっと萎えるから…

DVとかで出戻ってきた近所の美人のお姉さん、20代後半くらい
出戻ってきたから、仕事はしてるけどキャリアウーマンってほどじゃなく
部活中学生と同じくらいの時間に帰れる程度のお仕事してる
以前から近所のお姉さんとして知ってたけど、出戻って来てから
帰り道で会うようになったりして、中学生男子は年上の色香にメロメロ
お姉さんも男の子の素直な愛情に結構ぐらっと来るが、
私みたいなオバサンはだめよと大人ぶる。
ある日お姉さんの家の前で別れるとき、結構夕方なのに明かりがついてない事に
気づき、お姉さんの両親は今日は旅行で居ない…と聞いた途端にプツーンときて、
お姉さんが鍵を開けるやいなや無理矢理押し入って玄関口でそのまま…

などという電波を受信した。
371名無しさん@ピンキー:2010/06/02(水) 16:07:04 ID:EtxT6edo
>>370
それは萌える
372名無しさん@ピンキー:2010/06/02(水) 21:57:33 ID:RsOIpnAo
>>370
良い妄想だ!
そういうSSが読みたい…
 注意書き

◆おkということなので二次のSS投下。「ポケットモンスターSPECIAL」のルビー×サファイア。

◆原作第四章(ルビー&サファイア編)と第六章(エメラルド編)のネタバレ有り
(特に四章のルビーとサファイアの関係に関するほぼ全ての内容をネタバレ)。
あぼーんしたい方は名前欄でヨロ→「ポケットモンスターSPECIAL」ルビー×サファイア

◆知らない人にも読んで貰えるようできる限り努力してみた結果説明とか無駄にNAGEEEEEEEE
 最初の2レスくらいは完全に状況説明なので飛ばして全然おk
 エロは11くらいから

◆うp主は博多弁全然知らんのでエセ博多弁でサーセン 



当方鯖規制に巻き込まれて代理投稿お願いしております
◆ ◇ ◆ ◇ ◆

「ここは一体何階くらいとやろうか?」
 最後の一段を上りきるとサファイアは息をついた。深い藍色の瞳を持ち、
見ているだけで快活さが伝わってくる少女だ。年齢にしては身長が高いが
スレンダーな体型で、口調に強い訛りがあった。大きな瞳と同じ碧いバンダナに
ノースリーブの上着にスパッツ。所作は大きくはつらつとし、大雑把にすら見える。
 父であるオダマキがフィールドワークを中心とするポケモン研究者であるため
小さな頃からその手伝いをしてきた結果、父は標準語にもかかわらず本人は
地元の訛りで話すようになり、さらに仕事のためなら山野での寝泊りも日常茶飯事に
なってしまったという変わり者の少女だ。
「まだ半分は行っていないだろうな…サファイア、エメラルドとダツラさんを
見た?」 
 追うようにルビーが上ってくる。一方のルビーはサファイアと正反対の
鮮やかな紅い瞳を持っていた。上背はサファイアよりやや高めで、細身だが
よく見れば無駄なく筋肉がついている。全体的にきつい顔立ちをしていて
大人びた印象の少年だった。
 年齢にしては相当の洒落者で、裁縫が趣味というこちらもかなりの変わり者だ。
背負い込んだ肩掛け型のザックには救急箱やら裁縫箱まで入っている。変わった
トップの形をしたニット帽を深くかぶり、人前では帽子を取らない。
 娯楽としての様々なポケモンバトルを提供するために建設されたこの
バトルフロンティアの中でも、バトルタワーは特に巨大だ。フロンティア建設前から
単体で運営していたこと、またさまざまなバトルに対応するため階ごとに間取りが
違うこともあり、全体を把握して効率的に登っていくのは難しかった。
 事の発端は二人がサファイアの父であるオダマキからこの話を持ち込まれた
ことだった。ホウエンポケモン図鑑の持ち主である二人が、自分たちに続く
第3の図鑑所有者であるエメラルドに会い、彼がオーキド博士から受けた依頼、
ねがいごとポケモンジラーチの保護を手助けすること。千年に一度目覚める
ジラーチが流れ星として降りてきた場所、それがこのバトルフロンティアだった。
 そもそもこれはエメラルド一人の仕事だった。きな臭いにおいがし始めたのは
ある謎の人物の存在が捕捉された時からだ。自分たち以外にジラーチを手に入れ、
その能力を利用しようとしている者がいる――それも何らかの悪意を持った。
 そのため、ホウエンでの大きな事件の解決にかかわったルビーとサファイアが
動員されることになったのだ。二人はエメラルドとは別行動で男の行方を追っていた。
 そして自分たちの前に姿を表したその男――ガイルはまんまとジラーチを
手に入れ、バトルタワーのブレーン(七つある施設のそれぞれを管理する、
施設のオーナーに選ばれたポケモントレーナーをそう呼ぶ)であるリラや施設に居る
レンタルポケモンたちを操り、タワーを乗っ取った。エメラルドと、同じく他施設の
ブレーンであるダツラと共に、二人はガイルとリラを追ってタワーへ足を踏み入れた。
 リラにより起動されてしまったシステムによるポケモンバトルをこなして
いかなければ最上階にはたどり着けない。仕方なく手分けしてこなしていっては
いるが、バトルとなればどうしても1フロア十分、二十分とかかってしまう。
しかもタワーは70Fまであった。総数にして70戦。それでも行くしかなかった。
前の階で丁度合流した二人は共に何十階目かのフロアの床を踏んだのだ。
「すぐ下の階でエメラルドは追い越してきたと。ダツラさんは見とらんったい」
「そうか…ボクはエメラルドは知らないけど二階下でダツラさんを追い越してきた。
なら今はボクらが先頭だね。とにかく階段を探そう。僕が前に出てバトルを
引き受けるから君は先に行く。いいね」
 ルビーの言動は素早い。元々無駄な行動はしないタイプだが、今は緊急時だから
なおさらだった。   
 そんなルビーがふとサファイアを見て言った。
「大丈夫?疲れてない、サファイア」
 サファイアは一瞬どきりとして息を止めた。
 少し笑ってみせたルビーに背を向ける。そんな場合ではないのに心臓が早鐘を打った。
ルビーは普段は皮肉屋の癖に、時々ごく自然にこういった気遣いを見せる。
でも正直な所こういう時にはやめて欲しい――集中が途切れてしまう。
「ま…まだまだ平気ったい!ルビーこそ、こんな所でへばってるんじゃなかとよ?」
 素直でない物言いに、ルビーは目を丸くした。そしてにやりと意地の悪い
笑みを浮かべる。
「そりゃ、普段から野山駆け回って蔓にぶら下がって飛び回ってる君に比べたら、
ねえ?ボク、都会派だし」
「何やの、その言い方!人を動物みたいに!」
「違うの?」
「自分で言うのも何やけど、これでもあたしだって一応女の子ったいよ!?いくら
なんでも酷か言い草じゃなかと?」
「うん、一応女の子だね。本当に時々、稀にだけど」
「〜〜〜!!!」
「なんてくだらない話をしてる場合じゃないね」
 言い募ろうとした矢先にこの台詞。こういった時のルビーに口で勝てないのは常だ。
「もういいったい!」
 こんな奴に一瞬でも見とれてしまった自分が悔しい。両頬を掌でぱんと叩いて
気合を入れる。
(――)
 サファイアはルビーが好きだった。自覚もしている。なにしろ一度は思い切って
告白までしたのだから。
 ホウエンでの戦いの折、最終決戦を前にしてサファイアはルビーに想いの全てを
伝えた。戦いが終われば別れが来るかもしれなかったからだ。
 半年前に出会った時は正反対の性格で互いに何もかもが気に入らなかった。自分は
強さを求めてポケモンバトル一辺倒、ルビーは美しさを求めてポケモンコンテスト一辺倒。
 今でこそルビーが冷静な性格だと知っているが、当初はそんな風に思えないくらい
ルビーもまた自分と反発しあっていた。自分はルビーを形ばかりで中身のない男と
嫌っていたし、ルビーも実際自分のことを原始人だの何だのと(何しろ出会った
時、自分が身に着けていたものといえば葉っぱとツタで作った服だけだったのだ)
散々な事を言っていた。
 それがルビーのいいところを見るにしたがって段々と変わって行った。今では
この人のことが本当に好きだとはっきり言える。
 しかしホウエンでの事件全てが終わって帰ってきたのは、
「あんまりよく覚えてないんだよね」
 という一言だった。本人曰く、戦いの直前や直後に通った時空の狭間やら何やらの
所為らしい。自分は記憶が全然曖昧になんてなっていないが、それは自分だけなの
だろうか?それともただとぼけているだけなのだろうか?混乱しつつも、一度は
「忘れているなら何度でも伝えればいい」と思った。しかし日数を重ねるごとに
他の様々な事柄に考えが及んでいき、どうしても言い出せなくなってしまった。
 二人とも共闘していく中で互いに信頼を置けるようになっていた。少なくとも、
出会った頃のようには嫌われてはいないと思う。だが……
「…」
「サファイア!」
 驚いて顔を上げるとルビーが不思議そうにこちらを見ていた。
「行くよ」
「す、すまんち!」
(今はそんなこと考えんと、戦いに集中せんと…)
 恥じ入って、サファイアはルビーの後について駆け出した。このタワーはバトルの
ためのものだけに、階段が直通になっていない。本来ならスタッフや観客用に
直通のエレベーターがあるのだが、それも今は動かせない。 
 ルビーが走りながら眉をひそめる。
「…?この構造なら階段はこの辺だと思ったんだけど」
 すでに幾つか部屋を通り過ぎていたが全て空のバトルフィールドで、他に何もない。
一階につき必ず一度はバトルが起きる筈なのだがそれもない。
「手分けしてみよう!あたしはあっちに行ってみるったい」
「わかった。ならバトルに入った方はもう一方に連絡を入れて、バトルは続ける。
もう一方はその周囲を探す。高確率で、上り階段に近づくとバトルが始まるようだから」
「了解!」
「気をつけて」
「うん!」
 サファイアはぱっと笑って踵を返した。


 ルビーもサファイアに背を向けた。扉を抜ける。
 たった今のサファイアの笑顔が目に焼きついた。自分に全幅の信頼を寄せている笑顔。
 知らず知らず足が速まった。彼女はいい娘だ――自分を慕ってくれているのが
不思議なくらい。
「…」
 彼は即座にその笑顔を頭から追い出した。更に扉をくぐって次の部屋に出る。
 そこはそれまでのバトルフィールドとずいぶん趣が違った。これまでの部屋より
はるかに広い。フィールドスペースも広く取られ、簡単なものだが観覧席もある。
壁には大きめのスクリーンが張られていた。ここでのダブルバトルを観覧しながら
他のフロアでのバトルも観られる、いわゆる二元中継のための部屋だ。
 足を踏み入れると待ち構えたようにバーチャル・トレーナーとレンタルポケモンが
出現した。ダブルバトル用のフィールドなのでポケモンは二匹。
「来たね」
 唇をわずかに舐め、通信用のポケギアを手に取る。
『ルビー!?あたしったい!』
『サファイア、こっちでバトルになった。別れた部屋で僕の入った部屋を左に来た
ダブルバトル用の広い部屋」
『わかった!』
 通信を切ると、ルビーは腰のモンスターボールに手を掛けた。それを遮るように、
突然スクリーンにノイズが走った。
 映像が出る。映っているのは奇妙な西洋風の鎧を纏った男。目指す最上階の敵――
『私の邪魔をする愚か者よ。調子はどうだね』
「ガイル!」
 ルビーは目を?いた。スクリーンの設置された部屋は何度も通っていたが、
一階で全員に対してやはり通信で顔を見せて以来、これまでこんな事はしていない。
スクリーンに向き直る。バーチャル・トレーナーとレンタルポケモンに背を向ける
形になるが、あくまでタワーのバトルシステムの内にいるものだ。こちらが
ポケモンを出さない限り攻撃しては来ない。
「…」
『どうした。わざわざ顔を出してやったのだ、尋ねることのひとつもないのかね』
 この事態に遭遇しているのは自分だけなのか、それとも他の誰かにも同様の事態が
あったのか。自分だけだとしたらなぜ自分なのか。なぜガイルがわざわざ顔を見せるのか。
 敵の意図が読めない。
 数秒簡逡巡した後、ルビーは男の誘いに乗ることを選んだ。敵の思惑がどうあれ
サファイアが階段を見つけて先に行けば問題は無いと踏んだのだ。もしかしたら
この会話の中から、ガイルの正体を探る手がかりも得られるかもしれない。
「ジラーチとリラさんを解放しろ」
『我が目的を果たせばいつでも返してやろう。無事とはいかんだろうがな』
「…挑発してるつもり?」
 渋い顔をする。予想通りの返答だったが気分のいいものではない。
「前に会った時はもう少し紳士的じゃなかった?」
 ルビーは、ガイルの正体はつい先日会ったフロンティアブレーンの一人、
ウコンではないかと踏んでいた。一度偶然に会ってわずかに話をしただけだったが、
ルビーとサファイアにとっては含みのありすぎる人物だったからだ。この問いに
素直に応じるわけも無いが、態度によっては正否を手繰れるかも知れない。
 返ってきたのは意外な答えだった。
『さて、そうだったか?私にとってはそう態度を変えていたつもりも無いがな』
 さらりと認めた敵に面食らう。
 やはり彼なのか?断定するのが早計過ぎることはわかっていたが、この
バトルフロンティアに来て以来、出会った人物でそれらしい者はほとんど居ない。
それともこちらを混乱させるために嘘をついているのか。どうやら問答に対しては
相手のほうが一枚上手だと、ルビーは認めざるを得なかった。
「…リラさんをどうやって操った。人を都合よく操るなんて、そうそうできない筈だ」
(サファイアはもう階段を見つけただろうか)
 鉢合わせることは避けたい。自分も早めに切り上げるべきだとルビーは結論を下した。
自分の話術が相手を超えられない以上、この問答には意味がない。どうあがいても
現在、リードは敵が取っている。この質問に敵が素直に答える気がないと判断したら
強行突破するとルビーは決めた。
 その時唐突にガイルが言った。
『もう一人の娘はまだ上への階段を見つけておらんな』
「――」
 背筋に冷たいものが走る。心を読まれたように感じて、ルビーは一瞬動きを止めた。
「…サファイアに何かしたのか」
『…』
「答えろ!」
 感情を抑え切れずに叫ぶ。ガイルは
『何もしてはおらんよ。あの娘にはな』
 何故か、その言葉に嘘はないように思えた。
「……?」 
 何かとてつもなく嫌な感じがする。そういえば、画面の向こうに違和感がある。
居るのは一階でも一度その姿を見た男であるガイル。その時とは何かが違う。
何が――
『お前たちがこの塔に入り込んだ時から、私は勿論、お前たち全員を監視していた。
いや、お前たち二人についてはそれ以前から目障りだった。
 何、ちょっとした意趣返しと――』
 一階で目にした、ガイルの肩に乗っていたアメタマがいない。
『多少の時間稼ぎだ』
 突然、背にしていたレンタルポケモンの姿がゆらめいた。ルビーにはその様子は
まったく見えていなかった。僅かでもそれに反応できたのはひとえにそれまで
鍛えてきた身体と天性の勘によるものだった。
 肩越しに背後を見やる。そこに居たのはあのアメタマ。
 強烈なハウリングがルビーを襲った。
「っぐ!」
 息が詰まった。咄嗟に身を捻ったが、かわしきれずに喰らってしまう。何とか
踏みとどまり、慌てて後ずさる。アメタマもまたすばやくこちらから距離をとり、
それ以降は追撃するわけでもなく、じっとこちらを観察している。
(そうか…)
 こいつだけはガイル自身が持ち込んだポケモンだ。ここのレンタルポケモンたちの
ようにタワーのルールには従っていない。
(NANAを…)
 彼の手持ちの中では最も素早いグラエナに手を伸ばしたその時、上体が傾いだ。
 脳が直接揺さぶられたような感覚。
「…」
 声は吐息にしかならなかった。両膝を付き、膝だけでは足りず片手も付く。
苦しい。残った片手で胸元を掻きむしる。単純な攻撃のダメージとは明らかに違った。
 霞んだ目でスクリーンを見上げるとガイルがこちらを見下ろしていた。片方だけ
見える瞳に面白がるような光が宿っている――ルビーは何か最悪の一手を打たれたと
直感した。勿論こちらにとって最悪の一手だ。
『女をどうやって操ったかだったな』
 ガイルの声が頭上から淡々と降ってくる。
『そこのアメタマには特別な能力がある。人間の感情や理性、弱った者ならある程度の
行動までを制御できる力だ。女は散々痛めつけてやった後、それの力を使った』
「貴様…」
『面白い能力だろう?特に抑圧されている感情に対しては効果が高い』
「この、下衆野郎!!」
 普段は絶対に他人に向けない類の罵声をルビーは吐いた。息の詰まった状態で
叫んだためにますます脂汗が噴き出す。
 心臓を鷲掴みにされているような苦痛の中で次に思ったのは、自分が一体何を
されたのかということと、出来る限りの対応をしなければならないということだった。
 タワーを何十階か登り、その中で何度かバトルをしたとはいえ、彼はさほど消耗
していない。弱っているとは言えないだろう。ガイルの言うことが本当なら自分が
操られることは無い。せいぜい、その「感情や理性を制御する」程度だ。だが何を
どうされたのか、ルビー自身はまったくわからない。
 もうひとつ、操るにしても妨害するにしても、本来、こんな搦め手でならば
真っ先に狙われるのはおそらく最も力のあるダツラの筈だ。たった一匹の特殊な
アメタマを自分に仕向けたのは何故か――
「ルビー?」
 こちらへ向かってくる足音と、続いて声がした。その声を聞いたとたん、気が遠く
なりかける。ルビーはガイルの言葉を思い出した。
『特に、抑圧されている感情に対しては効果が高い』
「――」
 全身を恐怖で浸された気がした。早熟なルビーは自分がされたことを子供の身ながら
おぼろげに理解したが、その時には既に身体がいうことを聞かなくなっていた。
(…サファイア…来るな…)
 彼の思いをあざ笑うかのように、ルビーの意識は混濁し始めた。
(…アメタマ…!?)
 レベル50で統一されたレンタルポケモンには珍しい種類だ。それに何故、
バトルフィールドの外にいるのか?それはするりと廊下の奥に消えていった。
(ガイルが肩に乗せてたあのアメタマやろうか?)
 サファイアは不審に思ったが、今はかまっている場合ではない。無視して
ルビーのいる部屋へ走る。
 本当なら打ち合わせたとおり、自分はあくまで階段を探して先に行かなければ
ならない。このまま二人でこの階にいては他の二人への負担が大きくなりすぎる。
しかしルビーの尋常ではない怒声が聞こえた時、サファイアはルビーに何か
あったのだと感じた。何を言ったかまでは聞き取れなかったが、いつもは決して
あんな声を出す人ではない。無事を確かめずに行くことはできなかった。
「ルビー!」
 部屋に入るとルビーがいた――床にうずくまるようにして動かない。すぐ傍には
レンタルポケモンとバーチャル・トレーナー。
「ちゃも!」
 サファイアは反射的に手持ちのバシャーモを放った。一撃で打ち倒され、
レンタルポケモンがモンスターボールへと戻る。同時にバーチャル・トレーナーも
雪のように掻き消えた。蒼白になってルビーへ駆け寄る。
「ルビー…!」
『来たか』
「ガイル!?」
 そこで初めて、スクリーンに映ったガイルに気づく。
 サファイアはルビーがバトルによってこうなったのではなく、目の前の相手が
何かしたのだと見抜いた。そもそも状況がおかしい。戦いの痕跡は無く、
ルビーもポケモンを出していない。戦ってこうなったのではないはずだ。
「ルビーに何ばしよっと!?」
『すぐにわかる』
「……!?」
『私はジラーチに願いをかなえさせるまでの間、時間さえ稼げばいいのだ。
お前たちがどうなろうと知ったことではない』
383名無しさん@ピンキー:2010/06/02(水) 22:54:24 ID:EtxT6edo
連投規制か?
支援
 その言葉を最後に映像が途切れる。後に残ったのは真っ黒な画面だけだ。 
 この状況に対応する手がかりを真っ先に失いサファイアは途方にくれたが、
だからといって手をこまねいているわけにはいかない。ルビーの顔色は真っ白で、
何かに必死に絶えているようにも見える。外傷はないが…。サファイアは
バシャーモをボールに戻し、ルビーの肩を抱くと声を掛けた。
「ルビー、痛いとうか?苦しいとうか?返事できる?」
「……」
 言葉はまったく聞き取れないが辛うじて返事はあった。意識はあるようだ。
見回すと近くの扉に『STAFF ONLY』の文字が見えた。すぐ隣がスタッフルームに
なっているようだ。医務室があるかもしれない。
「立てる?とりあえずそこの扉まで行くけ、あたしが支えるとよ」
「……って」
 幸いにも少しずつ息が落ち着いてきたようだった。何か言いたそうなルビーに
肩を貸すと、サファイアは安心させるように笑う。
「喋らないほうがよかよ…大丈夫、休めそうな所があると、とにかくそこまで行こ?」
「…先に行って…」
「こんなになってるのに置いてけないとよ」
 そう言った時、突然肩を突き飛ばされた。驚いて手を離す。サファイアがそのまま
その場に立ち尽くしたのに比べ、突き飛ばした本人はふらふらとその場にくずおれる。
ルビーは頑なにこちらを見ようとしなかった。
「…先に行けって言ってるだろ…!?」
 拒絶の言葉に、サファイアははっきりとショックを受けた。
 疑問より悔しさが先にたった。こんなになっても、あたしの助けは嫌とうか?
サファイアはこぶしを強く握り締めた。
「あ…あたし、あたしが」
 涙声は隠しようがなかった。 
「あんたを放っとけるわけないったい…!」
「サファイア…!」
 抗議の声を無視して強引にルビーを立たせると扉へ向かう。扉の奥は最低限の
明かりだけで薄暗かった。入った場所は廊下で、廊下に面して規則的に扉が
連なっている。いくつか小さな部屋があるようだった。
「ルビー、ちょっと待っとって…」
 医務室を探そうとルビーの背を壁に持たせかけて座らせ、立ち上がろうとする。
その時だった。
「…え?」
 腕が引っ張られて尻餅をつく。ルビーに腕を引かれたのだと認識する前に、
影が覆いかぶさってきた。片方の手は腰に回され、もう片方がサファイアの顎を
拘束する。
 唇がふさがれる。
「……!?」
 それをしているのがルビーだということはわかる。が、何が起こっているのか
わからない。頭の中が真っ白になっているうちに、ルビーの舌が唇を割り開いて
侵入してきた。
「ん!んうっ…!?」
 嫌悪感よりも驚きから顔を背けようと身をひねるが、すでに顎を掴まれていて
身動きが取れない。半ば強制的に開かされた口内をぬめった舌が這い回り、
彼女の舌に絡み付いて強く吸い上げる。
「――」
 背筋が震えた。拘束を解こうとルビーの肩を掴んでいた手が力を失う。いくら
身を退いても、腰を抱かれていては限界がある。逃げられず、首を傾けて必死に
空気を貪るが、それがさらに深く舌を入れられる事になった。
「っ、ふ、あ」
 ファーストキスとしてはあまりに激しいキスにサファイアは喘いだ。完全に密着した
身体がルビーのやや薄く硬い胸板の感触を伝えてくる。
「っく、う…」
 流されそうになるのを必死にこらえて胸板を両手で押しのけ、やっとのことで
身を離す。  
「ルビー、何…何ばしよっと…!?こげんこつ…!」
 駄目、と言おうとして目に入ってきたルビーの表情に、サファイアははっと身体を
硬くした。ガイルに操られていたリラと全く同じ、感情のない虚ろな瞳。サファイアが
いつも「綺麗だな」と思いながら見ていた紅い瞳には、今は何も映っていない。
「…ルビー、まさか、あんた…っ…!」
 サファイアは恐ろしい事態を想像し、それはほぼ正確な予想だった。抱きすくめられ、
サファイアは身をすくませた――これがこんな状況でなく、またルビー自身の意思で
あったなら、サファイアにとってこれ以上無い喜びだっただろう。でも、そうではない。
「操られてると…!?しっかりして、ルビー…っ!」
 呼びかけるが返事はない。リラもそうだった。親友のダツラに呼びかけられても
何の反応も示さなかったのと同じだ。  
「ルビー、気ぃしっかり持って!ルビー!」
 暴れ、ルビーの拘束を逃れようと躍起になる。しかし腰に巻きついたルビーの
左腕は一向に離れなかった。それどころか、右手でサファイアが腰に付けていた
ポーチのベルトをするりと外す。
 ポーチが床に落ちてわずかに音を立てた。
「……!」
 これから何が起こるのか、彼女にはわからなかった。知識が無いのだ。だが彼女は
持ち前の直感で、戦いとは全く別の『危険』を薄々感じ取った。
 これまで、自分は体力や腕力はある方だと思っていた。たった半年前はルビーとは
ライバルとして旅路を競っていただけに、それらに関してはルビーにだって負けないと
思っていた。
 しかしやはり男は男、女は女なのだ。純粋な腕力ではかなう筈がなかった。
(ルビーのこと、本気で殴ったりとか蹴ったりとか、するしかなかと…!?)
 手加減抜きで相手の腹を思い切り蹴り上げるくらいのことをすれば何とか
逃げ出せるだろう。でもそれではルビーがあまりに可哀想だ。サファイアは躊躇った。
 その時、ルビーがサファイアの上着の前中心のファスナーに手を掛けた。
驚くほど手早く、静かにファスナーを下げる。
 サファイアはその年齢にしては胸の大きさが控えめなことから、まだブラジャーを
着けていない。上着の下はそのまま素肌だった。
「や…っ!」
 羞恥から反射的に抵抗し、ルビーをはね退けようとする。一瞬揉み合いになり、
サファイアの指がルビーのニット帽に引っかかった。
 帽子が引っ張られて脱げ落ちる。サファイアの視線がある一点で止まった。
「――」 
 脳裏にまざまざと蘇った記憶が彼女の全ての抵抗を奪った。
 サファイアは一度だけ、ニット帽の下を見たことがあった。ルビーが自ら帽子を
取って見せてくれたその時の事を、彼女ははっきりと覚えている。
(あたしは――)
 自分がルビーを傷つけられるわけがない。彼に逆らえるわけがない。ルビーの頭、
右耳の上にざっくりと二本。刻まれているそれを見た時から決まりきっていたことだ。
 …あたし、どうしたらいいと?教えて、ルビー…
 ファスナーが下がり切る。はだけた胸元にルビーの手が伸びた。
「っあ!」
 びくんと震えて愛撫を受け入れる。その年齢からしてもまだ、サファイアの胸は
起伏に乏しい。その胸をゆっくりと揉みしだきながら、ルビーはもう一度
サファイアの唇にキスをする。その顔は虚ろな表情のままだった。
「――」
 堪え切れず、サファイアの目から涙が零れた。小さくしゃくりあげるサファイアの
肩から上着を抜き取った後、ルビーは自分の指ぬきのグローブが邪魔だったのか
触れていた胸から手を離してサファイアの身体に両手を回し、彼女の背中側で
グローブを脱ぎ捨てた。
 素手の掌が?き出しの首筋から肩に触れ、背中の線を伝って降りていく。
首筋を無理やり甘噛みされてサファイアは小さく悲鳴を上げた。
「ルビー…やめて…やめ…」
 ふっと視界が回る。気づくと床に押し倒されて天井を見上げていた。両腕が
押さえつけられていて動かない。露になった上半身を隠すことも出来ず、
相手の視線に晒される。
 震えが止まらない。子供の頃に戻ったかのように、かたかたと歯を鳴らして
サファイアは呟いた。
「…こわい…怖いよ…ルビー…」
『…こわいよォ…こわい…』
 その記憶は今でも自分の心の底にわだかまって離れない澱だった。もう二度と
聞きたくない声。だから自分はあの日、二度と人前で力を振るわないと決めたのだ。
それを今また聞いている。
(もう二度と、君を泣かせたくなかったのに…)
 ルビーはその声をひどく遠くに聞いていた。目を閉じ、耳を塞いでしまえば
消え去るとしても、そうする事は出来なかった。泣いている彼女を組み敷いて
いるのは間違いなく自分で、両手の中の柔らかな乳房の感触も現実のものだ。
 自分の欲望を止める事が出来ず、理性が働かない。これが仕向けられたもので
あることはわかっていた。ルビーは時たま自分でも悩みの種になることがあるほど、
プライドが高かった。自分に厳しく、理性が強く、また常にそうであるように
努めてきた。だからこんな卑怯な、屈辱的な策略には死んでも耐えてみせると
思った――相手が彼女でなければ。サファイアでさえなければ。サファイアの
涙声を聞いた時、そして見捨てられた仔犬のような顔を見た時、その決意は
あっさりと瓦解してしまった。
 自分はこれほど卑しい人間だったのだろうか。
「ふあっ…あ…」 
 乳首を弄ばれ、サファイアが上ずった声を上げる。顔を両手で覆い、視界も涙も
自分から遮っている。ルビーは彼女が自分と出会って以来、半年前の非常識すぎるほどの
無防備さから脱却しかけているのも、そして本当は自分と手をつなぐ事も照れるほど
純情なのも知っていた。その彼女にこの仕打ちは耐え難い苦痛だろう。
 健康的に日焼けしたサファイアのノースリーブの下は驚くほど白かった。彼女の
服はルビー自身が縫ったものだ。半年前に出会った時、ルビーは彼女の葉っぱと
ツタだけというあまりの格好に眩暈を覚え、その場で自分の服を作り直して彼女に
置いていった。そしてその約二ヵ月後、二人で海底洞窟に挑む折、彼は初めて
「彼女のための服」を作った。彼女に合う服はどんなものが良いか――時間は
限られていたものの、考えるのは楽しかった。今は色違いの碧いものだが、
これはその時のデザインだった。
 サファイアはもうこの服の日焼けができるくらい、これを着てくれている。
そんな、これまで長い間をかけて培ってきた信頼さえ失ってしまうのは
たまらなく恐ろしかった。その一方で、
「やあっ…嫌…いや…ふぁっ」
 乳首を摘んで捻り上げられるとサファイアの身体がぴくぴくと痙攣した。彼女の
あられのない姿と声に否応なく身体が疼く。自分の手が勝手に彼女のスパッツに
伸びるのを彼は空恐ろしい心地で見つめた。嫌がる彼女をこんな風に抱いて
いながら欲情できる自分がいることを、彼は認めざるを得なかった。

「っくう!?」
 茂みに滑り込んだ指の感触にサファイアが背筋をのけぞらせた。暴れる身体を
押さえつけられ、敏感な部分を探り出され、本人の意思とは関係なく嬌声を
上げさせられる。
「やだっ、やだあっ!あぁ、あああ!」
 ぬちゅぬちゅとした愛液の感触と、その粘液の中で弄ばれる幼い花芯がルビーの指を
刺激し、更に理性を奪っていく。同時に少女の痛ましい喘ぎ声が彼の心を引き裂いた。
 やめてくれ。何でもするから――お願いだ。そんなルビーの思いとは裏腹に、
彼の指はサファイアを更に攻め立てた。花芯を日本の指で挟みこみ上下に細かく擦る。
 悲鳴が一際高くなり、サファイアの細い腰が快感に跳ねた。少女が掌で必死に覆い
隠している顔。
「――」
 舌を突き出して喘ぎ、一筋の涎が伝う口元だけが覗いているその表情を、
許されないことと解っていながら――ルビーは見てみたいと思ってしまった。
 顔を覆っていた手を引き剥がして押さえつけた。目が合う。サファイアは泣いていた。
泣きながら、明らかに感じていた。ふるふるとかぶりを振っていたが、それが
やめてという意思表示なのか、達する直前の耐え切れない快楽によるものなのかも
見分けが付かなかった。
 押さえつけていた彼女の手首が引きつるように痙攣した。
「っ、は、ああああぁああああっ」
 熱い吐息を吐きながら達するサファイアの表情が瞳に焼きつく。その瞬間、
僅かに残っていたルビーの理性は完全に吹き飛んだ。
連投規制でさるさん出ました
このまま何度も引っかかると代理してくれる人にも厄介なので
すみません続きはまた今度orz
391名無しさん@ピンキー:2010/06/03(木) 19:59:56 ID:sJfK1e8L
>>390
知らないポケモンの名前が出て来るだけで時代を感じるなぁ

肝心なところで連投規制とは…続き楽しみにしてます
392名無しさん@ピンキー:2010/06/04(金) 19:22:48 ID:y+Y7ZvdZ
>>390
規制のなか乙です
早く解除されるといいですね
393名無しさん@ピンキー:2010/06/04(金) 21:48:53 ID:A4Nnl+OD
>>390
GJ!
続き楽しみだ。
だがしかし葉っぱとツタで作った服も気になって仕方ない。
394名無しさん@ピンキー:2010/06/04(金) 21:51:12 ID:pDjyzF8h
>>390
GJ!
おいしいところで切れたからめっちゃ続きが気になる
395名無しさん@ピンキー:2010/06/05(土) 20:43:31 ID:R32dGNRz
最近また規制だらけになってきた?
396名無しさん@ピンキー:2010/06/05(土) 21:55:58 ID:Dm/0qp2T
>>395
うん
ただでさえエロパロは住民少ないのに巻き込むなよ…
突然規制解除来てびっくりした
また規制かからないうちに投下していきます

すぐ上の>>374->>389の続き
注意書きは>>373



「っう、ひぁ……あ……」
 達したサファイアはしばらく呆然と宙を眺めていた。初めて他人に強要される
絶頂に脳が全く付いていかなかった。ただ、
(こんなやらしい格好、嫌…こんな)
 自分がどれだけはしたない姿をしていたのだろうと想像すると、それだけで気が
遠くなった。 
 ルビーを好きになって、彼女は初めて自分の中にあるそれに気付いた。好きな人の
ことを思うと身体が熱くなり、やがて収まらなくなっていく感覚。たどたどしい
秘め事を覚えたのはそれからだ。彼女はその衝動とそれを収める術が、よくわからない
なりにも他人に言えないような恥ずべき事だというのは感じていた。
 だから、これまでに数えるほどとはいえ、彼のことを思い浮かべながら達した事が
あるという事実は、潔癖な少女をひどく陰鬱にしていた。
(ルビー…あたしのこんな姿見たら、きっと幻滅するとやろうね…?)
 一人での行為が終わった後、靄のかかった頭で決まって思うのはそんな事だった。
それがさらに、ホウエンでの告白以降、ルビーに対して一線を置く結果になっていた。
ルビーをそんな風に見ている自分が嫌だったのだ。そして今、その嫌な自分を
目の前に突きつけられている――羞恥に頭がおかしくなりそうだった。
 ショーツごとスパッツをずり降ろされ、足から乱雑に引き抜かれた。とっさに
閉じようとした脚を割り開かれる。
「……っ」
 サファイアはまた泣いた。もうこんな恥ずかしいのは嫌だ、やめて欲しい――そして、
怖い。ルビーで無い何かが自分を陵辱している。それが怖くて怖くて仕方ない。

 あの日からずっと強くなろうと頑張って来た筈だったのに、自分はまだこんなにも弱い。
強さを教えてくれたルビー。誰かのためにその身を投げ出す事を教えてくれたルビー。
そのルビーが今は怖い。正確に言えば――優しいルビーを奪ってしまった何かが怖い。
 太腿を担がれ、片足を持ち上げられる。
「あ、やだっ、や」
 わずかに身じろぎし、斜めになった身体を両肘で支えて上体を持ち上げかけた時、
湿った生暖かい何かが花弁の中心に触れた。
「……っ!?」
 未知の感触に身体が凍りついた。身体が敏感に反応し背筋が勝手に震える。ルビーが
彼女の秘所に顔を埋めているのを見、それがルビーの舌だとわかってサファイアは戦慄した。
「……、うそ、おかし、こんなのおかし……っ…!」
 男女の行為を全くといっていいほど知らないサファイアはそれだけでひどい背徳感と
罪の意識に打ちのめされた。ルビーの意思でない、でも彼の唇と舌だ。やめて、と
か細い声を上げて制止するが責めは一向に止まない。両手でルビーの頭を押し返そうとするが
絶え間なく責められ続けていては、腕にも身体にも全く力が入らなかった。そのうち
サファイアは抵抗するだけの膂力も奪われ、与えられる感触に苛まれるだけで
ろくに動くことも出来なくなっていた。
 花芯ほど敏感ではないにしろ、花弁の中心も度重なる刺激に目覚め始め、溶けて
緩みかけている。舌が花弁を絡め、秘裂を舐めあげるたびに、サファイアは声にならない
声を上げた。ルビーが息をするために唇を離す時の吐息にさえ反応してしまう。
身体の中心がじんじんと痺れて何もかもわからなくなってきていた。
 ――その時、自分たち以外の存在の発する音が彼女の耳に割り込んできた。
 自分たちも登ってきた下からの階段のちょうどその辺りの方向から、微かに声が聞こえた。
早足で進みながら会話している――サファイアは頭の中が真っ白になった。すっと背筋が
寒くなる。
(ダツラさんと、エメラルド!)
 そういえば二人ともまだ階下だった。あちらもちょうど合流したらしい。サファイアの
持ち前の鋭敏な聴覚は二人の足音を捉えていた。会話の内容もわからないくらいの距離だったが、
それはサファイアを怯えさせるのに十分だった。
 二つの違う足音がこちらへと向かってきた。と思うとすぐに角を曲がったらしく、いくつか
向こう側の部屋を横切り、進んでいく。最短距離を通っているのだろう、それ以上近づいては
こない。安堵しかけた矢先、片方の足音が止まった。軽くて硬い音の方。エメラルドの足音だ。
 わずかに会話の内容が聞き取れた。
「どうした?」
「…うん、ダツラさん、オレにかまわず先行ってよ。ちょっと気になることが…」
 言いながら足音は二つに分かれた。ダツラの足音はそのまま階段に向かったようだった。
そしてエメラルドの足音は――サファイアは恐怖に慄いた。
(っ、あ、嫌……お願い、来んで、エメラルドっ……)
 これが他の誰かに陵辱されているのなら、例えどれだけ見られたくないような状況だったと
しても、サファイアは助けを求めただろう。
 しかし相手はルビーで、今のところルビーの洗脳が解除される様子は無い。解除の仕方も
わからない。ガイルを倒せれば元に戻るのかもしれないが、現時点では不可能だ。
 ルビーが誤解されてしまうことは、このまま陵辱されてしまうことよりもサファイアに
とって耐えがたい事だった。唇を噛み、両手を口に当てて必死に声を押さえ込む。
「…、……っ」
 エメラルドの足音ははっきりとこちらを目指してくる。その間にもルビーから受ける刺激が
サファイアの思考を千々に乱れさせた。
(や…やめて、やめて……やめ……)
 そう何度も胸中で繰り返すが、完全に支配されてしまっているのか、ルビーの責めは
止まない。それどころか、漏れそうになる悲鳴をこらえる度にますます舌の存在を強く
意識してしまう。
 思いに反して自分が段々と高ぶっているのを感じ、サファイアは心の底から怯えた。このまま
声を出さずにやり過ごす自信が全く無い。こつこつと靴音が近づいてきてわずか十数メートルと
いったところだろう、そこで止まる。
「誰かいるのか?」
 声が聞こえた。声の調子から、サファイアが先ほど戦ったバトルフィールドのある部屋の
入り口で、エメラルドがフィールドを覗き込んでいるのだとわかった。
 幸いサファイアはスタッフルームへ入る際、こちらへ続くドアは閉めていた。だがそれでも、
たった一枚の壁を隔てた向こうにエメラルドがいる。
(……!来んで、来んでぇ……っ!)
 サファイアは心の中で狂ったように哀願した。靴音がこつこつとフィールドの中心辺りまで進む。
足音が止まったちょうどその時、花芯を舌先でつつかれた。 
「!…ん……っ……っ、ふ」
 支えられている膝裏ががくがくと震えている。また達しかけているのだと気付いてもどうにも
ならない。ぼろぼろと涙を零し、サファイアは絶望して瞼を閉じた。眉が切なく歪められ、
震える唇が半開きになる。
(もう、駄目……っ)
 脳の命令を無視して生理的に湧き上がってくる声。その声が喉元まで出掛かったその時、
彼女を苛んでいた唇が急にすっと離れていった。
「――――」
 身体全体が緊張から解放され、脚を支えられたまま脱力した。出掛かった声を必死に飲み込む。
 エメラルドの呟きが聞こえた。
「……なんか気配がした気がしたんだけどな。気のせいか…。バトルした形跡がある」
 部屋で使用されているレンタルポケモンの戦闘の有無は、壁にしつらえられたポケモンの状態を
表示したパネルでわかる。エメラルドはそれを確認したようだった。
「もう決着は付いてるみたいだ。じゃあやっぱり上だな。無駄足踏んじゃったな…急がなきゃ」
 靴音が翻る。見切りをつけるとエメラルドの行動は早かった。彼は足早に立ち去っていく。
 数十秒もして、ようやく静寂が戻ってきた。身体中の力が抜けた。エメラルドの勘のよさを
今回ばかりは恨む。絶頂の悲鳴を上げてしまっていたら、どれだけ押さえ込んでも聞こえて
しまっただろう。あまりの安堵に心がどこか遠くに行ってしまいそうになる。
 涙で霞んだ視界にルビーが映る。
(…ルビー……?)
 その瞬間、それまで散々いたぶられていた秘部に指が侵入してきた。
「―――!」
 腰が跳ね、サファイアは再び現実に引き戻された。これまで必死に悲鳴を押し殺していた反動で
激しい喘ぎが口をついて出た。舌とはうって変わって硬い感触の指が入り込み、彼女の中を
容赦なく蹂躙する。
「あ、ひぁ、あ、だめ、っあ、やあぁ」
 これまで怖くて自分でも指を入れたことのなかった膣内に無遠慮に入り込まれ、サファイアは
なす術もなく身悶えた。指は中を攫うように内壁をぐるりと一周なぞり、指が入れる限りの範囲には
触れていない場所はないというくらい、全てを搔き回した。その中でも特にサファイアの喘ぎが
大きくなった場所に指は戻り、その場所を重点的に擦りあげていく。入れられた瞬間の異物感は
次第に薄まり、愛液をまとわりつかせスムーズに動くようになった指はさらに激しく動いた。
ずっ、ずっ、と徐々にスピードを上げながら抜き差しされる。
「んあああああっ、や、あああ、あああああ、ひあぁ」
 弱い部分ばかりを責め立てられ、あっという間に上り詰めていく。片脚を抱えられ固定されて
いてはろくに耐えることも出来ない。
「あああ、あぁ、あああぁあああああああっ!?」
 冷たい床に背を預け、床に両指全ての爪を立ててサファイアは達した。しかし達した際の
強い締め付けも意に介さず、侵入した指はまだ蠢いて愛液を掻き出している。
「もう、もうせんといて、もう許して、やっ、あっ、あああぁ、あ」
 どれだけ懇願しても許されなかった。少女は性行為をろくに知らず、従ってこの行為の
終点も知らない。どれだけ耐えれば良いのかも全く予測がつかず、長いこと抱えさせられた
恥辱と自己嫌悪も相まって、精神的な消耗は大きかった。どこまで続くかわからない陵辱に
サファイアの心は折れかけていた――再び達する頃には彼女は声も無くその身を震わせる
だけだった。
 そのため、少年の体躯が彼女を覆うようにのしかかって来た時にも殆ど反応できなかった。

「あうっ――あっ――――!?」
 殆ど気を失いかけていた彼女を無理やり目覚めさせるかのような激痛が襲った。ルビーが
サファイアの中にゆっくりと侵入してきていた――彼女自身はルビーが何をしたのかさえ
わからなかったが。両脚を大きく開かされていても尚その痛みは許容範囲を超えており、
サファイアはそれまで散々味わった羞恥をも吹き飛ばすような痛みに今度こそ悲鳴を上げた。
 両腕が手首を掴まれて固定されていて、全く身動きが取れない。どれだけ痛くてもされるが
ままになるしかなく、あまりの痛みに気絶したくてもできない。ルビーの、身体を深く
沈み込ませるかのような動作がようやく止まった時には、サファイアの意識は朦朧として
口をきくことも出来なくなっていた。
 ようやく動きの無くなったそれに、サファイアはやっとのことで目を開いた。自分の臀部と
ルビーの下腹部が密着しているのがわずかに見えた――ルビーの腿に腰が持ち上げられている
ためだ。サファイアはなぜか無性に切なくなった。流している涙は痛みによる生理的な
ものだけではなかった。
 ルビーの顔がすぐ正面にある。ルビーも辛いのか、無表情だった筈の顔がわずかに歪んでいる。
サファイアは、自分の目から涙があまりに溢れてくるためにまた瞼を閉じた。何度も何度も
浅く息を継いで、痛みを逃がそうと試みる。
 しばらくすると、頬にぽつ、ぽつと当たるものがあって、サファイアはうっすらと目を開けた。
目の前にある顔に、一瞬息を詰める。
 ルビーが泣いていた。表情を変えないまま、ただ彼女の顔を見て涙を流している。
「……」
 もしかしたら――
「る…び……あんた……ずっと……」
 彼女は行為の間、ずっとルビーの意識は無いものとばかり思い込んでいた。でも
もしかしたら――
「……ぁ」
 律動が始まった。サファイアはルビーがまだ苦しみから開放されていないのだと知った。
 涙がまた溢れ出てきた。   
「…るび……るびぃ……ごめん…ねぇ……」


 ――何が「ごめんね」なのだろうか。
 泣きながら許しを乞うサファイアにルビーは問いかけることも出来なかった。口もきけず、
身体も全く言う事を聞いてくれない。一向にサファイアを解放せず、結局ここまで彼女を
傷つけてしまった。これは誰の所為でもなく、自分自身の責任だとルビーは思った。
 掛けられた暗示はそう複雑なものではないことを、ルビーは感じ取っていた。ただ彼の
押さえ込んだ感情を暴発させ、同時に理性を奪い去るだけだ。
 ただし、多分、普段押さえつけている感情が強ければ強いほど、暴発は激しいものに
なるのだろう。ルビーは抗った。残った意識の全力で反抗した――それでもルビーの身体は
彼女を欲しがった。たぶん、自分の業はそれほど深かったのだろう。全てが終わった後、
この罪も無い少女にどう償えばいいのか想像もつかなかった。
 打ち込んだ杭は強く締め上げられ、苦しいほどだった。きつく絡みつき、収縮を繰り返して
ルビーを翻弄する。 
「ごめん、ね…ルビー……ぁっ……あ」
 ルビーの思いを知ってか知らずか、サファイアは未だ苦しげに、そしてどこか切なげに喘いでいた。 
「ぁ、あたしに、怖いなんて、言う資格、んっ、無い、とに…」
 挿送はまだ続いている。突かれる度、引かれる度に言葉は途切れ、辛そうに眉根が
寄せられる。そんな中でも、サファイアは掠れた声で言葉を続けていた。
「ルビーだって、そん怪我、した時は、んあ、怖かったと、でしょ…?なの、に…っ」
(――)
「あ、たしぃっ……あん時、ルビーに酷か事っ……怖いなんてっ…あん、な、事っ……」
 ルビーはその言葉にショックを受けた。 
 彼女の言う「その怪我」というのが自身の側頭部の傷の事なのはすぐにわかった。5年前、
互いに六歳の時の事だった。父同士が友人だったルビーとサファイアは、ジムリーダー試験を
受けるルビーの父をサファイアの父が応援に訪ねた際に出会い、何日間かだけ一緒に遊んだ
ことがある。サファイアに告白された際彼女に、その時の自分が彼女の初恋だったと聞いた。
 その頃の自分とサファイアは、今と全く間逆だった。サファイアはポケモンも持たず、
バトルも全く知らない少女だった。可愛らしく着飾り、優しく、大人しい性格だった。
逆にルビーはバトルの専門家であるジムリーダーを目指していた父の影響で、活発でやんちゃ、
ポケモンバトルが大好きな少年だった。二人はすぐに気が合い、その何日間かの間、
いつも一緒に遊んでいた。
 その時事件があった。二人きりの時に偶然、野生のボーマンダと出くわしたのだ。
ルビーは戦った。子供故の怖いもの知らずの面もあったが、父から教わった技術は絶対だと
信じていた。そしてそれ以上に、ルビーが逃げずに戦った最大の理由は、一緒にいた
サファイアを守るためだった。
 側頭部の傷はその時ボーマンダに付けられたものだ。ルビー自身は後悔していない。
だがサファイアにとってはそうでないことに、ルビーは初めて思い至った。
 そしてルビーが本当に後悔していたことは、バトルも知らない少女の心に傷を残してしまった
事だった。少女の前で全力で戦い、恐怖を与えてしまった。
『…こわいよォ…こわい…』
 差し出した手をとる事無く泣いていた少女は、明らかにボーマンダにではなく、自分に怯えていた。
そのことがずっと彼をバトルから遠ざけていた一因だった。
 そして5年後、その頑なな姿勢を崩し、本当に大切なことは何かに気付くきっかけをくれたのもまた、
まだ互いに互いを何者か気付いていなかった頃のサファイアだった。彼女もきっと
彼と同じように、5年前の出来事に心を痛めていたのだろう――今まで、ずっと。
「……ん、くふ、あんな、酷か事言った、あたしの事ば、好きじゃ、なかと、でしょ…?」
 違う。
「ルビーは……っ、はぁ……優しいけ……だからとぼけて……何も、言わんとでしょう…?」
 違う…
「ごめんね、ルビー……っ……あたし、っあ、迷惑な事、言った、とね……ごめん……」
 違うんだ、サファイア。ルビーは心の中でそう叫んだ。本当は多分ずっと、心のどこかで、
自分は――望んでいた。サファイアとこういう関係になることを。 
 サファイアが自分の事を好きと言ってくれた時、ルビーは嬉しかった。5年前傷つけた相手が
それでも自分を好きでいてくれた事。そしてその時の自分より、今の自分をもっと好きだと
言ってくれた事。嬉しくない筈がなかった。そしてその直後、また彼女を傷つけた。
 ルビーと一緒に戦えると思っていた彼女を、ルビーは閉じ込めて、勝手に出て行ってしまった。
サファイアが5年前の初恋の女の子だと知った時――いや、本当はその前から決めていた通りに、
ルビーは彼女を裏切った。サファイアを危険な戦いに連れて行きたくなかった。危うい作戦に
巻き込みたくはなかったのだ。それが自分の自己満足だと解っていても。
『ボクもキミが好きだったからさ。小さな頃からずっとずっと、…想ってた』
 最後に帽子を取って見せ、そう口にしたのは、相手に自分の言葉が聞こえなくなってからだった。
 ガラス越しに置いていかれる時、彼女は大きな瞳に涙を浮かべていた。必死に何かを叫んでいた。
それを見て、ルビーは自分の行動が彼女を傷つけたのだと知った。そしてそれでも、彼女は
自分を追ってきてくれて、笑顔を向けてくれた。それまでと何一つ変わらない笑顔だった。
 ルビーは思った。このまま一緒に居ても、自分はこの先もサファイアを傷つけるだけだ。
そして傷つけても傷つけても、彼女は自分を信頼し続けるだろう。
 彼女は傷つけられ続ける。自分のために。
 彼女が告白してくれたことはいい機会の筈だった。本当に彼女から離れるつもりなら、告白を
断ればそれで済んだ事だった。にっこり笑って、――ごめんね。キミは素敵な子だと思うけど、
ボクはキミをそういう風には見られないんだ。だからボクのことは忘れて、もっといい人を
見つけてね――ただそう言えば良かったのだ。
 だが言えなかった。好きだったのだ。その戦いの中でも彼女の事ばかり考えてしまう程。
『覚えていない』などと言って、彼女の告白をうやむやにしてしまう程にだ。
 彼女の気持ちに応えられないのなら、せめてもう少しだけ一緒に居たかった。それまでと
同じように、自分がサファイアをからかって、サファイアが怒って。単純で幸せな日常が続く。
それは我侭以外のなにものでも無かった。
「……っ……」
 ごめん。ボクの決意はいつだって遅すぎる。
 本当はボクだって、ずっとずっと好きだったのに――
「サファイ、ア……」
 名前を呼んで頬に触れた。涙をそっとぬぐってやる。触れられた瞼がぴくりと反応した。     
「ぁ……る、び……?」
 サファイアがかすかに呻く。彼女はほとんど反射的にだろう、ルビーの名前を呼び返し、
わずかに覚醒した。
 視線が交錯した瞬間、彼女はふと呆けた表情をした。
「……もとに……元に、戻った……とう、か?」
「……、っ?」
 その時になって初めて、ルビーは自分がわずかにでも口をきけたことに気付いた。
次いで瞳を瞬かせる。サファイアは朦朧としながらもこちらの瞳を見つめ、また涙を浮かべると
そっと言った。
「良かったと、ねぇ……」
 サファイアが微笑んだ。儚く頼り無かったが、間違いなく彼女がそこにあることを思わせる笑み。
ルビーは何も言えなかった。この娘はまだ――自分に笑顔を向けてくれるのか。 
 自然に手が伸び、抱き上げるようにして身体を引き寄せる。ぎこちなく抱きしめると、
サファイアは甘える子猫のように頬を摺り寄せてきた。
「ん……」
 吐息が耳朶を打った。摺り寄せられるやわらかい肌の感触に、ルビーの背をぞくりとした
快感が走る。 
「……ルビーが……もしも元に戻らんかったらと思うと…あたし…あたし……っ、ん、はぁっ」
 サファイアは涙声であえいだ。緊張が解けて自分の中の存在をより感じ取ったのか、開かれている
内股が痙攣し、ルビーの身体を強く挟み込んだ。
 内壁がきゅうきゅうと締め付けてくる。ルビーははっと気付き、慌てて身を離そうとした。 
「っく……だめだ、サファイアっ」
 そう言って身じろぎするが、もはや彼女の耳には殆ど届いていないようだった。苦痛――
あるいは快感に耐えるためか、殆ど無意識にだろう、サファイアはルビーの身体に腕を回して
縋りついた。身体の前面と前面が密着し、未熟だがやわらかく弾力のある乳房が彼の胸板に
擦り付けられる。
 ルビーは小さく呻いた。もう律動はしていないにも関わらず、限界が近い。サファイアも
また言葉を紡げなくなり、ひくひくと身を震わせる。締め付けが更に強まり、背筋を快感が
駆け上ってくる。
 思考を掻き乱し、どくん、どくんと強い鼓動が身体の奥で脈打つ。あまりの快感にサファイアの
身体を引き剥がすことが出来なくなり、かえって抱きしめ返す形になってしまった。
「ルビー、ルビー、ルビー……っあ、はああぁぁぁぁぁぁっ……!」
 ひたすらルビーの名前だけを呼び、彼の背中に爪を立てて、サファイアは大きく痙攣した。
赤みが差して上下した頬、彼の名を呼び続ける薄くやわらかい唇、そして涙をたたえて潤んだ、
深い海のように碧い瞳。その瞬間の少女の表情はまだ幼いながらも、間違いなく愛する人に
身体と心の全てを捧げる喜びに満ちていた――ルビーはこれまでの彼女のどの表情より、
これまで見てきたどんなものよりも、サファイアを美しいと思った。
 次の瞬間、一際強烈なうねりがルビーを締め上げた。目も眩むような快感の波が頂点に達し、
弾ける。
「っ……あ……!サファイアっ……!」
 ルビーの身体がわななき、その度にサファイアの最奥に熱を注ぎ込む。一度では終わらず、
二度、三度とそれは続いた。ルビーは無我夢中でサファイアのしなやかな身体をかき抱いた。
「――――っ……っ……!」
「くぅ……あ……ぁ……」  
 かくんとくずおれ、体重を預けてくる少女の細い体躯を支える。ルビーが全ての欲望を
吐き出し終えるころにはルビーもサファイアも声を失い、互いの存在を確かめるように
抱き合っているだけだった。




 行為の跡を手早く片付け終えると、ルビーはバトルフィールドの部屋へ戻った。
肩のザックを担ぎなおす。身の回りのものを持ち歩いていたのは幸いだった。
「水回りが使えてよかったよ…大丈夫?サファイア」
 サファイアにはすでに身支度をさせ、座らせて休ませている。ルビーが出てくると
彼女は慌てて立ち上がろうとした。
「うん…もういいったい、早う出発せんと」 
「まだ辛いだろ?」 
 ふらついている足元を見て駆け寄る。サファイアは気力の落ちた様子であるものの
にこりと笑って見せた。
「でも…早う行かんと。エメラルドとダツラさんが待っとる」
 いつもの明るい笑み。ルビーはひとつ息をついた。確かに彼女の言う通りなのだ。
相当出遅れたがまだ追いつけるだろう。ルビーは右肩から斜めに掛けていた自分の
ザックを右肩だけに掛け直した。
「もう歩けるったい、大丈夫…」
 サファイアの言葉が止まる。ルビーが彼女に背を向けて腰を落としたからだろう。
「乗って。早く」
「け、けど」
 肩越しに見やるとなにやら真っ赤になって恥ずかしそうに躊躇っている。ルビーは黙って
彼女の手を取った。
「ちょっと、ルビーっ」
 腕を引いて身体を背中に密着させ、首に手を回させる。サファイアは口では抗議したが
結局抵抗はしなかった。
「しばらくそうしてて」
「…ごめん…少しすれば回復すると思うけ、これでも体力はある方やから…」
「うん…」
 サファイアを背負い、ルビーは走り始めた。サファイアは見た目より意外に軽いし、
自分だってそれなりに鍛えているつもりだ。走ることも出来る。
 無事に見つけた階段を登りながら、ルビーはサファイアに声を掛けた。  
「サファイア」
「……何ね?」
 少しうとうととしていたのか反応に間があって、ゆっくりと答えは戻ってきた。ルビーは
はっきりと、
「ボクね、本当はマボロシ島からルネに戻る時キミに言われた事、全部覚えてる」
 告げた。
「――」
 前に回されている手が胸の前でぎゅっと握られる。
「……ウソ、ついてたとやね」
 以前にも言われたことのある台詞だ。
「うん」
「なして?」
「怖かったから。キミとの関係が変わってしまうのが――」
 言いかけてまた気付く。これも半分は嘘だ――正確に言えば真実の一部だけだ。
 サファイアが口を開いた。
「気持ち、わかるったい」
「……」
 勝手な理屈にも関わらず気持ちを汲んでもらったことに罪悪感を覚える。
「……ごめんね。それを覚悟で告白してくれたキミには悪いことしたと思ってる」
「もういいったい。こうして謝ってくれとう」
 サファイアの声が明るくなったのがルビーには救いだった。
「それでね」
 階段を登り終え、次の階に踏み込む。話を打ち切らずに続けた瞬間、背負っていた
サファイアが、ぴくりとわずかに反応するのを背中に感じた。
「ボクは…」
 言いよどむ。今言うという事も言いたい事も全部決めているのに、なかなか口に出せない。
いつだって、本当の気持ちに限ってうまく言葉に出来ない。隠したいことが沢山ありすぎて、
本当に言うべき事まで隠してしまう。自分の悪い癖だ。
「……ボクは、弱いから……」
 やっと言葉を続ける。
「弱いから、今日みたいに、キミを傷つけてしまった」
「…ルビーのせいじゃなかと」
「ううん」
 ルビーはかぶりを振った。それは暗示にかかっていた自分が一番よくわかっている事だ。
本当の気持ちを隠して押さえつけていたからこそ、利用されたのだろう。だから多分、
自分の気持ちを認めた瞬間に暗示が解けたのだ。
「今日だけじゃない。あの時から、ボクはずっと、キミを傷付け続けてきたから…」
「ルビー」
 ささやくようにサファイアが言った。
「あたし、ルビーに傷つけられたなんて、一度も思ったこと無かよ」
「サファイア…」 
「あたし、言ったたいね?あんたの優しい所も好きって。優しか人は自分のした事ば
そう思うこともあるかもしれんけど、本当の気持ちでそうしたんなら、少なくとも、
卑下する事なかよ」
「だけど」
「ルビーはちょっとひねくれとるけ、もうちょっと素直に考えたほうがよかよ?」
 苦笑されてしまう。ルビーは自分がいつに無く緊張していることに気付いた。
乾いた唇を舐め、 
「だからボクは……サファイア、キミがそう言ってくれるのなら、一緒に――」
「待って」
 遮られる。サファイアはルビーの前に回していた手でルビーの口元をふさいだ。 
「いまいちようわからんけど、あたしば傷付けたからその責任取るって――
あたしと一緒にいてくれるって事ったいね?」
「――」
 ルビーは目を丸くした。違う。違うのだが、確かに言う順序が悪いと彼は気付いた。
訂正しようとした矢先、
「そんなの嫌……だったら、振られてしまった方が良か」
 はっきりと言われてしまった。背中に顔を埋められて何も言えなくなる。
「振られてもいい。ルビーの本当の言葉ば聞きとう……でも、今は待って。今は
この戦いに集中したい」
「……」
「全部終わって、ルビーの心の整理がついたら、そしたら聞かして……ね?」
 いろいろと言いたいことはあった。あったが、
「…わかった、サファイア。君がそれでいいのなら」
 結局、ルビーはそう答えた。彼女の言うことは正論だ。その言葉にほっとしたのか
サファイアの身体から力が抜ける。ルビーはその温もりと心地いい重さを背負って
ひたすら進んでいった。
 サファイアがどれだけ自分を信じてくれているのかが今ならわかる。
『ポケモンと一緒に戦うあんたが好き。ポケモンの毛づくろいばするあんたが好き。
気取って気持ちば隠すけど、本当は優しいところも好き。こうと決めたら迷わず
立ち向かうところも全部、全部好き』
 彼女のその言葉を信じていなかったのではない。多分ボクは、自分を信じ切れて
いなかったのだろう。彼女が寄せてくれる信頼に応えられない事が怖かったのだ。
あるいは、応えられないことで彼女のこの気持ちが離れていってしまうのが
怖かったのかもしれない。
 でもサファイアは、それでもきっと自分を信じてくれる。今ならそう思う。
(ボクはもう少し、キミに甘えてもいいんだろうか?)
 次の階段を見つけて数歩登った時、唐突にルビーはふとあることに思い至った。
後でもいいと言えばいいのだが(むしろ後のほうが良いかもしれないのだが)
どうしても気になってしまい、ルビーはおずおずとサファイアに話しかけた。
「……ところでその、サファイア。どうしても確かめたいことがあるんだけど。
非常に訊きにくい事を訊いてもいい?」
{?何ね?」
「キミ、生理はもう来てるの?」
 背負っている少女の動きが止まった。間に沈黙を挟み、
「……生理って何ね?」
「……」
 今度はルビーが沈黙した。疲れてボケているのか本当に知らないのか。逡巡した後、
「…一ヶ月に一度、定期的に血が出てない?」
「血?何がね?怪我もしとらんのに?どこから?」
 ここまで言ってわからないという事は、まだだということだ。安堵したが、同時に
身体も育ちきっていない少女を抱いてしまったという罪悪感も芽生える。
「…………さっきの、その、ボクたちが……」
 繋がってたところ。と小声で答える。
 三度目、深く長い沈黙が横たわる。そしてサファイアの声がひっくり返った。
「ば、馬鹿!ルビーの馬鹿!あんた何てこつ訊くと!?」
 力の無い両のこぶしで頭をぽかぽかと殴られる。負ぶっているので顔は見えないが、多分、
耳まで真っ赤になっているだろう。
「仕方ないだろ!?もしそうなら、キミ、妊娠する可能性があったって事だよ!?」
「にっ……!?」
「キミまだ11歳なんだよ!?そんな事になったらキミの身体がどれだけ危険か――」
「ちょっとそれどげんこつ!?妊娠って……!?」
「いや、キミほんとに知らないの!?何も!?」
 ルビーはふと自分自身にあきれた。何て事を話してるんだ、ボクたちは。 
 ちなみにもしそんな事になったら、父親に確実に殺される。サファイアの父さんで
あるオダマキ博士ではなく、自分の父センリに。
 サファイアは先ほどまでの出来事も会話もまるで無かったかのように、憎らしいほど
いつも通り、ルビーの発言に怒っている。
「……」
 互いがどんな風に変わっても、この関係は傍にいる限り変わらないのだろう。
それが良いことなのか悪いことなのかはわからない。だが今のルビーにはそれが
純粋に嬉しかった。
「あのね、キミ、いつも思うけどそうやって何でもかんでも怒るのやめなよ」
「誰が怒らせてると思っとう!?」
 そうして喧嘩をしながら4、5階分を踏破すると、ようやくエメラルドの背中が見えた。
 ダブルバトルを制した直後らしい彼は肩で息をしていたが、こちらの気配に気付いて
振り返った。びしっとマジックハンドで指を差して、
「遅い遅い、遅ーい!何やってたんだよ、全然来なかったじゃんか――って」
 背負っているルビーと背負われているサファイアを見、叫んだ。
「お前ら、イチャつくなー!!」


◆ ◇ ◆ ◇ ◆

オワタ
思ったより無理やり感とエロ分が少なくなっちゃってサーセン
412名無しさん@ピンキー:2010/06/06(日) 21:07:30 ID:h0g1/XZ0
GJ
413名無しさん@ピンキー:2010/06/06(日) 21:22:13 ID:2K3LQ3KM
GJ!
もうほんと途中でどうなることかと思ったけど
ちゃんと相応の関係に落ち着いたみたいで良かった
414名無しさん@ピンキー:2010/06/06(日) 23:07:08 ID:9VowfYBC
GJ!
ちゃんと無理やりになってたと思います。
最後はほのぼのさせて貰いましたw
415名無しさん@ピンキー:2010/06/09(水) 08:36:04 ID:afEu2pnH
遅ればせながらGJ!
416名無しさん@ピンキー:2010/06/10(木) 01:09:58 ID:IKNv7e0c
規制のせいか、やっぱ全体的に過疎っぽいな。まあそれは置いといて
相手に好かれてないと思ってる男女がお互いに愛するが故に無理矢理を
企てたらどうなるんだろ。と突然思った
417名無しさん@ピンキー:2010/06/10(木) 13:40:27 ID:mqjiSajA
>>411
GJ!!
ポケモンあんまり知らないけど映画見てみたくなった!

>>416
その発想はなかった

どっちが先に実行するかで妄想が変わってくるところ

418名無しさん@ピンキー:2010/06/12(土) 22:51:24 ID:ZN/yQhmr
ポケスペは漫画
アニメや映画とは別物なので注意
419名無しさん@ピンキー:2010/06/13(日) 00:20:39 ID:Y04MKEeK
>>416-417
どっちが先でも、そこから『無理やり』に持ってくのが難しいかもな
それさえクリアできれば非常に美味しそうなシチュだ
420偽悪的征服録 Ep.7:2010/06/13(日) 20:21:46 ID:Z0z7nPz6
続きを投下します。
注意事項:野外プレイ

12レス頂きます。
421偽悪的征服録 Ep.7:2010/06/13(日) 20:23:14 ID:Z0z7nPz6
貿易都市ミランダの大富豪、トマ・アドルフの訃報は瞬く間に街全体に広まった。
彼の力で裏で繋がっていた人物もいただろうが、裏事情には何の興味もない。
普段よりも騒々しさを増した商人の街を後にし、二人はヘレナを連れ西の山を登っていた。
目指すは頂上。そこには古くから修道院が存在しているという情報を入手し、ディアナの提案でヘレナを
その場所へと連れて行くこととなったのだ。小高い山でそれほど距離もなく、目的地へはすぐに辿り着いた。

ロイドは元々神など信じていない。所詮偶像に過ぎない人の心の産物を崇拝するという行為が如何せん
理解し難く、このような場所は苦手だった。

「ロイド!ここで引き取ってくれるって!」

ディアナを見送り、外でぼんやりと宙を眺めているうちに突如聞こえた、彼女の歓喜の声。
修道生活を許可され、ヘレナはここでシスターへの道を歩むこととなる。本人も満更ではなさそうだった。
ヘレナは申し訳なさそうな表情をディアナに向けたが、それはすぐに含羞の笑みへと変わった。

「あんなこと言ってごめんなさい……。助けてくれてありがとう」

ディアナは素直に礼を述べるヘレナに微笑み掛ける。ヘレナは最後にふとロイドに視線を送ったが、
すぐに感情を殺し目を逸らした。仮にも『神』の下に身を置くことになるのだから、復讐などという
憎しみに囚われた行為は許されない。そしてそれは、ロイドが彼女を始末する理由の消失にも繋がる。
ディアナがそこまで緻密な計算を巡らせていたとは到底考えられないが、事態は比較的平和に収束した。

用が済んだのならば、修道院など長居すべき場所ではない。早々に去るべくロイドが修道院に背を向けると、
それに気付いたシスターが背中越しに声を掛けた。

「西へ向かうと貴族の街があります。ここを離れるのでしたらそこで宿を取ると良いでしょう。
 ただ……、この先の森にはお気をつけ下さい」
「森?」
「この辺は魔物こそ出ませんが、山の麓には妖精が住んでいると言われる森があります。
 昔の話だと聞いておりましたが、最近になって妖精を見たという者が後を絶たないのです」

妖精と言っても、人間に害を与える種から幸福を与える種まで様々であると言われている。
関わらずにいることが最も賢明であることは明白だった。
ディアナはロイドの代わりにシスターに頭を下げ、興味深そうな面持ちでロイドに話し掛けた。

422偽悪的征服録 Ep.7:2010/06/13(日) 20:24:02 ID:Z0z7nPz6
「本当にいるのかな……?」
「好奇心旺盛なところ悪いが面倒な事態は避けたい。森は迂回する」
「えっ」

本当に妖精が存在するのならば、最悪の場合森から出られなくなる可能性もある。
渋々承諾するディアナを連れ、ロイドは一先ずシスターに教わった街へと向かった。
道の途中に立ちはだかる『妖精の森』は意外に大きく、街中に入った頃には日が暮れていた。
宿を探しながらも目に付く、豪邸が立ち並ぶ街並み。おそらく、ミランダで大きな利を得た者が集っている。
しかしそれよりも、ロイドは街に入った時から感じていた妙な違和感を気に掛けていた。

様々な方向から絶えず注がれる視線。ロイドへ向けられたものではない。ディアナへの視線だった。

他人へ向けられているものであるとはっきり感じ取れるほどに、道を歩く男が必ずディアナに目を向けるのだ。
それに気付きもせず、ディアナは遠方に混雑している宿を見つけると、確保すると言い残し慌てて走り出した。

「おい!待……」

突如感じた思わぬ気配により、言い掛けた言葉はその意味を成し得ずに途切れた。
視界の端に捉えた、見覚えのある姿。おもむろにその方向に顔を向けると、小路の先に佇む金髪の女の姿を
目にした。
彼女は見知らぬ男の頬を両の手で包み、顔を近づけている。
その先の行為を終えると、彼女は視線に気付いた様子で男を解放し、ゆっくりと振り向いた。
瞬間、ロイドは目を疑った。

胸まで伸びた波掛かった金髪に、あどけない碧い瞳。
機動性が重視された、ベルト付きの白く短いローブ。
その姿は、ディアナ以外の何者でもない。

彼女は迷わずに歩を進め、ロイドの目の前に佇む。言葉が見つからず、暫し見つめ合う形となった。

「おまえは……」
「私は、何?私は願いを叶える精」

言い掛けた瞬間、彼女はロイドが投げ掛けた質問を予めわかっていたかのように自問自答する。
彼女の姿に何か違和感を感じながらも、意表を突いたその行動にロイドは呆気に取られてしまった。

「何故この姿を?主の命令だから」
「どこでこの姿を?東の大陸の街で見つけた」
「この姿で何を?この大陸の人々の望みを叶えてる」
「主は誰?それは言えない。言わないことが主の願い」

彼女はロイドが一瞬でも心に思ったことを次々と拾い上げ、その答えを口にする。
心を読まれている。そうとしか思えなかった。
423偽悪的征服録 Ep.7:2010/06/13(日) 20:25:02 ID:Z0z7nPz6
実際のところ妖精の存在など半信半疑ではあったが、こうも的確に心中を察されてしまうと、嫌でも信じるしか
なくなってしまう。

「何故答える?答えを得ることがあなたの望みだから」

本人よりもやや透き通った声で最後の自問自答が終えられた。
ロイドが何も考えを持たなくなると、彼女は満足げな笑みを浮かべ踵を返す。
その後ろ姿も正しくディアナそのものだったが、彼女の身体のラインから先程から感じていた違和感の正体が
何なのか、ロイドははっきりと理解した。そしてその確信と共に感じる、強い焦燥感。

彼女は本人よりも女らしい身体つきをしている。
ディアナは数日前、孤島でクレアに自分の体型を気にする発言をしていた。
そして今目の前にいた彼女は、願いを叶える精だと言った。
おそらくディアナの些細な願いも、無意識のうちにその姿に投影しているのだ。

「ロイド?何難しい顔してるの?」

宿から戻って来たディアナの声で、ロイドは我に返った。
彼女は傍らで、道端に立ち尽くす姿を不思議そうに見つめている。
目の前の彼女は本当に本物なのか。ロイドは真っ先にディアナの胸元に視線を送った。

「あの宿もう満室で……、ってどこ見てるの?」

控えめな身体が、彼女が本物であることを証明していた。
ディアナは容姿は良い方だが、年齢の割りに幼い顔立ちをしている。
しかし彼女に扮した先程の精霊が備えていたのは、男を惑わすような独特の色香。それがディアナの幼さを
完全に補完していた。
そのような姿で言い寄られて、落ちない男はまずいない。その上彼女の身体を見慣れているロイドにしか、
本物かどうか判別することはできない。

「宿で暢気に休んでる場合じゃない」
「どうして?」

この街にはディアナに魅了された男が大勢いる。この街どころか、この大陸中にいると考えるべきだった。
どこへ行っても、ディアナの単独行動が危険を伴う状態となってしまっている。

「ディアナ、絶対に俺の傍を離れるなよ。絶対にだ」
「な、何?どうかしたの?」

状況を全く理解していないディアナにいつもより強い口調で命じると、ロイドは遠くから視線を送っている
一人の若い男の元へと歩み寄る。

「おまえ、この女を知っているな?」

男は問いには答えず、怪訝な表情をディアナに向け、震えた声で彼女に話し掛けた。

424偽悪的征服録 Ep.7:2010/06/13(日) 20:25:43 ID:Z0z7nPz6
「君……、男がいるのに俺とあんなことをしたのか……?」
「何?何のこと……?」
「名前も教えてくれないし、調べても何もわからないのはそういうことだったのか!?」

ディアナは男の剣幕に圧され、助けを求めるようにロイドを見上げる。
ロイドは構わずに質問を続けた。

「この女を抱いたのか?」
「ああ、そうだよ。でも恨まないでくれ。男がいるなんて知らなかったんだ」
「調べたと言ったな?何をどう調べた?」
「写真があるんだ。撮らせてもらったんだ。それで名前や素性について聞き込みもしたし、
 情報屋にも当たった。けど結局何もわからなかったんだよ。なぁ、もういいだろう?」

わざと殺気に満ちた声色で問い詰めると、男は許しを乞うように洗い浚い白状した。
何の情報も掴んでいないのならば、彼女の『飼い主』が誰かなど知る由もない。

「……わかった。もういい」

逃げるように立ち去る男を尻目に、今起きている事態を整理する。
何がどうなっているのかと執拗に尋ねるディアナは相手にせず、即座にケルミスに連絡を取った。
通信が確立された瞬間、相手の都合など気にも掛けずにロイドは不躾に質問を投げ掛ける。

「ディアナの情報を求める人間が増えていないか?」
『前から多いぜ。心配するな、同業者も脅してある』
「客層は?」
『……顧客情報を漏らすかよ』

徐々に詮索していくつもりがすぐに見抜かれてしまう。
一方的に通信を切ると、ロイドはディアナを連れて仕方なく森へ向かった。

先程の男の話で確信した、妖精の言う『主』の目論見。
ロイドがケルミスにディアナの情報を口止めし、ケルミスが他の情報業者に圧力を掛けたせいで今の事態が
起きている。
ディアナの素性を知りたいがために、何者かが森に住む妖精の性質を利用し、人海戦術を取って調べ上げて
いるのだ。

「こっち、森でしょ?面倒事は避けるんじゃなかったの?」

そのつもりで迂回した森だったが、既に街に入る前から妖精の手によって面倒な事態に陥れられていた。
ディアナに今の事態を簡単に説明しつつ、ロイドは森の中を適当に彷徨う。
妖精の気配など全く感じられないが、彼女は必ず森に戻って来る。森で妖精を見た者が後を絶たないと言った
シスターの言葉から、それは確信していた。

425偽悪的征服録 Ep.7:2010/06/13(日) 20:26:33 ID:Z0z7nPz6
やがて木の葉の隙間から、不規則に煌めく光が漏れ始めた。
光の元へ向かうと、そこに広がっていたのは大きな湖。
水面(みなも)が蒼い月の光を反射し、一層幻想的な雰囲気を醸し出している。

「ねえ、あれ……」

ディアナが指差す方向に人影が見えた。何者かが湖で水浴びをしている。
二人が湖畔に近付くと、その者は足音に気付きすぐに振り返った。
大きな赤い瞳を携えた、蒼白い肌。透き通った湖に似た色の髪は、おそらく地につくほど長い。
人間とは思えないその姿と雰囲気から、ロイドは森に住む妖精であることを確信した。
彼女は臆することなく二人に近付くと、すぐにロイドの心中を察する。

「……そう。私はさっき、あなたと会った」
「飼い主は誰だ」
「それは言えない」
「居場所も言えないのか」

彼女はロイドの傍でじっと様子を窺っているディアナを見つめ、暫し沈黙した。
何か考え込んでいる様子だったが、程無くして彼女に顔を向けたまま小さく呟いた。

「主は……あなたに会いたがってた。二人とも連れて行ってあげる」

妖精は特に姿を変えることもなく、人目を忍んで二人を街のある邸宅へと導いた。
立派ではあるが比較的小さなその屋敷からは、全く人の気配が感じられない。
メイドの一人や二人くらいいてもおかしくないとは思ったが、彼女の主一人しか住んでいないようだ。
彼女は二階の奥の小さな部屋へ二人を連れると、音を立てずに扉を開いた。

一人の老人が、古びた椅子に座りながらぼんやりと窓の外を眺めている。
明かりはなく、月の光だけが部屋を照らしていた。
彼女はディアナの手を引いてその老人に近付き、静かに囁いた。

「この人が、主が会いたがっていた人間」

彼はたった今彼女の存在に気付いたかのように振り向く。
ディアナとロイドへも順に目を向け、まるで脳に焼き付けるかのようにじっくりと顔を観察している。
最後はディアナに視線を戻し、彼はゆっくりと口を開いた。

「君がここへ来たということは……私も覚悟を決めなければならないようだ」

彼は傍らの引き出しから一枚の写真を取り出し、ディアナの顔と写真に交互に目を移す。

「この写真の娘に付き添う剣士。君がラストニアの……」
「そういう広まり方をしているのか」
「いいや、まだ一部の人間しか知らないだろう。だが広まるのも時間の問題だろうね」

426偽悪的征服録 Ep.7:2010/06/13(日) 20:27:41 ID:Z0z7nPz6
穏やかな口調で淡々と話す彼を、ディアナは不安げな表情で見つめている。
ロイドの動向にも気を配っている様子だった。

「状況を見ればわかる。私は君に殺されるのだろう?」
「目的次第だ。狙いは俺か?」

彼は問いには答えない。代わりに思い出を語るかのような懐かしげな声で、誰に言うわけでもなく呟き始めた。

「この大陸の街には、ラストニアの侵略から命辛々逃げ延びてきた人間が多く存在する。
 かく言う私もその一人だ。孫も娘も皆死んでしまった。今は財力だけで生きているが……何の実りもない、
 変わらない毎日を繰り返している。いつだったか、珍しい赤い目の鳥が毎日餌を食べに来ていたが、
 あの鳥もいつの間にか来なくなってしまった」

再び窓の外をぼんやりと眺めながら、彼は全てを諦めたような面持ちで話を続ける。

「これは私の、君に対する細(ささ)やかな復讐なんだ。私は何の力を持たない。
 だからこうして君に繋がる情報を流してやれば、誰かが君を窮地に追いやってくれるだろうと考えた。
 この写真は噂を聞いて他人に頼んだものだ。この世の中、金で動く人間が多いからね」
「……主」

傍で老人を見つめ続けていた妖精が何か言いたげに口を挟むが、彼はそれを遮るように彼女に礼を言った。

「君が何故私の前に現されたかわからないが、こんな薄汚い願望のために動いてくれて感謝しているよ」
「主……、本当に……」
「これで全て白状したつもりだ。君が知りたかった情報は含まれていただろう?今更知ったところで
 どうにもならないだろうがね」

彼女の言葉を最後まで遮り続け、彼はロイドの反応を待たずディアナに向き直った。
そしてすぐに、面目ないといった様子で、折り入って自らの非行を詫び始めた。

「巻き込んでしまってすまなかった。しかし、君にはどうしても一度会っておきたかったんだ」
「私に……?」
「君達をひと目でも見た人間の認識は大体こうだ。君は彼に丸め込まれているか、彼と同じ思想を持つ人間だと。
 教えてくれないか?君が彼に味方する理由を」
「それ……は」

ディアナは答えなかった。彼女なりの答えは持っているのだろうが、その心も揺らいでいる。
躊躇いに満ちた表情がそれを物語っていた。
427偽悪的征服録 Ep.7:2010/06/13(日) 20:28:26 ID:Z0z7nPz6
老人はその様子を見、優しい眼差しでディアナを諭した。

「無理に答えなくていい。困らせて悪かった。君は君の思う通りに生きるといい」
「あ、あの」
「さて、私をどうする?また何を仕出かすかわからないし、君にとって害悪でしかないだろう。
 私ももう長くない……殺すなら一思いにやってくれ」

言いたいことを一頻り言い終えると、彼は窓越しに天を見上げた。
復讐からの解放、そして最愛の家族に迎えられる喜び。
穏やかな瞳を湛えた表情が、それを滲み出している。

「ロイド……まさか……」

ディアナは全てを言い切らず、暗にロイドを牽制する。
既に目の前で空を仰いでいる老人は、脅威でも何でもなくなっている。
一先ず彼に仕える妖精を何とかすれば、これ以上事が大きくなることはないのだ。
何とも言えない表情で老人を見つめる妖精に向かい、ロイドが声を掛けると、彼女はすぐに振り向いた。
利用すべきは、先程から彼女が気に掛けていること。

「おまえは何だ?」
「私は……、願いを叶える精……」

彼女は躊躇いがちに答える。彼女はおそらく、願いを叶える性質など持っていない。
心を読む性質を利用し、老人がそうさせたのだ。

「早く主の望みを叶えてやれ」
「…………」

老人は椅子に座ったまま、何も言わずに全てを受け入れるかのような眼差しを彼女に送っている。
彼女はゆっくりと彼に歩み寄るが、何も出来ずにただ立ち尽くしていた。
やがて彼が慈愛に満ちた表情を見せると、彼女は愁いを湛え彼に唇を寄せた。
皺の寄った細い腕が、力なく椅子から垂れ落ちる。彼女が唇を離した頃には、老人は既に動かなくなっていた。

「森へ帰れ。ここはおまえの居場所じゃない」

彼女は暫らく、呆然とした様子で冷たくなり行く主を見つめていた。
全ては彼のための行動だったはずが、最後には死を望まれてしまったのだ。
やがて無言のまま、安らかな表情で眠る彼からゆっくりと離れ、ロイドの言葉に従い森へ向かった。


「……当分、この森でおとなしくしてる」

湖に辿り着くと、彼女はこの先人里に出ないことを約束した。
そして街を出た時から俯き続けているディアナに面と向かい、自責の念を浮かべ口を開いた。

「勝手に姿を借りてごめんなさい。お詫びにあなたの願い、叶えてあげる」
「まだそんなこと言ってるのか?」
「これが最後」

428偽悪的征服録 Ep.7:2010/06/13(日) 20:30:40 ID:Z0z7nPz6
ディアナは戸惑いながら顔を上げた。二人は暫し見つめ合っていたが、まるでディアナに感化されたかのように
彼女を見つめる妖精も戸惑いを見せた。

「あなたの願いがわからない。心が迷いに満ちてる」
「……!」

ディアナが顔を伏せると、森の妖精は残念そうに退いた。
が、すぐにロイドの視線に気付き、ディアナは誤魔化すように彼女に声を掛けた。

「あ、あの、ところでどうしてあの人を主に?」
「私も恩義は感じるから」

彼女は目を細めて微笑み、小さな赤い目の鳥に姿を変えて森の奥へと飛び去っていった。
意外に話が続かず、ディアナは困ったようにじっと自分を見つめるロイドの様子を窺う。
街へ戻ろうと彼女に催促されるが、ロイドは全く応じる気配を見せない。

「何を迷っている?」

帰途につかないロイドに、ディアナは一層困惑する様子を見せる。
言いたくない、という思いが態度に有り有りと表れていた。

「別に、迷ってるわけじゃ」
「……ディアナ」

心を読む妖精に迷いを指摘されている以上、嘘は通用しない。
名を呼んで彼女の嘘を咎めると、ディアナは首を振って退いた。

「私だって、知られたくないことくらい……」
「駄目だ。話せ」
「ね、もう戻ろう。ずっとここに居ても仕方ないし」
「街に戻っても行く当てはない」

何も言い返せず、ディアナは視線を逸らして口をつぐむ。
一つだけ感付いていた。彼女の中で一つだけ、絶対的な思いがあるはずだった。
彼女はずっと、自分の思いがロイドに受け入れられることを望んでいたはずなのだ。
つまり、それさえも迷っている。たとえ僅かだとしても、ロイドは彼女の心が自分から離れつつあることを
感じ取っていた。
突き刺さる視線に居心地の悪さを覚えたのか、ディアナはロイドに背を向け一人歩き出す。

「私、一人でも戻る」
「俺から離れるなと言っただろ」

未だ彼女を探す人間が多く存在している。今街に戻るのは、決して良い選択とは言えない。
踏み止まる彼女に背後から近付き、不意に肩に手を置くと、ディアナはびくりと身を震わせた。

「……何怯えてんだよ」
「怯えてない……」

後ろから彼女の頬に手を回し、試すようにゆっくりと唇を近付けると、彼女は逃げるように顔を逸らした。
それを咎める視線で彼女の瞳を射抜くと、先程の言い分に反しディアナは明らかに怯んだ様子を見せる。
429偽悪的征服録 Ep.7:2010/06/13(日) 20:31:26 ID:Z0z7nPz6
予想は大きくは外れていない。そう思うと同時に、ロイドは強引に唇を引き寄せた。

「っ……!?んっ」

逃がさないよう頬を強く押さえ、より深い口付けを与える。
ディアナは抵抗の声を漏らしながら離れようと抗うが、僅かに力を弱めてみせると、彼女はすぐにロイドの胸に
手をついて突き飛ばし脱出を図った。
ロイドはそれを見越していたかのように、透かさずその手を引いて彼女のバランスを崩し共に草むらに倒れ込む。
ディアナの表情に焦りの色が見えた。

「こんなことしたって……!いや、待っ……」

顎を掴んで背けられた顔を定位置に戻し、ロイドは再び強く唇を押し付ける。
ディアナは何とか逃れようと首を振るが、無駄な徒労に終わっていた。
唇を割ってその先を求めるも、彼女は頑なに侵入を拒む。仕方なくローブの上から胸の膨らみを弄ると、
ディアナは反射的に短く息をつき、あっさりと侵入を許した。

今しがた、彼女が自分を拒絶した声がロイドの耳に残っていた。
本当はそうあるべきなのだ。万人に憎まれる人間になど、心を寄せてはならない。
それでも彼女に対し、それを許さない自分がどこかに存在することを、ロイドははっきりと自覚していた。

舌を絡めて隅から隅まで彼女を堪能しつつ、彼女の胸元を閉じている細いリボンを解く。
晒された柔らかな胸の先端を指の先で何度も撫でると、次第にそこは硬くなり、その存在を主張し始めた。
後はとにかく、時間を掛けて愛撫を続ける。苦しそうに声を詰まらせながらも、ディアナはロイドの腕を掴み
抵抗の素振りを見せるが、その手はすぐに離された。意図は拘束の回避。彼女ながら賢明な判断だった。

最後に唇を舐め長い口付けを終えると、ディアナは森の冷たい空気を何度も吸い込み、熱の篭った脳を冷やす。
その姿からは、先日のような積極的にロイドを組み敷こうと意気込む姿など全く想像できない。

「言うから、やめ……あっ」

内腿の奥を覆う、僅かに湿った布を剥ぎ取りそっと奥に触れると、彼女は慌てて脚を閉じる。
片足を抱え、彼女の膣口をなぞるようにゆっくりと指を這わせながら、ロイドはディアナの様子を眺めていた。
先日とは打って変わり、ロイドに向けられているのは明らかな拒否の眼差し。

「いや……あっ、あぁっ!」
「嫌?好かれてるつもりでいるんじゃなかったのか?」
「それ……はっ……!ああぁっ!!」

430偽悪的征服録 Ep.7:2010/06/13(日) 20:32:14 ID:Z0z7nPz6
不意に彼女の小さな芽を擦り上げると、ディアナは身を捩って喘ぐ。
少しずつ指を捻じ込み、指の腹を押し付けながらゆっくりと往復させると、更に情欲を煽る声が上がった。

「い、言えば、止め……」
「……言えればな」

言うわけがないのはわかっていた。当人を目の前に、負の感情をディアナに伝えられるはずがない。
尤もらしい嘘をつけばそれで済むことなのだ。
徐々に速度を上げて彼女の中を掻き回し、快楽によって偽りを生む思考を妨げる。
ディアナの身体が震え大きな嬌声が響き始めた頃、ロイドは指を押し込み動きを止めた。
彼女はまだ、達してはいない。

「言ってみろ」
「……っ!」

どう見ても話せる状態ではない。絶頂間際で突如止んだ快楽に彼女の身体は熱く火照り、もどかしそうに
身動ぎしている。
もう一本の指を切なげに蠢く花弁に触れさせ『二度目』の開始をそれとなく伝えると、彼女は慌てて口を開いた。

「わ、私……、ん……っ!」

ロイドはすぐにディアナの首に手を回し、開き掛けた唇を塞ぐ。
同時に二本の指で中を何度も穿ると、彼女は身を反らして大きく悶えた。
くぐもった声を漏らし、ディアナは震えながらロイドの腕を強く掴み快楽に耐え続ける。
やがて、一際強く腕を握りつけられ痛みさえ覚えた瞬間、ロイドは指を引き抜き唇を離した。

「う、あ……、いやぁ……」
「何が?」

ディアナは頬を染めながら何も言わずに顔を背ける。
静かにベルトを外し、固くなった自身を彼女の秘所に押し当てると、ディアナは固く目を閉じて身を強張らせた。

「止めて欲しいか?」
「…………」

彼女は暫らく沈黙していたが、ロイドが少しずつ侵入を始めると、焦った様子で制止を訴えた。

「やっ……、やめてっ!」
「その前に言うべきことがあるだろ」

要求とは矛盾し、ロイドは激しい抽送を以って打ち明けさせまいと彼女を絶頂へと導く。
ディアナはすぐに全身を震わせ、悲鳴とも取れる声を上げた。

「いやっ……、あっ!あああぁぁっ!!」

発せられた言葉とは裏腹に、彼女はまるで待ち侘びていたかのように打ち込まれる固い楔状の塊を締め付け、
離すまいと引き込む。
だが、その先はまだ与えない。逸る欲望を抑え込み徐々に腰の動きを緩やかにしていくと、ディアナは
落ち着かない様子で何度も息を吐いた。

431偽悪的征服録 Ep.7:2010/06/13(日) 20:32:53 ID:Z0z7nPz6
「んっ……う……、私、ロイドが……」
「信じられないんだろ?」

瞬時にロイドに向けられる、強い意志を宿した眼差し。
やがてそれは驚きと戸惑いに揺らぎ、力なく首が振られた。

「ち、違う……!」
「これだけ明らさまに態度を変えておいて、何が違う?」
「違う、話を……」

聞く気になどなれない。ディアナの胸の内と若干の差異があろうとも、どうせ方向性は変わらないのだ。
片足を抱え込んだまま覆い被さり、何度も貫いて沈黙を強要するが、彼女は喘ぎながらも必死にロイドの言葉を
否定する。

「あ、ぁっ!いや、話を……っ!お願……」
「話したいなら話せ」

自己の満足よりも、既に限界に近い彼女に与える悦楽を優先し、ロイドは猛然と彼女の告白を妨害する。
ディアナは釈明の機会を乞いつつもついに堪えきれず、絶え間なく送り込まれる大きな快楽に呑まれた。

「と、止ま……ぁぁあああっ!!」

この程度で終わらせるつもりなどない。ロイドは抑え切れずに声を上げる彼女を抱きすくめ、腰を突き出して
小刻みに最奥を圧迫し続けた。
木々に囲まれた閉鎖的な空間に必然的に響き渡る、悦びとも苦しみとも取れる女の叫び。
ディアナはロイドの背を掻き毟るように掴み、白い喉を見せながら仰け反り続けた。

奥へと押し込んだまま動きを止めると、ディアナは息を詰まらせながら瞳を滲ませる。
身を固くし、爪を立てて指に力を込めるその様子から窺えるのは、更なる快楽への警戒心。
ロイドは再び同じ要領で動き出し、彼女の覚悟に応えた。

「いっ……、やあぁっ!ああぁあっ!!」

絶え間無く二人の耳につく、高い嬌声と粘液の混じり合う音。
それはたちまち大きくなり、ディアナは批難の声でロイドの名を呼び、再び果てた。

ロイドは余裕の表情でディアナを見下ろす。片腕を引きながら立つよう命じるも、ディアナは小さく呻き身体を
動かせずにいる。
ふと、傍らの湖の畔に、急な傾斜を持つ岩を目に留めた。
彼女の身体を引き上げその岩の前に無理やり立たせると、ロイドは再び拒否を許さない声色で命じた。

「手をつけ」
「…………」

少しの間を置き、岩肌に弱々しく片手が添えられる。
ロイドが唐突に腰を打ち始めると、ディアナは否応無しに両手で身体を支えなければならなくなった。
唇を噛み締めて抑え切れない声を殺し、彼女は俯いたまま与えられる快感に耐えている。

432偽悪的征服録 Ep.7:2010/06/13(日) 20:34:30 ID:Z0z7nPz6
不意に背後から手を回し、胸の突起を指の付け根で挟み込み揉み上げると、ディアナは驚いて喚声を上げた。
すぐに胸元へと向いた彼女の意識を戻すべく、ロイドは背後から貫いた状態で乱暴に彼女の中を掻き乱す。

「ぁあ、あんっ、や……っ!」

上下同時に責め立てられ、ディアナは何度も喘ぎつつ力なく岩へもたれ込んだ。
夜露に混じり、明らかにそれとは異なる滴が彼女の太腿を濡らしている。
それは、度重なる交接に対する順応の証。

「この程度じゃ足りないだろ?」
「……、もう、十分……んっ!」

背を押し付けて湿った岩に密着させ、彼女が最も声を張り上げる場所を、擦り込むように集中的に突く。
許しを乞う声は全て聞き流し、代わりに著しい責め苦を与え続ける。
悲鳴に似た叫びが響く中、ロイドは幾度も角度を変え欲望のままに彼女を突き立てた。

「いあぁっ!だめ、だめっ!も……あっ、あああぁっ!!」

ディアナが果てても尚、ロイドは腰を打ち続ける。徐々に込み上げる猛りを感じると、彼女が息を詰まらせて
喘ごうとも全く気に掛けず、自らの欲望を解放すべく一層激しく突き上げ続けた。

「いや!お願……っ!や、め……あ、ぁっ……──っ!!」

歯を食い縛って絶頂に耐えながら、彼女は全ての精を搾り取るかのように自らを貫く楔を強く締め付け、離さない。
ロイドは滾る情念に敢えて流され、自分を刻み込むように初めて彼女の中に己を放った。
ゆっくり彼女から自身を引き抜くと、白く濁った液体が彼女の内股を伝い、零れ落ちた。


久々の野宿。何気なくそう思いつつ、ディアナを抱えてその場に座り込む。
彼女は結局最後まで、自分の意思を伝えることができずにいた。
今も口を利ける状態ではなく、彼女は諦めた様子でロイドに身を預け、静かに瞼を閉じた。

ロイドは互いの身なりを整え、ディアナを見つめる。彼女が一体何を思い、心を揺らがせたのか。
そんなことは、自分の所業とその結果を目の当たりにした人間相手ならば、容易に推測できること。
そして且つ、それは取るに足らないことだった。彼女が何を思おうとも、絶対に自分の元から逃がしはしないのだ。

それよりも当面の問題は、一人の老人の復讐劇がディアナを愛する人間が多く残してしまったこと。
寝息を立てるディアナの隣で、ロイドは気が滅入った面持ちで宙を仰いだ。

この大陸にいる限り、気が休まらないことを覚悟した。
433名無しさん@ピンキー:2010/06/13(日) 20:35:08 ID:Z0z7nPz6
以上、続きます。
434名無しさん@ピンキー:2010/06/14(月) 02:02:13 ID:Mfx20c+y
>>420-433
やっぱり虐められるディアナちゃん
でもそこが可愛いよGJ
435名無しさん@ピンキー:2010/06/14(月) 09:23:44 ID:WBPfsyxU
ディアナちゃん来てたー!GJ!!
最近規制がひどくて困るw
PCはもう1ヶ月以上ダメだ
436名無しさん@ピンキー:2010/06/14(月) 18:52:06 ID:Mfx20c+y
>>435
延々死んでるとこが多過ぎですねw
エロパロ板とか住民少ない板は板全体が死にそうですだよ
437名無しさん@ピンキー:2010/06/15(火) 00:01:20 ID:Ia5M6S4T
男視点で見たら愛するが故にryでも女からみたら愛人に命令されたから仕方なく色仕掛けしてました、
騙す形になってごめんなさいっていう電波が飛んできたんだけどこういう話は別スレ向き?
438名無しさん@ピンキー:2010/06/15(火) 02:42:42 ID:5RE1CcVY
>>437
それは男が女の色仕掛けにひっかかって女を無理矢理ってこと?
それとも女が命令されて色仕掛けで男を無理矢理ってこと?
後者だとなかなか難しそうな・・・
前者だったら真実を知った男が逆上してまたも無理矢理とかおいしいです
439名無しさん@ピンキー:2010/06/15(火) 02:45:48 ID:hN2D6ydp
>>437-438
前者だと途中で男に情が移り苦悩する女とか
襲われた時にある意味ホッとする女とかが楽しめそうだな

最後は男の元へ行きかっての雇い主と決別する女とか
440名無しさん@ピンキー:2010/06/15(火) 10:14:34 ID:W/buX/cJ
>>433
ロイドさんはとことんいじめっ子ですね。言い訳すら聞かずにいじめまくるとは…
そしてディアナちゃんはどこまでもいじめられっこだなあ。
いいぞもっとやれw

偽ディアナちゃんは、その辺の男をベッドに誘うときは、相手のして欲しい事を
なんでもしてあげるんですね。エロい…。
主がじいさんでなければ、どうなっていたことやら。
偽ディアナちゃんにメロメロになった男達は美味しいですね。集団でディアナちゃんを
襲ったりして…。
当然の如くロイドさんに返り討ちに遭うんだろうけど。
441名無しさん@ピンキー:2010/06/16(水) 01:35:03 ID:ChwVXWn1
>>440
年老いるとやっぱ性欲なくなるもんかね。
無理矢理襲える年齢は何歳くらいまでだろう。
442名無しさん@ピンキー:2010/06/16(水) 23:42:28 ID:VlFZWSnA
>>433

ディアナたんは虐められっ娘可愛い

>>441
まぁ、高齢の強姦魔もいるようだし人次第でしょう
老人ホームとかじゃ高齢者の性が真剣に問題になってるようだし
ジジババになっても盛んな人は盛んなようですね。
443名無しさん@ピンキー:2010/06/17(木) 23:29:21 ID:UUzBWaCm
>>433
GJ!
偽ディアナたんだけでもいいのでマジくれ

今さらだけど規制中に>>155-158で未亡人と青年の短いものを書いてみた。
美熟女というかただの思い込みの激しいツンデレお姉ちゃんになったけどな。
タイトル『マリア』で各自NG・スルーお願いします。
投下します。
444マリア:2010/06/17(木) 23:33:04 ID:UUzBWaCm
割れ目から陰茎が抜かれると、何度も膣内に吐き出され、収まりきれない精液がこぽりと溢れ出てくる。
「マリア、とてもいい格好だね」
マリアの両足を大きく開き、痙攣する秘部を見つめながらマリアを犯す青年はうっとりと溜息をつく。
青年の体力が続く限り続けられる行為に、マリアは身も心も擦り切れそうになりながら、肺に酸素を取り込もうと、
大きく口を開けて必死で息をする。
まだ体力に余裕があるらしい青年も額から汗を流しながら、慈愛のこもった目でマリアを見下ろす。
「大丈夫かい?マリア」
マリアの上気した頬に触れ、親指で涙を拭いながら、青年は訊ねる。
マリアはふるふると首を振り、縋りつくように青年の手をぎゅっと握り締める。
「もう……無理よ。お願い、ヨハン。こんな意味の無いことはもうやめて。
あなたには婚約者と輝かしい未来がっやあっ……!」
ヨハンと呼ばれた青年はマリアの左足を肩に担ぎ上げて、マリアの秘裂に自身の先端をあてがう。
青年の陰茎はすでに硬さと大きさを取り戻し、今にもマリアの奥深くまで貫こうと、狙いを定めている。
無理やり行われている行為とは裏腹に、青年はマリアを魅了し続ける翡翠の瞳を細め、優しげな笑顔を怯えるマリアに向ける。
「マリア。初めて僕達がキスをした時、君から僕にキスしてきたね。そして服を脱ぎ捨てて僕を誘ってきたのだって君だ」
マリアは唇を噛み締め、瞳を涙で潤ませる。
否定はできない。しかしここで抵抗しなければ、この素晴らしい青年の未来を奪うことになる。
「でも、違うの!私はあなたに諦めてもらうつもりであんなことをしたけど、でもあなたは違う。だから駄目なのよ」
ヨハンの顔からすっと表情が消える。
そしてマリアの奥深くに重い衝撃が走る。一気にヨハンに貫かれ、引き抜かれたと思えば、また最奥に熱を打ちつけられる。
悲鳴とも嬌声ともつかない声がマリアの寝室に反響する。
どうしてこんなことになってしまったのか。
マリアがかたく目を閉じると、彼女の脳裏に彼との思い出の数々が次々と流れていく。 

一番古い記憶は数ヶ月前の春――。
春の包み込むような陽気の中、深い森の奥でマリア・ドナウアーは夫の墓標の前で手を組み、祈りを捧げていた。
背後で草を踏む音が彼女の耳に届き、マリアは瞼を開け、すっと立ち上がり、背後を振り返る。
「こんにちは、ドナウアー夫人」
明るい翡翠の瞳を細め、背の高い精悍な顔立ちの青年は柔らかくマリアに微笑みかける。
「ヴァレンシュタイン家の……」
「ヨハンです」
ヨハン・ヴァレンシュタインは腕に抱えた花束を墓標の前に捧げ、膝をつくと、先ほどのマリアと同じように手を組み祈りを捧げる。
「あなたの名前くらいちゃんと覚えてるわよ。いいのよ。こんなに頻繁に来てくださらなくても」
彼女の棘のある言葉にも青年は気分を害した様子もなく、いいえと首を横に振る。
「亡くなられたレオナルト・ドナウアー氏は私の親友の兄君です。幼い頃はとても可愛がってもらいました」
マリアは口の中で嘘吐きと呟く。
生前レオナルトの口から弟の名前は滅多に出ることはなかった上に、彼は面倒見のいい男ではけしてなかった。
445マリア:2010/06/17(木) 23:34:27 ID:UUzBWaCm
この青年がここに来る理由はわかっている。他ならぬ自分が目的だ。
こんな年下の若い青年がどうして自分なのか、マリア自身も不思議でたまらない。
ヨハンはレオナルトとは比べ物にならないほど顔立ちは整い、ヴァレンシュタイン家の名は国中に響き渡るほどだ。
まだ結婚はしていないらしいが、婚約者は確実にいるだろう。遊び相手を探すにしても、二流貴族の未亡人でなくとも良い。
それなのに彼はマリアが森の中で夫の墓の前で祈りを捧げていると、どこからともなく現れ、熱心にマリアに愛の言葉を囁くのだった。
「さぞここはお二人にとって思い出のある場所なのでしょうね」
森の中を見渡しながらヨハンがマリアに訊ねると、マリアは顔色を曇らせ黙り込む。
「どんな夫婦生活だったのですか?」
矢継ぎ早に質問を浴びせるヨハンにマリアは背を向ける。
「若いあなたに聞かせるような話ではないわ」
「……ということは、あまり良い夫婦生活ではなかったと」
マリアは再びヨハンに体の正面を向けるとヨハンをきっと睨みつける。
これまではヨハンの失礼な言葉も受け流してきていたが、今日はできなかった。
ヨハンの言葉が図星だったからだ。
「あなた、私を見ていてそんなに楽しいの?
 わかったわ。あなたがここに来るわけ。
 あなたが私を好きなんじゃないかと思っていたけど、ごめんなさいね?自意識過剰だったわ。
 あなた、レオナルトの弟と影で私を笑っているんでしょ?
 私とレオナルトのこともどうせ知ってるんでしょう?
 そうよ、私たちは良い夫婦なんかじゃなかったわ。
 夫が私と結婚したのは、私の父親の財産が欲しかっただけよ。
 最初は私も若かったし、それなりに夫婦らしいこともしたけど、流産してもう子どもを産めないとわかると、愛人の家に入り浸り。
 そして愛人との旅行中に事故で死ぬなんて……いい気味だわ。
 どう?世の中の夫婦なんてこんなものよ。おわかり?」
感情が昂ぶるままにマリアはヨハンに激しく言葉をぶつける。
彼は黙ってマリアの言葉に耳を傾け、そして静かに首を横に振った。
「いいえ。あなたをからかっているわけではありません。
 あと最後の世の中の夫婦というのはわかりかねます。私の両親は一風変わってますので」
ヨハンの言葉が信じられずマリアは顔を赤くしたまま顔を背ける。
「そう。幸せな家庭で育ったのね。
 そうよね、あなたはヴァレンシュタイン家のご長男ですものね」
どんなにマリアが感情を剥き出しにして皮肉をいっても、ヨハンは反論をしてこない。
次第にマリアの中で彼に対しての罪悪感が首をもたげる。
もし彼の言葉が本当だったら――?
彼はわざわざ貴重な時間を割いて会いにきてくれている。
思い返してみればヨハンは始終マリアに対して誠実な態度だった。
むしろマリアの方が夫を亡くした悲しみや日頃の鬱憤を彼にぶつけて、彼を酔狂だと馬鹿にさえしていたところがある。
眉間に皺を寄せ、唇を噛む。
「もう帰って……。こんな人生の終わったような女のところになんて来ちゃいけないわ」
「まだまだあなたはお若いですよ。それとあなたを好きなことに嘘偽りはありません」
「……あなた、おいくつ?」
「今年で二十歳になります」
マリアは鼻で笑う。彼に対してではなく、自分に対して。
「十近くも歳が違うわ。遊ぶならもっと若い娘と遊びなさい。遊べないなら、さっさと婚約者と結婚しなさい」
こんな若者に対して本気で怒ったり、戸惑ったりしてどうかしている。
すっとマリアに向けて伸ばされたヨハンの右手をマリアは払い退けた。
「触らないで!」
「そんなに怯えなくとも」
「怯えてなんかいないわ!馬鹿なことを言わないで!もう帰って!」
マリアは体の前で腕を組み完全にそっぽを向く。
446マリア:2010/06/17(木) 23:35:40 ID:UUzBWaCm
マリアに叩かれた右手を見つめてヨハンは口を開く。
「……私はもしかするとこの世に生れ落ちていなかった人間だったのかもしれません」
いつもマリアに語りかけてくる明るい声から一転して、無味乾燥とした淡々とした口調に、マリアは驚き思わずヨハンの方を向く。
彼の表情もどこか暗く、そんなヨハンにマリアは胸を締めつけられる。
「突然どうしたの?かのヴァレンシュタイン家の家督を継ぐ人間が、そんなはずは……」
「本当なんです。だからここでこうしてあなたと話をしていることは奇跡に近いんです。……私の母親のことはご存知ですか?」
彼が自分の話をすることはあっても、積極的に彼がヴァレンシュタイン家のことを話すのはこれが初めてだった。
マリアは不意をつかれたのかのように、素直に頷く。
「だけど、ヴァレンシュタイン夫人のことは、夫婦仲がとても良いということくらいしか」
ヨハンは小さく悲しげな笑みを零す。
「今はもう忘れさられてしまったのかもしれませんね。
 そのヴァレンシュタイン夫人は一般の家庭の生まれだったんです。
 しかもとても貧しい家庭の。あまりに貧しく、ヴァレンシュタイン家に奉公に出たのが、私の父との出会いです」
ヨハンの話が本当ならば貴族の男と一介の使用人の女が正式な夫婦となり、子どもを作ったということだ。
貴族の男がメイドを手篭めにする話ならばよく聞く話だが正式な夫婦となるとマリアも聞いた事がない。
「親子ほども年の離れた貴族の男とメイドの少女から生まれたのが私です」
「あなたの事情はわかったわ。でも、それでどうして生まれてこなかったかもしれないなんて言うの?」
「ただの一介のメイドが屋敷の主人を誑かして身ごもったなんて、世間が許すでしょうか?
 もし亡きドナウアー氏が屋敷のメイドと関係を持って、そのメイドが男の子を産んでも、あなたは許しますか?」
マリアは考え、考えたことをそのまま口にする。
「……正直に答えると、許せないと思うわ」
「私はそうゆう子供だったんです」
彼の両親が世間から非難されただろうことは容易に想像がつく。
その子どもの彼もきっと生まれてきたことが罪であるかのように酷い言葉を浴びせられたのだろう。
結婚生活では惨めな思いをしてきたマリアも貴族の令嬢としては何一つ不自由のない生活を送り、蝶よ花よと育てられた。
マリア自身も幸せな子ども時代だったと思う。
本来ならマリア以上に幸せな生活を送っていていいはずの彼がそんな惨めな思いをしていたのかと想像すると、
彼へ抱いていた怒りは消え去り、同情の念さえ沸き起こる。
「ヨハン。ごめんなさい。どうしても適切な言葉が浮かんでこないわ。私、あなたに何て言ったらいいか……」
マリアの瞳から涙が零れ落ちる。
まさかマリアが泣くとは思わなかったヨハンは逆に彼のほうが慌てて、ハンカチを取り出すと、
マリアの目元に当てて涙を拭き取る。
「すみません。あなたを泣かせるつもりはなかったんですが。
 今の話も本当ですが、あなたが言ったように恵まれた幸せな家庭で育ったというのも事実です。
 この話をしたのは、さっき思わずあなたの過去を知ってしまったので、
 あなたにも私の過去を伝えておかないとフェアではないと思って」
彼は若さゆえに真っ直ぐなのだろうとマリアは思った。
自分もこんなに真っ直ぐな頃があったのだろうかと懐かしい気持ちになり、ふっと口元を緩ませる。
「ヨハン。……マリアでいいわよ」
ヨハンの首に両腕を絡ませると、マリアはヨハンの唇を塞いだ。
447マリア:2010/06/17(木) 23:37:08 ID:UUzBWaCm
それからもヨハンはマリアを尋ねて来る。
森の中だけの逢瀬も自然とドナウアーの屋敷でも行われるようになった。
いつの間にかヨハンがマリアを想うように、マリアもヨハンを想うようになっていた。
まだ肉体関係には至っていない。
それでもヨハンと過ごす短い時間はマリアの心を幸福で満たすには充分すぎるほどだった。
マリアは初めて恋をする少女のようにそわそわと落ち着きなく、鏡を見たり、髪を整えたりしながら、ヨハンを待つ。
それがまだヨハンが来るにしては早い時間だとわかっていても。
その日もそうしていると、メイドが客の来訪をマリアに伝えるが、それはマリアにとって思わぬ人物だった。
客の名前はクラウス・ヴァレンシュタイン。ヨハンの一つ下の弟だという。
ソフトなイメージの明るいヨハンとは対照的に、クラウスは真面目そうな寡黙な印象を与える青年だった。
彼は単刀直入にヨハンにはクリスティーナという婚約者がいることを告げ、マリアにヨハンと関係を切るように迫った。
まるで悪人のように責められて、マリアはクラウスを屋敷から追い出した。
しかし冷静に考えると、確かに他人の目には暇を持て余して若い青年を誑かす未亡人に映るのだろう。
マリアは考えた末にヨハンの将来を思いヨハンとの関係を切ることを決めた――。


「ねえ。ヨハン。私といると楽しい?」
マリアはソファの上で積極的にヨハンへと抱きつく。
ヨハンもマリアを抱きしめ返し「すごく楽しいよ」と耳元で囁く。
「でも、どうせ……」
「どうしたの?マリア」
急に顔を顰めたマリアの顔をどうしたことかとヨハンは覗き込む。
「だったらどうして私を抱こうとしないの?」
「大切にしたいからだよ」
そうヨハンは即答するが、マリアは納得できない。
「大切にされるほど若くないわ。男が初めてってわけじゃないってあなたも知っているでしょう?」
むきになるマリアにヨハンは苦笑する。
「今日のマリアはすごく我儘で気の強いお嬢様だね」
ヨハンの言うとおり、年を取ってもいつまでもお嬢様が抜けない。
それに比べて常にヨハンは落ち着いている。
どちらが年上で年下なのかわからない。
「あなたより年上よ?」
お子様扱いは年上としてのプライドが許さなかった。
マリアはその場で服を脱ぎ始め、下着まで脱ぎ捨て、ヨハンの前に生まれたままの姿を晒す。
若い頃ほど肌に張りはなくなったが、子どもを産んでいないためか、プロポーションは崩れていない。
ヨハンはマリアの女体をじっと見つめる。顔から余裕は消えていた。
「本当に今日は暴走するね」
「どう?」
実のところ男を誘うのはこれが初めてだった。
自分の肉体に関する評価を訊ねるのも初めてで、勢いで服を脱ぎ捨ててしまったものの、
自分が女の体としてどれほどの位置にいるのかはマリアにも自信がなかった。
448マリア:2010/06/17(木) 23:38:15 ID:UUzBWaCm
「綺麗だ」
ヨハンから出た一言に、マリアはほっと胸を撫で下ろす。
そしてソファの上に乗り上げ、ヨハンの足に素足を絡め、ヨハンにもたれかかる。
「いいでしょ?ね?ヨハン」
胸を緊張でドキドキさせながら一生懸命にヨハンを誘ってみる。
ヨハンはというともぞもぞと上半身に動きをみせ――マリアの上半身がふわりと温かくなる。
「風邪をひくよ」
彼は自分の上着を脱ぐとマリアにしっかりと着せ、マリアの体を脇にどけると立ち上がる。
「え?ど、どうして?」
予想外のヨハンの反応におろおろとするマリアに目もくれずに、ヨハンは手早く帰り支度を整えていく。
支度を終えるとさっさとドアへと歩いていくヨハンをマリアは追いかけて、服の裾を握り締める。
「明日は妹のエリザベータと朝早くから花壇の水遣りをする約束をしているんだ。失礼するよ」
マリアの計画ならば、ヨハンと一夜を共にして、それでなんとか理由をつけてすっぱりとヨハンと関係を断つつもりだった。
それがここに来てのまさかの妹との水遣り。
妹との約束が優先されたことに落ち込みそうになりながらも、なんとかヨハンを引き留めようと、
ぐいぐいとヨハンの服の裾を引っ張る。
「ま、待って!ヨハン、あなた、私のことが好きだったんじゃないの?」
ヨハンは頷きながらも、服の裾を掴むマリアの手に触れると、そっと手を外させる。
「ああ。好きだよ。年上の割にいつまでもお嬢様が抜けなくて、気が強くて、
 気持ちが昂ぶると子どものように喚き散らしてしまうマリアをね。
 私は娼婦を好きになったわけじゃない。今日のマリアはマリアらしくない」
そういうなり、マリアの額にキスをして、ドアを開けヨハンは出て行ってしまった。
ドアが閉まると同時にマリアはその場にぺたりとしゃがみ込んだ。


翌日陽が昇るとヨハンへ謝罪の手紙を書き、ヨハンを待ちながらマリアは後悔の涙を流した。
一時間、三時間、五時間、陽が落ちてもヨハンはやって来ない。
いつしか泣き疲れてソファに横になるとマリアは泥のように眠りについた。
「マリア、マリア」
体を揺り動かされ、マリアはうっすらと瞼を開く。
目の前に恋焦がれたヨハンがいて、これはまだ夢なのだと思いながらゆっくりと体を起こす。
「マリアが暴走した理由がわかったよ。クラウスだね?あいつは余計なことをする」
遠くでヨハンが怒った声で何かを言っているが、回らない頭では正確にヨハンが言っていることを噛み砕けない。
マリアは額に右手をあて長く息を吐く。
「……クラウス?ああ、あなたの弟よね。ヨハン、ごめんなさい。あんな風にあなたを誘って、
 そしてあなたとの関係を終わらせようとして」
「君、終わらせようとしてたのかい?」
「だって……あなたは綺麗なままで婚約者と結婚しなきゃ。一晩だけ、一晩だけベッドを共にして、
 それを思い出に別れられると」
「……自分勝手な言い分だね。そんなの御免だ」
強い力で手首を掴まれ、マリアの寝室へと引っ張っていかれると、マリアの体はベッドへと押し倒される。
そこでマリアははっと我に返る。
「ちょっと、ヨハン!……本物なの?」
「お目覚めのようだね」
怒りと欲望を孕んだヨハンの目がマリアを見下ろしていた。
449マリア:2010/06/17(木) 23:39:18 ID:UUzBWaCm
ヨハンの手がマリアの衣服にかかり、マリアは必死に抵抗するが、男の力に敵うはずもなく衣服は剥ぎ取られていく。
「駄目っ!嫌だったら!」
「昨日は私を誘ってきたくせに」
マリアの首筋に顔を埋め、その手はマリアの乳房を揉む。
「昨日と今日は違うわ!いやあっ!やめてっ」
マリアが泣き叫んだところでヨハンは手を止めない。
右胸の先端に吸いつき、舌の上でマリアの乳首を転がしながら、右手はマリアの下半身の茂みを掻き分け、秘裂を弄る。
指を突き入れると、湿り気はあるものの、充分といえるほどの潤いはない。
指で膣内を解かし、上半身の至る場所へと舌と指を這わせる。
ヨハンの熱心な愛撫に、マリアの秘部からは次第に愛液が溢れ始め、ヨハンの指に蜜が絡みつく。
男の指をもっと奥へと引きこもうと膣内は収縮を始めヨハンの指を銜えこむ。
ヨハンは指を一本、二本と増やしていき、掻き混ぜ、擦り、抜いては奥へと根元まで差込み、マリアを悶えさせた。
マリアに行為をやめるように懇願されても、耳を傾けずに、マリアの足を割り開くと、マリアの中心に顔を寄せ、
男の指を銜えこみ愛液を滴らせていた敏感な場所を舐め上げる。
舐めても舐めても、ヨハンに応えるように、愛液は泉のように湧き出てきた。
マリアはシーツに顔を押しつけヨハンの愛撫に耐える。
ふとヨハンの愛撫が途切れ、ほっとしたのも束の間、マリアの秘裂にヨハンの熱が押しつけられ、一気に貫かれた。
「あっ!あああっ!」
必死でシーツを掴み、貫かれた衝撃をやり過ごそうとするが、ヨハンは最初から激しく腰を使い、マリアの体を揺さぶった。
「大切にしなくていいって言ってたから、遠慮はいらないね」
汗でべたつくマリアの細い腰をがっしりと両手で掴み、腰を打ちつけ、マリアの最奥を穿つ。
夫以外に体を開かれ、激しく青年の性欲をぶつけられ、駄目だとわかっていながらも青年から与えられる快楽に、
マリアも恐ろしいほど感じていた。
声に甘いものが混ざり、さらにヨハンを煽る。
「……あんっ!……ぁ……はっ……ヨハン!そっ、なに、激しくされたら、壊れるっ!」
肌と肌がぶつかり合う乾いた音がヨハンとマリアの聴覚を犯す。
マリアの体は無意識のところで、ヨハンの陰茎を締めつけ、ヨハンの精を搾り取ろうかとするかのように、奥へ奥へと誘い込む。
子宮口をぐっと押され、小刻みに刺激されて、マリアの腰はがくがくと震えた。
マリアが泣いて悲鳴を上げてもヨハンは容赦なくマリアを責め続け、ヨハンがマリアの弱い箇所を強く擦ると、
一際高い嬌声を上げたのと同時にマリアは絶頂に達した。
450マリア:2010/06/17(木) 23:40:23 ID:UUzBWaCm
ヨハンと関係を切るどころか、あの日からますますヨハンとの関係は深みに嵌まっていく。
クラウスの話ではヨハンは婚約者のクリスティーナを以前よりもないがしろにするようになったという。
このままではいつヨハンの両親であるヴァレンシュタイン夫妻が動き始めるか。
マリア自身が責められるのはかまわない。
しかしこれから貴族社会で活躍していくヨハンの経歴に汚点ができるのは耐えられない。
マリアはペンを取ると、ある人物に向けて手紙を認めた。
これまでの彼女の人生、レオナルトとの結婚生活、ある一人の青年と関係を持ってしまったことへの懺悔。
そして彼女の中に生まれた一つの願い――。
数日後その人から返ってきたのは一通の手紙と、一台の馬車。
マリアは何一つ荷物を持たず、その馬車へと乗り込んだ。
馬車がどこへ向かうのかマリア自身も知らない。
それでもどこかへ連れ去ってくれるのならば、願いが満たされるのならば、何も怖くはなかった。
馬車の中から長年暮らした屋敷を振り返る。
レオナルトとは随分と喧嘩ばかりしたが、人並みの結婚生活ではあったのかもしれない。
最後にはお互い愛が薄れていたが、それでも結婚したばかりの頃は確かにお互いを思いやる気持ちはあった。
そしてマリアにとって生涯二人目の男、ヨハン。
短いゆえに燃え上がるような恋であった。
もう二度と会うことはないだろう。
それが彼の人生のためだから。

「さようなら、レオナルト。さようなら、ヨハン」

二人の男に別れを告げ、青々と若葉が生い茂る初夏の並木道を、マリアを乗せた馬車は北へと走っていく――。


おわり
451名無しさん@ピンキー:2010/06/17(木) 23:42:52 ID:UUzBWaCm
以上です。
下腹がぽっこり出ていることを気にしている女の子の下腹をぷにぷにしながら
無理やり犯す話が書きたいと今唐突に思った
452名無しさん@ピンキー:2010/06/18(金) 02:15:02 ID:tWbFH2H7
>>443-451
乙!!
もう三十路なのに世間知らずで駄目なお嬢様っぽいマリアおばちゃんたまんねぇw
453名無しさん@ピンキー:2010/06/18(金) 04:08:06 ID:zyB2rlVL
>マリアの計画ならば、ヨハンと一夜を共にして、それでなんとか理由をつけて
>すっぱりとヨハンと関係を断つつもりだった

>「だって……あなたは綺麗なままで婚約者と結婚しなきゃ。一晩だけ、一晩だけベッドを共にして、
> それを思い出に別れられると」


ちょっと矛盾しすぎで意味がわかりませんでした
454名無しさん@ピンキー:2010/06/18(金) 11:38:29 ID:n7I4KHhz
>>451
GJ!!
その後どうなるのか気になるわー
青年にはぜひ執念深く追いかけてもらって、
逃げたお仕置きをたっぷりしてもらいたいね。
455名無しさん@ピンキー:2010/06/18(金) 22:30:41 ID:T+YS/SNN
>>451
GJです!!
このスレ的にはストーカー気質は相当美味しいネタになりそうです
マリアさんは逃げても逃げきれない選択肢がハアハアする。

>>453
「綺麗なままで」は経歴にかかっていると思われ
わかりにくくはあるけど
456名無しさん@ピンキー:2010/06/19(土) 00:40:07 ID:ZgCpVBBT
マリアさんは追跡者になったヨハンに捕まりたっぷりじっくりねっちょりお仕置きされるのか
胸が熱くなるな……
457名無しさん@ピンキー:2010/06/19(土) 02:56:32 ID:V2pf/1DD
おわりとあるんだから、もちろんこれで終わりですよね?
思わせぶりなことがあっても、あとは各自で脳内補完で
この話はもう終わりですよね?
458名無しさん@ピンキー:2010/06/19(土) 07:19:16 ID:XnnlV9be
各自の脳内で、いつまでも続く!
このスレは妄想力あふれる住人が多過ぎるからな
459名無しさん@ピンキー:2010/06/19(土) 13:20:29 ID:chVyaYse
原点に戻って好きな女の子を苛めて泣かしちゃうのは浪漫と言ってみる
460名無しさん@ピンキー:2010/06/19(土) 14:19:11 ID:vTevxCar
>>451
GJ!!
今後の妄想が広がる…
修道院に逃げ込んでそこで発見されてお仕置きされるのか
子供を身ごもっていることに気がつくのか…
461名無しさん@ピンキー:2010/06/19(土) 17:29:03 ID:vvryhR44
>>457
思わせぶりや矛盾すみません
逃げたところまでしか考えてないので終わりです
その後は各自で脳内補完お願いします

と書き込みに来たらすでに各自の脳内補完すごいことになってる
マリアの逃亡はヨハンにマリアを調教する口実を与えたに過ぎず
これからヨハンのお仕置き・調教生活が始まるのか
女が気が強くてお馬鹿だからその分楽しい調教生活になりそうだな
462名無しさん@ピンキー:2010/06/19(土) 17:36:31 ID:ZgCpVBBT
>>461
マ、マリアおばちゃんの愛欲被虐生活か……
ひぃひぃ泣かされるんですね
463名無しさん@ピンキー:2010/06/19(土) 21:03:50 ID:jXU9lGvg
ヨハン、クラウス、エリザベータ…。
リリーの子供達か。

しかしヨハンはなんだかんだ言って、ばっちりパパの気質を受け継いでいるな。
あのヤンデレヴィルヘルムの血と性質を継承したヨハンが、このままマリアを逃がすとは思えんw
464名無しさん@ピンキー:2010/06/19(土) 21:26:29 ID:chVyaYse
親子揃って女を苛め抜いて犯す事にかけては一級の男だ
リリーママンは息子が酷い事をと平身低頭かw
何があったか一瞬で嫌という程理解出来る筈
465名無しさん@ピンキー:2010/06/20(日) 10:16:34 ID:ByY72zZO
あなた達もかつての私達と同じ、素直になれないのね♪
なんて考えるような脳みそお花畑でないかぎり、
平身低頭どころか、こんな子供に育てた私の責任、息子殺して私も死ぬ!
のレベルだろう。
466名無しさん@ピンキー:2010/06/20(日) 20:11:52 ID:e6yz4OsE
>>465
>こんな子供に育てた私の責任、息子殺して私も死ぬ!
いやその展開はないでしょう
普通に超お説教でしょ、何故か一緒に親父も正座でご清聴w
でもリリーってまだ40になってないよね?
ヨハンはやっぱり極度のマザコンw
467名無しさん@ピンキー:2010/06/20(日) 21:39:06 ID:kjKgmheA
>>465
殺人事件寸前の母子なんて嫌すぎるw
リリーって結局幸せになってないのでは?
468名無しさん@ピンキー:2010/06/20(日) 21:43:56 ID:e6yz4OsE
>>467
いやそんな事ないでしょ
ヨハンの実家に対する言動からも夫婦仲は良好みたいだし
469名無しさん@ピンキー:2010/06/20(日) 22:16:15 ID:chg2PnMG
>>465
リリーまさかのヤンデレ化w
ヴィルヘルムのヤンデレを肝っ玉母ちゃんになって許したリリーだし、
ヨハンが我慢して抑圧されてたことも知ってるから、広い心で許容してほしいな
幸せにして貰う側からしてあげる側へ成長してると萌えるんだぜ
470名無しさん@ピンキー:2010/06/20(日) 22:17:51 ID:o+JeQW2i
>>469
まぁ、お説教はするだろうがw
471名無しさん@ピンキー:2010/06/21(月) 01:15:37 ID:fTXqZwBt
元娼婦とか未亡人とか、親子揃ってワケアリ不幸体質の女が好みなのかw
472名無しさん@ピンキー:2010/06/21(月) 01:50:27 ID:pRrn5eYk
>>471
マリアの事がリリーにバレて説教される過程で
昔の両親の事情を知りあの糞親父めお母様に酷い事をして!!
と親子喧嘩を始めヴィルヘルムにお前に言われたくないとか言われ
更にヒートアップそして父息子揃ってリリーに怒られ
それを見たマリアがおろおろするまで見えた
473名無しさん@ピンキー:2010/06/21(月) 07:34:49 ID:9DMwmYmF
test
474名無しさん@ピンキー:2010/06/21(月) 13:49:22 ID:T93NFMek
ヨハンとマリアがくっついたら
リリーには自分の兄弟と同じぐらいの年かもしれない娘ができるのかw
475名無しさん@ピンキー:2010/06/23(水) 02:35:02 ID:zBza0DoV
>>474
多少年の離れた姉妹かな?
10歳差あるかないか程度の

二人の会話はヤンデレ過ぎる夫への愚痴が大半だろう
476名無しさん@ピンキー:2010/06/23(水) 21:28:15 ID:2VLHGn/u
マリアとリリーって仲良くなれるんでね?
477名無しさん@ピンキー:2010/06/24(木) 01:15:25 ID:LN8CKMiD
おまえらしかしマリアとリリー大好きだなww
弟のクラウスさえ気になってきたわ。

いやあ愛故はほんとにいいものですね。
478名無しさん@ピンキー:2010/06/24(木) 02:24:36 ID:RSaHmRyl
>>477
作中の描写を見るとリリー似の真面目ちゃんな気がする
自分の父親と兄の行状を知ったらどんな顔をするのか
479名無しさん@ピンキー:2010/06/24(木) 02:28:36 ID:LN8CKMiD
>>416
興味深かったので考えてみた。

女が一夜の思い出のつもりで、先に実行に移した場合。

男は想いも寄らないことが起こったので、ただ呆然と、真意を汲み取ろうと女をみつめて戸惑う。
いざとなって、処女のため経験不足で恐くなって怖気づいたり、ただ抵抗もせずじっと自分を凝視してくる男に懺悔の気持ちがうまれたり、
やはりいけないことなのだと考え直したりした女が遂行途中でやめってしまった瞬間、攻守が逆転します。

自分がこんだけ思い詰めて計画たててたのに、そんなことは何も知らずにただそんくらいの覚悟で襲ってきたわけ?
よりによって俺なんかに手を出しといて、やっぱり恐くなったからやめます、なんて今更そんなのが通用すると思ってんの?

みたいな想いの差を感じて怒りが湧いてきた男と、そんな男の胸中も知らず半泣きで謝りながら縄を解く女。
そしたら何故かその縄が女の手首に巻かれはじめました、みたいな。
カモネギ状態。相手に使うために準備した状況やものが自分に使われはじめます。

他だと、
男を酔わしたり薬を使ったりでろくに動けない、思考能力が低下している、何か言いたくても、ろくにしゃべれない、隙を与えない等の状態において、
ほとんど一方的な行為(と女は思っている)を女が遂行する。
翌朝、最後の一夜の思い出のつもりだった女はベッドにいる男の寝顔にそっと別れを告げ、
立ち去ろうとした瞬間、目を覚ました男にベッドに引っ張り込まれる。

男と女の間の動機や覚悟に相違、誤解があればおいしくいただけるんじゃないでしょうか。

>>416は妄想しがいのある状況だな・・・・
480名無しさん@ピンキー:2010/06/24(木) 10:45:48 ID:/arzE9Fg
誰か幼馴染とか、遊び友達のクラスメイトとか、妹分な近所の子とかを無理やりやっちゃう話を書いてくれ。

でもって別のスレに、わざと隙を見せて誘惑してレイプに誘導して、泣いてる振りで陰でニヤリとしてる女の子サイドの話を書いてくれ。
481名無しさん@ピンキー:2010/06/24(木) 11:22:34 ID:vPywcXV1
>>479
感動した!!ぜひ本編をw

>>480
それも面白いな…女の子の腹黒さ具合では襲った男がカワイソス
482名無しさん@ピンキー:2010/06/24(木) 14:49:56 ID:amNpoIr8
>>479
萌ゆる…
483名無しさん@ピンキー:2010/06/24(木) 18:23:48 ID:51dpH2SI
>>479
おまえ凄いな。
全然思い着かんかった。
484名無しさん@ピンキー:2010/06/24(木) 21:50:26 ID:zpzN2hCF
>>479
こういうの見てると文才があればこのネタでSS書くのにとか
更に絵心があれば同人漫画に仕立てるのに

>>480
男がヤンデレと思ったら女もヤンデレw
でも女サイドもここで良いかとw
485名無しさん@ピンキー:2010/06/26(土) 01:32:50 ID:eUEm1W1c
>>479
面白そうなので逆に男バージョンならどうなるか考えてみた。

男が体だけでもいいから俺の物状態で実行した場合。
普通に?考えて監禁された挙句妊娠するまで
そのまんまシンプル男ヤンデレコース。
女の方がさらに上手だった場合。
襲われている最中に一方的な被害者のふりして
目撃者を用意しておいたり写真や状況証拠を押さえて
「これで貴方は私の物」と後ろ暗い喜びを味わいながら
周囲から真綿で首を絞めるように埋めていく女ヤンデレコース。
尚、この二つだと状況的に離れなれられなくなっても
心はすれ違いのままである可能性が大。

ただ、男が襲っている途中でへタレた時点で甘々になりそう。
女は腕力にものを言わせることができないので
せいぜいできることといったら
「やりたかったらやればいいじゃない!」とか
涙目で逆切れツンツンなセリフ言いながら
こちらから無理矢理ちゅうとか。
男の手を胸やら股間やらにつっこませてみたりとか。
ショタならギリギリ立場逆転も可能な気もするけど。
486名無しさん@ピンキー:2010/06/26(土) 01:38:26 ID:iO5P23l0
>>485
シンプルイズベストな王道路線ですねえ
結ばれるも心はすれ違ったままが
ある程度の期間あって最終的に心も通じればよろし

女のほうも乱暴に扱われ心も通じ合ってないけど
身体だけは男を虜にしたと暗い喜びに沈んでるのがミソやね
487名無しさん@ピンキー:2010/06/26(土) 02:11:41 ID:ULTyvZMv
素晴らしくて感服する。是非とも繰り広げたい妄想だ…


続きを投下します。

注意事項:
若干きつめのイラマチオ有り。苦手な方はご注意下さい。

11レス頂きます。
488偽悪的征服録 Ep.8:2010/06/26(土) 02:12:48 ID:ULTyvZMv
当分の間、野宿が続いた。街などの人の多い場所は徹底して避け、二人は森を通って大陸を南下していた。
ディアナにとって、大陸を跨ぐことは別段珍しい経験ではない。
大陸一つ渡っただけで国や街の文明が大きく変わる様子を、ロイドと共に見てきた。
小競り合いを繰り返す原始的な国。文化の発展に力を注ぐ国。高い技術力を保持する国。

しかしその中でも不変の要素が存在する。
それは、魔物の存在。『魔物』『怪物』『モンスター』など場所により呼称も様々で、中にはただの動物として
扱う地もあるが、それらは決まって同一の存在を指す。
大抵人里から離れた森や洞窟に生息し、訪れた者を『狩人』と捉え襲撃するか、もしくは逃亡を図る。
どれほど平和な国でも少なからず戦力を持つのは、人里に下りる希少な種から民を守るため。
ディアナはそれらに幾度となく遭遇してきた。
そして今まさに、その遭遇条件を満たしている状況に置かれていた。

「ロイド!少しくらい手伝ってよ!」

人里離れた森を歩む故に、姿を見せる異形の生物。
退治は専らディアナの役目だった。声を張り上げて助力を求めてもロイドは全く応じず、攻撃を避けるのみ。
奥地へ進むほど遭遇頻度も上がり、ディアナが疲れ果てて来る頃にようやく手を貸すのだ。
批難したいのは山々だったが、そのおかげで力をつけた節もあり、ディアナは強く出ることができなかった。

その後も行く手を阻む全ての敵を一掃し、二人は南下を続けた。
普段は宛てもなく彷徨っているが、今回はどうやら目的地があるようだった。
ディアナが行く先を訊ねても、ロイドは何故か言い淀む。
結局目的がわからないまま、幾度もの野宿を経て大陸の最南端の国へと辿り着いた。

訪れたのは、経済大国ラクール。
国営カジノを持つ金融取引が盛んな娯楽の国。そして意外にも、ラストニアの友好国だという。
派手な印象を受ける街を歩きながらディアナはロイドに軽い説明を受けたが、特に他人に隠すべき点が
見当たらない。何故行き先を言い淀んだのか理解できなかった。

人目を気にして裏路地を通りつつ、彼が真っ先に向かったのはラクール城。
しかし城門を前に、ロイドはふと立ち止まる。
遠方にそびえ立つ正午を刻む時計台を眺めると、急に思い立ったかのように方向を変えた。
外壁を伝い、使用痕跡のない目立たない裏口を訪れ、そこからこっそりと城内に忍び込む。

489偽悪的征服録 Ep.8:2010/06/26(土) 02:15:57 ID:ULTyvZMv
「なんでこんな入り方するの……?友好国なんでしょ?」

ロイドはディアナを一瞥するが、何も聞こえなかったかのように無言で歩を進めた。
やがてガラス張りの一室に辿り着くと、彼は足を止め壁越しに中を望む。
身なりの良い、役人らしき人間が十数名席に着いている。その中で一人、部屋の外に佇むロイドの姿に気付き
顔色を変えた人間がいた。
琥珀色の髪が美しい、一人だけ風格の異なる青年。彼は慌てた様子で部屋から飛び出し、ロイドを人目の
つかない通路の曲がり角まで追いやると、比較的小さな、低い声調で食って掛かった。

「何をしに来た?もう来るなと言っただろう!」
「おい、誰に向かって口を利いてるんだ」
「脅しても無駄だぞ。僕はもう君には従わないと決めたんだ」

双方共に威圧的な態度で臨んでいるが、青年の方が若干気後れしているように見える。
無論ディアナには何の話なのかわかるはずもなく、ただ眺めていることしかできない。
結局、青年はロイドの言葉には一切耳を貸さず、彼を城の外まで追い出してしまった。

「今の、何の話?」
「……金の話」

試しに訊いてみると、ロイドはようやく重い口を開く。今の一言で、話の大筋が見えた気がした。

「……もしかして、脅し取ってるの?」
「人聞きの悪いことを言うな」

ロイドはディアナの問い掛けを遠回しに否定すると、考え込む様子で踵を返した。
実際のところ彼の財源がどうなっているのか、ディアナは全く知らない。
母国の資金を利用すると足がついてしまうし、恐喝紛いな行為をする様子もない。
莫大な金額を予めせしめていたとしても、資金は有限。
ケルミスを筆頭とする情報屋がいる限り、いつか尽きてしまう気がしてならない。

先程の青年が鍵となる人物なのだろうか?
答えの出ない憶測を巡らせているうちに、気付くと街の中心部へ辿り着いていた。
そっとロイドの様子を窺うと、彼は目前に建ち構える国営カジノをじっと見つめている。
何を考えているのだろうか。そう思いつつ彼の動向を探っていると、突然、彼がにやりと笑みを零した。

「ちょっと待って。今、何か企んだでしょ」

カジノへ向かって足を踏み出す彼を呼び止め、ディアナは先程の笑みの真意を問い質す。
彼は押し黙ったまま邪魔者を見る目つきを以ってその問いに答えると、ディアナの腕を掴み来た道を戻り始めた。

490偽悪的征服録 Ep.8:2010/06/26(土) 02:17:57 ID:ULTyvZMv
「ど、どこ行くの?」
「城」

ロイドはいつもに増して無愛想な返事をし、今度は客として正門からラクール城へと押し掛ける。
彼の正体を知ってか知らずか、ロイドに捉まったラクール兵は慌てて目的の人物を呼びに駆け出した。
来客ならば応じないわけにはいかないのだろう。すぐに先程の青年が、うんざりした様子で姿を現した。

「何なんだ君は……。何を言われても一銭たりとも出さないよ」
「用件が違う。連れを預けに来た」

ディアナはロイドに肩を押され、青年と向かい合わされる。
一瞬、彼の意図が理解できなかった。

「……離れちゃ駄目なんじゃなかったの?」
「こいつなら大丈夫だ。俺が戻るまでここにいろ」
「ちょ、ちょっと待て。僕はいいとは一言も……」

ロイドは有無を言わさずディアナを青年に押し付け厄介払いを済ませると、二人に背を向け城から出て行って
しまった。悪い予感がしたが、勝手な行動を取ると後々酷い目に遭わされる。今は黙って従うしかない。
そしてそれは、目の前で唖然としている彼も同じだった。
気まずい空気が流れたが、彼は持ち前の爽やかな笑顔でその場の空気を取り繕い、ディアナを応接間へと
案内した。

「見苦しいところを見せてしまったね。申し訳ない」
「いえ、それよりあなたは?」

あの用心深いロイドが大丈夫だと言い切り、今の状況下で自分を預けた人物。
ディアナは彼が何者なのかが一番気掛かりだった。

「これは申し遅れました。僕はエミル・ミラ・ラクール。全国営機関、及び金融機関の最高責任者を
 務めております」
「ラクール……?え?王子、様……?」
「そんなに珍しいかい?ロイドだってそうだろ?柄じゃないけどね」

少なくとも、ロイドが大丈夫だと言い切った理由を理解できた。
それほどの地位の人物の客として扱われれば、誰も手出しはできない。
しかしそれだけではない気がした。お互い邪険に扱ってはいるが、一種の信頼が二人を繋いでいる気がして
ならなかった。例えるならば、まるで悪友同士であるような。

「あの、彼とはどういうご関係で……?」

名乗ることすら忘れ探りを入れると、エミルは苦笑し、決まりが悪そうに口ごもる。

「言ったら君、助けてくれるのかい?」
「助ける?」
「あぁ、いいよ。教えてあげよう。君は彼の側の人間だし、僕もいい加減打ち明ける人間が欲しい」

491偽悪的征服録 Ep.8:2010/06/26(土) 02:19:43 ID:ULTyvZMv
彼は手始めにディアナの名を聞き、ロイドがこの国を訪れた目的、そして今までの経緯を話し始めた。
裏で何とか資金を捻り出し、ラストニアではなくロイド本人に献上していたこと。
偽名口座の用意を強要され、そこにも送金させられていたこと。
そして今、その残高が危うい状態であること。
想像以上に真っ黒だった。ロイドが言い渋ったのは、目的地の次に問われるであろう、来訪の目的そのもの
だったのだ。

「今となってはもう、僕とロイドは共犯者でしかない。でも別に悪いことばかりじゃない。
 僕があいつの我侭に応じていたのは、こちらにも利があるからだ」

エミルがロイドの要求に応じる以上、ラクールは彼にとって欠かせない国となる。
もし他国の侵略を受けた場合、ロイドは自国の軍を率い、全力でラクールを守らなければならない。
また、ラクールを支配下に置くことも有り得ない。
もし二人の犯行が白日の下に晒された場合、ロイドが全責任を負うことになるためだ。
絶対的な平和を金で買うことで締結される、不可侵条約。友好国とはそういう意味だった。

「ではどうして、もう支払わないと?」
「基本的にこの大陸、平和だからね。侵略するような国なんてないんだよ……」

身も蓋もない理由を最後に、彼の話は終えられた。
話の内容も然る事ながら、真に驚くべきは彼の洞察力。物事の本質を見抜く力が、非常に長けている。
彼ならば、ロイドの人間性を理解しているかもしれない。
ディアナは裏で詮索する行為に罪悪感を感じながらも、意を決してエミルに尋ねた。

「あなたは、ロイドがどういう人間か知っているんですね?」
「まぁ、その辺の人間よりはね」
「彼は……、本当に非情な人なんでしょうか……」

ディアナは俯き、今にも消え入りそうな声を絞り出す。
ロイドに問い詰められたあの夜から、結局何も彼に告げていない。
あの日老人に問われた、ディアナがロイドに付き従う理由。それはとても単純で、簡単なことだった。

彼が、ディアナの味方であること。扱いがどうであろうと、それは揺るぎ無き真実。
ロイドが自分を守る限り、自分は彼のために生きる。ディアナはそう決めていた。
しかし、彼の見せる現実が、その信念を捻じ曲げる。
彼は女子供は愚か、年寄り相手でも容赦はしなかった。更には親の仇と重ねてしまった矢先のこと。

492偽悪的征服録 Ep.8:2010/06/26(土) 02:22:12 ID:ULTyvZMv
エミルは苦悩するディアナの様子を観察し、まるで全てを見抜いているかのような口調で答えた。

「そうだよ。でも勘違いしちゃいけない。あいつはね、憎まれる存在でなければいけないんだ」

言葉の意味が理解できなかった。追求しても彼は答えない。
自分の口から勝手に全てを語ることはできないのだと言い、断固として説明を拒む。

「そんなこと訊くってことは、君、ラストニアに行ったことないだろう。
 どうしても知りたいなら行ってみなよ。自分の目で確かめるといい」

ロイドが帰国に応じるとは到底思えない。そもそも何故国を出たのか、彼は未だに話さない。
今ここで尋ねることもできるが、もし彼がそれを察していたとしても、それが真実であるとは限らない。
これだけは、本人から直接聞き出さなければならないのだ。

「長話をしてしまったね。そろそろ……」

エミルが口を開き掛けた途端、応接室の扉が勢い良く開かれた。
役人らしき男が扉の前で、血相を変えて息を切らしている。

「エミル様、大変です!」
「何だ?どうした?」
「国家経済が破綻の危機に……」
「……、ちょっと意味がわからないな」
「とにかく、一度カジノへ!」

カジノにはおそらくロイドがいる。堪らなく嫌な予感がした。
ディアナは怪訝な表情を浮かべるエミルと共に、街の中心部へと向かった。
既に建物の周囲にも人が集まり、カジノの中は騒然となっている。

人集りを掻き分け問題のテーブルへと向かうと、黒い鍔付き帽子で顔を隠している男の背が目に入った。
立ち折れた衿が特徴の、丈の長い黒のジャケット。それは紛れもなくロイドの風貌だった。
テーブルには、様々な色のチップが山積みにされている。
彼はディアナの隣で固まっているエミルの気配に気付き、ちらりと背後に視線を送った。
その視線が交わった瞬間、エミルは火が付いたようにロイドの胸倉を掴み、声を荒げた。

「おい、これは何の真似だ!?この国を転覆させる気か!?」
「それはエミル、おまえ次第だ」
「金なのか!?いくら欲しいんだよ!」
「いくら……?その時点で話にならないな」

ロイドは涼しい顔で皮肉な笑みを浮かべる。
ディアナはカジノのルールなどわからない。何のゲームなのかもわからないし、目の前のチップがどれほどの
配当なのか検討もつかないが、エミルの様子から相当の額であることが窺い知れる。
493偽悪的征服録 Ep.8:2010/06/26(土) 02:24:07 ID:ULTyvZMv
周囲から小さく聞こえる会話に聞き耳を立てると、ロイドはベット額の上限が設けられていないテーブルで
いきなり大金を注ぎ込んだらしい。そしてその後も大敗することなく数百倍単位で増え続け、今に至ると。

そんなことが有り得るのだろうか。気掛かりなのは、ディーラーがやけに平然としていること。
ディアナはロイドに近付き、小声で疑問を投げ掛けた。

「……買収したの?」

彼はちらりとディアナに視線を送るが、無言のまま否定も肯定もしない。
真実と異なることはすぐに否定する傾向にある彼の性格を考えると、おそらく図星なのだろう。
ロイドが不正を行っているであろうことは、当然エミルも感付いている。
しかし証拠がなく、ゲーム中の様子を見ていないのだからわかるはずもない。
ディアナはロイドに振り回されっ放しの彼が不憫で仕方がなかった。
イカサマは犯罪。見過ごすわけにはいかない。

「ロイド、私と勝負して。私が勝ったらこれ、全部返して」
「おまえ、ルール知らないだろ」
「すぐ覚えられる簡単なゲームでいいの」

彼の真正面で堂々と、宣戦布告を行って見せる。
エミルが止めに掛かるが、ディアナの決心は固い。彼は最初、助けを求めて来たのだから。
ディーラーを買収したのなら、プレイヤー同士のゲームをすれば良い。
後はビギナーズラックに任せる。負けるかもしれないが、勝てるかもしれない。

「いいだろう。ただし、俺が勝ったらペナルティを負ってもらう。これだけの額を賭けるんだからな」
「……わかった」

敗れた時のことまで考えていなかったが、ここで退くことはできない。
ディアナは提示された条件を呑み、席に着いた。

プレイヤー同士の戦いならばポーカーが有名なのだそうだが、役を覚えるのが大変とのこと。
結局、決まった勝負種目はブラックジャック。手札の合計値が21を超えなければ良いというだけのゲーム。
ディアナの希望により、ディーラーが存在するカジノルールではなく、通常ルールでの勝負となった。
余程自信があるのか、ロイドは5戦中1勝でもできればディアナの勝ちで良いと言う。
舐められたものだと思いつつも、結果は惨敗だった。

「なんで!?絶対おかしい!」

21を揃えて勝利を確信しても、決まって引き分けにされてしまう。
ロイド本人も、何か小細工でもしていたのだろうか。
もしそうならば、ディーラーの存在有無に関わらずテーブルゲーム自体すべきではなかった。
494偽悪的征服録 Ep.8:2010/06/26(土) 02:26:04 ID:ULTyvZMv
自分の浅はかさを後悔しつつ、ディアナは納得の行かない表情で場のカードを見つめていた。
ロイドはその様子を眺め、懐から一枚のコインを取り出す。

「ディアナ。ツーアップだ」

名を呼ばれ顔を上げると、目に入ったのは宙に舞う一枚のコイン。
用語の意味がわからなかったが、その様子からコイントスであると理解する。
コインは放物線を描き、やがて彼の手中に収められた。

「……裏」
「表。残念だったな」

開かれた手の平から表向きのコインが現れ、細工はないのだと主張するようにディアナの目の前に置かれた。
完全に止めを刺され、ディアナは何も言い返せなくなってしまった。

結局、財政破綻を招くほどの配当を支払うことはできず、エミルは為す術なくロイドの要求に応じた。
彼の要求は、譲渡額の上限排除。つまり、ロイドが請求する額はいくらであろうと支払わなければならない。
それを実現するために、彼は偽名口座を破棄し、代わりにエミル本人の名義を手に入れた。

「ロイド……、非常識な使い方はしないでくれよ。それから当分ここには来るな。おまえが来ると本当に
 ろくなことがない」
「こいつが有効な限りはな」

エミルは悔しさに身を震わせつつ、ロイドの機嫌を損なわないよう無償で宿の手配をした。
相変わらずの手口に、呆れながら悪態をついて見せると、彼は珍しく弁解を始めた。
荒っぽい金遣いをするつもりもないし、結局今までと何ら変わりはなく、ただ定期的に来訪するのが面倒に
なったのだと言う。そして、裏で行われている献金があってこそ、今こうしてラクールが栄えているのだと。

彼は最後に不可解な言葉を残し、口を閉ざした。


手配されていた宿は、ラクールの中でも最高級のホテル。
非常に客が多く、飛び入りのため通常の部屋ではあったが、恐縮するほどに豪華だった。
ロイドは無関心な様子を見せたが、エミルが如何にロイドに気を使っているかが窺える。
しかし、そんなことに気を取られている場合ではない。
食事・入浴等の最低限の用を済ませると、ディアナは寛ぎもせずに早々にベッドに逃げ込んだ。

「じゃ、私、もう寝……」
「ディアナ。何か忘れてないか?」
「……、何を?」

動揺を隠し、ディアナは可能な限り平静を装って白を切る。
しかしそれは、彼の蔑みの込められた視線を受け後悔に変わった。
495偽悪的征服録 Ep.8:2010/06/26(土) 02:27:53 ID:ULTyvZMv
何とかしなければ、またとんだ仕打ちを受けてしまう。
明らかに悪意を持った面持ちで歩み寄られ、ディアナは慌てて言い逃れを始めた。

「あんなの、どう見てもイカサマじゃない!」
「証拠は?」
「それはっ……、ない……けど」
「見破れなければ負け惜しみにしかならない。勝負の世界を甘く見るな」

ロイドは威圧的な態度を以ってベッドの上に座り込んでいるディアナに迫る。
気迫に圧されて後退ると、彼は壁に手を付き逃げ場を無くす。
ディアナは完全に臆しつつ、やはりまた抱かれるのかと表情を曇らせた。
エミルにフォローされたとは言え、ディアナの心には未だ靄が掛かっていた。

「また……するの?」

それとなく交わることを拒むと、ロイドは気を悪くしたように目を細める。
彼は暫し黙っていたが、やがてベッドに乗り上げ返事の代わりにディアナの身体を沈めると、早々に内腿の間に
指を添えた。
繁みを隠す隔たりはすぐに取り払われ、与えられていた小さな圧迫感が徐々に内部へと移動する。
指に動きが伴うと身体はすぐに熱くなり、それほど時間も経たないうちに、聞きたくもない水音が漏れ始めた。
もう、身体が勝手に反応してしまっている。断じてこの行為を望んでいるわけではない。
自分にそう言い訳し、ディアナは今にも零れそうな声を吐息に変え、じっと終わりを待った。

やがて自分でもはっきりとわかるほどに十分な潤いがもたらされると、ロイドは静かに指を抜いた。
ディアナは間も無く始められるであろう、抗いの許されない行為を覚悟し、身構える。
しかし彼は一向にその気配を見せない。様子を窺うと、まるで興醒めしたかのような表情でディアナを
見下ろしている。
あの夜と変わらず、頑なに自分を拒む態度が気に食わないのだろうか。
理不尽さを感じながらもそう不安に駆られていると、不意に肩に手を掛けられ気怠い身体を強引に起こされた。

「そんなに嫌か」
「だって、……」

ロイドは露骨に不愉快な表情を見せる。ディアナは膨らむ不安から口ごもり、答えを濁す。
煮え切らない態度に痺れを切らしたように、彼はベルトに手を掛けながらディアナの頭を押さえ込み、
這い蹲らせた。
視界に飛び込む、見たこともない赤黒い塊。それが何であるか認識する前に、ディアナは固く目を閉じた。
顔を引き寄せられ、唇にその何かが当てられる。

496偽悪的征服録 Ep.8:2010/06/26(土) 02:29:29 ID:ULTyvZMv
「口を開けろ」
「…………」
「おまえは国家破産に相当する負債を負ったんだぞ。わかってるのか?」

ロイドはディアナの負い目を巧みに突き、開口を要求する。
後ろめたさからつい唇を緩ませると、彼はその僅かな隙間を割り、強引に自身を口内に捩じ込ませた。

「うっ……!」

ディアナは思わず呻く。口を使った行為など、見たことも聞いたこともない。
にも関わらず、ロイドは冷たく舐めろと言う。
これはペナルティ。単なる彼の嫌がらせなのだ。
それでも、ここまで酷い性的嫌がらせを強要されるとは思っていなかった。
言われた通り舌をぺたりと貼り付けるも、その思いからディアナは僅かに胸を痛め、全く動けずにいた。

「舐めるって、意味わかってるか?」
「…………」

今は従わなければならない。ぎこちなく舌を這わせ、手前へ、奥へと滑らせる。
言われるがままに僅かに膨らんだ先端を口に含み、舌で擦っては溢れ来るぬめりを舐め取る。
どれほど頑張ってこなして見せても、ロイドは何の反応も見せない。
当然だと思っていた。そもそも口に含むこと自体おかしいのだと、ディアナは信じて疑わなかった。

「つ、疲れた……」

普段使わない筋肉を酷使し、ディアナはすぐに音を上げた。
口を閉じることができず、回らない呂律で何とかロイドに解放を訴えるが彼は応じない。
疲れ果て、咥えたまま動かなくなったディアナの後頭部がロイドの手により固定される。

「動くなよ」
「……?」

これから始まる未知の行為。何をされるのかわからず、ディアナは何の気構えもできずにいる。
ロイドは不安な表情を浮かべるディアナを見下ろし、予告もなしに突然喉の奥深くまで自身を押し込んだ。

「ん……ぐっ!」

突如生じた、生理的不快感。ディアナは少しでもそれを和らげようと身を退くが、どうしても頭が動かない。
逃がさないよう押さえ込まれたまま、舌の上を生暖かく固いものが何度も往復する。
擦り込まれては異質の液体が唾液に混じり、逃げる素振りを見せると容赦なく喉の奥まで侵入される。
時間の経過が遅く、ディアナは短いはずの長い時を苦しみ続けた。

「っ、はぁっ……!」

不意に力が緩み、ディアナに与えられた休息の権利。
口を塞いでいた彼の固い異物を吐き出し、幾度となく呼吸をする。
497偽悪的征服録 Ep.8:2010/06/26(土) 02:31:29 ID:ULTyvZMv
溜まり切ったどちらのものともつかぬ薄い粘液が飲み込まれると、ロイドは再びディアナの頭を押さえ込み、
自身を奥まで突き入れた。
喉を突かれる度に咽びながら、ディアナは息を止めて気道を塞ぎ、何度も侵入して来る彼を受け止める。

気付くと目尻が潤んでいた。
罰とはいえ、こんな何も得るものもない非常識な行為で相手を苦しめて、一体何が楽しいのだろう。
それほどまでに自分の苦しむ姿を見たいのだろうか。彼はここまで嗜虐的な性格だっただろうか。
ロイドへの不信感が、ディアナの心を蝕んでいた。

やがて、呼吸を妨げていた彼の陰茎が大きく脈打ち、生暖かい液体を放つ。
一瞬にして広がる苦味とも何ともつかぬ感覚に、ディアナは顔を歪めた。

「飲み干せ」
「……!?」

ある程度予想はしていたものの、ロイドは従い難い命を下す。
ディアナは飲むものではないのだと目で訴えたが、聞き入れられることはなかった。

成す術なく、喉を鳴らして吐き出された彼の精を飲み込む。
しかし予想外の粘性に、喉を通し切れずにディアナは咽せ返り、結局飲み干すことは適わなかった。
ロイドはそれを目に留めるとすぐさまディアナを抱き寄せ、未だ固さを保っている自身の上に座らせる。
ディアナはそれが触れた瞬間膝をついて距離を置くが、彼は腰を掴み、そのまま強引に引き降ろした。

「あっ……!」

息も整わないうちに串刺しにされ、ディアナはろくに声も出せないまま彼に翻弄され始める。
下から突き上げられ腰が浮く度、身体の重みで再び自分を貫く。
ディアナは慌ててロイドにしがみつき、自分の体重を支えた。
彼は片手で浮く腰を押さえ、もう一方の腕でディアナを抱き竦める。
密着した身体は放されず、ただ一方的に突き立てられ、身を焼く快楽は時間と共に増して行く。

「う……、ぁ、あ、……!」

喉にこびり付く、残っていないはずの粘液が邪魔で声が詰まっていた。
ロイドはその様子を窺うも一切構わず、幾度もディアナを貫き、揺さぶり、二度目の吐精を図る。
途中で何度か咳き込みながらも、ディアナは彼の肩に頬を擦り付け、力一杯抱き付きながら溢れる快感に
耐え続けた。
限界は最早目の前。ロイドもそれは同じようで、時間と共に速度が増す。

「だ、め……、いやっ……!ああぁっ!!」

498偽悪的征服録 Ep.8:2010/06/26(土) 02:33:13 ID:ULTyvZMv
一際強く彼にしがみつき、ディアナは身を突き抜ける絶頂に震えた。
しかし彼の行為は未だ終わりを見せず、達する直前まで執拗に突き続け、ディアナを更に悶えさせる。
全身を支配する過剰な快楽に声を失いながらも、ディアナはロイドの気が済むまで必死に正気を保ち続けた。
毎度のことながら、歴然とした持久力の違いがディアナを苦しめていた。

やがて彼は無理矢理ディアナを引き離し、再び頭を掴んで根元まで咥えさせる。
喉の奥に直接精を注がれ、ディアナは強制的にその全てを飲み込まされた。

「は……、うっ」

喉元を押さえ、半ば反射的に咳き込む。
ロイドはその様子を窺い、満足げにディアナを嘲った。

「別に最初は抱くつもりはなかった。墓穴を掘ったな。これで帳消しにしてやる」

胃に溜まる不快感からディアナは何も言えず、ただ息を荒げていた。
酷い嫌がらせだと胸の内で密かにロイドを罵るが、その中でふと、彼が挿入の前に一度精を放ったことを
思い出す。
男性にとってこの行為は、おそらく気持ちの良いものなのだ。決してただの嫌がらせではなかったのだ。
ディアナは何の意味もなく苦しめられたわけではないのだと理解すると、途端に募っていた不信感が薄らいだ。

それでも心に掛かった靄は、完全には晴れない。
このまま共に旅を続けても、彼の性格が変わらない限り晴れることはないだろう。

自分がすべきことを、ディアナは自然に悟った。

彼の本質を理解しなければならない。出会う前のロイドの姿を、ディアナは何一つ知らないのだ。
まずは知ること。そのためには、エミルの言う通り昔の彼を知る者と接触しなければ、おそらくそれは叶わない。
機会はいずれ必ず訪れる。雑念を払い、今はただ、彼を信じ続ける。

ディアナはベッドの隣に座り込むロイドの横顔を見つめながら、そう誓った。

499名無しさん@ピンキー:2010/06/26(土) 02:33:49 ID:ULTyvZMv
以上です。続きます。
500名無しさん@ピンキー:2010/06/26(土) 23:52:29 ID:bn4F7K34
うーん・・・
501名無しさん@ピンキー:2010/06/26(土) 23:55:25 ID:IdmKhqMb
こ。
502名無しさん@ピンキー:2010/06/26(土) 23:55:53 ID:D36uou3R
>>487-499
さすがディアナたん可愛い
そしてイラマは素晴らしい

>>485-486
やはり>>38までの妄想は王道か!!
503名無しさん@ピンキー:2010/06/27(日) 04:43:41 ID:kBViDkhR
>>487-499
ディアナちゃんが更に酷い目に合いそうなので興奮してくる。



まぁ、王道が王道なのには理由があるという事かなw
504名無しさん@ピンキー:2010/06/27(日) 11:17:54 ID:ZlBFq9pE
>>487-499乙です
しかしロイドとエミルってやっぱシンフォニアからとったん?
505名無しさん@ピンキー:2010/06/27(日) 15:10:08 ID:NVbPI6sK
>何とかしなければ、またとんだ仕打ちを受けてしまう

ディアナちゃん遅すぎw でもそこが可愛い。
賭けごともまた壊滅的に弱そうだな
そして健気にいじめられるネタを増やすw
意地っ張りが好きな子いじめるのって萌えるw
506名無しさん@ピンキー:2010/06/27(日) 16:06:07 ID:ndzYK5Uo
しかしディアナちゃんは心身共に調教完了済みな所に疑念を植え付ける逆パターンだな
これも良し、だが下手に疑念を持ったせいで性的暴行の機会を自分で増やしちゃうディアナちゃんは可愛いw
507名無しさん@ピンキー:2010/06/27(日) 17:57:09 ID:o2FCGTTq
ご感想、感謝です。

>>504
今調べたら見事に被ってたけど、テイルズは未プレイ。
固有名詞は外国人姓名をかき集めてるサイト等を参考に
イメージに合った名前を探してます。
508名無しさん@ピンキー:2010/06/27(日) 20:30:24 ID:sREep/T6
>>485
男が襲っている途中でへタレた場合を妄想してみた。

男がへタレた場合を詳しく考えてみた。
真面目さ故に女を襲わなくては離れ離れな状況になってしまい
とうとう思い余って女を襲い縛ったまではいいけど
突然のことにびっくりして暴れたり、呆然としてしまう女。
そんな女を見て正気に戻り、謝りながら縄を解く男。
何故やめるの?離れ離れになってしまうのに?
追い詰められている女の方も、
思い余って用意していた催淫剤を口に含み不意をついて男を押し倒し
口移しで飲ませその縄で拘束。
女の力で適当に縛っただけなので解こうと思えば簡単に解けたけど
男の方もびっくりしてされるがままになってしまう。
惚れた女が慣れない手つきで男にまたがって挿入しようとしているのが
心やら体やら刺激しまくって焦らされているようであり
薬の効果も合わさって再点火。
処女貫通とか中に射精してしまうとか最後の一線を越えた瞬間攻守逆転。
力ずくで縄を解いて、
溜まっていたものが大爆発して泣こうが喚こうが止まらない止まらない。

うーん膨らむものですね。
509名無しさん@ピンキー:2010/06/27(日) 20:46:53 ID:lO0/R+4C
>>508
やべー、めっちゃイイ!!!
もう書いちゃいなよw
510名無しさん@ピンキー:2010/06/29(火) 00:01:05 ID:poBbJKmZ
>>508
男襲う→ヘタレる→女が性的に挑発→再奮起
もう止まらず全力で陵辱か
萌えるね
511名無しさん@ピンキー:2010/06/29(火) 00:01:58 ID:8zHKlXfp
>>505
>賭けごともまた壊滅的に弱そうだな

野球拳つきで身ぐるみ剥がされるさまを想像した

>>508
薬+無理やりで目茶苦茶に犯されるなんて最高です
512名無しさん@ピンキー:2010/06/29(火) 00:12:13 ID:O+RIh3hT
>>511
ディアナちゃんは何時も身ぐるみ剥がされて(ry
513名無しさん@ピンキー:2010/07/02(金) 17:40:31 ID:BACMxBbf
長編を書こうとしてたら書いてるうちにキャラに愛着がわいてなんか相関図が広がった…
ファンタジーだったから脳内で愛故に暴走する魔法都市ができつつある
514名無しさん@ピンキー:2010/07/03(土) 01:57:43 ID:oiLPK5Et
>>513
是非投下を
515名無しさん@ピンキー:2010/07/09(金) 08:32:27 ID:3fFOSAmp
投下期待
516名無しさん@ピンキー:2010/07/10(土) 02:19:11 ID:ax8UEsYU
続きを投下します。
注意事項:SM要素有り。ソフトですが…

13レス頂きます。
517偽悪的征服録 Ep.9:2010/07/10(土) 02:20:46 ID:ax8UEsYU
船出が三日後に控えていた。この大陸を離れるためには、再び海を渡らなければならない。
それまでの三日間、ロイドは極力街に出ることを控えていた。
唯でさえカジノでディアナの姿を晒してしまった上、ラクールは友好国。
ラストニアから訪れる人間が少なくない。顔を見られてしまったら、流石に気付く人間がいる。
カジノの件で懲りたのかディアナは思いの外おとなしく、出航までの日々は特に何事もなく過ぎ去った。

事が起きたのは、当日。ロイドは顔を隠すための帽子を被り、ディアナには髪を束ねさせ、不自然でない程度に
姿を変えて港までの道を歩む。

「ロイドが顔隠すなんて……」
「友好国だと言っただろう。国の人間がいる」
「え?あれ本当だったの?じゃあもしかしてここ、ラストニア行きの船あるの?」

本人は隠しているつもりだろうが、行きたいとはっきりと顔に書いてある。
あると言ったところで、向かうわけがないこともわかっているはず。
ロイドは無視を決め込み、港へ向かうため人混みを掻き分ける。

実に、掻き分けなければならないほどに、人の多い日だった。それ故、気付かなかった。
少しの距離を置き、自分の顔を覗き込んでいる人物がいることに。

「総、督……?」

馴染みのある単語にロイドは反射的に振り返り、声の主に自分の顔をはっきりと晒け出してしまう。
途端、目の前に立っていた私服姿の若い青年が、驚嘆の声を上げた。

「ほ、本当だ!本当に総督だ!今まで何してたんですか!?流石に今回は城を空け過ぎです!皆探してますよ!」

彼は恐れることなくロイドに詰め寄り、帰国を要求する。
ロイドの放浪癖はラストニアでは有名で、それ故今まで大々的な捜索が成されていなかった。
しかし、昔は遅くとも数週間のうちには戻っていたものの、今回は数年間帰国していない。
既に本格的に捜索されていても何らおかしくはなかった。

「走れ!」

乱暴にディアナの腕を掴み、港へと突き進む。
ディアナは頻りに先程の若者を気にしている様子だったが、構っている暇はない。
彼は「本当だ」と言ったのだ。何者かに仕向けられた可能性が高く、もしそうならば仕向けられた人間も
一人ではないはず。悠長に問い詰めていられる時間はない。
出航寸前の客船に乗り込み、ロイドは難を逃れた──つもりだった。船上でも同じことが起きたのだ。
518偽悪的征服録 Ep.9:2010/07/10(土) 02:21:53 ID:ax8UEsYU
ラストニアの人間をけしかけた張本人も、一緒に船に乗り込んでいると考えた方が良い。
しかし、探し出せる状況でもない。結局二人は、割り当てられた部屋から一歩も外へ出ることが出来なかった。

「ここから陸地に移動するのは……、いや、無理か……」
「移動魔法?失敗したら海に落ちるけど……」

ディアナは苦笑しながら自分の力不足を伝えるが、彼女の表情はすぐに穏やかになった。

「……意外に友好的なのね」
「何が」
「もっと怖がられてるのかと思ってた」

相変わらず、ロイドは何も言わない。自国に関することは、あまり触れて欲しくはなかった。
無論、それはディアナもわかっている。わかった上で、彼女は問う。

「ねえ、どうして戻らないの?」
「…………」
「どうして……、国を出たの?」
「……関係ない」

昔も返した答えを、今再び彼女に返す。
ディアナはどこか寂しげに視線を落とし、口をつぐんだ。

目的地は南の大陸。最寄の街へは一日で到着した。細心の注意を払って港へ降りるも、状況は変わらず。
まるで謀られているかのように、ラストニアの民との遭遇が続く。不自然にも程がある。
寝る間も惜しんで大陸の横断を続け、自国民と出くわさなくなったのは、とある森の奥の小さな村に辿り着いた
頃だった。

木々の緑に囲まれた、リスレという旅人の憩いの村。しかし村に入ると、至る所で妙な噂を耳にする。
この村からそう遠くない、森の奥にある洋館。そこを訪れる旅人が、毎晩悪夢にうなされていると。
そしてそれらはきっと、洋館に潜む悪魔の仕業であるのだと。
ディアナは気にする様子を見せたが、ロイドは何の興味も示さない。
ひとまず休憩を兼ねて付近の酒場へ向かうと、見知った顔が昼間から酒を呷っていた。

「クレアさん!?」
「あら、二人とも奇遇ね」

ディアナは嬉しそうにクレアの座るカウンター席に駆け寄る。
その様子を目で追いながら、ロイドは直感していた。犯人はこの女だと。

「待ち伏せか?」
「何のこと?」

クレアは如何にも親しげにディアナの相手をしつつ、含みのある笑みを漏らす。
隠すつもりはない、ということだ。しかし白を切っている以上、目的を問い詰めたところで自白は期待できない。
疑いの眼差しを向けるロイドを真っ向から見据え、彼女は臆面もなく話を逸らした。

519偽悪的征服録 Ep.9:2010/07/10(土) 02:23:04 ID:ax8UEsYU
「そうそう、この村の変な噂、もう聞いた?」
「悪いが興味ない」
「まぁ、そう言わずに。例の洋館に纏わる美味しい話があるんだけど?」
「……買えと?」

クレアは図々しくもにっこりと笑い、頷く。
流石に情報の押し売りなどという低劣な行為に走るとは思っていなかった。
ロイドが一切取り合わずにいると、彼女は標的を移し、ディアナに絡み始める。

「ねぇ、ディアナちゃん?あなた強くなりたいのよね?自分はちゃっかり剣を手に入れて、あなたには
 一切新しい武器を与えないなんて、不公平だと思わない?」
「武器……?」

馴れ馴れしくディアナの名を呼び、彼女に取り入って情報の購入を要求するあからさまな工作。
しかし、情報の対象がディアナであることは事実である様子。
話の流れから察するに、例の洋館に杖か何かが隠されているのだろう。
結局ディアナが行くと言って聞かず、値切りはしたものの商談を成立させられてしまった。

彼女の情報は、知る人ぞ知る伝説の杖に纏わる話だった。
破滅の杖という意味を持つ、魔の杖レーヴァテイン。伝説は所詮伝説に過ぎず、洋館に隠されているのは
所持者を必ず破滅に導く故にその伝説の名を与えられた、クラウ・ソラスを上回るほどの曰く付きの杖。
毎回どこからそんな情報を仕入れるのか不思議に思っていたが、ケルミス達の情報はいつも確実なもの。
そして、金銭を要求する以上それは嘘であってはならない。
クレアが何を企んでいようとも、取引に応じた時点で杖の存在は確かなものとなったのだ。

例の洋館へ向かう以上村の噂が引っ掛かるが、悪魔など存在するわけがない。その正体も高が知れている。
目的の場所は確かにそれほど距離もなく、ただ不気味な雰囲気を漂わせ、森の奥に佇んでいた。
予想通り、中は魔物の巣窟。全く手を貸さないロイドと、何故か行動を共にしているクレアをディアナは
一人で守らなければならなかった。

「ロイド、あんた何で戦わないの?」
「俺がわざわざ手を出すまでもないだろ」
「はぁ……?普通、魔道士は魔力を温存させるものじゃないの?」

クレアは呆れ顔でロイドを批難する。
事実、ディアナに任せた方が手っ取り早く、彼女の修行にもなる。本人もそれで納得している。
しかし、他人に隠すべき理由が他に存在した。
それをクレアに洩らすなど以ての外。高値で売り飛ばされるのが目に見えている。

520偽悪的征服録 Ep.9:2010/07/10(土) 02:23:41 ID:ax8UEsYU
背後で交わされている会話など気にも留めず、ディアナは懸命に道を開ける。
目的は自分の武器なのだから、文句の出ようはずもない。
彼女は無数にある部屋を虱潰しに調べ上げるが、杖らしきものはどこにも見当たらなかった。
洋館の大広間で、ディアナはくたびれた様子で座り込む。

「これだけ探しても、ないなんて……」
「言っとくけど、ガセじゃないわよ。ケルミス直々の情報だもの」
「……そんな情報をあの値段で売ったのか?」

互いに睨み合いながらも、最後は半額以下まで値切ったのだ。そんな額でも取引を成立させるほど、与えたい
情報だったということになる。更には確実に足手纏いになるにも拘らず、彼女はこうしてついてきた。
クレアから目を離さずにはいたものの、ロイドは今一つ、彼女の目論見を読めずにいた。

「……何か聞こえる」

不意にディアナが声を上げて立ち上がり、誘い込まれるように広間の中央の階段へと向かう。
既に探索済みの上階へは上らず、死角となっていた階段の裏側へ回ると、ディアナは目を輝かせて二人を
呼び寄せた。
そこには地下へと続く階段がひっそりと佇み、侵入者を拒むかのように深い暗闇を湛えている。
ディアナは掌に炎を灯し、未知への好奇心故の度胸を携え、恐れることなく階下に下る。
肌を突く冷たい空気の先に、宝物庫らしき小さな空間が広がっていた。

その部屋の奥に、それは存在した。
禍々しい力を帯びる、破滅を呼ぶと謳われる杖。そして杖に近付くにつれ鮮明になり行く、背後に迫る敵の気配。
ディアナが杖を手にした途端、それは咆哮と共に根城を荒らす侵入者に飛び掛かった。
無論、魔物の排除はディアナの役目。ロイドが何も反応せずにいると、彼女は慌てて攻撃魔法の詠唱を開始する。

刹那、ロイドとクレアの間を埋めるように放たれた巨大な闇の閃光。
この狭い空間に放つには余りに大き過ぎる威力に、敵は姿を認識されることもなく消え去った。
魔力制御を誤ったのか、彼女らしくもない攻撃。一歩でも動いていたら巻き添えを食らっていた。
しかし、立ち尽くすクレアの傍らで、ディアナ本人が最も面食らった様子を見せる。

「私、唱えてないよ……?」

彼女の問いに答える者はいなかった。
何も言わずとも察していたのだ。紛れも無く、杖の力だということに。

521偽悪的征服録 Ep.9:2010/07/10(土) 02:24:49 ID:ax8UEsYU
結局不吉な杖を手に入れることで目的は達したが、ディアナの言動で一つだけ、不可解な点が残された。
彼女が階段を見つける直前に呟いた言葉。ロイドもクレアも、何も耳にした覚えがない。

ほとんどの敵を一掃したことにより、ディアナは悪い噂に困り果てていた村人から感謝の言葉を送られた。
しかしそれと引き換えに、彼女はその夜から悪夢を見るようになった。そしてそれは、ロイドにとっても
負担でしかなかった。
見張りを兼ねる立場上、僅かな異変で簡単に目が覚めてしまう上に、真夜中に苦しみ出す彼女を放っておく
わけにもいかない。何を見たのか尋ねても、ディアナは顔を赤くして押し黙る。
容態は日に日に酷くなり、村を出るにも出られず、一切の放置を予告したところで彼女はようやく白状した。

「知らない人に……、その、される夢……」
「される?」

視界を奪われ、身動きを封じられ、舌で舐められ、目を覚ますまで辱められる夢を毎夜見ると彼女は言う。
誰なのかもわからない相手に一方的に凌辱され、最後には予知夢であると囁かれ、現実にまで恐怖を与える夢。
その悪夢に怯え、ディアナは片時もロイドから離れない。宿での待機にも応じず、ロイドもいい加減鬱陶しく
感じていた。
所詮夢なのだと言っても聞かず、結局ディアナの強い希望で、未だ村に居座っているクレアと接触することに
なってしまった。

「悪夢?何かに取り憑かれたんじゃないの?」

クレアは冗談めかして村の噂を口にするが、ディアナにとっては冗談になっていない。
彼女は深刻な顔付きでクレアを見つめ、助けを求めた。

「あの人、呼んで欲しい……。以前私を助けてくれた、白い女の人」
「あぁ……、でもあの子、ケルミスの言うことしか聞かないから。ロイドに頼みなさい。金払うのこいつだし」

ディアナは言われるがまま、切実な瞳をロイドに向ける。
その視線に気付きながらも、ロイドは一切目を合わせず無言を決め込んだ。

「あんた、カジノでエミル王子を恐喝してたんでしょ。金ならあるんじゃないの?」
「……ディアナ。こいつの言う通り、杖の情報料はエミルの金だ。こんなことでまたあいつの金を使う気か?」
「…………」

ディアナは複雑な面持ちで黙り込む。尤もらしいことを言いつつも、実際は彼女を引き下がらせるための
口実でしかなかった。
522偽悪的征服録 Ep.9:2010/07/10(土) 02:25:48 ID:ax8UEsYU
根底にあるのは、クレアの不審な行動に対する懐疑心。それはつまり、クレアに指示を与えるケルミスへの不信感。
それでも何とかして欲しいと、ディアナから痛いほどに心痛な視線を浴びせられるが、ロイドは最後まで
折れなかった。

その夜、ディアナはとうとう涙ながらに眠りたくないと訴えた。
彼女は既に、相当追い詰められている。そろそろ手を打たなければ、ロイドにとっても煩わしい。

「わかった。ディアナ、そこに座れ」
「ここに……?」

ディアナは指された通り、ベッドに腰掛ける。
不思議そうな目を向けられる中、手頃な布を手に、ロイドは彼女の背後に回った。
その布で、彼女の目を覆って縛り、視界を奪う。

「あの……、これ、何……?」

答えの代わりにディアナをベッドに倒して衣服を剥ぎ、両腕を頭上で縛り上げて身動きを封じる。
全ての準備を終えると、ロイドはその意図を口にした。

「予知夢だと告げられたのなら、さっさと現実にしてしまえばいい」
「……、え?」
「相手が誰かわからないんだろ?俺でないと言い切れるか?」
「…………!!」

ディアナは事態を呑み込み慌てて暴れ出すが、もう遅い。
後は彼女が伝えたことを、そのまま実行するのみ。

「で?どこを舐められたって?」
「知らないっ!」
「おい、おまえのためにやってるんだぞ」

問い詰めてもディアナは口を割らない。どうしても吐かないならば、上から下まで順次当たれば良いだけのこと。
最初に狙うは唇。指で押させて彼女の唇を割り、易々と舌を絡め取り、存分に舐め付ける。
逃げる頬を押さえ、軽く顎を持ち上げてより熱っぽく舌を動かすと、すぐにディアナの全身から力が抜けた。

唇を離し、そのまま首筋に触れながらその下の膨らみへと向かう。
膨よかな丘の頂で小さく張り詰めている突起を口に含み、舌の先で突いてやると、ディアナは敏感に小さな声を
漏らした。唇を閉じて甘く噛み、空いている手で片側の胸の先を擦り、身体の芯に確実な熱を与える。
やがてディアナは息を上げ、観念したように解放を訴え始めた。

「そこ……は、違う、から、やめ……」
「じゃあどこだよ」
「やっ……喋っちゃ、っ……」

胸でなければ、普通に考えて残りは一ヶ所しかない。
最後に胸の頂を強く吸い上げ鋭い嬌声を絞り取り、無理やり太股を開いてその中央に唇を近付ける。
523偽悪的征服録 Ep.9:2010/07/10(土) 02:27:08 ID:ax8UEsYU
視界を塞がれながらも秘所に掛かる吐息で、彼女は状況を察して慌てて足を閉じ、手首の布を外そうともがき
始めた。それすらも、おそらく夢の通りなのだと思いつつ、ロイドは迷わず深くまで舌を差し入れる。

「そ、そんな、とこ……!いやっ……、ぁ……、ああぁっ!」

女の匂いを漂わせ、既に十分な潤いを保つその中で舌を蠢かせると、彼女は健気にも腰を跳ね上げて快感を訴える。
ロイドはそれさえも押さえつけ、蜜を纏った柔らかな壁を割り、時間を掛けて執拗に粘膜を擦り合わせた。
快感を和らげられず、今にも泣き出しそうな声で喘ぎ続ける彼女が、この上なく艶かしい。
彼女から僅かに離れ、傍らで小さくそそり立っている肉芽に舌を這わせると、ディアナは一層高い声を上げた。
心地良く耳に響く彼女の喘ぎを止ませるまいと、何度も優しく舐め上げているうちに、彼女は悲鳴に近い声を上げ続け
あっさりと果てた。

蜜を滴らせ、彼女の花芯は震えながら男を待ち詫びている。
ロイドは自らを触れない程度に充てがい、ディアナを抱き締めた。
視界を奪われている今の彼女は、何をされるか予測がつかない。
ディアナの身体の震えが収まるまで、いつしかのように髪を撫でて安心させ、油断させる。
やがて緊張が解れ始めたところで、一思いに彼女を奥深くまで貫いた。

「ぁあああっ!!」

既に十分に濡れている。遠慮は要らない。
太腿を抱え、身を反らすディアナを抱き締めたまま激しく中を掻き回す。
突如与えられ始めた著しい快楽に、ディアナは戸惑いに満ちた甘い声でロイドを誘う。
突いては更なる深みを求め、引いては甘く痺れる摩擦を与え、彼女を再度の絶頂へと導く。
絶えることのない艶めきに満ちた声が、ロイドの情欲を際限なく掻き立てていた。

今はディアナを抱くに足る理由がある。拒まれる謂れはない。
今だけは純粋に、彼女のために愛することができる。
抑え込まれていた理性を全て欲望に変え、泣き叫ぶ程に自分を感じさせ、何度も声を失わせた。

問題はいつまで続けるか。予知夢の実現という建前の理由を貫き通すためにも、ディアナの告げた言葉に
従わなければならない。目が覚めるまで犯され続けたということは、朝まで続ければ確実。
しかし、ディアナだけでなく流石にロイドも持たない。
できる限り焦らしてやれば良いが、頭ではわかっていても身体はそうはいかない。

524偽悪的征服録 Ep.9:2010/07/10(土) 02:27:46 ID:ax8UEsYU
貪欲に彼女を、彼女が絶頂と引き換えに与える快楽を求めていた。肢体を震わせて悶える彼女の姿を見れば、
尚のこと。
自制が利かず、ロイドは本能のままにディアナを求め続ける。
彼女の弱い箇所を小刻みに突き、徐々にその速度を上げていく。

「や、めっ……いやっ、あああぁっ!!」

強い収縮と共に感じ始める、鋭い快楽。その瞬間、ロイドは我に返り唐突に動きを止めた。
我慢しなければならない。せめて、彼女を起こしていた真夜中までは。
一転してゆっくりと、控え目な抽送を始めると、彼女は熱の篭った声を上げ始める。

「あっ、あ……、や、やめて、もう、……」
「……だから、これは」
「も……いい、から……、これ、外して……」

正当性を主張しようとすると、ディアナは音を上げて再び解放を求めた。
視界を奪われ神経を研ぎ澄まされ、手首を縛られ逃げることもままならない。
批難される道理もなく、彼女の五感を全て支配することができるまたとない機会。これを逃すなど、有り得ない。
優しく確実に最奥を責めつつ胸の先に触れ、できる限り弱い刺激で時間を稼ぐ。
やがて彼女は、溜まりに溜まった快楽を持て余すかのように身を捩り、甘く苦しげな声を零し始めた。
その悩ましい姿に欲望を駆り立てられ、ロイドは無意識のうちに徐々に強く腰を打ち始める。

「い……っ!あ、ああぁぁっ!!」

ディアナの一際高い叫びに、気付くと動きが加速していた。
溢れ余る快楽を受け止め切れず、彼女は腰を振る度に煽情の声を上げ、ロイドの理性を奪う。
本能のままに彼女を求めると、ディアナはそれに答えるように自分の中で暴れる肉欲を締め付ける。

最早限界だった。ディアナを相手に、二度も耐え抜くことはできない。
強く抱き締め逃げ場を奪い、執拗に腰を打ち続けると、彼女を続け様に何度も果てた。
強制的に迎えさせられる絶頂に溺れ、酷く喘ぐ彼女を尚も突き立て、限界を感じた始めた瞬間、最奥まで深く貫く。
同時に全身にぞくりと熱い衝動が走り、ロイドはすぐに身を引き彼女の身体を汚した。

「はぁ……、ぅ、あ……」

彼女は意味を成さない言葉で身体の限界を訴えている。
一度我慢したためか、ロイドも精力尽きた感が否めない。
既に夜は更け、毎夜ディアナに起こされていた時間が近い。
縛り付けていた布を解くと、彼女は僅かに潤んだ瞳をロイドに向ける。が、疲労のためかすぐに目を閉じ、
眠りに落ちた。


525偽悪的征服録 Ep.9:2010/07/10(土) 02:28:48 ID:ax8UEsYU
翌朝。客のいない酒場に現れた、意外な人物。

「……頼んだ覚えはないぞ」
「あたしは、あいつにちょっと吹き込んだだけなんだけど」

以前ディアナを助け出した、白い法衣の魔道士が村に訪れていた。
不機嫌そうな様子を見るに、おそらくただ働きを強要されたのだろう。
クレアによる目的のわからない嫌がらせに、媚へつらうかのような無償の人員派遣。
ますますケルミスの企みがわからなくなる。

「で、誰がどうしたんですか」
「シシル、もうちょっと愛想良くしなさい……。本業でしょうが」

クレアに戒められつつ、シシルと呼ばれた破魔の魔道士は、隅のテーブルに伏せているディアナに近付く。
ぐったりとしている理由は無論昨夜の行為だが、端から見れば悪夢により消耗しているようにしか見えない。
彼女は眠そうな目を向けるディアナに静かに触れ、容態を探る。束の間の静寂と共に、片手に携えられている
錫杖の環が、音も立てずに揺れていた。

「……夢魔ですね。その手の敵に呪詛でも掛けられたのではないですか」

思い当たる節のあるディアナは、途端に不安な表情を見せる。
シシルは身を案じる言葉さえ掛けず、早々に祈祷を彷彿させる言霊を紡ぎ始めた。
見えないところで繰り広げられる、実体のない戦い。
やがて彼女は錫杖を地に突き、何事もなかったかのように平然とした顔を周囲へ向けた。

「終わりました。魔を払っただけで本体は別にいますが、そこまで対応しません。頼まれていませんので」
「あぁ、そう……」

クレアも呆れるほどの御役所仕事ぶり。しかし、だからこそ彼女は信用できる。
ケルミス達は情報業者であり、ロイドとディアナは飽くまで顧客という立場にある。
そしてそれは、金銭などの取引があって初めて成立する。
今回、ロイドは何の見返りも与えていない。顧客としての立場が確立していない以上、ケルミスの行動には
絶対的信頼が伴わない。
始終怪訝な表情を浮かべるロイドを横目で見据え、彼女は静かにもう一つの目的を口にした。

「私はこのためだけに、この村へ訪れたわけではありません。他にあなたに用がある方がいます」

その言葉の直後、木造の床が背後で軋む。振り向くと、シシルの視線の先に三人の男の姿があった。
526偽悪的征服録 Ep.9:2010/07/10(土) 02:29:49 ID:ax8UEsYU
体格の良い傭兵らしき男と、顔を隠したラストニア兵。そしてその二人の間に、全身を黒で覆い尽くした
若い男が佇んでいる。彼は獣を思わせる鋭い視線を落とし、一歩、また一歩とロイドに近付く。
三人とも会った記憶がない。しかしシシルの態度と現れたタイミングから、中央の男が何者なのか、ロイドは
自分の勘を疑いつつも察していた。

「……おまえ、まさか」
「待て。名は呼ぶな」

今になって何故姿を現したのか。彼はロイドの表情からその疑問を読み取り、自分の姿を見て苦笑するクレアに
皮肉の視線を送って答える。

「そこの女がちっとも役に立たなくてな」
「……こいつ、逃げてばっかりで全く接触しないんだもの」

二人の会話から確信する。間違いなく、この男はケルミス本人であるのだと。
自国の兵を連れて来たということは、おそらくここで接触させることが目的。
隣の傭兵はおそらく用心棒といったところ。
しかし、肝心の兵は一切の反応を示さない。接触させたいならば、けしかけた方が早いはず。
ロイドが沈黙を守っていると、ケルミスは何も期待していない様子で口を開いた。

「一言くらい話してやってもいいんじゃねえのか?」
「何の用だ」
「…………」

敢えて話を噛み合わせず、互いに表情一つ変えることなく睨み合う。
ディアナを始めとする周囲の人間全員が、事の成り行きを黙って見守っていた。
重い沈黙の中、先に口を切ったのはケルミスだった。

「はっきり言え。おまえはラストニアの敵か味方か。どっちだ」
「……正直に答えると思うのか?」
「思ってねえよ。だからクレアに探りを入れさせた。それでもこいつはなかなか尻尾を掴めない。
 だからこの俺がこうしてわざわざ出向いてやったんだ。何が言いたいか、わかるな?」

彼は正体をばらすリスクを負ってまでロイドに姿を晒した。
つまりこれは、彼なりの誠意なのだ。そして、その誠意に答えることをロイドに要求している。
一体何が、彼をそこまで動かすのか。それだけがわからない。
ロイドの疑問に感付いたのか、ケルミスは唐突に話を切り替えた。

527偽悪的征服録 Ep.9:2010/07/10(土) 02:30:35 ID:ax8UEsYU
「俺達の拠点がどこなのか、おまえなら察しがついてるだろ。あの付近に国が密集しているのは知ってるな?」

大陸の東端に、小国の密集区域が存在する。その中に混じる、ケルミス達の拠点。
機甲都市ヴェルニカ。情報業を生業とし、その業界でトップクラスの実力を維持する彼らにとって、発達した
機械文明は必須のはず。

「ラストニアがあの辺一帯の制圧を企てているという情報が入っている。おまえがどっちにつくかで情勢が
 大きく変わるんだよ」
「なに……?」

ロイドは眉を顰めた。司令塔が存在しない軍を、一体誰が動かすというのか。
もしその情報が確かならば、ケルミスの取った謎の行動が一応は全て繋がる。
しかし、答えることができなかった。自分の立つべき位置を、考えないようにしていたのだ。
一瞬の動揺を隠し、一貫して黙秘を続けると、ケルミスは冷めた目でロイドを見遣り傍らの傭兵に合図を送った。

「おまえがそのつもりなら、力ずくでも答えてもらうぜ」

傭兵は待ち侘びていたかのように大剣を携えて前進し、ロイドに自らの名を告げる。
仮にもケルミスが、戦闘要員として雇った男。油断ならないのは百も承知。

「私の名はクリスト。剣豪として名を馳せる貴方と一戦できるという条件で、この者についている。
 手合わせ願いたい」

悪名高く、且つ実力を備えたロイドを降せば、自ずと名声を手にすることができる。
今まで挑んで来た者のほとんどは、それに近い野心を携えていた。
ケルミスはその心に付け込み、彼を利用している。そして、クリストの体格から察するに彼はおそらく重量型。
これが偶然なのかどうか、今の段階では判断し兼ねる。

席も立たずに勝負を渋っていると、クリストは問答無用で剣を振り被り、決闘を強要した。
流石に逃げ場のない狭い室内で剣を振り降ろされては、応戦せざるを得ない。
仕方なく、咄嗟に剣を抜いて振り下ろされた刃を受け、余りある勢いで周囲のテーブルを打ち倒す。
困惑する酒場のマスターを見兼ね、クレアが慌てて大声を上げた。

「あんたら、外でやりなさい!」

528偽悪的征服録 Ep.9:2010/07/10(土) 02:32:23 ID:ax8UEsYU
クリストに追われて表へ出たその瞬間、ケルミスの僅かな笑みが視界に飛び込む。
ロイドは確信した。これは偶然ではなく、彼がその事に気付いた上でクリストを選んだのだと。
重い一撃を受け流し、素早さを武器にクリストを翻弄するも、彼は体格に似合わず俊敏で絶対に背中を見せない。
クリストは、ロイドが最も苦手とするタイプの戦士だった。

「なるほど、確かに言われた通りの動きをする」

おそらくケルミスにより吹き込まれたであろう戦闘情報に、クリストは自信に満ちた表情を浮かべる。
ロイドの戦術は決して攻撃的ではない。回避に専念しつつ相手を挑発して虚を突き、手の内を見せないよう
可能な限り少ない手数で仕留める戦法。それ故、ロイドには弱点が存在する。
戦術の所以、そして森や洞窟でディアナの手助けをしない理由は全て、それを隠すためのものだった。

負けるつもりなど毛頭ないものの、クリストは相当腕が立つ。
ついには撒き切れず、襲い来る刃とまともに交えさせられてしまう。
彼の一撃の重さから逃れるように剣を払い、ロイドは大きく後方に飛び退いた。

ロイドの決定的な弱点。それは破壊力の欠如と打たれ弱さ。
スピード重視の戦法故に力が伸びず、どうしても他の剣士に比べ見劣りしてしまう。
腕力のあるクリストの一撃を受け止めることが、ロイドにはできないのだ。
更に今、他にも不利な要素が存在する。
心配そうにロイドを見つめるディアナの様子からも、それははっきりと窺い知れる。

自分でも自覚できるほどに、動きに切れがない。
やがてクリストもそれに気付き、苛立ちを露わにロイドを睨みつけ、呟いた。

「……嘗めるな」

後退するロイドを追う彼の表情が、見る見る怒りに染まる。

「そんな迷いのある剣を振るとは、私を愚弄する気か!?」
「……!?」

動揺を誘う言葉で一瞬の隙を作り、彼は鋭い一閃を繰り出す。
それでも尚、ロイドは瞬時に迫る剣の軌道を読み、攻撃の回避を試みる。

529偽悪的征服録 Ep.9:2010/07/10(土) 02:34:19 ID:ax8UEsYU
鈍い音が耳に響いた。
彼の剣は空を斬り、その刃はロイドには届かなかった。正確に言うならば、ロイドを狙ってはいなかった。
振り上げられた白刃は、腰に携えられていたもう一つの剣──追尾の剣を高々と弾き飛ばす。
クラウ・ソラスは鞘に収められたまま空高く舞い上がり、固唾を呑んで見守る地上の人間に向かい自然落下を
始めた。

切っ先が、心にもなかった人間に向けられる。
やがてその人物は、予め示し合わせていたかのように、直撃寸前で身を退いた。
クリストは攻撃の手を止めている。最初から、これが目的だったのだ。

「それが、おまえの答えだな」

始終観察に徹していたケルミスが静かな笑みを湛え、ラストニア兵の足元に落ちた剣の意思を、言葉に換える。
ロイド自身が、誰よりも驚きを隠せずにいた。
別段祖国を嫌っているわけではない。況してや憎んでいるわけでもない。
しかし、クラウ・ソラスはロイドの深層意識を如実に物語っている。

「ロイド、俺達の味方につけ。拒否権はないぜ」
「……、まさか、最初からこのために……」

このためだけにクラウ・ソラスの情報を渡したのか。しかし、そうだとしてもやはり腑に落ちない。
ロイドがラストニアの味方についたら、どうするつもりだったのか。

餌となった兵は、ラストニアの皮を被ったケルミスの仲間だった。
完全に彼の策に乗せられたことになる。だとすれば、先日手にしたディアナの杖はどうなのか。
クレアが意味もなく同行したのは、杖の入手を確認するためだったのではないか。

ディアナが携えている『レーヴァテイン』を尻目に、一抹の不安を抱えながらもロイドはやむを得ず彼の要求を
呑んだ。勝者はロイドでもクリストでもない。他ならぬケルミスであるのだから。
一頻り決着がついたところでシシルが歩み出る。おそらく、本来の役割を果たすために。

「移動します。ヴェルニカへ……」

辺りの景色が歪み出し、光が全てを包み込む。
望まぬ戦いが、刻一刻と近付いていた。
530名無しさん@ピンキー:2010/07/10(土) 02:34:51 ID:ax8UEsYU
以上です。続きます。
531名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 22:14:52 ID:62BOa7V5
GJです!

ロイドさんはディアナちゃんが、そしてディアナちゃんをいじめるのが好きすぎる
くせのあるキャラもいろいろ出て来て、これからの展開も気になるが
そのなかでディアナちゃんがどういじめられるのかが気になるw
好きな娘をいじめるだけじゃなく、連れ廻して継続的にいじめるなんてハアハア
532名無しさん@ピンキー:2010/07/12(月) 01:51:31 ID:xeL6ABWK
やっぱりエロひどいことされちゃうディアナちゃん可愛いです
続きもwktkで待ってます!
533名無しさん@ピンキー:2010/07/14(水) 01:17:06 ID:q/WiXTEK
ファンタジーもの
触手・寝取り寝取られ・処女喪失が入っているので注意
後味の悪い話かと思われます
全11レス、エロは5〜7レスに
投下します
534永遠の世界 1/11:2010/07/14(水) 01:19:09 ID:q/WiXTEK
こんな夢を見た。
自分は薄暗い洞窟の中を光を求めて歩いていく。
洞窟の奥の方からは光が溢れていて、洞窟を抜けると開けた場所に出た。
見上げるほど大きな氷のようなものがあり、自分はそれに触れた。
冷たくはなく氷ではないことが知れた。
透明なものの塊。
その中心には白骨となった人間と年老いた男が恨めしい顔で自分を見下ろしていた。
「あなたはあの中に何を見る?」
自分の横にはいつの間にか女が立っていた。
髪も瞳も銀色の、よく言えば神秘的な、悪く言えばひどく現実感のない女だ。
自分は自分に見えているものを答えた。
女は寂しそうに笑い、この国の伝説を知っているかと自分に尋ねた。
どこの国にもあるありふれた伝説が自分の国にもあった。
勇者一行が魔王を倒すというもの。
女が言うには、あの白骨化した人間はかつての勇者で、老人の方は封印された魔王だそうだ。
「魔王といってもあれはかつての私利私欲に走った魔法使いの成れの果てですが。
 世界の魔力を我が物にするために、自分の姿が相手の愛しい者の姿に見えるように魔法をかけた。
 だから封印された今でも、あれを見た者の目には自分の愛しい者の姿として見えるのです」
自分は彼女の目にはあれは何に見えているのか尋ねた。
「あなたによく似た男」
彼女はあれを見上げる。
彼女の銀色の瞳から一筋の涙が流れた。

彼女はエリスと名乗った。
エリスはある男の伝説の話、彼女が永遠の世界に至るまでの話を自分に語り聞かせた。
「勇者様、どうか永遠の世界から私とあの人を解放してください」
伝説、解放、なんと響きのいい言葉であろうか。
つまり彼女は自分に彼女ともう一人を殺す殺人者になれと言っているのだ。
しかし――伝説となり、その名を語り継がれる者というのは総じて殺人を行ってきている。
人を殺して勇者になるか、人を殺さず凡人となるか。
自分は悩みながらあれを見上げた。
あれはもう老いた男などではなく、エリスの姿に変わっていた。
自分は、殺人者になることを決めた。
535永遠の世界 2/11:2010/07/14(水) 01:20:13 ID:q/WiXTEK

「お互い一人前になったら一緒に冒険をしよう」
幼馴染のジャンと約束を交わし、私は村を出た。
ジャンは勇者見習い、私は魔法使い見習い。
いつか二人揃って伝説になろうというのが私達の夢だ。
私は一人前の魔法使いとなるために、東の森を目指した。
噂に寄るとその森には伝説の魔法使いの血を引く賢者がいるらしい。
その人に弟子入りするために東の森に入る。
東の森は魔力に満ち溢れ、賢者がいるらしき場所にはなかなかたどり着かず、十日間森を放浪した。
そして遂に森の中に家を見つけ、飛びつくようにドアをノックすると、中から若い男性が顔を出した。
髪も瞳も銀色の、よく言えば神秘的な、悪く言えばひどく現実感のない、極端に色の少ない男の人。
東の賢者に弟子入りに来たというと、東の賢者である彼の祖父は西の国に出かけているとのことだった。
がっくりと項垂れる私に彼は自分が魔法を教えてやろうかと申し出てくれた。
半人前の私にも一目見ただけで彼が強大な魔力を有していることは感じ取れた。
東の賢者がいつ帰ってくるかはわからない。
他に弟子入りしたい魔法使いがいるわけでもなし。
私は彼の申し入れをありがたく受け入れた。

「先生。薬売ってきましたよ」
「いくらになった?」
金貨の入った袋をテーブルの上に置くと、重い音を立てる。
「先生がたった三秒で作った薬一つが金貨三枚。なんてあくどい商売!」
「需要が高いから値段がつり上がる。別に俺は悪いことはしてないよ。
 それに……魔法使いなんて昔から私利私欲に走るって決まってるんだ」
私の先生となった人は現実感のない容姿をしているくせに、中身はひどく現実的な人だった。
東の賢者譲りなのか魔法の知識も豊富で、習うべきことはまだまだたくさんあるけれど、
彼の金に汚いところや、大人のくせに少年のようなところ、世間を馬鹿にしているところは
絶対にマネしたくないと思っている。
「でも伝説になった人達は違うでしょう?
 私はエルネストとラファエル、アルノーみたいになりたい」
伝説として後世まで名を残す人達。
きっと正義感に溢れた若者だったのだろう。
「おい。一人大事なのが抜けてるぞ」
伝説の4人の一人を抜かしたのは態とだ。
先生も知ってるだろうからあえて言わなくてもいいと思ったのに、意外ときっちりしている。
それとも――。
「別に忘れていたわけではありませんよ。尊敬しているから、あまり軽率に名前を呼びたくないだけです」
最後の一人は四人の中で最も魔力の強い魔法使いだった。
エルネストが魔王を押さえつけている間に、彼がラファエルとアルノーと協力して魔王をエルネストごと封印したらしい。
「先生。東の賢者が……その人の子孫だという噂は本当ですか?」
私はその噂を聞きつけて、東の賢者に弟子入りしようと決めたのだ。
東の賢者に弟子入りはできなかったけど、その孫である先生の弟子にはなれた。
先生は何か考えるように煙草をくゆらせ、煙草の火を消し、立ち上がった。
「伝説に会わせてやろう」
そういって家のドアを開けた先生の後を追いかけた。
536永遠の世界 3/11:2010/07/14(水) 01:21:25 ID:q/WiXTEK
森の奥深く、洞窟の中へと先生は入っていく。
洞窟の中は魔力が強すぎて、強い魔物が出てきそうだったけど、今は先生がいるので心のどこかで安心していた。
長い洞窟を抜けて光の溢れる広い場所に出た。
見上げるほど大きな氷のような塊がそこにはあった。
その中には人間の形をした骨がそのまま一体と――。
「……ジャン!?」
ジャンが私を見下ろしていた。
私は透明な塊に駆け寄り、塊を叩いた。
それは冷たくはなく、無機質で硬かった。
「先生、どうして私の幼馴染があんなところに?」
先生は動じた様子もなく、目を細めて、ジャンを見上げた。
「あれはお前の幼馴染ではなく、伝説でいう『魔王』だ」
そして先生は「あれはエルネスト」と白骨を指差す。
「封印したはいいけど、あの『魔王』は自分の姿が見る人間の愛しい者に見えるように魔法をかけ、
 今でもあそこから出ようと人間を誘惑し続けている。
 封印後の約千年間、歴代の優秀な魔法使いがさらに封印を強化してくれて、出られるわけがない。
 だが……あれに魅了されて、ここで餓死する人間も現れてな。
 俺はあいつに魅了される人間や魔法使いが出ないように見張ってる」
再びあれを見上げる。
今度はにこやかに私に笑いかけてくる。ジャンの姿をして。
どきりとして目を逸らした。
「確かに……あれは良くないですね」
あまり見続けると、何度もここに足を運んで、最後には出られなくなるような不気味な魅力をあれは持っている。
先生は口の端だけで笑った。
「確かに良くないな」
私の顔をみつめて、先生もあれを見上げる。また私を見る。
「先生もあれが先生のいい人に見えているんでしょう?あまりその人と比べられても傷つくんですけど……」
先生の武勇伝は何度も聞かされ、その中には何人もの美女が出てくる。
先生の知っている美女に敵うはずはないってわかってるけど、
一応は男性の先生にあからさまに比べられたらあまりいい気はしない。
「ああ、別にそうゆうことじゃなくてだな……」
先生は珍しく歯切れが悪かった。
誤魔化すように私の頭を撫でる。
「俺もまだわからないことがあって。おいおいわかるんだろうけど。
 まあ、いい。出よう。出られなくなるぞ」
洞窟の外に向けて歩いていく先生の後を追いかける。
最後にもう一度だけあれを振り返ってみたかったけれど、
そう思っている自分が怖くなって結局振り向かなかった。
537永遠の世界 4/11:2010/07/14(水) 01:22:56 ID:q/WiXTEK
「先生。うちの母が娘をよろしくお願いしますって夢の中で言ってましたよ」
ある日、私が夢の中で母に会ったことを話すと、先生は目を丸くしていた。
困ったような先生の顔を見て、そういえばこのことを話すのを忘れていたことを思い出す。
「ただ普通の夢を見たってわけじゃないんです。
 私は先天的に夢を渡れる力があって、夢の中の母は現実の母と同じなんです」
魔法使いの大部分は後天的に魔法を身につけるけれど、ごく稀に先天的に力を持って生まれてくる魔法使いがいる。
私は先天的に他人の夢を渡れるという力を持っていた。
先生はしばらく黙り込んでいて、漸く「……そういうことか」と呟いた。
「先生?私の力そんなにおかしかったですか?」
先生は小さく首を横に振る。
「それは未来や……過去なんかにも渡れるのか?」
やはり先生は疑問に思うところが人とは違うなと思う。
「未来は無理ですけど、過去を覗くことはできますよ。
 知られたくないことを夢に見る人も多いので、あまり過去の夢には行きませんけど」
夢を渡れるといっても、極々身近な人――両親やジャンの夢にしか入ったことがない。
先生も身近な人だけれど、先生のことは尊敬しているので、入ろうとは思わない。
先生にも夢を渡るなと言われてしまったので、それからは夢を渡ることはやめた。
538永遠の世界 5/11:2010/07/14(水) 01:23:58 ID:q/WiXTEK
先生に弟子入りしてから四年の月日が経っていた。
私も17歳になった。
このところ森で魔物に襲われることが多い。
真面目に先生の下で学び、魔法の知識も増え、魔力の使い方にも慣れ、
大抵の魔物は倒せるようになったけれど、あまりに数が多いときはさすがに身の危険を感じる。
そんなある日、生活のために魔法薬を街に売りに行き、森を歩いているとに蔓に足を取られその場で転んだ。
と思うと、引っ張られて、ずるずると全身を引きずられる。
「あ……やだぁ!」
火で蔓を焼ききろうと、火の呪文を唱えても、魔法は弾かれた。
属性が悪かったのかと、さらに別の属性の魔法を続けてかけても、どれも弾かれて、茂みの中へと引きずり込まれた。
「どうして魔法が効かないの!?」
茂みの中には真ん中に毒々しい色をした花が蔓を触手のように蠢かせていた。
食肉花かと身を硬くしていると、いつまで経っても攻撃はしてこず、滑らかな蔓がするすると服の裾から入ってくる。
蔓が太ももやわき腹を撫でていく。
くすぐったくて身を捩ると、また何本もの蔓が伸びてきて、器用にも私の服を脱がせていく。
私は命とは別の危機感を抱いた。
「あっ!やだっ……やっ……ジャンじゃなきゃダメなの!助けっ、助けて!」
下着まで剥ぎ取られて、蔓が乳房に伸びて、先端を微弱な力で刺激する。
別のところでは蔓が優しくお尻を撫で上げていく。
愛撫、というものなのだろう。
まだ処女なのに、こんな植物に全裸にされて、全身を撫でられて、
いやらしくも感じてしまいそうになる自分が悔しくて目に涙が溢れる。
何度も魔法で反撃しようとするけれど、全く魔法が効かずに、愛撫はどんどんと過激になっていく。
「そこっ、抓っちゃやあっ……!」
何本もの蔓が乳房に絡みつき、ピンと勃った乳首を強い力で抓り上げる。
痛いのに、でも我慢できないほど痛いってわけじゃなくて、そんなことをされているのがたまらなく恥ずかしい。
下の方では自分でも触ったことがないような箇所が熱心に刺激される度に下半身が震えた。
月のものでもないかぎり、普段は意識しない場所からはおもらしをしたみたいに、何か液が溢れ出てきていて、
そこに蔓が浅く侵入して、吸い上げているようだった。
中に入った蔓が微弱に動き、液を吸い上げる刺激に、耐えられずに声が溢れ出る。
「だめぇ……そこは赤ちゃんを、産む、大切なとこ、だからっ、入ってきちゃっあんっあっ、らめぇ……」
人間の言葉が通じるような相手ではなく、溢れ出る液を吸い上げながら、まだ私に液を出させようと、
背筋や、脇、鎖骨など至る場所を蔓が愛撫していく。
反撃はできないし、どんどん力は抜けていって、それでいて、どうしようもなく体の熱は高まっていく。
539永遠の世界 6/11:2010/07/14(水) 01:25:30 ID:q/WiXTEK
気持ちよくて頭が真っ白になりそうになったところに頭上から声が降ってきた。
「あー……、やられてるだろうと思った」
「んっ……せんせぇ」
呆然と佇む先生。
助けに来てくれたのかと思って嬉しい反面、
こんな姿を先生に見られて恥ずかしいという気持ちで、素直に助けを求めることができない。
「まほっが、んんっ……効かないんれすっ」
先生は躊躇なく近くの蔓を手にとって、蔓の表面を観察しているようだ。
「随分とこいつは女の気を吸ってみたいだ。女のお前の攻撃が効かないのも仕方がないな」
蔓に興味を失ったのか、先生は蔓を地面にぺっと放ると、どさりとその場に胡坐をかく。
全く助けてくれる様子がない先生にたまらず「せんせぇ」と甘えた声を出してしまう。
先生の視線は蔓に揉みしだかれる胸へと注がれている。
「俺も先生である前に男だから。若い娘が全裸で身悶える姿は見ていて楽しい」
「そんなぁ」
「魔物は乙女が好きだからなぁ。ああ、処女って意味のな。
 最近お前がよく魔物に襲われてたのは、魔物からしてお前が処女の匂いをぷんぷんにさせてたからだろうな。
 大丈夫。愛液舐められたり、ちょっと魔力吸われたりするかもしれないが、殺されはしないさ」
何も大丈夫なことなんてない。
「こんなの嫌っ、嫌です!」
「処女である以上無理だ。諦めろ」
冷たく切り捨てられる。
処女だからこんな理不尽なことをされるなんてひどい。
中からとろりと溢れた液を蔓がやらしい音を立てて吸い上げる。
「もう吸わないでぇ!せんせぇ、たすけてください……」
このままだと全部吸いつくされてしまいそうだという不安に駆られる。
もう恥ずかしいと思っている場合ではなかった。
先生は立ち上がったけれど、まだ呪文を唱える気はないようで、腕を組んで私を見下ろしている。
そこには普段の見守ってくれるような温かみはなく、もっと別の感情を孕んでいるようだった。
「助けてもいいけど、一時的に助かっても、今後も魔物に襲われることになるぞ。
 俺も毎回お前を助ける七面倒臭いことはしたくないから、処女は俺がもらうことになるけどいいのか?」
「それは……」
私はジャンのことが好きなのに――。
こんな私の力不足のために、尊敬する先生とはいえ、別の男性に処女を渡してしまっていいものなのだろうか。
540永遠の世界 7/11:2010/07/14(水) 01:26:39 ID:q/WiXTEK
悩んでいる間にも蔓の愛撫は続き、今度は後ろの穴を蔓が撫でていく。
背筋にぞくぞくと嫌悪感がこみ上げる。
「やだっ!先生、助けてください!」
叫ぶと、次の瞬間魔物の中心部の花が弾け飛んでいた。
蔓はびくびくと震え、力を失い、私の体から解け落ちる。
腕や足に絡んでいた蔓を取り払いながら、体を上げようとすると同時に、先生に押し倒された。
「じゃあ遠慮なくもらってくぞ」
さっきの『助けてください』は、『処女あげます』という意味でいったわけじゃなかったのに。
新たな恐怖に、たまらず先生の肩を押す。
「先生。ごめんなさい、やっぱり私……」
「魔法使いが契約違反はいけないな」
先生の手が割れ目に伸びる。
すでに愛液の溢れるそこはすんなりと先生の指を受け入れた。
蔓よりも深いところまで指が入ってきて、奥を掻き混ぜていく。
「充分潤ってる。もう突っ込むからな」
足を抱えあげられる。
抵抗する間もないままに、熱があてがわれて、貫かれる。
処女膜を突き破られた痛みで先生の腕に爪をたてた。
ゆっくりと腰を動かされ、目を閉じて痛みに耐える。
そうしていると、先生に唇を奪われて、舌を絡め取られる。
段々と痛みの中にも、他の感覚も芽生えてきて、舌を絡めあったまま熱い息を吐く。
先生が唇を離す。
腰の動きが激しくなり、全身が揺さぶられる。
「あんっあっああっ!せんせぇ……」
「ん……いいぞ」
先生に突き上げられるたびに目の前がちかちかした。
「あっ、はあぁっ……あんっあっ、ふぁっ……」
「体位変えるぞ」
体をひっくり返されて、腰を高く上げさせられて、先生に後ろから貫かれた。
「先生っ、こんなの……んんっ、恥ずかしっ、はぁっ」
「魔物と交わって乱れてる方がもっと恥ずかしい」
森の中に嬌声と二つの乱れた息が響き、吸い込まれていく。
長いこと森の中で先生と私は絡みあった。
お互いに愛し合っているわけでもないのに――。
541永遠の世界 8/11:2010/07/14(水) 01:27:52 ID:q/WiXTEK
それから魔物に襲われることはなくなったけど、一度体を許してしまったせいか、
先生にベッドに引っぱり込まれるようになった。
先生のことは嫌いじゃなかったけど、他に好きな人がいるのに別の男性に体を許している自分が許せなくて嫌になった。
早く一人前になって、ジャンと冒険に出たいという想いが募り、一度ジャンに会いに行くことに決めた。
「先生、明日ジャンに会いに行こうと思います」
先生に許可を取ると、先生はあっさりと許可をくれて、「会いに行くのなら早く寝ないとな」と言ってくれた。
私が早くにベッドに入ると、先生が何故かベッドの横に椅子を持ってきて座った。
男と女の関係になってしまったからか、先生が私を見つめる目が優しくなった気がする。
私の寝顔を見ようというのか、優しい眼差しで私を見下ろしている。
複雑な気持ちだ。
気まずくなって雰囲気を変えようと私は以前から疑問に思っていたことを思い切って訊いてみた。
「先生。先生のお名前は何というのですか?」
先生はすぐには答えずに、私の頭をよしよしと撫でた。
その時洞窟に行った時のことを思い出した。
先生に頭を撫でられるのはあの時以来、二度目だ。
「知りたかったら俺の夢に入ればいい」
「先生の夢に?……入りたくありません」
「今はそうかもしれないが、いつか入りたくなるさ。俺の夢は人よりもずっと長いと思うぞ」
長い夢――その意味はよくわからなかった。
先生、昔は夢を渡ってはいけないと言ったのにどうして。
考えているうちに、眠気が襲ってきて、瞼が重くなっていく。
何かが唇に触れた気がしたけど、それが何かを考える前に、私の意識は眠りの世界に落ちた。

翌日朝陽と共に起床して、部屋の窓を開けると、空は快晴でお出かけ日和だった。
朝食を作るために台所に立つと、すぐに先生も起きて来た。
ドアを開けたままそこに立ちすくむ先生を見て、
不思議に思いながら「おはようございます」と声をかけると、
朝が苦手な先生には珍しく笑顔を返してきた。
いつも通りに簡単な朝食を先生と済ませて、家を出た。
森を突っ切り、森の魔力が届かない場所に出ると、移動の呪文を唱え、自分の生まれ育った村に降りた。
自分の村を目の当たりにした瞬間――私は悲鳴を上げていた。
542永遠の世界 9/11:2010/07/14(水) 01:29:26 ID:q/WiXTEK
すぐに先生と暮らす家に戻ると、先生は家にはいなくて、テーブルの上にメモが置かれていた。

『あれの前で待つ』

走って洞窟へと向かった。
あれの前につくと、先生は例の無機質な塊に手をあてて、あれを見上げていた。
混乱している私には先生のことを気にしている余裕はなかった。
「先生!おかしいんです!すべてがおかしいんです!
 ジャンが死んじゃってて、私の両親も死んじゃっていて、ジャンの孫だって名乗る人がいて。
 ああ……先生!私たった一晩眠っていただけなのに、でも、あの村は――六十年経っていたんです!」
街並みもそこに暮らす人々もすべてが変わっていた。
墓地には両親や、兄弟、友達、そしてジャンの名前が刻まれていた。
私は誰かの悪夢に入り込んだまま出られていないのではないか。
そう思って拳を強く握り締めても、掌に爪が食い込んで痛かった。
これは――どうしようもない現実なのだ。

先生は振り向きざまに口角を上げた。
「何もおかしくない。お前が眠ってから、本当に世界は六十年経ったのだから」
頭が真っ白になった。
全身が震えだす。
「ど……して……」
どうして私は六十年眠り続け生きていられるのだろうか。
どうして先生は六十年生き続け、全く姿形が変わっていないのだろうか。
どうして先生は今の状態で笑っていられるのだろうか。
私のいくつもの疑問に先生は一言で答えた。
「俺が時を止めたからだ」

「俺は先天的に対象の時を操る力がある。
 お前には眠った状態で肉体年齢を止めるようにさせてもらったよ」
その場に膝をつく私の頭上から先生の声が次々と降って来る。
「俺の姿形が変わらないのも自分の肉体年齢を止めたからだ」
頭の中で話の処理が追いつかない。
「お前にかけた魔法の仕上げが済んでいなかった」
先生が私の顔の前で手をかざす。
何も起こらなかった。
他のところに変化が起こったのか確認しようと下を向くと、さらりと自分の髪が流れた。
その髪の色が、茶色から、銀へと変わっていた。
「嘘……」
「肉体の時を完全に止めると、そうゆう色になる。俺も元々は髪も瞳も真っ黒なんだがな」
何の意味があって先生はこんなことを。
見上げた先生の顔はそれはそれは幸せそうで、微笑を浮かべて私に手を差し出す。
「エリス。永遠の世界へようこそ」
先生の向こうで、ジャンの姿をしたあれが私たちを見下ろして、嘲笑っていた。
543永遠の世界 10/11:2010/07/14(水) 01:30:45 ID:q/WiXTEK
「エルネスト。変な夢を見たんだ」
言うと、エルネストは眉を上げた。
「お前が夢の話をするなんて珍しいな。どんな夢だったんだ?ジル」
俺は昨夜見た夢をそのままエルネストに話した。
時を止めた俺達と同じ髪と瞳の色をした女が、俺の前に立ち、俺の名前を尋ねてくる。
俺の名前を聞くとただ静かに涙を流すという何てことはない夢。
何てことはないのだが、その夢に微かに魔力を感じ、どうしてだか気になった。
エルネストはにんまり笑って、俺の肩を抱く。
「むっさいおっさんが出てくるよりいいじゃないか。それでいい女だったか?胸は大きかった?」
「顔はそうだな、美女とまではいかないが、俺好みだった。胸は詳しくは覚えてない」
そこが大事だろうに、とエルネストは声を上げて笑いながら、魔物に刺さった剣を抜き取った。
「そういえば、この前嫁さんのところに帰ると、俺の息子が俺より歳食っててショックだったなー」
「もう三十年になるからな」
自分達が『魔王』を討つ為には、それぞれ剣や魔法を極める時間が必要だった。
だから俺は自分と仲間三人の肉体の年齢を止めた。
時は暗黒時代。
私利私欲に走った魔法使い――通称『魔王』派閥と、人間との戦いが国中で起こっている。
俺達四人は剣士、魔法使い、召喚術士、騎士と、それぞれ魔力を持っていて、
どちらの派閥にもつけたが、俺達は人間側についた。
というのも、明らかに普通の人間側の数の方が多く、一時的に『魔王』勢が王族を虐殺し、
国の中枢を掌握したとしても、何百年、何千年という未来を見据えたら、
確実に生き残るのは、絶対的に数が少ない魔力を持つ者ではなく、人間だと見たからだ。
俺達はこの三十年『魔王』陣営との実践込みで剣や魔法を極めたつもりだ。
俺達より二十歳ほど年上でしかなかった『魔王』はすでに七十歳を超えていて、
魔力こそは高いが、魔力に肉体がついていかないほど老いている。
俺達はこれも狙っていた。
確実に後世に名を残すため、負ける戦をする気はなかった。
英雄になろうとしている俺達は三十年前から欲に目が眩んだ愚かな若者でしかない。
「なあ、こんな作戦はどうだ?
 俺があいつを抑えている間に、俺ごとお前らが封印する。
 で、お前らは生きる英雄として、俺を崇める伝説を語り継ぐ、っと」
中でもエルネストは英雄になるためには自分の命さえどうでもいいという大馬鹿者だった。
「そうなるとお前は死ぬぞ?」
「死んだ英雄の方が格好良いだろう?
 お前はあいつを封印し続けるためにずっとこの世に残るんだよな。
 自分の時を止める前に子どもも作らなかったし。
 賢いよ、お前は。自分の子孫が自分以上に優秀だとは限らないもんな」
エルネストは肉体年齢を止めると性交はできても子どもができないと聞き、肉体年齢を止める前に
せっせと子作りに励み、何人か子どもを作ったが、どの子もエルネストを超えるほど優秀ではなかった。
俺の先天的な力は先祖の誰も持っていないもので、それが自分の子どもに受け継がれるとは思えず、
エルネストのように子どもを作らなかった。
だから封印に成功したら、自分が責任を持ってこの世に残り、封印の強化と見張りをするつもりだ。
欲に目が眩んでいるからといっても、封印する以上は、それを封印し続ける正義感は一応全員持ち合わせていた。
エルネストは口笛を吹きながら、何が楽しいのか、ふふっと笑った。
「永遠の世界だな」
年を取らない、病気にならない、何も変わらない、永遠の時が続く世界に俺は生き続ける。
さも素晴らしいもののように語るくせにエルネストは真っ先に永遠の世界を拒否した。
544永遠の世界 11/11:2010/07/14(水) 01:32:04 ID:q/WiXTEK
それはあいつを封印する時になっても変わらなかった。
洞窟の中にあいつを誘い込み、自分達は岩場の上からあいつが開けた場所に出てくるのを待った。
洞窟から出てきたあいつを見て驚いた。
以前は老人姿にしか見えなかったはずなのに、その時には何度も夢の中で会った女に見えた。
「あー、ヤバイ。あいつが若いときの嫁に見える」
エルネストはヤバイヤバイと言いながら、血走った目で燃え盛る剣を握り締めていた。
「ありがたいねー。俺達のために敵になってくれて。
 やっぱりさ、英雄になるためには、それ相応の敵が必要だよな」
「今からやることは四人がかりでの老人リンチだがな」
夢の女が俺を見た。
「気づかれたぞ」
エルネストが立ち上がる。
「さて、伝説の始まりだ。
 俺があいつを抑えるから、お前ら後は頼んだぞ。あいつを抑えた英雄は俺だってことはちゃんとみんなに伝えろよ?」
岩場からエルネストが飛び降りる。
死に向かって落ちていく親友を見下ろしながら、ふと自分は死にゆく者のことをどこかで羨ましいと思っていることに、気づいた。
545名無しさん@ピンキー:2010/07/14(水) 01:39:18 ID:q/WiXTEK
以上で終わりです
続きません
英雄の暗黒面落ちや八百比丘尼あたりに影響されてます
546名無しさん@ピンキー:2010/07/14(水) 23:06:59 ID:ldkZUCKm
なんだこの切ない話GJ!
先生には最初から魔王の姿が永遠の世界のエリスに見えてたってことか…
547名無しさん@ピンキー:2010/07/15(木) 00:57:34 ID:rZC/ZXHm
GJです!!!
何か凄く好きです。
548名無しさん@ピンキー:2010/07/15(木) 11:56:37 ID:2ZhTTkoE
GJ!
エリスにも魔王が先生の姿に見える日がくるんだな
そう思うようになったら解放を願ってるのがまた切ない
ずっと待ってたエリスが他の男のとこにいくことばかり喋ってて
先生だからと振り向いてもらえない先生も切ない
これで終りかあ
切ないなあ
549名無しさん@ピンキー:2010/07/18(日) 20:13:43 ID:9oSVPlN8
面白かったよ、ありがとう
GJ
550名無しさん@ピンキー:2010/07/21(水) 23:32:19 ID:eCySOHcZ
やっと書き込める…
今更だけど

>>516-530
乙です。
この調子で虐められるディアナちゃん重視でw
毎回可愛いので良い感じです。

>>533-545
乙です。
こういう切ない感じなのも良いですねぇ
551名無しさん@ピンキー:2010/07/24(土) 01:18:14 ID:cEckXHqD
そろそろ次の投下期待
552名無しさん@ピンキー:2010/07/25(日) 00:02:21 ID:64k/rP0g
続きを投下します。
>>416を拾ってみました。

15レス頂きます。
553偽悪的征服録 Ep.10:2010/07/25(日) 00:03:37 ID:QTPLEdlF
四方からヴェルニカの街を一望できる、荒廃した塔の最上階。
机と椅子、設置された機材。それだけの無機質な部屋に、二人は押し込められた。

「暫らくここを貸してあげる。こういう誰も寄り付かない所の方がいいでしょ」

ケルミス達は早々に姿を消し、『担当員』であるクレアが二人を見張る。
この街から、決して逃がさないために。

「そんなに警戒しないでもらえる?盗聴や監視なんて野暮な真似はしないから。じゃ、また後でね」

クレアはディアナにだけ手を振り、部屋を後にした。
ロイドはその後も、納得いかない様子で押し黙っている。

「何か気になるの?」

彼の気を悪くしないよう、ディアナはできるだけ遠回しに、ロイドの胸の内を探る。
返事は左程期待していなかったが、彼は意外にもあっさりとディアナの疑問に答えた。

ヴェルニカを始めとする小国や都市の密集地帯。個々の国は弱小で、ラストニアでなくとも落とそうと思えば
簡単に落とすことができる。では何故今まで、どの国からも侵略されずに済んでいたのか。
答えは強力な後ろ盾の存在。この一帯の北方に、諸国を守る大国が存在する。

魔道帝国ロベリア。規律を重んじる、魔道士で構成された大帝国。
位置的にこの大陸で最もラストニアに近く、この辺一帯を制圧するにはまずロベリアを落とさなければならない。

「ラストニアは一切の魔道戦力を持たない。有効な策が無ければ、自滅するのが落ちだ」
「魔道士がいないの……?」

魔法の使い手がいないということは、魔法攻撃を防ぐ有効な手立てがないということ。
ラストニアは今まで、何故その弱点を補わなかったのか。疑問を投げようと口を開き掛けた途端、机上に
設置されている拡声器、つまりスピーカーから、男の肉声がノイズに混じって流れ始めた。

『ロイド。そこにいるな?』
「…………」
『だから返事くらいしろ』
「……俺にどうしろと?」

マイクはスピーカーと一体化している。ロイドは機器に近付き、慎重に言葉を選ぶ。
その様子からは、何かを詮索しているようにさえ感じる。
この期に及んで、まだ彼らが何らかの企みを持っていると考えているのだろうか。
ディアナは今回も、交わされる会話を黙って聞いていることしかできない。

554偽悪的征服録 Ep.10:2010/07/25(日) 00:04:24 ID:QTPLEdlF
『寝返りでもされたら困る。おまえはそこから状況を見て、指示を与えるだけでいい』
「主要戦力はロベリアの魔道兵だろう。あのプライドの高い連中が、名も姿も晒さない人間の指示を素直に
 聞くと思うのか?」
『思わねえな。だから直接俺に伝えるだけでいい。おまえの助言を、俺が密かに漏洩させる。必要に応じて
 その机のモニターに戦況を映してやる。ちなみに、ラストニアはおそらく数日中には動き出すって話だ』

二人の会話を聞きながらも、ディアナは始終ロイドの様子を観察していた。
彼の表情は晴れることはなく、常に何か思い悩んでいるようにさえ見える。
それ故、ディアナは安心していた。彼は自らの意志で母国に牙を向けるような人間ではない。
故郷を失ったディアナにとって、それはロイドに同調する上で重要なことだった。

ロベリアは既に臨戦態勢を整え、いつでも迎撃できる状態であるという。
周辺の国々もそれなりに構えてはいるらしいが、事実、ロベリアが陥落すれば間違いなく周辺諸国も落ちる。
機甲都市と謳われるヴェルニカも多少の科学兵器を保持してはいるが、如何せん指示を与える者がいない。

戦略の鍵となるのは、ラストニアとロベリア両国を架け橋の如く繋ぐ、縦に連なる小さな列島。
そこを足場にして攻めるか、逆に逃げ場を失い集中砲火を浴びせられるか。
結局のところ相手の出方次第であると、開戦当日、ロイドはケルミスに告げた。

「ねえ……、本当に協力するの?」
「協力して貰わなきゃ困るのよねぇ」

入り口に佇み、二人を監視するクレアが口を挟む。
自分達の命運も掛かっているのだから、仕方ないと言えば仕方ないのかもしれない。
それらしい助言を与えながらも、ロイドは常に冴えない表情を浮かべていた。
気が進まない。態度がそう訴えている。

やがて既に敵は島に上陸し、進軍を停止させているとの諜報が入ると同時に、モニターに島の映像が映し出される。
遠方に小さく映る、軍の姿。ロイドは冷めた様子で画面を見つめているが、その瞳は微かな異変すら逃すまいと
自軍の観察に徹している。
暫しの沈黙が訪れた後、唐突にケルミスが呟いた。

『……アルセストがいない』

彼の言葉に、ロイドは明らかに怪訝な表情を示す。
自前のデータを確かめるかのように、ケルミスはある人物の身の上の情報を示し始めた。

555偽悪的征服録 Ep.10:2010/07/25(日) 00:05:29 ID:64k/rP0g
宮廷騎士アルセスト。ラストニア軍の中で最も高い戦闘能力を保持し、これまでのラストニア戦役では必ず
前線に姿を現した人物。同時に、国王の子息を主とする近衛騎士。つまり、ロイドの忠実なる下部。

『構成も新兵ばかりだ。主力がいない。はっきり言って捨て石にしか見えん。どうなってんだ、元司令官』
「……さぁな」
『……ったく、どいつもこいつもやる気がねえな。勝つ気あるのかよ、おまえもこいつらも』

ケルミスに悪態をつかれながらも、彼は腑に落ちない表情を浮かべている。
その時だった。会話が途切れた直後、巨大な爆音が部屋中に轟いた。

「!?」

轟音の発信源は、モニター付属のスピーカー。誰もが乱れた映像を注視する中、戦地は即座に爆煙と炎に包まれた。
ロベリアの先制攻撃に、ラストニア兵が逃げ惑う。素人目にも、対策が全く成されていないとわかる。
ロイドはそこで初めて積極的な反応を見せ、食いつくようにケルミスに情報を求めた。

「ラストニアの後援は?」
『今のところない』
「別部隊は」
『回り込まれる気配もない』
「……誰の指令だ」
『まだそこまで情報は入ってねえな』

戦況はロベリアが優勢。ロイドがわざわざ口を挟む必要性は皆無。
ロイドもディアナも、戦火の広がる現場の映像を黙って見ているしかない。
しかし、映し出された映像だけが全てではない。情報はすぐに錯綜を始めた。

『ちょっと待て、やられているのはラストニアだけじゃ……』

ケルミスが何かを言い掛けた直後、不自然にスピーカーの接続がぷつりと途切れた。
機器の故障かと思いディアナはクレアに顔を向けるが、彼女は腕を組んだまま扉に寄り掛かり、黙って様子を
眺めている。ロイドも無言のままモニター画面を睨み、思索を巡らせているようだった。
程無くして、不意にスピーカーの接続が再確立されたかと思いきや、突如ケルミスの慌ただしい声が流れた。

『ラストニアに味方している魔道士がいるぞ!』
「魔道士……!?有り得ない、ラストニアは絶対に魔道士は雇わない!」
『中継してやるが少しだけだ。いい加減こっちの諜報員も距離を置かせないと、流石に巻き込まれる』

彼はケルミスの情報を猛然と否定するが、真偽の程はすぐに知れることとなる。
画面に過る、一人離れて宙を漂う魔道士の姿。
556偽悪的征服録 Ep.10:2010/07/25(日) 00:06:36 ID:QTPLEdlF
ディアナにとっても決して忘れられないその姿を、二人は確実に捉えた。
ロイドの表情が強張る。ディアナ自身もそれを感じ取っていた。

「ジーク……何故ここに……」
「私、ロベリアの応援に行く!」

居ても立っても居られず入り口へ駆け出すディアナを、彼は腕を掴んで強引に引き止める。

「無理だ!また捕まるぞ!?」
「今度はちゃんと応戦するから……!」
「駄目だ、行くなら俺が……」
「ダメよ」

ロイドが参戦を宣言し掛けた瞬間、入り口を塞いでいたクレアが口を挟む。
身を起こして懐から取り出した拳銃をロイドに突きつけ、彼女はディアナの背中を押した。

「行きたいんでしょ?行きなさい。こいつはあたしが止めてあげる」
「……何の真似だ」
「わかるでしょ?ロイド。あんた自分の役割を全うなさい」

表情豊かな普段の彼女とは一変し、クレアは無表情で、冷ややかな視線をロイドに送っている。
彼には申し訳ないが、この機を逃すわけにはいかない。ディアナは意を決し、部屋の外へと飛び出した。

「待て!ディアナ!」
「まずくなったらすぐ逃げて来るから!」

到底納得されるとは思えない口実を残し、塔の屋上へ向かう。
ヴェルニカはロベリアに隣接している。戦場は近い。
地上に降り立つも、走っていては日が暮れてしまう。
失敗しない範囲で空間を歪めて移動を繰り返し、ディアナは短時間での移動を図る。

参戦に際して迷いはなかった。答えを出さなければ、前へ進めないのだとわかっていたのだ。
愛情と憎悪、どちらを取るか。取り得るのは一方のみ。
ロイドを慕うのならば、ジークを憎んではならない。
ジークを憎むのならば、ロイドを慕ってはならない。
ロイドならばきっと、自己を中心とした立場で捉えるよう諭すだろう。
しかしヘレナの一件がある以上、そんな都合の良い真似はできなかった。

無我夢中で島へと向かい、黒煙が立ち上る争いの知へと降り立つ。
その姿を捉えたラストニア兵が、武器を手にすぐにディアナに駆け寄る。
ディアナは魔道士。ロベリアの援軍と思われてもおかしくはない。
剣の切っ先をディアナに向け、ラストニア兵は声高らかに信じられない言葉を言い放った。

「ロイド総督の命の下、敵である貴様を排除する!」
「……!?今、何て……」

557偽悪的征服録 Ep.10:2010/07/25(日) 00:07:34 ID:QTPLEdlF
意味を理解する間も与えられず、白刃がディアナに襲い掛かる。
瞬間、背筋に走る悪寒。本能的に危険を察知し、ディアナは半ば倒れ込むように後方へと飛び退いた。
その直後、ディアナを追うラストニア兵を襲った、空を切り裂く眩い閃光。
天の裁きの如く稲妻が、悲鳴を上げることすら許さず、一瞬にして敵の肉体を焼き焦がす。

狙われたのはラストニア兵ではない。
おもむろに空を仰ぐと、忘れようにも忘れられない因縁の敵がディアナを見下ろしていた。

「やっと出てきたな」
「……!」

ディアナは威勢良くジークを睨み付け、応戦の意思を露わにする。
悩んでいる場合ではない。本気で戦わなければ、捕まるどころか命を落としてしまう。
お返しに放った光の矢が、戦いの火蓋を切った。
間合いの取り合い。攻守の駆け引き。持てる力を尽くし、適宜最良の判断を下す。
しかし、やはり彼には遠く及ばなかった。隙を見て攻撃しては強烈なカウンターを食らってしまう。

ロイドもジークと対等の力を持っている。そんな彼に、ディアナはまだ一度も勝ったことがない。
指南を申し出ても毎回のように弄ばれ、貶められ、自信を失うほどに叩きのめされる。
その感覚が蘇っていた。ジークもまた、全く本気を出していない。

「この程度か?あいつの元で鍛えた結果がこれか?」
「…………」

返す言葉がなかった。自分でも惨めに思うほどに、実力に天と地ほどの開きがある。
魔力が問題なのではない。戦略性、つまり経験と知能の違いが、実力の差を物語っていた。
彼は蔑みを込めてディアナを見つめている。注がれる視線が、酷く痛い。

「少しだけ待ってやる。おまえの力を見せてみろ」
「言われなくとも……!」

ジークは、最後のチャンスをディアナに与えた。
ここで彼に手傷を負わせることができなければ、逆に彼に仕留められてしまうのだろう。
最早憎しみを理由に戦っているわけではなかった。生きるために、戦っているのだ。

クレアの情報により手に入れた杖を構える。ここで使わなければ意味が無い。
禁呪魔法は使わない。知る限りで最も強力な力を秘める理を、確実に紡ぐ。
彼は予告通り黙ってその様子を眺めているが、魔力だけが取り得であるディアナの魔法をおとなしく食らうとは
考えにくい。それでもディアナは杖に魔力を注ぎ続ける。

558偽悪的征服録 Ep.10:2010/07/25(日) 00:09:56 ID:QTPLEdlF
魔力が一定のレベルまで高まり、結界が生じたその瞬間、異変は起きた。
杖に力を吸収され、消滅する結界。無尽蔵に吸い上げられる魔力。
突如消え去った詠唱結界に、ジークが怪訝な表情を見せた。

「な……、何、これ……!?」

流出する力を抑えることができない。
奪い取られた魔力は著しく増幅され、既に制御不能なほどの膨大な力と化している。
憂慮すべき由々しき事態に気付き、彼は大声で叫んだ。

「その杖を捨てろ!」
「っ……、今、離したら……」

今手離してしまったら、間違いなく暴走する。
全力で魔力制御に当たっているが、手に負えなくなるのは時間の問題。
ジークが援護に向かおうと踏み出した瞬間、それは訪れた。

杖から解き放たれた、天空を裂く鋭い光。空気を震わす轟音。
破滅の足音が、地上の全ての人間に恐怖を与える。
優勢を守っていたロベリア兵でさえ、一人残らず動揺している。
やがてその恐怖は現実と化し、灼熱の炎へと姿を変えて天から降り注ぐ。
流星の如き数多の劫火が、生ある者全てを襲った。無論、術者も例外ではない。

おとなしく、ロイドに従っていれば良かった。
目前に迫る炎に、後悔と共に死を覚悟した瞬間。ディアナの前にジークが飛び出した。
作り出された魔法障壁に全ての魔力を注ぎ込み、降り注ぐ裁きを防ぐ。

「な……、何故……!?」

彼は何も言わない。気を抜くことが許されず、とても話せる状態ではないのだ。
両国の軍を壊滅させ、大地をも砕く狂炎。それを受け止める度に弱まり行く結界。
最後の炎が直撃した瞬間、彼の魔法障壁は弾け、決壊した。
そして、十分な威力を残した紅蓮の炎は、ディアナを庇ったジークの片腕を跡形も無く焼き尽くした。

「くっ……!」
「どうして、ここまで……!?罪滅ぼしのつもり!?」

ディアナは本気で命を狙われているわけではなかった。力を、彼に試されていた。
しかしそれは、自分を犠牲にしてまで成すべきことなのか。ディアナには到底理解できなかった。

「……約束は守る」

彼は苦痛に顔を歪めながら、ディアナの問いに答える。
ディアナの母、エルネストとの約束。娘を生存させるという誓いを、彼は未だに守っている。
それほどまでに、母に敬意でも払っていたのだろうか。自分で手に掛けた分際で、何故そこまで固執するのか。
559偽悪的征服録 Ep.10:2010/07/25(日) 00:10:42 ID:QTPLEdlF
謎が絶えない。しかし、ディアナは彼に対する憎悪が薄れていることに気付いていた。
彼もロイドと同じ。根っからの悪人ではない。
そして、心に浮かぶ母の姿。憎しみに染まった人生を、母は望むだろうか。
答えが出掛けた瞬間、ディアナはジークの叱咤で我に返った。

「何を……してる……!早くここを離れろ!」
「え……?」
「ロベリアの奴らにばれたら面倒なことになるぞ!」

何を言っているのかわからない。しかし、彼は異様な剣幕で撤退を迫る。
彼の勢いに圧され、従う意志を僅かにも持った途端、再び杖が呼応した。
ディアナはシシルほど正確に移動系の魔法を操ることはできない。
見えない場所への距離感を掴むことが、どうにも苦手なのだ。

にも拘らず、移動魔法が発動した。未だ魔力を蓄えている『レーヴァテイン』は、所持者の弱点を魔力で補い
ディアナの意図した場所への転送を図る。
そしてジークもろとも、ロイドの待つ荒廃した塔の一室へと、一瞬にして転送されてしまった。

景色が歪み、その輪郭が鮮明になった瞬間、一時は再会を諦めた人物がディアナの瞳に映る。
振り向いた彼の視線の先にあるのは、片腕を失い、地に膝をつくジークの姿。
咄嗟に腰の剣に手を掛けるロイドの姿を認めた瞬間、ディアナは無意識のうちに彼の前に立ちはだかった。
正に、宿敵を庇う形で。

「ディアナ……?」

ロイドの意識がディアナへ向いた瞬間、ジークは瞬時に姿を消した。
完全に、ディアナが彼を逃がしたことになる。ロイドからの罵倒を覚悟した瞬間、助け舟を出すかのように
スピーカーからケルミスの声が流れた。

「……ロイド。まずいことになった」

彼の視線が、ディアナから外れる。
助かった。ディアナはそう思い内心ほっとしていたが、ケルミスの告げた内容はそれを覆すものだった。

「ロベリアの連中が血眼でディアナを捜してる。姿を見られたな。危険人物と判断されたんだろうよ」

『レーヴァテイン』が導いた破滅の呪により、前線に立っていた両国の軍は壊滅状態に陥り、生き残った者は
撤退を余儀なくさせられた。
これにより両国共に停戦状態となったが、元凶となった魔道士の姿を生き残ったロベリアの兵が捉えていたのだ。
本職なだけに、流石に情報が早い。予想だしなかったディアナの失態は、既に彼らの耳に入っていた。

560偽悪的征服録 Ep.10:2010/07/25(日) 00:11:26 ID:QTPLEdlF
「捕まったらエルネストの娘だと気付かれかねん。あの村を潰した主犯格はロベリアの最高司祭だからな」

瞬間、ロイドが一層鋭い視線を声の元へと向ける。ディアナも動揺を隠すことができずにいた。
本当の敵はロベリアにいる。しかし、他人を憎むことを止めたディアナにとっては最早何の意味も無い情報だった。

その後、一部始終を扉の前で見守っていたクレアは撤収し、二人は解放された。
しかしロイドは黙り込んだまま部屋から出ようとしない。
残された機器を睨みつけたまま、相変わらず何か考え込んでいる。
ディアナはこれを、気まずい空気を打開するチャンスであると捉えた。

「あ、あの、そういえば、ラストニアの兵士が……、ロイドの指令で戦ってるって……」
「…………」

心だけは威勢良く、彼に新しい情報を与える。
そこから会話を誘導し、ジークのことには触れさせずに遣り過ごそうという魂胆だった。
しかし、彼の瞳を見つめていたディアナには、それができなかった。
情報を耳にしたロイドの瞳が一瞬だけ湛えた、不穏な光。
憎しみなどではない。彼が内に秘める静かな怒りを、ディアナは感じ取ったのだ。


寝室は下階。窓から差す月明かりだけが頼りの、寂れた部屋。
ロイドは窓際の錆びた椅子に腰を掛け、外を眺め一度もディアナと目を合わせようとしない。
声を掛けても返事すらしない彼に、ディアナは困惑していた。
ジークを逃がしてしまったことに対し、非難や罵倒でもされた方が余程気が楽だった。
黙り込まれてしまっては、言い訳すらできない。

彼を庇った先の行動こそが、ディアナの意志の表れ。
残る問題はロイドに対する心のあり方。しかし、その心配も最早不要だった。そもそも迷う必要などなかったのだ。
彼が、自分勝手で自己中心的で、意地悪で思いやりの欠片もない性格であることは最初からわかりきっていたこと。
それを受け入れた上でディアナはロイドを慕い、道を外れる行為は自らの手で正してみせようと決めたのだ。

初心に返った。ただそれだけのこと。それなのに。
苦悩の末ようやく心の雲を払ったのに、何故こうも拗れてしまうのか。
無言の重圧こそが、ディアナの身に最も応えた。

「怒ってるの?」
「…………」
「ねえ、何か言ってよ……」

561偽悪的征服録 Ep.10:2010/07/25(日) 00:12:29 ID:QTPLEdlF
消え入りそうな声で何度も彼の名を呼ぶも、ロイドは一向に言葉を交わそうとしない。
しかし、ディアナが恐る恐る近付くと、それを阻止するかのように彼は唐突に沈黙を破った。

「……何故止めた?」
「…………」
「何故止めを刺さなかった?自分の手で討つんじゃなかったのか?」
「それは……」

ロイドは振り返るなりディアナを睨み、言い訳すら許さず追及を続ける。

「ディアナ。おまえの覚悟はその程度か?」
「そんな……!私は、ただ……」

憎しみから目を背け、ディアナは人を愛する道を選んだ。
わだかまりを捨て、彼を愛するために宿敵を生かした。
そのために決意を歪めることは、それほどまでに許されないことなのだろうか。

「別に、許したわけじゃ……」

敵を見逃す結果となってしまったものの、ジークが母親の仇であるということは不変の事実。
しかしそれよりも、人として大切にすべき情がある。ロイドには、特に理解されたい根強い思い。
ディアナが必死の思いで弁明を続けても、彼は窓の外へと視線を外し、全く聞く耳を持たない。

「どうして……聞いてくれないの……?」

言いたくないことは容赦なく追及する反面、聞いて欲しいことは全く聞かない。
知られたくないことはすぐに察するくせに、気付いて欲しいことには何故感付かないのだろう。
信念の相違。心の食い違い。焦りを感じるほどにもどかしく、憤りを覚えるほどに口惜しい。
震える手が、彼の腕を掴んでいた。込み上げる感情を、最早抑えることができなかった。

「いつも……、何でもわかってるような顔してるくせに……!肝心なことは何にもわかってない!」

怒りに任せて食い掛かり、悲しみを湛えて心の内を曝け出す。
涙を見せたところで、彼が簡単に意思を変える性格でないことはわかっている。
ではどうすれば、彼に届くのか。

ディアナの心底に見え隠れする、本人も気付かぬもう一つの心理。
ロイドに幾度となく嬲られ続け、それ故植え付けられた歪んだ精神構造。
そしてそこから導き出した、屈折した答え。

突然静まり返り、自分の前で膝をつくディアナに、ロイドは訝しげな目を向ける。
ディアナは思い詰めた表情のまま、目前にある彼のベルトに手を掛け、その下のものを引っ張り出した。

「待て、何を……!?」

562偽悪的征服録 Ep.10:2010/07/25(日) 00:13:08 ID:QTPLEdlF
止めに掛かるロイドの手を払い退け、勢いに乗ってそれを口に含む。
ディアナが今まで彼から受けた仕打ちの中で、最も嫌がった行為。
それは一転して、心に根を張る情愛を、切に伝える手段と化す。
彼のためならば、散々拒んできた行為でさえ自ら進んでできるのだと。
今のディアナには、そこにしか考えが行き着かなかった。

ラクールでの経験を頼りに、裏筋を舐め、先端に吸い付くと、ロイドは意に反する快感からか顔を歪めて見せる。
淫らな音に恥じらいを感じながらも懸命に舌を這わせ、口の中で増し行く彼の体積を感じ取る。
その途端、ディアナはロイドに強引に引き剥がされた。

「っ……何で……」
「やめろ。そんな気分じゃない」

自分はいつも、相手の都合などお構い無しに情事を強要するくせに。
心の中で不平を訴えながらもロイドに抱きつき、膝の上に座り込む。
恐る恐る自ら秘部に触れ、位置を確認してそこを曝け出す。
未だ心から望んだことのない行為。確固たる決意を揺るがす恐怖。
ディアナはそれを抑え込み、勃ち始めた彼のものを無理やり自分の中に埋め込んだ。

「んっ……!く……」

強引な挿入に伴う痛み。条件反射からかディアナ自身も僅かに湿ってはいたが、十分とは言えない。
それでも構わない。快感を得ることが目的ではない。彼のために、自ら身を捧げることに意味がある。

「……ディアナ。離れろ」
「いや……」

痛みに耐え、ぎこちなく、ゆっくりと腰を揺り動かしつつ首を振る。
技術不足は承知の上。何を言われようとも頑なに動き続け、自らの思いを主張する。
しかし、いくら動いてもロイドは表情一つ変えない。向けられ続ける刺すような視線が痛かった。
ご機嫌取りとでも思われているのだろうか。こんな乱れた姿を間近で見て、彼は何を思っているのだろうか。
ロイドの態度が、ディアナの決意を崩壊させる。顔色を窺うも、視界が滲み判断がつかない。
恥を忍び、苦痛に耐えてまで強行した行為。全くの無駄に終わってしまうのだろうか。
沈んだ面持ちでロイドから離れ掛けた瞬間、突然、腰が沈んだ。

「っ……!?」

先程の態度から一転し、ロイドはディアナを逃すまいと強く腰を引き寄せる。
直後、両足を抱えて抱き締められたかと思いきや身体が浮き、背を壁に押し付けられた。
その衝動で、より深くまで貫かれる感覚。同時に伴う鈍い痛み。
563偽悪的征服録 Ep.10:2010/07/25(日) 00:13:45 ID:QTPLEdlF
ロイドは顔を歪めるディアナを一瞥すると、胸元を閉ざす紐を口で解き、露わとなった胸の先を口に含む。

「は……、あ、ぁあっ……!」

穿り出すような舌使いで舐めつけられ、抑え切れずに漏れる甘い声。
先端を舐めずられ、甘く噛まれ、強く吸われ。終わったかと思えばもう一方の胸へ。
ゆっくりと、確実に、ディアナの中に潤いが与えられる。
これは、直にもたらされる堪え難い愛欲地獄の予告行為。

「は、離れろって、言ったのに、ぁ、あ……」
「気が変わった」

唇が離された途端、脚を抱えられたまま腰を打ち込まれ、彼の求める声を無理やり引き出される。
苦痛の消えた声を耳に入れ、ロイドは改めてディアナを見据え、口を開いた。

「俺が何もわかってないって?だったら納得できる答えを返してみろ。答えられなかったら……」

言い掛けた直後、全身を鋭い快楽が貫く。
答えられなかったらどうなるか。腰を振り、彼は幾度となくディアナに教え込む。

「んっ……!や、め……っ!いやぁっ!」
「自分で仕向けておいて何を今更」

一層激しく突き上げ、一頻りディアナを悶えさせると、彼は動きを止め詰問を始めた。

「もう一度訊く。何故、生かした?」

ロイドは微動だにせず、黙ってディアナの答えを待っている。
ディアナは答えることができなかった。自分の主張が、決して相容れないものであると気付いたのだ。
彼は力を求め、ディアナを味方につけている。
故に彼は普段から、力を持つディアナを自分の元に縛り付けるために陵辱に及ぶ。
そこには愛情など、決して存在しない。ディアナは常々そう解釈していた。
つまり、ディアナはロイドに対する一方的な慕情から、彼の期待を裏切ったことになる。
彼の天敵を、私的な都合で逃してしまったのだ。こんな理由で、果たして納得させられるだろうか。

「どうした。答えられないなら……」
「ま、待って、時間を……」
「時間?何故今更必要なんだ」

時間の代わりに与えられる、膣全体を抉るような抽送。上がる叫びを聞いて尚、彼は答えを要求する。
喘ぎながらも口篭ると殊更激しく突き立てられ、愛液を掻き出すように腰を回され、息を吐く度に勢いを増す。
思考が止まり、猛然と増し行く快楽に、ディアナは悶え続けるしか術がない。
卑猥な水音。口を衝いて出る、耳を塞ぎたくなるような声。最奥を穿り回され、それらは一層大きくなる。

「いや……ぁああっ!!ぅ……、んっ……!」

564偽悪的征服録 Ep.10:2010/07/25(日) 00:14:48 ID:QTPLEdlF
ロイドの両腕を強く掴み、言動の矛盾に気付き声を押し殺す。
嫌がってはいけない。受け入れなければならない。彼は、ディアナにとって愛すべき人なのだ。
様子を窺いまだ余裕があると判断したのか、彼は変わらず責め続けながら別の質問を投じた。

「何故邪魔した?何故庇った?」
「あ、あっ……、ロイド、止まっ……」
「あいつにどんな目に遭わされたか、忘れたのか?」

露骨になり行く問い掛けに、ディアナは一層言葉を詰まらせる。
感情のままに突かれ、揺すられ、要求される答えの代わりに口をつくのは、彼を煽る誘いの声。
正に拷問。納得できる答えを得られるまで、終わりを迎えることはないのだろう。

「ロ、ロイド……、お願……、止……め……」
「いいから答えろ」

目の前に迫る絶頂。快楽を受け止めることで精一杯で、言葉を成すことができない。
彼はまるで怒りをぶつけるかのように力任せに突き上げる。
全神経を支配する快感のうねり。身体の芯を突き抜ける熱い痺れ。
脳が焼け、彼の言葉さえ耳に届かず、限界はすぐに訪れた。

「ぅ……、あっ!ぁぁあああっ!!」

絶叫すると同時に身体が震え、ディアナは息も絶え絶えに止まない拷問に悶え続ける。
ジークと姿が被ったなどと口走れば、気分を害するに決まっている。
素直に謝るべきなのだろうか。謝ったところで、彼は許すだろうか。
絶えず喘ぎながらも僅かに残った理性で思慮を巡らしているうちに、不意に感じた浮遊感。
繋がったまま抱えられ、今にも朽ち果てそうな古いベッドに身体を沈められた。

「あれだけ大口叩いておいて、反論できないのか?」
「…………」

納得させられる自信がない。今ここで理解を得ることができなければ、今まで築いてきた信頼が音を立てて
崩れ去る。
言葉を詰まらせていると答える意志無しと見なされ、ロイドは再び腰を打ち始めた。
始めはゆっくりと、徐々に強く。吐息の混じる声を漏らしながら、肌が悦びの色に染まり行く。

恋慕い続けた相手だからこそ、身体は素直に彼を感じることができるのだ。
決して心が通い合うことはないのだから、こうして身体を重ねることはむしろ悦ぶべきことなのかもしれない。
それなのに、何故これほどまでに悲しいのだろう。
悲しみの裏に存在する確かな愛情。それが、ロイドに伝えるべき言葉をディアナに与えた。

「わ……、私……、あなたが、ぁ、あっ……」

565偽悪的征服録 Ep.10:2010/07/25(日) 00:15:43 ID:QTPLEdlF
答える素振りを見せると、彼は止まることなく視線だけをディアナに向ける。

「す、好きなの……」
「……知ってる」
「だから……、やっ、ぁああっ!!」

ただ純粋に、思い続けていたいから、庇った。一見辻褄の合わない理屈を口にした途端、一層激しく奥を
掻き回され、その先の言葉は切なげな悲鳴と化した。

「矛盾だな。答えにならない」
「っ……、ほ、本当に……」

喘ぎながらも懸命に思いを伝えるが、やはり彼は耳を貸さない。
代わりに怒涛の如く突き立てられ、ディアナは再び絶頂寸前まで追い詰められた。

「あっ、ああっ!いや、許して……!」
「許す?……何を」

成す術なく、反射的に許しを乞うとまるで咎めるように最奥を突かれ、何度も抉り回される。
部屋に響き渡る、空を裂くような悲鳴。二度目の絶頂を意味する叫びは容易には止まず、ディアナが意識を
手離し掛けるまで執拗に責め立てられた。

今のロイドからは、非難の意志しか感じられない。いつものような、自分の元に繋ぎ止めておくための
行為ではない。もしかすると、このまま見限られてしまうのではないか。

昔も覚えた猛烈な不安に苛まれ、ディアナの頬を涙が伝う。
彼はそれを目に留めても、何事もなかったかのように腰を打つ。
蜜を纏う狭い肉壁を押し分け、恥辱心を煽る水音を立てながら幾度も侵入を繰り返し、より深い快楽を
ディアナに与え続ける。
最早、僅かな時間で簡単に達してしまうほどに過敏になっていた。
ロイドが速度を上げた途端、著しい昂りがディアナの身を大きく震わせた。

「は……、っ……!いやああぁぁっ!!」

室内に響き渡る絶叫。それは、絶頂の強要のみに向けられたものではない。忍び寄る孤独への、拒絶の叫び。
ぼろぼろのシーツを握り締め、身を仰け反らせるディアナをロイドは強く抱き締め、精を注ぎ込んだ。
これ以上続けても無駄と判断したか、もしくは休息でも与えるつもりか。
彼は自身を引き抜き、ディアナを解放すべくシーツに手をつく。
しかしそれは、解放を願っていたはずのディアナの手により妨げられた。

「離れないで……」

信頼の失墜。それに伴う存在理由の喪失。
迫り来る現実に怯え、ディアナは涙を湛えてロイドにしがみつき、切なる願いを訴える。

「見捨てないで……ロイド……」
「…………」

566偽悪的征服録 Ep.10:2010/07/25(日) 00:16:35 ID:QTPLEdlF
自分の下で啜り泣くディアナを、ロイドは黙って見つめていた。彼の瞳に僅かに宿る、慈しみの念。
髪を撫でられ、静かに目を閉じると、唇に柔らかな感触が与えられた。
触れるだけの口付け。ディアナを落ち着かせるには十分な行為。
唇が離されたところで、ディアナは再び許しを乞おうと口を開く。

「あの、私……」
「もういい。もう何も言うな」

全てを受け入れるかのように、ロイドはディアナを抱き締め安堵を与えた。
伝わったのは意図した真実ではない。ディアナの根底に宿る、彼を絶対的存在とする不動の心理。
今はそれでいい。彼に付き従うことが許されるだけで、今は幸せだった。
乱れた呼吸も整い、ディアナの表情に安らぎが戻った頃。
彼は思ってもみなかった台詞を口にした。

「一度、ラストニアへ戻る」
「……え!?」

からかわれているのかと思ったが、彼はそんな冗談を言う人間ではない。
本気で言っているのだ。しかし、あまりの気の変わりよう。

「どうしたの?いきなり……」
「……気に障る」
「……?」

彼は自国を敬遠しているように見えるものの、ここ数日の素行からは敵対心などは読み取れない。
本来自分の率いるべき軍を捨て駒のように扱われ、怒りでも覚えているのだろうか。
真意を推し測るも、それは彼の語る真相とは全く異なるものだった。

ラストニアがロベリアを始めとする諸国に手を出した本当の目的は、勢力拡大などではない。
それを彼に確信させたのは、ディアナが報告した指令者の名。
素人から見ても目に余る愚策を、ロイドの名を語って強行させたのだ。それが、彼の琴線に触れてしまった。

本当の目的は、いつまで経っても戻って来ない総司令官を煽り、呼び戻すこと。
彼が何に対して怒りを感じるかを理解し、統率力ではなく強制力を備えた人物こそが、今回の戦の首謀者。
思い当たる人物は一人しかいない。ラストニアの統治者である、ロイドの父親だ。

そこまでわかっていながら、何故帰国に応じるのだろう。悔しくはないのだろうか。
疑問が脳裏を過ぎったが、口には出さなかった。これは、ディアナにとって絶好の機会なのだ。
もう何があっても心が揺らぐことはない。しかしそれとは別に、ロイド個人に興味がある。
彼についてもっと知りたい。彼に理解を示したい。
不謹慎ではあったが、この時ばかりは彼の父親に感謝せざるを得なかった。


567偽悪的征服録 Ep.10:2010/07/25(日) 00:17:33 ID:QTPLEdlF
深い宵闇が、窓から覗く蒼白い月を一層美しく輝かせていた。
近くに工場でもあるのだろう。静寂が落ちると同時に、ヴェルニカの象徴とも言える低い動力音が耳につく。
深い安心感からか、途端に疲労が全身を襲い、ディアナはすぐに眠ってしまった。

ラストニアの真の目的。防戦に踊らされたロベリア。ケルミスの計略。ジークの謎の出現。
そして、ロイドとディアナのそれぞれの決意。

幾重にも交錯した各々の思念。
行き着く先を知る者は、誰一人としていない。
568名無しさん@ピンキー:2010/07/25(日) 00:18:11 ID:QTPLEdlF
以上です。続きます。
569名無しさん@ピンキー:2010/07/25(日) 04:08:51 ID:nbqAtlGD
待ってました…!GJ!!
570名無しさん@ピンキー:2010/07/25(日) 14:22:20 ID:f+6gYhsh
GJすぎる…!
571名無しさん@ピンキー:2010/07/25(日) 20:23:16 ID:ltfPVJ6d
ストーリーもなかなかいいぐあいに展開してきましたね
色々と経験積んで決意を新たにするディアナちゃんはやっぱり健気可愛い
そしてだからこそいじめちゃうロイドさんも好きだ
この二人、なにかとおいし過ぎるw
572名無しさん@ピンキー:2010/07/26(月) 21:36:33 ID:F8YhbzMo
573埋めネタ
『日曜の朝 ある新婚夫婦の話』



 あ、起きました?
 おはようございます。今日もいい天気ですよ。
 ああ、二度寝はだめです。
 もう、相変わらず朝が弱いんですね。
 え?
 昨日ですか?
 夕べはちょっとお酒呑みすぎでしたよ。注意したのに全然聞かないんだから。
 二日酔いは大丈夫ですか?
 ああ、それは何よりです。
 ん?
 ……そうですね、また同じ話をしてました。
 もう怒ってませんって何回言っても、あなたはずっと謝ってばかり。
 あ、また謝る。
 だから、気にしてませんってば。
 ……そんなに後悔してるんですか?
 もう。
 あと何回言えば、わかってもらえるんでしょう。
 確かに、あなたは私にひどいことをしました。
 けれど、私はあれでよかったと思っています。
 初めてを好きな人にあげられたんですから。
 ひどいことと言いましたけど、途中からすごく優しくしてくれたじゃないですか。
 言葉には出さなくても、あなたの想いはたくさん伝わってきました。
 だから、いいんです。
 あれは私にとって大切な思い出です。
 あれがなかったら、私、一生あなたへの想いを言い出せなかったと思いますから。
 だから、いいんですよ。
 ほら、暗い話はなしです。せっかくの休みなんですから、もっと楽しいことをしましょう。
 天気もいいですし、出かけませんか? 劇のチケットをいただいたんですよ。
 ……もう、いいかげん立ち直ってください。
 どうすればわかってもらえるんでしょう。
 ……あ。
 そうだ、ちょっと横になってくれませんか。
 そうそう、そうやって手を頭の方に上げててください。
 そのままですよ、そのまま。
 えい。
 え? 何をやっているのかって? 見ればわかるじゃないですか。
 縛ってるんですよ。
 ああっ、暴れちゃだめですっ。動かないで。
 ん……これでよし、と。
 さて、何をするつもりか、わかりますか?
 今から、あなたをはずかしめようと思います。
 そうすればお互い様、ってことになるじゃないですか。
 もう……あなたがいけないんですよ。
 そんな風にいつまでも引きずられると、不安になるじゃないですか。
 私の気持ちを疑われているみたいで。
 だから、今日は私の愛をいっぱい受け止めてもらいます。
 覚悟してください。いっぱい犯してしぼりとっちゃいますから。
 愛してます、あなた。



 あ、来週はきちんとデートしましょうね。私、観劇に行きたいです。