女同士の肉体の入れ替わり・憑依 その4

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せっかくなので、自分でも書いてみました。
──が、84で言ったシチュから、書いてるうちに微妙に外れていったり。
why?

『母の肢体/娘の身体』

<登場人物>
・恵美:上原家のひとり娘の高校生(16歳)。活発で気丈な子……といえば聞こえがよいが、裏を返せば、騒々しく押しが強い性格。そのため男女いずれからも評価は割れる。
・雪乃:恵美の母親の未亡人(36歳)。高校生の娘がいるとは思えないほど若々しく、恵美と並んで歩くと、歳の離れた姉妹によく間違われる。奥ゆかしく真面目な性格。
・政紀:上原家の隣家に住む、恵美の幼馴染にして同級生。人並み程度にはスケベで大雑把。恵美とは姉弟のような関係で、イマイチ頭が上がらなかった。
・泰夫:正紀の父。貿易商を営んでいるナイスミドル。雪乃の亡夫の親友でもあった。
86『母の肢体/娘の身体』:2010/04/11(日) 00:37:52 ID:FCLV/j6z
 紅茶とケーキを乗せたお盆を持って、「娘」の──恵美の部屋の扉をノックしようとしたあたしは、中から漏れ聞こえてくる声に気がついた。
 「恵美……」
 それは、今まで聞いたことがないような真剣でどこか甘い響きを伴った政紀の呼び声だった。
 音がしないようにソッと細めにドアを開けて中を覗き込むと、政紀が「娘」と並んでベッドに腰掛け、その華奢な肩を抱いている。
 「マサくん……」
 答える「娘」の声も甘くかすれていた。
 そのまま政紀は「娘」の身体を抱き寄せ、激しく唇を奪った。
 「んっ…んんっ……」
 彼の行為を受け入れるように、「娘」は政紀の背中に手を回す。
 政紀もまた「娘」の細い身体を強く抱きしめ、そのままふたりはベッドに倒れ込んだ。
 激しく口づけを交わしながら、もどかしげに「娘」の胸元を緩める政紀。
 露わになった胸元から、薄水色のブラに包まれた形のよい乳房がまろび出る。
 彼の指が巧みに下着をズラしていくその手つきから見て、どうやら初めて事に及んだわけではないらしい。
 露出した乳房の先端のピンク色の蕾を、政紀の指先が捕え、同時に彼の唇が情熱と欲望を込めて「娘」の首筋を這い回る。
87『母の肢体/娘の身体』:2010/04/11(日) 00:38:26 ID:FCLV/j6z
 「あっ……ああっ…ンっ!」
 敏感な部位に彼のキスを受ける度、「娘」はビクビクッとて身を震わせ、唇から熱い喘ぎを漏らす。
 「恵美の身体、相変わらず感じやすいな」
 「やだ、もぅ、マサくんたら……いぢわるッ!」
 吐息混じりに彼に耳元で囁かれた「娘」は、恥ずかしそうなどこか拗ねたような応えを返す。その表情は、あたしの目から見ても魅惑的で愛らしかった。
 そのままキスと愛撫を続けながら、政紀は(少し拙いながらも)手早く「恵美」の服を脱がせていく。
 「恵美」がブラとお揃いの水色のショーツと紺色のニーソックスだけになる頃には、彼女の身体はどうしようもなく昂ぶり、快楽と期待にうち震えていた。
 それを彼も感じたのか、政紀は仰向けに寝そべる「恵美」の両足を開かせると、太腿の間に顔を近づける。
 「ああぁ……そ、そんな所……恥ずかしいよぅ」
 無論、この言葉は拒絶ではなく「もっとシて!」という意味だ。
 そのことは政紀も心得ているらしく、躊躇う素振りもなく、ショーツ越しに「恵美」の股の間の一番大事な部分を丹念に舐め上げる。
 「はぅ…ぅん……」
 ここからではよく見えないが、おそらく「恵美」のアソコは洪水のようにビチョビチョになっているだろう。「娘」の喘ぎや、白いシーツを掴む手の力のこもり方からも、それは容易に推測できた。
88『母の肢体/娘の身体』:2010/04/11(日) 00:39:10 ID:FCLV/j6z
 「恵美、もうそろそろいいかな?」
 布越しのクンニリングをしばし止めた政紀の問いに、「恵美」は顔を真っ赤にしながらも、コクンと頷いた。
 政紀が「恵美」のショーツを下ろすのを見る前に、あたしは丁寧に扉を締めて「娘」の部屋から離れた。
 忍び足で1階の居間に降りて、気を落ちつけるために深呼吸を繰り返す。
 ほどなく、火照った顔や胸の動悸が収まる。
 思ったほどショックを受けていないことが、自分でもちょっと意外だった。
 本来なら、筆舌に尽くし難いほどの衝撃に打ちのめされていてもおかしくないはずだ──「恵美」が、元のあたしの身体が、あたしの知らない間に「処女」ではなくなっていたのだから。
 とは言え、最近のふたりの様子を見ている限り、熱愛中の恋人同士(バカップル)であることは明白だったので、こうなることは時間の問題ではあった。その意味で、これは十分予想できた事態だったと言える。
 また、あたし自身、いまの身体と立場、そして生活に、今やすっかり馴染んでいるせいか、「娘」が恋人に抱かれているのを、どこか微笑ましく感じているというのも一因だろう。
 「しかし……いまさらだけど、政紀が「恵美」の恋人とはねぇ」
 それでも、思わずポツリと呟いてしまう。
 あたしがあたし自身であった頃は、政紀は「気心の知れた幼馴染」であり、「男女の仲を意識せずに気軽に接することのできる男友達」だった。
 いい加減な性格のアイツの尻を叩くのは大概あたしの役目であり、同い年ながら「不甲斐無い弟分」的な目で見ていたものだ。それが、まさかこんな事になるとは……。
 あたしは、一月程前の出来事(アクシデント)を思い出していた。
89『母の肢体/娘の身体』:2010/04/11(日) 00:39:53 ID:FCLV/j6z
 * * * 

 1カ月前、政紀の奴が「親父のお土産だぞ〜」と言って何やら民芸品のようなものを我が家に持って来たのが、そもそもの事の発端だった。
 政紀のお父さん、木下泰男さんは、個人としては結構大きな規模の貿易商を営んでいて、海外出張に出かけることも多い。
 ちなみに、あたしのママは、その「木下商事」で庶務というか秘書みたいな仕事をして働いていたりする。もっとも、おじさんが出張中は書類整理以外あまり仕事がなく、午前中だけで仕事を終わらせて、午後は家にいることも多いみたいだけど。
 まぁ、それはともかく。
 政紀が持って来た、アフリカか南米かとにかくジャングルの未開部族をイメージさせるその民芸品──木彫りの像も、そういった海外出張中におじさんが買い込んだ品らしい。
 「なんでも、とある部族に伝わる「願い事がかなう神像」なんだとさ!」
 ニヤニヤ笑いながらくれた政紀自身は、そんなこと微塵も信じていないみたいだった。
 無論、その点はあたしも同じだ。いまどき「願い事がかなう」なんて曖昧な御利益を、こんな古ぼけた彫像を見て本気にする日本人は滅多にいないだろう。お人好しでちょっと天然気味なママでさえ、苦笑していたくらいだ。
 もっとも、その御利益云々は別にしても、なかなか細工が細かく、何より独特の雰囲気のある木像なので、リビングに飾るアンティークとしては悪くないかも。その点は、ママも同感だったらしく、その像は居間の飾り棚に置かれることになった。
 そして……その翌々日の土曜日の晩に、ソレが起こったのだ!

 * * * 
90『母の肢体/娘の身体』:2010/04/11(日) 00:40:48 ID:FCLV/j6z
 その日、わたしは、晩御飯のあと、少し遅めのお茶会(と言える程、たいしたものではありませんけど)を娘の恵美と楽しんでいました。
 何の話から、そういう話題になったのか、確か最近あまり芳しくない娘の成績について少し注意したことが発端だったと思いますが、わたしと娘の間で、珍しくちょっとした言い争い……というか愚痴のこぼしあいになったのです。
 「あーあ、ママはいいなぁ。面倒くさい勉強とかしないで、泰男おじさんトコロで適当に書類整理とかしてれば、お金がもらえるんだもんね」
 ウチが父子家庭であることをわたしが気にしていることを知っている恵美は、普段はそんな無神経なことは決して言わないのですが、紅茶に入れたブランデーが少し多かったせいかもしれませんね。
 「あら、わたしに言わせれば、学生ほど気楽な立場はありませんよ?」
 「え〜、そぉ? センセーはウルサイし、周りの男共はガキでバカだし、勉強はメンドイし、学校行事とかウザいし」
 「それもまた、若い頃だけの特権ですよ。そう言えば、恵美ちゃん、大学はどうするつもりかしら?」
 女手ひとりで育ててきた大事な娘です。できれば、ちゃんとした大学を出て、それなり教養と資格を身につけて欲しいのですけれど。
 もっともこれは、家庭の事情で大学に行きたくても行けなかったわたしのコンプレックスから来る感情かもしれませんね。
 「んー、まだ考えてないけどさ。あたし、高校出たら働こうかなぁ。ね、おじさんトコで雇ってくれないかな?」
 「こら、そんないい加減な気持ちでは、木下さんも雇ってくるワケないでしょ!」
 「うぅ、やっぱり? はぁ……泰男おじさんなら、そこいらのチャラい男共と違ってダンディでカッコいいし、上司にするのにサイコーなんだけど」
 6歳の頃に父親を事故で亡くしたせいか、娘は隣家の木下さんに「理想の父親像」を重ねているフシがあります。こういうのも「ファザコン」と言うのでしょうか? まぁ、確かに人格者ではありますが。
91『母の肢体/娘の身体』:2010/04/11(日) 00:41:26 ID:FCLV/j6z
 「それなら、政紀くんはどうなの?」
 娘の幼馴染であり、わたしにとっても息子のような存在である隣家の少年の名前を試みに出してみます。
 ──わたし、平静を装えてますよね?
 「えー、まさのりィ? まぁ、周囲のアホどもに比べたら多少はマシかもしれないけどさぁ……まだまだガキだよ? いいトコ、あたしの子分、それか弟分ね」
 ほぼ予想通りの娘の答えを聞いて、内心ホッとしている自分が嫌になります。
 ──まさか娘も、自分の母親が息子みたいな年の少年に片思いしているなんて、想像もつかないでしょう。いえ、わたし自身、幼い頃から我が子のように可愛がってきた男の子に、こんな感情を抱くようになるとは、数年前は想像もつかなかったのですから。
 けれど、彼はあまりに若い頃の夫とよく似ていました……姿形がではなく、行動や心のありようが。
 誤解しないで欲しいのですが、わたしは何も亡夫の身代わりとして政紀くんを好きになったワケではありません。ただ、その無邪気で自由闊達、時にやや無謀な性格や言動が、俗な言い方ですが、わたしの「好みのタイプ」なのです。
 少女時代、箱入り娘だったわたしを「籠の鳥」状態から解き放ってくれた若き日の夫に心奪われ、駆け落ち同然に一緒になった時と同様に、わたしはこの種の男性に弱いのでしょう。
 無論、こんな内心は押し隠して、政紀くんにはずっと「幼馴染のお母さん」、あるいは「優しい母親代り」(彼も5年前に母親を病気で亡くしています)として接しているつもりです。
 ですが、もし彼に恋人でも出来たら……そう思うと、まだ見ぬその女性への嫉妬に胸が苦しくなります。大切な我が子さえ、その恋人最有力候補としてどこか警戒し、探りを入れているのですから。浅ましい自分が嫌になります。
92『母の肢体/娘の身体』:2010/04/11(日) 00:42:15 ID:FCLV/j6z
 「あ〜あ、社会人になったら、ちょっとはマシな男に出会う機会もあるのかなぁ」
 だからこそ、娘のそんな何気ない言葉に、反論してしまったのでしょう。
 「あら、わたしは、できることなら、もう一度高校生をやってみたいですよ」
 言ってしまってから、さすがに恥ずかしいことに気付いて、誤魔化すようにボトボトとブランデーを紅茶に垂らし、グイッとカップを飲み干します。
 「ふーーん、いいんじゃない? ママはすごく若く見えるし、現役でもじゅーぶんイケるって! ねーねー、あたしの制服とか着てみる?」
 「も、もう、恵美ちゃん、親をからかうものじゃありませんよ?」
 褒めてくれるのは嬉しいですが、わたしも既に36歳。確かに実年齢よりは若く見えると自負してはいますが、どんなに頑張ってもせいぜい20代半ばといったところでしょう。
 そんな女が高校生のカッコしてたら、イメクラかコスプレです。確かに、娘の高校の制服はわたしの現役時代と異なりシックで可愛らしいデザインなので、着てみたいという気持ちはゼロではありませんが……。
 「あたしとママが〜、たちばとかこーかんできたらよかったのにねー……ヒック!」
 「! 恵美ちゃん、あなたまさか、ブランデーをそのままカップに注いで飲んだんじゃあ……」
 これ以上飲まさないよう娘の手からブランデーの小瓶を取り上げつつ、ふと、わたしの口からもポロリと本音が零れます。
 「でも、そうね。もし、そんなことができたら、よかったのにね」

 ──その願い、叶えて進ぜよう

 「え? 恵美ちゃん、何か言った?」
 「うーうん、べつにー。あはは、ママのオッパイ、おっきぃねー」
 こ、こら、いくら同性同士だからって、気軽にひとの胸揉む人がありますか!
 まったく……女の子の癖してお酒飲んだら「セクハラ上戸」ってのは、先が思いやられます。
 完全に酔っぱらってグニャグニャになった娘を、なんとか介抱してベッドに運んだのですが、わたしも結構酔っていたのでしょう。そのまま自分の部屋で眠りつきました。
 ──明りの消えた居間で、あの神像が満月の光を浴びて淡く輝いていることに気付かないままに。
9382:2010/04/11(日) 00:44:01 ID:FCLV/j6z
とりあえずココまで。乱文失礼。続きは書け次第投下します。明日の夜かな?
94名無しさん@ピンキー:2010/04/11(日) 02:12:29 ID:8ATfDMq/
続き待ってるよー
95名無しさん@ピンキー:2010/04/11(日) 10:01:01 ID:DADqfXWM
まっちょるよ
96名無しさん@ピンキー:2010/04/11(日) 10:32:55 ID:GbGZ1PIg
待つしかない!
97『母の肢体/娘の身体』:2010/04/11(日) 15:59:10 ID:FCLV/j6z
 翌朝、目が覚めたわたしは、寝起きの夢うつつ状態のまま、微妙な違和感を感じていました。
 まず目を開けて最初に目に入ってきた天井が見慣れないものでした。
 しかし、まったく見覚えがないわけではありません。これは……娘の部屋の天井です!
 布団に入ったままコロンと寝返りをうって部屋に目をやれば、そこにあるドレッサーや勉強机、壁にかかっている制服などからして、ここが娘の部屋であることは確かなようです。
 今羽織っている布団からも、わたしと似た……けれどどこかわたしとは異なる、若々しさを感じさせる娘の体臭がほのかに匂います。
 もしかして、昨晩は結構酔ってましたから、間違えて娘の部屋で寝てしまったのでしょ
うか? となると、逆に娘はわたしの部屋で寝ている(というか、昨夜はわたしが運んだわけですが)のかも。
 そう言えば、いつもと比べて随分頭が重い気がします。二日酔いというほどではありませんが、やはりかなり酔っていたんですね。
 うーん、確かにアルコールにはそう強い方ではありませんが、こんなマンガみたいなお茶目な失敗をしてしまうとは。娘も、見慣れぬ部屋で目覚めたら、さぞ驚くことでしょう。
 これはわたしの方から起こしにいったほうがいいかもしれませんね。
 仕方ありません。日曜とは言えそろそろ8時前ですし、思い切って起きてしまいましょう。
 バッと布団を跳ね除け、寝起きの身を初秋の爽やかな空気にさらしたわたしでしたが、布団の中から現れた光景に、一瞬目が点になりました。
 起き上がったわたしは、これまた見慣れぬ(いえ、あるいは別の角度からは見慣れた)レモンイエローの清楚なパジャマを身に着けていたのです。
98『母の肢体/娘の身体』:2010/04/11(日) 15:59:49 ID:FCLV/j6z
 は…はは……そうですね。寝ぼけて娘の部屋で寝ていたのですから、娘のパジャマに着替えているという事態も想定してしかるべきでした。
 あるいは、昨日娘に「あたしの制服とか着てみる?」と言われたことが無意識にあったのでしょうか? 年甲斐もなく、恥ずかしいです。急いで自分の服に着替えましょう。
 ザッとベッドの周りなどを探したのですが、昨晩着ていたはずのわたしのカットソーとスカートが見当たりません。変ですねぇ……。
 考えていても仕方ありません。自分の部屋に戻って、パパッと着替えてから寝ている娘を起こしちゃいましょう。万一起きていて見られても……まぁ、お酒の上ですし母娘ですから笑い話で済むはずです。
 そう思いきると、わたしは娘の部屋を出て、自分の寝室へと向かいました。

 * * * 

 普段はちょっと低血圧気味のあたしは、朝はちょっと苦手なのに、その日の目覚めは珍しく爽快だった。
 まるで、ママのぬくもりに包まれているような穏やかで優しい気分。
 アレ? ちょっと待って。この布団の匂いって、ママがいつもつけてる香水じゃん。て言うか、そもそもここ、あたしの部屋じゃないよ!
99『母の肢体/娘の身体』:2010/04/11(日) 16:00:33 ID:FCLV/j6z
 部屋をよく見れば、壁紙と言い、ちょっと古風な三面鏡と言い、何よりあたしが今寝ているこのセミダブルサイズのベッドからして、ここは間違いなく、ママの部屋だろう。
 うーん、もしかしてあたし、寝ぼけてママの部屋に来ちゃった?
 考え込んでいると、ガチャリと部屋のドアが開き、なぜかあたしの黄色いパジャマを着たママが入って来た。
 「ま、ママ……」
 「まぁ、恵美ちゃん、起きてたのね。おはようございます」
 「あ、うん、おはよう。その格好どうしたの……て言うか、どうしてあたし、ママの部屋にいるの?」
 「えーと……」
 ママはちょっと困ったように眉をハの字に寄せたあと、あたしの枕元に腰かけた。
 「実は、昨晩お茶会している時に、わたしたちブランデーの入れ過ぎでちょっと酔っぱらっちゃったみたいなんですよ」
 うん、それは何となく覚えている。いまいち記憶が定かじゃないけど、最後の方はかなりグダグダになってたかも。
 「完全にツブれちゃった恵美ちゃんを、お部屋に運んで寝かせたつもりでしたけど、わたしも結構酔ってたから、間違ってこの部屋に運んじゃったみたい。
 で、わたし自身は逆に恵美ちゃんのお部屋でこのパジャマに着替えて寝ちゃったようなんですよ」
 うわ、何、そのいまどきベタなマンガでも見られないような酔っぱらいドジは!
 ママとあたしは同性だから軽い笑い話で済んでるけど、父と娘、あるいは母と息子だったら、たとえ家族でも気まずい雰囲気になったんじゃないかな。
 でも、ま、そういう事なら、OK、了解した。
100『母の肢体/娘の身体』:2010/04/11(日) 16:01:11 ID:FCLV/j6z
 「お、怒ってます?」
 胸の前でもじもじと手を組み合わせながら、上目使いにママが聞いてくる。
 うわ、何、この可愛いイキモノ!? 30代半ば過ぎてこの可愛らしさは反則でしょ!
 「ん? 別に怒ってないよ」
 元はと言えば、あたしが酔い潰れたのがそもそもの原因だろうしね。
 うーん、と伸びしながら、あたしはベッドの上に身を起こした。
 「え、恵美ちゃん……ちょっと見ないうちに随分成長したんですね。それにその服……」
 「へ?」
 ママの驚きの声に、反射的に自分の身体を見下ろす。
 布団がめくれて露わになったあたしの身体は、ママが愛用している黒いシルクのネグリジェをまとっていた。ああ、道理でなんだか肌触りがいいと思った。
 ん? でも、話を聞く限りでは、ママはあたしを着替えさせたりはしてないのよね。もしかしてあたしが、夜中に寝ぼけてそばにあったネグリジェに着替えたのかな?
 それにしても、さすがは黒のスケスケ。かなりエッチな身体つきに見えるなぁ……ってちょっと待って!
 あたしの現在の胸のサイズは84でCカップ。クラスの平均よりはやや大きい方だと思うけど、さすがにママには負ける。ママは確か96のFで、羨ましいほどの巨乳だ。
 ところが、今見下ろしているあたしの胸についているのは、いつもより大幅にボリュームアップして、たゆんたゆんと揺れているオッパイ。明らかに普段より3割方増量されている。
 慌ててベッドから飛び起きて立ち上がる。
 「え!?」「あら?」
 一緒に立ったパジャマ姿のママを、あたしが「見下ろしている」?
 ママの身長は162センチと平均レベル。対するあたしは156センチと、いまどきの高校生にしてはちょっと小柄だから、本来ならあたしがママを見下ろす体勢になんてなるはずがないのに。
 それに……。
 「恵美ちゃん、その胸元のホクロって……」
 ママは右の鎖骨の上にちょっと大きめのホクロがある。子供の頃から一緒に何度もお風呂に入ったりしてたから、あたしもそれはよく知ってる。
 けど、それが何であたしの身体にあるの!?
 ──たぶん、パジャマに隠れて見えないけど、今のママの身体にこのホクロはない気がする。
 これって──すっごく非常識で認めたくないけど──あたしとママの首から下が入れ替わっちゃったってことォ??
101『母の肢体/娘の身体』:2010/04/11(日) 16:02:13 ID:FCLV/j6z
 それからおよそ30分、あたしとママは裸になったり色々と調べてみた結果、「やはりふたりの首から下が入れ替わっている」という最初と同様の結論に達した。
 よく考えてみれば、あたしはともかくママがあの巨乳であたしのパジャマなんて着たら、胸元のボタンが止められるはずがないのよね。
 「でも、いったい何で……」
 大体、ドラマとかマンガとかのこのテの話って、外見全部が入れ替わるのがお約束じゃないの?
 たとえば、あくまで仮説だけど、酔っぱらった弾みであたしたちがふたりとも幽体離脱とかした挙句、間違えて互いの身体に魂が入っちゃった……とかなら、荒唐無稽だけど、まだ多少なりとも説明はつく。頭が強くブツかったとかも、まぁアリだ。
 でも、この状況は明らかにそんな「ありそでなさそな都市伝説」の域を超えている。
 最初顔を合わた時互いに気付かなかったように、あたしたちの顔──というか首から上は、あきらかに本人のままなのだ。
 無理矢理考えられるとしたら、「密かに外科出術で首から上を切断して移植された」? でも、それにしてはあたし達の首には手術痕らしきものは見当たらない。そもそもそんなコトをするメリットが誰にあると言うのか。
 こんなコト、それこそ神様の奇跡でもない限り……んんん?
 「! ま、まさか……」
 「どうかしたの恵美ちゃん、何か心あたりでもあった?」
 ママの問いかけにも応えずに、わたしは素裸にネグリジェだけをまとった状態のまま、バタバタとリビングへと走っていった。
 「あった……やっぱり!」
 「もぅ、恵美ちゃん、どうしたんですか……あら、それは」
 あたしが手に持っているのは、政紀にもらったあの木彫りの神像。
 昨日見たときは確かに、それらしい風格が漂っていたというのに、いまあたしの手の中にある彫像は、パキンとふたつに割れたただの木片に過ぎなかった。
 「あ……」
 「う、嘘……」
 そしてそれさえも、あたしの手の中で細かい木屑となってサラサラと崩れ落ちる。
102『母の肢体/娘の身体』:2010/04/11(日) 16:03:26 ID:FCLV/j6z
 でも、これでほぼ間近いはないだろう。
 「あの神像が本物で、わたし達の願い事を叶えた結果がコレだって、恵美ちゃんは思ってるんですね」
 ママの言葉にあたしは頷いた。
 昨日のお茶会で、自分が何度となく「ママはいいなぁ」とこぼした覚えはあるし、ママの方も「むしろ自分は学生になりたい」と言ってた気がする。
 その愚痴を願い事と勘違いしたあの神像が不思議な力で叶えた結果が、いまのあたし達の状態なんだろう。そうとでも考えないと、説明がつかない。
 「にしても、あのガラクタ、中途半端な叶え方しちゃってェ〜」
 なんで首から下だけ入れ替えるのよ! 
 ──そりゃあ、ママみたくグラマーになりたいと思わなかったわけじゃないけどさ。
 「あら、でもある意味、不幸中の幸いじゃないかしら。首から上が元のままだから、まだ誤魔化しは効きますよ」
 ふむ。言われてみれば、確かに。
 実際、あたし達自身も最初は気づかなかったように、たいていの場合、人は他人の顔を見て本人かどうかを判断している。まぁ、指紋とかとられてたらヤバいけど、幸いにしてあたしもママもそんな経験はないワケだし。
 今の状態でも、何食わぬ顔で普段どおりに過ごしていれば、背丈や体型の違いで多少不審に思われるかもしれないけど、強引に押し通すことは可能だろう。
 ──その時のあたし達は、てっきりそう思い込んでいた。いえ、そう考えることで、何とか平静を保っていたのかもしれない。
 もっとも、後に判明した事態は、想像の斜め上をいったワケだけど。
10382:2010/04/11(日) 16:04:34 ID:FCLV/j6z
話がなかなか進行しなくて申し訳ないです。
とりあえず今はここまで。残りは夜にでもあげられるよう努めます。

104名無しさん@ピンキー:2010/04/11(日) 17:04:16 ID:3Td9LeLW
素晴らしすぎる!
ペースも十分すぎるくらいですよ。
でも晩に上がるのなら、続きにも期待して待ってます。
105名無しさん@ピンキー:2010/04/11(日) 17:06:26 ID:FB6B8nAn
wktk
106名無しさん@ピンキー:2010/04/11(日) 17:48:58 ID:HSIezlGk
首のすげ替え大好きだから応援
107『母の肢体/娘の身体』:2010/04/11(日) 20:52:13 ID:FCLV/j6z
 * * * 

 あの後、あたしとママはとりあえず寝間着から普段着に着替えることになった。
 生憎元の身体とはサイズが違い過ぎるので、当面は下着も含めて互いに服を交換して使うことにする。
 にしても、さすがママ、下着はアダルトな代物が多いなぁ。あ、紐パンだ。こっちはスケスケじゃん、おっとな〜!
 折角だから、あたしは赤いシルクの下着一式を身に着けることにした。真紅の生地に黒のレース飾りがついたスリーインワンとスキャンティ。足にはもちろん黒のストッキングを履き、スリーインワンから伸びたガーターで止める。
 試しに鏡の前で「ウッフーン」とポーズをとってみる。
 「うわぁ、すっごく色っぽい」
 あたし自身、決してスタイルは悪くないつもりだけど、ママのこの豊満な身体には、色気という点では圧倒的に負けてるわねー。
 しかも30代半ばを過ぎて、娘もひとりいるって言うのに、身体の線が崩れる気配すらないなんて反則過ぎる!
 さすがに服の方までよそいきの格好をするつもりはなかったので、ママがよく着ている紺色のカットソーとミディ丈のスカートを身に着ける。
 「それにしても……やっぱ大きいなぁ。いいなぁ」
 立って見下ろすと、胸に遮られてつま先とかが全然見えないなんてねー。
 ふと思い立って、鏡台の前に腰かけて、ママの化粧品に手を伸ばす。
 「……ん、こんな感じかな。よしっ、と」
 いつものママのお化粧を思い出して、それを自分の顔で再現してみた。
 あたしは普段あまりメイクに気を使わない方だから、ちゃんとできるかちょっと不安だったけど、予想以上にうまくいった。
 「うん、こうして見ると、あたしもなかなか大人っぽいじゃない」
 気をよくしたあたしは、いつものママみたく鼻歌を歌いながら、ママの部屋を出てダイニングへと降りていった。

 * * * 
108『母の肢体/娘の身体』:2010/04/11(日) 20:56:28 ID:FCLV/j6z
 「はぁ〜、やっぱり若い子は可愛い下着が多くていいですねぇ」
 娘の部屋で、タンスから取り出したランジェリーを手にしながら、わたしは感嘆の溜め息をつきました。
 「そう言えば、わたしも若い頃は……」
 高校に入ったくらいの時は、わたしも恵美同様、それほど胸が大きいわけではありませんでした。せいぜい平均よりちょっと大きめ程度。だから、色々と可愛らしいデザインのものを選ぶ楽しみもあったんですけど……。
 娘を身ごもった頃から、日に日に胸が大きくなって、いまではFです。
 全然ないのもちょっと困りますけど、胸なんて恵美ちゃん程度もあれば十分です。これ以上大きくたって、重いし邪魔だし……。
 「それに胸が大き過ぎると、選択の余地がほとんどないんですよね」
 日本人女性の大半はA〜Dカップらしく、わたしみたいにFカップサイズの下着を捜すのは、結構大変なんです。見つけても、あまりデザインとか選べませんし。
 「たまには……いいですよね」
 誰もいないのにキョロキョロ辺りを見回したのち、わたしは恵美ちゃんのコレクションの中から、思い切りキュートでフェミニンなデザインのブラとショーツを選びました。
 「うーん、やっぱりこういうのがいいなぁ」
 身体自体は高校生の娘のもののせいか、ミントグリーンの下着が、しっくりと馴染んでよく似合ってます。
 しばしポーッと鏡の仲の自分に見とれていたわたしですが、ふと我に返ると、急に恥ずかしくなって、慌てて鏡に背を向け、タンスから上に着る普段着を捜し始めました。
 休日ですし、家の中にいるのですからくつろいだ格好でいいでしょう。となると……。
 迷った挙句、わたしは無地のブラウスとカーディガン、そして思い切ってミニスカートという組み合わせをセレクトしました。
109『母の肢体/娘の身体』:2010/04/11(日) 20:56:54 ID:FCLV/j6z
 ふふ、こんなに丈の短いスカートを履いたのは、何年ぶりでしょう。でも、これでも高校の制服よりは多少長めなんですよね。
 わたしは、壁にかかった娘の制服にチラと視線をやりました。
 (い、今のわたしなら着られるかも……って、何考えてるんですか、わたしは!)
 ブンブンッと首を激しく横に振ると、わたしは気分を変えるべくドレッサーの前に座り、娘の化粧品を少し借りることにしました。
 せっかくこんな格好してるんですから、濃いメイクは似合いませんよね。できるだけナチュラルっぽく……そう、いつもの恵美みたいに……。
 うん、完成です。こうして見ると、わたしもまだまだイケてますよね?
 鏡の中の自分の顔に気をよくしたわたしは、浮き浮きと上機嫌で娘の部屋を出て、ダイニングへと足を運びました。
110『母の肢体/娘の身体』:2010/04/11(日) 20:57:25 ID:FCLV/j6z
 「あ、やっと来たんだ。そろそろ出来るからお皿並べて」
 驚いたことに、珍しく娘が台所に立って、朝ごはんを作ってくれてるじゃありませんか!
 無論、母ひとり子ひとりで、わたしが働いている関係上、娘の恵美もひととおりの家事はこなせます。ただ、恵美は少々無精な面もあって、お休みの日なんか、滅多に自分からお手伝いしてくれることはないんですけど……どうした風の吹きまわしでしょう。
 「ん? どーしたの?」
 「い、いえ……朝ごはん、作ってくれたんですね」
 「うん、あたしもお腹空いてたし、あり合わせでパパッとね」
 食卓の上には、「これぞ洋風朝ご飯!」といった感じの数点のメニューが並んでいました。
 ふたり分の大皿には、カリカリに焼かれたベーコンと黄金色のスクランブルエッグ。焦げ目ひとつなくキツネ色したトーストには、バターと蜂蜜が添えられています。さらに、レタスとキュウリとプチトマトのサラダが置かれ、手製のフレンチドレッシングがかけられています。
 娘は「あり合わせ」と言いましたけど、どうしてなかなか大したものです。
 わたしと娘はいただきますと唱和してから朝ごはんを食べ始めました。
 娘の作った朝食は、見かけだけでなく味も美味しかった(いつの間に腕を上げたのでしょう。何だかちょっと悔しい気分です)です。
 でも、美味しかったせいでしょうか、いつもと違ってトーストを1枚食べただけでは何だか物足りない気分です。
 「ママ、今はあたしの身体だからじゃない? ホラ、あたし運動部だからよく食べるしさ」
 そう言えば、確かに恵美は普段トーストを2枚食べてから朝練に出かけていましたね。
 でも、わたしの場合、とくに運動する予定はないのですから、ここは我慢するべきでしょう。物足りなさを意思の力で抑えつけて、コップに入ったミルクを飲み干します。
 紅茶党のわたしは、朝がパンの時はミルクティーを入れるのですけど、うん、たまには牛乳も悪くありませんね。
111『母の肢体/娘の身体』:2010/04/11(日) 20:59:37 ID:FCLV/j6z
 朝食を食べ終えたのち、わたしたちはそのままダイニングで、この奇妙なトラブルについての善後策を話し合いました。
 もっとも、原因自体はほぼわかっているとは言え、その対策となるとサッパリです。
 アイデアその1、どこかの高僧か霊験あらたかな神社にお祓いしてもらう。
 そんな腕の確かなお坊さんとかに心あたりはありません。そもそも、まがりなりにも「神様」と呼ばれる存在が為した業を、呪いの人形か何かと一緒にしてよいものでしょうか。
 アイデアその2、ブラ●クジャ●クみたいな天才的外科医に移植手術を頼む。
 仮にそれが行える名医がいたとしても、検査だとか何やらですごく時間を取られるでしょうし、手術代も目の玉が飛び出る程高いに違いありません。
 そもそも健康な人間の身体に、簡単にメスを入れてくれるのでしょうか。これまた現実的とは言えないでしょう。
 アイデアその3、もう一度同じ神像を手に入れて使う。
 非常識には非常識と言いますか、これが一番妥当ではあります。
 ただ、秘書として社長のスケジュールはわたしも把握してますが、木下さんはちょうど昨日の昼から一週間、今度は東南アジアに出かけているはずです。すぐにあの像を手に入れてもらうのは難しいでしょう。
 また、はたして同じものがもう一度手に入るのか、という問題もあります。
 そうなると……。
 「少なくとも、木下さんが帰ってくるまでは、「アイデアその4、とりあえず当面は事情を隠して、何事もなかったフリをする」しかないでしょうね」
112『母の肢体/娘の身体』:2010/04/11(日) 21:00:14 ID:FCLV/j6z
 「アハハ、ま、それが無難よねー」
 溜め息をつくわたしと違って、娘は何だか楽しそうです。
 「ねーねー、ママ、そんな落ち込まなくてもいいじゃない。こんな珍しい体験、普通は一生できないんだし、どうせならウンと楽しんじゃおうよ」
 はぁ〜、お気楽ですね。無闇にポジティブというか楽天的なところは、亡くなった夫に似たんでしょうけど。
 「それで、恵美ちゃん、何を企んでいるのかしら?」
 あきらめてわたしが問いかけると、娘はニヤリと人の悪い微笑みを浮かべました。
 「とりあえず、隣の駅前にできたショッピングモールまで出かけましょ。しばらくは元元出れないんだし、着るものとかも買わないと」
 「しばらく」どころか、もしかしたら一生元に戻れない可能性もあると言うことを、この娘はわかっているのかしら?
 とは言え、確かに一理はあります。母娘とは言え、服はともかく下着まで、いつまでも貸し借りしてているのは流石に気がひけますしね。
 「ふぅ……わかりました。今回は、わたしがお金を出します。でも、あまり無駄遣いしてはダメですよ?」

 * * * 
113『母の肢体/娘の身体』:2010/04/11(日) 21:00:44 ID:FCLV/j6z
 やむを得ない事情とは言え、いざ服を買いに行くとなると、ママもあたしもやっぱり女だし、けっこう浮き浮きしてくる。
 朝食のお皿を手分けして洗ってから、外出着に着替えて早速出かけようってことになったんだけど……。
 あたしは、自分の寝室に戻ろうとするママを引き止めた。
 「ダメよ、ママ。ママの首から下は、今はわたしの身体なんだから、服が合わないって」
 体重は知らないけど、身長にして6センチ、胸囲は12センチも違うんだから。ウェストとかヒップのサイズも結構差がありそうだし。
 「それは……確かにそうね」
 「でしょ。だから、ママはあたしの服から好きなの着ていいよ。その代わり、あたしはママのよそいきから何か貸してもらうから」
 各人の今の体型に合った服を着る。うん、コレはまったくもって論理的にみて妥当な判断よね。
 (べ、別に、折角グラマーになったから、ママの大人ぽい服を着てみたいとか思って言ってるワケじゃないんだからネッ!)
 似非ツンデレな台詞は心の中だけに留め、なんだかアワアワしているママをあたしの部屋に押し込むと、あたしはママの寝室に入って普段着を脱ぎ、下着姿でタンスを漁る。
 うーん、下着は、このままでいいかナ。結構、この組み合わせ、イイ感じだし。
 それにしても、ママのあの大きなオッパイが、いまあたしの胸で揺れてると思うと、なんだかつくづく不思議な気分(いや、正確には首から下全部、あたしの身体じゃないんだけどね)。
 ま、それはそれとして。そうなると、赤い下着が透けないようなのを上に着ないとダメか〜。
 まず、この白のワンピースは却下ね。もっとも、透ける云々以前に、ワンピースと言うよりドレスといった方がふさわしい代物だし、そもそもショッピングに行くような格好じゃないけど。
 黒のアンサンブル……は、悪くないけど、ちょっと喪服っぽいか。パス。
 あ、このワインレッドのレディススーツはいいかも……ゲッ、これ、シャネルじゃん。ママ、シャネルのスーツなんて持ってたんだ。
 白いブラウスを着てから、早速そのスーツに袖を通してみると、当り前だけど、あつらえたように今のあたしの身体にピッタリだった。
 姿見の前でピシッとモデル立ちをキメると、グラビアモデルみたいに恐ろしいほど様になっている。
 うーん、やっぱりプロポーションいい女性(ひと)って得だなぁ。
 どうせなら、とお化粧も気合いを入れてみよう。他所行きモードのママのお化粧なんて記憶はあやふやだったけど、思ったより上手く出来たみたい。折角だから、髪もアップにしてみたんだけど、遠目にはママとソックリに見えるかも。
 母娘だけあって、元々あたしとママは割と似てるしね。もっとも姉妹と間違えられるのは何だかなぁ、って感じだけど。
 ママのお財布その他を入れたヴィトンのハンドバッグを手に、あたしはママの部屋を出て、リビングへと向かった。
114『母の肢体/娘の身体』:2010/04/11(日) 21:01:21 ID:FCLV/j6z
 * * * 

 娘の部屋に押し込まれたわたしは、しばし困惑していました。
 いえ、理屈としては恵美が言ってることが正しいとはわかっているのです。
 でも、30歳の坂を数年前に越えた女に、いまさらミドルティーンの女の子の格好をしろと言われましてもちょっと……。
 もっとも、まったく興味がないと言えば、それは嘘になるでしょう。
 個人的には(娘には少女趣味と笑われますけど)、可愛らしい服を着た女の子を見るのが大好きです。
 もっとも、わたし自身は元から身長があまり低くなかったのと、亡き夫と知り合った前後から急に胸を始めとする各部のサイズが成長したことで、そういった服が似合わないため、自分で着ることは齢18にしてあきらめざるを得ませんでしたが……。
 ──あら? もしかして、首から下が娘の身体の今の状態なら、長年の夢がかなっちゃうのかしら。
 そう思いつくと、いても立ってもいられませんでした。
 娘のクローゼットには、わたしが買ってあげたのに娘の好みと合わないためにしまいこまれたままの一連の服があることは、母親としてしっかり把握しています。
 今回は、その中から、薄いピンクの地に小さな花の模様を散らしたオーガンジーのワンピースをチョイスしてみました。レースやフリルの飾りがいっぱいついた、いわゆる「甘ロリ」に近いタイプの服です。
 鏡に映してみると、やや小柄でスレンダーな娘の体型によく似合ってます。まったく、どうして着るのを嫌がるのかしら。こんなに可愛いのに……。
 もっとも、首から上がオバさんでは台無しですね。ここは、わたしの化粧技術の粋を凝らして、せめて「20歳前の女の子」に見えるようなナチュラルメイクを何としても実現してみせましょう!
 ──と気合を入れた割には、拍子抜けするほど簡単に「少女らしいメイク」を実現することができました。
 昔、化粧品の訪問販売員をしていた経験上、自分のメイクの腕前には多少の自信はありましたけど、まさか本当に「十代後半の女の子」に見えるとは……。
 これなら、制服を着て娘の学校に紛れ込んでも、さほど違和感はないかもしれません。
 鏡の前で、「ニコッ!」とか「キラッ♪」とか可愛らしく見えるポーズをいくつか試してみたのち、さすがにちょっと恥ずかしくなったわたしは、服に見合うデザインのショルダーポーチを持って、階下へと降りました。
115『母の肢体/娘の身体』:2010/04/11(日) 21:01:47 ID:FCLV/j6z
 「あ、ママ、遅かったね……って、何ソレ!?」
 「う、うん……せっかくだし、こういう可愛らしいカッコしてみたんですけど……やっぱり似合わないかしら」
 「ううん、バッチリ! ちょっとアブない趣味のお兄さんとかに見られたら、即お持ち帰りされそうなくらい似合ってるわよ」
 それはそれで嫌な褒められ方ですね。
 「あ、待って、どうせだったら……」
 娘は、わたしの手を引いて部屋へと戻り、わたしをドレッサーの前に座らせると、引き出しから取り出したふたつの黄色いリボンで、ツーサイドテール(娘いわくツインテール)の形にわたしの髪をまとめました。
 「どう? この方が可愛さ20パーセント増しって感じじゃない?」
 「ふわぁ……そう、ですね」
 鏡の中の「少女」は、高校生としてもちょっと幼げな印象に見えますけど、そのぶん愛らしさは大幅にアップしています。
 「ふふふ……ねぇ、ママ、見て。ホラ、あたし達、こうして並ぶと何だか仲良し姉妹って感じじゃない?」
 スツールに座ったわたしの後ろから、わたしの身体を抱きしめるようにして、娘が顔わ出しているのが、鏡越しに見えました。
 「え、ええ、確かに」
 その光景は、まさに少し歳の離れた姉妹という印象を受けます。ただし、いつもと違うのは、娘が「姉」で、わたしが「妹」に見えるところでしょう。
116『母の肢体/娘の身体』:2010/04/11(日) 21:02:35 ID:FCLV/j6z
 「ねぇ、ママ……どうせだったらさ、今日のお買い物のあいだ、あたしが「お姉さん」
で、ママが「妹」って設定で、ちょっと遊んでみない?
 ホラ、せっかく隣町まで行って周囲にご近所さんの目はないわけだし」
 その言葉に、躊躇いながらもコクンと頷いたのは、あるいはわたしにも何がしかの「予感」があったのかもしれません。
 「じゃ、ママ、家から一歩出たら、今日はあたしのこと「お姉ちゃん」って呼んでね」
 「あの……わたしはそれでいいとして、恵美ちゃんは? お姉さんは普通、妹を名前で呼ぶと思うんですけど」
 「ふむふむ、言われてみれば、その通りね。じゃあ……たった今から、あたしが「雪乃」、貴女が「恵美ちゃん」ってことで。OK?」
 「はい、わかりました、「雪乃お姉ちゃん」」
 ──ただ単に呼び方を変えただけなのに、何だかイケナイことをしているみたいで、すごくドキドキします。
 それは、娘……いえ、「雪乃お姉ちゃん」も同じみたいで、ほんのり頬が赤くなっているのがわかりました。
 「じゃ、じゃあ行こうか、「恵美ちゃん」?」
 「はい!」
11782:2010/04/11(日) 21:03:45 ID:FCLV/j6z
以上、とりあえずココまで。連続投下規制に引っ掛からないよう、いったん切ります。
続きは10時ごろから。
118名無しさん@ピンキー:2010/04/11(日) 21:06:11 ID:HYhae0og
わくわく
119名無しさん@ピンキー:2010/04/11(日) 21:29:29 ID:HSIezlGk
久しぶり良い物がきた。質量共に文句なしだし、更に続きが期待期待。
120『母の肢体/娘の身体』:2010/04/11(日) 22:00:55 ID:FCLV/j6z
 * * * 

 普段あまり来ることはないとは言え、それでもこの隣の駅前に来たこと自体は1度や2度ではありません。
 ですが、ちょうど新たにショッピングモールが出来たこともあり、目に映るものすべでか何だかとても新鮮に感じられます。
 それは、ひとつにはいつもよりわたしの視点が低かったことも影響しているのでしょう。
 元の身体の頃もそれほど身長が高い方ではありませんけど、今の「恵美」の身体だととくに人ごみに囲まれたすると、周囲の人がいつもよりひとまわり大きく見え、圧迫感を感じます。
 「大丈夫? はぐれたりしちゃダメよ?」
 けれど、娘…いえ、「雪乃お姉ちゃん」がわたしの手をしっかり握ってくれているので、わたしは落ち着いていられました。
 新築されて間もない綺麗なショッピングモールを、大好きな「お姉ちゃん」と一緒に見て回る「16歳」のわたし。
 そんな演技(ロールプレイ)は、思いのほかおもしろい経験でした。
 ブティックで「お姉ちゃん」がその豊満な肢体にふさわしい大人びたツーピースを選ぶのに感想を言ったり、ティーン向けの売り場でわたし好みのフェミニンで愛らしい服を買ってもらったり。
 やってる事自体はいつもとさほど変わらないはずなのに、何だか凄く楽しいのです。
 そう言えば、夫を亡くして以来、娘を育てるために気を張っていたわたしは、仕事はともかく私事で「誰かに頼る」と言う経験はなかった気がします。
 それが、いまだけのお遊びとは言え、「お姉ちゃん」に保護される「妹」の気分を味わっているのです。ひとりっ子だったわたしには、それだけでとても斬新な感覚です。それこそ、今回だけで終わらせるのは惜しいと感じるくらいに。
 いえ、「雪乃お姉ちゃん」もノリノリですし、時々はこういう悪戯をしてみるのもいいかもしれませんね……と、わたしは自分達の現状も失念して、そんなことを考えていました。
121『母の肢体/娘の身体』:2010/04/11(日) 22:01:42 ID:FCLV/j6z
 ですが、覚めない夢がないように、楽しい体験にもいつかは終わりが来るものです。
 その日の場合、夢の終わりを告げる「使者」は近所の主婦・山本さんの顔をしていました。
 わたしは町内会などで何度か山本さんと顔を合わせてますし、娘も朝練に行く時などに見かけて軽く挨拶する程度の仲です。
 お昼を食べてから帰途につき、ふたりで手を繋いだまま最寄り駅まで戻って来た、まさにそのタイミングで、わたし達はその山本さんと偶然正面から鉢合わせしてしまったのです!
 「あ〜ら、上原さんとこの奥様とお嬢様じゃありませんか〜」
 マズいです。さすがにこんな服装で娘に思い切り甘えている所を見られては、申し開きができません! 嗚呼、これでわたしも明日から「ご近所のチョット変な人」の仲間入りでしょうか!?
 「今日も娘さんとご一緒? 相変わらず仲がおよろしいのですね〜、どこかにお買い物ですか?」
 けれど、山本さんは別段普段と変わりのない態度で、わたしではなく「雪乃お姉ちゃん」──いえ、娘の方に向かって話しかけています。
 ???
 !
 なるほど、山本さんはあまり目が良くありませんし、わたし達母娘とさほど親しいわけでもない「顔見知り」程度の仲です。
 わたしの服を着て、わたしとよく似た化粧をしている娘のことを、てっきりわたしだと思い込んでいるのでしょう。
 「え、ええ、そうですね。ちょっと娘と隣の駅前まで……」
 その事に思い至ったのか、ほんの一瞬慌てたものの、娘もすぐにペースを取り戻して、わたし──上原家の主婦である雪乃のフリをしています。先ほどまでの演技で慣れたのか、なかなか堂に入った態度です。
 それから二言三言会話を交わした後、わたし達は山本さんと別れました。
122『母の肢体/娘の身体』:2010/04/11(日) 22:02:26 ID:FCLV/j6z
 (ふぅー、寿命が2、3年縮んだかと思ったわ。もうっ、助けてくれたっていいじゃない、「恵美ちゃん」)
 (あはは、でも、結構落ち着いて見えましたよ、「雪乃お姉ちゃん」……いえ、「雪乃ママ」)
 小声でそんなやりとりを交わした後、わたしたちは自宅に戻ったのですが、すぐに娘が困ったことに気がつきました。
 「ねぇ、ママ、あたし、明日学校へ何着て行けばいいのかな?」
 !!
 そうでした。今の娘は首から下がわたしの身体になっているのです。ブレザータイプですから、セーラー服よりはマシでしょうけど、無理して着てもキュキュウなのは目に見えてます。
 「仕方ありませんね。織部さんところで新しい制服買ってらっしゃい」
 織部さんとは、最寄駅近くの商店街に「オリベッティ」という店を構えてらっしゃる仕立て屋さんです。この辺り中学・高校の学生服の販売もひととおり手掛けています。
 制服一式となると……念のため10万円くらい渡しておいた方がいいのかしら。
 娘は、ちょっと躊躇っていましたが、それでもこの状況では、他に手はないと観念したのか、お金を受け取って買い物に行きました。
 (はぁ……まったく、予想外の出費ですねー)
 夫の生命保険と加害者からの慰謝料の御蔭で、それほど生活が苦しいわけではありませんが、決して楽でもありません。
 木下商事でのお仕事は、労働時間が短めで家のことをする時間が取れるぶん、お給料もそこそこですし……。
 もっとも、高卒でさしたる特技も持たない30女を、昔からの御縁で雇ってくださっている木下さんには、足を向けて寝れませんけど。
 そんなことをボンヤリ考えていたわたしですが、ガタンというドアの開く音で物思いから覚めました。
 おや、意外と早かったんですね。採寸とかでそれなりに時間がかかると思ったのですけれど。
 「たたた、大変よ、ママ!!」
 けれど、そんなわたしの呑気な感慨は、バタバタと駆けこんでくる娘の真っ青な顔で吹き飛んでしまいました。
 「──落ち着いてちょうだい恵美ちゃん、そんなに慌てて一体何があったの?」
123『母の肢体/娘の身体』:2010/04/11(日) 22:03:06 ID:FCLV/j6z
 興奮している娘の話を整理したところ、次のようなことがわかりました。
 1.娘が幼い頃から、お得意様として懇意にしているオリベッティの店主が、いくら体つきが変わっているとは言え、娘のことがわからなかった……と言うか、母親のわたしと完全に間違えていた。
 2.そればかりでなく、その帰路、学校の友人に会っても気づかれず、挨拶しても不思議そうな顔をされた。
 3.わけがわからなくなった混乱した娘は、ふと思い立って証明写真を撮る機械で今の自分を撮ってみた。そうすると……
 「それで、出てきた写真がコレなんですね?」
 なんということでしょう!
 そこには、いつもと変わらない(ちょっと緊張はしてますけど)顔をした上原雪乃、つまりわたしにしか見えない女性が写っていたのです!
 明らかに、今わたしの目に見えている娘の姿とは異なります。
 「ねぇ、ママ。ママの写真も、ケータイでちょっと撮らせてくれる?」
 そうですね、わたしについても確かめておくべきでしょう……嫌な予感しかしませんけど。
 ──こういう嫌な予感ほど当たるものです。
 娘のケータイに映ったわたしの画像は、どこからどう見ても上原恵美、すなわち娘そのものにしか見えませんでした。

 * * * 
124『母の肢体/娘の身体』:2010/04/11(日) 22:03:49 ID:FCLV/j6z
 あのあと、ママと色々話し合ったり実験してみたりしたんだけど……。
 デジカメもビデオも物置から引っ張り出してきたポラロイド写真も、すべて今の身体に応じた顔で映っているみたい。
 例外は、あたし達ふたりが、直接もしくは鏡越しに視認した姿くらい。
 と言うことは、つまり他の人の目にも、あたしは「ママ」として、ママは「あたし」として写っているのだろう。人間の目の構造も、基本的にはカメラと一緒とか、理科の時間に聞いた覚えがあるし。
 ちなみに、声の方もテレコを使って確認したところ、やっぱり身体の方と同じ声が録音されていた。あたし達自身には、これまでどおりの声に聞こえるのに……。
 念のため、夕食のおかずのおすそ分けを持っていくという口実で、おそらく世界中でもトップクラスにあたし達親子のことを熟知しているはずの政紀のところへ、ふたりで押し掛けてみた。
 もちろん、結果はクロ。あの馬鹿、あたしを完全にママだと思って丁寧に話しかけてくるし、ママのことをあたしだと思って気安いからかいの言葉を投げてきた。

 ここまで来たら、もう疑いようがない。
 今朝あたしは「中途半端な叶え方」って言ったけど、決してそんなコトはなかったんだ。
 むしろ、周囲からは徹底して、あたしは「上原雪乃」、ママは「上原恵美」として認識されているらしい。
 「じゃあ、どうして頭の見かけも変えなかったのか」という疑問は残ったけど、今はそんなコトを追求している場合じゃない。
 自分達の意識や首から上の見た目がどうあれ、少なくとも外では、あたしは「ママ」として、上原家の主婦として振る舞わないといけないし、ママは「あたし」として、女子高生らしく行動してもらわないといけないだろう。
 無理矢理自分達が別人だと主張しても、精神の具合を心配されるだけだろうし。
 一応泰男おじさんが帰って来たら、あの神像のことを訊いてみるつもりだけど、その時の話の持っていき方も考えないといけないかなぁ。
 ふぅ〜〜。
 「大変なことになってしまいましたね、恵美ちゃん」
 オロオロしているママを見てると、逆にあたしの方が肝が据わってきた。
 「まぁ、ね。
 でも、考え方によっては、あたし達の「願い事」が叶った結果なんだから、そんなに悲観することはないかもしれないわよ?
 第一、ママも、もう一度女子高生してみたかったんでしょ」
 「そ、それは……その場の勢いというか、つい口が滑ったと言うか……」
 真っ赤になって俯く様子が、なんだか可愛いというかいじらしいと言うか。
 ──おかしいなぁ。あたし、ママのこと、こんな目で見たことあったっけ? 午前中の「演技」が影響してるのかな。
 「それにホラ、あたしも泰男おじさんのところで働くという念願が叶うわけだし」
 その後、あたし達はとりあえず当面の「入れ替わり」生活を乗り切るための知識を互いに教え合い、また困った時参考になるよう、考えうる限りのトラブルについて対処法を書いたノートを作成することになった。
 はぁ……折角のよく晴れたうららかな秋の午後に、あたし達、何してるんだろーね。
12582:2010/04/11(日) 22:05:15 ID:FCLV/j6z
本日は以上です。これで起承転結の転までが終わった感じ。
結の部分は、来週末までにボチボチ投下していきますので、
よろしければ読んでやってください。
126名無しさん@ピンキー:2010/04/12(月) 15:30:43 ID:MEZzSd5z
期待
127名無しさん@ピンキー:2010/04/12(月) 16:40:11 ID:qEBGRbs0
保管庫の編集が出来ないんだが
誰かやってくれないか
なんか随分作品溜まってるし
128名無しさん@ピンキー:2010/04/13(火) 01:05:33 ID:vxbU6DCq
規制で書けませんでした…

すばらしい作品です。
明るい文調の中にも、これから訪れる出来事の予兆が所々見え隠れしてます。
何より、衣装に関する描写が細かくて、非常に感心しました。
自分も服の入れ替えが好きで以前こちらで書かせて頂いたのですが、付け焼き刃な知識がバレてしまいます。

この先の展開も期待してます。
129名無しさん@ピンキー:2010/04/13(火) 02:57:10 ID:WHp7FdGx
普段ROMってるものですが…

>>5氏 【チャージチェンジ】
>>20>>71氏 【四十年証文その3・その4】
◆2nkMiLkTeA氏 【楽しい○△×】
◆2nkMiLkTeA氏 【あずまんが大OD】
>>82氏 【母の肢体/娘の身体】

以上を保管庫に追加しておきました。
問題があれば、自由に変更してください。
(なかなか編集は難しいものですね。もっと簡単かと思ってましたが意外に時間がかかりましたw)

最後に、書いてくださっている方々へ。
いつももっぱらROMなのですが、この場をお借りして感謝の意を表します。
いつもおもしろい作品ありがとうございます!

長文すいませんでした。
130名無しさん@ピンキー:2010/04/13(火) 06:11:40 ID:tDISa2D/
         / ̄\
        |     |
         \_/
          |
       /  ̄  ̄ \
     /  \ /  \
    /   ⌒   ⌒   \      
    |    (__人__)     |      褒美としてオプーナを買う権利をやる
    \    ` ⌒´    /   ☆
    /ヽ、--ー、__,-‐´ \─/
   / >   ヽ▼●▼<\  ||ー、.
  / ヽ、   \ i |。| |/  ヽ (ニ、`ヽ.
 .l   ヽ     l |。| | r-、y `ニ  ノ \
 l     |    |ー─ |  ̄ l   `~ヽ_ノ
131名無しさん@ピンキー:2010/04/13(火) 16:08:29 ID:GHhKAT2x
>>129
       r-t-ェ-i
       |:lVl:|     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
       <ニヽ_/ニ>  <  世話をかけるな・・
      (⌒`::::  ⌒ヽ  \___________
      ヽ:::: ~~⌒γ⌒) 
       ヽー―'^ー-'

132名無しさん@ピンキー:2010/04/13(火) 18:10:01 ID:Q5Kw9lP9
TSやARなんかに比べると入れ替わり画像がパッとしないのは、2人以上の人物の入れ替わり前と入れ替わり後、つまり最低でも4人書かないと入れ替わったことが分かり難いせいかなあ。
脳内で、真面目な委員長と不良の入れ替わり前後画像を想像していたらおっきした。
133名無しさん@ピンキー:2010/04/13(火) 18:19:05 ID:GHhKAT2x
>>132
PIXIVで悪いが委員長の不良化発見
ttp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=3914821

真面目そうな委員長が
・不良と入れ替わった
・不良の霊に取り付かれた
・不良と性格を入れ替えられた

好きなように想像してくれ
134『母の肢体/娘の身体』:2010/04/13(火) 23:51:17 ID:MxjL3uWQ
#「結」の部分といいつつ、実は3分割予定。今夜はその1です。
--------------------------------------------------------
 * * * 

 チリリリリ、という軽快な目覚ましの音に、わたしの意識がゆっくりと浮上します。
 「ん……もう朝ですか」
 ぼんやりと見開いた目に映るのは、未だ見慣れぬ天井。
 昨日に引き続いて、わたしは再び娘の部屋で目を覚ましました。
 これは娘が、「少なくとも当面は物理的にも立場的にも互いの服を着るしかないんだから、どうせならタンスのある部屋で寝た方がいいんじゃない?」と提案したからです。
 確かに、朝起きたり夜寝たり、あるいは外から帰って着替えたりするたびに、互いの部屋を行き来するのは手間ですし、妥当な判断と言えるでしょう。
 しかし、わたしは朝は決して弱くないはずなのですが、なんだか今日に限ってひどく起きるのが億劫です。
 昨晩は娘と色々な情報交換したりして、多少遅くまで起きてはいましたけど、それだってせいぜい1時を少し回った程度ですし……って、ああそうか。
 いまのわたしの首から下は、低血圧気味な娘のものなんでした。
 中学に入ったあたりから、ずいぶんと朝はグズグズするようになって、内心ちょっと困っていたのですが……なるほど、こんな風に早起きするのが大変な体質だったからなんですね。ちょっと反省。
 でも、首から上がわたしの自前なおかげか、かろうじて目覚まし時計の音で起きることはできました。
 うんっ……よいしょ!
 まだまだ布団を恋しがる身体を何とかなだめすかして、わたしはベッドから起き上がりました。
 鏡の前に立ち、視線をチラと下方にやると、今日のわたしはライムグリーンのナイティをまとっています。
 昨日みたいなパジャマも動きやすくて悪くはないのですけれど、わたしは寝る時はどちらかと言うと解放感のあるネグリジェ派なので、娘のタンスの奥から引っ張り出してきたのです。
 これは、娘が高校入学したころに買ってあげたのですが、「デザインが少女趣味過ぎる」と言って一度袖を通したきり、娘はあまり着てくれませんでした。
 (そんなにヘンかしら……可愛らしいと思うのだけど)
 確かに、それなりの数のヒラヒラしたフリル飾りがついてますが、子供っぽ過ぎるというわけではなく、むしろ女らしいと思うのですけど。
 まぁ、このあたりはわたしと娘の趣味や性格の違いかもしれませんね。
 どちらかと言うと、娘は年齢より大人びた服装を好む傾向にありますし、わたしは逆に(自分で着られないぶん)娘にはできるだけ可愛い系の格好をさせたがっているという自覚はあります。
 幸いと言うべきか、娘は、「同じ年頃の女の子たちの平均より多少小柄でスレンダー、反面胸はそれなりにある」という、ある意味「万能」な体型でしたから、羨ましいことに大概の服が似合うのですけれど。
135『母の肢体/娘の身体』:2010/04/13(火) 23:52:22 ID:MxjL3uWQ
 でも、可愛らしい格好って若い時にしかできないものだから、今のうちだけでも、わたしの好みに合わせてくれたって……。
 ──あら? そう言えば、今はわたしが他人から見ればその「娘」なんですよね。それに、顔はともかく少なくとも体型は娘そのものですし……ちょっと、イイこと思いついちゃいました♪
 おっと、でもそれは放課後のお楽しみですね。
 今は、とりあえず顔と髪を洗ってから、ご飯を……って、そうだ! ウッカリしてました。朝ご飯の用意がまだでした!
 今から用意してると結構ギリギリですけど、一応昨晩炊飯器のスイッチは入れておきましたから、なんとかなるでしょう。
 わたしは、急いで台所へと降りていったのですが。
 「あ、おはよー、ママ」
 「え、恵美ちゃん!?」
 嗚呼、なんということでしょう。娘が二日続けて朝食の用意をしてくれてるなんて!
 明日は雪、いえ槍が降るんじゃあ……って、そう言えば、わたしたちの身に伝説級の異変が起きてるんでしたっけ。うん、それなら仕方ないですよね。
 「……なんだか、凄く失礼な感慨を抱かれたような気がする」
 「き、気のせいですよ。あら、お味噌汁もちゃんと作ってくれたんですね」
 「て言うか、ちゃんと作ったのはお味噌汁ぐらいだよ。鮭はありものを焼いただけだし、お漬物も冷蔵庫のを切っただけだし」
 いえいえ、そのひと手間が大事なんですよ。子供だ子供だと思ってましたけど、恵美ちゃんもキチンと成長してくれてるんですね。母親としては感激です!
 実際、焼鮭も焦がしてませんし、沢庵もちゃんと切れて繋がってません。
 お味噌汁だって……。
 ──ズズ〜〜ッ
 ほら、いいお味。わたしが作ったものと、ほとんど遜色ありませんよ。
 「そ、そう? そう言ってもらえると、あたしも早起きした甲斐があったよ。
 でも、逆にママの方こそどうしたの? 寝坊ってほどじゃないけど、ちょっと遅かったじゃない」
 「あ、それはですね」
 わたしは、今朝起きた時の自分達の体に関する推察を娘に話しました。
 「ホント、恵美ちゃんが朝弱いのは、主に体質的なものだということは、身にしみてよくわかりました」
 「フフン、納得した? でも、そっか。だから、あたしは今朝あんなに早くに、爽やかに目が覚めたんだ」
 わたしは、ふだん6時半に起床してましたからね。こういうのも「体が覚えている」って言うのでしょうか?
136『母の肢体/娘の身体』:2010/04/13(火) 23:53:10 ID:MxjL3uWQ
 * * * 

 ママの説明は確かに納得がいく。万年低血圧のあたしが、目覚ましが鳴る前に自分から目が覚めるなんて「奇跡」には、ちゃんとカラクリがあったワケね。
 あたしは、今朝起きた時の快適な気分を思い出す。
 「朝の空気は気持がいい」なんてよく言うけど、実際自分の身でそれを実感したのは何年ぶりだろう。
 あまりに(あたし主観で)早く起きちゃったから手持無沙汰で、新聞と牛乳配達の回収はもちろん、不燃物のゴミ出し、さらには朝ごはんの用意までしちゃったものね。
 身体的な特性は、今の体(くびからした)に準じるのだとしたら、料理するときあたしにしては、妙に器用に手が動いたのも当然だろう。なにせ、この(ママの)体は、いままで17年間上原家の食卓を支えてきたてのだから。
 「とは言え、これからずっと恵美ちゃんに面倒をかけるワケにはいきません。大丈夫です。明日からは頑張って早起きしますから」
 むんっ、と両手をグーの形で握りしめて、ママは気合(?)を入れている。
 「ん? なんで? 別にいいよ、あたしがやるから」
 「ふぇ?」
 絵に描いたような「きょとん」とした顔で、小首を傾げるママ。
 ──この人は、なんでいちいちこう可愛らしい仕草が似合うかなぁ。
 元の姿でも十分似合ってたけど、あたしの(つまり16歳の小娘の)姿になった今は、キュートなナイティ姿もあいまって、もぅ、抱きしめて頭を撫で撫でしたいくらいの絶妙な愛らしさだ。
 うーむ、あたし自身は「ボーイッシュ」とは言わないまでも、どちらかと言うと元気路線がウリなんだけど、ついてる頭が違うだけで、こうまで萌え方向に針が振れるとはねー。
 「いや、だって、その体だと朝起きるのツラいんでしょ。逆にあたしの方はとりたてて苦でもないし」
 「で、でも……毎朝、準備するのって、大変じゃないですか?」
 「その「大変な事」を17年間続けてきてくれたんでしょ? だったら、ちょっとくらいあたしにもその恩を返させてよ」
 「う〜、でもでも、母親として我が子の食事を用意するのは当然ですし……」
 上目遣いで困ったように聞いてくるママのおデコにペシンと軽くデコピンを入れる。
 「い・ま・は、あたしが「上原雪乃」で、貴女が「上原恵美」でしょ。少なくとも、傍目にはそう見えるし、あたし達自身も、バレないように互いのフリをするって昨日決めたじゃない、「恵美ちゃん」」
 そう、外では事情をバラさずに互いの立場になりきって行動することを選んだ以上、それを家でだけ半端に元に戻したりすると、かえって混乱する可能性がある。
 だからこそ、あたしは互いの寝室を明け渡すことを申し出たのだ。
 ──まぁ、ママのアダルト向けな服や化粧品類に、ちょっぴり興味があったのも事実だけどネ!
137『母の肢体/娘の身体』:2010/04/13(火) 23:53:43 ID:MxjL3uWQ
 * * * 

 「い・ま・は、あたしが「上原雪乃」で、貴女が「上原恵美」でしょ。少なくとも、傍目にはそう見えるし、あたし達自身も、バレないように互いのフリをするって昨日決めたじゃない、「恵美ちゃん」」
 こんなヘンテコな状態を他人に信じてもらえる可能性が低い以上、わたしたちの現状は隠すべきで、だからこそ互いになりきる演技のためにも中途半端なことしはしない方がいい。
 なるほど、娘の……いえ、「ママ」の言うことにも一理あります。
 「わ、わかりました、「ママ」。でも、娘が母親のお手伝いをするのは、別におかしなことじゃないですよね?」
 だからと言って、朝ごはんの支度を「ママ」に任せて、元の娘みたく惰眠を貪るなんてことは、わたしの性に合いそうにありませんし。
 「ふーーん、まぁ、手伝ってくれるって言うんなら、「ママ」としては大歓迎だけど」
 あ、何ですか、その疑わしそうな目つきは? 確かに低血圧はちょっと辛いですけど、首から上は元のわたしのままで、睡眠は主に脳が必要とするものなんですよ? 主婦歴17年の猛者を侮ってもらっては困ります。
 ともあれ、これからの方針を互いに確認したうえで、「ママ」は洗い物、わたしはいったん恵美の部屋に戻りました。
 本当は皿洗いも手伝いたかったんですけど、今日は朝練のある曜日だそうなので、念のため早めに出かけないといけないのです。
 ウチの洗面所は朝シャン用の大型洗面台が拵えてあります。母娘兼用のシャンプーで髪を洗い、中低温のドライヤーで乾かしつつ、手早くブラッシング。
 高校生だし、メイクは軽めでいいのかしら?
 もともと恵美は、いわゆるギャル系とは正反対に、あまりお化粧に凝らない娘でしたしね。また、わたし自身も、幸いにして小皺などができにくいタチですし、この程度で十分でしょう。
 鏡の中の(自分で言うのも何ですが)若々しい顔つきを眺めつつ、ふと気がついたのですが、ほかの人達にはわたしの首から上も、幻覚だか呪いだかで普通に「恵美」に見えてるんですよね?
 ──もしかして、このお化粧って意味がなかったのかしら……。
 い、いえいえ、化粧は女のたしなみ、口紅は淑女の最後の武器です! そう思うことにしましょう。
138『母の肢体/娘の身体』:2010/04/13(火) 23:54:39 ID:MxjL3uWQ
 さて、髪の毛が乾いたので今度は制服に着替えないといけません。
 恵美の部屋に戻ったわたしは、まずはナイティを脱ぎ、枕元に畳んで置きました。今の季節、1日着ただけで洗濯する必要はないでしょうし。
 ……この辺りの思考は、我ながらやっぱり主婦ですね。
 ともあれ、次は下着です。
 さすがに高校生になってからは、自分の分の洗濯物の収納は恵美に自分でやらせてますけど、中学生まではタンスの中身の整理も時折わたしがやっていました。
 半年ほどブランクはありますけど、それでもどこに何が入ってるかは今でも大体わかっています。
 えーと、確かこのあたりに……ほら、ミントブルーの地に青いレースの飾りがついてる、ちょっとハイレグ気味のショーツがありました。
 はぁ〜、こういうのを履けるのって、若い子の特権ですよね。
 いえ、今はわたしが恵美、ピチピチの16歳なのです(少なくとも体は)、何を臆することがあるでしょうか!
 お揃いの色合いのブラジャーと一緒に装着完了! 勢いに任せて、ライムグリーンのキャミソールもかぶってしまいました。
 もはや怖いものはありません。丸襟の白いブラウスを羽織ってボタンをとめ、年甲斐もなく憧れていた緑と赤のチェックのスカートを履き、胸元に赤い蝶ネクタイを留めます。
 ベッドに腰掛けて学校指定の黒のハイソックスを履き、最後に紺色のブレザーに袖を通してから、わたしは着替え始めてからあえて見ないようにしていた鏡のほうに向きなおりました。
 ──鏡の中からは、まごうことなき吾妻学院高等部の女子生徒が、ちょっとおどおどした顔つきでこちらを見返していました。
 完璧です! 毛ほども違和感もありません! ……すみません、ちょっと言い過ぎました。やはり近くで顔をよく見ると、女子高生というのは少々微妙でしょう。
 ですが、恵美の平均を少し下回る背丈と少しだけ上回るバストのおかげで、パッと見には問題はなさそうです。そもそも例の不思議な力で、わたしの顔は、自分たち以外には「恵美」そのものに見えてるはずですしね。
 となると……あと問題となるのは仕草、でしょうか?
 あからさまに「どっこいしょ」とかのオバサン臭い言動はしてないつもりですが、かと言って、「女子高生らしい仕草」というのもイマイチわかりません。
139『母の肢体/娘の身体』:2010/04/13(火) 23:55:10 ID:MxjL3uWQ
 ああ、そうだ! このあいだテレビでアイドルがやっていた、すごく可愛い振付けというかポーズがありました。鏡の前で試しにやってみましょうか。
 「キラッ☆」wink!
 ………………ダメです。コレは危険です。封印指定級の破壊力があります。思わずベッドに突っ伏して、足をバタバタさせてしまいました。
 「──なかなか下りて来ないと思えば、何やってんだか」
 ハッ!!
 気がつけば、部屋の扉が半分開かれ、そこには優しい(と言うか生温かい)目をした「ママ」が立っていました。
 「い、いつからそこに?」
 「んーと、「恵美ちゃん」が自分の制服姿に見とれて、百面相してるところからかな」
 「そ、それでは、先ほどの「キラッ☆」も……」
 「ええ、バッチリ。せっかくなのでケータイにも撮らせてもらったわ。オホホホホホ……」
 お、終わった……orz
 「別にそんな落ち込むことないんじゃない? 抱きしめたいくらい可愛かったし」
 いえ、下手な慰めは無用です。
 「ふ…ふふふ、学校……そう学校に行かないといけませんよね」
 ゆらりと立ち上がったわたしを見て、「ママ」は若干引いています。
 「ちょ、ちょっと、大丈夫なの?」
 「ノープロブレムです。コンディションオールグリーンです。いざ往かん、あの空の果てまで、です」
 「それ全然大丈夫に聞こえないんだけど」
 ──クスッ、冗談ですよ。安心してください、恵美ちゃんの名誉を貶めるような真似は、この身に代えてもしませんから。
 「いや、そこまで気張らなくても……ん〜」
 しばし考え込んでいた「ママ」はポンと手を打ちました。
 「じゃあ、「恵美」ちゃん、適度に肩の力を抜きつつ、久しぶりの高校生活を存分に楽しんできてね」
 ニッコリと、まるで本物の母親のような優しい笑顔を向けられては、わたしもいつまでも落ち込んでなんかいられません。
 「ハイ、「ママ」、行ってきます!」
14082:2010/04/13(火) 23:55:56 ID:MxjL3uWQ
以前投下した「妹と恋人の境界」と違い、今回は、ほぼ完全に私のオリジナル作(ヒロインふたりの名前と容姿は82のゲームを参考にしてますけど)ですが、それだけにいろいろ私のシュミがにじみ出ちゃってます。
(入れ替わりがむしろ二人とも望むところとか、服装へのこだわりとか)
その分、話の進行がまったりペースなのは、ご寛恕ください。
次回は、「恵美」が学校に行ったあとの「雪乃」さんの半日の予定です。
141名無しさん@ピンキー:2010/04/14(水) 06:46:38 ID:MvxslVmE
お疲れ〜
142名無しさん@ピンキー:2010/04/14(水) 13:39:58 ID:OnRoTNJS
#あと、これの二倍分で終われるの?
#現在まで投稿された分の二倍くらいいるような……
#ともあれ、続き期待です!
143名無しさん@ピンキー:2010/04/14(水) 14:56:33 ID:P50iwzgj
なあに、朝チュンで問題ない
14482:2010/04/14(水) 16:19:34 ID:QpHfOO2z
自分なりにプロットを整理してみましたが、
 結の1:今回(おもに母視点の一日)
 結の2:次回(おもに娘視点の一日)
 結の3:一週間後の母娘
 アナザービュー:幼馴染の少年視点
 エピローグ:冒頭部の続き(ラストは1年後)
という形に落ち着く予定です。「結の3」からは、わりと時間の流れが飛び飛びになります。
(いや、入れ替わった母娘のカルチャーギャップな毎日を丁寧に描けば、倍くらい引っ張れますけど、「入れ替わり」に関わる面が薄い、ただのホームコメディないしラブコメになると思うので)
145名無しさん@ピンキー:2010/04/14(水) 16:36:24 ID:WmsdUPXH
一年後ってのはやはりアレかな
146名無しさん@ピンキー:2010/04/15(木) 17:55:48 ID:s++Wx+IU
wktk!
147名無しさん@ピンキー:2010/04/17(土) 17:46:05 ID:kq+21pqX
おい
148名無しさん@ピンキー:2010/04/17(土) 22:20:32 ID:KNurawWv
憑依・・・もう無理か
14982:2010/04/18(日) 00:15:24 ID:FLrujJD7
すみません。規制で現在投下不能。せっかく頑張って書いたのに無念。
150名無しさん@ピンキー:2010/04/18(日) 00:19:26 ID:EhtKXl4l
あは
151名無しさん@ピンキー:2010/04/18(日) 00:31:38 ID:FU3fNpw+
>>149
お疲れ様です。
まとめサイトの方って、今誰でもUP出来るんでしたっけ?
出来るのなら、直接UPしてみてはいかがですか?
152『母の肢体/娘の身体』:2010/04/19(月) 10:57:32 ID:JzivF/as
 * * * 

 「あ、ちょっと待って!」
 笑顔でテニス部の朝練に出かけようとする「娘」を呼び止め、鏡台から持ち出したリボンで髪を結んであげる。
 「そのまま髪下ろしてると、運動するのに邪魔でしょ」
 普段のあたしは運動時には後ろでまとめて簡易なポニーテールにしてるんだけど、折角だから昨日と同じくツインテール仕様にしてあげた。
 実は何気に気に入ってたみたいだし、実際、今の「恵美」のかわいらしい雰囲気にはこっちの髪型の方が似合ってる気がするしね。
 「あ、ありがとう、「ママ」……それじゃあ、改めて、行ってきます」
 テニスの技術自体については、ママも学生時代テニス部だったから、そんなに心配ないはず。と言うか、むしろママの影響であたしが中学からテニスを始めたと言うほうが正しいし。
 まぁ、人間関係的には多少の不安は残るんだけど、どの道、学校自体を休まない以上、部活の方にもキチンと顔を出しとくべきだろう。それなら、会話する機会の少ない朝練で、ある程度部員の顔とか把握しておくほうがいいだろう。
 「はい、いってらっしゃい」

 そうやって「娘」を送り出したのち、あたしは「ママ」の日課をこなすべく、掃除機を手にとった。
 母子家庭かつ母親も外で働いているウチの家では、土曜日が「掃除の日」、日曜日が「洗濯の日」と決まっているけど、平日だからと言って家の中のことを何もしないというわけじゃない……らしい。
 いや、あたしもママに聞いて初めて知ったんだけどさ。
 出社前の1時間ほどのあいだに、月曜と木曜には軽く掃除機をかけ、火曜と金曜には普段着と下着の洗濯くらいはするものらしい。
 (ちなみに水曜は、会社で朝から会議があるので、少し早めに出ないといけないんだって)
 もっとも、ウチの家は築18年・木造2階建てで、1階が居間とダイニングキッチン(+トイレ&浴室)、2階は寝室がふたつあるだけ、という小さな借家だから掃除するにしても、さほど手間じゃないんだけどね。
 鼻歌交じりに居間と台所の掃除を終え、掃除機を持って2階へ。元のあたしの部屋、そして今のあたしが使っている寝室の順に掃除機をかける。
 むぅ、改めて昼の光の下で見ると、「雪乃」の部屋って……ちょっと彩りに欠けるかも。
 どの道、すぐに元に戻れる見込みがない(仮にあの人形をおじさんに入手してもらうにしても、多分それなりに時間はかかるだろう)以上、この部屋をあたし好みで多少模様替えしちゃってもいいかな。
 まぁ、これは平日は無理だし、本来のママ──「娘」とも相談しないとね。
 さて、そろそろ出社の用意をしますか!
153『母の肢体/娘の身体』:2010/04/19(月) 10:58:56 ID:JzivF/as
 「雪乃」が普段着として愛用しているカットソーを脱ぐと、その下から白に近い色合いのコーラルピンクのボディスーツが露わになる。
 「やっぱし、いいなぁ、コレ」
 下着の上からムニムニっと軽くオッパイをつかんで揉んでみる。
 ママは「こんなに大きいと肩が凝るし下着もなかなかサイズがない」っていつも嘆いていたけど、あたしとしては、やっぱり女はこれくらい乳房が大きい方が魅力的だと思う。
 実際、ふたりで街を歩いていたも、男性(とくに大人の人)の視線は、だいたいママの方に向けられることが多かったし。
 母娘だけあって顔立ちはよく似ているんだから、違うとしたら……やっぱり体型(主に胸)だよねぇ。
 そりゃね、あたしもまだ16歳だから「将来はママみたくバインバインになる!」って望みは抱いてたわよ? でも、昔のママの写真を見る限りでは、正直いまのわたしより確実に一回り大きいんだもん(Dカップだったかな?)。
 ママは「わたしも昔は恵美ちゃんみたいにスラリとしてたのよ〜」って言ってたし、確かにそれも間違いじゃないんだけどさ。でも、ママは背だってあたしより高かったし……。
 5歳の頃なんであたし自身はあまり覚えてないけど、亡くなったパパは、聞くところによると小柄で痩せてたらしいから、その遺伝もあるんだろうけどね。
 胸だけじゃなくて、ウェストはあたしと1センチしか変わらないくらい細く締まってるし、ヒップは逆に女らしくまろやかな曲線を描いている。
 あたしなんか、友達に「恵美のお尻って少年みたい引き締まってるね」って褒めてるんだか貶してるんだか、よくわからない評価を受けてるって言うのに。
 こういうのを「ボン・キュッ・ボン」とか「モンロー体型」って言うんだろうなぁ。
 ──フン、フン、いいもんねー、今はこのグラマラスボディはあたしのものなんだもん!
 あたしは気を取り直して、着替えを続けた。
 まず、ブラウスと言うよりドレスシャツと言う方がふさわしいイメージの、ビシッとノリの利いたピンストライプのシャツを身につける。
 藍色の紐タイを結んでから、ママのアドバイスに従って、先にオーキッシュブラウンのパンストを履く。タイトスカート履いたあとだと、皺になっちゃうからね。
 で、空色のタイトスカートとベストを身につければ、「上原雪乃・秘書モード」は完成。ちなみに、職場はここから歩いて3分の商店街の端っこにあるので、着替えはいつも家で済ませてるみたい。
 「……っと、いっけない」
 お化粧を外用のものに直すのを忘れてた。
 もちろん朝起きたときに、肌の手入れと簡単なメイクぐらいはしてるけど、ほとんど社屋内にいるとは言え、一応「外」に出る以上は大人の女として、身だしなみにはそれなりに気をつけないとね。
 あらためてアイラインとルージュを引き直す。
 昨日の昼は、あくまで休日モードのお化粧だったから自力でも何とかなったけど、正直ここまでOL風のクッキリしたメイクは未体験だ。昨晩やり方を教えてくれたママに感謝しよう。
 おかげで、いかにも「有能な美人秘書」風の顔立ちが鏡の中に写っている。知らない人が見たら、あたしが16歳の小娘なんて到底思わないだろう。
 ……まぁ、他人にはママの顔に見えてるワケだけど、これはあたしなりのケジメであり、「上原雪乃」として社会に出るための「儀式」だしね。
 うん、時間もちょうどいいみたいだし、NEW「雪乃」、出動よ!!
154『母の肢体/娘の身体』:2010/04/19(月) 10:59:47 ID:JzivF/as
 ……と、勢い込んで木下商事に出社したのはいいけれど、じつはココの社員さんの大半と、恵美としてのあたしも顔見知りなのよねー。
 子供のころから、ママや泰男おじさんに連れられて何度も来てるし、毎年の慰安旅行には、ママと一緒にあたしも参加させてもらってる。
 そもそも元々は有限会社でそんなに社員の数も多くないし(たぶん、パートやアルバイトを含めても50人はいないはず)。
 おかげでママのふりをして対応するのも、そんなに難しい事じゃない。
 ママのやってた仕事についても、日ごろから色々話だけは聞いてたし、昨日改めて詳しく説明してもらった。それに今は、社長である泰男おじさんが出張中だから仕事の内容も限られてる。
 ママが書いてくれたマニュアルに従って書類を整理したり、机のまわりを掃除したり、社員の人たちからの要望に従って文具類を倉庫から出して来たり、その在庫が切れてたら商店街で買って来たり……。
 正直、中学の頃、生徒会書記としてやってた仕事とあんまり変わらないなぁ。
 そう言えば、社内会議の時は、ママが議事録とかつけてたそうだから、ますます秘書と言うより書記だよね。
 唯一違うのは、泰男おじさん──木下社長のスケジュールを管理・調整することらしいけど、これもパソコンのスケジューラーを使えば割と楽らしい。
 実際、午後3時を回るころには、今日やるべき仕事はほとんどなくなっていた。
 むしろ、4時になって「あれ、珍しいですね、上原さん、こんな時間までいるなんて」って、ベテラン社員に驚かれたくらい。
 9時半に出社して午後3時半に帰宅!? いや、確かにママは正社員じゃなくパート扱いだから、そんなものなのかもしれないけどさ。
 (もっとも、それは社長のいない時だけで、普段はちゃんと9時5時勤務らしいことは判明した。それでも、このご時世に実働8時間って……)
 ま、まぁ、お仕事が楽だからって、文句つけるのも変だよね、ウン。
 深く考えるのはやめにして、あたしは退社することにした。

 家に帰ったら、すぐに寝室に戻って着替えることにする。
 と言っても、これから夕飯用の買い物に出ないといけないのよねー。普段なら日曜は食料品を多めに買いこんでくるんだけど、昨日はあたし達の服とか中心で、あまり冷蔵庫のストックが増えてないし。
 あたしは、ママの普段着を手に取り……かけて、やめにした。
 んー、前々から思ってたけど、ママの普段着って、ちょっと地味過ぎるのよね。
 素の容姿自体は25、6歳って言っても通用する反則的な存在のクセに、この地味でおとなし過ぎる服装のせいで相殺されて、結局それより幾分年上の30歳前くらいにに見えちゃってるし。
(まぁ、実年齢考えると、それでも十分若々しいんだけど)
 うん、決めた! この際だから、あたしが「雪乃」でいるあいだだけでも、それなりに見合った(そしてあたし好みの)、イケてる格好しちゃおーっと。
 チラッとだけ「元に戻った時、ママが困るかな?」と言う考えが脳裏を過ったけど、それでもなお、この美しい身体を誇示したいという欲求の方が強かった。
 そうと決まれば、いくら近所の商店街だからって、こんなラフな格好で出るのはアウトよねー。さすがにスーツを着るのはやり過ぎだとしても……うん、これくらいのお洒落はしておくべきよ。
 あたしが選んだのは、純白のブラウスと暗紫色のロングスカート。
 一見シンプルで地味に思えるかもしれないけど、ぴったりしたブラウスには何本もの飾りタックが前面についていて、胸の豊かさをより立体的に際立たせて見せる。
 また、ボックスプリーツのスカートには深めのバックスリットが設けられていて、歩くたびにストッキングを履いたふくらはぎがチラチラ見えるのが色っぽい。
 髪を後ろで軽くまとめて白いうなじが見せているのも、大人っぽさをアップしているんじゃないかな。
 実際、さして露出が高いわけでもないこの格好で商店街を歩くだけで、あちこちから主に男性の熱い視線を感じる。
 (ウフフ……おもしろーい!)
 下品にならない程度に心持ちヒップに重心を意識して歩くと、さらにその視線の温度が上がった気がする。
 まったく、ママってば、こんなに女の武器に恵まれてたクセに、どうして有効活用しなかったんだろ。
 まぁ、どちらかと言うと引っ込み思案な人だから、仕方ないのかもしれないけど……十人並みよりややマシ程度のプロポーションしか持たないあたしから見たら、もったいない話だ。
 でも、今は違う。今は、あたしが「上原雪乃」。あたしは、この豊満な肢体を、地味な部屋着に押し込めてコソコソ歩いたりしないわ……!
 そのおかげか、商店街のお馴染みの店でも、色々オマケしてもらっちゃったし……やっぱり美人は得よねー。
155『母の肢体/娘の身体』:2010/04/19(月) 11:00:23 ID:JzivF/as
 とは言え、浮かれてばかりもいられない。
 ママの立場でいるということは、ウチの中の事もママに代わってこなさないといけないってことだし。
 具体的に言うなら、今晩のご飯の支度とか。
 もっとも、いくら首から下が入れ替わって、その身体が持つ調理技術が備わったからと言っても、頭の中味については元のまんまなのよね。
 あたしは、友達とかと比べるとそれなりに家事手伝いをする方だと思うけど、さすがに料理のレパートリーに関しては圧倒的に知識と経験が不足している。
 仕方ない。そろそろ涼しくなってきたし、今夜は鍋にしましょ。
 同性の嫉妬と異性の欲望、そして両者からの羨望の込められた視線を心ゆくまで堪能しつつ、あたしは夕飯の買い物を済ませて、家に帰った。

 「ただいま〜」
 あたしが台所で夕飯の準備をしていると、玄関から「娘」の声が聞こえてきた。
 時計を見れば、午後6時半を少し回ったところ。部活がある時の「恵美」の標準的な帰宅時間だ。
 どうやら、「娘」の方も、無事に女子高生としての一日を送ったみたいね。
 「おっじゃましまーーす!」
 ん? この声は……。
 すぐにあたしのいる台所に「娘」と、彼女に連れられた少年が顔を出した。
 「あら、政紀…くん。いらっしゃい」
 アブないアブない。つい、いつものクセで呼び捨てにするところだったわ。
 「あ、すみません、雪乃さん。お邪魔してます」
 殊勝な顔つきでペコリと頭を下げる政紀。
 (まったく、コイツ、ママの前でだけは行儀いいんだから!)
 とは言え、今はあたしがその「ママ」なのだ。ひきつらないように注意しつつ、微笑みを浮かべてみせる。
 「いいのよ、政紀くんは、ウチの子みたいなものなんだから」
 これは満更嘘でもない。あたしにとってはコイツは兄弟(ダメ兄か、ヘボ弟かはさておき)みたいなものだし、ママだって息子みたいに思ってるはず。
 少なくとも、この瞬間までは、あたしはそう考えていた。けれど……。
 「ま、「ママ」、あのね、マサくんのところお父さんが出張中でしょ? 折角だから夕飯をウチで食べてもらったらと思うんだけど……」
 なぜか、微妙に顔を赤らめつつ、力説する「娘」の姿を見れば、何となくピンとくるものがある。
 「あらあら、「マサくん」……ねぇ」
 「──あ!」
 「へー、ほー、ふーん、そういうコトですかー」
 それだけ言って、ジロジロと視線を投げるだけで、「娘」はおもしろいほど動揺している。
 どうやら、この勘、アタリみたいだ。そう考えれば、確かに納得のいくフシもある。こんなに美人なのに、浮いた噂のひとつもないと思ったら、まさかの伏兵ねー。
 とは言え、良識が服着て歩いてるようなママとしては、さすがに娘と同い歳の少年にモーションかけるわけにもいかず、ひとり悶々としていたのだろう。
 それが、対等に接することのできる「幼馴染」という「恵美」の立場に立ったことで、ちょっと浮かれて、気持ちが零れ出したってトコロかしら。
 「いいわ。幸い今晩はすきやきだし、政紀くんも遠慮なく食べてってちょうだい」
 本当なら、恵美(あたし)の代役としては慎重さに欠ける行為と咎めるべきかもしれないけど、どの道、完全に互いのフリなんて出来るはずがないのだ。
 第一、いつになったら戻れるかわからないのに、自分の意思を押し殺して他人(まぁ、あたし達は親子だけど)のフリをして無難に日々を過ごすなんて、考えただけでも気が滅入る。
 そういう意味では「お互い様」だし、むしろ、あたしもそれなりに好きにやらせてもらう口実が出来たとも言える。
 「じゃ、「恵美ちゃん」は、手を洗ってからお手伝いして頂戴。あ、政紀、くんは、居間でテレビでも見てて」
 「娘」をいぢるのに、こんなに美味しいネタはない。あたしはニヤニヤ笑いを浮かべつつ、ふたりにそう告げて、夕飯の準備に戻ったのだった。
15682:2010/04/19(月) 11:01:11 ID:JzivF/as
#以上、知人のPCを借りての投下でした。
157名無しさん@ピンキー:2010/04/19(月) 17:06:05 ID:P63KALS1
続き楽しみにしてます
158名無しさん@ピンキー:2010/04/19(月) 17:45:02 ID:kgOugLXr
わくわく
159名無しさん@ピンキー:2010/04/20(火) 23:07:11 ID:m9TNlqdE
知人も乙
160『母の肢体/娘の身体』:2010/04/22(木) 14:33:59 ID:xev3fE9D
 * * * 

 目覚まし時計の軽快なアラームと共に、わたしはパチッと目を開きました。
 時刻は7時11分。
 う〜ん、今日も2個目の目覚ましでしか起きられませんでしたか。7時5分前と7時10分の二段構えでセットしているのですが……低血圧って手強いですね。
 とりあえず気持ちを切り替えて、起きちゃいましょう。幸い、今日はテニス部の朝練がない日なので、学校に行くのに多少余裕があります。
 わたしが階下に降りると、「母」が「いつも通り」に朝食の用意をしてくれていました。
 「すみません、「母さん」、また寝坊しちゃいました」
 「あら、まだ寝坊って時間じゃないわよ、「恵美」」
 そう、わたし達は現在互いを「ママ」「恵美ちゃん」ではなく、「母さん」「恵美」と呼び合っています。
 これは、わたしが「ママ」と口にするのがどうにも照れくさくて慣れなかったのと、同じく彼女の方も「自分」に「ちゃん」付けで呼ぶのがどうにも居心地が悪いと言うことで、相談してそう決めました。
 周囲には「高校生にもなってママと呼ぶのが少々気恥ずかしくなった」「娘の意思を尊重して一人前扱いすることにした」と説明したため、不審には思われなかったようです。
 「ごめんなさい、ご飯の用意、手伝えなくて……」
 「アハハ、気にすることないわ。むしろ、以前のあたしみたく起こしても起きないのに比べれば、百倍マシよ」
 そう言って「母」は許してくれますが、わたしとしては、月曜にあんな風に決意表明したにも関わらず、5日目の金曜(つまり今朝)に至るまで全滅──つまり一日も朝食の準備を手伝えていないのですから、凹みもします。
 おまけに、それだけ毎日炊事をこなしているせいか、「母さん」の料理の腕前は日に日に向上しており、いまやほとんど以前のわたしと遜色ないレベルにまで迫っています。
 「うぅ……母親の威厳がぁ」
 「ああ、心配無用よ。そんなモノ、元々カケラ程しかなかったし」
 笑いながら、「母さん」はわたしのおデコをピンッと軽くはじきます。
 「はぅっ!」
 薄々わかっていたこととは言え、ハッキリと言われるとショックです。
161『母の肢体/娘の身体』:2010/04/22(木) 14:35:55 ID:34Ag9WIT
 「はいはい、落ち込んでないで。片付かないからチャッチャと食べちゃってね」
 「……はい」
 ホントに、確かにコレじゃあ、どちらが年上かわかりませんね。
 わたしはおとなしく食卓につきました。
 「それで、確か今日の午後、木下さんが帰ってくるんですよね?」
 「そうね。スケジュール表ではそうなってたし、水曜に会社にかかってきた社長の電話でも、それを変更するような連絡はなかったわ」
 ご飯を食べながら、今日の……いえ正確には今後の予定について、ふたりで話し合います。
 「社長の様子次第だと思うけど、いつも出張帰りには、夕方ごろに会社に顔を出してるんでしょ?」
 「そうですね。ただ、その時は簡単な報告と社用の荷物を置く程度ですぐ帰られてしまいますから……」
 「あの彫像について聞きだすのは難しいか。OK、わかった。一応、話ができそうなら振ってみるけど、あんまり期待しないで」
 「ええ、むしろ明後日あたりに木下さん家に行ってみる方がいいかもしれませんね」
 いずれにしても、今日明日すぐに、この異常事態──入れ替わりというか首すげ替えを解決するのは無理でしょうね。
 そのことを歯がゆく思う反面、どこか心の片隅で、今の状態が続くことを密かに歓迎してしまうのは、やはりコレがわたしの「願い事」が適った結果だからでしょうか……たとえ意図したのとは微妙に異なるとは言えど。
 「ごちそうさま」と朝食を終えてから、せめても部活がない日くらいは皿洗いを担当します。ふたり分の朝食の食器なんてしれてるのですけど、「恵美」の手先はぶきっちょなのか2度も皿を落としかけました。
 朝ご飯の前に回してあった洗濯機から洗いあがった洗濯物を取り出して、鼻歌を歌いながら物干しに広げている「母さん」を尻目に、わたしはそろそろ学校に行く準備にとりかかります。
 下着を替え、制服を着て、簡単なフェイスケアを済ませるまで約5分。この一週間でわたしも随分手慣れたものです。
 体(くびからした)のお陰か、お肌もずいぶん瑞々しくなってきたので、お化粧自体も最小限で済みます。
 そうそう、朝シャンも止めてしまいました。(恵美の)友達に聞く限りでは、朝洗髪してる娘は最近は半分を切ってるみたいですし、そもそも朝練がある時は汗かくから無駄な気もしますから。
 最後に髪を留めるリボンですけど……うーん、今日は朝練はない代わりに放課後の部活はありますから、あまりヒラヒラしたのは×かしら。
 となると、昨日帰りに、テニス部のみんなと繁華街寄って買ってきたパステルオレンジに金の縁取り模様があるのは却下ですね。これはお休みの日にでも可愛らしい服と合わせる方がいいでしょう。
 空色の比較的シンプルな細めのリボンで左右に髪をまとめて、鏡の中の自分をチェック。
 「うん、可愛い♪」
 ──自分の実年齢が30代半ばということは、この際無視です。今のわたしには、この髪型がよく似あってますしお気に入りですから。可愛いは正義なのです!
 通学カバンを開けて、念のために中身を確認。大丈夫、忘れ物はありません。
 「いってきまーーす!」
 「はい、いってらっしゃい」
162『母の肢体/娘の身体』:2010/04/22(木) 14:38:07 ID:34Ag9WIT
 「母さん」の声に見送られて、わたしは家を出ました。時間は8時5分。家から学校までは10分ほどで、予鈴が鳴るのは8時半ですから、本来はわりと余裕があるんですけど、わたしには寄るところがあります。
 ──ピンポーン!
 「………ぅーーーぃ……」
 お向かいの家の呼び鈴を鳴らすと、しばしの沈黙の後、インターホンからは眠そうな応えが返ってきました。
 ふぅ、やっぱり、まだ寝てたんですね。
 軽く溜息をつきながら、わたしはお財布から取り出した合鍵でドアを開けると、木下家へとあがらせてもらいました。
 「おはようございます、マサくん」
 「あーー…恵美かぁ……おはよ……ふわぁ」
 パジャマ代わりのTシャツ&短パン姿で、ボーッと突っ立っているマサくんを、手早く洗面所に押し込みます。
 「ほら、マサくん、顔洗って目を覚ましてください!」
 「ん……」
 まったく、まさかマサくんが元の恵美以上のお寝坊さんだとは知りませんでしたよ。まぁ、寝ぼけているマサくんは、昔みたく素直でかわいいんですけど♪
 2分後、洗顔&歯磨きを済ませた彼は、完全に目を覚ましていつもの、ちょっとお調子者なマサくんに戻っています。
 「はい、朝ご飯……って言っても、ただのおにぎりとお茶ですけど」
 「うぅ、恵美や、いつも済まないねぇ」
 わざとらしくゴホゴホと咳き込むマサくん。
 「いえ、わたしが好きでやってることだから」
 「へ!?」
 あ……しまった。本来の恵美なら、ココは「それは言わない約束でしょう、おとっつぁん」とでも返していたはずなのに、ついわたしの本音が出てしまいました。
 いえ、だって、好きな男の子に朝食(たとえおむすび1個とは言え)作ってあげるのって、恋する乙女の夢でしょう? 
(この際、「誰が乙女?」というツッコミは全力でスルーです)
 「あ、あぁ……うん、ありがとさん」
 あまりにわたしが素直に返したせいか、マサくんはちょっと照れくさそうです。
 わたしもほんのり頬が赤くなってるのを感じます。
 「……ごっつぉーさん」
 「はい、お粗末様。じゃあ、早速ですけどマサくん、制服に着替えて来てね」
 「おぅ、待ってな。1分で済ませてくらぁ」
 彼を待つ間に、テーブルの上を布巾でぬぐい、お皿と湯呑も洗っちゃいます。
163『母の肢体/娘の身体』 :2010/04/22(木) 14:39:33 ID:34Ag9WIT
 「うし、木下政紀・通学形態、完成だ!」
 「はい。じゃあ、出ましょうか……あ、ちょっと待って!」
 ブレザーのポケットからクシを取り出して、マサくんの寝癖を梳かします。
 「……うん、これで大丈夫」
 「お、サンキュー」
 木下家を出ると、ふたり並んで学校へ向かいます。
 「にしても。なぁ、恵美、最近なんかイイことでもあったのか?」
 「え? どうして?」
 「いや、こぅ、いつもニコニコしてるし、なんつーか、俺の世話も色々焼いてくれるし」
 「…………」
 それは……確かに、そうかもしれません。
 非常(識)事態とは言え、もう一度高校生ライフを経験できることを、わたしは確かに喜んでますし、マサくんに対しても、これまで隠していた気持ちを仮初の「恵美」の立場で、素直にブツけている自覚はあります。
 でも……。
 「迷惑、だったかしら?」
 「ああ、いや、全然ンなこたぁない! むしろ朝なんか助かってるくらいだし、俺だって、たとえ腐れ縁の幼馴染とは言え、カワイイ子と朝から一緒に登校できるのは、満更でも……って、タンマ、今のなし!」
 「え!?」
 かわいい……マサくん、わたしが、可愛いって……。
 「うふ、ウフフフフフ」
 「あ〜、聞いてねーな、コイツ」
 マサくんが何か呆れたような溜息ついてますが、そんなのほとんどわたしの耳に入ってはきませんでした。
 そりゃあ、わたしだって女ですし、そこそこイケてる顔立ちだという自負はあります。近所の商店街では「美人ママさん」で通ってましたし。
 でも、不特定多数の人にお世辞混じりで言われるのと、好きな男性にポロッとこぼれた本心でそう言ってもらえるのとでは雲泥の差があるんです!
 「ホレ、あぶねーって!」
 「キャッ!」
 気がつくと、グイッと右手をマサくんに引っ張られてました。どうやら、すぐそばをクルマが通過したみたいです。
 「朝っぱらからボンヤリしてると、轢かれるぞ?」
 「す、すみません」
 確かに、これじゃあダメダメですね。うん、気合いを入れなおしましょう。
 (アッ!)
 ふと気がつけば、先ほどからの流れでわたしはマサくんにそのまま手を引かれるようにして歩いてました。ポケポケしてるわたしが危なっかしいと思ったのでしょうか。うぅ……屈辱です。
 (でも、これはこれで、悪くないかも)
 それからしばらくして、学校が見える場所にくるまで、わたしたちは無言で手を繋いだまま歩き続けたのでした。
164『母の肢体/娘の身体』 :2010/04/22(木) 14:40:23 ID:34Ag9WIT
 学校に着くとマサくんは1−A、わたし(というか恵美)は1−Bなので、名残惜しいですが、とりあえずお別れです。
 授業は……まぁ、普通? いえ、「学校の授業」が退屈なのは古今東西不変なのですが、今のわたしは授業についていくだけで精いっぱいなのでサボっている暇もありません。
 これでも学生時代は一応優等生で通ってたんですけどねぇ……20年のブランクを甘く見てました。
 で。
 ようやくお昼休みになって、昼ご飯なんぞ食べているワケですが。
 「うーーーむ……」
 「むむむむぅ……」
 (恵美の)仲の良いお友達ふたり──梨佳ちゃんと琴乃ちゃんが、難しい顔してわたしの方を見つめています。
 「あの……どうかしたの、ふたりとも?」
 まさか、わたしが本物の恵美じゃないとバレたのでしょうか? そんなに怪しい行動をしたつもりはないのですけれど。
 「恵美、アンタ最近なんかあったわね?」
 ドキッ!
 「なんてゆーかこう、仕草とか髪型とか妙に可愛くなったし」
 ドキドキッ!
 周囲にはちょっとした心境の変化と言って誤魔化してあったのですけど、やっぱり見てる人は見てるものなんですね〜。
 「そ、そんなコト……ありません、よ?」
 「なぜに、疑問形? それに目が泳いでる」
 はうぅ!
 マズいです。さすがにこんな荒唐無稽な事態の真相に気づくとは思えませんけど、これがキッカケで彼女達との仲が気まずくなったら、元に戻った時、娘に申し訳が立ちません。
 (元に戻れなかったら……まぁ、その時は自業自得だと思ってあきらめます)
 「ズバリ聞くわ」
 ズイッと梨佳ちゃんが机に両手をついて迫ってきました。
 「──男ね?」
 うっ! 当たらずといえど遠からじと言うか、彼女達が感じている違和感の根本的な原因は無論全然違うのですが、わたしの今の言動が気になる異性を意識しているせいだということは、あながち間違っていません。
 「やっぱしねぇ。もしかして、木下くん?」
 琴乃ちゃんの追求に思わず硬直してしまいましたが、それが何より雄弁な答えになっていることでしょう。
 「な、なぜに……」
 「いや、そりゃわかるわよ。アンタ、男友達も多いけど、木下みたく気安い付き合いしてるヤツは他にいないじゃん」
 「ま、以前は「アイツはただの腐れ縁! 弟みたいなモンよ!」とか言って否定してたけど、それにしては最近一緒に仲良く通学してるみたいだしィ」
 「オマケに、その乙女っぷりを見れば、ねぇ」
 あ……はは、わたしの態度って、そんなに露骨だったんでしょうか? 20歳も年下の小娘にたやすく見透かされるとは、正直ちょっと凹みます。
 ともあれ、それでもふたりの追及をのらりくらりかわしながら、わたしは何とか昼食を終えました。
165『母の肢体/娘の身体』:2010/04/22(木) 14:41:35 ID:34Ag9WIT
 さて、授業に比べるとテニス部の部活はやはり気が楽です。
 夫が生きていた頃は週1回テニススクールに通ってましたし、最近でも娘の都合がつく時は、休日に中央公園のコートでラリーとかもしてましたしね。
 まだ若いつもりのわたしですけど、30歳の坂を越えた今となっては、さすがに現役女子高生相手に真っ向勝負してはスタミナ面では不利です。
 もっとも、わたしは元来力任せに駆け回ると言うより、緻密なコントロールで相手の返球をコントロールするタイプのプレーヤーでしたから、勘と体力にものを言わせる娘の相手もそこそこ務まっていました。
 そして、その老獪な(って言うとなんだか意地悪婆さんみたいでイヤですけど)頭脳プレイのスキルに加えて、娘の呆れるほどパワフルな身体を得た今のわたしはまさに無敵!
 ……すみません。ちょっと調子にノリました。でも……。
 「3−1、ゲーム・ウォン・バイ、上原!」
 「う、嘘でしょう? 立花先輩があんなに一方的に……」
 ──まぁ、本気を出せばコレくらいのコトはできるワケです。
 「まるで、ボールが上原さんの前に吸い寄せられてるみたい」
 「アレが、"上原ゾーン"!?」
 いや、それは言い過ぎ。て言うか、わたしはどこぞの老け顔のテニス部部長ですか? (まぁ、実年齢は確かにテニス部員のみなさんのダブルスコアなわけですけど)
 「それにしても、冗談抜きで上原さん強くなったわね。ちょっと前までは力任せのラフなプレイが目立ったのに」
 「あはは、キャプテンにまでそう言っていただけるとは光栄です」
 部活のあとは部室で着替えつつ、歓談タイム。これもまた中高生のクラブの楽しみですよね!
 「急激に実力をつけた後輩」というのは、ともすれば先輩からのイジメの対象になりかねませんからね。こういう場所でのコミュニケーションを大事にしておかないと。
 「でも、以前と違ってとても礼儀正しくなったし、細かい気配りもできるようになったわ。これなら次期部長を任せても大丈夫かしら?」
 「そんな! わたしなんてまだまだです」
 いえ、ホントにたいしたことはしてないんですよ? 社会人としては当たり前の……って、そうですね。あの子はイマイチそういう面が疎いというかガサツな子でしたから。ギャップで「すごく良くなった」ように見えるのでしょう。
 「それはさておき……上原さ〜ん、最近随分女らしくなったわねぇ。もしかして、気になる男の子でもできた?」
 ──何故、部活仲間の同級生や先輩にまで見破られてるんでしょう、わたしは。
 「あ、それ、あたしも思ってた、ウン」
 「最初、この子が、今の髪型にしてきた時は、「何今更ブッてんの?」とか思ったけど」
 「正直、ここまで雰囲気に合うとはね〜」
 ココ、喜んでいい所なんでしょうか?
166『母の肢体/娘の身体』 :2010/04/22(木) 14:42:46 ID:34Ag9WIT
 ともあれ、そういう細かい部分での本来の恵美との差異(ちがい)は、周囲も感じているようですが、それも全て「恋する乙女パワー」の為せる技と考えている様子。
 わたしが本物の恵美ではないなんてことは、これっぽっちも思ってないみたい……いえ、覚られても困るんですけど。
 わたしとしては、下手に気を回すことなく、二度目の女子高生ライフを謳歌できるのは有難い話ではあります。
 この5日間で、「恵美」の高校における対人関係も大方把握できましたし、とくに大きなボロは出してない自信もあります。
 (これなら、しばらく「恵美」として高校に通うのも悪くないかしら?)
 そんな風に呑気に構えていたわたしですが、部活を終えた帰り、下駄箱の中に一通の手紙が入っていることに気がつき、いきなり緊張することになりました。
 用件は屋上の呼び出し。差出人は、木下政紀……って、マサくん!?

 それからの一連の流れは、夢現のようでハッキリとは覚えていません。
 ただ、屋上でマサくんに「つきあって欲しい」と告白されたこと、そして、混乱する頭で「しばらく答えを待って欲しい」と返事したことだけは、かろうじて記憶にあります。
 マサくんから逃げるようにして、ひとりで帰宅する途中、わたしは漠然と考えを巡らせていました。
 マサくんいわく、「ずっと乱暴な姉貴みたく思っていた恵美が、急に女らしくなったことで、自分の気持ちもまた変化していることに気がついた」とのこと。
 コレって、今「恵美」を演じているわたしのことを好きになってくれたと思っていいんですよね?
 でも……今のわたしの、わたし達の立場は仮初のものです。それなのに、何食わぬ顔でマサくんとおつきあいするなんて、娘とマサくん、ふたりに対する裏切りでしょう。
 いまだ手がかりはつかめませんけど、なんとか元に戻る方法を見つけて、「上原恵美」としての人生を娘に返してあげないといけません。

 ──本当にそう思ってるの?

 わたしの心の中の悪魔が、耳元でそう囁きます。

 ──「恵美」として、これからもずっとマサくんのそばにいたいんでしょう?
 ──それに、こんな奇跡みたい出来事を、そう簡単に起こせると思う?

 的確にわたしの心の闇を突いてくる「悪魔」に、わたしは反論するすべを持ちません。力なく首を横に振るばかりです。
 そう、確かにわたし自身に限れば、こんな毎日が続けばいいと願わなかったと言えば嘘になります。
 けれど、娘の……「雪乃」になってしまった恵美の立場から見たらどうでしょう?
 20歳も年上の実の母親の体と立場を、唐突に押しつけられたあの子のことを思えば、母としてその誘惑に断じて首を縦に振るわけにはいきません!!
167『母の肢体/娘の身体』:2010/04/22(木) 14:43:57 ID:34Ag9WIT
 しかしながら、その日、いつもに比べて大幅に遅く(その旨、ケータイにメールは入ってましたけど)帰宅した「雪乃」は、ホロ酔い気分でご機嫌でした。
 飲酒については本来咎めるべきかもしれませんけど、「雪乃」の社会的な立場からして、りっぱに成人した女性なのですから、他人にお酒を薦められることもあるでしょう。その点はあきらめています。
 そして、彼女の口から出た言葉は衝撃的でした。
 「え? 社長に、例の件についてお話を聞けたんですか?」
 「とーぜん! そのためにワザワザ晩御飯に誘ったんだからネ!」
 こういう面では、この子は割と如才ないと言うか積極的なんですよね。あとは、もう少し周りを……って、いえ、今は話を聞きましょう。
 「それで、あの彫像は手に入りそうなんですか?」
 「んーー、結論から言うと「たぶん不可能ではない」みたい。ただねー」
 木下さん曰く、あの彫像はとある顔見知りの現地トレーダーから手に入れたのですが、そのトレーダーも旅暮らしの人なので、おそらく次に会えるのも一年後の今頃の季節になるだろうとのこと。
 「一応、「気に入ってたのに落として壊してしまったから、できればもう一度手に入れて欲しい」とは言っておいたけどね。
 少なくとも、最低でもこれから一年間は、この状態のままであたし達は暮さないといけないワケよ」
 あまり希望的とは言えない事実を告げながらも、娘の顔はなぜか楽しそうでした。
 「でもさ、あたし思ったんだけど……そもそもあたし達、元に戻る必要あるのかな?」
 「……え?」
 聞き間違いでしょうか。何やら娘が不穏な言葉を告げた気がします。
 「な、何を言ってるの、恵美ちゃん?」
 「だってそうでしょう?
 あたしは、早く大人になって、できれば康男さんの会社で働きたい。
 ママは、もう一度気楽な女子高生ライフを楽しみたい。
 それがふたりの願い事だったはずよね。それが見事に叶っているいるのに、今更元に戻る必要があるのかしら?」
 !!
 「で、でも…恵美ちゃんは……それでいいの? 首から下を、そんな……言いたくないけどオバさんの体に挿げ替えられて」
 「あは、卑下することないわよ。この体、すんごいグラマーだし、とても30歳を越えてるとは思えないくらい若々しいしね」
 そう言いながら、彼女はその肉体を誇示するかのように、胸の下で腕を組み、乳房を揺らして見せます。
 「まぁ、それが全く赤の他人の体だったら嫌悪感もあったかもしれないけど、これは大好きなあたしのママの…母親の体だもん。
 遺伝子的に言っても、半分は元のあたしと共通してるはずだし、全然気にならないわ。むしろラッキーって感じ」
168『母の肢体/娘の身体』:2010/04/22(木) 14:45:29 ID:xev3fE9D
 ニヤリと笑うと、彼女は突然わたしを背後から抱きしめます。
 「ちょ、ちょっと、何を……あン!」
 わたしの身体のそこここを確かめるように、彼女の手が這いまわります。
 「ん〜、いい感じ。あたしの体って、他人から見るとこんな感じだったんだ。ちっちゃくて、かわい♪」
 「そ、そこはヤメて……ああッ!」
 元は自分のものであったからか的確にこの体の弱点を攻められ、あられもなくわたしは喘ぐばかりです。
 「うーん、でも、ま、今すぐ決断しろってのは性急すぎるかしら。
 そうね。これから一年間を「お試し期間」として、このままお互いの立場になりきって過ごしましょ。そして、一年後……」
 わたしの耳元に息を吹きかける彼女の顔が、その時のわたしには、まさに人を堕落に誘う悪魔のように思えました。
 「もし、今の立場に満足していたら、そのままあたしが「上原雪乃」に、貴女が「上原恵美」になるの。そう、これからの一生ずっと、ね。
 どう? 公平な申し出でしょ、「恵美ちゃん」?」
 「……はい、「ママ」」
 わたしは、素直に首を縦に振ることしかできませんでした。
 そう、わたしも本当は心の底でソレを望んでいたのですから……。

────────────────────
以上。雪乃さん、「恵美」の生活に馴染み過ぎw まぁ、念願の女子高生ライフですから。一方、恵美が今回最後にハッチャケたのは、飲みに行った先で木下氏に「女」として意識されてることを感じて舞い上がってるせいもあります。
次回は政紀くんの目から見たふたり(と言うか、主に「恵美」)の姿が入りまする。
エロを期待している方、そちらは多分最終回(エピローグ)まで持ち越しです。面倒な場合、間の話はスッ飛ばしてください(無論、ちゃんと読んでくださる方がうれしいですけど)
169名無しさん@ピンキー:2010/04/22(木) 15:47:04 ID:D7LkjCa0
キター!
待っていたぜ!

だが、まだまだ読み足りないぜ?

というわけで期待してます!
170『母の肢体/娘の身体』:2010/04/23(金) 11:19:45 ID:4sU1Qv4E
<とある男子高校生の日記>

9月○日

 親父がまた妙なモノをお土産に買ってきた。
 いわく、「ある南方の部族で崇められている、願い事の叶う神像」なんだと。
 ウチの家には、このテのけったいな代物がたくさん転がっている。無論、大半……というかほぼ100パーセント眉唾物だ。
 しかも、タチが悪いことに、親父もソレ(偽物)であることをわかってて、面白がって買って来てるフシがあるから、余計に始末が悪い。
 まぁ、それとてあくまで道楽の範囲だし、家計に悪影響がない限り、一介の扶養家族としては文句を言えた義理じゃねぇんだが。
 「しっかし、願い事が叶う、ねぇ……」
 500ミリペットボトルよりひと回り程大きい木彫りの像からは、確かに神像と言われて納得できる「威厳」みたいなものが、そこはかとなく感じられたけど……まさかなぁ。
 「えーと……美人で優しくて俺にベタ惚れの彼女ができますよーに」
 パンパンと柏手なんぞ打ってみる。
 俺の友人連中の中には、幼馴染の恵美のコトを俺の彼女、少なくともその手前だと思ってるヤツもいるが、俺に言わせたらソイツはヒデェ誤解だ。
 まぁ、顔がそれなりにいいことは認めよう。なんたって雪乃さんの娘だからな。スタイルも決して悪くはない。客観的に見て、性格もビッチとか性悪だとか形容される程ヒドくはないだろう。
 だが、俺にとってアイツは「横暴で口うるさい姉貴分」そのものだ。
 自分のことを棚に上げて俺をこき下ろしたり、反対に腐れ縁を頼りに厄介事を持ち込んできたりするアイツのことを、俺は生物学的に「雌/female」であるとは認めても、「女の子」、ましてや恋愛対象だなんて断じて認める気はない。
 俺にとって、理想の「恋人」のタイプと言うのはヤツとは正反対、そう、たとえば雪乃さんみたいな女性のことを言うのだ。
 清楚で淑やか、控えめながら、いつも笑顔を絶やさず、けなげで家庭的。さらに、俺と同い年の娘がいるとは思えないほど、若々しくてスタイルも抜群。
 ああいう女性を嫁さんにもらえた男は幸せだろう、くそっ、モゲロ……いえ、嘘です。おじさんには、小さい頃、留守がちな親父に代わってキャッチボールとか色々遊んでもらった恩があるし。
 しかし、いくら不可抗力とは言え、事故で死んで雪乃さんを悲しませた罪はやっぱり重いと思うがな。
 お葬式の時、陰で泣いてる雪乃さんに「おばさん、泣かないで。だいじょうぶ、ぼくが、おじさんのかわりにだんなさんになってあげるから」とか言ったのも、幼き日の黒歴史(いいおもいで)だ。
 ま、まぁ、そんなマセガキのことはさておき。
 贅沢を言っている自覚はあるが、俺としては「恋人」の理想モデルは雪乃さんをベースに想像せざるを得ない。むしろ、そんな「理想」を追い求めるがゆえに、俺に恋人ができないのかも!?
 ──はい、ゴメンなさい。調子に乗りました。
 ま、とりあえず、ダメ元で願い事はしてみたものの、やっぱり御利益らしきものはなかったワケだ。
 外見も渋くてそれなりに立派だから、インテリアとしての価値はあるんだろうが、生憎ウチの家もいい加減こんなモノ飾るスペースも無くなって来たしなぁ。
 ふむ。そういや、恵美ん家のお土産にって、現地のチョコレートを預かってるんだが……代わりにコッチを渡しておくか。チョコは食っちまえばかさばらねーしな。
171『母の肢体/娘の身体』:2010/04/23(金) 11:21:06 ID:4sU1Qv4E
9月■日

 うーーむ、夕方来た恵美と雪乃さん、なんか様子がヘンだったなぁ。
 何か悪いモンでも食べたのか? いや、雪乃さんが食卓を預かってる限り、あの家でソレはないか。
 微妙に気になるが、そろそろ遅いし、明日は月曜だ。今夜はサッサと寝て、明日学校行ったらそれとなく確かめてみっか。


9月△日

 今、俺は、珍しいことに恵美の奴とふたりで学食に隣接したカフェテラスで昼飯を食ってるワケだが……。
 「あの……どうかしましたか、政紀くん?」
 目の前に、コテンと首を左に15度傾けながら遠慮がちに聞いてくるツインテールの美少女がいた! 何、この可愛いイキモノ!? ってか、誰??
 「や、何でもない。気にすんな、恵美」
 無論、この目の前の女性は他ならぬ恵美だったりする。正直、180度昨日までと印象が異なるが。
 「はぁ、政紀くんが、そう言うのでしたら……」
 言葉を濁して食事を再開する「恵美」。その手つきは、300円のAランチを前にしながら、まるでフランス料理のコースでも食べているかのように優雅だ。
 こうやって大人しくしてるのを見ると、コイツがいかにレベルの高い美少女か今更ながらにわかるなぁ。いつもは、そのガサツさと騒々しさでそれが3割程度に抑えられてるけど。
 「はぁ〜」
 「??」
 「あー、気にしないで食事を続けてくれ。単なる思春期の少年のごくありふれた悩みだから」
 「ふふっ、ヘンなマサくん」
 クスクスと口元を抑えつつ上品に笑う恵美。
 「「マサくん」、か。お前にそう呼ばれるのも久しぶりだな」
 小さい頃の俺は、雪乃さんにはそう呼ばれてて、恵美もそれを真似して「マサくん」って呼んでたんだよな。
 でも、小学4年生くらいの時に、「照れくさいし、子供っぽいから止めてくれ」と言って、上原母娘には、そう呼ぶのは止めてもらったんだっけ。
 「あ……ごめんなさい。嫌だった?」
 「いや、別に。むしろちょっと懐かしかったかな」
 申し訳なさそうにこちらを見る恵美に、そう答えたのは、あながち嘘じゃない。まぁ、上目使いな恵美の表情に不覚にも萌えたってのも理由だけど。
 そうなんだよ! 今日の恵美は言動とか表情の端々がすごく女らしいんだよ!
 いや、今までだって男勝りって言うほどじゃなかったんだけど、割合ラフで適当で、しかも俺には一段と遠慮がなかった。
 それが、今日は真逆で、全体にお淑やかなのはもちろん、特に俺に対しては気を使ってくれてる感じがする。かと言って、俺をからかうために演技してるってワケでもなさそうだ。
 一体全体どういう風の吹きまわしだ? 悪いモンでも食べたのか? 親父の海外土産は、スタッフ(主に俺)が美味しく戴いたはずだし……。
 ──ん? 待てよ……。
 こないだ俺、例の神像をコイツに渡す前に、「美人で優しくて俺に惚れてる彼女が欲しい」とか、冗談半分に願ったよな。まさか、その願いが受理されてた、とか?
 願い事成就のシステムが神様的にどうなってるかは知らんが、叶える方だって使う神通力とかそういうのは少ない方が楽に決まってる。
 さて、俺が願った条件にピッタリの女の子をどこかから見つけて来て、俺に近づけて惚れさせるのと、すでに俺の近くにいる娘の性格をチョチョイっていじるのとでは、どちらが簡単か?
 無論、後者に決まってる。
 と言うことは、まさか俺の願い事のせいで、恵美の奴、性格をねじ曲げられちまったんだろうか!? さすがにそれは寝ざめが悪すぎる!
172『母の肢体/娘の身体』:2010/04/23(金) 11:22:16 ID:4sU1Qv4E
 「大丈夫ですか、マサくん? 冷や汗で顔がビッショリですよ?」
 心配げに俺の身を案じながら、ハンカチで汗を拭ってくれる恵美。
 ……訂正。「ねじ曲げられた」というより「すごく良くなった」と解しておこう、ウン。
 しかし、もしそうだとすると、この恵美が俺の恋人にできるってことだけど……。
 顔立ちは、初恋の人・雪乃さん譲りで正直好みのタイプではある。
 体型とかも、巨乳とかグラマーとまでは言えないが、高一にしては上出来だろう。
 俺とは長い付き合いで、阿吽の呼吸と言うか、いろいろ互いにわかっている部分は多い。親愛の情と言う点で言えば、俺にとって親父に次いで親しく、また大事なのが恵美と雪乃さんなのも間違いはない。
 そして、最大の障害だった性格が、見ての通り改善されたワケだ。
 ──あれ? もしかして、これって俺と恵美が恋人になるためのフラグ立ってる?
 「あ、あの……どうしたんですか? そんなに熱心にわたしの顔を見つめて」
 ちょっと照れたような笑顔を浮かべる恵美。俺は、そんな彼女を久しぶりに「女の子」として意識しているのを感じて、胸が高鳴っていた。


9月□日

 あれ以来、コッソリ恵美の様子に注目してたんだが、明らかにおかしい!
 いや、客観的に見れば全然おかしくはない。むしろ、「落ち着いて女らしくなった」と見られること請け合いだ。
 アイツはその明るく気さくな性格で友達も多かったが、逆にその馴れ馴れしさやノリの良さ(というかバカさ)から、敬遠しているヤツも多かった。
 ところが、あの日以来、恵美が、その気さくさは元のままに、女らしいしっとりした落ち着きと、控えめなしおらしさと思いやりを身に付けたものだから、男女問わず人気が急上昇中だ。
 けど、その真相(らしきもの)に気づいている俺としては複雑だった。
 そりゃ、幼馴染がイイ女になったのは嬉しいさ。俺のことを色々気にかけて、ウザくない程度にさりげなく世話を焼いてくれるのも、有難いとは思っている。
 ただ、それが、俺が軽率に神頼みしちまった結果だと思う、なぁ。
 しかし、そうは言っても、俺自身、日が経つにつれ、恵美への「想い」が大きくなっているのを感じる。
 いや、だって仕方ないだろ!? 自分の好みにドンピシャの女の子が幼馴染で、朝は起こしに来てくれて、時々一緒に帰ったり、ふたりで喫茶店に入ったりって、「それなんてエロゲ?」って毎日なんだぞ!
 ──ふぅ、日記で誰に言い訳してんだ、俺は。
 実際のところ、俺が「新しい恵美」に惚れているのは事実だし、恵美の方も俺のことを強く意識しているとは思う。
 ただ、向こうのソレが外部から強制的に刷り込まれた気持ちかもしれないと思うと、その気持ちに付け込んでいいものか、迷うワケだ。
 ええい、ひとりで考えていてもラチはあかねぇ。
 明日、男らしく、恵美に交際申し込んでみっか!
173『母の肢体/娘の身体』:2010/04/23(金) 11:23:25 ID:4sU1Qv4E
9月●日

 放課後の屋上で、男らしく恵美に「好きだ、つきあってくれ!」と打ち明けた。
 けど、意外なことに、恵美のヤツは「少し考えさせて」即答はしなかった。
 「好きだ」と言った時のうれしそうな表情からして、俺のことを嫌いってワケじゃなさそうなんだが……何か障害があるのか?
 うーむ。月並みだが、親が男女交際に厳しい、とか?
 ウチの親父に関しては、放任主義だから問題ない。雪乃さんも、俺を息子同然に可愛がってくれてると思うんだが。
 待てよ、そう言えば、この間アイツん家に遊びに行った時、微妙に素っ気なかった気も。
 息子としては甘やかしてくれても、娘の婿候補(こいびと)としては失格とか?
 ……やべぇ、そう考えると、確かに俺、あの人の前では男として誇れるようなコトはあんまりしてない気がするぞ。なんか微妙に鬱になってきた。


9月X日

 告白から土日を挟んだ月曜、俺は恵美から呼び出しを受けた。
 ロクでもない考えに行きついてた俺は、まさか笑顔とともに抱きつかれるとは思わなかったな。
 当然、返事は「YES」。やったぜ!!
 調子に乗って、初めてのキスまでしちまったけど、恵美は顔を赤くしながらも怒らず、素直に俺に委ねてくれた。
 うーん、恵美の唇、やーらかくてあったかかったなぁ……デヘヘヘ。
 おっと、こんな下品な笑いを漏らしてちゃいかんな。紳士は常に優雅たれ! 
174『母の肢体/娘の身体』:2010/04/23(金) 11:24:40 ID:4sU1Qv4E
10月1日

 今日、俺はついに大人の階段を一歩上がった!
 ふぅ〜、初めてだから緊張したけど、全然たいしたコトなかったな。
 ……嘘です。世界観変わるほど気持ちよかったです。
 これは、人類にとってはささやかな一歩かもしれんが、俺個人にとっては大きな一歩だ!


10月×日

 あ、ありのまま、今起こったことを話すぜ!

 「親父と雪乃さんが一緒にいるところを見計らって、
 俺達がつきあっているという交際宣言をしようとしたら、
 先手をとって親父と雪乃さんが来月結婚するつもりだと教えられた」!

 何を言ってるのか、さっぱりワケわかんねーヨ!

-----------------------------------------------------
以上。次はいよいよラスト(エピローグ)です。期待に添えるかわかりませんが、一応、それらしい場面も用意しておりますので、しばしお待ちください。
175名無しさん@ピンキー:2010/04/23(金) 13:28:22 ID:42JPP6xJ
最高で〜す!
176名無しさん@ピンキー:2010/04/23(金) 16:54:41 ID:APJMeoFq
ウオ〜!
ドンドンドンドン!
177名無しさん@ピンキー:2010/04/24(土) 12:13:18 ID:3PlSk6Pc
パフパフ
178名無しさん@ピンキー:2010/04/25(日) 09:19:13 ID:ov6XsKB3
>>174
一月で結婚までいくとは・・・恵美・・・恐ろしい子!
179名無しさん@ピンキー:2010/04/25(日) 21:11:59 ID:jJ4GFc6+
『あこがれのひと』


「あのう、『エスカリエ』の北原ミオリさんですよね?」
 夕暮れの駅前通りで話しかけてきたのはおかっぱのようなショートヘアーのかなり太めの高校生
くらいの女の子だった。
「ええ、そうよ」
 その言葉に少女は顔をほころばせて私を見上げる目を歓喜に光らせていた。
「うわーっ、やっぱりそうでしたかぁ。ワタシ、感激です」
 ちなみに、『エスカリエ』というのはティーンズ向けのファッション雑誌のことで、私はそこの
専属モデルをしている。高校在学中の時から約三年の間にそれなりの人気を集めてきたつもりで、
他誌でもグラビアを飾ったことは何度かある。そこそこ仕事運にも恵まれてきたおかげで、テレビ
での仕事も舞い込んできて、そろそろ一流の仲間入りもできたんじゃないかというふうに、自分で
は多少、うぬぼれている。
「ふふ、いつも見てくれてるの? アリガトね」
 こんなふうにちやほやされて、舞いあがるのは嫌いじゃない。
「ええ、ミオリさんって私と違ってスタイルもいいだけじゃなくて、顔だって素敵だし、話だって
上手だし、頭もいいし、憧れちゃいますよぉ」
 頭もいい、かどうかは分からないが、それでもちょっとだけトーク術にはうるさいのだ。
「ううん、そんなことない。あなただって、可愛らしいわよ。わりと同性からも好かれるほうなん
じゃないの?」
 すると、彼女は手をぶんぶんと振りたくって照れてみせた。
「いえいえいえ、そんな恐れ多いです。天下のミオリさんに可愛いだなんて言われたら、勿体なく
て夜も眠れなくなっちゃいますよぉ」
 まあ、たしかにお世辞は半分は入っているが、それでも彼女は顔の造作自体はそんなに悪くない
ほうだと思う。鼻筋も通った方だし、口元も締まりがいい。まあ、肉付きが良すぎて目元が細くな
っているし、身体の方は、これはかなりダイエットが必要になってくるとは思うんだけどね。
「あ、あーっ。そうだ、せっかくミオリさんに会えたんだから、アレよ、アレ。アレを出さなくっ
ちゃ」
 あせらなくてもいいのに、手提げかばんの中をがさごそと漁って、何かを探している様子だ。サ
イン帳なのか、それとも何かプレゼントでもあるっていうのかな。
 なかなかお目当てのものが出てこない彼女に近づいて、ひょい、と顔を近づけた瞬間。
「はい、出てきました」
 制汗の携行スプレーほどの細長い缶を取り出しざま、私の顔に吹き付けた。
 くらん、と世界が揺れて私はそのまま意識を失っていた。
180名無しさん@ピンキー:2010/04/25(日) 21:12:48 ID:jJ4GFc6+
目が覚めると、周囲はすっかり真っ暗になっていて、私は冷たい床の上に転がされていた。
 闇に目が慣れると、そこは無機質な部屋の一隅で、それも鉄格子のなかにおかれていることがわ
かったのだった。
 最初から、彼女の狙いはこれだったのだ。私は思わず舌打ちした。
「あっ、大丈夫でしたか。もう目が覚めたんですね」
 声が格子の向こうの暗がりから響いていた。私は思わず身体のあちこちを触って怪我や悪戯をさ
れていないかを確かめていた。
 さきほどの彼女が椅子に跨った姿勢で、こちらを見つめてにやにやとしていたのだった。
「ああ、いえ、大丈夫ですよ。お怪我なんてさせるつもりはございませんもの、心配しないでくだ
さいよ」
 なんて、しれっと言ってくれるが、それならどうして私は檻の中なんかに閉じ込められているの
だ。心配しないで、が聞いて呆れる。
「……それで、何が目的なの」
 バッグは取り上げられているようだった。もちろん、携帯電話も。
 だけど、物盗りだとしたら、もうとっくに用件は済んでいるはずだろうに。不安を顔に出せば、
つけこまれる隙を作るだけだ。
「ええっと、ですね。少しだけ、私のお願いを聞いてください。そうしたらすぐにでもここからお
出ししてさしあげますから」
 お願いって、それは強要というものだろう。
「それは……そのお願いとやらの内容にもよるんじゃないの?」
 すると、彼女は交渉の場に私が乗ったとみて満足げな笑みを浮かべながら、
「いえいえ、たいしたことじゃないんですよぉ、ホント。ただ、ですね、ワタシの作ったレオター
ドをですね、着てもらえたのなら、それだけで十分なんです。お荷物も全てお返しして、すぐにで
もここを出してさしあげますから、ね」
 彼女の足元に置いてあったレオタードが入ったビニール袋を檻の格子の間から投げてよこしてき
た。
 これはあからさまに不審な言葉だ。
 着替えている最中の様子を盗撮などしたうえで、出版社などに売りつけるか、それをネタに私を
脅して金をせびるか、まず、狙いとしてはそんなところだろう。もしかしたら、彼女自身が性的に
それを望んでいるのかもしれないが、さて、どうしたものだろう。
181名無しさん@ピンキー:2010/04/25(日) 21:13:35 ID:jJ4GFc6+
「悪いけど、そんな一方的な要求には応じられないわ」 
 彼女の目をにらみつけながら、つっぱねた。
「ああ、そう仰るとは思っていましたけれどもね」
 彼女は細い目をさらに糸のようにしてにやり、と笑った。
「だけど、それなら、あなたにはずっとここで暮らしていただくことになるだけなんですよぅ」
 ぞっとするような声色だった。
「別に、私としてはそれもまたいいことだなぁ、なんて思ったりしますけどね?」
 椅子の背もたれに顎を乗せた格好で、彼女は笑顔をいささかも崩さない。
「言っておきますけど、ここってワタシの家の持ちビルでしてね。どんなに大きな声を出しても暴
れても、誰にも聞こえないように、なっているんですよね、これが」
 たしかに、床も壁も分厚くて、まるで周囲の物音が耳に入ってこないのだから、逆に、私がどん
なに声を張り上げても無駄なのだろう。それは単なるハッタリなどではない。

「別に、そんなに身がまえなくても心配ありませんよ。盗撮なんて下衆なことしませんから」
「……誘拐や監禁っていうのは下衆じゃないとでもいうの」
「あっはっは、それもそうでしたね」
 まるで悪びれる様子もなく、彼女は椅子を揺らして、脚をかたかたと鳴らしている。
「はっきりいいましてね、これは私の憧れの気持ちのあらわれなんですよ。好きな人に自分のデザ
インしたものを着てもらいたいって、それだけ願いがかなったのなら撮影記録を残すだなんて馬鹿
な真似もせずに、きちんとあなたを解放してさしあげますから、ね」
 そして、彼女は自らの着衣をするりするりとはだけていって、あっという間に下着姿になってい
た。
「ね、これなら盗撮なんてしていても無駄でしょ」
 そうは言っても、まだ部屋の隅から撮っていたり、もしくは編集で彼女の部分だけ消すとか、そ
んなことだってし放題じゃないか、とは思われた。
「じゃあ、そうね。わかった。着替えるところだけ、隠せるようにバスタオルか何かを貸してちょ
うだい。そうしたら……いいわ」
 ついに、私も折れた。
 いや、きっと折れなければならなかったのだろう。はやく、この悪夢のような夜から解放された
かったのだ。
 
 
182名無しさん@ピンキー:2010/04/25(日) 21:14:35 ID:jJ4GFc6+
 彼女はその条件を快諾し、私は頭から毛布を被ったままに彼女の作った青いレオタードとやらを
着ることになった。下着はつけずに、そのまま着るタイプのそれは、たしかに私の身体の凹凸にあ
わせてぴったりの作りになっていた。胸の中心の突起までがはっきりとうつるほどに、それはぴっ
たりの作りだった。たしかに、彼女は私のファンなのだろう。それもおそろしく偏執的な。
「もう、いいですかあ?」
 彼女の声が興奮にうわずっていた。
 返事にかえて、私は毛布をばさり、と床におとしていた。
 どうだ、見てみろ。とばかりに胸を張った姿勢で、私は彼女に自慢の肢体を見せつけていた。
 わずかな月明かりの中で、彼女はひとつ、ほう、という感嘆の声を上げると、小さく拍手をして
いた。
「すばらしいです。さすがはミオリさん、もう、最高ですよ」
 目をみはったままで彼女はうっとりとした声をあげていた。
「……さあ、もういいでしょ、これで私を解放してちょうだいよ」
 すると、彼女は首を縦にして、
「ええ、もちろんですとも。でも、その前にこれをみてくれませんか」
 彼女はおもむろに着けていた下着を脱ぎ捨てるともうひとつ、足元に置いていたビニール袋から
赤いレオタードを取り出していた。 
「何よ、なにをするつもりよ」
「もちろん、着るんですよ。ワタシが」
 ぎゅきゅっ、と窮屈そうな音をたてながら、その肥満した身体をレオタードに包んでいた。
「さあ、いかがですかぁ」
 そして、彼女も恥ずかしくもない様子で、私にその姿を見せていた。
「……ちょっと、コメントは控えたいところよね」
「うふふふ、いいんですよ、はっきりと、だらしない身体だって言ってくれても」
 にやにや、と彼女は気持ちの悪い笑みをはりつけたままで私に話しかけていた。
「小さい時から異性には……虐められましたよ。そりゃ、こんな身体ですもん、仕方ないですよね。
お腹のほうが胸より突き出たビヤ樽女だって」
 声に、冷やかな自嘲が籠っていた。
「女友達だってそうでした、表面上は仲良しを装っていても、結局は私はコンパの数合わせにも使
ってもらえない、結局安く見られているんです」
 声をかけることもできないままに、私は彼女の様子を見ていた。
「不公平ですよね、ホント、あなたみたいに美しい人がいる半面で、ワタシみたいなミソッカスが
いるんですもの、ええ、ホントに不公平」
 彼女の瞳には、それでも笑みがたたえられていた。
「でも、それも今日までのことですよぉ、うふふふふ」
 彼女から、ぞっとするような妖気が放たれていた。
183名無しさん@ピンキー:2010/04/25(日) 21:15:48 ID:jJ4GFc6+
「それより、ミオリさん、いかがですかあ、そのレオタードの着心地は、痒かったりなんてしたり
してませんか?」
 そうなのだ、このわき腹あたりに、どうも鈍い痒みのようなものが奔っているのだ。生地にかぶ
れたのだろうか?
 私は、ぼりぼりと指先でそのあたりを掻いていた。
「ええ。どうやらうまくいったみたいですねえ、その痒みっていうのはですねえ、ミオリさん。あ
なたのわき腹に贅肉が付く前兆なんですよぉ」
 びくん、とその言葉に手を止めた私の身体には、次の瞬間に大きな衝撃が奔っていた。
「きゃっ、うわっ、なになに、いたたたた」
 私の身体は、瞬間にぶわり、と全体の盛り上がりが始まっていた。
「そうら、はじまりましたよ」
 同じく、彼女の身体にも変貌が奔っていた。
「はははっ、それではスタイル入れ替わりのはじまりでーす」
 彼女は高らかに宣言した。
「ああっ、脚がっ、私の脚が短くなってくっ」
 みるみるうちに床が近くなっていく。脚が短く太くなっていくのだ。それと同時に腕も同じ比率
で縮んでしまっていく。痛さで頭が割れ鐘のようだ。
「ほうら、私にも憧れのウエストのくびれができてきましたよぉ」
 彼女の腰のまわりがぐんぐんと締まっていくのだ。無駄な肉が落ちていく。
「いや、なによこのお腹っ! まるでおばさんじゃないのっ」
 むちむちとはりついてくる脂肪は身体全体に張り付いてくまなく広がっていく。
「ひゃははっ、ミオリさんがどんどんチビデブになっていきますね」
 対する彼女は脚が長くしなやかに細く引き締まり、私との身長差があっという間に逆転していく。
「私は胸もお尻も、つんつんのつーんってなもんですよ」
 私の自慢だったバストはわき腹の脂肪の中に陥没し、乳房も平坦にならされてしまう。対して彼
女の胸は豊かに盛り上がり、引き締まったアンダーバストとの対比がとても女性的で美しい。
 ヒップもそうだ。でん、と沈み込むような感覚で太ももの肉のなかに沈み込み、ただでさえ短く
なった脚にめりこんでいく。対する彼女のお尻は引き締まり、かつ持ち上がり、魅力的な曲線へと
整えられていく。
「いやぁ、戻して戻してェ」
「いーえ、すぐに終わりますから我慢してくださいよぉ」
 ねっとりとした笑いを帯びた声で、彼女は言い放った。むろん、その間にも変化は止むことはな
い。
184名無しさん@ピンキー:2010/04/25(日) 21:16:32 ID:jJ4GFc6+
変化がおさまるまでには、ほんの数分のことだった。
 しかし、痛みがひいてやっと私が顔を持ち上げることができるようになったときには、鉄格子の
向こうには先ほどまでの彼女はもういなかった。
「どうです、これで完成ですよぉ」
 ずいぶんと、高い位置から声が響いてきた。さきほどまでのシルエットとはまるで違うスリムな
線を描くレオタードの肢体のその上に乗っていたのはさきほどまでの彼女の顔だった。いや、正確
には目元も涼やかになって、頬が引き締まって、顎の肉が落ちた美人と言って差し支えない顔だっ
た。
 私は、ずっしりと重量を感じる身体のままで硬直していた。
 彼女は奥に裏返っていた姿映しの鏡を取り出していた。
「わーおぅ、これがあこがれのミオリさんのスタイルですかぁ。嘘ぉ、夢みたいです」
 しなやかに伸びた太ももから腰にかけてのラインに指を這わせると、もう一方の手で盛り上がっ
た胸元の弾力を確かめて、顔をほころばせていた。
「うーん、顔もすっかり変わりましたねえ、目も大きくなってぱっちりしたし、二重あごともこれ
でオサラバですよ、まるで整形手術したみたいですねえ」
 そして、硬直したままの私に向かって、彼女はいくつかの、かつて私が水着撮影などでとったポ
ーズを見せつけた上で、
「それにしても、ふふふ、ミオリ、あんたずいぶんとみっともない格好になったものね」
 姿映しをこちらに向けてあざけりの言葉を放っていた。
 そこに映し出された自分の姿を見せつけられて、私はひいっ、と情けない声を上げることしかで
きなかった。
 だぶついたお腹と寸の詰まった胴体、そこから伸びる手足は短くて太く、だらしない印象としか
言いようがなかった。
「……ああ、嫌っ、嫌よぉ」
 瞼はぼってりと腫れぼったくなり、目も細く小さくなり、弛んだ肉によって顔が二まわりは大き
くなってしまったようだった。
「ふふ、外国製の矯正下着でどうにか身体を引き締めてたんだけど、本当のところはずいぶんとや
ばかったのよ。そのカラダ、身長は百四十六センチで体重は七十五キロ、バストは九十二センチの
Bカップで、ウエストは八十八センチ、ヒップはちょうど百センチなの。今のあんたのスタイルな
んだから、これから下着とか買う時の参考にしなさい」
185名無しさん@ピンキー:2010/04/25(日) 21:17:34 ID:jJ4GFc6+
「なんで、どうして、こんなになっちゃうのよお!」
 私は見上げるように彼女に向かって声を張り上げていた。
「なんでって、そりゃあワタシがそうしたからに決まってるでしょ。何を今さら言ってるの、あん
たって、ホントはそんなに頭も良くなかったってわけ?」
 見下すように、と言うより本当に見下して彼女は私を虚仮にした。
「それに、ワタシは今までアンタの持ってた『美貌』にたいしてきちんと敬意を払ってたでしょ?
だったらあんただってそうしてくれなきゃいけないでしょ」
 なんという言い草だ。私は怒りのあまり声も出なかった。
「まあまあ、あんまり怖い顔しても不細工が増すだけよ」
 言いつつ、彼女はレオタードを脱ぎ捨てて一糸まとわぬヌード姿になっていた。
「ううん、それにしても体が軽いわあ」
 さきほどまで、私がしていたスタイルを誇示しながら、彼女はにやにやと私に話しかけてきた。
「どう、ミオリ。悔しいでしょ、ねえ、さっきまで見下していた女にこんなふうにされる気分は、
サイアクでしょ?」
 興奮して彼女は姿見を見たまま、その手を秘所に伸ばして自慰行為にまで及んでいた。
「うふふふ、私は美しい。私はスリムで、私はグラマーで、そして私はセクシーなのよ」
 くっちゃくっちゃと粘液の糸をひかせながらオーガズムに浸っている彼女を見ながら、私は絶
対にこの状況を乗り切って、もとの身体にもどってやろうと心に決めていた。

「……そうか、このレオタードに仕掛けがあったってことなのね」
 私は彼女の脱ぎ捨てた赤いレオタードと私の着ているレオタードを見比べて舌打ちをした。
「ええ、そうよ。だけど、それがわかったからってどうなるの」
「それなら、その赤いレオタードを私が着て、この青いやつをあなたに着せれば元に戻れるのよ
ね!」
 すると、くすくすと笑って彼女は、
「ええ、いいわよ。じゃあ試しにやってみましょうか」
 私が脱いだレオタードを手渡すと、彼女は私の着ていたそれを身に付けた。
「うーん、これじゃ、だぶだぶでサイズが合わないわ」
 余った生地を手にして、笑いをこらえながら彼女。そして、私は、
「……きつい……入らない」
 今の肥え膨らんだ私の身体には入らない小ささだった。でも、さっきはあんなにも伸び縮みし
ていたはずなのに、それが、どうして。
「うふふ、オバカさん。そんなの無理に決まってるでしょ、魔法の効果は一度だけなのよ。それ
で元に戻るなんてことは絶対にできないんだから」
 
186名無しさん@ピンキー:2010/04/25(日) 21:18:21 ID:jJ4GFc6+
「さあ、わかったらあんたの着てたものをこっちに寄越しなさいよ。どうせ、今のあんたじゃあ
太すぎて着られないのわかってるんだから」
 彼女の非道な言葉を受けながら、私はそれでも諦めてはいなかった。
 彼女の台詞のなかに、そして私の持ち物のなかに、なにかの解決を得られるものがあったはず
なのだ。
 
 そして、私は気が付いた。たったひとつだけ、この状況を逆転させる方法があることに。

「……はい、それじゃあどうぞ、その代わりに私の荷物とこの檻の鍵をください」
 私がしおらしく言葉を紡ぐと、彼女は満足そうに頷いて、脇にどけてあった私のカバンと金色
の鍵と、それからさきほどまで自分が着ていたものを下着ごとこちらに投げて渡した。
「ふん、ずいぶんと大人しいものねえ、なんだかしらじらしいケド、ま、いいわ今のあんたなら
飛びかかって襲ってきても、平気で叩きのめす自信があるんだから」
 そう言って、彼女は私が渡したショーツを、ブラジャーを、感触をたしかめながらゆっくりと
着け始めていた。もちろん、私も彼女の着ていたものを身につけていたが、こんな感触は確かめ
たくもなく、さっさと着替えてしまっていた。
「ふふん、良く似合うわよ。ミオリ。あんたも、これですっかり庶民の肉体になりきったのよ。
これからは謙虚な姿勢でひっそりと生きていくといいわ」
 恍惚の表情でわざと胸の下で腕組みをして、その膨らみを見せつける彼女。もとはそれが私自
身のものだったのに、と思うと悔しさで胸が張り裂けそうだったけれども、今冷静さを失ったら
もう終わりだから、落ち着かなければならないのだ。
 都合三か所の錠を解除して檻の中から抜けだした私を遠巻きにして、彼女は戸を開けてビルの
出口を案内した。もちろん、用心のために、私を前に歩かせながらだが。
「もっときびきび歩きなさいよ、ああ、ゴメンネ、足が短いからノロいのかあ」
 ほの暗い廊下をゆっくりと歩きながらも、彼女の責めは続いていた。
 私は、カバンの中に化粧品ポーチがあることを確認して一息をついて、そして彼女に訊ねてい
た。
「ねえ、あなたがしたこと……私のスタイルを奪うってことだけどね、あれって私が意識を無く
している間に済ませることってできなかったの?」
 すると、彼女は、
「ううん、別にできたとは思うんだけどさ、ただあんたにレオタードを着せれば済むだけの話な
んだからさ、でもそれじゃあ面白くないじゃない?」
 後ろに歩いていても、この女の邪悪な笑みは手に取るようにわかる。この女はもともとが歪ん
でいたのだ。
187名無しさん@ピンキー:2010/04/25(日) 21:19:43 ID:jJ4GFc6+
「へえ、じゃあそのくだらない楽しみがあんたの失敗のもとだったってわけね」
 私はくるりと振り返って彼女に言葉と指先をつきつけていた。
「何、負け惜しみにしてはくだらなさすぎるわねえ」
 私の態度の異変にわずかに動揺したのか、彼女の視線が一瞬泳いだ。
「あなたはさっき、これが『魔法』のわざだって言ったわね。『科学』でもなく、『医術』でも
なく、『魔法』のわざだって」
「ええ、そうよ、私が魔王さまとの契約で手に入れたすばらしい力よ、そんな科学なんかと一緒
にされるようなものじゃないわ」
「……だとしたら、私にはこれが使えるのよっ」
 化粧品ポーチの中から取り出したのは小ぶりなコンパクトだった。
「けへっ、何を言うかと思ったら、あんたは魔法少女にでもなったつもり?」
 魔法少女はお前だろう、とつっこむのももどかしい。
「よぉく、この鏡を見てごらんなさいよ」
 小さな鏡面を彼女に示して、私は祈るように両手でそれを持っていた。
「はあ?」
 覗きこむ彼女の視線が、一瞬、止まった。
「ひい、何よ、イタイイタイ痛いぃぃ!」
 彼女の体が圧縮されるように縮んでいた。そして、私の体には痛みはなかったけれども伸長し
て、元に戻っていく感触が全身に奔っていた。
「いやあ、せっかく手に入れたのにいっ、ワダシの胸ぇ! 脚いっ! ウエズドぉぉっ!」
 ばちん、と破裂音をたてて彼女の着ていた私のブラウスとブリーツスカートは吹っ飛んでいた。
まあ、それくらいは仕方がない、と思おう。
 そして、ほんの少しだけの時間の経過をみて、完全に私の体と顔は元の通りに戻っていた。
 何もかも元通りに、というわけではない。彼女の身長は、まるで小学一年生程度にまで縮めら
れていたし、体はまさにビヤ樽のように、ぱんぱんにはじけそうにまで変貌していた。
「うぞぉ、どうひてえ、どうひて、ごんなになるのぉ」
 ぜえぜえ、と荒い呼吸の中に彼女は片膝をついたままに私を見上げていた。
「私のこのコンパクトの鏡はお守りなの。古い神社に祭られていた鏡を切り分けてもらった、呪
いを遠ざける特別なものなのよ」
 と、言ってもその効果をこの目で見るのははじめてなのだが。
「当然、あなたはもう魔法を使えなくなっているはずよ」
 もちろん、確証なんてない。
「……うぞよ、ダったあ、どうひて、あだしはごんながらだになっちゃっだのよ」
「それは……昔から言うでしょ、人を呪わば穴二つって。きっと、魔法が破られたせいであなた
の体に倍返しで返ってきちゃったんでしょうよ」
 私は余った彼女のスカートのウエストを折り返してヘアピンで留めてようやくずりおちるのを
固定しながら呟いてみた。もちろん、根拠なんてあるわけがない。
「ゆるざないガラ、わだしをよぐも……こんな」
 どうやら、彼女の身体に降り注いだ痛みも倍返しだったようで、彼女は前のめりに崩れるよう
に気絶をしてしまった。
「許さないのはこっちのほうなんだけどね……まあ、それでも許してあげるか」
 もしも、私が彼女と同じ立場で、そして同じ機会を得たとしたなら、どうだったろうか。それ
は考えたくもないことではあったけれど。
 そして、私は彼女をそのままにして魔城のようなそのビルを脱出したのだった。
 
 それでも、どんよりと重い濃紺の夜の闇はどこまでもどこまでも続いていた。

 おわり
188名無しさん@ピンキー:2010/04/25(日) 21:36:30 ID:DVnZgShy
いいね!
仕返しがあると気分がいいもんだ
189名無しさん@ピンキー:2010/04/25(日) 21:52:33 ID:+IVD0b5t
いいねえ
オチもスッキリだし
サイコーだ
190名無しさん@ピンキー:2010/04/26(月) 02:01:30 ID:s13OxI0D
保管庫編集を試みたが挫折した
ワケワカラン(^q^)
191名無しさん@ピンキー:2010/04/26(月) 05:22:30 ID:xsXokr7G
乙だぜよ
逆転ものは珍しい
192『母の肢体/娘の身体』:2010/04/26(月) 11:00:10 ID:517j9y/Z
#187さん乙です! それでわ、私の方も続きを。

<エピローグ>
 あの日、ママと……いいえ、「娘」と約束を交わした日から、今日にいたるまでの日々の事を、あたしは振り返っていた。
 「あれから一カ月しか経ってないってのに、あたしも「恵美」も、今の立場にすっかり馴染んじゃったわねぇ」
 元はと言えば自分達から(多少形は違えど)望んだ事だったせいか、あたし達はそもそも最初から、互いの立場を入れ替えて、あたしが「雪乃」、彼女が「恵美」として暮らす事に、さほど抵抗感はなかったのだ。
 そして、首から下がすげ替わっているという状況のおかげか、極めてスムーズにその状況に対応することができた。
 それは身体的な動作やスキルだけに留まらない。
 あの「約束」を交わした夜から、しばらくして気付いたんだけど、たとえば、あたしが「今日の料理は何にしようかな」と考えただけで、いつの間にか、適切なメニューとレシピが何件か頭に浮かんでくるようになってたわ。それこそ熟練の主婦さながらに。
 それは「娘」も同様みたいで、他校との交流試合で、会ったことないはずの相手校の選手と、気がつけば普通に談笑していたらしい。
 そう、知識的な面についても、どうやらあたし達は、現在の立場にふさわしいものを備えつつあるみたい。
 まぁ、そうでなきゃ、あたしが会社の書類処理とかあんなスムーズ出来るわけないのよね、確かに。
 おかげで、公的な、って言い方はちょっとヘンだけど、ふたりとも仕事とか学校とかではまったく不自由することはないのはラッキーよね。
 プライベートでは……まぁ、「恵美」と政紀の方は、先ほど見た通りよ。
 ま、若い男女が恋仲になったら、いずれ行きつく所まで行くのも、まぁ仕方ないか……って、これじゃ、あたし、すっかり「お母さん」ねぇ。
 え? あたし? あたしはねぇ……。
 ──Prrrrrrrrrrr!
 あら、誰かしら。あたしはバッグの中からケータイを取り出した。
 「やぁ、雪乃くん」
 「泰男さん!? 日本に帰ってらしたんですか?」
 予定では今日の夜、バンコクから帰って来られるはずなんだけど。
 「ああ、ついさっきね。それで、よかったら今から食事でもと思ったんだが、どうだろう? 恵美ちゃんと、もしいたらウチのドラ息子も交えて」
 「あ、はい、あたしは構わないんですけど……」
 チラと2階の方に目を走らせる。
 「あの子達は、どうやら「取り込み中」みたいですよ」
 「! そうか。いや、まさかそこまで二人の仲がススんでいるとは」
 さすがは泰男さん、あたしが言外に匂わせた意味を正確に把握してくれたみたい。
 「それじゃあ、雪乃さんだけでもどうかな?」
 「ええ、喜んで……待ち合わせは、いつもの店でいいのかしら?」
 子供達がよろしくやってるなら、大人だってそれ相応に楽しませてもらっても、罰は当たらないわよね♪
193『母の肢体/娘の身体』:2010/04/26(月) 11:01:41 ID:517j9y/Z
 * * * 

 ホテルの窓からは、満月より少しだけ痩せた月の光が差し込んでいる。いわゆる十六夜というやつだ。
 長年憧れていた愛しい男性と、初めて身体を重ねるのには、悪くない夜だった。

 泰男は「雪乃」を抱きしめ、彼女の唇にそっと自分のそれを重ねてくれた。
 唇から蕩けていくような感覚の中、自分の唇が微かに震えていることに、「雪乃」は気づいた。
 いかに、この「身体」自体は経験済みとは言え、やはり受け入れる恵美の意識としては、たとえ愛する男が相手とはいえ、未知なる体験に僅かにおびえているのかもしれない。
 細かい事情など知らないはずだが、それでも泰男は、愛しい女性の恐怖を理解し、口付けを繰り返しながら、彼女の髪や背中を優しく撫でてくれた。
 それだけで、「雪乃」は自分の中の僅かな恐怖が陽光の元の氷柱のように溶け薄れていくのを感じる。
 恐怖から解放された「雪乃」は、自分の気持ちに正直に行動する。
 すなわち、自分からも彼に触れたいと思ったのだ。
 その感情に従い、自ら泰男の頬に手を伸ばして触れ、頭を抱き寄せて激しい口付けを求めていく。
 「ん……ぁふぅ………」
 「雪乃」は官能的な声を漏らしつつ、彼の背中に両腕を回した。
 情熱的なキスと抱擁の後、「雪乃」の豊満な肢体は、白い敷布の敷かれたダブルベッドの上へと押し倒された。
 泰男が唇を離し、彼女の顔を覗き込む。
 彼に見つめられた「雪乃」は、無性に恥ずかしくなり、少しだけ目を逸らした。
 その「雪乃」をあえて自分の方を向かせようとはせず、泰男の大きな手が彼女の髪を優しく撫でた。
 「雪乃くん、もしかして、照れてるのかな?」
 「……いい男は、女に恥をかかせないものだと思いますけど?」
 「おっと、こりゃ失礼。でも、そんな風にスネてる顔も可愛いよ」
 泰男は心底愛おしそうに、「雪乃」の柔らかな髪を弄んだ。
 髪に触れられているだけなのに、それがたまらなく気持ち良かった。
 「雪乃」は瞳をトロンとさせて彼を見上げた。
 「もっと……」
 「うん?」
 「もっと……色々して、欲しいです」
 「雪乃」の艶っぽい懇願により、泰男の瞳の中でも男の欲望がたぎり始める。
 「もちろん……色々してあげよう」
 男の唇は、そのまま「雪乃」の白い首筋に吸い付く。
 あたかも、動物がマーキングするかのように、泰男は何度も何度も「雪乃」の首筋に赤い痕を残していった。
 そこには、日頃の紳士めいた礼儀正しさはなく、ただ愛する女を求める男の姿だけがあった。
194『母の肢体/娘の身体』:2010/04/26(月) 11:03:36 ID:MMlXOFxv
 「あ……あぁ……!」
 「可愛いよ……雪乃くん……」
 泰男は恋人への愛を囁きながら、手ではその豊満な乳房を捕らえていた。
 彼に揉みしだかれる度に、白磁のようなそれはプルプルと揺れる。
 その谷間に顔を埋めると、泰男は固くしこった薄紅色の突起を舐め上げた。
 瞬間、雪乃は押し寄せる快感に我を忘れ、恋人の後頭部をグッと自分の胸へと押し付けた。
 「あぁっ……イイっ! もっと……もっと、吸って!」
 「雪乃」の懇願を聞いて、泰男の中でますます男の欲望が膨らむ。
 両手で乳房を包み込み、ゆるゆると揉みながら、先端部を口の中に吸い込み、突起のみを集中的に攻める。
 たちまち、「雪乃」は鮮烈な悲鳴を漏らし始める。
 苦しいからではない。
 あまりの(未知なる)快感に耐えきれずに、だ。
 「雪乃くん……」
 泰男が、今度はムッチリした太腿の間に手を這わせてきた。
 「脚を開いて……」
 膜の有無はともかく、実質これが初体験である「雪乃」は、年上の男の導きに従うしかない。躊躇いつつも、少しずつ両脚を開いていった。
 程なく、女性の一番大事な場所が彼の眼前に晒された。
 「あぁ……恥ずかしぃ……!」
 まだ直接触れられてもいないのに、そこは先程の愛撫でしとどに濡れているようだった。
 「触れても……いいかな?」
 「ええ……でも……優しくしてね?」
 「雪乃」の要望に応え、泰男はそっと人差し指でそこに触れてきた。ピチュ……と湿った水音のような音が微かに聞こえる。彼が人差し指を引き出すと、そこにはトロリとした蜜がたっぷり付着していた。
 「濡れてるね、雪乃くん……」
 恥ずかしさに耐えかねて、「雪乃」は顔を真っ赤にして目をつむった。
 そんな彼女の様子を、泰男は好ましげに見つめながら、指の腹で花園を優しく愛撫してきた。
 撫でられれば撫でられるほど、自分のそこに蜜に溢れていくのがわかった。
 そして、ついに彼の指が、痛いほどに尖る桃色の肉芽に触れる!
 「ひあぁンーーーーーーッ!」
 「雪乃」の体が一際強く跳ね上がった。
 「ふふ、ここが気持ちいいのかい?」
 泰男は指の腹で押したり、摘み上げたりして陰核を弄んだ。
 「あぁぁぁっ!! やぁっ……! はぁん! ダメぇ……!!」
 雪乃は敷布をグッと掴み、容赦ない快楽の津波に耐えようとしたものの、初めての身にそれはあまりに酷な話だった。蜜液がしたたちり落ち敷布を濡らしていく。
 「雪乃くん……そろそろいいかな?」
 泰男は「雪乃」の耳元に顔を近づけて囁き、その額に軽くキスを落とした。
 「あ……?」
 一瞬何のことはわからなかった「雪乃」だが、すぐに彼の真意を悟り、今まで以上に頬を真っ赤に染めながら、それでもコクリと頷く。
195『母の肢体/娘の身体』:2010/04/26(月) 11:04:29 ID:MMlXOFxv
 「雪乃」の了解を得た泰男は、彼女の両脚を広げその間に割り込んできた。
 「じゃあ、入れるよ……雪乃くん……」
 「ああ……来て……泰男さん……」
 泰男は屹立した己の分身を「雪乃」の花弁に宛がい、ゆっくりと奥へと侵入していく。
 「ふぁっああぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
 強烈すぎる刺激に「雪乃」は耐えきれなくなり、恋人の首にしがみ付いた。
 痛みや不快感はまったくなく、それどころか蕩けきった花園は蜜を溢れさせながら、男のモノを嬉々として受け入れている。
 それは、泰男の方も同様らしかった。
 「ああ……雪乃くん……いいよ……最高だよ、雪乃……!」
 雪乃の名を何度も呟き、腰を動かしている。
 どうやら、ふたりの身体の相性は最高らしかった。
 それなりに経験豊富なはずの泰男が、まるで思春期のがっついた少年のような性急さで「雪乃」を攻め、それにせきたてられるかの如く「雪乃」ものぼりつめていく。
 「雪乃……! 君の中に……出すよ……! いいかい?」
 「あぁぁ……泰男さん……ください……あなたの赤ちゃんの素を…あたしに……あぁぁぁっ!」
 ふたりは同時に絶頂に達し、泰男の分身が「雪乃」の胎内に白濁の液を吐き出す。
 「雪乃」は、己が胎内を汚す白濁液の熱さにうっとりと陶酔しながら、意識を失ったのだった。

 * * * 

 わたし達が、互いの首から下とその立場を交換してから、およそ1年あまりの時が流れました。
 その間に、本当に色々なことがありました。
196『母の肢体/娘の身体』:2010/04/26(月) 11:05:00 ID:MMlXOFxv
 中でも、一番の変化は、木下のおじさまと母さんが結婚して、わたしとマサくんが義理の兄妹になったことでしょうか。
 マサくんとわたしは、恋人であると同時に義理の兄妹でもあると言う、どこぞの少女マンガみたいな関係になってしまいました。
 当初はちょっと戸惑いましたけど、「お兄ちゃん」と言う響きに何か感じ入るところがあったのか、マサくんは以前以上に優しくしてくれますし、これはこれで悪くありません。
 (わたしは「兄さん」と呼んでるんですけど、「それはそれで!」とサムズアップされちゃいました)
 日本の民法では、別段義理の兄妹だって結婚できますし。
 現在は、借家であったウチを引き払い、4人一緒に木下家に住んでいます。
 ただし、わたしだけは未だに「木下」姓ではなく「上原」姓を名乗っているんですけどね。
 (まぁ、どの道遠からずわたしも「木下」姓になることは間違いないのでしょうが)
 いずれにせよ、わたし達は家族として、そしてふた組のカップルとして、至極幸せで充実した毎日を送っています。

 そう言えば、つい先日、おじさま……いえ、義父(とう)さんが、律儀にも例の神像を出張先で見つけて来てくれました。
 その晩、わたしと母さんはどうやら同じ夢を見たようです。
 夢の中で、あの彫像とよく似た姿の自称・神様に、「元に戻るか?」と質問されましたけど、わたし達はほとんど即答で「NO」と答えました。
 て言うか、今更戻されても、むしろ困ります。
 いえ、そういう消極的な理由よりも何よりも、わたし達は現在の互いの立場やパートナーをこよなく愛しているのですから。
 そう答えると、神様(自称)は、ニコリと微笑まれ、「それでは、別のプレゼントを差し上げよう」と言い残して、昇天していきました。
 朝目を覚ますと、案の定、あの彫像は砕けており、1年前と同様、ほどなく木屑になって散りました。

 あ、そうそう。神様の言う「プレゼント」については、しばらくして判明したのですが……。
 「それで、母さん、どっちだったんですか?」
 「女の子ですって。ニューヨークにいるあの人も喜んでたわ」
 「ヒャッホー! ふたりめの妹、ゲットだぜ!」
 「もぅ、兄さん、はしゃぎ過ぎですよ〜」

-fin-
19782:2010/04/26(月) 11:05:29 ID:MMlXOFxv
以上です。
Hシーンがイマイチ実用的でなくて申し訳ない。
説明不足気味で申し訳ない。(一応神像の設定はあるんですが)
ラストが駆け足気味で申し訳ない。
けれど今はこれが精一杯!
198名無しさん@ピンキー:2010/04/26(月) 11:10:21 ID:8pJHqk3U
乙です

やはり一年後だけに赤ちゃんオチでしたかw
199名無しさん@ピンキー:2010/04/26(月) 13:56:39 ID:Y7AWdvhq
GJです!

ただ、我が儘を言えば若い(?)二人の続きや初体験(?)もほしかったかもです。
200名無しさん@ピンキー:2010/04/27(火) 13:49:17 ID:t0aFeS+z
だれか保管庫更新してくれぇ
うぉぉぉ
201名無しさん@ピンキー:2010/04/27(火) 18:55:07 ID:9D1TVgkG
202名無しさん@ピンキー:2010/04/27(火) 21:09:24 ID:iGvGfLnL
>201
あの絵に何を期待すればイインダー!!
203名無しさん@ピンキー:2010/04/29(木) 22:49:18 ID:IpAYdgsL
204名無しさん@ピンキー:2010/05/02(日) 20:39:31 ID:usP+p2AF
205名無しさん@ピンキー:2010/05/02(日) 20:54:19 ID:2ltWAgFk
姉(高校生)と妹(妹)の首のすげ替えもの妄想したけど完結できる自信がない。
206名無しさん@ピンキー:2010/05/02(日) 21:04:27 ID:rqts9YHg
207名無しさん@ピンキー:2010/05/02(日) 21:08:44 ID:2ltWAgFk
あー、妹(小学生)だった;
208名無しさん@ピンキー:2010/05/02(日) 22:49:51 ID:nknXtf18
>>207
とりあえずできるとこまででも書いてくれると嬉しい
209207:2010/05/03(月) 20:34:09 ID:mCc0P7hy
誰か姉と妹の名前考えてくれ。
210名無しさん@ピンキー:2010/05/03(月) 20:41:27 ID:16xEx8cg
アネとイモ
2111レス小ネタ:2010/05/04(火) 01:34:20 ID:S5+CCFDu
朝、アネが教室に足を踏み入れた途端、皆が凍りついた。
その場にいた誰もが、まるで宇宙人でも見たかのような表情をアネに向けた。
「ア、アネちゃん……?」
しばらく続いた沈黙の後、友人の少女がクラスを代表して、アネの名を呼んだ。半ば疑問形で。
「うん、おはよう」
「おはようって……アネちゃん、その格好──」
友人が口にしかけた言葉に、アネは苦虫を噛み潰したような顔で言った。
「気にしないで。こんなカッコでも、あたしはあたしだから」
その吐き捨てるような口調に、話しかけた友人を含めて、クラス中がたじろいだ。

アネは背負っていたランドセルを机の上に置くと、
明らかに大きすぎる自分の椅子に飛び乗るように座り、不機嫌そのものの顔でため息をついた。
どんなに強がっていても、今の状況はアネにとって不本意極まりない。
自分が精神的にかなり参っていることを、アネは認めざるをえなかった。
アネは椅子に深くもたれかかり、自分の体を見下ろした。
視界に入ってくるのは、いつも着ている制服のブレザーではなく、
子供アニメのキャラクターがプリントされたチュニックと、膝丈の赤いスカートだった。
どちらも、とても高校生が着るようなものではない、幼いデザインだ。
服だけではない。アネの体はわずか一日で、子供のように小さくなってしまっていた。
背は五十センチほど縮んだろうか。体重は半分以下だ。女らしい柔らかな曲線を描いていた肢体も、
今は小枝のように細く、短い。男の欲望をそそり、同性からは羨望の的だった自慢の胸も、
どこにもなかった。ブラジャーさえ要らないほどだ。
まるで幼稚園から小学校に上がったばかりの幼い少女。
今のアネの姿をひと言で説明すると、そうなる。
唯一、その中で、くっきりした目鼻立ちの顔だけが、いつも通りの彼女だった。

「はあ、やっぱり休めばよかったかな。うう、あたしの体ぁ……」
嘆けば嘆くほど、悲しみは大きくなる。皆が遠巻きに見守る中、自然とアネの目頭が熱くなった。
どうしてこんなことになってしまったのか。昨日まで、自分はごく平凡な女子高生だったというのに。
いや、今も女子高生には違いないのだ。少なくとも顔だけは。
だが、アネの体はアネのものではなかった。
アネが今動かしている肢体は、歳の離れた幼い妹、イモのものだった。
赤くなった目をこすり、こすった手を見てまた嘆息する。
精一杯広げた手のひらは、元の自分と比べてあまりにも小さい。
自分の体が妹のものになってしまったことを改めて実感した。
幼女の体に、女の頭。奇妙すぎるアネの姿を眺めながら、クラスの皆は顔を見合わせ、
無言の声でひそひそ囁きあうのだった。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 

その頃、小学校では、イモの周りに同級生が集い、大騒ぎになっていた。
「へー、イモちゃん、大きくなっちゃったの? すごいねー」
「きょにゅー! きょにゅー! さわらせろー!」
男子も女子も一緒になって、イモの手足にすがりつく。アイドルでも現れたかのようだ。
確かに、ある意味クラスのアイドルだ。何しろ、平均身長百二十センチのクラスに、
ひとりだけ百七十近い大柄な女が混じっているのだから、凄まじい目立ちようだった。
「あははっ、すごい! わたし、先生になったみたい!」
イモは喜色満面で、すらりと伸びた自分の手足を振り回してみたり、
キャミソールの中で弾む乳房を面白そうに揉みしだいたりした。
今のイモの姿を見て、イモと認識するのは難しい。昨日まで小柄な小学生だったイモは、
今、美しいプロポーションを誇る大人の女になっていた。
動くたびに豊かなバストが胸元で揺れ、デニムのショートパンツからは艶かしい腿が生える。
いずれもあどけない幼女には似つかわしくない、魅惑的な肉体だ。
何もかもが変わってしまった中で、卵型のシルエットを形作るショートボブの髪と、
天使のように愛らしい幼い笑顔だけが、変わらず元のイモのままだった。
イモの首から下は、イモのものではない。歳の離れた姉、アネの身体だ。
イモとアネは頭を取り替えられてしまい、結果として、首から下の体が入れ替わってしまったのだ。
「やったー! お姉ちゃんの体、すごいすごーい! あはははっ!」
突然のアクシデントにもイモはめげることなく、逆に、この奇怪な状況を無邪気に楽しんでいた。
212名無しさん@ピンキー:2010/05/04(火) 07:29:22 ID:m5pwwaTk
続き期待
213名無しさん@ピンキー:2010/05/04(火) 08:24:45 ID:p2cisdYF
1レス小ネタらしいぞ
214名無しさん@ピンキー:2010/05/04(火) 22:50:27 ID:CIzJWXTR
保管庫マダァ?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
215名無しさん@ピンキー:2010/05/05(水) 20:56:53 ID:sp1nz1ju
保管庫乙
216名無しさん@ピンキー:2010/05/05(水) 21:20:32 ID:SR26u/fR
保管庫
母の肢体/娘の身体の13日分抜けてね?
217名無しさん@ピンキー:2010/05/05(水) 21:22:05 ID:SR26u/fR
おお、保管庫更新されたら急に閲覧人数増えたな
現時点で昨日より45人多い
218名無しさん@ピンキー:2010/05/10(月) 04:12:53 ID:e6MEXHUY
投稿条件が気に入らないのですが、保管所に直接書くのってありですか?
219名無しさん@ピンキー:2010/05/10(月) 06:55:03 ID:ZlHrV/5K
>>218
ありだと思いますよ
220名無しさん@ピンキー:2010/05/10(月) 22:20:53 ID:FR2ILZS/
投稿条件ってあったの?
いずれにせよ、スレだろうと保管庫だろうと良い作品を書いてもらえるなら歓迎です。
221名無しさん@ピンキー:2010/05/10(月) 22:56:12 ID:zZAB3YMV
>>1のテンプレは相当緩いってーか色々な話題を取り扱えるように書かれたものだと思うけど
それでもかすりもしないと思うほどにスレ違いなら止めた方がいいかもしれない
そうでないなら保管庫に直接投下してもいいんじゃないかと
222名無しさん@ピンキー:2010/05/11(火) 12:18:40 ID:gZHuDycK
保管庫ってこのスレのレスを保管するためのものなのだと思うんだけど…
保管庫のトップページにも>>1と同じこと書いてあるんだし

まあでも、作品は見たいし、書くのなら個人的にはスレに書いてみるのがいいと思うんだけど
223名無しさん@ピンキー:2010/05/11(火) 17:17:33 ID:v5qDV6Pf
作者さんの都合のいいようにどうぞ
直接保管庫に投下ってのも他のスレじゃよくあることだし
224名無しさん@ピンキー:2010/05/12(水) 00:09:15 ID:AnFboJ0C
投下したらスレに報告よろ
225名無しさん@ピンキー:2010/05/14(金) 02:32:45 ID:859++5D0
ODを求める心理って不思議だ。
みんなエロシーンなくても入れ替わりだけで興奮する?
226名無しさん@ピンキー:2010/05/14(金) 02:51:38 ID:HPpfoIiq
ODはある種の寝取られ系かもしれん
盗られるのが完璧なボディーやら立場なわけで
227名無しさん@ピンキー:2010/05/14(金) 10:48:30 ID:uHz+Upzr
>>226
うむ。
しかも、自分の体ごと彼氏・夫を盗られたり
好きでもなかった男とのセックスに自分の体が使われたりするわけですしね。
228名無しさん@ピンキー:2010/05/14(金) 11:19:12 ID:oEvTplY7
誰かマリエとの入れ換わり書いてください
229名無しさん@ピンキー:2010/05/14(金) 12:57:19 ID:9/gOUqc8
当事者同士の認識としてwin-winの入れ替わりも描かれるわけだし、寝取られだけではないでしょう。
TSやTFほど落差の激しくない形での変身願望(変身させる願望)ってのも大きいんじゃないかと。

>>225
別人の身体になって戸惑う姿だけで興奮することがありますし、さらにその身体でのまだ見ぬエロを
妄想して興奮することもありますね。
230名無しさん@ピンキー:2010/05/14(金) 19:59:45 ID:wJlhdF8Y
TSとかODを好むのは♂ばかりというイメージがあるけど、
二次の801ネタとか大人に変身する魔女っ娘とか
女性や女の子向けの要素もかなり多い

たとえば内気な女の子が、ある日憧れの♀先輩に憑依しちゃって
先輩のスタイル抜群の体にドキドキ!とか
先輩の恋人とよろしくやってドッキドキ!な展開だと
なんか少女マンガっぽくなる
231名無しさん@ピンキー:2010/05/15(土) 00:11:15 ID:qbD+FzjJ
ビアン小説の掲示板にもODネタが投稿されてたこともあったし、
女性でも結構この手のシチュが好きな人はいるんじゃないのかね。
少女マンガとかでもたまにあるみたいだし
ttp://irekawari.seesaa.net/article/129479078.html
232名無しさん@ピンキー:2010/05/15(土) 15:30:14 ID:TmY33HIM
一瞬、ビアンカかとオモタ
233名無しさん@ピンキー:2010/05/15(土) 19:51:17 ID:mWyjM6XI
マリエみたいに容姿も金も持ってるやつと熟女が入れ換わりがいい。
234名無しさん@ピンキー:2010/05/15(土) 20:12:23 ID:Vr051Su/
実在する人物をネタにするのは板違い
あとageないでください
235名無しさん@ピンキー:2010/05/17(月) 02:16:40 ID:9w+MuGG1
保管所に「騎士と奴隷」を上げてみました。
いかがでしょうか?
もかして、ターゲット的には微妙でしょうか?
236名無しさん@ピンキー:2010/05/17(月) 12:13:22 ID:c9Xb3NfN
>>235
ちと短いかも
この後どうなるかをみたいですね
237名無しさん@ピンキー:2010/05/18(火) 20:40:07 ID:RGTxzz23
また徐々に年齢が逆転していく話読みたいな
238名無しさん@ピンキー:2010/05/18(火) 21:27:13 ID:8hepWSC8
若返りは、一応独立したジャンルがあるから、そっちにあたった方がいいかもしれない。
239名無しさん@ピンキー:2010/05/18(火) 22:55:53 ID:clt5divv
入れ替わりというか押し付けるってのはこのスレ的にはありなんだろうか?
たとえば贅肉とかを押し付けてデブがスマートに、スマートがデブになって
結果的にスタイルを交換したみたいになるとか。
240名無しさん@ピンキー:2010/05/18(火) 23:16:16 ID:RGTxzz23
>>239
スタイル交換でありなんじゃないの?
241名無しさん@ピンキー:2010/05/18(火) 23:53:41 ID:4D93cKDH
貧乳←→巨乳はかなり萌えさせて頂いた
242名無しさん@ピンキー:2010/05/19(水) 00:07:54 ID:Rb4PIlxH
>>238
あっちの若返りは、幼児か赤ん坊まで若返らないといけないみたいな暗黙の了解みたいなのがあるんだよ。
こっちみたいに老化やハイティーン・青年・までの若返りを主体にしたのってないんだよな。
それにスレの趣旨も広い範囲で取り扱ってOKだし趣旨に反してないから大丈夫じゃん?
243名無しさん@ピンキー:2010/05/22(土) 22:48:08 ID:cVH7UayH
242
オレの思っている先とは違う様な気がする。
244名無しさん@ピンキー:2010/05/22(土) 23:26:32 ID:oqljADCa
好きにやりゃいいじゃん
245名無しさん@ピンキー:2010/05/27(木) 00:51:20 ID:1MfMuNF9
そういや憑依系の話ってあんまり無いね
246名無しさん@ピンキー:2010/05/30(日) 14:46:55 ID:+EMwnvYU
過疎ったな
247名無しさん@ピンキー:2010/05/30(日) 16:20:42 ID:a+tAqKlJ
〜若葉と麗香〜
…皆さんこんにちは、わたしの名前は若葉
自分で言うのもなんだけど、どこにでも居そうな普通の高校二年生です
学力、体力、人間としての能力はどれにおいても平均的なんだけど…ただひとつ、わたしにはどうしても解決できない悩みがあります…
それは、幼児体系で、高校生になっても体がちっとも発育しないこと…胸はぺったんこで腰も寸胴、お尻も足も凹凸がなくて全然色っぽくないし…身長も周りの女の子と比べて頭一つ分低いんです
最初はみんなより成長が遅いだけだと思ってたけど、二年生になっても成長しないとなるともう望みは薄いかも…良く考えてみるとわたしのお母さんも小さくて子どもみたいだし…
みんなからは「小さくて可愛い」って言われるけど、わたしは少しコンプレックスに感じてます
一度で良いから、スタイル抜群で色っぽい体になれたら嬉しいな…なんて少しは思ってみたり…
でも、まさかあんなことになるなんて……
248名無しさん@ピンキー:2010/05/30(日) 16:46:16 ID:a+tAqKlJ
>>247
ある日のことでした…
わたしはいつものように学校の授業を終えて、友達と一緒に下校していました
帰り道が違うので、途中でみんなと別れて一人で歩いていて…そしたらあいつが現れたんです
『やあ…若葉ちゃん』
「え…!?」
聞き慣れない声で自分の名前を呼ばれたわたしは、びっくりして立ち止まり、辺りを見回しました
しかし、近くに人の気配はなく、誰も居ませんでした
『怖がらなくても大丈夫だよ…僕は君を喜ばせに来たんだ』
「だ、だれ…あなたは誰なの?」
誰も居ないはずなのに声だけが響いてくる…わたしは恐怖で足が震え、逃げ出すこともできませんでした
『君は自分の未成熟な肉体に不満を抱いているんじゃないのかい?』
「え…どうしてそれを…」
『ヒヒ…僕にはなんでもお見通しだよ若葉ちゃん…でも大丈夫、そんな幼い体ともさよなら出きるんだよ…これを受け取るんだ』
チリン、という金属音が地面に響き、私が音の方を見下ろすと、そこには不気味な装飾が施された赤と青の指輪が一つずつ落ちていました
『その指輪は、片方を自分ではめて、もう片方を誰かにはめると、その二人の肉体的特徴を入れ替えられるんだ…』
「そんな…まさか…」
『嘘だと思うなら試してみれば良いよ…それは君にあげるよ、じゃあね若葉ちゃん…』
「え…ま、待って!」
その言葉を最後に、そいつの言葉は聞こえなくなりました
不審には思ったものの、気になったわたしは地面に転がっている二つの不気味な指輪を拾い上げポケットに入れると、逃げるように家に帰りました…
249名無しさん@ピンキー:2010/05/30(日) 21:17:27 ID:+EMwnvYU
続き期待!
250名無しさん@ピンキー:2010/05/30(日) 22:21:30 ID:pXJLFiue
こんないいところでヒキとはやってくれるじゃないか…
251sage:2010/05/31(月) 23:51:06 ID:gUyP+juw
つるりんどうさんの新作もろ該当じゃね?
どうせなら、ODパートだけで外伝やって欲しいとこだが…つか一週間後くらいの話読みてぇ
252名無しさん@ピンキー:2010/05/31(月) 23:56:05 ID:gUyP+juw
すまん、うっかり上げちまった orz
専ブラ使った方がいいかな…
253名無しさん@ピンキー:2010/06/01(火) 23:30:50 ID:RpibOemR
>>251
つるりんどうでググってみたけど新作ってのが見つからんかった
できればkwsk
254名無しさん@ピンキー:2010/06/02(水) 04:07:37 ID:RBz/ZVOd
255名無しさん@ピンキー:2010/06/02(水) 04:56:01 ID:RBz/ZVOd
有名進学校に通う優等生の女子高生がある日、自分に瓜二つの女子高生に襲われ
自分の身に着けていた制服や生徒手帳・携帯など持ち物を全て奪われてしまう。
代わりに彼女の制服や持ち物を与えられ入れ替わりを強要されてしまう。
仕方なく入れ替わって登校した学校は自分の通う進学校と真逆の評判の低ランク校
だった。周りに気づかれぬまま互いの学校の雰囲気に染まっていき…時が過ぎ
再会した時には二人は変貌していた…
なんてシチュを思いついたが…
なかなかSSには出来ないな…
256名無しさん@ピンキー:2010/06/02(水) 08:34:54 ID:w+SBq+g1
つるさんの作品はどれも素晴らしい
あれで打ち切りさえなければなあ・・・

>>255
最初から長編を書こうとせず、書きたいシーンだけ書けばいいんじゃない
257名無しさん@ピンキー:2010/06/02(水) 16:10:59 ID:Mbj41S+K
>>255
ふたりのロッテを思い出したわ
全然シチュは違うけどw
258名無しさん@ピンキー:2010/06/02(水) 18:45:30 ID:eFtDZRnN
>>255
どちらかといえば「立場だけの交換・変化」スレ向きかもなぁ
こっちでも十分いけるけど
259名無しさん@ピンキー:2010/06/03(木) 03:17:27 ID:zGfIUofu
問題は元低ランクの女が進学校でついて行けるのかという点だな。
立場だけで脳の性能が入れ替わった訳ではないのなら。
260名無しさん@ピンキー:2010/06/03(木) 18:12:37 ID:le2ZCJy4
>>256
黒魔術さえ再開してくれれば……
261名無しさん@ピンキー:2010/06/03(木) 18:43:13 ID:OhfYkgRC
つるさんは多分プロットとか結末とか全然用意してないと思う
書きたいシーンを書いたら満足していきなり打ち切るタイプだから、
読む方もそれを心得ておくべし
262名無しさん@ピンキー:2010/06/04(金) 01:00:05 ID:abFfX6am
あんだけ高レベルのTS・OD書いてくれるんなら全然おkだわ
263名無しさん@ピンキー:2010/06/05(土) 16:12:30 ID:YHXI3uwg
だが高レベルゆえに未完なのが惜しすぎるのもたしか
264名無しさん@ピンキー:2010/06/05(土) 16:27:43 ID:0X9+bj/R
つる氏の小説はいつも更新を楽しみにしてる。
このスレの ◆2nkMiLkTeA氏 楽しい○△× の続きもずっと待ち続けている。
催促はいかんとは思いつつ、もう3ヶ月悶々と。
265名無しさん@ピンキー:2010/06/05(土) 23:11:58 ID:X4anZQCn
そんな気はなかったとしても、あんまし作品の未完を非難していると、このスレだと完結しない作品はダメなかと思いこんで作家さんが書き込みづらい空気が生まれるぜ。というか、過去にも似たようなことがあちこちで起きてるし。
266名無しさん@ピンキー:2010/06/06(日) 01:13:09 ID:Ni9VmmKj
>>265
そこらへんの話はヒジョーに難しくて、議論しだすとキリがないが
結論としては「投下も自由、批判も自由」だと思う
267名無しさん@ピンキー:2010/06/06(日) 03:21:13 ID:I4lvCoFE
批判や討論で無駄にスレ消費する前に、自分で作品書いて投下しちまえば良いんだよ
268名無しさん@ピンキー:2010/06/06(日) 21:54:30 ID:7emzmtzh
ネタ募集ってほどでもないけどちょっと質問。
入れ替えて欲しい部位ってどんなものがある?

・年齢
・乳の大きさ
・体重
・頭のよさ
・性格

俺の場合はこのあたりを入れ替えた話を妄想して一人でニヤニヤしてるんだが。
269名無しさん@ピンキー:2010/06/06(日) 22:05:55 ID:KKt17+72
>>268
頭の良さが変わるのは良いね。不良にバカにされる優等生とか興奮する。

あと体の入れ替わりで、『他人の過去を自分の過去として受け入れないといけない』って感じの描写もそそる。
270名無しさん@ピンキー:2010/06/06(日) 22:26:46 ID:TLMNTklz
全部入れ替えてほしいかなぁ

自分より相当年上でチビでデブで馬鹿だったひとに、

ほんと、アナタってドチビで短足でおばかで酷いでぶねぇって

生活習慣まで変えられて、

じゃあね、おばさん

っていって分かれる・・・
271名無しさん@ピンキー:2010/06/06(日) 22:39:30 ID:HwMEO8sQ
性格だけは「結果として入れ替わる」のが好きだな。
貞操観念の強かった優等生がギャル系のビッチと容姿や頭のよさを入れ替えられ、
それでもしばらくは頑張っていたけど最後にはビッチと呼ぶに相応しい享楽主義になっちゃうとか。
272名無しさん@ピンキー:2010/06/06(日) 23:40:47 ID:s4ul+lnd
>>268
・年齢
・乳の大きさ
・体重

これ全部入れ替えてくれ
自分の容姿・スタイルに自信持ってて、男を取っかえひっかえ
してる女が、デブでブスな女(もしくはニューハーフ)と入れ替わって
男から全く相手にされなくなる話が読みたいです
273名無しさん@ピンキー:2010/06/06(日) 23:49:52 ID:KbO8V/wL
>>268
俺もニヨニヨしとるよ
274名無しさん@ピンキー:2010/06/07(月) 00:21:19 ID:tzkmwKdJ
ギャルと優等生の交換ってなんかどっかのスレに昔あったぞ…
275名無しさん@ピンキー:2010/06/07(月) 00:28:44 ID:vWmF3tVO
つる師も書いたことあるしOD関係では鉄板なシチュの一つだな。
276名無しさん@ピンキー:2010/06/07(月) 02:00:32 ID:Zxo385J9
私的には立場のみ、ってのがそそるかも。
能力も容姿も性格もそのままで、立場のみが入れ替わる。

自分の姿は変わっていないのに別人として扱われ、別人が自分として扱われているみたいな感じ。
277名無しさん@ピンキー:2010/06/07(月) 02:02:21 ID:y20YSyha
278名無しさん@ピンキー:2010/06/07(月) 08:22:38 ID:WWPHdDGV
立場だけ入れ替えつーのもまたいいかもな

中学生とおばさん入れ替えて、
14歳なのに結婚済、子持ち、出産経験アリ+病歴
40歳なのに制服着て、学校へ

年齢以外の要素ふるで交換したら、面白いことになりそうだな
279名無しさん@ピンキー:2010/06/07(月) 21:56:06 ID:SHeqqp1Z
>>275
そんなの書いてたっけ?
最近つるさんを知ったばかりなので読み漏らしがあるのかもしれない。
よければ教えてくれ。
280名無しさん@ピンキー:2010/06/07(月) 22:04:34 ID:pRrxIeWs
INQUESTにあるRites
281名無しさん@ピンキー:2010/06/07(月) 22:10:28 ID:SHeqqp1Z
ありがとう
早速読んでくる
282名無しさん@ピンキー:2010/06/07(月) 22:19:23 ID:l3+dhzSP
>>275
しんごさんが昔書いてた
真面目な教師と不良学生の入れ替わりもよかったね。

人格そのままでスキルや記憶は全て奪われるって
シチュエーションが良かった。
283名無しさん@ピンキー:2010/06/08(火) 02:44:38 ID:qTB6mYpG
>>277

教えていただいてありがとうございます。
いいですねぇ、あっちも。
楽しみ、楽しみ。
284名無しさん@ピンキー:2010/06/08(火) 21:54:39 ID:8Rm27s33
おばさんに若い身体を奪われる設定がいいな
285名無しさん@ピンキー:2010/06/08(火) 23:02:01 ID:ELgE3vRt
「早百合と悦子」は興奮した
286名無しさん@ピンキー:2010/06/09(水) 15:14:50 ID:JQtbY4DY
俺も興奮した。
若い身体を手に入れた悦子がギャル服を着て
109とかで買い物する姿を妄想して楽しんでる。


そのせいで最近、
20代の格好をしたおばさんを見るといろいろ妄想してしまうw
287名無しさん@ピンキー:2010/06/09(水) 15:23:28 ID:u9LgB9cT
どうしてこんなになるまで放っておいたんだ!
 三           三三
      /;:"ゝ  三三  f;:二iュ  三三三
三   _ゞ::.ニ!    ,..'´ ̄`ヽノン
    /.;: .:}^(     <;:::::i:::::::.::: :}:}  三三
  〈::::.´ .:;.へに)二/.::i :::::::,.イ ト ヽ__
  ,へ;:ヾ-、ll__/.:::::、:::::f=ー'==、`ー-="⌒ヽ
. 〈::ミ/;;;iー゙ii====|:::::::.` Y ̄ ̄ ̄,.シ'=llー一'";;;ド'
  };;;};;;;;! ̄ll ̄ ̄|:::::::::.ヽ\-‐'"´ ̄ ̄ll
288名無しさん@ピンキー:2010/06/09(水) 16:49:13 ID:5XBnddDo
285さんそんな素晴らしい作品どこにあるんですか?
289名無しさん@ピンキー:2010/06/09(水) 19:36:14 ID:dQb1+K4A
ここはググレカスと言って良い所なのか?
290名無しさん@ピンキー:2010/06/09(水) 19:38:15 ID:dig1kGOY
>>288
つか保管庫にあるじゃん
少年シリーズの嫁と姑の話だよ
291名無しさん@ピンキー:2010/06/09(水) 19:41:22 ID:3daUlceM
少年シリーズも最近見ないな
すげ替えものとかすげーツボだったんだが
292名無しさん@ピンキー:2010/06/09(水) 21:14:12 ID:nHJ7aInq
嫁と姑は極上のシチュだなあ
293名無しさん@ピンキー:2010/06/09(水) 23:13:42 ID:PAbs8qSR
ただ、首から上がなあ
294名無しさん@ピンキー:2010/06/09(水) 23:28:29 ID:dQb1+K4A
完全に入れ替わる方が好きかな。
それかすげ替えものは年齢差より
タイプが違う系のが好きだ
295名無しさん@ピンキー:2010/06/10(木) 13:00:12 ID:+txSqMCd
イリュージョン1−8
その瞬間、観客の大半が「まさか」あるいは「よもや」と思ったに違いない。ここまでの人体の切断は、極めて精巧なダミー…ハリウッド映画などに使われているヤツだ…もしくは鏡や光、映像の投射などを利用したトリックとして説明できないこともない。
だが、一度バラバラになった身体…それもまだ年端もいかない女の子と成人女性の首と胴体、そして手足がシャッフルされる形で繋ぎ直されるとなれば…これは果たしてトリックといっていいものなのか?
マジシャンの鳴らした指の音に反応するかのように、女性、そして女の子の瞼がゆっくりと開いた。
どよめきと歓声のかわりに、客席には息を呑む音が一斉にコダマした。
その観客の顔に浮かんでいるのは総て「まさか」と言わんばかりの驚愕の表情だ。
しかし、次の瞬間、観客達は更に驚愕の谷底へと突き落とされることになる。
分娩台に似たシートに座らされていた2人の身体…
女性に身体に女の子の頭と小さな左腕と短な脚が繋ぎあわされたものと、女の子の身体に女性の頭とすらりと伸びた左腕、そしてむっちりとした脚が繋ぎ合わされたもの、年齢の違いによる体格差故にそれぞれの肉体が混在状態のその身体は明らかに異形めいている…
その身体が瞼に続いてゆっくりと動き始めたのだ。
女性と女の子、そこだけはまだ自分本来のものである左腕をゆっくりと自分の目の前にかざしてみた。
続いて、その反対側の腕…女性はすっかり短くそして小さくなった右腕とその手を、女の子はかつての倍近く長くなった右腕と細く長く伸びた指をもつ右手を目の前にかざした。
観客の驚愕に比べて、2人の顔に浮かんだ驚きの度合いは極めて小さなものだった。慣れた自分の身体…その腕の長さの違いに扱いづらさを感じてはいるようだったが、自分の身体の一部が全く別人のものとなっていることは意外なほど当然のように受け入れているかのようだった。
296名無しさん@ピンキー:2010/06/11(金) 02:12:03 ID:2yMWVOFa
297名無しさん@ピンキー:2010/06/11(金) 20:56:56 ID:d3dmzkKw
 お久しぶりで四十年のものです。
 と、言ってもお話の続きは現在手直しをいろいろしているところなので
ちょっと前に出したイタコっぽい憑依話の逆バージョンをお届けします。
個人的には部分入れ替えに手を出したいところではありますが……

 「道問うや君」

 夕暮れ時、人里離れた山間にひっそりとむすばれた庵を訪ねたのは、美男ではあったけれ
ども、視線にやや神経質なものを混じらせた線の細い青年だった。
「こちらでしたら、僕の悩みを晴らす契機をいただけると伝え聞きました」
 神妙な面持ちで言葉を絞り出す青年の前に枯れて曲がらなくなった足を投げ出したままで
座る高齢の尼僧は、かつてはひとつの宗派の座主としてあまたの門徒を導いてきた善知識、
高徳の僧侶であった。
「いえいえ、そんな大層なことは、しても差し上げられないのですが」
 皺の中に埋没した両目を温和に細めながら、尼僧は青年に向けて深々と頭を下げていた。
「まずは、どうぞ、あなた様のお悩みというものをお話しくださいませな」
 尼僧は覚束ない手ずからに、茶を淹れて青年の正座する膝元へとそれをすすめていた。
 ほとんど飛び込みで訪問した非礼もまるで咎めることのない尼僧の篤実さに打たれて、青
年は飾りない本音を打ち明けることにしたのだった。

「実は、僕には付き合っている彼女がいるんです」
「はあ、それはまた、けっこうなことで……」
「ええ、彼女は優しい人ですし、誰からも好かれる温厚な性格で、幸せにしてあげなくちゃ
いけない、とは思っているんです」
 青年の言葉尻の歯切れの悪さに、尼僧はほんの少しだけ眉の端を動かしていた。
「……ですが、僕には他に心を寄せる女性がいまして、その人以外の女の人のことを深く愛
していく自信がまるで持てないんです」
 気まずさに顔を曇らせる青年に、尼僧はまあまあ、と宥めの手を伸ばす。
「ええと、俗に言いますところの『ふたまた』というやつですかな、それとも、懸想する相
手にしかあなた様の気がないってことは、占い師なんかが言います『つらい恋』というのを
味わっておられるのですかねえ」
 尼僧の察しは見当を外したものではなく、青年はこくりと頷き、リュックサックから一冊
の雑誌を取り出していた。
「……つらい恋だなんて高尚なものじゃないんですけどね」
 おずおずとページをめくった先に現れたのは、伸びやかな手足と豊満な胸元をわずかな布
きれで覆った美少女が砂浜にたわむれている写真だった。 
「彼女、沖村アスカちゃんっていうんです」
「なるほど……どれどれ」
 差し出されたページを拡大鏡を頼りに前後しながら視界に入れた尼僧は、
「ひゃあ、こりゃあ、結構なこと。お見事な肉付きをしてらっしゃいますことねえ」
 しぼんだ口元に手をあてて、びっくりとした様子を見せていた。


298名無しさん@ピンキー:2010/06/11(金) 20:58:04 ID:d3dmzkKw
「僕は彼女の追っかけをしているんです。彼女の撮影会とか、握手会とか、サイン会、どん
な小さなイベントだって必ず駆けつけているんです」
 ふむふむ、と尼僧は黙って相槌を打つ。
「彼女は、そう、この業界では一、二を争うトップアイドルなんです。もちろん、僕みたい
な奴は他にもいくらでも、そう掃いて捨てるほどいるんです」
 俯いたままで青年は悔しげに眉間に皺を寄せていた。
「もちろん、不毛だってことは分かってますよ。頭では。でも、心まではそうはいかないん
ですよ。愛しくて、辛くて、そして……悲しいんですよ」
 ほう、と一つ、青年は小さく息を漏らす。
「……ううん、それでも愚僧感じますにな、そういった悩みに苦しむのは洋の東西を問わず
昔からあったように思われるのですよ。人ならぬ人形に懸想する男の話や、死んだ稚児の遺
骸に執着した法師の話やら」
 尼僧は自分の手元の湯呑みを口に運ぶと、はあ、と小さく息を吐く。
「男同士、女同士での恋の話やら、教師さんと生徒との愛のお話や、子供に対して抱く性の
幻惑や近親者への恋慕など。禁忌に近ければ近いほど、それは甘美に感じられてしまいます
のよなあ」
 尼僧は禿頭をぺたぺたと撫でながら、墨染の袖に片手を突っ込んで神妙な表情を作ってい
た。
「むろん、私はあなた様のことを軽蔑して言うじゃありませんよ。情動には人それぞれに強
さ激しさの違いがありますからな、それが強くて激しければ、それだけ苦しいし、道を踏み
外してしまうことだって……まあ、あなた様に限っては、ありませんでしょうけどなあ」
 尼僧の言葉に弾かれて、青年の背筋が強張って伸びた。
「ええ、だからこそ、僕はこのよこしまな気持ちを捨て去って、どうにか今の彼女との交際
に打ち込んでいきたいわけなんです」
 すると、尼僧は何かを感じ取ったように、ぱん、と膝を打って、
「いいや、いけませんな。やっぱりあなた様は大事な事を分かっておられないのですわい」
 尼僧は、油紙のような瞼の奥から、険しい視線を青年に投げかけていた。
299名無しさん@ピンキー:2010/06/11(金) 20:58:51 ID:d3dmzkKw
「いえ、でも、僕は分かっているんですよ。この気持ちをずっと持っていてはいけないんだ
って、だからこそ、捨て去る糸口を見つけようと、こうして躍起になっているわけで……」
 尼僧は青年の言葉の先を手で制しながら、
「いいえ、あなた様のはね、ただ『知っている』だけなのですよ、良い事と悪い事を区別す
ることができるっていうだけのこと。喫煙は体に悪い、いじめは良くないって、そういうこ
とを教えられて覚えているのとおんなじなんですわなあ」
「それでは、いったい僕はどうしたらいいって仰るのですか?」
 青年は、内心の乱れを語気に絡ませながら、眼前の小さな老尼僧に食ってかかっていた。
「……んん、難しいですなあ、人が陶冶しますのには時間が必要なもんですから、一ついい
訓示を受けただけなんてあいまいなもんでは、ほんの一月もせんうちに忘れてしまうでしょ
うよ、さて、どうしたもんですかなあ」
 尼僧は膝をぽんぽん、と打ちながら、じっと思案に暮れていた様子だった。
 青年も、まあ、それもそうだろうなあ、という諦めに顔色を失いつつあったときだった。
「……じゃあ、その、荒療治ってやつを、ひとつ施してみましょうかねえ」
 尼僧は手の動きを止めて、ちらりと青年の目に視線を投げかけた。
「荒療治……ですか?」
 尼僧は頷く。
「ええ、ここ一番の荒療治。私もお役目を引退してからこのかた三十年とは試していなかっ
た方法なもんですから、確実にどう、とは申し上げられませんがね」
 こんこん、と小さく咳き込みながら背を丸める尼僧に、青年はこっくりと首を縦にして返
答をしていた。
「……試して、できることならなんでもします」
「んん、わかりました。それではこの行を成すために二週間ほどはここに留まってもらわん
ことにはなりませんが……」
「ええ、かまいませんよ。大学もちょうど夏休みですし、それくらいの時間を取るくらいの
ことは容易いことです」
 青年の言葉に、尼僧はよし、と腰を静かによっこらと持ち上げていた。
 
300名無しさん@ピンキー:2010/06/11(金) 20:59:39 ID:d3dmzkKw
 夕闇がすっかりと辺りを覆ったほどの時刻となっていた。 
 尼僧が用意した簡素な膳を平らげて、風呂までよばれた青年は奥部屋に寛いでいたが、尼
僧の呼び出しで、再び板の間に戻り、背筋を正して彼女と対座していた。
 なにしろ青年は都会っ子でしかも体力に自信があるほうでもないわけで、苦行や荒行につ
いていくことができるかどうか、今になって不安になってきていたのだった。
「……ああ、別に、痛い事や苦しい事するわけじゃありません。お気を楽にされるがよろし
かろうかと」
「はあ、でも僕も今まで仏道修行とかそんな、知らずに通ってきたものですから、これから
どんなことをするのか、考えるだけで緊張しちゃうんですよ」
 青年の素直な返事に尼僧は相好を崩すと、首を横に振った。
「あははぁ、苦行は勿論必要なことです。でもですね、自分の体を痛めつけることだけで苦
しみから逃れようとするのンは、かえって逃げてることです」
 尼僧の深い皺に埋もれた表情に赤みが差しているのは、彼女もまた湯上りだからだった。
「悩みっていうのは、その本質と向き合ってこそ、解決が得られるんですよ」
 ずん、と問題の核の部分について決めつけたあとで、尼僧はにじり寄って青年との間を少
しだけ狭めていた。
「はあ、それでは、これから僕はいったい何をするんでしょう」
 一種の怖さを含んだ尼僧の顔が近付いた事で、青年はぞっとするものを感じたが、なんと
かその恐怖感を押さえつけながら尼僧に尋ねていた。
「はあ、それではまず、あなた様にはこの私の手を握っていただきましょう」
 すっ、と無造作に枯れ木のような両腕を前に出して、尼僧はその手を握るように青年に言
った。
「これは……禅問答か、何かですか?」
 訝りつつも、青年は素直に尼僧の両手をとった。ごつごつ、がさがさとした手触りは、ま
るで朽木の枝葉を掴んでいるかのような嫌な感触である。
「ええ、じきにわかりますとも、じきに、ね。それでは次に、あなた様の想い人の、沖村さ
んとやらのことを強く考えて思い浮かべてください」
 言われるままに、青年は彼の偏執するグラビアアイドルのその艶めかしい肢体を思い浮か
べる。逆立ちしても届かない、まるで星のように遠い彼女のその姿を。
 尼僧は目を閉じて、青年の手からその思念を受け取ろうとしていた。
301名無しさん@ピンキー:2010/06/11(金) 21:00:20 ID:d3dmzkKw
 突如、尼僧の手がぶるっと震えた。
「おおぉ。来ましたぞっ!」
 尼僧の声にびっくりして顔を上げた青年の目に飛び込んできたのは、ぎろん、と白目をむ
いて血管の浮き彫りになった顔を引きつらせる醜悪な老婆の姿であった。
 ひいっと喚いて手を振りほどこうとする青年だったが、がっきりと組み合わされた手はほ
どけない。
「しゃっ、心を乱しますなっ」
 尼僧の喝が飛び、青年は混乱から一時平静を取り戻す。
 その青年の目の前で、尼僧はじわりじわり、と変貌をはじめていった。
 枯れ木のようだった全身に、みちみちと筋肉となめらかな脂肪とが張り付いていき、老い
屈まっていた手足がずんずんと伸張していく。
「あふっ、ふおほほっ!」
 てらてらとタマネギの表皮のようだった肌には潤いが備わっていき、皺がぐんぐんと引き
伸ばされていく。
「あはっ……ううっ、ぐっ、げ……がほっ」
 尼僧は口からぼろり、と肌色の塊を吐き出す。それは入れ歯だった。その空洞になった彼
女の口中には、新しい白玉のような歯がぐんぐんと生え揃っていく。それに合わせて顎の形
も変化していき、つぶれて撓んだ顎は、小さく尖ったものに再形成されていく。
 肌は明るい艶と張力とを取り戻し、みるみるうちに古希をはるかにすぎたこわばった尼僧
は若く、しなやかな姿に変貌していく。
「ああっ、胸、気持ちいいぃ、膨らんで、く……ひゃはあん」
 あばらの浮き出て項垂れ萎んでいた胸元には、新しい形の整った双丘が形成されていく。
窮屈な襦袢の中から半ば零れ落ちて、豊満な膨らみと先端のピンクの突起までも露わになっ
ていく。まるで干し柿が旬のトマトになったほどの強烈な変化だった。
 そして、腰部には上質な筋肉が取り付いて、上半身と下半身とをバランスよく繋いで締ま
っていく。
「ぁあん、お尻いっ、気持ちいい、いいのっ」
 ぶるんぶるん、と弾みながら溢れ出すお尻を感じながら、尼僧は立て膝で、大きく伸びを
する。もう、足を曲げ伸ばしすることにも不自由はないようで、白く、質感のある太ももを
青年の目に焼き付けながら、変化は続けられる。
 もう、重苦しくかぶっていた瞼の弛みは存在せず、きらきらと光る瞳が長い睫毛のなかに
魅惑的な輝きを湛えている。鼻梁は隆起して美しい横顔を形成する因子となり、口元もきゅ
っと引き締まり、唇は濡れた艶を帯びている。
302名無しさん@ピンキー:2010/06/11(金) 21:01:12 ID:d3dmzkKw
「よしっ、と、これで……完成よっ」
 声質もまた、まるで別人のそれだった。青春の張りに満ち満ちた高い響きをもったものに
変性していた。
 ぽかん、と口をあけたままに硬直する青年は、ようやく手を離すことができたのだが、あ
まりのショックに何も言うことも、何をすることもできなかった。
「んーっ、やっぱり若いカラダはいいわねえ、足元はしっかりしてるし、視界ははっきりす
るし、なによりこの弾力あるムネ……ううん、女としての自信を取り戻す瞬間よねっ」
 溌剌とした動作で全身を鳴らしてなじませる尼僧のその姿は、すっかり沖村アスカのそれ
に成りおおせていた。ただ、一つだけ違うと言えば、青々と剃り上げられたその頭くらいの
ものだった。
 脇に置いてあった手鏡に向かい合い、いしし、と小さく笑みをこぼしてから、尼僧は自ら
の胸の頂点をなんとか襦袢の中におさめてから、再び青年に向き合った。
「……あああ、あなたは、その姿は? いったい、どういうことなんですかっ」
 歯の根も噛みあわぬほどに動揺しながら、青年はアスカに化けた尼僧に声を振り絞った。
「ふふーん、どうよ、コレ。さっきの雑誌にあったコとおんなじでしょ、凄いでしょ」
 わざと、先ほどのグラビアと同じポーズを作って青年にアピールをする。本家よりもなま
じ、この特殊な状況と、青頭とが作用して、より強い妖艶さを醸していた。
「私はね、今はもう引退したけど昔は『依り代女』っていうお勤めをしていたのよ」
「よりしろめ、ですか」
 肌のあぶらの匂いまで変わっていて、若い女の持つ惹きこまれるような芳香を、今の尼僧
は発していた。
「そう、まあ神様に仕える巫女じゃなくてね、死んじゃった人の霊を身体に降臨させること
でうまくお別れできなかった家族なんかともう一度、きちんとお別れさせてあげるっていう
役目を果たすものなの、そのために『器かたどり』っていう姿を真似するなんていう芸当も
できるわけなのね」
 しみじみと過去を顧みながら、尼僧は束の間、思い出に浸っていた。
「ま、今の私じゃ鬼霊の降臨なんて芸当は出来なくなっているんだろうけど、それでもまだ
このくらいの真似までだったらなんとかなっちゃうわけなのよ」
 このくらいの事で済まされることではないな、と青年は目を丸くしながらも頷くしかなか
った。先ほどまでの皺だらけの老婆が、自分の憧れの沖村アスカになっているのだから。足
元に転がる入れ歯は幻ではないのだ。
303名無しさん@ピンキー:2010/06/11(金) 21:02:17 ID:d3dmzkKw
「それでね、これからあなた様にしてもらっちゃう事はね……なんだと思う?」
 ずいっ、と顔を寄せてくる尼僧には、先ほどと違った迫力が備わっていた。胸元はたゆん
っと揺れて、その高い威力、破壊力を誇示している。
「なん……なんでしょうか、ねえ?」
 なんとなく、感じるものがありながらも、それを肯定否定を繰り返しながら、青年は尼僧
の視線に射竦められてしまっていた。
「まあ、すっとぼけて……もう、こうに決まってるでしょ」
 青年の膝の上ににじりのぼると、尼僧はその唇で青年の口を塞いでしまった。
「うむっ、むむ」
 舌の絡まる濃厚なやつを一つ貰って、青年の脳は、完全に蕩けてしまっていた。
「……ねえ、私だって折角、こんなに若返って若い男とナニナニするチャンスなんだもん、
男だったらそんな野暮しちゃいやよ」
 実年齢にしたらまるでそぐわない甘えた言葉も、今の姿ならば許された。短い襦袢の下か
らはまぶしいほどに輝く太ももが青年の中の男の本能を誘うのだ。
「いえッ……でも、僕は、その、彼女の体だけが目当てなわけじゃないんでして、その、そ
れに今付き合ってる相手の事とかも、その」」
「だから、頭でっかちはいけないって言ってんのっ」
 たどたどしい言い訳を並べようとする青年に、尼僧は実力行使を始めた。
 くいっ、と頭を持ち上げる青年の股の根の部分に指を当てると、尼僧はじっとりとした笑
みをこぼしていた。
「……ふふふ、それにオトコノコの部分は素直なものよ、煩悩なら私がいくらでも晴らして
あげるもの、さあ、じゃあそろそろ修行をはじめましょ」
 白い襦袢を脱ぎ去ると、そこには青年の切望していた世界が待ち構えていた。
「れっつ、法悦境!」
 そして、二人は二匹の獣になって、おのおのの肉体の欲望のなすがままを、相手の身体を
介して具現化していたのであった。
「あ……ひゃあ、スゴっ……ぐひっ」
 青年は、初めて女性の余すところない秘奥に触れて、絡みつくものを感じて、爪先まで蕩
ける衝撃をジェットコースターのように何度も感じては果てて、それを繰り返していた。
 尼僧は上になり下になり、白い指先で、口でもって歯でもって、足を絡めて胸を寄せて、
何度も何度も激しい愛撫を攻め立てるように繰り返す。
「さあ、どんどんいくわよ、どんどんね」
 もはやそれは齢八十にも届く尼僧の言葉ではなかった。理屈は本能の前になんの意味も持
たなかった。
304名無しさん@ピンキー:2010/06/11(金) 21:03:04 ID:d3dmzkKw
 夜を徹して行われた情事は、十にも届く絶頂の末に、ようやく終息しようとしていた。
 絡み合って横たわるお互いの肌からは汗が流れるままになっており、そして強い芳香を醸
していた。
 はあ、はあ、と荒い息をようやく整えつつあった青年は、
「……ようやく、分かりましたよ。いや、自分が分かってなかったってことをですけどね」
 尼僧は青年の胸に指先を這わせると、少しだけ口元を綻ばせた。
「初めてだったんです、女の人とこんなことしたの」
「ええ、わかってますよ」
 先ほどまでの昂ぶりが嘘のように、尼僧の口調は穏やかだった。
「そのわりにはなかなかのお手前だったようです」
 褒められているのか茶化されているのか、青年は眉間に皺を寄せた。
「欲情をただ切り離そうとすることはできないし、しても他に歪みを生じるだけだっていう
ことを、あなたは身をもって教えてくれたんでしょう?」
 尼僧は応えずに、ただ目を伏せたまま気持ちよさそうに静かな余韻に浸っていた。
「すごく、気持ち良かったですよ。今夜の事。僕の一生の思い出になると思います」
 すると、その言葉に対して静かに頭を振って尼僧は、
「いいえ、それだけではまだ足りませんよ」
 怪訝な顔をする青年に慈愛に満ちた視線を投げた。
「私は、今、アスカさんの、おそらく二十歳そこそこの肉体になっておりますが、これが、
およそ二週間ほどで、残念なことにもとの八十歳の老婆に戻ってしまうのです。だいたい
一日に五歳ほどづつ、齢をとっていく。元の姿に戻っていくというわけですね」 
 女としての絶頂の姿にある今の尼僧があっという間に枯れてしまう。それは、あまりにも
残酷な変化になるであろうことは青年にも容易に想像されることだった。
「そして、あなた様には私が枯れてしまうその際まで、ずっと私のことを愛して貰いたいの
です」
 明日になれば二十五歳、明後日には三十歳、そしてそのまた明くる日には三十五歳、と。
「あなたには、そうですね、一人の女の絶頂である春の季節から、冬枯れの季節までをずっ
と感じていただきたいのです。そして、そこからありのままの自分自身の気持ちをつかみと
ってもらいたいのですね、おわかりでしょうか?」
 青年は、しばらくの間放心して虚空に視線を遊ばせていた、が、ややあって。
「ええ、わかりました。何がわかるのかはわかりませんし、もしかしたらわからないままで
おわるのかもしれませんけど……」
 言いつつ、青年は尼僧の豊満な乳房の間に顔を埋めて、
「今は、ただ、こうしていたいです」
 尼僧は返事に替えて、青年の頬をそっと撫でた。
305名無しさん@ピンキー:2010/06/11(金) 21:07:22 ID:d3dmzkKw
 そして、それから三週間後の朝のことであった。
 庵の寝所には寄り添って身体を寄せる二人の男女の姿があった。
 むろん、一人は青年であり、もう一人はあの尼僧であった。が、尼僧の姿は三週間前と変
わらないままであった。いや、正確にはつややかな黒髪が伸び揃って、ショートボブくらい
になっていたのだが。
「……ねえ、どういうことです。いつになったらあなたはお婆ちゃんに戻るんです?」
 昨夜もまた激しい「お勤め」を済ませた青年は、揺れるような余韻に浸りながら、顔を寄
せる尼僧に口を尖らせた。
「いや、ははは、おっかしいですね。私も耄碌して、術が解けなくなってしまいましたか、
それともあなたがアレをしてくれる度に、強い意識が私の中に入り込んでいるのか……」
 苦笑いをする尼僧は、青年のじとりとした視線を感じると、
「それともあなたは、私に早く腰の曲がったお年寄りに戻ってくれっていうのですか?」
 拗ねたように上目づかいの視線を送ってくる。
 その、あまりに甘やかな声色に、青年はまた、むくむくと情念を膨らませてしまう。
「早く、しわしわおっぱいの、手もぶるぶる震えて足も不自由な総入れ歯のお婆ちゃんにな
れ、なんてつれないことをいうのですかぁ?」
 長い睫毛の奥から潤んだ視線を青年の心に流し込んでくる。もう、これで先は決まってい
た。
「そんな聞きわけないこと言うような悪い尼さんには、えいっ、こうだっ」
 青年はにわかにのしかかって、尼僧の胸をわしづかみにする。きゅうっ、と張りのある乳
房が擦れる音がして、尼僧はひくんっ、と、蕩けるように表情を赤らめる。
「ああん、ダメっ、このカラダったら感度が良すぎるんだもの」
 言葉とは裏腹にその気は満々、その日の朝も早くから二人して修練修行の一幕でありまし
た、と。

 おしまい。
306名無しさん@ピンキー:2010/06/11(金) 22:37:41 ID:N4an02us
このオチはふいた
GJと言わせてもらう
307名無しさん@ピンキー:2010/06/12(土) 00:39:10 ID:0fseXT4o
おちゅちゅー
308名無しさん@ピンキー:2010/06/12(土) 11:21:48 ID:+Q1HN0+z
おちゅうちゅう
309【おばあちゃんの日 1話】:2010/06/12(土) 19:29:40 ID:CyT7ZEuZ
「ねえ、おばあちゃん。ちょっとお願いがあるんだけど。」
70歳ちょっと前と言った感じの女性…着物姿にきつめにならないていどにアップにまとめられた髪型がなかなか上品だ…が女性週刊誌に目を通している最中、その部屋に入ってきたのは、高校生…16,7歳だろうか…という年頃に相応しい快活な少女だった。
「あら、麻由美。お願いって…残念だけど、お小遣いはあげられないよ。」
「えと、それはそれで欲しいけど、今日は別のお願い。ねえねえ、この前やったアレ。またできない?」
「あれ…アレってあのことかい?おばあちゃんは、かまわないけど、麻由美はあんなことをまたしたいのかい。麻由美みたいな若い子がわざわざ自分からあんなことをしたいなんて、おばあちゃんちょっとピンとこないよ。」
「いいの。いいの。この前は、おばあちゃんのお願いをきいて、アレをやったんだから、今度はあたしのお願いで、アレをやってもいいでしょ。」
「その様子だと、この前の時に何か面白いことでもみつけたようだね。まあ、いいわ。おばあちゃんだって悪い気もしないもの。そうそう、お父さんもお母さんも今日は一日外出だからね…あ、もしかして麻由美はそのつもりだった?」
「えへ、分かっちゃったか。でもお母さん達が家にいたら、ちょっと大変なことになっちゃうでしょ。」
「それはそうだけどね。じゃあ、早速はじめるかい?」
「うん。」
「それじゃ、この前と同じに、ここに座って。」
祖母の言葉に従い、その前に向かう合う形で正座する麻由美。
「それじゃいくからね。」
「うん。おばあちゃん。」
静かに目をつぶる祖母。
5秒…10秒…何も起こらないのかと思い始めた頃、変化はまず麻由美の身体に目に見える形で現れた。
チュニックから覗く彼女の腕、特に細くもなく太くもないその腕、少々日に焼けているが、明るく健康的な腕の肌の色が次第にくすむように変わる始める。
310【おばあちゃんの日 2話】:2010/06/12(土) 19:31:05 ID:CyT7ZEuZ
変化は、肌の色だけでは止まらない。
次第に灰色がかる肌の色の一方で、表面にはどことなく鱗を思わせる線が走り始める。
変化はその肌の下でも起こっていた。それほど太くない腕から肉が次第に消えうせ、皮膚が濡れたビニールのように垂れ下がって、骨の形が露わになる。
腕の先にある指にもまた異変は生じていた。若い女性ならではの白魚のようの指が節くれ立った枯れ枝のようなものに変わる。
女子高生であるはずの麻由美の腕はいまや老人のように老いたものへと変化を遂げていた。
しかしその急激な老いは腕だけのものではなかった。少し栗色がかった髪に白いものが混じり始める。
白インクをつけた細筆が無数に走っているかのように髪の中に白いものが増えていく。いつのまにか、黒髪といっても差し支えなかった麻由美の髪は、白8黒2の白髪と変わり果てていた。
そして麻由美の顔。それこそもっとも顕著といえるだろう。
目元と口元に小さな皺が生まれたかと思うと、それはたちどころに深さと数を増していく。肌の色も腕同様に、灰色にくすみ、張りが失われ、頬の辺りが垂れ始める。
肌のくすみと皺のせいだろうか。その表情には、先ほどまでの快活さはほとんど残っていない。
1分前まで女子高生が座っていたその場所に今座っているのは、70歳ぐらいと思われる老婆の姿だった。
一方、麻由美の前に座っていた祖母の身体にも変化が起こっていた。
染めているとはいえ、ところどころに残っていた白髪が1本残らず消えている。
それどころか髪にはつややかさが蘇り、みどりの黒髪という言葉が相応しい美しいモノへと変わっている。
着物の袖から覗く手…その指も、老人特有の節くれ立ったものではなく、若い女性のような細く柔らかそうな美しい指だ。
そして何よりもその顔。そこにあるのは、いくら化粧をしても隠しきれない皺と染みに飾られた老婆のものではない。
どんな表情をしようとも皺の1つも浮き出しそうにない張りのある真珠色の肌、当然口元に浮かぶのは皺ではなくてえくぼだ。卵形の整った顎のラインが、その美しさを一段と強調する。
老婆となった麻由美の正面に座っているのは、着物姿の少女だった。
311【おばあちゃんの日 3話】:2010/06/12(土) 21:03:53 ID:CyT7ZEuZ
【おばあちゃんの日 3話】
「麻由美。終わったよ。」
着物姿の少女が、鳥のさえずりを思わせる声で呟くと、彼女の前に座っていた老婆…チュニックとショートジーンズという服装が実に違和感満載だ…がうっすらと目を開けた。
思うように目が見えないのか、老婆は数度瞬きをした後、更に目をこらす。
「…ん…あ、おばあちゃんが若くなってる!あ、それにこの声。」
老婆の声は、その年齢に相応のしわがれて、どこかドラ声混じりのものだった。
「ふ〜ん、やっぱり歳をとるとこんな風になっちゃうんだね。」
細い骨に肉のない皮膚が垂れ下がる、土砂降り後の傘の様な自分の腕を目の高さにまで持ち上げつつそう呟く老婆。
「ほら、これを観てご覧。」
着物の少女は、老婆に手鏡を差し出した。
「わー!顔もやっぱり歳とっちゃってる…皺だらけだし、あ、こんなところに染みもあるし、白髪だー!ふ〜ん」
普通の女性なら忌避するような老齢の外見的特徴をむしろ歓喜混じりの声で呟く老婆。
「でも、このカッコウだと、なんか無理矢理似合わない若作りみたいで情けな〜い。着替えてからすればよかったかなあ。」
老婆は自分の着ているチュニックを情けなさそうに見下ろしながら呟く。
「ほらほら、麻由美。なんでこんなことをしたがるのか分からないけど、どうせ、どこかに遊びにいくつもりなんでしょ。その格好じゃ怪しまれるだろうから、今何か用意するから着替えましょう。」
着物の姿の少女は、てきぱきとした動きでタンスの中を探り始める。
「あ、おばあちゃん、あたし、おばあちゃんが着ているみたいな着物がいいな。」
「はいはい。確かに、今の麻由美なら、おばあちゃんの着物も似合うだろうけど…あれ、もしかして、着物を着たいからこんなことしたいってわけじゃないよね。」
「うーん、ちょっぴりくらいそれもあるけど…本当の目的はナイショ。そうだ。折角だしおばあちゃんも、あたしの服とか着てみる。」
「それもいいけど、麻由美は一人じゃ着付けできないでしょ。ほら、早く今着ている服、脱いで。」
「はーい。」
老婆は早速着ているチュニックとジーンズを脱ぎはじめる。
今の外見からでは全く想像できないが、このチュニックにジーンズという若作りすぎる服装の老婆は先ほどまでの女子高生麻由美であり、地味な着物姿の少女は、麻由美の祖母であるらしい。
どういう理屈でこのような年齢の逆転が起こったのか不明のままではあるが、麻由美が、これを利用し老婆となることで何かを企んでいるらしい。
312名無しさん@ピンキー:2010/06/12(土) 23:45:39 ID:8WYS/sK8
わくわくしながら続きに期待!
313名無しさん@ピンキー:2010/06/12(土) 23:51:20 ID:+Q1HN0+z
今日ここで終わりか続き期待
314名無しさん@ピンキー:2010/06/13(日) 00:33:34 ID:lgLStMa1
これはかなり良作の予感。
315名無しさん@ピンキー:2010/06/13(日) 13:45:40 ID:GNNyQmH9
HERE COMES THE BRIDE
ttp://www.youtube.com/watch?v=XXQyYu1HzAI

花嫁→金持ち女→貧乏な女→爺さん→ゲイ
の入れ替わりらしいが、字幕付きで発売されないかな

花嫁になったゲイが好き勝手しちゃうとことか
花嫁自身はババアになっちゃって大損するとこがツボなんだが
316名無しさん@ピンキー:2010/06/13(日) 19:18:31 ID:2EiEsfiK
上の方でオプーナを買う権利を頂いたものですが、保管庫更新しました。
3スレ目ネタ集にあった4スレ目のネタを新たに増設した4スレ目ネタ集に移動しておきました。
不足・問題等あったら自由に書き換えてください。
317名無しさん@ピンキー:2010/06/13(日) 20:29:54 ID:JaO+bg6f
           / ̄\
          |     |
       ,,_._,,,,, ,\_/,,,,__,,,,,___,,,,,_
      ,":::::::::  ::::|::     ::::::〃;ヽ
    〃 __,,,,,__,,,,____,,,,,,___,,,,_ :/:::::::i
    /゛~~      ':';  ' :;~~:ヽ:::::i 
   i  ;`; :;`;    ;``;:  ; :;:;i:::/
   ヽ::  :;: ;   ;` ;`;    ::;:/::/   
    i:::    \ /      ;:;:i::::::!
    i::   ⌒   ⌒    : ;:;i::::::i      >>316
    i::    (__人__)    ':;:i::::::i       よくやった
    i ':';.    ` ⌒´    ':;:'i;::::::!       私を食べる権利をやる
    !::             :;;:i;:::::i:::::::::
    i:: :;  ::     ;;`;`;:;:;:;:i::::/::::::::::::
    ヽ、..._,.____.,,,,____,,,,,,___.,,,.,.ノ::/::::::::::::
                  ~~::::::::::::
318【おばあちゃんの日 4話】:2010/06/13(日) 21:41:15 ID:tFbCympB
「ほら麻由美。もっと腕あげて。それと背筋も伸ばしてないとダメよ。」
「は〜い、けど腕疲れる〜身体重い〜」
「歳をとるってのはそういうことよ。この前のことで分かってるでしょ。それに麻由美はいい方よ。病気とか怪我とかしていないままでその歳になってる分、まだ楽なんだから。」
「はいはい。それよりまだ終わらないの?」
「着物の着付けっていうのは、それなりに時間のかかるものなの。もっともこの若い身体だからまだ楽だけど。」
ここまでの経過を知らない人間がみたら、かなり違和感があるというか不思議と思えるような光景だった。
70歳前後に見える老婆に着物の着付けをしているのは、その孫娘といってもいいような少女。しかも、老婆の方が女子高生のような話し方であるのに対して、少女の方はまるで老人のように落ち着いた話し方だ。
謎の力によって、老婆となった本来は女子高生である麻由美は、今は少女の姿になっている祖母に、着物の着付けをさせられている真っ最中だった。
「はい、これで終わり。」
「ありがとう。おばあちゃん。」
「じゃあ、次は髪の方をいじりましょうか。着物姿にこの髪型じゃおかしいし。ほら鏡台の前に座って。」
祖母である少女に促され、慣れない着物に少々苦労しつつも鏡台の前に座る麻由美。
10分弱後
「ふう、こんなものかしらね。麻由美の髪質はおばあちゃんに似ているから、かなりいじりやすかったけど。」
鏡に映っているのは、光沢抑えめの鶯色の着物に身を包み、総白髪の少し手前といった感じの髪をふんわり気味にアップにまとめた、物腰柔らかそうな雰囲気の老婆…いやこの場合は老婦人と呼んだ方がむしろしっくりくる…だった。
「そうそう、こんな感じになりたかったの。流石、おばあちゃん。」
「流石って、おばあちゃん、他にはほとんど知らないからね。こんなことで喜んで貰えるなら嬉しいけど。」
会話を聞かなければ、孫娘に髪を整えて貰って喜んでいる祖母といった光景だが、実際には立場が逆なわけで、なかなかややこしい。
「あ、そうだ。おばあちゃんも今は若いんだから、あたしの服、着てみてよ。」
「え、おばあちゃんが麻由美の服を?ちょ、ちょっと最近の若い子の服は恥ずかしいよ。」
「最近の若い子って、今はおばあちゃんも若い子になってるんだからいいじゃない。この前は、普段着みたいなブラウスとジーンズしか着てなかったんだしね。このチュニックとジーンズ…だけじゃちょっと寂しいし…ほらおばあちゃん、あたしの部屋にきて。」
立ち上がった麻由美は祖母の手を掴むと、そのまま自分の部屋へと引っ張っていった。
319名無しさん@ピンキー:2010/06/13(日) 22:05:47 ID:lgLStMa1
ここで終わりかな?続きが気になって仕方ない…
320名無しさん@ピンキー:2010/06/14(月) 17:55:00 ID:wd8sqJJb
今週の保健室の死神で「才能を奪う」という能力になんとなくドキドキした
厳密にはスレ違いだろうけどなんかSSに応用できそうな気がする
321【おばあちゃんの日 5話】:2010/06/14(月) 21:31:20 ID:lSMXUZsL
スタートこそ勢いよかったものの、階段に足を踏み入れると麻由美の動きも球に緩慢になる。
「ふぅふぅ、あ、足があがらな〜い。これって着物のせいだけじゃないよね…なんか腰とか背中も痛いし。」
「それが歳をとるってものよ。ほらほら、こんなところでもたもたしてないの。」
「あ、おばあちゃん、お、押さないでよ。」
すっかり若々しくなった祖母の後押しも手伝って、どうにか2階までの階段を登り切る麻由美。
「じゃあ、あたしが服を選んでいる間に、おばあちゃんはとりあえず着物だけ脱いでおいてね。」
「はいはい。でも今日は夕方までお父さんとお母さんも帰らないんだし、留守番だけならこの格好でもいいんだけどねえ。」
「そんなこと言わないでよ。折角、若いおばあちゃんになったんだから、オシャレ楽しまないんじゃ損じゃない。」
そう言い放つと、麻由美は早速とばかりクローゼットをあけ、中を探り始める。一方、祖母はやれやれといった感じで帯を解き始めた。
「わー!おばあちゃん、ほっそーい!」
一通りクローゼットをさぐり、いくつか選び終えた麻由美は、着物を脱ぎ終えた祖母の姿をみて驚愕と歓喜の混じった声をあげた。
「すっごーい!腰も足も腕も細いし…いいなあ。」
「おばあちゃんが若い頃はまだまだ食べるモノのあまりなかったからね…最近の若い子は食べるものが一杯あるから幸せだねえ。」
「でも、すごい。凄いよ。おばあちゃん。身長が低いからモデルはムリかも知れないけど、雑誌とかの一般からの写真募集なら採用されるかもしれないよ。」
「お世辞にでもそういってもらえると嬉しいねえ。けど、そろそろ服をもらえないかしら。」
「あ、ごめーん。えーと、これなんかどうかな。」
慌てて麻由美はチョイスした衣服を、少女のようになった祖母の身体へとあてはじめた。
数分後
「う〜ん、なんかちがうのよね〜」
「違うって…本当はおばあちゃんなんだから、若い子の服なんて似合うわけないのも当然じゃないかしら。」
「そうじゃないの。あたしが思っているイメージと違うというか…あ、そうだ!」
不意に何か閃いたらしく、麻由美はクローゼットとは反対側の壁へと向かった。
「おばあちゃん、これ!これ!」
麻由美の手にぶらさがっているのは、紺のブレザーに、Yシャツにネクタイ、チェックのプリーツスカート…彼女の高校の制服だった。
322名無しさん@ピンキー:2010/06/14(月) 22:22:23 ID:pnyD1+v8
GJ
323名無しさん@ピンキー:2010/06/15(火) 01:10:45 ID:yPAdtim+
>>320
俺も同じこと考えてたw
ていうか来週あたり、真哉の長所である美貌(もしくはスタイルの良さ)
ガ奪われるって展開にならないかとかなり期待してるんだが
324名無しさん@ピンキー:2010/06/15(火) 01:40:06 ID:A/bJj2dS
めだかの都城とも見事に被ってる能力だったな
まあ偶然だとは思うが
325名無しさん@ピンキー:2010/06/15(火) 20:51:05 ID:AX1pclsB
よくTSとかである川ものっていうのはどうだろう
326名無しさん@ピンキー:2010/06/15(火) 20:51:26 ID:AX1pclsB
川じゃなくて皮だ
327【おばあちゃんの日 6話】:2010/06/15(火) 22:26:17 ID:gQYQPXki
「わあ!おばあちゃん!凄く似合うよ!可愛い!素敵!」
「そ、そうかい…自分が若くなっているとはいえ、ちょっとピンとこないねえ。」
最近ではやや希少に値する、控えめで奥ゆかしそうな雰囲気を漂わせた少女は、高校の制服に着られているといった感じで、自分の身体を見下ろしていた。
「やっぱり、細い方が可愛綺麗というのは鉄板なのよね〜。おばあちゃんと分かっていても、ちょっと嫉妬しちゃう。」
「そんなこといわないでおくれよ。麻由美、おばあちゃん、恥ずかしいんだから。けど、最近の子のスカートが短いって知ってはいたけど、本当に短いんだねえ。これじゃ下着は丸見えだし、布が短すぎてまるでスカートそのものはいてないみたいで落ち着かないよ。」
そう呟きながら少女となった祖母は照れるようにしてスカートの裾を握った。
先ほどまでアップでまとめられていた髪はクロノヘアピンと輪ゴムから解き放たれ、前髪周辺が色取り取りのアクセサリつきヘアピンでかきあげられるようにもちあげられている。
この少女をみた人間が、彼女を女子高生と思うことはあっても、本当は70近い老婆であるとはとても思わないだろう。
「でも、ホントに可愛いっておばあちゃん。学校にもこんな可愛い子はそんなにいないんだから。」
「そ、そうかい…そう言われると悪い気はしないけど。」
「そうそう、今日はその格好でいてもいいんじゃない。」
「それもそうだねえ。夜まで誰も帰ってこないんだし。誰か来ても、麻由美の友達の振りとかしてやりすごせそうだしねえ。」
多少嫌がっていた祖母も、麻由美の色々言われるとその気になってきたようだ。
「そうそう。折角の機会と、この力なんだから、おばあちゃんももっと楽しんだ方がいいよ。」
「ところで麻由美は、いつまでもここにいていいのかい?やりたいこともあるようだし、モタモタしていると元に戻ってしまうよ。」
「あ、そうだった。じゃあ、ちょっと遊びにいってくるからお留守番お願いね。おばあちゃん。」
「あ、ちょっとお待ち。下駄とか巾着とか出してあげるから。」
5分後、片手にサイフや携帯電話を入れた巾着をぶら下げ、足元は着物の柄によく似合った落ち着いた色合いの下駄をはいた麻由美は玄関で祖母の見送りを受けていた。
「分かってると思うけど、麻由美、充分気をつけるんだよ。歳を取ると身体の力がおちるのは当然だけど、素早い動きもできなくて思うように動けなくなるからね。
それに耳も目も悪くなっているから、車とか気をつけるんだよ。気づいたら目の前に車がいたなんてこともあるんだから。」
「は〜い、気をつけま〜す。それよりおばあちゃんこそ、若い身体、ちょっとでも楽しんでね。どうせなら、近所を歩き回ってきてもいいんじゃない。」
「こんな格好を人様にみられるなんて流石に恥ずかしいよ。それより、麻由美。何をしたいのかは分からないけど、楽しんできてね。」
「は〜い、じゃあ、いってきまーす。」
典型的とも言える格好の女子高生に見送られる形で、老婦人はその年齢にはそぐわない快活な返事と仕草と共に家を後にした。
328名無しさん@ピンキー:2010/06/15(火) 22:42:22 ID:B4z/snqv
両者合意の上での入れ替わりで、しかも不利益を被る側が
積極的に入れ替わりを申し出るという設定は珍しいね。

先の展開が気になるな。続き待っています。
329名無しさん@ピンキー:2010/06/16(水) 18:50:27 ID:3XtHCbXz
>>326
まあ、アリじゃね?

アリだから一つ頼む。
330【おばあちゃんの日 7話】:2010/06/16(水) 19:37:49 ID:ca+sg0Zs
「さって、いっくかなー!」
いつものノリで出発しようとしたところで、麻由美は今の自分が着物姿、しかも肉体は70近い老人のものになっていることを思いだした。
「あらまあ、私としたことが…ほほほほほ。」
誤咬ますように口元に手を当てると、麻由美は日傘…そろそろ初夏だけに日射病や熱中症への用心にと祖母がもたせてくれたものだ…をさし、しずしずと小さな歩幅で歩き始める。
着物にアップにまとめた髪型、落ち着いた雰囲気の老婦人が日傘をさして、ゆるりゆるりと歩く様をみていると、半径3メートル圏内が京都か奈良かというような錯覚に陥りそうになる。
幸いにも、まだ午前中だけに日差しはそれほど強くない。慣れない着物ではあるが、麻由美は10分ほどかけて住宅街を抜けて商店街に入る。
ふと、店舗の1つに目を向ければ、そのショーウィンドウガラスに映るのは、優しそうな表情を向ける老婦人の姿。
少し前まで、早く大人になりたいという思いだけが強くて、老齢に差し掛かった自分の姿など想像したこともない麻由美だったが、こうして落ち着いた雰囲気の老婦人になれるのなら、それもまんざら悪くもないと彼女は思っていた。
「さて、次のバスは…」
目当てのバス停まで辿り着いた麻由美はとりあえず時刻表を確認する。
「えっと、後10分か…どこかで時間をつぶす…ほどもないか…」
近くに行きつけの店も多いが、下手に足を伸ばしてバスに乗り損ねては本末転倒。しかも、その店の多くは、女子高生など若い子向けばかりで、今の麻由美のような老人が足を入れるような場所ではない。
他にバス待ちのお客もおらず、麻由美はベンチに腰掛けてバスを待つことにした。
(えへへへ、もしかしておばあちゃんに断られると思ったけど、うんと言ってもらえてよかった。あたしがおばあちゃんにならないと、こんなコトできないもんね。けどおばあちゃんがこんなことできるなんて思ってもみなかったよ。)
麻由美は、祖母が初めてこの年齢逆転をやって見せた時のことを思いだしていた。
331名無しさん@ピンキー:2010/06/17(木) 06:59:19 ID:qJFuE0Bq
乙だよ
332【おばあちゃんの日 8話】:2010/06/19(土) 20:34:26 ID:pb8cGkVt
ここで時間は1ヶ月ほど遡る。
麻由美が高校2年になって最初のGW。休日などの都合で家族そろっての旅行こそできなかったが、その日、両親は日帰りながらも温泉めぐり。そして祖母は親戚からもらったチケットで若手演歌歌手のコンサートということで、麻由美はお留守番ということになっていた。
もっとも、麻由美にしてみれば、お昼代+夕食代+お留守番代ということでけっこうな額をもらっている上にまだまだGW中の休日は残っているだけになんら不満
はない。
「でも、おばあちゃん、よかったね。ちょうど近くにコンサートが来た時にチケットもらえて。」
両親は移動時間と渋滞避けのため、早朝に出発しているので、家には麻由美と祖母の2人だけ。コンサートは午後からだが、これまた移動時間の問題もあるので、祖母も朝食を終えると、出かける前の着替えなどの準備を始めていた。
「そうだねえ。テレビでしかみられないと思っていたのに、こうやってコンサートにいけるなんて…」
「あれ?おばあちゃん。元気ないね?もしかして行きたくないの?」
「そういうわけじゃないけど、近くといってもバスと電車に乗らないといけないだろ。乗る電車を間違えないようにしないとか、駅で降り損ねるなんじゃないかと心配ごとも多くてねえ。それに、もう歳だから、乗り物に乗っているともう疲れて疲れて。」
「あ、そっか…」
昨年の夏、夏バテに加えて食中毒になったことで祖母の身体がすっかり弱っていた。秋には寝たきり同然の上、食欲もすっかりなくなって、家族親戚一同、葬式やら相続の話を始めたほどだ。
幸いと言うべきか、冬前には持ち直し、冬も用心を重ねた結果、春には、家の中では以前のように動けるように回復していたが、やはり歳には勝てないらしく、外出する回数はめっきりと減っていた。
「おばあちゃんももうすぐ70だもんね。」
「やっぱり歳はとりたくないもんだねえ。もっとも歳をとらなかったら、麻由美の顔を見ることもできなかったわけだけど。」
「あーあ、ちょっとぐらいおばあちゃんにあたしの若さを分けてあげられたらいいのに。」
「そうできたらいいんだけどねえ…ん…」
「あれ、どうしたの?おばあちゃん?」
「い、いや、なんでもないよ…でも…でも…あ、麻由美。試しに聞いてみるけど…本当におばあちゃんに若さを分けてあげたいと思うかい?」
333名無しさん@ピンキー:2010/06/19(土) 22:03:20 ID:t7pVQVfK
生活習慣を入れ替えた結果将来が変化する…みたいなネタを考えたが思いのほか難しいな
何より入れ替えられたことを自覚させるのが難しい

>>332
乙っす!
老人の体力低下が妙にリアルでちょっと悲しくなってきたわw

334【おばあちゃんの日 9話】:2010/06/20(日) 20:39:09 ID:iGDDYN6S
「え、それって…でも、そんなことできたらいいね。おばあちゃんは若くなった分元気になるし、あたしももうちょっと大人っぽくなれるわけだし。」
「おばあちゃんがいいたいのとそんなことじゃないんだけど…そうだ。もしも…あくまでももしもの話だけど、コンサートにいく間だけ、おばあちゃんの年齢と麻由美の年齢を交換できるとしたら、麻由美はうんといってくれるかい?」
「年齢を交換する?…それって…あたしがおばあちゃんみたいな歳になって、おばあちゃんが女子高生になるってこと?」
「わかりやすくいうと、そんな感じかねえ。」
「そんなことホントにできるの?もし、できるのならちょっと面白そうだけど。」
「面白そう…ね。麻由美ぐらいだとそう考えてもおかしくないわね。で、もしできるのなら、やってくれるかい?」
「コンサートに行っている間だけなんでしょ。それくらいなら、ちょっとおばあちゃんになってみるのも面白いかなあ。うん、いいよ。でもホントにそんなことできるの?」
「疑うのも無理はないけどね。これは実際にやって見せた方がいいだろうね。麻由美。おばあちゃんの前に座って貰えるかい?」
「うん、ここでいい?」
「そうそう、そこでいいよ。一応、念のため、ちょっとの間目をつむっていてもらえるかい?」
「うん。」
麻由美が目をつぶって、1分ほどが過ぎただろうか。
ちょっと堪えきれなくなった麻由美が声をかけようとした時、
「麻由美。もういいよ。」
不意に聞き覚えのない声が聞こえた。麻由美とほぼ同年代と思われるまだ10代の女の子の声。
もちろん、祖母でも母の声のはずもなく、一人っ子の麻由美には姉も妹もいないのだが、それならこの声の持ち主は…
疑問を抱きながら、麻由美が、うっすらと目をあけると、そこには着物姿の少女…麻由美と同じくらいの年頃の…が小さな笑みを浮かべながら座っていた。
335名無しさん@ピンキー:2010/06/22(火) 04:35:17 ID:S8FXKdIU
GJ
336名無しさん@ピンキー:2010/06/26(土) 21:21:33 ID:AWz1dMmR
ho
337名無しさん@ピンキー:2010/06/28(月) 18:48:35 ID:8Niuy0lv
338名無しさん@ピンキー:2010/06/29(火) 22:00:01 ID:cPIf7V4B
物凄く続きが気になる所で寸止めされている…
339名無しさん@ピンキー:2010/07/01(木) 20:51:39 ID:PLKYwPbF
うほ
340名無しさん@ピンキー:2010/07/01(木) 22:40:18 ID:xJag4S6d
TS解体新書、今年は入替祭り(OD可)か
期待しとこう
341名無しさん@ピンキー:2010/07/01(木) 23:35:30 ID:A4scx8zc
>>340
おおおおおついに来たか
しかし10月以降なんて待ちきれんぞ
342名無しさん@ピンキー:2010/07/02(金) 00:19:33 ID:AXSVesEm
しかしあの辺のTS作家の中じゃOD書いてるのはごく一部だからなあ
まあ仕方ないんだけどさ
343名無しさん@ピンキー:2010/07/03(土) 01:27:18 ID:7NdX9nG8
バロウズの『火星の交換頭脳』実際に読んでみた。
醜悪な女帝と美貌の女奴隷の入れ替わりってのは知ってたけど、主となる
部分は冒険活劇になるのかな。
アイディアや描写は80年以上昔の作品とバカにはできないものだな、と。
ちなみに図書館で探すなら「933」(英米文学、小説)で探すといいね。
344名無しさん@ピンキー:2010/07/03(土) 08:27:27 ID:iCbUDrbs
図書館の分類番号って共通なんか
あんま利用しないから初めて知ったわ
345名無しさん@ピンキー:2010/07/06(火) 01:24:29 ID:2bQovjb8
なんか急に過疎ったね・・
346名無しさん@ピンキー:2010/07/06(火) 08:39:19 ID:LImTHmRJ
私はこれからどうなってしまうんだろう?
マリエは先日まで若さに溢れたモデルのような身体からは想像もできないシワらけの顔
胸は確かに以前より大きくなったが、垂れていて黒ずんだ乳首
ぶよぶよのお腹と替えられた自分の身体を見ながら途方に暮れていた。
347名無しさん@ピンキー:2010/07/08(木) 21:54:19 ID:YPUrijHO
 こんばんは、40年のものです。
 いつもOLDAPとARばかりなのもなんなんで、たまには肥満化でも
お届けしてみようと思います。ただし、SSでなくあくまでも小ネタです
がね。
348名無しさん@ピンキー:2010/07/08(木) 21:55:12 ID:YPUrijHO
 連結された白い手術台に横たわっていたのは二人の若い娘だった。

 一人はショートカットの良く似合う均整の取れた肢体の娘で、もう一人はロングヘア
の娘だったが、こちらは全身がぼってりと肥満しており、不健康そうなむくんだ顔つき
をしていた。
「さあて、はじめるか」
 年老いた眼鏡の男が二人の娘の隣り合った方の掌をぴったりと合わせると、その境界
はじわじわと消失していき、そしてお互いの手は笙という楽器のような形にぴったりと
融合してしまった。
 男はおもむろに、二人の上に掛けられていた薄い白布を取り去ると、そこにはあられ
もない娘二人の裸身が現れた。
 男は無造作に肥った娘の側に歩み寄り、鎖骨の下にぐっと親指を押し当ててみる。
 すると、それに反応したのはもう一人の娘の身体で、押されたのと同じ部位が、張り
出す様子を示していた。
「まあ、連結はうまくいっているということだな」
 男はひとりごちて、肥い娘の両の肩口に自らの手を押し当てて、そこから一気に下に
向かってしごき落とすように動かした。
 ぐぷぅ、と粘度の高い液体をかき混ぜたような音を立てて娘のその部分の肉が削げ落
ちて消失した。
 いや、消失したのではない。そこにあったはずの脂肪は、もうひとりの娘の肩口から
上腕へかけての部位へと移動したのである。さきほどまで引き締まった均整を保ってい
たショートカットの娘の二の腕には、あきらかにミスマッチな贅肉が張り付いてしまっ
ていたのである。
 ところが、ここで男は一つ思案し、そののちに今度は細い娘の腕をしごいて、太い娘
へとその肉を全て戻し、ご破算の状態へと戻したのである。
349名無しさん@ピンキー:2010/07/08(木) 21:56:05 ID:YPUrijHO
 続いて、男の手は細い方の娘の身体へとかけられていった。
 胸を、背中を、腕を、足を、臀部を、と全身の肉を掴んでは弾き出し、つまんではし
ごきだすといった繰り返しにより、あれよあれよという間に娘をまるで骨と皮だけの餓
鬼のような姿へと作り変えてしまった。
 もちろん、その分の肉は太い方の娘へと移されていることになるのだから、ただでさ
え肥満していた娘はもう、ぱんぱんの腸詰めのように膨張してしまっていた。
「……依頼は、ただ痩せさせることじゃなく、美しい身体へと作り変えてくれというこ
とだったからな」
 再び男は膨張した娘へと歩み寄ると、彼女の腕をゆっくりと、今度は摘み出すように
して指先でゆっくりとしごき始めていた。
 すると、今度はゆっくりじわじわとその腕が細くなっていくのであるが、先ほどとは
違い、ただか細くなるのではなく、しなやかに引き締まっていったのである。
 そう、彼は贅肉だけを摘み出して、質の良い筋肉を残し、娘の肉体を均整の取れた美
しいものへと作り変えようとしていたのだった。
 あたかも、彫刻家が、のみとげんのうとで一木から美々しい神像を彫り出そうとする
がごとく、男は脂肪の巨塊のような肉風船から、美の女神を研ぎ出そうというのだ。
 作業は長い時間を費やしながら、黙々とすすめられていった。
 魅力的な胸元を作り出すのにはまず、胸回りの余計な脂肪を追い出しながら、乳房に
は適度に脂肪を混ぜた肉を張り出させる。それによってコントラストの利いた、芸術的
な双丘を形成することができたのである。
 対照的に、腕や腰や足、背中といった部位には余計なものはなるべく削り落としなが
ら、それでいてしなやかな女性的な曲線を失わないよう配慮しながら形を整えていく。
近くで見て、離して見て、納得できない仕上がりならば、粘土細工のように何度も調整
してより良い形へと変えていく。
「顔も……直しておくんだったよなあ」
 ゆるんだ頬や顎に指を沿わせて、ゆっくりと揺するうちに、娘の顔は一回り小さく、
整った輪郭へと変化していく。と、同時に反比例して、もう一人の娘の顎や首回りは太
まって、たるんだだらしない顔つきへと醜く整形されていく。
 娘の鼻を軽くつまんで、ぴん、と引き上げれば、すっとした鼻筋の通った美形の出来
上がりである。おまけに、目の周囲も四辺に存分に引き伸ばして、ぱっちりとした目元
が作り上げられていた。対比すれば、もう一人の顔の目はぱんぱんに張り出した頬に埋
没し、鼻はひしゃげて潰れ、もう元の涼やかだった面立ちの名残りはどこにも残ってい
ない。
350名無しさん@ピンキー:2010/07/08(木) 21:57:51 ID:YPUrijHO
 最後に男は ぷっ、と自分の手に唾を吹くと、二人の娘の連結されていた掌の間に手
刀を入れていく。すると、それらは元通りに、二つに分かたれて二人の娘は独立した生
物へと戻っていた。
 いや、元に戻ったとは言うことはできないだろう。もともと肥満していた一人の娘は
今や絶世の美貌を手に入れ、片や整った容貌を保持していた娘は、取るに足りないつま
らない醜貌へと作り変えられてしまったのだ。

 それからさらに一時間ほどの時間をおいてのこと。
 部屋に残された一人の娘は、ううん、と軽い呻きをあげて目を覚ました。
「……ん、終わったの、ね」
 まず、彼女の目に真っ先に飛び込んできたものはおのれ自身の弾力と張力とを兼ね備
えた豊満な胸だった。
 はっ、と目を移せばそこにはしなやかに伸びたほっそりとした腕、そして手。さらに
下半身へと目を移せば、そこには実に女性的な曲線を描きだす引き締まった脚線美が存
在していた。
 娘は、ひゃっ、と喜悦の声をはずませつつ、傍らに掛けられた姿映しに自分の姿を映
して、そして表情に高揚の赤をうかばせていた。
「すごい、すごいわ。まるでテレビアニメのヒロインじゃない」
 彼女が浮かれるのも無理のないことで、そこに映っていたのはミスユニバースの日本
代表と言われてもまるで誇張ではない、まぎれもない真正の美女だったのだ。
 くっと横向きに鏡に立てば、そこにはボリュームのある乳房の張り出しや、ぎゅっと
引き締まったウエスト周りの軽やかさ、そして形よくつん、と上を向いた臀部の様子が
浮き彫りになったのである。
 数刻前の彼女からは、まるで想像もできないほどの激変だった。象から蝶へ、などと
やさしいものではない。まさに黄泉の住人が天界の美姫へと変貌したがごとくであった。
351名無しさん@ピンキー:2010/07/08(木) 22:00:41 ID:YPUrijHO
「どうやら、気にいってもらえたみたいだな」
 男はさして気のない様子で、部屋の隅で煙草をふかしていた。
「ええ、とっても。この顔も身体も、最高ね。それに、身体の中から活力が吹き出して
くるみたいよ」
 薄布一枚をまとっただけの娘は鏡の中の自分に食いつきながらにやにやと笑みをこぼ
していた。
「ああ、そいつは何よりだったな。あんたの中に組み込まれた娘さんは、もともと水泳
の強化選手だったとやらで、よっぽど鍛えられていたみたいだからな」
「へええ、それはご愁傷様ね。それじゃあ、私の脂肪をくっつけられたんならよっぽど
酷いことになってるんでしょうに」
 言葉とは裏腹に、娘の口調は残虐性を帯びて弾んでいた。
「だって、私のこのウエスト、細すぎて困るんですものぉ」
 ぱっちりと開いた瞳の中にある輝きは、あきらかに邪悪なものであった。
「まあ、それでもあんたの今までの生活ぶりからすれば、すぐに太ってしまうんだろう
から、それは余計な心配ってものだな」
 男はぼそり、と尖った言葉をはさむ。それに一瞬娘は表情を歪めたが、すぐに機嫌を
取り直す。
「ねえねえ、それでその娘はどうなったの」
「どうなった……って、公園のベンチの上に置いてきたよ。意識を取り戻す前にな」
「うわっ、それって酷いわあ。……ねえ、私その子が今、どんなにみっともない身体に
なってるか見てみたいわ。そして、どんなふうにとまどって、驚いて、そして絶望して
いるか知りたいの」
 ねえ、ねえ、と甘えた素振りを見せる娘に対して、男はただ、「悪趣味だ」とだけ断
じて、吸い殻を地面に投げ捨てて、踏みつぶしてしまった。一瞬、赤い火の粉が散って
すぐにそれは消えてしまった。
352名無しさん@ピンキー:2010/07/08(木) 22:01:29 ID:YPUrijHO
「じゃあな、これであんたも晴れて社交界デビューができるってことだ。あんたとあん
たの親父さんから受けた依頼はこれで終わりってことになるな」
 男は手をズボンのポケットに突っ込むと、精気の失せた表情のまま、部屋を出ていこ
うとした。
「待って……ねえ、もしも私がまた太ってみっともない身体になったら、そのときはま
た、誰かと入れ替えてくれるんでしょ?」
 娘の厚かましい願いに、男は振り返ることもせずに、ぱたぱたと手を振って、そして
歩み去ってしまった。

『……そうだ、もしも俺が心のかたちを整えるって術の方を使えていたのならなぁ』
 男の自嘲はそれっきりで、あとはそれきり、男は何も口を開くことはなく、街中の灯
りによって作られた暗がりの中へ紛れて、そしてそれきり再び姿を現すことはなかった。

 おわり 
353名無しさん@ピンキー:2010/07/08(木) 22:05:36 ID:YPUrijHO
と、まあこんな感じです。ちょっと以前には、あるTSFの板で合意の肥満化
(痩せてる方が太ってる方に脂肪を譲ってくれって頼むの)のSSも書いたこ
とがありますが、まあ、こういうのも久しぶりだなって思います。
ただ、個人的には嫁と姑の入れ替わりのドロッドロなやつを読んでみたいなど
と強く思うのですね。
それじゃあ、また。
354名無しさん@ピンキー:2010/07/08(木) 23:08:38 ID:7osSQPBR
GJ
嫁と姑の入れ替わりは保管庫にあるはず
ただしすげかえ
355名無しさん@ピンキー:2010/07/09(金) 01:04:17 ID:YLoA8av2
GJダス
精神が歪んだ女が美しくなる話は面白いなw
自分はドMなのかw

「太りやすい人」「太りにくい人」は
何でも↓の記事によると褐色脂肪細胞量が影響してくるらしい
褐色脂肪細胞っていうのは白色脂肪細胞の逆で
蓄えた栄養を燃焼する脂肪らしく
これが多いと太りにくい体質になるらしい
痩せの大食いの子からこの褐色脂肪細胞奪って
体系が交換していくの想像するとグッと来る


痩せの大食いの原理
ttp://www.spitz8823.com/diet/topix2.htm
356名無しさん@ピンキー:2010/07/09(金) 17:17:22 ID:dmHAdMph
GJ
文章も話の流れも好きだわ
やっぱ上手いね

357名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/10(土) 23:27:09 ID:PaWe9IKy
>>353 そのTSF板の名前のヒントをくれませんか?
40年さんの作品はどれも俺にストライクなので、とても読みたいんです
358名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 00:24:45 ID:yJBEpKn2
>>357
40年さんではないが
掲示板ではないけど似たような話では
ttp://www004.upp.so-net.ne.jp/ts-kenkyuujo/story2/niku.html
では?
359名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 00:28:03 ID:3DCH9VcC
いつも、読んでいただくばかりでなく、あたたかなご感想までいただいて
しまって本当に恐縮です。それでは個別にレスさせていただきます。
>354さんのおっしゃる作品は、既読でしたが、あの作品は何度も繰り
返し読み直すほどの良さがありました。自分の嫌っている義母に、若く肉
感的な肉体を奪われて、そしてダンナとの夜の営みまで奪われてしまう。
まさに、私の選ぶ最高の入れ替わり作品の一つだと思います。作者さんは
神だろうか、いや、神です。
>355さんの提供してくださった記事もまた、良かったです。直接、ス
タイルやプロポーションを奪われなくとも、間接的にじわじわと変化して
いき、数年後には……という遅効性の入れ替わりもまた、乙なものがあり
ます。とくに、「私って太りにくい体質なのよね、えへへっ♪」などとフ
トドキを申す娘には、とくとその効果を味わってもらいたいものです。
>356さん、ありがとうございます。本当に、そんなに褒められたモノ
ではないのですが、そんなに言ってくださると自然に頭が下がる思いです。
これからもがんばらせてもらいますね。
>357さん、ヒント……というか、その、「不用心の代償その2」と検
索してみてください。筆者の「長束」とはTSFを書く私のことです。で
も、くれぐれも「その3」まではお探しになりませんように。きっと時間
の無駄だったと後悔されますので。
それでは、長々と失礼をしました。
360名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 00:41:11 ID:3DCH9VcC
追記です。
>358さんのおっしゃる作品についてはもちろん、私のものではありま
せんが、ずっと以前に既読でして、あれもまた、趣のある良作でした。
……ついついその続編がないものか、と期待したりして。
361名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 01:52:01 ID:xXPhbyuO
>>358 親切にありがとうございます
読ませてもらいましたけど ストライクでした とても良かったです

>>359 ありがとうございます やはり40年さんの作品は最高です
362名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 09:28:12 ID:ByrgRCd+
>>353
40年さん乙!
俺は肥満化スレの住人でもあるのですげーツボだった。
363名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 18:20:16 ID:Nm5dNNFb
良作続きで嬉しいですね。
364名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 21:36:31 ID:BBa/R3ZY

     ...| ̄ ̄ |< 保管庫の方はまだかね
   /:::|  ___|       ∧∧    ∧∧
  /::::_|___|_    ( 。_。).  ( 。_。)
  ||:::::::( ・∀・)     /<▽>  /<▽>
  ||::/ <ヽ∞/>\   |::::::;;;;::/  |::::::;;;;::/
  ||::|   <ヽ/>.- |  |:と),__」   |:と),__」
_..||::|   o  o ...|_ξ..|:::::::::|    .|::::::::|
\  \__(久)__/_\::::::|    |:::::::|
.||.i\        、__ノフ \|    |:::::::|
.||ヽ .i\ _ __ ____ __ _.\   |::::::|
.|| ゙ヽ i    ハ i ハ i ハ i ハ |  し'_つ
.||   ゙|i〜^~^〜^~^〜^~^〜|i~
   ...||            ||
   ...||            ||
365名無しさん@ピンキー:2010/07/12(月) 01:30:02 ID:56IILxkm
オプーナを購入&食べる権利を頂いたものですが
保管庫更新しました。

更新されたものには「NEW!!」がつけました。

投下してくださる皆さんに感謝!
366名無しさん@ピンキー:2010/07/12(月) 18:17:40 ID:56IILxkm
申し訳ない、ageてしまってた
いま気付いた
367名無しさん@ピンキー:2010/07/12(月) 21:26:49 ID:a7ForGk/
>>365


         ,. -''' ´ ̄` '''- 、
        /          \
      __/     ::::\::::::─    ヽ
   / ′   <●>:::::<●>   ` ̄`ヽ
   {         (__人__)         } よくやった
   `ーl                    ノ  私をぷにぷにする権利をやる
   r''⌒`丶、           `‐t‐''´
    !       \              /
    ヽ        \       , イ
    \      `L__,, -‐'´  |
      \      ノ \       !
        `'ー--‐'′   \__,ノ
368名無しさん@ピンキー:2010/07/12(月) 21:29:18 ID:VbzkCiF5
>>367
おまえのせいで本物の顔が思い出せなくなったぞ・・・
369名無しさん@ピンキー:2010/07/12(月) 21:39:33 ID:YxgKKBGR
       /|
       |/__
       ヽ| l l│<ハーイ
       ┷┷┷

顔はこれだ
370名無しさん@ピンキー:2010/07/12(月) 22:04:13 ID:WLuLcy8E
リレーSSかなんかでもできねぇかねぇ
371名無しさん@ピンキー:2010/07/12(月) 22:27:34 ID:FEFYtXLa
リレー小説は書き手の趣味が混在するから
よほど偶然趣味思考のあった人間が引き継がない限り絶対破綻するぞw
372名無しさん@ピンキー:2010/07/12(月) 23:56:34 ID:OQzkyOsH
捕食スレでしつこい妨害にあったのを思い出した
373名無しさん@ピンキー:2010/07/13(火) 12:55:11 ID:ab3Vwa8S
シリウス別冊雑誌ネメシスにおがわ甘藍の親子入れ替わりモノ
「ママはチャイドル」が連載開始

って、次回は十月発売なんか……
374名無しさん@ピンキー:2010/07/13(火) 14:52:35 ID:EQUr4lWq
それってどっかの携帯配信していたやつでしょうか?
375名無しさん@ピンキー:2010/07/13(火) 19:22:55 ID:ab3Vwa8S
>>374
第一話を試し読みできないんで確認とれないけど
携帯版は一話だけの読み切りと
タイトルを変えた続編が前中後編があるみたいね。

で、ネメシスのは読み切り時のタイトルで二話同時掲載していて
続くとなっている。
また、二話めの内容は試し読みできる携帯版続編一話とはちがうっぽい。

つうか、こういった携帯コミックモノは買う気がないので
とっとと単行本にならんかなあ…
376名無しさん@ピンキー:2010/07/14(水) 13:06:57 ID:cO+YyRup
おねがいマイメロディの
「ナイスバディになれたらイイナ!」って話はここの住人だとツボだろ
377名無しさん@ピンキー:2010/07/16(金) 09:59:46 ID:D36E6Z1X
女同士の入れ替わりAVってありますか?
378名無しさん@ピンキー:2010/07/16(金) 19:57:42 ID:lFCUHndY
絶代雙嬌って香港の映画が該当っぽい。
でもyoutubeでも予告しかないね。
379名無しさん@ピンキー:2010/07/16(金) 23:35:15 ID:wz3AhoE0
>>378
その映画がDVDで日本語吹き替え付きで出てくれたら、
最高なのになぁ、予告見た感じでは今年の商業作品では
エース級になりそうだ。
380【おばあちゃんの日 10話】:2010/07/17(土) 00:40:27 ID:VL6r0H5E
麻由美は慌てて室内を見回したが、どこにも祖母の姿は見あたらない。
この部屋にいるのは麻由美本人と目の前にいる着物姿の少女二人だけだ。
1分も目をつぶっていればその間に祖母とこの少女…たぶん、隣の部屋にでもいたのだろう…が入れ替わることなど簡単かもしれないが、そんなことをする意味が分からない。
「ねえ、あなた、一体だれ?おばあちゃんは、どこに…あ?え?あれ?あれ、声が…」
しびれをきらすように少女に問いつめようとした麻由美は自分の異変に気づいた。
「な、なに?こ、声が…」
いつも聞き慣れているはずの自分の声とは思えなかった。
声変わりは終わっていてもまだ甲高いところが残っている女子高生の声ではない。
ハスキーどころか、しわがれているといってもいいこの声。
「ほらほら、麻由美。これをみてごらん。」
目の前の少女が手鏡を差し出してみせる。
見覚えのない少女がなぜ自分の名前を知っているのか、怪しむ間もなく、その鏡を覗きこんだ麻由美は再び驚かされることになる。
見慣れすぎている自分の顔が映っていていなかった。
少なくともそこに映っているのは16、7歳の少女の顔ではない。
生気に乏しいくすんだ土色の肌、しかもそこにはまるで畑の畝のように幾筋もの皺が刻まれている。
頭の方も、総白髪とまでいかないまでも白髪混じりというより白い髪の中にところどころ黒いものが混じっているといい有様だ。
鏡に映っている顔はどうみても老婆、それも70歳前後のものとしか思えないものだった。
「な、なんなの。この顔…」
そう呟く声もまたしわがれたままだ。
「まだ分からないのかい。麻由美。まあ無理もないことだけど。」
少女の声で麻由美は我にかえった。
そういえば、この少女は何者なのだろう。そして祖母はどこにいったのか?
「あ、あなた、だれ?それにおばあちゃんは?それになんであたし、こんなことになってるの?」
「ちょっと落ち着きなさい。麻由美。おばあちゃんがさっき言ったこと思い出してごらん。」
381【おばあちゃんの日 11話】:2010/07/17(土) 00:42:40 ID:VL6r0H5E
その言葉に、麻由美は少女が着ている着物が先ほどまで祖母が着ていたものと同じであること、そしてその話し方がこの年頃の女の子にはそぐわない、別の言い方をすれば祖母のそれにそっくりであることに気づいた。
「そ、そんな、まさか…」
脳裏に浮かんだ想像を麻由美は信じられなかった。
確かに祖母はあんなことを言っていたけど、現実に起こるなんて。
「まだ信じられないみたいだね。けど、おばあちゃんは言っただろ。年齢を交換するって。」
その言葉に、麻由美は少女の顔を見つめなおした。
確かにその顔は、16、7歳、麻由美と同じくらい。そして鏡に映っていた老婆の顔は70歳ぐらい。これは祖母の年齢だ。
「じゃあ、本当にあなたおばあちゃんなの?」
「分かったみたいだね。でも若いだけあって呑み込むのが早いねえ。」
「で、でも、こんなことが本当に起きるなんて、おばあちゃん、何をやったの?」
「うふふ、麻由美には悪いけど、それはちょっと秘密だよ。それより麻由美にも分かってもらえたわけだし、一度元に戻そうかい。ほら、ここに座って目をつぶって。」
言われるがまま、少女の前で目をつぶる麻由美。再び1分ほど経過し
「麻由美、もういいよ。」
聞き覚えのある声に目を開ければ、あの少女はおらず、かわりに祖母の姿があった。
「おばあちゃん、あ、そういえば!」
まだ床においたままになっている手鏡を覗き込めばそこには見覚えのある自分の顔。
「も、元に戻ってる。で、でもこれって夢じゃないんだよね。」
「さっきまでのことは夢でも目の錯覚でもないよ。本当におばあちゃんと麻由美の年齢を交換してみせたのよ。」
382名無しさん@ピンキー:2010/07/17(土) 09:00:17 ID:7l4u7vNA
おばあちゃんの日の人キター
383名無しさん@ピンキー:2010/07/18(日) 03:20:22 ID:O4xKJYJx
GJ
384名無しさん@ピンキー:2010/07/20(火) 17:43:18 ID:LSAv9+B9
AV女優と熟女AV女優の入れ替わりが見たい。
385名無しさん@ピンキー:2010/07/20(火) 19:09:55 ID:Yhj797VU
ageてるのは同一人物か?
架空のAV女優ならいいが、実在人物の話題は基本的に板違い
このへん行ってこい

AV総合
http://set.bbspink.com/avideo/

AV女優
http://set.bbspink.com/avideo2/
386名無しさん@ピンキー:2010/07/20(火) 23:25:52 ID:e5yn6saI
このスレのその1辺りじゃ
小倉優子と中森明菜の入れ替わりとかあった気がする。
どっちでもいいんじゃね?
387名無しさん@ピンキー:2010/07/21(水) 04:29:20 ID:w/Uo+rIj
いやないぞそんなもの
388sage:2010/07/21(水) 16:11:05 ID:jsfho6J1
麻美ゆまの入れ替わりどう?
389名無しさん@ピンキー:2010/07/21(水) 19:59:54 ID:u1y/gLKN
>>387
俺もどこかで見た記憶はある。
確かTS掲示板の女同士入れ替わりスレじゃなかったけ?
390名無しさん@ピンキー:2010/07/22(木) 12:25:39 ID:xBBJ87iD
どっちにしろすれ違いじゃないか?
391名無しさん@ピンキー:2010/07/23(金) 22:01:09 ID:+8WTcpSp
肉体というわけじゃないけど、その人の無意識な行動とか癖を入れ替えるのってスレ違い?
392名無しさん@ピンキー:2010/07/23(金) 22:47:31 ID:qOsQfmtQ
特に問題ないと思う
どうぞどうぞ
393名無しさん@ピンキー:2010/07/23(金) 22:58:43 ID:1pkHH/dw
>>391
俺も良いと思う。ぜひどうぞ。
394名無しさん@ピンキー:2010/07/25(日) 23:48:27 ID:CVC9EjnH
>>391
楽しみにしてるので是非書いてほしい。
395【おばあちゃんの日 12話】:2010/07/26(月) 20:42:00 ID:P85LNw1Y
「でも、おばあちゃん凄いよ!こんなことができるならなんで秘密にしてたの!?」
「こんなことができるから秘密にしていたのよ。それに、麻由美が思っているほど便利なものでもないしね。」
どのような方法で年齢を交換するのかこそは教えてもらえなかったものの、この年齢交換に関する条件などを麻由美は説明されることになった。
「あくまでできるのは年齢の交換だけ。69歳と16歳という年齢をそのまま入れ換えるだけだから、10歳とか20歳とかだけ交換するわけにもいかないの。
それに年齢を交換する両者がそのことに同意しないといけないのよ、何も知らなかったりいやがっている人間を相手に無理矢理年齢交換はできないわけ。
だから、年齢交換する相手に事前に何が起きるか説明しないといけないの。こうなると何時でも誰とでも年齢交換ができるわけじゃないことは分かってもらえるわね。
それに、誰とでもこんなことができるわけじゃないわ。こんなことができると知られたら、それを秘密にできない人もでてくるでしょうし。
そもそもこの年齢交換、効果は6時間しかもたないのよ。」
「6時間…たったら元に戻るってこと?」
「その通りよ。だから使い所がますます難しくてね。6時間というのはちょっと遊ぶには充分だけど、何か本格的にやるには短すぎるから…おばあちゃんにしてみても、ちょっと遊んでみる程度しか、使い道はなかったわけ。
だから、30代ぐらいまでは、ちょっと遊んでみることもあったけど、その後は本当使うことはなかったわけ。」
「でも、それだって凄いよ…でも、それっておばあちゃんしか使えないの?」
「うふふ、麻由美も使ってみたいだね。でも、教えるのはもう少し後にしておこうかい。」
「教えるってことはあたしにも使えるってこと?」
「さあ、それは後にお楽しみにしておこうかい。それより、麻由美。もう一度、年齢を交換してくれるかい?」
「うん、いいよ。おばあちゃんだって若い身体の方がコンサート楽しめるだろうし、6時間経てば元に戻れるんだしね。」
こうして、再び年齢を交換し、16歳となった祖母、ここまでで思わぬ時間をくったということもあり、とりあえず麻由美の服のうち、動きやすいカジュアルなものを借りると急いで家をでた。
一方、老婆の身体となった麻由美。誰か来たり電話があっても居留守を使ってもいいが、万が一、直接対応しないといけない時に備えて、祖母の服を出してもらっている。
当たり前のことだが、70近い老婆には、普段着とはいえ女子高生向けの服は明らかにちぐはぐだ。
「う〜ん、やっぱり着替えておいた方が良いよね。その時になって慌てるより。」
着替えるだけならどこでもいいはずだが、普段の習慣からか、麻由美は祖母の服をもつと、自分の部屋へと向かった。
396名無しさん@ピンキー:2010/07/26(月) 23:34:46 ID:KYWetlAM
乙乙!!これは続きに期待せざるを得ない
397名無しさん@ピンキー:2010/07/27(火) 06:13:14 ID:O11ZbedL
これは期待して続きを待つしかないね
398名無しさん@ピンキー:2010/07/27(火) 22:48:13 ID:Z6j1L/rY
これは続きが楽しみ
399名無しさん@ピンキー:2010/07/28(水) 23:35:03 ID:KG0J4kvf
GJ
400【おばあちゃんの日 13話】:2010/07/30(金) 22:28:14 ID:IcDfGrPw
祖母の部屋から廊下までは普段とそれほど変わりなく進めたはずだが、階段を登ろうとした瞬間違和感に気づく。
いつもの力加減で脚を上げたはずなのに、爪先は階段の次段どころかその半分もあがっていない。
「あ、あれ?」
いつもは急いでいれば、一段飛ばしで登っていたはずなのに。
脚を力を入れて爪先を持ち上げようとした瞬間、麻由美は痛みを覚えた。
しかし、それは爪先とか足首とか膝とか腰だけに留まるものではない。
「あいた!」
全身に棘が刺さるかのような痛み。
思わず身体の制御を失い、倒れそうになるが、幸か不幸か階段に手すりにつかまり倒れることこそ免れる麻由美。
「あいたた…な、なんなのよ。なんでこんなに痛いの?」
そう呟いた瞬間、視界の隅を横切った皺だらけになった自分の腕をみて、今の自分の身体の状態に気づく麻由美。
「ふむふむ、なるほど〜。おばあちゃん、何をするにも身体痛い。身体が痛いって言ってたけど。こういうことだったのか〜。」
理屈で知っているのと自分で体験したのとでは理解の幅が違いすぎるのは当然のこと。
70前後の老人の身体では階段を登るだけでも一苦労としった麻由美は手摺にしがみつきながらも慎重に階段を登りどうにか自分の部屋へと辿り着いた。
401名無しさん@ピンキー:2010/07/30(金) 23:25:26 ID:RwZpay0y
乙です。次回も期待してます。
402【おばあちゃんの日 14話】:2010/07/31(土) 00:06:22 ID:b26zeCN4
「まさか、自分の部屋にいくまででこんなことになるなんてねえ。」
普段の3倍以上の時間をかけてようやく部屋へと辿りついた麻由美。
幸いというべきか、握力こそ、それほど変わらなかったのかドアの取っ手はすんなりと回ってくれた。
もってきた祖母の服をベッドの上におくといつものように服を脱ごう…としてその動きが止まる。
痛いどころの話ではない。四十肩とか話では何度も聞いているが、腕が肩から上になかなかあがってくれない。
これでは今着ているブラウスを脱ぐことさえ困難だ。
「わわ、おばあちゃん達の身体ってこんなに動かないもんなんだ。」
一緒に暮らしているとはいえ、やはりその辺は本人でないと分からない世界だ。
それでも、身体を捻ったりくねらせたりなんたらかんたらでどうにかブラウスを脱ぎ、そしてブラジャーをハズしてみると
「お?おおー?!これって…」
自分の身体が老婆のものとなっているのは分かってはいても裸になってみるとまた新たな驚き。
「おー!これがおっぱいが垂れてるってヤツか。おー!」
元より成長過程でまだ垂れるとかいうものとは無縁の世界だった麻由美にしてみればそれはまさに未知に体験に他ならない。
「わー!ホントに垂れてる。わー!不思議な感じオッパイが垂れてるなんて。おー!」
豆腐サイズのレジ袋のような垂れ下がったそれを軽く持ち上げながら、しみじみといった感じで呟く麻由美。
「おっと、こんなところで感心してもいられないし。」
慌てるようにして祖母の服に着替える麻由美。幸いと言うべきか、老人向けの衣服だけに着やすいデザインになっているらしく、初めての麻由美でもすぐ身につけることができた。
「ふうん、これがおばあさんになったあたしかあ・」
先ほど前のハイティーン向けファッションとは違い、地味ではあるがその分年相応の衣服を纏った老婆…70歳相当となった麻由美の姿はそれほど見苦しいモノではない。
ある意味、女子高生の意識が宿っているせいだろうか。その表情はある意味屈託がなく、可愛いおばあちゃんといった感じだ。
「えへへ、あたしって、歳をとってもまんざらじゃないよね…でも…」
こうなると髪型がまだ女子高生っぽいことが顔つきや衣服と違和感バリバリだ。
部屋のブラシやヘアピン、髪留めゴムを手に取ると、麻由美は少々おぼつかない手で自分の髪型に手を加えだした。
403名無しさん@ピンキー:2010/07/31(土) 12:12:20 ID:KQxJYg0K
おっぱいのくだりいいね!
404名無しさん@ピンキー:2010/07/31(土) 22:13:49 ID:XM5CBXiM
 駅からもバス停からもずいぶんと離れた廃寺にて、夜更けの事。
 スカーフで頭を覆って、色合いの濃いサングラスを掛け、コートの襟を立てた女が廃寺の
一堂へとやってきたのはもちろん意図あってのことだった。
 女は引き戸を開けて、堂の中を覗きこむ。
「ほえへへ、お客さんたぁ久しぶりのことだにぇえ」
 半ばまで葉の抜け落ちた老婆の声が暗がりの奥から響く。その声に、女はびくん、と身を
竦めながらも、目的の人物になんとか行き会えたことにほっと胸を撫で下ろす。
「ようやく、ここまで来ることができたわ。それで、あなたが『顔の売人』なのね」
 返事に置き換えて、老婆はマッチを擦り、太い蝋燭に火を灯した。
「いっひひひ、左様さ。金さえ積んでくれれば、あんたがどんなに二目と見られないような
くされた面構えをしていようとも、見映ぁのいいのに付け替えてやりますですよぉ」
 まっ白い頭に皺くちゃな赤ら顔の老婆は薄汚れた巫女装束に身を包み、手足や首など肌の
露出する部分には隈なく包帯を巻き付けて、折り畳むように背を丸めたままに、目の前に立
ち尽くす女へと狡猾そうな視線を投げかけていた。
 しばらく、立ったままで言葉もなかった女は堂の板間にどん、と腰を下ろすと、ふん、と
鼻を不愉快そうに鳴らして、その顔を覆っているものを一つ一つ、剥ぎ取っていった。
 さあっ、と雲が流れてその切れ間から堂へと月光が降り注ぐ。
 老婆は、ひしゃげた眼を丸くしてその女の顔を覗きこみ、ほお、と声を上げていた。
「……さあ、どうよ、誰が醜い顔をしているっていうのよ」
 こぼれおちた前髪の下には妙齢の女性の女優をも凌ぐ美貌が現れていた。切れ長の大きな
瞳に高い鼻梁、引き締まった形良い唇と、そこから覗く白く輝く白玉の歯。顎は形よく尖り、
そのすっとした頬には大人の女の野趣と、清楚な令嬢の気品とが和合して存在していた。
「ふえっへっへ、そうは言うても、ウチじゃ顔を買い取るなんてのはしておらんでなあ」
 老婆は、あくまでも話の有利を相手に渡さない。
「ええ、わかってるわよ。私だって本当はこの顔を失うだなんて絶対、嫌。だけど、それは
通らないからこそここに来たのよ」


405名無しさん@ピンキー:2010/07/31(土) 22:15:20 ID:XM5CBXiM
 女は、さる大企業の会長に囲われていた愛人だった。
その類い稀な美貌と手練手管でもって、男の心を意のままに操り、並の勤め人に十倍するよ
うな高額なお手当金をあてがわれて優雅に暮らしてきたのだったが、ある日、女の本拠を突
きとめた会長の正妻にいきなり襲われて、もみあっているうちに反対に彼女の事を殺してし
まったのである。
「このままじゃ、直に捜査の目に見つかって、私は檻の中に女盛りを繋がれてしまうことに
なるでしょうね」
 女は忌々しそうに実情を吐露していた。それに対して老婆の方は、何も口にせず、ただに
やにやと貼り付いたような笑いを顔に作るばかりであった。
「それに、整形手術しようったって、無駄なことよ。そこに捜査の手が及ばないはずはない
でしょうし、第一、私はこの完璧な顔にメスを入れられるなんて想像もしたくないのよ」
 女の自惚れは、あながち自意識過剰とも言い切れない美貌を保持しているからこそのもの
であった。
「へっへえ、それでここに来なすっただえ、どこで聞き付けなったかぁ知らんけどねえ」
 老婆は、板の間の脇によけてある文机に膝でにじりよると、その引き出しから銀色の鍵を
取り出していた。
「すなおに、顔を直してもらったが良かったと後悔することにならにゃええがね」
 床の一隅に鍵を突きたてると、そこががぱん、とバネ仕掛けにせり上がって、物置棚とし
ての様相に早変わりしたのである。
 うず高く重ねて積み上げられたのは桐箱で、その横には年季の入った鏡が置いてある。例
えれば、小商いの駄菓子屋の奥にずん、と積まれたプラモデルの箱のようだった。 
 並べて重ねられた桐箱にはそれぞれチャコで二百万とか、六千万とかいった数字が書いて
ある。おそらく、それは値段のことであろう。
「へへへ、それでもなんでも、まずは見てもらわんことにゃ話になりんせんもんなあ」
 老婆は、そのうちの一つ。四百万と書かれた箱を開いてみせた。
 中に入っていたのは一面の能面(のうおもて)に模した女の顔だった。
406名無しさん@ピンキー:2010/07/31(土) 22:16:36 ID:XM5CBXiM
「どうぞ、手に取ってみしゃぁ」
 老婆の勧めにさして怖がる様子もない女はそれを手に取って、そして口を尖らせた。
「なによ、こんなくだらない顔」
 女はそう言って貶すが、その顔は別に見てくれがさほど悪いわけでもない、ごくありふれ
た成人女性のそれだった。
「こんな安物の顔に付け替えろだなんて馬鹿にしてるにも程があるわ」
 女はそれを、さもつまらないもののように、からん、と投げ捨ててしまう。
「ふえへへ、そうは言うてもお前さん、先立つものをまだワシに見せてくれておらんではな
いかね」
 老婆は指で輪をつくって女に指し示す。濁った白目がほとんど黄ばんだ色になっているの
がまた、醜怪だった。
「私はね、足元を見られるのが嫌いなの。だから、掛け値なしで話をしてくれなきゃ困るの
よ、わかる?」
 言いつつ、女は手にしていた大型のトロリーバッグからずるっと、封緘されたままの万円
札の一把を九つ、取り出した。
「都合、九千万円ね。現金は口座が閉じられる前に出しておいたから、これで全部、と。そ
れから……」
 取り出したスーパーのレジ袋の中にざらん、と詰まっているのは貴金属や宝石の類いだっ
た。箱はなく、あくまでも指輪やネックレスなどがごっちゃりと、まるでビー玉かおはじき
のように詰め込まれていた。
「一流デザイナーがどうの、限定品がこうのと、講釈垂れるつもりもないわ。だいたい捨て
値で三億円くらいのものよ。現ナマだとかさばり過ぎるからこうさせてもらったけど、これ
じゃあ足りないかしら」
 本来の値段はその十倍にもなる品物だったが、それもこの非常時には仕方のないことであ
る。女には金銭欲に執拗なものはなさげな様子だった。
「へえへえ、それはなにより、カードなんて持ち込むようなばかちんでは、とも思いました
が、それなら結構ですな」
 老婆は滴る涎を掌にも巻かれた包帯で拭いながら、箱の中でも特に別の段に重ねることな
く丁重に保管した一つを取り出し、女に提示した。
407名無しさん@ピンキー:2010/07/31(土) 22:17:28 ID:XM5CBXiM
「げへへ、一億円の顔でっせ」
 箱の中に収められていた顔にはさらに絹布がかけられており、老婆はそれを丁寧に女へと
手渡した。
 女は、ふむ、と頷き、その顔をしげしげと眺めた。
 それは十六、七歳ほどの少女の顔であった。造作は派手派手しくはなかったが、目鼻立ち
は整っており、清楚さだけならば今の女自身のそれをも凌ぐ儚げな様子の顔だった。
「……うん、悪くはないわね。可憐だわ。今はまだ蕾だけど、花開くのもそう遅くはない感
じね」
 女は、角度を変えてその顔の様相や黒子、シミの有無さらにはその、将来の展望にまで目
を配っていた。さながら、能楽者が舞台前に能面から「位取り」をする様だった。
「……だけど、ねえ、もしも、私のこの顔を売り物にするんだったら、あなたならいったい
いくらの値を付けてくれるの?」
 女の視線には蝋燭の炎が絡まって捻じれる様な光が灯っていた。
 老婆は、ふと、片眉に思案の縦皺を寄せていたが、おもむろに片手を開いて、
「五億円が……ところかねぃ」
 老婆の説明に納得したように女は大きく頷いた。
「でしょう、それなのに私が今からなろうとするのがその五分の一の価値しかないような顔
じゃあ、ちょっとそれは悲しいとは思わない?」
「まあ、まあ、そりゃ、あんたのものが良すぎているわけだから、そこのところは仕方がな
いとしてみてだよぉ、物は試しに、その顔着けてみちゃどうだい」
 老婆は茶菓子でもすすめるかのような調子で女に顔を着けるよう促した。
「まあ、それは……いいとして、で、どうすればいいのよ、これを」
 と、自分の眼前にまでその少女の顔を持っていった女だったが、その顔にちょっとそれが
触れた瞬間に、
「ひっ……やややぁ!」
 顔はびたっ、ずずずと女の顔に吸着してしまった。
「ほっほほほ、この反応を見るのもまた、この商売のキモさね」
 女は必死にそれを引き剥がそうとするが、まるで根付いてしまったかのように取ることは
かなわない。じゅわん、じゅわん、と気色の悪い融合のうねりを続けるばかりである。
 と、一分もまたずして、である。
「ぷっはあ、何よ、これ、やっと取れたわ」
 女は、さきほどまでよりも幾分か高く、幼さをもった声を漏らしていた。
 はっ、と即座に女はその違和感に気が付いて、そして老婆の差し出した円鏡をひったくる。
408名無しさん@ピンキー:2010/07/31(土) 22:18:17 ID:XM5CBXiM
「これが、私なの……」
 嘆息する女の前髪の下に覗く顔は、先ほどまでのものとはその径も色もまるで違っていた。「ほほ、なあに、良くお似合いですよぉ」
 鏡の中に映る瞳は、先ほどまでの切れ長なものより、もっと円らで、長い睫毛の中に静か
な澄みを湛えるものだった。柔和でおだやかな印象を見ている女自身に与えるのは、造作が
まだ未成熟であるから、とも言えた。
 女が眉を引き寄せれば鏡の中の少女が同じように顔を動かす。口を尖らせれば、少女も口
先をぷいっと、むくれるような可愛らしい表情を作った。
「なるほど、並の容姿の女だったら、これは一億の値を付けてでもぜひとも手に入れたいも
のであるかもしれないわね」
 言いつつ、女は目をしばたかせて鏡を顔に近づけていった。
「でも、ちょっと、この目には近眼の気があるかもだわ」
「んん、でも、それくらいならちょっくら矯正すれば済むだけの話でねえ」
 老婆は言いつつ、女の膝もとに引き剥がされた顔を手に取った。
「そんで、ほれ、こんな感じであんたの顔はこの面に移されるんですわなあ」
 老婆の示す顔は、女が今までずっと親しんできた生活を共にした顔だった。
「なるほどね、面白いものね。仕組みのほどはわかったから、それじゃあ私にふさわしい顔
というものをくれないかしら」
 女の要求に、老婆はあわてないように、と軽く手を振る。
「ひゃっはは、あんたもよくよく肝が据わっておるようだ。なら、さあ、これもいい機会だ
でよ、今まで経験したこともないことをしたら、どうだ、ん?」
 老婆は、今度は雑多と積まれた箱の中で、ぞんざいに扱われて箱が割れてしまっているよ
うなものをいくつか、今度は運んできた。
「経験したことのない……どういうことよ」
 少女の顔と声とでは、さきほどまでとはまるで印象が違う女だった。これならば、どんな
に指名手配の網の目を細かく張ろうとも彼女の発見は不可能であろう。
「そうさ、あんたみたいな別嬪は自分の顔が醜くなるっちゅうことには未体験じゃろうし、
また、なろうとも思わん事じゃろう」
 言いつつかぱん、と開いたのは、さきほどのものと比較すれば雲泥の泥のほう、程度が悪
いのも甚だしいほどの醜悪さをもった中年女性の顔だった。
「でも、簡単にできるもんなら、それもまた面白かろ?」
409名無しさん@ピンキー:2010/07/31(土) 22:19:17 ID:XM5CBXiM
「へえ、面白いじゃない。どうせ慌ててどうこうでもないし、私もそんな不細工な顔をして
みる機会なんてそうそうあるものじゃないわ。せっかくだから試してみようじゃない」
 女は、円らな瞳をひき歪めながら、その中年女性の顔を手にして、そして自分の顔へと押
し当ててみた。
 さきほどのと同じように、顔は女に吸着し、そして剥がれたときには女の顔は見違えるほ
どにだらしなく弛んだ年増女のものへと早変わりしていた。
「うふふふ、どうしよう、私。こんなに醜い顔になっちゃったわ」
 半ば嬉々として、女は野太い声で空気混じりの嬌声を漏らした。
 箱には五千円と書かれていたその顔である。さすがにその安価に見合っただけの醜貌であ
った。眉間がぼってりと膨らみ、目は細く釣り上がり、頬骨は高く突き出して、顎は二重、
おまけに大きな疣までついてくるサービスで ある。もちろん、肌は赤黒く変色しており、
老年と呼んでもさしつかえないほどの肌の荒れようだった。
「げへへへ、あんたも良い趣味しとりますねえ」
 女は、コートを脱ぎ去って、さらにはセーターまでも脱ぎ捨てて、上半身はインナーだけ
の姿になってしまう。
「んふふふ、アンドロギュヌス的ってのともちょっと違うんだけどね、こういうアンバラン
スなものに、古来から人間は惹かれてきたものなのよ」
 醜悪な顔に、さらにおぞましい笑みを張りつけた女は鏡の前にその半裸身を晒していた。
 顔だけを見れば、大年増の姑のようなのに、その下に延長する肢体は女盛りの肌理細やか
な白さとふくよかなバストラインを湛えている。無論、腹や背にも余計な脂肪などは付着し
ておらず、いかなる男をも引き付けられる魅惑の肉体であった。
「ふえへへ、それで、その顔は二度と取れないなんて言ったらあんたさんはどうなさいます」
 老婆の意地悪い言葉にも、女は眉ひとつ動かすことはない。
「ふん、そんなこと。足元を見られるのは嫌いって言ったはずよ。さあ、次の顔を寄越しな
さいよ」
 その顔のおぞましさにもまるで怯むことなく、女は次もその程度のものを要求した。
「へえへ、からかい甲斐もないことで、じゃ、次はこんなんどうですね」
 老婆が次に差し出したのは、もはや老境においても末期の方、歯も眉も全て抜け落ちたよ
うな老婆の顔であった。
「へえ、二千円か。どんどん私、無価値な顔にされてしまってるわね」
 でっぷりと肥満した表情に赤みを与えながら、女はその面を躊躇なく被る。
410名無しさん@ピンキー:2010/07/31(土) 22:20:14 ID:XM5CBXiM
 みしみし、と音を立てて中年女の顔が剥がれ落ちた後には、
「ひひぇっ、これしゃ、まへがみへないじゃないのぉ」
 くしゃっと縦に潰れた老婆の顔がそこに付いていた。口の中には歯は一本も存在せず、に
ちゃり、と粘り気ある唾液が糸を引くばかりである。
「ふへっ、そりゃあ百にも近い婆さんの顔ですもの、目なんてほとんどききゃあしませんわ
いなあ」
「……ああ、なんらってェ」
 勿論、目が遠ければ耳も遠い。
「大年寄の顔ですで、目も耳も、どこもそこもきかんようになってるってですわぁ!」
 その言葉に、女はふがっ、と顔を顰めるが、もともと、表情が良く分からないようになっ
ていて、それがどういう意味の感情表現なのかははっきりとは掴みづらかった。
「へえ、いつまでもそれじゃあ、お話も満足にゃできませんにね」
 言いつつ、老婆は女にさらに別の顔を被せてやった。
「ふう、これなら目も耳も利きそうね。お婆ちゃんはもう、こりごりね……」
 溜め息を吐きながら、鏡を覗きこんだ女の手がぴたり、と止まり、そして、
「い、嫌ぁあああああ!」
 鏡の中に映っていたのは、中年の女のでっぷりとした表情だった。しかし、その様子はさ
きほどの同じく中年女のそれよりは少しは程度が良く、証拠に箱書きにも九千円と記されて
いたのだった。
「ほほ、どうやらお気に召さなかったようですな」
 わなわなと震えながら、女はきっ、と憎悪の視線を老婆に突き刺す。
「気にいるも何も、この顔はっ、このメスブタはっ、私が殺した女じゃないかっ!」
 声を発するのも忌々しいといった様子で、女は老婆に掴みかかろうという剣幕で吠えた。
「まあまあ、これも座興というもんだでね、そうかっかかっかなさらんでも、それじゃあこ
の先逃げ回るのにも先が思いやられるでよ」
「どうして、そんなことが、できるのよぉっ!」
「さあて、それはそれこそ秘するが花ってね、そんなことができる理由を教えることで、足
元を見られるのはワシだって嫌なもんだでねえ」
 くっく、と笑う老婆だったが女は気が気ではない。何しろ、彼女にはこの顔の女が怒りに
燃えて自分に襲いかかってきたところから、花瓶で殴られて、断末魔の悲鳴を上げるところ
までを見ていて、今も脳裏に焼き付いているのだ。まったくもって気が気ではない。
 女は顔を外そうと必死にもがく。
その女の顔に今、自分はなってしまっているのだ。厚ぼったいまぶたも、何度も皺取りを
重ねたであろう頬やこめかみの手術痕も、やや受け口気味になって喋るときには唾が飛ぶ、
そんな嫌な感触を与える口元も、全部が全部。
411名無しさん@ピンキー:2010/07/31(土) 22:27:02 ID:1Sl7GRX8
支援いるかな?
412名無しさん@ピンキー:2010/07/31(土) 22:52:22 ID:XM5CBXiM
「もう、いいわ。たくさんよ。それじゃあ本命の顔を頂戴」
 しきりに今の自分の顔に手をやって、落ち着かない様子を体現している女に、
「へへへ、それじゃ、とっておきですわい」
 老婆は、棚の奥の中に秘匿された塗箱を用意してきた。
「どうぞ、これをお試しなせ」
 女は、今の顔や声から逃れるために、ろくすっぽ確認もしないままにその顔を自分の顔に
あてがっていた。
 そして、数瞬ののち。
「……わあっ、これは素晴らしいわぁ」
 鏡の中に映っていたのは、彼女本来の顔と比較しても、勝るとも劣らない素晴らしい美貌
を湛えた若い女の顔だった。
 おそらくはそのやや褐色の肌が示すように同じアジアでも日本からはかなり離れた方面に
位置する女性のものだとは思われるのだが、アーモンドのように開いた瞳の美しさは、単に
異国情緒と一言では言い表せない強い意志の光と深淵のような深みを湛えていた。
 鼻梁は彼女がしていたものと同程度、頬から顎にかけてのラインや口元の引き締まりで判
断すれば、こちらがやや優勢といったところだろうか。
 無論、黒子や皺、弛みなどはまるで存在しない。年代的にも彼女と同程度なのだろうか。
 機能的にもまるで問題ない。視覚、聴覚、あるいは嗅覚においても彼女自身が生来もって
いた能力を上回っていた。
 表情を作れば、なおのことその素材は真価を発揮した。にこり、と彼女が微笑めば、一種
神々しささえも醸すような素晴らしい微笑が鏡の中に花と映えた。
「これは凄いわ。素晴らしい、悔しいけどこれは、私のそれなんかよりもずっとお値段もい
い顔なんでしょうね」
 少しだけ悔しさをしのばせた口調で女は老婆に尋ねる。
「へえ、そりゃあもう。ここでは一番、なんとも八億円の顔ですからにぃ」
 老婆が相好を崩す。
「でも、それじゃあ私のもってきたお金じゃあ、この代金は払いきれないってことになるわ
ね……」
 そうは言いつつも女は諦めている様子はまるで見せていない。
 じっと老婆に強い視線を送る。
「んん、まあ、そりゃあいいですにぃ、あんたの元の顔を下取りさせてもらうってことにし
てね、あとはこの石っころだけいただいとりゃそれで十分だに、お金なんぞはこれからのあ
んたが生活していくのにも息杖のように必要になりますものさ」
 そう言うと、老婆は女のバッグに札束を戻してやっていた。
413名無しさん@ピンキー:2010/07/31(土) 22:53:10 ID:XM5CBXiM
「なにしろ、あんたはこれから日本人としてあまり見かけない顔になっちまいますもんね」
 老婆はししし、と笑った。
「ふん、だからってどうすることもできないわ。たとえ不法入国の嫌疑がかけられても、そ
うなる前に適当な男をひっ捕まえて結婚でもすればいいのよ。従前戸籍なんてものはいくら
でも偽造ができるでしょうし、ね」
 女は、すでに新しい生活を始めるにあたっての策を講じていたのだった。
「それに、美人はどんなときだって許されるものなのよ」
 いざとなれば、追跡者さえも誘惑してみせる。逃げ切る自信が女には満々だった。
「それでは、商談成立ってことで」
 宝石を手元に引き寄せて、老婆はもう一つだけ、
「っと、ここまできたときに、証拠隠滅だ、なんて飛びかかってくるお客さんなんかもわり
といたりするんだっけえが、にぇ」
 老婆の言葉に女はふふん、と新しい鼻を鳴らして、
「そんなこと、するまでもないわ。私はこの取引に十分満足しているし、これから先、また
あなたを利用する機会があるかもしれないんだからね」
 そして、気付いたように加えて、
「それより、下取りした私のもとの顔はどうするの? もしかしたら、あなた自身の新しい
顔にするのかしらね」
「ほほほ、よう見抜かれましたわい。わしも男が恋しくなった時にゃ、見てくれのいいのん
を使ってますっけねえ」
 言いながら、老婆は白髪頭をぱんぱん、と叩いて照れ隠しをした。
 女は、再びセーターとコートを着込み、サングラスまでを装着し、スカーフを懐に突っ込
んで幾分かは軽くなった大きなバッグを担ぎあげた。
「それじゃ、ね。今夜はずいぶんと刺激的な夜だったわ、きっと忘れることはできないでし
ょうね」
 女は言葉だけを残して振り返ることもなく、暗がりのなかへと消えていってしまった。
「……まあ、また寄ってくれることが、あればいいんだけどね」
 老婆は、ちらりと壁掛けの時計に目をやった。
 すでに、時計の針は午前四時を過ぎていた。
   
414名無しさん@ピンキー:2010/07/31(土) 22:54:03 ID:XM5CBXiM
 老婆は、その日の商売が片付いたことで帰りの身支度を整えていた。
 棚にかかっていたつっかえ棒を取り外し、再びただの板の床へと戻した後に、施錠をして
だれにも分からないようにしてしまう。動作は、さきほどまでの緩慢さが嘘のように機敏な
ものだった。
「……さて、と。今日はなかなかに良い収穫があったわね」
 語調を変化させた老婆は、今まで二つになるほど折り曲げていた姿勢をぐいっと伸ばした。
「宝石はさておき、あの顔ならきっと三億くらいで売ることができそうだしね」
 さきほど五億とはずんだのは、相手に調子を合わせてのことである。商売上の建前という
やつである。
「ふいっ、それにしても、そろそろさらしがきつくなってきたよねえ」
 首筋から胸元に巻き付けてあった白布を緩めると、そこからは控えめながらも形のよい、
たゆん、とした二つの膨らみがせり出してきた。
 同様に手足に巻き付けてあった包帯の下にあったのも節くれだった枯れたものではなく、
肉付きと血色のよい、まことにもって健康的なそれであった。
「私も……そうよね、成長期なんだってことよ」
 アンバランスな老婆娘は頷きつつ、文机にしまってあったもう一つのものを取り出した。
「さあて、それじゃ愛しの自分の顔に戻しましょっ、と」
 老婆の被ったのは若い娘の顔、彼女自身の生来のそれであった。
 みちみち、とその面が皺まみれの老婆のものに変化したとき、その下にある彼女の顔は、
女のものにも、八億のものにも決してひけをとらない溌剌とした美容へと変貌していた。
 そして、老婆が消失してかわってその場に現れた美少女は欠伸を一つ、けだるそうに漏ら
して両手を上に、伸びをする。
「……ん、そろそろ帰って寝ないとね、まさか、また授業中ずっと寝てるなんてしたら今度
こそ先生に大目玉だろうしね」
 ぱんぱん、と膝をはたいて、少女もさっさと堂を出ていってしまった。
 野分だった風が一颯吹いて、残ったものは灰がちな黒の闇ばかり。

 そして、これはその後の余談になるが、警察は指名手配していた会長の妻を殺して行方を
くらませていた女の身柄を拘束することに成功したとのことである。
 捕まった女は自分の顔をすっかり別人へと整形していたのだが、それがまさに国際テロリ
ストとして暗躍していた女のそれだったということで、捕まった彼女自身が驚きを隠せない
様子だったそうである。
 まあ、そのあたりはよくよくどこにでもあるお粗末な話ということで。
 
 
415名無しさん@ピンキー:2010/07/31(土) 22:57:51 ID:XM5CBXiM
 と、すいません。一度に書きこんでしまう予定でしたが、失礼しました
四十年のものです。
 入れ替わりにはちょっと枠外感がありますが、小ネタとしてこんなもの
ができてしまったので、お送りしました。
 と、そんなわけで「おばあちゃんの日」を引き続き、正座して期待待機
なのですね。失礼しました。
416名無しさん@ピンキー:2010/08/01(日) 02:19:45 ID:y/kZ0Ojl
GJ
417名無しさん@ピンキー:2010/08/01(日) 09:02:53 ID:QIf9I7QY
この前得体の知れないオプーナカービィをぷにぷにする権利を頂いたものですが
保管庫更新しました
今度はageないようにします
418名無しさん@ピンキー:2010/08/01(日) 16:33:25 ID:y/kZ0Ojl
        / ̄\
       |     |
         \_/
           |        
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     /  ::\:::/:::: \     
   /  <●>::::::<●>  \   
   |    (__人__)     |     よくやった
    \    ` ⌒´    /     うちに来てヤクルトラーメンを食っていいぞ
 _,r''"ヽ ヽ、.         )  
     `、〓〓⌒ニ⊃〓))))〓、 
  `ヽ、  ,r'"  `ニつ.ー||||| ´ `ヽ、.   
    `/ヘ  ,,ニ〕__|||||_____(^)
        `ィ -´ヽ;''∽∽∽∽∽''⊂ニヽ
       ,ッ'"    \_____/=- )
 ――――――――――‐゙―‐‐"―ヽニノ――
419名無しさん@ピンキー:2010/08/01(日) 20:15:22 ID:IAP1yfGC
>>418
おばあちゃんち思い出すからやめろよ・・・
420名無しさん@ピンキー:2010/08/01(日) 22:24:11 ID:JdcjNrsC
         / ̄\
         |    |
        \_/
          |
       /  ̄  ̄ \
     /  \ /  \
    /   ⌒   ⌒   \      よくぞ言ってくれた
    |    (__人__)     |      褒美としてそこの地味な少女と派手な中年女の肉体を交換する権利を上げよう
    \    ` ⌒´    /   ☆
    /ヽ、--ー、__,-‐´ \─/
   / >   ヽ▼●▼<\  ||ー、
  / ヽ、   \ i |。| |/  ヽ (ニ、`ヽ
 .l   ヽ     l |。| | r-、y `ニ  ノ \
 l     |    |ー─ |  ̄ l   `~ヽ_ノ
421名無しさん@ピンキー:2010/08/02(月) 08:42:08 ID:AELsuyyX
てか保管庫更新→オプーナAAの流れはテンプレなのか

>>415
GJです!!
422名無しさん@ピンキー:2010/08/03(火) 12:35:31 ID:fo1Q8Sa3
>>420
派手な美少女と地味で淑女な中年女の交換の方がいいなぁ。
423名無しさん@ピンキー:2010/08/03(火) 18:28:18 ID:AU3lHYSw
それでは地味な肉体をケバイビッチに変えられて絶望する地味な女の子がみれないじゃないか!


昨日のオカルト学院の最後で
臨死体験マシーンで死後の世界に行ってた女の子が
帰る前に肉体を違う魂に魂に奪われてた展開があったな
424名無しさん@ピンキー:2010/08/03(火) 20:38:39 ID:fo1Q8Sa3
>>423
いあいあ、淑女で不幸なな中年未亡人とが若い身体に宿ることによって、
視野が広くて落ち着いて包容力がありでしゃばらず、ここぞという時には
恋人を助け芯の強さを見せる、大人良さと若い身体をかねそろえた女性が、
誕生するんだよ、これだけでごはん8杯はいけるな。
425名無しさん@ピンキー:2010/08/04(水) 03:32:19 ID:juakfGa/
もう少しオカルト学院が早ければ
マヤが正反対のビッチ女の魂に憑依されるような同人も夏にあったかもな
或いはだんご2兄弟との肉体の入れ替わりとか
426名無しさん@ピンキー:2010/08/07(土) 14:59:14 ID:R65VDmIG
む、止まってしまった
なんかネタない?
427名無しさん@ピンキー:2010/08/08(日) 06:48:19 ID:lZbRF02i
428名無しさん@ピンキー:2010/08/09(月) 01:06:27 ID:XKLnJx3c
少年シリーズの最新話がODだな。
女子高生と女教師のすげ替えものだけど、該当シーンまでが長い。
429名無しさん@ピンキー:2010/08/09(月) 17:40:25 ID:tir9sV9W
ポプリクラブに幽霊憑依モノがあった
430おっちゃん牛乳:2010/08/10(火) 13:53:35 ID:JwN5aucC
お久しぶりです。
最近ずっと規制中なのでwikiに直接投稿させて頂きました。
よろしくお願いします。
ただ、楽しい○△×は完全なる私の遅筆が原因です。
上の方にもいらっしゃいましたが、
お待ち頂いていた方々には深く謝罪いたします。
431名無しさん@ピンキー:2010/08/10(火) 17:10:53 ID:GZo2HJvE
お疲れ様です^^
432名無しさん@ピンキー:2010/08/10(火) 20:39:56 ID:KjHBrgpa
GJ!展開が楽しみです!
ブランチタイム復活してたね。分岐次第でOD行けるから好きだ。
http://ish.sp.land.to/
433名無しさん@ピンキー:2010/08/11(水) 08:58:03 ID:OXgtcHNn
先が期待できるな、GJ
434名無しさん@ピンキー:2010/08/13(金) 21:50:39 ID:6HCbwF4e
今夜のドラえもんネタからで、首すげ替えとかパーツ交換話できないかなあ。
435名無しさん@ピンキー:2010/08/14(土) 12:32:10 ID:KSWbASVm
tst
436【おばあちゃんの日 15話】:2010/08/14(土) 16:24:13 ID:pmmE9cdk
アップにまとめるといっても、入浴時にただ髪をまとめるのとではちょっと意味が違う。
慣れない髪型と言うことで、かなり悪戦苦闘しつつも、ヘアピンとネット付きの髪ゴムを使って、どうにか髪をアップにまとめる麻由美。
姿見の中には無理な若作りなどしようとせず、素直に自分の老いを受け入れた分、上品で可愛い老婦人の姿が映っていた。
「ふうん、これはこれで悪くないかも。映画とかに出てくる上品な老婦人て感じで…それにちょっとおばあちゃんにも似てるかも…孫だから当たり前か。
…でも、言葉遣い、ちょっと変かも。」
見た目も衣服も声も70ぐらいの老婆が、少女のような話し方というのはあきらかにちぐはぐで滑稽といえるかもしれない。
「う、うほん…えーと…こうしてみると今のあたしも、それほど悪くないもんだねえ。おばあちゃんになってみるのも、それはそれでいいもんだねえ。」
普段の祖母の話し方を思い出しながら呟いてみる。
「うんうん、これなら悪くないねえ。あたしも、意外とやれるもんじゃないか。」
老婆という立場を演じることに面白さを見いだし始める麻由美。
♪♪♪♪♪…
と、そこで携帯電話がなりだした。かけてきたのは麻由美のクラスメイトだ。
「…はい…!」
いつもの習慣で、何も考えずに開いた携帯を顔に押し当て、一言で発したところで、麻由美は今の自分の状態を思いだした。
今の麻由美の声は、70歳の老婆に相応しい年老いた声。
いくら電話越しとはいえ、この声の違いを気づかない人間はいないだろう。
慌てて、電話を切ろうとした時、
「え?あれ?…あ、もしかして、麻由美のおばあちゃんですか?」
友人は電話にでたのが、麻由美の祖母だと勘違いしたようだが、それはそれで無理もない。
友人本人ならともかく、その祖母の声まで正確に覚えている人間はかなりの少数派だろう。
電話に出た声がいつもの女友達のものではなく、年老いた女性のものだったら、それはその友人の祖母だと判断するのもある意味当然の流れといえた。
「え、あ、そ、そうですよ。」
つい先ほどまで老婆らしい話し方をしてみておいてよかった。
でなければ、慌てるあまり、いつもの口調で話してしまったかもしれない。
「ま、麻由美は、ちょっと…そうちょっと今手が離せないみたいでね…もうしばらくかかりそうだから、後からかけさせますね。」
友人が勘違いしてくれたことに乗っかって、どうにかこの場を乗り切ろうとする麻由美。、
「ありゃりゃ、そうでしたか。じゃあ、また後でこっちからかけ直しますね。すみませんでした。」
何の疑いも抱いた様子をみせず、友人は電話をきった。
まあ、それが当然だろう。電話の向こうの友人が、女子高生ではなく老婆になっているなど、普通は思わないのだから。
437【おばあちゃんの日 16話】:2010/08/14(土) 16:51:20 ID:pmmE9cdk
「ふう、危なかった…」
閉じた携帯を机の上に置きながら、麻由美は誰に聞かせるとでもなく呟いた。
もっとも落ち着いて考えてみれば、こちらが迂闊なことを話さなければ、たまたま麻由美の祖母が電話にでたと思うのが当然の流れだろう。
「でも、あたしも意外とやるじゃん。すっかりおばあちゃんだと思いこんでいたし…まあ、テレビ電話じゃなくて音声だけだから尚更だけど。
だけど気を付けないとまた同じポカやっちゃうかも。今日は休日だから、いつどこから電話がくるか分からないし。」
携帯の電源を切ってしまおうかとも考えたが、万が一連絡がつかないというのも問題なので、マナーモードにした上で、引き出しの中にしまうことにした。
これなら、電話にでるとしても引き出しから出すというワンクッションが入るから、その間に、自分が老婆になっていることを思い出せるだろう。
「さて、特にやることもないからテレビでもみようかな。」
部屋にもテレビはあるが、他の誰にも気兼ねする必要がない以上、リビングの大きなテレビをみない手はない。
飲み物とスナック菓子を用意してソファに腰をおろし、テレビを見始めると、家の前に、宅配便の車が止まるのが見えた。
ややあって、
ぴんぽーん
チャイムの鳴る音。当然、宅配便からだろう。
先ほどのポカもあるし、居留守を使おうかと思った麻由美だったが、ふと友人が電話で自分のことを祖母だと勘違いしたことも思いだした。
(ん、宅配便ならそこまで細かく家の人間の顔覚えているわけないし、今のあたしがでたって変だと思わないかも…)
先ほど鏡をみた時にも今の自分が祖母と似ていないこともないことに気づいている。
(折角の機会だし、色々おばあちゃんの振りをしてみるのも悪くないかも。)
そう思ってしまえば後は気が軽い。
「はあい。」
話し方だけ気を付けてと自分に言い聞かせながら、インターホンに話しかける。
「どちらさまでしょうか?」
「…あ、すみません。宅配便でーす。」
「はいはい。今出ますからちょっと待ってくださいね。」
玄関に向かった麻由美は、早速カギとチェーンを外して、ドアを開ける。
438【おばあちゃんの日 17話】:2010/08/14(土) 16:53:03 ID:pmmE9cdk
「ご苦労様ですね。」
祖母が出たとしたら、こういうだろうセリフを、ゆっくりと丁寧に口にする。
宅配便の人間は、20代後半のやや長身でがっしりした男性だった。
「えーと、お届けものです。ハンコかサインをお願いします。それと荷物なんですけど、どこに…」
男性がもっていたのは、かなり大きめで重そうな段ボール箱。
老婆になっている今の麻由美はもちろん、本来の年齢でももてそうにない荷物だ。
「ええと、すみませんけど、奥まで運んでもらえますかねえ。」
「はい、かまいませんよ。どこにおけばいいですか?」
「それじゃあ、こっちの…居間の方に運んでくださいな。」
応対したのが、それなりに高齢の老婆ということもあって、配達人の対応もそれなりに気を遣ったものなのが分かる。
(えへへ、見た目からしてそうだから当然だけど、ちゃんとあたしのことおばあちゃんだと思ってるみたいね。)
大したことではないが、期待通りに事態が進んでいるのを確かめると何となく勝利感を覚える麻由美。
「それではどうもありがとうございました。」
「はい、お疲れ様でしたねえ。お仕事頑張ってくださいね。」
ドアが閉まり、軽バンが走り去る音。
「うふふ、やったやった。」
ささやかな勝利に、ジュースで祝杯をあげる麻由美。
「やっぱり、おばあちゃんになってると、人がみる目とか変わってくるよね。でも、他の人はどうなんだろう。」
宅配の人間だけではなく、友人や行きつけのショップの店員、あるいはもっと大胆に学校の先生とか…老婆になっている自分をみた人間の反応も気になってくる。
「…とはいえ出かけるのもマズイかも。」
一応、留守番の都合もあるし、帰ってきた祖母が慌てることがないよう、もう少し準備をしてからの方がいいかもしれない。
(でも、おばあちゃんが次もうんと言ってくれたらの話だけど。)
夕方になって祖母も帰宅し、2人はすぐに本来の年齢に戻ったが、麻由美の頭の中では色々な計画が浮かんでは消えていっていた。
439名無しさん@ピンキー:2010/08/14(土) 18:17:28 ID:CDa5KRXD
>>438
待ってました!

そして情報。
新創刊雑誌すももで憑依モノ連載開始。
440名無しさん@ピンキー:2010/08/15(日) 01:16:44 ID:3ld4C9U1
ttp://comichigh.jp/sumomo/index.html

どれだよ。サンプル見る限りではそれらしいものはないが。
441名無しさん@ピンキー:2010/08/15(日) 02:21:16 ID:yoflyUKQ
442名無しさん@ピンキー:2010/08/15(日) 10:10:31 ID:jL3W3Mcq
>>440
織生あや『恋する乙女の恋愛計画』

巻末漫画なのが気になるが……
443名無しさん@ピンキー:2010/08/15(日) 16:50:47 ID:cODhxe1k
すもも買ってきたよ、純愛憑依物だから俺のストライクゾーンだうれしい、
巻末なのが気になるね、さっそく320Pに乗っていたアンケート用紙で
「恋する乙女の恋愛計画」応援しておいたぜ、打ち切りになりませんように。
444名無しさん@ピンキー:2010/08/15(日) 20:16:25 ID:ddDw+QoS
織生あや『恋する乙女の恋愛計画』

憑依ネタは肉体固定か、自由憑依かに分かれる傾向があるけど、一度憑依すると自由に離脱できず、誰に憑依するかコントロールできないというのがいいね。
色んな人間に偶発的に不本意な憑依をして欲しい。
445【おばあちゃんの日 18話】:2010/08/15(日) 20:32:57 ID:ddDw+QoS
今回、麻由美の方から祖母に年齢の入れ替わりをお願いしたのにはこういった経緯があったわけだ。
多くの女性にとって、老いとは、むしろ忌み嫌うものであるはずでもある。
だが、まだまだ成長途中、ある意味自分の身体の未成熟ぶりに不満をもっているような麻由美にしてみれば、年齢を重ねることへの途中経過をすっとばして、いきなり老婆に慣れると言うことは、むしろ日常を離れた刺激的な体験とでもいうべきものだった。
バスの到着を待ちながら、バス停のベンチに腰をおろしながら、着慣れない和服の感触にくすぐったさにも似た感覚を覚えつつ、麻由美はその和服の感触を楽しんでいた。
もし、祖母が了解してくれてまた老婆になれたら、今度は着物をきてみたいと、考えていたのだった。
お祭りとかそういうイベントがある時でないと、着物を着るのはちょっと難しい。
麻由美の祖母は着付けができるし、家には色んな着物もあるから、その気になればいつでも着物を着ることができるわけだが、その格好で町を出歩くとなればちょっと話が違う。
お祭りとか成人式とかがあるのでなければ、麻由美のような年頃の女の子が、浴衣にしろ振り袖にしろ、街中を歩けばイヤでも人目をひく。
それではまるで仮装かコスプレでもしているようなものだ。
人目をひくのがきらいでもなくても、奇異な目でみられるのは流石に遠慮したい。
だが、老婆…60を過ぎた女性が着物を着て歩いていても、それが少数派だとしても、それほど珍しくはない。
いや実際には珍しいかも知れないが、老齢に差し掛かった女性が和服姿というのはある意味当たり前、不思議ではないという前提があることだけは確かで、麻由美にしてみても、どうせなら和服の似合う老婦人という役割を楽しんでみたいという気分になっていたのだ。
そして、今、祖母の手で着せられた着物に身を包み、閉じた日傘と巾着を脇においてたたずむ麻由美は満足の体だった。
髪も祖母の手でちゃんとアップにまとめられているし、鏡で今の自分が、和服姿の上品な老婦人となっていることは確認済み。
いい意味で歳をとったという感じのこの姿でなら、色んな意味で、老婆としての生活を楽しめそうだった。
446【おばあちゃんの日 19話】:2010/08/15(日) 22:26:18 ID:ddDw+QoS
そんなことを考えていると、ようやくバスがやってきた。
いつものように立ち上がろうとして、この年齢の膝と腰、更に着物が邪魔をしていつものように立ち上がれない自分に気づいた。
片手で日傘を杖代わりに、そしてもう片手をベンチの背もたれに当てながら、改めてゆっくりと立ち上がる。
「あら、おばあちゃん、大丈夫ですか。」
少し離れた位置に座っていた中年女性が明らかに心配そうな表情で問いかけてくる。
「あら、ええ、大丈夫ですよ。すみませんねえ。ご心配かけて。」
少々の動きにくさと痛みはあるが、動けないわけではない。
だが純粋な善意からこういった声をかけてもらえるというのはなかなかに新鮮な体験だ。
「歳はとりたくないですねえ。さあ、年寄りは動きがゆっくりですから先にのってくださいな。」
麻由美が無事立ち上がったことを確認しつつも心配そうな表情で振り返りながらバスに乗り込む女性。
最近のバスはローステップということもあって、今の麻由美でもそれほど苦労しなくても乗り込むことができた。
バス停の位置がターミナルから少し離れた場所からあることもあって、バスは7分の入り。当然、座席は総て埋まっていて
「あ、おばあちゃん、どうぞ、座って!」
麻由美が乗り込むと同時に、12.3歳ぐらいの女の子が跳ねるようにして座席から立ち上がって、麻由美に対して、席を指してみせる。
「あら…」
今の自分が老婆であるだけに、席を譲られる可能性も考えていた麻由美だったが、乗ったと同時に、それをされると、ちょっと付いていけないところがあった。
「遠慮しないで。あたし、次の次で降りるし。」
そこまで言われた上に、周囲の乗客の目もあるから、座らないわけにもいかない。
「ありがとうね。折角だから座らせていただきますね。」
その女の子の祖母ならこういうだろうと思えるセリフを考えながら口にする。
麻由美が座席に腰を下ろす様をみて満足そうな表情を浮かべる少女。
447賑やかな食卓:2010/08/16(月) 19:03:10 ID:BX2EKkSG
「あなた。もうすぐ晩ご飯が出来るから、香苗のこと呼んできてー」
キッチンから聞こえてくる妻の甲高い…鼓膜を突っつくような声に、夕方のニュースをみていた俺はしぶしぶながら立ち上がった。
2階の自分の部屋にいるはずの香苗…小学5年生の一人娘…を呼ぶには、階下から叫んでも聞こえるはずなのだが万が一聞こえなければ二度手間になるだけに俺は階段を登り、香苗の部屋の前まで辿り着いた。
トントン
ドアをノックした後、声をかける。
「香苗、もうすぐご飯だから、ママが怒らないうちに早くおいで。」
「うん、今いくー!」
口調こそ快活だが子供らしからぬ落ち着いた雰囲気の返答の後、椅子から立ち上がる音、そしてドアが開いた。
その向こうから現れたのは30代中頃の容姿を持つ女性。
香苗の部屋に先客がいたわけではない。この女性が娘の香苗なのだ。
   ※
その日の我が家の夕卓もいつもどおりありふれたもの…少なくとも見た目だけは…だった。
テーブルを囲んでいるのは、30代後半の男性…俺と、30代中頃の女性、そして十歳ぐらいにみえる女の子。
これだけなら、ごく一般的な3人の親子に見えることだろう。
「いっただっきまーす!」
女性が、その容姿には似合わない快活な声をあげると、その声に負けないぐらい勢いよくオカズに箸を伸ばし始める。
「この身体だと、お料理も危ないから、冷凍食品やお総菜が多くなっちゃったけど。」
女の子が申し訳なさそうに小さく舌をだした。その指にはいくつかの絆創膏。
「ううん、全然、いいよー!香苗は。」
女性は少女に向かって満面の笑みを浮かべてみせる。
事情を知らない人間がみたらなんと思うのか、そう思うと少々の頭痛を感じる一方で俺は苦笑を抑えるのに少なからず努力を必要としていた。
448賑やかな食卓:2010/08/16(月) 19:06:31 ID:BX2EKkSG
この光景をみたら、人は俺達3人、実は親子ではなく、赤の他人かそれに近いグループだと解釈して自分を納得させていたかもしれない。
だが、それは全くの大ハズレ。
戸籍上でも血縁でも、俺達3人は紛れもなく親子。
世帯主で夫そして父親である俺、妻で母親である美登里、そして娘である香苗。
知人や近所の人間に確認してもらえれば、彼らは口を揃えて間違いなく親子であると証言してくれるだろう。
だが、それならなぜ、この様なちぐはぐ状況、ありふれた親子の食卓とは思えない会話が続いているのか。
それは、妻、美登里と、娘、香苗が入れ替わっている…妻と娘が、それぞれの立場を入れ換えた演技をしているわけではない。
実は今の妻と娘は、心と身体が入れ替わった状態。11歳、小学5年生である娘、香苗の身体には美登里の心が。36歳である妻、美登里の身体には香苗の心が、それぞれ宿っているのだ。
心が別人のものとなれば、当然、記憶や性格、人格も変わることとなる。
このため、外見だけなら、美登里の身体の言動や素振りはまるで小学生…子供そのものだし、香苗の身体は、炊事洗濯掃除と大人のように家事をこなしている。
なぜ、このようなややこしい状況が発生したのか。
それは3ヶ月前、妻と娘があるモニタに応募したことから始まる。
449名無しさん@ピンキー:2010/08/16(月) 21:06:12 ID:FmZlRMQD
キタ――(゚∀゚)――!!
親子入れ替わり・・大好きなシュチュです!応援してます!
450名無しさん@ピンキー:2010/08/16(月) 23:12:18 ID:7MQcBQWK
「恋する乙女の恋愛計画」買った人どんな内容か教えてくれ
絵も可愛いし好みのシチュだったら買うわ
451ママな妹、妹なママその1:2010/08/17(火) 11:29:48 ID:2nUWze07
「あ〜あ、気持ち良かった。」
テレビをみていたおれが、その声に振り返ると、お風呂上がりの妹がバスタオルで髪を拭きつつリビングに入ってくるところだった。
下着姿で。
妹はまだ9歳、小学3年生とはいえ、いくらなんでも女の子なわけだし。
「おい、由香。そんな格好、はしたないぞ。」
「へーん、お兄ちゃんだって、いつもそうしてるじゃない。」
小学3年ともなると多少知恵もついてくるのか、生意気な返事を返してくる。
「そうよ。由香。早く服を着なさい。」
「はぁ〜い。」
流石に母親には抵抗する気はないのか、髪を拭きつつ、部屋へと戻る由香。
「ただいまぁ。」
それを待っていたかのように玄関から声が聞こえてきた。
「あら、お父さん、今日は随分早いわね。」
この前、課長になった父親はその分仕事も忙しくて、帰宅が9時10時過ぎになることは珍しくなく、日付が変わることもザラだ。
特に、明日からの土日祝日という3連休の前日となれば。
「いやぁ、まいったよ。明日から急に出張が入ってさ。帰りは明々後日、月曜になる。」
「え、それって三連休まるごとじゃない。」
「ああ、先方からどうしてもと言われては断るわけにもいかんからな。折角の連休に子供達には悪いことをしたと思うが。」
中学生のオレは、大人の事情も分かってきているから、その辺は我慢できるところだけど、由香はまた大暴れしそうだな。
「それより、あなたの方は大丈夫なんですか?一応、日曜日は休みはとってますけど、その他はいつも残業ばかりで。自分の身体には気を付けてくださいね。」
「ああ、今日はその分、早く帰れたんだからゆっくり休むことにするよ。」

翌日、休みだと言うことで少々寝坊したオレがリビングにいくと、父親は既に出発した後だった。
「父さんも大変だな。三連休全部仕事だなんて。」
「ホントね。お父さんがいないことしったら、由香、またヘソを曲げるから、相手をよろしくね。」
「あーあ、やっぱりそうか…って、アレ、由香のヤツまだ起きてきてないのか?」
「なにか昨日借りてきた本が面白かったらしくて随分遅くまで起きていたみたいだから。」
452ママな妹、妹なママその2:2010/08/17(火) 11:38:21 ID:2nUWze07
起きてきた由香は、休日に父親がいないことに案の定ヘソを曲げたわけだが、それも10時のお茶の時間までのことだった。
仕事とはいえ、3日を家を空けることに対して家族(主に由香)に申し訳ないと思い、せめてものつぐないというわけか、冷蔵庫には、ケーキとプリンが入っていたからだ。
知恵が付いてきたとはいえ所詮は小学3年生。レアチーズケーキで期限が治るとは。
そのチーズケーキの脇にかなり傷んだ本が置いてあるのに気づく。
由香ぐらいの年頃には似つかわしくないその本。
これが昨日借りてきた本か。
表紙も背表紙もだいぶ傷んでいて、タイトルもよく分からない。
ふと好奇心にかられたオレは、それを口にだしてみた。
「おい、由香、その本って一体なんだ?」
「あ、うん、これ、おまじないの本だよ。図書館で色々探していたら、特別の本だっていって貸してくれたの。」
ふうん、占いとおまじないってヤツは女の子に人気があるからな。
多分、この本はオレが産まれる前から、色んな女の子が読んできた特別の本なのかもしれない。
「ね、由香、どんなことが書いてあるの?」
食いついたのは母親の方。そうだった。母さんも昔は女の子だったわけで。
「えーと、こんなのがあったよ。」
母娘が仲良く1冊の本を覗き込む微笑ましい光景。
まあ、これはこれでいいか。
「あ、これなんか面白そう。」
「あら、本当ね。」
不意に2人の声が跳ね上がる。
「ん、一体何があったんだよ。」
どちらかといえば占いもおまじないもあまり信じていないオレではあるが、多少興味をそそられる。
「2人の年齢を交換する?これって本当かしら。」
おいおい、そんなことをあるわけないだろ。
「面白そう。やってみようよ!」
453ママな妹、妹なママその3:2010/08/17(火) 11:40:21 ID:2nUWze07
人ができるとか成績がよくなるというのなら、自己暗示によって実現することもあるかもしれないけど、年齢を交換するなんてこと現実におきるわけないだろ。
それはおまじいというより魔法で、すなわちやっぱり無理ってコトだ。
しかし、由香と母さんはすっかりその気になっていた。
まあ、実際にそんなことが起こることを期待するより、面白そうなおまじないをやってみるということに興奮しているんだろうけど。
魔法陣とか特別なものは必要ないみたいだけど、呪文を唱える必要があるみたいだ。
お経というより、外国の民族音楽みたいな呟きが聞こえてくる。
「ママ、呪文は覚えた?」
「う、うん、大丈夫だとは思うけど。由香ちゃんは大丈夫?」
「由香は大丈夫!じゃあやってみよう!」
2人の合奏状態で、呪文の呟きが始まった。これがおまじないの本だと分からなければ、まあ合唱と聞こえないわけでもないけど。
やがて、呪文が終わってしばしの沈黙。
あーあ、当たり前のことだけど何も起こらなかったからがっかりしてるんだな。
でも、小学生のうちくらいはこんなおまじないを信じているのなら可愛いけど。だけど、母さんも、そんなに載らなくてもいいと思うんだけど。
がっかりした由香をどう慰めつつ、からかってやろうかと考えながら、2人の方に顔を向けたオレは言葉を失った。
そこには、妹も母親もどちらの姿もなかった。だが誰もいないというわけでもなかった。
2人がいるはずのその場所には、明らかにサイズが小さすぎる服をはじけさせんばかりに無理矢理着込んでいる35,6歳の中年女性と、これまたサイズが合わない、ただしこちらは大きすぎる服の中に半ば埋もれかかっている小学生らしい女の子。
そんな異様な服装の2人が立っていたのだ。
454名無しさん@ピンキー:2010/08/17(火) 17:28:53 ID:SI27GuDk
今度は親子年齢入れ替え・・・キタワァ━━━━━━(n‘∀‘)η━━━━━━!!!!!!
昨日から今日にかけてヘブンな状態です!
455名無しさん@ピンキー:2010/08/17(火) 23:43:33 ID:km+HPJu4
期待
456I LITTLE GIRL:2010/08/18(水) 21:27:39 ID:ivIcRI9G
「お姉ちゃん、スタイルがよくていいなあ。」
いつも通りの投稿直前の玄関。
麻美の6歳年下、小学5年生の妹、理恵の一言が総ての発端だった。
「ありだと。でも理恵も高校生になったら、もっと女らしいスタイルになれるよ。」
5年にともなれば、早い子なら初潮がきていることもあるし、ブラはまだかもしれないが胸が膨らみはじめる子もいるだろう。
多分、そういうことに触発されてのこの発言なのだろうが。
「高校生かあ。あたしも、はやくお姉ちゃんにみたいになりたいなあ。」
「ほらほら、そんなこと話していると遅刻しちゃうぞ。」
何か話し始めるとそれに夢中になってしまう妹のことはよく分かっているので麻美は巧みに出発を促す。
遅刻という言葉に刺激されたのか、理恵は慌てて靴をはき始めた。
「いってきまーす!」
「いってきまあす。」
高校と小学校では全く方向が違うので、玄関で分かれる形になった2人はその後帰宅するまで会話をかわす機会もなく、麻美も理恵との会話のことなどとりとめないものだと思いすっかり忘れてしまった。
しかし、翌日の朝、この会話の続きが行われることになった。
土曜の朝、父親は出勤、母親もパートにでて、麻美と理恵は休日をいいことに、寝坊そして遅めの朝食をとっていた。
「やっぱりお姉ちゃんスタイルいいよね。」
姉の全身を繰り返し上下するようにして見つめる理恵。
「なあに、理恵。またその話?」
特に巨乳というわけでもないが、同じ世代の子と比べて若干大きめのバストサイズ、これに身長とのバランス、そしてやや細めの体型+けっこう締まり気味のウェストのお陰で、麻美の全体的なスタイルはかなりいい方といえた。
妹とはいえ、褒められれば悪い気はしないけど。
「うん、それでね。ちょっとお願いあるんだけど。」
「お願い?宿題は自分としなとダメよ。」
「えっと、それ…もあるんだけど、それとは別のお願い。あたしもお姉ちゃんみたいなスタイルになりたいから、ちょっと協力して欲しいの。」
「あたしみたいなスタイルに?そんなことどうやって?」
「えへへ、昨日、凄いお呪い教えてもらったの。」
「お呪い?なんだそりゃ?」
457I LITTLE GIRL:2010/08/18(水) 21:38:45 ID:ivIcRI9G
女の子は小学生だろうが高校生だろうが、お呪いやら占いが好きなのは、麻美もよく分かっている。
でも、お呪いでかなうことといったら、大抵、成績がよくなるとか彼氏ができるとか、後ダイエットとか…しかし、いくらなんでも、まだ小学生の理恵が高校生並みのスタイルになるお呪いというのは無理がありすぎる。
とはいえ、無碍に断るのもちょっと可哀想な気がした。
何をするにしろ、失敗することは目に見えているが、「お呪い」がきくまで時間がかかるとでも慰めてあげれば、そのうち忘れてしまうだろう。
後5年待てば理恵も高校生なわけだし。
「まあ、いいよ。でも宿題は自分でやりなさい。どうしても分からないところは教えてあげるから。」
「わーい、お姉ちゃん、ありがとう!それじゃ早速始めるね。」
一度、部屋に戻った理恵は、なにか魔法陣のようなものが描かれた紙をテーブルの上に広げた。
小学生のお呪いとしてはそれなりに凝ったものだが、明らかにプリンターか何かで印刷されたものだと分かるのが何とも。
苦笑を押し殺しながら、麻美は好奇心も手伝って理恵のお呪いをみつめる。
「よし、準備完了!じゃあ、お姉ちゃん、はじめるからね。」
「さあ、どうぞ。」
インチキだと分かっていても、なかなか凝った儀式はなんかそれっぽい。
今度、友達にでも教えてあげようかなと思いつつ、何か踊るように腕を動かし続ける理恵を凝視する麻美。
「それ!」
理恵のその一言で異変が起こった。
膝かっくんされた直後のような不意の落下感、そして視線位置の低下。
慌てて、両脚に力と意識を集中させてみると、膝も曲がっていないし、確かに両脚でしっかりと立っていることに気づく。
それなら今の感覚は?
そこで麻美は目の前に誰か立っていることに気づいた。
理恵…ではない。自分よりは背が高い。少なくとも頭半分以上高いだろう。
目の前に見えたのは、相手の首という顎あたり。
しかし、この人は一体?…先ほどまで、ここには自分と理恵しかいなかったのに。
顔を確かめようと麻美が見上げてみると…
458名無しさん@ピンキー:2010/08/18(水) 23:19:33 ID:042OG31X
いいとこできれたなw
459名無しさん@ピンキー:2010/08/18(水) 23:55:32 ID:12K49qIy
続きプリーズ
460名無しさん@ピンキー:2010/08/19(木) 08:49:16 ID:HBKEf/xj
もしかして、新作3本とも同じ作者さんなんかな
461名無しさん@ピンキー:2010/08/19(木) 18:18:50 ID:+OwPTzPg
(・∀・ )っ/凵 ⌒☆チン
462入れ替わりの鉄棒:2010/08/19(木) 21:16:28 ID:tViTa4yh
 閑静な住宅地の隅にある公園。
 夕焼け空の下で、鉄棒の傍に二人の少女が睨み合っていた。
 地元の公立中学のセーラー服に身を包んだ少女たちは、これ以上一歩も引くまいといった雰囲気で鉄棒を握っている。

「…そう、野山さんは、別れるつもりはないっていうのね?」

 ストレートロングなヘアを無駄に輝かせているお嬢様風ながら、気の強そうな女の子が、ツーテイル(ツインテール)のかわいいながらもごくごく普通の女の子に向かっていう。

「当たり前よ。
 だって、あたし、佑くん好きだもん。あたしが佑くんと付き合ってるんだもん」

「ふん、野山さんもいうようになったものね。
 わたしと比べたら、佑のこと三年ぽっちしか知らないくせに!」
463入れ替わりの鉄棒:2010/08/19(木) 21:20:13 ID:tViTa4yh
「…だって、しょうがないじゃない! あたしが、佑くんと出会ったのって小五のときだったんだから」
「そんなのってないわ。ずるい、ずる過ぎるわよ。わたしなんか幼稚園のころから佑のこと知ってるのよ。なんだって、あなたみたいな泥棒猫に佑を取られなきゃいけないのよ!」
「耀子ちゃんこそ、いつも幼なじみぶって、お金ばっかりかけて佑くんを誘っていたじゃない? あたしがどんな気持ちだったか分かっていてやっていたでしょう?」
 二人の女の子をお互いに相手の顔を自分の瞳に映しながら、鉄棒を握りしめる。
「そういうあなたこそ、佑といきなり付き合い出したりして、どういうつもりなのよ? ああもう、佑も佑よ。わたし、全然理解できない!」
464入れ替わりの鉄棒:2010/08/19(木) 21:22:49 ID:tViTa4yh
「それは耀子ちゃんが佑くんの気持ちをちゃんと考えてないからよ。いつも自分の気持ちばかり押し付けて、それで相手がいつも喜んでいるとでも思っているの?」
「な、何ですって!?」
「耀子ちゃん、いつも自分のことしか見えてないし、自分のことしか考えてないじゃない! 祐くんのことだって、佑くんなら自分と釣り合いそうな容姿とか成績だからちょうどいい男ってくらいにしか思ってないんじゃないの?」
「そういう野山さん、あなたこそわたしの気持ちを考えたことあるのかしら? いつもいつもわたしの邪魔ばかりして、この上、佑まで奪うだなんて、わたしのプライドがどれだけ傷つけられたか分かる? 一度、わたしの気持ちをあなたにも味わわせてあげたいものだわ」
「お、お互いさまよ!」
「こんな普通の女の、どこがいいのかしら? こんな女にわたしが負けるなんて、許せないわ」
「何よ!」
465入れ替わりの鉄棒:2010/08/19(木) 21:23:56 ID:tViTa4yh
 二人は両側から全体重をかけるように、上から同じ鉄棒を押さえつける。
 そのとき、鈍い色をした鉄棒がキンという音とともに火花を散らした。
 鉄棒が真ん中で折れ、その途端、摩擦か何かで電流でも生じたのだろうか、二人はビリっしたものが全身を駆け抜け、その途端痺れる手足の先から感覚がなくなっていくのを感じた。
「キャッ!」
「いやっ!」
 ぼやけていく視界の中で、憎き恋敵の顔が歪んでいくのが最後に見え、二人は意識を失った。
466入れ替わりの鉄棒:2010/08/19(木) 21:25:24 ID:tViTa4yh



「痛っ……頭が……か、体が痺れて……どうなって……」
『どうなってるの』と言いかけて、こげ茶な長髪の女の子…榊原耀子は、地面に手をついて上半身をお腰かけた姿勢のまま凍り付いた。
「な、何、この声……」
 どう聞いても、自分の声ではない女の子の声が自分の喉から発せられている。
 そして、さらりと背中に垂れている長い髪の毛が首筋を撫でる感覚にぞわっとした。
 自分はツーテールで、首筋には髪の毛が当たっていないはず。
 それどころか、左右に結っている髪の毛の引っ張られる感覚がまるでない。
「……この声、なんか耀子ちゃんの声……のような」
 頭が引いていく音を聞きながら、耀子は上半身を起こし、自分とは鉄棒を挟んで反対側にいる女の子の姿を認めて、顔を凍らせた。
「あ、あたしがいる…」
「わ、わたし……なの」
 先に目覚めていたらしい自分…野山梓は、呆然としながら顔を引きつらせていた。
467入れ替わりの鉄棒:2010/08/19(木) 21:27:01 ID:tViTa4yh


「ウソ、一体何がどうなっちゃってるの?」
「見ての通りよ、わたしと野山さん、体…というよりは、心が入れ替わっちゃってるみたいね。まあ、記憶だけが入れ替わっちゃっているのかもしれないけど」
 野山梓になった(耀子)は先に目覚めていたためか、まだ冷静な口調で、突き放すようにいう。
「そ、そんな、あたし、耀子ちゃんになっちゃってるの!?」
「そういうことね。ふふ、でも、いい機会かもしれないわね。どうしてあなたみたいな女が佑の隣にいるのか、見極めさせてもらうのに絶好の機会だわ」
 あまりにも理解不能なことを言い出す(耀子)に、耀子(梓)は頭がフリーズしそうだった。
「……よ、耀子ちゃん、何言ってるの?」
468入れ替わりの鉄棒:2010/08/19(木) 21:29:49 ID:tViTa4yh
「今言ったとおりよ、わたしは暫く野山さんになりきってるみるわ。そして、あなたも榊原耀子して暫くわたしの振りをなさい」
「な、何でそんなことしなくちゃいけないのよ!?」
「あら、そんなこと言っていいの? こんなこと、他人に言って信じてもらえるとでも思う」
「そ、それは……思わないけど」
「下手したら精神病院送りになるわよ」
「う、ううっ……でも、耀子ちゃんは今すぐにでも元に戻りたいと思わないの?」
「最初は思ったわよ。当然ね。あなたみたいな普通の女になりたいわけないじゃない。でもね、倒れてるあなたをずっと見てて思ったのよ。これはわたしの敗因を探るチャンスかもしれないって、そう思ったのよ」
「な、何よ、それ?」
「今はわたしは野山梓、佑の彼女なわけでしょう? あなたがなぜ好かれたかを探るのも、あなたの評価を下げるのも、わたし次第で何だってできるのよ」
「ひ、酷い!」
「いいじゃない? あなた、今榊原グループの社長の娘なのよ。もっと胸張りなさいよ。榊原耀子のすべてが今はあなたのものなのよ」
「そ、そんなのどうでもいい。 あたしを返して!」
469入れ替わりの鉄棒:2010/08/19(木) 21:31:28 ID:tViTa4yh
「わたしに言われても無理よ。わたしがこの状況を作り出したわけじゃないし、何より入れ替わりの原因になったと思われるあの鉄棒だって折れちゃってこの様なのよ」
「そ、そんな……」
「まあ、暫くはこの状況を楽しみましょう。わたしも野山さんがどんな生活しているのか興味くらいはあるのよ」
「いやよ、あたし、そんなのいやっ!」
 余裕の様子で今にも梓の家に帰ろうとしそうな(耀子)を引き止めようと、耀子(梓)が彼女の手を掴む。
 その途端、また異変が起きた。
 まるで、正坐していて痺れた足を崩して、血がどーっと流れ出したときのように、触れ合っている手を通して、何かが(梓)の、(耀子)の中に流れ込んでくる。
 手がパソコンの転送ケーブルになっているかのように頭と直結して、頭に何か焼き付けていく。
「いやっ!」
「キャッ!?」
 悲鳴がさっきとは逆になった。
470入れ替わりの鉄棒:2010/08/19(木) 21:33:17 ID:tViTa4yh
「い、今の……何だったのかしら………き、気持ち悪い」
「はあ、はあ、あたし……あたしの中に……な、何か」
 耀子(梓)はつぶやきながら、梓の声を聞いて、ゾワッとした。
「ちょ、ちょっと、野山さん。あなた、どういうつもりなの? わたしの振りなんかして」
「……」
「え、わたし、自分のこと、野山さん……だなんて、どうしちゃったのかしら?」
 声だけじゃなく、口調まで耀子になってしまったような自分に、耀子(梓)は顔を青ざめさせる。
「ふーん、面白いじゃない。どういうことになっちゃってるかよく分からないけど、あたしたち手を繋ぐと、人格…もしくは性格まで入れ替わっちゃうんだ」
「そ、そんな!?」
471入れ替わりの鉄棒:2010/08/19(木) 21:35:01 ID:tViTa4yh
「なんだか出来過ぎてると思わない。今、あたしたち、手を繋いだら、今の自分らしく振る舞えられるようになるのよ」
「まさか……そんなこと」
「試してみる? もっと、榊原耀子に染まってみようよ」
「だ、ダメ、これ以上、わたし、よ、耀子に……耀子ちゃんに染まりたくない。もしそうだとしたら……わたし、ほんとに耀子ちゃんみたいな女の子になっちゃうんでしょう?」
「いいじゃない? 気持ちいいかもしれないわよ」
「いや…よ。わたし、あたし、あたしは野山梓だもの。梓だもん!」
「大丈夫よ。あなたならうまくやれるわ。榊原梓としてね」
「あ、ダメっ……ん、きゅっぅ!」
 油断したほんの一瞬、(梓)は元の自分の姿をした(耀子)に手を捕まれていた。
472入れ替わりの鉄棒:2010/08/19(木) 21:55:02 ID:tViTa4yh
いきなりの大量アップですまん。
暫く出張なんで、このスレも当面見れなくなるが、また帰ってきて気が向いたら書き込ませて
もらうこともあるかも。
473名無しさん@ピンキー:2010/08/20(金) 01:38:32 ID:JMF5gV8X
>>462
つるりんどうさんの続・蒼い衝動を思い出したよ…。
人格や性格まで入れ替わるのもドキドキしますね。

>>456
スタイル交換して制服とかも交換させられて…
妹扱いされちゃう姉を思ってこちらも楽しみだな。
474名無しさん@ピンキー:2010/08/20(金) 01:53:15 ID:7aUEUFCH
まさかの作品ラッシュ
475入れ替わりの鉄棒:2010/08/20(金) 08:35:14 ID:uXFH8EVR
レスどうもありがとう!
では出張行ってくる ノシ
476名無しさん@ピンキー:2010/08/21(土) 00:04:48 ID:FYd13bfp
どれも素晴らしいね。続きが気になる。
特に鉄棒の人のはかなりツボだわ。

出張から帰って来るのを心待ちにしてるよ。
477名無しさん@ピンキー:2010/08/21(土) 15:21:31 ID:H9gqEjki
>>456-457の続きが読みたくて仕方ない
478名無しさん@ピンキー:2010/08/21(土) 15:30:57 ID:Y8V1MfkG
作品がたくさん・・・い、いったい何が起こっているんだ
(; ・`д・´)…ゴクリ
479名無しさん@ピンキー:2010/08/21(土) 15:38:51 ID:CwkUwKyQ
>>477
同じく。「I LITTLE GIRL」の続き希望!
……て言うか、「ママな妹、妹なママ」も「入れ替わりの鉄棒」もすげー読みたいデス
480名無しさん@ピンキー:2010/08/21(土) 22:30:36 ID:BwWp/k0z
ここって好きに妄想(小説風)書いていいの?
481名無しさん@ピンキー:2010/08/21(土) 22:51:49 ID:zd/nkx09
母娘入れ替わり×2,姉妹入れ替わりと祭りですな。
ピチピチの子供服を着た大人の女性、大人びた服を着た小学生
想像しただけでたまりません

自分も書きたいシチュは妄想しまくりですが、なかなか時間がとれず…
482名無しさん@ピンキー:2010/08/22(日) 00:27:13 ID:kr7sqgQW
保守
483名無しさん@ピンキー:2010/08/23(月) 17:15:38 ID:g4BRVdIr
あれ…嫌な予感
484名無しさん@ピンキー:2010/08/23(月) 21:33:05 ID:kkuzE5E8
熱中症か?
485名無しさん@ピンキー:2010/08/24(火) 09:06:45 ID:8JTur52m
Wktkするのはわかるが大人しく待とうぜ
486名無しさん@ピンキー:2010/08/24(火) 21:03:36 ID:vqfEYNAV
一度、創作がやりづらいスレという評判がたつと後々厄介だからね。
487名無しさん@ピンキー:2010/08/24(火) 21:37:54 ID:tfmMtKxE
このスレどっかのスレで評判悪いの?
488名無しさん@ピンキー:2010/08/24(火) 21:46:02 ID:lYqw1yS5
心配しなくても他のスレで話題に上ること自体が滅多にないぞw
この前肥満化スレでちょっと紹介されてたかな(いい意味で)
489名無しさん@ピンキー:2010/09/01(水) 00:30:03 ID:sSDSid2H
490名無しさん@ピンキー:2010/09/02(木) 21:32:45 ID:xwqogIZc
10月からテレビ朝日で「秘密」がテレビドラマで放送されます。
491名無しさん@ピンキー:2010/09/03(金) 08:12:32 ID:73YqWDMy
この人、母娘憑依書いてたのか
該当ページのぞいてみたけど、なかなかよさげ
ちょっと重そうだけどねw
492名無しさん@ピンキー:2010/09/04(土) 00:58:25 ID:eZwHP3Je
>>491
もう10年近く前だけど、映画化もされてるよ。
広末主演で結構エロいシーンもあって、なかなかお勧め。
時間が経つのって早いな。
493名無しさん@ピンキー:2010/09/10(金) 09:08:59 ID:/FBtW6V9
ほっしゅ
494名無しさん@ピンキー:2010/09/10(金) 15:20:45 ID:fnOJbWEw
保管庫更新GJ
495名無しさん@ピンキー:2010/09/11(土) 00:49:05 ID:irrxDu7d

                     |\
                     |  |  / ̄\
                     |  |- |    |
                     |  |  \_/
           _____|/    CHA-RA HEAD-CHA-RA
         /  ::\:::/::  \    よくぞやってくれた
        /  .<●>::::::<●>  \   褒美として私のカラッポの頭に
        |    (__人__)     |  夢を詰め込む権利をやる
        \    ` ⌒´    /   

496名無しさん@ピンキー:2010/09/11(土) 14:13:26 ID:iTii5muu
保管庫更新→オプーナの流れはデフォ
497 ◆cW8I9jdrzY :2010/09/12(日) 00:46:27 ID:cu0wkAV9
ご無沙汰してます。少年シリーズの者です。
SSを一本書き上げたのですが、規制中で書き込めないので
保管庫に直接投下しておきました。

題名:うちのおかんは同級生
属性は以下になります。

■憑依?・実母・女子高生・H有

分量は44kBの前後編です。
詰め詰めで読みにくいかもしれませんが、よろしくお願いします。
498名無しさん@ピンキー:2010/09/12(日) 01:47:43 ID:CE1QEthJ
2人がずっと噛み合わず、永遠にバカなのが頂けなかった。
好みに合わなかった。
499名無しさん@ピンキー:2010/09/12(日) 06:13:44 ID:VbSQNdkD
>> 497

面白かったです。
正直、続きが気になってます。
500名無しさん@ピンキー:2010/09/12(日) 18:28:39 ID:gtK4a9Vd
デモンズソウルってゲームでアイテムやデーモンを倒すと幽霊から生身に戻れるシステムがあるんだが
これこのスレで使えそうなネタだよな

生身に戻ると全然別の女として復活してしまって
元の自分の体はある方法で別の女が使ってるっていう

盗賊が美しい貴族の娘の体を
兵士が強い騎士の体を
蛮族の女にさせられた神職者とか
501名無しさん@ピンキー:2010/09/13(月) 21:45:43 ID:Wq6/af4q
そろそろか
502名無しさん@ピンキー:2010/09/13(月) 21:48:24 ID:Wq6/af4q
40年です。
長らくの規制が解けたようなので、ひさびさにSSいってみましょう。

『女城主』

※本文中に使われる『女城主』は実在した特定人物の呼称ではなく、架空のものです。


 大物俳優の大量投入の鳴り物入りで放映された連続歴史ドラマシリーズ『女城主』だった
が、平均視聴率は物語中盤、第10話を終わった時点で平均5.2%と低迷している。そし
てその悪因となるのが主演の女城主を演じる鷹羽沙耶の演技力不足であろう。確かに、彼女
は近来の若手女優の中では出色の技量ともてはやされているが、他のベテラン共演者のレベ
ルから見れば、まだまだ未熟と言わざるを得ない身のこなしや台詞繰りで、なまじその端麗
な美しさだけが先行するイメージである。これでは視聴者は女城主お延を見ているのか、そ
れとも単に鷹羽沙耶の和装姿を見せられているのかわからなくなっているだろう。
 また、共演者のレベルが高いとは言いながら、俳優としての旬をとうに過ぎたものを平然
と使うところについても指摘をせねばなるまい。中でも女優Kなどは名ばかりは大物であっ
てもその動きはやや緩慢で精彩を欠いてきている。往年の彼女のファンであったならば、な
おさらその悲哀ぶりが滑稽に映ることだろう。
 ともあれ、『女城主』も残り9話を残すばかりとなったが、ここから先にはよほど大きな
テコ入れでもしないことには再起の目は残ってはいないのではないだろうか。
                 (ある週刊誌にて辛口コメンテーターの寸評より)


「と、まあ、どの雑誌を見ても軒並み評価はこんなもんだってことよ」
 緊急に設けられた会合の中、監督は監督でも工事現場の監督のようにいかつい図体の撮影
監督は鼻毛をぶちぶち抜きながら淡々とした口ぶりをみせていた。
「なにしろ、数字が出ないのではねえ、これだけの予算を組みこんで、何をやっているって
話になるわけです」
 白髪頭にチョビ髭の局事業部長はやや口調を震わせるように言葉を絞っていた。この視聴
率の低迷の責任の半分近くを実質、彼一人が負っているのだからその苦悩も察するものがあ
った。
「だが、この脚本で駄目だったとは私には心外でならんよ」
 脚本家はぼそり、と呟く。今まで書き続けてきたものの殆どに外れ無しとの神話を打ち立
て続けているだけに、今回の不出来についても思うところがあったのだろう。
 そして、周囲の視線は一点に、一人の若い女性へと注がれる。
「……え、っと、それはつまり、私がその元凶だっていうことですよね」
 やや目を伏せながらも、その態度は卑屈に落とすものではない。鷹羽沙耶は重苦しい空気
の中に辟易とした様子を隠すことも無く、ぼそりと言葉をもらした。
「いや、別に君一人の問題って訳ではないのでね……」
 事業部長は、彼女の起用を強力に推し進めた経緯から擁護の口を出す。
「いいや、でもよ、沙耶ちゃんの演技に対しての酷評は多いぜ。ここから先も同じような調
子で撮影を続けていくのはまずいんじゃないかい?」
 荒くれ者のように見えて、撮影監督はわりと機微を察知する能力に長けていた。
 鷹羽沙耶は確かにこのドラマシリーズでは彼女自身の本来の万全な力を出せていないのだ。 それがこの不振に直結していることは覆うべくもない事実だった。
「……いいんですよ、どうせ。私なんてただの雛人形なんでしょうからね。演技下手で共演
者の足を引っ張るだけの力不足な主人公なんですからねっ!」
503名無しさん@ピンキー:2010/09/13(月) 21:49:23 ID:Wq6/af4q
 会議室の中に、しばしの静寂が流れた。
「おやめなさい、沙耶ちゃん。ここはあなたを責めてどうこうする場ではないのですよ」
 短く刈り込んだ白髪の、70歳に届こうとする老女優が低いおだやかな声で窘めた。
「宮城さん……」
 彼女は宮城小鶴。子役から始まって70作もの映画に出演したことのある実力派である。
この「女城主」では主人公の乳母の役を演じていたのだが、第8話をもって病没するために
あとは回想シーンのみの登場となっているのだった。
「まだ、撮影回は13話から最終の19話まで7話も残っているでしょう。それならばそこ
に全力を傾注してこそ女優じゃありませんか、それを何です、雛人形だなんて、自分を安く
売るような言葉は慎みなさい」
 祖母に叱られる孫娘のように、沙耶は口をつぐんでうなだれた。
「ま、そう言いなさんな小鶴さん。サヤちゃんだって相当悩んでここまで来たんだろうから
さ」
 甲高い声を張ったのは、総監督の北崎だった。C調でお気楽そうな50男だったが、切れ
者として業界では一目置かれる存在だった。
「それに、この不振にはさ、小鶴さんにだって思うところがあるんじゃないのかい?」
 ちらりと眼光をかがやかせて、老女優を一瞥する。
「ええ、たしかに、私もまた、まだまだ未熟だってことですわね」
 正確には熟しきって傷みかけているといった方が正しいだろう。先ほどの記事の中にあっ
た「女優K」とは彼女のことである。半世紀以上も女優として活躍し続けてきた彼女は、最
近になって、明らかな衰えに苦しんでいたのであった。
 言葉が途切れて、一同が暗くなりかけたその時であった。
「でも、まあ、ここまでは計算通りと言ったところかな」
 総監督の場違いに明るい声が響いた。一同の視線が彼へと集中する。
「んー、でも、ここから先は、我に秘策ありだよ。大丈夫大丈夫、だまって俺についてきな
ってね」
 そして総監督は、パンパンっと手を叩いて話し合いの終わりを告げると一同に解散を促し
た。
「ああ、でもサヤちゃんと、それから小鶴さんにはここに残ってもらおうかな」
 

 そして、三人だけが残った会議室。
「それで、監督さんの言う秘策ってのは……」 
 沙耶が神妙に口を開く。
「きっと、ここからの撮影。お延の晩年期に別のキャストをあてるっていうんでしょ」
 相手から聞くよりは先に言ってしまったほうが楽なものもある。
 総監督は構わずに横を向いたまま煙草をぷかりぷかりとふかしている。
「私なら別に構いませんよ、どうせ、ここから先は演技力だけがモノを言うんでしょうしね。
だったら、もっと実力のある熟年の女優さんを起用したほうがいいに決まってるし」
 と、そこまでを一気に言ったあとで、沙耶は悔しさに表情を歪めていた。
「ん、そうだねえ、それでもいいのかもしれないけどね」
 ゆっくりとした口調を変えることなく、総監督は灰皿に煙草を押しつけた。
「俺としては、ここから先もサヤちゃんたちにご尽力を願いたいんだよねえ」
 総監督は、沙耶たちの方にくるりと振り向いて言葉を続けた。
「知ってるよ、俺。サヤちゃんが忙しいスケジュール縫って乗馬の教室に通ってた事」
 不意をつかれた格好で、沙耶は動揺した。
「普通ならさ、こんなもん別にスタントに任せて終わりで良かったのにね、って話なんだけ
どさ、サヤちゃんは少しでもいい演技がしたいからって練習してたんだよね。シーン自体は
少なくてあんまり報われてなかったかもしれないけどさ、俺、知ってるんだ」
 総監督の言葉に、沙耶は顔を紅潮させ、鼻を鳴らして小さく頷いた。
「そうね、それに沙耶ちゃんは誰よりも早く撮影に入って、他の共演者の撮りを全部見てい
たわ。少しでもそれを自分の糧にしようとしてたんでしょうね」
 小鶴もそれに同調する。
 確かに、鷹羽沙耶の演技に対する評価は低かった。しかし、それはあくまでも彼女の演技
技量が低かったためというわけではなく、他の大物と呼ばれる共演者との所作や台詞の張り
方などでの「違い」が大きかったがために起きた溝に起因するものだったのだ。
「それに、テレビ越しに見た時にさ、サヤちゃんは他の人たちよりも、若くて瑞々しくて、
艶めかしい、いい身体をしてるもんだから、余計に目立ち過ぎたんだよね」
 
504名無しさん@ピンキー:2010/09/13(月) 21:52:34 ID:Wq6/af4q
 これは、役者起用の大失敗とも言えた。この一大シリーズはテレビ局の開局50年を記念
して、主役を若手最有力、鷹羽沙耶、そして脇を宮城小鶴をはじめとする大物で固める布陣
だったのだが、それがために、弱冠23歳の沙耶は他の熟年俳優たちに囲まれて、浮いた演
技を強いられる羽目になってしまったのだ。早逝した夫の役の松木豪一郎ですら57歳なの
だから、もはや親子の差以上である。
「……ええ、ですから、これ以上この作品を貶されないためにも、私より使える女優さんを
お延にしてもらいたいんです」
 本当は役を続けたいはずの沙耶の要請に、総監督は首を横に振る。
「いいや、俺の中の彼女はね、戦国の世をしぶとく生き抜いた女城主お延はね、どこまで行
ってもサヤちゃんなんだ。ここで全く違う女優さんをあてても起死回生なんて、とてもとて
も……」
 そして、じっと沙耶の目を見つめて一言。
「俺はさ、沙耶ちゃんに女優を感じてるんだよ」
 ふうっと一息。そして目に、沈んだ光をためつつ言葉を続ける。
「それでさあ、ここから先の撮影の前に……なんだけどさ、ちょっと覚悟のほどを聞いてお
きたいんだよね、俺、ほれ、サヤちゃんのさ」
「はあ、覚悟ですか?」
 怪訝に聞く沙耶。
「うん、そうだ。……その、小鶴さんくらいの年代の役者さんなら知ってるだろうけどね、
『老け役』を演じるってのはなかなか難しいんだよ。それこそ、老人の顔を作るために、自
分の前歯を何本も引き抜いて、とかねぇ。……その覚悟が君にはあるのかなあ?」
 口調はいつも通りののらりくらりだったが、語調には詰まるものがあると見えてところど
ころがしどろもどろになっている。
 沙耶は、自分の口元に手を当てて、ゆっくりとその歯の感触を舌で確かめた。一度抜いて
しまったら、二度とは生えてこないこの白く輝く歯。親から貰った貴重な身体の一部。それ
を代償にしてでも、自分は演技に打ち込めるのか、と。
 しばしの躊躇の後に、
「ええ、役作りのためになら、なんでもしますよ。若さだって捨てます」
 一言だけ。覚悟と共に。
505名無しさん@ピンキー:2010/09/13(月) 21:53:06 ID:Wq6/af4q
「そうか、ありがとう。……じゃあ、次は小鶴さんの番だね」
 と、今度は監督は宮城小鶴を振り返って言った。   
「えっ、私?」
 眉間に深い溝を刻んで、老女優は馴染みの監督の顔を窺った。
「ええ、ここから先、小鶴さんにもやっていただかなくちゃならないことがいろいろあるん
ですよ」
「えっ、でも、私のこの先することと言ったら次回放送の予告くらいなもので、もうそれだ
って全部撮り終わっているでしょう。その他にも何か、私にしろって言うの?」
 本来ならば、彼女はもうお役御免のはずである。何しろ彼女の役、お芳はもう他界してい
るのだから。
「ええ、でもですね。小鶴さん、悔しくはありませんか」
 視線に険を蓄えながら、監督は大物女優を下から上へと非礼な態度で眺め上げた。
「……どういうこと。タクちゃん」
 さすがに温厚な態度は保っておきながらも、内心穏やかではない小鶴は、自分の子供ほど
の年齢の総監督を静かにじろりと睨んだ。
「小鶴さんの演ってきた作品は、俺もほとんど見てきたつもりですが、このシリーズでのあ
なたの演技は、そりゃあ、もうひどいものでした。それこそ、サヤちゃんなんかの比じゃあ
なく、ね」
 遠慮会釈のない総監督の言葉に、大女優はそれでも動じることはない。
「なるほど、それは言われても仕方のないことね。たしかに『女優K』はひどい働きだった
と思うもの。台詞を出すタイミングは遅いし、動作はもたもたしていてメリハリがなかった
し、いくらなんでもこんなお婆ちゃんが30歳からの女ざかりを演ってたら、失笑ものでし
ょうね」
 自らの老いを認める小鶴は、寂しそうな笑いを片頬に浮かべていた。
「だから、この老害が取り除かれた後になら、きっとこれからの撮影はうまくいくと思うの
よ、だから、ね。タクちゃん、これから先のことなんて、ムリ言わないで、ね」
 すると、監督はその言葉にも首を横に振っていた。
「いいえ、もう一つ、小鶴さんには隠していたことがあるでしょう」
 首をかしげるように覗きこむ沙耶から視線を逸らそうとする小鶴。
「あなたはね、ずっとこの撮影中、サヤちゃんに対して嫉妬から敵愾心を抱き続けていたん
ですよ。自分がもう二度と手に入れる事の出来ない、男の目を惹きつけてやまない若さを、
魅力に対してね」
「黙りなさいよ、タクちゃん!」 
 かあっ、と顔を赤らめる宮城小鶴は震えながら言葉を奔らせた。
「そうよ! 悪い? 私はたしかに沙耶ちゃんの若さを羨んだわ。だけど、それが何よ、そ
んなの私たちの年代の人間なら当たり前に持ってていいはずの感情じゃない」

506名無しさん@ピンキー:2010/09/13(月) 21:53:46 ID:Wq6/af4q
「だけど、その負の感情を抱いたままに演技をしていたら、舞台の上での意思疎通なんてで
きないことくらい、余人なら知らず、宮城小鶴なら分かっているはずでしょう?」
 総監督の言葉にはうっすらと怒りが込められていた。
「動きが悪いうんぬんは差し引いても、あなたは今回、主役を空転させてしまいました。そ
れをただ、出番がなくなったから降板なんて、ムシが良すぎると思いませんか?」
 小鶴は今度は白くなって、表情を引き攣らせていた。
「……だったら、だったら私にどうしろっていうのよ」
 小鶴は今にも消えそうなほどにか細い声で、目の前の虚無的に無表情な男に尋ねた。
「ええ、サヤちゃんみたいに未熟な子でさえ『若さを捨てる』と言ってもらったんですもの
あなたほどの女優だったら……そうですね、『過去の名声の全てを捨てる』くらいのことは
言ってもらわなけりゃ、示しがつかないでしょう」
 小鶴は、いままで子役時代から数えて主演客演70作もの映画に、そして数えきれないほ
どのテレビドラマに出演し、賞と名声と、そして地位とを得てきたのだ。しかし、そんなも
のは、今の彼女の中に渦巻く情念の前には毛ほどの意味も持たなかった。
「ええ、いいわ。いいわよ、捨てるわ。地位も名声も、お望みならば命だって捨ててやる。
だから、監督さん、私にもリベンジの機会を頂戴よ!」
 迸る感情を雷のように一度に奔らせると、肩で息をしながら小鶴は監督を睨みつけた。
「ええ、いい表情です。小鶴さん、そうこなくっちゃ、死中に活を見いだすなんて真似はで
きるもんじゃありませんよ」
 再び飄々とした口調に戻った監督は、満足げに老若二人の女優を見比べた。
「一人は芝居のためならば若さも捨てるといい、そしてもう一人は芝居のために過去も捨て
てくれるという。それでこそ俺も監督冥利に尽きるってもんですよ」
 そして、監督は壁に掛けられた自分のコートのポケットを探ると、中からゴムチューブの
ようなものを取り出した。真ん中にはポンプのようなものが付いている。
「あら……血圧計かしら、別に私、そんなもの必要ないわよ」
「いやいや、ははは、これはそんなもんじゃありませんよ。さ、それじゃあ二人とも腕を出
してくれるかな、うん、そう、袖はまくって、そんな感じで」
 まったくしていることは血圧測定のようなものだった。ただし、腕に巻きつけるカフとい
うベルトが二股に延びているということ。あとは測定器が付いていないということだろう。
その部位には小さな人工肺のような嚢が付いていた。
「さあ、それじゃあ二人とも服を緩めてね、サヤちゃんはブラウス、一番上のボタンは外し
て、ベルトは外してスカートのホックも外しておくこと。それから小鶴さんも、和服の場合
には前の身ごろを大きく取って、そうそう、腹帯も少し緩めておいたほうがいいですね」
 てきぱきと、写真撮影の下準備のように手際良く、監督はソファに座らせた二人の衣服を
緩めておのおのの腕にカフを巻き付けた。
「ねえ、何をするつもりなんですか?」
 意味不明の準備を強いられれば不安は増すばかり。沙耶は不安に顔を陰らせた。
「大丈夫、痛いことは一瞬だけだしね、ただちょっとだけ、意識が飛んじゃうかもしれない
から、そこのところだけ、よろしくね」
 監督は軽く言いつつポンプをぺこぺこと押したり離したりする。
「ちょっと、『飛んじゃうかも』じゃないでしょ、こら、ちょっと、いやっ、あ……あー!」
「いっ……ぎゃー!」
 二人の悲鳴をそっちのけで、監督はなおもぽこぽことポンプを押したり揉んだり。
「んー、間違えたかなあ?」
 すでに二人は白目を剥いて伏せ倒れている。しまったなあ、と頭をぽりぽりと思案にくれ
る軽薄中年男がしばらくの間うろうろと二人の様子をうかがっている間に、彼の望んだ効果
はゆっくりと二人の女の姿に発動していったのだった。
507名無しさん@ピンキー:2010/09/13(月) 21:54:33 ID:Wq6/af4q
「う……うん、いったいなんてことしてくれるのよ、タクちゃん、説明しなさい……?」
 小鶴は言葉を途中で止めて自分の声の異変に気が付いた。声量が、張り上げているわけで
もないのにやたらとあるのだ。それに、いつもより声質自体に伸びやかな張りがある。
 あわててノドに手をやると、そこにあったはずの無数の横じわが消えてつるつるとしてい
るのだった。
 はっ、と目をみはって自分の両手に視線を注いだまま固まってしまう。
「……って、なんじゃ、こりゃあっ!」
 白い、のはそのままだが、その節くれだっていたはずの指先がしなやかに光沢を帯びて輝
いている。渋皮の張り付いたようだった爪にまで赤みと艶とが戻っていた。
 そして、何よりの違和感。胸元の下着をぎちぎちと押し上げる弾力の正体に、小鶴はさら
に目をみはる。
 そこにあったのは干し柿のように項垂れて、おどおどと下着に収まっておとなしくしてい
た空気の抜けかけた風船ではなく、完熟の熱帯果実LLサイズの二点セットだった。完全に
下穿きのトップスを脇に押しのけて肌着の前のボタンを弾き飛ばしてしまって、神々しいま
でのその乳房の双頂を半ばまでも露わにしていた。
「やあ、気が付きましたね小鶴さん、どうぞ、その鏡でよく見てください」
 やたらとにこにこしている監督を尻目に、手洗いに駆け寄った小鶴は、その鏡の中に見た。
「きゃあっ、何よ、コレ、若い……若返ってるわよっ!」
 皺ひとつないつるつるとした自分の顔をさすりながら、小鶴は娘時分の美貌を取り戻した
その姿を、食い入るように眺めた。
 艶やかな黒髪は青みを帯びて光を反射させ、理知的な瞳は視界も明るく、また長い睫毛の
中に濡れたような潤みをのぞかせる。血色のよい頬から下に弛んでいた皮膚や脂肪は解消さ
れて形良い輪郭を浮き彫りにさせる。かつて、世界にも通じる美貌だと賛美されたおそらく
20歳前半、絶頂期の彼女の姿であった。
「ちょぉっと、タクちゃん、後ろ向いてて頂戴ね」
 言いつつ、前をはだけてみる。と、いうよりは半ばまでが露わになった胸を完全にポロリ
してしまっただけだった。それは、かつて、彼女の持っていた自信であり、そして勇気の象
徴でもあった。思わず、知れず、笑みがこぼれてしまう。そして、裾をするり、と引き上げ
て下半身をも確認してみる。するとそこにはもうひとつの彼女の自慢だった美脚もまた、完
全に復活していた。白くなめらかな太ももの肉付きの良さは、野趣と色香と青春との結合し
た美貌の結晶だった。
「ね、いいでしょ、それ。俺も小鶴さんのセクシーな寝姿に思わず濡れちゃいそうだったよ」
 後ろを向いていても、結局はガラス戸に反射して見えるのだから仕方がないことだった。
 しかし、それに対して小鶴が怒る様子はない。
「ねえ、さっきの道具よね、私がこんなに若くなっちゃってるのって、いったいそれってな
んなのよ?」
 せっつくように質問を浴びせる。
508名無しさん@ピンキー:2010/09/13(月) 21:55:19 ID:Wq6/af4q
「……ええっと、ねえ。ま、それはつまりですねえ」
 どこから説明しようかと思案する監督だったが、隣の真っ暗な仮眠室から這い出してきた
一人の女性の出現で、その手間は省けた。
「ん……ん、そこにいるの監督さんと宮城さん、ですよねえ、なんだか私、目が良く見えな
くて、やけにノドが渇くんですけど……」
 現れたのは、どこにでもいそうな『おばあさん』だった。顔立ちには往年の整った容貌の
名残りがはしばしに見られて、愛嬌のある可愛らしさを醸すものだったが、その着衣や髪形
だけは、若向きの最先端、といった完全にミスマッチなものだった。
「やあ、サヤちゃん。具合はどうだい?」
 うー、と小さく唸り声を上げて、
「もうサイアクです、なんだか身体の節々は傷むし、足元はふらつくし、なんなんですかぁ
まったく……って、声まで変だし」
 喉元に手をあてた沙耶は、そこに触れた肌がゆるく弛んだものに変質していることに気が
ついて、はっ、と指先を見た。
「いやっ、何よ、これ、私の手じゃないわ!」
 そして、ようやくなじんできた視線を動かしていくと、そこにはなだらかに下降修整され
た胸元が、締まりをなくして膨れ上がったウエストが、そしてスパッツの中にぼってりと沈
みこむように膨張したヒップが光景として広がってきた。
「な……何よこれ、鏡、鏡を見せてよ」
 よろよろと洗面の鏡に寄りつくと、
「い、やああっ、私、年寄りになってるぅっ!」
 あまりに大きな声で叫んだために、むせて咳き込む沙耶だった。
 涼やかだった目元は瞼の弛緩により半ばほどが塞がった状態で、顔全体にはまんべんなく
深い皺が彫刻されている。中でも頬から口元にかけてのマリオネット線は、まるで切れ込み
が入っているのではないかというほどに、深く刻まれて、老いの実感を如実にさせる。グラ
マラスロングの頭髪は完全に白くなっていて、つややかさもボリュームも減少していた。
「いやいや、そんなに卑下したもんでもないよ、品の良さと過日の充実ぶりが窺える、老貴
婦人としてはなかなかの風情じゃないか」
「ちょ……っと監督さん、私の身体をどうしちゃったんですか、あの道具って、いったいな
んなんですか」
 詰め寄られた監督は、沙耶にちらりと目配せをして小鶴の方に向き直らせた。
 向かい合い、そして硬直する乱れかけた和装の美女とカジュアルなフリルを多段にあしら
ったワンピースの老女。
509名無しさん@ピンキー:2010/09/13(月) 21:57:19 ID:Wq6/af4q
「え、まさか……宮城、小鶴さんなんですか?」
「あら……その声は沙耶ちゃん、なの?」
 驚き戸惑う二人の女に、監督は一言だけ。
「うん、俺が年齢を入れ替えたんだ」

 女二人してのステレオサウンドでのしばらくの喧騒がようやく収まったのちに、
「……ん、とね、女城主お延の晩年期はそれは不遇なものだったんだ」
 監督は今後の撮影部分についての説明に入っていた。
「溺愛していた嫡子鹿子丸は不肖の息子でね、家臣の妻に入れ上げた末に夜這いをかけよう
としてその家臣に斬り殺されてしまったんだよ。それから彼女の迷走は始まってね、家臣団
との間の溝が深まって孤立していく中で、他国へ逃げようとして捕まり、とうとう農民へと
身分をおとされてしまうんだよ」
「あら、若い頃の武勇のほどからすると、それはちょっとかわいそうな結末ね」
 小鶴が合いの手を入れる。
「うん、だけどここからがもう一つの彼女の物語でね、50をとうに過ぎていたはずの彼女
は、なんと30前の男と再婚をして、そしてその家の女房としておだやかな晩年を過ごすん
だそうな」
「ええっ、そんな20も齢下の男と再婚って、どうしてそんなになっちゃったんですか」
 沙耶をはじめ俳優たちには今後の話の展開は伏せられていた。
「どうやらね、彼女は絶大な権力を失って、そして歳をとって容色褪せた身になって初めて
人間としての丸みが出てきたようでね、それが寡の男を惹きつけたということだそうな」
 そして、ちらりと沙耶を見た。
「そこでね、サヤちゃん。君に演ってもらいたいのはそのお延の生き様なんだ。すべてを無
くしても、どんなきびしい境涯におかれても人は生きていける、とその老い果てた姿で証明
してほしいんだ……君ならできるね?」
 沙耶は、しばらくの間目を伏せて自問していたが、やがて老いくぼんだ眼窩に炯々と光る
目を開いてその期待に応えた。
「はい、私は女優ですから、私の武器は若さや美しさだけじゃない。心を込めて役を演じる
ことが本意なんですから……できます、やらせてください」
 力強く頷いた。
510名無しさん@ピンキー:2010/09/13(月) 21:58:24 ID:Wq6/af4q
「それじゃ、次は小鶴さんだね。あなたにはこれから二つのことを同時に演じてもらうよ」
「二つ……なの?」
 監督の言葉に小鶴は尋ねた。
「そうさ、あなたはこれから新人女優、『山形ヒナコ』になってもらい、それからそのヒナ
コにはお延の乳母お芳の孫娘で、お延をずっと陰に日向に支えていく『網代』という役を演
じてみせてほしいのだからね」
 劇中劇、とはまた違う。なにしろ新人女優を演じた上に、もう一つの人格を演じろという
のだから、この試みは前人未踏のものであった。
 小鶴は瞳を爛、と輝かせるとすっくと立ち上がって言った。
「いいわ、やってみせる。せっかくサヤちゃんからこんなに若々しい23歳の娘盛りを貰い
うけたんですもの、ほら、見てよこの胸の弾力、お尻の盛り上がり方。二度とこんなプロポ
ーションには戻れないと思ってたわ」
 うっすらと陶酔した表情で、和服の上からでも確認できる素晴らしい肉体の凹凸を誇示し
ていた。その様子に沙耶は非常にまずい表情をした。
「ええっ、ちょ……監督さん、これって撮影が終わったら元に戻してくれるんですよね」
「あら、タクちゃん、私このままがいいな。ねっ、いいでしょ」
 甘えた表情でシナをつくる小鶴。
「いやっ、何気持ち悪いこと言ってるんですか、戻してもらわなくちゃいけないに決まって
るでしょ、私だっていつまでもこんな身体でいたくはないですもの」
 しばしの間、女二人のやりとりを黙って観察していた監督だったが、
「よし、それじゃこうしようか、今後の撮影でいい演技ができたほうを今後、23歳にする
として、ダメだった方が69歳になるってのは……どないでしょ?」
 軽いものの言い方だったが、彼はマジだった。途端に瞳を輝かせる小鶴、もといヒナコ。
そして、驚愕にぷるぷると震えながら血管を額に浮かせる沙耶婆さん。
「いいわ、その勝負受けたわ」
「いやっ、そんなの駄目です! どんな結果になろうとも私は元に戻してもらいますから、
小鶴さん、絶対そんなの駄目ですからね」
「あーん、そんなこと言われたって、ヒナコそんなお婆ちゃんになんてなりたくないもん」
 すでに勝負は始まっていた。小鶴はすでに、「現代の若者」の演技をはじめていたのだ。
「絶対に……絶対に、ダメなんですからねーっ!」
 その二人の様子をほほえましく眺めながら、監督は今後の撮影の見通しが明るいものにな
るであろうことを無責任かつ本能的に予感していた。 
511名無しさん@ピンキー:2010/09/13(月) 21:59:08 ID:Wq6/af4q
 大型時代劇、「女城主」の前半部の評価は、やはり最低なものだったという言葉を私は翻
すつもりはない。視聴率にもあらわれている通りに、役者間のちぐはぐな演技は話の本筋を
食ってしまってどうにも受け付けられないしこりを残すものであったことは、前言をそのま
まにしておこうと思うのだ。
 しかし、後半部。今まであまりにも瑞々しかった鷹羽沙耶が特殊メイクにより、完全に違
和感ない老年女性に変身してからは、今までのとり澄ましたものでない迫真の演技が光って
いた。鷹羽沙耶は、姥皮を被って本来の彼女の持つ情熱を示し得たとも言える。
 また、途中降板した宮城小鶴に替わって起用された無名の新人、山形ヒナコの異彩につい
ても付言せねばなるまい。彼女は宮城が演じたお芳の孫娘という役柄だったが、若い頃の宮
城の美貌を彷彿とさせる容姿で、実に感性豊かな表現能力を劇中で発揮し、鷹羽とその演技
を競っていたように思われる。まだまだ新人で荒削りな面も目立つが、成長とともに大女優
への道も拓けるのではないだろうか。
 後半7話の平均視聴率は30%オーバー。特に最終話での視聴率は実に41.5%という
近年でも稀な興業に終わったのは、特に鷹羽、宮城の二人の鬼気迫るせめぎ合いの緊張の中
に生まれた成果であったのかもしれない。
 ともあれ、次回の北崎拓也監督作品では、この期待の新人山形ヒナコが主演をするという
ことなので、今からその動向が気になるところである。また、今回の老け役の面白みに目覚
めたのか、鷹羽沙耶は、私生活でさえも特殊メイクを落とさずに、老婆の姿で生活をしてい
るということで、こちらのセンでもいくつかの企画が持ち上がっているということだ。
 本当に、これからの二人の女優の活躍からは目が離せないところである。                         (ある週刊誌にて辛口コメンテーターの寸評より)          
「ねえ……それで、監督さん。いつになったらその交換道具の修理、終わるのよ?」
 貫禄ある睨みを利かせながら、いまだに老女のままの姿の沙耶はしわんだ口を尖らせた。
「いやいや、あはは、大丈夫大丈夫、そのうち必ず直るから、ね」
 冷や汗まじりに受け流そうとする監督も、そろそろどうにかしないと収まらないな、と思
案しているところだった。
「まあ、いいじゃないですか、沙耶さんだってその格好がだいぶサマになってきたみたいで
すし、お仕事も引く手あまたでしょうし……それに私も別にこのままでも困らないですもん
ねー♪」  
 ガーリーなセンスの上下に身を包んだ小鶴は、今ではすっかり新人の山形ヒナコになりき
っていた。最近では大胆にもグラビア撮影などの新境地にも挑戦するなどと心身ともに充実
した毎日なのであった。
「何を言うの、ヒナコちゃん……じゃなかった小鶴さん、あなたもあなたよ、自分だけさっ
さとその姿でのドラマ出演とかお仕事とか決めちゃって、元に戻ってそこに穴を開けたりし
たら、周りの人たちにどれだけ迷惑かけると思ってるの!」
 唾が飛ぶほどの勢いで、沙耶は小鶴を叱った。
「はいはい……ったく、沙耶さんったらアタマ固いんだから、それにだんだん説教臭くなっ
てきてないですか?」
 からかうように微笑む小鶴にはもはや往年の威厳は微塵も残っていなかった。
「……っ、こんのぉ小娘があ!」
 かしましく口げんかをはじめた二人の女の姿をぼんやりと眺めながら名匠北崎監督は、次
はどこのどいつを入れ替えたら面白いだろうなあ、などと思案にふけるのだった。 

おしまい
512名無しさん@ピンキー:2010/09/13(月) 22:57:15 ID:kD8qdhi6
    ∩
    ( ⌒)     ∩_ _
   /,. ノ      i .,,E)
  ./ /"      / /"
  ./ / _、_   / ノ'
 / / ,_ノ` )/ /
(       /  good job!
 ヽ     |
  \    \
513名無しさん@ピンキー:2010/09/14(火) 01:29:38 ID:gUWYgZw8
何も足さない。読み終わったいまの心の内である。 GJ!
514名無しさん@ピンキー:2010/09/15(水) 23:23:10 ID:TjWknsfR
ヒット出版の「まいはね」
主人公の妹と同級生、事故が原因で、それぞれ天使と悪魔が取り憑くという展開で何か良い感じ。
515名無しさん@ピンキー:2010/09/18(土) 20:20:10 ID:A2YAi/a8
 もうひとつSSです。乱文ですがどうぞお付き合いください。

「くらげ」

 気が付くと真奈美は見慣れない畳の一室に敷かれた寝床に横になっていた。
 身体全体が熱を帯びていて、びりびりとした鈍痛が手足の先に感じられていた。全身に濡
れたタオルのようなものが押し当てられていて、それで冷やされているようだった。

「あら、気が付いたのね」
 穏やかな中年女性の声がした。
「うっ……うん、ここ、どこ?」
 水際で軽く泳いでみようとした矢先になにかに刺された記憶はあったのだが、そこまでだ
った。後の記憶は一切残っていない。
「お嬢ちゃん、あなたね、クラゲに刺されてしまって気を失ってしまったのよ」
 ああ、そうか、と真奈美は自らの失われた記憶を繋ぎ合わせた。
 高校生活での最後の夏休みを過ごそうと、都心から離れたこの海岸へとやってきた真奈美
だったが、楽しい思い出づくりのはずが、とんだハプニングである。
 立ち泳ぎをしていた自分の四方から音も無くゆらゆらと近づいてくる半透明の一群に襲わ
れて、彼女は意識を失ったのだった。
「ねえ、あなたのお名前、真奈美ちゃんって言うのよね、お友達から聞いたわ」
 女性は真奈美の額のタオルを外すと、話しかけていた。
「ええ、それで……ミホたちはどこですか?」
 真奈美の視界の中に映っていたのは四十くらいの年齢のやや肥満気味の女性だった。温和
そうな目元に落ち着いた物腰で、見る者に安心感を与える容姿だった。
「うん、彼女たちには先に帰ってもらったわ。あなたの手当には時間がかかると思ったから」
 とは言え、日はまだ高いうちにある。
「えっ、でも、まだ昼過ぎごろですよね」
 真奈美は少し不審げに尋ねた。
「ええ、そう。だけどあなたが刺されたのから二日後の、ね」
 女性はおだやかな口調で諭すように言った。
「そんな……あの、クラゲってそんなにひどく刺すものなんですか?」
 真奈美は彼女自身の全身をきっちりと包んでいるガーゼに目を配ってから、女性に尋ねた。
「ええ、そうね。ちょっとこの辺りでも珍しいヤツでね、ギゼンヤコウエボシっていう猛毒
を持った種類なのよ。刺され方によっては死んでしまうことだってあるほどなのよ」
 死ぬ、という言葉を突きつけられて、真奈美はびくん、と身を固くしてしまった。すると
女性は表情を少しだけ緩めて、
「ああ、でも大丈夫よ。私、ユウコっていうんだけど、これでも医者の端くれでね、一応の
解毒処理はしておいたから、だからそこまでの心配はいらないわ」
 
516名無しさん@ピンキー:2010/09/18(土) 20:21:06 ID:A2YAi/a8
 女性が医者だとわかって、真奈美はほっと息を吐く。だが、彼女に向ってさらにユウコが
続けるのは、
「……でもね、あなたにはかなりショックかもしれないけれど、だけど現実は受け入れても
らわなければならないわ」
 眉間にぎゅっと皺を寄せて、同情の意味を言葉に孕ませながら、ユウコは真奈美の目を見
つめた。
「現実……って、なんですか、それ」
 その言葉に直接答えることはなく、ユウコは真奈美の腕を覆っていたガーゼのテープを外
してそれらを露わにした。
「辛いだろうけど、あまり心を揺らさないようにね」
 するすると巻き付けられていたガーゼの下から現れたのは、締まりなく弛んだ二の腕と、
そこから繋がるぱんぱんに膨れた手の甲と、そして芋虫のような太い指だった。
 真奈美はよく事態が飲み込めずに、少しの間、ぽかんとしてしまった。
 その間にもユウコはガーゼを外す作業を続けていた。
 肉割れを起こしつつあるむっちりとした足が両方現れ、そして臀部のだらしなく垂れた肉
が、腰部のぼっこりと段を作る弛みが、そして重力に完全に敗北している胸の膨らみが、じ
ょじょに現れるうちに真奈美の顔色はさあっ、と真っ青になっていく。
「あわわ、何、何、何、なんで、なんで?」
 真奈美が恐慌に陥ったのも無理はないことである。だって、それらは完全に彼女の知って
いた彼女自身の、すばらしい肉体とは別物だったから。
 ユウコは手鏡を差し出して、真奈美に持たせた。
「さあ、そしてこれが今のあなたの顔なのよ」
 おそるおそる視界のうちにずらしていく鏡面には、今まで見たことのない中年女性の緩ん
だ顔が映っていた。そしてわずかに、そこに自分の顔の名残りがあることが認められた。
「ひいっ!」
 恐ろしさのあまり、真奈美は鏡を投げ出す。そして、それらが本当ではないことだと願っ
て頬に沿わせる指先に期待をこめていた。
 しかし、それはむなしくかなわないことだった。
 彼女の手に触れた頬には指先に余るほどの弛みを生じていて、それらが顎の側面部にまで
おちこんでしまっている。顎にしても同様で、首筋にまでも脂肪は付着してしまっていた。
対して眼窩はくぼみ落ち、眉と目の間にはかさかさとした嫌な感触があった。
「これは違うわ、これ……こんなおばさん私じゃない!」
 自らにおこった変貌を信じられずに大きくかぶりを振る真奈美。
517名無しさん@ピンキー:2010/09/18(土) 20:22:01 ID:A2YAi/a8
「そうね、わかっているわ。私のところにあなたが運ばれてきたとき、あなたの姿はとって
も素敵な女の子だったもの。とてもスマートで、胸も大きくて、そして顔もとっても端整で
健康的な美人だったもの」
 慰めるようにユウコは真奈美の背中を抱きしめる。
「だけどね、あのクラゲの毒は遅効性でじわじわと身体の形質を変異させてしまうのよ、あ
なたはみるみるうちにその姿を歪めていって、そしてそうなってしまったわけなの」
「いや、そんなの。戻して、はやく戻してよお」
 涙をこんこんと湧かせながらユウコの手にしがみつく真奈美。しかし、ユウコは首を横に
振る。
「それは……すぐにはできないことよ。それこそ何年もかけてゆっくりと治療していくしか
ないわ」
「……何年もかけて、なんて、そんな」
 今の真奈美の姿はほとんど眼前のユウコと変わらないほどの年代に見える。これから先の
青春をこの姿で生きていけと宣告されるのはもはや死刑宣告と大差ない。
「大丈夫よ、きちんと食事を節制して、運動して、それからコラーゲンやヒアルロン酸注射
なんかを定期的に受けるようにしていけば、元に戻るとまではいかなくても、きっとそれに
近いレベルにまでは回復するはずよ。すぐにとは言えないけど、いつか、また」
 真奈美にとって、自らの容姿は唯一にして最大のステータスだった。大多数の男子を魅了
しながら、大多数の女子に羨望の念を植え付けるしなやかな肢体と整った顔と。
 勉強にも運動にも才能がない彼女にとって、それだけが彼女の拠り所だったのだ。
 しかし、今、彼女の明るい栗色のロングヘアーの下にある顔は、紛れもない中年のもので
ある。身体もまた、見苦しいとまでは言わなくとも魅力的とはお世辞にも言えないほどに、
ダウングレードしてしまっていた。
「……私、いやよう、いやだよう」
 すんすんとすすり泣く真奈美をきゅっと抱き寄せて、ユウコはしばらくの間、彼女が泣き
疲れて眠るまでの間を支えてやっていた。
「大丈夫よ、ホントにおばさんの私なんかと違って真奈美ちゃんは若いんだもの。新陳代謝
がきちんと働けば、きっとまた、魅力的な姿に戻れるわよ」
 小さく震える背中をぱんぱん、と軽く叩いてやりながら、ユウコは何度も何度も励ましの
言葉をかけ続けてやったのだった。
518名無しさん@ピンキー:2010/09/18(土) 20:23:07 ID:A2YAi/a8
「昨日は本当にすみませんでした」
 ようやく回復して帰り支度が終わった段階でようやく真奈美はユウコに迷惑をかけ続けて
いたことに気付き、そして謝罪をしていた。しかし、そんなことは構わない、という様子で
ユウコも手をぱたぱたと振る。
「いいのよ、あんな辛いことがあったんですもん。誰だって取り乱すのが普通よ」
 真奈美は、ユウコからブラウスと丈の長いスカートを借りて着衣していた。元着ていたも
のはサイズがあわないということもあったが、それ以上に今の姿を他者の人目に触れさせた
くないという理由でそれらを譲り受けていたのだった。その上からつばの広い帽子でもって
完全防護の格好だった。
「ん、大丈夫よ。あなたが思っているほどその格好も悪くないわよ」
 ユウコの言葉にお世辞はなかった。その感情を受け取って、ようやく、真奈美の顔にも明
るい表情が戻ってきていた。
「私ですね、これからきちんと勉強して大学に行こうと思うんです」
「んん、そうなの?」
「ええ、ちゃんと勉強して内面を磨いて、それから……この外側もそれまでになんとかして」
 くっ、と暗い感情を飲み込んで、
「ちゃんとした美人になろうと思うんです」
 そう決意した真奈美の目元には、細かな皺がいくつも浮かんではいたけれども、それでも
彼女の表情には将来今まで以上にいい女になれるだけの片鱗がありありと浮き出ていた。
 わずかに揺れ動く下腹の弛みや、内股に擦れる違和感を感じながらも、真奈美は背を伸ば
して歩きだしていた。 
 日差しを纏った真奈美のその眩しさに少しだけ目を伏せながら、ユウコは去りゆく真奈美
にずっと手を振っていた。
 

 舞台はその日の深夜、ユウコの診療所兼一人暮らしの海の家でのことだった。
 ユウコはその日の残った仕事を全て片付けると、戸に『しばらく休業します』の札を掛け
付けて、そして奥へと戻っていった。
 今かかりつけている患者の全員に、他の医院への紹介も済ませていた。もう、彼女を縛る
ものは何もない。
 彼女は上下を脱ぎ捨ててバスタオル一枚だけの姿になってシャワー室へとゆっくりと歩い
ていく。手には黒い何かの布切れと、コーヒー缶くらいの小さなプラスチックケースに入っ
た何かの液体が握られていた。 
 シャワー室の片隅に置かれている潮干狩りなどで使う程度の小さなバケツの蓋をユウコは
外す。そして、その中に入っているわずかに発光している半透明の生物に視線を落とした。
「偽善……夜光……エボシかぁ、我ながら安直な名前を付けたものね」
 桃色に輝きながらひしめきあうそれは、間違いなく真奈美を襲ったクラゲだった。それが
どうしてここにあるのかは、仕掛けた本人であるユウコのみが知りうるところである。
 苦笑しながらユウコはそこに手にしたケースから薬剤を垂らしていく。
 するとクラゲはじゅうっ、と音を立てて溶解していき、どろどろになってゲル状のピンク
の液体になってしまっていた。 
 クラゲはもともと不思議な生命体であるが、その中でもひときわ特異なカツオノエボシと
同様の機構的生命体であるこのクラゲは、ユウコの研究により生み出された産物である。
「……それにしても、はあ、真奈美ちゃんくらいなら、まだマシな方じゃないかな」
 手にした布切れとバスタオルとを脱衣場に投げ出したユウコは、姿見に映る自らにこぼし
ていた。
「齢取ってるだけじゃないものね、これって」
 下腹の弛みは掴めるほどにまで肥大しており、段になることもなく大きく前方にせり出し
ている。彼女は別に不摂生というわけではなかったが、もともとが太りやすい体質だったの
だ。もちろん、首筋も足も尻も同様に肥満していて中年女性の悲哀を物語っていた。
「……若い頃から、ずっとこうだったもんね。そりゃあ、彼氏の一人もできやしないか」
 寂しそうに呟く彼女はもちろん独り身であった。のみならず四十半ばにして生娘だった。
 恋愛はもとより見合いにすら上手くいかないこと続きで、詐欺まがいの被害にあったこと
さえもある。ユウコはずっとそれらを飲み込んで一人でずっと過ごしてきたのである。
「だから……いいわよね、少しくらい幸せをわけてもらっても」
 視線に暗い影をおとしながら呟く彼女の手はバケツにかけられていた。
 
519名無しさん@ピンキー:2010/09/18(土) 20:24:41 ID:A2YAi/a8
 ユウコはゆっくりとそれを持ち上げ、そして内容されているどろどろの液体を呷るように
飲みはじめた。
 ぐぷぐぷっ、とおよそ四リットルほどもあるバケツの中身はユウコの喉へと流し込まれて
いく。途中、苦しさのあまりにわずかに吐き戻すことはあってもその気色悪さを押し込めて
涙をにじませながらも、さらにユウコはそれをおのれの中へと流し込む。
 口の端からこぼれ出した液体をユウコは左手で自らの首筋に、頬に、乳房にローションの
ように塗りたくっていく。すると、それらは全て、砂漠の砂に吸われる水のように、肌の内
へと吸収されていくのだった。
 はあはあ、と喘ぎ声を漏らしながら、ユウコは嘔吐感と格闘した。今、これらを吐き出し
てしまえば全ての計画が水泡に帰してしまうのだ。顔色を紫に変色させながらも、彼女は手
で口を押さえつけて、必死に口の中に残ったもの全てを胃の腑へと留めようと奮戦した。
 ついに、ユウコがそれら全ての障害にうちかったとき、彼女の身には大きな異変がおこっ
ていた。
 まず、全身から吹きあがるように蒸気が立ちこめて、その次の瞬間には肌の表面に、強い
臭みを伴った、黄褐色の堆肥のようなものをじわじわと生じさせていたのだった。
 顔となく、腰となく、足となく、全身をびっしりと覆い隠すその泥は、しばらくの間、ず
りずりと湧き出し続けていたが、七、八分ほどの時間を経て、その発生を終了させていた。
 全身が泥人形のようになり、目も開けられないほどのユウコだったが、手探りでシャワー
のバルブをひねり、熱い湯でそれらを洗い流していく。
 と、厚い層となって彼女を覆っていた腐臭のする泥が清められていくユウコの姿には、劇
的な異変がおこっていたのである。どろどろと、まるで蝋人形が熱で溶けていくような変化
の中で、彼女の姿は細く引き締まったものに変化していたのであった。
「ん……ふ、んふふふふふ、やったわぁ」
 肌には以前とは比べ物にならないほどのハリと潤いが戻り、まるでハイティーンの輝きで
あった。
 肥満していた尻は半分ほどに縮小しながら上向きになり、果実のような形の良さに引き締
まっていた。
「この細いウエスト……大きな胸。そしてこの小顔、まさに計算通りかそれ以上ね」
 アンダーバストの無用な脂肪が溶け失せた胸元には形良く張り出したバストが再形成され
ウエストはぐっと引き締まり、コントラストが絶妙であった。そして、顔に付着していた余
分な弛み、皺、くぼみにてかりが消え失せて、彼女の顔は目鼻立ちのくっきりとした若い娘
のそれになっていた。
「ひい、ふう、みのよ、と……凄いわね、七頭身半もあるわ。やっぱり最近の若いコの身体
ってモデル並なのね」
 鏡の前で細まった腰を軽くひねったり、半身に立って細くしなやかな足を組んでみたりと、
ユウコは新しく生まれ変わったおのれの身体を存分に堪能していた。
「うふふ、腰をひねってもお肉がつっかえないだなんて、なんて素敵なのかしら」
520名無しさん@ピンキー:2010/09/18(土) 20:25:39 ID:A2YAi/a8
 もう、読者の皆様にはお分かりだっただろう。かのクラゲが持っているものは強いショッ
クと肉体を劣化させる毒だけではなく、相手の形質そのものを剥奪してしまう吸収能力なの
だということを。
 そして、それらを溶解し、飲み干すことによってユウコは、真奈美の備えていた若く美し
い肉体の形質を自らの形質と置き換えてしまったのである。彼女の生来の形質は、今はもう
風呂場の排水から流れていき、今頃は下水を漂っていることだろう。
 ユウコは脱衣所に投げ出してあった黒い布切れを手に取った。
「ふふふ、最近の若いコって大胆な水着を着るのね、なんだか恥ずかしいわ」
 それは真奈美が忘れていった水着だった。いや、持って帰ったとしても、もはや今の彼女
の身体では着こなすことができないものだったので、故意に置いていったのかもしれない。
 棚の上から安全カミソリを取り出して、腋下や下腹部の毛を剃り落とした後、ユウコは面
積の少ないその光沢のある黒い布切れをその起伏に富んだ肉体にまとわせる。
 艶やかに輝くスパンコールで飾られた三角水着は彼女の肉体の隆起にあわせてぴったりと
フィットしていた。あたかも、彼女が正当なこの水着の持ち主であるかのように。
「まあ、ぴったりね。じゃあ、仕方ないからコレ、貰っちゃいましょっ、と」
 嬉々として水着の縁を何度も手でなぞるユウコ。彼女は今までの人生の中で一度として、
こんな水着を着たことも、買ったことも、そしてこんな水着を着る機会を与えられたことも
なかったのだった。
「これなら……きっと、手に入れられるわ。愛だって、恋だって、きっと……人並みに……
いいえ、それ以上に……う、ううっ」
 鏡の中に美しく佇む若々しいユウコの姿は、やがてその双眸から吹き出すように涙を流し
ていた。
 ひとしきりの昂奮の後、ユウコは自らを情けなく、そしてあさましく感じてしまったのだ
った。何の罪もない少女のたった一度きりの青春を吸血鬼のように奪ってまで、若さや美し
さを手に入れた自分自身のザマを、とても醜く感じてしまったのである。
 もはや、ユウコは真奈美に謝ることさえもできなかった。それをする資格さえ無いものの
ように感じられたのであった。
「……だけど、仕方ないじゃないの」
 俯いていた顔を上げ、鏡の中の自分自身にユウコは言った。
「人は誰だって他人から何かを奪いながら生きていくものなんだからね!」
 人生は究極のゼロサムゲームである。恋愛ならば誰かが笑う陰で誰かが泣き、競技の中で
あれば勝利の栄冠を受ける一人の足元に数多の敗者が暗澹たる気に押しつぶされる。それは
人間として生まれついた全ての命に課せられた業なのである。
 それを悟った瞬間に、ユウコの涙は涸れていた。もう、優柔な瞳はそこから消え失せて、
かわりに虚無を知識った深淵のように深く暗い輝きがそこには湛えられていた。
521名無しさん@ピンキー:2010/09/18(土) 20:27:45 ID:A2YAi/a8
 彼女が手に入れられた若さと美しさは、真奈美に語った新陳代謝の話の真逆で、そんなに
長期にわたって保持し続けられるものではなかった。せいぜいが、二、三年ほど。その後は
またつまらない、取り柄のないただの肥満気味の中年女に戻ってしまうのだ。
 それでもいい、とユウコは嗤った。
 たとえ、一瞬の際にでも、花火のように大輪の花を打ち上げることがたった一度の人生の
うちにあるのならば、もう、何も悔いはないのだ、と。
 一度でも、どんな類いのものであっても、愛を、愛情を己の空虚な身に注いでもらえるの
ならば、私はもう他に何もいらないのだ、と。
 黒い水着のその上から引っ詰めたスカートと持っている中では一番派手なデザインの白い
チュニックだけを羽織り、よそいきのサンダルをつっかけて、安物のポーチを掴み、ユウコ
はふらふらと夢遊病者のような足取りで繁華街のネオンの輝きだけを目印に歩き出した。
 その後の彼女の消息については、これはもう、この話の中では語るだけの価値もないこと
である。

 海岸沿い、誘蛾灯に惹かれる虫たちがバチっバチっと小さくかわいた音を時折立てる他に
は、ただ波音が湿った響きを持つ韻律を、絶えず刻み続けるだけだった。


 おわり  

 と、四十年でした、連投を失礼しました。 
522名無しさん@ピンキー:2010/09/18(土) 21:22:26 ID:QmSpD/DQ
凄まじいなぁ。
523名無しさん@ピンキー:2010/09/19(日) 02:24:17 ID:gkbC9uTO
ディ・モールト良い文章だ
524名無しさん@ピンキー:2010/09/19(日) 06:28:59 ID:9AcXXdUv
中年女の悲壮感がようでとる
525名無しさん@ピンキー:2010/09/19(日) 08:20:32 ID:IwdtklHa
40年さんはツボをついてくるから好きだ
526名無しさん@ピンキー:2010/09/22(水) 08:50:27 ID:zKlWm+nG
女版「王子と乞食」的に、互いの立場からのないものねだりで、合意して一時入れ替わり、けれど「王子と乞食」みたく元に戻ってめでたしメデタシじゃなく、戻れなくなって慌てる話ってないかな?
必ずしもふたりが似てる必要はなくて、むしろ立場も容姿もかけ離れている方が萌える気がする。最終的に、「こんなはずじゃなかった。戻りたい!」と願うか「ま、これはこれで楽しいからいっか」と思うかはどちらでもアリだけど。
527名無しさん@ピンキー:2010/09/22(水) 10:57:18 ID:BRFOX2J5
商業はどうか知らんけど、保管庫にいくつかあったはず
恋人と妹の境界線とかそうじゃないっけ
528名無しさん@ピンキー:2010/09/23(木) 06:22:49 ID:gkakWz2Y
「賑やかな食卓」・「ママな妹、妹なママ」
こういうの良いですね〜、楽しみです。
529526:2010/09/23(木) 10:55:06 ID:8/Kl7LaZ
>「恋人と妹の境界線」「ママな妹、妹なママ」

おお! そう言われれば確かに! イイ話ダナ〜。
ただ、後者は、いざこれからというところで途切れているのが残念無念。
「同意して入れ替わり」→「不慮の事態で戻れなくなりオワタ!」→「でもそこから前向きに生きる」
というコンボが大好きです。最初が強制じゃないぶん「そうなった責任はお互いにある」って感じがして。
まぁ、「同意して入れ替わり」→「私達、このままでインジャネ?」というのも好物ですが。

せっかくなので、ちょっとだけ自分でも妄想してみました。

『令嬢メイド』

 「セリカって、ほんと女らしくてグラマーよね。いいなぁ」
 仕えている家の御令嬢に心底羨むように言われて、ティーポットから紅茶を淹れていたメイドは目をパチクリさせた。
 「ルイーズ様みたいな綺麗な方に言われると、なんだか複雑なんですけど……」
 メイド──セリカの言う通り、彼女が側付きの侍女として仕えているルイーズ・マリアンヌ・ド・ダルタニアンは、掛け値なしの美少女だった。
 豪奢な蜂蜜色の巻き毛と、人形のように整った顔立ち、そして雪花石膏(あらばスター)のように白い肌という、この国に住む乙女なら誰でも憧れるであろう美の要素を兼ね備えているのだ。
 さらに小柄で華奢ながら均整のとれた肢体は、さながら「現世に舞い降りた妖精」と見まがうばかり。
 伯爵令嬢という身分もあいまって、世の多くの少女達が思い描く「理想のお姫様」像と極めて近しい存在だと言えた。
530526:2010/09/23(木) 10:56:14 ID:8/Kl7LaZ
 対して、セリカの方は、ごくごく平凡なメイド娘にしか過ぎない。
 曾祖父の時代に外国からこの移り住んだため、この国では珍しい黒髪黒瞳と、ほんの少し黄色みを帯びた肌が多少は目を引くが、顔立ち自体はいわゆる「十人並みの美人」。
 確かに女にしては背が高く、胸もかなり大きい方ではあるが、それとて飛びぬけて目立つ要素ではない。
 実家は大きな農園を経営しており、それなりに裕福で多少は教養もあるが、身分制が厳格なこの国では、あくまで爵位を持たない平民だ。
 聞くところによると、海の向こうの国ブリタニカでは、貴族と平民のあいだに「郷士(ジェントリ)」と呼ばれる階層があるらしい。かの国でならセリカの家は確実にその郷士階級であったろうが、このプロバンスでは平民として十把一絡げにされる存在だった。

 とは言え、ひと口に貴族と言っても様々で、平民のことを金が成る木かしゃべる家畜くらいにしか思っていない非道な輩もいれば、国と領民のことを本気で考えてノブレス・オブリージュを尽くす立派な「真の貴族」もいる。
 セリカが仕えるダルタニアン伯爵家は、どちらかと言えば後者だ。陽気で平民にも気さくに接する伯爵と、厳格だが思いやり深い夫人のあいだに生れた娘たちも皆、知的で淑やか、かつ誇り高く慈悲深い。
 ……もっとも、末娘のルイーズに関しては、本性はなかなかお転婆だったりするのだが。
 叔母がルイーズの乳母であった縁で、行儀見習いを兼ねてダルタニアン家に仕えることになったセリカは、この家の人々と出会えて本当に幸運だったと思っている。
 とくに現在世話をしているルイーズとは、貴族と平民という身分差はあるものの、主従の域を超えて親しくさせてもらっている。
 ルイーズは、少々ツンデレで素直でないきらいもあるものの、基本的にはダルタニアン伯の娘にふさわしい、優しくて頭のよい少女であり、主として、また友人としては非常に好ましい。
531526:2010/09/23(木) 10:56:45 ID:8/Kl7LaZ
 ただ、残念なことに、15歳になったルイーズは、来年の春から王都の王立学習院(カレッジ)に入学し、勉学に励むことになっている。
 ルイズが学院にいる3年のあいだは、彼女付きのメイドであるセリカは暇をもらい、実家で家業を手伝うことになるだろう。基本的に学習院は従者の同伴は禁止されているからだ。
 弟妹たちに会えるのは嬉しいが、その面倒をみることや、畑仕事のことを考えると、多少憂鬱になる。
 いっそ地元で平民の娘が通う女学校に入学するか……とも思うが、読書好きで勉強熱心なセリカは、ルイーズの許可を得て、彼女が家庭教師から習っている教科書や蔵書類を読ませてもらい、それなりの域に達している。
 今更、女学校に通っても退屈なだけだろう。

 「いいこと、セリカ。確かにわたしは自分でもそれなりに美人だと思うわ。周囲の人もお世辞込みとは言え、褒めてくれる。で・も! 最後に殿方が選ぶのは、いつだって胸の大きな女の子なのよ!」
 どうやらルイーズは自分のスレンダーな体型にコンプレックスがあるらしい。
 あるいは、兄のように慕い、密かに憧れていた隣領の子爵が、巨乳の姉と結婚して義兄になったことにショックを受けたのかもしれない。
 「うーーん、そういうものでしょうか」
 もっとも、セリカなどに言わせれば、胸なんてあまり大きくない方が動くのに邪魔にならなくていい。ルイーズの好きな乗馬の際も、大きな乳房は邪魔になると思うのだが……。
 まぁ、このあたりの問答は、いつもの流れだったが、今日は少し趣きが違った。
 「──ねぇ、セリカ、貴女、本当にわたしのこと羨ましいって思ってる?」
 「?? はい、そう思ってますけれど……」
 「なら、さ。もし、一時的にわたしの立場になれる……って言ったら、どうする? しばらくわたしと代わってくれるかしら?」
 「……え!?」
532526:2010/09/23(木) 10:58:02 ID:8/Kl7LaZ
 ──と、こんな感じで、妖しげな魔法の指輪によって、メイドと貴族令嬢の入れ替わりが発生。
 勉強好きなセリカは、高等教育を受けられることを喜び、「ルイーズ」として学院へ向かい、勉強より身体を動かすほうが好きなルイーズは「セリカ」として彼女の実家に帰る。
 元より素質があったのか、「ルイーズ」は学院でも有数の優等生となり、貴族としての立ち居振る舞いや礼儀作法も身に着けて、他の生徒たちからの「憧れの君」となっていく。
 一方、「セリカ」は田舎暮らしの知識不足で当初こそ多少は苦労したものの、思い切り身体(しかもセリカの大柄で丈夫な肉体)を駆使して働く喜びに目覚める。末っ子だったため、弟や妹にお姉さんぶるのも楽しい。
 年末休暇で「ルイーズ」が屋敷に戻った際に元に戻る約束だったが、互いに今の生活が未だ名残惜しく、「もうしばらくこのままでいよう」と合意して別れる。
 翌年の年末も、ズルズルとその繰り返し。
 そのあいだに、「ルイーズ」は家が決めた婚約者と引き合わされ、「セリカ」の方も地元の若者の求愛を受ける。どちらの相手も好青年で、満更でもなく交際を始めるふたり。
 しかし、さすがに一生このままと言うわけにはいかないので、「ルイーズ」が学院を卒業したら必ず元に戻ることを約束していたのだが、「セリカ」が溺れていた弟を助けるために川に飛び込み、指輪の片われを無くしてしまう。
 3年目の年末休暇で、涙ながらにそのことを「ルイーズ」に告げる「セリカ」。

 ……と、ここまで妄想して力尽きました。
 無論、モデルはラノベ・アニメのあの娘達。色々変えてはいますが。
533名無しさん@ピンキー:2010/09/23(木) 18:07:40 ID:RT1jhgcg
指輪をなくしたのがセリカなら、ルイーズが許せば済むから続けやすいな。
「判ったわ、あなたはそのままルイーズとして嫁いで頂戴。あなたなら侯爵夫人としてだって立派にやっていけるわ。
べ、べつに私が○○(地元の若者)と結婚したいから言っているんじゃないんだからね。」

……あれ?w
534名無しさん@ピンキー:2010/09/24(金) 01:27:46 ID:7A6Xc2Zn
いい流れだな。
お互いの環境に長くいるうちに
元セリカが若干貴族っぽい性格になってたりするのも
良いかもしれん。

鉄棒の人の続きが読みたくなってきたよ。
535名無しさん@ピンキー:2010/09/28(火) 08:37:07 ID:2m5v8pzD
エロいの読みたいな!
536名無しさん@ピンキー:2010/09/28(火) 12:31:42 ID:We1XAw87
解体新書の祭りでODがあるといいな
537名無しさん@ピンキー:2010/09/28(火) 18:11:42 ID:SGd5a6qc
OD好きは少数派だからあんまり期待しない方が・・・
538名無しさん@ピンキー:2010/09/28(火) 18:50:09 ID:wQmtB/Ee
>>533
GJ!!
話の合間とか、なかなか妄想しがいがあるな。
539名無しさん@ピンキー:2010/09/29(水) 01:57:39 ID:TyzHy2h4
こう、もっと変化しての悲劇はないかなーこう、20だけど80の肉体年齢、普通にあと40年は生きるけど、今の体に40年上乗せされるだけどとか、
540名無しさん@ピンキー:2010/09/29(水) 04:09:26 ID:11W8rRp0
悲劇系は、個人的にはあまり萌えないなぁ。
悪事を企んだり、欲をかいたりした結果、自業自得により悲劇に見舞われるのなら、なんとか受け入れられるんだけど。
(自分は基本、WIN-WIN系の話しか書いてないし)
……って、ここでは少数派なのかな。
541名無しさん@ピンキー:2010/09/29(水) 04:41:25 ID:VIrGmIxS
>>539
>>540
なんで書き手を縛るようなことばかり言うのかな…
書き手の好きにすればいいじゃん
542名無しさん@ピンキー:2010/09/29(水) 20:19:07 ID://fhp76Q
なんというか、読者側からしてみれば、自分の読みたいものをリクエストするんだろうけど、
作家側からすると、細かい趣味(入れ替わり対象とか。)があわない場合、「それのどこが面白いの?ちょっと書く気にはなれないなあ。」
ということになるんだろうね。
543名無しさん@ピンキー:2010/09/30(木) 00:44:21 ID:KgIxJw46
お互い好きに意見を言って、好きなようにすれば良いだけだと思うけどな。
ただ建設的でないネガティブな意見を言うべきではないとも思うけどね。

こういうのがあったら良いな、とかは意見としてありだと思うけど
〜は好きじゃない、とかこのジャンルはつまらないとかは
書き手のモチベーションをそぎかねない。

言うにしてもある程度理屈が通すか、こういう条件なら
より良いという意見がないと無責任なだけになってしまう。
544540:2010/09/30(木) 04:38:10 ID:o7UcTJNe
>541、542、543

あーごめん。ちっと配慮不足だった。

一応2、3ココに投下した身として、539の望むようなのは、あくまで「自分は」
書けないので「そういうのは期待しないでね」と言いたかっただけなんだ。
(あるいはちょっと穿ちすぎて勝手にカチンと来てたのかも。「おめーの話なんていらねーよ」と言われた気がして)

539タイプの話を求める人がいるのも当然理解はしてるし、それはそういう
のが好きな人が自由に書いて投下すればいいと思う。
545名無しさん@ピンキー:2010/09/30(木) 15:47:08 ID:SJWut8My
この掲示板だと、匿名で気軽に投稿できるというメリットこそあるけど、後から編集・削除はできないとか、作品ごとにスレッドを作ったりグループ分けできないとか、機能が充実しているわけではない以上、ある程度腰を据えて作品載せるには不向きな点が多いんだなあ。
自分では書けないけど、他の誰かに書いて貰いたいと思っている人は、作家さんが来てくれるようなもっと創作に向いた掲示板を設置運営してみたら?
546名無しさん@ピンキー:2010/09/30(木) 16:35:55 ID:j7G0lAJT
(wiki保管庫では)いかんのか?
547名無しさん@ピンキー:2010/09/30(木) 20:15:57 ID:SJWut8My
ここの内容を保管庫に移してくれる人が実質1人しかいないことから分かるように、wikiって結構ややこしいよ。
少なくとも、誰もが気軽にできるものじゃないね。
ちなみに以前、別のwikiだけど、画像からの文字識別がイヤらしいぐらいみにくくて何度入力しても受け付けてくれずイヤになったこともある。
548名無しさん@ピンキー:2010/09/30(木) 21:14:37 ID:j7G0lAJT
前にオプーナのヤクルトラーメンを食べる権利を頂いたものですが
wikiの話題を振ってしまったので保管庫編集しました。実質一人ですいませんw

まー確かに編集はめんどいです。もし掲示板なら書いたものがそのままログとして残るので楽でいいかなとは思います。
ただ、その場合このスレの存在意義が無くなりかねないなという考えもあり>>546につながります。

そこらへんどうするかはスレ住人の皆さんにお任せします。
ARAPとかは掲示板も運営してるみたいなんでそういう形式でもいいかとおもいますが
そっちは2chスレの保管庫としての役割っていうのはまったく成されていないのが現状ですね

長文すいませんでした
549名無しさん@ピンキー:2010/10/01(金) 00:17:22 ID:Tez4DpDs
>>548
色々とお疲れ様です。
自分は今のままでいいと思う。
直接UP出来る人はそっちに書いてもいいし
どっちにしてもいいんじゃないかな?
スレの意義も必要だと思うし、wikiの方は基本的に
保管庫という位置づけで。ただ限定はしないと。

管理者には負担がかかるが、出来る範囲で無理せずやってくださいね。
550名無しさん@ピンキー:2010/10/01(金) 01:05:48 ID:G0dDERcN
>>537
初日からOD魔法少女が登場したわけだが・・・萌えた
551名無しさん@ピンキー:2010/10/01(金) 23:01:56 ID:IPBggRxY
俺も今のままでいいかな
Wikiあるし工夫すれば充分いける
552名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 22:10:05 ID:+BwsXd4M
今のままでもいいという、
>551
さん、次の作品はまだですか?
まさか自分は書かないから、掲示板や保管庫の内容がどうでもいい、文才のある作家さんが頑張ればいい、なんてことじゃありませんよね?
553名無しさん@ピンキー:2010/10/05(火) 00:55:18 ID:bobi358N
ルパン三世の『ルパンの全てを盗め』って話でルパンが体を盗まれるって話があった。
女が盗まれるエロパロが見たいです。
554名無しさん@ピンキー:2010/10/05(火) 08:58:27 ID:yJySPeFY
うろ覚えでごめんなさい。たしか、それって漫画板だとラストに不二子の体が
盗まれるってオチだって伝え聞いたことがありますが、誰かご存じの方いらっ
しゃいませんかね? 自分も詳しくはないので。(TV板は見ましたが……)
555名無しさん@ピンキー:2010/10/05(火) 21:17:56 ID:aiI2YFMe
# 最初の漫画版(なんかリメイクされたと聞いているので)では二話構成で最初、年を取った金持ちとルパンが入れ替えられます。
# しかし、ルパンの計略でルパンは元に戻り、不二子と年を取った金持ちが入れ替わった状態で終わりだったと記憶しています。
556名無しさん@ピンキー:2010/10/05(火) 21:57:18 ID:yJySPeFY
そうそう、そこが銭形警部に置き換えられたんでしたね。
金持ちが、科学者と結託して若い体を奪うっていうダークなお話は多く
あるように思われますが、意外と女性同士のお話は多いように感じます。
……たしかにそんなエロパロあれば面白いでしょうね。
555さん 情報のご提供をありがとうございました。
557名無しさん@ピンキー:2010/10/06(水) 11:06:12 ID:8x3GnaHZ
昔むかーし、どっかで、「正義の味方になりたい悪の組織の首領の娘(職業・悪の女幹部)」と、「悪の女幹部に憧れる警察官一家の娘(職業・婦警)」が入れ替わるSSを読んだような気が……。
入り替わり後の方が互いに自然で喜んでたのがよかった。
558名無しさん@ピンキー:2010/10/06(水) 15:43:50 ID:KThC38yj
>>557
てっつ庵の『隣の芝は・・・』でない?
559名無しさん@ピンキー:2010/10/06(水) 21:50:28 ID:tyC0wzDW
「FACE-MAKER」
“顔が変われば、人生も変わる”
自分の顔が他人の顔に変わったら、果たして人生はどうなっていくのだろうか?
天才美容整形外科医霧島瞬。人は彼をFACE MAKERと呼ぶ。
かつてアメリカの連邦保安局で「連邦証人保護プログラム」の手術を執刀していた唯一の日本人。
患者から料金は取らない。その代わり、オペの報酬としてもらうのは患者のそれまでの顔――。

毎回、顔を変えたいゲストがFACE MAKERのもとを訪れ、
新しい顔をもらい理想の人生を歩みだすが、
そこに前の自分の顔をした誰かが現れ人生の歯車が狂いだす・・・。

――そして、ラスト5分のカタルシス。――
自分の顔を他人の顔に変えた
患者の人生に想定外の結末が…。
驚愕の整形サスペンスが今ここに始まる!!

http://www.ytv.co.jp/face/
560補足情報:2010/10/06(水) 21:57:19 ID:tyC0wzDW
>>559
連続ドラマ
10.7(木)よる11:58スタート
561おっちゃん牛乳 ◆2nkMiLkTeA :2010/10/07(木) 00:41:50 ID:qwl694Rq
お久し振りです。いつの間にか規制解除されてました。
が、知りたくなかった!!は今更なので
これからもwikiに投稿しようと思います。
というわけで第三話です。
562名無しさん@ピンキー:2010/10/07(木) 00:46:28 ID:njifXTK8
うはうはおkおk乙乙
563名無しさん@ピンキー:2010/10/08(金) 01:13:57 ID:Poly7PzY
>>559
このドラマOD好きにはウハウハだな。
顔を変えるけど、実質入れ替わりみたいなものだな。

元の顔は誰かが手にして、そこからいざこざが…
って流れだしね。
564名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 15:22:51 ID:t8zAUYBW
ルパンのシチュエーションで叶美香のが良いな。
565名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 16:48:50 ID:d3GE0t27
いま話書いてるんですが長編の投下って大丈夫ですかね?
みたところそこまで長くないのが普通のようなのですが・・・
566名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 16:53:38 ID:CRJKp2IS
>>565
おkだと思います
567名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 17:16:27 ID:d3GE0t27
>>566
ありがとうございます。今回が初めてですので拙い部分もあるかと思いますが
完成したら投下させていただきます
568名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 17:17:15 ID:Y6n4gbm1
>>565
wikiに長編のやつとかあるし

是非是非
569名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 18:54:56 ID:d3GE0t27
とりあえず導入部だけ出来たので上げときます。まだ作品とは言い難いので
タイトルはないです。お目汚し失礼します。

「ふっ・・・くっ・・ああぁ・・・」
人通りの少ない通りのさらにその裏路地で、暗がりの中一人の女性―外見から20代前半くらいだろうか―が倒れこむようにして悶えていた。そしてその横でもう一つのいやにニヤついた顔がその様子を伺う。
「ふふっ・・・これで欲しかったパーツは揃った・・・あなたにもう用はないからしばらくそこで楽しんでてね。」
その人影は冷たくそう言い残すと煙のように消え去った。
「ま・・待って!」
倒れていた女性が先ほどまでの気配が消えていたのに気付き、そのあとを追うまいと必死に立ち上がろうとする。
「・・・キャッ!!」
しかし体を起こした途端に崩れおちてしまう。何事かと自身の下半身を見てその顔を驚愕の色に染め上げる。
「イ・・イヤァァァァァッ!!」
彼女が悲鳴を上げた理由・・・それは人間のものとは思えないほど無機質な硬さを持ち、電灯の明かりを浴び光沢を帯びているマネキンのような脚―それが自分の下半身であることに気付いたせいであった。
570名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 18:56:08 ID:d3GE0t27
「・・・というのが一般的に語られてる都市伝説ね。」
とある高校の昼休み。活発そうなショートカットの女子生徒が目の前に座る友人二人に得意げな顔で語る。
「・・・ふーん。マイもそういうオカルトチックな話が好きだったとはねぇ。」
正面に座る友人の一人がそれを胡散臭そうな目でみる。
「えーっ、ユキコだってこういうの好きだったんじゃないのぉ?」
とっておきのネタが思いの外不評だったためか、マイが不満の声を漏らす。
「さすがに高校生にもなると・・・ねぇ?サヤカ。」
ユキコが隣に座っている肩まである長髪の女子に同意の声を求める。
「えっ?う・・・うん・・そうだね」
まるで聞いてなかった、という風な表情を見せるサヤカにあきれる二人。
「・・・まぁサヤカは放っておいて、この話のどこが今までと違うの?化け物に襲われる
類の話だったらよくあるじゃない。」
ユキコがさもどうでもいい、といった感じでマイに疑問を投げかける。するとそれを待ってましたと言わんばかりのしたり顔でマイがそれに答える。
「ふっふーん。確かに今の話だけだとわからないかもね。でもさ、実はこの話・・・最近起きてるあの事件のことらしいんだよね。」
571名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 18:57:20 ID:d3GE0t27
マイの言うあの事件とはひと月ほど前からこの街で起きている連続婦女暴行事件のことである。それほど大きくないこの町は治安も悪くなかったため、
こういった事件が起こるというのは初めてであった。そのため警察も躍起になって捜査を行ってはいるもの犯人はまだ特定できていない。
「あの事件って・・・被害にあった人がみんな錯乱状態になっていて会話もままならないって話じゃなかった?それなのにそんな詳しい状況がどうしてわかるのよ?」
ユキコが聞くとサヤカもそれに合わせるようにして疑問をつぶやく。
「確かにそうだよね。それにそのはなしをどうしてマイちゃんが知ってるの?」
矛盾点を二か所同時に突かれても動じる気配がなく、逆に堂々とした様子のマイを二人はいぶかしむ。そんな二人をよそにマイがその口を開く。
「その「スジ」の知り合いから聞いた話だと今の話はその事件の被害者が警察にその時の状況を語ったのがそのまま一人歩きして都市伝説になったんだって。
つまり・・・この町には人を襲って体を奪っていく正体不明の「何か」がいるってことなんだよ!」
なぜか少し嬉しそうな様子のマイに面食らった様子の二人が顔を見合わせる。そしてユキコがマイに向き直りマイに言う。
「・・・マイのオカルト好きが悪化したってことはわかったわ。」
まるでとりつくしまもない言われようにマイは肩を落とす。
「とりあえずそろそろお昼休みも終わっちゃうから早く食べよ?」
サヤカがそう言ったのをきっかけにマイが教室を見渡すと確かに教室にいる人数が減っている。おそらく次の授業の教室に移動しているのだろう。
事実、マイの次の授業は体育だ。早めに行かなければ着替える時間がない。
「そういえば次の時間体育だったからもう行かないとちょっとマズいかな。それじゃ、またねぇ。」
まだ少し残っている弁当を袋にしまいつつ教室をあとにするマイを見送ると、二人は自分の弁当の残りを口に運びその日の昼休みを終えた。
572名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 22:26:24 ID:CY1arg+t
続きに期待
573名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 22:50:03 ID:Y6n4gbm1
期待
574名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 23:15:39 ID:/7mUMRit
kitai
575名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 17:28:33 ID:QjiIQQfC
続きです

陽も沈み、あたりを暗闇がすっかり覆い尽くしてしまった頃、マイは部活の友人らと別れ一人家路についていた。
「今日は結構遅くなっちゃたかな。まぁ予選も近いし、みんな気合い入ってるからしょうがないか。私もタイムをもうちょっと縮めたいしね。」
そうつぶやくとマイは水着が入ったエナメルバックを背負い直し、歩を早めた。
マイが今着ているのは学生服ではなく動きやすさを重視した一般的なジャージ姿だ。半ズボンの先から見えるその脚には無駄な脂肪はほとんどついておらず、
競泳をやっている人間特有のなめらかな線を描いている。
自宅へと帰る途中、不意にある考えがマイの中に浮かんできた。
(そう言えば今日の昼休みのあの話、いまいちウケが悪かったなぁ。せっかくから帰りがてらちょっと現場検証とやらをやってみますか)
マイがしようとしていることは、この時間帯に加えて犯人が捕まっていないことを考えると明らかに危険なことではあるのだが、このときはその万が一を考慮することよりも、
なにかしらの収穫を得て、あの二人にそれを見せつけて少しでも自分の話に興味を持ってもらいたいという気持ちのほうが強かった。
576名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 17:32:23 ID:QjiIQQfC
「たしかこのあたりだったよね・・・」
あたりは先ほどよりも一層闇が濃くなり、足元も注意しなければつまずいてしまいそうな暗さだ。道端の街頭も点いていることには点いているが、
中には切れかかっているものもあり、明かりとしてはいささか心許ない。まいはポケットの中にしまっていた携帯電話を取り出し、現在の時刻を確認する。
液晶画面の右上の時計を確認すると八時半を少し過ぎたところであることをマイに示していた。
「・・・まぁお母さんには部活帰りに友達と寄り道してたって言えばいいか。どうせそんなに遅くなるわけでもないし。」
家に帰った時の言い訳を考えつつ、マイは目的の場所を目指し、その歩みを今よりも濃密な、さらなる暗闇の中へと向けた。


大体昨日今日ぐらいのペースで毎週末に書かせていただきたいので更新は
遅めになるかも知れませんがご容赦ください
一応頭の中にストーリーはあるのですが文章にするのが時間がかかるので
577名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 18:29:40 ID:VqAcrguY
GJです
続きを楽しみに待ってますが、焦らずじっくりマイペースでやって下さい
578名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 23:13:21 ID:PRM/vRie
続き期待
579仮タイトル「人形劇」:2010/10/11(月) 15:03:23 ID:4N4EJTg2
続きです

何度か迷いそうになりながらもあれからしばらく歩き、なんとか目的の場所にマイはたどりついた。
一歩足を踏み入れたそこは事件があった裏路地である。あたりに人の気配はなく、静寂がその場を支配していた。
そこは、一見すると特に何もないように感じられた。昼間とは違い夜特有のうまく言い表すことのできない不気味な雰囲気があたりに漂っていたが、ただそれだけだった。
化け物の存在を裏付ける証拠はおろか、この場で事件があったことすらも言われなければわからないほどにごく普通の場所であった。
(まぁ、事件に関するようなものは全部警察の人が持ってっちゃてるだろうってのはわかってたんだけどね)
ここに来るまでにそれは分かっていたはずだ、とマイは自分に言い聞かせるが、それでもせっかくここまで来たのだからもう少し何かないか探してみようと思いあたりの探索を始めた。
そして、それから時を置かずしてそれは見つかった。
(なにあれ?)
一見するとそれは何かの木材か何かに見えた。暗がりの中、ごみに埋もれたそれはマイの今いる位置からははっきりと見えなかったが、それでも興味を引くには十分だった。
そしてその正体を特定しようと少し近づいたところで彼女は自分のとった行動を後悔した。
(!?)
それはまさしく人の腕だった。黒いビニールの中から突き出しているそれは気味の悪い肉のオブジェとしてそこに存在していた。
(な・・なんで!?)
一瞬パニックに陥りかけたマイであったが一つおかしいことに気がついた。
(よく考えたら人の腕なんかがここに落ちてたら警察の人が必ず気づいてるはず。あれはマネキンか何かの腕に違いない!!。っていうかそうに決まってる!!)
一度冷静さを取り戻すと今度はじっくりとそれを観察した。よくみると肘や手首の部分につなぎ目のようなものが見てとれた。それだけでも自分が見たものは人形だったと容易に判断できた。
(なぁんだ、やっぱりただの人形じゃん。)
一度張りつめた緊張が解けるとマイは心の平静を取り戻した。
所詮はこの程度のものしか見つけられないのだということを改めて感じたマイは収穫もこれ以上は望めないと判断し、足早に立ち去ろうとした。その瞬間、

「ちょうだい・・・」

背後から女の声が聞こえた。




思わぬところで休みを貰えたので今日も更新しときます
今のところ毎日続きを書けていますが明日からは昨日言った状態に戻りますのでよろしくお願いします
名前欄に書いておきましたがとりあえず仮タイトルを付けておきます。

580名無しさん@ピンキー:2010/10/11(月) 15:12:07 ID:4N4EJTg2
書き忘れましたが質問です。
やっぱり前のレスにアンカーを付けて書いたほうがいいでしょうか?
もしそうでしたら次からそのようにしていきたいと思います。
581名無しさん@ピンキー:2010/10/11(月) 16:57:57 ID:ihlVs75u
なくてもわかるけど、あったほうがわかりやすいとは思う
582名無しさん@ピンキー:2010/10/11(月) 20:12:11 ID:4N4EJTg2
>>581
やっぱりそうですよね。次の投稿からは安価つけて投下していきます
583名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 00:01:52 ID:ROKcxU9l
淫乱な女の幽霊がいろんな女の体に表意して堪(ry
このようなssを読んでみたいです エロノベルとかでなにかあったり
しませんでしょうか?
584名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 21:46:53 ID:5hlYDREq
>>583
うーん、自分もそれ趣味だがあまりそういうの聞かないなあ
あえて挙げるなら、このスレ保管庫にある「淫霊憑き」とかかな?
最近はそういうシチュエーションや、同級生同士や身分の違う人同士とかがあまりないのが少し残念かな
585「人形劇」続き1/2:2010/10/14(木) 23:57:13 ID:JneGAw4C
>>579の続き
「えっ?」
予期せぬところから不意に声が聞こえたため慌てて周囲に目を向ける。しかし、あたりを見渡しても先ほどと変わらぬ景色があるばかりで人影すら見当たらない。
(空耳かな・・・?)
そう結論付けマイが前を向いたその時、
「ちょうだぁい・・・」
目の前に薄気味の悪い笑みを張り付けた女が薄暗い通路を塞ぐようにして立っていた。
「ひっ・・・!!うわっ!!」
マイが振り向きその姿を認めた途端にその女は覆いかぶさるようにしてマイを押し倒した。
「な・・な・・・」
安心した直後の降ってわいた災難にマイは戸惑った。
(だ・・誰?っていうか何なのこれ!?)
マイが状況を飲み込めていないのを尻目に謎の女は体をさらにマイに摺り寄せてくる。
そしてついに・・・
「んっ・・・」
女の唇がマイの口を塞いだ。さらにその舌をマイの口内へと侵入させる。女の唾液とマイの唾液がお互いの口の中で混ざりあい、ピチャピチャ、ネチャネチャとした卑猥なコーラスを奏でる。
その味が舌を通して感じられ、マイに不快感とともに恐怖を植え付けた。
「ンンンー!!!」
声は出せなくとも拒絶の意を女に伝えるべく叫んでみたが一向にやめる気配がない。それどころか己の肢体でしめつけるかのごとく絡みついてくる始末だ。
身をよじって逃げようとしても、その細腕からは考えられないほどの力で抑えつけられている。どうあっても逃げ出すことは不可能だ。もはや、この状況下でマイは完全に女のなすがままになっていた。
―――ズッ・・・ズブッ・・・グッ・・・
「んあっ!!・・・や・・・やめ・・・」
ついに女はマイの大事な部分――秘所にまでその手を伸ばし、舐めまわすようにして触ってくる。
(あ・・・あれ?)
そうしているうちに少しずつ意識が朦朧としてきた。ともすると自分がどんな体勢になっているかも分からなくなってくる。まるで夢の中を彷徨っているような、
「自分」という存在がだんだんと薄れていくような不思議な感覚に襲われ始めた。
(も・・・もういや・・・誰か助けて・・・)
このまま自分はどうなってしまうのか?ひょっとしてこの場で殺されてしまうのではないか?そういった最悪の未来を頭に描き始めていたが、その思考は唐突に中断させられた。
「うふふ・・・いいわねぇ・・・これなら使えそう・・・」
586「人形劇」2/2:2010/10/15(金) 00:00:50 ID:JneGAw4C
そうつぶやくと女はマイの体から離れ、そのまま起き上がった。このときをもってようやくマイの体は解放された。
(や・・・やっと終わった・・・の?)
ようやく体の自由を取り戻したマイはひたすら嬲られ霞がかった頭をなんとか働かせて周囲を確認する。
あの女は何やら自分の腕のあたりをしきりにいじくりまわしている。
(今のうちに早く逃げなきゃ!!)
そう思ったマイは急いで起き上がり逃げ出そうとした、が、なぜか両腕はピクリとも動かず、力の抜けたまま肩から垂れ下がったままだった。
試しにもう一度意識をその部分に集中させて動かそうとしてみるも結果はかわらなかった。
それどころか地面に触れているはずなのにその感触すら伝わってこない。
(あの女・・・よっぽど強く押さえつけてたのね・・・)
先ほどの尋常でない力で締め付けられていたことを思い出す。おそらく腕がおかしくなってしまったのは痺れているせいだと判断したマイは腕を使わずに起き上がろうとした。
しかし、
(!?)
もはやそれは異常とも呼べる事態だった。足の先から太もも、さらには腹筋にすら力を入れることが出来なくなってしまっていた。
これは血が通わなくなっていたために痺れたなどというレベルを超えてしまっている。
(い・・・一体あの女に何されたっていうの!?)
「心配しなくてもいいわ」
マイが体の不調と悪戦苦闘している間にいつの間にかあの女がマイの横たわっているそばまで歩み寄ってきていた。
「どうせ今から付けかえさせてもらうから。大丈夫、神経をマヒさせているから痛くもないしすぐに終わるから。」
(どういうこと?付けかえる!?)
相変わらずこの女の話すことは理解できないが、何か自分にしてくるということは確かなようだと理解したマイは這ってでもなんとか逃げ出そうとしたが
やはり体はマイの意思を拒絶しているかのように言うことを聞いてくれない。
「だからマヒさせてるって言ったのに・・・まぁいいわ。早く私にその「血と肉」をちょうだい・・・。」
そういうと女は相変わらず自由の戻っていないマイに近づくと先ほどとは打って変わって優しい手つきでマイをうつぶせにした。
「な・・・何のつもり・・・?まだいじり足りないっての・・・?」
「ふふ・・・それはもういいわ・・・。今は黙って見てなさい。」
先ほどと同じようにマイの体に重なってくる女。特に変わった様子は見られない。しかし、女の体が上半身に触れた瞬間―――――ゆっくりとマイの体に女が沈みこみ始めた。






587名無しさん@ピンキー:2010/10/15(金) 01:35:08 ID:Eq2Ivg46
ひょっとしてスレ違いな内容ですかね?
見直したらそんな気がしてきました。
588名無しさん@ピンキー:2010/10/15(金) 01:36:29 ID:fzeyWKoU
いや、展開的には十分期待できそうなので、いま少し見守りましょう。
589名無しさん@ピンキー:2010/10/15(金) 09:12:06 ID:6716eYiX
男と入れ替わっておチンチン気持ちいいよぉとか
掃除機にに変身してワタボコリ美味しいよぉとかしなきゃ大概はセーフ
590名無しさん@ピンキー:2010/10/15(金) 11:51:25 ID:SyE8dTsk
男と入れ替わって「私の処女は私が貰うわ」とか
掃除機に変身して「ダメ、水を吸ったら壊れちゃう」とかは?

書けないけど
591名無しさん@ピンキー:2010/10/15(金) 12:31:18 ID:x5h9kEaB
それは該当スレがここじゃない
592名無しさん@ピンキー:2010/10/15(金) 16:57:27 ID:WYdN9idA
>591
TSスレはあるけど
掃除機の方の該当スレってあるの?
593名無しさん@ピンキー:2010/10/15(金) 17:11:46 ID:8gkmeuRF
594名無しさん@ピンキー:2010/10/15(金) 17:26:30 ID:8gkmeuRF
エロパロ板半端無いなあ
様々な変態に対応する超コアなニーズが揃ってる
595名無しさん@ピンキー:2010/10/15(金) 18:08:58 ID:YwvazFGW
>>490
今日からか
596名無しさん@ピンキー:2010/10/18(月) 10:13:23 ID:Fqlx/ZIK
↓ここで提案されてるシチュだけど、「立場のみ」じゃなくて、コッチの肉体交換でやった方がエロいかもと感じた。

http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1268928099/466-467
597名無しさん@ピンキー:2010/10/18(月) 16:03:19 ID:z5vnMx6C
>>596
そっちの人達は男が女のカッコさせられて羞恥に耐える姿に興奮してる人達だから
こことは趣旨が違うぜ
598名無しさん@ピンキー:2010/10/18(月) 16:11:11 ID:0iCf2toB
>>597
そこのスレ、男が女の格好ってのが多いスレだけど、女同士も対象にしているよ
599名無しさん@ピンキー:2010/10/18(月) 16:55:49 ID:z5vnMx6C
>>598
まあ、あくまでも例で言っただけで
なんて言ったらいいのかな
わざわざタイトルに入れてるように「『立場だけ』の交換・変化」
立場だけってのがポイントらしいんだよね

自分も前からそのスレ注目してみてたんだけど
どうもメイドとお嬢様の立場の入れ替わりみたいなのには興味無いみたいなんだよ

あくまでも立場に見合わない格好をさせられて羞恥に耐える姿が好きみたいで
分相応の姿に変わっては意味が無いらしい

我々的にはメイドとお嬢様の立場を変えられて
絶望するお嬢様・勝ち誇るメイドには萌えても
そこに羞恥がないとダメらしい
600名無しさん@ピンキー:2010/10/18(月) 23:04:44 ID:mRaMyfx4
好みの壷は千差万別すなぁ〜
601名無しさん@ピンキー:2010/10/18(月) 23:49:34 ID:CeZqVR+a
入れ替わりよりも憑依・乗っ取り・一体化に萌える
屈強な女悪魔がか弱いお姫様と一体化し乗っ取って、
女悪魔の怪力・魔力をか弱いお姫様の姿で駆使するとか。
602名無しさん@ピンキー:2010/10/19(火) 00:41:52 ID:uxZt4dxw
>599-601
そーなのかー。
自分なんかはココとアッチの両方に出入りしてて、どちらにも萌えるものを感じてるからなぁ。
強いて言えば、女同士の場合、最初は立場だけ交換されて(でも本人達以外は気づかない)、
事を荒立てないために互いのフリをしつつ、何とか戻ろうと方法を探すんだけど、
いつの間にか徐々に今の立場に馴染み始めて、それにつれて身体の方も変化する……という
ひと粒で二度美味しい展開が好きだな。
まぁ、そんな贅沢なSS、なかなか見たことないんだけど。
603名無しさん@ピンキー:2010/10/19(火) 11:12:48 ID:TNsw4XRK
 亀レスだが、
>>558
>てっつ庵の『隣の芝は・・・』でない?
 に感謝! たしかに、コレだったよ。惜しいトコロで終わっているので、
 自分なりに同種のモノを書いてみるか……と思ってた時に、
>>602
>強いて言えば、女同士の場合、最初は立場だけ交換されて(でも本人達以外
>は気づかない)、 事を荒立てないために互いのフリをしつつ、何とか戻ろう
>と方法を探すんだけど、 いつの間にか徐々に今の立場に馴染み始めて、
>それにつれて身体の方も変化する
 という書き込み見て、ピン! と来た。
「主人公は、正義の戦隊のピンクと、侵略宇宙人(額に宝珠があり瞳が真紅)の女幹部(実は大王の娘であるプリンセス)。
ピンクはその資質を見込まれて戦隊にスカウトされたものの、元来の怠惰で見栄っ張りかつ高飛車な性格から仲間に馴染めず、逆に女幹部の方は几帳面で優しい性格から、侵略組織幹部としての立場にストレスを感じている。
オフで飲みに行った際に(ピンクは素顔、女幹部は地球人に擬態)、そっくりな顔の女性(お互いのこと)と出会い、ビックリしつつ意気投合、女幹部の地球でのセーフハウスで更に飲みなおす。
ふとしたことで互いの正体がバレたものの、酔った弾みもあって1週間ほどコッソリ入れ替わることを提案、了解する。
実際、入れ替わった先の平時の「職場」はふたりにとって快適そのものだった。
604603:2010/10/19(火) 11:13:18 ID:TNsw4XRK
ところが3日後に「出撃」があり、「ピンク」(正体は女幹部)が戦隊スーツに変身し、「女幹部」(正体はピンク)が戦闘衣装を身に着けたことで事態は急変。
本来は本人にしか使えないはずの変身装置が、なぜか反応し、互いに無事(?)戦隊ヒロイン、悪の女将校として、「仲間」とともに現場で相まみえる。
ふたりが小細工したこともあって、その場は痛み分けで両者撤退。ところが、バトルコスチュームを解除したところ、ふたりともなぜか素の姿が「地球人の少女」と「異星人の王女」へと変わっていた。
偽ピンクの方はバトルコスチューム自体に「元の姿を登録、復元する機能」がついていた(某ガイバーのコントロールメタルみたいなモノ)し、
偽女幹部の方は、偽装用に渡されていた宝珠がいつの間にか体に根を張り、戦闘時の昂揚で一気に開花、その肉体を最適化した……というもの。
──と、ココまで妄想して、オチをどうしたらいいのかわからなくなった。
一応、「実は宇宙人の背後に真の黒幕がいて、両者協力して黒幕を倒す」的な、イクサー1とかシャインズマン的結末は思いついたんだけど。
最終的に肉体が(互いのモノに)変貌するから、ココに投下するのアリなのかな?
605名無しさん@ピンキー:2010/10/19(火) 17:50:12 ID:aWov4GoF
>>604
面白そうですね。
続きがあるならぜひお願いいたします。
606名無しさん@ピンキー:2010/10/19(火) 22:48:48 ID:eh8YfVa8
おおいにアリである
607名無しさん@ピンキー:2010/10/20(水) 03:42:50 ID:E9ORrGzR
>>600
好みは千差万別で思い出したが
オッパイばっかり描いてる絵師は段々
巨乳→ぽっちゃり→でっぷり→熟女→スカ
の順に嗜好がシフトしていくらしい

自分もTSから入って
TS→AP・AR→OD→融合
とシフトしていったが融合にいたってはジャンルがニッチ過ぎて
ネット上にすらまったくSSがないw
608名無しさん@ピンキー:2010/10/20(水) 17:16:55 ID:4wrgcuos
融合ものか
不思議なお話ってSSブログと融合変身図書館はたまに見る
あと手術グロ系でよければNullBrainzとか
商業なら漫画のバイオガーダーが該当かな

まあ、いずれにしてもニッチなジャンルなんで頑張って
609名無しさん@ピンキー:2010/10/21(木) 02:01:24 ID:PSS0oUI0
来週のTo LOVEるで春菜とララの入れ替わり来そうだなw
期待しとくか
610名無しさん@ピンキー:2010/10/22(金) 00:40:54 ID:sJhVTYqf
今回のフェースメーカーは良かったなぁ。
整形前もブスでもないしね。
来週は残念ながら男性の週
611名無しさん@ピンキー:2010/10/22(金) 01:41:59 ID:uIHNwvUv
金持ちおばさんが若い女の体を乗っ取り、久々にエッチをするのがいい。
612ママな妹、妹なママその4:2010/10/22(金) 20:37:15 ID:vu5CrV07
オレが慌てなかったいえばウソになる。
近所のオバサンや、小学生がりびんぐにいるならまだ対応のしようもあるけど、そこにいるのは見覚えがないといってもいい2人。
なんで、こんな2人がここにいるんだ?
そんなオレの気持ちを察したかのように、小柄な方、サイズの合わない服装に埋もれている方が口を開いた。
「あ、あれ?…勇治…あなた、いつのまにそんなに大きく…」
そんなに大きく?どういうことだ?
オレの身長は、同学年の男子の中では平均的。
その上、オレが見知らぬこの子がオレのコトを知っているというのはどういうことだ?
だが、それに続くようにして、30代半ばと思わせる女性の言葉がオレを続けざまに驚愕させた。
613ママな妹、妹なママその5:2010/10/22(金) 20:49:41 ID:vu5CrV07
「え?あれ?あれれ?お兄ちゃん、どうしたの?こんなに小さくなってびっくり?」
中年女性が口にしたその言葉への驚きは、小学生ぐらいの少女が呟いた内容に匹敵する驚きをオレに与ていた。
おにいちゃん?
確かに、この女性はオレのことを「お兄ちゃん」といったぞ。
外見での肉体の歳。その第一印象としては、オレとこの女性。20歳は歳の差があってもおかしくないはずなのだが。
おかしな疑惑がオレの中で渦巻いていた。
とても未成年…どころか小学生としてもちぐはぐな言葉を吐くこの女の子と、オレのことをお兄ちゃんと呼ぶ中年の女性。
平均的な日常生活の中はまず聞くことがないと思われるセリフだ。
少なくとも学校で教わる受業の中からでは。
しかし、今は受業中の上に、これが夢や幻想や幻、そして自己幻影の世界でないことだけは確かであることをオレは実感していた。
614名無しさん@ピンキー:2010/10/23(土) 17:26:50 ID:i0C2o9iY
おかえりGJ
615名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 00:55:09 ID:+QByWKsL
wiki投稿乙です
616ママな妹、妹なママその6:2010/10/25(月) 22:16:10 ID:L3qHkR+T
「ちょっと…2人に聞きたい…確かめたいことがあるんだけど…」
「なあに?」
「なんなの?」
中年女性と少女がそれぞれに応える。
「えーと、母さんだよね?」
少女に向かっておそるおそる問いかけてみれば、
「そうよ。それがどうかしたの?」
その少女は小学生、それも10歳になるかならないかという外見に似つかわない大人びた口調で応える。
「それじゃあ…こっちは由香だよね。」
「そうだよ。でもさっきからなんでそんなこと聞くの。お兄ちゃん?」
血の気がひくというのはこんな感じなのだろうか?
そんな…まさか…
でも、先ほど2人が読んでいて、そして呪文を唱えることになったあの本。
母さんと由香、2人が消えて、代わりに現れた女性と少女。
そして、女性はオレのことをお兄ちゃんと呼び、少女はオレのことをまるで息子か何かのように扱っている。
こ、これはおそらく…あの呪文は本物。
後は、この2人に「今の自分の姿」をみてもらうしかないだろう。
「ちょっとまってくれよ。2人とも…」
オレはリビングの壁にかけてあった鏡を取り外すと、2人の前に持ってきた。
「ちょっと、これをのぞいてみてくれよ。」
617名無しさん@ピンキー:2010/10/26(火) 18:54:17 ID:blR1uKi5
乙!
618603:2010/10/26(火) 23:20:42 ID:+qjOHXV9
#例の「悪の女幹部←→戦隊ヒロイン」の入れ替わり話、書き始めてみました。と言っても今回は出だしのみですが。

『わたくしが貴女で、わたしがアナタ!?』

1.悪役王女の憂鬱

 地球を周回する軌道上の宇宙船「ソルフォード号」。そのブリッジ近くに設置された豪華な船室で、ひとりの美女が窓の外を見降ろしていた。
 「地球、か……本当に美しい惑星(ほし)ね」
 安手のヒーローアニメなどであれば、それに類するセリフを吐く「悪の宇宙人」は多々見受けられただろう。そしてその台詞の裏には「だからこそ自分が征服・支配するにふさわしい」という感情があったはずだ。
 しかし、彼女が口にした言葉には、そういった打算とは無縁な素直な感嘆が感じられた。あえて言うなら、秘められていた感情は「羨望」だろうか?
 そう、この女性──真聖メナス星王家の第一王女であり、地球侵攻軍第二大隊の指揮官でもある姫将軍レイア・ソルフォード・メナスは、心の底から地球の美しさに感動し、心から慈しんでもいたのだ。
 (でも……そんな惑星をわたしたちは侵略しようとしている)
 自らに課せられた任務を思うだけで、レイアの心は沈んだ。
 170センチ近い長身とグラマラスなボディに、黒の生地に宝石の散りばめられたドレスを着て、極彩色の化粧を施した、典型的悪女然とした格好をしているが、レイア本人は内心この格好を気に入っていない。
 ただ、「星王家の人間の平時軍装」としての規定に従っているだけであり、レイア自身は、むしろ白や水色、ピンクといった色合いで、フェミニンなデザインの服装の方が好みに合っていた。
 また、性格面も、軍の指揮をとっている時こそ凛々しく、あるいは冷徹とも思える判断を下せるものの、本来の彼女は、古典的な意味での「お姫様」にふさわしく、花鳥風月を愛で、敵味方問わず失われる命に涙する、優しい女性だ。
 「ふぅ……疲れたわ」
 王家のひとり娘として(ただし、男子は兄と弟がひとりずついる)帝王学教育も受けてはいるから、戦闘指揮や戦術考案などもできないワケではないが、正直自分の性にはまるで合ってない……と常々彼女は感じていた。
 「……確か、地球時間で125時間後まで作戦行動はないはずよね」
 そのため、王家の姫としてははしたないことだが、レイアは「ソルフォード号」から抜け出し、「隠密調査」と称して息抜きに地球(大概は担当地区である極東)に降りることもしばしばだった。
 「また、爺やは怒るかもしれないけど……コレも指揮官の重責に耐えるためなの。わかってね」
 サラサラと書置きを残して、転送装置のスイッチ入れる。
 ──シュンッ!
 という僅かな空気音を残して、船室からレイアの姿は消え、ほぼ同時に地球上に秘密裏に設けられたメナス軍のセーフハウスのひとつへと現れる。
 「ふぅ〜、ちょっと体が重いけど、やっぱり地球はいいわねぇ」
 セーフハウスと言っても、東京都内の某所にある高級マンションの一室であり、体重計に偽装された転送装置を除けば、メナスのハイテク関連の機器はひとつも見当たらない。
 典型的な「ひとり暮らしの若い女性の部屋」に偽装されているうえ、こうやってレイアが来た時にショッピングで買い込んだものなども置かれているため、仮に中を見られても、異星人の王女の別宅だとは思われないだろう。
 「さて、シュミの悪い軍装はパパッと脱いで……ケバいメイクも落として……っと」
 ひとりごちながら、レイアは全裸&素顔になる。
619わたくしが貴女で、わたしがアナタ!?:2010/10/26(火) 23:21:27 ID:+qjOHXV9
 実のところ、メナス星人の身体的外見は、ほとんど地球人と変わらない。色素の関係か肌の色が異様に生白く見えるが、それだって北欧出身かアルビノだと言えば誤魔化せる範囲だろう。
 ただし、星王家の人間は、地球人の自然な髪にはほぼあり得ない炎のように鮮やかな緋色の髪と、ルビーの如き真紅の瞳が特徴だ。もっとも、これらも染料やカラーコンタクトで十分隠せる。
 また、額の上部には命珠(ジェム)と呼ばれる、親指の爪よりふた周りほど大きな赤い結晶体が付着している。
 一見するとインド人女性のビンディのようだが、命珠はメナス星人が誕生の際に手に握って生まれ、生後まもなく額に着床させる半有機結晶体だ。
 主が経験した事柄をすべて記録しており、時には本人が忘れていることさえ思い出させてくれるという便利な記録媒体であり、テレパシー的な繋がりで主と簡単なやりとりもできる生きたAIでもある。
 さらに王族の命珠は、不可視領域の赤外線やX線も感知する優れた第三の目の役目も果たす。
 とうぜん重要度も極めて高く、本人の許可なく命珠に他人が触れることは家族であっても原則ご法度。同性であれば無二の親友、異性であれぱ生涯の伴侶にしか触らせないものなのだ。

 レイアは慣れた手つきで全身にスプレーを吹き付け、青白い肌を日本人らしい黄色みを帯びた肌色に変える。髪にも別のスプレーをすると、美容院でみられるレベルの赤茶色に変化した。
 「フンフンフ〜ン♪」
 体色を変えると同時に、王女の重責も一時的に置き捨てたかのように彼女は上機嫌になり、鼻歌を歌いながらクローゼットからブラウスやスカート、カーディガンといった女の子らしい服を取り出して着替え始める。
 数分後、鏡の前には、一点を除いて(かなりの美人ではあるが)ごく普通の女子大生くらいの年頃の女性が立って、満足げに自分の姿を眺めていた。
 「これでよしっ、と……あ、忘れてた」
 残る唯一の奇異な部分──命珠のことを思い出すレイア。
 命珠を額から外すこと自体は主の意思があれば不可能ではないのだが、メナスの人間にとって何も付けていない額をさらすのは、日本人女性が頭を完全に丸坊主にするくらい抵抗感のあることだ。
 迷ったあげく、レイアはバンダナで額を隠すことにした。
 「うん、完璧ね!」
 厳密には、バンダナが若干野暮ったく浮いているのだが、まぁ、そのヘンは個人の趣味の範囲だろう。
 革製のポシェットを手に、レイア──いや、「日向麗(ひなた・れい)」と名乗る女性は、土曜の午後の繁華街へと足取り軽く出かけていった。
620わたくしが貴女で、わたしがアナタ!?:2010/10/26(火) 23:23:53 ID:+qjOHXV9
#説明ながっ! 次回は正義側のヒロイン紹介とふたりの邂逅をいっぺんに済ませます。立場入れ替わりは、その次になる予定。

>ママな妹、妹なママ

GJ! 再開、期待してました。この調子で「入れ替わりの鉄棒」とか一連の作品の復活もあるといいな。
621名無しさん@ピンキー:2010/10/28(木) 00:50:45 ID:6GvABV9c
GJ!
これは続きが気になるな。次も楽しみにしてます。
622ママな妹、妹なママその7:2010/10/29(金) 20:48:19 ID:8Hg5IsH4
「鏡?なんでー?」
「どうしてこんなこと?」
そう呟きながら2人は鏡を覗き込んだ。
そのまま十数秒ほど…2人は、鏡と顔の間で手を振ったり自分の顔を触ったりしていたが
5秒ほどその動きが硬直した後、
「えー!」
口調や声質は異なるものの同じ叫び声は部屋に響き渡った。
「なな、なんで由香がこんなに大きくなってるの?!」
「どういうこと…あたし、こんなに小さく…そういえばさっきから動きにくいと思ったら服がこんなに…」
2人の反応、そして言葉を聞いてオレは確信するしかなかった。
そう、冗談だと思っていたあの本の呪文。
2人の年齢を入れ換えるという呪文。
それは、正真正銘、本物だったのだ。
目の前にいる、サイズが小さな服をはちきらせんばかりにしている女性は、母さんと年齢を交換した、つまりアラフォーになった妹の由香。
一方、サイズが大きすぎる服に埋もれかけている少女は、由香と年齢が入れ替わった…小学生の年齢になった母さんということなのだろう。
無論、これが何かのイタズラという可能性はあるけど、少なくとも母さんと由香だけでこんなコトができるとは思えない。
「お兄ちゃん、どうしよう。」
半ば涙目になりながら、オレに視線を向けてくる由香。
この年頃の女性にこんな表情を向けられた経験がないだけに、相手が本当は小学生の妹であると分かっていても、ドキッとしてしまう。
623名無しさん@ピンキー:2010/10/30(土) 21:53:04 ID:sH+8MJ0W
続き期待
624名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 10:47:20 ID:08Ud7Itr
首すげ替え系の入れ替わりって、たいてい周囲が「変わってないように」認識を誤魔化されたり、あるいは「元からそうだった」と記憶改変されて違和感なく過ごしちゃうけど、逆に
 「宇宙人(神・悪魔などでも可)の力で、首を挿げ替えられちゃった。大変だ!」
ってのを周囲をも巻き込んで大騒動になる話とかないかな。

病院の検査とか、真相解明にてんやわんや(無論、解明できない)とか、ふたりの社会的立場をどうするのか(体に合わせるのか、頭に合わせるのか)とか。
それらが一段落しても厄介事は山積み。
たとえば母と娘なら、夫=父の立場としては、メチャ複雑。とくに、まだ20代〜30代半ばくらいのヤりたい盛りだと、「娘の頭部のついた妻の体」を抱くのか「妻の頭のついた娘の体」を抱くのかで、葛藤しそう。
あるいは、同級生の女の子同士のすげ替えで、かたや財閥系旧家のお嬢様、かたや一般庶民の子だったら、「血筋を継承させる」という目的から、あえて「お嬢様の体の庶民娘」が、令嬢として扱われ、許婚とかもあてがわれる……とかありそう。

コメディー系で誰か書いてくれないかなぁ。
625名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 19:44:22 ID:3P7eBFxO
>>624
保管庫にあるじゃないか
首から下は妻の体だからと実の母親と平気で子作りする男の話が

でも真面目に考えるとグロいよね
626名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 20:27:42 ID:nzNJD40Y
グロいからいいんだろう
顔は幼稚園児のかわいい女の子なのに
首から下が二十代のムチムチ巨乳ボディとか(*´Д`)ハァハァ
627賑やかな食卓 第3話:2010/11/04(木) 22:16:23 ID:zFg6VP8N
賑やかな食卓 第3話

魂交換システムが実用化されたのが今から5年前。
その名の通り、人間の魂を交換し、本来とは別の肉体へと移し替えるモノだ。
もっとも、このシステムには致命的といえる欠点が存在していた。
まず、魂の交換には肉体の相性が存在し、相性が合わない肉体同士では交換ができない。
この相性は、親子や兄弟のような血縁関係者同士だとかなりの確率であうものの、そうでない人間同士で相性があう確率は1億人に1人あるいは10億人に1人とも言われている。
そしてもう1つは、交換できる時間に制限があるということ。
相性があうといっても、やはり他人の身体。長時間交換状態が続くと魂が弱ってしまい、遂には消滅してしまう。
このような制限から、魂交換システムによる不老不死は不可能であり、また犯罪などに使われる危険性も低かったが、それでもある日突然人間の中身が全く別人になることへの危険性は高く、この5年間、システムの使用は厳しい規制を受けていた。
とはいえ、一度、世間にその存在が知られた以上、いつまでも規制を続けることもできない。
そこで政府は、規制緩和の第一段階として、不特定多数の人間にシステムを使用した際における問題点などを調査する為に国民にモニターを募集することとなった。
628賑やかな食卓 第4話:2010/11/04(木) 22:25:02 ID:zFg6VP8N
賑やかな食卓 第4話

血縁関係がない人間同士ではまず使用できないことが分かっている以上、募集は、親子あるいは兄弟姉妹に限定されることになった。
またこの調査は国政の一環ということで、入れ替わった状態では就学あるいは労働が困難となることも予想されることから、モニター期間中、調査協力費の支給や学生は公休扱いなども保障されることとなった。
それに興味を持ったのが、妻と娘の香苗というわけだ。
肉親相手で時間制限つきであるにも関わらず、この調査の人気は高く、どうせ当選するはずもないとたかをくくっていたおれだったが、通知が来て驚きそして狼狽えることとなった。
安全性は保証されているといっても、魂と魂、身体と身体が入れ替わるというのだ。それも自分の妻と娘が。
不安に思わないはずもない。
なんとか2人を説き伏せようとしても無駄な努力に終わった。
「なあ、頼むからやめにしないか。遊園地のアトラクションみたいなもんだと思っているみたいだけど、これはそんな簡単なものじゃなさそうだぞ。」
最後の説得も虚しく、妻と娘は、交換処理を受ける為にでかけていってしまった。
こんな時、家で待っているのが辛い。
とはいえ、あんな反対した手前、ついていくのも恥ずかしいし。
5分ごとに時計を見る動作を何度繰り返しただろうか。
玄関が開く音が聞こえた。
629賑やかな食卓 第5話:2010/11/04(木) 22:31:11 ID:zFg6VP8N
賑やかな食卓 第5話
玄関にカギをかけたのは確かだから、ドアが開くと言うことは、家族以外の何者でもない。
焦らされたこともあって、跳ねるようにしておれは玄関に向かった。
そこに立っていたのは、妻と娘の姿。
あまりにも見慣れた光景…なのはそこまでだった。
「パパー!ただいまぁ!」
いきなりオレに抱きついてくる妻の身体。
新婚の頃なら珍しくなかったが、香苗が生まれた後はご無沙汰な…
しかし、あまりにも無邪気なその仕草と口調にオレは違和感を覚えた。
も、もしかして、これが…
それを裏付けるように、すぐそばで立ったままの香苗が口を開いた。
「ただいま。あなた。香苗も、それは本当はママの身体なんだから無茶しないでね。」
「あ、ママ。ごめーん。」
オレから身体を離す妻。
いや、性格にはこれはオレの妻というわけではないのだろう。
「お、お前達それじゃ…」
「あら、あなた。あれほど説明したはずなのにまだ信じてなかったの?」
香苗は、小学生とは思えない冷めた口調でオレに問いかけてくる。
「へへ、パパー!あたし香苗だよ。こーんなに大きくなっちゃった。ほら!」
小学生の子供のいる女性とは思えない妻の屈託のないその声に、おれは全身の力が抜けていくのを感じていた。
630名無しさん@ピンキー:2010/11/05(金) 06:58:25 ID:7u9ByC8N
続きGJ!
631名無しさん@ピンキー:2010/11/05(金) 08:47:41 ID:4PlWrwRm
GJです
632賑やかな食卓 第6話:2010/11/05(金) 21:28:24 ID:tbWRLPWj
賑やかな食卓 第6話
2分後、おれはリビングのソファに腰を下ろしていた。
とてもじゃないが、立っている自信は既になかった。
あれだけ反対した一方で、オレの中では、魂の交換なんてできるはずなんかないと思っていたらしい。
自分のことなのに、らしいなんて今更思うなんて情けない。
「さ、とりあえずお茶でも飲んで落ち着きましょう。」
そういいながら、妻はテーブルの上にお茶の支度を始めた。
もっとも見た目だけでは、小学生の女の子が背伸びして、大人の真似をしているようにしか見えないが。
「えへへ、パパ、ビックリするって話してたけど、ホントだったね。」
オレの様子を面白がる香苗だが、外見だけみれば、30代の女性がお菓子を口一杯に頬張っているのは明かに異様だった。
「香苗、お行儀悪いわよ。それにそれはママの身体なんだからあんまり食べ過ぎないでね。太ったら困るのはママなんだから。」
「はーい…あれ、そういえば、今はあたしがママなんだよね。」
「こら、かなちゃん!そういうことはしないって約束したでしょ!それに、そういうことならご飯とかお洗濯とか全部かなちゃんにやってもらおうかな。」
「あ!うそ、うそだってば、ママ。」
この前の母の日、丸一日お手伝いしただけでも相当まいったのだろう。慌てて取り消す香苗…見た目は妻。
ソファに座っていて良かった。
いっそ気絶しやすい体質ならどれだけマシだったかと思えるほど頭痛がしてくる。
633わたくしが貴女で、わたしがアナタ!?:2010/11/05(金) 22:20:18 ID:DCjlIvue
>賑やかな食卓
GJ! 続きに期待します。
すでにお忘れかもしれませんが、表題作の続きを、私も投下させていただきます。
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2.戦隊ヒロインの不満

 「まったく! 規律というものがまるで判っていませんわね!」
 20歳前後の若い女性が、プリプリ怒りながら夕方の繁華街を歩いていた。
 ややキツそうな顔立ちではあるものの、彼女は十分以上の美人だ。普通なら、ナンパ男ひとりやふたり現れそうなものなのだが、彼女の前からは、あたかも海を渡るモーセの如く人ごみが割れていく。
 まぁ、全身から「わたくし、不機嫌でしてよ!」というオーラを漂わせている長身の美人に、積極的に関与しようと思う愚か者はそうそうは……。
 「よぅ、ねーちゃん。どしたんだ、不景気な顔して。気晴らしにオレらと遊ばねぇ?」
 ──訂正、ごく稀に、そういう馬鹿もいるようだ。
 しかしながら、いかにもチャらい外見の若い男ふたり組は……。
 「フンッ!!」
 ブレザー&タイトスカートという動きにくい格好もモノとしない、美女のエルボーとニーキックで、アッサリ路上に沈められることとなった。
 と言うか、単に声かけて来ただけの男性を気絶させていいのだろうか?
 「構いません。このわたくしに、あの程度の下種が声をかけようだなんて、身の程知らずが過ぎますわ!! 無傷で済ませただけでも慈悲とお思いなさい」
 ──できれば地の文にツッコミは入れないで欲しいのだが。
 それはさておき、どうやらこの女性、見かけ通りに相当プライドが高いらしい。オマケに、かなりのSっ気もありそうだ。
 彼女の名は、妃楼院月乃(ひろういん・つきの)。ご大層な名前の印象を裏切らず、生家である妃楼院家は、かなりの歴史を持つ旧家だったが、同時に没落の一途を辿っていた。
 現在では、先祖伝来の古い屋敷と従業員50人程の小さな会社を所有している程度で、会社の経営も楽ではないため、生活程度としてはせいぜい中の上といったトコロだろう。
 月乃が不幸だったのは、その現状に比して彼女のプライドが血筋相応に高かったこと、そして彼女の煩悶を家族も含めて誰も理解しなかったことだろう。彼女に言わせれば父は敗北主義の腑抜けであり、母も偉大なる妃楼院の義務を理解してない凡人だった。
 加えて、月乃の能力がそれなり以上に優秀であったことも災いした。
 言葉は悪いが、もし平均かそれ以下の能力しか持っていなければ、彼女も自らの夢──妃楼院家の再興を諦められただろう。
 しかし、天才と言わないまでも、それに迫る秀才肌であった彼女は、己が目標として「世に妃楼院の名を知らしめること」を、幼少時に選びとってしまっていた。
 著名な女子大学に在学中も、そんな無謀な志を胸に秘め、ひとり鬱々としていた彼女に、「さる政府筋」からの怪しげな接触があったのが、およそ2ヵ月ほど前。



634わたくしが貴女で、わたしがアナタ!?:2010/11/05(金) 22:21:08 ID:DCjlIvue
 さる秘密実験への協力要請に対して、高額のアルバイトと割り切って参加することを決めた月乃だったが、今ではやや後悔していた。
 秘密実験の内容とは、あやしげなマッド博士の提唱した眉唾理論を元にした、トンデモ戦隊への参加だった。もっとも、頭脳明晰な彼女をして半分も理論を理解できなかったが、確かに一定の成果はあげているので、少なくともインチキではないのだろう。
 半官半民の施設、日本オルゴニックウェーブ研究所に所属する実験部隊である「聖装武隊オルゴナイザー」の一員、オルゴンピンク──というのが、彼女の肩書きだった。
 実は「仕事」の内容を知った時、当初彼女もそれなりに張り切ったのだ。
 数百万人にひとりという「聖性力」への適性を持ち、人類の敵と戦う崇高なる5人の戦士の一角という立場は、ひと時、月乃の虚栄心とプライドを満足させたが、すぐに仲間の「醜態」が彼女を現実に引き戻した。
 「まったく……レッドは熱血激情馬鹿ですし、ブルーは勘違いキザ。イエローは女性ながらタダの脳味噌筋肉で、一番マシなブラックでさえ地味なツッコミ係なんですから、救いようがありませんわ!」
 ピンクのお前だってタダのヒステリーS女じゃん、という指摘は、怖くて誰もできなかったらしい。

 命を懸けて戦うのは、いい。死にたいワケではないが、妃楼院家令嬢として、ノブレス・オブリージュ(高貴なる者の義務)を心得ているつもりだ。戦いに身をさらすことに否やはない。
 報酬も、命の危険と引き換えに、そこらの売れっ子キャバ嬢の収入をも上回る金額を得ている。
 しかし、あの仲間の人選にだけは、月乃は納得がいかなかった。
 戦いとは、規則正しく効果的に、かつ可能であれば優雅に美しく執り行うべきものなのだ。
 (それなのにあの愚か者共ときたら……)
 「能力さえ高ければ性格は不問」という条件で、「聖性力」適格者から選ばれた人材だけあって、オルゴナイザーのメンツはいずれも無暗に個性的で、権威や秩序、誇りといったものを尊ぶ月乃の美意識にはまったくそぐわない。
 彼女の批評眼には、「仲間」達がハミダシ者の愚連隊と映っていた。
 (冗談じゃありませんわ! このわたくしが、あんな奴らと同一視されるなんて!)
 一応、現在までのオルゴナイザーの「敵」との対戦戦績は5勝1分け。数字だけ見れば立派なモノだが、月乃に言わせればいずれも紙一重の辛勝だ。
 研究所所長である白銀博士は、人間的には温厚で「いい人」なのだが、反面研究馬鹿で世事に疎い。
 政府から派遣され、彼の秘書兼副官を務めている星原優梨子一尉(自衛隊からの出向)がいなければ、月乃の長くない堪忍袋の尾はとっくにブチ切れていただろう。
 それでも収まらない彼女は、休暇の度にこうして憂さ晴らしに飲みに来ているのだ。
635わたくしが貴女で、わたしがアナタ!?:2010/11/05(金) 22:21:57 ID:DCjlIvue
 ところが。
 行きつけのバーで、月乃は不愉快な光景を目にしてしまった。
 普段座るお気に入りの席に先客がいたのは、まぁいい。別段予約を入れていたわけでもないのだから。
 しかし、そこに座った月乃と同年代の女性に、この静かな店には似つかわしくないチンピラめいた男ふたりが、からみ始めたのだ。
 もし自分がアソコに座っていたら、からまれていたのは自分だったのかと思い、複雑な気分になりつつ見守っていた月乃だが、その女性はこういう状況に慣れていないらしく、迷惑そうにしつつ、うまくあしらえずにいる。
 (あ〜、もぅ、イライラしますわね!)
 先ほどナンパ男達をKOした勢いもあって、お節介かとも思ったが、カウンター内のマスターに目配せしてから月乃は立ち上がり、背後から彼らに声をかける。
 「そこの下郎! ここは豚の来る場所ではなくってよ」
 「あぁン?」
 胡乱げに振り返ったノッポのチンピラの鳩尾に、間髪をいれず中指に指輪をはめた小さな拳が突き刺さる。
 「……!」
 声も出せずに意識を刈り取られ、崩れ落ちるノッポ。
 やや長身とは言え、並みの女性のパンチの威力ではないが、普段から仕事で格闘訓練を受けている月乃にとっては、この程度の相手は単なるデク人形に等しい。
 「な……てめぇ!」
 兄貴分が一撃でノされて逆上したデブの方も、顎先をかすめるアッパーカットで脳を揺らし、瞬時に沈める。
 その間、わずか10秒足らず。
 「マスター、ゴミ掃除はお任せしてよろしいかしら?」
 月乃の問いに、今時珍しいカイゼル髭のマスターは、ピッと親指を立てて答える。
 先ほど彼女が注文したダイキリをカウンターに滑らせると、ふたりのゴロツキの体を軽々と両手に下げて店の裏口から出て行った。
 この店では、よくある……とまではいかないものの、稀に見かける光景だ。
 「え、えーと……アリガトウ、ございます」
 かえって、助けられた女性の方が呆気にとられていた。
 「礼を言われるほどのことではありませんわ。ほんの気まぐれですから」
 あと1分遅ければ、マスターの方が何らかの対処をしていただろう。月乃にとっては、人助けと言うより、単なるストレス発散のための八つ当たりであった。
 「貴女も、こういう場所に来るなら、酔っ払いのあしらい方くらい覚えておいて然るべきでしてよ?」
636わたくしが貴女で、わたしがアナタ!?:2010/11/05(金) 22:22:48 ID:DCjlIvue
 余計なお世話ついでに、そう言って相手の顔を真近で見た月乃だったが……。
 「ッ!!」
 彼女らしくもなく言葉に詰まり、無言でマジマジと相手の顔を見つめてしまう。
 なぜならば。
 そこには、目と髪の色を除けば月乃自身と瓜二つな顔が、驚きの表情を浮かべながら、目を丸くしていたからだ。

-つづく-

#以上。ようやくヒロインふたりが邂逅。インスパイアされた「隣の芝」と違い、同意の上で入れ替わるつもりなので、両者の背景を明確にするため、結構文字数を食ってしまいました。
次の3話で意気投合、そして立場入れ替わりを行う予定。肉体変化までは、まだ当分かかるなぁ。
637名無しさん@ピンキー:2010/11/06(土) 08:45:02 ID:ibPyEOCs
>>636
期待して待ってます!
638名無しさん@ピンキー:2010/11/06(土) 12:05:25 ID:KijrJbxN
まっちょます
639名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 11:37:50 ID:dKkLjA7q
保守代わりの小ネタです。

『天気晴朗なれど波高し』

 「ええっ!? あ、あたしに婚約者、ですか?」
 にこやかに笑う「両親」の前で目をパチクリさせている少女は、現在「敷島桜華」(しきしま・おうか)と呼ばれていた……が、その名は本来彼女のものではない。
 元々、彼女は山本小枝(やまもと・さえ)と言う、ごくありふれた一般庶民の娘だった。
 いや、父親がリストラにあって40過ぎでフリーターのような真似をしており、母親のパートと小枝自身のバイトも足しにして、どうにかまともに暮らしていける……そんな生活レベルだ。
 長女の小枝以外に、年の離れた弟妹がひとりずつおり、経済的に決して楽ではなかった。
 そんなある日、バイト先のファミレスに、何の酔狂か敷島財閥の令嬢である桜華が取り巻きを連れてやって来たのである。
 実は、桜華と小枝はクラスメイトとして一応の面識はあった。
 もっとも、小枝にとっては「すごいお金持ちのお嬢様、いいなぁ〜」という憧れの対象であり、桜華にとっては「フッ、冴えない小娘ね」といった程度の認識ではあったが。
 ウェイトレスをしている小枝を見た桜華が、いつもの気まぐれを起こし、「わたくしもその制服を着てみたいわ」と言い出したのが、そもそもコトの始まりだった。
 「ええっ、そ、そんなコト言われても……」
 人の良い小枝はあたふたしている。店長もチェーン店オーナーの娘である桜華の突飛なワガママに苦い顔をしつつ逆らえないようだ。
 ただ、間が悪いことにちょうどクリーニングに出して予備の制服などがなかったため、仕方なく同程度の身長の小枝が今着ているものを貸すことになったのだが……。
 「ちょっと! 入りませんわよ?」
 幼い頃から最高級の料理を食べ、適度な運動その他で鍛えられた桜華の高校1年生とは思えぬグラマラスボディに、質素な食生活からスレンダーな体型にならざるを得なかった小枝の制服は窮屈すぎたらしい。
 普通なら、そこで話は終わるのだろうが……これまで事態を静観していたフロアマネージャーの諒子が、ふたりに奇妙な提案をしてきたのだ。
 「では、桜華お嬢様、その制服が入る体にしてさしあげましょう」
 と。
 さして考えることもなく、桜華がその提案に頷いたことで、現在のようなややこしい事態に陥っているのである。
----------------------------------
以上。624で言われている「お嬢様と貧乏娘の首すげ替え」ネタをちょっと書いてみた。
640天気晴朗なれど波高し:2010/11/10(水) 15:19:55 ID:IT9jgDVv
 諒子の提案に対して、まるで催眠術にかかってでもいたかのように、ふたり──桜華(おうか)と小枝(さえ)はそろって頷いてしまっていた。
 そのあとのことは、夢、それも悪夢のような出来事だった。
 桜華から小枝に制服を返させて、ふたりが服装を整えると、諒子は懐から革製のチョーカーのようなものを取り出した。
 それを彼女たちの首に巻くと、ふたりは身動きひとつできなくなる。
 「は〜い、ココで注目ぅ〜!」
 楽しそうな表情で諒子が桜華の頭部に手をかけると……まるでマネキン人形のように、ポロッと取れてしまったではないか!
 同様にして小枝の頭部も取り外すと、そのまま桜華の体に載せ、シュルッとチョーカーを外す。
 「あ、動ける……」
 首から下が桜華になった状態のまま、足踏みしたり、両手をニギニギさせたりしている小枝を尻目に、諒子は今度はテーブルに置いた桜華の頭を小枝の体につないだ。ただし、コチラはチョーカーを外さないまま。
 「ホラ、桜華お嬢様、これでキチンとこの店の制服が着れましたよ?」
 「な、な、な……なんですの、コレはーーーっ!?」
 茫然自失の状態から我に返ったのか、大声をあげる桜華。慌ててペタペタ体を触っているが、無論、そこにあるのは小枝の体だ。
 「──「山本さん」、いくらバックヤードだからって、そんな風に大声を上げるのはNGですよ。女性としてもはしたないですし」
 落ち着いた声で諭すフロアマネージャーの諒子。
 「だ、誰が山本ですの、誰が!」
 「もちろん貴女よ、「山本さん」。ほら、そこにも書いてるでしょ?」
 諒子が指さす先、桜華の胸元にはウェイトレスらしくネームバッジが付いている。無論、そこに書かれた名前は小枝の苗字である「山本」だ。
 「え……」
 一瞬呆気にとられた桜華に、畳み掛けるように諒子が話しかける。
 「さ、休憩時間は終わりよ。そろそろ夕食時になって忙しくなるんだから、「山本さん」もフロアに戻って頑張ってね。あ、「桜華お嬢様」のお相手は私がするから、気にしなくていいわ。さ、もぅ行きなさい!」
 「は、はい……」
 あれほど高慢で傍若無人なはずの桜華が、どういうワケか唯唯諾諾と諒子の指示に従い、「バイトのウェイトレス・山本小枝」としてフロアに戻って行くのを、小枝はポカンと口を開けて見ているしかなかった。
 「さて……と。小枝ちゃん?」
 「は、ひゃいッ!!」
 微笑む諒子にポンと肩を叩かれて、思わず声が裏返る小枝。
 「もぅ……そんなにビクビクしないでよ。小枝ちゃんに何かするつもりはないんだから」
 見れば、諒子の表情は、先ほどまでのどこか冷たさを感じさせるアルカイックな微笑ではなく、小枝も見慣れた「優しくて頼りになるお姉さん」としての笑顔だったので、小枝もわずかに緊張を解く。
 「あのぅ、諒子さん、これは一体?」
 「うーん、一応ヒミツなんだけど、ま、いっか。私ね、実は魔女の家系なの」
 普段なら魔法とか奇跡とかの類はあまり信じてない常識人の小枝だが、そっきのアレ、そして現在進行形で自分の身に降りかかっている事態(首のすげ替え)を見ては、信じないわけにもいかない。
641天気晴朗なれど波高し:2010/11/10(水) 15:20:17 ID:IT9jgDVv
 「はぁ……それで、どうしてこんなコトを?」
 「あの、高慢ちきなお嬢様の振る舞いに我慢しかねたから、って言うのと……それと、けなげないい子の小枝ちゃんへのご褒美、かな」
 「?」
 「あのね、首から下が入れ替わったこの状態だと、術をかけた私と、被術者であるあなたたち二人、そして特に二人に縁の深い家族とか恋人とかでない限り、周囲の人間は、その「体」に応じた人物として認識しちゃうのよ」
 「ええっと、つまり、今の状態だと、あたしが敷島さんで、敷島さんがあたしだって、周りの人には見えるってことですか?」
 「うん、大体そんな感じ。でね、小枝ちゃん、お家のことが大変なのに、いつも笑顔で頑張ってるじゃない? せっかくの機会だから、2、3日「お嬢様」として羽を伸ばして来なさいよ」
 そういうことかと、小枝は諒子の意図を了解したが、素直にうなずくには気がかりなコトもあった。
 「でも、敷島さんの方は、どうするんです? 彼女の性格じゃあウェイトレスは勤まりそうもないし、あたしの家のコトだって……」
 「ふふ、その点も心配無用よ。ホラ、見てごらんなさい」
 促されて、店の方を覗いてみると、なんとあの桜華が文句ひとつ言わずウェイトレスとしての仕事に励んでいるではないか! しかも、アルバイトなど初めてだろうに、接客態度その他もまったく問題ない。
 「あのチョーカーを付けてるとね、頭の思った通りに体が動くんじゃなくて、体にふさわしい言動を頭がとるようになるの。お嬢様がアレだけキビキビ動けているのも、小枝ちゃんの普段の真面目さのおかげね」
 無論、チョーカーを外した小枝の方は、とくに差し支えなく思ったとおり動けるそうだ。
 「お嬢様の家には、店の外で待ってる取り巻きの人たちが連れていってくれるでしょ。クルマで来てるみたいだし。お嬢様暮らしに飽きたら、戻してあげるから、またお店にしらっしゃいな」
 そう言って、諒子は小枝(ただし、周囲から見れば「敷島桜華」)を店の裏口から送り出したのだった。

#さらにつづき。うーむ、設定が単純なぶん、「わたくしが貴女」より書きやすいかも。コッチを続けるべきか……。
642名無しさん@ピンキー:2010/11/10(水) 16:14:04 ID:N2vC8iaE
ダブルでお願いします!
643名無しさん@ピンキー:2010/11/10(水) 22:19:25 ID:F7fGDtMV
両方とも面白いですが、好みでいったら後発の方かも
644名無しさん@ピンキー:2010/11/11(木) 00:03:39 ID:ixdzdxmX
両方とも好きですが俺は前者が好きですw
作者さん迷わせてしまってごめんなさい。
ただ両方ともとても期待してますので
無理ないペースで好きな方を書いてください。
645名無しさん@ピンキー:2010/11/13(土) 11:25:31 ID:lSYdQSHk
和子(58) 職業:占い師は、

男をお金で買ってSEXをしていた。

和子は知っていた。男達が大量にバイアグラを飲んで自分とのSEXにのぞんでいることを。

和子は自分の容姿に自信を微塵も持っていなかった。

子供のころから太っていてジャイ子とからかわれていた。

そんな和子の占いの館に占ってほしいと女子高生があらわれた。

細い手足に大きな胸、顔もかわいかった。

自分もこんなだったら明るい青春を送っていただろうと思った。

ふと、東南アジアで買った入れ替わりの秘薬というのを思い出した。

あまり信用しているわけではなかったが、物は試しと使ってみた。

和子「これ飲んで気分を落ちつけてくださいね。」

そして自分も飲む。

すると意識が遠くなり自分が女子高生になっていることに気がついた。

和子は狂喜した。

元の自分の体はまだ気を失っている。

和子はそのまま外に出た。

外は、もう薄暗くなっていた。

体が軽い。スキップもできる。

いつもの自分ならヒザが悲鳴を上げているところだ。

和子は自分が周りの男から注目されていることに気がついた。

そしてその視線が自分の下半身に向いていることも。

ミニスカートをはいていたので、スキップをするとパンツが見えているのだ。

和子はあわててスキップをやめた。

自分の体ではないが、顔から火が出るほど恥ずかしかった。

646名無しさん@ピンキー:2010/11/13(土) 11:25:58 ID:lSYdQSHk
和子は細い路地に入って息を整えた。

すると背後から男がついてきていた。

和子「な、なんですか?」

男「へっへっへ」

男の手にはナイフが握られている。

男「おとなしくすれば、命は取らねえ」

和子「お金なら今は持ってきていないわ!」

男「金は要らねえよ体だよ」

和子「からだ・・・」

和子は男のほうから、体を求めら他のは初めてだった。

金を先に払うと適当にSEXされるのでいつも金は後払いだった。

それが、体がほしい金はいらない。と言っているのだ。

和子「私の体がほしいの?」

男「へっへっへ。そうだよ。」

和子「そう・・・いいわよ」

男「へっへっへ。抵抗しても・・・いいのか?」

和子「こんなところじゃなくてホテルに行きましょうよ」

男「お、おお・・・いやだめだ!途中で逃げる気だろう!」

和子「そんなことしないのに・・・わかったはじゃあここでしましょう。」
647名無しさん@ピンキー:2010/11/13(土) 11:26:31 ID:lSYdQSHk
和子は男に近寄ると男のズボンとパンツを脱がした。

和子は男の若干硬くなってている息子を握ると口にくわえた。

男「な・・・」

和子の舌使いは、尋常じゃなかった。

なにしろ、デブのおばさんを相手にしている男を立たせるためのテクニックだ。

男は、あっという間に絶頂を迎えた。

男「うっ・・・」

和子は放たれた精を、口で受け止めると飲み込んだ」

和子「ふふふ」

男は絶頂を迎えたこともあったが、性欲が一気に失うのを感じた。

なにか気味悪いのだ。

男は何も言わずにズボンとパンツを履くとそのまま逃げていった。

和子「ふふふ。楽しいわ」

和子はこの体の自宅に帰ろうと考えた。

もっていたカバンをあさると生徒手帳に住所が書いてある。

その住所に向かった。
648名無しさん@ピンキー:2010/11/13(土) 11:27:06 ID:lSYdQSHk
家には明かりがついている。

カバンにあった鍵を使い中に入った。

和子「ただいま・・・」

母「あら、おかえり。占いどうだった?」

和子「え!?うん、よかった。」

母「そう、もう少しでご飯ですからね。」

和子「うん・・・」

自分より若い母親だ。

和子は二階に上がった。

部屋がいくつかある。

生徒手帳で自分の名前は[由美]と分かっていたのでその部屋に入った。

きちんと掃除された部屋だ。

ぬいぐるみがたくさんあり、全体的にピンク色な感じだ。

和子「まさに女の子の部屋ね」

全身を写す鏡があったので、和子は全裸になってみた。

思った通りの体だ。

白い肌に細い体。大きな胸。

女でもうっとりする体だ。

和子「これが私・・・」

649名無しさん@ピンキー:2010/11/13(土) 11:27:34 ID:lSYdQSHk
突然ドアが開いた。

男子「姉ちゃんご飯だって・・・わぁ!」

入ってきた男の子は、和子が裸でいることに驚いて目を背けた。

おそらくドアに健二と書いてあった部屋の持ち主だろう。

姉ちゃんというからには弟だ。

健二「もうみんな待ってるから・・・」

健二はそういうと階段を下りていった。

和子も服を着ると階段を下りていった。

食事中の会話で、健二は中学1年生で、他にタケシという大学生の兄がいることがわかった。

健二が食事をしながら、自分の胸に視線を走らせていることに和子は気がついていた。

健二は和子と目が合うとあわてて目をそらした。

食事が終わると、和子は風呂に入ることにした。

脱衣所に入るともうすでに誰かが入っていた。

脱いである服を見ると健二だろう。
650名無しさん@ピンキー:2010/11/13(土) 11:27:54 ID:lSYdQSHk

脱衣所を出ようとすると風呂場から「ねえちゃん・・・」と小さい声がした。

振り返るとどうも自分を呼んだわけではないようだ。

曇りガラスでよく見えないが、健二がオナニーをしているのがわかった。

和子は服を脱ぐと突然風呂のドアを開けた。

健二「うわ!何だよ勝手にあけんなよ!って姉ちゃんなんで裸なんだよ!」

健二はあわてて股間を隠した。

和子「なんで?風呂に入るだけだよ」

健二「俺が入ってるだろ!出てけよ!」

和子「あら?私のこと呼んだじゃないの」

健二の顔が青ざめた。そして一気に赤くなった。

健二「はぁ?!呼んでねえし!分けわかんないし!」

和子は気にせず健二に近寄る

健二「な、なんだよ!近寄るなよ!」

和子「ちゃんと体洗ってるの?」

健二「あ、洗ってるよ!」

和子「そう?どれ」

和子は健二の手をどけて股間を見た。

健二はあせった。

健二「や、やめろよ!」

和子「ちゃんと洗ってないじゃないの」

和子は手に液体石鹸をつけると健二の股間をしごきだした。

健二「ね、ねえちゃん・・・うっ・・・」

和子のテクニックの前には中学生など一瞬だった。

和子「ちゃんと洗っておくのよ」

和子はそういい残すと風呂を後にした。
651名無しさん@ピンキー:2010/11/13(土) 12:31:56 ID:lSYdQSHk
健二には今起きたことが現実なのか妄想なのか区別がつかなくなっていた。

オナニー途中で妄想していたこともあるが、いきなり姉ちゃんがあんなことするなんて。

健二は精子を流していないことに気がついてあわてて流した。

固まる前に流さないと面倒なことになる。

そういえば、今日は姉ちゃんの様子がおかしい。

いつもなら着替え中に入ったら、ものすごい起こるのに今日は無反応だった。

そんなことを考えていたら体が冷えてきたので湯船に入った。

それよりこのことを親に言われるのが恐怖だった。

オナニーをしかも姉ちゃんを、オカズにしていたのだ。

話さないように姉ちゃんにお願いする必要がある。

しかしなんて言えばいいのか、それよりこれは現実じゃないような気がしてきた。

そうだ、きっと夢を見ていたんだ。

健二はそう思うことにした。

健二は風呂からあがるとすぐに自分の部屋に閉じこもった。

テレビを付けたが、なんか落ち着かない。

電気を消してベットにもぐりこんだ。

自分が風呂から上がったので姉ちゃんが下に降りていく音がする。

寝よう寝ようと思うのだが今日会った出来事が思い出されて頭がさえる一方だった。

健二は起き上がると姉ちゃんの部屋に忍び込んだ。

ここはいつもいいにおいがする。

健二はタンスから姉ちゃんのパンティを取り出すとポケットに入れた。

そして何を思ったのかクローゼットに忍び込んだ。

自分でも何をやっているのか分からなかった。

クローゼットには、姉ちゃんの匂いが充満している。

健二はさっき取ったパンティを取り出すと匂いを嗅いだ。

特に匂いはしなかったが興奮してくる。
652名無しさん@ピンキー:2010/11/13(土) 12:32:38 ID:lSYdQSHk

健二はズボンから自分の息子を取り出すとしごきだした。

姉ちゃんの匂いと、パンティと、いつ帰ってくるかわからない恐怖は

すべて興奮にかわり、そしてすぐに絶頂を迎えた。

健二「ハァハァ」

パンティで精子をふき取った。洗濯機に入れてしまえばわからないだろう。

部屋の外に気配がないことを確認すると、クローゼットから外に出た。

そこには、姉が立ちふさがっていた。

健二「わぁ!」

由美「健二!あんた!何してんの!」

健二「べ、別に・・・」

由美「又へんな事しようとしてたんでしょ!」

健二「何でもねえよ!」

健二はそういうと部屋を出て行った。

いつもの姉ちゃんだった。

やっぱり風呂場のは自分の妄想だったんだろう。

健二はなんか安心してベッドに戻るとすぐに眠れた。
653名無しさん@ピンキー:2010/11/13(土) 12:58:55 ID:lSYdQSHk
和子は脱衣所の鏡で自分の体をよく眺めた。

何度見てもすばらしい。

これが自分のものなったんだと思うと、興奮せずにはいられなかった。

これから失った青春を取り戻せるのだ。

和子は体が冷えてきたことに気がつき風呂場に入った。

シャワーを浴びて湯船につかる。

なんて気持ちがいいんだろう。

和子はスベスベの自分の肌を撫で回した。

和子は自分のものになったこの身体をよく知っておこうと考えた。

体はどこもスベスベの肌だった。

胸は大きい。乳首の大きさもちょうどよかった。

神は不公平だなと思った。

そして手はアソコに伸びた。

指がれると頭がしびれるようだ。

こんな感覚は初めてオナニーを覚えた時、以来の新鮮な感覚だ。

和子は指でアソコを広げると中に指を入れてみた。

するとせまくて全然中に指が入らない。
654名無しさん@ピンキー:2010/11/13(土) 12:59:17 ID:lSYdQSHk

オナニーもしていないような体なのだ。

和子は興奮してきた。

これは処女の体だ。

和子は処女膜を確認しようと、指を入れようとしたが痛くて入らない。

まあ、急ぐことはないだろう。

和子はオナニーをすることにした。

内側を刺激しなくても外側の刺激だけでも十分に気持ちいい。

クリトリスに指が触れると、頭がぼーっとしてくる。

敏感な体はすぐに絶頂を迎えた。

和子「き、気持ちよすぎるわねこれ・・・」

和子は急速に眠くなるのを感じた。

和子「眠い・・・・スースー」
655名無しさん@ピンキー:2010/11/13(土) 12:59:41 ID:lSYdQSHk

由美は気がつくとお風呂に入っていた。

いつ家に帰ったんだろう?

占いの館からここまでの記憶がない。

風呂から上がり母親に聞いてみたが、別にワープしたわけではないようだ。

記憶はないが話もしていたとのこと。

不思議に思いながら、自分の部屋に入るとクローゼットから人の気配がする。

また、弟の健二だろう。

最近、性に目覚めたのかやたらと私の周りをうろうろする。

クローゼットが開く気配がするので、怒った顔をして仁王立ちになった。

健二「わぁ!」

由美「健二!あんた!何してんの!」

健二「べ、別に・・・」

由美「又へんな事しようとしてたんでしょ!」

健二「何でもねえよ!」

健二はそういうと部屋を出て行った。

由美「まったくしょうがない弟ね。今度やったらママに言いつけてやる」

由美は今日の不思議な出来事を考えながらベッドに入り眠りについた。
656名無しさん@ピンキー:2010/11/13(土) 13:06:22 ID:lSYdQSHk
和子は眼を覚ますと辺りは薄暗かった。

どうしたんだろう。

ここはどこだろう。

すぐに、ここが自分の仕事場である、占いの館であることが分かった。

自分は夢を見ていたのだろうかそう思い、戸棚の入れ替わりの秘薬を確認する。

空っぽだった。

和子「本当に入れ替わっていたのかしら・・・まさかね。」

和子は占い師であるにもかかわらず、非科学的なものは信じていなかった。

おそらく、ただのねむり薬のようなものだったのだろう。

もしかしたら、見たい夢を見せてくれる薬なのかもしれない。

和子は帰り支度をすると外に出た。

外はもう真っ暗だ。

酔っ払いたちが、肩を組んで歩いている。

和子「でも、また使ってみたいわね・・・」

和子はそう独り言を言うと夜の街を歩いて行った。

−完−
657名無しさん@ピンキー:2010/11/13(土) 17:52:23 ID:Cuo6I0JD
GJでした
ごちそうさま
658名無しさん@ピンキー:2010/11/13(土) 19:34:17 ID:GFyZmh1A
GJ
659名無しさん@ピンキー:2010/11/14(日) 09:36:06 ID:q4zwz548
すごく良かったです!
和子になってしまった女子高生の話もあると最高でした!
660賑やかな食卓 第7話:2010/11/18(木) 20:12:59 ID:zpPXkIPb
賑やかな食卓 第7話
「まあまあ、アナタ。1週間だけのことなんだからそんなに困らないで下さい。」
湯飲みに入れたてのお茶を注ぎながら呟く香苗…の姿をした妻。
「あ、ああ、そうだったな…」
魂交換システムでは、交換状態が長く続くと魂が弱ってしまうのは知っての通り。
衰弱の進行は個人差があるものの、その影響が顕著になるのがおよそ3週間前後。
充分な安全性に加え、入れ替わった状態が長く続くと、本来の生活…仕事や学業…にも影響がでるということで、今回の交換期間は1週間ということになっている。
今日は日曜だから、なにかトラブルでも起こらない限り、来週の日曜には、2人は元に戻っているはずだ。
短いというわけでもないが、1週間後には全て元に戻っているということを確認すると、多少は気も楽になってくる。
「そーだよ。ぱぱー!ママも香苗も色々遊ぼうっと相談したから、パパも一緒に楽しもうよ。」
「そうですよ。アナタ。1週間だけのことなんですから。ちょっと旅行にでもいった気分になって、この状態を楽しんでみたらどうですか?」
楽しんでみたら…か…
確かに、いつもと違う妻と娘…どっちがどっちか、未だ混乱しているが…と一緒に過ごす時間というのも悪くはないだろう。
どうみても入れ替わった状態を面白がっている2人につられて、そんなことを考えてしまったオレだったが、それを後悔するまでさほど時間はかからなかった。
661天気晴朗なれど波高し:2010/11/19(金) 00:22:12 ID:u2EPBuyO
#賑やかな食卓続きキター! パパさんがどういう気分(性的な意味で)になるか、今からワクテカです。 和子さんの話も乙でした。
#貧乏娘とお嬢様入れ替わり物の続き、投下させてもらいます。

 「困ったなぁ……」
 広いとか贅沢とか言う表現すら生温い、まさに「大金持ちのお嬢様」の部屋で、天蓋付きのベッドに腰掛けたまま、ポツリと呟く小枝。
 諒子の言葉通り、店の前には敷島桜華の取り巻き(従者?)達が待ち構えており、あれよアレよと言う間に、首から下が桜華の肉体となった小枝は、リムジンに乗せられ、この敷島邸へと連れて来られた。
 もっとも、諒子いわく、今の小枝はごく一部の例外を除いて他の人間には「敷島桜華」にしか見えないらしい。それは取り巻きやこの家の使用人の態度からしても間違いないようだから、この場合「自宅に帰った」というべきなのだろう。
 あまりに非常識な事の成り行きに流されていた小枝だが、自室──無論、桜華の部屋のコトだ──に「戻って」ひとりになると、ようやく現状に対する認識と実感が追いついてきた。
 諒子がした行為自体については責めるつもりはない。彼女自身、桜華のあまりに身勝手な言動には腹を据えかねていたからだ。
 だから、言うならば桜華に対する「おしおき」の片棒を担ぐようなこの事態に協力すること自体は、やぶさかではない。
 また、それなりに諒子の性格を知っているから、彼女が嘘をつく──たとえば、元に戻してくれない──ような事態も、まずないだろうと思っている。
 ついでに言うなら、彼女とて苦労はしているが17歳の女子高生。普段目にすることのないセレブ(笑)の生活に対する好奇心だって、それなりにある。
 では、何が問題かと言えば……。
 「敷島さんのご家族に会ったら、すぐに娘じゃないってバレちゃうじゃない」
 諒子の説明によれば、この魔法(の眩惑)は、「縁の深い家族とか恋人とかでない限り」通用する。つまり、逆に言えば家族にはモロバレということだ。
 「そういう意味では、片手落ちな魔法だよね、コレって」
 誰にも自分──「山本小枝」だとわかってもらえないというのも、それはそれで恐い話ではあるだろうが、少なくともそちらのほうが、まだ実用的な気がする。
 頭を捻ってはみたものの、上手い解決法が浮かばない小枝だったが、ふとベッドの上に放り出したポーチ(無論、桜華のモノだ)の中で、携帯電話が鳴っているのに気がつく。と言っても、通話ではなくメールの着信音のようだが。
 一瞬躊躇したものの、思い切ってケータイを開く小枝。折よく、と言うべきか、今着信したメールは諒子からのようだ。
 ──心配性な「お嬢様」に朗報! コッチの「山本さん」のチョーカーには偽装機能が装備されてるから、山本家に帰っても心配ありません。たぶん、ソッチもね!
662天気晴朗なれど波高し:2010/11/19(金) 00:22:39 ID:u2EPBuyO
 「そっか。そーいう問題もあったよね、確かに」
 チョーカーによって「山本小枝」っぽく行動を制限されているとは言え、あの顔の少女が山本家に帰れば確かにひと騒動あったろう。
 その心配がなくなったのは良かったが、しかしコッチはどうすればよいのだろう? 小枝はチョーカーを外してもらっているのだが……。
 小枝が首を傾げているところにノックの音が聞こえた。
 「お嬢様、環です」
 「あ、はい、どうぞー」
 声からして、出迎えてくれたメイドさんのひとりだろうとアタリをつけて、入室を許可する。
 「失礼します。お召し替えをお手伝いに参りました」
 (おめしかえ……って、ああ、着替えのことか)
 本来なら、「子供じゃないんだから、ひとりでできます」くらいは言うのだか、あいにく今の小枝は「桜華」として認識されているのだ。
 下手に断って不審を抱かれるよりも、素直に手伝ってもらう方がいいだろう。実際、小枝には、この部屋の何処にタンスがあって、何を着たらいいのかもよくわかっていなかった。
 「ええ。それじゃ、お願い」
 できる限り桜華っぽく振舞おうと、横柄に返事したつもりなのだが、メイドの環さんは一瞬目を見開いて驚いたようだ。
 (アチャ〜、何か失敗したかなぁ?)
 とは言え、何が間違ったのかわからない小枝にとっては、そのまま流すしかない。
 後日、仲良くなった環に聞いたところ、
 「かつてのお嬢様は、普段は「お願い」どころか、返事さえロクにしてくださらない、それどころか「遅いわよ!」なんて文句ばかりおっしゃる方でしたから……お召し替えの最中も、いろいろ気を使ってくださいましたし」
 と、聞かされて、「あの人、どんだけ高飛車なのよ」とドン引きすることになるのだが、それはまた別の話。
 とりあえず、外出用の凝ったドレス(としか思えない服装)から、比較的ゆったりした着心地のよいワンピースへと、小枝は着替えさせてもらった。
 「その……お父様とお母様は?」
 ついでに、「毒を食らわば皿まで」という心境で、両親について尋ねてみた。「お父さん、お母さん」ではお嬢様らしくないか、と少し気取った呼び方をしてみる。
 「はい。先ほどお嬢様が外出なさっている間に、ご連絡が入りました。予定どおり、明後日の夜に帰国されるご予定だそうです」
 「! そ、そう」
 (ハァ〜、よかったぁ)
 国外出張か何かだろうか? どうやら、ふたり揃って不在らしいのは、小枝にとって幸いだった。
663天気晴朗なれど波高し:2010/11/19(金) 00:23:35 ID:u2EPBuyO
 「お嬢様、本日はお食事は何時ごろになさいますか?」
 内心ホッと胸を撫でおろす小枝に、環が尋ねる。
 一瞬ワケがわからなかったが、どうやらここの桜華は好き放題な時間に夕飯をとっているらしい。
 母なり自分なりが夕食を作り終えた時が夕飯時……という山本家にはない習慣だ。
 「えっと……何時頃から食べられるの?」
 だから、つい、そんなことを聞いてしまう。
 「は?」
 「いや、だから、厨房の方でいつ夕食の用意ができるのかな、って」
 言いかけた言葉が尻すぼみになる。
 おそらく、いや間違いなく、本物の桜華なら、そんなコトを気にしたりせず、自分の希望を通すのだろうが、諒子に「苦労性」と評された小枝には無理な話だった。
 「は、はぁ……料理長に聞かないと正確な時間はわかりませんが……おそらく、19時ごろではないか、と」
 午後7時なら、山本家の夕飯時と大差はない。
 「じゃあ、その時間でいいわ」
 「はい。では、用意ができ次第、お迎えに参ります」
 「ええ、お願いするわね」
 三度面喰ったような表情を披露しつつも、瞬時に居住まいを正し、環はいかにもメイドらしい一礼を残して、桜華の部屋を出て行った。
 ──バタン!
 扉が閉まり、ドアの向こうの気配が遠ざかるのを確認してから、小枝はボフンとベッドの上に寝転がる。
 「ふわぁ……き、緊張したぁ」
 どうやら、いくつかミスはしたみたいだが、とくに怪しまれるまではいってないようだ。
 「それにしても、ご両親が海外旅行中なのは運がよかったなぁ」
 メイドの環によれば、明後日の夜に戻ってくるらしい。
 (てことは、明後日の午後に戻ればいいわね)
 たしか、明後日の土曜も「山本小枝」は午後にバイトのシフトが入っていたはずだから、その時にでもファミレスに行って諒子に頼めばいいだろう。
 そう考えると、今までイッパイいっぱいだった小枝の心にも、多少余裕めいたモノが生まれてきた。
664天気晴朗なれど波高し:2010/11/19(金) 00:23:57 ID:u2EPBuyO
 他の人間の反応を見る限り、自分はあくまで「敷島桜華」として認識されてるみたいだし、2日間くらいなら「お嬢様ライフ」を、堪能するのもいいかもしれない。
 ふと、視点を下方に移動させると、仰向けになってもほとんど形の崩れないふたつの膨らみが、目に入って来る。
 「お、おっきぃ」
 ──ゴクリ………
 なぜか、思春期の少年みたいに唾を飲み込んでしまう小枝なのだった。

#とりあえずは、ここまで。無論、次回は「サエちん、お嬢様のグラマラスボデーを探求するの巻」です。貧乳娘が突然巨乳になったら、やっぱりいろいろ興味津津だと思うんだ。
665名無しさん@ピンキー:2010/11/19(金) 00:31:03 ID:iTPT4hKW
賑やかな食卓の方も
天気晴朗なれど波高しの方もGJでした
続きもぜひ期待しております

さて、そろそろスレの容量が尽きそうなので
次スレに移動をお願いします

女同士の肉体の入れ替わり・憑依 その5
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1290094110/
666名無しさん@ピンキー:2010/11/20(土) 14:52:21 ID:CiEebcSs
埋める前に保管庫を・・・
667名無しさん@ピンキー
いつも保管庫更新してる者ですがちょっと最近忙しいので、誰か他の人でやっていただけると幸いです