いきなり股間のチャックをおろしてくるんだな。
それでこらこらといいながらも、触り返すとか。
>>726 いいわあ、無口でイタズラ好き
それとコスプレが好きで、得意げに披露
上目遣いで裾を握りしめながら
「どう……?」みたいなことされたら
吐血必至。
「……」
「ん。財布は持った」
「……」
「ケータイもハンカチも持ったよ」
「……」
「忘れ物はない。じゃあ行ってくるよ」
「……」
「あ…ごめん、一番大事なの忘れてたね」
チュッ
「じゃあ行ってきます!」
「……(ヒラヒラ)」
新婚無口嫁を妄想しようとしたのに、パワーが足りない
馬鹿な、パワー不足でこの威力だと!?
731 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/15(水) 08:02:08 ID:vFNlEOLX
あ
>>731 女「あ」
女「あー」
女「あ、あーあー」
男「……何してんの?」
女「…………(かぁぁ)」
とてとてとて……
男「あ!待ってよ!」
愛しの男くんとちゃんと会話するために発声練習していたところ、それを男くんに見られて逃げ出してしまう無口女ちゃんを妄想した。
女「…」
男「え?うんうん…」
女「…」
男「って、エアロスミスは、関係ないだろ」
無口っ娘大統領とかどうか。
演説下手だがたまにぽつりともらす心に沁みるフレーズで権力の座へ。
可憐な容姿と確かなビジョン、超人的な政務能力で国民には人気だが、
ぽつりぽつりとでも会話をするのは幼馴染の秘書官だけとか。
もちろん5時になったら秘書官の手をくいくい引いて官邸の奥へと姿を消すのです。
淑女なのは五時までだ!!
感情を表に出さない無口っ子
恥ずかしくてテンパるせいで喋れない無口っ子
無口っ子は個性的だな
もうすぐクリスマス
無口っ子と過ごす聖なる夜
まさにサイレントナイト
何も言わずにケーキをあーんさせようとする無口っ子かわいいよね
何も言わずに横から差し出したフォークに気が付かず、振り向いたときにほっぺにぷすっと……
無言でパニックになる無口娘と頬からフォークを生やしてニヤリと笑う男
しばらく書かなかったんでノリを完全に忘れた
何度も頼んでも、外泊許可は下りない
普段は忙しい両親も、今夜ばかりは娘の為にと思ってのこと
プレゼントを買って、レストランで食事をして、ケーキを食べて
そんな風に過ごす、今日はクリスマス・イブ
小さな町のイルミネーションは古臭くも綺麗で
中央広場には大きなツリー、電飾が赤青黄色に緑紫白と光り
子ども心を賑わすような、星やプレゼントや珠がたくさん飾られている
家に置いたリースには金色の松ぼっくり、町内会で配られたたくさんの飴やキャラメル
それはいつになってもわくわくするし幸せなのに、今は肝心な人がいない寂しさ
男はその日、仕事で遠方まで出ていた
夜には帰れると聞いていた無口っ子は、それから会いに行きたい
だけど、いくら普段お世話になっている人でも、それは迷惑だし奔放が過ぎる
心配する両親に無口っ子は、分かった、と気持ちを収める
強がって笑って、我慢する
自分はもう子どもなんかじゃないんだから、大人になるんだから
雪がちらついて寒いけれど、温かい家の中の、温かい夜
レストランで厳かな食事の後は、家でケーキを食べながら
親戚や一人暮らしの姉とかから届いたクリスマスレターやプレゼントに目を通す
一番気に入ったのは、愛らしいウサギのぬいぐるみ
今日渡せないかもしれないからと、昨日男が両親に先に渡しておいたもので
ふかふかな感触を抱き締めていると、少しだけ男のことが頭を過ぎる
そんな一人切なそうにウサギの目を見つめる無口っ子可愛い
夜、両親に挟まれて布団の中で目を閉じる
久々の家族団らんの一日を、少しずつ反芻しながら夢の中へ
それでも心残りなことはどこか心の奥で消えないままで
無口っ子は布団と両親の腕の中からそっと抜け出す
上着を何枚も羽織って温かくしてから、カーテンからそっと外を覗くと
そこにはちらほら雪が降っていて、思わず無口っ子は見惚れてしまい、こっそり庭へと下りる
……
……
空からふわふわと舞い落ちてくる雪は、無口っ子の顔に触れて冷たく溶ける
薄く涙のように頬を伝って、そんな姿は幻想的な佇まい
でもこんなことしてると風邪を引いちゃうから、くすんと鼻をすすって中に戻ろう
と、そう思った時に玄関に変わった格好の人が立っていて、それは赤と白が目印
サンタクロースなんてもう信じていない無口っ子だけど、その姿に釘付けになる
プレゼントを届けに来たよ
その声にははっきりと聞き覚えがあって、無口っ子は迷わず駆け寄る
ぎゅうっとサンタクロースに抱き締められると、体よりも早く心がぽっと温かくなって
夢中で抱き着いたまま胸に頬擦りをして、もうずっと離れたくないようなそんな心地
冷たい顔を擦り合わせながら、二人はキスをした
柔らかな付け髭がくすぐったくても、何度もその熱源を求めて触れ合わせて
聖夜に一時でも大好きな人と会えたことが嬉しくて、我慢していた気持ちが溢れ出して
ただただひたすらに、あなたのことが好きです
サンタクロースはにっこりと笑って、もう一度無口っ子を抱き締める
今はサンタクロースだから、何も言わずにプレゼントを渡すだけ
無口っ子が幸せであれば、それが一番の喜び
さあ、そろそろお布団に戻らないと、お父さんとお母さんが心配するよ
何も言わずに頷いたので、サンタクロースは体を引き離す
メリー・クリスマス!
無口っ子の両手にもう一つプレゼントを残して、サンタクロースは帰っていった
心も体もぼうっとなったままの無口っ子は、熱を冷ますような余韻に一人
でもいけない、見つかったらどうしようと思うと、慌てて家の中に戻る
布団に入ると、安心したからかすぐに眠くなって、今度こそ夢の中へ
ぬいぐるみとサンタクロースからのプレゼントは、しっかり胸に抱いて
次の日の朝、プレゼントを開けるとそこには指輪と手紙が入っていて
”大人になるまでの約束”
というメッセージが、綺麗な筆跡で書かれていて
無口っ子は指輪をそっと、自分の薬指にはめてみる
何か温かいものに守られてるような感じがして、心強い
今日は男の家に遊びに行く約束をしている無口っ子
朝食を食べて両親を見送ると、早速自分も出かけるしたくをする
少しだけ背伸びしたお洒落をして、雪化粧をした外へ
男の家はすぐ近く、いつものようにインターホンを鳴らす
がちゃ、とドアが開いて、男が無口っ子を出迎える
その顔を見て安心して、お邪魔します
二人は今日も仲良く一日を過ごしていく
ちなみに、男の薬指にも無口っ子がしている物と、お揃いの指輪があるんだけど
それに気づいた時の顔を想像してみよう
そんな無口っ子は、多分何物にも変え難いほど可愛い
742 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/24(金) 19:38:30 ID:SD7cZkiz
>>741 GJ!
ちょっとサンタの衣装と指輪買ってくる
非エロ、若干超展開注意
9レスほど頂きます
"おはよう"
ある日の朝。
窓の無い、真っ白な部屋。
時計の短針が真下を指し、いつも通り目を覚ます。
"おはよう"
"おはよう"
朝の挨拶を、同室の子供達と交わす。
"おはよう"
"おはよう"
いつも通りの日課。
"おはよう"
"……"
その日は、一人だけ返事を返さなかった。
ベッドの上を覗き込む。
異変は直ぐに見て取れた。
露出している顔面全体を覆い尽くす腫瘍。
見開いた瞼。
濁った眼球。
痙攣する唇。
腫瘍が全身に広がっているのは明らかだった。
先生を呼ぶ。
やがて、彼女は横たわったまま、ストレッチャーで運ばれていった。
廊下の奥に消えていく彼女を、同室の皆と見送る。
"――――"
最後に、一度だけ彼女の名前を呼んだ。
返事はなく、ただ一言。
"…………。
………………ママ"
私達には意味の判らない言葉。
その一言を残して、彼女はいなくなった。
苦痛も、絶望も、悔恨も、なにもない。
次の朝、目を覚ますとあの子のベッドがなくなっていた。
部屋が少し広くなった。
私達は、23人から22人になった。
それ以外は、何も変わらなかった。
私にとって、死はその程度の意味しかなかった。
その時は、まだ。
*
ある日、家族が一人増えた。
それ以来、家が少し狭くなった。
それ以外でも多くの事が変わってしまったのだろうが、今重要なのはその点だ。
3DKの部屋割りに、入居者以外の為のスペースは存在しない。
「悪く思うなよ……」
誰に向かってか謝りながら、中身の入っていない小奇麗な千代紙の小物入れを握り潰した。
用途不明のガラクタを次々と、容赦無くゴミ袋へと放り投げて行く。
俺がせっせと働いているその横で、一番新しい入居者である所の少女が、目ぼしい物を拾い上げてしげしげと眺めていた。
「お前も手を動かせ」
絵麻は慌てて作業を再開するが、何か彼女の関心を引く物を見付ける度、物惜しそうに俺の方へ目を向けて来る。
「捨てろ。どうせゴミだ」
「……」
「良いから捨てろ。資本主義社会に於いてあらゆる商品は即物的に、刹那的に消費されるべきだ」
捨てられた子犬の様な視線から目を逸らし、俺は自分の作業を黙々と進めた。
小さな人形の首を圧し折り、ビーズ玉を袋に纏め上げ、変色した雑誌を縛り上げる。
太った黒猫の縫いぐるみを引き裂こうと力を込めたその時、細っこい腕が伸びて来てそれを押し留めた。
「捨てると言ってるだろうが」
絵麻は俺の手を掴んだまま、睨むでもなくじっと俺を見詰めて来る。
何秒間見詰め合っただろうか。
俺は溜息を吐いた。
「……あんまり物を増やすなよ」
とは言え、彼女の持ち物は同年代の少女の平均から見れば随分少ない方だし、俺に兎や角言われる謂れは無いかも知れない。
絵麻は一寸微笑んで、大事そうに縫いぐるみを"残すものエリア"に置いた。
休日の昼過ぎ。
俺はずっと前に居なくなった母親の私物を整理していた。
絵麻の夏服を仕舞うスペースを確保すると言う名目が無ければ、ここはずっと手付かずのままでいたのだろう。
親父にも恐らく判っている筈だ、この部屋の嘗ての主が戻らぬであろう事は。
整理を子供に押し付けたまま、彼がこの場にいないのは、それを認めてしまうのが嫌だからだろうか。
(……形見分けになるかも知れないってのにな)
片や、俺にとって彼女は既に遠い記憶の存在に過ぎない。
こうして部屋を片付けていても感慨深い物は見付からないし、粗方ゴミに出してしまっても特に抵抗を覚えない。
世間一般からすれば親不孝なのだろうなと考えつつ、ぞんざいに衣装ケースを引っ繰り返して行く。
あらかた片付け終わり、最後のケースを引っ張り出した所、古びた衣類に紛れて、中から堅い物が床に転がり落ちた。
派手なシアンのプラスチック製長方体、ダイヤルやらボタンが上部数箇所に付き、前面には小さなレンズが。
「トイカメラか?」
かなり古い、少なく共10年以上前の物だ。
勿論デジカメ等ではなくフィルム式で、フォーカス・露出調整は目測頼りの、文字通り玩具同然の代物。
フィルム巻上げダイヤルは回り切っており、どうやらフィルムを使い果たした状態のようだ。
どうせこんなアナログな代物、俺には使いこなせそうも無いが。
俺はこれも不燃物のゴミ袋に投げ入れる。
「――――あ」
さっきから俺の手元を覗き込んでいた絵麻が小さく声を上げた。
「何だ。これも欲しいって言う心算か。
デジカメで十分だろう」
絵麻は首を振る。
「……中、確認しなくていいの?」
「時間が経ち過ぎている。
今更現像した所で、フィルムが感光し切って何も写っていない筈だ。
何なら、今ここで開けて見るか?」
絵麻は冗談に受け合わず、暫く俺の顔を見詰めていた。
睨むでもなく、黙り込んだまま、只じっと。
やがてふと視線を落とすと、小さく呟く。
「私は、知りたい」
拾い上げたカメラを撫でながら。
「あなたのお母さんが、何を残したのか」
「……知らなくとも、別に困りはしないだろ」
突然、絵麻はカメラを手に立ち上がると、コートを羽織って玄関に向かった。
「おい! 何処に行く気だ」
「写真屋」
「おいまさか本気で……」
頷いた。現像しに行くらしい。
「金の無駄遣いだろう、どう考えても」
絵麻は俺の文句に耳を貸さず、もう靴まで履き替えている。
俺は溜息を吐いた。
「……後で半分現像代を出す。
それと、親父には暫く黙ってろ。
もし母さんの浮気相手か何かが写ってたら、絶望の余り身投げしかねん」
絵麻は苦笑して頷き、外へ飛び出して行った。
絵麻が出て行った後、既に殆ど終わっていた作業を続けることにした。
必要な物や貴重品、書類は段ボール箱に押し込み、残りのゴミを袋に纏める。
雑誌の束を紐で括りながら、俺は一人呟いた。
「それにしても……あいつはどうしてあんなに拘るかね」
絵麻の事だ。
何故知りたい等と言うのか。
あいつが、伊綾家の想い出に執着する理由は無い。
絵麻が伊綾の一員になったのは、極最近の話。
例え俺や親父が彼女の"家族"なのだとしても、ずっと前からここにいない俺の母親とは、何の縁も無い筈だ。
(家族、か)
俺は絵麻の嘗ての家族について何も知らない。
だが、そう言ったコミュニティとは遠い位置にいたであろう事は、容易に想像が付く。
一般的な、密接でウエットな"家族"と言うものに、何らしかの憧れがあるのかも知れない。
(そう言うものを俺に期待するのは、見当外れも良い所だがな)
出たゴミを一纏めにして置こうと、俺は台所へ向かった。
玄関に近いタイルの上に、ガラクタや古着が詰まった袋を無造作に落とす。
拍子に、シンクの上の棚から一杯の茶碗が転がり落ちた。
拾い上げると、年季の入った小さ目の陶器には皹が入っていた。
俺のお下がりで、今は絵麻が使っているものだ。
漠然と、理由も無しに、得体の知れない不安が頭を過る。
虫の知らせ? 馬鹿馬鹿しい。
ふと小窓を見上げると、ついさっきまで雲一つなかった空に、低く雲が垂れ込めている。
携帯電話の天気予報サービスを確認。
夕方よりにわか雨の降る所も。
「傘、持って無いよな、あいつ」
*
最寄の写真屋迄の道を急ぐ。
空が雲に覆われてはいる物の、空気はまだ乾燥しており、そう直ぐには降り出しそうも無い。
それなのに、俺は一体何を急いでいるのか。
第一、相手は自転車だ。追い付ける訳がないのに。
自分でも訳が判らない。
只、嫌な予感がする。
(こう言う時あいつらなら、理由なんて判らなくても、迷わず行動出来るんだろうな)
友人のきょうだい二人を思い浮かべ苦笑した瞬間、
『ひの〜よ〜うじんっ マッチいっぽ――ん かじの――もとっ』
件の二人、その兄の方の間の抜けた声がご近所一帯に響き渡り、俺は盛大にバランスを崩した。
見上げると、一ブロック向こうの十字路で法被姿の見慣れた顔連れが、一人は拡声器を、もう一人は拍子木を手に練り歩いている。
二人も俺の姿に気付いた様で、俺は仕方なく近くまで駆け寄った。
拡声器を持った兄の方、渡辺綱が気安げに手を上げる。
「おう、奇遇だな伊綾。どしたそんなに急いで」
「野暮用だ。そう言うお前らこそ一体何の真似だ?」
丁寧にお辞儀する妹の方、渡辺結に会釈を返しつつ、俺は二人の法被姿を頭から爪先まで眺める。
結の方は何だか無理矢理着せられたみたいで、フェミンな刺繍の有る普段着とアンバランスだ。
一方、ご丁寧に鉢巻まで付けた綱は妙に様になっていた。
「ん――? 消防団の見回り」
「ご苦労な事だ」
実の所、今まで消防団の存在すら知らなかった。
少しだけ興味が無くもなかったが、仕事中の彼らに油を売らせるのも拙い。
「悪いが急いでいる。俺はここで失礼させて貰うぞ」
「何かあったんか? さっきそこで絵麻ちゃんも見たけど」
意外な所で目撃証言に出くわし、俺は再び走り出そうとしていた足を止める。
「ほう。どこでだ」
「えーと。ずっと北行って一ブロック東にずれるから。あっちのほ……」
振り返り指差した先、比較的古い住居が密集している方向から、もうもうと黒い煙が揚がっていた。
その方向には銭湯も工場も無いし、焚き火をするような空き地も無い。
しかも、煙の量が明らかに焚き火のレベルではなかった。
暫し、三人で凍り付く。
「かっ……火事だ――――!!」
拡声器越しに叫ぶ綱と素早く携帯電話に119番を入力する(通話は綱にやらせるのだろう)結。
二人を尻目に、俺は煙の方角へ向けて全力で走り始めた。
曲がりくねった小道を駆け抜ける。高低差の有る階段を段跳飛ばしで急ぐ。
煙を出しているのは古い鉄筋のアパートの様だった。
他人の住居。
そんな所に、絵麻がいる筈は無い。
そう頭では考えているのに、足が止まらない。
道に迷いかけながら、やっとの思いで辿り着くと、そこには既に避難して来た住民や野次馬らしき人々が群がっていた。
風上なので然程煙は漂っていないが、全力疾走した後なので息苦しい。
息を切らしながら、集団の中に見慣れた少女の姿を探す。
呆然と黒煙を上げるアパートを見上げる夫婦と、不安そうに彼らを見詰める小学生位の少年。
肩を落として項垂れる中年男性。
駆け付けて来たらしき家族に介抱されている老人。
野次馬の中にも、見知った少女の姿など無い。
息をついて踵を返した俺は、背後の路肩に放置して有る我が家共用のママチャリを発見して凍り付いた。
「済みません……!」
俺は直ぐ近くで物珍しそうにアパートを眺めている大学生位の男を捕まえて、自転車を指差して見せる。
「これに乗っていた、中学生の女の子を見ませんでしたか。髪はショートカットで灰色のピーコートを着た」
「え? ええ? あ――」
男は一瞬面食らった物の、直ぐに得心が行った様に頷いた。
「うん、見た見た。さっき燃えてるアパートに入ってった」
俺は一瞬で血が凍り付くのを感じた。
「馬鹿なッ……! 何でそんな馬鹿なことを!」
「ほら、あそこの女の人」
男は地面に座り込んでいる若い主婦らしき女を指差した。
「さっきまで『まだ赤ちゃんが中にー』とか騒いでて。
見かねたのかあの女の子、自販機で水のペットボトル買いこんで中に突っ込んでったよ。
そういや、まだ戻ってこないねえ」
呑気そうに嘯く男に、何故止めなかったのかと怒鳴りたくなるのを抑える。
「何で止めなかったんだよ!」
振り向くと、いつの間にか追い付いて来ていた綱が血相を変えて男に詰め寄っている。
まだ何事か言いながら食って掛かっているが、そんなことはどうでも良い。
脇を見ると、都合良く直ぐ傍に飲料水の自動販売機が設置して有った。
俺は駆け寄り、急く気持ちを抑えつつ千円札を入れ、ミネラルウォータを3本買い込み、鞄に詰め込んだ。
1本の蓋を開けて水を頭から被りながら、真っ直ぐ燃え上がるアパートに向かう。
「……ッ! 伊綾、お前何してんだ!」
腕を掴んで止めて来る綱を睨み返す。
「離せ」
「離せねえよ。今助けに行ったって、二重遭難になるだけだ。
仮に絵麻ちゃんが中で倒れてても、助け出すまでにお前も倒れる。
今は無事を信じて待つしか……」
と、綱が突然愕然と、視線を俺の背後へと向ける。
釣られて振り返ると、結が呆然と燃えるアパートを見上げていた。
常に笑顔を維持し、小さい頃からそうあろうと努力して来た彼女。
その時に限っては恐怖に目を見開き、小刻みに体を震わせていた。
額に脂汗がびっしりと浮かび、顔色は蒼白。
「結ッ! 何でこっち来てんだ!」
綱は咄嗟に駆け寄ろうとするが、俺を放置する事も出来ず一瞬逡巡する。
俺は大きく息を吸い込んで、綱に諭された言葉を反芻した。
絵麻は確かに馬鹿で、今回の事を考えると大馬鹿者と言って差し支えない。
だが、頭が悪い訳ではない。
彼女一人でこの場を切り抜けられないならば、恐らく俺が傍に付いていても同じ事だ。
「……大丈夫だ。判っている。
行き成り飛び込んだりはしない。少し周りから様子を伺うだけだ」
「すまね。無茶するなよ」
言うが早いか、綱は今にも倒れそうな結を介抱しに飛んで行った。
結は、火が苦手だ。否、恐怖症と言った方が良いだろう。
俺はアパートに向き直ると頭を切り替え、中を覗き込めないかと建物の反対側に回り込んだ。
「糞っ! 煙が酷いな……」
口を覆いながら、窓ガラスが並ぶコンクリートの絶壁を見上げる。
気のせいか、若干傾いて来ている様な気がする。
ベランダは無く、窓には羽目殺しの格子が付いており、隙間から飛び降りる程の余裕もなさそうだ。
仮にネットや防災マットを用意しても、これでは意味が無い。
(無駄足か……。もう後はあいつが自力で戻るのを待つか、あるいは――)
再び正面玄関の方に戻りかけた瞬間、直ぐ頭上からガラスが割れる音が響いた。
2度3度、重量の有る何かを叩き付ける音と共にガラスの破片が舞い散り、ぬっと黒い人影が姿を現す。
「絵麻!」
顔を煤で真っ黒にした少女の名前を叫ぶ。
絵麻は眼下に俺の姿を認めると、再び部屋に引っ込む。
再び響く打撃音。
ぱらぱらと格子の隙間から木片が散らばる。
どうやら内側から鉄格子を破壊するべく、椅子か何かを叩き付けているらしい。
5回程打ち付けても、窓枠はびくともしない。
「絵麻! こっちは無理だ! 玄関に回れ!」
打撃音が止んだかと思うと、今度は格子の隙間から何かを差し出そうとしている。
「阿呆! 何をしている、さっさと……」
抱きかかえられたそれを見て、俺は愕然とした。
隙間をやっと潜れる程の大きさのそれは、煤で汚れ疲れ果て泣く事すら出来ずにいたが、紛れも無く人間の赤ん坊だった。
絵麻は腕を伸ばし、2階からそれを手渡そうとしている。
俺は咄嗟に、それを受け止めようと腕を上げていた。
背を伸ばしてぎりぎり届くか届かないか。
彼女の伸ばした両手から、俺が延ばした両手まで、それが手渡された瞬間。
窓越しに見た絵麻は、笑った様な気がした。
それも、一瞬。
突然の、重い爆発音。
ガスに引火したのだろうかといぶかしむ間もなく、重量物が拉げる嫌な音が響き渡り。
絵麻の姿が瓦礫に飲み込まれる。
赤ん坊を抱きかかえながら、俺は反射的に後方へ跳躍した。
手が自由だったなら、絵麻の腕を掴む事が出来たのかも知れない。
俺に勇気が有れば、瓦礫の中を突き進んで彼女を庇う事が出来たのかも知れない。
仮定など無意味。
絵麻を残して、必死に瓦礫を避けながら、生存本能に従って後ろに下がる。
俺の目の前で、あっと言う間にアパートは崩壊した。
*
泣き始めた赤ん坊を野次馬の誰かに押し付けてからの事は良く憶えていない。
只、無我夢中で瓦礫の山を素手で引っ繰り返していた。
まだ燃えている、危険だとか、誰かが叫んでいた様な気がすが、どうでも良い。
何時の間にかシャベルを持った綱が横で瓦礫を掘り返していた。
そんな事も気に留めず、淡々と作業に没頭する。
漸く意識がはっきりして来た頃、分厚い割りに鉄骨の少ないコンクリートの壁を押し退けたその奥に、煤で汚れたコートの切れ端が覗いた。
細かい破片を取り除いて行くと、背中が、腕が、顔が順番に現れる。
ぼろぼろの少女を、そっと抱え上げた。
絵麻は瞼を閉じたまま、ぐったりとして身じろぎすらしない。
ゆっくりと路肩まで運び、上着を脱いでその上に寝かせる。
体のあちこちに木片が刺さったり、擦過傷が出来たり、出血もしている。
骨も折れているだろうが、それよりも確認せねばならない事が有る。
「絵麻」
呼びかけるが、反応は無い。
「絵麻!」
今度は強く、耳元で声を出すが、同じ。
口元にも喉元にも、目立った動きが見えない。
首筋に指を当てても、何の脈動も無い。
胸に耳を当ててみても、何も聴こえない。
血の気が引いた。
「呼吸が、ない」
「――ッ! AEDだ! AEDはっ!」
綱が周囲に呼びかけるが、誰からの反応も無い。
辺りは古い住宅地ばかりだ。そう都合良く置いてはいない。
「くそッ! しゃあねえ、探して来る」
「頼む」
走り去って行く綱を尻目に、体育の実習で教わった内容を思い出しながら、仰向けに顎を引かせて気道を確保する。
「……悪いな」
一言だけ、謝った。
鼻を摘んで、口に直接息をゆっくりと吹き込む。
胸が沈むのを待ってから、更にもう一度。
何の反応も無い。
体の位置を変え、胸の中心に掌を重ねて押し当てて、垂直に力を込める。
抵抗なく胸骨が沈み込む。
矢張り何の反応も無い。
構わず何度も周期的に力を込め、心臓マッサージを続けた。
やがて人ごみを掻き分けて、若干ふら付きながら結が近付いて来る。
「手伝えるか」
結は未だ調子が悪そうで顔色が真っ青だったが、気丈に頷いて絵麻の枕元に陣取った。
心臓マッサージの合間を縫って、結が息を吹き込む。
マッサージ30回につき人工呼吸2回のサイクル。
何回繰り返した頃だろうか、綱がAEDを持って駆け寄って来る。
「絵麻ちゃんは!?」
「まだ駄目だ」
綱は手早く絵麻の上着を剥いでシャツのボタンを外し、AEDの電極パッドを決められた位置に貼り付ける。
相変わらずデリカシーに欠ける男だ。が、そんな事を言っている場合では無い。
心電図はフラット。
直ぐに電気ショックを求める人口音声が響き、綱がマニュアルに従ってショックボタンを押した。
絵麻の全身が操り人形の様に痙攣する。
だが心電図はフラットのまま。
「まだか……!」
再び心臓マッサージに取り掛かる。
回数を数えながら、強く、何度でも。
30を数えた後、結が息を吹き込む。
変化は無い。
それでもマッサージを続ける。
綱が腕時計を見て真っ青になっていた。
「伊綾、もう……助け出してから、10分過ぎて――――」
「だから何だ」
呼吸停止から10分経てば、蘇生の見込みは薄い。
そんな事は判っている。
「こいつが、死ぬ訳、ない、だろう」
そんな事は考えない。
それ以外の事も、何も考えたくない。
只無心に、腕に力を込める。
「……ッ! 電気ショック! もう一回だ!」
綱がもう一度AEDの準備を始める。
こう言う時ばかりは、綱の愚直な前向きさ、諦めを知らずひたむきな性格が有り難い。
例え結果に結び付く見込みが薄かろうが、自分に出来る事は全力で遂げる。
「身内の俺が、あいつより先に諦める訳には行かないよな……」
二度目の電気ショックを受けても未だ反応が無い絵麻の様子に絶望しそうになる自分を叱咤し、三度心臓マッサージに移る。
「……畜生、目を、覚ませ、――――――――目をッ! 目を覚ませ!」
必死に、何度でも呼びかけた。
汗が額を伝って流れ落ちる。
腕に力を込めた瞬間、ぐらりと体の重心が傾いた。
倒れ掛けた所を、綱が後ろから支えて来る。
「おい! 無理すんな!」
疲労の所為か、大分煙を吸い込んだ為か、体の自由が利かない。
それでも自分を叱咤し、身を起こして再び絵麻の傍に戻る。
しかし直ぐに綱に肩を掴まれた。
「無理すんなって言ってんだろ! 俺が代わるから、伊綾はちょっと休んでろ」
こんな時に休んでいられるか、そう言い掛けるが、この場合は綱の方が正論だ。
それでも、今は体を動かしていないと、気が狂いそうになる。
「もう良い、大丈――――」
綱の手を振り払い、絵麻に向き直った瞬間、俺は息を呑んだ。
絵麻の体が小刻みに痙攣している。
最初は小さく、やがて大きく体が跳び跳ね、そして横隔膜の蠢きと同時に大きく咳き込んだ。
宙に浮いた頭を地面にぶつける直前、手を伸ばして下から抱え上げる。
腕の中の少女の顔、閉ざされた瞼が震え、黒目がちな瞳が薄く覗いた。
「……やす、み?」
掠れがちな、けれどはっきりとした声。
喜びよりも、驚愕の方が大きかった。
何故、そんなに早く、呼吸だけでなく意識まで取り戻すのだ。
さっきまで、心肺停止の危篤状態だったのに。
視線を落とし、彼女の体を見て再び凍り付く。
突き刺さっていた木片が、ゆっくりと、だが確実に体から押し出されている。
10分前出血していた擦り傷に至っては完全に塞がり、代わりに真新しい皮膚が生え代わっていた。
まるで、性質の悪いスプラッタ映画で、蜂の巣にされても再生して立ち上がって来るモンスターの様だ。
「な…………」
言葉が出ない。
途方に暮れて周りを見回す。
綱も結も、周囲の野次馬も、呆気に取られていた。
遠くから聞こえるサイレンの音。
絵麻は大人しく俺に抱きかかえられたまま、哀しそうに微笑んでいた。
ああ、ばれちゃった。そんな事を悔やむ様に。
その複雑な表情を見て、俺は何となく悟った。
彼女の命が助かったのは、偶然でも奇跡でもなく、絵麻にとって決まり切った必然であった事を。
ふと、額に冷たいものを感じて空を見上げた。
雲が低く垂れ込めている。
雨が降ろうとしていた。
投下終了です
次回で一応伏線晴らしの予定です
>>753 GJです!
これは予想外な展開だ……続き待ってます
(今年こそはもっとたくさんしゃべれるようになって、男くんといっぱいいっぱい楽しいお話をして、そして勇気を持って男くんに、す、す、好きって言えますように!)
みたいな願い事を初詣で力一杯念じてて、
一緒に来ていた男くんに「そんな真剣になにお願いしてるの?」とか聞かれてあたふたする無口っ子
なるほど、超展開。
だが、GJ!
「明けましておめでとう!!」
「…………(ズーン)」
「……そう落ち込むなよ。ここ無口っ娘スレだし、元旦に書き込みが無いのも不思議じゃないだろ?」
「…………(ムスッ)」
「拗ねるなよ。お前には俺がいるだろ?」
「…………///」
「元気出たか?よしっ、ちょっと遅くなったけど初詣行こうぜ」
「…………!!(コクコク)」
というわけで、明けましておめでとうございます
今年も無口っ娘スレが賑わいますように
昨日姉と初詣に行ってね
一緒におみくじを引いたんだけど、俺は吉だった
姉も何だか不満そうな顔をしながら、木の枝に括りつけた
自宅に帰ると、姉は紙を取り出してそこにペンで何やら書き始めた
覗こうとするとしっしと追いやられたので、俺はテレビでも見ていよう
しばらくして姉は背後から現れて、いきなり俺の手を取る
そして、横に細く折り畳まれてまるでおみくじのようになった紙を、指に括りつけてきた
何なんだって訊こうとしたけど、姉は笑って台所に行ってしまった
こっそり開いて見てみたら、「大吉」
恋愛成就、意中の人と結ばれるといった理想的なことが書かれていた
今年の運勢を捏造するのは構わないけど、何も俺を木の枝の変わりにしなくてもな
これさ、と訊きに行くと姉は何か怒り出してさ
自作おみくじひったくるなり、もう一度俺の手を捕まえて括り直して、それからじっと睨まれるんだ
ああ、外すな付けておけってことか
で、一日経ったら飽きたみたいで、自分から外してくれたんだけど
俺がこれを付けてる間はずっと優しくて、上機嫌だったんだよね
何か、女の子のおまじないみたいなもんなのかな
姉が喋ってないからここでいいんじゃないの?
GJだぜ
久しぶりに少し書かせてもらいます。
「……ん、あイたた……あれ?」
仄暗い洞窟のような場所で気絶していた少年―― 船越正一 ――は、
ハッと意識を取り戻しキョロキョロと辺りを見回した。
「何だろう、僕は確か……」 考えようとした瞬間。
ズキリ。
頭の後ろが酷く痛み出す。
「イタたたた……ダメだ思い出せない」
正一はとりあえず考えるのをやめ立ち上がり辺りを見回した。
意識をハッキリ取り戻した少年が視たモノは。
「? 何だろう、ええと……ルルの……家?」
ぼんやりと薄暗い中僅かに見える明かり。
其れは小さな建物だった。
建物の看板に書かれた文字は、汚い文字で
『ルルの家』
と、‘読め,た。
兎に角入ってみようと思った正一は、ゆっくりと中に入る。
と、薄暗い店内から。
「イラッシャアイ」
独特のイントネーションで声がした。
一瞬びくりとし、キョロキョロと店内を見回すと、
「アイテルセキニすわってね」
話しかけてきたのは鳥かごの中のオウムであった。
狭い店内、天井から吊るされた鳥かごの中のオウム。
そして、厨房の所には大きな人がもぞもぞと動いており。
そして、此方をじっと無言で見つめる少女がいた。
「あ、あのおぉ……」
店内の異様な雰囲気に圧倒されながら質問しようと口を開いたまさに其の時。
ぐうう〜。
小さくお腹がなった。
「オナカガヘッタナ、ナニガタベタイ?」
「え? でも僕お金持ってないんですけど……」
『フルフル』
正一の言葉を聴き少女は首を左右に振った。
「ココハオカネナンテいらない」
オウムの言葉に少女は『コクコク』と頷いた。
「如何いうことですか?」
誰にとも無く質問し。
「コウイウコトダ」
オウムが喋り。
コトン。
少女が少年の目の前に料理を置いた。
‘タコのマリネ,に‘タコのスープ,それに良く解らない物と、
ヨーグルトの掛かったサラダを。
「メシアガレ」
「えっ? あ、は、ハイ、すいません頂きます」
言われるまま正一は恐る恐る料理を口へと運ぶ。
と、
「美味しい!」
思わず感嘆の声を上げた。
其の途端、今まで無表情だった少女の顔がパァッと明るくなる。
その顔に正一はどきりとなった。
まじまじと見つめると、まるで人形のような少女だ。
地毛なのだろうか? 美しい銀色の髪を生やし殆ど感情を見せない瞳で此方をじっと見つめてくる。
「しゃべれるぞ、シャベレナイダケデ」
意味が解らなかった。
不可解な事を‘インコ,が喋った。
「オナカハ、フクレタか?」
混乱する正一に対し‘インコ,が話しかけてくる。
さっきまでは確かに‘オウム,だったそれが。
「オナカガふくれたらツギハコレダ」
其の途端少女が恥ずかしそうに俯きチロリと鳥かごを見つめる。
『本当にこんなことして大丈夫なんでしょうか?』
そんな顔をしていた。
「ヘイキダ、ヤッチマエ」
インコが喋り、少女はおずおずと近づいて来ると申し訳なさそうにぺこりと頭を下げた。
「え? 一体何を……うわぁ!」
其の瞬間少年は大きな悲鳴を上げた。
「チカラヲぬケ‘ヌイテ,やるカラ」
‘九官鳥,が卑猥な言葉を投げかけゲゲゲと笑う。
スルスルと少女が正一のズボンを脱がし始めゆっくりと下着に手をかける。
「な、なにを!?」
頭が混乱の極みに達するが体は動く事ができず少女のなすがままであった。
たどたどしい手つきで、だがテキパキと、少年を丸裸にしてゆく。
照れているのか少女は耳まで真っ赤だ。
少年の服を全て剥ぎ取ると少女は自分自身の服に手をかける。
少年の眼を気にしながら、だが意を喫したように衣服を脱ぎ捨てると、
服の下の白い肌は生き物としての生命力を何一つ感じさせないが、
其れは逆に神秘的なものを感じさせるものであった。
「オイ、ショタやろう、マズハソイツニしゃぶってもらえ」
九官鳥が下品な言葉を口にし、
はむり。
少女は少年の物をそっと優しく口に咥えた。
「ふわあああ!」
其の感覚のために正一は大きな悲鳴をあげてしまう。
歯を立てずにペロペロと柔らかく、温かい舌が少年の感じやすい大事な部分を嘗め回す。
ゆっくりとした舌使いで自分の物を嘗め回されるたびに正一は諤諤と体を震わせる。
「ちょ、ちょっと待って! だ、ダメだよ!」
バタバタと暴れ少女の頭を押さえつけると、
『ごめん……私のこと嫌い?』
と、言う目で正一の顔をじっと見つめる。
「あ、ち、ちがう、その、い、いきなりだから……」
「グズグズイウナ! オマエモそいつのムネヲもんだりしろ!」
九官鳥に促され少女は自分の胸をそっと両手で寄せる。
精一杯寄せようと努力しながら、
『ワタシの胸ちっちゃくてゴメンね』
という表情で正一の顔をチラリと見つめる。
「あ、い、いや、そんな顔されても……」
顔を真っ赤にしながら正一は少女をジッと視る。
少女の方も顔を真っ赤に染めながら見つめ返した。
「ハヤクシロ!!」
鳥に急かされてビクリとした後、恐る恐る胸に手を伸ばした。
やわらかな感触が指に触れた後、ビクンと体を震わせた。
「い、痛い?」
フルフル。
少女が首を横に振るのを見て、小さく柔らかい胸を触る手に力を込めていく。
其のたびに、真っ白な肌は薄いピンク色に染まり、手を動かすたびに、
ピクリ、ピクリと反応を示し、ぷっくりと小さな乳首が膨れ上がっていくが、
少女は口は堅く閉ざしたまま決して喘ぎ声一つ漏らさない。
「ぎゃぎゃ、ソウトウかんジテるナ? マッタク、いんランナヤツダゼ」
鳥の言葉に、少女は更に顔を真っ赤にして、下を向く。
「そ、そんな事無いよ、ちっともHじゃないし、可愛いよ」
慌てて、少年がフォローを入れると、少女の顔がパアーっと明るくなり、だが再び、
『照れます』という顔で下を向いた。
「ナニをやッテンダ? さっさとヨコにナリナサイ」
鳥がバタバタと鳥かごの中で暴れる。
正一は仕方なく、ゆっくりと床の上に寝る。
「おい、そのマンジルでベトベトのきたネエシリヲナメるんだ!」
其の言葉にビクリと少女は反応すると、じっと正一の顔を見つめる。
正一は何も言えず只コクリと頷いた。
少女はそっと少年に逆さまに跨ると、顔の所に来るようにお尻を近づける。
可愛らしい、小ぶりの真っ白なお尻は確かに少年の目の前に来ると濡れているのがハッキリと見て取れた。
少年に胸を弄られて余程感じていたのだろう。
(こ、コレが女の子の……)
少年はつばをごくりと飲み込む。
愛液に蒸れた少女の秘所は、少年の鼻と心をくすぐった。
好奇心にあふれた指先がゆっくりと、少女の花弁を撫でていく。
其のたびにビクリビクリと背中を反らせ、少女が反応を繰り返す。
「オイオイ、オボッチャン、ウチノコガシャベラナイノヲいいことに、サワリタイホウダイジャノウ?」
鳥かごの中の‘それ,はもう鳥ではなかった。
得体の知れない生き物が‘くち,を動かす。
「ご、ごめん! いやだった?」
恐る恐る正一が聞くと、返答の代わりにフルフルとお尻を振って少女が答える。
「よ、良かった、じゃあ、ごめん」
ちゅぽ。
意を決した様に正一が、少女の秘所に顔を埋める。
「…………!!! ……!?」
「クソ、オシイィ―――!」
少女は片手で自分の口を押さえると、必死に少年の愛撫に耐えるため、体を固くする。
そして、自分からグイグイと正一に秘所を押し付けて、せがんでいった。
正一は両手でゆっくりとお尻を掴み撫で回しながら、周りから、穴の奥にいたるまで、
舌を差込、ねじ回し、只、興奮のまま少女を責めたてる。
少女の方もまた、ソレに答えるように、其の唇を、少年の物に近づけると、舌と唇を使い、
ゆっくりと撫で回す。
唾液と、舌先が少年の一番感じやすい部分を攻め立て、少女の口いっぱいに、
‘その物,は膨らんでいく。
ソレと同時に唾液と愛液が入り混じり、少年の顔を濡らしていく。
「あ、あああ、ぼ、く、僕もうダメ! オカシクなる!」
「―――――――――――!!!」
突然、少女は大きく仰け反ると、ビクビクと痙攣を始める。
ソレと同時に少女の口の中一杯に‘少年の味,が広がっていく。
「ははは、ガキニクチノナかにセイシをださレナガラ、いきやがった!!」
‘得たいの知れない物,に下品な言葉を投げかけられながら、
正一の体の上で、ハアハアと荒い息を吐く少女。
「グズグズスルナ! マダガキのチンポハゲンキジャねえか」
籠の中の声を聞き、少女は正一の物を確かめるようによろよろと、体を起こす。
「だ、大丈夫なの? 無理しない方が……」
正一に言われて、『まだ大丈夫』という顔をして、フルフルと首を振る少女。
優しく少年の物を掴むと、ゆっくりと、腰を下ろしていく。
やがて、少年の物に温かく柔らかな、肉ひだの感触が触れていった。
「あ、あああうう!」
少年の喘ぎと、少女が体を仰け反らせたのはほぼ同時だった。
やがて、少女はリズミカルに体を上下させ始める。
少年の上で、小さな胸がぷるん、プルンと可愛く揺れて、声を出さないように必死に手で口を押さえている。
愛液に染まった体内は柔らかく湿り、少年の物をぐいぐいと締め付け続けた。
「あ、ああ、で、でちゃう! 来ちゃうよ!」
少年に取り、始めての経験はあっという間に少年を射精へと導いていく。
と、突然、少女が首をフルフルと横に振ると、少年の物をグッと握る。
「ふわぁ! な、何!?」
驚きの声を上げる正一に、少女はきつく目を閉じながらプルプルと首を激しく振る。
『我がまま言ってゴメン、でも、いっしょにイキタイ』
という顔をしながら、正一の顔をジッと見つめる。
「う、う、うん、わ、わかった……」
その返答に、少女は嬉しそうにニッコリと微笑むと、いっしょに昇り詰めるべく、
一生懸命に体を動かす。
やがて薄桃色だった身体が、汗に濡れながら真っ赤に染まり、
ハアハアと吐く息の音が強くなっていく。
少女自身の肉体も限界に近づいていた。
「あ、ね、ねえ、ぼ、僕、僕、もうダメ!」
正一が大きく叫ぶと、少女は握っていた手をどかし、大きく体を動かした後、
ガクガクと震え、精を体の中に受けながら大きく体を仰け反らせた。
やがて、二人は折り重なるように体を合わせながら、ハアハアと荒い息の中、
ゆっくりとお互いの顔を見つめあった。
少女は正一の顔を見つめた後、自分のした事を思い出し、顔を真っ赤にしながら、
恥ずかしそうに顔をあさっての方に向ける。
「す、すごく、気持ちよかった……」
正一が荒い息を吐きながら、独り言のようにポツリと漏らす。
「……うん」
耳を真っ赤にした少女がコクリと頷いた。
と、
「ぎゃがやああぎゃああ!! 喋った! 口を聞いたぞオオオオオオ!! 」
大きな叫び声を挙げて ‘気持ちの悪い何か,が‘鳥籠だった物,のなかで暴れた。
それに合わせるようにキッチンにいた得体の知れない何か、も、なにやら呻き声を出している。
「オイ、糞がき!! よくやった! そのメス豚が何時までも喋ねえから困ってたんだ!」
何事か意味が解らず少女の方を向くと、彼女は驚きで目を見開いたまま口を手で押さえている。
「そいつはそんなナリヲしているが ‘門,を開ける存在だ」
‘籠の中の物, は言葉を続ける。
「門の鍵はそいつが‘喋る事,どういうわけかそいつは喋るのを嫌がってたんだ」
『ぎゃぎゃがやあやがや』君の悪い声が聞こえる。
其れは笑い声とも取れた。
少女は真っ青な顔をして振るえている。
「だが一度喋れば十分だ、感謝するぞ糞がき! 外なる者達をこの地に呼び集めよう!!」
「ぐほおおおおおお!!」
‘籠の中の物,と、‘キッチンに立つ物,は大きな声で叫び始める。
『るるるるる・ウ・んグいル・ラグル―――』
‘二つ,が何かを叫び始める。
正一は只呆然とその‘この世の終わりの光景,を見つめていた。
空気が激しく震えているのがわかる。
地面はぐにゃぐにゃとゆがみ、どちらが下でどちらが上かもわからない。
恐ろしい混沌の中、だが、後ろから聞こえてきた物が。
「ヨーグルト・サラダ」
少女のポソリと言った言葉だった。
ピタリ。
全ての物が止まった瞬間だった。
「はい? 今なんと?」
‘カゴのなかの者,が不思議そうな‘貌,をする。
「私の……名前」
「え!? ち、ちがうよね? ソンナ間抜けな名前じゃないよね!?」
いつの間にやらキッチンに立つ物まで、先ほどの勢いをなくし瞬と小さくなっている。
だがソンナ抗議を無視するかのようにスッと右手を挙げると。
「おいで」
少女は‘キッチンに立つ物,を指差して‘呼ぶ,と、其れはドンドン小さくなっていき、
やがては小さな‘タコ,のような物となった。
其れはチョコチョコと小女に近づき、肩に飛び乗った。
「だが、お前が喋った事でこの星に何らかの影響は出たはずだ!!」
‘籠の中のもの,がギャアギャアと叫んだとき、店の奥より、
奇妙な服を着た一団が遣ってくると耳障りな太鼓を叩きながらそのまま鳥かごを持って店の外へと出て行った。
「な、何だったの今の?」
あまりの事の成り行きに正一は暫く呆然とした後、『サラダ』と名乗った少女を見つめるが。
モタモタとパンツを履きながら、
『聞かないで』
サラダの目がそう訴えたので、聞くのを辞めた。
何にせよ、彼女はあの薄気味悪い連中から自分達を守る為に、
ずっと喋らないように我慢してたのだ。
全然解らない事だらけではあるが、
「だ、大丈夫、僕こそ守ってもらって御礼を言わなきゃ」
そう言って正一が頭を下げたまさにそのときだった。
ズキン。
また、後頭部が鋭く痛んだ。
「い、痛い! あっ……!」
自分が何故ここに来たか思い出した。
自分達の乗っていた船が突然襲われて、海洋学者だった父が棒で殴られて海に突き落とされたのを。
そして自分もまた同じく海に落とされたのだ。
『パパに会いたい?』
サラダはじっと正一を見つめた。
「う、うん」
正一は思わず口ごもった、尋ねてきたサラダの目が凄く悲しそうだったからだ。
「君、父さんの事知ってるの? 父さんは何処にいるの?」
正一に見つめられて、サラダは困惑するように視線を外すと、スッと店の奥を指差した。
嫌な感覚を覚えながら正一は店の奥へと足を運び、
そして、
気が付くと、砂浜に倒れていた。
「大丈夫か正一」
ハッと目を開けると、口の中にジャリとしたいやな感触が広がり慌てて吐き出す。
見上げた正一の目の前には自分の父親が立っていた。
「あんまりはしゃぎすぎるから転ぶんだぞ」
父親の笑顔がそこにあり、
自分でも解らないが
少年はそんな当たり前の光景に、
涙を流して喜んだ。
スイマセン
頭の所、途中で投稿したり、7が二つあったりして失礼しました。
以上です、どうもありがとうございました。
不思議なお話だ
772 :
名無しさん@ピンキー:2011/01/08(土) 23:41:28 ID:YYrY9fRR
クトゥルー系はゾクゾクして良いな
妙な話の流れでよく理解できんかったが、
ヨーグルトサラダでやっと理解したわw
るるの家もそれでルルイエのもじりって気づいた。
>>774 「……………………おちゅ」
「…………」
「…………」
「……噛んだ?」
「…………噛んでない」
「噛んだよな?」
「……………………噛んでないもん」