キモ姉&キモウト小説を書こう!Part15

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1名無しさん@ピンキー
ここは、キモ姉&キモウトの小説を書いて投稿するためのスレッドです。

○キモ姉&キモウトの小説やネタやプロットは大歓迎です。
愛しいお兄ちゃん又は弟くんに欲情してしまったキモ姉又はキモウトによる
尋常ではない独占欲から・・ライバルの泥棒猫を抹殺するまでの

お兄ちゃん、どいてそいつ殺せない!! とハードなネタまで・・。

主にキモ姉&キモウトの常識外の行動を扱うSSスレです。

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キモ姉&キモウトの小説を書こう第二保管庫@ ウィキ
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2名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 19:04:42 ID:kXPH56sX
■お約束
 ・sage進行でお願いします。
 ・荒らしはスルーしましょう。
  削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、
  削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。
 ・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。
 ・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。

■投稿のお約束
 ・名前欄にはなるべく作品タイトルを。
 ・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。
 ・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため)
 ・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。
 ・作品はできるだけ完結させるようにしてください。

SSスレのお約束
・指摘するなら誤字脱字
・展開に口出しするな
・嫌いな作品なら見るな。飛ばせ
・荒らしはスルー!荒らしに構う人も荒らしです!!
・職人さんが投下しづらい空気はやめよう
・指摘してほしい職人さんは事前に書いてね
・過剰なクレクレは考え物
・スレは作品を評価する場ではありません
3名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 19:05:29 ID:kXPH56sX
■誘導用スレ

嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 第52章
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1223480652/l50
ヤンデレの小説を書こう!Part19
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1223789052/l50
お姉さん大好き PART6
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1216187910/l50
いもうと大好きスレッド! Part4
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1188824773/l50
4名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 19:48:28 ID:XecLW2O2
>>1乙
5名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 19:55:05 ID:JRfa/p9O
>>1
6名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 20:05:24 ID:lvYIIzjr
>>1
とにかく乙
7名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 20:25:30 ID:UUzvfNl8
>>1
いちおつ
8名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 20:37:48 ID:77k+nwFg
>>1

そして新作期待
9名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 21:07:44 ID:yCJ/O0Xv
>>1
ひたすら乙

じゃあ俺は永遠のしろを期待しておこう
10名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 21:10:18 ID:MzfNZahG
>>1

 ……って言われたくて、また新スレ立てたのねお兄ちゃん? スレと一緒にオチンチンまで立てちゃってさ。
 ほら、みんなにカミングアウトしたら? 僕は>>1乙される度にオチンチンをおっきくする変態ですって。包茎で早漏のオチンチン見てくださいって。あははははははははっ!! マゾ過ぎるよお兄ちゃん♪
 えっ……ちょっと、泣かないでよぉっ、少しイジメただけじゃない?
 だいじょうぶだから、ねっ? 私はお兄ちゃんのオチンチン好きだよ? 包茎で早漏でも、とっても大きいもん! 包茎になったのだって、子供の頃に、寝てるお兄ちゃんのオチンチンを皮だけ引っ張って遊んでたのが……ゴニョゴニョ。なっ、なんでもないわよ!!
11名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 21:19:29 ID:EfkUT81X
>>1
乙w

>>10
GJ
12名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 21:20:37 ID:EfkUT81X
>>1
乙w

>>10
GJ
13名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 22:38:45 ID:eKtX2d57
>>1
gj
ついにこのスレも15周年か・・・
14名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 23:11:47 ID:hbIjgPlQ
>>1
15年…
あの時まだヨチヨチ歩きだった姉は女子大生、
産声を上げた妹は今年受験生か。
15名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 23:51:17 ID:B13aFKkf
>>14
そして君は監禁生活
16名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 23:52:54 ID:GSjP94nZ
>>1お姉ぱい
17名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 23:02:39 ID:vlc0hKqu
15周年…自分は何年前からいたのだろう
18名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 23:04:08 ID:W3ZfWW4g
「アンタなんかたーくんを好きになってせいぜい15年じゃない!お姉ちゃんは16年よ!
 たーくんがお母さんのおなかにいたときも含めれば17年だわ!
 アンタなんかまだ影も形もないときからお姉ちゃんとたーくんは愛し合ってたのよ!」
的な会話ができるね
19名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 23:05:09 ID:U7Mnemot
>>18
なぜその会話を含めた短編SSを書かないんだッ!
20名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 00:51:33 ID:awU976Vq
一人でもいいからキモウト欲しい
そして「同じクラスに好きな人が出来た、今度告白するから」とか言ってみたい
21名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 01:11:26 ID:WFxy4NBU
お兄ちゃんは自分が好きだと信じて疑わない妹も良い
お兄ちゃんが何言っても「またまたぁw」みたいな
22名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 01:20:35 ID:nXWqvKEy
すごく困るなそれは
23名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 01:22:12 ID:BSmGsdJh
>>21つまり、こう言う事だな?

 俺、好きな子ができた → 「またまたぁw でっ、それは何て言うゲームで何て言うキャラなの? ブックオフに売りに行かなきゃ……」

 俺、クラスの子に告白された → 「またまたぁw お兄ちゃんみたいなゲームだけが取り柄のキモオタなんて誰も相手しないってw
 罰ゲームかなんかでやらされてるんだよ。でっ、その人の名前は?」

 俺、お前の事が好きみたい → 「うん、知ってる……私も大好きだよお兄ちゃん♪」
24名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 01:24:19 ID:pUwpKPr8
>>23
なんちゅう八方塞がり
25名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 01:28:29 ID:Sp/0MzHD
罰ゲームかなんかでやらされてるんだよ。
でっ、その人の名前は?>さり気なく名前聞いてるとこが
またいいなw
26名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 01:41:33 ID:awU976Vq
>>23のキモウトに
「俺、明日から家を出て一人暮らしするよ」って言ったらどうなる?
27名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 01:46:57 ID:nXWqvKEy
>>26

「またまたぁwその話をするってことは、私に一緒に来いって言ってるんでしょ?」
28名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 01:50:17 ID:awU976Vq
キモウト強すぎw
29名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 02:01:15 ID:yKrTyNc6
兄「お前みたいなのをキモウトっつーらしいぜ。キモい妹の略なんだってよ。まったくその通りだわw」

よし来た! これで勝つる!
30名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 02:12:41 ID:DlzhJ5Jp
「あら、そこまではっきり言ってくれるなら…私も手加減無用ね♪」
31名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 03:48:07 ID:H4gTwnTf
ハロウィンSS書いてたけど間に合わなかった……orz
今からでも投下していいですか?
32名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 03:57:25 ID:fD8acKM3
遅いかもしれんが、ぜひに。
33名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 04:12:29 ID:H4gTwnTf
おk、投下します
34名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 04:13:24 ID:awU976Vq
俺はいつまでも待ってるぜ
35キモ姉&キモウト的HAPPY☆HALLOWEEN:2008/11/01(土) 04:16:10 ID:H4gTwnTf
とうとうこの日がきたか……
今日は10月31日。
そう、日本ではあまり普及されていない行事ハロウィンが行われる日である。
どんよりとした雲に覆われた陰鬱な夜空を仰ぎ、そろそろここを訪れるであろう人物達のことを思う。
毎年彼女達には心臓が止まりそうな目に遭わせられるが今年は特に嫌な予感がする。
やれやれ、今年も大変な目に遭いそうだ……
俺『有城 蓮』は大きな溜息をつきながら大きな不安を感じていた。

「トリックオアトリート。お菓子をくれなきゃイタズラするぞっ」
突如背後から甘く冷たい声がした。
そして氷がたくさん入ったバケツの水を一気に浴びせられたかのように背筋が寒くなる。
「……毎年言ってるけどいきなり現れて背中に抱きつくのはやめてくれないか澪ねぇ?マジで冷たいんだって」
「うふふ。だって蓮くんに逢えて嬉しいんだもの」
俺の背中に抱きつき嬉しそうに目を細めている着物姿の女性。
だがその姿は薄く透き通り、まるで空気に溶け込んでいるように見える。
そう、彼女『有城 澪』はすでに亡くなった人間、つまり「幽霊」なのである。
彼女は俺が生まれる前に既に他界しており、生前の彼女と顔を合わせたことは一度もない。
だが俺が物心ついた時から既に彼女は俺の傍にいた。ただし幽霊としてだ。
しかし、肉親ということもあるのか、幼い俺は全く澪ねぇのことを怖がらず、むしろ彼女によく懐いていた。
澪ねぇも俺のことを随分と可愛がり、よく遊んでもらっていた。
生前の澪ねぇは体が弱く、病弱な体故に家の外にもあまり出ることができなかったらしい。
それはそれは退屈だったという。
しかし、自分に弟ができると聞いたとき、彼女の世界は一気に色づいた。
周りの誰よりもそのことに喜んだのは彼女だったらしい。
毎日母親の膨らんだ腹を撫でててはニコニコと微笑み、俺が産まれるのを心待ちにしていた。
きっとまだ見ぬ弟に想いを馳せ、毎日を過ごしていたのであろう。
しかし、無常にも彼女の弱った体は限界を迎え、澪ねぇは遂に俺と会うことはできずに亡くなった。
だが彼女は強い未練を残していた。そう、俺に会いたいがために幽霊となるほどに。
それが良いことなのか悪いことなのか俺には判断できない。
確かに死者はあの世へ行くべきなのかもしれない。
しかし、こうやって俺が澪ねぇに会えるのは彼女が幽霊になったおかげでもあるわけで。
「どうしたの蓮くん?変な顔しちゃって」
黙っている俺を不審に思ったのか、澪ねぇは俺の正面に回りこみ、俺の顔を見上げる。
その顔は俺よりも年上のはずなのに酷く幼く見えた。きっと彼女の内面は死んだ時から止まったままなのだろう。
「いや……何でもないよ。ただ澪ねぇは本当に変わらないなぁって思っただけさ」
「?変な蓮くん」
きょとんと首を傾げる姉。実体はないはずのさらさらとした黒髪がそれに合わせて流れる。
それだけだがなんだか可愛く見える。
そんな姉だが死んだ時からずっと姿は変わっていないという。
俺が生まれる前に既にその姿だったということは実は結構年増なんじゃ……
「れーんーくーんー?今何か失礼なことを考えていたりしてなかった?」
表情こそにこやかだが彼女の後ろで頼りなく揺らめいていた青白い火の玉が急激な勢いで燃え盛る。
まるで地獄の業火のようだ。アチチチチ!!
36キモ姉&キモウト的HAPPY☆HALLOWEEN:2008/11/01(土) 04:18:15 ID:H4gTwnTf
「や、やだなぁ。相変わらず澪ねぇは綺麗だなって考えていただけだよ」
とりあえず口からでまかせを言っておく。
澪ねぇを怒らせると幽霊お得意の金縛りの刑に処される可能性があるからな。
「あ、あら、そう?うふふ、蓮くんったら『ああっ、なんてお姉ちゃんは綺麗なんだ!今すぐ死んでも未練なんか全然ないよ!』だなんて嬉しいこと言ってくれるじゃない!」
言ってない。死んでもいいなど一言も言ってないぞ。
わずか十余年で人生が幕を閉じるなんてそれこそ死んでも死に切れん。
とりあえず体をくねらせ、青白い頬を薄く染めながら妄言を言っている澪姉さんの足元にお菓子を供える。
姉曰く物理的に食事をすることは不可能だが味は分かるらしい。
「……これでずっと一緒ね、蓮くん。成仏して転生するくらいなら永遠に二人でこの世を漂い続けましょう?」
本来死者の魂はあの世へと流れていくはずなのに澪姉さんはそれに抗い続けている。
無理やりあの世へと連れて行こうとする死神たちをこれまでに千人以上は返り討ちにしたらしい。
そのことから『死神殺しの澪』として死神達からは大いに恐れられているようだ。
俺にとっては妄想癖の激しい駄目姉にしか見えないけど。
欲しいと言っていたお菓子をあげても全く反応せず、笑顔で恐ろしいことをぶつぶつと呟いているので放っておくことにする。
どうせ何を言ったって耳には入らないだろうし、こういうときは無視が一番だ。

澪ねぇを置いてあたりを散策する。
ふと見上げると雲の切れ間から金色に輝く月の姿が覗いている。
今夜は実に美しい満月だ。
……ん?満月の中に小さな黒い影のようなものが見える。
そしてそれはだんだんと大きくなり――
「トリックオアトリートォーーーッ!!」
猛スピードで俺と正面衝突しましたとさ。
思いっきり吹き飛ばされ、宙を舞う俺。
「ごほっ、ごほっ!!る、瑠衣、お前なー!!何度会うたびに箒で突っ込んでくるなと言っていると思っているんだ!!」
「いいじゃんいいじゃん!それより早くお菓子くれよ!」
先ほどのダメージでろくに動けない俺の前で仁王立ちしているやたら偉そうな態度の少女。
黒い三角帽子をかぶり、黒のローブに身を包んだ全身黒尽くめの彼女の手には箒が握られている。
彼女の名前は『有城 瑠衣』。世界を旅して回っている「魔女」の妹だ。
「ったく……お前に兄を敬うって心はないのか」
「細かいことは気にすんなって!そんなことよりも例の話考えてくれたか?」
「例の話ねぇ……俺がお前の使い魔になるとかっていうトンデモ話か?」
何でも魔女達は魔力を行使することはできても基本的には非力なため、自分の身を守る存在が必要不可欠らしい。
そのためある程度の見返りを与えることによって強力な力を持つ者と主従契約を結ぶのだ。
他にも身の回りの世話を行ういわば召し使いとして使役する奴らもいるようだが。
「そうそう!もちろん受けてくれるよな?」
「断る。俺の左手にガンダールヴのルーン文字は刻まれてない」
「ちぇっ!なってくれたら奴隷として一生あたしが飼ってやるのに」
やっぱりかよ!実の兄を奴隷扱いとはなんと酷い妹だ。
「ウヒヒ、もしも兄貴が使い魔になったら……おい!このバカ犬!早く私の足を舐めろって言ってるんだ。ひゃうっ……そ、そうだ。アン……足の指先までちゃんとしゃぶるんだぞ……」
お〜い、大丈夫か〜?顔を真っ赤にしてにやけている瑠衣の目の前で手を振るが反応はない。
こんな頭が残念な妹だが魔女の世界では百年に一人の天才魔女と他の魔女達から尊敬と羨望の眼差しを向けられる存在らしい。
尚且つ全ての魔女達を統べる魔女の王『魔妃(ウィッチクイーン)』の最大有力候補者というのだから驚きだ。
親父が先代の魔妃と火遊びした結果できた子供なので納得といえば納得だけど。
まぁ、俺に言わせりゃただの乱暴でがさつな妹だ。
ちなみに魔妃さんの方は一夜限りの関係とは思っていなかったようで今も親父は魔女達から逃げ回る逃亡生活をしているらしい。
ああ、実にどうしようもない親父である。
37キモ姉&キモウト的HAPPY☆HALLOWEEN:2008/11/01(土) 04:19:17 ID:H4gTwnTf
「クヒヒ、いいのかー?お菓子くれなきゃ兄貴の体の一部をもらっちまうぞー。そしたらそれを使って……ゲヘヘ……」
物思いに耽っていると絡みつくようなねっとりとした甘い声が聞こえた。なんだか酷い寒気を感じる。
瑠衣はどうやら俺の髪の毛、爪の切れ端などを使って惚れ薬を作る妄想をしているらしい。
その顔は締まりなく緩みきっている。涎まで垂らしているし。
はたから見ればただの危険人物である。
駄目だこいつ……早く何とかしないと……
「いっただっきまーす♪」
ルパンダイブのごとく俺の股間目掛けて勢いよく飛び込んでくる瑠衣。
これはやばい。
このままでは『ピ――』を採取するだけに飽き足らず、『ピ――』を『ピ――』して『ピ――』なことになってしまうかもしれん。
そんな『ピ――』な事態を避けるために俺は彼女にあげる予定だったお菓子を取り出すと、大きく振りかぶる。
そして足を高く振り上げ、勢いをつけると渾身の力を込めてそれを思い切り投げた。
「兄貴の『ピ――』ゲットだぜぇ?!」
瑠衣がご所望していたたお菓子は彼女の顔面にナーイスストライク。バッター、いや、レイパーアウトォ!!
ばたりと地面にうつ伏せで倒れる瑠衣。
「う〜ん……グフフ、これでもう兄貴の身も心もあたしのもんだぜ……ちゅー」
気絶してもなお妄想は続いているようだ。
だが残念なことにお前がキスしている相手はジ・アースである。
まぁ、どうせ数分もすれば何事もなかったかのようにじゃれ付いてくるからこのまま放置しても平気だろう。
せめて夢の中では幸せな一時を送るがいい、妹よ。

満月か。空一面を覆っていた雲も自然と少なくなり、煌煌と光を照らすその姿を見てある少女のことが頭に浮かぶ。
彼女はいつも一人で行動をする。しかし、唯一の例外として彼女の傍に立つことが許されていたのが俺だった。
こうやって月が出た夜は二人ではしゃぎ回り、共に遊んだ。
その時彼女が見せた笑顔はまるで夜月に照らされた一輪の花のようで心がときめいた。
「とりっくおあとりーとっ!!蓮、お菓子ちょーだいっ!」
ボケッと過去の美しい思い出に浸っていると突如脇の茂みから黒い影が飛び出し、俺に思い切り激突した。
なんか今日はよく吹っ飛ばされる日だな。またも吹き飛ばされ、地面に仰向けに倒れる俺。
そこに凛々しい顔立ちの少女が満面の笑みで俺に飛びつく。
ショートカットの髪からは犬のような耳が生え、嬉しそうに振る形のいいお尻からはふさふさとした尻尾がものすごい勢いで振られている。
「わふー、蓮はやっぱりいい匂いがするよぉ♪ペロペロ……」
「……狼姫、会うたびに人の全身の匂いを嗅いだり、舐めまわしたりするのはやめてくれないか?はっきり言ってキモい」
「やだー♪」
キラキラと澄んだ瞳を輝かせながら言う彼女の姿は月夜によく映えて見えた。
「勘弁してくれ……」
俺は頭を抱えるが結局は狼花のなすがままにされる。
彼女『有城 狼姫(ロキ)』もまた俺の妹の一人。彼女は誇り高き狼の血と力を受け継ぐ「人狼」一族の出身だ。
狼姫は人狼達の群れの中で頂点に君臨するリーダー『大賢狼ワッチ』。
その大いなる狼と親父との間に生まれた子であるため、その名と出生に恥じない強大な力を生まれ持っている。
太古の昔から宵の世界の覇権を巡って争ってきた吸血鬼達からは『狂える暴風の爪牙』と呼ばれ、若き人狼の凶戦士として恐れられているという。
ちなみに親父はまた子供を作るだけ作っておいてさっさとトンヅラこいたらしい。
なので今も世界中に散らばる人狼たちのネットワークには俺の親父がブラックリスト登録されているという。
これでは溜息も出るというものだ。全くどうしようもない親父である。
38キモ姉&キモウト的HAPPY☆HALLOWEEN:2008/11/01(土) 04:20:12 ID:H4gTwnTf
話を戻そう。
前述したような誇り高き人狼としての勇ましい彼女の話を語ってきたが、その姿を見られたのは実は最初の内だけだ。
今ではそのプライドの欠片も見られないほどに甘えたな女の子と化している。
むしろご主人様に甘える子犬と言った方が正しいな。
「いいんだもーん。狼は自分より格上だと認めた者に対しては忠実になるんだから」
そう言って俺の胸に顔を埋めるのをやめようとしない狼姫。
しかし、彼女の顔が次第に険しくなり、体をプルプルと震わせる。
「ん?どうした狼姫?」
「……蓮の馬鹿ー!!他の雌の匂いなんか付けて!!この浮気者ー!!」
待て。それは誤解だ。そもそもそれ以前にお前は腹違いとはいえ一応俺の妹だろうが。
「蓮と狼姫で子供をたくさん作ってあの吸血鬼どもをみんなでやっつけようって約束したじゃない!!」
してない。してないぞそんな約束は。
つうかさらっと物騒なことを言うなよ。
「がるるるる……あ、そうだ!!わたしまだお菓子もらってなかったよね?じゃあ代わりに蓮の子種を……えへへ……」
急に顔を真っ赤に染めてとち狂ったことを言い出したかと思うと服を脱ごうとする狼姫。
これはいかん。このままでは俺が狼に、いや、それを通り越してパパになってしまうかもしれない。
幸せ家族計画はよく考えてから行うべきだろう。いや、狼姫相手にはしないけど。
興奮状態の狼姫は何をしでかすか分からない。
何とかしてこの頭の中がピンクのお花畑の妹を止めねば。
「とにかく落ち着け。さて、ここに取り出したるは狼姫が食べたがっていた骨形キャンディー」
俺は彼女を落ち着かせるために骨の形に固めた特製キャンディーを取り出す。
するとさっきまでうるさく喚いていた狼姫の耳と尻尾が急にぴんと立ち、動きが止まる。
……食いついたな。
「わふっ?!そ、そんなんじゃ誤魔化されないんだからね!」
必死にこちらを見ないようにしているがちらちらとこっちを見ているのはバレバレだ。
「ほれ」
キャンディーを右に出す。
「わふ?!」
つられて狼姫の首が動く。
「ほれ」
今度は左に出す。
「わふっ?!」
先ほどと同様に首を動かす狼姫。
「そーれ!」
思い切り遠くへとキャンディーを投げる。
キャンディーはあっという間に点となり、彼方へと消え去った。
「わおーーーん!!待てーーーっ!!」
勢いよくキャンディーの消え去った方角へと走り出す狼姫。
これでしばらくは戻ってこないだろう。
ふっ、ちょろいぜ。
こうして俺の貞操は守られた。完!!
39キモ姉&キモウト的HAPPY☆HALLOWEEN:2008/11/01(土) 04:21:37 ID:H4gTwnTf
「Trick or treat.お菓子をくれなければその血をいただきますわよ?」
やっぱりこんな終わり方はこの御方を前に許されていなかったか。
頭上からくすくすと楽しげな声が聞こえる。
「やあ、緋華姉さん。たまには普通に地面を歩いてこようとは思わないんですか?」
「私にはこのほうが性に合っていますので」
声が聞こえたほうを見上げると宙に浮かぶ人影。
真っ赤なドレスに身を包んだ彼女は背後で輝く月に照らされて幻想的な美しさを醸し出していた。
しかし普通の人間が宙に浮いていられるはずもない。
そして妖しく紅く光る瞳と薄く笑う口から覗く鋭い歯。
そう、彼女もまた人に非ざる存在なのだ。
彼女『有城 緋華』の俺の姉でもあり、そして恐ろしい「吸血鬼」の姫君でもある。
全ての吸血鬼達の祖先にあたる存在『始祖ヴァルケイド』。
始まりの吸血鬼である彼女は最早伝説として語り継がれているほどだ。
その彼女と親父との間に生まれた緋華姉さんは並の吸血鬼達とは次元の違う強大な力を秘めている。
気の遠くなるような遥か過去の時代から戦い続けてきた人狼の一族達からはその圧倒的な力ゆえに『血飛沫に舞う吸血姫』と恐れられている。
だが俺にはいつもニヤニヤと笑っている記憶しかないのでそんな恐ろしい人物とは認識しがたいものがある。
しかし、親父の性欲の限りなさには怒りを通り越して呆れを感じる。
数百年ぶりに目覚めたヴァルケイドさんの居城に忍び込み、驚く彼女を口八丁で言い包めてそのまま手篭めにしてしまったというのだから驚きだ。
それで子供ができた途端にやっぱりドロンするし。
おかげでショックを受けたヴァルケイドさんは姉さんを産むとすぐに再び永い眠りについてしまった。
眠りにつく際に彼女は「あの人がキスしてくれるまで私の眠りが覚めることはないでしょう。くすん……」と言い残したらしい。
そのせいで今も直吸血鬼の一族は全力で親父を捜索中である。ご愁傷様です。
我が親ながら本当にどうしようもない親父であることは否定できないだろう。
俺が父親って一体何だろうと悩んでいると、音もなく緋華姉さんはふわりと地上に降り立ち、俺を抱きしめる。
「ちょっ……姉さん」
「ふふ、こうしてるとやっぱり落ち着くわね……」
慌てふためく俺を緋華姉さんは決して離そうとはしない。
ただただぎゅっと俺を抱きしめる姉さん。
いつもの気高く俺をからかってばかりの年上の姉と違って、その姿は見た目相応のか弱い少女に見えた。
彼女は強大な力を持つヴァルケイドの直系であるが故に彼女がいない今、代わりに吸血鬼たちの統率を行っている。
偉大なる母の代わりとして一族の期待に応えなければいけない。
姉さんが背負うその荷の重さは図りしれない。
彼女がわざわざ激務の間を縫って俺に会いに来るのも一種のストレス発散方法なのだろう。
なら俺はその重荷を少しでも軽くしてやるべきだ。
しばらくは緋華姉さんの好きにさせてあげよう。
金色に輝く姉さんの長い髪から漂う甘い匂いが心地よい。
たまにはこんなのもいいかな……
しかし、
「首筋を舐めまわすのはやめてもらえませんかねっ、姉さん?!く、くすぐったい……あひゃっはははは!!」
「う〜ん、やっぱり蓮の味は美味しいわね。ペロペロ……」
そう、最初緋華姉さんは吸血鬼らしく血を飲ませろと要求して来た。
しかし、流石に血を飲むのは勘弁してくれと頼んだところ、出た妥協案が『首を舐め回したり、血が出ない程度に甘噛みする』というものだった。
だがこれはくすぐりに絶望的に弱い俺にとっては拷問に等しい。
下手すると姉さんが飽きるまでずっと笑いっぱなしの可能性すらある。
ああ、早く終わってくれー!!
40キモ姉&キモウト的HAPPY☆HALLOWEEN:2008/11/01(土) 04:22:16 ID:H4gTwnTf
ところがこの苦悶の時間は意外と早く過ぎ去った。
緋華姉さんがいきなり俺の首を舐めるのをやめたからだ。
いつもだったら窒息寸前になるまでやるのに。
「あの雌犬……」
姉さんは背筋の凍るような威圧感を出しながら何かを呟いた。
「ひぃひぃ……え?」
「蓮、ちゃんと答えなさい。あなたはもうあの薄汚い雌犬に汚されてしまったの?」
さっきまで微笑んでいた可憐な笑みはどこにもない。
もともと切れ長な目がさらにつりあがり、まるで悪鬼羅刹のようだ。
「よ、汚されたって何をさ?別にそんなことは……」
「嘘おっしゃい!!」
緋華姉さんがヒステリー気味に叫ぶ。耳元で叫ばれたものだから耳がキーンとなる。
「だったら何でこんなところからあの雌犬の味がするのよ?!しかも体中からあの獣の匂いがする!!私の、私だけの蓮があんな雌犬に汚されるなんて……!!」
姉さんは一方的に自分の勝手な妄想を語り始める。
一度ヒステリーになった緋華姉さんは散々喚いた後無茶なことを言い出すから面倒なんだよなぁ……
「うん、そうよね。私はちゃんと分かっているわ。どうせあの雌犬にお菓子の代わりにとか言って襲われたんでしょ?大丈夫!姉さん犬の屠殺は得意だから安心して。
代わりにと言ってはなんだけどお菓子の代わりにれ、蓮が欲しいなぁ〜、なんて……キャッ!!私ったらはしたない!!」
惜しい。その一歩手前で何とか貞操の危機を逃れたが。
ってか姉さんも怖いこと言わないでくれ。狼姫と言ってることが大分かぶってるぞ。
ここはこっそり逃げるに限る。
完全に妄想にトリップしている姉さんの手にお菓子を握らせ、俺はさっさと逃げ出した。
「さぁ、私が全部あの忌々しい獣の汚れを落としてあげるからね!……って蓮?蓮ー?」

「ハァハァ……何で俺の姉妹はみんな変態ばかりなんだよ!」
走りながら俺は誰に言うでもなく悪態をつく。その内容はもちろんあの4人についてだ。
その道ではすごい人物達ばかりなのに何で揃いも揃って凡人で異母兄弟の俺に欲情するんだ。
普通の女の子、できれば隣の家に住んでて清楚で大人しい幼馴染だったらよかったのに。
彼女達が散々妨害してくれるおかげで俺は今まで一度も彼女ができたことがない。
下手すると俺と仲良くなった子が殺されかねないからな。
姉妹間でも血で血を争うようなバトルが行われているらしい。
まぁ、まだ結束していないだけマシか。
4対1なら絶体絶命だが1対1なら何とか対処できる。
そう思っていたのに――
41キモ姉&キモウト的HAPPY☆HALLOWEEN:2008/11/01(土) 04:23:22 ID:H4gTwnTf
「待ってよー蓮くん!!」
「待ちやがれ兄貴!!」
「蓮待てーーー!!」
「お待ちなさい、蓮!!」
後ろから4人の叫び声が同時に響く。
お前らいつからそんなに仲良くなったんだ?
「ひぃっ?!」
これはやばい。逃げ切らなければ絶対に大変なことになる。
主に人間の尊厳とかいろいろ大事なものが失われそう。
俺も一応男だ。身体能力は彼女達よりも優れているはず。
だからこのまま走り続ければ何とか逃げ切れるはず……!
だが俺の認識は甘かった。
そう、キモ姉&キモウトは兄or弟の前ではその能力は倍以上、いや、無限大になるのだ!!
「「「「つーかまえたっ♪」」」」
後ろから大きな衝撃を受けて前のめりに倒れる俺。
慌てて立ちあがろうとするが体の自由が利かず、起き上がることができない。
それは何故か?4人の姉妹それぞれが俺の体にがっちりと絡み付き、決して離そうとしないからだよ。
普段は仲悪いのにこういうときだけ連係プレイするな。
全員が頬を赤く染め、その目は欲情に濡れて艶めいた光を放っている。
きっと今俺は猛獣達がひしめく鉄の檻に放り込まれた哀れな小鹿のような顔をしているんだろうね。
だって俺に迫り来る4人の顔は全て飢えた獣の顔をしていたのだから。
「み、皆待ってくれよ。ちゃんとお菓子はあげたじゃないか。それなのに……」
今更通用するとは思えないが一応言い訳しておく。ほら、『溺れる者は藁をも掴む』って言うだろ?
だが無情にも彼女達は俺に言い放つ。
「はぁ〜。全然わかってないなぁ、蓮くんは」
澪ねぇは呆れたように溜息をつき、
「あたし達にとって何よりも甘くて美味しいお菓子。それは兄貴なんだよ?」
瑠衣は頬を上気させながら甘い声で囁き、
「だから狼姫達はちゃんと言ったよね?」
狼姫は無邪気に俺の瞳をじっと覗きこんで微笑み、
「さぁ、どちらか選びなさい、蓮」
緋華姉さんは冷たい声で選択を迫った。
どうやら完全に死亡フラグが立ってしまったらしい。
はっきり言ってこの状況から抜け出せる気が全くしない。
つまりキモ姉&キモウトはそれほどの力を持っているということなのだろう。
そう思わなきゃやってられない。
そして最後に一つ、親父に言いたいことがある。
親父殿、俺の姉妹はまことに残念ながら皆兄弟に欲情するようなド変態に育ってしまいました。
その責任はあなたにあると思うので今度会った時はその面が変形するまで殴らせてください。

「「「「Trick or treat♪(素直にヤられろ。さもなくば無理やりヤるぞ)」」」」

「どっちもダメじゃん!!い、いやああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」
楽しいはずのハロウィンの夜。いつの間にか雲は消え去り、空一面に輝く満月。
その美しい夜空には相応しくないある少年の断末魔の叫びが響き渡った……
42名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 04:27:41 ID:H4gTwnTf
終了です
ちなみに澪と蓮は実の姉弟で、兄弟の順は
長女:澪
次女:緋華
長男:蓮
三女:瑠衣
四女:狼姫
です
43名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 06:21:24 ID:aDI8pGw0
>>42
豪華絢爛なキモ姉妹
GJ!ハロウィンネタいいのう。
44名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 06:49:12 ID:iTJ5jC4T
あのキモ姉妹たちが最後とは思えない
やがて第2,第3の・・・

そのとき私たちはどうすればよいのだろう・・・

ただ全裸で正座してお待ち申し上げるのみ
GJ !!
45名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 09:45:53 ID:GNszRfrn
親父の更なる飛躍によるさらなるキモ姉とキモウトが来るに違いない

GJ!
46名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 10:29:18 ID:DlzhJ5Jp
親父殿…あんた一体なんなんだぁぁぁl!
47名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 10:59:13 ID:NGHklKQx
GJ !!
幼馴染も異母姉妹というオチになるような気がするw
48名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 11:20:45 ID:TTzUrrsy
GJ!!
全力で続編希望
49名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 17:11:14 ID:u1LXnIX/
大賢狼ワッチw
50名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 18:30:55 ID:TKG0qWuc
>>42
GJ!
親父偉大杉www
ワロタwww
51名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 18:34:11 ID:vXV9xhnP
親父殿も化け物だが、これだけの人外浮気を重ねられても動じぬご母堂ってのも相当な物かも
52名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 21:17:03 ID:/JKW3uOr
親父編は修羅場スレかハーレムスレ行きだなw
53名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 21:19:41 ID:BgvwiiBC
>>52
修羅場スレはやめといたほうがいい
荒れてる
54名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 21:42:19 ID:DC00LqIK
修羅場スレの話題はやめたほうがいい
55名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 21:49:16 ID:nvdZ9rgC
そもそも修羅場スレってなに?
56名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 21:50:40 ID:aDI8pGw0
56ならイケメンキモ兄弟が誕生して俺を取り合う
57名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 21:52:08 ID:lpytuCrG
うほっ
58名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 21:54:23 ID:+aw9dYq3
>>56
前スレ>>998おめでとう
59名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 21:58:32 ID:w6y/hV0l
>>56は俺っ娘という、かなりレアなキモ姉候補?
60名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 22:48:30 ID:i9CdBCpG
キモ姉&キモウトスレでありながらヴァルケイドさんの「くすん……」に萌えてしまった

反省
61名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 22:51:06 ID:Bg08XC0s
決めた
死ぬ直前には「来世では妹が欲しい……な…」
って言う
62名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 00:10:45 ID:wDxty+G9
キモ姉が死ぬ直前か、それとも弟がキモ姉に殺される直前かが問題だな
63名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 01:50:35 ID:vcG51fr7
キモ兄弟とキモ姉妹、男女混合小ネタ。
長男・長女・次男(主人公)・次女・三男
一応キモ姉妹物ではあるけど、ホモなイケメン兄ショタ弟があるので苦手な人はスルーをお願いします。
NGはタイトルの五きょうだいでお願いします。
64名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 01:52:57 ID:xCMx2op3
俺の妄想力で全員姉妹にしてやる!
65五きょうだい(フォモ有り注意)1/5:2008/11/02(日) 01:53:31 ID:vcG51fr7
差し込む日の光が眩しい…。
まだ眠っていたいよ…。俺は光から顔を背け、目を瞑ったまま枕に顔を埋めた。
―ん?この枕妙に固いな。
ゴツゴツして、まるで逞しい男の二の腕みたいな…。
「はっ!!」
俺は全ての眠気をブチ飛ばして目を開けた。
俺の鼻の先に、毛穴も見えないつるつるの鼻がある。もちろん鏡に映った自分の顔なんかじゃない。
程良くシャープな輪郭の中、美しいパーツ達が整って置かれている。
男の俺が見たって超かっこいい一分の隙もないイケメン。
俺の兄ちゃんの顔である。
「おはよう、ゆうニャン」
イケメンは目覚めた俺に微笑んだ。口元から真っ白な歯の輝きが溢れ落ちる。
「に、兄ちゃん何やってんだよ!?うっわキメェ!何で半裸なのアンタ」
俺は悲鳴を上げて身を起こす。布団を捲れば兄ちゃんの素肌が広がっていた。
今まで枕だと思って頭を預けていたのは兄ちゃんの腕。げぇ、腕枕だ…。
「夜明けからゆうニャンを人肌で温めてたんだ。気持ち良かったろう?」
「キモイ!う、パジャマにまで兄ちゃんの匂いが染み込んでる…。香水くせーよ」
纏った衣服を嗅いでいると、兄ちゃんが「おやぁ?」とわざとらしく驚いた。
66五きょうだい(フォモ有り注意)2/5:2008/11/02(日) 01:55:34 ID:vcG51fr7
「ゆうニャンのおちんちんが起っきしてるよ。ゆうニャン、俺の肉体に反応しちゃったんだね」
俺の股間を指してハッハッハと笑う兄ちゃん。
うるせえ!朝勃ちだよ!あんたの体は一ミリも関係ねえよ。
ぺっぺっ、と俺がベッドから降りると同時に部屋のドアが開いた。
「ゆうクンおはよ……ちょっと!?なんで兄さんが居るのよ!」
部屋に入るなり眉を跳ね上げて怒鳴ったのは、俺の姉ちゃん。兄ちゃんの一つ下の妹で、この家の長女。
顔の作り自体は兄ちゃんと似ているが、姉ちゃんには兄ちゃんの無駄に濃いお色気が削ぎ落とされている。
代わりに涼やかさと凛々しさが増していて、長く垂らしたポニーテールがキリリと似合う和風美人だ。
兄ちゃんも形相を変えて怒鳴り返す。
「うるせえよメスブタ!女がゆうニャンの部屋に踏み込むんじゃねーよ!死ね!」
実の妹に対してそれはないだろ。俺に対してはあんなに甘いくせに。
兄ちゃんはベッドから飛び降りて俺と姉ちゃんを遮った。―うわっ、兄ちゃん黒いビキニパンツ一丁でやんの。
「貴方が死になさい!クズエロ変質者!」
「女みたいな不浄な生物が近付いたらゆうニャンに陰の気が流れんだろうが!」
67名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 01:57:19 ID:WvKGB771
しえん
68五きょうだい(フォモ有り注意)3/5:2008/11/02(日) 01:57:53 ID:vcG51fr7
「非科学的イカ臭腐れチ○ポ男が何か言っているようだけど、低俗過ぎて私には理解出来ないわ!」
…姉ちゃんも容赦ないな、チ○ポ男って。俺も男なんですけど…。
そんで、なんで姉ちゃんも下着姿で俺の部屋に来てんだ?兄ちゃんと同じで俺に何するつもりだったんだよ。
俺は口喧嘩を繰り広げる二人の脇をそー…っとすり抜ける。
今の内に逃げちゃお…と思った矢先、
「ゆうにい!オッハヨ!」
「うぎゃっ!」
扉からビョンと妹が飛び出て来た。俺は驚いて尻餅をつく。
「あーん、ゆうにいビックリしちゃった?ごめんね」
妹は俺の前に屈み込んでテヘッと笑った。
可愛くねーよ。いや、顔は可愛いけど、兄に向かってブリッコすんな。
このちびは俺の妹でこの家の次女。
美形だけど、兄ちゃんや姉ちゃんとはやや系統が違い小動物っぽい可愛さがある。
くりくりした目と頭に二つお団子を作った髪型がリスやクマのぬいぐるみみたいで、愛嬌のある美少女だ。
「…で、何でお前まで下着なわけ?―ぎゃっ、抱きつくな!ウザいっつの!」
スポブラ姿の妹とギャアギャア床でもみ合っていたら、頭上から兄・姉の罵声が落ちてきた。
「げっまたメスブタが増えた!お前らそろって出荷されろ!」
69五きょうだい(フォモ有り注意)4/5:2008/11/02(日) 01:59:17 ID:vcG51fr7
「子供は引っ込んでいなさい!」
二人は叫ぶと同時に俺に両手を伸ばし、妹と俺を引き離す。
「やめてよぉ!年長男女サイアク〜!」
妹は負けじと俺のパジャマを両手で掴む。
合計六本の腕に揉みくちゃにされ俺はフンギャアと悲鳴を上げた。
ガシガシ、グニグニ
苦しいっ!痛ぇ!バーゲンの目玉商品になった気分だ。
俺は制止を求めジタバタもがくが、皆俺を取り合う事しか考えてないのか俺の苦悶の様子に気付いてくれない。
ゲホッ…殺される!嫌…っ!嫌ーっ!!
「やめなよ」
幼い声が騒ぎを切り裂いた。
全員がハッと動きを止める。
声の主は、いつの間にそこに立っていたのか、入り口で団子になっていた俺達を廊下からじっと見つめている。
「ゆうお兄さんが嫌がっているのに、寄ってたかって何をしているの?」
超正論。地獄に仏。掃き溜めに鶴。
俺は目をうるませた。
「お、弟ぉ…」
俺が情けない声で呼ぶと、彼は他のきょうだい達に向けていた氷の瞳をふっと和らげて俺を見る。
「もう大丈夫だよ、怖かったでしょ」
この小さな救世主は俺の弟。この家の三男。
まるでドールに命が宿ったような愛苦しい顔立ちは、正直血の繋がり以前に人間かどうかも怪しく思ってしまう。
70五きょうだい(フォモ有り注意)5/6:2008/11/02(日) 02:00:22 ID:vcG51fr7
俺には今、お前が天使に見えるよ…。
いつも俺のピンチに現れてきょうだいの魔の手から守ってくれる、一番小さいけど一番しっかり者の自慢の弟だ。
「な、何よ。一人だけいいカッコしようとして」
妹が口をとがらせた。
俺を囲む兄姉妹の三人は、暴れたせいで髪はほつれてるわ下着はズレて諸々ポロリしてるわ、ヒデェ有り様だ。
「第一あんたが着てる服、あたしのワンピースじゃない!汚い!脱いで返して!」
顔を真っ赤にする妹を弟は虫を見るような目で眺め、鼻を鳴らした。
「ブス」
ボソリと呟く。
「なっ……なっ…!」
言葉に詰まってヒクヒクと震える妹。これは可哀想だが、言い返せないよな…。
肌も弟のがプルプルで白いし、睫も長いし、妹もそりゃ可愛いんだけど、弟の造型美は神掛かってるから…。
「ブスに着られる服が可哀想だったから僕が助けてあげたんだよ。僕が着るほうがずっと似合ってる」
弟は自慢気にその場でターンして見せた。ヒラリとスカートが広がって憎らしいくらいに様になる。
「ねえ?ゆうお兄ちゃんもそう思うでしょ?」
にっこり微笑まれると、少女とも少年ともつかない妖しい美しさが香り立った。
ほげー、お前も男なんだから俺を誘惑すんな。
71五きょうだい(フォモ有り注意)6/6:2008/11/02(日) 02:02:06 ID:vcG51fr7
「待てゆうニャン!こんな性格の悪い女装ショタに惑わされるな。大人の男の肉体こそが至高なんだよ」
「イカれ肉棒馬鹿は黙りなさい。ゆうクン、根本的に男なんて論外よね。私の胸を見てご覧なさい。触っていいのよ」
「は〜い、賞味期限切れたジジババはあっち行ってね〜!ゆうにいはもっとかわいくて若い子がいいよねぇ」
「黙って、ブス。一番若くて一番ゆうお兄さんを愛してるのは誰なのか…言わなくても分かるよね」
う、う、うひぃ!前後左右、四面楚歌だぁ。
さっきより状態が悪化してんじゃねーか。弟の登場救いになってねーじゃねえか!
じりじりとにじり寄る四人のきょうだいに挟まれ、俺は天に向かって助けを求めた。
神様、何故俺のきょうだいは皆こんななんですか?
男女混合で四人もなんて、そんなサービスいらないですよ!!せめて女だけに減らして…お願い!
叫びに応える者は何もなく、俺は一気にダイブしてきた四つの肉体に押し潰された。

おしまい
72名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 02:02:09 ID:WvKGB771
しえん
73名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 02:03:36 ID:vcG51fr7
以上です。支援くださった方ありがとうございます。
そして分割数の表記が間違っておりすみません。6つでした。
74名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 02:16:57 ID:WvKGB771
GJです
フォモ分以外おいしくいただきました(^q^)
75名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 08:14:17 ID:p8r/b7Ul
これはこれでありだな
GJ
76名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 08:35:57 ID:shlFjTc+
時にはこういうのもありでしょう。大変結構なお点前でした。
77名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 09:59:55 ID:MX77uqAH
すっげぇGJ!
父母の動向が気になるがまさか一家全員キモ化してるのかな?

つだみきよのファミリーコンプレックスって漫画がキモ化するとこんなになるのだろうか。
78名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 10:40:12 ID:h3feFgYg
兄貴キメェwwwwww
79名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 12:31:53 ID:24WTXqTj
>>77
ファミコンのことですね、分かります。
80名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 20:30:54 ID:bgWZmuLC
兄貴がどうしてもマッチョなイメージにwwwww。

こいつだけは受け入れられないwwww。
81名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 02:48:25 ID:mMQbZXy9
>>80
アッー!
82名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 04:39:18 ID:4isBFaCK
>>80
ビリー・ヘリントンさんですね
わかります
83名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 04:48:53 ID:D/p3C0Ne
>>80
誰だそれ?
ブートキャンプの人?

>>73
読んでないけどホモネタならスレ違いだろ801行け
84名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 04:49:46 ID:D/p3C0Ne
間違えた
>>82宛てな
85名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 05:10:31 ID:eJaqwChl
スレ違いかどうかは読んだ人が判断するべきじゃね?
86名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 05:40:43 ID:D/p3C0Ne
確かにそうだと思う。
投下してくれた人もホモネタ有りと注意してくれたし、それはいいと思う。
だが、いくら注意をしていると言っても、スレタイに則していない内容を投下するのはどうかなってこと。

姉や妹の部分がどれだけ秀逸でも、ホモ有りってだけでスルーしてしまう人もいるかもしれない
87名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 06:38:56 ID:HIalt9xN
準にゃんレベルならセーフ
それ以上になるとアウト
とりあえずホモレズネタは寝取られネタと同じくらい荒れやすいから注意
88名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 07:59:48 ID:4O8/YqEw
>>86
スルーすんなら別にいいんじゃないか?
89名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 08:16:53 ID:Ru/i9fz4
>>86
>スレタイに則していない内容

十分則しているぞ。
半数はキモ姉妹なんだからいいじゃないか。
これがNGなら兄弟云々ではなく姉妹以外のライバルが出ただけでNGになっちまう。
90名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 08:19:56 ID:973uDkA7
黙ってたけど、ホモネタはさすがにダメだと思う。
作者が女かどうか知らないけど、気持ち悪い
801板に行ってほしい
91名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 08:32:28 ID:f9aGml2u
まあ気にするなら見るなって話だな


俺も見てないし
92名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 11:38:31 ID:uhVKkEgs
叩くくらいならスルーしろよ
現実だったらNG処理できないけど掲示板なら出来るんだからさ
93名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 11:41:11 ID:SBkOZlxQ
NGもしないで叩く人ってほんとアホと思うわ
94名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 12:12:08 ID:FP1++miG
うーん・・・・確かにNGすりゃいい話なんだけど・・・・
もう終わったことはともかく、キモ姉妹が出てくるからって言ってこれからどんどんホモネタやられたら
さすがにNGがどうとかいう話じゃなくなってくると思うぞ

やっぱ荒れる元にはなるんだからさ
95名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 12:14:01 ID:uhVKkEgs
荒れるのは叩くからじゃない?
96名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 12:21:46 ID:HIalt9xN
ホモレズネタは寝取られと同じレベルだろ
それだけで拒否感を示す人が多いからいくらNGだそうが荒れる
97名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 12:29:01 ID:aVdQNKw0
作者が注意文を書いてる以上
荒れるのは過剰反応するやつが原因
98名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 12:38:08 ID:973uDkA7
過剰反応するやつがいるんだから、できるだけやめておくべきだろ
事実荒れてんだから
99名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 12:39:34 ID:/q6niKGm
荒れるのがわかってて素直に容認なんてできないな
自分がほっといてもここまで荒れるのなら、投下しないでほしい
埋めネタとかならそこまで引きずらないだろうからいいが普通に投下されるとそのネタでずっと荒れかねん

NGにしろとかいってる連中は現状余裕で荒れてる事実を見ろ
ここまで荒れると毎回投下されるたびにずっとこんなだぞ
NGにしろNGにしろというのはあんまり意味ない解決策
100名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 12:44:10 ID:FP1++miG
住人全員がきちんと判断できてるならいいんだが、
スルーできない人もいる以上>>99に激しく同意
101名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 12:51:44 ID:D/p3C0Ne
あー、俺の軽率な一言のせいで荒れてしまったのか。
でも、注意喚起している、ホモレズネタが受け入れられた前例がある、嫌なら見るなの大合唱で
今後ホモレズネタが増えてくる可能性があるじゃないか。
その時は文句すら言えなくなるぞ。

自治厨うぜぇと言われようが、放置していればさらに酷くなるかもしれないしね。
102名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 12:55:12 ID:aVdQNKw0
うだうだ言ってるやつはテンプレ50回繰り返して音読して嫁
そんで半年ROMれ
103名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 12:58:46 ID:pT38d2Wp
ここ数週間ほどエロパロ板この手の流れ多いな
単に新規の書き手が既存作品を読まずにスレタイだけで解釈して作品作って、空気読めと言われてるのか
それともわざと「これがダメとは書いてない」というギリギリの線の作品を落として嫌がらせをしてるのか
正直、判断に困る
104名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 13:06:30 ID:973uDkA7
>>102がリアルでどんなやつかわかった気がする
105名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 13:08:43 ID:5nYE5F/O
■お約束
 ・sage進行でお願いします。
 ・荒らしはスルーしましょう。
  削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、
  削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。
 ・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。
 ・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。

■投稿のお約束
 ・名前欄にはなるべく作品タイトルを。
 ・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。
 ・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため)
 ・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。
 ・作品はできるだけ完結させるようにしてください。

SSスレのお約束
・指摘するなら誤字脱字
・展開に口出しするな
・嫌いな作品なら見るな。飛ばせ
・荒らしはスルー!荒らしに構う人も荒らしです!!
・職人さんが投下しづらい空気はやめよう
・指摘してほしい職人さんは事前に書いてね
・過剰なクレクレは考え物
・スレは作品を評価する場ではありません

>>趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。
>>嫌いな作品なら見るな。飛ばせ
>>趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。
>>嫌いな作品なら見るな。飛ばせ
>>趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。
>>嫌いな作品なら見るな。飛ばせ
テンプレ読むのは常識だよな新参さん?
106名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 13:16:37 ID:FP1++miG
いや・・・・
>>99>>101はそれをわかってうえでいってるんじゃないの?
そりゃ、俺も嫌いな作品ならスルーしろよ、とは思うけどさ
事実荒れてるし、皆が紳士じゃない以上どうしようもないんだから、出来るだけ控えてもらうほうがいいと思うけど
107名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 13:19:21 ID:dcpaVJyK
この荒れてる状況も、職人さんたちが新しいキモ姉&キモウトを投下してくれればなくなるさ、きっと
108名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 13:20:41 ID:5nYE5F/O
作者は何も悪くない
なんて言わないが荒れるのはテンプレすら守れずに騒いでるアホ住民のせい
その住民を叩きこそすれ作者のせいにするのはお門違い
荒れるから投下はって事は
民度が低いので投下は控えてほしい
って事なわけだろ?
109名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 13:27:56 ID:nCVYspu+
>>98
>>過剰反応するやつ
お前のことだなw
110名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 13:33:22 ID:RnPmjxOV
なんでホモが入るのか理解できん

86に半数はキモ姉妹ってあるけど、逆に言えば半分はホモネタなんだろ
それってどうよ
111名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 13:36:34 ID:/q6niKGm
ここで反論してる擁護派ですらスルーできてない現状でなにをいう
荒らされたと思うなら素直にスルーしろ
周りがみんなこんなだから容認できないんだよ

こうやって擁護と排除派が泥沼になるからこういう荒れやすい作品はダメだろ

つーかキモウトスレの避難所にかけ
あそこならそうそう荒れない
112名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 13:39:50 ID:lgD4u3qU
>>108
何でわざわざ煽るようなことを書くのかな

注意文を書いていて、姉妹が出てくるものなら、何を書いても良いと言うのなら
極端な話、姉が弟を監視しているという状況で
姉が話の始めに出てくる→ホモネタ→姉「あの男始末しないと……」
ってのでも、投下して問題無いってことになるだろ
113名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 13:40:04 ID:aVdQNKw0
つまり作品が悪いのではなく
俺含めてスルー出来ない住人全てが悪いわけですね
114名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 13:44:26 ID:nCVYspu+
そういうことだな
115名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 13:46:43 ID:HIalt9xN
というかさ
他の作者の迷惑になること考えないのだろうか
荒れやすいとどう考えてもわかるのに投下されると困るぞ前からいる作者が
こういう新規っぽい作者だと配慮がないやつがおおい
こうやってスレが荒れるとせっかく投下しようとしても投下できないだろ
116名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 13:49:18 ID:aVdQNKw0
とりあえずあれだな
朝起きたらいつの間にかキモウトが居ればいいのにな
117名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 13:49:23 ID:pT38d2Wp
「趣味嗜好に合わない作品」と「スレ違いな作品」の明確な線引きは難しいから
作品内容によってはダウト発言がでるのはしょうがないと思う
ただ喧嘩を売るような言葉遣いは避けたほうがいいし
どっちが悪いとか良いとか煽るような内容も自重したほうがよさそうだ
118名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 13:52:06 ID:FP1++miG
とにかく、済んだことは置いといて、
これからこういう作品を投下したい作者がいた場合どうしたらいいかを決めたほうがいいんじゃないか?
個人的には避難所にしてほしいけど

自治厨みたいでスマソ
119名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 14:04:10 ID:pT38d2Wp
テンプレに

新規に投稿するときは、まとめwiki掲載作品を参考にして傾向を判断するといいでしょう
反発されそうかどうか不安ならまずは避難所へ

と書いてURL張っとくというのを考えたが、すでにこの作品自体が wiki に収録されちゃってるから意味ないか
120名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 14:08:42 ID:0wi6gGHH
このまま粘着荒らしが沸けば
嫉妬スレ化まっしぐらだなpgr
121名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 14:10:56 ID:973uDkA7
編集してくれる人には悪いけど、どうにかならんかな?
前例を認めてるっていうのは、なんか嫌な予感するし
122名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 14:46:51 ID:RinU0VvY
つーか普通にスレ違いだろ
123名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 14:47:06 ID:gTAhXWzM
軽率ですまんかった。ネタのつもりだった。
124名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 14:52:55 ID:BfrSxn/B
前にもあったよな。こういうのは。

少し住民の方が過剰反応のしすぎと感じるね。あくまで一つのネタなのに。
125名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 14:54:23 ID:RnPmjxOV
腐なのかなんなのか知らんがホモネタが市民権得たと思ってるのかね
ニコニコの影響か?
126名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 15:04:36 ID:lgD4u3qU
これはネタなのに、そして嫌なら見るな、この二つは本当に便利な言葉だと思うよ。
127名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 15:14:01 ID:aVdQNKw0
どう読んでもネt…おっと失礼
128名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 15:16:45 ID:uhVKkEgs
>>125
ニコニコ見てるような連中がここに来るわけないだろ
129名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 15:20:10 ID:hVqt6Hdd
     \    ィ' /   , -─- 、}/     `ヽ|    丶       \   ヽ.
      /`7¨´ |/    ,レ'⌒^``′      __j  、   \         ヽ   }
    , '  / ,  /    l{       , '"´ ̄  }i  \     丶、       ',  /今日からナナリースレに変わります
.   /  /  /  ′/  :|′ __        __/ム  ヽ丶      ヽ     } {
   {   { / /  ′   レ'´   `        '}   { | \  }       ',     / ‘ー 、
   ,ゝ,   /   {    {  . --、        _,ムL..__ `V  }      }  / 丶.   }
  {/   {  { .     、 {   `       ' yキ=‐ァ′/     / / / 、  `い/
  /     .   、 、     `ヽ   _..二、        ヽ_/イ〃   / /  {{ }i  ノ)′
. {     丶 ヽ 丶 、  } }y'"´          `7 ///   / 、 }  ,ハVム∠_,
  ぃ.       >─\_)'} / ,ハ     {  _  {,〃/ / {  } ,小V/⌒゙ー=ニ´
  ヽ丶  /    / //∨ ,ハ        V_ム  l{/ { { ハ ノ厶jム(
   } } /     / '´   { /  ヽ .._   / ,、 丶ゝン、ムハAノ'´   `丶お兄様? テロをするとフレイヤでイチコロですからね
    ノ {   /{  {{     >─-、 ,二}/ 丶.`く>'´`V /         ',
.  /   八   い  ぃハ/    `マ  {/^ー‐- 丶} `V /    _    }
  {  { ハ /乂 _ノ' /         } 〈r─一    | //   , '´     |
  丶__彡'^ヽ{  ´   ,'         ∨ /} >、     V ハ//        ∧
                 {       |  |  {‘ー}      / { /′           '、
             /|   ヘ、 {丶{ ハ 个   /  V           }
130名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 15:28:27 ID:/q6niKGm
そもそもキモウトスレでのネタはヘンゼルとグレーテルみたいなものであってホモネタではない
ネタというならスレにあったネタを出せということ
131名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 15:32:17 ID:SBkOZlxQ
>>130
いい加減しつこいだよあほんだら
132名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 15:46:15 ID:HIalt9xN
キモウトスレでやるネタならキモウトキモ姉のネタにしろ
ホモネタはこのスレ向きではない
133名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 15:46:51 ID:uhVKkEgs
いい加減に書き込みすんの止めろ
134名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 16:05:47 ID:qLh+jpxg
以下NGワード
ホモ、ネタ
135名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 16:06:27 ID:jC2CsgKw
荒れてんねー
136名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 16:11:10 ID:TqYK4EsI
アホな読者しかいないからでしょ。
一度、キモ姉妹に調教された方がいいよ。
137名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 16:19:58 ID:2R/rT2YF
「ホモネタなんて気持ち悪いよねお兄ちゃん?
お兄ちゃんは健康な男の子だもん。
男よりも、女の子に言い寄られる方がいいよね?
でも、お兄ちゃんだってどうでもいいような女の子に迫られても困るよね?
大丈夫だよ。お兄ちゃんに纏わり尽く変な虫は、アタシが残らず排除してあげるから。
ふふ……そんな変な顔しないで、お兄ちゃん。
お兄ちゃんにはアタシがいるよ?
ほら、お兄ちゃんのこと考えるだけで、アタシのここ、こんなに濡れちゃってるんだ。
うん、わかってる。お兄ちゃんもズボンの下、こんなに大きくしちゃってるもんね。
だから、ほら。アタシだけを見て?
ホモネタなんかのことは忘れて、キモウトのことだけを考えてよ……!」
138名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 16:20:40 ID:2R/rT2YF
「ホモネタなんて気持ち悪いよねお兄ちゃん?
お兄ちゃんは健康な男の子だもん。
男よりも、女の子に言い寄られる方がいいよね?
でも、お兄ちゃんだってどうでもいいような女の子に迫られても困るよね?
大丈夫だよ。お兄ちゃんに纏わり尽く変な虫は、アタシが残らず排除してあげるから。
ふふ……そんな変な顔しないで、お兄ちゃん。
お兄ちゃんにはアタシがいるよ?
ほら、お兄ちゃんのこと考えるだけで、アタシのここ、こんなに濡れちゃってるんだ。
うん、わかってる。お兄ちゃんもズボンの下、こんなに大きくしちゃってるもんね。
だから、ほら。アタシだけを見て?
ホモネタなんかのことは忘れて、キモウトのことだけを考えてよ……!」
139名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 16:21:40 ID:2R/rT2YF
すまん、まさかの多重投稿……!
キモ姉の下着盗んでくる。
140名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 16:25:45 ID:E+6Y68TO
民度が低い
141名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 16:42:23 ID:Z58BV50K
こんなくだらねーこと言ってて
だれが得すんだよ
142名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 16:45:52 ID:73rlTd9w
とりあえずホモもNTRもだめだろう、ちょっとぐらい良いみたいな事をいってたら
線引きが余計難しくなってきてこれからの作品で同じような事があった場合に議論が余計長引く事になる
駄目なものは駄目と切って捨てたほうがはっきりしてるから俺はそれでいきたいんだが…
143名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 16:52:13 ID:gTAhXWzM
もうフォモ臭いの書かないよ
144名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 17:20:22 ID:Dp7y7sYw
荒れやすい作品はダメだから追い出すということになれば
気に入らない作品にはいちゃもんつけて荒らしてもいいということになるな
145名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 17:26:06 ID:HIalt9xN
まずジャンルがボーダーだからだろ
ジャンル的にあってれば別にそこまであれない
荒れたとしても大抵擁護がはいる
146名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 17:37:50 ID:uhVKkEgs
>>142
>俺はそれでいきたいんだが…
どうぞご自由にとしか
147名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 17:49:47 ID:euwKx+zW
ホモネタ書く奴は確信犯でいいんじゃね。
荒らしのために書いてるだけとしか。
148名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 18:03:54 ID:+A0rvPpa
と、ここでネタばらし
実はターゲット以外全員仕掛け人だったのだ!!
これには>>143も苦笑い
>>143「もう二度とフォモ臭いの書かないよ」

これで終わりな
149名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 18:11:23 ID:SBkOZlxQ
それにしても、このキモ姉ノリノリである
150名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 18:11:29 ID:DIjiu3EL
俺は好きだけどな
151名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 19:30:39 ID:B2XdswUe
テンプレに書いてあるよね
嫌いな作品なら見るな。飛ばせ
152名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 20:10:50 ID:4ujuS2+J
お前らここも修羅場スレのような状況にするつもりか
153名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 20:21:30 ID:973uDkA7
つーか、さっきから終わりそうになったらほじくり返そうとしてるやつがいる
154名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 20:22:17 ID:9QuEa9fu
ご自分の事で?
155名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 21:00:02 ID:ar++/rVl
たまには甘過ぎるぐらいに甘い話が読みたい、

虫歯になるスレを見ながら、このスレ的な甘甘なキモ姉、キモウト話は何かないかね?
156名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 21:02:40 ID:biLx+P88
>>152
ほう、修羅場スレでどのような作品が問題に?
157名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 21:02:59 ID:6f3eOtUq
朝からいきなり50以上も伸びてるから期待したのに、新しいSSは一つもなく、あったのは下らない争いだけか。
俺のトキメキを返せよ。
158名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 21:10:05 ID:TqYK4EsI
主人公がキモ姉妹に堕とされた後の作品って
あんま見かけないな。
でもそれは、主人公からしたらキモ姉妹じゃなくなるわけで
スレ違い気味になっちゃうかな
159名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 21:15:01 ID:9ypi771J
おそらく堕とされたら、毎日搾り取られるのかな……
普通の生活を送っているけれど家に帰ると……って感じなのかな。
それもまた良いな。ぜひとも送りたい。
160名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 21:22:06 ID:FP1++miG
堕ちた後、か・・・・読みたいな。
しかしキモ姉妹のことだ。安心するということはない気がするのは俺だけだろうか
161名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 21:46:12 ID:wEGctWy4
甘甘な作品ほど読んだ後の虚無感が半端ない
どうして俺には姉も妹も幼馴染もいないんだろうな…
162名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 21:51:26 ID:jC2CsgKw
世の中不公平だよな
163名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 22:00:19 ID:HIalt9xN
違う
不平等なのが公平だ
164名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 22:35:12 ID:byUQvrIy
馬鹿やろうっ・・・!
リアルに姉妹がいたって・・・
だから俺達は二次元に逃げ込むんだ。
165名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 23:05:00 ID:rpViHqQg
現実なんてみるなよ。
166名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 23:06:18 ID:dcpaVJyK
現実なんて見なくていいの!
弟クンはお姉ちゃんだけ見てればいいの!
167名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 23:17:31 ID:Bt7EnPrE
普段は淡泊な反応しかしないくせに、気を抜けばネットリとした視線を送ってくるようなキモウトが欲しい
168名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 23:21:20 ID:973uDkA7
そういう作品なかったっけ?
169名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 23:37:17 ID:MfoPmCVK
たくさんあった気がする
170名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 23:44:20 ID:XdYpDJmV
171名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 23:48:13 ID:XdYpDJmV
追記:URLクリックじゃなくてコピーしたほうがいいよ
172名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 23:50:01 ID:b40Lm/tS
兄弟を誘惑すると
逃げられるのがキモ姉妹
跪いて服を脱ぎだすのが訓練したキモ姉妹
173名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 23:54:49 ID:HIalt9xN
>>171
それなら最初のh抜けよw
174名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 00:08:19 ID:VOBAvYZn
最近このスレとヤンデレSSのスレしか見てない俺は負け組
175名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 00:12:59 ID:m4EABcHi
なんだか伸びてるんで投下されたのかと思えば…
176名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 00:17:56 ID:BdnG+SR8
そういや最近、白姉さんこないな・・・
177名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 00:33:17 ID:kGdv5Bdp
>>174
なんで修羅場スレに来てくれないの…ずっと待ってたのに…
178名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 00:36:40 ID:R0Zet0by
偕老とか「俺この戦い終わったら(ry」みたいなイヤなフラグだったから心配だな
179名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 01:13:53 ID:PChtNklW
主人公「自分自身を客観的に見れるんです。あなたと違うんです。フフン」
妹「兄さんはそんなことをしなくていいの。内閣総理大臣なんかよりも妹の恋人の方が
  何倍も何倍もお似合いだもん」
主人公「フフン? それで?」
妹「盛るぜぇ〜、超盛るぜぇ」



姉「バカばっか」

↑ロリ姉
180名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 02:04:31 ID:kJ2D+LUy
ロリ姉。この言葉に反応したのは俺だけでいい
181名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 04:32:01 ID:0FdeCMkX
Gハンター・フォルクスを思い出してしまったではないか
182『詰み』1/2:2008/11/04(火) 06:21:42 ID:TkcagGqh
ロリ姉……投下していきますね。

――――――――――――――――――――――
「ただいまー」
一人暮らし中のワンルームマンションに俺は一人寂しく帰宅した。
実家を出て一人で生活するようになってから独り言が増えた。
ただいまなんて言ったりはするが、部屋の中には誰もいない。
……はずなのに。
「お帰り、まー君」
そんな声と共にエプロン姿の小柄な女が俺を迎えた。
しかも、中学生みたいなロリ体型の身体が、
エプロンから少しはみ出て素肌を晒している。
裸エプロンだ。
残念ながら色気はあまりない。
それにしても、誰もいないはずの俺の部屋に何故裸エプロンの女がいるのか――
もしや知らぬ間に次元の狭間とモニターを超えてエロゲから美少女を召喚するスタンド能力に目覚めてしまったとでも言うのか。
……いや、俺はこの女の顔を知っている!
俺より三つも年上だというのに、その倍の数は年下に見える顔を知っている!
「何してるの、姉ちゃん」
「へっへー、また押しかけちゃいました」
「じゃなくて、その格好は何?」
姉は時々俺の部屋にやってくることがある。
合鍵を渡した覚えはないのに何故か上がり込んでこれるのかは気になるが、
まあ飯を作ってくれたり掃除や洗濯をしてくれたりするのはありがたいので、
あまりその辺を追求したことはない。
しかし、裸エプロンでの出迎えというのは始めての経験だ。
「それはねー、まー君に夕飯を作ってたからなんだよね」
「いつもは普通に服着てるだろ」
「だって、まだ作り終えてないのに帰って来ちゃうんだもん」
頬染めて目を逸らす姉。
おいおい、それはつまりあれか。いつも飯作ってるときはその格好ってことか。
何やってるの姉ちゃん。
そんな格好で何やってるの!
「あ、ところで、まー君。ちょっと聞きたいんだけど……」
そんな疑問をよそに、姉は俺のシャツを掴むと、ピタッと身体を寄せてきた。
上目使いで囁く。
「ご飯にする? お風呂にする? それとも、ア・タ・シ?」
あの、オネーサマー?
183『詰み』1/2:2008/11/04(火) 06:23:02 ID:TkcagGqh
「へへっ、何か新婚さんみたいだねー」
姉は笑いながらスリスリと身体を俺に擦り付けてくる。
エプロン越しに胸が密着しているのだが、
そこは幼児体型のロリ姉なので、豊満な肉の感触のようなものはない。
その点で言えば、こうやってくっつかれても変なことを意識せずに済みありがたいのだが――
「ねーねー、どうするの。ご飯? お風呂? やっぱりアタシ?」
漂ってくる甘い匂いと、にへらと楽しそうな姉の笑顔のせいで、不覚にも少し胸がドキドキしてきた。くそ、色気はないのに。
っていうか姉ちゃん、なんかありえない選択肢が混ざっちゃってるから。三つ目に。
「あ、じゃあご飯で……」
「はいはいー、たーんと召し上がれ♪」
飯のリクエストを受けた姉は、何を思ってかエプロンの紐に手をかけ、裸体を隠していた布がハラリと足元へと落ちた。
では、いただきまーす……って、そうじゃないだろ!
「ちょ、ちょっとちょっと姉ちゃん!?」
「ふふ、遠慮しないで食べていいんだよ。まー君」
とろんとした目でこちらを見上げる姉が、俺の手を取って自分の身体へと誘おうとする。
「やっぱ風呂! やっぱ風呂で!」
「んー、お風呂にするの?」
慌てて再リクエストすると、姉は俺の手をパッと離した。
ふー、これで一安心……と思ったのも束の間。
「じゃ、一緒に入ろっか」
今度はシャツに手をかけ、上からボタンを外していく。
「それでねー、お風呂に入りながら、アタシにも入って?」
そんなことを言いながら肌蹴た俺の胸をレローッと舐めてきたりなんかするもんだから、
俺の下半身がスタンドしてきた。
やばいよ姉ちゃん。それやばいって。
「待って、無し! 今の無し! 風呂は無し!」
「そうなの? もーしょがないなー」
必死で背中をタップした甲斐があり、姉の舌が止まる。
「もう! じゃあやっぱりアタシがいいんだね? まー君のえっち」
次の瞬間、飛び掛ってきた姉に押し倒される俺。
なんてこった。これじゃ選択肢の意味がない。
「ほら、アタシの中に入りながらアタシを食べちゃってよ! ほら、ほらほらほらぁ」
頬だけでなく身体中を上気させながら、一糸纏わぬ姿の姉が俺に跨ってくる。
垂直に近い平面の胸で、小さく可愛らしい乳首がプクッと膨らんでいる。
毛の薄い……と言うより殆どない股間からは、ヌメヌメとした感触が伝わってくる。

やめてよ姉ちゃん! そんなにされたら俺、(年上だけど)ロリに目覚めちゃうよ!
やめてよ、やめ……

アッ――――――!
184名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 06:24:19 ID:TkcagGqh
あ、名前欄の修正忘れてた。上で終わりです。
185名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 07:18:39 ID:Xj4pVYNA
朝からGJ!
186名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 07:21:47 ID:YNrC8Zf+
スレ違いだろww
187名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 08:37:31 ID:p4u6A8bE
>>186
全然キモくないよ、可愛いよと言いたいんですね、わかります。
188名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 09:41:03 ID:wYAilp1Q
ここはお前らの偏見晒すしゃべり場じゃねえぞ
189名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 10:26:09 ID:H7qVz6jK
しゃぶれよ
190名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 12:23:56 ID:f2wTTCl0
>>184
GJー
姉は言うまでもなく弟の思考回路もなかなかに只者ではないなw
191名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 13:19:36 ID:EyjZCeCW
姉は依存症
妹はツンデレ

姉はS
妹はドM

姉はヤンデレ
妹は完全妹属性


キモ姉妹小説を書くにはどのタイプがいいんでしょうかね
192名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 13:41:48 ID:BdnG+SR8
姉はキモ姉
妹はキモウト

これがいい
193名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 15:01:24 ID:u/17jYhA
>>192が全て。
君は良くわかっている。
194名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 16:54:50 ID:J75ZAzT0
清少納言みたいだな
195名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 18:06:52 ID:s/rqRSmr
姉はキモウト属性、妹はキモ姉属性がいい

なにを言ってるのかよくわからんが
196名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 18:21:22 ID:7I6M3YuB
 キモ姉「キモウトと、ボディーチェーンジ!!」
 でさ、兄と妹の身体が一日だけ入れ代わって、その時に妹が兄をレイプするっての思い付いた。


 妹In兄ボディ「ほらっ、気持ちいいでしょお兄ちゃん! お兄ちゃんのオチンチンで、私の身体が気持ちよくならないはず無いもんね♪」

 ずっぢゅ! ずっぢゅ! ずっぢゅ! ずっぢゅ! ずっぢゅ!

 兄In妹ボディ「そんなことな……ふんん!? ヤメ、ろ……あっ、あうっ! ナカにぃ、出そうとするなぁぁぁぁぁっ!!」




 みたいなのを、誰か……
197名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 20:06:52 ID:63F3/2ci
ぶつかって入れ替わるなんてのもベタだがいいね
198名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 21:04:34 ID:JAsLaj+A
>>196
それをきちんと書く作業に移るんだ
199名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 21:27:14 ID:VOBAvYZn
キモウトを少し篭った声で言うとキモヲタに聞こえる不思議
200名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 21:35:01 ID:s/rqRSmr
>>199
キモウトという単語をはじめて知ったとき
「グヘヘ」とか「ぐひっ」とか笑うキモい妹なのかと思ったのは秘密
201名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 22:33:19 ID:376iJuIY
>>200
お兄ちゃんのあんな物にこんな事をするときは、そんなふうになるかもしれない。
202名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 22:53:54 ID:3sSacoPP
>>201私が思う最高のシチュです。ぞくぞくします。
203名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 23:33:21 ID:s/rqRSmr
外では清楚なお嬢様として有名で人望も厚い妹、
家では兄のパンツをかぶったり風呂を覗いたりしてグヒヒと笑う変態キモウト
204名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 23:37:22 ID:KNrqg4Jb
早くSSにするんだ!!!
205名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 00:42:29 ID:G+HQkNME
おとうと氏の今日のパンティーは純白のボクサータイプでありますかwwフヒヒwww
オウフ!痛いですぞ!フヒッフヒヒッ
お返しでありますwデュクシ!デュクシ!www
206名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 01:07:11 ID:XpfPN+W0
普通にキメェwww
207名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 01:20:54 ID:DVQXxEbP
>>206
CV:釘宮理恵

とつけるととたんにかわいく!不思議!
208名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 01:56:31 ID:zY5e9cO8
CV:小清水亜美

と付けただけであっという間に黒属性が
209名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 01:59:44 ID:VObVCD1e
>>207-208
なんかガキ臭いレスだな
本当に21歳以上かお前ら?
210名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 03:52:40 ID:W52eLpCW
20未満って20は入ってないから、20でもおkだろ。
211名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 05:53:08 ID:lgoCV1Cp
・・・つ、釣りだよな?
212名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 06:19:23 ID:BrgdsFi/
今は18歳未満がダメなんだろう?
213名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 08:53:09 ID:xdLnL8A+
声優ネタ出したらガキ臭いって理屈がわからん
しょうもないことで他人に因縁付けて、スレの空気悪くさせるようなことが21歳以上のすることか?
214名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 09:38:03 ID:DiPoPlt7
激しくどうでもいいので、次の話題へGO
215名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 10:08:34 ID:GF4UNWrK
声優ネタがどうたらと言うよりも、
釘宮とか言ったからじゃないの?>ガキ臭い

>>209は空気読めってことで
216名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 11:08:57 ID:DKUhMeYn
 兄が好きなゲームとかアニメキャラの声優を妹がして……
 んで普段は地声だけど、ワガママやオネダリをする時だけ、そのキャラの声をするとかの、声優ネタは好きだけどな。
例えば……


 初雪も終わった寒い冬の朝。兄がソファーで新聞を広げて見てると、左耳に温かな吐息が吹き込み、首には細くひんやりとした腕が回される。
 「なぁアニキ、サマンサタバサのバッグ買ってよ。友達もみんな持ってるしさ、無いの私だけなんだよねー」
 囁かれるのはいつものやりとり。妹に欲しい物ができた時は、毎回この形で兄にねだっていた。
 「しらん。声優の仕事で貰ってる金はどーした? 学生と兼業とは言え、CD出したりしてるんだろ? 自分で買えよ」
 兄も必ず断る。ねだられて、すんなりオーケーした事は一度も無い。
 欲しがってるからと言って何でも買い与えていては、妹がダメになると考えているからだ。
 しかし悲しいかな。その思いは一向に通じない。
 「ふぅん。じゃあ……アレ、だな」
 いつものように回されていた手は下へ移動し、
 いつものようにズボンのファスナーを下げて、その中へと潜らせる。
 「ヤメろ。そんな事をしても買わんぞ?」
 兄は広げた新聞を眺めたまま。余裕の表情で妹を窘め諭す。
 対する妹も余裕の表情。深く呼吸し、自らの声を極限まで変化させる。
 「手が、痒いわ……ねぇキョン? 私にバッグを買いなさい。そうしたら、キョンを使って手を掻いてあげてるわ。このガチガチに硬くなってる棒に手を擦り付けて、手掻きに使ってあげても良いわよ?」
 その変わった声を聞いた途端、兄の身体は雄として反応した。
 余裕だった筈の表情は恥辱で赤く染まり、新聞を持つ手はプルプルと震えて握り潰している。
 「ちっ、くしょ……」
 いつもと全く同じ展開。妹は何気なくアニメを兄に見せ、のめり込ませ、その後で主役の声をしてるのは自分だと暴露した。
 

 ――――――――。


 その夜。
 「ほらよ、買って来たぞ」
 「おぉ、さすがアニキ♪」

 「ところで、お前は自分で稼いだ金はどうしてるんだ?」

 「はっ? えぇ……っと、あっ、あにきと…………てるん、だよ」
 「何て言ったんだ? 小さくて聞こえなかったぞ?」


 「っ!? アニキと結婚式をあげる為に貯めてるのっ!!!」




みたいなさ。
217名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 12:40:57 ID:zcxWVanb
さぁ続きを書こうか
218名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 13:06:23 ID:xdLnL8A+
全然キモくないじゃないか
一緒に妹スレに帰ろうか
219名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 17:54:48 ID:U/ymSZnT
キモウトの携帯からSDカードを抜き取って、反応を陰から見たい

中身は見たくない
220名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 21:29:12 ID:3Jh7qVHC
>>219
そのSDカードは真っ赤に塗られ、漆黒の文字で「見なきゃ駄目♪」と書かれていた
221名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 22:10:07 ID:Kjkm+NxG
あ……お兄ちゃんが私をジロジロと見てる……うれしい。
でも折角だからそのSDカードの中身も見てほしいな〜。
何のためにわざと携帯を置きっ放しにしたのか分からなくなるじゃない。
私が今まで沢山撮り貯めしておいたお兄ちゃんのあんな写真やこんな動画……
普段のお兄ちゃんを撮ってるのも多いけど、とっておきのお気に入りも入ってるんだよ?
眠ってるお兄ちゃんの部屋に入り込んで寝顔を撮ったのはもちろん、
キスしてあげながらそれを横から撮ってみたり、
お兄ちゃんの大きくなったおちんちんをしゃせーする前と後の両方を撮ってみたり……
もちろん、撮った後は私のお口できれいにしてあげたからバレてなかったよね?
本当はお兄ちゃんと繋がってるところも撮りたかったんだけど……
それじゃ駄目。お兄ちゃんがちゃんと起きてて、お兄ちゃんの方から私を求めてくれないと意味無いから。
だから、代わりに私がお兄ちゃんを想って1人でシてる所を撮ったのを入れてあるの。
お兄ちゃん……早くそのカードの中身を見てよ。それで私の想いに気づいてよ。早く。お願い……


いきなり何書いてんだ俺
222なんとなく:2008/11/05(水) 22:36:43 ID:DVQXxEbP
うちの妹は本当にキモい。
どのぐらいキモイかというと「好きな食べ物は『兄の使用済み下着』」と本気でいうほど。
洗濯カゴにブリーフ(トランクスを買ってくると、すぐに鋏でズタズタにされる)を入れると、
数分後にはしゃぶっているぐらい大好きらしい。
話しかけても「フヒヒッ」とか「グヒッ」とか気持ち悪く笑い、
なんかモゴモゴと口ごもることも多く、やけに鼻息も荒い。
部屋には盗撮したらしい俺の写真が壁一面に張られ、
机の引き出しの中には使用済みティッシュやら、風呂場で採取した毛、
黄色い液体の入った小ビンなんかが大事にしまってある。
もはやドラマとかフィクションに出てくるストーカーレベル。

しかし、こんなキモい行動をする妹なのだが、困ったことに美少女だったりする。
それも、グラビアアイドルなんか足許にも及ばないほどの。
さらに一歩外に出ると猫をかぶり、キモさは一切表に出さない。
人望も厚く、成績も優秀。非の打ち所もないスーパー美少女が、
なんで家の中ではあんなにキモいんだろうか。
俺のことが好きだっていうのは別にいいんだけどさ・・・・・・。


【続くかどうかわからない】
223名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 23:15:03 ID:estpxwvK
>>222
期待
224名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 23:32:50 ID:n/2vNxVt
期待
225名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 23:43:54 ID:Chg3Mzb8
すごく期待
続いてくれる非常に喜ぶ。妹が
226名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 00:55:32 ID:QHK4/8Ip
もうそろそろ永遠のしろの続きくるだろうから全裸待機
227名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 01:20:28 ID:xHtpGybq
なんと俺好みな口調
期待
228名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 01:33:45 ID:4FI/ij03
新作もいいんだけどさ、ノスタルジアもフラクタルも
期待してるものほど途中で止まっちゃうのはなんでだ?
229名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 01:56:39 ID:R+Qb8FmQ
ノスタルジアはともかく、フラクタルは止まるって言うほど
日にちは経ってないでしょ
230傷 (その4):2008/11/06(木) 02:26:29 ID:hDaA8fiu
投下します。
231傷 (その4):2008/11/06(木) 02:27:53 ID:hDaA8fiu

「おはようござい……」

 葉月が絶句したようだが、冬馬は気にせず食事を続けている。
 ぱりぱりに焼いた皮をめくり、白い湯気の立つめしに乗せて頬張る。
 ひとしきり咀嚼し、飲み込んだあと、味噌汁を一口すする。
 うまい。
 言葉を一言も発さなくとも、兄の身にまとう雰囲気から、眼前の塩鮭と味噌汁、そして熱いめしの満足感が十二分に伝わってくる。
 自分の作った料理を、こんな顔で食べてくれる男と結婚したら、食事のたびに楽しくて仕方が無いんだろうな、と葉月は思う。
 が、いかにも旨そうにめしを頬張る兄の表情は、それほど珍しいものではない。夕食の時間になれば、毎日のように彼は、そんな幸せそうな姿を見せているのだから。まあ、朝が弱い冬馬が、こんな元気に朝食を取るのは、確かに、あまりお目にかかれないが。
 だが、葉月を絶句させたのは、そんなことではない。

「冬馬くん、せっかくの一張羅にお味噌汁がとんじゃいますよ」
 
 弥生が、朝食にがっつく弟をやんわりたしなめ、葉月はようやく両親を振り返った。
 娘の視線に気付いた父親は、煎茶をすすりながら肩をすくめ、母親は苦笑いを返す。そして妹は、再び兄に目を向けたが、その露骨な視線に、さすがの冬馬も口を開かざるを得ない。
「何だよ、さっきからジロジロと?」
「いえ、兄さんの姿が普段と余りに違うので、つい……」

 まあ、葉月が驚くのも無理はない。
 普段の朝は時間ギリギリに起床し、くたびれたTシャツに色褪せたジャージを穿き、あくびを連発しながら朝食を取る兄の姿に見慣れた妹としては、やはり今の冬馬は瞠目せざるを得ないだろう。

 無精ひげは青々と剃り上げられ、櫛を入れて、こざっぱりした頭髪には寝癖の一つもない。なにより、いつもなら玄関先で靴を履くまで発散している、だらしなく眠たげな空気が、まるでない。
 黒のジャケットに黒のスラックス。
 クリーム色の詰襟シャツにシックな腕時計。
 おそらくは、それぞれの一品がかなりの高級品なのだろうということは、なんとなく葉月にも分かる。しかし、不思議とそれが冬馬には似合っている。普段ラフな人間が、高級品を身に付けた時にありがちな、ちぐはぐな不自然さがまるでないのだ。
(この人は、こういう服を着こなせる人だったんだ……)
 その驚きは、葉月にとって新鮮だった。

「惚れ直したか?」

 冬馬がにやりと笑う。
 いや、確かに自分は、ビシッと決めた兄の姿に見とれていた――。
 冗談じゃない。
 恥じらいに頬を染めながら、葉月は口を尖らせる
「その格好は何ですか兄さん。朝っぱらから、古畑任三郎のコスプレですか?」

 両親が反射的に顔を伏せて笑いをこらえ、兄は逆にカラカラと笑った。
 確かに、これでサスペンダーをすれば古畑任三郎にそっくりだ。うまいこと言いやがる。そう言って頭を掻いた冬馬は、
「似合ってねえか?」
 と訊いた。
 訊かれた妹は、射抜かれたようにびくりとなったが、少し俯くと小さな声で答えた。

「似合っていません。いつものだらしない兄さんの方が、わたしは好きです」
232傷 (その4):2008/11/06(木) 02:32:19 ID:hDaA8fiu

「デート、なのですか……?」
 食卓に着き、箸立てから自分の青い箸を取った葉月は、おずおずと兄に尋ねる。
 まあ、聞くまでもない事ではある。
 週末の休日に朝っぱらから、男性がよそ行きの服を着込んで気合を入れていたら、どう考えても『野暮用』としか思えない。あまたの女性を袖にして、それでもなお屈託無く笑っていたはずの兄が、ようやく重い腰を上げ始めたということなのか。
 当たり前の事だと思う。
 柊木冬馬といえば、学園でも有数のモテ男だ。女に不自由するようなタマじゃない。いつまでもフリーでいる方が、むしろおかしいのだ。
 でも、だからと言って、それを素直に祝福する気にはなれない。いやそれどころか、明らかに自分が苛立っているのも事実だった。
 そんな葉月を、姉はにこにこしながら見つめている。

「ちがう」
 
 今度こそ葉月は、ぽかんとなった。
(いや……そんなことない)
 常識を否定する思考が一瞬頭をよぎり、むしろ葉月は、そんな自分に納得する。
 若者が、朝からビシッと決めていたなら、それ即ちデートである。――その考えは確かに間違ってはいない。だが、あくまでそれは一般論だ。そしてこの兄は客観的に見て、決して“一般的な男”ではない。それは自分たち家族が一番承知しているはずではないか。
「じゃあ、一体……」
「今日は墓参りの日なんだよ。だから薄汚れた服で行くわけにゃあいかねえんだ」

「そうか……今日は命日か……」
 父が、ようやく納得したように深く頷く。
「どういうこと?」
 弥生が、私にも事情を教えろと言わんばかりに、父に向けて前のめりになる。
 だが、それに答えたのは父ではなかった。
 冬馬が弥生にちらりと目を向けると、そのまま言葉を返す。

「おれの、最初の里親の命日なんスよ」

 最初の里親?
 その言葉を聞いて葉月は、ようやく、この兄が数年前に我が家に現れた「新参の家族」であった事実を思い出した。

「ごめんなさい冬馬くん。私、その、そんなつもりじゃ……」
 知らない事とはいえ、迂闊なことを訊いてしまった。
 そういう顔をして、弥生は済まなさそうに眉を伏せる。
「気にしないで下さい。姉さんが知らないのは当然っスよ。言ってないんだから」
「お父様かお母様か、……どちらがお亡くなりになったんです、兄さん?」
 おそるおそる尋ねる葉月に、兄は、こともなげに言った。

「両方だ」

 事故? 
 複数の人間が同時に他界するとなると、少なくとも自然死では在り得ない。
 だが、そんな葉月の予想を、冬馬の言葉は、いとも簡単に凌駕する。

「無理心中ってやつだよ。交通事故ほどじゃないけど、そんなに珍しい話じゃない」

 さすがに今度こそ、完璧な沈黙が食卓を制していた。
 しかも気まずい静寂だ。おのれの発する“音”で、この雰囲気を破ってしまう事を怖れさせるような、そんな冷たく重い空気。さすがに事情を知っていたらしい両親は、姉妹とは違う気まずさを感じているようだが、それでも居心地の悪い空気は、いかんともしがたい。
 いや、“音”はある。
 衝撃の告白の本人――冬馬が、先程までと全く変わらぬペースで、めしを頬張り、味噌汁をすすっている。もちろん表情までは柔らかくない。
 ああ、やっぱり、こんな空気になっちまった。もうちょっと表現の仕様があるはずなのに、おれって奴はホントにもう……。
 彼の瞳には、そういう後悔の光が宿っていた。
233傷 (その4):2008/11/06(木) 02:33:51 ID:hDaA8fiu

「なんだよもう、そんな顔しないで下さいよ。確かにおれも迂闊だったけど、そんな『質問してごめんなさい』みたいな目で、こっちを見ないで下さいよ」

 ごまかすような苦笑いで、冬馬はこの場を和ませようとしているが、さすがに無理心中と聞かされては、「そうだねアハハ」と笑って、彼と同調する事など出来るはずもない。そんな事をしても、気まずさが異常なほどに浮き彫りになるだけである。
 重い空気を払拭できるのは、その場しのぎの軽いごまかしではない。その重さを動かせるに足る、真面目な態度と言葉だけだ。
 はたして、その口火を切ったのは、年長者たる両親ではなく、姉の弥生だった。

「冬馬くん、そのお墓に、私も行きたいわ」

 いきなり何を言い出すんだ。
 そう父が突っ込む前に、姉は硬い視線と表情で、弟に訴える。
「この柊木家を代表して、貴方の亡くなられた御両親に挨拶したいの。息子さんの心配は要りません。だから安心して下さい。そう報告したいの。――だめ、かな?」

「でも、姉さんにも予定があるでしょう? それをそんな、無理におれに付き合わなくても……」
「ううん、そんな事はいいの。押し付けがましい言い方になるけど、私は自分が行きたいから言っているの。家族の一員として、貴方の御両親のご冥福を祈るのは当然なんだし。それに、受験生としては、この時期に模試以外の予定なんて入れないわ」
 そう言えば姉が高3だった事を、今更ながらに葉月は思い出した。確かに弥生の学力なら、一日くらい勉強を休んだところで影響はないだろう。弟を溺愛する姉ならば、自分の時間を割いてでも、彼の里親の墓前に参拝したいという気持ちも、葉月には理解できる。

 冬馬は両親に、窺うような視線を一瞬向けたが、
「まあ、いいっスよ」
 と、周囲が拍子抜けするような口調で、あっさりそう言った。そして、湯飲みの煎茶を飲み干すと、空になった食器を重ね、その穏やかな視線を、今度は妹に向けた。

「葉月はどうする? 来るか?」

 その言葉に、妹は、ふたたび虚を突かれたような顔になってしまう。
「葉月ちゃん、一緒に行きましょう」
 弥生が、にこにこしながら葉月の肩に手を置いた。


////////////////

 バスのアイドリングが、車内に心地良い揺れを繰り返す。
 隣のシートに座っている冬馬はすでに、こっくりこっくりと舟を漕ぎ始めており、弥生はそれを、一幅の絵画でも見るような視線で、ぼうっと見つめている。
 家を出るまではビシッとしていたはずの弟の相貌が、だらしない眠気に徐々に侵蝕されてゆく眺めは、姉にとっては十分すぎるほどの退屈しのぎだった。
 JRで15分。地下鉄に乗り換えて20分。さらにその駅前からバスに乗り換えて30分。
 いかに日曜の午前中とはいえ、海に向かうこの路線は季節的に乗客も少なく、いま現在車内に揺られているのは、弥生たち三人の他には誰もいない。
 信号待ちをしていたバスが、その巨体を揺らし、ふたたび走り出した。

「姉さん」
 前の席を振り返ると、葉月が不安そうな顔をしてこちらを見ている。
「なあに」
「本当に、わたしが御一緒して宜しかったのですか?」

 今更ながらの質問をする子だと思う。
 普段なら、この妹は自分が確信を持てない行動は一切取らない。彼女の行動は、すべて何らかの目的を以って為され、それらに疑義を差し挟むようなことは極めて珍しい。
――この兄に関すること以外には。


 初等部入学以来、完璧超人の誉れも高い柊木弥生だが、周囲の賞賛ほどに自身を評価しているわけではない。自分のことを天才などと言う者もいるが、それは大間違いだ。
 なぜなら本物の天才とは、彼女の最も身近にいる人間を指すべき言葉だからだ。
 すなわち、この妹――柊木葉月。
 14歳にして、すでにその才能を学界にひろく認められ、大学の研究室はおろか企業の新技術開発室にまで参加を請われている少女。
 過去の固定概念をあっさり覆す、全く新しい理論を次から次へと発表し、このまま成長すれば、世界に名だたる偉大な研究者として、歴史に名を残す事になるであろう、誇るべき愛妹。
234傷 (その4):2008/11/06(木) 02:35:46 ID:hDaA8fiu

 そんな彼女が、自分の行動に躊躇し、迷いを見せるのは、常に「兄がらみ」の時だけだ。
 彼が関わると、ずば抜けた頭脳を持つはずの妹が、なぜか冷静ではいられない。普段なら在り得ないイージーミスを繰り返し、いつも確信をもって語られるはずの言葉も、その力を失う。

 いまだってそうだ。
 墓参について来いと言われて、迷いに迷った挙げ句、おぼつかない足取りで自分たちに同行したが、それでもいまだに自分の行動の是非に確信が持てないらしい。
 迷いながら行動を取る妹も珍しければ、その不安を表情に出す妹はさらに珍しい。
 が、そんな彼女であればこそ、弥生はこの妹が、どうしようもなく可愛いのだ。
 特定の男の前に立てば、不動のペースがいつも乱れ、年齢相応の“年頃の少女”に戻ってしまうなど、どう考えても原因は、彼女の恋愛感情以外の何物でもない。
 妹は、いまだ自分の気持ちに気付いていないようだが、端から見ればそのザマは、まるでギャルゲーか少女小説のように分かりやすいものであった。

 でも、それでいいと思っている。
 そうでなくてはならない、と、この姉は思っている。
 自分のハッキング技術をしても、いまだ過去の全貌が明らかにならない、この弟。彼を幸福に出来るのは、この世でたった二人――姉の自分と、妹の葉月だけだ。
 弥生は、そう信じて疑わない。
 だから彼女は、冬馬に関して、およそ常識では在り得ないほどの独占欲を抱きながら、それでも葉月にだけは、およそ危機感や警戒心というものを抱いていなかった。
 もしも冬馬が、自分以外の人間を生涯の伴侶に選んだとすれば、弥生はその女性が誰であろうと全霊で憎悪し、その排除に全力を注いだだろう。彼女にとってのその唯一の例外があるとすれば、それは、この妹だけだった。

 理由はない。考えた事もない。
 彼女にとって冬馬は、想い人であると同時に大切な家族であり弟である。それと同じく、葉月も、弥生のたった一人の大切な妹だ。“外界”をうろつく有象無象のメスネコと、家族の一員である葉月を同列に見なすことなど、弥生にとっては考えられないことだった。
 強いて言うなら、この葉月こそが世界にただ一人、彼女が敗北感を禁じえない頭脳を持つ天才だったから――という事もあるかも知れない。だが、そんなものは無理やり列挙した理由の一つに過ぎず、当然の事ながら、その全てではない。


「貴女が一緒に行っちゃいけないのなら、私がここにいてもいい理由だってないでしょう?」
「でも……」
「でも?」
「姉さんは、兄さんにとっても特別な人みたいですから……」
 その言葉に、思わず弥生は苦笑する。
「特別って、……いつも葉月ちゃん言ってるじゃない。それは家族として許されない感情ですって」
「そっ、そういう事じゃありませんっっ」

 はからずも大声を出した葉月は真っ赤になり、あわてて兄に目をやる。窓にもたれて寝息を立てる彼を確認すると、ホッと一息つき、今度は囁くような声で、にこにこ微笑む姉に言った。
「兄さんは、……その、姉さんを信頼しているというか、尊敬しているというか、その……そういう意味で、姉さんを特別視していると思うんです。だから、わたしと違って、こういうことも許されるというか……」
 ごにょごにょと口篭もる葉月に、弥生は、あえて妹が口にしなかった言葉を出した。

「わざわざ墓参りにまでついてくるなんて、図々しいと思う?」

 その瞬間、葉月はまたも不意を突かれたような表情をしたが、やがて顔を伏せ、頷く。
 弥生は、そんな彼女の頭を優しく撫で、言った。
「そうかな? 私は、そうは思わないな」
「…………」
「冬馬くんは、私たちの家族。その事実に異存はないわね?」
 葉月が何かを言おうとする前に、引き続き吐かれた姉の言葉に、妹はふたたび頷く。
「だったら、家族の家族は他人じゃないわ。そうよね、言ってみれば親戚みたいなものよ。親戚のお墓に参って挨拶する。……何か、おかしい事がある?」
235傷 (その4):2008/11/06(木) 02:37:24 ID:hDaA8fiu

「おかしくは……ないです。でも、それはやっぱり理屈です」
「理屈?」
「兄さんには、わたしたちの兄さんじゃなかった頃の過去があり、人生があります。そこに無闇に踏み込むのは、やっぱり遠慮すべきじゃないかと思うんです。姉さんならともかく、わたしなんかが土足で踏み込んでいいとは……その……」
「思えない?」
「…………」
「貴女を誘ったのが、冬馬くん本人だったとしても?」
「…………」

 優しい子だ。
 弥生は、妹のことを、半ば誇りを持ってそう思う。
 おそらく、かつて冬馬を冷遇していた、自分の態度を後ろめたく思っているせいもあるのだろう。そう思えば、この煮え切らなさも納得がいく。だが、それでも弥生は、そろそろ妹は自分の気持ちに素直になってもいい頃だと思うのだが。
 まあ、それはいずれ考えればいい事だ。いま考えなければならない事ではない。
 だから、弥生はこの時間つぶしの禅問答を、そろそろ切り上げる事にした。

「でも貴女はついてきた。それは誰に強制されたわけでもない、貴女自身の意思でしょう? だったら、それでいいのよ。……第一、兄の里親の墓前に挨拶したいっていう貴女の心を、冬馬くんが図々しいなんて考えるわけがないでしょう?」
「…………」
「さあ、お話はここでおしまい。冬馬くんを起こしましょう。そろそろ降りなきゃいけないバス停に着くわ」
 そう言って、弥生は手を伸ばし、冬馬が頬を貼り付けて眠っている窓枠の傍にある「次、止まります」のボタンを押した。


///////////////////

「……やあ、お兄様……久し振りだね……」

 冬馬に、そう声をかけたのは、とても美しい少女だった。
 いや、彼女を少女と呼んでもいいのだろうか。そう思わせるほどに彼女は大人びていた。
 流れるような黒髪を後頭部でまとめた髪型。
 落ち着いた低音の声音。
 怜悧な光を秘めた瞳。
 そういった顔の造型だけでも、彼女は充分に美しい。まるでフランス人形のようだ。
 だが、それはむしろ瑣末な問題に過ぎない。彼女のもつ圧倒的な“美”は、そんな身体的要因によってではなく、彼女自身が発する、凄まじいまでのオーラによって生み出されているからだ。
 水を入れた木桶を持って墓前に佇むその姿からは、神秘的と称してもいいほどの雰囲気が発散されており、その澄み切った気配は、むしろ威厳さえ漂っている。

(この人が……千夏さん? 兄さんの、“元妹”……?)
 葉月は、しばし呆然となった。

 姉の弥生の美貌も、その整った目鼻立ちだけの産物ではない。「完璧超人」と呼ばれて久しい弥生の“美”の根源もまた、彼女自身が発する、内なる輝きがもたらすものだからだ。
 そんな姉の魅力は、それこそ凡百のアイドル歌手や女優を、はるかに凌ぐ――と葉月は自信を持って言えるが、彼女の美しさは、その姉を向こうに回して全く見劣りしていない。だが、二人の美貌の方向性はまったく違う。

 弥生も確かに、年齢に似合わぬ大人びた貌を持っている。だがそれは、女子高生というより、むしろ一人の投機家としての冷徹なリアリストの一面であり、それはあくまで彼女の側面でしかない。
 弥生の本質は、やはり女の子なのだ。
 サイドヘアーをリボンで飾ったり、フリルつきのドレスを好んだりする少女趣味を持ち、周囲を圧する超人ぶりを発揮しながら、そんな自分が周囲から浮いてしまわないように気を配る。――そういう意味では彼女は、どこにでもいる社交的な女の子に過ぎない。
 だが、この少女は違う。
 弥生が残すような稚気や協調性は、まさに一分も感じられない。
 さらにそのオーラには、完成された芸術作品のような気高さを感じさせるが、そこから匂うのは調和ではなく、むしろ周囲を断絶する孤高のなにかだ。

 そんな少女が、冬馬を『兄』と呼ぶ眺めは、葉月にとって凄まじく違和感を覚えさせるものだった。

236傷 (その4):2008/11/06(木) 02:38:46 ID:hDaA8fiu

「元気そうだな、千夏。その服似合ってるぜ」
「きみこそ……ジャケット姿とは珍しいね……なかなか格好よく見えるよ……」
「ははっ、お前もお世辞の一つくらいは言えるようになったんだな。成長したもんだ」

 冬馬は、軽口を叩きながら、それでも照れたようにゴリゴリと髪を掻いた。
 ダメですよ兄さん、その反応では、せっかくのオシャレが台無しです。――普段の葉月なら、野暮ったさが抜けない兄の仕草に、反射的にそう突っ込んでいたはずなのだが、しかし、素直に言葉が出ない。
 いや、それどころか、二人の空気に、無性に苛立っている自分がいる。

 なぜだろう?
 兄と彼女とのやりとりは、あくまで久闊を叙する兄妹の挨拶の範疇を出ないものだったというのに。彼女に笑いかける冬馬の顔が、自分たち姉妹を相手にする時よりも、さらに嬉しそうに輝いているように見える。
 葉月は、途方に暮れたように弥生を振り返ったが、姉は、一切の表情を掻き消した、能面のような表情を顔に貼り付けて、二人のやりとりを見つめている。
 あ、わたしと同じだ。姉さんも、今、わたしと同じ事を感じているんだ。
 そう思ったところで、そんなシンクロニシティを喜ばしく思うはずもなかった。


 バス停からこの墓地への道すがら、冬馬は姉妹に、墓地で自分と待ち合わせている、この“元妹”のことを語って聞かせた。無口でクールで無愛想で、一見してかなりとっつき難いが、本当はとっても優しい子だと。よかったら友達になってやってくれ、とも彼は言った。
 だから葉月も、はいと答えた。
 傍らで微笑む姉の目が、その口元に反して、実はまったく笑っていないことに気付いていたが、それでも妹は、兄が「ありがとう」と言いつつ自分の頭を撫でてくれた心地良さに、すぐに姉のことなど気にならなくなっていた。
 実際、葉月は、冬馬の依頼に全力を以って応えようと思っていたし、たとえ家は違えど、同じ少年を兄と呼ぶもの同士、直接会ってみれば、少しは親しみも沸くだろうと思っていたのだが、――しかし、葉月はさすがに、自分の考えが楽観的過ぎたことを知った。
(こんなの……いくら何でも話が違う……っっ!)

 
 なぜだろう、などと理由を問うまでもない。
 彼女は、美し過ぎる。
 こんな神々しいとまで形容できる美少女が、かつて、兄と一つ屋根の下に暮らしていたという事実。自分たちの知らない頃の兄を知っているという事実。自分たちが割って入れない記憶を共有しているという事実。
 そして、それと同時に無数の疑惑が葉月の脳裡に浮かぶ。
 兄が、多くの女性からの愛の告白を拒んでいるのは、実はこの美少女の存在が原因ではないのか? 
 兄はデートではないと言ったが、ビシッと決めたそのファッションも、今日、この美少女と逢うためのおめかしではなかったのか?
 そもそも、二人は本当にただの“兄妹”なのか? 「最初の里親」のもとで共に暮らしたというなら血縁はない。ならばこれ幸いと、一線を超えることもできるはずだ。
 内心穏やかでいられるはずなどない。イラつかずにいられるはずがない。
 

「紹介するよ。弥生姉さんと、妹の葉月。――こっちは千夏。さっきも言ったけど、以前おれが厄介になってた景浦家のお嬢さんだ」
「……はじめまして……景浦千夏です……」

 そう言って、初めて自分たちをまともに見た千夏の瞳は、さきほど冬馬に投げかけていた温もりは一分も感じられない、深い海の底のような眼差しであった。こちらの頭の中どころか背中まで見通されそうな、その透徹な視線に、葉月は思わずぞっとした。
 おそらく、この顔こそが、普段彼女が見せている、日常的な顔なのだろう。
 兄が友達になってやってくれと言うのも、ある意味無理はない。こんな眼差しで日頃から周囲を見ているというのなら、兄には悪いが、人間関係が豊かだとはお世辞にも思えない……。
237傷 (その4):2008/11/06(木) 02:40:27 ID:hDaA8fiu

「柊木弥生です。冬馬くんが以前お世話になったそうで、姉としてお礼を言わせて戴きます」

 姉の言葉に、葉月は我に帰った。
 そうだ。
 逃げ腰になっている場合ではない。
 こんなところまでわざわざ足を運んで、兄に恥を掻かせるわけには行かないのだ。
「はっ、葉月ですっ。これからもよろしくお願いしますっ!」
 
 これからも?
 千夏の目が、窺うように冬馬に向けられたのが葉月には見えた。
「ああ。お互い歳も近いことだし、良かったら仲良くしてやってくれ。姉さんも葉月も、多分お前のクラスメートの3倍は頭がいいはずだから、退屈はしないだろう」
 と、照れたような顔を浮かべながら、冬馬が言う。
 そんな彼に、千夏も苦笑いで応えながら、あらためて二人に向き直ると、そのまま彼女は、こちらに歩み寄ってきた。

(あれ……?)
「……こちらこそ……よろしく……。でも、そんなに緊張しないでくれた方が……嬉しいな……」
 そう言って手を差し出した千夏の表情は、先程までの冷たく引き締まったものではなく、ほんの少しだが、冬馬に見せたような穏やかさが存在していた。
(この人、近寄りがたく見えるけど、実は結構、いい人……?)
 握手した千夏の手に、意外なほどの高い体温を感じ、葉月は狼狽しそうになるのを懸命にこらえた。もしも彼女の、人を遠ざけるようなその雰囲気が、本人の意図しないものであるとしたなら、彼女は、ただ誤解を受けやすいだけの孤独な少女だという事になる。
 無口でクールで無愛想だが、本当はとっても優しい子だ。兄はそう言った。
(なるほど……確かに……)

 そして、千夏がその右手を弥生のほうに向けたときだった。


「あんた……何でここにいるの……!?」


 小学生くらいの女の子が、顔を硬くこわばらせて、こっちを睨んでいる。
「おゆき」
 冬馬の顔色が変わった。
 いや、彼だけではない。あるかなしかの微笑を浮かべていたはずの千夏の表情も、ふたたび険しいものになっている。だが、その女の子の表情は険しいなどというレベルではない。憎悪と憤怒に顔をゆがめ、まるで鬼のような形相をしていた。
「兄貴ヅラして、気安く『オユキ』なんて呼ばないで頂戴、この人殺し!!」


 ひと……ごろし……?


 葉月は、その言葉の衝撃に、思わず兄を振り返った。
 彼女が殺人犯呼ばわりする人間が、疑いようも無く、自分たちが兄と呼ぶ人間である事は、その槍のように太く鋭い視線からも明白だったからだ。そして、兄が人殺し――加害者であるとするなら、被害者はまさか……?

「ママを自殺に追い込んだあんたが、いまさらママのお墓に何の用があるの?」
「おゆき、おれは――」
「消えなさいっ! 今すぐここからっ! ママのお墓をこれ以上汚さないでっ!!」

238傷 (その4):2008/11/06(木) 02:41:15 ID:hDaA8fiu

「……わかった」
 冬馬は何も言い返さなかった。
 あたかも、女の子の罵詈雑言を、その身に受けるのが自分の義務だというように。
 彼は、そのまま肩を落としたまま、従容と背中を見せた。
「とっ、冬馬くんっ!?」
 姉の言葉にも何の反応も見せない。冬馬は、そのまま女の子の脇を通り過ぎ、墓地の出口へと向かって、とぼとぼと歩いてゆく。

「葉月ちゃん、冬馬くんをお願い」
「えっ!?」
「あの子をこのまま一人で行かせる気なのっ!?」
「でっ、でもっ、姉さんはどうするのっ!?」
「いいから行きなさいっ!!」

 少し迷った挙げ句、妹は兄を追ってそのまま走り去った。
 そして、一人になった弥生は、千夏と「おゆき」と呼ばれた女の子を振り返った。

「……あなたは……お兄様を追わなくていいの……?」
 さすがに済まなさそうな顔をして、千夏が言うが、弥生は答えない。
「あなた、あいつの関係者みたいだけど、一体誰なの?」
 そんな弥生に、女の子は憎々しげな目を向けるが、弥生は弟とは違う。事情も分からぬ子供の駄々になど付き合う義理は、自分にはない。
「聞かせなさい」
 低い声でそう言うと、今にも掴みかかって来そうなおゆきを完全に無視して、千夏に向き直った。

「私の弟に何があったのか、洗いざらい、知っている事を全部話しなさいっ!!」

239名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 02:42:14 ID:hDaA8fiu
今回はここまでです。
240名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 03:07:48 ID:R+Qb8FmQ
>>239
GJ!! 続き楽しみにしてます!!!
241名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 03:22:22 ID:PI0QYe1p
>>239
GJ!!
各キャラに複雑に絡まる過去が気になる
242名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 12:56:06 ID:2tFt947y
ふと思ったが、「キモ姉」はどうみても姉さんしかありえないが、「キモウト」だと弟でもいいんだよな…
ゴクリ
243名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 13:04:40 ID:uQaw9XGf
>>239
gj! 盛り上がってきたぜ!!

>>242
投下から一日も置かずに雑談振ったり語ったりする奴って何なの?gjのニ文字も書き込めない奴は黙ってろよ。
244名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 13:12:17 ID:/ncIWIEf
>>243
何様だよww
245名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 14:00:20 ID:Ir2Ekd93
>>239 GJ!
こいつはとんでもない四面楚歌だ。俄然面白くなってきたぜwwwwww
246名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 14:02:10 ID:ZYB/o3nT
>>242
勿論、弟は内山くん似だよな


247名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 14:21:26 ID:16WlJyHw
GJ!新なるキモウト?登場でwktkが止らない
248名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 16:12:14 ID:Eb9665OP
653 名無しさん@お腹いっぱい。 2008/10/18(土) 07:52:27 ID:FTSPYxSC
お土産で貰ったひよこ饅頭を頭からガバっと食べたら姉に
「ひどーい。頭から食べるなんて野蛮人!」と言われた。
ムッとして
「尻から食べればお上品なんだ、へー」と返したら、つねられた。
「姉ちゃんと食べても美味しくない!」と家を飛び出し公園で泣いた。

帰ったら、姉が反省したらしく「ゴメンね」の手紙と共に
ひよこ饅頭とコーラが置いてあった。
一口食べたら、中の餡は底のほうから抜き取られ、ご飯が入っていた。
ビックリしてコーラを飲んだら、コーラ風味の麺つゆと醤油の味がした。

また泣いた。
249名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 16:15:53 ID:oFXzdaDk
>>248
( ;∀;) イイハナシダナー
250名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 17:25:10 ID:PI0QYe1p
>>248
うらやまかわいそう

ねえたん続き投下します。
NGはタイトルの「ねえたんファッション」でお願いします。
251ねえたんファッション16:2008/11/06(木) 17:26:14 ID:PI0QYe1p
茶葉の香りだけが酷くのどかに流れている。
水を吸った綿のような沈黙が二人の上に重苦しくのし掛かっていた。
政人は湯呑みを机に置き、どこか遠くを眺めたままの未来の顔色を窺う。
唇を結び、陶磁器の仮面を纏っているかのように固く閉じた貌。
その冷たい面差しの奥には普段の未来が居る筈なのに、厚い殻に隠されて一片の熱も感じ取れない。
未来は静けさをもて余すように床に広がるスカートの裾を白い指先で撫でた。
やがて、唇から吐息程の声を漏らす。
「政人…」
「…うん」
未来は黒炭の髪を肩に滑らせ物憂げに俯く。
「今まではギャルを装っていたけど、これが本当の私の姿なのよ…」
「…」
政人の口がへの字に曲がった。
何故にその胡散臭い後付け設定を押し通すつもりなのか。
「でも、これからは髪も服装もありのままの私に戻すの。地味乙女系着回しコーデもバッチリ準備できているわ」
だからその言い回しが根本的に間違ってるんだってば。
(ギャルだった昨日までをなかった事にしてやがるな…)
何考えてんだか。ヤンキーだった過去を隠す芸能人じゃあるまいに。
政人は俊巡した。未来自身のためにも未来の仕事のためにも、ここは釘を刺すべきか。
252ねえたんファッション17:2008/11/06(木) 17:27:24 ID:PI0QYe1p
―ああ、彼女は身内なのだから弟である自分が言ってやらなきゃならない。
皮肉な事に、未来の異変を前にして政人は初めて家族の絆を感じていた。
意を決し、未来の顔を真っ直ぐ見つめる。
「イメチェンは自由だけどギャルの方が未来ちゃんらしい――」

「違う」

政人の言葉を冷たく断ち切る低い声。まるで他人の声だ。
「違うよ、政人。私はギャルじゃない。今までもこれからも」
前髪の下からこちらを凝視する異常な双眸。まるで顔を覆いつくしてしまいそうに飛び出た白眼に浮かぶ縮み上がった瞳。
苦悶の末に事切れた死者の形相を思わせた。
この目…。限界まで膨張した風船が内側からの圧力をギリギリに抑えているように、未来は何かを耐えている。
今彼女に刺激を与えてはならぬと本能が訴えるが、政人は悔しさのあまり姉に歯向かっていた。
「何で嘘つくんだよ、別にギャルでいいじゃん」
ブツリ―何かが千切れた音がした。
未来が両手を机に叩き付ける。振動で茶筒が倒れ湯呑みの茶に乱雑な波紋が走った。
塞き止めていた感情を一気に決壊させた未来は、―笑っていた。
「政人はギャルより黒髪清楚が好きなんでしょ?私ギャルじゃないギャルじゃないギャルじゃない!!」
253ねえたんファッション18:2008/11/06(木) 17:28:18 ID:PI0QYe1p
口元は笑みの形に吊り上がっているのに、その顔はどこか泣き出しそうにも見えた。
怒り、悲しみ、怨嗟。未来の髪の色よりもドス黒い物があっという間に部屋を覆い尽くす。
乱れた髪が顔に掛かるのも気にせず、未来は噛みつくように叫び続けた。
「ほら!ちゃんと見て政人!私古風な女の子だよ?私だってあの人と違わないよ!?ねえ、どうかな?ねえ!?」

―いや、どうかなって。
今まで硬直していた政人の体は足元から徐々に震え出した。
痙攣する筋肉を抑えられず、やがて歯までガチガチと鳴らし出す。
未来の言う「あの人」。それはやはり、あの日あの街で政人が目を奪われた黒髪の女性の事だろう。
あれか。あれが発端か。
まるで雪山で雪玉を蹴り落としたら雪崩になってしまったようだ。何であんな小事がこんな大事に!
「政人ほら見て?政人政人政人の大好きな黒い髪!ねえ!政人!!政人政人、ははは、ほら!!」
鎌の形にぽっかり開いた口の向こうにあるのは、闇。
乱れた黒髪が顔の半分を覆い、眼窩から飛び出しそうな白い眼が隙間から覗いている。
(…チビる)
さっき美味しく戴いたお茶が異常な回転率で排出されそうだ。
政人は恐怖のあまり固く瞳を閉じた。
254ねえたんファッション19:2008/11/06(木) 17:30:04 ID:PI0QYe1p

―誰か、誰かうちの姉を助けて下さい!!


その呼び掛けに呼応するように、政人の瞼の裏にうっすらと顔文字が浮かんで来た。
『我等が未来姫!大好き(*>∀<)』
一つ。
『o(=゚ω゚=)oイメガ決定おめでとにゃん.*☆・.;・'』
二つ。
闇の中に明かりが点くようにメッセージを灯してゆく。
『コラボのポーチさっそくGETしたよ('-^*)b☆ハートのデコが未来チャンぽくて超かわいい(≧з≦)』
『今日の写真のみぃchanの前髪の編み込みヵゎぃぃ!真似したいです(癶∀癶)』
『未来ちゃんのポエム泣ける、、、(;_q)グス。詩集出してほしーな』
未来のブログに書き込められたコメントの数々が網膜に押し寄せる。
政人の恐怖に凍った体に、彼女達の言葉が血潮となって駆け巡った。
政人は拳を握り締める。
全国の未来ファンの英霊(生きてるけど)がこの背に付いて闘魂を注いでくれる。
この力強さはどうだ。まるで面の皮が二倍くらい厚くなったような…。これがギャルのパワーか。
政人は瞳を開き、前を見据えた。
「政人まさとまさと政人まさと…」
机の上に這うように身を伏せ、壊れた人形のように名を呼び続ける未来。
カリスマモデルの面影などない。ジャパニーズホラーの出涸らしだ。
255ねえたんファッション20:2008/11/06(木) 17:30:54 ID:PI0QYe1p
政人は腹の底から一喝した。

「俺は、政人じゃない!!」

闇を孕む空気が払い除けられる。
未来すら息を飲んで呪詛の言葉を止めた。
「俺はまーちゃんだ!!ねえたんの弟のまーちゃんだ!」
政人は立ち上がり、胸を張った。
「俺の姉はねえたんただ一人。お姉さんなんて人は知らない!
 俺の、俺のねえたんは!
 緑茶淹れる練習をわざわざする時間があるなら爪の甘皮取ってペディキュア塗ってる人だ!
 三つ折りソックスなんてない!くるぶし丈はスニーカーの時あるけど三つ折りは履かない人だ!
 こんな似合ってない服着るくらいなら下着で過ごすのを選ぶ人だ!!
 それなのに…なんだよ。たかが身内一人の好みに合わせて自分のスタイル変えるのかよ。
 ファンの皆を裏切ってほいほいギャルの信念曲げるのかよ?ギャルの魂どこやったんだよ?
 他人の見た目を丸々パクッてそれまでの自分を否定しちまうのかよ!?
 そんな人は俺の姉じゃない!!」


未来は肩で息をする政人を呆然と見上げていた。
目玉の中で瞳孔が緩やかに膨らみ生気ある眼差しを戻してゆく。
―姉。姉。姉…。政人の言葉が胸の中に残響していた。
未来は政人のたった一人の姉なのだ。
256ねえたんファッション21:2008/11/06(木) 17:31:43 ID:PI0QYe1p
やがて、暗い海の底から人魚が海面に浮かび出るように、本来の美しい顔がゆっくりと表皮に蘇った。
綺麗だ。
さっきまでの顔が顔だけに、綺麗さ三割増の未来ちゃんである。
「…ねえたん」
そっと、壊れそうな桜の花弁に触れるように未来の呼び名を口にした。
「……まー…ちゃん?」
未来は未だ呆然としながらも、反射的に政人の名を返す。耳慣れたその響きに政人は思わず涙ぐむ。
ねえたんの帰還―。
あの怨霊は無事に黄泉へと帰ったのだ。
嗚呼。この和室は後ほど四隅に塩を盛ろう。今日のお風呂には日本酒を入れてお清めしよう。
そして、自らの肩からも、役目を終えた戦神達が引き上げて行くのを感じる。
(ありがとう…。ギャルの皆さんありがとう…)


と、一見落着といった所で政人は気付いた。
先程溢れ出るアドレナリンに任せてつい熱血教師みたいに語ってしまったが、自分は何を言っていた?
声高にねえたん愛を叫んだ気がする……。
「嬉しい…!」
嫌な予感通り、未来がブワッと涙を溢れさせた。
熱烈な愛を受けたねえたんは幸せが爆裂して富士山から花火が噴火し桜吹雪が吹き荒れ大海原が桃色サンゴ礁だった。
対する政人は紙みたいに真っ白でカサカサである。
257ねえたんファッション22:2008/11/06(木) 17:32:56 ID:PI0QYe1p
「まーちゃん!まあちゃああん!!」
叫びながら未来は自らも立ち上がろうとした。しかし足に力が入らず前のめりに倒れ込む。
「うぉあ危ねっ!」
熱湯の入った鉄瓶に激突しそうになった未来の上半身を政人が抱き止めた。
さては未来、足が痺れてるな。
…もう!慣れない正座なんか長時間するから!政人は悪い意味で泣きたくなった。
未来は政人に抱かれたままひっしと腕を首に絡めてくる。
「まーちゃんはこんなにもギャルの私を求めてくれてたのに…私、私…」
「ちょちょちょ、そっ、それは後で聞くから首離して」
今二人は机を挟んで見事な『人』の字を描いている。
未来は全体重を政人の首に預けてくるし、踏みしめた座布団が畳の上を滑っていって徐々に角度が開く。
政人の背骨はミシミシ鳴った。正に苦行。
「痛…痛い痛い痛い!首と腰に来た!」
「こんなにも…こんなにも私の事を見てくれてたのに……」
「あの!だから後で聞くから今はこの危機を乗り越えようね、ほらっ、お、降ろすよ。よいしょと」
政人はなんとか未来の体を机の横にズルリと横倒しにする。
しかし未来が首を離さないので政人も引きずられて被さるように倒れてしまった。
もみゅっ


続く
258名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 17:33:44 ID:PI0QYe1p
以上です
259名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 17:35:00 ID:16WlJyHw
GJ!
相変わらずいいキモ姉です
260名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 19:10:17 ID:AF10/aQ8
きめええええええええwww
GJです。
261名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 19:31:39 ID:oG2N1zv5
帰ってない! 最大の怨霊が帰ってないよ、まーちゃん!
GJ!
262名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 21:59:36 ID:pBgFA9lL
「もみゅっ」で終わらせるなんて
なんという生殺し
GJ
263名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 22:42:06 ID:KH3a7hhL
久々にきたら何という投下続き
GJすぎる
264名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 22:48:42 ID:aBOkFryP
GJ!
政人よ、よく言った!漢だぜ!
265 ◆YSssFbSYIE :2008/11/07(金) 01:04:43 ID:QZgBDgEr
>>222に書いたやつの続きというかそんな感じのを投下
3レス分
266名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 01:07:36 ID:QZgBDgEr
【その1】
俺の朝はとにかく早い。
あまり遅く起きると、妹が朝飯を作ってしまうからだ。
妹の体から出たいろいろな液体が、まったく隠れていない隠し味として
これでもかと混入されている、あの恐怖の朝飯が。
白いはずなのに、ほんのりと色づいているようなご飯や、
わかめと大根以外になにが入っているのかわからない味噌汁。
スクランブルエッグなんて、もはや怖くて直視するのすらためらわれる。
そんな恐怖の朝飯を回避するためには、早起きするしかないのだ。
そういう訳で、いつものように速攻で朝飯を食らい、
手早く身支度をして登校準備を進める俺。
そして玄関で靴を履くと同時に家の中が騒がしくなり、妹が慌てて起きてくる。
「兄上ドノ、起こしてくれないなんてひどいじゃないですかぁ」
ニタニタ笑いながら、長い髪を振り乱しながら、俺に挨拶する妹。
昨日も遅くまで起きていたらしく、目許にはどんよりとした隈ができている。
起きてなにをしていたのか。ナニをしていたのか。やはり怖くて聞けない。
「俺はもう学校行くからな!」
こんなキモい妹とは、一秒たりとも一緒にいたくない。
慌てて学校
「フヒヒッ!待ってほしいですよぅ兄上ドノ」
凄い勢いで身支度を始める妹。
バラエティ番組の早着替えなんて目じゃないほど、凄い速さで身だしなみを整えていく。
そうこうして俺が靴紐を結び終えて家から出た瞬間、
恐ろしい速さで着替え終えた妹が、玄関から飛び出てきた。
267名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 01:08:16 ID:QZgBDgEr
【その2】
「お兄ちゃん、お待たせ♪」
あんなにボサボサで貞子も真っ青だった髪は美しく整えられ、
慢性疲労の様相を呈していた目の下の隈も消えうせている。
猫背気味だった背筋もしゃんと伸び、
口調もねっとりまとわりつくようないやらしいものから、明るくハキハキしたものに変わる。

なぜ!家から出ると!妹は!こんなにも!かわいくなるのか!

家の中ではテレビのバラエティに出てくるようなアイドルオタクがかわいく見えるほど
キモくストーカーじみた変態女なのに、
一歩外に出ると、そのアイドルオタクに崇拝されるような、可憐な美少女に大変身。
もはや詐欺といっても過言ではない。
いまどきマンガでもこんなに容姿が一瞬にして変わるようなヤツはいない。
「あら、雅浩くんに優子ちゃん、おはよう」
「おはようございます!」
隣のオバサンの挨拶に、明るく返事をする妹。その笑顔はまぶしく輝いている。
昨日の夜、フヒヒと笑いながら「兄上ドノのブリーフ美味でござるぅ」
とつぶやきながら俺の使用済みブリーフをしゃぶっていた
変態キモオンナと同一人物とは本当に思えない。
268 ◆YSssFbSYIE :2008/11/07(金) 01:09:34 ID:QZgBDgEr
【その3】
明るく、元気で、そしてかわいい。それでいて品行方正、成績優秀。
だけど、ちょっとブラコンなのが玉に瑕。
それが妹・優子の対外的な評価。
しかし、それがこいつの猫かぶりだと知っているのは家族だけ。
もちろん、家族が止めることはない。むしろ奨励しているぐらい。
なぜなら美人妻で通っている母親も、親父に対しては似たようなものだからだ。
なんとも困ったもんだ。

「お兄ちゃん♪」
いつものように、俺の腕にその手を絡めてくる妹。
ニコニコと満面の笑顔で抱きついているように見えるが、よく観察すると鼻息が恐ろしく荒い。
なんでも「授業中に『お兄ちゃん分』が足りなくなってもいいように、いっぱい吸い込んでいる」のだとか。
「兄上ドノの髪のにおい兄上ドノの腕のにおい兄上ドノの腋のにおいぃぃ」
と小さな声でつぶやいているのが怖すぎる。
逃げ出したいが、逃げ出すとこの前みたいに道の真ん中で泣かれる可能性もある。
いつものように朝から憂鬱になりながら俺は、
妹から開放される唯一の楽園、学校を目指して歩くのだった。
269 ◆YSssFbSYIE :2008/11/07(金) 01:10:06 ID:QZgBDgEr
そしてうっかりその1とその2にトリつけわすれ(´・ω・`)
270名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 01:13:59 ID:zKHQl/jC
GJです

しかし隠しきれない隠し味wwwww。
271名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 01:32:39 ID:Td+mv2GF
続くのか!GJ!
272名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 02:09:30 ID:Ar4J1UvB
GJ!
フヒヒ、兄上どのの学校編がしりたいドゥフフw

しかし今日は大漁だぁぁぁ!!!
273名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 03:45:58 ID:eru+2osq
>>269
GJ!
「兄上ドノのブリーフ美味でござるぅ」で噴いたwww何故に武士口調www
274名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 05:20:43 ID:MjAWoFsm
GJ…
275名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 06:04:48 ID:eAVr0Wth
もう続くしかないな、フヒッ
GJ!
276名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 06:20:43 ID:914lVJFU
正に文字通りのキモウトwww
これは良いなww
277名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 19:48:20 ID:2MnuDXC3
>>269
もちろん続くよね?
278名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 20:20:37 ID:k78RekAp
ねえたnオモシロいww
とらドラ思い出したwww
279名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 20:45:38 ID:dwkF5Byp
フヒッ

GJでござるぅ
280名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 23:01:40 ID:YQG1RQzy
濁点の位置のせいで最初「兄上ドノ」が「兄上ドン」に見えてしまい
武士口調もあってもはや妹が西郷隆盛にしか見えないwwwwwwwwフヒヒヒwwww
281名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 01:02:37 ID:ICP2MV59
つまり、ガチムチ西郷ドンにアッーされる話なのですね。わかります。
282 ◆YSssFbSYIE :2008/11/08(土) 01:39:22 ID:XdorAnKH
いまから>>268の続き投下
3レス分
283 ◆YSssFbSYIE :2008/11/08(土) 01:40:07 ID:XdorAnKH
【その4】
登校中、ずっと俺の腕に抱きついている妹は、すでに朝の風物詩と化している。
クラスメイトなんかは冷やかしてくるが、そんないいものではない。
なにせ、ずっと「兄上ドノ兄上ドノ」とうわごとのように繰り返される言葉を、
そばで囁かれているのだ。
もう少し俺の精神力が脆弱だったとしたら発狂している。間違いない。断言できる。
しかし、そんな俺への愛が過ぎてキモさがスパークしている妹も、
傍から見れば「大好きな兄の腕に抱きついて鼻歌を歌っている」ようにしか見えないらしい。
いったいどこを見ているのだろうか。目は節穴にもほどがある。
いや、これを節穴なんていったら、全日本節穴協会からクレームがくる。
そして昇降口で妹から解放されるのだが、そこからが大変。
なだめて、すかして、ようやく、しぶしぶ妹は教室に向かうのだが、
ちょっとでもこちらが隙をみせると、一瞬にしてまた抱きついてくる。
遅刻しそうになってもお構いなし。
なので、余裕を持って登校しても毎日教室まで全力ダッシュを余儀なくされる。
なんで朝からこんなに疲れなきゃいけないんだ、まったく。
284 ◆YSssFbSYIE :2008/11/08(土) 01:40:42 ID:XdorAnKH
【その5】
授業の合間にある休み時間も、一瞬たりとも気が抜けない。
授業終了のチャイムとともに、俺に向かってダイビングしてくることなんてザラだ。
渾身の体当たりを避けてもいいのだが、さすがに怪我されるのはいただけない。
このタックルを毎日のように受け続けていたせいか異常に打たれ強くなり、
ちょっとした自動車事故ぐらいでは動じなくなってしまった。
プロレスラーか、俺は。
家庭科で調理実習があったときは、毎回俺のところに作ったものを持ってくる。
持ってくるのはいいのだが、やはり何が入っているかわからないようなものは、
どうも口をつける気にならない。
しかし、敵もさるもの。周囲の目があることをいいことに、泣き落としやらなんやら女の武器を駆使し、
なんだかんだで俺にて寮を食べさせることを成功させてしまう。
普段持ってくるクッキーとかの焼き菓子なら、まだナニが入っていてもなんとかなるが、
今日のハンバーグなんて拷問に近い。
絶対細かく切った髪の毛とか、唾液とか、血液とか、皮膚とか爪とか入っている。断言できる。
泣き笑いながら「不確定名:料理のようななにか」をなんとか平らげる俺。
それを見てドゥフフ小さく低く笑う妹。
俺にしか見せない、あの気持ち悪いドブのような笑顔。
はやく誰か妹の本性に気づいてくれないだろうか。
285 ◆YSssFbSYIE :2008/11/08(土) 01:41:38 ID:XdorAnKH
【その6】
そんなキモく変態で鬱陶しい妹だが、嫌っているわけではない。
愛情の表現方法が一般の人と違っているだけで、彼女に悪気があるわけではない。
変態な部分さえなければ本当に自慢の妹だし、
最近はだいぶ発育もしてきて、外で見るとまぶしいぐらいだ。
窓の外に見える校庭で体育の授業にいそしむ妹は、
遠目からでもはっきりとわかるほどかわいく、
もしも兄妹じゃなかったら恋人になっていたのかもしれないと思うこともある。


「・・・・・・それはそれとして、なんだこれは!」
「兄上ドノぅ、すばらしい眺めでござるよぅホフフフフフ」
なんで俺は体育倉庫で縛られているのだろうか。
目の前には、学校指定の体育着に身を包んだ妹がいる。
ねっとりとまとわりつくいやらしい視線は俺の体、とくに下半身に注ぎ込まれ、
鼻息は恐ろしく荒く、時折よだれをすする音がかび臭い体育倉庫に響きわたる。
やけにズキズキ痛む頭で、なんでこんなことになったか、慌てて考えてみる。
もちろん、なんでこんなことになったか、まったく思いつかない。
さっきまで授業を受けていたはずなのに、
まるで途中のシーンをカットされたかのように、一瞬にして体育倉庫で縛られている。
天狗か?天狗の仕業なのか!?
いや、天狗ではなく妹の仕業であるのは間違いない。妹の仕業であるのは間違いない。
大切なことなので2度考えた。
しかし、これってひょっとして、本当にヤバい状況なのでは?
286 ◆YSssFbSYIE :2008/11/08(土) 01:42:40 ID:XdorAnKH
今日はここまで
287名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 01:46:58 ID:sPUIBtjL
すげぇwGJ!!
288名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 01:57:28 ID:Umh/BS0P
フヒャヒャヒャ
どこまでキモウトなんだw
ベネ!!!
289名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 02:02:45 ID:7a9rKy2w
そうか、これがブラコンとキモウトの境界線なのか
290名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 03:05:39 ID:iMU4P5wc
GJ!!
それにしても、ホントにキモイなwww
291名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 05:17:55 ID:ZEMcre8K
どうしてこうなってしまったのか気になる所
292名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 08:23:57 ID:Q0Imx5Hp
きめえww
GJ
293名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 12:00:33 ID:xlwOdRYA
このキモウトの前に泥棒猫が現れたらどうなるんだろう……
294名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 12:04:35 ID:yf2ZS1rY
お兄ちゃんのために西南戦争
295無形 ◆UHh3YBA8aM :2008/11/08(土) 15:24:22 ID:wE+e31Ox
投下します
296永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM :2008/11/08(土) 15:26:58 ID:wE+e31Ox
※※※

趣味。
鳴尾しろと云う人間の趣味を、僕はあまり多く知らない。
いみじくも甘粕櫻子が指摘したように姉は優秀な人間であり、オールラウンダーである。
だから、編み物や調理も上手く、それ故それらは趣味であるのか実用であるのか、判らない。
読書もそう。彼女は歴史書や思想書の類を読む事を好むけれど、蓄積された知識は将来への肥やしとし
て活用されるべきである、との考えから、そのまま論文に活かされる事が常である。
趣味も実益も不可分。
多分、それが実態だ。
「何故、別ける必要があるの?」
姉は僕の疑問にそう答えた。
定義付けやカテゴライズは必要に応じてされるべきであって、それ以外には用いても仕方がない、或い
は単純に不可能である、というのが、彼女の弁だ。
「歴史とは、いかに物事を多角的に捕らえ得るかにかかっている。安易な分類は思考の硬直を招き、視
野を極端に狭める結果になる」
という考えが根幹にある所為かどうかは判らないが、姉は決めつけの類を好まない。就中、状況不明瞭
な質問は、それが遊びの問答であっても嫌いであるようだ。
たとえば、
「貴方にとって、一番○○なのは、何ですか?」
こう云うものを特に厭う傾向にある。
「ガチガチの堅物がそんな事を云っても、冗談にしか聞こえませんよ?」
と、誰かが云っていたが、それはこの際置いておこう。
兎も角、そんな姉の不可分な行動の中で、数少なく趣味と断じられるものの一つが、将棋であった。
一体、鳴尾家の人間は先祖からして将棋を好む。
僕等の父親、は嘗てはプロ棋士になりたかったそうで、成人して後、対戦相手を家族に求めた。僕や姉
が将棋を覚えたのは、つまり、それが理由だ。
不可分――その話の続きじゃないけれど、月月の小遣いが紙幣一枚の父は、真剣で酒代を稼いでいるく
らいで、これも趣味と実益の合いの子であると云えるのかもしれない。
姉は真っ直ぐな人柄だ。
だから、それが武技であれ将棋であれ、外連味のない正統派の戦い方を好む。
今僕の目の前にある将棋盤――そこに配置された相手方の囲いは金矢倉。定石そのものである。
対する僕は穴熊一辺倒で、父などには、
「またそれか、性格が出てるなぁ」
と呆れられる事も少なくない。
盤の向こう側には、ドテラを羽織った姉が居る。
機嫌は良さそうだが、顔色はあまり良くない。
まだ、風邪が治っていないのだ。
それが少し心配だが、僕が一局指しているのは、つまり、療養中の姉の暇つぶしの相手としてだ。
彼女は恐るべき早指しである。
即断即決で駒を動かすが、総て理に適っている。
彼女の攻め方は『鋭い』と評すべきだろうか。
的確にウィークポイントにだけ、攻勢を仕掛けて来るのだ。
「クロはもう少し外に出た方が良い」
囲いを穴だらけにしながら、姉は笑った。
将棋か、リアルか、どちらの意味で云っているのだろう?
姉の部屋に入り浸って外出回数と時間が減っている事を戒めているのか。
それとも、防禦優先の僕の差し方に対してなのか。
或いは不可分な問いなのか。
質問の意図を察し切れないまま、意識を悲惨な戦場に向けて呟いた。
「父さんがね」
「ん?」
「桂馬の使い方が上手い奴に負けると、普通に負けるよりもストレスが溜まるって」
「待ったはしないわよ?」
「うん。まあ、知ってたけどね」
「そう。王手」
「・・・」
想像がつくだろうが、将棋でも姉には敵わない。
僕は肩を竦めて立ち上がる。
297永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM :2008/11/08(土) 15:29:09 ID:wE+e31Ox
「どこに往くの?」
「今し方、敬愛する姉君さまに、外に出ろ、と云われたからね」
「・・・私といる時は、外に往かなくて良いのよ?」
白く綺麗な腕が、きゅっと弟の服を掴む。
私といる時はって、貴女といる時が殆どな訳ですが。
そうツッコミたかったが、なんだか寂しそうな表情だ。妙な罪悪感が湧いてしまう。
僕は気持ちを切り替えるように、巫山戯た物云いをする。
「姉君さまは、舌の根も乾かぬうちに、前言を翻すおつもりですかな?」
「一面の事実は、イコールで総てに適用されるものではない。外に出るのは大切だけれど、今である必
要もすぐである必要もないわ」
「――母さんに買い物を頼まれているだけだよ。今日は卵が安いんだそうだ」
僕自身の意志では無い。
言外にそう云うと、姉は暗い表情を消して、真顔になった。
「母さんはどこに?」
「居間。煎餅囓ってるはず」
「そう少しお説教してくるわ」
眉を逆立てて起き上がろうとする姉を必死で押さえる。家の手伝いくらい、して当然だと思うのだが。
「家の事を家の人間がするのは当然。でも、子供に面倒を押しつけて親が怠惰でいて良いと云うもので
もないでしょう?」
正論だ、とは思うけれど、何故だか必死な感じがする。いや、単純に怒っているだけだろうか?だとし
たら、何に?

「鳴尾さんって、嘘が下手ですよね?」

場違いな。
この場にはないはずの、もの凄く柔らかい声が、背後から突然響いた。
良く知る、誰かの声。
目の前にある姉の顔が、不快そうに歪んで往く。
僕は頭を抱える。
何故ここにいるのかなんて、どうでも良い。どうか余計なトラブルに発展しませんように、と。
「素直にクロくんから引き離されるのが耐えられない、許せないって、云えば良いんですよ」
振り返れば、自称・姉がいる。
いつも通りの柔和な笑顔をした甘粕櫻子は、片手に洒落たビニル袋を下げて、僕に笑顔で微笑んだ。
「クロくん、こんにちは」
「あ、ど、どうも・・・」
肩越しに頭を下げる。
僕の後頭部から、鋭い声が飛んだ。
「クロ。不審人物とは口をきいてはいけないって、いつも云っているでしょう?」
「不審者じゃないですよ?私、この子のお姉ちゃんですから」
態とらしい動きで肩を竦める。
次いで、むにゅっと、柔らかい何かが背中に押しつけられた。背後から抱きしめられたようだ。
「ふふ〜。クロくんの感触、大好きです」
「いや、あの・・・」
僕もこの『感触』は嫌いではないけれど、居心地が悪いのは嫌だ。困る。
そう思った瞬間。
ひゅん、と僕の顔の傍を何かが掠めた。
「あんっ」
と、云う、とぼけた声がした。
僕の横を通り抜けた『何か』を、先輩は躱したようである。
「鳴尾さん、将棋の駒は、投げる為の物じゃないですよ?」
めっ、とか云って姉を叱る。
明らかに挑発する為の物言いだった。
「甘粕、クロから離れろ」
「赤い糸で絡まっているので、それは無理です」
「では、妄想を命ごと断ち切ってやろう」
姉の目が細くなった。
本気で怒っている時の、彼女の特徴だ。
甘粕先輩も身の危険を感じたのだろう。
「もう、冗談です。そんなに怒らないで下さい」
298永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM :2008/11/08(土) 15:32:14 ID:wE+e31Ox
自称の姉はアッサリと戒めを解くと、手に持っているビニル袋を差し出した。
これをどうぞ、と、優雅な動きで将棋盤の上に置く。
挑発の限りを尽くしておいて、それを無かった事にするかのように。
「お風邪を引いてるって聞いたので、お見舞いに来たんです。早く治して下さいね?」
「見舞い?お前が私の為に?」
「いいえ。クロくんの為ですよ。だって早く治してくれないと、クロくんにうつっちゃうかもしれない
じゃないですか」
にっこり笑ってそんな事を云う。
この人、場を掻き回しに来たのだろうか。
度重なる侮辱に怒り横溢する実姉は、病床から偽姉を睨み付ける。
「見舞いなどいらない。さっさと帰れ」
「これ、『Euclase』のミルクプリンなんですが」
「見舞いを置いてさっさと帰れ」
「鳴尾姉弟はいつ見ても飽きないですね」
ふふふ、と笑い、甘粕先輩は歩き出す。まっすぐに、出口へと。
「また来ます」
「二度と来るな」
アッサリと。
あまりにもアッサリと、彼女は退出して往く。
(何だか気味が悪いな・・・)
そう思ってしまうのは、失礼だろうか。
「クロ」
「何?」
「買い物、往ってきて良いわよ。私はやることが出来た」
再び『不審者』の通行を許した身内を説教しに往くのだろう。
姉の顔色は悪いはずだが、怒りに塗り潰されてそうは見えない。
程程にしてあげてね、と呟いて、僕は和室から退去した。

廊下に出てすぐ、ズボンのポケットに違和感を感じた。
手を突っ込むと、かさりと音がする。
「何だ?何か入れてたかな」
出てきたのは、一枚の紙切れ。
それに目を通し、僕は頭を抱えた。
『大好きなクロくんへ。かどの公園で待っています。お姉ちゃんより』
「・・・」
すぐ帰る訳だ。
あの人、姉の目の前で堂堂と僕に誘いを掛けていたとは。
姉を怒らせたのも、目眩ましの為だろう。平静な状態ならば、多分気づくはずだから。
態態プリンを持って来たのも、『見舞』いを強調する為なのだろう。手ぶらでやって来れば、姉に逢い
に来た等と云っても、信用されるはずがない。
真に計算され尽くしている。
実は甘粕先輩のアドレスは、最近姉に抹消させられた上に、着信拒否登録させられている。
非通知設定や知らぬ番号がコールされた時は、自分に知らせるようにとも云われており、電話という手
段に抜け道はない。
我が愛姉は療養よりもこんな事に血道を上げているのだから、何とも嘆かわしい事である。
ともあれ、彼女が僕に誘いを掛けるとしたら、こうやって直接逢いに来るしかないはずだが、僕は姉と
いる事が多い。
特に、最近は具合の悪い身内の看病の意味もあるから、付きっきりに近い。
シャットアウトに相似した状態であったのだろう。
そう考えると、少し申し訳なくなる。
甘粕先輩は僕を可愛がってくれているのだし、往きすぎる行為は兎も角として、邪険にするのは忸怩た
るものがある。
だから僕は、消極的だが自発的に誘いに応じる事にした。
泣きそうな顔で娘に怯える母親から買うべき物のリストを貰い、外に出る。
足は商店ではなく、公園へ。
299永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM :2008/11/08(土) 15:34:49 ID:wE+e31Ox
近所の公園は名もない(あるのだろうが、僕は知らない)小規模な場所だ。
以前は遊具が狭そうに佇んでいたのだが、子供が遊んで怪我をしたらどうする!?というヒステリック
な抗議を受けて撤去されてしまった。
今はベンチと砂場しか無く、子供は消えて、犬の散歩をする大人や主婦等、高齢者しか見なくなった。
そんな場所に、スポーツカーが駐車されているのだから、目立って仕方ない。
オーギュオック。
それが、目の前にある車を作った会社の名前。
重工業から精密機器まで、技術部門を一手に牛耳る大企業だ。
『良い物だから、高く売る』を合い言葉にしていて、その通り、レベルの高いものを高価格で売りつけ
いるようだ。
値は張るが製品は確かなので、一部、高級志向の人間には人気があるという。
「この車、甘粕先輩のですか?」
待っていた人――甘粕櫻子に挨拶もせず、僕は質した。
「お姉ちゃん、て云って下さい。他人行儀は駄目ですよ?」
事が成ったからか、甘粕先輩は上機嫌で僕に腕を絡めた。
勝利者の余裕、とも云うべき笑顔である。
「買ったのはお父さんですし、名義もお父さんです。でも、乗り回してるのは、私ですね」
事実上の専用車と云う事か、と納得する。
この人の家は裕福だ。
雪見台に住んでいる訳ではないので、周囲からは成金の家と目されているらしいが、この人は当然、そ
んな評判を気にしない。それは美徳と云うべきだろう。
「私、柔術習っているじゃないですか」
嘗て、柔らかい先輩はそう云った。
「私の通っていた道場って、名門だったんですよ。技量も指導も一流でしたが、心根が腐れてまして、
名族にあらずんば人にあらず、を地で往く場所でしたから、一般人は迫害される傾向にありましたね」
あっけらかんと、そんな事を云う。
女子の苛めは、男のそれよりも陰険だと、彼女は笑う。
「辛くなかったんですか?」
「そういう日は、可愛い弟くんを抱きしめに往きました」
陳腐な僕の返答に、先輩は冗談で返した。
外見や声だけでなく、内面も柔軟なのだと再確認した。
「私は『やられっぱなし』ではいなかったので、そのうち待遇も改善されましたけど」
「された、ではなく、させた、じゃないんですか?」
「ふふ〜。どうでしょう?」
と、彼女は笑顔で云って、それから僅かに目を落とす。
「・・・でも、仲良かった娘は、自殺しちゃいました」
「――そんなに、酷い環境だったんですか?」
「酷いかどうかは相対的なものですけどね、その娘、光陰館(こういんかん)の寮暮らしでしたから、
道場にいなくても辛かったのかもしれませんね」
「・・・」
光陰館。
この街の人間ならば誰もが知る名門校の一つ。
最高峰の学府ではあるが、家柄や血統に対する差別が激しい、と評判のある場所だ。
伝統や風習とは、一人歩きする怪物である。これらを御し得る者こそが、本物の貴族なのだと、しろ姉
さんは云っていた。
「先輩は強いですね」
「そう思いますか?」
「だって、耐えて往けたんでしょう?耐久力も、強さのうちだと思いますけど」
僕がそう云うと、先輩は眉をハの字にして笑った。
どこか寂しそうな笑みだった。
「慣れているだけですよ。感覚が鈍磨しているんです」
「慣れている?」
「私、道場に通う以前から差別されていましたから」
差別?
先輩が?
「それって、どういう――」
先輩の人差し指が、開きかけた後輩の唇に触れた。
彼女はちいさく首を振る。
僕は、それ以上何も聞けなかった。その資格がなかった。
300永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM :2008/11/08(土) 15:37:23 ID:wE+e31Ox
「私には、可愛い弟がいます。それだけで、充分なんですよ。それだけで、どんな事にも我慢出来るん
ですよ」
そして、彼女は今も僕の横で微笑んでいる。
えっちな身体をしっかりと腕にくっつけて、上機嫌に。
「クロくん、最近鳴尾さんにばかり構っていて、私には全然じゃないですか」
見かけ上は拗ねたように云う先輩に、取り敢えず頭を下げる。最近全然、と云うのは、事実だ。
「いや、その・・・すみません」
「許しません」
罰です。
そう云って、ぎゅ〜っと、頬を押しつけてくる。柔らかい。
「え〜と、恥ずかしいんですけど」
「罰ですからね。幸福である訳がないです」
(甘粕先輩、凄く嬉しそうな顔してるな・・・)
えへへ、とか云ってる。
僕は気持ちを切り替えて、姉を自称する昔馴染みに向き直る。
「それで先輩、今日は一体どうしたんですか?」
「お姉ちゃんが弟に逢うのって、理由はいらないと思いますけど」
「それはそうでしょう。でも、ただ逢いに来た訳じゃないんでしょう?」
「せっかちさんですね、ここじゃなんですから、移動しましょう?」
にっこり笑うと、、彼女は僕を車に乗せる。
否。押し込んだと云うべきか。
「あの、僕には買い物が・・・」
「気にしない、気にしない」
彼女は笑顔で遮って、法定速度を上回るスピードで爆走を始めた。

やって来たのは、飲食店が軒を連ねる大通り。
以前に仏蘭西料理を御馳走になった『trahison』がある区域だ。
本日連れ去られて来た場所は、『ふく禮』と云う名の、ふぐ料理店である。
トラフグを主に取り扱う高級店で、調理には時間がかかる。
早く帰らないと姉が心配する、僕がそう告げると、甘粕先輩は一瞬、むぅ、と頬をふぐみたいに膨らま
せて、それから人の良い笑顔をつくった。
勿論、人が良いのは表面上だけである。
「鳴尾さんの欠点の一つは、お説教が長い事です。怒りの度合いに連動して延長する傾向があります。
ですから、クロくんのお母さまには、お菓子を差し上げておきました」
つまり、姉の目から見れば、賄賂に見えるように状況を操作した、と。
説教が長引けば、時間の経過も忘却される。
きちんと計算してある訳だ。
「それは判りましたけど、間食は一寸・・・」
「食べた後、運動すれば良いです。何なら、裏通りの方に往きますか?」
裏通りには、ラブの付くホテルが密集している。
「やん。何云わせるんですか」
とか、頬に両手を添えてクネクネしてる人がいる。
スルーさせて貰おう。
どうでも良いが、この人、先程から白子酒を痛飲しているが、飲酒運転するつもりなんだろうか。お
酒には頗る強いらしいが、酔ったふりをして抱きついて来る事があるから、警戒はしておくとしよう。
「それでですね、クロくん」
すすすす・・・と、身体を寄せて来る。
僕は距離を置こうと試みるが、それよりも早く捕捉されてしまった。
「デート先を決めたいんですけど、どこか希望がありますか?」
「・・・唐突ですね」
「唐突じゃないですよ?この間、仏蘭西料理食べた帰りに、お願いしたじゃないですか」
「あー・・・」
そう云えば、そうだった。
奢りになった代わりに、そんな話をしたはずだ。
そう思った瞬間、僕の背筋が冷たくなった。
今いる場所。
それを思い知る。
「・・・まさか先輩、今日の『ここ』も奢りですか?」
「はい。お姉ちゃんが御馳走しちゃいますよ。気にせず食べて下さいね?」
301永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM :2008/11/08(土) 15:39:46 ID:wE+e31Ox
「・・・今度は何を要求するつもりですか?」
「要求だなんて、人聞きが悪いですよ」
(否定しないって事は・・・)
文字通り、これは『餌』だ。
僕は再び蜘蛛の巣にかかったらしい。
「いや、自分で払います」
「クロくん?」
甘粕先輩は気味の悪いほど柔和な笑顔を『作って』、僕に抱きついた。
「ここ、すごぉ〜く高いんですよ?お財布の中に、福沢翁が何人いますか?」
「・・・」
そこいらへお使いに往くだけだった僕に、持ち合わせなどあろうはずもない。
判っていて。
それを見越して、夜討ち朝駆けに僕を『攫った』のだ。
勝敗は既に決している。
戦略的勝利を確定されてしまえば、戦術的勝利は困難で、また多くの場合、無意味だ・・・と、しろ姉
さんが昔云っていたなと思い出す。
僕がガックリ首を垂れ下げると、先輩は忖度したのだろう。より上機嫌になった。
「クロくんは、良い子ですね」
「先輩は悪い子ですね」
「も〜。酷いですよ。それで、お願いがひとつあるんですが」
おいでなすった。
「何でしょう。無茶はやめて下さいね?」
「無茶じゃないですよ。天凜を活かして欲しいだけですから」
「天凜?」
僕が首を傾げると、甘粕先輩は「ええ」と頷き、笑顔で笑った。
「絵を一枚――描いて欲しいのです」

※※※

結局、僕の右手に買い物袋がぶら下がるまで、二時間強を要した。
ふぐは美味しかった。悔しいくらいに。
ともあれ、時間的には早期に解放されたと云うべきだろう。
「しろ姉さん、怒っていなければ良いけどな・・・」
早く帰って来い、という電話はなかった。
これは姉にしては珍しい現象だ。
そんなに説教が長引いているのだろうか?
卵の入った袋をぶらぶら揺らしながら考えていると、丁度家から着信があった。
(しろ姉さんかな?)
多少の説教は覚悟しよう。
そう思って電話に出ると、届いたのは、母の声。
取り乱したようなその声を聞いて、僕の頭が真っ白になった。
母はこう云ったのだ。
「至路が倒れた」と。
302無形 ◆UHh3YBA8aM :2008/11/08(土) 15:41:46 ID:wE+e31Ox
投下ここまでです
では、また
303名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 15:42:05 ID:HIN5028E
無形氏キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
304226:2008/11/08(土) 15:46:34 ID:qNwmmh0G
>>302
待ってましたぁーーーーッ!!!
リアルタイムで投下見ちゃったよ。 今日は運が良いナ
また次回3ヶ月後?の投下を心よりお待ちしております
305名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 16:06:33 ID:yMOxj5vD
>>302
GJです!!

しろ姉ぇえぁあああ(;Д;)
306名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 16:12:54 ID:zaP6N7Dk
無形氏超GJ!
いつもいつも楽しみにしてるッ!
307名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 17:47:54 ID:H/92fnRP
>>302
GJ
姉さん元気にな〜れ
308名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 18:18:17 ID:29kTo5PJ
無形氏の文章を読む時は
解らない単語を調べながら読まなくちゃいけないから困るww

GJ!!
俺も姉さん元気にな〜れ
309名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 19:24:45 ID:pi403ZFx
地の文もう少しなんとかしたほうがいい
310名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 19:52:37 ID:e0UlaT3G
無形氏キテターー!!
いつもながら語り口が絶妙ですねw!
そして姉さん元気にな~れ
311名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 21:47:01 ID:I1Rs3unL
無形氏ktkr!

姉さん元気にな〜れ
312名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 22:00:24 ID:kXCs6ef2
羊みたいに死んじゃうの(´;ω;`)
313名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 22:02:22 ID:UbtVE98w
千砂は一砂と一緒に生きていって欲しかった…
314名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 22:05:43 ID:zaP6N7Dk
やっべ、オレ言ってねーや…。
姉さん元気な〜れ!
315名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 22:13:39 ID:XdorAnKH
姉さん、大丈夫だよね(´・ω・`)

元気になーれ
316名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 23:28:39 ID:ndEBnOux
「ぁは。あなたはおとなしく病院のベットで天井のシミでも数えていればいいんです
 ゆ っ く り 元気になーれっ!」

ってビジョンが浮かんだ
317名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 00:46:03 ID:Gri+Bhbb
待ってました!
でも不安な展開……。よし、俺も俺も
姉さん、元気になーれ!
318名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 01:14:43 ID:K1++jnCs
お前らが全力で送った元気は姉を僭称するあのひとが受け取っている予感
319名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 01:29:23 ID:+MOi9HmV
脳いっ血だな・・・・・・たぶん
320 ◆YSssFbSYIE :2008/11/09(日) 03:01:47 ID:uZpUjlSR
3レスほど投下
321 ◆YSssFbSYIE :2008/11/09(日) 03:02:38 ID:uZpUjlSR
【その7】
「兄上ドノがいけないでござるよぅドゥフフ・・・・・・
あんな目で見られたらわたしもガマンの限界でありますよぅ」
もしかして、授業中の暇つぶしにちょっとだけ眺めた体育の授業のことか!?
たしかにチラッと見たけど、その視線に気づくなんて凄すぎるぞ。
超能力か?
「兄上ドノの視線でキュンときて、小生のムスメもグチョグチョのネトネト、昇天寸前でござるよぅ」
フンフンと鼻息荒く、学校指定のハーフパンツをグイと引き上げ、股間に食い込ませる妹。
食い込んだハーフパンツはじっとりと濡れ、準備バッチリ臨戦態勢デフコン1といったところ。
興奮しすぎているのか、口調はさらにおかしくなり、
武士なのかスポーツ新聞のエロレポートなのかよくわからないものになっている。
体は美少女、頭脳はキモオタエロオヤジ。どこかの名探偵もびっくりだ。
あふれでるよだれをすする音、フンフンと荒い鼻息、そして時折漏れる不気味な笑い。
「あー、優子さん?ちょっと落ち着きなさい」
「これ以上ないぐらい落ち着いているでござるよぅ」
いや、全然落ち着いていない。
「まずはですね、この俺を縛っている縄跳びを解いてほしいなぁ・・・・・・?
 と思うのだけど、どうでしょう?お兄ちゃんの提案は」
「逃げようとしてもそうはいかんざきフヒヒヒ」
どうあってもこの戒めを解く気はないらしい。
これ以上ない大ピンチ。どうするどうするどうする君ならどうする?
322 ◆YSssFbSYIE :2008/11/09(日) 03:03:22 ID:uZpUjlSR
【その8】
跳び箱やらボールかごやらに両手両足を縛りつけられ、
ブリーフ一丁で身動きが取れない俺。
そんな雅浩ちんピンチな状況などおかまいなしに
スンスンと鼻を鳴らしながら股間へと顔を近づける妹は、
決して触れず、それでいて息の荒さが感じられる絶妙な距離を保ちつつ、
俺の股から立ち上っているらしい芳醇な香りを堪能している。
「熟成されたチーズのようなすばらしい香りぃぃぃ。
よだれが止まらんでござるよぅホフフフフフフ」
いやいや、昨日もちゃんとお風呂できれいに洗ってますよ?
下着越しにわかるようなにおいなんてするはずがないのだが。
たぶん。きっと。おそらくは。
兄上のおみ足スベスベツルツル!スベスベツルツル!」
においをかぐのに飽きたのか、こんどは太ももに頬ずりをはじめる妹。
その速度は頬ずりというには速すぎ、むしろ体を使った乾布摩擦レベルの域に達している。
「えーと、優子ちゃん?
・・・・・・そろそろ解放してくれないと、 お兄ちゃん、優子ちゃんのこと嫌いになっちゃうなぁ」
『嫌いになっちゃう』の言葉にびくりと体を震わせ、
この世の悲劇をすべて見てしまったような瞳を俺に向けてくる。
「きらいに・・・・・・・・なる?」
時計仕掛けの人形のように、急に動きがぎこちなくなる。
目からは生気が失われ、虚空を見つめながらうわごとのように
「嫌われちゃった嫌われちゃった」と繰り返しつぶやきはじめた。
たった一言で、ここまでショックを受けるなんて、なんて極端なんだ。
「でも、もし俺を解放してくれたら、嫌いになるのやめようかなぁ・・・・・・?」
「・・・・・・ほんと?」
普段の薄汚れて澱み腐った笑顔ではなく、希望の光を追い求める澄んだ瞳。
「お兄ちゃんが嘘ついたことあるか?」
ぶんぶんと凄い勢いで首を振る妹。千切れるぞ。
「じゃ、ほどいてくれるな?」
うん!とかわいく返事をする優子。ああ、いつもこうならかわいいのに。
323 ◆YSssFbSYIE :2008/11/09(日) 03:03:55 ID:uZpUjlSR
【その9】
こうしてなんとか妹をなだめすかしだまくらかし、ようやく開放されようかとしたそのとき、
なんという不運か致命的なアクシデントが起きてしまった。
狭い体育倉庫でバランスを崩した妹が慌てて手をついたのだが、
その手をついた先が・・・・・・なんと俺の私設秘宝館。
男の子の一番大切なものをぐにゃりと押しつぶされる感触に、
なんとも情けないあげてしまう俺。
俺にとっても本当に痛いが、それ以上にショックだったのは妹のほうで、
ようやくオフになったスイッチはまたオンになってしまったようだ。
一難去ってまた一難ぶっちゃけありえない。
制服着てない俺は全然タフじゃないので、このピンチは乗り越えられそうにない。
ここからの打開方法を灰色の脳細胞で必死に考えてみても
『このあとお兄ちゃんはおいしく妹に食べられました』エンドしか思いつかないのが情けない。
両手をワキワキ動かしながら、俺の鉄塔へと襲い掛かる妹怪獣ユウコ。
いよいよ最後です、さようなら、さようならみなさん!
324 ◆YSssFbSYIE :2008/11/09(日) 03:04:50 ID:uZpUjlSR
ここまで
書いてるうちに、なんだかよくわからないものになってしまった(´・ω・`)

そういや、直接行為はどこまでOKなのか、気になるところ
325名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 03:58:36 ID:oVGJ6i6e
口調が部分になる部分がたまらんでござる
326名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 03:59:57 ID:oVGJ6i6e
うはwwwミスったw

口調が普通になる部分がたまらんでござる
327名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 07:41:53 ID:J2QPXSG0
無形氏キテタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!!
投下お疲れ様です!

キモキモウトもGJ!
328 ◆7d8WMfyWTA :2008/11/09(日) 08:21:26 ID:fqOuGLaE
投下します
329ノスタルジア  ◆7d8WMfyWTA :2008/11/09(日) 08:24:56 ID:fqOuGLaE
秋日高校は旧制の中学校を前身とした歴史ある高校であり、広い敷地の中には十数年前に建てられた新校舎と、それ以前に使われていた旧校舎とがある。
新校舎が灰色のコンクリートで固められた、いわゆる普通の学校建築であるのに対し、旧校舎は重厚な赤茶色の煉瓦造りの建物で、その趣のある外観は戦前から連綿と続く高校の象徴の一つともいえた。
新校舎が建てられて以来通常の授業に使われることは無くなったが、いくつかの部活が部室として教室を利用し、またいくつかの施設が中に入れられてもいる。
その施設のうちの一つに、秋日高校第二図書室があった。
秋日高校の膨大な蔵書のうち、今となっては誰も読まない本のみ残して書庫として維持されることになったのが、この第二図書室であった。
木の本棚には立派な装丁の本がぎっしりと積まれ、古い紙のどこか懐かしい香りが漂っている。
赤茶色の煉瓦が剥き出しになった壁面には大きな窓が並び、旧校舎の中庭から夕日の光を招き入れているが、それでもどこか薄暗い。
その窓際の、これまた古めかしい机を、澄川文雄と澄川千鶴子、そして夏江統治郎の三人が囲んでいた。
机の上には、千鶴子が持ってきたデジタルハンディカムが置かれていた。
その小さな画面に流れている映像――ガラス戸の向こうに蠢く男と女の姿に、統治郎は呻き声をあげ、頭を抱えていた。
「おい……おい……これは何の冗談だ? 冗談だろ? 冗談だと言ってくれ……」
「現実ですよ、夏江さん」
統治郎の呻きに、千鶴子が応じた。
「彼女の言っていた人殺しとは、堕胎のこととみて間違いないでしょう。この交わりの中でも、以前妊娠をしたと思われる発言をしています」
三人のほかは誰もいない部屋の中に、千鶴子の声が響く。
絶望的な表情で画面を見る統治郎と対照的に、千鶴子はいつものすまし顔だった。
「どうしますか、夏江さん」
「どう……とは?」
「美山叶絵さんのことです。彼女について、まだ調べてみますか? あるいは、現状がお気に召さないなら、何らかの手を打ちましょうか?」
ただ、と続いて、千鶴子は文雄の顔を見た。
「その場合、また文雄さんが私に付き従うよう言っていただく必要がありますけれど」
千鶴子の視線に、文雄は思わず顔を背けてしまった。
昨日の、あの信じがたい出来事が頭をよぎった。
叶絵が虐待を受ける様を見ながら、実の妹の口による愛撫を受け、射精してしまった。
相変わらず千鶴子は平然と文雄に接してくるが、文雄は以前よりもさらに千鶴子を避けるようになっていた。
なので、統治郎が首を横に振ったときは、心の底からほっとした。
「いや、昨日の今日でここまで調べてくれただけで十分だ。後は俺が何とかする。何とかしなきゃ駄目なんだ」
統治郎は決意に満ちた目で言うと、立ち上がった。
「この映像はどうしますか?」
「ああ、千鶴子ちゃんが持っててくれ。俺みたいなおおざっぱな人間が持っていたら、どうなるかわかったもんじゃない」
「では、必要になった時には言ってくださいね」
「ああ。それじゃあ……」
鞄を引っ掴み、今にも駆け出して行こうとする統治郎に、文雄が声をかけた。
「お、おい、どこに行くんだよ」
「こうしては居られん。今夜もあいつは叶絵を弄ぶかも知れないんだ。叶絵に会いに行く」
言うが早いか、統治郎は走って図書室を出て行ってしまった。
後に残されたのは、文雄と千鶴子の二人きり。
机を挟んで向かい合う二人の間に、さらに赤みを増した日の光が射した。
330ノスタルジア  ◆7d8WMfyWTA :2008/11/09(日) 08:25:52 ID:fqOuGLaE
「残念だったわね、文雄さん」
「……何が?」
「夏江さんが居れば、私と二人で帰ることにならずにすんだのに」
「何をわけのわからないことを……」
「……」
「帰るぞ」
無言で見つめてくる千鶴子の視線を避けるようにして、文雄は机の脇に置いた鞄を手に取り、席を立つ。
出口に向かって歩き出したその腕を、追いすがった千鶴子が掴んだ。
五本の細指が、学生服にしっかりと食い込む。
その意外な力強さに、文雄は思わず千鶴子の方を振り返っていた。
「な、何だよ……」
「文雄さん、さっきほっとしたでしょう」
「さっき?」
「夏江さんが、私の申し出を断った時よ。これ以上私と一緒に居なくて済むって、安心したでしょう」
「そんなことは……」
言いかけて、文雄は口を閉じた。
自分を見つめる、強い光の宿った瞳。
その瞳の前には、どんな嘘もごまかしも無意味だと思った。
「ああ……」
「どうして? そんなに私と一緒にいるのが嫌なの?」
「……聞きたいのはこっちだよ。何でそんなに俺を付き従わせたがるんだよ」
「昨日も言わなかったかしら。文雄さんが私を避けるから、傍に置いておこうとしているだけよ。文雄さんが私を避けなければ、何もしないわ。悪いのは初めに私から離れた文雄さんなんじゃないかしら」
「た、確かに避けてたのは悪いと思うよ。けど……そもそもお前があんなことするから……」
「あんなことって?」
真顔で千鶴子は聞いてきた。
「私、何か悪いことをしたかしら?」
「そ、それは……お前……」
「文雄さんとセックスしたいと言ったり、文雄さんのアレを口でしたりしたことかしら」
表情を変えずに言い切る千鶴子に、文雄の方が赤面してしまった。
なぜこの娘は感情を動かすことなくこんなことを口に出来るのか。
「……そうだよ。だから俺は……」
「わからないわ。私がそうしたことでどうして文雄さんが私を避けるのか。そんなにいけないことなの?」
「いけないことに決まってるだろ!」
「そう言うわりには……」
千鶴子が文雄の胸に顔を埋める。
図書室の床に伸びた影が一つに重なった。
「文雄さん、しっかりとここを固くしていたわよね」
千鶴子の手は、文雄の股間に触れていた。
文雄は慌てて離れようとしたが、千鶴子はもう片方の腕を文雄の背中に回し、それを許さなかった。
「文雄さんも気持ちよかったのでしょう? だったらいいじゃない」
「良くないだろ! お前、おかしいぞ!? 何であんなことするんだよ! ああいうことは、軽々しくするもんじゃ無いだろ!」
「これも場合分けよね」
千鶴子は淡々と言った。
331ノスタルジア  ◆7d8WMfyWTA :2008/11/09(日) 08:27:23 ID:fqOuGLaE
「文雄さんの中では、ああいったことは軽々しくすることではない。ではなぜ私はあんなことをするのか。
一つは、私が文雄さんとは違った考えを持っていて、ああいったことを軽々しくしてもいいと考えている。私が淫乱な女である場合。
もう一つは、私が文雄さんと同じ考えを持っていて、それでもああいったことをした場合。どちらだと思う?」
「お前は……俺と同じ考えだと思う……けど……」
文雄の言葉に、千鶴子は微かに笑みを浮かべる。
「後者だとしたら、さらに考えなければならないわね。軽々しくすることではないと考えているのに、なぜ私は文雄さんに対してあんな言動をとったのかを」
「それは……」
「単純な話、私にとってあれらの言動は、軽々しい動機のもとで行われたものじゃないということになるわよね。ねえ、文雄さん……」
千鶴子の体が文雄から離れる。
手はしっかりと文雄の腕を掴んでいた。
「その動機が何か、わかる?」
「え……」
「わからない?」
「また……『面白いから』か?」
千鶴子の手に一瞬力がこもり――
「そうね。わかってるじゃない」
いつもと変わらぬ声で、そう言った。
「私にとって好奇心を満たすことはとても大切なこと。そして文雄さんは私にとっていつでも最高の興味の対象。だから文雄さんとセックスをしたいと思ったし、文雄さんに口唇愛撫をしたいと思ったの」
「お前……その考え方は普通じゃないぞ」
「普通じゃなくてもかまわないわ。私は自分の興味を追求することができて、文雄さんは快楽を得ることができる。双方に利益があるんだから、それでいいと思うけど」
「俺はいいとは思わない。今千鶴子が言った利益とやらよりも、自分の倫理観を侵される不利益の方が大きいんだ」
きっぱりと言う文雄を、千鶴子は目を細めて見た。
「倫理観、か……文雄さんはいつでもそれを一番にしているのね」
「千鶴子が好奇心を一番にしているのと一緒だよ。譲れるものじゃない」
「そんなもの後生大事にしても、何の得も無いでしょうに」
「前にも言ったけど、損得の問題じゃないんだよ。そうやって生きることが自分にとって一番心地よいからそうしてるだけだ」
「理解を越えるわね。まあ、だからこそ文雄さんは面白いんだけど」
微笑んで、千鶴子は文雄の腕から手を離した。
「先に帰ってて。私はここの戸締りをしていくから」
「……ああ」
気付けば床に伸びた影もだいぶ長くなっていた。
入り口へと歩き、図書室の扉に手をかける。
その文雄の背中に、千鶴子が声をかけた。
「文雄さん、今まで私が、自分の興味の対象を諦めたことがあったかしら」
「……」
文雄はそれには答えず、図書室を出た。
332ノスタルジア  ◆7d8WMfyWTA :2008/11/09(日) 08:29:05 ID:fqOuGLaE
どうやれば千鶴子の興味を自分からそらせられるのか。
それ以前に、性的なものに強い関心を寄せるのはよろしくないと諌めるべきなのか。
あの不思議な妹との関係をどうすればいいのか。
文雄はその夜悩みに悩み、結局ほとんど眠れないまま学校に行くことになった。
いかにも疲れた顔で教室の戸を開いた文雄だったが、そこにはさらに疲労を顔に滲ませた統治郎の姿があった。
「おい、酷い顔だな。どうした」
文雄が声をかけると、統治郎は苦笑した。
「お前もなかなかに酷い顔だが……そうか。俺はそんなに良くない顔をしているか」
「一応言っておくと、顔の造りが悪いとかそういう意味じゃないからな」
「なかなかの冗談だ。少しは元気が出たかも知れん」
はっはと笑うも、いつものような覇気が無い。
「……叶絵ちゃんのことか?」
「まあ、そうなるな」
「昨日話をすることはできたのか?」
「できたにはできたが……」
良い内容ではなかったことは、統治郎がその姿で物語っていた。
二人はその日の午前の授業に出るのをやめて、第二図書室で休みながら話をすることにした。
「とりあえず、叶絵に言ったんだ。その……虐待されてるんだろうって」
「言ったのか……」
「ああ。お前たちの名前は出していない。俺が金を払って独自に調査を依頼したことにしてある」
「それで、どんな反応だったんだ?」
「そこが問題なんだがな……」

統治郎に家の近くの公園に呼び出され、作蔵との関係のことを言われた叶絵は、顔を青ざめさせた。
「それを言って……どうするつもりなの?」
「どうもこうも、かなちゃん、お前を助けたいんだよ」
統治郎は必死になって言った。
「夏江の家に来い。今なら俺はかなちゃんを守ってやれる。あの男からも、他の親戚からも……」
彼の言葉に偽りは一切無く、ただ自分の大切な従妹を助けたいという思いに突き動かされていた。
しかし、対する叶絵の態度は冷たいものだった。
「別にいいよ、守ってもらわなくて」
「かなちゃん……」
「そうだよ。確かに私はあの男にやられちゃってる。毎日毎日。でも、今更気にしたってしょうがないし」
「……辛くないのか、今の暮らしが」
統治郎の問いに、叶絵は顔を伏せた。
「辛いよ……凄く辛い」
「だったら……!」
「作蔵さんはね、心臓を患っているの」
「……?」
「私が居なくなったら、一人になっちゃう。一人になって、きっとそのまま死んじゃうよ」
ぽつぽつと呟く叶絵の肩を統治郎は力強く掴んだ。
「あんな奴……あんな奴、死んだところで、何がいけないっていうんだ!? あいつはお前を……!」
「確かに最低な人だけど、誰も居ない時にあの人が家族になってくれたのは事実なんだよ」
「でも、それで辛い思いをしているんだったら、恩を感じることなんて無いだろ!? あいつはそもそもお前をいいようにするために家族になっただけかも知れないだろ!」
「そうだね……たぶんそう」
統治郎の熱い叫びに対して、叶絵はあくまで冷めた口調だった。
「でもいいの。私は美山叶絵で居る」
「かなちゃん……」
「統にい、もう私にはかまわないで」
「そんなことできるわけ……!」
言いかけて、統治郎ははっとした。
叶絵は涙を流していた。
まるでそこに太い杭が刺さったかのように苦しそうに胸を押さえて。
「私は、この生き方で、大丈夫。これが一番なの。だから……放っておいて」
肩に置かれた手を振り切るようにして、叶絵は駆け出した。
統治郎は彼女を追いかけることはできなかった。
333ノスタルジア  ◆7d8WMfyWTA :2008/11/09(日) 08:29:45 ID:fqOuGLaE
「なあ、文雄、俺はどうすればいいんだ? あいつを放っておくべきなのか? 辛くても、あの生活を続ける。それがあいつの望みらしいんだ。俺はそれを受け入れていいのか……?」
「いや、良くないだろ」
頭を抱える統治郎に、文雄はきっぱりと言った。
「あれは立場の強さを盾にした虐待だよ。本人が辛いと言ったのなら、そこから救い出してあげるべきだと思う」
「しかし、辛くても、今のままでいいと言ったんだ」
「本人がいいと言えば、麻薬漬けになることも自殺することもいいって言うのか? 俺はそんなの絶対に認めんぞ」
文雄の口調が熱の篭ったものになる。
統治郎は黙ってその言葉を聞いていた。
「辛くても今の状態がいい? 辛くない方がずっといいに決まってるだろ。彼女は今よりも幸せな未来があることを知らないだけだ。お前がそれを教えてやらないでどうするんだよ」
「文雄、お前は……本当に真っ直ぐだな」
「そんな考え方は疲れるだけだとか無駄だとかってんなら言うなよ。いつも千鶴子に言われてうんざりしてるんだから」
統治郎は苦笑した。
「そんなこと言うかよ。改めて、凄い奴だと思っただけだ」
そう言って、膝をぽんと打った。
その表情から迷いは消えていた。
「よし、となると、どうやって叶絵を救い出すかだ。文雄、何か良い方法はあるか?」
「美山さんは十五歳を過ぎているから、養父母を自分で選べるし……本人を説得するのが一番いいんだろうけど……」
「あの様子だと、それは難しそうだ」
「話を聞くに、そうだろうな」
どうしたものかと文雄は考えた。
結局、本人が現状を受け入れてしまっている以上、外部から無理矢理作蔵と叶絵を引き離す以外方法は無いように思われた。
「警察か児童相談所に相談するのが一つ。あとは……美山作蔵と直接話をするのが一つかな」
「作蔵に?」
「ああ。あまり大事にすると、美山さんの周囲にまで話が伝わる可能性がある。美山さんも、学校の人たちに自分が性的虐待を受けていたことを知られたくはないだろう。
だから、警察や相談所を介さないで、美山作蔵に内密に話をしにいく。虐待の事実を警察に知られたくないなら美山さんを解放しろ、とね」
「なるほど……」
統治郎は頷いた。
「いずれにせよ、例のビデオは必要か。あれを持っているのは千鶴子ちゃんだよな」
「ああ」
「千鶴子ちゃんは、何か手を打とうかとも言っていたが……」
「俺があいつに付き従えばな」
文雄と千鶴子が何やら複雑な関係にあることは、統治郎も気付いていた。
千鶴子は頼りになるが、親友である文雄に無理を言うのは、統治郎としても本意でなかった。
「……わかった。今回は千鶴子ちゃんに頼むのはやめておこう」
「そうしてもらえるとありがたい。お前にまた土下座された日には、俺は断り切れないからな」
話がひと段落付くと、昨晩眠りの浅かった二人を猛烈な睡魔が襲った。
「おい統治郎、床で寝るのって意外と気持ちが良いぞ」
「お、本当だ。冷たくていいもんだな、こりゃ」
そうして、男二人は、図書室の床で午前中を寝て過ごした。
334ノスタルジア  ◆7d8WMfyWTA :2008/11/09(日) 08:31:00 ID:fqOuGLaE
二人が起きたのは、昼休み、いつものように教室を訪れて兄の不在を知り、学校中を探し歩いた千鶴子が、第二図書室にたどりついてからだった。
「……二人、死んでいるのかと思った」
千鶴子は、弁当の重箱を机の上に置き、起きたばかりの二人に食べるように勧めた。
「どうぞ」
「ありがとう、千鶴子ちゃん」
統治郎は喜んで手をつけたが、文雄は腕を組んだまま動かない。
「どうしたんだ、文雄。美味いぞ」
「……俺は先日、千鶴子にもう弁当は作らないでいいと言ったんだ。だからいらないよ」
それを言ったのは二日前の話。
腹が減っているとはいえ、自分の言を簡単に翻すのは、文雄の好むところではなかった。
「文雄さん、何をするにしても、食は大事よ。考えるのも、動くのも、元になるエネルギーが無ければできないのだから」
「後で適当に食べるさ」
「また購買のパンを? おなかは膨れても、栄養なんて無いのに」
「それで十分だよ」
「強情ね、相変わらず」
文雄と千鶴子の視線が机を挟んでぶつかる。
先に折れたのは、千鶴子だった。
「仕方が無いないわね……」
軽く息をつき、改めて千鶴子は文雄に問うた。
「それで、どうして授業を休んだりしたの? 夏江さんが文雄さんをよろしくない遊びに誘ったのかしら?」
「い、いや、違うぞ、千鶴子ちゃん。授業よりも大切なことがあってだな……」
慌てて否定する統治郎に、千鶴子はしかし、冷たい態度を崩さない。
「授業よりも大事なこと?」
「なんだっていいだろ。それより千鶴子、例のビデオ、統治郎に渡してやってくれ」
「なるほど」
文雄の言葉に千鶴子が頷いた。
「叶絵さんのことね。夏江さん、昨日会ったんだものね。どうだったのかしら?」
「……」
文雄も統治郎もすぐには答えない。
黙り込む二人に、千鶴子は苦笑めいた表情を浮かべた。
「警戒されているわね。大丈夫、ただ話を聞くだけだから、文雄さんをどうこうとは言わないわ」
「助言や協力を求めたら?」
「前に言ったように、相応の報酬をいただくことになるわね」
文雄はため息をついた。
「だったらお前に話す意味は無いだろう。その報酬とやらを払う意志が俺に無い以上、聞かせるだけで得るものがないんだから」
「助言くらいだったら、このお弁当を残さず食べるという条件でいいんだけど」
文雄は少し考え込んで、頷いた。
「……わかった。残さず食べよう」
「そうしてちょうだい。文雄さんの体が食品添加物に侵されていくと思うと、私も気が気じゃないから」
「お前は俺の保護者かよ……」
「年齢からすると、女房と言う方が正しいんじゃないかしら」
ひたりと見据えて言ってくる千鶴子に、動揺してしまう。
その心の動きを悟られないように、文雄は努めて落ち着いた声を出した。
「またお前は……そんなに俺で遊ぶのが面白いのか?」
「そうね」
千鶴子はどこか穏やかな雰囲気になり、改めて聞いた。
「それで、叶絵さんとの話はどうなったの?」
「それがだな……」
応じたのは統治郎だった。
統治郎は先ほど文雄にした話を、今度は千鶴子に語って聞かせた。
335ノスタルジア  ◆7d8WMfyWTA :2008/11/09(日) 08:31:46 ID:fqOuGLaE
「なるほど。叶絵さんはそんなことを言っていたの」
納得したという風に、千鶴子は頷いた。
「それで、あのビデオを欲しがるということは、二人でどうにかしようと考えているわけね」
「……美山さんを助けるにはあれが必要なんだよ」
「助ける、ね。文雄さん、私なりに助言をさせてもらうと、彼女とはもう関わらない方がいいわよ」
眉をひそめる文雄に、千鶴子は淡々と言った。
「みんな不幸になるだけだから」
「……どうしてだよ」
「彼女は、辛くても放っておいて欲しいと言ったんでしょう? ならそうしておくのが一番よ」
「その辺は統治郎とも話したけどな。本人がいいと言ったからって放っておけるものじゃないだろ」
「それにしたって、文雄さんのやり方はよろしくないわ」
「どこがどうよろしくないんだよ」
「それを言うのは協力の域にまで入ってくるわね。文雄さんがまた一つ、条件を聞いてくれるというなら話すけど」
重い沈黙が訪れた。
いかにも不快そうな表情で妹を見る兄。
まったく気にした様子も無く、いつもながらの無表情でその顔を見つめる妹。
両者を間近にして、統治郎は心中穏やかではない。
「その条件っていうのは、俺に付き従えとか、そういうやつか」
張り詰めた空気の中、先に口を開いたのは文雄だった。
「そうなるわね」
「だったら駄目だ」
「文雄さん、悪いことは言わない。今度の件については、私を頼った方がいいわよ」
「そうだな、お前は本当に良くできた妹だし、頼れるものなら頼りたいよ。だけどな、その条件は呑めない。俺はお前の好奇心を満たすためにいるわけじゃないんだ」
統治郎が聞いているため、文雄は表現に気を遣って千鶴子に言った。
「お前の望むところは、俺が許容できる物事の範囲を逸脱してるんだよ」
「それはわかってる。普通に言っても聞いてもらえないとわかっているから、こうして取引の形をとっているんじゃない」
「……千鶴子、お前はさ。この先ずっと、何かあるたびに、こうやって俺を取引で縛りつけようとするのか? 自分の欲求が満たされない限り、ずっとこうやって……」
「ええ。ずっとずっと、私の願いが叶うまで、最大限の努力を続けるでしょうね」
千鶴子は自らの両手を開き、見つめた。
「そして絶対……逃がしはしない」
虚ろな眼差しだった。
見慣れたはずの妹の姿が、突如異質な、触れてはいけない何かのように感じられ、文雄は思わず席を立った。
その文雄を、千鶴子の妖しく揺れる瞳が見上げた。
「どうするの?」
「どうするもこうするも無い。自分の力で解決しなければならないんだってことが、よくわかった」
絶対に、千鶴子の力を借りては駄目だと思った。
今力を借りているようでは、これから先の人生でも困難に出くわすたびに千鶴子に助力を請うようになり、いつか絡め取られてしまう。
「お前なんて居なくてもやってみせるさ」
「いいのかしら、そんなことを言って。後で状況が不利になった時に泣きついたとして、条件はさらに厳しいものになるわよ」
「……そもそも、お前の言うとおりに、みんな不幸になるとは限らないだろう」
「なるわよ。私には見えるの」
実際、千鶴子の言葉を信じる理由は何も無い。
不安を煽るようなことを言ってはいるが、明確な根拠を口にしてはいないのだ。
しかし、千鶴子の知性に裏打ちされた言葉には、不思議な重みがあった。
得体の知れない恐怖感が文雄の胸に湧き上がり、やはり千鶴子の助力を得た方がいいのではと考えてしまう。
美しく澄んだ双眸。
虚ろで、底の見えない黒い色。
幼い頃、千鶴子はこの瞳で、足をもいだ虫たちがのたうちまわる様をじっと見ていた。
そして今、彼女は自分を見つめている――
文雄は恐怖感を振り払うように、はっきりと言った。
「俺は、お前の玩具にはならない」
そのまま去ろうとする文雄に、千鶴子が声をかけた。
「文雄さん、お弁当」
「……!」
「どうぞ」
手渡される弁当の包みをひったくるようにして、文雄は図書室を出た。
336ノスタルジア  ◆7d8WMfyWTA :2008/11/09(日) 08:32:22 ID:fqOuGLaE
「おい、いいのか、文雄よ」
統治郎が文雄に追いついたのは、旧校舎から新校舎への渡り廊下を半分ほど行ってからだった。
文雄はいつになく早足で、感情が揺れていることが見て取れた。
「いいのかって、何がさ」
「千鶴子ちゃんとのことだよ。あんな言い方は……」
「俺だけじゃ不安か、統治郎」
しかめ面で言う文雄に、統治郎はアホかと応じた。
「そんなことを言ってるんじゃない。兄妹なんだから、もっと仲良くした方がいいと言ってるんだよ」
「俺だって仲良くしたいさ。でも、あいつにその意志が無いんだからしょうがない」
「千鶴子ちゃんは、お前に避けられて寂しかったから、あんなことを言ってるんだろう。いいじゃないか、一緒に居てやれば……」
「お前は、あいつが本当はどういう奴か知らないからそんなことが言えるんだよ!」
文雄の勢いに押されて、統治郎は思わず一歩引いてしまった。
確かに、先ほど図書室の中で、千鶴子にどこか違和感を感じはした。
二人の会話が、何かを隠してのものだということも、何となくはわかった。
しかし、何が文雄をそこまで怯えさせるのか、事情を知らない統治郎には理解できなかった。
統治郎の中では、千鶴子は稀に見る出来の良い娘という認識のままであった。
「……なあ文雄、千鶴子ちゃんと、何があったんだ?」
「あいつの悪い癖が俺に向いたんだ」
「悪い癖?」
「何でも自分のいいように弄ぼうとする。それを見て心から楽しんでいるんだよ、あいつは。昔からそうだった」
憎々しげに文雄は言った。
以前から抱いていた不安が確信に変わり、文雄は千鶴子への負の感情を昂ぶらせていた。
自分や両親も千鶴子にとってはただの観察対象に過ぎないのではないか。
自分が千鶴子に家族としての愛情を抱いていても、千鶴子は何の感情も抱いていないのではないかという不安。
考えすぎだと思った時もあった。
しかし、今回の件で、やはり千鶴子は自分を弄ぶ対象としてしか見ていないことがわかってしまった。
文雄はどこか裏切られたような気持ちだった。
「統治郎、美山さんの件、俺に任せてもらえないか?」
「仮にも俺の従妹だから、後は俺がなんとかしようと考えているんだが……」
「頼む、やらせてくれ。俺の手で解決したいんだ。俺自身が千鶴子の言葉を覆す力を持っていることを証明したいんだ。そうじゃないと、俺はこの先ずっと……千鶴子の言葉に怯えることになる」
勝手なことを言っているとはわかっていた。
断られても仕方がないと思っていた。
しかし、統治郎は、文雄の言葉にやや逡巡しながらも頷いた。
「そうだな……そもそも俺は叶絵を助けるか否か迷っていた身だ。お前に任せるのがいいのかも知れんな」
「すまんな」
「謝る必要は無いがな、成功させてくれよ」
文雄は頷いた。
それほど困難は無いように思えた。
ただ美山作蔵のもとを訪れて、例の映像を盾に、叶絵を解放する事を了承させる。
こちらが弱味を握っている以上、難しい交渉にはならない。
「ただ……美山さんがいる場ではできない交渉だな」
叶絵本人が恐れからか恩義からか、作蔵のもとを去ることに積極的でない以上、彼女が同席したら強気で押せなくなる。
そもそも、あの映像を出すこと自体気が引ける。
「統治郎、俺はもう、今から美山作蔵と話をしに行くよ」
「今から?」
「ああ、そうすれば、美山さんはいないしな。お前は放課後、美山さんを無理矢理にでもお前の家に連れて行ってくれ。それで全部終わる」
そう、全て終わる。
千鶴子の言うような不幸など、起こり得ない。
文雄は午後の授業も休んで、美山家を訪れる決意をした。
ただ、千鶴子との約束どおり、弁当を残さず食べることは忘れなかった。
337ノスタルジア  ◆7d8WMfyWTA :2008/11/09(日) 08:33:08 ID:fqOuGLaE
妙な感じがする。
統治郎がそう思ったのは放課後、一年生の教室に叶絵を訪れ、その不在を聞いた時だった。
「いないって……今日は学校に来ていなかったのかい?」
「いえ、早退したんです。体調が悪いからと言って……」
「何時ごろ?」
「五時間目の途中でした。授業中に、突然……」
叶絵の同級生から話を聞いた後、統治郎はすぐに叶絵にメールを出した。
そして、文雄にも。
双方から返信のメールは無かった。
「五時間目の途中……」
文雄が美山家に着いて話し合いを始めたとしたら、そのくらいの時間ではなかろうか。
どうしてよりにもよってその時間に、叶絵が学校を早退するのか。
奇妙な時間の一致が、統治郎の不安をさらに高めた。
統治郎は放課後のざわめきに溢れる校舎を走った。
向かった先は第二図書館だった。
扉を開けると、カウンターには千鶴子が一人座り、本を読んでいた。
それ以外、室内には相変わらず人は居ないようだった。
「あら、夏江さん、いらっしゃい。文雄さんなら来ていませんよ」
「その文雄の話なんだ!」
息を切らせて言う統治郎に、千鶴子は本を閉じた。
「お聞きしましょうか」
統治郎は、文雄が昼休みに美山家に交渉に向かったこと、五時間目の途中で叶絵が早退したこと、現在文雄とも叶絵とも連絡が取れないことを、矢継ぎ早に話した。
「というわけなんだが、どう思う、千鶴子ちゃん。俺は何だか嫌な予感がするんだ」
「どうもこうも、やってくれましたね」
言いながら、千鶴子はてきぱきと戸締りの準備をした。
「今日はもう閉館です。急ぎましょう」
校門を出てすぐに、千鶴子はタクシーを拾い、それに統治郎と共に乗り込んだ。
運転手に告げた行き先は、美山家だった。
「どれくらいかかりますか?」
「道路の混み具合によるけど、二十分くらいかね」
運転手の言葉に、千鶴子は小さく舌打ちをすると、統治郎を睨みつけた。
「夏江さん、なぜ文雄さんが行くことになったんですか? あなたの従妹の問題なのだから、あなたが行くのが筋でしょう」
それは、統治郎が初めて見る千鶴子の感情らしい感情だった。
剥き出しの敵意に動揺しながら、統治郎はあるがままを答えた。
「文雄が、自分に任せてくれと言ったんだ」
「文雄さんが? あの人はお節介でも、でしゃばりな人ではないはずですが……」
「それは……」
「何です? 遠慮なく言ってください」
統治郎は、昼休みに聞いた言葉を言っていいものかどうか迷ったが、千鶴子に促されて口を開いた。
「千鶴子ちゃんの言葉を覆す力を持っていることを証明したいと……文雄はそう言っていたよ」
「……!」
千鶴子は頭を抱えて呻いた。
「失敗……最悪の失敗だわ……私としたことが……」
綺麗な黒髪が方から流れ落ち、統治郎からその表情は見えなくなった。
ただ、喉の奥から搾り出されるようなかすれ声が、小さく聞こえてきた。
「でも予想外……こんな……もし……あの男……でも生きて……の場合……が……になって……利用……」
何を言っているのか、内容は掴めなかった。
ただ、千鶴子の様子が尋常のものではないことは、誰が見ても明らかであった。
「ち、千鶴子ちゃん、大丈夫かよ?」
話しかけても千鶴子は反応しない。
運転手もバックミラー越しに、気味悪そうに千鶴子を見ていた。
十分ほどして呟きが止まり、千鶴子は不意に顔をあげた。
「ち、千鶴子ちゃん?」
「はい?」
「大丈夫?」
「ええ、特に変わりありませんが、何か?」
統治郎の方を向いたその顔は、いつもの美しく整った澄川千鶴子だった。
338ノスタルジア  ◆7d8WMfyWTA :2008/11/09(日) 08:35:35 ID:fqOuGLaE
「運転手さん、止めてください!」
美山家近くの道に差し掛かった時、突如千鶴子が声をあげた。
言われた通り、数秒後にはタクシーは道の脇に停車する。
「夏江さん、払っておいてください」
財布を統治郎に投げて、千鶴子は転がるようにタクシーを降りた。
「文雄さん!」
千鶴子が見つめる先には、道を歩いてくる文雄の姿があった。
どこか憔悴したように見える兄に向かって、千鶴子は駆け出した。
「文雄さん!」
「……! 千鶴子……」
「良かった……心配したのよ」
「心配……?」
「あの男のところに一人で行っていたんでしょう? 怪我はしていない? 大丈夫?」
問いかけて、千鶴子は文雄の体に触れようとする。
が、その手を文雄はやんわりと押しのけた。
「ああ……うん。大丈夫だよ。気にしないでくれ」
「……そう?」
千鶴子は一歩引いて、まじまじと文雄の顔を見た。
「本当に、怪我はしていないのね」
「ああ」
「何もされなかった?」
「ああ、大丈夫だ。心配かけたな」
「そう……」
文雄は近付く千鶴子を拒絶するわけでもなく、ただ力なく問いに答えた。
そんな文雄を、千鶴子はそれ以上は追及しなかった。
しかし、文雄を見つめる視線はより鋭く、厳しいものになっていた。
「文雄! どうだった?」
遅れて統治郎もやって来た。
その問いかけに顔を俯かせ、
「駄目だったよ……」
文雄は言った。
「途中から、美山さんも来てさ。押し返されてしまった」
「やっぱり、叶絵はあいつに呼ばれて早退したのか……」
「今のままでいいんだってさ。もしあのことを他の人に漏らしたら、一生恨むとまで言われたよ」
そして、統治郎に向かって深々と頭を下げた。
「すまん」
統治郎は頭を掻いた。
「お前が押し切られたんなら、俺でもそうだったろうよ。何しろ俺は、叶絵を追うことができなかったんだ」
そうは言っても、統治郎の顔から落胆の色は隠せない。
文雄もそれ以上は口を開かず、気まずい空気が流れた。
「それについてはまたお話しするとして、今日はもう帰ってもよろしいですか? 文雄さんも疲れているようですし」
千鶴子が、文雄に寄り添いながら言った。
「あ、ああ。それじゃあ千鶴子ちゃん、タクシーを使ってくれ。適当な額を払っておいたから」
「夏江さんがですか?」
千鶴子は返された財布の中身を見て尋ねた。
「行きの分も払っていただいたようですね」
「ああ、気にせんでくれ」
「借りを作るのは好みませんが……今回はお言葉に甘えさせていただきます」
千鶴子は頭を下げて、文雄の手を引いた。
そうしてタクシーに乗り込むと、車内から一礼して去って行った。
後に残された統治郎は、少し先の高台にある美山の屋敷を見た。
「駄目だったか……」
春だけあって日は長く、ようやく西の空が染まり始めた頃合いだった。
「どうすりゃいいんだ……」
統治郎の呟きは、海風の中に消えた。
339ノスタルジア  ◆7d8WMfyWTA :2008/11/09(日) 08:43:58 ID:fqOuGLaE
家に帰ると文雄はそのまま風呂場に向かった。
「文雄さん?」
「ちょっと汗かいたから……風呂に入るよ」
「なら、湯船を入れるわ。少し待っていてちょうだい」
先んじて風呂場に向かおうとする千鶴子を、文雄が止めた。
「いや、シャワーでいいから」
「でも……」
「いいから! 早く入りたいんだよ……」
文雄の剣幕に千鶴子はそれ以上何も言わず、制服の上着を受け取って脱衣場を出て行った。
文雄は無言で熱いシャワーを浴びた。
とにかく、自分の体を洗い流したかった。
流れる温かい水の筋に沿って、自分の体を見る。
どちらかというと色白な肌の、ちょうど腹のところに、青黒い痣が出来ていた。
つい数時間前までは無かった痕を見て、気付いたら文雄は涙を流していた。
「最低だ……」
湯が床のタイルに跳ねる音の中に、震える声が響いた。
突如、浴室の扉が開いた。
立っていたのは、部屋着に着替えた千鶴子だった。
白のブラウスに、黒のスカートという姿のまま、千鶴子は浴室に入ってきた。
足だけは素足だった。
「な、何だよ……!」
「辛そうな声が聞こえたから」
言って、千鶴子は一歩文雄に近付く。
「べ、別にそんな……何も言ってないよ」
「ううん。文雄さんの辛そうな声が聞こえたわ。文雄さんがお風呂に入ってからずっとここに居たから、わかるの」
「ずっとここにって……」
浴室と脱衣場を隔てる薄いガラス戸。
その向こうで、妹がずっと自分の挙動を聞いていた。
何のために――
文雄は逃げ出したい衝動に駆られたが、既に壁際に居たため、それ以上千鶴子から遠ざかることもできなかった。
ただできることは、局部を見せないように壁のほうを向いていることだけだった。
「文雄さん、頭隠して尻隠さずね。いえ、ちょっと違うけれど……ともかく、お尻は丸見えよ」
千鶴子の言葉に、文雄は慌ててその場にしゃがみこんだ。
「お、お前な! 男の入浴中だぞ!? 何しに来たんだよ!」
「何しに? 決まってるじゃない。文雄さんの体を見に来たのよ」
千鶴子はしゃがんでいる文雄の両肩をがしりと掴むと、そのまま力任せに文雄を床に転がした。
「おわ……!」
堪えようとするが、駄目だった。
文雄はあっさりと仰向けにされ、ちょうど千鶴子に押し倒されるような形になってしまった。
340ノスタルジア  ◆7d8WMfyWTA :2008/11/09(日) 08:46:11 ID:fqOuGLaE
「しゃがんでいると、腰と足先の距離が縮まるからね。モーメントの問題。非力な私でも簡単に転がせるようになっちゃうのよ」
「お前、な、何を……」
「お尻を見せているだけの方が、まだ良かったかしら」
千鶴子は文雄に馬乗りになり、その体を見下ろした。
シャワーがあたり、白いブラウスの下の下着がうっすらと透けたが、気にした様子も無かった。
文雄は何とか千鶴子から逃れようとしたが、いわゆるマウントポジションをきっちりと取られていて、抜けられそうもなかった。
「文雄さん、怪我をしているわね」
千鶴子の指先が、文雄の腹についた青痣に触れた。
「どうしたのかしら、これは」
「……ずっと前からの怪我だよ」
「そんなはずはないわ。昨日の夜はついていなかった痣だもの」
どうしてこの妹は昨晩の自分の体の状態を把握しているのか。
文雄は疑問に思ったが、それを口にする猶予は与えられなかった。
「文雄さん、あの男に口止めをされたのでしょう」
「な、何を……」
「叶絵さんに押し切られた? だから何? 美山作蔵と直接話し合うことに失敗しただけなんだから、警察にでもなんでも行けばいいじゃない」
「あの事を他人に漏らしたら、美山さんは一生恨むって……」
「麻薬患者や自殺志願者に、止めたら一生恨むと言われたら、彼らを放置するの? 文雄さんはそんな考えの人ではないでしょう?」
文雄は口をつぐんでしまう。
千鶴子は文雄の両肩を押さえ、顔を近づけていった。
「正義感の強い文雄さんが、どうやって口止めされたのかしら」
千鶴子の吐息が文雄の頬に触れるくらいの近距離で、千鶴子が言った。
「暴力? ううん、傷は一つしかないんだから、それは違うわ。お金でもない。文雄さんはお金で動く人じゃない」
「……」
「ねえ、文雄さん、他に何があると思う?」
千鶴子の問いかけに、やはり文雄は黙ったままだった。
その様子に、千鶴子は、小さく体を震わせた。
「最悪……最悪だわ……」
文雄の肩を押さえる手に力がこもり、爪が皮膚に食い込んだ。
「はは……本当に……最悪……あははははは」
「千鶴子……?」
ついには喉の奥から笑い声まで漏らし始めた妹に、文雄の方が声をかけた。
「何が……おかしいんだ……」
「そうやって黙っていればわからないと思うの? 黙っているからこそわかることもあるでしょう。
文雄さんが私や夏江さんに相談もできない口止めなんて、限られているじゃない。
ねえ……ねぇ、どうして、叶絵さんはわざわざ学校から呼び戻されたのかしらね? 違うなら違うと言ってね? ねえ、文雄さん……」
ひたと、千鶴子の空虚な目が文雄を見据えた。
「あの女と、関係を持たされたの? それを撮られたりした? ちょうど、文雄さんが持っていったビデオのように」
「……!」
文雄の顔色が変わった。
それだけで、千鶴子には十分だった。
341ノスタルジア  ◆7d8WMfyWTA :2008/11/09(日) 08:46:46 ID:fqOuGLaE
「文雄さん……」
静かに呟いて、千鶴子は文雄の首元に噛み付いた。
白い犬歯が肌を突き破り、血が湯に溶けて流れた。
「ち……づこ……? 何を……」
千鶴子は答えない。
体全体で呼吸するようにして、ますます強く文雄の肩を首元を噛んだ。
食い千切らんばかりの勢いだった。
「や、やめろ……千鶴子……千鶴子!」
文雄の必死の叫びに、ようやく千鶴子は口を離す。
改めて文雄の上に跨り、冷たく見下ろした。
「文雄さん、どんな気持ち? 自分の力で何とかしてみせるだなんて言って、この様なわけだけど」
唇についた血を舌で舐め取りながら、千鶴子が言った。
「情けないと思わない? 申し訳ないと思わないの?」
「思う……思うよ……当たり前だろ」
文雄の目から涙が溢れた。
死にたいと思った。
全てを台無しにした自分を、本当に最低の人間だと思った。
「だから言ったじゃない。不幸になるって」
「……こうなることが、わかっていたのか?」
「文雄さんがこうなるとは予想外よ。だから最悪。私も最悪なの。自分の愚かさに反吐が出そう。あなたを穢させてしまった私が、憎い。心の底から……」
千鶴子は、文雄に覆いかぶさるようにして抱きついた。
「文雄さん、このまま諦めるの?」
「諦めるも何も……もう俺は黙っているしか……何かしようものなら、俺だけならまだしも、美山さんに迷惑がかかるんだ……」
「私と取引してくれるなら、あなたに降りかかる災難は全て排除してみせる。今回のことも、明日の朝には一夜の夢だったとなるように消し去ってあげる」
文雄は耳元で囁く千鶴子の表情を窺おうとするが、千鶴子にきつくきつく抱きしめられて、それはかなわなかった。
そのままでいると、千鶴子はますます腕に力を込めた。
「私と約束をするのが怖い? でも、文雄さん。あなたが我慢しさえすれば、叶絵さんは幸せになれる。夏江さんも。あの二人への償いの気持ちが少しでもあるなら、考えてみてもいいんじゃないかしら」
「……俺は、何をすればいいんだ……?」
「私を……私のことだけを、ずっと……」
言いかけて、千鶴子は口をつぐんだ。
「ううん。これから先、一日一回は、私の好奇心を満たすこと。それでいいわ」
その言葉の意味するところは、文雄にもわかっていた。
自分の倫理観に著しく反する行動をとることになるであろうことも。
しかし、既に一度信じるままに行動し、破れた文雄の心は、千鶴子の言葉をはねのける強さを有していなかった。
「……あなたの倫理観の拒むところのただ一つを受け入れるだけで、他の全てを守ることができるのよ」
「わかったよ……」
自分に抱きついたままの妹の温かい体を、文雄は震える手で抱きしめた。
結局、自分は逃げられなかったのだと思った。
「わかったから……助けてくれ、千鶴子……」
文雄は涙を流して言った。
千鶴子はそっと身を離し、そんな文雄の顔を見つめた。
「今日の好奇心は、これでいいことにするわね」
そのまま文雄の唇にキスをする。
貪るような、激しい、妹から兄へのキス。
それは、血よりもさらに濃く、真っ黒な関係の始まりだった。
342 ◆7d8WMfyWTA :2008/11/09(日) 08:47:25 ID:fqOuGLaE
今回はここまでです
343名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 09:14:24 ID:az5iTvgx
うをっ…ノスタルジア!?

俺は、夢を見てるのか……!?

ありがとう…ありがとうございます!!
344名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 09:15:46 ID:WNoRlWUl
GJ!! 千鶴子かわいいよ千鶴子
345名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 11:03:48 ID:lwo9D1ck
さいっこーーぅ!!キタキタキターー!!
ノスタルジアがキターくぁせpjふじこ

GJ!!
346名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 13:04:44 ID:uimoBKjM
>>324
特に制限はいらないのでは。
その気があるなら妊娠までいっちゃえ。
347名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 13:10:32 ID:+MD0D7gk
超GJ!
千鶴子サイコー!
348名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 14:08:43 ID:3WJknsn/
やっぱりssはこういうしっかりしたものじゃないとな
ノスタルジア、ずっと待っていたかいがあったぜ・・・GJJJ!!
349名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 14:09:19 ID:EJwwuyio
作品大量にktkr
まとめてで悪いのですがGGGJですっ!
350名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 15:54:38 ID:FHDJ2GWn
まぁ普通におもしろかった
351名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 19:10:46 ID:KIPFojDL
>>342
GJ!!!
保管庫から読み直してしまったぜ
352名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 22:13:18 ID:kpsuDRJR
ずっと待ってました。GJ!!
353名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 22:36:35 ID:kgbyD/Ep
イヤッホォォォオオオオオウ!
ずっと待ってた作品がキテター! GJGJ!!
354名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 22:43:27 ID:mLLJlW0/
>>324
GJ! 寸止めか!よろしい!全裸で待とう!

>>342
GJ! 関係の始まりってことは期待いいってことか!

もう脱ぐものないよどうしたらいいの
355名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 23:02:33 ID:y3BlH8VO
>>342
GJ!! すごく面白かったです。今後の展開も期待。
つい先日保管庫で読み直したばかりだったのでタイミングばっちりでした。
356名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 23:23:54 ID:o4t+ZX2K
読み応えあるなあ
GJとしか言えんぜ
357名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 23:46:57 ID:OTJVbR12
やはり策謀型のキモウトはいつ見てもいいものだな。
358名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 23:47:06 ID:SaRyuPXB
叶絵、ストックホルム症候群?
カワイソス……
359名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 23:50:26 ID:vHuxCQOy
Σ(∵)ノスタルジアキター!
360名無しさん@ピンキー:2008/11/10(月) 00:07:49 ID:MIti7iSR
この日をどれだけ待ったか・・・
ノスタルジアよ永遠に
361名無しさん@ピンキー:2008/11/10(月) 00:21:57 ID:o+jOjcQZ
>>342
キモウトによる浄化作業、楽しみです

>>360
それだとお蔵入りになっちゃうぞw
362名無しさん@ピンキー:2008/11/10(月) 02:47:44 ID:HluLaiEL
この投下ラッシュの勢いで、マリーさんもこないかな・・・
363名無しさん@ピンキー:2008/11/10(月) 13:44:23 ID:8pXNTJ+z
次は何が来るか・・・
364名無しさん@ピンキー:2008/11/10(月) 16:04:20 ID:GTqXGPBb
こんな時こそ全裸で正座待機。
今の季節は精神修行の一貫にもなって一石二鳥すぎる。
365名無しさん@ピンキー:2008/11/10(月) 19:43:26 ID:sMr3k2BP
今のうち修行して、キモ姉妹の攻めに耐えられるようにするんだ
366名無しさん@ピンキー:2008/11/10(月) 21:15:45 ID:o+jOjcQZ
キモ姉にお仕置きとして起きがけに顔面騎乗されたい

そのために前の晩に『三次元の姉はないわ』とか言ってみたい
367名無しさん@ピンキー:2008/11/10(月) 22:37:58 ID:8Xu7LXJh
しかし気付けば15スレか
ここまでくるとは…みんな飢えてたんだな
368名無しさん@ピンキー:2008/11/10(月) 22:44:08 ID:I8gh+dPQ
姉にキン肉バスターを仕掛けてリベンジバスターで返されたい…
そんな兄or弟でいっぱいだから、これからもスレは続いていくさ!
369名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 00:45:52 ID:6b+mPSWF
文雄は何がしたいんだ・・・
370 ◆YSssFbSYIE :2008/11/11(火) 01:41:11 ID:8dPwe1m1
投下
なんかエロ方面を目指したら別方向に行き始めた気がする(´・ω・`)
371 ◆YSssFbSYIE :2008/11/11(火) 01:42:08 ID:8dPwe1m1
【その10】
迫りくる妹の指はとうとう俺のブリーフの窓へとかけられ、
マイサンをまさぐるように引きずり出した。
小窓から元気なくこんにちはする我が分身。
さすがにこんな状況では勃つものも勃たないようだ。
しかしそんなことお構いなし、妹は俺のチ○コを指で撫で、はじき、こね、もてあそぶ。
いくら理性で耐えようとしても、そこは悲しいかな生理現象。
ムクムクと体積を増やし自己主張をし始める。
刺激を与えるとピクピクと勝手に脈動する肉棒でしばらく遊んでいた妹だったが、
なぜか突然合掌して俺のチ○コを拝みだす。
とてもいやな予感。
「えーと、なにをしていらっしゃいやがりますですか?」
「食べる前に『いただきます』は基本でござるよぅ」
いやいや、全然、基本じゃないから。
なんとかやめさせようと必死に説き伏せようとするものの、
スイッチオンになった妹が聞くはずもなく。
抵抗むなしく、俺の分身は美味しく食べられてしまうのだった。
372名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 01:42:52 ID:8dPwe1m1
【その11】
初めて体験する妹の口の中。
舌の動きやら絶妙な締めつけやら暖かさやら、
未知の快感に俺の脳はスパーク寸前になっている。
頭ではこんなことしてちゃいけないとわかっているのに、
あまりの気持ちよさに流されてしまいそうになる。
いや、すでに流されてる。どうにでもなれ。いや、なっちゃだめだ。
じゅぷりじゅぷりと粘液質の音が響きわたり、
妹の頭が動くたびに何とも言えない気持ちよさに俺のムスコも昇天寸前。
「ぁぅっ!」
ずん!とくる快感が背骨を貫き、頭の中が真っ白になる。
そして1人でハッスルしたときのフィニッシュに似たなにかが、下半身で弾けた。
意思と関係なくドクンドクンと脈動しながら、妹の口の中へと大量放出してしまう情けない俺。
その放出したザーメンを、嬉しそうに全部受け止める妹。
口の中いっぱいに溜めた精液を、その味とにおいを堪能するように舌の上でころがしているようだ。
そしてしばらくねちゃねちゃと音を立てて噛んでいたが、
堪能しきったのかごくりと飲み込んでしまった。
「17年モノザーメン、まったりとしてコクがあり、
 それでいてねっとりと舌にまとわりつくイカくさい風味、 大変おいしゅうございますぅ」
味の報告なんていらん。想像してしまったじゃないか。
373 ◆YSssFbSYIE :2008/11/11(火) 01:43:23 ID:8dPwe1m1
【その12】
「兄上ドノのザーメントロトロで、口の中が妊娠しちゃいそうでござるよぅ」
本当に口の中で妊娠したらそれはそれで凄いが、そういう報告は生々しすぎるのでやめてほしい。
「次はいよいよお待ちかねのメインディッシュの時間んんんんんんっ!」
キャーホホホと叫び笑いながら、優子はいそいそとショートパンツを脱ぎ始める。
まるでギャグマンガの1シーン。色気もクソもあったもんじゃない。
せめて、こう、はじめてぐらいはムードってものがあってもいいんじゃないか?
などと思ってしまうのは間違っているだろうか。
いや、そうじゃなく。実の兄妹同士でこういうことをするのはやはりいかん。
「えーと、優子さん? さすがに兄妹で本番行為はNGだと思うのですが・・・・・・」
さすがに禁断の兄妹愛をこれ以上発展させるわけにはいかない。
なんとかこの説得で正気に戻ってくれればいいのだけれども。
しかし優子は俺の言葉を聞くと笑いをピタリと止め、
普段俺に見せないような瞳で見つめてきた。
「・・・・・・優子のこと、嫌い?」
ああ、そんな目で俺を見るな。
ちょっとどころじゃなくかなりキモいが、それでもやっぱりかわいい妹だ。
そんな悲しそうな瞳で見つめられたら、抵抗する気がなくなっちゃうじゃないか。
374 ◆YSssFbSYIE :2008/11/11(火) 01:44:20 ID:8dPwe1m1
今日はここまで
本格的によくわからなく
もっと甘甘らぶらぶちゅっちゅ系を目指したはずなのに
375名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 02:08:28 ID:tVwrCf7J
GJ!! てか泥棒猫が出てきたら、このキモウトはどんな反応するのか
見てみたい!!!
376名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 03:08:49 ID:J058W/nm
彼を救う彼女は居ないのか!兄、絶体絶命の危機!

GJ!!!!!
377名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 06:17:51 ID:l8EtwdnX
短すぎだろ
書きためてから投下しろよ。三レスしかないのに短期間で何回も投下すんな
378名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 06:48:00 ID:T5kYQKzi
美味しんぼw
GJ
379名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 08:54:09 ID:ftUq+XQD
>>377
別にそんなルールは存在しない
380名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 12:25:39 ID:zMsDTQQb
GJ!
小出しにしてじらすなぁw
不定期にドーンとくるのもいいが細々投下も全裸で待ってる身には嬉しいもんだ
381名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 15:08:08 ID:a1KkUJ3+
キモ姉キモウト…



みんなの脳内で一番活躍してくれた声優さんは?
382名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 15:49:03 ID:hKfMch4W
はいはいスルースルー
383名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 15:58:13 ID:v3rhY+JS
姉の仕事場と俺の大学が近かったから一緒に住んでたんだが
1年ぶりに実家に姉と二人で帰省したとき

普段一緒に生活してるから姉との仲が以前よりもよくなっていた
妹は疎外感を感じたのかやけにかまって光線とかまってジェスチャーをしてくる
(一緒にゲームしようとか、この服見ろとか、休みだし映画つれてけだとかetc.)

俺「姉ちゃんと仲いいからヤキモチ焼いてる?」
妹「!!!!な!・・・・ん・・・・しょ!そんなことない!」
俺「図星か、噛みまくってるな」
妹「ちーがーうー!!!・・・・んなわけないじゃん」
俺「そっか、俺の勘違いか、スマンな。調子にのってた。・・・・んじゃ、姉ちゃんと遊び行っても大丈夫か」
妹「え、なんで!・・・・・あ、いや・・・」と顔を真っ赤にした時は抱きしめてやった

ぎゅっとされてイヤンイヤンする猫みたいに悶えてた
384名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 17:35:51 ID:4A4hry7c
>>383 鮮血の結末にならように平等に構う事をおすすめする
385名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 19:13:54 ID:j49tEWF6
>>381
無駄に改行すんなカス
386名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 20:08:07 ID:chXZRVAW
385 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/11/11(火) 19:13:54 ID:j49tEWF6
>>381
無駄に改行すんなカス
387名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 23:35:12 ID:OTz+QwdJ
>>383
キモさは少ないが普通に萌えるわなそりゃ。
つーかうらやましいから、キミの妹と姉が早くキモ姉キモウトに進化してくれる事を願うよ。
388名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 00:23:12 ID:0gbck54G
なんか近頃緒論イッちゃってる系のスレに変なの沸いてるな
389名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 00:38:22 ID:cSVdIyd9
>>387
キモ姉妹に尻を攻められているIDとは……
このスレ住人の鏡だ…
390名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 00:52:04 ID:ln8XSqrW
一度でいいから見てみたい 姉が下着を盗むとこ
391名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 01:44:14 ID:bAlea+jA
「あー明日ノート提出の日だ……、あれ?」
風呂上がりの政人が自室に戻ると、机の上にキャラクター柄の紙袋が置いてあった。
紙袋には同じキャラクターのメモが貼られ、「パンチュとってごめんちゃい(>_<)返しです」と書いてある。
(ねえたん…やっと返してくれる気になったのか)
この間、未来がパンツを盗んだ件を糾弾したのだが、彼女も少しは反省したらしい。
政人は紙袋を取ると封を開け、逆さまにして中身をベッドの上に落とした。
パサッ
出てきたのは、紙袋やメモと同じく、リボンを付けた猫がキュートなキャラクター物の男性用ブリーフだった。
「……」
政人はメモをもう一度見てみる。「返しです」と書いてあったはずだが…。
「あっ!」
政人は気付いた。
 パンチュとってごめんちゃい(>_<)“ぉ”返しです
―お返し?
盗まれたパンツは二度と返ってはこないことを知る。
新品のパンツを無駄にする訳にもいかず、政人は泣く泣く子猫ちゃんのパンツに足を通すのだった。
392おもろなし!:2008/11/12(水) 05:48:02 ID:sV6FjRlD

妹「返してよ〜!私のパンツ〜!」
兄「お前のじゃない!俺のだ!」
妹「お兄ちゃんの汚れたパンツは私のって決めたの〜!」
兄「そんな自己法律認めるか!」
妹「じゃあ、私の汚れたパンツあげるから〜!」
兄「んなもんいらん!…てか、パンツ全面ビチャビチャじゃねえか!俺のも!」
妹「しょうがないじゃん!お兄ちゃんのパンツ穿いたらそうなっちゃうんだから!」
兄「普通ならんだろ!普通穿かんだろ!もう、これは洗濯だな…ポイッ」
妹「あ!…あ〜あ、お兄ちゃん汁が洗い流されて…」
兄「いや、お前の汁だろ!つか、もうこんな事すんなよ。アフォ」
妹「じゃあ、これからはオナニーする時はお兄ちゃんに手伝ってもらうんだから!」
兄「んな事するか!これからは俺の使用済みティッシュで我慢するんだな」
妹「え!本当!」
兄「ただし…チーン!俺の鼻水だけどな…ほれ!」
妹「キャ!酷いよ〜!」
兄「ハッハッハッハッハ!」


妹(……エフッ…エフッエフッエフッエフッ…アハッ…ハハハハハ!ハハハハハ!鼻水だと…アハハハハハハハハハ!…ア〜……全然OK!)
393名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 09:14:46 ID:ncpQQQB6
オーガ吹いたw
394名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 09:26:17 ID:13u2xCm8
妹「ふむ、お兄ちゃんの圧倒的な性能に心を奪われた。それは恐らく、愛!!」
兄「愛?」
妹「そう、きっと愛!! 誰よりも歪んだ愛なのよ!!」
兄「違う。お前の愛はきっと違う愛」
妹「知らぬさ」
兄「?」
妹「いくら叫ぼうが今更!!これが定めさ。知りながらも突き進んだ道だろう?」
兄「それでも、」
妹「愛と信じ解らぬと逃げ、知らず聞かず!その果ての終局だ!もはや、止める術など無い!!
そして滅ぶ人は滅ぶべくしてな!! 」
兄「それしかお前が」
妹「うふふ、お兄ちゃん。妹がラスボスなのはお約束なんですよ!!」
兄「お約束って……」
妹「お前等、満足か、兄と妹が結婚できない世界で・・オレは嫌だね」
兄「テンションと台詞が変わりすぎだろ。お前!!」
妹「狙い撃つぜーーーーーーーーーーーーーーー!!」
兄「ああ、鋸で右腕を切断しないでぇぇぇぇぇぇ」








ちょっと、病院に行ってくる




395名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 12:45:31 ID:SZrb49vN
姉が千円で売られています。
妹が千円で売られています。
キモ姉が一万円で売られています。
キモウトが一万円で売られています。

あなたの持ち物は
五千円のペンダントと一万円の泥棒猫です。泥棒猫は笑っているようです。
持ち物を売ると50%で買い取ってくれます。

全部手に入れるにはどうしますか?
396名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 13:47:02 ID:HMsVlQAJ
泥棒猫に春を売らせて二万二千円稼がせる。

その後キモ姉達4人を引き取ってキモ姉にペンダントをプレゼント
キモ姉が1番大事だということをみんなにアピール。
その後泥棒猫が4人を買うために私が体を張ったから云々言って泥棒猫らしく擦り寄ってきて、
本妻になったキモ姉が始末しようとするが大切な女性にそんなことはさせられない。
なんだかんだでキモウトが泥棒猫を始末する。
こうして本妻キモ姉と皆の幸せを壊そうとした泥棒猫を始末したご褒美として
愛人になったキモウト、特に書くこともない姉妹と一緒に幸せに暮らしていきましたとさ
めでたしめでたし
397名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 14:04:18 ID:0Jv0STQ/
ペンダントを売った金で妹と姉を買って、あとは泥棒猫とイチャイチャすればいいって話じゃないのか?
そうすればキモウトとキモ姉は向こうからやって来てくれるだろう
398名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 17:14:05 ID:gUTLjZXK
姉と妹2つずつ買ってアイテム欄に纏めず戦闘後にお宝出たら姉妹と交換(ry→姉妹:た5(255)になってる筈なのでそれを全部売ってキモ姉キモウトを買う。
→選択肢でフラグ乱立させる
→泥棒猫とキモ姉妹の修羅場を堪能
→BAD END
→病んでてニューゲーム
399名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 17:46:37 ID:ap17anoy
アイテム欄ペンダントを装備した後に、その空欄を『なげる』で敵に当てダメージ0を確認。
そして『ぬすむ』or『ぶんどる』でペンダントを取得すると、ペンダントが99個になってるので、それを売ればOK
400名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 17:50:25 ID:nAl5eVNp
ここはFFの攻略スレでつか?
401名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 18:07:17 ID:aeAeMslF
だが、ちょっとワロタ
402名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 18:08:44 ID:4XuZafUT
3のアイテム進化技は重宝したよな
403名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 18:39:02 ID:ap17anoy
>>402ポーション99個にはお世話になった。
て訳で、進化するキモウトってのはどうだろう?
 最初は地味で幼児体型でたいして綺麗でもなかった妹だったが、
 「お兄ちゃん……私はここから先、男の人に抱かれる事はないと思うの。でね、このまま歳を取って処女で死んで行くなんて嫌なの! だからお願い……今夜だけで良いから、私を抱いて」
 と兄を説き伏せセックス。
 すると妹は、それからも兄を求める様になり、セックスを重ねる度にスタイルも顔もテクニックも良くなって行く。
 「お兄ちゃん、今の私はブラッディーソードだよー! だから吸わせてー!!」
 「何をだよ!?」
 「ナニを、よ♪」

 「早く私をオニオンソードにしてね♪」


 ……みたいな。
404名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 19:18:32 ID:kUeNqmL7
行きつく果ては神殺しの武器、『チェーンソー』だな。
405名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 22:51:49 ID:cXyf5pXV
とりあえずおまいらが30前後だと言うことは把握した。
406名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 23:58:22 ID:0WaAgBQX
サムライ!
サムライ!
ブシドーゥ!
407名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 23:59:14 ID:0WaAgBQX
誤爆した(´・ω・`)
キモウトに怒られてくる
408名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 00:01:59 ID:k6XCLZNs
お兄ちゃんはキモ姉にも優しい
409 ◆YSssFbSYIE :2008/11/13(木) 02:32:58 ID:U42uLVZt
投下
410 ◆YSssFbSYIE :2008/11/13(木) 02:33:58 ID:U42uLVZt
【その13】
「嫌いじゃない、嫌いじゃないけど・・・・・・」
妹のことは嫌いではない。むしろ好きだ。大好きだ。
しかし、大好きだからといって許されることと許されないことがある。
血の繋がった兄妹には、超えてはいけない一線があるのだ。
「嫌いじゃなかったら・・・・・・いいよね?」
だが、兄の心妹知らず。
優子の俺に対する愛の前には、血の禁忌などものの数ではなかった。
「だめだ!」
「だめだって言われても!」
ぐっしょり濡れたショーツを脱ぎ捨て、俺を見下ろすように立つ妹。
「もうね!お兄ちゃんと繋がりたくて!どうにもならないの!いいわね!いくわよ!」
もう逃げられない。逃げ出せない。
俺は優子の狂気の愛が宿る瞳の色と、露になった下半身に心を縛られ、
なすすべなく事が進むのを待つしかなかった。
もはやまな板の上の鯉、じたばたしてもどうしようもない。
そして優子は地の底から響くような独特の笑い声で、高らかに勝利宣言をするのだった。
411 ◆YSssFbSYIE :2008/11/13(木) 02:34:33 ID:U42uLVZt
【その14】
ゆっくり、ゆっくりと優子の腰が下がり、
意思と関係なくそそりたつ俺のジョイスティックに手が添えられる。
うまく入らないのか、2度、3度と強引に動かされ、
ようやくナイスポイントを発見したのか、ぐいっと優子の腰に力が入る。
亀頭部に伝わる、口とは違ったねっとりとした粘膜の感触。
そして棒のサイズと合わない狭い穴に捻じ込まれるような、独特のきつい感覚。
グフフと笑ってはいるが、妹は肩で息をしはじめている。
俺もはじめてだが妹もはじめてなのだ。
興奮して、我を忘れて、欠片しかない理性を吹き飛ばしたようだが、
痛みは妹を現実に引き戻そうと必死に抵抗する。
「痛いなら、やめよ?」
「ここでぇ逃げたらぁ女がすたるでござるよぅぅぅぅぅぅ」
いいからすたれ。まだ引き返せる。
しかし歯を食いしばり、痛みに耐えながら、強引に腰を落としていく優子。
ここまで必死になって俺と繋がろうとするなんて。その姿に感動すら覚えてしまう。
ふひーふひーと、いつものくぐもった笑い声や鼻息とは違う、痛みに耐える深い呼吸。
その呼吸を一瞬止め、そして大きく吸ったかと思うと、優子は一気に腰を落とす。
「ひぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」
大きくのけぞり体を震わせながら、妹は深く結合した痛みと喜びを全身で表現した。
ああ、阻止限界点を超えてしまった。さらば清らかな兄妹関係。
本当に清らかだったかどうかはわからないが。
412 ◆YSssFbSYIE :2008/11/13(木) 02:35:11 ID:U42uLVZt
【その15】
「兄上ドノと合体ぃぃぃぃぃぃ気持ちいぃぃぃぃぃぃぃぃ」
優子は痛みに涙を流しながら初体験の悦びを高らかに謳いあげると
まだズキズキと痛むだろうに、激しく腰を振りはじめた。
まるで乗馬マシーンに乗っているかのように、俺の上で跳ね、舞い、踊る妹。
肉同士が打ち合う激しいビートに乗せてぐちょりねちょりと粘液質の音がリズムを刻む。
気持ちいいといえば間違いなく気持ちいい。
そりゃ健全な男の子だもん。やりたい盛り。
しかし、それ以上に魂が吸い取られるような、ぞくりと冷たい快感が脳をしびれさせる。
そして今日2回目の射精。
「兄上ドノの赤ちゃんエキス、子宮にキュンキュン直撃でござるぅぅぅぅ」
どくどくと激しく脈打つ俺のモノから、一滴残らず搾り取ろうとする妹の女性器。
先ほどのフェラのときとは違う強烈な快感とともに、俺の胸の奥にどす黒い愛欲がたまっていく。
これが背徳の味というものなのか。初めての体験が禁断の蜜。
この先、長い人生でどんな女性とヤッたとしても、
たぶん妹以上の快楽をもたらしてくれる相手に出会えることはない。
そう思えてしまうほど、ヤックデカルチャーな初体験。
さらば普通の日々よ。もう帰れない。もう戻れない。
413 ◆YSssFbSYIE :2008/11/13(木) 02:35:55 ID:U42uLVZt
今日はここまで
414名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 03:11:25 ID:mchTS7Um
>>413
ナイスキモウト
415名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 03:12:33 ID:IZG0AtBE
書き溜めたらどうなんだ?
実際これ、ニレスでいけるじゃん
416名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 03:21:10 ID:j4CmWwuu
まあ、そのあたりは最終的に書き手さんの自由なんだろうけど
細切れ=内容少なくて投下回数多い=感想つけにくくなる
というのは頭の片隅で覚えておいたほうが良いかも
417 ◆YSssFbSYIE :2008/11/13(木) 03:29:40 ID:U42uLVZt
>>415
>>416
自分の書きやすさを優先しちゃってます、面目ない
418名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 03:43:02 ID:IZG0AtBE
書きやすいからこれからも細切れに短期間で投下するのか
なんで前回の分と合わせて投下できないんだよ
419名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 03:49:38 ID:j4CmWwuu
まあそう興奮するな
細切れで投下することの弊害は最終的に書き手自身が被るものだから
(レス番を若干早く消費する恐れもあるがエロパロ板では容量落ちの可能性が圧倒的に高いので問題なし)
自由でいいと思うぞ
420名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 03:51:33 ID:k6XCLZNs
なにキレてんだよ
別にいいじゃね
421名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 04:03:19 ID:IZG0AtBE
ん・・・そうか・・・
空気悪くして悪かったな
自分が書きやすいからとかいうからさ・・・
そりゃ、ニレス程度なら書きやすいだろうよ。でも例えば他の職人までやりだしたら嫌じゃないか?
すまん、連日やりやがるもんだから我慢できなくて・・・
422名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 04:07:38 ID:ZTAkZvIg
なんでそんなに上からもの言ってんの?
423名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 04:20:29 ID:U42uLVZt
>>418
前回の分とあわせて投下できないのは、
前回はおととい書いて、今回はいまさっき書いたから。
基本、書く=投下なので、こういう投下スタイルになっちゃってる。

なんか要らぬ争いを呼んだみたいなので、
今度からエディタかなんかに書き溜めてからにするよ
424名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 05:42:11 ID:F0RmKysG
キモ姉に糞不味い料理つくったらどうなるの?
425名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 06:09:26 ID:aoJvzxq4
爆発して星になる
426名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 08:50:09 ID:kBzu43/6
そして伝説へ……
427名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 09:23:38 ID:wt8J8som
って夢を見たんですね

>>423
別に争いを呼んだのは>>423ではないでしょw
428名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 09:28:42 ID:zFIGVPO6
〜新ルール〜

読み手は書き手に上から物をいわない!!あくまでもお願いする形で!!…OK?
429名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 09:45:52 ID:caY+XpiF
はいはいOKOK
ただで読ませてもらってる身だからある意味当然だけどな。
430名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 14:40:18 ID:kBzu43/6
読み手から書き手に限らず、全員がそうであるべきだろ。書き手なら上から目線おkってわけでもない。
上下関係じゃなく、スレの利用者全員がお互いを尊重したらいいじゃない。
431名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 14:47:59 ID:2bDjsywO
>>430
いい事言った!
某スレみたいにはなりたくないもんな・・
432名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 15:13:42 ID:LbI9kdc0
書き手は読んでもらっている
読み手は読ませてもらっている
双方がこれを意識すれば問題ない
433名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 15:52:54 ID:KJlm1PcU
読み手は可愛い弟を見守るキモ姉の気持ちで
書き手はかっこいいお兄ちゃんを見守るキモウトの気持ちで
それぞれ相手を思えばスレは平和
434名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 16:48:45 ID:xVSp3Pj8
うむ、和を以て尊しとなす の精神だな。
…出身校の校訓が役に立つ日が来ようとは…
435名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 17:20:28 ID:f1L9bbDe
ss読めればなんでもいいけどな
436名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 18:29:04 ID:k17T3qxe
みんな君みたいならいいんだが、お客様がいるから困るんだ…
437名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 19:30:53 ID:qJs5rqCo
>>434
報恩感謝の精神みたいなものか
438名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 20:45:33 ID:A1X/0y/w
>>434
もしや正門前に菩提樹とS太子の銅像のあるA工業大学附属高校か?
439 ◆U4keKIluqE :2008/11/13(木) 21:21:09 ID:F2MCW+dY
投下します。4分割です。
440転生恋生 第五幕(1/4) ◆U4keKIluqE :2008/11/13(木) 21:22:45 ID:F2MCW+dY
 今しがた本気で人を殺そうとした人間とは思えない乙女な表情の姉貴に、俺は投げやりに尋ねた。
「……それで、俺に何か用か? 俺は腹が減ってるんだが」
「そうだろうと思ってぇ、お弁当作ってきたの」
 そう言って、姉貴は2人分の弁当箱をかざしてみせた。魔法瓶も用意してある。こういう気配りはキモいくらい行き届いている。
 将来はさぞかしいい嫁になるんだろうが、「私はたろーちゃんのお嫁さんになるの!」と本人が言い張るうちはありえない話だな。
「一緒に食べようね」
 そういうことなら、機嫌を直してもらうためにも姉貴の厚意を受け取っておいた方がよさそうだ。
 どのみち食べ物を無駄にするわけにはいかないし、別々に食うというのは姉貴が許すはずがない。
 とはいえ、代償に体を要求されないよう警戒しないといけないな。本気でやりかねないから。
「ほら、屋上へ行こっ!」
 姉貴に引っ張られて、俺は屋上へ向かった。
 途中ですれ違った生徒は、大部分が知らない人だった。つまりは俺たち姉弟を知らないわけで、予備知識のない人からはカップルに見えるらしい。
 男子生徒からは妬ましげな視線を、女子生徒からは微笑ましげな視線を向けられた。
 男どもの視線の意味はわかる。姉貴が美人だから、単純に羨ましがっているんだろう。
 女どもの場合はどうなんだ? 恋する乙女に共感する気持ちか?
 だけどおまえら、これが実の姉と弟だと知ってもまだ同じ視線を向けられるのか? 俺は問いたい。
 毎日強姦魔予備軍と一つ屋根の下で暮らす俺の身にもなってみろ、と。
 いくら美人だろうが、実の姉だ。朝、目を覚ましたときに股間に顔を埋めてしゃぶられていたら本気で引くぞ?
 実際にそういうことが何度かあって、俺は反射的に膝蹴りを食らわせて逃れた。辛うじて、まだ「出した」ことはない。姉貴だと認識した途端に萎えるからな。
 問題は姉貴が腕力で圧倒的優位に立っているということだ。あれでも今のところは自制しているらしいが、本気で襲われたらひとたまりもない。
 今のうちに自衛策を見つけないといけないが、皆目見当もつかない。やっぱり、頑張って彼女を作って諦めさせるしかないか……。
 でも、雉野先輩みたいに姉貴が受け入れられない人は困る。べつに高校時代に付き合う相手とそのまま結婚するということはないだろうが、姉貴とうまくやっていける人でないと。
441転生恋生 第五幕(2/4) ◆U4keKIluqE :2008/11/13(木) 21:23:55 ID:F2MCW+dY
 そんなことを考えているうちに、俺と姉貴は屋上へ出た。幸か不幸か誰もいなかった。
 天気は快晴、風もなく、弁当を食べるのに何の支障もない。むしろ気分よくランチタイムを過ごせそうだ。さっきは肝が冷える思いをしたが、これも天の配剤かもしれない。
「えへへ、屋上でお弁当食べるのって、恋人同士の定番シチュエーションだよね」
 恋人じゃないって。確認するぞ? 俺たちは姉弟だから。日本国の法律で結婚は禁じられてるから。政経の授業で習っただろ?
「愛し合うのは自由だよぅ。べつに姉弟の間でデキたって、逮捕されたり、刑務所に入れられるわけじゃないし」
 愛し合ってないから! でも刑罰がないってのは穴があるな。罰則のない法律なんか守られるわけないのに。
「それじゃあ、食べよっか」
 姉貴に促されるまま、二人で並んで弁当を開ける。ケチャップで味付けした焼き飯がメインで、ポテトサラダと野菜の洋風煮込みが添えられている。うまそうだ。
「スープもあるよ」
 魔法瓶の中身は温かいコンソメスープだった。女子高生が作った弁当にしては出来すぎだろう。小学生の頃から台所に立っていたから、修練の賜物だな。
「どう? おいしい?」
 俺が箸をつけると同時に聞いてきた。
「ああ、うまい」
 実際、姉貴は料理が上手だ。万人受けするかどうかはわからないが、俺の口には合う。
「たろーちゃんのお嫁さんになるために頑張ってるんだから!」
 ……だから、そういうことを言うな。風味が落ちる。
 とはいえ、空腹だったこともあって食は進む。普段は食事も弁当も母親が作っているから、姉貴の料理を口にする機会はそれほど多くはないが、既に同等のレベルに追いついていると思う。
 あっという間に弁当箱を空にすると、姉貴が心底嬉しそうに微笑んだ。
「おそまつ様でした」
「……いや、うまかったよ。ごちそうさま」
 やばい。ちょっと胸にキてしまった。美人で料理がうまくて俺を第一に考えてくれて……。
 俺の人生で、この先こういう女に出会う機会はあるんだろうか。これでもう少し慎みがあって、何より血がつながってさえいなければなあ。
 年に数回はそう思ってしまう瞬間がある。今がまさにそれだ。
 ひょっとすると、危ないのは姉貴じゃなくて、俺の方かもしれない。何かの間違いで一線を越えてしまったら、俺の方が姉貴に溺れてしまうんじゃないだろうか。
 いやいやいやいや、それは絶対ダメだ。二人とも人生が台無しになっちまう。結婚できないのはもちろん、子供ができたら大変だ。
 肉親である以上、たとえ仲が悪くなっても死ぬまで縁を切ることはできないもんな。
 姉貴だって、じきに彼氏を作れば、憑き物が落ちたように俺から離れていくだろう。そのとき俺は嫉妬するんだろうか。
442転生恋生 第五幕(3/4) ◆U4keKIluqE :2008/11/13(木) 21:25:02 ID:F2MCW+dY
 俺がそんなことを考えている間、姉貴は自分の弁当を食べていた。俺が食べているのを見つめていたせいで、自分の食事が後回しになったんだな。こういうところが健気でかわいい。
 ……なんて思ったらダメだろ、俺! 正気を保て!
「どうしたの?」
 突然俺が自分で自分に拳骨をぶつけたので、姉貴は驚いたようだった。
「何でもない」
 俺は姉貴が食べ終わるのを待ってから立ち上がる。
「この後は何もないでしょ? 一緒に帰ろ?」
「ああ……」
 姉貴も俺も部活に入っていない。姉貴の場合は「たろーちゃんと一緒にいられる時間が減るのがイヤ」だからそうだが、俺がどこかに入部すれば後からついてくるだろう。
 そして俺が帰宅部なのは、姉貴が原因だ。俺も入学当初はいくつかの運動系の部活に体験入部してみた。どれもしっくりこなかったが、俺は1年生の間はどこからも熱心に入部を誘われた。
 理由は単純で、俺が入部すれば運動神経抜群の姉貴が洩れなくついてくるからだ。俺はそれが嫌だった。俺は姉貴の付属品じゃない。
 かといって文化系の部活には興味が持てなかった。姉貴のことがなかったとしても、雉野先輩の誘いに乗って合唱部に入る自分というのは想像できない。
 2年生にもなれば勧誘も減るんじゃないかと思うが、確か今日は新入生に対する全部活総出の勧誘活動が行われるはずだ。たぶん、1年生校舎から校門までは混雑が凄いだろう。
 俺を知っているやつがいれば、ついでに俺も勧誘するだろうから、うっとうしいな。
「俺、やっぱり図書室で時間潰してから帰る」
「じゃあ、私もそうする」
 姉貴は嬉々として弁当箱を片付ける。まあ、図書室ならおとなしくしているだろうから、別に一緒でもいいか。
 俺は読書家というほどじゃないが、推理小説を読むのが好きだ。一度として犯人を当てたことはないけど、探偵が謎解きをする場面を読む度にカタルシスを得ている。
 それも、自分が見落としていた手がかりを探偵が見逃さずに拾い上げることに快感を覚える。自分の見落としを指摘されると気分がいいというのも変な話だが、推理小説ファンはM気質なのかもしれない。
 でも、姉貴は図書室で何を読むつもりだろう? 学校の図書室には姉貴の好きそうな姉弟相姦ものの官能小説はないよなぁ。
 突然、目の前の空気が消し飛ぶような、乾いた破裂音がした。俺は思わずのけぞった。
「何!? 何があった!?」
 姉貴が壁に向かってストレートパンチを放ったのだと理解するのに数秒かかった。普通は拳がただではすまないはずだが、姉貴は痛そうなそぶりを見せていない。
「何でもないよ。虫がいただけ」
 拳の跡がついた壁をよく見ると、確かに蝿か何かの残骸が張り付いていた。といっても、潰れて原形を留めていない。
「うふふ……、あのときの村人がこんなところにもいたんだぁ……。蝿になってるなんてイイ気味……」
 ウェットティッシュを取り出して右手の甲を吹く姉貴の顔に薄笑いが浮かんだ。その瞳が放つ暗い光に、俺は背筋が寒くなるのを感じた。
 やたらスキンシップ過剰なのとは別に、俺が姉貴をキモいと思うのはこういうときだ。怖いといってもいい。
443転生恋生 第五幕(4/4) ◆U4keKIluqE :2008/11/13(木) 21:25:57 ID:F2MCW+dY
 俺が物心ついたときから、姉貴は前世がどうのという話を盛んにしていた。最初の頃は俺も素直に姉貴の話を信じた。
 学校へ通うようになって知恵がついてくると、前世とか生まれ変わりなんて非科学的なものは信じなくなった。
 それでも、俺よりはるかに勉強のできる姉貴が、どういうわけか生まれ変わりの話だけは頑固にこだわり続けている。「そんなことあるわけない」と言っても、聞く耳持たない。
『たろーちゃんが忘れているだけ。そのうち思い出すよ』
 真顔でそんなことを言われても、俺は断じて覚えていないし、そんな話は信じない。
 どうして姉貴はここまで前世とやらに固執するんだ? 姉貴の脳の中にある記憶って何だろう?
 いくら考えても、俺にわかるはずがない。問題なのは、前世の話がらみで、姉貴がとてつもなく暴力的になるときが見受けられることだ。
 いつだったか、ネズミを捕まえて、足を釘で打って板に磔にし、生きたまま焼き殺したことがあった。
『熱い? ねえ、熱い? 私が火をつけられたときも熱かったよ。うふふ……』
 そんなわけのわからないことを口にしながら顔を歪ませて笑う姉貴は、たまらなく恐ろしかった。キモいけど優しい、いつもの姉貴の面影は全くなかった。
 姉貴が覚えている前世とやらで何があったにせよ、まともな人間のやることじゃない。精神を病んでいるとしか思えない。
 弟としては実の姉を精神病院へ送りたくはないから、早くまともになってほしいと願っている。
 もし姉貴の暴力の矛先が人間相手に向けられたらと思うとぞっとする。やっぱり何らかの治療が必要なのか?
 ああ、そういえば今日あった1年生も似たような電波を受信してたな。二人を会わせたら、話が合うんだろうか……。
 とはいうものの、あれはあれで面倒くさそうな子だからなぁ。できればもう関わり合いたくない。部活に入っていないから、1年生と接する機会は大してないだろうが。
 かなり深刻に悩んでいる俺の気も知らないで、姉貴がニコニコとしながら体を寄せてきた。とりあえずいつもの屈託ない笑顔だったのでほっとする。
「たろーちゃん、食後のデザートはどう?」
 そんなものまで用意してあったのか。芸が細かいな。
「あるんなら、もらおうか」
「デザートはぁ、ぷるぷるプリンでーす!」
 そういって俺の手を取ってブラウスの下の生乳に触らせる。何がぷるぷるプリンだ。オヤジのセンスだぞ、それは。
「いらん! 教室に寄って、鞄とって来るから!」
 もちろんそんなデザートは遠慮して、俺は一人でさっさと2年生校舎へ戻ることにした。
 途中、窓から中庭が見えた。そこは人影がまばらだったが、雉野先輩と猿島が話していた。いったい、どういう組み合わせだ?
 もちろん話の中身が聴こえるわけもない。特に興味もなかったので、移動するうちに気にならなくなった。
444 ◆U4keKIluqE :2008/11/13(木) 21:28:43 ID:F2MCW+dY
投下終了です。久しぶりにキモ姉のターンでした。
次にターンが回ってくるのはいつのことやら。
445名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 21:29:24 ID:qUnnDOZ7
リアルタイムGJ
446名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 21:37:00 ID:DurWqAJt
>>444 GJ!!今回もいいキモ姉でした。次回楽しみに待っています。

所で、桃太郎と鬼を焼き殺した村人が、ネズミや蝿に転生してるとはいい気味ですね。
でも、これがもし転生先が人間だったらと考えただけでも恐ろしい((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
447名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 22:15:17 ID:51YPB472
GJ!GJ!!
俺、犬っ娘のターンになるまで全裸待機してるんだ・・
448名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 22:29:35 ID:xVSp3Pj8
GJ!! 二人の大攻勢に期待


>>438 S.H曳丘高校だ…

449名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 22:42:06 ID:kh3F+Ivx
>>444
GJ!早く続き読みたい〜
450名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 22:58:07 ID:HbN+KuVi
GJ!家来娘三人組がどううって出るのか楽しみです
451名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 23:22:13 ID:v/jV8hGo
やっぱ、キモ姉が一番!

452名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 00:07:59 ID:an/VRhBu
村人ざまああぁぁぁぁぁぁぁぁwwwwwwww

GJです。
453名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 00:42:33 ID:UgkNvefK
ぐっじょ!
454名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 04:34:21 ID:YKYQWTw5
姉貴っていい匂いするよね
455名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 11:42:25 ID:EwoHUYwY
それは自分がいい匂いだと言ってるのと同じことになる。
つまり…
456名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 13:04:36 ID:MqkNA/0O
キモウトほしいお( ^ω^)
うちの姉ちゃんと誰か交換してほしいお( ^ω^)
457名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 13:29:59 ID:joRSJ5F0
>>456
キモウト(男)で良ければ
458名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 14:44:33 ID:nVTUZkV4
その場合ややこしいからオトウトのオトをとってキモオト…と呼ぼうか
459名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 14:47:39 ID:jNz4lnMh
>>457-458
スレが荒れる原因になるからやめてくれ
460名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 15:07:48 ID:wxhO/A+d
なんでエロパロ板でリアル話するの?死ぬの?
461名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 15:10:29 ID:bnCxAP5s
そこはわざわざ煽らず、軽くたしなめてスルーすべき
462名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 15:24:28 ID:leHWdVsc
来世では、キモ姉に愛されますように
463名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 16:51:53 ID:Bztnzlco
痛くて熱くて苦しくて悲しくて辛くて泣きたくて耐えられなくて逃げられなくて逆らえな
くて終わらなくて背けたくて叫びたくてもがきたくて吐きたくて止めたくて抵抗したくて
刃向かいたくて抗いたくて逃げ出したくて ____ 隠れたくて避けたくて篭りたくて
拒絶したくて噛み付きたくて跳ね除けた /ノ   ヽ、_\ くて振り払いたくて追い詰め
られて捕らえられて引きずり出されて /( ○)}liil{(○)\ 攻め立てられて強制され
て赦されなくて束縛されて締め付  /    (__人__)   \ けられて押し付けられ
て引き千切られて投げつけられ  |   ヽ |!!il|!|!l| /   | て虐げられて呻きたく
て喚きたくて狂いたくて堪えられ .|     |!!il|!|!l|     | なくて掴まれて殴られて
裂かれて砕かれて蹴られて焼か |     |!!il|!|!l|     | れて刻まれて焦がされ
て穢されて破られて荒らされて  |     |!!il|!|!l|     | 壊されて嬲られて弄ば
れて潰されて踏みにじられて飽  |     |!!il|!|!l|     | きられて放り出されて
打ち捨てられて気を失って痛み  |     |!!il|!|!l|     | も麻痺して心が壊れて
涙も出なくてでもまた拾われてま \    |ェェェェ|     /  た掴まれてまた殴られ
てまた穢されてまた破られてまた砕かれてまた切られてまた刻まれてまた焼き焦が
されて嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌
なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに
嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに



↑キモウトに調教されている兄
464名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 19:11:38 ID:lyYi9EUo
来世ではキモ姉かキモウトになれますように
465名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 19:50:28 ID:9IrC+ZpZ
ふと思ったんだが、姪って近親に入るのかね
466名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 20:10:40 ID:hqiiFVYc
>>465
血縁があれば一応近親か。3親等なので日本の法律上は結婚できん。
ただ、どこのスレで扱うのかと聞かれると微妙に悩む。ここは一応姉妹が
対象だしなぁ
467名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 20:17:56 ID:M2kQ6vbF
ヤンデレが無難じゃね?
468名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 20:54:21 ID:eeddHMtq
トトロだな
469名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 21:13:33 ID:NMvuy6Mb
>>464
なるのかよwww
470名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 21:31:59 ID:VE04+oSQ
ルパン並みの逃走能力があればキモウトやキモ姉から
逃げ切れるのだろうか・・・・・?
471名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 21:36:07 ID:leHWdVsc
逃げる気にならないように洗脳されるんじゃない?
こちらからルパン・ダイブさせるようにさ
472名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 21:41:11 ID:tV/64shO
宝を盗みに行くけど毎回宝のあるはずの場所にキモ姉orキモウトが潜伏している
予告状の中身を見てもいないのに、だ
473名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 22:26:56 ID:3UMhESiA
キモ姉キモウトの大変なものを盗んでいったから追いかけられるのも仕方がないな
474名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 22:37:29 ID:V8EBdm63
なんと気持ちのよい連中だろう

性的な意味で
475名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 22:48:55 ID:9IrC+ZpZ
>>466
いや、どこのスレとかそういう話じゃないんだ。
キモウトスキーな俺としては、もし姪が出来た場合
甘やかし可愛がる事でキモウトの様な存在になるのでは・・・
もしそうならば、来世など待たなくても・・・と、考えたわけなんだ。
476名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 23:06:04 ID:4vZsSAri
だから、その話題がスレチなんだろ?
477名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 23:38:01 ID:m9LBx+xb
>>463
カワユスー!
478名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 01:10:59 ID:0idl0GFe
>>475
生々しすぎてキモいがな。
479名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 01:23:35 ID:MzquCprt
リアルでは紳士淑女で生きろよ
480:2008/11/15(土) 01:42:57 ID:PrSq071C
弟「スヤスヤ…」
姉「お姉ちゃん大好きお姉ちゃん大好きお姉ちゃん大好きお姉ちゃん大好きお姉ちゃん…」
弟「ムニャムニャ…お」
姉「お!」
弟「…母さん大好き…ムニャムニャ」

姉(…は、母……殺す!)



母「ムニャムニャ…お姉ちゃん大好き…」

姉(お前が言うな〜!)
481名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 02:13:51 ID:POvPasvH
ほのぼの
482名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 02:22:12 ID:gAr5HYA0
娘の事じゃなくて母の姉だったりしたらもっと
483名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 02:49:14 ID:3PH86GHN
兄「キモウト達から逃れる為に海自に入ってみました。」
護衛艦には男しかいないから安全だ…。それに海の上だから襲撃されないだろう…
基地にまで突入されたのは焦った…
「家庭の事よく話し合ってくれ」と基地司令に言われた事は記憶にまだ新しい。
艦内放送「本艦は●島沖150kmの海上において救助作業を行う。各員持ち場に付け!」

上官「対象は小型ボート。エンジン停止で漂流している。内火艇で救助に向かう。」
うらかぜの探照灯がボートを捉えた。女性らしき人が手を振っている。
うらかぜ01号内火艇を降ろし、ボートに向かった。
兄「さあ、こちらに…!!!!!」
長女「やっと会えた…お家に帰ろう?」
次女「お姉ちゃん、前進強そーく!取り舵いっぱーい!」
同僚「エンジン再起動!当該船舶に隊員一名が乗船したまま…」
艦長「あの速力と機動性、工作船か!停船警告!」

キモウト、兄を拉致する。  
484名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 10:28:22 ID:+DuWUC3l
>>480.>>483
GJ
和む…
485名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 10:31:44 ID:af55F9QX
これで遭難して無人島に上陸したらどうなるの?
486名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 10:36:47 ID:3HrcDPgW
>>485
愛欲に満ちた日々
487名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 11:20:42 ID:RuoO+yVd
というか、姪って自分と姉妹の間の子だろ?
488名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 14:53:06 ID:0idl0GFe
じゃあ娘じゃないか。なおさらスレ違いだよ。
489名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 15:19:41 ID:vPi/9PpF
キモウトに『ハイチュウやるから目ェ閉じな』って言って、本当に口にハイチュウを突っ込みたい
で、素知らぬ顔で逃げたい
490名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 15:54:42 ID:gAr5HYA0
速攻で捕まって突っ込んだはずのハイチュウを口移しされるだろうな
491名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 17:47:09 ID:FsX6uLUx
さすがヤンデレ!せっかくもらったハイチュウをお返しするなんて!
これだからやめられんぜ!
492名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 18:01:47 ID:xF9KppFJ
>>483
このパターン、もし救助に来たのがお兄ちゃん以外の隊員だったら…地獄の八つ当たり?
493名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 19:57:52 ID:af55F9QX
熱が39度出たキモ姉助けて
494名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 20:07:17 ID:x0kCXyyt
じゃあお姉ちゃん特性座薬を弟君のおしりに
495マリー書く人:2008/11/15(土) 21:10:18 ID:hYRRzYxv
 投下します。

NGワード:一人称が僕、受身、人外

少しでも嫌になりましたら、即座にNGしてください。
496秋冬to玉恵、お風呂編:2008/11/15(土) 21:11:41 ID:hYRRzYxv
 どうやって食べようかしら。
 玉恵は腕の中で恥ずかしそうに身体を硬くしている秋冬を見て、舌なめずりをした。
 長年求め続けた禁断の果実が、目の前で美味しそうに艶かしく、縮こまっている。
 その事実を前に、玉恵はオーガズムにも似た幸福を覚えていた。
 玉恵は真性のレズビアンでもなければ、厳しい修行を重ねた修行僧でもない。
 1人の少年の為なら、1人の弟の為なら、1人の家族の為なら、他者を騙し、裏切り、殺し、傷つけ、利用し、
その人生の全てを自分達のために操ることを、平気でやってのける玉恵にとって、目の前にぶら下がった媚肉はあまりに魅力的であった。
 チラリと、玉恵はお風呂場を見回して、うん、とうなずくと、そっと片手を湯の中にしのばせて秋冬の硬く立ち上がった陰茎を握った。
 手の平にお湯よりも熱い体温が伝わると同時に、傍目にもはっきりわかるくらい、秋冬の肩がビクリと震えた。
 驚いて顔を上げた秋冬の瞳には、赤く染まった頬をさらに赤く染めた玉恵の姿が映った。
 玉恵は驚いている秋冬に構わず、握った手を軽く振る。はあ、と、秋冬の口からため息が漏れた。
「お、お姉ちゃん!?」
「駄目だよ、シュウちゃん。おちんちん、こんなに硬くしちゃ」
 玉恵の口から出た、おちんちんという言葉に、秋冬は妙な気恥ずかしさを覚えた。
「で、でも……」
「お姉ちゃんの身体に欲情しちゃった?」
「よ、欲情!?」
「そう、欲情。お姉ちゃんの身体で、エッチな気持ちになっちゃったの?」
 そうだよね、といわんばかりに片手の握力が増す。刺すような快感が腰から伝わり、秋冬は思わず腰を引いた。
「だ、め」
 玉恵の両脚に力が入る。グイっと秋冬は引き寄せられ、慌てて目の前の玉恵に抱きついた。とても柔らかい。
「あ……」
「はぁ」
 秋冬は息を呑み、玉恵は吐息を漏らした。密着したせいで、陰茎が女の陰毛を押し潰すような形で触れ合ったからだ。
 手の平とは全く違う感触と、今自分が感じている陰毛の感触に、秋冬の頭は沸騰しそうだった。
 玉恵の方は、ますます笑みを深めると、さらに陰毛に押し付けるようにしながら、片手を前後させた。
「ねえ、質問に答えて。お姉ちゃんのお腹、膨らませたいって考えた?」
「ふ、膨らま……」
「お姉ちゃんのお腹に白いの、いっぱい出したいって、考えた? 怒らないから教えて?」
 熱に浮かされた玉恵の質問に、秋冬の喉が鳴った。その音が意外と大きく風呂場の中を反響し、秋冬は強い羞恥を感じ、恐る恐る、玉恵の顔色をうかがう。
「…………本当に怒らない?」
「お姉ちゃんが嘘ついたことある?」
「……ない」
「だよね。ね、欲情した?」
 少しずつ速くなっていく手の動きに、秋冬の理性が侵食されていく。まるで夢を見ているみたいだ。秋冬はそう思った。
「……欲情した」
「エッチな気持ちになった?」
「……うん」
「お姉ちゃんのお腹、膨らませたいって思った?」
 ううん。秋冬は首を横に振った。片手に力が入る。痛みにも似た快感に、秋冬は身体を震わせた。
497秋冬to玉恵、お風呂編:2008/11/15(土) 21:14:26 ID:hYRRzYxv
「い、痛い……」
「言ったでしょ、シュウちゃん。いつまでも甘やかすお姉ちゃんじゃないよ」
 眉をしかめている秋冬を慰めるように、今度はゆっくり、やさしく手を前後させる。
 すぐに秋冬の表情は快感で緩んだ。その顔色を見て、玉恵も素直に嬉しいと思った。
 もう、シュウちゃんたら、こんなときにまで遠慮しなくてもいいのに。お姉ちゃんはシュウちゃんのお願いならオッケー3連呼なんだよ。
今すぐ処女膜破って種付けオッケーなのに、なんで遠慮するのかな?
 玉恵は、心の底から、秋冬がなぜ我慢しようとしているのか理解できなかった。
「もう一回……お腹膨らませたいって、考えた?」
「お、お姉ちゃん、僕達、家族だし姉弟だよ。血も繋がっているのに、そういうの」
「シャラップ!」
 現代人として、男としての道徳を説こうとする秋冬を、玉恵は止めた。
「血が繋がっているから? 姉弟だから? 家族だから? そんな言い訳、聞きたくありません!」
「いや、言い訳じゃなくて」
「そんな言い訳、お姉ちゃん連盟所属、お姉ちゃん検定1級の、キング・オブ・お姉ちゃんの私に、通用しません!」
「……でも…」
「……もう、しかたないな……んしょ」
 片手が陰茎から外され、秋冬の身体に腕を回す。さらに密着してしまうが、
秋冬の背中に回された両脚が外されると、痺れるような刺激が途切れた秋冬は大きくため息をついた。
 だが、そうやって落ち着くよりも早く、玉恵は優しく力を込めると、一息にお風呂から立ち上がった。
大量の湯が二人の身体を舐めるように流れ落ちていき、溜まっていたお風呂の湯とぶつかって跳ねた。
 当然、秋冬の羽にも少量ながらお湯が当たる。
「はひ、く、くすぐったい」
「あ、ごめん……それじゃ、ぱぱっと洗っちゃうよ」
 そのまま秋冬を抱き上げたまま、風呂の縁を跨ぎ、椅子に下ろす。
 ボディーソープをこれでもかといわんばかりに大きな乳房に塗りたくり、手のひらを使って満遍なく泡立てていく。泡で乳首が見えなくなるくらいになったら、準備は完了。
 泡が零れ落ちないように気をつけながら、玉恵は自身の乳房を掴み、谷間を広げた。といっても、泡のせいでよく分からないのだが。
「それじゃあシュウちゃん、まずは右手、モニュモニュするよ」
「え、う、うん」
 玉恵の催促に、秋冬はのぼせて茹で上がった頭で返事を返すと、素直に右手を泡の海になっている谷間に差し込んだ。
泡のふわふわした感触と、指先に感じる体温がほのかに暖かい。
 右手が自身の谷間に埋まったのを確認した玉恵は、その手を乳房で包み込むように左右から押さえた。
玉恵の乳房が卑猥に歪み、乳圧に耐え切れなかった泡が空中に四散した。
「痛くない?」
「うん」
「柔らかい?」
「うん……うん?」
「それじゃあ、モニュモニュするよ」
 玉恵は、むん、気合を入れて左右の乳房を上下に動かし、挟まった右手を洗い出した。
 基本的に、別種である秋冬は身体を洗う必要はないのだが、これも玉恵の楽しみにしている日課なので、黙って我慢する。
たとえそれが、玉恵の身体を使った人間スポンジならぬおっぱいスポンジであるとしても。
 もっとも、嫌なことばかりではない。
どんな最高級の素材を使ったスポンジよりも弾力性とキメ細かさに優れたおっぱいスポンジで洗われるのは、かなり気持ち良いからだ。
 乳房のスベスベした感触と脂肪の柔らかい弾力と、時折触れる硬い乳首の感触からは、なんともいえない幸福を覚える。
498秋冬to玉恵、お風呂編:2008/11/15(土) 21:15:27 ID:hYRRzYxv
 家族であり、姉であり、血の繋がった相手であっても、気持ちいいものは気持ちいいのだ。
これも、いつかは止めようと思っているのは、玉恵には内緒の話。
 玉恵のおっぱい洗いは手首を終わり、腕を通り、また反対の腕に移動する。
さすがに太ももから下は無茶があるのでできないが、それ以外は全て玉恵の乳房で洗うのが、通例だ。
「んしょ、んしょ、んしょ、ふう……」
 玉恵は、お湯による汗とは別の要因で吹き出した額の汗を拭った。それに気づいた秋冬は、眉をしかめた。
「……疲れたの? だったら今日は」
「あとは前と背中だね。シュウちゃん、背中向いて」
 申し出を華麗に黙殺された秋冬は、これまた素直に背中を玉恵に向けた。
 玉恵は秋冬の首に腕を回し、背中に全身を密着させると、メロンのように張り出した乳房が、ぐにゃりと潰れる。ゆっくり、身体を上下に揺すり始めた。
「苦しくない?」
「うん」
「気持ち良い?」
「うん」
「お姉ちゃんもおっぱいやら乳首やらが擦れて気持ち良い」
 事実だった。それなりに男の子している秋冬の背中は意外と硬く、所々角ばっているからか、乳首をこすり付けるとかなり気持ちいい。
時折走る鋭い快感に、何度も声を上げそうになるのを、玉恵は唇をかみ締めて我慢した。
 ああ、もう、頭がバカになる。シュウちゃんの背中気持ちいい。鎖骨のラインもセクシーだし、お姉ちゃん、見ているだけで濡れ濡れだよ。
 自身の陰部から滲み出る愛液が、太ももを伝って流れていく。シャレにならないくらいの子宮の疼きを覚えつつ、玉恵はもう少し我慢する。
 頑張って! 頑張るのよ、私! シュウちゃんの子種はもうすぐだから、我慢して、私の子宮。前が終わったら沢山白いのを飲ませてあげるから!
 そんな葛藤を完全に隠して、おっぱい洗いは続く。
「それじゃあ、次は前……ばんざーい」
「ばんざーい」
 玉恵の両手を高く上げるジェスチャーにつられて、秋冬も両手を上げる。その隙に玉恵は前から腕を回して、秋冬を抱きしめた。
 前も同じように、洗う。右に左に上に下に。乳房を使って、満遍なく泡を塗っていく。
 へその辺りに感じる、硬く反り返った陰茎の存在を感じながら。
 ゴクリと、玉恵の喉が鳴った。秋冬に聞こえてしまったのだろうかと、一瞬慌ててしまったが、彼は気にした様子はなかったので、黙って作業を続ける。
499秋冬to玉恵、お風呂編:2008/11/15(土) 21:16:10 ID:hYRRzYxv
 うふふ、硬くなってる。待っててね、シュウちゃん。今すぐ私を押し倒したいって叫んでる、おちんちんの相手はもうすぐだから、もうちょっと我慢してね。
 薄桃色の唇に、真っ赤な舌が這う。年頃の少年が見たら、それだけで射精してしまうくらいの淫靡さが、そこにあった。
「はい、前も終わり」
 十分に洗い終わりシャワーを使って手早く泡を流していく。あっという間に秋冬の身体から泡が消える。
 秋冬は背中、わき腹を、前を玉恵に見せて、泡が残っていないかを確認してもらう。玉恵がうなずいたのを確認した秋冬は、あげていた両手を下ろした。
 今度は僕の番だ。秋冬はボディソープを手に取ると、ポンプに手を置いて力を……。
「今日は自分で洗うから、シュウちゃんは洗わなくていいよ」
「……え、でも」
 思いがけない玉恵の一言に、秋冬は疑問に思った。自分の体を使って行う洗いっこを、誰よりも楽しみにしているのは玉恵だ。
いつもはもっと乳首を重点的に、乳房は揉むように、陰部は優しくかき回すようにと、けっこう注文も多いのに。
 その玉恵が、自分の体を自分で洗おうというのだ。疑問に思うのは当然だ。
 頭の上に何個も?マークを浮かべている秋冬に、玉枝はニッコリ笑みを返した。
「シュウちゃんは先にお姉ちゃんのベッドに入っていて。私は後から行くから」
 ベッド、の一言に、秋冬は首を傾げた。
「え、でも、服を買いに行くんじゃ……」
「服なんて何時でも買いにいけるわ。今は、全国のお姉ちゃん連盟の悲願を達成させるのが先決よ」
「悲願? ……でも、まだ夕方にもなっていないよ」
「大丈夫。終わる頃には夜になっているから」
「……でも、なんでベッド」
「ベッドで待っててね」
 お風呂場への出入り口を開け、手で速く行けと言葉ない圧力をかける玉恵。お姉ちゃん子の秋冬は反論せずに、黙って従った。
 お風呂から出ると、パタン、とお風呂場のドアが閉まった。
『あ、そうそう。服は着ちゃダメだからね』
 中から、明るい声で言われる。
 いったいなんなのだろうと、首を傾げたが、とりあえずバスタオルで汗を拭き、秋冬は玉恵の部屋に向かった。
500マリー書く人:2008/11/15(土) 21:16:42 ID:hYRRzYxv
投下終了します

あと、記念500
501名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 21:28:15 ID:/Ipyw8m1
なんという寸止め
502名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 21:29:43 ID:rQM1LP0o
GJ!!
続き待ってます。
503名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 21:32:26 ID:BGWzmEOD
生殺し過ぎる
なにはともあれGJ!!
504名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 21:55:26 ID:kQAFuvGv
505名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 22:01:45 ID:EOPJI5zj
>>500
まだ本番じゃないのに2回抜いた
506名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 23:26:21 ID:SSe/8xwS
お姉ちゃん検定一級ならしょうがないな。
507名無しさん@ピンキー:2008/11/16(日) 09:56:34 ID:T5Pd3iCa
別種と超人の子供ってどうなるんだろうと思った俺は異端
508名無しさん@ピンキー:2008/11/16(日) 19:14:55 ID:BMeeYlne
スレチ
509名無しさん@ピンキー:2008/11/16(日) 19:53:02 ID:NAKdFaT+
ス…素晴らしい!
レ…レタスと
チ…チーズで挟んだキモウト&キモ姉
510名無しさん@ピンキー:2008/11/16(日) 19:58:41 ID:HtlrHHUE
ス…素敵で無敵の
レ…レンジャー資格持ちの
チ…厨能力姉様
511名無しさん@ピンキー:2008/11/16(日) 20:33:40 ID:HBMUFgPm
ス…すっごく優秀で
レ…令嬢の品格漂う
チ…ちょっと兄想いすぎちゃったキモウト
512名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 06:25:01 ID:vfwC1l+N
キモウトやキモ姉がせっせと尽くしている場面で『お前らいい夫婦になるよ』とか言って一週間ほど様子を見たい
513名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 12:34:12 ID:VhdvLEP/
三月後……
>>512は友人妹からの手紙を受け取る。

『前略
>>512さんの一言【お前らいい夫婦になる】が私達を変えてくれました。
今まで大好き、いや心の底から愛しているお兄ちゃんとは、結ばれる筈もないと諦めていた私。
でも>>512さんのお陰で私は自分の心に素直になれ、お兄ちゃんと夫婦になれました。
…籍は入れられないのが少し残念ですけど。

お兄ちゃんは最近体調が悪く、私が代筆させて頂きました。でもお腹の子が生まれる頃には、きっとお兄ちゃんの具合も…


そうそう昨日、>>512さんのお姉さんが遊びに来てくれました。
お礼と言う訳じゃないですけど、私もあの言葉を言ってみました!!

【お姉さんと>>512さんはきっといい夫婦になりますね】


それではいつの日にかお会いして、直接お礼に伺いますね』



>>512ちゃ〜ん、お姉ちゃんが作ったケーキを食べてね〜」


>>512、情けは人の為ならずだ。是非言ってみることを勧める。
514名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 23:25:01 ID:AgeqVjSn
〜HAPPY END〜
515名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 02:26:34 ID:+RfDoqMc
感動しました
516名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 03:58:38 ID:bIrZXnUt
>>514
幸せ、終わり…?
517名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 04:10:53 ID:QWi6t9rI
ああ、そうだ!
終わりではなくこれから始まるのだ!
518名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 07:49:19 ID:xYiWhs53
全く血の繋がってない女が好きな人の側にいたいがために嘘をついて妹に成り済ます…ってのは有りなのかな?
519名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 08:02:06 ID:7l2BTe2h
嘘も最後まで貫き通せば真実だ。

ま、そういうのって「どうせ本当の兄妹じゃないんだから〜」みたいな展開になるんだけどね。
520名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 09:59:30 ID:7NQHKWp7
妹?「そんなっ……わたしたち兄妹なのに一緒の家で暮らさないのは変だよっ!」
兄?「いや、お前と俺に血の繋がり無いし。だいたいお前イギリス人じゃないか。うちは曾爺さんから日本人だから例え繋がりはあっても、もう薄すぎてただの他人だろ。だから落ち着――」
妹?「――たとえ二人の血が繋がってなくたって心とカラダが繋がっていれば立派な妹だよっ!」
兄?「いやいやいやカラダは繋がったらダメだろ!」



みたいな感じで、兄側はあくまで他人だと思ってるのに妹側が妄想で暴発するのならアリだと思った
521名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 10:21:16 ID:jIBOJaPP
それってただのメンヘラじゃ……なんとなくS県月宮を思い出した
522名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 18:49:48 ID:ZZRGqufL
風邪治らなくて続き書く気力もわかない

こんなときキモウトかキモ姉がいてくれれば・・・・・・
523名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 19:01:31 ID:I8D6yiDm
>>522
つきまとわれて続き書く余力が無くなるだろうな。
524名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 19:39:25 ID:9BjAMTWK
体ふきふきイベントぐらいしか思い浮かばない
525名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 20:27:18 ID:b3PD3iQR
座薬イベントおすすめしたい
526名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 20:52:17 ID:NKfBYu2d
まずは「よく汗をかく」だろう
527 ◆U4keKIluqE :2008/11/18(火) 21:59:55 ID:flLkkpfy
投下します。4分割です。
528転生恋生 第六幕(1/4) ◆U4keKIluqE :2008/11/18(火) 22:00:51 ID:flLkkpfy
 教室へ戻ると、既に他のクラスメートは帰宅したのか無人状態になっていたが、招かれざる客が来ていた。
「ご主人様ーっ!」
 今朝の電波犬女だった。俺を見つけるやいなや、ダッシュして飛びついてきた。食後で頭も体も動きが鈍っていた俺はかわせなかった。
 小柄とはいえ、勢いをつけて全体重でのしかかられると支えきれない。俺は押し倒されてしまった。今朝と同様に、顔中を舐めまわされる。
「やめろっ!」
 なんとか顎を手で押しのけて、引き剥がすことができた。俺は上半身を起こしたが、相変わらず膝の上に乗っかられている。
「くそっ! 汚ぇなぁ、ったく」
 俺はハンカチで顔についた涎を拭いた。
「なんなんだよ、おまえは!」
「ボクだよ、忘れたの? 犬井司!」
 名前は覚えている。問題はそこじゃない。
「なんだっておまえは人の顔を舐めるんだ!」
「愛情表現だよ!」
「そんな愛情表現はいらん! つーか、おまえの愛情自体いらん!」
「なんでそんなこというのさー!」
 犬井は見る見るうちに泣きそうな顔になる。ただでさえ童顔なので、俺の方がいじめているような気分になってしまう。
「とにかくだ! 人の顔を舐めるな! 俺はそんなことされたくない!」
「えー? ご主人様はボクが顔を舐めるのを喜んでたじゃないかー」
「知るか! おまえの記憶に関係なく、この俺は人に顔を舐められるのが嫌なんだ!」
「むー」
 犬井は不満そうだったが、やにわに俺の腕をとった。
「じゃあ、こうする」
 いきなり噛みつかれた。普通に痛い。ふりほどこうとしても離れない。こいつは見かけによらず顎の力が強い。
「今度は何だ!?」
「甘噛み」
 本当に犬みたいなやつだ。
「やめろ! 痛いだろ!」
 犬井は素直に離したが、ますます欲求不満が募ったようだった。
「ご主人様は腕が細くなったね。前はもっと逞しくて、これくらい平気だったのに」
「だから、知らんと言ってるだろうが」
 いったい、こいつの知る前世の俺はどんなやつだったんだ? まあ、具体的に説明されても信じる気はないが。
529転生恋生 第六幕(2/4) ◆U4keKIluqE :2008/11/18(火) 22:01:48 ID:flLkkpfy
「舐めるのも噛むのもダメだなんて、ボクはどうやってご主人様への愛情表現をすればいいのさ?」
「何もするな! あと、間違っても人前で『ご主人様』なんて呼ぶな! 俺はそんな趣味はない」
「じゃあ、何て呼べばいいの?」
「普通に『先輩』と呼べ」
「わかった! これからはなるべく『センパイ』って呼ぶね!」
 カタカナ臭い発音なのが気になるが、これで妥協するしかない。
「それで……、犬井だっけ? 何の用だ?」
「司でいいよ!」
「じゃあ、司。いったい何の用でここへ来たんだ?」
「あのね、ご主人様に聞きたいことがあって来たの」
 なんでも、司は俺と同じ部活に入りたいので、俺の所属を確認に来たのだという。
「俺は帰宅部だ」
「入部届はどこに出せばいいの?」
「アホ! 帰宅部ってのはどこにも入っていないってことだよ」
「えー、そんなのつまんないよー。一緒にどこかの部活に入ろうよー」
 司は俺の胸倉をつかんで激しく揺さぶった。振動で酔ってしまいそうなので、手を引き離してやめさせる。
「俺にかまわずに好きなところへ入ればいいだろう。おまえは何かやりたいことはないのか? 中学では何をやっていた?」
「陸上部!」
「種目は何だった?」
「短距離走だよ! ボク、走るのが好きなんだ。だから陸上部がいい。センパイも一緒に入ろうよ!」
「嫌だ」
「どうして?」
 実は陸上部にも体験入部したことがある。並の記録しか出せなかったが、部員は姉貴目当てで俺に入部を勧めた。それがわかっていたから入る気にならなかった。
「部活をやる気がしない。上下関係とか面倒だし、2年生から入ると色々と人間関係がわずらわしい」
 この理由は司に対してまるで説得力を持たなかったらしい。
「ボクが一緒にいるからいいじゃない!」
 おまえにつきまとわれたくないからだ、と言いそうになって思いとどまった。初対面のはずなのに、どうしてこいつは俺にこだわるんだろう?
 もちろん前世がどうという話は信じられないが、司が俺に対してどういう感情を持っているのか、そこを確かめないと話が噛み合わないような気がしてきた。
「おまえさぁ、何だって俺にくっつきたがるんだ?」
「センパイがボクのご主人様だから!」
「前世で、か?」
「そうだよ! ボク、ずっとご主人様に会いたかったんだ。やっと会えたんだから、これからはずっと一緒にいるよ!」
 迷いのない口調で言い切る。俺の都合なんかお構いなしだ。こういうところは姉貴とそっくりだな。電波女はどれも似たようなものらしい。
530転生恋生 第六幕(3/4) ◆U4keKIluqE :2008/11/18(火) 22:02:38 ID:flLkkpfy
「だけどな、肝心の俺には前世の記憶とやらがない。だから、おまえに付き合うつもりもない。俺に冷たくされても、おまえは俺につきまとうのか?」
「そのうち思い出すよ!」
「どうしてそう言い切れる?」
「ボク、信じているもん!」
 だめだ。自己完結しているから、俺の言い分はまるで取り合ってもらえない。言葉は通じても話が通じないというのは、実にイライラさせられるな。
「……結局のところ、おまえは俺にどうしてほしいんだ?」
「ボクのご主人様でいてくれればいいよ」
「彼氏になってくれってことか?」
「ご主人様はご主人様だよ」
 わけがわからん。俺のパシリにでもなりたいというのか。
「ご主人様って、何すりゃいいんだ? エサでもやるのか?」
「んっとね、ボクはご主人様を守るから、ごほうびに優しくしてくれるの! それで満足だよ」
 守るって、何からだ? 優しくするって、彼氏として優しくするというのと違うのか?
 ひょっとすると、俺は生まれて初めての彼女を持つチャンスを目の前にしているのかもしれない。それでも、心が沸き立つ感じはなかった。
「たとえばだ。俺がご主人様としての役目を果たしていたら、俺がおまえの他に彼女を作ってもかまわないのか?」
「妾を持つのは男の甲斐性だよ!」
 いや、妾って何だよ。
「ボクはご主人様を守れれば、それでいいから。……あ、でも家来の中ではボクが一番だからね!」
 また微妙に難しい注文を出すなぁ。彼女っつーか、妾と家来、彼氏とご主人様の違いがよくわからん。
「とにかく、ボクはご主人様を守るから! 昔みたいなことがないように、敵を近づけないからね!」
「敵って、どんなのだ?」
「ご主人様を誑かす悪いやつ」
 どうにも具体性に欠ける答えしか返ってこない。犬並の頭だから、論理的説明ができないんだな。呼び方も『ご主人様』に戻ってるし。
 やはり俺はこいつを恋愛対象として見ることはなさそうだ。まあ、小学生といっても通じる外見の時点で対象外なんだが。
 何にしても、こいつの扱い方を考える必要がある。ご主人様云々の話に合わせた上で理屈をこねないといけない。
「話を戻すぞ。俺が一緒の部活に入らないのは、おまえのためだ」
「ボクのため?」
 意外な言葉だったらしく、司は明らかに面食らった。
「そうだ。おまえはどういうわけか俺にくっつき過ぎる。同じ部活に入ったら、おまえは友達を作らずに俺にべったりになるだろう。それはおまえのためにならない」
 なんだってこんな説教じみた話し方をしているのか、自分でもよくわからなかったが、今は司を言いくるめるのが最優先だ。
「おまえにはおまえの高校生活が必要だ。これは俺の親心だと思え」
 親って何だよ? 自分で自分に突っ込まざるをえない。
「わかった! ご主人様はボクのことを思ってくれてるんだね!」
 司はこんな説得が通じるほどに単純な頭の持ち主だったようだ。なんだか、かわいそうな子に見えてきた。
531転生恋生 第六幕(4/4) ◆U4keKIluqE :2008/11/18(火) 22:03:20 ID:flLkkpfy
「じゃあ、ボクは陸上部に入って頑張るよ。大会に出たら、応援に来てくれる?」
「おう、それくらいはかまわんぞ」
 どうせ夏休みは暇だし、それくらいはいいだろう。
「休み時間は会いに来るから!」
「毎回は困るけど、まあ俺が暇なときなら話相手くらいにはなってやる」
 これからは、休み時間はなるべく教室から離れるようにしておこう。留守なら、こいつも諦めて帰るしかないだろうからな。
 それが二度三度続けば、避けられていることに気づくはずだ。俺としてはこの電波犬女の始末に、ある程度時間がかかることを覚悟せざるをえなくなっていた。
「それじゃあ、早速入部してこようっと!」
 司は俺の膝の上から立ち上がった。やれやれ、やっと解放される。司の体重は軽いが、ずっと乗っかられていたので足がしびれた。
「あ、そうだ! もう一つ大事なことがあった!」
「何だ?」
「舐めるのも噛むのもダメなんでしょ? どうやって愛情表現すればいいの?」
「だから、そんなものやらんでいいと……」
「思いついた!」
 人の話を聞いちゃいねぇ。
「今度から、こうするね!」
 柔らかくて湿った感触が鼻を襲った。キスされたのだと気づいたときには、司は廊下を駆け出していた。
「バイバイ! またねー!」
 天真爛漫としか表現しようのない笑顔を見せながら、司は走り去った。
「……唇でなくてよかった、な」
 俺としては自分にそう言い聞かせるしかなかった。

 その後は図書室で姉貴と合流して、二人とも適当に選んだ本を読んで夕方まで過ごした。さすがに読書中は姉貴もおとなしくしていた。
 ちなみに俺が読んだのはアガサ・クリスティーの短編集だ。読み終わらなかったので、借りることにした。
 姉貴はギリシャ悲劇の『オレステイア』を読んでいた。こちらは何度も読んでいるらしく、特に借りようとはしなかった。
 雉野先輩とのことがあったせいか、姉貴はいつにもまして帰り道で俺にくっついてきた。
 普通は新学期第1日なんて、あっさり終わってしまって、大して印象に残らないもんだが、今日はやけに1日が長く感じた。
 明日から授業が始まるから、落ち着いていつもの日常に戻るだろう。そうだ、今日だけが非日常だったんだ。
 俺は何度も自分に言い聞かせた。何故か、自分が平凡な生活から逸脱するような予感がして、それがたまらなく不安になっていた。
532 ◆U4keKIluqE :2008/11/18(火) 22:05:29 ID:flLkkpfy
投下終了です。
全裸待機してくださった方、今夜から寒くなるそうなので、早く服を着てくださいね。

533名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 22:06:52 ID:1xLDaH+A
GJ
今回は犬のターンでしたか
534名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 22:08:01 ID:OJ6undlX
GJです。

ははは、キモ姉分があれば寒さなど平気ですよwww。
535名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 22:10:42 ID:b3PD3iQR
GJ!犬っ娘も可愛いなあ
次は演劇娘かな?
536名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 22:56:37 ID:uiO+wijT
GJ!!!! 犬キター!色々ヤバそげになってきたな。 
537名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 23:22:16 ID:NCYjQxyX
フラクタル早く来ないかなぁ
538名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 23:25:19 ID:NCYjQxyX
GJ書くの忘れてました…
すいません
539名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 23:37:44 ID:NCYjQxyX
今度はsage忘れ…
もうROM専になるので許してください
本当にすいませんでした
540名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 23:44:56 ID:2x07zxsb
GJ!
全裸で待機してるのは服を脱いでいるからではなく
着る服がないからだぜよ
541名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 23:50:26 ID:RKqMTb1j
GJ!!!
犬のターンいいよ
次回も楽しみにしてるよー
542名無しさん@ピンキー:2008/11/19(水) 00:45:22 ID:wfiXraeD
GJ!!
司かわいすぎるwww
543名無しさん@ピンキー:2008/11/19(水) 03:53:41 ID:AUz3kiXP
>>238の続きです。
しかも、今回は回想というか、半ば幕間的なシーンなので、姉妹がほとんど活躍しません。
スレ違いなもん投稿すんな!! とか言って怒らないで下さい。
544傷 (その5):2008/11/19(水) 03:55:44 ID:AUz3kiXP

「……どこから話せばいいのか……とにかく、昔の話だからね……」
 そう言って、千夏はレモンティーを一口飲んだ。


 冬馬が去り、それを追って葉月が行き、墓地に残った弥生に千夏は訊いた。冬馬の過去が知りたいならば、なぜ冬馬を追って、彼本人から直接話を聞かないのかと。
 それに対しての弥生の答えは明確だった。
 弟が、過去の事情とやらを話す気になるかどうかは問題ではない。どういう形にせよ、彼の過去のトラウマに触れるような話柄を、姉の自分から振る気にはなれない。さらに弥生は真面目な顔でこう言った。
「それに、人間は自分のことを語るとき、自然と客観的な視点を失いがちになることが多いわ。だからこそ、貴女の口から聞きたいの。弟のことを“客観的に”ね」
 
 それに対し千夏は、その宝石のような瞳で数秒ほど弥生の顔を凝視していたが、やがてぽつりと言った。ただし、その言葉は弥生に対してのものではなかった。
「おゆき……私は……この人と話があるから……先に帰っていてくれないか……」
「お姉ちゃんっ!? そんな奴と何を喋ることがあるって言うのっ!!」
「…………」
 千夏は、妹のヒステリックな叫びに何も言葉を返さない。ただ、弥生にしたように、その美しい圧力を伴う眼差しを、妹に向けただけだ。そして、ランドセルが似合うような年頃の彼女に、この姉の視線をはねのける胆力は無かった。
「わかった、わよ……。帰ればいいんでしょう?」
 結局、おゆきは千夏の無言の圧力に屈し、そのまま背中を見せた。

「もう少し、言葉を選んであげた方が良かったんじゃないの?」
「なに……あの子はああ見えて利口な子だ……この程度で、いちいち動揺したりはしないさ……」
 千夏はそう言うが、家族思いの弥生としては、やはり鼻を鳴らすしかない。
 おゆきは、姉のその言葉に激昂したが、ある意味、それも無理はないかもしれない。
 さっき彼女が言った、母親を冬馬が自殺に追い込んだという発言が真実ならば、確かに自分は親の仇の仲間に過ぎない。そんな人間と話すから、オマエは席を外せと言われたら、やはり内心穏やかではいられないだろう。
 そう考えると、弥生は初めておゆきという少女に同情した。だが、だからと言って、激情の赴くままに弟を追い返したこの子供を、その因縁を冷静に説明しようという空間に同席させたいとはとても思わないが。

 
 そして数分後、墓地の裏手から寺を出た二人は、目の前にあった喫茶店に入り、紅茶を片手にボックス席を囲んでいるというわけだ。

「それと……キミは一つ、勘違いをしている……」
「え?」
「……キミは……事件を客観的に説明しろと言ったが……死んだのは私の両親で……冬馬は私の兄でもある。……どこまで冷静に語れるかは……私にも……分からない……」

 確かにそうだ。
 冬馬が当事者であるならば、必然的に、当時の家族であった千夏も部外者では在り得ない。
 弥生は自分の迂闊な言葉を詫びるべきであったろう。
 だが、どてっ腹をぶん殴られたような表情のまま、彼女は何も言えなかった。
 そして、強烈な一撃で弥生を黙らせた千夏も、弥生の無礼を咎めるでもなく、そのまま遠い目をして寂しそうに微笑んだ。

「……あれから……もう……10年になるのかな……母が父を……殺してから……」
545名無しさん@ピンキー:2008/11/19(水) 03:55:44 ID:z29v2D+W
しえん
546傷 (その5):2008/11/19(水) 03:57:01 ID:AUz3kiXP

 いまから12年前、僅か4歳であった冬馬を施設から引き取ったのは、景浦という夫妻であった。

 夫である景浦武彦は子供好きで、それも一際、男児を望んだが、彼は先天的に精子に異常があるらしく、受胎しても90%以上の確率で女児であろうという宣告を医師から受けていた。
 無論、すでに3歳を迎えていた千夏という愛娘に不満があるわけではない。
 いまは江戸時代ではないのだ。家督を継がせるための嫡男がいなければ、家門が廃絶するなどというバカな話は存在しない。だから子供が男であろうが女であろうが、親が気にしなければ気にならない。現に、世間には娘しか持たない家族などゲップが出るほどいるであろう。

 しかし、武彦はそうは考えなかった。
 そして、自分の精によって息子を得られぬならば、他人の子供でも構わない。構わないから男の子がほしい。彼は、そう妻に訴えるだけの頑固さを持った男であった。
 当然、妻――美也子は悩んだ。
 が、結局、彼らは育児施設から孤児を引き取るに至るのである。それが後の柊木冬馬――当時の景浦冬馬の不幸の始まりであった。

 冬馬は武彦になついた。
 そして、それ以上の愛情を、武彦は冬馬に注いだ。

 現職の刑事であった武彦の毎日は非常に多忙であり、帰宅時間は常に深夜、事件が発生すれば目処がつくまで、ほとんどロクに帰って来ない。家への連絡があるとしても、署に着替えを持って来てくれと電話がかかってくるだけだった。
 つまり景浦武彦は、子供と接触できるような時間をほとんど持っていないような、典型的な仕事人間だったわけだが、それでも幼い冬馬にとって義父は、街の悪人を捕まえる英雄であり、たくましく頼り甲斐のある、力強い父性の偶像であった。
 当時の彼に、尊敬という概念があったのかどうかは分からないが、いま問われても冬馬は躊躇無く答えるであろう。おれは義父を尊敬していたと。義父のような大人になりたいと思っていたと。
 だが、不在がちな夫と手のかかる二人の幼児を抱えた若妻に、今の生活へのストレスが溜まるのも、やはり必然であったと言うしかない。そして、武彦の非番の日――その日は偶然にも、彼の誕生日でもあった――悲劇は起こった。



 玄関先でチャイムが鳴った。
 その瞬間、美也子が露骨にびくりと震えたのが、武彦の目には見えた。
 が、すぐに、その反応をごまかすように、いそいそと立ち上がると、どなたかしらなどと言いながら、リビングから出て行く。
(一体、美也子はどうしたんだ?)
 その様子に、武彦はやはり首をひねらざるを得ない。
 今日の妻はどこかおかしい。まるで心ここにあらずといった感じだ。
 可愛い盛りの二人の子が、一生懸命バースデイソングを歌い、ケーキに舌鼓を打っている間も、美也子だけは妙に落ち着かない素振りでソワソワしている。
 はじめ、武彦は、何か妻からのサプライズでもあるのかと期待したのだが、そうではないらしい。なぜなら、刑事である自分には、妻の顔色が職業的に非常に見慣れたものであることに気付いたからだ。
 それは、取調室の容疑者たちが決まって浮かべる表情。
 何かを隠し、それが露見する事を怖れているとき、人間が浮かべる表情。

「ぱぱ、たべないなら、いちごちょうだい?」
 今年5歳になる娘の千夏が、にぱっと笑いかける。
「いいとも。おいしいぞ」
 ショートケーキを乗せた小皿を娘の方へ寄せ、器用にフォークを使って、イチゴを千夏のケーキの上に置いてやる。にこにこしていた千夏が、さらに輝かんばかりの表情で、ありがとう!! と言った。
 そんな二人の様子を見ていた息子も、
「……じゃあ、ちか、ぼくのぶんのイチゴもあげる」
 と言って、フォークで自分の分のイチゴを突き刺し、妹のケーキの小皿にそれを置いた。
「えっ、おにいさま、いいの?」
 喜ぶよりむしろ意外そうな表情で冬馬を見返す千夏だが、幼い兄は、決まりの悪い表情でケーキをバクついている。彼なりに照れているのだろう。そんな冬馬を見て、千夏は、先程以上に嬉しげな声で、
「おにいさま、だいすきっ!」
 と笑った。
547傷 (その5):2008/11/19(水) 03:58:48 ID:AUz3kiXP

 父親を見習って、ことさら兄貴ぶろうとする幼い息子と、そんな兄の好意を素直に喜ぶ幼い娘。
 そんな二人の子供たちを、満足げな顔で眺める武彦だったが、そんな彼の表情が、ふと曇った。

「お邪魔しまぁ〜〜す」
 美也子が玄関先で応対していたはずの訪問者が、間延びした声でそう言って、家に上がり込んできたのだ。
 見覚えはある。
 確か、隣に住んでいる一家の長男で、武彦の記憶に間違いなければ、たしか今年大学に入学したばかりの……どうも名前までは思い出せない。
 しかし、いずれにせよ、家族ぐるみの付き合いはない。したがって、こんな風に親しげに家に闖入されても、武彦の先立つ感情は困惑と不審しかなかった。
「いや、お久し振りです、どうも……何ですか? 今日はパパさんのお誕生日会だそうで。どうも、おめでとういございます〜〜」
「……ああ、これはわざわざどうも……」
 武彦も、社会人の端くれとして、礼に対しては礼を返さねばならない。自分の誕生日を「おめでとう」と言われた以上は、憮然とした顔で座りっぱなしというわけにはさすがにまずいので、一応は立ち上がって席を勧め、妻に茶を出すように言おうとしたのだが……。

「なんだ、おい?」
 この意図せぬ訪問客の後ろから顔を出した美也子は、彼が思わず声を出してしまうほどに顔色を失っていた。眼は見開き、唇は青くなり、頬は引きつり、呼吸まで荒く、まるで薬物中毒のように細かく全身を震わせている。
「なんだ? 一体どうしたんだ美也子」
 思わず、硬い声で尋ねた夫に向けた妻の瞳は、涙に潤んでいた。

「……あなた……ごめんなさい……」
「ごめんなさいって……なにが?」
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
「落ち着きなさい美也子、お客様の前だぞ」
 思わず武彦は妻に駈け寄るが、美也子はいやいやをするように夫から目をそらす。
「――おんやぁ、奥さん?」
 その妙にわざとらしい声に振り向いた武彦は、青年の顔が、きゅっと醜く笑っているのが見えた。それは彼が過去、どんな犯罪者にも見たことのない、悪意に満ちた笑いであった。

「どうしたんです奥さん? そんなところに突っ立って?」
「あああああ……あああああ……」
「……僕の命令、聞こえたよね……?」

 謝罪を連呼していたわりには、まともに夫の顔さえ見ようとしなかった妻が、呆然と恐怖に顔を歪めている。彼女の見開いた瞳の先にあるのは、無論、武彦ではない。悪意そのものというような邪悪な笑みを浮かべる、この青年だ。
 事態がまるで読めない武彦も、半ば怒りを浮かべた目を青年に向けたが、しかし、青年も、その彼の眼差しをまるで歯牙にもかけぬ風で、にやにやと笑い続ける。
 そんな三人の様子に、冬馬と千夏は、目をぱちくりさせながら、それでも大人たちが生み出す、この異様な気配に声一つたてられない。

「奥さん、やるなら早くしてくれないと。僕だって忙しいんだよ?」

 その声に、美也子はその美貌を一層恐怖に歪ませ、弾かれたように夫の脇をすり抜けるとキッチンの奥に走り込んだ。
 その様子を唖然とした顔で見送った武彦だったが、やがて憤然と青年を振り返った。
 事態が読めないのは確かだが、それでも、彼にも一つだけ分かる事がある。さっきのやりとりからして、こいつと妻は少なくとも何らかの関係にある。ならば今日、美也子の様子がおかしかったのは、全てこの男が原因だということだ。

「――おい」
 もはや、この意図の分からぬ訪客への遠慮はない。武彦の物腰は、完全に容疑者に相対する刑事のものへと変化していた。妻を惑わせ、悩ませている下手人がこの若造だというなら、こいつは客でも何でもない。家族を脅かす単なる犯罪者だ。
「貴様、誰だ? 妻に一体何をした?」
 そのまま青年の胸倉を掴み上げ、力任せにぐいっと持ち上げる。幾多の現場で、凶悪犯をねじ伏せてきた逮捕術だ。その気になれば、こんなやせっぽちの大学生なぞ叩きのめすに雑作はない。
 さすがの青年も、その表情から笑みが消え、一滴の冷や汗が頬を伝う。現職刑事の眼光と腕力に抗えるだけの気力など、もとより持ち合わせてはいないようだ。
 そのときだった。

「あなた……その方を、放して下さい……っっ!!」
548傷 (その5):2008/11/19(水) 04:00:17 ID:AUz3kiXP

「まま……?」

 思わず首をかしげるような間の抜けた声を冬馬が上げた。
 だが、それも無理はない。
 そこに、景浦美也子がいた。だが、その震える手には何故か出刃包丁が握られ、血走った瞳をさらに見開かせ、その表情はまるで童話に登場する鬼女か、地獄の鬼婆のようだった。
「美也子……?」
 一方、放せと言われた武彦であったが、発言者のあまりの異様さに、逆に凍りついたように動けない。それもそうだろう。美也子と知り合って何年経つか数えてみねば分からないが、ここまで意味不明な興奮状態に陥った彼女を見たのは、初めてだったからだ。
 
「その方を放しなさいと言ってるんですっ!!」
 ヒステリックな叫び声に、さすがに武彦も、気付いたように青年を締め上げていた手を放す。ブザマにへたりこんで咳き込む青年を尻目に、武彦は、美也子を振り返った。
「どうしたんだ美也子……そんな危ないものを持って……いったい何の真似だ……?」
 両手を広げ、平静を失った妻に優しい声で語りかける。
 刑事が犯人を取り押さえるすべは、何も暴力だけには限らない。過去の現場で、凶器をその手に持つことで興奮した者たちを、何人も説得してきた武彦である。妻が何を興奮しているか分からないが、すぐに落ち着かせるくらいは――。

「……あなた……ごめんなさい……本当に……っっっ!!」

(ちがう)
 不意に、武彦は気付いた。
 妻はパニックになどなってはいない。
 美也子の瞳を支配していたのは、興奮などではない。――ただ一色の、漆黒の絶望。
 刑事である彼は知っていた。人に力を与えるのは安堵や安心、安寧ではない。むしろ絶望こそが、人間の魂にやぶれかぶれの行動力を与える、狂気の根源たりうるのだということを。
 その瞬間、武彦は自分の腹腔に、ぬるりと氷が突き入れられたような感覚を覚えた。
「……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさいッッ!!」


 鳩尾に突き立てられた出刃包丁は、手首の回転によって一度えぐられ、引き抜かれる。たまらず身を捻った武彦の背に、ふたたび食い込んだ包丁は肺を貫き、夫の有酸素運動をすべて禁じてしまう。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!?」
 うつ伏せに床に倒れ込んだ夫を、妻の凶刃は逃がしはしない。
 武彦の臀部に馬乗りになるように腰掛け、何度も何度もその手の刃を振り下ろす。包丁という、幸福な家庭の台所を象徴する調理器具で、家族と家庭を身一つで守ってきた夫の肉を、彼女はひたすら突き刺し、貫き、抉り、切り裂く。
 武彦の意識はすでに消えていた。
 彼が、最後に耳にしたのは、愛妻の手によって“解体”される自分の肉の濡れたような音と、リビングに響き渡る隣家の大学生の嘲笑……。


 ワンピースを夫の返り血で真っ赤に染め、ゆらりと立ち上がった妻の顔は、――罪の意識どころか――うつろな笑みに包まれていた。
「御主人様……言いつけは、守りました……貴方の御命令どおり、“我が子の見ている前で”夫をこの手にかけましたわ……」
 腹を捩るような勢いで爆笑を続けていた青年は、涙を拭いながら胸をさする。笑いすぎて呼吸困難になってしまったと言わんばかりに、軽く咳払いで彼女に答えた。
「……すごい、すごいよ奥さん……まさか、本当にやるなんてね……」
「これで……わたしとおなかの赤ちゃんを……御主人様のものにして戴けますね……?」
549名無しさん@ピンキー:2008/11/19(水) 04:01:41 ID:z29v2D+W
しえん
550傷 (その5):2008/11/19(水) 04:02:41 ID:AUz3kiXP

「ごめんなさい、その、千夏さん、……私の理解が追いつかなくて申し訳ないんだけど、結局のところ、いったい何が起こったの? 何故あなたたちのママは、夫を殺さなくちゃいけなかったの?」

 ためらいがちに放たれた弥生の質問に、千夏は答えず、しばし視線を眼下の紅茶に落とす。すっかりぬるくなってしまったダージリンが、そこにはあった。
 弥生は焦れたような顔をしたが、それでも辛抱強く、千夏の口が開くのを待ち続ける。

「……母は……浮気をしていたんだよ……」
 やがて、数分ほどの沈黙を破り、千夏がポツリと言った。
 だが、そこまでは弥生にも分かる。訊きたいのはそこから先だ。
 浮気をしていたからといって、それを理由に亭主を殺すなどあまりに行動が飛躍しすぎている。離婚したいのなら、そこから先は法的な話になるはずだし、それで生じた修羅場の挙げ句、夫を殺したというならまだ解釈の仕様もあるが、どうやらそうではないらしい。
 つまりさっきの千夏の説明だけでは、彼女たちの母の犯行動機が、まるで異なる時代か文明圏の人間であるかのように、弥生にはまったく理解できないのだ。
 だが、そんな彼女に、千夏は答えた。

「そして母は……浮気相手の大学生に……完全に支配されていたのさ……それこそ身も心も、ね……」

 支配?
 どういうことだ? 
 仕事人間の夫の不在中に、浮気を楽しんでいたという雰囲気ではないというのは、話から大体察する事が出来たが、しかしそれでも“支配”という言葉は、相互理解を旨とする『恋愛』という共同作業から、余りに逸脱しているではないか?
 
「……警察の事情聴取で分かったらしいけど……母は……薬物や催眠術……さらにSM的な心理操作のあらゆるテクニックで……その大学生に一方的に依存するように……「調教」されていたらしい……精神的にも……肉体的にも、ね……」
「じゃあ、あなたたちのママは……!?」
「その大学生に……ただ“命令された”んだそうだ……そうしなければ、二人の関係もこれまでだと言われて……」

 その言葉に、弥生は息を呑まざるを得なかった。
 そんな事が可能だというのか。
 どこにでもいる人妻を、我が子の前で夫を殺させることができるほどに、完全に支配する事ができるというのか。人間は人間の魂を、そこまで完璧にコントロールする事が出来るというのか。

「無論……誰にでも出来ることじゃない。……その男は……心理学を専攻する医大生で……薬物も、同期の友人から簡単に入手可能だったらしい……」

 そんな男に目をつけられた母こそ哀れだ。
 そう言わんばかりの千夏の瞳であったが、しかし、弥生は容赦しなかった。なにより、肝心な事をまだ弥生は聞いていないのだ。つまり、冬馬が母を自殺に追いやったと言う、おゆきの言葉の真実を。
「それで、どうなったの?」
「…………」
「教えなさい。あなたの母親が父親を殺した。それで、そこからどうなったの?」


////////////////

「その野郎は調子に乗ったんだろうな。またまた、とんでもない命令をお袋に出しやがったんだ」
「とんでもない命令?」
 
 遠い目をしながら語りつづける冬馬に、葉月は尋ねた。
 無論、兄の瞳には、過去を懐かしむ光は一分もない。己の闇の深淵を覗き込むような、彼女が初めて見る暝(くら)い眼差しだった。

「今度は、おれたちを指差して、ついでだからその子供たちも殺してみてくれって言いやがったのさ。その間男野郎が、さ」
551傷 (その5):2008/11/19(水) 04:04:03 ID:AUz3kiXP

 さすがに葉月も唖然となった。
 その男は、本当に人なのか。人間はそこまで他者に残忍になれるものなのか。
 だが、兄は生きている。千夏という少女も生きている。つまり美也子は、その男の命令に逆らったという事になる。しかし、自分の夫さえ殺してしまうほどに意思を奪われた女が、我が子に対する母性本能が残っていたとは、葉月には到底思えないのだが……。
「さすがにお袋といえども、我が子は殺せなかったんだろうさ。心理学専攻だか何だか知らねえが、あいつはお袋を追い詰めすぎた事に気付いていなかった。結局、お袋は――」
 そこで冬馬はワンカップをぐいっとあおると、
「逆ギレのあげく、今度は、野郎を刺し殺しちまった。親父を殺った包丁でな」


「それから……どうなったのですか……?」
「どうもしやしねえ」
 苦虫を噛み潰したような顔で冬馬は言った。
「お袋はそのまま逮捕されちまったが、心神喪失状態の犯行ってことで、裁判でも無期や死刑は食らわなった。確か、懲役10年か15年ってところだったかな……」
 軽い――と、さすがに葉月も思った。
 二人も殺して、その程度の刑期で済んだというなら、よほど腕利きの弁護士か、よほど人がいい裁判官が事件を担当したのでなければ考えられない判決だ。

「むしろ、すべての責任は死んだ大学生に押し付けられた形になっちまった。現役の医大生が薬物まで使って、一人の女の理性を奪い、現職警官の夫を殺させたってな」

 なるほど。たしかに分からない話ではない。
 現職警官の家族が絡んでいるなら、美也子を起訴した検察も随分悩んだ事であろう。
 浮気女房が、トチ狂って亭主を刺した――というだけの単純な事件ではない。彼女に夫を殺すように示唆したのは、その大学生であるし、そもそも美也子は彼の命令に逆らえないように正気を奪われていた。
 なにより、刑事の妻が夫を殺したなど、警察にとっては醜聞もいいところだ。死んだのを幸い、全ての責任をその大学生になすりつけ、可能な限り、美也子の立場を哀れな被害者にとどめた方が、まだ世間的にも聞こえはいい。
 警官の身内が不祥事を起こしたというスキャンダルを避けるためにも、当時の検察としては、そうするしかなかったのだろう。
――そう葉月は推測した。

「結局、お袋がムショにぶちこまれてからしばらくして、おれと千夏は、親父の……景浦の遠縁の親戚とやらに引き取られたんだが……」
 そこで言葉を切ると、冬馬は重い視線で葉月を一瞥し、まあ、その話は今度でいいか、と溜め息をつくと、言った。
「それから何年か経って、お袋が、あの大学生のガキを獄中で出産したって聞いて、――まあ当然、その子は施設に送られたらしいが――おれと千夏がその子に会いに行ったら、その赤ん坊に妙に懐かれちまってな。時間が空き次第、何度もおしめを換えに行ったものさ」
「じゃあ、それが……」
「ああ、さっきの“おゆき”だ。今でこそ、あんなだけど、昔は可愛かったんだぜ?」
 冬馬は、そこまで言って、初めて過去を懐かしむような瞳をした。

 彼の話によれば、事件が起こったのは十年前だというから、あの少女が“浮気相手”の娘だとすれば、いまは10歳か9歳ということになる。
「なるほど……」
 葉月は、家に来たばかりの兄を徹底的に無視していた自分を思い出す。なるほど確かに、思春期に入りたての女の子というものは、おしなべて態度が鋭くなるものであろう。
 だが、兄の話は、いまだに“本題”に入ってはいない。
 その“おゆき”が、彼に決定的な感情を持つに至る発端となったエピソードを、彼はまだ語ってはいないのだ。


「で、それからまたしばらく経って――あれは、おゆきが6歳になった誕生日だったか――、ム所のお袋から手紙が来たんだ。逢いたいってな」

552傷 (その5):2008/11/19(水) 04:05:51 ID:AUz3kiXP

「……面会室で、母は言ったよ……いまの自分は模範囚で、あと二年も経てば仮釈放になるらしい……だから……そうなったら……親子四人、一緒に暮らそうって……」
 そこで、千夏はしばし言葉を切り、瞑目した。

「それで?」
 とは弥生は言わなかった。
 眼前の少女が、ようやく本題――彼の過去にまつわる暗部の一幕――を語ろうとしている。そういうときには、何気ない合いの手さえも、話の腰を折る雑音となりかねないということを、この利口な娘は知っている。
 どれだけ焦れようが、こっちが沈黙を守ってさえいれば、千夏は全てを語ってくれるだろう。

「おゆきは飛び上がって喜んだよ……。なにせ、私たちがよく会いに行ってたと言っても……あの子はまだ施設にいて……生まれてこの方、母の愛をついぞ知らずに育ってきた……不憫な子だからね……」

 その言葉から察するに、どうやら冬馬と千夏やおゆきのもとには、美也子から手紙などのやりとりがあったようだ。少なくとも、おゆきは、その獄中の女を自分の母親として認めていたらしい。
 まあ、いい。そんな事はしょせん重要ではない。少なくとも自分にはどうでもいい事だ。
――弥生は、心中でそこまで思考を巡らしながら、千夏の話を聞き続けた。

「でも、お兄様は……兄は、その瞬間、席を立って言ったよ……『お断りだ』とね……」
「…………」
「あなたは、すでにおれたちの母ではない……父を殺した犯罪者に過ぎない。親の仇と一緒に暮らすくらいなら……死んだ方がマシだ……」
 千夏は、そこで紅茶を一口含み、喉を潤すと、
「……そう、言ったんだよ」
 と言って、カップを置いた。

 弥生はそこまで聞いて、しばし違和感に首をひねらざるを得なかった。
 冬馬の言い分も分かる。分かるが、……あの冷静な弟が、場の空気もわきまえずに、そんな事を言うだろうか? たしかに冬馬は、その内心に火のような激しい気性を秘めているが、その攻撃性を簡単に表に出すほど迂闊な性格ではない。
 たとえ美也子という女性が何をしたとしても、仮にも孤児であった自分を引き取り、愛してくれた“育ての母”には違いないのだ。しかも彼女が不貞を働いた裏には、相手の医大生が薬物を利用し、理性を失わせていたという事実も発覚している。
 そんな女性に対して、しかも欣喜雀躍していたらしいおゆきの眼前で、そんな雑言を吐くだろうか?
  
「……兄がそう言うのも、まあ当然なのさ……。逮捕された母から私たちを引き取った遠戚は……それこそ、人の顔を被った悪魔のような……そんな夫婦だったからね……」

 その一言に、弥生は目を細めた。
 ならば、冬馬の身体中に刻まれた、あの傷痕も、その新しい“両親”の仕業であるに違いない。そこまで分析して、しかし弥生はたまらず口を挟んでしまう。
「そんなにひどい親戚なら、なぜ二人で逃げなかったの?」
 だが、千夏はその質問を冷笑した。
「……逃げて、どこへ行くというんだい……?」
「どこって……」
「私たちの帰るべき場所は……もうとっくの昔にこの世から無くなっている。……木っ端微塵にしたのは……他ならぬ私たちの母だ。そんな母を……兄は……それこそ心の底から憎み抜いていたのさ……」

(……なるほど)
 そんな事情があったのなら、あるいは弥生も、冬馬の暴言を納得できる。
 自分たちを地獄に追いやった原因を作った女性から、『一緒に暮らそう』などと言われたら、いかに彼といえども平静ではいられないはずだ。第一、その当時まだ冬馬は年端も行かぬ中学生でしかないはずではないか。
 

「そしてその夜……母は自殺したよ……遺書に『ごめんなさい』と一言残してね……」
553傷 (その5):2008/11/19(水) 04:09:04 ID:AUz3kiXP

「……兄も相当のショックを受けていたけど……やはり、一番衝撃を受けていたのが……おゆきさ。……あの子はそれ以来……兄を『人殺し』と呼んで……会おうともしなくなったからね……」

 弥生は、しばし絶句していたが、しかし搾り出すように口を開いた。
「その子は……おゆきちゃんは知っているの? 冬馬くんと貴女が、その親戚のもとで、どんな苦労をしたのか?」
「……そりゃ、知っているよ……ニュース種にもなったくらいだからね……」
「ニュース?」
 思わぬ単語に、弥生も目を細める。
 ニュース種というからには、TVや新聞で報道された事件に関わっている、という事になるが、実子を虐待の余り死に至らしめたというならともかく、単に継子イジメ程度の話では、近年のニュースはさほど大きく取り上げないはずだ。
 ならば、冬馬と千夏に直接関わる虐待以外の何らかの事件を、その“親戚”とやらが起こしたということか?


「貴女も知っているだろう……芹沢家強制売春事件を……? あの一家こそが、私と兄を引き取った“親戚”なのさ……」


 弥生は、あっと声を立てそうになった。
 芹沢家強制売春事件――。
 日本全国の育児施設から20人近くの孤児を引き取り、一代の慈善活動家として名を馳せた芹沢孝之夫妻が、そのウラで、ノーマルな性行為に飽きた政財界の変態どもを相手に、養子の少年少女たちを抱かせ、多額の報酬を受け取っていたという、あの事件。
 強制売春の元締たる芹沢孝之は「平成のジル・ド・レー伯爵」と謳われ、連日連夜TVをにぎわせたが、政財界の大物たちを顧客として巻き込んでいることから、いまだに事件の全貌が明らかになったとは言い難く、現在でもなお公判が続いている大事件である。
 千夏ならば、その幼少期も輝くばかりの美貌を誇っていた事であろう。芹沢のごとき鬼畜が親戚にいたならば、千夏を引き取るために「冬馬を含めて兄妹まとめて面倒を見る」くらいは言うであろうし、何も知らない幼い兄妹なら、その“親戚”を喜んで頼ったはずだ。
 
「芹沢が逮捕されて……おゆきは初めて……私たちの“里親”が誰だったのかを知った……それで……あの子も少しは……あのときの兄を理解したはずだが……だからと言って……それで丸く収まるほど……人の心は簡単じゃない……」
 そう言って千夏はふたたび俯いた。

「…………」

 弥生は、いかにも傷ましいものを見る視線で千夏を見つめていたが、その内心では、実はまったく別の事を考えていた。
(冬馬くんが芹沢事件の関係者ならば、この娘と同じく、変態どもに身体を売らされていたって事よね。なら、冬馬くんの深層心理には、やはりセックスに対する多大なトラウマが眠っている……?)
 ならば、24時間体制で監視しているはずの弟が、いまだに自室で自慰一つしようとしないのも、もしかしたら“浮気”ではなく、そのトラウマが原因なのかも知れない。
(ならば、それを利用しない手はない)
 そのトラウマこそが、愛する弟を自分に振り向かせるための鍵となるはずだ。
 なら、この女は――まだ利用価値がある。

「ありがとう、千夏さん。……つらい話を無理にさせてごめんね」

 そう言いながら、テーブルに載せられた請求書を取り上げ、ここは私が払っておくとポーズを示し、
「今後とも“お友達”として、弟の話を聞かせて欲しいから……連絡先だけでも教えてくれる?」
 そう囁く弥生の穏やかな瞳に、内心の黒い計算はまったく感じ取れない。
 その笑顔に応えるように、千夏は、神々しいばかりの微笑を浮かべた。
(でも、……仲良くしてあげるのは、仲良くする必要がなくなるまでよ、お嬢ちゃん)

 千夏の、その美しい笑顔に、あらためて弥生は心に誓った。
554名無しさん@ピンキー:2008/11/19(水) 04:12:17 ID:AUz3kiXP
今回はここまでです。
ID:z29v2D+Wさん、御支援ありがとうございました。
555名無しさん@ピンキー:2008/11/19(水) 04:14:08 ID:uYlIDeVV
GJ!
556名無しさん@ピンキー:2008/11/19(水) 08:05:42 ID:VU1OzJbE
GJ!
557名無しさん@ピンキー:2008/11/19(水) 08:19:22 ID:vzCED6wS
なんか三文芝居みたいな展開だな…
558名無しさん@ピンキー:2008/11/19(水) 08:38:58 ID:npHQbBmV
また濃厚なキモ姉のターン来るか・・?これは展開にwktkせざるを得ない。
GJ!!!
559名無しさん@ピンキー:2008/11/19(水) 09:03:44 ID:1EhxU41L
>>557
タダで読んでる分際で図々しい物言いだな
560名無しさん@ピンキー:2008/11/19(水) 09:48:23 ID:69FhNjoD
>>559 に激しく同意。

お客様はゆとり板に帰ってね。

あと激しくGJでした。
561名無しさん@ピンキー:2008/11/19(水) 10:28:16 ID:WWqyeZIR
>>532 GJ!!司のかわいさに癒されました。でも、この娘もいずれはヤんでしまうのか……?

>>554 GJ!!それにしてもおゆきとかいうガキには腹が立つな。どう考えたって、悪いのは自殺した母親だろ?
誰だって自分を不幸にした奴と、一緒に暮らしたいとは思わない。それに、勝手に夫を殺して勝手に自殺したのは母親。
それなのに、母親が自殺したのは自分の所為だと思う冬馬はいい人すぎる。その人の良さが裏目に出なければいいが……。
562名無しさん@ピンキー:2008/11/19(水) 12:08:42 ID:qKeBrRxu
千夏が途中で下町の親父にみえたのは俺だけか・・・・それでもGJ!
563名無しさん@ピンキー:2008/11/19(水) 14:45:53 ID:npHQbBmV
>>561
まぁ私的な意見だから筆者さんの書きたかった事とは違うかもしれないけど
おゆきは母親の殺人は警察の発表してる内容程度にしか知らないんじゃないか。
んで、6歳でずっと施設育ちでやっぱり家族の愛情に飢えてる
→大好きなお兄ちゃんお姉ちゃんと、お母さんと一緒に暮らせる!嬉しい!!
→拒否
→そのせいで母親自殺
→これからの楽しい時間\(^o^)/

これは兄貴恨まずにはいられないだろ・・
564傷 (その5):2008/11/19(水) 16:05:11 ID:AUz3kiXP
……ぐおっ!
自分で読み返して、な〜んか違和感あるなと思ったんで確認してみたら、
最初の1ページを投稿し忘れてました!

というわけで、本来はこのページが>>544の前にきます。
つまり、実質的に今回の話の1ページ目です。
565傷 (その5):2008/11/19(水) 16:06:20 ID:AUz3kiXP

「兄さん……」
 葉月が兄に追いついたのは、寺の門からすぐの道端だった。
「兄さん……あの……」
 冬馬は振り向かない。
 妹の言葉を、意図的に無視しているようでさえない。まるで葉月の言葉が聞こえていないようだ。
 何かを言わねばならないのは分かっている。だが、何を言えばいいのか、葉月には分からない。しかし、彼を墓前から追い返した「おゆき」という女の子との間に何があったのか。その事情を知らぬ葉月には、まさしく為すすべがない。
 
「なさけない……と思うか?」

 肩を落として歩く冬馬が、ポツリと呟いた。
 だが、彼の視線はあくまで妹に向けられる事は無く、俯くままに地面に向けられていた。
(兄さん……)
 何があっても陽気で、溌剌さを失わないはずの兄。それでいて、運動部の助っ人などに請われた時でも「補欠ホケツと言われながら自分の出番を心待ちにしている者たちの晴れ舞台を、気安く奪う気にはなれない」といって拒絶する、優しさと思いやりを持つ兄。
 彼女が兄と呼ぶ柊木冬馬とは、そんな颯爽とした男のはずだった。エサにあぶれた野良犬のように、肩を落として俯いて歩くような男ではないはずだった。

「――はい。なさけない、と思います」

 葉月の言葉に、一瞬びくりとしたように振り向いた冬馬だったが、その目に宿っていたのは、妹の激しい言葉に対する驚きと、喧嘩に負けたあとのような悲しげな光だった。
「……そうか、なさけない、か」
 冬馬の、その瞳を見た瞬間、反射的に葉月は、彼を突き飛ばしていた。
 寺の練塀にあっさり背中をぶつける兄。そんな眼をした兄も、自分ごときに簡単に突き飛ばされるような兄も、葉月には気にいらなかった。とても気に入らなかった。だから葉月は、そんな情けない兄の胸元に飛び込み、子供のように彼に抱きついた。

「聞かせてください。何があったのかを」
「葉月」
「兄さんは今朝、最初の里親は無理心中で死んだ、と仰いました。でも、あの子供は兄さんを「人殺し」と呼びました。母を自殺に追いやったのは、兄さんだと」
「…………」
「わたしは妹です。でも、兄さんの事をほとんど知りません。だから、兄さんの事は兄さんに聞かない限り、分からないのです。いまの兄さんの気持ちを理解してあげる事が出来ないのです」

 冬馬を見上げる葉月の眼差しは真摯なものだった。
 そして、それ以上に優しい光に満ちていた。
 普段はクールな妹が、誰に見られるかも知らぬ路上で、こんな瞳をして情熱的な抱擁を自分にしてくれている。その事実が、古傷を抉られた兄の心を少なからず癒したのだろうか。――いつしか兄の目に、葉月の知る強い光が戻ってきていた。

「覚悟は……してたつもりだったんだ。おゆきがおれを許しちゃいない事は、事前に知っていたはずだったからな」
「ならどうして、一言も言い返さずに、あんなにすごすごと踵を返したのですか?」
 すごすごって……きついな。
 そう呟くと、冬馬は、いつものように葉月の頭を優しく撫でた。
「おれはどうやら……おれが考えていたより、弱い人間だったから、……かな?」
「兄さんは、弱くありません」
 訴えるように言う葉月の一言に、冬馬は苦笑する。
「それはお前の解釈だ。おれのことをよく知らないと自分で言ったお前が、そんなことを言っちゃいけないな。現におれは――」
 そこまで言って言葉を切ると、彼は優しく――だが、明確な意思を持って、葉月を引き離した。

「自分が自殺に追い込んだ義母を、『無理心中』だと解釈する事で、事件と向き合う事から逃げようとしている腰抜けだ」

 その言葉に葉月は絶句した。
「では兄さん……あの子が言っていたことは……本当なのですか……?」
 冬馬は、その問いには答えず、葉月に背を見せて傍らの自販機でホットの缶コーヒーを買うと、投げて寄越し、飲めといった。
「長い話になる。それも、どうしようもないほど救いのない話だ」
 だから、こんなものでも飲まないと、しゃべる気にもならないと言って、自分の分として買ったワンカップを悪戯っぽい笑顔で示し、くいっと一口あおった。
566傷 (その5):2008/11/19(水) 16:09:47 ID:AUz3kiXP
以上です。
……すいませんが、保管庫に登録する時に、修正していただけると非常に嬉しいです。
ご迷惑おかけして、申し訳ありません。
567名無しさん@ピンキー:2008/11/19(水) 18:55:21 ID:4L5XdeEJ
>>566
いえいえそんな、ご丁寧に。
568名無しさん@ピンキー:2008/11/19(水) 22:44:12 ID:hlsR35Qa
でも違和感はなかったな
569名無しさん@ピンキー:2008/11/19(水) 23:23:25 ID:zRo+fO08
俺的にはありだけどまぁ展開によるわな
投稿云々なら毛嫌いする奴もいるしここで投稿しない方が良いけどな
570名無しさん@ピンキー:2008/11/19(水) 23:24:57 ID:89v2LoUq
なんという鬱
571名無しさん@ピンキー:2008/11/19(水) 23:27:19 ID:aJLKpBvu
鬱くしい…
572名無しさん@ピンキー:2008/11/20(木) 00:21:57 ID:REbzrsKo
GJ!
なんだが俺にはお母さん調教されてました辺りのくだりがダメージでけえw
573名無しさん@ピンキー:2008/11/20(木) 00:44:53 ID:pJUJb7M+
GJ!
弟の過去さえ・・・弟の過去さえ解き明かせればよい
千夏の過去や思想なぞ・・・どうでもよいのだッッ!

っていう弥生の考えは俺のストライクです
574名無しさん@ピンキー:2008/11/20(木) 03:42:51 ID:nBKr2efV
GJ!
て言うかこんなにトラウマ盛り沢山な人生送ってきたのに、人間が出来てる冬馬ってすげえ
母親の自殺の後何があってそうなったのか気になる
575名無しさん@ピンキー:2008/11/20(木) 09:12:02 ID:tbtuqWpB
母親が洗脳されてるあたりは無理やり感があってちょっと萎えるな
とりあえず、自殺した母親にはアカギの責任を取る道は〜の名台詞を聞かせてやりたい
576名無しさん@ピンキー:2008/11/20(木) 09:40:09 ID:a3NrDUz1
>>575
さっすが一流のSS批評家!言うことが違うや!
577名無しさん@ピンキー:2008/11/20(木) 10:07:35 ID:4NRs3j1V
まあ「説明」はしなくてもよかったんじゃないかとは思った
578名無しさん@ピンキー:2008/11/20(木) 12:01:56 ID:VyCSP4lO
ここまでレスが続いていることに驚いた
579名無しさん@ピンキー:2008/11/20(木) 12:33:50 ID:MqbWZ1Et
初めまして。キモウト愛が溢れて書いた物を投下します。
580未来のあなたへ:2008/11/20(木) 12:34:27 ID:MqbWZ1Et



私には兄がいる。



我が家の家族構成は、父、母、兄、私の四人で成り立っている。それと飼っている猫が一匹、名前はミケ(♀)。
隠し子や義理の親子関係といった、特殊な関係性はない。どこにでもある普通の家族構成だ。

父は隣町の商社に勤めている。会社の規模は中堅で、役職は部長。
理性の抑制が強い人で、私は父が怒鳴るのをほとんど見たことがない。
感情をあまり表に出さないけれど、実際は人並み以上の倫理を備えている。そんな人だ。
私の性格は父に似た部分が多いと思う。
私は父とは普段あまり話さない。とはいえ、それは嫌い合っているわけではなく、ただお互いに無口なだけだ。
時折、疑問に思ったことを質問としてぶつけてみたり、議論めいたやりとりをすることもある。
父の論理は明瞭公平で、納得できなかったことはほとんどない。母や兄では、議論が成り立たないという面もあるけれど。
私はそんな父を好ましく思っている。いや、言い変えよう。私は父のことを信頼している。

母は父より二歳年下で、家事を引き受けながら昼間は近所のスーパーマーケットでパートタイマーをしている。
父とは反対に、感情をすぐ表に出す人で、涙もろく情に弱い。
とても騙されやすい人で、一度などは振り込め詐欺の被害に遭いかけたこともあった。あと、通販で役に立たないものを買うのと、新聞を何部も取るのはやめてほしい。
私と母との間柄は、一般的な親子というよりも友達同士の感覚に近い。
休日はよく一緒に買い物や遊びに行くし、会話の調子も上下ではなく対等なものだ。ただし躾に関しては、それなりに煩い。
少なくとも、母ならば私のクラスメイトと一緒に遊んでも、エネルギッシュという点では引けを取りはしないだろう。
どちらかと言えば大人しい性質の私は、そんな母に疲れてしまうこともしばしばだった。
けれど母に抱く感情は決して嫌悪ではない。むしろ、最も仲のいい人間とさえ言えるだろう。

父と母の夫婦仲は良好な方だと思う。
言い争っていることもある(大抵声を張り上げているのは母だけ)けれど概ねは翌日何事もなかったかのように会話をしているし。
週に二度、夫婦で食事に行くのも基本的に欠かしたことはない。
たまに思うのだけれど。あの正反対な性格の二人が、一体どうして結婚などできたのだろう。それとも、結婚とは案外そういうものなのだろうか。

自身のことも記そう。
榊優香。女。十四歳。中学二年生。
背丈は平均よりも高い方。髪は背中に届くまで伸ばしている。プロポーションは……まあどうでもいいよね。
総合的な外見に関しては、周囲からは高評価を受けている。けれど自分が美人かどうかなど、実感が湧いたことはない。
学力は上の中といったところになる。理系に強く、文系にはやや弱い。運動はそれほど得意ではない、というよりも苦手だ。
性格に関しては、よく他人には冷血優等生等と言われる。何事も論理的に判断するから、そういった評価を受けているのだろう。それについては父の影響と言う他はない。
そんな評価と性格だからか、友人は少ない。昼食を一緒に取るクラスメイトがいるけれど、よく話すのはその子ぐらいだ。

前述した通り、私の家族に問題はない。兄については後述するが、十分以上に善人と言える人柄だ。
むしろ境遇としては恵まれた方に部類するだろう。私はきっと、生き易い世界に生まれてきた。
けれど、境遇にも遺伝にも問題がないならば、私はどうしてこのような人間になってしまったのだろう。



私は兄が好きだ。
私はあの人を、異性として求めている。
581未来のあなたへ:2008/11/20(木) 12:36:42 ID:MqbWZ1Et

兄は私よりも一つ上だ。十五歳。中学三年生。
背丈は平均よりもやや低い。昔から、クラスで一列に並ぶと五番目くらいになる人だった。私よりは高いけれど、その差はあまりない。
本人は背丈のことをとても気にしていて、指摘するとすぐに怒る毎日牛乳を飲んでいたり、微笑ましい努力は行っているけれど、今のところ結びついてはいないようだ。
背が低いからひ弱かといえばそんなことはなく、体つきはかなりがっしりした方だろう。私とは違って運動が得意で、中学に入ってからはサッカー部に所属している。
代わりに勉強は苦手で、成績はいつも低空飛行。赤点を取ることもしばしばで、そういう時は母に派手に怒られているのをよく見かける
性格は、一言で表すのなら純朴。よく笑い、よく泣き、嘘が簡単に顔に出て、すぐに落ち込んで、すぐに立ち直って、人を根拠なく信じて、裏切られて、馬鹿で能天気で、けれど傷つき易くて、
だからこそ他人の痛みがわかる人で、優しくて、強くて、それは他人を傷つけるような強さではなく、真実心の強い人で、それから、それから……
客観的に見るのなら、兄は大して魅力的な人間ではないのだろう。
頭が悪くて馬鹿でお調子もの。サッカー部ではレギュラーだけど、派手な活躍をするでもなく。男女問わず付き合いは多いけれど、異性としては良い友人で終わる、そんな人。
世間一般と私自身と、どちらの評価が歪んでいるのかと言えば、それは私の方だろう。針小棒大にも程がある。
あの人を私以上に評価する人間は、きっと他にはいないだろう。今までも、これからも。

容姿一つを鑑みても、兄には秀でたものはない。低い背丈、ごわごわの短髪、大ざっぱな顔立ち。
けして不細工ではないけれど、見惚れるような美形ではない。それが客観的な評価というものだろう。
けれど私にとっては、少女マンガに出てくるような理想的な造形が、兄の姿形なのだ。
低い背丈も、針金のような短髪も、がっしりした手足も、日に焼けた肌も、頑丈な骨格も、絆創膏を張った膝も、誰も触れたことのない唇も、全て、全て。
もしも他人に話せば、趣味が悪いの一言で済ませてしまうだろう。けれどそんなものではない。そんな生易しいものではない。
幼い頃から形成されてきた私の人格に、ぽっかりと空いた空白の形が、兄なのだ。

私は昔から、感情の起伏が少ない人間だった。
他の人が怒ったり泣いたりするような場面でも、私は「ふうん」と流すだけだった。
それは私自身に危害が及んでも同じことで、転んでも叩かれても怒られても、泣いた覚えはない。
物事に対する態度も同じで、定められた水準を淡々とこなしていくだけだった。そこには達成感などありはしない。挫折感も、ありはしない。
喜怒哀楽、快楽と苦痛、それら全ては私にとって動機足りえない。
多分私は鈍感なのだろう。
生まれつき痛みに強いということは、けして誇れるようなものではない。他人の痛みも実感できない人間は、容易く他人を傷つけられる。
本来の私は、殺人鬼ではないだろうかと……思うときがある。

それでも
それでも私が曲がりなりにも、不適合者として社会から逸脱しないでいられるのは。
兄のおかげだ。すぐに泣いて、すぐに怒って、すぐに笑う、兄のおかげだ。
私の前で、物事に対して人並みの反応をする兄がいたからこそ、私は人並みの基準というものを学ぶことができた。
私の前に、誰に対しても気を使う兄がいたからこそ、私は痛みと倫理の価値というものを知ることができた。
そして何より。兄がいるからこそ、私はこの場所にいることを望んでいる。
今、私が、友達付き合いをするのも、勉強をするのも、学校に通うのも、息をするのも、生きているのも、全て。
喜怒哀楽、快楽と苦痛、それら全ては私にとって動機足りえない。だから私は理性で自己を規定し、その枠の中で動く。
私は、自分の命自体には価値など感じていない。死に対する恐怖も、無視できる大きさにすぎない。生よりも死を選ぶべきだと理性が判断すれば、躊躇なく実行できる。
私は、生きているという理由だけで、生き続けるという行動を行うことはできない。
私が生き続けているのは、ここに兄がいるからだ。兄がいないのなら、こんな場所にいる理由はない。生きている理由はない。
兄は普通の人だから、私は物心ついてからずっと、普通の人間のフリを続けている。
私は、私に欠けている全てを持った兄を想うことで、ようやく普通の人間になれるのだと思う。

582未来のあなたへ:2008/11/20(木) 12:37:16 ID:MqbWZ1Et
そうしてずっと生きてきた。
疲労しない、といえば嘘になる。けれど私にとっては、疲労感は動機にはならない。
それよりも未来のことを考えると、理性がひび割れるような思いがする。論理的な矛盾があるからだ。
この生き方を、私はいつまで続けることができるのだろう。
兄にはまだ、恋人はいない。客観的に見れば、異性として大して魅力的ではないからだ。そして兄自身、恋人を作ることに積極的ではない。私はその二つの事実に、深く深く感謝する。
けれどこれから先は、どうなるかわからない。いいや、いつかは必ず、兄には恋人ができるはずだ。それが一カ月先か、十年先かまでは不明なだけだ。
兄を誰かに奪われることを考えると、私の理性は軋みを上げる。胸がかきむしられる様な思いがする。それが、普通の人間にとっては絶望と言うべきものなのだろう。
ならばどうするのか。先に私が、兄を奪ってしまえばいいのか。
けれど理性は考える。仮に兄と恋人同士になったとして、その後はどうするのか。
兄妹の行為は近親相姦に当たる。両親や知人にどう説明する? ずっと秘密にしておくのか? 結婚は? 戸籍は? 出産は? 子供にはなんと言う? 授業参観は? 保護者面談は? 近所付き合いは?
社会の中で、生きていくのなら。その間ずっと、秘密を維持しなくてはならない。

いや、私はいい。秘密を守ることによる不安も心労も、私ならば塵に等しい。そんなものは喜んで享受しよう。
けれど、それを兄にまで背負わせるというのか。普通の人間であるあの人に。日の当たる場所で笑っているあの人に。
近親相姦の罪を、背負ってまで、あの人はきっと笑ってはいられない。
論理の矛盾だ。
私の欲する通りに動いたとき、私は兄の最も大切なものを奪ってしまう。
何故なら私はあの人の妹であり、私があの人に望むのは罪のない笑顔だから。
……どうして私は、あの人の妹に生まれたのだろう。
妹でさえなければ、あの人を貶めることもなく一つになれたのに。
兄に逢うことがなければ、私は矛盾もなく殺人鬼でいられたのに。
こんな人間でなければ、私はただの妹でいられたのに。
運命などというものはなく、全ては偶然にすぎないと私の理性は知っている。
けれど、それでも。運命を呪わずにはいられない。

そもそも、どうして私は兄を異性として求めているのか。
ただの家族として、妹として求めることができたのなら、こんな矛盾を抱えることもなかったのに。
客観的に見れば、兄は異性としては大して魅力的ではない。ならば通常、他の人間に異性としての興味を持っても良いはずだ。
家族に対する愛情と、異性に対する愛情は、本来分けられるものなのだから。
けれど私は、兄以外の人間に抱かれることを考えると吐き気がする。
どんな理想化した偶像が相手でも、犯され孕まされる段になると、私の想像力は悲鳴をあげて停止する。愛液など、一滴たりとも分泌はされない。
その後はどうしようもなく兄の匂いを求めたくなる。なりふり構わず抱きついたことさえあった。
583未来のあなたへ:2008/11/20(木) 12:38:59 ID:MqbWZ1Et
恋愛感情と性欲は、イコールではないにしろ密接な関係がある。
前述と矛盾するようだが、私はよく自慰をする。快楽に溺れているわけではない、と思う。あまり気持ちの良いものではないからだ。私はおそらく不感症の類だろう。
それでも私はほぼ毎日のように自分を慰める。場所は自室のベッド、道具は使わない。妄想の対象はいつも兄だ。
前から後ろから貫かれ、組み敷かれ組み敷き、あるいは抱き合って、愛を囁かれ、精子を植え付けられるという妄想。
奇妙かもしれないが、そういった行為の中でも快楽は少ない。けれどそれよりも、胸がひどく満たされて、絶頂に至る。
鑑みるに、私はとても性欲の強い人間なのだろう。ただし肉体的なものよりも、精神的な欲求の方がはるかに強い。
そういえば小学三年生の時、テストで高得点を取って兄に頭を撫でまわされた時。雷に打たれように、体がびくびくと震えたことがあった。勿論、第二次性徴を迎える前だ。
幼い頃から私は手のかからない子供らしかったが、その時点で絶頂に至るだけの性欲というものを備えていたことになる。とんだ優等生もあったものだ。
そして、この時点で推測が成り立つ。
すなわち、私の恋愛感情の正体は。幼い頃から備わった精神的に並外れた性欲を、たまたま近くの人間に向けただけではないのだろうか。
……
……推測を否定する材料はない。
だとすれば私は、生まれついての異常者であり、兄は不運な犠牲者でしかないというのか。

兄のことを思うのならば、そんな異常は即刻排除してしかるべきだろう。
兄のことを思うのならば、そんな歪んだ性欲は他に向けるべきだろう。
あの人のことを思うのならば。
けれど私は……この期に及んで、何一つとして兄のことを思いやってなどいない。
全て自分の都合だ。
傍にいたいのも、笑顔を望むのも、自らを慰めるのも、性欲を向けるのも、感情を求めるのも、笑顔が失われるのを恐れるのも、全て、全て。
身勝手極まる私の都合にすぎない。
私の中には、そのような自分を最悪と判断する理性はあっても、断罪する良心など存在しないのだ。
いくら普通の人間のフリをしていても、私にそのような良心が真に根付くことはなかった。
やはり私は、人間として決定的に欠けている。

けれど……いや、だからこそ
私は、私に欠けている全てを持った兄を求めるのだろう。

諦めることも、進むこともできず、論理の矛盾を抱えたまま、私は今もここにいる。
普通の妹のフリをして、兄の後ろに。
この場所で兄を見ていれば、私の胸には暖かいものが満ちる。まるで普通の人間のように、他人を思いやることさえできた。
私の自我にぽっかりと空いた、良心や倫理のあるべき欠落。兄の存在だけが、その空虚を満たしてくれる。
けれど未来に目を向ければ理性が悲鳴を上げる。いずれ訪れる終わりから、ただひたすらに私は逃げるしかない。

いずれ、兄に恋人ができたのなら。

今の私は間違いなく壊れる。そして、何かを壊して、進むのか退くかを選ばなければならない。それは未来の私が選ぶことだ。
だからこの文章は、一種の遺書のようなものだ。
いずれ壊れ、二度と訪れない、今のこの気持ちを残すためのものだ。


未来の私(あなた)へ


それでも私は、この日々の暖かさに感謝します。
私はきっと、幸せだったから。
584名無しさん@ピンキー:2008/11/20(木) 12:40:28 ID:MqbWZ1Et
以上です。
585名無しさん@ピンキー:2008/11/20(木) 13:12:59 ID:qjgqMjHi
GJなんだが…sageられてないのが残念だ
586名無しさん@ピンキー:2008/11/20(木) 14:41:25 ID:XtpYA6Df
>>583
理路整然と自己分析するキモウトというのが、これほどまでに狂おしく愛おしいものとは
GJ!
587名無しさん@ピンキー:2008/11/20(木) 14:45:31 ID:ZaJT4fn9
GJ…読んでいて悲しくなってきた。
自分本位でいいから倫理とか考えずに兄に跳び付くことを切に願いたい
妹の幸せは兄の幸せなのだから…続きはありますか
588名無しさん@ピンキー:2008/11/20(木) 15:20:18 ID:MqbWZ1Et
sageとか知りませんでした。申し訳ありません。次から気をつけます。
続きは今書いてるので、いつか投下します。
589名無しさん@ピンキー:2008/11/20(木) 16:36:23 ID:SovLKGPE
>>584
GJ!
 
sageはメール欄に半角でsageと入力するだけだよ
590名無しさん@ピンキー:2008/11/20(木) 21:08:18 ID:VyCSP4lO
ノスタルジアとフラクタルまだかよ早く投下してくれよ
591名無しさん@ピンキー:2008/11/20(木) 23:47:03 ID:CnO2AfHD
GJ!!ただいま全裸で待機中
592名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 00:17:20 ID:Lgrhhg59
>>584
GJ!!
>>591
全裸で待機するのはいいけど君もsageようね
593名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 06:44:15 ID:dB5eFYhK
アンギットゥの雪国のCOMPLEX LIVES2思い出した、なんか似てるな
594未来のあなたへ1.5:2008/11/21(金) 12:53:15 ID:qlrlB/Jb
>593
本人です、ごめんなさい。せめて妹の名前を変えれば良かった…
簡単ですが続きを書きました。投下します。
595未来のあなたへ1.5:2008/11/21(金) 12:54:05 ID:qlrlB/Jb
兄の下着を盗ってしまった、死にたい。


犯行は計画的に行った。
まず平日に早退して兄の部屋に押し入り、タンスの中にある下着を撮影。
次の休日に衣料量販店に出向き、写真のものと似た柄の下着を数点購入。
そして兄の入浴直後を狙い、洗濯機に放り込んであるトランクスと、同じ柄のものを入れ替えた。
この方法なら下着が足りないと気付かれることもない。
そして自室のベッドに潜り込み、布団の下で兄のトランクスを握りしめたところで今に至る。
正に計画的犯行だった。
死にたい……

そもそも、私が何故こんな犯行に及んだのか。動機と言えば、単に欲求不満だった。
最近、あまり兄と話せていない。いや、話すとしても大抵は説教の類なのだが、それすらできていないのだ。
理由は、部活の大会に向けて兄が練習に励んでいるからだった。毎日毎日、泥だらけになって帰ってきては、夕食と入浴を済ませて寝てしまう。朝練もあるので、下手をすれば一日言葉を交せないこともある。
これでは堪ったものではない。
無論、兄を見てはいる。放課後は復習と称して図書室でノートを広げ、窓からグラウンドで動く兄の姿を探している。流石に双眼鏡の使用は断念した。
けれど、何も会話できないというのは辛すぎる。感情の起伏が少ない私だけれど、胸に空いた穴から、ぽろぽろと自我の欠片がこぼれていく気がする。
私が、壊れる。
最初は無理矢理捕まえて話をしていた。だけど今になっては私が兄にかける言葉は罵倒しかない。例えばこんな感じだ。

「兄さん」
「んー。なんだ優香?」
「最近随分忙しそうだけど、ちゃんと勉強はしているの?」
「えーと…まあ、うん、普通にやってるよ」
「兄さんの言う普通と、私の思う普通には随分と差がありそうね。帰って来てすぐ寝ているようだけど、一体何時勉強してるのかしら」
「う……そりゃ、えーと、まあ」
「今も随分眠たそうだけど、授業中に居眠りなんてしてないでしょうね。兄さんが評判を落とすと、私まで巻き込まれるんだから」
「い、いや……ほら、夏の大会が終わったらちゃんと勉強するからさ」
「当然です。そもそも兄さんは受験生ですよ。他の競争相手は今から備えているというのに、兄さんは夏までの時間を棒に振るんですか」
「え、えーと。まあ、どうせ俺はあんまりいい高校には進学できないだろうし……」
「逆でしょう。成績が悪いからこそ、今から準備をすべきなんです。そもそも、高校受験という未来を決める試練と、あと何年続けるかもわからない趣味と、一体どちらを重視すべきだと思っているんですか?」
「うー、あー、とにかく俺は寝るから! じゃ!」
「兄さん、逃げてばかりでは何も解決しませんよ」

……死にたい。特に最後の台詞、お前が言うな。
眠いところを捕まえて、こんな会話を繰り返していれば、どんどん嫌われていくだけだ。四回で取りやめた。
私だって、今の兄がどれだけ部活に打ち込んでいるかよく知っている。三年かけて毎日やってきたことの、最後の成果を出す機会なのだ。
兄にとっては、進路とどちらかを選ぶような話ではない。というより兄は、二つのことを比べてどちらかを切り捨てられるような人間ではない。
だというのに、どうして私は。あんな言い方をすれば嫌われるに決まっているのに、ただ素直に抱きつけばそれで満たされるのに。

けれど、そんなことは何時からか出来なくなっていた。
それは私の自業自得にすぎない。
私が実の兄を想うという異常性を獲得したとき。その時既に私は、この異常を受け入れない世界の在り方に気付いていた。
思えば私は老けた子供だった。無邪気に「おにいちゃんのおよめさんになる」などと、口走る時期すらなかったのだから。
物心ついたときから、私にとって世界は敵だった。この世界は、兄と妹が結ばれることを許してはいない。そして兄自身もまた、その世界の一員だったから。
私は兄にも本心を隠すしかなかった。私の異常性に気付いたとき、兄が私をどんな目で見るか、想像しただけで狂いそうになる。世界と敵対することではなく、ただそれだけが嫌だった。
596未来のあなたへ1.5:2008/11/21(金) 12:55:35 ID:qlrlB/Jb

そうして私は兄から遠ざかっていった。
その過程で私の立ち位置は冷血優等生という形になっていった。おそらく、兄は仲の良い兄妹だとは思ってはいないだろう。
けれども私にはわからない。普通に仲の良い兄妹が、一体どういうものなのか。私は物心ついたときから、兄を異性として捉えていたのだ。
普通の妹と、異常な妹の線引きは、一体どこにあるのだろう。その限度を知らずに超えたとき、兄の視線から親しみが消える。私はそれが恐ろしくて、必要以上に距離をとったのだ。
父のことを私は信頼している、母とはよく買い物するほど仲が良い。けれどそれが果たして、普通の親子関係の範疇にあるのかどうか。それが私には何もわからない。同じことだ。
他人との距離の取り方が、直感としてわからない。それもまた、私が抱えた欠落の一つなのだろう。

私は本心を隠すために兄と距離をとり、冷血優等生という立ち位置をとった。常に勉強して学力を高めるのも、そのイメージを維持するために他ならない。
けれども極めて愚かしいことに、私は兄との会話を求めていた。前述の通り、兄との会話がないと胸の穴から自我がこぼれていく気がするのだ。
冷血優等生という立ち位置からかける言葉は、徐々に説教の形になっていく。日々が過ぎるほど傾向は顕著になっていき、とうとう私は冷たい言葉しか兄にかけることが出来なくなっていた。
言葉を交わせば交わすだけ嫌われていく悪循環。どうして私はこんな、ああ、ああ……
そんな仮面を全て脱ぎ捨ててしまえれば、どれだけ楽なことだろう。けれど今更に過ぎる。突然態度を豹変させれば、周囲全てが不審に思う。私の本心は、決して気付かれるわけにはいかないのだ。

だから、私は
言葉を交さずとも満たされるための手段として、兄の下着を盗ったのだ。
……どんなに理屈を詰めても、行っていることは変態以外の何物でもない。あまりにも情けなさ過ぎた。
近親相姦願望の時点で既に変態だが、だからといって輪をかけていいというわけではないだろう。
布団の中で、兄のトランクスを握りしめたまま、枕に突っ伏す。

性別を逆にしてみればわかる。例えば、兄が妹の下着を盗むというのは危険人物以外の何者でもない。やればいいのに。
倫理は置いておくにしても、リスクの問題もある。私は本心を隠すために兄から離れ、会話に飢え、下着を盗んだ。
だが兄の下着を握っているところを発見されたら、これはもうどんな弁解も不可能だ。
リスクを避けることに努めてきたのに、結果的にリスクを高めるような行動に走っている。これもまた論理の矛盾だ。本末転倒も甚だしい。
597未来のあなたへ1.5:2008/11/21(金) 12:56:54 ID:qlrlB/Jb

「…………」
矛盾に突き当たったところで、手の中にある下着は消えない。そもそも、これをどうするべきなのだろう。どうしたいのだろう。何を求めているというのか。
兄の下着。分類はトランクス。基調色は青で、意味のない英単語が模様としてプリントされている。少し湿っぽいのは、三十分前まで兄が履いていたからだろう。素手で強く握ると、何かが皮膚に浸透してくるような気がした。股間の部分が僅かに濡れている。
なぜ濡れているのかといえば、論理的に考えて二種類の原因が考えられる。@排尿行為を行ったときの残滓 A性的興奮を催したときに分泌される腺液。
「……はー、はー、はー」
気付けば息が荒くなっていた。変態でしかない。
兄にも性欲がある。その証拠は、私の理性を強烈に打ちのめした。
頭の中では理解していた。兄の年代の男性は、強い性欲を保持していることが多い。第二次性徴の最中なのだ。ならば当然、兄も例外ではないだろう、と。
けれど、想像上で理解しているのと、目の前に事実を突きつけられるのとでは、衝撃がまるで違った。兄にも性欲があるのだ。子供のように笑って泣くあの人も、自室で自慰をするのだ。
反射的に、壁に耳を付けた。隣は兄の部屋だ。息を潜める、鼓動が弾む、一階のテレビが五月蠅い。
…………
衣擦れの音は、聞こえない。どうやら今日はもう、眠ってしまったようだ。
知識を動員して想像する。兄がどのように自慰をするのか。私たちの部屋には鍵がかからない。行為をするなら私と同じように布団を被って行うはずだ。
姿勢は特定できる。男性器は勃起するから、仰向けでは布団が邪魔だ。横向きに寝ておこなっているはずだ。
材料は何を使用しているのだろう。ビデオ、雑誌、写真集、小説、漫画、あるいは妄想。考えられる媒体は様々だ。兄は何を対象に性欲を高ぶらせるのだろう。兄の部屋を徹底的に探せば、それは私にもわかるのだろうか。
気付けば、私は両手を下着の中に突っ込んでいた。ぐじゅりと水気。局所は自分でも驚くほどぬめっていた。熱い。
想像の中で、兄は息を荒げながら自分の男性器を擦っている。ぐじゅぐじゅと皮と腺液のこすれる卑猥な音がする。
ぐちゃぐちゃの局所をいじる。想像の中の兄と同じ姿勢で、兄が絶頂に至るのを待つ。
最後の瞬間。手にしたトランクスを顔に当てて思い切り鼻で吸い込んだ。アンモニアの刺激臭と、生臭い雄の臭い。
私は容易く絶頂に至った。何度も何度も、しばらくは身動きがとれなくなるほど、連続で体が痙攣した。
快楽の薄い私が、それまで経験したことの無いような、深い深い絶頂だった。


後日。

兄の部屋から、使用済みティッシュとエロ雑誌を盗ってきてしまった。死にたい。
598未来のあなたへ1.5:2008/11/21(金) 12:58:36 ID:qlrlB/Jb
以上です。
599名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 15:02:58 ID:4iXayhRX
死ぬなあぁぁ!

もう行動してしまったんだし、一歩踏み込むも十歩踏み込むも同じよ。ウフフフ
600名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 15:29:38 ID:bGsX5yjN
ぐっじょ!
これは良い変態!!

実は俺も、数年前までソコのサイトに投稿してたんだぜw
601名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 18:39:03 ID:bvbxiTi3
クールキモウトが死にたい。って言ってるの想像して鼻血でた
GJ!!!!
602名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 18:45:01 ID:E1sD1mnM
これは興奮した
よし、次はオナニー盗撮だ!
603名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 19:13:50 ID:QIMcDKgZ
クールな妹の切ない独白だったのにいつのまにか
ギ ャ グ に な っ て る よ !?
いいぞもっと(過激に)やれ。
604名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 19:15:22 ID:Btka6n3A
葛藤しつつも盗撮動画で脅迫ですね、わかります
605名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 19:50:44 ID:4Yfbzb8y
>>598
あんた大好きだ
606名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 20:30:41 ID:IN5ZDPkh
やればいいのに。

なぜか↑でキュンときた
607名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 22:53:23 ID:9Y+q5/gG
>>596
「やればいいのに。」
ここが素晴らしい
608名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 23:45:32 ID:nyd6K/vS
これはできたキモウトですね
609名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 02:11:32 ID:jR6q1YgY
キモ姉やキモウト達から異次元の世界に逃れたい
そしてガッツポーズをきめてから小躍りしてみたい
610名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 03:31:03 ID:JQsTkxDo
>>598
GJ! 「死にたい。」のところで笑ってしまったw

まさかあなたの作品がまた読めるとは。
某サイトの作品はどれも大好きでした。
611名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 08:14:34 ID:sL12WnDi
逆に兄がキモウトから逃れるために盗撮やらなんやら…てのを希望!

兄がホモだったらキモウトはどう思うんだろう?
612名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 08:25:16 ID:f9sYEU/N
むしろキモウトから逃れるために毎日ホモを公言してたら収集つかなくなって彼女までできなくなったとか
613名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 09:29:23 ID:Y+nChfBy
>>611->>612
ホモはNGワードって知らないのか?
新参なんだろうが、まず半年ROMれや糞野郎ども
614名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 09:52:30 ID:CF1tPzzk
キモウトの謀略が行き過ぎて女性不信→やおい男子になる→キモウトの逆襲が始まる……。
これもNGか?
615名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 10:14:35 ID:FEp4tbsd
>>613みたいな過剰反応する奴いるしNGでいいんじゃね
616名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 11:29:42 ID:crvzomgP
つーか、それはNGだと思うけどな
前に荒れる元になったじゃん。そんなに書きたいならスレ立てれば?
617名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 11:44:06 ID:p6iiTmOv
さて、クリスマスの時期が近づいてきました。
キモウトがどんな計画を立てているか楽しみでしょうがないです。
618名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 12:33:26 ID:+0d3qhTx
>>617
「私がプレゼント」は確定だな

キモ姉も忘れないでください
619名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 12:38:01 ID:Y0UCwZrg
いや、
キモウト=プレゼントは兄をもらう
キモ姉=プレゼントは私
じゃないか?
620名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 12:46:04 ID:67NkFa5+
その前にまず兄or弟のクリスマス当日の予定を全部潰す工作から始めないとな
特に女が絡むものは周到かつ確実に
621名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 12:59:03 ID:x6BBx/Dg
クリスマスには七面鳥ならぬ泥棒猫ちですか

……クリスマスまで待てないってネタもありか…
622名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 13:23:49 ID:FnDBLMCL
 キモウト?キモ姉?ボコボコにしてやるよ

 ∧_∧
 ( ・ω・)=つ≡つ
 (っ ≡つ=つ
 /   ) ババババ
 ( / ̄∪
623名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 13:45:15 ID:x6BBx/Dg
だが、>>622の姉は筋金入りのマゾだった…
624名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 13:54:22 ID:svXIoRvM
【審議中】
    |∧∧|       (( ) )(( ) ) ((⌒ )
 __(;゚Д゚)___    (( ) )((⌒ ) (( ) )
 |⊂l >>622 l⊃ |     ノ火.,、 ノ人.,  、ノ人.,、
  ̄ ̄|.|.  .|| ̄ ̄    γノ)::)γノ)::) γノ)::) 
    |.|=.=.||       ゝ人ノ ゝ火ノ  ゝ人ノ
    |∪∪|        ||∧,,∧|| ∧,,∧ ||  ボォオ
    |    |      ∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧
    |    |      ( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` )
   ~~~~~~~~     | U (  ´・) (・`  ). .と ノ
              u-u (    ) (   ノ u-u
                  `u-u'. `u-u'
625名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 14:20:59 ID:qy8cfjxr
さっき体中がぼろぼろになった>>622を見かけました。
626名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 14:27:28 ID:P7OQm9I9
返事がない、ただのしか(ry
627名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 15:03:43 ID:x6BBx/Dg
>>626
それはしかばねではない。すべての精を吸い尽くされた出涸らしだ。
628名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 15:43:44 ID:CDlOLiIH
うちのねーちゃんに限って、そんなことはする訳ない、と信じてます。
629私の好きな人:2008/11/22(土) 15:44:49 ID:qom/EHAf
あなたには好きな人がいますか。
私にはいます。ずっとずっと好きな人。
その人に触れられると安心して、側にいないと狂おしいほど不安になる、そんな人が。
お兄ちゃん。私はあなたが好きです。
物心がついた時から私は生涯あなたの側にいるのだと確信していました。
私たちは兄妹です。兄妹は結婚できないのだと知った時、私は絶望しました。
あなたといれない。そんな人生は私にとって意味をなさない。まるで色褪せた写真のよう。
私はあなたが好きです。だから、あなたには迷惑をかけたくないのです。
私の想いが通じた時、世間は私たちをどんな目で見るでしょう。
私はそれでもいい。でもあなたは。
ある時から、私はあなたとできるだけ接触を避け始めました。
刺々しい態度を取り、あの人に対して汚ないものを見るような目をしました。
世間でいう普通の兄妹。そう見えるように。
彼氏ができた、そんな話もしました。
もちろん嘘です。あなた以外の人に触れられるなんて虫酸が走る。
その日、私は泣きました。
なぜ最愛の人を遠ざけるような真似をしなければならないのか。
それでもあなたへの想いは募るばかり。
今日もあなたを想って自分を慰めます。
ああ、かわいそうなお兄ちゃん。こんなに気持ち悪い妹を持ってしまうなんて。
630俺の好きな人:2008/11/22(土) 15:45:48 ID:qom/EHAf
お前には好きな人がいるか。
俺はいる。ずっと前から俺が守るべき存在。
いつからか、それを手に入れたい。そう思い始めた。
妹。俺はお前が好きだ。
お前はいつも俺を頼ってくれた。だから俺はお前に応えることができた。応えたいと思った。
お前が笑えば俺は嬉しい。お前が悲しめば俺は苦しい。
それでも俺たちは兄妹だ。決して一緒にはなれない。
俺はいい。だけど俺はお前を苦しめたくはないんだ。
俺は兄でいよう。俺たちは普通の兄妹でいよう。
いつからか、妹が俺を避けるようになった。
当たり前だ。わかるのだろう、妹を俺がどんな目で見ているのか。
彼氏ができたという話を聞いた。
その日、俺は泣いた。ただの兄でいようと決めたのに。
最愛の人が自分から遠ざかっていく。苦しかった。
それでも俺は、お前を。
今日もお前を思い浮かべ自分を慰める。
ああ、かわいそうな妹よ。こんなに気持ち悪い兄を持ってしまうなんて。
631名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 17:45:58 ID:G5cYq+92
>>630
なんと麗しい……。
632名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 22:52:53 ID:NQ8TRmeD
>>630
誰かこいつらを助けてやってくれ…
633名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 23:36:55 ID:FnDBLMCL
 俺は負けん!たとえ精を吸い尽くされようが
 かかってこいよ両方まとめて相手してやる!!

  ∧_∧
  ((.;.;)ω・)=つ≡つ  
  (っ ≡つ=つ
  /  #) ババババ
 ( / ̄∪
634名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 23:37:58 ID:svXIoRvM
【埋葬中】

   ∧,,∧            ∧,,∧  ∧,,∧  ∧,,∧  ∧,,∧
   ( ´・ω)           (,,   )(,,   )(,,   )(,,   )ナムナムー
   | ⊃|__,>;* ザッザッ   ⊂  ヾ ⊂  ヾ ⊂  ヾ ⊂  ヾ
    u-u     ・;*;'∴     (  ,,) (  ,,) (  ,,) (  ,,)
~~~~´゙`゙゙´´ ~~゙`゙´\ ∧,,∧/`゙゙´´ ~~゙゙´``´`´~~~~~~~~~~~~゙゙´``´`´
             ↑>>633
635名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 00:11:22 ID:Tr0e56Lw
>>633
おお、死んでしまうとはなにg ← バ○ルのようなもの
お兄ちゃん!私が生き返らせてあげる!
636名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 00:14:02 ID:WiEuOKl7
>>633-634
とある男の最後、あるいはその間に起こったおおよそのこと

 その男の一生を運命づけたのは、とある掲示板に書き込んだ冗談めかしたレスだった。
 その書き込み通りに彼は自身の姉妹に三日三晩吸い尽くされ、一週間生死の境を彷徨った後に目を覚ました。
 何故かお互いの服をどす黒い血で染め、全身を包帯で隠された状態の姉妹に、満面の笑顔で起床の挨拶をされたその男は、
ついに姉妹に膝を屈し、近親相姦という重い十字架を背負いつつ生きていく道を選択した。
 
 数年後、その男は姉妹にプロポーズをし、形だけでもとささやかな結婚式をした。
 そのとき姉妹は勿論のこと、その男もひどくやつれつつも非常に幸せそうであったという。

 数十年後

 彼はたくさんの子供たちや孫たちに囲まれながら見送られ、その長く波乱に満ちた人生に幕を下ろした。
 そして、少しばかり早く行ってしまった生涯の伴侶たちのもとへ、満ち足りた顔で向かっていった。
 
637名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 00:37:03 ID:hLVogwPP
>>636
全俺が泣いた
638名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 07:33:27 ID:GQmA7Dkx
>>636全俺が泣きそうになっております
639名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 09:08:26 ID:/7dRHZ5X
兄とその彼女がSEXをしています。それをキモウトが目撃しました。この後のキモウトの行動で一番キモいと思うものを選んで下さい。

1.盗撮&オナニー
2.彼女を押し退け兄のチンポにむしゃぶりつく
3.包丁で彼女を瞬殺
4.その他(があれば述べよ)
640名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 09:26:32 ID:T6ZpLNhp
4 家中に灯油をまき放火 どさくさに紛れて泥棒猫を排除
兄を救出し地下シェルターに避難(監禁) 二人っきりでラブラブ生活
641名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 09:54:29 ID:88o/XG3+
4.そしらぬ顔でよき妹を演じ続けた後、睡眠薬&媚薬によって朦朧とした意識の兄に自分を彼女と錯覚させ犯させる
正気に返った後、罪悪感にさいなまれる兄をなじり、彼女と別れて一生自分のために生きることを強要
642名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 10:12:24 ID:JEjPvlm5
みんな病んでるなぁ
643名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 14:58:01 ID:ps5wH3bx
>>641
それって無形氏の籠の中じゃないかwww
644名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 16:07:21 ID:ZXfENheI
籠の中の理理はこのスレで最凶のキモウトだな。
兄がマトモだっただけになおさら異常性が際立つ。
645名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 17:48:56 ID:vNCssodp
作品の名前が浮かばないが硝子もなかなかに
646名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 17:58:16 ID:RmqLu1+W
何を言ってるんだ
俺の妹が最凶に決まってるだろ
647名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 18:15:15 ID:IB/+8407
>>646
結婚式には呼んでくれよ
648名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 20:16:09 ID:YQhlbhTK
>>646
幸せにな
649名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 20:22:04 ID:O0ipcV+7
誤字や間違った表現等があるかもしれませんが今から数分後に短い小説を投下したいと思います。
650名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 20:31:07 ID:O0ipcV+7
俺は中学を卒業すると同時に1人で生きていくことを考えていた。
俺の親は昔から妹の事しか見ていない。
妹は中学2年生。成績優秀でスポーツ万能で何でもそつなくこなす天才だ。男女からも人気があり、何度か告白されたこともあるらしい。親や先生からも、信頼されており、可愛がれている。

俺はと言うと、要領が悪くて、できの悪い人間だ。常に常人の何倍も勉強して、そこそこの成績を取っている。スポーツに関しても、何時間もかけて練習して、皆に追いつくくらいだ。そんな親は俺の事をできの悪い息子として見ており、冷たく接している。

俺はそんな親があまり好きではない。
15年間育ててくれた事には感謝をしている。

俺は中学を卒業すると同時に家を出ようと考えている。
先生からは反対された。俺の学力なら偏差値60前後のそこそこの高校に進学できたからだ。

だけど親に頼って高校に進学したくない。
とにかく親に頼らず、自立して、1人で生きて行きたいからだ。

遂に中学の卒業式を迎え、俺は親や先生に内緒で稼いだ現金と自分で稼いだ金で買った物をまとめて、さっさと家を出た。
できる限り金は使わないようにして、新たなる住家へと向かった。
家族ともできる限り遠くを離れたかったので、とにかく遠い場所へと上京した。

半日以上かけて、やっとついた。
俺はシャワーを浴びて、インスタントラーメンを食べて、すぐに寝た。


651名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 20:33:59 ID:O0ipcV+7
兄さんがいない・・・

卒業式が終わり、兄さんに会いに行こうと探しているけど見つからない。
友達と打ち上げにでも行ったのかな?

留守番電話サービスに接
ピッ

ケータイにも繋がらない。
兄さんが電話に出た事なんて1度もなかったけど。
私は真っ直ぐ家へ帰ることにした。

「ただいま」
「お帰りなさい」
家にいたのは母だけで、兄さんは帰っていなかった。
多分内緒でやってるバイトか友達と打ち上げでもしてるのだろう。
兄さんったら高校にも進学せずにどうするつもりなんだろう・・・

夜になっても兄さんは帰って来なかった。
何度も電話やメールをしたけど返事すら返ってこなかった。

「兄さん遅いね」
食事中に兄さんの話題を出してみた。
「あいつはもう帰って来ないぞ」
「何言ってるの父さん?」
「あいつは自立したんだ」
「1人暮らしを始めたの?」
「あいつの事は忘れろ。そんな事よりお前はもう3年になるんだ。何処の高校に進学するんだ?」
「お母さん」
「貴方ならいい所に入れるわよ」
どんなに尋ねても、父さんも母さんも詳しく教えてくれなかった。

きっと兄さんの事だから友達の家にでも泊りに行っているのだろう。


652名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 20:36:33 ID:O0ipcV+7
以上です。
書き込んでわかりましたが本当に短いしタイトルとかないですが・・・
反共次第で続きを投下したいと思います。
653名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 20:43:59 ID:/DuDX5Ym
>>652
まだキモウトの域に達してないので、
続きプリーズ orz
654名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 20:44:27 ID:hK8C6a3n
>>652
俺はアカが嫌いだぜ。さ、続きを書こうか。
655名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 20:48:11 ID:kozvw/5h
もっと続けないと妹のキモ度が足りないいいいいいいいいいい
656名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 20:52:56 ID:0pIj/OAS
上京・・・・
657名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 21:03:35 ID:O0ipcV+7
書き込みありがとうございます。
みんな続けてほしいみたいなので続けて、頑張ってキモウトにしてみせます。
>>656
上京ではないですよね・・・
とにかく遠くへ出てったって事にして下さい
658名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 21:10:22 ID:JwF8ZQuV
がんばって続けてください。
投下が来るまで鼻かみませんから。
659名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 21:35:18 ID:qv4S3bDa
>>657
なんか好きな雰囲気のプロローグだよ
続き待ってる信じてる!
660名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 22:01:15 ID:Wbs80E3U
GJ。
最初>>595-597の続きかと思ったが違ったようだ
661名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 22:11:41 ID:YPqbCSPe
無形氏の籠の中は初めて読んだ時は理理が可愛かったが
しばらくしてもう一度見直した時は聖理が一番可愛く見えたな

>>652
続き期待してる
662名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 23:14:18 ID:o2Yh3lgH
>>652
続きが気になる
お願いします
663名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 23:18:14 ID:+zpN2GSe
反響しだいで、とかいう奴ほど痛々しいものはない
664名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 23:20:18 ID:qv4S3bDa
おまえの価値観なんぞどうでもいい
665名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 23:20:33 ID:bIfHJzh1
>>652
GJ!!
続きを全裸で待機してるわ
666名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 23:48:12 ID:Mp59V538
GJ!!!!続きに期待。
きもうとのターンを半裸で待ってるぜ! 
667名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 01:17:18 ID:ZU8la4pS
GJ!!
靴下だけで待ってます。
668名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 01:20:37 ID:tn7kqpWm
>>652のためにシベリア出兵してくる
669名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 02:39:27 ID:jNz8LFEn
>>652の続きに期待してるぜー
670名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 03:06:02 ID:DxOGdFnw
最近ageる奴多いな
671名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 03:09:22 ID:TwyTKQRz
スレの住人の層がそういう連中に変わってきたってことなんだろ
672名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 06:29:20 ID:/nX/jp+9
うむ。喜ばしいことだな。
673名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 06:30:19 ID:8wdC15eU
っていうより明らかに厨房
たぶんこういうことを言われても、>>667>>669はsageって何のことなんだろ?って思ってんだろな
674名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 07:48:48 ID:yW4Tpuru
やっぱりヤンデレが有名になり過ぎたからなのか

でもキモウトたちにたどり着いたことは褒めてあげてもよいかと
67515スレ650:2008/11/24(月) 12:16:12 ID:pHYJi2Bs
沢山の書き込みありがとうございます。
続きを投下したいと思います。
67615スレ650:2008/11/24(月) 12:17:34 ID:pHYJi2Bs
朝になっても結局兄さんは帰って来なかった。
どうして兄さんは家を出てったのだろうか。
私が冷たい態度をとってたからかな。

私の兄さんは、背は165cmくらいでひょろっとした体形で、私より体重が軽い。
ちなみに私は太っていない、むしろ私は痩せているくらいだ。
兄さんが痩せすぎなだけである。
そして目つきが悪く、髪が長くて、女顔で、一般から見たら不良っぽくて微妙な容姿。

けれど私は、そんな兄さんが、可愛くて、格好よくて、素敵だと思う。
兄さんは私以上に何事にも一生懸命だ。
私以上に勉強をし、親からはお小遣いを貰わずに、自分でお金を稼いで、親には頼らずに、自分の事は自分でやる。
そんな兄さんが、兄さんの全てが大好きだ。

しかし私は、ある事を悟られないように、常に兄さんとは距離を置き、冷たい態度で接していた。
いや、距離を置いてるのは兄さんのほうかもしれない。
「そんなに髪の毛伸ばさないで髪切ったら?そんな兄さんがいると私までみっともないわ」
そう言うと「親父やおふくろやお前みたいに角ガリやショートやボブにしたくねー、何より金がかかる」と言い、去ってしまう。
「何で学校休んだの?本当は何処か出かけてたんでしょ」
「俺の心配はしなくていいから、自分の事を頑張れよ」と言って去ってしまう。
もしかしたら、距離を置いてるのは兄さんのほうかもしれない。

兄さんは学校が終わるとすぐに、バイトへ行き、皆が寝た夜遅くに帰ってきて、こっそり食事や風呂を済ませる。
朝も配達しに行き、そのまま学校へ向かう。
学校は、バイトでよく休むが、来ても音楽を聴きながら眠っている。
よくそんな忙しくて、授業を聞かずにそれなりのテストの点と成績をキープできたものだ。

私はとんでもない変態だ。
兄さんの履いたボクサーパンツで自慰をしたり、風呂場で兄さんの髪の毛や陰毛を集めたりしている。
兄さんがいなくなったら、私、私・・・・・・・

兄さんからメールが来てる!

67715スレ650:2008/11/24(月) 12:18:13 ID:pHYJi2Bs
よく寝た・・・朝10時か。こんなに寝たのはいつ以来だろうか。
まずは1から仕事探さなきゃな・・・
中学も卒業して、前のバイトもやめて、俺ニートになったからな・・・
けど、やっとあの家族から解放されたんだ。
こんなに嬉しい事はいつ以来だろうか。
生まれて初めてか。

電話が着てる。
メールもだ。
妹からだ。
ウザい・・・何通も何回も電話掛けやがって・・・
頼むから俺の事はもう忘れてくれよ。
それがお前にとって1番幸せな事なんだ。
ピッ
俺はすぐメールを1通送った。
あの家族の中にはあいつには俺がいないほうが幸せなんだ。
悔しいけどあいつは何倍も努力する俺よりいつも俺の上を行き・・・
いや、妹の事は、あの家族の事は忘れよう。
アドレス変えて、着信拒否にしなきゃな。
さて顔洗って、着替えて、コンビニ行くか。

コンビニに着いた俺はjump、jack、新聞をを立ち読みした。
立ち読みって金かからないから最高だ。
そして立ち読みを終え、俺はタウンワークを貰い、おにぎり1個買った。

どれどれ・・・
あまり良い所なかったな。
でも贅沢言ってられないか、今はとにかく仕事を見つけなきゃ。

とにかく適当に自給が良いとこに電話しよう。

67815スレ650:2008/11/24(月) 12:19:07 ID:pHYJi2Bs
もう俺の事は忘れろ。
兄さんのメールからはそう書かれていた。
アドレスを変えたみたいで、メールを送ったが送信できなかった。
着信拒否もされていた。

そんな、兄さんはやっぱり私の事が嫌いなんだ。
兄さんは、私の事を、成績優秀、スポーツ万能の何でもできる妹として見てるみたいだけど私は兄さんなしでは生きて行けない変態で駄目なキモウトなのに・・・

兄さん、私がその程度で諦めると思う?

私は何としてでも兄さんを見つけ出してみせる事を決意した。
そうと決まれば、まずはお母さんに聞かなきゃ。

「お母さん、兄さんはどこへ行ったの?」
「もう兄さんの事は忘れなさい」
「兄さんは何で家を出てったの?」
「さぁね、私達家族の事が嫌いじゃないの」
「でも私は・・・」
「とにかく、あの子の事はもう忘れなさい」
「じゃあ私も兄さんみたいになろうかな」
「馬鹿な事言わないの」
「そう、教えてくれないなら・・・」
「私にも父さんにも分からないわ」
「本当?」
「本当よ。あの子は紙1枚残してね」
「紙?」
「これよ」

そう言ってお母さんは私に紙を見せた。
今までお世話になりました。このご恩は一生忘れません。そして俺の事は忘れてください。
兄さんの字でそう書かれていた。
「これは兄さんの字だ」
「前からあの子は何でもできる貴方に嫉妬していてコンプレックスを抱いてたのよ」
「兄さんが私に・・」
「私もお父さんもあの子の事をちゃんと分かってやれなかったわ。分かった頃にはもう・・・」
「お母さん。私が兄さんを絶対連れ戻してみせるわ」

67915スレ650:2008/11/24(月) 12:20:33 ID:pHYJi2Bs
「正社員募集って聞いたのですが」
とりあえず電話をしてみたが、電話に出た女の声が、何処かで聞いたあるな。
「あらその声は・・久しぶりね」
「もしかして裕子さんっすか?」
「よく覚えてたわね。私の事はお姉ちゃんって呼んでいいのよ」
「そういうわけにはいかないっすよ」

裕子さんは、親父の元奥さんの子供で、たしか今は18歳のはずだ。
最後に会ったのは俺が8歳の時だったな。
俺の事を本当の弟のようによく可愛がってくれたな。
だけど風呂は恥ずかしかったな。
風呂で俺の体をそこらじゅう、念入りに丁寧に洗ってたっけ。
まああの時はガキだったからな。
もし裕子さんが俺の姉ちゃんだったら、きっと幸せだっただろうな・・・

「うちで働きたいの?」
「うちで?」
「私のお母さんが経営してるのよ」
「とりあえず仕事探さなきゃって思いまして」
「高校には進学しなかったの?」
「はい」
「じゃあうちで働きなよ」
「でも親父、家族には知られてくねーからな・・・」
「大丈夫よ。あの人とはもう関係ないから、じゃあ決まりね」
「ちょっ裕子さん」
「今何処にいるの?」
「はっ?」

裕子さん何言ってんだ?



68015スレ650:2008/11/24(月) 12:21:34 ID:pHYJi2Bs
以上です。
誤字やおかしい表現があったらすいません。
681名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 13:06:02 ID:plLbOg7a
GJ。しかし自分で自分をキモウトと呼んじゃうところが少々気になる
682名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 13:07:30 ID:WEN8ytCi
>>680
GJ!
トリップ付けないの?
68315スレ650:2008/11/24(月) 13:26:47 ID:pHYJi2Bs
>>682
これからですかね・・・
文才全くないから上手く表現できるかわかりませんが・・・
684名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 15:52:43 ID:iA43KLHa
「・・・・こんな他の女で抜いてるんだ」って言われたい
685名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 16:14:10 ID:Kqa4HoHd
>>680
GJ!!俺的にかなりツボな作品です
686名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 18:18:47 ID:wfcghr9K
>>684
キモ姉でスッキリしてキモウトに怒られるのですね
687名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 19:24:54 ID:kEkGegh8
http://i.i2ch.net/z/-GW-0.ll/V9/IVNN9/i
携帯でさらにvipだけども
まれに見るキモさだったので貼ってみる
688名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 19:29:59 ID:IdxBypgG
404なんだけど、これ携帯でしか見れんの?
689名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 19:43:44 ID:VvUCEWGo
>>680
いいぞもっとやれ
690名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 21:43:23 ID:Y3ksvcSw
ただ、レスに返事とかはしないでいいぞ
語りすぎる職人は嫌われる
691名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 07:37:14 ID:yl2Z9iuZ
だな、ちょっと質問に答えただけで
「作者気取り(笑)」とか言い出すからな…
ほんとに読者の質が落ちたよ
692名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 07:46:26 ID:b4SONz6f
どっちもどっち
693名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 08:52:27 ID:jAYOp6SM
SSの読み過ぎで今朝夢に妹が出て来た
おかしいよね俺妹いないのに
694名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 09:04:02 ID:49hgbt1I
つまらないんだろうなと思って飛ばしてたらすごく面白い作品だった
おれってやつは・・・OTL
695名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 13:13:40 ID:IYLgwnKR
ビックボディ、マリポーサ、ゼブラ、ソルジャー、フェニックス
の5人の運命のお姉ちゃんが弟くん争奪戦をするとかしないとか
696名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 13:32:53 ID:yjzk4QBZ
お姉ちゃんリベンジャー!!!
697名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 15:35:26 ID:/xQMe11I
血縁はソルジャーだけか・・・・ちょっと寂しい
698名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 19:21:51 ID:6LxhNSI3
フェニックスは後に義弟になってたぜ。この場合義姉だな
69915スレ650:2008/11/25(火) 20:02:27 ID:OAtHik8Q
>>690
そうでしたか・・以後気を付けます。
それでは3日連続になりますが投下します。
70015スレ650:2008/11/25(火) 20:03:38 ID:OAtHik8Q
裕子さんがこっちに来るみたいだ。
7年ぶりに会う事になるのか。
俺は公園で音楽を聴きながら、ベンチに座って待っている。

むにゅっ

何だ?この柔らかい感触は・・・
俺は恐る恐る振り返ってみた。

「久しぶりね、会いたかったわ!」
「裕子さん!」

振り返ると裕子さんが俺に抱きついていた。
こんな所で、何考えてるんだよ。
胸当たってるし

「ん〜この感触はやっぱり弟君の感触ね」
「裕子さん離れてください!恥ずかしいっす!そもそも俺は弟じゃないっすよ」
「私、弟君に会えなくてずっと寂しい想いをしてたの・・・もう少しこのままでいさせて」
「裕子さん」

裕子さんはまるで愛しい人を一生離さないように俺を強く抱きしめてる。
ちょっと苦しいけどもう少し甘えさせてあげようかな・・・
昔よく世話になったしな。

それにしても裕子さん美しくなったな。
170cmくらいかな?背も俺より高いし、スタイル抜群で、黒髪が長くて綺麗だ。
そしてシトラスの甘い香水の香りがする。
俺は何を言ってるんだ・・・

「そろそろいいっすか」
「ごめんなさいね」
「急に後ろから抱きつかないで下さいよ。ビックリしたっすよ」
「久しぶりに弟君に会えたからつい嬉しくて」
「だから俺は弟じゃないっすよ。けど俺も久しぶりに会えて嬉しいっすよ」
「本当!?」
むぎゅ
「昔から抱きつく癖は変わってないっすね」
「私の大事な、大好きな弟君だからよ」
「・・もう弟でいいっす」
「じゃあ私の事は裕子さんじゃなくてお姉ちゃんって呼んでね」
「それはちょっと・・・それと仕事の事なんですが」
「それはお茶でもしながら話しましょ」

俺は裕子さんとカフェへ向かった。

70115スレ650:2008/11/25(火) 20:05:00 ID:OAtHik8Q
「バイクの免許持ってたんすね」
「車の免許取ったついでに最近とったのよ」

俺は裕子さんの中型バイクの後ろに乗せてもらってる。

「でも本当は免許取って1年経たなきゃ2ケツしちゃいけないんじゃ」
「細かい事は気にしない、さあ着いたわよ」

俺と裕子さんはお洒落な喫茶店に入った。

「どうして高校に進学しなかったの?」
「親に甘えたくないからっす。俺は親に頼らず1人で生きて行きたい」
「じゃあ自分のお金で1人暮らししてるの?」
「はい、物心ついた頃からからずっと金稼いで、貯めた金がありますからそれで」
「そう言えば昔から弟君は親に甘えてなかったわね」
親父もおふくろも俺の事なんか全然見ないで、妹の事しか見てないからな。
「今時自力で生きてくなんて珍しいわね。今の世の中そんなに甘くはないわよ」

俺と同じくらいの年の奴は大抵親の金で高校行ってるよな。
自分の金で行ってる奴はどれくらいいるのかな。
少ねえだろうな。

「でも俺はあんな家族とは一緒に生活したくない。例え辛くても1人で生きてく方がマシっす」
「よほど辛い想いをしたのね・・・私は弟君の味方だから」
「裕子さん・・・」

裕子さんに会えてよかったな。
昔から俺の悩み事に真剣に相談してくれて。
本当にこんな姉がいたら・・・

「それで本当に俺を雇ってくれるんすか?」
「可愛い弟の頼みは断れないわよ」
「でも話がうますぎるっすね。詐欺とかじゃないっすよね?」
「安心して、詐欺じゃないから。証拠だってあるわよ。ほらっ」
そう言って、写真や雑誌とか色々見せてくれた。
どうやら本当みたいだ。
「じゃあ決まりね」

あっさり決まっちゃったけどそんなに簡単に決めてもいいのだろうか。
でも早く働かなきゃな。
親父にはばらさないみたいだし、今のところデメリットはないし、いやになったら辞めればいっか。
さて、仕事も決まったし、夕飯のおかずでも買って帰るか。
「それじゃあ俺はこの辺で。色々とありがとうございました」
「待って、せっかくだから弟君の家に行ってみたいな」
「急に言われてもお茶くらいしか出せませんよ」
「私は大丈夫よ」

雇ってくれたし別にいいか。

70215スレ650:2008/11/25(火) 20:07:00 ID:OAtHik8Q
俺は裕子さんと夕飯のおかずを買いにスーパーへと入った。

「そんなにべたべたくっ付かないでください」
「いいじゃない。姉弟なんだし」
「姉弟じゃないけど姉弟だからこそまずいと思いますが・・」
「恥ずかしがっちゃって可愛いわね。私が全部お金出してあげるわ」
「いいんすか?」
「だから一緒に手を繋ごうよ」
「それは・・・でも出してくれるなら」
恥ずかしかった買い物を終え、俺のアパートへ向かった。

「ただいま〜」
「普通お邪魔しますじゃないっすか」
「この家具は全部自分で稼いだお金で買ったの?」
「貰ったのもありますが」
「本当に自分1人で生活してるのね。そんな弟君の為に私が腕を奮ってハンバーグを作ってあげるわ!」
「えっ?別にそこまでしなくてもいいですよ」
「弟君はゆっくりしてなさい」
「じゃあ俺も手伝いますよ」
「いいのよ」

裕子さんの手料理か。
ちっちゃい頃もよく裕子さんが料理作ってくれたな、楽しみだな。
それに最近ろくなもん食ってねーからな。
だから俺は痩せてるのか。
何もしなくてもいいみたいなので、音楽聴いたりしながら適当に時間を潰すか。

「できたわよ」
うはっ美味そうだな。
・・気のせいか、何かよく分からない変な臭いがする。
「ハンバーグに何か入れました?」
「隠し味をたっぷり入れたわ」
「隠し味?何すかそれ?」
「ひ・み・つ」

まあいいか、変な物は入ってないだろう。
「いただきます」
俺はハンバーグを口に運んだ。
美味い!こんな美味い物食ったのはいつ以来だろうか・・・
ちょっと鉄っぽくて、何とも言い表せない味にごりごりした食感。
ハンバーグってこんな味だったっけ?
俺はハンバーグの味を忘れる程ロクなもんを食ってないのか・・・
「むふふふふふふふふふふふふふふふふ」
「裕子さん?」
ニヤニヤ笑ってどうしたのだろうか?
「裕子さんは食わなくていいんすか?」
「私はいいの」

俺は残さず全部ハンバーグを食い終えた。
こんな美味いハンバーグを残す方がおかしいくらいだ。

「じゃあ明日8時に迎えに行くから」
「ご馳走様でした。帰り気をつけて下さいよ」

「そうだ、番号とアドレス教えてよ」
「それくらいなら」
俺は裕子さんに番号とアドレスを教えた。
「じゃあまた明日」
そう言って裕子さんは帰って行った。
70315スレ650:2008/11/25(火) 20:07:46 ID:OAtHik8Q
以上です。
今回は妹なしですが
704名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 21:16:34 ID:NI9dg0JC
一番槍GJ
705名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 21:44:23 ID:rlhWSr/8
>>703
GJ だが妹分が足りない> <
次回を全裸で待ってるぜ
706名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 21:58:47 ID:klwiZBUA
そのハンバーガー食べたいです。
707名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 22:23:15 ID:426ziMG9
キモウト分が薄くてもキモ姉分が補充できたので良し
708名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 22:23:58 ID:63lQ0wDF
こっちもキモ姉だったとはw にげてー
709名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 22:30:49 ID:0nVXM53K
キモ姉登場か
710名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 22:34:23 ID:Fj03G0Rl
何混ぜたんだ…w
711名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 23:05:38 ID:aPGsON2P
GJ!!今後の展開にwktk
712名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 23:13:34 ID:tMTPx/Mn
>>703
GJ!!と言わざるを得ない
713名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 23:43:05 ID:wgITCh7i
なんかケータイ小説読んでるみたい
GJ〜
714名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 23:43:35 ID:4NTdrf7s
ごりごりした触感・・・?まじで何入れたんだww
GJ!
715名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 23:44:18 ID:48d4yDcd
>ケータイ小説読んでるみたい

2chだと褒め言葉に聞こえない…
716名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 00:58:04 ID:6dqQ6d4z
誉め言葉とかべつにあんたに言ってるわけじゃないでしょ
717名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 01:06:12 ID:F1jyXa2G
ものすげえ下らない事訊くけどキモ姉ってきもあねときもねえのどっち?
718名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 01:32:13 ID:xHupI8+0
これは悩むな。
個人的にはきもねぇだ。
719名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 01:33:13 ID:z0UsiNoh
きもねえしか選択肢になかった
720名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 02:04:43 ID:pJ5kMEQM
きもねー&きもーと小説だと何も疑わずに信じていた
721名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 02:36:33 ID:5GSd+8oK
きもねえかなあ!
うふふ! うへへあははーっ!
722名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 02:45:17 ID:U64zVzRi
きもあね より きもねえ の方がかわいく聞こえるのは何故?俺だけか? 
723名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 10:28:25 ID:mO1CApVs
「キモ+あねもえ」で「キモあね」と読んでいた
724名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 11:34:20 ID:1F5ZcwLo
なんでもかんでも賭けで決める、ギャンブルキモウトってのはどうだろう。
その1
「なぁに、お兄ちゃん?」
「もう、兄妹でセックスなんてヤメたいんだ!」
「いつでもいいわよ、私に……ギャンブルで勝てたらね?」

「今日こそは勝つ! ダイスで勝負だ!!」
「おっけー、サイコロを三つ同時に振り、出た目の合計が大きい方の勝ちね?」

「そうだ。おっと、俺は専用のサイコロを使わせて貰うぜ! 行けっ、456賽(しごろさい)!!」
「っ……合計は十七。なるほど、4と5と6が二面ずつのイカサマダイスってわけね?」

「ふっ、今回は必勝を取らせて貰った。さぁ、次はお前の番だぜ!」
「私は456賽なんて使わない。でも、それでも私が勝ったら、一つギャンブルを受けて貰うわ。それで良いかしら?」
「なんでもいいから、早く振れ!」

 ざわ… ざわ… ざわ……

「因果応報! 天誅! 私にイカサマ勝負を仕掛けた事、後悔しなさいお兄ちゃん!!」
「へっ……合計、十八? ってなんだよコレ!? 全面6じゃないか!? こんなのダメ! 絶対ダメ! 無効!」

「それじゃあお兄ちゃん、もう一つのギャンブル……受けて貰うわ」



その2

「やめろぉぉっ!! 離せよぉぉぉぉぉぉっ!!」
「危険日の生セックスって、興奮するわねお兄ちゃん♪ 今日ナカ出しされたら、孕む確率は50%くらいかしらね?」
725名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 12:08:37 ID:XhANWIz/
アヴィ!!!
726名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 12:10:21 ID:obelDbx+
中出し強制プレイって、男の方がかわいくみえる
727未来のあなたへ2:2008/11/26(水) 12:35:09 ID:nfADyUED
ずいぶん文章は書いてませんでしたが、ノスタルジアで再燃した口です。
投下します。
728未来のあなたへ2:2008/11/26(水) 12:36:33 ID:nfADyUED
Kenta-side

「なあ、優香」
「なに、兄さん」
「晶ちゃんって可愛いよな」

その瞬間、妹が撃たれたようにぶっ倒れた。



まず自己紹介をしよう。
俺は榊健太。中学三年生、男子だ。
好きなことは運動全般。苦手は勉強全般。悩み事はちょっと(ちょっとだけだぞ!)背が低いことだ。
性格的には能天気とかキングオブ馬鹿とか言われる、自分でもまあ間違ってはいないと思う。赤点を取るのなんてしょっちゅうだし。
誰とでも仲良くなれるのが特技で、俺自身もみんなでわいわいと騒ぐのが大好きだ。お祭り好きといってもいい。
今、一番打ち込んでいるのは部活のサッカーで、俺は一応レギュラーの一人だ。といっても、DFだし地味な役回りなので、部長みたいにモテはしない。
それから、俺には優香という妹がいる。
今日も日が暮れるまで練習に明け暮れた。両親が食事に出かけていたので、優香に夕食を作って貰う。妹の料理は普通に美味い。
そうして、お茶をすすりながら食後になんとなく話していると、妹が当然ぶっ倒れたのだ。

「優香? おい、ゆーかー?」
慌てて抱き上げてみたけれど、妹はぴくりとも動かない。どうやら気絶しているようだった。
ぺちぺちと、呼びかけると同時に頬を叩く。反応なし。焦る。
今家にいるのは俺達だけだ。救急車を呼ぶべきだろうか。混乱したけどとりあえず、横にさせた方がいいだろう。
妹を抱き上げて、部屋に運び込む。優香の体はそれなりに重かった。
「ふう……これでよし、と」
優香をベッドに寝かして、布団をかけてやる。まだ意識は戻らないが、心なしか顔色は良くなったようだ。呼吸も、耳を近づけてみればすうすうとくすぐったい。
少しは落ち着いたみたいなので、救急車を呼ぶのはやめておいた。とりあえず、出しっぱなしの食器を洗ってから、目が覚めるまで付いておくことにする。
勉強机の椅子を持ってきて、ベッドの脇に座る。優香の寝顔を見るなんて、随分久しぶりだった。俺とは似ても似つかない、繊細な顔立ち。
妹を見ているうちに、練習の疲れが出たのだろう、眠気が俺の意識を飲み込んでいった。
そう……いえば……優香はなんで……いきなり、倒れたんだろう……

俺には優香という妹がいる。
俺とは比べ物にならないくらいできた奴で、物事の考え方はしっかりしてるし成績はいつも学年上位、ついでにとても美人なのだ。
中学二年、という年齢を考えると、可愛いという表現の方がいいのかもしれない。けど優香は、背も高いし体つきもすらっとしているし雰囲気は落ち着いているしで、俺よりも余程大人びている。
当然、優香はモテる。俺にも、妹を紹介してくれと頼んでくる奴は後を絶たない。
けれど優香には男と付き合う気はさらさらないようで、告白を断った回数も十を超えている。
ちなみになんで俺が回数まで把握しているかというと、優香は誰かに呼び出されると必ず俺を同伴するのだ。
告白のやりとりも俺の前で行われる。正直、気まずくて仕方ない。俺の友達が呼び出したこともあったのに。
当然俺も相手も抗議するが、優香は「襲われたときの護衛です。私だって兄さんに頼み事などしたくありませんが、他に男性の知人がいませんから」と、きっぱり言うのだ。相手に向かっても!
確かに優香は良い子だとは思うけど、性格的にはちょっと問題があるなあ、と思う。
俺と優香はあまり仲は良くない。
といっても、優香が俺を嫌っているだけで、俺自身は妹のことが普通に大切だ。
昔から優香は大人びた子供だった。親父にも母さんにも、怒られるのは俺だけで。なんで俺ばっかりと、妹のことを恨んだこともある。
だけどそのうち気づいたんだけど、優香は別に、両親に特別可愛がられているわけじゃなかった。親が薄情だった、ということじゃなく。どれだけ褒められても、妹はなにも嬉しそうではないのだ。
なんとなく、なんとなくだけど。ようやく最近になって、妹がどうして嬉しそうでないのか、わかってきた気がする。
優香はきっと、とても寂しい場所に立っている。
何故なのか、どういうことなのか、俺ではそれ以上うまくは言えないけれど。俺の妹はきっと、誰からも離れた場所に立っているのだと思う。物心ついたときから、ずっと。



「……う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛、う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛、う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……」

729名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 12:37:08 ID:JBN7kKe/
しえん
730未来のあなたへ2:2008/11/26(水) 12:37:14 ID:nfADyUED

跳ね起きた。
暗くなった部屋、簡素な内装、痛む背中。どうやら俺は、妹の部屋で椅子に座ったまま寝ていたらしい。
そして目の前のベッドでは、優香が枕に顔を押し付けてうめき声を発していた。
泣いている、のか……?
断定できなかったのは、その嗚咽があまりにも凄まじかったからだ。大きさ自体はそれほどでもない。部屋の外には聞こえていないだろう。
けれど、その嗚咽に込められた感情の深さは、本当に人間が発しているのかと思うほどだった。
獣が長年の伴侶を失った時、こんな唸り声を上げるのではないかと、思った。
「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……」
「……」
俺は、動けなかった。
もしも、妹が泣いていたならば。俺は確かに驚くだろうけど、慰めるなり落ち着かせることができただろう。
けれど、この嗚咽に込められた感情は。俺が推し量るには、あまりに、あまりに、大きすぎた。
適切な言葉など、かけようがない。優香の心情など、わかりようがない。
そもそも、俺は優香の中に、これだけのうねりが存在することすら想像していなかったのだ。
だから、俺にできることは。わけもわからず、ただ抱き締めることだけだった。
「優香……よくわからないけど、泣くな……」
枕に突っ伏す妹の頭を抱き込んで、頭を撫でる。さらさらと、気持ちのいい髪の感触。
けれどそれでも、優香の嗚咽はやむことはなかった。疲れて眠りこんでしまうまで、ずっとずっと続いていた。
そして次の日、優香は体調不良で学校を休んだ。



Akira-side

ちーっす。みんなのアイドル藍染晶、十四歳です。よろしく!
わたしの個人情報については、モブキャラみたいなものなのでどうぞ気にせず。スリーサイズは秘密っす!

さて、その日。わたしが登校すると、友達の優香ちゃんが休みだった。体調不良らしい。
すわ何事か、と連絡するのも迷惑な気がしたので。優香ちゃんのお兄さんを昼休みに呼び出して問いただしてみた。昼食がてら。ちなみに場所は屋上。
「というわけでどういうことっすか、榊先輩」
「うーん……」
と、お弁当をつつきながら悩ましげな顔をする榊先輩。太眉がハの字を描いている。この人の特徴を表すなら太眉、それに尽きる。
え、もうちょっと説明しろって? ういっす。
榊健太。今話題に上がっている、優香ちゃんの実の兄。わたしとの繋がりはそれだけじゃなく、部活での先輩後輩関係でもある。
あ、申し遅れましたがわたしサッカー部のマネージャーを務めております、まる。
榊先輩自身は、いわゆる一つのキングオブ馬鹿。みんなの明るいムードメーカーで、能天気極まる性格だ。
誰とでも簡単に打ち解けることのできる人で、人間関係の潤滑油みたいなところがある。榊先輩自身はあまり上手なプレイヤーじゃないけれど、今のサッカー部の強さの何割かは彼のおかげだろう。でも異性にとってはいい人で終わるよね、うん。
なので、そんな先輩がハの字太眉を描くというのは、結構珍しい事態なのだった。
「もしかして雪菜ちゃん、本気で何かあったんですか!? 事故?」
「あ、いやいや、そんなことないよ。優香は家で寝てるけど、別に病気でも事故でもないから」
びしりと箸を突き付けるわたしに、ぱたぱたと箸を振る榊先輩。まあ、本当に事故やら病気なら、榊先輩が登校しているはずもない。
「うーん……実は俺にもよくわからないんだよね。いきなりだったし」
「ああ。んじゃあもしかして生理かもしんないですね」
「ぶふっ!」
「うわー、えんがちょです先輩。バリアバリア」
「い、いきなり何、言うんだよ!」
「ん? ああ、じゃあえーと。女の子の体には不思議がいっぱい☆」
「しくしく……」
さておき。
優香ちゃんが休みを取る、それ自体は不思議はなかった。まあそれこそ二日目なのかもしれないし。
けれど優香ちゃんなら、もうちょっと榊先輩にそつなく説明しててもいいかと思うんだけどなー。まいっか。
「んじゃ、部活サボるんで放課後お見舞いいってもいいっすか?」
「いや、いいけど……部長にはちゃんと言っておこうね」
「ちーっす」
731未来のあなたへ2:2008/11/26(水) 12:38:01 ID:nfADyUED

「おじゃましまーっす!」
ピンポーン。
というわけで、やってきました榊家に。一応インターホンを鳴らしてから、榊先輩に借りたカギを使って扉を開ける。
もう片方の手には、途中のコンビニで買ってきたデザートの袋。うーん、これ部費で落ちないかなあ。
一応わたしは優香ちゃんの唯一の友達なわけだし、榊家には何度か訪れたことがある。玄関マットに丸くなっていた猫(確か名前は三毛)をしばらくさわさわした。
優香ちゃんの部屋は二階だ。とてとて、と階段を上がる。どうでもいいんだけど、他人の家を自由に歩く時は何となく違和感がある。

「……兄さん……?」
階段最後の段に足をかけたあたりで、パジャマ姿の優香ちゃんが、自室の扉を開けて出てきたところだった。パジャマverゲット!
片手をあげて挨拶する。
「やっほー、優香ちゃん。お見舞いにきたよー」
「……」
彼我の距離は三m。わたしは階段を登り切る直前の不安定な姿勢。左手はビニール袋でふさがっている。左右に逃げ場なんてない。突き落されれば階段の下までまっさかさまだ。ついでに、今この家にはわたしと優香ちゃんしかいない。
ここでクエスチョンです。なんでわたしは、そんな危険予測シミュレーションをしているんでしょうか?
答え。わたしを認識した瞬間の優香ちゃんに、ちびりかねないほどビビったからです。
その、瞳。
例えるなら深い井戸。例えるなら夜の海。例えるなら汚泥の沼。例えるなら火山の口。例えるなら地獄の蓋。
自らは何もせず、けれど足を踏み入れたものを破滅させる、奈落の穴のように思えた。
「いらっしゃい、藍染さん。お見舞い、ありがとう」
「……う、うっす」
「少し聞きたいことがあるのだけど、私の部屋に来ませんか?」
「……」
選択の余地が、なかった。

わたしにとって優香ちゃんは、ある意味憧れみたいなところがあった。
背丈はすらっとしてるし、成績は比べ物にならないほど良いし、まあ運動能力では勝ってるかなあ。一応運動部だしね。
後、優香ちゃんはすごくモテる。貴女はどこのメインヒロインですか的に。整った顔立ち、切れ長の瞳、つやつやのロングストレート、そつのない立ち振る舞い。
天は二物を与えずって嘘です本当。ともあれ、わたしのようなチビはもう憧れるしかできません。
わたしが優香ちゃんと話すようになったのは、サッカー部のことを聞かれたからだった。話してみるとお兄さんがサッカー部所属というので、榊先輩をネタにしてご飯を食べた。
以降、昼休みは優香ちゃんと一緒にすることになっているけれど、たまに浮かぶ疑問があった。
わたしは優香ちゃんを友達だと思っているけれど、果たして優香ちゃんはわたしを友達だと思ってくれているんだろうか?
優香ちゃんに憧れる最大の理由は、学力や美貌じゃない。わたしが囚われて仕方のない、世間のしがらみ。外面だとか、人間関係だとか、そういったものをまるきり下らないことのように淡々と処理していく、その超越性にわたしは憧れた。
しがらみから逃避しているのではなく、しがらみなんてものよりもはるかに大きな問題を抱えて、それでもここまで平気で生きてきた。優香ちゃんからは、そんな匂いがする。
けれどそれなら。優香ちゃんにとっては、わたしもまた『下らないこと』に属する存在ではないんだろうか。
更に考えるなら、優香ちゃんにとって『下らなくないこと』とは、一体何なのだろう?



―――――あなたは、にいさんのことが、すきなの?
732未来のあなたへ2:2008/11/26(水) 12:38:34 ID:nfADyUED
とりあえずここまで。
残りは明日投下します。
733名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 14:36:34 ID:5CMShVvI
乙!!
734名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 14:49:23 ID:mO1CApVs
GJ!
ああ、とうとう眠れるキモウトを呼び起こしてしまったのか……
735名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 19:59:39 ID:qIcoSQDm
雪菜って誰?
736名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 22:38:00 ID:xt7wT27C
>735
ごめんなさい。雪菜→優香でしたorz
737名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 00:26:16 ID:cftT1rCd
>>722
キモお姉ちゃん
キモ姉さん

スレタイ見れば「キモ姉」と書いているから後者なはずだが?
まぁ僕っ子弟君なら前者でも俺はいけるな
738名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 00:42:46 ID:NQoyQD0H
GJ!!続きが気になる!なんという焦らしプレイ
739名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 01:29:08 ID:ac0+Q3DV
>>732
GJ!
続き楽しみにしてます。


740名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 11:53:45 ID:znvmZ++B
ノスタルジアと綾以外でおすすめの作品はある?
741未来のあなたへ2:2008/11/27(木) 12:28:50 ID:BVmcowqH
>740
たくさんありますよ。短編なら、姉が婦女子でキモオタで、とか、キモウトより愛をこめて。
綾はほんと恐ろしいですね。まさに稀代の連続殺人妹です。

続き投下します。
742未来のあなたへ2:2008/11/27(木) 12:31:36 ID:BVmcowqH
Kenta-side

「おい健太、今日はどうしたんだ?」
「え、なになに? 俺はこの通り絶好調だぜ! いえい!」
「あのな、ゴールポストに三回もぶつかっておいてそれはないだろ」
「あー。晶ちゃんがいれば優しく手当てしてもらえたのになー。俺も運が悪いや」
「念のため病院行くか?」
「ゲエー! 大袈裟なんだよお前は。この程度なんでもないって!」
「それじゃなんでボーっとしてたんだよ。調子悪いなら今日はもう帰ったらどうだ」
「んー……そうだな。それじゃ今日は帰らせてもらうわ」
「帰るのか? いや、自分で薦めておいてなんだが、最近打ち込みまくってたからな」
「まあ、俺にも練習より大事なことはあるからさ。んじゃ、みんなに挨拶してくるぜ」
というわけで、その日は結局部活は早退した。こんなことなら、最初から晶ちゃんと一緒に帰ってれば良かったな。
部活に集中できなかったのは、勿論優香が心配だったからだ。正直学校を休もうかとも思ったけれど、それは優香に固く拒否されていた。
昨日から、俺が何を言おうとしても、全て優香に拒否されて終わっている。仕方ないけれどこういう時、嫌われているというのはこの上ないマイナスだ。
だからひとまず晶ちゃんにお願いして、俺は部活に出てたわけだけど。やっぱり俺は二つのことを同時に考えられるほど頭がよくないみたいだ。
まずは優香。そのことに集中しよう。
途中、思いついたのでコンビニに寄って桃の缶詰を買った。
ずっと昔、風邪で倒れた優香が、そんなものを欲しがっていた気がしたのだ。

「ただいまー」
「おかえりなさいこのやろー!」
「えぶしっ!」
自宅の扉を開けた瞬間、飛び出してきた晶ちゃんに殴られた。ぶっ倒れる俺。わけがわからない。
「い、いきなり何だよ晶ちゃん!?」
「榊先輩。申し訳ないんですが、わたしのフラグはあなたには立ちません」
「は、はい?」
「つーかですね。後輩からの恋愛相談を、なんで優香ちゃんに漏らしやがるんですか?」
「ん? ああ、いや。別に、晶ちゃんが可愛いかどうか確認しただけだから、誰が好きとかは言ってないって」
晶ちゃんから恋愛相談を受けたのは三日ぐらい前だ。
内容としては普通に、サッカー部の○○先輩が好きなんですけど、協力してくれませんかね、的なもの。三年は今年で卒業だしなあ。
ちなみに、そういう相談は割とよく受ける。その筆頭が優香関連だけど、基本的には顔が広いからだろう。あと、俺自身が恋愛しそうにないキャラだしね。
まあ、恋愛しそうにないキャラ、という意味では失礼ながら晶ちゃんから相談を受けるのは予想外だった。考えてみれば年頃なんだし普通か。
優香にもそういう相手がいるといいなあ。
さておき。
そんなわけで、昨日は晶ちゃんの友達である妹に、その可愛さを確認してみたんだけど。それの一体何がいけなかったんだろう。
「いっぺん死んだ方がいいかと思いますね榊先輩は」
「なんでっ!?」
「こっちがいっぺん死にかけたからです。あのですね、誰かが可愛いというのは、普通好意を表すもんですよ」
「ああ……じゃあ、もしかして。俺が晶ちゃんを好きだって優香に?」
「あんだすたん?」
「そっかー。それは優香に悪いことしたな。晶ちゃんと優香はほんとに仲がいいんだな」
「……ふぁっつ?」
「ん? いやほら、晶ちゃんが取られると思って、優香はショックだったんだろ? 俺って優香に嫌われてるしな」
「げばは!」
今度は晶ちゃんがぶっ倒れた。え……なんでだ?
箸が転んでも笑うと言うけど。この年頃の女の子って、よくわからない。
743未来のあなたへ2:2008/11/27(木) 12:32:22 ID:BVmcowqH

晶ちゃんは頭を振りながら帰ってしまったので、入れ替わりで帰宅する。
母さんは既に帰っていて、キッチンで夕食の支度をしていた。優香のことを確認すると、まだ自分の部屋らしい。
「優香の友達が来てたけど、晶ちゃんっていうのね。元気がよくていい子ねー」
「うん。サッカー部のマネージャーもやってるんだよ」
「うんうん、聞いたわよ。もしかして健太、気がある? ある?」
「ないない」
それに晶ちゃんには好きな奴がいるし、とは言わない。それで怒られたばっかりだしな。
そういうわけで母さんを適当にあしらい、缶切りと桃缶を持って二階に上がる。自室の隣、部屋の扉をたたく。
「ゆーかー。入っていいかー?」
「どうぞ」
お、体調とか機嫌、よくなったかな? 少なくとも声音は普段どおりに聞こえた。今朝は色々聞いてみたんだけど、とうとう部屋から追い出されたし。
入るぞ、と優香の部屋に。妹とはあまり仲好くないので、二日連続と言うのは本当に珍しい。
優香は、明かりもつけない暗い部屋で、カーテンを閉めた窓際に立っていた。
「おかえりなさい、兄さん」
「ただいま優香。ほら、起きてたなら電気つけろって」
「うん」
ぱちり、と電灯をつける。優香の端正な顔立ちが照らしだされた。普段より青白い気がするのは、一日寝ていたからだろうか。
「寝てなくて大丈夫なのか?」
「初めから、精神的なものだから。気にしないでいいですよ」
「そういえば晶ちゃん来てただろ? 入れ違いだったけど、お礼言うの忘れてたな」
「明日私から伝えておきます」
「……優香?」
「……」


優香はきっと、とても寂しい場所に立っている。
何故なのか、どういうことなのか、俺ではそれ以上うまくは言えないけれど。俺の妹はきっと、誰からも離れた場所に立っているのだと思う。物心ついたときから、ずっと。
けれどそれでも、優香は寂しがり屋なのだ。
昔、優香が風邪で倒れたことがある。小学校中学年の頃だ。母さんに、桃缶が欲しいと言っていた。いや違う、母さんの開けた桃缶をおいしいと言っていたんだ。
感染るといけないから、と俺は部屋にはいるのを禁止されていたので。両親の目を盗んで優香の部屋に入った。
近所の八百屋(今はもうない)で買った桃缶を持って。
優香は、顔を赤くして布団に埋もれるように眠っていた。そっと顔に触ると、びっくりするほど熱かった。
そのとき。はしり、と優香の手が俺の腕をつかんだのを覚えている。死ぬほど驚いた。
妹が目を覚ましたのかと思ったけれど、そうじゃなかった。優香は眠ったままで、いわゆる寝相だ。小さな手はとても熱かった。
そして
『……に……ちゃ……』
優香が泣いていた。
布団に埋もれて、高熱に顔を赤くして、俺の手をつかんで、ぽろぽろと涙を流して、眠っていた。
その頃から、優香は俺のことを嫌っていた。ふつうの兄妹みたいに一緒に遊ぶこともなく、突き放したような言葉ばかり飛んできた。
けれどそれでも、俺はどうしても優香を嫌いにはなれなかった。それは心のどこかで、優香が本当は寂しがり屋なのだと、気付いていたからなのかもしれない。
俺の妹は、他の人とは離れた場所に立っているのかもしれない。けれど、優香はそれを決して望んではないんだ。
744未来のあなたへ2:2008/11/27(木) 12:33:17 ID:BVmcowqH

Akira-side

帰り道。
榊家から生還したわたしは、自販機でイチゴミルクを買って、舐めるように飲みながら一人歩いていた。呟く。
「しっかし、まさか優香ちゃんがブラコンだったとは」
なんとなく周囲を見回す。大丈夫、子供が犬を連れて散歩しているだけだ。セーフ、いや何が。
―――――あなたは、にいさんのことが、すきなの?
優香ちゃんの部屋に誘われて、聞かれたのはそんなことだった。
まず呆気に取られ、次にマッハで真相に気付いた。榊先輩に恋愛相談をしたのは数日前、まさかそんなことが引き金だったとは。
とにかく、要はつまらない勘違いのようだった。優香ちゃんがブラコンだという意外さえ思いつくなら、物事自体は大したこともない。
まあ、実のところブラコン疑惑は前々からあったのだ。素っ気ない態度ではあったけれど、わたしを通してでも榊先輩の様子を知りたがるって……ねえ?
さておき、迅速に誤解を解除できたおかげで、わたしは榊家から生還できた。日頃の観察ってマジ大事です。
「しっかし、まさか優香ちゃんがブラコンだったとは」
口にしてから、なんとなく周囲を見回す。大丈夫、とろとろと軽自動車が追い越していっただけだ。
さっきから生還生還と連呼しているわたしだけど、別にノコギリで脅されてたわけじゃない。それどころか優香ちゃんは、脅迫の類なんか一切口にしなかった。
淡々と聞かれただけだ。
ただ
榊先輩が玄関先で華麗なボケをかましてくれたとき、わたしは危うく優香ちゃんのブラコンをばらしかけた。その場の勢いとツッコミという奴だ。
優香ちゃんがわたしのことを思って榊先輩に嫉妬したとか有り得ねえー!と
けれど、その瞬間、背後から刺した気配にわたしの心は凍りついた。心だけではなく、手足も、呼吸も。
その時の心境を、わたしの未熟な人生経験で表現することはできない。今思い出しても、体が震える。
ちなみに位置関係から考えて、二階の優香ちゃんがカーテンの隙間からわたしを見降ろしていてもおかしくはない。
「しっかし、まさか優香ちゃんがブラコンだったとは」
周囲を見回す。大丈夫、ベビーカーを押す主婦とすれ違っただけだ。
ところで。
いわゆる同性愛というのは、世間的には純然たる趣味嗜好と思われてる部分が多いけど。こいつはれっきとした脳の障害じゃないかという説もある。
あ、わたし自身は別にホモは治療すべきとか偏見持ってません。ボーイズは淑女のたしなみだよね。
勿論、趣味嗜好で同性愛やってる人も多いんでしょうが。同性愛なり、先天的な脳障害を持って産まれてくる人間と言うのは、存在すると思う。
精神的な異常は、先天性の脳障害として有り得るのだ。
もしも生まれつきの殺人鬼なんて人間がいたのなら、その思考はわたしにはとても理解はできないだろう。
人間同士は理解し合えないとか題目以前に、脳の構造からして違うのだ。ソフトではなく、ハードからして違う。そこから編み出される感情、論理、本能、わたしにはないそれ以外のなにか。想像すらできない。
たとえ言語が共通でも、地獄の住人に等しい異質さだ。
ところでわたしはつい先程、どこかで奈落の底を覗きこんだような気もする。
あまりの異常に、気配だけで背筋が凍る、そんなおぞましさ。そう、おぞましいものに遭った気もする、けれど
「しっかし、まさか優香ちゃんがブラコンだったとは」
そういうことにしておく、しておいた、しておいた方が幸せだろう。今日は早く寝よう。

745未来のあなたへ2:2008/11/27(木) 12:36:02 ID:BVmcowqH

Yuka-side

霧が晴れた。
世界はこんなにも美しかったのか。

「兄さんは、蝉をどう思います?」
「へ? せみ?」
「はい、蝉です。何年も地中で成長して、地上では一週間だけ鳴いて、そして死ぬ。ああいう生物を、兄さん。どう思いますか?」
「どうって……まあ、夏はうるさいけど、そう考えるとかわいそうだよな」
「可哀想? 兄さん、そんなことはないと思いますよ。だって蝉は、そういう生き物なんですから」
「あ、ああ。うん……」

私は唄う。

「幼虫はきっと羽化などしたくはないでしょう。安寧の居場所を捨てて、見知らぬ危険に満ち溢れる世界に、心底行きたくないでしょうね。
 それも余命はたったの一週間。何年も過ごして来た幼虫にしてみれば、それは死にに行くようなものだから。蝉はきっと未来を恐れる」

私は呪う。

「けれど成虫になったなら、蝉は過去なんて振りかえらない。だって、世界は果てしなく広いことを知ってしまったから。この青い空になら、命を燃やす価値があると思い知ってしまったから。
 何年もかけて蓄えたエネルギーをたったの一週間で燃やし尽くして。それでも満足できるから。蝉はきっと過去を懐かしまない」

私は壊れた。

「兄さん。命というのは、生きているから生きるのではなく。生きるために死ぬんですね」

私は壊す。

「明日から、改めてよろしくお願いします」


兄さん。霧が晴れました。
世界はこんなにも美しかったのですね。
全て、あるがままに。
746未来のあなたへ2:2008/11/27(木) 12:37:48 ID:BVmcowqH
Kenta-side

結局、次の日優香は元に戻っていた。昨夜のあれは一体何だったんだろう。
一つ変わったことと言えば、優香が朝、支度をして玄関に立っていた。朝練の時間帯なのに。
「優香? どうしたんだ?」
「たまには一緒に行きましょう」
「あ、うん」

朝の通学路を優香と二人で歩く。妹と一緒に登校するなんて小学校以来だ。懐かしいなあ。
優香は俺の後ろをついてくる。そうそう、並んで歩くのは邪魔だと言って、いつも後ろに回るんだった。話しづらいけれど、そもそも会話はほとんどしないし。
けれど今日は珍しいことが続くようだった。背後から、優香の声。
「兄さん、昨日はありがとうございました」
「ああ。別にわざわざ気にしなくていいだろ。家族なんだし」
「いえ、私の気が済みません。これをどうぞ、缶詰のお返しです」
「ん? なんだこれ?」
後ろ手に渡されたのは、親指ほどの小瓶だった。中には無色の液体が入っていて、網状の蓋と短い紐が付いている。
「香水です。兄さん少し汗臭かったですよ」
「(くんくん)あ、ほんとだ。いい匂いがするな。花?」
「サフランを薄めました。これくらいならあまり気にならないでしょう。中身がなくなったら言ってください」
「ん、ありがと」
香水は校則で禁止されていた気もするけど、せっかく妹の好意なんだから貰っておこう。
匂いも、言われなければ気付かない程度だし。それにしても、花以外のすっぱい匂いも混じっている気がするけど……まあいいか。
「それにしても、兄さんのように私も少しは体を鍛えたほうが良いと思いました」
「優香が?」
「意外ですか?」
「ん、まあちょっと意外だったったけど、いいんじゃないかな。どこかの部活に入るのか?」
「そのつもりです」
「へえー」
妹の言葉は驚きだったけど、その方がいいかもしれない。優香は自分で言うほど体も弱くはないけれど、他人と一緒に何かを行うことはほとんどなかったと思うから。
放課後は何をしているのかと聞いたら「勉強」ときっぱりと言い切る奴だし。いや、別に勉強が悪いわけじゃないけどさ。
それにしても、今日の優香はなんか変と言うか……うーん。
「なんか今日は優しいな、優香」
「わざわざ罵倒を望むなんて、兄さんはマゾヒストですか。今日ぐらいはいいでしょう」
「あはは。まあ、そうだよな」

もう夏は近いけど、この時間はまだ空気が冷たい。人通りも少なく、大きく深呼吸をする。
見上げれば、雲ひとつない青空。悩みも解決したし、今日は良い一日になりそうだった。

「……少しずつ……」
「ん? なんか言ったか? 優香」
「いいえ。今日は良い一日になりそうですね、兄さん」
747未来のあなたへ2:2008/11/27(木) 12:39:12 ID:BVmcowqH
以上です。
次は2.5でギャグになります。
748名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 15:03:30 ID:7uEIryiN
GJ!!次回楽しみにしてます。

香水に何か仕掛け(?)があると見た
749名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 17:49:53 ID:fQGYcvqI
愛液と見た!
750名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 18:04:16 ID:qQ+yVSYY
GJ

その香水…まさしく愛だ
751名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 20:08:04 ID:ASeCDg8H
なんという妹汁…!
752名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 20:12:14 ID:gIwXYWpy
投下します
NGはタイトルのねえたんファッションでお願いします
753ねえたんファッション23:2008/11/27(木) 20:13:27 ID:gIwXYWpy
もみゅっ


畳に着こうと伸ばした政人の左手は、つきたての餅に似た弾力に深く沈んだ。
―政人は息を飲む。
仰向けに倒れた未来の右の乳房を自分の掌が押し潰しているではないか。
もっちりと掌に吸い付く温かな丸みは指が食い込み、ひしゃげた楕円型に潰されている。
初めて触れる女の子の胸の感触はポカンとしてしまうほど心地良かった。
「わ、あの、すまんです」
胸に掌底を喰らった格好の未来はピクピク痙攣しながらも幸せそうだ。
「げほっ、まーちゃん激しい…。そんなにねえたんが欲しいんだね…」
「……ううん、事故だよ。とぉ、う、離して、近いってば」
強く抱き寄せられれば顔と顔がぶつかりそうになる。
シャンプーのアロマが未来の熱で立ち登り、政人の鼻孔をゆるゆると侵す。思わず胸一杯に香りを吸い込んだ。
丁寧に掃き清められた畳の香りと、女の子のいいにおいが混ざり、胸の奥が切なく締め付けられる。
「まーちゃん…まーちゃん」
未来は子猫が母猫に擦りつくように、政人の首に顔を埋めイヤイヤをするように首を振った。
細い髪が擦れるくすぐったさに首をすくめ、政人はカッと全身を赤く燃やした。
―これは……、まさか俺に“求めている”のだろうか。
政人はだらだらと汗を滲ませた。
前々から自分を襲おうとしていた未来に手を焼いていたが、イニシアチブをぽんとこちらに放られてもまた困る。
互いの体温を感じる近い距離やこの体制、甘い香り、未来の体の感触。
男女の営みなど漫画や映画でしか知らない虚像であったが、五感に受ける全ての情報がそれをリアルな行為として意識させる。
若い欲望がじりじり焙られ塞き止められなくなりそうだ。政人は徐々に腰を引く。
「まーちゃん、しよ?」
すると、逃げる政人の腰をめがけ未来が片足を伸ばした。
ロングスカートが捲り上がり、露になった白い脛が政人の股間をするすると擦り上げる。
「うひゃっ」
思わず上擦った悲鳴が漏れた。何をどこで触っとるんじゃ。
754ねえたんファッション24:2008/11/27(木) 20:14:52 ID:gIwXYWpy
「…するの、や?」
未来は小首を傾げる。微かに汗ばんだその額に前髪が数本張り付いている。
しっとりと上気した薄桃の頬やうるんだ瞳は、あれほど似合わなかった筈の黒髪に自然に映えていた。
政人の理性が大きくたわんだ。今、こうして自分に組み敷かれる未来を心から可愛いと思う。
その不意をつかれ、思い切り顔を寄せられた。
政人は息を飲む間もなく姉に唇を奪われていた。
ちうと音を立てて口を吸われ、僅かに開いた隙間から熱い舌が割り入れられる。
―お茶の味が残る口内、悪戯に忍び込んだ舌は砂糖でも含ませているのかと疑う程に甘い。
長い睫毛を伏せて一心に政人の舌を頬張る未来に倣い、政人も瞳を閉じた。
ピンと張りつめた理性の糸を焼き切る未来の唇。
(ねえたん……ねえたん!ねえたん!!)
その深いキスにとろけてしまったのか、政人は気付けば夢中で未来を抱き締めキスをむさぼっていた。
こぢんまりとした和室に広がる衣擦れの音はわびしく、切なく、胸が握り潰されそうに痛い。
互いにしっかりと腕を体に絡め、畳の上で一つにもつれあう。
未来の温度も相当高い筈なのに、カンカンに熱った政人の体には真夏の日陰のように優しく感じた。
「は…う、くちゅ、まぁ…ちゃん」
溺れたように息継ぎをする未来の背を無器用に撫でた。
未来もそれに応え、太ももで政人の股間を挟んで擦り付けた。布地越しでもそのももがとてもすべらかなのが分かる。
未来の足は肉付きが悪くどうにも硬そうなイメージがあったのだが、その部分は女性らしいたっぷりとした感触に満ちていた。
いよいよ我慢が出来なくなる。
政人は「ごめん、ごめん」とうわ言のように繰り返しながら自らのベルトに手を伸ばした。
「謝ることなんてないよ…。今日はまーちゃんのラブラブ告白記念日だから、ねえたんに特別な事をしていいんだよ」
何やら勝手に記念日を制定されているが、今の政人にはその寛容さがありがたい。
「ねえたん…」
もどかしそうにベルトを解き、未来の上にのしかかった。
「まーちゃん、来て…」
未来もブラウスのボタンを外しだす。開いた胸元から純白のフリルがちらりと覗いた。
「お、俺初めてだから上手く出来ないかもわからんよ…」
755ねえたんファッション25:2008/11/27(木) 20:16:09 ID:gIwXYWpy
「大丈夫だよ…」
「じゃ、じゃあお言葉に甘えて…お、お邪魔します…」
政人は横たわる未来を片手で抱き寄せた。もう片手で未来の黒髪をすいて撫でる。
未来は何気なくその様子を見つめる。政人の指の隙間から真っ直ぐな漆黒がはらはらと流れて落ちた。
黒い、髪――……

「――ちょっと待って」

……
………
「ねえたん、いい所で何?」
手の平でキスを拒まれ、政人は不服そうに聞く。
「あのさ、これってまーちゃんの初めての体験は、黒髪のねえたんと和室プレイって事になるよね」
「え?う、うん、そうなるね…」
「それ、ありえなくない!?」
「あでっ!!」
途端に未来が跳ね起き政人は頭突きを喰らった。
「ねえたんとまーちゃんの初めてがナチュラルメイクの黒髪とか絶っっ対駄目!エヌジー!!」
未来はシャキンと両手で×を作った。
「えええ!?」
もはや政人は涙目である。こんな所でオアズケかい!貴方が散々足で揉んだり擦ったりしたこれの始末はどうしてくれるんだ。
「だって一生の記憶に残る大事なイベントだよ!?…あ!ああっ、キスしちゃったじゃん。キスも無し!無かったことにして!」
「ええええ!?」
「まーちゃんにはちゃんとギャル的なラブラブナイトをプロデュースしてあげるからね!」
「い、いいよそんなの、俺は気にしないよ!続きしようよぉ!」
「だって私ギャルだし、まーちゃんもギャルが好きなんでしょ?」
…ギャルが好きなんでしょ?ギャルが好きなんでしょ?ギャルが好きなんでしょ?…
政人の耳に強烈に響いたその一言。嗚呼、そういえばそんな設定になっている。なんと正論であろうか。
そしてねえたんは、ラメラメ大好きデコ命のギャルなのである。こんな地味なシチュエーションを彼女が赦す筈など無い。
………ぎゃああああるうううう!!
政人はわっと泣き伏せた。
「茶髪に戻してカワイイコーデでインナーもキュートなのじゃなきゃヤだよね!」

元通り、政人の好みから逆走しだした未来。
青春のたぎりは無惨にも散った。
やっぱりギャルのパワーには勝てないのだと、まーちゃんはしみじみと悟ったのだった。


おしまい
756名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 20:18:34 ID:gIwXYWpy
以上です
香水はもっと別な水かもわからん。わくわく。
757名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 20:26:25 ID:55Y+A0+r
GJ!
そういえばキモ姉に行為を拒否された弟って新鮮かもしれないw
758名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 20:38:11 ID:uZ57/86V
ちょっと待て
わしはこれで終わりなんて認めんぞおおおおおおおお



とりあえずGJ
759名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 22:23:46 ID:Gm9b98T1
GJだがこの寸止めはいただけないぜ!
続き待ってます
760名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 22:58:46 ID:xAKRyg0B
>>756
GJでした。ねえたん…

>>717
今さらだけど「きもあね」と読んでいた。
理由は名詞として「ねえ」はない気がしたから。
761傷 (その6):2008/11/27(木) 23:08:49 ID:8Trdw0tZ
投下します。
762傷 (その6):2008/11/27(木) 23:11:03 ID:8Trdw0tZ
////////////////////////

「なるほど、たしかにひどいわね、これは……」

 思わず弥生は呟いた。
 彼女が見ていたのは「芹沢家強制売春事件」のネット記事である。
 それによると、芹沢夫妻が正式に養子の手続きを取っていた21人の少年少女のうち、死亡届が提出されていた“子供”は6人。無論、彼らの死因が何であるかは、今となっては調べようがない。
 慈善活動家の仮面を被っていた夫妻は、当然のように彼ら一人一人の死のたびに葬儀を挙げ、“子供を無くした遺族”として涙を流しつつ、司法の手が回る前に死体を荼毘に付してしまっていたからだ。
 だが、事後に保護された子供たちの大半が、精神的・肉体的に外傷を負っていたことから、彼らがどういう経過で死に至ったのかは、想像に難くない。

(冬馬くんでさえ、あのザマなんだものね……)
 いまのところ弥生の知る限りでは、冬馬にPTSD(心的外傷後ストレス障害)の兆候は見られない。可能性として、彼が自宅でまったく自慰をしようとしないという一事実を挙げることが出来るが、まあ、そんな程度だ。
 だが、公衆便所の落書きのようなデタラメな傷を、子供の身体に刻む環境である。冬馬と千夏の二人が、どれほどの辛酸を舐めながら日々を過ごしたのかは予想がつこうというものだ。

 当然ながら、彼ら二人の名前は記事にはない。
 保護された子供たちの実名が表記されたレベルのデータは、ネットで検索したところで簡単には出てこない。だが、冬馬が芹沢事件の関係者である事実など、千夏から話を聞いた晩に、すでに警察関係の機密情報をハッキングして確認済みだ。慌てる必要はない。


 弥生はマウスをクリックした。
 画面が切り替わり、冬馬の部屋が大写しになり、途端に彼女の頬が緩む。
 学習机に座り、パソコンに向かって、一心不乱にキーボードを叩いている弟の姿。
 彼が何をしているのかは分かっている。チャットに勤しんでいるわけでもなく、バイト先のシフトを組んでいるわけでもない。
 再び弥生がクリックをすると、画面が冬馬のパソコンの画面に切り替わった。そこに展開されるのは、一つのストーリーを所有した文字の羅列。
 彼が今ハマっているのは、創作小説の投稿だ。
 いま書き綴っている小説も、一通りの目処がつけば、いつものように創作系の掲示板に投稿するつもりなのだろう。無論、前回の投稿分も、その前の投稿分も、弥生はぬかりなく、それら全てに目を通している。


 柊木冬馬という男の特徴を列挙する場合、その身体能力や陽気な性格以外に挙げられる項目があるとすれは、それは、彼が非常に多趣味だということであろう。
 彼はおそろしく好奇心が旺盛で、自分が関心をもったものは、貪欲なまでのしつこさで、それを学習・吸収しようとする。結果、彼の器用さもあいまって、その面白味を弥生がまったく理解できないような分野にまで、彼の知識や技能は及んでいるというわけだ。

 バイト先の友達からギターを譲られるや、子供のような熱心さでかじりつき、今ではちょっとした作曲ぐらいならこなせる程度の演奏技術があるし、漫研に乗り込んで、ひたすらにコミケ原稿のアシスタントをしていた時期もある。
 朝から晩まで、連日オイルまみれになりながらバイクのパーツをいじっていたかと思えば、母に志願して、レシピを睨みながら家族の食事を調理していた頃もある。ネットの囲碁教室に夢中になっていたかと思えば、いきなりボクシングジムに通いだしたりもする。
(そういえば、ピアノを教えてくれと言われたときもあったわよね)
 思い出して弥生は苦笑する。
 家のリビングにあるエレクトーンは、何年も前に壊れて置き物と化しているので、弥生は泣く泣く彼の申し出を断ったが、その三日後には、弟はけろりとして、リサイクルショップで購入したというハーモニカに、テキスト片手に熱中していた。
――で、今度は投稿SSというわけなのだ。
763傷 (その6):2008/11/27(木) 23:12:51 ID:8Trdw0tZ

(今度は、いつまで続くかしらね……)
 彼は三日坊主ではない。
 結局教えてあげられなかったピアノの件はともかく、本格的に対象への興味にハマってしまえば、冬馬は一通りのレベルに達するまでは飽きる事を知らない。
 だが、文章表現というのは、楽器やスポーツとは違い、身体能力や器用さがものを言う分野ではない。勘やひらめきに任せて、感じたものを感じたままに書き連ねるだけでは、それはただのポエムにしかならない。
 なぜなら、緻密に計算されたストーリーを組み上げるという行為は、むしろ数学的な作業だとも言えるからだ。
 ことに、彼がいま取り組んでいるミステリーという分野では、世界観やキャラ設定、台詞回し、犯行動機、そして肝心のトリック等々、それらを考え抜いた上でプロットを組まねば、到底ストーリーを完成させることなど出来はしない。
 現に、いま冬馬が没頭している作品世界は、まだ三話であるにもかかわらず、すでにして設定的・キャラ的・時間的、さらには物理的な矛盾に満ち溢れている。

(このままだと、犯人は宇宙人でしたってことにでもしなきゃ、収拾つかないじゃないの)
 弥生は、弟の書く微笑ましい文章に目尻を下げながら、――スカートを持ち上げ、その端を口に咥えると、右手をそっと股間に伸ばした。
「んっっ!!」
 心地良い電流が、弥生の脊髄を襲う。
 スカートの下のショーツは、すでにじっとりと潤っていた。

(ほんと……かわいい子よねえ……)
 弥生の意識は、すでに画面上の破綻しつつある推理ドラマを追ってはいない。
 いや、たとえ破綻していようがいまいが、そんなことは彼女には、もはやどうでもいい。
 何故なら、この文字情報が冬馬の手によって生み出されたものだと考えるだけで、弥生は充分に愛する弟を感じる事が出来るからだ。――いや、それだけではない。
 一心不乱にキーボードに向かっている冬馬は、この自分の文章がいま、姉の眼前に晒されているとは夢にも思うまい。そして、この小説を姉に覗かれていると知ったなら、それこそ真っ赤になって羞恥に身悶えするだろう。
 弟の、そんな姿を想像した瞬間、弥生の嗜虐心は、股間から伝わる電圧を更に増幅させる。
「――んっ!! ……んんんっっ……!」
 ショーツ越しに踊る指先はますます加速し、弥生の潤んだ谷間はくちゅりと音を立てた。


/////////////////////////

 真っ青になって震える、二人の幼い子供たち。
 その眼前で、血まみれの包丁をぶら下げた、一人の主婦。
 そして、その光景を眺めながら、腹を抱えて哄笑を続ける青年。
 やがて瞑目していた主婦の瞼が開き、その瞳に妖しい光が灯る。
 それは絶望。諦観。妥協。そして――希望。

 いまなら、まだ引き返せる。罪悪感と背徳に満ちた未来から、まだ一個の人間としてやり直せる。
 だが、その暗黒の未来に、たまらないほどの魅力を覚えるのは何故だろう。
 分かっている。問うまでもない。
 己の心身を支配する男と、胎内にいる彼の子供との、喜悦と快楽に満ちた親子三人での暮らし。それは夫と我が子を手にかける大罪を犯しても、なお余りある光芒を放つ生活だと、自分の肉体は理解しているからだ。
 たとえ咎人に身を堕としたとしても、自分を骨の髄まで支配した御主人様の隣に並び、伴侶として彼の子を育てながら、24時間フルタイムで調教してもらうことさえ可能な、夢のような暮らし。
 その輝かしい希望に比べれば、たかが子供を殺す絶望感など、どれほどの事だと言うのだ? それに我が子といったところで、お腹を痛めた実子は娘だけ。息子は、元をただせば夫に強引に説得されて引き取った、施設のみなしごに過ぎない。

――すでに夫を殺した身だ……!!

 そう思った瞬間、それを感じ取ったかのように息子がびくりと反応する。
 いや、それだけではない。この血の繋がらぬ少年(そう呼ぶには、彼は幼すぎるが)は、怯えながらも健気に妹をかばい、その小さい身体をぎゅっと抱き締めた。
764傷 (その6):2008/11/27(木) 23:14:35 ID:8Trdw0tZ

「…………」
 考えてみれば、この子も不憫な子だ。夫のワガママでこの家に引き取られなければ、こんな理不尽な死に方をする事も無かったものを。
(でも……もう仕方がない、よね……?)
 返り血に染まった出刃包丁。その紅く輝く刃を握る右手に、薄く力がこもる。
 だが、その瞬間、笑いを含んだ主の声が無情にも響きわたった。

「ブッブゥ〜〜〜ッッ!! はい、奥さん残念ながら時間切れぇ〜〜〜」

 愕然と振り返った彼女の目に飛び込んできたのは、居間に据えつけられた黒電話に手を伸ばす、青年のにやけ顔。
「御主人様の命令を聞けないような奴隷は、ハッキリ言って要らないんだよなぁ〜〜」
 違う!
 私はいま、あなたの命令通り、この子供たちを――!
 そう叫ぼうとした瞬間、ダイヤルを回した男の指の動きに、彼女は思わず身が凍った。


「――あ、もしもし警察ですか? ええっとこちら、東難波町三丁目の景浦と言いますが――そうそう、その刑事課の景浦です。――実はですね、その景浦巡査部長が、奥さんに包丁で刺されてしまいましてね。パトカーを何台か廻して頂きたいんですよ」


 声一つ立てられずに立ち竦む彼女を差し置き、青年は笑って、この電話は悪戯ではないと伝え、
「ほら、奥さんも何か言って下さいよ。旦那さんを殺しちゃったんですけど、自首したいから、お巡りさんを呼んで下さいって」
 そう言って、彼は受話器をこちらに差し出した。
「――ほら? いつまでもボッとしていないで、は〜や〜く」
「御主人様! 私は――」
「あれ、また逆らうの? 僕は『自首しろ』って命令してるんだよ?」


……分かっていた。
 この男は、初めからこうするつもりだったのだ。
 この男は、初めから私に付き合うつもりなどなかったのだ。
 この男はただ、自分の施した洗脳の威力を試すためだけに……まさに子供のような好奇心のためだけに、私に夫を殺させ、子供を殺させようとしたのだ。
 分かっていた。
 本当は分かっていた。――この男が、私のような女と一緒になって、自分の将来を棒に振ることなど、在り得るはずがないのだということが。――この男にとっては、私のお腹にいる自分の赤ん坊さえも、取るに足りない存在でしかないのだということが。
 にもかかわらず、私は……夢を……見てしまった……!! 希望を抱いてしまった……!! そして、そんな私を御主人様は当然のように、

 う  ら  ぎ  っ  た  ッッッ!!!


 何を考えたわけでもない。
 身体は反射的に動いてくれた。
 夫を刺した時と同じだ。
 絶望こそが人に力を与える。――ああ、夫の言うことは、やっぱり正しかった。
 己の腹部に突き刺さった出刃包丁を呆然と眺めながら男は、まるで雄鶏が卵を産んだかのような、信じられないものを見る目つきで、彼女を見た。
 ごりっ。
 彼女がおもむろにえぐった刃が、肋骨に当たり、彼にしか感知できない嫌な音を立てる。


「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッッ!!!」


 その獣のような悲鳴は、男が床に落とした受話器を通して、通話先の警官の鼓膜を刺激するには充分な声量を持っていたのだろう。もしもし!? もしもし!? という声が小さく居間に響く。
 彼女は、受話器を拾い上げると、
「はい、景浦です。……この人の言う通り、夫を殺しました。逃げも隠れもしませんから、早く私を逮捕しに来て下さいませんか……?」
 と、言った。
765傷 (その6):2008/11/27(木) 23:16:44 ID:8Trdw0tZ

 気が付くと葉月は、瞼が痛くなるほど目を見開き、虚空を見つめていた。
 世界はまだ真っ暗だ。窓からも、一筋の朝日も部屋に差し込んではいない。
 ぐっすり眠っていたはずなのに、いつ自分は目を覚ましたのだろう。いつからこうして、暗闇とにらみ合いを続けていたのだろうか? まったく思い出せない。
 傍らの目覚し時計に目をやる。この時計は文字盤が夜光塗料で塗られているため、真夜中の暗い部屋でも時刻が読み取れる。
「……まだ4時」
 葉月は思わず呟いた。
 真夏ならばともかく、部屋が明るくなるような時間ではない。そして本来、彼女が起床せねばならない時刻には、まだまだたっぷり余裕がある。
(冗談じゃない)
 葉月はふたたび布団にもぐりこむと、瞼を閉じ、眠気の襲来に身を任せた。

 兄から、その幼少期のエピソードを聞いてから二週間ほど経つが、葉月は何故かさっきの夢を、何度も何度も繰り返し見るようになった。
(この夢見るの……何回目だろう)
 ぼんやり思うが、半分睡魔に支配された彼女の脳ではよく分からない。よく分からないが、多分そろそろ10回目に達するのではないだろうか。
 まったく、わけが分からない。
 事件の当事者である兄ならば知らず、何故まったく関係ないはずの自分が、こんな夢に夜ごと悩まされなければならないのだろう。

 悪夢の構図は毎回同じだ。
 最初はドラマのように、第三者的視点で眺めていたはずの犯行現場。
 鮮血したたる凶刃をぶら下げて、茫然自失と夫の骸を見下ろす女性――おそらくは景浦美也子であろう――と、壁際にへたりこんで震え続ける二人の幼児――設定的に冬馬と千夏であろうか――の俯瞰から、唐突に夢は始まる。
 そして、気が付けば葉月は、美也子に同化している。彼女の視点で思考し、発言し、行動している。そんな自分を彼女は一分の余地も無く疑わない。
“御主人様”の命令どおり、子供の眼前で夫を殺し、いままた子供を殺せと命じられている自分。気安く従える命令でないのは言うまでもない。己の中の常識や理性を葛藤のすえ黙らせ、女としての自分の欲望に身を任せる事を決意した瞬間、突きつけられる最後通告。

 彼女の内のあったのは、夫を殺し、我が子に殺意を抱いた罪悪感ではない。
 ただひたすらに、自分を裏切った男への、悲しい怒りと絶望。
 そして、子供たちの前で展開される、再度の惨劇。
 湯気立ち上る男の血潮の熱さすら、葉月の脳裡には明確に刻まれている。
 
(本当のところは、どういう人だったんだろう)
 葉月は、そう思わずにはいられない。
 彼女が夢見る「景浦美也子像」は、そのキャラクター造型に、明確に他者の偏見的イメージが混入している。すなわち語り部である兄・柊木冬馬の言葉が。まあ、景浦美也子本人の顔すら知らない葉月からすれば、兄の言葉に「美也子」のキャラが影響を受けるのは当然なのだが。
 だが、当然の事ながら、そんなエピソードだけで一人の人間を語り切れるはずがない。
 その浮気相手と関わってからはともかく、彼女とて母として、そして妻としての顔を持つ一人の女であったはずなのだ。


「兄さんは、まだ……そのお義母さんを許せませんか……?」

 あのとき――寺の練塀にもたれながら、二杯目のワンカップをちびちびやっていた冬馬に向けて、葉月がその質問をした瞬間、彼の瞳に、先程以上の闇が灯ったような気がした。
「兄さん……」
 思わずぞっとした葉月だったが、しかし冬馬の声は、逆に落ち着いていた。
「……わかんねえよ、そんなこと……」
 
 葉月は聡い少女だ。
 兄が、言葉とは裏腹に、心中では義母をまったく許していない事を、その瞳と声音の雰囲気だけで、彼女は瞬時に見抜いた。

「何故、許す気になれないのですか? 兄さんともあろう人が、らしくもない」
766傷 (その6):2008/11/27(木) 23:18:15 ID:8Trdw0tZ

 だが、聡明なようでも所詮は中学生だというべきだろうか。
 弥生であれば、こんな迂闊なことは決して言わなかったに違いない。人間には、たとえ誰であろうが踏み込む事を許さない領域が、その心の裡にあるということを、葉月はそこまで認識していなかった。
 おそらくクラスメートか、バイト先の友人たちから同じ言葉を投げつけられたら、冬馬は今この瞬間にでも飛び掛かり、その不幸な発言者を、顔の形が変わるまで殴り続けたに違いない。
 現にその瞬間、葉月に向けられた彼の視線は、先程までの、己の闇の深淵を覗き込んだような眼光とはうって変わった、殺意と呼ぶに充分な量の凶暴な意思が込められていた。


「許せ、って言うのかよ……てめえ本気で言ってんのか、それ……!?」


 その瞬間、葉月は息をすることさえ忘れていた。

 だが、さすがに冬馬も自分の本音を無雑作に晒し過ぎたことを知ったのだろう。そう言った次の瞬間には妹に背を向け、ワンカップをあおって間を取った。
「くそっ、ちっとも酔えねえや、この安酒が」
 そしてごりごりと頭を掻き、こっちに向き直ったとき、冬馬の表情はいつもの――とまでは言わないが、少なくとも、さっきの憤怒は綺麗サッパリ抜け落ちていた。
「怖がらせちまったか、葉月?」
「……いえ」
「ワンカップ、飲むか?」
「……いえ」
「そっか」
 そのまま最後の一口を飲み干すと、ワンカップを自販機の横にあるゴミ入れに投げ入れ、彼は無言でスラックスのポケットに両手をぶち込んで、ぶらぶらと歩き出す。
「待って下さい兄さん」
 とも言えず、慌てて葉月は兄を追った。



 ベッドの布団に潜り込んで眠っていたはずなのに、いつの間にか葉月はふたたび虚空を眺めていた。

 あのときの冬馬は、本気で怒っていた、と思う。
 思う――というのは、彼が家に引き取られてから、葉月は彼が本気で怒り狂っている場面に遭遇した事がないからだ。もともと兄は滅多な事で他者に怒りを向けるような性格ではない。
 淡白なわけではない。
 兄はただ、慎重なだけなのだ。
 孤児として育った彼は、迂闊に感情や本音を他人に晒すことが、どれほど危険な行為であるか充分すぎるほど知り抜いているのだろう。かといって、日常で見せる陽気さやおおらかさが、完全に演技というわけでもないだろうが。

 葉月は、……そんな兄が、気の毒でならなかった。
 心の赴くままに怒ることも、叫ぶことも出来ない。
 常に他者への配慮を考え、周囲の空気を読み、場の雰囲気に責任を持ち、皆のテンションを盛り上げ、ウザがられないギリギリの範囲で状況を仕切り、集団の意見を誘導し、少数意見へのフォローを忘れず、あくまでも陽気なムードメーカーである自分を忘れない。
 しかし、ムードメーカーという存在は、しばしリーダーの役割を担うことが多い。
 場の雰囲気を盛り上げられる者は、往々にして周囲の信頼を集めすぎる場合があるからだ。そして姉の話では、冬馬は、いまや誰もが認める、クラスやバイト先での中心人物であるという。

――できる者にとっては、それこそ何でもない事なのだろう。
 たとえば、弥生がそうだ。
 彼女は、まるで呼吸するような自然さでリーダーシップを発揮し、他者をまとめる事が出来る。完璧超人と言われる彼女の一番の長所は、持ち前の学力や身体能力ではなく、その指導力にあるということを、葉月は誰よりもよく知っていた。
 だが、冬馬は弥生とは違う。
 兄の本質は自分と同じだ。
 他人との共存よりも、孤独を好む人間だ。
 天才と謳われ、在野の研究機関レベルの知識と理解力を持ちながら、それでもなお義務教育に縛られ、いまだに中学校への登校を強制されている彼女なればこそ、それが分かる。
767傷 (その6):2008/11/27(木) 23:20:13 ID:8Trdw0tZ

 だから葉月には、冬馬がクラスやバイトのメンバーたちの中心者として在り続けていることが、気の毒でならなかった。本心では孤独を望むはずの兄が、周囲の結束の軸としての役割を果たすべく尽力するストレスは、葉月には正直、想像もつかない。
 しかし、深読みすれば、あるいはそれも兄自身が望んだ結果なのかも知れない。
 リーダーという役割は、ある意味、集団の中で最も個人としての本音を晒さずに済む――むしろ晒してはならない――立場であるからだ。
 まあ、普段のほほんとしている、楽天家の兄がそこまで考えて行動しているのかどうかは、葉月にも分からない。だが、それでも彼女は、家族の中で冬馬を一番理解しているのは、両親はもちろん姉の弥生でもなく、この自分であると密かに自負していた。
 それは、彼女にとって、かすかな誇りであった。


 時計を見る。
 そろそろ6時だ。
 結局、あれから眠れなかった。
 いつもそうだ。
 兄のことを考え始めたら、いつも時間が経つのを忘れてしまう。
 あれだけ執拗であった睡魔も、気付けば跡形もない。いまから羊の数を数えても、おそらく一睡も出来ないに違いない。

(仕方ないわね)
 葉月は、むくりと身体を起こした。
 窓の外から小鳥の鳴く声が聞こえる。
 すこし、肌寒い。
 ベッドから降り、おもむろにタンスから新しい下着とバスタオルを取り出し、風呂場へ向かう。
 朝の空気に冷え切った廊下から、スリッパ越しに冷気が伝わってくる。
 とっととシャワーを浴びてあったまろう。
 そう思ったのも束の間、いつの間にか葉月は、またも考えるともなく冬馬の事を考えていた。


 あれから、冬馬は駅までの道をぶらぶら歩きながらこう言った。
 人が一番やってはいけないことは、人を裏切ることだ、と。
 お袋が、例の男を刺し殺したのは、子供を殺せと命令されて自暴自棄になったからじゃない。男がお袋を見捨て、警察に売ろうとしたからだ。命令に従って人道を踏み外したお袋を、奴は笑って裏切った。だからこそ、奴は殺されたのだ、と。
 おゆきがおれを許さないのは、母を慕うおゆきの心根を――その気持ちを知っていながらもなお、おれが裏切ったからだ。人並みの家庭のぬくもりをようやく知ることができる。そう思ったあいつの気持ちを、おれが裏切ったからだ、と。
 そして、お袋は親父を……おれたちを裏切った、と。
「あのとき、間男野郎がお袋に声をかけるのが一秒でも遅かったら、おれと千夏は確実に殺されていたはずだ。あのときお袋は、妻としてだけじゃなく母としても、おれたちを見捨てた……裏切ったんだ」

――おまえも、彼氏が出来たら迂闊に浮気するんじゃねえぞ。裏切り女はぶっ殺されても文句は言えねえんだからな。

 そう言って葉月の頭を撫でる兄の手は暖かかった。
 だが、その体温と相反するように、冬馬の微笑は、にじみ出る疲労を隠し切れてはいなかったのを、葉月は覚えている。
(おそらく兄さんは、憎み続ける以外に、彼女への想いを封じるすべを思いつかないに違いない。自分を拾い育ててくれた母親への愛情も、その母親を拒絶し自殺に追い込んだという罪悪感も、“憎悪”というストレスでしか制御する事ができないのだろう)

 そこまで回想して、葉月は廊下の寒さに震えつつ、あらためて思った。
――なんと、可哀想な人なのだろう、と。



「……?」
 何か聞こえた。
 そう思った瞬間、彼女は反射的に足を止めていた。
 眼前には兄の部屋。洩れ聞こえて来るのは、兄の声。だがこれは……寝言じゃない。

「だから……いい加減に……先輩……」
768傷 (その6):2008/11/27(木) 23:21:17 ID:8Trdw0tZ

 気が付けば、葉月は、兄の部屋のドアにぴたりとくっついて、室内からの微かな音声情報に神経を集中していた。
(電話? 誰? こんな早朝から一体……?)
 
「……ですから……何度も言ってるじゃ……なんで分かって……」

 ドアに遮られて、兄の声がハッキリ聞こえない。
 だが、まったく何も分からないわけではない。
 冬馬は辛抱強く相手を説得しているようだが、しかし彼が非常に苛立っている事は分かる。むしろ兄は、自分の苛立ちを相手に悟られないよう必死になっているようにも聞こえる。
(どうしたんだろう、兄さんが焦ってる……?)
 いや、そもそも相手は誰だ? こんな時間にかけてくる電話となれば、クラスメートよりもむしろバイト先か? 確か、彼が勤める牛丼屋は24時間年中無休のチェーン店のはずだから、そっちの業務連絡の方が可能性は大きい。
(こんなときに……盗聴器とかあったらなぁ)
 息を殺して扉にくっつき、兄の声を聞こうとしている葉月は、さっきまで自分が、廊下の寒さに震えていた事実を、もはや完全に忘れていた。


/////////////////////////////

「――だからぁ、納得できないって言ってるのよっ! あたしの何が気に入らないってのよっ!!」
「何がって……ですから何度も言ったでしょう? おれは誰とも付き合うつもりはないんですって。理由もちゃんと言ったはずですよ?」
「『好きな女がいるから』ってやつ? そんなウソ信じられるはずがないでしょうが!?」
「いや、ウソって……なんでそこから否定なんですか?」

(朝っぱらからテンションの高い子ね)
 失笑と共に、弥生はあくびを噛み殺す。
 葉月が冬馬の部屋のドアにしがみ付いて、必死に会話を拾おうとしていた同じ時間、弥生は、すでにハッキング済みの電話回線から、悠々と弟の電話を傍受していた。

 盗聴されているとも知らず、冬馬の携帯で、延々と痴話喧嘩未満の言い争いを吹っかけているのは、長瀬透子。弥生の後を継いで、桜ケ丘学園高等部史上二人目の女性生徒会長となった少女であり、弥生の直接の後輩として当然ながら冬馬とも面識があった。
 彼女は、眉目秀麗・成績優秀・スポーツ万能という三拍子揃った、外見的には、まさに弥生の後継者として相応しい少女であった。弥生が現役の生徒会長だった頃は、弥生と副会長だった長瀬をカップルにした百合小説を、文芸部がヤミで売りさばいていたほどだ。
 もっとも彼女は弥生とは違い、周囲が危ぶむほどの強引な性格で知られており、人望と呼ばれる程のものは弥生の半分もない。長瀬が選挙に勝てたのは、弥生が充分に根回しをした結果であり、長瀬の人格や選挙公約が一般に支持されたからでは決してない。
 さらに会長に就任してからも、周囲から『長瀬で大丈夫なのか?』と囁く声が後を絶たない。
(でも、とーこのやつもこんな時間から、自分がフラれたクレーム電話なんか掛けてくるなんて……ほんと、いつもながらムチャクチャな子よね……)


「朝っぱらもクソも関係ないでしょう!? 大体あたしは、あんたにフラれてむかついて、一睡も出来なかったんだからねっ!! 眠たいのはお互い様なのよっ!!」
「いや……そんなこと言われても困るんですけど……」


 なるほど、フラれたからこその早朝攻撃なのか。
 生徒会で面倒を見ていたときは、その猪突猛進な思考回路を、むしろ弥生は気に入っていたが、こんな形で弟が迷惑をかけられていると思えば、そう笑ってばかりはいられない。
 弥生としては昨日のうちに、長瀬が冬馬にアタックをかけて撃沈したという情報は耳にしていたが、プライドの高い彼女ならば、再度の接触があるとしても、むしろ冬馬の口を封じる形でのコンタクトだと思っていたのだが……。
(冬馬くんにフられたのが、よほどくやしかったのね。一睡もできなかったとか言っていたし)
769傷 (その6):2008/11/27(木) 23:23:29 ID:8Trdw0tZ

「だいたい、あんたが好きな女って一体誰なのよ!?」
「それは……ほら、プライバシーの個人情報ってやつで……」
「ふざけてんの? あたしはあんたにフラれたのよ!? 人の告白断る以上は、あたしはその名前を聞く権利があるわ。そうでしょう!?」
「う……」
「少なくとも、あたしの告白を断るダシに使おうってんなら、それなりの女を挙げなさいよ。クラスの地味な女の名前なんか出すつもりだったなら、覚悟をしておくのね……!」
「そんなムチャクチャな……だいたいそんな名前、聞いてどうするんですか?」
「名前聞いて身元確認させてもらうわ。そいつが、あたしの告白を断るほどの女なのかどうかをね! それとも、やっぱりただの言い逃れなの!? どうせ架空の人物なんじゃないのっ!?」


(あ、やっぱり、とーこ鋭いわ)
 弥生としては、そう思わざるを得なかった。

「告白を断るいい口実はないスか?」
 そう冬馬に訊かれて、他に好きになった娘が別にいるって言われたら、オンナノコはたいてい諦めがつくわ。少なくとも自分の魅力が足らないからフラれたわけじゃないって分かっただけで、ダメージも半減するしね。――と、入れ知恵したのは他ならぬ弥生なのだ。
 そして弟は、この数年間、ずっとその口実で女生徒からの告白を断ってきたのだが、しかし、彼がなぜ、そこまで頑なに男女交際を拒むのか、当時の弥生にはまったく窺い知ることが出来なかった。
 だが、今なら分かる。
 芹沢家で、変態ども相手に春を売らされていた冬馬からすれば、いまさら同世代相手の甘酸っぱい“不純異性交遊”など、幼少期に食い散らかした駄菓子ほどの価値も見出せないのだろう。
 しかし、今となっては、その真相を話すわけにも行かない。
 少なくとも、長瀬のような大雑把な女に気安く話せる過去ではないはずだ。
(さあ、どうするの冬馬くん? 生半可なウソは、とーこには通用しないわよ)
 弥生はむしろ、期待に胸躍らせながら冬馬の言葉を待った。


「……さんです」
「あ!? 聞こえないわよ!」
「おれが好きなのは、……弥生姉さんです」


 その瞬間、三人の少女の心臓が凍りついた。
 自室で弟の電話を傍受する柊木弥生と、兄の部屋のドアにへばりついていた柊木葉月。そして、電話口の向こう側にいる長瀬透子。


「マジ……なの……?」
「――はい」
「……そっか……そういうこと、だったのね……確かにそれって、やばいよね……」
「誰にも言わないで下さいよ。先輩だから話したんですからね」
「言える分けないでしょうっっ!! そんな非常識な――」
 そこまで言って、さすがに自分の失言を恥じたのだろう。長瀬は「ごめんなさい、そういう意味じゃないの」とフォローを入れ、そしてふたたび「そっか、そうだったんだ」と独り納得するように呟いた。
「そういうわけなんで……先輩、その……先輩の気持ちは非常にありがたいんですけど……」
「柊木」
「はい」
「応援、してもいい? こんなあたしで良かったらサ」
「…………」
「弥生さんにはさんざん世話になっちゃってるからアレなんだけど、あたしは応援するよ、あんたをさ」
「……すみません」
「いいっていいって。あたしとしても、その名前出されちまっちゃあ、何も言えないしね。あんたがひたすらオンナ寄せ付けないのも、なんか納得しちゃったよ。……はっ、なんか納得したらようやく眠気が襲ってきたわ」
「先輩、生徒会長が学校サボっちゃだめっスよ?」
「男がくだらないこと言うんじゃないよ! じゃあ、またねっっ!!」
770傷 (その6):2008/11/27(木) 23:29:38 ID:8Trdw0tZ


 弥生は、凝然と動くことが出来なかった。
 冬馬が言ったことが本心だとは限らない。
 この場合、電話先の長瀬透子を黙らせるには、弥生ほどふさわしい名前はないだろう。
 早朝からヒステリックに叫び続ける長瀬に、いかにもうんざりしていた冬馬なら、そのくらいは簡単に思いつくだろうし、苦し紛れにその名前を出すことも普通に在り得る話だ。
 だが……そう思ってもなお、弥生の全身を襲ったのは、震えるほどの喜悦であった。
(あの子が……私を……好きだと、言った……ッッッ!!?)
(私を……わたしを……この、わたしを……ッッッ!!!)
(好きだと……好き、だと……言ってくれたッッッ!!!)

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッッッ!!!!!」

 弥生の肉体は、オナニーなど及びもつかない程の絶頂を、何度も何度も迎えていた。


/////////////////////////

 いつもよりも熱いはずのシャワーが、まったく気にならない。
 いや、葉月はもう何も見ていなかった。何も聞いてはいなかった。
 ここは風呂場の形をした暗黒。
 身体に降りかかるのはシャワー状の絶望。
 呼吸するのは酸素とよく似た孤独。

 なぜこんなに胸が痛むのか。
 なぜこんなに身体に力が入らないのか。
 なぜこんなにつらいのか。
 なぜこんなに苦しいのか。
 なぜこんなに涙が止まらないのか。

 分からない。
 もう何も分からない。
 いや、分かることが一つある。
 もう、兄はいない。
 いや、いなくなったわけではない。彼は健在だ。行方不明でも死んだわけでもない。
 ただ、そこにいる兄はもう、自分の知っている兄ではない。

 彼は――葉月を選ばなかった兄、なのだ。
 彼は、弥生のもとにいってしまった兄なのだ。
 家族の中で誰よりも、自分が一番理解していると思っていた兄はもう、葉月の手の届くところにはいないのだ。


 やがて、ノブを捻ってお湯を止め、彼女は呟いた。


「……そっか……兄さんは……裏切ったんですね……」
「……裏切った人は……殺されても……文句は言えないんですよね……」
「……それは……にいさんが……おしえてくれたんですもんね……」


 葉月はもう、何も見ていなかった。


==
今回はここまでです。
771名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 23:35:52 ID:Ls/ZpYbx
一番槍GJ
772名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 23:43:41 ID:SbAnNgHm
GJ!!続き期待。
773名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 23:51:44 ID:2L2hyUjK
G、GJ!でも、あわわわ
774名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 23:58:51 ID:qf10DtPA
GJ!! なんかやばそう(汗
775名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 00:05:18 ID:Bae5/uJ1
はわわ、キモウトさんがキレちゃいました。GJ!
776名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 00:11:30 ID:RdHBY0v1
>>747
GJ!
すっぱい・・・レモン水ですねわかります

>>756
GJ!
俺の青春の滾りもどうしてくれるんですか
777名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 00:12:52 ID:tLIJ/y4s
GJ!
これは…姉VS妹の殺し合いフラグきた?
778名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 00:49:18 ID:Pzr5drOm
寝る前に読んだらリアルに怖くてヤバス
779名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 01:15:36 ID:luz53pVJ
流れからすると標的は兄じゃ・・・・・・・・・・GJ!
780名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 01:18:09 ID:tLIJ/y4s
いや、兄を狙うにしても姉に阻止されるだろうし
781名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 01:30:31 ID:RdHBY0v1
>>770
面白くなってきたぜいGJ!

自己中心的な解釈でキモに覚醒するのっていいよね
782名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 03:12:59 ID:Q+tqjFOW
>>770乙&GJ!
これは…これはやべぇぞw
783名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 09:00:23 ID:GUQZ90wa
キモウトが猛ってまいりましたw
それにもう一方の姉妹コンビも気になるところではある・・・
ともかくGJ!次回も心待ちにしてます!!
78415スレ650:2008/11/28(金) 21:26:18 ID:L7waJxct
今だにタイトル思いつかないですが今から投下します。
78515スレ650:2008/11/28(金) 21:27:07 ID:L7waJxct
裕子さんが帰った。
明日は8時に来てくれるみたい。
こんな駄目な俺の為にそこまでしてくれるなんて・・・

そういえば髪の毛の量が増えたな。あんま時間なかったからな・・毛すくか。
う〜ん結構伸びたな。
俺は女顔っぽいからこれじゃあ女みたいだ。
別に伸ばしてーわけじゃねーけど、親父もおふくろも妹も髪の毛長くねーから違いを出すためにずっと伸ばしてただけなんだけど。
髪型変えようにも学校や親父がうるさかったし。
ワックスで跳ねさせてた時期もあったけど何故か紛失しちまうんだよな。
もう俺は自由なんだし給料貰ったら、美容院でも行こうかな。
パーマかけて染めればかなり違いが出せるし。
でも仕事先が許してくれねーかも・・・
そもそもあの家族の事を完全に忘れなきゃ・・・
何度もそう思ってもなかなか忘れられねーな。
俺はしぶしぶ昔の辛い事を思い出しながら髪をすいていた。

こんなもんでいいか。我ながら上手くすく事ができたな。
まあ長年、自分で髪すいてるからな。
けど昔はよく失敗したっけ・・・

たしか前髪を切りすぎてパッツンになっっちまった時は女の子みたいって馬鹿にされたな。
別に学校の連中が何言おうとどうでもよかったけど、妹に「所詮兄さんはその程度なのよ」って馬鹿にされた時は屈辱的だったな。
くそっ何で妹の事を忘れる事ができねーんだ!
あんな妹・・・

・・さて、髪も切ったしシャワーでも浴びるか。

78615スレ650:2008/11/28(金) 21:27:49 ID:L7waJxct
むふふふふ。見ないうちに弟君ったら、随分可愛くなったわね。
キリっとした目つきに、女の子っぽい顔立ちに、ちょっと癖っ毛のロングヘアー・・・むふふふふww
もう何もかも素敵ね♪
でもあの体系はスマートというより、華奢な感じね。
元々弟君はすらっとした体系だったけど、ちゃんとご飯を食べさせてたのかしら・・。
まあそんな可愛い弟君のために私の愛情たっぷりお姉ちゃんハンバーグを作ってあげたけど、あんなに美味しそうに食べるなんて〜
やっぱ私のあれを沢山入れた甲斐があったわ!
ただ、今日たまたま弟君と会えたから、私のあれが入れられなかったのが残念ね。
いいえ、たまたまじゃないわ、これは運命的な出会いよ!
私と弟君は将来結ばれるべき相手なのよ!
明日も弟君の為に腕を奮ってご飯作ってあげなくちゃ!

さてと、弟君は今何してるのかな?早速確かめなきゃ!
私は弟君に、今日の事や弟君に会えて嬉しい事、そして今何してるかを文章で表わし、メールを送った。
どうせなら写真撮ればよかったな〜
まああれを仕掛けたから今日のところは別にいいかしら。

返事が返ってきた!
・・弟君も私に会えて嬉しいみたいね!そして今お風呂に入ってたところなのね・・・
むふふふふふふふふwwwwww

早速弟君のお風呂を観察しなくちゃ!
バスルームとトイレに小型カメラ仕掛けておいてよかったわ!
弟君ったら髪すいたのね。私に言ってくれればすいてあげたのに。
あらっ体つきは華奢なわりに、あれは随分大きいのね!

じゅわっ

弟君の裸体見ただけでもうこんなに濡れちゃった・・・
私は
っっっっっっくぅぅぅぅぅあああぁぁぁぁぁぁぁん♪
手の動きが止まらないわ・・・・

私は弟の裸体をオカズに何回も自慰に耽った。

78715スレ650:2008/11/28(金) 21:28:29 ID:L7waJxct
結局兄さんの手がかりは掴めなかった・・・
もうこんな時間・・・空もすっかり暗くなってきた。
私は仕方なく、トボトボと家に帰る事にした。

「ただいま・・・」
帰って来て、私は自分の部屋へ向かった。
兄さんちゃんとご飯食べてるかな・・・
ちゃんと生活できてるかな・・・
変な女に騙されてないかな・・・
まあ兄さんは私以外の異性から見たら微妙な評価だし、女の子に告白された試しはないからそれは心配ないかな・・
あの女にさえ会わなければね。

はぁ・・・兄さん・・・
私は机の引き出しから、こっそり兄さんにばれないように集めた、兄さんの生活の残痕と言える物を沢山取り出した。
あぁぁ〜兄さん♪

パクッ
美味しい・・・兄さんの髪の毛、兄さんの陰毛、兄さんの爪、兄さんの何もかもが美味しい!
今までは、口にするまでで留めてたけど、もう我慢できない!
私は兄さんの残痕を食べた。
もうすでにあそこはびちょびちょだ・・・
兄さんが欲しい、兄さんのおちんちんが欲しい・・・兄さんの全てが欲しい!
私は気が遠くなる程、兄さんを想いながら、自慰に耽った。

そして、私は兄さんの温もりを忘れないため、こっそり盗んだ兄さんのボクサーパンツを履いた。

兄さん・・・私の事嫌いなの?
嫌いなら悪いところちゃんと直すから・・・
私の事嫌いにならないで・・・

私はもっと兄さんの温もりを手に入れる為、兄さんのベッドで夜を明かした。

78815スレ650:2008/11/28(金) 21:29:36 ID:L7waJxct
以上です。
今回から姉視点も加えました。
789名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 21:39:36 ID:eBm4aSMN
GJ

お姉ちゃんハンバーグには何が…。
後、妹がキモイです.(いい意味で)
790名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 22:39:19 ID:N46SNHv4
GJ
続きをwktkして松
791名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 22:47:17 ID:Bd1HTcwA
誰かwiki編集してくれ・・・
携帯だから無理・・・
792名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 23:13:12 ID:OXSwA2d0
確かにこれはキモいw
いいぞもっとやれ
793名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 23:16:34 ID:p+GzghgG
ボクサーパンツをはいたキモウト・・・ごくり
794名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 23:49:30 ID:QX2OJgyG
まあでも草生やすのは勘弁してほしかったかな
795名無しさん@ピンキー:2008/11/29(土) 01:37:17 ID:1jGjwMM2
GJ!!次期待してます!
796名無しさん@ピンキー:2008/11/29(土) 18:22:45 ID:dkE5NvNB
キモウトに「二次元にしか興味ねーよw」
と、いい放ちたい
797名無しさん@ピンキー:2008/11/29(土) 18:31:53 ID:o1Y2ZXRD
その夜、>>796の部屋の鏡の中から女の手が伸びてきて…
798名無しさん@ピンキー:2008/11/29(土) 20:32:52 ID:TsuPOjyg
クロックタワー乙
799名無しさん@ピンキー:2008/11/29(土) 22:57:48 ID:fMeePa6J
GJ乙

キモウトから車で逃げようとしたら後ろに乗ってるんですねわかります
800 ◆U4keKIluqE :2008/11/30(日) 00:30:17 ID:p3FaBHzW
投下します。今回は5分割です。
801転生恋生 第七幕(1/5) ◆U4keKIluqE :2008/11/30(日) 00:32:42 ID:p3FaBHzW
 4時限目終了のチャイムが鳴った。それはすなわち昼食の時間が来たことを意味する。
 数学の教師が退室し、俺たち生徒も弁当組と購買組に分かれていく。俺の昼食は母親が弁当を作ってくれている。
 昼休みは俺にとって気の休まるひと時だ。家ではべったりの姉貴も、基本的に登下校時を除いて学校では俺にくっついてこない。むしろクラスメートとの付き合いは疎かにするなと俺に忠告している。
『孤立していると、いざというときに困るからね』
 やけに真面目な顔で言うときの姉貴は、実際以上に年を取っているように見える。昔何かあったんだろうか。姉貴がいじめられるなんて想像もつかないが。
 弁当組は数人ずつのグループに分かれて机を引っ付け、食卓を囲む。新学期が始まって1週間、皆それなりに打ち解けていた。
「桃川、飯食おうぜ」
 長身の田中が声をかけてきた。傍には中肉中背の中山と背が低くて小太りな山田がいる。今現在、俺が一番気安く話せるやつらだ。
 三人はいつも一緒にいるので、田中山とか中山田、あるいは山田中と一括りにして呼ばれている。
 ちなみに入学式の日に猿島を合コンに誘うことを依頼してきたのもこいつらだ。いかにして彼女を作るかということに情熱を燃やしている連中だが、いまだに成果をあげたことがないらしい。
 思うに欲望丸出しでがつがつしているから、女の子が引いてしまうんだろう。毎日姉貴に迫られている俺としてはよくわかる。
 ……あれ? すると、俺は女的立場にいるわけか。
 机をくっつけているとき、クラスの女の子が俺を呼んだ。
「桃川君、お客さんよ」
 誰かと思って入り口へ目を向けると、小柄なポニーテールの女の子が手を振っていた。
「ご主……じゃなかった、センパーイ! ご飯食べよーっ!」
 思いっきり大声だったので、クラス中に響いた。当然、田中山にも聴こえた。
「桃川……、貴様、いつのまに彼女を作ったんだ!?」
「しかもあんなかわいいロリっ娘を……!」
「短い間だったが、貴様との友情ともこれまでだ」
 まあ、こいつらが誤解するのも無理はない。傍目には、彼女が昼食の時間を一緒に過ごすために誘いに来たと思うわな。実際、カップルで昼食をとるのはごく普通だし。
 真実は電波女のストーキングなんだが、この場でむきになって説明するとかえって面倒なことになりそうだ。
 司が俺の教室に来たのは、入学式の日以来だ。この1週間は校内で顔を合わせることもなく、俺の平和は守られていたんだが。
 とりあえず、俺は今日のところは司の誘いに応じることにした。田中山が呪詛の言葉を吐き出すのを無視して、司の方へ行く。
「どうしたんだ、急に?」
「ボクも学校に慣れてきたから、そろそろセンパイのお世話をしてもいいかなって思ったの!」
802転生恋生 第七幕(2/5) ◆U4keKIluqE :2008/11/30(日) 00:34:07 ID:p3FaBHzW
「お世話って、おまえ、何ができるんだよ?」
「センパイの昼ご飯の相手!」
 まるで独居老人相手のボランティアみたいだ。しかし、俺がこいつの相手をさせられるというべきじゃないか?
「今日のところはつきあってやる。場所を変えるぞ」
 司を促して、俺は教室を出た。中山田がしつこく俺をなじる。
「裏切りの代償として、せめて猿島を合コンに誘い出せ!」
 そういうことは本人がいないところで言えよ……と思ったら、猿島は教室にいなかった。そういえば、あいつは昼休みには教室から消えているな。

 俺と司は校舎裏の一角にあるスペースに腰を下ろした。使われていないコンクリートブロックが簡易ベンチのように置かれていて、弁当を食べるのに都合がよかった。
「おまえ、クラスメートとか部活の仲間と飯食わなくていいのか?」
「大丈夫だよ! もう皆と仲良しになったから! センパイのところへ行くって言ったら、皆応援してくれた!」
 確かに司は人懐こくて明るいから、すぐに友達ができるだろう。特に心配してやる筋合いではないのかもしれない。
 ……でも、そうすると早くも俺は司の周囲では、司の彼氏として認識されている可能性大だな。
 ともあれ腹が減っているので、俺たちは弁当箱を開けた。司は体が小さい割には、俺と同じ大きさの弁当箱だ。女の子にしてはよく食う方らしい。
「いただきまーすっ!」
 無駄に元気を振りまいて、司が食事を始める。メインのおかずは鳥の唐揚げだったが、肉の部分を食べた後で骨をしゃぶり続けるのは女の子としてどうかと思う。
 いくつかおかずの交換をしつつ、俺たちは弁当を平らげた。特に急いで教室へ戻る必要もないし、食後の満腹感で動きたくなかったので、そのまま雑談になった。
 もっぱら俺が司を質問攻めにした。クラスではどんな風に自己紹介をしたのか。部活はどんな感じか。勉強はできるのか。
 どちらかというと兄が妹を気にかけるような話題の振り方だったが、司は機嫌よく答え続けた。
 総合すると、司は体育以外はあまり得意ではなく、陸上部では短距離でずば抜けたタイムを記録して早くも期待を集めており、クラスでは全員から名前で呼ばれているということだった。
「ユニフォームも発注したんだ。でき上がったら、ご主人様に見せてあげるね!」
 別に見たいとも思わないが、わざわざ断る必要もないだろう。
「ご主人様、放課後暇なんでしょ? 練習見に来てよ!」
「そんなもの見てどうすんだ?」
「ボクの太もも見てれば目の保養になるよ!」
 あいにく俺はロリコンじゃない。いっそ田中山を紹介してやろうか。あいつら年上年下巨乳微乳アダルトロリの区別なく女の子を求める博愛主義者だからな。
 だが、それよりこの機会に聞いておきたいことがあった。
「なぁ、司。おまえ、前世がどうのとか言ってたけどな。それは何か? 昔から記憶として持っているのか?」
803転生恋生 第七幕(3/5) ◆U4keKIluqE :2008/11/30(日) 00:35:09 ID:p3FaBHzW
 質問しつつ水筒から飲み残しの茶をカップに注いで口に含んだが、司の答えを聞いて口から噴き出してしまった。
「んっとねー、初潮がきたときに一気に全部思い出したんだよー」
 ちょっ、おま……初潮って、まさかその小学生顔からそんな単語が出るとは思わなかったぞ。生々しすぎて完璧に引いた。
「ご主人様、大丈夫?」
 茶がむせて咳き込んでしまった俺の背中を司がさする。
「……精神的ダメージの方が大きかった」  
 たぶん、俺の顔は赤くなっているだろう。司はどうして平然としているんだ? こいつには恥じらいがないのか?
 姉貴とは方向性が違うが、電波女はどうも社会的な何かが欠落しているらしい。
「ご主人様はどうして思い出してくれないのさ?」
「思い出しようがないだろう。俺は前世なんて信じていないんだから」
「思い出したら信じるよ」
 そりゃまあ、そういうことになるだろうな。この点は俺が前世の記憶とやらを思い出さない限り、永遠に相容れないだろう。
「俺が思い出すまで、俺につきまとう気か?」
「なんで? ご主人様が前世のことを思い出したら、なおさらボクを手元においてかわいがってくれるんじゃないの?」
 ……どうあっても俺につきまとう気か。まるっきり無垢な目を向けてくるからタチが悪い。
 どうしたら、こいつを「更正」させられるんだろうか。
「かわいがるって、前世の俺は司に何をしたんだ?」
「ご主人様はねー、ボクにエサをくれて、頭を撫でてくれて、時々抱きしめてくれたんだよ!」
 うっとりとした表情で司は答えた。昔のことを思い出しているみたいだ。しかし、まるっきりペットの扱いじゃないか。前世の俺は変態プレイが好きだったのか?
 いやいやいや、そもそも前世なんてあるわけがないんだ。こいつのペースに巻き込まれちゃいけない。
 俺は一つ咳払いをしてから通告してやった。
「とりあえずな、毎日昼休みに教室へ来る必要はないぞ」
「どうして?」
 司はきょとんとした顔で聞き返してきた。ここをうまく丸め込むのが腕の見せ所だ。
「おまえと違って、俺はまだ新しいクラスになじめていないんだ。だから、しばらくはクラスの連中と飯を食うように心がけたい」
「えー? そんなのご主人様の怠慢じゃないかー。この1週間何をしてたのさー」
 耳に痛いことを言う。俺としては健闘したつもりなんだが。それにしても司が「怠慢」なんて熟語を知っているとは意表をつかれた。
「俺はおまえみたいに社交的じゃないんだ。俺なりに頑張ってるんだよ」
「ボクはご主人様と一緒にいたいのー!」
 知るか。いや、こういう言い方じゃダメだな。
804転生恋生 第七幕(4/5) ◆U4keKIluqE :2008/11/30(日) 00:36:01 ID:p3FaBHzW
「わがまま言うな! おあずけ!」
「むー」
 露骨に不満げな唸り声を上げたながらも黙り込んだので、これで済んだと思ってしまった。話を切り上げて教室へ帰ろうと立ち上がった俺の左手に鋭い痛みが走る。
「痛っ!」
 見ると司が俺の左手に噛みついていた。シャレにならないくらい痛い。
「やめろ! 離せ!」
 司を叱りつけて噛みつきを止めさせたが、俺の手にはしっかりと歯形がついて、傷ができてしまった。特に犬歯の跡と思われる部分の傷が深い。
「血が出てるじゃねーか! ちょっと歯を見せてみろ!」
「虫歯はないよ」
 司の顎を開いて歯を見てみると、上顎と下顎に左右一対計4本ある犬歯が異様に鋭く尖っている。まさに牙そのものだった。
 正直、不気味に思った。
「おまえ、牙が生えてるぞ」
「凄いでしょ? ボクのチャームポイントだよ!」
「とにかく、噛みつくな。……しょうがない、こうしよう」
 俺は司を言いくるめるために、ちょっとしたゲームを提案した。それは昼休み、司が俺を校内で見つけることができたら、一緒に昼飯を食ってやるというものだった。
 まるっきり子供だましみたいな話だが、司は「面白そう」と言ってあっさり受け入れた。俺としてはとにかくこの場を逃れるための方便だった。
 明日からは昼休み限定で逃亡者生活が始まる。そう思うとげんなりするが、電波女を振り切るためにはやむをえない。

 ……甘かった。
 司と昼休み限定の鬼ごっこをすると約束した翌日から、4日間連続で俺は惨敗を喫した。
 チャイムが鳴ると同時に弁当箱を抱えて教室を飛び出し、校庭の隅や屋上、社会科準備室などに逃げ込むのだが、ことごとく司に見つけられてしまう。
「なんでわかるんだ? おまえ、入学して2週間しか経っていないのに、もう校舎の構造を覚えたのか?」
 校舎の構造を把握するのに1年を要した俺としては、司が超能力者に見える。
「違うよ! 匂いをたどったんだよ!」
 司は満面の笑みを浮かべている。振る舞いだけじゃなくて、嗅覚まで犬並なのか。
 こいつが絶対に入れない場所としては男子トイレがあるが、さすがにトイレで飯を食おうとは思わない。3年生の校舎は姉貴と出くわす可能性があるから行きたくない。
 この先ずっと司と昼飯を食わなければならない運命なのだろうか。
805転生恋生 第七幕(5/5) ◆U4keKIluqE :2008/11/30(日) 00:36:55 ID:p3FaBHzW
「ねえ、お腹空いたよ。ご飯にしようよー」
 司がせがむので、俺は仕方なく腰を下ろして弁当箱を広げた。今日のランチはプールサイドだ。まだプールの季節ではないから、水が張られていない。
「ご主人様、この学校は水泳の授業はあるの?」
「ああ、6月から9月は週1時間水泳の授業になる」
 うちの学校では体育の授業は2クラス合同で、男女混合の球技もしくは陸上が1時間、選択別の武道が1時間、男女別で筋トレとダンスをやる授業が1時間という編成だ。
 それとは別に単独クラスの保健が1時間あって、これは教室で男女一緒に通常の授業形式で受ける。
「今は球技をやってるけど、6月になったら水泳の授業になる」
 球技は男女混合でチームを組んでバスケットボールのリーグ戦をやっている。わりと人気の授業だ。田中山を筆頭に、男子は女子にいいところを見せようと張り切る。
 武道は剣道・柔道・弓道から選択する。俺は1年生のときは弓道だったが、あまり面白くなかったので今年は剣道を選んだ。防具が臭いので後悔している。
 筋トレは地味な授業で不人気だが、文字通り血肉になることがわかっているので、真面目に取り組む者が多い。田中山は何とかサボって女子のダンスを覗きに行こうとするが、まだ一度も成功していない。
 俺はどの授業も平均的な成績だ。本当に、何をやっても俺は平均値人間なんだな。
 俺の説明を聞いた司は顔をしかめた。
「うぇぇ……、水泳は苦手だよぅ」
 これは意外だ。運動神経抜群に見える司がカナヅチだとは。
「カナヅチじゃないよ! 速く泳げないだけだよ!」
 なんだよ、せっかく仲間が見つかったかと思ったのに。
「あれ? ひょっとしてご主人様……」
 司のニヤニヤ顔が癇に障ったので、強く否定した。
「俺はカナヅチじゃない。泳ぐことはできる。ただ、長く泳げないだけだ」
 そう。俺が苦手なのは息継ぎだ。一息で泳げる距離なら問題なく泳げる。
「そういうのをカナヅチって言うんでしょ?」
「……おまえ、かわいくないぞ」
 思いっきり頭をわしづかみにして髪をくしゃくしゃにしてやった。
「むぎゅぅ……。じゃあ、どうしたらかわいいと思ってくれるのさ?」
「どうしたらって、べつに……」
 無駄口を叩かなければ普通にかわいい。そう言いかけて、俺は危うく踏み止まった。どうかしてるぞ、この電波犬女をかわいいと思うなんて。
「とりあえず、俺につきまとうな。それなら、かわいい後輩と思ってやる」
「うーっ!」
 思いっきり手に噛みつかれた。痛かった。 
806 ◆U4keKIluqE :2008/11/30(日) 00:41:16 ID:p3FaBHzW
投下終了です。想像がつくと思いますが、司の泳ぎ方は犬掻きです。
807名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 00:51:00 ID:gq9ngJir
GJ!

他の仲間や姉のターンにも期待してます。
808名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 01:59:02 ID:PN/PizM0
GJ!!!! 記憶取り戻した時に何が起こるのか…
809名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 02:24:04 ID:iqwsTXKf
ポチ可愛いよポチ
でも鳥の骨は割れると破片が尖るから犬にはNGだw
810名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 03:04:31 ID:PDUmVIUG
ワンコかわいいな。
GJ!
811名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 04:33:54 ID:ZoU8BxBU
GJ

桃太郎は前世の割には運動神経ないのな、剣道とかやらせたら上手そうだが
しかしこれ記憶戻ったら
「よくも哀れな鬼娘(と俺)を殺したな!許せん!」になるんじゃなかろうか
つーか間接的に想い人ぬっ殺しといて虫が良すぎるぞ家来ーズよ


何が言いたいかというと姉がんばれ、超がんばれ
…犬に牙があるんだから、そのうち姉から角が生えたらどうしよう
812名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 07:05:57 ID:MK1nD/JI
gj
鬼姉を応援したいキモ姉好きな俺と犬娘を応援したい愛犬家の俺が頭の中で大乱闘を繰り広げてる
813名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 09:28:04 ID:srS6SEc6
GJ!犬娘可愛いよ
鬼姉も良いキャラなんだけどこっちも捨てがたい
81415スレ650:2008/11/30(日) 11:00:07 ID:3NQohYSA
今から投下します。

>>794
すいません控えます。
81515スレ650 5話:2008/11/30(日) 11:00:57 ID:3NQohYSA
俺は7時丁度に起きて、さっさと支度を済ませた。
こんなに寝坊できるなんて幸せだ。
バイトしてた頃の平日は、早朝から夜遅くまで入れてたからな。

ぴんぽーん

裕子さんかな?
俺は少しわくわくしながら、玄関に飛び出し、ドアを開けた。

「裕子さんおはようございます!」
「おはよう弟君。待ってたわ、さあ行きましょ」
待ってた?待ってたってずっと?まさかな。

俺は裕子さんの車に乗せてもらい、会社まで送ってもらった。
場所は大体把握してたけどわりと近いな。車で送ってもらわなくてもよかったかも。
「あの、俺適当にこの仕事にしたけど、いったい何すれば言いんすか?」
「後で説明するわ。大丈夫よ、私がちゃんと教えてあげるからね」
それにしても大きな会社だな・・
裕子さんから聞いた話、ここの会社って優秀な人材ばっからしい。みんな大卒だろうな・・・
中卒の俺じゃあ、正社員でも、派遣と同じ扱いされるのかな?これは逆に派遣に失礼か。
それでも、ちゃんと給料さえ貰えればいいけど。

「じゃあ早速だけど、今日から弟君は、私と常に一緒にいる事!」
えっ?今何と
「これは私からの命令よ」
裕子さんと一緒に?常に上司が付きっきりって事か?
でも常にって言葉が引っ掛かるな・・・

俺は裕子さんに誰もいない部屋に連れて来られた。
「あの、ここで何の仕事するんすか?」
「服を脱ぎなさい」
はっ今何と?俺の聞き間違いだよな。

81615スレ650 5話:2008/11/30(日) 11:02:35 ID:3NQohYSA
「あのいきなり何の冗談を?そもそもこの会社は一体・・・」
「冗談じゃないわよ。この会社は、大人の玩具を作ってる会社なの」
「大人の玩具?」
「アダルトグッズの事よ」
「アダルトグッズ!?」
「そのアダルトグッズの実験って事よ」
「実験台!?」
「早い話、弟君は、私の手で感じてればいいのよ」
「感じる・・って」
「こんな風に・・・」
そう言って裕子さんは、俺の股間に手を伸ばした。
「あっ・・止めて下さい・・」
「さあこのまま脱ぎ脱ぎしましょうね〜」
そのまま裕子さんは俺の服を脱がした。
「パンツは別にいいじゃないっすか・・」
「脱がなきゃ実験にならないじゃない」
「止め・・」
抵抗するも、あっさりと脱がされてしまった。
そして股間を隠すも、あっさり手を払われてしまった。
「素敵、やっぱり大きいわ」

恥ずかしい・・・何で俺が脱がされなきゃいけねーんだよ。
それとやっぱりって何だよ。何この展開は?まじありえねー・・・・
俺が実験台だって?まじ勘弁してくれ!
「辞めます!こんな仕事辞めます!」
「大丈夫、ちゃんと気持ち良くしてあげるから。なんなら時給も上げてあげるわよ。ボーナスだって」
そう言いながら、俺は裕子さんに押し倒された。
何て力だ!ビクともしねー!
「裕子さん離して下さい!まじこんな事して何になるんすか!」
「弟君といっぱいエッチなコミュニケーションがとれるわ」
「そんなコミュニケーションなんかとりたくねーす!」
「じゃあはっきり言わせてもらうわ!中卒の弟君1人じゃちゃんと就職できる当てなんかないわよ!」
「それは・・・そうですけど・・・」

81715スレ650 5話:2008/11/30(日) 11:03:46 ID:3NQohYSA
言い返す言葉が思いつかない・・・
「昨日新聞見たでしょ?大手メーカーが大暴落して派遣社員に限らず、正社員が殆どリストラされた記事、就職先が決まった大卒の人が内定取り消された記事、最近そういう記事が多いわよね?」
「たしかに今は就職率は悪いですけど・・・」
「それだけじゃないわよ!例えば・・」
裕子さんはべらべらと今の経済状況や1人で生きてく事の辛さを語りだした。

んな事言われても・・・
中卒じゃ当てがねーのかよ
今まで努力すりゃ何とかなる、努力した奴が最後は報われるって自分に言い聞かせて生きてきたけど・・・
何をやっても凡人以下な俺じゃ駄目なのか・・・

ポタッポタッ

いつの間にか涙が出てきた。くそっ涙が止まらねー!
この先俺は何を心がけて生きてきゃいいんだよ!
そしてこの先どうやって生活してけばいいんだよ・・・
でも自立したって決めたのに、あんな家族の元になんか戻りたくない・・・

ぎゅっ
「えっ?」
「大丈夫よ」
裕子さんは、泣いてる俺を優しく抱きしめて、宥めてくれた。
「今まで辛い人生を送ってきた分、私がずっと、ずっと可愛がってあげるから・・・」
「・・・でも、俺は1人で生きてくって・・・」
「私達、姉弟じゃない」
「姉弟・・・」
「お姉ちゃんがついてるから大丈夫よ。一緒に頑張りましょ」
「・・・お姉ちゃん」

81815スレ650 5話:2008/11/30(日) 11:04:49 ID:3NQohYSA
一週間経っても兄さんの手がかりは全く掴めなかった。
兄さんの匂いが薄れて行く・・・いや!私、おかしくなっちゃう!
お兄ちゃんが恋しい!恋しいよ!!!

春休みが終わってしまい、学校も始まってしまった。
もう最悪だ・・・兄さんの顔が見れないなんて・・・
こんな事なら兄さんに素っ気ない態度を取らずに、もっと、もっと素直になるべきだったわ。

「おはよー」
バシッ!っと後ろから友達の鞘が、私の背中を叩いた。
彼女は私と違って、素直で明るい、天真爛漫な女の子だ。
「何?」
「元気ないわねー」
「私はいつもこんな感じよ」
「さてはお兄さんの事で悩んでるんでしょ」
「そんなんじゃないわよ」
「貴方はいっつもお兄さんの事となるとそう言う態度取るのよね〜」
「だから兄さんは関係ないって言ってるでしょ」
私がそっぽ向いてると、男子のエロトークが聞こえた。
「なあこのAVよかったぜ」
「まじ、見せてみろよ」
朝からエロトーク・・・年頃だからあまり深く言えないけど少しは自粛してほしいわね・・・。
私の兄さんなんか、部屋で一切自慰をしないのに。
いや、兄さんの場合、逆にあの連中を見習ってほしいかも。
「なんだ、近親相姦かよ・・・」
「でもこの姉ちゃんがまじ綺麗なんだって!弟がやたら可愛がられてるんだけどさあ」
近親相姦、姉・・・
「どうしたの?」
「何でもないって言ってるでしょ」
何故か気になるわ。

81915スレ650:2008/11/30(日) 11:05:51 ID:3NQohYSA
以上です。
今回からちゃんと話を付けてみました。
820名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 11:09:21 ID:+D8K53kd
大変結構なお点前でした。
これは好みの分かれるところですが、主人公に名前を付けた方が良いかもしれません。
妹が兄を「お兄ちゃん」と呼ぶのはごく普通なので、キモウトだけなら名前を付けなくても
問題ないんですが、姉が弟を弟と呼ぶのはあまり一般的ではないので…ご一考賜れば幸い
821名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 11:40:34 ID:6AIUQS/w
GJ!
いい展開で次回が楽しみ

>>820
姉が弟を弟くんと呼ぶのは大いにアリだろ
でもそろそろタイトルはほしいかな
822名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 11:54:06 ID:83uoAz7S
大人の玩具ktkr
GJ
823名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 14:35:52 ID:y6x1Ydbm
GJ!

>>820
音姉なめんな
824名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 15:19:33 ID:EZ8uywSu
GJ
なんというキモ姉、これは共依存せざるを得ない

>>820
そういう時は逆に考えるんだ
「弟」という名前の主人公だと考えるんだ
825名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 18:27:12 ID:PN/PizM0
GJ!!!
いっその事、某●ルヒみたいにあだ名のみとか…(本名不明系)
もしくはネタに走るとか…
826名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 18:55:19 ID:B6a0KuSR
伝説のキモ姉の力 倫理切り裂く
827名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 18:55:21 ID:71r/KDEC
>>824
弟と書いて「だい」と読むんですね、わかります。
828名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 23:32:02 ID:MJhZs64t
弟(だい)脱がし そそり立つアレ 命のあかしか
829名無しさん@ピンキー:2008/12/01(月) 01:59:44 ID:PeLsRDdI
3人の心のパラメーター(MAX20)
弟 ストレス||||||||............ 気力|||||...............
姉 ストレス.................... 気力|||||||||||||||||...
妹 ストレス||||||||||||||||.... 気力|||.................

今こんな感じ?
830名無しさん@ピンキー:2008/12/01(月) 06:18:59 ID:2TF9NMuJ
確かに姉が弟に向かって弟くんって言うのは現実ではあまりないな


…まぁ、GJだから別にいっか!
831名無しさん@ピンキー:2008/12/01(月) 12:39:56 ID:e45WaabQ
聞こえるか 聞こえるだろう 微かな喘ぎ〜

闇の中 弟揺さぶる (キモ姉の)目覚めは〜じ〜ま〜る〜

チンコ貪る そそり立つ乳首 キモ姉の証か〜

伝説のキモ姉の力 倫理斬り裂く

キモ姉が 近親相姦 弟に乗〜る〜

震えるな瞳こらせよ キモ姉の愛〜


すまん…
あんま改変してない…
832名無しさん@ピンキー:2008/12/01(月) 21:50:07 ID:6HEMEZfs
なんというスペースラナウェイ
833名無しさん@ピンキー:2008/12/01(月) 21:57:00 ID:qxuKuuuF
歌ってしまったじゃないか馬鹿www
834名無しさん@ピンキー:2008/12/01(月) 23:36:55 ID:grm9rDJK
泥棒猫「世界の果てまで追いかけても、あの姉をたたけ!」
姉「姉弟で結ばれないなんて、そんな甲斐のない生き方は認めない!」

……

泥棒猫「よき男女というわけか」
姉「わたしたち幸せになろうね、○○ちゃん!」
弟「(まだ起きない)」
835名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 01:15:08 ID:NzNcP7er
>>827
姉弟又は舎弟の「てい」ともいいますが?何か?
836名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 02:24:52 ID:E9MWrZhM
「だい」と「てい」、二つ合わせると「だいてい」・・・「抱いて」・・・
つまり弟という文字は姉からの隠されたメッセージだったんだよ!!!
837名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 02:31:59 ID:9om5p8oa
【7:46】義理の妹からの着信で起床。「家の前にいる」等とほざいてやがる。
     おかげで寝起きが悪い。
【8:02】朝食で使った油の容器に髪の毛が入ってた。長さと色からして妹のものだろう。気にせず捨てた。
     今まで気がつかなかった事に腹が立つ。
【8:36】出勤。ダルい。家を出るときに電話が鳴る。うるせぇシカトだ。
【9:07】車で走っていると、後ろから妹がダッシュで追いかけてくる。
     アクセル全開で振り切る。あくびが出た。
【9:30】デスクに向かっている。下を見ると白い手がオレの足をつかんでいる。
     ふりほどき蹴りをいれる。大人しくなった。
【10:39】窓際に立ち空を眺めていると、妹が落ちてきて目があった。この不細工が。
【12:24】交差点を歩いてて、すれ違う時に女が「よくわかったわね」と言ってきた。黙れ池沼が。
【14:26】携帯に着信記録16件。かけてみる。「にいさ…ブチッ…ツーツーツー」
【16:12】外回りをしていると妹が声をかけてきた。
     「どうしたらにいさんは、私のことを愛してくれますか」右ストレートをいれる。
      うずくまったまま動こうとしない。こっちは急いでるんだよ。
【17:30】公衆便所に行くと人形が落ちている。「にいさんあいしてるにいさんあいしてるにいさんあいしてる」うるせぇ黙れ。
【20:32】車で走行中、バックミラーを覗くとまたしても妹がついてきている。
     急ブレーキをかけてバンパーにぶつける。もう着いて来ていないようだ。
【21:25】帰宅、着信記録が49件。またアイツか。
【21:42】ベッドの下に妹がいたのでボコっておいだした。大の大人が泣くな。
【22:10】義妹からの電話に出る。「愛しいにいさん、今あなたの後ろにいるの」後ろは壁だ。
【23:34】着信が鳴り響く。電話線を抜いた。
【0:12】就寝。今日一日でかなり疲れた。
【2:40】急に目が覚める。妹が天井にへばりついている。明日は久しぶりに姉さんに会えるのだ。さっさと寝て体力を蓄えねば。
838名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 02:48:22 ID:fdhKsu7i
>>837
続かないの?

>>832
スペースラナウェイって「宇宙を駆けろ」みたいな意味で作ったんだろうけど、
「宇宙を逃げろ」になってしまってるよね。
839名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 03:16:30 ID:yL9RtkP4
>>838
ちがう。
本編観れば判るが、初めから「宇宙を逃げろ」で作った。
840名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 03:17:58 ID:fdhKsu7i
そうなのか。見てみる。ありがとう。
841名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 04:17:40 ID:yL9RtkP4
がんばれ
842名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 05:49:33 ID:QL85IOpW
お尋ねしたいことがあります。

・ぢたま某「kiss×sis」の住之江あこ、住之江りこ、はキモ姉。

・百瀬武昭「マジカノ」の吉川舞夏、はキモウト。

・妹(ないし妹的立場の子)が
 「お兄ちゃんどいて! そいつ殺せない!」というのは、キモウト。

・女の子が想いを抱いている人に
 「○○君どいて! そいつ殺せない!」というのは、ヤンデレ。

私の認識の仕方は合っているのでしょうか?
843名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 06:08:18 ID:6/ZgeoCH
>>842
吉川舞夏はキモウトではない。
他の妹の存在を許しているし、料理に血や髪の毛を入れてない。

「お兄ちゃんどいて! そいつ殺せない!」は殺意はあるがキモくないので
キモウトではない。

「○○君どいて! そいつ殺せない!」も殺意はあるが病んでいないので
ヤンデレではない。


刃物持ってりゃなんでもヤンデレ系と結びつけるのは間違っているな。
844名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 08:45:11 ID:Ai0/uYnv
刃物振り回す奴は大抵どこかおかしいがなw
845名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 10:15:53 ID:CTUwaYea
俺の考えるキモウトのイメージは

普段:
「兄さんは本当にグズですね。妹に説教されて恥ずかしくないんですか?」

そのときの妹の脳内:
『んはぁっ! お兄たんのの髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!
間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!』
846名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 10:33:31 ID:t5jdqOL7
カリカリモフモフは関係ないだろw
847名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 11:47:51 ID:WwPF9j5p
ぶっちゃけ妹なら何でmうわなにをするやめ(ry
848名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 15:01:00 ID:cIKyDye9
みんなの理想のキモウトって
普段から兄にデレデレのキモウト
世間一般の兄妹関係だけど実はキモウト
最初はツンだったのに徐々にキモくなっていくキモウト
兄を恥ずかしいものように扱うけど実は頭の中は兄一色のキモウト
キモさを隠そうともしないキモウト
クールなキモウト
計算高いキモウト
その他
の内どれが当てはまる?
849名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 15:39:16 ID:IX6HBl2K
みんな違ってみんないい
850名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 16:39:26 ID:lkljoKMh
全部当てはまる。
851名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 17:08:38 ID:3gQqBo/t
全部イイ! ああ素晴らしきキモウト・キモ姉達よ!
852名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 18:30:47 ID:QL85IOpW
>>843
あこりこと舞夏の違いがわからない。
あこりこはキモ姉で、舞夏はキモウトではない?
私には違いがわからないです。

「お兄ちゃんどいて! そいつ殺せない!」
これ、>>1に書いてあります。
テンプレがおかしいのでしょうか。
キモウトではないという説明をお願いします。

ヤンデレは後でヤンデレスレで尋ねることにします。

キモ姉、キモウトの定義は、なんなのでしょうか?
853名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 19:30:29 ID:dZpSCOpG
キモウトからお兄ちゃんと呼ばれたいが・・・

兄さんも捨てがたい
854名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 22:15:02 ID:Bu8odhG5
>>843
>吉川舞夏はキモウトではない。
>他の妹の存在を許しているし、料理に血や髪の毛を入れてない。
テンプレみたいなキモウトしか受け付けられないとはかわいそうに
855名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 22:43:03 ID:0UBASs3G
>>852
「お兄ちゃんどいて!そいつ殺せない!」
って言うのは、背景やその妹(ないしそれに類する立場)の兄に対する愛情が前提として初めてキモウトの台詞となるんだと思う。
その前提がないのなら、ただの殺意を持った妹(ないしそれに類する立場)の台詞
つまり、台詞だけじゃあどっちにもなりえる。
856名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 22:52:57 ID:7P4+1wt8
ブラコンとキモウトの狭間か…深遠なお題ですねぇ。
857名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 22:56:43 ID:NYB1PMsT
>>852
あこりこは誘惑ぐらいであんまきもいことはしてないような。
キモ姉、キモウトの定義は
「兄/弟を愛するあまり常識外の思考・行動を取る妹/姉」みたいな感じだろう。
858名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 22:59:15 ID:yL9RtkP4
お兄ちゃんは舞夏とずっといっしょなの
お兄ちゃんは舞夏とずっといっしょなの
お兄ちゃんは舞夏とずっといっしょなの
お兄ちゃんは舞夏とずっといっしょなの
お兄ちゃんは舞夏とずっといっしょなの

これはキモウトだろう。
859名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 23:36:34 ID:FMgTCT13
兄上殿ォ!
ぐふふふふh
860Un reencounter:2008/12/03(水) 00:38:44 ID:3tykr2hE
>>859
それはただのキモい妹だろw
861名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 00:39:57 ID:3tykr2hE
やべ、名前消し忘れた!
忘れてくれ
862名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 01:02:10 ID:8bbS00a9
だがそれがいい
863名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 02:11:29 ID:asyV5MOA
ワロタ
864名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 02:27:14 ID:B4fK5cv4
>>858
ギャグキャラがデフォルメ絵で叫んでツッコミ待ちなシーンと
目のハイライトが消え俯き加減で独り言としてブツブツ呟くのでは違う。
背景シーンのないセリフ単体や、マンガの雰囲気を考慮せずキャラの性格だけで
判断するのは間違ってる。

もっと総合的に見ようぜ。
865名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 02:40:01 ID:GBnDfwn6
>目のハイライトが消え俯き加減で独り言としてブツブツ呟く

それで合ってるじゃないの
アニメ第3話
866名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 06:45:46 ID:cLfCyE+D
荒れそうだからここらでやめようぜ。
867名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 07:41:55 ID:5+lWkTxL
>>859
細切れ投下すんなと騒いだ奴らのせいで続きが全然来ないわけだが…
868842:2008/12/03(水) 07:59:15 ID:pcLjCoth
「兄/弟を愛するあまり常識外の思考・行動を取る妹/姉」
とのことですが、この「常識外の思考・行動を取る」の境界は、
個々人で違うから何ともいえない、ということですね。
絵による判断の話も出ていますが、
それでは絵のない小説はどうなるのかという話にもなりますし、
絵のある舞夏でさえも判断が分かれていますから。
ここでこの話は打ち止めにします。
御回答頂いた方々、ありがとうございました。
869名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 08:34:38 ID:bvGRb0va
>>867
あのキモウトも好きだがヘタレキモウトも好きだ
久しぶりに読み直して、「おにんにんだー」のセリフが頭から離れない
870名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 08:43:10 ID:ZuigZYly
【キミョウト】
奇妙な妹の事。キモウトよりも上の妹を表す言葉。一時間でも兄が側にいてくれないと狂乱する恐れ有り…



俺は恐ろしい言葉を生み出してしまった…
871名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 09:41:29 ID:zlVlT5P+
>>872テメェはこれから……

奇妙なキミョウト
「UAAAAAAAA!! お兄ちゃんのオチンチン、馴染む! 馴染むぅぅぅぅぅっ!!!」
みたいなレスを書き込むだろう。
872名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 10:48:25 ID:JECV4rZW

奇妙なキミョウト
「UVAAAAAAA!! お兄ちゃんのオチンチン、馴染む! 馴染むぅぅぅぅぅぅっ!!!」

……ハッ!
873名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 12:22:44 ID:J9ehP49n
自慢になってしまうがルックスには自信がある。女にもてる為の努力を惜しんだこともない。
だが、結果として俺は極端にもてない。いかなる才能も努力もぶち砕く、たった一つの障害故に。
「だから生き霊になってまで取り憑くのはやめろ。背後に浮かんでるなんて、もっての外だ!」
道の真ん中あることも気にせず、後ろ斜め上に浮かぶ半透明な人影を怒鳴りつける。
当然通行人はドン引きだが、背後霊を背負って歩いてる時点で世間体を気にしても無意味だ。
「だって、一時でも離れてるなんて耐えられないよ。ましてお兄ちゃんが変な豚と遊んでるかも
なんて想像しちゃったら…」
「空中でくねくねしながら妖気を振りまくな。周りに迷惑だ。それに日がな一日幽体離脱なんか
してると体が死ぬぞ。さっさと帰れ!」
空中の影は「にたり」と薄笑いを浮かべた。見慣れている俺でも怖い。ああ、目が合ってしまった通行人が倒れた、巻き添えにして申し訳ない。
「一緒にいるためなら命なんて安いものよ。死んだら本格的な幽霊として取り憑くだけだし。
それが嫌なら…早く帰ってきてね、あたしのところへ♪」

−−−世にも奇妙な妹一匹  End−−−
#「キミョウト」ってこんな感じで良いでしょうか?お口に合えば良いのですが。
#…昼休みとはいえ、事務所で携帯広げて私は何を書いてるんだろ。何かに取り憑かれたかな?
874未来のあなたへ2.5:2008/12/03(水) 12:23:53 ID:66lgtAK+
投下します。
伏線回収のための話なので、キモウト話ではありません。
スレチでごめんなさい。
875未来のあなたへ2.5:2008/12/03(水) 12:24:32 ID:66lgtAK+

よくある話をしよう。

わたしは家族を知らない。
わたしの両親は、わたしが物心つく前に離婚した。ちなみに現代日本の離婚件数は二十万超。よくあるよくある。
わたしを引き取った父親は、いわゆる一つのダメ人間だった。離婚のショックという説もあるけれど、わたしが見るにアレは素だ。
お酒とタバコと賭け事と十八禁なお店が大好きで、仕事はかなり転々としている。そりゃまあ母も愛想を尽かす。というか、それ以前に見る目がないですぜ、見知らぬ母よ。
そんな父親と二人暮らしだったので、幼い頃からわたしはかなり放任主義で育てられた。ありていに言うと、部屋に放置。よく死ななかったものだ。
自宅にいると酔った父親からランダムで打撃や根性焼きを食らうので、歩けるようになったわたしは好んで外に出ていた。幼稚園なんて一番遅くまで残っていた。まあ、どうせ迎えなんかなかったし、二本の足を使うのはいつでも自由だ。
とはいえ外に出るというのも問題があって、当然同年代の子供たちと遭遇するわけだけど。わたしは他人との付き合い方というものが、まったく下手くそなのだった。要するにKY。
まあそれもある意味当然で。誰もが人付き合いの前提とする、家庭というものが皆無だったのだから仕方がない。知らないことはできない。
あ、ちなみに家庭崩壊してる子供が、みんなKYになるとは無論言わない。わたしの場合は、たまたま要素がこのように作用しただけだ。
というわけで、集団に混ざってもすぐにハブにされるわたしは、一人遊びの達人になっていった。某正義の味方風に言うのなら、TVと砂場だけが友達さー。あ、それからかくれんぼも超得意。鬼は父親で。
小学校に上がっても、基本的な構図は変わらなかった。強いて言うなら変化は三つ。あれ、割と変わってるじゃん。
一つは知識の収集。教室にも家にも定位置のなかったわたしは、暇さえあれば図書室に入り浸っていた。幸いというかなんというか、ネットに接続したパソコンもあったので、わたしはあっという間に要らない知識にまみれた。小学生でオタクとか。
二つ目は栄養状況の改善。省略したけどわたしの食事は、幼い頃から基本的にジャンクフードだった。代表格はスナック菓子や酒のつまみ、菓子パン。後は水、とにかく水。おかげでわたしは同年代の中でぶっちぎりにチビガリだった。
けれど小学校には給食がある。余ったおかずを持って帰るとかはデフォだった。貧乏貧乏とからかわれたが、思いっきり事実だし命には代えられない。
ちなみに料理は死に物狂いで習得した。自炊できないとたまに本気で餓えるのだ。ここだけの話、万引きもたまにやった。
ともあれ食生活の改善によって、わたしの背丈体重は急激に伸びた。まあ、それでも前から一番目は常にキープしましたけどね。ちえっ! 世の中トレンドは小型軽量です。
三つ目は、ものの見事にイジメを食らったこと。これはまあ仕方ない。ここまで奇矯な行動をとっていて、いじめられない方がむしろおかしい。
具体的な内容は略すとして、一番ダメージが大きかったのは教科書ノートに切り込みや書き込みを入れられることだった。無論金銭的ダメージだ。仕方ないので使い辛いまま使っていたら、教師に注意されて以降切り書き込みはなくなった。
その次に辛かったのが、大声で囃したてられることだった。何を幼稚な、と思うかもしれないが。打撃や孤独、飢餓に対する耐性は高いわたしだけど、周囲に注目されることは全く免疫がなかったのだ。
わたしにできる対応は、顔を赤くして逃げ出すことだけだ。イジメが無視に移行した時はホッとした。
というわけで、藍園晶の人生は、そんな風に移行してきて今に至る。スレチでごめん。
よくある話だよねー。
中学生になっても、わたしはやっぱりわたしのままだった。相変わらずチビだし、相変わらずKYだし、相変わらず無視されてるし、相変わらずお金はないし、相変わらず家にダメ父親がいるし。
けれどそれでも、変わったことを挙げるなら。

わたしは、独りで、なくなった。




晶ちゃんのDOKI☆DOKI恋の大作戦
876未来のあなたへ2.5:2008/12/03(水) 12:25:27 ID:66lgtAK+
さて、某日某所。
「おおー、でっけー。でっけーっすね雨宮先輩」
「うん、ほんとだ……室内プールと屋外プール、両方あるみたいだね。本当に、こんなところ入っていいのかな?」
「お気遣いは結構です。父が仕事の関係で貰って来たものですが、どの道チケットの期限はもうすぐ切れてしまいますから」
「そうそう、今日は気にせず泳ぎまくろうぜ!」
わたしたち四人は、駅とバスを使って郊外にあるウォーターパークに来ていた。まあ要するに、色々くっついたでっかいプール屋。
当然金を取る場所で。本来わたしなんかがおいそれと訪れて良い場所じゃないけれど、来れた理由は会話の通り。
わたしたち全員は、ついでに出入りする人たちも、水着の入った防水バッグを装備している。榊先輩に至ってはでかいリュックまで背負っている。海に来たんじゃないんだから。
日差しはカンカン、八月半ばとはいえ、まだまだ暑さは引きそうにない。絶好のプール日和だ。

さて。なぜわたしがここにいるのかと言えば、話は二週間前までさかのぼる。
前々から榊先輩に相談していた恋愛相談のことだけど。夏の大会で熱血してたこともあって、進展は遅々としてなかった。
八月が終われば九月。そのあたりからは三年生は受験に忙しくなる。さすがにやばい、と焦り始めたころだった。
榊先輩の家で、あーだこーだと相談していたら。優香ちゃんが案を持ってきたのだ。
「普通にデートにでも誘えばいいと思いますよ」
「ゲエー!? いきなり無理言わないでくださいよ優香ちゃん!」
「あー、いや、もういっそのことその方がいいかもな。デート、って言うのが恥ずかしいなら。遊びに行く、ってことにすればいいんだし」
「いやいやいやいやいや、二人で映画に行きませんか、ってそれ完璧に告ってるじゃないすか!」
「では複数人で行きますか? それなら『遊びに行く』という体裁にはなるでしょう。それに映画とは限りませんよ」
「ああ、それいいな。じゃあどこ行く? たしか、親父がチケット貰ってきてたよな」
「隣町のウォーターパークのものがありましたね。決行は大会終了後が良いでしょう」
「そうだな、とにかく今は大会が一番だし。終わればいくらでものんびりできるからなー。後は……」
「私と藍園さん、兄さんとその人、という組でいいでしょう。私と兄さんにも繋がりがありますから、不自然な流れではないはずです」
「えーと、そのー」
とまあ、こんな感じで本人の意見を一切挟まないままに作戦はトントン拍子に決まっていった。
こういう時の押しの強さに、間違いなく血の繋がりを感じるのはわたしだけでしょうか。
ともあれ、こんな理由により、わたしたち四人は夏休みのある日、ウォーターパークに来ていたのだった。


着替中。
広い更衣室の一角でロッカーに向かい、優香ちゃんと並んで服を脱いでいく。
隣の人と比べてみる。たとえとして、本当にたとえとしてわたしをAとするならば、優香ちゃんはBというところだろうか。
そもそも顔立ちとか肌の白さとか髪質とか他あらゆる面で負けてるわけですけどね。
「しかもわたしはこんな水着だし……はあ。仕方ないけどいきなりマニアックすぎやしませんかね」
「趣向が一致するかもしれないでしょう」
「嫌ですよ、ツルペタスク水がジャストフィットって。雨宮先輩が小学校のプールを定期的に覗いてたら卒倒します」
「そう」
「その点優香ちゃんはいいですよね。趣味嗜好以前にめっさ美人ですし、まあプロポーションは……って何ですかそれ!」
「私、着痩せする性質なんです」
「えええええ、いやいやいや。どう見ても増強というか増胸というか。なんでそんなに必死なんすか」
「藍園さん。勘違いしているようだけど。今日必死にならなければいけないのは貴女の方でしょう」
「……そのパッド、余ってたら分けてくれませんか」
A→B。
B→C。
877未来のあなたへ2.5:2008/12/03(水) 12:26:55 ID:66lgtAK+
「おっまたせしましたー!」
「お待たせしました」
優香ちゃんと連れ立って、プールサイドで先輩方と合流する。二人は備え付けの空気入れで、エアマットを膨らませていた。
間違いなく榊先輩が持ち込んだものだ。子供ですかあなたは。まあ、わたしも浮輪を持ちこんでますが。
わたしたちを確認した男二人が、ぽかんとした顔をした。うう、恥ずかしいけれど……
「おお、これがB効果ですか。もう流線型とは言わせない……って、二人とも優香ちゃんガン見ですか!?」
「え、いや、あははは……」
「おー、優香水着似合ってるな。可愛いぞ」
「ありがとうございます、兄さん」
優香ちゃんの水着は、意外なことに花柄のビキニタイプ。基調色は青。下にはスカート型のパレオが付いていて、全体的にフリルで装飾されている。胸の布地が多めな秘密はわたしだけが知っている。
クール系な彼女にしては可愛いチョイスで、そのギャップがすさまじい打撃力を生み出していた。普段はストレートにしている髪をポニーテールにしているのも一助だろう。新鮮な魅力という奴だった。
対してわたしは、いつものショートに授業で使うスクール水着。一応胸の名札は外してあるけど、増胸までして所詮Bだし。いったいわたしは何を期待していたんだろう。まあ、世の中はそんなものだ。
つーか、優香ちゃんが視線持って行ってどーするのさ!
「晶ちゃんも、うん。似合ってるよ」
「スク水相手にはちょっと微妙な評価ですがどうもありがとうございます、雨宮先輩」
「あは、あはははは」
うーん。まあとりあえずの目的は果たしたんだし、まあいいか。
ところで、男性お二人は普通に海パンを身につけている。榊先輩は緑、雨宮先輩は青。
二人とも日頃からサッカーに打ち込んでいるだけあって、鍛えられた体つきをしていた。榊先輩ががっちり、雨宮先輩がしなやかな感じだろうか。他の男性客と比べても若さが溢れているのがよくわかる。
というか、正直たまりませんね、じゅるじゅる。おっとよだれが。
「(ごくり)」
おや、今隣で生唾を飲み込むような音が聞こえたような気もしますが、多分気のせいだよねー。
さておき。
「それじゃ泳ぎに行こうぜー!」
「波の出るプール! 波の出るプールがいいっす!」
「それじゃあまずそこで……」
「兄さん。私はウォータースライダーに興味があります」
「あ、そうだったな。じゃあ俺と優香はそっち行くから、義明は晶ちゃんを頼むぜ」
「え?」
「ちーっす。じゃあお昼なったらここで集合ってことで」
あっさり二手に別れる。勿論これは作戦だ。みんなで遊べないのは残念だけど、とにかく今日は勝負の時だ。
二人で歩いていく榊兄妹を見送って、雨宮先輩が苦笑する。ややややや、やばい、緊張してきました。
「健太の妹さんには久しぶりに会ったけど、なんかちょっと変わったかな?」
「はいいっ!」
「晶ちゃん?」
落ち着け落ち着け落ち着けわたし。怪鳥音なんぞ発している場合じゃない。優香ちゃんを見習って、KOOLになれ藍園晶。
「んじゃ、我々は波乗りに行きましょうか、雨宮先輩」
「うん、そうだね」
その人は柔らかく微笑んだ。
878未来のあなたへ2.5:2008/12/03(水) 12:27:49 ID:66lgtAK+

その人のことを話そう。
雨宮義明。十五歳。男。中学三年生。
サッカー部のレギュラーで、MFを務めている。伸び伸びとフィールドを走って的確なパス運びをする、そんなプレイヤーだ。自由闊達という表現がよく似合う。
外見はすらっとした背丈に整った顔立ち。方向性は優香ちゃんに似ているかもしれないけど、纏う雰囲気は柔和なものだ。カモシカとか、草食動物系の匂いがする。主夫とか似合いそう。
成績も普通に良い。たぶん、家に帰ってから予習復習をきちんとやっているんだろうなあ。はい妄想乙でした。
性格は、気弱と言ってしまってもいいぐらい優しい。基本的に微笑みながら他人の意見に流される流木みたいな人ともいえる。押しが弱いんだよねえ。
あ、ここまで来ればわかるかもしれませんが、この人女子から人気ありますよ。優香ちゃんほどじゃありませんが。
サッカー部というのは何かフィルターでも入るのか、雨宮先輩以外にも人気のある部員はいる。その筆頭が部長氏で、榊先輩は残念ながら背景っすね。いい人なんですが。
それでもって接点を持ちたい二年女子が、たまにマネージャーであるわたしに仲介の頼み事をしてきたりする。こんな感じだ。
Q.サッカー部のあの人を紹介してくれたら、無視してるのやめてあげてもいいわよ?
A.自分でやれヘタレ。
かくしてわたしはますますいじめられていくのであった。舐めんな、こっちは年季が違うぜ。
雨宮先輩に彼女はいない。あの人の押しの弱さを考えるに奇跡に等しい。さりげなく聞いてみた理由としては
『僕はまだ学生だし、今は部活に打ち込んでいる。恋人にまで責任は取れないと思う。だから誰とも付き合う気はないよ』
とのことだった。え、アナタどこの聖人君子ですか? 性欲真っ盛りでしょ? 嘘だ! ごめん取り乱した。
とにかく、どんなふうに転んでも、わたしのような魅力に欠けたチビにはチャンスもなさそうだけど。

「おお、つめてー! きもちいーですねー」
「本当だね。今日は日差しも強いから」
「でも割と空いてますね、なんででしょう。排水溝に子供が吸い込まれたりしたんでしょうか」
「いやいやいや。今日は平日だからじゃないかな。僕たちは夏休みだけど、大人の人は働いてるし。小さな子供だけで来るにはちょっと遠いしね」
「入場料割と高いっすしね。うりゃー!」
「わぷっ!」
はしゃいだ声を上げながら、水の掛け合いっこをしたり。
「先輩、向こう岸まで競争しましょう!」
「ん? いいよ」
「ハンデはわたしが半分行ったら先輩がスタートってことでどうでしょう!」
「えー、それは流石に勝てないような気がするなあ。晶ちゃん、泳ぐの速そうだし」
「誰が抵抗のない流線型かー!」
結局、勝負はわたしがタッチの差で勝った。
「あー、らくちんらくちん。雨宮先輩、ちゃんと浮輪押してくださいねー」
「はいはい。負けたしね」
「ざばー、ざばー。ほっとくとわたし、流されてってあちこちぶつかりますからねー」
「うん、大丈夫だよ。ちゃんと支えてるから」
「おー、雨宮先輩。なんか今のプロポーズっぽい響きっすねー」
「えええええ。いや、他意はないからね? ほんとだよ?」
そんなふうにして
楽しい時間を、楽しい時間を、過ごした。


わたしが、雨宮先輩を選んだのは




それがやっぱり、叶わないものだとしても。
それでもわたしは、雨宮先輩を選んでよかったと思う。

879未来のあなたへ2.5:2008/12/03(水) 12:29:12 ID:66lgtAK+
長くなったので今日はここまでにします。重ね重ねスレチでごめんなさい。
880名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 12:34:30 ID:J9ehP49n
長編にはこういう回だって必要でしょう、スレチなんて言いませんよ。
次には期待させていただきますが。
881名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 13:01:06 ID:U3N5H4zC
スレチじゃない!俺には見える二人の隠された関係が!でも、それを言うと興ざめだからいわない
882名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 17:38:14 ID:HNG3+gqF
ネク恋ちっくな文だね
883名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 18:28:16 ID:iI7TwYpX
おっつっつ
884名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 21:24:42 ID:2oBWOi5Q
乙。良かった。GJ

キスシス買ってしまった…
885名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 21:37:42 ID:AFaREbPU
頑張れ流線型
886名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 22:27:02 ID:TG0wpwcc
兄の体に欲情するクールな妹に萌えた。
887名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 00:38:40 ID:JAU1TqPg
(ごくり)

おれがガンダm・・・もといおれがごくりだ
GJ!
888未来のあなたへ2.5:2008/12/04(木) 12:17:05 ID:LbPOeWK8
後半投下します。
889未来のあなたへ2.5:2008/12/04(木) 12:19:14 ID:LbPOeWK8
お昼になったので、プールサイドで榊兄妹と合流する。
それにしても、一応ウォータースライダーは避けてたけど、ずっと二人で滑ってたんだろうか。想像力が拒否した。
昼食は打ち合わせ通り、優香ちゃんがお弁当を作ってきてくれたのでそれをみんなで囲んで食べる。ちなみに具が色々のおにぎり。
出来はともあれ(料理の腕だけはわたしの方が上かな、年季が違う)白米が腹いっぱい食べられるっていうのはしあわせなことだ。
「うめー、うめーですね。はぐはぐ。あ、こっちはおかかだ」
「うん、うまいうまい。優香、ありがとうな」
「ただの御握りですよ。そこまで褒められるようなものではありません」
「二人とも、あんまり食べると午後お腹痛くなるよ? ほどほどにね」
「大丈夫大丈夫。ちょっと休めば腹もこなれるって。休みの日の部活だってこんなもんじゃん」
「体育会系バンザイって感じですね! そういえば、わたしたちはともあれ優香ちゃんは疲れてないすか?」
「大丈夫です。私も体育会系になりましたから」
「え、そうなの? 妹さん、運動部に?」
「はい。二か月前からですが、柔道部に」
「いやー、あれはぶっ飛びましたね。優香ちゃん、いきなりなんですもん」

優香ちゃんが柔道部に電撃入部したのは二か月前だ。
榊先輩にしたわたしの恋愛相談が優香ちゃんに漏れて倒れ、お見舞いに行って危うく生還した翌日に。優香ちゃんは入部届けを持って女子柔道部に行った。
わたしも榊先輩も詳細を知ったのは翌日だった。いや本当に驚いたっす。
ちなみに我が校の女子柔道部は結構な弱小で、全員合わせて八人が九人になったとか。
当の優香ちゃんと言えば至極ノリノリで、朝練の時間に登校してきては、ジャージ姿でランニングをしているのを見かけるようになった。元々部員でさえ参加している人は少数だというのに、熱心なことです。
そういえば部活中もポニテにしてた。こいつはまた惚れる男が増えそうだ、ちっ!
なんで柔道部に入ったのか、勿論聞いてみた。返答は
『……護身用を兼ねられれば効率的かと思いまして』
だそうだった。本当にそれだけですか? なんで一瞬口ごもったんすか?
しかし、時間帯が合うようになったので優香ちゃんは毎日榊先輩と登下校しているみたいだけど。
ブラコンを隠すのやめたのか、それとも摩訶不思議な理屈付けで榊先輩を欺いてるのか。聞いてみたい気もするけどやめておいた。命は惜しい。

その後。
一休みしてから、ビーチボールで四人遊んだ。正確な競技なんかじゃなくて、プールに半身をつけてボールが落ちないよう適当に打ち合うだけだったけど。
全員運動部だったせいか、かなり白熱する勝負になった。先輩両名はともかく、わたしと優香ちゃんの運動能力が同じぐらいだったのは驚きだ。二ヶ月で一体どれだけ鍛えてるんですか。
流石に、一番最初にへばったのは優香ちゃんだった。少し肩を上下させて淡々と悔しそうに「疲れました」と言っていて。榊先輩が付き添って、寝椅子で横になっていた。
しかし、ああしてると恋人同士にしか見えないけれど……むしろわたしと雨宮先輩の方が兄妹に見えるんだろうなあ。
「んじゃ、こっちはどーしますか、先輩?」
「そうだね、どうしようか。晶ちゃんは疲れてない?」
「いーえ全然、と言いたいところですが結構足にきてます。いっぱい泳ぐのはちょっと辛いっす」
「それじゃ、室内の方にサウナがあったみたいだけど。そっち行ってみる?」
「うわー、サウナなんて初体験ですよ。それじゃれっつらごー!」
ぱしり、と雨宮先輩の手を取って室内プールの方に歩く。あの人は苦笑して、そのまま後に続いた。
わたしはといえば、迂闊に振り向くこともできなかった。こんなに顔が熱いんだ、きっと真っ赤だっただろう。
おかげでサウナの場所なんてわからないわたしは、先輩をひいてプールサイドをしばらくうろうろする羽目に陥る。恥ずかしくて死にかけた。
890未来のあなたへ2.5:2008/12/04(木) 12:21:09 ID:LbPOeWK8

サウナというのは要するに、室内プールの一角にある部屋だった。他のモルタルな内装とは違って、ロッジのような丸太の壁床。
部屋の中は、目に染みるような熱の空気がたちこめていた。予想に反して、蒸気がもうもうというわけではないみたい。ひたすら、空気そのものが熱い。
狭いサウナルームに、他の人はいなかった。ぺたんと、段差に腰を下ろす。あつっ!
「熱いですね……」
「そうだね……」
わたしの呟きに、斜め前に座った雨宮先輩が力なく返す。ローテンションなのは、吸う空気を少しでも少なくするためだ。肺すら熱い。
見る間に、じっとりと汗が全身に噴き出してきた。確かにこれは体重が軽くなりそうだけど、水分を絞り出すことを痩せると言うんだろうか。
頭がぼうっとする。
「そういえば……大会、お疲れ様でした」
「うん。ありがとう……少し寂しいけどね」
サッカー部の大会が終わったのはつい先週だった。結果は地区予選敗退。二回勝ってそこで負けた。結果からいえば、相手は地区予選の優勝校だったので仕方ないと言えば仕方ない。
三年生にとって引退前の最後の試合。
試合に負けたその瞬間、榊先輩は泣いていた。感情表現豊かな人だからなあ。ついでに言うと、優香ちゃんは土手で見てた。なんかあの辺だけ、オーラが違った。
榊先輩に釣られてか、他にも泣いている人はいた。雨宮先輩は、悲しそうだったけど他の人を慰めて整列させて回っていた。
わたしといえば、どこかのアニメじゃないけれど。そういう時、どういう顔をすればいいのかわからなくて。みんなの視界に入らないよう、ベンチの後ろで立っていた。
「……」
「……」
「……」
「……」
頭がぼうっとする。腕が熱い。
頭がぼうっとする。足が熱い。
頭がぼうっとする。頭が熱い。
「雨宮先輩」
「……なに?」
「……好きです、付き合ってください」


ここ、で。
告白しようなんて思ってなかった。作戦では今日ありったけ好感度を稼いで、次はなんやかんやと言い訳をして個別デート。それを何度か繰り返し、フラグを立ててから告白、という戦略だった。
元より相手は、わけのわからない理由で美少女を振りまくる女殺しだ。そうでもしなければ、わたしのようなチビなんて、とてもとても。

「え……」
「部活は、もう終わりですよね。これからは受験で忙しいのかもしれませんけど」
「あ、うん……」
「邪魔とかしませんから、卒業まで……難なら、夏休みが終わるまででいいですから……付き合ってくれませんか?」
「……」
雨宮先輩は、ぽかんとした表情でこちらを見ている。当たり前だ、当たり前だ。視界を占める空気が熱い。
とてつもない自爆をしたのだと理解はしていたのだけど、熱さで茹った頭は危機感を感じるほど回っていなかった。
だから、ただ馬鹿のように、雨宮先輩の返事を待つ。
「……」
「……」
「……」
「ごめん」

――――ああ
終わった。
その瞬間、わたしの中で柔らかいものが凍る音がした。
わたしの人生で、今まで飽きるほど聞いてきた音。
今日は楽しい日だった。こんなプールに来たのは初めてだし、こんな風に多人数で遊んだのも初めてだし、好きな人と一緒に一日を楽しめた。良い日だった。感謝すべきだ。
最後、盛大に自爆してしまったのが唯一残念だったけど。
人生なんてそんなものだろう。
よくある話だ。
891未来のあなたへ2.5:2008/12/04(木) 12:22:12 ID:LbPOeWK8

「あはは、ごめんなさい。変なこと言っちゃって」
笑った、笑えた。多分、凄く、自然に。
凄い発見をした。人間は辛い時ほど笑うんだ。その必要があるから笑うんだ。
辛い時ほど笑うなら、全て笑い話で済む。どこかのアニメじゃないけれど、わたしは笑えば良かったのだ。
真理発見。
ぐらり、と天地が回った。
「晶ちゃんっ!?」
サウナの熱と、興奮の熱で、わたしは頭部で『の』の字を描き
その場でぶっ倒れた。


わたしが、雨宮先輩を選んだのは
恋とか、愛とか、そんなものじゃない。そもそもわたしは、そんなものを生まれてこのかた与えられた憶えがない。知らないことはできない。
だからと言って、命の危機を助けてもらったとか、そんなイベントがあったわけでもない。
わたしが部活に入ったのは、言ってしまえば良い男を探すためだった。すっごい売女。
それがサッカー部だったのも、大して理由があるわけでもない。強いて言うなら昔から、公園で同年代の少年が、サッカーをするのを見ていることが多かったから。
スペックだけで選ぶのなら、部長氏がダントツだっただろう。成績優秀眉目秀麗品行方正サッカー部部長って、あんたどこの典型的フラれキャラですか。
部長氏を選ばなかったのは競争率の問題もある。ファンクラブみたいなものまで存在するからなあ、あの人。
競争率の問題だけならば、榊先輩を選んでもよかった。そこで雨宮先輩を選んだことに、大した理由はない。
わたしはサッカー部に潜入するにあたって、まず笑顔の練習をした。TVを、周囲を観察して、鏡の前で一人練習を繰り返した。
KYで対人能力ゼロの女が、狙った男を落とせるはずがないから。別人になろうと思った。というか、別人になりたかった。よわっちい人間だな、わたしは。
笑顔の仮面を被ることを、わたしは学んだ。だけど
『ちーっす! このたびサッカー部のマネージャーになりました藍園晶っす! どうか気軽に晶ちゃんでよろしく!』
自己紹介の時の空気を思い出すと、のたうち回って叫びだしたくなる。ごろごろ。
対人能力の欠如を隠そうとするあまり、違う意味で痛いキャラになってしまったという悲劇というか喜劇がその時わたしを襲った。しょせんKYは運命から逃れられないんですか。ハブという。
けれど。
完全に滑った空気の中、わたしの捨て身ギャグ(としか思えない)に、一番最初に再起動したのは。キングオブ馬鹿の称号を持つ榊先輩ではなく、ひょろっと背の高いヤワそうな先輩。
『あはは。よろしくね、晶ちゃん』
それが、雨宮義明という人だった。
その笑顔に惚れた、なんて馬鹿なことは言わない。
ただ。幾度練習しても心からの笑顔が身につかないわたしにとって。その人の微笑みは、ある種の憧憬を呼び起こすものになっていった。
元々、わたしに恋愛感情なんてものはなかった。ただ、雨宮先輩を選び、好きになると決めただけだ。
けれど
それがやっぱり、叶わないものだとしても。
それでもわたしは、雨宮先輩を選んでよかったと思う。
あはは。

892未来のあなたへ2.5:2008/12/04(木) 12:24:11 ID:LbPOeWK8

意識が朦朧としていたのは、多分数十秒だった。
どぼん、硫酸の海に放り込まれる。
「い、いぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢっ!?」
全身に刺すような痛みが走り、わたしの意識は一気に覚醒した。
死ぬ、溶ける、と手足をじたばたさせるけれど、縛られてるようで上手くいかない。
「ぎゃーす!」
「晶ちゃん、大丈夫? 晶ちゃん?」
勿論、んなこたーなく。
真相は。ぶっ倒れたわたしを抱えて雨宮先輩が手近なプールに飛び込んだのだった。
皮膚が剥がれるかと思った激痛は、わたし自身と水との温度差だった。サウナ恐るべし、拷問に使えると思う。
さておき。
「あいたたたた。ありがとーございます。危うく燻製ハムあたりになるところでしたよ」
「………」
「先輩?」
軽口にも答えず、雨宮先輩はわたしの体をじっと見ている。
え、まさかツルペタスク水に今さら覚醒したとか? と自分の貧相なプロポーションを確認……げっ!
「晶ちゃん……その、痣……」
わたしのツルペタスク水の露出部分。肩や腕や足やあちこちに、痣やらやけどやらの古傷が浮かび上がってきていた。
いつもは風呂上がりに現れる現象なのだが、サウナで同じ効果があったらしい。考えてみれば当たり前だ。
水の中、体温が常温に近づくにつれ、見る見るうちに古傷は姿を消していく。後には日焼けした肌が残るだけ。なんか変身ヒーローみたいだ。
ただし、わたしを抱き留める雨宮先輩の記憶からはまだ消えていないらしい。どうしよう。
全身の古傷。打撲にアザ、煙草を押し付けてできた火傷。まともな推理能力があれば、回答は限られる。
えーと。実は戦場帰りとかどうでしょう。はい、言い訳無理!
「晶ちゃん……もしかして……」
「あ、あはははー」
笑った。やはり、本当に辛い時に人は笑える。真理だ。
もう……いいか。
誤魔化す必然性が限りなく薄くなっているのに気付いて、更に笑えた。どうせもう、わたしはフラれているのだ。
この場で裏をぶちまけて、お互いすっきりさせて終わろう。TVのドッキリのようなものだ。自棄になっているのも否めない。
雨宮先輩の胸をついて、ゆらりと離れる。声の届く範囲に、他の人はいない。
「えへへ。まあ、よくある話なんですけどね」
よくある話をした。


物心つく前に両親が離婚したこと。
父親がどうしようもないロクデナシなこと。
基本的に放置されて育ったこと。
父親から打撃や根性焼きを受けるのが嫌で出歩いてばかりだったこと。
KYで対人能力ゼロな人間になったこと。
餓えるのを避けるために料理を必死に覚えたこと。
自業自得でイジめられてきたこと。
キャラを作ってサッカー部に潜り込んだこと。
大した理由もなかったけど雨宮先輩を選んだこと。
本当は恋とか愛とか、全然分かんないこと。
え? どうして、そんなことをしたのか、だって?
893未来のあなたへ2.5:2008/12/04(木) 12:25:46 ID:LbPOeWK8

「父親がねー、中学出たら働け働けってうるさいんですよ。
 もうね、本当にうるさいんですよ。わたしが小学校に入る前からずっとですもん。
 あれはもう何をどうひっくり返っても、進学費用なんか出す気はないっすね。
 多分未来の金蔓と思わなきゃ、わたしの養育なんてやってられなかったんでしょうねえ。先行投資って奴です。
 だからまあ、そういうわけでわたしの学生生活もあと一年と半年なんすが。
 中卒で社会に出て働くとなると、最終的にはお水系に行くしかないと思うんすよね。いわゆる十八禁系です。
 けど、さすがのわたしもそういうところで処女を捨てるのはどうかと思ったんで。
 せめて最初ぐらいは。ちょっくら誰かを騙くらかそうと思ったわけです、はい。
 あはは、すみませんでした、雨宮先輩。わたしが言うなって感じですが、騙されないでよかったすね」

え、それでいいのか、って?
あはは。

「だってこんなのよくある話じゃないですか」

なにより

「人生なんて、そんなもんですよね?」

誰だって、大なり小なり事情を抱えて生きている。他者と比べてどうだとか、そんなことをしても何も変わりはしない。
わたしは、自分が特別な存在だなんて、特別に惨めな存在だなんて思わない。同じような境遇なんていくらでもいる。よくあるよくある。
それに、最終的には誰だって。人生なんてこんなものだと諦める。
わたしの場合は、それが他人よりちょっと早かっただけだ。
あはは。
楽しい時も辛い時も人が笑うなら、人生なんてギャグで済む。そういうものなんだろう。

そんなことを、雨宮先輩に面白おかしく打ち明けた。その後、榊兄妹と合流し、その日は解散になった。お疲れ様でした。
ただ、あの話の後から。雨宮先輩が黙ったままなのが気になる。うーん、悪いことをしてしまったかも。
「まあ、あんまり気にしないでください、あはは」と肩をバンバン叩いておいたけど。あれで良かったんだろうか。こういう時KYは困る。
それから二週間。雨宮先輩と会うことはなかった。


翌日、わたしは土産を持って榊家を訪れた。土産は駄菓子の詰め合わせ。安っ!
「というわけで、作戦大失敗に終わりました。支援打ち切りというわけで、超申し訳ありません」
「ええええええ!?」
「……」
オーバーリアどうもありがとうございます、榊先輩。優香ちゃんは無言だけど流石に驚いてるようだ。
「ちょ、ちょっと待って! どういうわけ!?」
「いやー、昨日二人でいる時に、勢い余って告っちゃって。ばっさり断られました、うわははははは」
「ええええええ」
二度目のオーバーリアどうもあり(略
のけぞって驚く兄を尻目に、優香ちゃんはわたしに一言問いただした。
「藍園さんは、それでいいの?」
「いや、良いも悪いも。これ以上はストーカー行為規制法適用されちゃいますって。あ、部活にしこりを残すようなマネはしませんから大丈夫っすよ」
「そう」
というわけで。榊兄妹への義理を果たしておく。いやはや本当、この二人には余計な迷惑をかけたものだ。雨宮先輩を入れれば三人か。
榊先輩はどうも納得できなかったようだけど、最終的に恋は水物ということで落ち着いた。
一方、優香ちゃんの方は、既にまるきり興味を失ったかのようにクールなものだった。ただ、最後わたしが去り際に
「藍園さん」
「うい?」
「諦めているの?」
「……ええ、まあ」
「そうですか。けれど私は諦めませんから」
そう言った優香ちゃんの瞳には、いつかのようなおぞましさが垣間見えた。
894未来のあなたへ2.5:2008/12/04(木) 12:26:19 ID:LbPOeWK8


わたしにとって優香ちゃんは、一種の憧れだった。
世間のしがらみとか、自分のKYな性格とか、そういった俗事に翻弄されてきたわたしにとっては、憧れるしかなかった。
優香ちゃんが聞いた『諦めているのか』というのは、雨宮先輩のことじゃない。人生のことだ。
そう、わたしは自分の人生を諦めている。
諦念は最強の麻薬だ。どんなに辛いことが待ち受けていようと、諦めてしまえばどうってことはない。
わたしはそうして生きてきた。いわゆる負け犬人生だ。
優香ちゃんもまた、何かを抱えている。その正体まではわからないけれど、世間のしがらみなど意に介さない態度を見れば、それはとても大きなもののような気がする。
それでも優香ちゃんは『諦めない』と言い切れるのだ。今までも、これからも。
人間がいつか諦めるものならば。
優香ちゃんもいずれは諦めるのか。
それとも人間であることの方を……いや、妄想はこれくらいにしておこう。
わたしは、優香ちゃんに憧れることしかできない。わたしはとうに諦めた。
ああ、わたしは本当に弱い人間だ。こういうところは、あのロクデナシに似たのかも。
まあ……人生なんて、そんなものだろう。



プールに行ってから二週間後。
夏休みが終わり、二学期が始まった。今日は始業式。みんな休みボケでだるだるの日です。
最終日に優香ちゃんから聞いたところでは、榊先輩は夏休みの宿題を、妹に尻を叩かれながらぎりぎりで仕上げたらしい。予想通り過ぎる人だ。
ちなみにわたしは夏休み前半にさっさと済ませた。意外だろうが、昔から学力は高い方だ。だって学校に来てすることが建前抜きに勉強しかないんだから。ヤな理由だ。
さておき。
始業式が終わり、課題を提出し、教科書を受け取り、そして放課後になった。
半日授業なので一般生徒は帰ったけれど、運動部は午後も部活がある。大会の後はお休みになっていたから半月ぶりだ。
今日から二年生への引き継ぎが始まる。誰が部長になるんだろう。
優香ちゃんと顔を突き合わせてお弁当をつつきながら、そんなことをあーだこーだと話し合う。
概して、二学期の始まりは、それまでと大差はなかった。
ただ
「えーと。藍園さん、いますか?」
「あれ、雨宮先輩じゃないすか。えへへ、お久しぶりです」
「うん、久しぶり。部活が始まる前に、ちょっと話したいことがあるんだけど、いいかな?」
「どうぞ」
「え、なんで優香ちゃんが答えるの? まあいいんだけど」

雨宮先輩に連れて行かれた先は、本当にちょっとの距離だった。普段使わない方の階段踊り場。
教室からの距離にして十mぐらいだろうか。人気はない。
さて何の話だろう、と雨宮先輩と向かい合って考える。
まあ考えるまでもなくプールでゲロった件ですな。家庭裁判所でも薦められるんだろうか。
雨宮先輩は微笑むでもなく、真剣というわけでもなく、なんだかひどく自然体というか。何かを悟りきったような表情だった。
そのまま、こんな風に話しだした。
「晶ちゃん」
「はい」
「僕にも片親しかいないんだ。僕の場合は母さんだけなんだけど」
「はい?」
予想外の場所から、よくある話が始まった。
895未来のあなたへ2.5:2008/12/04(木) 12:27:41 ID:LbPOeWK8

「母さんは昔離婚して、女手一つで僕を育ててくれたんだ。
 あの人は僕を愛してくれてるし、僕はあの人を尊敬してる。今までも、きっとこれからも。
 けど母さんは、ときどきとても辛そうなんだ。どんなに明るく振舞っても、やっぱり女一人で子供を育てるのは大変なことなんだ。
 そんな時のあの人は、離婚したことを、もっと言えば結婚したことを、すごくすごく後悔している。心の傷になっているんだ。
 昔の写真は全部燃やしてしまったらしいから、僕は父親の顔も知らない。母さんは美人だけど再婚の話もないし、そういうことを言い出すとすごく怒るし怖がるんだ。
 だから僕も自然と。結婚することが、恋愛することが怖くなっていったんだと思う。
 僕が将来、母さんのような人間を生み出してしまったらって。考えるだけで恐ろしくなる。
 けれど……それはやっぱり、逃げているだけなんだな。昔、あの人が言っていたんだ。
 男が最後まで責任をとれるのは、人生で一人だけなんだって」

そこで雨宮先輩は一息ついた。
わたしは、いきなりのマザコン全開発言に、硬直するしかなかった。
そして


「藍園晶さん。結婚を前提に付き合ってください」


ぶっ飛んだ。


え、え、ええええええええええええええええええええええええええ!?


「な、なななななに言ってるんですかこのマザコン野郎!?」
「結婚を前提に……」
「大事なことだからって二回言わなくてもいいですよ!」
「そっか」
「ちょ、な、えええええ。いったい何がどうしてそうなるんですか!?」
「晶ちゃんを助けたいと思ったんだ。けど、最後まで責任を取るにはこの方法しかないと思った」
「え、だ、結婚って……それ同情じゃないですか! 恋愛感情ないでしょう!」
「うん」
「即答された!?」
「これから好きになればいいよ。僕は晶ちゃんのこと、好きになれると思う」
「そ、そんなんでいいんですか!? 大体、一生に一度ってあんたなんでわたしみたいな根暗チビに使うんですか! 
 わたしみたいなのはよくある話ですよ! 雨宮先輩なら高校入ればギャルゲみたいに女の子よりどりみどりですって! 人生バラ色のフラグ根元から折ってどうするんですか!」
「ずっと考えて決めたんだ。僕は晶ちゃんを選んだことを、この先絶対後悔しない。いや、逆に後悔しないために選んだんだ」
「な、え、う、う」
「勿論、晶ちゃんが嫌なら断ってくれて構わない。でも、僕から撤回はしない」
「う、うううううううう……」

896未来のあなたへ2.5:2008/12/04(木) 12:29:03 ID:LbPOeWK8

なんだそれは。
なんだそれは。
意味がわからないぞマザコン野郎。
わたしが、わたしが今まで。どんな思いで何もかもを諦めて、暴力と無視と飢餓を耐えてきたと思ってるんだ!
辛かった!
辛かった!
本当に辛かったんだ!
助けてって、助けてって、何度も叫んだんだ!
けれど、誰も助けてくれなかったんだ! 父親も、顔も知らない母親も、同年代の少年少女も、先生も、誰も、誰も!
わたしがようやく思い知って、ようやく全てを諦められたのに、こんな。
こんな……!
うう
うう


「うあああああああああああああん……!」

わたしは、泣きだした。
これまでずっと、我慢してきた涙が。頼る人がいなくて、ずっと我慢するしかなかった涙が。とうとう、とうとう、溢れだした。
ああ。
ああ。





わたしは家族を知らない。
物心ついたころには家庭というものはすでになく、わたしは誰からも愛情を学ばずに育った。
一人で生きてきた。
誰かに触れる方法がわからなかった。
どう頑張っても、知らないことを行うことはできず、わたしは独りのままだった。
人に触れることを諦めた。そうしなければ生きてこれなかった。
けれど、けれど。
夏休みの終わりに




わたしは、独りで、なくなった。






晶ちゃんのDOKI☆DOKI恋の大作戦……成功
897未来のあなたへ2.5:2008/12/04(木) 12:31:04 ID:LbPOeWK8
以上です。スレチ話申し訳ありません。
次はキモウトメインに戻ります。
898名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 12:37:50 ID:YI4SQcNs
単純に面白かったからOK。全編キモウト描写のみってのも大変だし。
ところでこのサイドストーリー、本当にスレ…げふんげふん。
899名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 13:01:32 ID:Ur9qDn82
>>898
お互い気づいてないだけで晶と雨宮先輩は兄妹
そんな気がする
だからキモウトだ
間違いないと正にKY発言
900名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 13:08:02 ID:v6XI8kVu
>>899
しー! しー!!
901名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 14:16:42 ID:6nS0VrGh
キモウトにしーしーをかけられたい
902名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 14:56:52 ID:40HyoGyC
おっつおっつ

妹に上&横四方固めハァハァ
903名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 15:37:58 ID:qX1LI9lw
仮に兄妹だったとして晶に母親の面影とか無いのだろうか
…ああ、腹違いか
まあそんなのどうでもいいから3年経ったらさっさと籍入れちゃってください
904名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 16:25:28 ID:xrC9/Bf2
しばらくレス禁止。490kで書き込めなくなる。
とりあえず、新スレ立ててみます。
905名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 16:34:22 ID:xrC9/Bf2
誘導、新スレ。
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part16
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1228375917/
906名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 19:15:40 ID:yUaLU5mP
>>897
単純に面白い。GJ!

>>905
907名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 21:18:45 ID:FkaSUkSZ
うめ
908名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 21:25:49 ID:v3iVtt02
>>902
まさか似たような嗜好の人がいるとは、キモウトに一晩中上&横四方固めをかけ続けたい
909名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 21:46:46 ID:gFyHGmZP
>>897
乙&GJ

大丈夫、気付かなければ血縁でも子供作っていいと聖戦の系譜に教えられたし

>>905
910名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 22:31:41 ID:FFGwd1+V
確かにFEは血縁カップル作りまくりの良ゲー
911名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 22:51:56 ID:zzgENArW
どこの国だったっけな
結婚後に実は生き別れの兄妹だったと発覚して裁判所に結婚取り消された事件
912名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 22:54:56 ID:UZPHi2Ew
それなんてCloverPoint?
913名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 22:58:35 ID:+pLQRUMX
よるよる「お兄ちゃんのもぐもぐ独占したい!」
914名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 23:05:23 ID:nrkY4NOL
>>911
イギリスだったかな
915名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 23:22:24 ID:qgsZ/kWB
いやドイツだ
子供もできて、愛情もある関係なのに、と裁判起こして戦ってる

マジすぎてとてもネタでは済まないようだ
916名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 00:12:11 ID:dyitvZv4
イギリスのは生き別れの双子だったよな確か
917名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 03:55:28 ID:x5pXK9E1
宗教は恐ろしいね。「道徳」とかいって禁じた方は良いことをしたと思ってる。
しかも、普遍的なものだと思ってるんだぜ。
馬鹿じゃなかろか。
918名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 07:54:57 ID:mforFZK/
ドイツってたしか、伯父と姪っ子が結婚できたり他の国より結婚できる範囲が微妙にゆるい割に
日本と違って近親間の恋愛やセックス自体が犯罪なんじゃなかったっけ?
919名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 11:04:01 ID:FAqUPFDb
よそはよそ!うちはうち!
920埋め:2008/12/05(金) 11:46:59 ID:fBZdC7Nu
妹「お兄ちゃんを倒して、私だけに愛を注がせて見せるわ! 天翔百烈拳っ!!」

 ――ドドドドドドドドドッッ!!!

妹2「おにぃちゃあぁぁぁぁん!!?」

父「いや、死兆星は妹の下に落ちた……」

兄「効かぬ……効かぬのだ妹!!」

妹2「お兄ちゃんが泣いている!?」
921埋め:2008/12/05(金) 11:48:47 ID:fBZdC7Nu
妹2「私のモノになる時が来たのよお兄ちゃん……」

兄「ぬうっ!?」

妹「お兄ちゃんの闘気が萎んで行く!?」

父「妹2の夢想の拳の前に、兄は成す術が無いんだ!」

妹2「私達が愛し、尊敬してやまないお兄ちゃん……」

兄「ふふっ、ならば砕いてみせよう! この拳に、俺の人生の自由を賭けて!! もう諦めろ妹ぉっ!!!」

妹2「ぅわたぁっ!!!」
922埋め:2008/12/05(金) 11:56:31 ID:fBZdC7Nu
兄「ぐふっ!? 強くなったなぁ妹……これで俺が居なくても大丈夫だな?」

妹2「なに、言ってるのお兄ちゃん?」

兄「俺は姉の元へ向かわねばならん。16姉の元へ、次スレへ行かねばならんのだ……」

妹2「嫌だよお兄ちゃん! 私達の側にずっと居てよ!!」

兄「次スレへ逝くに人の手は借りぬ。このスレに、一片の悔いなぁぁぁぁぁし!!!」

妹&妹2「おにいちゃぁぁああぁぁぁぁぁぁぁんっ!!!!」

父「スレ落つ……か」
923名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 16:05:45 ID:/dIMtQ1j
うめ
924名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 17:20:35 ID:vBiNaN59
書いたものがあるんですが、今ここに投下していいんでしょうか。
それとも次の板にすべきなんでしょうか。
板違いの質問で申し訳ありません。
925名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 17:29:46 ID:aZti6M7P
>>924
ここでいいんじゃないかな
投稿楽しみにしてますぜ
926名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 17:30:19 ID:x5pXK9E1
短いもので、余りみられると恥ずかしいなら、こっちで。
基本向こうで。
927名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 17:32:09 ID:vBiNaN59
>926
ありがとうございます。
928埋めネタ:2008/12/06(土) 02:58:33 ID:kGtw7ccr
「う〜〜〜トイレトイレ」

今トイレを求めて全力疾走している僕は予備校に通うごく一般的な男の子
強いて違うところをあげるとすれば妹がキモいってとこかナ…
名前は道下マサキ
そんなわけで自宅にあるトイレにやって来たのだ
扉を開けると便座に一人の若い女が座っていた

ウホッ!
キ☆モ☆ウ☆ト…

そう思っていると突然その妹は僕の見ている目の前で
スカートとパンツをはずしはじめたのだ…!

「や ら な い か」

…パタン
「ちょっと待って! ゴミを見るような目でドア閉めないで!!
  ていうかお兄ちゃんもモノローグでノリノリだったじゃない!」
「色々考えたけど、やっぱ無いわ…」
929名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 08:19:51 ID:0in1J000
自分で「一般的な男の子」って、やっぱないわ
930名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 10:36:41 ID:vYdCvK+I
なんかどっかで似たようなネタ見たな…
いや本家の話じゃないからな
931名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 12:49:46 ID:x8XH4mys
きもうとテクニックwwwww
932名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 15:10:04 ID:Z4ESyvSu
色々考えたけど、姉妹と結婚とか無いわ……
933名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 15:15:43 ID:iorHCeYQ
そう思っていた時期が俺にも有りました。
934名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 21:15:21 ID:EslRYzm2
それは違うと思っていた時期が俺にもありました。
935名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 21:57:09 ID:o73TvAsS
結婚したくてもできないからいいんじゃないか
936名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 02:54:18 ID:J1jFffGS
>>899-900
そういえばこの人の作品に最後の最後で実の妹だと解る作品があったな
あれは本当に驚いた
937名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 02:56:18 ID:J1jFffGS
連レスすまん

このスレだとそういうネタは使いにくいしね……
ある意味新鮮だったな
938名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 09:10:51 ID:lZYd5adn
職人の妹愛は無限大だ
939名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 18:21:24 ID:H5Su71JZ
940名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 18:51:46 ID:lRFI5dvB
941名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 18:57:39 ID:lSUOdH2p
942名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 19:04:51 ID:GtDAkL3l
943名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 19:06:03 ID:Rr31R3J9
944名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 19:15:37 ID:Vlu64dRK
945名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 19:17:34 ID:bkioLj/K
946名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 19:54:54 ID:IjrWG66P
947名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 20:35:10 ID:2JJ8bDS/
948名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 20:38:10 ID:12hHRA5v
どういう銃なんだよwwww
949名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 20:41:06 ID:2JJ8bDS/
キモオムが何か分からんが、軽い銃なんだろう。
もしくは正しい銃?
950名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 21:09:34 ID:Jb12vz7P
近親相姦への忌避感を破壊する謎の鉱石
「キモオムライト」が仕込まれた銃です。つまり
これで撃たれた兄または弟は…
951名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 21:15:22 ID:EFhgDaXD
妹「おにいちゃんくらえ〜!!」

びびびびびびび〜!!

兄「うわあっ!?」

妹「やったわ! これでおにいちゃんは・・・」

兄「ふっ、残像だ!!」

妹「!!?」
952名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 21:22:17 ID:2JJ8bDS/
姉「じゃ、私がやるわ」
男「残像d…おねえちゃんだいすき〜」
姉「妹…あんた頭使いなさい。わざわざ鏡の前にいるのに…」
953名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 00:11:42 ID:biaz7eBP
12月8日記念小ネタ

アニ・アニ・アニ(我お兄ちゃんを奪取せり)

「あ、兄たんおはよっ!」
妙に暖かく心地好い感触によって目が覚めると、俺の上で我が妹・南雲忠美が下半身裸でエロい顔しながら飛び跳ねていた。
にちゃ、くちゃ、と響く水音、濃い雌の臭い、そして我が紳士を包むこむ感触。
俺はそれら五感からの情報を信じたくはなかった。
「どう?きもちい?忠美のとろとろまんこ」
今の一言で信じたくはなかったことが、現実の実体を持ち出した。
「忠美!お前何を………」
いますぐこいつを振り落とそうと手を伸ばそうてしたが、動かない。
見ると両手両足が手錠でベッドの柵と繋がれている。
「兄たん寝とってるの♪」
いや、寝とるって……って待てよ!寝とるとか以前に近親姦にはノータッチかよ!
まあコイツ、普段から俺のシャツとかでオナってたり、机のマットの下に自分の名前書いた婚姻届挟んで「あとは兄たんがサインすれば、忠美は兄たん専用の妹嫁オナホだよ」とかほざくキモウトだったし、当たり前と言えば当たり前たが。
「あ、安心して」忠美が口を開く。
「あのアメリカ娘たちはいー姉とみーちゃんとみったん達と一緒にぐちゃぐちゃに犯しといたから♪
みんなでエッチの練習台にして、身も心も私達でメロメロにしちゃった」
妹は俺の数少ないGF達を匂わせる三人称と、一緒に彼女達に関わっていた友人や先輩達の姉妹の名前を上げていく。
「いまごろみんな私と兄たんみたいにラブラブセックスしてるかもね」
山本先輩、源田、淵田、ご愁傷さま。あんまり人のこと言えないが。
954名無しさん@ピンキー
「さて、と。兄たんもっ、早くっ、出して、よねっ!」
「ちょ、まっ、おま………」
妹の腰の動きが加速する。
背筋に嫌な快感が走りはじめる。
「あ、さきっぽ、おっきく、んぁ、なって、きた。」
出してたまるか。と、必死に堪えるが、節操なしの紳士はもう限界だと告げはじめる。
「兄、たん、ふぁぁっ、きょっ、大丈、夫だよ」
妹の言葉に、俺は少しだけ気が緩む。
そして、妹は一段と深く腰を下ろす。
こつん、と紳士が何かに触れる感覚。


「今日、わたし危険日だから」


しまった。と思った時には遅かった。
きゅっ、と締め付けた妹の膣に反応して、子宮と触れ合っていた紳士が爆発する。
「ひぁぁぁぁぁぁんっ!にいたんのせーしっっ!しきゅーにかかってる!あかちゃん。できちゃうよぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!」
終わった。俺の人生。そう思いながら俺はもたれかかる妹を胸板で受け止めるはめになった。



一方その頃
黛晴菜「ちょっとずつおにぃとの仲を埋めていって、最後におにぃとも同意の上でセックスするのが一番ラブラブになれる方法なんだから………
大丈夫よ晴菜。私とおにぃとの受精率は三倍………私とおにぃとの受精率は三倍………」


ちなみに俺は強気でつり目巨乳なメリケン妹のウィルマたんに「私とシて!私とシて!もっと私とシて!」って言われながら犯されたい