ここは人間の住む世界とはちょっと違う、ケモノ達の住む世界です。
周りを見渡せば、そこらじゅうに猫耳・犬耳・etc。
一方人間はというと、時々人間界から迷い込んで(落ちて)来る程度で数も少なく、
希少価値も高い事から、貴族の召使いとして重宝がられる事が多かったり少なかったりします。
けど、微妙にヒエラルキーの下の方にいるヒトの中にも、例えば猫耳のお姫様に拾われて
『元の世界に帰る方法は知らないにゃ。知っていても絶対帰さないにゃあ……』
なんて言われて押し倒され、エロエロどろどろ、けっこうラブラブ、
時折ハートフルな毎日を過ごすことを強要される者もいるわけで……。
このスレッドは、こんな感じのヒト召使いと、こんな感じのケモノ耳のご主人様との、
あんな毎日やそんな毎日を描いたオリジナルSSを投下するスレです。
このスレッドを御覧のヒト召使い予備軍の皆様、このスレッドはこちらの世界との境界が、
薄くなっている場所に立てられていますので、閲覧の際には充分ご注意ください。
もしかしたら、ご主人様達の明日の御相手は、あなたかもしれませんよ?
それではまず
>>2-6ぐらいを見てください。
【FAQ】
Q.なにこのスレ
A.人権がある獣人が人権が無い人間をキャッキャウフフするスレです。
Q.猫耳少女スレは猫耳以外もOKとな
A.おもしろければいいじゃない
スレタイ変更は語呂が悪いのでしません永遠のスレタイ詐欺です
Q.これは、エロですか?
A.萌えかもしれません。エロかもしれません。
膝枕とか肩叩きとかチッスとか射程範囲内です。エロは手段の1に過ぎません。
でもエロパロだからエロを自重する必要はないですよ?
Q.シェアワールド?
A.『世界観の共有』をしています。節度を持ってネタを振り合いましょう。
このスレでは設定を相互参照して発展する傾向がありますが、
だからといって全ての設定が網羅的に参照されているわけではありません。
よって各作品では大筋はともかく詳細で矛盾があります。気にしたらダメです。
みんなが無茶振りだと思うような設定は、無かったことやパラレルワールド扱いになってゆきます。
Q.どこまでが共有設定?
A.後述します。
Q.ホモレズグロスカ鬱蟲とか書きたいんだけど?
A.書くのは自由。嫌われるのも自由。
グロスカ蟲他はアップローダーに投稿してスレにはアドレスを貼るという手があります。
そのときに注意属性を挙げておくのがいいです。
挙げ忘れは、書き手の責任。挙げてある属性に吐き気を感じるのは、読み手の責任。
でもノーマルはみんな大好きだよ。
Q.属性は?
A.メイン属性:獣人 x ヒト
その世界観を活かせるなら必須ではありません。
サブ属性:闇鍋
あらゆる性癖・属性が混在することを許されている。
しかしアブノーマルは読者に事前警告することが推奨される。
Q.こちむい機軸以外のシェアや独立はあるの?
A.別に禁止じゃないけどシェアしないならこのスレである必要なくね?という風潮。
【簡単な用語集(1)】
こちむい世界:
あちら側。様々な獣が人の姿をとり、人語を解し、人権を持ち、逆に人間が奴隷である世界。
人間世界での人と動物の関係が逆転してる感じ。空は青く昼夜もあるが、月が二つある。
人間世界からは様々な物体が「落ちて」来るが、一方通行であり、人間世界へ行く事は出来ない。
(「こちむい」の名称は草分けタイトル「こっちを向いてよ!ご主人様」から)
人間世界:
こちら側。いわゆる普通の世界。現代の地球。
何かの拍子で異次元への窓が開いて神隠しにあうと、こちむい世界に「落ちる」。
人間以外にもコーラ一本から戦艦一つ神隠しにあうことが出来る。
こちむい世界は人間世界で認知されていない。
その他の世界:
こちむい世界と人間世界以外にも色々な世界があるみたい。でもスレ的に重要じゃない。
落ち物:
「他の世界からこちむい世界に落ちてきたもの」の総称。滅多にない。
雑誌一冊が来ることもあれば建物ひとつやってくることもある。
希少であるため高値で取引されることが多いが、
使い方の判らないもの、危険なものも当然混じっている。
ヒト:
地球人の、こちむい世界での呼称。人権なし。器物〜ペットに分類される。
落ち物であるため希少で高価、特にオスは性奴隷として価値が高いらしい。
専門知識を持っていた場合はそちらを重宝されることもあるという。
こちむい世界の環境は、こちらの人間にとってはかなり過酷なもので、
あちらの住人の庇護無しに生活することは難しいとされる。
国家:
こちむい世界には犬、猫など種族ごとに国家がある。
地球でメジャーな種族は大国な感じ。昆虫とか魚類とか鳥類とかもいる。
子作り:
基本的に同一種族同士でのみ子作り可能。
地球人とこちむい世界住人との間で子供を作ることは不可能。
【簡単な用語集(2)】
あちらの住人:
種族ごとに大きな差があるが、
ヒトより遥かに優れた身体能力を持ち、魔法のような超常の力を使う者もいる。
また、総じてヒトより長い寿命をもつ。
男性(♂):こちむい世界の男性は見た目は獣に近く、種族の特徴や習性が強く表れる。
人間世界の伝説にあるライカンスロープの類に近い。
女性(♀):こちむい世界の女性は、種族を象徴するような特徴(耳や尻尾が代表的)や習性を持つが
見た目はヒトに近く、ヒトがコスチュームを纏ったようにも見える。
マダラ:♂だが、通常と異なり♀に近い外見をした者。
一般的には希少で、一般的にこちむい世界では美形とされる。
ケダマ:♀だが、通常と異なり♂に近い外見をした者。
マダラよりも更に希少だが、一般的にこちむい世界では不細工とされる。
魔法関連:
魔法:まんま魔法。様式や効果は種族・流派によって千差万別。
しかし、根本となる理論は同じであるとも云う。
誰もが使えるわけではなく、また、使えたとしても個人差が大きい。
魔素:こちむい世界に存在する魔力の源。
生物が利用する為には対価を要するが、魔法を使用するのに不可欠なエネルギー源である。
魔力:魔法使いが魔素を体内に取り込んで精製し、生み出す力。
魔法を使用する際に必要なエネルギーとなる。
魔洸:ネコの国で開発されたエネルギー。魔素を用いるのは魔力と同じだが、
発動が個人の能力に依存しないので、一部に産業革命をもたらしている。
魔力枯渇:魔素を魔力に変換しすぎると発生し、主に精神への負荷を強いる。
重度の魔力枯渇は、死に至る危険性有り。
魔力疲労:魔力を使用しすぎると発生し、主に肉体への負荷を強いる。
重度の魔力疲労は、死に至る危険性有り。
※もっと詳しいことが知りたくなったら関連Wikiへどうぞ。
スレたて乙!
これは良い地鎮祭だw
しかし、スレタイ詐欺は如何なものかとwww
>>1乙
エロパロ板にありながら性欲より食欲を刺激するスレはここですかw
いな 新
いん ,─--.、
言と ノ从ハ从 ス
葉聞 .リ ´∀`§
かこ X_@X レ
|え U|_____|U
|の ∪ ∪
! !
>>1乙
テンプレ、隙間がちょっと開きすぎてね?
あまり隙間がありすぎても読みにくいような気がする。
>>1乙だ!
>>9 なに、気にすることはない。このくらいなら許容範囲だろう。
1乙〜
テンプレはまた改良していけばいいさ
前スレ引きずったらあかんがなw>めんつゆ
スレタテ乙ー。
おつー。オールハイルけもー。
定期的に落としてた人が急に来なくなると、なんだか凄く寂しくなるのはきっと俺だけじゃないはずだ。
みんな。俺はいつまででも待ってるよ!
>>16 それ結構書き手にプレッシャーらしいよ。
でも、職人さんがたが新作を投下するまでwktkするのをやめない!
俺は万獣の人をいつまでも待ってる
ピューマ担当の人も待ってます…
招き猫ポーズで猫医院さん待ってる。
続きが気になって仕方ないというヒキではないけど
大好きだから新しいのが読みたいんだー
おっとリクエストはここまでだ。
名前のあがってない職人さんが落ち込んだら困るしなw
>21
そうやってすぐに水差すのこそやめてくれよ
嫌いな作者や作品を叩いて止められるならわかる、
好きなものを好きだと言うことすら自重しなきゃ
ならないなんて変だよ。
しかもオリシチュスレなんて他に言う場所なんかないんだよ。
ここで言わなきゃ作者さんの目に入らないじゃないか。
まあその、即死回避としてはリクエストぐらい別にいいだろう。
これがこの前の人気投票みたいに、人気を数値化して晒すなんて真似をされると嫌だけど。
ていうか
>>22よ、そもそも書かない人は来てもいないだろw
>書かない人は来てもいないだろ
見てはいるけど筆がのらないとか、リアルが忙しくて手がつけられないとか
普通に考えられるんじゃないの。
>21の気持ちもまーワカランでもないけど、たとえると
「喪男が可哀相なので女性の皆さんはイケメンにキャッキャしないでください」
という主張が歪んでいることは確かだ。
それは良識とは別のものだと思う。
まぁ不人気書き手さんの処遇など読み手には関係無いしな。
書き手も読み手も遊びなんだから気楽にやろうよ。
なんというあからさまな釣り針……
ごめんミスった
>>23 ながらく投下してないけど見てますサーセン
前スレ埋まったー。
>>28 いんじゃね?俺も似たようなもんだし。
>>28>>29 どなたかはわからんが小ネタのひとつでも書いてくださるだけで大喜びするぜ
>>31 あれ貴方か!www
大変おいしく頂きました
前スレ埋めネタが豊穣すぎだ!
アップローダー見て嬉しい悲鳴w皆さんGJGJ!
埋めに燃え上がるスレ住人たちに萌えたw GJ。
★はじめてこのスレに落ちてきた住人候補の人へご案内★
過去作品が多様で、保管庫の絵板への投下が活発なことも
このスレの特徴です。
まずは保管庫wikiで好きな種族からつまみ食いお勧め。
気に入った絵の元になった作品から読んでみてもいいのよ。
保管庫
ttp://www28.atwiki.jp/schwarze-katze/ さーて新スレになったことだし、住人や職人が増えたり
あの人この人がサプライズ帰還してくれるといいねー。
>>34 言われて初めて保管庫に入れるのを忘れてたことに気付いたorz
>>31 性的な意味でおいしく頂きました。
ところで例の祭って、まだ開催中?
あなたの街に冬将軍がやってくるまではokじゃないかな?
横から失礼。欝エロってどういうジャンル?
監禁・調教・陵辱・拷問・精神崩壊の5点セットとかもあり?
つ心のすれ違い
つNTラレ
鬱はむしろ精神的なものじゃないかなと思ったり。
しかし、雑談すら止まるとはどういう事なんだろうな?
皆さん規制中なんだろうか?
なんか最近エロ妄想ができん。キャッキャウフフ程度で満足しちまう。
狼獣人のでっかいオッサンのモフモフの毛皮に顔を埋めて眠ったり、
オッサンの膝の上で本を読んで貰う幼女といったほのぼのしか想像できんのよ。
近頃どころかほぼエロ書いてないキャッキャウフフ至上主義の自分が通りますよ。
獣と幼女萌えるよ幼女
がっつりしたエロも書いてみたいんだが、
胃の具合が悪い時ってほんと創作意欲なくなるのな…
書き出して三行でダウンしたのには自分で驚いた。
今まで健康だったんで知らなかったよ。
いいじゃない、獣おっさんと幼女のほのぼの。
「大きくなったらパパのお嫁さんになるの」的な感じだと、なおいいじゃない。
>>48 寿命の違いのせいで本当に嫁になっちゃうんですね
そんなの来たら年の差萌えの俺歓喜
>>47 リアルに死を実感すると今度は猛烈に書きたくなるよ。
>>51 つまり、絶叫マシンに乗ってくればいいんだな?
死がちょっとだけ近くなる北の大地へどうぞ
ドライブ中に鹿とかに横切られると死を実感できます
特に真冬の峠がお勧めw
エゾシカの群れがいきなり横断したりしますw
……臨死体験は軽四で東名高速走るだけで十分です(´・ω・`)
「おっさんと幼女」でなぜかフェイレンとミコトとか、バジとなせとかイメージしてしまうけど、設定的には若いはずなんだよなw
逆に旦那はおっさんのはずなのに若いイメージw
>>56 だなあ、真っ只中だよな。
そんな旦那に実に好感を抱いているわけだが。
対して前者に年長者イメージがあるのは
保護者的な安心感とか包容力を感じるからだろうか。
あの二人のパパさんっぷりは、相手の年齢もあるんじゃ……
と思ったが、なせの年齢は謎のまんまだな。
>>59 しかしだな、フェイレンはファリィに対してもパパさん的な動きのような気がするが。
サーシャとは老夫婦の様な空気を醸し出しつつあるし。
>>60 むしろファリィが精神年齢かなりお子様だからなw
アルジャーノン博士といいお友だちになれそうに思うw
主要人物のこちむい世界住人はヒトの庇護者的な立場だから、
もっと「おっさんと少女」という印象を受けるかぽーがいてもいいはずなんだが…
アカブはおかあさんだしジークは尻に敷かれているし
リュナ卿はそういう次元でない気がするしウルくまさんはくまさんだしw
>>61 「はっはっは。ウチの地元じゃ犬とウナギが結婚して子供をもうけてますから。獅子とヒトでも何とかなるでしょう」
「あら。でもやっぱり、ヒト同士で結ばれた方が幸せじゃないかしら?」
「二人とも、子供の将来を肴に酒を飲むのはどうかと思うが」
こうですかわかりません
ウナギイヌと同列の扱いかよ
アレは鰻が産み落とした卵にイヌが精子かけて生まれたのかなあ。
>>62 ヒトを性行為の対象とみていない奴でないとパパっぽく見えないのでは。
あとは言葉遣いが若くないw
……って、どこぞの狐は条件クリアしてるのにまるで母親っぽく見えないのはどういうことだw
67 :
イノシシの国:2008/10/28(火) 03:24:21 ID:qZFfB0tv
御無沙汰しておりました。
イノシシの国、ヒト編5をお送りします。
設定開示は諸事情により6まで延期されました。
申し訳ございません。
では、ごゆるりと。
注意書き:ロリ
68 :
イノシシの国:2008/10/28(火) 03:25:34 ID:qZFfB0tv
伍
「儂は出かける」
そう、ご主人様が言い放ったのは、秋も深まる頃だった。
茸や秋の味覚が山には溢れ、斎の回数もそれに合わせて減っていた。
一番最後の斎は、確か栗ごはんの握り飯だったか。ご主人様と奪い合いしたのを覚えている。
茸汁とか、焼き茸とか食べたいんだが、山では火が使えない。
俺は、日に日に増して行く朝晩の寒さに、凍えるようにして藁布の間にくるまっていた。
それを見かねたのか、ある日、唐突にご主人様は言ったのだ。
「……俺は?」
「里長の館に行け。一週間ぐらいなら預かってくれる。それ以上は『冬』が来るだろう。儂もその頃には戻る」
かなりの遠出をするようだ。
大体、ご主人様は健脚で、周囲六山くらいなら一日で戻ってくる。
もっとも、それ以上離れたところに行ったことは、俺が来てからは無い。
だからこそ、俺はご主人様がいなくなることに若干の不安を覚えた。
何よりも、この寒い夜を、すきま風の入り込む社で過ごすのに、ご主人様の高い体温と、汗ばむ膚はかかせない。
むっちりとした乳房にしゃぶりついて、少し硬い毛の生えた背中から腰に手を這わせながら、眠るのはまた格別だ。
つんと口の中で勃ってきた乳首に顔を上げると、黒目が物欲しげにこちらを見下ろしている時なんかたまらない。
闇の中でも光る眼って言うのは、誘ってくる時に便利だ。暗闇でくっついて撫でくり回しながら覆い被さるのも、燃えてくる。
薄寒く感じる夜明けにぴったりくっついて、尻尾や耳を弄くり倒しながら目覚めるのもいい。寝起きは大概蹴飛ばされるが。
「手ぶらで行くのもなんだし、土産探し、付き合ってくださいませんか」
俺は名残惜し気に、頼んでみた。
無言でうずたかく積まれた茸や木の実で満杯のザルを突き出される。
……相変わらず、言い出した時は、もう決定事項なんだよな。
俺は、ザルの中身を背負子に移し替え、出かけるご主人様を見送って、山を下りた。
頭上には高く青い空が広がっている。
街道に降りると、涼しい風が通り抜けて行く。
俺の背より高い枯れ草が風に揺れて、靡いた。
程なく、ミクルの茶屋が見えてくる。
あー、どう声かけるかな。
悩む俺の脇を、軽やかな足音が走り抜けた。
角の生えた男だ。どこかで見たことある角なんだが、それ以外は普通に人間の姿をしていたことに俺は驚いて、咄嗟に思い出せなかった。
そのまま、男は茶屋の前で速度を落とすと、声をかけて中へ入って行く。
俺は足を止めて、木陰から様子をうかがった。
少し間があって、男とともに奥から赤毛の少女が出てきた。
ミクルだ。相も変わらずぽっちゃりして餅肌だな。
若干顎のラインが脹らんだ気もしないでもない。食欲の秋だもんなあ。
ああ、でも胸も増量って言うのはいいな。腹が増量してなきゃ。どっちもつまめそうだ。
角の生えた男はミクルに何かを手渡すと、ミクルから判子を押してもらい、満足げに一瞬笑んだ。
すぐにがま口トートの口を締め、一礼すると、里の方角へ立ち去って行く。
俺には最初から最後まで眼もくれなかった。
ミクルは受け取った物の裏を見て、溜息をついた。
手紙だろうか。
ミクルはそのまま首を振って何気なく周囲を見回し、踵を返そうとする。
その時、俺とばっちり目が合った。
「よお」
ぎこちなく右手を軽く上げ、そんな声をかけたのは、数ヶ月ぶりだった。
あ、さっきのって鹿か。
そんなことが頭をかすめる。
ミクルは無言で俺を睨んでいた。
69 :
イノシシの国:2008/10/28(火) 03:26:14 ID:qZFfB0tv
流れるちぎれ雲。
枯れ草のさざめく音と、鳥の鳴き声。
茶屋の軒先の竹縁台に腰掛けて、景色を眺めているのにもさすがに飽きてきた。
出してくれたお茶も、もうすっかり無い。
どことなく息苦しい沈黙に、頬をかきながら、少し離れた違う竹縁台に座るミクルを見やる。
お盆を胸に抱えて、割烹着をつけたミクルは、そっぽを向いて無言で山を眺めていた。
背負子の中身を受け取って、お茶をいれてくれた、まではいいけどさ。
「……あのさ、俺、これから里長の世話になりに行くんだけど」
ミクルが無言でこちらを見た。ああ、つり目だな。ぽっちゃり顔のくせに。
「これから『冬』ってこと分かってるんでしょうね」
『冬』か。
いまいち『冬』っていうのが理解出来ない。
というか、皆分かりきってることなのか、俺にはきちんと説明されたことが無い。
「だから、その『冬』までいろっていうんだから、仕方ないだろ。山の上は寒いし」
わざとらしく首をすくめてみせると、ミクルの眉が吊り上がった。
「ここら辺は雪なんか滅多に降らないんだから、綿入れでも被って我慢しなさいよ」
「そんなものあるか!」
思わず、立ち上がりかけて、声が大きくなる。
一瞬間が空く。
ミクルの視線がふいとずれて、また山を眺める姿勢に戻った。
俺は中途半端に立っていたが、次第に間が持たなくなって、竹縁台の端へ仕方なく座る。
なんか、気まずい。
「綿入れを里長にねだりに行くの?」
ミクルがそっぽを向いたまま、呟くように尋ねた。
「知らねえよ」
俺も顔を背けたまま答える。
「……そういえば、蜂蜜酒、力になれなくて悪かったな」
ついでに、ぼそりと呟いた。
「あれから、一匙、頂いたわ」
俺は驚いて、ミクルに向き直る。
「いつ」
「あの子が亡くなって、すぐよ」
ミクルの赤い髪が揺れた。
「そっか」
俺は、風に揺れる樹々を眺めた。
なんか、涼しいって言うより寒いな。
「そろそろ、行くわ」
「待って」
ミクルは盆を竹縁台に置くと、奥へ入って行った。
「これ」
背負子ではなく、包みを差し出す。
「なんだ? これ」
「手みやげが必要なんでしょう? 山の幸はたっぷり頂いたから持ってきなさいよ。栗入り蒸しまんじゅう。あそこの双子の大好物よ」
俺は有り難く受け取って、茶屋を後にした。
70 :
イノシシの国:2008/10/28(火) 03:26:53 ID:qZFfB0tv
久しぶりの里は、大方収穫も終わり、あちらこちらで穀物の束が、天日干しにされていた。
軒先には干した野菜や果物が吊り下がり、冬支度を整え始めている。
そんな風景を遠目に見て、俺はひときわ大きな屋敷にたどり着いた。
子供の声は聞こえない。皆、うちにいるのだろう。
俺の肩辺りまである高い生け垣は、常緑なのか、変わらない。
ここに来ると、胸が痛む。
子供達が、俺を迎えそうで。
本当なら、一番来たくなかった。
表玄関に足を踏み入れると、声をかける。
「ごめんください」
ばたばたと足音がして、あの双子が現れた。
今日は、それぞれ頭のてっぺんで髪をくくっている。左右違いにして、それで見分けがつくって訳か。ボンボンまで付けて、まあ。
相変わらず、生意気そうだ。
「これ、土産。ミクルの栗蒸しまんじゅう」
うわっ、ひったくっていったよ。
ああ、喧嘩するなよ。
そんなに旨いのかな。
「かかさま、ゴボウが来た」
「かかさま、栗蒸しまんじゅう!」
本当、行動は子供そのものだな。
でも、この前見たときと何か違っているような。
なんだか、全てが間違い探しだ。
上がりかまちに腰を下ろしてしばらく待つと、生け垣の向こうを大きな風呂敷包みを抱えた人影が通り過ぎて行くのが見えた。
風呂敷包みが大きすぎて、何だか分からないが、足が蹄だったような気がする。
俺は眉をしかめた。
あれも、男なのかな。
久々に男を一杯見ているような気がする。
「よう、久しいな。息災にしておったか?」
後ろからかけられた声に、俺はあわてて立ち上がって、深々と礼をした。
「ご無沙汰してます。その節はご迷惑をおかけしました」
「よい、あれも自然のうちじゃ」
里長は相変わらず着流し姿で俺を見下ろし、鷹揚に笑った。
俺の胸が、またちくりと痛んだ。
愛想笑いを浮かべて、ここに来た理由を説明する。
「一週間? また長いな」
里長は腕組みをして、考え込むように首を傾げた。
「まあよい。この前とは違う用を申し付けよう」
上がれ、と顎で指図する里長に、俺は従った。
ご主人様の簡素な住まいと違い、屋敷はどこも、ぴかぴかに磨き上げられた黒い床板が続く。大広間には立派な大黒柱。天井の梁も太い。
里長は、一段高くなった一畳くらいの畳の上に胡座をかいて座った。後ろには床の間がある。
左右に双子がちょこんと控える。2人とも正座だ。大人しい。
あ、そうだ、二人とも髪のメッシュが無くなってる。うりぼうじゃなくなったってことか?
俺はそのまま、板間に座る。
少し離れた次の間に、囲炉裏が見える。その周りには藁を編んだ円座がいくつか置かれていた。あっちが食事どころかな。
「先程まで小間物屋が来ておってな。『冬』の仕込みに追われておった」
『冬』か。本当、『冬』って何なんだ?
「今年は案外『女』になる者が多くてな。うちの娘達も例外ではない」
女、ですか。
……それって、あれか。その……こいつらがか。
改めて双子に目をやると、睨み返してきた。大人しいのは、母親の前だけかよ。
なんか、生意気そうでやりにくいんだよな。ミクルとは違った意味で。
「それでだ。一応全員分買い込んでおっての」
里長が後ろ手に床近くの収納の引き戸を開けた。
中から、大量の本が溢れ出してくる。
黄色い表紙のそれにはなんだか、あられもない浮世絵が描かれていて……って、これ春画!
71 :
イノシシの国:2008/10/28(火) 03:28:09 ID:qZFfB0tv
思わず目を見開く俺。
「まあ、実践に越したことは無いのだがの。知識は付けておいた方がよかろうて」
里長の淡々とした声の中、双子達は興味津々といったようすで、本を広げまくって見ている。
見ている俺の方が恥ずかしい。
「それでだな。ゴボウよ。まあ、実践に付き合え」
「へ?」
本を代わる代わる読みふけっていた双子達の視線が俺に突き刺さる。
俺は、座ったまま、後ずさった。
身の危険をひしひしと感じる。
双子達が、にやりと笑って、這ったまま寄ってきた。
「いや、何を言い出すんですか、犯罪ですよ、里長様」
「ヒト風情が何を言う。イノシシの男共と違って安全ではないか」
きょ、距離が縮まっているんですけど。
「いやいや、こんな小さな子とやるのは、それは、その」
板間を後ろ手で後ずさる。
畳の上の里長との距離がどんどん開いて行くのに、双子との距離がどんどん縮まっているんですけど。
「娘達は、今年で22ぞ。わたしが小さく生んでしまった故、少々発育が悪いがな」
……嘘だ。13ぐらいにしか、見えねえ。
「ミクルより随分年下じゃないすかっ」
里長は悠長に顎に手をやる。
「はて、あの娘は幾つじゃったかの。30は越えていたとは思うがの」
え。
俺がぽかーんとした顔をした瞬間。
「ゴボウ〜!」
「つかま〜えた!」
双子に、両足を捕獲される。
「いや、待て、こら、引きずるな!」
俺は両足を掴まれて、隣の部屋まで引きずられて行った。
悪魔だ。
この双子は悪魔だ。
「逃げちゃ駄目だぞ」
「実験するんだからな」
やっぱり中身もガキじゃないか。
漆喰の壁まで引っ張られていって、回転させられる。
「起きろ」
「寄っかかれ」
足を押さえたまま言う言葉ですか、それが。
しかし、この双子、力が強い。
俺が足を動かそうとしても、まったくびくともしやがらねえ。
「うちの娘達は、石女のわたしから生まれたせいか、人より成長が遅くての。ようやっと今年で成人よ。いや、めでたい、めでたい」
脳天気な声が、俺が引きずられてきた方向の入口から響く。
里長は全然助ける気が無いらしい。
「かかさま、これどう脱がすの?」
「かかさま、やっちゃっていい?」
今日はズボンにベルトをしてきたからな。こいつらには手強いだろう。
ははん、脱がせるものなら脱がしてみやがれ。
と、言う暇もなく、シャツをめくられ、腹が出る。
カチャカチャとベルトが鳴らされる。
俺は、漆喰の壁にぴたりと背中を押し付けて、両足を大股開きにさせられた。
空いた両手で双子を引き剥がそうとするが、うまくいかない。
つうか、本当に力強過ぎ。
「邪魔するな。カヤノ、押さえてて」
先程から俺の左足の上にまたがって、俺の股間に居座っている双子が、右足にまたがって抑え込んでいる双子に言う。並んでそれぞれ外側に頭の上のボンボンが向いている。
「ゴボウ、往生際悪い。トモリが先?」
右の双子、カヤノが動いて、俺の手の動きを止めようと手を伸ばす。
「うわっ」
そのまま左足の方、トモリがさっと腰を浮かせて俺を引き倒しやがった。
72 :
イノシシの国:2008/10/28(火) 03:28:43 ID:qZFfB0tv
「成功、成功」
カヤノと呼ばれていた方が満足げに俺の顔に背を向けて、胸の上にのしかかる。
短い着物の裾から太腿の付け根が見えた。……太腿は案外むっちり。いや、そうじゃなくて。
双子は上下から俺の股間をまさぐっていた。
「外せた、かかさま」
俺からは見えないトモリの方が、嬉し気な声を挙げると同時に、俺の股間が涼しくなる。
いや、両の太腿と、胸の上にまたがっている双子の温もりが、なんていうか。押し付けられている股間の感触が薄い布越しに分かるっていうか。
そこまで、感覚が鋭敏になってどうする。
「おまえら、いい加減にしろよ」
……その時。
ぷにぷにした指の感触が、トランクスの中から一物を引きずり出した。
ころころと掌で転がされる感触。
反応するな、俺。
反応したら負けだ。
「ねえ、かかさま。思ったより柔らかいよ」
「黄表紙より小さいよ」
双子の声に、冷静な里長の声が重なる。
「ふむ……。まあ、イノシシの男の一物は大きいからのう。しかし、作りは似たようなものだ。いじくってみればよいのではないか?」
里長に見られている!
……そっちの方に反応しました。
「あっ、かたくなった」
「ねえねえ、おっきくなったよ」
無邪気な双子の声が響く。
「ふむ……ヌシ相手にもこのような、ふむ」
板間に里長のごくりと唾を飲み込む音が響く。
ああ、俺から里長の顔が見れないのが、惜しい。
ていうか、寸胴体型で俺の腹に乗っかって、二人して弄くるな。
痛いっての。
「……娘達よ、濡らしてやらねば、切れてしまうぞ」
「そうなの?」
「そうだって」
「じゃあ舐めちゃおうか」
「舐めちゃえ」
上下から、ぬるりとした温かい感触が先端に触れる。
かがんだカヤノの尻が目前に来る。
「くれぐれも牙に気をつけるのだぞ」
二つの舌が、ぎこちない動きで俺の一物を舐めている。
唾液が滴って濡れて行く。
俺の顔に今にも腹這いに近い姿勢になったカヤノの尻が食い込みそうだ。
着物がめくれ上がって、下着が丸見えだ。やはり下着は褌らしいが、どっちかっていうとサイドを紐で結ぶパンツに近い。
……今、夢中になって、俺の両手を解放してるな。
それなら……。
「ひゃっ」
目前の尻が急に持ち上がった。舌がひとつ離れる。
ほれほれ。
揉んでやる。
まだ固い筋肉の発達した尻は、くびれもなく、ご主人様のみっちりした肉置きとは比べ物にならない。その固い尻を揉みほぐすように左右から揉む。股間には絶対に触れない。
「あ、カヤノに何をする!」
もう一方の舌も離れた。
俺の上でぷるぷると悶えているカヤノの向こうに怒ったトモリの顔が見える。
「おまえら、俺にこういうことしてるんだろうが」
「かかさま!」
……やべえ。
見上げると、里長がこちらを立ったまま覗き込んでいるのが見えた。
「まあ、イノシシの男よりは紳士的ではないか。ほれ、おまえたちも反撃してみるといい」
そういって、どっかりとあぐらを組んで座ってしまう。
73 :
イノシシの国:2008/10/28(火) 03:29:22 ID:qZFfB0tv
……性教育かよ。
「むう」
向こう側のトモリがまた顔を埋めた。
う。口に含んできやがった。ぎこちなく吸われると、柔らかい口の中が気持ちいい。
「あっ、トモリ、なんか変な気分になるよ」
俺が激しく尻を揉みしだいているカヤノがうわずった声をあげる。必死に腹にしがみついているように、小さな手が俺の足の付け根辺りを這い回る。
やばい。反応しそう。
……俺には、ヌシっていう、すごいイイ反応示す……。
駄目だ、彼女のことを考えると、逆にたまらない気分になってくる。
俺を置き去りにして、こんな双子の餌食にさせるような里長のところへ預けて。
帰ってきたら、むしゃぶりついて……。
「んっ、やっ、トモリ、助けてっ」
気付くと目の前の小振りな尻がぷるぷると震えていた。
ぷっくりと脹らんだ丘の割れ目辺りが湿り気を帯びて、布地を濡らしている。
布地をずらして、指で直接撫でると、少しぬるぬるしてきた小さな割れ目が、ひくついた。
背をのけぞらせて、カヤノは小さな喘ぎを上げる。
どれどれ、本当に大人にしてあげようかね。
指先で入口を探り当てるようになで回すと、きゅっと、俺の一物を含む口が大きく吸い上げて、そのまま、ちゅぽっと勢い良く唇から外れ、柔らかな頬をかすった。
「カヤノをいじめるなっ」
頬の感触、いいかも。
「俺の上からどけば、考えてもいいけど?」
あくまでも入口には指を入れずに、ぱっくりと開いてくるまで、その周りを優しく指の腹で撫でまわし続けると、俺の上のカヤノは、ただ、俺の腹にしがみ続けるだけになった。
「俺の上から降りて、2人してそこに座れよ」
最後に小さな芽をたっぷり濡れた指で擦り上げて、そう囁く。
こてんと、カヤノの体が横に転がる。
「カヤノ?」
心配そうにトモリがカヤノを抱きかかえる。
俺は上半身を起こして、2人を見下ろした。
「ほら、2人してそこだとやりにくいだろ? 足の上からどけよ」
トモリは飲まれたのか、言うままに、俺の太腿から退く。
俺は膝立ちになって、固い一物を2人の眼前でしごいてみせた。
「さあ、2人ともほっぺたをくっつけて、そこに座りな」
力の抜けたカヤノと寄り添うように、トモリが頬を寄せて、こちらを見上げた。
その唇は、俺の一物を含んでいたせいか、唾液で濡れている。
だが、俺は、十分濡らされた一物を、2人の頬の間にねじ込んだ。
2人は驚いたように硬直したが、手を繋いで、真横の俺の一物に舌を這わせようと、唇を開いて、舌を突き出した。
その扇情的な光景に俺は2人の頭を抑えて、数度抽送を繰り返すと、頬と頬の間で達した。
勢い良く、白濁が双子の頬を汚す。
そのまま俺が尻餅をつくと、服にも、耳にも、白濁が飛び散った。
顔を汚された双子達は、ぺたりと座り込み、白濁がこびりついた頬をくっつけあったまま、首筋にとろりと流れ落ちていく白濁に汚されるまま、惚けていた。
(ヒト編 伍 了)
乙!そしてGJ!
いやー、朝一番に覗いたら作品投下で俺歓喜。
つか発射場所マニアックだなw
だがそれがいい。
朝からよい物をありがとうございました m(_ _)m
ロリ双子とは!ぐっじょぶ!
ぬう、ゴボウの分際でうらやま……いやいや、炉裏顔射は倫理的に犯罪だw
GJ。
見られて悦ぶなんて……ゴボウのHENTAI!!
GJでありました。
くびれなし!くびれなし!GJ!
変態という名の紳士…否、もはやゴボウという名の変態だな!
新しいヒトの使い方だな。
楽しまして貰いました。
でも、意味深な展開にも見えるのは辛いなぁ
保守
キャベツがくいたい。
突然何を言い出すんだwww
エロって何だろう。
肉体的刺激と勘違いされやすいけれど
実は精神的刺激とみた>エロ
肉体的刺激だけなら
別に猫耳ついてなくてもいいもんな
人間は精神的刺激で肉体的刺激の記憶を思い起こすわけだが、
(参考:ウソップスペル)
エロに関してはそんなレベルではない飛躍をみせるよな。
ネコミミや触手なんて体験した人間がいないはずなのにエロの一ジャンルとして成立する。
恋に恋するって現象もこれと似たような物だろ?
戦前の哲学者である九鬼周造いわく「エロは肌への通路の暗示」だとか。
この間NHKでやってたやつの受け売りだけど。
…しかし、戦前の哲学者がすでにチラリズムを論じていようとは。
人間、進歩したところで変わるわけじゃないからな。
エロは妄想力だと思う。
何せ同じ単語でもエロを感じるのと感じないのがいるわけで。
例えば上にも出てたような『触手』とか。
その辺りは個々人の好みにもよるけど。
エロ小説ばっか読んでると「蜜」って字がエロい意味でしか考えられなくなる
「兎」というのがもう弱い者の象徴に思えなくなってきたのはこのスレのせいだw
>>91 原因の一端を担った身としては、責任を感じざるを得ないなw
>>91 ウサギは(下半身が)寂しいと死んじゃうんだぜ?
「獅子は兎を倒すにも全力を尽くす」
意味:屈強な獅子の武闘家ですら、兎から貞操を守るためには全力で倒しにかからなくては危うい。
猫明書房「おちもの諺全集」
歯磨き粉吹いたwww
「脱兎の速さ」
兎が服を脱ぐ、あるいは服を脱がせる様。転じて、非常に素早いことの例え。
>>96 孫子の兵法に「始めは処女の如く後は脱兎の如し」っていうのがあるな。
意味は「最初は弱く見せかけておいて後には別人のように力を発揮する」と。
…あれ?なんか深読みするとヤバくね?
せっかくだから流れにのるぜ。
「兎の子生まれっぱなし」
ヒト世界では無責任の例えだが、こちむい世界ではずっと子作りのターン!の意。
兎の諺って意外とあるのなw
狡兎三窟
賢い兎は常に三つの穴(口、性器、肛門)を開発していて、仮にひとつの穴が使えなくなっても別の穴でやれる。
準備を整えること、危険に備えることの喩え。
99 :
名無しさん@ピンキー:2008/11/10(月) 14:01:50 ID:cVurC3jg
ほれ、wikiから借りてきたぞw
○ウサギにまつわる慣用句、ことわざなど
・脱兎(だっと)の如(ごと)く
兎が駆けるように非常に速くて捕まえられない事の例え。
・始めは処女の如く、終わりは脱兎の如し
始めはおとなしかったのが、終わりに近づけばだんだん勢いが増して抑えられない状態にまでなってしまう事。
・二兎を追うものは一兎をも得ず(二匹の兎ともいう)
欲張って一度に2つのものを狙うとかえってどちらともの目的を果たせなくなってしまう事。
・兎角亀毛(とかくきもう)
兎の角は実はウイルス性のイボ、亀の毛は甲羅に生えた藻。主観的にはあたかも存在するが、真実としては現実には存在しない物のたとえ。仏典に登場する言葉。
・兎に角(とにかく)・兎も角(ともかく)・兎角(とかく)
上記に由来する当て字。夏目漱石が使用して一般に定着したとされる。
・兎死すれば狐これを悲しむ
同類の不幸を縁者が悲しむ
・兎に祭文
何の効果もないこと
・兎の登り坂
物事が順調に進む
・兎の糞
長続きしないことの形容
・兎兵法
実用的でないこと
・兎の股引
後が続かないこと
・兎起鶻落
勢いがある
・獅子搏兎
容易なことにも全力で努力する
・狡兎三窟
難を逃れるのが上手いこと
・犬兎の争い
当事者が争っている間に第三者に横取りされる
・守株(株を守る)
中国の故事に由来。木の切り株にウサギがぶつかって死んだのを見た農夫が、楽して儲けたと思ったため、農作業をするのをやめ、
ひたすらウサギが再び切り株にぶつかるのを寝て待ったことから、旧慣に拘ることを意味する。
北原白秋作詞、山田耕筰作曲の童謡「待ちぼうけ」もこの故事を元にしている。
>99
狡兎死して走狗煮らる なんてのもあるな。
せっかくなので便乗。
二兎を追うものは一兎をも得ず
3Pをしようと二人のウサギを呼んだら、ウサギ同士で始めてしまい自分は仲間はずれになった。
このことから、欲張りすぎると却って損をするということ。
>始めは処女の如く後は脱兎の如し
「それって、単にウサギの処女じゃね?」
「だが待って欲しい。たとえ処女といえど、ウサギが大人しいと言うことがあり得るだろうか?」
「そりゃ…… そういうのが好きな奴を釣るための擬態だろ」
「汚い流石ウサギ汚い」
だめだ
もう書けない
言葉が頭に思い浮かんでこない
楽しみにしてる人
ごめん
>>101 焦るな。この先6年間までは待つから。
101匹ダルメシアンの子犬にまみれてエネルギー補給しれ。
経験として、無理に絞り出して書き続けるより、半年ぐらい放置してたら復活したときに自然と言葉が溢れてくるし、作品の密度も濃くなる。
……だからこのスレの住人は遅筆が多いw
>>101 (スランプは)初めてか?
(肩の)力抜けよw
ンなもんで気を病む必要ねーって。
気にすんなw
俺なんか完全に放置してるぜw
気にしねーでチャット来いよ
また書きたくなるから
>>105 心当たりが多すぎて一体誰だかw
スランプ解消法といえば、全然別の話を書いてみるなんてのも意外と良かったりするw
普段使わないところの脳内筋肉を使うと結構調子が上がる。
まあそう簡単には爆発しないだろうけど放射性物質はそれだけで危険だからなぁ。
某国の海賊みたいに何が何だかわからないうちに…って事になりかねん。
逆に妙な進化した怪獣娘とか出せるかもしれないとか考えるのがココ的には正しい対応…か?w
チラ裏。
召使い君にご主人様を「わが君」と呼ばせたいと思ったが、
普通に考えて二世世代か幼年期に落ちたキャラでないと、普通はわが君なんて呼び方しねえよなぁw
逆転の発想
落ちたヒトは騎士でした
ヒトが騎士マニアか、ご主人様に呼び方強制?
騎士かぶれの時代錯誤な電波ちゃんなヒトではどうかと。
あれだ、かっぱ寿司に行くような女騎士なんだろう。きっと。
ご主人様が「わが」という名前
召使い君が年上属性
「ワガ君」
なせたんという前例もあるし、ヒトが必ずしも現代日本から落ちる必要はないのだよ。
というわけで外人もっと希望
主人「紀元前37世紀の中央アジアから落ちた主人公はどうだろう」
従者「何が住んでたかも想像付かんな、それ」
>>116 バラージの民が住んでたんだな。
で、ウスバカゲロウの家族に拾われて子供達の世話をさせられると。
まっさきに「たらちね」ヲタ設定を思い浮かべた古典落語好き。
>>117 その子供たち、金属引き付けたりしていないか?w
うぃき更新です。
諺は勝手に載せちゃいました。
乙
つか諺載せたのかwww
乙!あらためてクソワロタw
123 :
名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 22:00:08 ID:UbkIxk1G
とんでもない物を知ったのでコレを張ります。
気分を悪くしたなら申し訳ありません。
●国籍法改正案とは?
D N A 鑑 定 な し に、男親が「俺の子です」と認知さえすれば、
外国人の子供が誰でも日本国籍を取れてしまうようになるザル法案。しかも、罰則は超緩い。
●成立すると起こりうる問題
DNA鑑定不要→偽装認知が簡単 / 母親と結婚していない人でも認知可能→1人の日本人男性で何百人もの認知が可能
その結果…
・人身売買・児童買春など悪質なビジネスが横行
・偽装で取得した子供の日本国籍を盾に続々と外国人親族が日本に大挙
→外国人スラム街が誕生し、治安が悪化。いずれ日本のことを外国人に決定されるようになる。
・巨額の血税が、偽装認知で生活保護の権利を得た外国人親族のために公然と使われる など多数
この様な日本にしないためにもこの事を知らない人たちに知らせたり、議員の方にFAXを送ってもらえませんか?
ご協力をお願いします。
>>109 よくよく考えてみれば、「ご主人様」だって結構特殊な呼び方だし、
「雑巾」や「駄狐」に比べれば至って普通だと思うがw
まあ、真っ先に思い浮かんだのはオバチャンのヒト奴隷が没落貴族のボンボンをからかう所だが。
従「ほらほら。いつまで寝てるんです? とうの昔にお日様は顔を出していますよ。さあ、起きた起きた」
主「さぶっ! ……何度も言うが、僕より年下のくせに子供扱いはやめろ。没落したとはいえ、僕は……」
従「はいはい。いつまでも片付かないから、さっさと朝ご飯食べちゃってくださいまし。 我 が 君 ?」
主「分かった! 分かったから、シーツごとずり降ろすのは止めてくれ!」
みたいな。
一芸もなくむこうに落っこちたら、保護者に従うしかないような気がする。男女問わず。
「わが君、て、呼んでくれる?」
「なにそれ。それがいいの?」
「わが君、て、呼んでくれる?」
「何言ってんだ?! わがきみ?」
自然に呼ぶシチュは無理だったすまん
>>109
>>124 >オバチャンの人奴隷
そういや魅力ある人妻ってのも
きっと落ちてきてんだろなー
んで旦那のことが忘れられない人妻と
それに薄々と気がついてて
手を出しあぐねる優しい獣人…
ってアレ?
俺さっきまで「アナタ、ごめんなさい」
とか言いながらエロエロに調教される
人妻奴隷を妄想してたのに
どこで間違ったんだろう
127 :
126:2008/11/16(日) 02:35:10 ID:mh4GZFKi
間違った
× 人奴隷
○ ヒト奴隷
「我が君と呼べ」
「わかったんだよ、ワガキミくん」
こうですね! わかってます!
まずはカモシカが押し倒して一発。前に中田氏したことがあるらしく、イヌも腰がはずんでいる。
さあ次は我輩と乱交だと用意していたら。なんとイヌはおいらをガン無視
えー 乱交どころか、一回も目を合わす事もない。
いやいやちょっと待ってよ。セクロス好きなんじゃないの?ここエロパロ板なんじゃないの?
我輩、S級国際犯罪者やってるんすけど
ははあ。この人、我輩の事知らないな。セクロス好きでもウサギは見てないのね。
てか、天才科学者ザラキエル博士を知らないな。待ってくださいよ。我輩、絵茶調べ認知度98%なんですけど(中略)
……こんなもん考える暇があったら本編書けと、俺。
暇ができたら参加しようと思って早数か月
狼文化の話はどの辺読めばいい?
>>130 俺もまとめwikiに来てるのしか読んどらんが、狗国に基本的な設定がのっていて、
後は短編に狼の話がいくつかと、犬国と万獣と銀輪に狼が居た気がする。
ただ、万獣と銀輪に関しては、文化的な記述は出てきていない。
書いてる人によって細かな部分が異なってるんだけど、
個人的な見解としては、ネイティブアメリカンと原始的な精霊信仰が入り交じった感じ
>>狼
部族の違いとかで言い訳できるし、多少は自由にやっちゃっていいんじゃないかな。
短編
「わが君。朝餉の用意が整いましてございます」
「うむ、くるしゅーない」
「本日のメニューは卵と燻製肉のスープでございます」
「おお、そうか、そりぇっ」
「…わが君?」
「わうー、したかんだー」
「大丈夫でございますか、わが君…ぷふっ」
「わらうなー!」
「いややっぱこの口調無理だってば。私が使うだけでも吹き出しそうなのに、こんな可愛い男の子が無理して使ってるの見てるともう鼻血我慢するので精一杯よ」
「かわいいおとこのこいうなー!ぼくはとうしゅだぞー!」
「はいはい解ってますよーわが君。解ってますから早く大きくなりましょうねー…ぷっ」
「またわらったー!」
「いえいえそんな事は。もう私鼻血噴出しそうなのを抑えるので精一杯ですとも、ええ」
「うー」
もふもふ子犬な没落貴族の男の子と、こちむい世界に落ちてきたノリのいい家事手伝いの会話でした。
どんなちっこいもふもふわが君なのかもっと具体的に説明しろー!早くー!
家事手伝いさんは何歳くらいなんだろか、
だめだヨークシャーテリアでわが君想像したら本当に鼻血でそうになった。
俺はサモエドの子犬で想像してしまったw
かわいいなぁ
狼は中央と辺境があったはず
辺境はネイティブアメリカンみたいな感じで部族単位
中央は普通の国みたいな感じで
何処に書くべきか迷ったんだけど、ここへ。
なんか最近本スレが停滞気味だなぁと思っていたら、某獣人スレの投下作にこのスレの某中断放置作品と同じ臭いのSSを見つけた。
裏切られたと言う表現は使いたくないが、なんかすごく残念。
こっちに投下しろって意味じゃなくて、あっちに移動したなら一声掛けてくれよ、と。
あんたの作品のファンなんだからさ。まじで。
獣人亜人少年少女のほう?
>>136 まあ、職人の移動は実はよくあることだし、お姫様でエロなスレなんて、恐ろしいことにメイン張ってたのがが他スレからの移動作品だったりしたからなw
このスレでも、例えばピューマさんなんかは、もともと亜人スレに投下する予定のSSをこっちに投下してくれたりしたんだぜ。
>>136が誰を指してるのかはわからないけど、移動するときは案外そっとフェードアウトするもんだから、あまり苛立たない方がいいかと。
……ていうか、停滞してるのは俺ら残留書き手のせいだから(´・ω・`)
匿名掲示板なんだから、書き手本人が言い出さない限り、気になっても胸にそっと潜めておくモンじゃないの?
考え方はそれぞれだろうけど、表に出してプレッシャーかけるようなマネは俺はしたくないとオモ
こっちに書いたのがまだ救いか。
他スレに乱入して暴れられたら向こうにも迷惑だし、こっちの品位も疑われるからなぁ。
わざわざよそのスレとつまらん揉め事は起こしたくないし。
別にプロというわけではないしな。
完結させて欲しいとは思うが、完結させる義務があるわけでもなし。
それに移動したなら一声掛けてくれと言っているがどう掛けろと?
あっちに移動しますとココで言うのか?
それともココから移動してきましたとあっちで言うのか?
どちらも問題があると思うがな。
>>136 自分が続きを待ってるのになんで他所で書いてるんだ、はやくこっちも書け!!
つまりはこういう事ですか? すみません、わかりかねますwww
皆、幾つものスレを掛け持ちして書いたり読んだりしてる訳で
時と場合により優先順位が上下するのは当たり前じゃない
でもまあ、ここで書いてる人達が他のスレなんかに出張して書いてくれたりしたら
俺はそれだけで嬉しくって座りションベン漏らしちゃうけどねww
文句をつける筋合いのことじゃないよな。移動先を見つけられた奴は
幸運を喜べ。でも俺もかつてフォ●チ●ンクエ●トの突然の長期中断と
電撃移籍、新刊後書きで説明なし、にはモニョった口だ。気持ちは分かる。
いまなら経済力もあるし雑誌やネットで中断中の情報や移籍情報も
入るだろうけど、毎日本屋で待ってた身には…な…
まあ、移動するならエロパロ板内の類似板に限定してくださいってこった。
そこまでなら頑張って追いかけるから。
本人が本人ですって言ったんじゃないのに主観で決めつけて本人認定?
よく似た作風の別人の可能性だってあるのに特定可能な形で出す神経が分からない
てか、みんなスレ掛け持ちしてるものじゃないの?
おいおい
連載一休みしてる俺には尿道が痛い話だな
オーケー、落ち着け皆。
こんな事で活気が出ても意味がないし投下しづらいふいんき(ry にもなってるしな。
文字通りスレ違いの話として以降スルーしようぜ。
>>143をみて「フェラチオクエスト?電撃文庫はそんなタイトルの小説を出してたのかーっ!!」と思ったのは俺だけで良い。
お前らは俺みたいになるな。じゃあ、サヨナラだっ!!(なんか強大な敵に爆弾抱えて突っ込んでいく)
>>149 早まるなー!
…自分も、一瞬…読んでいたのにもかかわらず……
一緒に行かせてくれ。ずいぶん汚れっちまったもんだ。
晩秋のスキャッパー地方。午前5時30分。
まだ暗い執事公室の目覚ましを止めるのはマサミの役目。
大きなベットの隣で寝ていた妻カナは末っ子の出産以来、慢性的な貧血と低血圧で寝起きが悪い。
母親にしがみ付くようにして眠る子供達を起さぬようそっと妻だけを起こし、自らの身支度を整える。
およそ10年の月日を費やして建てられた新紅朱館の執事公室は、旧館の手狭で急ごしらえの設備だった部屋とは雲泥の差だ。
執事公室の中央にあるリビングは縦横20m程の広さがあり、ちょっとしたホテルのロビーのような雰囲気である。
そして、リビングを挟みおよそ12畳間のサイズになるマサミ夫妻の寝室と、ほぼ6畳間の子供部屋が分かれている。
もっとも、まだ10歳にならない娘麻耶と末っ子の忠人は、まだまだ妻のその向こうで甘えて寝ているのだった。
公室の入り口から見てリビングの奥には簡単なキッチンと洗面台。
そして大浴場の小上がり風呂をそのまま持ってきたかのような家族風呂。
例えて言うならヒトの世界の郊外型高級マンションから一世帯分を抜き取って、それがそのまま新紅朱館へ収まったようなものだ。
ルカパヤンでヘッドハンティングしたヒトの建築士が綿密な計算を繰り返して作ったこの巨大な建物は、地上8階地下2階に及ぶこの獣人達の世界でも中々類を見ない規模でこの地に姿を現した。
紅朱館裏手にある巨大なボイラー室は、スキャッパーの泥炭を棒状に切り出した無尽蔵ともいえる燃料を気前良く焚き続けており、紅朱館の各部屋へ高圧低温と低圧高温に分かれた2種類の蒸気を24時間供給している。
執事公室では、この各部屋を結ぶスチームパイプの熱を使ったスチームヒーターと湯沸かし器があり、これでマサミの家族は自分達の部屋に居ながらふんだんにお湯を使って髭を剃り、歯を磨き、顔を洗う事が出来る。
起床より約20分後。
身支度を整えて朝一番のコーヒーを入れるのもマサミの役目。
しかし、ここ数年はアカシアの蜂蜜をたっぷりと入れたホットミルクになっている。
洗面台の隣、やっと起き上がったカナはパウダールームの3面鏡を使って髪をとかし、ぱっぱとメイクをしているのだった。
「ミルク置いておくよ」
「うん、ありがとう」
「子供たちを頼む」
「うん」
準備するカナの耳元でそっとささやいたマサミは、子供達を起さないようにそっとドアを開けて部屋を出る。
最初に向かうのは紅朱館の統合キッチン。
近隣からの観光客を受け入れるレストラン「スキャッパー」や、2箇所の喫茶室。
紅朱館に詰め働くスタッフや騎士団の為の食堂。
それら全てに供食するための巨大な設備は、専用のボイラーと大きなオーブンを備えた重要な設備だ。
不寝番の火守担当が一晩中管理するそこは火災の発生要因が一番強い場所でもある。
「変わりない?」
「あ、おはようございます執事長。はい、異常ありません」
「初期消火資材の準備は?」
「もちろん抜かりありません」
敬礼し応えるイヌのスタッフに笑顔で頷いてマサミはキッチンを立ち去る。
その次に行くのは主アリス夫人と館主ポール公の寝室。
腕にはめた精工舎製の時計を見ながらドアの前でその時を待つ。
数年前。ルカパヤンで買い求めた自動巻きのクロノグラフは恐ろしいほどの精度で時を刻んでいる。
アリス夫人とポール公の夫妻がマサミ夫婦に贈ったプレゼントは、代々受け継がれる物にしたいというマサミ自身の希望によってこの腕時計になった。
マサミがドアをノックするのはル・ガル王政公国標準時で午前6時ちょうど。
数年前までは1分前にカナがお茶を運んできていたのだけど、最近はキックがその役割をしていた。
「マサミ様、おはようございます。今朝は寒いですね」
「あぁキックさん。おはようございます。冷えますね」
「婦長様は平気ですか?」
「えぇ」
5秒前、マサミの手はドアの前にかざされる。
4.3.2.1・・・・・
コンコン・・・・ ガチャリ
「おはようございます」
毎朝きっかり同じ時間にやってくるマサミに合わせ、その数分前にはアリス夫人とポール公も目を覚ましている。
だが、自室へ主を起しにやってくる執事の為に、ベットの中でその時を待っているのも彼らなりの優しさの一つだった。
キックはややぬる目のお茶を注ぎ夫妻へカップを手渡す。
「マサミ、カナは大丈夫?」
「はい。今朝も起きられました」
「そう・・・・ よかった」
アリス夫人から見てもカナの衰え方は尋常ではなかった。
繊細な両手の指は全部の関節が赤切れを起し、美しいロングの黒髪は白髪が混じって灰色になりつつあった。
「キック。水場担当は抜かりなく仕事をしているか?」
「はい、御館様。婦長様の手を煩わせる事はありません」
「うむ」
過日、ポール公はネコの国から霊薬を混ぜ込む効果満点のハンドクリームを取り寄せた。
ネコの国の物価と照らし合せても決して安くは無い品物なのだが、カナは一言『勿体無い』と言って使わないでいた。
それだけではない。
王都へ上がったアリスが衣装屋に命じたのは、ヒトの手にも合うシルクとカシミアの手袋。
保湿効果と保温効果を持つ美しい風合いなのだが、『これは他所行き用ですね』と言って衣装箱に入れてしまった。
いい歳になってきたメルが城下の商人に頼んで探してもらったウール100%の暖かなワンピースですら『年上のメルさんが着て下さい』と受け取らない。
―― みんなあなたを心配してるの!
見るに見かねたアリスに叱られようやく受け取って使い始めたとは言え、それでもカナの体が衰えていくのは止められなかった。
洗濯も調理も巨大な館内の清掃も、常に先頭に立っていたカナの姿はもう無い。
今は日中に数人の若いイヌを連れて見回りを行い、後進を育てるだけになっている。
そう・・・・
もう長くない・・・・
皆、気が付いている。
―― まだ・・・・ やり残した事が沢山あるから
そう微笑むカナの顔には深い皺が見え始めていた。
8時。
スロゥチャイムファミリー勢ぞろいで朝食をとった長男アーサーが、複数の護衛を付け自分の兄弟達と共にマサミの息子達をまとめ、城下の学校へと出かけていく。
かつて、ヨシとマヤに荷物を持たせ手ぶらで帰ってきたアーサーを、父親たるポール公は公衆の面前で殴り倒した事が有る。
殴り倒すだけでなく、腰から下げていた馬上鞭で血を流すまで叩き続け『愚か者!』と叱責した。
幼いマヤがアーサーにしがみ付いてポールが鞭を振るえなくなるまで殴られて以来、アーサーは次期領主といえ全ての事を自分で行うように躾けられていた。
今日は学校で馬術の訓練があるのだろうか。
一番幼いヘンリーとタダが体のサイズに合わない馬の鞍を抱えてヨタヨタと歩いている。
アーサーはその二人の鞍をひょいと持ち上げ、自分の鞍と一緒に抱えて歩き始めた。
―― 良いかい?アーサー。貴族とは誰かの苦しみや悲しみを肩代わりする義務を負っている。
―― だからその分、普段は良い暮らしが出来るし、民衆より恵まれた食事をし、暖かく眠れるのだ。
―― わかるかね 貴族は常にそれを忘れてはいけない。何時であっても忘れてはならない。そう言うものなのだ。
家庭教師としての立場も有るマサミはアーサーにそう教えている。
かつて、ジョン・スロゥチャイムはこの世界へ来たばかりのマサミにそう教えたのだった。
誰にも恥じる事の無い立派な生き方をする。
アーサーの心に根を下ろしたプリンシプル。
行動原則の根幹はマサミが植えつけて行ったものだ。
10時。
マサミは執務室で所領の経営を行っているアリス公爵とポール公の補佐を勤めている。
午前中の慌しい時間が終わり一息つく時間。そこへお茶を持って現れるのはカナ。
一日のうちで最初にカナの顔をアリスやポールが見るのはこの時間だ。
コンコン ガチャリ
「執務中に失礼いたします」
まだ幼い見習いメイドが緊張しながらお茶のトレーを持っていた。
そのトレーの上で上等なカップへ優雅にお茶を注ぎ、小さなビスケットを添えてテーブルへと下ろす。
今日もカナの手には純白の手袋があった。指先だけはどんなに化粧をしても誤魔化せない。
刻まれる幾つもの深い皺こそが、今までのカナの人生そのもの。
その全てを包み込む手袋こそ、カナの主の優しさなのだろう。
「カナ。お腹は大丈夫なの?」
「えぇ、ご心配なく」
心配そうに言葉を掛けるアリス夫人にカナは笑ってこたえた。
クンクンと控えめに鼻を鳴らすポール公の眉が僅かに歪む。
「・・・・また血の臭いがするな。本当に大丈夫か?」
「御館様。女とはそう言うものでございます。どうぞ、ご心配なく・・・・」
二つの月が引き起こす強い潮汐力の関係で、第1世代のヒトの女は月経で命を落とす事も有る。
子宮内からの大量出血による急性失血でのショック死。
タダの出産がかなりの難産だった関係で、カナの胎内には浅からぬダメージが残っている。
1年に4回の両方とも満月になる月の生理は、文字通り命懸けだ。
「やはり臭いますか? 生臭いですよね。申し訳ありません」
「気にするな。それよりも、頼むから無理をしないでくれ」
心からの言葉でそう懇願するポールの言葉に、カナは優しく笑みを浮かべるだけだ。
―― ヒトはそれほど長生きじゃないですから
口癖のように言うカナの言葉は、裏を返せば人生の終点を覚悟していると言うことだろう。
そんなやり取りを眺めるマサミの顔は、僅かに苦悶の表情を織り交ぜた悲しみの笑いだった。
12時。
午前中の課業はここまで。
マサミが配下のイヌを使って資料の山や報告書を綺麗に片付けるなか、カナはアリスの肩へ薄手のカーディガンを掛けている。
いつの間にか領主夫妻の昼食は紅朱館のレストランから城下のカフェやレストランに変わっていた。
夏でも涼しい冷涼気候のスキャッパーだが、晩秋とは言え日中はそれなりに暖かい。
しかし、フリルの付いた厚手のエプロンとワンピースのスタンドの襟がちらりと見えるだけの肩掛けをカナは羽織る。
さらに、手の甲が半分も隠れる豪華なレースの飾りが付いた袖の先へシルクの手袋をはいて、アリスのカバン持ちをしている。
かつてはカバンが膨らむほどに色々と持ち歩いたものだが、今はカナが持って歩きやすいように荷物は最小限だ。
緩やかな秋の日差しを浴びて暖かな大通りの、ちょっと小洒落たオープンカフェの店先にアリス公爵は陣取った。
湯気の溢れるスープパスタとパンをちぎって浮かべた暖かいかぼちゃのポタージュで昼食となる。
その間にも領民がやってきては挨拶をしていくのだから、おちおち食事もしていられない。
しかし、衰え行くカナの為に、常に暖かく滋養の有るメニューを選ぶのは、領主夫妻の優しさなのかもしれない。
「カナ、寒く無い?」
「大丈夫ですよ。お陰さまで暖かいです」
「そう・・・・」
柔らかく陽の当たる店先のテーブルが空いたお皿ばかりになると、店主は腕によりを掛けて拵えたデザートを用意する。
「婦長様。当店の新作です」
緊張の面持ちで用意したデザートを最初に食べるのはいつもカナ。
彼女が『ウン』と認めれば、そのメニューはレストランスキャッパーのメニューに加えられる。
城下の飲食店にとって最高の栄誉。ヒトの女の婦長の口はイヌの鼻並みに誤魔化せない。
冷たい白銀に輝くスプーンがそっと皿に伸びる。
毒々しい青なのだが、それは青芋を使ったケーキだとひと目で分かる代物だった。
「・・・・いかがでしょうか」
モグモグと舌先で味を確かめるカナの表情は硬い。
やや落胆の色が見える店主だが、黙ってお茶をカップへと注いだ。
湯気の昇るカップを口へ運び一息つくカナ。
「店主さま。このケーキの味はお茶まで含んでの計算ですね?」
「はい、その通りです!」
狙いを読み取ってくれたと理解した店主に笑みが浮かぶ。しかし・・・・
「これ。お茶以外で食べるお客様はどうしますか?」
「あ・・・・」
しょんぼりと落胆する店主だが、アリスは気にせずデザートにスプーンをさした。
「味自体は悪くないんだけどしつこいかな。お茶を飲んでさっぱりすると青芋の後味が出てくるのね」
「えぇ、そうですね。ですから、お茶以外、そうですね、コーヒーとかで食べるお客様には意図が伝わりません」
ガックリとする店主が居た堪れないのか。
マサミはポール公へアイコンタクトを送る。
「店主」
「はい、ポール様」
「後日、再度婦長を連れてくる。その時に挽回せよ。そうだな、1週間後でどうだ」
「がんばります!」
力強く答えた店主にマサミが囁く。
「冬のメニュー変更まで時間が有りません。頑張ってください」
暖かな店先で店主が一人、燃え上がっていた。
14時。
昼食後の午睡は午後の能率アップの為にマサミが始めてた日課だが、それも14時まで。
14時から17時までの3時間は来客の対応でてんてこ舞いになるか、さもなくば南部方面軍の関係者と様々な打ち合わせが行われる。
地域軍統帥代行権を持つ公爵だが、そもそも軍の最高責任者は大将軍であり、そして王位イリア姫だ。
領主はあくまで代行であり、命令ではなくお願いでしかない。それゆえ、時には軍幹部に様々な便宜を施す事も有る。
もっとも、その南部方面軍総監がアリスの父ジョン公の育てたバウアー将軍とあっては、無理難題を押し付けられる事は極稀だ。
様々な陳情や訴訟事を持ち込む客に混じりフラリと現れるバウアー老は、いつもの様にポールを叱責し帰っていく。
「ポール、大丈夫か?」
「・・・・今日のお説教は効いたぜ」
先般の演習で平原戦闘における深々度穿孔突破戦術の指揮を執ったポールだが、その本当に細かなミスまで全部書き上げたメモを手渡し、この戦闘を実際にやった場合、おそらくネコの国ならこの程度、トラの場合ならこの程度。
そう記載された予想被害のメモは戦慄に値するものだ。
―― 手痛い犠牲を出さぬように面ではなく点で突破を図る戦術だ。
―― これでは安心して兵も戦えん。士官学校の戦術解析なら落第どころか退学ものだな。
ひとしきり叱責した後は学校から帰ってきたアーサーとタダに剣術の稽古を付けて帰っていく。
孫好きの好々爺といった風体の将軍とて剣を握れば一人の戦士。
容赦なく剣を振り、寸止めを繰り返しながら戦い方を教えている。
「マサミ殿、そなたの息子はヒトの割りに筋が良い。きちんと教育すれば剣闘士になれるな」
ヒトの世界の立体的な戦術を教えているマサミにとってすれば、切られて果てる可能性を持つ剣闘士など慮外も慮外だろう。
褒められ喜ぶ義人に、ある程度の距離から威力の有る銃で撃てと教える父マサミ。
「やばいと思ったらまず逃げろ。人の世界じゃこう言うんだ。36計逃げるに如かずってな。勝ちが見えないなら一旦退却だ」
そんな卑怯な事が!と訝しがるフェル・バウアー将軍にマサミは平然と言った。
死ぬのが自分だけなら名誉の為に死ねますが、巻き添えで死ぬ者は良い迷惑ですよ。
みんな生活があるし家族があるし。それに、死んで花実が咲くものかってね。
重要なのは勝つ事だと思うんですよ。卑怯と言われようが汚いと言われようが。
まずは生きなきゃ。
そっと笑みを添えるマサミの言にバウアー老は二の句をつけ損ねてしまったようだった。
「マサミ殿・・・・ いや、それも正論か。この歳になってもまだまだ学ぶ事が多い」
「いえ。本来ならば将軍の言われる事が正当です。ですが、我々ヒトは守るべき名誉を与えられてませんから」
「そうだな。奴隷階級は名誉を守る必要などないからな」
マサミの哀しそうな眼差しに、バウアー将軍は肩をポンポンと叩く事しか出来なかった。
「いつの日か。ワシの目がまだ黒いうちにそんな世界が来るといいな」
「来てもらわねば困ります」
「そうだな。そなたの息子や孫たちがヒトの名誉を守るために命を賭して闘うだけの価値を認識出来る時代が・・・・」
17時。
学校から帰ってきた子供たちの世話をしていたカナの所へメルがやってきた。
「婦長様。今、アリス様のところへお客様がお見えになりまして、今宵は歓迎会をされるとの事です」
「え?どちら様ですか?」
「執事様が言われるに、ルカパヤンの方との事です」
「・・・・そうですか。聞いてませんね。どちら様でしょう」
不思議がるカナだが、メルは気にせず続けた。
「執事様が会場を設営されているので、婦長様はご家族に正装をさせてご自身も正装してお待ちになるようにとの事です」
「はい。承知しました。夫にそのように伝えてください」
「承りました。カナさん、今日は一番良い服を着て待っていた方がいいみたいですよ」
「え?じゃぁ・・・・ 誰だろう?」
ニコッと笑ったメルは軽く会釈して公室を出て行った。
埃に汚れた子供たちを風呂に入れて着替えさせたカナは、自らも上等の衣装を出してドレスアップしている。
その着飾った姿に麻耶だけでなく義人も忠人もニコニコしていた。
「お母様、凄く綺麗!」
鏡に映る自分を見ながら、カナは改めて白髪交じりの髪を気にしていた。
「仕方がないわね。白髪染めなんて無いし」
苦笑いするカナを子供たちが目を輝かせてみている。
その後ろ。唐突に部屋のドアが開きマサミが入ってきた。
「カナ、俺の出してくれたか?」
「そっちに出てるわよ〜」
「すまんすまん」
「ねぇ。お客様って誰?」
ニヤッと笑ったマサミは軽くウィンクして着替えている。
背の高いマサミが三つ揃えの背広に袖を通し、サテンの蝶ネクタイをきりっと締めれば、その姿はいずこかの紳士だ。
見事にオールバックの頭髪へ櫛を入れて崩れぬよう整えると、子供たちの肩に手を置いて言った。
「今日は大事な日だ。粗相をするんじゃないぞ」
うん!と頷く子供たちに笑みを浮かべ立ち上がったマサミはカナの手を取って部屋を出た。
「どこへ?」
「領主公室だ」
「歓迎会は?」
「まずは公室へ」
不思議がるカナをよそに、マサミは子供たちに目をやりながら歩いていた。
途中、館内ですれ違うスタッフが「おぉ!」と声をあげる程に着飾る執事と婦長の夫婦。
ある意味、動く高級品のヒトがもっと高級に見える瞬間だった。
18時
領主公室ではアリス夫人がポール公と待っていた。
反対側にはルカパヤンからやってきた数名のヒトの男たち。
コンコン
ドアのノックと共にマサミの声がする。
「アリス様。お待たせしました」
ガチャリとドアが開き中へと歩み進むマサミ。
続いて部屋へと入ったカナは苦笑いを浮かべた。
「なんだ、誰かと思えば・・・・」
「びっくりした?」
「急なお客様で正装と言われたので」
してやったり!と言う笑みを浮かべるアリス夫人。
ポール公も笑っていた。
「カナ。マサミも。日頃から世話になるな。今日は俺とアリスからの心ばかりの礼だ」
「実は俺もさっきポールに聞いたんだ。俺の与り知らぬ客が来るなんてとびっくりしたが」
「まぁこういう物は驚かしてやらんと詰まらんからな。さぁ、並んだ並んだ」
マサミの家族を急かすポール公。
領主公室に来ていたのは、ルカパヤンからやってきた写真屋だった。
「さて。では撮らせていただきますよ! よろしいですかな?」
大きな背景ロールを天井からぶら下げ、フラッシュバルブをくっつけた照明傘をいくつも並べた写真屋の男が笑っている。
「今日は何の日で写真なの?」
カナが尋ねるように声を出す。
その声に答えたのはアリス夫人だった。
「良い夫婦の日よ。写真撮るのはタダ君が生まれた時以来でしょ!」
アシスタントの指示した線にマサミの家族が揃った。
「忠人。強い光が来るがびっくりするなよ」
忠人は振り返って頷いた。
その背中をカナがそっと押す。
「前を向きなさい」
再び揃った家族。
写真屋の向こう側でポール公がアリス夫人と共に笑って見ていた。
「はい、では撮りますよ〜! 目をつぶらないでくださいね!」
ボン!
5つのフラッシュバルブが同時に光り、そのシーンを初めて見たと言って良い忠人は新鮮に驚いている。
マグネシウムの爆ぜる臭いと瞬間的な眩さに子供たちは自然と笑顔になった。
「はい、もう一枚撮りま〜す。いいですかぁ?」
どこか抜けた調子の言葉にカナも笑みを浮かべる。
そんな写真技師の声に、マサミはそっとカナの肩を抱き寄せた。
ボン!
「はい、お疲れ様でした」
冠布から顔を出した技師がニコリと笑いながらフィルムを引き抜いている。
ヒトの世界から落ちてくる写真道具などは下手なものより余程高級品だ。
魔法や魔道具で動作するこの世界の記録道具と異なり、化学変化を使って生み出される一瞬の芸術。
当然、たった一枚の写真とて、下手をすれば家が一軒建ちかねない程の金額になる事もある。
「もう一枚撮れるかしら?」
片付けを始めようとしていた技師にアリス夫人は声を掛けた。
「えぇ・・・・ あと一枚でしたら何とかなりますが・・・・ スペアのフラッシュバルブがあと一回分ですから何とか撮れます」
「そう。じゃぁもう一枚撮ってくれる?」
「はい」
再び支度を始めた技師がいそいそと動き回るなか、アリス夫人はマサミの子供たちを呼んだ。
「こっちにいらっしゃい。お父さんとお母さんだけで撮りますよ」
はーい!
元気に声を出して忠人と麻耶が走っていった。
義人は一回振り返って両親を見たあと、そっと兄弟の後を追った。
「では改めまして! もう一枚! よろしいですか?」
マサミはすっとカナの背中に回ると、自分の胸の前で妻を抱きしめた。
その太い腕にカナがそっと手を添える。
「今日はいい日ね」
「あぁ。ヒトの世界じゃ写真がこんなに貴重じゃないからな」
「写真って良いものね。気が付かなかったわ」
「この世界じゃヒトの世界の便利さが身にしみて分かるよ」
カナを抱きしめるマサミの腕に、いつの間にか痩せ細ってしまった妻の骨の軋みが伝わる。
―― ・・・・痩せたな。
―― いや、痩せさせてしまったな・・・・・・
「でも、幸せよ。あなたと一緒に居られるから私は幸せ。」
「そうか。俺もだ。幸せだよな」
自然とこぼれる柔らかな笑みに写真技師が冠布から顔を出した。
「実に良い表情ですね。撮りますよ!」
ボン!
遠い日。街の映画館で見たワンシーンのように、全てがスローに見える。
写真技師とアリス夫人が何事かを話している。
綺麗に着飾った妻を子供たちが嬉しそうに見ている。
そして
「マサミ。良い夫婦だな」
「ありがとう。俺は良い主に拾ってもらったよ」
「そうだな」
「おいおい。ポール・ゴバーク・スロゥチャイムもまた我が主ぞ?」
「そうか、知らなかったよ」
はっはっは!と笑いながらポール公は写真技師に白紙の小切手を渡した。
アリス夫人も見ている前で技師は金額を書き込み、そこにアリス夫人が決済のサインを入れた。
「マサミ!写真が届くのは一ヵ月後だ。楽しみにしていろ!」
まるで我が事のように喜ぶアリス夫人の笑顔に、マサミは何か急に不安めいたものを感じるのだった。
21時
写真の後、そのままの姿で夕食をとるマサミの家族。
今日は子供たちを連れて城下のレストランへとやってきた。
アリス夫人がマサミに手渡したのは一枚の招待状。
城下の商工会がマサミ夫婦の為に用意した良い夫婦の記念日チケットだった。
「執事様。いや、マサミさんと呼ぶべきですね。おかげさまで良い夫婦の日と言うイベントも広まってきました」
「これは当商工会からのお礼です。どうぞごゆっくり」
会頭と議長の挨拶を受けて席に付いたマサミの家族。
子供たちも含めて外で食事を取れるヒトの家族が、この世界に幾つあるだろうか。
「ここまでやってきた事は無駄じゃなかったわね」
「あぁ、これもカナのおかげだよ。ここまでこれたのは全部」
「ありがとう」
マサミとカナのグラスにワインが注がれた。
子供たちのグラスにはリンゴのジュースが。
「じゃぁ、いいか? 乾杯」
家族揃って食事に出るのはこれが最後かもしれない。ふと、そんな気になったマサミの目がカナを見ている。
子供たちのおいしい!と言う言葉に目を細めるカナを見ながら、マサミはグッと涙を堪えていた。
「カナ。来年も来ような」
「・・・・うん。大丈夫」
たまらず外を向いて涙を我慢するマサミの目に、滲んだ二つの月が写った。
やや欠けている月の光りが降り注ぐ街に冬を告げる風が吹いている。
「冬が来るな」
ゆきだるまー!
そんな声を上げる忠人にカナが笑っている。
―― 来年もこうやって過ごせたら・・・・・
「大丈夫よ。まだ死なないから。この子が分別付く歳まではね」
マサミの苦悩を見透かしたかのように、カナは静かに笑うのだった。
外伝第4話 良い夫婦の日特別 〜了〜
夢日記の人乙!!
熱々のスープパスタとかぼちゃのポタージュ美味そうです
……本人とその周囲の覚悟が切ないなぁ
一部今の自分の心境に被る部分があったよ
も一回読み返してきます…
おおー、いい夫婦の日にも合わせたGJ!
あいかわらずうまいなー
一日遅れだけどうちの奥さんに花でも買って帰ろうと思う。
良い話でした。GJ!
家族がいるとここまで強くなれる物なのかと、羨ましく想う。
ところで、来年は丑年だけど牛さんって出てきてないよね?
牛は出てきてないな。
ただミノタウルス(牛丼?屋)て名前はどっかの作品に出てきた。
朝、絞りたての牛乳を配達する牛がいてもいい。
私はそう思う。
あ、出向いてから絞ると言うのもあ(ry
牛乳派と山羊乳派の過酷な顧客争いですね、わかります
ウシって種族の基礎設定として
♂:ミノタウロス
♀:角付きでバインバイン(←ここ重要)
食べ物、Beefとしての牛とは種族的特性が異なる。
この世界での牛肉≠人間世界での牛肉。
でも、主要産業はミルク関係。
牛の乳を搾ってウシさんが生活してる。
決まった所領や領地・領土はなく、ジプシーの様に遊牧・放牧して生活。
中央大陸の温暖な地域で広範囲に生活しており、
各国の経済にそれぞれ組み込まれつつも流動を繰り返している。
これで桶?
避難所行った方が良い?
うん、ネタじゃなく本格的に決めていくのなら避難所の方がいいかも。
鍋の季節になったけど、ネコってやっぱり猫舌なんだっけ。
「めんしゆ」なんてものがまかり通る国に鍋文化があるとは認めないと猪と狐とヒトが怒ってますw
「めんしゆ」使用のうどんは特に記述されなかっただけで
猫舌仕様ぬるウドンだったのかもしれない。
でなければ魚醤の匂いにいくらヒトの鈍い鼻でも気付かなかったわけがない。
と後だしを言って本質の猫舌問題からは逃げますごめんなさいごめんなさい。
(メンシユ掌編はのちに補筆して出します)
個人的にはネコは猫舌の方が面白いと思います。
>>173 秋田の方にはしょっつるを使ったうどんとか、鍋料理とかがあるんじゃね?
と、関東在住の俺が100%偏見で言ってみる。
どうでも良いが、牛と山羊の争いと聞いて、某黄金聖闘士しか思い浮かばない orz
このままでは山羊さんが手刀で全てを切り裂き、蟹と魚は要らない子になってしまう。どうしよう?
176 :
サルカニ:2008/12/01(月) 17:02:27 ID:SGHRFdl3
>>175 しょっつる鍋はハタハタがメインの具です。
>>176 ∧∧
(<@>)
乙( )
じわじわと世界が見え始めてきて良い感じ。
>176
もう投下ないかと思ってた!
嬉しいからちょっと1から読みなおしてくるわ。
>>176 押し倒されたいと思ったw第二話と、外の光景が魅力的な第三話。それぞれ乙です。
続きも待ってます。
>>176 待ってました!
わー、やっぱり文章の雰囲気好きだー。
ハ,_,ハ
ミ<@>ミ
乙:ミ: ミ
"゙'''~"~
ちょっともっさりさんっぽくしてみた。
何の眷属だw
使い魔か、魔法実験の服産物っぽいなw
こんなんがぽこぽこ産まれる魔法実験て…w
やりそうなのはやはりネコの国か?w
186 :
タダノサケビ:2008/12/06(土) 18:02:10 ID:J0nsIUfg
GJ!
爬虫類いいなあ
これは良いエロ…
ご主人様変態すぎるww
>>186 何がエロ不要論だっ。
しかしこれ、ご主人様もあれだが語り手の美女wも結構w殴るなよ股間をwww
笑って、ツッコミ入れて、エロでハァハァしたよGJ!
初投稿+爬虫類でビクビクしてましたが好評なようで何よりです。
これって避難所でやるべきとか思ったけど後の祭りだよね!
いやいやとてもGJでした
しかしいじめっ子の尻に蛇突っ込むなんて…ゴクリ
保守しとくか
保守神様保守神様。来年こそ神が再臨くださいますように ナムナム
>>195 つまり、今年書いた奴は全員ハズレ、誰一人神はいなかったと言いたいんですねわかります
神様気取るほどうぬぼれちゃいないが、自分の投下したものにはそれなりの自信は持とうと思ってる。
自信とかどうとかじゃなくて、少なくとも始めた以上は終わらせたい。
他の職人様方から比べれば小さな風呂敷だが、きちんと畳みたいなと。
広げるだけ広げて投げるとか、ありえない。
最初はみんなそう思うんだ
畳むのが面倒になってきて
「夢オチにしちゃおうかなぁ〜」
とか思ってる俺、逝ってよしだなw
大風呂敷を畳むためにも、まずは1年10ヶ月ぶりに主人公カプを再登場させないといけないw
……だが、いまだに書き足りないネタが残っているから困る。
自分は書き手じゃないからこう思うのかもしれんけど、
続いてる限りはいつまでも続きをwktkできてそれはそれで好きだ…。
こちむい世界での生活を垣間見るのが好きというか。
>>202 それは書き手を甘やかす危険な言動だ…。
でも読み手としてはとてもよくわかる。
終わる事を目指す物語と、終わる事を考えてない物語があるからなあ。
ダイの大冒険とこち亀の違いといおうか。
数百年前落ちて細々と続くヒト一族
じつは近代医療を一子相伝で受け継ぐドクター族だった!
認めない獣人組織によって切り裂き魔として追われる
だが彼には希望がある救命者の名を満杯にすると人権寄与
するという前犬王との約束の本、、、、それを追うヒト弾圧組織
はたして彼の運命は?!
って駄目だーコレ
なんか、限りなくパクリの臭いがするw
>>205 打ち切り臭プンプンだなw
無限のフロンティアというゲームをプレイしていてふと気づいた。
この世界の獣人、こちむい世界と基準が似てる。
男は獣面、女は耳尻尾。
まあ日本で獣人っていったらその組み合わせの方が多いのかもしれんけど。
守銭奴な猫商人が出てきた辺りでちょっとだけくすりと笑えた。
>>207 ヒトノソリンはいかがなモノかと思われるアレの事か。
>>208 せつこー それフロンティアやない ファンタジアや
ま…まろ… まろやかぁーん!
まロいの意味は不明だが言いたい事はなんとなくわかるぜ同志
ほらスレに戻るぜ馬鹿佐山。
〜承前
紅朱館の領主執務室は3方を窓に囲まれた見晴らしの良い構造になっている。
それぞれの窓の外には大きなバルコニーが備えられ、領地を見下ろす様な形になっていて見晴台の役目も兼ねていた。
その執務室の中央。
一段低くなった部分には大きなソファーが向かい合わせて置かれていて、その周囲には窓の桟より低い本棚が部屋の壁より離れたところを一周している。
万が一にもここで銃撃戦などが発生した場合、身を隠せる遮蔽物を多く置いたほうが良いと言うマサミの意見はこんな所でも活きているのだった。
「余計な事は言ってない?」
やや険呑な口調ながらアリス夫人の目は笑っていた。
「えぇ、もちろんですとも。マサミさんとの約束でもありますし」
ソファーに深く腰掛けるマダラの男はそう答えてからお茶を啜った。
「もう25年か・・・・ 年月と言うのは早いものだな」
感慨深いと言う風のポール公はジッとマダラの男を見ている。
「私の顔に何か?」
「いや、そうではない。ただ、マサミの若い頃の顔立ちを思い出したのだよ。お前にはやはりそれが残っている」
「そうですか」
マダラの男・・・・ サムはどこか嬉しそうに答えた。
「ヨシ君やタダ君はどうですか?」
「あの子達はカナの色が濃いかしらね。どちらかといえばマヤの方がマサミ似だと思うわね」
「言われて見ればそうかもしれません。マヤ君の眼差しは父によく似ています・・・・ おっと」
おっと失言と言わんばかりにビックリな表情のサム。
「気をつけろよ? 絶対だぞ?」
ポール公はもう一度年を押す。
「はい、肝に銘じます」
「うむ」
フフフ・・・・
ポール公は急に優しい笑みを浮かべる。
「要するに、査察なんぞ形式的なもので・・・・ お前はあの子たちが心配なんだろう? 軍が来るのを知って様子を見に」
「そんな事はありません。職務の一環です。でも、まぁ・・・・」
苦笑いするサムを眺め、アリス夫人もポール公も、まるで家族と話をするような笑みを浮かべている。
「ところで、あの娘はどうしたの?」
「ミーシャですか?」
「そう」
ちょっと困ったような表情のサム。
本来は領主夫妻の聞き取り調査中な筈なのだが、立場が完全に入れ替わっている。
「3年ほど前に王都近くの森で見つけました。裸で倒れている女がいると村人が大騒ぎしていたので急行したのですが」
「ソティス近く・・・・か」
「あの娘は王都の調教施設から逃げ出したんです。完全に精神が壊れてしまっていて最初は大変でしたが・・・・ 今は何とか人並みになりました。でも・・・・」
「あなたのヒトに対する想いは・・・・ 並々ならぬ物ね」
「そうですかね? うーん、何となく公務員の義務くらいに考えていたんですが・・・・・ でも、恩義もあります」
「カナに?マサミに?」
「両方です」
サムは視線を床に落とし浮かない表情になっている。
垂れ耳ならぬピンと立った耳が心なしかションボリとしていた。
「実はネコの国へ出向を命じられました、あの王宮のある街へ短くても10年ほど。おそらく20年は居る事になります」
「ネコ? それは・・・・ どっちの任務?」
「主に裏課業ですね。あの国へ入り込んでいる工作員が1人2人と行方不明になってます。おそらくは・・・・・」
怪訝な表情のアリス夫人が鋭い視線をサムへと注ぐ。
同じように執務席へ腰掛けていたポール公も視線を向けた。
「つまり、お前はそれの裏支えと言うわけか」
「はい」
「ならばあの娘を連れて行っては何かと拙かろう。どうするつもりだ?」
言葉に詰まったサムの重い沈黙が続いた後、ふと顔を上げた彼が見たものは、何かを企むかのようなアリス夫人の笑みだった。
「困るならここへ置いていきなさい。預かってあげるわよ」
「え゙? あ! いや・・・・ あの・・・・ その・・・・」
「連れて行くと困るでしょ? あなたに何かあったらどうするの? あの子はネコの商人に連れ去られてどこかの物好きの・・・・」
立て板に水の勢いで畳み掛けるアリス夫人の言葉がサムを貫いた。
返答に困り言葉を飲み込むのだが、迷っている暇はなかった。
「ここならヒトが何人もいるし、この街全体で見ればヒトのコミュニティも出来てるくらいだし。それに」
「あ、い!いや!連れて行きます!えぇ、連れて行きますとも!」
ニコニコと笑うアリス夫人の企みが少しだけ見えたサムは慌てて口を挟んだ。
そのあまりの狼狽振りにポール公がニヤリと笑う。
「サム。あの娘に夫を付けたくはないか?イヌとヒトとでは子を成せぬぞ?ん?」
「そうよ。それにここなら年頃の娘がいた所で何の不思議もないし、同じような歳のヒトの男の子もいるしね」
「それともなにか? お前はあの娘にホの字か? ん? 」
公爵夫妻の苛烈な攻撃にサムはタジタジとするばかり。
それでも尚、容赦の無い言葉がポール公の口を突いて出てくるのだった。
「まぁ、遊び相手なら不足はないだろうが根無し草で終わらせるには・・・・ 勿体無いなぁ」
「ポールさま・・・・」
「あの娘が子を成したらお前は育ての親だ。ん?ヒトの子を育てるのは楽しいぞ?」
「あ・・・・ え、えぇ。 まぁ・・・・」
宙を泳ぐサムの視線が所在無げに彷徨って、そのまま床の豪華なじゅうたんの模様を眺めていた。
どうやら観念したらしい。
公爵夫妻がそんな結論に達するのに時間は掛からなかった。
「明日の公務のときはあの娘を置いていきなさい。ここであの娘が勤まるかどうか、リサに見させましょう」
「そうだな、それが良い。リサもそろそろ子が出来そうだ。もちろんヨシの子だがな。リサの育て上手はカナ譲りだ」
「そうね、なにも心配要らないわよ。あなたがネコの国から帰ってくる頃にはあの娘の家族があなたを迎えるわよ」
立て板に水の勢いで畳み掛けるアリス夫人の言葉がサムを貫いた。
返答に困り言葉を飲み込むのだが、迷っている暇はなかった。
「ここならヒトが何人もいるし、この街全体で見ればヒトのコミュニティも出来てるくらいだし。それに」
「あ、い!いや!連れて行きます!えぇ、連れて行きますとも!」
ニコニコと笑うアリス夫人の企みが少しだけ見えたサムは慌てて口を挟んだ。
そのあまりの狼狽振りにポール公がニヤリと笑う。
「サム。あの娘に夫を付けたくはないか?イヌとヒトとでは子を成せぬぞ?ん?」
「そうよ。それにここなら年頃の娘がいた所で何の不思議もないし、同じような歳のヒトの男の子もいるしね」
「それともなにか? お前はあの娘にホの字か? ん? 」
公爵夫妻の苛烈な攻撃にサムはタジタジとするばかり。
それでも尚、容赦の無い言葉がポール公の口を突いて出てくるのだった。
「まぁ、遊び相手なら不足はないだろうが根無し草で終わらせるには・・・・ 勿体無いなぁ」
「ポッ ポール閣下・・・・」
「あの娘が子を成したらお前は育ての親だ。ん?ヒトの子を育てるのは楽しいぞ?」
「あ・・・・ え、えぇ。 まぁ・・・・」
宙を泳ぐサムの視線が所在無げに彷徨って、そのまま床の豪華なじゅうたんの模様を眺めていた。
しかし、畳み掛けるような夫妻の言葉にサムはふと何かに気が付いた。
妙な違和感。発言の中にある矛盾。
一瞬の間に多くの事を考えたサムだったが・・・・
「そういえば先ほど例の査察官らとアーサー君の会話の中に気になる言葉があったのですが」
「どうしたの?言ってみなさいよ」
ちょっと興味津々と言った風なアリス夫人が笑っている。
「いや、じつは、先ほどの会話の中でアーサー君がかなりご機嫌斜めでして」
「それがどうかしたの?」
「あ、まぁその、例の査察官らが言うにリサ君の子供の件でと言う話しなんですが」
「じれったいな。スパッと言ってみろ」
夫妻の顔を一度じろっと眺めたサム。
「リサ君は妊娠中ですか?」
サムの口を付いて出てきた言葉に夫妻は一度顔を見合わせたあとで、タイミングまでばっちり揃って驚いた。
「『え゙?』」
しばしの沈黙。
夫妻の目が怖いほどにサムを見ていた。
「あ、いや、まぁ・・・・ 廊下で会話してるときにアーサー君が。リサ君のお腹の子に何かあったらお前ら生かして帰さぬと」
「・・・・あの馬鹿息子がそう言ったのか?」
「はい。腰から戦太刀を下げてまして。それにヨシ君は拳銃を持ってました。正直、心臓が縮まる思いでしたよ」
サムは笑みを浮かべてクックックと笑った。
「婦長は身重だ。お腹の子に何かあったらお前ら・・・・生かして帰さぬ・・・・と。私にも凄まれましたよ」
何がそんなにおかしいのだろうか?
いや、むしろ嬉しいと言う表情にも見える。
しかし
「あの子はあなたにもそう言ったの?」
「はい、私も数に入っているでしょうね」
「あの馬鹿・・・・ 怖いもの知らずと言うのも良し悪しだが・・・・」
クックック
噛み殺した笑いを浮かべたポール公の優しい眼差しがサムを見た。
「おまえにそう言うとはなぁ」
「そうね。知らないって怖いわね」
夫妻の笑みがサムに注がれる。
「でも、知らないと言うのは恥ずかしいだけでは無い。時には幸せな事もある。マサミさんはそう言われました」
マダラなイヌの男のどこか辛気臭い表情は、マサミの名を出すときだけは嬉しそうな顔になる。
「サム。あなたの真実を知ったらあの子達は驚くでしょうね」
「そうだな。知らぬ方が良いとも思うが。それでもいつかは知らねばならん」
「あの、その件ですが。出来ればヨシ君とアーサー君にだけで」
「どうしてだ?皆が知っている方が良いではないか」
「まぁ、そうなんですがね・・・・・ 」
「・・・・サム。おまえは
コンコン
唐突に部屋のドアがノックされ会話がふと途絶えた。
執務室の中の眼差しがいっせいにドアへと注がれるなか、アリス夫人は出来る限り平穏な声で「だれ?」と誰何した。
「奥様。私です、リサです」
「入りなさい」
「失礼します」
ガチャリ
ドアを開けて入ってきたリサ。
隣にはミサが立っている。
そして
「あら、噂をすれば」
その隣にはミーシャが立っていた。
「あ、あの・・・・ 夜分に失礼します」
ペコリとお辞儀をして小さくなっているミーシャ。
花柄のパジャマを着てその上からガウンを羽織っている。
「ミーシャ。その服はどうしたんだい?」
「あ! 旦那様 あっ すっ すぐ脱ぎます。申し訳ありません!」
いそいそと服を脱ぎ始めるミーシャ。
サムは慌てて走っていってミーシャを抱きしめた。
「いいんだ!いいんだよ。その服を着てても良い。いつも言ってるじゃないか。人前で服を脱いではいけないと」
「・・・・申し訳ありません」
ミーシャは僅かに震える声で謝罪の言葉を口にしている。
「この服はどうしたんだい?言ってご覧」
「あ、あの。ミサさまに・・・・ いただきました」
「そうか。何も問題ないよ。貰ったと私に言えばいい。私が駄目だといったら服を脱ぐんだ。いいね?」
「はい」
サムはふと振り返ると、急に余所行きの態度に改まった。
「あの、公爵様。斯様なものをいただいたのですが宜しいのでしょうか?」
そのあまりに余所余所しい仕草がおかしくて、ポール公もアリス夫人も笑いを堪えるのに必死になっている。
「あの。サムさま。余計な事をしましたでしょうか? 申し訳ありません」
ミサがミーシャの隣でちょっと恐縮しながらも、舌を出して苦笑いしている。
その自然な表情で尚且つ身分の差を感じさせない振る舞いに、サムはなんとなく眩しいものを覚えた。
「あー サム君。それはうちのミサのお下がりだろう。ヒト用の服を買うのも公務員の薄扶持では辛かろう」
「そうね。ミサもミーシャも気にしないでいいわよ。ミーシャはその服が気に入った?」
アリス夫人の優しい言葉にミーシャはサムを見る。
少しだけ頷いたサムを見て安心したミーシャは、初めてまっすぐにアリス夫人を見た。
「あの・・・・ はい。すごく可愛いです。こんな服は初めて着ました」
「そう。じゃぁ着てて良いわよ。凄く似合ってるじゃない」
「あ ありがとう・・・・ ございます」
再びペコリとお辞儀をしたミーシャがサムの腕の中で安心した表情を見せている。
自己判断と決断が出来ていない。
夫妻の眼差しの先にいるミーシャは、このままでは生きて行けないほどにも見えた。
「ところでリサ。今サム君から聞いたのだが・・・・・」
「あぁ、そうよそうよ。あなたちょっとこっちに来なさい」
リサを呼んだアリス夫人。
不思議そうな表情を浮かべつつ夫妻の元へと歩み寄ったリサを、アリス夫人は急に抱きしめた。
そして
クンクン クンクン クンクン
胸元から腹を通って下腹部まで臭いを嗅ぐ。
「あ、あの。奥様?」
「変ね。あなたの体臭は変わってないわ」
ポール公もリサの手を取って手首のうちの臭いを嗅いでいる。
「そうだな。俺の鼻も違いが分からん」
部屋中の者が不思議そうに見ている光景。
リサは気が付いたようだ。
「・・・・実はまだなんです」
「じゃぁさっきの言葉は出任せか」
「あら、残念ねぇホントに」
苦笑するリサがペロッと舌を出した。
「アーサーさまが最初に言われたんですよ。妊娠中と言う事にしておこうって」
「・・・・あのバカ息子め。余計な期待をさせおって」
「でも、なかなかに策士よね。ちょっと足りなかったけど」
フンと笑ったポール公がにやりと笑ってサムを見た。
「何かあったら適当な理由を付けて始末するつもりだったんだろうな」
「でも、理由付けとしては聊か強引が過ぎるわね」
「仕方あるまい。アレにとってはヨシもリサも兄弟のようなものだ」
一旦言葉を切ってカップのお茶に口を付けるポール公。
その振る舞いはあくまで優雅でダンディだった。
「逆上したといえば理由にはなる。認められるかどうかはともかくな」
「でも、やっぱり・・・・ ちょっと残念ね。ガッカリ」
心底残念そうな夫妻を見るミサ。
サムもミーシャも不思議そうだ。
「あの、奥様」
「ん?ミサ、どうしたの?」
「妊娠すると臭いって変わるんですか?」
「変わるわよ。ヒトの鼻じゃ気が付かないだろうけどね」
へー
そういわんばかりの驚く顔を浮かべるミサ。
サムもミーシャも驚いている。
「私も最初は驚いたわよ。ミサが生まれる前にアヤさんの臭いを奥様が気が付いて言い当てたときは本当にびっくりした」
アヤ・・・・
ミサは少しだけ寂しそうな風だ。顔も知らぬ母の名が出てきたのだ。
寂しいと言うよりやるせないと言うほうが近いのかもしれない。
「あぁ、そういえば・・・・」
ふと立ち上がったアリス夫人が執務室の鍵付き書庫を開けると、中から大きな封筒を取り出した。
紐とボタンで口を留められた封筒を開けると、中からは絵画とは違う絵が出てきた。
あ、写真だ!
部屋の中に広がるケミカル臭。
独特の臭いがふんわりと漂う中、アリス夫人は一枚の写真を取り出しニヤリと笑った。
「ミサ。ここへ来なさい」
夫人に呼ばれたミサがタタタと駆け寄ると、そこにはドレスアップして椅子に腰掛ける若いヒトの女性と、寄り添うように立つヒトの男が立っている写真があった。
「奥様・・・・ これ・・・・」
「あなたのお父さんとお母さんの若い頃よ」
「おかあさん・・・・・」
スッと立ち上がってミサの隣に立つポール公。
リサもスッと近づいた。
「ミサは母親似だな。目元が良く似ている」
「ほんとだ。ミーちゃんのお母さんも美人だったのね」
しばらく皆無言で眺めていたのだが、アリス夫人は再び写真を封筒へとしまった。
「ミサ。お母さんに会いたくなったらここへ来なさい」
「はい」
ちょっと涙ぐむミサを、今度はリサが複雑な表情で見ている。
そして、ミーシャも。
「ミサ。お前は幸せだぞ」
ポール公の大きくて無骨な手がミサの頭をなでた。
「お前は自分のルーツが分かっている。父も母もな。ヨシやタダたマヤもそうだが」
「そうね」
写真を封筒に収めたアリス夫人がリサの肩を抱き寄せて、その頭を抱きしめた。
リサの浮かべた複雑な表情の理由。ミサはやっとそれに気が付いた。
「ねぇさま。あの・・・・」
「ミーちゃん、よかったじゃない」
「でも、ねぇさま」
「私のお母さんは奥様だから。だから寂しくないわよ」
ふとアリス夫人の顔を見上げたリサ。
微笑むその表情には寂しさが混じる。
「自分のルーツを知ることって重要なことよ。でも、それを全く知らないヒトも・・・・ 今は多いわね」
「そうだな。色々と・・・・ 不幸な事が多い世界だ。残念だが」
ちょっと深刻な顔をしている夫妻だが、そのどこかに密かな企てが紛れている事にリサは気が付いた。
「そういえばサムさまのお部屋の支度が終わってないんです。支度してきます」
どこか大げさな口調のリサがアリス夫人の手を離れる。
その仕草に確かな成長を感じ取った夫妻。
執事と婦長のコンビが重要な案件を難なく乗り切るだけの才覚を得つつある。
うんうんと満足そうにポール公は頷く。
「ミサ、リサと一緒に部屋を支度なさい。もう遅いから急いで」
「はい、奥様」
指示を出したアリス夫人の目はサムを見ている。
その目が何を言わんとしてるのか。
「ミーシャ。婦長殿の手伝いをして来るんだ。良いね?」
「はい旦那様」
部屋の扉前でもう一度お辞儀をしたリサとミサが出て行く。
ミーシャも見よう見まねで同じ仕草を取った。
重厚な音を立ててドアが閉まると、アリス夫人はニヤリと笑ってサムを見る。
「明日の公務のときはあの娘を置いていきなさい。ここであの娘が勤まるかどうか、リサに見させましょう」
「そうだな、それが良い。リサもそろそろ子が出来そうだ。もちろんヨシの子だがな。リサの育て上手はカナ譲りだ」
「そうね、なにも心配要らないわよ。あなたがネコの国から帰ってくる頃にはあの娘の家族があなたを迎えるわよ」
うへぇ〜とでも言いたげな恨めしい表情を浮かべたサム。
「サム。お前も見たろう? あの娘が死ぬまで、お前はただの根無し草で終わらせる気なのか?」
「・・・・・・・・わかりました。申し訳ありませんが、よろしくお願いします」
「よし、話は決まったわね。明日中に色々と手続きを済ませておくわね。あの子も学校に入れましょう」
楽しそうな夫妻のガッカリなサムのコントラスト。
これも人生経験のなせる業と言うのだろうか。
恨めしそうなサムは、じっと執務室の片隅に掲げられたマサミの肖像画を見つめるのだった。
第11話第3部 了
読了!
例によって後からじわじわ来ますね
相変わらず上手いなー
GJ!
>アリス様
腹ぐれーwww
そこで写真出すの反則だよw
ちょっと質問ですけど、
龍の国的なネタを作ってもいいのかと思ったのだけれど作ってもいいのかな。
ダメでしたら獣人亜人少年少女のほうになっちゃうのかと思いますけど。
投下乙です!
いつもながらうまいなーGJ!
でもコピペミスかな?なんか同じ文が2度出てきた
大切なことなので二度言いました
なんという続きが気になる。
>>216 こういう話は好きだなあ。
>>225 わりかし地雷な話ではある。
既存の話にドラゴンが既に出てたりするので、「どこからどこまでを龍人にするの?」とか
「パワーバランス大丈夫?」とか。避難所の過去ログにもその辺の議論があった気がするので
一読をお勧めする。
>>226 コピペミスです。気が付かなかった。
まとめる時に修正します。
なんかすごく生々しい推敲の跡を見せてもらった気がするw
こういう人情話って読んでて楽しいです
乙でした!続きに期待!
保守
233 :
名無しさん@ピンキー:2008/12/22(月) 10:42:17 ID:EhETIMNF
危険水域age
ヘビのマダラってどんなんかなあ
身体の所々に鱗があるって外見だろうか、そもそもいるのかもわからないけど
エジプトのファラオみたいな感じじゃね?
手と髪型?がヘビ
>234
ほぼ女性と同じで、チチがなくてちんこがある姿で想像。
つまり凹凸がないんですね、わかりません
パンツぬがすまで貧乳ヘビ♀と区別つかないとか、そんなかんじじゃね>ヘビマダラ
いや、収納しててさらに判らないかも
なんだその未知の萌えは。
ヘビマダラのショタと聞いて
守備範囲広すぎないかおまいらw
ストライクゾーンは広いぞ。
打率はそこそこだが。
新しい国やら種族の話っていきなり投下しても良いものでしょうか
むしろどんと来いw
新しい種族か
なんの種族だろうドキドキ
>>247-248 レスありがとうございます
何とか形になったらこっそり投下しに来たいと思います
設定ばかり先走って書き手の技術がおっつかないので、いつ形になるか分かりませんが…(´・ω・`)
楽しみ楽しみ
年末で、こんなのを妄想しちゃいましたので、書き込んでみます。
「ご主人、今年もあと少しで終わりですね」
「だなー、1年はあっという間だと、ヒトが言う意味が判った気がするぞ」
「ところで、今年もあのオセツとか言うのを、作ってくれるよな?」
「ご主人、オセツではなくお節です。 それに、すぐ食べ物の話になりますよね?」
「食い物の話でもいいだろ別に(細かいな、こいつは…)」
「そんな事より、今年はち・ゃ・ん・と、お正月理解してくれましたよね?」
「ん、理解したぞ。 新しい年おめでとう、んでオセチ食べようだろ?」
「全然、理解していない様ですが、取りあえず信じておきます」
「何んだ、その取りあえずってのは?」
「去年のあの事、忘れたとは言わせませんよ」
「あのことって何だ?」
「この事ですよ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「こっちの、これは何だ?」
またもや、ご主人の質問です、いったい何度目の質問でしょうか。
「これは、門松と言う物です」
「んで、これのどこが楽しいんだ?」
「楽しいとかではなくて、新しい年をお祝いしましょう、という為の物です」
「うーん、しかし、これじゃ俺には祝ってるように見えないぞ?
まったく、ヒトの考えることは判んねーなー」
「まっ、好きなだけやってもいいが、仕事だけはサボるなよ」
私の工作を見飽きたのか、そういい残して、フラフラと歩き去ります。
「ふー、やっと集中して出来ます」
それから1時間近く掛けて、玄関前の飾りつけ等を終わらせる。
その後、炊事などの残っている仕事を、大急ぎで取り掛かる。
悪戦苦闘しながら仕事を終え、ふと何気なく玄関へ門松を見に行くと、
そこには沢山の花が挿された、元門松だった物の姿が。
「誰ですか、門松に大量に花なんか挿したのはーー!!」
その声に反応したのは、ちょうど庭から戻ってくる所のご主人です。
「あ? 俺が挿したんだが、文句でもあるのか?」
「みすぼらしいから、ワザワザ俺が挿してやったんだぞ、感謝をしろ、感謝を!」
ワザワザの部分を強調してきます。 そして、なぜ文句を言われているのかと、
憮然とした態度です。
「だーからー、これはそう言う物じゃないって……」
無駄だと判りながら、涙目でご主人に反論してみる私。
来年こそは、ご主人のお正月の態度を躾けてみせるぞ!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「と、言うことが、在ったじゃないですか。 あの後、直すのに凄く苦労したんですよ」
「そういうことも在ったなー、ハッハッハー」
「ところでだ。 最後の方に、非常ーーに気になる台詞があったんだが?」
「えっ、な、何のことでしょうか? さ、さっぱり判りませ…」
「フッフッフ、躾けるっていうのは こうやるんだよ、おらっ!」
「いやぁーーーーーー」
【おわれ!】
最後に、少し早いですが
長編、短編とたくさんの作品が発表され、読むことの出来る良い年でありました。
来年も、まだ見ぬ書き手さんの作品や、続きなどが読めることを祈っております。
それでは、書き手、読み手の皆様、良いお年をお迎えください。
あっと、絵師さんの事を書き漏らしちゃった……
絵板で、素適な絵を描いてくださる方々へも感謝をお送りします
皆様のおかげで、作品のイメージが膨らんだりいたします
これからも、素適な作品を見せて下さい
ついでみたいに、書いてしまってゴメンナサイ
それでは
>>251 なぜ躾けるシーンを書かないで終わる?!書かないで終わる?!(涙目)
>>251 来年もよろしくです。
追伸
お蕎麦ネタ、思いっきり落としましたorzゴメンナサイ
もうすぐ丑年ですが、あけおめは避難所か絵板の方でやったほうがいいかもしれません。
なぜかチャットでアケオメ合戦がw
しかも、新年早々に(ry
おみくじって携帯からでも使えるかな?
とりあえず今年こちむい世界に落ちてくるかも知れないヒトの運勢占ってみる
うりゃ!
開けましておめでとうございます。
今年は惰性で過ごさないようにしたいです。
264 :
【大吉】 :2009/01/01(木) 22:48:23 ID:/wRPFvla
あけおめー
今年もがんばるよー
この世界ってかなり魔法が発達してるんだよな?
で、ヒトと獣人の間には子供ができない、と。
じゃあ、愛する人との子供が欲しくてそんな研究をしているマッドマジシャン(マッドサイエンティスト的な)
てのもいるんじゃない?
ザラキエル博士のことを呼んだ?
いや、あのひとは誰でもって感じじゃん。
じゃなくて、想いが特定のヒトに向けられている感じで、それが原動力になってる人はいなくない?
そりゃあ、博士級の腕がなきゃできねーからんじゃね?
量産できる物じゃないと思うし
よし、ないなら書けばいいんだ。・・・いつか
誰も書かなきゃだけど
新参なんだが、新しい設定を混ぜ込んであるのを書いたんだが投下する際はここにしてもいいのか?
避難所とやらに誘導された方が良い?
よっぽど他の人が使い辛い設定でないなら本スレでいいんでね?
狼の国の細かいところが決まってなさそうだったので、書くだけ書いたんで置くだけ置いておきます。
何かあったらよろしくお願いします。
※ヒトなし
大陸北部、狼の国を縦に三つに割ったその東側。
大きな鉄鉱山の中腹に、半ば埋まるようにして建造されているコーネリアス氏族の城塞は、いつも乾いた冷たい空気が満ちている。
朝日が白光を放つ頃に、レムは素肌に袖なしのシャツを引っ掛けただけで外に出た。
いつ見ても雲ひとつない青い空は、相変わらず吸い込まれるような広さを感じさせる。
この空を見上げる度に、レムは自分が山の岩肌に張り付いているだけだという感覚にとらわれる。地肌から手を離せば、空に落ちてしまいそうだ。
腕を組んで立っていると、厚着姿の猫の行商が、驚くほど薄着のレムを不思議そうに眺めて通り過ぎていく。
猫たちの前後を、今つけられたばかりであろう狼二名が固めている。
くすんだ黄土色の毛並をした尾の短いドオリルと、錆び銅色をした長い毛並の片耳バノン。戦衣の上から軽鎧で武装し、各々の得物を下げている。
レムの姿に気づくと、二人は軽く片手を上げた。
「ようレム。親父さん待ちか?」
「いや、今日は一人だ。お前たちは護衛か」
「そうそう。久々に外のお客さんだよ」
「ここんとこ物騒だからなあ。今に始まったこっちゃねえけど」
「気をつけて行け、二人とも」
「お前もな、レム」
大きな三枚刃の戦斧を肩に担いで、バノンは鼻歌交じりに列に戻っていく。
武器を持つのは戦士の証で、戦士は男の役目である。
レムの背には、肉厚で大振りの蛮刀が二本、十字に交差して負われている。
「ま、訓練もいいが怪我しねえ程度にな。祭司のばっちゃん達、うるせえぞ」
左手に槌矛をぶらぶらさせながら、人の良さそうな笑顔を残してドオリルも後を追っていった。
旅行者や行商の護衛は、狼の国の主要産業である。
剣や槍という原始的な武器で、時には魔術師さえ退ける狼は、護衛や用心棒、傭兵といった荒事稼業に最も適した種族で、周辺各国からも需要が高い。
氏族ごとに争いが続いている狼たちは常に一定数の戦士を持っており、普段は自分たちの氏族や友邦の防衛に務めているのである。
用心棒の質は折り紙つきで、狼の国の中だけでなく外国に出稼ぎに出る者も多い。
レムも、友邦や隊商を守りに出かけたことは幾度もある。
しかし肌に太刀傷一筋ついているだけで、祭祀の女たちに眉をひそめさせるのは、東部最強のコーネリアス氏族の中でもレム一人だけなのである。
小規模な氏族なら、長老が最終決定を下すのが一般的だが、規模の大きいコーネリアス氏族では決定権が一人に集まるのを避け、
有力家族の長老を集めて長老議会なるものを作っている。
議会のための会堂は、廃鉱となった鉄鉱山の坑道を利用し、岩盤をくりぬいて展望室のようにした広間を使っている。
採光窓から差し込んでくる朝日の中を、赤や土色、灰色といった色とりどりの狼たちが、布を多く使うことで重厚感を出した儀礼服を纏って、
議長席を中心に劇場型に並んだ議席に腰を下ろしていた。
いずれも、筋骨隆々とした男たちである。
「ガルマリウドはああ言うが、実際我々とビレトゥスの間がどれほど離れている。足の速い猫科どもでも、十日はかかる距離だぞ」
「だから関係ないとでも? 臆病風に吹かれたか」
「何を」
「いいか、ビレトゥスは『王国』を名乗り始めたのだぞ。これは他の氏族を討ち平らげる意思表示に他ならんではないか」
「ビレトゥスにそれほどの力があるものか」
「コーネリアスの矜持を忘れたか。我らは我らと友邦の、民と土地と精霊とを護ることこそが務めであろう」
「その通り。力があろうとなかろうと、そうした考えを抱いた者たちには訓戒を与えてやるのだ」
「だが、氏族を統一したからとて、その氏族の精霊を滅ぼすとは限らんではないか。我らのように、民と土地と精霊を安んじる統一ということも否定できまい」
「それが臆病風に吹かれたというのだ。そうである証もあるまい、ええ? バジラ」
「ビレトゥスを討つとして、それでどうする? まさか戦士を引き連れて、二十日の道のりをのんびり進んでいくのか?」
会堂内はすでに大騒ぎであった。主題をとりまとめるべき議長は、自派の意見を通すために論戦に自ら加わっており、
収拾する者がいなくなった議会は落ち着く先を見失っている。
議席から腰を浮かしている者はまだいい方で、不運にも対立意見の相手が近い席にいたために、掴みあいを始めた者もいる。
その議席の片隅で、じっと腕を組んで黙っている議員が一人いた。
つややかな黒の毛並が、会堂の最も日が当たらない席と相まって、冷静に見なければいることに気付かない。
その狼は議論に加わらないだけで、議論の流れを聞き落とすまいと、じっと耳をそばだてていた。
「であるから、現実的な脅威がないのにこちらから戦を仕掛けることもなかろうと言っておる」
「ならば我々が襲われていなければ、他の者たちが攻め取られるのを坐して眺めていていいというのか? 貴様こそコーネリアスの矜持はどうした」
「ふん、大方この臆病者どもは、戦場に出ずに済む言い訳が欲しいのよ」
「何を言う。事と次第によっては、ただでは済まさんぞ」
「このまま捨て置けば、いずれ我らの友邦も狙われよう。そうなってから騒いでも遅いのだぞ」
コツ、と静かに、しかし力強く議席の木枠を叩く音が聞こえた。
議席の片隅でゆっくりと立ち上がった黒毛の議員に、議長が視線を向ける。
他の議員たちより頭一つ高い堂々たる体躯であった。加えて、他の議員が儀礼服を着ているところを、この議員は群青の重鎧で完全武装している。
家族の長老が集まる長老議会で、最も新しく最も若く、そして最も小さい家族の代表である。
「なんだ、ジグムント」
議長責務の最小限度を果たすべく尋ねた議長に、さらに上回る威厳で応じ、ジグムントは会堂内の議員たちを眺め渡す。
「我らが友邦パラカ氏族の集落の近くに、最近野盗が住みついたそうだ。コーネリアス氏族としては、戦士を派遣し友邦の安全確保に努めるべきであると思う」
続いていた議論が、止まった。
先程まで熱の入っていた者たちまで、ジグムントに冷えた視線を送っている。
「議員諸氏の判断を仰ぎたい」
「ジグムント、我らは今、我らと友邦の大事を図っているのだ」
「そうだ。いずれ強大になるであろう敵を前にしているのだぞ。それを今、野盗などという」
「些事、と?」
苦い表情を浮かべて口を開いた議員を、ジグムントの碧色の視線が突き刺した。
「大長老ビスクラレッドがこの断崖城に根を下ろして以来、我らコーネリアスは自助と互助のために友邦を募り、彼らを庇護することを誇りとした。
今や友邦は、ほとんどが未だ狩猟採集と農耕を主としている、小さな者たちばかりだ。我らにとっては話にならぬ野盗であっても、
農夫や猟師と祭司しかいない彼らには、十分な脅威となる」
「それはだな、ジグムント」
「重ねて申し上げる。力なき友邦パラカのために、戦士を出したい。ついては、足元で脅威に晒されている友邦と、剣の届かぬ遠くで蠢いているビレトゥスと
いずれを重く見るか、コーネリアスの矜持にかけてお答え願いたい」
迂闊な一言で矛先を向けられた議員は、苦虫を噛み潰した表情で黙り込んでしまった。
会堂内にも、一様に白けた空気が漂っている。ジグムントだけが、真剣だった。
「好きにせよ」
「長老議会で、送るに適した戦士を選びだして頂きたい」
「わかったわかった。もうよいな」
「私からは以上だ」
議長の呆れた様子を傲然と黙殺し、ジグムントは先ほどと同じように腰を下ろすと、また腕を組んで黙り始めた。
水を差された議事は、一転して勢いを失い、結局ビレトゥス氏族の王国への対処は決まらないまま、昼前には解散した。
レムは六歳の時点で自室を与えられていたが、夜には大抵父の部屋にいた。
その日の行動を逐一報告させられ、コーネリアス氏族としてふさわしくない行動を取っていた場合は叱責を受けた。
腹に拳を叩き込まれるのに似た、静かな父の声を、必死に耐えたものだった。
それ以外は、特に声を交わすことはなかった。レムは、父の武具の手入れをする下働きの狼に混じって、林のように並ぶ父の剣を磨き、鎧の付け方を真似た。
父と同じ、闇のような黒毛と大きな尾は、レムにとって自慢だった。
普通、コーネリアスの子は六歳になったら戦士なり祭司なりが迎えに来て、集団生活の中で仕事を学んでいくのだが、レムはそういうことはなかった。
兄弟が多く曾祖父母が健在であることも珍しくない狼社会の中で、何か特別なことがあれば数多い親族がそれを悟らせる。
しかし父一人子一人のレムは、自分が珍しい例であることにしばらく気付けなかった。
部屋を与えられてからしばらくした後、父の部屋に祭司の一団が詰めかけていた一件で、ようやくそれを理解した。
レムの母は先代大祭司だからレムも祭司になるべきだ、と言う女たちに、頭一つ大きい黒狼は、レムの父は私だ、と言ったきり、構おうともしなかった。
その時は、どちらが正しいとも思わなかった。ただ、自分は父の言いつけに従うのが当然だと思っていた。
九歳の時だったと記憶している。
いつものように壁一面に掛けられた剣を磨いて回っている時に、来客があった。
当時は、下働きと協力して父の武具の手入れを終えてから、自室に帰ると決めていた。
その日は確か、普段のペースであるにも関わらず、一向に剣を磨き終えられなかったのだった。
廃鉱山を再利用している部屋に、嵌め込むようについている木製の扉を、恐る恐る叩く音が聞こえてきた。レムは磨いていた剣を置くと、父の代わりに扉を開いた。
そこに立っていた年若い――むしろ幼いと言っていい祭司は、レムの姿を見て驚いた表情をしていた。
模範的な応対をしようとしたレムを、後ろから父の声が押しのけた。話は聞いている、と、父は祭司の名を呼んだ。
泣き出しそうなくらい緊張した少女を寝台に呼び寄せ、父は部屋の明りを消すと、彼女を立たせたままそっと衣服に手をかけた。
祭司の色白の肌が露わになっていくのを見て、レムはようやく、その日は随分前から下働きが姿を見せていないことに気づいた。
訳がわからなかった。
全裸で身を竦める少女を丁寧に寝台に横たえ、父は自らも服を脱いでいく。レムには、出て行くようにとの声はかかっていない。
つまり、見て行けと言うことなのだ。レムはそう判断した。部屋の片隅の、邪魔にならない場所に腰を下ろす。
白い腹に朽ち葉色の尾を巻き付け、自分の体を抱いて小さく震えている少女の姿を見て、これからいけないことが行われるのだという予感がした。
採光窓から差し込む星明りが、柔らかく丸みを帯びた肉体の輪郭を描き出し、えもいわれぬ美しさを醸し出している。
そして夜の闇に紛れた父の影は、彼女の儚げな姿と対比されて、ひどく暴力的に見えた。
この子はこれから、父に食われるのだな、と直感した。
父は、少女が両膝を閉じている上から覆いかぶさるように座ると、彼女のふくらみ始めの乳房に手のひらを這わせる。
裸体を他人に触れられる嫌悪感で少女が顔をしかめたようだった。
ぐっと身を固くしたのが見て取れたが、シーツを掴むことで、手足を縮めて邪魔をするのは防いでいた。
彼女は、何をしに来たのだろう。
父に食われるのを喜んでいる様子はない。恐ろしくて今にも泣きだしてしまいそうな雰囲気にも関わらず、両手は体の脇のシーツをぐっと掴んでいる。
父の手が乳首をつまむ。んっ、と鼻にかかったうめき声が、彼女の喉から漏れた。
指の腹でこねるように転がされ、呼吸が荒くなっていくのが聞こえる。
レムは、自分の下腹部に熱さを感じ始めていた。
頭の中が白くなっていって、目の前で行われていることしか意識に入らなくなってくる。星明りの中で、細かな動きさえ見逃すまいと目を見開いていた。
少女の口に指先が差し込まれ、二本の指が舌を弄ぶ。彼女は意識も定かでないまま、口腔内に入ってきた男を必死に舌で追い続ける。
鼻声の乗った吐息が不規則に漏れ、それに合わせて少女の薄い胸が上下する。淫らな水音が響いて、窓から聞こえてしまっているのではないかと気が気でなかった。
口中の桃色の肉をつまみ、押し、撫で、ひとしきり嬲った後で、父は唾液に湿った指を引き抜いて、彼女の股間へ持って行った。
彼女の声が小さく喉から漏れる。
湿りを馴染ませるかのようにその部分をなぞる動きに、次第に息に甘さが溶け始めるのが聞こえた。
不意に、少女が息の詰まった唸り声を上げた。父の指先が、彼女の中に埋まっている。
両手足に力を込めた彼女に負担がかからないよう、指だけを円を描くように動かす。
ゆっくりと時間をかけてほぐしていく丁寧な動きは、レムに剣術の稽古をつける時に、根気よく同じ攻め手を繰り返す父の姿を思い出させた。
次第に、やや腰を浮かせるようになった少女の様子を見て、父は彼女の膝を割って間に入った。
最初の時よりも落ち着いた様子の少女の間で、ズボンの前をはだける。
彼女の尾と、立てた膝でよく見えないが、レムの腕くらいのものが見えた気がした。
腰をそっと彼女のそこにあてがい、少しずつ前へ進めていく。その姿を夢うつつの面持ちで見守っていた少女は、突然布を裂くような悲鳴を上げた。
シーツを握っていた手が、膝が立てられていた脚が、体を父から遠ざけようと寝台の表側を掻くが、父の腕が腰骨を押さえつけており、思うようにならない。
彼女の姿勢が崩れたお陰で、レムにもちらりとその部分が見えた。
父の股間から生えた巨大でグロテスクなものが、少女の股間の裂け目を無理やり押し広げて入り込もうとしている。
両手足を突っ張って必死に耐える彼女の努力にも関わらず、ものは頭の半分も入っていない。
少女の口から体の中を引き裂かれる音が漏れ続けている。
父は、これ以上は難しいと見てとると、少女を抱え起こして自分に抱きつかせた。
寝台に座ると彼女を自分の体に寄りかからせ、開脚させた彼女の両膝の下に腕を差し込み、
体重がかかりすぎないように少しずつ、自分のものの上に彼女を下ろしていく。
少女は声を漏らすまいと歯を食いしばり、父の首に両腕を回して必死にしがみついている。
少しずつ、彼女の裂け目はものを飲み込んでいった。
ものの半ばまで体内に収まったところで、彼女が首を横に振った。再び寝台に横たえられ、二人は抱き合ったまま元の姿勢に戻った。
幼い祭司の少女の裸身が、父の体の下に押さえこまれているように見えて、レムは体の芯を突き抜けた不思議な感覚に体を丸めた。
既に顔も体もすっかり熱を持ってしまっている。いつの間にか身を乗り出し、床板に指を力いっぱい立てていた。
父の黒い背に回した少女の白い腕が、鮮烈に目に焼きついた。
苦痛を和らげようと抱き締めることが、かえって自分を深く貫かせる結果になっていることに気づいているのだろうか。
彼女を押さえつけたまま、父はゆっくりと腰を前後させ始めた。
声に、再び痛みの色が混じる。
次第に緩急がついてくる腰の動きに、少女は父の首筋に顔を埋めて必死に耐えているようだった。
やがて動きが止まり、父が少女からそっと体を離す。
放心状態で息も絶え絶えに横たわる少女に、労わるような視線を向けて、良い子を産め、と父は言った。
未だ整わない呼吸の下で、か細く礼を呟く少女は、涙を流しているようだった。
父が寝台から立ち上がり、衣服を身につけ始めたのを見て、レムの意識から熱が引いていく。
頭にかかった白いものが取りきれないまま少女に目を向けると、心臓が急に締め付けられるような感覚とともに、下腹部の筋肉が緊張した。
父の目がレムに向く。
立ち上がる用事を言いつけられないよう、反射的に祈った。
下着が濡れて、服にまで染みを作っているのが自分でもはっきりとわかっていた。その意味するところも、なんとなく悟っている。
自分がどんな気持ちで営みを見ていたか、知られたくなかった。
城塞の中の、環状列石のある平地に向かい、背の蛮刀を両手に携えて自然体で立つ。
普段は精霊の祭儀に使われる霊地である。特に禁じられてはいないものの、おいそれと立ち入ってはいけない場所とされていると聞いたことがあった。
祭儀の他にも、人前ではやりにくい会談や取引など、諸々のことを行う場合に利用されている。
他人の目を避ける代わりに、精霊に立会人になってもらうという意図であるらしい。
レムにとっては、父に連れられてきてからずっと、修練の場所である。
父に習った通りの剣の型を演じ、意識を研ぎ澄ませる。霊地だけあって、心が静まり、五感が鋭くなっていくのを感じる。
環状列石のひとつに、しなびた汚い革袋のような老人が座っていることに気がついた。
「おじじ、来てたのか」
「わしはいつでもいると言うておろうが」
まばらに地肌が覗く体毛も、油が抜けてすっかり白くなり、立つ力もなさそうな様子でぼろ布にくるまっている老狼は、見た目に反して溌剌とした声をしている。
「剣筋がぶれておるのう。悩みか?」
「ちょっと、昔のことを思い出してた」
「ほほう。このじじいにも聞かせてみんかね」
レムは、この老狼が、ずっと環状列石の霊地にいるビスクラレッドという名の、コーネリアス氏族の古参であることまでは知っている。
不思議なことにこの老狼は、氏族内でまったく話題に上がらないため、一体どこの家族の誰なのかということは、わからずじまいである。
他の者に聞けばよさそうなものだが、それだと霊地に立ち入りしていることがばれてしまうのであった。
少なくともビスクラレッドに話したことが他人に漏れていたことは一度もないので、レムは何となくこの老狼を信用していた。
「また、父上が祭司を抱いてた時のことを思い出してた」
狙いも定めず、蛮刀を振る。心地よい風切り音がひとつ鳴った。
「ありゃあ、ああいうもんじゃと言うたじゃろ。娘の処女は初婚の相手か、戦に強いええ男にやるのが習わしじゃ。
ちうても、まぐわいは大抵見せないようにするもんなんじゃがのう。特に自分の子供が幼い時なんぞ、な」
片手を奥まで振り抜き、そのまま回転して逆の手の斬撃を重ねる。
「そういうものなのか?」
「じゃから、色々と変わっとるんじゃよ、お前のところはのう」
何度も聞かされてきた言葉だが、面と向かって言われるとやはり返答ができない。
半ば無視する形で、武器狙いの二連斬りから蹴りの連携を放った。
「おう、そういや結局弟か妹かはできたんかいね」
「わからない。音沙汰がないから、生まれなかったのかもしれない」
「ふむふむ。まあ、乳もふくらんでおらん娘を孕ませようっちゅうても、そうそううまくいかんわな。
そういえば、結婚相手でもない男の子を孕ませようとするのは、同じ氏族じゃやらんことじゃな。その家族、余程お前の親父の種が欲しかったと見える」
欲の皮突っ張って逸りすぎた結果がこれじゃいざまを見い、とじじいは大笑いしている。
笑い声を聞き流しながら、右手の縦斬りに続いて、左手の横斬りを放つ。右剣を受けた相手の胴を払う、二刀の戦士の常套剣技である。
「いつか」
「うむ?」
両剣の切っ先を揃えた諸手突き。
「いつか私も、ああなるのかなって」
「ああなるとは?」
今度は、横斬りからの脳天割り。続いて、顔を横に払うと同時にもう片手で腿を裂く。
青空と草原の地平線が、白と黒の男女のコントラストに取って代わられた。父の大きな体に押し潰されそうな少女の白さが、かえって艶めいている。
「ほれほれ、また鈍ってきたぞ」
ビスクラレッドの声で我に返る。剣術は諦めて、剣を背負いなおした。
「嫁入り。父様に決められた知らない男の子を孕んで、精霊を祭りながら生きていくのかなって。祭司のやることなんか、何一つ知らないのに」
「ふうむ、お前はのう」
自分のことはわかっている。
父に似た真っ黒な短髪と、ボリュームのある大きな尾が特に目を引くさっぱりした姿である。
ホットパンツと袖なしのシャツという恰好は、祭司の女たちには苦々しく思われているだろうが、戦士の男たちには残念ながら色気がないと評判であった。
今の自分より幼かったあの祭司は、女としての雰囲気は十分に持っていた。
女でありながら祭司ではなく、戦士でありながら男ではないどっちつかずの自分も、いずれはあの祭司のようになるのだろうか。
「んむ、まあ、無理じゃないかの」
「無理?」
予期しない言葉に、思わず驚きの出た顔で聞き返す。
レムの生の感情を見て、ビスクラレッドはにいと笑った。
「おう、無理じゃ。もう今の状態で役目と性別がちぐはぐなんじゃからのう。所帯を持つにはひと波乱あるじゃろうて。
それにお前、親父に行けと言われて大人しく行ったはいいが、これからってところで怖気づいて、相手の鼻面をむしり取って逃げ帰ってくるのが関の山じゃろ」
怖気づいてとは馬鹿にされたものだとは思ったが、あながち的外れとは言えない気がして、ぐっと飲み込んだ。
「おお、そうむくれるな。わしはただホリャ、お前は古いしきたりとはチィと離れたところで生きていかざるを得んということを言いたかったんじゃ。
今でこそ女のくせに戦士なんぞやっとるんじゃ。嫁の貰い手があるかどうか……いんや、お前の親父の眼鏡にかなう男が出るかどうか、かのう。
運よく婿を取ったところで、祭りごとのひとつも覚えとらんお前は、のけ者じゃろうなあ。女はこわいんじゃぞ、レムや」
それなら、コーネリアス氏族にレムの居場所はないも同然ではないか。
「私は、一匹狼になるってことか?」
これにはさすがに気を悪くしかけた。一匹狼と言う言葉には、氏族の中にも残れない異端児という意味が含まれている。
だが老狼は悠然としたものだった。
「なれるならなるがええ。伝承に曰く狼王ちゅうのはな、仲間から離れてただ一匹で、なお矜持を失わぬ高潔にして孤高の存在じゃからのう。
わしの若い時にも、狼王の名にふさわしい奴はおったが、孤高の一匹狼とまではいかなんだわ。昔っから誰も、一匹ちゅうことの重さをわかっておらん」
機嫌を損ねた若者を丸めこむための方便ならば、ビスクラレッドはレムが殴りかかってこないかどうかを気にする。
表情を伺う素振りをちらりとでも見せたら蹴り飛ばしてやろうと思ったのに、老狼のその眼は、どこか遠くを見ていた。
すっかり煙に巻かれた気がして、怒りがしぼんでいく。
「私には、わからない」
その眼の先と今の自分に、どうしようもない距離を感じて、レムは正直に呟いた。
「あたりまえじゃろ」
直後に呆れたような声が飛んできて、レムは思わずじじいを蹴りそうになった。
終わりました。
初回で随分やりたい放題やってしまっていますが、何かありましたら呼んでください。
なんか正統派ファンタジーの香りがしますよ!
GJ!
設定面は今のとこ問題ないかと。
ハードカバーな雰囲気がする。心地よいにおいだ。続きに期待
時代設定的にはいつ頃なんだろうかと思いつつ
>>273-
お〜舌嬲るシーンえろい〜
GJ! 続きも期待。
狼、かっこいいよなぁ。
男勝りと言うか何と言うか、こういうヒロインもいいものだ。
GJ!
状況の描写が凄くエロいな!
レムも可愛いがパパさんも渋くてカッコ良かったぜ!
最初レムを男だと思い込んじゃったから
最後で女だとわかってびっくりしたよ
またもや規制されているとの事で規制狐さんの代わりに報告ー。
年末ギリギリにロダに一本投下されておりました。
ノロウィルス怖ぇとの事なので皆さんもお気をつけて(笑)
>>287 行ってきたー!!
もしかしたら かいとくんは わかってやってるんじゃないかと おもいました まる
>>288 そんな事はない。それなりに我慢はしているらしいぞw
俺だったら間違いなく襲っているがw
また来ました。
絵板にレムを描いてくださった人には感謝を。
おかげで服のビジュアルが安定しました。
※ヒトなしエロなし
間合いが、遠い。
重鎧をまとった上に素手の相手に対して、レムはいつもの軽装に加え、両手の蛮刀がある。
剣のリーチの方が、相手の体格を含めても拳一つ分長い。にも関わらず、レムは仕掛けることができない。
レムの腕力では、あの鎧を貫き通すことができない。そして、相手の踏み込みはリーチ差など問題にならないほど、鋭い。
環状列石が視界に入るが、距離がある。盾にするというわけにはいかない。
霊地の静謐さによって、相手の攻撃範囲が目に見えるほどに集中が高まっているのがせめてもの気休めである。
相手は動かない。両手を下げた自然体のまま、山のようにこちらを見ている。
兜をつけていないため唯一まともに露出してる頭部を見据えながら、レムは周りを回って隙を窺う。
背後すら、安全圏ではない。後ろ蹴りや反転しての裏拳は言うに及ばず、あの大きな尾に何度叩き伏せられたか。
相手がゆるりと向きを変え、結局正面に戻った。覚悟を決め、入れば死を招く間合いへ一歩踏み込んだ。
動かない。これ以上前に出れば砲撃のような掌底を浴びると分かっている。
敢えてさらに前に出た。
思ったとおり、レムが前脚に体重を乗せる瞬間に、相手の巨体が間近にまで迫っていた。
考えていた手順が頭の中からすべて吹き飛び、筋肉と五感が直結する。
勝負は、ここからだ。
読んでいたはずの掌底を、間一髪蛮刀で逸らす。ずらしきれなかった打撃の重みで姿勢が崩れ、反撃に出られない。
続いた平手打ちは下がりながら避ける。かすめた衝撃が軽い。この平手は連撃のつなぎだ。
脚が閃くのが見えた。咄嗟に反対側面へ回り込んで蹴りの威力を殺しながら、右剣で肩鎧の合わせ目を狙う。
違った。
声にならない声が、喉から出た。
フェイントにかかったと気づいた頃には、相手の上げた足はただの踏み込みに変じていて、迂闊に伸ばした右手首が籠手の冷たい感触に捕らえられている。
体格差から押すだけで勝てる方が、小手先技を使って来ることはないと思い込んでいたレムの負けだった。
右腕を左側に引き寄せられて姿勢が崩れ、がら空きの右あばらを左手で突き飛ばされる。
どうにか転ばずに済んだところへ、覆いかぶせるように掌底。やむなく剣を交差して身構えた。
直後、喉元の襟が掴まれていた。
ここでも、裏。打撃ではなく掴み。
体がぐいと持ち上げられる感触とともに、服の縫い目がぶちぶちと音を立てていくのが聞こえる。
半円を描くように投げ落とされ、背中に草の硬さを感じた次の瞬間の衝撃に、肺から呼吸をすべて絞り出された。
目の前の明りが落ちていく。せめて一太刀と念じて振り上げた左手に、剣はなかった。
目を覚ますと、立ち合いの場面からの地続きだった。
茜色を含み始めた昼日が、霊地の澄んだ冷たい空気を突き抜けて、レムの肌を直接温めている。
服は縫い目が破れており、前をはだけている状態だった。
なんとか着られる形に直そうとしていると、環状列石のひとつにまたぼろ屑の影が見えた。
「まーた随分とやられたのう」
「うん」
腕を掴まれた時にそのまま投げられていたら、腕の筋肉や関節が服の代わりになっていた。
そもそも武器持ちのレムに対して、相手は拳も握っていないのだ。
「やはりもうちょいと、同じぐらいの輩と修練した方がええと思うんじゃがのう」
「みんな、私が相手だと嫌がる。ビオが私の顔に当てた時に、随分絞られたらしくて」
傷一筋で古株の祭司が騒ぎ出す相手と、誰が立ち合うというのだろうか。
そうでなくても、剣を取ってからずっと先程のような修練を続けてきたレムである。剣にこもった気迫が修練のそれではない、とレムを避ける戦士も多い。
「それに、一度言われたことがある。仲間を殺す気かって」
「誰にじゃい」
「パルネラ」
「あの腑抜けか。言いそうじゃのう」
パルネラはその後しばらくして長老議会入りしており、もう戦士たちの訓練には姿を現さなくなった。
「それで、このまま続けて勝てそうか?」
擦り傷と裂けた服以外に、負傷らしい負傷のないレムを見ながら、ビスクラレッドが問いかけてくる。
レムは、赤色が混じり始めた地平線を見た。剣を持たされてからずっと続けてきた、すべての立ち合いを思い描く。
届く、と思えた剣は、一度もない。
「わからない」
剣帯を掛けて二本の蛮刀を背負った。今日はもう終わりである。
反省をしようにも、ここ数日の立ち合いでの相手の動きは、何度思い返しても付け入る隙がないのだ。
今までは何かを体で学びとらせようという意図が見えていたのに。
「そんじゃあ、このじじいが精霊コーネリアスに、あやつの鎧に傷ぐらい付けられるように祈祷をやっといてやろうかの」
「おじじ、祭儀ができるのか?」
本式の座祈祷の足を組み始めた老狼を見て、レムは思わず尋ねた。
「わしの頃は、出来ねば木に吊るされたわい。戦士だ祭司だと分け始めたのは、割と最近じゃ。ホレ、他では男も女も祭りをやってるところも多いじゃろ。
それがいつの間にやら戦士は禁制だの大祭司位だのなんだのと、形ばかり立派になりおって」
祈祷座を組んだまま、愚痴を垂れ続けるビスクラレッドの横顔をそっと窺う。
断崖城の、石造りの城塞部分に住居を構えている歳長けた長老議員たちでも、ビスクラレッドほど老いている者はいない。
「おお、そうそう。なんでも長老会議の小僧どもが、パラカへの助太刀にお前を入れたようじゃぞ。遠征は初めてじゃったな?」
「いや、何回かある」
「おう、そうか。で、パラカの近場に、盗賊が根城を作ったらしいでな」
パラカと言えば、やや遠い峡谷にある慎ましやかな農村である。
隊商の中継点からも外れており、自分たちの口を満たしながら細々と祭儀を続けている集落に、盗賊が目をつけるようなうまみがあるとは思えない。
「ま、食い詰め者は飯も奪い取るしかないからのう」
ビスクラレッドは、あっけらかんとしたものだった。
「不安か?」
「少しだけ」
「食いっぱぐれとはみ出し者が相手なら、お前一人でも十分じゃい。今までの試しのつもりで、目一杯暴れてこい」
そうは言っても、槍やフレイルが相手になった時にどうすればよいか、もう一つ自信が持てない。
あまり、多彩な武器を相手にした立ち合い稽古はしていないのだ。
パラカ氏族の集落を縦に貫く道の真ん中で、レムは剣を抜いた。
一人である。集落内に、住民の気配はない。
パラカの住民たちを一か所に避難させ、盗賊団を迎え撃つ作戦である。相手は十人少々というから、戦士団六人はやや多い。
「十人ごときなら、俺一人でも十分だってのによ」
戦士団長コレルは、そううそぶいていた。コレルがいるということは、今回の戦士団はパルネラが、可愛がっている末息子のために編成したのだろう。
それならば、常より多い戦士の数も頷ける。他の四名も、レムが覚えている限り、コレルの取り巻きが肩を並べていた。
発言に反して、コレルは伏兵に回っている。陽動には女のレムが一人でいた方が、盗賊団を釣りやすいとの論法だった。
「戦士殿、よろしくお願い申し上げます」
「うん」
ほぼ水平に曲がった腰の先で頭を下げると、パラカの長老は杖にすがりつくようにして避難場所に向かっていく。
危険な役に使われているレムに、同情しているようだった。
長老が視界から消えるまで見送ると、蛮刀を両手に握り、集落の外に広がっている山林に向けて耳を澄ませる。
正直なところ、緊張している。
対多数の組手は戦士団の訓練でやったことはあるが、ほんの軽いもので、しかも何か月か前の話である。
コレルたちが包囲を完成させて援護に来るまで、持たせられるかどうか。
ふ、と、風にかすかに雑音が混じった。
山林の茂みを掻き分けて来る音で間違いない。コレルたちが物音を立てるヘマをしたわけではないのなら、ついに盗賊団が来たということだ。
道の向こうから、薄汚れた一団がまっすぐ近づいてくるのが、目に見えるようになった。
使い古した皮鎧と、抜き身の武器の手入れ具合を見れば、戦士としての程度がわかる。
「おいおい、こいつは何の冗談だ?」
響くのは風の音ばかりの集落と、道の真ん中で両手に剣を持って立つ子供。
先頭の狼の人相の悪い顔が、目に見えて歪むのがわかった。
「なんだてめえは」
レムを値踏みしながら、先頭の狼が唸る。体格と表情でそれなりの威圧感を出しているが、
普段の修練で受けているような「立っているだけの圧迫感」には程遠い。
武器は長柄斧。斧や戦棍を扱う戦士に、技巧を伴っている本物の使い手は少ない。そして、斧には刃こぼれがあった。
後ろに続く十人程度も似たような有様で、周りの様子を見まわしているばかりである。
コーネリアスの戦士団なら、この時点で既にいつでもレムに踏み込める位置取りをしているだろう。
拍子抜けした。緊張感が、馬鹿馬鹿しさと腹立たしさに入れ替わっていく。
「盗賊団ってのは、お前たちか」
「おいガキ、聞いてんのは俺たちの方だ。ここの村の奴らはどうした。俺たちに差し出される女と食いものはどこへやってある」
「お頭、ひょっとすっと逃げられたのかもしれませんぜ」
後ろにいた一人が、先頭の狼に声をかける。
頭目は、じろりとレムを睨むと、そのまま周囲に視線を巡らせた。
「そうみてえだな。おいお前ら、この様子じゃまだ遠くには逃げてねえ筈だ。阿呆なことを考えやがった爺いを捕まえて来い。火ぃおこしてあぶってやる」
肩に担いでいた長柄斧を、両手に持つ。
「あと女も捕まえて来い。俺はこいつで遊んでるからよ」
「あいさ」
外見でレムを陽動にしたのは、間違いだったらしい。完全に舐めきっている盗賊団は、レム相手に人数を割こうという気は起こさなかった。
レムが賊を足止めしているうちに、戦士団が包囲する作戦である。ここで散らばられては、討ち漏らす危険がある。
今後のことを考えれば、なんとかして注意を引きつけなければならない。
しかし、頭目の視線に殺気ではなく嗜虐感が篭っているのを感じて、レムはこそばゆくなった。
つい、鼻で笑った。
散ろうとしていた盗賊たちの何人かが、動きを止める。
「あん?」
頭目の機嫌の悪そうな唸りで、残りの賊も足を止めた。
その意図はなかったが、うまく挑発になったらしい。
「住民が逃げていてよかったな。追いかけることにしておけば、私が怖いから逃げる、と言わなくて済むんだからな」
「なんだと、おい」
「こりゃあ、今自分が何口走ったか教えてやらなきゃいけねえな」
何人か乗ってきた。
「おい、放っておけ。こんなガキによってたかってなんざ、余計笑い物……」
制止しようとした比較的冷静な一人の頭に、石を投げつけた。
当たった。傷に血が滲み、盗賊の顔がレムを見る。怒りの色があった。
「こいつ」
これで全員。レムが袋叩きになる姿を見物するまで、住民を追う気にならないだろう。
両手の蛮刀を構えた。再び緊張感が背筋を通る。
「おい、女どもを追うのはやめだ」
殺意と、違う気勢が盛り上がる。
「ガキ、舐めた口利いたらどうなるのか、体に教えてやるよ」
「お前が女どもの代わりだ。覚悟してろよ、股が裂けるまで犯してやる」
例外なく、目がぎらつき始めた。
背後に回られないよう、レムは建物を背負う。自ら追い詰められる形だが、負ける気はしない。
長柄斧が、突き出された。
斧は叩きつけるもので、突くものではない。レムをいたぶるつもりだったのだろう。
跳躍数回の間合いを一瞬で詰めてくる、あの砲撃のような踏み込みに比べれば、じれったいくらい遅かった。
頭目が体に力を込めるのを見てから、斧が動き出す前に、レムは既に避けていた。
突き出される腕を迎えるように、斧を握った手に蛮刀を合わせる。
続けて繰り出した左の横薙ぎを、頭目は手首のなくなった腕で受けた。その動作で頭が空いたのを見た時には、レムは反射的に右剣を振り下ろしていた。
まずい、と気がついた。
血煙を上げて倒れる頭目の向こうで、盗賊団が凍りついたように動きを止めている。
今の連撃を捌ける者が、盗賊の中にはいないだろう。レムを相手に、命を張る者も。何かのきっかけがあれば、蜘蛛の子を散らすように逃げ出すのは明白だった。
修練でこういう場面がない。血刀をぶら下げたまま、どうしていいかわからないレムも止まってしまった。
盗賊たちは武器を手に持ったまま、顔を見合わせている。
今レムがやらなければならないのは、盗賊を一人残らず捕らえるか殺すかすることである。
気を取り直して、一歩踏み出した。
盗賊たちも、たった今目の前で頭目が、わけもわからないままに斬り捨てられたのを見ている。
レムが踏み出した分、退いた。
もう一歩踏み出す。もう一歩退く。
駆け寄る。
「ちくしょう、覚えてろぉ!」
ついに、背を向けて逃げ出し始めた。
「ま、待て!」
己の迂闊さを奥歯で噛み潰し、レムは今までになく慌てて蛮刀を振り上げた。
一時はどうなることかと思ったが、コレルたちがすぐに包囲の輪を狭めたお陰でどうにか全員を補足することができた。
盗賊たちの死体は、集落の外れに集めておいた。今、パラカの男たちが土葬しているところだろう。
ばらばらに散ってしまった盗賊は、どうにか全員仕留めることができた。
戦士団の目的は、盗賊を無力化することであり、全滅させることまでは求められていない。とはいえ、生き残りがいれば、同じことをまた繰り返す。
少ない人数で、多くの脅威を殲滅できるかどうかが、戦士長格の手腕を評価する点である。
「お前がしくじったお陰で、もう少しでえらいことになるところだっただろ」
無事に任務を終えて一安心のはずのコレルは、虫の居所が悪かった。
「六人も連れて行って、一人でも取り逃したなんてことになりゃあ、俺が怒られるじゃねえか」
今回、囮のはずがいきなり盗賊を散らばらせてしまったのは、レムが加減をしくじったせいである。
悔やむ気持ちは十分にあった。それを他人から言われれば、大人しく受け入れるつもりでもあった。だが、その一言がいけなかった。
「コレル」
「なんだ、言い訳をするのかよ」
「お前、身内の評判のために来たのか?」
「あん?」
「おお、戦士の皆さま」
空気が険悪になりかけたところへ、パラカの長老が杖を突きながら現れた。
他の氏族の者に、内輪揉めを見せるわけにはいかない。仕方なく、距離を取った。
戦士長であるコレルが、代表して迎える。
「長老、どうだいコーネリアスの戦士は。見事なもんだろ」
「は、はい。お陰さまで、皆喜んでおります。いや、本当に何とお礼を申し上げたらよいか」
長巻を誇示してみせるコレルに、長老は何度も頭を下げている。コレルの取り巻きたちも、まんざらでもなさそうな表情である。
長老の目が、ちらりとレムの方を向いた。軽くひとつ頷き返してやる。
「今日はもう遅くなります。何もないところではありますが、今日は我が集落にお泊まり下され」
「ああ、気が利くじゃねえか」
「さあさ、こちらへ。そちらの御仁も」
戦士団を奥の集会場らしき建物へ送り出しながら、長老はレムを親しみのこもった仕草で差し招く。
「マダラの方ですかな? 見ておりましたよ。切っ先さえ触れさせぬお見事な剣の腕、御氏族でもさぞや名のある方なのでしょう。ささ、遠慮なく」
「あ、いや、私は」
「いやはや、お若いのに大したものです。パラカの若いのにも見習わせたいものですわい」
杖をついた老人に手を取ることまでされては、いつまでも控えめでいるわけにはいかない。
招かれたのは、避難場所にも使っていた、そこそこの人数が入れる集会場だった。
いつの間に準備したのか、集会場には絨毯が敷かれ、卓にはテーブルクロスがかけられ、パラカ氏族の女たちがせわしなく食事を並べていた。
手製の壁掛けや花瓶が各所に並べられており、いずれも真新しい。
暖炉の火はあかあかとおこり、室内の空気を少し暑いくらいに保っている。
卓の上には、焼いた獣肉や、煮込み野菜が湯気を立てていた。
並べられたガラス製の水差しも、水滴が表面に浮かんでいる。この室温でなら、よく冷えた水はうまいだろう。
パラカくらいの小氏族としては、何年かに一度の大盤振舞いであることは間違いない。
コレルは期待が外れたような色を滲ませていたが、彼の取り巻きたちには十分すぎる歓迎である。レムにとっても、言うまでもない。
「どうぞ、遠慮なくおくつろぎくだされ」
コレルを上席に、三々五々席に着く。
この辺りの獣の肉なのだろうか。肉にかじりつくと、やや筋張って固かったが、香辛料が利いていて一口ごとに食欲をさらに掻き立てる。
野菜は肉の脂をとったスープで、野菜の歯ごたえを感じさせないくらいに煮込まれてあった。
並べられた料理に手をつけている間にも、次々に新しい料理が並べられていく。
茹でた鶏ササミに手を伸ばした時に、レムの横にパラカ氏族の娘が来た。レムより少し年上だろうか。赤い巻き毛の可憐な少女である。
「あの」
「ん」
まだ、口の中に蒸しイモが残っている。肩越しに振り向いたレムに、木札のついた鍵を差しだした。
「あなたをお泊めする家は、ここになります。ここを出たら左へ行った並びの四件目です」
見れば、他の戦士にもそれぞれ木札の鍵が渡されていく。
「家の中の物は、ご自由にお使い下さい。私たちからのせめてものお礼の気持ちです」
「ん、うんむ」
満足に返礼もできないのを心苦しく思いながらも、口を開かないように唸ると、彼女は頬が触れそうな距離まで顔を近づけてきた。
「月が山に隠れたら、鍵を開けておいてくださいね」
「う?」
何やら不穏なものを感じ取って、相手の顔をしっかり見ようとした時には、彼女は身をひるがえして空いた皿を下げにかかっていた。
若干、耳が赤かった気がする。
水差しを手に取り、口の中のイモを一息に飲み下す。
ようやく物が言えるようになった時には、彼女は奥に引っ込んでしまっていた。
後背位で突きながら相手の手首を掴んで後ろに引き寄せる体位をイメージしていたところ、
ふと気を抜いたらパロスペシャル・ジエンドが炸裂していました。
今回はここまでです。
何かありましたら、よろしくお願いします。
パロスペシャル・ジエンドって何ぞや? とグーグルで画像検索してウポァw
具体的に書かれた修練&活劇の場面がいいですなぁ
一度読んだ後、頭の中で太刀筋と体裁きをスロー再生、それでも事足りず
思わず自分で身体を動かして確認してしまった
それにしてもここに集う作者さん達は食べ物の描写が上手だ
>並べられたガラス製の水差しも、水滴が表面に浮かんでいる。
>この室温でなら、よく冷えた水はうまいだろう。
こちらも合わせて冷蔵庫からミネラルウォーターを調達、ついでに残ってた
カレーまでもレンジでチンしてしまった
このスレを深夜に読み出すと毎回こんな感じだから困るw
これは…リリーなフラグが立ちそうな気配ですねw
GJ!
はてさて、レムは鍵の意味に気付くのか気付かないのか…
正座して待ってます。
>>297 さあゆで先生の絵を忘れて続きを書く作業に戻るんだ。
かぶりますが、戦闘と食事描写すごいすきです。
レムと彼女に頬を摺り寄せてきた彼女かあいいよかあいいよ。
食事と生活のシーンをちゃんと書いてるってのは良いね
このまま行くと凄く良い作品になる気がしますよ!
乙でした!
303 :
とらひと:2009/01/18(日) 21:11:32 ID:ZmIKDwHN
>>303 本スレでは超お久しぶりですw
そして今年も 俺 の た め に いい話を書いてくれてありがとうございます。
いつものことだけど、なんていうか、こう……くる。
さて、今年もみんなでスレを盛り上げていきましょう。
>>303 乙でござる。
まだ書いてくれてすごく嬉しい。
しかし、チヒロは泣き上戸かもしれないな。
ただ一言。
いやっほう万歳GJ!w
(/ \)
/( O )\
\(^0^)/ <48の殺人技
( へ)へ
※ヒトなしエロなし
レムの宿舎に宛がわれた建物は、パラカ氏族の一般的な住宅である木製の簡素な小屋である。
真ん中に囲炉裏を備えた一室のみの板敷きで、これで移動式テントであれば、巡礼する氏族の典型的な住居構造になる。
そのせいか、屋内の脇に寄せてあるベッドに、妙に不釣り合いな印象を受けた。
既に囲炉裏には火が入っており、部屋の暖気は申し分ない。剣帯を解いて上着を脱ぎ、ベッドに倒れ込もうとして、思いとどまった。
旅塵と汚れをそのままにして飛びこむには、ベッドのシーツは白すぎる。
少しためらった後、剣帯から蛮刀を抜きだした。
備え付けの水瓶から、器に水を取り分けて刀身を浸し、その間に荷物から磨き粉と布を取り出す。
水の滴る刃に磨き粉を振りかけ、血脂の付いた部分を念入りに布で磨く。曇りが取れたところで、湿らせて固く絞った布で水気を拭き取り、陰干しする。
二本目に取りかかろうとしたところで、宴席で少女に言われたことを思い出した。
月が山に隠れたら、鍵を開けておけ。
どちらの月のことを言っているのかわからないが、今日は銀の半月なので、山の稜線に二つとも月が沈む頃には夜中になる。
鍵は、木製のかんぬきに金属製の錠を取り付けた、ちぐはぐなものだった。おそらくベッドと一緒に、他国の行商から買い入れたのだろう。
廃鉱山をくりぬいて作られているコーネリアス氏族の集落は、かんぬきのままである。
弱小氏族のパラカが、コーネリアスより早く先端技術を取り入れているのは、なんとも不思議な気分だった。
錠を開け、かんぬきを外す。ついでに月の様子も見ておこうと扉を開くと、目の前に人影があった。
「あっ」
人影が身を離す。レムも反射的に飛び下がり、囲炉裏の傍の蛮刀の位置を確認した。
すぐに飛びついていい相手かどうか、一瞬で判断し、即座に行動を――
「す、すみません」
する必要はなかった。囲炉裏の火に照らされた姿は、宴席で鍵を開けておいてくれと言った彼女のものである。
癖のある赤い巻き毛はそのままに、柔らかい布地の前閉じのワンピースを着ていた。やや痩せ目の体の輪郭が、焚火の照り返しに濃い陰影を作りだしている。
羞恥を孕んだ上目づかいが、腰を落として身構えているレムに注がれる。
「あの、少し早いと思ったんですけど」
赤月は地平線にかかっていたが、銀月はまだ、夜天に斜めに傾いている。
「来て、しまいました」
剣を取っての立ち回りとは別種の不穏さが、夜気と一緒にレムのあたりを吹き抜けていく。
何かとてもまずいことになっている、と、レムの直感が告げている。
彼女を屋内に招き入れたはいいものの、レムはこういう時にどうしたらいいか、わからない。
他の狼たちなら、職業訓練の時に共同宿舎だったり、友人の部屋を訪問し合ったりするので、それなりに歓迎の仕方を身につけているのだろう。
だが、ビスクラレッドに言われたように、レムの育った環境は変なのである。
気にかけてくれる先輩戦士も、懐いてくる見習い戦士もいるが、男が女の部屋を訪ねることはない。
家族でない限り、女が男の部屋を訪ねるのは、種を貰いに行く時だけだから、レムは彼らが客を迎える時にどういう対応をするのかも知らない。
とりあえず二本目の蛮刀の手入れを続けることにした。
彼女は微笑みを浮かべながらも、そわそわした様子で辺りを見回している。
布で刀身を磨いていると、膝でレムの傍ににじり寄ってきた。
「あの、いい剣ですね?」
「そうでもない。工廠でたくさん作っているものだから」
「そうなんですか? 私、剣にはあまり詳しくなくて」
会話が続かない。気まずい空気とは言いたくないが、レムも彼女も距離感を掴みかねている。
何かしなければ、と思えば思うほどに、剣のちょっとした曇りが気になってきて、いつもより念入りに剣を磨いているばかりである。
「あの、お名前を教えてもらってもいいですか?」
「え、あ。ああ、うん」
戦場でならともかく、一介の戦士が私的なことで他氏族の民に名乗っていいものなのだろうか。
名乗るなら、どこまでなのか。とりあえず、戦士としての名乗りなら、慣れている。
「レム。コーネリアス氏族、"岩に咲く白"のレム」
「あら」
微笑に、安堵感の深みが宿る。
「戦士の方は、そうやって名乗るんですよね。私が小さいころに来た方も、攻めてきた他の氏族に、そんなふうにちょっと大仰に」
何がおかしいのか、抑え切れていない笑いが、頬に残っている。
「なあ」
「あ、ご、ごめんなさい、お名前を聞いて笑うなんて、失礼ですよね」
言いながらもまだ笑みが消えない。
「私はそんなにおかしいか?」
「いえ、その、可愛らしい……方だなって。先程からずっと剣を磨いているし、なんだかもじもじしてるし、諱も教えて下さるし……
ふふ、気に障ったのなら謝ります、けど……」
謝るといいつつ、彼女はまだ笑っている。
レムにとっては、彼女の態度よりも、自分の応対がことごとく的外れだったことの方が衝撃だった。
挙句に、可愛い呼ばわりである。
最近、こういう予想外のことばかりのような気がする。自分の尾の先が下を向いているような感覚があった。
二人向かい合って、下を向いたまま、時間ばかりが過ぎていく。
ふいに彼女が顔を上げた。やや上気した頬に、決意の色が光っている。
「レムさん、あの、あまり遅くなると家の者が心配します」
「うん」
「だから、その」
なんとなく気圧された。どころか、彼女は腰を浮かせてずいとレムの方へ身を乗り出してくる。
レムはまだ手に持っていたままの蛮刀を、脇へ置こうと思った。
だが手放さない方がいい気がしている。床に蛮刀を置いたものの、手を添えたまま、踏ん切りがつかない。
「失礼します!」
と迷っている間に、少女の手がレムのズボンに伸びていた。
「わ、何を!」
突き離そうとしたが、左手はまだ蛮刀にかかっている。一瞬思い留まった間に、彼女はレムの膝の間に入り込み、帯を解き始めていた。
「ちょっと待て!」
レムの慌てた声に打たれたように、手が止まる。
「あの、私、迷惑でしたか?」
見上げる顔は、不安げだった。
「お嫌ですか? そうですよね、レムさんのお好みも聞かないで、私ったら」
「いや、迷惑というか」
意図が読めない。何を言うべきか。もしくはどうしたものか、レムにはさっぱりわからない。
「ええと、もしかして聞いたことがなかったりしますか?」
彼女はレムの腰に伸ばしていた手を引いて、座りなおしている。
「他の氏族の戦士様に助けていただいた時は、氏族の発展のために、その戦士様の血を受け継ぐ子を産ませてもらうことがあると、お爺さんから聞きました」
床に下ろした自分の指先を見ながら、ひとつひとつ言葉を探っているようだった。
「戦士様にとっても、助けた氏族からそういう申し出を受けるのは栄誉なことだって」
それを、レムは後ろに手をついたまま聞いている。
「盗賊と戦っている時のレムさん、とても格好良かったです。踊るようで、まるでパラカの伝承の風渡りみたいで。だから……」
少女が僅かに、しかし力強く顔を上げた。
レムは、ようやく嫌な予感の正体を悟った。彼女のいる場所はまだレムの膝の間である。
彼女は上気どころか真赤な顔で、ぐっと上体を近づけてレムに抱きついた。
「だから、私にあなたの子を産ませて下さい」
レムの腰に自分の腰を密着させ、しがみつくも同然に腕に力を込めている。
力の入れ過ぎとは違う震えが、伝わってきた。彼女の肩越しに、尾が力んでいるのがよく見える。
彼女も無理をしているのか、と思った矢先に、彼女が体を離し、レムのホットパンツの前を一息にはだけた。
「あの、男の人はこうすれば喜んでくれると教わってきましたので」
「だ、だからちょっと待て!」
下着を引き下ろすべく中に手を入れられ、今度こそレムは飛び上った。
「あら?」
疑問符を浮かべる少女を残し、レムは普段以上の距離を後ろ飛びする。
空振りに終わった彼女の右手が、宙に漂っている。
「私、てっきりマダラの方だと」
「どうして、そんな判断になったんだ」
下着から、自分の汗の匂いが立ち上ってくる。昼間の立ち回りのままだからだろう。彼女にも、じっとりとした汗の感触が伝わってしまったに違いない。
情けない気分でホットパンツを履き直し、帯をしめる。
「何か変だと思っていた。もういいだろ」
帰ってくれ、と言おうとして振り向くと、彼女はその場に崩れ落ちていた。
「どうしたんだ」
「はひ、なんだか気が抜けちゃって……」
先程までの勢いが消え、すっかりへたり込んでいる。相当気追い込んで来たのか。しばらく立つ気力もなさそうだった。
余裕ができてみれば、彼女からかすかに嗅いだ覚えのあるような匂いが漂ってきている。
「酒の匂いがするけど」
「はい、ちょっと飲ませてもらって来ました。男の方の部屋に行くなんて、そんな怖いこと普通じゃできません」
緩みきっているが、心の底からの微笑みのように見えた。
「でも少しだけ残念です。あなたならいいかなって、思えた方だから。父さんもお爺ちゃんも、賛成してくれましたし」
なんだか責められているような気がしたが、彼女は相変わらずにこにこしている。
そもそもレムは何も悪くないのだ。妙に拗ねたような気分が胸に湧いてきて、ついと横を向いた。
床に置いたままの蛮刀を拾い上げ、ベッドに立て掛ける。
「レムさんをマダラだって言ったのは、お爺ちゃんなんです」
座りなおした状態で、少女はぽつりと話し始める。
「見た目は女の方だと思ったんですけど、コーネリアスの戦士はみんな男だからって。それで私も、そうなのかなって。レムさん、男っぽいところありますし」
「そうかな。それで、家族に私の所に行けって言われたのか?」
「ええ、まあ。他所から戦士様に来てもらったからには、氏族の誰かがお礼に行くのが礼儀だって。だから、レムさんならって私が言ったんですけど」
「お礼か。でも戦士に種を貰うのは、自分たちの氏族のためじゃないのか?」
「でも……その」
彼女は恥じらうように顔を俯けた。
「男の方は、やっぱり好きなんですって。そういうこと」
レムの瞼の裏に、かつての光景が浮かぶ。父の行為も、楽しんでやっていたものなのだろうか。
そうであればもっと楽しそうな雰囲気を出すものだろう。例えば昼間の盗賊の頭目が、斧をレムに向けた時のような。
「父さんは、子供ももちろんだけど、楽しんでもらうのが大事だって……そう言えば、最初に自分で服を脱ぐのを忘れてました。そりゃ、ダメですよね」
「ん」
肉付きがいいとは言えない彼女がわざわざ体の線の浮き出る服を着て来たのだから、相手の情欲をあおる効果を狙っていたのは言うまでもないだろう。
「色々と、苦労があるんだな」
抱かれるということがどうなのか、レムにはわからない。
父に抱かれた祭司の少女は、行為中は苦しそうに涙を流し、終えた後も放心状態で寝台に身を横たえていた。
明け方が近くなって、おざなりに衣服を纏うと、よろめきながら部屋を出て行ったところまでしかレムは知らない。
行為がどんなものかはわからないが、あれが男の肉棒ではなく敵の刃であると置き換えれば、なんとなく察しはつく。
切っ先が自分の正中線を捉えた瞬間の、あの神経が凍りつく感触。死が迫った戦慄は、今でも相変わらず全身を駆け抜ける。
レムでさえそうだというのにこの少女は、自分のはらわたを抉らせるために、自ら来たのだ。
「その、悪かったな。私が男じゃなくて」
「ええ。根に持ちます。私、初めてだったんですよ?」
レムの顔をじっと見つめて、彼女はもう一度笑った。
「本当に、残念です」
返す言葉もない。レムの責任ではないと言い切ってしまうことはできる。
だが、自ら祭壇に乗った犠牲を、誰が突き放せるだろう。
「今夜はお邪魔しました。ゆっくりお休みくださいね、レムさん」
「送るよ」
「大丈夫ですよ。パラカの集落で襲ってくるような悪者は、昼間レムさんが退治してくれましたから」
今になって酒が効いて来たのか、危うげな足取りで立ち上がる。
「明日お帰りなんですよね」
「そうだな。時間は決まってないけど、戦士団がそろったらだ」
「お見送りには、必ず出ますから。なるべく遅く出てきてくださいね」
雲の上を進むように、と例えればいいのだろうか。どことなく地に足のついていない雰囲気で、彼女はかんぬきを開けて扉を開いた。
夜の冷たい空気がさっと差し込んできて、意識が引き締まる。
「あ」
戸口から出かけた彼女が、レムの方を振り向く。
「私、アマリエです。覚えていてくださいね」
名を尋ねられた時は、何も構えることはなく、ただそう答えればいいだけだったのだ。
「ああ、月がもう沈む」
銀月が、山の稜線にかかっている。
「精霊パラカよ、コーネリアスの戦士レムに、どうかご加護を」
わだかまる宵闇の中で輝くそれへ向かって、アマリエはひらりと舞い出た。
今回はここまでです。
何かありましたら、お願いします。
おおおお、二つも投下来てた。
>303
超待ってた。続きが読めてうれしい。
テペウ、ものっそい怖いイメージだったけどやっぱりトラだなあ、よかった。
>307
わくわくしながら続き待ってる。
お二方ともGJにござる!
チヒロといいレムといい可愛すぎるだろうjk
2つも来てた!お二方ともGJです
虎って憎めない種族なんだよなぁ…
こんばんわ。犬国奇憚夢日記の第11話。
ダラダラと続けているのですが第4部になります。
ここで11話は折り返しになります。
前編はまとめてwikiに転載いたしますので、一気読みの方はそちらをどうぞ。
wikiのほうはてにをは等の加筆修正版になります。
10レス分ほどお付き合いください。
〜承前
チュンチュン・・・・
朝靄に煙る午前6時のロッソム中央通は、朝刊を配る新聞屋の小僧さん達と牛乳を配って歩くウシの一族の仁義なき戦いの場でもあった。
近郊の広大な酪農地帯から大きな人力車を牽いてやってくるウシの男達。
「・・・・ミノタウロス」
ウシの男を初めて見た時、マサミはそう呟いた。
他の種族の男では考えられないような力を持っているウシ一族。
だが、大きな牛乳タンクを40本近く積載したリアカーの積載重量は軽く1tと越えているのだろう。
ちょっとした段差や上り坂ですらも心の準備をして押し上げ引上げしつつ歩くのだった。
その歩みの鈍いリアカーを邪魔そうに見ながら軽快に駆けて行くのは鳥系種族の新聞配達。
短い距離は地上を走り、通りから家並みを越えて向こう側へと向かう時は家の上を文字通り飛び越えていく。
その飛び越えた先にリアカーが停車していて、暢気に牛乳を買う家の大きな瓶へ牛乳を柄杓で分けている事もある。
ズシリと重い新聞を抱え着地体制に入ったところで視界に入る牛乳売りのウシの女達。
頭上から勢いをつけてキックが降ってくるのだから彼女らも頭上警戒が欠かせない。
今日も通りのアチコチでぶちまけた新聞にこぼれた牛乳が掛かってしまい、双方共に商品にならなくなって喧嘩している様子が見られるのだった。
「ね?言ったとおりでしょ?」
「・・・・ほんとです」
紅朱館の勝手口。
とは言っても館のスタッフだけで軽く100人を越す人数が働くこの施設では、勝手口ですらも下手な建物の玄関より大きい。
その前で朝刊の到着と牛乳屋を待っているリサの隣。
ミサのお下がりの小さなワンピースにメイド見習いの掛ける薄緑の前掛けをしたミーシャが通りを見ていた。
「ここではね、新聞はあっち側の玄関から。牛乳はこっちの勝手口から貰うの。そうすればぶつからないでしょ?」
「・・・・そうですね」
リアクションに乏しいミーシャの、その搾り出すような声を根気良く待っているリサ。
何をするにも主の了解を取らないと安心できない用に躾けられてしまった性格は、一朝一夕で改善できるものではない。
―― ちょっと面倒だけど。でも、あなたがそれを出来ないと困るのよ?
前夜遅くに突然アリス夫人から指示を受けたリサはさすがに面食らっていた。
公務員の査察官が連れて歩いていたヒトの娘を一人前の女中に育てろと言われたところで、果たしてその取っ掛かりすらも見えないでいるのだった。
―― かなり依存性の高い精神構造だ。自分で考え、判断し、決断し。そして行動する。
―― それが出来ねばあの娘に未来は無い。リサ。頑張って教えてやると良い。
ポール公の言葉にリサは何か別の目的があるのを薄々感づいている。
きっとこの子もここで生きていく事になるんだろう。
もしかしたら誰かのお嫁さんにと考えているのかもしれない。
それとも無くば、どこかにまだ知らぬ夫ヨシの弟がいるのかもしれない。
いや、やがて旅立つタダとミサの二人が抜けた後、自分の片腕として働く存在になるのかも。
何から教えればいいんだろう?
カナさんは何から教えてくれたんだっけ?
えっと・・・・・
「・・・・あの、婦長様」
ミーシャの呼びかけで我に帰ったリサ。
「どうしたの?」
「・・・・旦那様を起こしに行ってきても宜しいでしょうか」
申し訳なさそうな声で了解を求めるミーシャはどこか不安そうでもあった。
殴られたり蹴られたりと、生まれ育った所ではそんな行動で良いか悪いかを示されて来たに違いない。
だから、何をするにもいちいち了解と承認を求めるのだろう。
誰だって殴られたり蹴られたりするのは嫌だ。痛い思いはしたくない。
寒々しい程に怯えているミーシャの姿が、遠い日の自分の記憶に重なっていた。
「あら、もうそんな時間かしら」
あえて勤めて平静な態度を取ったリサ。
緋色の生地に豪華なレースの袖飾りが付いたワンピースの袖口をめくれば、そこにはアリス夫人から貰った細身の腕時計。
コチコチと正確な時間を刻む時計の針は6時半を回ったところだった。
「・・・・旦那様はいつも7時に起きられますので」
「じゃぁまだ20分あるわよ」
「・・・・その前に今日のお召し物を用意しておくのが私の務めですので。それと・・・・」
「それと?」
急に困ったような表情になったミーシャ。
何か秘め事があるのだろうか?
それとも・・・・
「いっ いや、良いです」
「一緒に行きましょう。その方が良さそうね」
「あ! いっ 良いです!大丈夫です!一人で行けます!」
驚くような強い拒絶がミーシャの口から漏れる。
その振る舞いに少しだけ只ならぬものを感じたリサ。
俯いてモジモジするミーシャの肩をポンと叩いた。
「行ってきなさい。大事な仕事なんでしょ?」
「・・・・はい すいません ちょっと離れます 申し訳ありません」
見よう見まねのお辞儀が少しだけ上達したミーシャ。
クルッと振り返ってタタタと駆け出したその姿にリサはちょっとした興味を持った。
「ここ、お願いね」
リサのすぐ近くに立っていたイヌのメイドへ指示を出し、リサはそっとミーシャの後を追った。
何をそんなに隠しているのだろうか? 何か重要な事だろうか?
婦長の職責として把握しておかなくちゃ・・・・
野次馬根性的な覗き見趣味も手伝ってか、リサは体を泳がせるようにして客間の中を見渡す覗き穴のところへとやってきた。
小さな小窓の蓋をそっと開けると、客間の片隅の小さな飾り鏡に設えられたマジックミラーの裏側から部屋を一望できるのだった。
「旦那様 旦那様 朝ですよ」
ベットの上でまだ意識を失っている調査官のすぐ脇。
ミサはサムの耳元で囁くように呼んでいた。
「旦那様」
決してその体に触れる事無く、ミーシャは耳元で囁いている。
どこか怯えたような表情で、だがしかし、決然とした覚悟を持って。
「旦那様 どちらにおいでですか」
しばしの沈黙。音の無い世界に流れる緊張感。
リサも息を殺してジッと見ている。
「オ レ ヲ ヨ ビ オ コ ス ノ ハ ダ レ ダ … 」
昨夜見た査察官の声とは似ても似つかぬ声だった。
そして、本能的に恐怖を感じるような、まるで猛獣の唸り声をそのまま言葉にしたかのような。
湧き上がる不安に口から息が漏れそうになり、リサはとっさに口を押さえた。
「貴方じゃ有りません。私の旦那様をお呼びしているのです。お帰りくださ――」
眠っていたはずの査察官の、まだ布団の下にあったはずの手が突然動き、声の主を追い帰そうとしたミーシャの口を押さえた。
大きな手がミーシャの口をグッと掴み、顎の骨に痛みが走っているのだろう。
苦悶の表情を浮かたべミーシャの目に涙が溜まる。
だが、彼女の手はまだベットの上。決して査察官の手に触れようとしていないのだった。
「ゴメンナサイネ コノバカオトコツレテカエルカラ」
査察官の口から今度は女の声が聞こえた。
どこか上品で、そして遊びなれたような艶っぽい声。
それと同時にミーシャの口を押さえていた手がふと離れ、糸の切れた人形の様にベットへと落ちた。
「旦那様 早くお越しください もう朝ですよ」
ンンン・・・・・
ノソリと動き出した査察官。
イヌの耳が付いているだけで体はヒトと同じのマダラ。
その動き出しはヘンリーと同じだね・・・・
マジックミラーの裏側で見ているリサは胸のうちでそう独りゴチた。
「そうだよ。マダラは皆同じだよ」
「え?旦那様?」
「あぁ、ごめんごめん。朝から独り言だ」
リサの隠れるマジックミラーへ向かってパチリとウィンクするサム。
隠し部屋の中でこれ以上無いくらいにリサは驚いた。
・・・・ばれてる?
うろたえる事無く息を殺し続けられたのは婦長のプライドだろうか。
「お疲れ様でした。朝の勤めをさせていただきます」
ミーシャはやおら査察官のパジャマに手を掛けてズボンを下ろそうとしている。
傍目に見ているリサは瞬時にそれが何かを理解した。
と言うより、物心付いた頃に繰り返し躾けられていた、優しいくも恐ろしいネコの男を思い出した。
隠し部屋を見通された未知の物への恐怖と戦慄。
見てはならないものを見てしまったと言う後悔。
思い出したくは無い過去がフラッシュバックしてきた不快感。
声を出さぬよう必死に堪えつつ、リサは狼狽を覚えた。
「ミーシャ。今日はいいよ。もうそれをしなくて良い」
「でも、旦那様。私は旦那様の――」
査察官の腰の辺りに陣取っていたミーシャをヒョイと抱き寄せたサム。
ジッと見つめてからさらに両手でミーシャの頭を抱き寄せ、そのまま熱いキスをした。
「いつもありがとうミーシャ。だが、そろそろ俺も一人で起きられそうだよ」
「旦那様?何かあったのですか?」
「君が呼び寄せてくれなくても、もう大丈夫だよ。あと2人だ。随分強敵が残ってしまったがね。それに」
淡々と語っていたサムがふと気付くと、ミーシャは両目一杯に涙をためている。
「旦那様 私は捨てられるのですか?」
「何を心配してるんだい?そんな事はしないよ」
「でも・・・・」
「大丈夫だよ」
もう一度ミーシャにキスをして手を解いたサム。
だが、今度はミーシャがサムに抱きついた。
「ミーシャ。何も心配いらないよ。今までと変わらないさ」
「でも・・・・」
限界を越えてこぼれた涙がシーツの上にぽたりと落ちた。
「今朝方からこちらの婦長様に連れられてお城の中を歩いています。まるで新人の様にして」
「それはねミーシャ。いつか君がそれをしなければならないときの為に『嘘です!』
いよいよ我慢ならずミーシャは肩を震わせ泣き始めた。
「ミーシャ。聞き分けの無い事を言っちゃいけない。大丈夫だよ。君を手放したりはしないから」
ミーシャとサムのやり取りを聞きながら、リサはいよいよアリス夫人の目論見の真意が見えてきていた。
つまり。あの子の親離れ、主からの切り離しを行えと言う事なんだろう。
だが・・・・・・
「ミーシャ? 僕は僕の仕事をする。君は気の仕事をする。その二つが完璧で無いと君は僕とはいられない。わかるね?」
「はい」
「じゃぁ、今日の仕事に戻りなさい。いいね?」
コクリと頷いたミーシャ。
そのまま立ち上がるとサムの為に服を用意し始める。
「あぁ、それも自分で出来る」
椅子の上にあった服をヒョイとツマミ上げ、いそいそと着替え始めるサム。
だが、ミーシャに背中を見せて着替えるサムの正面はリサの隠れるマジックミラー側。
寝起きで未だに隆々と起き上がったサムの"アレ"が、リサの目を釘付けにした。
・・・・凄い
思わずゴクリと生唾を飲み込むのだが、鏡を見るサムがニヤリと笑っているのに気が付いた。
・・・・やっぱりばれてるな どうしよう
「なんなら一度くらい試してみるかい?」
「旦那様?今何か?」
「あぁ、また独り言だ。頭の中でね、誰かがブツブツうるさいんだよ。どっかで監視してるのかもしれないな」
アッハッハと笑ってやり過ごしたサムが着替え終わる頃。
リサはスッと小部屋を抜け出して廊下へと歩み出た。
・・・・あんなの見ちゃったらさぁ
なんとも困ったような表情を浮かべつつ再び時計の針を確認する。
時刻は既に7時半を回っていた。
既にスロゥチャイムファミリーは朝食の時間だ。
専用の食堂は既に皆動いているだろうか?
「・・・・あの、婦長様」
唐突に後ろから呼び止められて飛び上がらんばかりに驚いたリサ。
振り返るとミーシャが立っていた。
「ミーシャさん、査察官さまはもう」
「はい、先ほど起きられました」
「では朝食を用意しましょう。手伝ってくれる?」
「・・・・はい」
努めて平静を保っているフリなのだが、どうにもこうにも・・・・
・・・・まだまだ修行が足りないな
涼しい顔でケロッと嘘を付き、すぐにばれるような言い訳をシレッと吐いてその場を取り繕う。
そんな事を平然とやってのけていたカナの姿を、リサはふと思い出した。
朝食後
「じゃぁ行ってくるからな。良い子にしてるんだぞ?」
「・・・・はい、旦那様」
「そんな不安そうな顔で見るな」
紅朱館の正門前。
領内の重要箇所を視察するために馬上の人となった査察官をミーシャが見上げている。
リサと並んで見送るのだが、その表情は不安で一杯だ。
まるで捨てられる子猫の様に怯え切っていて、そして儚げですらあった。
「・・・・旦那様、必ずお帰りください」
「あぁ、大丈夫だよ」
「・・・・本当ですか?」
「もちろんだ」
「・・・・本当に本当ですか?」
どこまでも不安そうなミーシャ。
サムが思いかねて差し伸べた手を両手で包んで自分の頬に当てている。
その仕草があまりに可愛かったようで、サムは思わずミーシャを馬上に抱き上げてギュッと抱きしめてしまった。
「良い子にしてるんだぞ?婦長殿を困らせたらいけないよ。執事殿もだ。それと、ご飯はちゃんと食べるんだよ。僕が居ないときは勝手に食べて良いからね。それと、トイレに行きたくなった時は我慢しないで言うんだよ。それから・・・・・
クドクドと長くサムの諸注意が続く。ミーシャはそれに一々コクコクと頷いていた。
ちょっと呆れてリサがそれを見ていると、ややあってそこにヨシが自分の馬を連れてやってきた。
「あ、はい、お昼のお弁当」
「あ〜 そっか。ありがとう」
「気をつけてね」
「うん、大丈夫だよ。それより、あっちに気をつけて。何かあったら頼むってアーサーに言ってあるけど、ジョアンの事もあるから」
領内へ出て行く夫を見送る妻。
ヨシとリサの関係をミーシャが眩しそうに見ているが、まだまだサムの注意は続いていた。
「その心配はないよ。だって今日は・・・・・」
「あぁ、そうだったね」
この日。軍の調査官らはここ紅朱館で地域総括相談役のバウアー卿を迎える事になっている。
エミールの父であり、そして地域軍総責任者ポール公の相談役ともなれば、その権力は絶大だ。
木っ端役人以下の調査官などあっという間に粛清の対象となりえた。
「まぁ、そんな訳で行って来るからね。ミーシャ、困った事があったリサに相談するんだよ?」
「はい、執事様」
「サムさん、では参りましょう」
「うん、じゃあ行こうか」
よっこいしょと馬からミーシャを下ろしたサム。
落ち着いていたミーシャが再び泣きそうな表情になっている。
「ミーシャ。人前でメソメソ泣いたらいけないよ。今夜寝るときに怖かった話を全部聞いてあげるからね」
「はい、旦那様」
馬の腹を蹴って駆け出すサムとヨシ。
少しだけ駆けてからサムが心配そうに後ろを振り返ると、遠くに絶望的な表情のミーシャが立っている。
その隣では笑顔のリサが手を振っていた。
「サムさん。心配要りませんよ」
「そうなんだがね・・・・ 大丈夫かな・・・・ やっぱり心配だな・・・・ ご飯食べるかな・・・・ トイレ我慢して泣き出したりしないかな・・・・
「・・・・サムさん、あの」
「うん、大丈夫だよな。うん、きっと大丈夫だ・・・・」
だめだ。この人も大して変わんないや・・・・
ちょっと呆れてサムを見るヨシ。
この二人が種族を超えた兄弟である事を知るものは、城内にですらほとんど居なかった・・・・・・
「見ろポール。あの子達が出て行くぞ」
「ジィさん、あんまり脅かすな」
「そうではない。今度はドジを踏むなよ。あの娘たちにカナと同じ事があったなら、ワシがお前さんらを粛清してやる」
紅朱館の執務室にある大きな窓から下を眺めていたポール公とバウアー老。
老いたりとは言えまだまだ矍鑠とするバウアー老は剣を杖代わりにして立っていた。
「もう2度とあんな事はおきませんよ。させません」
「本当か?」
「えぇ、常に護衛を付けおきます。特殊作戦軍の赤魔道士を呼んでありますし、それに」
やや離れた所で立って見ていたアリス夫人が唐突に話に割り込んだ。
「今回の3人は本当にただのイヌのようね。それに、多少は真面目だわ」
「しかし、化けの皮をかぶっているだけかもしれないぞ?」
「女の勘。とでも言っておこうかしら」
人生のベテラン3人が怖い顔で相談する後ろ。
城内と言うのに剣を腰から下げているアーサーが立っている。
その隣には最近になって最前線の一般兵卒に支給され始めた旋条銃を肩にかけるエミール。
ヒトの世界の小火器と同じく、銃身の内側にライフリングを切られたこの最新式の騎兵銃。
従来と同じ丸い弾でも命中精度と殺傷力が桁違いだった。
「父上、母上。カナさんの身に何か起きたのですか?」
不思議そうに尋ねたアーサー。エミールもまた不思議そうに見ている。
しかし、ふと振り返った父ポールの表情が途端に険しく曇るのを見て、それが尋常な事態ではない事を悟った。
そして、苦虫を噛み潰しているかのような表情の母アリスを見て、少なくともそれはただの失敗談では無い事を理解した。
「聞きたい?」
「・・・・できれば」
慎重に返答したつもりだったのだが、僅かな心身の乱れを漏らしてしまった気がした。
「アーサー、君は次期領主だ。知っておかねばならん。だが、今の態度はいただけん。もっと鷹揚と構えよ」
軍人として常に緊張感のある生き方を求めるバウアー老の叱責が飛ぶ。
幼い頃より父ポールが説教されているのを見てきたアーサーもまた、この老人に頭が上がらないで居る。
「もっと精進します」
「うむ、宜しい。して・・・・ 領主閣下」
バウアー老は常にアリスに対して閣下をつけ敬意を払う。
例えそれがどんな席であっても、未だにバウアー老の心には威厳あるジョン公が大きく構えていた。
バウアー老の心中にあるジョン公のその威徳の果てが未だに尾を引いている。
バウアー老は言う。
自分はジョン公の犬である。
生涯それを誇りにしている、と。
「やはり、あなた達は知っておかねばいけませんね。あの日の事を」
「・・・・何かあったのですね。マサミさんとカナさんに」
「えぇ。とても辛い事が・・・・」
コンコン
「誰だ?」
ドアのノックに対し威厳ある声でアーサーが誰何した。
次期領主として育てられたアーサーの、その少しずつ身に付いた振る舞い癖で一番板についているのがこれだった。
「タダヒトです。ミサも。あ、キックさんも一緒に」
アーサーが視線を父ポールに送った。
ポールは軽く頷きアリスに視線を送る。
アリスはアーサーの眼を見てから軽く頷いた。
「入っていいぞ」
「失礼します」
ガチャリ
静々と部屋に入ったタダとミサ。キックがその後ろに立っている。
だが、その部屋の中の空気が不思議な緊張感に包まれているのに気が付いた。
327 :
犬国奇憚夢日記 第11話第4部-10:2009/01/21(水) 18:01:31 ID:yKjK7oC5
「姉貴に呼ばれて来たのですが、何か御用でしょうか」
マヤはジョアンと共にアーサーの自室で待機している。
アーサーがそのマヤに命じたのは、タダとミサを母アリスと父ポールのすぐ傍に置いておく事だった。
「今日はここで書類を作ります。その手伝いをしなさい」
「はい、奥様」
笑顔で答えるミサ。
タダはなんとなくその対応が気になっていた。
「タダ?何かあったの?」
「あ、いえ。でもなんかちょっと変だな?って感じです。途中からキックさんも一緒に」
アリス夫人の鋭い視線がキックに向かうのだが、彼女もまた修羅場をくぐってきたようで平然としている。
「軍の調査官の皆様は朝食を終えて調書の作成に取り掛かってられるようです。お部屋からはお出になられません」
「・・・・そう。誰か付いている?」
「メルさんがベテランのイヌを何人か連れて話し相手にと、お部屋に」
ウンウンと軽く頷いて窓の外にもう一度視線を向けたアリス夫人。
眼下ではリサとミーシャが作業服姿の城のスタッフと打ち合わせをしていた。
だが、その男たちは皆が軍の特殊部隊なんだろう。
努めて漏れぬように振舞うようで、見るものが見ればすぐに分かる振る舞いだった。
「まだまだね。あの若い子達も」
ボソリと一人ごちたアリス夫人がガラスに反射するタダの眼差しに気が付く。
「タダ。どうしたの?」
「なんか・・・・ 何かを恐れてる気がします」
何気ないタダの一言。
おそらく本人も気が付いていない違和感を感じるその正体。
「あなたは昔から勘の鋭い子だったわね。それはカナ譲りなのかしら」
再び窓の外の遠くを見つめるアリス夫人。
ポール公もまた口ひげをいじりながら、窓の下遠くを走っていくサムとヨシを見ていた。
「タダ。ミサもだ。今日は夜までこの部屋を離れてはいかん。よいな」
「はい、心得ました、御館様」
不思議な緊張感に包まれた室内。
張り詰めた表情のアリス夫人とポール公。
杖代わりに持つ剣の握りを何度も確かめるバウアー老。
何かを知っているはずのキックですら涼しげな表情で居て、どこか何かを警戒する風なのをミサは不思議そうに見ていた。
第11話 第4部 了
投下ラッシュキテタ━(゚∀゚)━!!!!!
三作とも超GJ!
もう一回読み直してくる。
ついに一線を踏み越えた話が出たか。
獣とヒトのキメラに幸あれ。
犬さんは設定に踏み込んでくるなあ。
その度胸が羨ましい。
そしてスレストw
念のため保守
話の展開が強引じゃないように、習慣に組み込んではみたものの
読み飛ばしても特に問題ない感じになってしまった今日この頃
皆さまいかがお過ごしでしょうか
特に重要性もないパロスペシャル回です
※ヒトなし
板敷きの床の真ん中にある囲炉裏には組んだ焚火が火花を飛び散らせており、明かりが辺りを照らしている。
焼けるような赤い光と、濃く黒い影のコントラストに、狼の男の姿が浮かび上がっていた。
室内には瓶が転がっており、焚火の焦げくささに混じって、酒の匂いと、何かの粘っこい匂いが充満していた。
「なあコレル、ちっとやりすぎじゃねえか」
不安げな取り巻きの言葉に、コレルは応じない。
「いいじゃねえか、これぐらい。別にひでえ目に合わせようってわけじゃないんだ」
代わって他の者がたしなめている。
五人とも、上半身に何も身につけていない。壁際を取り囲むように立っているその中心には、全裸の少女が後ろ手に縛られて横たわっていた。
粘り気のある何かの薬液で顔と髪が濡れており、焦点の合わない目で小刻みに全身を震わせている。
声にならない声が、涎と共に垂れ流されていた。
「すげえ効き目だな」
ぼそりと、ようやくコレルが口を開いた。
「さすがは猫どもの薬だな。わけがわからねえ。ここまで要るのか、奴らは」
「というかコレル、大丈夫なのかこれ? このまんま戻らねえとかないよな」
不安そうな一人の横で、興味津津な者もいる。
「いやあ俺こういうの好きかもしれねえ」
「マジか。さすがに引くわ」
ぼそぼそと喋っている取り巻きから一歩前に出て、コレルは満足に言葉も編めない少女の傍にしゃがみこむ。
「おい、どうだ気分は」
小刻みに震える顔が、コレルの方を向く。瞳孔が開いている。
コレルが無造作に乳房を掴んだ。
苦痛とも快感ともつかないうめき声をあげて、少女がのけぞる。
あまり豊かとも言えない胸を揉みしだく度に、過剰なほどの甘い苦しみの声を上げて少女が身をよじる。
「絶対ェ孕ませて帰るからな」
コレルは少女が寝返りで逃れないよう、うつ伏せにして尻を上げさせ、のしかかるように後ろから両の乳房に手を回した。
「コレルの奴やる気だよ」
「お前がこの子レムんとこの方から来ましたよなんて言うからだろ」
乳首をつねり上げられ、少女が苦しそうな声を上げている。
コレルが、ズボンを脱がないままの腰を、彼女の尻の割れ目にこすりつけている。
「あそこまで反応いいと……なあ」
「待つのキツいな」
「てか本当に大丈夫なのかよ、あの薬」
「うるせえなお前さっきから」
「お前らうるせえぞ」
帯を解いてズボンをずらしながら、コレルが威嚇する。後ろ手に縛られたままの少女の尻に、勃起したものの先端をあてがい、数度こする。
それだけで、少女の息が引きつるように乱れた。
「おら……わざわざ来てくれたんだ、たっぷり楽しませてやるからな」
両手を尻に当て、指で裂け目を広げると、少しずつものを押し込んでいく。
鼻にかかった嬌声が彼女の喉から漏れる。
「どうだ、コレル」
「うるせえ聞くな……なかなか、キツいな」
「まあ年下っぽいしなあ」
「だから横で普通に喋くってんじゃ……!?」
「あぐっ!?」
先端が入ったところで、少女が弾かれたように仰け反った。
「あ゙あ゙ああっ!」
「あ、おいコラっ!」
足をばたつかせて逃れようとした少女の腰を、コレルががっしりと掴む。
「ここまで来て逃げんな! てめえん家が恥かくだけだぞ!」
「ああ、あああああああ!」
少女は捕まえられてもまだ逃げようとするが、腰を押さえつけられているため、むきになったコレルに少しずつものを押し込まれていくばかりである。
奥まで突き刺されていくにつれ、喉に声を詰まらせて、再び大きく仰け反った。
コレルのものが根元まで入ると、力尽きたように上半身を床に落とした。
「お、おいコレル」
「こいつ処女だ。手応えがあった」
「にしちゃ、反応が酷過ぎねえか」
「薬だろうな。痛みまで増しちまうんだろ」
腰は掴まれたままのため上半身だけを横たえ、瞳孔の開いた目で舌を出している少女を、コレルは不憫そうに見る。
「よしよし、ここからは痛くねえからな」
ゆっくりと少女の背に自らの体を重ね、後ろから乳房を掴む。
放心状態の少女が、あう、と反応を見せた。
乳房をこねまわしながら、コレルは腰を静かに動かし始める。まだ彼女の声に、疼くような痛みに苦しむ色がある。
乳房から手を離すと、少女の中に出し入れを繰り返しながら、コレルは後ろ手に縛っていた縄を解いた。
「ほら、そろそろ自分で手えつけ。顔に床の跡がつくぞ」
案外素直に手を突く。四つん這いの姿勢になった。
「おいお前ら、順番決めろ。この子に口の使い方も教えてやれ」
「い、いいのか!?」
「マジか!」
「あと四回出すまで回ってこないものと!」
「お前ら俺を何だと」
厳正なコイントスの結果決まった一人が、ズボンの前をはだけて既に先走りの液体を垂らしているものを彼女の顔の前に持ってくる。
「ほら、歯は立てるなよ。棒飴をしゃぶるように舐めるんだ」
俯いたままの少女の顎を掴んで、上を向かせる。
口から涎と苦しそうな声を漏らしながら、彼女はじっと目の前のものを見つめた。
「ったく、しょうがねえな」
顎を持って口を適度に開かせ、勃起したものをくわえさせる。
吐き出されるかと思ったが、少女はすんなりとものを受け入れた。
「で、舐めねえしな」
快楽に溶けた顔で、焦点の合わない目をしているばかりである。
「ほら、しっかりしろよ」
舌に触れるように位置を調節し、自ら腰を動かす。
陰茎に蹂躙された口から、荒い鼻息と共に漏れてくる喘ぎがなまめかしく聞こえる。
その時、コレルに一際深く奥を突き刺され、少女は口からものをこぼして再び仰け反った。
「おいおい、コレル」
「これだけ反応いいと、気分が乗るんだよ」
先程とは打って変わって、コレルは深く突き刺すように大きな振幅でゆっくりと腰を使っている。
一つ突くごとに、少女が艶めいた鳴き声を上げる。
「おい、やっぱりどけ。お前の腹が目の前にあると萎える」
「ちぇ」
口を犯していた男を戻らせ、コレルは少女の背にのしかかると、三度乳房を手のひらに収めた。
荒々しく揉みしだきながら、今度は速いテンポで小刻みに腰を突き立てる。
鳴き声が、悦びの悲鳴に変わった。次第に彼女が上りつめていくのがわかる。
可聴域ぎりぎりの細い高音を発して、少女が全身を硬直させた。
達した瞬間に、彼女の膣肉にものを絞りあげられたのだろう。コレルも小さくうめいて、身を震わせた。
体を支えていた腕が崩れ、荒い息をつきながら少女が再び尻を上げた格好に戻る。
コレルが、そっとものを抜く。ぬらりと光る体液の糸が、彼女とコレルをつないでいる。
支えがなくなって、少女は床に横になった。
コレルは、彼女の重なった膝を取り、仰向けに大きく開脚させる。
両膝の下に腕を差し込んで脚が上がった状態で固定し、彼女自身の液で濡れた裂け目に再びものをあてがうと、今度は一息に刺し貫いた。
彼女は既に一度達している。先程のような張りはないものの、甘い悲鳴が上がる。
今度は、最初からがむしゃらに突き上げていく。
彼女はがくがくと身を震わせ、体をよじりながら意識を失いそうな快楽からなんとか逃れようとしている。
腰まで動かしているせいで、より激しく性器をこすれ合わせる結果になっていることに、気付いていない。
「コレル、まだか?」
「やっぱ四回出すまでお預けか」
「うるせえな。さっきの薬持ってこい」
「おいおい、あれはもう危ないだろ」
「いいから持ってこい」
今度は向き合った状態から乳房を乱暴に握りしめる。
あまり豊かとは言えない柔肉が、指の形にくぼみを作った。黒目がかなり上に行ってしまっている少女の半開きの口に、コレルは自らの舌を差し込む。
彼女の舌に絡め、唾液を吸う。女の味と、ほのかな柑橘系の匂いがした。口腔中を、下で蹂躙する。
「俺がさっきチンコくわえさせたのに」
ぼそりとしたつぶやきが聞こえて、コレルは反射的に上半身を持ち上げた。
「てめえ後で覚えとけ」
「な、なんでだよ」
自棄気味に、勢いを増して乳房と膣を責め上げる。再び少女が達しても、コレルはまだ腰を突き立て続けた。
嬌声が引き攣ったようなものに変わってもまだ責め続け、少女が白眼を剥く頃に、コレルはようやく射精した。
ものを引き抜くと、再び濡れた糸が光った。
「コレル、これ以上はさすがにまずいんじゃねえのか」
少女は、股間から薄く桃色の混じった精液を垂れ流しながら、開脚したまま失神している。
病人のそれに似た呼吸で、胸が上下している。それなのに、心臓は弾けんばかりに脈を打っている。さすがに取り巻きが引いていた。
「さっきの薬はどうした」
「残ってるけどよ」
「じゃあ、それをこいつの尻穴に塗ってやれ。あとはお前たちが好きにしろ」
好きにしろ、と聞いて、やや引き気味だった取り巻きたちに俄然熱が入った。
「い、いいのか……?」
「まだ二回しか出してねえだろ……?」
「いやならいいんだぞ」
「とんでもねえ!」
言った一人の肩を掴んで引きよせ、四人で何やら円陣を組んでいる。
「いや、まずいだろあの状態じゃ……」
「でもよ、少し休憩取れば、大丈夫じゃねえか……?」
「このままじゃ収まりつかねえし。口使おうぜ口。この子の休みにもなるだろ」
ズボンの上からわかるくらい勃起している取り巻き四人は、薬の残りを手に、まだ息も絶え絶えの少女を囲むようにしゃがみこむ。
コレルはその場を離れると、服を着直した。
息を吹き返したらしい少女の、声にならない声が聞こえる。
「あ、ああ、う……」
「大丈夫大丈夫、痛くしねえって」
「ほら、薬塗ってやっから。傷薬じゃねえけど」
「ああ、あ」
心なしか、薬で曇らされたうめき声でも感じ取れるような、恐怖の響きが聞こえた気がした。
あと四人も相手をしていたら、少女の体力は持たないのかもしれない。
だが四人とも日頃からコレルとつるんでいる連中で、今回もきちんと働いた。ちょうどその場に居合わせたこともある。
自分だけ愉しんで我慢させるというわけにもいかない。
「あう、あ、ああ」
「おい、尻も使えるぞ。薬塗った」
「ってか処女だったんだよな、この子。後ろも処女かもな」
「むしろ処女で後ろ経験済みとか引くわ。で、誰から犯る?」
「面倒くせえからみんなで犯ろうぜ」
「結局休みなしだな。いいけどよ」
一人が無遠慮に彼女の股間に指を突っ込んだ。
「あぐっ!」
「一人余るじゃねえか」
「ああ、ああああ、あ、あああああああ」
膣口から漏れる精液を掻きまわすように、彼女の裂け目に入った指が肉を嬲り始める。
指が勢いを増していくにつれ、彼女の悲鳴も絞り出すようになっていく。
「お前、さっき舐めてもらってたろ。ちょっと遠慮しとけ」
「ああ? あんなんで終わっちまったのに俺だけ生殺し?」
「んじゃあ俺たちで犯ってんの見ながらブリッジしてコスってろ」
「ふざけんな。死ぬか?」
「よし、じゃあ二人ずつ交代にしよう。まずお前らで仲良くコスりあってろ」
「ああっあああああああああああ!」
快楽と離れ始めた、死に物狂いの獣のような叫びを背に聞きながら、コレルは小屋の外へ出た。
星が心もとなく光っているだけの夜の静寂の中で、山の稜線が巨獣のように横たわっている。
賢者コレル。
以上です。
最後のは4/4です。
>>333 じつはこういう陵辱ものも好物だ!GJ!
339 :
ゆのじ:2009/01/24(土) 20:07:39 ID:28QuiOVc
この役はイヌしか出来ないね。
悲しくて哀しくて、でも、美しい物語だ。
死が救い足り得るならば、それに見会うだけの苦痛と憎悪がある筈。
それすらも微塵と漏らさぬ、いや、漏らせぬ立場。
ヒトの立ち居置は所詮この程度が基本なんだよなぁと再確認しました。
個人的には何となくでも続き物にして欲しい気がするけど、やはりスレの需要とは相容れないかもね。
逆の側に救いを入れてくれる黒い天使。
良い物語をごちそうさまでした。
投下ラッシュ状態だな
読者としては嬉しい悲鳴w
>>303 相変わらず男性キャラがかわいいなw
>>307、332
レムたんアマリエたんかわいいよ
何やら一寸不穏な空気も漂ってるようで続きもwktk
>>317 ほー、こうきますか。
それにしても冒頭のウシとトリに吹いたw
>>339 毛色が違うというよりは、単に書き慣れてないだけに見える。
話としてはとても好きだよ
また書いてくれると嬉しいです。
職人の方々GJでした!
>>332 陵辱というより性のハードルの低さって感じがして、如何にも時代物の雰囲気。
ハードボイルドなファンタジーですよね。
>>339 物足りないようにも思えるけど、綺麗にまとまってるとこが好きです。
>>339 好きな雰囲気だ!
ハードボイルドっぽくてイイ。
読んでて絵が浮かんだよ
344 :
とらひと:2009/01/30(金) 17:45:10 ID:uIq+jdNm
意外っ!
それは紳士っ!
チヒロは心根が強くて正直圧倒される。
夢日記といい虎の威といい。
トラって種族は格好良いな。
なんと言うか、江戸っ子だよ、粋で鯔背で意地っ張りで華があって。
心意気って言葉が一番似合う種族はトラしかないね。
良いもの読ましてもらった。ごちそうさま。
>>344 なんか唐突に切れてる気がするんだけど・・・・
アップミスとかでしょうか?
まぁ、ここで切れていてもおかしくは無いのですが
意地っ張りで面子を大事にする虎って良いですね。
>>344 ちょっぴりハンスが哀れ…だが笑ってしまったすまんハンス。
漢すぎるわトラの旦那方は
そしてそんな連中に引けをとりやしない千宏の強さ
くっそー、格好良すぎて反則だろコイツら……っ
今回やや短めで。
レムはまだ朝日が地平線から頭を出したばかりの時間に、外に出た。
すっかり乾いた蛮刀二本を携え、大路に立つ。周りには誰もいないが、朝早くから農作業に精を出しているパラカの民の気配が、各所にある。
コーネリアスの霊地ほどではないが、鋭い冷たさを含む空気が意識をさっぱりさせる。
昨夜はコレルの小屋が、随分とうるさかった。いくら羽目を外すにしても、文句のひとつも言ってやらねばならない。
剣の型を一通りと、コンビネーションを思いつく通りに素振りする。
背後からの攻撃をイメージし、振り向きながら両手の剣で武器と持ち手を連続で払う。
両側面からの時間差攻撃をイメージし、片手で片方を捌き、もう片手で逆側を牽制をしながら両側の敵が視野に収まるように素早く動く。
間合いの離れた正面が隙を見せた姿をイメージし、疾風のように踏み込み、諸手突きを見舞う。
一息ついて、元の姿勢に戻った。
普段の修練では、どれも使えない。
誰かが近づいてくる気配がした。聞くだけでも足元がおぼつかない雰囲気は、パラカの長老のものだ。
「おお、さすがは戦士殿。お見事な太刀筋です」
「おはよう、長老」
「おはようございます」
申し訳なさそうな笑みを浮かべながら、レムの宿舎の方へ目を向ける。
「孫娘の非礼はお許し下され。何分、こういったことをさせるのは初めてでしてな」
「いや」
アマリエのことだろう。そう言えば、レムをマダラと勘違いしたのもこの長老だ。そんなに男っぽく見えるだろうか。
「空が白む前に帰って来いと言っておいたのですが、まだ御厄介になっておるようで。すぐ連れて行きますので、大目に見て下され」
頷いて通そうとして、レムははたと気づいた。
「長老、孫娘って、アマリエだな」
「左様でありますが」
「アマリエはまだ月が出ているうちに帰ったはずだ」
「そんなに早くですか」
ただ事ではないらしいと察したらしい。長老の顔色が変わった。
「孫が、お気に召しませんでしたか」
長老の表情は、不測の事態に焦り恐れた者のそれである。だが、レムにはその言い草が棘のように刺さった。
「長老、私は女だ」
「な、なんと」
「それよりアマリエだろ。きっと何かあったんだ」
盗賊を討ち漏らしたか。だが、最初にレムを囲んだのは十一人、屍の数も同じである。あの場にいた者は全員とどめを刺してある。
根城の留守番が戻ってきたとしても、置いて行かれる程度の賊が、戦士のいる集落に意趣返しに来るような度胸を持っているとも考えにくい。
「申し訳ありません。女の方だと知っておれば、このような」
「それはもういい! 長老、皆に知らせろ。私は他の戦士を呼んでくる」
「い、いえ、とんでもありません。その必要は」
自分と長老の温度差は、いったい何だ。
アマリエ一人どうなってもいいと言わんばかりではないか。
農作業に出ていたパラカの民たちが、何事かと集まってくる。
苛立ちを隠す術を知らないレムを見た彼らは、一様に長老と似たり寄ったりの表情を浮かべた。
「戦士殿には、盗賊を討っていただいて、十分お世話になりました。これ以上のお手間を」
「長老、あんたはアマリエが心配じゃないのか」
「ええ、ですが……」
埒が明かない。
こうなれば、パラカの意向は関係ない。コレルを叩き起こして、取り巻き連中を駆り出してアマリエを捜させる。
盗賊を討つのは、友邦のためという大きな目的が下地となっている。なら、行方不明の娘を探すのも、戦士団として何ら間違っていないではないか。
所在無げなパラカの民に一切目をくれず、レムは駆けだした。
戦士団の宿舎の場所は、昨日割り当てられた時点で教え合っている。
「コレル! 起きろ! 手を貸せ!」
叫びながら戸を叩くと、中で大勢がもったりと動きだす気配がした。
酒盛りでもしていたのだろう。むわっと、生温かさと湿り気と発酵した何かの薄い匂いが混じった空気が吹き寄せる。
何人か二日酔いになっているかもしれないが、それどころでは――
「なんだよ、急ぎなら猫のでも借りて来い」
「馬鹿なことを言っている場合か! アマリエ、いやパラカの長老の孫娘の」
面倒くさそうに開いた扉の奥に、レムの宿舎と同じ間取りの部屋があった。戸口に毛先がぼさぼさのコレル、取り巻きたちは部屋中に雑魚寝している。
「行方が」
奥にベッド。
「あん? 面倒くせえなあ。俺たちが手伝う必要あるのか、それ」
コレルの脇を通り過ぎ、ベッドに近づく。
「おい、聞いてるか」
薄いシーツを被った、見覚えのある赤い巻き毛。
「アマリエ」
枕元で、声をかけた。一瞬身を固くして、彼女は意を決したように振り向いた。
「おはようございます、レムさん」
彼女は、疲労の色の濃い顔で、相変わらず微笑んでいた。今にも泣き出しそうだった。
「おいレム、俺たちの仕事は盗賊討伐だぞ。パラカのことはパラカに任せとくもんなんだよ」
「もういい」
「あ?」
「邪魔した」
肩から力が抜けた。
あんなに躍起になっていた自分が、馬鹿みたいだった。
「ごめん、アマリエ」
「いいえ」
自分がどんな顔をしているかわからない。ただ、こちらに目を向けているアマリエは、寂しそうに笑っている。
「そんな顔しないでください。私は大丈夫ですから」
コレルが、二人の顔を交互に見た。
「探し物が見つかって良かったな」
余計なひと言を黙殺し、レムは宿舎を出た。
パラカとの温度差も当然だ。レムに受け入れられなければ、他の戦士の所へ行くということが最初から決まっていたのだろう。
だからこそパラカの民は、アマリエよりもレムの顔色を気にしていたのだ。
女の仕事は、子を産むことだ。アマリエもそれを理解しているようだった。何も不思議なことはない。なのに、なぜこんなにうろたえているのだろう。
脳裏に、白い裸体を晒して震える祭司の少女の姿が浮かぶ。
楽な遠征とはいえ無事に終わって機嫌のいい仲間の戦士たちをよそに、レムは一言も発さずコーネリアス氏族の集落に戻ってきた。
長老議会への報告はコレルに任せ、霊地に向かう。剣を持って来たが、結局剣帯から取り出すことなく環状列石に腰を下ろした。
岩石がいくつか並んでいるだけの、一面の草原を、北国特有の鋭い冷たさを含む風が、短い草地を撫でながら吹き抜けていく。
アマリエは、誰に抱かれたのだろうか。
男がそういう行為を好んでいる、というのは、アマリエに言われなくとも聞いていた。だが、そういうものなのかと軽く受け止めていた気がする。
コレルの宿舎に漂う匂いが、その行為が自分とも無関係ではないことをはっきりと示してしまった。
アマリエがレムの所に来たのは、ああいう状態になるためだ。
背負う剣が風に冷え、剣帯を通して重く肩にかかっている。
自分が女なら、いつかアマリエのようになる日が来る。男の部屋に一人で行って、自分から服を脱いで、それから。
突き刺されるのなど、御免だ。
レムはそんな有様なのに、アマリエはレムの所へ自分から来て、またコレルの宿舎にも行って、立派に務めを果たした。
務めの問題なら、レムは自分が戦士の務めを十分に果たしていると思っている。
それなら、女の務めはどうなのか。レムが最初から祭司として生きてきていれば、アマリエのような強さが手に入ったのだろうか。
こんな時に限って、ビスクラレッドは姿を現さない。
ふと、風の匂いを感じた。
霊地に続く坂を登ってくる集団の匂い。祭儀に使う香の匂い。
あと少しもしないうちに、祭司たちと手伝いの下働きたちが、霊地に現れる。
精霊への奉納儀が、近々行われるのかもしれない。
石から立ち上がって、鉢合わせる前に霊地を後にする。そもそも、霊地は気軽に立ち入っていい場所ではないのである。
居住区裏側に続く抜け道に入って、一度だけ後ろを振り向く。
普通の姿の女もいれば、袖と裾にたっぷりと余裕を持たせた祭礼衣装をまとった祭司の姿もある。
数日後の奉納儀で、彼女たちは、舞い、祈り、謡う。
舞は精霊の力を身に受けるためである。祈りは精霊の心を覗くためである。謡いは精霊に言葉を届けるためである。
祭司となった女たちが、その体と心で覚え込む技だった。
そして初潮が来たなら、しかるべき家族と縁談を組み、見合った相手との間に子を設けるのも祭司の仕事である。
レムの舞は、敵を討つための術である。レムの祈りは、剣に必殺の力を与える集中である。レムの謡いは、刃に与える誇りと信念である。
レムは、戦士なのだ。
354 :
名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 19:32:36 ID:n/ZVG/Cl
以上ですた
ではまた
おお読み応えのある文章でした!!
続き楽しみにしてます。
読み応えあるよなあ
GJ
かっこええ・・・
358 :
とらひと:2009/02/02(月) 02:26:08 ID:nbhf3Iyi
なんとう青春場面
これは結末にwktkせざるをえない
GJ
360 :
265:2009/02/02(月) 12:46:40 ID:nrfT0Nb6
>265だけど、ちょっと質問。
一番魔法が発達してるのってどこの国の辺りだっけ?
350,358さんGJっす!
ネコウサギ辺りかなー…。
種類によりけりだと思うけど、満遍なくこなせそうなのはこの二種族かと。
うわぁ、虎さん最近怒濤の展開で読んでてハラハラする
良作多くて嬉しいな、狼さんもGJ!
GJ!青春だわ。はたして続きはどうなるのかっ?
猫の国の話で自分も一つ書いたんだけど、猫研の設定を一つ勝手に作ってしまってることと、
他の結構重要な設定の一つ(子供ができない)に影響を与えるからちょっとためらってる。
366 :
HIRO3:2009/02/03(火) 02:13:46 ID:1SgLkCbx
ええい、ままよ、モウドウニデモナレ!!
次から行きま〜す
注意 上記の通り、既存の設定に影響を与えます
エロ分少ないです
なら落とすなよ、という意見もおありでしょうが
駄目な人はスルーしてください
猫井技研第3研究部部長 シアン・アビシニア それが私の肩書き。
うちの第3研究部は、生体、生命などのことを扱うので3研の他に生研、またはバイオ研とも呼ばれているが、その筆頭を任されているのだ。
ちなみに私の補佐(副部長)についているのは私の恋人兼召使でもあるカワカミ ハヤトだ。
ハヤトは普通いいように扱われないヒトなのに、なぜこの役職に就いているか疑問に思う人がいるかもしれない。不思議だと思ったが、この提案を会社のトップはOKしてくれた。
ハヤトが“向こう”で研究者だった(らしい)というのと、実際にハヤトの持ってきてくれた知識やアイデアなどが研究の役に立ったのが大きかった、ということになっている。
今やっているのは、ヒトと獣人の子供を作れないか?ということ。
世界中探しても少ししかいないヒトは、その多くの場合、奴隷に等しい扱いを受けるけれど、その中にはヒトと獣人のカップルも存在する。なぜか王族に多いらしいが。
今回はそのうちの一か所(機密事項のようで、国名や家名などは教えてもらえなかった)から猫井技研に依頼があったそうだ。
研究は始め、遅遅として進まなかった。それもそのはず。私たちには、ハヤトの言う、“イデンシ”の概念がなかった。研究は3年もの間、滞っていた。
誰もが諦めかけていたとき、ハヤトが“落ちて”きた。
空から落ちてきたはずなのに、かすり傷だけで済んでいた。気を失ってはいたが。
どちらかというとやせ形の体型をしていた。まあ普通の獣人と比べて、だが。
“落ちもの”は、見つけた者が自分のものにしていいという決まりになっているので、私はとりあえず外に出て、自室のベッドの上まで運んだ。思ったよりも軽くて、すんなり運べた。
「ここは・・・どこだ・・・?」
落ちてきたばかりのヒトはこの世界のことを知らない、と聞いたことがある。
「猫の国よ。国名より、こっちのほうが分かりやすいでしょ」
「は?」
意味が分からないようで、目を白黒させている。
「だから、猫の国。ほら」
自分の耳を指差して、動かしてみる。
「な・・・」
落ちてきたヒトは、あっけにとられていた。
そのあと、世界での常識や落ちてきたヒトの待遇などを話すと、初めはぽかんとしていたが、理解したようで、神妙な顔つきになった。
「話は分かった。・・・それで、お前は俺を奴隷として扱うのか?」
ちょっと考えてから、
「そうしたいけど・・・アナタ、具体的には何ができるの?」
「この世界で、俺は何も知りませんから・・・せいぜい家事、くらいじゃないですか?」
「じゃあ、何か作って見せてよ」
それから少しして、出来上がったのは、見た事もない料理だった。
「俺の世界の料理です。御口に合うかどうかはわかりませんが。」
材料は見た目から大体判ったが、初めての味に自然と顔がほころんだ。さっきまでの憂鬱な気分もどこかに飛んでいた。
「よし、決めた。アナタは今日からこの家の家事を頼むわ。道具の使い方は教えるから。それとあと一つ、私の名前はシアンよ。アナタの名前は?」
「ハヤトです。これからよろしくお願いします。御主人様」
「こちらこそ。それと、敬語と御主人様はやめて?柄じゃないから」
「・・・わかった」
こうして、ハヤトとの奇妙な主従生活が始まった。
それから、研究所で夜遅くまで実験結果やレポートと格闘して帰っては、ご飯を食べた後は泥のように眠る生活を一月ほど続けていた。
そんなある日、仕事を家に持ち込んで頭をひねっていたら、不意に後ろから声を掛けられた。
「頑張るのは分るが、ちょっとやり過ぎじゃないのか?」
私を気遣っているはずの言葉でさえ、うっとうしくてたまらなかった。
そんな一言にさえ、私は堪えられなかった。
「誰が何と言ったって、私はこの研究をやり遂げなきゃならないの!仕事なんだから!来る日も来る日もネチネチ責められて、この気持ち、稼いでもいないアナタには分からないでしょうね!?」
私は激昂して、書類の束を投げつけた。
そのままだと喧嘩になりそうだったので、私は外の空気を吸いに出た。
そして電車に乗って海まで行った。
波打ち際を歩きながら、自分を責めた。いくら召使だからって、言い過ぎたんじゃないだろうか。
だけど今思えば、このとき怒ってなかったら、今の私はいなかったかもしれない。
夜遅く、気も落ち着いてから家に戻ると、ハヤトが書類に書いてある図を見比べながら、ぶつぶつ言っていた。
そして私に気付くと、はっきり私を見て、言った。
「俺、もしかしたら、おまえの役に立てるかも、しれない・・・」
声に、嬉しそうな色が混じっていた。
まず文を読んでくれと言われて、言う通りにすると、私が分からなかったところについて教えてくれた。
逆に魔法に関するところはさっぱり分からないようだったので、こっちが基礎理論から教えた。
それから何日か会社に休みを貰い、家でお互いにいろんなことを教えあった。
ハヤトは呑み込みが早く、また私に分かりやすく教えてくれた。
もう私たちは“召使”と“主人”なんて関係じゃなかった。
後でなぜわかったのかハヤトに聞くと、“彼の世界”では魔法がない代わりに“カガク”がこちらよりも発達しているという。
彼は“ダイガク”に通う学生で、“イデンシ”とかについて学んでいたと言っていた。書類に乗っていたものと同じ図ももちろん知っていた。まあウチのチームで躓いていたのは、“ダイガク”で扱うのよりももっと前のところだったらしいが。
仕事場に戻ると、研究は目に見えて進んだ。まるで前までが嘘のように。
家でそのことを話すと、ハヤトは子供のように喜んでくれた。それを見たとき、ハヤトがたまらなく愛おしく感じた。
もう私の研究は、ただの仕事ではなくなっていた。いつの間にかそれは、私の夢になった。
そしてその研究も、ハヤトなしには進まなくなっていた。
私は、ハヤトを連れて研究所に行くようになり、小さい会議などでは獣人の中にヒトが一人混ざって、活発に意見を交換したりもした。
とはいえ、重要施設には入れないので、その時は別行動だったが。
あるとき、シュバルツカッツェにある本社の会議で、近頃3研にヒトが出入りしていることについての話が出た。
「ところで、アビシニア第3研究部部長、君のところにヒトが出入りしているという噂を聞いたのだが」
「・・・はい、おっしゃる通りです」
そう言った途端、会場がざわめく。その大半は、不平不満の声だった。
それを遮ったのは、副社長だった。
「そんなことをしては、他の社員に示しがつかんにゃろう」
じわじわと放たれる威圧的な態度に、一瞬首がすくみそうになるが、なんとか耐える。堂々と、彼が会社のためになることをアピールしなければ。ハヤトはもう、チームの一員なのだ。
「他の社員に示しがつかなくなるようなことは、一切致しておりませんが」
私に迷いはない。施設で“そういった”ことにならないように、ずっと注意しているし、危なそうな日には休みを取るか、薬で抑えているのだ。
一度そんなことになればどんなことをしても言い逃れはできないと確信していた。
ヒトは単なる性奴隷にすぎない、というのが世間一般の考えであり、それに抗おうとするのに風当たりが強いのは当然だった。
だからできるだけ隙を見せないよう、ずっと我慢してきたのだ。
静かな、しかし熱い論争がずっと続くと思っていたころ、
「静まりなさい」
社長がその口論に割って入った。
「単刀直入に聞きます。そのヒトは使えるの?」
若いながらも、ここ20年ほど会社を引っ張ってきたスーパーキャリアウーマンだ。
とにかく業績第一でシビアだが、それだけにここでは心強かった。
「はい、勿論です。私は彼を補佐にと考えています」
「ちょっと、第3研の報告書を映して」
そう言うと、魔洸を利用したディスプレイに報告書が映し出された。
一通り半年分くらいを映したあと、
「出入りしているのはいつから?」
と聞かれた。
「先月からです」
今度はここ三カ月の分を一通り流して、と言って、ディスプレイもそれを流す。
一時置いてから、一言。
「いいでしょう。来月から、そのヒトの副部長就任を認めましょう」
「ですが、そのh」
「実際に成果も出ています。そのヒトが正式にチームに加わったほうが期待できるでしょう」
「私にも反論が」
「結果が全てです。ダメだったら変えればいいだけのことです」
一蹴。この人は、良くも悪くもワンマンだった。
結局そのままいくつかのことを取り上げて会議は終わり、私が帰ろうとドアに手を当てた時だった。
「アビシニア部長、ちょっと」
なんと、社長に呼び止められた。
「は、はい。何でしょうか」
恐縮して姿勢を正すと、
「やだ、そんなに畏まらなくてもいいのよ」
ニコッと笑って言った。
「あなた、前と変わったわよ。大変だと思うけど、貴女も頑張ってね」
私にしか聞こえないくらい小さな声で。
気のせいかもしれないけど、その眼が、恋する女の目に見えた。
その次の日に、有給を取って、二人で海を見に行った。昨日の会議で、正式にハヤトがうちのチームに入れるようになったこと、物価が高くなるかもってこと、前に一人でここに来たときのこと、明日の天気のこと。話は取り留めもなく、どんどん飛んで行った。
水平線が紅く燃えるころ、海の話になった。
「そういえば、生命の源って、海なんだよな」
「前にそう言ってたわね。私たちの世界でもそうなのかしら」
「そんな気はするけど。どうだろうか」
「きっとそうよ。だって私たち、違う世界の生き物でも、こんなに通じ合っているもの」
「ああ、そうだといいな」
一旦会話が途切れる。
私は、思い切って、自分の夢について話すことにした。
「ねぇ、あなた」
「・・・なんだ?」
「私、この海みたいになれるかしら」
「なれるさ。・・・どうしたんだい急に?」
「ええ・・・。私ね、あなたに言ってない夢があるの」
ハヤトのそばに寄り添う。
「聞こうか」
「この研究が完成したら、自分にも使いたいなって」
彼は一瞬驚いた顔をした後、
「ありがとう。その気持ちだけでも嬉しい。異世界に落ちたのにこんないい目に合って、これ以上望んだら罰が当たるよ」
「“バチガアタル”って何?あなたの国の諺?でも、そんなのはいいの。“バチガアタル”ことなんてないわよ。私は、あなたの、ハヤトの子供が欲しいの」
気がついたらもう辺りは真っ暗で・・・
「誰もいないみたいだし、今ここでシましょうか」
そう言って、ハヤトの服をはぎ取っていく。
「待て、ここは外だし、砂浜だ。後が大変だぞ?人も来るかもしれない」
でも、もう私は我慢できなかった。
「にゅふふっ。誰も来ないわよ。あなたももうこんなにおっきくしちゃって」
私も着ているものを脱ぎ捨てて、砂の上に寝そべった。
「しかたないな・・・。一発だけだぞ?」
耳元に顔を近づけて囁いてくる。
「にゃうん。とびっきり濃いのをお願いするわね」
母なる海のもと、二つの影が一つになる。
「は、はいって、きたぁ〜っ」
私はもうぐっしょりで、前戯の必要もなかった。
愛しい人の一部を、苦もなく受け入れた。
「少しご無沙汰だったからな。あんまり長く、持たないからな?」
そう言いつつ、だんだん動きを速めてくる。
「私も、よ。いつもより、興奮、するし、ね」
私の躰は今、誰よりも彼が知っている。
逆に私も彼の躰のことを一番知っていた。
「シアン・・・、ああっ、もう、だす、ぞっ」
その時は、思ったよりずっと早く訪れた。
しっかりと、ハヤトの体を尻尾と腕と足、全部使って抱きしめる。
「にゃっ、あんん、いいわ、きてぇ・・・っ」
熱い流れが、私の中で、爆ぜた。
「んにゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ〜っ!!」
もう最高。何も考えられない。
果ててから、二人仲良く、生まれたままで砂浜に寝そべった。
そんな事をしたおかげで、次の日は嫌いなお風呂につからなければいけなかった上、砂がいろんなところに入り込んで大変だった。
・・・もう砂浜ではよそうと思った。
ハヤトがチームに入ってから二年半がたった。ハヤトと出会ってからは三年。いや、明日で三年になる。あれから、いろいろ問題も起きた。辛いこともあったし楽しいこともあった。
でも、いつも傍らに彼がいることは変わらなかった。
そういったことを思い出しながら、横の彼を見つめる。
いつしか、私の意識はまどろみの中に溶けて行った。
・・・夢を見た。
・・・愛しいあの人の子供を、あの人と一緒に見守っている夢。
・・・柔らかな幸福感に包まれながら、すやすやと眠っているわが子を抱いていた。
・・・これが夢じゃなかったらいいのに。
・・・これが夢じゃなかったらいいのに?
・・・その考えが頭をもたげたとき、私はもう、現実にいた。
「あ、起きたのか」
夢の中のあの人は、ベッドから少し離れたテーブルに、何かのっている皿を運んでいた。
窓の外はもう明るいとはいえ、明かりをつけてない部屋はまだ薄暗くて、見えにくい。
「にゃぅぅ〜ん。・・・はわ〜ぁ、おはよう」
あまりさえてない頭で返事をする。だるい。
あ〜、朝はやっぱり弱いなぁ。
そこで、鼻をくすぐる甘い匂いに気付く。
「今日の朝食、フレンチトースト?」
フレンチトースト。あのしっとりとした食感と甘さは忘れられない。
初めて作ってくれたとき、たしか“俺の世界”の料理だと言っていた。
「あぁ。おまえ好きだろ?それに疲れてる時は、甘いものが一番だ」
そういう気遣いが、少し胸を温かくする。
「この頃、あまり寝てないんだろ?研究のためとはいえ、根詰め過ぎなんじゃないのか」
そうなのだ。
「そう言わないでよ。これは、私たちのための研究でもあるんだから」
「気持ちは嬉しいけど、おまえが体を壊しちゃ元も子もないだろうが」
「それに隣国の王家の方からの依頼もあるし」
「それは・・・、そうだが」
上層部の人が言うには、わがまま姫が大層ヒトの召使にご執心で、どうしてもということらしい。いろいろ議会の反対もあったが、王位継承権の放棄と引き換えに、カタがついたとか。まあその気持ちもわからなくはない、いや、痛いほどわかるけど。
だって、心から愛してる人の子供を産んであげることができないなんて、悲し過ぎるじゃない。
「ところで、休みがまとまって取れるとしたら、どこに行きたい?」
「まとまった休みって、無理だろう?本社に許可は貰ってるのかよ」
「ふふっ。言ってみただけよ。そんなのなくても、今十分楽しいわ」
他愛もない話をしつつ、皿の上を片付けていく。このどうでもいいような会話が、私に今日も頑張ろうという元気を与えてくれる。
それに、ハヤトにはまだ言っていないけれど、休みは来年には取れるはず。
だってもう、研究は詰めに差し掛かっているのだから。
そうだ、海に行こう。今度は、三人で。
あとがき
今こうして、皆様に私のしょーもない文を読んでいただいていることを思うと、凄く恥ずかしいです。彼の住んでいた国では、こういう時、顔から火が出る、と言うらしいですね。
恥ずかしくて顔が真っ赤になることからきている、とか。
それにしても、今読み返しても次から次へと問題が見つかって、ああもう。
でも、もうしめきりが来ちゃってますし、新しい研究もしなければならないので、ここでいったん筆を置きます。
至らない点も多々あったと思いますが、すみません、今日のところは勘弁してください。では、また逢う日まで!
シアン・アビシニア
俺は河上隼人。
この世界ではかよわいヒトの身でありながらも、何の因果か某“大”企業の一研究員である。
手に持っているのは週刊マタタビ。この国で売られている雑誌だ。
何気なーくページをめくっていると、そこに俺のよく知ってる名前があるじゃないか。
カミさん(法律的には向こうが主人だが)に直接問いただしたところ、白状してここに至る。
「お前さ、本文とあとがきで全然文違うのな。てか編集の人が来てテンパってたろ」
「いや、まさか、採用されるなんて思ってなかったし・・・」
「それよりどーすんだ、あの研究は世間にバラしたらまずい類のもんじゃないのか?」
「それについては大丈夫みたい、特許うちが持ってて門外不出だし、方法が方法だから費用が莫大なうえ、一組づつしかできないでしょ?
それに厳しいチェックを通過した人でないとダメって決めたじゃないの。」
それでも不安は残る。いや、何をどれだけやっても残るものなのかも知れない。
アレを悪用されないように、自分たちで作った仕組みを信じよう。
まあここに、その規定を無視した一組がいるにはいるが、たぶん大丈夫だろう。
ん?なんで抜けたかって?勿論、自分たちを第一号、つまり実験台にしたのさ。
とある国のお姫さんをはじめとする俺たちみたいなバカップルにも、幸せになってもらいたいしな。
376 :
HIRO3:2009/02/03(火) 03:56:49 ID:1SgLkCbx
以上です。お目汚しすみませんでした。
>>358 カブラたちもテペウも愛しくてたまらん!この先ちょう期待
>>HIRO3
あまりの甘カップルににやけてしまったwwwww
砂浜でいたすのはほんとに後悔モノらしいぞ
突き進んだ勇気に乾杯、まずかったらパラレルと言って逃げてしまえ
何気ない単語が甘くて転げたw
…しかし、シアンて青酸だよな。
シアンは青色だよ。青酸って意味もあるけど。
くはっ、最初から最後までエロエロ。
GJ!いいね、御馳走様でした。
>>380 どん引きしながらちんちんが起つという事を初めて経験した!!GJ!!
>>380 横腹が痛くなるほど笑いながらでも抜けるという事を学習した。
これはいいウサギwwwwwwGJ!
ウサギ強ぇwwwww
これはGJと言わざるを得ないw
なんというウサギwww
さすがウサギww
ところで、突然欲望丸出しのバカ主人公と、
包容力のあるお嬢様の話が書きたくなった。
奇遇だな。
俺も猫井のマッドなバカップル話を書きたくなってきた所だ。
思い立ったが吉日とも言うしそっちを書いてみるのも一興というもの。
…バレンタインネタが間に合いそうにないから逃避してるんだとかゲスパーしちゃダメだぜ?w
バレンタイン? ああ、ギリシャの傭兵隊長ね。
コーネリアス氏族集落、通称断崖城。
戦士や祭司の活動本部、及び重要な役職に就いている者の家族が住む城塞部分と、下っ端の戦士や祭司が集団生活を送る坑道部分に分かれ、
両者の間には、工廠や炊事に携わるような立場の低い下働きの狼たちが石小屋に住む、露天部分が横たわっている。
坑道の自室から出て霊地に行くためには、この露天部分の往来を通って、元鉱山の表面を登っていく必要がある。
「ああ、こりゃまた随分荒く使ったねえ」
工廠に蛮刀を持っていくと、刃を見るなりそう言われた。
「そうかな」
「そうさ。レムは他の奴らに比べて腕の力が弱いんだから、骨を割るよりも筋や動脈を狙いに行った方がいいって」
剣匠の目が、刃の僅かなへこみをひとつひとつ丁寧に撫でていく。
「でも、骨を斬らなきゃ殺せないじゃないか」
「血管で十分さ。そうでなきゃ、もっと力を抜いて鋭く斬りな。これじゃあ、剣がかわいそうだ」
奥から持って来られた代えの蛮刀を受け取り、レムは刀身を日の光に当てた。
よく研ぎあげられ、ぬめりとした輝きを湛えている良い剣である。
「そういや、あれは?」
「ん? ああ、そういやそんなのもあったな」
催促に応じて出てきたのは、数本の鉄釘だった。ただ、建築資材のそれと違い、頭に円盤がつけられておらず、先の尖った棒のようになっている。
「ありがとう」
「そんなもんより、投剣の方がいいと思うがねえ」
帯に取り付けた革製のホルダーに釘を通すと、レムは剣匠に挨拶をして工廠を後にした。霊地に続く道に差し掛かる。
「レムではありませんか?」
坂道の上に、祭司の一団がいた。
先頭の、きつい雰囲気を漂わせた、鼻筋の通った年増の祭司がレムを見下ろしている。
「霊地に、何か用なのですか」
そう言ってレムの肩先から覗く二本の柄に目を向けた。
「まだそんなものを持っているのですか。女の仕事は、精霊を祭ることと教えているでしょう」
「私の勝手だ」
「あなたの意志ではないでしょう。戦士として育てられたから、他の務めを知らないだけです」
顔をそむけ、目じりの端で相手を見上げる。彼女たちこそ、決められた施設を往復するだけの務めではないか。
断崖城から出るどころか、コーネリアス氏族以外の狼と会ったことがない、という祭司も珍しくない。
「あなたの母は、優れた祭司でした。その娘であるあなたであれば、必ずや良い祭司となるでしょう。そもそも、体格も小さく、力も男に比べて劣るのですから
あなたに戦士が適しているとは言えません。レム、私たちは、あなたが自分のするべきことに早く気がついてくれるよう、待っています」
言葉を返さないまま、街並みに降りていく祭司の一団を見送った。
先頭の年長の祭司はゼリエという名の、レムが幼いころから事あるごとに父の部屋に押しかけ、レムを祭司にするよう迫っていた女である。
顔を上げて、霊地へ向かった。
剣でも振らなければ、やっていられない気分だった。
霊地には、香の匂いが漂っていた。
先程の祭司たちが、何かの儀式を行っていたのだろう。
普段の澄みわたった空気に香りが混じり、肌が張り詰めるような空気も体温ほどの生温かさを持っているような気がして、剣筋が安定しない。
敵の攻め手を斬り落とす型を振るも、肝心の敵の攻め手のイメージが出来ない。
「まあ、ここじゃあ女は祭司をやるようになってしもうたからのう。いっそ、なってみたらどうじゃ」
「御免だ。良く知りもしない男に抱かれるのなんて、考えただけで気分が悪い」
「ふうむ。男に抱かれるのと祭司になるのとは、別に関係はないんじゃがの。いやまあ、お前にも年頃の娘らしいところがあるんじゃな。かわいいかわいい」
「やめろ気持ち悪い」
かすかに甘い匂いの漂う中、香りの薄いところにぼろ布を纏った老狼がいる。
環状列石のところで香を焚いたらしく、強い匂いのするいつもの石を避けて、草地に直接座っていた。
「なんぞ、お前の気に入るような男でもおればええんじゃがな。せめて、わしがあと千九百年は若かったらのう」
「うるさい。私はいい」
「ふくく、やはりわしが言ったとおりになったわい。相手の鼻をむしり取るどころか、武器を出しかねん有様じゃな」
それについては、言い返しようもない。自棄気味に踏み込み、両方の剣先で様子見の連続刺突を繰り出し、隙を突いてきた敵のイメージを引き寄せて柄で崩す。
「そんな見え見えの誘いには打ち込んで来んよ」
レムの剣筋を見ながら、じじいが呑気に声をかけてくる。調子に乗っている。
睨みつけてもさほど気にした様子は見せない。
「ちゅうても、精霊を感じる術はあった方がええわな」
と、聞こえるように呟いていた。
「私は祭司にはならないからな」
「じゃから祭司になったら男に抱かれにゃならん、ちゅうわけではないわい」
ビスクラレッドは骨ばかりの腕を顎に当てて、向こうの景色に目をやった。
「そうじゃな。レムや、タワウレ氏族の所に行け」
「どこだ、それ」
「どこだというよりも、のう」
レムにちらりと目を向けると、再び向こうの山に視線を戻す。山麓に沿って見下ろしていくと、渓谷の辺りに友邦の氏族の集落が見える。
「タワウレは流れる風の精霊じゃ。それゆえタワウレ氏族は定住地を持たぬし、他所からの客は歓迎される」
「それで?」
「儀式の作法だの、相応しい巫だの、そういうのはあるにはあるが、コーネリアスほど無暗に縛っとらん。自然のまま精霊を祀っとる。
じゃから、相性が良ければ割と誰でも精霊を感じることができるじゃろう。祭司になるならぬは置いておくとしても、一度精霊と会っておくのは大事じゃぞ」
「そうかな」
「そうじゃい」
剣を背負い、霊地を見渡す。
父に連れられて霊地を修練の場と定めて以来、精霊と語らう場所であるはずのここに随分と入り浸ったが、精霊らしきものを感じたことはない。
「そう言えば、私はどうやったら精霊に呼びかけられるのか、知らない」
「ここ四、五百年ばかりは、祭司団が全部抱え込んでしまっておるからのう。戦士は見ているばかりだったのが、最近は祭儀に立ち入り禁止になっとるしな」
ふと、ゼリエの言葉を思い出す。
母は、優れた祭司であったという。
精霊らしき気配を欠片も感じない自分が、本当に祭司に向いているのだろうか。
「とにかく行ってみて、心が通わせられるようなら思いの丈をぶつけてこい。何事も経験じゃて」
「今はどの辺にいるんだ、そのタワウレってのは」
「この時期なら、南西あたりじゃな。元老議会の小僧どもに探してもらえ」
相変わらず偉そうだが、本当に偉いのかどうかさっぱりわからない。
霊地にきたないじじいが居座っているとゼリエが聞いたら、どんな顔をするだろう。
ビスクラレッドの存在は怪しくはあるが、誰かに告げ口してじじいが追い出されでもしたら、なんだか申し訳ない気分でもある。じじいは特に害はないのだ。
霊地に剣を持って立ち入っているという後ろ暗さもあって、結局レムは誰にもビスクラレッドのことを話していない。
元老議会からの外出許可は、すんなり出た。
パラカ氏族の盗賊討伐に出掛けてきたばかりのため、しばらく行動の自由が認められるのである。
戦士たちは普段は、賊の討伐や他種族への傭兵業、弓矢に長けた者は食肉を確保するための狩猟当番の割り当てがあり、修練をしながら詰め所に待機している。
当番なら定期的に休日が支給される。そして今回のような特別任務をこなせば、多少の融通が利くようになるのである。
時間の使い方はまちまちで、近郊の友邦へ自分の子の様子を見に行く戦士もいれば、工廠に出入りして武具の手入れの仕方を学ぶ者もいる。
個人的に傭兵業に精を出し、セパタを貯めてひと財産、という者は、いてもいいものなのだがレムは見たことがない。
確かに金など渡されても、こんな高山地帯では使い道に困るばかりだ。
「タワウレなぞに、何をしに行くんだ?」
たまたま食堂で顔を合わせた長老議員のパルネラは、そう尋ねてきた。
「ちょっと、な」
「言え。お前の私用なんぞ考えつかん」
「祭儀を見に行こうと思って」
「ははあ。祭儀なぞ見てどうするつもりだ」
パルネラから、いぶかしげな表情は消えない。
「まあ、お前の親父がいいと言ったのなら、わしが騒ぐことでもないか。うちの馬鹿ならともかく、お前がよからぬことに首を突っ込むとも思えんしな」
「ああ、ただ見て戻ってくるだけだから」
「ゼリエに屈した、というわけではないのだな?」
「そんな気はない」
「それもそうよな。あの年増に、うんとひとつ頷いておれば、今頃お前は城塞の尖塔の上だものな」
少しつやを失ってきた毛並を撫でながら、パルネラは戦士でごった返す食堂の中に消えていった。
ゼリエに屈した、とは、祭司になるということだ。戦士が祭儀に関わらないのが不文律のコーネリアス氏族で、祭儀に興味を持つということは
やはり性別通りの役柄に戻るという意思表示に取られても仕方がないのだろう。
食堂の奥の方から、コレルとパルネラの大声が聞こえてくる。
さっそく癇癪を炸裂させたパルネラが、そんなざまだから女に武功で負けるのだ、と言っている。
戦士の皆は共に命を預ける間柄である。性別がどうの、とレムをのけ者にするような戦士は、大抵他の戦士からも煙たがられている者ばかりである。
でも、波風の立たないことを第一とするパルネラも、やはりああいった細かい区別は頭の中にあるのだ。
皆は、本当のところでは、レムが戦士であることをどう思っているのだろう。
「まーたパルネラは。てめえのガキのことになるとすぐアレだ」
今入ってきたばかりのバノンが、奥を見るなり呆れたように唸った。
「おうレム、あんな奴の言い草なんざ、気にすんなよ。あのオヤジは、昔ッから他と比べないと気が済まねえタチなんだよ」
「すまないな、バノン。気を使わせたか」
「親父さんと違ってわかりやすいんだよ、お前」
鼻先を、バノンの尻尾がくすぐっていく。
「うわ、やめろよ」
「ハハッ」
大皿に料理が残っている卓に見当をつけて、バノンは大股に歩み去って行った。
食事と言えば、後で調理担当に、旅行用の保存食を頼んでおかなければいけない。
礼儀作法は十分なつもりだが、タワウレに特別な風習などあったりしないだろうか。
不安になってきた。
ビレトゥスが王国を名乗り、西部の周辺氏族に食指を伸ばし始めてから、タワウレは専ら中央と東部のみの移動に留まっているという。
ビスクラレッドが知っているより早い周期で巡回していたタワウレ氏族の移動集落は、断崖城の北西一日の距離に腰を落ち着けていた。
山林の狭間に広がる高原に、移動集落用のテントが幾つも張られており、白い獣皮が日差しに照らされて、眩しく輝いている。
「コーネリアスの戦士様ですね? ようこそいらっしゃいました」
出迎えに来たのは、コーネリアスと細部は違っているが、似た意匠の服を着た娘だった。
やはりレムより五、六歳年上だろうか。
赤い巻き毛が、かすかな心の痛みと共に脳裏に蘇る。それを、噛み潰した。
「族長のところへ案内します。どうぞこちらへ」
テントの林の間には、駆けまわる子供や肉を干す女の姿があり、移動集落のはずれには家畜を牧している数人の男がいる。
定住しないのなら、やはり遊牧を生活の糧にするのが現実的なのだろう。土地の資源を奪いながら去るのであれば、盗賊と変わりない。
白地のテントの立ち並ぶ中、刺繍の入った帯で縁取りされているひとつに先導される。
中は地面に厚い絨毯を敷いてあり、簡素ながらもしっかりした骨組みの木材が獣皮を支えている。
中央の囲炉裏には火が入っていないが、十分に暖かさが保たれていた。
むくむくの男の子が、若い母親に抱きつきながらレムを見上げている。レムより年下の子供が二人ばかりと、壮年の男女が一組。
円を描くように広がって座っている中心に、老境に差し掛かった狼が、地面に立てた錫杖に縋って座っていた。
「遠いところを、ようこそいらっしゃいました。タワウレの族長"遠き朝霧"のダバウです」
見た目の年齢に似合わない、つぶらな瞳の男である。
「突然の申し出を受けていただいて、感謝する。私はコーネリアス氏族"岩に咲く白"のレム」
「我らの精霊タワウレは風の流れの精霊です。他所の方との親しきふれあいは、かの精霊の尊ぶところ。歓迎いたします」
瞳の印象に違わぬ、素朴な人懐こさを感じさせる調子で、ダバウはレムの手を両手で握った。
「次の祭儀は四日後を予定しております。それまでのレム殿のお世話は、孫のエリエザが務めますので、何かご不便がありましたら遠慮なく言ってください」
「エリエザです。よろしくお願いします」
レムを案内してきた、手足のすらりと伸びた灰銀毛の娘が小さく頭を下げる。
動作が慣れている。旅行者なり見学者なりを、何人となく案内してきたのだろう。初対面のレムに向ける笑顔にも、硬さがない。
「こちらこそ」
「それでは、さっそくお泊まりの場所に案内します。レムさんは、テントは大丈夫ですか?」
「うん」
吹きさらしの地面でも休息できるのが、戦士として最低限の条件だ。
「お暇ができたら、こちらへお越しください。色々とお話など聞きたく思います」
ダバウが言う。もういい歳であろうに、嬉しそうな気配を隠そうともしない。ビスクラレッドの言ったとおり、客を迎えるのが好きらしい。
「こちらへどうぞ、レムさん」
なんとなく、いつでも剣を抜ける気構えを取っていたレムを、エリエザがテントの外へ導く。
柔らかな笑顔を浮かべながら、そっと手を差し伸べてきた。その手を取って立ち上がる。
「我が氏族の新たな客人に、タワウレよ暖かな春の風を」
決まり口上なのだろうか。ダバウが錫杖を振る。
よく磨かれた真鍮が、涼やかな音を立てた。
以上です
次回、展開を3回ぐらい練り直したでござるの巻
GJ
にしても爺さんは何物なのか。爺さんこそ精霊なのか。
そして、レムが敵わなかった鎧の人物は誰だったのか。
気になるところです。
タワウレ……タウワレ……
……まさか、な。
レムが敵わなかった鎧の人ってレムのパパさんじゃないのか?
それはそうと、GJ!
続きの展開が気になる!wktkして待ってるぜ!GJ!!
397 :
HIRO3:2009/02/10(火) 00:57:46 ID:1YwuwvKQ
GJっす!!
386です。冒頭部分が出来たので、とりあえず投下します。
羊の国ですが、
アルトラントや、ルブレーなど、小国が集まって一つの連合王国みたいな形をとっている。
王家は特に定まっていないが、戦いを好まない種族のため、各小国の王の合議制で次の王を決める。
すこし前にルブレーのユイーフア家が攻め込まれ、生き残りがいるとかいないとか。(←師走さんの「泣かないで、泣かないで、笑って!」より)
という解釈で書いています。
では次から、どうぞ。
「ヤター!テスト終わったー!!嬉しー、バリうれしー!!」
「わかったわかった、嬉しいのは俺も同じだが、少し落ち着け」
「いーや、お前は分かってない。わかるぞぅヤーモ、そりゃあ踊りだしたくなるほど嬉しくもなるよな、ともあれ、これであとは終業式を残すのみだ」
「そーだ、打ち上げにこの後カラオケでも行かね?」
「そうだね、そうする?」
「いーよいーよ。そうときまったらすぐ行こーぜ!ワイワイやろーゼ」
「さんせー」
なんて会話をして、カラオケで何時間も騒いで、みんなと別れて、
帰り道の途中で急にクラっと来て、そこから先が思い出せない。
気がついたら、ちょっとした山みたいなとこに、仰向けで寝ていた。
数えきれない数の星、足のほうには街の光?空には月が二つある、すげー。
「キレーだな、これ・・・」
さっきすごく大事なことを考えていた気がしたが、そんなことは気にしない。
今はただ、目の前の光景が美しかった。街中ではめったに見られない、思わず目が釘付けになるほどの夜空。
普通はここまでの間に気付くだろうが、ここは日本ではなかった。
だが悲しいかな、この少年はこんな大事なことさえも、心の隅に追いやってしまうような人間。世間一般的に形容するなら、そう、バカだったのだ。
どれくらいの時間がたったのだろうか。
少年は長い間、口をポカンと開けたまま、そこから動こうとしなかった。
「どうか、なさったのですか?」
突然、話しかけられた。
「うひゃあぁ。だれ、誰?」
驚いて振り向くと、これまた信じられないくらい綺麗な女の人がいた。
「申し遅れました。私は、シンシア=ルカ=セーブルと申します」
年齢は、20かそこらぐらい。触っただけで壊れてしまいそうなほっそりとした体。
体のわりにアンバランスさを思わせる胸。
夜だからか色が分かりづらいけれど、たぶん濃いブルー・・・のパーマが胸のあたりまで伸びていて。
見るからに高そうなドレスを着て、手にはパラソルを持っていた。
そしてあと一つ。少年も今度は気づかなかったりしなかった。
彼女は、ヒツジとか、ヤギとか、そういった草食動物系の耳を持っていたのだ。
「うっひょ〜っ!!すんごい美人じゃん、マジ俺ついてるー」
バカは色めき立って小躍りしている!
「ねえおねーさん、その頭に付けてるのなんなのー?もしかして、今はやりのコスプレ?」
少年は、自分の耳の所を指差して続けざまに言葉を浴びせる。
一方、お姉さんはその攻撃(?)にも動じていない!
「あらあら。・・・でも質問の前に、自己紹介からでしょう?それが相手に対する礼儀というものですわ」
優しく過ちを窘めると、少年も理解したようだった。
「俺は山本英明。今高2で、17歳っ。現在カノジョ募集中ディ〜ス!!これでいいっスか?」
親指で自分の胸を刺して、言い放つ。緊張感などかけらもない。
それを見て、この世界のお嬢様はこらえきれずに、ぷっ、と吹き出した。
ひとしきり笑った後、
「うふふっ、ふふふふふ、・・・ふぅ、面白い方ですのね。にぎやかで。羨ましいですわ」
少年は、どこが女性のツボに入ったのか分からなかったが、
とりあえず褒められているらしいので、
「俺、明るいのが取り柄っスから。」
と、返した。
「ところで、気になったんだけどそれ何?やっぱコスプレっスか?」
と、今度は彼女の耳を指差して聞く。
「コスプレ?それが何を意味するかはわかりませんが、これは正真正銘、私の耳ですよ?」
少年は珍しい物を見るような目つきで相手を見た。
「何なら、触って確かめてみますか?」
「いいの!?ぜ、是非、お願いするッス」
触ってみると、それは紛れもなく本物。温かいし、時折ぴくりと動いた。
そうして確かめてから、やっとあることに気付いた。
ここは、日本じゃない。
思っていることを聞くと、すぐに答えが返ってきた。
「そうですね、ここはあなたがもといた国、ニホン、とは違います。
ここはヒツジの国の、一小国。アルトラントというところです。」
沈黙。
「・・・マジすか」
「もちろんマジ、です。」
「えええぇぇぇ〜〜〜〜〜っ!?」
それが、二人の出会いだった。
401 :
HIRO3 :2009/02/10(火) 01:14:10 ID:1YwuwvKQ
今回はここまで。
近いうちに、続きを書こうと思っています。
では、また。
>>403 やっぱり魔女といえばあのCMですかw
液汁の実の原産地での扱いが気になったり気にならなかったり
>>404 マグロとか夜襲とかは大好物です、ええ
いい狐話でした
>>403 あんた真性の変態だ!(心からの褒め言葉)
>>404 狐、いいねぇ すごく良いよ!
式神に妖物に符術にって素敵ワード満載
共に乙でした♪
マグロっていうから一瞬本物のマグロ(というかマグロ獣人)
想像しちまったじゃないさ。
>>397 >>403 よーしよしよし。このスレに長らく欠けていたアホ成分が戻ってきたぞw GJ
>>404 また風情がありますね。こう言うのも好きなのです。GJ
>>403 その実の名前は久しぶり!
今のところおもちゃ≒クー>>>>(越えられない壁)>>ユーヤ・・・?
>>404 彼の名前も久しぶりだ!
式神や紙人形に相対している場面想像して笑ったw
>>411 あまーい♪
ときに自然界におけるチョウチンアンコウのオスは「一個体、一精子」みたいな生態なんですが
この世界ではショタなオスが大量におねー様なメスに囲われるという解釈でよろしいか、諸兄。
>>411 乙であります!
さて、トビウオの彼を祝福していいのか悪いのかw
出来れば彼らの今後も見たいっす、ハイ
……考えてみると、魚類系の男ってマダラでないと結構厳しいな容姿的に。
半漁じゃなくてフーラさんみたいな特撮女幹部の口出しマスク風にすればイケるか……?
>>413 うお、リロってなかったら来てたGJー!
あいかわらずあなたのとこの博士はとても愛らしいです……
そして助手さんのそこはかとなく漂う大人っぷりが大好きだ。どうか彼らが、幸せでありますように。
>魚類系の男
まさにインスマウスの悪夢。
でも中身が紳士なら問題ないのですよ?
>>416 >インスマウスの悪夢
某メリーさんと羊の菅原パパをれんそうした
……と言って分かる人はいなそうだけど
うおお!
何だこの投下ラッシュ!
読むのおっつかねぇ…皆様最高にGJです
>>403ねるねクソ噴いたwww
インスマウスの紳士……ありだな
>>419 イアイア、これは嬉しい事を言ってクださルフ。フタグン。
お近づきの印に、私のルル家で美味しい水でもイカがかな?
>>417 某青年誌の四コマかな?
>>420 お約束で
l^丶
| '゙''"'''゙ y-―, あ ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるう
ミ ´ ∀ ` ,:'
(丶 (丶 ミ いあ いあ
(( ミ ;': ハ,_,ハ ハ,_,ハ
;: ミ ';´∀` '; ';´∀` ';
`:; ,:' c c.ミ' c c.ミ
U"゙'''~"^'丶) u''゙"J u''゙"J
/^l
,―-y'"'~"゙´ | それ るるいえ うがふなぐる ふたぐん
ヽ ´ ∀ ` ゙':
ミ .,/) 、/) いあ いあ
゙, "' ´''ミ ハ,_,ハ ハ,_,ハ
(( ミ ;:' ,:' ´∀`'; ,:' ´∀`';
'; 彡 :: っ ,っ :: っ ,っ
(/~"゙''´~"U ι''"゙''u ι''"゙''u
>>421 ではこれまたお約束で
かわいい顔して何召還してやがりますかおまえらw
ハ,_,ハ
ミ<@>ミ <召喚した結果がこれだよ!!
乙:ミ: ミ
"゙'''~"~
なんだこの意味不明な流れはと思って調べたら
クトゥルフって神を召喚する呪文のネタなのね
クトゥルフと言えばこのスレでもおなじみにあの人ですよ
角より来る甘い物好き
てけりり
427 :
名無しさん@ピンキー:2009/02/21(土) 21:33:18 ID:4NAY7FsN
そ う き た か ! w
ヘビのご主人もさぞかし驚いただろうなぁ
>>426 なんと、私の妄言も参考にされていたとは! ぷしゅー(赤面)
キャパは勿論だが何してんだヘビ主人w
>>426 ああもう大好きだこの2人wwwww
思わず保管庫でいちから読み直してしまったよコンチクショウ!
>>421 とっておきの呪文を先に書かれた
超シリアスな場面で使おうと思ってたのに
シクシク
いあいあはすたぁ〜
>>431 いいから使ってくださいお願いします。
どんなシリアスシーンだ?!
l^丶
| '゙''"'''゙ y-―, あ ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるう
ミ ´ ∀ ` ,:'
(丶 (丶 ミ いあ いあ
(( ミ ;': ハ,_,ハ ハ,_,ハ
;: ミ ';´∀` '; ';´∀` ';
`:; ,:' c c.ミ' c c.ミ
U"゙'''~"^'丶) u''゙"J u''゙"J
>>432 「ホントは主人公が大好きなんだけど、言えないうちに先に妹が告白してしまい、それを物陰から目撃して焦る姉」
とかじゃないか?
>>434 待ってた! 待ってた!!
ところで、後輩くんがいよいよ完璧超人の道を歩み始めている
ような気がする件について。
>>434 これは覚悟せねばいかん、とちょっとずつ読んだのに笑い死にそうになった件について。
>>434 まて、チョコで型を取ってどうする。
まず石膏で型を取り、それをつかってチョコを女体化しないと。
>>343 鴨だかの肝臓チョコとは新しい、と思ったけど
もしやチョコレートフォンデュか?ははは、こやつめ。
またこいつらの話が読めてとてもうれしい。
運命というのは、時に暴風のように、個人の人生を絡め取る。
人の生きる道など、まるでお構いなしなのだ。
「……ふう」
時刻は昼。空には太陽が輝いている。
今日は記念すべき日である。身を立てるために、これより都へ降り、晴れの姿を示す時であった。天気は折良く晴れ、出立には絶好の日取りと、誰もが判を押したように言った。実際、朝に歩き始めた時には、どこまででも走っていける気がしたものだ。
しかし、ほんの少しだけその力を過信しすぎたのかもしれない。昼前頃、昼食を取ろうかと思った頃合で、彼は自分の身体の失調を感じたのであった。
「……参ったな。日暮れまでには途中の里に着けると思っていたけど」
少年は、湿らせた布を顔から取り、こめかみを揉み解した。布はきちんと絞り、荷物の中へ戻す。
今の失調から立ち直るのに、大凡半刻分の時間を使ったと自分の体内時計が言う。より確実に判断しようと彼は天を見仰いだ。
そして、眉をひそめる。
「……?」
太陽は、まだ南中していなかった。それと判るのも、周囲の気温が上がりきっていなかったためだ。幼きころから森を友とし、自然に親しみ続けた彼は、その一つの違和感を引き金にして周囲の異常を次々と確認した。
一つ、森の木々の流れが、いつの間にか変化している。
二つ、鼻を鳴らして息を吸えば、親しんだ山の空気とは違う緑の匂いが鼻腔を突く。
三つ、道は車が通れるほどの幅で、少年の記憶では自分の過ごした山にこれほどの幅を持つ道は二割とない。
四つ、そのいずれもが自分が歩く予定の道程には存在しないはずである。
迷ったか。……否。あの、己の庭と言えるほどに知り尽くした山で、自分が迷うはずがない。何より空気が違う。周囲を見れば見るほどに、ここは自分の知る地ではないとの確信が深まる。
開け放った荷物もそのまま立ち上がると、不意に横から声が響いた。
「そこのガキ、動くな」
声を掛けられた瞬間、少年は素直に動きを止め、反射的に警戒する。
葉摺れの音に紛れ、人の気配が七つ。それに加え、濃い獣臭がそよ風に混じる。ざわざわと木々を掻き分け、左右から人影が姿を現した。
少年はその姿を見て、一瞬思考を止めざるを得なかった。
「リーダーッ、こいつ、マジなんですか、マジですか、耳、耳がねえっ」
「ヒトだ……こいつヒトだぞ」
「うろたえるんじゃねえバカども。……おい、そこの。俺たちを見て声も出ねえか」
お頭、と呼ばれた『もの』が、口を利いた。重たい、鉛のような声だ。それも十分に驚愕に値することだったが、何より問題は、自分を取り囲んだ七人の容姿であった。
身体は彼らは濃い体毛で覆われ、皆一様に薄汚れた襤褸服を纏っている。――否、体毛と呼ぶのは不適切だろう。その有様ときたら最早毛皮と呼んだほうが相応しい。極めつけには、一人の例外もなく首から上に、獣の顔が載っていた。
魑魅魍魎の類かと疑うも、相手は人語を解す様子。首領格と思しき眼帯の獣が、呟くように言う。
「その驚きよう……落ちてきて間もないらしいな」
確かめるような響き。オオカミのような顔をして、しかし『それ』は口端を裂き、笑った。
「野郎ども、こいつをふん縛れ。だが、傷はつけるなよ」
「わかりやした、リーダーッ!!」
号令一下、周りの狼人間達が囲む輪を狭め始める。その手には、ギラリと光る円月刀が握られていた。自分に集中する、殺意ではない――しかし害意に限りなく近い、欲望にまみれた視線。
少年はこの事態について、それ以上考えるのをやめた。
――ぱん、と音が響く。
「あ?」
「……こいつ、何の真似だ?」
部下が珍妙な声を上げたのを聞き、狼たちのリーダー――バーゼルは眉をひそめた。
視線の先で、ヒトの少年が荷物を落とし、右拳で左手を打ったのである。両足をぴたりと合わせ、直立不動の体勢をしたまま、少年はゆっくりと頭を下げた。
復位するなり、彼は奇怪な呼吸をしながら腰を落とす。日常を生きるうえで、およそ必要ない呼吸だ。洞窟の中を吹く風笛のような音を立てて吸い、空気を引き裂くような音を立てて吐く。
一呼吸のあと、少年は脇を締め、右手を顎を守るように、左手を胴を守るように構えた。
その構えに見覚えがある。
あれは確か、ライオンの連中がよく使う、素手での格闘術のそれによく似ている――
「おい、手前ら、油断すん――」
バーゼルが最後まで言葉を口にすることはならなかった。
少年が、地面を蹴ったためであった。
「おごばっ!?」
異様な声が響き、部下の一人が顎をぶち抜かれて後方へ吹っ飛んだ。
「……は?」
誰からともなく、間の抜けた声が漏れる。
少年は、真っ直ぐに突き出した右の拳を、坂を垂れ落ちる水のような速度で引き、ゆらりと次の『標的』へ視線をずらす。
「こ、こいつ、ヒトじゃねえのかッ!!」
『標的』となった狼が、少年の素性を疑った瞬間、芸術的な蹴りが彼の顔面にめり込んだ。
不覚にもバーゼルはその攻撃を見て、美しい、と思った。飛び立つ鳥のような軽やかな跳躍から、空中で身を三度回し、ひねりを加えて斜め上から蹴り下ろす一撃。
あんなことができるヒトなど、聞いたことがない。蹴られた狼はそのまま吹っ飛び、顔面を地面に引きずりながら木立の向こうへ消えていった。
部下達が及び腰になる。それを見て、バーゼルは自分のシミターを引き抜いた。両手に一本ずつ握るのが彼のいつものスタイルである。前に進み出ながら、彼はそのヒトの少年に向けて呟いた。
「おい、ガキ。手前、何者だ」
少年は蹴りを放った体勢からゆっくりと復位し、最初の構えを取り戻した。暫し迷うような沈黙をしてから、小さく、しかしはっきりとした声で言い放った。
「師父『黒龍』(ヘイロン)の元で修行をし、都に戻る途中の修行者にございます。見逃してはいただけますまいか」
年齢を見分けられるほど多くのヒトを見たわけではないが、それでも年に似つかわしくないと思わせる口調だ。着ている服は真新しいが、まるでそれが彼の一部であるかのようにしっくりと馴染んでいる。
ヘイロンという名に、聞き覚えはなかった。バーゼルは少年の素性を探るのを諦め、端的に結論だけを口にする。
「出来ねえなあ、そいつは無理だ。何せ手前らヒトには、売れば遊んで暮らせるような価値があるんだからよ」
言葉に、少年が不可解げに眉間に皺を寄せる。
「戯れを。このような小僧、売り払ったとて飯の種にもなりますまい。……そろそろその被り物を取っては如何です」
落ちてくる人間は稀なれど、その基本的な行動傾向は大体同じだと聞く。すなわち、目の前の種族を否定し、その次にはこれは夢だと思い出す。
「被り物じゃあねェーんだよ。……おい、どけ。このガキは俺が引っ立てる」
萎縮する手下を円月刀の峰で叩き、道を開けさせる。肩幅二人分の距離を開け、対峙した。
見れば見るほどに、脆弱な生き物だ。身を護る毛皮もなければ、分厚い筋肉の鎧もない。およそ戦闘とはかけ離れているはずのその肉体は、しかして二人の部下を戦闘不能に追い込んだ。呻き声は聞こえてくるが、起き上がる気配はない。
「バーゼル=スティンガーだ」
バーゼルは名乗りを上げた。それが通じたか否か、少年は前に出していた右足を引いて直立し、ゆっくりと、五指を伸ばした手のひらと拳を重ねあわせ、深く頭を下げる。
「吼意仁慈拳(コウイジンジケン)が皆伝、鄭孔龍(テイ・コンロン)。……では参ります、ばあぜる殿」
たどたどしい発音で律儀にこちらの名前を呼ぶヒトの子供。思わず微笑ましいものを覚えるが、獲物は獲物である。
最低限必要な息だけ吸い込んで、踏み込んだ。一瞬で間合いに入る。相手は構えを改めたばかりだ。右手に持ったシミターの刃を返し、殴りつけるように振り下ろす。首元を狙った一撃だ。加減はしているが、当たれば気絶は間違いない。
必中の距離になったときも少年は動かなかった。取った、と確信する。しかし、次の瞬間、期待した重い手応えは返ってはこなかった。
バーゼルの剣は、少年の首を素通りする。――否、彼の残像を袈裟斬りにしたのである。
「んなっ……」
右から敵意。バーゼルは二刀を重ね、反射的に胴を守った。そこへ飛び込む、コンロンなる奇態なヒトの影。
「砕ぃッ!!」
裂帛の気合が炸裂し、バーゼルの胴に、二つの刃越しに拳が打ち込まれた。
自分の身体がひしゃげる音を、狼は聞いた気がした。
「ッゴ……アッ!」
反射的に身体を引き、跳躍することで衝撃を逃がす。
バーゼルは手の中の刀を見て、思わず息を止めた。二刀は叩きつけられた衝撃によって歪み、まるで投石器で潰された十字架のように端を反らせていたのである。
「見事。中々の功夫をお持ちです。都に行けば警吏の位を得られましょうに」
「ワケのわからねえことを……口走ってんじゃあねえぞ、ガキがッ!!」
バーゼルは二刀を捨て、拳を握り固めた。その筋力とスピードは、一般的な彼らの種族――誇り高きオオカミの氏族においても、なお抜きん出ていると賞賛されたほどのものだ。
――殺しはしねえ。しかし死ぬほど痛い目に遭わせてやる。
バーゼルは誓い、ガードを固め、少年へと弾丸のように突っ込んだ。
443 :
440:2009/02/24(火) 00:04:18 ID:dszJqRuS
シェアードワールドに憧れて一年。
末席にでも並べはしないかと一筆書かせて頂いております。聊かスレの趣旨と違う方向に飛びつつありますが、きちんと趣旨どおりのものも後々と出てくることと思います。
お目汚しを失礼いたしました。どなたかの目に留まれば幸いです。
……長文に引っかかって分割間違えたよ先生orz
武術モノ! 武術モノ! ハァハァ
決着と姫君の登場に期待
武侠もの、いいね。
蝸牛山にカエレ いや嘘です。
あいかわらず戦闘描写が簡潔かつ丁寧でハァハァが止まりませんレムたん燃えー!
しかしまた七面倒な状況に巻き込まれてますのう。続きwktk
かっこいいバトルが二作続いててもう燃えるやら萌えるやら。
どっちも肉体的不利を技術でカバーするタイプだからまた堪らんです。
双剣使いとか十字槍とか、そういうものは大好物です。
田舎ならではの複雑な社会環境の作りがうまいなあ……。
レムたんの戦い方、敵無力化方法がいちいち俺好みな点について。
もう幾度目になろうか。
バーゼルの鉄拳が唸りを上げて、少年目掛けて真上から打ち下ろされた。両者の身長差、軽く頭三つ分。雲を突くようだと表現されるバーゼルの巨体の前では、少年はあまりに儚く小さく見える。
しかし、バーゼルはこの身長差が何の武器にもならないことを早晩悟り始めていた。
空気を引き裂く音がして、またバーゼルの拳が虚空を貫く。バーゼルはすぐさま自分の体勢を頭の中に描く。右拳を出したまま、若干体重は前に乗り、右の胴ががら空きになっている。
電光のように駆け抜けた思考に従い、彼は突き出した右腕を膂力だけで引き、そのまま円を描くように振り払った。
紙風船の爆ぜるような音が響く。少年の蹴りが、彼の腕と交錯した音だ。手の感覚が一瞬失せ、一瞬後に痺れるような痛みが骨を這い登ってくる。
すぐさま右腕を引き戻した。
少年――コンロンが、弾かれた蹴りの反動を生かしたまま身体を返すのが見えたからだ。
「ッシァアア!!」
ヘビの連中が威嚇する時の声よりも、その声は鋭利だった。身を切らんばかりの寒気のする叫びと同時に、目の前で嵐が巻き起こる。
空中で身を廻し右足の一撃、これは顎をそらして避けた。その足を掴み取ろうとして伸ばした右手が、『逆の』足に叩かれる。
そのまま身を回し、最初の体勢より一巡しての右中段蹴り。変幻自在の足技だ。バーゼルは防御を固め、その足の一撃を左腕で受けた。あたりは静寂。いつもなら五月蝿いほどに騒ぐ部下達が、この攻防を前に息を呑んだような沈黙に沈んでいる。
無理からぬことと思えた。
生半可な打撃など怖くはないという自負があった。しかし、この少年が放つ拳脚の技には、その自信も霞んでしまう。
だが――
バーゼルはバックステップをして、目を光らせて少年を見据えた。
「やるじゃねえか。手前、本当にヒトか?」
「……人以外の種が口を聞くと、お思いですか」
少年の息が弾む。口調から、バーゼルは敵に疲弊の色を感じ取る。
脆弱なヒトは、自分達ほど長くは動いていられない。心肺機能が根底から違うのだ。バーゼルはただ正体不明の敵に怯える周囲の部下とは違った。彼には自分が勝てない存在などいるわけがないという暴力的な自信と、そしてその裏を取るための観察眼が備わっている。
「喋るんだよ、これがな。……いや、よくやってるぜ、手前は。だが、そろそろ疲れてきただろ?」
バーゼルは口端を吊り上げた。
黙して答えぬコンロンの額には、じわりと汗が滲み、流れ落ちている。
ヒト、それも骨格、筋力、体力的の全てが未熟な若年。しかも、『落ち』て間もないとなれば、身体に何らかの失調を抱えていてもおかしくない。さらには認めたくない現実を突きつけられたままにこの長期戦だ。消耗し、戦えなくなるのは時間の問題だろう。
加えて、戦闘の展開が彼に逆風を吹かせる。
攻めるバーゼルに対し、少年は防御からの反撃を主体としている。つまりバーゼルが、駆け寄って殴るというただそれだけの動作を取るのに対し、コンロンはその攻撃を回避し、一瞬の間隙を突いて死角へと回りこんで一撃を加える必要があるのだ。
防御に使う神経と、瞬間的な回避に使う運動量が、両面からコンロンを衰弱させにかかっている。
――相手が悪かったんだよ、手前はな。
バーゼルが内心で嘯いた瞬間、そよ風に乗って声が届いた。
「……未熟。功夫が足りません。お披露目は先ずは陛下のご覧じるところと決めていたのですが」
コンロンが構えを解き、だらりと両手を下げた。しかしそれも一瞬、雨垂れを掬うように、両手を碗の形にして持ち上げる。
「致し方ありますまい」
少年は胸の前まで上げた手を、突き上げるように天に翳し、同時に右膝を上げた。
刹那の停止。一瞬後、腕を腰元に引くと同時――踏み下ろす!
「――……!!」
戦慄、ただその二文字。
動作だけを見れば、それは児戯以外の何者でもない。
だが、部下が皆一様によろめいたように後ろに下がったのだけは、気配だけでわかった。
コンロンが足を地面に叩きつけた瞬間、一帯が確かに揺れたのである。錯覚であるかないかなど、この際、些少な問題だった。空が落ちてきたような重圧と、目の前にそれを発するものがいるというだけで、十分すぎる。
「――……!!」
戦慄、ただその二文字。
動作だけを見れば、それは児戯以外の何者でもない。
だが、部下が皆一様によろめいたように後ろに下がったのだけは、気配だけでわかった。
コンロンが足を地面に叩きつけた瞬間、一帯が確かに揺れたのである。錯覚であるかないかなど、この際、些少な問題だった。空が落ちてきたような重圧と、目の前にそれを発するものがいるというだけで、十分すぎる。
「……オオオオオッ!!」
バーゼルは吼えた。重圧を寄せ付けまいとするように、ただ、地の底までも届くほどに吼えた。地面を蹴り、加速する。
鋭利な爪を持つその五指を広げ、己の最速を以て飛び込んだ。最早傷つけても構うまいと、割り切った。――否、割り切った、と言うのは正しくない。
殺さなければ殺されると、彼の本能が叫んだのだ。
彼は、そうせざるを得ない状況にまで、たった一瞬で追い込まれたのだ。
コンロンが動く。
その頭から股までを、カギ裂きにするつもりで振り下ろした。風を巻く死の右腕が、彼の頭頂部に襲い掛かり、
止まった。
少年の小さな手が、巨木が如きバーゼルの右腕を支えている。まるで羽毛を受け止めるように、音もなく狼の一撃が静止した。
バーゼルは理解できなかった。何故止められる? 筋肉の絶対量、それが生み出す加速度、そして自身の質量の関係性。狼の知りうる拙い知識を総動員し、あらゆる理論を立てたところで、その所業を説明することは出来ない。
コンロンの手のひらは優しく、静かだった。なのに、背中から這い登るこの寒気は何だ。
彼の細めた目の中に鋼色のきらめきを認めた瞬間、バーゼルは反射的に右腕を引き、再び引き裂くための一撃を放たんとした。
しかしその前に、コンロンがその懐に潜り込む。抱き潰せるような近距離、拳を加速させきることが出来ないような密着状態。
次に吼えたのは、少年であった。
「阿打ァッ!!」
爆発的な発声と同時に、バーゼルの腹に拳が食い込む。
瞬間、臓腑の奥で衝撃が弾けた。
「ご……」
喉の奥が痙攣して、声が凍る。
「打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打ッ!!」
怪鳥が笑うが如き甲高い独特の発声と、胴にぶち込まれる乱打が狼の耳朶で楽章を奏でる。目の前にいるのはヒトではないと、バーゼルはその瞬間に確信した。
引き戻した瞬間に既に打ち込める状態になっている左右の拳。決して力を入れていないように見える緩い握り。矢襖のような拳の瀑布を放ちながら、コンロンは一撃毎に更に摺り足で前進している。
――ということは、あれか、オレぁ今、後ろに押されてるのか?
拳の数は既に数え切れない。目で追いきれない。カモシカの連中が横並びになって掃射する光景が頭に浮かんだ。
熱く焼けた鉄の雨のように、無数の拳が胴を滅多打ちにする。バーゼルは遂に爪を振り下ろすことが出来なかった。指先が戦慄くように震え、声すらも奪われたように顎が反る。
「吼意仁慈拳四拳≠ェ壱式……『百華』」
立ったまま意識を手放しかけたバーゼルの耳に、コンロンの澄んだ声が届いた。
意思に関係なく天に向こうとする鼻先を、震わせながら前を見る。
「……三分咲<b! 絶掌ォ!!」
腕を揃えた双掌打。
彼の攻撃を見て取ることは出来たが、それが限界だった。
胴にめり込んだ最後の一撃。自分の体の内側から鳴る破裂音に意識を吹き飛ばされ、バーゼルの思考は闇に溶けた。
吼意仁慈拳。
知るものぞ知る、内家拳の流派の末席。勁≠練り、拳脚によりそれを相手に送り込んで発破する技術――発勁≠操るための想像を絶する修練が故、その修行の最中に命を落とす者も珍しくはない。その門徒を叩く子弟のうち、皆伝の位階を得るものはごく一握りである。
その狭く遠き門をくぐり、皆伝を名乗ることを許された者の実力たるや、推して知るべし。その力、その技、既に人の粋になし。
四拳≠ェ壱式、百華。短時間で練りあげた勁≠、百に渡る数に細分し、連続的な寸勁として叩き込む。自らの中で練った勁を敵の体内で反響・増幅し、最後の一撃により炸裂させる魔拳である。
残心を取る孔龍の前で、狼がその巨体をぐらりと揺らした。発する声すらなく、仰向けに倒れ伏す。その目は見開かれたままであり、彼がいかな驚愕の中にいたか容易に推測しうるさまである。
左手を右拳で打ち、深く礼をした。その後、周囲で呆けたように立ちつくす狼たちを睨み据える。
「さあ、次はどなたですか」
返事はなかった。
ただ、狼たちは我先にと、道を争って逃げ出していった。棒で打たれた犬のような裏返った声は恐怖の表れか、何なのか。孔龍は駆け出していく狼たちの姿を消えてしまうまで眺め――
がくり、と膝を突いた。
「……三分咲≠ェ限界だなんて」
自分の掌を見れば、小刻みに震えているのがよくわかる。好調な時に比べ、勁の伝導率が酷く低かった。加えて、一呼吸で練れる勁の総量も少ない。
通常、『百華』は敵を完全に戦闘不能、或いは死亡に追い込むため、五分咲=\―五割の伝導率を目安にして放たれる。
孔龍は、この巨漢に目掛け、人間ならば勁を発動するまでもなく撲殺できる八分咲≠仕掛けた。しかし、現実に放ってみれば、拳速は遅く、練った勁は敵に伝わらず、分散して散っていくのである。結果、常の二倍の手数を加え、
最後に渾身の勁を込めた双掌打を打ち込むことで威力を補う羽目になった。
「……技を崩すとは、なんて無様。師父に顔向けできないな、この様では」
自嘲気味に呟いた。全身を襲う虚脱感は、収まるどころかなお酷くなっていた。始めに敵を二人、先手を打って叩きのめしたその時にはまだ感じていなかったものが、一気に噴き出してきたような有様である。
上体を支えているのさえ辛い。地面に強く手を突き、孔龍は荒い呼吸をした。
息の吸い方を忘れてしまったようだ、と漠然と思い、そこではたと思い至る。勁が思うように練れないのも、通りが浅いのも、その所為ではないか。
気を巡らせるため、丹田に意識を集中し、息を吸う。しかして、呼吸が落ち着く気配はなく、逆に世界が回り始める。頭痛がし始め、手から力が抜けた。
まずい、と思ったときには、孔龍の身体は前へと倒れこんでいた。呼吸を落ち着けようとすればするほど、身体の自由が利かなくなる。かすみ始める意識の中、力を振り絞り地面に爪を立てたが、しかして彼の右手は最早土を掴むことさえできなかった。
そのまま、意識を失う。
半刻後。
「――」
倒れ臥したるは、この一帯を荒らして回る狼の盗賊団『レギオン』のリーダーたるバーゼル=スティンガー。そして、一人のヒトらしき少年。
女はそれを見て、口元に手を持っていった。
「壮観ですわね。この男が倒れているところを見るとは」
フリルのついたスカートの裾を直し、女は一人ごちる。しかして、それにも増して驚きなのは、傍にいる少年がほぼ無傷であることだった。
「けれどそれにもましてこのヒト、面白い匂いが致しますわ。お嬢様へお知らせしなくては」
小さな声で、女は喉を鳴らすように笑った。
その頭頂には、ぴんと立った一対の耳がある。白銀の髪と、つり目がちの目。身長は女性としては高い方であった。女は歌うように古代言語を唱え、くるりと指を回す。バーゼルと少年の身体が、宙にふわりと浮かび上がった。
「晩御飯の前にでも紹介したら、きっとお喜びになるでしょう」
女は足取りも軽く歩き始めた。腕をタクトのように振るたび、宙に浮かんだ一人と一匹が彼女のあとに追従する。
されるがままの男たちは、そうして、森の中から忽然と消えたのであった。
名前があったほうが便利だと思いました。
初めて書き込んだ番号、440にちなんで「ヨシオ」と名乗ろうかと思います。
聞き覚えがあるなと思ったら祖父の名前でした。自重しろ。
次の話に進む前に一点お詫び。
展開が一部被っています。(1/3〜2/3)読み飛ばしてくださると幸いです。
前回書き込んだときに、カッコでルビを振ると微妙かな、と思ったので後書きで幾つか補足を。
四拳 → シケン
勁 → ケイ
発勁 → ハッケイ
阿打 → 「あたぁっ!!」(ケン○ロウ風に)
百華 → ヒャッカ
絶掌 → ゼッショウ
寸勁 →スンケイ
あたぁっ!って中国語でなんて書くのん、とグーグル先生に問い合わせた結果が阿打でした。後悔はしていない。
拳の猛ラッシュってすごい燃える。
最後に、前回感想を下さった方、ありがとうございました。
まだもう暫く続けてみたいと思います。次回はきっと姫が。
それでは、失礼します。
こんな早朝に何してんのw
猫の姫様期待
北○の拳のナレーション声で脳内再生されたw
ナイス武侠活劇。良いフィクションにござる。GJ&wktk
>>451 しゅうてぃんぐすたぁ様ったらもう♪
ばっちえろ〜ぃw
乙♪
>440氏
すげぇ! GJ!!
「残心」の表現いい、空手や拳法って、技を繰り出してる瞬間や最中より、終わった跡の
ポーズの格好良さにシビレる感じだから、そういう迫力というか雰囲気が伝わってきたよ。
次回は姫様登場との事だけど、この2人に振り回されるのか、それとも逆に振り回しちゃうのか
激しく期待してしまう。
ちょっと仕事が忙しくてスレにくる間が空いたのだけどtxtで投下一杯きてるー!!
土日で一杯ワクテカできる、もうすげぇ楽しみ!! 投下してくれた方本当にありかとー!!
>>451 ツッコミが追いつきませんしゅうてぃんぐすたぁ様ッ
いいなあエロ姉御! 変態じみた言動がなかなかにヤヴェエです
いやはや、おいしゅうございましたGJ。イタダカレマスー
うああヨシオさんのかっけえ…
話し声が聞こえてくる。
孔龍は虚脱感の中で、薄く目を開けた。
始めに目に入ったのは、見たこともないような天蓋であった。ぼんやりとした意識、身体に満ちる重さ。縫い付けられたように動かない身体は、清潔な布に包まれた豪奢な寝台の上に横たえられている。
「……また突然ね、ステラ」
横合い、澄んだ女の声が響く。それに被さるように、早口だがしっかりとした口調で声が発された。
「仕方のないことでございますわ。私もまだ事態を把握しきれていませんもの。それよりこの少年、衰弱が激しい様子です。シノ様に診ていただいてからでなくては、お嬢様と引き合わせられませんわ」
声音は穏やかである。少年、という単語を聞きとめ、それが誰を示す言葉か、孔龍はようやく思い至った。
意識を失う前を回想する。包囲、戦闘、一騎打、三分咲。自分が意識を失うまでの経緯を思い出し、孔龍はようやくまともに思考を始めた。
「落ちモノが何かしら患うのは不自然ではないからね。……いいわ、リアに万一のことがあってもつまらないもの。読書の途中だったけれど診てあげる」
「ありがとうございます。……では私は『もう片方』に事情を聞いてきますので」
それを他所に、二人の女は会話を続けている。首さえ動かない状況で、孔龍は大儀しながら目線を声のほうに滑らせた。
そこにいたのは、美しい二人の女。……とはいえ、孔龍にしてみれば不自然な点がいくつもある。
金色の髪をした女が、喉を鳴らすように笑った。年のころなら二十の半ば、複雑な刺繍の入った貫頭衣帯にを締め、流麗な金髪を腰まで長している。
異様なのはその頭、天辺に耳が跳ねている。まるで獣の――そう、狐のような耳。加えて言うならば、腰の辺りには尻尾があった。ふわふわと揺れる尻尾は、ただの飾りには見えない質感がある。
「本当に事情を聞くだけかしら?」
「……ど、どういう意味の質問か判りかねますわ」
意地悪げな金髪の女から目を逸らしながら、銀髪の女が声を詰まらせる。
生真面目そうな表情に、意志の強そうな瞳。こちらもまた髪と同じ色の耳を、ピンと立てていた。
その装束は柔らかそうな布地がいくつも装飾としてつけられた洋装で、孔龍の認識からすれば信じがたい服装である。実用性がない、と彼が場違いなことを考えた時、金髪の女が声を漏らして笑ったように見えた。
「いいえ、判らないならいいのよ、ステラ。いってらっしゃい」
「……はい。では、失礼します、シノ様」
どこか敗北感を背負いながら、銀髪の女が身を翻し、出て行く。身を翻して部屋の戸口に向かうその腰元には、やはり尻尾が見えた。先端が墨をつけた筆のように黒い、銀色の尻尾である。
――夢かな。
孔龍は幾度かそれを疑ったが、身体を重くする倦怠感は続いているし、目を閉じてもう一度開いても、この豪奢な洋間は消えはしなかった。今までの生活では見たことのない絢爛さは、見るものを圧倒するほどに荘厳である。
かちり、と扉の金具が鳴る音が響いた。それ以外の物音を立てず、銀髪の女が出て行ったのである。
「さて」
くるり、と女が振り返った。琥珀色の瞳が瞬き、孔龍に向かって注がれる。孔龍は反射的に目を閉じた。あの女は化生か、或いは魔性か。目を合わせてはならないと本能的に感じた。
「隠さなくても良いわ。既に起きているんでしょう」
女が、寝台の上に手をついた。きし、と微かな音を立て、柔らかい寝台が軋む。
「危害を加えるつもりはないわ。だから目をお開けなさいな」
騙されるな――と内心で声が響く。優しげな女の声は、警戒を解きほぐすように心の内側に忍び込んでくる。身体が動けばすぐにでも逃げ出すものをと歯噛みするのだが、四肢に鉛を詰め込まれたような感覚がする今の状態では、まともに動くことも叶わない。
「……何者ですか、貴女は」
「何者とはご挨拶ね。倒れていた貴方をここまで連れ帰ってきたステラに感謝の一言があっても良さそうなものだわ。本来なら既に売り飛ばされて慰み物にされていてもおかしくないのよ? それとも本当にそうされたいのかしら」
微か、早口で女は告げ――それから、嘆息した。
「まあ、身体がその状態では冷静に話もできないでしょうね。力を抜きなさい、ヒトの子」
ばさ、と身体を覆っていた布団を剥がれて、肌が外気に触れた。
……外気?
孔龍は思わず目を開けてしまった。衣服の感触がないということに今更気付く。悪い予感であれと祈るも、やはりそれは真実だった。身体を覆う布が何一つなく、傍らには寝台に手を突き、たおやかな指を胸元に這わせる傾国の美女。
「……な……な、ななな、なぁあああっ?!」
「五月蝿いわ」
じろ、と女が琥珀の瞳を孔龍の瞳に向けた瞬間、孔龍の喉はぴたりと震えるのをやめた。
何をした、と問いかける声が出ない。唇が音を失ったかのようだ。胸元を這う手が、触診するような手つきで少年に触れていく。
わけもわからぬまま浅くなる呼吸、熱くなる体。唇をぎり、と噛み締め、それに耐える。
「ふうん。……覚えがあるわ、この症状。貴方、戦うヒトね。それもかなりの使い手」
見透かすように女が言う。あまりにも正鵠を射た言葉に、身体を固くした。
「心拍数と血流が増大。当たりのようね。喋らなくても良いわ、喋れないでしょうけど」
靴を脱いでベッドに上がり、女は一糸纏わぬ孔龍の身体にまたがるように座った。
「心配することはないわ。……この地の空気に身体が合っていないのよ。吸いすぎれば酸素とて毒になるのと同じ。戦うための力……私達はそれをエーテルと呼ぶけれど……を吸い込みすぎたから、貴方の身体がパンクしそうになっているの」
女は嫣然と笑った。指先を舐め、そのまま孔龍の首筋に這わせる。
「……ッ!」
「だから、これはただの治療。楽にして、ただ受け入れればいい」
女の衣服が光に溶けて、裸体が露になる。白磁の肌に金の髪、衣服が消えても失せることのない長い尻尾と頭頂の耳。たわわに揺れる乳房は大きく、両手を宛がっても包めはしないと思わされる。
微かに香る、麝香の匂い。
「ふふ」
惜しげもなく裸身を晒しながら、女は指を鳴らした。戸口から金属音が響き、錠が降りたのだと孔龍が認識した瞬間には、女の顔がすぐ目の前にあった。
自分の胸板と彼女の体の間で豊かな胸が潰れ、柔らかく形を変じた。目を見開く孔龍の唇と、女の唇が重なり合う。
孔龍は走馬灯を見た気がした。
それは例えば、師父の下へ入門を願い参じた日の事であるとか、同門の少女に誘惑された日の事であるとか、
それを突っぱねたせいで後々ややこしいことになったことであるとか、そういえば帝都の小籠包はとても旨かった、だとか、益体もない色々なことだ。だがそれも、次の一瞬で皆吹き飛んだ。
ぬるり、と舌が滑り込む。
「ん……ふぁ、っ……ぅ」
彼女の指先が孔龍の頬を這い登った。細い指が孔龍の耳を塞ぎ、聴覚を奪う。水音が頭蓋で反響し、口蓋の感覚のみが全てとなる。長い舌が絡み、顎から力が抜けた。噛み切ってやろうとも思えない。あまりに甘美で、振り払う気力さえ沸かない。
「……ふ」
女の唇が離れ、彼女の舌と孔龍の唇の合間に銀の橋がかかる。銀糸が途切れるころ、妖艶な女はもう一度顔を落とし、孔龍の耳元へ唇を落とした。金色の髪が顔に当たってこそばゆい。
女は確かめるような語調で囁く。
「私はシノ。この屋敷に住んでいる……そうね、魔法使いとでも言っておこうかしら。一瞬だけ声を出させてあげるわ。名乗りなさい、少年。優しく呼んであげる」
耳朶を蕩かす、糖衣のように甘い声。その内側に包まれているものは何なのだろう。
考えることも出来ぬまま、うわ言のように声を上げた。凍ったままだった喉が、嘘のように動く。
「孔龍……鄭、孔龍」
「いい子ね、コンロン。怖くないわ、そのままでいなさいな」
耳朶を舌がなぞり、耳孔までも犯していく。吸うような音が直接に奥まで響き、脳が痺れるような錯覚を受け、孔龍は横たわったまま背を逸らして声なき声を上げた。また喉は震えず、声も立たない。しかしそれは幸運なことであったように思えた。
もし声が出ていたら、どれだけ情けない声を上げていたか。
「ヒトと交わるのは久しぶり……もう二十年ぶりになるかしらね」
熱っぽい口調で囁かれ、思考までも蕩けていく。シノと名乗った女の指が胸の突端を転がし、絹糸のようなきめ細かな触感の指がそのまま下へ滑って、彼のものを捕らえる。
「熱くて……柔らかいのに、固くて。忘れられなくなるのも判るわ。ヒト奴隷が売れるのも仕方のないことよね」
奴隷という言葉に、問いを発したいと、微かな理性で孔龍は思う。この女性も、バーゼルと名乗った狼も、自分のことを商品扱いする。そんなことがあるものかと、力の限りの否定をしたかったが、次の瞬間にはその思考も掻き消された。
「……ァ……!」
自分の意思とは無関係に腰がビクつく。女の指が少年の剛直を探ったためであった。雁首に指を這わせ、先端から滲む先走りを指で掬い取り、幹に絡めて扱く。粘着質な音が、布の擦れる音に混じり、部屋の中に微かに響く。
「苦しいでしょう。すぐに楽にしてあげる。……貴方のそういう顔、たまらないわ。始めはただの治療のつもりだったけれど」
鼻にかかった息を漏らし、シノは自らの媚肉を指で掻き分けた。透明な雫が絡みつき、抜いた指の間で糸を引く。
「久しぶりだから、我慢が出来ないみたい」
熱っぽい息を吐きながら、孔龍の腰元へ己の腰をずらし、己の秘所へ剛直を宛がう。先端が軽く触れただけで、孔龍の身体は狂おしいばかりに彼女を求めてざわめいた。
「は……ぁ」
唇からまろび出る妖しい吐息。女の白磁の肌に微かに湿ったような艶がある。麝香の匂いが強くなる。そのまま数度遊ぶように、彼女は入り口と先端を擦れ合わせた。
「随分と固くなっているわよ、コンロン」
顔にかかる前髪を首を振って払いながら、シノは薄く笑うと、孔龍の胸に手を突き、胸を両腕で強調しながら問うた。
「……女の肌を味わうのは始めてかしら?」
コンロンは答えなかった。唇を引き結んで、消えてしまいたいくらいの恥辱を味わいながら右に視線を逸らす。言葉は何も発せぬのに、それでこの女はすべて得心したようであった。慈母の如く笑うと、そのまま上体を沈め、孔龍の頬に優しい接吻を落とす。
「ならば、これを数えるのはお止しなさい。いつか誰かに、自分から捧げるそのときまで……ね」
孔龍がその言葉の意味を考える前に、唇が離れた。直後、飲み込まれるような感覚。
「ぁあぁぁぁっ……ぁ!」
シノが喉を反らせ、孔龍のものをその身に受け入れる。孔龍は息をすることさえ、その瞬間に忘れた。感じた恥辱も、この状況に関するもろもろの疑問も、その瞬間だけはどうでもよくなってしまう。
彼女の中が絡みつく。微細な襞や隆起が、女の内側で剛直を攻め立てる。
「ん……っ、大き……」
甘やかな吐息をこぼしながら、馴染ませるように女が腰を回す。膣壁と剛直が擦れあい、孔龍を責め上げる。胸に置いた手を支えにしながら、女は腰を使った。
時折その指が、悪戯をするように孔龍の胸をなぞり、突端を爪でつつき、指の腹で沈め、つまみ、転がしまわす。その度、孔龍の腰が意識せず跳ね、女の内側を抉った。
「きゃ……ぁん!」
「……ッ、…………!」
孔龍は声の形にならぬ息を吐き出すので精一杯だった。何処とも知れぬ地で、化生の女と交わる。自らの価値観からすれば赦されざることばかりであるのに、それがこれほどまでに心地よい。それは或いは、禁忌の味であったか。
理性が折れて、本能が彼女を求める。
震える手を彼女の太腿に置き、もっと、と求めるように緩く掻いた。
「……可愛らしい、子。甘えているのね」
女の唇が、再三孔龍の唇と重なった。気だるい舌を今度は積極的に絡め、孔龍は女の背中に指先を立てる。
「……声を……ッんぁっ、……お出し、なさいな、コンロン」
間近。
シノの――否、キツネの眼が、金色に妖しく輝く。
「主が出すもの、何もかも、飲み込んで受け止めて……喰ろうて、やるわ」
「ッ……ぁ、あ、っは、くぅぁあ……あ!」
眼光が自分を射たその時から、孔龍は何もかも忘れて声を上げ、動かないはずの身体を彼女に絡めた。夢を見ているような非現実感と、暴力的なまでの快楽が追い立ててくる。彼女の唇を顔を傾けて食み、
揺らめく腰に合わせて自らのそれを突き入れ、吐息とうめきを彼女の唇に吹き込む。吐息と吐息がキスの狭間に擦れあい、顔を撫でる。顎を唾液が伝い落ち、背に回した指が震える。
「……愛いのう、手篭めにしてしまいとうなるわ」
独言は古風な口調。耳朶をくすぐる声に自分から隷属を願い出たくなるほど。張り詰めたものが絶頂を訴え、彼女の中でひくひくと震える。
「あっぁ、あ、出……っ、ひ……ぃっ!」
「ッん……くぅっ、はあ……ッ、好い、赦そうぞ、コンロン……っ!」
誘うように、女の中の壁が震えた。無数の襞が絡みつき、その一つ一つが少年のものを吸い、射精を強請るように締め付ける。
「ッあ――!」
口から出たのはただの一音だけだった。自らのものが波打ち、何もかも吸い上げられてしまいそうな快楽の中で、果てる。打ち込む熱液の熱きこと、妖孤は顎を反らし、身をピンと張り詰めさせて受け止め、貪欲に吸い上げた。
「ふぁ、ぁぁあぁんっ、あああッ……!」
収まらず、溢れる熱液。同時に身体が虚脱感ではなく、心地よい疲労感に包まれていくのを感じる。射精は一度二度で収まらず、六度ほど脈打ってようやく止まる有様。熱の最後の一滴まで搾り取られたと孔龍が感じた時、シノの体がくたりと折れ、上に乗りかかった。
引きつるような息を吸い込みながら、汗に濡れたシノの背中を、指でおずおずと撫でる。
「……くすぐったい。悪戯は程ほどになさい、コンロン」
反応を示し、汗で纏いつく金の髪を顔から払いながら、シノが言った。
「本当に初めてなのか、少し疑うわね。……まったく、もう。もう少しで、我を忘れて吸い殺すところよ」
「す、吸い殺す……とは?」
飛び出た物騒な単語に、孔龍は抱いていた山ほどの疑問の前にそちらの真意を問い質した。答えるキツネは気楽なもの、裸の肩を緩く竦めて、
「言葉通りよ。貴方が枯れるまでまぐわうのを止めない、ということ」
くす、と笑って、孔龍の額に指先を当てる。身を引き、胎内から孔龍のものを抜きながら、艶っぽい吐息をこぼした。
孔龍は言葉に身を震わすことも出来なかった。むしろ恐ろしかったのは、そうして果てるのも悪くないと、掠めるように思ってしまった己自身である。
「一眠りしたら動けるようになっているでしょう。手っ取り早く吸いすぎたエーテルを抜くには、この方法が一番なのよ。後は眠っている間に、規定量を憶えた体が正しくエーテルを取り込んでくれるわ」
こともなげに言うシノに、孔龍は唇を傍線のように一直線に噤み、そうしてから呟くように言った。
「よく理解できませんが…………でしたら、その……貴女の身体をお使いになるまでもなかったのでは」
身体は確かに楽になっている。しかし聊か残る罪悪感は消せはしない。礼の前に尖った台詞を吐いたことも、冷静になってみれば気にかかるものである。身を起こした彼女の秘所から、こぷり、と白い泡がこぼれれば、その思いは加速するばかりだ。
「あら。私の身体は気に入らなかったかしら?」
心外ねえ、と言いながら、額に当てていた指を引き、孔龍の喉元を這わせ、顎に上らせる。
「あんなにも可愛らしく善がって、身体を求めたのに?」
「〜〜〜ッ!」
孔龍は顔に朱がさすのを抑えきれなかった。頬が熱い。多分、真っ赤になっている。
「それ、それは、確かに認めますがっ……僕が言いたいのは違う、そういうことではなくって」
頭をくしゃくしゃと掻ける程度には身体が動く、と今更のように気がついた。身体が、先ほどに比べて明らかに軽い。少し無理をすれば立ち上がることも出来よう。
だが、その復調を喜ぶよりもまず先に。言っておかなければならないと思ったことを、孔龍は口にした。
「その……貴女に無理をさせたのではないかと、気にかかるのです。もっと負担にならない方法があるのでは、と」
孔龍が呟いた言葉に、シノは童女のようにきょとんと瞳を丸めて、それからおかしそうにくすくすと笑い始めた。
「……優しいのね。心配なら要らないわ、シたくてシたことだもの」
艶を含ませずに優しく笑い、シノは自らの胸に三本の指を当てた。刹那、燐光が虚空から滲み出て、その身体を始めの衣服で覆う。
「今はお眠りなさい、コンロン。眼が覚めたら、貴方とリアを引き合わせてあげるわ。道をどうとるのも貴方次第。精一杯迷って、精一杯考えなさい。リアは、きっと貴方のことを尊重するだろうから」
「リア……?」
「この館の主よ。……よい夢をね」
シノの唇が孔龍の額に落ちる。優しい口付けが落ちたところから、波紋のように眠気が広がっていく。
「あ……」
孔龍は優しいまどろみに包まれながら、最後まで礼の言葉を言えなかったことに気がついた。
唇をそうやって動かそうとするけど、息が出て行かない。
結局、言い切ることも出来ないまま、彼の意識は再び闇に沈んでいった。
466 :
ヨシオ:2009/03/01(日) 21:35:20 ID:HIHI3rP6
名前に漢字を当てるなら『夜潮』でしょうか。
心なしかエロい。それに習うようにこのスレッドの本領に踏み込んでみました。
懺悔タイムから。
・長い
すみません。
このサイズだったらテキストにした方がいいのでしょうか……でもなんとなくスレに張って読んで頂くのに憧れていたので、こうしたい、というこだわりも。
ご意見があればテキスト派にシフトしたりもすると思います。
・タイトルがおかしい
すみません。慌てて張りました。次はやらないように気をつけます。
・猫の姫……?
すみません。先にキツネでした。タイトルを変えたほうがいいくらい気合が入ってしまいました。
人間、琴線に触れると幾らでも書き続けられてしまうもので、起床してからこっちずーっとカタカタやっていました。
また休みにまとめて書けたらなあ、と思っています。
楽しく書かせていただいていることにたくさん感謝を。感想を下さった方に最大の感謝を。全部読んでいます。嬉しいです。
ではではまたいずれ。
これはよい童貞食い。
良牡、なんてのも考えようではエロですが。
ヨシオ氏
なにがあっても書け!今勢いがあるならめちゃ書け!
GJ!(連呼AA略
魔性に属するが悪い女(ひと)ではない…シノさん、いいキャラしてるぜ。
GJです。
先が楽しみだ。勢いに乗ったまま書きまくれ!
472 :
とらひと:2009/03/05(木) 03:01:55 ID:BqbrEnkz
これはまたひと波乱もふた波乱もありそうな展開ですな。
続きをお待ちしております。
474 :
鋼の山脈:2009/03/06(金) 22:12:49 ID:EKLgoRXT
>>474 でも、大人になると子供の言葉を聞けなくなるんだよな。
そんなことを思い出した。
476 :
名無しさん@ピンキー:2009/03/09(月) 20:44:56 ID:tV/SJWIZ
保守上げ
みんな七竜で猫耳少女ハーレムウハウハしてるんだな?
わかってます俺もそうです桃色剣士かわいいよ剣士
478 :
ヨシオ:2009/03/09(月) 22:22:24 ID:1nPOJWc1
剣士かわいいよ剣士
セブンスドラゴンは早くも私の中で歴史に残る名作に
あ……続きは……書いてますよ……書いてますよ? 七竜小説を書きたいとか思ってないですよ?
バーゼル=スティンガーは、ぼんやりと目を開いた。
湿った匂いのする場所だ、と思う。煙草で焼けてろくに匂いも嗅ぎ取れなくなった鼻でも、それぐらいは判る。ベッドの上に仰臥しているようだった。首をめぐらせると、陰鬱になりそうな光景が目に入る。
「……虫が好かねェな」
簡単に言えば、牢屋だった。恐らくは地下だろう。微かな気圧の変化と、窓のない石造りであることからそれを読み取る。魔洸照明が一つきり、天井にぶらぶらと揺れている。頼りない光を発するその光の球を、バーゼルは忌々しげに見上げた。
何の気なしに身体を起こそうとして、自分の内側から亀裂の入るような音を聞く。
――そう、あれだよあれ。引きつるような感じで、曲がっちゃいけない方向に関節を曲げた時に似た、ピキィ、ってヤツだ。
バーゼルは唇の端を引きつらせながらベッドにそのまま倒れこんだ。
痛みで思考がクリアになる。
「……そうだったな」
思い出せば、記憶は十分に鮮明だった。顔面には一撃も食らわなかったためか、頭が熱を持って思考がまわらない、といったこともない。
自分はコンロンとかいうヒトのガキと殴り合いをして、真正面から何十発も――もしかしたら百何十発も拳を頂戴して、吹っ飛ばされて意識を失ったのだ。
「……ありゃ、ヒトじゃねえ」
オオカミは今更呆れたように呟いた。負けて悔しい、だとかその領域はとっくの昔に通り越している。悔しいと思う前に、よく生きていたと自分に感嘆するくらいだ。
あれはヒトというより自然現象に近いとバーゼルは思う。幾ら強いヤツでも、雨が降るのを止められるヤツはそうそういない。吹いてきた嵐を消すなんて芸当も聞いた事がない。
拳で嵐を起こせる存在に、何を持って抵抗しろというのだ?
「……やれやれ、物分りがよくなっちまった」
つまらなそうに舌を出すと、今度は身体に負担をかけないようにゆっくりと起き上がる。そうしたところで、上方で扉の軋む音。こつん、こつん、と足音が降りてくる。
ここに自分がいる過程は、多分そいつが知っているだろう。意識を失って、次に目を覚ますのが森の中ではなかった時点で、何者かがここに自分を運んだのであろうことは簡単に推察できる。
とりあえずはベッドの固さと殺風景なこの地下牢に文句を言ってやろうと待ち構えていたバーゼルは、十秒後にかぱりと口を開ける羽目になった。
姿を現したのは、ランタンを持ち、鉄格子の向こうで軽い驚きの表情を浮かべる女。その顔には見覚えがある――というよりは、一時期毎日のように共にいた時のことが、否応なしに思いだされる。
銀色の髪、ピンと立った耳。薄い唇に、感情の起伏に富んだ表情。ルビーのような赤い瞳。引き締まった身体に、控えめな胸。どこをどう見ようと、バーゼルの記憶の中にいる女と相違ない。
違いがあるとするならば、あのころ纏っていた襤褸服ではなく、フリルが山ほどあしらわれた侍女服に身を包んでいる、その程度であった。
「もう起きていたのですね。さすが、相変わらず身体だけは頑丈ですこと」
呆れたような口調はしかし、バーゼルが思わず眉を潜めてしまうほどに聞き慣れないものだった。
「……ステラ。手前、こんなところで何してやがる。それとその気持ちの悪い喋り方を止めやがれ」
「失敬ですわね。板についていると思いませんこと? この格好を見て私が何だかわからない貴方の脳は喩えようもない凡愚の器でございますわね。……あら、辛うじて喩えるものが見つかりましたわ、ふやけたパスタ」
バーゼルは思わず額に青筋を浮かべながら、頭をかき回すことで何とか耐え、怒りを胸の内側に引っ込めた。
「ミジンコよりは上に見てもらえてるみたいで万々歳だあな。……で、いい加減フザけんのは止めろ。状況の説明をよこせ。ここはどこで、お前は何をしてる。ついに頭がおかしくなったか?」
「ふざけてなどおりませんわ。ここはリア=アーセンクォルト様が住まわれる森の館。あらゆる不浄を寄せ付けず、心さもしい者には見つけることすら叶わぬ聖域。私、今はリア様に仕えておりますの。それに頭が沸くのなら、どう考えても貴方の方が先ですわ」
「ほう、そいつは大層な話だな。あらゆる不浄を寄せ付けない館≠チてのはこの薄汚い石牢のことを言う訳か?」
「冗談ばかり申されますのね。絢爛を極める家と言えど、臭い物を放り込んで蓋をするための場所も必要ではございませんこと?」
口元に手を当て、くすくすとわざとらしい笑いをこぼす女に、バーゼルは顔をしかめて頭を掻いた。乱れた毛並みを繕い、深くため息をつく。
「……冷てえことを言うじゃねえか。八年だぞ」
「……」
八年。長い時間だ。二つの月を一人で見上げる夜は、いつも悲しいくらいに長かった。
「探したんだぜ。ステラ」
バーゼルは声のトーンを落とすと、思い声で言葉少なに語る。
少しの間沈黙が満ち、石牢が水を打ったように静まり返った。永遠と続くかに思われた静寂は、鉄格子の向こうで、呆れたように肩を竦める女によって破られる。
「……探してたなんて嘘ばっかり言っちゃってさ。アタシのことなんてどうでもよかったくせに」
少しかすれて甘い、作った声ではない地声。捜し求めて止まなかったあの日の彼女のものだ。虚飾し、取り繕った先ほどまでの口調とはまるで違う、しっくりと来る響き。
バーゼルは懐かしさのあまり、笑い出しそうになった。
「どうでもいいワケがねえだろうが。手前は俺の相棒だ。手前がいなくなってこっち、ろくな事がねえ」
「調子いいこと言ってるわよ。シャロンとアタシ、選べなかったくせに」
「う゛」
バーゼルは肉を喉に詰まらせたような顔をして、女を見た。返ってくるのはつんとそっぽを向きながらの流し目。
「甲斐性なし。臆病者。浮気性。貧乏性。八方美人。かっこつけ。ワイルドぶってれば女に困らないと思ってたら大間違いよ勘違い男。バカ。スケベ。脳筋。トンマ。ズボラ。大酒喰らい。穀潰し。万年発情期。喫煙者。眼帯ー」
『いー』を引き伸ばして歯を剥いてみせるその仕草は、もういい年をしている癖に子供のころのままだ。
「最後の二つは悪口でもなんでもねえだろうが! っつうかよくそこまでポンポンポンポン俺をバカにする言葉を出しやがるなあ手前はよお!!」
ベッドを降りてずかずかと近づこうとして、二歩目で沈んだ。全身が悲鳴を上げ、歩行を妨げる。
「……お……ぐあ……」
「ザマ見ろ。いいだけやられちゃってさ、カッコ悪いったらありゃしない」
けらけらけら、と腹を抱えて笑う女は、一昔前なら絶対に身に纏わないような服を着て牢の外に立っている。
――ステラ=スティレット。
自分が盗賊となってからの十年を、絶えず傍で過ごした、白銀の毛並みのイヌ。――そして、八年前、物も言わずに自分の傍から雪のように消えた、女。
笑い声が、溶けるように薄れて、消える。赤い目が、どこか寂しそうな孤を描く。
「――あれから、シャロンとはどうしたのよ。うまく行ったんでしょ?」
「……」
シャロン。シャロン=バゼラルド。
酷く懐かしい名前。
バーゼルはボロボロのズボンのポケットを探り、床に座ってベッドに寄りかかった。くしゃくしゃのケースを取り出して、紙巻煙草を振り出す。歯で咥え、唇を巻く。指を鳴らすのと同時に、中指の先に微かな炎を灯した。
「いなくなっちまったよ。手前と同じに」
申し訳程度の魔術の炎が、紙巻煙草の先端を炙る。じじ、と微かに煙草が引き攣れ燃えて、音を立てた。
「いなくなった……って、何よ」
微かに鉄格子の向こうでステラが瞳を揺らす。
バーゼルは紫煙を吸い込み、手を握りこむことで炎を消した。紙巻煙草がその肺活量に煽られ、早回しのように燃え尽きていく。長く長く煙を吐き、バーゼルは皮肉っぽい笑みを口元に形作った。
「愛想尽かされてな。逃げられちまった」
一瞬、不安げに揺れていたステラの瞳がきり、と細く絞られた。バーゼルはその瞬間、昔よく覚えた悪寒が背筋を這い登るのを感じる。
――近くに居たら殴られてたな。間違いねェ。
「……へえ、そう。シャロンに逃げられたら次はアタシってこと? バカね、今までも度が過ぎたバカだと思ってたけど今度のは極めつけよ。もういいわ。アタシはお嬢様とシノ様と、
あのヒトの分の夕食を作るから、ここで一人で瞑想してなさい。自分のバカさ加減を理解するまで、たっぷりとね」
「ヒト……だと? おい、ステラ、あのガキもここにいるのか?」
飛び出した思いもよらぬ一言に、バーゼルは目を丸くした。しかし問い質そうとしたそのときには、既にステラは背中を向けている。
「貴方が知る必要はありませんわ。レギオン≠フ面々が助けに来るのをお待ちになったらいかが? 餓死する前に助けが来るといいですわね」
立ち戻った口調は、まるでそれ以上の会話を拒むかのよう。鼻白むバーゼルを一度も振り返らず、彼女は地下牢を出て行こうとしている。
バーゼルは声を絞り、言葉を吐き出そうとした。しかし、半端に開いた唇からは呼び止める一言さえ出てこない。
ずっと前からそうだ。
あいつが怒り、俺が意地になって、そのたびに擦れ違う。
ズボンの尻ポケットに指を掛けると、かさりと指先に当たる感覚。その紙片をつまみ出そうとして、バーゼルは動きを止める。ステラは階段を上るとき、一度だけ睨みつけるようにこちらを一瞥した。目には、幻滅と微かに寂しそうな色が乗る。
バーゼルが再び動き出そうとした瞬間には、彼女は短い銀糸を翻して階段を上っていった。
彼女の持つ明かりがなくなれば、地下牢には程度の低い魔洸照明だけが満ちる。
上方から、ドアの閉まる音が響いた。
「……畜生」
バーゼルは力を込め、これ以上ないほどゆっくりと立ち上がって、寝台に身を投げ出した。
計算高い自分が、もっと情報を集めてから喧嘩をしろ、と遅い文句を投げかけてくる。
――知ったことかよ。
あの女を前にすると、いつも冷静ではいられなくなる。八年の時を挟んでさえ、一目でわかる位に、自分はステラの姿を見てきた。昔はもう、いやになるくらい傍に居たのに、今は檻に阻まれて手さえ届かない。
「……おい、シャロン、あいつは怒髪天だ。俺がどうすりゃいいか、教えてくれ」
呟きに答えるものは一人としていない。しみったれた石壁に染み込んでいくばかりだ。
今までも何人もの恨み言を吸い込んだであろう壁だけが、自分の呟きを聞いている。バーゼルは唇に咥えていた煙草を牢屋の隅に吐き捨てた。
煙が、隻眼に沁みた気がしたから。
482 :
ヨシオ:2009/03/10(火) 00:41:02 ID:e2OGZft2
通勤時間をDSと過ごす日が続きます。明日も仕事だ。
桃色ファイターと黒髪女サムライとメガネメイジとメガネヒーラーで今日も花を踏み潰して回っています。
コメントを下さった方、まことにありがとうございました。心の支えになります。
今回は会話のみでした。何だか暫く色気のない展開が続きそうですが、飽きの来ないよう頑張る所存です。
注文駄目出し等もお待ちしております。へこたれないように頑張るので、今しばらくお付き合いいただければ。
では失礼します。明日も良い日でありますように。
なんだか心にズシンとくる話連発だよ
感情移入シンクロ率高くて心が持っていかれっぱなし
虎の威続編抜粋
>例え妥協の結果だろうと、それでいいって自分が納得して選んだ仕事だ
>やりもせずに引くのはトラじゃねぇ
鋼の山脈抜粋
>おいらたちが、兄弟の氏族をやっつけちまったサイテーのやつらになっちまう
>書こうと思えば、いくらでも言い訳を並べることができる。
いろいろあって弱ってた今の心に響く何かがあった、少しだけ元気な気持ちになれたと思う
すごく感謝、作者さん達ありがと
捨てキャラじゃなかったのか、バーゼル。
>>482 乙
ただ自分語りは余分
寡黙に執筆
寡黙に投下
で、自分語りはチャットで
それがスレを平和に保つ秘訣
隔離のほうにも投下規制の人とかトンボとか始まっていてうれしい限り。
主にベアードネタで盛況しとるなあ。
欲しいとか思っている人は確実に絵チャに毒されている。うん。
ちょ、隔離てw避難所やwww
488 :
名無しさん@ピンキー:2009/03/12(木) 08:40:02 ID:gXMRhQEv
別スレで隔離と表現するところがあったから混ざった、正直すまんかったwww
ベアードネタがどこから出てきたのかいまいち把握できてなくて
チャットとかに入り難い……(´・ω・`)
(いつも入口の?絵になってたもので)
そういうあたりが更に敷居高くしてるのかも、正直すまんかった(´・ω・`)
いや絵チャ関係者ではないんだけんど。
でも自分も正確なベアードねこ発生を把握してない。
元は「このロリコンどもめ!」なバグベアードなんだろうけど、
それにネコミミと尻尾をつけた「ベアネコ」が、
誰でも書けるマスコット的存在として、絵チャではやってこんなことになっているらしい。
本スレでチャットの話をするのもどうかと思うけど、まぁ取りあえず一言。
下道と高速道路の違いみたいなもので、合流車線の入りにくさに馴れてしまえば良いのですよ。
チャットは書き手さんとか絵師さんのある意味で馴れ合いパラダイスだし、
エロパロ板屈指の高レベル職人が集うので、参加してみるとカオスでとても楽しいですよ。
案ずるよりなんとやらで一回参加してみると良いです。凄く刺激になりますから(モチベーション的な意味で)
>>491 んなこと言ったらチャット参加が義務みたいに聞こえるんすが(´・ω・`)
基本エロパロ板は黙々と投下して、イイものにはGJを送る場所でしょ
シェアードワールドものでも、そこまでの馴れ合いは強制できないでしょJK(´・ω・`)
それぞれの付き合い方で『猫耳少女と召使いの物語』に関わるのが、
いい関係だと思いまウィッシュ。
絵茶はこちむい好き有志の人たちが好きでやってるものだから
参加したい人参加出来る人が行きたければ行けばいい
あくまで本スレは本スレ絵茶は絵茶って
完全に切り離して考えとけばいいじゃない
>>491 貴方が書き手なのか絵師なのかROMなのか知らないけど
参加してるらしき言動をしながら屈指の高レベル職人とか言っちゃうのはどうかと思うよ
本スレで絵茶の話をした挙句勧誘を強いるような発言は本当にどうかと思うよ
どれだけ良い刺激を受けたか知らないけど少し冷静になりんさい
チャット来たくても生活時間の都合で来られない人もいるし、
馴れ合いが嫌だから来ないという人もいると思う。
書いて読んでいれば他に余計なものはいらない人もいる。
パソコンのスペックがネックで来れない人も携帯しか
持ってない人もいる。
猫耳ベアードは確か絵チャの落書き、その場の勢いで発生したため
「あれはなに?」と聞かれても誰も答えられないし確定設定も
固まってない。はず。怪しい都市伝説みたいなもん。
・・・と言うかゴメン告白する、絵チャに受け狙いで脈略なく
不気味なベアード様描いたんだ。そしたら次の絵チャに行ったとき
突然、猫耳を装備して進化しておられた。な、なにが起きたか(r
・・・・正直すまんかった
>>494さんの言うとおり。
結論として「悪ふざけの塊」で、それ以上でもそれ以下でもないんだよね。
深く考えないほうが幸せかもw
「それでも、なんなのよこれ?」って人向けに、解説書いちゃう。
ベアネコの経緯を書いたほうが把握しやすいかな、ということで。
ベアード様(オリジナル)は絵茶参加者の性癖もあって前から頻出してたね。
で、誰かが「こうしたらかわいくね?」ということで、
ベアネコ(黒)の原型を書いて、ほっぺを桃色に塗ってカワイくなった。
そこで別の人が「ネコの商人がカラーベアードと称して縁日に売ってるんですね」とボケて
それが絵師の心に留まったのか、書かれたのが始まり。
さらに「ネコがあるなら犬もいるよな」とかいう勢いで、他のパターンも考案された。
それを考えると、隔離5-30は「原案に最も近い」かもしれない。
「シェアワールド」という土台、作者の集いに現れたフリーの存在の
「ベアネコ」は格好のシェア対象になっちゃったんだろうね。
たとえば
「この作品の主人公が、こっちきたらなー…
ああ、でも無理無理。作者さんに失礼だもの。
許可が取れたとしてもお互い調整しなきゃいけないから、
迷惑をかける程度が予想できないし…」
という欠点をシェアワールドは抱えているんだけど、
ベアネコはその制約がないからね。
さらに
「無制限にいろんな種類がいる」
「どこにでも普通にいる」
「何でも食べるからほとんど環境に依存しない」
「基本無害」
と世界設定に対する万能性もある。
絵茶の流れを見る限り「ボケ担当であるべき」みたいな流れはあったかもしれない。
たとえば「そ、それ以上近づくな!俺のベアネコが目から家も切れるビームを噴くぜ!」
とベアネコをひっつかんで構えると寝ている、みたいな。
だから隔離でなくて避難所だってwww
二度もすまんwwwもう俺ちょっと向こう落ちてくるwww
あえて辛辣なことを言うとある程度絵茶参加者さんが自制しないと
避難所が本当に隔離になりかねないと思うよ
最近避難所にベアードネタが続けて投下されてたけど
もしそればかりが投下され続ければ避難所は絵茶参加者さんのためだけのなり果てる
避難所は投下し辛いネタを投下できた場所ではあるけど
絵茶に参加した人にしか理解できない限定的なネタを投下する為の場所とは違うでしょうし
とりあえず自分は避難所で言及なされたとらひとさんの意見におおむね賛同
でも絵茶は設定のすり合わせや相談に便利なのは確かだけど
そこでしか相談できない・しちゃいけないと言うようにも取れる書き方をなさるのはどうかと思います
と辛辣ついでに言ってみる
まあ避難所では最近設定関連の話題がないから仕方ないのかもしないけど
まあつまり皆仲良く譲り合いつつも楽しもうよってことで
程度問題として、全員がずっとベアードネタで書くとつまらない、ってのは当然あるね。
スレのメイン属性でないし。ずっと801のターン!が嫌われるのと同じ。
ただ、今回は「解禁タイミング見計らっていた人がキッカケあったのでドバっときちゃった」だけだと思う。
出落ちなのもあるし。投げたり、食べるフリしたり。
「こちむい生物図鑑にまた謎生物が一匹増えた」だけだね。
今後ちょろちょろ出ることがあっても、それこそブッフーみたいな「話のタネ」程度のものでしょう。
もっとも、初回から20匹飼ってるところとか、拾ってきたところとかある。
家族の一員として迎えるわけだ。
それはそれで物語が紡げるなら、いいじゃない。
単純に「ペット的な何か」として物語を見守っていきたいです。
…そう考えるとヒトが「自分はペットである」の自己分析するときベアードを使ったりできて良い存在かも。
501 :
鋼の山脈:2009/03/14(土) 00:36:31 ID:CsKrreQz
ちょ、笑わすなwwww
本編はwktk状態なのにww
>>501 普段着なのーっ!?
それはそれとして、密度濃いなあ。
じつはまだ完結してません。全体の2/3あたりまで。
ホワイトデーきちゃったんでとりあえずそれ関連の部分までを上げます。
ていうか、バカエロ祭って今日までなんだよね?
ttp://adder.sakura.ne.jp/nkmm/clip/img/62.txt ※注意事項※
・「ショタ総受け」に嫌悪感を持つ方はご注意してください。
・緊縛、羞恥プレイ、視姦、逆レイプ、ウサギなどが苦手な方もご注意ください。
・シリアスな展開も泣き展開も全くない、100%馬鹿話です。重たいお話が好きな方は物を投げつけないでください。
・そのくせ挿入とか中田氏とかもありませんので、エロ大好きな方も物を投げつけないでください。
>>504 レーマ……この上、帰国したらツノの伸びたアンシェルと対峙するんだな……
>ロダ
猫耳ショタ→拘束ペニバン→ゴスロリ女装ショタのツンデレムーブ
ふぅ さすが本物は違うのぜ……
>ロダ
いやもう、なんていうか……原点を見た。そんな気分。
正直ツッコミ疲れたwww GJ!
509 :
鋼の山脈:2009/03/16(月) 00:53:31 ID:+oGzDij7
コーネリアス氏族では基本的に、職務以外での序列は長幼の序ぐらいしかないため、それを反映して食堂も、長老議員であろうと駆け出し戦士であろうと、皆同じ卓で同じ食事を摂る。
山と盛られた食事は、専ら周辺の友邦から鉄と戦士の代価として得ているもので、友邦を作る理由のひとつにもなっている。
断崖城外縁部でも農耕は行われているが、大食らいの戦士どもを満腹するまで食わせるためには、友邦の協力が不可欠なのである。
今日は、ニョッキと肉のぶつ切りをまとめてトマトで煮込んだものである。
割り当ては、大きな器に一杯。それ以上食べたければ、時折訪れる行商から自分で買うことになっている。
断崖城での金の使い道など、その程度がせいぜいだった。
レムが器を取って、何やら空いている一角に腰を下ろすと、目の前に父がいた。
一瞥を交わしたのみで、互いに食事に取り掛かる。
父に慣れている年長の者や長老議員たちはそうでもないが、接点があまりない多くの戦士たちは、父の纏っている空気に威圧されてしまうのだという。
さらに、周辺諸氏族から畏怖されている事実もあって、極めて近寄りがたい存在となっているらしい。
常に、名に恥じぬ振る舞いを心がけてさえいれば、父は恐ろしい存在ではないのだが。
器が半ばほどまで空になったところで、ぶち模様の歳長けた狼が小さなバスケットを持ってきた。
「おお、我が氏族の最も小さな家族よ、こんなところで一家団欒か」
二人しかいない卓の真ん中に、なぜかリボンで彩られたバスケットを、とふ、と置く。
中には、ほのかに甘い匂いのする濃褐色の塊が入っている。
「ディエル、これは何だ?」
指でつついてみる。当然だが、固い。
「チョコレートというものだ。なんでも、猫の行商が沢山持ってきたそうでな」
「へえ」
「たまには、食堂で甘い物を出してやろうという給仕長の思し召しだそうだ。レムは初めてか?」
「そうだな」
手にとって見る。甘い匂いの中に、ほのかに苦味が混じっている気がする。
「私はいい」
「おっと、お父様は甘い物は苦手でいらっしゃるか?」
「好かぬだけだ」
好かないのはチョコレートか、それとも甘い物か、どちらともつかない言い方だったが、あまり気にせずレムはひと塊を口に入れてみた。
塊から漂ってきていた香りが、さらに濃厚になって口いっぱいに広がっていく。
「おっと、どうだ?」
「ん……」
甘い。だが、ほろ苦い。
「ちょっと苦手かも知れない」
「繊細だな。馬鹿連中は喜んで貪り食っているぞ」
「なんだか、妙な感じなんだ。甘いのに苦いっていうのは、よくわからない」
「お父様も同じ理由か?」
ディエルが父の顔を覗き込むが、一瞥されただけで返事はもらえなかった。
「じゃあ、こいつは俺がもらうぞ。うちのちびどもが喜ぶだろうからな」
ディエルはバスケットを取って、いそいそと小脇に抱えた。
「ところでお二人さん、バーレン大帝という奴を知っているか」
長老議会に入ってから、あまり戦場に出られなくなった父は、たまにふらりと出掛ける以外は、大抵書見で時間を過ごしている。
何人か情報通の顔馴染みもいるらしく、時折名指しで会いにくる旅人もおり、そんなこともあって氏族の中では比較的国外の事情にも明るい。
碧い眸が、ディエルを見た。
どうやら真面目な質問であると察して、父はしばし宙に思索を巡らせた。
「知られている内で帝の名をつける国は、せいぜい蛇ぐらいのものだ。他にもあるかもしれんが、高名でない者が大帝の名を受けるとは考えづらいな」
つまり、蛇でもなければ、そんなものはいない。
「蛇か……」
「それがどうした」
「いや、大したことじゃない。猫の行商が、チョコレートを大量に持ってきた理由にその大帝がなんとか、と吹いていたらしいのでな。そうそう、その者と対になるワイト帝というのもいるらしいぞ」
「知らんな」
今度は、父も断言で応じた。
「となると、その道では有名な菓子職人だったりするのかもしれんな。邪魔したな、引き続き親子水入らずを楽しんでくれ」
片手で軽く挨拶を残して、こきこきと首を鳴らしながら、ディエルは立ち去っていく。
菓子絡みの比較的俗な知識なら、父より遊び歩いている若い戦士の方が詳しい気がする。
そう言えばまだトマト煮が残っていたことを思い出して、レムは水差しの水を口に含んで、再び食事に取りかかった。
父の器はすでに空だったが、座ってじっと瞑目している。
>>509 蛇国名代のショコラティエ、バーレン大帝…断崖都市伝説の誕生であった
「悪い子はバーレン大帝の宮殿でチョコレートにされちまうよ!」
それなんてティム・バートン?
いや、笑わせていただきましたGJ
一瞬自分の知らないSSの登場キャラかと思った
真面目に考え込む2人が無性に可笑しい
>>512 そだ |------、`⌒ー--、
れが |ハ{{ }} )))ヽ、l l ハ
が |、{ ハリノノノノノノ)、 l l
い |ヽヽー、彡彡ノノノ} に
い |ヾヾヾヾヾヽ彡彡} や
!! /:.:.:.ヾヾヾヾヽ彡彡} l っ
\__/{ l ii | l|} ハ、ヾ} ミ彡ト
彡シ ,ェ、、、ヾ{{ヽ} l|l ィェ=リ、シ} |l
lミ{ ゙イシモ'テ、ミヽ}シィ=ラ'ァ、 }ミ}} l
ヾミ  ̄~'ィ''': |゙:ー. ̄ lノ/l | |
ヾヾ " : : !、 ` lイノ l| |
>l゙、 ー、,'ソ /.|}、 l| |
:.lヽ ヽ ー_ ‐-‐ァ' /::ノl ト、
:.:.:.:\ヽ 二" /::// /:.:.l:.:.
:.:.:.:.:.::ヽ:\ /::://:.:,':.:..:l:.:.
;.;.;.;.;;.:.:.:.\`ー-- '" //:.:.:;l:.:.:.:l:.:
515 :
小さな龍と猫の姫 第三話:2009/03/19(木) 01:11:14 ID:TwQcAkxf
516 :
515:2009/03/19(木) 01:12:02 ID:TwQcAkxf
どえい。
失礼しました。下げなおします。
あいかわらず文章が綺麗で、読んでいてモエモエします
コンロン君もかわいいのう。GJ!
このシーンをじっくり書く人は実は珍しい気がする。GJ.
519 :
鋼の山脈:2009/03/20(金) 14:01:53 ID:zGD8nVOu
父様wktk
馬鹿デカイ武器はロマンですね!
読んでるだけなのに名乗りで気圧されたorz
もう勘弁してくださいお父上
最近の投下ペースときたら…w
げんせーさん、殺意高いなー。
まだ保管庫にページが用意されてなかったのね
ろだから拾い読みしてたら、筆頭に不精髭生えてるイメージができました
>>526 瞬間接着剤でうっかり指をくっつけちゃって青くなった経験って
誰もがあるよね! …いや、この場合はちょっと違うか
ハッピーエロス乙です
…ユーヤくん腎虚でダウンまであと何日だろうね
なんというスクブス。
これがウサギクオリティかっ!
この称号をあげよう
[どエロ]
日頃の皆様のご愛顧に感謝いたしまして、SS職人、絵描き一同が総力を結集した大感謝祭を行いたいと思います。
これまでの祭りには無かった人数の職人達が参加を表明しており、中には最近ご無沙汰だったあの方も居られます。
参加者の内訳は下記URLにて公表しております。無論、飛び入りでの参加も受け付けておりますので、これを機に、
という方が居られましたらどしどしご応募ください。
http://adder.sakura.ne.jp/nkmm/clip/img/76.txt それでは皆様、ごゆるりとお楽しみ下さいませ。
ちくしょー騙されたッ!だが可愛いから許すッ
>>535 鎧袖一触
背中に「天」一文字を背負ったダディがはっきり見えましたw
次はまたレムのターンかな、楽しみにしております
エイプリルフールお二方乙
やっぱイベントはイイねぇ〜それぞれ持ち味が出てて面白かった
>>535 父カッコイイよ父。
背中目指して頑張れレム
怪しいよ狼のあんちゃんなんかすげぇ怪しいよ……!
とーちゃん、まるで重戦車
541 :
獅子鹿:2009/04/05(日) 07:40:32 ID:CtaMHTp4
女侍から奥様にクラスチェンジ!
ヒト「お花見って知ってます?」
ヘビ「知らんな。そもそも何の花だ? サボテンか椰子の木か?」
ピューマ「花というからにはラフレシアかしら」
トラ「なんだ、そんなことも知らんのか。花見というのはな、白昼堂々酒を飲んでも許される日だ」
獅子「違うだろ。花見というのは、大陸中の猛者が良い場所に座るため血で血を洗う闘いを繰り広げる年に一度の死闘の場だ」
ヤギ「そんな野蛮な。花見とは、歌と踊りの祭典ですよ。人様の宴席に乗り込んでおひねりの額を競いあうのです」
イヌ「えっと……確か、年に一回だけ、いろんな人がごはんを分けてくれる日です」
ネコ「酒や食べ物をいつもの三割増の値段で売ってもばんばん売れる日にゃ」
ウサギ「裸になって踊ってもいい日よね?」
一同「「「いや、それは違うっっ!!」」」
ウサギにとっては他人の花を見る日……か
エロなし落ちなし、もしかしてちょい欝
室内飼いヒト小話
tp://adder.sakura.ne.jp/nkmm/clip/img/81.txt
>>545 むしろ「しっとり」した印象で欝と言うほどでもない感想。
すきかも。
>>545 これが欝なら、「積み木の家」は欝ストーリーです
サイレント映画の雰囲気が似合いそうな小品でございました
548 :
鋼の山脈:2009/04/10(金) 22:08:27 ID:JRO7oqEe
>>548 > 話膨らましてる間にコーネリアス長老議会が虎眼流内弟子衆のような様相を呈してきたでござるの巻
……トヨリ逃げてー!伊達にされるー!
ここで!ここで寸止めとか!!!
なんてひどいんだ、畜生全裸で正座して待ってるからな
551 :
HIRO3:2009/04/12(日) 12:17:48 ID:LwDQ98mF
そういうのは、気持ちは分かるけど自重して欲しいな。
取り合えず続き期待
おまいら今すぐ避難所と絵板とろだを見るんだ!
554 :
HIRO3:2009/04/17(金) 21:30:51 ID:jlwZA4as
一気に新キャラが!
おつ〜
556 :
鋼の山脈:2009/04/18(土) 00:15:18 ID:Bwx8i9FH
ヤツラがアレだった・・・・だと・・・・!?
鉄球使い……鎖分銅みたいな感じなんだろうけど、「投球」という単語が
出てきたせいか、カーブしたりシュートしたりナックルボールだったり、
挙句の果てに鉄棍で「葬らん!」つってピッチャーライナー返される
いやな光景が見えた
…そういえば銀輪の従者が「葬らん」喰らってたっけなぁw
>>556 前回分からまとめて読ませて頂きました。円満に終わって何よりです
彼らの今後に幸いがありますように
息を詰めつつSSを読むのは久々でした……はふう。GJ!
>>556 とりあえずホッと一息、お疲れさまでした>作者さんとレム達
精霊の件、目に見えないけど自分が感じたものを信じて行動するレムに
ちょっとドキワクしちゃったり、こういう話は大好きです
ドオリル&パルネラはインパクトありますね、アメリカの刑事ドラマにでも
出てきそうな、ちょっととぼけた感じが良かったです
文も絵も続々と。
本気で春のセール中か。
保守。
なんか避難所の方が活発と言うのも変な感じ。
規制されてる作者さんは本スレに投下出来ないから仕方ないと言えば仕方ないけど。
チャット中の人いない時間帯だが話題ふるか。
さっき、曽根崎心中聞いてて思ったんだが主人とヒト奴隷の心中ってネタになるだろか。
主人以外のとヒトだったら心中はありそう。
主人にいたぶられているヒト奴隷とそれを見かねて駆け落ち決行するとか、
主人に望まぬ許婚がいるとか
主人が破産して、借金のかたに取られる寸前のヒトとか。
しまった、もろこちむいじゃないか。
本人が死後どうなると思ってるのかにもよるか。
あの世でー、とか生まれ変わって来世でー、とか。
転生エンドは一回考えた事はあるw
転生戦士が云々とか言いだすイタイ少女とかいたりすんのかな
ゆかりんがどうしたって?
ああ、体のごく一部は少女の頃から大して変わってな
省略されました。続きを読むには肉片を片付けてください。
「…とゆーわけでェ、二人は同じ種族の美男ときょぬーのカポーに生まれ変わって、
いまもどこかで転生戦士として戦っているのだそうです。どっとはらい」
「いやおかしい。とくに最後のとってつけたあたりがおかしい。…ええとそれから
どうでもいいことだから聞き逃してくれていいんだが胸はその無くても別に」
「美少女転生戦士の必殺技そのいち。巨乳ビンタ。往復で」
「・・・・・。・・・・、・・・・・・・・・・・・!!!!!!!」
「……旦那? どしたのその高級虫チーズ食わされたみたいな味わい深い顔」
胸ではなく膜かもしれなひでぶ
>>572,574
ミンチよりひでぇ…
>>573 なんか、きょぬーゆかりんのいる世界を見てしまう旦那が見えたんだがw
旦那ってマーフィーの法則の体現者だよなぁ。
胸とか膜とか何寝言抜かしてんだ
毛だろ常考
577 :
鋼の山脈:2009/05/02(土) 01:57:06 ID:YA1xFzKH
橋田寿賀子はよほど人の不幸が好きなんだと思うよ。
GJ
ゼリエさんに蔑んだような目で一瞥されたいぃぃ
なるほどチヒロが嫌うわけだ……
ヒント:ロダ
584 :
ツキノワ:2009/05/06(水) 00:38:51 ID:z0Pqah7c
夢だがエロですばらしい。
リアルファイト乙です……っ!
ナイスエロス&ナイス思春期。そして便利マウンテン
587 :
とらひと:2009/05/08(金) 02:24:40 ID:0lC52Php
乙〜。
新ろだもとうとう100までいったか。
おつー
相変わらずの青春ぶりに続きが気になって仕方ない。
なにげにベア様が登場w
しかし、人のいる所にしかいないってのはまるでg(ry
ゲフンゲフン
規制されてる人多いから寂しいな。
こっちでも避難所の話の感想書けたらいいんだが。
本スレに落としにくい話だった場合はそういう訳にもいかないだろうし。
と保守代わりに愚痴ってみる。
かなり広範囲に規制されているようで相当アチコチ被害が出てるね。
賑やかだったスレがいきなり寂しくなって、良く見たらメジャー系ISPが軒並み規制中だったり。
一握り、と言うか、ほんの数人のアホのせいで巻き込まれるのが多すぎる。
ISPはその手のアホを狙い撃ちで利用停止にして欲しいものだ。
594 :
鋼の山脈:2009/05/16(土) 00:58:17 ID:CZdKiomC
また焦らしか!
続き、正座して待ってます…。
助平議員に対するツッコミに笑ったが、状況は予断を許さんなぁ…。
元はどうあれ、今の祭司団の活動が「午前中は穴を掘り、午後は掘った穴を
埋める作業」に限りなく近づいているのはよくわかった気がする。
とゆーか、内部二大勢力の仲が良くない大きな規模の組織ってのはなんであろうと危ういよね。
洗脳の一種だのう。一種の宗教組織だから順当っちゃ順当なんだが、歯噛みせざるをえん
まったくどいつもこいつも……
罰としてこの音封石は俺が没収する!
残念だったな。
そいつはガチムチシャコレスリングが記録された音封石だ。
本物はこっちの
「成敗ッ!」
アッー!?
>>603 絵板全然見ないから、全然想像もつかなかったわ
ベア〜は絵板とかチャットから出たキャラらしいから
こっちじゃなじみないしそれで前にもちょっと騒ぎになったよな
チャットと避難所と絵板で主に存在を確認できるけど
ここだけ見てる人には分かりにくいキャラだ
ここらで一発ここでも馴染み深くなるようなSSの投下をでsうわきさまらなにをす(ry
そういう生物がいるんだな、でいいじゃん。ファンタジーファンタジー
絵板やチャット派生のキャラが出てくるようになると、何だか馴れ合いとか
身内同士くさくなってて苦手だと感じる人がいる事も忘れないで下さい…
避難所を見ていない人もいるだろうから、あえてこっちで言わせてもらう。
どうして『そういう生物が存在する』で納得できないのかわからん。
こちむい作品にはそれぞれ特殊な生物でてくるし、今までそれで普通に通ってきたじゃないか。
絵茶から生まれたってだけで身内臭くなると感じるなら、そもそも書き手同士で設定をすり合わせること自体が身内臭いってことになる。
多くの書き手が共有するシェアワールドなんだから、『共通設定』『共通キャラ』なんてのは、
むしろ醍醐味なんじゃないのか?
ペット代わりのマスコットが生まれた。書き手が作品内でそれを使った。
ただそれだけの話じゃないか。
そういう作品に身内臭さや馴れ合いを感じて、もう読みたくないと感じるなら読まなければいい。
虎の威はアップローダー投下だし、スルーだってしやすいだろう。
作品の名前が見えるだけで気に入らないなら、コテハンがついてるんだからアボーンしろ。
書き手は書きたいものを書く。読み手はその中で読みたいものを選別する。
書き手同士が馴れ合って、読者の事を考えない公開オナニーばっかりしてるスレになってると思ったら、
捨て台詞も吐かずにクールにスレを去ればいい。
書き手は読み手に『俺のを読んで喜べ』と強要できないし、読み手は書き手があらゆる設定を無視して
他書き手の作品に支障をきたしまくってでもいない限り、『俺が苦手なもんは書くな』と強要は出来ない。
見苦しければスルー。荒らしさえそれで解決するんだから、時々投下される作品くらい、気に入らないならスルーしないか。
・水かけ論状態ヒートアップ
↓
・主張が高圧的、言っている当人がスルーできてないなどの、主題から外れた上げ足とり合戦
↓
・便乗愉快犯の登場で無差別攻撃
↓
・当てこすりの激化でスレッド大荒れ、雑談もできない状態に
以降の流れを簡略化しておいたよ
両者がどういうつもりであれ、押しつけ合いになってしまった時点で、もう決着つく見込みは消えうせたよ
607-610なんてなかったことにするればおk
以後いつもの待ったりペースで↓
>>609 つまり、萌エロイのを書けばいいんだな?
612 :
書いたよ〜:2009/05/24(日) 20:08:33 ID:KHa+RZHE
tp://adder.sakura.ne.jp/nkmm/clip/img/105.txt
某大物Sさんに直接インタビュー
Q.アレはすべてあなたの創作物なのですか?
A.実在する生き物をモデルに作った方が簡単だとロボット工学者も言ってンぞ。そこから類推してくれや。
Q.協力してくれた友人とは誰ですか?
A.わりぃ、指名手配犯だから詳しくは言えねェ。
Q.凶悪な犯罪者なのですか?
A.あいつが人間殺したって話は聞いたことねェなあ。
Q.投げ技にこだわりが?
A.スープレックスこそ王者の技よ。
Q.王者の技は関節技ではないんですか?
A.王者が地べたに転がってどうするよ。自分は立って敵を這わせるのが王者ってもんだ。
Q.ふっ、どうやらあなたは本物の関節技使いに出会ったことがないようね。
A.おもしれェ、試してやンよ。(鮫のように笑う)
コガネかわいいよコガネ
相変わらずのらぶらぶえろえろでご馳走様でした
そして爺ちゃンで噴いた
…いえ、先に無断でお借りしましたし、青龍殿はオープンソースだから
何も問題はありませんよ?
>>607 つまり絵板とか避難所由来のキャラや設定を使うのは不愉快だからやめろ、と。
ハ,,ハ
(*゚ω゚ ) お断りします
. (=====)
_(_⌒) )
/\ `J  ̄ ̄\
 ̄ ̄ ̄ ̄| | ̄ ̄ ̄
|
/ \
>>613 偉い人は言いました。
「かわいいと言わせるためならどんな卑怯なモーションも辞さず」
>>614 つまり書いてくれるのですね。お待ちしております。全裸に靴下で。
>>614 むしろ出すなら出すで知らない人にも分かりやすく出典を明記して欲しいと思う
チャットに参加しろって言われたって出来ない人も居るんだし
共有設定として出してくるなら出典として絵チャットのログ公開ぐらいあってもいいんじゃないかな
分かってること前提で出してくる割には絵ネタ不参加の人に対して妙に壁作ってるから
内輪ネタって叩かれるんだと思う
まさかの変身単眼生物の誕生である……
ああもふもふふかふかほんのりあったか……! コガネかわいいよコガネえろいよコガネ!
と書き込んでから流れに気付いた俺アホス。
出典明記するって、書くたびに『キャラ〇〇:俺の脳内出典』とか
『設定〇〇;絵茶にて〇〇氏との会談中のりで生まれた』とかやるの?
そっちのほうがはるかに身内臭いと言うか、うざいと思うんだけど……
作者がどこでどんなふうにネタを仕入れてこようと関係なしで、作品に出てる物がすべてていいんじゃないの?
『単眼でもっちりしててぶきみともかわいいともいえない生物である』ってだけで、生物の
説明としては十分だと思うんだけどな……
これはもう駄目かもわからんね
絵茶参加者のベアを知ってる人と
非参加者のベアを知らない人とでの温度差が違いすぎる
避難所やここでベアネタ作品の投下が続いたから
知らない人が疎外感を感じても仕方ないことだと思うけど
>>618 俺はベア知らなかった側だけど俺個人としては
ベアの何が面白いのか分からないから出てるシーンはほぼスルーしてる
ちょっと懐かしいところからの例えですまないが
ブッフーやミノ丼みたいに作者さん個人がこういうの出しました〜なものなら
そういうのがいるのかふーんってなったしここや避難所とかで話題になって
その後他の作者さんが出しても受け入れられたけど
知ってる人達から一気に同じネタ出されても正直置いてきぼりにされて困る
だからってベアを使うなとか言うつもりはないけど
こういう事態になるのは仕方ないものとして
みんなが落ち着くまで波風立てるのはやめようぜ
621 :
614:2009/05/25(月) 19:26:47 ID:MsZysNbE
身バレを恐れず言おう。
当方絵茶未参加の書き手。
まだべあは書いてないけどね。書くつもりはある。
>>620 >>そういうのがいるのかふーんってなったしここや避難所とかで話題になって
>>その後他の作者さんが出しても受け入れられたけど
まさにべあがそれだろう。
実際ここに一人書こうとしてるのがいる。
>>知ってる人達から一気に同じネタ出されても正直置いてきぼりにされて困る
それこそ『何言ってるの?』としか。
一気に同じネタ、って…別に示し合わせて同時に投下されたわけでもあるまいし。
あるネタを読んだ作者がそのネタを絡めてSS一本を次の日に投下しました。
他の人もそのネタを使ってみました。
実際、べあの広がり方なんてその程度だろ?
ブッフーやミノ丼と何処が違うんだ。
波風立てるのやめようぜって流れになったのに、挑発的な言葉遣いでレスするなよ……。
シェアワールドじゃなかったら絵茶組だけのお楽しみってことでいいが
絵茶から出して使うなら一部のお楽しみノリのまま
持ってこられても驚くばかりで楽しめるかと言われると疑問
使ってる人たちは楽しいと思ってやってるんだろうから使うなとまでは言わないが
世界観共有なんだから知らない人が気にする気持ちも仕方ないとも感じた
624 :
620:2009/05/25(月) 21:21:03 ID:gpWMPATP
>>621 なんかもう面倒だしこれ以上言及しないけど
とりあえずベア書くというなら楽しみにさせてもらおうじゃないか
ぜひ投下時には宣言者であることを表明して欲しいものだ
以下何事もなかったかのように作品投下待ちの流れを希望する
うん、小難しい話は避難所でやってくれたらいい。
別に読みたくないなら読まないで済む話なのに…
愉快犯と便乗荒らしが紛れ込んでるから気をつけなよ、と。
犬が苦手だと感じる人がいる事も忘れないで下さい…
シャコが苦手だと感じる人がいる事も忘れないで下さい…
狐が苦手だと感じる人がいる事も忘れないで下さい…
鼠が苦手だと感じる人がいる事も忘れないで下さい…
もうね、アフォかと。
ようやく落ち着いたかと思ったら煽るようなレスとか…
もうね、アフォかと。
こんな流れが続くようならいっそ本気で
絵茶参加組と非参加組で住み分けたほうがマシかもしれない
確実にどっちかが廃れるだろうけど
問題なのは参加不参加じゃなくて、煽りとその中に紛れ込んでる便乗犯だろう
住み分けなんかしたら各個撃破のいい的だぞ
面白いが正義だ
まあ気付いてる人もいるとは思うが、絵茶を敵視してる人間が起こしてる騒ぎだろうね。
以前からいるみたいだけど、粘着質で気持ち悪いな。
ま、定期的に放火魔が来てるみたいだからねえ。
「またこいつか」と見極められるようになればどうってことないんだけど。
放火魔の例えワラタ
そんな奴の言う事、真に受けたら馬鹿をみるだけだね
「エロいの書けばいいじゃない」
――マタイによる福音書より
なんという姦淫聖書
汝の隣人をこませ
己の如く汝の隣を愛すべし。昼とか夜とか。
638 :
ii:2009/05/27(水) 00:42:46 ID:RJQq5sWb
牧師(神父)スタイルのウサギが脳裏をよぎった
昔々、聖書がウサギの国に落ちた時、微妙に誤訳されて伝わったに違いない
確かにウサギは隣人愛に溢れてるw
だが旧約は物騒。
敵対する街の女子供を殺さなかった兵士に対して激怒したモーセが
「すべての男たちと処女でないすべての女たちを殺せ」
だし。
新訳も旧約も何も、凡そキリスト教とその類似宗教は神様が真性Sだからな。
聖典の中で一番人を殺してるのが神様そのもので、次が人同士。
意外な事に悪魔が一番穏便だったりする。まぁ、目的が目的なんで仕方ないけどw
>>640 悪魔「唆す対象殺したら意味ないじゃないっすか」
かみ「おめでとう! よく ここまd(ry
>639
モーゼ処女厨だったのかww
処女厨ではなく「敵の男はたとえ胎児でも許さん」っていう潔癖主義な気もするが、
処女厨にしておいた方がキモさが増していいかんじ。
まあ、外道は外道だがどこぞがやってた民族浄化よりは…
そういえば、「夜明けのジャガー」の過去編で、ともに訓練した同期の
女性陣だけが敵に連れて行かれるという欝展開に歯噛みしつつも股間を
熱くしたのは俺だけじゃないはずだ
>>645 あの回は鬱でありながら燃え、エロでもありさらに泣けるという
神回だったなあ。出先で読んだから表情を押し殺すのに困った記憶がある。
保管庫で読み返してこよう。
らぶらぶ主体のこのスレでは、救われない陵辱が描かれることって
あんまりないだけに、たまに出てくると非常に興奮してしまう
輪姦属性持ちダメヒトの俺です。エロゲのファンタジーものとかで
あるような、侵略されて火の手が上がる村で、清純な村娘が
兵士どもに(ryとかもうね。たまらんね。
基本的にそーゆーの書けないので書ける人は尊敬する。
まず書く気が起きないし、必要に迫られても自分が途中で拒否反応起こしちゃうんだよな。
ファンタジーエロ書く以上はある程度妄想で突っ走るために「ふと我に返る」(俺何やってんだろ反応)を押し殺すんだが、
嫌いなジャンルを書き始めるともうどうしようもなく自分が嫌になる。
けど読む分にはそんなでもない!ふしぎ!
649 :
鋼の山脈:2009/05/29(金) 02:33:42 ID:OuURWXKW
>>649 > いつもにこにこしている人のいいおっちゃんですが、敵の頭蓋を叩き割る時もにこにこしています。
に〜こにこ殴打♪
GJ
……あかん、この環境だと胃に穴が空きそうだ俺orz
だがGJ、そしてそれといっしょにこれだけは言わせてくれ
ケダマ人妻フォォォォーーーーウ!!
なんという魂の雄たけび
そこに萌えがあるのだから仕方ない
魂で理解できるぜ、兄貴!
ミネルヴァちゃん……そんな笑い方をするんだね、君は
バトルモード玄成さんカコヨス、でも実はいまだに読みが半分わかってない罠
つまり、げんせーさんとミネルヴァたんは一緒に寝てると?
ヒャハー!
,,、,、、,,,';i;'i,}、,、
ヾ、'i,';||i !} 'i, ゙〃
゙、';|i,! 'i i"i, 、__人_从_人__/し、_人_入
`、||i |i i l|, 、_)
',||i }i | ;,〃,, _) 尻尾は手洗いだ〜っ!!
.}.|||| | ! l-'~、ミ `)
,<.}||| il/,‐'liヾ;;ミ '´⌒V^'^Y⌒V^V⌒W^Y⌒
.{/゙'、}|||// .i| };;;ミ
Y,;- ー、 .i|,];;彡
iil|||||liill||||||||li!=H;;;ミミ
{ く;ァソ '';;,;'' ゙};;彡ミ
゙i [`'''~ヾ. ''~ ||^!,彡ミ _,,__
゙i }~~ } ';;:;li, ゙iミミミ=三=-;;;;;;;;;''
,,,,-‐‐''''''} ̄~フハ,“二゙´ ,;/;;'_,;,7''~~,-''::;;;;;;;;;;;;;'',,=''
;;;;;;;;''''/_ / | | `ー-‐'´_,,,-',,r'~`ヽ';;:;;;;;;;, '';;;-'''
''''' ,r'~ `V ヽニニニ二、-'{ 十 )__;;;;/
ここはうpろだ主流なん?
一回の投下量が多い書き手さんはうpろだ使ってる。
その他大人の事情でうpろだ使ってる書き手さんもいる。
それを見て新規の書き手さんもうpろだで投下することが多い。
でも投下方法はあくまで自由。
直接投下は醍醐味だと思う。
まあ、俺の行きつけのスレを基準に考えれば、10レス〜15レス前後ぐらいまでは直接投下で良いと思う。
直接投下だと連投規制がけっこううっとおしいし。
ただ、特殊性癖の話はうぷろだ使ったほうが無難。
あくまで個人的意見だが、参考までに
見れば分かると思うけど、うpろだ派です
直接投下
メリット:
人に見て貰いやすい (携帯の人も、スレに来れば読める)
スレが加速するので投下があった事がすぐ分かる
デメリット:
文字数制限や行数制限に引っかかるので、「何処で切るか」を考える必要がある
Samba規制があるため、長編を投稿する時は支援して貰わないと投下に時間が掛かる
アク禁を食らうと投下できない (モチベーションが上がりにくくなる)
うpろだ
メリット:
文字数、行数、連続投下を気にしなくて良い
ろだに上げると、誤字脱字の発見率が上がる orz
うpろだのメッセージに、表に出すまでも無いような設定とかを書ける
削除キーで削除できる (超重要)
デメリット:
携帯からだと読むのがメンドイ
スレが加速しないので、投下があった事がわかりにくい (最悪、過疎スレと思われるかも知れぬ)
最近活発すぎて読み切れない…
たまに変なのが湧く事があるから、書き手さん達としてはろだに投下する方が気が楽だと思うよ。
携帯の人には悪いけど。
携帯からだとうぷろだの分は読めないものなの?
うち普通に読めてました。フルブラウザだからかな。
俺も読めるな。
むしろ携帯だとロダの方が一括で読めて楽。
べっかんこ使ってると楽だな。
保管庫って更新されてる?
新保管庫の方は更新されてるんじゃないかな。
恐ろしいことにここからはリンクされていないという保管庫だけどw
攻めに入ったな。二重の意味で。
GJ、そして生きて。
カルトが顔面を埋める場面がとにかく羨ましい。
俺だって潔いほど平坦な○○とか、○と○の間の○○○に顔埋めたいw
新保管庫見つけた ありがとー
…どこだー新保管庫!?
ここが使えないときにいくスレを辿れ
ん? 絵板の上の方のリンクにあるトコでいいんだよな?
そうそう。絵版の上にあるリンクからとべるのが新保管庫
絵版のやつか!
てっきり更なる新保管庫かと思ったんだ…さわいでごめんよ
書き手じゃないんだけど、保管庫の作品に誤字があった場合勝手に直していいんだっけ?
最近入った分で見つけた。
さすがに自分が書いていない分はまずいんじゃないか
意図的にやってたりする可能性もあるし
もうどう考えても意図的じゃないだろうっていう誤字は修正していい流れだったはず
伝言板に書いとけば、作者が見るんじゃね?>誤字
人によって勝手に直して良いかどうかは異なるだろうから、そっちの方が角が立たないかと
>>伝言板
元々そのための物でもあるしな。
有効に使うべきだ。
最近なんか作品関係ない話が続いてるので一発ネタ。
以前書こうとしてボツにしたので続きはないw
とある遺跡内。
円筒形の透明なカプセルにヒトの少年が閉じ込められていた。
カプセルに繋がれた様々な装置の前には汚れのない純白の白衣をキッチリと着た猫の女性が一人。
「ちょ、博士、何をする気ですか?」
「何って…実験に決まってます。その程度の事は察しなさい」
「僕が言ってるのは僕を勝手に実験に使わないで欲しいって事です」
「ハッキリと言葉に出していないのに察するなんで出来るわけないでしょう。理不尽な」
「うわあ…博士、さっきの自分の台詞覚えてます?」
「私は未来に生きるわ。過去なんてどうでもいいのよ」
「相変わらずこの人最悪だよ…」
「相変わらず? それは聞き捨てならない台詞ね。過去の私より最新の私こそ最高。もっと最悪にならなければ。と言うわけでおもむろにスイッチオン」
「最も悪いって書いてマジ最悪だよこの人!」
「ふむ。種族変更をしようとしていたのに、性別変更になってしまうとは。これはこれで興味深い」
「元に戻してくださいよ!」
「ああ…無理ね」
「へ? でも、もう一回この装置を使えば何とかなるんじゃ」
「この遺跡のリアクターはもう限界。再び自己修復が完了するか、他の稼動している遺跡が見つかるかまではそのままね」
「え、じゃあ…」
「大丈夫よ。私は女の子も愛せるわ」
「全っ然、大丈夫じゃないですよ!」
「そう。なら証明するしかないわね」
「え、あ、ちょ…アッー!」
「戻してみようとしたらふたなりになったわ」
「狙ってやったんじゃないですよね。ちょっと、なんで目をそらすんです!」
「まあこれはこれで」
「え、あ、ちょ…アッー!」
ひでぇwww
687 :
680:2009/06/09(火) 23:24:58 ID:uuE7wT6j
保管庫の直しの件、聞いてよかった。ありがとう。
伝言板に書いてきた。
「うわっ! この煙、一体何の実験をしたんですか博士」
「料理よ」
「…えーと、その、食べれます?」
「もちろん。試食もすませたわ」
「そ、そうですか。珍しく僕を実験台に使わないんですね」
「本番は今度だから。とりあえず現状でも性欲の上昇や精力増強効果が確認できるわね。端的に言えば媚薬効果。君に食べさせていれば面白かったのだけど」
「勘弁してください…って、媚薬?」
「ええ。君に襲われてみるのもそれはそれで楽しそうだけど、今日の所は別の楽しみ方をしましょう」
「え、あ、ちょ…アッー!」
この二人にとってはきっと様式美w
689 :
684:2009/06/11(木) 10:28:44 ID:MYGtTD0w
誰だ続き書いてるのは…
いいぞ、どんどんやれw
690 :
鋼の山脈:2009/06/13(土) 02:30:59 ID:G1K/9P/w
幻覚なのかよw
ドオリル夫妻の仲睦まじい様子に2828してしまった
世間からみたレムの立場をわかりやすく見せてくれてるパートだけど、
単純に断崖城の日常風景として見てもステキだと思う
しかし、ほんとにヒトの関わる余地のない話だw
どっちだろうなーとwktkしてしまう
レムに対する偏見は、結局戦士に対する偏見なんだろうな。
戦士マジキツイというのを家の中では見せないようにしてるっていう事なんだろうけど
しかしまぁなんか規制酷いな。
アチコチのスレがガクッと人が減ってる。
ここも微妙に過疎化進行中な気がする。
確かに、規制かかってる事が多くて萎え萎えだよ
意欲ある魅力的な作家さんたちも規制食らってる人が多いんだろうな…
かきこみテスト♪
欝エロ追加来ました
読んでて苦痛なのは初めてだ
でも、カナは強くなったね
その内ドリルがつくぜ
ところで、もうすぐ夏だし過去のお題シリーズ(バカエロ・欝エロ)第3弾ってな感じで
死ぬほど怖いエロ話ってのどうだ?
暑い夜に涼しくなれるような怖い話募集って感じで。
703 :
父の日:2009/06/20(土) 13:55:00 ID:qr0rTn6S
704 :
獅子鹿:2009/06/20(土) 14:01:53 ID:qr0rTn6S
父wwww
血圧頑張れ超頑張れ
たぶん「パパ」の方が破壊力高いぞ。
こちむい世界の男主人の半分以上はバレンタインを華麗にスルーされて父の日(約一名母の日)にプレゼントもらいそうだから困るw
カーネーションに埋もれて遠い目をしてる白い虎を幻視した。
体育座りしてそうだなー
白いカーネーションはダメよ!
せつなくて、きれいな話ですね
しまったいい話だ!
ここは俺に任せて!みんな逃げろ!
先生かわいいよ先生
これは綺麗な百合話ですね
オチの理由が生々しいなあ……
この先生はどこに行けば会えますか?
>>714 豆乳吹いたwww
ちょっとリナ道場に道場破りに行ってくる。
……殺されないよね?
なんだこの 空前絶後のダイナシ感!(褒め言葉)
そうか、センセイ意外とそうなんだ……とりあえずイワシ姫の召使の行動範囲に立ち寄っておこう
ときめくね。頭部穿孔術。
ウエダ…もとい、サバトラが羨ましい
なかよく3Pか
好物です
この機に以前考えた短編を投下。
プロジェクトなんたら 〜挑戦者達〜 兵器開発編
ここは狐耳国の花火職人のお家です。
今日はヒトの子供がお話をしに来ています。
この子供はまだ小さく、最近狐耳国に落ちてきたばかりです。
ですがこの国ではヒトの知識は貴重なものとされ、こんな小さな子供の言葉も真剣に聞く人がたくさんいます。
なにせ狐の大好物の油揚げやお酒、うどんといった嗜好品が現在の形になるには、ヒトの知識が大いに役立ったからです。
さすがに四の国島のようなマレビト信仰はありませんが、それでも他国に比べればヒトの立場は比較的良いものと聞きます。
お話を聞いているのは年老いた二尾狐の花火職人(打ち上げ花火の技術も実はヒト由来だそうです)で、ヒトの子供の話を興味深げに聞いています。
「せんこう花火?」
「うん! はなびのおわりにね、ぜったいにするの!」
「ふうむ。儂に作れるものじゃろうか」
せんこう花火。
花火の中でも必ず最後の締めに使われる、と言う事から、かなり重要な物のようです。
手持ち花火の中でも有名なようですが、この老職人、打ち上げ花火一筋でやってきたためか手持ち花火の知識がほとんどありません。
「ぱちぱちっていって、さいごにおちるんだよ」
「むむむ。落ちるのか」
「うんっ! そしたらはなびはおわりなの」
腕組みをしながら深く頷く老職人。
老職人にとって花火とは打ち上げる物であって落とす物ではなかった所に落ちる花火の話を聞き、何やら感じる所があったようです。
しばらくしておもむろに腕組みを解くと、子供の頭に手を乗せ、少し乱暴なほど力強く撫でます。
「まあ菓子でも食ってけ、坊主」
「ありがとー、おじいちゃん」
ぱたぱたと駆け去っていく子供の後姿に相好を崩しながら老職人は呟きました。
「…穿孔花火か」
こうして狐耳国は大陸一早い対装甲砲弾…成形炸薬弾の開発に成功しましたとさ。
どっとはらい。
ごめん、最後から二行目間違えた。
こうして狐耳国は大陸一早く地中貫通爆弾…バンカーバスターの開発に成功しましたとさ。
これが正解w
721 :
名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 18:37:44 ID:Ur1B8vDw
なんつー危険極まりない線香花火w
しかもモグラぐらいしか使う相手がいないw
せんこう違いだー!
だがまあ半鎖国の関係で地下から潜入しようとする間諜もいるだろうし、役にはたつ…かな?
侵入予知→ある程度トンネルが作られたところで花火大会開催w みたいな感じで。
狼の精霊は蛇の精霊のモデルになったのかもしれんな。
725 :
鋼の山脈:2009/06/29(月) 00:51:20 ID:OT8Nkwdz
素で忘れてただけかいw
蓑虫状態のレムを想像すると同情より笑いが出てしまうな…。
おや?
狼の女の子がじっと
>>727を見つめているようです……
>729
華麗に404
おれぁ行けましたが。
>>725 キャラが勝手に動き出すと着地地点が見えなくてドキドキするよねw
>>729 協力。
このままだとここの絵板も規制対象になってしまう。
絵板どころか文章もやばい気が。アグネスマジキチ。
つか、最近一番の問題はこのスレも過疎化が進んでるって事ジャマイカ?
なら734、ちょっとこちむい界に落ちてネタを提供してくれ。
それで俺達は盛り上がるから
>>734 それは規制が悪い。
こっちに投下できなくて避難所に投下されてる作品が多くなったし。
全体的な投下ペース自体は、つねに過疎化にあえぐエロパロ板の中では
ごく上々の部類だと思う。
むしろこの数ヶ月の投下ペースが異常すぎたとも言うw
昔は全職人合わせても月一あるなしだったからなw
ただ、アチコチで見かける 読みきれない ってのが理解不能。
あれか?一文字ずつ声を出して読んでるのか?
とか、不思議に思う今日この頃。
ちょっと気になって調べてみた。
ギコナビで見る 「勢い」 って数字比較。
もちろん、数字が大きい方が活発だったと言う事。
猫耳少女と召使いの物語 09 13.74
猫耳少女と召使いの物語 10 13.50
猫耳少女と召使いの物語 11 12.18
猫耳少女と召使いの物語 12 7.01
猫耳少女と召使いの物語 13 6.05
猫耳少女と召使いの物語 14 6.72
猫耳少女と召使いの物語 15 4.53
猫耳少女と召使いの物語 16 2.75
ものの見事に凋落傾向だな。
12でなんでこんなに落ちてるんだろう?と思ったら、
ちょうどその頃ってバカエロが始まった時期だと思う。
自分としてはバカエロが始まってからかえって盛り上がっているように思うけど、
数字的には勢いが落ちてるって事になってる。
ま、あの辺りからテキストのベタ張り投下が目に見えて減ってきたからな。
仕方がないといえば仕方が無いと思うが。
ベタ貼りすれば4,5レスは堅いからな
それがアド貼り一行で済まされるようになれば、やっぱり勢い4.5ぐらいが妥当なんじゃないかね
バカエロが始まったのは13以降のはず。
12の頭で妙なコピペが張られてたりするから、11で大荒れでもして人へったんじゃね?
で、13、14は虎の威がコンスタンスに投下されたり、シャコが物凄い勢いで完結したり、
クマさんが始まったりで微妙に横ばい。
15に入ってコンスタンスに落としてた人の投下が急に減り、さらにテキスト投下が増えたことで、
勢いが勢いが落ちてるって感じだと思う。
ああ、そういえば粘着荒らしに付きまとわれたのはその頃か。
>>742 コンスタンスはフランス娘の名前だw
コンスタントな。
ギコナビの勢い計算式は、単純に「レス数/経過日数」だから、
テキスト投下が減ったことは想像以上に勢いへと影響すると思った。
このスレは、1000レス完走より500KB完走のほうが多いから、
テキストで容量を稼がないと、経過日数がどんどん増えちゃうんだよね。
スレごとの投下作品数を数えていけばまた別の印象になるとは思うよね。
あと、ネタ投下と設定すり合わせは避難所、集団発狂は絵茶と言う住み分けが根付いてきたのもあるかも。
あと、投下本数だけで言えば今週だけで4本投下されてるけど、うち3本が避難所投下だしw
年表というか、何年何月に何本投下されたかというグラフみたいなのがあったら
なんか面白そうだなあと思ったことはあった。
技術もないので俺には作れないが。
749 :
クマの者:2009/07/05(日) 15:50:53 ID:NvKyAnPa
ツキノワの者です、お久しぶりです。
本編が詰まると、ついやっちゃうんだ、ということで、小話をひとつ。
今回は直接投下をしてみました。
※SM注意
※ただしうp主はSMに関してに●おかす●こ程度の知識しかありません
【ブタと真珠様】
店に入りたての頃、先輩に教わった。部屋の灯りを極力落とすのは、視界を奪って他の感覚を鋭敏にする為の演出であると。
香水の香りや聖水の塩辛さよりも顕著なのは多分、聴覚。
防音処理の施された個室の中、『お客様』にはまず沈黙を強いる。
少しでも物音を立てれば、それなりのペナルティ――という名のサービス、を課す事を宣言する。
口にイボイボのついたボールを咥え、四つん這いになった『お客様』はほとんど恐怖に怯えた眼でこちらを見上げ、何度も頷く。
しかし、わざわざ宣言しているにも関わらず、従う人はあまりいない。無様に「ふぁい」などと声を発したりしたら直ちに、
「喋るなと言ったろうがぁ!」
ビシィィィッ!! と鋭い音を立てて、『お客様』の肩口、あるいは背中に鞭を振りおろすのだ。
「音を立てるなって言っただけじゃ理解できないなんて、お前は本当にあきれ果てた奴隷だね! 四つん這いになったら頭の中まで豚になっちまったってのかい、ええ?」
磨き上げた黒のハイヒールの先で顎を上げさせると、『お客様』はとろんとした眼で見上げてくる。
広がった鼻の穴から勢いよく吹き出す鼻息が、繰り返し足首にかかってくすぐったい。
涙と鼻水とよだれをだらだらとこぼすその顔は、客観的に見て決して美しくはない。醜悪、と言いきっても過言ではない。
しかしこれが仕事だ。5年もやれば慣れるし、こういうものだという常識が頭の中に出来てくる。
「まあ、もうこんなにして。見苦しい事」
自分で避妊具を着けさせたまま放置していたそれがいつのまにかパンパンになっているのを見て、嫣然と微笑んでやる。
すると『お客様』は期待の色を瞳に浮かべる。
優しい声を出す時、いつだってこの人たちは素直に喜んでくれる。
それは嬉しいことだが、そこで甘やかしてあげられないのが、この仕事の辛いところではある。
「では、そぉんないやらしいものを持ってるお前には、おしおきしてやらなくちゃねえ」
キャンドルの灯りが届く範囲外、とはいえ数歩先に用意してあった三角木馬を引き出して、目の前に置いてやる。
それがまるで暗闇の中から突然現われたように見えたのだろう。『お客様』は絶望的な顔でうなだれる。
しかし、観察者は知っている。ちゃんと見ている。はち切れんばかりに膨れたそれが、誤魔化しきれずビクビクと痙攣しているのを。
絶望しているのに、歓んでいる。
期待外れなのに期待通り。
矛盾というより倒錯した彼らの思考。そして、嗜好。普通と違うことに悩み苦しんで来た人たち。
――あたしは、あなたたちみたいな人を愛おしいと思ってる。
立場上、決して口に出してはいけないけれど。
さて、今回のコースは三角木馬で鞭打ちの後、乳首責めに聖水でフィニッシュ、だ。
受付で『お客様』自身が記入したご希望のとおりにプランを組み立てながら、鞭の柄を握りしめて気合いを入れる。
脚を震わせながらよろよろと木馬にまたがる『お客様』の背中を見ていた、その時だった。
(あら?)
みみずばれというほど酷くもないが、後で鏡で見て喜ばれる程度に赤い線のついた『お客様』の背中が、ふっと掻き消えた。
視界が真っ暗になる。
どうやらキャンドルが消えたらしい。
しかしこの部屋に風など入らないし、第一あれは出勤前に某デパートで買い求めた新品で、点火してから5分も経っていない。
『お客様』の前で動揺を見せるわけにもいかず、冷静にあたりを見回してみる。
すると。
「…星?」
天井いっぱいに、今にも落ちてきそうなほどの星空が浮かんでいる。
なんだこれは、と思ったところで強い風が吹き、ざざあ…と梢のそよぐ音まで聞こえてくる。
どうやら、外に出てしまったらしい。極端に布地の少ない服を来ていることが災いして寒い。
空気には初夏の匂いがするが、夜はやはり冷える。仕事の関係で夜は外に出ない生活なので、ほとんど意識していなかった。
「中野、さん?」
両腕をさすりながら、先ほどまでお相手していた『お客様』の名前を呼んでみる。
返事がなかった。
まさか未だに言いつけを守っているわけでもないだろう。流石にこの異常事態には誰だって素にならざるを得ない。
そう、これは明らかに異常事態だ。
どうやら突然、見も知らぬ夜の森の中に放り出されたらしい。
無表情のままで充分混乱しながらも認識した、まさにその直後だった。
「み、みつけた…」
聞きなれた声だ、と思った。
知っている人間のものではない。でも、その声に含まれてる成分には、とても、憶えがある。
気配を感じて振りかえった目の前に、ぬっと大きな黒い影が立ちふさがった。
「見つけた、…ヒトのメス…!」
ぐわあっと両腕を広げて跳びかかって来たそいつに対する行動はほとんど条件反射のようなものだった。
肩に担いで背中に垂らしていた鞭を思いきり横薙ぎにしたのだ。
ビシッ、という乾いた音ではなく、ばちーーーん!!! といういかにも重い音が周囲に響き渡る。
「プギーーー!!!!」
奇妙な叫び声を上げ、影は真横に吹っ飛んだ。
常に鞭を肩に担いでいるのは何も偉ぶっているだけじゃない。いつでも鞭を振り下ろせるように待機しているのだ。
打ち方にもコツがある。手首のスナップを思い切りきかせて空気を打つ。そうするとぞっとする程大きな音が出る。
ただし、音だけで、実際には身体に傷をつけてはならない。それがプロの仕事であり、『お客様』が喜ぶことだ。
しかしこれは仕事ではない。身を守るための、純粋な『攻撃』であるがゆえ。
「この、無礼者!!!!!」
草の上でぴくぴく痙攣している黒い影に向かって大音声で言い放った。
スイッチが入っているせいか恐ろしくはなかったが、ここでもこのキャラクターを押し通す事に弱冠の滑稽さも感じてはいた。
しかし一皮むけば自分はただの非力な26歳の女に過ぎない。意地でも強気でいなければ、不安で泣きだしてしまいかねない。
明らかに性犯罪者であるこいつに従順である必要などない。――あたしを、誰だと思ってる?
「あたしを女王様と知っての狼藉かい!? この薄汚い豚め、お仕置きし――」
てくれよう、と、後に続く言葉が途切れた。
なぜなら驚くべき事に、むくりと体を起こしたそいつの顔が、正しく『豚』だったからだ。
-------------------------
続きは近々。失礼しました。
ちょwwwwなんという放置プレイ!
豚でいいから続きをお願いします女王様
えっと、豚種族、初登場?
ブタだけにオークそのものなんだろうか?w
笑わしてもらいましたww
wktk! wktkぁああああ!!
ブタっぽい人たちはイノシシ国にちょろっと出てきてたよね。
同じかどうかは知らぬ。
俺の中で今急速に 豚=M系種族 という設定が固まりつつあるんだがw
「い…いきなりぶつ事ないじゃないかよう!」
ブヒブヒと鼻を鳴らしながら、豚男は涙ながらに抗議している。
状況を忘れてぽかんとその顔を見た。――泣いている。豚が。喋るのに合わせてぱくぱくと口が動いている。
どうやら被り物ではないらしい。正真正銘これが奴の頭部なのだ。CG映画か、漫画の中か、まさに幼いころ読んだ『三匹の子ぶた』を彷彿とさせる姿。
「何だお前は!!!?」
「おまえこそ何だよお! ヒトの癖にぃ!」
これは夢だろうか。夢ならば全て説明がつくのだが、ではいつのまに眠ってしまったというのだろう。
それに、どこまでが夢? まさか中野さんとのプレイから?
しかし五感のすべてを研ぎ澄ましても、今ここで起こっていることは全て現実であるようにしか思えないのである。
依然としてポーカーフェイスを保ちつつ、内心では非常に焦っていた。
なぜなら、中野さんは従順な奴隷の模範みたいな人だから、命令されない限りずっと三角木馬に乗ったままに違いないのである(素っ裸で)。
もし時間内に戻れなければカウンターの子が気を利かしてプレイルームを覗いてくれるだろうが、不当に延長料金を取る事になれば、次からは来てくださらないかもしれない。
何よりもそれが気になる。自分はプロで、お客様の人に言えない性癖の秘密を守る信用商売だ。
とにかく早く戻らなくては。中野さんの希望のメニューに放置プレイは入っていない。…この場合はサービス過剰になるのだろうか?
「えーと…そこのお前、ここはどこか言ってごらん」
「はあ? なんだよその口の利き方! おまえ自分の立場わかってんのかよお!」
「うるさい豚だね! 口ごたえする気かい豚の分際で!!」
「そっちこそヒトメスの分際で…」
「なぁーにぃーーーー!?」
「ひー! ごめんなさいごめんなさい!!」
鞭を撓らせて空気を叩くと、バシーン!! と雷のような音が響き渡った。土と枯葉がバラバラになって飛び散る。
先ほどの一打がよっぽど痛かったらしく、豚男は大げさなほど怖がって身を伏せた。
やはり調教は一番最初が肝心である。こんな状況なりに面白くなってきて、少々調子に乗った。
「ほぉら、お前、懺悔が聞こえないよ」
「ざ、懺悔?」
「そうさ。私は豚の分際で気高い女王様に対し恐れ多くも欲情し襲いかかるという大罪を犯しました、こんな醜いクズの豚めをお仕置きしてくださって有難うございます、だ」
「な、なんでおれがヒトメスなんかに…」
「淫らな雄豚の分際で何が人雌だ、身の程を知れ。そして這い蹲れ。哀れに涎を垂らして懺悔しな」
「嫌だね! ここはおれのひそかな楽しみの場なんだ! 突然現われたおまえが悪いんじゃないか!!」
「悪いけど、あたしは好きで来たわけじゃないんだよ。いいから答えな、どこなんだここは」
「う…ウサギの国だよ!!」
「あ? 嘘をつくんじゃないよ。おまえのどこが兎だ? どこからどう見ても薄汚い豚だろうに」
「うそじゃねーよ! …いってー!」
苛々して来たので、とりあえず脳天に一発お見舞いした。
豚男はやはり大げさにのたうち、うつぶせになって呻いている。その後頭部にくっきりと赤い線が浮かんだ。
棒と違って、鞭の先は当たった瞬間に巻きつくのである。熟練者は一発でアルミ缶をまっぷたつにすることも出来る。まさに凶器。
「口の利き方に気をつけるんだね、豚」
「それさっきのおれの台詞だろ! ていうか豚って言うな! おれの名前はアルノだ!」
「奴隷に名など必要ない」
「うるせーよ! おまえ誰だよ」
「奴隷に名乗る名などない」
「だめだ会話できないよこいつ!」
「女王様、とお呼び。そして崇め奉れ」
「めんどくせーよ! めんどくせーよおまえ!!」
「二回言うな喧しい。ところで」
「何だよ!」
「お楽しみというのは、それのことかい?」
土の上に伸びたままの豚男につかつかと歩み寄り、股間に鞭の先を当てた。
豚男が豚なのは頭の部分と皮膚の色だけで、あとは概ね人間と同じつくりだ。服もちゃんと着ている。
――だらしなく開いたままのズボンのチャックの間から出ている、すっかり萎えたそれも。
指摘されて顔を真っ赤にし(まさに茹で豚)、慌てて隠すそのしぐさも。
「み…見んなよエッチ! 変態!!」
「自らさらけ出しているものを見て何が悪い? お前は丈の短いスカートを穿いて駅の階段をのぼるJKか」
「…なんだそのじぇーけーって」
「女子高生の略だ、愚か者。半年ももたずに泡沫の如く消えゆくさだめの儚い言語だ」
「なんだそりゃ意味わかんね…だからいてぇっつってんだろーーー!!!」
びっしばっし、と往復で両肩を叩いてやった。さほど痛くない程度に。
どうやらこの豚は痛みに弱いらしかった。よくもまあこれだけでぎゃあぎゃあと喚けるものだ。
「わざわざこんな森の奥で自慰行為か。なかなかの趣味だね、お前は」
「ち、ちげーよ! そんなんじゃねーよ!!」
「では何をしてたんだい? トリュフを探してたとでも言う気かい?」
「いや、その…し…してたのは、そうだけど! でも別に毎日とかそういうんじゃ!」
「一度でもやろうとした時点でそのケがあるってことだね」
「仕方ねーだろ! ウサギの国を歩いてると、いろいろと…その、刺激が強すぎんだよ」
「それとこの有様と何の関係がある」
「おまえそう言うけどな! ウサギの国の風俗街はすげーんだぞ!!」
「何がすごい」
「言えるかそんなもん! すぐそこが入り口だから自分で見てきたらいーだろ!」
豚が指さした方向に首を向けると、なるほど、森の木々の隙間から賑やかな街の灯りがぼんやりと見える。
耳をすませば確かに喧騒が聞こえてきた。程度はわからないが栄えた街らしいことはわかる。
おにいさんよってかなーい、という高い可愛らしい声が風に乗って届いた。
「ふん。解せないね。そんなに凄いならこんなところで自家発電に励まず、そういう店で発散すればいいだろう」
「…そういうわけにもいかねーんだよ」
「なぜ?」
「えっと…相手されねーんだよ。ブタは人気ねぇから」
「ほう?」
「おまえだってさっきからおれのことさんざんバカにしてただろ。それと同じだ」
「いいや、全く違うね」
「は?」
「その店の者が本当にプロなら、人種でお客様を差別したりなんかしないよ。あたしらはお金と引き換えにお客様の願望を余すところなく叶えて差し上げるのが仕事だ。誰が相手であろうとね」
「…うん、まあ、サービス業ってのはそういうもんだけど」
「よって、お前は行く店を間違えた。そしてもうひとつ、お前はあたしを襲おうとした。いわゆる性犯罪者だ。犯罪者に容赦なんていらないね。徹底的に叩きのめす」
「性、犯罪者???」
豚は、思いがけないことを聞いた、というように眼を見開いた。
何度か首をひねり、ややあって合点のいったように頷く。
「…ああ、そうか…そう、だよな…」
「思い至らなかったのか、愚かな」
「いや…だっておまえ、ヒトだし」
「何?」
「おれらの感覚では、ヒトってのはおもちゃや奴隷みたいなもんなんだ。襲っても殺しても、罪にはならないんだよ」
…なんだ、それは。
心底胸糞の悪い話を聞いてしまった。やはりここは日本ではない。半人半豚男が実在している時点で気付いてはいたことだが。
そして夢なら早くさめてほしいのだが。
「成程な。だから突然現われた人間のあたしを見つけて、これ幸いと襲いかかったわけかい。そりゃ自慰よりは気持ちがいいものねえ」
「うん。…ごめん」
「怒ったり謝ったり忙しいねお前は。…とりあえず」
「うわ!!????」
腰のベルトを引き抜き、股間の前で交差していた豚男の手首を縛り上げた。
この電光石火の動きは修行の賜物だ。亀甲縛りも達磨緊縛も後小手縛りも、ものの数秒でこなせるようになった。
いつもなら腰に麻縄を吊るしてあるのに、中野さんが縛りにさほどご執心じゃないのを知っているから外してしまっていた。つくづく惜しい。相手が豚なだけに、さぞかし絵になったのに。
「ちょっ…何すんだよ!?」
「決まっているだろう?」
顎を上げ、目線だけを下に落とし、悠然と、妖艶に微笑む。『お客様』の前ではいつでもそうであるように。
そう、例えここが異世界であろうとも、自分はいついかなるときでも『女王様』。
「喜びなさい。身の程知らずの豚に、本物の『プロ』ってやつがどんなものか、たーっぷりと教えてあげようねえ?」
【続く?】
-----------------------------------------------------------
女王様→26才。プロの職業女王様。中身は結構ファンシーで繊細だが、公私の区別が異様にハッキリしている。
アルノ→オスブタ。ウサギの国の風俗街で産婦人科医院を開設。当然患者のご用は出産などではない為、ほとほと嫌気が差している。つまりアホ。
順応力高いよ女王様w
そしてダメな方向にいい感じの豚だなこの豚は。
豚は豚らしくさっさと調教されちまいなーw
七夕ネタは両方ともご主人様サイドに萌えました。
二人とも照れ屋なのがいい。
そして奴隷、もう少し空気読んでやれ。両方ともw
じ、じょ、女王様ぁー‼
私めに続きという名のお慈悲をォー‼
勢いのあるキャラに歯切れの良いセリフが
マッチして超カッコイイデス
なんか新感覚wに目覚めそうだ、マジにw
一つだけ心配事が
中野さんもあのカッコで落ちたんでしょうか、もしかして?
>>740 ベタ貼りじゃなくてテキスト投下のほうが、好みの作品だけ
読めるって意見が出てたしな。
手元にログがないのでうろ覚えだが、09から11ってのは
脅威の文章量とテキストベタ張りのシリーズの投下時期じゃなかったか?
>>749 このブタ野郎! が罵詈雑言にならねえーw
兎の風俗街って、外国の風俗街の真似をした一種のプレイですよねwktk
腹いてえwwwww
つーか書き手の人、才能の幅広すぎwww
768 :
イノシシの国:2009/07/06(月) 20:56:25 ID:T9CARqUx
あまりにご無沙汰しておりました。
豚ときいてやってまいりました。
ええ、まあ、出てます。
ひっそりと。
でも、関係なくやっちゃっていいのではないでしょうか。
ということで、久しぶりではございますが、
イノシシの国猪編六にございます。
769 :
イノシシの国:2009/07/06(月) 20:57:04 ID:T9CARqUx
六
旋風が、枯葉の上を踊り狂う。
低いうなり声が、木立の中を荒らす。
もつれあう着物を着た、剛毛の固まり。
それを追いかける、怒気に溢れた黒い影。
薮の影から転げ出た取っ組み合いから、ひとつの影が離れた。
「……なせに、何をした」
若者に馬乗りになったバジは、牙を剥き出しにして威嚇し、低く唸った。
答えを待たずに、牙に触れぬよう、数度太い腕で殴りつけると、若者は、呻いた後、首をだらりと弛緩させた。
「兄者!」
「弟者!」
後から追いかけてきた二人が、気を失ったひとりを見て、血相を変える。
イノシシの顔は表情が分かりづらい。
だが、逆毛を立てた三人は、一触即発の雰囲気を漂わせていた。
「ここを何処だと思っている」
仁王立ちになったバジはゆっくりと振り返る。
「仮にも、『西の要』の里のお膝元で、年端もゆかぬ、異種族の娘を襲うとは、イノシシの恥」
二人は答えず、顔を見合わせると、怒号とともに襲いかかって来た。
「小童が。毛の色も変わりたての小僧に、この俺が負けるとでも?」
そう言いながら、二人分の突進を受け止めて、片方をいなす。
投げを打つと、末の若者がもんどりうって倒れた。
だがもうひとり、年長の若者は……。イノシシの牙を向けて、バジに突進してきた。
「なんだと?!」
反射的に避けるも、鋭く尖った牙に、死角となった右肩の袖が裂かれる。
数歩左によろけたバジは、思わず強張った表情になっていた。
通常、イノシシ同士の喧嘩では、牙を使うのは御法度である。
牙を使った喧嘩は、異種族の敵に向けるもの。殴り合ったり、ぶつかりあったりはするものの、同族同士で牙を向けあうことはない。
だが、目の前のこの三人衆には、そんな掟等全く関係がなかった。
「小童が!!」
大音声が木立についた木の葉を揺らす。
「うらあああああ!」
いなした末の若者が、背後から露になった肩口に噛み付いてくる。
バジの中で何かがぷつりと切れた。
噛み付かれた腕を、ぶんまわして、太い腕で、胴を殴りつける。
肩の肉がちぎられたような鋭い熱のような痛みが走る。
枯れ草の上に血が飛び散る。
太い幹に衝突した若者は、口から泡を吹いて倒れた。
770 :
イノシシの国:2009/07/06(月) 20:57:25 ID:T9CARqUx
「……許さぬ」
掟を守らぬ事も。
無知な若さも。
生まれ里を荒らされた事も。
こんな輩に昔なじみが抱かれる事も。
なせに、手を出した事も。
押さえ込んでいた鬱屈が放つ場を得て、大気が揺らぐ程に怒張していくのがわかる。
最後の一人の、荒い息づかいも、動きも、隻眼ながら左眼を限界まで見開いたバジには見えた。
身を低くして、半身をひねりざま、相手の勢いを受け流して、投げた。
宙を巨体が飛んでいくのを反転して追いかける。
イノシシは、猪突と呼ばれる。
普段は足が短く、歩みは遅いが、その、短距離における速度と、跳躍力、それを裏付ける脚力は凄まじい。
土くれが、飛び散って、大地がえぐれる。
その中を、猛々しい岩塊と化した怒りが駆け抜け、放物線を描いて落ちてくる若者めがけて体当たりした。
空気が震える。
頑健な肩で、大岩までその躯を押し込むように突き飛ばし。
血のりのついた岩からずるりと若者の躯が血に横たわるまで、かっと、睨みつけていた。
ゆるりと身を起こすと、全身から湯気が立ち上る。
剛毛に覆われた右腕を赤黒いぬめりが滴り落ちていく。
無事な左腕で、三人の若者の脚を無造作にひきずり、幾重にも筋を枯れ草の上に作りながら、赤黒い雫を土にしみ込ませながら、崖上まで来ると、無造作に放り投げた。
崖の高さは、バジの三倍程。
頑健なイノシシなら死ぬ高さではない。
力を失った若きイノシシ達は、ぐったりと重なりあった。
それを無表情に見下ろすと、薮へと右肩を押さえながら戻る。
山間に沈みかけた夕日。茜色に染まる木立の中、落ち葉の山を避けて、進む。
踏み抜かれた笠が、目に入った。
己のむせかえる血の匂いで、なせの匂いが嗅ぎ取りにくい。
バジは、口を大きく開いて、咆哮した。
「なせ!」
771 :
イノシシの国:2009/07/06(月) 20:58:05 ID:T9CARqUx
冷たい風が、バジの頬をくすぐる。
その風に混じるなせの、匂い。
はっとしたバジは、風上へと歩を進めた。
薮が、見える。
なぎ倒された枯れ草。
へしゃげた茂み。
足下が柔らかい腐葉土になり。
そして、うっすらと落ち葉がつもる中に、わずかな人型のふくらみを見いだした。
バジは力が抜けたように膝をつく。
動かぬ右手で、無骨な左手で、丁寧に落ち葉を取り払った。
片膝を曲げ、脚を放り出した姿。
閉じられた瞼。
薄く開いた唇。
青ざめた頬は、白く。
紅葉の梢の間から零れる茜にも染まらず。
バジは、泥と血で汚れた右の親指で、なせの頬を撫でた。
白い頬が汚れていく。
汚したい。
ふいに、バジの下腹部から、背中にかけて、律動がこみ上げた。
太い腕をのばし、乱暴に、胸元の合わせをはだけ、小さなふくらみにぎこちなく手を這わせる。
胸は確かに上下していた。
だが、なせは眼を覚まさない。
白いうなじに、荒い息をふきかけ、舌先を突き出す。
耳を澄ませば、鼓動の音がした。
だが、なせは眼を覚まさない。
昂りは極まり、バジはなせの上に覆い被さった。
組み敷かれたなせの肢体は、己の半分程しか無い。
その喉が、その唇が、その胸が、息をしている事に安堵しているはずなのに。
立ちのぼる恐怖の汗の匂いに、思いやっているはずなのに。
汗の匂いを、全て、己の唾液でぬぐい去ってやろう。
白い柔らかな肌を傷つける剛毛の肌をすりあわせて、牙をけしてその柔肌に触れさせぬように、爪をけして食い込ませぬように、ざらざらとした肌をこすりつける。
きつく結ばれた帯だけが、なせの胴に残り、下帯と半裸をさらし、袖の中に剥き出しの肩から延びる腕を潜め、なせは媚態をさらけ出していた。
下帯の盛り上がりを舌先で嘗め上げると、なせが跳ねた。
ああ、ここも恐怖の汗にまみれている。
きれいにしてやろう。
泥と血で汚れていく白肌。
だが、あの同族の『白膚』とは違う。
どこまでも、華奢な、かぶりつきたくなるような肢体。
バジの最後の理性がはじけ飛ぼうとした時。
落ち葉を踏む音が、バジを瞬時に漢へと戻した。
素早く起き上がって、なせを視線から守ろうと背に隠す。
崖の方から、細長い影が、西日を背負い、森へと差し込んでいた。
何か手に獲物を拾い上げる動きが見えた。
敵はそのまま、怒号ともつかない叫び声を上げて、バジへと襲いかかった。
(了)
8日で8本投下……だと……
女王様と豚の今後の展開のwktkやらバジ様のかっこよさといいマシロのとんでもなさといい
今週は何かあるのかw
バジ様セーフっ、ここまで我慢したんだからやっぱり合意じゃないとねw
なせたんなら恥じらいつつOKとか鼻血ものの可愛らしさで応えてくれるよきっと!
脳内で超必殺技カットインとモーションが展開されていきました>バジさま
打撃寄り投げキャラになるのだろうか、パワーキャラの宿命として
ユーヤ君はしっかり鍛えられてる把握
むしろ、よく生きてるな……栄養含めて体調管理がものすごく丁寧なんじゃなかろうかもしかして
兎は相手への愛が前提だから腎虚で殺したら本末転倒ということだね
「スタミナ料理でたっぷり精をつけて毎晩限界までトばすぜ!」というのも
十分無間地獄だとは思うがw
778 :
鋼の山脈:2009/07/08(水) 00:10:42 ID:luCyxma+
でも強いんです。
シグルイ並みにスパルタンな戦師団じゃのう。
781 :
とらひと:2009/07/09(木) 01:20:20 ID:s3E8YmTE
「諦める」のにも勇気がいると言ったのは誰だったか。
読んでて苦しくなるほどの心情描写…
どいつもこいつも愛おしいぜちくしょう…おまえら全員幸せになれ(´;ω;`)
不器用だよなあ、こいつら。ちくしょう。幸せに、なってくれ……
俺得。
読んでなかった作品なんで嬉しいんだぜ
俺も得。
最近、wikiの更新が怪しいけどあれって管理人以外もできるの?
保管庫の更新は誰でもできるよ。
ページを消すとかの特殊な操作はパス知ってないと無理だけど。
猫耳保管庫は皆様の協力によって運営されています。
789 :
獅子国外伝:2009/07/18(土) 11:05:02 ID:Y/N5wI/h
ミコト一人称は慣れないから大変。
数ヶ月振りにエロ書いてみたら、脳内辞書にあるエロ関連の語彙が激減しててやっぱり大変。
人間、継続が力と言うことらしいです。
獅子国 ミコト×キョータ
ttp://adder.sakura.ne.jp/nkmm/clip/img/134.txt 注意事項
・複雑な心情描写とかどろどろの人間関係とかは全くないので、その手のドラマが好きな方は華麗にスルーしてやってください。
・エロ書いたの久々なんで、リハビリだと思ってくださいw
・つーか、そもそもミコトもキョータも性格が違うぞと思われるでしょうがご容赦くださいw
微妙に嗜好が違うな
と言うか、絵にしてしまうと、なんか一気に陳腐な感じがする
793 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/20(月) 16:14:31 ID:S89pY8U+
よそ様に迷惑かけんな
795 :
鋼の山脈:2009/07/24(金) 01:33:27 ID:mNvmwHuj
くっ、レムきゅんのオナニー寸止めとかっ!
くやしいっ!
797 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/24(金) 10:46:08 ID:3LTbsgE9
戦士の鍛練が違う形で役に立ったって事だな。
レムも大変だね、色々とw
しかしこうなんと言うか、渡鬼状態な人物模様が痛々しい位リアルだわw
レム強いなあ。こんな娘が恋をしたらどうなるんだろう…
…あ!? お、お父さんすいません何でもないでアッー
レムがかわいすぎて生きるのが辛い
かわいいぜ、もっとおぉ
レムたーーーん
ゼリエさんがすごく真っ当に育てようとしてるのにちょっと感動
いやもともとそうだったんだろうけど
全板のケモノスキーが今こそ結集したのかとオモタ
でも板内の小さいパイ内で人を呼び込んでも高が知れてんだよなー。
以下ちいぱい誤認ネタ禁止
こちむいスレの貧乳率の高さなめんなw
そんな事ないって、巨乳も多いよ。
マナ様リナ様ミルフィ様に万獣のティル君とか、狗のあたしとかミツキ君とか…
そういう作品は現在ほとんど停滞してるだけで。
チヒロはでかいな
や、チヒロは凡乳だ。
ヒンヌーではないが、最初の方に『お世辞にも大きいとはいえない胸』と記述がある
あれ、何で勘違いしてたんだ。絵板のせいか。
なるほど
811 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/30(木) 13:04:26 ID:MRkKp7vg
「というわけで乳成分を補給するために発明してみた」
「ほう」
「これが巨乳少女変身ステッキだ」
「なんだそのコンビニ売り390円雑誌の広告にも載らないような胡散臭い言霊は」
「このステッキで頭を叩くとな」
「元の性別にかかわらず巨乳少女になるとか言うつもりか!?テロ再びか!?」
「いや、叩かれた少女の胸が小さくなり叩いた少女の胸が大きくなる」
「……」
「とりあえず100本ほどつくってシュバルツカッツェ城下で無料配布するつもりだ」
「前よりひどいテロだ!!」
地獄絵図が発生しちゃうー!?
むしろ、みんなちょうどいい量になるんじゃね
少女限定じゃなければ、
デブ(♂)からひんぬう(♀)への驚異の脂肪貿易が実現なのに!
ところで、現在のスレ容量418KB。1000到達が先か、500KB突破が先か。
やべえ、ちょっと見たいw
て言うか3Dフィールドをキャラがちょこまか走り回る
アクションゲームにしてほしいww
>>812 どこかの きつねが あっぷをはじめました
きつねの どれいが しつけをはじめました
なべて よは こともなし
べあ狐 心の詩
819 :
鋼の山脈:2009/08/02(日) 01:37:14 ID:/Gye7ECH
家族を二回奪われたら誰でも怒る。
レム父は我慢強いな…
レムパパは愛が強いに違いない
当時の胸中を思うと、涙を禁じえない
そろそろ保守
補習 って書くと色々と夢が広がるよね
○○センセイのいけない補習授業
Q.○○に入る名前を答えよ(複数回答可)
スプリンターセンセイのいけない補習授業
スプラッターセンセイのいけない補習授業
伝染性のいけない補習授業
なぜ大喜利になる
だって集団発狂がこのスレの華だから。
集団発狂も久しぶりな気がする。
「スプラッシュ先生のいけない補習授業、だにゃ」
「……はあ、何がスプラッシュなんですか師匠?」
「ふ、よくぞ聞いてくれたな弟子七十八号」
「……師匠。私の前にそんなにいたんですか?」
「いないにゃ。「べんざ」というやつだにゃ」
「それを言うなら「前座」です……で、なんなんですか? 師匠はネコ人だと思いますけど……」
「ふっふっふ……弟子一号、われとお前が合体して出すえきた」
「要するに私の精液と師匠の潮だってんですか……」
「物分りがいいにゃ。では早速……イくにゃぁ……」
キミにスプラッシュ思い出した
,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
(.___,,,... -ァァフ| あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
|i i| }! }} //|
|l、{ j} /,,ィ//| 『おれは鬱成分入りのシリアスな政治ネタを書こうと
i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ 思ったらいつのまにか女教師とのセクロスを書いていた』
|リ u' } ,ノ _,!V,ハ |
/´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人 な… 何を言っているのか わからねーと思うが
/' ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ おれも何をされたのかわからなかった…
,゙ / )ヽ iLレ u' | | ヾlトハ〉
|/_/ ハ !ニ⊇ '/:} V:::::ヽ 頭がどうにかなりそうだった…
// 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
/'´r ー---ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐ \ ここがエロパロ板だとかスレの洗脳力ぱねぇとか
/ // 广¨´ /' /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
ノ ' / ノ:::::`ー-、___/:::::// ヽ }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::... イ もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
ご主人様はプラナリア。
ある朝起きたらご主人様が2人に増えてました、さぁ3Pしましょう。
次の朝にはご主人様が3人に、その次の日にはご主人様が4人に!
……夢オチかパラレルなら大丈夫!と思ったけど、ビジュアル的に無理だった。
プラナリア擬人化は脳内補正不可能。完全に挫折したorz
838 :
鋼の山脈:2009/08/17(月) 06:20:33 ID:oJqT346s
レムも作者も乙
今回は誰も死ななくてすんだな。
ジグムントは
レムの未来のために氏族を敵に回す覚悟までしてたのか
ああ、やっぱり
……ネタバレにならない感想って難しいなくそぉぉう!
いいよもう、いまはお疲れさま、お疲れさま……そしてGJ!
親ってのは、強いもんだなあ……
>>836 プラナリア遺伝子を組み込んだ猫耳ベースのキメラという土台なら何でもアリだぜ!
「なんかご主人が沢山いるー!?」
「プラナリアのキメラをナメるんじゃないにゃあ…腕を切り落としても元通り!」
「うでがわは、よーじょになっちゃたけどにゃー!」
「ゆびさいず!てのり!てのり!」
「小さくなるとバカになるのが欠点だけどにゃ…」
「…という夢を見たのですがいかがでしょうかフローラ様」
「ビジュアル的に却下」
かにばりずむー?!
黒ぉぉぉい!!
視肉かよw
各作品の召使いが増えるようになったらどうなるかな。
シリアス寄りの作品の召使いたちは苦悩しそうだ
何故かフユキあたりにそんな印象がある
>>848 マサミあたりは苦悩のしすぎで魔王にでもなりかねん
真面目系召使なら
プラナリアなら片方が愛玩されてるのをみて複雑そうになっているのをじっくりと楽しむ。
内面もクローンなら、あわせて三倍くらい働いてくれるのでもっとダラダラできるw
なんか、虚ろな表情で自分の分身を抱っこして、つぶやくようにいい子いい子って言いながらプラナリア娘の頭撫でてるミコトを想像して激しく鬱になったorz
……あの子、精神崩壊と幼児退行経験してるからなあ。
そういやプラナリアって水質悪化すると溶けるんだっけ
>>851 シリアス系ならともかく、鬱系とは組み合わせるなw
ミコトとかキヨカは取り扱いに気をつけろw
そういう意味じゃカナは割りと強いキャラに育ったのかもしれない。
人生の終わり方が明示されてないけど、少なくとも子供達や夫や主には恵まれて幸せそうだし、それなりに覚悟も決めてるし。
キヨちゃんとミコトちんはいつまでも強くならずに誰かの保護が必要な薄幸少女でいてほしいと思う俺マジ鬼畜w
あれだ、「この子には俺がついてなきゃいけない」っていうのは結構男の自尊心をくすぐるものだからなw
「というわけで次に出すヒロインはキャッチーでニーズ感アリアリの、果敢なげか弱げ
守ってあげたい系の薄幸少女にしようかと」
「……い、いや、その、すべての男がそういうのばっかり好きってわけでもないし、か弱くないと
ダメってわけでもない、んだぞ?(微妙に挙動不審に)」
「むう? 旦那って、誰の助けもいらない強い女に、必要はないけど一緒にいてほしいとか
言われると萌えるほうのタイプだったん?」
「……………もう一回言ってくれ」
「あん? えーっと、誰の助けもいらない強い女にさ、私にはべつに貴方の力は必要はないけど、
でもただただ一緒にいてほしいの、とか」
「そこのところもう一回」
「?? いやだから、経済的にとか権力とか戦力とかの面では要らないんだけど、でも欲しいっつか、
メリットなにひとつなくてもただ純粋に好きで一緒にいてって言うタイプの」
「それがいい。それにしよう。ぜひそれにしよう。それ以外は却下だ」
「……でかい狼男のツラしてドM草食系とかお前(ボソッ)…。あー、まあいいや、考えとくー」
つーか今このスレでどういう作品が求められてるのかが知りたい
原点に返って猫耳少女と召使いのエロエロ。
860 :
鋼の山脈:2009/08/29(土) 00:01:30 ID:KFohfeDF
川のシーンがどうにも美しいな
いい最終回だった
>>858 恋人同士ラブいちゃしている所へ少年召使いとして潜入した大魔導師に、
性転換魔法を掛けられたり寸止めされたり触手に巻き付かれたり妊娠可能な体にされる話。
>>860 意地を張るケモ耳ババアかわいいよかわいいよ意地を張るケモ耳ババア
さておき、雨降って地固まるとはこういうことか……どうか彼女に、そして彼女らに、幸せな未来がありますように
たとえ他人から見て不幸であっても、当人は満足できる幸せがありますように
>>858 書き手さんが忙しいのか、最近バカエロ分がちょっと不足してる気はする
不満ではない
贅沢を言っているだけだ
ゼリエさん、徹頭徹尾自分の都合だけだな。
嫉妬に狂った女は大局を見失う
嫉妬に狂った男は自分を見失う
スレの雰囲気として重過ぎるのは辛い。
でも、あまりに馬鹿すぎるのは嫌い。
両方読めるのが理想。
だから頑張ってください>書き手諸氏。
馬鹿とエロとシリアスを包括した作品って難しくね?
魔法戦士リウイとかはそれを包括してた気がする。
だが「〜〜の国の魔法戦士」、てめーはだめだ。
よしちょっとお前ら避難所行って
読み専がスレを盛りたてるアイディアを一人一個ずつ書いて来るんだ
>>869 そんなアイデアがあるなら、それを基にSSを書けば良いだろw
そうだぞ☆
>>858 「児里かなう」みたいなのを、
しょたが駄目なら美少女ふたなりで。
「ふうむ、猫主人とヒト召使のどちらもふたなり美少女か。新機軸だな」
「ひたすら特定の方向に特殊な嗜好だけだと思うが」
「しかも召使の方が攻めだ。どうだ新しいだろう」
「いや、それは基本だろう」
「……お前もかなり特殊な嗜好だと思うが、まあいい。ならばこれにさらに新しいメソッドを取り入れよう」
「ほう、ケモ耳ふたなりリバリバありに、さらに何を入れるつもりだ」
「一本ではなく二本生えてる」
「クリーチャーになってるだけじゃないか!?」
「さらに触手も生やそう。受けの方に」
「触手受けって、おま」
「さらにだなあ――」
***五分経過***
「というわけで、最終的にはスライム化した二人が文字通り一つに溶け合っちゃう方向で行こうと思うのだが」
「……それは、エロいのか?」
ちょっと今風に変えてみると、
放蕩オペラハウスの8月29日記事のハインリーケ様みたいに、
普段攻め側のお嬢様が、姉に首輪を嵌められるという話。
面白そう
アイディア出していこう
悪い魔法使いが、いたいけで信心深い少女に、
自分が世界の救世主に選ばれ、邪悪な者共に性交による浄化を施す使命を与えられているように思い込ませる話。
「じょーか、じょーかしゅるのぉ…」
「へへっ、俺の邪悪エキスをたっぷりお前の聖穴に注ぎ込んでやるぜ。」
長年続けているうちに改心した魔族の親衛隊ができあがるが、正義を標榜する勇者に退治される。
町外れの落ちモノ調教所へ視察に来た王子に「これができたら高級娼館へ斡旋してあげる」といわれて変態プレイをさせられる気高い元お嬢様。
大部屋で他の組が調教を続けていて、プレイ中に王子は視界の隅に、涙を流しながら調教を受けている清純そうな少女を見初める。
「君よりふさわしい子がいるようだね、誰だい?」と迫るときつい目で睨みつける元お嬢様。
ケダマ女になってしまって狼狽する元♂のご主人様、そんな彼に色々な"女の子のてほどき"をする奴隷とか
マダラ青年になったら急にモテ始めてとまどう元♀ご主人様と、そんな状況が内心面白くない少年奴隷くんとか
うん、TS(トランスセクシャル)スキーなんだ。ごめんね。
そういやご主人様と落ちモノの人格入れ替わりネタってあったっけ?
連投スマソ、ついでにちょっとした疑問が浮かんだんだが
こちむい世界でも男の鼻は鈍くて、女の鼻は鋭いんだろうか(肉体の嗅覚的な意味で
マダラとケダマの身体能力はそれぞれ反対の性別と同等ってことで設定されてた気がするんだが
男は頭形的な関係で女の方が頭がいい、な設定をこちむい初期に見た気がする。
だから身体能力はその逆だと思っていいんじゃないか。
嗅覚も頭も女の方がいいんじゃ、男の存在価値ないもんなw
マダラやケダマは着る服に困らないんだろうか
同性の普通の服着られないよなー
と考えて、ふと無理やり姉のお下がりを着せられるマダラが思い浮かんだ
弟「やめてくれ姉さん! 俺にそんな趣味はない!」
姉「よいではないかよいではないかほれほれほれ」
弟「ダメゼッタイ! 何が悲しくて男がフリフリワンピース着なくちゃならんのだ!」
姉「耐えなさい。慣れなさい。目覚めなさい」
弟「お断りします」
姉「幼馴染君にあんたのスカートめくりたいハァハァって言わせたくないの?」
弟「男を誘惑しろとおっしゃるか」
適当に書いてたらBLルートに突入した鬱だ死のう
それはそれで需要がある。
それはそれで需要があるから!!
887 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/02(水) 09:42:08 ID:VuF4cxkR
うん。需要はある。けど、板から出ていけw
つ[801板]
女装したら「お姉さま」と慕われまくるとか
中身入れ替えモノは以前一発ネタ(プロローグ?)を書いてた人がいたな。
確か 犬♂⇔ヒト♀ だった筈。
他に書いてるのがあるから続きは書かないって言ってたけど…そっちが終わってからでいいから続きが読みたいぜ(´・ω・`)
ちょいと便乗。
俺もあの中身入れ替わり話の続きを期待していたりするw
見落としあったらすまん。今までのって大抵落ちてきたヒトは10〜20代だよな?(板的にそれが当然なんだがw)
おっさんや熟女が落ちても良いんではなかろうかと思うんだがどうだろうか。
助手くんなんかは落ちてから年食ってるのでここでは除外。
ケモショタに攻められて乱れる熟女とかすげぇ見たい。
あるいは「えー、ヒトって老化はやーい!」と笑いながらおっさんをガン攻めするビッチけも娘とか。
オッサンも落ちてきてるが、中断していて残念。
(ドイツ軍人のやつとかね)
30代以上の女性はマニア向けというくくりになるのは
板以前にエロ業界全般の不文律だよね。
個人的にはもっとあってもいいと思うんだけど。
トクさん……
掘って……
やだ……
>>890 んー、安土桃山あたりの剣客(三十過ぎ)が落っこちて狐の薬師に拾われる話は書いてる
全然進んでないけどorz
…落愕病で片目喪失ってありかなぁ…
ありだろ。
記憶喪失や皮膚病があるんだから。
期待してる
失った片目に変な特殊能力が宿ったりさえしなければ何の問題もない。
>891
30台以上どころか20歳過ぎたらババアみたいな空気もあるしなー
>895
落ちてきたところに丁度尖った木の枝が突き出ててグッサリ!とか想像してしまった
いてええぇ
早く完成させてください
いやあ、通りすがりの猫耳兎耳に義眼と称して怪しげな代物移植されてても
それはそれでありだろ。問題は中二設定を堂々と描ききるパワー、もしくは
逆手にとって和やかな笑いに持っていく技量のどっちかがあるかどうか。
このスレは基本的に厨ネタにも寛容だしなw
邪気眼の一つや二つどうってことはないw
「オレの名前を言ってみろ」と言いたくなる眼力はどうだろう。
ネコミミ娘とにゃんにゃんウフフ!な時点で
厨ワールドといえばそのものだしな〜。
みんな大好き厨設定。
否定的な反応を怖がってはなから作品がちっちゃくなってしまうのは
もったいないと思う。
それはこのスレに限らずだけど。
どこまでいっても「どこかで見たなにか」にしかなってない、昇華しきれてないのが厨二病
そんなもん吹き飛ばす正負問わないパワー(燃え、萌えetc)が感じられるのがオリジナリティ
恐れちゃいかん。突き抜けろ。もしくは墓穴を拡張・改造して要塞にする勢いで掘り進め。
筆力不足なら経験と努力で埋めればいいよ、ただおびえて縮こまってるのはもったいないよ?
"ぼく"とイワシ姫様達の突き抜けた馬鹿エロ分や、それを取り巻く設定面に人を引き寄せるに足るパワーがあったから
このこちむい世界は色んな所に色んな人たちから息吹を吹き込まれたんだと思ってる
ディン様はあの敵対者の美学とポリシーがあればこそ震えるほど格好良かったんだと考えてる
そんな感じにとらえてる俺いま起き抜け。なのでまとまってないだろうけどごめん。
「失った右目の代わりにちんちんが生えてくるとかどうだろう」
「ぐろいぐろい」
「じゃあ、おまんまん」
「同じだ、同じ」
失った右目の代わりに、小さいお父さんが
とりあえず出来たんで次から落としてみる
未熟者だけど…
「さて、親父殿には申し遅れましたが、某こと六郎は此度目出度く尾張は織田家に召抱えられることとなりに候」
夜半、山近くの宿。
粗末な割りに大きいその一室で文を広げ読み上げる壮年の男が一人。
子供なら怯えて泣き出すような三白眼が文字を映す。
さらしの上に草色に染められた着流しを羽織り、手甲をつけただけの簡素な姿だった。
胡坐を掻いた足元には黒漆の鞘に納まった太刀と脇差が一振りずつ置かれ、行灯の光を反射している。
「恐らくは羽柴様の配下に認ぜられる物と候。あわよくばこれを足がかりに武勲を重ね、後々は城持ち、国持ちの将へと参らんが次第」
書いた文を口に出して見直しながら、筋骨隆々とした手が伸びた顎鬚を撫ぜる。
油が切れ掛かっているのか行灯の火が揺れて室内を奇妙に照らしているが、男は気がつかない。
日に焼けた顔の左半分を覆う白い布に、赤黒い染みが目立つ。
「陣中にて負いし傷も半ば癒えたり、同輩の山内殿に教わった施術が利きし様子」
そこまで読み、顔を上げて左手で布を剥ぐ。
額から左目を通り頬に抜けた真新しい刀傷が行灯の光に照らされた。
塞がりかけたその傷をツウと指先でなぞり、じわりと走る鈍痛に顔を歪める男。
「――ええい忌々しい。あの乱破め、次こそ叩っ斬って……」
形相を歪めてそこまで呟いたところで、揺らいでいた行灯の火がフッと消えた。
たちまち部屋の中が暗闇に閉ざされる。
むうと唸って右手を床に着き立ち上がるが。
そこで妙なことに気がついた。
――今夜は満月。先刻宿の主に秘蔵の濁酒を馳走されたときも、窓からは明るい月光が差し込んでいた。
何故、今はこんなにも真っ暗闇なのだろうか。
そこまで頭を巡らせた所で。
僅かな風切り音と共に飛来した刃を寸でのところで叩き落した。
金属と金属が接触し甲高い音を上げる。
「……ち、嵌められたか……不覚!」
怒号と共に太刀と脇差を引っ掴み後ろへと飛び退る。
その間に飛来した刃を今度は鞘に収まったままの脇差で叩き落とし、鞘から抜いた脇差を刃が来た方向へと投げつける。
一瞬の間の後、鋼が木材に喰い込む硬い音が響いた。
その音を契機にしたようにまたも刃が飛来し、舌打ちしつつ右に跳んでそれを躱す男。
気のせいか、一段と闇の深い所から歯噛みしたような気配が伝わってきた。
「おのれ乱破め! 未だに俺の首を狙うか!」
矢継ぎ早に飛来し続ける刃――乱破の好む苦無とか言う物だったか――を風切り音を頼りに脇差の鞘で次々と弾き、打ち落とす。
鞘に施された簡素な細工が段々と削れていく。
鞘を握り締める左手が段々と痺れ、全身に汗が噴き出した頃に、突然苦無の連射が止んだ。
ぎょっとして身構える男。気がつけば、壁際まで追い詰められている。
ようやく慣れてきた眼で睨めば、真正面六間ほどの場所に小刀を逆手に構えた何者かが姿勢を低くしている。
幾ら苦無を放っても傷を与えられないことに痺れを切らし、
真正面から直接切り込もうと考えたのか。
「――そういうことか、乱破。面白い……あえて真正面から来るという奇策、どれほどの物か――」
幾らか余裕を取り戻した男が脇差のの鞘を投げ捨てて口を開いたのと同時に、その何者かは床を蹴って飛んだ。
いや、飛んだように見えるほどの速度で駆け出した。
男がホオと息をつき、突進を躱すでもなく受けるでもなくただゆらりと両腕を――右手には鞘に納まったままの太刀を握り締めているが
――垂らし、何者かが刃を振り抜いた。
一瞬静寂が訪れる。
外で鳴いている鈴虫の声がよく響き、止まる。
何十倍にも引き伸ばされたような一瞬が通り過ぎ、
獣のような断末魔が轟いた。
「……終ったか。ふむ……死ぬかと思ったわ」
男が呟き、僅かに覗いていた太刀の鯉口を収める。
着流しは飛び散った鮮血で真っ赤に染まっていた。
その目の前には男以上に赤く染まった塊が二つ落ちている。
いつの間にか、窓から月光が差し込んでいた。
「宿の主も今の騒ぎで起きただろうな……片付けさせると――」
男は、しよう、と言い切ることが出来なかった。
なぜならば。
「な、なんだ、これは――?」
男の足元の床が闇よりも更に深い黒に染まってぐにゃりと歪んだかと思うと、泥沼のように溶けて男の足を呑み込み始めたからだ。
ずぶずぶと沈みこんでいく身体を振り回して暴れるが、飲み込まれた身体はビクともしない。
膝まで沈んだ後は早かった。
あっというまに腰、腹、胸まで沈み、最早動かせるのは両腕と首のみ。
「おのれ乱破! 道連れを目論んだかぁっ!」
その叫びを最後に、男の頭と両腕が一気に呑み込まれる。
最後に血塗れの太刀を握り締めた右手を呑み込み、泥沼がドプンと波打ち、閉じた。
明くる日、酒を飲んですぐに奇妙な眠気に教われて寝入ってしまった宿の主人は、昼近くなっても起きて来ない客の男を起こしに行って腰を抜かした。
その部屋のいたる所に苦無が落ち、壁にも突き刺さっている。
何よりも、壁の近くで倒れ伏しているものに恐怖した。
腰から綺麗に両断された黒装束の若い男。
あたり一面にぶちまけられた中身と時間の経過で赤黒くなった血、ぼろぼろになった黒漆の鞘。
しかも、客の男が忽然と姿を消している。
死体の真正面、もっとも返り血を浴びるだろう場所だけ、誰かが立っていたように血が飛んでいないのも、ますます恐怖を煽った。
慌てて人を呼びに駆け出す宿の主人の背中を、壁に突き刺さった脇差が静かに見送る。
昼の光を反射して輝くはずの刀身は、主人の喪失を嘆くかのように曇っていた。
「んー、良い天気だぁねえー」
山道を行く若い女。
種族における女性の平均身長を僅かに上回る頭に生えた長い耳が良い機嫌を反映してぴこぴこと動く。
背負った朱塗りの薬箪笥――左側面に「薬活上等」右側面に「ご利用は計画的に」天板に「危険物在住・開けるなキケン」と黒く書かれた
――が一歩踏み出すたびにガシャガシャと音を立てる。
左手に携えたド派手な金色の錫杖の立てる甲高い音と合間って喧しいことこの上ない。
錫杖と動揺に派手な赤蛇柄の上着――ネコの商人曰く落ちモノの「ふらいとじゃけっと」なるものの量産染め直し品――の下の
青い作務衣の合せ目から覗く谷間がゆれる。
「予定通りに神経用の日桂実もトランス用の凶草根も手に入ったし、良い感じー」
にししと笑う女。
垂れ目がにんまりと微笑み、鼻眼鏡が日光を反射して煌いた。
「……ん?」
と、足を止める。
胸の谷間に挟んでいる袋の中の小石が震えている。
胸元から引っ張り出すと、袋の内側から光を放って山道から外れた方向を示す。
木々が生い茂る中に、何かを見つけたのだ。
「……お宝の反応……ついてるねぇ……」
おちゃらけた雰囲気が掻き消え、狩猟者のような目つきに変わった女が、林の中に足を踏み入れる。
そういえばこの辺りって落ちモノの多発地帯だっけ、などと考えながら。
「あのネコのマダラ魔術師から買ったこの石、本当役にたつねぇ……希求の宝玉だったっけ……」
がさがさと草木を掻き分け掻き分け進む女。
掻き分けながら、袋に視線をやる。
「『所有者にとって価値のある者を一定範囲内で検索、探知する』……本当、ノミ取りの薬一つでこんなお宝くれるなんてね」
ま、結構可愛い顔だったし眼福だったし言うこと無しだよねえと笑いながら、更に奥へと進んでいった。
これにて投下終りで。
ときめくぜ
続き期待
書き慣れてんな。
続き期待
心がときめいちまったじゃないか。
続き期待
ステキ
GJ
戦地ボケのおっさんとはねっかえり娘! おっさんとはねっかえり娘!
ところで…ディン様、なにノミに悩まされてんだw
そろそろ新スレの季節かー。
1000いくより容量でオーバーになるかな?
二話仕上がったんで次から落としてみる
がさがさと草木を掻き分けること半刻ほどだろうか。
口笛を吹きながら楽しげに進んでいた女の目の前が、さっとひらけた。
道を遮るように立ち並んでいた広葉樹や大笹が急に失せ、女の足首程の高さの草が半径五メートル程の範囲で広がっている。
山中の森を円形に切り取ったようなちょっとした広場が姿を現していた。
「……へえ、やっぱりねぇ」
相変わらず狩猟者のような目つきの女が、広場の中心を睨みつける。
不自然な形の岩が、そこにあった。
大きさは四尺近く、古びた注連縄が幾重にも巻きつけられた綺麗な円錐状のそれの先端は、
まるで宙を穿つかのように鋭く尖っている。
「ったく……元々落ち易い所に態々穿つようなもん置くなんてさぁ……イイじゃないのさ」
いや、変質したもんだろうから違うかな、と締めて岩に近寄る女。
鏡面になる程磨き上げられた表面に映った自分の顔を一撫でして、
「うわ、やっぱり最上級の人払い掛かってるよ……この石持ってなかったら気がつかないよねそりゃ」
本当あのショタネコに感謝だねーと呟きつつ皮手袋を嵌めた左手に握った金色の錫杖を振りかぶり、
全力で岩に叩き付けた。
岩の表面に音を立ててひびが入る。
金色の錫杖を投げ捨て、そのひびに爪を立てる女。
めりめりという音と共に岩の表面が剥がれ、内部が露出する。
「げ……あーあ、やっぱり二千年近く前のじゃないかぁ……」
ある程度予想していた正体に呻く。
鏡面の内側、黒い地に青白く発光する線とが網目のように張り巡らされ複雑な文様を描くそれ。
当時のイヌの勢力に脅威を覚えた当時の帝の命でキツネの領土のほぼ全域に設置された『対イヌ魔法設置型弱体術式』。
イヌの軍が用いた魔法を解析、パターン化して刻み込んだものを基盤にし、一定範囲内でその基盤に刻まれた術式と符合したものを問答無用で吸収、弱体化させる代物。
それを領土全域にばら撒いて領土内でのイヌの攻勢を挫こうとした物だった。
が、魔法に対しては頑強な分物理攻撃には非常に弱く、設置されたその殆どが二月ともたず破壊され、
残った物も術式の複雑さ故か次々と機能を変質、停止させていった。
今となってはキツネという種族全般における秘密主義・事勿れ主義が災いし巫女連や女が所属する薬師会の資料に残るのみ。
一般の国民はまず知らない、知っていても自分たちの符には何の影響も無いので気にしない。
ちなみに、変質を起こした物は基本的に訳が判らない微弱な効果――特定の欲望を少し活性化させたり――を発揮するだけだったので放置されている。
「でも、こいつはちょっと違うのかなぁ? 形と合間って上との境界を緩くしてるのか……放って置いてもいいよね」
私には関係ないし。
むしろ放って置いたほうが色々と特だろうしなどと呟く女の胸元で、袋に入ったままの石が再び震えた。
「あ、本題を忘れてた……落ちモノさん、何処ですか――?」
再び口笛を噴き出しながら、転がっていた錫杖を拾って岩の外周に沿って裏へと回り込む。
短い作無衣の裾から伸びるキツネにしては長めの金色の尾がばっさばっさと振られ、僅かに風が起こる。
らんららんららーんと歌まで歌いだした女の足が、ふっと止まった。
「……何、これ」
女の目の前に突き刺さっている物――鞘に収まった血塗れの太刀。
柄まで夥しい量の血に塗れたそれは、黄昏始めた太陽の光を僅かに反射して鈍く光っている。
「……刀? 珍しいねぇ。こういうのが落ちてくるのは」
模造刀や工芸品としての刀が落ちてくる事は比較的多い、らしい。
中には実戦にも耐えうるような物や、こちらの世界の刀匠が参考にするほどの物も存在しているという。
が、此処まで実戦で使いこまれた血なまぐさい物を見たのは女にとって初めてだった。
基本的に落ちモノが元の世界で存在していた場所、時間に関係があるらしいが、女はそこまで詳しくない。
血塗れの柄に錫杖を持っていない方の手を掛け、引き抜く。
素手のため掌に乾きかけた血が張り付くが、女は全く気にしていない。
「ふんふん……おお、見た目の重厚さの割りに結構軽い……イイねぇイイねぇ」
持ってみた感想を誰にでもなく言って、ひゅんひゅんと振り回す女。
振るたびに血糊が少しずつ回りの草に飛び散っているが、気にする様子もない。
と。
「――ありゃ、しまった」
刀から鞘がすっぽ抜け、明後日の方向に飛んでいってしまった。
同時に刀身に付着していた血液がばっと飛び散り、女のふらいとじゃけっとを汚す。
その汚れに女が黒い目をやった瞬間、岩に鞘がぶつかる音が響いた。
「ちょっと、ありゃりゃ?」
音に少し驚いた風の女が声を上げる。
岩の根元に背中を預け、誰かが座っていた。
凄まじい量の血液が染み込んで黒く染まった着物を纏った、誰か。
「ちょ、ええ!? あんた大丈夫!?」
女が流石に慌てた風に駆け寄ると、その誰かがゆっくりと顔を上げた。
陰になって判らなかった目鼻立ちがくっきりと浮かび上がる。
「――ぬ、あ……」
「ちょっと待った喋るなアタシは薬師だ、今薬を――!?」
背負ったままだった薬箪笥を下ろし蓋を開いた女が呻き声に顔を上げ、再び驚愕の声を上げる。
薄暮れの中に浮かび上がった誰か――男の頭には、耳も何もない。
暗くて見えないのだろうと思っていた尾も翼も、何処にもない。
「あんた――ヒトなのか!?」
「……何を、言ってる……俺は……」
「だー、喋ないで馬鹿!傷が開くって!」
「……違う、この血は、俺のじゃ……」
「どうでもいいから喋らない! アンタ自分の状態わかってんの!?」
「俺、おれは……なんで、見えないんだ……?」
熱に浮かされたかのようにぼそぼそと呟く男に、女が何度も大声を出す。
ぐらりと、男の左腕が持ち上がった。
「おれ、の……ひだり、目……」
そう呟く男の手が、己の左目を――左目が在った場所に届こうとする直前、女の手がそれを叩き落とした。
「アンタねぇ、判ってない! アンタの左目は――!」
うわ言のように繰り返し、左目を確かめようとする男を押さえ込んで女が叫ぶ。
――見えなくなってる! 落愕病で無くしたんだろうさ!
「らく、が、く……? 俺の、左目、俺のぉぉっ!」
「うわっ!? ちょっと、暴れないで!」
目をカッと見開き、身体を暴れさせる男。
必死になって押さえ込む女。
ちっ、と女が舌打ちし――。
「――ちょいと痛いけど、我慢してよ!」
握り込まれた左拳を、男の鳩尾に叩き込んだ。
げふ、と男の口から空気の塊が吐き出され、グッタリとなる。
「……ったく、梃子摺らせて……ん?」
女の悪態をつく声が止まる。
気絶したはずの男の唇から、言葉が漏れていた。
「……親父、殿……六郎は、六郎とき――は……ぶ、こう、をぉ……」
「……寝言か。気絶させたってのになんて奴……ん? 今の、こいつの名前か……?」
完全に沈んだ男の身体を抱え、薬箪笥を背負って立ち上がる女。
ついでに落ちたままだった鞘を拾って太刀を収める。
「そかそか、そういう名前か……長いから略して……少し我慢しなよロクトキ。いまアタシが、この葛が楽なとこにつれてってあげるから」
長く淡い金色の髪をさっと撫でて歩き出す女――葛。
錫杖が、先ほどまでとは違うシャランという涼やかな音を立てた。
以上で二話終りです
意外と早い二話目乙
つか葛さん筋肉質www
おお、ペース早いな。GJ
GOODJOB!
速筆だな
乙
期待
ただツンデレとかしっぽとか書きたかっただけの妄想小ネタ
そのいち
「ご主人様、この薬高いやつじゃ……」
「何か文句があるのか」
「いえ、私、奴隷なんですけど」
「ならば俺の命令にははいとだけ答えろ。
そもそもお前は奴隷だけでなく実験動物でもあるんだから
薬の効き目を試してもおかしくないだろ。
奴隷のくせに余計な気を回すな」
「わ、わかりました。飲みます」
「最初からそう言え」
「申し訳ありませんご主人様。昼も夜もお仕事できなくて」
「モノに謝られてもうれしくない。お前は寝てろ」
そのに
あー気持ち悪いぐるぐるする……助けてお母さん……もういないか。
……ご主人様まだ部屋にいる。たまたまだよね……この部屋にも本とかあるし。
あ、ご主人様のしっぽぴこぴこしてる。
ご主人様猫の癖にうさぎしっぽなんだよね……かわいいなぁ。
前に言ったら眉間にしわ寄せてにらまれたけど。
気にしてるんだ。かわいいのにな。
あ、ご主人様のしっぽ見てたらまぶたが重くなってきた。
これは催眠か。もはや目が開けられない。
意識が沈む沈む。脳裏に夢っぽいものも現れてきたぞ。
……だれか、私の頭撫でてる? 夢、かなあ。きもちいい。
夢だったら起きたくないなぁ。しあわせ。
そのさん
「やっと寝たか」
「×××――」
「ん? 起きてるのか?」
「×××――たすけて」
「寝言か? 熱に浮かされてるのか。誰だよそれは」
「×××――」
「……ふう」
(まあ、どうでもいいか)
(どうせ俺じゃない)
(俺には、『飼い飼われ』の関係から彼女を救ってやることはできないのだから)
>>930 ちょっ、おま、切なすぎるだろ。
夜中に泣かせるなよ。GJ。
932 :
とらひと:2009/09/15(火) 04:00:51 ID:GK1UeEGf
新作キター!
しかしブルッグ羨ましすぎるだろう
いやー、舞台の上でやるのは、オレはちょっとできないなー。
935 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/16(水) 11:27:35 ID:TFy7WAzf
何か色々せつないなぁ
つか、チヒロ体持つのか。
>>932 チヒロの覚悟が本当に地味に壮絶すぎて……強いわ、ほんと
>>ろだ152-153
ちょ、なんかモエるの来てた
店主さん、俺も続き読みたいー!
938 :
鋼の山脈:2009/09/18(金) 02:04:04 ID:eEQ0r0iV
護衛じゃなくて、普通にキャラバンに同道するのが一番じゃなかろかと思ったり。
あえて茨の道を行くレムが眩しい
茨だけじゃないよ!
薔薇も百合もあるよ!
帰ってきた娘に女の恋人を紹介されてさすがの父も涙目ですね
婿と嫁を連れてくるかもしれん。
そろそろ新スレの季節なのでちょっと相談。
テンプレにある保管庫の管理人さんが音信普通で編集作業にも制約がある為、現在有志の人が新たに作ってくれた
>>679の新保管庫の方が稼動している状態です。
そこでテンプレの保管庫を
>>679に変えて、今までの保管庫には新保管庫への誘導を貼ったらいいんじゃないかと思うのですが、どうでしょう?
wikiにおいてたやつをコピペでもしたんだろうけど、改行が無駄に多いからきちんと削って欲しい。
あとうpろだも非常用の言葉をなくしていいんじゃないかな。
運悪く“落ちた”俺は、たまたま坊主頭だった。
好奇心旺盛なネコに拾われた俺は、たまたま般若心経を暗記していた。
上記2項により、俺は異世界でエセ坊主となった。
「こんにちはー。猫井テレビですー」
珍しいもの好きのネコの間では、噂が広がるのも早い。
ヒトの宗教家が呪文を唱えると聞いて、テレビ局の取材までやって来る始末である。
適当に作った祭壇代わりの台に果物や菓子を並べ、パーティー用のろうそくに火をつける。
「では」
と言って背を向けると、しんと静まり返った。
「ま〜か〜はんにゃ〜は〜ら〜み〜た〜しんぎょ〜」
木魚と袈裟は俺の飼い主が持ってきた。
一体どっから手に入れたのかは知らない。
木魚はなんか見た目が安っぽいし、袈裟は無駄にキラキラしてて派手。
足袋はない。
草履は歩くたびにピーピー鳴る。幼稚園児か。
「かんじ〜ざいぼ〜さつぎょ〜じんはんにゃ〜は〜ら〜み〜た」
木魚を叩く棒はない。だから素手でペシペシ叩いてる。
ありえないけど、別に気にしてない。
こっちの世界の人は本来の使い方知らないんだし。
「じ〜しょ〜けんご〜うんかいく〜ど〜」
最初はばちがあたると思った。
だけど、やってるうちにだんだんどうでもよくなった。
慣れって怖い。
「いっさいく〜やくしゃ〜り〜し」
足しびれてきた。あぐらにチェンジ。
最後までお経を唱え終わって振り向くと、取材に来たネコが涙ぐんでいた。
「すばらしい。これぞヒトクオリティ!」
とか言っちゃってる。ちょっと罪悪感を感じた。
「今の呪文の意味を教えてください」
とレポーター。
んなもん知るか。むしろ俺が訊きたいわ。
「呪文ではありません。般若心経というお経です。仏様に感謝の意を示しています」
それっぽく言ってみたけど、絶対間違ってる。
本物のお坊さんごめん。
見物客を見送って、お供え物(仮)のリンゴっぽい果物をかじっていると、飼い主がやって来た。
「今日は大漁にゃあ」
現金を手にニヤニヤしている。今夜は酒盛りか。
「ずいぶん気前のいいお布施だな」
「魔除けのおふだも売れたにゃ」
「おふだ?」
「この前、お前が書いたやつにゃ」
「あれ売ったの?」
俺が酔って書いた『冷やし中華はじめました』が、魔除けのおふだ?
「抽選で5名様にプレゼントするって言ってたにゃ」
あと4枚、何書いたんだっけ。酔ってて覚えてない。下ネタじゃなきゃいいけど。
……日本人以外は読めないからいっか。
「…なあ、ここに貼ってあるこれってどうしたんだ?」
「え? なんかヒト世界の『魔除けのおふだ』らしいから買ってきた。
いい加減アルマにぱっこんぱっこん殴られる毎日も卒業したいからなー」
「そ、そうなんだ…」
(たしかこれ『差し押さえ』って意味じゃなかったっけ…)
落ち物を回収する機会の多いシャコは、どうでもいい落ち物知識にも
案外秀でていたりする。
この様子だと、他のも「不当判決」とか「ワレモノ」とかそんな感じっぽそう。
「大安売り」とかなら大変な事に。
「勝訴」とか、たいそうな額に入れて飾ってたりしてな。
>>951 ひょっとして、その御主人は世界制服を企んでいたりはしないかね?
「(悪趣味だなぁ……)」
「(何処であんな物拾ってくるんだろう……)」
その御主人様に仕えるヒト奴隷の呟き なう
wikiとかありがとうございます。すっかりファイルなくしてた。
せんせいのうそつきの者です。お邪魔しますよ。
[せんせいと身の上話をするウエダ(仮)]
ぼくの実家は田舎の地方都市にあります。そこそこ長くやっている洋品店で、
そこそこ儲かっていたと記憶しています。祖母の代でフルオーダーから既製服
を売るほうに転換して大成功したと聞いています。あ、はい。大がつくくらい
の成功だそうです。その頃は、田舎では妻が衣服をしたてるのが当たり前だっ
たというのです。何度祖父から聞いても「それはイヌの国の話ではないだろう
か」と思ったものです。別にイヌの国を卑下しているわけではありませんよ。
ただ、その、ネコの女性が、そんなことができるのかと、いう、幼い子供の思
うことです。気にしないでください。現在のぼくはそのようなことを思いませ
ん。だれだってやればできます。
ええと、話しがずれましたか。
まあ、祖母が成功し、あ、わかりますか。そうです。そう、その、うちは女
系なのです。祖父は祖母に頭があがりませんし、父も母に頭があがらないどこ
ろか腰から動かないくらいでして。姉がふたり、妹がひとりおります。は
あ・・・仰るとおりキョーレツです。5対3です。肩身が狭いもなにも・・・下僕です。
それで店舗の隣にね、工場がありました。今も隣り合ってるかはわかりません
が。そこにもやっぱり女のひとだらけです。ネコだけでなく他の国のひともい
て、いろんな女のひとが常になにかしら作業をしていました。女のひとがとっ
ても恐ろしいものだと教えてくれたのは彼女らでしたね。ほんとうに、も
う・・・。
ぼくが手伝ったのは専ら、店舗のほうです。子供でしたからね、まあ、商品を
出したり、試着後のお客様に「お似合いですよ奥様!お肌がますます輝いてみ
えます。なんとか色もあわせてはいかがですか?雰囲気が変わって〜ほにゃら
んら」と拙い口調で言うくらいです。ずるくはないです。戦略です。子供だか
らこそです。そうですね・・・父はマダラだったので、それはちょっと・・・せこい
ですかね。まあ店舗では家よりも身分が下ですね、商売ゆえというか・・・その、
奴隷です。
はあ・・・お父様もお医者様なんですか。尊敬できる?羨ましいかぎりです、ち
ょっとうちのは本当に顔だけだったので。でも少しは影響していると思います
よ。ええ、不思議ですよね。ぼくも服屋ですからね。
下地は我が家の女尊男卑、ですかね。まあ、決定打は幼馴染です。もちろん
ネコですよ。
当時はぼくも普通に女の子が好きでしたからねえ。異様に腰は低かったでしょ
うけど。まあ、一口に言うと。女性に毎日傅いていたらある日突然幼馴染にレ
イプされました。ほんとうネコの女性って怖い。
まさか!それですぐヒトに走るとかないですよ。大人しそうなネコとか、イヌ
とか、あ、ウサギとキツネはトラウマものですよ。協力してもらったんですけ
ど・・・どうもね。ネコは特に。アソコがしょぼーんとしたまま反応しません。
ええと、女難?まあ、そんなこんなで女性恐怖症になっちゃいました。おかし
いですかね。女性は大好きなんですけれど、どうしても怖いんです。・・・チョ
コだけですねえ。あ、せんせいは平気です。対象じゃないから。
え?同性ですかぁ?・・・・・・ためしたことはありますけど・・・無理。ぼく女のひ
とが好きですから。はあ?キツネ?あ、釜飯ですか。チョコから聴いたんです
か?アレは友人ですよ。やだなあ気持悪い。
女のひとは怖いけど、ぼく服は好きで。ヒトならぼくに噛み付いたり首絞め
たりしてこないんじゃないかなって。ビビリですよ。それでヒト向けの服屋を
してるんですけど。最初はお金持ちとかにお伺いに行って・・・現在は既製服も
取り扱ってますからね。ピン、キリですかね。まあ上衣はふつうの女性服でも
大丈夫ですからね、安いですよ。オーダーは本当に高いのは高いです。あので
すね、手縫い手編み手織りがお好きなようでして、ね。ヒトの意見をもとに作
ったのもありますよ。せぇらぁふくとかちゃいなどれすとか。あ、はい。大概
がいかがわしい店にパクられました。でもですね!着心地と丈夫さなにより形
の美しさはうちが一番ですからね。一般の人気?ええと・・・基本パンツタイプ
ですかね。ほら、尻尾ないから。今日チョコがはいてるのが今、一番人気です。
裾にヒモが入っていて、膨らむんです。これもね、チョコのおかげです。
あれ?聞いてないんですか。うちのMサイズは全部チョコから型紙起こすんで
すよ。チョコはですねえ、ぼくの理想のMサイズというか・・・万人のMサイズ?
最初は落ちたてのヒトの意見が聞きたくて奴隷商に行ったんですけど・・・。え
え!はい。一目ぼれで。あんな素敵なからだはないな、と。細すぎず太すぎず、
長くは無いが決してみじかい事もない。大変すばらしいです。足のサイズもで
すよ。指が曲がっていることもないですし。ええと・・・残念でしたけど。彼女
の魅力はからだだけじゃありませんし。みかんむくの上手だし。すじとってく
れるし。んな!コタツがないのは先生が悪いんでしょうよ。ぼくに転嫁しない
でください。だれですか「コタツにあたると眠くなる。作業がまるで進まない。
悪魔の製品だ。冬場、自分以外の会社が商店が動かなくなるように仕組んでい
るのだ。猫井は」って言っていたのは!えーえーうちには畳も縁側も竹やぶも
ありますよ!釜飯設計なんでぼくは悪くないです!ちーがーいまーすー!チョ
コ一筋なの!もう気持悪い、みてくださいこの鳥肌。いいですいいです、チョ
コに慰めてもらいますから。なに言ってんのチンコないじゃん。せんせいのS
サイズ未満!胸部だけSSサ
<以降、記録なし>
診断:こいつを殺して、こいつの家に移住する。
すばらしい治療法です、せんせい
先生かわいいよ先生
<せんせいと変なテンションとチヨコ>
ねえ、せんせい。近くない?・・・ちょっと、落ち着きませんね。肩があたる
し・・・せんせいだって書きづらいんじゃないの?・・・あ、ああ・・・バッチリです
ね・・・。え、あ、読めないです・・・適当に言ってすみません・・・。
は、あ、初体験。そんなことよりも、うえ・・・旦那様が倒れ・・・。見てました
けど。カルテボードのカドがうまくはいりましたね。情けないですか。や、で
も男女差が・・・関係ないですか・・・。ねえ、なんか腫れてません?
//処置 シップ一枚200センタ
200センタ?たかっ!はあ・・・寄付・・・。私が払うわけじゃないんで・・・。そ、
そんなせんせい・・・少女漫画みたいな・・・。べろちゅー・・・。や、その、他に言
い方なかったのかなーと。
くちびるちょっと荒れてますね、せんせい。クリームつかいます?いい香り
がするの買って貰ったんです。手作り?せんせいは器用ですね。へえ・・・そん
な果物が・・・。寝る前用のアフア入りクリーム?おはだつるつる・・・。げ・・・ち
ょっと匂いが独特ですね・・・。苦手かなー・・・。これがアフアの?えー・・・ちょ
っと遠慮したいです・・・。あ、でもおはだつるつる・・・。や、いーですよ。せん
せいが使ってよ。ぎゃ、あのっ、手のひらにいっぱいつけて近づかないでっ・・
・
<しみで文字が滲んでいる>
診断:保留。
・右足経過良好。頓服で鎮痛剤処方。
・義足検討なし。飼い主は反対。
・幻肢痛いまのところなし。
・左足が少々萎えてきている。運動をするよう指導。
・問診が不完全なので、再来が必要。
・寝てる間に帰った。あれぶっころ
連投申し訳ないです。
カラオケにまで混ぜてもらってすみません。
ほんと、なんかすみません。大事な部分はこちら
http://adder.sakura.ne.jp/nkmm/clip/img/158.txt
カラオケ編にはでてません。
ごめんなさい調子乗りました。ヨッパライひっこみます。申し訳ない。
まさかの連投に狂喜乱舞中
センセイが可愛すぎて辛い
ゆりんゆりんで思わずキマシタワーとか叫びたくなる
あと勝手にカラオケ妄想してしょんぼりさせて失礼!でも自分で学園版で書いてもいいと思うのよ!?
せんせいかわいいよせんせい
カラオケは、部屋広がってからが本番ともw
いろんな人が入れ替わり立ち代わり、連作で歌わせてもいいと思うんです。
せんせいとうえだが結婚してチヨコは二人の奴隷になればすべて解決だ!
完結作品というと、こちむい 銀輪 虎の威 蒼拳 ピューマ ぐらいか?
確かに、はじめてこのスレ来た人には親切かも
並べてみると割りと少ないんだなあ
連載中と多分連載中と、再開予定不明の3パターンがあるからな…
待つよ。いつまででも
ちゃんと終わらせるのって難しいことなんだね。
まあ、保管庫に「完結」って書いてあれば、わかるかなとも思うけど…
保管するときに投下日時も書き込むようにすると、どれだけ停滞してるのかが
わかりやすいんだろうが、そこまですると保管作業がめんどうだしな。
保管庫、とりあえず完結と連載途中を分けてしまったらどう?
wikiのトップページに、ラノベの帯みたいなキャッチコピーはあってもいいと思うんだよな。
テンプレ丸写しでも。看板イラストを絵師に描いてもらうのはまとめwikiとして邪道?
>969
ランダム横長TOP絵とかあったら面白いなとは思っていた(絵板にも)
重くなるのと見たくない人の目にも入るのがデメリット。
>>969 佐藤栄一(会社員)絶賛!!
とか一行入れるのか。
>>971 んなことされたら書き手の方が恥ずかしくなるわw
あとスレ立て失敗報告しとく。後は頼む。
975 :
名無しさん@ピンキー:2009/10/09(金) 20:58:56 ID:EQ7pK9uk
新スレ乙〜
埋めついでにここで感想
チヒロは緩慢な自殺志願者にみえるな。
そこがチヒロなんだろうけど。見ていて時々辛い
「生き急いでいる」ってのが一番近いかと
人生の目標というか、生き甲斐を見つけた人間は
時間がいくらあっても足りなく感じるという。
チヒロも似た様な状況なんだろうと想像。
狐の妄想をしようとすると脳内の狐が関西弁しゃべるんだけど。
謎だ……
>>978 安心してくれ、俺の脳内狐はなぜか九尾で婆喋りだ。
こちむいの「ぼく」に狐耳が生えたと聞いて
それマジで言ったん?ソースあんならすぐ出せ
マジならスレ住人総力を上げて萌えるが
このタイミングでくるとはw 乙!
よし俺ちょっと登山してくる
山(大陸北部)ですねわかります
>>985 イヌを抜け、オオカミを抜け、やがてシャングリラにいたります。
ウサギかw
イヌもオオカミも一度入れたらなかなか抜けない強敵だな