【友達≦】幼馴染み萌えスレ16章【<恋人】

このエントリーをはてなブックマークに追加
1名無しさん@ピンキー
幼馴染スキーの幼馴染スキーによる幼馴染スキーのためのスレッドです。

■■ 注意事項 ■■

*職人編*
エロパロ板のスレですが、エロは必須ではありません。
ラブラブオンリーな話も大歓迎。
書き込むときはトリップの使用がお勧めです。
幼馴染みものなら何でも可。

*読み手編*
つまらないと思ったらスルーで。
わざわざ波風を立てる必要はありません。

前スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ15章【<恋人】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1205778691/

14代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ14章【<恋人】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1199161005/
13代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ13章【<恋人】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1187193091/
12代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ12章【<恋人】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1179023636/
11代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ11章【<恋人】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1171471579/
10代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ10章【<恋人】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1161975824/
9代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ9章【<恋人】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1153405453/
8代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ8章【<恋人】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1147493563/
7代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ7章【<恋人】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1136452377/
6代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ6章【<恋人】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1130169698/
5代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ5章【<恋人】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1117897074/
4代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ4章【<恋人】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1110741092/
3代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ3章【<恋人】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1097237524/
2代目スレ:【友達≦】幼馴染み萌えスレ2章【<恋人】
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1078148899/
初代スレ:幼馴染みとHする小説
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1073533206/
2名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 01:50:07 ID:1iJkDLZF
*関連スレッド*
気の強い娘がしおらしくなる瞬間に… 第9章(派生元スレ)
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1206353662/
いもうと大好きスレッド! Part4(ここから派生したスレ)
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1188824773/
お姉さん大好き PART6
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1216187910/

*これまでに投下されたSSの保管場所*
2chエロパロ板SS保管庫
http://sslibrary.gozaru.jp/

--------
次スレはレス数950or容量480KBを超えたら立ててください。
では職人様方読者様方ともに今後の幼馴染スレの繁栄を願って。
以下↓
3名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 01:50:48 ID:1iJkDLZF
テンプレ終わり。
このスレにも、善き幼馴染SSが投下されんことを。
4名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 02:20:44 ID:WYlc3Rrv
>>1 乙です

ところで・・・
気の強い娘が派生元スレなんとなくわかるが
いもうと大好きスレッドはこのスレから、どう派生したんだい?
5名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 21:26:19 ID:y7mlJnOS
年下の幼なじみ→おにいちゃん→実妹
実に分かりやすい流れではないか?
6名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 02:41:03 ID:4Wu/zuEI
まあこのスレじゃほとんど同い年だな
たまに姉があって、妹系は別スレがあるから少ない
7名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 20:47:45 ID:LCP2TJxt
前スレ最後なんだよwww
8名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 22:52:49 ID:DphI19AL
スレ違いだと思うが、今月のばんがいちの幼馴染物(のら猫長屋)がすげー良かった
素直になれない幼馴染って、王道だけど良いものだと再確認したぜ
9名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 22:54:11 ID:DphI19AL
ゴメンsage忘れたorz
10:2008/09/19(金) 01:44:32 ID:M73k3lE+
結構長くなった?ので分けて載せようかと。これとあと一つ投下する予定。
次から"ミンミンゼミ"始まります。
11:2008/09/19(金) 01:45:25 ID:M73k3lE+


それは夏休みも終わったまだまだ残暑の日差しが厳しい9月1日。俺は久々に来たYシャツに身を包み、高校への道のりを歩いていた。

「暑…」

夏休みの宿題でパンパンになった学生カバンを持ちながら桜の木が並んだ並木道を真っ直ぐに進む。桜の木に止まっているのだろう。ミンミンと五月蝿いミンミンゼミが力一杯に鳴いている。このミンミンゼミの鳴き声を聞く度に、俺は一人の少女を思い出すんだーーーーー


【ミンミンゼミ】


それは俺、颯真海斗が中学生だった頃。けたたましくなる目覚ましを止めて二度寝を決め込もうと俺は布団に潜り込んで…

「起きろぉぉっ!!」

…ジーン…と音が聞こえた気がした。

「…夏休みにこんな早く起こすなよ…美里…」

目覚まし時計に目をやると長い方が12。短い方が7をさしている。つまり現在は7時。そんなことをお構いなしのように起こすコイツは木村美里…、まぁ世間一般でいう幼なじみってやつだ。

「早く起きてよ海ちゃん!!今日は学校だよ?登校日だよ」

「…あぁそうか。」

そういえば登校日だったな…、と思い出した俺は下に美里を待たし、制服に着替え学校へと向かった。

・・・・・・

12:2008/09/19(金) 01:47:32 ID:M73k3lE+

学校も終わり帰る支度をしていると…


「海ちゃ〜ん!!一緒に帰ろ〜!!」


と言う幼なじみの呼び出しが掛かった。俺はすぐに行くから玄関で待っていてくれという返事をして美里の待つ玄関へと向かった。
しかし、数分後に玄関に行くと美里がいない。どうしたのだろう?そう思った俺は玄関先にいた事務員さんに聞いた。

「すいません。今ここに女の子いませんでした?」

「あぁ女の子ね。なんか男の子に話し掛けられて体育館の方に行ったよ」

そう言われ俺はありがとうございました。と返事をし体育館の方へと向かった。

・・・・・


「付き合って下さい!!」


俺が体育館裏への道を曲がろうとした瞬間にそんな声が聞こえた。壁から顔を出し、こっそりとのぞき見てみると美里と…先輩であろう人が一緒にいた。さっき聞こえた声が男の声であることから美里が告白されたのだろう。
普通ならここで玄関先に引き返すのだろうが俺は美里の返事が気になり、聞き耳を立てながら2人の方を見ていた。すると美里が小さく返事をした。

13:2008/09/19(金) 01:49:39 ID:M73k3lE+

「ごめんなさい…」

美里がそう返事をした瞬間に何故か安堵感を覚えている自分がいた。何故だろう?そう思いながら続きも見ていた。すると先輩であろう人が

「理由…聞いてもいいよね?」


と聞いた。美里は…

「私…ずっと好きな人がいるんです。小さい頃からずっと一緒だったんで…今の関係が壊れたらって思うとなかなか告白出来ないんですけど…だから…ごめんなさい」


そう言うと先輩が


「それって…颯真のことだよね?」


と聞いた。俺は何故か心臓の鼓動が上がり、耳に神経を集中させていた。しばらくして美里は


「はい…」


とだけ呟いた。


・・・・・


14:2008/09/19(金) 01:50:54 ID:M73k3lE+


それからのことはよく覚えていない。待ち合わせをすっぽかし、猛ダッシュで家に帰り、すぐ自分の部屋に籠もった。
美里は俺が好き?確かにあいつはそう言っていた。なら自分はどうなんだろう?あいつが好きだとかどうとかなんて…

そんな考え事をしているとコンコンっとドアをノックする音が響いた。俺は布団に潜った「どうぞ…」とだけ言った。すると…

「海ちゃん…」

入ってきたのは美里だった。


「…んぁ?…美里か…」

「ねぇ…何で先帰っちゃったの?私、ずっと待ってたのに…」


「…待ってないだろ?俺が行った時にお前いなかったじゃん」


何故か俺は不機嫌で責めるように言う。


「それは…」


俺がいなかったと言うと美里は口を閉じ、言いずらそうにしている。イライラした俺は更に責めるように言葉を投げかけた。


「なんだ?言えないのかよ。素直に告白されたって言やぁいいだろ」


俺がそう言うと美里は驚いたように目を見開いて言った。


「見てたの?」


「ベタだよな。体育館裏って」


俺がそう言うと美里はいきなりもじもじして顔を赤らめた。そして意を決したように俺に向き合い、言った。


15:2008/09/19(金) 01:53:18 ID:M73k3lE+



「私の気持ちは本当だよ?海ちゃんは……私の事…どう想ってる?」


静寂。

夏の暑さで部屋の中は蒸し暑く、俺たちはしっとりと汗ばんでいる。外からはミンミンと鳴くミンミンゼミの鳴き声が響いていた。
そして俺は想った。美里の事を。
今までずっと幼なじみとして過ごしてきた。そんな美里を恋愛対象として見れるのだろうか?それに付き合ったとしても今のこの関係を壊す勇気が俺にあるのか? そうして散々悩んだ挙げ句、答えは…


「ごめん。美里の事は幼なじみとしか見れない…」


拒否。だった。



16:2008/09/19(金) 01:55:03 ID:M73k3lE+



「そ…うだよ…ね?」


美里を見てみると瞼一杯に涙を溜めている。目を閉じるとそれが一気に溢れていた。俺が泣かした…。そうは思ったが今慰めの言葉を言うと逆効果と思い、黙っていた。すると美里はおもむろに立ち上がり、部屋のドアへと向かった。


「海ちゃん…ありがとね。」


嫌な予感がした。


「今までありがとう。」


何故かは分からない。だが今行かせると二度と会えなくなるような気がした。


「本当は言わないつもりだったんだけどなぁ……。…さよなら……」


行くな!…と思ったが部屋のドアは無情にもパタン…と閉まった。


楽観的だった。


「…明日辺りまた何でもない顔して来るだろう。」


そう思っていたが…

次の日やその次、そして夏休みの間、美里が俺の部屋にくる事はなかった。

そして夏休みが明けた日。


俺は担任の教師から美里が遠くへ転校していった事を告げられた。


・・・・・



17:2008/09/19(金) 01:56:22 ID:M73k3lE+



教室に入るとみんな様々な外見をしていた。

見るからに夏休み勉強に明け暮れ、真っ白な奴。


それに遊びまくったように真っ黒な奴。多種多様だった。


俺はそんな中、窓辺から空を眺めていた。夏休みも終わりか…。毎年毎年始業式は嫌いだ。

それは夏休みが終わるからではなく、


俺が大切な人を失った日だから。


そう。美里は黙って去る代わりに一つの手紙を残していた。それはたった一言
【ずっと好きだったよ。さよなら】

だった。

それを見た瞬間、涙が止まらなかった。それと同時に気付いた。


俺は美里が好きだったんだ。


それなのに俺は関係を壊すのを恐れて…

今更後悔しても遅い。肝心な美里はもういないのだから。


18名無しさん@ピンキー:2008/09/19(金) 01:58:28 ID:M73k3lE+


そんな風に物思いにふけっていると教室の中の奴らが慌ただしくお喋りをしている。いつもと違うその様子に俺は隣の席の女子に聞いた。

「なぁ…、何で今日みんなこんなに騒がしいの?」


すると彼女はやたら高いテンションで俺に言った。


「今日ね!転校生が来るらしいよ!」


俺がありがとうと言うと彼女は女子の輪の中へと行った。


クラスでは男子は女の子で可愛い子がいいな!と、女子は男子で格好いい人がいいね!などと会話している。


そんな騒がしいお喋りが一斉に止んだ。見ると教師が教室に入ってきたようである。


みんな転校生を早く見たいのか素早く席に着き、お喋りを止めた。


それを見て教師は満足にHRを始めた。


「えー…、まぁ始業式と連絡の前に皆さんにお知らせがあります。」


そう聞くと早くしろよ。と言わんばかりにみんな強烈な視線を教師に向けた。そんな視線に気付いた教師は「入ってきて下さい。」と告げた。



19:2008/09/19(金) 02:00:23 ID:M73k3lE+




「失礼します。」



時が止まった気がした。



「自己紹介をお願いします。」




もし神様がいるなら俺は土下座してでも礼を言うだろう。




「えっと…名前は木村美里です。二年前までこの町に住んでいました。よろしくお願いします。」




俺が教壇まで歩み寄る。それを見て美里は驚いた表情をしていたが、やがて笑顔になると愛しい声で俺の名を呼んだ。



「海ちゃん!」


俺は

「美里!」

と声を上げ美里へと向かった。




美里へと向かう俺の背中を…ミンミンゼミの鳴き声が後押ししてくれたような気がしたーーー。

〜fin〜
20:2008/09/19(金) 02:03:43 ID:M73k3lE+
一カ所名前入れんの忘れたw
あと自分の名前は蒜(さん)です。多分変換したら最後の方に出てくるかと。
どうでしたか?出来れば多くの感想が欲しいですね。それが励ましであろうが批判であろうが書く側にとってはそれだけで励みになるんで。
しばらくしたら次回作 【君の元へ】を投下したいと思います。ではノシ
21:2008/09/19(金) 02:09:49 ID:M73k3lE+
すまんミスった。m(_ _)m

>>14>>15の間



「どこから聞いてたの?」


俺は少し悩み、そして答えた。


「"付き合って下さい。"の辺りから」


すると部屋に静寂が訪れた。当然だろう。そう思うが俺は言葉が出なかった。すると一分だろうか一時間だろうか?そんな短いようで長い時間が過ぎた時、美里は言葉を発した。


22名無しさん@ピンキー:2008/09/19(金) 03:03:53 ID:1laahP/9
前スレ最後受けたw

改めて保管庫の作品を読み返しているが、中断作品が……

だが、男は黙って全裸にちんこリボンで待機。
23名無しさん@ピンキー:2008/09/19(金) 03:44:53 ID:AXSgiomB
>>21
まずsageようぜ
24:2008/09/19(金) 11:14:13 ID:M73k3lE+
携帯からやってるんだが…どうすればいいのか分からん
25名無しさん@ピンキー:2008/09/19(金) 12:32:26 ID:PY4K2ng0
>>24
メール欄にsageでおk
26:2008/09/19(金) 15:01:40 ID:M73k3lE+
分かったよ。あざっす
27名無しさん@ピンキー:2008/09/19(金) 16:08:51 ID:i55mEmWW
やっぱツマンネ・・・
28名無しさん@ピンキー:2008/09/19(金) 17:16:07 ID:aqy1AK1l
>>10-21
うんこ
29名無しさん@ピンキー:2008/09/19(金) 18:30:21 ID:Uh6xeNPj
>>28
お前のことをうんこって言うんだよ^^
30明日香 01/15:2008/09/19(金) 22:27:14 ID:OTCrSWaz
「あけて〜 あけてよ〜 たっちゃん、あけて〜」

やけに陽気な声がドアの向こうから聞こえた。
ドアを開けたとたん目の前の人影が倒れこんでくる。あわてて両腕でささえる。

「えへっ、酔っ払っちゃった」
首をかしげながら微笑んでるのは、明日香、オレの幼馴染。

そっか。海外事業部、今日はドバイに行く次長の送別会だって言ってたな。
こいつ、お堅いお嬢様大学に行ってたから、飲み会にも不慣れなのかも。

「な〜に、ぶつぶつひとりごと言ってるの?
 えっと、とりあえず中に入れてくれると嬉しいんですけど?」

「だね」
即答の真相は、さりげなく近所の耳を気にしてだったりするオレ、小心者。

ふらふらする彼女を片手でつかまえたまま部屋に連れて行き、
分不相応にでかいソファーに座らせる。

「ほら、水」
「あ・り・が・と!」
一気飲みする明日香。漢前だ。

「ぷは〜っ!」
訂正しよう。若いみそらで既にオヤジだ。可愛そうに。

「たっちゃんはいつも優しいね〜」
「…おだててもなんにも出ないぞ?」
「ハハ………相変わらずちっとも似てないね」
うっせばかやろ。
31明日香 02/15:2008/09/19(金) 22:27:55 ID:OTCrSWaz
おない年。家が隣。でもこいつんちはベンツとBMWが玄関の横に並んでるでっかい家。
こっちは一般的な日本の家庭。敷地に3ナンバー二台並べたら家が建てられない雰囲気の。

でもガキだった俺たちには、そんな大人の基準は関係ない。
常に不在がちの彼女の両親も、娘の事を思ってか、うまのあう俺を大切にしてくれた。
んなわけで両方の家、公園、商店街、あらゆるフィールドが、その頃の俺達のものだった。

高校も一緒で、映画だプールだ花火だ、なんだかんだでいつもそばには明日香がいた。
彼女が女子大に行ってた時期だけは、『メール友達』状態だったけど。

でも、就活で苦戦しているのをちらっと書いたら、おやじさんから誘いが来て、
のっかったオレは即面接&即内定。まぁ当たり前か、社長の直接コネじゃ。

入社式に行ったらびっくり。横の席で明日香がいたずらな笑顔をオレに向けてた。
結局、事業部は違うけど、それなりに近い場所に今も明日香は居たりする。
32明日香 03/15:2008/09/19(金) 22:28:32 ID:OTCrSWaz

「ちょっと、話が、あるんだけど」
「ん?」

オレは彼女の隣に微妙な距離を置いて座る。アイスコーヒーを手に持って。
一瞬、スカートからはみ出た明日香の足に目を奪われかけたが、
幼馴染とはいえ社長令嬢、半端に手を出したらただじゃ済まないよな……と自重し、
怒れる明日香パパの映像をふりはらいつつ、必死の努力で視線をはずした。

「こんどさ……あたし、デュッセルドルフ、行くんだ」
「そりゃまた急な話で」

「そこのナンバー2が入院しちゃって手助けがいるからって」
「おやじさん、よくOKしたな」
「背に腹はかえられない、ってやつ? ちょうど異動の季節で人のやりくりがね」
「あ〜 それはあるかもね」

「どんぐらい?」
「たぶん2〜3年」
「そっか」

「でね、いろいろとやり残したこと、ここんとこ片付けてるんだ。
 仕事のほうは当然だけど、プライベートな部分でも、
 読みかけの本だとか、買ったけど見てないDVDだとかいろいろ」

「でさ、いっこだけ……残っちゃったのよ」
「へ〜 なんだい、それ。ちょっとわかんねぇな」
「……言い忘れた…っていうか」
「ほ〜」

こいつの処理能力は抜群に高い。決してただのお嬢様なんかじゃない。
高校のときの学園祭でも、実行委員長として能力を発揮し、
見事にまとめ上げた実績がある。
当然のように、彼女の下でオレはいいようにこき使われてたわけだが……

だから、彼女が処理に困るもんなんて全然考えられなかった。
33明日香 04/15:2008/09/19(金) 22:29:43 ID:OTCrSWaz

「あ、あのさ、あたしね」
明日香は真っ赤になっていた。そして、らしくない表情。
うん、って感じでうなずいてから、思い切ったかのように言葉をつなげた。

「達也のことが、好きだったの、ずっと」
オレは固まっていた。ありえなかった。

「飛行機で12時間もかかるすごい遠い所に行っちゃうんだし、
 現地じゃとても忙しい毎日が待ってるってわかってて、
 それで長ければ3年。そう思ったらもう、どうしようもなくて」

「いつもそばにたっちゃんがいて微笑んでくれてたから、
 あたしはどんなつらい時も頑張れたんだって、それがわかったの。
 ちっちゃかった時も、中学のときも高校のときも、そして今も。
 だからせめて、向こうに行く前に、たっちゃんの思い出を、
 あたしの心の中にたくさん詰め込んでおきたい、って、そう決めたんだ」

息継ぎなしでまくしたてる彼女の言葉に、オレは口を挟めない。

「だから、あの、今夜……ここに泊めてくれない?」
驚きの発言に、オレは正直うろたえた。

「でも……それは……とりあえずオレも、いちお、男だし」
「大丈夫、そのつもりで言ってるから」
「そのつもりって」
「だから、よかったら、ってレベルで。 ただの今夜だけの都合のいい女だって思っても、それでもいいから。
 あたしは、心と体全部で、たっちゃんを覚えておきたいんだ。それだけ。
 あとであなたに迷惑掛けたりしないって、約束するから……」

遠くで、車が通り過ぎる音がした。
34明日香 05/15:2008/09/19(金) 22:30:23 ID:OTCrSWaz

「ふぅ、ちゃんと言えたぁ。よかった。これもらうね。もう、のどカラカラ」
オレのアイスコーヒーを承諾なしで飲む明日香。これはいつもと同じ。
氷がグラスの中でぶつかる音が部屋を満たす。いつもと違う静けさ。
そして微妙に明日香の指先が震えていた。そんな明日香は見たことが無い。

黙って明日香を見つめる俺に、彼女はすまなそうな顔をした。

「ごめんね、勝手な女で。たっちゃん、許して……」
いつのまにかアイスコーヒーは空っぽになっていた。

……いつもこうなんだ、こいつは。いつも。

「許さない」
「えっ?」
「許さない、ってそう言った」

「えっと、それって……あぁ、たっちゃんのこれ飲んじゃったこと?」
「ちがう。それじゃなくて、おまえが一方的に自己完結しちゃってるとこ」
「なんのこと?」
「俺の気持ち、無視してるだろさっきから、勝手なことばっかり言って」
「ちょ、ちょっと、なにキレてんの?」

「あぁ、そうだよ。オレはお前のこと、彼女だなんて思ってなかった。
 ついさっきまで、一度もな」

「でも、やっとオレわかったんだ。自分の気持ちが。
 バカだよな、いい加減気づけよなってぐらいアホだったと思う。
 単純なことだったんだ。
 たまたまオレと明日香はそばにいたんじゃない。
 そうしたかったから一緒に居たんだってな」
35明日香 06/15:2008/09/19(金) 22:32:25 ID:OTCrSWaz

「だから、今、オレ、ちゃんと言うから」
きょとんとしたままの明日香の両肩をつかみ顔を寄せると、彼女は目を閉じた。
唇を重ねる。

そして唇を離したあとも目を閉じたままの彼女の髪をかきあげ、耳元に口を寄せ、告げる。

「ずっとオレも、明日香のこと好きだった」
明日香の肩が震えてた。

体を離し、正面から彼女の顔を見た。
明日香は顔をクシャクシャにして、口をへの字にして泣いていた。

「ばか! もっと早く気づいてよ!
 たっちゃんが気付いてたら、あたし、
 さっきみたいなあんな恥ずかしいこと、口にしなくてもよかったのに。
 もう、サイテー!」

「ごめん」

謝罪の意味を込めて、ぼろぼろと涙をこぼす明日香にもう一度キスをする。
やけにしょっぱい味がした。
36明日香 07/15:2008/09/19(金) 22:33:00 ID:OTCrSWaz

そのまま舌をこじ入れる。
すぐにふたつの舌が口腔の中で軟体動物のように動き、勝手に相手を求め始める。
そうして得られた粘膜の感触は想像以上に刺激的だった。

もどかしいほどの狂おしさを覚えてるのが俺だけじゃない証拠に、
明日香はさっきから、くぐもった喘ぎ声をあげている。

衝動に襲われた俺は、そのまま両手を明日香のブラウスに向け、
ボタンを探し当てて外し始めた。下手したら引きちぎりそうな勢いだったと思う。
何が起きてるのかに気付いた彼女はあわてて胸を手でおおう。

「どうした?」
「やっぱ恥ずかしいよ」
「そっか……メモしておこう。明日香は着衣プレイが好き、と」
「変態! バカ! スケベ!」

殴りかかってくる明日香を抱きしめ、そのまま持ち上げた。
「な、何するの?」
「見ての通りのお姫様だっこ」
「や、やめ」
「やめない。このままベッドにいく。暴れると落としちゃうから静かに。
 あと、両手は首に回すのがデフォルトだと思うが?」

しぶしぶ言われたとおりにする明日香。
首の動きが変だ。やたらきょどっていて、それが殺人的に可愛い。
そのままくちづけをする。
やばい。ズボンの中が、おもいっきりがちんがちんになってる。痛いくらい。
37明日香 08/15:2008/09/19(金) 22:33:36 ID:OTCrSWaz

ベッドの上に座らせ、ジャケットを脱がす。

「たっちゃん、あの」
「いやだ。今のオレ、シャワーなんて待ってられない状態」
「なら、せめて、電気」
「それも却下。明日香の体、ちゃんと見たいから。全部」

返事が無かったのを幸いに、一気に全てを脱がす。
白い肌、こぶりな乳房。うっすらとした陰り。そしてそれらを構成するなだらかな曲線。
その全てにオレはしばらく見入っていた。綺麗だった。
目を閉じ必死に恥ずかしさをこらえてる明日香が可愛い。

「あたし、あの、胸小さいし、お尻大きくて、だからそんなに」
とっくに裸になってたオレは皆まで言わせず体を重ねる。
肩ごと抱きしめる。すごく細い、って思った。

明日香の腕がオレの背中に回された。
さらに深いキスをかわす。明日香が積極的に舌を入れてきた。
同時に唇をこすりあわせるように動かす。

そのまま首筋に唇を這わせる。ビクッと明日香の体が震えた。
「くすぐったい?」
「すこし。でもだいじょうぶ」

首筋から胸に。ふくらみのすそのにキスをしながら、片手をもうひとつの乳房に。
それはすっぽりとオレの手のひらの中におさまる。

「はぁっ…」
明日香の吐息が悩ましい。
すぐに入れたい気分と、彼女の全身を愛撫したい思いとで、俺の心は揺れていた。
38明日香 09/15:2008/09/19(金) 22:34:10 ID:OTCrSWaz

乳首にキスをした。
「あっ!」
体が波打つと同時に声が出る。
明日香の手がオレの両肩をぎゅっとつかむ。

しばらく楽しんだ後さらに下のほうへと向かう。

「いや、やめて、そこ、きたないから」
逃げようとする体を腰をつかんで押さえつける。

太ももの奥、陰りの先にねじ込むように舌を着地させた。
そのときの明日香の反応は凄かった。
体をのけぞらせて、大きな声を上げて。

「痛い?」
「わ、わかんない」

オレはこの目で明日香のそこを見るのをあきらめた。
別に今夜じゃなくてもいいんだし。
体の位置をもどして、腕枕してみた。彼女はひしと抱きつく。
空いた右手で全身に触れる。
乳房、わき腹、背中、お尻、そして太もも。
味わったことのないすべすべの感触に、オレはつい夢中になってしまっていた。

その間も、彼女は恥ずかしそうにオレの肩に抱きついたままだった。

太ももの奥に今度は手を伸ばした。うながすようにゆっくりと足を開く。
柔らかいものにじかに触れる。俺の肩を抱く腕にさらに力がこもる。

指をゆっくりと、頼りない感触のひだの表面で上下させる。
途切れないうめき声が耳元で聞こえる。
二本の指で開き、中指をはざまにうずめた。
経験ゼロの俺でもわかるほど、中は濡れてるようだった。
下の方に動かすとくぼみがあって、そして上のほうに動かすと、

「ダメ!!」
激しく明日香がのけぞる。
そんな彼女を見た瞬間、もうオレの余裕なんて完全にぶっとんでた。
頭の中のほとんどが、「入れたい!」って文字で埋め尽くされて。
39明日香 10/15:2008/09/19(金) 22:34:42 ID:OTCrSWaz

あわただしく彼女の両足の間に腰を入れ、かってない硬度に達した奴を、
明日香の中心にあてる。先端がぬるっとひだを割った。
ゆっくりと押し込む。

「いっ、痛い!」
俺の肩を押して明日香が上に逃げようとする。

新事実発覚。オレが初めてならこいつも初めて。
でも、いくしかない。優しくなんかできねぇ!

肩をつかまえて委細構わず一気に押し込んだ。
中は筆舌に尽くしがたい気持ちよさ。
オレのが明日香の粘膜であますことなく包まれてて、
優しくつかまれてる感じというか。

我慢できずに腰を前後に動かした。
明日香の表情を見る限り、最初のときよりは痛くない様子だった。
オレは自分の快感を求め、明日香の中を蹂躙し続ける。

いつからか、明日香が俺の名前を呼びながら、「好き!」と言い続けてる。
でもこれは、少なくとも官能的な絶頂とかそんな話じゃなくて、
封じ込めていた思いを今この瞬間に爆発させてるだけなんだろうと思った。

ずっと昔から、アホなオレが気付かないまま、密かに紡いできた彼女の思いを、
今、ためらうことなく俺に向かって解き放っているのだと。

だからオレも明日香の名を呼び、そして好きだとささやき続けた。
そう、ずっと言い忘れていた分を補うように。
40明日香 11/15:2008/09/19(金) 22:35:15 ID:OTCrSWaz

終わりが近づいてきていた。
そりゃそうだ。明日香の粘膜とオレのが直接触れ合って………

やばい。頭に血が上ってて、コンドーム忘れてるよ!
オレは動くのをやめた。

「明日香! だめだ! コンドームつけてない」
「ふぇ?」
半分白目の明日香に何を言っても無駄そうだった。

オレはともかく腰を引こうとする。
しかし、彼女はオレの腰に両足をからめ、強烈な力でその動きを阻止してきた。

「イヤ! ヤダ!」
「ばか! それどころじゃない!」
「いやだ! 離れないで!」

彼女が力を入れたせいで、はげしくそこが締まったのが命取りだった。
とてつもない快感とともに、オレは否応なく明日香の中へと射精を開始した。

もうどうにでもなれ、と俺は抗うのをあきらめた。
目の前の明日香はうっとりとした表情を見せている。
その姿は女神のように綺麗だった。

そんな明日香の中に、今オレの精液が次々と吐き出されている。
なんか不思議な気分だった。


「えっと、多分大丈夫な日だと思うんだけど。自信ない」
明日香の頼りない言葉にオレは肩を落とす。
あとは運だけ。そうとしか言いようがなかった。
41明日香 12/15:2008/09/19(金) 22:36:16 ID:OTCrSWaz

翌月になって、明日香のデュッセルドルフ行きはキャンセルになった。
彼女が妊娠していたことが判明したからだ。
そう、それは間違いなくあの夜にもたらされた生命。

産婦人科でその最終確認がとれた日の夜、二人だけの緊急会議を催す。

「社長と海外事業部長の二人に、オレ殺されるかもしれない……」
「二人併せて、全治二ヶ月程度は覚悟しないとね。
 だいたい、たっちゃんが欲望に負けたのが悪いんだし」

「どの口だ、そんな事実に反することを平気で言うのは?!
 だいたいあの日、据え膳仕掛けてきたの明日香だし、
 いや確かにコンドーム忘れちゃったのは俺のチョンボだけどさ。
 オレがヤバイと思って抜こうとした時、おまえは足をからめて」

「だ〜め。そんな話、この子が聞いたら気分を悪くするでしょ?」
明日香は自分のお腹に触れる。当然のことながらまだちっとも膨らんではいない。
ただ、有無を言わせない迫力は、女として、母としてのもの。オレは反論を諦めた。

そして数日後、彼女の家。
オレが明日香と結婚したいと頭を下げると、オヤジさんの右手がスッと視野に入ってきた。
必殺のアッパーカットか!? と、びびるオレ。

でも、今日は、パンチがやけにゆっくり見えるぜ……

「よろしく達也君」
あわてて顔を上げると笑顔の父親がそこにいた。
右手が握手を求めている。
隣の母親もすごく嬉しそうで。見れば、横の明日香もピースサイン。
42明日香 13/15:2008/09/19(金) 22:40:29 ID:OTCrSWaz

オレは合意の握手をした。そしてひとつの可能性に思い当たる。

そう、もしかしたら……はめたつもりがはめられた?
高校。就職。そして、それ以外のあれこれを思い出す……

しかしそれがとっくに重要な問題じゃなくなってることに気付く。
オレと明日香が、いやおなかの中の子も含めて『俺達』が幸せに暮らすための、
そのためのステップがここに用意されている。それだけのことだ。

ハレバレとしたオレの表情を見て、オヤジさんもお袋さんも、そして明日香も、
オレのそんな思いに気付いてた気がする。

「あれだな。海外事業部長には私から言っておいたほうがよさそうだな」

ありがとうございます、社長。いえ、パパ。
なんたって社長に言われて文句の言える勤め人はそうそういない。
まぁ、多少の嫌味は覚悟してるけど。

それから大忙しで入籍と式場探しをやって、やっと一箇所見つけることができた。
流石に社長令嬢の結婚式。適当に公民館でってわけにはいかない。
43明日香 14/15:2008/09/19(金) 22:44:36 ID:OTCrSWaz

なんだかんだと日がたつうちに、式の当日になっていた。

どう見たって似合わないタキシードに落ち込んでたオレは、
用意が整ったと控え室に呼ばれ、ウェディングドレス姿の明日香と対面した。

これが明日香? っていうぐらいの美しさで、言葉すらなくしちゃって。
何も言わないオレに彼女はしびれを切らす。

「どう?」
「最高。すごく綺麗」
「へへ」
明日香は嬉しそうだ。

式場。介添人が退いて、神父さんの前にいるのはオレと明日香だけ。

「二度目だね」
神父さんが準備してるとき、前を向いたまま小声で明日香が言う。

「えっ?」
「だから……たっちゃんと結婚式するの」
「??」
「忘れてる? ほらまだ小さいときにあたしの家で遊んでて」

ずっと記憶の中に埋もれてた思い出が蘇る。
44明日香 15/15:2008/09/19(金) 22:46:46 ID:OTCrSWaz

……遥か昔、まだ幼稚園の年長さんぐらいのとき。
明日香のおままごとにつきあってて、その日、俺達は結婚式ごっこをしていた。
オヤジさんのネクタイをオレは締めて、彼女はソファーのレースを肩にかけていた。

彼女は誓いの言葉を正確に覚えていて、一字一句間違わずに言えるまで特訓された。
ただそれが、神父だけのセリフだってことをアスカのやつ分かってなかったんだが。
そして、仕上げの誓いのキスをこいつに迫られて、俺は家中を逃げ回った……

だが今、聞こえてくる言葉にあわせ、俺達は神父と共に小さな声で唱和している。
すべての語句に万感の思いを込めて。

「あなたはこの者と結婚し、神の定めに従って夫婦となろうとしています。
 あなたは、その健やかなときも、病めるときも、喜びの時も、悲しみの時も、
 富めるときも、貧しきときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、
 これを助け、そのいのちのかぎり、堅く節操を守ることを約束しますか」

「約束します」

それぞれに問われた言葉に、俺達はひとりずつ答える。

ベールをあげ、誓いのキスをする。
悲しいことに、こんな衆目を集めた厳然な儀式の中で余計なとこが反応してしまい、
オレは困ってしまう。新郎は野獣、か。全然笑えない。

俺の様子を見た明日香が、事態に気付き小さな声で言う。

「それは今夜ね。あ・な・た」
と、極上の微笑みとともに。

どうやら、オレは一生コイツに振り回される人生をチョイスしてしまったらしい。
今までも、そしてこれからも……

  Fin
45名無しさん@ピンキー:2008/09/19(金) 22:48:23 ID:e4oHDVC3
これは見事な計画どおりww
GJ!
46名無しさん@ピンキー:2008/09/19(金) 23:11:41 ID:NnCt5Iz4
いいじゃないですか
47名無しさん@ピンキー:2008/09/19(金) 23:20:30 ID:vUZPERD4
GJ!!
一途っていいね。
48名無しさん@ピンキー:2008/09/19(金) 23:32:04 ID:DMPA/KIY
は〜…なんか幸せだな
49名無しさん@ピンキー:2008/09/20(土) 17:41:10 ID:6B3XcPVh
こんな幼なじみが入ればっ!俺だって……。

50名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 00:14:13 ID:LAIzniqB
>>49
だが居ない
51名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 00:35:19 ID:quC2OLiY
居れば今俺はここに居ない
52名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 00:42:27 ID:WiTxxB93
>>50だが脳内にはいる
53 ◆H676uvqZmA :2008/09/21(日) 02:15:08 ID:EOmPlZHL
お邪魔します。休日の暇つぶしにでもどうぞ。
エロなしですが、よかったら。
以下4レスお借りします。
NGワードはタイトル: BからAの連続性
もしくはトリ:  ◆H676uvqZmA でお願いします。


お願い
投下を一行30〜40字 40〜60行でします。
この形式が読みにくい!という方がいたら環境など、
教えていただけたら嬉しいです。
54 ◆H676uvqZmA :2008/09/21(日) 02:15:43 ID:EOmPlZHL
BからAの連続性【1/4】

 梅雨明けにはまだ時間のかかる六月。けれど幸か不幸か今日は抜
けるような青空が広がっている。日ごとに強くなる陽ざしと肌にまとわり
つくような風が入る俺の部屋で、夏実はどこから持ってきたのか、大き
な画用紙にマジックで数学の公式を書き込んでいた。気温の上昇とと
もに近づく期末テスト勉強の一環だ。
「ふーんふーふんらーぶ……うん、かんっせーい!」
 夏実が近頃ハマっているアイドルの曲の鼻歌が終わるのとほぼ同時
に、床に転がしていたキャップをパチンとはめる。俺は今まで盗み見て
いたのがばれないように、さもその音で気を引かれた風を装って焦点
を合わせた。
「じゅーんーたーっ。これを天井に張れば嫌でも毎日見るし、憶えられ
そうじゃない?」
「おー、サンキュ。基礎はそれで何とかなるだろうな。でも応用ができ
ないと点はとれねぇよなぁ……」
「そのために、こーして夏実ちゃんがカテキョをしてあげてるんでしょ? 
で?」
 俺の手元、広げられた数学のノートを覗き込んでくる幼馴染様は、理数
科目だけなら学年で十本の指に入る成績の持ち主だ。総合でも五十位
より落ちたことがない。たいして俺は総合ならそこまで悪くはないが、情け
ない話、数学は夏実の助けがないと毎回赤点の恐怖に怯えることになる
だろう。
 ノートと参考書を見比べ、ペンを走らせる夏実の細い首筋が視界に入る。
なおざりにまとめられたこげ茶の髪が落ちて、汗で湿った肌に張り付いてい
た。昔は大して変わらなかったはずなのに、いつの間にこんなに細くなった
んだろう。簡単に折れちゃいそうで少し心配だ。触ったら、どうなる……?
「ん、さっき間違えたのもだいじょうぶだったし、だいたい合ってたよ
……ってどーしたの?」
「……っ! い、や? なんでも?」
 思わず手を伸ばしそうになったところで急に見上げられて、かなり驚い
た。心臓が口から出ると表現した人は天才だと思う。
「そーお? まぁいっか。今日はこんなもんでいいんじゃないかな。そろそ
ろ他の教科も本腰入れていかないとね」
 しばらく俺のことを不思議そうに見ていたが、夏実は気を取り直して言
った。そしてキラキラと何かを企む時の目をして「そろそろ『報酬』がほし
いなぁ、なーんて」とさらに続けた。
 条件、甘いものが大好きな家庭教師。かつ、教え子の、といってもクラ
スメイトだけども、ケーキ屋の息子。これらのことから導き出される答え
を求めなさい……A.『報酬』は甘いもの。
 壁の時計を見ると、もうすぐ三時になるところで時間もちょうどいい。
全部計算した上で言い出したんだろう。俺はその言葉に頷いて、冷蔵
庫から『報酬』を持ってくるために廊下に出た。
 あのまま触っていたらどうなっていただろう。想像だけで頭が痛くな
る。ただの幼馴染だからこうして一緒にいられるんだ。これが、夏実
が近づきたい一心で数学を勉強した理由の兄貴だったらきっと違うん
だろう。間違っちゃいけない。俺は兄貴じゃない。ただの幼馴染。絶対
に踏み込んじゃいけないラインは確かに存在してるんだ。


55 ◆H676uvqZmA :2008/09/21(日) 02:16:15 ID:EOmPlZHL
BからAの連続性【2/4】

 今日の『報酬』を持って部屋のドアを開けると、天井に画用紙を貼
り付けようとする夏実の姿が目に飛び込んできた。マットなんて不安
定な物の上に乗せた箱からさらに背伸びをしているのが何とも危なっ
かしい。
 テーブルにトレイを置いた。そして、かわろうかと声をかけようとした
その時だった。レモンイエローのキャミソールの背中がぶれる。ふわ
り小さな手が宙を掻く。小さな悲鳴。
「――っ。夏実ッ!」
 夢中で駆けより腕を引きよせ抱きとめる。ガッと鈍い音がして、少し
遅れて感じた胸と腰の痛みに俺は自分が成功したことを知った
「大丈夫かっ? 痛いところは?」
 頭、顔、首、背中、腕、腰、腿そして足の甲。足の間に座り込んだ
夏実の全部を目と手のひらで確認する。最後にもう一度頬を両手で
包んだところで、名前を呼ばれた。放心したような潤んだ瞳。触れた
熱い頬。薄く開いた唇からこぼれる浅い呼吸。
「へ、いき……みたいだな。ったく、気をつけろよ。俺があとはやるか
ら、ほら、『報酬』食えよ」
 体を離して、視線を外す。直視なんてできない。
「じゅんた……」
「せっかくのゼリーがぬるくなっちゃうだろ」
 急かすように手を振る。ありがと、と聞こえたから「おう」とだけ返し
た。皿とスプーンのぶつかる音がする。
 夏実の貼ろうとしていた画用紙の四隅をテープで固定して、腰を下
ろすと俺も自分の分に手を伸ばした。土曜だっていうのに、夏実が来
るから平日と変わらない時間に起きて作った夏蜜柑ゼリー。その出
来を見るふりをして微妙な距離を開けて座っている姿を透かす。
 ゆるくまとめられたウェーブのかかった髪、ゼリーと同じような色を
したキャミソールから覗く肩、白のショートパンツから伸びる脚。普段
から夏実の体なんて触れているはずなのに、いつものように気をそら
せなかった。同じ、同じ、同じだ。しょっちゅう膝に乗ってきたり、寄り
かかってきたりしてる。それと同じ。
 うまそうに『報酬』を頬張る夏実の濡れた唇がやたらと目立って見
えて、それを振り払うように俺はゼリーを噛み砕く。
 ――暑いからだ。そうだ、こんな暑い中で苦手な数学なんてやって
るからだ。大きめに切って入れた夏蜜柑の爽やかな酸味が、ぐちゃ
ぐちゃになった思考回路を冷やしていく。
「夏実、今日のは?」
「おいしーい!」
 どことなく沈んだようだったけれど、尋ねると夏実はパッと笑ってス
プーンを振った。いつも通りの夏実だ。なら俺もいつも通りでいられ
る。
 こうして今までやってこれたんだ。これからだってやっていける。変
わって壊れてしまうなら、そのままに留めてみせる。自分の感情をコ
ントロールだってする。
 同じものを同じ空間で、同じように食べられるこの関係は、変わら
ないし変えられないんだから。夏実が誰のものにもならないうちは。
 最後の一口を飲み込むと、酸味と微かな苦みが喉を滑り落ちていった。

■□■□■□■

56 ◆H676uvqZmA :2008/09/21(日) 02:16:51 ID:EOmPlZHL
BからAの連続性【3/4】

■□■□■□■

「じゅんた、問題できたー?」
 胡坐をかいた俺の腿と腕の間から、頭をぴょこんと出して夏実が
言った。
「うわぁあっ?」
 自分でもあんまりだと思うような悲鳴を上げて俺は現実に戻される。
反射的に膝が上がるが、夏実の顎を打ちそうになって根性で止めた。
ツバメの子供が巣から顔を覗かせるような体勢のまま、首を伸ばし
てテーブルの上のノートに視線を走らせる。
「もぉ、ぜーんぜん進んでないじゃん。こんなんじゃ中間テストで赤取っ
ちゃうよ?」
「あー、うん、そうだよな」
 曖昧に頷くと、不審そうに名前を呼ばれる。腕の下から頭を引き抜
くと夏実は俺の前髪を軽く払って二人の額を合わせた。ぬくもりが気
持ちいい。
「熱は……うん、ないね。文化祭、体育祭って続いたから疲れが出た
のかと思ったよ」
 まさか付き合う前の、ただの幼馴染だった頃を思い出していたとは
言えず、誤魔化すように謝った。街はすっかりハロウィン一色で、一
つの季節が過ぎたことがよくわかる。
「ふふっ、変なの。病気じゃないならいーよ。じゃあ、続きがんばって」
 顔を離して、夏実は俺の腿を枕に英単語帳をめくり始めた。ときど
き脇腹に頭をこすりつけるようにじゃれついてくるのがくすぐったい。
いや、だけど問題に集中すれば大丈夫なはずだ。この問題はどの公
式を使うんだ?
 変形膝枕だけじゃ満足できなくなったのか、勉強に飽きたのか、腰
に腕をまわしてウエストあたりを抱きしめてきた。負けるな、俺。もう
少しでこの問題の解答がわかるはずなんだ。たぶんXに代入する値
が合ってれば……。
「じゅんたの匂いっていいよねぇ」
 ジーザス。
「……夏実」
「んーうー?」
 「なーにー?」と言ったんだろう。けど呼吸ができているのか心配に
なるほど、俺の脇腹に顔を埋めているからくぐもってほとんど言葉に
なってない。
「気が散るから離……」
「きゃっか」
 最後まで言わせろよ。わざわざ拒否するために顔を上げるな。
「ほら『報酬』やるから、それ食ってろ。な。今日のはハロウィンを睨
んだパンプキンカップケーキだ! 下に行ってお袋に言えば出しても
らえるはずだから……」
「やだっ、くっついてるのがいい! ね、じゅんた。じゅんたは、やな
の?」
 嫌なわけねぇだろうよ。わかっててこうやって聞くからたちが悪い。

57 ◆H676uvqZmA :2008/09/21(日) 02:17:24 ID:EOmPlZHL
BからAの連続性【4/4】

「そういうんじゃなくてだな、むしろ嬉しい、いやまあうん、だけど現状
とか、色々事情ってもんが」
「わかった。じゃあ今日のカテキョの『報酬』として、十五分のいちゃい
ちゃをせーきゅーしますっ。まずはちゅうから!」
「夏実、少しは聞く耳ってもんを……」
 俺の言葉は「ちゅー」コールにかき消された。黙らせるには一つし
か方法はない。また夏実に乗せられるのは悔しいが、コールをする
唇が魅力的なのもまた現実で。ころんと体を仰向けにさせて、そのう
るさい口をふさいだ。
「ちゅーんんっ……んー、んう……えへ、ありがと。マンガみたいで、
てれるー」
「自分から誘っておいてなんだよ?」
「……っ! そういうイジワルゆーならこうだっ!」
 唇を尖らせたと思ったら、夏実は俺のわき腹や、胡坐をかいていた
から丸出しになっていた足の裏をくすぐりだす。
「ちょっ、なつ……あははは! やめっ! やめろって、待てごめんな
さい、ふはっ」
「だーめーっ! じゅんたの弱点は知り尽くしてるんだから!」
「くくはっはははは! いちゃ、い……は?」
「これもたのしーから、ありっ! あれ?」
 両手首をまとめてつかむ。いつからこんな風なことができるように
なったんだっけ。
「……はぁ、いつまでもやられてばっかりだと思うなよ?」
「うーん……やばめ? じゅんたくーん、お手やわらかに……ね?」
「さて、どーでしょー?」
 俺だって夏実のことは誰よりだって知ってるさ。それこそ昔の俺よ
りも。例えば……。
「ぅむう」
 深く口づけると、嬉しそうな甘い声だとか。やわらかい熱だとか。
 変わったところ、新しく知ったところ。でもずっと同じこと、ただ大切
に想うこと。
 日々俺らは変わっていくけれど、触れあうぬくもりは昔も今もこれか
らも続いていくんだ。


END
58名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 02:29:50 ID:WiTxxB93
主人公視点の話か…。主人公の気持ちをよく表しているなぁ…。GJ!
59名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 03:53:14 ID:lYdZ0MKW
改稿のせいで見にくい
60名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 05:51:04 ID:/sLmyBB9
内容はGJなんだが、文の途中での改行はやめて欲しいな。 かなり見辛い。
しかも携帯とか1行20文字位の環境で見たらぐちゃぐちゃになるような。

句読点や文章の切れ目の改行以外は表示するソフトに任せればおk。
あと、段落の切れ目などには空行を入れるともっと見やすくなるかも。

最初にも言ったけど、内容はすごくいいので、是非また書いてください。
…できれば今回の二人の幼馴染み→恋人、この間の話をkwsk
61名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 09:04:27 ID:mO1wh3kx
マスター、GJだ。
62名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 10:18:45 ID:xCwGTttU
GJ。はげしくGJ。
見にくくてパスしてたんだけど、htmlに整形したらhtml向け文章だったのがわかった。
妥協案で、投下の時に一字字下げのとこ(段落)の前に空白行なんていいかも。
63名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 13:26:48 ID:Z8aHokwN
GJ!
これって練習スレにあったやつの二人?
64名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 19:00:18 ID:EvuIA07M
>>57
練習スレの方が見易かったかも。

話自体は相変わらずたまらんのでもっとやって下さいおながいします。
65 ◆H676uvqZmA :2008/09/21(日) 23:39:39 ID:EOmPlZHL
□ 読んで下さった方々ありがとうございます。
□ この度は貴重なご意見、ご協力心より感謝いたします。

改行なし:PCだと文章が横に長くなって読みにくい。
改行あり:携帯などで変なところで切れる。
いろいろ見て回った結果、どちらにも不具合があり、意見も様々なので悩みますね。
基本、紙と同じ規則・段落ありですが、文節で改行・段落で空白行挿入など、
ご意見を参考に読みやすいものを目指します。

一括でのお礼・長文申し訳ないです。どこかでお会いした際はどうぞよしなに。

・上記外のことへのレスです。(わかりにくいものを投下してすみません)
練習スレのものが時間軸的に中間へ入ります。
BeforeからAfterの連続性はそれによって生まれます。
66名無しさん@ピンキー:2008/09/22(月) 10:18:38 ID:D90BBp8e
BとかAって何?って思っていたけどそういうことかー。

ところでどんな幼なじみが好み?
俺はツンデレだけど他人にはツンしない幼なじみ。
67名無しさん@ピンキー:2008/09/22(月) 10:45:30 ID:8H0KW6QA
俺も題名がイマイチ分からなかったが、>>65で理解した。
色々とセンスありすぎ

>>66
SS的にはちょい甘え気味な感じが好きかな
もちろんツンデレもいいけど
68名無しさん@ピンキー:2008/09/22(月) 11:58:34 ID:v3jjxTVx
>>66

俺は主人公だけにやたらお節介な幼なじみとか?男嫌いだけど自分だけ平気で頼ってくる幼なじみとかが好みかも
69名無しさん@ピンキー:2008/09/22(月) 12:26:28 ID:csRLw9hS
基本豪快で、主人公をぼこすか殴るタイプ。
殴られるのは主人公だけとかある意味独占状態ですよ!?
70名無しさん@ピンキー:2008/09/22(月) 12:50:19 ID:9vkHyPLd
オレも幼なじみにのみツンデレがいいかな。ツンのレベルは幅広く
そして大概どちらかは必ず優秀なのだ
71名無しさん@ピンキー:2008/09/22(月) 13:03:09 ID:OV0r9Q7n
>>65の人GJです
練習の方も見てきたよ
次回作も期待して待つ
72名無しさん@ピンキー:2008/09/22(月) 17:05:06 ID:+hOLuXOV
>>66
俺は甘えん坊なほうがいい。
で、忘れちゃいかんのが「王道型」ね。
73:2008/09/22(月) 18:23:30 ID:v3jjxTVx
みんなそれぞれ幼なじみとは言っても様々な好みがあるんだな……

そんな事を感じつつ投下。【君の元へと】エロ無しですいません。
74:2008/09/22(月) 18:25:07 ID:v3jjxTVx

かつて俺の隣にいた少女を、俺はテレビ画面から見つめていた。
彼女の名前は美空雫(みそらしずく)。今をときめく
トップアイドルである。そんな彼女と俺、橘翔平との関係は_
幼馴染兼、恋人”だった”。

・・・・・・
75:2008/09/22(月) 18:28:19 ID:v3jjxTVx

それは紅葉できれいな秋の季節だった。いつものように
一緒に帰宅していたところ、急に雫は立ち止まった。
どうしたのだろうか?
そう思った俺は立ち止まり、雫が来るのを待っていた。
静かな時間が流れ、雫はやっと一言だけ、ぼそりと呟いた。

「...好き......」


俺たちはずっと一緒に入れることを信じて疑わなかった。

・・・・・・

そんなある日、俺たちが二人で街を歩いていると一人の
男に声をかけられた。その男は名刺を出し、雫に見せる。
どうやら芸能スカウトらしい。雫は戸惑っていたが、俺は
雫が芸能界にあこがれていることは知っていたし、
このまま俺と付き合って夢を潰してほしくない。
そう考えた俺は雫を説得し、やがて雫は芸能人、つまりは
アイドルと呼ばれる存在になった。

・・・・・・

それから俺たちの生活は変わった。雫は瞬く間に頭角を現し、

一気に人気アイドルとしての道を駆け上がっていった。
学校にも来なくなり、会う機会も極端に減った。
しかし、会えないまでも電話やメールはずっと続けていた。
電話やメールが、会えない俺たちを唯一繋ぐものだったから。
76:2008/09/22(月) 18:29:27 ID:v3jjxTVx

でもそんなある日に俺の携帯に
雫の芸能事務所の社長から着信がきた。
そこで俺は様々な事を言われた。雫にとって君の存在は邪魔だ。
もしばれたら、人気アイドルがどうなるかわかるよね?
など。つまりは雫と別れろ。と言いたいのだろう。
それから俺は考えた。どうするのが雫にとってプラスなのかを。



そして三日後、俺は雫に別れを告げた_。

・・・・・・

77:2008/09/22(月) 18:30:33 ID:v3jjxTVx

あの後俺は携帯を変えた。雫との繋がりを一切断ち切りたかった。
しかし別れを告げた日から一週間後の日曜日、
自宅に一本の電話が来て、俺は出た。

「もしもし?橘ですけど」

すると何もしゃべらない。
俺は無言電話かと思い電話を切ろうと_

「......翔平?」

愛しい彼女の声が聞こえた。

「雫...」

驚いた。俺が一方的に別れを告げたのにまさか家に
電話をかけてくるとは...

「今日の午後二時に8チャンネル。」

「は?」

何を言われるかと思ったがいきなりテレビの話で、
しかもそれは雫の初主演ドラマの記者会見のチャンネルだった。

「...見てね?」

雫はそういうと不安そうに電話を切った。

・・・・・・

俺は雫の電話を受け、8チャンネルをかけて見始める。
まずは脇役の数人のインタビューから始まり、そしてとうとう
雫の番になった。

「美空さん。今回主役に抜擢されたことについて
どう思いますか?」

「初の主演ドラマですが自信の程はいかがですか?」

等、記者たちの質問が飛び交う。
そんななか雫はいきなり頭を下げ、言った。

78:2008/09/22(月) 18:31:44 ID:v3jjxTVx

「申し訳ありません。今回のドラマの主役、降ろさせてもらいたいと思います。...それと、
この場を借りて引退を表明させていただきたいと思います。」

雫がそう言った途端、会場が静まり返り、そして数秒後、
ざわめきと怒声が会場を包んだ。
雫のマネージャーであろう人はまったく知らされていなかったらしく、おろおろと慌てている。
事務所の社長であろう人は「すいません!!
記者会見を中止させていただきます!!」と大声で叫んでいる。記者たちは理由などを一斉に聞いている。
会場はパニックに包まれていた。
そんな中、雫は落ち着いた声で言った。

「夢にも...優先順位があると思うんです。」

いつのまにか俺は息をすることも忘れ、見入っていた。

「確かに芸能界で成功することは私の夢でした。
...二番目の。」

79:2008/09/22(月) 18:33:27 ID:v3jjxTVx


記者たちは騒がしく、表紙書き換えだ!やスクープだという
声を上げている。社長やマネージャーは懸命に記者会見を
終わらせようとしているが無駄だろう。それでも雫は
理由を説明しようと言葉を続けた。

「...理由を説明する前に、昔話をしようと思います。
私には昔から好きな人がいます。いつから好きだったのかは
わかりません。でも気持ちに気づいたのは
小学生二年生のころでしょうか?それから私は必死でした。なんとか彼に振り向いてもらおうと。一生懸命尽くしました。
そしてつい先日に、とうとう実りました。とても嬉しかった。
それから一ヶ月たったあたりからでしょうか?
今の事務所にスカウトされたんです。」

もはや会場は雫の話を聞き入っていた。先ほどまでの
騒ぎが嘘のようにみんな雫に耳を傾けている。
終わらせようとしていた社長やマネージャーでさえも。

「スカウトされてからは充実していました。
二番目の夢の芸能活動、そして...、もうお分かりでしょう。
一番の夢だった彼と付き合っていた日々が。しかし、
そんな生活も長続きはしませんでした。

事務所の社長が彼に私の迷惑だから別れろ、
と言っていたのを聞いてしまったんです。
そしたら彼は私の迷惑になると思ったんでしょうね...。
私は別れを告げられました。とても、とても悲しかった。
でもその時に気づいたんです。私は誰の為に芸能活動を
していたのかを。」

雫...

80:2008/09/22(月) 18:35:48 ID:v3jjxTVx

「私は綺麗な自分を彼に見てほしかった。どんどん綺麗に
なっていく私を見せて、綺麗だよって言ってほしかった。
そして...私が彼を好きだって知ってほしかった。」

...もはや言葉が出なかった。それと同時に後悔した。
なんでこんないい娘を手放そうと思ってしまったのだろうと。

「...これからはそんな自分を彼、翔平にだけ
見せたいと思います。だから...もう芸能活動はできません。
申し訳ありませんでした。この記者会見に来ている皆様、
ドラマの監督や関係者、共演者、事務所の方々には
深くお詫びを申し上げます。」

そう言って彼女は深く頭を下げた。そして最後にこういった。

「翔平、見てる?私はこんなにもあなたが好きだよ。
今も翔平が私を好きでいてくれるんだったら...、
私があなたに告白したあの場所へ来てください。
...失礼しました。」

そういって彼女は会場から出て行った。
会場はざわめきが収まらない。そして何秒かたった後に
画面が切り替わり、美空雫、電撃引退!というニュースが
始まった。

俺はその瞬間に気づいた。こんなところでこうしている
場合ではない。俺は瞬時に着替え、一番愛しい君の元へと
向かった_。

・・・・・・

81:2008/09/22(月) 18:37:08 ID:v3jjxTVx

俺が息を切らせ、全速力でそこに駆けつけたとき、
すでに雫はそこで待っていた。

「来て...くれたんだね」

「...はぁ...はぁ...当たり前...だろ?」

俺がそういうと、雫は涙を零した。

「...うん。ありがとぉ...」

「馬鹿!感謝するのは俺だよ。ありがとな...、雫」

そういい、俺は雫を抱きしめた。

「...もう二度と触れられないかと思った。」

「...ごめん」

「携帯も変えられて、別れようって言われて...
嫌われたかと思った。」

「...ごめん」

「とってもとっても悲しかった。」

「…ごめん」

「…罰として、もう二度と離してやらない。」

「…それ俺はのセリフだ。もう絶対に離さないからな。
覚悟しろよ?」

「…っ…、…うんっ!」

そういって俺たちは唇を重ねた。

もう絶対に雫を見失ったり手放したりしない。

だって何よりも大切な人が

今俺の腕の中にいるのだから___。


〜fin〜




82:2008/09/22(月) 18:39:49 ID:v3jjxTVx
以上です。誤字脱字があったらすみません。

あと一つ思うんですが…幼なじみに絶対必要なのはどんなタイプであろうが幼なじみは主人公が好きでずっと一途に想っているのが最高だと思うんですが皆さんいかがですか?

83:2008/09/22(月) 18:42:17 ID:v3jjxTVx
一カ所ミス。

雫の「……好き………」の後。
いつも冗談などでそんな言葉は何度も聞いていた。しかし、今回は冗談などという雰囲気ではない。俺はびっくりしたが
少しの間を空け、言った。

「俺も...好きだ。」

そんな言葉から俺たち二人は始まった。
毎日毎日一緒にすごした。キスもしたし、一つにもなった。
84名無しさん@ピンキー:2008/09/22(月) 20:03:51 ID:AMQ0Xb4t
GJ!

一途に思い続けるってのにも色々あるとおもうけどな
・ずっと好きだったが関係を壊したくないために気持ちを隠し続けてきた
・昔からずっと変わらずに主人公とは0距離で接し続けてて、いつの間にか恋人同士に
とか

恋愛感情なしに、普通に親友みたいな間柄なのも個人的には結構好きだけどな


ひとつ質問
サイトから「tears」消えてるのは何故?
85名無しさん@ピンキー:2008/09/22(月) 20:08:45 ID:rCEV8TBG
   /.   ノ、i.|i     、、         ヽ
  i    | ミ.\ヾヽ、___ヾヽヾ        |
  |   i 、ヽ_ヽ、_i  , / `__,;―'彡-i     |
  i  ,'i/ `,ニ=ミ`-、ヾ三''―-―' /    .|
   iイ | |' ;'((   ,;/ '~ ゛   ̄`;)" c ミ     i.
   .i i.| ' ,||  i| ._ _-i    ||:i   | r-、  ヽ、   /    /   /  | _|_ ― // ̄7l l _|_
   丿 `| ((  _゛_i__`'    (( ;   ノ// i |ヽi. _/|  _/|    /   |  |  ― / \/    |  ―――
  /    i ||  i` - -、` i    ノノ  'i /ヽ | ヽ     |    |  /    |   丿 _/  /     丿
  'ノ  .. i ))  '--、_`7   ((   , 'i ノノ  ヽ
 ノ     Y  `--  "    ))  ノ ""i    ヽ
      ノヽ、       ノノ  _/   i     \
     /ヽ ヽヽ、___,;//--'";;"  ,/ヽ、    ヾヽ
86:2008/09/22(月) 20:12:11 ID:v3jjxTVx
>>88tearsはモバゲーに移動させた
87名無しさん@ピンキー:2008/09/22(月) 21:14:09 ID:AMQ0Xb4t
移転先教えてください
88名無しさん@ピンキー:2008/09/22(月) 22:31:38 ID:+hOLuXOV
>>86
88に期待





...俺じゃねえか
89:2008/09/22(月) 23:48:29 ID:v3jjxTVx
ミスったwサーセンwww

移転先。
http://creanovel.mbga.jp/.m136de4/_novel_view?li=m01&w=8785593

まだ閲覧数少ねぇ…
90名無しさん@ピンキー:2008/09/23(火) 01:45:05 ID:6SnAFe0t
( ;∀;)イイハナシダナー
91名無しさん@ピンキー:2008/09/23(火) 15:03:00 ID:Z7sbuVtW
>>90
え?w
92名無しさん@ピンキー:2008/09/23(火) 23:22:49 ID:NISnE6tL
>>89
d
93名無しさん@ピンキー:2008/09/24(水) 15:13:37 ID:HYIhO4/K
>>89
イラナイ
94名無しさん@ピンキー:2008/09/25(木) 02:00:31 ID:l2DpZmnY
そして誰もいなくなった…
95名無しさん@ピンキー:2008/09/25(木) 02:12:51 ID:Kb3fRohc
>>94
いや、まだ俺がいる
96名無しさん@ピンキー:2008/09/25(木) 02:17:37 ID:wiM/CsAH
オレモイル
97名無しさん@ピンキー:2008/09/25(木) 03:17:23 ID:l2DpZmnY
なんだ。みんな投下待ちか…
98名無しさん@ピンキー:2008/09/25(木) 09:25:28 ID:AsoMmuk+
職人さんのネタになるかもしれないしおすすめ幼なじみソングは?
俺はスピッツの「仲良し」だな
しかし失恋の歌で切ないし他の知りたい

>>65の人の主人公がまさにこんなんでびっくりした
99名無しさん@ピンキー:2008/09/25(木) 10:13:38 ID:B/hKXMol
保守age

小ネタ投下↓
100名無しさん@ピンキー:2008/09/25(木) 10:14:43 ID:B/hKXMol
廊下からパタパタと足音がする。
(やっぱ心配させちゃったかな・・・・悪い事したな)
医師に包帯を巻いてもらいながら、恭介はこれから起こることに苦笑した。

バン!

「キョウ!もう手遅れなの!?」
恭介の予想通り、幼馴染みの凛が息をあげて診療室に入ってきた。
いきなり命の心配かよ、と予想通りの展開に更に苦笑いが込み上がる。
医者の方も微笑んでいる。
「勝手に殺すなよ。左手にヒビが入っただけだよ」
巻き終わった左手を見せると、凛は一気に脱力する――――
と、恭介は思っていたのだが、
「この―――」
「・・・・?」
凛が震え始める。それが怒りだと解った瞬間恭介は青ざめた。
「ま、待て!おちつ・・・」
「バカバカバカー!!!勝手に心配させてー!恭介の大バカー!!!!」
「わっ、やめろ凛!とりあえず投げるのやめろ!ハサミは投げるな!」
包帯やらテープやら弾幕に事故以上の恐怖を抱きながら恭介は叫んだ。
医者の微笑みは、もはやひきつっていた。
101名無しさん@ピンキー:2008/09/25(木) 10:16:24 ID:B/hKXMol
「今度こそ死ぬかと思ったぞ・・・・」
「・・・ゴメン」
病院を出た二人は街を歩いていた。
「・・・・その」
「なに?」
「・・・・別に」
「・・・・なんだよ」
もっとも恭介は凛の言いたい事の予想はついていた。
十年以上の付き合いは伊達ではない
再び凛が口を開く。
「・・・・急いでくれてたんだよね?」
「あー、うん。早く凛に会いたかったし」
「バ、バカ!だからって事故起こさないでよね!」
顔を仄かに朱にしながら顔を背ける。
「凄く心配したんだから・・・もし、もしキョウが死んじゃったら・・・」
だんだん凛の声が震えていく。
(・・・・ったく、ツンデレは好きじゃない筈だったのにな)
またしても恭介は苦笑したが、それを隠して凛の肩で腕を回した。
「大丈夫。左手なら支障は大してない。俺は帰宅部だし。それに・・・」
「・・・・」
一瞬ためらったが、そのまま続ける。
「俺は凛を置いて勝手に死にはしないから安心しろ」
「・・・・バカ」
うるんだ眼を見せながら、それでいて綺麗な凛の顔に
恭介は愛しさを覚え・・・少し悪戯心も生まれた。
「あー、でもあれだ。一つ困りそうだな」
「・・・?」
「片手じゃお前の胸、揉みきれないな」
「・・・!!」
みるみる凛の顔が真っ赤になる。
ニヤリと笑い、恭介は更に続ける。
「お前好きだもんなー、胸いじられるの。すぐに・・・・」
「こんの大バカヤロー!!!キョウなんか死んじゃえー!!!!」
恭介の足を思いきり降んで、全力で走っていった。
痛みに耐えながらも
(そっちはいつものホテルへの道だろうが・・・)
と、本日4回目の苦笑を浮かべながら、
恭介は愛しき幼馴染みを追いかけた―――
102名無しさん@ピンキー:2008/09/25(木) 10:20:07 ID:B/hKXMol
投下終了

初投下だが、俺文才無いな………
そもそも幼馴染み要素が少なすぎorz
103名無しさん@ピンキー:2008/09/25(木) 10:31:19 ID:9hHXz3LE
ふ、ふん!ぜんぜんにやけてなんかないんだからねっ!
104名無しさん@ピンキー:2008/09/25(木) 10:52:07 ID:AsoMmuk+
べっ別にきゅんきゅんなんかしてないんだから!
105名無しさん@ピンキー:2008/09/25(木) 10:54:33 ID:YYjmRfCH
(・∀・)キュンキュン!
106名無しさん@ピンキー:2008/09/25(木) 12:10:23 ID:l2DpZmnY
お前らツンデレ好きだなw
107名無しさん@ピンキー:2008/09/25(木) 22:11:10 ID:Kb3fRohc
ニヤニヤが止まらぬ

>>98
仲良しあげようとして上げられてたw
足の指っていいよね!
108 ◆9fxcNmN64c :2008/09/26(金) 01:02:20 ID:Ef0PmsnA
すいません、流れを読まずに投下。
とある田舎に住んでいる幼なじみのお話
109 ◆9fxcNmN64c :2008/09/26(金) 01:04:41 ID:Ef0PmsnA
隣で考え事して歩いているのは宮野恭平、それを横目に見て機嫌が悪くなっているのは
私、宮野和歌子。

恭平とは遠縁のいとこって関係、いとこだから同じ姓かってーと、そういうわけでもない、
私の生まれ育ったこの地区は宮野姓がやたら多いってだけ。
恭平の家は、早くにお母さんを亡くしていたせいで、恭平が小学校へ上がるのをきっかけに、
環境のいいお父さんの実家に引っ越してきたのだそうだ。で、うちは遠縁とはいえ親戚なんで、
家族ぐるみでのお付き合い。

恭平が家でご飯を食べていくことなんてざらにあったし、歳を取って出かけるのが億九な家の
親に代わって、恭平のお父さんに色々なところへ遊びに連れて行って貰ったりもした。
私は、近くに近い年の子がいなかったから、自然と遊んだ回数が多かったってだけのこと。

…そりゃ、今考えるとあんまり女の子らしい遊びじゃなかったなと思ったりするけれど。
お日様神社で隠れんぼとか、飼い犬のシロを連れて裏山探検とか、ふもとの小川で魚釣りとか、
お陰で運動能力はずいぶん鍛えられまして、スポーツ全般得意になっちゃった。

そんなこんなで、小学校、中学校と一緒に来て、高校も同じく隣の市の進学校に進んだ。
私も恭平も親からは同じ県内の国立学校に行ってくれって頼まれているって事は、大学も
一緒になるかも。
まぁ、大学は受かることが出来たらって事なんだけれどね。そのために今は色々頑張って
いるところ。

でも、ここまで一緒だと流石に呆れてしまう腐れ縁だ。
110 ◆9fxcNmN64c :2008/09/26(金) 01:06:51 ID:Ef0PmsnA
だからといって、別に私が朝恭平の家に行って起こして一緒に登校ってなんてベタな関係では
ありませんから。あしからず。
…まぁ私の方が何時もギリギリで駅に向かってダッシュしているせいだから何だけれどね。

こういうと「がさつな女」って印象もたれるかもしれないけれど、私だって、年頃になってお洒落
には気を遣うようになっているし、化粧も覚えた、美人は得をするって思うし、そのためには努力
もしなきゃと。

自分でいうのも何だけれど、実際私は美人な方だと思ってる。
そりゃ街歩いていたらスカウトされたりなんてする訳じゃないけれど、それなりに猫もかぶって
いるから男子からの人気はあるみたい。告白は何度もされてきたし、内申書の点数稼ぎで
生徒会に入ったら、なぜか副会長に推薦されてなったりもしたしね。

恭平とは男女交際ではなく、やっぱりあくまで幼なじみの関係。
暇な時は恭平の家に押し掛けていって、お菓子食べたり、ビデオ見たり、ゲームやったり、
勉強したり…。
一見恋人同士のつきあいに見えるかもしれないけれど、やっぱりこれは男女交際ではないと
思ってる。
だってもし互いが同性であっても同じ事してるんじゃないかな。
甘い雰囲気になることもないし…。

そんなこんなで、恭平とはこんな関係がずっと続くものだと思っていた。
いや、あえて本音を言えば「ずっと続いて欲しかった」。気の置けない友人として、猫かぶらない
で素の私が出せる相手として、恭平にはずっと隣にいて欲しかったのだ。

 * * *

今日、恭平が告白されたらしい。
相手は恭平の所属している美術部の後輩、加奈子ちゃん。私から見てもかわいいと思える子だ。
ちっちゃくて、女の子らしくて、ころころ笑って、一生懸命で、保護欲を掻きたてるような、そんな子。
111 ◆9fxcNmN64c :2008/09/26(金) 01:08:04 ID:Ef0PmsnA
「いーじゃん、つきあっちゃえば」
なんか面白くない。そんな心を隠してからかうような口調で言う。
「こんな機会もう2度と無いかもよ、恭平が告られるなんて」
「簡単に言うなよ」
意外とまじめな恭平の声に顔を向ける。
「それに、もしつきあったら和歌子、お前家に来ること禁止になるぞ」
「えっ、なんでよ」
それは困る、これから親から隠れてどこでお菓子食べればいいってのよっ…って問題は
そこじゃないけれど。

「あのなぁ、逆の立場で考えて見ろよ。お前がつきあっている男がいくら友達だからって
別な女の子を度々家に上げているような奴だったらどう思うよ」
想像してみる。想像上の相手は…恭平だ。恭平の家に見知らぬ女の子がやってきて、
私のポジションをとってしまう。そんな想像。

「う、たしかに嫌かも…」
「だろ」
自分の想像に自己嫌悪、なんで恭平なのよ。

「俺さぁ、今回告白されて思ったんだ、告白ってすげー勇気がいるって事」
「ふうん」
「いつもころころ笑っているあいつが、顔真っ赤にしてふるふる震えながらこの手紙受け
取ってくださいって…」

なんかイライラして言葉を遮る。
「なに、もて自慢?」
「違うよ、こんなに一生懸命の告白には、やっぱり一生懸命答えたいって」
「それって…つきあうってこと?」
恭平が、他の子とつきあう?今更、私を残して?…ん?私を残して?

「いや、俺も勇気出さなきゃないかなってこと」
恭平が立ち止まる。何事かと私も足を止める。
112 ◆9fxcNmN64c :2008/09/26(金) 01:09:48 ID:Ef0PmsnA
「和歌子、お前が好きだ、ずっと前から…」
「へ?」

なになになに、恭平?なにこの急展開?
「お前が告白される度に、俺はもういつもどうにかなりそうだったんだ。でも、今の関係が
良すぎて、この関係の変化するのが怖くてずっと言えなかった」

「ちょっ、ちょっと恭へ…」
「和歌子、俺とつきあってくれないか?」

がつんと言う衝撃、頭が真っ白になってなにも言えなくなる。
「お前が告白されても断っているのは、俺が居たからだというのが思い上がりの勘違いって
言うんだったら言ってくれ」
「そ、それは…」

しどろもどろに言葉を紡いでもその続きが出てこない。長い時間がたった。
恭平の静かな声。
「どうなんだ」

だめだ、降参。そうです、そのとおりです。恭平、アンタが居たからだよ。
「…うん、恭平が居たから断ってた…」
恭平、私もずっと好きだった。でも好きって思わないことにしていた。
理由は恭平と同じ、関係が壊れるのが怖かったから。

「ふぅ…」
恭平が力を抜いてガードレールに腰をかける。
「勝算があったとはいえ、すげー緊張した」
なんだと、勝算があっただと?おい。
「なにそれ、計算ずくってこと?」
「ははは、六四くらいには、って自惚れていたんだけれど、うれしいよ和歌子」
笑顔の恭平を見てられなくなって思わず背中を向ける。
顔が真っ赤になってるの何となく判る。こんな顔恭平に見られたくない。

「ふ、振られた時はあっさりその子とつきあうつもりだったんじゃない?計算高い奴ぅ!」
「そんなこと無いよ、悪いけれどこの話は断って、和歌子に振られた傷心を一人寂しく慰める
ことにしていたさ」
「ど、どうだか、判らないよね、そんなの」

恭平が近づいてくる気配がする。心臓が高鳴って爆発しそう。相手は恭平だよ、なんで今更
こんなになる必要があるってのよ。
113 ◆9fxcNmN64c :2008/09/26(金) 01:11:17 ID:Ef0PmsnA
「和歌子…」
肩を掴まれ振り向かされる。恭平の顔が目の前にあった。なんだ恭平も真っ赤になってる
じゃん。

「好きだ…ン」
突然キスされた。
キスキスキスゥ?こんな天下の往来で?突き飛ばそうとしても力が入らない。
唇が触れ合うだけの軽いキス、でも、たぶん忘れることが出来ないであろう私のファースト
キス。
不覚にも状況に流されキスに酔っている自分が居た。

ブォォォォォ…

車が通り走り去る音で我に返る。
「ひょ、ひょうへひ!ぷはっ、あんたなに考えてんの?こんな往来でっ!」
キスする恭平を無理矢理引きはがす。
「誰もいないよ、車なんかはすぐいっちゃうし」

なにしれっと言ってるの?コレも計算尽く?危ない奴め。
「黙れ変質者!だ、誰も見てなきゃいいってもんじゃないでしょっ!」
「変質者はひどいな、和歌子だってその気になってくれたじゃ…」

ぷはっ、思わず吹き出す。
「なってません!うぅ、私はこんな変態と共に過ごしていたのか、よく今まで貞操が守れた
ものよね。それにしても好きな人がこんな変態だったなんて私可哀想!」
「好きな人に変態変態と詰られてる俺可哀想…」
「もう口開くなっ!いいわ、いいでしょう、これからアンタん家に行って、洗いざらい話して
貰うからね、いつから私を好きになったのか、どういうところが好きなのかをねっ」

私は相当目を据わらせて恭平に詰め寄っているようだ。恭平の顔が青ざめていく。
「うわぁ、俺そういうの苦手っぽいんだけれど、好きなら好きで良くない?」
「良くないっ!今後のつきあい方も考えなくちゃ危うくてやってられないわ」
「今まで十年以上積み重ねた信頼関係は…」
「さっきのキスで吹っ飛びましたっ!」

ははは、なんだ、なんにも変わらないじゃない。
そっか、お互いとっくの昔に好きになっていたんだもの、変わるわけがなかったんだ。

ごめんね、加奈子ちゃん。
恭平はずっと前から猫っかぶりでわがままでかわいくない女に夢中だったみたい。
私も朴訥なわりに気が利いて優しい恭平に夢中であったことを気づかされました。

とりあえず恭平の家に行ったらキスをしよう。
ゆっくり思い出に残るような優しい恭平とのセカンドキスを。
114 ◆9fxcNmN64c :2008/09/26(金) 01:12:59 ID:Ef0PmsnA
以上です。
続きの濡れ場はあるのかどうか…

環境は整っている分、書きやすいとは思うけれどね。
それではまた。
115名無しさん@ピンキー:2008/09/26(金) 02:15:58 ID:35NJfuTW
GJ!まあ、難しいなら無理に濡れ場は書かなくても…
保管庫にもそういう作品、結構あるし。俺は幼馴染み分を補給するためにこのスレに立ち寄ってるしなw
116名無しさん@ピンキー:2008/09/26(金) 02:20:59 ID:3N/qg3Q8
GJ!

>>114てかその後家で和歌子が恭平に食われるんですね。分かります。

あと欲を言えば加奈子ちゃんの出番が個人的には欲しかった。
117名無しさん@ピンキー:2008/09/26(金) 11:21:18 ID:RdNk5uGz
傷心の加奈子ちゃんを下心一切なしで慰めるお兄ちゃん的幼馴染み
といい感じになるんですかわかりません。
118名無しさん@ピンキー:2008/09/27(土) 01:32:08 ID:3Udm93Uo
ぐっじょー!
やはり恋の玉突き事故(?)は幼馴染みモノにあいますな
続きを正座してお待ちします
119名無しさん@ピンキー:2008/09/29(月) 18:04:10 ID:i9wA35OQ
全裸で胡座をかきお待ちしております
120名無しさん@ピンキー:2008/09/30(火) 00:10:26 ID:xtDwx5co
ん?
胡座とははじめてきいた

参考までに教えてくれ
何派だ?
121名無しさん@ピンキー:2008/09/30(火) 02:27:21 ID:QFbF3tTy
>>120へ。胡座はただの胡座(あぐら)だ。変換してみれ
122名無しさん@ピンキー:2008/09/30(火) 05:17:35 ID:xtDwx5co
>>121
いや、「あぐら」と読むのは知っている
全裸で待つ流儀として、正座といすに座る以外が初めてだったのでな

男性より女性が望ましいな
123名無しさん@ピンキー:2008/09/30(火) 08:37:56 ID:QFbF3tTy
悪いが男だ。流儀は自己流といったところか…
124名無しさん@ピンキー:2008/09/30(火) 09:48:15 ID:hsjx1bIV
じゃあ俺は結跏趺坐して待つぜ
125名無しさん@ピンキー:2008/09/30(火) 17:43:16 ID:/NcOflaI
ぬ?わが故郷(くに)では三点倒立が基本だったのだが…
126名無しさん@ピンキー:2008/09/30(火) 22:52:01 ID:ZYMwbFXl
空中胡座ができるように修行してくるよ
127名無しさん@ピンキー:2008/09/30(火) 23:10:36 ID:CDjuk2Gt
お前らの全裸の格好など激しくどうでもいい。
幼馴染の話をしろ。
128 ◆H676uvqZmA :2008/09/30(火) 23:44:29 ID:sBYohPKs
じゃあ自分はヨガのアシカのポーズで待ちますね。お邪魔します。
肌寒くなってきたので少し季節を先取りした話です。暇つぶしにどうぞ。
・内容:小ネタ エロなし(いつもすみません)
・使用レス数:4レス
・NGワード:タイトル/ 初恋談議
        トリ/  ◆H676uvqZmA

□ お詫び・注意 □
・投下を1レス 35〜50行×40(±2)字/単語改行/段落空行無 でおこないます。
環境によっては読みにくいこともあるかと思います。すみません。

人物紹介
・中原純太:SS中で名前が1回しか漢字表記されていない不憫な子
・松下夏実:女の子は甘いものとわがままと少女漫画でできています
・かず兄:純太の兄/元悩みのタネ
・えみちゃん:純太の姉/生態不明
・山田:AT部顧問/真面目に生きろよ
129 ◆H676uvqZmA :2008/09/30(火) 23:45:02 ID:sBYohPKs
初恋談議 LとLの差異 【1/4】


 水音と調理器具同士がぶつかる音が響く家庭科室。俺は最後の泡だて器の水気を払い、
蛇口をひねる。なんとか必要数を集めた新AT部の活動第一回目が無事に終わり、
ほっと息をついた。お菓子作りに慣れない他のメンバーを先に帰らせて、俺と部長である
夏実の二人での片づけは意外と時間がかかり、外はもう真っ暗だ。
「おー、バカップルまだ残ってたのかー」
 ダルそうな声に視線をやると、顧問の山田がいつかみたいに教室を覗き込んでいる。
ぼんやりとそちらを見ていたせいで、夏実の手からは雫がポタポタ垂れてスカートが
濡れてしまっていた。寒くなってきているし、風邪でもひかれたらたまったもんじゃない。
冷えて赤くなった指先と制服をタオルで拭ってやりながら、山田に問いただす。
「バカップルって何んすか、センセイ」
「中原。お前って何気に大物だよ」
 どうして大物なのか。確かに夏実と付き合ってるから、カップルは否定しない。けれど、
馬鹿に関しては納得したくない。だって恥ずかしいあだ名で呼び合ったりしてないし。
こうした俺の主張は短く鼻で笑われて無かったことにされてしまった。
「センセーしてると、何組もお前らみたいに幼馴染で付き合ってるやつらみるんだわ。
けど、前から疑問だったことがあるんだよなぁ。ちょうどいいから、答えろ」
「職権濫用っていう言葉、知ってます?」
「何とでも言え」
 開き直りやがった。教師が生徒の恋愛事情に首突っ込むなよ。夏実も少しは否定なり
なんなりしてくんねぇかな。視線を投げると、両頬を手で押さえてヘラヘラしている。
……駄目だ。
「そんで、いつから松下のこと意識しだしたわけ? 何がきっかけなんだ? 今までは
家族みたいなもんだったんだろ?」
 山田はドラマのしつこい記者みたいな勢いで質問を繰り出してくる。いい加減、夏実も
助けてくれてもいいんじゃないか。もう一度、協力を求めて見下ろすと今度は期待に満ちた
瞳とぶつかった。
 何を期待してるんだろう。こいつは。
 正面には似たような目をした山田。二人の無意味に熱いまなざしを受けながら俺は
顎に手をやった。
「……あー、ノーコメントで」

■□■□■□■

130 ◆H676uvqZmA :2008/09/30(火) 23:45:34 ID:sBYohPKs
初恋談議 LとLの差異 【2/4】


■□■□■□■

 枯葉が舞う表とは対照的に、夏実の部屋は淡いオレンジなど柔らかい色で統一されていて、
いつも暖かいイメージだ。いつもは。けれど今日はどことなく冷え冷えとしているようなのは
気のせいじゃないはず。
 宿題を進める手を休めて、部活のまとめをする夏実を盗み見る。俺が教えて作った蜜柑の
ロールケーキのレシピや写真をブログにアップしている後ろ姿は普段と変わらない。
プラスチックのアクセサリーで留めた髪形とか。変わらないはずなんだけど。
「なぁ」
 声をかけると「何」と小さく返された。こっちを振り返る気配さえない。やっぱりしっかり
へそを曲げている。それとも怒ってるのか。どっちもか。
「蜜柑のロールケーキ、持って帰ってきた分食う?」
「いらない」
 ヤバイな。これはかなりのレベルだ。
 学校から帰ってくる間もずっとこうだった。でもさすがに甘いものを出せば機嫌を直すかと
思っていたんだけどな。
 ディスプレイに映る口元は尖っていて、不満をたっぷりため込んでいるのが手に取るように
わかる。原因以外は。いや、本当は予想がついてる。
「もう、終わったし、おわり。戻っていいよ。ばいばい」
 そう早口に言うやいなや、夏実はパソコンの電源を落とし、俺が広げていた教科書を
手早くまとめて押しつけた。俺の腕を引っ張って立ち上がらせようとする手を逆に取って、
胸に抱きとめる。
「きゃ、なにすんのっ?」
「どうしたんだよ」
 拘束を抜け出そうともがく夏実の文句を無視して問いかけた。長年一番近くにいたんだ。
朧げにはわかるけど、ちゃんと知りたい。前みたいに勝手に判断したっていいことはないから。
 苦しそうな声をあげるから少しだけ囲いを緩める。眉間にしわ寄せた横顔が見えて、
あっという間に背を向けられてしまった。夏実は許された行動範囲ぎりぎりの、俺の脚の間で
ひよこみたいに小さく体育座りをする。その襟足を指で宥めるようにゆっくりゆっくりなぞる。
 だんまりを決め込んでいたけれど、あまりに俺がしつこかったからだろう。せめてもの
抵抗か、額を立てた膝にくっつけて「答えなかった……」と呟いた。
 やっぱりそういうことか。山田の質問を答えなかったことが原因。
「別に山田の質問なんてどうだっていいだろ」
「聞きたかったんだもん」
「今、こうしてることが証拠だし」
「でも知りたいの」
 手強い。今回はなかなか根が深そうだ。
 きっかけや、理由なんて今に比べたら小さなことだと思う。それにもう、この気持ちと
長く一緒にいすぎて当たり前になりすぎて、説明なんてできない。だから答えろなんて
無理難題を突きつけられても困るんだ。
「そんなに言うなら、夏実はきっかけとか聞かれたら答えられるのかよ?」
「られるよ!」
 ほんのりと赤く染まった耳を覗かせながら、はっきりと言い切った。

■□■□■□■

131 ◆H676uvqZmA :2008/09/30(火) 23:46:07 ID:sBYohPKs
初恋談議 LとLの差異 【3/4】


■□■□■□■

「まだ、小二だった頃、クラスの女の子の間で手作りお菓子をこーかんするの流行ったの
憶えてる?」
 そういえば、そんなこともあったような気もしなくもない。その時はクラスが違ったから、
はっきりしなくてあやふやなまま頷く。俺の様子に疑わしげにしているが、夏実は諦めたのか
再び話し始めた。
「その頃はまだ、ママは残業が多い部署にいて。私はちっちゃかったし、家で勝手に火を
使えなかったでしょ? 使えても一人じゃ作れないし、ママは忙しくて手伝ってくれなかった
だろーし……」
 そんなこともあって、夏実はよく家で夕飯を食ってた。俺の家も店をやってるから、
親父もお袋も帰りが遅い。だけど十二歳上の姉貴と十歳上の兄貴がいる。だから火も
使えたし、なにより寂しくなかった。親たちもそれをわかってたから、夏実と俺らを一緒に
過ごさせてたんだろう。
「そんなとき、誰だったか忘れちゃったけど男子が私に、言ったの。『お菓子も作れない
なんて結婚できねーぞ!』って」
「そこ、誰だったか思い出せ」
「いーから! でね、悔しくってすっごく悔しくって。クッキー作ろうってじゅんたの家の
キッチン借りて練習したの。でもやっぱりうまくできなくてさー。助けてほしくてえみちゃん
探したけど、いなくて。かず兄にはクッキーは無理ってさじ投げられるし。とうとう私、
泣きだしちゃったの」
 恥ずかしくなったのか、また夏実は顔を膝に埋めてしまう。
「どれくらいそーしてたかな? 気がついたらじゅんたが入口のとこでオロオロしてた。
じゅんたって変なとこでタイミングいーよね。知らないうちに私のこと見ててくれるの。
それで、そばにきて『手伝うよ』って言ってくれたんだよ」
 ここまできて、俺もようやく思い出してきた。友達と遊び疲れて、おやつを食べに帰ったら
ゴムべらを持って泣いてる夏実がいてパニックになったんだ。昔も今も俺は泣いている
夏実に弱い。
「でも、私、意地になってて。せっかく助けてくれるって言ってくれてるのに、いらないって
突っぱねたの。そんな態度なのに、じゅんたは頭なでてくれて『夏実はがんばってるんだから、
だいじょーぶ。いいんだ』って笑ったんだよ。嬉しくて、ますます泣いちゃった」
 せっかく泣きやんだと思ったのにボロボロ涙を零す姿にお手上げ状態になったんだっけ。
どうにか落ち着かせて、二人で片づけをして一から作り直した。俺がタネを作って夏実が型で
くり抜いたり、焼きあがったものにチョコレートをつけたりしたんだ。
「作りながら、お嫁さんになれないー! って話したらね……じゅんた何て答えたか憶えて
ないでしょ? こう言ったんだよ『助けあうのが夫婦なんだって、とーさん言ってた。夏実が
できないなら、旦那さんが作ればいいんだよ。俺みたいに作れる人と結婚すればいいんだよ』
ってね」

132 ◆H676uvqZmA :2008/09/30(火) 23:46:40 ID:sBYohPKs
初恋談議 LとLの差異 【4/4】


「……言ったような」
 夏実がこっちを向いてなくてよかった。すっげぇ恥ずかしい。よくそんなこと言っておいて
忘れていられたな。自分のことながら感心する。
 俺の腕に頭を預けて、なおも夏実は続けた。
「言ったんだよ。ふふっ。じゅんたは自然といつも私を見てくれてるから。……出来上がった
クッキーを詰めながら『じゅんたみたいな人じゃなくて、じゅんたがいいな』って呟いたら、
じゅんたったらすぐに『いいよ』ってうなずいちゃうんだもん。不安になっちゃって。何度も
『やくそく?』って聞くたびに何度でも同じように返してくれた」
 もう勘弁して下さい。そう言いたかったけど、話す夏実の声がわた飴みたいにやわらかくて、
甘くって、もっと聞いていたい気持ちとで揺れる。さらにふわふわ、言葉は続く。

「そのときからずっと、誰よりも、すきだよ。一番、大切なの」

 幸せすぎると、人間って言葉がでないことを、今、知った。
 胸のあたりから、何かが広がっていく。
「だから、じゅんたの苦手なことがんばろうって決心して、算数でしょ、理科でしょ……今は
数学と化学と物理、ぜーんぶがんばった。かず兄に教えてもらったりして。補い合うために。
じゅんたは気付いてくれなかったけど」
 ああ、マズイ。泣きそうだ。「まして、それを理由にとんでもない勘違いしやがったし?」
と茶化すので精いっぱいだ。こんなに想ってくれてたのに、俺って本当に馬鹿だな。
よりにもよって兄貴のこと好きだと考えてたなんて。
「そうだよ。びっくりしたんだから! 許してあげるけどねっ。だから、知りたいじゃん。
よけーに聞きたいの。私、ちゃんと答えられたよ。ね、じゅんた、ねぇ」
 俺がそうしたように、夏実の細い指が腕を繰り返しなぞる。その指を掴んで口づけた。
頭を抱えるようにして撫でる。しばらくそうしてから、俺はゆっくりと話し始めた。
 外では枯葉を落とす冷たい風が吹いている。
「いつからとか、わからない。だけど、他人、家族に対して感じるのとは違うってこと
だけは言える。この気持ちは俺が俺であるのと同じぐらいだって言えばわかる? 多分、
そんなこと考える前からなんだよ、夏実。気づいたらそうだった」
「うん」
「ただ、一つ言えるなら……」
 言葉を迷わせた俺を夏実が振り返ろうとする。どうしても絶対に赤くなっている顔を
見られたくなくて、それを押しとどめて夏実の匂いを吸い込んだ。
「――俺もずっと、なんでも頑張る夏実が好きなんだ。できなくても、かわりに何が
できるかって考えて、頑張るところ。あきらめないところ」
「そっか」
「ああ」
 相変わらず窓の向こうは寒そうだけど、俺の腕の中には笑い声とぬくもりがある。
 いろんなものに対する「好き」と、恋愛感情の「好き」の境界はとても曖昧で、
区切りなんて付けられない。けれど俺らの間には両方ともあって、たしかにあって。
 もし違いをあげるなら、育ち続けて留まることを知らないことだ。


END
133 ◆H676uvqZmA :2008/09/30(火) 23:49:18 ID:sBYohPKs
お邪魔しました。
来月も良い幼馴染が豊作でありますように。
134名無しさん@ピンキー:2008/10/01(水) 00:18:20 ID:pj01oArs
一番槍GJ!
「L」ikeと「L」oveの差違って訳ですね。
唐突に発せられる、何時どうなって好きになったかって質問には、
男はホントに答えられないよね。

過ぎゆくなるを見送るにはいい短編デスなぁ。
135名無しさん@ピンキー:2008/10/01(水) 00:20:06 ID:7DqnM6pn
>>133
相変わらずgj
136名無しさん@ピンキー:2008/10/01(水) 21:35:58 ID:xH6kTtIW
これは良い幼馴染
137名無しさん@ピンキー:2008/10/01(水) 23:19:21 ID:8pJ/EtrK
いい感じだぜ……!
138名無しさん@ピンキー:2008/10/02(木) 00:49:02 ID:n+0v6b17
練習スレと両方読めば二度おいしい
139名無しさん@ピンキー:2008/10/02(木) 12:29:23 ID:J9EYI0rw
ロールケーキ食いたくなった
140 ◆9fxcNmN64c :2008/10/03(金) 00:03:28 ID:1U0XXtmB
やめて!そんな格好で待っていたらヒットポイントがゼロよ!

ってすみません。>>109-113の続きです。

主人公:宮野恭平  ヒロイン:宮野和歌子

遠縁の親戚でとある田舎の近所同士、本日ついに告白して相思相愛だった
ってことが発覚したって設定です。

NGトリップ:◆9fxcNmN64c
141 ◆9fxcNmN64c :2008/10/03(金) 00:04:57 ID:1U0XXtmB
庭の畑で野良仕事している恭平のおじいちゃんへの挨拶もそこそこに、恭平の家に押し入り
部屋に押し込める。

勝手知ったる幼なじみの家。
勝手にベッドに座り込み尋問開始。
「さて、洗いざらい吐いて貰いましょうか」
「えぇ〜、勘弁してよ」

恭平はがっくりと椅子に手足を投げ出してもたれ掛かる。
なんだ貴様そのやる気のなさは!とても今日相思相愛が発覚したカップルの片割れとは
思えない。

「私が納得できないの!私がどんな思いで告白断ってきたかなんて分からないでしょうからね」
「あ、ああ、告白かぁ、俺が覚えてるのは、中3年の時サッカー部の高橋から告られていたろ?
あれが最初だよな。あのときには俺を意識してたって事でいいのかな?」
「な、なんで恭平が高橋君とのこと知っているのよ?」
「自慢してたじゃん」
「…そうでした…じゃなくって、今は恭平の話!」

恭平が、んーっと笑って天井を見上げ視線を逸らせた。
窓から入る夕日に照らされて、その整った顔を照らし出す陰影が、あんまり綺麗なんで、不覚
にも恭平に見とれてしまった。

「ずっと好きだったよ」
天井を向いていた恭平の顔がこちらを向く。
「っ!」

あまりにも静かに紡ぎ出されたその一言に私は言葉を失う。

−ずっと好きだったよ−
142 ◆9fxcNmN64c :2008/10/03(金) 00:06:21 ID:1U0XXtmB
なんか、頭の中で言葉が反響して涙が出そうになってくる。

こんなとこで泣いたら一生の恥!だけど、だけど…。
私も、恭平のことずっと好きだったんだ。ひ弱そうな外観からは想像出来ないくらい、芯の
通った強さを持っている恭平のことを。

恭平は続ける。
「母さん亡くして、こっちに引っ越してきて、誰も友達いなくて心細かった時、和歌子が俺の
手を引っ張って最初の友達になってくれたじゃないか、その時からだよ」

野良犬から私を守ってくれた恭平、転んで足を挫いた私を家まで負ぶってくれた恭平、中学
で高橋君がらみで孤立しかけたとき、何でもないように手を差し伸べてくれた恭平、一緒に
色んなとこ行った、一緒に色んなことして遊んだ…色々な想い出が一気にフラッシュバック
して頭の中に溢れてくる。

「………そんなに昔から?」
「感動した?」
「…むっつりスケベ」
「非道いっ!俺の長年の想い全否定!?」

やっぱり素直になれない自分の馬鹿さ加減にあきれる。
けれど…。
ぷっ!と互いに顔を見合わせて吹き出す。

緊張が取れたのか、恭平が律儀にもさっきの話の続きをする。
「まぁ、異性として好きになったのは、多分中学生位からだと思うけれど…その、お前…
すごく綺麗になったし…」
「な、なに恥ずかしいこと言ってんのよっ!」
「恥ずかしいこと言わしてるのはお前だろっ!」
嬉しい…けれどどこか不毛な言い争い。でも嫌いじゃないよ、この掛け合い。

「…ふぅ、いいわ、じゃ異性として好きになる前は?」
「心の友」
「何そのあなたジャイアン私のび太みたい言いぐさは」
「どっちかってーとジャイアンはお前の様な気が…」
「女の子に向かってジャイアンって言った!」

軽口を叩きながらベッドから立ち上がり恭平へと近づいていく。
椅子に座った恭平の両肩をつかみ顔を寄せる。
143 ◆9fxcNmN64c :2008/10/03(金) 00:08:23 ID:1U0XXtmB
「異性として好きになって…、こういうことしてみたかったの?」

挑みかかるように今度は私からキスしてやった。
唇を押しつけあうだけの幼稚なキス。でも息を吸うことも忘れてしまうくらい全身の感覚が
唇に集中する。同時に恭平の右手がゆっくり背に回り、左手が耳のあたりを優しく撫でる。
恭平、恭平、恭平…。
すっと隠していた愛おしい感情が爆発しそうになる自分を押さえる。

ゆっくりと唇を離し、互いに甘いため息をつく。
「和歌子…」
恭平も真っ赤に上気して、普段のポーカーフェイスはなくなってる。

ふと、このまま想いが叶ってしまうことに怖さを覚える
「…加奈子ちゃん」
つい、必要のない言葉をぽつりと漏らす。
「え?」
「加奈子ちゃんのこと、どうするの?」

馬鹿、私!今はそんなこと言う時じゃないでしょ!
頭の中の私が怒鳴り立てるが、怖さが無くならない。言葉が止まらない。

「いまなら、まだなんにもなかったことにしてあげる、私、加奈子ちゃんみたいにかわいく
ないよ」
声が震えてるのが自分でも分かる。
「お前なに言って…」
「いまなら無かったことに出来る。今ならずっと幼なじみで居られるの!」
「お前…」
「怖いの!恭平とこんな仲になって…恭平と喧嘩したら、もし恭平が離れていったら」

感情が捻れながら激しく吹き出る。さっきまで笑いあってたはずなのに、今自分はなんで
涙を零しているんだろう。今なんでこんな考えになってしまっているんだろう。

判らない。
ただ怖い。

恭平が隣にいないことに、もう自分は耐えることが出来ないはずなのに。
144 ◆9fxcNmN64c :2008/10/03(金) 00:09:43 ID:1U0XXtmB
「俺は和歌子が本当にかわいいこと知っているよ」

恭平が静かに言葉を紡ぐ。
「お互い人間なんだからさ、喧嘩だってするさ。でも離れていったりはしない。俺は和歌子の
隣にいたいんだ」
恭平、好き。もうだめ、恭平が好き、離したくない、離れられない。
自分でも顔が涙と感情の激流とでグシャグシャになっているのが判る。
こんな顔恭平に見せたくない。恭平に背を向ける。

しゃくり上げてる背中を、椅子から静かに立ち上がった恭平がゆっくりと抱きしめる。ぎくしゃく
しながら、でもとても優しく。
「お前も俺が好きでいてくれて嬉しい、今更幼なじみってだけの関係には戻りたくない。和歌子、
お前が他の男に取られるなんて想像はもうしたくないんだ、お前の隣には何時でも俺が居たい
んだ」

遅ればせながら理解する。
さっき恭平の告白を受け入れたとき、もう私たちは幼なじみじゃいられなくなったんだ。

「…証明して」
掠れた声で、震える言葉を送り出す。
「なにを」
「私が恭平のものだってこと、何時でも隣にいるのは恭平だってことを証明してよ」
そういいながら、リボンを外しジャケットを脱いでスカートを降ろす。
上はブラウス、下はショーツとソックスという姿になって、恭平を見据える。
「!」
恭平が息をのんでいる。どんな朴念仁だって今の状況でこの言葉の意味が分からないはず
がない。

「…和歌子!」
抱きしめられて、キスされた。

3度目のキスは今までよりずっと激しいキス。
でも恭平の唇が動くと、その隙間から私の唇に暖かい物が触れてくる。恭平の舌が私の唇を
つついてくるのを、そっと唇を開いて迎え入れる。
すかさず口内が恭平の舌に蹂躙される。恭平の舌を迎え入れ、私も激しく絡ませる。
舌でお互いの口内を嬲り、お互いの唾液を交換しあう。
恭平ってこんな味だったんだ。思ってたより、ずっと甘い、ずっと美味しい。
そして、舌を絡ませるディーブキスがこんなにも気持ちいいことを初めて知った。
145 ◆9fxcNmN64c :2008/10/03(金) 00:10:44 ID:1U0XXtmB
恭平の両腕に痛いぐらいに抱きしめられる。
私も負けずにしがみつく。
ともすれば快楽に砕けそうになる足を必死に踏ん張ってキスに答える。
でも、その抵抗も空しくそのまま恭平に押されベッドへと倒れ込んだ。

「んあっ!?…はぁ、はぁ、はぁ…」
「だ、大丈夫か?痛くしてないか?」
「はぁ、はぁ…、大丈夫、ちょっと驚いただけ」

「和歌子っ」
再び口を唇でふさがれる。
さっきよりも強引に、さっきよりも力強く、恭平が私を求めてくる。その事実がうれしい。
恭平と手と手を握り合い、お互い息を荒くしながら、ディーブなキスを繰り返す。
こんなキスだけで背中がぞくぞくするような快感、この先どうなっちゃうんだろ。
でも、いまは離れたくない。

キスの合間の何度か目の息継ぎで、言葉を紡ぐ。
「恭平の裸、見たい」
言うと同時に荒い息をしながら、恭平のワイシャツのボタンを外していく。思っていたより
ずっと広い肩幅に、Tシャツの首元からくっきり浮き出だした鎖骨が表れる。
恭平が自らTシャツを脱ぎ捨て、覆い被さってくる。
細身であっても締まった体、思いの外浅黒く日焼けした体に、私は柄にもなく…トキめいた。

「俺もお前の裸を見たい」
恭平がブラウスのボタンを外して脱がせてくる。あっという間に下着だけの姿になる。
「待って、ホック外すから」
自分でブラのホックを外す。恐る恐るといった感じで恭平がブラジャーをたくし上げる。
私の胸が恭平の前にさらけ出される。
146 ◆9fxcNmN64c :2008/10/03(金) 00:11:49 ID:1U0XXtmB
「和歌子、綺麗だ」
「やだ…似合わないって」
「触るぞ、いいか?」
「そういうのはいちいち聞かないでよ、恥ずかしい…」
「うん」

恭平の手のひらが、左胸を覆い、そのまま優しく撫でるように触りだす。
「んっ、く、くすぐったいよ」
我ながら色気のないセリフ、でも恥ずかしい心を隠すには調度いい。

次第に手のひらに力がこもる。胸が変形するように大きく潰され揉みしだかれる。
乳首を指先で摘まれ、捻りながら押し込まれる。
「んん、う、ああ、ん、ふわぁ…」
自分の声じゃないような甘えて蕩けた声が漏れる。
「痛く…ないか?」
「うん、痛くは…ないよ、変な…ン感じ…、んん、はぁ、あっ」

「じゃあ」
恭平が空いている右胸に頭を埋めてくる。
「…ん」
そっと乳首に口付けされる。
「ひゃんっ」
今度は歯で乳首を甘噛みされた。くすぐったさとは違う電流のような刺激が背中を駆け
上がる。
私の悲鳴に堰を切ったかのように、恭平は左胸への愛撫と右胸への吸い付きを強めて
くる。

「あ、ア…ン、ふわ、や、ああ、あっ!」
恥ずかしい、私ってばなんて声をあげてるんだろう。

恭平の右手が、横腹をなぞり、足の付け根へと伸びてくる。
ショーツの上から、裂け目をなぞられる。
「あん、ん、あ…」
それだけで意識が飛びそう。
上端に行った手が、ショーツに分け入り、茂みを掻き分け、私のヴァギナに触れてくる。
147 ◆9fxcNmN64c :2008/10/03(金) 00:13:03 ID:1U0XXtmB
クチュリ…

「ひぅっ、ふわあぁっ!」
確かな水音とともに、それを纏わりつけた恭平の指の動きを感じてしまう。
溢れていることが恥ずかしい。知られてしまうことが恥ずかしい。
しかしそれらの恥ずかしさを超えてなお、恭平の手で秘所をなぞられる快感は、意識の
全てを真っ白に塗りつぶすような感覚を与えてくれた。
「こんなに…濡れてるんだ…」
呆然としたような恭平の声が、どこか遠くから聞こえたような気がした。

「や、やだ、恭平…ばかり、ずるい…よぉ」
恭平を両腕で押し返す。
「い、嫌だったか?」
恭平がちょっとおたおたしている。だけれどそんな恭平をからかう余裕なんて全くない。

「恭平のを…全部見せて…ほしいよ」
「え?あ、あぁ」
恭平がズボンのベルトを外してパンツを下ろす。
プルンと赤黒く脈打つ恭平のものが眼前に現れ目が釘付けになる。
「…、これがオトコの…」
先から粘液が垂れている。そっと手を伸ばして優しく触る。
「不思議な…堅さだね…」
きゅっと握ったり、しごいたり…その度にビクビクいう熱い肉棒。
うっ、という吐息が恭平から漏れる。これが私の中に入るんだ、なんか不思議な感じ…。

「っ!和歌子、これ以上は駄目だ!」
せっぱ詰まった声で恭平が叫ぶ。
「え?」
何が駄目なの?これ以上ってどういう意味?
「和歌子に触られているだけでイッてしまいそうなんだ」
「気持ち…いいの?」
「我慢の限界…理性、とびそう」
歯を食いしばり、荒い息をはき出しながら、途切れ途切れの言葉を漏らす恭平。
148 ◆9fxcNmN64c :2008/10/03(金) 00:14:11 ID:1U0XXtmB
「それに、俺、ゴムなんて持ってないし」
「…ゴムって?」
「コンドーム」
言われた単語で、今後の展開の具体性が増して、赤面する。
でも、私、恭平に抱かれたいんだよ。恭平のものになりたいんだよ。
熱に浮かされたようなフワフワな頭の中、私の方がとっくに理性を無くしちゃってるん
だろうか。

「…いいよ、多分大丈夫だと思う。それにね、私、恭平のものになりたいの」
「だめだってば!それ以上お前に言われたら理性無くしちまうって。俺、和歌子を本当に
大切に思ってる、だから今日はここで終わりだって」

まじめな恭平。
融通の利かない恭平。
でも「大切に思っている」ってなんて嬉しい響きなんだろう。

見上げると恭平は、顔を上気させてたまま荒い息をしている。
「恭平、辛そうだよ…」
私が再び恭平のものを優しくしごく。くぅと喉を鳴らす声が聞こえる。
「恭平、嬉しい…感じてくれて、私のこと大切に思ってくれて」
そういいながら恭平のものへと顔を近づけていく。蒸れた汗の匂い、恭平の匂い。
「わっわか、こ…?ば、馬鹿やめっ、汚いって!」

ちゅ…

恭平のものに口付ける。
先っぽから出ている粘液を音を立てて吸ってみる、変な味。
「うあっ!わ、だめ、だって」
よく分からないながらも、恭平のものを吸い出すように舌と内頬をつかってしごく。
「くちゅ、ちゅぼっ、じゅぼっ、くちゅ…」
淫らな水音が頭全体に響きわたる。
溢れる唾液がだらしなく口端から流れ出る。
気持ちいい?これで気持ちいいの?
149 ◆9fxcNmN64c :2008/10/03(金) 00:15:14 ID:1U0XXtmB
「わ…わか、こぉっ…!」
声にならない叫びを上げながらながら恭平はガクガク腰を揺すりはじめる。必然恭平の
ものが私の口の中で暴れ回る。

「んちゅ、ひょうふぇい、ふひにひへ、ひひんあお…ん、じゅぶっ!んんっ!」
−恭平、好きにして、いいんだよ−
くわえたままでの発声は、すごくイヤらしくて、まるで淫乱馬鹿になったみたい。

「和歌子っ!放せ、出る、くぅぅっ!」
肩を押して引き剥がそうとする恭平に必死になってしがみつく。
一瞬、恭平のものがびくんと大きくなった感じがした途端、恭平の腰が痙攣するように
動いて…口の中に何かが充満した。

…精液だ、これが恭平の精液だ。

熱い…。そして苦い…って言うか生臭くて変な味がする。
喉を打つ飛沫と咽せくる臭気に思わず咳き込んでしまった。
「けほっ、けほっ、んふっ、んんっ」
出された精液を吐きだしてしまう。

「はぁ、はぁ、はぁ、っ!和歌子、大丈夫か!?ほら、出せって!」
あわててテッシュを取ってきて口を拭いてくれる。
「咽せちゃった、でも大丈夫。恭平のだから、嫌な感じはしないよ」
「お、お前…無理するなよ、ほら」
胸やおなかの滴も丁寧に、優しく…、私に零れた恭平の残滓が拭き取られていく。
150 ◆9fxcNmN64c :2008/10/03(金) 00:16:12 ID:1U0XXtmB
「ごめん、なんだかんだで俺って格好悪いよな」
「ふふふっ、恭平に格好良さなんて求めてないよ」
ごめん、嘘付いた。こんな恭平は堪らなく格好いいよ。
「なんだよ…、悪かったな」
ちょっとふて腐れる恭平、好き、大好き。

「そのさ…俺たち、今までも、これからも一緒だよな、無理に急ぐこともないと思うんだ」
「…うん」
「俺は和歌子を大切にする、お前の隣は俺の場所だと思ってる」
「うん」
「その…和歌子、これからもよろしく」

真っ赤になった恭平が手を差し伸べてくる。
その手を両手で握り返して、私はうなずく。
「はい、恭平、こちらこそよろしくお願いします」

「っ!は、はいだなんて、使い慣れない言葉で返事するなよ」
照れて後ろ向いた恭平の背中に、思いっきり抱きつく。
「ふふっ、恭平ありがとうね、大好き!」
「わわっ和歌子、生で胸が当たってるって」
「当ててるんだも〜ん」

恭平を好きでいて良かった。恭平が好いていてくれて良かった。
幼なじみから恋人へと一歩踏み出した関係を噛み締めながら、夕焼けの最後の残滓が
消え去りつつある部屋の中で、私と恭平は裸のままじゃれ合っていた。
151 ◆9fxcNmN64c :2008/10/03(金) 00:16:53 ID:1U0XXtmB
以上です。

最後まで読んでくれた方、ごめんなさい、ごめんなさい。
恭平君の驚異の自制心のお陰で膜、破けませんでした。
この話は一応これで終わり、なはずです。

いつも行ってるのが過疎スレなんで、こんなにGJ&続き待ってるレスが
貰えるなんて…と感激しています。
正直、続きは考えていなかったんで、登場人物の人格崩壊してないか心配
です。

駄文にお付き合いありがとうございました。
152名無しさん@ピンキー:2008/10/03(金) 00:20:21 ID:fEUdIkhW
リアルタイムGJ!

なんともいえない甘々さがよかったです
登場人物の人格とか気にならないくらい美味しく頂きました
153名無しさん@ピンキー:2008/10/03(金) 00:21:45 ID:EEiAFg65
>>151
GJ!!
154名無しさん@ピンキー:2008/10/03(金) 00:25:43 ID:l9MM8cQ0
GJ以外にどんな言葉が似合うだろうか…
こういう空気いいなぁ
155 ◆9fxcNmN64c :2008/10/03(金) 00:44:12 ID:1U0XXtmB
GJレス、はえーw
重ね重ねありがとうございました。

また何かひらめいたら投稿しようと思います。
それではその時まで。ノシ
156名無しさん@ピンキー:2008/10/03(金) 01:06:11 ID:C7yGS0kE
なんというかな・・・。恭平の芯の強さみたいなのがここでも
伝わってくるな・・・。なんか大事にしたいからていったってこの場面
ふつうは我慢できないだろう。
そして恭平になにかしてあげたいという和歌子の気持ち。
長い年月をかけて想いを培ってきた二人の絆を感じる
最後だがGJ!
157名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 07:45:10 ID:lJKRLcyw
うp主に唯一にして最後の指令を与える!





膜を破れ!w
何はともあれGJ!
158名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 23:55:43 ID:EIPSHrQm
ho
159名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 23:56:47 ID:SlLZq2k2
猫がいる……
160名無しさん@ピンキー:2008/10/10(金) 16:55:19 ID:55e83tUK
161名無しさん@ピンキー:2008/10/10(金) 17:43:45 ID:phlR9umi
162名無しさん@ピンキー:2008/10/10(金) 19:31:40 ID:4HnBn1Wi
163名無しさん@ピンキー:2008/10/10(金) 19:53:04 ID:CgGhdAZs
164名無しさん@ピンキー:2008/10/10(金) 20:38:38 ID:aEjrXtXo
165名無しさん@ピンキー:2008/10/10(金) 21:03:49 ID:sHvX4na2
166名無しさん@ピンキー:2008/10/10(金) 21:11:45 ID:KfHdAXSK
167名無しさん@ピンキー:2008/10/10(金) 21:47:46 ID:LYVOMDRZ
で…
168名無しさん@ピンキー:2008/10/10(金) 22:40:15 ID:paxN671K
169小ネタ・星空の下で:2008/10/10(金) 22:52:54 ID:phlR9umi
「はぁ〜、綺麗な星空ね〜」
「はぁ〜…どうすんのさ、このあと」
「いいじゃない、ほら星が綺麗よ」
「夜勝手に外出てまでして見るものか……?おばさんも心配してるだろうよ」
「あ、さっきメールいれといたから大丈夫」
「いや後で大目玉確定だから!!わかってんのか!?」
「そしたら私は博貴に連れ出されたって言うわ」
「・・・よくそんな事が言えたな。窓から侵入して俺を拉致したのは理沙だ」
「うっさいわね。誰のためにこの丘に来たと思ってるの?」
「あ?」
「あんたの為にシチュを用意してんのよ。」
「なんだ?どういう意味だ?」
「意外と博貴はロマンチストだしね。私しか知らないと思うけど」
「・・・・」
「なら星空の下なんて最高の舞台じゃない?だから来たの」
「・・・どういう意味だ」
「伊達に15年一緒じゃないわ。あんたの思ってることは丸見えよ」
「・・・・」
「まったくヘタレもいい加減にしなさいよ。男はがっつりいかないと」
「・・・なんか面目丸潰れなんだが」
「全部あんたのせいじゃない。まだ言わないなら、私から・・ふむぅ!?」

「・・・ちっ。格好よく言う筈だったのに。グダグダ過ぎだな」
「やっぱロマンチストね・・・今のファーストキスなのよ?」
「こっちもだ馬鹿・・・・なあ?」
「・・・・ん?」
「俺さ、理沙が好きだ。」
「・・・うん、ずっと待ってた。私も博貴が好き」
「そっか。じゃ帰るぞ」
「ねぇ、博貴はおじさんに何発なぐられるかなぁ?」
「なんでそういうこと言うかなぁ!?帰りたくない・・・」

「じゃあ・・・・朝帰りにしよっか?」
170名無しさん@ピンキー:2008/10/10(金) 23:11:55 ID:phlR9umi
ふぅ……終了
投下二回目とは緊張したぜ
171名無しさん@ピンキー:2008/10/10(金) 23:49:32 ID:phlR9umi
とは→×
とはいえ→〇
172名無しさん@ピンキー:2008/10/11(土) 00:08:01 ID:vLaX568s
対応スピードすげえ!
GJです

主人公尻に敷かれるんだろうなww
173名無しさん@ピンキー:2008/10/11(土) 00:10:09 ID:E4teYwve
あまあま〜GJ!
174名無しさん@ピンキー:2008/10/11(土) 07:17:16 ID:wROOqKNH
GJ

人いねぇな・・・・
175名無しさん@ピンキー:2008/10/11(土) 22:48:00 ID:9wn9UwyY
ROMしてる人は結構いそうだけど

理沙みたいな幼馴染を待っていた GJ
176名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 23:20:06 ID:FZj7lzGb
177名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 23:33:11 ID:2doYUmt2
178名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 23:40:42 ID:pjql6QeA
179名無しさん@ピンキー:2008/10/14(火) 00:01:06 ID:LLsRdIjs
180名無しさん@ピンキー:2008/10/14(火) 00:07:08 ID:2oHng1kS
181名無しさん@ピンキー:2008/10/14(火) 00:41:24 ID:qcFl8hWZ
☆ゅ
182名無しさん@ピンキー:2008/10/14(火) 17:53:58 ID:vjunCs2H
発音の仕方教えてくれ
183名無しさん@ピンキー:2008/10/14(火) 18:14:28 ID:rz0ATz3G
口を「ま」の形にして「ゆ」と言えばいいかと
184名無しさん@ピンキー:2008/10/14(火) 18:16:11 ID:rz0ATz3G
よく考えてみたら>>181は単に「ほしゅ」って言ってるだけかも試練
185名無しさん@ピンキー:2008/10/14(火) 22:53:24 ID:81the5iu
な、なんだってー!
とまぁどうでもいい話しだなぁおい
186名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 00:07:12 ID:AcnKvXFA
えーと、その、スマン
「ほし」に「ゅ」でちょっとしたダジャレなわけで………
まさかレスがつくとは思わんかったわ
187名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 23:08:01 ID:fU2hz+Gm
>>186 
感動した!一番槍GJ!
188 ◆Epsd0/LvVM :2008/10/16(木) 01:01:48 ID:1ROeoEQI
こちらのスレには初めての投下です。
長めでエロ率少なめ。一応、近未来ものの体裁をとっております。
苦手な方は、タイトルの アリス か ◆Epsd0/LvVM でNG指定をお願いします。
189アリス  ◆Epsd0/LvVM :2008/10/16(木) 01:03:56 ID:1ROeoEQI
 世の中に天才という人がいるとすれば、彼の事だろうといつも思う。
 貧富の差が激しい現代において、裕福な家庭に生まれついた私の、幼馴染。
 政財界の大物とその家族が集まるパーティーの片隅ですら、いつも彼は異彩を放っていた。
 作り笑いを知らず、丁寧な言葉遣いも、振舞うべき所作も知らず、いつも彼はひとりだった。
 庭にうずくまる彼に興味を持ったのは、同じ年頃の子供が他にいなかったからか、うわべだけはにこやかでも、心の奥では『女優の子』と私を蔑む
大人達から逃れるきっかけを作りたかったのか。今はもう覚えていない。
「何を見てるの?」
 彼は私に振り返ったが、特に何の感慨も抱かなかったようで、すぐに視線を地面に戻す。
 その態度は著しく私のプライドを傷つけた。
 女優だった母から見目の良さ、父からは良く回る頭脳を受け継いだ私は、いかに振舞えば自分の魅力を増すことができるか、それを周囲から学び、
自然と身に着けてきた。
 愛らしい笑い方。いちばん綺麗に見える立ち姿。上品で優雅に見える歩き方。
 そこに居るだけで人目を引く魅力を私は持っている。…それが10歳にも満たない子供である私の自信だった。
 だから声をかけても公然と無視する彼のことが癪に触ったと同時に、私以外の何に興味を持っているか、とても気になった。
「何を見てるか聞いてるのよ!」
 語気を荒げて聞きなおすと、彼は面倒くさそうに顔を上げ、澄んだ深緑の瞳を私に向けた。
「蟻。」
「…蟻?」
 思わず聞きなおした私に、彼はうんざりした顔でそう、と答えると、また地面の上に目を戻した。
 ドレスの裾を汚さないように私は彼の隣に屈みこみ、一緒に蟻を眺める。すぐ近くで私の顔を覗き込んで、彼は一瞬とても驚いた顔をして見せた。
「…蟻がどうしたのよ。」
「不思議じゃない?言葉も持たないちっぽけなこいつらが、ちゃんとコミュニュケーションを取って、一つの巣の構成員として生きてる。」
 少年はわたしの問いにそう答えながら、茶菓子のビスケットを砕き、かけらを地面の上にこぼした。
 一匹の蟻がそれに気づく。数匹の蟻が寄ってきたと思ったら、みるみるうちにたくさんの蟻がやってきて、我先にとかけらを巣に運び始める。
「自分だけ腹いっぱいになりたいなら、ここで食えばいいだろ。でもこいつらはそうしない。…こいつらは、自分が蟻社会の構成員だってことを
知ってるのかな。一ミリも無いちっぽけな脳みそで、何を考えてると思う?。こいつらに誰かが好きとか嫌いとかいう感情があると思う?…
心があると思う?」
 彼の言葉は同世代のものにしては難しくて理屈っぽく、それでも私の興味を揺さぶった。
 生き生きと蟻の心を語る彼は、私の周りにいたどんな人間とも違っていて、新鮮だった。
「おいでアリス。おばあさまがいらした。ご挨拶をなさい。」
 父の低い声が私を呼ぶ。私はもう少し彼と話がしたかったが、父には逆らえない。
 老いてなお社交界に影響力を持つ、気難しい祖母の興味を引くため、父は私をこの場に連れてきたのだ。可愛い孫という武器として。
「…じゃあね。」
 後ろ髪を引かれる思いで、私は彼に手を振ると、彼に背を向けた。
 父は私を「私のアリス」といとおしげに抱き上げ、額にキスを落とす。それすらも、仲睦まじい父娘に見せるための演出であると、私は漠然と
気づいていた。それでも私は父が好きだった。
 ふと振り返ると、彼は立ち上がり、私をじっと見つめていた。
「アリス…」
 遠ざかる唇のかたちがそう動いたのを覚えている。
190アリス  ◆Epsd0/LvVM :2008/10/16(木) 01:05:55 ID:1ROeoEQI
 彼との出会いは、私が人生を踏み外した一歩目だと、今は自覚している。
 次の日、私ははじめて昆虫図鑑というものを見た。気味の悪い蟲がリアルに描写されている本、いままではそんな認識しかなかった。
 ただの蟻という名だと思っていた昆虫に、様々な種類があることを知った。私が昨日、庭で少年と見た蟻を一生懸命探したが、特徴を覚えていなかった
ためすぐには見つけられない。生息地域や色などから、おそらくこれだろうと絞り込めたときは不思議と嬉しかった。
 その図鑑は詳しくなかったので、次は蟻の生態を書いてある本を探した。父の趣味である、紙に活字を印刷したレトロな…今思えばとても高額な…
図書室は、ネット書庫と比べると物を調べて探すには手間がかかることを、私は知らなかった。とにかくどの本も重いうえ、子供の背では一番下の段より
上には手が届かないから、いちいち脚立を移動しなくてはならない。人目を盗んで忍び込んだので、誰かに探してもらう事も出来ない。
 夕方、図書室の扉が開いている事に気づいた使用人が中を覗くと、やっと見つけた子供向け学習書の「アリのせいかつ」のページを枕に、私は満足げに
眠っていたという。
 おしゃれとダンスとおしゃべり以外の世界を知った私は、その日から吸い込まれるように勉学に取り付かれた。
「きょうだいの中でいちばん綺麗な顔のお前が、もったいない。」
 頭の切れる女は可愛げが無くなると、祖母は残念がったが、父は私の好きにさせてくれた。
 ただ、自分の容姿を磨く事は怠らず、いつでも父の手持ちの駒で居る事は忘れなかった。亡くなった母の代わりを勤められるように。
 あの少年はわたしの遠縁にあたるらしく、その後もたびたび出会い、その度に簡単な会話を交わした。
 話すたび、彼が文句無く天才と呼ばれる部類に属する人間であり、自分がどれだけ努力しても並ぶ事すらできないと思い知らされた。
 そしてある時期から彼はぷっつりと姿を見かけなくなり、私は忙しい毎日の中で、彼のことを少しずつ忘れていった。
 そんな彼と再会したのはアカデミーのゼミだった。
 よれよれの服に黒縁眼鏡をかけた彼がまさかあの少年だとは、最初気づかなかった。
「…アリス?」
 そう呼ばれてすら分からないくらい、あの賢くて気難しい幼馴染は、ただの冴えない変人に成長していた。
「なんで私のミドルネームを知ってるの?」
 きょとんとする私に、しどろもどろに彼は、
「えーっと、あのアリス…だよな?」
と聞き返す。
 そうしてるうちに教授が授業を始め、私は彼から興味を失った。
 ずいぶん後になってから、家族以外で私をアリスと呼ぶ同世代の男性はひとりしかいないと、ようやく思い出した。
191アリス  ◆Epsd0/LvVM :2008/10/16(木) 01:08:11 ID:1ROeoEQI
 彼…ハービーはアカデミーでも既に変人呼ばわりされていて、そういうところは子供の頃からちっとも変わってないことに苦笑いさせられた。
 成績は文句無くトップクラスで、飛び級で入学し、私と同じ歳でありながらもう3年も先輩だということ。
 変人が高じて家を勘当され、いまは奨学金で暮らす苦学生で、専攻は有機人体工学であること。
 人付き合いが極端に悪く、おそらく友人と呼べるような人間はいないだろうということ。
 取り巻きの男子学生たちは、少し私が興味を示しただけで、ほいほいと情報を提供してくれた。
 私がはじめて劣等感を持った少年とこうして再会するのは、不思議な偶然であると同時に、軽い失望を味あわされた。
 …このまま出会うことなく、子供の頃の憧れの姿のままいてくれればよかったのに。
 ふけが落ちてきそうなぼさぼさの頭と、猫背の背中を見てため息をついた。その癖、やっぱり私より成績は優秀なのだから、たちが悪い。
 それでもゼミが同じになれば何度も顔を合わせるし、幼馴染のよしみで言葉も交わす。
 自然と、彼も私をアリスと呼ばなくなり、他の皆と同じように、カレン、とファーストネームで呼ぶようになった。
 印象的だったのは、ある日、カフェでお茶をしていた時だった。
 そのカフェは、レジ係にアンドロイドを使っていた。
 こんな街中で、仕事に従事するアンドロイドを見かけるのはとても珍しい。彼女ら…アンドロイドの大半は女性型である…は人目につかない場所で
ひっそり働いている事が多かった。
 一緒に食事をしたときは私のおごりだという暗黙の了解があったから、私はレシートをアンドロイドに手渡した。
 無機質な喋りと表情の無い顔が気味悪かった。ましてや彼女らはその素体として死んだ人間を使う。人間の脳に勝る演算速度と記録能力を持つ
コンピューターは、未だ開発されていなかったし、生きた人間を改造する事は倫理の観点から、国際法で禁止されているからだ。
 動く屍。人間のかたちをしたロボット。一般的なアンドロイドの認識とはそんなものだ。
「アンドロイドを店員に使ってるようじゃ、あのカフェはすぐ潰れるわ。」
 私がそう言うと、彼はどこか憤慨しているようだった。
「性能の無駄遣いだ。」
「そうね。もっと高機能が生かせる場所で働かせればいいわ。…できれば人目のつかないような。」
 釣り銭を渡される際、冷ややかな手に触れられそうになったことを思い出して、私は身震いする。
「そうじゃない。人間をベースに作ってるんだ。性能はそのままに表情も声も、もっと感情豊かに引き出せるはずだよ。」
 僕なら…
 彼はそう呟いた。
「僕なら、生きたアンドロイドを作れる。」
「貴方らしいわね。」
 私は笑った。蟻に心があるかと悩んでいた頃から、やはりちっとも成長していない。
192アリス  ◆Epsd0/LvVM :2008/10/16(木) 01:09:01 ID:1ROeoEQI
 突然、父に呼び出されたのは、それからしばらくしてからのことだった。
 最近はあまり家に顔を出していない。それを指摘され、アカデミーを退学しろと言われるかとびくびくしていたが、父の用件はそうではなかった。
 そしてアカデミーに戻ると即、私はアンドロイドの居るあのカフェに、彼を呼び出した。
「…話って?」
 私は、ある高名な博士の名を挙げて、この人を知っているか、と尋ねた。
「アンドロイド研究の第一人者だ。昔、雑用のアルバイトで彼のファクトリーに入ったこともある。それがなに?」
 常識だと言わんばかりに、彼は鼻を鳴らす。知っているなら話は早い。
「父の持っている会社のひとつが、博士にアンドロイド製作を依頼したのよ。仕事は受付嬢。早くて正確な対応と…あとはまぁ、話題性作りね。」
 私は説明しながら、レジの方をちらりと見た。相変わらず無表情にお金を受け取る店員。
 この話を父から聞いたとき、計画が頓挫して良かったじゃない、と心の中で思った。アンドロイドに接客業など、はじめから失敗する事が約束されて
いるようなものだ。
「受付って…博士の得意ジャンルは軍事系アンドロイドじゃないか…それで?」
 呆れたように、彼は話を促す。
「契約を済ませて、アンドロイド育成の準備ができた頃、博士が急病で倒れたらしいのよ。」
 えーっ!!…と立ち上がって彼が叫ぶので、店内の視線は私たちに釘付けになった。私はそそくさと彼を座らせ直す。
「続けて良いかしら……話題性作りとしては博士じゃないと困るというので、この計画は立ち消えになったんだけど、未完成の素体アンドロイドが宙に
浮いた形で残ってしまったのよ。契約は済んでいたから、うちの会社のものになるんだけど、博士のファクトリーはそれどころの騒ぎじゃない。それで…」
「話が見えてきたぞ…」
 彼はわくわくと、身を乗り出した。「そのアンドロイドを育成できる人材を探してるって訳だ!」
 予想通りの反応だった。
 ――僕なら、生きたアンドロイドを作れる――
 扱いに困った父が私に、アカデミーには知り合いの専門家がいないか?と相談して来た時、私には彼の顔しか浮かばなかった。
 無名の、しかも実務経験も皆無な彼の名を挙げたとき、父はとても驚いたが、それでも私に任せると言った。可愛い末っ子の気まぐれを聞いてやろうと
いう親心かもしれないし、彼の実家に恩を売る機会だと思ったのかもしれない。
 父の思惑は量れなかったが、それでも、生きたアンドロイドというものが存在するなら、私も見てみたい。
「やる!やらせてくれ!!こんなチャンス二度とない!!」
 彼は私の手を、なんの遠慮もなくがっちりと握った。
193アリス  ◆Epsd0/LvVM :2008/10/16(木) 01:10:43 ID:1ROeoEQI
「…言われた通りの機材は揃えたわ。最低限の設備にはなるけど…」
 薄暗い地下室の明かりをつける。こつこつと、二人分の固い足音が響いた。
「一応、ファクトリーと同等のことは、ここでできそうよ。」
 契約が反故になった時に、違約金としてかなりの金額が戻ってきたらしく、父はそれを全額私に預け、必要経費として使うことを許した。
「…ただ、人を雇う余裕はないわ。だから貴方一人で育てるの。期日は一年。できる?」
 それなりにまとまった金額だったが、アカデミーの敷地に近い地下室の家賃と中古の機材の購入費で、それの大半は消える。
「充分さ。」
 彼はそれぞれの設備を念入りに確認しながら、頷いた。
「一応、見習い院生兼バイトとして、あちこちのファクトリーで働いて、必要な知識は盗んだ。制御の為のおおむねのプログラムは自分で組めるさ。
…ところで」
 彼はきょろきょろと辺りを見回した。
「肝心の素体は?」
「…こっちよ。」
 私は奥のカーテンを開ける。
 ちいさなカプセルの中に、氷漬けになって封じ込められている、2歳か3歳くらいの幼女。
 あまりにもいたましくて、わたしは目をそらす。
 これから、こんな小さな子供の遺体をいじりまわして、無償で働くロボットにしようというのだ。
「脳へCPUを埋め込む外科手術は終わってる。有機金属製パーツの交換も済んでいる。あとは蘇生作業をすれば、すぐに育成に入れるそうよ。」
 頷くと、彼はカプセルの中の少女をじっと見つめた。私を含めた誰にも見せた事のないような、いたわるような、やわらかい眼差しで。
「…死因は、わかる?」
「カルテが一緒に届いていたから、見れば分かると思うわ。でも、そんなことが必要なの?」
 アンドロイドの素体となる以上、病気や内臓の損傷…特に脳に…が無いかどうか、厳重な検査が成されているはずだ。
「そりゃそうさ。これから生き返らせてあげるんだ。どんなに怖くて、痛くて、辛くて、寂しい思いをしたか、少なくとも僕は分かってあげないと…」
 そう言いながら、カルテをぱらぱらとめくる。
「施設の出身…冬の川に落ちたことによるショック死…か。身寄りが無くて遺体の引き取り手がいなかったんだな。」
 かわいそうに、と彼はつぶやいた。
「…寒かっただろうに。こんな冷たいところに入れてごめんよ。すぐにあっためてあげるからな。」
 見知らぬ子供の遺体に話しかける姿は優しげであり、また、頭のおかしな人間にも見えた。
194アリス  ◆Epsd0/LvVM :2008/10/16(木) 01:11:59 ID:1ROeoEQI
 蘇生作業が一段落し、私と彼は疲れ果てていた。
 一人でやれると彼は言ったが、実際にこういう速度と正確さを要求される作業は、一人の手では負えないため、結局私が手伝わねばならなくなる。
貧乏くじを引いたとは思ったが、なにかを作り上げる工程というのは、思ったよりも充実感があった。
 今は、少女の弱いが安定した心拍が、モニターに波打つように表示されている。
「悪いね。飲み込みが早くて助かるよ。さすがは才色兼備のカレン様。」
 彼はくたびれた顔で、それでも満足そうに笑う。
 長椅子にどさりと腰を下ろして、差し出されたインスタントコーヒーに口をつけた。甘くて安っぽいけれど、不思議と美味しい。
「ところでさ、名前、何がいいと思う?」
 少女の眠るカプセルにもたれて顔を覗きこみ、彼は私に尋ねる。
「名前?」
 わたしはきょとんとして聞き返した。
「形式番号の事?」
「そうじゃない。名前は名前さ。」
 何を言っている、と彼は口を尖らせた。
 アンドロイドには識別するための形式番号と固体番号が登録されるが、名前など無いか、もしくは所有者が買い取ってから、気まぐれに呼び名をつける
程度だ。
「コミュニケーションの基本は名前だ。」
 腰に手を当てて胸をそらし、彼は言い切る。
「コミュニケーション?」
 そう聞き返して私もカプセルを見る。…育成の最終段階近くまでこの中で眠っているこの子と、いったい何の情報交換をしようというのか。
「そう、そこが僕の理論の肝さ。」
 彼は眼鏡の奥の緑の瞳ををきらきらさせながら説明する。
「通常、アンドロイドの育成期間中はバイタルチェックが基本で、知識や言語は、プログラムされた内容を睡眠学習と言う形で、脳に直接送り込む。
でもさ、せっかく高速処理できる優秀な頭脳を持ってるんだから、プログラムは倍速でも理解できるはずなんだ…だから、残ったその半分の時間を使って、
対話形式で情緒や感情を…心を、教えるんだ。」
「…心を…対話で…。」
「そう。一対一で言葉を交わす。人間の子供だって、密室で授業のVTRだけ見させ続けて育てたら、ろくに感情表現できない子になっちゃうさ。
アンドロイドの脳は人間と同じ。だったら、ちゃんと言葉を通じて教えていけば、人間と同じように、きめ細かい感情が芽生えるはずだよ。」
 彼の理論は長ったらしいが、いちいち頷けるものだった。
「暗がりで計算だけしてればいいなんて可哀想じゃないか。表情や言葉で緻密なコミュニケーションが取れるアンドロイドがいれば、人と関わる仕事が
もっとたくさんできる。」
「それで、まず名前…か。なるほどね。」
 女の子の名前など選び放題だと思ったが、いざ今ここで名づけろといわれると、確かに良い名が思いつかない。
 彼は腕組みしたまま、うんうんとしばらく唸った。そしてふと顔を上げ、私の顔をじっと見つめる。
「………アリス。」
「え?」
 久しぶりにミドルネームの方で呼ばれて、私は少し驚く。
「なに?」
「そうじゃない。…アリス。あの子の名前はアリスにしよう!」
「…ちょっと待ってよ。紛らわしいじゃない。」
 私は慌てて彼を引き止めた。アンドロイドが私と同じ名前なんて、と思う気持ちもあった。
「いいじゃないか。君はカレン、この子はアリス。紛らわしいことなんて無い。」
 私と少女を交互に指差しながら、早口でまくしたてる。そして、カプセルに取り付けたマイクのスイッチを入れると、彼は大きく息を吸った。
「…君の名前は、アリス。こんにちは、アリス。」
 管理用のモニターの脳波を表すラインが、ぴくんと反応した。
「…反応した!…アリス、聞こえてるね?僕はハービー。僕の名前はハービーだ。これからよろしく!」
 それが彼の長い模索の第一歩だった。
195アリス  ◆Epsd0/LvVM :2008/10/16(木) 01:15:46 ID:1ROeoEQI
「差し入れよ、ハービー。」
 ノックをしても返事がないので、いつものように合鍵で扉を開けて、地下へ続く暗い階段を降りた。
 もともとガレージの地下に作られたこの部屋は、お世辞にも快適ではない。打ちっぱなしの壁はそっけないし、床もところどころひびが入っている。
 天井が高いので圧迫感はなかったが、さほど広くない部屋に必要な機材が詰め込まれているのでとにかく狭い。
 しかも最近になって、デスクと椅子、ベッドまで持ち込んだので、もう歩く隙間を確保するのが精一杯だった。
 彼は住んでいたアパートを引き払って、こちらに住み込むことを決めたらしい。
「こっちにいるのがほとんどで、寝るためだけに帰るのは、時間も家賃ももったいない。」
 それが彼の主張だった。父の決めた一年という育成期限を過ぎたらどうするのかと思ったけど、その時はその時なりに身の振り方を考えるのだろうと
思って、口は出さなかった。
 幸い水道と電気は通っているし、シャワーとトイレもある。生活するぶんには困らないだろう。
「ハービー?」
 姿が見えないのできょろきょろとあたりを見回すと、長椅子にぐてりと横たわって仮眠を取る彼を見つける。仮眠というよりは、疲れてそのまま
眠ってしまったのだろう。
 一応白衣らしきものは着ていたが皺だらけで、顔には無精髭まで生えてきて、みっともなくて見ていられない。
 …二十過ぎたらただの人、ってほんとね。
 あーあ、と私はため息をついた。あの庭での彼との出会いは、もしかして私の初恋だったのかもしれない。夢が夢のまま終わってくれれば良かったのに、
現実の時の流れというのはなんと残酷なのだろうか。
 目を覚ます気配のない彼に見切りをつけて帰ろうと、持ってきたサンドイッチをデスクの上に置いた時、モニターの横の青いランプがちかちかと点滅した。
『カレン?』
 画面に文字が流れる。
 …あら、起きたのね。
 私は、彼がつけっぱなしにしていたヘッドセットを奪い、マイクを通して話しかけた。
「おはよう、アリス。…と、言ってももう昼ね。」
『じゃあ こんにちは カレン』
「そうそう。良い子ね。」
 私の声に反応して、画面に文字が流れ飛ぶ。
 脳波から表現したい言葉を読み取って文字に変換するシステムを、彼はアリスとの会話のために開発した。これだけでも特許が申請できそうなほど
画期的な発明である。ただ、彼はこのシステムでは満足しておらず、最終的には文字でなく音で、アリスの声を再生するシステムを作るつもりだと
言っている。
 必要最低限の時間はアカデミーに出向き、残りの時間をアリスとの対話と新システムの開発に費やす。放っておくと食べる事も眠る事も忘れるから、
私はこうやって、何度も様子を見に来なくてはならなかった。
 一月ほどしか経っていないというのに、アリスはずいぶん大きくなっていた。
 1年後には成人前後まで成長させるのだから当たり前なのだけど、アンドロイドの育成というものを初めて見る私には新鮮だった。
 雑談でも何でも、話せば話すだけ彼女の心も成長する。そう言われて、私も暇があるときはこうやって相手をしていた。
196アリス  ◆Epsd0/LvVM :2008/10/16(木) 01:16:37 ID:1ROeoEQI
『ハービー 寝ちゃった さっきまで アリスとお話 してたのに』
「疲れてるのよ。寝かしてあげなさい。」
『はい』
 文字上のつたない表現であるが、今の外見である5〜6歳の幼児にふさわしい物言いにくすりと笑う。
 アリスはカプセルの中で、薄く目を開けて、透明な樹脂硝子の蓋越しに私を見た。
『カレン きれい。』
 その文字を見て、私は思わず赤くなった。美人だと言われることも慣れているし、そのための努力も欠かしてはいない。ただ、無垢なアリスの言葉には
嘘もお世辞も下心もない。それが解っているから嬉しいし気恥ずかしい。
「ありがとう。嬉しいわ。」
 喜びを言葉で伝える。アリスと話すときはできるだけ素直に。私はそれを心がけた。この対話は感情表現の学習なのだから、ひねくれた態度を取れば
彼女は戸惑ってしまう。
 育成カプセルの溶液の中で、アリスはにっこり笑った。…これがアンドロイドかと思うほど、可愛らしい素直な笑顔に驚かされる。これが彼の言う、
生きたアンドロイドというものなのか。
『きょう ハービーは アリスの おとうさまだって 教えてくれたの カレンは アリスの なに?』
 …お父様、ね。まぁ確かに、育ての父といえばそうなんだろうけど。
 私は長椅子でいびきをかく彼を振り返って肩をすくめた。父親の威厳なんて微塵もない。
「うーん。どうなんだろう?」
 迷う私に、アリスは不思議そうな顔をする。
『カレンは アリスの おかあさま? お勉強したよ おとうさんと おかあさんがいて こどもが うまれます って』
「…お母様は、ちょっと、勘弁…」
 私は苦笑いした。
「お友達じゃ、駄目かな?」
『いいよ カレンと アリスは おともだち』
 カプセルの中で、アリスは素直に頷いた。
 私は少し複雑な思いになる。
 アンドロイドに人権は無い。いくらこの場で友達ごっこをしてみせても、彼女がこのカプセルから出たときに、彼女と私は人間と物という、
越えようのない壁に隔たれる。
 それはアリスを大きく失望させる事になるのではないか。この少女が純粋であればあるほど、暗い気持ちになる。
 幸い、そんな細かい表情の変化までは、硝子越しには読み取る事ができないようだった。
『アリスと カレンは おともだち アリスの はじめての おともだち』
 アリスは無邪気に喜ぶ。
 私は彼女とどういう距離で付き合えば良いのか分からなかった。
 ハービーはアリスの父親として彼女を溺愛し、育て、導いている。しかし私はあくまでスポンサーとして彼女の育成を管理する義務があるというだけで、
成長した彼女を物として使役するのも、また私のような人間である。
『カレンは ハービーの なに?』
 物思いにふけっている時に投げかけられた突然の質問に、私は意表をつかれる。
「…お友達よ。」
 そう答える他にない。
 友達付き合いも悪くなり、足しげくこの地下室に通う私を見て、アカデミーの友人達が、私が彼と同棲していると噂しているのは知っている。
 しかし現実は彼はアリスに夢中で、私のことはそもそも、女として見ているかどうかすら怪しい。
 そのことは私のプライドを少し傷つけたが、アリスを見ていると仕方が無いとも思える。手をかけ心を砕けば砕くほど、この子は輝く。
この吸い込まれるような魅力には、私も敵わない。
『カレンと ハービーも おともだち?』
「そうね。オトモダチ。」
「…なんだ、来てたのか。」
 呻きながら、ハービーが起き上がった。
「食事、持ってきたわよ。どうせ食べてないんでしょ。」
 私は背を向けたままデスクの上の袋を指差した。
「いつも済まんね。」
 彼はぼりぼりと頭を掻きながら袋をさばくと、中身のサンドイッチにかじりつく。
「…さて、私は帰るわね。さようなら、アリス。」
『さようなら カレン』
「オトモダチ、ね〜。」
 サンドイッチをくわえたまま、彼は複雑な顔をして私を見送った。
197 ◆Epsd0/LvVM :2008/10/16(木) 01:19:16 ID:1ROeoEQI
長くなるため一度切ります。
非現実ものの需要はあまり無さそうなのが少し心配です。
スレ違いの場合はご指摘をお願いします。
198名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 01:49:53 ID:O5ZELsxE
>>197
最後まで投下してくれんと評価もできんなぁ。
別にスレ違いではないと思うから投下してしまえ
199名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 04:41:34 ID:hoNr76Oe
>>197

続きwktk!
200名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 07:14:43 ID:D6qMtCyG
近未来ものハリウッド映画風でなかなかいいぞ。
続きを待つ。
201名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 10:41:42 ID:sXweaCnP
読み物系の需要もあるぞ。
202名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 11:00:36 ID:uhIWvNYI
ここからどーなるか、とても期待
203名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 12:27:30 ID:Rm9hic9U
面白いぜ!wktkしながら続きを待ってる。


しかし一つ突っ込ませてくれ。女型なんだからアンドロイドじゃなくてガイノイドなんじゃないか?
いや、人間の肉体をベースに使用しているなら寧ろサイボーグなんじゃないか?
204名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 15:17:06 ID:V3gnZp3Z
ここであえて>>187に突っ込んでみる
205名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 17:07:39 ID:QarCikVS
>>203
ガイノイドとかマイナーすぎるだろ……
206名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 17:26:18 ID:WLjUy/xm
イノセンス見てればわかるけどな
207名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 18:12:19 ID:Rm9hic9U
イノセンスは見た事ないが、「アンドロイド」って言葉自体が男性型を指すんだぜ。
208名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 18:20:17 ID:+tL/932e
別に名称をアンドロイドにするかガイノイドにするかで作品の面白さが変わるわけじゃないからどうでもいいです
209名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 19:37:53 ID:Easa+Jh7
>>207
> イノセンスは見た事ないが、「アンドロイド」って言葉自体が男性型を指すんだぜ。

狭い意味ではそうなるけど、一般的には Android で性別関係なく人造人間を意味するよ
英語圏のSF作品でも、わざわざ女性と男性で分けて呼んでるもののほうが少ない
210名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 20:52:37 ID:WxJOc01b
wktk
211 ◆Epsd0/LvVM :2008/10/16(木) 22:57:31 ID:1ROeoEQI
後半投下いたします。
最後の方にわずかに暴力表現が入ります。(メインの3人とは無関係のキャラクターです)

>203
謹んで突っ込まれます。アッー!!

書き始めた当初は、サイボーグに代わる言葉が無いか探しました。
サイボーグはどうしても「一部を機械化した生きた人間」のイメージがあったので。
一般的に認知されてない言葉や造語を使うと、私の場合説明が長くなり
無駄に2レスほど使ってしまうので、冗長になるのを避けたかったのもあります。

調べてる最中にアンドロイドは厳密には男性型、という記述も見かけて迷いましたが
R・デコやレスキューのマール様なんかも、女性型だけどアンドロイドだよな〜
とか思って、最終的にアンドロイドをそのまま使いました。

他の用語もかなり適当なんですが、
特に説明しなくても、なんとなくこういうものかなー?と脳内補完をお願いします。
212 ◆eoluWvU73w :2008/10/16(木) 23:07:35 ID:1ROeoEQI
 それから半年、アリスはつつがなく成長した。
 言語の学習が進むにつれ、あのたどたどしい言葉遣いは消え、なめらかな言葉で表現できるようになった。
 背も髪も伸び、顔からはあどけなさが消えていく。大人用の育成カプセルに引っ越す頃には両胸もふくらみ、女性らしいたおやかなシルエットに
なってきた。
 彼女が育つにつれ、私の足はあの地下室から少しずつ遠ざかっていった。
 学費を抑えるため留年だけは避けたい彼は、アカデミーには真面目に出てきたので、一応死んでいない事は確認できたし、食事も私が届けないなら
学食で済ませているようだった。
「アリスが会いたがってるぞ。」
 彼に言われたら仕方なく訪ねる、そういう日々を重ねていった。
 ここに来るのは嫌いではない。でもなんとなく、彼とアリスの間に入るのが気まずく感じるられるようになってきた。
 彼に呼び出され、今日、会いに来たのも一週間ぶりだ。
 アリスはまだ眠っていた。人間にすれば十四〜五歳くらいの外見だろうか。すらりと伸びた白い手足。花嫁人形のように整った目鼻立ち。
 …この綺麗な少女と、彼は毎日何を話しているんだろうか。そんな事を考える。
 アリスという名の人形は、理想通り健やかに育っている。それなのにどうして私は、こんなにいら立つのだろうか。
「…カレン、話がある。」
「なに?改まって。」
 いつになく真面目なハービーの表情に、私も少し固くなる。
「頼みがあるんだ…」
「…なによ?」
 彼は落ち着かない様子で咳払いをしたり貧乏ゆすりをしたりして、こちらがいらいらし始めた頃、やっと本題を切り出した。
「アリスに、男女のセックスを見せたいんだ。君のそのモデルになってもらいたい。」
「………なんですって!?」
 驚きのあまり、長椅子から転げ落ちそうになる。
「正気?あなた、何を言ってるか分かってるの!?」
 呆れて物も言えないとはこの事だ。私をからかう趣味の悪い冗談かと思ったが、彼の真剣なまなざしはその可能性を否定する。
「…この間から、性教育を始めたんだ。そうしたら、よく理解できない、できればどういうものか見てみたい、って…」
「なんで、そんなこと…まだ早すぎるんじゃないの?」
 まだ中身は純真な子供だとばかり思っていた。いや、純粋な子供だからこそ「見てみたい」などと言えるのだろうけど。
「…僕の手を離れて社会に出たら、何があるか分からない。無用に傷つかないように、正しい知識は必要なんだ。」
 ひどく苦しそうに、うめくように彼は言う。
 言いたいことは分かる。アンドロイドと言っても半分は生身だ。下半身が機械化してなければ男性を受け入れることはできる。
 所有者の中には、ダッチワイフか何かと勘違いしている人もいるし、街に出たアンドロイドが、人間対して抵抗できないのをいいことに
暗がりで暴行されるという事件もある。
 普通の人間ならば、生活していくうえでなんとなく、そういう情報を手に入れていくものだろうが、大人になるまでファクトリーの中で過ごす
アンドロイドには、能動的に与えてやらねば必要な知識を覚える事はできないだろう。ましてや彼女の成長は早い。
213 ◆eoluWvU73w :2008/10/16(木) 23:09:50 ID:1ROeoEQI
 …言いたいことは、分かる…けど…
「…OKすると思う?…なんで、私が…」
 わなわなと声が震える。彼は渋面を作ってみせた。
「こんな事、他に頼める奴がいるか?」
 …いないでしょうね。女の子と喋ってるところなんて見たこと無いもの。…アリス以外は。
「…相手…って…やっぱり…」
「僕。」
 眼鏡の奥の目は大真面目だから手に負えない。
「………帰るわ。」
「待ってくれよ!本当に困ってるんだ!!君なら経験もそれなりに豊富だろ?」
「勝手に決め付けるんじゃないわよ!!」
 すがりつく彼を必死に押しのけ、ヒステリックに叫ぶ。
「恋愛映画の濡れ場とか、無修正ポルノとか見せれば良いじゃないの!!」
「映画は作り物だし、無修正とかそんなもん可愛いアリスに見せられるかっ!!」
「じゃあ、ひとりわびしく自家発電するとこでも見せときなさいっ!」
「もう見せたっっ!!」
 ……………本当に…見せたの…?
 怒鳴りあいがぴたりと止まった。
 さすがに赤面してそっぽを向く彼を睥睨しながら、頭の良い馬鹿って本当にいるのね、と妙に感心してしまった。
「…僕は、アリスに愛を教えたいんだ。」
 くるりと背を向けて、彼はぼそぼそと呟く。
「高尚ね。頼んでる内容は露出プレイの割には。」
「だって、愛しあう男女の究極の姿だろ。」
「愛しあう、ねぇ…。」
 くだらない、と私は吐き捨てた。
「貴方も私も、所詮は演技じゃないの。嘘を教えることには変わりはないわ。」
「…僕は…っ!」
『カレン?』
 澄んだ声が部屋に響いた。
 鈴を転がすような、久しぶりに聞くアリスの声。
 カプセルの中は生命維持のための溶液で満たされているので、本当に声は出せない。けれど脳波を言葉に変換する装置は改良されて、
彼女の声帯から推測される高さの合成音で表現できるようになっていた。こちらの声も、わざわざマイクをつけなくとも、高感度の集音マイクで
拾われて、彼女の脳に送り届けられる。
 このシステムのおかげで、私たちは彼女と自由に、ごく自然に会話することができた。
『お久しぶりです、カレン。ずっとずっとお会いしたかったです。』
 言葉遣いは変わったけれど、純真なところはそのままね、と思った。
「…愛、か。」
「…カレン?」
 いぶかしげな彼からは顔をそむけたまま、私は小さな声で告げる。
「いいわ。協力する。」
「…本当…か…」
 ぽかんと口を開けたままの彼は、とんでもなく間抜け面だった。
 あなたの為じゃないわ。私はあなたの言う『愛』を覚えたアリスを見てみたいの。
214 ◆eoluWvU73w :2008/10/16(木) 23:12:43 ID:1ROeoEQI
 汗を流すというよりは儀式のまえの禊のようだと、シャワーを浴びながら思った。
 がちがちに緊張した身体にタオルを巻きつけて部屋に戻ると、先にシャワーを済ませたハービーが、ベッドの上に寝転がって待っていた。
 …こんなこと…
 見慣れた部屋がどこか非現実的で、まるで再現された映像を遠い場所から眺めているような気分になる。
 照明はもう落としてあったので、カプセルの中のアリスの姿は見えないけれど、私たちの姿を息を潜めて見守っている気配を背中に感じた。
 カプセルにはカメラがしつらえてあって、映した映像を直接、彼女の脳に送り込む仕組みになっている。
「…はじめるよ、アリス。」
 彼の声はおそろしく静かだった。
『はい。』
 アリスは神妙に答える。
「…気が散るかもしれないから、静かに見ていてね。」
 優しい声で言い聞かせると、彼はわたしの背後に回った。
「タオル取って、裸の姿を見せてあげて。」
 私は言われた通り、カメラに向かってタオルを取る。すぐ後ろで、彼の喉がごくりと鳴るのがわかった。
「男の体はこの前、見せたよね。…これが、女の人の身体。カレンは特別に綺麗なんだよ。」
 普段の物言いからは信じられないような、歯の浮くような言葉遣いに驚く。
 女優だった母譲りの、豊かなバストとくびれた腰。いままでそれを維持していて良かったと思った。
 両腕が私の肩越しに伸ばされ、髪をかきあげ、頬を撫でる。
「…だいたい、最初はキスから。」
 肩を抱かれ、唇が重なった。
 思ったよりずっと上手だった。舌が歯列をすっと舐め、私の舌を絡めとる。
 シャワーを浴びる前、経験はあるのか?と尋ねたら、予想外にも『ある』と返事が返ってきた。
 家を出る前、兄達に無理やり連れられて色町を何度か訪ねたのだと、不承不承告白した。
 あの家の男どもの行きつけならば、相当高級な娼館だろう。このキスも、その先の出来事も、そこで手ほどきを受けたのだろうか、とぼんやり思った。
 長いくちづけのあと、彼と目が合う。眼鏡の奥にずっと隠されていた緑の瞳は、あの不思議な少年の頃と変わらない。
 彼は背中から私を抱きしめたまま、ベッドの上に腰掛ける。自然と、私はその彼の膝の上に抱えられる形になった。
 痩せてはいるが、薄く筋肉のついた締まった身体をしているのが意外だった。アリスの育成を始める前は、食費にも困って日払いの肉体労働に
勤しんでいたと言っていたのを思い出す。
 私の身体の正面をアリスの方に向けたまま、彼は私の胸を両手で揉みしだく。
 びく、と私の体が跳ねた。
「…こうすると、女の人は気持ち良くなれるらしいんだ。」
 優しく、しつこく、彼の手は私の全身を撫でさする。動悸が速まり、身体が熱を帯びる。
「…女の人が気持ちよくなってくれると、男も、うれしい。」
 彼の言葉が耳をくすぐるたびに、背筋がぞくぞくとする。…愛しあう男と女という演技に、私も溺れてしまったのだろうか。
 うなじを舐められ、全身の力が抜ける。私は彼にもたれかり肩に頭を預けた。
 繊細な長い指先がすうっとわき腹をなぞって、私の脚のあいだに降りてくる。
「…ここが…」
 彼の指が私の秘所を撫でて、軽く開く。そこはもう、さっきまでの愛撫で熱くうずいている。
「…女性器。ここに男性器が入るんだけど、なにもしないでそのまま挿れると、痛いから…」
 彼が自分の指を舐めるのが分かった。唾液でぬめった指が、私の『女性器』の入り口をなぞり、ゆっくりと侵入する。
 アリスに見られている。そう思うと羞恥で頬がかあっと熱くなる。倒錯した理解しがたいこの状況に、頭がくらんだ。
 指は遠慮がちにじわじわ私の中に潜り込む。訳も無く声が出そうになるのを、必死に抑える。
「…アリス…」
 熱っぽい彼の呼び声に答えようとして、今のは私の名ではなかった、と思い出した。
 どうして彼は、あの子にアリスと名づけたのだろう。
 ――君はカレン、この子はアリス――
 本当に親しい人だけが呼んだ、もうひとつの私の名。私の憧れだった幼馴染の少年は、もう私のことをアリスとは呼んでくれない。
215 ◆eoluWvU73w :2008/10/16(木) 23:20:37 ID:1ROeoEQI
 根元まで沈んだ指が軽く引かれ、抜ける寸前に止まり、また入ってくる。
「女の人が気持ち良くなると、ここが濡れてくる。そうすると、男性を受け入れやすくなる。」
 くちくちと粘ついた音をたてて、前後にうごめく指の動きに、私の中に言い様のない感覚が生まれる。
「…声…聞かせたげて。」
 私の耳に口をつけて、彼が囁く。
 恥ずかしくて噛んでいた唇を、薄く開く。
「…ぁ…ぁ…」
 そこから漏れるのはとんでもなく甘い、わたしの声。
 うずくような感覚に耐え切れず腰を動かすと、さっきから背中に当たっている固いものがすれる。
「………っぅ…」
 彼は、何かに耐えるように歯を食いしばっていた。彼がうめくたびに指は激しさを増し、それにつれて腰が動くと、また彼がうめく。
 私の上半身が軽く捻られ、片方の乳房に彼がむしゃぶりついた。
「ああ…っ!」
 先端を舌で転がされ、きつく吸われる。痺れるような快楽が私の中を駆け抜ける。指は膣内を責め、もう片方の手は敏感な突起を探して捕らえる。
 すすり泣くような私の声が、次第に高くなる。
 …もう…駄…目…
 そして訪れた強い衝動に飲まれ、突き抜ける快感と痙攣に全身が支配される。わななきながら彼の名を呼ぶと、彼は背中からきつく私を抱きしめた。

 力が抜けて、あおむけにベッドに倒れこんだ私に、彼が覆いかぶさる。その眼差しは痛いほど真剣だった。
「…繋がる…よ…アリス…」
 かすれた彼の声に応えるように、私は目を閉じた。
 両膝が大きく広げられ、指とは違う熱い異物があてがわれ、私は震えた。そして襲ってくる裂かれるような痛みに抑えきれず、短い悲鳴を上げる。
 ハービーがはっとして私の顔を見た。
「…痛い…わよ…下手くそ……」
 目尻に涙を浮かべながら、アリスに聞こえないくらい小さな声で悪態をついてみせた。
「…ご、ごめん…」
 こちらがおかしくなるくらい、おろおろしている。
 …想定外?そうでしょうね。ずいぶん尻の軽い女に見えてたみたいですものね。
「…演技。」
 痛みに眉をしかめながら、私は促す。
「…愛してる…演技…しなさいよ…」
 彼は一瞬なんともいえない顔をしてみせて、それからきつく握った私の手に、震えるてのひらを重ねて、優しくキスをした。
「…愛してる。」
 そうね、陳腐だけどとても素敵よ。
 苦痛で固まっていた体の力が、ふっと抜ける。私の中でじっとしていた彼のものが、どくんと脈動したように感じた。
「…好きだっ!」
 不意に彼は、けだもののように私に襲い掛かった。好きだ、好きだ、好きだ…何度も何度も繰り返しながら、私の中に熱い激情をぶつける。
 それは演技。そう、私たちのアリスのためのお芝居。
 私が彼の名を呼ぶのも、すがりついて泣くのも、甘えるようにキスをせがむのも、全て演技。
 まるで本当の恋人同士のように抱き合って、私たちは睦みあう。
 痛みは耐えがたく私をさいなむ。でも、苦痛とは違う熱いなにかが、身体の奥から沸き上がってくるのを感じた。それは身を委ねるには少し怖くて、
でも逃げられず、じわじわと私を取り込む。
「抱きしめて…」
 得体の知れない感覚に追い詰められてそう懇願すると、彼は苦しそうに息を吐きながら、力の限り私を抱きしめる。きつくて息ができない苦しさに
もがきながら、彼の与える熱に焼かれ、頭の中が真っ白になる。
 不意に、彼がくっと唸って、繋がりを勢いよく引き抜いた。苦痛と快楽の混ざったような衝撃が、背筋を走る。
 その衝撃に跳ねたお腹の上に、熱いものが浴びせれれる。それが何なのか、最初はわからなかった。
216 ◆eoluWvU73w :2008/10/16(木) 23:21:34 ID:1ROeoEQI
 彼ははぁはぁと荒い息を吐きながら、私に倒れかかった。その頭を受け止めて腕を絡める。
『…終わりました、か?』
 遠慮がちなアリスの声に、呆然としていたハービーは、はっと顔を上げた。余韻に浸っていた私の頭の中も、すっと醒める。
「…うん、射精…するととても気持ち良いんだ、男は。…本当は中で出したいんだけど…避妊の都合で…」
「…その避妊の認識、間違ってるから。あとでちゃんと正しい内容を教えておいて。」
 汚れた私の下半身を拭く彼の手をやんわりと払い、髪をかき上げながら起き上がる。
 生殖能力が極端に落ちた現代の人間同士では、自然妊娠はあまり起こらないし、そもそもアンドロイドの彼女に避妊知識は必要ないとは思うけど、
嘘を教えるのは良くない。
「シャワー使うわよ。そのまま帰るから。」
「…もう、帰るのか?」
 ガウン代わりに彼の白衣を羽織る私に、彼はがっかりしたように言う。
「疲れたもの。こんな散らかった部屋に泊まりたくなんかないわ。」
 後ろ手でひらひらと別れの挨拶をして、扉のノブに手をかける。これ以上演技を続けるのは、もう、限界。
「…ありがとう、カレン。」
 ごめん、って言われるかと思った。
「どういたしまして。」
『カレン…』
 後を追うようなアリスの声を締め出すように、私は扉を閉めた。
 どうしてあんな依頼を受けてしまったのか、どうしてこんなに、泣きたいようなみじめな気持ちになるのか、よく分からなかった。
217 ◆9eY09I5bQg :2008/10/16(木) 23:22:57 ID:1ROeoEQI
 それから私はずっと、彼らの元には行かなかった。
 今期で博士課程を修了するハービーは、もうほとんどアカデミーには来ないので、偶然顔を合わせることも無い。
 アリスはどうなっただろうか、様子を見に行かねば、とは思うのだが、どうしても足があの地下室に向かってくれない。もしも彼と会ったら
何を話したら良いのか、どう接したらいいのかわからない。
 そんな折、一通のメールが届いた。差出人はハービーの名。一瞬ためらった後中身を見た私は、その足であの地下室に向かっていた。
「カレン様!」
 研究室につながるふたつめの扉を開けると、ひとり室内で佇んでいた少女が、飛び跳ねるように立ち上がった。
 いや、少女と言うべきではないかもしれない。もう立派な大人の女性だ。
「…アリス。」
 ゆるやかに波うつプラチナブロンドに装われた優しげな顔。小柄のほっそりした身体。
 驚くべきはその表情で、少し恥らって、それでも嬉しそうに微笑む様は、今まで見たどんなアンドロイドでも作る事のできなかった、
綺麗で自然な笑顔だった。
 身のこなしも固いところやぎくしゃくした動きは一切なく、アンドロイド特有の身体の線の出るぴったりしたスーツを着ていない今では、
ごく普通の…いや、普通というには綺麗すきるが…人間と寸分変わりは無かった。
「…ついに、歩き始めたのね。」
 これまでの出来事が思い出されて、感慨が押し寄せる。
 人間で言えば成人程度まで育成促進すると、その後はカプセルから出し最終調整に入る。外に出て歩けるようになれば、完成までもう一息という
ところまで来ているということだ。
「つい、一昨日のことです。」
 アリスは静かに頷いた。
「少し前から、次にカレン様がいらしたら外に出てみよう、というお話でした。…でも、育成スケジュールの関係で、どうしてもこれ以上は待てない、
と…」
 申し訳なさそうに頭を下げる彼女に、慌てて手を振る。
「いいのよ。ずっと来なかった私が悪いんだから。」
 本音を言えば、初めて外に出す時くらいは呼んで欲しかったと思った。でも、私がここに来られなかった様に、彼も私を呼ぶことができなかったの
かもしれない。
 二人は私を待っていてくれた、それだけで充分だった。
「あのメールは、あなたがくれたのね。」
『カレン様、貴女に会ってお話したいことがあります。』
 ハービーの名義で届いた、短いメール。しかし彼からのものでないことは、すぐ判った。
「はい、博士のアドレスを拝借いたしました。…どうしてももう一度、カレン様とお話したいことがあったのです。」
 …博士、か。
 私に様をつけて呼び、彼を博士と呼ぶ。アンドロイドとして人間にどう接すべきか、彼女はよく理解していた。それを安心すると同時に、
どうしようもなく寂しくなる。
「ここに居る間はまだ、今まで通り、カレンで良いわよ。」
「…カレン。」
 少し嬉しそうに私の名を呼び、私の手を取ると、アリスは柔らかな髪を揺らし、長椅子に招いた。私が腰掛けると彼女はその隣に座る。
「あの日…貴女とお父様の愛し合う姿を拝見して…」
 私は顔を見られたくなくて、目をそらす。
「…わたくしは、愛というものが分からなくなりました。」
 アリスは胸の前で祈るように自分の手を握る。
「あの後、貴女はここへ姿を見せなくなるし、お父様も…。あの瞬間、お二人はあんなに幸せそうだったのに。」
 …幸せ?
 彼女にはそう見えたのだろうか。そうだとしたら、彼と私のお芝居はよくできていたのだろう。…ただ、芝居を切り上げて本音に戻るのが、
少し早すぎたのかもしれない。もう少しちゃんと演じきれていたら、彼女は愛情に対する疑問を抱かなかっただろう。
 …つまり、アリスに愛を教えるというあの計画は、失敗したのだ。
218 ◆cJ1N2qA0/Y :2008/10/16(木) 23:24:04 ID:1ROeoEQI
「どうしてこうなったのか、わたくしは答えを求めて、データーの海をさまよいました。様々なテキストを読みました。心理学の論文、エッセイ、
小説、恋愛に関するありとあらゆる文章…それらはわたくしに、答えらしきものをいくつか提示してくれましたが、本当の答えと思えるものを
見つけることはできませんでした。」
 アリスは私の手を握り、まっすぐに見つめる。
「カレン、教えてください。貴女はお父様を…ハービー=クランを愛していますか?」
 私はアリスには嘘はつけない。そのまっすぐな心を愛するが故に。
 長い長い沈黙の後、私はひとことだけ、答えた。
 その答えを聞いたアリスは頷くと、私に抱きついて、少しだけ涙を流した。
「…ありがとう、カレン。わたくしは、大事な事をひとつ理解しました。」
 可愛いアリス。私たちの大事なお人形。もうすぐ、お別れね。
「………カレン!」
 その時、研究室の扉が開き、私の姿を認めたハービーが、驚いたように私の名を呼ぶと駆け込んできた。
「わたくしが、連絡したんです。どうしてもお会いしたくなって。」
 アリスが顔を上げて、彼に微笑みかける。
「…そう…か…。」
 少しほっとしたように彼は、座っているアリスの両肩に手を置いた。
「…見ての通り、育成は最終段階だ。幸いアリスは安定していて、今のところどこにも問題は無い。…君のお父上に引き合わせる準備をしてくれ。」
「分かったわ。」
 何を話して良いか分からなかっただけに、事務的な会話はかえって気楽だった。
「…お父様。」
 アリスは甘えるように彼の肩に頬を寄せると、企むように…そんな微妙な表情もできるのかと驚いた…私にちらりと目線を送った。
「いま、カレンとお話していたんです。カレンは…」
「ちょっと待ちなさいアリス!」
 私は慌てて二人の間に割って入った。自然と私はハービーと密着した体勢になる。
「カレンは、愛が理解できなかったわたくしのために、もう一度、愛しあう姿を見せてくれるそうですよ。」
 …そんなこと言ってない!!
 焦る私に、彼はぽかんと口を開け、まじまじと見た。
「…いいのか?」
 いいのか…って…
 その間抜け面を見ていると、ふつふつと怒りが湧いてくる。こっちはあんなに思い詰めたというのに、貴方はずいぶんとお気楽じゃないの?
 少しだけ虐めてみたい気持ちになった。
「…3回回ってワン!と言ったら、相手をしないでもないわよ。」
 それを聞いて、彼はむっつりと黙った。
「できないの?アリスのためよ?」
 私が腕を組んでせせら笑う。できるはずがない。頭の良いことを幼い頃から自覚してる彼は、私同様、実はとてもプライドが高い。犬の真似なんて
死んでも御免だと思っているはずだ。
 彼は勢い良く長椅子の足を蹴り飛ばして八つ当たりし……そして床に手をついて、よたよたと不恰好に3回、回った。
「…わん。」
 実に不快そうな顔で、それでも言われたとおりに、鳴き声もつける。
 ……そこまで…する…?
 言い出した私のほうがあっけにとられてしまう。そこまでしてまでアリスに尽くしたいのだろうか、この人は。
 私は、這いつくばった彼の額に、ヒールのつま先を軽くあてると、アリスに振り返った。
「見た、アリス?あなたもアンドロイドである以上、主からのこういう理不尽な命令にも従わないといけないことを、良く覚えておきなさい?」
 当のアリスは敬愛する父親の情けない姿に、肩を震わせていた。
「…はじめて…理解できました…」
 そして頬を紅潮させて、恥らう。
「貴女は…『女王様』…だったんですね…カレン…」
「「違う!」」
 私たちの声は仲良く重なった。
 まったく、しばらく来ない間に何を学習したのやら。
 …そして「言われたとおりにした」と主張するハービーに押し切られるかたちで、私は二度目のお芝居を演じることとなる。
219 ◆Epsd0/LvVM :2008/10/16(木) 23:27:33 ID:1ROeoEQI
「…これは。」
 常に冷静な父が言葉を失う。その視線の先には、丁寧に挨拶を済ませたアリスの笑顔があった。
 私はあれからつきっきりで、アリスに立ち振る舞いを教え込んだ。
 立ち姿、座る姿、歩き方、笑い方、お辞儀の仕方…顎の角度から指先一つに至るまで徹底的に、最も美しく見える角度と仕草を覚えさせる。
 女優だった母から教えてもらったこと、バレエで学んだこと、礼法の教育で覚えたこと。その全てを彼女に伝えた。
 アリスはじつに優秀な生徒で、教えれば教えるほど、人間のような彼女の魅力がさらに鮮やかに引き立つ。
 成長段階を見守っていた私たちですら、完成したアリスの自然な表情や仕草に驚いたのだ。心のあるアンドロイドを初めて見たのならば、
それはとても衝撃的だろう。
 ごくあたりまえの人間らしさ。その最も基本的なことを再現するのが、技術的にどれだけ難しいか、アンドロイドを一度でも見た事があるなら
誰でも解る。
「…素晴らしい。これ程のものとは。」
 父は感嘆して、そしてハービーに向き直ると満足げに笑った。
「クラン家の三男坊か、見違えたぞ。…良くやってくれた。」
「クランの名はおおっぴらには名乗れませんよ。もう、親父には勘当されたので。」
 彼は照れたように、父とがっちり握手を交わした。
 見違えたのは私も同じだった。床屋で髪を切り、きちんとスーツを着て眼鏡をはずすと、良家の子息に見事に様変わりしてみせた。
美形とは程遠いが、とてもアカデミー一番の変人には見えない。
「カレン嬢の協力がなければ、僕にここまでのことは出来ませんでした。…彼女には、心から感謝しています。」
 今度は私が照れる番だった。父は赤くなった私を見て、昔のように優しく笑って頭を撫でた。
「…そうだな。お前が一番の功労者だな。…私のアリス。」
 それを聞いたアリスが、えっ?と口を押さえる。
「そうね、あなたは知らなかったわね。私の名前は、カレン=アリス=クロフォード。あなたとお揃いね。」
 そしてくるりと振り向いて、アリスの手を握った。
「お別れね、アリス。…どうかその笑顔で、たくさんの人を幸せにして。」
「…カレン…様…。」
 寂しそうな表情すらも本当に綺麗で、私はこの子に関わって幸せになれた最初の一人だと思った。
 ハービーも顔をくしゃくしゃにして、私たちを見守っていた。
 そのとき、父がこほん、と咳払いをした。
「アリス。」
 私とアリスが同時に振り返る。
「感動的なシーンを邪魔して悪いがね。少し私の話を聞いてもらえないだろうか。」
220名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 23:32:54 ID:od0vBZ/5
しえん
221 ◆Epsd0/LvVM :2008/10/16(木) 23:32:58 ID:1ROeoEQI
 父の提案は予想外のものだった。
 アリスの主人に私を指名して、今後の彼女のプロデュースを全て任せると言うのだ。できるだけ派手に。父はそれだけしか注文しなかった。
 そしてハービーには、彼のファクトリーのスポンサーになることを約束した。一度、実家に挨拶に行くのを条件に。
「一番頭の良い子を手放したと、クランの奴はがっかりしてたぞ。」
 父は上機嫌で語った。
 そして毎日がめまぐるしく過ぎる。
 『アリス』…この後、急速に普及することとなる感情表現型アンドロイドの誕生は、世界をにぎわせた。
 愛を知るロボット。マスコミは彼女をこう称えた。
 受付を勤めるアリスをひとめ見たいと、会社のロビーには見学希望者があふれ、業務に支障が出たため、週末には各種イベントや
系列テーマパークなどにも積極的に出向き、彼女は休む間もない程だった。そしてどこでも、とびきりの笑顔を振りまいた。
 アリスと彼、そして私の元には毎日取材が殺到し、眠る間もないほどだった。何で私まで…、と思わないでもなかったが、彼は当たり前だと
言わんばかりだった。
「名門クロフォード家の令嬢でアカデミーでも成績優秀。お母さんは有名な映画俳優。…さらにその美貌だ。話題性は抜群じゃないか。」
 君の前では僕なんか、逆立ちしても敵わないよ…と、じゅうぶん嫌味とも受け取れる言葉を、のちに50年に一度の天才と称される彼に言われた。
 鈍感な彼は気づかなかったが、世間では私と彼の仲も取り沙汰された。
 私のセカンドネームが『アリス』であることから、恋人である私を彼女のモデルにしたのだろう、とゴシップ記者は楽しそうに邪推してくる。
 もともとアカデミー内でも良からぬ噂が立ったくらいだから、こうなるだろうことは薄々予測していた。
 父に注意されるかと思ったが、この件に関して父は沈黙を守った。…そもそも、勘の良い父が、私と彼の関係を見抜いていないはずはない。
 個人の才能をこよなく愛する父だ。おそらく、クラン家の天才少年に自分の娘をくれてやり、一族に取り込もうと画策している。だからこそ彼に、
実家との関係修復を要求して、彼自身の価値を上げさせたのだろう。
 ただ、父の思惑はおそらく成就しないだろう。だって彼は一緒の時でも常にアリスを見ていて、私のことなんて目に入ってもいない。

 (何度目かの)アリスの歓迎パーティーが終わって、会社側に彼女を引き渡し、私たちはようやく取材陣から解放された。
 彼女はこれから社内で暮らし、メンテナンスやイベントなど外出が必要な時だけ、オーナーである私が付き添うかたちになる。
 ハービーももうすぐアカデミーを去り、父の出資で郊外に新しいファクトリーを構える。私はまだ博士課程の途中だから、私たちの生活は
これからは、ばらばらになる。
 地下の小さな研究室も今月中に引き払うことが決まっていた。その引越しの仕度のため、彼と私は久しぶりにあの部屋も訪れた。
 狭く散らかったその部屋にはもうアリスはいない。それは思った以上に寂しいことだった。
 いたるところに、三人での思い出が残っている。交わした言葉、笑顔、それに…
 ハービーも同じことを思ったのだろうか。扉を開けてしばらく薄暗い部屋をぼうっと眺めていたが、何かを振り払うように首を振ると、
着替えもそこそこにベッドの上に寝転がった。
「…疲れたから、片付けは明日で良いか?」
「いいわよ。どうせ業者が来るのは週末だしね。」
 そう言いながら、私も長椅子にもたれる。
 二人とも、相当酔っていた。「アルコールは貴重な脳細胞を腐らせる」と普段は一滴も酒を飲まない彼だが、パーティーでは立場上飲まないわけに
いかないし、私は私で、下戸な彼の負担を減らすため、積極的に杯を受けねばならなかった。
 ネクタイも眼鏡も外し、ワイシャツの前をはだけた彼は、久しぶりにだらしない変人に戻っていた。
 静かなこの部屋で、私たちはそれぞれ思い出に浸る。
「…少し、独り言を言っても、いいか?」
 彼がつぶやいた。酔っ払いの愚痴を聞いてやろうと私が頷くと、彼は仰向けに横たわったまま、目を閉じて腕を額の上に乗せ、表情を隠す。
222 ◆Epsd0/LvVM :2008/10/16(木) 23:34:38 ID:1ROeoEQI
 ――昔、僕が子供の頃、屋敷には何人かの雑用係のアンドロイドが居た。
 今思えば、早めに外に出して育成コストを減らすためなんだろう…皆、子供の姿をしていて、こちらの言う事は一応理解するものの、
ろくに会話は成り立たなかった。ただ言いつけのままに動くロボットとして、人目のつかないところで黙って働いていた。
 僕は当時から変わり者で家族と馴染めず、早々に離れに追いやられていた。
 そこでは数少ない使用人と共に、一人のアンドロイドが働いていた。早朝から深夜まで黙々と働き続ける女の子…僕はその子を蟻のようだと思った。
離れという巣の、僕という王様に仕える働き蟻。
 蟻の行列を見て、虫にも心はあるのだろうかという疑問を抱いていた僕は、ある日、実験をはじめたんだ。
 朝昼晩、そのアンドロイドに声をかける。
 最初はおはよう、とかこんにちは、とか簡単な挨拶。それに慣れてきたら、今日は暑いねとか、明日は雨かな、とか簡単な会話。
 最初はろくに返事も出来なかった彼女が、僕を見ると立ち止まるようになった。まるで話しかけられるのを待っているかのように。
 そうなったら次は褒めてみる。働き者だねとか、君が掃除してくれるから部屋がいつも綺麗だよとか。…褒めれば伸びるという、
犬のしつけか何かの本を参考にしたんだと思う。本心からそう思ってたかは覚えてない。
 最初は黙って聞いていた彼女は、戸惑いながらも「ありがとうございます」と言うようになった。
 僕は、自分の実験の成果が出るのが嬉しくてたまらなかった。…彼女が好きだったのかと言われれば、嫌いではなかった。でも…
一人の人間として扱っていたかと言えば、そうじゃない。…ただの実験動物…そういう言い方が、一番近かったと思う。
 そしてその日、事件は起こった。
 寒い夜だった。一番上の兄が珍しく離れにやって来た。兄貴は僕をよく殴ったし、その日は特に悪酔いしてる風だったから、
僕は顔を合わせるのを嫌って早々に部屋に引っ込んだ。
 しばらくして静かになったから、僕はトイレに行くために廊下に出た。応接室の前を通るとき、何かの物音に気づいて、少し開いている
扉の隙間から中を見た。
 ……………。
 あの子が、犯されていた。
 小汚い豚のように呻く兄貴の下で、声も上げずにただ揺さぶられるだけの細い身体。びりびりに破かれた服と、奇妙に折れ曲がった足。
虚ろなあの子の、目。
 当時子供だった僕にはそれが何だか解らず、それでも見てはならないことを見てしまったことは直感的に気づいて、息を潜めて部屋に帰った。
 …ただ、その光景は目の奥に焼きついてずっと消えなかった。
 そして、あの子は壊れた。
 …壊れたとしか言い様がない。脚の間から血を流したまま、焦点の合わない目でふらふらと徘徊するあの子を、次の朝、中庭で見つけた。
 僕が何を言っても、もう何も反応しなかった。ごめん、助けられなくてごめんって、何度謝っても。
 その日のうちにあの子は廃棄された。犯人は兄貴だってすぐ知れ渡ったけど、親父はちょっと注意した程度で済ませてしまった。
不用意にメイドに手を出されるよりは、ずっとマシだということだろう。
 当の兄貴は「いくつもヤッたけど、壊れたのはあれが初めてだ。あれは不良品だ」って憤慨してた。
 うちの所有するアンドロイドだ。何をしても兄貴は悪くない。…悪いのは、僕だ。
 あの子は心のかけらが芽生えはじめていた。だからこそ理不尽な暴力にその心が耐えられなかった。
 僕の好奇心を満たすためだけの実験は、ひとりのアンドロイドに心を生み出して、そして壊したんだ――
223 ◆Epsd0/LvVM :2008/10/16(木) 23:35:46 ID:1ROeoEQI
「…ならば何故、アリスを作ったの?」
 心を持ったアンドロイドの脆さを知る貴方が、何故。
「…僕は、あの子達が…全てのアンドロイドが心を持ちうると世間に証明したかった。そして…」
 伸ばしていた片手をぐっと握り締める。
「僕はあの子達に、全てのアンドロイドが人権を得るきっかけを与えたい。それが、あの子に対する僕の贖罪だ。」
 私は言葉を失った。あまりに非現実的な彼の夢に。
 最下層の劣悪な環境で働かせるために生み出される、複雑な作業もこなせる高性能なロボット。そんなアンドロイド達に人権を与えれば、
私たちの日常生活は根本から崩れる。
「無理よ。常識では考えられない。」
「…すぐには無理だ。でも、この世界はアリスを好意的に受け入れた。この騒ぎで、すぐに他のファクトリーも感情表現のできるアンドロイドの
開発を始める。…十年や二十年では無理だろう。五十年…それとも百年か…この世に心を持ったアンドロイドが増えて、それを愛する人が現れれば、
世論は動き始めるはずだ。僕たちと同じ心を持つあの子達を守ろうと。アンドロイドと人間が思いやりを持って手を携えれる世界に変わろうと…ただ…」
 彼の声がひどくゆがむ。
「…それまでに生み出される、心持つアンドロイド達は…ただの踏み台だ。その恩恵を享受することは…ない。」
 脳に負荷がかかるアンドロイドの寿命は十二〜三年というのが一般的で、十年を過ぎると買い替え時期というのが常識だった。アリスと同型の
育成方法は、より強い負荷を強いるため、その寿命はもっと短い、というのが彼の見解だった。
「…アリスも…これから僕が作り出す娘達も…心など無ければ良かったと思うだろうか…僕を…。」
 それは今にも消え入りそうな声だった。
「…僕を…恨むだろうか…。」
 私も彼もひどく酔っていて、そのうえ私は、彼に同情しているのだと思う。
 この自信家の変人が、無防備に見せた弱い姿に。
 …可哀想な人。人形だけを深く愛して、そして絶望している孤独な人。
 彼の首に優しく腕を絡めると、背中を向けて顔を見られまいとそらされてしまう。その耳にそっと囁く。
「全てのアンドロイドが貴方を恨んだとしても……私は…私だけは、貴方の気持ちを知っているわ。」
「………アリス。」
「…なに?」
 自分でも驚くほど優しく返事をすると、彼は私の胸に顔をうずめ、震える腕できつく抱きしめてきた。
「…今だけ…甘えさせて…くれ……。」
 どうしたのよ、と私は笑ってキスで答える。彼はほっとしたように息を吐いて…次の瞬間、私を押し倒した。
 …私も貴方も、酔ってるのよ。だからしょうがないわよ…ね。
 あの時と違う、驚くほど荒々しい、飢えているかのような彼の愛撫を受け止めながら、思う。
 あの子は私に、貴方を愛しているか聞いた。
 貴方も聞かれたんでしょ?「カレンをを愛していますか」って。貴方は、何て答えたの?
 貴方はアンドロイドというただの人形を、たぶん死ぬまで愛し続ける。そこには他の人間の入る余地など無い。
 あの子は愛を理解したと言った。でも、愛って何?偉そうな顔をしていても、本当は、私にもよく解らない。
 ただ…アリスは貴方を…たぶん…愛しています。
224名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 23:38:50 ID:od0vBZ/5
しえん?
225 ◆Epsd0/LvVM :2008/10/16(木) 23:38:58 ID:1ROeoEQI
以上です。

トリの途中にタイトルを入れようとして失敗し、途中何箇所かトリが変わってしまいました。
ご迷惑をおかけして申し訳ありません。

◆eoluWvU73w  ◆9eY09I5bQg ◆cJ1N2qA0/Y も間違いなく私です。
226名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 23:58:46 ID:lbV0uipt
GJです。
この手の話は好物です。
聞きかじりの知識でちんぷんかんぷんな受け答えをするアリスとかも見てみたかったです。
227名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 23:59:50 ID:V3gnZp3Z
一番槍GJ!
なかなか、重々しい話でしたな
いろいろと考えさせられました
228名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 00:00:37 ID:V3gnZp3Z
くそ・・・
更新したから一番槍取ったと思ったのに・・・
229名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 00:27:18 ID:V2aQcDl5
この手のものは珍しいけど、非常に良かった。

GJ
230名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 00:41:55 ID:knVwBPFh
誰がいい話書けと…GJ!!
231名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 01:33:15 ID:G/8EfWpY
惜しみないGJを>>225に贈ろう

ハービー視点の話も読みたくなる逸品でありました
232名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 19:15:18 ID:qtt8p829
個人的には、ちょっとすっきりしないフィニッシュだったけど……ああ、こういうのもいいなぁ!
GJ!
233名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 22:45:45 ID:e0tIj8fn
となりのお姉さん系ってこっちでいいでしょうか?
234 ◆9fxcNmN64c :2008/10/17(金) 23:14:42 ID:C6Iv1DHV
>>233
幼馴染みであったら、なんだって、誰だっておk
楽しみにワクテカしてます。
235名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 23:15:54 ID:C6Iv1DHV
げ、すまん、トリップ消し忘れ。
消えます。
236名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 23:31:04 ID:V2aQcDl5
wktk
でもsageてね
237名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 23:33:17 ID:B0K8QwQ/
いい話だ
238名無しさん@ピンキー:2008/10/18(土) 00:24:44 ID:a0CJGbRI
ラストシーン、一瞬「?」って思ったんだけど
アリスは貴女をたぶん…っていうのは、アリス=カレンなんだよね?

ハービーの真意がわからんのが、逆に面白いというか
239名無しさん@ピンキー:2008/10/18(土) 00:35:43 ID:QTMUXE8v
>>238
ダブルミーニングじゃないかなと思う
240名無しさん@ピンキー:2008/10/18(土) 01:40:19 ID:47wgagFH
>>225
GJ!
サイバネティクス系はいいねえ
241名無しさん@ピンキー:2008/10/20(月) 15:27:46 ID:1IYYkepV
今期はいい幼馴染がいてうれしいな
242名無しさん@ピンキー:2008/10/20(月) 19:19:24 ID:E8BzJOr3
>>241
kwsk
243名無しさん@ピンキー:2008/10/21(火) 20:55:15 ID:t/1Mgzkc
>>242
かんなぎ
ケメコ
244sage:2008/10/22(水) 00:15:06 ID:4LRwNsyK
ハービー視点みたい
245名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 00:50:15 ID:0XJHnZSF
しばらく投下が止みそうな今こそ
BOI(ベストオブ今まで意識なんてしたことなかったのに、あれ?なんで胸が……だめっ!あいつなんかに私、認めないんだから!な瞬間)
を選考すべきだと思うんだ
246名無しさん@ピンキー:2008/10/23(木) 00:10:32 ID:Xqr18NmY
>>245乗った。


部活をしていてゴールを決めた瞬間の幼なじみ(男)の笑顔を見て
247名無しさん@ピンキー:2008/10/23(木) 00:49:42 ID:M3/gSR4F
>>245
転んで足を挫いた幼馴染み女をおんぶして帰る幼馴染み男に対して

しかしBOIだとツン幼馴染みしか参加資格が無いじゃないか!
隣のお姉さん的包容力のある幼馴染みとか、近所の妹的な甘甘幼馴染みに対する
需要はどうするんだw
248名無しさん@ピンキー:2008/10/23(木) 00:58:43 ID:pkkrwF6k
お姉さん的なら「弟みたいに思っていたのに、いつの間にか逞しくなったのね。」みたいにすれば
大丈夫な気がしないでもない。
249名無しさん@ピンキー:2008/10/23(木) 01:01:34 ID:dQF7M3gM
まあ、「ベスト・オブ・今までの好意→恋愛感情に変わった瞬間」とかでもいいんじゃない?

前者なら弟的な幼なじみがふと見せた男らしさ。
後者なら♀同級生と歩く幼なじみを見て
「○○くんは△△だけの大事な人なのに…」


とかさ。
250名無しさん@ピンキー:2008/10/23(木) 02:22:38 ID:+XVV0Uxs
年下の癖にぜんぜん甘えてこなかったアイツがふと見せた弱気な本音、なんかどうだろう。
251名無しさん@ピンキー:2008/10/23(木) 06:42:56 ID:AM/IBSa4
いつの間にか出来ていた体格差なんてどうだろうか。
異性なんだなぁと気づいてしまって急にドキドキしたり。
男→女:ふざけて抱きつかれて、うわ柔らか!とか。
女→男:手をつかまれて、あれ?こんなにおっきかった?とか。

みたいなさ…。
異性だと気づいて、じゃあ自分の気持ちって…となるわけ。
252名無しさん@ピンキー:2008/10/23(木) 12:59:04 ID:uy4UjymY
>あれ?こんなにおっきかった?
全然別のことを考えた俺は不純すぎるorz
253名無しさん@ピンキー:2008/10/23(木) 13:26:43 ID:l5xU+eFT
それが漢ってもんさ
254名無しさん@ピンキー:2008/10/23(木) 18:37:42 ID:AM/IBSa4
「ね、ちょっとでいいから触らせて?」
 そう言うやいなや幼なじみ様の手はベッドで寛いでいた俺のそれに触れた。
「く……ちょ、やめっ?」
 いきなりのことに、情けなくも声が裏返る。
 そんなこちらの静止なんて完全無視でさらに気ままにすべり、中の筋の動きさえも知ろうと念入りに這う、指の感触。
「いいじゃない、減るもんじゃないんだから」
「そう……いう、問題じゃなくて」
 まじまじと観察するためだろう、寄せたれた顏からかかる吐息と束ね損ねた遅れ毛がくすぐったい。
「後学のために知っておきたいのよ。自分のを触るのは不可能なんだから、協力してよ!」
 細い指は少し冷えていて、それがいやになるほど感覚を刺激する。
 息をするのも辛い気がするなか、俺が絞りだした意見は一刀両断。
「へぇ、こんな感じなんだぁ……なんかカワイイ。あっ! 動いた!!」
 詰めていた息を吐き出すと、歓声があがった。
 痛くはないが、勝手に動くから次が予想できなくてされるがままだ。
「……勘弁してくれよ……」
「なに? 未来の白衣の天使のためなのよ?」
「白衣の天使は相手の了承もなく人体の急所にアタックしねー」
255名無しさん@ピンキー:2008/10/23(木) 18:40:10 ID:AM/IBSa4
 我慢できなくて、無理矢理柔らかい拘束から逃れる。
 危ないところだった……。
「あっ、ケチ……でもあんなにおっきいんだね……はじめて触ったからドキドキしちゃった」
「触りたいならちゃんと言えっての、こっちだって心の準備っつーもんが……」
「ちっちゃいこと言わないでよ! それはそんなにおっきいのに」
 不満げに頬を膨らませて再度手を伸ばしてくるのを払う。
「これと性格に関係性はありませんー」
「ほんっと、女々しいな!」
「おまえはちったぁ恥じらいを持てよ!」
 膨らんだままの頬を両側から潰すと唸り声が返ってきた。
 さらに噛みつかれそうになったから慌てて手を離す。野生動物が白衣の天使とか、ねぇよ!
「まぁ、いいや。大体わかったから。しっかし、何で女の子にはないんだろ……喉仏」




こうですか。
携帯からだから字数が少ないし、改行とか変で申し訳ない。
256名無しさん@ピンキー:2008/10/23(木) 18:42:42 ID:4AfbDyvB
続かないの!?続くの!?
wktk
257名無しさん@ピンキー:2008/10/23(木) 19:44:21 ID:xq4pNxZM
いいなぁこういうの、喉仏前提だったとしても萌えられるぜ。
258名無しさん@ピンキー:2008/10/23(木) 23:04:30 ID:jEvouG1K
>>255
おまwwww
散々萌えさせといてのど仏かよwwwww
259名無しさん@ピンキー:2008/10/25(土) 13:38:26 ID:c/z9i7rX
「おまえのって見た目より柔らかいのな」
 この前の仕返しとばかりに俺は後ろから手を差し入れると、野生動物的幼なじみ様のそれに触れた。
「やっ……、やめなさいよ!」
「やめなーい」
 両手が塞がっている上に俺の両腕にはさまれて身動きできないことをいいことに、思う存分感触を楽しむことにする。
 あまり外気にさらされていないからか、どことなくしっとりしていて、指によく馴染んだ。
「ん、ふ……くすぐったい」
 けれど脂肪だからだろう接している背中より冷たくて、まるで別の生き物をなぜているみたいだ。
 薄く生える産毛までわかる。
 指の腹を使っては丁寧に、短く切っておいた爪の先では念入りに輪郭を何度も渡る。
「だから、う……くすぐったいってば!」
「ふぅん?」
「人より優位にたってるからって偉そうにしちゃっ――あっ」
 上の方にあるコリコリとしているところを人差し指がひっかけると、身体がわずかに跳ねた。
 触れているところはルームウェアから覗く首筋よりも白いことは見なくても知っている。
「だって我慢できないし」
 もう二週間もしてない。
「そんなしょっちゅうしなくても」
260名無しさん@ピンキー:2008/10/25(土) 13:40:20 ID:c/z9i7rX
 微妙な凹凸に合わせて指に力を加えると、鼻にかかった音が漏れる。
 じらすみたいに優しくもみほぐす。
 背中から伝わる声の振動と鼓膜に伝わる声の振動が心地いい。
 右手は柔らかな感触を楽しんで、左手は指の隙間から逃げようとする突起をこねた。
「ホントはして欲しいんだろ」
「そんなこと……ないし」
 弱い反論は意味がない。その証拠に参考書を開いて、ペンを握っていた小さな手は力なくなげだされているから。
 見えないだけで表情だってきっと。見えないのもときにはいいな、自由にできる。
「さきっぽだけだから」
「さきっぽって……」
「ちょっとだけだから」
「……ちょっと?」
「許してくれるならいっぱい」
 あっさり覆すとふきだされた。
 それを合図に小さな身体を持ち上げて膝へ乗せる。
 顔を覗き込むと呆れたと言うようにため息を吐かれた。
「ヘンタイ」
「ヘンタイでーす」
 いそいそと準備をはじめる俺にさらに言いつのってくる。
「まったく何が楽しいんだか……耳たぶいじるの」
「耳掃除は男のロマン」
 愛用の耳かきでポーズを決めた。
「……普通逆じゃない?」




正直すまんかった。二時間の移動って暇すぎ。
261名無しさん@ピンキー:2008/10/25(土) 13:52:11 ID:BeW1Sxm0
GJ

まさか二回目も見抜けないとは・・・・orz
262名無しさん@ピンキー:2008/10/25(土) 23:54:50 ID:R1ZIW4K2



酔ってる勢いで書くw♀視点



その日もいつもと変わらない一日だった。
私はいつものように相手の話を聞いている。
そう、私は今告白をされている。
相手は軽い感じのいわゆるイケメン?だった。
軽そうな髪を茶髪に染めワックスで軽く立てている。
ピアスの穴も開いており、口元にあるほくろがセクシーさもかもし出していた。


「まぁ色々御託並べたけどさ、つまりは付き合ってくんね?」

なんと軽い感じの告白なのだろう。
告白の仕方からして彼はこういうことに慣れている感じがあり、
そして断られると思っていないのだろう。
彼の告白は自信に満ちていた。
そんな彼に対する私の一言が

「ごめんなさい。」

の一言だった。

「そう!じゃ……ごめんなさい?」

「うん。ごめん。付き合えない。」

私がそういうと彼は驚いたように目を見開いている。
断られると思っていなかったのだろう。
だが断ると同時に彼の態度は一変した。
263名無しさん@ピンキー:2008/10/26(日) 00:06:19 ID:YrAFvepW


「はぁ!?…もう一回考えろよ?俺が付き合ってやるって言ってんだぜ?」

なんという上から目線なのだろう。
彼が告白すればすべての女が付き合ってくれるとでも思っているのだろうか?

「なんど言ってもごめんしか言えない。だって君に興味ないもん」

私は即答した。

「…ふざけんなよ」

そういったかと思うと私は後ろの壁に追い詰められ、
彼は壁に両手をついた。

逃げられなくなった…

「お前さ、調子に乗るんじゃねぇよ?」

「いや、調子に乗っているのは貴方様ではないでしょうか?」

「っ!!てめぇ!!!」

私がそう発すると彼はどうやら切れたらしく私を地面に押し倒した。
正しいことを言ったつもりなのに…

「別にいいさ。どうせ一回ヤったら捨てるつもりだったんだし…
今この場で犯してやるよ」

そう言った彼の目は血走っていた。
264名無しさん@ピンキー:2008/10/26(日) 00:19:11 ID:YrAFvepW


犯される!?…こんな所で大事にしてきた処女を失わなきゃいけないのかな・・・

そう思っていた時

「てめぇ!!芹(せり)になにしてんだよ!!」

そう怒声が聞こえたかと思うと私の上に乗っていた彼は吹き飛ばされていた。

「大丈夫か?芹…」

「…政治(まさはる)」

幼なじみの政治がいた。
吹き飛ばされた彼は教師に連れて行かれている。
政治が呼んだのだろうか?
そんなことを考えていると政治に抱きしめられた。

「ごめんな?芹が連れていかれた後他の女子からあいつの話聞いてさ」

あれ?おかしいな?

「あいつ…散々女を…その…食ってる、らしくってさ」

政治てこんなに大きかったっけ?

「ヤらせない女は無理やりにでもヤるって…」

温かい…。さっきのあいつに押し倒されたときはあんなに嫌だったのに…

「いざって時の為に教師呼びに行っててさ。」

政治だと不思議と…嫌じゃない。





265名無しさん@ピンキー:2008/10/26(日) 00:27:26 ID:YrAFvepW


「遅れて、その……ごめん」

「…なんで政治が謝るの?」

「いや、あいつに押し倒されたじゃん。」

「そうだけど…」

なんで政治が謝るのだろうか?
むしろ政治には感謝しているのに…

「…そろそろ離してはいただけないでしょうか?」

「っ!あぁ、悪い。」

そう言って政治はわたしを抱きしめていた腕を解いた。
不思議と名残惜しかった。

「あいつになにかされなかった?」

「…別に」

「本当に?」

「…本当だよ。」

「なんで態度がそっけないんだよ」

「別に…」

なんでだろう。不思議と顔が熱い。
心臓はバクバクと音を立てている。
政治の顔が見れない。

「じゃあ早く家に帰ろうぜ」

そう言われ、おとなしくついていく。
彼はしきりに心配そうに見てくるが…
今はこの顔の火照りと心臓のバクバクを抑えるので精一杯だった。

【完】
266名無しさん@ピンキー:2008/10/26(日) 00:28:47 ID:YrAFvepW


以上です。本当に勢いで書いてしまったw
タイトルはココロの不思議とでも名付けるかw
267名無しさん@ピンキー:2008/10/26(日) 00:34:49 ID:YrAFvepW


追記


ふとしたきっかけで気付くってこんな感じ?
268名無しさん@ピンキー:2008/10/26(日) 03:19:29 ID:sZBxJjEb
GJ!
よし、誰か ID:YrAFvepW をもう一度酔わせて続きを書かせるんだ!!
269名無しさん@ピンキー:2008/10/26(日) 04:35:49 ID:N+OY3hJ/
足の不安定な車に乗っけてオフロードで酔わせるんですねわかります
270名無しさん@ピンキー:2008/10/26(日) 23:27:41 ID:xvL8+cab
なんとなく思ったんだけど最近投下していただいてる作品って
別に幼馴染みじゃなくても成り立つ設定だよね
逆に考えると「この話の主人公の男女は絶対に幼馴染みじゃないと駄目」っていう設定の方が少ないのかしら
271名無しさん@ピンキー:2008/10/26(日) 23:39:11 ID:oBrS7lAO
やっぱ「小さい頃の約束」とか「数年振りの再会」みたいなシチュとかかなぁ。まあベタだけどさ。
272名無しさん@ピンキー:2008/10/26(日) 23:46:31 ID:/JSjobbV
幼馴染とそれ以外では同じ話でも微妙に受け取るニュアンスが違う気がする。
その微妙な差を求めてここにいる俺みたいなやつもいるからいいんじゃね?
273名無しさん@ピンキー:2008/10/27(月) 01:37:34 ID:ml4M8YoW
ID:YrAFvepW
のものだが…
続編を製作中なのだが…
>>270-272の話を考慮して制作してみるわ
274名無しさん@ピンキー:2008/10/27(月) 03:02:59 ID:uR5RjLmY
約束って要素が無くても距離感で表わせられる幼なじみってのもあるからな
剣鞘なんかは環境の閉塞感もあって実にすばらしかった
275名無しさん@ピンキー:2008/10/28(火) 09:14:16 ID:QJ8mWLxE
施川ユウキの4コマ「12月生まれの少年」に出てくる小学生、柊と葵みたいな性格の二人が高校生になった頃のエロ話が読みたいな。

柊(男) 内向的な性格・妄想癖あり
葵(女) 馬鹿で豪快な性格・でも優しい
276名無しさん@ピンキー:2008/10/29(水) 18:29:29 ID:DdLQEJLu
「これでも食べて元気だせば?」
 私はそういいながら、ほかほかと湯気をあげる親子丼をテーブルに置いた。
 目の前には無駄にでかい身体をこれでもかって縮めたお隣さん。
「今度こそ、今度こそ俺の運命の人だと思ったんだ……」
「それ今年だけでも三度目なんだけど」
「言うなああああ!」
 叫びながらご飯を掻き込むなんて器用なことをしているこいつは、振られるたびに私の親子丼を食べたがる。
 毎回最後の一粒が無くなるまで愚痴やら泣き言やらを聞いてあげるのが通例になってだいぶたった。


「――ふー。ごちそうさま。やっぱりお前のが一番旨いな」
 当たり前でしょ。そう応えそうになって、うつ向きながら綺麗になったどんぶりを手にした。
 ご飯の炊き加減もダシの甘さも、卵の半熟の割合も玉ねぎの細さまで好みぴったりなんだから。
「……何回作ったと思ってるのさ」
 親子丼以外の好みだって、それこそ女の趣味まで嫌ってぐらい知ってるし。
「きっつー。でもありがとな」
「これで最後にしてよね」
 何で私が覚えてるか気付きもしない鈍感には難しいだろうけど。
「早く気づけよバカ」
「何か言った?」
「……何にも」




お腹すいた。
277名無しさん@ピンキー:2008/10/29(水) 20:37:12 ID:AnOJI8V+
ご馳走様でした。
278名無しさん@ピンキー:2008/10/29(水) 20:47:13 ID:FCLUoBLY
>>276
お陰様でお腹いっぱいになったぜ
ありがとう
279名無しさん@ピンキー:2008/10/29(水) 20:50:09 ID:F+7RQcED
ちょっと隣ん家行って親子丼作ってもらってくるわ
280名無しさん@ピンキー:2008/10/29(水) 20:56:15 ID:1g10LWhT
突撃!隣の晩御飯
281名無しさん@ピンキー:2008/10/29(水) 21:20:53 ID:1BSCPuZs
>>279
親子丼は親子丼でもおまいさんが隣ん家の親子を(性的な意味で)
食っちまう親子丼ですねわかりやすいです
282名無しさん@ピンキー:2008/10/29(水) 21:32:12 ID:9YUSgKqf
おとなりさんがマッチョのお兄さんの場合はどうしたらいいですか?
283名無しさん@ピンキー:2008/10/29(水) 22:18:51 ID:AtxbuaQA
>>282
そのマッチョのお兄さんは幼なじみですか?

幼なじみでなければスレ違いです
284名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 07:26:15 ID:9QeUXlg0
こういう創作話も良いんだが、ソウ君みたいな実話の方がニヤニヤするのはなんでだろう?
285名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 11:49:36 ID:gHgudVND
俺も幼馴染が欲しかったよ…
286名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 16:34:54 ID:gL3V3WJQ
それはこのスレ全住人が抱く叶わぬ夢だ
287名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 18:47:10 ID:x2ofEHN9
俺、なんで私立の男子校なんかに行ったんだ
地元の公立中学に行ってれば……
288名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 20:12:08 ID:ocKCxA7s
このまえ幼馴染(♀)の結婚式に行ってきた俺がきましたよ

ところでリアル幼馴染いる人に聞いてみたいんだけど、
幼馴染って恋愛対象としてみることできる?
第三者的な目で幼馴染の恋愛ものを見るのは好きなんだけど
リアルだと幼馴染はどこまでいっても幼馴染なんだよね
289名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 20:14:07 ID:l2ELGr9S
>>288
暴力的だから無理だな。
パシリに使われるし
290名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 20:42:31 ID:tR/GEaDN
このスレに居座って何度目の話題だろう
もう反応するのも疲れ果てたよ
291名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 21:48:49 ID:pqvuWDEh
>>288
多分昔好きだった
と言っても兄妹愛みたいな感じだったが
292名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 00:01:22 ID:JGeMLFjR
高校生まで、玄関で挨拶すればスルーで部屋まで上がりこめた
4畳半にベッドと机しかないような部屋でキャッキャウフフしてたけど押し倒されたりしなかった
向こうが大学生になったら彼女できたから遠慮しろ言われて関係終了
そのタイミングでそいつの友達から告白されて結婚して今に至る

幼馴染はどこまで行っても幼馴染
こっちは結構好きだったと思うんだけど、なんていうか
今でもこのスレに入り浸ってるのでわかるように
『雰囲気』が好きだったような気がする。
私だけがあんたを理解してるのよ、みたいな

本人には未練はないけど、あの空気は今でも好きだ
293名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 00:16:15 ID:6GKCMAe1
>>289なんだがそんな幼なじみをぎゃふんと言わせたい件
294名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 00:17:37 ID:aMLuRkGQ
>>292に漢を垣間見た
295名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 02:58:49 ID:6GKCMAe1
>>294よ。よく読め。まぁ分かってるかもだが>>292は女性だ。婦女子だ。まぁ婦が腐かも知れんが
296名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 04:47:57 ID:dtplZSPF
アー
297名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 10:44:14 ID:/d/QVDIH
>>293
vipかパー速にスレ建ててくれ着いてくから
似たようなのいっぱいあるけどw
298名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 14:23:32 ID:6GKCMAe1
>>297分かった。
vipにたててくる
299名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 20:00:15 ID:Av6EJvUc
>>292
雰囲気ってのわかるなぁ
オレの場合はむしろ男の幼馴染と遊んでるときの雰囲気っつか距離感好きだわ
幼馴染じゃなかったら友達にすらなってなかったと思うほど性格違うけど
そいつといるときはほんと楽

>>298
がんがれ
あと誘導よろ
300名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 20:43:22 ID:cyx9qMab
>>298
いや、その手のスレはパー速に立てた方が…
301名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 21:38:32 ID:NIu7mps0
リアル幼馴染かあ。
異性の幼馴染がいるが、親愛はあっても恋愛にはならないな。
そいつが恋人作っても、結婚しても何とも思わないだろう。
ただ、その相手が、自分が幼馴染に対して使っている愛称を使ったら嫌だな。
その名前で呼んでいいのは自分だけみたいな。
302名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 22:09:51 ID:aZLIlKSQ
>>298
幼馴染をぎゃふんと言わせるイベントが相手の幼馴染にとって
>>245の提唱するBOIでいうところの

今まで意識なんてしたことなかったのに、あれ?なんで胸が……だめっ!あいつなんかに私、認めないんだから!な瞬間

になるわけですねわかります
303名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 22:21:37 ID:LLPtWoqK
いろいろ失敗すると委員会入りか
304名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 00:22:34 ID:Jgt8/aMN
リアルの幼なじみか
隣に住んでてベランダも隣あってて隙間も空いてなかったから
手すりを乗り越えて起こしあったりしてたなぁ
あの頃は何とも思ってなかったが、いざ幼なじみ属性に目覚めると
すげー自己嫌悪だったなw

>>303
住人が揃いも揃ってツンデレなことで有名なスレですね
305名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 19:01:53 ID:37nk1+Z7
幼馴染の彼氏を見たとき
「おいおい、あんなのと付き合っているのかよ」
あれは果たして心配しての言葉だったのかただの嫉妬だったのか
306名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 19:08:37 ID:8gvq0GUt
お前ら皆死ねばいいのに
307名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 23:17:51 ID:n+Q6+6yY
>>298
いつのまにか落ちてたようだが続きはやらんの?
308298:2008/11/03(月) 01:34:32 ID:sEOWPXde

>>307やろうにも規制食らって書けなかったんだw
309名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 01:57:39 ID:wnLnFtJy
俺の嫁さんは幼なじみ
四つ年上だけど

ところで二次元の幼なじみの話しようぜ!
310名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 02:11:36 ID:sEpyKOV3
>>298
んじゃ報告だけならここでもいいじゃない?
幼馴染ものだからw
続きやるならパー速でも
311名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 02:21:52 ID:fOTpF3Vx
誰かSS頼む
312298:2008/11/03(月) 21:58:39 ID:sEOWPXde
>>310 じゃぁパー速にでも立てようかな・・・
とりあえずこの前の報告だけでも聞きたい人いる?
313名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 22:12:19 ID:lTAIhqNz
さすがに実体験報告はスレ違いどころか板違いなんで、別の場所で頼む
誘導くらいはいいかもしれんけど
314名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 23:25:45 ID:dyWSEKHp
記憶違いだったら申し訳無いんだけど
一、二年ぐらい前のこのスレって
ちゃんとSSスレとして面白かったよね?
315298:2008/11/03(月) 23:38:38 ID:sEOWPXde

一つだけ質問させてくれ。パー速ってどこ?
316名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 23:43:58 ID:ZXbzbE46
>>315
ググろう?
317298:2008/11/03(月) 23:46:01 ID:sEOWPXde

>>316パー速VIPってでてきた。
…どこだろう?
318298:2008/11/03(月) 23:49:44 ID:sEOWPXde

ニュー速VIP+でいいのかな?
319名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 23:55:40 ID:SBkOZlxQ
>>317
なぜあってるのに違うところに行くんだw
320298:2008/11/04(火) 00:03:45 ID:sEOWPXde

たぶんここでいいんだよね?http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1225724416/
立ててきたb
321名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 00:21:25 ID:mZpuS6Nn
>>314
vipとか出来て、そのへんごっちゃになったからな。
純粋に2chのオリジナルSS系スレは落ち目でしょ。
二次創作系はまだまだ勢いある所いっぱいあるけど。
322名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 00:25:29 ID:FSDeDQVL
このスレは割りと波が激しいほうだとは思うが、
最近は連日のようにSSが投下されて大賑わいというのも
少なくなってきたような気はするな。

膨らませた妄想をSSに自動筆記してくれるソフトはできないものか
323名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 00:45:15 ID:HggNT9ue
>>322
すぐにHDDいっぱいになりそうだなw
まてよ、それをネタにSSを、、
324小ネタ・忘れて欲しい事柄:2008/11/04(火) 17:32:12 ID:EUYMZsA0
幼なじみ。
おそらく、一部の人間にとっては甘美な響きなのだろう。
実際、こちらの境遇を羨ましがる奴もいるのも事実だ。
しかし、実際に幼なじみのいる俺から言わせれば、彼らの言うことは妄言に近い。
そもそも幼なじみというのは幼い頃から相手をよく知っているということであり、
それはすなわち自分が知られたくない幼少の恥ずかしい事柄も承知しているということだ。
そう、例えば、
「隆文は犬は苦手なんだ。小さい頃に近所の犬にさんざん追い掛け回されていたからね」
「って思ってるそばからそういう話をしてんじゃねぇバカ飛鳥ぁっ!」
クラスメイトと昼食をとっている最中、犬と猫のどちらが好きかという話になったとき、
当然のように答えた女に対して俺は思わず声を荒げた。

「む、人をバカ呼ばわりはいただけないな隆文。私が何をしたと言うんだ」
「人の黒歴史をペラペラ喋る奴はバカ以外の何でもないわ!」
「いいじゃないか別に。一向に答えようとしない隆文が悪い」
……ダメだ、こいつには何を言っても聞きそうにない。
やり場のない怒りを視線に込めて飛鳥を凝視する。当の本人は素知らぬといった風なのがまた癪に障るが。
「……えーと、じゃあ間宮くんは猫のほうが好きなの?」
俺と飛鳥の間に漂う剣呑な雰囲気を察したか、一人が話題を振ってきた。
「いや、猫も「猫もあんまり好きじゃないはずだよ。
  何せ抱き上げた瞬間に思い切り引っ掛かれたりしてたからな」だから勝手に答えるなバカ!」
またもや先手を取られ、しかも恥ずかしい思い出を付随させてくる飛鳥。
友人たちのニヤニヤした顔つきがすごくきつい。くそ、こんなの俺のキャラじゃない。
何だかいたたまれなくなって、昼飯を掻っ込む。空になった弁当箱を閉じて立ち上がり、
「隆文、どこへ」
「トイレだよ!」
飛鳥の言葉に乱暴に答えて、さっさとその場を離れることにした。
何で俺がこんな恥ずかしい目にあわねばならんのだ、チクショウ。


「それにしても栗栖さん、間宮くんのことよく知ってるよねー」
「確かに。さすが幼なじみってところか?」
「それにしても詳しいと思うぜ。まるで間近で見ていたような」
「それだけ仲がよかったんでしょ。うらやましいなぁ」
隆文がいなくなって、クラスメイトからそんな言葉が漏れる。
何だかそうした言葉がむず痒くて、ついつい表情がほころんでしまう。
「まぁ、幼い頃から一緒に遊んだりしてたからね。それに……」
それに。
さっき話したことは、私にとっても大事な思い出なのだ。
私が近所の犬に吠えられたとき、彼は私を庇うように立ち向かってくれた。
私が木の上の子猫を見つけたとき、彼は木に登ってその子を助けてくれた。
私はいつも彼に助けられている。
その事がちょっと情けなくて、でもやっぱり嬉しくて。
他愛ない話をしているだけなのに、ちょっと頬が熱を持った気がした。
325名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 18:10:59 ID:i9hKy4OA
>>324を読んでたらいつの間にか口元がにやけてた
何を言ってるか(ry

GJ、そして続編も頼む
326名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 22:20:14 ID:evy0BKgy
>>324
説教始めんのかと思ったら小ネタだったww
GJイイヨイイヨ〜


マジ幼馴染み欲しい('A`)
327小ネタ・秘密にして欲しい事柄:2008/11/05(水) 21:05:56 ID:sR9ORFEi
……幼なじみという関係が自身の黒歴史を暴露する可能性があることは、
前回の話から十分わかってもらえたと思う。
だがそれは、裏を返せばこちらが相手の弱味を握っているということでもあり、
同じことを相手にしてやることだってできるわけである。
そう、例えば、
「飛鳥は山はあんまり好きじゃないんだ。小さい頃一回迷って帰ってこれなくなったからな」
「ちょっと隆文、何をいきなり言いだすんだ!」
クラスメイトと昼食をとってる最中、山と海のどちらが好きかという話になったとき、
前回の意趣返しとして俺は先に答えたのだった。

「どうしたんだよ、そんなに慌てて。俺が何かしたか?」
「ひ、人の恥ずかしい過去を掘り返す真似は止めてくれ」
「いいじゃねーか別に。一向に話に交ざらない飛鳥が悪い」
……ふふ、前回とは立場が逆になったな。
飛鳥は冷静な、しかし厳しい目付きで睨んでくる。
ま、俺は全然気にならないけどな。勝者の余裕さ。
「……えーと、だったら栗栖さんは海のほうが好きなのかな?」
俺と飛鳥の間に漂う険悪な雰囲気を気にしたのか、一人が話題を振ってきた。
「いや、海も「海もあんまり好きじゃないだろうな
  小学生のときに溺れかけて以来、行こうとしやがらねーし」だからそういう話は止めてくれないか?」
もう一度先に答え、ついでに恥ずかしい思い出も付け加えてやる。
友人達の意外そうな表情の前では、さすがの飛鳥も精神的にきつかろう。
さぁ、大いに恥ずかしがれ!お前も俺と同じ気持ちになりやがれぇ!
「……まぁ、でも。隆文には感謝してるよ」
「……え?」
静かに箸を置いた飛鳥に、しんみりと礼を言われた。
その瞬間、何となく負けが確定したことを認識してしまう。チクショウ。

「それにしても間宮くんって、栗栖さんには昔から優しいのねー」
「確かに。幼なじみの絆は固いってか?」
「それにしてもずいぶん気にかけてるじゃん。よっぽど気になるんだな」
「それだけ栗栖さんのことが好きなんでしょうね、色々な意味でね」
机に突っ伏す隆文を横目に、クラスメイトが口々に感想をこぼす。
そうした言葉が何だか嬉しくて、やっぱり表情がほころんでしまう。
「まぁ、私は大事にされてると思うよ、本当に」
本当に、そう。
ここで話したことは、私にとっては大事な思い出なのだ。
私が山で迷ったとき、彼は傷だらけになりながらも私を見つけてくれた。
私が海で溺れたとき、彼は浮き輪を手に泳いできてくれた。
私はいつも彼に助けられている。
そのことがちょっと申し訳なくて、でもやっぱり嬉しくて。
大事な記憶を話したせいか、何だか顔が赤くなった気がした。
328名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 22:07:07 ID:csqE0MC3
ちょww続編がきてるwww
幼馴染み成分が高くていいわ
329名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 22:16:39 ID:szKzwZCN
これは良い続編www
GJ!!
330名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 20:01:10 ID:k4ExLWSA

gjすぎるwwww最高じゃなぇかw
331名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 06:10:40 ID:8rfvpcTF
これはいい胸キュン(*´д`*)

隆文クンは自分で負け確定とかほざいてるけど俺らから見たら勝ち組すぐる
332名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 03:15:39 ID:qRkk2a/o
某スレの主である俺は勝ち組なのか?
333名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 14:45:10 ID:GEw6FYtJ
某スレつっても俺の中で該当するのが幾つかあるんだが・・・
どの某スレかkwsk
334名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 15:33:28 ID:qRkk2a/o
ヒント ぎゃふん
335名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 15:43:34 ID:RZH5mKZa
ヒント
リアル ぎゃふん
336名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 19:24:33 ID:Lpicbp63
余所にスレたてたんなら
このスレでの自己主張も大概にしていただけませんか
337名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 20:51:12 ID:IbJ2Xlnj
確かにこないだからすごくうざいです><
流れの間はまだ我慢できたが…スレ違いなんだからもうやめてくれ
338名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 07:46:03 ID:J2QPXSG0
空気を読むって凄い大事だよね
自己主張が激しいのは酷くウザいよね
339名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 12:04:04 ID:bd5Grns2
元々誘導されたんじゃなくて隔離させられたんだって理解できてないのが可哀相だ
340名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 12:07:49 ID:hP/WsUXn
発想の転換だよナルホド君
「体験談を語る」んじゃなくて「体験談をもとにSSを書け」ばいいんだよ!
341名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 12:08:35 ID:y0IJNnEP
幼馴染みが自己主張してくるならいい
342名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 13:09:47 ID:bkmr3WRh
幼馴染みの胸が自己(ry
343名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 15:16:44 ID:4npufVOU
主張のつつましい胸もそれはそれで(ry
344名無しさん@ピンキー:2008/11/10(月) 09:11:08 ID:3yZoLCmj
俺の息子が自己(ry
345名無しさん@ピンキー:2008/11/10(月) 13:17:55 ID:KC/PG5A5
それはつつましかったり包まれていたりすると悲(ry
346小ネタ。超サディスティックな幼馴染み:2008/11/10(月) 15:45:41 ID:I8gh+dPQ
 おそらく朝。目が覚めてからも視界は暗い。アイマスクで視力を奪われ、ギャグを噛まされ、耳に被せられたヘッドホンからは大音量で女の喘ぎ声が流れ続けてる。
 身体も大の字に伸ばされたまま動けず、手足をベッドの脚へと手錠で繋がれていた。
 こんな事をする奴は一人。俺の幼馴染みで同じ高校二年。ヘッドホンから流れてる喘ぎ声の主、先月付き合い始めた、真道 硝子(しんどう がらす)。
 その証拠に、唯一自由な触覚を徹底的に責めて来ている。
 舌で俺の胸からヘソまでを舐めながら、人肌に温められたローションたっぷりのオナホールでペニスを扱く。
 にゅこにゅこと卑猥な水音を立て、爆発寸前の尿道から精液を搾り取ろうとしてる。
 ぎゅっぽ、ぎゅっぽ、ぎゅちゅぎゅちゅ、ぎゅっちゅ! ぎゅっちゅ! ぎゅっちゅ! ぎゅっちゅ!
 肉厚なヒダを絡み付かせ、カリを引っ掛けるように上下に擦り、俺の乳首を指で弾く。
 途端に全身が震え、オナホールの中へと精液を中出しした。
 硝子は射精した後も暫く手コキをヤメない。痙攣する俺を見て楽しんでるんだ。だって……硝子は超が付く程のSだから。

 「気持ち良かった頼光(よりみつ)?」
ヘッドホンとアイマスクが外され、怪しく微笑む幼馴染みの顔が映る。
 そして俺を跨ぎ、胸の上に腰を下ろす。右手にはオナホールを持ったまま。
 「ゴメン……私ね、頼光の困ってる顔を見るのが好きなの。頼光を困らせれば困らせるほど興奮するのよ……だから、ねっ」
 俺の眼前で跨いだ姿は変わらず、左手で自らのスカートを捲くりあげる。
 すると見える筈の下着は見えず、無毛の肌と幼い縦スジが見えた。
 「今日は、さ……頼光の精子で……ふふっ、妊娠しちゃおうかと思うの♪」
 硝子は楽しげに中指と人差し指でヴァギナを広げ、その上に中出ししたばかりのオナホールを添える。
 俺は必死に首を横へと振り続けるだけ。

 「んん〜? 不満そうな顔ね、そんなに嫌なの?」
 コクリ。頷く。

 「そんなに妊娠させたくないの?」
 頷く。

 「そんなに自分が出した精子を着床させたくないの?」
 もう一度。

 「へぇ〜、そう……頼光ってば、オナホールには中出しできるのに、私には膣内シャセイできないって言うのね?」
 首を横に振る。って言うか、俺は硝子とセックスした事さえ無い。童貞のままだ。いつも口までで終わり。
 「ムカツクわね……ムカツクから、頼光をパパにしてやるわっ!」
 硝子はオナホールの挿入口を下に向けると、ギュッと強く握って絞り、精液とローションの混ざった白液を、ヴァギナの中へと流し込んで行く。
 「はぁぁっ……着床させられちゃってるよぉっ、わたし処女のまま妊婦さんにされちゃうよぉっ♪」
 流し込んだ後は指を挿れてぐちゅぐちゅと掻き混ぜ、俺の精液を奥へと押し入れている。
 俺は涙を流して泣き、幼馴染みは全身を震わせて喜んだ。



そんな幼馴染みが私は欲しい  みつを
347名無しさん@ピンキー:2008/11/10(月) 16:08:41 ID:BvEcIlhY
>>346
GJ
まさかあなたの作品が馴染みスレで読めると思わなかったよ
348名無しさん@ピンキー:2008/11/10(月) 16:20:15 ID:d6PPtPKS
>>346
GJなんだけど出来れば名前変えて欲しかったよ
349名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 02:15:35 ID:tVwrCf7J
GJ!!
キモウトSSの続きも近々投下予定って受け取って良いんですか?
350決して届かない手を:2008/11/12(水) 04:32:04 ID:mcR0WQLL

もう五年前の話になるだろうか?俺はずっと後悔していることがある。
それはもう手を伸ばしても決して届かない。
なぜ?何で?ナゼ?ナンデ?そんな自問自答を何度繰り返したことだろう。
しかし、何度叫び、悲鳴を上げようと一度輝きを失ったものは取り戻せない。
何故なら最愛の彼女は________

それはいつもと変わらぬ景色、自分の部屋から見えるピンク色のカーテンを見つめる。
そこのカーテンの裏側に俺が恋している少女、香澄がいる。香澄とはいわゆる幼なじみってヤツだろうか?
そんな彼女と俺は、恋愛している。もうこれから一生忘れることはないだろう。
一週間の俺の情けない告白に頬を赤く染め、言葉ではなく唇で返してきたあの表情を。
そして____

「香澄?」
「・・・」
「どうした?さっきから無言で」

香澄はデート中ずっとうつむいていた。不謹慎かもしれないが生理とかだろうと思って別段きにしないでいたが、
流石におかしいと思い、帰りの道のりで声をかけた。
そして彼女は一言だけ、本当に一言だけ

「・・・お母さんに、今日は帰らないって言ってある」

と言った。おれは驚きとうれしさ半分で答えた。

「・・・いいんだな?」
「・・・・・・うん」

そして俺と彼女は一つになった。夜景や海などの見えない安いラブホテルだったが、
俺と香澄は、一緒にいるだけで幸せだったんだ。
その帰り道、幸せ絶頂の俺たちに不幸が襲った。俺たちは自宅へと帰宅すべく
電車を待っていた時だった。
ふいに香澄の身体が宙に浮かんだ。それは時が止まっているようにも見えた。
そして香澄の身体はゆっくりと線路へと向かってゆく。
その数十メートル先には、ライトを照らし、猛然と向かってくる電車の姿があった。
俺は手を伸ばす、香澄に届くように。助けられるように、しかし___

「あきrっ」

それが彼女の声を聞いた最後だった。
俺が横を見ると若い少年が狂ったように笑い、叫びながら駅員に取り押さえられている。
後に聞いた話では誰でもよかったらしい。ただ幸せそうに寄り添う俺たちの幸せを壊したくなったそうだ。
何か?それはおれたちのせいなのか?おれが香澄と付き合ったりしなければ香澄は殺されなかったのか?
どうせおまえは誰であろうがやっていただろう?最初から殺すつもりでここへきたのだろう?
もはや相手には怒りも感じなかった。香澄を失い、香澄の親にも罵倒され、
俺に残ったのは脳裏に焼きつく香澄の恐怖に怯えた顔だけだった___

こうしていても今でも鮮明に思い出す。あの時、香澄を家に帰していれば助かったのだろうか?
そもそも俺が香澄と付き合ったりしたからあんなことになったんじゃないか?
自問自答をしても彼女は帰ってこない。
もうどんなに手を伸ばしても、彼女のほうは手を伸ばすことすらできないのだから。
俺は五年たった今でも、その決して届かない手を、伸ばし続ける。

後味悪くてスマン。なんかふと書きたくなった。
某スレ主より
351決して届かない手を:2008/11/12(水) 04:38:13 ID:mcR0WQLL
すまん。なんか少年がニュースとかでやってる無差別殺人に対して何かを伝えたくなった。
ほんと唐突に思った。その理不尽で殺された人、そしてその周りの人間の悲しみのことも考えてほしい。
そう思って作りました。後悔はしてない。
352名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 08:08:35 ID:6T8N4g/a
>>350
十分伝わったと思う。
ありがとう
353名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 08:23:12 ID:re5xqTsz
>>351
なんで自己主張したがるの?馬鹿なの?死ぬの?
354名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 11:08:14 ID:nmjrirpL
>>351
うざ
355名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 14:07:43 ID:jTWDJBml
別に良いだろ後書きのコメントくらいwww
書き手だってSS生産マシンじゃないんだから
356名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 20:00:18 ID:DJ46l3EX
某スレ主て
お願いだから向こうとこっちで区別つけてくれないか
向こうに全く興味無い人間もいるんよ
357名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 21:17:01 ID:avOpCbfX
>>351
主張したい事はわかる
けど書く場所を考えて欲しい
358名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 21:25:55 ID:LAqX/nun
>>355
後書き云々の話てか書き手そのものが問題
はっきり言ってかなりうざい
359名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 21:35:32 ID:bcK6S1TC
今日俺の爺さんが小学校の幼馴染みと再婚したよ
ほのぼのまったりとしたいい式でした
360名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 21:46:22 ID:2CntkXhU
>>359
じいさんうらやましいなあ
俺も幼なじみが欲しかったよ
361名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 21:51:39 ID:tB5BfeX2
一瞬爺さんと自分の幼馴染が結婚したのかと思ったじゃないか。
362名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 22:09:32 ID:8dUufQPG
何たるNTR。そして爺さんオメ(*^◇^)/゚・:*【祝】*:・゚\(^◇^*)
363名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 23:09:24 ID:DJ46l3EX
>>361
実際、幼馴染みとの年の差ってどこまで許せるかなぁ、と
一人で思いを張り巡らせていたら
もの凄く虚しく
364名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 03:00:44 ID:K+nU+6Pe
>>359
爺さんが小学生の幼馴染と再婚したと読んでしまった俺はどの病院へ行くべきだろうか?
365名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 07:34:29 ID:ZMbE3sRV
あれ、俺がいる
366 ◆oL/gQPdy0M :2008/11/13(木) 15:14:41 ID:heBj8b8D
>>363
当人達が幸せなら、何歳でもいけるさ。
367名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 17:20:14 ID:QTxw1Sx9
そろそろあげるか
368 ◆uC4PiS7dQ6 :2008/11/14(金) 00:46:00 ID:UgkNvefK
次から投下。
エロ無しです。NGは酉で。
369『寝取られ彼氏』前編 ◆uC4PiS7dQ6 :2008/11/14(金) 00:48:38 ID:UgkNvefK
1
 俺の幼馴染みは変わってる。

 容姿は良いんだ。170を越える身長にサラサラと流れる長い黒髪。切れ長で天然のレッドアイズにグラマラスで白くしなやかな柔肌。
 スポーツ万能で成績優秀で家事の一切を熟し、性格もクールドライでポーカーフェイス。
 たいていの事は「そう……」の一言で流し片付ける。
 俺が言うのもなんだが、かなりカッコイイ。実際モテるしな……女からも告白されてるし。
 しかも女なのに『村雨(むらさめ)』って変な名前なんだぜ? いまどきありえねぇって! そんでモテるんだぜ!? 世の中不公平だっ!! まっ、名前だけなら俺の小太刀(こだち)も負けてないが。
 そんな幼馴染みは、数多くの告白を受けてるのに、未だ彼氏を作らない。俺なんて十回くらい告白したけど、一回も首を縦に振ってくれなかった……
 俺だけは幼馴染みの『秘密』を知ってるのに、他の奴よりも有利な筈なのに、毎回「ゴメンねコタ……」って台詞で却下される。
 つまり、俺が一番、可能性無いわけだ。笑えねぇ。

 家も隣同士で、3歳の頃から17になるまで思い続けて来たけど、さすがに限界だよ。十四年間、口説いても振り向いてくれない人を、これ以上は追い掛けれない。
 俺だって彼女作って、イチャイチャしてHしたいんだ。どれだけ素敵な人でも、手を出せないのは辛過ぎるよ……だから今夜、幼馴染みに言わないと。
 もう、部屋には来ないでくれって。
 もう、二人きりになるのはヤメようって。
 言わないと……

 「よしっ、いっちょ気合い入れますか!」
 覚悟を決めれば後は楽。みんな帰宅した教室の中、突っ伏していた机から顔を上げる。
 今日は高二の終業式。今日の夜もベランダ越しに幼馴染みは来るだろう。窓をノックもせず、了承も得ずに、俺の部屋に入り込んで来るだろう。
 その時に、言うんだ。付き合ってくれる人ができたと嘘を付いて、だからもう部屋に来るなと、関係を終わらせる。
370『寝取られ彼氏』前編 ◆uC4PiS7dQ6 :2008/11/14(金) 00:50:15 ID:UgkNvefK
2
 夜も九時を過ぎた。今日は家に一人だけ。二階の自室でベッドに座り、ぼんやりとテレビニュースを眺めてた。
 「給付金かぁ……何に使うかなー」
 そして何気なく呟くと、

 「漫画でも買えば良い。そしたら私が読みに来るよ」
 すぐ後ろから聞き慣れた声。
 鍵の壊れている窓は開けられ、部屋に上半身を差し込みながら村雨が答えていた。
 漫画……か。俺の部屋壁は、四面のうち一面が本棚で、漫画本は2000冊以上存在する。子供の頃からの小遣いも、バイト代も、その殆どを漫画を買う為に注ぎ込んだ。
 俺自身はそんなに漫画を読まなくとも、新しい漫画を買えば村雨が読みに来るから。
 それが嬉しくて、馬鹿みたいに漫画を買い集めた。だけどそれも終わり。二束三文でも、全て売り払う。できた金は、これから現れる恋人に使うんだ。
 「いんや貯めとくよ……それと、新しい漫画は買ってないぞ?」
 俺は前を向いたまま。正面のテレビを見詰めたまま。平静を装ったまま。小さく、小さく、深呼吸。
 「んっ? ああ、今日はそうじゃないんだ。ほらっ、前に『シタ』日から三日だろっ? そろそろ貯まって来たかと思って」
 声と足音が近付き、テレビを遮って前に立つ。
 ブレザー制服の幼馴染みを見上げれば、白い頬を僅かに赤くして俺の顔を見下ろしていた。
 正確には顔じゃない。『耳』だ。村雨の秘密……それは、重度の耳フェチだと言う事。
 耳掃除と称して俺の耳を舐め、しゃぶり、唾液を流し込み、耳垢と一緒に啜(すす)る。俺の耳に関する時だけ、クールな仮面は剥がれ、卑猥なセリフを連発する淫女になる。
 初めて綿棒で耳掃除して貰う時、息を荒くしながら「コタのイヤーバージン奪っちゃうから……」と囁かれたのにはビックリした。それぐらい耳が好きなんだ。
 だから困る。恍惚の表情で一心不乱に耳を舐められて、その間中抱き締められたら、絶対に勃起する! 手を出したくなる!
 村雨も性的に興奮して太腿を擦り合わせてるし……生殺し過ぎるだろ!?
 いつもいつも嫌なんだよ! 耳を舐められた夜に、一人で村雨の名前を呼びながらオナニーするのは!!
371『寝取られ彼氏』前編 ◆uC4PiS7dQ6 :2008/11/14(金) 00:51:59 ID:UgkNvefK
3
 数秒も無言で居ると、我慢できなくなったムラサメは俺の左隣に腰を下ろし、そのまま肩へと寄り掛かって来た。
 「なんだコタぁ……こんなにぐちゅぐちゅの垢なんか溜めて、私を誘ってるのかぁ?」
 そのまま嬉しそうに、アゴのラインまで長い舌を垂らして口を広げ、俺の耳を一口でしゃぶろうとしている。

 ここまでだ。さよならムラサメ。

 村雨の肩を掴んで引き離し、驚いてる顔へ振り向いて見据え、呼吸を一つ、二つ、三つ。言葉を紡ぐ。
 「聞いてよ村雨。俺、さ……今日、彼女できたんだ。だからもう、俺の部屋に来るな。耳掃除も彼女にして貰うからしなくていい」
 俺は落ち着いた顔をしてられてるか?
 声は変わらず普段通りに出せているか?
 その結果は、瞳を大きくし、唇を震わせてるムラサメを見れば解る。
 「あっ、秘密は絶対にバラさないから安心して。村雨も早く彼氏見付けて、いっぱい耳掃除してやれよな!」
 ポンと村雨の肩を叩いてそう切り上げ、トイレで泣こうとベッドから腰を上げようとして、
 「私と付き合えコタ……」
 上げれない。
 両の二の腕は、爪が食い込む程の力で掴まれ握られていた。聞き間違いでなければ告白まで添えられている。
 「付き合ってる子とは別れて……昨日までは私が一番だったんだろ? 良かったなコタ! 十年以上も告白してた相手と交際できるんだぞっ♪♪」
 口調は軽く、笑っているのに、目だけが笑ってない。掴んでる腕も執拗に握り締めたままだし。
 そんな状況で言われても、怪しくは有るけど嬉しくはない。余計に疑問は増大。
 「だから、なっ? 私の身体を好きに触っていいから……恋人同士だもんな! 恋人同士だから、耳……良いよな?」
 村雨は甘い台詞を吐きながら、再び俺に寄り掛かって来る。
372『寝取られ彼氏』前編 ◆uC4PiS7dQ6 :2008/11/14(金) 00:53:26 ID:UgkNvefK
4
 しかしまぁ、最悪だよ。ちょっぴり期待はしてたけど、するんじゃなかった。村雨は自らの身体を差し出してまで、俺のパーツ……俺の耳を手放したくないだけ。
 「ううん、付き合え無いよムラサメ。これからの彼氏の為に、身体は大事にして」
 今でも好きで焦がれてる想い人を完全に拒絶した。だって悲しいよ……好かれても無いのに。
 村雨も今度は堪えたのか、瞳だけではなく、全身を硬直させてる。口だけがパクパクと動いてる状態。
 「ふっ……あははははははははっ! はぁあっ……駄目だっ!! ダメだダメだダメだダメだ駄目だっ!! コタは私のモノだ! 別れて私と付き合ってよ……そしたら、せっ、セックスとか、しても良いんだぞ?」
 顔を何度も左右に振り、耳まで赤く蒸気させて催促する。
 本気だってわかるけど、
 本気だってわかるから、
 好きだって言って貰えないのは悲しい。
 まぁ言わないよ。だって、俺の耳が好きなだけなんだもんな?
 それならこっちにも考えが有る。
 「俺は、別れるつもり無いよ。ムラサメには一ヶ月に一度ぐらい耳掃除させてあげるから……それで良いだろ?」
 身体は、心から好きだって言える奴ができたらソイツに差し出せよ。
 耳だけの為に、好きでもない男の側に居るな。好きになった男の耳を好きになれ。
 それまでは妥協して、耳だけを貸してやるから……

 「私とセックス、したくないのか?」
 「彼女以外の人とはしたくない」

 心にも無い言葉で拒絶し、村雨は下を向いて肩を震わせる。ただ掴まれ続けてる俺の腕だけが痛みに軋んでいた。
 この痛みは、村雨を悲しませた罰。
 「そっ、かぁ……そんなに彼女が良いのかコタ? 昨日まで私をオナペットにしてたクセにっ!
 ふふっ……コタの私を呼ぶ声、私の部屋まで聞こえていたんだぞ? あんな愛しそうに呼ばれたら……んふっ、声だけで妊娠してしまいそうだよ♪」
 村雨は瞳を三日月に細め、俺の身体を抱きしめて耳元に口を寄せる。
373『寝取られ彼氏』前編 ◆uC4PiS7dQ6 :2008/11/14(金) 00:55:04 ID:UgkNvefK
5
 ……はっ? 村雨は今、何て言ったのか。俺のオナニーしてる声が聞こえると言わなかったか? いや、だってそれはオカシイ! もう七年だぞ!? その間、ずっと黙ってたって言うのかよ!?
 グルグルと考えが巡り、体動は影縫われる。
 「他の男子と話ししててもわかるだろ? 学年で一番のオカズにされてるのは私だ。みんなこの身体を見て想像してるんだぞ?
 この胸を揉み、もっとオチンチンで突いてって喘がせて、当たり前にチツナイ射精するんだ……コタが私と付き合わなきゃ、いずれ誰かとこうなるんだぞ? そんなの嫌だよなコタ?
 私の……わた、ひっ、ふんんっ、だめっ、我慢できな……んちゅ、ちゅぎゅちぎゅちぎゅ♪」
 突然。台詞は打ち切られて終わり、右耳に水っ気たっぷりの温かさが触れた。
 へりの軟骨部分を唇で挟んでコリコリと音立て、粘着質な唾液を徐々にコーティングして絡める。
 「ふぁぁっ!? ヤメッ……離れ、ろ、ムラサメ!!」
 村雨が施した長年の口淫と愛撫により、俺の耳は完全な性感帯へと姿を変えていた。ゾクゾクと駆け抜ける快楽はダイレクトで足の付け根に伝わり、たった数秒でズボンを押し上げてしまう。
 ハグから逃げようとしても、さっきまで掴まれていた腕は痛むばかりでちっとも動いてくれない。ははっ、あーあ、こりゃ痣になってるなぁ……
 「んぢゅ♪ ぢゅるぢゅる、んん、ちゅぱっ、おいひいよコタぁっ……いっぱいエッチするからぁっ、コタの赤ちゃんいっぱい産むからぁっ……わたひのモノになってよぉっ」
 一旦口を離して更に抱き寄せ、俺の顔を柔らかくふくよかな胸にぎゅうっと押し当てる。腕を頭の後ろに回し、息苦しくなるぐらいに力強く。
 「なっ? コタ、なっ? 別れろよ、なっ? あした一緒に謝ってあげるから、それでいいよな?」
 こんな現状、昨日までだったら押し倒してたかもしれない。今だって、腕が動けば村雨を押し倒したい。
 でもできないから、色々と考えて、脳内で村雨の言葉を反芻させる。
 そして気付く。あれっ、もしかしてプロポーズ紛いの事を言われなかったか? と。子供を作るとかなんとか。
 それって、俺を好きだって自惚れても良いよな? おおっ、もしかして……もしかしてもしかするのか!? きちんと、話しを聞かないと。

 僅かな光明を感じ、
 「苦しいんだよムラサメ、早く離れ……」
 息苦しいから一度離してくれ。腕が動かないんだと続けようとした瞬間……

 「いやだっ!!」
 急速に首への圧迫が増し、あっと言う間も無く視界がホワイトアウトして消えた。
 心地良い気絶の中で聞こえたのは、
 「悪いけど、彼女からコタを寝取るから……」
 そんな村雨の笑い声。
374名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 00:57:01 ID:UgkNvefK
後はエロ→オチ。
次の後編で終わります。
375名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 01:17:15 ID:Ew73Edxm
また全裸で明日を迎えるのか…
376名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 01:26:02 ID:CSwK/BDr
期待して待ってる。
しかし、村雨がらきすたのみなみで再生されるのは
俺だけでいい。
377名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 07:03:16 ID:V8EBdm63
>>375
おまいは服を着るのか?

常にSSをお待ち申し上げる身としては全裸待機あるのみ
378名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 08:31:35 ID:7dD+C8V+
学校に登校して教室でテント張ってるのは俺だけか?SS超期待して待ってる。それまでヤらない
379名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 08:55:29 ID:umVv2kot
GJ!
なんだが、寝取られものじゃないのにタイトルに「寝取られ」と書くと、それだけで飛ばす人も多かろうと
380名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 15:51:30 ID:RrOIrVFI
寝取られどころかラブラブじゃねーかwww

コタが逸物とバイブで村雨の前と後ろを攻めまくる小太刀二刀流マダー?
381名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 20:12:33 ID:A1p2ljYf
ヤンオサもなかなかいいですねふふふふ
382TYの部屋:2008/11/14(金) 23:59:50 ID:1CuQ4dwB
寝とられ彼氏、のオードブルにでもw



それはいつもと変わらない日曜日だった。
俺は自分の部屋でいつものようにPCをいじり、幼なじみのゆうはそれをベッドの上から見てくる。
しかし、この日はゆうの様子がいつもと違った。

ゆう「ねぇ〜隆〜」
隆「んだよ。おれは今忙しいの」
ゆう「むぅ〜少しはかまってよ」
隆「いまさら二人で何すんだよ」

そう言って俺は抱きついてくるゆうを引き離す。いつもこの繰り返しだ。
ゆうは男ってもんがわかってない。俺だからいいもののほかの男だったらヤられてんぞこら。
しかし、次のゆうの発言で俺は上記の言葉を撤回する羽目になる。

ゆう「…H……しよ?」
隆「ぶううううううううううううううううううううう」

ゆうの発言で俺は口に含んでいたココアを盛大に噴き出した。

隆「おまっ!いきなり何言ってんだよ!」
ゆう「だって…他にすることないんでしょ?だったら…しよ?」
隆「おっおまえは…」

ゆうは初めてではないのだろうか?俺はゆうが誰かと付き合ったなんて聞いたことはない。
しかし、こうして気軽に誘ってくる辺り、初めてではないのだろう。

ゆう「隆、初めてなんでしょ?」
隆「…」
ゆう「私が童貞もらってあげる♪」
隆「うわっ!」

ゆうはそう言うと俺の身体を椅子の上からベッドの上へと押し倒した。
俺はエロゲの主人公みたいに理性を…保っていられなかった。
俺は逆にゆうを押し倒し、気がつくと唇を重ねていた。

隆「…」
ゆう「ん・・・」

俺の部屋にはくちゅくちゅといういやらしい水音が響く。
俺は童貞ながらAVなどを思い浮かべ、胸に手を伸ばした。
ゆうの胸は控えめだが…硬い?しばらく触っているとゆうが唇を離し

ゆう「…待って、自分で脱がせて?」
隆「…分かった」

そして俺はもう残り少ない理性というライフを行使し、ゆうが服を脱ぐのを待った…。

383TYの部屋:2008/11/15(土) 00:01:01 ID:1CuQ4dwB
ゆう「…いいよ」

その言葉で後ろに振り向くと生まれたままの姿で俯いているゆうがいた。

隆「きれいだ…」

気がつくと俺は自然とその言葉を出していた。
そしてまたしても唇を重ね、ゆっくりとベッドに倒れこみ、胸をもむ。
さっきとは違い、かなり柔らかい。
そして一通り揉み終えると俺はゆうの大事なところを見る・・・するとすでにそこは湿っていた。

ゆう「恥ずかしい…」

ゆうはそういうが俺は初めて見る女性器に夢中だった。
そして散々指でいじくりまわしていたが…

ゆう「そろそろ…いいよ?」

その言葉で完全に理性が崩壊した気がした…。

俺は正常位でゆっくりと俺の分身をゆうの大事な部分にあてがう。

隆「…いいんだよな?」
ゆう「…うん」

そして俺はいざ入れようと…

隆「あれ?入らない…」

俺がそうして四苦八苦しているとゆうの手が伸びてきて「ここだよ…」と場所を指定した。
俺はその場所にゆっくりと差し込む…。無論ゴムをつける余裕などなかった。

384名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 00:01:29 ID:GKDs2fB3
>>382
自分のスレでやってください
385TYの部屋:2008/11/15(土) 00:01:43 ID:1CuQ4dwB
ゆう「っ……」
隆「ぅぁ…」

初めて入った女性の中はとても暖かかった。うねうね動いて今すぐにでもいきそうだ。

隆「ゆう・・・入ったよ」
ゆう「っ…うん…」

ゆうがやたら痛そうにしているので俺は下腹部を見た。するとそこからは血が滴っている。

隆「お前…初めてだったのか?」
ゆう「…えへへ、ばれちゃった…」
隆「初めてなのに何で…?」
ゆう「そんなの…好きだからに決まってるでしょ?」

そう言って痛みに耐える彼女の姿を見て俺はゆうを可愛いと思った。

隆「動いて…いいか?」
ゆう「うん…」

そして俺は動く。ゆうが痛がらないように、ゆっくりと。
だがゆっくりやっても痛いらしい。しかし、俺は腰を止めることができない。
ゆっくりとしたストロークを繰り返していく。
やがて俺には限界が訪れた。

隆「やばい…いきそう…」
ゆう「……んっ!」

なぜかゆうは俺がいきそうと言った途端に足に力を込め、抜けないようにしていた。
俺は今更ながらゴムをつけていないことに気づき、必死で抜こうとする。

隆「おいっ!やばいって!」
ゆう「…お願いっ!中に…隆とできた証が欲しいのっ!」
隆「まずいtt…ぅ…」

まずいとは知りながらも俺は我慢できず、ゆうの中に欲望を解き放った…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

隆「はぁ〜…お前なんで初めてなのに誘ったんだよ…」
ゆう「馬鹿。好きだからに決まってるでしょ?」
隆「しかも最後のなんだよ…出来たらどうすんだよ…」
ゆう「むぅ…もう社会人なんだしいいじゃん♪責任…とってくれないの?」
隆「…まぁ…いいけどよ」
ゆう「♪隆大好きっ!」
隆「ちょwお前くっつくな!もう一回したくなるだろ!」
ゆう「…する?」
隆「………します」

そして数ヶ月後。二人の間には新しい生命が宿り、今では二人は幸せに暮らしているという…。〜FIN〜



386名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 00:15:51 ID:QHfbsAG6
>>377
服は着てても心は全裸だ
387名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 01:54:36 ID:jUd7jmmx
>>382
お前が今まで読んできた小説には
括弧の前に名前が付いていたのか
と問いたい
388名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 11:17:27 ID:xZw9CUzA
誰だあのスレから転載したのは
389名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 23:32:07 ID:xtR45DuL
>>387
生まれた時からネットが充実した環境の中で育ったのなら
あり得るかもしれん

最近、余所にスレ立てた彼とか>>378とかを見てると、自分が勘違いしてるのか不安になってくるんだけど
BBSPINKって年齢制限無くなったの?
390名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 23:43:49 ID:WQ7njDne
いつのまにやら18歳に引き下げられた。
391名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 23:45:44 ID:K8w2UybW
>>389
21禁から18禁になりました。
392名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 23:54:25 ID:kC8fla3z
「もう、あんたはまだ17歳なんだからこんなエロサイトみちゃ駄目でしょ!」
393名無しさん@ピンキー:2008/11/16(日) 01:07:40 ID:avnKBLrS
>>389
前からうっかり年齢漏らして叩かれるバカはいたじゃないか
394『寝取られ彼氏』中編 ◆uC4PiS7dQ6 :2008/11/16(日) 22:40:49 ID:EUbkB0Qp
1

 ――ガタンゴトン、ガタンゴトン。


 ああ、身体が熱い。息も荒い。きっと夢の中。夢の中で俺が居るのは、一歩も動けないぐらいに詰まってる満員電車。
 勃起したペニスをズボンから出し、前に立つ女性のお尻にグリグリと先端を押し付けてる。
 ブレザーを托し上げ、ブラを抜き取って下に落とし、両手を使っても余る程に大きな胸を、入り口のドアガラスに密着させる。
 電車の外からは、潰れたふくらみと、コリコリに固くなった乳首と、羞恥で赤くなった顔が丸見えの筈だ。
 ペニスにスカートを掛けて隠し、痴漢行為により濡れて張り付いてる下着を、クロッチ部分に人差し指を引っ掛けて横にズラす。
 「ひあっ!? おっ、お願い、しま、す……私、これから……ひくっ、学校、なんですぅっ……」
 女はイヤイヤと長い髪を力無く左右に振り、涙目で俺にだけ聞こえる様に訴えるが、そんな被虐の表情をされても、余計に性欲を煽るだけ。絶対に止めたりしない。
 だから女の耳元に顔を近付け、できるだけ甘い声で、
 「駄目、だな……中出しだ。俺のザーメンを腹に溜めたまま学校に行けよ」
 膣内射精宣告をしてやった。
 弾力有る尻肉を両手でガッチリと掴み、ヴァギナにペニスを擦り付けてヌルヌルの愛液を全体に纏わせる。
 「ヤメ、てっ……ぐすっ、ください。手で……うくっ、いっしょうけんめい……しますっ、からぁ」
 あっ? 今更なに言ってんだコノ女は? 俺好みの顔とスタイルしやがって。
 「駄目だ。中出しだ」
 鈴口と挿入口をキスさせる。それだけで女の淫孔は水音を立てて吸い付き、物足りないと、言葉とは逆にディープが良いと催促して来る始末。とんだ淫乱だ。

 「はっ、うっ……ひぐっ、ううっ……せめて、中出しだけはヤメ……」
 「駄目だ。中出しだ」

 いつまでも縋(すが)る女に、もう助からないと教えるべく、台詞を遮ってゆっくりと腰を打ち込む。
 ぢゅぷっ、ぢゅぷちゅぶぢゅぷぢゅぷぢゅぷ……
 「んああっ!? そん、なっ……ふあぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」
 ついに漏れた××の悲鳴。身体を弓形に反らせ、口横からヨダレを垂らす。
 もうどうだっていい! バレたって構わない! だけど絶対に中出しだっ!!
 「ふぅっ、ふぅっ、ふぅぅっ!!」
 どうせこれは夢なんだから……
 だってこんなに気持ち良いのに、どんなふうに気持ち良いのかが解らない。セックスの経験がないから、せっかく×雨とシテるのに感触が伝わらないんだ。
 俺の好きな顔で泣き、俺の好きな身体を震わせ、俺の好きな声で喘がせてるのに、村×とセックスしてるのに、こんなのってないよ!
 って事は、気持ち良くてイキそうなのも、結局は夢精って事か? ちっく、しょう……
 「ちっくしょぉぉぉぉぉぉっ!!!」
 快楽の波がペニスの中心から噴き上がる感覚。ああ、夢精したなー。
 「コタっ、コタっ! コタぁっ!! もぅ、イっキゅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!」
 そんな村雨の絶頂と同時に、ぼんやりと意識が覚醒し始め、パンツ洗わなきゃなーって考えが浮かんだ。
395『寝取られ彼氏』中編 ◆uC4PiS7dQ6 :2008/11/16(日) 22:42:15 ID:EUbkB0Qp
2
 目に映るのは見馴れた天井。俺の部屋だ。
 そして今度は間違い無く、身体が熱い……と言うよりも気持ち良い。
 確かめるために、その気持ち良い所に視線を流す。ヘソの位置よりやや下、男性シンボルの有る場所。
 「んむぅぅぅぅぅぅぅっ!!?」
 慌てて俺は声を出す。『ガムテープで口が塞がれ』てて、何て言ってるか理解できないだろうが、それでも構わない。
 だってヤメさせないと。こんな信じられない光景は終わらせないと。

 「ちゅぴゅっ……んっ? たった今、私の手でシコシコピュッピュして小太刀君が目を覚ましましたぁっ♪」
 右手に付着してるザーメンを舐め取りながら、俺が仰向けに横たわるベッドに、村雨が寄り掛かってる。
 左手にはハンディカムのデジタルビデオカメラ。レンズ越しに俺のペニスから顔へと往復させて、口元を吊り上げて妖しく笑う。
 レンズ下に有る『撮影中』の赤いランプが点いてるし、村雨が何をしてるのかは一目瞭然。
 「んんぅぅっ!! んむぅぅぅぅっ!!!」
 止めようにも、身体は全く動かない。ズボンとトランクスを剥がされて下だけ裸にされ、膝上と腹部と胸部の三ヵ所を、ベッドごとビニールテープでグルグルに巻かれていた。
 なんなんだよ……なにがしたいんだよ村雨は!? 手でされたんだなってのはわかるけど、どうして今になってこんな事を?
 「なんだコタぁ、ムラサメは何をする気なんだって顔してるぞ?」
 村雨はカメラで撮影を続けながら、その場で立ち上がってスカートをパサリと床に落とす。
 「んんっ!?」
 そうしたら見えてくる。大事なトコロが隠れて無い、下着の役割を果たしてるのかさえ不安になる、布地が極端に少ない黒色のローレグパンツ。
 「コタも、机に仕舞ってるアダルトDVDを見たなら知ってるだろ? 今からするのは、ハメ撮り……と言うやつだよ」
 ハメ……頭がオカシクなったのは俺か村雨か。
 同じ言語で会話してるよな? 変なフィルターを通してないよな?
 ならハメ撮りってアレだろ? 男と女の接合部を撮影しながらセックスする……ん? 去年ネットで買って、机の引き出し奥に仕舞ってたの見付かってたのかよ……ああ死にてぇ。
 「いいよなコタ……これから先、コタとしかエッチしないから、コタのチンポしか挿れないからぁっ……なっ? コタのどーてい、私にちょーだい?」
 自己嫌悪してる間に、村雨は俺の身体を跨いでベッドの上に立つ。
 そしていつの間にか消えていた撮影ランプを、未だガチガチに勃起する俺のペニスに照準を合わせ、再び点灯させた。
 「見てるか彼女さん? 今から小太刀君は、交際一日目に浮気するぞ? いや、違うな……小太刀は貴女を弄(もてあそ)んでいたんだ。だから交際じゃない、ノーカン。
 小太刀も、初めて付き合うなら気心知れた人が良いと言ってたからな。それにコタはもの凄く鬼畜な奴なんだ。私なんていつもハメ回されて……ハメ殺される寸前まで犯されてるよ。
 もちろん避妊なんかさせて貰えない。生理だからと断っても、生理なんて毎日……はぁっ、ナカ出ししてれば来なくなるって、押し倒されるんだ。
 ふぅっ、ふぅぅっ……じゃあ、今日も、コタの……ふっ! チンポを、私のあっ……アソコにぃっ、ハメハメしてもらいましゅ♪」
396名無しさん@ピンキー:2008/11/16(日) 22:45:02 ID:EUbkB0Qp
今回は以上です。
中途半端でスミマセン。
長い移動中に携帯で書いてたら、電池が切れそうになったので保存代わりに投下させてもらいました。
今度こそ次で終わります。
397名無しさん@ピンキー:2008/11/16(日) 22:53:47 ID:0nyvJ4xb
中途半端すぎるww
続きが気になりMAX!
398名無しさん@ピンキー:2008/11/16(日) 23:09:44 ID:avnKBLrS
また全裸で正座してろって?なにこれ新手の拷問?
399名無しさん@ピンキー:2008/11/16(日) 23:22:52 ID:9SvY934/
うp主はドSと見た。
400名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 00:02:06 ID:7sNEhDH6
俺がもがき苦しむ姿を楽しんでるな
GJです
401名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 00:11:31 ID:RDYv7u/m
ああああああああああああ気になるうううううううううう!!
GJ!
402名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 18:41:21 ID:JetfKhz0
何という天然ドSっぷりw
403名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 00:54:33 ID:IXEIIUM1
ここってファンタジーってあり?
404名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 01:06:12 ID:/CdwgIyB
幼馴染であれば
405名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 01:08:22 ID:IXEIIUM1
じゃその内投下します
406名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 01:13:12 ID:PKBh64pN
厚着で待ってます
407名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 02:49:18 ID:IXEIIUM1
405です
ファンタジーな幼なじみもの投下。

エロなしほのぼの
巨乳好き俺様王子としっかり者婚約者候補

全体的に少女マンガ風味で王道で色々とアレでイタタな話なんで、
ダメそうならスルーよろしく
408成人の儀:2008/11/18(火) 02:52:38 ID:IXEIIUM1
これは、とある世界での、昼下がりの出来事。
東南に海を臨み、西に豊かな山脈が連なる王国にて、今日はめでたくも成人の儀が執り行われた。
そのため、国のちょうど真ん中に位置する王城内は、右往左往する人々の姿で溢れていた。
なにせ、成人と認められる15の年までに何らかの優秀な成績を修めた者は、
王城主催の成人の儀に出席する権利を得られるのだ。
家柄も階級も関係なく、才能ある前途有望な若人にのみ、王城の堅い門扉は開かれる。
そしてついにこの日、王城を目指した若者たちの努力は報われたのである。
そんな、喜び溢れる王城内に浮かされたように、中庭の回廊を駆けていく姿があった。

「はぁ…はぁ…」
長い金髪を結い上げ、真っ白な肌の頬を紅潮させた少女だ。
何かのパーティーにでも行ったのだろうか。
少女の幼さの残る顔立ちに比べ、少し大人っぽい青のドレスを身にまとっている。
前方を真っ直ぐ強く見据える青の瞳は、纏ったドレスにも負けずキラキラと輝いていた。
その瞳で、少女はドレスの裾を両手でつまんで、キョロキョロと周りを見渡している。
「もう…どこに行ったんだろう」
息を乱して呟くと、少女は回廊を渡りきろうという手前で足を止めた。
「こういう日ぐらい、ちゃんと祝ってって言ったのに…」
メイフェルディ・ウォルト―メイリィは、走ったせいでもなく高ぶる気持ちを落ち着けようと、
先ほどのことを冷静に思い返すことにした。

409405:2008/11/18(火) 02:54:59 ID:IXEIIUM1
さわりはこんな感じ。
残りは明日投下します。
もう寝る
410名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 04:47:33 ID:PB92f/pf
こりゃぁ…携帯(からの投稿)小説か
411名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 05:06:23 ID:zRWYrE1i
>>409
明日はコピペなど駆使して一気に投下して、投下終わり、ときちんと書くんだぞー
412名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 11:00:08 ID:H96WFEUx
萌える
413名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 17:36:01 ID:kQ4OUh45
このスレのSSとゴーイングアンダーグラウンドの曲はなんとなく合う
414名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 18:08:16 ID:ovcwT2TR
ミラージュとかな。
415名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 20:53:08 ID:cRTKjIbW
俺も最近幼馴染みに好意を抱くようになってきた。54歳だけど
416名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 20:55:11 ID:NQ3afyWZ
俺は最近幼馴染から敵意を抱かれるようになった。23歳
417名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 21:08:26 ID:kQ4OUh45
>>416
なにしたんだよw
418名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 23:29:54 ID:0wGwLrnp
俺は昔から幼馴染から敵意しか抱かれていない。19歳
419成人の儀:2008/11/18(火) 23:30:42 ID:IXEIIUM1
続き投下します。
お察しのとーり携帯からなんで読みづらいときスマン
420成人の儀:2008/11/18(火) 23:33:06 ID:IXEIIUM1
ざわめく広間では、参加者の緊張でぴんと張っていた空気が解けた反動からか、そこかしこで馬鹿笑いや大声が上がっている。
一大行事である成人の儀は無事終了し、今は玉座のある大広間で慰労の舞踏会が行われていた。
先月で満15才となり、様々な分野で才能を開花させてきたメイリィも、もちろんこれに出席していた。
『おめでとう、メイリィ。よくもまあ、ウチの愚息の相手をしながらこれほどの成績を修められたな。
お前の努力には、いつも目を見張らせられるよ』
そう言って、いつにも増して目を細め笑いかけたのは、この国の十七代目の王。
レイド・A・ライゼリムその人だった。
その昔『東南に武王あり』と恐れられたレイド王は、今でさえ屈強な体に衰えが見えない。
そして、強面な見た目に反して、性格は至って大らかで親しげだ。
『とんでもございません、陛下。
いたらぬ私を王子のご学友として迎えて下さった陛下や王妃様に報いる為には、このぐらい当然です』
恭しく礼をしながら、けれど毅然と言い放つメイリィ。
15才とは思えぬほどの意思の強さが、彼女を大人びさせる。
『…そうか。しかし、なんだな。メイリィも晴れて大人の仲間入りになったんだ。
もう少し色っぽい返答も覚えにゃならんぞ。どうだ?そのご学友…バカ息子との最近の進展なんぞは』
苦笑するレイド王に対し、メイリィはにこりともせずにべもない。
『お言葉ですが、陛下。コール王子と私の婚約は、あくまで形だけのはずではなかったでしょうか?
恐れ多くも、特に有力でもない家柄の私を王子のご学友として立てて下さったことは感謝しております。
ですが、婚約となるとこの身には余りすぎて、とても現実として考えられません。
なにより、王子ご自身がご不満を覚えていらっしゃるはずです』
いつもの朗らかな表情から一変して、硬い、実をつけたばかりの蕾のようにかたくなな顔。
レイド王はまだ苦笑しながらも、玉座から離れ、拝礼の姿勢をとっている少女の前に立った。
そして、丸く細い肩を、なだめるようにポンポンと叩いてやる。
『そうかな?俺には、あの人一倍意地っ張りで見栄っ張りの負けず嫌いが服着て歩いてるようなやつが、
お前には唯一気を許しているように見えていたんだがな』
『え?』
メイリィは目を見開いて、ついレイド王の顔を見上げてしまった。
許しもなく王の顔を見上げてはならないという規則を忘れるほど、メイリィには衝撃の言葉だった。
421成人の儀:2008/11/18(火) 23:35:46 ID:IXEIIUM1
『お互い、もう子供じゃない。たまには意地とか体裁ってのを取っ払って、素直になったらどうだ』
『陛下…』
『もちろん選択権はあるさ。俺も鬼じゃない、お前がどうしても嫌だってんなら辞退も考えよう。
だが、お前たちはまだ何も始まってないんだ。どうせやめるなら、一度ぐらい試してみないか?』
レイド王の言葉は、まるでメイリィの心を見透かしているかのようだった。



「陛下は、私とコールが恋仲になると思ってるのかな…」
ようやく整ってきた息を、すうっと吸い込んで吐き出し、胸を落ち着けさせる。
メイリィにとって、さっきのレイド王の言葉は、全て寝耳に水とも言うべきものだった。
「私とコールの関係なんて、ただ学友として一緒にいただけの、腐れ縁みたいなものなのに」
(けど、こうしてわざわざ探しまわってるのは、本当にそれだけの理由かしら)
自問自答している自分に、心臓がどきどきと責めている。
メイリィは、自分で自分の気持ちに折り合いをつけることができなくなっていた。
レイド王は、言葉でもってメイリィの気持ちを操る魔法でもかけたのだろうか?
こんな落ち着かない気持ちは初めてだ、とても耐えられそうにない。
メイリィがそう思ったときだった。

「……いじゃない、せっかく…の日なのに〜。ヒドイ男ね、コール様」

(コール様…?)
甘ったるい女の声が確かにそう読んだのを、メイリィの耳は聞き逃さなかった。
コール。
それは今探している男と同一人物かと、メイリィは声がした方へ無意識に足を運んだ。
それが最悪の事態になろうとは、知る由もなく。
422成人の儀:2008/11/18(火) 23:38:55 ID:IXEIIUM1

「ふん、その晴れの日に誘ってきたのは貴様の方だろう。何がひどいだ。俺様に非はない」
「そうかしら。こんなとこで、分かりやすい誘い文句を口にする方に、非は微塵もない?」
「貴様、俺様に同じ事を二度も言わせる気か。…よほど仕置きを受けたいようだな」
「ふふ…女ですもの。手加減はなさってね」
「誘い上手も過ぎれば興ざめだな…」

メイリィが、中庭の奥まった場所で見た光景。
眼鏡を掛けた黒髪の男と、豊満な体を持った貴族の婦人の密会現場。
それは、メイリィを婚約者候補としているはずのくだんの王子コール・A・ライゼリムと、
成人の儀に列席したと見られる年上の女性が、キスをしながら抱き合っているというものだった。
メイリィはまず、驚きと羞恥とみじめさで、軽いめまいを覚えた。
ともすれば、膝が崩れそうになるほどの衝撃だった。
そして、その最初の衝撃が過ぎ、一番にメイリィの感情を突き抜けていったのは、怒りだ。
(別に、今さら驚くようなことでもないじゃない。コールは前から女好きだったし、
私には隠そうとしてたみたいだけど、何人かの人と付き合ってるって噂なら前からあった。でも…)
メイリィは、薄い手の甲に血管が浮かぶほど、ぎゅっと拳をにぎりこんだ。
(よりによって、今日、このタイミングで!私とは全然違う美人でスタイル良くて大人の色気たっぷり、
おまけに超・巨乳の人と、こんな所で、寒々しいセリフ吐きながらいちゃつかなくたって〜!!)
メイリィの小さな胸の中はもはや、いろんな種類の怒りでごった煮状態になっていた。
423成人の儀:2008/11/18(火) 23:41:27 ID:IXEIIUM1
「コール!」
人の情事に出歯亀するような趣味などもちろん持ち合わせていないメイリィだったが、
レイド王の言葉で盛り上がっていた気持ちの行き着く先は、もはや怒りでしかないのだから仕方ない。
「め、め、メイリィ!?お前、舞踏会に出てるはずじゃ…」
メイリィの鋭い声に反応した男―コールは、さっきまでのカッコつけた雰囲気はどこへやら、
可哀想なほどうろたえていた。
「その舞踏会に最初に誘ってきたの、誰だっけ?」
「いや、ちょっと用事が出来てだな…」
「ふ〜ん、こんなとこで女の人といちゃついてるのが、そんなに大事な用事なんて、知らなかった。
明日の王城新聞の三面記事が楽しみね〜。『コール王子、真昼の逢瀬!相手はやはり巨乳だった!』」
「ばか…っ。ち、ちょっとこっち来い!」
慌てた体でコールはメイリィの細い腕を掴み、その場から引きずり出した。
「ちょっと、なにするの!?放してよ!」
「うるせぇ!」
暴れ出すメイリィを無視して、コールは力任せにずんずん中庭から離れていく。
自然、取り残された形の貴族の婦人は、腹を立てた様子もなく「ご愁傷様〜」と手を振っていた。
「痛いって!舞踏会に戻るんだから放してよ!」
「説教したらいつまでも好きなだけ踊らせてやるよ!」
「なんで私が説教されなきゃならないのよ、立場が逆でしょ!」
「だから、部屋に戻ったら聞くって言ってんだろ、この貧乳!」
「なんですって馬鹿眼鏡!」
その、王子とその婚約者候補のものとはとても思えぬ言い合いを聞く者は、幸か不幸かいなかった。
424成人の儀:2008/11/18(火) 23:44:15 ID:IXEIIUM1

連れ出された先は、コールが執務室として使っている部屋だった。
書棚が右側の壁を埋め尽くす一方、左には様々な武器が飾られている、雑念とした部屋だ。
メイリィはいつもならなんとも思わず入るこの部屋に、言い様のない居心地の悪さを感じた。
「…放してよ。ここまで来たんだからもういいでしょ」
憤懣やるかたなし、といった表情のメイリィを見て、コールは渋々手を放した。
「ったく。なんであんなとこに居たんだよ」
溜め息混じりのコールにまた怒りが湧く。
あなたを探しにきた、なんて死んでも言いたくなかった。
「私がどこにいようと、コールには関係ないじゃない」
「かっ…わいくねぇな〜いつもいつも!ちょっとはしおらしく言えねぇのかよ」
いつものメイリィなら、こんな憎まれ口は上手に流せるはずだった。
しかし、さっき女のプライドをズタボロにされたばかりのメイリィには、無理な注文だ。 「そうよ!かわいくなくてしおらしくもないよ私は!悪かったわね、美人でも巨乳でもない上に、
性悪な女が婚約者候補で!…でも、もう終りにするから安心してよ」
メイリィの常にない剣幕に圧倒され、コールはズリ落ちそうな眼鏡を引き上げることも忘れている。
一方メイリィは、驚きもあらわなコールをよそに、感情に任せて言葉を吐き出していた。
「七才の頃から腐れ縁でここまで来たけど、さすがに成人の儀を終えたらそうはいかないでしょう?
私、婚約者候補を辞退するって陛下に進言する。政略でも恋愛でもない婚約が、成立するわけないもの」
唇を噛んで悔しげに言うメイリィは、言っているうちにこれが一番いい方法なのでは、と思えてきた。
そうなれば、ウォルト家は再びただの中流貴族に戻るだろう。
だがそれで普通なのだ。
ウォルト家は、王と王妃に一時の恩を売ったことによって顔を覚えられた。
その際、たまたまメイリィの利発さと容姿が王妃の目に止まって、コールの学友に推挙される。
その頃、一ヶ月と埋まることがいなかったコールの学友の席。
問題児の王子の学友など、誰も務めることは出来ないだろうという宮中の噂は、
しかし、メイリィが着任したことで覆されてしまった。
喜んだ王妃は、半ば強引に、当時8つだったメイリィをコールの婚約者候補にしてしまったのだ。
だが、学友になることはできても、婚約者に、ましてや伴侶になどなれるはずもないとメイリィは思う。
友達は、恋人ではないのだ。
425成人の儀:2008/11/18(火) 23:48:30 ID:IXEIIUM1
「ちょっと落ち着けよ。大体、辞退ったって、あの親父が簡単に許すはずねぇだろう。
お前だって、せっかくありえねぇほど賞取りまくって今年の成人の儀のトップになったんじゃねぇか。
俺の婚約者候補って肩書きがありゃどんな施設も使い放題、おまけにその成績ならどこだって歓迎だ。
もう少しの間くらい、我慢しろよ」
な?と、なだめるように頭を撫でてくるコールに、理由の分からない寂しさを抱いた。
メイリィは、そんな自分に戸惑いを覚える。
「いいか?俺様の婚約者候補になりたいだなんて女、他にゴマンといるんだぞ?
お前、もうちょっとその辺有り難み感じろよな、ったく。…ま、ガキには分からんかもしれんがな」
そう言って、ひひ、と下品に笑うコールに、メイリィは笑いも怒りも、ツッコミも返せない。
(やっぱりコールは、私が婚約者候補やめてもいいんだ…
コールにとっても、ただの肩書きでしかなかったんだ…)
なんだか、心の中に空っぽの空洞が出来て、そこから全ての感情が抜け落ちてしまったような気がした。
「そう…ね。そうかもね…今やめるんじゃ、もったいないかも」
「お、おう。だろ?」
メイリィの反応がいつもと違うせいか、コールは拍子抜けしている。それでも場を取り持たせようと、「よく言った!」などと言っておどけて見せた。
せっかくセットした髪は、コールが遠慮なく撫でたせいでぐちゃぐちゃになってしまった。
でも、その撫でた掌が温かくて、怒りもすっかり収まって、メイリィはもう切なくなるしか術がない。
つきつきと痛む胸の中、「我慢しろよ」「ガキには分からん」というセリフだけ、ぐるぐる、
髪の毛のようにぐちゃぐちゃに混ぜ返されていた。
426成人の儀:2008/11/18(火) 23:49:46 ID:IXEIIUM1
おざなりな会話もそこそこに、執務室をあとにしたメイリィは、早足で歩き出し、やがて駆け出した。
大手を振って走るので、青いドレスの裾が乱れて白い太股があらわになる。
だが、メイリィにはもはや何もかもがどうでもいい。
着ているのがメイリィなら、コールにはドレスでも部屋着でも同じなのだ。
『お前たちはまだ何も始まってないんだ。どうせやめるなら、一度ぐらい試してみないか?』
不意に思い出したレイド王の言葉が、溢れ出しそうな感情の歯止めを壊す。
スタート地点にも立てないのに、試すなんて出来るはずがなかった。
学友は学友、腐れ縁は腐れ縁でしかない。
せっかく15になって、成績も上げて、精一杯のおめかしをしても、コールにとっては無意味なのだ。
約束の舞踏会すら、巨乳美女よりは軽かった。
(あんな人と、恋仲になんかなれるはずありません、陛下。なれるもんか……)
つきつき、痛む胸。
(痛くて、泣けてくる)
溢れ出る涙を拭いもせず、メイリィは自室までひたすら走ることで頭を空っぽにしようとした。



427成人の儀:2008/11/18(火) 23:53:45 ID:IXEIIUM1
舞踏会もようやく終わり、静まりかえった夜更け。
王城のとある一室に、音もなく忍び込もうとする影があった。
キィ…
かすかにたてられた扉の音に、しかし中にいる部屋の主は眠っているのか、反応はない。
気配を完全に絶っている影は、見知った部屋なのか、暗闇の室内を迷うことなく突っ切っていく。
そして、寝室に踏み入ると、天窓から漏れる月明かりに照らされた部屋の主の寝顔を、しばし眺めた。
穏やかな寝息をたてているのは、まだ幼げな丸みを頬の線に残している少女。
その頬には、くっきりと涙の跡が残っていた。
ついさっきまで泣いていたことが窺える。
「悪かったな…メイリィ」
低い、音にならない声。
部屋の主とともに照らし出された影の正体、コールは、常にかけている眼鏡が外されているせいか、
いつもよりも表情が柔らかく見受けられた。
コールはおもむろにズボンのポケットから何かを取り出し、ベッドサイドの台の上に無造作に置いた。
それは小さな正方形の箱だった。
「この俺にこんなもん買わせやがって……」
悪態をついているようで、その顔は優しげだ。
どうかしている、とでも言うように頭をかきむしると、コールはまた足を忍ばせ、部屋を出ていった。
誰かに贈られても贈ったことはない彼が、半年以上悩んで選んだものがその箱の中身だとは、
メイリィはおろか、誰も知る由はない。
まして、贈り物まで用意しておきながら舞踏会の約束をすっぽかした男の複雑な胸中などは、
なおのこと誰にも計り知れないことであった。

その後、二人は三年の時を経て正式な婚約を交わすことになるのだが、それはまた別の話。





終わり
428名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 23:56:11 ID:IXEIIUM1
以上です

やっぱこの板的になんか違う気がするな
お目汚し失礼
429名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 23:59:36 ID:0wGwLrnp
>>407
GJ!!別に大丈夫じゃない?
430名無しさん@ピンキー:2008/11/19(水) 00:01:07 ID:iSHVCqSa
>>428
GJ。
さあ、すぐに別の話を書くんだ。
431名無しさん@ピンキー:2008/11/19(水) 00:12:11 ID:VpHWOUoR
>>428
さぁはやく婚約するあたりの話をだな
432名無しさん@ピンキー:2008/11/19(水) 02:54:48 ID:Vga5V+GG
>>431早い話セクロスシーンを書けって事ですね。
同意します。
433名無しさん@ピンキー:2008/11/19(水) 20:14:26 ID:123TmpxY
GJ!
二人の掛け合いでらんま思い出した
434名無しさん@ピンキー:2008/11/20(木) 09:46:50 ID:xMewV9EH
>>413-414
ミーハーながらランブルとトワイライトを推したい
435名無しさん@ピンキー:2008/11/20(木) 12:39:52 ID:kJ/xlsDv
>>434
たしかにトワイライトはガチ
436名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 09:14:09 ID:ghPYTaKg
NTR彼氏マダー?
437名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 09:59:49 ID:clGD4fIC
>>436
あの人、別スレに投下したばっかだからもうちょいかかるんじゃね?まったり待とうぜ
438名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 21:53:57 ID:C7CCgbmY
練習スレに書き込みがあったから書き始めてるのは確か
439名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 22:22:50 ID:ieKNT90n
もう1週間以上全裸なんだが
440名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 23:12:15 ID:UEeQS6Uv
靴下くらい履こうぜ

俺はサンタ帽で乗り切ってるぜ
441名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 19:01:32 ID:gqhMjBr5
>>437
どこですか?
442名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 21:29:40 ID:f37r/qoX
>>440

ギンギンにいきり立ったイチモツにサンタ帽を被せて待ってるんですね。分かります。
443名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 00:19:05 ID:1F5ZcwLo
>>441、337じゃないが、
恐らくココ。逆レイプスレの>>328から。他だったら知らん
http://same.ula.cc/test/r.so/yomi.bbspink.com/eroparo/1225189442/?jump=328
444名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 00:19:57 ID:kuqNszmK
>>429
亀田が、凄いまったりと面白かった。
GJ!
445名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 00:24:04 ID:kuqNszmK
しまった、アンカつけ間違った。
>>407につけたかったんだ。
あと亀レスと言う意味で亀田じゃないんだ。色々スマン
446名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 01:25:04 ID:UBY4LdxO
じゃあどんな意味なんだ、>>444の亀田は
気になるじゃないか
447名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 18:46:29 ID:GtKDBQ8n
446に『亀田』という名前の幼馴染みがいるとかしかおもいつかん…

普段は名字で呼び合う仲なんだが、メールで『幼馴染み』と打つと、変換されるとか。

苦しいな。
448名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 12:02:23 ID:H9VcLzkR
みる度に笑いがこみ上げてくる444スゴス
449名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 17:31:13 ID:qZZE1Nqp
句点をつけろw
450名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 21:14:18 ID:C6PD9lor
亀田「私の何がまったり面白いの?」
444「……ゴメン」
451名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 23:19:50 ID:SEK1s14n
>>444って
「亀レスだが」と変換しようと思ったのに「レス」を入力し忘れて
「かめだが」で変換>「亀田が」になったっていうオチじゃない?
452名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 00:00:02 ID:NNf1701a
いやオチも何も普通にそうだと思ったが
453名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 11:48:52 ID:939creKs
>>445で亀レスじゃないと明言している件
454名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 13:07:00 ID:mYtQ3Y4I
444ですが、>>451の意味で合ってます。
亀レスって言いたかったのに、亀田って入れちゃったんだ。
日本語って難しいね。本当にスマンかった。
455名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 13:13:19 ID:7c/ufVwd
456名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 18:09:14 ID:4mUdLISE
>>451
ネタに・・・
457名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 18:52:29 ID:whdqAPOk
>>455
萌えますた
458名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 22:28:33 ID:A+zKYioJ
>>455
萌えたと同時にどうしようもない空しさが

あれ 目から汗が…
459名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 23:21:53 ID:KPrYSIgA
>>455
そのくらいの関係俺にだって…あれ…おかしいな、誰もいない…
460名無しさん@ピンキー:2008/12/01(月) 00:56:51 ID:SSIsO/Rr
保守
461名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 18:56:02 ID:Dtz5k10A
「そー君、今からそー君に催眠術を掛けるなら、この五円玉から目を離しちゃダメだよ?
 そー君の部屋だし、もし催眠術に掛かっても、変な事を要求しないから安心して。てーか、拒否したら起こしてあげないよ〜。
 あはははははっ♪ んっ……じゃ、いくからね? リラックスして〜、りらっくま、りらっくま♪
 
 貴方はこれから、私に対して素直になります。嘘は絶対に付けません。そして、催眠術に掛かっていた時の事は、催眠術が時に忘れてしまいます。良いですか?
 う〜ん、本当に掛かってる? ホントにホント? 絶対だねっ!?

 それじゃあね、そー君はドコにエッチな本を隠してますか?
 あらっ、黙っちゃった。やっぱり掛かってな……机の一番下の引き出しの奥ね?
 どれどれ……おー、ホントだ! じゃ、ホントに掛かってるんだ……

 それならさ、そー君。私の告白を聞いてくれないかな?
 そー君と私が出会って、もう14年だよね? 3歳の頃からだもん、幼馴染みとしても凄く長いよ。
 でね、そー君。黙ってたけど私ね、そー君が好きなんだぁ。ずっと片思い……化石になっちゃうかも♪ なーんて。
 そー君は、私を女として見てくれた事は無いかも知れないけど、私にとってそー君は一番大好きな男の子だったよ。
 だから、ねっ? この関係を壊したく無いの。そー君にフラれて、関係がギクシャクして、疎遠になってくのは堪えれないの。
 だからっ、だから催眠術なんか掛けて、そー君に告白して……って、そー君、なんで私の肩を掴んでるの?
 きゃっ!? どうしたのそー君、目が怖いよ? 私を押し倒したって……そっか、もしかして催眠術が変なふうに作用して……それならっ。

 はい、手を叩きましたよ。催眠術は解けましたよ! 解けたよね? ほらっ、好きでもない女の子を襲ったりしたら駄目だよ? 私だから良かったものの。わかったら……ふぇっ? 最初から掛かって無かったの?」



……と言うようなやりとりをしてみたい。
462名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 18:58:55 ID:Dtz5k10A
脱字が多過ぎる……orz

朝起こして〜

催眠術が解けた時に〜ね。
463名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 21:46:28 ID:8T1lDo/f
>>461
可愛いな。GJ!
464名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 22:16:28 ID:nOuPoTyl
当然そのエロ本はダミーで本丸は別のところだな
465名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 22:22:40 ID:kcEVrcq0
どっかのエロマンガで似たようなの見たなそれ、確かそれは幼馴染じゃなかったけど
466名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 23:39:39 ID:32lzcUaP
>>461
それは大塚子虎の「ファレノプシス」ではないのか?
467名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 23:49:37 ID:w7KHnHu7
幼馴染じゃないけどあったね

でもそういうやり取りしてみたいぜ…
468名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 23:50:27 ID:Dtz5k10A
普通に、催眠スレ読んで思い付いただけだよ。
469名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 14:36:32 ID:nxmR9Wzm
>>468
GJ
あああ可愛いいいい
470名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 01:06:40 ID:0zjsXVoi
子ネタを投稿させていただきます。
タイトルは「居心地の良い距離感」
471居心地の良い距離感:2008/12/04(木) 01:08:16 ID:0zjsXVoi
「ねぇたっちゃん、膝枕して?」
そういって美紀――まぁ所謂幼馴染だ――は、俺の了承を待たずして勝手に俺の太ももに頭を乗せた。

「おい、美紀。まだ了承してないんだが。」
「いいじゃない、どうせOKだったんでしょ?」
「…まぁそうだが。」
「ならいいじゃん。今日は甘えさせて?お願いだから…」
そういいながら潤んだ目で俺のことを見つめてきやがる。俺がそれに弱いのを知っているくせに。

こいつが甘えてくるときは、大抵何かしらあったことを示している。
いつだったか、膝枕だけしてやって理由を聞かなかったら、その後が大変だった。俺の財布から、諭吉様が数人飛び立って言ったほどだ。

「で、今日は何があったんよ?」
「うん…今日はね、あのね、振られちゃったんだ…」
「振られたって、あの優しそうな彼氏にか?」
「うん、他に好きな人が出来たって…」
振られたときのシーンが思い浮かんだんだろう。目には涙が浮かんでいる。

「…なら、俺が彼氏になってやろうか?」
「たっちゃんが?冗談はよしてよ〜。他に好きな子いるんでしょ?」
冗談じゃないんだが。いつもこうやって俺が付き合ってやる、とか言うと話をそらしやがる。
そのくせ、甘えてくるから性質が悪い。生殺しもいいところだ。
「まぁな。片思いだけど。」
「え〜!マジ?誰?誰?!」
さっき泣いたカラスがもう笑った、じゃないが、爛々と目を輝かせている。
「バーカ、お前なんかに言えるかよ。」
本当にお前が一番なんだけどな。なんて甘い台詞、言えないが。
美紀と過ごす、この空気が、この距離感が好きだから、壊したくない。

「…ねぇ、たっちゃん。」
「ん、何だ?」
「手をぎゅってして?頭なでなでして?」
こんな泣きそうな声でお願いなんかされたら、黙って従うしかなくなる。
「…了解。」
美紀の左手を俺の左手に絡ませ、空いた右手で頭を撫でてやる。
さらさらとした美紀の髪の毛が気持ちいい。美紀も少し嬉しそうに目を細めている。

…って、よく見たらこいつ、もう寝てやがる。
「…ったく…」
今回は何時間寝るんでしょうかね。俺のお姫様は。
毛布をかけてやりながら、俺はこの姫様が起きた後の脚の心配をしていた。
472470:2008/12/04(木) 01:10:36 ID:0zjsXVoi
以上です。
初めてなので誤字脱字や、文脈のおかしい部分が在るかもしれませんが、
何かあれば指摘してくださるとありがたいです。
473名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 01:18:58 ID:lBoktHIb
まーありがちな話だな…














が、しかし萌えたぜGJ!
474名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 01:22:56 ID:VU8CoUg4
小ネタとはいうが……続編書いてくれよ。
多くのROMだってそれを望んでるはずだZE!

とにかくGJ。まぁ精々誤字を指摘するなら、

× 飛び立って言ったほどだ
○ 飛び立って行ったほどだ

くらいかな? いやー久々に保養になったよ。
475名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 20:55:13 ID:jdYQEpSa
続きは?
476470:2008/12/05(金) 03:32:48 ID:7GAIxtEd
>>473-475
ありがとうございます。まさか続編希望が出るとは思わず、でした。
さっくりとですが、女性視点で続き物を作ってみました。

3レス消費予定。タイトルは「彼氏に出来ない理由」。
477彼氏に出来ない理由(1/3):2008/12/05(金) 03:33:53 ID:7GAIxtEd
「…ったく…」
なんだかたっちゃん――本名は海神 辰則――が何かつぶやいている。
でも良く聞き取れない。たっちゃんの大きな手で撫でられると、無条件で安心してしまう。
多分、私はたっちゃんの事が好きなんだろうな。でも、彼氏にはしたくない。いや、出来ないだけなんだと思う。
この心地良い関係を崩すなんて、私には出来ない。そんな勇気無いもん。

あ、毛布をかけてくれた。相変わらず無愛想なくせに優しいんだから。
私は知ってるよ。たっちゃんは誰にだって優しいんだって。厳しい言葉の中にも、救いがあるの。
でも、そんなことしてるから、無節操にフラグが立っちゃうんだよ?

紀子でしょ、瑞希でしょ、あとー…あ、湊もだっけ。
私が知っている限りでは、最低限この3人はたっちゃんに惚れてるんだと思う。だって彼を見つめる瞳の輝きが違うもの。
私の大切な友人たちだけど、そんな彼女たちにさえ、たっちゃんは盗られたくない。たっちゃんは私だけの「特別」なんだもん。

―――そんなことを考えていたら、ふと昔の光景が思い浮かんだ。
478彼氏に出来ない理由(2/3):2008/12/05(金) 03:34:52 ID:7GAIxtEd
「ひっく、ひっく、ひっく…」
誰かが泣いている。誰が?
「ひっく、ひっく、ひっく…」
あぁ、私が泣いてるんだ。でも、何で泣いてるんだっけ?

ふと近づいてくる、街灯に照らされている誰か。あの人は、たっちゃん?
「…あんな大声で怒鳴ってたと思ったら、隣の家から壊れるんじゃないかってくらいのドアの音が聞こえたからな。」
ああ、そうか。これは夢だ。確か、中学1年の夏だったっけ。
「で、美紀のお母さんに話を聞いたよ。お父さんと喧嘩したんだって?」
「…あんなお父さん、嫌いだもんっ!」
今までたっちゃん相手にこんな大きな声は出したことが無い。自分でもびっくりした。

「…おい。」
さっきの自分の声の大きさより、たっちゃんのこの声の方が、びっくりした。
と言うより、たっちゃんが怒るんじゃないかって、怖くなった。
だって、いつもより、たっちゃんの声のトーンが低いんだもん。

でも、たっちゃんは怒鳴ることなく、いつもの口調に戻り、
「そりゃウチの親父だって、お袋だって、無意味に怒ることだってある。でも、その意味を考えたことがあるか?」
「…なにそれ。無意味になんて怒られたくないよ。」
「まぁ話は最後まで聞けって。意味も無く怒ってくるときは、大抵何かしらのストレスを持ってるって俺は思うんだが、
 かといって誰にも吐き出せないときって、美紀には無いか?」
「…確かにあるけど…だからって娘に怒るの?要するに、怒られ損じゃん。やだよ、そんなの。」
「ま、そんなときの親父やお袋ってのは、ただ単に慰められたり、優しくされたりしたいんじゃないかと思うんだが。どう思うよ?」
「…うん、確かに、そうかもしれない…」
「そういうわけだ。だから、素直に謝っとけ。んで、少し肩でも揉んであげれば、機嫌が直るんじゃないか?」
「…じゃあ私のこの不機嫌はどこにぶつければいいの!?」
また怒鳴ってしまった。続くたっちゃんの返答にびくびくしていたら、

「俺にぶつけろ。四の五の言わずに言うこと聞いてやるから。」
あまりにストレートな言葉に、顔が熱くなる。今は顔を見られたくない。

「…じゃあ、私のこと、抱きしめて。それで、頭撫でて。その時、顔は見ないで。見たら、ぶん殴るから。」
「はいはい。」
「はい、はいっk…」
はい、は一回って言われなかった!?と言おうとしたのに、そんな風に抱きしめられたら、何も言えなくなるじゃん。
すごく嬉しくって、気持ちが暖かくなって、思わず顔が緩んでしまう。

このとき、初めてたっちゃんに『好きだ』って思ったんだったっけ。私にとっての初恋は、確かこのときだったと思う。
479彼氏に出来ない理由(3/3):2008/12/05(金) 03:35:51 ID:7GAIxtEd
―――ふと意識が浮上していく。たっちゃんに抱きしめてもらっている感覚が少しずつ薄れていく。
あれ、何の夢を見てたんだっけ?まぁ、いいや。またいつか、思い出すだろうし。

目を開けると、私は横になっていた。側頭部から伝わってくる、人の体温。
そういえば、たっちゃんに膝枕してもらってたんだっけ。
左手を見てみると、たっちゃんの手と私の手が繋がっている。
その事実がわかったとたんに、心が満たされていく。ついさっき振られた事で心に付いた傷が癒されていく。

…やっぱり私、たっちゃんの事が、好きなんだな。

そんなことを考えて、上を向いてみると、たっちゃんは目を閉じていた。
かすかにだけど、寝息が漏れている。膝枕しながら寝るなんて、たっちゃんは器用だね。

携帯で今の時間を確認してみると、午後5時半。
たっちゃんが夕飯を準備を開始するのは、確か6時半ごろ。
とりあえず、あと30分間はこの寝顔を眺めていることにしよう。

愛しの王子様が、目を覚ますまで、この緩んだ表情は私だけのものだから―――
480470:2008/12/05(金) 03:36:47 ID:7GAIxtEd
以上でひとまず投下おしまいです。
お粗末さまでございます。
481名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 06:20:57 ID:on2sPgUP
>>480
GJ!


とりあえずにちゃんのノリで言葉が途切れたところにアルファベット残すのだけはやめような。
あと気になったとこは下から3行目。「夕食の準備を」な。
482名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 08:00:23 ID:VmRHj+jc
GJ。さぁ早く続きを書くんだ!wktkwktk
483名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 19:23:49 ID:60CvacTk
教育テレビ
484名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 21:52:17 ID:mJBY/utw
今日の寒さは堪えた・・・村雨マダー?
485470 ◆POBrm2R/G2 :2008/12/07(日) 01:56:35 ID:200q7hI1
>>481
ご指摘ありがとうございます。非常に参考になります。
次回以降、そのような表現には気をつけます。

>>484さんには申し訳ありませんが、続編を書かせていただきます。

NGワードは「◆POBrm2R/G2」

タイトルは「親しき仲にも」

486親しき仲にも ◆POBrm2R/G2 :2008/12/07(日) 01:57:10 ID:200q7hI1
現在時刻は土曜日の23時45分。そんな時間に、美紀から突然の電話。
なんとなく、明日に向けて嫌な予感がしつつ、電話に出てしまった。
そう、『出た』のではなく『出てしまった』。
「や、荷台クン。突然で悪いけど、明日10時、私の家に来て。よろしく。」
「おい美紀、ちょっ(プツッ プー プー プー)…はぁ」
明日は17時からバイト入ってるんだけどな…まぁ今電話したところで、
『現在、お客様の電話は、電波の届かない場所にいるか、電源が入っていないため、お繋ぎできません。』
と言われるんだろうな。
487親しき仲にも ◆POBrm2R/G2 :2008/12/07(日) 01:57:42 ID:200q7hI1
そして、翌日。現在時刻は日曜日の10時10分。
目の前で眠るお転婆姫を眺めながら、
「で、この体たらくか。」
思わず、そうつぶやいてしまった。

ちなみにココは俺の部屋でも、どこか知らない場所でもない。美紀の部屋だ。
ちなみに不法侵入ではない。いくら幼馴染とはいえ、許可なくこの場所に足を踏み入れたりしない。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

約10分前の話になるが、
『ピンポーン』
「どちら様?って辰則君?久しぶりだね〜。」
「ええ、お久しぶりです。お母さん。」
俺は美紀の母親のことを「お母さん」と呼ぶ。他の呼び方をすると、彼女自身の機嫌が非常に悪くなり、美紀と俺の両方にとばっちりがくるからだ。
「今日はどうしたの?もしかして私にこくは「今日の10時、美紀に呼ばれたんで、来たんですよ。」あら、そうなの?」
調子に乗らせると俺が困るし、もし美紀に見つかると、なぜか非常に不機嫌になるので、さっさと話を打ち切らせてもらった。
「申し訳ないんだけど、まだ寝てるみたい。」
「あ、そうなんですね。じゃあもう少し待つことに「ついでだから、起こしてやってくれる?」え?でも、男の俺が部屋に上がったらまずいんじゃ…」
「大丈夫、大丈夫!私がOKしたって言えばいいわよ。」
いや、年頃の娘さんの部屋に気軽に男を上げていいんですか?
「たっちゃんは、美紀のこと襲ったりしないでしょ?」
「いや、お母さん、心を読まないで下さい。」
「あははっ!たっちゃんことだからね〜。本当に大丈夫だから、起こしてあげて。」

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

なんてやり取りがあった。
よって、俺がこの場に居るのは不法侵入ではない。以上、証明終了。
さて、このまま美紀の寝顔を見ててもいいが、そろそろ起こさないとやばいだろう。『荷台』って事は出かけるんだろうし。

と言うことで起こさせていただこう。まずはちょっと遠めに声だけで。
「おーい、美紀ー、もう10時過ぎてるぞー。そろそろ起きろー。」
「…」
反応がない。ただの屍…ではなく、相当深い眠りについているらしいな。
次はもうちょっと近づいて、声のボリュームをあげよう。
「美紀さーん!もう10時過ぎてますよー!」
「うーん…あと5ふーん…」
あと五分、ねぇ。そういって五分で起きた人を見たことないんだが。
「美紀ー!そろそろ起きないと布団引っぺがすぞー!」
今度は美紀を揺らしながら大声で呼びかける。
「いやだー…もうすぐおきるからー…あと3ぷんだけ…」
どうやら美紀は起きる気がないようだ。

ちなみに今の季節は冬。今日の天気予報では最高気温でも8度とか言ってたから、引っぺがしたら寒いんだろうなぁ。
ちょっとニヤケながら、実力行使に出る。
「こらー!いい加減におき…ろ……」
美紀の白い肌が目に飛び込んでくる。
美紀って、意外と着やせするようで、谷間が目に入る。残念ながら上はキャミソールだ。
しかしこの気温のせいだろう、一部分が尖っているのが見える。
「なにするのー…やめてよー…たっちゃ…ん…?」
ようやく美紀が俺の存在を認識する。

美紀と目が合った瞬間に、『親しき仲にも礼儀あり』、こんな言葉がよぎる。
美紀の顔がみるみるうちに赤く染まっていく。
美紀の怒りが爆発する前に謝っておこう。
「美紀、ごめん、俺が悪かった。とりあえず、着替えてから、話し合おう。」
そんな言い訳を言いながら、その場を回れ右。一目散に部屋の外に出ようと扉を開けると、
「あら、もうおしまい?つまらないわねぇ。」
呑気な人妻が立っておられました。
488親しき仲にも ◆POBrm2R/G2 :2008/12/07(日) 01:58:13 ID:200q7hI1
「…大体の事情はわかりました。」
デコに青筋立てた美紀の前で土下座する俺。
美紀はソファに座りながら腕組み。俺はフローリングの床。この時期のフローリングは流石に堪える。
ちなみに美紀のお母さんは早々に買い物に行くといって逃げ出した。

「…まぁ私も悪いとは思うけど、でも、布団をめくるのは、いくらたっちゃんでも許せないよ?」
「…はい、重々承知しております。」
「今日はこのあと12時から知美と湊と一緒に買い物だから、いつも通りの『荷台』でよろしくね。」
「…イエス、サー。」
「たっちゃん、確か今日バイトだよね?」
「17時からだけど、それが?」
「終わるのは?」
「21時だと思う。」
「じゃあそのあと迎えに行くから。」
「え?」
「そのままたっちゃんの家で、私が寝るまでマッサージしてもらうから。」
「え?アレやるの?」
「そう、アレやるの。」
「えぇ〜…」
「当然そのまま私はベッドで寝るから、たっちゃんは床で寝てよ?」
「冬なのに…」
「何か文句でも?」
「いえ、ありません、ごめんなさい。」
「ん、わかればよろしい。じゃ、行こう?」
なんだか納得できないけど、美紀の笑顔を見たら、なんだか仕方ないか、なんて思ってしまう。
怒った顔と、笑った顔のギャップに、鋭く心が打たれてしまったんだから。仕方ないだろう?

それでも、この微妙な距離感を壊したくなくて、美紀が差し出した手を取らずに、自分の力で立ち上がる。
ヘタレで悪いけど、まだ、この距離で居させてくれ。

お前が好きだから―――
489 ◆POBrm2R/G2 :2008/12/07(日) 01:59:00 ID:200q7hI1
以上で今回は終了になります。
毎度子ネタで申し訳ありません。
490名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 03:40:00 ID:ZcU1mNj7
乙乙
キャミソールの巨乳…ゴクリ…
491名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 06:21:06 ID:ul/sHIeD
萌えるなあ。GJ!
492名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 00:52:07 ID:QnqtFB6e
三人マダー?
493名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 01:02:00 ID:w0FxTuSp
エアコンのCMがいい感じである
494 ◆POBrm2R/G2 :2008/12/08(月) 02:10:02 ID:ImRuBM4w
この前の続き物をいかせていただきます。
初のエロ表現があります。微妙ですが。

NGワードは「◆POBrm2R/G2」
タイトルは「近い距離 遠い想い」
2レス消費予定。
495近い距離 遠い想い(1/2) ◆POBrm2R/G2 :2008/12/08(月) 02:10:46 ID:ImRuBM4w
「はぁ…たっちゃん、気持ちいいよぉ…」
私は今、たっちゃんの部屋のベッドに寝ながら、オナニーをしている。
でも、この部屋の主は居ない。今頃、リビングのソファで寝ている頃だろう。
ちなみにたっちゃんの部屋は2階、リビングは1階で離れている。
だから、たっちゃんに気付かれることはないと思う。

『いくら好きな人がココに居ないからって、人の部屋でそんなことするなんて良くないよ!』
なんて頭の中の一部が叫んでいるけど、指が勝手に動いてしまう。
くちゅくちゅとエッチな音が、たっちゃんの部屋に響く。

「んんん!…やだぁ…ゆびいれちゃやだぁ…」
たっちゃんの匂いが布団からする。そのせいか、たっちゃんに触られている感覚に陥る。
そんな感覚が、私をもっとダメな子にしてしまう。

指が、たっちゃんの指が、私を犯している。私、犯されちゃってる。
もっと奥まで入れて、かき混ぜて欲しい。そう思っていたら、指がそのように動き出す。
「んんんんんっ!んあっ!」
思わずいやらしい声が漏れる。
「やっ…!こえでちゃう…!そんな、はげしく、しちゃ、だめぇ…!」
その声がたっちゃんに聞かれている感覚に陥り、恥ずかしくなる。
オナニーで火照った体が、さらに熱くなる。
「いやぁ…体が熱いよぉ…たっちゃぁん…」

ふと動いた指がクリトリスに触れる。
「あ、だめだめだめ、いくいくいく、いっちゃう…っ!」
ぐちゅぐちゅという水っぽい音が聞こえる気がする。
でも意識が霞んでる。ダメ、飛ばされちゃう。
飛ばされないよう、たっちゃんの匂いがする布団を掴む。
「いっ…ぁぁぁあああああああああああ!!!!」
視界が真っ白に染まる。ふわふわとした感覚が私を包む。

たっちゃんが、わたしを、つつんでる。
このまま、たっちゃんに、あまえちゃえ。

ダメな子になってた私は、後始末も忘れて、眠りについた。
翌日、たっちゃんに起こされる前に起きて、その惨状に羞恥することになるのだが。
496近い距離 遠い想い(2/2) ◆POBrm2R/G2 :2008/12/08(月) 02:11:22 ID:ImRuBM4w
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

俺は今、リビングでAVを見ている。もちろんヘッドフォンも忘れない。

普段は部屋で見るのだが、今日は美紀にマッサージした後、
「あ、言い忘れてたけど、今日泊まるからね。」
なんて言われてしまい、部屋を追い出されたのだ。

美紀にマッサージをすると、非常にムラムラしてしまう。
普段見れない、肩とか鎖骨あたりの素肌とか。
普段触れない、すべすべの脚とか。
太ももをマッサージしていたら、「ぅん…」とやけに色っぽい声が出たりとか。
背筋を伸ばしてやったら、着やせする美紀の大き目の胸が目に入ってしまったりとか。
非常に生殺しだと思うのは、俺だけだろうか?

まぁそんなこともあって、非常にムラムラしている。
おまけにウチは1階と2階、両方にトイレがあるおかげで美紀はココに来なくてもトイレに行ける。
さらに今日は両親が旅行中ということもあって、非常に好都合なのだ。

『んんんんんっ!んあっ!』
画面の中の女優が喘いでいる。モザイクのかかっている部分からこぼれてくる透明な液体。
ちなみに女優がちょっと美紀に似ているのは…その、ほら、察してくれ。
ついでに言うと、女優の名前が「河合 未樹(かわい みき)」。…まぁ、いいじゃないか。

画面の女優の喘ぎを、本物の美紀の声と想像の中でシンクロさせる。
そして、美紀に触れたぬくもりを思い出しながら、擦る。
『あ、だめだめだめ、いくいくいく、いっちゃう…っ!』
や、やばい。美紀の声はやばい。今日はいつも以上に早く終わる気がする。
『いっ…ぁぁぁあああああああああああ!!!!』
あ、やばっ、出ちまう!
びくっと体が震える。急いでティッシュで抑える。

『はぁ…はぁ…気持ちよかったぁ…』
女優さんの気持ち良さそうな表情にぞくぞくしてしまう。
あぁ、アソコから白いの出てる、ってコレ中田氏モノかよ!…このAV置いてたレンタル屋、グッジョブ。

後始末を終えて、ふと思う。なんか虚しいよなぁ。
「なんで気付かないんかなぁ…マジで好きなのに。」
想いが届かない事を嘆くと同時に、自分の不甲斐なさにも嘆く。
「いつかは本当にあんなことして、結婚して、子供ほしいよなぁ…はぁ…」

「…さっさと寝よ…」
いつか気持ちが届くことを信じながら、解消されきらないムラムラ感を抱えながら眠りについた。
そのムラムラ感が朝勃ちとして美紀に発見されて、数日間ギクシャクしてしまうが、それはまた別の話―――
497470 ◆POBrm2R/G2 :2008/12/08(月) 02:13:57 ID:ImRuBM4w
以上で終了です。毎度長編ではなく申し訳ありません。
初の同時間帯両視点の作品ですので、もしかしたらおかしい部分が在るかもしれませんが、ご指摘いただけるとありがたく存じます。
498名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 03:57:46 ID:QnqtFB6e
GJ
なぜAVと同じ喘ぎ声www
499名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 00:16:46 ID:W6s2alT6
成人の儀
の続きが読みたいよー
500 ◆uC4PiS7dQ6 :2008/12/09(火) 13:59:58 ID:M+U4Ucf9
>>395の続き。
次から投下。
501『寝取られ彼氏』後編 ◆uC4PiS7dQ6 :2008/12/09(火) 14:02:12 ID:M+U4Ucf9
1
 村雨は存在しない俺の彼女へと嘘を言い並べ、ボリュームダイヤルを最低ラインまで回す。
 それに俺の耳を悪戯している時の様に息が荒い。きっと自分で放った言葉で興奮し出したんだ。だからボリュームを消した。
 しかしまぁ、村雨は俺の彼女にこの映像を見せて別れさそうとしてるんだろうが、これじゃレイプだ。信憑性のカケラもないぞ? それを気付け無い程、焦ってるってか……逆に俺は、一発抜かれたから冷静になれてるけどな。
「それじゃあ、はぁぁっ……するからなコタ。あっ、処女膜は無くても、私は正真正銘の処女だから。処女膜はな……ふふっ、7歳の時にオナニーで破ってしまったよ。
 忘れもしない、コタと私の家族で遊園地に行った日だ。私がコタの手を引っ張ってはしゃいでたら、家族とはぐれてしまったろ?
 でもコタは、自分も泣きたいはずなのに私を抱き締めて慰めてくれた……私はコタの耳をおしゃぶり代わりにして、泣き声を殺すだけで精一杯だったのにな。
 その夜だ……オナニー自体は5歳の時からしてたんだが、擦り付けるだけじゃセツナくて。指を……挿れたんだ。コタを想って、痛くても我慢して、激しく、激しく……そしたら破れてしまった」
 村雨も落ち着きを取り戻し、淡々と語られる幼い頃の思い出。
 これで確信する。99%の自信で自惚れられる。村雨も俺に好意を持ってたけど、何らかの理由で俺の告白を断ってたんだと。
「コタを手放したくない。だから……だからっ! たくさん誘惑してきたのにっ!! なんで襲ってくれないんだよコタっ!? しかも勝手に彼女なんか作っちゃうし、最低だ!!
 コタが私をレイプしてくれれば……罪悪感を持ってくれれば、例えコタが私を嫌いになっても離れられなくできたのにっ!!
 でも、もういい……今日はコタの赤ちゃんを孕むって決めたからな。コタの赤ちゃんいっぱい産むんだっ♪ ふふっ、なぁコタ? 子供の名前……どうしよっか?」
 ボリュームを元の位置へ。ローレグのクロッチ部分に中指を引っ掛け、躊躇なく横へスライドさせる。
「んんっ!!?」
 覗くのは、薄毛の丘に控え目でピンク色の秘唇。左右に分かれる唇の間からは、ふくらはぎまに到達するまでトロットロの糸を伝い垂らす。
 肩で息をするまでに興奮してテンションを高めながら、
 頬を紅潮させて瞳を水分たっぷりに潤ませながら、
 相変わらずの妖艶な笑みで、ビデオカメラを俺のペニスに向けたまま腰を下ろし始める。
「ふぅっ、ふぅぅっ、コタぁっ……」
 ゆっくり、ゆっくり。俺の上に。
 でも、

 ペチンッ……

 入らない。村雨の独白を聞いている内に硬度は無くなり、フニャリと情けなく曲がっていたからだ。
「コタっ! コタっ! コタぁっ!!」
 しかし挿入されてなくとも、村雨は関係無く腰を上下に動かし続ける。

 ペチン! ペチン! ペチン! ペチンッ!!

 村雨の生器に何回も押し潰され、ヌチュヌチュと吸い付く唇に挟まれてヘソに打ち付けられ、その度に愛液が溢れ出してペニスを粘着質にデコレートしていく。
 胸を弾ませ、俺の名を連呼しながら、俺の大切な幼馴染みが、俺を勃起させようしている。
 繋がる為に。セックスする為に。俺を彼女から寝取る為に。
 ちっくしょ! エロ過ぎるんだよ!!
「んっ、ぐっ……」
 夢に見ていた、昨日までオナペットにしていた村雨の裸身。それが今、目の前で淫らに揺れている。
 俺の告白を断っていた理由だって、本当に馬鹿げたモノ。こっちは何年片思いしてたと思ってんだよ?
502『寝取られ彼氏』後編 ◆uC4PiS7dQ6 :2008/12/09(火) 14:05:10 ID:M+U4Ucf9
2
 だから早く村雨を安心させないと。もう一度、心を篭めて告白しないと。セックスはその後。
 裸の村雨が誘ってるのに、これ以上我慢して待ってたら化石になっちまう。
「むっ、やっ、ひゃ、めっ! はっ、しゅ、せっ!!」
 できる限りの単音で『村雨、外せ』と口の自由を訴えてみるが、
「ああっ? む、ら、さ、め、ハ、メ、て? そうかそうかコタっ……いっぱいコウビしような♪♪」
 全く疎通されずに、笑顔で頷いて腰の動きを激しくさせるだけ。
 ハ、しか合って無いだろうがっ! くっそ、もう知らん!!

 パチンッ! パチンッ! パチンッ! パチンッ! パチンッ!

 一心不乱に騎乗位で腰を振る村雨。どんなAVよりもエロティックで、俺のペニスを硬化させる最高の媚薬。
 それに、こんな強引に性器同士を擦り合わせられては、射精して間もないから勃起しない……なんてヘリクツが通用しない。
「おっきく、なったなぁコタ。それじゃ、『はじめて』を……交換しような♪」
 ねっとりとした村雨の淫液に塗れ、再びペニスが棒状に変化して血管を浮かび上がらせる。
 ぎゅっちぃぃぃっ……
 そして幼いヴァギナが中指と薬指で左右に拡げられ、透明な蜜を零す穴にペニスの先端があてがわられた。
 皮に包まれたクリトリスに、ぷっくりと膨れたオシッコの穴に、その下。湯気が見えそうな程に熱い、膣内への挿入口。
 村雨の瞳は潤みを増し、涙となって目尻から漏れ出す。その雫が頬から顎先まで流れた瞬間、
「ははっ……やっと、ひくっ、ひっく、コタとぉっ……えっち、できるよぉっ。うくっ、うぅっ……ふんんっ!!!」
 甲高い村雨の艶声と共に、ペニスは根元まで包み込まれた。
 一息で打ち落とされ、奥の奥まで優しく迎え入れる。
「んむああああぁぁぁああっ!!?」
 俺はあまりの気持ち良さに悶え叫ぶだけ。
 膣内射精だけはしないように堪えるだけ。だけどこんなの無理!
「ぅあぁ、あっ、あん! くぅっ……みてるかぁ、彼女さん? いま、おまえの彼氏はぁっ、はぁん♪ 幼馴染みにチンポ突っ込んで、ふあぁ……んんっ、よがってるぞっ♪♪」
 パン! パン! パン! パン! パン! パンッ!!
 五度目。六度目。村雨も初めてに関わらず、腰を振るスピードは一向に変わらない。あくまでスムーズに、ペニスから精液を搾り取る動きで弄ぶ。
 中は熱く狭く、トロけてヌメる柔肉。膣壁は細かなヒダを隙間無く絡み付かせ、キュウキュウとキツく締め上げる。沈む時はカリを愛情たっぷりに撫で回し、抜ける時は行かないでと引っ掛かって吸い付く。
 ああ、駄目だ、負ける。この快楽を貪って、腰を突き上げれば更に気持ち良いかもしれない。
 膣内射精を強要する幼馴染みに、十四年分の思いをブチ撒けられるかもしれない。しかも全部を受け止めてくれると言ってる。
 なんて魅力的……だけどっ! 未成年で子供作って、幸せになんかなれるかよ!!
「んぐううぅぅああああぁぁぁぁぁっ!!!」
 口を塞いでいたガムテープは唾液に濡れて緩み、微かに剥がれた箇所から空気の出入りを許していた。
 俺は唇の間に舌を差し込み、できる限りガムテープを押し上げる。
503『寝取られ彼氏』後編 ◆uC4PiS7dQ6 :2008/12/09(火) 14:11:14 ID:M+U4Ucf9
3
 そしてそれはペリペリと、村雨の手によって剥がされた。
「ほらっ、彼女に謝れコタ。付き合ってその日の内に浮気してすみませんて、ボクは幼馴染みと付き合いますって……言えっ、コタっ!」
 ガムテープは丸めて部屋隅に投げられ、カメラレンズが俺の顔を捕らえる。
 村雨に脅迫された言葉。言えば誤解は消えるだろうが、現状の打破にはならない。
 既にカウパーが出てるって自覚してるし、もう我慢してられる自信は無いから、俺が言うべき台詞は決まってる。
「はぁっ、はぁっ、ムラサメ……もう、イキそうなんだ。このままだとマズイからっ、早く抜いてくれっ!!」
 カウパーだって孕ませる危険が有るんだから、下手したらとっくにアウトかもしれない。とにかくギリギリだっ!
 村雨へは安全を確保した後で、満足するまで思いを告げれば良い。
「んっ? コタだって赤ちゃん欲しいよな? 私に似てて、私の次にカワイイんだぞっ♪」
 本当に限界。ゆったりとした狂ってるとさえ感じる問いに、全力で首を左右に振る。
「まずは抜けよ! 早く! はやくっ! ハヤクッ!!」
 腰の動きは止まっていても、その中は別。膣内だけが違う意思を持っているかのように妖しく蠢き続けるのだ。
 自在に膣圧を変化させ、竿から裏スジ、カリ首、先端の鈴口に至るまで、余す所なく揉みほぐす。
 まるで搾精器。ただ挿れているだけで、快楽の波に当てられて射精に導かれる。我慢してる身としては、たまったもんじゃない。
「ふっ、しょうがないなぁコタはっ♪ すうぅっ、はぁぁっ……んふぅっ!!」
 イク寸前の敏感なペニスを擦り上げながら、少しずつ村雨の腰が浮き始める。
 ぢゅぶぶぶぶぶぶぶぶっ……
 とてつもなく甘い刺激で誘惑した蜜穴は、漸く先端まで。
 やっとだ、やっと終わり。そう思って村雨の表情を見れば、吊り上がった口元も、三日月にして笑う目も、何一つ解消されていなかった。
「私はわかってるぞ? 幼馴染みを妊娠させたくないんだろ? でもなコタ……そんなワガママ、通らないんっ、だっ!!!」
 ぢゅぱあぁぁぁぁぁんっっ!!!
 村雨の体重が掛けられてる。ペニスは再び気持ちいい穴の中。腰は勢い良く打ち落とされた。
 グツグツと、奥底からマグマの如く噴き上がる感覚。睾丸に準備されていた精液は、次々と管に転送される。
「あ、あ、あっ、あっ、あっ……うわああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
 人生で最も巨大な咆哮。十四年分の溜まりに溜まった村雨への想いが、絶頂の快楽と混ざって爆発した。
 抑えられない。ビュクビュクと、とてつもなく長い射精。空になるまで注ぎ込む。
「ふぎいぃぃぃぃっ!!? あっ、あついぃっ……はぁぁっ、やっと、イッたなコタぁ……わたひなんて、もうっ、十回イキだぁっ♪♪
 あは、はっ……わたし、ムラサメはぁ、性欲盛んな、男子校生のぉ、こだち君にぃっ……ナカらしキメられちゃいましゅた♪♪」
 村雨は、白濁した液がゴポゴポと泡立ち、逆流して溢れ出す接合部を撮影しながら。俺はそんな村雨を見上げながら。二人揃って涙を流す。
「なんで、だよぉ……抜いてくれるって、言ったろ?」
 嬉しさと、悲しさと、情けなさで睨み付ける。
 全てが終わって、どうでも良くなって、自暴自棄になって、ポッキリと折れた心で村雨を責めた。
「ちゃんと抜いたぞ? おちんちんから、こゆくて、いっぱつで着床する精液を、たっくさん『ヌいた』じゃないか? まったく、何を言ってるんだコタ……っと違うな、何を言ってるんだ、パ・パ♪♪」
 しかし、そんな暗い声は届かない。満面の笑みを浮かべる彼女には届かない。
 返って来るのは、俺に向けられる、俺だけに向けられる、幸せそうな最高の笑顔。
「そうだな……ムラサメが隣に居るなら、それでも良いや」
 言い放つ台詞は尋常を逸脱していても、欲しかったモノを手に入れた心は暖かくなっていく。
 俺は心まで彼女に寝取られて。気持ち良い脱力の中、ゆっくりと目を閉じた。
504『寝取られ彼氏』後編 ◆uC4PiS7dQ6 :2008/12/09(火) 14:16:16 ID:M+U4Ucf9
4
 深夜も十二時を回った頃。順番にシャワーを浴びてさっぱりした後、服を着替えてベッドに腰掛ける。
 三歩も離れた前には、予備のパジャマを来て、床に正座して俯く村雨。
「ゴメン……でも! コタの部屋に来る時は、いつ襲われてもいい様に避妊薬を飲んでるから……だから、えぇと、あっと、ごめんなさい」
 さっきから言い訳を述べては俺の表情を確認し、許して貰ってないと悟ると、しょぼくれて下を向き、新たな言い訳を考えてる。
 因みに、俺が彼女を作ったって嘘はバラしてない。コタが嘘付くのが悪い! って開き直られるし、墓まで持って行こう。
 それじゃ、そろそろ……村雨が言い訳を考えてる間、俺も考えてたからな。

「なぁムラサメ? 嫌いに、ならないで欲しい?」
 頷く。

「耳、舐めたい?」
「五……四日に一度で我慢する」

「幼馴染みに戻りたい?」
「コタが許してくれるなら」

「じゃあ許さない」
「ふぇっ!? う、そ……」

 村雨の瞳は恐怖で大きく開かれ、口も広げられたまま身体は小刻みに震え出す。
 心苦しいけど、お前を泣かせるのはこれで最後だから、許してくれよな。
 ふぅぅっ、と二つ深呼吸。ベッドから立ち上がり、村雨の目前まで近寄り、泣き出しそうな最愛の瞳を見詰める。
「俺は幼馴染みに戻りたくない……だから、村雨さん。僕と、付き合ってください!!」
 そして何回目かも忘れた告白をし、頭を下げて手を差し延べた。
 頼む、カッコ良く決めさせてくれ村雨!

「ひくっ、えっ? えっ? あ……あっ、ああ! もちろんだコタぁ!!」
 破顔一笑。
 幼い時代から差し延べ続けた手は、やっと掴まれた。
 俺の夢が、やっと叶った。

 年甲斐も無く、二人で抱き合いわんわん泣く。今度は丸ごと嬉しさで、繋がり合った想いの嬉しさで。
 この日から、小太刀と村雨は、世界で一番幸せな恋人になった。そして一番幸せな家族になって行くはず。
 だって隣にはいつも、大好きな幼馴染みが居るんだから。




 『寝取られ彼氏』 おしまい。




 後日、彼女がいるって嘘がバレて、満員電車の中で怒った村雨に、手でアレをゴシゴシされたりもしたが、それはまた別の話し。

505名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 14:17:47 ID:M+U4Ucf9
以上です。
506名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 15:12:56 ID:1++vD5Sn
>>505
すごくGJです!
満員電車での話も読みたいです
507名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 21:33:29 ID:MPvkezck
GJ

一つ気になったのだが、前編にあった
『十回くらい告白したけど、一回も首を縦に振ってくれなかった』
これの理由はなんだったのだろうか
508名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 21:45:55 ID:rCSuHUJa
GJ!

>>507
良く読めばわかるようになってる
509名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 22:33:15 ID:jWJx88Ix
>>505
GJ!

>>507,>>508
よく読まなくても村雨がはっきり言ってるじゃねぇかw
510名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 22:34:33 ID:iRmojsHT
GJ! よかった、小太刀くんが幸せで本当によかった!

しかし、村雨さん、なんでそんな斜め上に突き抜けた方向に思考が行ったんだw
511名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 14:25:23 ID:FrWoWgo/
>>510
だが、それがいい。
512名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 16:14:36 ID:ZJhrWwaV
>>493
あれって幼馴染みなのか
元カレか何かだと思ってた
513名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 19:19:59 ID:UgAUFZF1
女が距離感に無頓着なとこなんかがこっちっぽいかなーみたいな
514名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 23:22:16 ID:QQytmAWC
さあ、それを元ネタで一本書いてみるんだ。
515名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 02:48:30 ID:t1VLfxBH
知ってる人が居るかは分からないが久し振りにバトルロワイアルを読んだら誰よりも互いを信頼しつつ
かつ微妙な距離感の素晴らしい男女の幼なじみが居た
小説でもやっぱり幼なじみには弱いわw
516名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 02:52:42 ID:7qjf3aOl
>>515
武道少年と陸上少女の話か? アレは確かに涙なしでは語れんよな。
でもやっぱり、幼馴染は結ばれて幸せになってナンボだと思うんだ!
517名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 18:11:16 ID:0iUt77dW
次から投下。>>504の後日談。
エロだけなんで、蛇足イラネって片はスルーしてください。
518『別れた二人』 ◆uC4PiS7dQ6 :2008/12/12(金) 18:13:44 ID:0iUt77dW
1

 ――ガタンゴトン、ガタンゴトン。


 ああ、身体が熱い。息も荒い。涙も漂わせてる。俺が居るのは、一歩も歩けないぐらいに詰まってる、雑音塗れの満員電車。
 入口のドアに背中を向けて押し付けられ、身動きを完璧に封じられている。
 俺を押さえ付けているのは、同じ身長、同じ年齢の見知った女性。
 女は抱き合う形で重量感たっぷりの胸を押し当て、足を太腿で挟み、左手に二人分の鞄を持たせ、右手は下で握って指を絡める。そして、
 
 くちゅくちゅ、ぴゅちゅっ、ぬっちゅぬっちゅぬっちゅ……

 俺の右耳を口に含む。
 顔を近付け、耳たぶを甘噛みし、耳の穴に舌を差し込んで乱暴に掻き回す。
 粘着質で卑猥な淫音がダイレクトに脳内を犯し、開発された性感帯は唾液でネバネバにされながら繰り返し痙攣する。
「こんな人前で、ヤメてくれよ……そうしないとぉっ」
 情けない声は俺の口から。許しを乞う為に出た戸惑いの声。
 今は、どんな声でも、どんな台詞でも良いから、女性の行為を止めなくちゃいけない。
 そうしないとバレそうだからだ。満員電車の中なのに、公共の場なのに、耳を犯されてペニスを勃起させてるってバレてしまう。
「ちゅぅっ、ちゅぷっ♪ ぷはっ、なんだコタぁっ……耳の穴を、ぢゅっ、ちゅっ、はぁぁっ……ベロチンコでレイプされて、感じてるのかぁ? とんでもないヘンタイさんだなっ♪♪」
 だから、目を細め、瞳を潤ませ、頬を紅潮させ、舌をダラリと垂らす村雨を、なんとか、なんとかしないと。
 いったいなんなんだよもうっ! 昨日、許すって言ったじゃないか? 笑いながらっ、気にするなって!?
 昨日の夜、今日の始業式の日に謝りたいから、誰と付き合う筈だったか教えて欲しいと言われた。そりゃまぁ、村雨にしたら俺を寝取ったと思ってるから、謝りたいってのもわかる。
 でも、そんな奴は居ないから無理。しかし俺が教える気が無いと悟ると、一人ずつ聴いて回るって宣言する始末。それで俺は観念して、彼女ができたのは嘘だと白状した。したらこのザマだよ!
 やめてくれって何回も頼んだのに。駅に着くまではいつもと変わらずに会話してたのに。電車に乗った瞬間、逃げられない位置に追い込まれ、身体を押さえ付けられて固定された。


 ――ガタンゴトン、ガタンゴトン。


「俺は、ううっ、変態……んあっ!? じゃ、ないっ」
 自分が惨め過ぎて泣きたいよ。いや、もう泣いてるか? 頬っぺたに暖かいの流れてるもんな。
「ちゅるっ……んっ、それは違うぞ? コタはとんでもないヘンタイさんだよっ、だってほらっ♪」
 村雨は俺の涙を拭うように舌で舐め上げると、兎に似た天然の赤い瞳を更に細める。
 そして自らの右手をヒシャクの形で口元に寄せ、掌に舌を乗せてトロトロの唾液を伝い落とす。
 窪みが満杯になるまで溜めて、その後に手を三度も開閉させ、ぐちゅぐちゅと鈍い水音を立てて全体に唾液を馴染ませる。
「っ!? ムラサ……メ? ちがうよな、そうじゃないよな?」
 指と指の間に架かる透明な橋。糸を引く官能。それを眺め、浮かぶのは一つの考え。
 もしかして、ムラサメは、電車の中で、俺の……
519『別れた二人』 ◆uC4PiS7dQ6 :2008/12/12(金) 18:15:38 ID:0iUt77dW
2
 粘液を絡ませた手は、人差し指で正中線上をなぞりながら、ヘソの下まで落ちていく。
「電車の中で女子高生に触って、ココをおっきくするヘンタイだろコタは?」
 二人分の潤んだ瞳。二人分の上気した肌。二人分の熱い吐息が交差する。
 村雨はそのままズボンのジッパーを指で挟み持ち、小さな連接音を鳴らして股の下まで。
 そして手を差し込むと、トランクスをズラし、完全に勃起したペニスを取り出してズボンの外に晒す。
「バカッ! 早く戻せムラサメ、公然猥褻だぞ? 俺を犯罪者にする気かよ!?」
 俺の声は心から。心から村雨に訴えた言葉。でも、心からの言葉を投げ掛けても、村雨の表情に変化は訪れない。目を細めて妖しく微笑んだまま。
 なんら慌てた様子も無く、ペニスに自らのブレザーを覆い被せて人目から隠す。
 全ては村雨の制服の中。ペニスの先端にヘソが当たり、サオ部分はヌルヌルで熱を持った手に握られている。
「ゴメンねコタ、でもね? 辛抱堪らないの……コタの困ってる顔を見てると、身体がゾクゾクして、すごく……興奮するんだぁ♪
 耳を舐めてると落ち着くんだけど、コタを、はあぁぁっ……レイプした日からな? やすらぎといっしょに、サディスティックな性欲も掻き立てられてぇっ、ふふっ、コタの感じてる顔が……んふっ♪
 どうなんだコタ? 幼馴染みをこんなに依存させて、コタ無しじゃ生きられない身体にしてぇっ♪ 私をどうする気なんだ?」
 言い終わりに微笑む口元が一層に吊り上がり、こんな場所では絶対に有り得ない刺激が下半身を襲う。
「うあぁっ!? あ、あっ、頼むからっ、ヤメろムラサメぇっ……」
 ねっとりとした感触の手が、何の迷いも無くにゅちゅにゅちゅとペニスを上下して扱き出す。
 視線を向けられれば他の客にバレるのに、俺と村雨の間を見られたら一目瞭然なのに、そんなのお構いなし。指の腹を使って柔らかく締め、裏スジを擦り、往復の度にカリ首を引っ掛ける。
 制服の中、感度ポイントを的確に攻め、圧倒的な快楽で射精を促す動き。
 ぢゅっこ、ぢゅっこ、ぢゅっこ、ぢゅっこ、ぢゅっこ、ぢゅっこ……
「一週間に一度なんて、まるで足りない……コタとデキない日はな? あのビデオを見てぇっ、ふぅっ、ふぅぅっ……まいにち、オナニーするようになってしまったよ♪
 このセキニンはっ、んんっ? どーやって取ってくれるんだコタぁ?」
 知るかよっ! だいたい、エッチは一週間に一度って決めたのは村雨だろがっ!! 試験とか就職活動とかで忙しくなるから、卒業するまではって自分が言ったんだろ!?
「そんなの、知らな……んぎいぃぃっ!!?」
 ぢゅっこ、ぢゅっこ、ぢゅこ、ぢゅこ、ぢゅこぢゅこ、ぢゅこぢゅこぢゅこぢゅこぢゅこっ!!
 俺の反論を遮るように、絶頂を強要する手のギアは、急速シフトしてスピードを増す。
520『別れた二人』 ◆uC4PiS7dQ6 :2008/12/12(金) 18:18:03 ID:0iUt77dW
3
 間違いなく精液を搾り取り、公共の場でイカせようとしている。俺を犯罪者にしようとしてる。
「でもなぁっ、ウソをつかれたのはショックだったぞ? あの時……私がレイプしなかったら、離ればれになってたかも知れないんだからなぁ、ふふっ、思い出すだけでも悲しくなるよ♪
 それでセキニンも取ってくれないんなら、しょうがないな……別れるしかないじゃないか♪ 別れるかコタ? 別れて、彼氏彼女から幼馴染みに戻るか?
 決めたよ、彼氏がヘンタイなんてイヤだから、駅に着く前にイッたら……ふっ、別れるちゃうから♪」
 先端からカウパーが溢れてるってわかってるだろ?
 管が拡張して太くなって、そろそろイクってわかってるだろ?
 それなのになんで? 冗談でもそんな事を言うなよっ!
「イキ、たくないっ……わかれたく、あうっ!? ないよぉっ、ムラサメぇ……」
 指の一本一本まで、リアルに動きが伝わり出す。
 ヘソの穴でグリグリと鈴口を押し包み、握る強さを、早さを、ランダムに変化させながら最後の追い込みを掛ける。
 俺は唯、打ち上げられた魚のようにパクパクと口を開いて痙攣するだけ。
「ああっ、そのカオぉっ♪♪ ダメだコタ、ちゅぷっ……ぢゅちゅ、ちゅっ、んちゅ、イッたらわかれりゅからなっ♪♪」
 再び耳を咥えて舌を差し挿れ、上と下、両方の快楽で真っ白な視界へと俺を導く。
「あっ、あっ、ちっくしょ……きもちいいよチクショウ! ヤだからなムラサメ、こんなことで別れな……うぎっ!?」
 終わった。後戻りできない所まで快感を高められた。
 あーあ、ムラサメの手、すげぇ気持ち良いよ。
 にゅっこ、にゅっこ、にちゅにちゅにちゅ、にゅくにゅくにゅくにゅくっ……
「イクッ、イクッ? イクのっ? イッちゃう? もうげんかい? もう出すのかコタ? びゅるびゅるしちゃうぅっ!?」
 うん、限界。綺麗だな村雨。こんな綺麗な女性と付き合ってたんだな俺は。冗談だって言ってくれないかな? そしたら笑って許すのに。ホントもう……くそぉぉおおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!
「んぎいいいいいいぃぃぃっ!!?」

 びゅるびゅぅぅぅっ!! びゅぐんびゅぐん!! びゅるっ! びゅるっ! びゅくびゅく、ドクンドクンドクンドクン……

「んんっっ♪♪ ちゅぷっ、はあぁっ……相変わらず、熱くて、凄い量だなコタ? 替えの制服を持って来といて良かった。
 まさか、痴漢にオチンチンを握らせられて、服の中にザーメンを撒き散らされるなんて、思いもしなかったよ♪ ふふっ、あむっ……くちゅくちゅ♪」
 村雨は俺がイッた後も手離さず、一滴の雫も出なくなるまでペニスを扱き続ける。
 そして垂れた精液を掬うと、見せ付けるように舐め取ってプチュプチュと咀嚼し始めた。
「別れるって、嘘だよなムラサメ?」


「ウソ……にしてあげてもいいよ。コタがもう一度、告白してくれるならな」

521『別れた二人』 ◆uC4PiS7dQ6 :2008/12/12(金) 18:24:11 ID:0iUt77dW
4
 始業式が終わり、全ての学校日程が終わり、下校のチャイムが鳴る。
 高校三年になって新しいクラス。村雨とも同じクラスで、十日前の登校日にこのメンバーになる事はわかっていた。
 俺は廊下側の一番後ろ、村雨は窓側の一番後ろの席。そして俺は深呼吸。覚悟、完了。
 電車から降りて、二人して謝りながら障害者用のトイレに入って、後始末をしながら改めて付き合う条件を言われた。
 もう他の人に告白されぬように、公認の中になるように、みんなが居る教室で告白してくれと。
 告白の台詞まで指定されて、そんな俺に選択肢は無い。長年想って来た憧れの女性を、今更あきらめられるかよっ! あの長い髪も、寂し気な赤い瞳も、唇も、胸も、アソコもっ、全部俺のモノだ!!
 それが手に入るんだから、恥ずかしいなんて言ってられないぞ、頑張れ自分!
「ふうぅぅっ……」
 落ち着ける。深く、深く、息を吐き、ゆっくり、ゆっくり、席を立つ。
 ホームルームの挨拶が終わり、他の生徒もそれぞれに席を立ちあがる。村雨も単なるクラスメイトとして、教室から出る為に俺の方へ。
 平然としているが、瞳だけは俺を見据え、チャンスはもう無いよ? と語ってる。わかってるっつの!
「村雨さんっ!!」
 声を教室に響かせて君の名を呼び、歩みを遮るように立ち塞がる。
「急にどうしたの小太刀君?」
 村雨は僅かに驚いたフリをして立ち止まり、俺の言葉をポーカーフェイスで待つ。
 クラスメイトはそんな俺達を無言で注目する。
 どーせフラれると思ってんだろみんな? だけど、そうはいかないぜ!

「村雨さん、俺と……」
 付き合ってください、と繋げられない。俺だけがわかる村雨の表情。目の動き。このままじゃ断られる。
 理由は俺。俺が指定された告白の台詞を勝手に省略したから。
「ふん、用が無いなら帰るよ」
 村雨が溜め息を吐きながら俺に近付く。違う、後ろのドアを開けて廊下に出ようとしてるんだ。
 指定された台詞を……あー、もうっ!
「村雨さんっ! 結婚を前提に、僕と付き合ってください!!」
 言った。頭を下げて、手を差し延べて。
 教室は静まり返ったまま、村雨の返答をじっと待っている。
 ――タトン。
 足音が俺の方へ。一歩、一歩、確実に迫り、
「えっ?」
 俺の横を通り過ぎた。
 なんで? どうしてっ!? 俺は確かに言ったぞ!? それなのにっ!

「こちらこそ、よろしくお願いしますね」

 崩れ落ちそうになった瞬間、背中に柔らかな重圧が掛かり、胸に手が回された。
 はっ、ははっ、なんだ……そう言う事か。くっだらねぇ。

 クラスメイトに祝福された拍手喝采の中、
 村雨に抱き締められた暖かな胸の中で、
 バカップルの誕生に大声で泣いた。




  『寝取られ彼氏』ほんとうにおしまい

522名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 18:26:31 ID:0iUt77dW
以上です。中編の夢部分の逆バージョン見たいなもんです。
523名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 19:38:44 ID:b3WbtUJW
GJ!!
524名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 00:02:07 ID:vqJ0OfPJ
>>522
GJ!村雨のドSっぷりがたまらない
525巧巳君と希羅ちゃん:2008/12/14(日) 00:00:40 ID:nPMn8Oab
ずっと気になっていた…
-------------------------------------------------
俺の名前は野神巧巳。こいつは上野希羅。

家が隣同士のいわゆる幼馴染ってやつだ。

窓を開けると彼女の部屋。

わかるだろ?

屋根をつたって、こっちに来るってわけさ。
-------------------------------------------------
遡る事、9月の14日

チュッ

「お、おまえ、何するんだよ」
「だって、ほら」

夜空を指差す。

満月だ。

「チュウしようの名月。次は年末だよ、エヘ」

屋根をつたって自分の部屋に戻った。

ドテッ

サッシに躓いたな。
-------------------------------------------------
そして今年もあと少し。

12月14日

チュッ

「お、おまえ、何するんだよ」
「だって、ほら」

テレビを指差す。

殿中だ。

「チュウしたら心がグラッと来たでしょ」
「おまえねえ」

ペシッ!

「痛ったぁーい。刃傷でござる。刃傷でござるよー」

ドテッ

コケたっぽい。どじ…

おわり
526 ◆POBrm2R/G2 :2008/12/14(日) 01:49:54 ID:qNXXS8x8
もうじきクリスマス。ということでちょっとした続編。
2レス消費予定。NGワードは「◆POBrm2R/G2」
ちょっと遠め(だが品質がいい)のスーパーまで夕飯の買出しに来たところ、ケーキの予約のチラシや大きな靴の形をした入れ物に
入ったお菓子など、クリスマス直前な雰囲気が伝ってきた。
「もうすぐクリスマスだなぁ。」「そうだねぇ。」
隣にいるのは俺の彼女・・・ではなく、幼馴染の美紀。久しぶりに夕飯に誘ったら意外にもOKしたので、
『飯食べるなら買出しくらい手伝え』と言ったら『お小遣いくれる?』とかふざけたことを言い出したものの、結局着いて来た。
コイツは俺を困らせてそんなに楽しいのか?

それはさておき、今日の夕飯は何にしようか。
「美紀、何か食べたいものはあるか?」
「んー、お寿司!」「そんな予算はどこにも無い。」回るお寿司屋だって、意外とその金額が俺の食生活に響くんだ。
「うー、じゃあピザ!」「手作りピザは今度食わせてやる。」クリスマス辺りにな。それにアレは準備に時間がかかるんだよ。
「えー!じゃあ、蟹!」「お前、蟹アレルギーだろうが。」それにそんな高いもの却下だ却下。
「むー!ワガママだよたっちゃん!」「お前のオーダーが極端すぎるんだよ。」最初の二つなんか出前の定番メニューか何かか?
「うーん・・・じゃあ、グラタン。」「ようやっとまともなメニューが出たな。」
「なによー!まだ何か文句あるの!?」「んにゃ、じゃあグラタンでも作るか。あったまるしな。」
と言うわけでグラタンの材料を買い、さっさと飯を食べることにしよう。
たっちゃんお手製のグラタンとサラダを食べたら、お腹も心も幸せになっちゃった。
たっちゃんが台所でお片付けしてる間に、私は友達にメールを送ってクリスマスイブの予定を聞いてみる。
紀子は家族と帰省予定。瑞希は彼氏と・・・お幸せに。湊は予備校・・・頑張るなぁ。
てことはみんなと遊べるのは23日までかぁ。うーん、24日どうしようかなぁ。

「何ケータイにキスしながら難しい顔してるんだ?」いつの間にやら私の目の前に立っていたたっちゃん。びっくりして思わずへんてこな声が出る。
「わぁ!たっちゃん終わったならなんか言ってよ!」「これでも3回くらい呼びかけたんだけどな。」
「ふぇ!?そうなの!?」「そうだよ。せっかくクッキー焼き立てなのに、冷めちまうぞ。」
「え!?たっちゃんのクッキー!?食べる!食べるからちょっと待ってよ!」「わかってるっての」
苦笑しながらテーブルにクッキーを置くたっちゃん。んー♪バターのいい香り♪
「でもなんでいきなりクッキー?」「あぁ、グラタンの材料が微妙に余ったから、なら作っちまおうと思ってな。」
なるほどねぇ。・・・そうだ!
「ねぇたっちゃん、23日暇?」「現状では何も予定は無いが。」
「その日ね、みんなでパーティしようと思うんだけど、シェフ役やってくれない?」「構わんが、材料費はウチの財布からは出せないぞ。」
「大丈夫!その日はみんなで出すから!」「それなら構わんよ。ところで美紀、24日は空いてるか?」
「うん、その日からみんな忙しいみたいだから、大丈夫だよ。何で?」「いや、俺とデートしないか?」
「うん、たっちゃんとでー・・・デート!?」「おう、デートのつもりだが、ダメか?」
「たっちゃんとデートねぇ・・・」「まぁ無理にとは言わない。ちょっと行きたいだけだから。」
「ところでどこに行くの?」「ん?ああ、ちょっと遊園地のタダ券貰ってな。1人じゃ寂しいから。」
「他の友達は?」「お前と一緒でみんな彼女やら勉強やらで無理だとさ。」
「そっか・・・そうなんだ・・・」「なぁ、頼むよ。」
たっちゃんからのお願いなんて珍しいし、こんなに頼み込むのなんて初めて見た。思わず頬が緩む。はっ!いけないいけない!
「うん、わかった。でも、その日はたっちゃんのおごりだからね?」「ああ、それくらいなら貯金崩して頑張るさ。」

たっちゃんとデートなんて始めてかも。しかもたっちゃんの方からのお誘い。
思わず緩んでしまった頬は甘いクッキーのせいにして、今は素直に喜ぼうと思う。しっかし、たっちゃんの料理は本当に美味いなぁ。

この何気ない幸せが、ずっと続けばって信じてやまない私だった。
529 ◆POBrm2R/G2 :2008/12/14(日) 01:53:51 ID:qNXXS8x8
以上でとりあえず終了。一応中編と後編を作る予定でいます。
なにかあればご指摘いただけるとありがたく。
530名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 06:09:11 ID:hFRZJ5vH
むはっ!甘いっ!
ご馳走さまでした。
531名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 08:59:22 ID:Szuy8zGF
>>522
本当に逆痴漢プレイとヨダレがお好きでw

だがそれがいい

>>529
イイヨイイヨー
532名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 16:52:50 ID:N4fAxQoU
>>529
続きwktkだけど…
最後一行日本語で(ry
533名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 17:43:44 ID:R7Jlh4Y7
>>532
信じてやまないって別におかしい日本語じゃないだろう。
534名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 18:11:44 ID:N4fAxQoU
「信じてやまない」ならその前は「ずっと続くと」にすべきだし
「ずっと続けばって」ならその後は「願ってやまない」だと思う
535名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 22:30:25 ID:jxXo4Erg
>>529あっま〜いw続き待ってます。

それと質問なんだけどさ、このスレって幼馴染みなら歳の差が有っても良いんだよな?
例えば、年齢一桁小学四年生の男子児童と女子高生とかさ。
536名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 22:36:32 ID:8nQpzawO
年上幼なじみ?
大好物だばっちこーい!
537名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 22:39:20 ID:eK/bndRV
個人的には中学高校で一緒に通える範囲が幼馴染と考えているけど
人それぞれ解釈は自由だからそういうのもありはありじゃね?
538名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 22:48:17 ID:QbAaPTji
女子高生と一桁は流石にきつくないか?
年齢差はそのままにもう少し成長して中三男と女子大生ぐらいなら・・・
539 ◆POBrm2R/G2 :2008/12/15(月) 00:00:55 ID:qNXXS8x8
>>532-534
日本語が不自由な点の御指摘ありがとうございます!とても勉強になります!

>>536-538
こんな感じに仕上がりましたが、いかがでしょうか?

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ねーさん、今日も家庭教師、お願いしますっ!」
私は今日も今日とてかわいい許婚の三上悠二(9歳、小学4年生)の家庭教師をする。
「うん、よろしくね。今日は学校で何か宿題出た?」「えっとね、国語と算数に宿題があるよ!」
「じゃあまずはそれを終わらせちゃおうか?」「うん!」
元気な返事が悠二から返ってくる。かわいすぎてにやけちゃう。

私――井上紗耶華(16歳、高校1年生)――と悠二は父親同士が知り合いで、お互いの子供が生まれる前から異性同士なら
許婚にしてしまおうと画策していたくらい、仲がいい。
うちのお父さんは普通のサラリーマンだったが、偶然悠二のお父さんを助けたことからつながりが始まったと聞いている。
ちなみに、悠二のお父さんはとある大企業の社長さん。私は知らぬ間に玉の輿に乗ってしまっていたわけだ。

でも、あんまり玉の輿とかそんなこと気にしてない。だって悠二、ふつーに可愛いんだもん♪
このまま成長したらかなりいい男になるって確信してる。でも今はまだ、かわいいかわいい弟分だ。
たまに夢で成長した悠二の夢を見て、起きたら、その、ね?おなかの奥のほうが熱くなってたりすることも・・・

「・・・さん、ねーさん!」「ひゃい!」
少しトリップしていたためか、返答がおかしくなっちゃった。ちょっと恥ずかしい。
「ねーさん、大丈夫?顔まっかっかだけど、お風邪でもひいちゃった?」
あう、悠二に妙な妄想してたなんて言える訳無いよー!
「大丈夫大丈夫、それより宿題終わったの?」ちょっと苦しいけど、話題を変えることにする。
「??うん、終わったから見てもらいたかったの」「そっか、ごめんね。今からちょっと見るから、待っててね。」
不思議そうに首をかしげる悠二。きょとんとした顔が本当に可愛い。

「うん、ちょっと計算ミスしてるけど、それくらいかな。」「ありがと!ねーさん!」純粋に喜ぶ悠二を思わず抱きしめてしまう。
私のそんなに大きくない胸に埋まる悠二。抵抗するように首を動かすので、ブラが動いて乳首が擦れる。はぅ。
「悠二は毎日ちゃんと宿題やってえらいねー♪」「わっ!く、くるしいよねーさん!」
抱きしめられるのが恥ずかしいのか、悠二の顔がちょっと赤く染まる。
こういうことが出来るのはいつまでなんだろうな?と思いながら、今はとりあえずこのかわいい許婚を可愛がってあげようと思う。

「ねーさんっ!胸がくるしーんですっ!」
「ほらほら!おねーさんの胸が気持ち良いんでしょ?このマセガキ〜!」
540名無しさん@ピンキー:2008/12/15(月) 10:34:29 ID:n09rchll
前もって一言断っておけばいいんじゃないか?
合わなさそうだと思ったらスルーすればよし。
541名無しさん@ピンキー:2008/12/15(月) 10:40:40 ID:n09rchll
>>539
レスを付けていたら新作キテター!
GJ!!

個人的には、小4のぼっちゃまの口調として、違和感があるのだけど
(もう少し精神年齢は上でないかと)微笑ましく感じた。
542名無しさん@ピンキー:2008/12/15(月) 12:34:08 ID:bdfys6Yx
この後、悠二に恋する女の子が出てきて紗耶華がやきもきするんだよな?な!?
543名無しさん@ピンキー:2008/12/15(月) 13:10:21 ID:JCQgSiub
年の差幼馴染とは…これは期待せずにいられないww
544名無しさん@ピンキー:2008/12/15(月) 15:36:12 ID:ZTRrpsyg
自分の予感が確かなら、小学生の男は女子高生に逆痴漢されると思うw
545 ◆H676uvqZmA :2008/12/16(火) 00:12:01 ID:dCSqBSLW
今年も残りわずかとなりました。お久しぶりです。
暇つぶしにどうぞ。
・使用レス数:9レス
・内容:薄味
・NGワード:タイトル/ Jの喜劇
        トリ/  ◆H676uvqZmA
546 ◆H676uvqZmA :2008/12/16(火) 00:12:47 ID:dCSqBSLW
Jの喜劇 【1/9】


「それで? じゅんた、ちゃんと断ったんだよね?」
「ああ、それよりしっかり手元見て食えよ。鼻の頭にクリームとか漫画か」
 夏実が向けてくる視線は結構シリアスだ。けど、つきっぱなしのクリームと両手でもった
ジャンボシューが雰囲気をぶち壊しているのに気付かないのはなかなかだよな。
ま、十二月にしては暖かい昼休みの教室でシリアスかまされても困るんだが。
 なんでいつもの和やかな昼食時にプチ修羅場に突入しなきゃならねぇんだよ。
やっと俺らを冷やかすのに飽きたクラスメイト達が聞き耳を立てているのがわかる。
四月は俺がお菓子を作ってくることに、五月はそれを夏実が他の何を差し置いても
優先することに、六月は俺らが付き合っていないことに。
九月に付き合い始めた時が一番ひどかった。
何がそんなに楽しいのか、月替わり日替わり人ごとに何かしらネタにされているんだから、
いい加減警戒心とかそういったものを持って欲しい。
 そんな俺の願いは虚しく、夏実はさらに言いつのってくる。
「ほんとに、ほんとーに断ったんだよね?」
「だからそうだって言ってんだろ」
 念を押す夏実に答えながら机越しに俺はティッシュでクリームを拭ってやった。
自分のことながら辛抱強い性格をしてると思う。
 いたるところから向けられる視線に耐えていることも含めて。
「あれあれ、どったのお二人さん。トラブルぅ?」
 焼きそばパンの最後のひとかけを飲み込んだ佐々木が振り返ってこちらへ椅子を寄せてきた。
俺と夏実と同じ中学出身で、軽いけどサッカー部で一年なのにレギュラーを獲っている
割とすごいやつだ。
「いや、大したこと――」
「うん。聞いてよ佐々木っち! じゅんたってばまた告白されたんだよ!」
 俺が言い終わる前に夏実が身を乗り出す。その言葉に大げさに驚いて見せた佐々木の目が
面白いおもちゃを見つけた子供のようだったのを俺は見逃さなかった。
しかも運が悪いことに近くにいた本田までいつの間にか背後に立っている。
「あらまあまあ、それは一大事だわー、松原ちゃん。ここはママと佐々木っちに
話してご覧なさいよ」
 演劇部の本田が舞台映えする声と体でしなを作って話すのは、やけにはまっていて
気持ちが悪い。今の姿をこの前の文化祭でファンになった他校の女子が見たら確実に泣くな。
しかもママってどこのママ設定なんだよ。おい。
「本田のママ。ありがとー! あのね、私がいるのに告白されたんだって。それでね、
断ってくれたみたいだけど、かっ……彼女としてはさー、ふくざつなんだよ」
「そうよねー、心配よねー。今まで女っ気なかったのに松原ちゃんと付き合いだしてから
これで二人目だもの。三ヶ月半の間にしては多すぎるわ」
 だから片手を頬に添えるな。小首を傾げるな。そして夏実は乗るな。そう言ったところで
無駄だから何とか飲み込んで、自分の分のシュークリームにかぶりつく。
頑張っているところに佐々木がさらに追い打ちをかけてきた。
こいつら、俺になんか恨みでもあるのかよ!
547 ◆H676uvqZmA :2008/12/16(火) 00:13:19 ID:dCSqBSLW
Jの喜劇 【2/9】


「一人目は三年の先輩だったんだっけか。スタイル超いい、テニス部の。
もったいないことしてんだよなぁ……オレならあの胸の前で手ぇ組まれて、お願いっ!
なんて言われたら、ハイ喜んで! って言っちゃうけどさ。くっそ羨ましい。
憎い……じゃなくて、誘惑されなかった純太をほめてやるべきじゃないかなぁ」
「……むね?」
「そう! 胸は男のロマン。右には夢、左には愛が詰まっているんだ」
 この巨乳好きめ。余計なこと言うんじゃねぇよ。その思いを込めてシュークリームに
伸びてきた手をはたき落とす。佐々木の言葉にジャンボシューを持ったまま、夏実は自身の
お世辞にも豊かとは言えない胸板を見つめた。素直にそこを聞き入れるなよ。
ってかセクハラなんじゃね?
「男ってそんなもんなのよねー。そう言えば、この頃純太ちゃんってば人気なのよ。
知ってた? 何やら松原ちゃんと付き合いだしてから、妙に落ち着いちゃって
幸せオーラだしてるもんだから、『なんか、優しそうでいいかもー』とか。文化祭で
お菓子作ってみせたことで『料理できるのってよさげー』とかって」
「でもさ、でもさー。私がいるんだよ?」
「そんなの関係ないわよー。恋は盲目っていうじゃなーい?」
 だから流すなよ。お前も男だろってつっ込むところだろうが。
「もーもく……」
 ポツリと呟いた夏実を横に、巨乳好きの馬鹿と二丁目風の馬鹿はさらに続ける。
「そうよ。それにね、さっきも隣のクラスの女子が持ってた荷物半分持ってあげてたのよ」
「ジェントルぅ! さすがモテ期に入ったモテ男は違うね!」
 相手にしちゃいけない。それこそあいつらの思うつぼなんだ。そうだ。
俺にはやることがあるじゃないか。この目の前にこんがりしっとり仕上がったシュークリームの
出来を分析することだ。まだ半分以上残っているそれを俺は一口食べた。
今回のシュークリームはバニラビーンズがちょっと足りなかったか……。
「そうやってどんどん女の子を落としちゃうのねっ。やだー女の敵だわ!」
「タラシってやつだなぁ」
「……タラシ。じゅんたのタラシー!」
 シュークリームを両手から片手に持ち替えて、夏実が俺を睨む。乗り良すぎだろ。
マジで。それを見て二人はにやにやと人の悪い笑みを浮かべていた。
限界。
「……黙ってれば好き勝手言いやがって。人助けして何がいけねぇんだ。気がつくとか、
そりゃお前ら、夏実といたら自然とそうもなるわこのあほうども。見てないと知らないうちに
怪我したり、卵から未知の物体作り上げるんだぞこいつ」
 白と黄色のものから、黒や茶色のものができるのはわかるんだ。焦げただけだからな。
それがなぜなにどうして緑がかったものが皿の上に――しかもその皿も微妙にひび割れて
いたりする――鎮座していた時の衝撃を想像できるやつなんていないだろう。
 さらに料理名を聞いて後悔した。卵焼きってスタンダードな料理だと思うんだ。
基本だからこそ、奥が深いし難しいところはあるがそれは職人レベルの話であって、
素人が求められるものじゃないのに。
548 ◆H676uvqZmA :2008/12/16(火) 00:13:54 ID:dCSqBSLW
Jの喜劇 【3/9】


 俺の心情を知ってか知らずか、夏実はきょとんとこちらを見てくる。まるで親鳥の
餌をまつ雛のように無邪気に。
「おかげで趣味の菓子だけじゃなく、料理全般対応できるようになった。両親働いてて、
姉貴にだけ手伝わせるわけにいかないから、家事もできるぞ」
 兄貴は舌も肥えているしやればできるくせにやらない。現に独り暮らしが成立しているんだから、
そこそここなせるはずなんだ。あのパソコンオタクは無駄に器用なくせにいらんことにしか
力をかけない。やけになってさらに重ねると、佐々木が俺の両肩をつかんだ。
「純太。オレと結婚して下さい。パートは週三、五時間のレジ打ちぐらいでオッケーだから」
「専業じゃないなら断る。それぐらいの甲斐性見せやがれ。三食昼寝付きなら考えてやらんこともない」
「要求たけぇ! オレだって胸のない野郎なんてお断り――」
「だめー! じゅんたは私と結婚するんだもん。昔、約束したんだからあっ。
私がじゅんたがいいなって言ったらいいよって言ったんだから!」
 俺らの軽口に夏実が手の中のジャンボシューを握りつぶさんばかりの勢いで待ったをかけた。
焦る必要がないと思うんだけどな……。
「まあ、もう二人は婚約済みなの? うらやましいわー」
「お断り――なんて言うと思ったか! オレだって本気よ? 松原。そんなに言うなら
その約束とやら、話してもらおうかっ」
 馬鹿どもが夏実をあおる。佐々木、お前胸がない野郎はいやなんじゃないのか。
都合よく言ったことを撤回するな。
俺らの様子をうかがっていたクラスメイト達の輪が心なしか狭まった気がする。
これなんていうイジメですか。
「いや、昔のことだから。なぁ? 夏実」
「じゅんた、大丈夫! ちゃんと私がせつめーするから」
 そう言うことではないんだ。さすがにこないだ聞いたばかりだから俺だって思い出してるし。
何でそんなに輝いてるんですか。夏実さん。
 そして何でこういう日に限って次の授業が自習だったりするんだろうか。
「――というわけで、じゅんたは一緒にクッキーを作ってくれて、そのときに約束したんだー。
だからね、佐々木っちには悪いけどじゅんたのことは諦めてね」
 こうして、五限目の三分の一を使って夏実クッキー事件はクラスメイト全員の知るところとなった。
しかもこの前俺に話したときよりも細かく説明。今までうらやましいかった夏実の記憶力を
恨んだのは初めてだ。
「ふーむ。そうれじゃあしょうがないか。松原からプロポーズして、純太がオッケーしたんだもんな」
 佐々木がしぶしぶ、といった感じで頷く。それに合わせて笑顔でいた夏実が急に固まった。
「私からプロポーズ……? あ、ダメ! やっぱりなし。なしにして、じゅんた」
 ギギギと音がしそうなくらいゆっくりとこっちを見ると、まだ飛べない小鳥が羽ばたきの
練習をするみたいに、体の横と顔の前で腕や手を振る。
「何でだよ?」
「決まってるじゃない! プロポーズされるのは女の子の夢だからっ。ちなみに理想その一は、
観覧車のてっぺんで。その二、クリスマスイルミネーションをバックに。その三は、
オーシャンビューのレストランでシャンパングラスの中から指輪。その四は」
「いくつあるんだよ」
「女の子の夢は無限大だから。というわけでノーカウントねっ」
 俺の溜息を了承と取ったのか、夏実は元通り笑顔になって理想のストーリーを本田のママと語り始めた。
演劇畑の本田とは演出面で趣味が合うみたいだ。少女漫画育ちだからとはわかっているけど、
挙げられた理想はどれも強烈に羞恥心を刺激してくれる。想像しただけで背中というか、
両腕というか、全身がむず痒い。夏実と少女漫画仲間の姉貴も同じような夢を持っているんだろうか……。

■□■□■□■

549 ◆H676uvqZmA :2008/12/16(火) 00:14:45 ID:dCSqBSLW
Jの喜劇 【4/9】


■□■□■□■

 ショートケーキやウチの人気商品チョコレートムースのケーキ。通常の商品と並んで、
クリスマスを間近に控えた十二月はブッシュ・ド・ノエルなどの限定商品も予約者のために並べてある。
俺は白いシャツと黒のスラックスに身を包み、親父の店『Le ciel』のレジに立っていた。
学校のない日は、厨房で作るだけじゃなく小遣い稼ぎも兼ねてレジ打ちもしているからだ。
 今までもやってきたけれど、夏過ぎから少し多めにレジに入っている。
やっぱりちょっとは考えることもあるわけで。
 ケーキ屋にとってこの時期は一番の稼ぎ時。おかげでクリスマスに家族でどこかへ
出かけた記憶なんてないけれど、かわりに文化祭の前日みたいな大きなことが起こる高揚感がある。
実際、前日とかは親父は一日中ケーキを作り続けるんだから、当然だけど。
 それと同時に、俺がケーキを作り始めて我が家用の分を担当するようになってからは、
上達具合を審査される場にもなった。だから他の人とはまた違ってクリスマスキャロルが
流れ始めると緊張でテンションが上がる。
 団体客をさばき終えてほっと一息ついていると、「お願いしてもいいかしら?」と声をかけられた。
「あ、すみません。お待たせしました。どれをお取りしましょうか? っと。お客さん、久しぶりっすね」
「あらまあ、店員さん。憶えてくれていたの。嬉しいわあ」
 おっとりと上品に目を細めたお客さんは、月に二回ぐらいの頻度で来てくれるお得意様だ。
この前の来店が十一月の半ばだったから、少し間隔が開いていた。
「もちろんですよ」
 短く答えると、お客さんは手袋をはめた指で口元を隠すようにして笑う。俺のばあちゃんと
同じぐらいの年で、若いころはきれいだったんだろうなって感じの人。時々こうやって
会話するから、いつの間にか憶えていた。
 ミルフィーユ、ザッハトルテ、ティラミス、モンブラン、ショートケーキを各一個ずつ
保冷剤と一緒に詰める。
「六十二円のお返しになります。俺が忘れないようにすぐにまた来てくださいね。なんて」
 ケーキの箱とお釣りをお客さんに渡しながら冗談を言う。
「中原君ってこんな風に接客するんだ。なんか意外」
 突然割り込んできた声に、「ありがとうございました」のセリフを飲み込んでお客さんの
後ろを覗き込む。そこには俺の学校の制服を着た女子が胸のところで荷物を抱えて立っていた。
お客さんの孫だろうか。見覚えはないけど俺の名前を知っているんだから、多分同学年だろう。
「あらっ、二人ともお知り合いなの?」
「まあねー、中原君のほうはそうでもなさそうだけど」
 俺がわかりやすく怪訝な顔をしていたからか、意味ありげな視線を流された。
気まずい。なんとかしようと言葉を探すが、誰だかわからないんじゃ話しようがない。
言いよどむ俺に、彼女は呆れたように笑うと答えを教えてくれた。
「谷川みずほ。隣のクラスの女子ぐらいは知っておこう? この前荷物運ぶの手伝ってくれたから
てっきり憶えてくれてると思ってたんだけどなぁ」
「……わりぃ」
550 ◆H676uvqZmA :2008/12/16(火) 00:15:54 ID:dCSqBSLW
Jの喜劇 【5/9】


「ちょーっと傷ついた! だからメアド教えて? ケータイ持っているでしょ」
 谷川はこちらの返事を聞かないうちに、ポケットからストラップがいっぱいついたケータイを取り出す。
 なんで傷ついたからメアドの交換になるんだろうか。でも憶えていなかった俺が悪いんだし、
ここは素直にしたがっておくべきか。疑問はあったけれどスラックスからケータイを
取り出そうとした手を押し止めたものがあった。
「お客さまー。こちらの店員は非売品ですので、メアドの交換はごえんりょくださーい」
 慣れた感触の夏実の指。急激にその場の空気が緊張感に張り詰めたように思う。
なんなんだ、どうしたんだよ。お客さんもおろおろしてるじゃねぇか。そう口を挟もうとしたら、
夏実の突き刺すような視線が返ってきた。
 怖い。
 谷川に助けを求めようとそちらを見ると、夏実と同じような表情をしている。
二人とも俺より小さいのに迫力がありすぎるだろう。
 怖い。
「それでは、ありがとーございましたあ」
 明らかに作り笑顔の夏実が俺の横から、ガラスのドアに向かうと送り出すように開いた。
それに対して気持ちを切り替えるように谷川は息を吐く。そしてこちらへにっこりと
笑いかけて「今度はゆっくり話そうね」と『今度』を強調して言うと、俺と同じように
状況が理解しきれていないお客さんと共に表の通りへ出て歩いて行った。
 その姿が完全に見えなくなると、小鳥が人間を威嚇するみたいに肩をいからせていた
夏実が「今度も何ももうくるなー」と呟く。
「いや、お得意様だしなあ」
 そういうわけにもいかないわけで。怒りを解こうとあえて軽い感じをだす。
すると何度か唇を開いては閉じてを夏実は繰り返した。外から見えるように置いた
クリスマスツリーのイルミネーションの点滅と同じタイミングでちょっとおもしろい。
「……じゅんたのバカッ」
 さっきとは違う感じだけど、キッと俺を睨むと短く吐き捨てて夏実は店を飛び出して行った。
乱暴にドアが閉められて、上の方に付けられたベルがチリチリと何度も鳴る。追いかけたいけど、
すぐに新しいお客さんがやってきたせいで店を離れるわけにいかなくて、奥にいるお袋に声をかけた。
馬鹿ねぇとお袋までに小言を背中にもらう。
 俺が何したって言うんだよ! いや、俺が悪かったかもしれないけれど。
この頃、夏実を怒らせてばかりのような気がする。

■□■□■□■

551 ◆H676uvqZmA :2008/12/16(火) 00:16:32 ID:dCSqBSLW
Jの喜劇 【6/9】


■□■□■□■

 ぴったりと閉じられた夏実の部屋のドアをノックした。最初は外に行ったかと考えたけれど、
この季節、コートも何もなしに北風に当たるような性格をしていないことは知っている。
「入るぞ」
 返事はないけれど、ダメとも返ってこないので一声かけて開けた。
 ドアを背に、テーブルの上にお菓子の袋を広げた夏実はこちらには目もくれず、
サクサクとクッキーなどを食い散らかしている。いつの間に買ったんだろう。
いつも俺が作るお菓子ばかり食べているし、近頃コンビニめぐりもしていなかったのに。
林檎味の携帯用のゼリーまであるのに、ココアも葛湯も入れてあるしキャンディーの袋も転がっていた。
「そんなにお菓子ばっか食ってると、夕飯入らねぇぞ」
「これはお菓子じゃないもん」
 どう見てもお菓子ですけれど。そうツッコもうとする間にも夏実は葛湯に息を吹きかけて
それをあおる。とろみのある物がそう簡単に冷めるはずもなく。
「あつっ!」
 案の定、火傷をしたらしい様子に隣へ回りこんで舌を出させる。少し周囲よりも
赤くなっているところを指でなぜた。痛かったのかビクリと体が強張ったのが直接伝わってきて、
俺は指をどける。
「……ったく、気をつけろよ」
 口の中の傷は割と早く治るけれど、一応冷たいものでも取ってくるか。立ち上がろうと
膝を立てたところで、腕を引かれてバランスを崩しそうになりながら座り直した。
「あっぶね……」
「なんで、いつも離れちゃうの」
 何言ってるんだ、という問いは俺らの口の中で消える。いろんな物の甘さ。
さっき触れた舌の熱さがそのまま唇とさらにその奥に伝わってきた。
「ん、っふ」
 鼻にかかった夏実の声が喉を通して直接頭にしみてくる。あまり長くない舌が歯の根元をなぞった。
火傷は痛くないだろうか。ふとそんなことがよぎったけれど、上気した頬に
落ちたまつ毛の影に吹っ飛びそうになったから慌てて体を引きはがす。
「はぁっ……なんでっ? 胸がないから? だから何もしてくれないの」
 言いながらカーディガンの下に着たレースで飾られたブラウスのボタンをはずそうとする。
その手を握り締めて止めた。
唇と同じように濡れた瞳。息をするたびに覗く白い歯。本当に勘弁してほしい。
「怖いくせに」
「そんなことっ」
「俺だってさすがに気づくんだよ。触るたびに緊張されたら」
 そう指摘すると、夏実はうつむいた。自分の思うタイミングで、希望のように触れられないと
ダメなんだ。自分からならいくらでもそうできるから平気なんだろう。キスだって、
抱きしめるのだって、なんだって。俺だってそれくらいわかるんだ。もし、それから
外れたことをしたらどうなるかとか。俺と夏実の間にはそういう差があることを感じてた。
これまでだって危なかったことなんて、何回もそれこそ数えきれないぐらいあったけれど。
「……待つのには結構慣れてんだ。本音を言うとさっきとかかなりヤバかったけど」
 もう諦めとかを重しにして隠さなくていいだけ、前よりもずっと楽だ。強く掴みすぎて
白くなった手を離して、かわりに髪をかき混ぜるようにしてなぜる。
「どうして急に焦ったのかはわかんねぇけどさ。こんな風なのは、夏実が後で後悔すんのは厭だ。
知ってるだろうけど、俺だって初めてだし。いろんなこと、例えば他の誰かと話すとか、
そういうことの意味が俺らの中で少しずつ変わってきているよな。でも、全部をいきなり
変えなくたっていいと、思うよ。なんて言うか……あー! うまく言えないんだけど!」
 俺の手が乗ったままの頭が振られた。
552 ◆H676uvqZmA :2008/12/16(火) 00:17:08 ID:dCSqBSLW
Jの喜劇 【7/9】


「わかるよ」
 すれ違ってばかりだけど、こんな時、俺らの積み重ねてきた時間を強く感じる。
夏実以外の人間がそう言ったとしてもきっと嘘だと思うだろう。だけど、夏実だから
そのまま受け入れられる。だから、だからこそ夏実がずっと夏実であり続けられるようにしていきたい。
「でもね、不安になったんだもん。いきなりモテ始めるし。教えてくれなかったから
知らなかったけど、そのっスタイルいー先輩から告白されたりとかしてるし……。
さっきもメアドとか聞かれてるし。心が狭いって思うかもしれないけど、いやだったんだもん」
「断ったし、メアド交換しても俺からは何もする気ないし。谷川さんが何か言ってきても
同じように断わったよ。つーか、スタイルとかそういうので夏実がいいわけじゃないから」
 夏実がいいわけで。体も心も両方夏実だから欲しい。どっちかが別の人になったら意味がない。
夏実もそう俺のこと考えていてくれると思っていたのは間違いだったのかな。
「私だってそうだよ? ただ何もなかったから……」
 ほらこういう風に欲しい言葉はその時にくれる。
「じゅんただって、おと……この人だしっ。胸とかやっぱりそういうの好きなのかなとか
思っちゃったんだよ! ばかばかっ。鈍感星人あほー」
 恥ずかしさの限界を超えたのか、夏実が両手で顔を隠した。見える耳が赤い。罵られて嬉しいとか、
そうないよな。そういう趣味ないし。夏実なりに気にして意識してたんだなぁと思えば
これくらいの悪口なんてむしろ嬉しいくらいだ。
 俺が何も言わないからか、夏実は声のトーンを落とすと呟くように訊いてくる。
「本当にいいの? いっぱい待たせちゃうかもしれないよ」
「後で泣かれたりするよりはずっといいな。でも限界前には間に合うように祈っておく」
 おどけて言うと、くすりと笑い声がした。
「胸、ないよ?」
「まだ気にするか。大丈夫。俺、足派だから」
「へんたい。じゅんたのへーんたーい」
 変なメロディをつけて何度も「変態」と繰り返される。さすがの俺も傷つくんですけど。
気にしているみたいだから「貧乳好き」と言わなかったのに。嘘になるから言わなかっただけだけども。
「まあ、足派ではあるが……ないよりはあった方がいいし。夏実の心が広くなるように、
ありかを大きく育てるのもいいな」
「へっ?」
 目を見開いた夏実の腕の下に手をさしこんで抱えあげると、ベッドへ軽く放り投げるように
その体を移動させた。胸ぐらいは許容範囲みたいだし、たまにはいい思いしたっていいよな。
「よく言うだろ。揉まれるとってやつ。そこらにあるクッキーとかと合わせれば
効果あるかもしんねぇぞ?」
 俺の言葉に戻りかけていた夏実の頬がまたパッと赤くなる。
 コンビニとかで見かけないパッケージだったから、気になってよく見るとどれにも
「豊胸」とかそういう言葉があった。運動とかじゃなく、甘いものを食って
なんとかしようとするのが、あまりにも夏実らしすぎて笑える。
「そっ……そういうのは触れないのがやさしさだとおもうー」
「気にしないようにあえて触れるやさしさもあるとおもうー」
 口調を真似しながら、上のひとつだけ外れたブラウスのボタンに手をかけた。首のところでタイのように
リボンを結ぶようになっていたそれは、どこかプレゼントの包装を連想させてわくわくする。
 寒くなってきてから隠れていた鎖骨が見えた。さらに続けると、夏実の部屋のカーテンと
同じような柔らかいオレンジの下着が現れる。
「や、やっぱりはずかし」
 起き上がろうとする肩を押してベッドに再び沈めた。肌と下着の境を指でたどる。
中心から外側へ。肉の薄い感触から控え目だけれど次第に柔らかさが増していくのがわかった。
シャツを広げて肩に伸びるストラップを横へずらすだけで、自分でもおかしいくらい緊張する。
553 ◆H676uvqZmA :2008/12/16(火) 00:17:42 ID:dCSqBSLW
Jの喜劇 【8/9】


「可愛いのしてんじゃん」
 小さな花のレースがあしらわれた下着は繊細なケーキの細工みたいで夏実の肌によく映えた。
「かわいーのって他の人の見たこと……んくしゅん!」
 言葉の途中で小さくくしゃみ。いくら部屋の中とはいえ、冬にこんな恰好をしていたら
風邪をひいてもおかしくないか。しかも夏実は元気なくせに風邪を引きやすい。今の時期に
体調を崩されてもいいことないな。
「家には母親も姉貴もいるの思い出せ」
 言いながら体の下になっていた毛布を引きずりだして俺らの上にかけた。いつも夏実が
使っている香水の香りがする。こんな風になるなんて半年前の自分は想像もできなかった。
 ちゃんと足の方まで隠れるようにしている間にうつぶせになられて、胸が隠されてしまう。
くそ、心配してやったのに。しょうがないから、後ろから抱え込むようにして体をベッドに転がした。
たくしあげた裾の方から手を入れ、なめらかな背中を楽しむ。どうして同じものからできてるのに、
夏実の肌はこんなに触り心地がいいんだろう。ぽっこりと浮き出た首の骨に口づけて、
そちらに夏実が気を取られているうちにホックを外した。
「あっ……」
 キスか、下着の締め付けがなくなったことかどちらに対してかわからなかったけど、
吐息のような声。たぶん、わかってないだろうけど、それがどんなにこっちを煽るか。
実はどう外そうか悩んでいたんで、後ろを向いてくれて都合がよかったと言ったら
むくれるだろうから黙っておこう。
 浮かせた下着と肌の間に手を滑りこませるとわかりやすく体が硬直した。
左手に伝わる振動がとくとくとくとく、早い。
すべらかで、温かくて、さらりとしているのに吸いついてくるような。掌にすっぽりと
納まってしまうぐらいだけど、ちゃんと柔らかい。
「こんなんなんだ……」
 初めての感触に思わずつぶやくと、夏実が頭をもたれさせてきた。
「なんでも、お互いに知ってると思ってたけど、まだまだ知らないこと、あったね」
「だな」
「恥ずかしいけど……じゅんたの手、あったかくて安心するなー。背中からも伝わってきて気持ちいい……」
 鼓動はまだ早いままだけど、少しずつ入っていた力が抜けて体重を感じられるようになる。
すっげぇ幸せ。
「じゅんたぁ。今年のケーキはフォンダンショコラがいいな」
「わかった」
 夏実の声みたいにとけて消えそうなくらい、とびきりのやつをつくろう。
胸を掌に収めたまま、優しくパン生地をこねるみたいに動かしてみる。寄せたり、
指だけで外側を撫ぜたり。
554 ◆H676uvqZmA :2008/12/16(火) 00:18:15 ID:dCSqBSLW
Jの喜劇 【9/9】


「どんな感じ?」
 俺は柔らかい感触が気持ちよくてずっとこうしていたいけど。同時に夏実の感覚も気になって尋ねた。
「んん、よく……わかんない、かも」
 かもってなんだ。まあ、始めてですぐ気持ちいいなんてないだろうしな。でも、
ただ柔らかいだけだったなかにも、押し返してくる硬さもちょっとずつ生まれてきているから、
悪くはないと……思いたい。そのぷにっとしたグミのような先端を指で掠めるとまた夏実の体が硬くなる。
 いきなりどうこうなんて無理だよな。動きを止めてただぎゅっと抱きしめた。
ゆっくりとか言いながらすぐに忘れそうになってたらこの先もたない。
はふ、と緊張をゆるめたため息が聞こえて、それに応えるように手を探し出して指を絡めた。
 一回り細い指が、重なってきて確認するように何度も撫ぜるから、上体を起こして
耳にキスをする。何度も、二日と開けずに入り込んでいる部屋が、ベッドの上から
夏実越しに見るだけで初めての場所みたいだ。時計の秒針が進む音が心臓の音と重なって聞こえる。
 あったかいな。やわらかくて、甘くて、ずっとこうしてみたかった。
 少しでも夏実もそう思っていてくれたらいい。
 しかし、そんな心と裏腹に体は正直で。
「あー、夏実? ちょっと俺、その……トイレに」
 自分のことながら情けないぐらいの歯切れの悪さで幸せな時間を終わらせようとする。
そしてそのまま起き上がろうとして、できなかった。未だに右手が夏実の体の下にあるからだ。
「ほんっとに悪いんだけど、どいてって夏実?」
 無言。窓ガラスが風に揺れて音を立てる。
「まさか……」
 息をつめて様子をうかがった。そしてもう一度名前を呼ぶ。返事は――ない。
かわりに、安らかな寝息なら返ってきた。
「まじか」
 夏実の寝起きの悪さは天下一品。そして抱きつき癖がある。そんなことされたら、
目も当てられないことになりかねないってか絶対なる。自信もって断言できる。
 とりあえず、まだ胸に触れたままだった片手をどかして……。
「んっううん」
 何でこのタイミングで寝言なんだよ。しかも妙に鼻にかかっててエロ、だめだ。
考えちゃだめだ。生殺しか。これ何ていう罰ですか。
「す、き」
 ラブコメじゃねぇんだよ! でもこんなだけど、大きな一歩、前進なの……か?



END
555 ◆H676uvqZmA :2008/12/16(火) 00:18:57 ID:dCSqBSLW
終わり。
風邪には気をつけてくださいな。
556名無しさん@ピンキー:2008/12/16(火) 00:52:21 ID:0XqvYquX
一番槍GJ!
とてつもなく甘くておいちゃん砂糖吐きそうだよ!
ぜひ甘えんb(ry
557名無しさん@ピンキー:2008/12/16(火) 14:50:47 ID:94vnbgVG
あれ?お預け喰らったのになんか損した気分にならないよ?
GJです。こう、想いが通じ合った後も微妙にすれ違いとかあったりして
でも幸せで
なんかいいですね
558名無しさん@ピンキー:2008/12/16(火) 22:02:39 ID:+9hmNc4b
相変わらずのGJ!
今回のJは純太のJかな?
559 ◆POBrm2R/G2 :2008/12/16(火) 23:16:09 ID:QRGhbXhU
>>541
書いてるときは違和感無く感じたんですけど、改めて読み直したらなんか幼すぎますね。
以後気をつけます。

>>◆H676uvqZmA
これで薄味言われたら、私のなんか無味にしか感じない・・・
とにかくGJです!

>>542-544
お前らのせいで余計な妄想が膨らんだwww
>>542は次回以降書きますが、今回は>>544のシーンをちょっと作ってみました。
ただし夢オチです。ごめんなさい。1レス消費予定。
560許嫁を逆痴漢 ◆POBrm2R/G2 :2008/12/16(火) 23:17:01 ID:QRGhbXhU
今私は悠二と一緒に通学するため電車に乗っている。今日に限って電車故障が起きたらしく、動き出したと思ったらぎゅうぎゅう詰めの
状態で電車が発車してしまった。その状態で悠二がごそごそ動くから、悠二の肘がちょうど私のクリトリスに当たってなんだかむず痒い。
周りの人はみんな音楽聴いてるみたいだし、悠二はずっとゴソゴソ動いてるから、濡れてきちゃったじゃん。こんなことしてくる悠二には
責任とって貰わないとね?そう思い、私は悠二の手を取り、ショーツの中に手を潜り込ませた。

「ね、ねーさん?僕の手で何してるの?」ちょっと大きいのでシッ、と制する。
「ふぁっ・・・ふふっ、いいから、悠二はそのままで、ね?」
「え?でも、ねーさん、何だか僕の指が濡れてるんだけど・・・」
「いいから・・・こうしてれば満員電車もツラくないでしょ?」
私の手が悠二の手を動かし、まだまだ幼い悠二の手が、私のあそこを撫で回す。私の手の方までねっとりとした熱い蜜で濡れてきちゃってる
のがわかって、ちょっと恥ずかしい。でも手の動きは止まらない。撫で回してる状態じゃなんだか物足りなくなり、切なくてぱくぱくと
何かを求めてる私の膣に、悠二の指を突き立てる。
「〜〜〜〜〜!!!」心の中だけで絶叫。初めての指を入れた快感に、頭が、アソコが痺れる。でもさっきよりお腹の奥の方の切なさがヒドくなる。
「ねーさん、指が、熱いですっ!」「ゆうちゃん、そのまま指を動かしてっ」
悠二が混乱してる。かわいいけど、今欲しいのはその顔じゃない。悠二の手を乱暴に動かし、指を出し入れしたり、手のひらを回したりする。
そのたびに周りには水っぽい音が響く。気持ちよくて、何も考えられない。
「ゆうちゃん!お願いだから、動かしてっ!」
悠二が意を決したように目をつむり、私の手の動きとは違う動きをし始めた。

「ふぁっっっっっ!!」
思わず声が出ちゃった。これ以上えっちな声を漏らさないようにするため、私は口を押さえる。悠二の手が私を犯してる。まだ女性経験の無い
男の子の、乱雑な動きだからちょっと痛いんだけど、それ以上に気持ちよさが私の全身をかけ巡る。
脚から力が抜けて立ってられないので、悠二に抱きつく。腰の奥の方から訳の分からない波が襲ってきて、ビクビクと腰が震える。
「ゆうちゃ、もうだ、め・・・んんんんん〜〜〜〜〜!!!」
大きな快感の波にさらわれ、意識が朦朧とする。私、悠二にイカされちゃったんだ。膣に入ってる悠二の指が暖かくって、段々と意識が闇に落ちていく。


「じりりりりりりりり!!!」「ひゃうっ!」
快感に微睡んでいたら、耳元で突然鳴り出した目覚まし時計のアラーム。ん?目覚まし?
目覚まし時計のアラームを止め、時間を見ると06:00。携帯で日付を確認すると、今日は土曜日。
「・・・アラーム消し忘れてたのね。というかさっきのは夢なのね・・・」
なんか損した、と思ったのも束の間、何だかアソコに違和感を感じる。
「・・・うわぁ、シーツまでびしょびしょだぁ・・・」
あんな夢見たんだからこうなるのも仕方ないけど、こんなに濡れたのは初めて。でも、すごい気持ちよかった。あんな夢なら、また見てみたいかも・・・

・・・って夢の余韻に浸ってる場合じゃない!
私は慌てて普段着に着替え、来ていたものとシーツを洗濯、ついでに布団も干して換気。
その様子を見たお父さんが「なんだ、悠二君でもくるのか?」なんて無神経なことを聞いてきたので鉄拳制裁しておいた。
ううう、こんなこと誰にも知られたくない・・・
561 ◆POBrm2R/G2 :2008/12/16(火) 23:18:49 ID:QRGhbXhU
以上で終了です。痴漢といっても今回は触る痴漢ではなく触らせる痴漢ということで。
思わず痴漢の定義をWikipediaで調べましたが何か。

辰則と美紀のクリスマス中編は近日中に完成予定です。
それでは、また。
562名無しさん@ピンキー:2008/12/18(木) 09:15:11 ID:kCKOgYaP
GJ
痴漢というか痴女だなww
563名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 00:20:31 ID:7Fa1MWpA
幼馴染みというよりショタじゃね?
564名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 00:52:17 ID:oRiyggiq
幼なじみでショタでもいいんじゃない
俺はむしろ男の子視点からお姉さん感を楽しんでるが
565名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 07:44:23 ID:DzTWkHJV
よし、次はロリだw
566 ◆POBrm2R/G2 :2008/12/19(金) 07:49:14 ID:Ryej+yZs
辰則と美紀のクリスマス 中編、投下します。
5レス消費予定。NGワードは「◆POBrm2R/G2」
「みんなー!グラスは持った〜?」
「持ったよー!」「はーい!」「うんっ。」
今日は瑞希、紀子、湊と一緒にクリスマスパーティ!本当はあと1人居るんだけど・・・
「たっちゃん!キミも今くらいは料理はおいといて、とりあえず乾杯にきなさーい!」
「いや、今ちょうどピザがいい感じで焼けそうだから、先にやっててくれ。」
そう、私達専属のシェフ、たっちゃん。ピザは確かに気になるけどさ、乾杯するだけじゃん!
「たっちゃんノリ悪「たっつー!料理期待してるよー!」瑞希ー!」「ミキティめんごめんご!」
瑞希は私の不満に割り込み、たっちゃんに料理をするよう促す。うぅぅ・・・

「まぁまぁ、また海神君がきたら乾杯しようよ。ね?」私たちのまとめ役の湊がそういうなら・・・
「仕方ないなぁ。じゃあとりあえず4人で乾杯しようか?」
「そうだね!」「はやくはやく!」「あー!瑞希!料理の手づかみは汚いよ!」「あっはっはー!」
湊は苦笑しているが、嫌そうではない。そう、これが私たちの普通。

「それじゃあとりあえず、2学期もお疲れ様でした!また来年もよろしくって事で・・・」
「「「「かんぱーい!!!」」」」
カチン、とグラスを合わせる私達。ちなみにグラスの中身はアルコール無しのシャンパン。
瑞希がアルコールを買おうとしたけど、紀子と湊が阻止。それを見てたたっちゃんはさすがに苦笑いしてたな。
「ピザ出来たぞー。テーブルの上空けといてくれー!」
そんなことを考えていたら台所からたっちゃんの声。湊はその声が聞こえたと思ったら、既にスペースを確保し始める。
「お、水上さんありがとう。お前らも少しは見習えよー。」
湊の行動に感心しながら私たちを注意してくるたっちゃん。湊は褒められて頬を赤く染めてる。でもそれは差別だー!
「たっちゃん、私達が行動しようと思ったらもう湊が既にやっちゃってたんだよー。」「そうだよたっつー!私が何もしないとでも?」
「・・・佐々木に関しては何もしなさそうだな。気付いたら美紀と水上さん、木津さんがやってそうだもんな。」
「う、痛いとこ突くねたっつー。」「あはは・・・瑞希ちゃんはそういうところ疎いからね。」
「湊・・・フォローになってない。」「まぁその分いつも私たちを引っ張ってくれるからね。帳消しじゃない?」
「ううう・・・慰めてくれるのは紀子だけだよ・・・」「おーよしよし、それじゃあ私たちはベッドで仲良くするかい?」
「いーやー!私には彼氏がいるのー!」「「「「あははははっ」」」」
いつも通りの会話はたっちゃんが混じっても変わらない。
まぁ普段からナンパ除けとかで一緒に居るから、みんなあんまり抵抗無いのかも。
でもみんないつもより少し楽しそう。やっぱり好きな男の子がいるから?
湊は普段からたっちゃんと仲良くしたいような雰囲気を出してる。たっちゃんが私達以外の女の子と喋っていると目が怖くなるのが、ね。
紀子に関しては良く見ないとわからないけど、何気にボディタッチとかしてるし。他の男の子なんて仲良さそうに喋ってても触れやしないのに。
瑞希は彼氏が居るのに、結構たっちゃんにじゃれ付いてる。何気に胸とか当ててるのってたっちゃんだけだよね?

湊も紀子も瑞希もクラス、いや学年で見てもかなり美人の部類に入ると思う。普段一緒に居るからこそ、自分に自信があまり持てない。
本当はたっちゃん、私なんかより他の女の子と付き合ったり、キスしたり、その、あの、セックスしたりとか・・・
そんなことを考えてると気分が落ち込み、背筋を走る悪寒みたいなもので体が冷え切ったような感覚に陥る。
「美紀、調子悪いのか?顔が青いぞ?」俯いていた私の視界に入る愛しい人。思わず涙が出そうになる。
「ちょっと失礼。」そういってたっちゃんは私のおでこにおでこを合わせる。暖かい。私の瞳からこぼれた雫が私の頬を濡らす。

「熱は無いみた・・・お、おい、泣くなよ美紀。俺なんかやっちまったか?っておでこか?それなら悪かった!すまん!」
「あー!たっつーがミキティ泣かしたー!」「えっ!?海神君、美紀に何かしたの!?」「美紀!?どうしたの!?」
「お、俺は美紀が顔真っ青にしてるから調子わるいのかと思って・・・。」
女性三人に攻められるような形になってるたっちゃんが慌ててる。たっちゃんの優しさは伝わったから、私からフォローしてあげないと。
「たっちゃん、瑞希、湊、紀子、ありがと。こんな楽しいパーティが来年出来ないと思うと、ちょっと寂しくなっちゃってね。」
ちょっと苦しい言い訳。こんなの私のキャラじゃないし。
「ちょっとミキティらしくないんじゃなーい?私たちは親友だよ?何があったってまた集まれば良いじゃん!
 来年は受験が終わったらみんなで旅行にでも行こうよ!ね?」瑞希らしいフォローにまた涙が出てくる。
「うんっ!ありがとう、瑞希!」「わわっ!私はそっちの気はないぞっ!でもミキティが喜ぶなら、今だけ撫でちゃる!」
「わ〜!そんなにぐしゃぐしゃしないでよー!」「あははっ、涙目のミキティはなんだかかわいいぞー!」
私は本当にいい友達を持ったと思う。こんなに暖かい空気、なかなか味わえないもんね。
美紀のいきなり泣きだした騒動から1時間経過。俺はパーティ一番のお楽しみを急ピッチで仕上げている。

あの後、女子に混じって料理を食べたり一緒にゲームしていたら、突然佐々木が「そういえばたっつー、クリスマスケーキは?」なんて言い出した。
完成したケーキはあるのだが、ちょっとした細工をするために「じゃあちょっと用意してくるから10分ほど待ってくれ」と宣言し、台所に移動。
ちなみにケーキはブッシュ・ド・ノエル。5分ほどでケーキに細工を施し、階段脇の納戸からプレゼントの入った白い袋を取り出し、サンタ帽を
身につけ、準備完了。サンタ服に着替えるのははめんどくさいので却下。

「メリー・クリスマース!今日のケーキはブッシュ・ド・ノエルだぞー。」「「「「わー!すごーい!」」」」
女性陣の関心の声が上がる。こういうのってちょっと嬉しいよな。
「既に切り分けてあるから、好きなのを取ってってくれ。」
ケーキに群がる女性陣。あれ、俺のこのカッコは無視かい?お兄さん、泣いても良いかな?
「あれ?たっちゃん、その袋は?」
やっぱり持つべきは幼馴染だよな。真っ先に美紀が気付いてくれてお兄さんの機嫌も急上昇。
「これか?実はそのケーキにはちょっとした細工があってな。ケーキのどこかに数字を印した飾り付けをしてある。
 その番号に応じたプレゼントが、この袋に入ってるのさ。ま、普段みんなにはお世話になってるから、そのお返しだよ。」
「「えっ!(たっちゃん|海神君)のプレゼントがもらえるの!?」」
美紀と水上さんが異様な反応を示した。水上さんはともかく、美紀ってこんなに俺からのプレゼント喜んだっけ?
「おう。一人一人違うプレゼントだぞ。ま、安物だけどな。」
「たっつー、それは言っちゃダメよ。」「そうだよ〜、冗談でも『高かったんだぞ』くらい言わないと〜。」
佐々木と木津さんが文句を言ってくる。いや、4人で1万円って結構な出費なんだけどな。


ケーキを食べ終え、女性陣の手元には俺から渡したプレゼントがいきわたってる。佐々木はケーキを食いながら包み紙を破いていたが・・・。
佐々木には1の『FACEBANK』、木津さんには4の『ザ・フロッグウェザーリポーター』、水上さんには2の『バスパレット マイオーシャン』、
美紀には3の『ペコっぱ』。正直、1は佐々木に当たってくれて助かった。木津さんならまだしも、他の二人なら絶対嫌がるだろうからな。

「たっちゃん、見事に全部おもちゃだね。」「悪いか?なかなかいいと思ったんだが。」
確かにアクセサリーとかの方がいいかと思い悩んだけど、アクセサリーのプレゼントって変に勘違いしたりしないか?と思い却下。
「なにこれー!キモーイ!あはははっ!コイツお金食べてるー!」
「へぇ、気圧でこの水が上がったり下がったりするんだ。今日は天気がいいから、低いみたいだね。」
「お風呂に浮かべるおもちゃかぁ。早く使ってみたいなぁ・・・」
既に中身を見ている3人の反応は上々、なかなかの高評価みたいで一安心する。
「美紀のもあけてみようよっ!」「そうだぞそうだぞ!独り占めしようなんて卑怯だぞ!」「私もちょっと見たいなぁ・・・」
そう思っていたら、唯一プレゼントを開封していなかった美紀に非難の声。早々に折れる美紀。
「わかったわかった!今から開けますよっ!」

「ていうかさー、たっつーってなかなかひどい男だよね?」ペコッ
「そうそう、優しい顔して酷い事言うんだから、えぐいよね〜?」ペコッ
「いや、あの、海神君は優しい人ですよ?でも、その優しさが罪です・・・」ペコッ
「確かにねー、朴念仁って言葉がぴったりだと思わない?」ペコッ
「お前ら、ペコっぱ相手に俺をけなして楽しいか?」ペコッ
「・・・こいつ壊したろか」ペコッ
「「「「あはははははっ!」」」」
なぜか俺に対する愚痴をネタにペコっぱで遊ぶ4人。なんだか不愉快だ。気分を害された俺は、空いた皿片手に台所へ逃げ込む。
皿を洗っていたら気分が晴れてきて、気付けばクレープとクッキーを作っていた。てかクッキー好きだな俺。
時間がかかったものの、なかなかいい作品が出来た俺は、何の警戒もなくリビングに向かった。
「あはははっ、良いではないか良いではないかっ」「いやーん、そこくすぐったーい♪んぁ!そこはダメだって!」
「美紀の体ってホント綺麗だよね・・・出るとこ出てるし・・・」「ふぁっ!ちょ、湊、感じちゃうからだめぇ・・・」
俺はクレープとクッキーがのったトレーを持ちながら、リビングの扉の前で固まっている。
俺がいない約30分ほどの間に一体何があったんだ?この百合の花が咲いている楽園のような場所に飛び込んでいいんだろうか。
いやいや、ただのマッサージだろ。いやらしい考えをするな、俺よ。南無妙法蓮華経、悪霊退散、臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前!
なんだか訳の分からない呪文を唱え、意を決して扉を開ける。
「おーい、クッキーとクレープ作ったんだがいる・・・か・・・?」
・・・ここはどうやら本当に楽園だったようです。どうもご馳走様です。
木津さんの服の裾から手を突っ込んで胸を愛撫している佐々木。木津さんのちらりと見える白い肌とおへそがまぶしい。
水上さんは水上さんで服を捲りあげられた美紀の胸をブラの上から揉みしだいている。美紀の水色のブラにくらっとする。

俺は急いで回れ右、逃げるが勝ちと言う事でリビングを脱出しようとしたら、何者かに全身を拘束される。
「え、えと、その、これは、あの・・・」全身の汗腺という汗腺が開く。嫌な汗がだらだらと流れる。
「ちょっとこっちに来ようか、たっちゃん?」「そうだね、ちょっとお話聞かせてくれるかな?」
美紀と木津さんの声がすごい怖い。ごめんなさいごめんなさいごめん(以下略


「確かに湊にお酒を飲ませた瑞樹も悪いけど、たっちゃんも女の子しかいない場所に入るときは声かけようね?」
ちなみに佐々木は水上さんを美紀の部屋に運んで介抱している。
「そうだね。ちょっとマナー違反かなっ!」「はい、ごめんなさい、もうしません。」
と言うか俺は悪くないと思うんだが、女の子の肌を見てしまった以上謝るしかない。
「でもでもっ♪辰則くんは私のエッチな声聞いて興奮しちゃったかな?」「う、それについてはノーコメントで。」
「へぇ、じゃあ興奮しちゃったんだねぇ♪まぁ美紀の方が色っぽい声出してたけどねぇ?」「わ、私は仕方ないじゃん!」
「ほほう、なんでかなぁ?」「だって、そりゃ、あんなとこ触られたら、声出ちゃうし。」
お願いだから男の前でそんな生々しいお話しないでください。体育座りで色々と隠さないといけなくなりますから。
「どこ触られちゃったのかにゃ〜?」「むー!じゃあ紀子にしてやるー!」
「えっ!ちょ、辰則くんがい、ふあっ!そこはだ、んにゃあ!」「ほらほらー!感じるでしょー?」
「んんんっ!美紀、ちょっとおかし、やぁ!もう!私だってやってやる!」「んあっ!ちょっと、そこはやめっ、あん!」
お前らも酒入ってるだろ?と思いつつもあまりの光景に頭に血が上りすぎて、美紀と木津さんの嬌声を聞きながら、俺は意識を手放した。
紀子と乳繰り合ってたら、隣からバタッと言う音がしたので見てみると、顔を真っ赤にして目を回しているたっちゃん。
「「(たっちゃん|辰則くん)!?大丈夫!?」」紀子も驚いたようで、私と同時に駆け寄る。
「たっちゃん!?どうしたの!?ねぇ、ねぇ!」「美紀、ちょっと落ち着こう。まず体におかしい部分がないか調べないと。」
たっちゃんが倒れるなんて今まで無かったから、相当慌ててたみたい。とりあえず顔を真っ赤にしている以外におかしなとこ・・・っ!?
「美紀?どうしたの?・・・っ!?」
紀子もたっちゃんのおかしなところに気付いたらしい。まぁこれだけ主張してたら、ねぇ。
「・・・とりあえず。」「興奮しすぎて倒れちゃったんだね。」
原因が分かりほっとする私たち。まぁあんなことを目の前でやってたんだから、仕方ないよね。

「・・・ねぇ、美紀。」「ん?なあに?」
「あのさ、美紀も辰則くんのこと好きだよね?」「っ!?」
「わかっちゃうんだよね。なんとなく。」「・・・そっか。」
「だから、今からちょっと悪いこと、しちゃわない?」「え?どういうこと?」
「辰則くんの、コレ、見ちゃわない?」「ふぇ!?」
「美紀は、気にならない?」「た、確かに気にはなるけど・・・」
「これは私と美紀の秘密。誰にもしゃべらないし、辰則くんにも言わない。」「うう・・・でも・・・」
「美紀が嫌ならいいんだよ。私だけで見ちゃうから。」「そ、それはダメ!」
「・・・じゃあ、いいね?」「・・・分かった。でも、紀子も言わないでよ?」
「分かってる。絶対に守るから。・・・じゃあ、やるよ?」「・・・うん」
たっちゃんごめんね、美紀は悪い子です。でも、やっぱりたっちゃんが好きだから、気になっちゃうんだ。

「ってちょっと待てーお前らー!!!」「ひゃっ!」「わぁ!」
「たたたたたたっちゃん?!いいいいいつから気付いてたの!?」
「『美紀が嫌ならいいんだよ。私だけで見ちゃうから』あたりか?お前ら何しようとした?」
「いや、あの、その・・・辰則くんのね、あの、ソレが、立派だなぁと思って・・・」「それ?・・・あ、コレ見られたんだ・・・」
再び卒倒しそうなほど真っ赤になるたっちゃん。と言うかみんな真っ赤。
非常に空気が重い。えーと、なにか声を「みなっちふっかーつ!!・・・あれ?何この雰囲気は。またたっつーやらかした?」
「加害者確定!?今回俺はどちらかといえば被害者だっ!」「は?たっつーがひがい・・・なるほどねぇ♪」
瑞樹はたっちゃんの体を見、そして私たちの顔を見てそんなことを言い出した。何となく嫌な予感がするんだけど・・・
「たっつーのアレはおっきかったかい?」「ちょ!?ななななんて事っごほっ、ごほっ」
耳元で突拍子もないことを囁く瑞樹。思わず咳き込む私。いや確かに見ようとはしたけど見てはいないし!
「なるほどなるほど、見ようとしたらたっつーが気付いちゃったんだねぇ♪残念だったねぇ、お二人さん♪」
ずばり言い当てられ、真っ赤になってる三人。たっちゃんは体育座り。訳が分からないという表情の湊、ニヤニヤとしている瑞樹。
そんなこんながありつつ、デート前日は変な雰囲気のまま終わった。

明日、たっちゃんと顔合わせるのがツラいなぁ・・・
572 ◆POBrm2R/G2 :2008/12/19(金) 07:53:59 ID:Ryej+yZs
以上で終了。後編は現在ネタ出しの段階です。何とかクリスマスまでには仕上げたいです。
それはそうと特定商品の名前を出してますがごめんなさい。単純に自分が欲しいのもあります。特にペコっぱ。
また何かあればご指摘いただけるとありがたく。それでは。
573名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 08:44:36 ID:sd3TKgtl
GJ幼馴染が欲しかったよおおおおおおおおお
574名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 13:01:33 ID:qUXnOwkr
甘くて良いんだけど、セリフのやりとりは
「おはよう」「おはよう」
と書かずに、
「おはよう」
「おはよう」
と一つ一つ改行してくれ。読みにくいです。
575名無しさん@ピンキー:2008/12/20(土) 13:06:20 ID:+H2VUiFn
次から灯下。エロ無しです。
576『この世で最も華麗な彼氏』 ◆uC4PiS7dQ6 :2008/12/20(土) 13:09:06 ID:+H2VUiFn
1
 高校入学と同時に、ボク達二人は付き合い出した。
 産まれた日も、病院も、時間も一緒。ベッドも隣同士。
 毎日暗くなるまで遊び、周りの連中に冷やかされても関係なく遊び、二人で揃って成長する。
 そんな幼馴染みが大好きで、手放したくなくて、溜め込んだ想いを全て吐き出して告白して、やっと二人は恋人になった。
 その後すぐに幼馴染みの両親へ挨拶に行き、ヨロシク頼むと了承を貰う。
 ただし、条件は三つ。

・高校を卒業したら、幼馴染みの両親がトップを勤める会社の社員になる事。
・幼馴染みとは結婚を前提に付き合う事。
・ボクと幼馴染みが高校を卒業するまではセックスしない事。

 以上が出された条件。
 つまり、ボクを婿に迎え入れて後を継がせたいと言うのだ。セックスするなってのも、ボクの我慢強さを見る為。
 きちんと仕事を続けられるか?
 他の社員に誘惑されても浮気せずにいられるか?
 それを計ろうしているだけ。
 なんて事は無い。ボクには歳の離れた兄が居るから婿に行っても大丈夫だし、幼馴染みも心から愛してる。三年間セックスをしなければ、ボク達の幸せな未来は確定なんだ。
 思えば、ここまでは良かった。
 ここまでは、順調だった……
 二人の関係が暗礁に乗り上げたのは高校一年の夏休み。その初日。ボクは時期外れな肺炎に掛かり入院した。
 手術を受け、薬漬けで横たわり、奇跡的簡単に回復し、夏休みの終わる前日に退院となった時……ボクの身体に異変が起こる。
 この異変こそが、暗礁に乗り上げた原因。条件を守ろうとする意志を揺るがす悪魔。

 ボクの身体は、美味しくなったのだ。

 中毒性の高い、この世で最も極上なカレー味に……

 そして幼馴染みは、重羽 美月(おもはね みつき)は、
 双海 砂耶(ふたみ さや)の、ボクの味に魅了された。




  『この世で最も華麗な彼氏』

577『この世で最も華麗な彼氏』 ◆uC4PiS7dQ6 :2008/12/20(土) 13:14:42 ID:+H2VUiFn
2
 気温を挑発する太陽。鳴き止まぬ蝉の声。身体は本の海に沈む。
 学校の昼休み、静かな図書室の奥底で、卑猥な水音は響き続ける。
 本棚の波を幾つも掻き分けて辿り着いた、広い図書室の底。ソコでボクの指をしゃぶるのは、一年前に愛を語った幼馴染み。
「んっ、んっ、んっ♪ んっ♪ ぢゅるちゅっ♪ ちゅぷっ、はぁぁっ……とても、おいひいよ砂耶♪ さやのっ、とってもぉっ……んぢゅぅ〜〜〜〜〜ッ!!!」
 ピリピリと、快楽の電流が全身を貫いた。肉体的では無く、精神的にボクの呼吸を荒くさせる。そうさ、誰だってこうなるよ。
 自分の愛して止まない人が、上目使いで、瞳を潤ませ、耳まで紅潮させて、差し延べた左手の指を膝立ちになって口に咥えたら、誰だってこうなる。
 手首を両手で持ち、人差し指と中指の二本をぽってりとした唇に挟んで顔を前後させ、肉厚な舌で情熱的に締め付けられたら、誰だってこうなるんだよ!
 もちゅぅっ、もぐゅもぢゅもぢゅ、ぢゅぢゅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!
「ねぇ美月ぃっ、まだ……ふうっ!? 終わら、ないのっ?」

 美月が変わったのはアノ日から。
 それまでは欠点らしい欠点さえ見当たらない、自慢の幼馴染みだったのに。
 背は170センチ後半でボクより20センチも高くて、スタイルも良いし胸も大きいし足だって長いし、髪だってサラサラで、綺麗で、勉強もできて何でも熟す、自慢の恋人だった。
 でも……変わった。ボクの味を知った日から。その日から、美月は変わった。

 最初は「砂耶って変な味するな?」の一言。でも、次は十日後。次は一週間後。次は五日後。求めて来て、日を増すごとに間隔が短くなって行く。今はもう毎日。
 印象に残ってるのは去年秋のマラソン大会。走り終わった後、美月に「汗を舐めさせて!」と泣き付かれる。
 汚いから駄目だと断っても、校庭隅に生えてる大木の影に引きずり込まれ、押さえ付けられて、頬っぺたと首をベトベトになるまで舐められた。
 家のトイレでオシッコした時、台所で手を洗おうとしたら、捕まえられて指を舐められた事も有る。
 その後にビクビクと震えてヘタレ込んでたけど。

578『この世で最も華麗な彼氏』 ◆uC4PiS7dQ6 :2008/12/20(土) 13:16:42 ID:+H2VUiFn
3
 どうやらボクの体内から出る分泌液には中毒性が有るようだ。そしてボクの感情が高まると更に美味しくなるらしい。だから、いちいちイヤラシイ舐め方をする。
 セックスはしちゃイケないって美月もわかってる筈なのに、わざと……興奮させるんだ。一年で、ボクを舐める為だけに進化して伸びた美月の舌。顎舌のラインに垂れるまでに長い。
 こっちも意地でサポーターを付けて勃起してるのを悟られないようにしてるけど、こんなんじゃ約束を守れない。いずれ間違いを起こす。
 そう思ったから、夕食後に美月をボクの部屋に呼んで、「もうボクの身体を舐めるな!」とキツく言った。
 大声で泣かれたけど、首を縦に振り、納得してくれたんだ。納得してくれたと勘違いしていた。だから翌日に思い知らされる。

 翌日、息苦しさで目を覚ますと、美月がボクの上に乗っかって顔を押さえ付け、舌を差し込んで咥内からジュルジュルと唾液を啜っていた。
 グッバイ、ファーストキス。「あんな事を言う砂耶がイケないの! 私は砂耶が居ないと生きてけない身体にされちゃったんだよ?」と開き直り、美月は完璧に末期症状。ちなみに、唾液は汗より美味しいらしい。
 それでボクも諦め、一日一回。激しくならないように学校で舐めさせてる。
 美月はその一回を濃厚に味わい尽くすだけ。胸元を開けて、淫語を連発して、ボクを興奮させて。
 
 ああ、無理だよ。こんなんじゃ堪えれない。
 今は高二の夏。卒業するまで後一年半。やっぱり堪えれないよ。毎日、毎日、美月を想ってオナニーするだけじゃ堪えれない。
 だけど、それでも、二人の未来を考えて堪える。


 ボクの味は、感情が高まれば高まるほど美味しい。
 何も無いより汗が、汗より唾液が美味しい。
 感情が高まった時に出る液が特にオイシイ。

 じゃあ、ボクのアレは?




続く。

579名無しさん@ピンキー:2008/12/20(土) 13:18:43 ID:+H2VUiFn
以上です。
後はエロ→オチで終わりです。
580名無しさん@ピンキー:2008/12/20(土) 13:31:42 ID:7NWl8YRR
>>579
寝取られ彼氏の作者さん、相変わらずエロくていいwGJ!
581名無しさん@ピンキー:2008/12/20(土) 15:17:01 ID:qn1rC8Q/
こいつのウンコはカレー味……?
582名無しさん@ピンキー:2008/12/20(土) 18:11:18 ID:GWiLC4ef
いいぞもっとやれ
583名無しさん@ピンキー:2008/12/20(土) 20:01:20 ID:jOV1KLsw
エロなしなのにエロいな〜
GJ!!
584サカユメ:2008/12/22(月) 20:55:43 ID:iQLHFbjD
 私ね、結婚するの。キラキラ輝く指輪を撫でて彼女が言った。恋が何かを知らないときから馴染んだ目元が幸せそうに弛む。
黄昏は北風に追いやられてほんの名残を残すばかりだ。
 一緒に通った通学路の途中、小さな公園は二人だけの隠れ家を何度も作った思いでの場所。彼女の言葉に何かが崩れてくすんでいくのがわかる。
 嘘だろう、と口にしたいけどできない。だってあんまりにも幸せそうだから。
 どんなやつだろう。ささやかなに光る幸せを大きな閃光でかきけして、彼女を染めてしまったのは。
強く強くまぶたを閉じれば、天地がぐるぐると回っていった。




 ねぇ、起きて。少しずつ変わったけど一番耳に心地よい声に体を起こす。
細い指が頬をたどって、泣いていたのだとしった。
 結婚する?
 えぇ、するわ。
 さっきの笑顔よりも輝いた瞳に自分が映っている。
 とても悲しい夢を見た。
 大丈夫、これからもずっとそばにいる。
 でも大事なことに気づけた。
 幸せになろうね。
 うんと頷いて彼女の体を抱き締めた。あぁ夢でよかった!
585名無しさん@ピンキー:2008/12/22(月) 23:09:55 ID:EWORkUCq
>>584
こういうのもいいな
GJ
586名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 01:01:08 ID:enx6rMRN
>>585
夢でよかったー……GJ!
587コトコのカタチ_0 ◆DswpUl0rgY :2008/12/23(火) 19:59:34 ID:TS1QqPHy
ぐるっと季節が一周してしまいましたが、
コトコのハナシ ttp://red.ribbon.to/~eroparo/sslibrary/o/original1643.html
コトコのキス ttp://red.ribbon.to/~eroparo/sslibrary/o/original1643-1.html
の続きです。

588コトコのカタチ_1 ◆DswpUl0rgY :2008/12/23(火) 20:00:17 ID:TS1QqPHy
 
 せっかくだからクリスマスの日にしない? と琴子が言ったので、何がせっかくだか判らないけど一週間お預けにされた。
 今まで散々待ったからね、別に一週間ぐらいどうってことないけどね、大人だしね、なんて言いつつ、琴子の夢子ちゃん的に発想に苦笑いしかできなかった。
 ま、そのくらい付き合ってあげるけどね。

 約束のローストチキンは、実は作るより切り分ける方に苦労をしたけど、琴子は子供みたいにはしゃいで喜んでくれた。
 いつもみたいに脈絡もなく会話をしながら、時々思い出したように赤ワインの味のするキスをして。
 僕らはやっぱり、今まで恋人じゃなかったのが不思議なぐらい同じタイミングでキスがしたくなった。
 これって何かのワナ? と疑いたくなるような甘酸っぱい幸せを、ここぞとばかりに思いっきり楽しんでいる。


 ブッシュ・ド・ノエルを食べ終えて、チョコレートの味のするキスの途中で、ついに我慢が出来なくなって琴子の腕を引いた。
 誘われるままに、琴子が立ち上がって僕のももの上に横座りになり、首に琴子の両腕が回った。
「……重くない?」
 小声で問われて、僕はそっと左右に首を振って目を閉じた。
 くちびるが落ちてくる。
 ふわりと重なった柔らかなそれに、僕は夢中になる。
 ぺろりと舌先で舐めると、琴子の身体が僕の上でぴくんと揺れた。
 その小さな反応が嬉しくなって、ぐいと強引に舌を差し入れる。
 ちろちろと舌先で琴子の舌先をくすぐって、舌の裏も舐め上げて、湿った音を立てながら深く深く口付ける。
 ときどき濡れた声を漏らす琴子が愛しくなって、僕は背中に手を回してぎゅっとその身体を抱きしめた。
 重ねたくちびるの端が嬉しそうに歪む。
 触れるときと同じ速度でゆっくりと離れて琴子は、僕の肩に腕を預けたままくすぐったく笑った。
 
「ね、要。『僕のこと好き?』って聞いて?」
 柔らかな笑顔で問われて、僕は少し間をおいて口を開く。
「僕は琴子が好きだよ」
 にっこり笑って、琴子を見据えた。
 こういうのは勢いで言ったほうが勝ちだ。
 当の琴子はそのアーモンド型の瞳を見開いて、二三度瞬きを繰り返した後、恥ずかしそうに首をすくめて小声でずるい、と呟いた。
「……ずるいのはどっち?」
「…………そうだね、ごめんなさい。あのね、要、あのね、」
「うん」
「私、要のことすき。すごく好き。考えれば考えるほど、すきなの。どうして今まで気がつかなかったのかな」
「なんでだろうね」
 同時に小さく笑いあって、そっと触れるだけのキスをする。
「…………要……しよ?」
 吐息混じりに、琴子が囁く。
 うっすらと細めた目が色っぽい。少し乱れた呼吸も、掠れた声も。抱きしめた熱い身体も。
 琴子がこんなにも色気を持っているなんて、僕は知らなかった。
 うん、と答えながら僕は、自分の身体が内側からどんどん熱くなっていく、と思った。
 
 服の裾から熱くなった手のひらを差し入れたら、琴子が身を捩った。
「……場所、変えよ?」
 ああそうか。
 こんなとこで始めても、後が困るか。
「客間?」
「ううん、要の部屋がいい。だめ?」
「いいよ」
 そろりと僕の上から琴子が降りて、もう一度だけキスをすると僕らは手をつないで階段を上った。
589コトコのカタチ_2 ◆DswpUl0rgY :2008/12/23(火) 20:01:00 ID:TS1QqPHy
  
 常夜灯のみに照らされる薄暗い僕の部屋が、琴子の気配で見慣れたはずの色を変える。
 ベッドに腰掛けた琴子が、くすくすと小さく笑った。
「なに?」
「ん、要の匂いがするなあって」
「…………におう?」
「違うよ。なんか、安心するの。懐かしいかんじ」
 ふぅん、そんなもんかな。
 琴子の隣に腰を下ろして、そっと手を重ねる。
「そういえば、ここに入るの久しぶり。十年ぶりぐらい?」
「そうだっけ?」
「うん。なんか、雰囲気変わっちゃったね」
「十年も経ったら変わるよ。一回出てったし。琴子の部屋も変わった?」
「うーん、あんまり変わってないと思うよ。今度来る?」
 ちら、とこちらを見上げたその目にどきんとした。
 うん今度ねと適当に相槌を打ちながら、僕は琴子にキスをする。
 軽く触れると琴子が身を離して、僕の頬を両手で包み込んだ。
 そのまま僕の眼鏡を攫って枕元に丁寧に置くと、片足をベッドに上げて身を寄せてくる。
 両手を伸ばした仕草だけで、抱きしめてと誘われて、僕は琴子の背中に両手を回した。

 琴子も、両の腕を僕の首に回して身体を密着させてくる。
 柔らかな乳房の感触ががダイレクトに自分の胸に伝わり、僕はまた思春期のようにどきどきする。

「…………やばい」
「どうしたの?」
「すごく、緊張をしています。琴子は平気そうだね」
「…………平気じゃないよ、ばか。あのね、さっきからキスするたびに、いけないことしてるみたいな気がしてる」
「いけないこと?」
「そう。昔、お母さんたちに内緒で、国道越えたすべり台の公園までよく行ったじゃない? あのときみたいな」
「ああ、なるほどね。うん、ちょっと判るかも」
「あのときと一緒なの。駄目な気がするのに、どきどきして、もっと、って思う。もっと、触って……」
 全部言い切る前に、琴子がくちびるを寄せてきた。
 もう何度目か判らない、背徳の味のするキスを交わしながら、僕はついに琴子の肌に直に触れる。
 その動作は緊張のせいでとてもぎこちなく、まるで初めてのときみたいで急に恥ずかしくなる。
 初めてついでに、琴子の昔の彼氏の顔を何人か思い出してしまって、慌てて打ち消した。

 過去のことは言ってもしょうがない。お互い様だ。
 出来たら知らなければよかったとは思うが、取り返しはつかない。
 救いは最近の彼氏の顔を知らないことか。
 見苦しいな、僕。

 背中をそっと撫で上げる。
 ぴく、と琴子が震えた。
 するすると洋服を脱がせて、下着の上から軽くその胸を触れると、予想以上の大きさにちょっと驚いて僕は思わず手を止めて琴子を覗き込んだ。
「…………琴子って」
「な、なに?」
「着やせするんだね。知らなかった。案外大きい」
「か、要のばかっ。恥ずかしいから言わないで」
「恥ずかしいの?」
「恥ずかしいよ。男の先生に『ご立派ですね』って言われるし、男子に見られるし、女子に揉まれるし。だから出来るだけ胸が目立たない服着てるの」

 学校とはなんと恐ろしいセクハラが横行する場所なんだろう。
 男子が見るのは仕方ないし女子が揉むのもただのスキンシップだと予想しよう。
 一番初めのは非常によくないんじゃないか?
 眉根を寄せてしかめっ面を浮かべる僕を気遣うように、琴子が慌てて首を軽く振る。
「あ、でも、もっと大きくて悩んでる子はたくさんいるから。下着も、ちゃんとサイズあるし。
 困るほどじゃないんだけど、やっぱりね、突然触っていい? とか言われるとびっくりするし、もう少し、小さいほうが良かったかな」
「……………………そんな話の後になんなんだけど、触っていい?」
590コトコのカタチ_3 ◆DswpUl0rgY :2008/12/23(火) 20:01:32 ID:TS1QqPHy
 何か他に言うべきことはたくさんあるような気もするが、ちょっと余裕がなくなってきた。
 僕はもうずっと、琴子に触れたくて仕方なかったのだ。
 琴子を好きだと自覚してからおおよそ十ヵ月。ずっと望んできたことが、こうして現実になっている。
 夢見心地な今を早く現実にしたくて、余裕がないとは自覚しながらも僕は思わず琴子にお伺いを立ててしまった。

「……う、ん……触って」
 消え入りそうな声で、顔を俯けながら琴子が言う。
 指に軽く力を入れると、琴子の胸はなんともいえない弾力で僕の指を押し返す。
 大きさも、僕の手を広げたら片方がすっぽりとちょうどよく収まって、へんな話だけど僕のためにそこにあるような気さえしてきた。
「…………んん、要、……ふ」
 琴子にねだられるままにキスをして、僕はそっとそのふくらみを覆う下着を取り外す。
 紐を腕に滑らせて抜き取ると、肩を押してベッドに琴子を押し倒した。
 そのほっそりとした身体を、ぼんやりとする視界で懸命に見つめる。
 僕の視線に気がつくと琴子は、恥ずかしそうに両腕で自分の胸を覆った。

「……なに?」
「琴子の裸見るのって、二十年ぶりぐらいかなーと思って」
「え、いつだっけ?」
「小二ぐらい? 夏休みにウチのおじいちゃんち行ったとき、みんなで風呂入ったじゃん」
「………………そうだっけ……やだお願い、忘れて」
「えー」
「恥ずかしい……」
「ちゃんと成長してるから、大丈夫……」

 首の付け根を舐めると、琴子が鼻にかかった甘い声を漏らす。
 もっと聞きたくて、くちびるだけでそっと首筋を撫でたり、舌をべろんと這わせたり、歯を立てたり吸い付いたり、耳に息を吹きかけたり。
 思いつく限りの方法で琴子に触れる。
 僕が何かするたびに、聞いたことのない高い声が琴子の口から漏れていた。

「あ、あっ……まって、要も脱いで。恥ずかしいじゃない」
「はいはい」

 取り合えず自分も衣服をすべて脱ぎ落してから再び琴子に肌を重ねる。
 暖房を入れているとはいえ、若干の肌寒さを残す室内に素肌をさらされていた琴子の肌は少し泡立っていた。
 額を撫でて、見つめ合って、同時に瞳を閉じて、吸い寄せられるようにキスを交わしながら、指先は頬を伝って首筋を通り、両の膨らみへと落とす。

 琴子の胸は、今までに触れたどんなものよりも柔らかくて気持ちがよかった。
 こんな素晴らしいものが近くにあったのに、今まで知らなかったなんて全くもったいない。
 ずっと触れていたい、と思ったのは一瞬のことで、すぐに他の刺激が欲しくなり、片方の手のひらを滑らせた。
 きゅっと理想的にくびれた腰を撫でて、布地の上からそっと触れる。
 琴子が、声にならない吐息を漏らした。
 柔らかいそこを慎重に撫で上げる。
「あっ」
 一層高い声をあげて琴子は身を固くした。
 その反応に気をよくした僕は、くすぐるように指の先でそこを何度も往復させる。
「んん…、ん、あっ……や…………要っ、あ!」
 すっかりと余裕を失ったその声に、僕まで引きずられるように余裕をなくして、しっとりと湿り気を帯び始めた下着の内側に手を差し入れる。
「あんっ」
 彼女自身から溢れた水分のぬめりを借りて、そっと襞の間に指を滑らせた。
 形を確かめるように、何度もそこをなぞる。
 琴子からどんどんと染みだしてくる愛液が、指に絡んでぐちゃぐちゃと卑猥な音を室内に響かせた。
591コトコのカタチ_4 ◆DswpUl0rgY :2008/12/23(火) 20:02:53 ID:TS1QqPHy
 
「あ、ああっ……」
 だめ、や、と何度も短く言いながら、琴子が首を激しく左右に振っている。
 僕の二の腕を掴んだ指先に、どんどんと力が籠っていく。
 血の気が止まりそうに痛くなってきたところで、僕は愛撫の手を止めて、琴子の顔を覗き込んだ。
「……大丈夫?」
 僕が低く問いかけると、琴子は驚いたようにきつく閉じていた両目を開いて、何度か瞬かせた後に恥ずかしそうに瞼を伏せて視線を反らした。
「え…あ、……うん、大丈…夫だから、えっと…………。もっと…して」
 潤んだ瞳で懇願をされて、僕の胸はいっそうに高鳴った。

「ん」
 自身が一回り肥大して興奮を抑えるのにやっとな僕は、そう短く答えるのが精一杯だった。
 余裕のなさを誤魔化すために、顔を背けたために露わになった首筋にくちびるを落とした。
「あっ」
 同時に、指先にぐっと力を込めて琴子の中に人差し指を侵入させる。
 そこは驚くほどの熱と湿度を持っていて、僕を誘い込んでいるようだった。
 くい、とその指を折り曲げてかき混ぜると、琴子がまた薄く喘ぐ。
 下着の中で動き回る不自由さに限界を感じて、そっと最後の一枚を脱がしにかかった。
 するりとウェストに手を差し入れると、僕の動きを察知した琴子が腰を軽く浮かせて助力をしてくれる。
 細く引き締まった両足から薄っぺらい下着を引き抜く。かかとに引っ掛かったそれをちらりと片目で確認をしたら、色はワインレッドだった。
「……クリスマスカラー?」
 胸の内で呟いたつもりが、しっかりと声に出ていたようで。
 真っ赤に染まっていた顔をさらに首まで赤くした琴子が、ばか、と小さくつぶやいた。
 ごめんと口先だけで謝って、キスをする。

 もしかしなくても、僕のための用意かな。
 琴子自身が、僕にとっての最高のクリスマスプレゼントだ。

 うきうきしつつ舌を深く絡ませながら、膝を開かせてその間に陣取った。
 白い太ももと撫でて、身を起して膝に手のひらを乗せる。
 その手に力を込め、ぐいとさらに大きく割り開く。案外簡単に露わになったそこへ鼻先を近づけた。
「あ……やだっ」
 僕の次の行動を察知した琴子が、今更なのに足に力を込めて膝を合わそうとするが、それより早く僕は皮を被った陰茎に舌を這わせる。
「ああっ」
 琴子の全身がびくんと痙攣をした。
 舌先にダイレクトに伝わる女性の味に興奮をして、僕はまるで獣のようにぺろぺろとせわしなく舐め上げる。
「んっ、んん……あ! や、まって……!」
 琴子の手が伸びてきて僕の頭頂を髪の毛ごと掴んだ。
 僕は頓着せずに、愛液の滴る花心に吸いついて、ついでに手持無沙汰になっていた指先を内部に埋め込んでしまう。
「あ! やっ……やだ…ぁ」
 そこはさっきよりも一層激しい熱に満ちていた。
 早くここに自身を突き立てたい。
 そんな欲望に捕らわれた僕は、まるでやっと食事にありついた犬のように意地汚く琴子を舐めまわし、指の抽送を繰り返す。

 後から後から溢れてくる粘液を拭うように舐め取った。
 奥まで差し込んだ指を、ぐいと折り曲げて内壁を探るように撫でる。
「ぁ……ふ、んっ…ああ!」
 僕の行動一つ一つに、琴子が身を震わせて反応をくれる。
 どんどんと楽しくなってきた僕は、調子に乗って指の動きを激しくする。

592コトコのカタチ_5 ◆DswpUl0rgY :2008/12/23(火) 20:03:26 ID:TS1QqPHy
「……っ、や! やだ…やだやだ、要っ! まってやだ……! いやっ!」
 顔をしかめてしまうほど強く髪を引っ張られて、僕は思わず小さく悲鳴を上げる。
 はっと我に返ったように指先の力を緩めた琴子が、逃げるように腰を引きながら、ごめん、と小さく言った。
「ん……琴子、いや?」
「……」
「気持ち、よくない? やめる?」
 どろどろに濡れた口元をぬぐいながら、半身を起して琴子を見つめる。
 しばらくの硬直状態ののち、ぼんやりとした視界にもはっきりと判るほど激しく琴子が首を左右に振った。

「……違う、の。ごめんなさい。……あの……」
「どうしたの?」
「…………き、気持ちよすぎて、訳が判んない……」
 整わないままの熱っぽい息でそう言われて、僕の理性は完全に焼き切れそうになってしまった。
 それでもなんとか衝動をこらえて、琴子に微笑みを返す。
「よかった…………続き、してもいい?」
 
 言ってしまってから、いちいちお伺いを立てる己に少し情けなくなった。

 昔からそうなのだ。優柔不断で、周りの意見に流されやすく、強きものに従え、的な僕の性格を、琴子はひとくくりに「優しい」と表現してくれるが、要するにただのヘタレなのだ。
 子どものころは、三つ年上で自己中な兄貴、末っ子気質で我がままなイオ、行動的な琴子と連れだって遊ぶにはこのヘタレ具合がいいように作用していたという自負はあるが、社会人になった今、時折邪魔なものでもある。

 今だって、そうだ。
 もう自分を抑えるのも割と限界なのに、それを無理やり覆い隠して琴子に判断を委ねている。
 我慢をしてほしくない、無理強いをしたくない、と言えば聞こえがいいが、ただ、嫌われたくないだけなのだ。

 その証拠に、琴子が首をゆるく左右に振っただけでひどく動揺をして、自身が萎えてしまいそうになった。

「…………いや?」
 動揺を抑えながら問いかければ、琴子がまた左右に首を振る。
 意味が判らなくて、僕は首を傾けた。
 両肘をベッドについて軽く身を起こした琴子が、まなじりに涙を浮かべてこちらを見やる。

「もう…………来て」

 一旦首をもたげかけた自身が、再びその張りを取り戻す。なんて判りやすいんだろう。
 ぞくりと這い上がってきた悪寒にも似た快感を、ぎゅっと下腹部に力を込めてやり過ごしたのちに、僕は小さくうん、と言った。

 そのまま覆いかぶさってしまってから、未だ避妊具を装着していないことに気がついた。
 とりあえずキスで誤魔化して、手をのばして枕もとに置いたそれに手を伸ばす。
 あたかも最初から「それを取り出すつもりでしたよ、ついでにキスしましたよ」的な偽装工作のつもりだ。
 何のために一週間待ったのか、その根本を僕は忘れていませんよ、的な。

 そんな行為に意味があるかどうか判らない。たぶん、徒労だ。
 だけど、僕は琴子に失望をされたくないのだ。
 琴子は無条件で僕のことを信頼してくれている。絶対に、裏切ることはできない。
 こんな切羽詰まった状況でも見栄を張らずにいられないのだ。

593コトコのカタチ_6 ◆DswpUl0rgY :2008/12/23(火) 20:04:16 ID:TS1QqPHy
 身を起して素早く取り出したそれを装着して、再び肌とくちびるを重ねる。
 先端で秘部をつつくと、僕の身体の下で琴子が逃げるように身をよじらせているのが判った。
 その様子が、まるで焦れて僕を欲しがっているようで――さすがに理性の限界を迎えた僕は、少々強引に腰を押しつける。

「んっ!」
 琴子が薄く喘ぐ。構わずに僕は、自身を埋め込むべく力を加えていく。
 ゴムについたゼリーと、琴子自身から溢れる蜜の力を借りて、僕はぬるんとした彼女の内部に着々と身を沈めていった。
 半ばまで到達したところで、いったん動きを止めて琴子の様子を窺う。
 眉根をきつく寄せてはいるが、首をのけぞらせて漏らす声からは、辛そうなそぶりは見受けられない。
 僕は安心をして、快楽を貪る作業に戻る。

 大人になっていてよかったな、とふと思った。
 もしこれが、たとえば高校生同士で、お互いが初めての相手で、右も左も判らない自分だったらもっと琴子は苦しんでいたはずだ。
 それはそれで、微笑ましい思い出になるのかも知れないけど、僕は琴子に苦痛を与えたくはないし、余裕がなくて浅ましい姿を見られたくもない。
 琴子の言葉を信じるならば、――27の僕は、ちゃんと琴子を気持ちよくさせられる。
 本能のままにがっついたりしないし、きちんと避妊もして、言い方はおかしいけれど、品行方正で実に見本的なセックスができる。
 
 僕たちの関係は、完璧だ。
 最奥までたどり着いたとき、僕はそう確信をする。
 まるでパズルのピースのように、僕たちが重ねた身体はぴったりと一致していた。
 身体を重ねるってことがこんなにも気持ちいいなんて、知らなかった。
 その本質に初めて触れたような気がした。
 たぶん。僕は、ずっと琴子が欲しかったのだ。もしかしたら、物ごころつくよりずっと前から、琴子だけが欲しかったのだ。
「……ん、あ、かな…め……あ、あん!」
 びくびくと受け入れた口を収縮させながら、喘ぐ合間に僕の名前を呼ぶ琴子を、愛している、と強く思った。
「……琴子」
「要……っ、や、もっと……」
「琴子、好きだよ」
「っ、うん……。好き……す、き…なの……! やっ、んっ!」
「愛してる。琴子」
「あ、あっ…ああ!」
 律動を激しくする。
 何か言おうと開いた彼女の口からは、もう意味のある言葉は漏れてこない。
 ただ僕の動きに合わせて、時折首を左右に振りながら切羽詰まった喘ぎ声を洩らすのみ。
 僕の方もどんどんと意識が白く濁り、身体の内側から燃えるように熱くなり、理性を打ち負かした本能が肉体を支配する。
 ああ、もうすぐだ。
 あの一点に向かって小刻みに抽送を繰り返す。
「や、………なめ、ああん! ふ、あっ」
「…………琴子、もう…いい?」
「ん、んんっ……あ、うん…………やあっ!」
 息を弾ませながら必死に琴子が頷いてくれたから、僕は安心して登頂に向かって腰を揺らす。
 もしダメだって言われても、どうにも出来ない状態なんだから聞かなきゃよかったな。
 
 そんな風に思ったのは、薄いゴムの中に溜まっていた精液をすべて吐き出し終えたあとだった。

 琴子の肩に顔を埋めて、息を整える。僕の耳元にも荒い彼女の吐息が心地よく届いて、僕の幸福感をさらに満ち足りたものにしてくれる。
「琴子」
 けだるげにこちらを見上げた琴子の、アーモンド型の瞳が熱っぽく潤んでいる。
 やっぱり好きだ。琴子が好きだ。
 口に出す代わりに繋がったまま深い深いキスをして、僕はその気持ちを伝えたのだった。

594コトコのカタチ_7 ◆DswpUl0rgY :2008/12/23(火) 20:05:44 ID:TS1QqPHy
 
 簡単に後始末を終えて、裸のままぴったりとくっつきながら、僕らはまた取りとめもなく話し始める。

 結婚して四国へ嫁いだ同級生が、みかんを大量に送ってくれたこと。
 琴子の昔の教え子が、漫画家デビューした。
 川上さんの結婚が決まったような気がする。確証はない。なんていっても筋金入りの秘密主義だから。
 先日の忘年会での、学年主任の失態。
 琴子はもうすぐ冬休み。今年は海外に行かないから、一緒に初詣に行く約束。きっとイオがついてくる。
今日だって来たがったけどダメといって断った(僕のほうにメールが着たけど「今回は遠慮してほしい」と返信したらそれ以来音沙汰がない)。
 父さんと母さんはこっちに帰ってこないから、ついでにカウントダウンも一緒。
 仕事納めの日は納会で遅くなること。
 昔のクリスマスの思い出。ある年のイブの夜中に、琴子がトイレに起きたら階段を上ってきていたおじさんの手にプレゼントがあったこと。
「そこでサンタから預かった」なんていう苦しい言い訳を、ずっと信じていたこと。この件はイオと僕の兄貴から散々「サンタなんていない」とからかわれて悲しかったこと。
 僕の家のほうは、サンタのために枕元に缶ビールを置いておく習慣があったのだけど、今思えば単に父さんが飲みたかっただけなのかな――――。

「あ」 
 そこまで話して、唐突に思い出す。
 ちょっと待ってて、と声をかけて、布団から抜け出した。床に転がっていた下着を身に着けて、部屋の明かりを点ける。
「……なに?」
「ん」
 机の上の小さな紙袋の持ち手を掴んで、ベッドに舞い戻る。
 何事かと身体を掛け布団で隠しながら起き上がった琴子の目の前に、はい、とそれを差し出した。琴子のアーモンド型の瞳が、真ん丸く形を変えた。
「プレゼント。もらって」
「わ、うれしい。ありがと、あけてもいい?」
「もちろん」
 琴子が紙袋から小箱を取り出して、ふふ、と幸せそうに笑う。
 青い外箱に巻きついた白いリボンをするすると琴子が解いていく。箱を開けると、中からは磨りガラスのケースが出てくる。
 その中には、紛れもなく僕が選んだ銀色のネックレスが収まっていた。
「わあ……可愛い」
「ベタで申し訳ないけど」
「そんなことないよ。すごく嬉しい」
 中身を確認した琴子が、指先で細い鎖をつまんで取り出した。
 金具を取り外そうとして、ふと、左手がふさがっていると気がついたようだ。
 ちょっと迷うようなそぶりを見せたあと、ネックレスを僕のほうに差し出して照れくさそうに、つけて、と言った。
「いいよ」
 僕が頷いてそれを受け取ると、琴子が白い背中をこちらに向ける。
 小さな部品に若干の苦労をさせられ(実はそんなに器用じゃないのだ)やっと口を開き、一本になった繊細な鎖を琴子の首に回す。
 ひやりとした金属が肌に触れた琴子が、くすぐったそうに肩をすくめた。

 なんかこういうのドラマで見たな。
 まさか体験することになるとは、思わなかった。
 ものすごく照れくさいんですけど。
 っていうか琴子のうなじ綺麗だな。こんなところをまじまじと見るのは初めてだ。

 またカンの口を開くのに苦労をさせられつつ、そんなことをぼんやり考えていたら琴子がポツリと呟いた。
「…………ちょっと、びっくりした」
「なにが?」
「ううん、なんでもないの。ね、できた?」
「できたよ」
「ありがと。どう? 似合う?」
 くるりと琴子が振り向いた。
595コトコのカタチ_8 ◆DswpUl0rgY :2008/12/23(火) 20:06:29 ID:TS1QqPHy
 真っ白な素肌に、銀色のチェーンが光っている。残念ながらぼんやりとした視界ではそれ以上確認できない。
「うーん。眼鏡ないから、見えない」
「あ、そっか」
 琴子の首元に顔を近づける。
 え、と驚いた声を上げた彼女の白い喉もとに、息がかかるほどの距離で光るネックレスを確認した。
 涙型のモチーフの中で揺れる、ささやかなサイズのダイヤモンドのネックレス。
 見た瞬間に、琴子に似合うのはこれかな、と予感したんだ。
 女性の店員さんに、クリスマスらしくハートはいかがですかとかピンクダイヤが人気です、とか色々詰め寄られたけど、琴子は昔からそういう、「可愛らしい」ものが余り好きじゃなかったし、僕自身がピンクのハートを贈ることに抵抗があったというのもある。
 セールストークに一切惑わされない僕を、ちょっと不審な目で見た店員さんに言い訳をした。
 ――ちゃんと似合うって判ってますから。
 その人は、あら、と返事をしながら苦笑いをしていた。

「うん、似合うよ」
「…………なんか、間違ってる。これしか見てないじゃない」
「大丈夫だって」
 言うが早いか、モチーフのすぐ隣に口付けた。
「あ……要……っ」
 琴子の身体が強張る。
 鎖骨の近くの薄い肉をあまく噛んで、少しきつく吸い上げる。
「んん……っ、だ…だめ……」
 びくびくと身を震わせて上半身をのけぞらせた琴子が、僕の肩に手を置いて引き離そうとする。
 一度大人しく引き剥がされてから、僕はすらりとくびれた腰に手を回して、再び熱を持ち始めた身体を抱き寄せた。
 ちゅ、と軽く音を立てたキスをして、鼻先がぶつかる距離で琴子の顔を覗き込む。
「……気に入ってくれた?」
「うん……大事にする」
「よかった」
 吸い寄せられるようにくちびるを重ねる。
 いい加減、くちびるがひりひりしてきた。今日一日で、一年分のキスをしたような気がする。
 それでも琴子とのキスはふわふわと気持ちよく、飽きるなんてことはまったくなかった。

 身体の間に挟まった邪魔な布団を引き抜いて、素肌同士をぴったりと重ねる。
 腕の中の琴子が、恥ずかしそうに身じろぎをして僕のくちびるからするりと逃げた。

「待って……私もあるの、プレゼント」
「そうなの?」
「うん。でも下に置いてきちゃった。取ってきたいから、着るもの貸してくれない?」
「いいよ、ちょっと待って」
「ついでにね、下、片付けちゃわない?」
「そうだね、そうしようか」
「うん。そのあとね、シャワーも貸して欲しいの。全部終わったら、その……あの……
 ――――もう一回、しよ?」

 一度だけではぜんぜん足りてなくて、もっと、何度でも何度でも彼女が欲しいと思っていたのはどうやら僕だけじゃないようだ。

 魅力的なお誘いに、今すぐにその二回戦に突入したくなる欲望を押さえつけながら僕は、そうだね、ともう一度返事をして身体を離す。
 クローゼットを開けて服を探しながら、冗談半分、本気半分で「一緒にお風呂に入る?」と聞いたら、ばか、とまた可愛く罵られて、僕はますます幸せな気分になったのだった。


**

以上です。お付き合いありがとうございました。
596名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 20:19:30 ID:RDsoSfJb
>>595
GJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJ!!!!!!!!!!!!!!!!
しかしなんでか知らないけど死にたくなった!
597名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 21:06:12 ID:vELJOwm9
GJ
なんて羨ましいクリスマス
598名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 23:06:09 ID:enx6rMRN
GJ
何か幸せ過ぎて死にそうになる
599名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 23:45:42 ID:pgmSpQhW
このシリーズ、幼なじみ小説のお手本と言っても過言ではないな

GJ!
600名無しさん@ピンキー:2008/12/24(水) 01:05:20 ID:tS2pbx5k
あまりに完璧な幼馴染モノを読むと死にたくなるんだとわかった。
草葉の蔭からGJ!
601名無しさん@ピンキー:2008/12/24(水) 03:31:35 ID:qXEy6LK3
GJ
だけど1つ気になる点が
>>591
陰茎だと男のモノですがな。正しくは陰核ですね
602名無しさん@ピンキー:2008/12/24(水) 04:19:56 ID:daEB3I/h
あぁもう。
心理描写も光景描写も旨い。
ドキがムネムネして止まらない。
今こそこのAAを使うとき。
;y=ー( ゚д゚)・∵.ターン
603 ◆POBrm2R/G2 :2008/12/24(水) 06:19:33 ID:AtvduLOz
辰則と美紀のクリスマス 後編投下します。10レス消費予定。
NGワードは「◆POBrm2R/G2」「辰則と美紀のクリスマス」
今日は12月24日(水)、現在時刻は7時41分、俺の現在地は駅前。
美紀と一緒に来たかったんだが、「デートなんだから、駅前で待ち合せするのが常識でしょ?」と意味の分からない常識を持ち出され、待ち合わせすることになった。
ちなみに待ち合わせの時間は8時なんだが、緊張してしいたのか、気付いたら10分前にここに着いていた。
こういう場合、女性の方が早く着いていて『待った?』『ううん、今来たところ。』ってやり取りするのが普通じゃないのか?コレって所謂中二病ってヤツなのか?
まぁそんな事はどうでもいいが、今日こそは絶対に告白するつもりだ。生ぬるい関係もそれはそれで良かったんだが、気持ちが腐って廃棄処分される前にこの関係を崩したい。
もしも振られたら、多分二度と甘やかしてやれるような関係に戻れないとわかっているが、わかっているからこそ、崩すと決めた。いつまでも生殺しはごめんだ。

決意を新たにし、デートプランを練っていたらいつの間にか待ち合わせ時間を10分も過ぎていた。
「遅いなぁ・・・」
「遅いなぁ・・・」
いつの間にか俺の目の前に立っていた女性が、俺と同じタイミングで同じ言葉をつぶやいた。
思わず同情してしまい、その女性の顔を一目見ようと顔を上げると、
「美紀?」
「たっちゃん?」
そこにいたのは美紀だった。

「たっちゃんはいつからここに?」
「大体30分前からだな。美紀は?」
「私は15分前くらい・・・」
「そっか、ごめんな。ちょっと考えごとしてて気付かなかった。」
「か、考えごと!?って、何・・・?」
何を慌ててるんだ、美紀は?
「あぁ、今日のデートについて、ちょっとな。」
「あぁ、そうなんだ・・・ほっ・・・」
美紀は一体俺が何を考えてると思ったんだろうか。わからないがとりあえずスルーしておこう。
「美紀、朝飯は?」
「食べてきたよ。何で?」
「食べてないなら食べていこうと思っただけだ。じゃあ行くぞ。」
「え?じゃあたっちゃんは?」
「食ってきた。」
「そうなんだ。」
まぁ嘘だがな。

こうしてクリスマスイブデートの幕が開けた。
たっちゃんの『考えごと』にはビックリしたなぁ。もしかして昨日の事を言われるんじゃないかと思ってたのに忘れてるみたい。というか今日のたっちゃんはやけに饒舌。いつものお出かけなら、私からしゃべりかけないと絶対しゃべらないのに。
たっちゃんから誘ったっていう心理的プレッシャーでもあるのかな?と思ったんだけど、たっちゃんの目を見てる限りそんな感じは伝わってこない。むしろ何か喋ってないと壊れちゃいそうな、危うい感じ。だから、私は話の切れ目に疑問をぶつけてみた。
「ねえ、たっちゃん。」
「何だ?」
「・・・何か、隠し事、してる?」
「・・・さあな。」
言葉自体はいつものたっちゃんだけど、なんか引っかかる。妙な違和感が取れないまま、私たち二人は遊園地に着いた。

遊園地はクリスマスイブってこともあって、多くのカップルや冬休みに入った学生たちで混雑していたけど、中には初々しいカップルの姿もあって、ちょっと和んだ。
一方、私たちと言えば・・・
「ふぅ〜、ジェットコースター、気持ちよかった〜!」
「そ、そうか・・・」
「そういやたっちゃん、ジェットコースターとかの絶叫系って苦手じゃなかったっけ?」
「いや、8年ぶりだから大丈夫だと思ってたんだが、なかなか克服できないな・・・」
「ふふっ、たっちゃん、無理しなくていいんだよ?」
「いや、美紀に楽しんで欲しいからな。」
「・・・ありがと♪」
たっちゃんは優しいけど、無理はしない人だと思ってた。今日は今まで無理だったものに積極的に挑んでいる気がする。
さっきのジェットコースターもそうだけど、普通はカップルじゃないといけないアトラクションとか、プリクラとか。確か3年前くらいに買い物に付き合ってもらった帰り、
ゲーセンに当時最新のプリクラがあったから『やっていこうよ』って言ったら『写真写り悪いから勘弁』とか色々と言い訳して、結局私が泣きそうになって、写ってもらったんだっけ。
確かにたっちゃんと一緒にプリクラ写るのは嬉しいんだけど、どことなく無理してる感じがして、ちょっと悲しい。

そして、妙な違和感の答えが夕方、夕日が照らす観覧車の中でわかった。
現在時刻は4時を回ったところ。日が沈むのが早いこの土地では、後1時間もしないうちに日が沈む。頃合だと思った俺は、美紀を観覧車に誘った。
「観覧車なんて美紀と初めて遊園地に来た日ぶりだな。」
「たっちゃんはあれ以来乗ってないんだ?まぁ私もだけどね。」
「初めての遊園地と言えば、確かお前が迷子になって俺が見つけてやったんだよな。」
「むー!それは言わないでよ!たっちゃんだってアイス落として泣いてたじゃん!」
「・・・そうだったな。よく覚えてるな。」
「たっちゃんこそ良く覚えてるよね。でも、あれ以来一緒には遊園地に来なくなったね。」
「そうだな。確かウチの両親がその頃からウチの親父がなかなか時間取れなくなったんだよな。それに美紀があの頃からちょっとずつ変わっていって、誘いにくくなったのもあるな。」
「え?覚えてるの?」
「そりゃ、毎日見てりゃ分かるよ。何がきっかけかは知らないが、小4あたりから随分変わったよな。」

「・・・たっちゃんのせいだよ。」
美紀は俯きながら、そんなことを言った。若干震えている気がする。って俺が何かしたっけ?
「俺の?・・・何をしたか覚えてないが。」
「たっちゃんがっ!あの時クラスで一番人気がある優子が好きって言うから!」
美紀が俺に食いつくように叫んだ。まるで俺が悪人のように、泣きそうな目でにらみつけてくる。
「え?」
「私、悔しくって!一生懸命かわいくなろうとしてたのに、たっちゃんは何も言ってくれなくって・・・」
「美紀・・・」
だからあの頃の美紀はやたらと俺に突っかかってきてたのか。
「だからむかついて、彼氏作っても、たっちゃんはいつもいつも『そうか、おめでとう』って笑顔で言ってくるから、この朴念仁!とか思ったり、
 彼氏と別れて甘えても普通に慰めてくれて・・・そんなときに限って、冗談で『付き合ってやろうか?』なんて言ってくるから冗談だと思ったけど、
 わざと無防備に振舞ってたのに何もしてくれなくて・・・とっても惨めな気持ちになって・・・たっちゃんがわからなくて・・・」
「・・・」
「私、今までで5人くらい彼氏作ったけど、誰にもこの体触らせたことないんだよ?セックスどころかキス、手を繋ぐことさえしなかったんだよ?
 そうやって下心を出してきた子はその場で振ったし、そういう私に嫌気がさして振ってきた子もいた。たっちゃんにしか、触られてない部分が
 いっぱいあるんだよ?なのにたっちゃんは私に興味無い感じだし、今も好きな子が居るって言うし・・・
 ねぇ、私、こんなにたっちゃんが好きなんだよ?どうやったらたっちゃんが好きになってくれるの?ねぇ、教えてよ・・・」


美紀の突然の告白に衝撃を受けた。あまりのショックに反応が出来ない。普通に歩いていたら戦闘機が降ってきました、的な。
今聞いた話を総合すると、美紀は俺のことが好き、なんだよな?しかも今まで作ってきた彼氏とは手も繋いでませんと。
・・・俺らはもしかして壮絶なすれ違いを、少なく見積もっても小3の頃からしていたってことか?


「たっちゃん・・・?」
「美紀、これから俺が言う言葉にびっくりするなよ?」
「ふぇ・・・?」
涙目の美紀がやたらと可愛く見える。口の中が乾いて声が出ない。緊張で鼓動がえらいことになっている。
つばを飲み込み、目を閉じて大きく深呼吸し、気持ちを落ち着ける。そして目を開き、美紀の目をじっと見つめる。
「俺は、美紀が、昔から、大好きでした。」
そこで一度言葉を区切ると、美紀の目が大きく見開き、涙がこぼれそうになる。涙の色は、悲しみの色。
「そして、今も美紀のことが、大好きです。」
美紀の顔が歪む。涙の色は、喜びの色。
「だから、美紀。俺の彼女になってください。」
「た・・・っちゃ・・・う・・・ううう・・・」
「ほら、泣くなら俺の胸で泣け。」
「うわ〜〜〜〜〜!!」
俺に抱きつき、大声で泣く美紀。胸を叩いてくるが、まるで痛くない。
「ばかっ!たっちゃ、のばかっ!も、ぜったい!はなさないんだ、ら!」
しゃくりあげながら俺を罵倒してくる。その罵倒すら心地よい。
「ああ、俺も、美紀のこと離さないから。」
夕日が照らす観覧車の中、俺と美紀は恋人同士になった。まぁ、随分と遠回りしたけどな。
私は観覧車を降りた後、お手洗いに行かせてもらった、というか行かされた。観覧車の中でなんとか泣き止んだのはいいんだけど、
「まだ話したい事があるんだが・・・その顔じゃ、な。」
とちょっと苦笑しながら。うー、たっちゃんが泣かすのが悪いんじゃんかー!
お手洗いの鏡で顔を見ると、目がすっごく赤いし、ちょっとメイクも崩れちゃってる。
とりあえず目薬を注して、メイクも直す。目がちょっと赤いのは、たっちゃんの所為にしておこう。
それにしても本当に嬉しい。たっちゃんを好きになって10年。ここまでくるのにすごい時間がかかっちゃったけど、やっと願いがかなった。これってクリスマスプレゼントになるのかな?
・・・って良く考えたらクリスマスイブにカップル誕生じゃん?この後たっちゃんとお食事して、その後ホテルとかでたっちゃんが私をお食事!?・・・いい加減にしなさい、私。
妄想で赤くなった顔を冷ますのにちょっと時間がかかっちゃったけど、おかげで目が赤かったのもだいぶ引いた。

「ごめんね、遅くなっちゃって。」
「っ!?あ、ああ。遅かったな。」
「たっちゃん?どうかした?」
「い、いや、いざとなると、結構緊張するなと思って。」
えええ!?たたたたっちゃん!?も、もしかして、もうなの!?ちょ、ちょっと待って、まだ勇気とか気持ちとかその・・・
「美紀、これ、受け取ってくれるか?」
「っ!?ななななに!?」
「えっと、一応、コレが本当のクリスマスプレゼントなんだが・・・」
「ふぇ?これ?」
あ、あせったー。たっちゃんが緊張してるから、ホテル行きかと思ったら・・・思わせぶりだぞ〜!
「・・・ってこれ・・・」
「うん、ティファニーのオープンハートネックレス、欲しがってなかったっけ?」
確かこれが欲しいって言ってたのは中2の秋。たまたまたっちゃんとデパートに行った時に見つけて、思わず『好きな人からプレゼントされたいなぁ』とか言ったんだっけ。
「指輪は美紀のサイズがわからないから、ネックレスならと思ったんだが・・・嫌だったか?」
「ううん!すっごく嬉しいよ!ありがとう、たっちゃん♪」
あまりに嬉しくって、気付いたらたっちゃんに抱きついてた。そういえば、こうやってたっちゃんに抱きつくのは初めてだなぁ。
「っあ、ああ・・・」
たっちゃんは顔を真っ赤にしながらそっぽ向いてる。その割には私の体をしっかり抱きしめてる。めちゃくちゃ嬉しい!
「そういえばたっちゃん、いつの間にこんなの買ってたの?」
美紀がニコニコとネックレスをいじりながら聞いてきた。
「ん?たしか買ったのは10月ごろかな。それ以前から金は貯めてたけど。」
「お金?毎月のお小遣いでも貯めてたの?」
あ、そういや美紀には言ってなかったっけか。
「ちょっと前までファーストフードでバイトしてたよ。」
「え?そうなの?知らなかったなぁ。」
「教えてなかったし、知られたくなかったからな。ほら、商店街にケンタあるだろ?あそこでだよ。」
「えぇぇ!?あそこ普通に行ってたよ!?なんで気付かなかったんだろう・・・」
「まぁ俺は表に出ない仕事だったからなぁ。俺も美紀が来てるのは知らなかったよ。」
「ん?でもしてたって事は、辞めちゃったの?」
「まあな。あそこのクリスマスは大変なんだぞ?それに俺たちはもうじき受験生だし、目標金額は貯まったしな。」
「そうなんだぁ。私のためにバイトしてたんだ・・・なんだか嬉しいなぁ・・・♪」
目を細めてネックレスに頬擦りする美紀がすごく可愛くて、思わず見とれていると、
「ん?なぁに?たっちゃん♪」
その反応に、本能がうずく。気付いたら俺は、美紀のことを抱きしめていた。人の目を気にせずに。
「っ!?たたたたっちゃん!?」
「美紀、目、閉じてくれるか?」
「・・・うん。」
とても整った美紀の顔。柔らかそうな唇。赤く染まった頬。全てが愛しくて、美紀の初めてのキスを奪った。
ただ触れるだけの、官能的でもなんでもないキス。それでも、俺たちのファーストキス。時間は長くなかったはずだが、俺にとっては数分に感じた。

「・・・お二人さんとも、お熱いですなぁ。」
ふとそんな声が右から聞こえた。ってこの声は佐々木!?
「佐々木!?」
「瑞希!?」
「やー、どもども、その通り佐々木瑞希でございまーす♪」
「ご、ごめんね、瑞希が見たいって言うから・・・」
隣には佐々木の彼氏らしき男性――たしか佐々木より2歳上だったっけか――の姿も。
「む、村上さん!瑞希を止めてくださいよ!」
美紀はどうやら佐々木の彼氏の名前を知っているらしい。ちょっと嫉妬。
「あ、あはは。どうもこの子の野次馬根性に火がつくと俺でも制御不能でね。」
「む、どういうことかな?イチロー君?」
「ばっ!俺の名前は志郎だ!イチローではない!」
「じゃあ今どこの学校行ってますか?」
「ぐっ・・・!」
なるほど、予備校生か何かで。と言うかよく佐々木と付き合ってられるな・・・
「まぁイチローの話はほっといて。お二人さん、いつから付き合い始めたのさ?昨日はそんな雰囲気じゃなかったと思うんだけど?」
「・・・さっきだよ。俺から告白した。それにさっき佐々木が見たのがファーストキスだよ。」
「おー!ファーストキッス!きゃー!これはみんなにメールしないと!」
「瑞希止めてー!お願いだからー!」
「じょーだんよ、じょーだん♪でも、のりぴーとみなっちにはちゃんと言わないと、だよ?」
「・・・うん、分かってる。」
「ま、あの子達だってちゃんと事情説明すれば分かってくれるよ。心配すんな。」
「・・・うん、ありがと。」
何で木津さんと水上さんが出てくるんだ?よくわからんのだが。
「朴念仁は気にするな。乙女の秘密ってヤツだよ♪」
「侮辱された気がするが気のせいか?というか心の中を読むな、佐々木よ。」
「あははっ!だってたっつーの顔に『なんでのりぴーとみなっちなの?』って書いてあったもん。」
「むぅ・・・」
なるほど、俺は考えてることが顔に出やすいのか。気をつけないとな。
瑞希に散々茶化されたあと、1時間ほどダブルデートみたいな感じで遊園地を回って、私たちは先に帰る事にした。
今日のデートのことを色々と話していて、今度はどこ行こうか、とか話していて、ふと今日の晩御飯のことが気になったので、たっちゃんに尋ねてみた。
「たっちゃん、この後の予定は?」
「あれ?美紀、お母さんから何も聞いてないのか?」
「ん?何も聞いてないよ?」
「そうなんだ?とりあえず美紀の家にお邪魔させてもらうよ。」
「うん。・・・え?ええええええ!?」
「うん?ダメか?」
「いやいやいやいや、ダメじゃないんだけどダメというかなんと言うか、だってパパもママも居ないし、だからたっちゃんが狼さんに・・・」
パパはお仕事、ママはお友達とご飯とか言ってたし。
「なりませんから。送り狼になんてなりませんよ。美紀のお母さんからいい鳥を買ったから、良かったら調理してくれって言われててな。」
「そ、そうなんだ・・・」
と言うか何故たっちゃんにメールを送ってるのよママ。せめて娘にそういうこと言ってよ・・・。

「ただいまー。」
「おじゃましまーす。」
ついつい習慣で帰ってくるとただいま、って言っちゃう。誰も居ないんだけどね。
「じゃあ俺は台所に行って確認してくるから。」
「うん。私は着替えてこようかな。」
たっちゃんとは台所で別れ、私は一回部屋に行くために、リビングの扉を開けた。
「「メリー・クリスマース!!」」
「ひゃう!」
ぱーん!と言う音と同時に真っ暗なリビングからそんな声が聞こえて、驚いて思わずしりもちをついちゃった。
「お父さん、お母さん、やっぱりやりすぎだったと思いますよ。」
苦笑しながらたっちゃんがリビングの電気をつける。え?お父さん?お母さん?
たっちゃんが「お父さん」と「お母さん」って呼ぶのって・・・
「まぁいいじゃないか。たまには娘の驚く顔が見たくてな。」
「お父さんったら趣味が悪いんだから♪お帰り、美紀♪」
のほほんとしたウチのパパとママが、リビングに居た。

「もー!パパもママも人が悪いよ!それにたっちゃんも!知ってるなら教えてよ!」
「まぁお母さんに『美紀に言ったら電気あんまね♪』って言われてたし・・・」
たっちゃんが昔の事を思い出したのか苦笑いしている。あれってそんなに痛いの?
「まぁまぁ、それより美紀、私たちに何か報告すること、あるんじゃない?」
「ふぇ?ママたちに報告すること?」
「遊園地で何かあったんじゃないの〜?」
遊園地での出来事を思い出し、思わず顔を背ける。背けた先のたっちゃんは、ちょっと恥ずかしそうに、でも嬉しそうにしていた。
「・・・うん、たっちゃんと付き合うことになった。」
「あら、この子は恥ずかしがっちゃって♪」
「おお、そうなのか!辰則くん、美紀はあんまり料理は出来ないが気の利く優しい子だ。ぜひ幸せな夫婦になってくれよ!」
「パパ!なんでいきなり夫婦なのよっ!て言うかたっちゃんも照れてないで何か言い返してっ!」
「いや、ほら、彼女の両親公認で結婚を認めてくれるのって、やっぱ、嬉しいじゃん?相手は10年来想ってきた相手だし・・・」
「〜〜〜〜〜!!!」
たっちゃんの言葉に頭から湯気が出るんじゃないかってほど照れる。たしかに、たっちゃんとなら結婚してもいいけど・・・
「まぁまぁたっちゃんは積極的ねぇ♪お母さん少し妬けちゃうわ♪」
「そうだねぇ。娘を手放すのが惜しい親の気持ちって、こんな感じなのかねぇ。」
なんだかのほほんと娘離れについて語りだしたうちの両親。こんな風にさせたたっちゃんが恨めしくて、手の甲を思いっきりつねる。
痛い痛い痛いとかたっちゃんは言ってるけど、腹の虫が収まるまでこうさせてもらうことにする。
嬉しくて調子に乗って夫婦宣言したら、美紀に左手の甲が若干紫がかるまでつねられた。何がいけなかったんだろうか。
それはともかく、あの後は美紀の家族のために料理を振る舞い(と言っても材料は美紀の家の冷蔵庫からだが)、特に茶化されることもなく終わった。まぁ料理は上手いと褒められたが。
その後帰ろうとしたら、お母さんに「冬休みなんだし、泊まっていきなさい♪」と言われたので断ろうとしたら、ことごとく断り文句を撃破され、「さあ、他に理由は?」といい笑顔(でも目は笑ってない)で言われてしまったので、結局泊まる羽目になってしまった。
「で、何故美紀の部屋に・・・?」
「恋人なら添い寝くらいしなさい♪心配はしないで!美紀のベッドはこんなこともあろうかとダブルサイズだから♪」
「いや、普通付き合って初日で一緒に寝たりしないと思うんですが・・・」
「あら、最近の子たちは性の認識が軽くて、付き合った初日にヤっちゃうって言ってるけど?」
「それはテレビの中の話で、僕はそんなに軽々しくヤるもんじゃないと・・・」
「あら、美紀はたっちゃんのこと思ってオナニーしてるのよ?」
「っ!?!?!?そ、それは本人が居ないところでいうべき問題ではないと思います!」
と言うかこの話は美紀に知られる前に忘れよう。そうしないと後で大変なことになりそうだからな。
「まぁまぁ照れちゃって可愛いんだから♪男の子なんだから女の子にがっかりさせちゃダメよ?」
「・・・何を言ってもヤんなきゃいけないんですか・・・」
「うふふ♪それはたっちゃんの気持ち次第ね♪さぁ、コレ持って美紀がお風呂から上がるのを待ってなさい♪」
・・・いつのまにこんなもの持ってたんですか、お母さん。あなたの底が知れません。
「それ、ラテックス製だからとっても気持ちいいらしいの♪でも、伸縮性無いのが難点かしらねぇ。あ、それにたっちゃんのサイズわからないからねぇ♪あら?顔真っ赤にしてかわいーんだから♪」
・・・おかーさま、貴女は私に何をさせたいんですか。ヤらせるのが目的なのか辱めるのが目的なのか。よくわかりません。

このようなやり取りがあった後、俺は美紀が上がった後で風呂に入り、今は美紀の部屋のベッドの上で、背中合わせで話している。
「た、たっちゃんと寝るのって、久しぶりだね。」
「あ、ああ・・・」
お互いどもったり、声が裏返ってるのは、まぁ察してくれ。いきなりのお泊りで緊張してるんだ。それに俺はお母さんから妙なプレッシャーかけられるし。
「昔はよくお互いくっついて寝てたよね。まぁ向きは逆だったけどさ。」
「そうだったな。まだあの頃は男女の区別は無かったけど。でも、俺はあの頃から美紀のこと、好きだったぞ。」
「・・・恥ずかしげも無く、よくそんなことが言えるね。」
「付き合い始めたからな、さらけ出してもっと俺を知ってもらいたい、ってのもある。」
「そっか。・・・そうだよね。」
「だから、観覧車でのあの告白、かなりびっくりしたぞ。まさか美紀が俺の事好きだなんて知らなかったし。」
「私もだよ。たっちゃんがいつも言ってた『なんなら付き合ってやろうか?』が冗談じゃないなんて。」
「あれはおちゃらけて言ってた俺も悪かったな、ごめん。」
「ううん、気にしないで。私だってあの言葉に救われてた部分もあるし、ね。」
「そうか。」
「うん。」
言葉が途切れて、次の言葉が出てこない。でも、嫌な空気ではない。今までの二人には無かった、ちょっと甘くて、胸が締め付けられるような、そんな空気。
「・・・ねぇ、たっちゃん。」
「ん?なんだ?」
「・・・私のこと、後ろから抱きしめて?」
「っ・・・あ、ああ・・・」
『美紀を抱きしめる』なんて、恋人じゃなかった頃には絶対に許されなかった行為だからこそ、『抱きしめる』って言う単純な行為に緊張するし、興奮する。
右腕は腰にまわし、左腕は頭の下を潜らせて肩にまわし、美紀を抱き寄せる。俺の鼻をくすぐる美紀のちょっと長めの黒髪。
美紀の背中やお尻の柔らかさ、華奢な肩、細い腰。全てが愛しくて、満ち足りた気分になり、思わず美紀の髪に顔をうずめる。
「ちょっと、たっちゃんくすぐったいっ」
「美紀、俺今すっごく幸せなんだが。」
「・・・うん、私も、幸せだよ。」
その言葉が嬉しくって、思わず強く引き寄せる。
「きゃっ、たっちゃんつよ・・・た、たっちゃん?あ、あの、その・・・」
「ん?どうした、美紀。」
「や、あのね、お、お尻に、なんか堅いのが当たってるんだけど・・・」
「堅いの?俺の骨かなに・・・」
そういえば先ほどから下半身に若干違和感が、と思い右手で下半身をまさぐると、そこには自己主張の激しい息子様が御起床されていました。
「うわわ、ご、ごめん美紀!そ、そんなつもりは、全く無くって、美紀の体が柔らかくて気持ちいいなとは思ったけど、べ、別にしたいわけじゃな「ねぇ、たっちゃん。」な、なんだ?」
「やっぱり、その、あの、・・・したい?」
「えぇぇぇ!?いや、そういうのはお互いの体も心、環境とか準備でき「私は、いいんだよ?」美紀!?」
「だってたっちゃん、私と結婚したい、って言ってくれたよね?ホントは嬉しかったんだよ、あの言葉。あの時は恥ずかしかったからあんなふうにしちゃったけど。だから、たっちゃんに最後まであげたいの。イヤかな?」
「美紀・・・」
「それにね?一緒に布団に入ったときから、そういうことを意識しちゃってて、でもまだ早いかなって思ってたの。
 でも、たっちゃんの体は正直に反応してくれて、私が欲しいんだってわかったらもっともっと嬉しくなっちゃって、たっちゃんとのつながりが欲しくって。だから、私の初めて、貰ってくれないかな?」
「・・・始めたら、二度と止められないかもしれない、と言うか止める自信が無いぞ。それでもいいのか?」
「うんっ。たっちゃんがくれる痛みなら、いいの。最初を忘れたくないから、痛くてもいいの。」
「・・・わかった。じゃあ、こっち向いてくれ。キスも出来ないからな。」
まさか本当にこうなるとは思ってなかったが、やっぱり嬉しいもんだな。その嬉しさをこめて、俺は美紀にキスをした。
たっちゃんからの優しいキス。『受け入れてくれてありがとう』って気持ちが伝わってくる。胸が熱くなって、張り裂けそうで、嬉しくって強く唇を押し付ける。
そういえば、こういうときってベロを絡ませてする、大人のキスがあるって本に書いてあったけど、どうなんだろう。
ちょっと試したくなって口を半開きにすると、私の口に進入してくる熱くてぬるっとしたもの。ちょっとびっくりしたけどたっちゃんのベロだってわかったから、それに私のベロを触れさせてみる。
触れた瞬間、体に電気が走ったような感じになって、体がビクッて震える。でも全然嫌じゃない、例えるならそう、オナニーしてるときに感じるような震え。でもオナニーとは違って寂しくない、暖かいぬくもりのお陰で心まで暖かくなる。
私の体がビクッとしたことに驚いたのか、たっちゃんが離れようとする。嫌じゃないんだよ、ってアピールしたくって、両手をたっちゃんの首に回して、たっちゃんが離れられないようにする。
今度はたっちゃんの口の中に私のベロを入れる。たっちゃんの口の中を、歯をなぞるようになめると、たっちゃんもビクッて反応して、かわいい。
お互いのベロとベロをくっつけて、表面を撫でるように、裏側をなで上げるようになめると、私もたっちゃんもビクビク震える。
ただベロとベロをあわせるだけの行為なのに、こんなに気持ちよかったんだ。他の男の子にキスを許さなくて正解だった。こんなのされたら、いくらなんでもえっちな気持ちが我慢が出来なくなっちゃうもん。
その証拠に、さっきからお腹の奥の方がせつなくって、何かあふれてるような感じ。

「んはぁ・・・すごいね、キスって・・・」
「はぁ・・・はぁ・・・そ、そうだな・・・」
さっきからたっちゃんの言うことを聞いてないアレが、なんだかさっきより堅くなってる気がする。
「ひゃう!」
突然たっちゃんに胸を触られて、変な声が出ちゃった。
「い、痛かったか?」
「ううん、いきなりだったからちょっとびっくりしただけ。だからもっと触ってみて?」
「お、おう。」
「あ、でも触ってるときはキスして欲しいな・・・」
「わ、わかった。」
ふふ、たっちゃん緊張しすぎ。おかげで私の緊張が解けたから、まぁいっか。
「ふぁ・・・は、んん・・・」
たっちゃんに胸をもまれて、思わず変な声が出ちゃったから、思わずたっちゃんの唇で声が漏れないように口をふさぐ。と言うかたっちゃん、そんなに胸ばっか見ないでよ。
たしかに無駄に大きいおっぱいだし、街を歩いてると男たちはエロエロしい目で見てくるし。たっちゃんは違うと思ってたんだけどなぁ、やっぱり男の子だったんだね。
「んんっ!んぁ、た、たっちゃんそこはつまんじゃだ、ひゃう!」
既にブラ外してたから、乳首が堅くなってるのことにたっちゃんが気付いちゃった。そこはかなり感じる場所だからあんまりされるとおかしくなっちゃいそう。
「た、たっちゃんちょっと待ってっ!」
「い、痛いのか?」
「ううん、痛くは無いんだけど、いきなり気持ちよくなったからちょっと怖くって・・・」
「そ、そうなのか?」
「うん、だから、もうちょっと優しくしてくれるとありがた・・・っ!?」
起き上がってたっちゃんにお願いしたときに、ふと目に入ったドア。よく見てみると、鍵が開いていてびっくり。
お布団に入る前にちゃんとドアの鍵は閉めたはずなのに。・・・!もしかして!

「美紀?どうした?」
「(たっちゃん、ちょっと悪いんだけど、静かにドアまで行って、ドアを思いっきり開けて欲しいんだけど)」
「(えっ?どうかしたか?)」
「(うん、ドアの鍵が開いてるの。閉めたはずなんだけど・・・)」
「(・・・わかった)」
たっちゃんがゆっくりゆっくりドアに近づく。たっちゃんも察したようで萎えちゃったみたい。たっちゃんがドアノブを握り、さっとドアを引くとバタバタッと倒れてくる人が二人。
「あ、あはは・・・バレちゃった?」
「だ、だから俺は鍵だけはやめとけって言ったんだ。」
「ママ〜?パパ〜?ちょっとお話聞かせて欲しいんだけど?」
「「み、美紀が怖・・・あ、あはは・・・」」
美紀の尋問はおよそ一時間ほど続いた。その間、美紀のご両親から『助けてたっちゃん』的な視線が飛んできたが、俺自身も被害者なので苦笑で返した。
もっとも、俺の方を見た瞬間に『なにたっちゃんに助け求めようとしてるの!?』と言う美紀の雷が落ちたため、口の出しようがなかったわけだが。
と言うか、俺も美紀を怒らせないように気をつけよう。

「ねぇ、たっちゃん。」
ちなみに今は美紀が俺の腕に抱きつく形で寝ている。もちろん変なことはしていない。また覗かれるかもしれないし。
「ん?どうした?」
「たっちゃんは最後まで出来なくって、残念?」
「残念っちゃ残念。だけどまぁ、これでよかったと思ってる。」
「どして?」
「多分あのまま続けてても最後まで上手くいかなかったと思うんだよ。俺ガッチガチに緊張してたし。」
「あはは、確かにたっちゃんの緊張はすごかったね。」
「あんなことするのなんか初めてだからな。いざそういうことになると緊張するもんだな。」
「でも、嬉しかったよ。」
美紀が恥ずかしそうに俺の腕を強く抱きしめる。腕が胸に埋まってなんだかこそばゆい。
「それに何かで見たことあるんだが、ただ寄り添って寝るだけの夜を何日も過ごす内に、お互いの波長が合ってきて、セックスが良くなるって言う話もあるらしいぞ。」
「え?そうなの?」
「俺の記憶だけにある話だから眉唾かもしれないけどな。ただ、焦る必要なんてないさ。」
「そっか。・・・そうだよね、別に焦る必要はないんだよね。」
「美紀には焦る理由があったのか?」
「・・・まぁ心当たりは無きにしも非ず、かな。」
「俺が他の女に、性的に篭絡されるとか考えたとか。」
「っ!・・・たっちゃん、本当は全部知ってて今の話してるの?」
「は?何のことだ?」
と言うか一つの例えで、俺のことが好きな子って聞いたことないんだが。
「だよね。・・・たっちゃんがにぶちんさんで本当に良かったよ。」
「にぶちんとは失礼だな。まぁ別にモテたところで美紀が好きなことには変わりないよ。」
「・・・うん。」
俺の言葉に頬を赤く染めて目を逸らす美紀。可愛すぎだろマジで。
「とりあえず今日はゆっくり寝て、また明日からも仲良くしような。」
「うんっ!」
赤い頬はそのままに、潤んだ瞳で笑顔になる。今までとは違う笑顔に、今まで以上に強く強く『好きだ』って気持ちがあふれてくる。体が勝手に動いて、美紀を抱きしめながらキスをする。
美紀は一瞬びくっと震えたものの、素直にキスを受け入れてくれる。今日はこれ以上しないので、ディープキスはなし。
「ん・・・ふぅ・・・」
「ん・・・はぁ・・・たっちゃん、ありがと♪」
「おう。さ、寝ようぜ。」
「うんっ!」

互いに『おやすみ』と挨拶し、夢の世界に旅立つ。
ちなみにその日見た夢は、かなり幸せな夢だったとだけ言っておこう。
614 ◆POBrm2R/G2 :2008/12/24(水) 06:27:15 ID:AtvduLOz
以上で終了です。おかしい部分などがあれば指摘してくださるとありがたく。
エロは次回投下予定の話で投下予定。
615名無しさん@ピンキー:2008/12/24(水) 10:30:34 ID:VBpIVHMt
GJ!
しかしここのところの貴方の投下ペースはすごいな………
某スレもこっちも目を離せないぜ
616名無しさん@ピンキー:2008/12/25(木) 11:02:36 ID:AZ4pdA24
GJ!!
聖なる夜に虫歯になりそうな甘い話を読めて幸せなことしきり。
ありがとうございます。
617名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 11:40:08 ID:32ZplzBM
>>578の続き。エロ無しです。
618『この世で最も華麗な彼氏』 ◆uC4PiS7dQ6 :2008/12/26(金) 11:41:36 ID:32ZplzBM
1
 ずっと、考えてた。
 あの日から一年間、ずっと、ずっと。
 本当にボクの身体はオイシイのかって、ずっと考えてた……

 自分で自分の指を舐めたって味はしない。
 証明してくれるのは幼馴染みだけ。同じ日に産まれ、同じ時間を共有して来た幼馴染みだけ。ボクが恋焦がれた重羽美月だけだ。
 美月だけがオイシイと言う。他の人には絶対に舐めさせるなと言う。美月だけが、ボクの味を知ってる。
 でもこれってオカシクないか? もしかしたら味がするってのは全部ウソで、ボクを挑発して、約束を守れるかどうかを試しているのかも知れない。高校卒業までエッチしないって約束を守れるかどうかを。
「はんっ……」
 守れるさ! 何年越しの想いだと思ってるの!? どんな誘惑をされたって守ってみせる。だから……もう断らないと。もうボクを誘惑しなくて良いよって。ボクの指を舐めなくて良いよって。言わないと。
 だいたい、身体がカレーの味するなんて有る訳無いんだよ!
 でも万が一、億が一にもボクの身体が本当に美味しいなら? それを調べる為にも、美月以外の誰かに指を舐めて貰うとか?
 うん、そうだよ! そうしよう! 美月と同い年の、美月と同性の人に舐めて貰おう。ジュースでも奢れば首を振ってくれそうな人……真理(まこと)、かな?
 だね。こんな事を頼めるのも、美月以外で気兼ね無く話し掛けれる女性も、美月以外じゃ真理だけ。決まりだっ!
 

 ――キーンコーンカーンコーン。


 テスト終了の、全日程終了のチャイムが鳴り、突っ伏した机から顔を上げる。
 テストはバッチリ。考える時間もたくさん取れた。後は覚悟、幼馴染みを疑う覚悟。
「真理、ちょっと付き合って」
 二つも深呼吸して真理の背中を軽く叩く。
「えっ?」
 ボクの席は廊下側の後ろから二番目。真理はボクの真ん前。美月は窓側の先頭。美月とボクはほぼ対角。
 だったらイケる。挨拶が終わって、帰る支度をして、美月がこっちを振り向くよりも早く。
「きりーつ、れーい」
 テストが回収され、挨拶が終わると同時に真理の手を引いて教室を抜け出す。
「ちょっとぉ、どうしたの砂耶?」
 教室を出て、廊下を駆け、無人の図書室に入り、その奥。
 昼休みにボクとミツキの秘め事が行われる場所。そこで漸く立ち止まり、真理を窓際に。ボクは少し離れて向かい合う。
「はぁっ、はぁっ……んっ、ゴメンねマコちゃん。実は、内緒でお願いがあるんだ」
 むくれた表情の真理に謝罪して、すぐに本題へ。
 美月に似た切れ長の瞳に高身長。健康的に日焼けした褐色の肌に、多分にシャギーが入ったショートヘア。美月がグラマラスなら真理はスレンダー。
 美月を除いて、ボクが普通に話せる女の子……真理。
「でっ、お願いって何?」

619『この世で最も華麗な彼氏』中編 ◆uC4PiS7dQ6 :2008/12/26(金) 11:43:19 ID:32ZplzBM
2
 目を細め、口元を吊り上げる。いつもの表情。ボクの言葉を値踏みする、いつもの真理。ツマラナイ事だったら許さないと物語ってる。
 いきなりこんな所に連れ込まれたら当然だと思うけど、それでもボクは確かめたい。
「ジュース奢るからさ……マコトちゃん、ボクの指を舐めて」
 右腕を真っ直ぐに伸ばして肩の位置より上、真理の顔前に五指を開いて差し出し、好きな指を選ばせる。
「意味、わかんないんだけど?」
 そう否定しながらも、ボクの人差し指以外を折り畳み、一つの指を選択してくれた。
 本来ならきちんと理由を教えるものだと思うけど、ボクの身体はカレーの味するらしいから舐めて……なんて言えないよ。頭のおかしな人にされちゃう。
「お願いマコトちゃん……ボクの、ゆびを、なめて」
 だから全部、全部、舐めて貰ってから判定すれば良い。ボクはオイシイのか、ミツキが嘘を付いてるのかを。
 美味しいなら美月に謝ろう。疑ってゴメンねって。
 嘘なら言おう。もうボクを舐めるなって。約束は守るから誘惑なんてしなくて良いよって。
「ふっ!? ああっ……それじゃあ、舐めるよ砂耶?」
 マコトちゃんは一度だけブルリと全身を震わせると、許可を取って口を拡げ、舌を垂らして指に近付ける。
「うんっ、やさしく、やさしく、ねっ?」
 そして、唇の間に指が挟まれようとして、

「ダメだ砂耶っ!!」

 唐突な否定で後ろへと引っ張られた。
「えっ、うわっ!?」
 三歩も下がり、首に腕を掛けられ、胸に手を回され、羽交い締めにされる形。
 聞き慣れた声、ボクよりもずっと高い身長、後頭部に当たる柔らかくておっきな膨らみ。そこから導かれる解答は……
「みつ、き?」
 99%の自信を持って見上げる。
 すると目の前に映るのは正解。怒った顔でボクを覗き込む幼馴染み。
「真理、砂耶から言われた事は忘れてくれ……ほらっ、砂耶には大事な話しが有るからちょっと来いっ!」
 美月はそのまま、引きずるようにボクを真理から離して行く。
 真理はご愁傷様と、僅かに笑いながら手を振ってた。
「恥ずかしいから、せめて手だけにしてよぉ」
 ズルズルと図書室から出され、そこからは手首をしっかり掴まれて引っ張られる。
 女の子に引っ張られて抵抗できないボク……我ながら情けない。
 でもこれで決まりだ。美月が必死に止めたのは嘘がバレるから。味なんてしないから真理に舐めさせたくなかった。
 じゃあ言わなきゃ。もう舐めるなって、もう舐めさせないって。
 先を早足で歩く美月は長い髪を左右に揺らし、階段を降り、渡り廊下を越え、テスト日により静かな体育館に入り、重い扉を開けて更に静かな用具倉庫へ。
「おっ、わわっ!?」 
 跳び箱。バスケットボール。バレーネット。薄暗く微かにカビ臭い部屋。
 そこでボクは大きな着地用マットの上に仰向けで押し倒され、美月は後ろ手に扉を閉じる。

620『この世で最も華麗な彼氏』中編 ◆uC4PiS7dQ6 :2008/12/26(金) 11:47:26 ID:32ZplzBM
3
 薄暗い室内。互いに視線を交差させ、互いに一つの深呼吸。

「なんで、舐めさせようとしたんだサヤ?」
「なんで、舐めさせちゃダメなのミツキ?」

 互いの初言が重なった。
 ボクは仰向けで美月を見上げ、美月はボクの腰を跨いで見下ろす。空色のパンツが見えてるよ美月。見せてるの? またボクを挑発するんだね?
「うっ……前に言ったろ砂耶? 一回味わったら終わりなんだ。真理も私みたいになるんだぞ?」
 美月は真剣。それは伝わる。そんな逃げ道も有るって伝わる。いや、それしかないんだ。
 もしボクが本当に美味しくて、真理がまた求めて来ても、二度と与えたりしないよ。
 与えた結果がボクの幼馴染みだから。ボクに依存し過ぎてる美月だから。そんな風には絶対しない。
 だから美月も、そろそろリハビリしようよ。休みの日だってずっとボクと一緒に居て、好きな事を何もしてないじゃないか!? 束縛してるようで……心苦しいんだ!!
「わかったよ美月……もう誰にも舐めさせない。その代わり、美月にも舐めさせないから。我慢して、リハビリしよっ?」
 最初は辛いかもしれないけど、一ヶ月もしたら平気になるさ。
 ねっ、ミツキ? そんなに涙を浮かべるぐらいに辛いのも、ちょっとだけだから。
「ひっ、う、そ……だよな砂耶? そんなのっ、わたし、うくっ……しんじゃうよぉっ」
 綺麗な瞳を悲しさで潤ませ、眉をしかめ、手をギュッと握り締めて懇願する。
 ボクは顔を反らして立ち上がり、無言で美月を通り過ぎて重い扉をスライドさせた。
 すぐに馴れるから。ボクも我慢するから。だからミツキ……高校を卒業したら、ちゃんとした恋人になろうね?
 そう思って、用具倉庫から出て、聞こえたのは低い笑い声。誰に聞かせる訳でも無い、呟くような独り言。

「そっかそっかぁっ……そんなこと言っちゃうんだぁっ? ふっ、ふふっ、ふははははははははっ♪ あぁあっ……そうくるのかサヤ? ぐっ、絶対にっ……イプしてやるわっ!!」

 ボクを無理矢理に犯すって犯罪宣言。
 それを聞き届け、体育館に続く渡り廊下を帰りながら、プライドはイラッと反応する。
 ボクは男だぞ? そりゃ女顔だし、ミツキより背は低いけど、女の子一人にレイプされたりなんかしない。逆に押さえ込んでやるんだ!
「そうだっ……明日は休みだし、思いっ切りできるね」
 鞄を持ち、靴を履き変え、門を通り、帰路に着く。
 うん、明日は休みだしちょうど良い。
 美月を、メチャクチャにしてやる。ボクには勝てないって屈伏させてやる。恥ずかしい事をいっぱいさせてやるんだ!
「ははっ♪」
 そう決まれば気分も軽くなる。
 だってこれから始まるのは、誰にも邪魔されない、ボクの、ボクだけの時間。
 そこでミツキは、ボクの命令に服従する犬になる。

621名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 11:48:28 ID:32ZplzBM
小出しでゴメン。
次で終わります。
622名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 15:29:14 ID:9NddrL8Z
>>621
雪降ってるから全裸はツライナ……wktk
623名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 23:57:40 ID:Csp2DEfs
投下ラッシュに紛れてみます
もっとも、スランプで幼なじみ成分が薄いですが……つか冗長です
624幼なじみとお弁当:2008/12/27(土) 00:01:28 ID:rWbLOSaU
きっかけは些細なことだ。

中学生になったばかりだったあるとき、母さんの親戚が倒れたことがあった。
もちろん母さんは親戚の下へ向かった。このとき父さんは出張で家にはいなかった。
学校を休むわけにはいかない俺は、結果として一人で留守番をすることになったのだ。
が、小学生気分が抜けなかった当時の俺にはできないことが多々あった。
例えば、弁当を作ることとか。

チャイムが鳴った。
まだ説明の途中だった国語担当の教師は少し不服そうに鼻をならし、
「仕方ない。委員長、号令を」
と、授業の終了を告げた。
「起立」
しかし号令に従ったのは全体の八割程度。あとの二割は教師の言葉の直後に教室を出ていってしまった。
「あ、ちょっとあなたたち!」
「……はぁ。もういい、ほうっておけ」
相変わらず彼らを止めようと、声を荒げる委員長。
もう慣れてしまったのか、ため息をつく教師。
その二人に同情しつつも、しかし俺には出ていった人の気持ちもわかったりする。
だって、仕方ない。
昼休みの購買と食堂は、それはもう何の祭りかというくらいの混みようを示すのだから……。

もちろん母さんはいくらかお金を渡してくれたし、
晩飯に関してはお隣さんに頼んでご一緒させてもらうことになった。
だがしかし、昼飯代として渡された臨時収入は俺にとって魅力的な金額だった。
母さんが帰宅するのは五日後。
もしその間、昼食を少し減らせば……いや、もっと言うと。
「これって、昼飯抜けば全額手元に残るよな……」
そこに考えが至った瞬間、俺の頭はさてこのお金を何に使おうかということに切り替わったのだった。
それは、昼飯を抜いたところで特に問題ないだろうという、そんな甘い考えから来ていたのだが。

「いただきます」
各々が食事の挨拶をして、昼飯を食べ始める。
俺は昼休みは何人かの男子とダベっていることが多い。今日もいつものメンバーと一緒だ。
「しかしいいよなー、高遠はよぉ」
俺がいつものように弁当を食べていると、そんな恨めしそうな言葉をかけられた。
「ん、何がだよ」
声の主に聞き返す。
正面に座っていたそいつ、水口はどんよりとした視線を俺に向け、
「だってお前、弁当じゃん」
手に持ったコッペパンをちびちびと食べながら、そんなことを言った。
確かに俺の昼飯は弁当だ。
今日も彩りのよい具が並び、特に卵焼きが絶品であるいつもの弁当。
しかし、弁当だからうらやましいってのは何というか……。
「水口、僕はともかく委員長だって弁当だよ」
同じくサンドイッチを食べながら言ったのは瀬尾だ。
ちなみに、水口も瀬尾も昼飯は購買を利用する。
特に水口は先ほどあった「授業終了直後に出ていく」タイプである。
が、授業の挨拶もしてからゆっくり購買に向かう瀬尾のほうがいいものを食べていることを考えると、
やっぱりズルをしないやつが報われるというか、
童顔のイケメンって有利だよなとか、そんなことを思ってしまう。
水口はそんな瀬尾の一言を鼻で笑って、
「バカ、斉藤は自炊した結果だろうが。高遠の場合は誰かさんが作ってくれてるんだよ、な?」
そう言って向けた視線の先には何人かの女子のグループと、
「お前はいいよな、弁当まで作ってくれる『幼なじみ』がいてよー」
俺の幼なじみが、楽しそうに談笑していたのだった。
625幼なじみとお弁当:2008/12/27(土) 00:17:19 ID:rWbLOSaU
当時の俺は中学生。とりあえずたくさん食べたい盛りである。
そんなときに昼飯を抜けばどうなるか。
「は、腹減った……」
昼休み中、俺はずっと机に突っ伏して飢えに耐えていた。
この頃の俺は周囲に壁を作っていて、誰かと一緒に昼飯を食べたりとかはしなかった。
周りの連中もクラスに馴染もうとしない俺のことなど気に掛けずにいたので、
俺は一人で空腹と戦い続けることになった。
しかし、それも限界がある。
三日目、俺はついに全額確保をあきらめることにした。
体育の授業があったために空腹はピークに達し、とにかく何か食べないと仕方なかったからである。
全額を手に入れられなかったことを残念に思い、
しかし何か食べられることを喜びながらポケットをまさぐり、
「……財布、ない」
そのときの気持ちと言えば、本当に地獄に叩き落とされたようであった。
空腹で死を覚悟したのは、恐らくあれが最初で最後だろう。
絶望の縁に立たされた俺。それを救ったのが、

「……み、水口。何の話だよ?」
声が上ずる。水口はニヤニヤといった表情を浮かべ、
「ネタは上がってんだぜー?お前が委員長から毎朝弁当箱を受け取ってるのはよぉ!」
「あぁ、それは確かによく見かける光景だな」
水口の台詞を受け、今まで黙々と食事をしていた斉藤が同意する。
ちなみに、斉藤はクラスの副委員長である。
しかし瀬尾は彼のことを『委員長』と呼ぶ。本人曰く「気質が委員長」なのだとか。
で、水口がいう『委員長』が本物、我がクラスの委員長のことだ。
ちなみに俺の幼なじみでもある。
……閑話休題。
斉藤はそのまま淡々とした口調で、
「もっとも、弁当まで作ってもらうような関係が『幼なじみ』で済まされるのか、甚だ疑問ではあるがな」
と、こちらの痛いところを突いてきた。
「う、うるさいな。そういうお前は彼女に作ってもらったりしないのかよ」
図星を突かれたのが癪だったのでやり返す。
斉藤にはクラス公認の彼女がいる。
こちらの関係も幼なじみが発展したもので、聞くところによるとやることは済ませてるとか。
「あ、それは僕も気になるな」
「おい斉藤、どうなんだよ」
瀬尾と水口が俺の振りにのる。瀬尾はともかく水口は扱いやすくて助かるな。
斉藤はしばし無言になったあと、
「……あれは、人間の食べ物じゃない」
ポツリと、そんな言葉を洩らした。
…………。
「何か、ごめんな」
「気にするな、忘れろ」
そんな会話の後が交わされ、俺たちの話はまた別のことに切り替わったのだった。
626幼なじみとお弁当:2008/12/27(土) 00:27:22 ID:rWbLOSaU
「ほら、これでも食べなさい」
顔をあげる。
目の前にあるのは一つの包みと、それを持つ白い手だ。
もう少し視線を上に向けると、彼女と目があった。
彼女は顔を赤くしながらそっぽを向いて、
「ま、まぁ、一人分も二人分も対して変わらないし。飢えてる姿を見るのは少し忍びなかったからね」
などと、それはもう早口でまくし立てた。
「……くれるのか?」
「そ、そうよ。作りすぎたからね」
「……本当に?」
「嘘ついてどうするのよ……」
「……マジか」
「……あぁもう、さっさと食べなさい!」
押しつけるように渡される弁当袋。
彼女は機嫌を悪くしたのか、足早に俺の席から離れていった。
残された俺は一人、そっと包みを解き、蓋を開ける。
中身は何の変哲もない弁当である。
いや、作りは何だか素人っぽい感じで、卵焼きとかは焦げていたが。
さっき見た手を思い出す。……そう言えば、絆創膏が巻いてあったような気がした。
箸を手に取り、おかずを口に運ぶ。
焦げた卵焼きはちょっと塩が効きすぎていてしょっぱかったが、
「……あぁ、うまいな」
三日振りにとる昼食は、俺にとっては最高のご馳走だった。
627幼なじみとお弁当:2008/12/27(土) 00:29:02 ID:rWbLOSaU
帰り道。
「優奈、いつもありがとうな」
「な、何よ。藪から棒に」
突然のお礼の言葉にびっくりする。
最近は私の助けに対して礼を言うことが多くなっているけど、
今日は彼が礼を言うようなことをした覚えはない。
「いやさ、毎回弁当作ってくれるだろ?そのお礼」
「……あぁ、なるほど」
別にそんなこと、いつもやっていることだし。
「一人も二人も作るのは変わらないわよ」
「んー……、それでも、誰かが昼飯を作ってくれることは幸せなんだと思ったんだよ」
水口とか見てるとさ、と続く。
……何か変な話を昼休みにしたらしい。また今度斉藤くんに聞いてみよう。
「幸せ、ね。そう言ってもらえるならありがたいけど」
そもそも事の始まりは、お金欲しさに飢えていた幼なじみを見かねたから、というだけなのだ。
私が礼を言われる筋合いはない。私は幼なじみとして、
「あぁ、幸せだな。お前の作る弁当なら一生食べてたいくらい」
当然のことを、している、だけ、で……
「……あれ、どうかしたか?顔赤いぞ」
「な、なんでもない!」
こ、この……!
たまにとんでもなく恥ずかしいことを言うんだから、匠は!

「お、おいおい優奈……」
足早になる幼なじみを追いかけつつ、ふと思う。
初めて弁当をもらった日。帰宅して、弁当箱を洗ってから届けに行ったあのとき。
「あ、あんまりおいしくなかったでしょうけど……」
などと言う優奈に対して、俺は正直に、
「いや、最高にうまかった。また作ってくれ」
と、素直に感想を述べた。
その時の優奈の顔、
「……よかったぁ」
何だかとても嬉しそうな表情は、しっかり俺の心に残っていて。
「いや本当、俺って幸せ者だよな」
あの顔をずっと見ていたいと、そんなことを考えていた。

「……ん?さっきのって、もしや実はめちゃくちゃ恥ずかしい台詞じゃあ……うわ」
628名無しさん@ピンキー:2008/12/27(土) 00:31:25 ID:rWbLOSaU
そんな話だったのさ、というわけで投下終わり
おさな、なじみ……?バカ話の間違いかもしれない
さっさと妄想力に戻ってきて欲しい

さて逃げるか
629名無しさん@ピンキー:2008/12/27(土) 11:54:12 ID:SLKcZ2oq
グッジョブ、そして乙、なんだぜ
630名無しさん@ピンキー:2008/12/28(日) 01:42:41 ID:c3e+/fFp
あはん
631名無しさん@ピンキー:2008/12/28(日) 10:40:26 ID:Yrex8Ygj
馴染の塔保守
632名無しさん@ピンキー:2008/12/29(月) 00:49:28 ID:eCwp+SMi
>>621
GJ
設定が良すぎるというか俺好み
633名無しさん@ピンキー:2008/12/30(火) 15:47:16 ID:OOruIaPR
圧縮回避保守
634名無しさん@ピンキー:2008/12/30(火) 18:36:09 ID:GxxyQ1sx
 仕事もどうにか落ち着き、久しぶりに実家のこたつでぬくぬくとしていると、
玄関先で聞きなれた声がした。そしてその声の持ち主は勢いよく居間のふすまを開けると、
俺のちょうど向い側に何の断りもなしに足を突っ込んだ。
「うおっ! つっめてぇえっ。足をくっつけてくるな」
「いいじゃーん。ちょっとぐらい分けてよ。外、ちょー寒かったんだから」
 ブーツで来たんだろう、薄いストッキングに包まれたつま先から冷えが伝わってくる。
見た目とは違い、内側の保温性はあまりないのか……。そんなくだらないことを考える間にも、
冬らしい銀色のマニキュアで彩られた形のいい爪が蜜柑を剥き始めた。
「いつ帰ってきたの?」
「今日の昼頃。お前は?」
「昨日。仕事終わって直接きたから」
 長い爪で器用に白い筋を取る。その真剣な眼差しは、昔から変わらない。
一度ひと房を無断で食べた時の怒りようは凄まじかった。食いものの恨みは本当に恐ろしい。
「クリスマスどころか、年越しを一緒に過ごす恋人もいないのかよ」
「それはあんたもでしょ」
 間髪入れずに返され、ぐうの音もでない。くっそ。
「いいじゃない、幸せにはいろんな形があっても」
「まぁな」
 今年もこうやって話をできたんだし。いつまでこうした年末を過ごせるだろう。
「でも、少しぐらい形を変えても、いいかもしれないね」
「え?」
 俺から熱を奪ってとっくに温まっていたはずの足はまだ触れたまま。
 意味がわからなくて、目を白黒させる俺に微笑んで、摘まんだ蜜柑を軽く振る。
「食べる?」
 次のクリスマスは二人で過ごせるのかもしれないなぁ、と俺は鬼が聞いたら大笑いしそうなことを考えながら、
差し出されたそれをありがたく頂戴するために身を乗り出した。




圧縮が近いと聞きまして。
635名無しさん@ピンキー:2008/12/30(火) 22:15:03 ID:oRn0hnVP
>>634
ほのぼのGJ
636名無しさん@ピンキー:2008/12/30(火) 23:37:50 ID:+WaS45Cc
一瞬、足でみかんの皮を剥いたのかと思ったwww
637名無しさん@ピンキー:2008/12/30(火) 23:47:24 ID:OOruIaPR
>>636
エアマスターかよww
638名無しさん@ピンキー:2008/12/31(水) 19:39:18 ID:0V6RftW8
足で皮を剥くとな
639名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 01:55:54 ID:xIW48l1R
女「剥いたらついてる白いの…取らないと口に入れる気起きないんだよね」

男「みかんの白いの気にするのか 几帳面なんだなお前」
640 【豚】 【1131円】 :2009/01/01(木) 02:05:50 ID:w3EioU2K
大吉だったら幼馴染ができる!
641名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 09:07:06 ID:S7oTxUXO
「ほーら>>640、どう私の手? イキそうなんでしょ? イクときは、ブタさんみたいな汚らしい鳴き声あげてね〜♪」
642名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 11:31:13 ID:S7oTxUXO
1
 太陽は堕ち、気温は落ち、空は雲無く朱く色付く。
 家の中。部屋の中。勉強机に肘を掛け、キャスター付きの椅子に座り、ベッド上の恥態を眺める。
「はやく、ナカ出しっ、しなさいよ……ごーかんまっ!!」
 意気がるのは女。年齢7つの子供。第二次成長も迎えてない、小学校低学年の女子児童。
 そんな子供が全裸で四つん這いになり、俺に尻を向けて虚勢を張り、膣内射精を懇願している。
 怒った形の眉、涙を溜める瞳、上気した肌、言葉だけの反抗。
 ああ、口元が吊り上がる。笑いが止まらない。
 嗚呼、興奮するよ。何度だってイケそうだ。
「はっ? よく聞こえなかったなぁ……俺の、コレを、どうして欲しいって?」
 ただ、そんな乞われ方じゃ頷けない。中出しなんてしてやらない。
 だから見せ付けるように。教え込むように。ゆっくりとズボンのジッパーを下げ、血管が浮き出る程に勃起したガチガチのペニスを取り出す。
 女は更に頬を赤く染め、悔しそうに唇を震わせるだけ。
 極上の媚薬を塗りたくられ、幼い性器からトロットロの蜜を垂らしても、プライドが降伏する事を否定しているのだ。
「挿れなさいよっ! どーせ、そのおっきなオチンチンでズボズボしてぇっ……わたしにぃ、んふっ、はぁぁっ……ちつないシャセイするんでしょ?
 ヤメてって言っても、オナカがパンパンになるまでセーエキをびゅるびゅるするんだよね? ぜんぶ、わかってりゅんだからねハンザイシャ!!」
 四つん這いのまま後ろを、俺を睨む泣きそうな顔が堪らない。
 ああっ、駄目だ。生意気な声が、態度が、ペニスからどんどんカウパーを滲ませる。
 女も自分で気付いてるのか? 頭じゃどんなにまともを装っていても、身体は快楽の肉欲に負けたのだと。
 その証拠に、自らの両手で粘液の源泉口を左右に拡げ、媚薬ですっかり弛緩しきったピンク色の肉穴を晒す。
 掻き分けるように幼いペニス容れを開き、クリトリスをシコらせ、オシッコの穴まで透明な液を溢れさせてぷっくりと膨らませる。挿れた瞬間に失禁しそうだ。
 長い髪は汗で背中に貼り付き、訴える瞳は空気を読めと言っている。
 私は犯罪者に捕まり、媚薬を塗られる不幸なヒロイン。身体の疼きを解消する為に仕方無く犯されてやるから、バイブ代わりにしてやるから、さっさと挿れて中出ししろ……って女を演じているだけなんだからと。
 それくらいわかってるでしょ? と、それくらいわかれ! と、そう瞳は言っている。裏腹の言葉と思い。
 だけど無理だ。精液を注ぎ込まれるまで熱を持つ媚薬。それを塗布されたら最後、初潮前だとか、処女だとか、生理だとか、そんなヘリクツは消えて無くなる。
 唯々、男を挑発し、ペニスから精液を搾り取り、中出しアクメを繰り返す雌になるのだ。俺はそれが見たい!
 俺は、女を、コイツを、○○○を、屈伏させたいんだ。
「もっと女らしく誘えよ○○○。俺は自分の手でしても良いんだぜ?」
 それだけを目的として、これほどに高級な据え膳を野放しにする。
 本能はこの女を、チビを、今すぐにでもバックから突き捲くって喘がせたいが、それじゃあ目的は達せられない。

 ぬちゅぅっ、ヌチュヌチュヌチュ、ヌチュッ……

 ローションを右掌に垂らし馴染ませ、粘度の増した指でペニスを鈍い水音を立てながら扱いていく。

643 ◆uC4PiS7dQ6 :2009/01/01(木) 11:33:00 ID:S7oTxUXO
2
 素っ裸の子供をオカズに、自慰で性感を高める行為。このままでも俺はイケるだろう。だが……
「あ、あ、あっ、ふああっ……うわあぁぁぁぁぁぁぁん!!! やだやだやだぁっ!!!
 ひくっ、なんで、そんなに……ぐすっ、イジワルするのぉっ? わたしのこと、キライなのっ? ううっ、おちんち……いれてよぉっ!!」
 コイツは違う。ペニスで子宮を小突かれ、気を失うまでハメ回して貰わなくては治らないのだ。
 故に必死。プライドを投げ捨てて俺に挿入を縋(すが)る。自慰で射精されてしまっては、挿れて貰えなくなるから。
 大声でポロポロ涙を零して泣き、耳まで紅潮させ、それでも性器は拡げ続ける。
「ははっ、そうまで言われたら仕方無いなぁっ……ふぅっ、ふぅぅっ! 奥まで、ズリズリしてあげるからねっ!」
 勝った。最高だっ! この時、この瞬間は、いつも『ボクを』イカせてくれる。ボクが何度繰り返しても浸れる優越感。
 まだボクより小さかった頃の○○○を、ボクの思い通りにさせた。
 今じゃできないから、無理矢理に女装させられてイタズラされるのがオチだから、有り得ないのに、こうまで逆になる。
 強気になったボクが、まだボクより小さかった頃のミツキをイジメて、泣かせる……妄想。オナニーする時だけの歪んだ想い。
「美月、ミツキ、みつきっ、みつきぃっ!」
 ベッドを背もたれにして床に座り、ズボンを下ろして自慰に耽る。
 息が荒い。息が乱れる。いつもと同じ格好。いつもと同じ妄想。
 左手に微笑んでる美月の写真を持って、右手に非貫通型のオナニーホールを持って、大好きな幼馴染みの名前を呼びながらペニスを扱く。
 手へ匂いが付くのを防ぐ為に通販で買ったオナニーホール。ローションをたっぷりと入れ、小さな穴に根元まで呑ませて、柔らかな感触を思い出す……ボクの指を、舐めて、咥える、美月の咥内を。
 とても熱く、蕩(とろ)けて溶けちゃいそうな唾液に、
 きゅきゅぅっと吸い付き、咥え込んで離さない唇に、
 ざらざらとした細かい突起が無数に存在し、縦横無尽に妖しくうねり絡み付く、肉厚で、長い、ボクを興奮させて舐める為だけに進化した、美月のベロ。
 そんなヤラシイ器官が集まった口の中に、指じゃなくてアレを挿れられたら、どんなに気持ち良いだろう?
 妄想は叶わない。美月には敵わないから、後一年半我慢して、ちゃんとした恋人同士になったら、頭を下げたって、土下座したって、美月に、フェラして貰う。
 イジメたりはできないから、もう一つの妄想、もう一つの夢、あのエッチな、口の中に……挿れたいよ。

644 ◆uC4PiS7dQ6 :2009/01/01(木) 11:34:37 ID:S7oTxUXO
3
 ああ、ああっ、ミツキの、クチのナカ。
「きもちいいよぉ、みつきぃっ……ふっ、ふぅっ、ふぅっ、うぎいぃっ!!?」
 勢い良く上下していた右手が止まった。ビュクビュクとオナニーホールに中出しし、射精した余韻に震えてる。
「ぅうっ、はぁぁっ……くっ、バカかボクはっ!? ちくしょう、ちっくしょう……」
 終わった後は決まって自己嫌悪。誰より大切にしたいのに、誰よりも汚してしまう。きっとこれからも、何度も、何度も。
 だってしょうがないよ。あんなふうに舐められたら……あーあ、ミツキのせいにしちゃってるし、ほんとボクって……さいってー。
 でもさ、やっぱり気持ち良いんだ。美月を想ってオナニーすると、凄く、すっごく。
「みつき……怒ってないかなぁ?」
 視線を左に流すと、写真はイッた瞬間に握り締められ、幾つもの折り目が付いていた。
 ゴメンねって謝って天井を見上げる。明日になったら、本人に言おう。ゴメンねって。舐めるのは我慢してって。二人で乗り越えようって。よしっ、きまりっ!!
 そこまで考えて、


 ――タトン、タトン。


「ふぇっ?」
 思考は近付く足音に中断された。
 もちろんボクのじゃない。玄関の鍵は確実に掛けた。父親は単身赴任でしばらく帰って来ないし、母親も付いて行ったからいない。
 じゃあ、残るのは、唯一家族以外で合い鍵を持ってる幼馴染み。美月が、ボクの部屋に来る為に、階段を上ってる。
「うそ、でしょ!?」
 こんな姿なんか見せられない。しかも、たった今までオナペットにしてた人なんかと!
「もうっ、どーして急にくるんだよぅ!!」 
 静かに、素早く、クローゼットの中に身を隠し、Yシャツの胸ポケットに入っていた携帯の電源を切る。これで完璧……と溜め息を吐こうとして、ばかぁっ!! と自分を罵った。
 なぜなら、美月の写真も、脱ぎっぱなしのパンツも、抜け堕ちてたオナニーホールも、全部がそのまんま。言い訳の効かない状況だよ。
「ゴメン、あやまりたくてさ……入るからね砂耶?」
 しかも返事して無いのに、ノック三回で入って来ちゃってるしー! あー、もうっ!!
 美月は部屋を見渡しながら中央まで進み、ボクはクローゼットの隙間から覗き見る。
「サヤ、いないんだ? あっ、コレっ……」
 そして気付いた。ボクじゃなく、美月が、オナニーの残骸に。
 その場で正座して腰を下ろし、シワくちゃの写真を眺めて、口を三日月の形にして笑う。

645『この世で最も華麗な彼氏』 ◆uC4PiS7dQ6 :2009/01/01(木) 11:36:57 ID:S7oTxUXO
4
 あーわーわーっ! 何する気なの美月!? 早く帰ってよー!!
「ふぅん……サヤったら、私をオカズにしておちんちんシコシコしてるんだぁっ?」
 やっぱりバレた、死にたい。明日からどんな顔して会えばいーの!?
 でも、そんなのより、もっと衝撃的な事。
「ふふっ、なーにがリハビリしようよ……もう末期で手遅れなのに、サヤ中毒なのに、それなのにっ!
 私をオカズにして、一人だけ気持ち良くなって、こんなえっちぃシミつくってっ、ズルイっ!
 はぁぁっ、はあぁぁん……まぁったくぅっ、おつゆ染み込ませすぎよぉっ♪ わたしもぉ、きもちよ……あむっ♪♪」
 美月がトランクスを両手で持ち、それを裏返して顔に寄せて、ボクのアレが当たっていた場所を、何の躊躇(ちゅうちょ)も無く口に含む。
 えっ、えっ、ええぇぇぇぇぇぇぇっ!!? なにしてるのミツキ!?
 まるでフライドチキンにでもカブリ付くように、骨までしゃぶり尽くすように、目を細めて美味しそうに、ぢゅぷっ、ぢゅくぢゅくぢゅく、ぢゅぷり……味わう。
「あ、あ、あっ、ぁあぁっ……なに、コレ? なにコレ? なにコレ、なにコレぇぇぇぇぇっ!!?
 こんなのダメだよぉっ、アセより、ヨダレより……んひゅぅっ、すごしゅぎるうっ♪ オシッコしゅごい、セーエキしゅごいよぉぉぉぉぉぉっ♪♪」
 口元から唾液を垂らし、長い髪を垂らし、舌足らずな艶声で歓喜しまくっている。
 その光景を盗み見て、ボクの手はいつの間にか再び勃起していたペニスを握り、無意識で力強く扱いていた。
 だってさっきまでオナペットにしてた人が、クチが、卑猥な淫音を響かせてる。ボクも舐めてよミツキ! パンツじゃなくて、ボクの、ボクのぉっ!!
「ぢゅちゅる! んっ……はぁぁっ、あじ、しなくなっちゃった」
 べっとりと糸を引かせ、濡れて重量感の増した下着が手を離れて床に落ちた。美月の興味が無くなったから。美月の目は次のモノが釘付けているから。
 肌色で柔らかく、クリトリスの造形まで施された筒状。穴が空いてて、非貫通で、ローションと精液が大量に混じり合って溜まってるオナニーホール。
 それを両手で包み持ち、パンツの代わりに、ソフトクリームでも舐めるよう口元に寄せる。
「さすがにコレは駄目よ、ダメよ美月! こんなの舐めたら、本当に戻れなくなっちゃう! 変態さんになっちゃう!
 砂耶から離れられなくなって、毎日セーエキ飲ませて貰わなくちゃ生きられなくなっちゃうよぅ!!
 ううっ、ううぅっ、でもぉ、でもぉっ……変態でいい、かな? ゴメンね砂耶……幼馴染みがヘンタイでゴメンねっ」
 息は荒く、頬は赤く、答えの決定していた葛藤で、視線は挿入口にガンジガラメ。
 そして、居ない筈のボクに謝罪して、舌をダラリと伸ばして、

 ぢゅぶぶぶぶぶぶっ……

 オナニーホールの中に差し挿れた。

646名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 11:38:43 ID:S7oTxUXO
>>620の続きでした。
すいません、本当に次で終わります。
647名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 13:44:27 ID:0aJkZFJn
ホワイトカレーGJ!
648 ◆uC4PiS7dQ6 :2009/01/02(金) 01:14:32 ID:UcunR8EI
ついでに、生まれて初めて書いたSSを発見したんで、記念に投下。
エロ無しで、隣に住むおねーさん的な話し。
649『ウェザーリポート』 ◆uC4PiS7dQ6 :2009/01/02(金) 01:18:02 ID:UcunR8EI
1
 雨が降った―――

 昇降口で五月蠅い雨音を聞きながら、重い空を見上げる。
「外れた、な……」
 天気予報では一日晴れだって言ってたのに、最後の授業が終わったと同時に降り出した。
 っ……たく、当てにするんじゃ無かったよ。それとも、『ヨシズミ』予報を信じて、傘を持って来なかった僕が馬鹿だったのか?
 何とかしないと、な……
 小雨ならまだしも、この土砂降りじゃあ、絶対に塗れて駄目になる。
「このケーキ、一緒に食べたかったけど」
 僕の右手に有る物は、二十日も前から予約を入れていたデコレートケーキ。
 誕生日を迎える人物の名前と、僕からのメッセージが描かれている。
「さて、どうするか?」
 受け取るのを待ち切れなくて、昼に一度学校を抜け出し、放課後まで職員室の冷蔵庫で保存していた。
 子供だと笑われても良い。早く、笑った顔が見たかったんだ。
「走るか……そうすれば、何とかなるだろ」
 さっきから何人ものクラスメイトが通るが、声を掛けて来る者はいない。別に、誰かの傘に入れて貰うつもりも無かったし、誘われても断るつもりだった。
 でもこの現実が、大切な人を、更に大切な人にする。この人しかいないと思わせる。
「急げば五分。ケースにブレザー掛ければ、間に合う」
 そう見切りを付け、走り出す。
 ━━━バシャ、バシャ。
 水を跳ねる。

 ━━━バシャ、バシャ。
 校門を出た時には、靴下まで濡れていた。

 ━━━バシャ、バシャ。
 予想したより浸透が激しい。シャツが肌に張り付いて、気持ち悪くなる。

 ━━━バシャ、バシャ。
 この角を曲がれば……

 ━━━ドン!!
「がっ!?」
「きゃっ!?」
鈍い衝撃。
……ぶつかった!?

「ぐっ……」
 何とか踏み留まる。だが、相手はそうは行かなかった。その衝撃で車道へ。
「くそっ!!」
 両手で相手の腕を掴み、自分へと引く。

 ━━━ズシャャャッ!!
 力強く引っ張り過ぎた為に、引き込んだ勢いに耐え切れず、相手ごと後ろのブロック塀に倒れる。
終わっ、た。何をやってるんだ僕は!?
「みつる……ちゃん?」
名を呼ばれ、その出所に視線を送る。
「あ、あっ……さん。どうし、て?」
 不意を付かれ、名前が出て来ない。
 けれど、買ったケーキも、浮かれてた気持ちも、どちらも目の前の人物に捧げたいと思っていた。
「ごめんなさい。大丈夫だった?」
「大丈夫だよ。僕は、ね……」
 道に転がっている開いた傘の他に、腕に別の傘が掛かってる。
 恐らく、僕を迎えに行こうとしていたのだろう。視線を横にずらすと、ズブ濡れのブレザーが、歪つな形になって水溜まりに浮いていた。
「そろそろどいてよ。重いんだ」
 最低だ。この現状も、八つ当たりしてる僕も。

650『ウェザーリポート』 ◆uC4PiS7dQ6 :2009/01/02(金) 01:23:33 ID:UcunR8EI
「みつるちゃん、怒ってる?」
「怒ってないよ」
 手を伸ばし、ブレザーを掴む。これは、見せられない。もう、形すら止めていない筈だから。見つからない様に、後で捨てよう。
「みつるちゃん、それ何?」
「何でもない」
 反射的に後ろへとブレザーを隠す。普段はぼーっとしているのに、こう言う事には気付くんだから。
「うそ。雨降ってるに、わざわざ薄着になる人なんていないよ」
 本当に……
「ケーキ、買ったんだ。甘い物を食べたくなったから」
「また嘘。私に、買って来てくれたんだよね?」
 何もかも見抜かれているんだな。
「ずいぶん、自惚れてますね?」
 ひどい事を言っているのに、それでも笑顔で……
「だってみつるちゃん、私にホレてるでしょ? 今日は私の誕生日だし」
 この人の前じゃ、僕のプライドも空かされてしまうんだ。けれど、それが気持ち良いから、僕は……
「見せて」
「きっと、ぐちゃぐちゃになってるよ?」
 負けを認め、ブレザーを解く。
「それでも良いから」
 そして、すっかりふやけた蓋を開ける。
「ほら、ね?」
 予想通り、ぐちゃぐちゃだった。綺麗にデコレートされていたケーキも、影を無くしている。
「あっ、何か字が描かれてる。これ……く?」
 チョコで描かれた字も、大半が消えていた。
「これからもよろしく」
「えっ?」

「そう、描いてあったんだよ」
 既に、意味を成さなくなってしまったけど。
「そっ、か……じゃあ、食べよ?」
「だめだよ。汚い」
 こんな物を食べたって、お腹を壊すだけだ。
「うーん、えいっ♪」
 それは分かってる筈なのに、指で表面のクリームをすくうと、自らの口へと入れた。
「やっぱり甘いよ。ほら、みつるちゃんも」
 そう言うと、同じ指でクリームをすくい、今度は僕の口前に持って来た。
「食べて……」
 こう言われて断る術を、僕は知らない。
「んっ」
 指を口に入れる。
「甘いね」
「でしょ?」
 本当は雨に当たり過ぎたせいで、感覚等無くなっていたのだが、言わないで置いた。
「それじゃあ、風邪を引く前に帰ろ?」
「どいてくれないと、立てないんですけど」
 言うと、慌てて僕の上から飛び退き、「はいっ」と手を差し伸べて来た。
「僕は良いですから、早く傘を差して下さい」
 僕がそう言っても、差し伸べる事を止めない。
「ううん。一緒に濡れて帰ろう」
 やっぱり勝てない。しかたなく手を取り、立ち上がる。
「一緒にお風呂入って、温まろうねー」
 ――ッ!!?
「くっ、ははっ」
 笑いがこみ上げる。やっぱり、勝てないなー。
「あっ、やっと笑ってくれたね、みつるちゃん!」
 そんな無邪気な笑顔をされたら、嫌でも、この人に惚れてると確認させられてしまう。
「あーあ、真奈美さんと一緒にお風呂入るの楽しみだなー」
「わっ、冗談だよー」
 雨は未だ止まらない。でも、今日の雨は好きになれるかも知れないと、そう思えた。
651名無しさん@ピンキー:2009/01/02(金) 01:27:18 ID:UcunR8EI
なんで俺はコレを投下したんだ?
激しく後悔してるんで、これはスルーしてくださって結構です。
652名無しさん@ピンキー:2009/01/02(金) 02:09:43 ID:FMtiH4mS
わかったから早く続きを書くんだ。
特にお風呂の場面を詳しく。
653 ◆POBrm2R/G2 :2009/01/02(金) 02:14:26 ID:KkqIjKfZ
>>642-645 といい、>>649-650 といい、それぞれ色の違う作品いいですね。
個人的には後者はツボです!

こんな良作の後にワタクシの駄作を投下。
辰則と美紀のクリスマス完結編「その後」を投下します。
前編:>>527-528
中編:>>567-571
後編:>>604-613

NGワードは「◆POBrm2R/G2」「辰則と美紀のクリスマス」6レス消費予定。
クリスマスイブについに恋人になったたっちゃんと私。
恋人になった後でファーストキスを瑞希に見られたり、ベッドでいちゃついてたとこを実の両親に見られたりって言うハプニングはあったけど。

ペアリングは翌日買いに行った。買った指輪はデザインが素敵なシルバーリング。
いつでもどこでも填めていたいなぁ、って思ってたら、『没収されたりしたら困るから、学校にはつけていかないようにな?』って釘を刺された。
たっちゃんの正論にうなだれていたら、『もし指が寂しかったらコレ使っていいから』って、視線を逸らしながら手を差し出してきた。
たっちゃんの突然の提案に顔がにやけちゃって、照れ隠しにたっちゃんの胸に顔を埋めて「バカ」って思わず怒っちゃった。

夜はたっちゃんのパパママが海外から帰ってきたので、たっちゃんの家で合同パーティー。
お互い両親が無類のお酒好きで、しかも私達が付き合いだしたって言う酒の肴があったせいで大騒ぎになった。
「ついにウチのバカ息子にも彼女が出来たかっ!」
「いやいや、辰徳クンはなかなか出来た男ですぞ?10年も一途に想い続けるなんてなかなか出来ませんよ。」
「ただのヘタレなんですって辰徳は。男なら好きな女の子を押し倒しちゃえばいいのに。」
「うふふ♪たっちゃんは紳士さんですからねぇ♪優しくて、お料理も上手で、美紀にはもったいないくらいの男の子ですよ♪」
実の息子を貶す親と、義理の息子(予定)を褒めまくる親。普通逆じゃないのかな?
「息子よ、そういえばまた料理の腕を上げたんだってな?つまみ作れ〜!今すぐに!なに材料がない?これで買ってこい!10分以内に!」
「久しぶりの息子の料理楽しみだわ〜♪」
「そう言えば義理の息子になってからは初めての宴会ですな。美紀、コレで何かめでたいもの買ってきなさい。めでたいだけに『たい』だぞ?あっはっはっは!」
「お父さんおやじギャグはいただけないわぁ♪あ、美紀、お酒の追加もよろしくね♪」
そして結局料理を作らされるハメになるたっちゃん。
酔っ払い達のから騒ぎに疲れたのか、たっちゃんはため息をつきながら、
「・・・とっととつまみ作って、コレら置いて先に寝ちまおう。」
と漏らした。コレ扱いは酷いけど、私もこの人たちには着いていけないよ・・・

そんな感じでたっちゃんのご両親にも説明し、お互いの両親も公認で付き合うことになった。
あの日からエッチなことはしていないんだけど、それでも出来るだけ一緒のベッドで寝るようになった。寝る場所は私の家だったりたっちゃんの家だったり。
例えたっちゃんの言ってた説が眉唾だったとしても、一緒に寝るって言うだけなのにひどく安心する。
しかもたっちゃんは寝る前にマッサージとかハグとかのスキンシップをしてくれるから、とっても嬉しい。
年明けてからはちょっとの間離れ離れに。毎日たっちゃんからメール来てたし、夜は電話したから寂しくは無かったけど。えへへ♪

5日はたっちゃんを連れてみんなと遊んだ。その時に紀子と湊には付き合い始めたことを話したら、二人とも絶句してた。
その場に偶然居合わせた瑞希がフォローしてくれたお陰で二人とも諦めてくれたけど。
でも、瑞希がいつの間にか撮っていたキスシーンの写真を出されたときは私もたっちゃんも恥ずかしくて怒ったけど。
その後、湊が珍しくこんな事を言ってきた。
「ねぇ、美紀、海神君、付き合い始めたからって、私たちと遊ばなくなるなんてこと、無いよね?」
「美紀が嫌がるなら別だが、俺はそんな事しないよ。知り合いが変な男ひっかけても困るしな。」
「たっつー、キミは二人のパパなんですか?実は二人とエンコーしてたとか!?いやーん、不潔ー!」
「どうやったらそこに思考が着地したのか教えていただきたいんだが佐々木さんよ?」
「あはは、まぁまぁ、いつもの瑞希じゃん?と言うか、私も別に構わないよ」
「ミキティ、ナニゲに毒舌だよね・・・のりぴ〜!」
「はいはい、たまには瑞希も反省しようね?」
「紀子まで敵かっ!?みなっち〜!」
「あはは・・・海神君は女の子をお金で買うような人じゃないもんね」
「四面楚歌だ〜!」
「あははははっ!!!!」
とまぁこれからの付き合いも変わらずってことで。
ただ湊はまだ狙ってる節があるから気になるんだけど・・・
その日の夜はたっちゃんにお願いしてご飯を作ってもらった。最近はあんまり家でまったりしてなかったしね。
ご飯の後はソファの上でくっつきながらお話タイム。
「そういやたっちゃんのパパもママももう行っちゃったんだね」
「『コレが無くなったらバイトでもするんだな』って書き置きと現金15万円が今朝机の上に置いてあったよ。多分小遣い兼今月の食費だろうけど。相変わらず挨拶とかなしで行っちまったよ」
「あはは・・・」
「まぁ暮らせればどうでもいいけどな」
そういやたっちゃんがこの家で一人暮らしし始めたのが中2になった頃だっけ。
それ以来、ご両親は年数回しか帰ってこなくて、帰ってきて数日いたなと思ったら現金を置いてふらっとまた出て行っちゃう。だから、私もたっちゃんのご両親に会う機会があまり無い。
そんな親なのによくグレないよなぁ、っていつも感心するけど。
「昔から思ってたんだけど、よくグレたりしなかったよね?」
「そりゃ、好きな奴がいたからな。グレてる暇があるなら自分磨きしたほうがよっぽどいいさ」
いつもの柔らかい視線で、遠回しに『ずっと美紀のことを考えてた』って言われたこと理解して、顔が熱くなる。
「・・・ばか」
「バカで結構。事実、美紀と付き合い始めてからかなり浮かれてるからな」
「――っ」
本当に卑怯。まるで麻薬のように、たっちゃんの甘い言葉が私を鋭く、深く抉ってくる。
「たっちゃんなんて嫌い。好きだけど、嫌い」
「なんだそりゃ?」
「これ以上私を惚れさせてどうする気?私、たっちゃんなしじゃ生きていけなくなっちゃうよ?」
「別にいいんじゃないか?俺だって美紀から離れることなんか考えられないからな」
そう言いながら、たっちゃんはさらに強く抱きしめながらキスをしてきた。
たっちゃんの言葉、心地良い抱かれる感覚、柔らかくて甘いキスの感触。
全てが私を縛り付ける鎖。私は甘い甘い牢屋にとらわれてしまった、可哀想な女の子。
恋っていう甘い牢屋に捕らわれた私は、我慢できなくなって、とても卑猥なおねだりをしてしまう。
「ねぇ、たっちゃん、もう私、我慢できないよ」
「俺もだ。美紀が欲しい」
「・・・うん♪」
私の卑猥なおねだりは牢屋の主に了承され、私たちはキスという契約を交わした。
「はうー・・・緊張するー・・・」
今私は、たっちゃんの部屋の布団に包まり、たっちゃんがお風呂から出てくるのを待っている。
瑞希から聞いた話だと『初めて』はものすごく痛いらしい。雑誌には千差万別って結果にはなってたけど、やっぱり身近な人の話を聞くとそれを信じちゃうよね?
とりあえずバファリン飲んどけば痛くないかな?と思ってたときに、
「美紀、開けても大丈夫か?」
「ひゃい!う、うん!大丈夫だよ!」
不意にドア越しにたっちゃんに話しかけられて、変な返事になっちゃった。
「ちょっと遅くなっちまったな。ごめん」
「ううん!大丈夫大丈夫!」
「・・・?」
「な、なにかなたっちゃん?」
「美紀、緊張してるのか?」
「な!何を言ってるのかなぁ私のカレシさんは!わ、ワタシ全然キンチョウしてナイヨ!」
「ところどころ発音がおかしいぞ」
「そ、そんなこと・・・っ!」
たっちゃんが上半身裸のまま、私の頭を自分の胸に当てるように抱きしめてきた。
ドクンドクンってたっちゃんの心臓がビートを刻んでる。なんだか少し落ち着くな・・・
「俺だってな、緊張してるんだ。わかるだろ?」
「・・・うん、ドクンドクンっていってる音が、すごく早い」
「一緒なんだから、無理に虚勢張るなよ」
「・・・うんっ♪」
素肌で触れ合うって、すっごく恥ずかしいんだけど、こんなに心地良いんだ。
「たっちゃん、もう大丈夫。ありがとっ!」
「・・・じゃ、電気消すか」
私の反応に照れたたっちゃんは電気を消そうと私から離れようとしたから、私は離すまいとたっちゃんの腰に手を回す。
「なぁ、美紀。これじゃ電気を消せないんだが」
「・・・いいの」
「いいのって、お前・・・」
「初めてたっちゃんに裸見られるのはとっても恥ずかしいけど、いいの。たっちゃんに全部見てもらいたいから、いいの」
「・・・わかった」
私の裸を見て、なんてとってもエッチなお願いだと思う。でも、たっちゃんになら見られたいのは本当だから。

「ん・・・んはぁ・・・んん・・・」
「ちゅ・・・ちゅく・・・ん・・・」
私のベロとたっちゃんのベロが触れ合う。この間もしたけど、このキスは他の人には許しちゃいけないキス。
だって胸がきゅんって切なくなって、キスしてる人のことしか考えられなくなっちゃうんだもん。
「はぁ・・・ね、たっちゃん」
「ん・・・なんだ?」
「そのまま動かないでね?」
「はいよ」
座ってるたっちゃんに背中を向けて、脚の間に座る。そして、巻きつけてたバスタオルをほどいて、
「み、美紀!?」
「たっちゃん、腕を前に出して?」
「え?え?えーと、こ、こうか?」
私の横からにょきっと出てきたたっちゃんの腕、と言うか手を取って、そのまま私の胸に触れさせる。
「ん・・・そのまま軽く揉んでみて?」
たっちゃんの大きな手ですら包みきれない私の大きな胸。私の後ろでたっちゃんがものすごい興奮してるのが分かって、ちょっと苦笑い。
「ん・・・はぁ・・・気持ちいいよ、たっちゃん・・・」
たっちゃんが優しく私の胸を揉んでくれる。オナニーの時の想像と同じような優しさで、想像よりも大きな感触で。
思わず私の口からいやらしい声が漏れて、おっぱいの先の方がが堅くなるのが分かる。お腹の奥から何かがあふれてくる感覚も、いつもより鋭い。
「ね、たっちゃん。胸の真ん中に、堅い部分があるでしょ?それが私の感じる場所だよ」
「ここが感じるのか・・・触っていいか?」
「うん。でも優しくしてね?」
「分かってるよ」
たっちゃんが指先でおっぱいの先っぽに触れてくる。最初は優しく、徐々に触るだけじゃなく、つねってきたり、ぐりぐりと押し込んできたり。
つねられると体がビクンって反応しちゃって、余計にいじめてくる。息が荒くなって、お腹の奥のほうが切なくなってくる。
と言うかいつの間にか脚がモジモジと動いて、その動きのせいでクリトリスがやわやわと刺激される。
クリちゃんにも触れて欲しい、そう思った私の思考はいつの間にかたっちゃんの腕を掴み、下に導いていた。
「ねぇ、たっちゃん・・・ここね、このちょっと硬いところなんだけど・・・」
「ん・・・なんだかヌルヌルしてるな」
「やぁん・・・恥ずかしいよぉ・・・んんっ!そ、そこなんだけど、そこもいじって・・・?」
「わかった・・・てか美紀、すごい濡れてるな・・・」
「やっ!い、言わないで・・・」
たっちゃんがエッチな言葉でいじめてくる。恥ずかしいんだけど、それもちょっと快感になっちゃってる。私、へんたいさんなのかな?
そんなことをぼーっとする頭で考えていたら、さっきよりも強く、激しい快感が体を駆け巡ってきた。
「ああっ!や!たっちゃんそこ!そこダメなのぉ!」
「ん?ダメなのか?さっき美紀に言われたとこを触ってただけなんだけど・・・」
私がダメって言ったことで、たっちゃんが動きを止めちゃった。ダメって言っても嫌なんじゃないんだけどなぁ。
「や、ダメって言うのは気持ちよくておかしくなっちゃいそうって事で・・・」
「ああ、そういうことね。じゃ、続けるぞ?」
「うん・・・でも、本気で嫌がったらやめてね?」
「わかったよ」
「おねがああっ!いきなりしな、ふあ!いでんんんっ!」
私が喋ってるのにいきなり人差し指と中指でクリちゃんを撫で始めるから妙にエッチな声になっちゃって恥ずかしくなる。
その反応に気を良くしたのか、責め方を変えないでしつこくクリちゃんを撫で続けるたっちゃん。
あこがれてた人にエッチな事されちゃってるって言う事実だけでヤバイのに、そんなに激しくされたら限界が近くなっちゃう。
「ダメダメダメ!たっちゃん!」
「気持ちいいか?」
「うん!うん!でもイっちゃうからやめて!」
「いいよ、一回イっちゃいな」
「がま、できない!イクイクイク!あああああああああっ!」
何を口走ったのか分からないけど、たっちゃんに『イっちゃいな』って言われたせいでふわーっと体が浮いて、思考が全部吹っ飛ばされちゃった。
体が自分のものじゃないみたいにビクンビクンと跳ねる。はぁはぁと荒い息を吐くことしか出来ない。
「美紀、イったのか?」
「うん・・・イっちゃったぁ・・・」
「そうか。良かった・・・」
「ふぇ・・・?」
「この後痛いことするからな。少しでも気持ちよくなってくれればちょっとは違うかなって思ってな」
「えへへ・・・たっちゃんやさしーんだから・・・」
「そ、そんなこんんっ!」
たっちゃんの気遣いが嬉しくって、のしかかって私からキスをする。
キスをしながら気付いたんだけど、たっちゃんの方も準備万端みたい。
「ねぇ・・・たっちゃん・・・もう私は大丈夫だから、そろそろたっちゃんと一緒になりたいよ・・・?」
「う・・・わ、わかった。だが、ちょっと待ってくれ」
「うん♪待ってるよ・・・♪」
たっちゃんが後ろを向いていそいそとしだした。もしかして、ゴムかな?
「こ、これをこうして・・・よ、よし!できた・・・美紀!い、いいか?」
「うん・・・♪」
「こ、ここか?」
「ちょっと上過ぎ・・・あんっ♪そ、そこは別の・・・」
「あ、な、なるほど。じゃ、じゃあここらへん・・・か?」
「あ、そこだよ。そのまままっすぐ来て」
「う、うん」
ちょっと苦労したものの、無事に入れるべき場所を見つけ、私の中へと進んでくるたっちゃん。
私の中が引き裂かれるような感覚に、声が出せなくなる。
「〜〜〜〜〜!?」
「う、うああっ!なんだこれ!?ヤバッ!」
「ぃ・・・ぁ・・・」
「み、美紀ごめん!痛いだろ!?」
「う、ううん・・・!こんなのいたくなっ・・・〜〜〜〜〜!!」
痛くないって言おうとしたけど、やっぱ無理。痛いものは痛いんだもん。でも、たっちゃんとしっかり繋がりたい。
「痛い・・・けど、ちゃんと奥までして?」
「・・・分かった。じゃあ続けるぞ」
「うん・・・っ!?」
痛くて逃げたくて、でも逃げたくないから我慢する。声にならない声で痛いと叫ぶ。
「〜〜〜〜〜!」
「うあ・・・入った・・・入ったぞ、美紀」
「う、うん。いったぁ・・・」
「ごめんな」
「ごめんって思うなら抱きしめてくれないかな・・・?」
「うん。分かった」
たっちゃんがぎゅって抱きしめてくれる。全部繋がった上で抱きしめてくれる。
その事実に嬉しくなって、少し痛いけどお腹の中がきゅんってなる。
「って美紀!動かすなって!」
「え?動かしてないよ?」
「な、中がグネグネしてやばいからっ!」
「そんなこと言われてもどうやったら止められるのか分からないよぉ」
「あ、もう無理!うあああっ!」
「はうっ!」
たっちゃんのが中でビクンビクン震えてちょっと痛い。・・・って言うか、もしかして?
「た、たっちゃん、もしかしてイっちゃった?」
「・・・言うな」
「え、えへへっ♪」
「可愛くしてもダメ。傷ついたぞ・・・」
「ご、ごめんってばぁ!」
痛かったけどたっちゃんの意外な事実(早撃ちさん)ということが分かってしまった、私たちの初めてのセックスはあっけない幕切れとなってしまった。
「なぁ、美紀」
「ん〜?なあに?」
「やっぱり早いよな・・・」
「さっきのこと?」
「うん・・・」
ベッドで横になりながら、先ほどので自信を失ったたっちゃんが私に愚痴ってくる。私は全然気にしてないのになぁ。
「私は全然気にしてないよ?」
「・・・本当か?」
「うん。それにね、たっちゃんが私の中で気持ちよくなっちゃったから、ああなったんだよね?」
「・・・うん」
「だからいいの。と言うか最後までちゃーんと出来て嬉しかったんだよ?」
「・・・そうか」
「うん♪だから気にしないで?」
そう声をかけながら、たっちゃんに抱きつく。裸で抱きつくのってすっごく気持ちよくって、思わず甘えんぼになっちゃう。
「ね、ね!頭撫でて?」
「・・・はいはい」
呆れたように、でもどこか安堵した雰囲気のたっちゃんが私の頭を撫でてくる。その心地いい感じが私を少しずつまどろみへと誘う。
「たっちゃん・・・ちょっと眠たくなってきちゃった・・・」
「俺も疲れて眠くなってきたよ・・・寝るか」
「うん・・・ね、寝る前にキス、して?」
「ああ・・・」
ゆっくりと優しい、触れるだけのキス。流れ込んでくる優しさに包まれて、私は落ちていく。

「たっちゃん・・・おやすみなさい・・・」
「だいすき、だよ・・・」
660 ◆POBrm2R/G2 :2009/01/02(金) 02:19:00 ID:KkqIjKfZ
以上で終了。お粗末さまでした。
661名無しさん@ピンキー:2009/01/02(金) 03:53:32 ID:ppfNsx7G
GJ
畜生…俺だって今年こそは幼馴染作…れないな
662名無しさん@ピンキー:2009/01/02(金) 04:38:02 ID:11en6tsW
ヒャッハー!GJだー!
エピローグとか期待してみていいかのう
663名無しさん@ピンキー:2009/01/02(金) 12:32:01 ID:lXxK6lUU
しょうがつからフルオッキしてしまた
664小ネタ・『全自動人間発火装置』 :2009/01/02(金) 12:49:37 ID:8H4iRliD
「う〜、寒い〜〜」
 俺の幼馴染みがかたかた震え始めたのが三日前。
 いつも俺の家に勝手に上がり込んでは好き放題している一夏も、寒さには弱い。
 ヒーターで対応してみたものの、ヒーターの前にぺったりと張り付いてしまった一夏は、多分凄く危ない。
「そんなにひっついてると発火するぞ」
 そう言って一夏をヒーターから引っぺがそうとしたのだが、一夏は大きく身体をねじって俺の手から逃げだすと、ヒーターにしがみついた。
「やだっ!こっから動いたら寒くて死んじゃうんだからっ!!」
 こうなったら一夏をどうにかするのは至難の業だ。
 これでも一応女の子なので、俺が触れてはいけない部分が沢山存在する。
 と言うか、むしろ触れちゃいけない所だらけな身体の穏便な部分だけに触れつつ、暴れる一夏をヒーターの前から除去するのは不可能に近い。
 俺は溜息を吐いて一夏を見下ろすと、すたすたとヒーターの後に歩いていき、
「えい」
 ヒーターのコンセントを引っこ抜いた。
「ちょっ……卑怯狡い反則っっ!!!!」
「あ〜はいはい、分かったからいい加減ヒーターから離れろ。それはもう何も出てこないただの箱だぞ」
「コンセントつけてよ! こんな寒いと凍死する〜!」
「しないだろ普通。それよりお前が発火する方が早い」
「だって、こんな寒いのに炬燵も何にもないなんて酷いっ!!」
「生憎炬燵布団はクリーニング中だ。誰かさんが柚子茶を盛大にこぼしたせいでな」
 じろりと睨むと流石に一夏も何も言えないらしく、挙動不審に口笛などを吹き始めた。
 しかも口笛が下手なので、傍目にはひょっとこの真似をしてふーふー息を吹いているようにしか見えない。
 ああ、間抜けだ、こいつ。
 俺が呆れた顔で見ていると、一夏は自分から注意が逸れたと思ったのだろう。
「隙ありっ!」
 素早い動作で立ち上がり、俺の手からコンセントを奪おうと飛びかかってきた。
 だが悲しいかな、俺と一夏じゃ身長差がある。
 俺がコンセントを持った手をひょいと上げると、一夏の手は虚しく空振りし、その上勢い余ってヒーターのコードに足を引っかけ、見事に転んだ。
「……っきゃああ!?」
 べちゃ、と言う音がしたように思う。
イモリみたいな格好で床に這い蹲った一夏は、何というか、非常に。
「馬鹿だ……」
 あんまり馬鹿なんで暫く放っておくと、今度は床で手足をわさわささせながら、しくしくと嘘泣きを始めた。
「寒いよ〜、痛いよ〜、人の冷たさが心にしみるよ〜〜」
 炬燵布団がクリーニングから帰ってくるまであと四日。
 明日の天気予報が雪だったことを思い出して、俺は重くて長い溜息を吐いた。
 


正月早々の新作ラッシュに便乗投下。
今年も良い幼馴染みがこのスレで拝めますように。
665名無しさん@ピンキー:2009/01/02(金) 19:30:52 ID:fmrTUXYP
みなさんGJ!
666名無しさん@ピンキー:2009/01/04(日) 14:16:53 ID:1oLtsRjv
ええい、ぬくもりを求めて幼馴染に抱きつく続きはまだか!
GJだと言わせてもらおう!
667名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 07:52:07 ID:prDsX79A
ぐっじょおぶ
幼馴染とお雑煮食べたい
668お雑煮:2009/01/08(木) 21:09:44 ID:jyqHa2xi
「……ん?」
 走り始めたばかりでまだ団子状態の駅伝に飽きて、少しぬるくなり始めたお椀に目を移すと、
なにやら茶色がかった物体が増えている気がする。というか増えた。
「入れたろ」
「違ふよ」
 白々しく餅を頬ばりながら首を振られても。
「お前なぁ、俺だって椎茸あんまり好きじゃないんだよ」
「私、嫌い」
「レベルの話じゃないんだ。人ん家で雑煮食っておきながら好き嫌いすんな。ましてや人に押し付けるな。
いい大人が――」
「よそではやんないもん」
 俺は例外かよ! 同じ例外ならもっといい思いできるのがいいよなぁ。
「ってか昔は食えたじゃん」
「大人になるって悲しいものよ? 知りたくなかった……菌だなんてっ」
「イメージ先行かよ! 俺は味が嫌いなんだ。レベル高いだろ。むしろ俺の分も食え」
 箸で自分の分もまとめて差し出すとそっぽを向かれた。
「いやだしー。そうだ! 私たちのお雑煮はノン椎茸にしよう」
 これは名案。とばかりに手を打つ姿を見ながら、冬のボーナスで指輪を買いにいくべきか、そんなことをふと思った。
669名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 00:26:17 ID:PBgDCBgJ
GJ!
仕事が早いね

キノコ食えない俺としては親近感沸きまくりwww
670名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 00:41:36 ID:7aIMnqtk
股間のキノコは食わせてる癖になwwwwwwww
671名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 09:30:59 ID:tdNDicb0
下ネタじゃねぇか!


【某芸人風に】
672名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 10:00:49 ID:bBSgeaZ/
>>668
俺が椎茸食べるから幼馴染をください…
673名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 12:21:12 ID:rdEBonDW
じゃあ俺が幼なじみ食べるから椎茸やるよ
674名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 17:26:49 ID:cT8zQnKa
好き嫌いしない俺がまとめてもらってくわ
675名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 02:45:10 ID:OFyjrG5e
ツンデレ幼馴染みの足を舐めさせられたい
676名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 02:50:36 ID:DnWN7+Zj
むしろ足を舐めさせてもらう
677名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 11:26:51 ID:ZmdfXXeO
>>676、あんた本気なの? 土下座までしちゃってぇっ……ふふっ、本気で私の足を舐めたいんだ?
 だいたい恥ずかしくないの? 幼馴染みの私だから良いけど、他の人にこんなこと胃ったら警察に連れてかれちゃうよ?
 くすっ、わかってるわ。ちゃんと舐めさせてあげるから、あんっ♪ そんなにがっつかないの♪
 ストッキング脱ぐから待って……はっ? ストッキングの上から舐めたいの? どんな変態よ……頭痛い。
 んんっ!? くすぐった。足の裏なんて、よく舐めれるわね? ほんと、凄い変態。幼馴染みヤメたくなったわ。
 へぇ? はっ? 縁を切っても良いからこのまま舐めさせてくれ?
 フザケないで! はぁん、くっ……絶対に離れないからねっ!?
 あんたみたいな変態は、私が面倒見てあげないとダメなんだからっ!! 放さないんだからぁっ!!
 ふぅっ、ふぅっ、はぁぁっ……そうね、ずっと一緒にいるなら、好きなだけ舐めさせてあげる。
 ほら>>676。あんたの唾液でドロドロになっちゃったわ。足の裏も、指も、ストッキングも。
 このドロドロでぐちゅぐちゅな足で、どうして欲しいの?
 ふふっ、膨らんでる>>676の……足で擦って欲しいんでしょ?」
678名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 13:59:47 ID:jkxOW4eu
ぐああああああああああ
毎日起こしにきてくれるようなツンデレ幼馴染物がよみてえええええ
誰か書いてくれええええええええ
679名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 17:52:21 ID:A5Jr/VbC
「ちょっと>>678! いつまで寝てるの!? 早く起きないと、こっ、こうしてやるだから……ちゅ」
680名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 19:42:47 ID:H8NIKq1u
何この流れ
681名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 19:42:59 ID:jkxOW4eu
>>679
頼む、それを長編にしてくれええええ
俺は文才が無いから無理なんだ
682名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 00:51:07 ID:63heKC/b
文章なんてその気になって勉強すれば誰でも書けるだろ。
文才がないなんて言ってるのは、やる気のない奴だけだ。
683名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 01:14:43 ID:vjoKC3XS
ツンデレ幼馴染にオナニー見学されて手コキされて足コキされてオナホ責めされるボイスドラマがあったなぁ
M男向けボイスなので挿入ないけどオナホで童貞奪われて責任とってあげる一生逃がしてあげない言われて最高だった
684名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 01:34:31 ID:eGRF4a/1
なんて名前のCD?
是非欲しい
685名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 01:42:01 ID:373O08Jj
アイロンウェアーだな
たしかDL販売しかなかった希ガス
686 ◆POBrm2R/G2 :2009/01/11(日) 03:14:06 ID:jRn2pDit
辰則×美紀のエピローグ、ではありませんが、続き話を投下。
4レスお借りいたします。NGワードは「◆POBrm2R/G2」「未来の僕へ」
687未来の僕へ(1/4) ◆POBrm2R/G2 :2009/01/11(日) 03:14:48 ID:jRn2pDit

    未来のボクへ

未来のボクは、美紀ちゃんとなかよくしてますか?

今のボクは、美紀ちゃんがすきです。

これを読んでいる未来のボクは、まだ美紀ちゃんのことが好きですか?

それとも、べつの人が好きですか?

できれば、この手紙を書いていたころと同じように、美紀ちゃんをすきでいてください。

そして、美紀ちゃんにいっぱいのよろこびをあげてください。

きっと、その思いは美紀ちゃんにつたわると思うから。

7さいのボクから、未来のボクへ

688未来の僕へ(2/4) ◆POBrm2R/G2 :2009/01/11(日) 03:15:21 ID:jRn2pDit

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

美紀と付き合い始めて2週間とちょっと。学校も冬休みを終え、いつも通りの生活に戻った。
いや、いつも通りというのには語弊があるな。美紀と一緒に登下校するようになったし、それをクラスメイトに茶化されるようにもなったな。

それはともかく、冬休み開けの最初の休みの日、ちょっと部屋が散らかり始めたので押入れも含め掃除していたら、押入れの奥の方からなにやら古びた箱が見つかった。
その箱を開けてみると、それは昔の俺が書いたタイムレター、とでも言うのだろうか?そんな品が発掘された。
他にも美紀と一緒に写った写真や、美紀から貰ったのであろう手紙など、懐かしいものがたくさん入っている。
その中でも一番、目に留まったのはこの手紙。とても拙い文章だけど、美紀への想いがとても詰まっていて、ちょっと前の俺が忘れかけてた、人を純粋に好きになる気持ちが蘇ってくる。
当時の俺が何でこんなものを書いたのか、今となっては忘れてしまったが。
美紀に見せるのはちょっと恥ずかしいが、どういう反応をするのか気になったので、後で美紀の部屋に行くときにでも持っていくか。

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

「へぇ、昔のたっちゃん、そんなことやってたんだ」
「俺も何でやったのかは覚えてないけどな」
今は例の箱を美紀の部屋に持ち込み、それをネタに話している。
「わ!こんな手紙とか写真が残ってたんだ!なつかしーね♪」
「あー!こんなこと手紙に書いてたんだ・・・恥ずかしーなぁ・・・」
まぁ話している、というよりは美紀が1人で盛り上がってる気がしないでもないが。
「む、今たっちゃんなんか失礼なこと考えてない?」
「いや、それより俺の手紙を見てくれないか?」
「むー、なんか話を逸らされた気がするんだけど・・・」
「気のせい気のせい」
不承不承、美紀は俺の手から手紙を受け取り、手紙を見始めた。
「へたくそな字でごめんな。読めるか?」
「・・・」
「美紀?」
返事をしないので美紀の方を見ると、美紀は目尻に涙を浮かべ、口をぎゅっと結び、涙がこぼれない様にこらえていた。
「美紀!?ど、どうした?な、なんか変なことでも書いてあったか?」
「・・・ううん、むかしのたっちゃんがね、私のことを好きでいてくれて、今のたっちゃんも好きでいてくれて、
 今のたっちゃんはこの手紙を忘れてたのに、内容を守ってくれてて、とっても嬉しいの・・・」
「・・・そうか、でも気持ちに偽りはないから、安心しろ」
「うんっ!うんっ!!」
美紀が俺に抱きついて嗚咽し始めた。俺は美紀を抱きしめ、髪を優しく撫でてやる。

「たっちゃんは本当に卑怯」
「は?何がだ?」
美紀が泣き止んだと思ったら、突然そんなことを言い出した。
「いつも優しくしてくれたりとか、いきなり告白してきたりとか、こんな手紙を書いてたとか。いっぱいいっぱい嬉しすぎて、恩返しできなくなっちゃうよ」
「いや、恩返しなんかしなくていいから、今までよりも好きでいてほしいな」
笑顔で頷いてくれるとおもったら、ちょっと考え始めた。
「・・・じゃあ、試してみたいことがあるんだけど、いい?」
「ん?試してみたいことって何だ?」
じゃあって何だ。別に恩返しとか要らないんだけどな。
「・・・あのね、たっちゃんのを、な、舐めてみたいんだけど・・・」
「・・・え?」
「だ、だからぁ!・・・たっちゃんの、お、おちんちんをね、な、舐めてみたいの・・・ダメ、かな?」
恩返しの方向性が意外すぎてさすがの俺でも動揺を隠せない。
「い、いやいや、ダメじゃないんだけどダメというか、これ汚いし、俺すぐイっちゃうし」
「・・・ダメ?」
「うぐっ・・・」
さっきまで泣いてたせいで潤んだ瞳、しかも上目遣いで見つめられて、エッチなお願いをされた男が『OK』以外の答えを言うであろうか。いや、ない!
「わ、わかった。で、でも先に風呂に入らせてくれるか?」
「・・・うんっ♪」
せめてもの頭を冷やす時間が欲しかった俺は、とりあえず風呂に入ることにした。
風呂の中でそのことばかり考えてしまい、結局冷やすどころか加熱させる結果にしかならなかったのだが。
689未来の僕へ(3/4) ◆POBrm2R/G2 :2009/01/11(日) 03:15:57 ID:jRn2pDit
彼女(幼馴染)に昔の手紙を見せたら、フェラされることになった。どうしてこうなったのかはよく分からない。
エロゲスキーで某掲示板ユーザの和也にこんなことを言ったら、多分『sneg』と返ってくることだろう。俺自身ですらそう思うんだがな。

「じゃ、じゃあお願いします・・・」
「は、はい!お願いされますっ!」
そして始まってしまった、ある意味初体験。
「こ、これが普通の状態、なの?」
「あ、ああ。」
美紀に見られている、それだけで俺のアレが熱を帯び、硬さを取り戻す。
「わあっ!何にもしてないのにおっきくなってきてる!」
「・・・美紀に見られるのは恥ずかしいんだが・・・」
「じゃあ見られておっきくしちゃってるたっちゃんはへんたいさん?」
「ち、違う!」
と思う。そんな趣味はない。と脳内で言い訳していたら、美紀が前振りもなく触ってきたので、聞かん棒が勝手に反応する。
「うっ!」
「わっ、ピクンってした!・・・コレって熱くて硬いんだね」
「自分ではよくわからんが・・・」
「どうすると気持ちいいの?」
「・・・言わなきゃダメか?」
「うん、ダメ♪」
笑顔でそんなこと言わないでくれ、こっちが恥ずかしくなるから。
「・・・とりあえず軽く上下に擦ってくれ」
「こう?」
「うううっ・・・」
「これが気持ちいいんだ?へぇ♪」
俺の彼女は人がよがるのを楽しんでるようだが、『うう』とか『うあ』とか情けない声をあげることしか出来ない。
美紀に触られてるって事実だけで結構ヤバイのに、強烈な追撃が来た。
「じゃあこれはどうかな?」
美紀が先のほうを舐めたせいで、痺れる様な快感の電撃が体を駆け巡る。
「うああっ!」
「たっちゃん、気持ちよかった?」
「あ、ああ・・・」
「えへへぇ♪じゃあ続けてあげるね?」
美紀が愛しそうに、優しく頭を、竿を舐めてくる。一回一回の刺激が強すぎて、情けなく声をあげる。
自然と手が美紀の頭を掴み、離れないよう押さえつけてしまう。
「うあああっ!なんだこれっ、溶けちまうっ!」
突然美紀がアレを口に含んだせいで、妙なあえぎ声が出てしまう。
「ひもひいい?」
「み、美紀!しゃぶりながら喋るなっ」
咥えられながら喋られると、舌の動きが複雑になって色んなところが刺激される。
「ほめんほめん♪」
「うあ、だ、だからっ!ああっ!」
ごめんごめんと言った後、口で絞りあげるような動きで口撃し始め、限界が近くなる。
「み、美紀はっ、どこでっ、そんな技覚えっ、るんだっ!」
「ほんらよ〜、ひもひいい?」
「や、ヤバイっ!イキそうだっ!」
「いっへいいよ♪」
と言った後、手で幹を擦りながら先のほうを口で擦るようにしてきた。
「うあああっ!美紀っ!イクっ、から離せっ・・・!」
全身の感覚が美紀に愛撫されてる部分に集中する。足とか手が妙な力が入ってる気がするが、それすらも良く分からない状態だ。
奥のほうから精子が競りあがってくる感覚。どこに出て行くのも分からない。ただ出したい。
「んんっ!?」
第一射、発射。どうやら美紀は離さず口で受け止めたみたいだ。このまま美紀の口の中を犯したい衝動に駆られるが、我慢。
「美紀っ、早く離れろっ!」
「んん〜〜〜!!!」
美紀は首を振ってイヤイヤとする。それがさらに刺激となり、第二射、第三射が発射される。
「んんっ!えほっ!えほっ!」
勢いと量のせいだろう、美紀がむせ始めた。
「だから離れろって!」
それでも美紀は離れてくれない。目をぎゅっと瞑って、むせながらも俺の射撃から耐えている。
690未来の僕へ(4/4) ◆POBrm2R/G2 :2009/01/11(日) 03:16:35 ID:jRn2pDit
全ての発射が終わり、全身がだるい感じに襲われる。このままベッドに倒れこみたいが、その前に美紀をアレから離さないとツライ。
「美紀、もう全部出たよ。離してくれ」
「ん♪」
「ほら、ここに吐き出せよ」
美紀にティッシュペーパーを渡すと、さすがにつらかったのか、むせながら吐き出した。
「ごほっ、こほっ・・・はぁ、コレって苦いんだねぇ」
「だから俺は口を離せって言ったのに・・・」
「あはは、大丈夫だと思ったんだよぉ」
「まったく・・・」
苦かったのか、舌をべーっと出して言い訳をする美紀。
「ね、たっちゃん、気持ちよかった?」
「・・・ん、よかったよ。ありがとな」
そう言いながら、頭を撫でてやると、気持ち良さそうに目を細めて、俺の胸に寄りかかってくる。
ふわりと漂う美紀のシャンプーの香り、美紀の暖かさが伝わってきて、心が温かくなる。
「美紀」
「なに?」
「とりあえず口をゆすいで来い。気持ち悪いだろ?」
「うんっ」
さすがに口の中が気持ち悪いのか、さっさと洗面所に行こうとする美紀に、感謝の言葉を伝えたくなった。

「・・・美紀」
「うん?」
「ありがとう、愛してるよ」
「・・・うんっ♪」
691 ◆POBrm2R/G2 :2009/01/11(日) 03:17:14 ID:jRn2pDit
以上で終了です。お粗末さまでした。
692名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 03:49:48 ID:rtDuYzza
GJすぎる!!
次は足か……?
693名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 12:55:38 ID:PUf78SY6
>>691
最高や!!!!
次は何をするきなんや!
694名無しさん@ピンキー:2009/01/12(月) 02:20:40 ID:TtDUhhiI
>>691
ご馳走さまでした


俺、死ぬ直前は「幼馴染が…欲しかった…ぜ…」って言う事にしたんだ
絶対に言うんだ
695名無しさん@ピンキー:2009/01/12(月) 14:33:10 ID:V0xdwJOV
美樹エロすぎるよ美樹


ところで、そろそろ次スレの時期だな
696名無しさん@ピンキー:2009/01/12(月) 14:34:13 ID:V0xdwJOV
ごめんよ美紀orz
697名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 15:47:49 ID:frKiFvfg
ツンデレ幼馴染物が読みたい・・・グスッ
698名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 20:49:43 ID:0U4UPnU/
華麗な彼氏の続きをずっと全裸で待ってます
699名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 22:27:56 ID:Kz06p41c
絆と想いの続きを全裸にネクタイで今でも待っています。
700名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 22:53:16 ID:TyABl3cs
俺の幼なじみ
男子a・女子aと結婚 イケメン
男子b・女子bと結婚 そこそこイケメン
女子a・男子aと結婚 そこそこ美人 元水泳の全国区の選手
女子b・男子bと結婚 微妙な顔
俺・ヲタ 童貞
何故俺だけこんなことに
701名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 22:58:08 ID:uGs9IEu5
三人の続きをいつまでも(ry
702名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 23:31:50 ID:k5OQIgRl
>700
いい加減うぜー!リアルの話なんぞどうでもよいわ!!
703名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 23:38:37 ID:5jRYsJHE
カレー臭のする幼なじみマダー?
704名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 00:40:38 ID:xaM+z2Kj
カレープレイか。。。
705名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 08:23:33 ID:eIvnRfhh
>702 とか
いや、自分が言うのも何だが、藻前ら、だいじょうぶか……?

普段現実をちゃんと生きていて、休憩するときくらいは二次元一次元に浸りたいというなら別にいいが、
まっこうからリアルを否定して生きている人間はいつか壊れるぞ。なぜならば所詮我々は、肉の棺に閉じこめられた身なのだから。

その辺しくじると、破滅するぞー。私のように。
気をつけろ。休むのはいいが、逃げると追い込まれる。気が付けば檻の中だ。(なお、私のコメントはスルーしていただきたい)
706名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 10:33:14 ID:zc4SiWHT
保管庫に、
仮面ライダーみたいな正義のヒーロー主人公と、その幼馴染みみたいな話しって有るかな?
そう言うの有ったら読んでみたい。
707名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 12:50:35 ID:3xyesG8w
>>705
悪いが全くそういう意味ではなくてな
エロパロ創作板において、自分に幼なじみがいなくて欝だとか
俺も幼なじみが欲しかったのに欝とか周りの幼なじみは結婚してるのにオレ非モテとか
事あるごとにリアルな自分語りされるのはいい加減うざいとそう言ったんだが。
ここはエロパロ板だ。
708名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 12:55:31 ID:6xl9j+wq
>>707
ある程度同意
709名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 13:13:55 ID:uv+Ycw3J
>>708
禿同
710名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 15:57:41 ID:lJdr88Rb
単なる「ここでリアル語りするのは板違い」という指摘に、
「現実逃避するな!」と説教とは、的外れもいいところだ。
現実が見えてないのはどっちだ、と突っ込みたい気分。
711名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 17:25:17 ID:a2fBmjyI
>>700が全部悪いよ

その愚痴こそリアルでダチに愚痴るべきもの

712名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 17:35:52 ID:6xl9j+wq
良い争いはもうやめて誰か胸キュンなの投下してくれー
713名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 19:55:01 ID:/RmIleUD
ここのみんな幼なじみいるしなー
714名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 20:16:25 ID:1FhUb06Q
今思うと俺フラグ潰してたわ・・・OTL
715名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 20:21:33 ID:ZtEG72Bp
>>714
この流れでそんなカキコ出来る程度の馬鹿だからフラグがたたねえんだよ
716名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 20:23:28 ID:SnQKshQ4
いい加減やめれというのにやめない奴が多すぎるなこのスレ
717名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 20:42:56 ID:Lt+067DA
稀にリアル話をする人は出てくるけども、それが歓迎されるのは
スレが停滞してるときだけだからな
今は職人が良いテンポで投下してくれるから、そう言う時は振らない方がいい
718名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 21:52:13 ID:WN1vAqf9
次スレ立てないの?
719名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 21:53:02 ID:6xl9j+wq
ん、もう容量厳しいの?
720名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 21:56:39 ID:SdtUBa+/
歓迎なんかされてないよ。
スレの雰囲気を悪くしたくないからスルーしてるだけ。
段々ひどくなってきて、我慢が限界になって誰かが注意する。
毎回このパターン。
721名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 22:23:02 ID:I/4rM4Zr
しかし結構人いるのねここwww
722名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 22:26:03 ID:6xl9j+wq
みんな幼馴染が大好きなのさっ!
723 ◆POBrm2R/G2 :2009/01/15(木) 00:39:38 ID:KKoyLuyS
次スレ立てました。

【友達≦】幼馴染み萌えスレ17章【<恋人】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1231947127/

>>692-695
ありがとうございます。GJをいただけると士気が上がります。
>>696
自分も瑞希を『瑞樹』とミスタイプしているorzので、お気になさらず。

…とコレだけではなんなので、こちらに埋め小ネタ投下。
>>694>>697辺りの意見を取り入れてみましたが、ツンデレは微妙かも。
2レスお借りします。NGワードは「◆POBrm2R/G2」「小ネタ「翔太×綾香」」
724小ネタ「翔太×綾香」(1/2) ◆POBrm2R/G2 :2009/01/15(木) 00:40:25 ID:KKoyLuyS
「『俺、死ぬ直前は「幼馴染が・・・欲しかった・・・ぜ・・・」って言う事にしたんだ 』っと・・・」
私の幼馴染の翔太が何か掲示板か何か見ながら言ってる。はっきり言って怪しいわよアンタ。
「幼馴染ならここに居るじゃない」
「お前みたいなガサツなヤツじゃなくて、こう、朝は優しく起こしてくれて、ちょっと引っ込み思案で、俺のことを好きでいてくれるようなのがだなぁ・・・」
「はいはい。私に構ってもらえるだけでもありがたいと思いなさいよ変態」
「わからないよなぁ、モテモテさんには。お前なんて彼氏なんかよりどりみどりだろ?」
自覚はないのだけれど、私は学校内では屈指の美人らしい。確かに告白はよくされるけど・・・
「・・・あんな下心丸出しの連中なんか、彼氏にしたくないもの」
「はいはい自慢乙」
翔太のふざけた態度についイラッとくる。誰のせいでこんな想いしてると思ってるのよ!
「あんたねぇ・・・!」
「それとも何か?俺に惚れてるとか?」
いきなり核心を突かれてギクッとする私。だからムキになって反論する。
「何馬鹿な事言ってるのよ!私がアンタに惚れる!?冗談じゃないわ!」
「そこまで思いっきり拒絶されるのはさすがに凹むな・・・」
うなだれる翔太を見て、してやったりな気分になる自分と、ああどうしようって焦る自分がいる。
でも、さすがにどんよりした空気を浮かべる翔太が可哀想になって、フォローの言葉を付け加える。
「はいはい悪かったわよ。でも、多少なりとも好きじゃない異性の部屋になんて来ないと思うわよ?」
「そうか、そうだよな!やっぱり綾香は俺のことがす「調子に乗るな!」いてぇ!」
さっきまでいじってた∞プチプチを投げつけると、調子に乗った翔太の頬に命中。いい気味だわ。
「綾香ってさぁ、そういう話になると無性に怒るよな・・・」
「そ、それは・・・気付かないアンタが悪いのよ・・・」
小声でそう反論する。もちろん、後半の部分は翔太の耳に届かないように。
「何か言ったか?」
「何も言ってないわよ!ド変態!」
私からの『変態』ワードは聞き飽きたのか、翔太は∞プチプチを潰し始めた。

『幼馴染のまま?』
突然、∞プチプチからそんな言葉が聞こえた。『幼馴染のまま』か・・・私はどうしたいんだろう。
確かに翔太は変態だけど、普段は面白いヤツだし、顔もそんなに悪くない。私には、というか女の子には優しいし。
・・・こんなくだらないやり取りをするのもいいけど、やっぱりもう少し進んだ関係になりたい。
どうやったら、振り向いてくれるのかな?いつもの私らしくないけど・・・素直になれば、いいのかな?
「ねぇ、翔太」
「ん?なんだ?」
「・・・私が翔太のこと、好きだ、って言ったら、驚く?」
「おいおい、冗談はよせよ。お前が俺を好き?いっつも突っかかってるくせに?」
翔太が私の言葉を嘘と受け取ったせいで、胸がひどく痛い。
「そ、それは・・・」
素直にす、好きなんて言えないもの・・・。黙り込んでしまった私の様子が気になるのか、翔太は私の顔を覗き込みながら、
「・・・なぁ、綾香。マジ、なのか・・・?」
「・・・じ、冗談に決まってるじゃない!何本気にしてるの?」
あぁ・・・またやっちゃった。
ちょっと勇気を出せばキスできるくらいの距離に居たのに、私の天の邪鬼な性格のせいで、いつもこうなっちゃうんだ。
「な、なんだよ、俺が童貞だからってからかうのはマジで止めてくれよな」
「ふんだ!童貞の翔太にレイプされる前にとっとと帰るわ!」
私は翔太の部屋の窓から自分の部屋に戻る。後ろは振り向かないように。
725小ネタ「翔太×綾香」(2/2) ◆POBrm2R/G2 :2009/01/15(木) 00:41:01 ID:KKoyLuyS

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

はぁ、私何やってんだろ。
今まではこんな風に感情出さなかったのに、掲示板とかおもちゃに触発されたの?馬鹿馬鹿しい。
「あ、これ・・・」
翔太に貸してもらったカーディガンを付けたまま自分の部屋に帰ってきちゃったみたい。
「翔太の匂いがする・・・」
男の臭いなんてイヤな臭いだと思ってたんだけど、翔太のだけは別。
なんだか翔太に抱きしめられてるみたいで、恥ずかしいけど、嬉しい。
「・・・えへへ♪」
こんな笑い顔とか笑い声、翔太には絶対に見せられない。恥ずかしいもの。
・・・でも、翔太が抱きしめてくれたら、イヤイヤ言いながらもにやけちゃうんだろうなぁ。

『・・・このままオナニーしちゃったら、どうなるんだろ?』
突然邪な思いが、私の思考を埋め尽くす。翔太の匂いに包まれながらするオナニー。
体はとても正直に、気付けば下着の上からアソコを撫で始めていた。
「ふぅ・・・ん・・・」
私をダメにする、欲にまみれた快楽のパルス。電気が体を駆け巡るたび、私はだらしなく嬌声を上げてしまう。
「あん・・・しょうちゃん・・・気持ちいいよぉ・・・」
想い人の名前を呼びながら、想い人の匂いに包まれながらいやらしい行為をする。
後で寂しくなるのは分かってるんだけど、やめることは出来ない。
「はあっ、あんんっ!」
「しょうちゃん、しょうちゃん!」
目を瞑ると、本当の翔太に愛撫されてるような気分になってしまい、どんどん快楽の渦に飲み込まれていく。
下着の上からじゃ物足りなくなった私は、下着の中に手を入れて、私を直接触ってきた。
水っぽい音が部屋の中に響く。翔太に聞かれてる、そんな錯覚をした私は真逆の言動をしてしまう。
「やぁ、しょうちゃんそんなに音出しちゃやだぁ・・・」
言葉は否定をしているのに、音をわざと出すように手は動いてしまう。
「ダメダメ!しょうちゃ、イッちゃう!」
〜〜〜♪〜〜〜〜♪〜♪〜〜♪♪〜
もうすぐ飛んでいける、そんなときに鳴り出した私のケータイ。しかもこの着うたは、私の想い人にしか設定してない着うた。
びっくりしすぎてもうすぐでイケそうだったことすら吹っ飛んでしまった。

「な、なに・・・?」
ケータイを見てみると『メール:1件』と表示されていたので、中身を見てみると、
『カーディガン、返すのは明日でいいから』
と言う、すごく連絡チックな内容だった。
「・・・はぁ」
そのメールの文面を見て、余計に切なくなってしまった私。
とっても面倒な私と翔太の距離感。その距離が今より縮まる日は来るのか、今はまだ分からないままだった。
726 ◆POBrm2R/G2 :2009/01/15(木) 00:41:41 ID:KKoyLuyS
以上で終了。
非常にお粗末さまでした。
727名無しさん@ピンキー:2009/01/15(木) 00:47:14 ID:pTCgTWqI
おお、GJだwwww
それでは続きを書く作業に戻るんだw
728名無しさん@ピンキー:2009/01/15(木) 01:10:35 ID:MsfZfv4W
GJです! 何というか、これぞ幼馴染という感じですねぇ!!
729名無しさん@ピンキー:2009/01/15(木) 02:11:58 ID:2kn/w56r
名前が翔太の俺歓喜w
730名無しさん@ピンキー
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄○ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
           O 。
                 , ─ヽ
________    /,/\ヾ\   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|__|__|__|_   __((´∀`\ )< というお話だったのサ
|_|__|__|__ /ノへゝ/'''  )ヽ  \_________
||__|        | | \´-`) / 丿/
|_|_| 从.从从  | \__ ̄ ̄⊂|丿/
|__|| 从人人从. | /\__/::::::|||
|_|_|///ヽヾ\  /   ::::::::::::ゝ/||
────────(~〜ヽ::::::::::::|/        = 完 =

--------------------------------------------------------------------------------
                   ,.-―っ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                人./ノ_ら~ | ・・・と見せかけて!
           从  iヽ_)//  ∠    再  開 !!!!
          .(:():)ノ:://      \____
          、_):::::://(   (ひ
          )::::/∠Λ てノし)'     ,.-―-、   _
______人/ :/´Д`)::   (     _ノ _ノ^ヾ_) < へヽ\
|__|__|__( (/:∴:::(  .n,.-っ⌒    (  ノlll゚∀゚) .(゚Д゚llソ |
|_|__|_人):/:・:::∵ヽ | )r'        ー'/⌒ ̄ て_)~ ̄__ イ
||__|  (::()ノ∴:・/|::| ./:/         /   ̄/__ヽ__/
|_|_| 从.从从:/ |__|::レ:/      ___/ヽ、_/
|__|| 从人人从 ..|__L_/      .( ヽ     ::|
|_|_|///ヽヾ\ .|_|_     /⌒二L_    |
────────       ー'     >ー--'

--------------------------------------------------------------------------------
        巛ノi
        ノ ノ                  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     ノ')/ノ_ら      ∧_∧       | いきなり出てくんな!!
      、)/:./、      ( ´Д`)      | ビックリしたぞゴラァ!!!
     )/:./.:.(,. ノ)    `';~"`'~,.       \   ________
     \\:..Y:.(  ・ ''    :,   ,. -―- 、|/
_____ 从\、,. ,; .,、∴';. ・  ( _ノ~ヾ、ヽ
|__|_ _(_:..)ヽ:∴:@)       ノ(゚Д゚ #) )
|_|__|_人):|:・:::∵ヽノ)    (_(⌒ヽ''" `ー'
||__|  (::()ノ∴:・/|::|( \    \ \) )        _
|_|_| 从.从从:/ |__|::|ノ   \  ミ`;^ヾ,)∃        < へヽ\
|__|| 从人人从 ..| /:/ _,,,... -‐'''"~   /ー`⌒ヽ、  (( (゚Д゚llソ |
|_|_|///ヽヾ\ ./:/ _ \        /     /T;)   /~  ̄__ イ
─────── ノ (,    \/__/__,ノ|__`つ  ヽ__/
             ´⌒ソノ`

--------------------------------------------------------------------------------
______/   \____
|__|__|__/ /  ヽヽ,|__|
|_|__|___い 、  , ,ソ_|_|
|__|___/ ̄`^⌒´ ̄\_.|     .l´~ ̄ ̄ ̄`.lヽ
|_|_|  |         |_|    / ⌒ ⌒ ⌒ .| !
||__| 从ヽ-i´ ,_ ,_ 'i-'"_|   / ___ _ _ ___/,イ
|_|_|从イ/´:::::::::::::::::::::::`i、_|  / ̄       /i.|
|__||从/:::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ,._| ~||~~~~~~~~~~~~ ´||
|_|_| ,,!;;;;;;;;;i⌒i;;;;;;;i⌒i;;;;;;;;;;;!,|