☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第81話☆

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1名無しさん@ピンキー
魔法少女、続いてます。

 ここは、 魔法少女リリカルなのはシリーズ のエロパロスレです。


『ローカル ルール』
1.リリカルあぷろだ等、他所でのネタを持ち込まないようにしましょう。
2.エロは無くても大丈夫です。
3.特殊な嗜好の作品(18禁を含む)は投稿前に必ず確認又は注意書きをお願いします。
  あと可能な限り、カップリングについても投稿前に注意書きをお願いします。
【補記】
1.また、以下の事柄を含む作品の場合も、注意書きまたは事前の相談をしたほうが無難です。
  ・オリキャラ
  ・原作の設定の改変
2.以下の事柄を含む作品の場合は、特に注意書きを絶対忘れないようにお願いします。
  ・凌辱あるいは鬱エンド(過去に殺人予告があったそうです)

『マナー』
【書き手】
1.割込み等を予防するためにも投稿前のリロードをオススメします。
  投稿前に注意書きも兼ねて、これから投下する旨を予告すると安全です。
2.スレッドに書き込みを行いながらSSを執筆するのはやめましょう。
  SSはワードやメモ帳などできちんと書きあげてから投下してください。
3.名前欄にタイトルまたはハンドルネームを入れましょう。
4.投下終了時に「続く」「ここまでです」などの一言を入れたり、あとがきを入れるか、
   「1/10」「2/10」…「10/10」といった風に全体の投下レス数がわかるような配慮をお願いします。

【読み手 & 全員】
1.書き手側には創作する自由・書きこむ自由があるのと同様に、
  読み手側には読む自由・読まない自由があります。
  読みたくないと感じた場合は、迷わず「読まない自由」を選ぶことが出来ます。
  書き手側・読み手側は双方の意思を尊重するよう心がけてください。
2.粗暴あるいは慇懃無礼な文体のレス、感情的・挑発的なレスは慎みましょう。
3.カプ・シチュ等の希望を出すのは構いませんが、度をわきまえましょう。
  頻度や書き方によっては「乞食」として嫌われます。
4.書き手が作品投下途中に、読み手が割り込んでコメントすることが多発しています。
  読み手もコメントする前に必ずリロードして確認しましょう。

『注意情報・臨時』(暫定)
 書き込みが反映されないトラブルが発生しています。
 特に、1行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えることがあるそうです。
 投下時はなるべく1レスごとにリロードし、ちゃんと書き込めているかどうか確認をしましょう。

リンクは>>2
2名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 11:44:16 ID:dE+ytt97 BE:1228272285-2BP(0)
【前スレ】
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第80話☆
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1217956168/l50

【クロスものはこちらに】
 リリカルなのはクロスSS倉庫
 http://www38.atwiki.jp/nanohass/
 (ここからクロススレの現行スレッドに飛べます)

【書き手さん向け:マナー】
 読みやすいSSを書くために
 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/5301/1126975768/

【参考資料】
 ・Nanoha Wiki
  ttp://nanoha.julynet.jp/
  (用語集・人物・魔法・時系列考察などさまざまな情報有)
 ・R&R
  ttp://asagi-s.sakura.ne.jp/data_strikers.html
  (キャラの一人称・他人への呼び方がまとめられてます)

☆魔法少女リリカルなのはエロ小説☆スレの保管庫
 ttp://red.ribbon.to/~lyrical/nanoha/index.html  (旧)
 ttp://wiki.livedoor.jp/raisingheartexcelion/   (wiki)
3名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 11:56:57 ID:0lPvlid8
1乙π
4名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 12:50:19 ID:SiKcfz1l
なのユーなのユー
5名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 13:21:23 ID:HMKL+nCC
保管庫池
いっぱいあるから
6名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 14:29:39 ID:s7Kax1pv
>>4
自分で脳内で書いて、一人で補完しててくれ
7名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 14:47:21 ID:SiKcfz1l
ひどいカップリングがありませんように
8名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 14:48:19 ID:SiKcfz1l
最近クソSSが多すぎるからなー
9名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 14:48:38 ID:SiKcfz1l
甘エロが読みたい
10名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 14:49:43 ID:SiKcfz1l
◆6BmcNJgox2が最悪
11名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 15:04:00 ID:3kRudqyC
つか、いちいち相手すんなや。
黙ってNGリストに追加しろ。
12名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 17:27:24 ID:C7OkRs0L
自分で書ければ、好きな話を書きまくってスレ住人の洗脳・感染を目指すんだがなぁ。
文才も引き出しも構成力も忍耐もないから数レス分の短編SSすら書けない。
書き手の人達マジ尊敬。そして嫉妬。
13名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 17:52:38 ID:070OzD59
>>1
新スレ乙
さて、リリカルフェイト待ちながら待機だZE
他のSSの続きもwktkだが、その前に前スレを埋めないとな
14名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 18:03:16 ID:gI6g5I9e
なんか嫌な空気だな
夏が終わるまで投下を自粛する職人とかいそう
15 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/12(火) 18:11:44 ID:GbZDPC4A
>>1乙です

私に関しての批判はありますが…それでも書かせていただきますorz

・『世界の平和を取ってスカの嫁兼監視役になった未来』『自分の幸せを取ってユーノと結婚した未来』
の二つのIFをそれぞれ描きます。
・スカがヤンデレになるのはなのは×ユーノルートのみです。
・エロあり(ただしドラマメインなので簡略的になってます)
・タイトルは『二つの未来』
・鬱注意です。(×ユーノルートでは、ヤンデレ化したスカの手によって様々な鬱展開がありますし、
×スカルートもなのは×スカ要素嫌いな人にとっては鬱ですから)
・一つ一つを事細かに描写する事もあれば、ダイジェスト風のあっさりした物になったりと、
その時々によって描写に差があります
・×スカルートのスカがちょっとマゾっぽい
・×スカルートのなのははちょっとツンデレっぽい
・時期的に色々不謹慎なネタもありますが…ご了承下さい。
・オリキャラも出るでおじゃるよ。

×ユーノ編に関して追加分の注意書き
・鬱なシーンとコミカルなシーンの両方があります。
(コミカルさがあるからこそ、鬱が際立つとかその理論で。勿論逆もしかり。)
・後半あたりクアットロが妙に活躍します。オリキャラとも絡んだりします。
・ウーノが『ドクターは私の旦那!!』なキャラに変貌してます(崩れキャラ嫌な人注意)
・少し801要素まで追加されちったorz
・スカは逃亡中なのに何故かウーノとかは軌道拘置所にいる矛盾は目を瞑ってください
・お馬鹿フェイトが少しだけ復活してます。フェイト好きスマソ
・下ネタ要素あります注意
16二つの未来 16 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/12(火) 18:13:41 ID:GbZDPC4A
          二つ目の未来 『自分の幸せを取ってユーノと結婚した未来』

ユーノはなのはの求婚に応じた。動機はどうあれ、なのはの熱意に押されての事だった。

「仕方ないな〜。」

なのはに押される形で仕方なくOKをするユーノだが…内心狂喜乱舞していた。
そもそも、彼は表面的にはただの友達の様に振舞っていても、本当はなのはの事を愛していた。
しかし、そういう事を表立ってなのはに言う度胸が無く、地団駄を踏む毎日だったのだが…
形はどうあれなのはと結婚するチャンスが巡って来たのだ。これはOKしないはずが無い!

これに関して、フェイトがちょっとユーノに嫉妬して精神的に病みそうになった事もあった。
しかし…そこにフォローを入れたのが誰でもないなのは本人である。

「じゃあフェイトちゃんは私がジェイル=スカリエッティのお嫁さんになれば良いって思ってるんだね!?
幻滅だよ…。フェイトちゃんはそんな酷い人じゃないと思ってたのに…。」
「あ…いや…私は別にそんな意味で言ったんじゃ…。」
「そうだよね! 白い悪魔な私と悪魔の科学者のスカリエッティはお似合いのカップルだもんねー!!」
「なのはごめんなさい!! 謝るから…謝るからもう怒らないで! ユーノと幸せになってください!!」

もはや誰も二人の結婚に文句を言う者はいなくなった。管理局のエース・オブ・エースが
凶悪時空犯罪者ジェイル=スカリエッティと結婚してしまっては、忽ち大スキャンダルになるし、
下手をすれば管理局の権威にも関わる。そうでなくても、なのはとスカリエッティの結婚を
反対しない者など…いるはずはない。それが例えフェイトであっても。逆にユーノと結婚すれば、
『エース・オブ・エースと無限書庫司書長の結婚』と言う実に華のある結婚になるし、
管理局における美談にもなり得るのである。

こうして二人は結婚した。元々動機が『スカリエッティと結婚する位ならユーノと結婚する』と言った
言わば妥協に近い物であった為、当初は果たして長続きするのか? 直ぐに破局とかなっちゃうんじゃないの?
と周囲は心配したのだが…意外な事にこれが中々上手く行ったりするのである。

幼き日に二人は共に暮らした事があったし、それ以降も友達としての付き合いが続いていた。
だからこそ、結婚したと言っても所詮はスカリエッティを諦めさせる為の形式的な物なのだから
結婚する前と大して変わるはずがない…と思われていたはずなのに…
17二つの未来 17 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/12(火) 18:14:55 ID:GbZDPC4A
「どうしてかな…ユーノ君と一緒にいると凄く安心するんだ〜。」
「え? そうかな…。」

なのはは自分からユーノに寄り添っていた。本人も何故か分からないが…ユーノと一緒にいる事に
安らぎを感じていたのである。確かに管理局における配属先が違うのだから、仕事中には中々会えない。
しかし…だからこそ、仕事が終わってユーノと再開した時になのはは心が安らぎ、安心する。
どんな強固なバリアジャケットやシールド・バリアー等に守られている時よりも、
ユーノと寄り添っている時の方がずっと安心出来た。最初はそれが何故か分からなかったが…
それでもなのはは徐々に気付きつつあったのだ。

「そっか…私…ユーノ君の事…好きだったんだ…。」

なのはは結婚して初めて自分がユーノの事を好いていた事に気付いた。友達としての好き…
すなわち『LIKE』と言う意味での好きでは無く、『LOVE』と言う意味での好き。

「ユーノ君…大好き…。」
「僕のなのはの事…大好きだよ。当然じゃないか。僕達は夫婦なんだから…。」

スカリエッティを諦めさせる事が目的に過ぎなかったはずの二人の結婚は…
何時しか本当の結婚。お互いの幸せの為の結婚へと変わっていた。

互いの愛を自覚して初めて、二人は新婚旅行に出かけた。その際、なのはの義娘である
ヴィヴィオも連れて行こうとしたが、彼女は二人に気を遣ってか、付いて行く事は無かった。
二人もヴィヴィオに申し訳無いと思いながらも、気持ちを切り替えて新婚旅行へ出発した。
ヴィヴィオが大好きななのはママと一緒に行きたい気持ちを我慢して、なのはとユーノの
新婚カップルを立てたのだ。だからこそ、ヴィヴィオの誠意を無駄にしない為にも
二人は精一杯新婚旅行を楽しんだ。

そして、新婚旅行中の一夜に…二人は初めてのSEXをした。
結婚初夜の時は、既に説明した通り形式的な結婚に過ぎなかった上に
まだなのははユーノに対する愛を自覚していなかったし、ユーノも恥かしくて
中々言い出す事は出来なかった。だからこそ、それを取り戻さんばかりの勢いで
二人はまるで野生に返ったかのような激しい野性的なSEXを繰り広げた。

「はっ! はっ! はっ! はっ! はっ!」
「あ! んぁ! ユーノく…すごっ! すごいよぉぉぉ!」

恥じらいを捨て去った二人はまさに最強だった。一糸纏わぬ肢体を重ねあい
汗だくになる事も構わず、互いの肉体を貪りあった。ユーノは己の一物でなのはを
突き上げながらなのはの乳房を揉み解し、乳首をなめ回し、弄くり、吸い付いた。
なのははユーノの激しい突きと乳房攻めに一身に感じながら…ユーノの動きに合わせて
腰を激しく突き動かした。肉と肉がこすれ合い、もはや二人は全身にオイルを
塗りたくったかの様になっており、それでも一心不乱に交わり続ける光景は逆に異様だった。
18二つの未来 18 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/12(火) 18:16:42 ID:GbZDPC4A
二人の野獣のごとき最凶のSEXは、ユーノのまるで牛乳の様に真っ白な濃い精液が
大量にぶちまけられ、なのはの膣・子宮を満たすまで続いたが、二人は繋がったまま一夜を明かした。
二人は離れたくなかったのだ。出来る物ならば、もうずっとこのまま一つに繋がっていたかった。
まあ、後で一緒に朝風呂して、汗を洗い流したのだけど…

なのはとユーノの野性的なSEXの甲斐あって、なのははユーノの子供を身篭った。
それに関してフェイトがまた精神的に病んでユーノに嫉妬した事もあったが…

「じゃあ私はスカリエッティの子供でも産んでれば良かったのかな!? フェイトちゃん?
フェイトちゃんは私にスカリエッティの子供を産む機械になって欲しかったの!?」
「ご…ごめんなさい…ユーノの元気な赤ちゃん…産んでください…。」

なのはにこうまで言われてしまえば、流石のフェイトも正常な精神状態に戻った上に
何故か敬語になってなのはに謝らざるを得なかった。

そしてなのはのお腹の中の子供は徐々に育ってなのはのお腹を膨らませて行き…
ついに出産の時が来た。お産はかなりの難産となったが、ユーノへの愛や
これから自分が産む子供を心の支えとして…立派に産んで見せた!

「オギャー! オギャー!」
「おめでとうございます! 元気な男の子ですよー!」

なのはは男の子を産んだ。父ユーノを思わせる翠色の瞳と薄黄土色の頭髪を持った
まるで天使の様に可愛らしい男の子である。

「この子の名前は私とユーノ君の名前をそれぞれくっ付け合わせて…ナーノにしようと思うの。」
「ナーノか〜…良い名前じゃないか。」

なのはとユーノの間に誕生した新たな命。ナーノ=スクライア。彼こそなのはとユーノにとって
新たな未来への希望だったが…そこでユーノが何かを思い出したかの様に言った。

「あ…そういえばなのは…ジェイル=スカリエッティはどうなったのかな…。」
「あ! すっかり忘れてた!」

そういえばそうだ。筆者もなのはとユーノの幸せ結婚生活を描くのに夢中になって、
すっかり忘れていた。あの時は執拗になのはにアプローチをかけていたと言うのに、
なのはとユーノが結婚して以来スカリエッティが来る事は無かったのだ。
また、当初懸念されていたた『なのはがユーノと結婚した事に逆恨みして…』
と言った意味での襲撃等も無く、ミッドは概ね平和だったのである。
19二つの未来 19 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/12(火) 18:18:03 ID:GbZDPC4A
なのはとユーノは未だお互い忙しい身である為、こことは別の選択肢を選択した
並行世界のなのはと違って子供をポコポコ作る事は無かったが、それ故に二人にとって
唯一の愛の結晶であるナーノはそれはそれは大切に育てられた。
勿論義娘のヴィヴィオを大切にする気持ちも忘れていない。

そして平和な内にあっという間に数年の時が流れるが…二人の愛が冷める事は無かった。

その頃には既になのはとユーノの二人は名実共に完全な夫婦となっており、
なのはは母親として、ユーノは父親として立派に板が付く程になっていた。
確かに今は以前の様な燃え上がる様な激しい愛とまでは行かないものの…
それでも二人の仲は実に安定して幸福な関係を築いていた。

そして、ナーノは幼き日の父ユーノを思わせる半ズボンからかすかに浮き出たお尻のフォルムが
実にエロスを感じさせ、エリオやクロノ・ヴァイス辺りなら一目見ただけで思わず
尻を掘りたくなってしまう程の『男が惚れる男の子(違う意味でw)』へ成長していた。

「お父さんお母さん、あのねあのね、今日は学校で変身魔法を教えてもらったんだよ。
それで、後で友達皆で色んな動物さんに変身して遊んだんだよ。」
「じゃあナーノはどんな動物さんが変身したのかな?」
「友達はトラやライオンに変身してたけど…僕はやっぱりフェレットさんが一番だよ!
だってお父さんに最初に教えてもらった魔法だもん!」

と、この様な会話が行われる位…ミッドチルダは平和だった。しかし…脅威は忘れた頃にやって来るのである。

                       つづく
20 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/12(火) 18:20:01 ID:GbZDPC4A
とりあえず今回はここまで。

過去の作品にも何とか登場させたオリキャラ「ナーノ」の登場です。
初登場当時には「安直な名前自重」とか言われた奴です。

ここまでは本当に幸せそうなのを描きましたが、次回から
行方不明になっていたスカリエッティの逆襲が始まる…予定です。
(実はまだ今日書いた分までしか書き上げてないorz)
21名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 18:28:30 ID:DUoqWKIz
>>20

俺はあなたの書いたなのは×スカリエッティ好きだぜ。

次回スカが何やるのか、楽しみですな
22名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 18:36:20 ID:s7Kax1pv
>>4
ほら、おまえのお望みのユーなのだ。
満足したなら投下してくださった職人さんにお礼を言いなさい
23名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 18:42:41 ID:+QD3RuUj
>>1乙!
>>14
だが、投下ペースが微妙にkskしてきてる気がするぜ
ちいと前なんか、1000レス行くだろと思う位だったのに

>>20
納豆ドゾー
つ=。〜゚~〜゚~~゚  
24名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 18:44:59 ID:HMKL+nCC
だからレスつけんなよ
NG登録してる人が困るだろ
25名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 18:46:21 ID:0+1sxHbH
>>1
26名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 19:07:08 ID:ylhmJKAC
>>23
久しぶりに聞いたな納豆w

職人さんGJです!
27名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 19:10:40 ID:Cf1y72OM
前スレ>>604
楽屋裏とはいいセンスだ
28名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 19:21:30 ID:SiKcfz1l
NL嫌いだけどなのユーは好き
29名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 19:26:59 ID:SiKcfz1l
またなのスカ書くの、やめろよマジでキモイし
こんなもんが好きな奴がマジありえないし
なのユー書いてた頃は大好きだったけど
なのスカ書き始めた頃から大嫌いになった
もう二度となのスカ書かないでくれ
ホント腹立つから
30名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 19:28:49 ID:SiKcfz1l
なのスカ嫌いだからやめろ
31名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 19:31:45 ID:SiKcfz1l
>>20GJ
なのユーが一番いい
続き書かなくていいです
32名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 19:32:17 ID:0lPvlid8
どんだけヒマなんだよwww
もう、クソして寝ろ
33名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 19:34:30 ID:gI6g5I9e
コテかトリつけてくれればいいんだけどな……
34名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 19:39:03 ID:wtKf5Hyh
>28-31
夏だなぁ(笑)
半年どころか一生ROMってろよw
35名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 19:39:42 ID:SiKcfz1l
◆6BmcNJgox2はなのスカばっか書くからヤダ
36名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 19:47:33 ID:DBbBnekB
>>35
あれ、もう終わりか?
37名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 19:48:56 ID:eJJC6FQV
38名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 19:51:00 ID:SiKcfz1l
鬱になるからなのスカやめろ
39名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 19:55:36 ID:SiKcfz1l
早くサイヒ氏のSSが読みたい
40名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 20:02:44 ID:/R5NF4eT
Janeがあぼ〜んだらけw
41名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 20:04:34 ID:jPqfjMk9
いい加減、次からは>>1のテンプレに
『荒らしはスルー推奨』みたいな項目を加えた方がいいんじゃなかろうか...?
42名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 20:10:58 ID:070OzD59
荒らしというかsageも知らないお子ちゃまはスルーないしNG推奨

何はともあれ>>20GJ。次回、スカが何やらかすかwktkしてますぜ
というか、なのはとユーノの子供は、やっぱナーノなのねww
43名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 20:15:56 ID:HMKL+nCC
主役と敵役のカプこそ王道と思い込んでる俺が通りますよ
44名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 20:21:12 ID:Tn7WuOPp
クロなのですね、わかります
45名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 20:22:34 ID:RAYehfPG
前スレ>>478
GJ!!!
セッテさんがかわいすぎる
普段は強気なのにエリオが盗られそうになると急に弱気になって甘える。
挙句の果てには何の迷いもなく、足を切ろうとしたりとごーいんでもあり、どこまでも従順でもある…たまらないですな
それと自分はB・A氏は全然気にせずに今まで通り書けばいいと思いますよ。

>>20
GJ!!!
ここまでは普通にスカ博士を振り切ったように思えますが…
これからどんな感じで逆襲があるのか…ものすごくぞくぞくします。
46名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 20:24:56 ID:HMKL+nCC
ナーノは母親の口調は受け継がなかったのかな

「ナーノなの」
47名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 20:26:34 ID:s7Kax1pv
>>45
B・A氏の作品を否定したのは誰もいなかったような気が?
48前スレの462=ておあー:2008/08/12(火) 20:29:11 ID:zYJhJVDp
えと、アルカディア氏いらっしゃいますか?
昨日ちょっと言いかけてたのですが、氏に少しお願いしたいことがあります。

今自分が書いている『リリカルやがみけ〜』のもう少し先の展開で、ゼストが
チンク他について色々と想いを語るシーンを予定しています。で、その一部でゼストの
発言や行動に氏の『L.L.外伝 ゼストの槍』のメガーヌの思考・行動と被る要素が
出てくるのですが書いても構いませんでしょうか?
文章に起こしてもいない段階から似る似ないの話をしてなのはさんもとい魔王もとい鬼に
笑われそうではありますが、一言頂ければ自分の精神が大幅に安定するので暇な時にでも
返答をいただければ幸いです。
勿論『それはちょっと……』というのであれば遠慮なく仰ってください。




49名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 20:58:50 ID:RAYehfPG
>>47
すまない、色々議論になった結果、気にする必要もないB・A氏本人が謝罪されてたから
別に議論は気にせず、今まで通りの素晴らしい内容を書いてください&今まで通りの形式で書けばいいんじゃないですかみたいな意味あいで書いたんだ。
議論を掘り返すつもりはないし、俺個人の意見を付け加えただけなので、気にさわったのなら謝る。
50名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 21:34:00 ID:KEuBgQQ4
>>43
なのフェイですね(ry
51名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 21:43:48 ID:nGaW6hH6
>>43
なのは×リインと(ry
52名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 21:45:30 ID:+QD3RuUj
だが初代リインはすでに…
53名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 21:51:19 ID:zQRMx/WD
>>43
ちょっとひねって、なのは×防御プログラム(闇の書の闇)とか(ry
54名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 22:01:08 ID:cEqRoa6d
>>43
なの×クア(ry
55名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 22:03:51 ID:zYJhJVDp
>>54
なのはさんを妄想の中で陵辱するのが拘置所生活唯一の生きがいというクアットロ
どうみてもなのは砲の魅了効果にやられてます、本当に(ry
というネタを考えた事ならある
56名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 22:04:25 ID:cEqRoa6d
>>55
さあ、SSを書く作業に戻るんだ
57名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 22:16:47 ID:s7Kax1pv
>>43
クロノ×初代リインだな?
58名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 22:27:17 ID:eGqy6pfX
>>1
246氏投下GJ!&スレ立て乙です
カプが好みのど真ん中で毎度投下が楽しみでなりませんw
ここからどんどん鬱になると思うと怖い気もしますが、なのはさんがどうなるかに期待です
出来ればエンドは救いのある方がいいですが……
ともかく次の投下も楽しみにしてますね
59名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 22:41:18 ID:mIS0JlMV
ありえないカップリングを書き込む流れですか?

士郎×トーレ
60名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 22:43:44 ID:nGaW6hH6
>>59
オマエそれはねーよ
良くてトーレ→士郎だ
61名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 22:55:00 ID:1SbniijV
海鳴組出したら基本はどれもありえないような気がw
スカリエッティ×アリサで純愛とか?
脱走して講師として大学に潜伏したらアリサとバッタリ。
62名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 22:57:01 ID:MKqQ+w94
せめて成立したあらすじぐらいは付けるべきだなw
63名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 23:15:33 ID:bsFk4BOd
士郎×アイナさんですねわかります

…あれ?何とか繋げれそうな気が
64名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 23:21:25 ID:eJJC6FQV
>>63
なのはが緊急の要件で数日間出かけるため、ヴィヴィオは海鳴へ預けられる事になった。
一人で行かせるのもなんだから、と付き添いを申し出て高町家にお邪魔するアイナさん。
……違和感ないなあ。
65名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 23:27:02 ID:0+1sxHbH
>>63
組み合わせ吹いたww
ガンダムトリプルオーwww
鉄の子宮が必要なのはスカリエッティかww
66名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 23:30:58 ID:83p01e2m
マリエル×ユーノ



キツいな流石に
67名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 23:30:57 ID:cVlqJ42Z
士郎「アイナァァァァ!」
68名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 23:32:49 ID:mviCxU8R
高町家に来るときはアプサラスUなんだなw
>>61
地球の科学が急成長しそうなカップリングだw
スカの科学力とアリサの企業力で大儲け。
69名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 23:34:56 ID:bsFk4BOd
うーんあり得ないカップリングあり得ないカップリング……

恭也×スバル
恭也×ティアナ
恭也×アルト
恭也×ルキノ
恭也×シャーリー……



とらいあんぐるハート4 発売永遠に未定
70名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 23:37:10 ID:fKOzZ2oZ
すずか×スカでなんか14人の機械メイド+原作の巫女の人のバイトメイドなネタが浮かんだ。
71名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 23:38:15 ID:83p01e2m
>>61
夜の一族設定が有効ならスカ×すずも面白いと思う
72名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 23:41:28 ID:mIS0JlMV
鮫島×レジアス・・・ヒャッハー!最高に勃起モンだぜ!
73名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 23:47:35 ID:KEuBgQQ4
>>72
グレアム「私を忘れてもらっては困るな」
74名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 23:48:09 ID:mviCxU8R
スカ博士がなのはの身内になるのかw
75名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 23:49:41 ID:O/dfME5T
なんという雑談な流れ
少し自重しろ
76名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 23:52:18 ID:YRrFWVJW
>>69
でもそれを言ったらユーノ×スバルなんかも在り得ないんだよな実は……。
ちと保管庫行って来る
77名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 23:52:20 ID:0+1sxHbH
この流れはある種啓発につながりそうとは思うけどな
78名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 23:57:43 ID:bsFk4BOd
啓発?
いったい何を
79名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 23:58:09 ID:NOFs8hPG
投下します。

【注意】
・主役はクイント
・エロはない
・特にカップリングとかもない
80クイント・ナカジマの子育て奮闘記:2008/08/12(火) 23:59:33 ID:NOFs8hPG
○月○日

戦闘機人の開発施設から二人の子供を保護した。どうやら、そこで開発された戦闘機人のプロトタイプらしい。
このまま管理局へ引き渡したところでモルモットにされるだけだろう。
そんな可哀相なモルモット達を、私は養子として引き取る事にした。
ぶっちゃけ、歳のせいにしてなかなか子作りに励む事のないあの人への当てつけだ。

当然の事ながら法的な問題はあった。だが、さすがは天下の時空管理局。どうとでもなった。
後は、あの人を説得するだけだが、こちらもどうとでもなるだろう。
あの人が私の意見に異を唱えた事はただの一度もない。



○月×日

あの人を説得して、戦闘機人の姉妹を養子に迎えたのはいいが、どうとっついたらいいのかわからない。
いや、戸惑っているのは私達以上に、あの子達なのだろう。
私達を敵なのか味方なのかも判断できず、姉妹2人して体を寄せ合ったまま、
私達に近づくとも離れるともいえない距離を保っている。
無論、物理的な意味だけではない。精神的な意味においてもそうだ。これでは、下手に触れる事も出来ない。
家族ごっこは思ったよりも難航しそうだ。

ああ、そうそう、名前はそれぞれギンガ、スバルと名づけた。姉がギンガで、妹がスバルだ。
あの人が良く見ている番組のテーマソングの歌詞から適当に拝借してつけた名だ。
風の中の〜〜〜♪ 砂の中の〜〜〜♪



○月△日

子供達の目つきは相変わらず私を刺す様に冷たい。全く、無愛想な子供達だこと。
まあ、もともと好きで育てている訳じゃなし、私達に子供が生まれたら、
適当な理由をつけて管理局にクーリングオフすればいい事だ。
戦闘機人のサンプルを欲しがる連中など腐るほどいる。
81クイント・ナカジマの子育て奮闘記:2008/08/13(水) 00:01:14 ID:NOFs8hPG
○月□日

認識が甘かった。拾った子供を安易に養子にしたのは、
子育てというものを舐めていたとしか言いようがないだろう。訳ありの子供であるというのなら尚更だ。
あれらはモンスターだ。少し目を離せばふらふらと迷子になってしまうし、何度教えても危ない事を繰り返す。
気の休まる暇などなく、これでは子作りどころの話ではない。



×月○日

あの人がギンガとスバルに「とうさん」と呼ばれていた。むしゃくしゃしたので、あの人を殴った。
今も反省はしてない。
あの人は「DVだ! 家庭崩壊の始まりだ!」とか叫んでいたが、知った事ではない。
この家では私が正義だ。神だ。法律だ。代償として、ギンガとスバルとの距離はさらに広がったが。
私、そんな怖い顔してたかしら。



△月○日

スバルが倒れた。といっても、1ヶ月は前の話だ。
最近、ようやく落ち着いてきたので、ここいらでまとめる事にする。

倒れた原因はメンテナンス不良らしい。あの子達は戦闘機人なので、寝る子は育つ形式では育たてない。
生の体と機械の体のバランス調整の為、定期的なメンテナンスが必要なのだ。
おそらくこれから一生そうなのだろう。
特に、成長期の今は、体の成長に合わせてより多くメンテする必要があるという。

そもそも、発見された段階で前回のメンテからかなりの時間が経過していたらしく、
身体に相当のストレスを溜め込んでいた様だ。まだ体の小さいスバルは特に影響が顕著に表れた。
結果、スバルとギンガを直す為、コネを方々駆け回って直してもらう破目になった。

メンテが終わって目を覚ましたスバルが、キョトンとした顔で「おはよう」なんて言うから、
腹が立ったので抱きしめてやった。
当のスバルも、それを見ていたギンガも心底不思議そうな顔をしていた。
あの人は何だか分かった様な顔をしていたので殴っておいた。
82クイント・ナカジマの子育て奮闘記:2008/08/13(水) 00:02:09 ID:NOFs8hPG
△月×日

今日の私は誰と戦っても勝てる気がする。多分、隊長とやっても勝てる。
だって、だってだってだって!
ギンガが、あの、無愛想で、冷たい顔しかしてくれなかったギンガが、初めて私に笑いかけてくれたのだ!
テンション上がってきたぜぇー!

そう思っていたら、
「え? ずいぶん前からそんな感じだぞ」とか言っちゃう空気を読まないあの人の事は殴っておいた。



△月△日

スバルが私を初めて「かあさん」と呼んだ。鼻血が出た。ギンガにまでそう呼ばれた後の事は覚えていない。
目を覚ませば丸一日以上経っていて、病院のベッドで寝かせられていた。
出血多量によって昏睡状態に陥っていたらしい。
医者の先生がどうやったらそんな状態になるのかと首を傾げていた。

その後、すぐあの人がスバルとギンガをつれて見舞いに来た。
来てそうそうギンガとスバルは泣きながら私に抱きついた。私は鼻血を噴出しながら再び気絶した。

「なるほど、そういう事ですか」

意識をとばす寸前、先生が妙に納得した様に言った。



△月□日

定期メンテを担当するマリーから、あの子達が私の遺伝子を作って作られたクローンだと知らされた。
なるほど、どおりで似ていると思ったら、何の事はない、あの子達は私の姉妹の様なものだった訳だ。

厳密には違うそうなのだが、血が繋がっているというのは私を温かい気持ちにしてくれた。
あの人には悪いけれど、まあ、大目に見てほしいものだ。私より先にあの子達に懐かれたんだから。

それにしても、私のクローンなんか作ろうとした奴は何が目的だったのだろう。
普通に考えれば、我が家伝来のインヒューレント魔法、ウイングロードが目当てなのだろうが、
物好きもいた者だ。あんな使い勝手の悪い魔法を欲しがるなんてね。
83クイント・ナカジマの子育て奮闘記:2008/08/13(水) 00:02:58 ID:NOFs8hPG
□月○日

ギンガが私にシューティングアーツを教えて欲しいと頼んできた。
おお、いいだろう。ならば、お前をシューティングアーツの伝承者として鍛えてやろうじゃないか!
とまあ、何だかみなぎって来て、だったらスバルも一緒にどうかと、無理矢理外に引っ張り出したら泣かれた。
その日、ギンガの命で日が暮れるまで正座をさせられた。



□月×日

スバルがシューティングアーツをやりたがらないのは寂しいものがあるけれど、
水を吸う砂の様に私の技術を吸収していくギンガを見るのが、最近の私の楽しみになっていた。

ていうか、マジ天才。同い年の私はあんなに動けなかったし。
この子は本当に私と同じ遺伝子から作られているのだろうか。
ギンガがこれなんだから、スバルだって相当なものだろう。
スバルにシューティングアーツを教えられないのは、本当に残念で仕方ない。

まあ、でも、あの子は気の優しい子だ。もとより戦いになんて向いてないのはわかってる。
このまま優しい子として育ってくれれば、それでいいと思う。



□月△日

ギンガとスバルが私に鉢植えをくれた。ピンク色の可愛らしい花が一厘植えられていた。
プレゼントをくれるのは嬉しいが、特に誕生日とかではないし。私は首を傾げる。
と、ここで仕掛け人が登場。

第97管理外世界、地球には母の日という風習があり、ちょうど今日がその日なのだとか。
そして、母の日には母親に対する感謝の印として、このカーネーションという花を贈るのが通例だという。

「かあさん、いままでそだててくれてありがとう。これからもよろしくね」

ギンガとスバルが声を合わせてそう言った時、私は不覚にも泣いてしまった。
でも、泣いてる顔を見られるのが嫌だったので、私は2人を抱きしめた。
そんな中、空気を読まずに地球薀蓄を続けるあの人の事は、とりあえず殴っておいた。
84クイント・ナカジマの子育て奮闘記:2008/08/13(水) 00:03:40 ID:NOFs8hPG
さいごの日

初めこそ、単なるあてつけで養子にした子達だったのに、一緒にいるのが楽しくなって、
それが当たり前になっていた。そう、私はいつの間にか「女」ではなく「母」になっていたのだ。

あの子達の育っていく姿を見るのは嬉しいものだった。
ギンガはきっと強くてとてもカッコいい女性になるだろうし、
スバルは優しくておしとやかな女の子に育つに違いない。
今の私にはあの子達の未来が、そんな眩く輝けるものであると信じられる。

でも、あの子達は戦闘機人だ。いずれ、あの子達が世界に虐げられる事もあるかもしれない。
いや、今だってその危険はあるのだ。だから、私は戦おうと思う。
管理局の正義には吐き気がするほど同意できなかった。
けど、今は少しだけ本気で願ってやってもいい、誰もが幸せに暮らせる平和な世界を。

その為には、まず変えなければならないものがある。
戦闘機人と管理局上層部、繋がりがある事は薄々察してはいたのだ。
けれど、あえて核心に踏み込む事はしなかった。単純に、命が惜しかったからだ。
だが、もうそんな事は言っていられないだろう。だから、私は特秘とされるこの任務に志願した。

隊長はいつもの厳つい顔で、

「ナカジマ、お前には家族がいるのだろう。今回の任務は命懸けになるかもしれん。それでもいいのか?」

と聞いてきた。

「それは間違ってますよ、隊長。家族がいるからこそ、命懸けで戦わなければならないんです」

それが私の答え。

もしも、なんて話をするのは嫌だったけど、あの人には私が死んだ後の事をお願いしてある。
あの人はいつになく頑なで、説得には随分と骨が折れた。でも、あの人も最後には納得してくれた。
あの人が私のお願いを聞いてくれなかったのは初めてだったな。

これで、私が戻ってこられなかったとしても、
あの人はギンガとスバルをちゃんと普通の子として育ててくれるだろう。
それなら、私は胸を張って戦える、あの子達の為に。

ギンガ、スバル、母さんが帰ってきたら、約束した遊園地にみんなで行こうね。
ああ、仕事の事なら大丈夫。いい加減、母さんも有給消化するし、
父さんは母さんが殴ってでも仕事休ませるから。

それじゃあ、ギンガ、スバル、ゲンヤさん、いってきます。
85名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 00:04:31 ID:NOFs8hPG
以上で終わりです。
86名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 00:08:23 ID:XaOrSkxM
「逆かゆうま」とでも言えばいいのか…
クイントさんが母親らしくなっていく様が染みた。GJ!
あとゲンヤさんのボディをねぎらいたいww
87名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 00:16:16 ID:RSFv1DLM
すまん泣いた、超GJだった。

それしか言えないわ。
88名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 00:17:05 ID:ylDOl2dB
なにこれGJ
始めはクイントひどすぎwwだったけど母親としての成長が見られてとても良かった。
最後の日記は結論を知ってるだけに読んでて悲しい気分だった。
ゲンヤさんサイドの話も読んでみたいかも
89アルカディア:2008/08/13(水) 00:32:43 ID:c7qs/oTx
>>48

ておあー氏
出先で携帯からなのでトリ無しで失礼します。
件のお話ですが、こちらとしては何の異存も御座いません。私は、職人様方の投下される作品は、大なり小なり職人様自身の読みたいシチュが反映されていると思っていますし、拙作も同様に私の読みたいものを書いています。
私の書いたものに類似した部分があるなら、それは間違いなく私の読みたいものですので、氏が書いて下さるなら願ってもないことで、むしろ大歓迎でお待ちしております!

>>前スレでロダの件についてして下さった皆様、有り難う御座いました。自分の不勉強を猛省しております。不適切な場所に上げてしまったものは、戻り次第削除致しますので、どうかご容赦下さい。
90名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 00:36:02 ID:190Ar5bc
>>85
GJ・・・。・゚・(ノД`)・゚・。
91名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 00:36:47 ID:g/G/+lrk
>>85
泣いた。GJ。
途中でゲンヤさんの無事を祈りたくなったw
92名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 00:39:44 ID:RSFv1DLM
思ったんだが、このSSをアルカディア氏の投下されたLL外伝と合わせて読んだら威力倍増じゃないか?
93名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 00:58:52 ID:03VmH+VE
倍増どころか、涙で脱水症状起こして涅槃が見れそうだ。
94名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 01:06:56 ID:I+2cA0++
>>85
GJです。

冷たくなって帰ってきたクイントに泣きながらすがりつくスバル、
自分はお姉さんだから泣いちゃいけないと涙をこらえるギンガ、
それをゲンヤが強く抱きしめて、こらえきれなくなり泣き出してしまうギンガが目に浮かんだよ…

95野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/08/13(水) 02:15:08 ID:g/G/+lrk
寝る前に投下です。
以前に書いた、「石田医師は出張に行きました」の続編です。
   
 オリ×はやてちゃん(一期)
 今回の総レス数は5
 タイトルは「石田医師はまた出張に行きました」その1
 エロ。アナル。スカはなし。
 あぼんはコテか鳥で。
96野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/08/13(水) 02:15:41 ID:g/G/+lrk
      1

 はやてちゃんにいたずらした俺最低医師は、ぼるけんりったぁにフルボッコされたが、
 命は助けられ、怪我で入院した
 しかし、病室でくすぶっているような俺じゃない。
 スジさえあれば、顔次第でどんな子にもいたずらする恥知らず。
 不可能を可能にし、幼い美少女に立ち向かう!
 それがこの俺、最低野郎Aチーム!

 違う。Aチームじゃない。なんだAチームって。ま、いいけど。

 とにかく、主であるはやてちゃんに「人殺しはあかんよ」と厳命されていたらしく、俺の命は救われた。
 はやてちゃんは詰めが甘い。太股は甘いというかとっても美味しかったけど。
 ああ、はやてちゃんをもう一度。
 しかし、あいつらにはこう言われたのだ。

「次に主に同じことをしたら、今度こそ脳天から一気に叩き斬る」
「次にはやてに同じことをしたら、てめぇのチンコたたきつぶす。それから頭つぶす。」
「次に主に同じことをしたら、両手足噛み潰してから、ゆっくりと喉笛を食い破る」
「次にはやてちゃんに同じことをしたら、脳改造して実験台にしてあげます」

 選択肢は四つあるけれど、どれもBADENDなのは俺の気のせいではない。
 だからといってはやてちゃんを諦めるか? 否。
 負けたと思うまで人間は負けない。諦めを踏破するのだ。
 幸い、俺の怪我の原因は同僚たちには知られていない。強盗にやられたと言うことにしてある。
 つまり、俺はまだ病院勤めなのだ。そして、石田はまた出張があるという。
 これがチャンスといえずして何がチャンスか。

 さらにだ。どうもぼるけん連中は俺のやったことをはやてちゃんに伝えてないらしい。
 うん、まあ……本人が気づいてないなら伝えないだろな。
 そう、俺ははやてちゃん本人には全く疑われていないのだ。すばらしい。

 諸君、私ははやてちゃんが好きだ。私ははやてちゃんがとっても好きだ。
 よろしい、ならばいたずらだ。

 ぼるけんなんて怖くない。
97野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/08/13(水) 02:16:37 ID:g/G/+lrk
     2 

「先生、どないしはったんですか?」

 はやてちゃんは目を丸くしていた。まあ、医者が包帯巻いて出てきたらな。びっくりするわな。
 しかし俺は件の嘘強盗の話を伝える。

「物騒なんですね…」

 気にすることはない。物騒なのは俺だけだ。俺以外の医師は皆滅私奉公でがんばってる。凄い。偉い。俺はダメダメ。
 俺は早速検査を開始すると伝えた。
 足に刺激を与えなければならない。そして刺激がどの程度か計測しなければならない。
 しかも、体表では意味がないのだ。体内で計測しなければならないのだ。
 つまりは、お尻の中。
 要はお尻をいじらせなさいと。
 はやてちゃんは純粋に足の麻痺で下半身不随とは違う。足以外の感覚はちゃんとあるのだ。
だから、足で楽しんだときとは違って、お尻を黙って触ればすぐにばれる。
つまり、触る許可をあらかじめ取っておけばいいのだ。 
 やっぱりはやてちゃんはいい子だった。俺の言うことを何の疑いもなく受け入れてくれる。
 本当にいい子だ。
 いたずらのしがいがある。
 
 案の定、はやてちゃんは少し悩んでから検査を受け入れた。
 ちなみに検査自体は本物である。ただ、お尻とは関係ないだけ。
 だけどお尻を検査する。
 薬を塗って。これは何の変哲もない、痒くなるだけの塗り薬。

「少しむずむずするかもしれないけれど、薬のせいだから気にしないで。触っちゃ駄目だよ」
「はい」

 そして放置。
 機器を操作して数値を読みとるふりをしながら、はやてちゃんの顔色をうかがう。
 明らかに何かを我慢している顔。可愛い可愛い。
 それでも放置しておくと、どうやら下唇を軽く噛んでいる様子。
 うーん。我慢は身体によくないのになぁ。
 よし、じゃあそろそろ我慢しなくてもいいようにしてあげようか。 
98野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/08/13(水) 02:17:12 ID:g/G/+lrk
       3

「それじゃあ、ファイバースコープを入れるよ」

 事前に、使用器具ということで大腸ファイバーを見せてある。はやてちゃんはこれからお尻に入っていくのがその「大腸ファイバー」だと思っているはずだ。
 うん。俺は嘘はついていない。
 このアナルビーズには「ファイバー一号」という名前が付けてある。ちなみに隣においてあるアナルバイブは「ファイバー二号」だ。技の一号力の二号である。
 ビーズの先端、一番小さいモノをそっとはやてちゃんの中に押し込んでいく。もちろんたっぷりと潤滑油は使っている。

「んっ……冷たい…です」
「それは機械だからね。苦しかったり痛くなったら言うんだよ」
「はい…」

 痒いところをこすられて、気持ちよさそうに目を細めるはやてちゃん。けれど、ビーズの丸みでこすられているだけじゃあ、痒みはなくならない。
 
「んっ、んっ………」

 二つ、三つ。順番にビーズを入れていくと、はやてちゃんの息が荒くなっていく。そろそろお腹の違和感が不快になってくる頃のはず。
 少し不快になるかもしれない、とはすでに伝えてある。真面目なはやてちゃんのことだから結構なところまでがんばってくれるだろう。
 痒いところを中途半端にこすられて、却って痒みへ意識を集中せざるを得なくなっているのが、顔を見ているとよくわかる。 

「おや、おかしいな。いや、はやてちゃん、心配しなくていいからね。とりあえずいったんファイバーを抜くよ」

 おかしいと言われて一瞬ドキリとしたはやてちゃんに、すぐにフォローの言葉をかける。そして、アナルビーズを今度は引き出し始めた。
 わざとゆっくり、引っかかるように、穴が広がったままの時間を長引かせるように。
 まるでお尻の穴と連動しているかのように、はやてちゃんの口がぽっかり開く。喘ぎが聞こえた。苦しそうな喘ぎに、少し甘さが混じっている。
 性的な発達とは関係なく、単純に痒いところに触れられるのが気持ちいいのだろう。その快楽はあっさりと性的な快楽につながる、いや、繋げる。 
 丁寧に、しかししっかりと中をくすぐるように揺らしながら引き抜いていく。
 一つ。そしてもう一つ。
 ビーズの球が出てくるたびに、伸縮する襞と穴。それにあわせてぱくぱくと、金魚のように開く口、その口から漏れる暖かい息。
 二つほどの球を腸内に残したまま手を止める。
 優しく声をかけながら、のぞき込むと、頬を真っ赤に染めたはやてちゃんは潤んだ目で息をついている。
 今すぐ唇を奪いたくなったけれど、まだ我慢。はやてちゃんのほうから言い出すまで、我慢してみせる。

「我慢できるかな?」
「はい、先生…」

 熱に浮かされたような口調は苦しさのせいか、それとも感じ始めた快楽にとまどっているのかな。
 後者、と判断して、さらにビーズを引きずり出す。ただし今度は、少々捻りを加えて。
 襞を優しく震わせるように。ただし、痒いところには手が届かない程度の力で。
 さあ、はやてちゃん。ここからが本番だよ。
99野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/08/13(水) 02:17:49 ID:g/G/+lrk
      4

 痛くないのに泣きたいような、苦悶と浮遊感が混ざったような、不思議な感覚。
 はやてが感じているのは、生まれて初めての感覚だった。
 痒みに耐えた。それは最初だけ。痒みは収まる気配もなく、場所が場所だけに、そこが痒いということ自体が恥ずかしくて。思わず唇を噛んで堪えてしまう。
 そうしていると、腸内を調べるファイバーが差し込まれていく。奇妙な感覚に息が荒くなると、さらに奇妙な感覚が湧いてくる。
 痒いところを通り過ぎるファイバーのひんやりとした感覚が妙に心地よくて。痒いところをこすられているのが気持ちよくて。
 もっと早く動いてほしい、と思ってしまう。
 だけど、動いている場所を考えると羞恥心が全身を覆い始める。
 お尻に入っているモノをもっと早く動かしてほしいなんて。いや、もっと激しく動かしてほしいなんて。
 そんなこと、言えるわけがない。
 それでも、まだるっこしさは下半身を包むように広がっている。無意識に口を開いて、挿入される感覚に合わせて息を吐く。
 何かが入ってくるたびに息を吐き、動きが止まると息を吸う。まるで操られているようで。
 もっと、動かしてほしい。痒みを何とかしてほしい。しっかりと掻いてほしい。

「おや、おかしいな。いや、はやてちゃん、心配しなくていいからね。とりあえずいったんファイバーを抜くよ」

 逆に動き始めた。中のモノがゆっくりと引きずり出されていく。そしてそのたびに刺激される痒みの部分。
 喘いでいた。刺激されるのに合わせるような喘ぎ。

(これ……なんだろ……変や…)
(痒いんや……先生…痒い…)

 声には出さず、押さえ込む。くねくねとお尻の中で動いているのがわかる。それが異物感よりもなにか別の感覚に変わっていく。
 息は浅く、早く、激しく。ぎゅっと握った拳はかすかに震えて。
 目を閉じて、下半身から上ってくるものに耐えている。
 触れられているのはお尻だけなのに、まるで全身をぬるま湯の中に浸しているような…。
 似たような感覚は一度だけ。 
 狼化したザフィーラに跨ったときに感じたもの。一瞬で消えたそれが何故か怖くて、それ以来二度とザフィーラには跨っていない。
 それでも、記憶の中のその感覚とは段違いの波が、しゃくり上げるように下半身を包み込んでは駆け上がる。
 もし足が動いていれば、間違いなく膝をついてお尻を持ち上げていただろう。
 もっとしてほしい、もっと触れてほしい。もっと動かしてほしい、というように。
 
「ふぁあ!」

 すべてが引き抜かれた瞬間、声が出た。自分でも驚くほどの甘い声。
 身体中が、いや、下半身が熱を持ったように熱い。心地よいしびれがお尻から脊椎をつたわって脳に響いている。
 医師の指が、突然肛門に触れた。

「よく見せてごらん」
「はい……」

 逆らえるはずがない。これは検査なのだから。お医者さまの検査なのだから。
 はやては自分に言い聞かせていた。これは検査なのだ。従わなければならない検査なのだと。
 従いたいわけではない。違う。従わなければならないものなのだ。
100野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/08/13(水) 02:18:23 ID:g/G/+lrk
      5

「もう一度、ファイバー入れようと思うのだけれど。大丈夫かな? はやてちゃんが疲れたのなら、今日のところはやめておくよ」
「ひゃ…」

 答える前に、触られた。
 襞をなぞるようにお尻の穴に触れている。
 これは、検査。
 はやては自分に言い聞かせる。
 これは検査。
 だから、受けるもの。
 検査だから、だから、受けたいのだ。

「はい、もう一回、お願いします」

 はやては両手で自分の足を掴むと、引き寄せた。
 膝が太股の下にたたまれ、まるでお尻を突き上げたような姿勢になる。
 お医者さまの検査だから。
 検査しやすいようにするだけだから。

「念のため、周りを殺菌しておこう」
「先生?」
「だってはやてちゃん、汗を掻いたのかな。こんなところまで濡れているから」

 お尻から秘部までを、医師の指がすーっとなぞる。

「ひゃっ、くっ……ん……」
 
 あげかけた声を抑え、はやてはさらに拳を握る。
 医師の手が、秘部の周りに触れていた。粘液に指で触れる音が小さく聞こえる。
 
「ここを綺麗にしながら、検査を続けようか」
「はい……」

 指が何度も往復し、そのたびにはやては歯を食いしばる。
 そしてお尻の襞がめくられるように球が入ると、今度は息が荒く早くなっていく。

「あ……んっ……ああ…」

 声を抑える事が難しくなっていくのをはやては感じていた。
101野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/08/13(水) 02:19:48 ID:g/G/+lrk
とりあえず、今回は以上です。お粗末様でした。

前回と同じく、最低医師のモデルは特にいません。
ええ、僕じゃないです。…………違うですよ?
続きはまた。
102B・A:2008/08/13(水) 03:51:26 ID:03VmH+VE
すみません、y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA氏はいらっしゃいますか?
実は、僕の今の連載中のSSの中でティアナの二つ名が「幻影の射手」(氏のSS「エリオ達の未来」の中の一タイトルです)となっているんです。
けど、ついさっき確認してみたら、ティアナのテーマソングのタイトルは「流星の射手」だったんです。完全にこちらの記憶違いによるうっかりです、今まで勝手に使用していて申し訳ありません。
それで、ここからが相談なのですが、作中のやり取りを踏まえるとこのままティアナの二つ名を「幻影の射手」で通した方がしっくりとくるのでこの先も使用させて頂きたいのですが、如何でしょうか?
もちろん、それが無理ならば修正版をロダに上げて保管されている分と司書の方に差し替えて頂こうと考えているのですが。
お返事をお願いします。
103名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 04:06:47 ID:1tVIRsVz
>>101
GJ
相変わらずだめだこの医者w

ところではやては二期からのキャラですぜ
104y=ー( ゚д゚)・∵. ターンA:2008/08/13(水) 08:59:31 ID:xmwZAHky
>>102
どうぞ、B・A氏のやり易いようにして下さい
恥ずかしい話ですが、テーマソング「流星の射手」なんて今初めて知りました
あれは話の内容から決めたタイトルで偶然です
105野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/08/13(水) 09:43:15 ID:g/G/+lrk
>>103
自分でも信じられないミスをしてしまった………
切腹。
各自脳内保管願いま…………(がくり)
106名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 10:05:13 ID:RYptrehx
>>105
脳内補間は時期が1期でヴォルケン未登場時って意味だと思ったが、ミスでしたか
107名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 10:23:52 ID:6OV+tL0C
>>85
GJです!最後の日記を読んで、ついに涙腺崩壊しました。
クイントさんの成長が見られてよかったです。


そしてこのゲンヤさんは一日に一回は殴られてそうだww
108名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 11:42:59 ID:RSFv1DLM
>>101
さいていだ(褒め言葉)この医者wwww
いいかげんにはやては相手が変態って事に気付きなさい、どう考えてもおかしいだろ。
こういう寸止めされるとなんともむず痒いぜ、はやてのあなるじゃないが。
うしろの穴を開発されるはやて、可愛かったです、GJ!!
109名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 11:55:36 ID:kXU6IcwJ
縦読み乙
110名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 12:48:08 ID:medif3DL
超硬合金氏
遅レスですがGJ!!
純粋なキャロに萌えまくりました。
そしてちょっと変態気味なフェイトさんにも萌えました。
この後はエリオの部屋にパンツを戻しあと、たまたまルーが遊びに来て、先に部屋行っててとエリオに言われて…
ぱんにーは実にたまりませんなあ
111名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 13:25:20 ID:RYptrehx
70スレ562氏の作品を保管庫で読み返したが、この方クロノの扱いが作品ごとでだいぶ違うな
なのはとフェイトで両手に花やら、ショタ趣味に目覚めてるわ、既に故人になってたりもする
後々の扱いを考えて両手に花の作品を書いたのかねぇ
112B・A:2008/08/13(水) 15:14:40 ID:03VmH+VE
>>104
ありがとうございます。
それでは、このままシリーズ内では「幻影の射手」で通させて頂きます。
お許しくださって、本当にありがとうございます。
113 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/13(水) 17:49:05 ID:+5wKvtSU
ではそろそろ投下します。

・『世界の平和を取ってスカの嫁兼監視役になった未来』『自分の幸せを取ってユーノと結婚した未来』
の二つのIFをそれぞれ描きます。
・スカがヤンデレになるのはなのは×ユーノルートのみです。
・エロあり(ただしドラマメインなので簡略的になってます)
・タイトルは『二つの未来』
・鬱注意です。(×ユーノルートでは、ヤンデレ化したスカの手によって様々な鬱展開がありますし、
×スカルートもなのは×スカ要素嫌いな人にとっては鬱ですから)
・一つ一つを事細かに描写する事もあれば、ダイジェスト風のあっさりした物になったりと、
その時々によって描写に差があります
・×スカルートのスカがちょっとマゾっぽい
・×スカルートのなのははちょっとツンデレっぽい
・時期的に色々不謹慎なネタもありますが…ご了承下さい。
・オリキャラも出るでおじゃるよ。

×ユーノ編に関して追加分の注意書き
・鬱なシーンとコミカルなシーンの両方があります。
(コミカルさがあるからこそ、鬱が際立つとかその理論で。勿論逆もしかり。)
・後半あたりクアットロが妙に活躍します。オリキャラとも絡んだりします。
・ウーノが『ドクターは私の旦那!!』なキャラに変貌してます(崩れキャラ嫌な人注意)
・少し801要素まで追加されちったorz
・スカは逃亡中なのに何故かウーノとかは軌道拘置所にいる矛盾は目を瞑ってください
・お馬鹿フェイトが少しだけ復活してます。フェイト好きスマソ
・下ネタ要素あります注意
114二つの未来 20 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/13(水) 17:50:00 ID:+5wKvtSU
平和な日が続くある日の事、外に遊びに出かけていたナーノが突然泣きながら帰って来た。

「うわーん! お母さーん!!」
「ナーノどうしたの!?」

突然泣いて帰って来たナーノになのはも戸惑った。誰かに苛められたのでは無いのかと…
だが、ナーノの体に怪我の類は見られない。

「一体どうしたの? お母さんに言ってごらんなさい?」
「駄菓子屋でお菓子を買う為に持って行った100円玉と消費税用の5円玉を何か昔の不良漫画に
出て来そうな30代40代でも通用しそうなおじさん臭い不良男子学生にカツアゲされたのー!!」
「あらら!」

ナーノが誰かにカツアゲされてしまったと言うのは大変な事なのだが…
カツアゲされた金額が105円だけだとか、ナーノの言う例え方等が逆に笑いを誘っていた。
しかし、なのはは込み上げる笑いを我慢しながらナーノの頭を優しく撫でた。

「でもナーノが怪我しなくて良かったよ。お菓子ならお母さんが買ってあげるから…
これから一緒に駄菓子屋に行こう?」
「え? ダメだよ! またおじさん臭い不良男子学生が来ちゃうよー!」
「大丈夫大丈夫。そんな事になったらお母さんが頭冷やしてあげるから。」

と、この様な小さな事件が起こっていたのだが、大事には至らず、大した騒ぎにはならなかった。
しかし…これこそが全ての始まりだったのである…。

一方その頃、遊園地では一組のカップルがデートを楽しんでいた。エリオ=モンディアルと
キャロ=ル=ルシエである。普段から自然保護隊で一緒に仕事をしている二人であるが、
こうして別の場所へ出かけたりする事は久し振りで、二人は本当に楽しそうだった。

「それじゃあちょっと僕はトイレに行って来るよ。」
「うん。」

用を足したくなったエリオは、キャロに一言言ってから遊園地内にあるトイレへ向かった。
そこは実に綺麗で施設の整ったトイレであり、個室の一つ一つに独立した灯りがある程であった。

「ふぅ…すっきり…。」

エリオはズボンとパンツを下ろした状態で洋式便器に生尻を密着させる形で腰掛け、
満悦そうな表情でウォシュレットで尻菊を洗浄していた。どうやら大きい方をやった方だ。
その後で一度自分が出したブツを流すワケだが、彼は立ち上がらずにゆっくりと自分の
股間の一物を握った。

「それじゃあ…大きいのも出てすっきりした所で…契機付けに一発やろうか…。」

エリオはズボンの中から一枚の写真を出す。それはなのはとユーノの息子、ナーノの写真。
あどけない表情で写真に写っているナーノの姿を見ると…エリオの頬は赤くなり、
股間の一物が忽ちの内に怒張し、固く長く巨大になった。
115二つの未来 21 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/13(水) 17:51:03 ID:+5wKvtSU
「はぁ…はぁ…ナーノ…ナーノ可愛いよ…ナーノ…。キャロも良いけど…ナーノはもっと可愛いよ…。」

何とエリオはナーノの写真で興奮し、鼻息を荒くさせながら自慰行為を始めてしまったでは無いか!
一応確認の為に再度説明しておくが、ナーノは男の子である。確かに幼き日の父・ユーノに似て
女の子の様な顔をしたそれはそれは可愛らしい子であるが…紛れも無く男の子。そしてエリオも男である。
これははっきり言って…危ないとしか言い様が無い。フェイトとキャロが見たら絶対に泣く光景である。

「ナーノ! ナーノ! ナーノのお尻掘りたい! 僕のオ○ンポをナーノのお尻にぶち込んでやりたい!
お尻の穴がズルズルになるまで突き続けてやりたいぃぃぃぃぃ!! そんな事したらなのはさんは
絶対に怒ると思うけど…でもそんなの関係ねぇ!! でもそんなの関係ねぇ!! 僕のナーノに対する愛は
なのはさんの責め苦をも上回るんだぁぁぁ!!」

明らかに危ない事を叫びながら、エリオの自慰は最高潮に達した。だが…その時だった。

「実に美しいオナニーを見せてくれるじゃないの。」
「え!?」

トイレの個室の上の壁にある空白。そこによじ登ってエリオのいる個室に
ちょっと悪っぽい自動車修理工風のいい男が堂々と入って来たのだ。

「良いのかい? ホイホイ入って来て。俺はノンケでも構わず喰っちまう男なんだぜ。」
「入って来たのは貴方でしょう!? 一体何なんですか!?」

エリオは思わず股間を押さえながら叫ぶが、いい男は歯をキラリと輝かせながら言った。

「自己紹介が遅れたな。俺はドクター・ジェイル=スカリエッティが作った改造人間。
怪人・あべオトコだ。よろしくな! エリオ=モンディアル君!」
「どうして僕の名前を!? それにジェイル=スカリエッティって…。」

『怪人・あべオトコ』と名乗るいい男の言ったジェイル=スカリエッティと言う名。
それは紛れも無く、行方不明になっていた『あの男』の物であった…。

一方その頃、キャロはトイレの外でエリオを待ち続けていた。

「エリオ君遅いな〜…。もしかして大きい方なのかな…。でも遅すぎるよ…。」

キャロは余りにもエリオの帰りが遅いので心配していた。しかし、女性と言う立場上
男子トイレに入る事は出来ず、どうにもならなかった。が…そこで男子トイレの入り口から
エリオが顔を出した。

「あ! 戻って来た! エリオ君遅いよーって…キャァァァァァァァ!!」

エリオに対しご機嫌斜めっぽく見せようとした直後、キャロは悲鳴を上げて気絶してしまった。
何故ならば…

「どうだ? これが男同士の愛の形って奴だ。これを知ったらもう女は愛せないだろう?」
「んあぁぁぁぁぁ!!」

怪人・あべオトコの股間から伸びる巨大な一物がエリオの尻の菊を無理矢理こじ開け、
奥までねじ込まれていたのだった………………
116二つの未来 22 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/13(水) 17:51:45 ID:+5wKvtSU
数十分後、時空管理局地上本部内にある医療施設に二人の急患が担ぎこまれた。
無論…それはエリオとキャロの二人であった。

「エリオとキャロの身に一体何が起こったのですか!?」

慌てて駆けつけたフェイトが医師に対し問い詰めるが…医師は厳しい表情で言った。

「かなり危険な状態です…。もっとも…身体的に…では無く精神的に…ですが…。」
「精神的に!? 一体どういう事ですか!?」
「つまり、身体的にでは無く、精神的にこれ以上立ち直れなくなる様な事をされた様なのです。
目撃者の証言によると、エリオ二等陸士は遊園地でちょっと悪っぽい自動車修理工風のいい男に
尻を掘られ、キャロ二等陸士はそれを見たショックで倒れてしまい、そのまま意識不明になったそうです。」
「な…なんですって…。」

フェイトは愕然とする他は無かった。確かにエリオにもキャロにも怪我の類は無い。
エリオは怪人・あべオトコに尻を掘られはしたが、痔になる程の事は無かった。
だが、エリオとキャロが負った心の傷は余りにも大きい。エリオはナーノの尻を掘りたいと言う
夢を持っているくせに、自分が掘られる覚悟は一切持っていなかったが為に初対面の怪人・あべオトコに
尻を掘られたショックで心に傷を負い、キャロは自分以外の相手…それも男に愛するエリオを
取られてしまったショックで心に傷を負い、そのまま両者共に意識不明となってしまった。

「い…一体誰が…誰がこんな事を!?」
「それなんですが…現場にこの様な物が落ちていたそうです。」

そう言って医師はフェイトに一枚の紙を差し出す。それを見るフェイトだが…
この紙にはこう書かれていた。

          『帰ってきたジェイル=スカリエッティ! その尖兵ただいま参上!』

時を同じく、ミッドの一角で一人の女性がコンビニへ入っていた。ティアナ=ランスターである。
なのはとユーノが子供を作り、なおかつその子供がすくすくと育った様に、若手魔導師であった彼女は
今や立派な執務官となっていた。と言う事で、ティアナはコンビニで弁当を購入するのである。

「お弁当は温めますか?」
「お願いします。」

コンビニでレジ係をしていた男性店員とその様なやりとりを行い、購入した弁当を
レンジで暖めてもらってから持ち帰った。そして冷えない内に自室持ち帰り、食べた。

「うんまだ温かい温かい。」

そう独り言を言いながらティアナは弁当の中身を口へ運んで行き、あっという間にたいらげてしまった。
やはり時空管理局員は体が資本。よく食わねば力が出ないと言う事であったが…
117二つの未来 23 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/13(水) 17:52:58 ID:+5wKvtSU
「う!」

突然ティアナのお腹から変な音が鳴ると共に…激しい腹痛に襲われた。

「う! 急にお腹がぁぁぁ!!」

ティアナは大急ぎでトイレへ駆け込み…せっかくの安くて美味い弁当はくそみそな結果に終わってしまった。
そして、ティアナが弁当を買った際に包んでいたコンビニの袋にはレシートに混じってこの様な紙が入っていた。

          『帰ってきたジェイル=スカリエッティ! その尖兵ただいま参上!』

そう。実はあのコンビでレジをやっていた店員はジェイル=スカリエッティの作った改造人間。
『怪人・コンビニのレジオトコ』であり、ティアナの買った弁当を温めるついでに
下剤を混ぜていたのであった!

まあフィクションとかだと下剤は飲んで直ぐに腹を下したりするが、実際は効果が現れるまで
ある程度の時間が必要で、先の描写の様な即効性があったら即死ものなのだが…

一方その頃、スバル=ナカジマは自身の作ったウイングロードの上を駆けていた。
今は平和であるが、何時何が起こるか分からない。だからこそ有事に備えて鍛錬を
怠らなかったのだが…

「ん? 下に誰かいる?」

ウイングロードを展開させている下…つまり地上で誰かがバナナを食べているのが見えた。
道端でバナナを食べられる程ミッドは平和…それはスバルも微笑ましい気持ちになるのだが…
直後…それは起こった。そのバナナを食べていた何者かが、食べ終わった後に残ったバナナの
皮をポイッとスバルの進行方向の先のウイングロードの上へ放っていたのだ。

「え!? うわぁぁぁ!!」

忽ちスバルはバナナの皮を踏んでスリッぷし、ウイングロードから転落してしまった。
そして…気を失った彼女の上に…一枚の紙が置かれるのである。

          『帰ってきたジェイル=スカリエッティ! その尖兵ただいま参上!』

そう。先程バナナを食べていた男は…ジェイル=スカリエッティの作った改造人間。
『怪人・バナナを喰うオトコ』であったのだ!

エリオ・キャロのみならず、ティアナとスバルまでもが管理局地上本部内の医療施設へ運び込まれ、
ナーノと一緒に駄菓子屋に行って、お菓子を買ってあげた帰りにその報告を聞いたなのはは
慌てて駆け付けていた。

「ティアナ達が大変な事になったと言うのは本当なの!?」
「う…うん…。四人とも意識不明の重体で…。」
「え……。」
118二つの未来 24 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/13(水) 17:53:52 ID:+5wKvtSU
既に医療施設の廊下にいたフェイトの言葉になのはは愕然とせざるを得なかった。
ティアナ達四人はなのはの教えを受け、直々に鍛えられた者達であり、その実力…特に
耐久力に関しては並の魔導師を遥かに超越している。それを簡単に倒すのは何者なのかと…

「実はね、四人がやられた時の現場にそれぞれこんな物が…。」
「これは?」

フェイトが差し出した物。それは『帰ってきたジェイル=スカリエッティ! その尖兵ただいま参上!』と
書かれた紙だった。

「あー! それと同じ紙僕も持ってるよー!」
「ナーノ!?」

なのはに付いて来ていたナーノがポケットから一枚の紙を出す。それもやはり
例の『帰ってきたジェイル=スカリエッティ! その尖兵ただいま参上!』の紙だった。

「ナーノ…そんな物を一体何処で!?」
「あの時おじさん臭い不良男子学生に105円をカツアゲされた時に代わりに貰ったんだ。」
「……………。」

そう。ナーノをカツアゲしたおじさん臭い不良男子学生はただの老け顔不良男子学生では無かった。
彼もまたジェイル=スカリエッティの改造人間。『カツアゲするオトコ』だったのである!

「そんな…ナーノまで…。それにジェイル=スカリエッティって…まさか…あのスカリエッティの事?」
「うん。多分間違い無くあのジェイル=スカリエッティ…。奴は完全に諦めて無かったんだ。
奴は帰ってきた。さらに恐ろしい軍団を引っさげて…帰ってきたんだ…。」
「その人誰なの〜?」

数年ぶりに出て来たジェイル=スカリエッティと言う単語になのはとフェイトは深刻な顔となるが、
まだ幼いナーノにとっては初めて聞く単語であり、意味が分からなかった。

「ならどうしてティアナ達を!? 彼の目的が私ならば…私を直接狙えば良かった! なのにどうして…。」
「それは…多分…私の推測だけど…スカリエッティはなのはのして来た事を否定したいんだと思う。」
「否定?」
「うん。そもそもスカリエッティは一体何を思ったかなのはに求婚していた。でもなのははその求婚に
応じず、ユーノと結婚した。それがスカリエッティは悔しかったんだと思う。だから、なのはの遺志を継ぐ
教え子達…ティアナやエリオ達を潰して、なのはのして来た事を否定しようとしたんだと思う。
そしてスカリエッティは多分こう言いたいんだよ。なのはがスカリエッティの求婚に応じず、
ユーノと結婚した事は間違いだと…。」
「ねぇ〜一体誰なの〜?」

フェイトの話を聞いたなのはの表情は歪み…頭を抱えるしか無かった。
119二つの未来 25 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/13(水) 17:55:23 ID:+5wKvtSU
「そんな…じゃ…じゃあ…ティアナ達がああなったのは…私のせい…?」
「あ! でもこれはさっきも言った通り、あくまでも私の推測だからね? だから気を悪くしないで。
もしかしたらスカリエッティがただ単に管理局へ復讐しようとしてるだけかもしれないし…。」
「ねぇ〜そのすかりえってぃって言うのは誰なの〜?」

なのはとフェイトの会話は深刻を極めたが…ナーノのせいでどうにも緊張感が半減していた。
だが、逆に言えばナーノがいたからこそ、なのはは希望を捨てずに…スカリエッティへ
立ち向かって行こうと言う気持ちが湧いてくるのである。

「お母さん泣いちゃダメだよ〜。元気出してよ〜。」
「ありがとうナーノ…お母さんがんばるよ…。」

なのははティアナ達が自分のせいで犠牲になったも同然である事が申し訳無くて、涙する程だったが
そんな母の頭を心配しながら撫でるナーノになのはは勇気付けられ、思わず抱き締めていた。

「ナーノ…。」
「ところでお母さん、すかりえってぃって誰なの〜?」
「…………。」

なのはに抱かれるナーノの姿にフェイトは嫉妬していた。相手がなのはの息子とは言え、
顔はなのはに全然似ず、幼き日のユーノと違わぬ物になっている事がフェイトにとって
気に入らない事だった。故にナーノが生まれたその日以来…何度絞め殺そうとした事か…。

しかし、今はそんな内輪揉めをしている場合では無い。この一大事に時空管理局は
『帰ってきたジェイル=スカリエッティ対策会議』を開き、その対策の為に
軌道拘置所へ収監していた、スカリエッティと縁のあったとある二名を牢から出すのであった………

                        つづく
120 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/13(水) 17:57:19 ID:+5wKvtSU
色んな意味で…ごめんなさい。特にエリオとティアナ好きな人orz

本当はエリオのトイレでのシーンはもっと事細かくやる予定だったのですが…
「いくら事前に下ネタ注意と書いてあってもやり過ぎなのでは?」と思い、
かなり簡略させていただきましたorz
121名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 18:34:53 ID:D0nhoKq4
>>120
続編待ってました
スカリエッティ登場ですね
次も楽しみにしてます GJ!
122名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 19:19:27 ID:Sn54kJ+f
何処をどう見ても鬱というよりギャグですwww
ホントウに有難う御座いま(rya
123名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 19:36:39 ID:LTn93to6
エリオスレを読んでいて思ったのだが…
『施設にいたエリオを助けたのが、フェイトではなくスカリエッティだったら?』というif展開で、なおかつ―
『お前がいなければ、僕が生まれることもなかったんだ!』と、エリオはフェイトちゃんを憎んでいる。
こういうSSって、あったっけ?

なかったら一度書いてみたいのだが…

124名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 19:39:05 ID:mAO2L1PU
>>79
遅レスですまんがGJ!!。マジ感動した!クイント母さんの心境の変化にぐっと来てしまった
125名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 19:45:04 ID:T+HdH4bV
>>123
>こういうSSって、あったっけ?
ないよ
126名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 19:57:19 ID:Pge6vyLS
>>123
自分もそれに近い設定の構想を考えてるので探したけど見つからなかったな。
ちなみに自分が考えてるのは、助けるのはスカの依頼を受けたギンガなんだが。

まあ、リリなのの2次創作は本当に数が多いから、もっと探せばあるかもしらんが、
逆に、こうも多いと構想がダブるのが有っても仕方がないんじゃないかとも思えてきた。
後は、どう料理するかが重要だと思う。
127名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 20:18:35 ID:7FpxQRuO
>>120
GJ!!
続編待ってたぞ。
とうとうスカ登場か…彼のなのはへのヤンデレっぷりが非常に待ち遠しい!

>>123
>>126
俺も見たいと激しく思った。
是非投下してくれ〜!
128名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 20:29:36 ID:xtZ4Nn+I
亀ながらも前スレ>>585-595の246氏、GJです。2話にして『幸せな日常』の崩壊が始まりましたか・・・・。
しかも、発端はヴィヴィオ嬢・・・。ここからどのような連鎖が始まるのか、それともまた別の所から亀裂が生じるのか、続きを楽しみにしております。

>>123
おおっ!!イイっすね〜〜〜。その設定を読んだだけでwktkが収まらんですたい!
良い子なエリオでも、鬼畜助平色魔なエロオでもない、精神防御が限りなく低いフェイトそんに
心身両方に攻撃するようなダークなエリオってのは珍しいし面白そうです。ご本人が良ければ是非とも書いて頂きたいッス!
129名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 20:58:35 ID:RYptrehx
だからエリオとユーノはいい加減にしてください
ハラオウン家の双子とか使おうよー
130名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 21:03:33 ID:xtZ4Nn+I
どなたかが書いてくれるのをジッと待つか、さもなくば御自分で書きなはれ。
131名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 21:03:34 ID:0Xpc6JJK
>>129
日本語でおk
132名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 21:10:05 ID:RSFv1DLM
じゃあ、ここはレジアスで
133名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 21:12:30 ID:04Lg/v6b
いやリーゼ姉妹とグレアムで
134名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 21:13:21 ID:a3TeLppZ
影の薄いグリフィス君とか。
135名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 21:18:29 ID:v8Bq/TPQ
クロノ君も思い出してください
136名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 21:31:16 ID:XfM+7Xsc
>>129
ハラオウンの双子って……
声はおろか画面上で動いてすらいないのにどう書けと?カルタス以上にオリキャラ化するんでね?
137名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 21:40:18 ID:lrMIVtqs
ランディ&アレックスの登場ですね
138名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 21:40:34 ID:sCPSnT5J
ここはターセルの出番じゃなかろうか?
139名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 21:47:45 ID:y39ITtEF
いやエリックだ
140名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 21:48:40 ID:MGdOydvE
敢えて今ヴォルツで書くという
141名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 21:49:07 ID:slQpFWgM
ギャレット
 ガ タ ッ
142名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 21:49:45 ID:g/G/+lrk
ここまでロッサの名前なし
143名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 21:51:35 ID:RYptrehx
>>138
ほんとに誰?

>>136
オリキャラ化って言っても、それなりに人気作に出てくる育ったエリオとかヴィヴィオとかって実質オリじゃん。
既存キャラの子供連中のネタも実質オリだし、そこまで気にすることなくね?

……あれ?ハラオウンの双子ってサウンドステージにすら出てないの?
そしてカルタスに声あったっけ?エロパロで共通して使うオリキャラだと思ってたんだけどさ?
144名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 21:59:44 ID:T+HdH4bV
人気作だからといって、みんな読んでるとは限らないんだぜ
145名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 22:01:15 ID:Jp4yJf/b
>>143
例え5歳であろうと性格というのは成長してもさほど変わらないわけで。
何もかもが出てきていない状態のキャラとは全然違うんだよ。
まあ、某氏が連載してる次世代モノはそうだけどね。
要は、職人が書きやすいか書きづらいかってことだけ。 それでも書けるだろと言うなら自分で書いてみなされ。

ハラオウンの双子は画像として出てきただけであってその他は皆無。
妹の方がブラコンっていう設定だったかな? でも、出てきた情報はそれくらい。
カルタスにはきちんとグラーフアイゼンの中の人という、今や第一線で活躍するお方がやっておられますぜ。

それと、ターセルってのは漫画版見てない人間は分からないと思う。
俺もうろ覚えだが。違ってたらスマソ。 そして短冊レスみたいになってすまん。
146名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 22:01:41 ID:sCPSnT5J
ターセル(´;ω;`)ウッ…

まあ、ここも含めて登場した作品二つしか知らないけどさ
しかも名前だけだし・・・・・・
147名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 22:08:06 ID:MGdOydvE
ターセルって、SS04でスバルをスカウトに来た湾岸警備隊の人じゃなかったっけ?
148名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 22:08:30 ID:g/G/+lrk
>>143
>>そしてカルタスに声あったっけ?エロパロで共通して使うオリキャラ

全俺が泣いた。
いや、確かにウィキとコミックがなかったら俺もそう思っていたかもしれんw
149名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 22:10:45 ID:0Xpc6JJK
>>143
偉い人は言いました
『何? ハラオウンの双子ネタがない?
逆に考えるんだ。
『自分で書いちゃえば良いさ』と考えるんだ』

Let's言い出しっぺの法則
150名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 22:38:57 ID:ZsLna7WF
>>141
そういや名有り元アースラ組み野郎で
エロシーン無いのは

 ギ ャ レ ッ ト くらいかww

……で、ギャレットの髪の色って何色だっけ?
そもそも眼鏡かけていたかどうかさえワカランorz
アニメ本編手元にあるのに特定できない俺は設定集を買わなきゃならんのか?

いや、
そもそも設定集でもギャレットのことは書かれてるのだろうか /(^o^)\
151名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 22:46:14 ID:03VmH+VE
>>140
ヴォルツって誰?
152名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 22:55:45 ID:IC9NGkWT
>>151
夏コミ先行販売ドラマCDで初登場の新キャラ
153名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 22:57:48 ID:kfnJQOgW
>>151
青島
154名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 23:30:24 ID:RuzeCLgX
>>153
レインボーブリッジ封鎖出来ない人か
155B・A:2008/08/14(木) 00:21:11 ID:oGt/FgpL
半オリなエリオやヴィヴィオが出てくるのを投下しに来ましたが、今は大丈夫ですか?
156名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 00:22:07 ID:FQ8vGUVJ
おk
157B・A:2008/08/14(木) 00:25:47 ID:oGt/FgpL
それでは、快く了承してくださったy=ー( ゚д゚)・∵. ターンA氏に感謝しつつ、
今宵も暑っ苦しいまでに行かせていただきます。


注意事項
・B・A版エリルー時空のお話
・主人公はヴィヴィオ(ですが、みんな主役の精神で書いております)
・オリキャラが出ます
・非エロでバトルです
・sts本編から11年後の物語
・フェイトが天寿を全うしております
・その他かなりの捏造多し。
・タイトルは「Das Erbe zur Zukunft」 意味:未来への遺産
・オリキャラTUEEEEEEEかったなぁ
・5対1の異種魔法戦後編
・さあ、みんな大好きなBGMを用意しよう
・前提作品『Ritter von Lutecia』
     『Nach dem eines Speerritters』

158Das Erbe zur Zukunft@:2008/08/14(木) 00:26:29 ID:oGt/FgpL
第25話 「Brave Phoenix(後編)」



砲撃の直撃を受けて舞い上がった白煙を振り払い、光の槍を携えたヴィヴィオが姿を現す。
向かい合った視線が火花を散らし、言葉を交わらす間さえ与えずにその槍はセリカを捉えていた。
手を伸ばせば彼女の長身に触れることができる。どんな高速戦闘魔導師でも絶対に回避できない致命的な距離だ。それは即ち、戦闘における敗北を物語っていた。
だが、この二人にとってはそのような常識は通用しない。
片や天性の素質と英才教育によって培った鉄壁の防御。
片や人工の技術と絶え間ない努力で培った鉄壁の防御。
当代における最高峰の防御出力を誇る二人にとって、真の意味での致命的な間合いは存在しない。寧ろ、二人にとって問題なのはその先にある気力の鬩ぎ合いだった。

「セリカちゃぁんっ!!」

「くっ・・・・くあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

虹色の魔力刃が灰色の魔力の壁に阻まれて火花が飛び散る。
己の思いを届けんと吠えるヴィヴィオ。
己の正義を守らんと耐えるセリカ。
それぞれの意地と誇りに応えるように互いのデバイスが主より注がれる魔力に回路を焦がし、限界を超えてその機能を稼働させる。
貫く。
耐え切る。
撃ち抜く。
凌ぐ。
ただ純粋な思いだけが魔力の渦となって大気を震わせる。

「そんな馬鹿魔力、繊細なインテリジェントデバイスが保つと思っているの!?」

嘲るようなセリカの言葉がヴィヴィオの耳を突き刺す。
事実、レイジングハートの外装は長時間の戦いで疲弊し、崩れ始めていた。定期的に仕様変更を繰り返してきたとはいえ、
レイジングハートは二十年以上も前のデバイスであり、今の時代では型遅れの代物だ。確かに高性能ではあるが、耐久性においてはセリカのRHの方が遙かに優秀である。
だが、彼女達にはそれを補って余りある絆があった。そして、魔導師とインテリジェントデバイスの意志が一つとなった時、1+1の力は10にも100にも膨れ上がる。
それは計算では決して推し量れない奇跡の力、しかしヴィヴィオとレイジングハートが共に過ごした時間が起こした当然の帰結であった。

「なっ・・・・・!?」

灰色の壁を突き破り、レイジングハートの先端が疑似・聖王の鎧と激突する。
再び舞い散る火花が視界を焦がし、ヴィヴィオの体から発せられる虹色の光がセリカの纏う灰色の光を侵食していく。
どれだけ足掻こうとも、月の光が太陽の輝きに勝ることなどありえない。

「どうして!? 何で耐えられるの!?」

《私はお嬢様を信頼しています。このお方ならば私の力を全て引き出してくれる。そして、お嬢様の全力を受け止められるのは、遍く次元世界において、
この私・・・・・・・・“魔導師の杖”レイジングハート・エクセリオンただ一機です!》

「届いてぇっ!!」

余りにも呆気なく、疑似・聖王の鎧が突き破られる。
己を深々と貫く魔力刃を信じられない瞳で見つめ、セリカの表情が苦悶で歪む。だが、ヴィヴィオの攻撃はまだ終わっていなかった。

「エクセリオンバスターA.C.S!」

硬質な音と共に薬莢が排出され、レイジングハートの先端に凶悪な輝きが灯る。同時に、膨れ上がった魔力がヴィヴィオの叫びと共に、一気に解き放たれた。
159Das Erbe zur ZukunftA:2008/08/14(木) 00:27:17 ID:oGt/FgpL
「ブレイク、シュゥゥゥゥゥットォッ!!!」

零距離から純粋魔力の砲撃が炸裂し、セリカの体が衝撃で吹き飛ばされる。
非殺傷設定でなければ間違いなく体が原子レベルで消し飛んでいた一撃、そんな砲撃を前にして、たかが二本の足の踏ん張りなど気休めにもならず、
セリカの体は重力に引きずられるように堕ちていく。

(負ける・・・・・また・・・・・・また負ける・・・・・・)

敵として対峙して、自分は二度彼女と戦った。
一度目は惨敗。序盤こそ優勢に事を進めていたが、最終的にはブラスターモードを起動させたヴィヴィオを前に手も足も出なかった。
そして、二度目はそのブラスターモードすら起動させることもできず、砲撃で全身を焼かれながら地上に落ちていっている。
勝てない。
どれだけ努力しても、どれだけ工夫しても、反則までして力を手に入れても、本物の聖王には勝つことができない。
言うことを聞いてくれない体が憎かった。
思い通りに操れない自分の魔力が憎かった。
デバイスとあれ程までに固い絆で結ばれたヴィヴィオが憎かった。
だが、何よりも憎いのは、今この瞬間に挫けそうになっている、自分自身の心の弱さだった。

「ふっ・・・・ざけるなぁぁっ!!!」

アクセルフィンを羽ばたかせ、空中で踏ん張りをつける。
瞼を開けば視界が錆色に染まっていた。最初は大威力砲撃を受けて色盲にでもなったのかと思ったが、眼下で繰り広げられている戦いを見てすぐに違うことに気づいた。
ドームの中に落ちたのだ。
世界を染める錆色はシエン・ボルギーニの魔力光の色。理想だけを掲げて戦う指針を持たなかった自分に生き方を教えてくれた最愛の人の魂の色だ。

「中将・・・・・・」

眼下で五人の魔導師を相手に対等に戦っているシエンの姿に鼓舞され、萎えかけていたセリカの闘志が再び湧き上がってくる。
五体に損傷はない、RHも無事、魔力の残量は少し厳しいが、やってやれないことはない。この意思が挫けぬ限り、自分はまだ戦える。

「紛い物でも良い・・・・・・私は聖王、そしてあんたも聖王。勝った方がこの世界の守護者だ。
そして、私はあんたを倒して、なのはさんみたいに世界を守るんだぁぁぁぁぁっ!!!」

傷ついた体に鞭を打ち、セリカは大空を飛翔する。自分を追って錆色の世界に降りてきた仇敵、ヴィヴィオ・T・スクライアを倒すために。





一歩足を踏み出すだけで良かった。一歩踏み出して、手にした剣を振るえばそれで全てが終わるはずだった。
だが、吹きつける風がそれを許してはくれない。ほんの少しだけ前に進めばこちらの間合いに入るというのに、
まるで立ち上がったスバルに恐怖するかのように両足が動かない。

「風は空に・・・・・・」

風を背に受け、スバルは呟く。胸の内より込み上げてくる確かな感情を、師より授かった不滅の魂を。

「風は空に、星は天に、輝く光はこの腕に、不屈の心は・・・・・」

それは彼女の恩師がその身に刻んだ生き様。銀河を引き裂く流星のように戦いに彩られた青春を駆け抜けたある少女の願い。
誰かのために泣き、誰かのために笑うことができた、彼女の曲げることができない信念の形。そして、スバルが十二年前に確かに継承した、絶対無敵のハートの形。
160Das Erbe zur ZukunftB:2008/08/14(木) 00:28:00 ID:oGt/FgpL
「この胸に!」

繰り出された拳は余りに凡庸だった。ただがむしゃらに打ち出しただけのまっすぐな突き。
百戦錬磨の達人からすれば児戯にも等しい殴打を受け流すことなど造作もないことだろう。
だが、スバルが繰り出した一撃は凡庸故に重く、鋭かった。今日という日まで彼女が研鑽してきた努力の成果。
それがシエンの認識を上回る速度で放たれ、彼の鉄壁の防御を搔い潜り、防御魔法を唱えさせる間さえ与えず、その巨大な胴体に吸い込まれていった。
その瞬間、不動の山が大きく揺らいだ。
何ら飾り気のない愚直な拳が、歴戦の騎士の巨体を吹き飛ばしたのである。

「ぬ・・・・ぬぅ・・・・・・・」

腹部の痛みに顔を歪めながら、シエンは自分が後退していることに驚愕していた。
慢心がなかった訳ではない。驕りがなかった訳ではない。だが、それは長き戦いを潜り抜けてきた経験から来る自信の表れであり、
断じて格下の相手に一撃を許すような油断にはならないはずであった。ならば、どうして自分は後ろに下がっているのか。その答えは、すぐ目の前にあった。

「マッハキャリバー」

《All right》

「まだやれるよね、マッハキャリバー」

《Yes》

「まだ、走れるよね」

《Yes》

「まだ、戦えるよね!」

《Yes》

「ならいくよ、相棒!」

《All right buddy》

水色の羽根を羽ばたかせ、スバルは鋼の相棒と共にシエンへと迫る。その疾走は傷だらけでありながらもなお力強く、
衰えるどころかこれまで以上の速度で戦場を駆け抜けていく。
詰まる所、魔導師や騎士の戦いとは信念のぶつかり合いなのである。魔法とは即ち意思の具現、魂の形。故に諦めなければその力は尽きることなく湯水のように溢れ出て、
傷ついた体は不死鳥のように何度でも死地から舞い戻ってくる。そして、相手を打倒するという意思が挫けぬ限り、スバルの肉体は停止することなく敵に食らいつく。
勝てぬことを承知で無謀な特攻を仕掛けるのではない、死中に活を見い出すために、絶対に生きて帰るのだとその胸に誓い、勝利をその手に掴むために拳を振るっているのだ。
その純粋な思いは、限界を超えた肉体に更なる力を与えてくれる。
繰り出す拳は太陽のように熱く、刃のように鋭く、鉛のように重い。だがそれは、何の奇策も伴わない格闘技の基礎の組み合わせでしかなかった。
ある程度経験を積んだ者ならば誰でもできる基本的なコンビネーション。突く、蹴る、受ける、流す。単純な基本動作を並べただけの粗雑な動き。
だが、その熟練度は恐ろしいまでに高く、一つ一つの動きに込められた思いは何よりも苛烈で凄まじい。
見れば彼女の体は打撃の余波に耐え切れずに崩壊を始めている。フレームが歪んだ左腕は最早機能しておらず、乱雑に振るわれる盾として使い潰され、
右腕のリボルバーナックルも片方のナックルスピナーが機動していない。マッハキャリバーに至ってはショート寸前で黒い煙を上げている。
それでも、スバルはただがむしゃらに前に向かって拳を繰り出し、その気迫に押されたシエンは後退を余儀なくされる。
五人がかりでも揺るがなかった不動の山を、たった一人の壊れかけの機人が追い詰めていく。
161Das Erbe zur ZukunftC:2008/08/14(木) 00:28:40 ID:oGt/FgpL
「く、何故・・・・何故そこまで戦えるぅぅっ!!」

怒号が轟き、シエンの足が止まる。
揺らぎが停止した。
再び不動の山と化したシエンはそびえ立つ崖のようにスバルの前に立ち塞がる。
手にしているのは殺意の象徴。死神の宿った刃が打ち下ろされ、スバルのリボルバーナックルとぶつかって火花が散る。

「力の差がわからぬ程、素人ではあるまい!」

「そうさ、あんたは強いしあたし達は弱い! けど、非力が無力でないように、あたしには不屈の心がある! 
機動六課でなのはさんから教わった、絶対に諦めない心、レイジングハートが!!」

「勇気と無謀が別であるように、不屈と執念も別物だ! それとも、お前も高町なのはに、英雄に・・・・・正義の味方になりたいかぁぁっ!!」

振り上げられた刃がスバルの拳を払い、回し蹴りが腹部に叩き込まれる。動作は一度、だが蹴撃は三度あった。
激しい痛みにスバルの意識は断線し、半ば無意識に受け身を取って防戦する。

「己が傷つくことを是とし、己が苦しむことを是とし、己が犠牲になることを是とし、名も知らぬ者達のために戦うことを是とするか! 
私の娘のように、セリカのように、そんなにまでお前は英雄に焦がれるか! そんなにも高町なのはになりたいかぁぁっ!!!」

傷つきながらも屈さずに立ち向かってくるスバルに、自分を正義の味方と慕って憧れた娘の姿を重ねたシエンが激昂する。
英雄への憧れに娘を殺されたシエンにとって、それは絶対に許容できない感情であった。だが、その咆哮はスバルの絶叫によって押し返された。

「あたしは、一度だってそんな風に考えたことはないっ!!」

左腕を犠牲にして接近し、半ばもつれ合うようにスバルは肩からぶつかってシエンを吹き飛ばす。

「確かにあたしはなのはさんに憧れていた! 目標にもしていた! けど、あたしはあたしだ。どんなに努力したって、どんなに勉強したって、
あの人みたいにはなれない! それでも、この手で守れるものがあるから、戦える力があるから、あたしはここに戻って来たんだ! 
なのはさんみたいに上手くやれないのはわかっている。なのはさんみたいに飛べないのはわかっている! けど、それでもあたしにできることが少しでもあるのなら、
あたしは何度だって羽ばたいてやる! だって、この手の魔法は、誰かを傷つけるためにあるんじゃなくて、守るためにあるんだからぁっ!!」

駄々を捏ねる様に繰り出される一撃はシエンにとって骨に響く様に重く、受け止める度に剣が悲鳴を上げる。その一撃の向こうに、シエンは確かに愛娘の姿を幻視した。

『わたしもお父さんみたいな局員になって、世界の平和を守るよ』

(セラ、お前もなのか・・・・・・・お前も彼女と同じように考えていたのか!?)

自問に答えは返ってこない。
シエンの弱い心を覆っていた固い鎧が剥がされていく。
重しで固定していた天秤の傾きが後退していく。
彼女の揺るぎない不屈の心が、シエンの錆びついた心を溶かしていく。
だが、それでも彼は止まらない。
娘の墓前に誓ったのだ、この世界を閉ざしてでも守ると。志し半ばで散ってしまった娘に代わって、この世界を未来永劫に守るために世界を自らの手で閉ざそうと。
そのために多くのものを犠牲にし、失ってきた。たかが女一人の信念で傅く程、シエン・ボルギーニは軽い男ではない。
しかし、それが一人でなかったとしたら。

「ふんっ!」

「ああぁぁぁっ!?」

吹っ飛んだ体が地面を転がり、スバルの体が動かなくなる。ここまでに蓄積したダメージが酷く、手足がほとんど言うことを聞いてくれない。
その隙を逃すまいと、シエンの刃が大気を引き裂く。だが、その一刀がスバルの頭を叩き割る寸前で、無数の橙色の魔力弾がシエンの横っ面を引っ叩いた。
162Das Erbe zur ZukunftD:2008/08/14(木) 00:29:21 ID:oGt/FgpL
「ぬぅっ、幻影の射手かぁっ!!」

髪飾りが千切れ、長い髪を風になびかせながら、ティアナはショートバレットを連射する。親友を助けるために、リンカーコアが焼けつく限界まで魔力を絞り出す。

「この・・・・・たかが直射弾如き・・なにぃっ!?」

切り捨てようとした魔力弾が刃に触れた途端、派手な爆発と共に衝撃が刀身を襲い、同時に舞い上がった煙が視界を覆い隠す。
ただの直射弾ではない、弾丸に反応炸裂効果を付属し、目くらましとして使用したのである。

『射撃型の神髄は?』

(あらゆる相手に正確な弾丸をセレクトして命中させる、判断速度と命中精度)

自らに課せられた使命を胸に、ティアナは撃ち出す弾丸を直射弾から誘導操作弾に切り替える。
視界を封じられ、先程の爆発で聴力も狂っている状態では八方から襲いかかる橙色の魔球を捌き切ることなどできず、
シエンは防御魔法を展開してその猛攻に耐え忍ぶ以外にこの状況を切り抜ける手段はない。
そう思った刹那、シエンの咆哮が衝撃波となって黒煙ごと魔力弾を吹き飛ばし、目障りなティアナを葬らんと地を駆ける。

「この程度でぇぇぇっ!!」

「・・・・・風は空に!」

刃が振り下ろされた瞬間、ティアナの姿が二つに割れて掻き消えた。同時に、再び背後から無数の直射弾が降り注ぐ。

「ぐぅぅっ!!」

『足は止めて視野を広く持つ』

『チームの中央に立って、誰より早く中・長距離を制する』

「それが、センターガードの役目! そうですよね、なのはさん!」

給水塔の上に陣取ったティアナが吠え、立て続けにクロスミラージュがカートリッジをロードする。
いっそう激しさを増す弾幕の何割かは先程見せた反応炸裂弾であり、迂闊に剣で切り捨てればさっきの二の舞になってしまう。
だが、シエンとて歴戦を潜り抜けてきたベルカの騎士だ、既にティアナの射撃の癖は把握しており、
カートリッジをロードする隙を突いて降り注ぐ反応炸裂弾の嵐を搔い潜っていく。しかし、彼がティアナに肉迫する寸前で、金色の刃と桃色の光が立ち塞がった。

『ガードウィングのエリオは、どの位置からでも攻撃やサポートをできるように、フルバックのキャロは、素早く動いて仲間の支援をしてあげられるように』

尊敬する恩人の言葉を思い返し、キャロはエリオとルーテシアに支援魔法を施す。そして即座に後退し、戦線から離脱。
シエンに狙われぬように小刻みに動き回りながらティアナやスバルの治療に回りつつ、金色の刃を振るう二人を的確に援護する。

『まずは動き回って狙わせない』

『攻撃が当たる位置に長居しない』

「星は天に・・・・・ちゃんと覚えています、フェイトさん!」

キャロの支援を受けたエリオとルーテシアが互いを支え合い、手にした大剣と槍を一閃させる。
補助を受けているとはいえ、ルーテシアを庇いながら戦わねばならないエリオに取って古兵であるシエンとの斬り合いは非常に苦戦を強いられるものだった。
気を抜けば忽ち鋼の刃が首を跳ねんと振り下ろされ、研ぎ澄まされた殺気を浴びて足が竦む。だが、それでもエリオは負ける気がしなかった。
彼の強さは誰よりも身に染みて理解している。絶望的な経験値の差と圧倒的な技量の壁を単騎で突き崩せるだけの力は自分にはない。
それでも、その動きを見切って受け流すことはできる。
163Das Erbe zur ZukunftE:2008/08/14(木) 00:30:53 ID:oGt/FgpL
『スピードが上がれば上がる程、勘やセンスに頼って動くのは危ないの』

全ては基本的な動作の連続的な流れである。腕の振り、足捌き、全体の動き、目線、剣が大気を切る音。
それらに注意し、尚且つ反応できるだけの反射神経があれば決して捌けぬ相手ではない。
確かにシエンの剣術は重い上に恐ろしい程正確だ。まともに打ち合えば確実に押し負けるだろう。
だが、母や師やガリュー、そしてケーニッヒに比べれば彼の動きは呆れる程遅く、
熾烈な戦いを繰り広げていたエリオからすればどこにどのような太刀が振り下ろされるのか手に取るようにわかるのである。
落ち着いて軌道さえ見切れれば、斬撃を受け流すことはそう難しいことではなかった。
更に、今のエリオは一人ではなく、たくさんの仲間達がその背中を支えてくれている。

『戦法など、“届く距離まで近づいて斬れ”ぐらいしか言えん』

キャロの防御魔法がシエンの動きを止め、ティアナの射撃がシエンの体勢を崩し、ルーテシアの補助魔法がエリオに力を与えてくれる。
軋む体から繰り出されるのは真正直な剣戟の嵐だった。
相手が受けに回れば容赦なく刃を振るい、攻めてくれば歯を食いしばってそれを捌く。斬られそうになれば斬らせまいとその身を捻り、
避け切れぬ必殺はバルディッシュで受け流す。そして、相手が己の必殺の間合いに入れば、躊躇なく手にしたデバイスを振るって切り捨てんと吠える。
どこまでも真っ向から、相手に競り勝たんとする押しの一手。それでいながら、彼はひたすら負けない戦いを繰り広げている。
まるで、攻撃は最大の防御という言葉を体現しているかのように。

「輝く光はこの腕に! 母さん、シグナムさん、皆さんの教えはちゃんと僕達の中で生きています。いくよ、ルー!」

「はい!」

右からは雷光を纏った槍が、左からは金色に輝く大剣が襲いかかる。ある時は示し合わせたかのように左右同時に攻撃が繰り出され、
ある時はお互いの隙をカバーし合うように交互に打ち込んで息の合ったコンビネーションを発揮する。
それだけならばまだ、槍に関して素人であるルーテシアを狙えばこの状況を切り抜けることができる。彼女を失えばエリオは動けなくなり、
後衛二人を守る者がいなくなるからだ。だが、それを是としない者が右への一刀を受け止め、エリオの死角をカバーするようにルーテシアを守っている。

『あたしやお前のポジション、フロントアタッカーはな、敵陣に単身で切り込んだり、最前線で防衛ラインを守ったりが主な仕事なんだ。
防御スキルと生存能力が高い程、攻撃時間を長く取れるし、サポート陣にも頼らねぇで済む』

『受け止めるバリア系、弾いて反らすシールド系、身に纏って自分を守るフィールド系。この三種を使いこなしつつ、ポンポン吹っ飛ばされねぇように、
下半身の踏ん張りとマッハキャリバーの使いこなしを身につけろ』

「私がいる限り、あんたの攻撃はもう通させない! それがヴィータさんから学んだ、フロントアタッカーとしてのあたしの役目!」

攻撃を受け止めたプロテクションの表面が爆発し、シエンの体が吹き飛ばされる。
なのはから直伝されたこのバリアバーストという魔法は本来、相手との距離を取るためのものだが、それ単体でも十分な攻撃力を秘めている。
何よりも、強烈な爆風は相手の体勢を崩し、反撃の隙を作り出すのに非常に重宝する。

『夢見て憧れて、必死に積み重ねてきた時間、どんなに辛くても止めなかった努力の時間は、絶対に自分を裏切らない。それだけ、忘れないで』

「不屈の心はこの胸に! あたしの夢はもう叶ったから、今度はみんなの夢を守る番だ。それが“鋼の走者”スバル・ナカジマの生き方だぁっ!」

スバルとハラオウン夫妻が同時に飛び出し、それをティアナとキャロが援護する。
まだ自分達が新米だった頃に教わった数々の教えを胸に、それぞれが己に課せられた役目を忠実にこなし、最高のチームとしてその力を存分に発揮する。
164Das Erbe zur ZukunftF:2008/08/14(木) 00:31:35 ID:oGt/FgpL
「押されているだと、この私が・・・・・・・・」

いつしか自分が防戦一方であることに気づいたシエンが、驚愕の言葉を漏らす。
楽に勝てる相手ではないと思ってはいた。
多少の苦戦はすると覚悟はしていた。
だが、ここまで追い込まれるなどと、いったい誰が予測できたであろうか?
確かに、物量差は否めない。身体強化という点において破格の性能を発揮するレッツテフォルムもピーキーなデバイスの制御の問題故に
射撃や幻術が使用できなくなるという欠点はあった。しかし、敗北までは決して想像しなかった。己の前にあるのは常勝、背後には栄光という名の屍の山。
数多の犠牲の上に成り立っている自分がこちらの半分の年月も生きていない五人の若者に屈する姿など、イメージできる訳がなかった。
だが、現実に自分は今、苛烈な攻めを前にして防戦を余儀なくされている。

「何故だ・・・・何故攻撃が通らぬ! 何故我が剣が曇る・・・・・この迷いは、いったい・・・・・・」

「それは、あなたが諦めてしまったからだ!」

振り下ろされた鋼をバルディッシュの刀身で受け流し、エリオは一歩前に踏み込む。
間髪入れずに反対側からストラーダの連撃が襲いかかり、続いて入れ替わるように金色の魔力刃がすくい上げられる。

「私が・・・・諦めただと!?」

「信じることを、この世界の明日を願うことを諦めてしまったからだ!」

「私はこの世界の行く末を憂いている。故に、行動を起こしたのだ!」

「そして、世界を閉ざすのか? 多くの同胞の手を振り払って!」

「英雄を必要とせぬ世界を作るのだ! 争う必要のない穏やかなゆりかごを、子ども達が正義の味方に憧れる必要のない、静かな世界を作り上げる! 
それが、死した娘にできる我が償いだ!」

「それが矛盾しているんだ! ならどうしてあなたは、自分自身の命を犠牲にするような真似をした!?」

魔力刃が鋼を弾く。
エリオが踏み込み、シエンが下がる。
距離は一向に縮まらず、しかし焦燥だけが募っていく。二メートルを上回る巨躯を誇りながらも、シエンは自分がどんどん縮こまっていっているような錯覚を覚えた。

「どんな世界を作ったって、あなたという英雄は残る! あなたに憧れ、慕う人が存在する以上、そんな世界は作れない! 
シエン・ボルギーニ、あなたは自分でも言っていた、この戦は自分のエゴであり、贖罪であると! その通りだ、あなたは罪なき自分に罰を求めている。
娘の死を防げずに、悔やんだ果てに辿り着いた答えが世界を閉ざすことだった。その困難な道こそが、あなたにとっての罰だった!」

「それでも、世界を守れるのであれば・・・・・・・・」

「守れやしないさ! 何故なら、人間もまた世界の一部! そして、守るということは、その土地を外敵からまもることでも、人々の命を救うことでもない! 
そこに住まう人達の思い、意思、願い、そして明日への希望、未来への夢。そんな形のないものを尊ぶことが、守るってことだぁっ!!」

「ならば、貴様は今の世界を信じられるというのか! お前とて人の親だろう、我の悔恨がわからぬわけではあるまい!」

「それでも僕は希望に溢れる未来を信じている。僕達自身が、その証だぁぁっ!」

グラリとエリオの体が傾き、息継ぎの隙を守るようにルーテシアがストラーダを振るう。
連撃と呼ぶには余りにお粗末な突きの繰り返しを、エリオの言葉で動揺したシエンは弾き返すことができなかった。

「私は小さい頃、ずっと自分が一人ぼっちだと思っていた。周りにいる人が誰も信じられず、みんなが自分に敵意を向けていると思い込んでいた。
何が良いことで何が悪いことかもわからなくて、色んな人にたくさんの迷惑をかけた。手を差し伸ばしてくれたエリオやキャロにも酷いことをして、
たくさん傷つけてしまった。私のことを傷つける人は、みんな死んじゃえば良いって思ったこともあった。だけど、きっかけ一つで人は変われる。思い一つで世界は変わる」

孤独に過ごした幼少時代と、エリオやキャロから貰った温かい思い出を糧に、ルーテシアは夫のデバイスを懸命に振るう。
凡庸過ぎる一撃はどれだけ果敢に攻めてもシエンの防御を切り崩すことはできない。だが、それに込められた思いと言葉は確かに彼の心を揺さぶっていた。
165Das Erbe zur ZukunftG:2008/08/14(木) 00:32:37 ID:oGt/FgpL
「エリオと出会って、私は愛すること、守ることを知った。キャロと出会って、信じること、思いやる心を知った。人と人との繋がりが、私に光に満ちた世界をくれた。
敵同士だった私達に、家族以上の繋がりをくれた。この世はあなたが見捨ててしまう程、決して暗い世界じゃない。私とエリオが、私とキャロが分かり合えたように、
みんな手を取り合っていけるはず! 私は、自分の娘にそんな世界で生きて欲しい!」

支え合う二人のバランスが崩れた瞬間、桃色の障壁がシエンの刃から二人を守る。凄まじい衝撃に火花が飛び散り、瞬く間にバリアは過負荷を起こして激しく明滅した。
だが、二人の友を守るために、竜騎の召士は残る魔力を懸命に振り絞って防御魔法の維持に努める。

「君はこの世界の住人ではあるまい。何故、ミッドのために戦っている!?」

「確かにわたしは、この世界の出身じゃありません。第6管理世界アルザス地方の少数民族“ル・ルシエ”の召喚師としてこの世に生を受けました。
けれど、私にとっての故郷は、エリオ君やルーちゃん、そして大切なお母さんとの思い出が詰まったこのミッドチルダです。みんなに会えなかったら、
きっとわたしは今、ここにいなかったと思います。みんなと出会えたから、わたしは自分の居場所を見つけることができた。自分の力に悩むこともなくなった。
だから、わたしは世界と世界の繋がりを断ちたくない。わたし達のように次元を隔てて友達になった人が、家族になった人が、
これから繋がりを持とうとする人がいるはずだから。わたしはその人達のためにも、世界を閉ざしたりなんかさせません」

バリアが消滅する寸前、飛来した橙色の魔力弾がシエンの足下に降り注ぎ、エリオ達が後退する隙を作る。

「私はみんなみたいにご大層なお題目を掲げている訳じゃない。背負うものなんてない凡人。けれど、そんな私にも譲れない誇りがある!」

「それは、いったい・・・・・・・」

「管理局局員としての誇り、ティーダ兄さんから受け継いだ射手としての誇り、そしてなのはさんとフェイトさん、二人の先生の教え子であるという誇り。
私は誇りある本局執務官として、この場に立っている!」

弾幕が止んだ瞬間、入れ替わるようにスバルが躍り出て拳を振るう。左腕を失い、バランスを失った体をマッハキャリバーの補助で何とか支え、
フレームの歪んだリボルバーナックルをシエンが展開する障壁へと叩きつける。擦れるような音と共に地面が抉れ、シエンの巨体が後退すると、
そのまま更に蹴りと突きのコンビネーションで不動の山を揺るがしていく。

「あたしには子どもがいる、七人もだ! 手間もかかるし煩いし、いつも喧嘩ばっかりしている。けれど、それは相手が嫌いだからじゃない。
相手の気持ちがわからないから、自分の気持ちが伝わっていないから傷つけ合うんだ。だからお互いの気持ちがちゃんと伝われば、笑って仲直りしている! 
人間は一人一人違うから、価値観の違いで争いが起きるかもしれない。けれど、最後には子ども達みたいに分かり合えるはずだ。喧嘩したのなら、仲直りすれば良いんだ!」

「ミッドと幼子を同じ尺度で捉えるのか!?」

「似たようなもんだ! それに、一番悲しいのは喧嘩をする相手もいないことだ、思いを伝える相手がいないことだ! 
あんたがやろうとしていることは、傷つくのが怖いから部屋に引きこもる子どもと同じだ!!」

復活したエリオがスバルと並ぶようにしてバルディッシュを振るう。いつの間にか右目の眼帯が千切れ飛び、虹彩の失った瞳が露になっている。
酷使されたバルディッシュも部品のいくつかが摩耗して外れ落ちており、展開している魔力刃も少しずつ短くなってきている。
それを振るう肉体の方は、最早言うまでもなかった。
果たしてこれは、一騎当千のエースを相手に善戦している彼らが優勢なのか、それとも死力を振り絞る五人を相手に未だ余力を残しているシエンが優勢なのか。
そのどちらなのかは、誰にもわからなかった。
166Das Erbe zur ZukunftH:2008/08/14(木) 00:33:06 ID:oGt/FgpL
「人の思いは、受け継がれていく・・・・・・人と人との繋がりが世界を広げていく・・・・・・・人間は、違う世界の人々とも、敵同士だった人とも分かり合える! 
シエン・ボルギーニ、あなたはそれを信じ続けることができなかったんだ! 本当にこの世界を守りたいのなら、そこに住まう人々の繋がりや未来への希望、
全部ひっくるめて守らなきゃいけないんだ! あなたの娘だって、そうだったんじゃないのか!」

「・・!?」

再び現れた娘の幻影が、シエンの剣を更に曇らせる。
死んだ人間が生前抱いていた思いを確かめることなど、生者には不可能なことである。だが、もしも娘の願いがエリオの言う通りだとしたら。
自分が致命的なまでにその願いを履き違えていたのだとしたら。

『おとうさんは管理局の局員で、街の平和を守る騎士なんだよね?』

『すごいね、おとうさんはみんなのヒーローなんだ』

『わたしにとって世界は、このミッドチルダのことかな』

セラ・ボルギーニが守りたかったミッドチルダ。それは、他世界との繋がりを持ち、出身世界の違う人々が共に笑い、共に困難に立ち向かっていく世界。
それこそが、彼女の守りたかった本当のミッドチルダなのではなかったのか。

(ならば私は・・・・・・私は・・・・・・・・・私は・・・・・・)

剣戟音で我に返る。
激しく心が揺さぶられているというのに、肉体は防衛本能に従って剣を振るい続けていた。そんな自分を垣間見た瞬間、シエンは剣を握る腕に力を漲らせた。

「止まれん・・・・・・」

受け止めた魔力刃を強引に弾き飛ばし、迫りくる拳は回し蹴りで弾く。更にティアナの援護射撃は返す刀で全て切り捨て、キャロの防御魔法も一刀の下に打ち砕く。

「止まれんのだ! 言ったはずだぞ“金の閃光”よ、我が諦めるとすれば、それは己の敗北を悟った時だけだとな。
未熟な精神が如何程に揺らごうと、この肉体が動き続けるのならば、我はまだ剣を棄てぬ!」

「なら、僕達はあなたが囚われた過去の妄執を斬る」

「させん。我が意地に賭けて、貴様ら全員を斬り捨てる!」

「残念だけど、それは無理ね」

凛としたティアナの囁きが、苛烈な戦場に涼やかな風を吹かす。
そこにあったのは、自分達の勝利を確信している力強い眼差しだった。
死力を振り絞っても未だ拮抗、経験値においては絶対的な差があるにも関わらず、ティアナの瞳には勝利の希望が爛々と輝いている。

「仕込みは終わったわ。あたしはただあんたを足止めするためだけに弾をばら撒いていたんじゃないのよ!」

ティアナが腕を振り下ろすと、数発の誘導操作弾が何もない地面を撃ち抜いた。直後、激しい地鳴りと共に足場が崩れ、シエンの体が階下へと落下する。
その下には、あるべきはずの床が存在せず、一階のフロアまで筒抜けになっていた。

「攻撃する振りをして、誘導操作弾で全ての足場を砕いて回っていたというのか!? だが、空戦騎士にこのような手は・・・・・・・・」

シエンが飛行魔法を発動させようとした瞬間、砕け落ちた屋上の足場がまるで自らの意思で動いたかのようにその巨大な質量をぶつけてきた。
屋上の足場が抜けた瞬間、キャロがそれぞれの破片に無機物自動操作の魔法で『シエンの死角からぶつかるように』という命令を与えていたのである。
ぶっつけ本番で発動させたのはこれが初めてではあったが、ケリュケイオンのサポートもあって魔法は恙無く発動し、
不意打ちを食らったシエンは防御することもできずにバランスを崩して落下していく。
すかさず、左右からスバルとハラオウン夫妻が追撃をかける。シエンが一階のフロアに着地するまでの数秒間、その間に決着をつけなければ、自分達に勝利はない。
だが、その焦りが裏目に出たのか、両者の動きは完全に見切られていた。
167Das Erbe zur ZukunftI:2008/08/14(木) 00:33:40 ID:oGt/FgpL
「見え透いておるわ、未熟者がぁっ!!」

回転の要領でぶつかってきた岩塊を両断し、それぞれの攻撃の死角から一刀の下に切り捨てる。真っ向勝負が大前提のレッツテフォルムが発動していれば、
例え不自然な体勢からでも渾身の一撃を放つことができる。この状況では、寧ろ空を飛べる相手に対して空中戦をしかけてしまった彼らの方が
追い詰められていると言っても良い。
そう思った刹那、切り捨てたスバルとハラオウン夫妻の姿が溶けるように虚空に消えていった。

(幻影!?)

その瞬間、研ぎ澄まされた殺気が頭上より降り注いだ。
見上げれば赤髪の騎士が、その手に雷光を帯びた鋼の相棒を掴んで上体を弓なりに反らしている。まるで、獲物に飛びかからんとする肉食動物のように。

「これが最後のカートリッジだ。頼んだよ、兄弟!」

《Jawohl Mein Bruder》

「いけえぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

解き放たれた雷光の槍が、金色の魔力残滓を羽毛のようにまき散らしながら、迅雷の速度で以てシエンへと迫る。
更にエリオ自身も岩塊を蹴って自由落下を始め、追撃をかけんとバルディッシュを振りかぶる。
騎士とデバイス。
魂で結ばれた兄弟が神速の速さで重力という名の坂を駆け下り、己が敵を打倒せんとその牙を向ける。

「奇襲としては中々良いアイディアだ。だが、甘い!」

シエンは身を捻って飛来したストラーダを回避し、標的を失った鋼の槍は地面を貫かん勢いで一階のフロアの床に突き刺さる。
そして、追撃をしかけてくるエリオと切り結ばんと剣を握る手に力を込めた瞬間、シエンはエリオの狙いが投槍による奇襲ではなかったことに気づいた。

(ルーテシアがおらぬ!?)

常に傍らで治癒魔法を施して貰わねばまともに動けぬはずのエリオが、単身で突っ込んで来ているのである。
まだ完全回復していないことは彼の苦しげな表情を見ればわかる。恐らく、今の彼はデバイスを握るのも苦痛なはずだ。
そんな状態で打ち合いなどすれば、たちまち衝撃で肉体がバラバラに弾け飛んでしまう。

「まさか!?」

見下ろせば、床に突き刺さったストラーダを中心にベルカ式魔法陣が展開されている。
その傍らには、いつの間に先回りしたのか、ルーテシアが夫の到着を緊張した面持ちで待ち続けていた。

「ぬ、ぬうおぉぉぉぉぉぉっ!!」

シエンは両足に魔力を込めて落下を踏ん張り、迫りくる岩塊を切り捨てて落下するエリオを迎撃せんと剣を振るう。
今のエリオは繋ぎを失った人形も同然。一撃入れれば沈めることができる。だが、その大振りの一撃が自身を捉えるよりも早く、
エリオは声高にもう一人の家族に向かって合図を送っていた。

「キャロォォォォォッ!!」

「スピードドライブ、フルブースト!!」

《Boost Up》

バルディッシュへと注がれた桃色の光が、壊れかけのエリオの肉体に更なる力を与えてくれる。
全身に漲るキャロの魔力にエリオは一瞬だけ懐かしさと心強さを感じた後、すぐに思考を現実へと戻す。
168Das Erbe zur ZukunftJ:2008/08/14(木) 00:34:45 ID:oGt/FgpL
(この足が壊れたって良い・・・・・・・持てる力の全開で、最速・最短距離で、僕を待ってくれている人のところへ駆ける! 
命がけの無茶をするんじゃない、生き抜くために命を賭けるんだ!)

それは二つ名に恥じぬ閃光の速さであった。足場にした岩塊を踏み砕き、瞬間的に加速したエリオは振り下ろされたシエンの斬撃を搔い潜り、
自身が発揮できる最速で空中を疾走する。だが、シエンとてそれを安易に許す程愚かではない。瞬間的な出力だけならば彼も決して負けてはいないのだ。
例え合流を許したとしても、大技を放つ前に斬り捨てれば良いのである。

「バレルフィールド、シュートっ!!」

だが、背後から叩きつけられた不可視の衝撃波がそれを阻んだ。
慣性の法則を無視し、まるで蛇のようにうねりながら纏わりつくそれは、魔力の檻となってシエンの動きを封じ込める。

「こ、小癪なぁぁ・・・・・」

振り払わんと全身に力を込めるが、展開されたバインドの強度はキャロのアルケミックチェーンの比ではなかった。
それは正に、仲間を守るという鋼の走者の意思の具現であった。

「ティア、捕まえた!」

「いくわよスバル。私達が教わった、あの人達の最後の魔法!」

唸りを上げて膨れ上がる魔力は、これから放たれる魔法がそれだけ凄まじいことを証明していた。
それはスバルの打撃でもなければティアナの射撃でもない。ましてや、二人がそれぞれ切り札としている砲撃でもない。
一人では決して制御しきれない魔力を放つ空間攻撃。
一人では決して勝てない強敵に立ち向かうための、強い友情に結ばれた者達のために編み出された必殺の一撃。

「「N&F・中距離殲滅コンビネーション!」」

ティアナが構えるクロスミラージュにスバルのリボルバーナックルが重ねられ、スバルの持つ全魔力がティアナへと譲渡される。
更にティアナは魔力の集束技術も応用して大気中の魔力残滓をかき集め、極大のスフィアを形成する。
戦いで傷ついたそれぞれのデバイスは最早ボロボロであったが、それでも主の思いに応えるために身を削るような過剰な魔力の流れに懸命に耐えている。

『一人じゃできないことも、二人なら何とかなる。辛い気持ちは分け合って、楽しい気持ちは倍にできる。誰かのために泣ける気持ちを忘れないでね、スバル。
その気持ちと不屈の心がある限り、あなたはどこまでも飛んで行ける。けれど、一人でできることは限られているから・・・・・わたしが最後に教えるのは、
二人でそれを乗り越える方法。わたしとフェイトちゃんで編み出した友情の魔法』

スバルの脳裏に蘇るかつての恩師との日々。自分が憧れて、目標にした女性と過ごした時間。それはいつも自分の思い描いた理想とはかけ離れていた。
機動六課でなのはの部下になり、教導官である彼女から戦技を学びつつ、多くの時間を共有できると思っていた。けれど、一緒にいられたのはいつも訓練の時だけ。
自分には自分の役目があって、なのはにはなのはの役目がある。一緒にいたくてもいつも離れ離れで、言葉を交わした時間も少なかった。
それでも自分は彼女を恩師と慕い、彼女は自分を生徒と呼んでくれた。少ない時間を割いて個人指導もしてくれたし、
旧六課が解散した後も常に自分達生徒のことを気にかけていてくれた。そこには確かな繋がりがあり、その絆は今でもしっかりと心に根付いている。
169Das Erbe zur ZukunftK:2008/08/14(木) 00:35:17 ID:oGt/FgpL
『覚えていてね、人は一人じゃない。私やティアナの周りにはいつも誰かがいて、手を差し伸べれば必ず力を貸してくれる。
これから教えるのは、そんな人と人との繋がりが生みだした魔法。私となのはがそうであるように、ティアナとスバルの絆を力に変える方法。
それが、不甲斐ない先輩にできる最後の授業かな』

ティアナの脳裏に蘇る在りし日の上官との日々。優秀な執務官と凡庸な補佐官として数々の次元犯罪に立ち向かった時間。
そこでティアナはいつも自分の平凡さにコンプレックスを感じていた。もちろん、自分には自分にしかない誇れるものがあったが、
そんなものは輝かしい実績を誇るフェイトの前ではどうしても霞んでしまう。旧機動六課での縁があったとはいえ補佐官として引き抜かれた時は
自分なんかが彼女の補佐官で良いのかと思わず自問してしまったほどだ。けれど、フェイトと共に過ごしている内に、彼女の抱える危うさや脆さを知ることができた。
大切な家族を失って、無力感に打ちひしがれて、それでもめげずに前を見続けていく。迷う度に傷ついて、その傷をバネにして立ち上がる。
それは自分と何にも変わらない。いや、悲劇の度合ならば彼女の方が何万倍も辛い目に合っていた。それでも立ち上がることができるのは、彼女の心が強かったからだ。
そんな気高い精神を自分も持てるようになりたいと、いつしかフェイトはティアナの背中を追いかけるようになっていた。

「「空間攻撃、ブラストカラミティ!!」」

二人の声が重なり、クロスミラージュの引き金が引かれる。直後、極大スフィアはティアナの制御を離れ、
太陽すらも飲み込む程の膨大な熱量と化して身動きの取れぬシエンへと殺到した。
それは二人の奥の手であるディバインバスターA.C.SやSLBを軽く凌駕する灼熱の閃光であり、個人での運用は決して不可能な大威力砲撃であった。
しかし、この魔法はこれだけではまだ完成していない。二人のそれぞれの得物がもう一発ずつ薬莢を跳ね上げたことが、それを如実に物語っていた。

「一撃、必倒ッ!」

「全力全開!」

ベルカ式とミッド式の魔法陣が重なり合い、一際激しい輝きが視界を染め上げる。
余りに膨大な魔力の運用とリンカーコアが枯れてしまいそうな激痛に、二人の心は何度も挫けそうになった。
だが、その度に隣にいる親友の存在がお互いを励まし、胸に宿った熱い炎を滾らせていく。
二人なら、どんな困難にも立ち向かえる。
辛い気持ちは分け合って、励まし合って、果てない未来を目指していける。
これは、ある二人の魔導師が後に続く者達のために完成させた、友情と絆の魔法。

「「ブラスト、シュゥゥゥット!!!」

全く同じタイミングで放たれたディバインバスターとファントムブレイザーが、先だって放たれた極大砲撃を追い越さんとするかのように大気を引き裂いて唸りを上げる。
そして、三つの砲撃が重なり合った瞬間、それは絡まるように膨れ上がり、マグマが噴火するように弾けて空間を激震させた。
弾け飛んだ攻性魔力がスバルの構築した魔力の檻の中で互いに反射し合い、指向性を持った魔力の雨と化してフィールド内を満たしていく。
ブラストカラミティにはいくつも発動シークエンスが用意されている。
まずスバルがバレルフィールドで目標を拘束し、魔力の通り道を作る。その後、スバルの魔力をクロスミラージュに流し込んで圧縮、
ティアナが自身の魔力も上乗せした砲撃を放ち、間髪入れずにそれぞれの砲撃をぶつけてスバルが形成した魔力の檻の中を満たす。
ただでさえ強力な砲撃がバレルフィールド内で反射し、共鳴し合えばどうなるかは想像に難くない。
鏡に反射し合う恒星の輝きを前に、如何なる防御魔法もその意味を成さなくなるのだ。

「ぬうぅっ・・・・ぐうおおおおおおぉぉぉぉっ!!!!」

そして、それはレッツテフォルムとなったシエン・ボルギーニとて例外ではなかった。





凄まじい衝撃が両足を襲い、着地の勢いを殺しきれずにエリオの体は冷たい床の上に叩きつけられた。
全身がバラバラに千切れ飛んだかのような激痛にエリオの視界は焼け、呼吸までもが一時的に停止する。
待ち構えていたルーテシアが治癒魔法を施してくれなければ、間違いなく死んでいただろう。

「く・・くあ・・・・・ああぁぁっ!!」

激痛の走る体を無理やり起こし、ルーテシアに支えてもらって立ち上がる。
頭上では眩しい水色と橙色の光が渦巻いており、その攻性魔力の渦に飲み込まれたシエンの絶叫が轟いている。
当初の予定通り、彼を空中に磔にすることには成功している。
170Das Erbe zur ZukunftL:2008/08/14(木) 00:36:25 ID:oGt/FgpL
「エリオ!」

「わかっている」

ストラーダを背にして、二人はお互いを支え合うようにバルディッシュの柄を握る。
どちらも傷だらけで、手にした大剣は二人分の魔力を総動員しても万全な状態には遠く及ばなかった。
破損箇所も多く、自己修復もほとんど間に合っていない。一発撃ってフレームが保つかどうかは完全な賭けであった。
だが、二人のことを信頼しているバルディッシュは、物を言えぬ状態でありながらも己の忠義心を示すかのように金色のコアを明滅させ、
生き残っている魔力回路を全て解放する。

「絶対に勝つ・・・・・・生きてアリシアのもとに帰るんだ!」

「あの娘の未来を、希望に満ちた明日を守るために」

「僕達に願いを託していった大人達と、後に続く子ども達の思いを繋ぐ!」

「それがエリオの魔法、それがあなたの戦う理由!」

視界を満たす光を引き裂かん程の雄叫びを上げ、二人を跳躍する。
ストラーダとアスクレピオスからの魔力補助を受けて振りかぶったバルディッシュの刀身が膨れ上がり、二人の体が金色の魔力光で包まれていく。
その視線の先には、共鳴し合う魔力の渦に囚われたシエンの姿があった。

「こ、これ程の力・・・・・・いったい、どこから・・・・・・そんな傷ついた体の、いったいどこに・・・・・・・・」

発せられた言葉は轟音で霞み、ほとんど聞き取れなかった。だが、彼の疑問はエリオとルーテシアの耳に確かに届いていた。

「この世界には無限の可能性に満ちている!」

「自分で犯した過ちに気づき、やり直せる力を人は持っている!」

「明日を信じて、未来を目指す心がある限り!」

「昨日を悔いて、今日を良くする気持ちが尽きなければ!」

「「どんな困難にだって、人は必ず打ち勝つことができる!!」」

バルディッシュのシリンダー機構が駆動し、装填されている六発のカートリッジが立て続けに炸裂、解放された魔力が雷撃となって刀身を包み込む。

「これが、未来を信じる力だと・・・・・・・」

シエンの驚愕は光でかき消された。
膨大な魔力に耐え切れずにバルディッシュが瓦解していき、吹き荒ぶ風がエリオとルーテシアの髪を逆立てる。
まるで二人を阻むかのように舞い上がる旋風は、壁となって光の渦を取り巻いていた。だが、二人は躊躇することなく、
手にしたバルディッシュを握る手に力を込め、互いの声を唱和させる。

「雷光・・・・」

「一閃!」

「「プラズマザンバァァァッ、ブレイカァァァッ!!!」」

二人の思いが重なり、解き放たれた力が剣となって風の壁を突き抜けて、ブラストカラミティの光の奔流へと叩きつけられる。
直後、錆色だった世界は金色に染められ、激しい衝撃が建物全体を震撼させた。

                                                               to be continued
171B・A:2008/08/14(木) 00:39:45 ID:oGt/FgpL
以上です。
お空で戦う主人公とライバルそっちのけの地上戦。ここまでずっと秘蔵し続けたブラストカラミティとラブラブザンバーブレイカーの出番となりました。
とりあえず一言
「殺傷設定なら間違いなく消し炭になります」
古今東西の複数の必殺技を同時に撃つというのがどれくらい強力なのかを考えると・・・・・・・・・・。
以下はネタばれですので保管しないでください。


ブラストカラミティ
誰もが映像化を望んでいる(と思う)合体魔法(劇場版の3か四期で日の目を浴びると信じています)。
スバティアがなのフェより受け継いだ最後の魔法という設定。ただし、なのフェ版と比較して効果範囲が狭い(スバルは砲撃のスキルが低いから)、
射程が長い(ティアナのデバイスは銃型だから)、そして威力が低い(2人とも魔力がなのフェよりも低いから)という違いがある。
同じカレーライスを作ってもシェフがはやてかシャマルかでその結果が変わってしまうのと同じ。
ちなみに、使用するのはスバティアだから本来は「S&T」なのだが、考案したのはなのフェだからという理由で2人は「N&F」のかけ声のままで使用している。
172名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 00:47:51 ID:N8BKz9j4
>>171
B・A氏お疲れ様です!!
寝る前良いもの読ませてもらいました!!
173名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 01:01:15 ID:7z+ShmPr
熱いね、GJ!
ところで169レス目の18行目ってティアナとフェイト入れ替わってないですか?
174B・A:2008/08/14(木) 01:31:05 ID:oGt/FgpL
>>173
確かに・・・・・・・ご指摘ありがとうございます。

>>169
>そんな気高い精神を自分も持てるようになりたいと、いつしかフェイトはティアナの背中を追いかけるようになっていた。 ×
>そんな気高い精神を自分も持てるようになりたいと、いつしかティアナはフェイトの背中を追いかけるようになっていた。 ○

です。
先生と生徒が逆転しちゃってたorz
175ツンデレ王子:2008/08/14(木) 03:11:23 ID:9OnqcNio
お久しぶりです

誰も居ない様ですので投下させて下さいね
久々に書いたオバカなネタを…

レス数2程
エロ無し
176休日の過ごし方:2008/08/14(木) 03:12:12 ID:9OnqcNio
 機動六課の隊舎ロビーを、一人の少女が歩いていた。
 その少女はどう見ても隊員では無いのだが、すれ違う人の誰もが彼女を止めようとはしない。

「こんにちわ。今日はどうしたの?」
「こんにちわ」

 一人の隊員が少女の荷物に目を留め、声を掛けた。
 少女は満面に笑みを浮かべると、背負ったリュックを見せながら

「ママたちに、お弁当届けに来たの!」

 と、元気いっぱいに答えるのだった。

「お使いかぁ、えらいね〜」
「えへへ」
「今だとなのはさんは未だ教導中よ。もう少ししたら戻ってくると思うわ。
 フェイトさんは…あれ?今日はお休みだったんじゃ?」

 そう、この日フェイトは休暇を取っていたのだが、やっておきたい事があると言って、なのはと一緒に出勤したのである。

「それなら、たぶんオフィスに居るはずよ」

 それを聞くと、そのオッドアイの少女は隊員にペコリと頭を下げて礼を述べ、駆け出していった。
177休日の過ごし方:2008/08/14(木) 03:13:10 ID:9OnqcNio
 ヴィヴィオが隊員オフィスの前に着いたと同時に、昼を告げるメロディが隊舎内に鳴り響く。
――ウィーン

「フェイトママ〜」
「え?ヴィヴィオ?」

 フェイトは眼前のモニターを慌てて手で覆い隠し、振り返る。

「ど、どうしたの?」
「アイナさんがお弁当作ってくれたの〜。フェイトママとなのはママの分も有るんだよ!」
「そ、そう。…じゃぁ、もうじきなのはママも戻ってくるから、一緒に食べようか」
「うん♪」

 ヴィヴィオの手を取りオフィスを出て行くフェイト。
 そして、誰も居なくなったオフィスには――









 消し忘れられたモニターに、
【☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第81話☆】
の文字が浮かんでいた。



END
178ツンデレ王子:2008/08/14(木) 03:15:46 ID:9OnqcNio
以上です

オバカな小ネタで失礼しました

179名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 03:36:32 ID:mp6Nr33T
>>178
GJw 
しかし、このスレでフェイトさんの出番は ◆6BmcNJgox2 氏の時々病んでしまうお馬鹿フェイトさんか。
B・A氏のフェイトさんはお亡くなりになっているし。
そしてフェイトさんが投下する可能性も否定できない……全裸待機していればフェイトさんが投下してくれるのだろうか……。
180名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 05:12:39 ID:PxDKrbUg
これ以上オリキャラ=クソの法則を補強しないでくれ
181名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 08:41:30 ID:Fl6YSYfk
B・A氏実にGJ!
何という熱き闘い…
強大な敵に対して味方の持っている最大限の力を出しきって戦う…
エリオもスバルも皆最高だああああああああ!
182名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 11:48:55 ID:tTWuVCBn
B・A氏に一言言わせて欲しいGJ!!
心の底から奮い立つような熱き戦い。
正に、素晴らしいとしか言い様がない。

183名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 12:31:06 ID:LT5YiN6F
B・A氏投下GJ!
熱い戦いですね、まさに熱血です。
どちらも譲れぬからこそ戦う。戦いの果てに彼らは何を得るのか?
184名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 12:51:09 ID:uSqVBMQ0
そういえばハラオウン家の双子の男の子(名前忘れた)がメインの話なかったっけ?
一話だけ見た覚えがあるんだけどさ
185名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 16:35:31 ID:GSSqQtgo
>>184
「リリカルふぇいと」の人が書いた「こんなはずじゃない世界の中で」だな。
186名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 16:46:18 ID:Pr3NzFF0
>>85
ちっくしょう、ちっくしょう……これは遅レスになってもGJせざるを得ない。
こういう話大好きなんだ。本当にありがとう。でも

>説得には随分と骨が折れた

ここ読んだ瞬間それまでの流れでホントに折られたのかと思ってしまったw
187名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 17:20:45 ID:uSqVBMQ0
>>185
あの方かー
クロノが気に入ってる俺からすると、リリカルふぇいとのショタコン化が受け入れられない……
ユーノはどうでもいいんだけどね。しかし、リリカルふぇいとは二期、三期が難しそうだなぁっつか無理っぽいな。いろいろ破綻してるし
188名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 17:30:16 ID:mp6Nr33T
>>187
そんな書かんで良い事より、教えてくれてありがとうとかもっと書く事あるだろう

189名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 17:34:35 ID:I8onOvyn
最終的にオリジナルなのは→クロノさえ成り立てばショタコンだろうが
フェイトがなのはさんに色々奪われようが構わないと思う俺ナッシュ
190名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 18:11:43 ID:uSqVBMQ0
>>188
すまんかった
では改めて

>>185
教えてくださってありがとうございました
191名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 18:37:26 ID:4kWH00jf
ユーノ×アリサを投下しますが、よろしいでしょうか?
192名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 18:55:10 ID:pz7ULstm
Come on
193名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 18:55:27 ID:0fJJVULl
カモン!!
194ユノアリSS Act.02 X-Rated:2008/08/14(木) 18:57:38 ID:4kWH00jf
ボチボチ投下します。

注意事項
・ユーノ×アリサ
・ユーノ一人称
・モノローグがクドいかもしれないので注意
・バカップル?の世界に片足突っ込んでるかも
・人によっては特定の症状を発症するかもしれないので注意
・エロは含みますが、手と口だけです
・エロの部分しか書いてないので、一応あらすじ付です
・どこかで読んだことがあるように見えても、気のせいです(多分)
・キャラの性格が少し変わっているように見えますが、仕様です
・NGワード(ピポーン)『ユノアリSS Act.02 X-Rated』


あらすじ
約10年の時を経て、お互いのことが好きだと気づいたユーノとアリサは
バレンタインの日をきっかけに、ホワイトデーの日に結ばれる。
それから約一ヵ月後のGW、ふたりでイチャイチャしていたところで
予定していたお茶会に参加するなのは達がバニングス家へ遊びに来た。
しかし、なのは達が起こしたトラブルが元で険悪な空気になる。
でもすぐに仲は修復され、お茶会用のクッキーが焼けるまでの間だけ
仲直りのキスを始めるところから話は始まる。

余談:ユーノは溜まっているという設定
195ユノアリSS Act.02 X-Rated:2008/08/14(木) 18:59:22 ID:4kWH00jf
「んっ……ちゅっ。っはぁ……あむっ」
「アリサ………んむ……」
お互いに重ねるだけでは飽き足らず、唇を吸いあいながら舌を絡ませあう。
1分くらいそうしていると、ボクは一度アリサの唇から離れる。
ついさっきまで一度高まった劣情がボクの中で再びもたげてきていた。
もうこれ以上制御できる自信がない。
「……ユーノ?」
「もう限界……興奮が収まらない」
ボクが意図するところを察し、アリサは猛烈に赤くなる。
「だ、だめよユーノ……みんな来てるのよ?」
「好きだ……アリサが欲しい」
「ちょ……だめだってばぁ……なのは達に聞かれちゃうわよっ」
そうは言うが、アリサの目はすでに潤んでいた。
「大丈夫、アリサの部屋からキッチンまではそれなりに距離あるから」
ボクのキスは唇から頬へ、やがて耳へ移る。
耳たぶに2、3度軽く吸い付き、耳の穴に軽く息を吹きかける。
「ゃん………ちょ、耳はダメ……ダメだってば……」
アリサはかぶりを振って拒絶の意を示す。
「やっぱり……ダメ?」
「バカっ、当たり前よっ! 時と場所をちょっとでもいいから考えなさい!」
柳眉を逆立てるアリサの頬は紅葉を散らしたかのように赤くなっていた。
やはり怒っているのか、声には怒気も含まれている。
頭の中を支配していた劣情は既に醒め、彼女に対する罪悪感が渦巻いていた。
「ご、ごめん……理性飛んで……アリサが嫌がることを……」
「いったいどうしたのよ? いきなり襲ってくるなんて、ユーノらしくないわよ?」
顔は赤いままだけど、心配そうな表情でボクに訊ねてくる。
事情を話すにはちょっと恥ずかしいけど……白状、しないとダメだよね。
ボクは意を決して正直に言うことにした。
「実は……前回アリサとしてから………出してなくて……溜まってて……」
「前回って……もうひと月以上も前よ? そんなにガマンしてたの?」
「うん。アリサに悪いと思って、今日まで1度もしてない」
「あたしに悪いって……」
「だって、1人で処理してたら……自分に満足してないんじゃないかってアリサに思われそうで」
そこまで話してボクは沈黙した。
「……バカ」
アリサはそう口にして、イスから立ち上がってボクに抱きついてきた。
身体が密着し、服越しにアリサの体温が伝わってくる。
「ユーノのバカ……あたしはそれくらいじゃ怒ったりなんて……風俗とかに行くのは別だけど」
「それは絶対にしない。ボクはアリサ以外の女性とはしないし、見ないって誓ったから……だから、その……」
「?」
アリサが首を傾げる。
ボクはアリサの肩を抱いてから身体を離し、彼女の目を見つめる。
「その……自分1人で処理したくても……その……ボクが欲しいオカズ、手元にないんだ」
ぶっちゃけた話、今のは『1人でする時のオカズもアリサ以外使いたくない』と言ってるに等しい。
こんなことを告白するのは恥ずかしいけど、これが正直な気持ち。
196ユノアリSS Act.02 X-Rated:2008/08/14(木) 19:01:08 ID:4kWH00jf
「一応……前にアリサと結ばれたことを思い出しながらする、という手もあるよ?
 でも、まだ2回しかしてないし、その2回は大切な思い出だから……その、使いたくない」
言葉の意味を噛みしめたアリサは顔をますます赤くし、ボクの胸に顔を埋めた。
さっきのが恥ずかしさと怒りの混在だとすれば、今は恥ずかしさと照れ。
二人の間に沈黙が流れ、オーブンの中でクッキーが焼ける音のみが場を支配する。
「……アリサ?」
沈黙に耐えられなくなったボクが先に口を開くと、アリサが顔を上げる。
頬は赤いままだが、瞳は涙を湛えていて今にも零れてしまいそうだ。
もしかしたら、何か泣かせてしまうようなことを言ってしまったんだろうか?
「あの……もしかして、怒らせちゃったとくぁむぐっ!」
全部言いきる前にボクの口はアリサの唇で塞がれ、そのままキスになだれ込んだ。
最初のうちは戸惑ったものの、やがて火がついたボクは彼女の唇を舌で軽くノックする。
意味に気づいたアリサが唇を開き、ボクはそこを狙って舌を滑り込ませた。
「んむっ……っんんっ! ……んくっ……はふぅ」
舌が入りきったところ見計らい、ボクは口の中に溜めたばかりの唾液を流し込んだ。
アリサがボクの唾液を味わって飲み下したのを確認すると、ボクはキスを再開した。
ボクとアリサの舌が、お互いの口の中へ行き交いながら情熱的に絡み合う。
「んんっ……っんむ………はふ、んんっ………ちゅ……」
「ちゅ…んんっ…ぁむぅぅんんっ……っはむっ……ん、ちゅ」
舌の感触と唾液のヌルヌルした感じ、唇や口内の温かさがとても気持ちいい。
ボクの中で三度目の劣情がもたげて来ていたが、それを必死に押さえこむ。

「ん……ふぅ……」
―――やがて合図したわけでもないのに、お互いの唇が同時に離れた。
口の中でかき回されて粘度の高くなった唾液が、唇の間で橋をかけるように糸を引く。

今までアリサから不意打ちでキスなんてしてこなかったのに、とぼーっとした頭で考える。
呼吸が落ち着いたところで、ボクはアリサに訊ねた。
「アリサ……いきなりだったね」
「……だって、嬉しかったんだもん。さっきのユーノの言葉……女冥利に尽きるわ。だからそのお礼」
「ボクもその……してくれて嬉しかった。すごく興奮した」
不意にアリサの頬がフッと緩んだかと思うと、いきなり下半身に甘い疼きのような感触が走った。
「はぅっ」
大きな声が出そうになるのをなんとかこらえる。
下を見てみると、アリサの手がズボン越しにボクの男の象徴をさすっているのがわかった。
朦朧としかけた意識では気づかなかったけど、アリサに撫で擦られているソレは
すでに大きくいきり勃っていて、彼女の手が上下するたびにピクピクッ、と痙攣する。
「今ゴムが手元にないし、声出ちゃうと色々困るからその……えっちはさせてあげられないけど」
アリサは一息つくと、口をボクの耳元に持ってきてそっと囁く。
「お、お口とか手とか……そういうのだったら、いいよ」
ボクは思わず息を呑み、ドキドキと興奮から股間の剛直はますます硬さを増した。
「ありがとう……ごめんね? なんか誘導するような形になっちゃって」
「謝らなくていいわよ……あたしがユーノにしてあげたいって、自分から思ったことだもん」
アリサの言葉に胸の奥が熱くなったボクは、何も言わず彼女を抱きしめ、そっと頭を撫でた。


 ◇
197ユノアリSS Act.02 X-Rated:2008/08/14(木) 19:02:51 ID:4kWH00jf
アリサは紙ロールタイプのキッチンタオルを取り出して何枚か破ると、それを水に濡らしてシンクの縁に置いた。
そして今度は備付けのハンドソープの液体を手にとり、両手でそれを泡立ててからボクの前に座り込んだ。
ボクはアリサに言われるままイスに座り、下着まで下ろした状態でその様子をただじっと見ていた。
股間の剛直は相変わらずいきり勃ったままで、刺激が来るのを今か今かと待ち望んでいるようだ。
「あたしはこのままでも構わないけど……病気とかになったら困るから……」
アリサは泡が付いた右手で幹の部分を包み込むと、全体を擦り上げるようにゆっくりと上下させ始めた。
空いた左手は、2本の指で余った皮を押さえ付けながら、残った指で玉袋をビー玉を転がすような感じで弄ぶ。
ハンドソープの泡のヌルヌルとした感触と手の温かさが気持ちいい。
「はぁ……はぁ………泡のヌルヌルが……すごくいい……」
「まだ洗ってるだけなんだから……イッたりしないでよね?」
アリサの右手が上下に扱くような往復運動から、先の部分を撫で回す円運動に変わった。
くびれた部分がアリサの指で擦られるたび、甘い痺れがボクの腰と脳を刺激する。
「んぁっ……うっ………それ、気持ち良い………っ!」
「ユーノ……そろそろ、ふき取るわよ?」
アリサはボクのモノから手を離すと、シンクに置きっぱなしになっていた濡れたキッチンタオルを
手にとって、全体に塗りたくられたハンドソープの泡を優しく丁寧にぬぐっていく。
水で濡れたキッチンタオルが起こす気化熱でヒンヤリするけど、逆にそれが刺激になって昂ぶらせる。
「ユーノの、きれいになった……」
モノと手の泡をぬぐったキッチンタオルを近くの机に置き、ボクを見上げるアリサ。
彼女の上目遣いの視線に、ボクは得も知れないほどの興奮を覚える。
「あたし、頑張るから……気持ちよくなってね?」
アリサは先端の鈴口に口付け、先太りしたモノのくびれた部分をずるりと飲み込むように咥えた。
「うっ……くっ……っぁぁ……」
「んふっ……んっ、んんんっ……ちゅっ、ちゅっ……」
唾液を潤沢に含んだ舌が敏感な部分の表面を這い回るように嘗め回したかと思うと、
アリサの柔らかな唇が裏側の筋が走っている辺りに丹念に吸い付く。
前回少しだけしてもらったときに比べ、格段に気持ちいい。
「あ、アリサ……いつの……間に……こんなに?」
ボクが途切れ途切れの言葉でに訊ねると、アリサは顔を赤くして股間の剛直から唇を離した。
「前に……してあげたとき、ユーノの………あげられなかったから、色々調べて……ナナ……練しゅ……」
視線をそらし、口をモゴモゴさせてながら理由を教えてくれる。
全部は聞き取れなかったけど、文脈から推測するにボクのために練習していたらしい。
愛されている、という嬉しさで胸いっぱいになったボクはアリサの頭をそっと撫でた。
「んんっ……ユーノぉ……?」
「さっきの、すごく気持ちよかった……もっと、アリサにして欲しい……」
「……うん」
アリサは口を開けて再び咥えようとするのを、ボクはふとあることを思いついた。
「ちょっと待って」
「え……ど、どうしたの?」
急な制止に戸惑うアリサに、ボクは赤くした頬を掻きながら思いついたことを口にした。
「あの……その……アリサのおっぱい、見ながらされたい」
アリサは頬を染めつつもこくん、と頷いて、着ているブラウスのボタンを外していく。
スカートのホックも外し、裾を引き抜いて前をはだけると、彼女の胸を包む白のブラが現われる。
どうやら前側にホックがあるらしく、アリサの指がカップの間を摘んだ。
結合部がぷつんと勢いよく外れ、アリサのおっぱいがぷるん、と小さく揺れた。
ボクはその動きに魅了され、より興奮が高まっていく。
「きれいだ……」
ブラの肩紐だけを外している手が止まり、アリサの頬はますます赤みを帯びていく。
198ユノアリSS Act.02 X-Rated:2008/08/14(木) 19:04:35 ID:4kWH00jf
「あんまり……その、ジロジロ見ないでね?」
「どうして?」
「だって……ユーノは好きって言ってくれるけど、やっぱり気になるんだもん」
アリサは外し終えたブラを傍に置き、両腕で自分を抱きしめるようにして乳房を隠す。
今日はみんなも来ているし、改めてその差を見せ付けられたのかもしれない。
ボクはイスから立ってアリサの前にしゃがみこみ、肩を抱きしめる。
「大きくても小さくてもいい……ボクはアリサのおっぱいが見たい……」
アリサは赤いまま俯き、上目遣いでボクを見つめてくる。
ボクもその目をしっかりと見つめ返す。
「そんなに……見たいの?」
「見たい。目に焼き付けて、1人でするときのネタにする」
自分でもマジメなのかふざけているのかわからないけど、一応真剣なつもりだ。
でもアリサは照れていいのか怒っていいのか名状しがたいらしく、複雑そうな表情をしていた。
「ヘンタイ……ドのつくヘンタイ……」
アリサはボクを罵りながらも、腕を解いて隠していた胸を再び見せてくれた。
おっぱいがそれに合わせて再びぷるん、と揺れる。
「でも、あたしはユーノのことが大好き……たとえヘンタイでも、愛してるわ」
その刹那、ボクはアリサを抱きしめ、彼女の唇を奪っていた。
「はむっ…んんっ……ちゅっ………ボクもアリサのこと、誰よりも愛してる」
「バカぁ………ちゅっ……ちゅ……ん……」
アリサも負けじとボクの唇に吸い付くが、すぐに唇を離した。
「あんまり時間ないけど……どうするの? キス、続ける?」
それも悪くないと思いつつも、下半身で疼いている欲情の塊を吐き出したい気持ちのほうが勝った。
「キスじゃなくて……さっきの続き、して欲しいです」
「……わかったわ。他に何かリクエストある? 難しいのは出来ないけど……」
ボクは思巡して何かないか考え、難しいかなぁと思いつつも一応口にした。
「さっきボクのを洗ってくれたときのヌルヌルが気持ちよかったから……出来たらそれも感じていたい」
アリサはうーんといった感じで、やはり考え込んでいた。
口と舌で気持ちよくしてもらいつつ、さっきのようなヌルヌルをてっぺんから根元まで感じたい。
だけど、これをクリアしようとするとアリサはハンドソープを味わうことになりかねない。
難しそうだったらいいと言おうとしたところで、アリサがすっくと立ち上がった。
ホックが外れ、支えのないスカートが重力に従ってストン、とずり落ちる。
そのことをすっかり忘れていたのか、アリサは一瞬赤くなるが、
「す、座って待ってて……イスに」
なんとか平静を装い、踵を返して歩き始めた。
向かったその先は冷蔵庫。
歩くたびにブラウスの裾に隠れた、白いショーツが食い込んだ丸いお尻が揺れる。
すらりと伸びた、アリサの健康的な生足がそれを更に強調する。

……なんだか、すごくえっちだ。
意図しない扇情的な姿に、萎えかけていた男の象徴が一気に硬さを取り戻すのを感じた。
ボクはその光景を忘れないように凝視していると、不意にアリサが振り向いた。
視線がボクのモノに集中する。
「いや、あの……その……」
ボクがしどろもどろになっていると、アリサは顔を赤らめ、
「……えっち」
199ユノアリSS Act.02 X-Rated:2008/08/14(木) 19:06:49 ID:4kWH00jf
アリサは何かを持ったままの右手で冷蔵庫の扉を閉め、開いた左手でお尻の部分を視界から遮る。
ボクが慌ててイスに戻ると、アリサは食器棚から皿を二枚、スプーンを一本取り出した。
2枚のうち1枚に冷蔵庫から取り出した、手に持っている物を置く。
さすがに片手じゃ作業出来ないらしく、再びアリサの丸いお尻と生足の見通しがフリーになった。

――閑話休題。

皿の中に置かれたものは、ボクも良く見知った物だった。
「……卵?」
「そうよ」
合いの手を入れつつ、アリサは2個の卵を割って中身を皿に空ける。
まだ新鮮なのか、黄身はこんもりと盛り上がっていた。
しかしそれをスプーンで掬い、もう片方の皿に移し変えてしまう。
アリサは白身だけになった皿を手に取ってボクのところに戻ってきた。
皿は横に置いて、ボクの真正面にちょこんと座る。
ちなみに、殻はすでにゴミ箱の中だ。
「おまたせ」
「いや、いいけど……どうするの、それ」
どう使うのかよくわからないものを見せられて困惑していると、
「これはね……こうして……」
アリサは両手を皿に浸し、片方ずつ手のひらに白身を馴染ませていく。
1分もしないうちに、彼女の両手が白身のヌルヌルで覆われた。
ふと、ボクの中である仮説が思い浮かんだ。
「あ……もしかしてそのヌルヌルを?」
「正解。卵の白身ってローション代わりになるんだって」
代替ローションに濡れたアリサの両手が、ボクの硬起したモノに触れた。
「うぁっ……泡よりヌルヌルがすごい……」
「……ユーノ、気持ちいいの?」
「す、すごく……」
先ほどの要領で上下に扱き上げ、時には手首のスナップを利かせ、撫で回す。
先走りの液体にも似たドロドロとした粘液で擦られ、敏感な部分に走る甘い痺れがボクを刺激していく。
腕や手首が上下左右するたび、アリサのおっぱいがふるふると揺れる。
その光景がさらにボクのモノをいきり勃たせる。
「で、あとはこれをこうして……」
アリサは両手の親指を包み込むように交差させていたのを、指で中心を擦り上げられるような感じに揃えた。
「っ…くぁぁぁっ、あああああっ……ぃっ!」
強烈な快感がボクを襲い、思わず頤を反らしてしまった。
うっかり大きな声が出そうになったけど、ギリギリのところで抑え込んだ。
背もたれが肩のところにぶつかって痛みが走るものの、強烈な快楽の前に霧散してしまう。
「ぁぁぁ……がっ、くうっ……!」
程よく強烈な指圧で裏筋や頭全体を抉られるような感覚は、今まで感じたことのない程の強烈な快感だった。
膣内に入れた時の締付けとは違う。
「あり……さ……それ、気持ち……よすぎ……る……!」
すぐにでも暴発しそうな快楽に溺れそうなボクを見て、アリサは満足そうに笑みを浮かべた。
200ユノアリSS Act.02 X-Rated:2008/08/14(木) 19:08:52 ID:4kWH00jf
「いつでもイッていいよ? 最後の仕上げに、お口の中で受け止めてあげるね」
アリサはグリップの稼動範囲をずらし、赤く充血した雁首を咥え込んだ。
「くぁっ! ふあぁぁぁっ……ぃぃっ……!」
舌は鈴口の周囲を這い回り、唇で吸われるように表面を扱かれ、ボクのガマンはとうとう限界に達する。
「あ、アリサ……で、出ちゃう……」
「ふぁっ……いいよ……おくひのなかで……らして………」
これが引き金になり、ボクの昂ぶりきったモノがやがて絶頂に震えた。
「――ぁっ!!」
下半身の奥底から沸き上がった白濁液をびゅくっ! びゅくんっ! と勢いよく吐き出した。
「ぁむぐっ! んくっ……んくっ……んぐむぅぅっ……けふっ、けふっ!」
アリサはなんとかボクの出したもの全部受け止めようと、何度か喉を鳴らして飲み下してくれたものの、
溜まりに溜まったおよそ一か月分のザーメンは、あっさりアリサの許容限界を超えてしまったらしい。
零さないように必死に口元を押さえるも、思わずむせた勢いで、嚥下しきれなかった濃縮エキスが口から溢れる。
誤って口から噴いたカルピスの原液のような液体が、キッチンの床に垂れた。
「はぁっ………ユーノの……すごい量……ノドに……んんっ…すごく絡んで……」
むせ返るほどの牡の匂いに放心したアリサは、身体のあちこちや洋服に付着した白い飛沫をにちゃにちゃと弄んでいる。
ようやく快楽の波が収まったボクは、よろよろと力の入らない腰を上げてキッチンタオルを手に取ると
最初にアリサがしたように、切り出した数枚の紙片を軽く水に濡らし、水分を切って即席のおしぼりを作った。
「アリサ、身体拭くよ?」
「……んー」
未だ放心状態が抜けないアリサだったけど、ボクは構わず身体についた白い精をふき取っていく。
彼女が着ていたブラウスは袖の中までベトベトになっていて、本来の用途は失われている。
仕方なく、身体についたものをふき取り終わってからボクの着ていたカッターシャツを羽織らせた。

「……あっ……や、やだぁっ////」
ようやく帰ってきたのか、慌ててボクのカッターシャツを掻き抱いて身体を隠した。
頬を赤くして羞恥に染まった姿を見て、
「アリサ……かわいい」
つい口から出た言葉が逆鱗に触れたのか、アリサは目を思いっきり吊り上げた。
「こっ…こっ…こっこっこのんむぐぐぐっ!」
「ストップストップっ、ここで大声出したらみんな来るよっ」
前回、迂闊なことを言って大声で怒鳴られたことを思い出し、慌ててアリサの口を手で塞いだ。
人避けの結界を張っていれば問題はないけど、なのは達がいるのに何かしらの結界を張るのは
『今ボク達はやましいことをしてますよ』って大声で知らせるようなものだ。
とりあえず誰もこっちを見に来ていないことを確認して、アリサの口から手を離した。
「ぷはっ! はぁ……はぁ……」
「その……大丈夫? ってイタタッ」
調子を訊ねようとして腕をギュッっとつねられた。
「バカ、やり過ぎ……っていうか出し過ぎ……ああもう、服がユーノのでベトベトぉ……」
ようやく身の回りの状況を把握したのか、ちょっぴり涙目になっている。
でも肩を落としたのもつかの間、とりあえずスカートを身に着けてブラを拾い上げた。
「ユーノ、あたしちょっとシャワー浴びて着替えてくるから、後の事はお願いね」
「後のことって?」
「んもぅ……後始末とか、クッキーのこととか、色々あるでしょ?」
そう言い残し、アリサはキッチンを出てゲスト用のシャワー室がある方向へ走っていった。

……そういえばボク、上半身ほとんど裸だ。
誰かが見に来たらどうやって言い訳しようか思案しつつ、ボクは情事の後始末を始めた。


 ◇
201ユノアリSS Act.02 X-Rated:2008/08/14(木) 19:11:16 ID:4kWH00jf
後始末やクッキーの準備など、細々とした作業をこなしているうちにアリサが戻ってきた。
先ほどのブラウスとスカートのツーピースから、春物のワンピースに変わっている。
見ると、手に折り畳まれたボクのカッターシャツを持っている。
「着せてくれて……ありがと。いちおう消臭のアレ吹き付けておいたから、臭いはないと思うわ」
シャツを受け取ったボクは、ひとまず臭いのチェックをした。

……とりあえず、怪しまれそうな臭いはなしっと。

確認を済ませ、カッターシャツに袖を通してボタンを留めた。
「アリサは口の中とか、大丈夫?」
「うん。シャワー中に息がキレイになる錠剤を口にしておいたから」
アリサの吐息に混じるさわやかなレモンの香りが、ボクの鼻腔をくすぐる。
これで、ひとまずアリサの格好以外は怪しい点なし。
うっかり洋服に飲み物をこぼした、とでも言っておけば誤魔化せるだろう。
安心したボクはアリサの頬に唇を寄せた。
「んっ」
頬に口付けられて、くすぐったそうに目を細める。
「ありがとう、アリサ。すごく気持ちよかった……それからごめんね? また怒らせちゃって」
「いい……あたしが錯乱して訳わかんなくなっちゃっただけだったから……んっ」
ちゅっと音を立て、アリサの唇がボクの頬に触れる。
「そろそろ行こっか? みんな2重の意味で待ってるだろうし」
「そうね」
それぞれクッキーが盛られた皿を一枚ずつ持ち、キッチンを後にした。


「―――あ、そうだ。今夜またアリサにさっきの、して欲しいな」
「もぅ………バカ!!はやてとかに聞かれでもしたらどうするのよ?!」
「うぐっ」
アリサの肘鉄がボクの脇腹に直撃した。


202ユノアリSS Act.02 X-Rated:2008/08/14(木) 19:13:53 ID:4kWH00jf
以上です。
この作品は◆kd.2f.1cKc氏の世界観とはまったく異なってます。
そういうわけで、アリサは魔法使えませんし、ユーノは普通に司書長やってます。
203名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 19:46:27 ID:uSqVBMQ0
だからユーノは飽きたってばさ、エリオもだが他の男性キャラ使おうよー
204名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 19:49:25 ID:E+XXb/Gi
ユーノをNG設定でおk
205名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 19:51:11 ID:LNfla4Ok
>>202
久々のユノアリGJ!!
中田氏せずともエロいモノはエロいと再確認(ォ
次があるならベッドシーンでお願いしたいですw
206名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 19:55:42 ID:E+XXb/Gi
>>202
言い忘れてた久しぶりにユノアリ見たGJ
続きを全力で期待させて貰う
207名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 20:02:07 ID:GSSqQtgo
>>203
そう言うがな、保管庫でここ最近10スレ分ぐらいを見ると
エロの男役で一番出番が多いのはダントツでクロノ。
ユーノはザッフィーよりちょっと多いぐらいなんだぜ。
そしてエリオはもっと少ない。
208名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 20:07:31 ID:I8onOvyn
まあそれだけ非エロが多いということでもある
209名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 20:09:29 ID:ZzaLQNJY
>>202
砂糖を吐きそうなほどな甘々SS、GJ!
こーのバカップルどもめ!、と冷やかしてやりたくなりますなw
210名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 20:09:40 ID:uSqVBMQ0
>>207
いや、エロに限定しなければ違うだろ
むしろエロ以外でのメインがあまりないクロノがある意味哀れだぞ
211名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 20:14:21 ID:E+XXb/Gi
エロでのメインが多いなんて男の本懐じゃないか
どこがどう哀れだというのか
212名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 20:34:07 ID:I8onOvyn
まあしかし、クロノは主人公っぽいキャラである一方で硬いから
気軽に書きづらいキャラではある。
213名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 20:34:51 ID:cAayG6bW
>>211
昼間(戦闘・家族)のSSが見たいってことさ。
214名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 20:36:50 ID:ZxVVhjiV
ユーノ厨が大人しくなったと思ったら、今度は痛いクロノ厨が湧いてきたな……
同一人物か? それともクロノ厨にもガキが多いのか?
215名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 20:40:17 ID:uSqVBMQ0
>>214
貴方様は大人のつもりのようですね。なんのギャグだ?
216名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 20:54:14 ID:h7UkJUid
書き手に、こっちのキャラ・カップリングで書けって強要するのはガキだよ。
自分で書けばいい。
217名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 20:56:34 ID:rj0AMWHI
次に誰かが「強要なんてしてない」と言う
218名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 20:58:42 ID:oRDzS/8U
>>214
大人なあなたのお気を悪くさせてしまって申し訳ない。
もうこれ以上お気を悪くなさらないように、我々がスレの指導にあたりますので、
大人さまはこの指導が徹底されるまでしばし観覧をひかえるのがよろしいかと思います。
219 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/14(木) 21:04:52 ID:3PaSSoVb
そろそろ続き書かせていただきます

・『世界の平和を取ってスカの嫁兼監視役になった未来』『自分の幸せを取ってユーノと結婚した未来』
の二つのIFをそれぞれ描きます。
・スカがヤンデレになるのはなのは×ユーノルートのみです。
・エロあり(ただしドラマメインなので簡略的になってます)
・タイトルは『二つの未来』
・鬱注意です。(×ユーノルートでは、ヤンデレ化したスカの手によって様々な鬱展開がありますし、
×スカルートもなのは×スカ要素嫌いな人にとっては鬱ですから)
・一つ一つを事細かに描写する事もあれば、ダイジェスト風のあっさりした物になったりと、
その時々によって描写に差があります
・×スカルートのスカがちょっとマゾっぽい
・×スカルートのなのははちょっとツンデレっぽい
・時期的に色々不謹慎なネタもありますが…ご了承下さい。
・オリキャラも出るでおじゃるよ。

×ユーノ編に関して追加分の注意書き
・鬱なシーンとコミカルなシーンの両方があります。
(コミカルさがあるからこそ、鬱が際立つとかその理論で。勿論逆もしかり。)
・後半あたりクアットロが妙に活躍します。オリキャラとも絡んだりします。
・ウーノが『ドクターは私の旦那!!』なキャラに変貌してます(崩れキャラ嫌な人注意)
・少し801要素まで追加されちったorz
・スカは逃亡中なのに何故かウーノとかは軌道拘置所にいる矛盾は目を瞑ってください
・お馬鹿フェイトが少しだけ復活してます。フェイト好きスマソ
・下ネタ要素あります注意
220二つの未来 26 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/14(木) 21:06:45 ID:3PaSSoVb
帰ってきたジェイル=スカリエッティ。彼の放った恐るべき改造人間の為に
ティアナ・スバル・エリオ・キャロの四人は早くも意識不明の重体(別の意味で)にされてしまった。
彼が帰ってきた事実は管理局にとっても一大事であり、緊急会議が開かれる。
議題は『帰ってきたジェイル=スカリエッティ対策会議』
それに伴い、かつてジェイル=スカリエッティと行動を共にしていた戦闘機人ナンバーズの中から
ウーノとクアットロの二名が軌道拘置所から一時的に出され、会議に出席する事になった。

スカリエッティが未だなのはの事を諦めていなかったとすれば、なのはと結婚した夫のユーノと
二人の息子ナーノに絶対逆恨みして攻撃を仕掛けてくるはず。実際ナーノはスカリエッティが
放ったとされる恐るべき怪人に105円をカツアゲされると言う事があった。だからこそ、
直接事件を担当するなのはやフェイト達のみならず、ユーノとナーノの二人も会議に参加する事になった。

「それでは…早速『帰ってきたジェイル=スカリエッティ対策会議』を開くワケだけど…。
どうして態々『帰ってきた』って付けなきゃならないかな? 何かどっかの光の巨人みたいじゃない…。
それとも何? 『帰ってきたぞ 帰ってきたぞ スカリエッティ♪』って何処かの帰ってきた
特撮ヒーローのOPみたいな感じで歌って欲しいわけ?」

早速なのはの口から飛び出した言葉に会議室中が気まずい雰囲気になるが…
その空気を悟ったなのはは気を取り直し、共に会議に参加していたウーノへ話しかけた。

「ま…まあこの件に関しては置いといて…ウーノさん? ジェイル=スカリエッティの
パートナーであった貴女がどうして私達に協力する気になったか…それを聞かせて下さい。
彼と共に行く気は無かったのですか?」

なのはの言いたい事はもっともな事である。彼女の言った通り、ウーノはナンバーズの長女にして
スカリエッティのパートナーとして公私共に彼を支えた存在。なのに何故なのは達に協力するのか
解せない所があったが…

「はい。貴女の言う通り…今も私はドクターと共に行きたいと思っています。もっとも…行ける物ならの
話ですが…。残念ながら、今のドクターは私の事を受け入れてはくれないでしょう。この数年間、
私達を助ける事は愚か、連絡さえ入れていなかった事がその証拠です。そして何よりも…。」

ウーノはなのはを指差し、睨み付けながら続けた。

「なのはさん…本来敵である貴女に求婚してしまった程ですから…もう私達の事等眼中に無いはずです。」
「…………………!」

ウーノに睨み付けられ、流石のなのはも思わず固まりそうになるが…その後でウーノは
机を物凄い音を立てて殴り付けた。
221二つの未来 27 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/14(木) 21:07:52 ID:3PaSSoVb
「だから私はドクターが許せないのです!! 長年連れ添った…私と言う者がありながら
他の女に現を抜かしたドクターが許せないのです!! ドクターの妻は私!! ドクターにとっての
一番はナンバーズ長女にしてドクターと共に苦楽を共にして来たこのウーノ以外には有り得ません!!
なのに…なのにどうして…どうしてこんなつまらない女なんかを…。」
「…………………。」

ウーノが何故なのはを睨んだのか…それが何故なのかが分かった。
彼女はスカリエッティを愛している。だが、スカリエッティが愛している女性はなのは。
だからこそウーノはなのはに嫉妬し、憎しみに近い感情を抱いていた。同時にウーノを捨て、
なのはを愛する様になったスカリエッティに対しても同じ様に憎んでいたのだ。

「数年前…ドクターがなのはさん…貴女へアプローチをかけていると知った時は絶望する思いでした。
それでもし貴女がドクターと結婚していたら…私はショックで二度と立ち直れなかったでしょう。
さらに貴女がドクターの子供を産もうものならば…私は精神を崩壊させ、嫉妬に狂う悪魔と化し、
気合で軌道拘置所を脱獄すると共に貴女とドクターと子供を三人まとめて殺していたと思います。
ですが…貴女はドクターの申し出を受けなかった。こちらにいらっしゃる無限書庫司書長のユーノさんと
共に生きる道を選び…そちらの賢そうな子供…ナーノ君を産みました。だからこそ…私は貴女を
応援したいのです。つまり…利害が一致したと言う事ですね。ここでドクターを抑える事が出来れば、
なのはさんは旦那さんやお子さんと再び幸せな暮らしをする事が出来ますし、私もドクターと
寄りを戻す事が出来る。実に一石二鳥では無いですか?」
「……………。」

先程とは打って変わって優しく微笑むウーノになのはは黙り込まざるを得ないが…
一応協力してくれると言う事は分かった。だが問題はまだ残っている。それはもう一人…
戦闘機人ナンバーズの四女であるクアットロである。何しろ『嫌な女ミッド1』の名を
欲しいままにする女である。そんな彼女がまともに協力してくれるか分からないし、
この会議場でもどの様な事を言うか分かった物では無かった。その予想の通り…

「お言葉ですが〜私は貴女がドクターと結婚してあげてた方が良かったと思いますよ〜。」
「!?」

案の定、早速クアットロは嫌な女ぶりを発揮していた。既に予想出来ていた事であるとは言え、
実際言われると凄い腹が立つ。

「だって〜そうじゃありませんか〜。なのはさんは辺境の田舎世界出身で〜何処の馬の骨とも
分からなくて〜何の改造処置も受けてないただの自然のままの人間のくせに〜
私達ナンバーズは愚か古代ベルカの聖王様さえ屠り去ったではありませんか〜?
ただの人間のくせに〜! 貴女自身が自分をどう考えているかは分かりませんが〜
少なくとも貴女は自分自身が考えている以上に凄い人だと思いますよ〜。」
「褒めてくれてるんだろうけど…凄い腹が立つのは何故だろう。」

一応クアットロはなのはの実力を高く評価してくれているのだろうが…
言い口が一々嫌味っぽい為、聞いてて凄く腹が立った。
222二つの未来 28 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/14(木) 21:09:11 ID:3PaSSoVb
「なのはさん? 貴女は間違い無く今と言う時代において他に並び立つ者の存在しない
最高にして最強の魔導師だと思いますよ〜。だから〜貴女はドクターのお嫁さんになるべき
だったんですよ〜。だってそうじゃありませんか? 今と言う時代において最高の天才科学者である
ドクターと〜最高の魔導師である貴女〜。最高にお似合いのカップルじゃありませんか〜!」
「…………………。」

会議室にいる誰もが腹を立て、クアットロを殴りたい気持ちを我慢している中、
彼女は調子に乗ってさらに続けて行く。

「遺伝子操作と言う神をも恐れぬ悪魔の研究をも容易くやってのけるドクターと〜
管理局の白い悪魔と言われるなのはさ〜ん。悪魔同士お似合いのカップル〜!
もし二人が結婚して〜! バコバコとSEXも沢山しちゃったりして〜!
なのはさんがドクターの子供産んで〜! 二人にしっかり育てて貰ったら〜!
その子は一体どんな凄い子に育っていたでしょうか〜? きっとドクター譲りの優秀な頭脳や
科学技術と〜なのはさん譲りの強力な魔法の両方を使いこなす〜限り無く究極に近い
人間になっていたに違いありませんわ〜! もう想像するだけで濡れてきちゃう〜!」

と、満悦そうな表情で語っていたクアットロだが、直後にユーノを指差す。

「だと言うのに〜こ〜んなしょーもない女顔の優男と結婚しちゃって〜勿体無いったらありゃしな〜い!
これじゃあなのはさんの優秀な遺伝子が〜この男のクズ遺伝子に食い潰されて意味がな〜い!」
「ユーノ君はクズなんかじゃない!!」

これは流石に黙ってはおれぬとなのはも反論するが、クアットロは表情一つ変えない。

「あら〜? そうなんですか〜? 私にはその男がドクターより優秀だとは思えないのですが〜。
男の癖に女みたいな顔して〜見るからに弱っちそうで〜。」

続けてクアットロはナーノの方を指差す。

「現にこっちのなのはさんのお子さん…ナーノ君って言うんですって〜? その子なんか
明らかにお父さんに似て弱そうじゃありませんか〜? これじゃあなのはさんが可愛そうですわ〜。
せっかくお腹を痛めて一生懸命産んであげた子供が〜なのはさんの血を一切受け継がない
こんな出来の悪いクソガキで〜本当に勿体無いったらありゃしな〜い!」
「ナーノは出来の悪いワケでも…クソガキでもないよ!!」

なのははナーノを抱き締めながら必死に否定する。もはや彼女は泣きそうだった。
自分を馬鹿にするのは許せても…愛する夫と子供を馬鹿にするのは許せなかったのだ。

「それはひょっとしてギャグでおっしゃってるのですか〜? なのはさ〜ん?
本当はその子の事…鬱陶しいとか思ってたりしないんですか〜? だって〜見るからに
弱っちそうで〜頭悪そうで〜、学校とかでもイジメの対象になってたりするんじゃないんですか〜?」
「そんな事無いよー!! 僕は苛められてなんか無いもん!!」

今度はナーノが否定した。しかし、それをクアットロはそれを逆に面白がる。
223二つの未来 29 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/14(木) 21:10:22 ID:3PaSSoVb
「あらら〜そうやってムキになってるって事は〜図星って事なんですね〜?」
「違うもん! 本当に苛められてないもん!」
「そうだよ! ナーノの言う通り…そんな話は聞いた事無いよ!」

目から涙を流しながら否定するナーノをなのはは必死に抱き締め、共に反論する。
しかし、クアットロは笑う事を止めないのだ。

「それが本当かどうか〜怪しい所ですわね〜。近頃の教師はイジメを見てみぬ振りをすると良いますし〜、
学校そのものがイジメのあった事を秘密にしたりしますからね〜。それにむしろイジメられた方が
悪いって事にする風潮もある見たいですし〜。」
「くぅぅぅぅぅ……。」

悔しかった。皆はクアットロが嫌らしくて憎らしかった。しかし、皆がそうやって
クアットロを憎めば憎む程、彼女は逆に面白がるのだ。

「そう考えたら〜絶対なのはさんはドクターと結婚した方が良かったのは当然じゃありませんか〜?
こんな短小で早漏そうな男なんかより〜ドクターとSEXする方がなのはさんも絶対気持ち良いはずですし〜、
あんな弱っちそうなクソガキなんかよりずっとず〜っと優秀な赤ちゃんを産めたはずです事よ〜!
優秀な赤ちゃんを沢山沢山〜産んで〜パパの科学と〜ママの魔法で英才教育施せば〜忽ちあらゆる世界に
並び立つ者の無い最高の子供達に育つに違いありませ〜ん! それならきっと老後も安心〜!
さあ今からでも遅くはありませんよ〜。こんなしょーもない男とはさっさと離婚して〜
弱っちそうなクソガキも捨てて〜、ドクターと再婚しちゃいましょう〜! ドクターと
沢山SEXして〜優秀な赤ちゃん沢山産んであげましょう〜! って痛ぁ!!」

話の途中で、ウーノがクアットロの脳天を思い切り殴り付けていた。

「そろそろ調子に乗るのは止めておきなさい。貴女の言う事は私に対しての挑戦でもあるのですよ?」
「う…ウーノお姉様〜…。」

クアットロの言う事はウーノにとっても腹立たしい物であった様だ。
とりあえずウーノのおかげでクアットロを止められたかに思えたが…

「お言葉ですがお姉様〜、無礼を承知で言わせて頂きますわ。」
「何ですって?」

クアットロもクアットロで、例え相手がウーノであっても引けない
どうしても言いたい事があるらしく、頭を押さえながらも続け出した。
224二つの未来 30 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/14(木) 21:11:30 ID:3PaSSoVb
「なのはさんがドクターのお嫁さんになれば〜流石のドクターだって忽ち尻に敷かれるのは
目に見えてますわ〜。つまり〜、なのはさんの目の黒い内はドクターも迂闊に悪さは出来な〜い!
これすなわち世界の平和〜! ですが〜、なのはさんはドクターと結婚しませんでした〜。
おかげでドクターの悪さを止める者がおらず〜、世界の平和が脅かされつつありま〜す!
違いますか〜?」
「………………。」

皆は何も言えなかった。確かにクアットロの言う事は腹の立つ事だが…
考え様によっては正論でもあったからだ。そして、会議はウヤムヤの内に
一時ここで終了するのだが…その後でナーノは泣きながらなのはへ訪ねた。

「ねぇお母さん…お父さんはしょーもない男なんかじゃないよね? 僕の事も鬱陶しいって
思ってないよね? ねぇ? ねぇ? お願いだからお父さんと僕の事捨てないで!
そのどくたーって人の所に行ったりしないで?」
「何処にも行かないよ。それにユーノ君はしょーもない男なんかじゃない…。
むしろ私にとってはユーノ君こそ世界に並び立つ者の無い最高の男の人だし…
ナーノだって鬱陶しくなんか無い。二人とも…私にとってはどんな金銀財宝や
ロストロギアにだって勝る最高の宝物なんだよ…。」
「う…うああああああん!」

なのははナーノを優しく抱き締め、ナーノはなのはの胸の中で泣いた。

「所でお母さん…あのメガネの意地悪なお姉ちゃんが言ってたせっくすって何なの?」
「え!?」

突然話を変えて来たナーノになのはの顔は赤くなった。これは非常に気まずい。
子供に聞かれたくない質問ナンバー1な事をされてしまったのだ。

「あのメガネのお姉ちゃんはそのせっくすって事をすると赤ちゃんが出来るって言ってたけど…
赤ちゃんはコウノトリさんが運んで来るんじゃなかったの?」
「あ…そ…それは…その…。」

なのはは気まずい顔ながら、ナーノの両肩に手を当てて…言った。

「ナーノも大人になれば分かるからね…ね…。」
225二つの未来 31 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/14(木) 21:12:32 ID:3PaSSoVb
それから数日後…クアットロはなのはとユーノに内緒でナーノを部屋へ連れ込んでいた。

「意地悪なメガネのお姉ちゃん止めてよ〜! 離してよ〜! 一体何をするの〜?」
「うふふ〜。ナーノく〜ん? お姉さんが面白い事やってあげますからね〜?」

クアットロはナーノのズボンのベルトを外し、ゆっくりと脱がして行く。
彼女はナーノの童貞を奪うつもりであった。会議の時は散々ナーノの事を出来の悪いクソガキと
馬鹿にしていた彼女だが…何だかんだで可愛らしいとも思う様になっており、
その上さらになのはとユーノに対する嫌がらせにもなると考えていたのだ。

「さ〜ナーノ君の可愛らしいオチンチンを見せてちょうだ……ウギャァァァァァァ!!」

クアットロがナーノの穿いていた真っ白なブリーフを下ろした直後、
彼女らしからぬ下品な叫び声を上げてしまった。何故ならば…

「なななななな…何でぇ!? 貴方もうオチンチン…ズルムケじゃない!!」

ナーノの一物は父ユーノに似て、その可愛らしい顔からは想像も出来ない位大きいが
クアットロが驚いた点はそこでは無い。ナーノはまだ幼いのだから、その一物には
可愛らしい皮が被せられているはずである。だが…実際は違った。
ナーノの一物は…ズルムケになっていたのだ!!

「な…ナーノ君!? これ…一体…どうしてこんなズルムケにぃ!?」

クアットロは戸惑いながら問い掛けると、ナーノは泣きながら話し始めた。

「う…うぁ…一ヶ月位前に…エリオお兄ちゃんが僕のオチンチンの皮の中に舌を
突っ込んで…僕…無理矢理ズルムケにされちゃったの〜…うわ〜ん!」
「エリオって…あの赤髪の子…ええ!?」

クアットロはエリオの事を思い出し、さらに愕然とした。エリオは男なのだ。
つまり…ナーノは男のエリオにフェラチオをやられ、ズルムケにされてしまったのだ。
それは流石のクアットロも驚愕せざるを得ない。

「ナーノ君? その事…パパとママはご存知なのかな〜?」
「ううん? 知らないよ。だってエリオお兄ちゃんが凄く怖い顔で秘密にしろって言ったんだ。
エリオお兄ちゃんだけじゃないよ。ヴァイスおじちゃんは玩具の鉄砲で僕のお尻を狙って
『君のおケツにズギュン!』とか言ったりするし…クロノおじちゃんとカレルお兄ちゃんは
二人一緒になって僕の乳首を嘗め回したりするし…アコースおじさんは寝てる僕に
良く夜這いをかけに来るし…グリフィスおじさんは物差しとかメジャーとか持って来て
僕のお尻のサイズとか測りだしたり、角度や肉の柔らかさを計算したりするし…
ザフィーラおじちゃんなんか、態々可愛らしい子犬に変身して僕を油断させておいて
いきなり僕のオチンチンをペロペロ嘗め回したりするんだー! どうしてみんな僕の回りの
大人は皆そんな事するの!? 学校にはそんな事する人いないのに! うわぁぁぁぁぁぁん!!」
「………………。」

クアットロは何も言えなかった。ナーノはまだ幼いと言うのに…クアットロが
想像している以上に壮絶な人生を歩んでいる様子だ。そして、会議の時に
彼が頑なにイジメを否定していた理由が分かった。恐らく学校でも彼はイジメの対象に
なっているだろうが…それよりも周囲にいる父親以外の大人にやられる性的悪戯の方が
遥かにえげつない為、学校でやられている事をイジメと認識しないのだ。そう思うと…
クアットロはナーノが可愛そうになって来た。いくら『嫌な女ミッド1』の名を
欲しいままにする彼女も決して純粋な悪人では無い。ほんの少しだけ…良心が残っていたのだ。
そしてクアットロは気まずい表情でナーノのパンツとズボンを優しく履かせてあげた。

「ナーノ君…色々辛い事もあると思うけど〜負けちゃダメよ…。」

クアットロはナーノの頭を撫で…ナーノの事を少しだけ応援しようと思った。

                      つづく
226 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/14(木) 21:13:27 ID:3PaSSoVb
クアットロらしい腹の立つ様な口調を心がけたんですけど…原作と少し違うかもしれませんorz
一応ヴィヴィオも設定上ちゃんとなのは・ユーノ・ナーノと同居してるんですけど
話に関わって来れなくて済みませんorz ってゆーかユーノも完全に空気ですしorz
227名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 21:47:43 ID:+UrJIBOI
これはwwwどんな敵もこの子は憎めないww
228名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 21:49:58 ID:w3DOZN9p
クア×ナーノくる!?

ともかくGJだぜ! こんなヒドイ目に合うオリキャラもそうはいまいwww
229名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 22:50:31 ID:DD85A+hN
ぶはwwwwwwwwwwwwwwww

なんだこ超展開
いやいやいや!
クアナーノはOK
つかいやむしろお願いします!!
230名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 22:52:34 ID:XG0TeJwE
このクワットロ死ねよ
231名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 23:05:17 ID:GOF6SXuR
>>202
続き期待しております。GJ!
232名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 00:04:49 ID:aryLGL53
>>202
GJ! 子供に優しいクアットロって新鮮だなw
233名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 00:25:39 ID:KhfS/XZ2
GJ!!です。
嫌な女ミッド1wクアットロが気の毒に思うほど、ナーノは壮絶な経験をしてますね。トラウマ決定だよw
今は、母と父にも言えない秘密をクアットロに相談できるようになったのか。心のよりどころになっちゃいそうだぞw
あなたがあの時、話を聞いてくれたからとかwww
234名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 00:46:47 ID:mcex0R/q
>>233
そして満更でもないクアットロを幻視した
もうこのままクアナーノでくっついちゃえよって思った
235名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 00:54:10 ID:hzeZ1YT7
クア姉が幸せなら、それでいい。
236名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 01:13:05 ID:eQsnk3Jz
こんな感じか?

数年後
「母さん、父さん、…僕の彼女です。」
「ご☆ぶ☆さ☆た☆してま〜す、クアットロちゃんで〜す!」
「ぜ、絶対に認めないの!」
「あら〜?そんなこと言わないで、これから長〜い付き合いになるんだもの。」
「今すぐ消えるの!別れるの!…貴女にはナーノは絶対渡さないの!」

「…母さん、彼女のお腹には!」
「わたしたちの、あ・か・ち・ゃ・んがいるのよ〜♪」
「?!」
「ほら〜、おばあちゃまですよ〜。」
「…な・なっ…」
「末永〜くお願いさますね、お・か・あ・さ・ま♪」
「にゃああああああー?!」

237名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 01:13:54 ID:NTX8GWtj
壮絶な嫁姑バトルがwww
238名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 01:17:37 ID:zP+synGF
誰だ、士郎×ヴィヴィオで酔いどれSEXなんて電波送ってきたのはw
バイト先で吹いちまったぞ。
239名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 01:23:17 ID:i3m2hYxl
>>238
ヴ「わー、おじいちゃんのフェレットさん大きくて白くてカース様みたーい」
士「はっはっは、使い込みすぎてやけちゃったからね」

…なんだろう、何か違う
240名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 01:38:34 ID:KhfS/XZ2
>>236
普段はこんな感じで、時々、嫁と姑のマジ喧嘩になりそうになると、
ユーナがキレて二人がシュンとしたら、もう・・・w
241名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 02:57:25 ID:sPglcP3L
>>237
ヴィヴィオもいるから嫁VS姑&小姑バトルの可能性もww
242名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 03:03:52 ID:mcex0R/q
>>241
いやもしかしたらナーノの味方になるやもしれんぞ
ついでにユーノも「ナーノが決めたなら僕は何も言わないよ」位は言いそうだ

そうなるとなのはさん孤軍奮闘だな
243名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 06:21:33 ID:9lYPjZNm
>>242
感想以外で二次創作に対する妄想はあんま引っ張らんでくれ……
雑談と混じってややこしいんだぜ
244名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 06:32:57 ID:wH4vrvtT
B・A氏超GJ!
互いの思いを伝えつつも決して繋がることのない理想
そして互いの願いは強く、そのどちらも正しく正義である…
ああ本当に燃えの一言につきます!
245名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 07:32:11 ID:h0KwMiY6
>>242
そんなん誰も書かねーよ
246名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 08:03:23 ID:JOLzq8qr
アギトにはシグナムよりヴィータの方が合ってる気がするなぁ
247名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 09:15:25 ID:6H0BrMoZ
ヴィータとアギトが組んだりしたら萌えの相乗効果で俺が危険
まあ公式で仲良し設定になったし、そのうち誰かがコンビ話を書いてくれたら嬉しいな

だけどあの二人はキャラ被り的な意味で相性が悪そうな気がする
口調、目つき、性格、人外設定、外見年齢、赤っぽさ等々
特に口調被ってるのは文章媒体だとキツそうだ
248名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 12:30:01 ID:4KKKMQYB
おいゲンヤの奴、ウェンディにパパリンって呼ばせてやがるぜ
ちなみにチンクは父上だ
249名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 12:34:50 ID:Wbp8nGZJ
>>248

いま、かつてないほどゲンヤに殺意を覚えたわけだがどうしてくれるw
くそう、早く一般発売にならんかなぁ……。
250名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 13:22:05 ID:JOLzq8qr
>>248程度なら問題ないだろうけど、ここでのネタバレ発言は一般販売以降になるのか?
サウンドステージは総スルーな俺はするならとっととばらしてくれても良いんだけどさ
251名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 13:25:52 ID:5Q3J6b40
建前:常識的に行けばネタバレは一般販売以降だろうな

本音:今すぐ内容教えてくれ!ネタに飢えてるんだ!
むしろうp!うp!
252名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 14:42:30 ID:w8Jk99o4
>>171
GJ!!!
エリオとルーのプラズマザンバーの一撃は是非ともやって欲しかった!
二人の未来へかける思いの一撃&二人の愛の力の前に勝てるものなどいない!
253名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 16:38:21 ID:9lYPjZNm
サウンドステージやっぱりというか何と言うかなのはさんとかの二期までのメンバーは
名前がほんのちょっと出るくらいで新情報も何もなく今までどおりみたいだね
254名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 17:24:43 ID:hzeZ1YT7
CDが買えずに悔しかったので、その涙をSSに変えたいと思います。
後で
255名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 17:54:30 ID:zWWNj4A8
>>253
SSでも映画でも不遇の八神家に全俺が泣いた
だからこそ逆に二次創作に力が入るとも言えるが
256名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 18:17:30 ID:fNPZdt06
ギニュー特戦隊のようにオシャレでハジケてイカスかっこうよすぎて鼻血でる集合ポーズを決める場合
1:なのフェイはやの三人で
2:やっぱりヴォルケンズ
3:若さたぎってフォワード陣
4:たまにはロングアーチ
5:総勢12のナンバーズ全員
6:ナンバーズ厳選してスカリーの因子持ち4人のみ
7:大穴ゼスト隊
どれが一番輝くだろうか?
257名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 18:43:52 ID:K+s2UiRs
8:苦笑いするエリオとキャロとルーテシアとノリノリのヴィヴィオ
258名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 18:46:11 ID:JOLzq8qr
>>257
8:アースラ組(リンディ、クロノ他)
9:獣使い魔組(リニス、アルフ、リーゼ姉妹)
10:ルーテシアと愉快な仲間達

欠けてるのが多すぎだよー
259名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 18:47:17 ID:JOLzq8qr
ってリロードし忘れてた上に>>257じゃなくて>>256だし……すまん
260名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 19:05:11 ID:Z755HIxD
SS、楽しみなんだけど今書いてる作品を書き直さないといけなくなるんじゃないかと戦々恐々なんだよな……
261名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 19:09:23 ID:JOLzq8qr
>>260
なに気にするな、一般販売する前に投下してしまえば問題ない
それに公式気にしてたら、クライド×リンディ、クロノ×エイミィ、ゲンヤ×クイント、桃子×士郎以外のカップリングは書けなくなるぞ

上にクロノ×カリムって加えようしてたんだが……なんで公式で不倫中だと思うようになったんだろ
262名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 19:18:55 ID:/1fXuobR
>>260
解るよ、すごく
263名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 20:15:59 ID:KhfS/XZ2
>>258
11:プレシアと傀儡兵,s(プレシアが中心、女王な感じで、傀儡兵が陣形を組む)
12:奥様ーズ(プレシア、クイント、リンディ、桃子、メガーヌ、エイミィ)
も抜けてるぜw
>>261
登場時に、皆でいたからじゃない?それで、クロノと仲がいい・・・できてる。
でも、クロノ既婚者→不倫じゃんみたいなw
264名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 20:22:56 ID:JOLzq8qr
>>263
12にレティが抜けてるぜ。あと忍はいれても良いのかね?
265シロクジラ ◆bsNe6z3qW2 :2008/08/15(金) 20:33:05 ID:S+PylquQ
サウンドステージ販売で恐々としている夏の夜、皆様いかがお過ごしでしょうか。
「嘆きの中で」第五話を投下させていただきます。

注意事項
・STSアフター
・死人あり、欝描写あり
・キャラの性格変化あり
・現段階では生きている理由が語られない死んだ筈の人もいます
・ルーテシアはゼストの娘

駄目な方は「嘆きの中で」かトリップでNGを。
では、始まりますー。
266嘆きの中で ◆bsNe6z3qW2 :2008/08/15(金) 20:35:12 ID:S+PylquQ
暗い、地下深くに造られた研究所。
薄く照明のついた室内には、二人の人影。
赤紫の長く伸ばされた髪、金色の瞳を持つ白衣の男――次元犯罪者ジェイル・スカリエッティは、その整った顔を狂ったような笑みに歪めた。
その手はグローブ型のデバイスに覆われ、AMF下でも動作する特殊術式によって発生した赤い糸が、金髪の美女を捕らえていた。
その光景は、さながら蝶を捕らえた毒蜘蛛の巣。二度と羽ばたけぬ蝶に襲い掛かる毒牙は、悪夢のように輝く。
長い金髪と豊満な胸を持つ美女の名は、フェイト・T・ハラオウン。史上初の記憶転写クローン体であり、類まれなる魔力資質を持つ有能な魔導師。
世界の平和を守る時空管理局の執務官であり、Sランク――最強クラスの魔導師である彼女は、今、意識が遠のいていた。
原因は、胸に開いた傷口からの出血。刃物によって抉られた傷は浅くも深くも無い生殺しにする為の傷跡。
にこり、と悪魔のように純真な笑みを浮かべると、スカリエッティは左手に握ったナイフの刃をゆっくりとフェイトの柔肌に突き刺した。
バリアジャケットが崩壊し、肩の皮膚が裂け、筋肉と血管を裂いて刃が滑り込む。

「うぁ!」

苦痛に呻き、意識を取り戻した執務官に、男は甘く囁いた。

「辛いかね? まあどっちでもいいんだが」

屈みこみ、フェイトが取り落としたデバイス、バルディッシュを拾い上げると、その通話機能をエリオ・モンディアルと繋いだ。
空間モニターが表示され、燃えるような赤毛と白いコートを着込んだ少年がモニターを覗き込み、絶句した。
そんな少年に対して、スカリエッティは笑顔で応じた。

「ハロー、エリオ・モンディアル君? ほほう、キャロ・ル・ルシエ嬢も一緒かい。
御覧の通り、フェイト・テスロッサは私が捕まえている。囚われのお姫様を、小さな騎士様は助けだせるかなぁ?」

全身に生傷を作り裂傷から血を流したフェイトと、血に濡れた刃を持つ白衣の科学者という取り合わせ。
拘束されているフェイトをいたぶっているのが一目でわかる光景に、エリオは激昂して叫んだ。
目元を吊り上げ、歯を剥き出しにした獣の如き表情に、スカリエッティの笑みが深くなる。
楽しげな、嗜虐的笑みである。

《この、フェイトさんを離せぇ! ジェイル・スカリエッティィィ! 酷いことをするな!》

「なにをそんなに怒っているんだい。酷いことと言うと、たとえばこんな?」

スカリエッティの握ったナイフの切っ先がゆっくりとフェイトの右の掌に伸び、柔らかな肌を切り裂いて掌を貫通した。
血がたぷりと溢れ、神経を焼く激痛に苦悶に満ちた声が響き渡る。

「ぁぁあう……ぁ、エ、リ、オ?」

《今、助けに行きますから――キャロ、もっと速くっ!》

この言葉に、フェイトは面白いように動揺した。
赤い瞳を見開き、わなわなと体を震わせて拒絶する。

「駄目! 来ては――あがぁぁ!」

《フェイトさぁん! 糞、やめろぉぉ!》

次の瞬間には、裂けた肩の肉に指を入れられて弄くられ、言葉が途切れていた。
激痛に歯を食い縛って耐えるフェイトの美しい顔には汗が浮かび、狂気のようなおぞましい痛みが神経系を駆け抜けた。
肩の傷口に指を入れて弄くっていたスカリエッティは、愉快で堪らないという喜悦に満ちた声をあげた。

「嗚呼、嗚呼、なんと美しい愛情かね? 感動的過ぎて涙が止まらない……んふ、んくくくくく……
はっはっはっはははははははっ! だがね、君は誰も助けられないし、何一つ得られないとも。
息子が蘇るという愚かな虚像に踊らされて生み出され、誰かの代わりという模造の存在でしかない君に、何がある?」
267嘆きの中で ◆bsNe6z3qW2 :2008/08/15(金) 20:36:25 ID:S+PylquQ
「なん、だと――」

「エリオ君、その人の言うことを聞いちゃ駄目ぇ! フェイトさん、今助けますから――フリード!」

かん高い鳴き声を上げてフリードリヒの巨体が加速する。巨大な白い翼が羽ばたきながらフィールド魔法を張り、風圧を軽減。
乗り手である二人を気遣いつつ、己の持てる全力で白銀の竜は飛んだ。
白銀の飛竜の背に乗る人影は、少年と少女の二人――エリオとキャロの二人だ。
キャロが竜騎召喚で呼び出したヴォルテールにより鎮圧した紫の髪の少女は、彼女の父を名乗る騎士に預けてきた。
二人には知る由も無いことだが、その騎士こそ友の願いを聞き届けた槍騎士ゼスト・グランガイツであった。
ともかく、愁いを断った二人にとって重要なのは、傷つけられているフェイトを助けるということである。
桃色の髪を揺らし、キャロは凛とした表情でその悪鬼の如き男を見据えた。
にやつきながらこちらを見る男に声をかけようとした刹那――どん、と強い衝撃が胸を襲った。

「……? え?」

なにこれ? という言葉の代わりに溢れたのは、真っ赤な液体。純白のバリアジャケットを汚す、内臓の切れ端の混じった血液。
手足に力が入らず、気づくとフリードに跨っていた筈のキャロの小柄な体は宙に浮いていた。
胸の方を見れば、少女ならではの平らな乳房の間から血に塗れ螺旋くれた刃が生えていた。ちょうど重要な臓器を傷つけている位置。
意識が遠のいていく。こふっ、こふっ、と吐血。
……あ、エリオ君がこっちを見て何かいってる……安心させてあげ……な、きゃ。
なれど、彼女の声帯が動くことは無く――意識は深遠に飲み込まれ、二度と浮上しなかった。

フリードリヒの背からその一部始終を見ていたエリオは、どうすることもできずにそれを見ていることしか出来なかった。
やがて、光学迷彩を解除した異形の戦闘機械が、節足から生えた鎌の先に少女の柔らかな肢体を吊るし上げて、その身体をオブジェのように空中に磔にした。
少女の口から掠れた声が洩れることも無く、虚ろな瞳だけが槍騎士を捉えていた。
エリオは絶叫した。

「うわあああああああっっ!!」



「こうして、小さな騎士様は独りになりましたとさ――」

ぐったりと項垂れ、失血で死に掛けているフェイトに向けて、スカリエッティは上機嫌に言う。
悪魔のように黒い笑みを湛え、堪えきれない感情が溢れ出るのを全身で表現しながら。
フェイトは、その赤い瞳に強烈な感情を宿してスカリエッティを睨んだ。

「絶対に……赦さない……!」

「許しは請わないよ? 私の趣味で死んでもらっているからねぇ」

そういうと、この悪魔のように純粋な男はナイフを振り上げ――。

飛来した黒い刃がスカリエティの持つナイフを打ち砕いていた。高初速の刃はナイフを横合いからバラバラに砕き、
む、と唸ったスカリエッティはしばらく己の持っていたナイフの残骸をしげしげと眺め、じろりと金色の瞳を黒い刃の来た方向に向けた。
視線の先には、長い銀髪を持つ少女がいた。幼児体型の小柄な体を、ぴっちりした青のボディスーツと灰色のロングコートで覆った少女は隻眼で、片方の眼窩には眼帯。
その両手には黒い獣の牙のような刃が無数に握られ、投擲の為にスカリエッティに狙いが定められていた。
スカリエッティは、嵐の前の静けさにも似た穏やかさでそれに語り掛けた。

「何のつもりだい、チンク?」

「貴方を裏切ります、ドクター」

爆発を生み出すISが、凄まじい速度でナイフを射出――拘束したフェイトを抱き抱えた男は、跳躍しながら転送装置を起動させた。
小さな呟き――僅かな驚愕を孕んだ声を放ちつつ、スカリエッティは転送魔方陣に飲まれて掻き消える。

「君が裏切るとは――想定外だよ、チンク。この分では他のナンバーズにも離反者がいるか……はははっ、まったく楽しませてくれる」
268嘆きの中で ◆bsNe6z3qW2 :2008/08/15(金) 20:38:05 ID:S+PylquQ
IS<ランブルデトネイター>によって爆裂する刃の破片――決してスカリエッティに届かない。
虚空に消えた創造主に向け、チンクが悲しげに目を細め、呻くように言った。

「――貴方は、私達を――妹達を地獄に引きずり込む。それを許すわけには、いきません」

事態は極秘裏に動いていた……戦いの中で散って逝った誰にも知られることなく。
公式的には、ジェイル・スカリエッティの生み出した戦闘兵器たる戦闘機人ナンバーズは、一人も鹵獲されなかった――ということになっている。
だが、裏では数人の戦闘機人が投降し、司法取引を時空管理局上層部と行っていた。
いったい、何が彼女達をそうさせたのか定かではないが、その記録の一端は確かに<無限書庫>の蔵書の中に収められた。


――4年後 時空管理局本局<無限書庫>司書長室


ごくり、と固唾を飲みながら、青い髪をした少女――スバル・ナカジマはデータスティックを情報端末に収めると、<無限書庫>司書長の顔を眺めた。

「スクライア司書長、これが投降したナンバーズのデータですよね?」

華奢な女性的に整った容姿の優男、ユーノ・スクライアはその後頭部で一本に纏められた長い金髪を揺らし、笑顔で頷いた。
高町なのはの今年で23歳になる幼馴染は、あくまで笑顔である――場違いなほどに。

「うん。多分君が探している裏取引のデータの一部はこれだと思うよ。
僕もまだ中身は確認してないけど、演算と検索魔法で一番当該データである確立が高いのはそれだから」

「ありがとうございます……すいません、無茶なこと頼んじゃって」

「いいよ、僕にとっても、彼らの動向は気になることだったしね」

その脇には壮年の槍騎士ゼスト・グランガイツとルーテシア・アルピーノの親子が座り、神妙な趣でスバルとユーノのやり取りを聞いている。
二人は今現在スバルの設立した『ジェイル・スカリエッティ対策班』のメンバーであり、今は直属の部下としてスバルと行動を共にしていた。
当初、ゼストは実の娘の参戦を極度に嫌がった――当たり前の話だ。4年前には関った多くの魔導師が死んだ事件に娘を関らせたい親などいまい。
しかし、ルーテシアは母親に似て頑固な娘だった。
今年で13歳になる彼女は、あくまで自分の意志で参加を主張し、周囲からの反対意見を押し切ってこの新設部隊へ参加した。
結果としてゼストとペアにするという解決方法でスバルは折り合いをつけたが、父の横にちょこんと座っている美しい少女が愛らしいのは何故だろうか。
ゼストも妙に娘のことを気にかけているようで、何処か微笑ましい空気が二人の間にはあった。
尤も、それもユーノ・スクライアの時折放つ怖気にも似た感覚に比べれば些細なことだ。
ルーテシアは気づいていないようだったが、スバルとゼストはこの男の腹の底に何かがあるのを感じていた。
ふと、ゼストがルーテシアに声をかけた。

「ルーテシア」

あくまで場を和ます為の声である、と取り繕ってはいたものの、この親子に以心伝心で感ぜられる何かがあった。
念話は使えない――この聡い<無限書庫>の住人に気づかれるわけにはいかなかったからだ。
ルーテシアが紫色の長髪を揺らして聞いた。小さいが、はっきりした声だった。

「……何?」

「飲み物を買って来てくれ。なんでもいい。釣りはお前の好きなように使っていいからな」

しばし思案した後、ルーテシアはこくん、と頷いて<無限書庫>司書長室から出て行く。
少しばかり不安げにその瞳がゼストを見たが、ゼストは皺の刻まれた顔に笑みを浮かべて娘の背を押した。
ぱたぱたと駆けていく今年で13歳になる娘の後姿を眺めると、ドアが閉まったのを確認してスバルに合図を送った。
スバルは小さく頷くと、真っ直ぐにユーノの双眸を見据えて言う。拳を堅く握り締め、震えながら。

「スクライア司書……いえ、ユーノさん。貴方には、高町なのは元一等空尉への情報漏洩の嫌疑がかけられて――」

「嘘だね」
269嘆きの中で ◆bsNe6z3qW2 :2008/08/15(金) 20:39:17 ID:S+PylquQ
スバルが何か言い返す暇も無く、ユーノはそう断定した。理知的な瞳がスバルを真っ向から睨んでいた。
冷たい汗が衣服の中の柔肌を伝い、スバルの中で不安感が大きくなるが、気丈にも前を見て彼女は答えた。

「どうしてそう思うんですか? あたしは執務官です、貴方の前で嘘をつくメリットは無いと思いますが」

「……いや、君はなのはのことを追っている。そして、その件で僕が何らかの情報提供をしている――これは事実だよ。
僕はなのはの協力者――彼女の眼であり、耳だ。あの子は全てを失った、家族も友も、何もかも。
それに協力して、何が悪いんだ? 管理局は、あの子に何もしてあげられなかった。
個々人の理念は組織を動かすには小さすぎ、それゆえに如何なる希求も通ることは無い。
ならば、個人が組織に裁けない悪を裁くことは悪かな? いいや、それは必要悪であり、決して裁けない罪の筈だ」

「……貴方は」

ユーノは静かに眼鏡を外し、冷たく透き通った表情でスバル・ナカジマの顔を真っ向から見据えて言う。
無数の結界魔法をデバイスの機械的補助なしで運用する、スクライア一族の神童だった青年は、あくまで平坦な声で続けた。

「だから、僕が裁かれることはない。必要悪を裁けるのは、社会がその概念を必要としなくなる瞬間だけだから。
勿論、時空管理局という世界統治機構がその構造を変えていくのなら話は別だけれど……今はまだ、そのときではない筈だ」

「詭弁だ! 貴方の、いえ、貴方達のしていることはただの復讐――無秩序な報復行為です。
その戦いの果てに、いったい何人が傷つくんですかっ?!」

許せなかった。
理想であり、目標だったあの人が一介の復讐者に堕ちたことも、その在り方をよしとする目の前の男の言葉も。
それを止めることも、有効な反論も出来ない自分が、ただ情けなく、悔しかった。
怒りと悲しみに涙ぐみながら訴えかけるスバルを、ユーノは一瞥しただけだ。ゼストが顔を顰め、無言で立ち上がった。

「……話はそれだけかな? 僕はこれでも忙しい。退散させてもらうよ」

「待て。お前の正義は何処にある、ユーノ・スクライア。お前が語ったのはただの言い訳だ、お前自身の正義は、何処にも無いだろう」

「可笑しなことを言う人だ、ゼスト・グランガイツ。僕自身に、そんなものは必要ない。
ただ、あの子がこれ以上悲しまないようにする――それが、僕に出来ることだからしている」

皺の刻まれた顔に凄みのある笑顔を浮かべて、ユーノに拳を振るった。
コンマ数秒の動作でユーノは魔力障壁を展開していたが、これをゼストは瞬時に対抗術式で崩壊させ、拳骨がユーノの頬にめり込む。
バリアブレイクを瞬間的に使用する――ゼストというS級魔導師だからこその技だった。

ユーノの身体が宙を舞い、同時に缶コーヒーを持って部屋に入室したルーテシアが驚いてコーヒーを取り落とした。
スカートから伸びる白い足を伸ばしてゼストに駆け寄りすがりつく。
悲鳴のような声を、ルーテシアはあげていた。

「やめて!」

「ルーテシア?!」

ユーノは、女のように整った顔を歪ませてゼストを睨んだ。
初めてこの男が見せた、感情らしきものだった。

「騎士ゼスト……貴方にはわかるのか! 修羅に堕ちた愛する人を、見ていることしか出来なかった男の気持ちがっ!」 

「……わからんさ。そんな寝言をほざく暇があれば、その女の元にいけばいい。悔やむのは、辛いぞ」

無言――言葉を失くしたユーノを、ゼストはただじっと見ていた。
やがて……青年の目尻からは、熱い涙が零れていた――。
270嘆きの中で ◆bsNe6z3qW2 :2008/08/15(金) 20:43:00 ID:S+PylquQ
そのとき、スバルの胸の端末が鳴った。
空間スクリーンがいきなり展開され、せっつくように画面の向こうの、栗毛の少年オペレーターが言う。
スバルの顔がきっ、と引き締まり、再び執務官としての仮面をつけた。

《ナカジマ執務官! ミッドチルダ北西部にガジェットと魔力反応です。ただちにJS対策班を出動させてください!
空間座標は端末に転送済みです、現地で実戦部隊のヴァイス・グランセニック陸士と合流後、鎮圧を……幸運を祈っています》

「ありがとう。ナカジマ執務官、了解しました――ゼストさん、ルーちゃん、これがあたし達の存在意義を問われる第一歩です。
頑張って――皆を救いましょう。それが、あたし達の正義だから」

ゼストは僅かに微笑み、それに寄り添うルーテシアはこくりと頷いて受諾。

「わかった」

「……はい」

ジェイル・スカリエッティ対策班は、この日初出動を迎えた。


運命の歯車はゆっくりと回り始め、加速を開始する。
流転する因果は終わりへの序曲か、それとも――。


涙を拭いたユーノが最後に言った――羽ばたく人に、伝える為に。

「……そこには、なのはがいる……彼女を、これ以上苦しませないでくれ」

スバルは満面の笑みを浮かべ、鋼のような強靭な意志を見せて言い切った。

「あたし達は、皆を救って見せます。
誰一人として欠けずにっ! だから、貴方も――立ち上がってください、ユーノさん」

はっ、と顔をあげると、既に彼女達は走り出していて。
それが、ひどく輝かしいもののようにユーノには見えた。



夕暮れが近い。太陽は西に沈み始め、2つの月が暗くなり始めた空に浮かぶ。
オリーブグリーンのコートを着込んだ高町なのはは、森の中をただひたすらに走っていた。
背後の木立には無数の浮動する自律戦闘機械ガジェットドローン。カプセル型のボディを持つT型数機が、彼女を追って熱線を放ち地面を焙る。
地面?
そう、高町なのはは跳んでいた。地面を蹴り上げ、限りなく高い位置へ跳躍していたのだ。
空中に跳び上がりながら、胸の赤い宝玉に触れて――唱えた。

「レイジングハート、セットアップ」

インテリジェントデバイスの機械音声がこれに続く。

《セットアップ》

刹那、空中のなのはの身体が白熱する輝きを纏い、衣服が再構築されていく。
緑色のコートは白い舞踏服にも似たバリアジャケットに、ロングスカートから伸びる美脚は軽やかに装甲ブーツに覆われた。
長袖の上着を覆い隠すように黒いマントが白いバリアジャケットの上から装着、悪魔の翼のように風に翻る。
内側に緋色の生地を持ったマントの中から黄金の矛先を持った杖が伸び、高町なのはの手に軽やかに握られた。
長槍のようなフォルムの杖、レイジングハート・エクセリオンの矛先に魔方陣が展開され、光芒が弾けた。
アクセルシューター。レーザーと見紛う程高速の魔力誘導弾であり、AMF下では無力化されやすい代物である――が。
数が凄まじかった。計24発もの魔力弾頭が光の尾を描いて襲い掛かり、数機のガジェットT型を襤褸屑のように砕く。
同時にカートリッジ廃莢――2発分の空薬莢が吐き出され、地面に落ちた。
271嘆きの中で ◆bsNe6z3qW2 :2008/08/15(金) 20:44:27 ID:S+PylquQ
爆散するガジェットを尻目に、なのはは山頂目掛けて飛翔する。黒いマントが強風に翻るも、それを気にした様子は彼女には無い。
山頂にある廃棄された展望台――そこに、戦闘機人達の整備施設があるのは確かだった。
先日スバル・ナカジマに左腕を破壊されたナンバーズが逃げ込んだのは、確かにこのポイントだったのである。
付近に利用できそうな施設は展望台跡の廃墟以外に無く、レイジングハートの観測によって、微弱ながら何らかのエネルギー生成施設があることも判明している。
ゆえに、ナンバーズの潜伏拠点の一つは、間違いなくここだと判断できた。

――速く、もっと速くっ!

急く気持ちを抑えつつ、上空を飛ぶ――そのときだった。
きらりと展望台の屋上付近の一点が輝き、音速領域を突破した刺突が、飛翔するなのはへミサイルのように襲い掛かって来たのだ。

「っっ!」

横にかわそうと空戦魔導師の技能である慣性操作で飛行方向を捻じ曲げるが、間に合わない。
突撃してくる物体は、それ自体が意思を持ち微細な調整でこちらの死角目掛けて飛び込んでくる。
魔力障壁を二重展開――同時に、なのはの動体視力は突貫してくる物体の先端を“突撃槍”と見切っていた。
黄金の魔杖の槍の如き先端を構えて、衝撃に備えた。

――まさかっ?!

驚愕――同時に槍の先端が魔力障壁を噛み破り、貫通してなのはの体を刺し貫こうとしていた。
これをレイジングハートの矛先で受け止めると、風圧防御用の魔法でも殺しきれない爆圧が生まれ、なのはの栗色の髪とマントを揺らした。
突撃槍の外殻は、さしずめ海の底のように仄暗い青。
矛先の後部からは可動式推進器が生え、轟々と推進炎を吐き、槍を受け止めるレイジングハートを壊そうと唸る。
それを握るのは、暗い瞳をした赤毛の少年。乱雑に切られた髪は強風に揺れ、声変わりもしていないであろう幼い顔。
白いコートの中に赤い上着というバリアジャケット――4年前に比べ男らしくなった体つき。
それに、高町なのはは見覚えがあった――声に出して呟く。

「エリオ……!」

それを聞き、少年は唇の端を歪めるようにして笑った。
爛々と愁いを帯びた双眸が輝き、なのはの瞳を覗き込む。

「お久しぶりです、なのはさん」

「生きて、いたんだ……キャロは?」

「……誰一人救えなかった愚か者に、聞くべきではありません」

自嘲気味に笑いながら槍を引くと、推進炎で得られた加速を慣性制御技術で反転させ、落下のスピードを相殺しながら着地した。
膝を折りたたんで衝撃を吸収し、コートを風圧ではためかせ立ち上がり疾走――足を前に出すという動作すら知覚できぬスピードで空中のなのはの増したに潜り込む。
ソニックムーブ。高速移動を常としたフェイト・T・ハラオウンの魔法であり、エリオが彼女から受け継いだ技。
瞬間移動に等しい加速によって彼の体は一時的に物理法則から解放され、急制動――突撃槍が上を向いた。
ここにきて、なのははエリオが自分と敵対していることを悟り、無言でバインドを展開した。
胴体と腕を固定する魔力の拘束具がびゅんと迫るが、エリオは右脚を引きつつ槍を引き込み、孤を描くように一閃。
己に迫るバインドの輪を打ち砕いていた。続いてなのはの誘導射撃魔法アクセルシューターが8発ほど射出、エリオの胴目掛けてそれぞれが死角から迫るが、
これも可動式推進器と腕のバネを用いた神速の槍捌きの前に撃ち落されていき、彼に届くことは決して無い。
なのはは動揺もせずにその様を眺めていた。あの戦闘能力、4年前のエリオとは比べ物にならない。現段階での魔導師ランクは、AAAくらいだろうか。
十二分になのはにとって脅威になりえる戦力が、今のエリオ・モンディアルだった。
静かに射抜くような視線を向けながら、レイジングハートの黄金の矛先をこちらを見上げているエリオに向け、呼びかけた。

「どうして、邪魔をするのかな。ナンバーズは、フェイトちゃんとキャロの仇じゃないの――?」

エリオは無言――いや、槍の構えを再び刺突のそれに戻しながら、唸るように言葉を吐いた。
突撃槍ストラーダの切っ先を空中の魔導師に固定し、ぎちぎちと筋肉を引き絞り解放の瞬間を待つ。

「……だから、ですよ――あの人達を蘇らせられるのは、結局奴らしかいない。
レリックの力で、もう一度あの人達が笑っていられるなら――僕はどうなってもいいっ!」
272嘆きの中で ◆bsNe6z3qW2 :2008/08/15(金) 20:46:11 ID:S+PylquQ
嘆くような、されど異常なまでに思いつめた瞳を見ても、なのはは何も言わなかった。
間違っている、とも同じ気持ちだ、とも告げずに、冷淡なまでに曇りの無い瞳で彼を見据えるだけだ。
ただ、相棒のデバイスを構えるのみ――その願いを打ち砕き、報復を成就させる為に。
魔方陣が幾重にも杖を中心に展開され、桃色の光の渦が禍々しく煌きながら地面へ向けられた。
マントから突き出た腕には魔力集束用の小型魔方陣が幾つも顕現、驚愕するほか無い程の魔力を注ぎ込んでいるのが一目でわかる。
エリオは筋肉にかけていた鎖を解放し、爆発的な瞬発力で跳躍。魔力を突撃槍ストラーダの穂から噴出させ、彼にとって最高の突破力の魔法を詠唱、実行する。
アクショントリガーの言葉を叫んだ。

「メッサー・アングリフッッ!!」

カートリッジが2発排莢され、からんと地面に転がった。
同時に、無慈悲な砲撃魔導師の一言。

「ディバインバスター」

砲撃射出――驕り高ぶる人を焼いたという神の裁きにも似た光の槍が射出された。
空気を熱する苛烈な光の渦が地面へ向け照射――地面の表土が抉り取られ、爆風でストラーダに掴まって飛行するエリオの軸がぶれる。
光の渦は貪欲に全てを飲み込もうと、信じがたい速度でロケットのように上昇するエリオに追いすがる。
あれに飲み込まれれば、エリオの防御能力では耐え切れずに失神するだろう――師事していたフェイトの影響もあり、この槍騎士は防御よりも機動を選んだ魔導師だった。
それは、作戦の失敗であると同時に、彼女達の蘇生が不可能になるということを意味していた。
吼えるようにして加速、加速、加速――更なる魔力をつぎ込んで空中に浮かぶ高町なのはに迫った。
見たいのは、フェイトとキャロがもう一度微笑む姿だけ――それさえあれば、何もいらなかった。

――僕は、あの人達の為なら戦える!

「うおおおおおっ! 負けられないっっ!」

やがて、上昇――遥か上空まで到達、同時に槍を持つ手を前方に突き出し、何層もの魔力障壁を壊す。
勢いをつけた刺突が、高速領域の衝撃波を放ちながらなのはのマントを穿ち、袈裟切りにそれを裂いた。
黒い衣装の残骸が宙を舞う。

――仕留め損ねたっ?!

そう思った瞬間、後頭部に鈍い痛みが走り、エリオはストラーダを握ったまま叩き落されていた。
振りかぶられたレイジングハートの矛先には赤い体毛が付着し、それがエリオを殴打したものであると知れる。
地上へ向けて猛スピードで落下していく身体をストラーダの推進炎で宙にとどめようと踏ん張るが、
上空から降り注ぐ魔力弾の雨が酷くエリオを打ち据えていき、落下へ追い込む。
木立に突っ込み、幾つもの木々の枝を折りながら地面に衝突――土煙があがる。
どしん、と背中から受身を取るが、衝撃に肺の空気を吐き出してしまい、口が空気を求めてぱくぱくと喘いだ。
273嘆きの中で ◆bsNe6z3qW2 :2008/08/15(金) 20:48:08 ID:S+PylquQ
「あ、あ、あ、あ」

「強いね、強いけど私には勝てないよ、エリオ」

空中から声が響き、冷然と冷たい目がこちらを見下ろしていた。

――またなのか? また間に合わないのか、僕は?

ちりちりと脳髄の奥が冷え、澄み渡るような感覚が意識を支配する。
無限に等しい時間が過ぎたようにも、思えたが。
蘇るのは、狂気に等しい光景。
空中に磔にされたキャロの虚ろな瞳が、死に掛けたフェイトの唇が、破滅的な想念を吹き込む。

――戦え 弱き身では 誰も救えない

脳裏で魂の声が響き渡り、怪物的な闘争本能が湧き上がった。
がちゃり、と。
満身創痍のエリオが立ち上がり、槍を支えにして傷だらけの体を戦闘態勢に移行させる。

「うぁああああっ!」

「まだやるの? もう、無意味――」

そのとき、空気が爆ぜた。大気が震え、白銀の翼が夕日を遮りながら顕現し、甲高い世界を震わせる絶叫が響き渡った。
成体に届こうかという巨大な飛竜は、全身に傷を負っていた。刃物で抉られたような、凄惨な傷跡を。
声帯から咆哮を、リンカーコアから魔力を火炎として迸らせて、その一対の眼で敵対者を睨む。
なのはは、ぼろぼろのエリオの刺突を片手で受け止めながらそれを睨み返した。

「フリード……!」

主を失った若き竜族は、白銀の巨体で全てを薙ぎ払うべく叫んだ。
世界への憎悪を込めて。
274シロクジラ ◆bsNe6z3qW2 :2008/08/15(金) 20:50:55 ID:S+PylquQ
以上で投稿完了です。
なのはのバリアジャケットは、フェイト風味に若干アレンジです。
スバル主役なのに今回は影が薄いのですが、次回こそは・・・!

ではでは。
275名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 21:29:26 ID:JOLzq8qr
新しいサウンドステージはまた過去設定に対して矛盾の荒しみたいだなぁ
>>260殿、気にする必要はまったくないぞ
公式が既に矛盾しかしてない
276名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 21:37:18 ID:FDTItjOb
聞く前から矛盾とか言われても
277名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 21:44:56 ID:SC8PQwNp
>>274
GJ!
なのはさんが怖いw
続きも楽しみにしてますね!

>>275
例えばどんな矛盾があったっていうんだ?
今までの矛盾なんて実は飛行魔法は簡単じゃなかったとか大した事ないのばっかだったと思うけど
今回のもどうせ矛盾とか言う程のもんでもないんじゃないの
278名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 21:49:59 ID:K2MLgieL
>>277
飛行というか浮遊が簡単というのは何も変わってないが。
279名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 21:54:00 ID:N8D9xHpC
とりあえず、ミッドとベルカの戦争は無かったことに。

ゆりかご関係が意味不明なのは今更だな。
280名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 21:55:11 ID:GRwpXXny
>>278
一期→飛行は初級の魔法の最終段階

三期→飛行には適性がないとダメ


一期に沿うと新人達がどんだけ無能なんだ、って事になるし
三期に沿うと適正の有無なしになんで初級なんだ

という矛盾
281名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 22:03:45 ID:zP+synGF
>>280
飛行の適性を“浮かぶ”か“飛びながら戦う”かで意味が変わってこないか?
例えば竹刀は誰でも振るえるけれど、実戦になれば動きを読んだりと慣れやカンもいるわけだし。
空戦魔導師は飛んでいる分だけ陸戦より余分の思考割かなきゃいけないし。

とりあえず、議論するスレに行ってくる。
282名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 22:04:35 ID:K2MLgieL
>>280
前者の飛行→ただ飛ぶだけ
後者の飛行→高高度飛行

というだけの話。
こんなDVDブックレットに明記されてるようなものを持ち出して矛盾とか何言ってんの。
283名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 22:05:11 ID:9lYPjZNm
>公式が既に矛盾しかしてない
こんな意味不明な日本語使うゆとりに振り回されるな
矛盾があったとしてもいつも通り気に留める必要もないレベルだろ

>>274
GJ!!
エリオ不憫……
284名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 22:06:22 ID:kkPCQKQG
ベルガ式も謎だよな。
2期は廃れた技術でカートリッジは不安定なシステム。
3期は聖王教会があって、ゼストもいる。クイントとメガーヌもベルガ式だよな?
285名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 22:07:50 ID:hzeZ1YT7
適正のある者にとっては初級に等しいレベルだが、飛行適正のない者にとっては話が別。

だったら駄目なのか?

>>279
きっと
「アレは戦争でなく事変です」とか「アレは侵略でなく進出です」とか言ってるんだよ。
286名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 22:08:06 ID:f/4GEMla
>>280
まぁ自分の勝手な解釈だけど飛行もいわば氷や雷のような変換資質と同じ先天的な部類なんだと思う
飛行の適正(いわば資質)がある者はコツさへ掴めばすぐに会得できるが
それがない場合は後天的に様々技術を長い年月をかけて身につけなければならないとか
287名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 22:11:29 ID:NTX8GWtj
ドラマCDのネタバレうんぬんも無論だが、雑談自重しなさいね?
288名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 22:22:18 ID:zP+synGF
>>287
なのはわっているけど、書き手として色々と無視できぬ情報がチラホラ。
コミケ行けない身は辛い。
289名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 22:26:27 ID:JOLzq8qr
>>275だが、変な流れ作ってすまん
単にサウンドステージの新設定を気にせず書き上げてくれって言いたかっただけなんだ
290名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 22:33:05 ID:iu4TrMcX
とりあえずサウンドステージについてはネタバレスレあるからそこでやるべきだな
291名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 22:42:54 ID:5Lb9Ljes
ネタバレ関係はとりあえずメロン逝っとけ

StrikerSサウンドステージXネタバレスレ
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1218787212/l50
292名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 22:48:39 ID:naXYc0jO
>>288
割れ厨〇ネよ
293 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/15(金) 22:51:32 ID:YX9Mnl/T
サウンドステージの矛盾とは果たして如何程の物なのでしょうか。
矛盾の総本山、キン肉マンや闘将!!拉面男等のゆでたまご作品で培った
矛盾耐性も通用しない程の矛盾なのでしょうか…。
例えば、ティアナがなのはさんから頭冷やそうかとクロスファイヤーシュートされるシーンで、
皆が技の凄さに驚いている中にもティアナがもう一人いるとか…それは流石に無いですね

それはそうと…先日の続き行かせて戴きます。

・『世界の平和を取ってスカの嫁兼監視役になった未来』『自分の幸せを取ってユーノと結婚した未来』
の二つのIFをそれぞれ描きます。
・スカがヤンデレになるのはなのは×ユーノルートのみです。
・エロあり(ただしドラマメインなので簡略的になってます)
・タイトルは『二つの未来』
・鬱注意です。(×ユーノルートでは、ヤンデレ化したスカの手によって様々な鬱展開がありますし、
×スカルートもなのは×スカ要素嫌いな人にとっては鬱ですから)
・一つ一つを事細かに描写する事もあれば、ダイジェスト風のあっさりした物になったりと、
その時々によって描写に差があります
・×スカルートのスカがちょっとマゾっぽい
・×スカルートのなのははちょっとツンデレっぽい
・時期的に色々不謹慎なネタもありますが…ご了承下さい。
・オリキャラも出るでおじゃるよ。

×ユーノ編に関して追加分の注意書き
・鬱なシーンとコミカルなシーンの両方があります。
(コミカルさがあるからこそ、鬱が際立つとかその理論で。勿論逆もしかり。)
・後半あたりクアットロが妙に活躍します。オリキャラとも絡んだりします。
・ウーノが『ドクターは私の旦那!!』なキャラに変貌してます(崩れキャラ嫌な人注意)
・少し801要素まで追加されちったorz
・スカは逃亡中なのに何故かウーノとかは軌道拘置所にいる矛盾は目を瞑ってください
・お馬鹿フェイトが少しだけ復活してます。フェイト好きスマソ
・下ネタ要素あります注意
294二つの未来 32 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/15(金) 22:52:45 ID:YX9Mnl/T
クアットロがナーノ相手に逆レイプ未遂をしていた頃、なのはは管理局地上本部の医療施設内の
一室で未だ目を覚まさぬティアナ・スバル・エリオ・キャロをそれぞれ悲しい目で見つめていた…

「私が目的なら…私を直接狙えば良いのに…許せない…。」

なのはは静かにスカリエッティに対する怒りを燃やしていた。彼女がこれ程スカリエッティを
憎んだ事は無かった。かつてはあくまでも時空管理局員の一人として、人々の平穏を脅かす時空犯罪者は
許せないと言った感情や、時空犯罪者のくせに局員の私にアプローチをかけて来る…しかも
世界中を人質にする様な脅迫をして来てまで来るスカリエッティが何かウザイ程度の物だった。
だが今は違う。本件とは一切関係の無いティアナ達にまで犠牲にされてしまった。四人は元々なのはが
手塩にかけて育て上げた自身の後継者とも言える様な存在でもあると言う点を差し引いても…
やはりとても許せる事では無かった。が…

「けど…やっぱり…これは…私のせいなのかな…。」

なのははそうも考え始める。そもそもスカリエッティがなのはにアプローチをかけて来たのは、
確かになのはが女性として魅力のあると言う点もあるのだが、それ以上に一切の改造処置等を
受けていない通常の人間の魔導師であるにも関わらず、彼が手塩にかけて作り上げて来た戦闘機人や
古代ベルカの聖王(のコピー)さえ屠った異常とも言うべき実力を評価しての事であろうし、
何よりも、スカリエッティはなのはを自分の思い通りに働く手下とか人形とかそう言った意味では無く、
逆に自分を尻に敷き、ねじ伏せてくれる者として欲しがっていた。恐らく凶悪時空犯罪者と
言われる彼の中にもある程度の『良心』が残っており、それがこれ以上の悪事を拒否したがっていた。
だが、同時に彼に遺伝子レベルにまで刷り込まれた『無限の欲望』がそうさせてくれない。
だからこそ、なのはの様に力ずくにでもスカリエッティをねじ伏せてくれる様な強い女性を
生涯の伴侶…妻として欲しがっていたのである。

「じゃ…じゃあ…これは全て…私が…彼を拒絶したからなの…?」

なのははスカリエッティを受け入れる事は無かった。なのはだって元々好きでも何でもない男と
結婚するのは嫌だし、何より管理局員と言う立場上、時空犯罪者と結婚すると言うのは色々と問題がある。
だからこそなのははユーノと結婚し、ナーノを産んだ。

「それが…間違いだったとしたら…。」

なのはがユーノと結婚して以来、スカリエッティの執拗なアプローチは無くなった故、完全に
安心していたのだが…違った。彼はこの数年の間何処かで力を蓄え、復讐の為に
『帰ってきたジェイル=スカリエッティ』として戻って来たのだ。そして、彼の送り込んだと
思われる怪人の為に早くもティアナ達四人が意識不明の重体(別の意味で)にされてしまった。
さらに、ナーノに対してもお菓子を買う為の105円をカツアゲすると言う暴挙を行っている。
恐らくはこれからも数多くの人がスカリエッティの犠牲にされていくのかもしれない。
そう思うと…なのはは自分の取って来た行動の全てに自信が持てなくなって来た。
もしあの時、自分がスカリエッティと結婚する道を選んでいれば…確かに自分自身は
人生を棒に振るも同然になるだろうが、少なくともスカリエッティの悪事を未然に防ぐ事は出来たはず。
だが、なのはが彼を受け入れなかった為にスカリエッティの『無限の欲望』を止める者はいなくなり、
さらになのはがユーノと結婚した事に対する嫉妬心が彼をさらなる狂気に走らせてしまった。
295二つの未来 33 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/15(金) 22:53:53 ID:YX9Mnl/T
「そ…そんな……じゃ…じゃあ…一番悪いのは…私じゃない…。」

なのはは思わず泣きそうになった。自分がスカリエッティを受け入れなかったせいで
ティアナ達がこの様な目にあったも同然だったからだ。しかし…

「気をしっかり持ってなのは!」
「フェイトちゃん?」

なのはの背後に何時の間にかフェイトの姿があった。

「なのは! 自分の信じた道を曲げちゃダメだよ! それは貴女だけじゃない!
ユーノやナーノをも否定する事になるんだよ!」
「でも…私のせいでティアナ達が…。」
「それはスカリエッティが悪いだけの事! なのはの責任じゃない! だから…負けないで!」

フェイトはなのはの両肩を掴み、その身体を揺らしながらなのはを説得しようとしていた。
しかし、なのはには何故こうもフェイトが必死になるのか…分からない。

「どうして? どうしてなの? フェイトちゃん!? どうしてそんな事を言うの!?
今まで散々私がユーノ君と結婚した事を良く思ってない様な発言をしてたのに…
私が見て無い所で何度もナーノを絞め殺そうとしてたのに…どうしてそういう事を言うの!?」

なのはにはフェイトの発言が信じられなかった。今までの彼女の行動からして
ユーノとナーノを擁護する様な発言は有り得ないと考えていたからだ。

「何って! 質問に質問で返す様で悪いけど、なのははスカリエッティと結婚した方が良かったの!?
ユーノと結婚して…ナーノも産んで…今までの暮らしが幸せじゃなかったって言うの!?」
「フェイトちゃん…。」
「私は嫌だよ! 確かにユーノがなのはと結婚した事も、寄りにもよって二人の子供のナーノが
ユーノの方に似てしまってる事に関して私が何とも思ってないって言うと…それは嘘になるよ!
でも、なのはがスカリエッティと結婚してしまうのはもっと嫌! なのはがウェディングドレス姿で
ユーノと一緒に結婚式場に立つ姿や、ナーノを産んだりするのもそれはそれで想像するだけでも
吐き気がする光景だけど…なのはがスカリエッティと寄り添って結婚式場に立ったり、奴の子供を
産んだりする光景なんて…下手したら私…想像するだけでも死んじゃうよ!!」
「いや…フェイトちゃん…今生きてるじゃない…。」

今でもフェイトはなのはがユーノと結婚し、ナーノを生んだ事を良くは思っていないのだろうが、
だからと言ってスカリエッティと結婚して欲しかったとも決して思っていない事は辛うじて分かった。

「だからなのは! 自分の信じた道を曲げないで! 私も出来る限り協力する!
本当なら…奴を捕えるのは奴との因縁を持ってる私の役目なんだから!」
「それじゃあフェイトちゃん…。フェイトちゃんは私と同じ位強いんだし…
フェイトちゃんがスカリエッティのお嫁さんになって、彼の『無限の欲望』の
ストッパーさんになってあげるのはどうかな?」
「いや…それは遠慮させてもらうよ。そんな事する位ならユーノとナーノの両方殺して
殺人犯として牢に入った方が遥かにマシだし…。」
「………………。」
296二つの未来 34 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/15(金) 22:54:55 ID:YX9Mnl/T
どうやらフェイトもスカリエッティの事は良く思っていない様だ。
フェイトと生贄にしようとしたなのはもなのはだが…
そこで突然なのははフェイトの背後に回り、彼女の豊満な両乳房を揉み始めたでは無いか!

「え〜? だってフェイトちゃん私よりおっぱい大きいし〜、まだ処女だし〜、
私にとって見ればフェイトちゃんの方がずっと美人さんだと思うし〜、それでいて
私みたいに過去に長期リハビリが必要な位大怪我した様な経験は無いし〜、
逆に私は子供の頃の古傷とか〜ブラスターの後遺症とか〜ナーノの子育てが忙しくて〜とか
その他モロモロで以前より弱体化してるんだから〜今はフェイトちゃんの方が多分強いと思うし〜。
そこを利用してフェイトちゃんがスカリエッティを誘惑してくれたら良いと思うんだけどな〜!
よっ! この魔性の女ぁ〜!」

開き直ってフェイトをスカリエッティへの生贄にしようと考え始めたなのはに
忽ちフェイトの顔が真っ赤になった。その上なのははフェイトの乳房のみならず、
股間や腰…お腹…脚等…色んな所を触り始めたのだ。

「ちょっ!? なのは!? 何を言うの!? って言うか私にだって古傷の一つや二つ位あるよ!」
「古傷って言ったって〜、昔プレシアさんに鞭で打たれた程度の物でしょ〜?
そんなの皮膚が傷付くだけで別に骨とか内蔵とかに異常が残るワケじゃないし〜。
でも私なんか昔、スカリエッティの作ったガジェットW型に瀕死の重傷負わされてるんだし〜。
それに彼との因縁と言う意味でも私よりフェイトちゃんの方がずっと関りが強いんだし〜。
淫獣と結婚して子供まで産んだ非処女な私なんかより、未だ穢れを知らない生娘な処女フェイトちゃんの
方がよっぽど彼のお嫁さんにピッタリだよ〜。この魔性の女ぁ〜っ!」
「なのはやめて! 正気に戻って!」

なおもフェイトの両乳房を上下左右に揉み解し、体中を触りながらなのはは言う。
その目は…明らかに正気では無い。病んだ目だった。

「ね! お願い! 私と世界の平和を守ると思って〜、フェイトちゃんがその美しい肢体を
フルに生かしてスカリエッティのお嫁さんに立候補して〜、彼を誘惑して〜、ハニートラップにかけて〜、
処女も捧げて〜、私以上の強さで新ソニックフォームの時に見せてくれる美尻に敷いて〜、
スカリエッティが迂闊に悪さ出来ない様にして〜、ついでに赤ちゃんもニ〜三人産んであげれば〜、
私は元通りユーノ君とナーノと一緒に平穏な暮らしを取り戻せるし〜、世界も平和になるし〜、
それに私とユーノ君が結婚後に一時してから初めて互いの愛に気付いた様に、フェイトちゃんだって
もしかしたら途中からスカリエッティとの愛に目覚めるかもしれないし〜、一石二鳥じゃない!」
「い…いい加減にしろぉぉぉぉぉ!!」
「んべ!!」

次の瞬間…フェイトはなのはを殴り飛ばしていた。しかもフェイトのみならず、
いきなり何処からか現れたウーノまでもがそれに参加していたのだ。

「いい加減にしてなのは! さっきも言ったけど私がスカリエッティと結婚する位なら、
ユーノとナーノを殺して殺人犯として牢に入った方がずっとマシだよ! あとついでに
なのはをスカリエッティに差し出す! 多分奴は非処女の未亡人でも相手がなのはなら構わないと
思うし…。例え一人子供を産んでると言っても、なのはのプロポーションは昔と大して
変わらない若々しいままだし…。もしかしたらなのはだってスカリエッティとの愛に目覚めて
ユーノの事なんかどうでも良くなるかもしれないし…。」
「だからドクターは私の夫だと言ってるでしょう!?」
「んべ!」

今度はウーノの怒りの鉄拳がフェイトを吹っ飛ばしていた。

「もう貴女達に頼ってはいられません! こうなったら私が直接ドクターに直談判して
ドクターの一番は私以外には有り得ない事を知らしめます! 待ってて下さいね!? ドクター!
今この私…貴方の真の妻! ウーノが行きますわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

病室の床で死んだ様に倒れて動かないなのはとフェイトを尻目に、ウーノは何処へと走り出した。

                      つづく
297 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/15(金) 22:55:24 ID:YX9Mnl/T
注意書きには既にお馬鹿フェイト注意と書きましたが、
今度はなのはさんまで馬鹿になってしまいましたorz

ここまではほぼ1日おきに書いて来ましたが、次からは数日おきになると思います。
298名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 23:27:17 ID:JOLzq8qr
そいや、なのユー厨が沸かなくなったか?
良い事だなぁ
299名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 23:28:33 ID:NTX8GWtj
凄いぶっ飛んでんなwwwGJです。
300名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 23:34:17 ID:o5h41DgM
>>298
そんな事言ってると偽装している奴か本物のユーなの派が来るぞ。
301名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 23:34:28 ID:KhfS/XZ2
GJ!!です。
皆が駄目すぎて素敵w
302名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 23:34:42 ID:w8Jk99o4
>>274
GJ!!
あまりにも悲惨な戦いすぎる…
なのはとエリオではエリオに勝ち目はまずないかもしれないけどそれでも…
フリードの登場がどう影響をおよぼすのか楽しみにしてます。

>>297
ちょwなのはさんとフェイトさんもはっちゃけすぎだww
スカもさっさとなのはさんを寝取るかと思ったら、ここでウーノか
はてさていったいどうなるのか…
GJ!
303B・A:2008/08/16(土) 00:06:41 ID:C5CUMYaG
>>274
GJ
エリオ、お前どこでも傷だらけだな(こっちが言えた義理ではないけれど)。
ゼストが渋すぎてルーが良い味だしていてフリード登場で今後も目が離せないです。

>>297
どんだけカオスGJ
3人ともお馬鹿なんじゃないでしょうか。なのはさんも良い具合にねじが飛んでしまってw


これから投下して大丈夫ですか?
304名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 00:13:40 ID:pmsYQATo
なぁ、6BmcNJgox2さんよ〜そろそろ本気で答えてくれ。
何処が鬱なんだよ、1000%ギャグじゃねーかwww
305名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 00:15:13 ID:oLyFn8ke
これはこれで面白いんだけど。
本気で欝を期待してた身としては正直落胆。
306 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/16(土) 00:18:34 ID:gJrrt21V
ごめんなさい…最初は自分なりに鬱っぽく書いてたけど
今回も前回も後半がギャグに落としたせいで
鬱が霞んじゃったって事ですねorz

さてどうしたものか…
307名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 00:27:25 ID:HfT3YXyt
キャラ視点で悲惨さの感情が滲み出るように書けばいかがかと言ってみる。
作者視点だからギャグ一辺倒感が抜けないのではと素人意見を出してみる。

笑いながら読めたからこういう芸風だと思ってた。
308B・A:2008/08/16(土) 00:34:49 ID:C5CUMYaG
これは、出直すべきかな?
309名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 00:36:58 ID:ttcXKyCK
>>308
投下!透過!等価!灯火!10日!
310B・A:2008/08/16(土) 00:41:05 ID:C5CUMYaG
流れ的に話し合いでもするのかなぁと思っていて。
これより投下いきます。


注意事項
・B・A版エリルー時空のお話
・主人公はヴィヴィオ(こっから主役に返り咲き)
・オリキャラが出ます
・非エロでバトルです
・sts本編から11年後の物語
・フェイトが天寿を全うしております
・その他かなりの捏造多し。
・タイトルは「Das Erbe zur Zukunft」 意味:未来への遺産
・シエン爺さんはきっと象が踏んでも壊れない(つまりTUEEEEE)
・5対1の異種魔法戦決着編、そして主役がヴィヴィオにバトンタッチ
・前提作品『Ritter von Lutecia』
      『Nach dem eines Speerritters』
311名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 00:41:34 ID:cLCJjwRt
>>308
さぁ、貴方の投下を心待ちにしている読者がいる。
貴方はソレを見てどうするべきなのだろうか?
312Das Erbe zur Zukunft@:2008/08/16(土) 00:42:10 ID:C5CUMYaG
第26話 「神の再誕」



その時、膨大な魔力の渦が舞い上がり、激しい衝撃となって上空で戦っていたセリカとヴィヴィオに襲いかかった。

「ああぁぁぁぁぁっ!?」

「あぁぁ・・・・ちゅ、中将!?」

見下ろせば、ビルを突き破るように巨大な雷の柱が立ち昇っていた。そのビルはシエンが五人の魔導師達と立ち回りを演じていた場所であり、
彼らの姿はどこを見回しても見当たらなかった。

「中将!」

狼狽したセリカは目の前の仇敵のことすら頭から追い出し、立ち上る雷の柱へと急降下を開始する。
シエン・ボルギーニの強さは別格だ。彼が敗北し、地に伏す姿など想像することもできない。だが、彼を失ってしまう恐怖は誰よりも強く、明確にイメージできた。
彼は自分にとって全てである。
彼の教えは絶対である。
彼と共にあることが、自分にとって生きる意味である。
例え自分に向けられている愛情が、自分の求めているものでなかったとしても、自分は彼を守る剣であろうと決めたのだ。
シエン・ボルギーニは、自分が命を賭けて守ると誓ったのだ。
だから、何があろうと彼を敗北させる訳にはいかなかった。
だが、焦燥に駆られて愛する男の窮地に駆けつけようとするセリカの前には、金の槍を構えた悪魔が立ち塞がっていた。

「・・・!?」

「行かせない・・・・・・絶対に!」

「この・・・・・・邪魔するなあぁぁっ!!」

至近距離で二人の砲撃がぶつかり合い、衝撃で共に吹き飛ばされる。
両者の位置関係は変わらない。地上に下りようとするセリカと、彼女を行かせまいと立ち塞がるヴィヴィオ。
攻める側と守る側が一転し、呵責な攻めがヴィヴィオの聖王の鎧に弾けて霧散する。
その光景が余計に腹立たしかった。
何十発と魔力弾を撃ち込んでも倒れず、立ち向かってくるヴィヴィオが憎らしい。
物事が思い通りにいかずに苛立ちが募る。
自分はただ、愛する人のもとへ駆けつけたいだけなのに。
その焦りが、セリカの心をどんどん闇へと引きずり込んでいった。





ぶつかり合った二つの魔法が互いに対消滅を起こし、乱気流となって上空高く舞い上がる。
視界を埋め尽くしていた金色の光は煌びやかな輝きを残して残滓へと変わり、粉雪のように風に吹かれて地上に降り注ぎながら霧散していく。
五人ともボロボロであった。
スバルとエリオは肉体への損傷が激しく、残る三人も魔力がほとんど枯渇しかかっている。
最早、これ以上の戦闘は不可能であり、ここでシエンが倒れてくれなければ彼らの敗北は必至であった。
やがて、視界を遮っていた白煙が風で吹き消され、一人の騎士の姿が露になった。
騎士甲冑は消滅し、剥き出しの上半身は純粋魔力と雷の渦に苛まれて赤く焼け爛れていた。流れるような白髪は見るも無残に黒ずんでおり、
滲み出る程に溢れていた魔力は見る影もない。だが、それでもシエン・ボルギーニはまだ意識を保っていた。
313Das Erbe zur ZukunftA:2008/08/16(土) 00:42:45 ID:C5CUMYaG
「う・・・・嘘・・・・・」

「あれだけの攻撃を受けて・・・・まだ・・・・・・」

崩れかけの屋上に倒れ伏したスバルとティアナが、絶望に顔を歪ませる。
確かに攻撃は命中した。残る魔力を総動員して放った必殺はシエンの肉体を極限まで強化していたイケルスを破壊し、彼の残存魔力を根こそぎ削り取ることには成功した。
本来ならば、そこでブラックアウトを起こして気を失っているはずである。しかし、シエン・ボルギーニはこちらの予想を遙かに上回る肉体強度を誇っていた。
失神する程の激痛に苛まれながらも、彼自身の意思がそれに打ち勝ったのである。今のシエンは初歩的な魔法も発動することができないはず、
しかし自分達はそれ以上に消耗しており、動くこともままならなかった。そして、シエンの右手には未だ鋼の剣が健在なのだ。

「ば・・・化け物か・・・・・・」

奇跡というものが存在するのなら、それは正に今のシエンのためにあると言っても良い。手加減抜きの切り札二つをぶつけられて、それでも意識を保っているなど、
最早、技術や経験がどうこうと言うレベルではなかった。
それでもエリオは彼を迎え撃とうとして、自分の体の異常に言葉を失った。
まず右腕の義手が動かない。感覚も完全に死んでおり、指一本動かすことができなかった。全力のPZBの反動に耐え切れなかったのだ。
それに、両足も折れてしまったのかほとんど動かなかった。辛うじて繋がってはいるようだが、全身の至る所で激痛が生じているので、
今更両足が折れたところで何が変わるというものでもなかった。
唯一の救いは、バルディッシュを握ったままの左腕がまだ言うことを聞いてくれることだった。だが、それにしたって両足が使いものにならなければ話にならない。
身動きが取れなければ、例え牙は無事でも捕食者に狩られてしまうことに変わりはない。
それでもエリオは明滅する魔力刃を杖代わりにして立ち上がろうと渾身の力を込めるが、軋む体は微動だにしてくれなかった。
その時、温かな温もりが冷めきったエリオの右半身を包み込んだ。
ルーテシアだ。エリオの負傷に気づいたルーテシアが彼を立ち上がらせようとその体を抱きかかえているのである。だが、エリオの足が健在であったのならいざ知らず、
完全なお荷物と化した今の状態では、女の細腕でエリオの長身を持ち上げることなど不可能であった。

「む、無理だ・・・・・・ルー、君だけでも・・・・逃げ・・・・・」

「嫌。逃げるのも戦うのも一緒に、絶対に一緒に家に帰るの」

聞き分けの悪い子どものように首を振り、ルーテシアは懸命に力を込める。それでも、エリオの体をほんの少しだけ持ち上げるのが精一杯だった。
霞む視界の向こうでは、剣を携えたシエンがゆっくりとこちらに向かってきている。このままでは、自分諸とも彼女が殺されてしまう。
そう思った刹那、残る左半身にも別の人物の手が差し伸べられた。

「キャロ!?」

「わたしだけ除け者なんて、許さないから」

「・・・・・今だけだからね」

「いつまでもだよ」

お互いに息を合わせ、二人は渾身の力を込めてエリオを立ち上がらせる。
それは酷く不格好な姿だった。
右手にはルーテシア、左手にはキャロが、それぞれエリオの体を倒れぬように腕を伸ばして抱きかかえている。二人とも自力で立っているのも辛いはずなのに、
愛する家族を守るために壊れてしまったエリオの足となって彼の体を支えている。

「・・・・うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

エリオに躊躇している暇は与えられなかった。
獣のような雄叫びを上げ、大剣を振りかぶったシエンが地を駆けてくる。こんな状態では動くこともままならず、振り下ろされる斬撃を避けることなど不可能である。
生き残る術は、迎撃のみであった。
しかし、数々の修羅場を潜り抜けてきたエリオの眼は、ただ切り伏せるだけではシエンが止まらないことを見抜いていた。
彼は手負いの獣と同じだ。残る力を振り絞り、死に物狂いで最後の一刀を繰り出そうとしている。非殺傷設定のままでは、例えその体を両断したとしても
振り下ろされた剣を止めることはできず、意識を失った状態のままでも彼は自分達を殺すだろう。かと言って、傷ついた体では彼の剣を受け止めることもできない。
臆すことも守ることも許されない。
あらゆる運命が、彼を殺せとエリオに命じていた。
それでもエリオは、自分自身に課した誓いを捨てようとはしなかった。
314Das Erbe zur ZukunftB:2008/08/16(土) 00:43:15 ID:C5CUMYaG
「あああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

内部機構を臓物のようにまき散らしながら振り上げられたバルディッシュが、今にも振るわれようとしていたグレートソードの刀身を叩き切った。
魔導技術の結晶であるバルディッシュと、旧時代の遺産である無銘の剣。例えどれ程優れていようとも両者の間には歴然とした差が生じてしまい、
魔力が枯渇したシエンにはその差を埋めるだけの手段は存在しなかった。
腕に走る衝撃と、視界の端を飛んでいく鋼を垣間見たエリオは、一拍の間も置くことなく刃を翻し、軋みを上げる腕ごと魔力刃を驚愕するシエンの体に叩きつける。
だが、神は最後まで彼らに残酷であった。
バルディッシュの刀身がシエンの巨体を捉える寸前で、エリオに残っていた最後の魔力が枯渇してしまい、魔力刃が先端から透けるように消えていったのだ。
斬撃の勢いに耐えかねたルーテシアとキャロが縺れる様に足を滑らせ、エリオ共々その場に倒れ伏す。
彼らの反抗はそこまでであった。
五人全員が地に伏し、シエンは未だ二本の足で立っている。そして、武器になるものはそこら中に転がっていた。彼は適当な石塊を手に取って、
身動きの取れない彼らの頭を打ち砕くだけで良いのである。足で踏み砕いても良いし、首を絞めても構わない。殺す手段は何通りも用意されている。
最早、エリオにはどうすることもできず、スバルとティアナは助けに来ることができない。ルーテシアとキャロにできることは、
エリオが殺されるのを一秒でも遅くするために我が身を盾にすることだけだった。
その時、己の武器を失ったシエンが、初めて言葉を漏らした。

「折れた・・・か・・・・・・」

擦れるような呟きは虚無感に満ちていた。そして、足下で崩れているエリオに向かって、当然のように疑問を口にした。

「何故、我を殺さなかった?」

あの時、腕ごとその体を両断していれば、このように追い詰められることはなかった。
シエン・ボルギーニの悲願、ロート・シルトの野望を阻止するためには、あの場で切り捨てることが最善の手であった。それが世界を閉ざさせない方法でもあった。
その疑問に対して、エリオは息も絶え絶えに言葉を紡ぐ。

「僕は・・・・・・・殺さない・・・・・・・」

「己や守るべきものと秤にかけ、敵の命を救うか?」

「違う・・・・・誰の命も蔑ろにしたくないだけだ・・・・・・・」

「今こうしている間にも、多くの人間は死んでいっているぞ」

「最初から全部守れるなんて、思っていない・・・・・・けど、目の前の人間一人・・・・・・一人すら、
守れない・・・・・救えなかったら・・・・・・もう誰も、助けられない・・・・・・・・・」

「救える者はできるだけ救うか・・・・・・・その歪な生き方、どこまで貫くつもりだ?」

「この命が続く限り・・・・・・ずっと・・・・・・・・」

「若いな・・・・老体にその輝きは眩し過ぎる。だが、それを恥ずかしげもなく言い切れるだけの覚悟がお前にはある。さすがは“金の閃光”・・・・・良いセンスだ」

「いい・・・・・セ・・・・・・・・・・」

その言葉を最後に、エリオは意識を失った。
死力を尽くし、終ぞ勝利できなかった敵の返事を耳にすることなく。

「だが忘れるな、その生き方は何れお前を殺す・・・・・・眩しい理想がその輝き故に偽善を域を出ぬのだ、こいつはな」

まるでどこかの皮肉屋な騎士のような口調で、シエンは嘲る。それはまるで、最後に立ち塞がるのはエリオ自身の理想であるかのような、
求めた理想に裏切られてしまうかのような、断定的な予言であった。だが、その決めつけられた予言に対して、別の予言がルーテシアの口から紡がれる。
315Das Erbe zur ZukunftC:2008/08/16(土) 00:44:04 ID:C5CUMYaG
「私がいる限り、エリオはもう迷いません・・・・・・いえ、迷わせない・・・・・私がエリオを守る」

「・・・・・・・そうか」

どこか冷めた呟き。
全てを悟ってしまったかのような虚無感。
その佇まいに、ルーテシアはかつて自分と行動を共にしていた古い騎士の姿を重ねてしまった。
彼と同じだ。終わってしまった自分の時間を無理やり動かし、苦しみ続けた死地への旅路。己が終焉を求めて行軍する帰路なき遠征。
その果てに彼は、何かを見出したのだ。

「君は、どうして親が子よりも先に生まれてくるのか考えたことがあるかい?」

「えっ?」

「私は考えなかった。故にここにいる・・・・・・私はセラの父ではあったが、
人の親にはなれなかったということだ・・・・・・セリカや、ケーニッヒに対しても・・・・・・・」

「あなた、何を・・・・・・」

「彼を頼む・・・・・私や私の息子に似て危なっかしい奴だ。だが、君のような女性が傍にいるのならば、目指す道を踏み外すこともないだろう
・・・・・・・騎士エリオを、最後まで人の親でいさせてやってくれ・・・・・・」

ルーテシアが止めるよりも早く、シエンは中程で折れてしまった剣の柄を逆手に持ち直し、躊躇なく自らの胸へと突き立てた。
己が心臓と融合した、バビロンの鍵を破壊するために。

「驚くことはない・・・・・・言ったはずだ、我が諦めるとすれば、それは己の敗北を悟った時だけだとな。
お前達は我が魂を打ち砕いた・・・・・故に、これはそのケジメだ」

心臓に剣を突き立て、苦悶の表情を浮かべながらも、シエンは唇の端を釣り上げる。
刀身を伝って流れ落ちる血はどす黒く、喉を逆流した血がダラダラと唇から滴り落ちている。

「戦いは・・・・・・戦いは、この一戦だけではない・・・・・・先程、各地の同志達から思念通話が届いた・・・・・・我ら・・・・・・・我らの軍勢は
・・・・・・敗退・・・・戦線は押し返され、今は散り散りに逃走している。この場で私が勝利したとしても、それは大局には何一つ影響を及ぼさない。
それに、デバイスを失っては、後に控える夜天の王とその配下の軍勢を蹴散らすことなど、不可能だ・・・・・・・最早、我らに勝機はない。
心しておけ、ストライカー。個人の力でできることなど知れている。例え一騎当千のエースといえど、万の軍勢が相手では勝ち目などない・・・・・・」

ふわりと、シエンの体が浮かび上がる。既に彼の体に魔力は残されていない。呼吸によって僅かに生成できた魔力を用いて無理やり体を浮かべているだけであり、
飛行と呼ぶには余りにお粗末なものであった。だが、それでも今の彼女達に空を逝く彼を止める手段は存在しない。

「ま、待って・・・・・・・」

動かぬ体を何とか持ち上げ、ルーテシアはか細い叫びを上げる。
今ならばまだ間に合う。自分とキャロで応急処置を施し、病院に搬送すれば彼の命を救うことができる。しかし、同時にルーテシアの心には迷いが生じていた。
彼をこのまま見逃せば、閉ざされた世界が再び開かれる。アリシアに希望と可能性に満ちた世界を見せてあげたいという母としての願いが、
エリオに理想を貫かせたいというルーテシアの女としての部分と鬩ぎ合う。
そんなルーテシアに、シエンは笑みを浮かべて言葉を投げかけた。
316Das Erbe zur ZukunftD:2008/08/16(土) 00:44:32 ID:C5CUMYaG
「そんな顔をするな。夫を守ろうとしていたお前は、なかなか良い女であったぞ。我が娘達には負けるがな、召喚師ルーテシア」

それは、残骸に成れ果てた騎士が最後に見せた、彼の偽りなき姿であった。





見下ろした世界は瓦礫に埋もれ、数刻前の華やかさは見る影もなかった。
己の信念のために犠牲にしたものは余りに大きい。そして、犠牲の上に求めた理想の果てに、とうとう何も掴むことができなかった。
ただ一つ、この世界がこれからも続いていくのだという、確信を除いて。

「長かった・・・・・・・・」

それはどこから数えての言葉だったのか。
騎士を志した日からか。
管理局に入局した日からか。
防衛長官に任命された日からか。
愛娘を失った日からか。
ロート・シルトを結成した日からか。
それとも、この戦いが始まった時からか。
何れにしろ、これで戦いは終わる。罰を求め続けた敗残者の旅は、ようやく終わりを迎えるのだ。

(親が子よりも先に生まれてくる理由・・・・・それは、子の未来を守るためだ・・・・・・・ならば、我は父親失格だ。
セラ、セリカ、ケーニッヒ・・・・・我が子を放って己のエゴを貫いてしまったのだから。娘よ・・・・・お前が愛した世界を、
私は守れなかったよ・・・・・けど、心配せずともこの世界は続いていく・・・・・・ずっと、ずっとね)

霞む意識の向こうに死んだ愛娘の姿を幻視し、シエンは思いを馳せる。
そして、擦れる喉で言葉を紡いだ。

「同志諸君・・・・・」

重力に引きずられそうになる体を懸命に支え、クラナガン全域に向かって思念通話を繋ぐ。
ドーム内で戦うロート・シルト同士、管理局の局員、一般人問わず、全ての人間に向けて自らの言葉を届けようと力を振り絞る。

「同志諸君・・・・、我らの敗北だ、直ちに武器を捨てよ。誇りを棄て切れぬ者よ、ここは汝らの死に場所ではない・・・・・・・私のような木偶が指導者で、
諸君達には本当に迷惑をかけた。だが、我らの戦はここで終わる。本当に、すまなかった。そして、ミッドチルダに生きる全ての者達よ・・・・・・・
君達から奪った希望溢れる未来、無限の可能性・・・・・・今この場で返そう!」

胸に突き刺さった剣の柄に環状魔法陣がまとわりつき、弾けるように心臓ごとバビロンの鍵を粉砕する。
痛みはなかった。
その代わり、おぞましい寒気が全身を襲った。
堕ちていく。
どこまでも堕ちていく。
生涯を戦いに費やし、戦場では無敗を誇った騎士が己自身の手で堕ちていく。
317Das Erbe zur ZukunftE:2008/08/16(土) 00:44:58 ID:C5CUMYaG
「この世界の未来・・・・・確かに託したぞ・・・・・・」

その言葉は誰に向けてのものなのか、それは誰にもわからなかった。





その瞬間、セリカの中で何かが音を立てて千切れてしまった。
頭に残る恩人の言葉、目の前で落下していく最愛の人の体。
まるでスローモーションのように視界がゆっくりと流れ、伸ばした手の指の間から大事なものがポロポロと零れていく。
そして、最後に残った感情がセリカの心を漆黒に染め上げた。それは今まで抱き続けてきた感情と混ざり合い、彼女の中に残されていた何かを剥がし取っていく。
一秒ごとに薄くなる理性、膨れ上がる憎しみ、煮え滾るような怒り、そして絶望。
そして、セリカは眼前の敵の存在すら忘れて絶叫した。





錆びた世界が急速に収縮し、元の色を取り戻していく。それは、バビロンの鍵が破壊されたことを示し、同時にシエン・ボルギーニの命が絶たれたことも物語っていた。
戦いは終わった。
未曽有のテロと呼ばれたJS事件を上回る被害を出したこの事件は、後にそれを企てた組織の名を取ってロート・シルト事件と呼ばれるようになる。

「守れな・・・・・かった・・・・・・」

一人の男の命を救うか否かで迷ってしまい、結果的にその死を許してしまった事実にルーテシアは打ちひしがれる。
シエン・ボルギーニが残した呪いは、生涯をかけて自分を苛むであろう。逃れることのできない罪の意識が、また一つルーテシアの心に積み重ねられたのである。

「ルーちゃん・・・・・・」

傍らのキャロは何と声をかければ良いのかわからず、ただ無力感に苛まれる親友の手を取ることしかできなかった。
これで戦いは終わった。後味の悪い結果だけを残し、未来への希望は守られた。
そう、彼女らにとっての戦いは終わったのだ。
ただ二人を除いて。

「・・ケリュケイオン!」

大気を引き裂く轟音に、いち早く気づいたキャロが残った余力を振り絞って防御魔法を構築する。
直後、唸りを上げる灰色の砲撃がバリアに衝突し、衝撃で三人は吹き飛ばされてしまった。
頭の片隅で、ありえないという言葉が渦を巻く。
防御魔法にはかなりの自信があった。何度もこれに命を救われ、多くの命を守ってきた。だが、撃ち込まれた砲撃はそれを砕いてもまだ有り余る威力で視界を焼き尽くし、
自分達の体を蹂躙していく。後から気づいたルーテシアがサポートしてくれなければ吹っ飛ばされたのは体だけで済まなかったかもしれない。

「うああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

絶叫を上げ、灰色の光が一直線に駆け下りてくる。
セリカ・クロスロード。
ロート・シルトの思想に共感し、管理局に弓を引いた裏切り者。
人工的に造り上げられた紛い物の聖王が、余りに原始的な感情を爆発させて突っ込んでくる。
怒りだ。
全てを焼き尽くす怒りの炎。
身を焦がさんばかりの激しい憎悪を叩きつけんと、大気すら薙ぎ払うかのように彼女は突き進んでくる。
318Das Erbe zur ZukunftF:2008/08/16(土) 00:45:30 ID:C5CUMYaG
「エリオ、キャロ、ルー!」

「スバル、動ける?」

「ダメ、間に合わない!」

三人の危機にスバルとティアナは立ち上がるが、そこには絶望的な距離と言う名の壁が立ち塞がっており、今からではどうやっても間に合いそうにない。

「殺してやる・・・・・お前達みんな、みんな殺してやる・・・・・・中将を・・・・・私の中将を・・・・よくもぉっ!!」

RHの先端に凶悪な光が宿り、暴風のような魔力の風が周囲の大気を薙ぎ払った。
瞬間、虹色のバインドがセリカの体を拘束し、バランスを崩された砲撃は明後日の方向へと発射され、倒壊寸前の建物に更なる風穴を空ける。

「ヴィヴィオ!?」

「みんな、早く逃げて! セリカちゃんは私が・・・・・」

「邪魔・・・・邪魔だあぁぁっ!!」

許容量を超える魔力を流し込んで強引にバインドを引き千切り、回り込んだセリカがRHを振るう。過剰な魔力行使と慣性を無視した機動、肉体への負担は相当なはずだが、
彼女はそれを意に介さずにリンカーコアを過熱させて半ば暴発に近い砲撃を滅多撃ちし、周囲のものを見境なく破壊していく。
その憎悪の矛先は、最早誰にも向けられていなかった。ただ衝動のままにデバイスを振るい、目に映るもの全てを破壊する。その余波からエリオ達を守るために、
ヴィヴィオは持てる全ての力を総動員して広域防御魔法を展開して砲撃の雨を何とか受け止める。

「お姉ちゃん、早く!」

「う、うん」

「エリオは私が担ぐわ。みんな、急いで脱出を!」

「ヴィヴィオ、気をつけて・・・・・・・」

「早く、建物が崩れる!」

「殺すぅっ、殺してやるうぅぅぅぅぅっ!!!」

この場から離脱しようとするスバル達に怨嗟の叫びを吐き散らし、セリカは飛行魔法を行使して最速まで加速する。
怒りで完全にリミッターが外れた彼女から迸る魔力は並の魔導師のそれを遙かに凌駕しており、疲弊したスバル達では逃げるどころか間合いを測ることすらできない。
逆に言えばそれだけ肉体にかかる負担も凄まじく、一挙一動の度にセリカの肉体のどこかが壊れていっているのだが、
彼女が自らに施した自己ブーストはその痛みすらも霧散させ、肉体をただの道具であるかのように酷使させている。

「中将の、中将のかたきいぃぃぃっ!!」

「レイジングハート!」

《All right》

逃げる五人を守るためにヴィヴィオは突進してくるセリカの前に躍り出て、我が身の体を盾とする。
鈍い衝撃とお互いの聖王の鎧がぶつかり合う音が響き、虹色と灰色の魔力が擦れて火花が飛び散る。
その瞬間、ヴィヴィオはセリカを抱きかかえるように密着し、自分自身の体ごとセリカをバインドで拘束、
そのままアクセルフィンを羽ばたかせ、全力で空へと飛び上がった。
319Das Erbe zur ZukunftG:2008/08/16(土) 00:46:03 ID:C5CUMYaG
「セリカちゃん!」

「殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる」

呼びかけに返ってきたのは憎悪の呪詛であった。愛する人を失い、箍の外れた彼女はブレーキの壊れたダンプカーと変わらない。
自身に満たされた燃料が尽きるまで目に映るもの全てを破壊し、敵味方問わず見境なく殺し尽くし、そして最後には生命力の一片まで使い切って自滅する。
それ程までに彼女の憎悪は激しく、裏を返せばそれだけシエン・ボルギーニへの思い入れが強かったのだ。それこそ、自身の人格を完全に放棄してしまうまでに。
それでも、ヴィヴィオは一縷の望みを託して説得を試みる。

「セリカちゃん!」

「うああぁぁぁぁっ!!」

唯一自由の利く首を動かし、セリカはヴィヴィオの顔面に自身の頭を叩きつける。
一瞬、虹色と灰色の光が鬩ぎ合い、反発し合う力場が大気を振動させる。いつもならここでヴィヴィオの聖王の鎧がセリカの疑似・聖王の鎧を侵食し、
その効果を無効にする。だが、セリカの怒りはヴィヴィオの予想を遙かに上回る魔力を汲み上げてカイゼル・ファルベを迸らせ、圧倒的な勢いで視界を侵食、
強烈な頭突きを叩き込まれたヴィヴィオの集中が切れてバインドが解け、セリカの体が空中に解放される。

(聖王の鎧が・・・・突破された・・・・・・)

「死ねえぇぇぇぇっ!!」

「止めてぇっ、セリカちゃん!!」

空気が唸り、二色の魔力がそれぞれのデバイスの先端に凝縮される。繰り出すのはやはり砲撃、二人が最も尊敬する人物が得意としていた全てを撃ち抜く信念の象徴。
だが、その輝きに込められた思いはまるで正反対だった。
怒り狂う親友を止めるために放たれる抑止の砲と、立ち塞がる敵を屠るために放たれる殺意の砲。同じ人物に憧れ、同じ魔法を学んだ者が、
まるで正反対の感情に駆られてデバイスに魔力を流し込む。

《Divine Buster》

《Divine Buster》

直後、虹色と灰色の砲撃が空中でぶつかり合い、再度世界を震撼させた。





フリードを横たえているビルの屋上へと逃げ延びたスバル達は、頭上で繰り広げられている激しい攻防に息を呑んだ。
それは正しく死闘と呼べるものだった。
お互いに譲れぬものがあるからこそぶつかり合い、傷つけ合う。そして、どちらもその本心では戦いたくないと思っていながら、その考え方は余りにかけ離れていた。
戦いたくないから、戦わせまいと奮闘するヴィヴィオと、戦いたくないから戦いを終わらせようとするセリカ。そんなささやかな願いから始まった二人の軋轢は、
これ程までに激しい憎悪と悲しみを伴う死闘へと昇華されていた。

「ヴィヴィオ、押されている・・・・・・・」

「あいつ、我を失っている癖に段々戦い方が理詰めになってきている・・・・・感情をコントロールし始めているんだ」

「けど、あのままじゃ何れ二人とも・・・・・・」

ヴィヴィオはセリカに打ち倒され、セリカは魔力切れを起こして自滅する。二人にとっては正に最悪の結末。ヴィヴィオは友を救えず、
セリカは理想を貫けずに二人の決闘は終わってしまう。かと言って、ヴィヴィオが逆転できる要因は何一つ見当たらない。
既に聖王の鎧の出力は完全にセリカが上回っており、放出される魔力量も相まってヴィヴィオは一方的に傷ついていくばかりであった。
320Das Erbe zur ZukunftH:2008/08/16(土) 00:47:00 ID:C5CUMYaG
「ティア!?」

傍らでまだ機能の活きているクロスミラージュを構え、飛翔するセリカに照準を合わせているティアナの姿を見て、スバルは声を張り上げる。
大威力砲撃の連発で彼女も酷く消耗しているのだ。その上でまだ魔法を使おうとするなんて、自殺行為も良いところだ。

「無茶だよ、もう少し休んで回復させないと、ティアナもなのはさんみたいに・・・・・・・・・」

「わかっているわ。けど、このままじゃヴィヴィオがやられるかもしれない。気力を振り絞ればまだSLBを一発くらい、撃てるはず・・・・・・」

だが、それは明らかに肉体の限界を超えたオーバーワークであった。そんなことをすれば、リンカーコアが過負荷に耐え切れずに焼き切れてしまうかもしれない。
最悪の場合、二度と魔法が使えなくなるかもしれないのだ。

「それでも、私は・・・・・・・・・」

「一人で戦わせてあげてください」

ティアナの言葉を、意識を取り戻したエリオが遮った。

「エリオ、大丈夫なの?」

「できれば、治療をお願いします・・・・・・その、できたら足を・・・・・・」

「キャロ、手伝って」

「うん」

跪いたルーテシアとキャロが残る微かな魔力を用いてエリオの治療を試みる。万全の状態ならものの数分で完了する治療がまるで進まず、焦げるような焦燥感が二人を苛む。
だが、それでも痛みを緩和させることには成功したのか、険しかったエリオの表情が少しずついつもの穏やかさを取り戻していった。

「ありがとう・・・・楽になったよ」

「まだ、無理をしないでね」

「わかっている・・・・・それで、ティアさん。ヴィヴィオを一人で戦わせてあげてください」

「エリオ、あんた言っている意味わかっているの? それはヴィヴィオに死ねって言っているのと同じなのよ」

「けど、あの娘はヴィヴィオにとって越えなきゃならない壁なんです。僕達が介入すれば、ヴィヴィオは助けられるかもしれない。
けれど、それじゃヴィヴィオが納得しません。きっと友達を救えなかった自分を許せなくなる、だから・・・・・・・・・」

「そっか・・・・・そうなんだ・・・・・・」

エリオの言葉にルーテシアは意味深な頷きを返し、真正面にいるキャロと視線を交わらせる。
321Das Erbe zur ZukunftI:2008/08/16(土) 00:47:29 ID:C5CUMYaG
「私と同じなんだ。やり場のない怒りに苛まれて、自分でもどうしたら良いのかわからずに周りのものを壊すだけ。
けれど、そんなことをしても心は癒されなくて、際限なく湧き出てくる憎悪が自分自身すら飲み込んでしまう」

「ルーちゃん・・・・・・」

「JS事件の時のこと、覚えている? 怒りと憎しみに支配されて感情を暴走させていた私を、キャロは懸命に受け止めてくれた。
私を内から焦がし尽くす怨嗟を全身全霊で耐え抜いて、苦しみながらも私の名前をずっと呼んでくれた・・・・・・・・
あの娘にとってのヴィヴィオは、私にとってのキャロなんだ」

「あの娘の憎しみを受け止められるのは・・・・・あの娘を救えるのは、ヴィヴィオだけ・・・・・・・・・」

それは試練であった。
これから先も、ずっと誰かのために魔法の力を振るうことができるかの試練。目標とする母親を超えられるかどうかの試練。
ヴィヴィオ・T・スクライアが、理不尽を前にしてこれからも我を通し続けられるかどうかの試練だ。
ここで敗れてしまえばそこでヴィヴィオの人生は終わる。だが、ここで親友一人救えぬようでは、この先ずっとヴィヴィオは後悔し続ける日々を過ごすことになるだろう。
それは、命を失うのと同等かそれ以上に許しがいことのはずだ。
何故なら、魔導師の戦いとは命を削るのではなく、信念を削り合う戦いなのだから。

「十二年前になのはさんと交わした、転んでも一人で立てるようになるって約束・・・・・・守られる側じゃなくて、
守る側に回る勇気、意地を貫く強さと覚悟、そしてどんな困難にも立ち向かう不屈の心」

「スバル!?」

「ヴィヴィオは、あの日のなのはさんを超えようとしている。瞼に焼き付いている最強の魔導師、自分を暗闇から助けてくれた母親の背中を追い越そうとしているんだ」

「やらせてあげてください、ティアさん」

「ティアナ」

「お願いします、ティアさん」

「あたしからもお願い、ティア」

四人から懇願されてしまえば、さすがのティアナも折れるしかなかった。彼女は眉間に皺を寄せてその場に座り込むと、
シエンとの戦いでボロボロになってしまったクロスミラージュの点検を始める。

「危ないと思ったらすぐにでも撃つからね。私は本局執務官、その勤めを放棄する訳にはいかないの」

「すみません、無理を言って・・・・・・・」

「まったくよ・・・・・・腐れ縁なんて、持つものじゃないわね」

皮肉るような笑みを浮かべ、ティアナもまた四人に倣って頭上を見上げる。
真っ青な空の上で弾ける虹色と灰色の光。交錯する軌跡とぶつかり合う二人の意地。交わし合う言葉は聞こえずとも、思いの音色は確かに五人の耳に届いていた。





激しい怒りの渦に苛まれながらも、セリカは少しずつ自我を取り戻していっていた。だが、それは決して冷静さを取り戻している訳ではなかった。
寧ろ、なかなか終わらぬ戦いに彼女の精神はどんどん摩耗していき、氷のように冷たい憎悪が全身を支配していっている。
言葉には耳を貸さない。
攻撃を受けても倒れない。
前だけを見続けて羽ばたき続ける。
坂道を下っていく自転車と同じだ。ブレーキをかければバランスを失って転倒し、二度と起き上がれなくなる。車輪が慣性と重力に引きずられるように、
セリカは我が身を傷つけながら向かってくるヴィヴィオに魔力弾を叩き込み続ける。
そんな呵責な攻めをまともに食らいながらも、ヴィヴィオは聖王の鎧を全開にして耐え忍び、必死の説得を続けていた。
自分に課した誓いを果たすために。
親友を戦いから解放するために。
322Das Erbe zur ZukunftJ:2008/08/16(土) 00:48:22 ID:C5CUMYaG
「セリカちゃん!」

「うるさいぃっ!」

「もう戦いは終わった。さっきの人の思念通話を聞いたでしょ! もうセリカちゃんは、戦わなくて良いんだよ!」

「まだだ、まだ終わっていない!」

カートリッジをロードして無数の魔力弾をばら撒き、ヴィヴィオと距離を取りつつ砲撃のチャージを開始する。

「私が終わらせない! あの人の正義は、私達の悲願は、ロート・シルトの思想は死なせない! 私があの人の代わりになって、世界を守る!」

「そんなにボロボロになってまで、どうして戦い続けるの!」

「あの人が・・・・・中将が、私の正義だったからだぁぁぁぁっ!!!」

チャージの完了した砲撃が放たれ、大気中の酸素を巻き込んで灼熱の業火と化す。
神業的な反応でそれを回避したヴィヴィオは身を捻りつつ足下からセリカの背後に回り込み、レイジングハートの先端に魔力を凝縮する。

「人に教えてもらった正義なんて・・・・・・・」

「夢しか見てなかったあんたなんかに・・・・・・・」

《Sacred Cluster》

「その人の価値観に、乗っかっているだけじゃないかぁっ!!」

《Axel Shooter》

「私の何がわかるぅっ!!」

飛び交う無数の魔力弾が弾けて飛散し、青空に美しい花火を打ち上げる。撃ち出した魔力弾の数ではセリカが勝っていたが、一発分の破壊力はヴィヴィオの方が上だった。
セリカのアクセルシューターはそのほとんどがヴィヴィオのセイクリッドクラスターに相殺され、遮るものがなくなった空間をヴィヴィオは疾走、
エリオが土壇場で使用する奥の手を真似して拳を握り、至近距離で思いっきり振り抜いた。

「インパクトォォォッキャノンッ!!」

放たれた射撃魔法がセリカの顔面を捉え、その体を大きく後退させる。
疑似・聖王の鎧に阻まれてダメージは与えられなかったが、衝撃は彼女の肉体を激しく揺さぶって負担を蓄積させていく。

「違うよ・・・・・誰かに言われたからその通りにするなんて、お人形と同じだよ。私達は生きているんだよ、人間なんだよ! 
だったら、例え真似でも良いから自分の意思を、自分の正義を持ってよ!」

「あんたは・・・・・あんたはどうだって言うんだぁっ!」

「セリカちゃんを止める、目の前で苦しんでいる人を助ける」

「たったそれだけのためにぃっ!!」

「今のセリカちゃんは、それすらできてないでしょ!」

セリカの体をバインドで固定し、立て続けにショートバスターを浴びせて仰け反らせる。
323Das Erbe zur ZukunftK:2008/08/16(土) 00:49:18 ID:C5CUMYaG
「この瓦礫だらけの街が、セリカちゃんの目指していたみんなが笑顔でいられる世界なの? 平和のために悪を許さない、最小限の犠牲で混乱を治める。
それは言葉にすればとても尊いことだよ。けれど、今この瞬間に苦しんでいる人は、本当に犠牲にしても良い人達なの?」

「黙れ・・・・・・・」

「犠牲を出させないこと、それが一番大切なんでしょ? 少ない犠牲を仕方がないと割り切るんじゃなくて、その犠牲を出すことすら許しちゃいけないと
思わなきゃいけないんじゃないの!? それができない正義なんて、私は嫌だ! 人の笑顔を天秤にかけるようなことは絶対にしちゃいけないんだ!」

「黙れ・・・・・」

「私は目の前で苦しんで人を助ける。子どもの頃に自分がそうされたように、今度は私がみんなを助けたい、力になってあげたい。それが私の正義だ! 
教えて、セリカちゃんは何がしたいの? セリカちゃん自身の気持ちは、セリカちゃんの本当の正義は、いったいどこにあるの!?」

「黙れえぇぇぇぇぇっ!!」

絶叫が、全てをかき消した。
ヴィヴィオの言葉も、飛び交う魔力弾も、吹き荒ぶ風さえもなくなって世界が静寂に包まれる。

「中将が正義なんだ・・・・・私の正義は、中将の・・・・・中将だけが、私に戦う理由を教えてくれたんだ・・・・・・何を守れば良いかもわからなかった私に、
あの人は・・・・・・・あの人が正義を教えてくれた・・・・・だから、私の正義は・・・・・・借り物でも良い!」

自らの信じる正義を揺るがされ、セリカの胸中を激しい動揺が襲う。それは、彼女の心を繋ぎ止めていた最後の理性を消し飛ばすには、十分な威力を有していた。

《Ich befreie eine Versiegelung》

瞬間、セリカの懐の聖王の記憶が一際激しい輝きを迸らせ、セリカの足下にベルカ式の魔法陣を展開させた。
眩しい光の渦に視界が真っ白に焼かれ、ヴィヴィオは咄嗟に左腕で目を覆った。

「だからいらない・・・・・・心なんて・・・・・・・中将のためなら、心なんて・・・・・・・・・」

「セリカちゃん!」

叫ぶが、返事は返ってこない。その代わり、セリカのものではない誰かの言葉を、彼女はハッキリと耳にした。

《Anfang》

どこか聞き覚えのある声だが、思い出せなかった。日常的に耳にしているはずなのに、その声が誰のものなのかまるで見当がつかない。
焦りが増していく。
すぐそこにいるはずなのに、どれだけ駆けても光の霧を抜けることができない。止めなければならないと本能が告げていた。
ヴィヴィオの中に眠る古代ベルカの聖王の遺伝子が、彼女の存在を許してはならぬと悲鳴を上げている。
324Das Erbe zur ZukunftL:2008/08/16(土) 00:50:17 ID:C5CUMYaG
「あああああ・あ・・・ああぁぁぁ・・・・ああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

セリカの叫びが光の霧を吹き飛ばし、視界が一気に澄み渡る。
絶叫を上げながらRHを振るうセリカの姿がすぐ目の前にあった。数分前と同じ、手を伸ばせばお互いの体が届いてしまう至近距離。
その位置から、セリカは魔法を使わずにRHを鈍器として叩きつけてくる。回避も迎撃も間に合わないと悟ったヴィヴィオは、
咄嗟にレイジングハートでその一撃を受け止め、腕に走る鈍い衝撃に耐えて鍔迫り合う。
その瞬間、セリカの体が一変した。

「初めまして、もう一人の私」

体が二回りも大きくなっており、目線がほぼ自分と同じ高さになっていた。まだら模様だった髪は腰まで伸びて完全に金色に染まっており、
ヴィヴィオのアグレッサーモードと酷似していたバリアジャケットは黒と白を基調とした騎士甲冑へと形を変える。
その姿にヴィヴィオは見覚えがあった。
忘れたくても忘れられない顔がそこにあった。

「まさか・・・・・・あなた・・・・・・」

弾かれるように距離を取り、レイジングハートを構える。
恐怖が背筋を伝い、嫌な汗が全身の毛穴から滲み出ている。まるで鏡に映った自分自身を見つめているかのような吐き気が込み上げ、結んだ唇がカサカサに乾く。
そんなヴィヴィオを前にして、“セリカであった”存在は静かに自身の名を告げた。

「我が名は聖王ヴィヴィオ。ベルカの王にして、世に理と秩序をもたらす者。遍く次元世界の支配者にして唯一無二の王たる存在。そして、お前の鏡の向こう側だ、私よ」

そこにいたのは、ヴィヴィオと瓜二つの姿をしたヴィヴィオではない人物。幾星霜の月日を超え、古代ベルカを調停した聖王が現代に蘇った瞬間であった。

                                                                                              to be continued
325B・A:2008/08/16(土) 00:51:39 ID:C5CUMYaG
以上です。
やりたいことを詰め込むと長くなる。削って削ってまだこの分量。
いつぞやクロスボーンネタを突っ込まれましたが、あれも込みで本編のあっちこっちに彼女が登場する布石はばら撒いていました。
こっからラスボス戦Aの始まりです。サウンドステージでの新設定の判明でこっちで想定(妄想)していた古代ベルカに関する設定が
色々と噛み合わなくなってしまってちょっと涙目ですが。
326名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 00:56:40 ID:pRbrqn89
シエン死んだか…彼もまた男だったな
そして二人の聖王、このシリーズも最終局面ですか。次回も楽しみにしてます

まぁ設定に関しては詳細不明だったんだからそんなに気にする必要もないですよ。面白いですし
327名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 01:12:34 ID:WpTzFaj9
GJっした!シエンさんカッケーエよホントに。
あーいう貫き通す、決して最後まであきらめない敵役って他の作品でも見かけないですから。
そしてついにラスボス「自分自身」。次回も眼が離せないです!




チラ裏
借り物の正義で何が悪い。
自分の正義もありふれてるというかなのはと変わらんだろうが。
どう聞いてもヴィヴィオの台詞は理想論にしか聞こえない。
レジアスが必死に駆けずり回った地上で頻発していたテロで死んだ人々がどれだけいたと思ってる。
まさかこの歳で知らんとは言わせんぞ。
はっきり言ってなのは達が関わった3つの事件で味方の死者ゼロってのが異常なんだ。
地上本部の連中の心は一つになっていたはずだ。きっと。
「どんな離れ技使えばこんな奇跡が起こるんだ!?」
328名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 01:15:08 ID:AYxR/eXa
>>325
GJです。

シエンよ、安らかに眠れ。

そして2人の聖王、ここまでやりますかw
とことんヴィヴィに壁超えさせたいのですね。
予想外の展開に妙なニヤニヤがとまりませんwww

次回もお待ちしてます!!
さて、明日の戦場のためにねるですノシ
329:名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 02:47:22 ID:uImq9Vmz
誰もいないうちにコソーリ投下。
・注意書き
エリオ→ティアナ
エリオが変態

タイトル:僕から君へ
330:名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 02:49:08 ID:uImq9Vmz
巨大プロジェクターが怪しく光る午前2時のとある部屋。


先ほどからその部屋の壁に繰り返し再生されている映像には、この機動六課に勤務する少女・ティアナ・ランスターの姿しか映し出されていない。


勤務風景、廊下を歩く姿、はたまた食堂で新人達と昼食をとる様子。


ティアナの何気ない日常生活を収録したらしいもので、
明らかに被写体がカメラに存在に気付いていないことと併せて考えると、間違いなく盗撮した類の映像であろう。
数十回に及ぶリピート再生は、そのラストシーンである女性専用シャワールームへとティアナが踏み込んでゆく後ろ姿で終了した。
これ以上の映像は無いらしい。

そして、その映像を切なそうに見ていた少年、エリオ・モンディアルは、真っ暗な部屋に独りうつむき、ポツリとこう呟いた。

「ティアさん・・・」

惚れていた。
エリオは、ティアナ・ランスターに完全に魂を奪われていた。


彼は機動六課にて、比較的女性に人気のある・・・どころか、一番モテる男であり、
その気になれば年上の保護者から同期の竜巫女まで、よりどりみどりなのだが、
彼の目には、ティアナ以外の女性は映らないまでに、心をワシ掴みにされているのである。
331:名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 02:50:58 ID:uImq9Vmz
エリオがティアナを付け狙うようになったのは、先月暮れの時分からである。
「付け狙う」という表現は少々語弊があるかも知れない。
当事者達にとっては、こういう犯罪者を思わせるような語意を含む言葉はきっと心外であろう。
当事者達の間には、結果犯罪と呼びうる事態は発生しなかったのであるし、本人にも自覚は全くと言って良いほどなかった。
ただ、エリオの方が罪悪感を持ちつつ、それでも衝動を抑え切れずに行動していた節が見受けられるので、加害者側(この呼称は適当ではないが)には少なからず自覚があったと考える事も可能だが。

しかし、もう一方のティアナ・ランスターが完璧に被害を被った意識が無いので、どっちにせよ犯罪じみた事柄が成立していたとは考え難い。
片方が後ろめたさを抱えつつ追い掛けていたのは事実だが、もう片方がそれに対して嫌悪感を抱かなかったということで、
問題は始めからあってなかったようなものである。
本人に問題意識が無い上でそこに問題を見出そうとするような行為は、つまりは野暮というものである。


例えば、小野小町の元へ百度通おうと誓いを立てながら志半ばで力尽きた中世の貴族の話や、
毎夜毎夜愛しい女性の部屋の窓下で愛を語り続けた戯曲の主人公の話など、
美談として語られこそすれ、犯罪だと笑うものはいない。

つまりは、相手の気持ちを尊重すれば良いだけの話だ。
相手を想う気持ちの中に幾らか、相手の気持ちを想う要素を組み込めば問題は起こらない。
元来、男性は女性を追い掛ける役割を持っているのであるし、好意をぶつけられて応えるか否かの特権を持つのが女性たる証拠でもある。
だから、第3者から観察すれば問題大有りなケースにしたって、
結果として当事者の間に幸福がもたらされるのならば、それは単なる男女問題であって余人の口入れすべき事柄ではない。
さりながら、当事者のいずれかが暴走した場合、不幸な顛末を生み出す恐れもあるのは確かである。


この少年と少女の場合においても、幸いにして好結果に終わったのだから問題は最初から無かったと見るべきである。

訂正しよう。
「付け狙う」ではなく「追い掛ける」が正しい。
332:名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 02:53:50 ID:uImq9Vmz
エリオが機動六課に着任して以来、元来女性にモテる体質であったのか、彼の周囲には多くの女性が群がった。
書類仕事、ストライカーズとしての日々の業務という多忙な日常を過ごしていた彼は、その上女性陣(主にフェイトとキャロとシグナムの三人)に日々付きまとわれるという端目から見れば羨ましい以外ない環境に追い込まれた結果、1度倒れた。

過労と診断されたものの、それより重症だったのはエリオが半ば女性恐怖症に陥ってしまったことである。
女性達が集団で背後より迫ってくるなどの悪夢にうなされる日々が続き、事ここに至り周囲もエリオを心から哀れんだという。

そこでエリオに一つの考えが浮かんだ。

公式に誰か1人を恋人とすれば、女性陣(フェイトとキャロとシグナム、あとフリード)は必ず諦めてくれる筈だ、と。
どう考えても論理の飛躍、いやすり替えにしか思えないが、エリオはあくまで真面目だった。

実のところ、エリオを不憫に思った某提督が、自分の経験を元にそのように
軽くアドバイスしたのを真に受けただけであって、周囲はエリオのその決意を聞いてそれは無いだろうと諌めたが、
エリオの決意は非常に堅く、誰も止められなかったそうだ。


こうして、エリオの「恋人さがし」の幕が開いたのである。


医療室を出たエリオは、さっそくだが心に誓った恋人えらびを始める。
こういう追い詰められた条件で女性と付き合おうと決心したという事実に、若干罪悪感を感じないでも無かったが、
今のエリオには他に選択が無いような気がしてならなかったのである。


自らがこれまで女性からのアプローチに対して取ってきた態度は、「え、なんですか、それ?」という曖昧な拒絶。
もしくは「嫌われたくはない」という孤独を恐がる見捨てられ不安による曖昧な承諾。

どっちにせよ、エリオの回答が限りなく曖昧だったせいで、複数の女性に良いように誤解を与え、
結果暴走させる事になっているのは確実なことであった。

もう繰り返しはしてはならない、人を不幸にさせない為に、とエリオは自分に言い聞かせた。

昔、モンディアルの家で平和に両親と暮らしていた頃の事を思い出す。
親子仲はとても良く、休日にはどこかへ連れて行って貰い、仲の良い両親を見ているだけで心が満たされていたように思う。

エリオにとって思い出は僅かなものだが、二人は幸せそうだったような気がする。
とても似合いの夫婦だったと思うのだ。
そんな昔の事を思い出しながら歩いてゆく内、廊下の角で誰かにぶつかってしまった。
ぶつかってきた相手が早足で急いでいたこともあり、2人はぶつかった拍子にバランスを崩して倒れこんでしまった。


「うわぁ!」「きゃあ。」

どすん、ぷに。

ぷに?
333:名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 02:56:58 ID:uImq9Vmz
ぼうっとしながら歩いていた為に相手を転ばせてしまったと考えたエリオは、すぐさま謝罪をどもりながらまくしたてた。


「す、すみません!!ボーっとしてて前見てなくて!本当にすみません!!怪我してないですか?大丈夫ですか?」
「エリオじゃない」
「あ・・・ティアさん?」


激突した相手は、同僚であるティアナ・ランスターだった。
ティアナを転ばせてしまった事にエリオは必要以上に恐縮し、慌てて気遣いの言葉を続ける。


「ごめんなさい!僕がよそ見してたから!怪我はないですか?痛いところはないですか?」
「別に。・・・痛い所は無いけど。ただ・・・。」
「え?やっぱり何処か痛いんですか?」
「手、どけなさい」


気が動転していたエリオは気付かなかったのだが、転んだ拍子にエリオの右手が、
ばっちりティアナの胸をわし掴みにしていた。
一瞬、どうしてティアナが赤い顔をしているのか理解できなかったエリオだが、
事態を把握するとそれこそ床から飛び上がるようにティアナから離れた。

そして又、平謝りの繰り返しである。

「ご、ごごごゴメンなさい!僕、そんなつもりじゃなくって!はずみっていうか!
全然気付かなかったっていうか!とにかくごめんなさい」
「へぇ、気付かなかったの。そんなに小さいつもりもないんだけどね」
「え、あ!そうじゃなくて!ちょっと気が動転してて!だから!」
「もういいわよ。事故だし。じゃ、私急ぐから。」

心無しか頬の赤いティアナが足早にすたすたと去ってゆく様を、エリオは呆然と見送ったのであった。


切っ掛けはこのように、単なる小さな事故だった。

しかしその日以来、エリオはティアナの事が頭から離れなくなっていたのである。

それまでに一緒に訓練を受け、食事をしたり、報告を行うなどの任務上の接点はあったが、
プライベートでの付き合いは余り無かった。
とりたて仲が悪いわけでもなく、信頼関係も築いている。ただ、恋愛に結びつかなかったのである。

エリオが女性の胸を掴んでしまったのは今回が初めてではない。

だが、その後の対応を思い出すと、キャロには初対面で結婚を迫られ、
フェイトには部屋に連れ込まれそうになれ、シグナムにはもっと触っても・・・と言われ、
スバルは面白がり、なのはには頭を冷させられた。


そう考えると、 女の子の大事な部分を突然事故とはいえ触られたりしたのに、
何事も無かったかのような素振りで振る舞うティアナの態度は実にツンデ・・・いや彼女らしかった。

「別に」とさらりと言い残してすたすたと去っていったあの後ろ姿が、
エリオにはどうしても忘れられない。



人に興味を持つのが始まりであり、人に思慕し始めたらもう想いは止まらなくなるものである。
334:名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 03:00:39 ID:uImq9Vmz
エリオが幾ら10歳で女性関係を苦手としているとはいえ、立派に人並に想いを膨らませていた。

ティアナの好きな男性のタイプはどんな男だろう、
好きな食べ物は何だろう、
なにか趣味はあるのだろうか、
二人で何処か・・・
一緒に映画に行きたいな、
ティアさんの笑顔がもっと見たい、
でも、いつものあの表情も良いんだよなぁ、
誕生日プレゼントは何がいいかな、
今度会ったらどんな話をしようか、
どうしてあんなに綺麗な肌してるんだろう、
髪もさらさらしてるな、
ストレートもきっと似合うだろうな、
なんであんなに可愛いんだろうティアさん


自覚してしまったらもうお仕舞いで、1日中エリオの頭の中はティアナのことで埋められていった。

「恋人えらび」を決意した矢先の出来事でもあり、その想いは日に日に膨張し続け遂には破裂寸前に追い込まれていった。


しかし、そこはやはりエロオ・モンデ・・・エリオ・モンディアルである。

忙しい日常に追われ想いを伝えようにも伝えられず、それなら遠回りしようという策も練られず、
比例して上昇していくティアナへの想いとは裏腹に、2人の間は依然として仲は良いが只の同僚に過ぎなかった。

勇気を出して会話を続けてみようと試みても、どういう話をしたら良いものか深く考え込んでしまい、
なんとかもっと接触を多くしようと画策しても、いつも寸での所で邪魔が入り挫けてしまう。

これならまだ想いを自覚する以前に戻って、気軽な同僚同士のままでよかったのに、などと毎日が後悔の繰り返しであった。


「恋人えらび」を決意した際の勇ましさは何処へやら、エリオは所詮10歳児であった。


気が付けば、あの日から1ヶ月が過ぎようとしていた。


なんだかんだ理由を付けてティアナと上手く喋ることが出来なくなってしまったエリオ。
だからといって、一度暴走し始めた想いがはいそうですかと待ってくれる訳はない。
時を経るにつれ、それどころか事態はより悪化していた。


或る日、エリオは発想の転換を行う。

本人と上手く喋れないのならば、練習すればいいのではないか、と。
その逆転の発想自体が明後日の方向へ向かっているのだが、思い込んだら一直線なエリオは、
さっそくシュミレーションの為の素材集めの為に行動を開始する。

まず、データベースでのティアナの履歴書に添付してある画像ファイルをリインに頼み込み持ち出すことに成功した。
その次にヴァイスが作成し、秘密裏に売られていた「機動六課女性陣生写真」を、恋人えらびを名目として全種類購入したりした(勿論ティアナの写真以外は即捨てた)。

そして、エリオの特訓が始まる。

その、夜な夜な仕事明け寝る前に写真に向かって話しかけている少年の図、なるものは、余り突っ込んだ描写は避けておきたい。


335:名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 03:05:31 ID:uImq9Vmz
とにかくそのようにして、エリオは日々ティアナとの明日の未来の為に猛特訓を続けたのである。
だが、予想通りといえば予想通りであるが、あっさりと目的と手段が入れ替わってしまう辺り、悲しいかな、彼は男であった。
ティアナと普通に会話する練習の為に収集し始めたティアナの画像ではあったが、
いつのまにやら画像を集める行為自体に楽しみを見出してしまったのだ。

とりあえずエリオは無限書庫に赴き某淫獣の指導の元、超小型カメラを購入、設置した。


そのお陰(?)であらゆるシチュエーションでのティアナの姿をカメラに納める事が至上の喜びと変化してゆき、
既にティアナへ被写体としての最大限の愛を注ぐまでになっていた。
そうやって任務等を必死にこなしながらもゲットしていくティアナの画像。
それを現像して見ているだけで心が安らいでいくのを感じるエリオ。

この年で趣味盗撮特技盗撮とは、将来が不安としか言い様がない。

ただ、例えば浴場などティアナが絶対に嫌がるであろう場面での撮影は、堅く禁じて自らを諌めていたのが救いだったろうか。
ティアナの画像収集に懸命になる日々、少し位は罪悪感、虚無感、何やってんだろう自分と感じないことも無かった。
しかし今は、ティアナの画像を集める事の方に命を賭けたかった。

もっと多くのティアナの姿を捕らえたい。
もっと多くのティアナの表情を見たい。
きっと某先輩も、こんな気持ちでなのはを見詰めていたのだろう。

エリオがティアナを意識してより、実に5ヶ月の月日が流れようとしていた。


部屋でくつろぐエリオ。
例のように壁一杯にティアナ画像コレクションをで映し出し、そのひとつひとつに見入っている。

どれもこれも自慢の画像であり、このフィルムはお気に入りを特別に編集までしてこしらえたものだ。

何十回と見ている筈の傑作集なのに、見る度に違う感動が沸き上がってくるから不思議だ。

眠そうなティアナ、食事を取るティアナ、スバルとこっそり笑いあうティアナ、
その全てがいとおしく思えているエリオである。

その時、突然呼出音が鳴った。

チッと舌打ちするエリオ。

せっかく良いとこなのに、と毒づいて、電源を切ってから、通信に応答した。


「あ、エリオ?」
「!!!」


声の主がティアナだと即座に気付いたエリオは狼狽する。
まさかこれまでの行動がバレたのではなかろうか、そう直感的に思い至ったのだ。
おそるおそる、画像をオンにしてティアナの通信ウィンドウを表示する。

三つ子の魂百までというが、しっかり画像保存ボタンを押すのも忘れなかった。
336:名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 03:13:43 ID:uImq9Vmz
「大丈夫?」
「あ、はい・・・大丈夫です!」
「そう。今、時間空いてる?」

「エ、どう、シて、デすカ?」

「ちょっと、大事な話があるのよ。良い?」


演習所へ続く廊下を、まるで死刑執行に向かう重罪人の如くうなだれて歩くエリオ。
エリオの脳裏には今、後悔と絶望の文字が激しく乱舞している。

画像なんか集めなければ良かった、素直に本人に告白してれば良かった、そういう自責の念が全身を貫く。

ティアナに呼び出されて、つい嬉しさの余り即答してしまった僕はやっぱり単純な人間だ、
キャロの事もフェイトさんの事もシグナム副隊長のことも笑えない、と自己嫌悪もおまけ付きだ。


ティアナ自ら、エリオに話があるという。

エリオはこの数ヶ月ずっとティアナを見つめてきたが、本人との仲はただの同僚に過ぎないという前進無しの状態であった。

大事な話とはいっても、絶対に良い話である訳もないし、
まず間違い無く罪状認否の為に自分は召還されたのだ、そう思っていた。

悪くすればその場にティアナ以外に誰か立会人―例えばスバルか部隊長がいて、
罪を認めたと同時に身柄を拘束される可能性だってある、そう信じていた。

そう容易に想像がつくからこそ、今のエリオの心は底無しに沈んで沈み切っている。

いっそ、この場で腹を切ろうか、などと思い詰めていた。
だが、予想に反して、演習室には誰も居らず、ティアナはBJも身に着けておらず、普段どうりの制服でいた。
絶望&後悔乱舞の代わりに、今度は?マークが踊り始めた。

「ねぇ」
「はいっ!何でしょうか?!!」

「私の写真、一杯持ってるわね」

「・・・・・はい」


終わった・・・僕の人生終わったよ・・・。
?マークは飛んで消え、エリオは自分が囚人服を着ている姿を夢想する。
すみませんフェイトさん、すみません八神部隊長、すみませんMr.フェレット、
でも僕は貴方に教えてもらったあの技術もこの技術も絶対誰にも喋りませんから、ああすみません六課の皆さん。

しかし、である。


「はぁ・・・、あんたもっとしっかりしなさいよね」
「ハい?」

「ずっと私を撮り続けたでしょ。そのせいでアンタ用のパーソナルメモリー、一杯になってるわよ」
「はイ?」

「六課の人で容量使い切っちゃったの、エリオだけなんだから。お礼言っときなさいよ、
こうなるの分かっててメモリー増やしてくれてたんだから」」
337:名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 03:21:13 ID:uImq9Vmz
エリオはティアナの独り言のような語りを聞いて、突然絶望的な真実に思い至った。

自分が貯めた画像を保存していたモノ、あれは自室に備え付けてある支給された装備であり、
つまりCPU周りを把握している女性陣にとっては、それの中身をチェックする事位造作無いことだという破滅的な真実を。

エリオの顔が青ざめ、次いで白く変化してゆく。


「大分前ね、ルキノさんが面白いモノ見つけたって持ってきて。
凄いわねアンタ、私、何時写真撮られたか全然気付いてなかったわ」

「さ、最初から知ってたんですか?!」
「まあね。その後も定期的にチェックさせて貰ってたわ。大丈夫よ、ルキノさんと私しか知らないし」

「どうして・・・怒らないんですか?」
「別に。そりゃあ、恥ずかしい写真とかだったらどうしていたかはわかんないけど。でも、別に害があった訳じゃないし」

「そうですね・・・?」
「じゃ、別に良いかなって放置してたのよ」


エリオは意外な展開に驚きつつも、それより意外とティアナが満更でもない顔をしているのに気付いた。

「あの、ティアさん、本当に、怒ってないんですか?」
「何で怒るのよ?」
「僕、ティアさんに黙って…盗撮してたんですよ?!」
「そうね。」
「それって、凄く悪いことです。犯人が言うのも何だけど」
「そうなるわね」

「そうですよ!解らないんですか? 僕はティアさんの事が好きで、
それであの頃の様に話しかけようと頑張ったけどどうしても勇気が出なくなって!
それで写真のティアさんに話しかけていくことで我慢しようとしたんですよ!」

「・・・・・・。」
「最低でしょう?もっと怒って良いんですよ!クロスミラージュの蜂の巣にされてもおかしくないんです!なんなら今から八神部隊長のところへ行って告発して下さっても構いません!」

「ねぇ」
「…な、何ですか?」
「私の事、好きだったの」

エリオはそう言われてティアナの方を向いた。
ティアナはまっすぐにエリオのを見ていた。

今一度、ついさっき自らが口走った台詞を想起して、はたと思い至る。
が、とんでもない事を自白してしまった事に気付き、何を言おうとしても言葉にならない。
「はい、僕はティアさんが好きです」観念して、思いを口にした。
338:名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 03:23:33 ID:uImq9Vmz
「・・・。変な気分だわ。やっぱりそうだったの」


何も言い返さないエリオと、こころもち顔を下げるティアナ。

「で、アンタ私と何かしたいことでもあるの?」
エリオはティアナが何を言っているのか解らず固まる。

目の前のティアナは、今まで撮り続けてきた写真の中にも、まったく前例の無い表情をしていた。

「・・・もっとティアさんと話をしたい、ティアさんを知りたい、遊びに行ったりしたいです」
「じゃあ、次の休暇はどこか二人で行く?」

「は、はい、よろこんで。」

思い切ったような口調でのティアナの誘いに返事すると、ティアナはすたすたと演習場の出口へと歩いていった。
慌ててその後を追うエリオ。
何が何だか解らないが、とにかくティアナが怒り心頭ではない、そのことだけは分かった。

後を追ってくるエリオをちらりと横目で確認し、出口でティアナはこう付け加えた。


「アンタの写真、良く撮れてたわ。でも今度は、ちゃんと私に許可を得てからにしなさい」
その時ティアナの表情は、エリオが今まで見てきたどの表情よりも可憐で、美しかった。
339名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 03:28:27 ID:uImq9Vmz
ありがとうございました
ティアナの好感度が高くて良かったねエリオ話です
340名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 03:35:44 ID:1QRi23y/
某サイトのナデSSに酷似してる気が
ひょっとして作者さん?
341名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 04:51:43 ID:kOMnE2b4
B・A氏
GJ!
シエンもまたいい騎士だったと思う。
もしエリオ達と理想をともにできていたら…
そう思うと残念でならないな

339
GJ!
これはいいエリティア!
そしてエリオお前って奴は…
まあ頑張れ。もっと強引にこうガバッとだないくべきだ
342名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 05:43:20 ID:oG5Z7Eem
なんでエリオがもててる前提の話なんだ?
343名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 09:26:47 ID:jyOSGmGe
普通にエリティア描写だけでよかったと思う。
エリオがモテるという設定はいらないだろう。
344名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 10:07:19 ID:pmsYQATo
人はそれを無粋な突っ込みという…帰れ設定房
345名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 16:17:38 ID:0B6jZHsg
エロ分が物足りない
わっふるわっふる
346ておあー:2008/08/16(土) 17:41:19 ID:X21qknB/
>>345
奇遇ですな。拙者もちょうどそう思っていたところです。

前回レス下さった方、ありがとうございました。
そんなわけでエロです。
レスを追ってたら200番台初めの方でちんこ要員の格差が問題に
なってたので出番の少ないキャラで軽く一本書いてみました。
ついでに相手役も出番の少ないキャラで合わせてみたり。


・エロのみ、短め
・時期は三期後でSSX準拠。セイン、オットー、ディードが聖王教会に引き取られています。
・が、件のSSXが手元にないのでキャラの呼称については適当。誤りあれば脳内補完で
・カプはロッサ(ヴェロッサ)×セイン


ロッサといえば犬、犬といえば獣姦orバター犬なんですが自分は獣姦属性持ちではないのでそこはごめんなさい。
タイトルは『君の○の中、ちょいと査察をさせてもらうよ』です。我ながらひっどいタイトルだなあコレ……
347君の○の中、ちょいと査察をさせてもらうよ:2008/08/16(土) 17:42:15 ID:X21qknB/
「あ、ちょ……ダメだよ、っ……」

 昼下がりの聖王教会。
 その中の一室で、時と場所にそぐわない艶のある声が上がった。 

「ダ、ダメだって、ロッサぁ……」
「つれないなあ。せっかく仕事をサボってセインに会いに来たっていうのに」

 ロッサと呼ばれた男は、セインと呼ばれた少女に背中から覆い被さるような格好で抱きついていた。
 ロッサの左手はガッチリと腰に巻きついてセインの動きを拘束し、右手は法衣の中に伸ばされている。

「それとも、僕の事は嫌いかい?」
「そんな訳っ……ひゃんっ!」

 セインが口を開きかけるが、胸に刺激を与えられたせいで最後まで言葉を紡ぐ事が出来ず代わりに
小さな悲鳴を漏らす。
 その様子に嗜虐心を刺激されたのかロッサはさらに愉しそうな表情を浮かべながらセインに顔を近づけ、
彼女の耳許に息を吹きかける。

「ふぁっ!? ロッサの、イジワルぅ……」
「セインが可愛いのがいけないんだよ。キミの笑顔が僕を狂わせるんだ」
「え、あ、え……うぅ、もうっ……」

 歯の浮くような台詞を囁かれ、セインの頬が上気する。
 しばらく互いに無言で見つめ合った後、ロッサが自分の唇をセインのそれに重ねた。

「んっ、むぅ……ちゅっ……」

 室内に舌が絡み合う音、吐息の漏れ出る音が響く。
 けして部屋の外にまで聞こえるような大きな音ではないが、確かに耳に入ってくるその音にセインの
劣情は刺激され、口付けが徐々に過激さを増してゆく。

「むちゅ、んぅっ……はぁ……ロッサ、あっ……」
「ん……」

 まるで生きているかのように二人の舌は動き、ある時はロッサの内で、またある時はセインの内で
何度も交わり合う。
 ようやく二人が唇を離したのは、口付けを始めてからたっぷり数分は経った頃だった。

「ぷはぁっ」
「ふう」

 呼吸を整える間も二人は瞳を逸らさない。 
 ロッサが法衣から腕を抜き取ると、両腕でセインの体を抱え上げベッドへ横たえた。

「もう一度聞くよ。僕の事は嫌いかい?」

 返事をする代わりにセインの体が水色に発光する。
 黒い法衣をすり抜けるようにして、白くしなやかな肢体が露になった。


          ◆

348君の○の中、ちょいと査察をさせてもらうよ:2008/08/16(土) 17:43:07 ID:X21qknB/
 "ロッサ"ことヴェロッサ・アコースとセインが出会ったのは、セインがオットーやディードと共に
聖王教会に引き取られてすぐの頃だった。 
 楽天的なロッサと明るいセインは元々性格的に相性が良く、二人ともシャッハに教育を受けたという
共通点もあってすぐに打ち解けた。その後はしばらく友人としての関係が続いたがやがてロッサの方から
申し出る形で恋人同士になり今に至っている。
 交際に関してはセインの側に少々特殊な事情がある為、周囲が何か言ってくるかと思われたがそんな事もなく、
むしろロッサの関係者からは『これを機に彼が生活態度を改めてくれれば』とセインに舵取り役を期待し
全面的な協力を申し出ている。
 
 ――のだが。
 
「ごめん、カリムさん、シャッハ……それ無理」
「何か言ったかい、セイン?」
「んーん、なんでもないよロッサ」
 
 現状のところ、あちこちをフラフラしていたのが一箇所に入り浸るようになっただけで彼のサボり癖は
全く改善されていない。むしろ回数は増えているので、差し引きゼロどころか掛け合わせで威力倍増状態である。

(だってロッサが会いに来てくれるの、嬉しいし)

 セインは心の中で呟くと、こちらも裸になったロッサに抱きつく。 

「あらら? 今日はなんだか随分大胆だね」
「スイッチを入れたのはロッサだよー」

 そう言いながらセインはロッサの肉棒へと手を伸ばす。
 愛しい人の裸体を前にした肉棒は既に固くなりかけていたが、セインの指が触れるとまた一段硬度が増したのが
分かった。

「とりあえず口と手、どっちにする?」
「セインに任せるよ」
「オッケー」

 セインは両手で肉棒を包み込むように保持するとゆっくりと前後に動かす。
 単純だが繊細な刺激に、肉棒が少しずつ大きく膨らんでいくのが分かる。自分の手淫が彼を悦ばせている事に
気を良くしたセインは、片手を陰嚢に移し二点への同時攻めへと移行していく。

「くうっ……」

 ロッサの口から掠れた声が漏れた。
 セインが彼の表情を伺えば、快感に目を細めているのが分かる。
 肉棒は完全に屹立し、先端部からは先走りが垂れ始めていた。それを見たセインは顔を近づけ、指からはみ出た
その場所――亀頭に吸い付く。
 味蕾が薄い苦味を感知した。
 口の中に広がるロッサの味。
 もっともっとその苦味を味わいたくて、セインは舌を最大限に使ってロッサの亀頭を舐めしゃぶる。
349君の○の中、ちょいと査察をさせてもらうよ:2008/08/16(土) 17:43:33 ID:X21qknB/
「んんっ、ちゅぷ……むちゅ……ちゅ、んくっ……」

 一旦手を放し、今度は肉棒全体を咥え込む。
 肉棒そのものを吸い尽くされるかのような感覚に、ロッサが鋭い声を上げた。

『あ、ゴメン! 強すぎちゃった!?』
「かなり、ね……でもいいよ。続けて……」

 セインの擬似念話にロッサが答える。苦しそうな彼の声に限界が近いと感じたセインはより強く、速く、そして
丹念に舌を動かしロッサを絶頂に導いていく。

「くっ……そろそろ、限界かな……」
『いいよ、いつでも出して』

 セインのその言葉を待っていたかのように、ロッサの肉棒から勢い良く白濁液が噴出される。

「う、げほっ……!」

 喉の奥に直接精を叩きつけられた事で咽せてしまい、口から幾らか白いものが零れる。
 それでもセインは目に涙を浮かべながらロッサの愛の証をほとんど飲み切る事に成功した。

「……大丈夫かい、セイン」
「だいじょぶ、だよ、ロッサ」

 絶頂後の倦怠感から抜け出したロッサがセインに声をかける。彼を心配させまいと、セインも手を上げて応えた。

「良かった。じゃあ、今度はこっちの番だね」
「へ?」

 言うが早いかロッサはセインをベッドに押し倒しその上に覆い被さる。
 あまりにも敏捷なその動きに、セインは全く反応を返せない。
 セインを組み伏せるような格好になったロッサは、普段の涼やかな顔からは想像もつかない肉食獣の笑みを
浮かべて眼下の獲物を見下ろした。
350君の○の中、ちょいと査察をさせてもらうよ:2008/08/16(土) 17:44:26 ID:X21qknB/
「あ……」

 ロッサの視線が自身の胸に向けられていると気づいたセインは、慌てて体を捩じらせ胸を隠そうとする。

「どうして隠そうとするんだい?」
「だって……あたしって、胸無いし……」
 
 体格の割に控えめな胸は、彼女にとって大きなコンプレックスだった。
 特にロッサと付き合うようになってから色々と"自主学習"する過程で、豊満な乳房を使って行う様々な性技の
存在を知ってからは薄い胸板を見つめて何度も溜息をついた。もし彼がそういう事を望んでも、絶対に自分は
その望みを叶える事が出来ないのが悲しかった。

「パイズリ、とかさ……そういうの、ロッサがやりたいって思っても、してあげられないし……」

 セインの表情が曇る。ロッサはそんな彼女の水色の髪を優しく撫でながら優しく語りかけた。

「僕は胸が小さいからってセインを嫌いになったりは絶対にしないさ。約束する」
「……本当?」
「本当さ。聖王様に誓ったっていい。もしそれでも信じられないなら」
「ふぇっ!?」
 
 ロッサが肉食獣の顔に戻りセインの乳首に吸いつく。しかしその表情とは裏腹に彼の動きは何処までも優しく、
セインに快感だけを与えてくる。

「ふぁあ、ロッサ、や……ひゃあ、あぁんっ……」

 舌の上で転がし、弄び、しゃぶる。
 外気に触れているもう一方の乳首は、まるで小さな乳房の分もと言わんばかりに固く突き立っていた。当然、
ロッサはそこにも指で刺激を与える。
 激しくも愛情に溢れるロッサの愛撫は、千の言葉よりも雄弁に彼の気持ちをセインに伝えた。
 ロッサが顔を上げセインに質問する。
 

「……これで伝わったかな。僕の気持ち」
「……うん……すっごく、伝わった」
「良かった。一安心だ」

 軽くキスをして二人はいよいよ交合の準備に入る。
 一度出したとはいえロッサの肉棒は未だ変わらぬ硬度を保っており、一方のセインも胸への責めで秘所は
十分に潤っていた。
351君の○の中、ちょいと査察をさせてもらうよ:2008/08/16(土) 17:44:53 ID:X21qknB/
「挿れるよ」
「うん」

 ロッサの声と共に、肉棒がセインの膣壁を割って内部に侵入する。
 この瞬間を待ち望んでいた二人の肉体は全細胞で歓喜を表現しつつ、より強い快楽を得るべく彼らの精神を
駆り立てる。

「あっ、うあぁっ……ロッサが、ロッサがあたしの中にっ、入ってきてるよぉ……」
「くうっ、こっちも……凄い締め付けだ……」

 互いをより一層近くに感じながらロッサがセインに挿れ、セインがロッサを受け入れる。
 やがて肉棒が膣の最奥に到達したと同時にセインが軽く絶頂に達し、二人は深く繋がったまましばらく見つめ合う。

「動かす、よ……」
「うん、来て……!」

 ロッサが腰を動かす。
 最初はゆっくりと、次第に速く。
 肉棒に膣壁を削られる快感にセインが震え、膣の締め付けによって倍以上の快感がロッサに与えられる。

「あっ、うあっ、おなか、おなかが削れてるぅっ!!」

 激しいロッサの腰使いに、目に涙を浮かべながらセインが叫ぶ。
 外に声が漏れたらどうしようとか、そんな事を考えている余裕は無かった。
 一突きごとに快感は波のように脳内に押し寄せ、理性も何もかもを吹き飛ばしてしまう。

「もう、少し、激しく……いくよ……」
「ひやっ、待っ、うひゃああぁんっ!?」

 ロッサが宣言通りさらにペースを上げる。
 自分の意志では反撃できないセインに代わって、彼女の膣壁が凄まじい締め付けを見せ肉棒を責める。 
 射精の欲求を必死に抑えながら、ロッサはより強い刺激を求めてセインを突き続ける。
 
「……ひあぁ、あんっ! 大好きだよ、ロッサ、ロッサぁ……はぁん!!」
「僕も……さっ! セイン、愛してる……!!」

 蕩けた思考の中、快楽の倍々ゲームに終わりが見え始めたのをどちらともなく感じた。
 セインがロッサに抱きつき、ロッサの腰の動きが最高潮に達する。


「はああぁんっ、ロッサあぁっ!!」
「セインっ!」

 
 名前を呼び合うと同時にどちらともなく絶頂に達し、セインの中にロッサのありったけの精が放出される。
 粘つく白濁液がセインの子宮を、そして思考さえも真っ白に染め上げた。


          ◆

352君の○の中、ちょいと査察をさせてもらうよ:2008/08/16(土) 17:46:47 ID:X21qknB/
(おまけ)


「はあっ、はあっ……」
「ふう……」

 荒く息をつきながら、二人は絶頂の余韻を楽しむ。

「もうダメ……」
「ちょっとやりすぎたかな?」
「んー、別にいいよ……凄く気持ち良かったし……その、もしロッサがやりたいなら、もう一回ぐらい……」
「お言葉に甘えたいけどね」

 ロッサが体を起こす。

「これからまた仕事?」
「いや、そうじゃなくて……何というか"勘"かな。これ以上はヤバい事になりそうだっていう」

 その瞬間、セインの強化聴覚が耳慣れたカートリッジのロード音を捉えた。
 木製のドアの向こう、双剣型デバイスを構えたシルエットを彼女は確かに見た気がした。

「……スタンバイ済み?」
「……たぶんね」
「……ロッサは何で踏み込んで来ないんだと思う?」
「……彼女なりに空気を読んだんじゃないかな。さすがに事の最中はマズいだろうっていう」

 沈黙。

「……じゃあさ、ここでもう一回やったらその間は入って来ないんじゃない?」
「いいアイデアだね。その間にマルチタスクで打開案を考えよう」

「アホですか貴方達はああああああぁぁっ!!」

 扉を木っ端微塵にしながらシスターシャッハが部屋に突入。
 結局二人ともこっぴどく頭を冷やされたという。
353ておあー:2008/08/16(土) 17:47:19 ID:X21qknB/
以上です。お付き合いくださった方、ありがとうございました。むー、両者ともいまいちキャラが掴めん。
自分の中では何故かロッサ=貧乳好きのイメージがあります。え、いや別に部隊長殿が貧乳だなんて自分は一言も(フレースヴェルグ

出番貧困層に属するキャラでは個人的にザッフィーに下剋上してほしいです。ザフィギンとかザフィギンとか
ザフィ聖王ヴィとかザフィギンとかザフィ更生組とか……誰か書いてくれんかのう……
354名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 18:19:42 ID:INY3tOvs
GJ!
新たなネタを開拓する貴方に敬意を表します!
355名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 18:20:25 ID:l0PUCQri
GJ!!
凄く久しぶりにエロパロでセインのエロを見た気がするぜ。

しかしておあー氏、ザッフィーのSSが見たければ自分で書けば良いんですよ!
356名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 18:45:34 ID:xkH0R1Vb
Goodエロス!
しかしシャッハ…扉を木っ端微塵にしていいのかw
357名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 18:53:13 ID:CHbbXnER
きっと違う部屋ではオットーとディードが女の子同士で色々とやってるんだろうな
358名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 19:29:23 ID:oG5Z7Eem
ならナカジマ家ではなにが起こってるだろうな
359サイヒ:2008/08/16(土) 21:34:03 ID:XKu3AGzA
次世代話第三話。
今回から色々と無茶が始まります。


以下注意書き。

・「8 years after」の続編となります。そちらを読んでいないとさっぱり分かりません。
・クロフェ、ユーなの、ゲンはや、エリキャロ、カルタスギンガが結婚。それぞれに子供がいます。
・アルフとザフィーラに養子の人狼がいます。
・カリムの養子まで出てきちゃいます。
・本編終了十三年後。原作キャラの年齢はキニシナイ!!
・また途中から本編二十年後へシフトします。
・オリキャラの登場率が余裕で原作キャラをオーバー。
・さらに原作で死んだはずのキャラが生きてたりする。
・全六〜七話。全編通して非エロ。バトル開始。


もういっぺん言います。今回中盤から、本編二十年後の世界にシフトします。
なんと、キャロさんじゅういっさいの世界。


ではどうぞ。
360あの日見上げた空へ:2008/08/16(土) 21:35:40 ID:XKu3AGzA
 それからしばらく、クロードは新型デバイスを手に馴染ませるために型稽古を行った。
 数年後の自分の身長に合わせて作られたらしく少々長くて扱いづらいが、不便さを感じるほどではない。
 問題は連結刃の形態だった。ある程度は内部機能がオートで操作してくれるが、やはり肝心なのは操作
する者の腕の使い方であり、今日初めて使用したクロードの手には余る。
 身体に五回絡まったところで一旦中断し、今度はシュツルムファルケンも撃ってはみたが、明後日の方
角にひょろひょろと頼りなく飛んでいっただけだった。

「この二つは本格的に練習するまで封印だな」
『それが賢明かと』

 一応の馴らしは出来たのでそろそろシグナム、もしくは数年ぶりに父との模擬戦に移ろうかと地面に降
り立つクロード。
 だが声をかけるより先に、訓練室の扉が開いた。

「おろ? お前もいたのかよクロード」
「トウヤ?」

 入ってきたのは数時間ばかり前に別れた親友と、その母である八神はやてだった。

「俺だけじゃないぜ」

 ほれ、と顎をしゃくった扉から、続いてフェイト、アルフ、ロウ、エリオ、キャロ、なのは、ユーナ、
レヴィア達がぞろぞろと入ってくる。
 それぞれの保護者にて有名人が大集合といった体である。全員顔は知り合いだが、一堂に会したところ
を見るのはクロードでも初めてだった。

「みんな何の用なんだ?」
「いや、俺達もよく知らない。母さん達もにやにや笑ってるだけで何にも教えてくれねえし」

 顔をもあわせているクロード達をよそに、大人は全員が一ヶ所に集まる。一同を代表してか、なのは一
人が出てきてポンと手を打ち合わせた。

「さて、みんな入学試験ご苦労様。それとロウはAランク試験合格おめでとう」

 全員に拍手されて、ロウは顔を赤くしながらも嬉しそうに頬をかいた。

「みんな辛い試験勉強頑よく張ったね。だからご褒美と合格祝いということで……」

 息を吸ったなのはが、高らかに宣言する。

「保護者や親戚の人達との全力模擬戦大会を開きたいと思います!!」
「「「『えええ〜!?』」」」

 驚きの声を一斉に上げる四人。
 レヴィア一人は、あらすごいわねと驚く様子がなかったが。
361あの日見上げた空へ:2008/08/16(土) 21:37:09 ID:XKu3AGzA
「これだけの魔導師の人達に模擬戦やってもらえるなんて、普通なら一生無い貴重な機会じゃない。トウ
ヤ、これであなた落ちてたらそれこそ一生はやてさんに顔向けできないわね」
「そういう問題じゃねえんだよ! なのはさんと模擬戦なのはさんと模擬戦…………うっ」

 過去に無謀にも挑んで完全撃墜された記憶が甦ったのか、トウヤが頭を抱えてしゃがみこむ。

「お前は平気なのかよクロード……」
「レヴィアが言ったとおり、貴重な機会だからな。胸を借りるつもりで全力で当たっていけばいいだけだ」
「このバトルマニアが。……でも母さん一人相手なら近接戦闘に弱いし、四人がかりでなんとかなるかも
しれないな」
「あなた今本気で姑息なこと言った自覚を持った方がいいわよ」

 とはいえ腹をくくったのか、トウヤも立ち上がって一つ頬を叩いて気合を入れ直していた。

「とりあえず、作戦タイム上げるから相談してもいいよ」

 五人は親から離れて、小声で作戦を練り始める。
 といっても個人戦闘はともかく団体戦の経験は乏しいので、大したものではないが。

「そういや俺達全員で組んで戦闘するのって初めてじゃないか?」
「そうだな。まあ、僕達三人が前衛でユーナが後衛になるのは決定だろうけど」
『私は引き気味でユーナのサポートに回ろうか?』
「どっちにしろ、私だけは見物ね。なんなら策戦立ててあげましょうか? あなた達三人が囮になってぼ
こられている所に、全員巻き添えでユーナが全力全開の砲撃魔法を打ち込むとかどう?」
「囮の中にお前も入るってんならやってやるよ」
「成功してもママに頭冷やされちゃうよぉ……」
「ま、旗でも振って応援しててあげるから頑張りなさい」

 きびすを返したレヴィアが、旗ではなく手をひらひらと振りながら訓練室を出て行く。
 作戦会議を再開しようとするクロードだったが、今度はポケットの声により中断される。

『主、その前に私の紹介をして頂けると有り難いのですが』
「ああそうだった。これ、さっきもらったばかりの僕のデバイス」

 クロードがポケットから出すと、銀色のデバイスはちかちかと点滅して挨拶をした。

『主のご学友の方々ですね。お初にお眼にかかります』
『やっとクロードもデバイス持ちになったね』
「こんにちは、私はユーナ・T・スクライア。こっちが私のデバイス」

 ユーナも首からぶら下げた緑色の宝石を見せている。
 入学試験直後の憂鬱さはどこにもなく、自己解決したらしいとクロードは内心ほっとしていると、ユー
ナがふとクロードの方に顔を向けた。
362あの日見上げた空へ:2008/08/16(土) 21:38:10 ID:XKu3AGzA
「クロード君、士官学校に入ってもよろしくね」

 にっこりと柔らかい笑顔で微笑むユーナ。見慣れた顔のはずなのに少し胸を高鳴らせながら、クロード
も頷いた。

「ああ、よろしく」




「さて、それで誰から行こうか?」
「最初は師弟関係にある者と、子供達四人でやろうか」
「僕も久しぶりにやらせてもらおうか。実戦からはかなり遠ざかってるけど、クロード達なら四人相手で
もなんとかなるだろう」
「あまり見くびらない方がいいぞ。何しろ我々が数年がかりで鍛え上げているからな。個々の能力は間違
いなくAランク相当はある」
「特にクロードとトウヤは連携が上手だよ。二人がかりならギンガにでも勝ち越すらしいし」
「だったら私は審判に回らせてもらった方がよさそうやな。一人だけ負けたりしたら格好悪すぎる」
「私もそうします。召喚してもしなくてもバランスが悪そうですから」
「どうせだったら一対一でやった後、親子でチーム作ってトーナメントとかどうだい?」
「とりあえず子供組に負けた人は、大人だけの二次会のおごり決定ね」

 子供が作戦を立てている間、フェイト達も出る順番や形式を決めていく。
 そんな中、フェイトはふと親友二人に話しかける。

「ねえ、なのは、はやて。これって機動六課の最終日を思い出すね」
「そやな。あの時とはかなり面子が違っとるけど」
「あの時は卒業式で、今度は入学式か。……時間が経つのはあっという間だね」

 あの日巣立っていったフォワード陣は、いまや立派なストライカーや隊長として活躍している。自分達
も結婚し、子供の親となっていた。

「本当に、みんな変わっていくね。私となのはの職は代わってないけど、はやては提督になったし」
「おかげであんまり会えへんようになったけどな」

 本当は今日の催しも入学式前日にやる予定だったのだが、休暇の都合が合わなかったのでだいぶ前倒し
となったのだ。

「キャロとも今日会ったのが数年ぶりやし。……けどな、あの日言ったことは忘れてへんで」

 はやてがちょっとだけ真剣な顔になって言った。

「もしなんかあったら、また私がみんな集めて事件解決に乗り出す。提督になって人事権にもだいぶ口出
せるようになったから、今度は何年もかかることなんてあらへんし」
「今度は陸士隊所属じゃなくて、はやてちゃんの艦に全員集合かな」
「クロード達もフォワード陣に加わったりしてね」
「保有ランク制限余裕でぶっちぎりやなぁ」

 笑いあった三人は息子達の方へと眼をやる。
 真剣な顔をしつつも楽しそうに作戦会議をしているのは、フェイト達が小さい頃そのままの姿だった。
大人数で模擬戦をやる時は、いつもあんな顔をしていたものである。
363あの日見上げた空へ:2008/08/16(土) 21:39:19 ID:XKu3AGzA
「あの子らも、私達みたいにずっと仲良しでいてくれるやろか」
「大丈夫だよ。だって、私と、なのはと、はやてと、アルフの自慢の子供達なんだから」

 離れていても決して切れることの無い絆が、子供達にも伝わっているはずだ。確信しながらフェイトを
空を見上げる。
 あの日のように桜吹雪は無く、ホログラム装置が作り出した青空しかない。
 それでも、どこまでも透き通った青さは、あの日と変わらず美しいものだった。




 見学室では、レヴィア達よりもう数歳年下の子供達が部屋の隅でわいわいと騒いでいた。

「なあなあ、こいつ腕からカッター出せたり、身体の中に電気溜めたり出来ないのかよ?」
「お兄ちゃん、特撮ヒーローじゃないんだからそんなこと……うわっ!?」
「おおっ、本当に腕から出た!」
「凄いでしょ。キリューのお母さんも同じことが出来るし、お父さんの方は瞬間的に脱皮してスピードアッ
プしたりするんだよ」
「すげぇ! こいつの兄弟一匹俺にくれない?」
「タイガ君がお婿さんに来てくれるならいいよ」

 プチ人身売買が成立しつつあるのを軽くスルーし、レヴィアは待っていた母とリンディの間に座る。
 いよいよ模擬戦が始まろうとしているらしく、モニターの中の幼馴染四名は話し合いをやめて並んで立っ
ていた。
 最初の対戦は、四人VSなのは一人。各人の戦闘能力がどんなもんか知らないレヴィアにしてみれば、
いくら相手がエース・オブ・エースだろうが四人がかりなら勝てるのではないかという予想ぐらいしか立
たない。親友の親より、親友に勝ってもらいたいという身びいきも入っているが。

「あそこにいられなくて残念?」

 オーリスが訊ねてくるが、レヴィアは首を振った。

「べつにそんなことないわ。戦闘が出来ないからって馬鹿にするような子達じゃないし」
「いいお友達できたわね」

 他人に言われたならそんなこともないです、と各人の欠点をあげつらうところだが、他ならぬ母の言葉
でありひねくれる必要はどこにもない。
 レヴィアは素直に頷いた。

「うん、私の自慢の友人達よ」





「それじゃあ始めようか」

 なのはがレイジングハートを起動させ、バリアジャケットを身に着ける。
 四人も頷いて一歩進み出た。
 クロードは右手に、トウヤは左手に、ユーナは両手で包んで、ロウは首に手を当て一斉に、生命は無く
とも運命を共にする愛機の名を高らかに叫んだ。
364あの日見上げた空へ:2008/08/16(土) 21:40:25 ID:XKu3AGzA
「ジョワイユーズ!」
「ゲイルキャリバー!」
「グリッターハート!」
『ガーディアンファング!』



「「「『セーットアップ!!』」」」




          ※※※※※※




 士官学校に入った彼らは、学生生活をまったりと過ごしながら成長していき、三年後に卒業を迎えた。
 それぞれの進路は、クロード・T・ハラオウンは次元航行部隊へ、ユーナ・T・スクライアは教導官候
補生として母の下へ、レヴィア・ゲイズは陸士隊へ。
 卒業時の成績により入局当初からそれなりの階位をもらっての局員生活がスタートした。
 同じ年、ロウは二等陸尉に昇進。クロードよりもかなり偉くなってしまったとやや複雑な心境ながらも、
新しく入隊した隊長の息子の面倒を先輩として見てやる日々を送る。
 八神トウヤ一人は卒業式の翌日、「一人であちこち見て回りたくなった」とクロードだけに言い残して
行方をくらました。
 一年後、タバコをくわえながらひょっこり帰ってきて「ゆっくり夢探せとは言うたけど、家出してまで
探せとは言うとらん!!」と家族に袋叩きにされた後、三等陸士として入局。
 それぞれが新米局員として仕事を覚える忙しい日々を送りながらも、親の威光を抜きにしても実力がそ
れなりに認められつつあり始めた頃。


 新暦〇〇九六年。クロード・T・ハラオウン十九歳の冬。


 ヴァンガード事変。勃発。
365あの日見上げた空へ:2008/08/16(土) 21:41:39 ID:XKu3AGzA
          ※※※※※※




「邪魔だ、どけっ!!」

 怒声を上げながら、クロードは横薙ぎの一撃を放った。
 だが目の前の敵はスウェーバックであっさりとかわす。もちろんそのまま道をあけることもなく、逆手
に持ち変えられた短剣が下から跳ね上がってクロードのバリアジャケットをかすった。
 矢継ぎ早の連撃を防ぎながら反撃していくが、決定的なチャンスを得る前に敵はひょいと後ろに退がっ
てしまう。
 だがクロードは追いかけようとはせず、全く逆の方向を振り向く。視線の先にいるのはもう一人の敵と、
飛来する十を超える誘導弾。
 避けても反転してくる誘導弾を、あえてクロードはバリアで全弾防ぐ。だが最後の一発がバリアに当たっ
て消えるのと同時に、先程退がった敵がまた肉迫している。
 もう十分以上、こんな煮え切らない戦闘が続いていた。
 短剣型デバイスを構えた魔導師がクロスレンジの斬り合いを挑んでくるが、クロードが少しでも優勢に
なると見るや即座に高速離脱する。追撃しようとすれば、もう一人が多数の誘導弾を打ち込んで足を止め
にかかる。
 ならば先に砲撃魔導師を片づけようとすれば即座に逃げ出し、クロードが追いつくより先に短剣が追い
すがってきてまた打ち合いに持ち込まれる。そしてその間に、砲撃魔導師はチャージを完了しているとい
うパターンの繰り返しだった。
 言葉にすれば単純だが射撃と追撃のタイミングが絶妙で間断が無く、クロードは深呼吸一つする暇も与
えられなかった。連結刃を使用すればどちらか一人は倒せそうだが、生じた隙を間違いなくもう一人につ
けこまれる。
 このままいけばクロードは魔力と精神力を削り殺されてしまうだろう。

(くそっ、こんな奴らに手間取っている場合じゃないのに)

 焦りつつも、クロードは勝利への算段を立てつつあった。
 隙の無いコンビネーションが取れる魔導師は、決して少なくない。敵味方を問わず、これまで何人もク
ロードは連携の巧みな相手と対峙してきた。

(隙が無かったら、こじ開ければいいだけのことだろう!)

 クロードは上段からの一撃を放つが、短剣に阻まれる。すかさず、相手の腹を蹴り飛ばした。
 これまでどおりのパターンで、誘導弾が多数降ってくる。バリアと打ち落としで全弾防ぐと、クロード
は射手に向かって全力で飛んだ。当然相手も逃走する。
 砲撃魔導師を追いかけながらも、クロードの神経は背後から追ってきている相手のタイミングを図って
いた。
 間合いが詰まりかけたと判断した瞬間、振り向きざまクロードはジョワイユーズを上空に放り投げた。
 ほんの数メートル先まで迫っていた敵の顔色が驚愕に染まるが、動揺をすぐさま消して無手となったク
ロードを切り倒さんと左から短剣が迫る。
 脇腹に食い込もうとするその一瞬。

「ジャケットパージ!」

 父と同じ意匠のバリアジャケットが爆発するように吹き飛ぶ。衝撃の余波が予測しない攻撃となって敵
を襲い、近くの廃ビルへと叩きつけた。
 その時にはもう、クロードは相手を見ていない。左手が腰に吊るしたジョワイユーズの鞘を、右手が懐
から銀色のカードを取り出していた。

「L4Uモードアロー!!」

 主の命に応えてカードが変形するのは、銀色の矢。同時に上空から落ちてきたジョワイユーズの柄が鞘
に装着され、魔弾を放つ弓へと変化した。
 ろくに狙いもつけずクロードは弓を引き絞る。魔力を込められた矢が、青色に光った。
366あの日見上げた空へ:2008/08/16(土) 21:42:38 ID:XKu3AGzA
「馳せろ青鶻、フェイルノート!!」

 放たれた矢は、意表をつかれてまだ反応できていない砲撃魔導師のはるか右へと外れていくかに見えた。
 だが直前で急激に軌道が変化する。ほぼ直角に曲がったL4Uは、完全に外れたと思って無防備になっ
ていた魔導師の頭部に直撃する。
 クロードが見届けたのはそこまでだった。体勢を立て直した短剣遣いが躍りかかってきていたのだ。
 ジョワイユーズを剣に戻す暇もなかった。弓のまま受けるが、短剣特有の素早い攻撃が捌ききれない。
バリアジャケットの肩口が裂かれた。

「くたばれハラオウンの小僧!」

 初めて聞く敵の声と共に、突き出されたナイフが喉首に迫った。
 だがかわすまでもなく、ほんの数寸というところでナイフはぴたりと止まる。

「が……はぁ……」

 崩れ落ちる敵の背中には、L4Uがめり込んでいた。位置は肺の真裏。非殺傷設定とはいえ、直撃すれ
ば気絶は必至の場所。

「悪いが、L4Uを撃たせた時点で君達の負けだ」

 デバイス一本丸ごと矢にして打ち込んでいるのは伊達ではない。魔矢となったL4Uは、一度ロックオ
ンしたが最後、叩き壊されるまで敵を地の果てまでも追い回す。
 もう一人も、近づいて見れば完全に気絶していた。
 二人相手に完全勝利を収めたクロードだが、表情は全く晴れない。バインドで縛ると、戦闘中から視界
に入っておりずっと気になっていたクラナガンの方角へと眼をやった。
 数時間前までは、いつもと変わらぬ平和な暮らしぶりのあったミッドチルダの首都。だが今は、遠目に
も異常事態に陥っているのが分かる。
 街のあちこちから黒煙が上がり、その周りでちかちかと輝いているのは魔法戦闘特有の光だろうか。
 この二人が襲い掛かってきたのもクラナガン市内だった。周りに被害の及ぶことを恐れ、クラナガン郊
外の廃ビル地帯まで引っ張ってきたのだが、完全に無駄だった。

「ジョワイユーズ、どこかから連絡が入っていないか」
『電波が乱れ飛んでおります。ジャミングもかかっているらしく主への指示は拾えておりませんが、別の
電波はいくつか傍受できました』
「なんて言っている?」
『色々ですが、全てに共通する情報があります」

 僅かに間を溜めて、ジョワイユーズはいつもの淡々とした機械音声で、最悪の予想が現実のものになっ
たことを告げた。

『戦艦ヴァンガード艦長、バラス提督がクーデターを起こしたと』
「やっぱりそういうことか……!」

 ぎちりと、我知らずクロードは奥歯を噛み締めた。
367あの日見上げた空へ:2008/08/16(土) 21:44:47 ID:XKu3AGzA
 首を巡らせれば、遥か彼方にぽつんと小さな黒い点が見える。米粒程度の大きさだが、距離を考えると
とんでもない大きさである。
 さっきまでは肉眼で確認できなかった。確実に、黒点はこちらへ向かって進んできていた。
 黒点の名はヴァンガード。
 管理局最大最強を謳い文句に建造された最新鋭の戦艦。
 最近低下しつつある管理局の威信を見せつけるためというくだらない理由により、次元の海ではなくク
ラナガン郊外で本日推進式が行われていた。
 それに合わせて管理局の現体制に不満を持つ一派がクーデターを起こしヴァンガード乗っ取り計画を立
てているという情報が、数日前に未確認ながらもクロノの下に入ってきていた。
 クロノはすぐさま式の中止を求めたが徹底的な証拠が無いということで訴えは却下され、警備の強化に
止められた。
 それでも出来るだけのことはしようと、クロノはティアナやナカジマ家といった個人的に親交のある局
員達に私服での警備参加を求めていた。
 もちろんその中にはクロードも入っており、休日返上で朝から街の中を歩き回っては角に立つ陸士隊や
すれ違う魔導師達を見て、これなら万が一があってもなんとかなるだろうと安堵していたのだが、全ては
たった一つの予測していなかった事実の前にひっくり返された。

「まさか、ヴァンガード艦長自らがクーデターの首謀者だったとはな……!」

 それだけではない。グラナガンの騒擾を見れば、クーデターの規模は予測の数倍に達している。
 こうなると、クロノの元に流れてきた情報すら撹乱策の一つではなかったかとすら思えてくる。

(とにかくクラナガンに戻って、陸でも空でもどこでもいいから部隊に合流して……)
「クロード君!」

 天から降ってきた声に顔を上げれば、白いバリアジャケットを纏った少女が飛んできたところだった。

「ユーナ!? ひょっとして君も父さんに頼まれて?」
「うん。クロード君が敵に追いかけられているのが見えたから来たんだけど……」
「そっちはもう倒した。なのはさんやヴィヴィオさんは?」
「ママはヴァンガードに向かうって連絡が入ったけどそれっきりで……。お姉ちゃんも見回ってた地域が
逆だから、どうなったのかは……」

 初代と二代目エース・オブ・エースに何かあるとは思えないが、それでも不安なのかユーナの顔色は晴
れない。

(当たり前か……)

 クロードとユーナの関係者のほぼ全員が、間違いなくこの騒乱の渦中にいる。
 全く情報が入ってこないので分からないが、本局でも同時にクーデターが起こっているとするならクロ
ノやユーノの身にも危険が及んでいる可能性はあった。
 それ以前に、クロード達は自分の心配をしなければならない。さっきはクロードもかなり危なかった。
ユーナも強引に戦火の中を抜けてきたのか、バリアジャケットに焦げ跡が見える。
368あの日見上げた空へ:2008/08/16(土) 21:46:40 ID:XKu3AGzA
 ひょっとすれば、ユーナと会話を交わすのはこれが今生で最後の機会となるかもしれない。
 そう思った瞬間、自然と肩に手が伸びていた。

「ユーナ」

 連日外で教導しているというのに日に焼けることがなく、透けるように白い顔が近づいてくる。

「ごめん」

 やり方など知らない。ただただ、クロードは目の前の唇に、自分の唇を押し当てる。
 口づけの間、眼を閉じることなくクロードは見開かれた聖緑の瞳を見つめ続けていた。
 ほんの数秒だけで離れた時、長いまつ毛が揺れていたのが、なぜかとても心に残った。

「…………帰ってきたら、ちゃんと言葉にして言うから。いきなりで本当に」

 ごめん、ともう一度謝罪を口にするより早く、今度はクロードの肩が掴まれた。
 引き寄せられた自分の唇が、背伸びしたユーナの唇とぶつかる。
 驚きの感情が出るより先に、柔らかいものが口の中に入ってきた。クロードの舌に絡まり、唾液を掬い、
敏感な部分同士が余すとこなく触れ合ってから離れていった。

「……私の名前、二つあるんだ」

 濡れた唇が開かれ、言葉が耳に、吐息が顔に熱く囁く。

「こっちでの名前と、ママの故郷での名前。パパとママとお姉ちゃんしか知らない名前が。……ママがね、
いつか見つける本当に大事な人だけに教えなさいって」

 肩を持つ手が解かれ、一歩距離が離れる。

「私も、この事件が終わったらクロード君にちゃんと言うよ。私の名前も……ずっと想ってきたことも全
部。だから、絶対に無事でまた会おうね……!」

 絞り出すような声で言い終えると、ユーナはふわりと浮かんでヴァンガードの方向へと飛び去った。
 その姿が見えなくなる前に、クロードもきびすを返してクラナガンへと飛ぶ。
 ありったけの速度を出しながら、自分とユーナの関係について、家族である使い魔とその娘に言われた
言葉を思い出していた。
 トウヤやレヴィアのようにせっついてくることのないアルフとロウだったが、それでも一度だけ苦言を
呈したことがあった。

『機会があれば告白するっていうけどね。そんなのよっぽどの機会がないと無理に決まってるよ。幼馴染
なんだから告白するチャンスなんてこれまで嫌っていうぐらいあったのに、全部逃してきたんだから』
『だいたいなんであんた達好き合ってるのに告白しないのさ?』
『…………こっちにはこっちの事情がいろいろあるんだからほっといてくれ』
「ああもうっ! クロノもフェイトもなのはもユーノも煮え切らなかった口だけど、あんたもたいがいだ
よクロード!』

「全くだな……」

 いろいろあるとは言ったが、結局アルフが言うとおり自分は臆病で煮え切らなかっただけで、こんな未
来の予測が立たない状態になって、ようやく思い切れた。
 振り向いてもう一度ユーナの姿を見たい気持ちをこらえる。これが終わりさえすれば、誰よりも近くで
ユーナを見れる立場になれるはずなのだから。
 クラナガンが近づくにつれ、米粒程度の大きさながらも至る所で魔導師が戦闘を行っているのが見える。
もはや全市内が戦場となっているだろう。
 唇を一度舐め、もらったばかりの温もりをしっかりと記憶に刻むと、クロードは戦場のど真ん中へと突っ
込んでいった。
369あの日見上げた空へ:2008/08/16(土) 21:48:21 ID:XKu3AGzA
          ※




『中央通りの部隊、敵防御線を突破しました』
『本局の方はどうなっている?』
『予定よりは遅れていますが、第六ブロックまで侵攻』
『地上も全戦線で押しております。体制側はまだ対応が不完全なままで、このままなら本日中に地上本部
を含め完全制圧が可能です』
『よしこの調子だ。……いいか、全員に再度告ぐ。今の管理局上層部のような生温い連中に任せていれば、
遠からず次元世界は犯罪者が多発する無法地帯と化すだろう! 我々の勝利が明日の平和へ繋がっている
のだ! 犠牲を恐れず突き進め。正義は我々に――――』


 バラス提督閣下の熱意溢れる演説の途中で、フレイヤ・グラシアは盗聴器のスイッチを切った。理由は
単純に、怒鳴り声がうるさかったからだ。
 クラナガンを混乱の坩堝に叩き込んでいる中心である戦艦ヴァンガードの貨物室。積み上げられた食料
コンテナの上で、フレイヤはのんびりと寝転がりながら高みの見物としゃれ込んでいた。

「しかしまさかクーデターにまで持ち込むとは。腑抜けた老人だと思ってたけど、なかなかやるものね」

 バラス提督は、管理局でも犯罪者に容赦をするなという強硬派として知られた男である。
 そのやや過激な主張は賛同者も多かったが管理局全体からすればやはり少数で、上層部内での孤立が決
定的となり左遷一歩手前まで来た時に、突如としてバラスは自論を引っ込めた。
 会議でもありきたりな意見しか言わなくなり、彼も老いぼれたものだと囁かれるようになって三年。
 今回のヴァンガード艦長就任も引退前最後の花道であり、一ヶ月もすれば艦長は変わると噂され、誰も
がそれを納得する中。
 提督は仮面をかなぐり捨てて管理局に牙を剥いた。

「二年間雌伏する我慢強さがあったとはねぇ。……けど、この決起。本当にあなた達が言うように正義な
んてあるのかしら?」

 バラス提督が主張するように、犯罪者であれど更生すればごくごく短期間で出所して社会復帰できる今
のシステムが、犯罪の増加に繋がっている可能性は無いとはいえない。
 更生制度の大幅な見直しと、死刑を復活させたり殺傷設定解除の規制を緩めることで法を犯すことへの
恐怖を犯罪者達に再度認識させようという政策方針も、まあ悪くはない。
 それらのことが今の管理局上層部では、残らず首を挿げ替えでもしないと通らない政策であることも認
めよう。
 だからといって、市民を多数巻き込み昨日の同僚に刃を向けるクーデターを起こすことが正しいのかど
うかと訊かれれば、フレイヤでなくとも首を振りたくなるだろう。

「犠牲の山の上で理想の花咲かせるのは組織の常だけど……どうせなら嘘をつかずに、悪いことやってで
も願望を貫きたいんですと正直に言えばいいのに。私のように」

 そういえばフレイヤが生まれた場所の科学者達も、似たようなことを毎日のように言っていたものだっ
た。
 この研究が完成すれば、慢性的な管理局の人員不足は解消される。災害に対する予防も飛躍的に効果を
上げ、犯罪の少ない平和で苦しみのない世界が到来する。
 だから我々のやっていることは、なにも間違っていないのだ、と。

「あなた達は世界を救うつもりらしいけど、きっと世界はあなた達みたいな偽善者もどきに救われたいな
んて思っていないわ。たぶんあなた達、絶対に英雄なんかにはなれないわよ」

 くすくすと、可愛らしい声でフレイヤは愚者どもを嘲笑い、聞く者のいない独り言を続ける。
370あの日見上げた空へ:2008/08/16(土) 21:49:38 ID:XKu3AGzA
「私がこういうことやる時もお題目にしようかしら。……それとも、聖王様のためと唱えた方が効果ある
かしら?」

 しかし信念とそれを実行に移した手段はともかく、クーデター派は情報隠蔽だけは完璧に行っていた。
管理局の中には、いろいろな方法で手なずけフレイヤに情報を送ってくる局員がいるためかなりの内部事
情を把握できているが、その自分にしたところで今回のクーデター事件の情報を掴むのは困難なことだっ
た。
 どこにでも潜り込める特殊能力を持った優秀な協力者がいなければ、フレイヤも同様に事件が起こるま
で何一つとして知らぬままだっただろう。

「これが無事に終わったら手放さなければならないのは惜しいわね。……元々そういう契約関係だけど」

 何か引き止めておく手はないかと思案していると、デバイスが着信音を立てた。今は教会で自分の代わ
りにあれこれやってくれている、その協力者からの連絡だった。

「どう、そっちは?」
『今から緊急会議が始まるところよ』
「ずいぶんと遅かったわね」
『教会には情報が入るのが遅れてたのよ。最初はただの暴動だっていう知らせだったし。…………しかし
あなたも筋金入りの酔狂者よね』

 ため息交じりの言葉に、ヴァンガード内に潜り込めるルートが無いかとフレイヤが訊ねた時、彼女は本
気で呆れ果てていたのを思い出す。
 結局は交換条件をいくつか出すことできちんと準備をしてくれた上に、ブリッジへ盗聴器を仕掛けるサー
ビスまでしてくれたが。

「やっぱり、こんな楽しいものは間近で見ないと面白くないから」
『だったら教会の騎士団率いてどちらかに加担すればよかったんじゃないの』
「あら、あなたは無礼講のパーティーに、保護者同伴で行きたい?」
『そうね、思わないわ。……それにしても、この動乱をパーティー扱いとはね。死人も大量に出ているで
しょうに』
「だからなに? 死人が出たから部屋で冥福でも祈ってればいいの? 嫌よ、そんなつまらないこと」

 事も無げに言い捨てるフレイヤには、一つの信念がある。
 あの、地獄のような研究所で時が生かされている間、ずっと心に決めていたのだ。
 息をする以外何一つ許されないこの場所を出たら、自分は一生我慢などしない。己の望むがまま、思い
つくがまま、どこまでも好き勝手に生きてやると。

「この世の人間全員、私を面白がらせるための道化よ。名前も知らない木っ端役は、捨て身でリアクショ
ン取ってくれないと笑えないわ」
『…………うちのドクターもたいがいだったけど、あなたも相当なものね』
「私に無限の欲望なんてないわ。望んでいることはただ一つ」

 故意に間を持たせてから、フレイヤは両手を広げ芝居っ気たっぷりに言った。

「こんなはずじゃないことだらけの世界を、私にとって楽しい世界にしたい。……ただそれだけ」

 フレイヤにとっては因縁がある人の言葉を改変したものであり、同時に嘘偽りのない本心でもあったの
だが、相手はあっそうと感慨も何も無い白けた返事を返してきただけだった。
371あの日見上げた空へ:2008/08/16(土) 21:52:21 ID:XKu3AGzA
『別にあなたが死のうが逮捕されようがどうでもいいけれど、例の計画ちゃんと進めてくれているんでしょ
うね』
「大丈夫よ。ちゃんと手駒が動いてるから。もし隕石が落ちてきて私が死んだとしても、任務はしっかり
とと遂行するように躾ているわ。経過報告が、私の部屋の端末に来てるはず」
『ならいいけど。……そろそろ会議が始まるから切るわよ』

 そう言った相手だが通信を切る直前に、そういえばと呟いた。

『あなたがお気に入りのあの子。さっき入ってきた映像に偶然映ってたわよ。クラナガンの方にいたから、
このままいけば顔を会わせるかもね』
「……あの子?」

 いったい誰のことを言っているのかと、数秒本気でフレイヤは記憶の総ざらいをやらなければならなかっ
た。
 ようやく思い当たった男の顔に、ああとフレイヤはだるく息を吐いた。

「あれのこと? あれはもうどうだっていいわ」
『あら、昔はずいぶんとご執心だったじゃない』
「何一つとして私の予想を超えてくれないから。筋書きが分かっていても楽しませてくれるほどの名優で
もないし。士官学校で三年弄れたからもういいわ」

 生れ落ちた瞬間から縁があったとはいえ、こうまでつまらないと期待した分だけ失望は深くなる。本音
を言うなら、どうでもいいを通り越して顔も合わせたくないぐらいに嫌いな男になっていた。
 本人だけでなく取り巻きの連中もフレイヤは大嫌いだった。
 野蛮なだけの男も、自分の一番の欲望を心に押し込めている女も、恩だの友情だのといったくだらない
もので人生縛っている犬っころと目つきの悪い女も、全員まとめてフレイヤの行動範囲内からいなくなっ
たらずいぶんとすっきりすることだろう。

『飽きっぽいわねぇ。そんなのだと、いつまで経っても恋人の一人も出来ないわよ』

 低い笑い声を最後に今度こそ通話は切れたが、フレイヤはデバイスを耳に当てたまま眼を閉じて黙想を
開始する。
 思案しながら手の中でデバイスの鎖をチャラチャラと鳴らし、最後に一度放り投げる。
 きれいに真上へと上がったデバイスが再び手の中に落ちてくるまでに、フレイヤは晩御飯のメニューを
決める程度の軽さで決心していた。

「そうね。いい機会だから殺しておきましょうか。腐れ縁はしっかり断ち切っておかないと、後々まで祟
るらしいから」

 この騒乱の中、目撃者さえいなければ魔導師一人殺したところでいくらでも誤魔化しようはある。
 それに過去の事とはいえ人生の一時期、フレイヤにとってあの男は乗り越えたいと本気で思っていた存
在だったのだ。士官学校の模擬戦で今は圧倒的に自分の方が強いと分かりきっているとはいえ、最後に一
度本気で命のやり取りをしてしっかりと格付けをしておくのも悪くはなかろう。
 虫が好かない男の顔を思い出しながら、フレイヤは前髪をかき上げながら欠伸交じりに呟いた。

「けど、この騒ぎの中から探し出すのも面倒だから、出来るものならここまで到達してちょうだい。クロー
ド、テスタロッサ、ハラオウン」




          続く
372あの日見上げた空へ:2008/08/16(土) 21:54:14 ID:XKu3AGzA
          おまけ



・ジョワイユーズ
レヴァンティンとの大きな相違は、氷結魔法に対応していることと、柄の中にカートリッジマガジンが仕込める点。
しゃべりかたと形状以外は親とほとんど似ておらず、バルディッシュとレヴァンティン曰く「ドラ息子」。
口癖は『たたっ斬ってやりましょう、主』。

・L4U
アロー・イージス・ツインセイバーなどの形態に変形し、ジョワイユーズと組み合わせることで能力を発揮する補助型デバイス。
一応はS2Uの後継機として開発が開始されたはずなのだが、
クロードの要求と製作者の悪ノリにより待機状態以外はS2Uと似ても似つかぬデバイスとして仕上がった。
なお、S2Uは今も常にクロードのポケットの中で眠っている。

・フェイルノート
剣術と違って弓術は全く才能が無かったクロードが考え出したシュツルムファルケンの改定型。
一度矢を放てば、クロードが操作しなくてもL4Uに備わった自動追尾システムが敵をホーミングする。
問題点は、威力を上げすぎると着弾時にL4Uがスクラップになること。
そのためクロードは命中率に重きを置いて、決め技ではなく単純に遠距離攻撃の一つとして使用している。



          これまた次回に続く
373サイヒ:2008/08/16(土) 21:57:09 ID:XKu3AGzA
以上です。
鶻は音読みで「こつ」。訓読みで「はやぶさ」。
ユーナの二つ目の名前ってなんやねんという人は、拙作「三人目の子供」中盤あたりをお読みください。
こっちの作品でもちゃんと後で説明しますが。

次回もバトル。たぶん無茶度が連載中最大。
なのはとかフェイトも出ますが「高町とテスタロッサの血族に老化の二文字は無い!」という方向でお願
いします。
やっぱり子供出した以上、親子共闘やりたいという誘惑に勝てなかった。
そして参加できなくて涙目な親父が二名。後方指揮官と司書長だもんなぁ……。
374名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 22:00:38 ID:oG5Z7Eem
んーーようわからんから空気読まない発言するけどさ、次世代ものってパロなのか?
そういう設定のオリジナルって気がする
スルーできない俺の負けかね
375名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 22:03:27 ID:GXyn/A40
>>373
乙。楽しく読ませてもらいました。
>そして参加できなくて涙目な親父が二名。後方指揮官と司書長だもんなぁ……。
けど、これはやり方しだいでどうにでもなるのでは?
ちょいと気になったもので、失礼しました。
376名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 22:20:30 ID:6IHkHk12
>>202です。
10時半ぐらいから始めても良いですか?
とりあえず先に注意事項だけ


注意事項
・思うところがあって、>>194-201とは全然関係ない話です。
・エロのつもりですが、初めてのジャンルを扱うのでエロイかどうか自信がありません
・前提として、ヴァイ×ティアです
・ヒロインはアルトですが、オチがまだ決まってないので、男役が決まってません
 (ユーノかグリフィスのどっちかで思案中)
・細かいところを無意識に捏造してるかもしれません
・アルトのモノローグとか怪しいですが勘弁してください
・NGワード(ピポーン)『こんなはずじゃなかったふたり。』

377名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 22:27:31 ID:iPyPSqIY
>>373
GJです。とうとう告白したユーナ。ようやく思い切ったのはいいが、ぶっちゃけそれは死亡フラグだ。
これ以降も生きてるのは決定でしょうが、それでも不安で仕方ない。
しかしようやくフレイヤが動く、ですか。使ってきそうな魔法の見当は付きますが、それで正体ばれそうな予感。
あと、苦労人してるドゥーエ乙。

>「凄いでしょ。キリューのお母さんも同じことが出来るし、お父さんの方は瞬間的に脱皮してスピードアッ
プしたりするんだよ」
だ、誰だ、このキャ○ト○フでク○ック○ップな仮面ライダーモドキは!?朝の日のかかる地上本部をバックに
天の道を説くのか!?
378名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 22:29:25 ID:4a++KNBD
>>376
家紋
379こんなはずじゃなかったふたり。 ALTO View:2008/08/16(土) 22:32:09 ID:6IHkHk12
「ぁ……んぁっ! ふぁぁぁ………」
仰向けになっているあたしの身体の中を、痺れるような何かが走った。
指で摘んだ乳首の周りが、赤い宝石を思わせるほど充血している。
もっと、もっと痺れたいっ……!
もう片方の突起を手で探り、親指と人差し指を使って軽くこね回す。
「んっ……ぁはっ……んぁ…ぁひっ……くぅん……」
自分の指で乳首の形が変わるたび、甘い刺激が全身を駆け巡った。
「気持ち……いいです………せんぱぁ……い…!」


機動六課が解散してしばらくが過ぎ、ひとつ気づいたことがあった。
あたしは、ヴァイス先輩のことが好き。
でも、未だにその事が言えなくて……こうして一人で慰めている。
先輩にされていることを想像して。


「せん…ぱい……胸だけじゃ……足りません……」
濃い桜色に染まった乳首への刺激は続けたまま、もう片方の手で股間の秘処に触れる。
そこは想いと快楽の恥蜜で潤っていて、指を動かすとニチッ、ニチッ、と粘ついた音がした。
「はぁ……あたしのココ、もう…濡れちゃってますよ………」
鮮やかに紅く染まった肉厚の秘唇をゆるゆるとなぞった。
快感の芽の根っこ近くを指が撫ぜるたび、全身がジンジンと甘く痺れる。
「ふぁっ……ぁあああっ……っはぁ……ふあっ…あああっ……」


初めて顔をあわせてからもう何年も経っただろう。
ふと、ヴァイス先輩に恋心を抱いていた自分がいたことに自分で驚いた。
ぶっきらぼうで意地悪で、最初のイメージはあまり良くはなかった。
だけど意外とひょうきんなところがあって、根は優しい人だ。
そんな先輩をあたしは好き………なんだと思う。


「ふぅっ………んんんっ……」
快感で気だるくなった身体を起こし、あたしは膝立ちの中腰状態になった。
仰向けの姿勢より、後でうつ伏せにもなれるこの姿勢のほうが気持ちいいことに集中できるから。
「あっ……ふぁっ! あっ、はっ、あぁぁ……っん!」
右手の指で身体の奥に埋まったクリを皮の上から刺激するたび、快楽の電気が走った。
快感で頭が真っ白になりそうなのをこらえ、あたしは左手を濡れそぼった下の唇に寄せると、
5本の指を全て使って汗のように垂れ落ちる熱いヌメリを何度も掬い上げた。
「これだけ…あれば……んんっ…」
380名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 22:33:02 ID:C5CUMYaG
>>377
>「凄いでしょ。キリューのお母さんも同じことが出来るし、お父さんの方は瞬間的に脱皮してスピードアッ
プしたりするんだよ」
寧ろ、ワ○ムなのでは!?
381こんなはずじゃなかったふたり。 ALTO View:2008/08/16(土) 22:33:23 ID:6IHkHk12
指についたものを確認しないまま、あたしはそれをくすんだピンク色の後ろの孔の部分にあてがった。
放射状に広がる微妙な皺に、撫で回すような感じで指についたヌルヌルを塗りたくる。
「すぅ…はぁぁ……すぅ…はぁぁぁ……すぅぅ…はぁぁぁぁ……っ……」
3度目の深呼吸と共に、粘液を湛えた中指を花の蕾にも似た窄まりへ沈めた。
本来出口である器官に指が挿入され、一瞬にして不思議な快感が頭の中を駆け巡っていく。
「ふぁぁ……やぁぁっ…はぁぁぁぁん!!」
擦りつけるように指をこね回し、潤滑油を腸の内壁に塗りこんでいく。
右手で秘唇と肉芽を刺激し続けることも忘れない。


あたしの女の子の部分には、まだちゃんと指を入れたことがない。
前にいきなり一本だけ入れてみたらかなり痛かったんで、それ以来怖くて出来ていない。
アソコの液が足りないから痛いんだと結論付け、濡らす方法を色々試してみた。
お尻の穴が気持ちいいことにはその頃気がついたけど、当初あたしは後ろの快楽に消極的だった。
でも、先輩への想いに気づいたものの、なかなか実行できない自分へのもどかしさで
溜まるフラストレーションを晴らしたいが為に、もっと気持ちよくなりたいと思うようになった。
また、妄想での先輩との行為に重ねるべく、擬似的にでも挿入感が欲しかったのも後押しした。


「いいよぉ……せんぱい…もっと、もっと指ぃ………!」
一人でそう呟きながら中指の一本だけだったのを、人差し指も加えて二本にした。
お通じが出てくる瞬間にも似たあの快感が、後ろの蕾を中心に広がる。
「はぁぁぁん! んぅぅっ!」
指を軽く折り曲げ、手首を逆手にした状態で指の出し入れを始めた。
手首の関節が硬いほうなので、結果的にあたしの腸壁はかなりの急角度で抉られる。
「ひあっ、あはっ! ぁっひぁらぁぁ!! 中でぇ……ごりごりって……ぇ!」
全身をめぐる強烈な快感に、あたしは力が抜けて前のめりに倒れた。
倒れたときの衝撃で左肩が前後し、腸壁と肛肉がさらなる急角度で擦られたため、
秘肉の壁を一枚挟んだ向こうの膣壁が強く押し付けれられた。
「んはぁっ、はぁっん、ゃぁぁんっ!」
後門を通過する指はもう三本になっていて、あたしはすっかり後ろでする自慰の虜だった。
3種類別々の快楽がいっぺんに訪れ、あまりの気持ちよさに息が止まりそうになる。
絶頂も間近だった。
「も、ぁああっ、あっ、イクっ! イクっ! せんぱ―――」
直腸内でひときわ強く擦ってしまった刹那、高圧電流を流されたような勢いで
快感が突き抜けたかと思うと、前の秘肉が痙攣して後ろの蕾がびくびくと痙攣した。
特に後ろの門が窄まる強さと来たら、一瞬千切れるんじゃないかと指を引っ込めたくらいだった。
そのとき、急に抜いた感覚が再び肛肉を刺激し、あたしの身体は更なる快楽に打ち震えた。

「はぁっ…はぁっ…はぁっ………!」
382こんなはずじゃなかったふたり。 ALTO View:2008/08/16(土) 22:35:07 ID:6IHkHk12
強烈な快楽の波がある程度引いたところで、あたしの身体はすっかり脱力しきっていた。
後ろに釣られて前も絶頂を迎えたため、女の子の部分から大量のオツユがトロトロと漏れ出ている。
興奮が醒め、欲求不満は解消された感はあっても自己嫌悪だけは残ったままだった。
「またやっちゃった………こんなんじゃいつまで経っても決心つかないな……」
仰向けの状態になり、自分の出した分泌液がついた指を天井にかざしながら弄ぶ。
こうして自分を慰めて満足していると、想いを成就したいって気持ちまで萎んでしまう。

……もっとちゃんと気持ちを持って行動しないとダメだよね。
よし、思い立ったら即行動!
明日先輩にちゃんと告白しよう。
先輩に好かれてないんだったら仕方ないけど、やらずの後悔よりはいい。
決めた! よしっ!

今日はとりあえず後始末して眠ることにした。
明日の訓練スケジュールは先輩と組んで行うヘリの機動操縦訓練だ。
それが終わったらで、告白しよう。


はばかりながら、アルト・クラエッタ。
やれ男っぽいところがあるとか、メカオタクだとか、最近は後ろで慰めるのが癖になってるとか、
おおよそ女の子らしくないところが多いですが、これでも立派な恋する乙女なんです!








……そういえば、高圧って電流に使う単位じゃなかったよね?


 ◇


「ヴァイス先輩、ちょっといいですか?」
「ん、どーした?」

―――当日。
今日の訓練が終わって日も暮れ始め、あたしは一緒にヘリの点検をしている先輩に話しかけた。
383こんなはずじゃなかったふたり。 ALTO View:2008/08/16(土) 22:36:54 ID:6IHkHk12
先輩のスケジュールが空いてるようだったら、あたしは告白ついでにデートに誘うつもりでいた。
「今度の休暇シフトの日、予定空いてますか?」
「んーっと……ちょっと待ってな」
そう言ってストームレイダーを取り出し、スケジュールの検索を始める。
やがて、先輩の表情が少し曇った。
「あーすまん。ちょっと用事入ってる」
「お出かけですか?」
あたしが尋ねると、先輩は少し考え込むような仕草を見せる。
「んーまぁ、アルトになら言っても良いか。いわゆるデートってやつさ」

……えっ?

―――デート。
恋愛関係にある二人が、日時や場所を打ち合わせて逢瀬を楽しむ行為。
それってつまり。

「で、デートって……それって、あの」
「なんだ、デートも知らんのかお前は? いいか、デートってのはだな」
「そ、それくらい知ってます!!」
あたしは自分の動揺を隠すくらいの勢いで先輩に即座にツッこみを入れた。
「ほう、アルトのくせにいっちょ前にデートも知ってるのか」
「当たり前です! 小さい子供じゃないんですから」
そこまで言ってあたしはテンションを下げる。
ついさっきまで楽しかった先輩との掛け合いが急に虚しく感じたから。
「ヴァイス先輩……彼女、居たんですね」
あたしがそう呟くと、先輩はあさっての方向を見て頬をポリポリと掻いた。
「まーな。俺は別に隠すつもりはなかったんだが、アイツが言いふらすなって変に恥ずかしがっててさ。
 そのくせ告白してきたのはティアナのほうからなんだよな……ったくあのバーカ」
悪態をついているが、その表情はどこか緩んでいた。
「…………」
あたしは何も言えなかった。
先輩に恋人がいただけじゃなく、その相手はティアナだった。
確かにティアナも六課時代、先輩とはよく一緒に居たけど……。
「ん? おい、どうしたアルト」
「うぇ!? いや、あの……先輩のお相手、ティアナだったんですね」
慌てて返事をしたあたしの声は、どこか上擦っていた。
でも、先輩はそのことはあまり気にせず話を続ける。
「ああ。まっすぐで必死で弱いところを見せようとしないくせに、どこか頼りなくて折れそうで。
 加えて変なところでバカ正直で、融通の利かないクソが付くほどのマジメっ子だけどさ……」
先輩は一呼吸おいて再びあさっての方向を見つめる。
384こんなはずじゃなかったふたり。 ALTO View:2008/08/16(土) 22:38:57 ID:6IHkHk12
「でも、俺もそんなバカでクソマジメな執務官補佐を好きになってたんだ。いつの間にかな」
「そう……ですか。おめでとうございます」
あたしは小さく呟いた。
「サンキュ。とまぁそういうわけで今度の休みはダメだわ。その次なら空いてるけど」
先輩の言葉に、あたしは慌てて首を振った。
「あ、あの……やっぱいいです! たいした事じゃないんで」
「そうか? 遠慮だったらする必要はないぞ。その次の休暇の時はアイツ航行任務中だし」
「いえ、本当になんでもないんです! よく考えたら相談するまでもないかなって」
あたしの言葉に先輩は怪訝な表情を浮かべる。
「んーまぁ、そこまで言うんだったらいいけどさ。本当にいいんだな?」
「はい……すみません、変なこと言っちゃって」
「いいってことよ。だけど、もし本当に困ったことがあるなら言ってくれ。後輩のケアは先輩の勤めだしな」
「……はい。ありがとうございます」
「よし」
先輩はそう言うと、あたしの頭にポンと手を乗せた。
「さて、おしゃべりはここまでだ。さっさとこいつの点検終わらそうぜ」
「はい」
あたしはそう答え、先輩と一緒にヘリの点検を再開した。


―――失恋、しちゃったな。
あたしの恋って、想いを伝える前に既に終わってたんだ。
これじゃまるで道化じゃない。



やがて点検が終わり、あたしと先輩はそのまま解散することになった。
あたしは逃げるように帰る準備を済ませ、いつもの家路につく。
「はぁ……」
足取りはトボトボとしていて、見る人が見れば訝しがったと思う。
ただこれが幸か不幸か、このかえりみちにあたしを知っている人は見当たらない。
「もし世界が違っていたら、今あたしの隣には先輩が歩いてたのかな……」
あたしはそう一人ごちた。
なんでこうなっちゃったんだろう。
頭の中は考えてもしょうがない『もし』が渦巻く。
そんなことをしても無意味だってことはわかってるのに。

「……やめよ。きりがないや」
そうだ。
今日はさっさと部屋に帰って、泣き腫らして過ごそう。
自分を慰める気も起きない。

早いところこの痛みを忘れよう。
今を乗り切れば、きっと時間が解決してくれる。
たぶん。
385こんなはずじゃなかったふたり。 ALTO View:2008/08/16(土) 22:40:47 ID:6IHkHk12
とりあえずさわりとしてこんなところです。
本物がわからないから感覚の検証の仕様がないorz
386名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 22:54:33 ID:oG5Z7Eem
これでさわりか、続きが楽しみですな
ところでなんの接点もないユーノよりは同じ六課所属のグリフィスのが良いと思います
387名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 22:56:06 ID:l0PUCQri
おう! なんたる失恋だ、GJ!!

まあ俺もグリフィス君かな、本編での空気っぷりを払拭してくだされ。
388名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 23:35:11 ID:5DyqUFEF
>>385GJ!
アルト未経験のくせしてエロ過ぎだろwww
相手は敢えてユーノがいいです。
接点がないだけあって作者様がどうやって二人を引き合わせるか見物ですし。
389名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 23:36:39 ID:xa2qrLjg
>>385
GJ。
まあ、説得力が大切って事で、ユーノよりはグリフィスが自然かな。
しかしそうなるとルキノがとうかなってしまうのか?
390名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 23:52:52 ID:FZi7u+Dz
>>339
GJ!!!
エロオはこれぐらい腹黒(変態)っぽい方がいいとも思えるんだ
他の女性にもてるからこそ、ティアへのこういった思いが映えるんじゃないか!
二人が恋人同士になる日もそうまた遠くない?
391名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 23:58:17 ID:ExtdiTKz
>>385
GJ!
俺も相手はグリフィスの方希望かな。

あと一つ。長編投下するならコテなりトリップなりつけた方がいいかと。
392名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 00:04:56 ID:vVNVFw8n
>>389
グリフィスとルキノは公式CPじゃないんだし、気にせんでもいいと思う
むしろ今度はアルトがグリフィスと恋人になりルキノが誰かを……と繋げれば良い。相手役が居ればだけど
そいや、グリフィスもルキノ、シャリオ、はやてと相手役は多い方……つか男女比がおかしいからこうなるのかね
393 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/17(日) 00:11:21 ID:gSswFhr6
前回、続きは数日後と書きましたがやっぱり書かせていただきます。
>>385の投下終了より一時間以上経過してますし、大丈夫ですよね?

・『世界の平和を取ってスカの嫁兼監視役になった未来』『自分の幸せを取ってユーノと結婚した未来』
の二つのIFをそれぞれ描きます。
・スカがヤンデレになるのはなのは×ユーノルートのみです。
・エロあり(ただしドラマメインなので簡略的になってます)
・タイトルは『二つの未来』
・鬱注意です。(×ユーノルートでは、ヤンデレ化したスカの手によって様々な鬱展開がありますし、
×スカルートもなのは×スカ要素嫌いな人にとっては鬱ですから)
・一つ一つを事細かに描写する事もあれば、ダイジェスト風のあっさりした物になったりと、
その時々によって描写に差があります
・×スカルートのスカがちょっとマゾっぽい
・×スカルートのなのははちょっとツンデレっぽい
・時期的に色々不謹慎なネタもありますが…ご了承下さい。
・オリキャラも出るでおじゃるよ。

×ユーノ編に関して追加分の注意書き
・鬱なシーンとコミカルなシーンの両方があります。
(コミカルさがあるからこそ、鬱が際立つとかその理論で。勿論逆もしかり。)
・後半あたりクアットロが妙に活躍します。オリキャラとも絡んだりします。
・ウーノが『ドクターは私の旦那!!』なキャラに変貌してます(崩れキャラ嫌な人注意)
・少し801要素まで追加されちったorz
・スカは逃亡中なのに何故かウーノとかは軌道拘置所にいる矛盾は目を瞑ってください
・お馬鹿フェイトが少しだけ復活してます。フェイト好きスマソ
・下ネタ要素あります注意
394二つの未来 35 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/17(日) 00:12:39 ID:gSswFhr6
あれから数日。『帰ってきたジェイル=スカリエッティ』の送り込んだ怪人によって
意識不明の重体にされた(別の意味で)ティアナ達4人は未だ目を覚まさないし、
何より肝心の事件の主犯であるスカリエッティは未だに姿を現さない。
一応捜査は続いていたが何処にいるのか…何を考えているのか一切不明で不気味だった。
だが、それだけならまだ良い。問題なのは…捜査に加わっている一部の人間が
ストレスを蓄積し始めている点にあった…。

夜遅く…訓練場の中で一人素振りを続ける者の姿があった。フェイトである。

「……………………。」

新ソニックフォームの形態を取ったフェイトはただただ…黙々とバルディッシュを握り
素振りを続けていた。もはやそれを初めて何時間になるだろう。

「ハァ…ハァ…ゼェ…ゼェ…。」

フェイトの息は完全に上がっており、全身が汗まみれになっていた。
その汗によってただでさえ軽量化の為に薄くなっている新ソニックフォームが
完全にフェイトの肢体に密着し、乳首が浮き出て見える程であった。
だと言うのに…フェイトは素振りを止めないのだ。ザンバーフォームのバルディッシュを
振り上げ、それを振り下ろすたびにフェイトの豊満な乳房が揺れる。
しかし…その素振りには何処か雑念が混じっている様に思えた。

「なのは…どうして…あんな事…。」

フェイトは数日前…なのはに言われた事が未だ気になっていた。
スカリエッティは、自分を尻に敷いて、自分に遺伝子レベルで刷り込まれた『無限の欲望』を
抑えられる様な強妻としてなのはを求めている。だが、今のなのははユーノの妻であるし、
子供もいる。だからこそ、なのはと同じ位強いフェイトがなのはの代わりに
スカリエッティと結婚して、彼を尻に敷けば事件解決と言う事をなのはに言われてしまったのだ。

「確かにあれは冗談半分で言った事かもしれないけど…言って良い冗談と悪い冗談がある!」

フェイトは確かにあの時のなのはの発言はただの冗談だと分かっていたが、
例え冗談でも許せなかった。彼女にとってスカリエッティは単なる時空犯罪者では無い。
むしろ宿敵も同然の相手である。

「なのはは分かって無いんだ!! 私がどれだけ奴を憎んでいるか!! 私がどれだけ奴の
逮捕に執念を注いで来たかが分かって無いんだ!!」

知らず知らずの内にフェイトの声は荒くなり、素振りも激しくなっていた。
バルディッシュの先端が訓練場の地面に直撃し、打ち砕いてしまう程にまで。

「だからあんな事が言える!! 誰がスカリエッティと結婚するものか!!
例えなのはでも…冗談でもあんな事言うなんて許せない!!」

帰ってきたスカリエッティが未だ見付からないと言う事に関してストレスを
溜めている事もあるが…今のフェイトは明らかに何処かギスギスしていた。
395二つの未来 36 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/17(日) 00:13:16 ID:gSswFhr6
「なのはは良いよねー!! 大好きなユーノと結婚して赤ちゃんも産めてー!!
私なんか未だにロマンスの欠片も無いのにー!! もしかしてなのはが私にスカリエッティとの
結婚を勧めたのはこの為なのかなー!? 他に男がいないからスカリエッティで妥協しろって
事なのかなー!? ふざけるな…ふざけるなぁぁぁ!!」

フェイトは完全に切れていた。ストレスが限界に達してしまっていた。
しかも、それがフェイトにさらなる被害妄想を抱かせるのだ。

「もしかしたら…もしかしたら…なのははまた私にスカリエッティとの結婚を勧めて来るかもしれない。
それ所か…管理局自体が…『奴を尻に敷いて抑える事によって平和が来るのならそれに越した事は無い』と
グルになって私に迫って来るのかもしれない…そんなの嫌だ…そんなの嫌だ………。そのくせなのはは
私に見せ付ける様にユーノとイチャイチャして…ナーノを可愛がったりするんだ…………。」

そう考えると…途端にフェイトはなのはの事が憎らしくなった。確かになのはは親友だ。
だからこそ…自分をこんな目にあわせるなのはが…許せなかった。

その頃、なのはは家でナーノと共に過ごしていた。もう夜遅い故にナーノ共々にパジャマを
着用して、二人でTVのバラエティー番組を見ていた。ちなみにユーノは無限書庫の仕事が
忙しくて今日は帰らない。

「番組も終わったし…ナーノはそろそろ寝なさい?」
「ハーイ。」

なのはに言われて、ナーノは寝る為に自室へ向かったが…そこで突然呼び鈴が鳴った。

「こんな時間に誰?」

なのはは玄関へ向かうが…そこにいたのは何とフェイトだった。しかも新ソニックフォームの状態なのだ。

「フェイトちゃんどうしたの? こんな時間に!」
「なのは…この一連の事件を解決させる良い方法を思い付いたんだ…。」
「え!? 本当!?」

なのはの顔に思わず笑顔が浮かんだ。確かに事件を解決させるに越した事は無いからだ。
しかし…なのはは気付いていなかった。フェイトの目が明らかに病んでいた事を…

「この事件を解決させる方法…それは…なのはがユーノと離婚して…スカリエッティと再婚すれば良いんだ。」
「え…。」

フェイトの発言になのはは凍り付いた。

「フェイトちゃん…それ冗談で言ってるんだよね?」
「いいや…冗談じゃない。本気だよ。」
「じゃあどうして…。」
「だから言ってるじゃない。奴がなのはを求めているのなら…なのはを彼と結婚させてあげれば良い。
なのはならスカリエッティをあっという間に尻に敷いて大人しくさせられる。ミッドは平和になる…。」
「フェイトちゃん…。」

ここでなのははやっと気付いた。今のフェイトが明らかに正気で無い事に…
396二つの未来 37 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/17(日) 00:13:52 ID:gSswFhr6
「なのは見て、ほら、離婚届も持って来たんだよ。これで直ぐにあの淫獣野郎と離婚して…
あの淫獣U世のクソガキも捨てて…スカリエッティの所に行こう? アイツと…結婚しよう?
そうすれば…そうすれば世界は平和になる…平和になるんだよ?」

フェイトはなのはの両肩を掴み、軽く揺らしながらそう言うが…なのはの目は途端に厳しくなる。

「いくら寝る時間だからって寝言はやめてよ! フェイトちゃん真面目にやってるの!?」
「どうして怒るの? それに私はいたって真面目だよ。」
「何処が!? フェイトちゃんが言うのは全然解決になってないよ!! 私だけじゃない…
ユーノ君やナーノを馬鹿にしてるも同然じゃない! それに…ウーノさんの事も…。」

なのははフェイトが許せなかった。確かに彼女とは親友同士だが…だからこそ
フェイトの暴言は非常に許し難い物だった。

「いい加減にしてフェイトちゃん! もう知らない!」

なのははフェイトを突き飛ばし、戸を勢い良く閉めた。そして部屋に戻ろうとすると
廊下にナーノが泣きそうな表情で立っていた。

「お母さんどうしたの? フェイトおばちゃんと…喧嘩…したの?」
「何でも無い。何でも無いよ。だから早く寝よう?」

なのははナーノを不安にさせないように優しく微笑みながらナーノの頭を撫でた。

「そっか…どうあってもなのはは淫獣野郎と淫獣U世が捨てられないか〜…。なら…。」

一方その頃、フェイトは呆然となのはの家の玄関前に立っていたが…
そこで何を思ったか…何処へ立ち去った。

それから一時…なのはとナーノはそれぞれの部屋で静かに眠っていたのだが…
そこで突然電話のベルが勢い良く鳴ったのである。

「何〜? こんな時間に〜…。」
「お母さんどうしたの〜?」

ベルの音があんまり大きい物だから、なのはは愚かナーノも起きて来ていた。
そしてなのはは眠気眼のまま受話器を取るのだが…直後に眠気が吹き飛んだ。

「はいスクライアですが…ええ!? ユーノ君が!?」
「お父さんがどうしたの!?」

電話は無限書庫に勤める男性司書の内の一人からの物で、彼が言うには
無限書庫に突然フェイトが押し入って来てユーノが斬られたのだと言うのだ。
それを聞いたなのははナーノ共々に大急ぎで着替え、ユーノが運ばれたと言う
管理局内の医療施設へ向かった。
397二つの未来 38 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/17(日) 00:14:44 ID:gSswFhr6
「ねぇお母さん…お父さん…本当に斬られたの? 大丈夫だよね? 大丈夫だよね?」
「大丈夫よ。ユーノ君は死なない…。死んでなるものですか…。」

なのははユーノがどんな理由で、どの様にしてフェイトに斬られたのかは分からないが…
二人が到着した頃には既に医療施設ではユーノの手術が始まっていた。
こうなっては今やなのははユーノの無事を祈り、泣きじゃくるナーノを優しく抱いて
少しでも悲しみを和らげてあげる事しか出来なかった。

「お父さん…死なないで…死んじゃ嫌だよ…。」
「大丈夫…大丈夫…大丈夫…。大丈夫だよね…ユーノ君…。」

なのははなおもナーノを抱いて夫の無事を祈っていたが…そこで無限書庫に勤める
司書が数人申し訳無さそうな表情でやって来た。

「申し訳ありません…私達が付いていながら…司書長を守る事が出来ませんでした…。」
「貴方達が謝る事じゃありませんよ。でも…フェイトちゃ…フェイト執務官が何故突然夫を?」
「それは私達にも分からないのです。突然仕事中にフェイト執務官が飛び出して来て…
司書長を斬り付けた後、何処へと逃げ去ってしまいました。」
「一応他の部署の人達を追ってますが…まだ見付かってないそうです。」
「そう…フェイトちゃん…何故…。」

なのはにはフェイトが何故ユーノを斬り付ける暴挙に走ったか理解出来なかった。
と、そこで手術室から手術に参加していた医師が現れるのである。

「あ! 先生! 手術の結果は!?」
「大丈夫です。意識はまだ回復していませんが、命は取りとめました。」
「あ…良かった…。」

完全とは言い難いが…命は取りとめた事を知ったなのはは、途端に泣き崩れた。

「良かった…ユーノ君…死ななくて…良かった…。」
「お父さん…大丈夫なの!? 助かったの!?」
「そうだよ坊や。まだしばらく安静が必要だけど…お父さんは直ぐに良くなるよ。」
「やったー!」

ユーノの手術が成功した事に、ナーノや司書達もまた喜んだ。

その後、一時帰宅したなのはとユーノは…二人同じ布団で寝た。ナーノが小学生になって以来
二人一緒に寝ると言う事は無かったのだが…今日は別。なのはは何となくナーノと一緒に
寝てあげたかった。そんな気がするのだ。

「お母さん…お父さんは元気になるよね?」
「うん。直ぐに元気になるよ。お父さん元気になったら…皆で何処かに遊びに行こうね?」
「うん。じゃあおやすみなさい。」
「おやすみ…ナーノ…。」

なのははナーノの柔らかな頬に優しくキスをして…二人一緒に寝た。
しかし…二人は気付いていなかった。真っ暗な中、なのはと寄り添って眠るナーノを
憎らしい目でずっと睨み付け続けている…ヴィヴィオの存在に…

「ママ…どうして…どうしてナーノばっかり…私も…ママの子なのに…どうして…。」

                      つづく
398 ◆6BmcNJgox2 :2008/08/17(日) 00:15:52 ID:gSswFhr6
本当ならもっと丸く収まるENDを考えていたのですが…
批判覚悟で少し本気を出して見る事にしましたごめんなさいorz
399名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 00:19:58 ID:xvaVUrfV
グリフィスだな。接点的に
400名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 01:41:58 ID:UeawO//B
ひでえなあもうw
どこかを立てればどこかが倒れ、どこかを倒せばまた違うところも倒れるw
401名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 01:54:51 ID:8+a3UtbD
>>374
そんなあなたにちょっと文句とかいちゃもんとかじゃなくて質問
未来じゃなくて過去の話で、別になのはのこのキャラを使わないでもいいじゃないか、という話はあり? なし?
オリジナルにキャラ作るでなく、別にこのキャラである必要性が無いけども、そのキャラクターで話を一つ思いついたので気になった
402名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 07:26:46 ID:/x3smkv3
goxたんのSSは安心して読み飛ばせるから気が楽だ
403名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 11:04:14 ID:vVNVFw8n
>>401
そういうのって書き手と受け手しだいじゃね?
逆行や憑依物を二次と言う名の実質一次とみるか、二次とみるかってのと同程度かと
過去物にしたって終わりが原作に繋がるかどうかで見方が変わる。
原作重視な方にとっては原作に繋がらないのは拒否なんだろうけど、だったら二次を読みにここに来るなて終わりだし

ただ次世代ものはなー。公式で次世代がクロノの双子と雫とヴィヴィオぐらいか?公式カプが無いほとんどないから前提からなにもかもがオリジナルになる
過去物も似たようなもんだけど、やっぱ書き手と受け手がどう思うかにしかならんね
404名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 11:25:14 ID:ZejFG4Wh
>>403
ここは日記帳じゃないから。
405名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 11:36:51 ID:FQQOSEAA
GJ!!です。
今度は、ヴィヴィオがwもうどうにもならんなw
406名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 14:17:49 ID:elk8BRQV
GJ!
養子が実子に嫉妬と憎悪を抱きやがて……
どんな昼ドラだwww
407名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 15:32:28 ID:0bsPNGGh
そういえばヴィヴィオがいたことに今気づいたwwwww
408名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 16:03:23 ID:vdXdOrTg
>>339
遅レスだがGJ!!
完全にストーカー化してるエリオが実にイイ!
他の女性陣を振り切るという多少不純な動機とはいえ、抱いた気持ちはちゃんとした恋心
潔く自らの罪を認めたのも好感度アップにつながったかと
どうもこの続きが気になってしまう…。できれば続きを!
409シロクジラ ◆bsNe6z3qW2 :2008/08/17(日) 19:10:22 ID:IF0K/Pr7
なんという昼ドラ展開・・・これは、虐めの予感・・・!
頑張れ、ナーノ!

さて、「あるいは彼女の幸福」の第二回を投下させていただきます。
前回はエロでしたが、今回は初め以外は非エロです。

注意事項
・STSアフター
・オリキャラ×トーレ
・非エロ
・バトルばりばり
以上が駄目な方は、「あるいは彼女の幸福 その2」でNGを。
では、開始します。
410シロクジラ ◆bsNe6z3qW2 :2008/08/17(日) 19:17:14 ID:IF0K/Pr7
「あるいは彼女の幸福 その2」


「ん……ぁふぁ……」

音――面会室での情事の証たる唾液と舌の絡み合いは、ねっとりと濃厚に行われていた。
長身、青紫のショートカットの女性を抱きしめ、舌で女性の甘い口腔を蹂躙する男は190センチを超える背丈、
筋肉で張り裂けんばかりになっているスーツからもわかるが、筋骨隆々の大男である。
胸には時空管理局査察官の紋章があり、腹の鍛えられた腹筋は上から薄く脂肪を纏っている。
彫りの深い顔立ちに似合わぬ妙技で、男は女の口腔を攻め立てていた。
ぴちゃぴちゃといやらしい音が響き渡るのもかまわず女の口を吸い、己の唾液を飲み込ませながら舌を舌で嬲(なぶ)る。
頬が真っ赤になっている美女の髪を撫でつつ、ぬるり、と舌を彼女の口から引き抜いた。
唾液の糸が女と男の間にかかり、途切れた。

「んぁ! はぁ……はぁ……どうしたんだ、アーノルド?」

アーノルドと呼ばれた巨漢は、女の尻に手を伸ばすと、優しくもみしだいた。
盛り上がった柔らかな、しかし引き締まった肉を掴み、こねくり回す。
虜囚服の上からでもわかる尻のラインが歪み、温かいそれがアーノルドの掌に吸い付いてきた。

「はぅ?! や、やめろ馬鹿っ!」

ひとしきり尻の肉を弄んだ後、トーレに頭を引っ叩かれてアーノルドは揉むのをようやく止めた。
ちょっと本気で引っ叩いた為か、痛そうに頭を抱えている。

「あいたたた……」

「だ、大丈夫か?」

「あー、いえ、その……大丈夫です……ただ、トーレさんが嫌がることをしてしまったかなーと、ぬぉ?!」

すぱぁん、ともう一回頭を叩かれてアーノルドは悶絶した。
トーレが照れているのかどうなのか微妙な表情――それでも少し顔が赤い――で言う。

「私が良いと言っているから良いんだ。あと、さん付けは止せ。
…………お前とこうしていられるのも、あと少し、か」

アーノルドは、筋肉で覆われた身体を使ってトーレの引き締まった身体――鋼と血肉が同居する異形を抱きしめた。
突然の抱擁に驚きつつ、トーレは男に自らの肢体を抱きとめさせた。ただ、そうしていたかったから。
その耳元で、囁いた――あの日、誓った言葉を。

「絶対に、トーレのことを、不幸にはしませんから……!」

「格好つけすぎだ、馬鹿め……」

そして、どちらからとなく、互いの顔の距離が縮まった。
二人の唇が重なり――。



ナンバーズの三番目、戦闘部隊の指揮官だったトーレが更生社会復帰プログラムへの参加を表明したのは、瞬く間にナンバーズ更生組に知れ渡っていた。
第6無人世界の軌道拘置所からミッドチルダ地上の更生施設への移動が決まったことを聞いたときの彼女達の喜びは計り知れなかったが、
その中でただ一人、ナンバーズの五番目チンクだけはどうも腑に落ちないものを感じていた。
トーレの更生施設への移動を喜ぶ妹達を隻眼で眺めつつ、小柄な身体を俯かせて考えた。風に銀色の髪が揺れ、彼女の白い肌によく映えた。
トーレは、一度言ったことを翻すような性格はしていない。
妹達に厳しいことを言い強く当たることがあったが、それは彼女自身が男性的性格をしていることに起因する。
細かいことには拘らない大雑把な性格という意味合いもあったが、規律などを重んじ、責任感も強かった彼女だからこそ、<ジェイル・スカリエッティ事件>以後も
捜査協力を拒み、刑期短縮も断ったのだ。彼女が急に協力的になるというのも可笑しな話だったし、あまりにもわからないことが多すぎた。
『敗者には敗者の矜持がある』というのが彼女の言い分だった筈だし、無期懲役から保護観察処分になるほどの捜査協力をしたとは到底思えなかった。
チンクがうんうん唸っていると、誰かに肩を叩かれた。聞き覚えのある声が響き、ようやくチンクは我に返る。
411あるいは彼女の幸福 その2 ◆bsNe6z3qW2 :2008/08/17(日) 19:20:01 ID:IF0K/Pr7
「どうしたの、チンク姉。考え込んじゃって」

「ノーヴェか……いや、トーレのことでな。なんというか、トーレの行動にしてはおかしなところがありすぎる。
突然ここへの移動が決まるというのも妙な話だし、な。ひっかかるんだ」

実のところ、これには査察という名目で様々な事案を監視し、大きな権限を持つアーノルド・ノイマン査察官その人の四苦八苦の末の結果だったのだが、
そんなことをチンクが知るわけもなく、ただ大きな疑問が彼女の中に横たわるのみだ。
また、トーレの態度の変化も、アーノルドの熱意溢れる説得――休暇を消費してのものだ――による涙ぐましい努力の証であり、
つまるところ、アーノルド・ノイマンというイレギュラーの介入によってようやくトーレの中の事件そのものが終わったといえたのだ。
が、ノーヴェにとっても難題であるこの問題は、いささか難しすぎた。だから、とりあえずニュースの話題を提示した。

「そういえば、チンク姉。あたしたちの出所、予定より早くなるかもしれない、だって」

チンクは怪訝な表情でノーヴェを見た。
赤いショートカットの髪、金色の瞳に整った気の強そうな顔立ち。
そして、未成熟ながら出るところは出ている体つき。
ひどい敗北感――何か自分自身の幼児体型が嫌になる瞬間であった。

「……? チンク姉?」

「すまん、なんでもない……それで、どうして早まるんだ?」

「うーんとね、トーレ姉の証言で、ナンバーズ全体の嫌疑が晴れたんだって。
あたしたちが再犯する可能性は低いってことがわかって、<陸>のお偉いさんが色々と取り計らってくれてるみたい」

その言葉を聞き、チンクの顔がますます複雑になった。
あのトーレの証言で、罪が軽くなるということか。
妹達はいい、彼女達は人を殺したことも無い、穢れを知らない生き物だから。
だが、実戦部隊で早い時期から隠密と戦闘に携わってきたトーレと自分はどうだ?
既に死亡が確認されたドゥーエもそうだが、自分達はスカリエッティの手足となって戦ってきた。
幾度と無く命を奪ってきた――特にトーレと自分は、ゼスト・グランガイツをはじめとする管理局員を殺傷したのである。
戦いの最中のことであったが、チンクは今でもそれを自分達ナンバーズ年長組の澱みだと感じていた。

それが許されることなど、あっていいのだろうか?

わからない――そこまで考えたところで、チンクは時計が鳴っているのに気づいた。
隻眼で時刻を確認し、声に出した。ギンガに指定された時刻の五分前だ。

「時間だ、全員中庭に集合! トーレを迎えにいくぞ」



ギンガ・ナカジマは今、現在進行形で困り果てていた。
原因は、今日この場所に来るというナンバーズの三番目、トーレの遅刻。
時間になれど来ない護送車両に痺れを切らし始めたとき、ナンバーズの面子が中庭に入ってきた。
あちゃー、と顔を左手で押さえつつ、彼女達の疑問を感じ取る。

――トーレはどこだ?

という尤もな疑問を最初に口に出したのは、意外にもチンクだった。
銀の長髪が風に揺れてざわざわとたなびいた。鋭い隻眼がギンガの顔を見据える。

「ナカジマ担当官、トーレは何処に?」

「う……まだ護送車両が着いていません、渋滞にでも巻き込まれているのか――」
412あるいは彼女の幸福 その2 ◆bsNe6z3qW2 :2008/08/17(日) 19:21:29 ID:IF0K/Pr7
ギンガの胸の携帯端末が鳴った。
すぐにそれを手に取り、空間モニターを開いたギンガの耳に飛び込んだのは、悲鳴のような声。

《ナカジマ捜査官、戦闘機人をのせた護送車両が襲われています! 敵は――》

「――っっ、わかりました、すぐに急行します!」

そう言いながらバリアジャケットとデバイスを展開する彼女を呼び止めたのは、チンクだ。
白い施設の衣服を着込み、小柄な体をぴんと伸ばして言う。

「待ってください! あなたが出る必要は無い筈です、すぐに近隣の部隊が駆けつけるでしょう」

元より、ギンガとチンクの間には決して消えぬ因縁があった。
数年前の戦闘機人事件で、ゼスト隊の一員だったギンガの母クイント・ナカジマを殺害したのは、当時稼動していた戦闘機人であるチンクとトーレなのだ。
正確には二人と自律戦闘機械ガジェットドローンが、ゼスト隊を殺害したのであるが、罪は変わらない。
また、つい最近の事件では地上本部でギンガに致命傷を与え、スカリエッティのアジトに回収、洗脳に追い込んだのもチンクだ。
ある夜、チンクはそのことをギンガに伝えたが、それに対するギンガの反応は、彼女には理解し難いものだった。
なじってくれてよかった、罵ってくれてよかった、殴ってくれてよかった――けれど。
彼女はあることをチンクに訊いただけだった。

母の死に様を――クイント・ナカジマの最期を。

何故、それを訊いたのかついにチンクにはわからなかったが、それでも彼女が自分を“赦した”ことだけはわかった。
ゆえに、チンクは相対する――ギンガという人間に。何故、すぐに誰かを助けに行くのかと。
ましてや、それが母親の仇であっても助けるなど、チンクの理解を超えていた。
ギンガは笑顔で言い切った――それが、己の使命なのだと言わんばかりに。

「それでも、私に助けられる人がいるのなら――助け出したい。それが、私にできる最善だから」

そう言うと、ギンガはローラーブーツで駆けだし、ナンバーズの面子に自主勉を言いつけて去っていった。
くるりとチンクは踵を返し、自室へ向けて歩き出す――それをノーヴェが呼び止めた。
不思議そうな声で姉を呼び止める。

「どうしたの、チンク姉?」

「なんでもない、姉はわからなくなっただけだ……何が正しいのか、な」
413あるいは彼女の幸福 その2 ◆bsNe6z3qW2 :2008/08/17(日) 19:23:11 ID:IF0K/Pr7
トーレの護送当日、休暇を取っていたがっちりした大男――アーノルド・ノイマンは、自宅で新聞を広げてTVモニターを時折眺めながら気だるい午後を貪っていた。
思い出したように昼食の山盛りのスパゲッティに暖めておいたレトルトのミートソースをかけ、フォークでぐちゃぐちゃに混ぜて粉チーズを振り掛ける。
同時に冷蔵庫から取り出したタバスコを真っ赤になるほどかけた――これで、市販の甘ったるいミートソースも多少ましな味になるのだ。
朝に切っておいた生野菜にドレッシングすらかけずにむしゃむしゃ食べつつ、缶入りの酒は冷蔵庫にあったかなと思考した頃。
スパゲッティにがっついていると、緊急ニュースがモニターに映し出された。
曰く、緊急特番――クラナガン中央の大通りに無人の傀儡兵らしきものが出没したというニュースだ。
モニターには無人飛行艇から撮影されたと思しき映像が映し出され、火を噴き炎上する自動車や逃げ惑う市民を捉えている。
む、と唸りながらモニターを眺め、ハイカロリーな昼食にかぶりつくアーノルドは、やがて驚愕に目を見開いた。
渋滞の列に巻き込まれる形で、一台の装甲護送車両が取り残されていた。
運転手は既に職務放棄したようで、更生施設に護送されていた囚人が取り残されているらしいという情報をニュースアナウンサーが流す。

「まさか……」

スパゲッティをたぐる手も止めて、モニターに見入る。
その車両は、査察官の権限で調べておいたトーレの護送車両に間違いないようだった。
アーノルドは大急ぎで時空管理局本局の制服を着ると、アームドデバイス――待機状態、キーホルダー型のそれをポケットにしまい、
喰いきっていないスパゲッティをテーブルの上に残して玄関から出た。
仕事用のブーツを履き、階段を駆け下りて愛車のキーを胸ポケットから取り出す。
向かうは駐車してある大型の自動車。黒鉄のごつい外殻を持つ陸上走破用大型機動車――リンクス(山猫)三式の高い車高をものともせずに運転席に乗り込む。
アーノルドの大柄な体にぴったりのシートに座り込むと、キーをエンジン始動用のスロットに差込み捻る。
エンジン始動――最新鋭の対電磁波兵器処理の施された機械制御系が起動し、AI技術の発達したミッドチルダならではのアナウンスが流れた。

《行き先は何処でしょうか?》

「手動運転で突っ切る」

《了解。マニュアルでの運転に切り替え》

見た目に似合わぬ静穏なエンジン音を響かせ、燃料の水素を排出水に変えながら愛車を爆走させる。
向かうはクラナガン中央通り――トーレがいるであろう場所だ。
のろのろとオートモードの安全運転で走る車両を次々と追い抜き、汗を背中に掻きながら愛車を走らせた。
祈るように呟く。

「間に合ってくれ……!」
414あるいは彼女の幸福 その2 ◆bsNe6z3qW2 :2008/08/17(日) 19:23:57 ID:IF0K/Pr7
異形。
そうとしか言えぬ金属の怪物が、跳躍――三メートルもの巨躯で無人の乗り捨てられた自動車を踏み潰し、爆発炎上させた。
爆煙から飛び出た怪物は、その二本の足と一対の腕部を用いてアスファルトに着地、丸い頭部のセンサー素子の覗き見えるスリットを前に向けた。
それは言わば機械人形とでも言うべき鋼。人型の四肢は刃のように細長く、先端に人間同様についている指は矛先の如く尖っていた。
胴体はバイクのカウルのような白銀の装甲に覆われ、陸士部隊の放つ砲火を弾いていく。間接には蛇腹の金属装甲が使われ、弱点となり得ない。
動揺した陸士の一人が喚いた。他の陸士数人も、余裕のあるものなどいない。

「畜生、何なんだこいつはっ?!」

かさかさと四足で動き回る怪物のセンサーは、確かに護送車両の方に向けられていた。
狙いが中の囚人であることは明白であり、それゆえに陸士部隊は動けなかった。
既に運転手達は逃げてしまっていて、護送車両に残されているのは囚人だけなのだ。
その囚人が『あの』戦闘機人であるとは流石に誰も気づかなかったものの、能力制限を行われているので一般人と大差ないのが現状の『彼女』であるため、
陸士たちが護るしかないという意味では普通人と変わりなかった。長い間射撃魔法で応戦していた陸士たちの疲労の色は濃く、もはや魔法の行使も限界に来ていた。
指揮官である男は、決断を迫られていた――囚人を見捨てての撤退か、部隊員の損害を覚悟しての継戦か。
いや、元よりそれは比べられないものだ。
見ず知らずの囚人とよく見知った部隊員の命を、どうして比べられよう?

「全員、撤退――」

苦渋の決断を選択しかけたとき――ぎゃりぎゃりとアスファルトを削りながら一台の大型四輪車両が停止した。
大型のオフロードタイヤの車輪がブレーキに回転を止め、アスファルトを摩擦で焦がしながら停車。
装甲車両にも似た黒鉄色の自動車は、どうやら封鎖線を突破してきたらしく少し傷が付いていた。
その窓が開き、太い男の腕が大型のナイフ――刃渡り三十センチはあるだろうか――を振るった。
鍔元に仕込まれた六連装回転弾倉が廻り、カートリッジが消費される。

「ルフトメッサー」

緑色の魔力光が風を圧縮、空気の刃を形作って鎌鼬のように謎の人型に向けて飛んだ。
金属装甲に覆われた怪物は、その刃物のように長い脚で跳躍するとこれを避けて、陸士を跳び越して自動車――リンクス三式の目の前に着地し。
その瞬間運転席の大男、アーノルド・ノイマンはアクセルを全力で踏み込んでいた。馬鹿げた大きさのエンジンがとんでもない馬力をごつい車体に与え、
金属の怪物を地面へ引き倒しながら跳ね飛ばす。金属製の、魔法を一切寄せ付けなかった異形の装甲が歪み、ごろごろと陸士達の足元に転がった。

「うわっ!」

悲鳴にも似た声をあげて陸士達が後ずさる――それが生死を分けた。
じたばたと、その円月刀のように細長い腕を動かしていた機械人形の腕部装甲が縦に裂け、内部から微細なワイヤーカッターが射出される。
ぱひゅう、と風を切って飛来したワイヤーカッターは道端の広葉樹や自動車を切断しながらアーノルドの車に迫るが、孤を描くように射出されたそれは、
真っ直ぐに猛スピードで爆進するリンクス三式には当たらぬ。もう一度金属製の人型を跳ね飛ばすと、アーノルドの車はぎゃりぎゃりとタイヤを擦らせながら
護送車両に近づいた。ばん、と勢いよく開いたドア。
駆け下りる長身の大男は、ナイフ型カートリッジ式デバイス『リボルバーブレード』の凶刃を鞘に戻しながら、陸士部隊に呼びかける。
ナイフとしては長大な三十センチもの刃とのバランスを取る為に、鍔元に装着された黒塗りの回転弾倉は、男が時空管理局の人間であることを物語っていた。
管理局本局の制服は、隆起した筋肉で今にも裂けそうなほど盛り上がっており、男の肉体の壮健さを窺わせる。

「皆さん、ご無事ですか?!」

「ああ、あんたはいったい――」

「しがない本局の査察官、アーノルド・ノイマンです」

そう言うなり、男は護送車両に歩み寄り覗き窓に向けて言った。
何処かひょうけた、しかし愛情深い声で、最愛の半身機械の女性に。

「トーレさん、無事ですか? 貴方を、迎えに来ました」

これに応える声は――。

『さん付けはやめろ、馬鹿』
415あるいは彼女の幸福 その2 ◆bsNe6z3qW2 :2008/08/17(日) 19:28:32 ID:IF0K/Pr7
トーレの心情は、信じられない気持ちで一杯だった。
もう、駄目だと思っていた。戦闘機人としての力を封印処理で封じられた自分は、ただの無力な女だ。
このまま陸士部隊にも見捨てられ、あの機械の化け物に八つ裂きにされるなり、攫われるなりして生涯を終えるのだろうと、そう覚悟を決めていた。
だというのに――この男は。

「一番心細いときに来るんだな、お前は」

『何か言いました?』

「……なんでもない」

護送車両の壁でくぐもって聞こえる男の声に安堵しながら、息を吐いた。
アーノルドの声が護送車両の扉の前から聞こえていて、何かをしているらしいことがわかる。

「おい、何をしている? まさか――」

『ええ、錠前を破壊してます』

カートリッジロードの蒸気が、覗き窓から見えた。魔力強化で押し切るつもりらしい。
トーレは頭痛がしたので、頭を右手で押さえて溜息を吐いた。
白い虜囚服の上からでもわかる素晴らしいプロポーションが屈んだことで歪み、大きなお椀型の胸が少し揺れる。

「管理局の武装隊の前でやったら、ただの不信行為だろう」

『いや、皆さん囚人を連れて逃げることに賛成のようで』

む、と彼女は唸り、それっきり黙った。
錠前を切断する間のひと時、トーレは壁に身を預けて静かに呟いた。

「どうして助けに来た? お前は、ずっと私の騎士でもしているつもりか? こんな私を」

ずっと殺し続けてきた。多くを、あるいは無実かもしれない人々を。
そして罪と知りながら戦う道を選び、妹達にもそれを強いてきた。それは、トーレ自身の胸の痛みであり、贖いきれぬ罪過。
そんなものを背負った女の何処がいいのだろうと、つくづく思う――だから、声に出して問うたのだ。
男の答えは、実に明白で揺ぎ無いものだった。

『トーレさんが望むなら騎士様でもなんでも。私は、トーレさんが好きですから』

「……恥ずかしげも無く言うことか」

「自分に嘘をつくようなことはしたく、ありませんから」

扉が開き、アーノルドの笑みがそこにあり、太陽光が眩しくトーレの視界を焼き。
その背後で、ゆっくりと白銀色の機械人形が起き上がっていた。
トーレが吼えるように男に覆いかぶさり、押し倒した。

「アーノルドッッ!」

瞬間、移動する監獄と例えられた護送車両が斜めに両断され、獲物を仕留め損ねたワイヤーカッターが周りの自動車を引き裂きながら、
大通りのショーウィンドウを綺麗に切断。
強化硝子が砕け散り、異形の仮面のような頭部の、無機質なスリットから覗き見えるセンサー素子が、トーレとアーノルドを見据えた。
カチカチと機械の眼球が二人を見据え、『捕獲対象の戦闘機人』を捕らえるべく切断性を落としたワイヤーが放たれる。
立ち上がったトーレはこれを一寸の見切りでかわし、素手で殴りかかるようにして三メートルの巨躯を持つ異形に近づく。
異形の機械人形がその刀剣のような脚で足元を薙ぎ払うが、宙に跳んでいたトーレは猛烈な飛び蹴りを放って反撃。
怪物的人型兵器の凹んだ装甲をさらに歪ませ、後方によろめかせた飛び蹴り――その反発で地面に着地したトーレは、獰猛に笑った。
416あるいは彼女の幸福 その2 ◆bsNe6z3qW2 :2008/08/17(日) 19:30:20 ID:IF0K/Pr7
「インヒューレント・スキル無しでもお前程度には遅れを取らん」

「トーレさん! 下がってください、ここは私が」

リボルバーブレードの刀身が黒く輝き、鞘から抜き放たれた。
残り四発のカートリッジが詰まった回転弾倉が廻り、蒸気と共に魔力が爆発的に解放される。
カートリッジ機構のついたナイフ型アームドデバイスを見て、トーレが僅かに男を睨んだ。
悟る――カートリッジ機構のついたナイフということは、男の魔力はそれほど潤沢でない。

「アーノルド、お前の魔力量は……」

「ええ、いいところBランクってところです。
カートリッジの力も借りてAAくらい――でも、貴方を護ることは出来るっ!」

だんっ、とアスファルトを蹴りながらナイフを腰だめに構え、機械人形の右腕の金属製蛇腹間接に突き入れた。
ギリギリという甲高い音を立てながら、魔力によってコーティングされた刃が金属を焼き切り、高温に熱く燃えるような火花が散った。
バリアジャケットすら展開できないこの査察官は、リボルバーブレードで魔力障壁を張ってこれを防ぎながら刃を強く押し込んだ。
ぼとり、と機械の腕が切断されて地面へ叩きつけられ、機能を停止したワイヤーカッターが転がる。
しかし、右手の切断と同時に、機械人形は残った左腕を手刀として槍の如く突きこんでいた。
腸をぶちまけようと唸る金属の指先――アーノルドはこれを右腕を犠牲にして乗り切ろうとするも、
間に合わない――トーレは、間に合え、と念じながら跳んだ。
ISが使えれば、自分一人で倒せる相手だ――それが、ひどく苛立たしくて、ぎりっ、と歯を噛み締めながら己の体を盾にアーノルドを護ろうとした。
悲鳴のような低い男の声があがる。

「トーレさん!」

「さん付けは、やめ――ごふっ」

ずぶり、とトーレに喰い込んだ刃の如き爪先は、そのまま脇腹を突き破り背中に貫通、白い服を突き破って血に塗れた鋼の色を男に見せ付けた。
ねっとりとした赤の臓器と、強化骨格の骨が見えていた。地面へトーレの身体が力なく倒れ、腹の傷から止まることを知らぬ血液が放出される。
トーレの整った顔が吐血によって出来た血の池に沈み、目蓋がゆっくりと閉じられていく。

「……ふ…つまらん…終わり方……か」

「――――」

声にならぬアーノルドの絶叫が声帯から洩れた。
血に塗れた腕を引き抜いた機械の異形は、ワイヤーカッターを展開しようと左腕装甲を変形させる。

「……! 俺は……」

絶対零度の冷たさを持つ男の双眸が、異形の頭部を睨み付けると同時に左腕を断ち切っていた。
放物線を描いて飛んだ左腕だったものは、神速のナイフ捌きによって間接部分を完璧に破壊され、着地点の車のボンネットの上でスクラップとなった。
紛れも無く、“人殺し”の技術だった。
怒りも悲しみも超克した冷たい瞳で両腕を失くした戦闘人形を見据えると、脚の関節に向けて刃を滑らせ、人間で言う脚の腱――機械を支えるケーブルを切断。
がくん、と姿勢を崩した異形の頭部――アーノルドの手が届く程度の高さのそれが、御辞儀するようにこちらを見下ろす。
アーノルドは、無感動な目で頭部装甲スリット目掛けてナイフの刃を突き刺し、鍔元の回転弾倉内のカートリッジを全弾使い切った。
瞬間、凄まじい暴力的な量の魔力が身体を駆け巡るが、それを全て魔力刃の生成に回し、緑色に光り輝く刃が異形の頭脳体、制御ユニットを破壊、
そのまま刃を返し、唐竹割りに頭部から股下までを真一文字に両断した。
背後で小爆発が起きるのを尻目に、アーノルドは屈みこんでトーレの長身と、その腹に開いた穴を見た。
出血は戦闘機人ならではの自動止血処理で止まりかけていたが、大きな傷口から失われたものはあまりに多い量の血だ。
男の眼が虚無を湛えるのを止め、慌てて見開かれる。閉じられた女の目蓋がぴくり、と動き、少しだけ開いた。
潤んだ瞳が男を見て呟いた。
417あるいは彼女の幸福 その2 ◆bsNe6z3qW2 :2008/08/17(日) 19:30:52 ID:IF0K/Pr7
「いつか……こうなると……思って……げふっ」

「喋らないでください、今医者に――」

「……好きだったよ……アーノルド」

血塗れのトーレ左指が、アーノルドの頬を撫でた。
そして、それっきり動かず――男は吼えた。



ギンガ・ナカジマが現場に到着したとき、そこにはむせび泣く大男と血塗れで稼動を停止した戦闘機人の姿があった。
陸士部隊は逃亡した後で、現場には大型の重四輪車両と破壊された機械人形の骸が横たわるのみ。
立ち尽くすギンガに気づき、男が顔をあげて叫んだ。

「頼む、彼女を助けてくれっ!」

ゆっくりと首を振って、ギンガは言った。

「稼動停止……仮死状態です。もう…………」

「―――ッッ――糞ッ垂れェェ――!!」

嘆きは、都市に響き渡った。
それを、ビルの屋上から聞く影。一人の燕尾服を着た紳士が、杖を片手に眼下の地上を見下ろす。
紳士の年頃は四十代後半といったところだろうか。長い手足が印象的な颯爽とした男だ。
白いものが混じり始めた金髪を短く整えてあり、整った顔立ちに狂気にも似た感情を眼の中に帯びている。

「私のゴーレムがやられるとは……実に愉快、そして想定外」

嗤う邪悪は、<JS事件>から立ち直った街並みに暗い影を落とし、消えた。
418シロクジラ ◆bsNe6z3qW2 :2008/08/17(日) 19:33:06 ID:IF0K/Pr7
以上です。「もっとトーレに愛を」がテーマのこの拙作、何故か二話目で非エロに。
次回はあの手この手でエロスにします、多分。
419名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 20:26:18 ID:oAhyFF1G
GJ!!
トーレ姉死なないよね? 死なないよね!?
こんな気になる引きで終わりとか、今夜は興奮して寝れないじゃねえか。

しかしトーレメインヒロインのSSなんて嬉しすぎだぜ。しかもエロありバトルありの展開とか好物すぎて泣けてくる。
次回も半裸待機で待ってますぜ。
420名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 20:41:12 ID:Q+54V7k1
アーノルド・・・ダメだ、カリフォルニアのコマンドーしか浮かんでこねえw

と、何はともあれGJ。トーレメインは珍しいし続き楽しみに待ってますZE
421名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 21:01:22 ID:IDTyANPL
投下します。バカエロSSです
今、ここに二人の男が長年の決着をつけようとしている。この闘いは二人が出会ったときから避けられないものだったのだろう。

二人はどちらがより男であるか、どちらが漢であるのか、どちらが雄として優れているのかの証明する為に二人は今日という日を選んだ。

アースラ艦内の普段は模擬戦で使われる広い一室にて、男二人は全裸で睨み合う。

それを見届けるのは二人の家族や深い交友を持った関係者のみである。なお、関係者以外は完全にシャットアウトしており、闘いの様子は映像音声の記録の類は全て残さない。

ゆえに、残るのは見守った関係者と今から戦う二人の男の記憶のみである。無論勝負の内容は全て口外することは禁じられている。

「遂に…、決着をつける日が来たようだな」
「ああ、僕がこの日を一番楽しみにしていた」

これから行われる死闘を前にして、二人は普段と変わらない親友と話すような表情と口振りだ。だが二人の体からは殺気にも似た一触即発の空気が漂っている。

「それでは主審の八神はやてより、ルールの確認をさせてもらうで」

張り詰めた空気の中で三人の女性が前に出る。緊張した面持ちで出てきたのは高町なのは,フェイトテスタロッサ,八神はやてと二人をよく知る女性達だった。

「主審の私と副審のなのはちゃんとフェイトちゃんの三人が審判や。勝負の内容は三本勝負で先に二本先取したほうの勝ちや。武器や道具、薬物の使用は一切禁止。使用した時点で問答無用の反則負けを取るから覚悟しとき」

当然のことながら、闘いの前にシャマルの入念なボディーチェックと薬物検査が行われている。そして二人は今全裸である。道具を隠す場所はどこにもない。

会場全体が緊張に包まれる中で一本目の勝負の内容がはやての口から告げられる。

「一本目はチキチキチンポ持久力対決! 先にイッてしまったほうの負けや!」

おお〜! 20人にも満たない会場であったがどよめきが走る。一本目の勝負内容についての予想がそれぞれの口から展開される。

「クロノの勝ちね。あの子我慢強いもの」
「ユーノは回数はこなせるけど結構早くなかった?」
「よーし、クロすけに5000円!」
「ユーノ君。ファイト!」

さらにルールについての詳しい補足をすると、勝負はお互いに技術などで差が生じないように主審と副審の三人がそれぞれ順番にお口でご奉仕していくといったものだ。

くじ引きで決めた順で二人に同時にご奉仕を開始し、先に達してしまった方の負けという極めて単純ながら奥の深い勝負である。

くじ引きで順番は次のように決まった。

クロノ:フェイト→なのは→はやて→フェイト→なのは→……
ユーノ:なのは→はやて→フェイト→なのは→はやて→……

奉仕の時間は1分間で次の人に交代。そして体位は奉仕者に一任すること。どちらかがイッてしまうまでの時間無制限バトルである。

当然スタートは同時である。フェイトはクロノに座ってもらうオーソドックスなスタイルを選び、なのははユーノが立ったまま行う仁王立ちスタイルを選んだようだ。

二人ともスタート前から肉棒が直立し天を向いている。この日のために二人はオナ禁を一週間やり通していたのだ。

ゆえにこの勝負は、

「こいつは短期決戦だ」

呟いたのは鉄槌の騎士ヴィータだった。そして、その読みは誰もが頷いていた。どちらが勝つにせよ二人の発射は時間の問題だろうと。


「それでは一本目…、…開始!」
クロノ:一人目フェイト

ちゅっ

スタートの合図と共に、まず私はそそり立ったクロノの一物に優しく口付けをする。

「うっ…」

クロノ…、そうとう溜め込んでたみたい。息を吹きかけるだけでもクロノは辛そうな表情をしている。そんな彼の表情を見て、私はニッコリと笑顔を浮かべるとゆっくりと奉仕を開始する。

ぺろっ、ぴちゃぴちゃっ

舌の先端を使って竿の下端部からゆっくりと舐め上げていく。舐めるたびにクロノのおちんちんはより太く、より硬く、より熱くなっていく。

いやだ…。舐めてるだけで私まで変な気持ちになってきちゃった。私は奉仕を続けながら、自分の秘部にそっと手を伸ばした。

……濡れてる。私ってHな女の子だ。すごくクロノのおちんちんを欲しがってる。

だけど、いけないいけない。これはクロノとユーノとの勝負だ。私は自分の役割に徹しなきゃ!

くちゅくちゅっ

あんっ! でも手が止まらないよぉ! 私はクロノのおちんちんを舐め続けながら、右手では自分を慰めている。

いま、舐め上げてるものを自分の準備の出来上がったおまんこに入れたくて仕方ない。

んんっ! あんっ! おちんちん欲しいよぉ! ああああああああんんああああっ!


ユーノ:一人目なのは

この勝負は絶対に負けられない! だが一回戦の内容は僕にとっては不利なものだ。回数をこなすのには自信があるが、僕は早漏気味なのだ。

根性でなんとかするしかない。この日のために射精に使う筋肉であるPC筋は鍛えこんである! さあ、来るなら来い!

って、うあああああああっ!

な、なのはは開始と同時に奥深くまで僕の肉棒を咥え込んでいた。そして容赦なくフルスピードに顔が上下する。

さすがに常に全力全開のなのはである。まだ、始まったばかりだというのにいきなりクライマックスへと持っていく気だ。

苦しそうにしているであろう僕の顔に上目遣いをしながら、ディープスロートのスピードは衰えることを知らない。

普段の僕ならば、とりあえずなのはのお口に一発スッキリさせているところだろう。だけど今回は違う。これは闘いなのだ!

僕はあえて、なのはから目を逸らしてお尻に力を入れて発射するのを何とか堪える。1分間がこんなに長いのは産まれて初めてだ! 早く早く過ぎてくれ!

ああっ!

いきなり予想もしていなかった感触に体がびくんと震える。なのはが僕のタマタマに手を伸ばしてきたからだ。

決して痛くないように優しく優しく玉を右手で揉んでいる。ま、まずい! このままでは!

やばいと思った瞬間に終了を告げるブザーが鳴り響いた。ちゅぽん、と残念そうな表情でなのはが一物を口から引き抜く。

ほっと一息つく。どうにか、命を次にまで繋げられたようだ。クロノの奴もまだイッてないようだ。

次は気合いを入れていなければ危なそうだ…。
クロノ:二人目なのは

残念。ユーノ君の精液飲みたかったんだけどな。ユーノ君って早漏だから、きっと次の私の番にまわってこないだろうし。

ところで、フェイトちゃんったら、自分がイッちゃったみたい。あのトロンとした目は間違いない。もう、フェイトちゃんったらしょうがないんだから。

気を取り直して、クロノ君の精液をしっぽりいただいちゃうの♪ フェイトちゃんが舐めていた証のように、クロノ君のおちんちんには唾液がべっとりついてテカテカと光っている。

はむっ、じゅる、びちゅる

まずは、フェイトちゃんの唾液をおいしくいただくんだ。んっ、先端からカウパーが出てる。もちろんこれもおいしくゲットなの!

んんん、じゅるる、ちぅぅぅ

先端に口をつけて一気に吸い出す。んっ、おいしい。でも、もっと濃いのが飲みたいな♪

一気に奥まで咥えてディープスロートを繰り返す。常に全力全開! これが私のやり方なの。

あっ、クロノ君ってば歯を食いしばって我慢してる。もう二人とも可愛いんだから、我慢しないでさっさと出しちゃうの。

クロノ君のタマタマを揉みながら頑張ってみたけど、時間切れのブザーが鳴ってしまう。とってもとっても残念なの。


ユーノ:二人目はやて

まだ二人目だというのに限界が近い。はやてが手心を加えてくれたら嬉しいのだが…。その悪戯っぽい顔を見る限りはそれも期待できそうにない。

先端をゆっくり舐めながら竿の途中くらいまで咥え込んでいる。ここまでは普通だ。これくらいならば、僕も耐えることが出来るだろうがこれで終わるはずもない…。

うおおおおおおっ!?

竿に突然加わってくる激しい感触! これはピンサロ嬢に必須の必殺技スクリューフェラである!

舌を螺旋状に竿に絡めつかせながら、同時に竿をシゴキ上げる。その技の前に多くの男達が屈していったという伝統の技だ。

くっ! はやての奴め! いつのまにこんな技を? この日のために隠しておいたんだな!

だ、駄目だ! 耐え切れるものではない! あああああっ! 出る! 出てしまうっ!

ああああっ! ……あれっ? 急にスクリューの回転が弱まり、普通のフェラチオへと戻っていく。

はやては一度、僕の竿から口を離す。そして、

「ふふっ、簡単にはイカせへんで」

と、小悪魔のような表情を浮かべると再びスクリューフェラに戻った。

うぐおおおおっ! こちらの絶頂に達するタイミングを完全に見抜いている! 見抜いた上で遊ぶつもりなんだな。

それからも、強弱の変化を加えた動きに発射寸前になりながらも、なんとかその前にブザーが鳴った。

……いいや。これは生き残ったんじゃない。生かされたんだ!

はやては、さて次はクロノ君のおちんちんでも味わうかな、とか言いながら楽しそうにスキップをしていた。
クロノ:三人目はやて

ふふふふふっ、ユーノよりは余裕があるみたいやけど、クロノ君もそろそろ限界みたいやな。

ユーノもすぐにイッてまうやろし、安心してうちの口の中に出してもええんやからな。

んっ、ぺろっ、ぴちゃりっ

ふふっ、クロノ君のおちんちんも美味しいな。ユーノのとはまた違った味わいや。ほらっ、このカリのところが気持ちええんやろ? 隠さんでええねんで。

先っぽを舐めて、ちゅってキスして、ペロペロと舌で舐めて、そしてぱくっと咥える。

この一連の動作の間のクロノ君の表情が堪らへん。辛そうで、気持ちよさそうで、どこか期待したような表情。ああっ、もう! よだれが止まらんわ!

さあ、辛いんやろ? 素直になってうちの口に出したらええんや。まあ、我慢できないようにしたるけど。

ぐちゅり、ちゅるるる、じゅるり

うちの必殺のスクリューフェラでさっさとイッてまうんや。

んっ? あっ、しもうた! ブザーの音。時間配分ミスってもうた…。ああっ、もう一押しやったのに…。


ユーノ:三人目フェイト

やばい、正直もう持たないだろう。もう既に火山は噴火の直前だ。少しの衝撃を与えただけで、白いマグマが飛び出してしまうだろう。

フェイトはとろんとした妙にエロい表情で僕の竿を舐め始めた。

んっ、ぐうううううっ! 単調な舌使いのおかげでなんとか耐えているが、それも時間の問題だろう。

それにしてもフェイトの舌使いは助かっているとはいえ単調すぎる…。何かあったのか?

ちらりと目を向けると、げっ! フェイトの奴、僕への奉仕よりも自分の秘部への指捌きに懸命になっている。

僕の一物を舐めながら、自分を慰める姿。それはとんでもなくエロティックな姿だった。

まっ、まずい! 僕の肉棒はそんなフェイトの姿に反応してカウントダウンを始めてしまったではないか!

とりあえず、目をつぶるんだ! そして、なにか別のことを考えるんだ…。別のこと別のこと…そういえば、この間の盗撮ビデオのダビングを忘れてたな。

しまった! と思ったときはもう遅い。盗撮したパンチラシーンを思い出すと同時に、びゅるるるっとものすごい勢いで白い欲望が発射されていた。
「勝負あり! 一本目の勝者はクロノ君でした!」

場内から惜しみのない拍手が送られる。それは白く汚されたフェイトも残念そうななのはとはやても同様だ。

悔しそうな表情で涙まで流すユーノ。勝者でありながらどこか辛そうなクロノ。まだ、勝負は終わっていない。

二本目でクロノが勝てば勝負は終わりだが、次をユーノが取れば三本目まで勝負はもつれ込むのだ。

「ところで、はやてちゃん。二本目に移る前に条件を平等にしておかなくて良いの?」

何かを期待するようななのはの目。それに気づいてはやてもにんまりと笑みを浮かべる。

「そうやな。クロノ君も辛そうやし、楽にしたらんと。っで、誰がやる?」

一斉に手を挙げる三人。同時に三人は苦笑する。

「それじゃあ、みんなで舐めようか」
「うん、仲良くが一番だよ」
「顔を寄せ合って舐めるの? うん、楽しそう」

三人の女性は一斉にクロノに、いや、クロノの肉棒に群がるように襲い掛かった。

ぴちゃりっ、ぺちゃ、ぺろぺろ、ちゅむ、ちゅっ、ぴちゃり、ちゅるるるっ、れろれろれろっ

ぺろぺろぺろぺろぺろぺろっぺろぺろぺろぺろぺろぺろっ!

どぴゅっ! どぴゅっ! どぴゅっ!


二回戦に続く…のか?
427名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 21:08:49 ID:IDTyANPL
以上、お粗末さまでした。
続きは未定です。
428名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 21:16:49 ID:w29/Fefx
お互いのをやりあうのかと思ったのに
429名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 21:20:52 ID:oAhyFF1G
GJ!
しかしなんつうバカエロ、腹筋ねじ切れるかと思ったぞwww
430名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 21:24:33 ID:xvaVUrfV
バカすぎるwwwww

GJ!
431名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 21:31:21 ID://UzOtyv
今更だがB・A氏GJ!
とうとうシエンも散っていったか…
彼の理想も立派だったと思う。
やり方さえ別の方法があれば協力できたのではないか、そう思えて仕方ない。
ヴィヴィオもセリカも言いたいことは解るけど、まだ精神的な幼さが残っていると感じられる…
432名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 22:20:05 ID:1DZSNPvQ
>>427
>「こいつは短期決戦だ」
みんなバカすぎるw
ヴィータ、何冷静に分析しているんだよぉ。
GJ!
4334の422 ◆h7y.ES/oZI :2008/08/17(日) 22:26:03 ID:40a1MOIh
 
 結局1ヶ月以上間が空きました。4の422です。
 
 CherryLight・NEXTの続きが上がりましたので投下します。
 あまりにも昔すぎて自分ですらどんな話か忘れていたくらいなので、読んでいただける方には
保管庫の前作、前々作を一読されることをお勧めします。


 ・CPはクロノ×なのはです。今回は非18禁(甘ストーリーにした、つもりです……が、今回はそれほど甘くないかもしれません)
 ・〜CherryLight〜の外伝ストーリーです。後日談その1(3)とでも思ってください。
 ・本編とは全く異なるIFワールド。捏造多々です(この作品ではなのはは高校生、等)。
 ・上記補足でクラウディアやその竣工の時期等にかなりの妄想・捏造があります。

 11レス使用します。
4344の422 ◆h7y.ES/oZI :2008/08/17(日) 22:26:53 ID:40a1MOIh
 

  魔法少女リリカルなのは  〜 CherryLight・NEXT 〜

         〜 Scenery of the certain night(ある夜の風景) 〜


 〜 全開、もとい全壊……失礼、前回のあらすじ 〜

 なのはちゃんは大好きなクロノくんに執務官にならないか?と誘われてしまいました。

                                 あらすじ終わり。

 〜 〜 〜 〜


−《執務官》−。
 時空管理局で執務官といえば、事件捜査や法の執行の権利、現場人員への指揮権を持つ
管理職、とされている。
 現場を指揮したり犯罪者と直接対面したり、多種多様な権限を持ち、それゆえ一般局員
とは比較にならない能力が求められる、言ってしまえば超エリートである。
 なのはも教導隊と呼ばれるトップエリートの一員ではある。勿論どちらが偉い、とか強
いというくくりで捉えることはできない。時空管理局自体の入局すら決して広い門とは言
えないその中の、両者共更なるエリート職なのだから、求める物の本質が異なる。サメと
ライオンは戦ったらどちらが強いか? などと聞くようなものだ。

 人は万能ではない。個々人の能力には必ず得手不得手がある。本人の夢や希望の元、そ
して現実の自らの能力を踏まえた上で、数多の道から人は「今の自分の道」を選び歩いて
いるのである。
 そして、それのわからぬクロノでは、勿論、ない。
 教導官とて、はいそうですか、と次の日から執務官になれるわけなどないのだから。

「……理由……」
「えっ?」

 望む返事ではない(クロノとてそれは重々承知の上だが)声に、それでもクロノは思わ
ず聞き返す。
「理由……あるんだよね?」 
「……」
 うつむき、視線を外してしまうクロノに、なのはは優しく微笑み、言葉を続ける。
「クロノくんが望むなら、私、教導隊を辞めたっていい、ううん、管理局を辞めてクロノ
くんの側に居ろ、っていうのだってかまわないよ。でも、やっぱりちゃんとした理由は……
欲しいよ……大切なことだもん、尚更……ね」
「……」

 うつむいたまま、押し黙るクロノだったが、それでもややあって顔を上げる。
 が、柔らかく微笑むなのはの顔にうっ、と声を詰まらせ、またしてもうつむいて肩を落
としてしまう。

「……」
「……」

 1分ほど。そんな沈黙がテーブルを包む。
 クロノの姿勢が変わらないと見たなのはは、ひょいと肩をすくめ、破顔する。
「うん、ね、クロノくん、やっぱりその話は食べてからにしようよ。冷めちゃったら美味
しくなくなっちゃうよ。ここだってそうそう来れないんだよ、私達。食べれるチャンスは
確実にものに……」
4354の422 ◆h7y.ES/oZI :2008/08/17(日) 22:28:03 ID:40a1MOIh
「き、教導隊の方には、あ、新しい戦艦が竣工されることは伝わってるか?」
「へっ?!」
 テーブル上のフォークをまさに手に取らんかとしていたなのはは、いきなりの、若干裏返っ
たかのようなクロノの声に、目を見開きその動きを止める。
「……新しい、戦艦?」
「く、クラウディアって言ってね、名前くらいは伝わってるか? 今までの艦の中で最大
級の大きさで、XV級っていう新しい艦種なんだ」
「え、えと、し、知ってるけど……航行部隊(うみ)の新しい旗艦になる予定の船だよね?」
 航行部隊と教導隊。海と空に分かれているとはいえ、繋がりは皆無ではない。
 海の、ひいては管理局においても大いなる変化は当然教導隊にも届いている。
「そ、そうそう。よく知ってるな。そ、それで、た、多分、なんだが、そのクラウディア
の艦長に推薦されることになったんだ」
「ええっ?! か、艦長?! す、すごいじゃない! クロノくん!」
「あ、ああ、ま、まぁ、決定じゃないんだが、8割方は確定らしい」

 新造戦艦の艦長、それも航行部隊の旗艦の艦長となれば、実質海の実働部隊のトップに
昇り詰めたも同然である。提督とはいえ、クロノの年齢を考えれば大抜擢中の大抜擢であ
ろう。

「おめでとう! 凄いね、クロノくん。今度お祝いしなくちゃ!」
「あ、ああ、う、うん、あ、ありがとう……」
 手を叩いて喜ぶなのはだが、不意にその姿勢のまま首をかしげる。
「……あれ?……えっと……その話、って私が執務官になるのと何か関係があるの?」
「あ……いや……その……関係……あるというか、無いというか……」
「???」
 でかい疑問符を頭上に浮かべ、なのはは更に首をかしげる。
 クロノが口篭るまでの理由と、自分の執務官への誘いがどうしても頭の中で繋がらず、
加えて艦長就任のお祝いと、目の前のパスタとの一体どれに現在の重点を置くべきか、と
混乱に混乱を重ねるなのは。

 やはり可及的速やかに対処すべきは眼前の料理であろうととりあえず結論付け、いまだ
一人ぶつぶつとうつむいて呟くクロノに声をかけようかとすると、突如クロノがなのはの
側に身を乗り出し、その口が開く。

「ク、クラウディアには規模も考えて、主執務官1名と副執務官2名が駐在することになっ
てるんだ。1人は、いや、主執務官の方はフェイトで確定してるんだが、あと2人の人選
を人事部から任されて、そ、それで、なのはに副執務官を頼めないか、と思ったんだ。あ、
いや、執務官と名はついているが、主任務はフェイトがやるからなのははどちらかという
と駐留部隊の教導的なことを主にやってもらおうかと思っていて、それなら教導という意
味で今のなのはのやっていることとそれほど差はないだろうから、それに最前線で教導、
っていうのはある意味なのはの理想だろ? だからそんなに深く考えなくてもいいんだ。
立場が空から海に変わるだけで……そ、そうだ! あと1人ははやてにしよう! 君たち
3人なら気心も知れてるだろうし、なにより実力も折り紙付きだ。う、うん、思いつきだ
が、なかなかいい人選だと思わないか?」

 額に汗までして、大げさな身振り手振りを加えながらクロノは早口にまくし立てる。
 なのはに言葉を挟ませまいとしているのは……今も必死に「だから、その」などと言葉
を続けようとしている辺り、当のなのはの目から見ても明らかだった。

 なんだかタイミングが合わないなぁ、と苦笑しつつ、なのはは真実を包み隠す言葉の衣
を1枚剥ぎ取る。

「……うん。それが、建前、なんだね?」

「うっ……」
4364の422 ◆h7y.ES/oZI :2008/08/17(日) 22:28:51 ID:40a1MOIh
 一字一句、区切るように、暗に「本当の事を言え」と言っているなのはの口調に、クロ
ノは言葉を詰まらせる。
「本音の方が、聞きたい、かな? そんなに言いにくいこと?」
 なのはの言葉に、クロノは目を閉じ、ふぅ、と一つ息を吐いて、改めてなのはに視線を
送る。
「…………すまない、僕が悪かった」
 テーブルに手を付き、頭を下げるクロノに、なのはは少し伸びをして、そのクロノの手
に自分の手を重ねる。
「……ちょっとだけ、寂しかった」
 えっと顔を上げるクロノになのははかまわず続ける。
「こんなに近くに居るのに、こうやってすぐ触れ合えるのに、なんだか心だけ別のところ
にあるみたいで……ちょっと寂しかった……」
「……なのは……」
 クロノの手に置かれたなのはの手に僅かに力が篭る。
「寂しいのは……もう、イヤなの……お願い、不安にさせないで……」
 潤み始めるなのはの瞳にクロノの胸がきりきりと痛み出す。
 わかっていたはずなのに。トラウマとも呼べる過去の傷を抱えた、寂しさに人一倍敏感
な、だがしてそれを決して表に出さない彼女を悲しませないと、何度も自分に、そして当
のなのはに誓ったはずなのに。

 彼女が自分にだけ見せてくれる涙。
 自分にだけ見せてくれる弱さ。
 どれだけ信頼されているから自分がそれを見れるのだ、という現実を改めて突きつけら
れ、そしてまたしてもそんななのはの信頼を裏切ろうとしている自分に、自分の弱さに、
つまらないプライドに、クロノは奥歯を噛み締め、自由な左手に力を込める。

「……すまな、かった……謝るよ」
「ん……ちゃんと理由教えてくれたら、許してあげる」
 クロノはふっと一つ息を吐き、潤んだ瞳のままの笑顔を見据える。
「今更、なんだが……」
「うん? あっ……」
 クロノは一旦言葉を止め、自分の右手に重ねられているなのはのの左手に視線を移し、
右手をなのはの手の下から抜き取ると、指を絡めあうように、改めてその手を握り直す。
 ぴくりと震えるなのはの左手の感触を受け止め、クロノは言葉を続ける。
「君が、心配だった。自分の目の届くところに置いておきたかったんだ」
「えっ……」
 なのはの目をまっすぐ射抜き、クロノはなのはの手を握る手に力を込める。

「以前、君が……堕ちた、って聞いた時」
「……!」
「僕は……何もできなかった……」
「……クロノくん……」

 思い出したくはない、なのはの過去の傷の一つ。
 忘れられる、とか、忘れてもいい、というわけでは決してない。
 長期のリハビリを強いられ、2度と飛べない、あまつさえ日常生活すら危ぶまれるかも
しれない、と宣告されたことを軽々しく考えること、忘れることなどできるはずもない。

 それでも満足に身動き一つもできない身体に襲い来る鈍痛。鎮痛剤を使わねば夜も眠れ
ぬ日々。そんな面会謝絶な状態をようやく抜けたかと思えば、やってきたのは苦悩の日々。
 今まで考えるまでもなく行ってきた、日常生活とすら呼べない、ごくごく当たり前の、
「動く」ということ。
 傷ついた身体はそんな行動にすら耐えられず、何度も介助の手すりから滑り落ち、何度
も床を舐め、悔し紛れに両の足を動けと引っ叩きたくも、腕を勢いよく振り上げることす
ら叶わない。

 そんな過去は思い出さずにすむなら誰とて思い出したくなどない。
4374の422 ◆h7y.ES/oZI :2008/08/17(日) 22:30:04 ID:40a1MOIh
 だからあえて触れるくらいならと濁した言い方をしたがために、なのはの最も弱い部分
を引き出す結果になってしまった。最初から素直に説明していれば、少なくともそこだけ
は回避することができたのに。完全にクロノの失策である。

「あの時は帰路中とはいえ次元航行中で、すぐに見舞いに行くことも出来なかった。心配
しているフェイトを先に帰すこともできなかった。自分の好きな相手がベッドの上で苦しん
でいるのに、その姿を見ることすらできなかった……あの時ほど、自分が無力だと思った
ことはなかった……」
「そんな、こと……」
「事実だよ……だからこそ、あの時あんなことも言ったんだ」
「あんなこと?……あ……」

 不意になのはの脳裏に蘇る一つの記憶。
 とりあえず介助なしで立ち上がることができるまでに回復し、ようやく退院の目処が立
ち始めた頃に、クロノがなのはを見舞いに訪れた際の記憶。

 〜 〜 〜 〜

「退院、できるんだってな」
「ん、もう少し先だけどね、目処は立った、かな」
「……局に戻ったら、アースラに来ないか?」
 唐突にクロノの口からそんな言葉が出る。無論なのはにも反対する理由などない。
「あ、うん、そうだね。アースラのみんなにもお見舞いのお礼しなきゃいけないよね」
「……いや、そうじゃない……航行部隊(うみ)に来ないか、と言ってるんだ。僕の船に」
「えっ?」
 自分を元気付けようととでもする冗談なのだろうか、ともなのはは思ったが、クロノの
眼差しは冗談を言っているようには見えない。
 それどころか、普段の優しい眼差しとはかけ離れた真剣な目つき。
「え、えっと……なんで?」
「……」
「……クロノ……くん? ひゃっ!?」
 不意にクロノがベッドの上で半身のなのはを抱きしめる。
 全快とは言い難いなのはには到底逆らうことはできず、抱かれるがままになってしまう。
「ち、ちょっ! ク、クロノくんっ!?」
 唯一の反抗手段の口も、驚きが先行しクロノの名を叫ぶのがやっと。

「良かったな、また、飛べるようになって……」
「ふぇっ!?」

 パニックしかけるなのはを尻目に、クロノは何事もなかったかのようになのはから身を
離す。
「すまない。なんでもないんだ、今言ったことは忘れてくれ」
「あ……あぅ……」
 顔を真っ赤にして口をぱくぱくさせるなのはの顔に、クロノは小さく笑うと。1歩引い
てなのはに敬礼する。
「少し先の話だが、退院おめでとう、高町二尉」
「へぅっ!?」
 目を見開いてクロノを見上げるなのはに、今一度小さく笑うと、クロノはあっけにとら
れる彼女を残し、病室を後にした。

 〜 〜 〜 〜

「……あれって、そういう意味だったんだ……」
「……ああ……言ってすぐに言うだけ無駄……いや、君の夢を否定することになるかと思っ
て取り消したんだ」
4384の422 ◆h7y.ES/oZI :2008/08/17(日) 22:30:49 ID:40a1MOIh
「……」
 なのはから視線を外し、クロノは所なさげに天井を見上げる。
「単なる独占欲といってしまえばそれまでだ。でも、僕自身、父を職務で亡くしている。
管理局の仕事は……僕やなのはの様に前線で働く人間ならなおさら、安全とは言いがたい
職場だ。本音を言うならすぐにでも辞めてもらいたい。それが叶わないなら、せめて自分
の手が届くところに居てほしかった……あの時も、そしてさっきの話も、それが本音だよ」
「クロノくん……」

 なのはの言葉にクロノがなのはに視線を戻すと、そのなのはの震える瞳から、今にもこ
ぼれ落ちんばかりの涙。

「なっ!?」
 思わずなのはと繋がっていた手を振り解き、クロノは椅子から跳ね飛ぶ。
 その拍子に一筋頬を伝う涙をなのはは指の先で拭う。
「あっ、ううん、違うの。ごめんなさい。嬉しいの。すっごく嬉しいの。多分、嬉し涙」
 半腰でなのはに手を伸ばしかけたクロノになのはの笑顔。
 そんな言葉に動きの止まったクロノは、どうしようかと視線をさ迷わせ、使うことすら
忘れていた自分のテーブルナプキンに目が止まると、慌ててそれを引っ掴み、なのはに差
し出す。
 それに口元を緩めたなのはは、ありがたく、と、クロノが差し出したナプキンを受け取
り、2度3度と目元を拭う。
 それを見たクロノはようやくと息を吐き、自分の椅子に座りなおした。

 と、目の前から視線の熱さを感じ、顔を上げると、拭ったはずなのになお潤んだなのは
の瞳。驚きに目を見開くクロノに向け、なのはの口が開く。
「嬉しいの。そこまで心配してもらえて。好きな人に愛情をもらえることがこんなに嬉し
いなんて……今までクロノくんにいっぱい好きって言ってもらった。いっぱい愛してるっ
て言ってもらった……でも、好き、って言葉が無くても、こんなに嬉しい気持ちになれるん
だね」
「なのは……」
「私、クロノくんを好きになってよかった。クロノくんに好きになってもらえてよかった。
……覚悟して、クロノくん。私もう何があってもクロノくんから離れないよ。クロノくん
が私を嫌いになっても離れてなんかあげないんだからね。ずっとずっと好きなんだからね」
 膝の上に、−先ほど目元を拭ったナプキンを握り締めた両手の上に−、ぽたぽたと涙の
雫を落としながら、なのははこれ以上ない喜びの顔。
「……ありがとう、クロノくん……大好きだよ」
 頬を染め、流れる涙をアクセントに心からの笑顔のなのはに、クロノも自然、頬が熱く
なる。どころか、目頭まで熱くなりかける。
 慌ててクロノは、ぐっと目に力を込め、目頭の熱さを振り払う。
「お礼なんて、言われることじゃないよ……僕だって、なのはが僕をどんなに嫌っても、
絶対離さない。その覚悟はしておいてくれよ」
「……はい、覚悟します。……あなた」
「ん、それでこそ僕のお嫁さんだ」

 ぷっと2人同時に吹き出し。あははと小さな笑いがテーブルの上に響く。

 あはは、と笑いながら、今一度、なのはは手にしたナプキンで目元を拭うと、ずいっと
身を乗り出す。
「ね、そういえば」
「ん?」
 クロノも一息つこうとコップの水を一口、口に含む。
「執務官になるのって、どういう勉強すればいいのかな? 参考までに」
 ぐっ、と思わず気管に入りかけた水をクロノはコップに噴き出す。
「ちょ、ちょっとまて! ほ、本気で言ってるのか?」
 返すなのははぱちくりと目をしばたかせる。
「だってクロノくんがそう言ったんじゃない。明日にでも転向申請出すからね」
4394の422 ◆h7y.ES/oZI :2008/08/17(日) 22:31:41 ID:40a1MOIh
「ま、待て、いくらなんでも早すぎるだろっ! もっとよく話し合ってだな!」
「……クロノくん、そんな軽い気持ちで私のこと誘ったの?……ちょっとショックだな……」
「い、いや、違う! 違うけど、そうじゃないだろっ!」
 椅子から立ち上がるクロノを見上げる真面目顔のなのはの表情が徐々に崩れ始める。
「ぷっ。あ、あはは、ごめんなさい、冗談だよ、冗談。いくら私だってそれくらいわかっ
てるよぉ。あはは、クロノくん、今すっごい面白い顔してるっ。あははは」
 お腹をかかえて笑うなのはに、クロノの顔が歪み始める。
「……なのはぁー……」
「あはは、ごめんなさい、ごめんなさい。でもクロノくんだって、最初にあーんな変な言
い方したんだもん、おあいこだよ、おあいこ」
「くっ……そ、それを言われると言い返せないが……」
 ばつが悪そうにクロノはもにょもにょと口篭ると、渋々といった感じで椅子に座り直る。

「と、とにかく、そ、その話はまた今度だ。それより料理がもったいない。早く食べよう。
このままじゃ冷めて……若干手遅れかもしれないが……」
 くくっとなのはは喉の奥で笑い収めをすると、手にしたナプキンをクロノに手渡そうと
して、それが濡れていることに気付き、ウェイトレスを呼ぼうと手を上げる。
 それを察したクロノはそっとなのはの手を掴み。
「いいよ、それで。そんなに大げさに濡れてるわけじゃないから」
「え、でも……だって……」
 女性にしてみれば、自分の涙で濡れたナプキンを男性に手渡すなど抵抗があるに決まっ
ている。
「いいから。さ、人を呼ぶのも惜しいよ」
「う……じ、じゃぁ、せめて私のを」
 言ってなのはは自分の膝に拡げられたナプキンを掴み、クロノに差し出す。
「気にしなくていい、って言ってるのに」
 まぁ、それで気が済むなら、と、クロノは差し出されたナプキンを受け取る。
 2人で改めてナプキンを拡げると、うん、と頷きあう。
「じゃぁ、いただきます」
「はい、いただきます」
 きちんと手を合わせ、ようやく店に来た本懐を遂げようと、フォークを手に取る2人。
 くるりとほぼ同時にパスタを絡め取り、改めての最初の1口を2人は頬張る。
「ん、美味しい……ちょっと冷めてるけど」
「自業自得、だな。ん、こっちもいい味だな……若干冷めてるが」
「おあいこだね」
「あおいこだ。ま、当たり前だけどな」

 小さな笑いは2人が食べ終えるまで、終始テーブルの上を支配した。

 〜 〜 〜 〜

「なのは……」
「……」

「……クロノくん……」
「……」

 まるで独り言のように、互いの名を呼び。答えぬその相手にしかし、それでも組んだ腕
から伝わる互いの温もりに満足しあう。

 店を出た2人は何も言うまでもなく腕を組み、ミッドの街を歩く。色々と食事後の目的
もあったはずであるが、何をするでもない。ただ2人は街を歩いた。
 会話もろくにない。目的もない。ただ歩く2人。
 それでもクロノもなのはも何一つそれを不服としていない。よりもむしろ、今の2人に
は、それ以外がいらない、というべきであろうか。
 ただ愛する人が隣に居る。ただそれだけが、今の2人の全てと言わんばかりに。
4404の422 ◆h7y.ES/oZI :2008/08/17(日) 22:33:19 ID:40a1MOIh
 
 そしてどれくらい歩いたのか。2人の姿は、郊外と呼んでも差し支えない場所にあった。
 昼を回って店に入り、長めの食事を取ったとはいえ、2人の影を長く長く伸ばす夕焼け
を見るに、数時間はただひたすらあてもなく歩いたことになる。

 思い出したかのように、なのはは自分の目を射る夕焼けに、片手でひさしを作ると、そ
の場で立ち止まる。

「なのは?」

 つられて足を止めたクロノは自分の左に居るなのはに顔を向ける。
 そっと手を降ろしたなのはは、わずか顔を上げ、自分を呼んだ声に向き直る。

 夕焼けに照らされ、赤く染まるなのはの顔。
 見つめるその瞳にはクロノの顔が薄く写りこんでいる。

 その瞳がそっと閉じられる。ごくごく自然に。ともすれば眩しさに目を閉じたのかと思
わせるように。だがしかし、そうではないのは、クロノに向かって、わずかになのはの顔
が近づいたことでも明らか。

 周囲の目であるとか、恥ずかしいとか、普段のクロノならまずそういったことを考えて
しまったであろう。
 だが今日ばかりは。
 迷いなく空いた手をなのはの頬に当て、
 わずか屈むように顔を寄せ、
 ごくごく自然に、
 ベッドの上で愛を囁きながら行うのと同じく、

 クロノはなのはに口付けた。

 混ざり合った2人の影が、長く長くその姿を伸ばす。
 終わりを知らぬかのごとく、離れえぬ2人は、唇から伝わる温もりをいつまでも感じて
いた。

 〜 〜 〜 〜

「はい、なのは、ジュース」
「ありがと」
 なのはに缶を手渡し、クロノはパシュ、と自分のコーヒーのプルタブを開けながら、な
のはが座るベンチに腰を降ろす。

 宵の口の公園。
 2人とも管理局の一線に従事するだけあり、多少歩いた程度で疲れるといったことはな
かったが、さすがにあてもなく延々歩いただけあり、家に帰るのが少々遅くなった。
 最も、今の2人は早く帰って、などと考えることもなく、2人で居られるのならどこで
もかまわないとばかりに、帰り際に公園を見つけると、どちらともなく「座ろうか」とい
う流れになったにすぎない。

 クロノが缶に口を当て、中の液体を流し込もうとすると、横からの視線。
 なのはが手にした缶を開けるでもなく、自分の姿をじっと見ていることに気付く。
 缶から顔を離し、クロノはなのはに向き直る。

「こっちの方がよかったのか?」
 ふるふる、と、首を振り、そしてまた、クロノをじっと見つめるなのは。
 首をかしげながらも、クロノは改めて自分の缶を傾け、コーヒーを一口含む。
「……ほんとはちょっと欲しいかも」
4414の422 ◆h7y.ES/oZI :2008/08/17(日) 22:34:17 ID:40a1MOIh
 ごくっと喉を鳴らしてコーヒーが通り過ぎるのを待ち、クロノは苦笑してなのはに缶を
差し出す。
「……」
 が、なのははまたしてもふるふると首を振る。
「ん?」
「……飲ませて欲しいな……」
 瞬間、意図がつかめず、クロノの頭の中に疑問符が浮かぶが、なのはが目を閉じ、こち
らに向けて顔を差し出したのを見て、悟る。
「ずいぶんと甘えん坊だな、なのはは」
 答えず、さらに顔を突き出すなのはに、クロノは手にした缶を再び傾け、コーヒーを口
に含む。
 飲み込みたい衝動を抑え、そっとなのはに唇を寄せ、漏れ零れないように注意しながら、
クロノはゆっくりとコーヒーをなのはの口の中に注ぎ込むと、すぐに、こくこくとなのは
の喉が鳴る音がし始めた。
 ほどなくクロノの口の中のコーヒーが無くなり、クロノはなのはから顔を離す。
 こくっとなのはの喉が動き、最後のコーヒーが口の中から無くなると、なのははゆっく
りと目を開けた。
 とろんととろけた様な目つきで、なのははそっとクロノの手からコーヒーを取ると、今
度は自分でそれを口に含む。
 そして腰を浮かせ、自分の顔をクロノの上にすると、そっとクロノに口付け、専守交代
とばかりに、クロノの口の中にコーヒーを注ぎ込んだ。

 体温で暖められたかすかな甘さの液体がクロノの口の中に入り込んでくる。
 目を閉じ、なのはの唇の温かさを堪能しながら、コーヒーを喉の奥へと追いやる。
 ほどなく全てを胃に収め、クロノが目を開けると、愛して止まない笑顔がそこにあった。

「美味しい?」
「ああ、今まで生きてきた中で最高のコーヒーだったよ」
「私も……」
「もう一口、飲むかい?」
「……一口だけ?」
「何度でも、なのはが望むならね」
 返事の代わりになのはは腰を降ろし、再びクロノに向け、目を閉じる。
 そっとなのはの手からコーヒーを取り、クロノは缶を傾ける。

 2度、3度と、口移しでコーヒーを飲みあい、それでも小さな缶である。ほどなくその
中身は底を尽きる。
「……無くなっちゃった……」
 残念そうに、なのはは缶を振ったり缶の底を見上げたり。
「結局全部口移ししてしまったか」
「でも美味しかったね」
「ああ」

 言いながら、今度はコーヒー無しでクロノはなのはに口付ける。
「んむ……は……」
 なのはもそれに合わせ、先ほどは液体が邪魔をして叶わなかったとばかりに舌を出し、
クロノのそれと絡めあう。

 はぁ、と、大きく息を吐いて2人の唇が離れる。
 つぃ、と銀色の糸が街灯の光を反射してきらめき、ふつ、と消える。

 ぽす、となのはの身体がクロノの胸に倒れ込んでくるのをクロノは優しく抱きとめる。
 このまましばらく、とも思ったが、やはり確認はしておかねば、とクロノは口を開く。
4424の422 ◆h7y.ES/oZI :2008/08/17(日) 22:35:19 ID:40a1MOIh
「……なのは」
「なぁに?」
「……執務官の話。本気で考えてくれるか?」
「……」

 ほんの数秒の空白。
 なのはの中で様々な思いが渦巻くのがクロノにはありありと感じ取れた。

「……言ったでしょ、クロノくんが望むなら私管理局辞めたっていいんだから……」
「……ありがとう……明日にでも上に掛け合ってみるよ」
「でも、一つだけ、条件があるよ」
「ん?」

 クロノから胸から身を起こし、離れるのかと思いきや、クロノの首に手を回し、ぎゅっ
となのははクロノに抱きつくと、そのクロノの耳元で、なのはは小さく囁く。

「抱いて。今日はもう1秒だってクロノくんから離れたくない。いっぱいいっぱい抱いて。
クロノくんから離れられなくなるくらい抱いて。そうすれば私クロノくんのことしか考え
られなくなって、イヤでもクロノくんから離れられなくなるから。管理局にいる間もね」
「……君の望むままに……」

 無粋に瞬いた街灯の光をものともせず、2人の抱擁は続く。
 ほどなく家路につくまでの数十秒。
 離れえぬ2人の姿を見ていた者は瞬きはじめて間もない星の光だけであった。


 〜 〜 〜 〜

「……ん……」
 耳に障るアラームの音と、窓からの光に閉じた目を焼かれ、なのはの口から重苦しい声
が上がる。
 往生際悪くベッドサイドに手だけ伸ばし、不快音の現況を探り当て、指先でアラームの
スイッチを止める。
 そのままの姿勢で5秒。うぅー、と唸りながら半覚醒の意識を必死に呼び起こし、ゆる
ゆるとなのはは上体を起こす。

「……7時……か……」

 ふわぁ、と大きなあくびをしながら、なのははゆっくりと隣へと視線を落とす。
「何回、したかな……覚えてないや……」
 彼は覚えているのだろうか、と思いながら、なのはの手は自らの股間へと伸びる。
 太ももに乾いたものが張り付いている感触に、一瞬顔をしかめるものの、すぐに照れ笑
いが顔に出る。
「いっぱい出してくれたんだ……」
 秘裂の入り口を探り当てた指先に、こちらはぬるりとした感触。
 指先を股間から外し、眼前に持ってくる。
 色を失い、生臭い匂いだけが残るそのぬめりを、指先でにちにちともてあそび、躊躇う
ことなく、なのはは指先ごと口に含む。

「んっ……」

 口の中に広がる自分とクロノの残滓を丁寧に舌で舐め取り……いや、味わうと、なのは
はちゅぱ、と音を立てて指を口から引き抜く。
「妊娠……しちゃうかなぁ……」
 事の開始は必ず避妊に徹するものの、避妊して行為に及ぶのは、一晩の行為を10とす
れば5か6にすぎない。
 半分弱は避妊具無しのうえに、ほぼ毎回のごとく、なのははクロノの精をその身の奥に
受けている。いつ何時、結果が起こっても不思議では……いやむしろ、よく今まで結果が
起こらなかったと言うべきか。
4434の422 ◆h7y.ES/oZI :2008/08/17(日) 22:35:51 ID:40a1MOIh
「いま妊娠した、ってなったらお父さんとかお兄ちゃん、怒るだろうなぁ……」
 クロノとの同棲1日目から反故にしてしまった「結婚するまで節度ある交際とする」、
の家族協定の言葉が、なのはの上にずしりとのしかかる。
 勘当、とかそういう事態は避けられるだろうが、色々な意味でクロノの身が危険にさら
されるのは想像に難くない。高町家保護者2名にフルボッコにされるクロノの姿が頭に浮
かび、なのはは思わず身震いし、その不安げな眼差しを対象に向ける。
 すうすうと寝息を立てるクロノの頬に、なのははそっと手を触れる。
「……赤ちゃんできた、って言ったらクロノくんはどうする? 認めて……くれる?」

「そりゃ勿論」

「わっ! ちょ、ちょっとクロノくん、また起きてたの?!」
 片目だけ開け、にやっと笑みを作るクロノは言葉を続ける。
「『何回したかな』、からね」
「もう! クロノくんのそういうとこ趣味悪いっ!」
 ぷくっと頬を膨らませるなのはが可笑しくて、可愛くて、クロノは尚一層なのはを焚き
つける。
「なのはの百面相が面白くてね。薄目で見てた」
「もっと悪いよっ!」
「あと指を舐めてるなのはが妙にエッチだっ……がふっ!」

 瞬時に茹で上がった顔で、なのはは自分が先ほどまで使っていたまくらを掴み上げると、
クロノの顔に叩きつける。
 ぼふっという音と共に、クロノの口からくぐもった悲鳴が上がる。

「ばかばかばかばか、クロノくんのばかエッチ変態すけべぇ!」

 ぼふぼふと何度も叩きつけられる爆撃をクロノは必死にガードしながら身を起こす。
「わ、わかったわかった、言い過ぎた、僕が悪かった」
「ふんだ。クロノくんのアルカンシェルすけべ!」
 意味のわからない言葉と共に、クロノにまくらを投げつけると、なのははぷいとそっぽ
を向く。
 クロノはやれやれとつぶやくと、そっぽを向いたままのなのはをぐいと自分の胸の中に
かき抱く。
「真面目に心配してたのに、クロノくんすぐ茶化すんだからっ!」
 自分の胸でぶちぶちと文句を垂れるなのはに、茶化したも何も事実を言ったまでなんだ
が、とはさすがに言えないクロノ。
「悪かったよ。じゃぁ、はい、お詫びの印」
 いつものように、とクロノはなのはの頬に手を当て、こちらを向かせようとする。
「ふんだ、今日はそんなのじゃ誤魔化されませんよーーだっ!」
 おや、今日は少々根深いか、と思いながらもクロノは別段慌てることもない。

「じゃあお詫びは要らないのか?」

「……手付けとしてもらっておきます……」

 結局こうなるんだからな、と苦笑しながら、クロノはなのはに顔を寄せる。
 壁に映る、窓から差し込む朝の光に形作られた2人の影が、1点でぴたりと重なる。



 (……ママぁ……)



「っ?!!?!?」
4444の422 ◆h7y.ES/oZI :2008/08/17(日) 22:36:48 ID:40a1MOIh
 
 唇から伝わるクロノの温かさを堪能していたなのはの瞳が急に見開かれ、驚いたかのよ
うにクロノからその身を離す。
「なのは?」
 何事か、とクロノも目を開けると、自分の下腹部に手を当て、じっとその手を見つめる
なのはの姿。

「……どうしたんだ?」
「……クロノ、くん…………」
 大きく大きく見開かれた瞳が、ゆっくりとクロノに向けられる。
「?」

「……ち、違うかも、しれないけど……あの……も、もしかしたら……」


  魔法少女リリカルなのは  〜 CherryLight・NEXT 〜

         〜 Scenery of the certain night(ある夜の風景) 〜  Sweet END.

4454の422 ◆h7y.ES/oZI :2008/08/17(日) 22:38:40 ID:40a1MOIh
 
 以上です。
 ……エロを入れる余裕がなかった。青姦させたかった……
 でもベッドの上で2人で朝を迎えるシーンは何回書いても楽しいなぁ。


 で、ついでというか何というか、ChrrtLightの「完結編」を投下します。
 蛇足な上に手抜き文体(台本形式)なのは重々承知してはいるんですが、区切りという
ことでご容赦ください。
 連投を謝罪。9レスほど使用します。

 連投規制っていくつでしたっけか?引っかかるのかな

446名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 22:40:07 ID:XNiPMFfQ
>>445
来たれ作品、スレとネタの狭間より!!

支援
447名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 22:40:20 ID:2zdoJalI
要るか分からんが紫煙しておく
4484の422 ◆h7y.ES/oZI :2008/08/17(日) 22:40:26 ID:40a1MOIh
 
 今、ここにいる『二人』。

  ここではない、今ではない、何時か、どこかの『二人』。

   互いに惹かれ合う、たくさんの、たくさんの『二人』。


 『二人』の数だけ、物語があり、

  『二人』の数だけ、愛があり、

   『二人』の数だけ、ある絆。

 そんな、とある場所の、とある『二人』の物語……


  魔法少女リリカルなのは  〜 CherryLight・Forever 〜


 ・ 〜  〜 Scene 1 〜  〜 ・

「クロノくん! 起きてよ! クロノくんってばぁっ! 学校遅刻しちゃうよっ!」
「……んぅ……眠い……まだ寒い……ぁと……6分45秒だけ……」
「秒単位の指定ができるくらいなら早く起きてっ! 御神流奥義平和応用VER、倒人立身術っ!!」
「ぐぅぁっ! またいつもの形容しがたい感覚と無理やりの目覚めと共に、さっ、寒いっ!」
「今日もお見事な御神流のお手前。なのはがウチに来てからホント朝が楽になったわー。
なのはの両親の転勤に感謝しないと」
「フェイトお姉ちゃん。見てたなら手伝ってよぉ」
「やっと長年の重労働から開放されたのに、わざわざまた茨の道へ入るのは遠慮するよ。
恋人同士の朝の時間を邪魔するつもりもないしー」
「フェイトお姉ちゃんっ!! って! クロノくんも立ったまま寝ないでっ!!」
「あははー、ごゆっくりー、でも遅刻するから早めにすませてねー」


 ・ 〜  〜 Scene 2 〜  〜 ・

「アルフ、ただいま」
「ただいまです。アルフさん」
「フェイト! なのは! 無事だったかい?! 管理局のやつらに出くわしたんだって!?」
「ん、大丈夫。なんとか逃げれたから、なのはのおかげで」
「私達と同じくらいの男の子だったからお話が通じただけだよ」
「まぁ、無事でなによりだよ。フェイトやなのはに何かあったらプレシアに大目玉……」
「アルフ、震えてる震えてる、落ち着いて」
「あ、あ、ああ……や、それはいいとして管理局が嗅ぎ付けたとなると厄介だよ、一度戻
ってプレシアと相談しないかい?」
「えぇぇっ?!」
「……そんなに驚くことないじゃないか、なのは。いくらプレシアの研究にジュエルシード
が必要だからって、実の娘と親友の娘を危険にさらしてまで集めろなんて言わないさ」
「……でも……」
「どしたの、なのは? さっきのあいつに出会ってから何か変じゃない?」
「えっ……うっ、ううん、なんでも、ないよ……なんでも……」
「なのは?」

(……ジュエルシード……集めてれば……また、会える……かな?……

 クロノ……ハラオウン、って言ってたっけ…………クロノくん、か……)

4494の422 ◆h7y.ES/oZI :2008/08/17(日) 22:40:57 ID:40a1MOIh
 ・ 〜  〜 Scene 3 〜  〜 ・

「お兄ちゃんっ! 一緒に帰ろっ! 早く帰ろっ! いつもみたいに一緒にお風呂入ろーっ!」
「毎度毎度上級生の教室に来て騒ぎ立てるなっ! 抱きつくなっ! さりげなく服を脱が
そうとするなぁっ! あと一緒に風呂入ったのは10年以上前だっ!」
「一緒に入った事実は一生消えないんだよっ!」
「物心つく前の行為はカウント外だっ!」

「……フェイト、あんた双子の妹として、兄のあの状況を改善しようとは思わないの?」
「何言ってるの、アリサ。そんなの5年以上も前に諦めたよ。母さんと相談して、見て楽
しもう、って結論にたどり着いたから」
「さいですか……」


 ・ 〜  〜 Scene 4 〜  〜 ・

「で、例のお気に入りの新人君とはどうだったの? 何か進展あった?」
「やっ、やだ、フェイトちゃん、進展なんてそんなのあるわけないよぉ……ち、ちょっと
だけはやてちゃんに教わったことやってみただけで……」
「はやてに? 何したの?」
「教導で撃墜して、大丈夫?、って声かけた時にさりげなく前でしゃがんだだけ」
「……? なにそれ?」
「……えと……BJのアンダーのデザインを勝負下着風にして……」
「なっ?! そっ、そんなことっ?! ぶ、無事だったの彼?! い、色々な意味で……」
「……鼻血だしてそのまま昏睡しちゃった……」
「……明らかにやりすぎだよ……奥手そうな顔してたし、その手の免疫ないんじゃない?
えっと、何て名前だっけ、その彼」

「ハラオウン。クロノ・ハラオウン君」


 ・ 〜  〜 Scene 5 〜  〜 ・

「クロノくーん。クッキー焼いたよ。一息入れない?」
「ん? ああ、ありがと、頂くよ」
「じゃ、リビングで待って……んー、ね、今回はどんなお話の翻訳?」
「これかい? 秋にアメリカで公開される映画の和訳だよ」
「へー、映画の翻訳なんだ。ね、なんてタイトル?」
「Triangle Heart's。恋愛物みたいだね。日本は1ヶ月遅れの公開。一緒に見に行くかい?」
「行く行くー! って……でも、2人だけで行くとまた七瀬が何て言うかな……」
「うーむ……ま、仕方ない、愛娘には我慢してもらって、今回は愛する妻とのひと時を……」

「パパ! ママ! また2人でデート行こうとしてるでしょ! もう5回連続なんだよ、 
いい加減にしてっ! 今度こそ私も行くからねっ!!」

4504の422 ◆h7y.ES/oZI :2008/08/17(日) 22:41:26 ID:40a1MOIh
 ・ 〜  〜 Scene 6 〜  〜 ・

「ね、クロノくん……」
「いい加減覚えろ、学校では先輩と呼べ」
「ぶー……いいよ、じゃあ、クロノ先輩」
「ん、何だ?」
「あのね、ユーノ先輩のこと知ってる? 先輩の同級生だよね?」
「ユーノ? 図書委員のあいつか? 顔知ってる程度であんまり話したことはないが……」
「……告白、されちゃった……ユーノ先輩に」
「なにぃぃっ?!?! ままままま、まさか、お、OKしたのかっ!? だ、だめだぞ!
あんな根暗で陰湿でねちっこくて本に埋もれるのが趣味みたいな、動物に例えるなら性悪
フェレットもどきのあんな奴わっ!」
「今あんまり知らない、って言ってたのに……」
「しっ、知らなくてもそれくらいは判るっ! そ、それより、なんて返事したんだっ!」
「考えさせてください、って……」
「断ってないのか?!」
「……うん……」
「そ、そうか……」
「……何て、返事すればいいかな?」
「そっ、それはっ、そ、そもそもなのはの問題だろう、僕がどうこう言える……立場じゃ……」
「……またそうやって逃げるんだ……」
「にっ、逃げっ! って、な、何言ってるんだっ!」
「いいよ、じゃぁOKするから……」
「何ぃぃぃっ!?」
「先輩が今ここで私に告白してくれないなら、私ユーノ先輩と付き合うっ!」
「なっ!……何言ってる、んだ、よ……なのはは妹(フェイト)の親友であって、そんな
……僕がどうの、って……」
「…………あーぁ……ここまで言ってもだめってことは、望み、ないんだね……」
「は!?」
「ごめんなさい、先輩……私にも少しは希望があるかな、って今まで思ってたんだけど……」
「い、いや、だから、な、何でそんな話になるんだ?!」
「うんっ! 私、振られちゃったんだね。もう、先輩のこと諦めます。ユーノ先輩優しそ
うだったし、お付き合いしてみるのもいい……かな……慰めてくれそうだし……」
「だぁぁーーーーっ! 待て待て待て待て待て待てっ! 判ったっ、判ったから泣くなっ!」
「告白してくれるのっ!?」
「う……」
「告白してくれるなら私の返事はいつでもOKでーすっ!」
「……(嘘泣きかよ、こいつ)……と、とりあえず……だな……」
「うんっ、うんうんうんっ!」
「……その、なんだ……告白、とかそういうんじゃなくて、だな……と、とりあえず……
その、な、名前で呼ぶのは許してやる……」
「へっ?」
「だっ、だからっ! が、学校でも名前で……呼んでいい、って言ってる……んだ……」
「……それだけ?」
「そ、それだけ、って言うなっ!」
「ぶー……はぁ、ま、いいか、まだ卒業まで時間あるし、も少しがんばってみよーっと」
「ドサクサ紛れに腕を組むなぁっっ!!」

4514の422 ◆h7y.ES/oZI :2008/08/17(日) 22:42:37 ID:40a1MOIh
 ・ 〜  〜 Scene 7 〜  〜 ・

「フェイトちゃん、綺麗だったね」
「そう、だな……」
「まだユーノくんのこと認めてないの?」
「……別に……」
「結局結婚式までの1ヶ月間、ずーっと仏頂面だったね」
「そんなことない……」
「…………ね、クロノくん」
「ん?」
「……な、慰めて、あげようか?」
「……何?」
「わ、私でいいなら……クロノくんの好きにして……いいよ……」
「な、なのは……何を……言っ……な、なんで服を……」

「あ、あのね……私……ずぅーっと前から……クロノくんのこと……」


 ・ 〜  〜 Scene 8 〜  〜 ・

「クロノ先生ー、今日原稿の締め切りですが、大丈夫ですかー」
「あー、高ま「なのはですっ!」 ……あー、なのは君……あと1時間待ってくれるか、
もうすぐ上がる……と思う」
「不確定な語尾を付けないで下さい! 上がるまで待ってますからお願いしますよ!」
「わ、わかった。いつものようにそっちの部屋で……」
「勝手にくつろいでますから、原稿に集中してください!」
「はーいはい……」

(……処女まであげたのにいつもと何も変わらない対応、か……自由業に惚れたこと自体
失敗だったかなぁ……はぁ……諦めてデスクの持ってきたお見合い受けようかな……)

「あー、なのは君、すまない。いつものやつ頼めるか?」
「タバコとコーラとおつまみサラミ2つづつですね、はいはい、了解しました」
「あ、すまない、今日は追加でもう一つ」
「え?」

「結婚情報誌、最新号のやつを」


 ・ 〜  〜 Scene 9 〜  〜 ・

「なのはー、調子はどうだー?」
「くぅ〜……すぅ〜〜……」
「人が陣中見舞いに来てやったのにコタツで寝こけてる奴があるかぁーーっ!」
「にゃぁぁっ! ねっ、寝てません、起きてますっ! 絶賛猛勉強中ですーーーーーっ!」
「現状はばっちり把握させてもらったわ、この寝ぼけ姫があっ!」
「うぇーん、3時までは起きてたのーっ!」
「たっぷり8時間は寝てるだろっ! 今11時だーっ!」
「じゃぁお目覚めのキス、はい、ん〜〜〜〜〜〜」
「おあずけっ!」
「痛ぁいっ! うぇ〜ん、恋人をぶったぁ〜〜」
「僕の大学に合格したら好きなだけ甘えていいから、今はがんばる約束だろっ」
「う〜……」
「う〜、じゃない、まったく」
「だってもう1ヶ月もHしてない……」
「生々しいことを言うな、僕だって我慢してるんだぞ。受験までもう1ヶ月切ってるじゃ
ないか。あと少しだろ」
「……じゃぁこれでもう最後にするから、1回だけ……」
「またそんなことを言う……」
4524の422 ◆h7y.ES/oZI :2008/08/17(日) 22:43:38 ID:40a1MOIh
「……初めてHしてから3ヶ月間、ほぼ毎日のように学校とか図書館とか家とか、時には
デパートのトイレとか。一番恥ずかしかったのは昼間の公園で……」
「あー、わかったわかったわかった! それに関しては全面的に僕が悪かったっ!!!」
「じゃぁ、いいのっ?!」
「……1回……だけだぞ?」
「うんっっ!」
(……1回で、我慢できるだろうか……僕の方が……)


 ・ 〜  〜 Scene 10 〜  〜 ・

「……と、いうことなんだが、どうだろうか?」
「It's very nice idea! But……」(素晴らしいアイデアです。 ですが……)
「ん? ……あー察するにメモリ容量か」
「Yes. Probably it is a limit with 2」(恐らく2着が限界かと思われます)

「……あのー……」

「むぅ、2つか……厳選するのは難儀だが……君と僕とで1着づつ、でどうだろうか?」
「Yes!」
「よし、ではどれにするか。僕はやはり初めて出会った時のBJを選びたいが」
「Then I choose the bloomers」(では私は神々が作りたもうた着衣、ブルマーを)
「流石だよ君は! 数ある中からそれを選ぶとは!」
「I am glad I to be praised」(お褒めに預かり光栄です)

「……何の話してるの?……2人とも……」

「静かにしてくれ、なのは。今レイジングハートと大事な相談中だ」
「Be quiet! Master」

「……ふ〜ん……何の相談、なのかな?」

「決まってるだろう、エッチするときにBJを改良した服をなのはに着せる計画だよ。
汚れや破損を気にしないで着衣エッチを楽しめるんだぞ、なぜもっと早く気付かなかっ
たんだろう、ああ、くそう、悔やまれてならな……
 って! ななななな、なのはっ! いつからそこにっ!!!」

「いきなりデバイスなしエクセリオンバスターーーーーーーーッ!」
「うぎゃぁぁぁぁーーーーーーっ!」
「Oh! My--------------!!!」


 ・ 〜  〜 Scene 11 〜  〜 ・

「ただいまー」
「お帰りなさーい。ご飯とお風呂どっちにする?」
「んー、先に食べようかな」
「はーい。あ、そうそう、見てこれ。七瀬が学校で作ってきたの」
「ん? 七夕飾りか? あー、今日は7月7日か……」
「そ。ほら、この短冊見て」
「何々……パパとママみたいなすてきな「ふうふ」になれますように。か、ははは。好き
な相手でも居るのか? 七瀬は」
「顔真っ赤にして「秘密」、だって。どんな子なんだろうね」
「僕にとってのなのはみたいな相手なら喜んで応援してやるさ」
「んー、具体的に言うとどんななのかなぁ、クロノくんにとっての私、って」
「そうだな……言葉にすると語りつくせないくらいだからな、実践で教えようか?」
「へっ? えっ、や、だ、だって、その、先にご飯、って……」
「食べるよ、なのはをね」
「にゃぁぁぁっ!」
4534の422 ◆h7y.ES/oZI :2008/08/17(日) 22:44:09 ID:40a1MOIh
 ・ 〜  〜 Scene 12 〜  〜 ・

「……眠れない……眠れないったら眠れない……」
「……んー……まぁだ起きてるのぉ〜なのは……Zzz」
「明日早いんだから……もう寝たほうがいいよぉ、なのはちゃん……Zzz」
「せやでぇ……明日で卒業旅行も最後や、遊び倒すんやから……はよぉ……寝ぇ……Zzz」
「数でも数えれば……寝れるんじゃ……ない…かな……なのは……Zzz」
「皆心配してくれるのはありがたいんだけど半分寝言で言ってるのがなんだか悔しい……
はぁ……ま、いいや、フェイトちゃんの言うとおり数でも数えようっと……。
 クロノくんが1人……クロノくんが2人……クロノくんが3人……クロノくんが4人……
クロノくんが5人……クロノくんが6人……クロノくんが7人……クロノくんが8人……
クロノくんが9人……クロノくんが10人……
 あぁん、やだぁ、クロノくん、そんな10人で一斉に「好きだ」なんて、う、嬉しいけど
は、恥ずかしいよぉ……み、みんなが見て……え? そんなの気にしないって? やだぁっ
私はものすごく恥ずかしいのっ! べ、ベッドの上なら……か、かまわない……けど……」

 ・・・

「クロノくんが28人……クロノくんが29人……クロノくんが30人……
 やぁん、17人目のクロノくん、おっぱいばっかりだめだよぉ、あっ、んもうっ! 26人目
のクロノくん! キスするならおでこじゃなくて、こっち……唇じゃないとやだぁ……」

 ・・・

「クロノくんが48人……クロノくんが49人……クロノくんが50人……
 ああ……43人目のクロノくん、あなたはどうしてクロノくんなの……あなたと結ばれな
いのなら、私はいっそこの毒で……ああ……39人目のクロノくん、この沈み行く豪華客船
パイパニック号の上であなたと永久の愛を……」

 ・・・

「クロノくんが68人……クロノくんが69人……クロノくんが70人……
 ああっ! そんな止めて! 53人目のクロノくん! 私のために時空犯罪者の犠牲にな
るなんてっ! 残された私はどうなるのっ! あああっ! こっちは47人目のクロノくん
が私のために1人でアルカンシェルを防ごうとしてるっ! って! 62人目のクロノくん
が私をめぐってユーノくんと取っ組み合いの争いにっ!」

 ・・・

「クロノくんが98人……クロノくんが99人……クロノくんが100人……
えへ、えへへへへ……クロノくんがいっぱいだぁ、嬉しいなぁ〜……」

「「「「人の安眠を惚気で妨害するなぁーーーーーーーっ!」」」」


 〜 別所 〜

「なのはが1人……なのはが2人……なのは'sと3P……
 くっ! いかん! 愚息がマイハッピー状態にっ!」

4544の422 ◆h7y.ES/oZI :2008/08/17(日) 22:45:33 ID:40a1MOIh
 ・ 〜  〜 Scene 13 〜  〜 ・

「フェイト・T・ハラオウン、帰還しまし……た……?」

「はい、クロノくん、あ〜〜ん♪」
「う……あ、あーん……」
「どう、美味しい? ね、美味しい?」
「美味……しい…………です……」
「よかったぁ、じゃあ次は私の番っ!」
「ぐ……や、やらないと……ダメ……か?」
「……やっぱりクロノくん私のこともう嫌いになったんだね……だからイヤなんだ……ん、
わかったよ……もうクロノくんの前には現れな「なのはは何が食べたいんだぁ! 玉子焼
きか? ウィンナーか? あ、喉渇いてないか? お茶もあるぞぉ「玉子焼きー!」

「……なんなのあれ?」
「あ、フェイトちゃんお帰り。いや、なんかクロノ君の忙しい時になのはちゃんが連絡し
てきたらしくてさ。今忙しいから後で、って言ったらなのはちゃんクロノ君に嫌われたー、
って半泣きになっちゃって……」
「……察するにクロノが一緒にお昼食べよう、ってフォローしたの?」
「そーみたい。まぁ、まさかクロノくんもブリッジにお弁当もってA.C.Sで突撃してくると
は思ってなかったみたいだけどね」
「昔はクロノが一方的になのはにアプローチしてたのに、変われば変わるものだね」
「クロノ君の誤算は、なのはちゃんのだだ甘気質を見抜けなかったってことかな」
「私だってなのはがあそこまで甘えん坊だとは思わなかったよ……」

「よかったぁ、クロノくんの口に合って。ね、ね、ご褒美になでなでして、なでなで」
「うぐ……こ、こう、か?」
「ん〜〜〜、クロノくんのなでなでって気持ちいい〜……ごろごろぉ〜」


 ・ 〜  〜 Scene 14 〜  〜 ・

「フェイトちゃん、アリサちゃん、すずかちゃん、はやてちゃん。みんなに集まってもらっ
たのは他でもないの」
「あの、なのは、また……惚気、なのかな?」
「確かに告白しろ、って急かしたのは私たちだから責任はあるけどさぁ……」
「正直一人だけ春が来てるなのはちゃんの惚気ってものすごく堪えるのよね……」
「それとも何か? クロノくんと喧嘩でもしたんか?」

「流石はやてちゃん! それなんだよ!」

「はぁ? 喧嘩。あんたら2人が喧嘩? 地震でも起こるんじゃない?」
「違うの。この前エイミィさんに言われたの。「あなたたち喧嘩したことないでしょ」って」
「クロノさんとなのはちゃんの喧嘩って確かに想像つかないけど、したことないの?」
「ないよ、だってクロノくんのこと上から下まで全部好きだもん、喧嘩する要素なんか見
当たらないよ」
「い、今の一言、早くも気力が削り取られた感じや……」
「ど、同感だね……」
「で、そ、それがどうしたってのよ。喧嘩しないのはいいことじゃない」
「だって喧嘩の一つもしないような仲じゃ、何かあったとき破局も早い、ってエイミィさんが……」
「はぁ? 何よそれ」
「別に相手の悪い所が見えないくらいいいんじゃない?」
「せや。いずれイヤでも目に入るようになるて」
4554の422 ◆h7y.ES/oZI :2008/08/17(日) 22:46:08 ID:40a1MOIh
「確かになのはもクロノもお互い人をけなすようなタイプじゃな……って……」

「言われてみれば私クロノくんが何しても、あーかっこいいなぁ、とか優しいなぁ、とか、
そういう風にしか見えなくて、だってだってクロノくん、ホントに王子様みたいなんだよ!
 抱っこして、って言ったらしてくれるし、キスして、って言ったらひ、人前だってちゃん
としてくれるし、ベベベ、ベッドの上だってすっごく優しいし……あ、で、でも時々すごく
荒々しく抱いてくれるんだよ、もう壊れちゃうくらい。何回もイっちゃって。もう身動きも
できないくらいになったら、すごく優しく頭とか撫でてくれて、わ、わたし、実はそういう
時って頭撫でてもらうだけで感じちゃって、結局またおねだりしちゃうの。そしたらクロノ
くん、「なのははエッチだね、でもそういうところも好きだよ」って言ってくれて。やぁん、
なのは恥ずかしいっ! で、その後はものすご〜〜〜く優しく抱いてくれるの。もう挿れて
もらっただけでイっちゃう! みたいな感じで……って、あ、あれ?! みんなどこ行くの!」

「「「「一生やってろ!」」」」


 ・ 〜  〜 Scene 15 〜  〜 ・

「クロノくん……」
「ん?」
「……お休み、終わっちゃったね」
「……そうだな……(休暇の3日間、正直ベッドの中に居た記憶しかないが……)」
「また……明日からしばらく会えなくなっちゃうね……」
「結婚して家庭に入ってくれるか?」
「ん……魅力的だけど……まだ、無理、かな……」
「だよな……」
「ね、今度のお休み何時だっけ?」
「3週間後。もしかしたらその間に1日くらいは休めるかな」
「そっか。じゃぁ3週間耐えられるようにぎゅーってして?」
「こうか?」
「うん……あったかい。クロノくん」
「なのはも……」
「……このまま、寝てもいい?」
「……ああ。僕も3週間分、なのはを溜め込んでおかないといけないからな」
「いっぱいいっぱい、ぎゅーってしてね。離さないでね」
「まかせろ。存分に期待に答えてあげるよ」

「大好き……クロノくん」
「僕もだ……なのは」

4564の422 ◆h7y.ES/oZI :2008/08/17(日) 22:46:56 ID:40a1MOIh
 ・ 〜  〜 ・ 〜  〜 ・


 いつまでもいつまでも、

  尽きることのない『二人』の想いが、


 いつまでもいつまでも、

  永久に続く時の流れの中で、


 いつまでもいつまでも、

  いつまでもいつまでも、

   続きますように……


 『二人』の愛が、

  いつまでもいつまでも、

   『二人』を形作っていきますように……


 いくつものいくつもの、

  『二人』の出会いが、

   偶然という名の、

    必然でありますように……


 いつまでもいつまでも、

  『二人』が『二人』で、

   ありますように……



 全ての、『二人』に…………



  魔法少女リリカルなのは  〜 CherryLight・Forever 〜

        Never Ending.  Endless Ture LOVE.


4574の422 ◆h7y.ES/oZI :2008/08/17(日) 22:48:38 ID:40a1MOIh
 
 足掛け2年。ようやくCherryLightにケリが付きました。
 ……ユーノメインの鬼畜外伝はどうやらお蔵入りになりそうです orz

 これで「もう一人…」に集中できますが、「もう一人…」は2年半に至ろうかという
のにまだたったの6話だということに改めて気付いて凹みまくりましたorz
 がんばって都築(誤字)書きたいと思います……

 それではまたー。




 追伸。 保管庫司書様にお願い。

 私の作品は全て(例外もありますが)、

 「魔法少女リリカルなのは△△〜△タイトル△〜(△サブタイトル)(△VOL.●●)」
 (△=全角スペース)

 というタイトル付けをしてあります。
 (鬼畜系は「〜△魔法少女リリカルなのは△〜△△”タイトル”」となっています)
 こういうつまらないところにこだわる人間なので、保管庫のインデックスタイトルもそれに
合わせて修正していただけないでしょうか。お手数ですが、よろしくお願い致します。
 (スペースが全角だったり半角だったり無かったりしているようなので>保管庫)

 つまらない依頼で申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。
458名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 22:57:31 ID:dv4Ehq9Z
GJ

新婚旅行前からもう一人をお待ちしていましたが、あの作品はある意味序盤の山場で生殺しされているので
期待も大きいですはい。
459名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 22:59:40 ID:qag5ynUp
>>457
GJ!なんですがひとつ…
所々出てくる … とはなんですか?
文字化け?だとは思うんですが…
意味みたいなのを教えていただければと思います

以下>>457より引用します
>……ユーノメインの鬼畜外伝はどうやらお蔵入り…
460459:2008/08/17(日) 23:07:35 ID:qag5ynUp
すいません…解決しました
&の後にhellip;となっていたのでiMonaじゃなく普通のブラウザでみたら化けていませんでした
これからはROMります
461名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 23:13:10 ID:6egeZSAv
ダメだな
462名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 23:35:43 ID:FAkfIY3W
>>461
同感だ。ここまで捏造の嵐だと読む価値どころかスレのゴミだ
463名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 23:40:15 ID:NW9BUHs4
GJです!!原作のクロなのの上をいく激甘な二人、好きです
しかも異世界のクロなの全部甘い、がSts本編はやはりないんですねw
本当にGJ!!是非Scene 9時空の青姦も期待しています!!
464名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 23:41:42 ID:+7USlqpH
>>457
GJ

なんというか、この引きは原作に親しんだ人に特化してる気がする。
あれは公式に明示された平行世界だからな。
465名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 23:46:52 ID:39h7pyiM
>>457
長い間ありがとうございました!
リンディ茶が苦く感じるくらいの甘さがたまらない…
おまけにデキちゃった(?)なんて、このクロ×なのカップルで妄想出来る最大限の幸せを拝ませていただきました。GJっ!
次作も待ってます!
46669スレ264:2008/08/17(日) 23:52:31 ID:L8NW/J+V
>>457
作者ページの表示を整形しました。
個別ページ名はwikiの仕様上変更が効かないのでご容赦を。
467名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 00:26:47 ID:aifMq/pT
八神家がお寿司食べに行く話ってここだっけ?ずっと裸正座で待ってるんだが……。
468名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 01:01:24 ID:s1C4CPvw
>>467
大丈夫だ。オレもここで全裸待機している。
469野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/08/18(月) 01:06:36 ID:xe9zCAJa

寝る前に投下。

 SSXゲットできたよ記念。
 総スレ数3
 タイトル「ヴォルケン会議」
 非エロ。
 あぼんワードはコテか鳥で
470野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/08/18(月) 01:07:29 ID:xe9zCAJa
    1

 ある夜――
 八神家にて――

 家主の就寝中に密かに集う四つの影。

「では、烈火の将の名において、今年第一回のヴォルケン会議を開く」
「司会は私、湖の騎士が勤めさせていただきます」
「なんでそんな大袈裟なんだよ」
「ばう」
「おめーは人型になれ」
(別にかまわんだろう、意思の疎通は念話でできるのだから)
「そういう問題じゃないだろ。シグナムもシャマルもちゃんと形式を取ってるんだから」
「ああ、別にそれくらいかまわんぞ」
「ええ、構わないわよ」
「なんで、それはオッケーなんだよ。だったら、あたしだって、堅苦しいのは嫌だからな」
「しかしヴィータ、リラックスといっても限度があるからな」
「どれくらいだよ」
「そうだな、せいぜい、獣型になるくらいだな」
「そんなことするの、ザフィーラしかいねーじゃん!!」
「あまいわね、ヴィータちゃん。シグナムは時々ケモノになるわよ」
「ああ、テスタロッサの相手をするときはな」
「何か今、聞き捨てならないこと言ったぞーーー!」
「落ち着けヴィータ。プライベートでの話だ」
「余計まずいだろがっ!」
「ああ、私だって相手がいればなぁ…ケモノにだって獲物にだってなってあげるのに」
「そこの欲求不満年増! なに言い始めてんだっ!」
「そうね、クロノ提督なんてどうかしら。不倫は燃えるわよ」
「聞いてねえよっ!」
「ごめんなさい。燃えるじゃなくて、萌える、のほうかしら」
「どっちでもいいよっ!!」
(落ち着け、ヴィータ。シャマルも冗談が過ぎただけだ)
「あ、ああ、悪かった」
(さあ、シグナム、早く本題に入ってはどうだ)
「うむ。では本題にはいるが、三人ともいいか?」
「ああ」
「ええ」
「ばう」
「主はやてのことだが、ナカジマ三佐との関係は皆知っていると思う」
「三佐と会った後のはやて、機嫌いいもんなぁ」
「はやてちゃん、お肌もつやつやしてるしね」
(主はやての中からゲンヤ殿の匂いもするしな)
「そんなもんチェックすんな、つーかわかるのか犬っ!!!!」
(フッ、ベルカの守護獣の嗅覚をなめるな。とはいっても、三佐自身の匂いと言うより、精液の匂いだが)
「詳しく言うな」
(しかし、時折口臭に混ざっているのが解せん)
「黙れ犬」
471野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/08/18(月) 01:08:14 ID:xe9zCAJa
    2

「皆の正直なところを聞きたい。三佐と主の関係について、どう思う?」
「それを聞いてどうするつもりなの?」
「それを聞いているのだ。祝福すべきなのか、反対すべきなのか」
「確かに、三佐は二人の子持ちのうえ、年の差が大きいものね」
「でもよぉ、結局はやての気持ち次第じゃねえのか?」
「ヴィータ、我らは主の幸せを祈っているのだ。三佐と一緒になることが主の幸せでないと判断すれば、私は反対する」
「でも、二人が好き同士だったらどうすんだよ。まさか力ずくなんて言わないだろ?」
「それはそうよ。スバルとギンガに怒られるわ、ねぇ、シグナム」
「ふっ、戦闘機人二体ごときでわれらヴォルケンリッターを止められると思っているのか」
「そこは威張るところじゃねえだろっ! バトルマニア!」
(だが、あの二人の胃の腑は並ではないぞ)
「大食い勝負かよっ!」
(俺は争いは好まん)
「話し合えばいいだろ、最初から。そもそも、三佐とはやての仲を反対する理由って何だよ」
(ヴィータ、言いたくはないが、主が三佐の妻となった日には、お前との同衾はなくなるのだぞ)
「同衾言うな」
(すまない、夜伽だったな)
「黙れ犬」
「いや、ヴィータ。ザフィーラの言うのであっているぞ」
「そうよ。夜伽って言うのは、主君のそばに寝ずの番で仕えることを言うのよ(本当)。私たち守護騎士にとっては立派な使命よね」
「え゛? そうなのか?」
「ああ、そうだぞ。知らなかったのか?」
「……うん。そうか……言葉って色々あるんだな」
「うむ。その通りだ」
「ヴィータちゃんも、もう少しお勉強しないとね」
(一般的には、男性主君がベッドの相手として目下の女を指名するという意味で使われるがな)
「黙れ犬」
472野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/08/18(月) 01:08:56 ID:xe9zCAJa

    3

「もし、主が三佐と結婚された場合、三佐は我々にとっては主の配偶者ということになる」
「ある意味、主と同等の存在ね」
「あれ、そうすると、ギンガとスバルははやての義理の娘になるのか?」
「そうなるな」
「そうなると、ギンガとスバルは主の娘。同等とまでは言わなくても私たちの格上の存在になるわ」
「ちょ、ちょっと待て。スバルに仕えることになるのか!?」
「……そういうことだな」
(まあ、あの二人のことだ。我らとの関係はこれまで通りで変わるまい。我らの心の中でそう思っていればいいだけの話だ)
「…………気になる噂があるのだけれど」
「どうした、シャマル」
「三佐の家で、ナンバーズのうちの誰かを引き取るかもしれないって」
「なに?」
「義理の娘として引き取るかもしれないって」
「…………えっと…………つまり、ギンガやスバルと同等の存在?」
「理屈としては、そうなるわね」
「…………ナンバーズの誰かが、あたしたちより格上?」
「そう…なるな」
「なんだか、突然結婚に反対したくなってきた」
「私も」
「私もだ」
(俺はかまわん)
「ザフィーラ?」×3
(お前たちが何を思っているのかは俺は問わん。しかし、一つだけは言える。たとえナンバーズの誰かがナカジマ家の一員となり、主はやてがナカジマ家の一員となり、
我らの主を含む一族が生まれたとしても、俺の立ち位置は変わらんということだ……)
「……ザフィーラ……そうか、主の境遇にかかわらず、我らは誇り高きヴォルケンリッターということだな」
「将の言うとおりね。私たち、一番大事なことを忘れていたわ」
「ごめん、ザフィーラ、あたしたちがバカだった」
(美女美少女にモフられる俺、という美味しい立ち位置は断固変わらんっ!)
「黙れ犬」×3
473野狗 ◆gaqfQ/QUaU :2008/08/18(月) 01:09:32 ID:xe9zCAJa
 以上、お粗末様でした。
474名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 01:24:25 ID:1ae27m0I
>>473
GJですメッチャ笑わせてもらいました
あぁ後もう一言「黙れ犬」
475名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 01:35:27 ID:9njwng5n
>>473
GJ!
ラストのオチなんか殆ど落語だわなw
476名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 02:20:47 ID:7+XhkPlP
GJ!野狗さんの書くギャグはどれもセンスが良くて大好きです
しかしヴォルケンズがスバルのことを「お嬢様」なんて呼んだ日には言う方も言われる方も悶えるに違いない
477名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 02:41:46 ID:Myg2bPCe
>>473
GJ!「黙れ犬」で爆笑ものです。いろいろぶっ飛んでるヴォルケン乙。
あと、本当に「お嬢様」というのははやての実の子供のみな気も。そういう線引きはしそう。
他は何というか、仲間よりも一歩親しい関係?見たいな感じで・・・・・。
478名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 02:54:01 ID:ay+RlNjI
執事服着たシグナムが見えた。
479名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 05:58:51 ID:oIJaE2I/
主が主で執事が私で、なのか
シグナムが一億ウン千万の借金負って、その後公園で出会ったアリサに拾われ執事に、なのか
480名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 07:35:03 ID:vlIWPZzh
>>473
GJ!特にバター犬にGJ!
なんかこういうほのぼのしたものは大好きです。

最後に自分も「黙れ犬」
481名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 08:15:10 ID:5GfRelVv
盆休み終わったから、みんな投下スピード落ちそうだなぁ
482名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 08:34:28 ID:nyzKg+L/
>>481
それでも他のスレと比べようもないくらい早いとは思うがな
483名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 08:47:02 ID:nyzKg+L/
>>457
クロなのGJ!
甘すぎて虫歯になるわ、歯医者行かないと

あとScene2の連載を希望します。是非!
なのフェイ共闘1期とか見てみてぇ!

>>473
我が道を行くザッフィーGJ
まさに獣の中の獣、キングオブわんこよ!
484名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 15:03:31 ID:f2ZMJE/+
>>385
遅レスながらGJ!
アルトは好きだけど自分では上手く書けないキャラなので超期待してます。
相手は……順当にグリフィス希望で。
485名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 15:41:54 ID:aifMq/pT
今ポケモンやってて思ったんだが、バシャーモ見てるとシグナムってニックネームにしたくなるんだが俺だけ?
486名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 15:47:02 ID:f2ZMJE/+
>>485
ストライクにガリューって名前つけた俺ならいるよ
487名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 15:49:50 ID:k54R06FG
ユーノと名付けたいがためにオオタチ使ってたのは俺だけじゃないはず
488名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 15:52:23 ID:aifMq/pT
>>486
それを忘れていた。

>>487
むしろマッスグマのが適任じゃないか?
489名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 15:53:01 ID:u1aSvNgC
自分のバシャーモのニックネームは「ちゃも」だな。
ブイゼルにユーノって名前を付けようかとも思ったけど,進化後がなぁ……。

ザフィーラはポケモンの中に混ざってても違和感なさそうだなw
490名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 15:53:52 ID:TShxtKBo
何故か、ピカチュウコスプレのフェイトが脳内に出てきたぞw
アリシアとフェイトでプラスルとマイナン、プレシアがライチュウでもいいがw
491名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 15:56:48 ID:aifMq/pT
フェイトはライボルトかサンダースかと思ったがプラスル、マイナンいいな。


なのはさんが思いつかん。エネコロロ?
492名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 16:11:52 ID:FPevjEs0
なのはさんはサーナイトにしてる俺ガイル。
『はかいこうせん』は当然覚えさせたぜw
493名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 16:23:04 ID:0WbYjikH
なのははギャラドスだろJK
494名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 16:35:01 ID:Oqxph4rm
ヴェロッサはフーディンに違いない
495名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 16:49:34 ID:aifMq/pT
ギャラドスに全く違和感を感じないwww
エルレイドはシャッハでジラーチがカリム。フェイトそんかエリオはデオキシスかミュウツーでもいい気がしてきた。
496名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 17:05:30 ID:Ze+B58u7
キャロ→プリン
フェイト→ピカチュウ
エリオ→ミュウツー
1期なのは→イーブイ

151匹までしかポケモン分かりませんが何か?
497名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 17:12:10 ID:1koZPFYy
遺伝子繋がりでエリオ=ミュウツーですか?
確かにエリオはピチュウ(だったかな?)の柄じゃないですけどねwww
498名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 17:18:36 ID:fskKeusN
エリオはドードリオなんか合わない?
雷は無いが、空飛べない+早い+牙突的に。
499名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 17:27:44 ID:0LjB0Jhk
クロノはルカリオ、と言ってみる。
いや青いし黒いし沈着だし。
500名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 17:46:28 ID:ay+RlNjI
アルフの子犬フォームはまんまガーディだなぁと思った俺が通る。
ヴィヴィオはトゲピーか進化したら強いコイキングか能力的にミュウツーか。
501名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 17:54:07 ID:WO0ByF85
どうでもいい雑談はこの辺にしておこうぜ
502名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 18:12:45 ID:ySUhLKUc
気に入らないなら流れを(ry
503名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 18:14:11 ID:G3Bd6J5k
まあ、次にどなたかがそこそこの分量を落とせば次スレだな。
504名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 18:41:04 ID:oDpv8uvO
スレタイを3度確認したポケ板住人の俺
505名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 20:16:35 ID:RZKEk7NE
ポケモンはよーわからん。まぁ、いつもの雑談だろうが自重してくれるとうれしい。

>>437
「黙れ犬」。最高だ、腹筋ねじ切れるかと思ったぜ。
あとヴィータは胃痛で倒れそうだな

>>457
クロなのは正直見たことないに等しかったが、こんだけ甘いと口元にやける、GJっ
とりあえずScene 6辺りの学園再編物なんかのキャラ換えしたのを見てみたいキガス(クロフェイとか)

>>427
これは良い俺と変われSS。
3人娘が手だれすぎるがどこで覚えたんだお前らw
是非とも続編希望! いいぞもっとやれ。
506名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 23:10:07 ID:aifMq/pT
今更なんだが、話振ってわるかった。しばらくの間裸エプロンで八神家寿司SSを待ちながらロムるわ。
507名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 00:03:27 ID:laTHzkfv
悪い事なのか?
508名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 00:14:47 ID:3GrZofGJ
>>507
当たり前だろ、何言ってんだ
理解できないならお前の頭の方が悪いってことだ
509名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 01:50:46 ID:9h2vpfpf
不倫提督が離婚する際の奥さんとの話合いなんかはこのスレ的に需要あるのだろうか
510名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 02:02:57 ID:Olau4LZ+
自分で考えるんだな
俺は個人的に絶対やめて欲しいが
511名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 02:33:07 ID:C3ugM+bB
>>509
需要なんてものは投下した後についてくるものさ
レジアス凌辱すら許容したこのスレを信じるんだ!
512名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 02:50:54 ID:edt0UKj7
>>509
読んでみたいな。
あんだけカリムやらフェイトやらと不倫ばっかしてたら、エイミィさんが愛想つかしてもしょうがないもんw
そして金髪にコンプレックスと憎しみを抱く病みエイミィさん……
513名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 02:53:31 ID:SMWhYpWM
ユーノがとばっちりを受けますか
514名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 03:19:46 ID:U3aomolN
>>509
需要があったらなんなの?需要がなかったらなんなの?
わざわざそんな限定されたシチュについて聞くってことはそういう話を書きたいんでしょ?
だったら需要があるようだから書くなんて取り繕わなくて書いて投下すればいいじゃん
どんなジャンルでも一定の文章力さえあればGJの一つや二つはくれるよ
515名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 06:22:52 ID:eE8bQKZf
カリムとはともかく、フェイトとに関してはエイミィはあまり怒りそうな感じがしないなー
むしろ当のフェイトの方が気に病んでしまうんじゃなかろうかとか

いや、やっぱ怒るか
大事な妹を傷つけるような真似は旦那であっても許さないだろうし
516名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 11:09:16 ID:Zy+fU7M6
今日はチビユーノで一発抜くか…。
517名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 11:16:24 ID:fXR193wV
確かなのは、誠よろしくクロノアンチが大量に増える事だけは覚悟した方がいい

ただでさえ、結婚した公式カプに喧嘩売ってるんだから
しかも、それが浮気なんだし
518名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 11:49:40 ID:/os4aqrq
ミッドチルダが重婚はいけないという設定はない。
519名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 12:29:14 ID:Olau4LZ+
>>517
それはないんじゃない?
今でさえクロフェが主流だし、カリムさんの登場で不倫キャラが定着してるし、(職人に)クロエイ人気ないし

どうでもいいけどエイミイなら浮気しても怒らなさそうって考えはヒドイ考えだと思う
520名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 12:37:08 ID:heOmwt9U
まあ、重婚やら一夫多妻制度が許された経緯や背景を考えれば、普通の社会じゃ認められないとは思うが。
521名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 12:56:25 ID:61YHZPa1
死亡率が高いと認められやすそうだな
522名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 13:15:20 ID:dNq50roN
>>519
いや、さすがに見ず知らずの他人と浮気したら怒るだろ

ただ相手がフェイトとなった場合、自分も長いことフェイトの面倒見てきてるからそんなに単純な話じゃ済まないと思うんだよな
フェイトがクロノと不倫するってことはフェイトは長年クロノに好意を持っていたってことになるが、
それならエイミィが今までフェイトの気持ちに気づいてなかったことはありえないだろうから
523名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 13:53:30 ID:Wr9/xF49
何気にフェイトとエイミィは姉妹同然に仲がいいからなー
フェイトとクロノの不倫は最終的にクロノが二人からシメられる光景しか思い浮かばん

ところでフェイト・エイミィ・美由紀・シグナムの四人で温泉旅行に行くというネタを思いついたんだがどうすればいい?
生憎と自分には作品に仕上げる文才がないんだ…
524名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 13:59:03 ID:wzZ+nbsT
エィミィさんは劇場版に出る尺をもらえるのだろうか?
525名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 14:18:07 ID:HkUwjAtA
つまり、エイミィと結婚したフェイトがクロノと浮気か。
526名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 14:34:53 ID:cySKohqy
エイミィがフェイトと浮気すれば解決だな。


…………ちょっとメモ帳立ち上げるわ。
527名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 14:41:31 ID:RJ4kjkYX
>>526
全裸で待ってる
528名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 15:19:52 ID:snzVN5HB
>>526
あんた天才だわ
529名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 16:09:36 ID:xeUvzxkv
そして3Pへ・・・

>>524
激しく不安だなorz
530名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 16:58:13 ID:SMWhYpWM
>>524
なのフェ以外のキャラ全員空気化と予想している
531名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 17:22:42 ID:Zy+fU7M6
なのフェ置いてけぼりで兄貴大活躍の巻
と予想
532名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 17:32:39 ID:cySKohqy
そして始まる淫獣祭
533名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 18:02:22 ID:Uz2rTt+f
劇場版が終わった頃にはクロユノサイトや
ユノクロサイトが立ちまくるんですね、分かります。
534名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 18:30:57 ID:pHBxRlA+
雑談はもう自重すべきじゃないか
早く投下きてほしいぜ
535名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 18:38:15 ID:EsUrQCjj
でももう466kbだぜよ
536名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 18:44:12 ID:vMDX+UJH
埋めネタ待ちか、このままながーい雑談で落とすか
迷いどころだな
537名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 18:53:23 ID:bcy8srVx
ながい雑談は論外だろ
このスレ雑談続くとたまに変に白熱した上にスレ違いな議論始めるバカいるし
538名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 18:55:06 ID:Zy+fU7M6
雑談雑談うるせーよw
539ザ・シガー:2008/08/19(火) 19:30:35 ID:fx5JXQrT
じゃあ投下でもすっか。

「烈火の将は狙撃手がお好き」シリーズの番外編、前後編で非エロの前編です。
言うまでもなくカプはヴァイ×シグ、気に入らない人は普通にスルーの魔法を使おう。
540烈火の将は狙撃手がお好き:2008/08/19(火) 19:31:24 ID:fx5JXQrT
烈火の将は狙撃手がお好き 番外編 夏祭り (前編)


日本の夏。
天には白い雲が輝き太陽が燦々と降り注ぎ、セミが狂ったように鳴き喚き、どうにかなりそうなくらい蒸し暑い季節。
そんな暑苦しい季節には海水浴だのプール開きだのと、涼しさを求めた行事や娯楽があり、この時期特有の“祭り”もまた、そうした季節特有の行事の一つであろう。
それはこの海鳴市にしても同じ事である。花火打ち上げの今日は屋台が店を連ね、大変な活気が町のあちこちに溢れている。
特に神社に並ぶ夜店とその前に出来た人ごみは凄まじいものがある。
そして、夏ならばの日本のあちこちで見られるそんな恒例行事に参加するミッドチルダの若者がちらほら。


「いやぁ〜、それにしても凄い人っすねぇ」


簡素なTシャツとジーパンというラフな格好の黒髪の青年が、夜店とその前に連なる人の海と肌に伝わる熱気に感嘆の言葉を漏らした。
ミッドチルダ育ちの彼にはこのような日本特有の祭りは珍しいのだろう、目には好奇心が満ちている。
そんな青年に隣で佇んでいた女性が答えた。


「私もここの祭りに顔を出すのは数年ぶりだが、確かに今日は凄い人だな」


彼女は青年とは打って変わった優雅な着物姿、涼しげな薄緑色のそれが素晴らしく凹凸の激しい肢体を覆っている。
ポニーテールに結われた燃えるように鮮やかな緋色の髪が淡い緑色の浴衣と対照的で一層その艶やかさを際立たせていた。
彼女のその類稀なる美貌と相まって、祭りの人ごみの中で人の目、取り分け男の視線を釘付けにしている。

青年の名前はヴァイス・グランセニック、機動六課に所属するヘリパイロットにして凄腕のスナイパー。
美女の名はシグナム、機動六課ライトニング分隊の副隊長にして歴戦のベルカ騎士の猛者である。
二人は今日、地球は海鳴の祭りへと足を運び、久々の休暇を楽しんでいた。
まあ、二人きりとはいかなかったが……


「ねえねえティア〜、今度はあれ食べようよ〜♪」
「あんたまた食べるの!?」
「エリオ君、これ美味しいよ。わたあめって言うんだって」
「本当だ、美味しいね」


先ほど買ったたこ焼きを瞬く間に胃に収めたスバルがさらに食欲を満たすべく他の屋台を見てはしゃぎ、そんな彼女に相棒のティアナが呆れて突っ込みを入れている。
その横ではエリオとキャロが二人で一つの大きなわたあめを食べて、ほのかな甘酸っぱい空気をかもし出していた。
スターズ・ライトニングの両分隊の隊員もまた、浴衣に身を包んでヴァイス達と共に祭りの夜を楽しんでいた。

始まりははやての言葉だった。
“今年の海鳴の祭りはにぎやからしいんよ”と八神家の食卓で漏らしたのが事の発端。
他の隊長陣は色々と忙しくて時間がないらしく、今日の祭りには来れなかったが偶然暇を持て余していたシグナムが“たまには海鳴に足を運ぼうか”と考え、それに恋人のヴァイスを連れ立って向かう事になった。
というのが今回の海鳴の夏祭りを楽しむ小旅行のきっかけである。
ちなみに、スターズ・ライトニング両チームのフィワードメンバーが同行するのは、ヴァイスとシグナムが一緒に出かけると聞きつけたティアナの発案である事は言うまでもない。

そんな訳で、六人は日本の夏祭りを楽しむ事となった。





ポンッ!
541烈火の将は狙撃手がお好き:2008/08/19(火) 19:32:37 ID:fx5JXQrT
 
と小気味の良い音が響くと同時に弾丸が発射され、妥当すべき目標に向かって空気を切り裂き進む。
だが射手の腕が悪いのか、その弾はまるで見当違いの方向に向かって進み、遂には何にもかすりもせず地に落ちた。
倒すべきモフモフは依然として大磐石と立ちすくんでいる。


「むう〜、全然当たんないよぉ〜」


頬を膨らませてふくれっ面のスバルがへそを曲げたようにそう漏らす。
夜店の射的屋で可愛いヌイグルミを発見した彼女だが、いざやってみれば弾はあさって方向にばかり飛んでまったく的に当たらないようだ。
いつまで経っても目当ての景品は入手できず、いたずらに時間と円が費やされる。
そんなスバルに、とうとう見るに見かねたティアナが詰め寄った。


「ああ、もう! 貸しなさいよ、私がやってみるから」
「大丈夫だよ、そろそろ当たりそうな予感するし」
「うん、それ絶対無理」
「あう〜……相棒がヒドイ事言う〜」
「ほら、良いから貸しなさい」


半ば無理矢理スバルの手から射的用のエアガンを奪ったティアナはコッキングレバー引きコルクを銃身に詰めると、ストックを肩付けしてスバルの欲しがっていたヌイグルミに狙いを付ける。
スバルの射撃を見てそれなりにこの玩具銃の性能を考察したティアナは照星(サイト)と着弾点の位置を脳内で修正しながら引き金を絞った。

ポンッ!

コルクが飛び出す。なだらかな軌跡を描きながら宙を飛んだコルクは目指すべき標的に向かっていく。
だが結果は大ハズレ。途中までは完全にヌイグルミを捉える軌道を飛んだコルクだが寸前で重力落下に従い地に落ちた。


「は、外れた!?」
「ああ〜! 惜しい」


自慢の射撃がスカを喰らい、ティアナは不機嫌そうに眉を吊り上げる。
今度こそ当てようとやっきになった彼女は即座に銃をコックし弾を再装填、再び狙いを定めて引き金を引いた。
だが力みすぎていたのか、二発目はまるであらぬ方向に飛んでいってしまう。


「ティアへたくそ〜」
「う、うっさい!」
「まあまあ、ティアさん落ち着いて」
「次はきっと当たりますよ」
「むう……そうね、次は当てれば良いのよね……」


スバルの言葉にカッとなるティアナだが、エリオとキャロの慰めにとりあえず落ち着く。
早速次弾を装填して狙いを付けるが、今度は先ほどよりもさらに力んでしまって銃身が僅かにブレ始めていた。
そんな様子を見かねた狙撃手は烈火の将からそっと離れると、少女の傍に歩み寄った。


「おいティアナ、もっと力抜け。そんなんじゃ当たるモンも当たらねえぞ」
「ひゃっ!」


ヴァイスはそう言いながら、まるで抱きしめるように後ろからティアナに寄り添い、銃を構える彼女の手に自分のそれを重ねた。
温かく大きい彼の手がティアナの狙いを支え、正確な照準を助ける。銃の狙いは定まったが、今度は心臓の鼓動が爆発しそうなくらいに早くなった。
顔はまるでトマトのように真っ赤になっている。そしてそんな彼女の耳元にヴァイスの声が囁かれた。
542烈火の将は狙撃手がお好き:2008/08/19(火) 19:33:27 ID:fx5JXQrT


「よし、そのままだ。落ち着いて狙えよ」
「は、はい……」


揺れる銃身が徐々に振り幅を狭め、遂に完全に静止する。その瞬間に引き絞られる引き金、砲口から解放されたコルクの銃弾が放たれた。
今度こそ完璧な軌跡を描いた弾は見事お目当てのヌイグルミに命中、十分すぎる衝撃を与えて台の下へと落とした。
落ちたヌイグルミを店主から受け取ると、ヴァイスはそれをスバルに軽く投げ渡す。


「ほれスバル、きっちり取ったぜ」
「わ〜い♪ ありがとうございますヴァイス陸曹」


まるで小さな子供のようにお目当てのヌイグルミを抱きしめて、スバルがピョンピョン跳ねて喜んだ。
ちなみに、彼女の豊満な胸に抱きしめられるヌイグルミを周囲の男が心底羨ましいと思ったのはまた別の話。
スバルのそんな幼い仕草にヴァイスやフォワードは苦笑するが、そんな中シグナムだけは眉を歪めて不快そうな表情をしていた。


「……いつまでくっ付いているつもりだ?」


まるで地の底から響いたと思えるほど低い声が響く。
ヴァイスが振り向けば、そこには憤怒のオーラを身に纏った烈火の将が瞳に殺意をギラつかせてこちらを睨み付けていた。
その気迫に彼は思わず叫びそうになるのを必死に堪えて現状を確認する。
良く考えればさきほどからヴァイスはティアナとくっ付いたままだ。目の前で自分の男が他の女と密着していればシグナムが怒っても仕方あるまい。
チビリそうなくらいおびえるヴァイスとは対照的に、彼に寄り添っていたティアナは対抗意識に瞳を燃やした。
彼女もまたヴァイスに恋している以上、ここで引いては乙女の名がすたるというものだ。


「べ、別に減るもんじゃないんだから良いじゃないですか」
「……なに?」


空中でぶつかり合う二つの女の視線、そこに込められているのは言わずもがな況烈な嫉妬心と敵意である。
無論その場には凄まじく重くそして鋭い空気が漂い始める、エリオとキャロは震える身体を支えあいスバルは既に涙目だ。
剣呑な雰囲気の中、台風の目に入るヴァイスはとりあえず仲裁に入る。
いくらなんでもこれをスルーしてはチキン過ぎるだろう、という男の矜持だった。


「まあまあ……姐さん落ち着いて」
「……」


とりあえず彼の言葉に抜きかけた敵意の刃を鞘に収めるシグナム、だが視線に込めた力はいまだ大気に残留のようなものを残していた。
そんな空気に耐え切れなかったのか、スバルがティアナの腕を引いて自分の方に寄せる。


「ほら、ティア! 他の店も回ろうよ?」
「ああ……分かったわよ」


不承不承とティアナが頷き、ようやく一行は祭りの夜店見物に戻った。



 

「いやぁ〜、それにしてもあいつらいないっすねぇ」
543烈火の将は狙撃手がお好き:2008/08/19(火) 19:34:32 ID:fx5JXQrT
「……」


祭りの人ごみがごった返す中でヴァイスがそう漏らす。彼の隣にいるのは押し黙ったシグナムただ一人だった。
先ほどまでは六人で夜店を回って練り歩いていたのだが、凄まじいまでの人の波に巻き込まれて全員散り散りになってしまう。
ヴァイスはシグナムと二人っきりになってしまい、その長身を生かして周囲を見回すがどこにもティアナ達の姿は見当たらなかった。


「見当たらないっすね。じゃあ、とりあえず持って来た携帯に連絡入れてみますか……」


ヴァイスは手持ちの携帯端末を取り出してティアナ達を呼び出そうとするが、それは隣にいた烈火の将に遮られた。
シグナムはその白くしなやかな指で彼の手を掴み、柔らかな力で抑え付ける。
そして彼女の表情はどこか不機嫌そうに歪んでいた。


「あの……姐さん?」


分からない、何故彼女がこんな顔でこんな事をするのか。
はぐれてしまったのだから、連絡くらい入れて待ち合わせ場所を決めるべきだ。
だがシグナムはあえてそれを妨害しようとしている、ヴァイスは意味が分からなかった。
そして、しばしの時彼の手を握っていたシグナムがそっとその手を離す。


「ヴァイス……せっかく二人きりになれたのに……水を差したいのか?」


少しだけ眉を歪め、頬をほんのりと朱に染めながらシグナムは静かにだが確かに耳に届く澄んだ声でそう呟く。
元々はヴァイスとシグナムの二人で来るはずだったのが、フォワードメンバーの同行で水を差されてしまった。
彼女の望んでいる事はおのずと理解できた。


「でも姐さん、あいつらを放っておくのもなんですし……」
「……」
「ああ、ハイ……分かりました。それじゃあ二人で回りましょう……」


無言でこちらを見つめるシグナムの恨めしそうな瞳に、ヴァイスは三秒と持たず白旗を振った。
確かにティアナ達とはぐれたままというのは問題があるが、彼女のへそを曲げたままにしておくのはもっと問題のある事だ。

自分の要求が受け入れられてシグナムは心から嬉しそうに微笑む、それは普段の凛然とした様が信じられないくらい柔らかく温かい笑み。
一瞬、ヴァイスの心の鼓動が高鳴る。ふいに彼女の見せるこういう表情はひどく心を魅了する。
しかし彼のそんな動揺など露知らず、シグナムは早速夜店の行列に向かった。


「よし、じゃあ行くぞ」
「はいはい、了解です」


二人はあとほんの少しで肩が触れ合いそうなくらいに寄り添い合って活気に満ちた祭りの喧騒の中に入っていった。
刺激的な真夏の体験はまだ始まったばかりだ。


続く。
544ザ・シガー:2008/08/19(火) 19:39:46 ID:fx5JXQrT
はい投下終了。
本当は後半のエロ展開加えて一気に投下する予定だったけど、なにやら埋める的空気だったので投下しました。

言わずもがな後半は、姐さんが祭りの熱気の支配する夜闇の中で、ヴァイスの股間のストームレイダーの餌食になります。
カートリッジフルロードで目標に直射する予定ですので待っていてくださいませ。

あと誤字発見。
>>541
と小気味の良い音が響くと同時に弾丸が発射され、妥当すべき目標に向かって空気を切り裂き進む。

と小気味の良い音が響くと同時に弾丸が発射され、打倒すべき目標に向かって空気を切り裂き進む。

ですので、保管庫入れる際はこれでおねがいします。
545名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 19:56:29 ID:rMp7/ZB7
ザ・シガー氏GJ!

浴衣でポニテってだけでもダメージデカいのに、
そこで「女の子」な嫉妬をしてみせるシグナム、めちゃくちゃ可愛すぎる。

UMEエロSSS投下しようと思ってたんだが、残り10K切るまで待っときます。
54666スレ736:2008/08/19(火) 22:10:23 ID:QWF2JLuN
誰もいないかな?
埋め用にエロいフェイトさん置いていきますね

注意書き
・フェイトさんが自分を慰める話
・あえて相手を指定しない方向で書いてみた
・なのフェでもクロフェでもユノフェでも自分的ジャスティスでどうぞ
・やたらとフェイトさんがベタ惚れ状態です、耐性のない方はご注意を
・さすがに本番までは厳しかったので微エロ止まりなんだ、すまない
・NGワードは「君とアイたい終夜」で
547君とアイたい終夜 1/3:2008/08/19(火) 22:11:43 ID:QWF2JLuN
 部屋に入るなり、フェイトはベッドに倒れ込んだ。
 ブランケットを抱え込んで、待ち侘びるのは誰より愛しくて、誰より愛して欲しい人。

 あと少ししたら、来てくれる――――。

 そう思うと、心が疼く。
 しばらく忙しくて、ゆっくり愛してもらえなかったから。
 だから、待ち遠しくてたまらない。

 早く。早く――――逢いたいよ。

 ずっとずっと我慢してたから。
 たくさん、キスをして。
 たくさん、触れて欲しい。

「ん……」

 もぞ、と脚を動かす。
 ブランケットをさっきよりも強く、抱きしめた。

 大好きな笑顔を思い出して。
 煽ってくる指を思い出して。

(……だめ、だよ)

 記憶にあるそれを再現するように、シャツの上からふくらみに手を伸ばす。
 そっと触れて――――指を擦り付けるように弄る。

(だめ……だってば……、あと少し、我慢しなきゃ……)

 ボタンをはずし、シャツの合わせをはだけさせて、

「……ぅん、っ、んん」

 ブラもずらして肌に直接触れる。
 吐息に熱を混じらせながら、てのひらで胸をゆるくつかむ。
 ふくらみの先にも、指の腹を擦り付けて、

「ぁ、っんん、だめ、だよ、私、だめ……」

(……我慢、しなくちゃ……でも、……でも)

 でも、
 欲しくて、
 欲しくて、

 手が止まらない――――。

「は……、ッん……!」

 片手を胸に置いたまま、もう片方の指は太股に。
 スカートの中へ這わせた指を、下着の上から擦り付ける。
548君とアイたい終夜 2/3:2008/08/19(火) 22:12:56 ID:QWF2JLuN
 そこはもう湿ってて、体の奥から感じる熱も、もう、止められそうになかった。

 下着の中まで滑らせた指をクリトリスに擦り付けて、
 胸を弄る指でも、強く乳首を捻る。

「ッあん、はぁ、んんぅ……ッ!!」

 それだけじゃ足りなくて、ぬるりと蜜のあふれる中に指を沈めた。
 うつ伏せになって脚を開く。
 指の動きは止めないままで、ねだるようにお尻を上げて。

「ッん……、濡れて、る、よ? も……、こん、なに――――、ッ、んぁ」

 早く、
 はやく――――、

「キスして……、触って……ッ、いっぱい、欲しい、の、に……ッ」

 ぐぢゅ、ぐちゅ、ぢゅぷ……!

 掻き回す指を二本に増やして、
 わざと淫らな音がするように、
 たくさん、いやらしい蜜があふれるように、

「ん、んッ、――――ッ」

 ぎゅっとシーツを握りしめて、もっと奥まで、指を――――、


「――――あれ?」

「っ!?」

 ふいに、後ろから聞こえた声にびくりとする。

 誰よりも、聞き覚えのある――――それは、

「なんだ……、もう、欲しくなってたんだ?」

「あ、……――――」

 一番触れて欲しかった人が、開いたドアの向こうで笑ってた。


「服もそのままで……皺になっても知らないよ?」

「……ご、ごめん、なさい」

 慌てて姿勢を直して、俯く。

「それともお仕置きが欲しかった、のかな?」

 傍に来て掛けられた言葉と浮かんだ笑みに、背中が、ぞくりとする。
549君とアイたい終夜 3/3:2008/08/19(火) 22:14:32 ID:QWF2JLuN
 怖くて、じゃなくて。

 ――――期待で。


 いつも通りに優しく名前を呼んで、口付けてくれた。
 貪るように舌を絡めながら、フェイトは消えないままの疼きに脚を擦り合わせる。

「まだ駄目だよ」

「っ、……あ、あぅ」

 体が震える。欲しいのに。欲しいんだよ? こんなに、だから――――。

 懇願するように潤んだ瞳のまま、抱きしめてくれている袖をぎゅっと引っ張った。
 応えて、小さく笑う気配がして。

「――――仕方ないなぁ」

 愉しそうな声と共に。――――ず、と指で掻き回される。

「っ……はぁ、あッ、んうぅッッ」

 寸前まで高まってた想いが、弾けた。



「……あーあ、びしょびしょだ」

 乱れた息とぼんやりした意識の向こうで、苦笑される。

 そのまま名前を呼ばれながら、重なってきた唇に応えて。

 好き。
 大好き。
 ――――愛してる。

「ん、ぁふ……、んん」

 ちゅ、ちゅく……。

 何回も唾液を絡めて舌を擦り合わせれば、
 もう、体が、熱くて――――我慢、できそうになかった。

 堪えきれずに切ない声で名前を呼ぶと、満足そうな笑みが返ってくる。

「このまま、しようか?」

「うん、……うん」

 嬉しくて嬉しくて、ぎゅっと抱きつく。

 やっぱり独りじゃ寂しいから――――今夜は、離さないでね?
55066スレ736:2008/08/19(火) 22:15:35 ID:QWF2JLuN
以上です
お粗末さまでしたー

エロってムズカシイ…
551名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 22:22:29 ID:23EsOlBE
GJすぎる。
カップリングを読者の自由にするって斬新な発想だな。
相手を自分にして妄想するのもいいし。

ところでこのスレ的には麻雀ネタって予め注意すれば投下して大丈夫?
一週間くらい前から「なのはで麻雀ネタ」という電波を受信し続けているんだが。
552名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 22:22:31 ID:xeUvzxkv
>>550
フェイトってオナニーの似合うキャラだよな・・・
GJ

>・なのフェでもクロフェでもユノフェでも自分的ジャスティスでどうぞ
いや、ここは俺フェだろjk
553名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 22:26:19 ID:rMp7/ZB7
そろそろ容量があれなんで、次スレたててきました。

☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第82話☆
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1219152163/
554名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 22:27:59 ID:cySKohqy
>>551
ヴォルケン麻雀というデンパなら俺のせいだ。すまん。
555名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 22:30:27 ID:vMDX+UJH
>>551
部隊存続を賭けてお偉いさんと打って、
惜しくも負けるはやてさん…
代償は体で払う羽目に…

「激闘!?リリカル麻雀」はじまりません。
556名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 22:33:04 ID:61YHZPa1
>>551
できれば麻雀の細かいルール知らなくても楽しめるようにしてくれるとうれしい
557名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 22:33:17 ID:+pSM/NSW
「あなた、背中が煤けてるなの」



すまん、言ってみただけ
558名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 22:44:50 ID:HkUwjAtA
>551
『イーワンチューワンイーピンチューピンイーソーチューソートンナンシャーペーハクハツチュン』を三回唱えて『イーワン、ツモ』ですね。
559名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 22:50:32 ID:23EsOlBE
>>554-558
とりあえずNGワードさえ書いておけば大丈夫そうなので今から作ることにします。2週間以内には投下できると思います。
>できれば麻雀の細かいルール知らなくても楽しめるようにしてくれるとうれしい
出来る限りの努力はしてみるけど出来てなかったらごめんなさい。
560名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 22:55:20 ID:rMp7/ZB7
ギリギリなんでうめエロSSS投下
注意!
陵辱系、全員ふたなり、erananosts2ネタってきわものです
メインはアリサとフェイト・T・H、おまけでなのは
NGワードは umenanosts2 でお願いします
561名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 22:56:40 ID:snzVN5HB
アカギみたいなのを機体するぜ
562umenanosts2:2008/08/19(火) 22:56:54 ID:rMp7/ZB7
「いい加減にしてよ」
 その声の強さに、内心で苦笑を浮かべた。
 床の上に力なく座っている、一糸纏わぬ小柄な少女を頭のてっぺんから足の先までなめ回すような目で見つめる。
 細い腕や足、まだふくらみと呼ぶのも憚られる慎ましやかな胸、それは気丈な顔立ちにはどことなくそぐわなくて、けれどその気の強さに相応しい形が、股間にあった。
 フェイト・T・Hのそれよりはやや小振りな陽根。
 自身と同じふたなりの少女を、フェイト・T・Hは何も言わずに見下ろす。
「もう十分でしょっ! いい加減こんなのやめて、家に帰してよ!」
 目尻に涙を浮かべて睨み付けてくる少女――初めて会った頃の姿をしているアリサに、フェイト・T・Hは静かにほほえみかける。
 所詮、現実のものではないのに、本当にアリサそのままの反応が、見ててどこかおもしろみを感じさせる。
 ……そう、単なる仮初めの存在なのだと自らに言い聞かせなければ、自分の行為に心が折れてしまうだろう。
 そんなことを思いながら、フェイト・T・Hは一歩足を進めた。
 途端に、びくりと肩を震わせてアリサがおびえた表情を浮かべ、股間のモノからは液体を零していた。
 見るまでもなく、解っている。
 股間からも愛液を止めどなく垂れ流していることも。
 だから、アリサの前でいきなり床に寝転んで、強引にその硬くそそり立つモノをくわえ込んだ。
「ひぅっ!」
 途端に、大量の精液が一気に噴き出した。
 喉の奥に熱い迸りを受けながら、ちらりと目を上に向けるフェイト・T・H。
 半開きの口からよだれを垂らし、アリサは全身を震わせて絶頂の余韻に浸っている。
「ちょっと、くわえただけで、もう出すんだ? スケベ」
「っっ! 違うっっ!」
 アリサが、悔しげな表情で睨んでくるけれど、その目尻に浮かぶ涙と、紅潮した頬がその気丈さを台無しにしていた。
「違わないよ? アリサは、ホントにスケベなんだから」
 言うが早いか、自身の豊満な胸でアリサのペニスを包み込んだ。
 そのままこね回して、軽く先端にキスをする。
「やっ! ダメ! こんな、ウソッッ!?」
 ただそれだけのことで、アリサの身体が大きく震えた。
 そして、大量の精液がフェイト・T・Hの顔と胸に降りかかってきて、その慎ましやかな貧乳の先端、そこだけぷっくりと自己主張する乳首から、母乳が一気に吹き出した。
「〜〜〜〜〜〜〜っっっ!」
 大きく目を見開いたアリサが、舌を突き出して声にならない叫び声を上げた。
 股間から激しく液体を零している。
「こっちは、早く頂戴って、おねだりしてるのに、気持ちよくなりたくないの?」
 アリサの答えは解っているのに、それでもフェイト・T・Hは問い掛ける。
 ありもしない家に帰せという言葉が、不愉快だったから。
「っ!」
 それでも、キッと睨み付けてくるあたりは、本当に良く出来ている。
 そんな感想を抱きながら、わざとらしくため息を吐いた。
「そんなに、言うこと聞きたくないんだ? じゃあいいよ。好きなようにするだけだから」
 言うが早いか、小柄なアリサを、おしっこをさせるような体勢で抱き上げた。
 ほんの一瞬もがくようなそぶりを見せるアリサ。
563umenanosts2:2008/08/19(火) 22:58:04 ID:rMp7/ZB7
「や、やだっ! やめて、もうやめてよ!」
 おびえた子供の泣き出す寸前のようなアリサの声音に、ただ苦笑が浮かぶ。
 アリサが何におびえているのかが、フェイト・T・Hには解っていたから。
 だから、そのおびえに――正確に言えば、その期待に応えるために。
「ひっっっ! いやぁああっっっ!」
 フェイト・T・Hはアリサのアヌスに自身の逸物を埋め込んだ。
 途端に、ペニスから精液を、乳首から母乳を激しい勢いで吹き出すアリサ。
 同時に、フェイト・T・Hも一気に射精する。
 存分にほぐされ使い込まれたアリサのアナルは、それほどの快楽を与えてきたのだ。
 はき出した精液で滑る腸内が、まだ足りないとでも言うようにフェイト・T・Hの一物を締め付けてくる。
 それは気持ちよすぎて、けれど、精神的に物足りなくて、フェイト・T・Hは何も言わずに、アリサのヴァギナにバイブを一気に突っ込んだ。
 びくんっと大きく痙攣するアリサ。
 それを無視して、乳首を挟み込むピンクローターを仕込んだニプルキャップを装着し、精液と母乳を何度もはき出すアリサのペニスに、更にオナホールを装備させた。
 まるで食いちぎられそうな強烈な刺激が、フェイト・T・Hのペニスに走る。
 ガマンする理由もなくて、そのまままたアナルの中に精液をはき出した。


 ……幾度も絶頂に達して、ぐったりとなったアリサから、一度身を離す。
 さすがにこれ以上は無理だろうと、感じたから。
 同時に、アリサの身体から、ふわっといくつもの光る珠が浮かび上がってきた。
 それは、アリサの快楽の証であり、またアリサを自分の意のままに改造するための資本。
 この異常な世界で、それが事実なのだと納得してから、長い時間が過ぎている。
 だから、それらの珠を回収する。
 けれど、今日の珠の量では、アリサの全身の感度や性癖を改造するには、少し量が足りない。
 だから、そのまま部屋を後にしようとして、それまで所在なげに立っていたなのはに視線を向けた。
「なのは、アリサを綺麗にしてあげて」
「は〜い」
 ただ見ているだけが不満だったのだろう、薬を使って生やしているペニスをひくんひくんっと揺らすなのはが、ぐったりとしているアリサのそばに駆け寄っていく。
 その後のことを想像しながら、フェイト・T・Hは部屋を後にした。


 だが、その部屋の中では、淫猥な光景が広がっていた。
 なのはの見ている前で、アリサが自慰に耽っているのだ。
 自身のペニスを上下にこすり立て、空いた手で自身の乳首をつまむ。
 達した後もその動きはまだ続いて、今度はペニスには直接触れずにヴァギナとアナルに両手の指をそれぞれ突っ込んで、かき回し絶頂する。
 ……十数度も繰り返して、それでも物足りなさそうなアリサが、そばに立っているなのはに気付いて、引き摺り寄せる。
 なのはもそれをうけて、アリサの胸や股間に手を伸ばした。
 淫蕩なレズプレイも終わりに向かうかと見えたとき、なのはがアリサの硬くそそり立つペニスにくちづけをして。
 アリサもなのはのペニスにしゃぶりついた。


 いつ終わるとも知れぬ交歓の宴を、フェイト・T・Hはモニター越しに見つめていた。
 ばかばかしい。
 そんな感想が胸の中に湧いて、なぜか苛立ちを覚えた。
 また後で、思う存分アリサをいたぶらないと、この気持ちは薄れない。
 夜には、壊れる寸前まで追い込んでやる。
 そんなことを誓いながら、フェイト・T・Hは昼食を取るためにキッチンに向かった。
564名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 23:00:08 ID:rMp7/ZB7
アリサの触手エロまで行きたかったんですが、umeなんで軽めなところで止めておきました
それでは失礼
565名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 23:36:17 ID:F9x68ERn
GJ!!

麻雀では、はやてとグリフィスが光りそうな気がするw
566名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 23:43:24 ID:61YHZPa1
よくやった

マージャンはムダツモなき改革みたいな感じがいいです
567名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 00:58:09 ID:qEOqFyyT
>>564
GJ!
ふたなりフェイトを主人公にしてerananoやってた身としては、続きにもwktkせざるをえない
568名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 01:18:19 ID:JhiVxuUh
埋めネタ
>>339 の都築(これ出るんだね

エリオ×ティアナ
タイトル:その後の二人
569名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 01:23:01 ID:JhiVxuUh
「あの、キスしていいですか?」
「はぁ?」
隣にいる少年の言葉に、ティアナ・ランスターは思いっきり固まってしまった。

この度、6歳ほど年下の同僚エリオ・モンディアルに告白された(ついでに、今まで好きすぎて
ついティアさんを盗撮し続けててごめんなさい、とも謝られた)が、返事は返していないのだ。

二人はまだ恋人ではないのである。

お互いの部屋を行き来して一緒に過ごす時間は増えたが、手を繫ぐ程度の本当にプラトニックな関係なのだ。
そんな人間にキスを迫られて、

「してもいいよ。ていうかして。というより、ウェルカムエリオォォォォ(君)ォォォォォォォォォ!!!!」

と言う女は果たして彼に迫る女性達とどう違うのだろうか、と言う考えがティアナの頭を巡る。


「絶対嫌よ」ここは断固拒否の姿勢である。


ティアさん、と名前を呼んでしょんぼりするエリオにティアナは視線を向ける。
こんな表情をすれば可愛いと思っているのだろうか。
・・・・・・いや、確かに可愛いが生憎とティアナはショタコンではないのである。

「ダメなものはダメ。絶対嫌。あんたは我慢って言葉を知らないの?」
「何を言ってるんですか、僕はちゃんと自制してティアさんの嫌がることはしません!
・・・・どうしてもですか?」
「どうしてもよ」
「・・・・本当に、ですか?」

男のくせに何故上目遣いなる必殺技を知っているのだろうか、コイツは。
流石エリオ・モンディアル。本人は気付いていないが、筋金入りのショタ魂(コン)、
フェイト・T・Hの教育を今まで受けてきただけの男ではある。


(くっ・・・・・いや、だめだ、ここで押されたら負けよ、ティアナ・ランスター!)
とりあえず何に対して負けに当たるのかはわからないが、ティアナは踏ん張る。
570名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 01:25:33 ID:JhiVxuUh
「今はそんな気分じゃないの。嫌がる女に無理やり手を出すのが騎士の流儀?」
「えー、と・・・・・・」

あからさまに不満げなエリオに、ティアナは背を向ける。
「だいたい何よ、キスしていいですか?って。あんたって奴は、いちいちお伺いを立てないとキスも出来ないの・・・ぁっ」

言ってしまってからティアナは自分の失言に気付いた。が、もう遅い。

「い、今のなっ・・・」

慌てて振り返って訂正しようとしたが、こんなビックチャンスを、エロオが逃すはずもなく。

ティアナの肩に触れて。

ちゅっ

と小さな音を立てて、ほんの一瞬だけ、二人は温もりを共有した。



唇を離したあと、満面の笑みを浮かべてエリオは、
「じゃあ、これからはティアさんに訊かないでキスしてもいいですよね」
といけしゃあしゃあとのたまわった。

ついこの間まではどんな小さなことでも良いから喋りたい、手を繫ぐくらいまでしか要求してこなかったのに。
純情そうな顔をしといてなんて手の早い奴だ。

あまりに子憎たらしいので、とりあえずティアナはエリオの頬っぺたを引っぱたいた。

あくまで軽く、であるが。
571名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 01:32:01 ID:JhiVxuUh
フェイトさんの逆光源氏計画が失敗してしまったのがこの話の裏事情。

誤算は兄弟みたいに育って欲しいと思ってたキャロが
エリオに迫ったため形振り構わずになってしまったところ
572名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 01:36:14 ID:JpurygZi
しかしいくらSSXでSLBが使えるようになった器用なティアナさんとはいえ
フリードとヴォルテールの2匹を相手にするのは大変そうだなあ。
573名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 01:39:56 ID:yOjpRVhG
まあ、エリオはタイプゼロセカンドに狙われるわけだが。
574名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 01:56:45 ID:kvaUvLtf
>>572
そこはまあ、頭を使って。
落とし穴とか地曳網とか。
エサで釣って誘き出すとか「避けると主が死ぬぞぉっ!」と砲撃を可能な限り乱射するとか。
575名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 02:09:49 ID:uEahWQpT
>SSXでSLBが使えるようになった
マヅで?
576名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 02:43:07 ID:mjnVqc4H
ストライカーズサウンドステージX(ばってん)九州編もあるばい
577名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 03:00:07 ID:yJpo1X9i
アルフ「まず半年ほど監禁します。食事は適度に与えてください。
    次にある程度の距離を置き複数の局員で黙読します。
    中身を決して見られぬよう放射状に向かい合うフォーメーションが確実です。
    時たま率直な感想を漏らし好奇心を定期的に刺激する事が肝心です」
なのは「ぷっ…都築真紀ったら」
フェイト「長谷川光司ってばもう…」
アルフ「そんな事を数週間継続すると猛烈な禁断症状が現れます。
    解き放ちましょう。欲求が最大限にまで達した人間は完全に図書の虜!」
無限書庫準備室
アルフ「……という部屋?」
ユーノ「違うと思うよ」

なのは「えーという訳であなたの最も好きな単語をミッドチルダ語で答えてください。キャロ」
キャロ「……え!? …ラ…LOVER!!」
エリオ(…RUBBER!?)
スバル(ゴム…?)
ティアナ(…ゴム!?)
ギンガ(ゴム!!)
シグナム(ゴム)
ヴィータ(ゴム…)

レティ「このなかで、へいせいを装っている者がいる…お前、生年月日は?」
美由希「…1月5日生まれ…」
レティ「何故「年」を飛ばす」
美由希「………平成1年…」
レティ「平成1年は1月8日からだ! この昭和女が!!」
美由希「…ごめんなさい…」
578名無しさん@ピンキー
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄○ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
           O 。
                 , ─ヽ
________    /,/\ヾ\   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|__|__|__|_   __((´∀`\ )< というお話だったのサ
|_|__|__|__ /ノへゝ/'''  )ヽ  \_________
||__|        | | \´-`) / 丿/
|_|_| 从.从从  | \__ ̄ ̄⊂|丿/
|__|| 从人人从. | /\__/::::::|||
|_|_|///ヽヾ\  /   ::::::::::::ゝ/||
────────(~〜ヽ::::::::::::|/        = 完 =
                   ,.-―っ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                人./ノ_ら~ | ・・・と見せかけて!
           从  iヽ_)//  ∠    再  開 !!!!
          .(:():)ノ:://      \____
          、_):::::://(   (ひ
          )::::/∠Λ てノし)'     ,.-―-、   _
______人/ :/´Д`)::   (     _ノ _ノ^ヾ_) < へヽ\
|__|__|__( (/:∴:::(  .n,.-っ⌒    (  ノlll゚∀゚) .(゚Д゚llソ |
|_|__|_人):/:・:::∵ヽ | )r'        ー'/⌒ ̄ て_)~ ̄__ イ
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|_|_| 从.从从:/ |__|::レ:/      ___/ヽ、_/
|__|| 从人人从 ..|__L_/      .( ヽ     ::|
|_|_|///ヽヾ\ .|_|_     /⌒二L_    |
────────       ー'     >ー--'
        巛ノi
        ノ ノ                  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     ノ')/ノ_ら      ∧_∧       | いきなり出てくんな!!
      、)/:./、      ( ´Д`)      | ビックリしたぞゴラァ!!!
     )/:./.:.(,. ノ)    `';~"`'~,.       \   ________
     \\:..Y:.(  ・ ''    :,   ,. -―- 、|/
_____ 从\、,. ,; .,、∴';. ・  ( _ノ~ヾ、ヽ
|__|_ _(_:..)ヽ:∴:@)       ノ(゚Д゚ #) )
|_|__|_人):|:・:::∵ヽノ)    (_(⌒ヽ''" `ー'
||__|  (::()ノ∴:・/|::|( \    \ \) )        _
|_|_| 从.从从:/ |__|::|ノ   \  ミ`;^ヾ,)∃        < へヽ\
|__|| 从人人从 ..| /:/ _,,,... -‐'''"~   /ー`⌒ヽ、  (( (゚Д゚llソ |
|_|_|///ヽヾ\ ./:/ _ \        /     /T;)   /~  ̄__ イ
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