1 :
名無しさん@ピンキー:
このスレでのお約束事
・基本sage進行(メール欄に半角でsage)
・気に入らないカプやシチュ及び荒らしには爽やかにスルーで対応
・パクリ作品駄目絶対
・マターリエロエロやっていきましょう
すみません。303です。
いけるかと思ってやっていたらぎりぎりまで書き込んでしまいました。
本当にごめんなさい。
それと勝手ながらですが、新スレ立てさせてもらいました。
>>1=303氏乙
もし続きがあるのならそちらを是非!
たびたびすみません。今回の分はあれで終了になります。
ラストへと続きます。
私の不手際でした本当にごめんなさい。次からは気をつけます。
それでは失礼します。
>>1 303様 乙です!
続き楽しみにしてます!
いちおつ。続き楽しみに待ってます
禁欲的で超オクテな阿部と、そんな阿部をどーにかしたい篠岡で寸止めです。
捏造だらけなので、合わない方はスルーお願いいたします。
「そろそろ、行かないと授業に間に合わないんじゃないの?」
百枝は腕時計に目線を落として言った。正直いうと、自分もそろそろバイトに向かいたかった。
相手の阿部は、はあ、と珍しく気弱な返事を返して、固まっていた。
その日の朝練が終わると、百枝は阿部に呼び止められた。
相談があると言われ、「聞くよ」と返事したところ、その後もどうも反応が鈍い。
他の部員はとっくに、それぞれの教室に向かっている時間だと言うのに。
「決心つかないなら、放課後練習の後にしようか」
百枝がそう言うと、やっと阿部が顔を上げた。
「モ……監督は……。俺らの恋愛についてはどう思って、るのかと……」
「はぁあ?」
今、恋愛っつった?えええ。よりによって女嫌い入ってるよーな阿部くんが?
「いや、悪いけどアタシ、年下はダメなんだよねぇ」
「アンタじゃねーよ!」
予想通りの半ギレで返す阿部に、そんなことは百も承知、とばかりに百枝がニッコリ笑う。
「んなこと判ってるって。千代ちゃんかなー?」
「う」
「いつからよー。知らなかったなぁ。場合によっちゃ、協力するから話してみなさい!」
一転して目を輝かす百枝の顔を、苦々しく阿部は見下ろした。
阿部と篠岡が付き合うきっかけになったのは、バレンタインだった。
篠岡はマネジなので、阿部と他の部員のチョコレートに差をつけたりはしなかった。
おにぎりと同様に配給される「栄養補助食品」の感覚で阿部は受け取り、翌日礼を言うと、
「ホワイトデーに返事が欲しい」
その2人だけの廊下で、篠岡が本気であることを伝えてきた。
それまで、仲間意識しかなかった阿部でも、野球部員なら「こんな彼女が欲しい!」と思うような
有能なマネジ、しかも美少女に好意を打ち明けられれば悪い気はしない。
ひと月かけて、考える。
阿部はそう約束はしたものの、女に殆ど免疫もなく、交際には全く自信がなかった。
普段どおり部活をこなしているうちに、ろくにプライベートな話も出来ずに「お試し期間」の
うち3週間が過ぎて行った。
阿部としては、篠岡は野球が好きだし、男所帯で怯まない程度に神経が太くて話しやすい。
嫌いでもないのに断って、部の空気を悪くしたくない……というのは言い訳かもしれないが、
断る気はない。が、進展させる度胸もなかった。
11 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/09(日) 13:35:29 ID:/CLblWqp
「それで、監督が『部内恋愛禁止』を規則にすりゃあ解決すると思って……」
「なっさけないなー。女に告白させといて逃げ腰なんて。男ならガツンと行けって!」
「とにかく、頼みましたから」
一方的に話を終えようとする阿部に、ハイハイと了解しかけた百枝は、ハッとして首を振った。
「阿部くん、ダメだ!私1度、千代ちゃんから『部員とマネジが付き合うのは問題ありますか』
って聞かれて、『そんなの本人同士が決めることだからほっとく』って答えちゃった。
そーいやアレ、バレンタイン直後だったよー」
「はぁ?」
「てっきり、新1年のマネジが入って来た時の話だと思ってて」
「あー……」
阿部の顔が青ざめる。百枝経由での圧力が掛けられないとなると、自力で解決するしかない。
まさか、「女の扱いが判らないから付き合えない」などと言える訳もなく、振り出しに戻ってしまった。
「千代ちゃんのことだし、プラトニックなお付き合い希望かもしれないよ?まあ、そうじゃなくても、
対策を一緒に考えたげるけどさ」
マネジが選手と付き合うのが問題かどうかは、正確には相手による。部活に支障が出る関係でさえ
なければ良いのだ。阿部の場合は西浦高校野球部の頭脳だから、成長を妨げる恋愛をされると、
甲子園への道が遠のいてしまう恐れがあった。この思春期の真っ最中に、出来ればステディな
関係は避けて貰いたいと言う意味でも、百枝は全力で阿部に協力する気になっていた。
「お家に呼んで、ご両親に千代ちゃんを紹介しちゃうのはどうかな?」
「あぁ?外堀から埋めてどーすんだよ」
阿部は反抗的な態度で言い返した。
「バッカねー。阿部くんが女の子を家に呼んだら、ご家族が『彼女?』って聞くでしょ。
そうでなくても、マネジの千代ちゃんをご両親は知ってるんだし。そこでビシっと肯定しておいて、
『甲子園行くまではボクたちキヨラカ〜な関係です』って宣言すんの。高校球児だからさ、
そんくらいの覚悟はあって当然でしょ」
身振り手振りを交えた百枝の発言に、「はあ」と阿部は半信半疑だ。
全国の高校球児の恋愛事情は知らないが、阿部自身は「部活最優先」に異論はなかった。
「家族の前で言った手前、女の子の方からアクティブな交際をせがんだり出来ないよ。千代ちゃんも
阿部くんが自分を大事にしてくれるって判って喜ぶだろうし。我慢する期間さえ決めとけば、
女は安心出来るもんなの」
「……そんなもんすかね」
阿部は首をかしげていたが、それでも百枝が、
「バレンタイン前の日曜日、練習休みにしてあげるから、やってみな」
と言うと、やっと覚悟を決めて頷いた。
約束の日曜日。
目覚ましをかけ忘れた阿部は、玄関のチャイム音で起こされた。
ドアを開けると、緊張気味の篠岡が立っていた。
篠岡は阿部が寝起きなのに驚いていた。
「ワリ。今起きた」
「11時だよ?私時間、間違えた?」
「……まあいいや、入って」
「……?」
阿部はブツブツと計画倒れを呪った。
よりによって昨日、阿部の家に親戚が突然泊まりに来た。朝、起きてみれば、家はもぬけの殻。
親戚と一緒に家族は都内観光に出かけてしまい、阿部が1人取り残されたのだった。
親に「明日は野球部の友達が遊びに来る」と言ってあったが、当然(?)三橋や花井たちだと
思ったらしく、「じゃあ留守番は頼んだ」というスタンス。
ちゃんと「篠岡が来る」と言わなかった阿部が悪いが、酔っ払った親と親戚のおもちゃに
なる愚は犯したくなかったのだ。なんせ阿部は、ひと月弱、篠岡と手すら握っていない。
「家族は出かけてんだ」
篠岡から血の気が引いていった。阿部の親に、自分は避けられたと思ったらしい。
「あの、もしかして私…」
「篠岡だから会わねー訳じゃねーよ。俺、篠岡だって言ってねーし」
「そうなんだ。コレ、チーズケーキなの。良かったら」
気を取り直し、篠岡は手にした紙袋を持ち上げて見せた。
「せっかく持ってきてくれたのに、悪かったな。今日はきっと、夕飯食ってから
帰ってくると思うから、一緒に食えねーかも」
阿部が言うと、篠岡は笑いながら、
「全然!夕べはすごーく緊張して眠れなかったから、阿部くんだけでホッとしてる」
「ウチの親なんか球場でしょっちゅう顔合わせてるだろ」
「そうなんだけど……」
篠岡頬を染める。沈黙が落ちた。
2人きりだという現実を、改めて認識する静けさに阿部は焦った。
(疑われてるよな? 家に呼んだのに俺1人って……いかにもヤる気満々じゃねーかよ)
下心が全くないと言えば嘘になるが、案外スポーツで発散して野球のことで頭がいっぱいだと、
3年間彼女ナシでもいーか、と……負け惜しみも多少はあったが、そう思ってたのだ。
とにかく、2人きりはまずい。一瞬の気の迷いで、大事な将来をブチ壊す可能性もある。
「天気も良いし、どっか出かけるか」
阿部がそう言うと、篠岡は一瞬驚いた表情になったが、頷いた。
「ケーキを仕舞いたい」という篠岡をキッチンに案内して冷蔵庫を開けると、昨夜の料理の
残りでギュウギュウで、入れる場所がない。
「俺、このへんの宴会の残りで朝メシにすっけど、篠岡もなんか食うか?好きなの
テキトーに取って飲んでても構わねーし」
「わー、ありがとう。あ、この可愛いベリー系のジュース、いただきます」
篠岡は派手なスチール製のペットボトルを取り出した。
普段の生活と全く違う時間に寝起きしたせいか、阿部は身体がついていかず、着替える前に
シャワーを浴びたい気持ちになっていた。
「ワリいけど俺、その前に風呂行ってくる」
篠岡の目が、まん丸になり、かああっと顔が赤くなった。阿部は慌てて、
「出かけるし、寝てて汗かいたし、深い意味ねーから!」
こくこくと、固まりながら篠岡が頷いた。その様子を見ながら、阿部は引きつる。
(絶対、今の勘違いしてる!そんな男だと思われてる!)
阿部は頭を抱えながら、とにかくさっさとメシ食って外に連れ出そう、と決意した。
簡単にシャワーを済ませて戻ると、篠岡は宴会の残骸をテーブルに並べて待っていた。
「篠岡、どっか行きたいところあるか?」
「私も考えてたんだけど、思いつかなくて」
そう言いながら、篠岡は箸を手渡したり、お茶を出したりラップをはがしたりとくるくる働く。
その手が止まったかと思うと、篠岡がぼーっとしていた。
「どうした?」
「なんだか、こうしてると阿部くんの奥さんみたい……」
阿部は箸を落っことした。篠岡の目が、夢見がちになっている。
(奥さんて。一気にそこまで意識するって。俺は、家族がいたって部屋に入れる気ないって!)
阿部は聞こえなかったことにして、話を逸らした。
「篠岡、腹減ってねーか?」
「え?ジュース貰ってるから、大丈夫だよ」
そう言って、篠岡は飲んでいたペットボトルを持ち上げて見せた。
家族がいないと判ってリラックスしているのか、緊張が解けて顔にほんのり赤みが差している。
阿部は、なんでこんな可愛い子が自分なんかを好きになるんだろうと不思議な気がした。
2人きりの家で、太巻きを摘む自分をうっとり見ている篠岡と目が合う。
ヤバイ。今日は断固、外出するぞ。なんか口実考えろ。
「そうだ、チョコのお礼買いに行くか。俺、なにやって良いか思いつかなかったし」
「チョコなんてたいしたモノじゃないし、私、阿部くんがいてくれれば、欲しいモノなんて……」
恥ずかしそうに答える篠岡の言葉に、阿部は肉団子を落っことした。
欲しいのは、俺ですか。だから、それはちょっと。
「いや、お礼はしないと。どうしても今日、買いに行きたい気分で」
とにかく、食っちまえ、と肉団子を箸で刺して口に運ぶ。春巻きも唐揚げも味なんかしない。
「阿部くん、お返しをくれるってことは、良いの?」
「は?」
「ホワイトデー前だけど、返事……」
篠岡が耳まで赤くなっていた。目線が左右を行き来して落ち着かない。
「えーと、まあ、それは追い追い……」
家族がいたら詰める筈だった話を、今やったら間違いなく雰囲気に流されてしまう。
なんせ、この状況は、思い出を作るには格好のチャンスだ。非常にまずい。
14日まで逃げるぞ、と阿部は心に誓う。
篠岡がぎゅっと手を握り締めて、下を向いた。
「やっぱり……試してみてからじゃないと、返事出来ないよね」
「試す?なにを?」
「だって……今日お家にお呼ばれしたの、そーいう意味なのかなって」
「は」
ヤベェ。やっぱり篠岡、俺が手ぇ出す気だって思ってる!誤解だー!
「俺も、そーいうの興味ねー訳じゃねーけど。家族いないのは、本当に偶然で。部活もあるし、
まだ早い気が……って、ええ?何飲んでたんだテメー!」
篠岡が飲んでいるペットボトルに目が止まる。それを取り上げて、阿部は真っ青になった。
「ここに、『これはお酒です』って書いてあんだろ!」
「え?」
きょとんとして、一緒にペットボトルを覗き込む篠岡。中身は殆ど空になっていた。
「飲んで気付けよ。ったく、顔が赤いのも様子変なのも、酒のせいかよ!」
阿部は水、水、とキッチンに走った。コップを篠岡に渡す。
「気分悪くねーか?」
「べつに……」
篠岡は多少ぼーっとしているものの、ほろ酔い状態らしく、顔色は悪くない。
「布団敷いてくっから、寝ろ」
客用の布団は昨日出したばかりだ。案の定、干されていたからそれをそのまま持ってくる。
篠岡が積極的なのは酒のせいだと判り、阿部は安堵していた。
どうも変だと思ってた。本当の篠岡は、あんなんじゃねーよな、うん。
選手は聞いたことがあっけど、マネジの飲酒も問題になんのか?その前に未成年だから法律違反か、
などと考えながら準備をしていると、部屋に篠岡が入って来た。
「あ、篠岡、大丈夫か?枕カバー洗濯出しててねーから、タオルでもいいか?」
阿部の問いに、答えるでもなく篠岡がぼーっと立って阿部を見る。
立ち上がって「とにかく寝ろ」と阿部が促すと、
「返事、今日聞きたいの。私のこと、嫌い…?」
篠岡が思いつめたように言った。キラキラ光る茶色がかった瞳に吸い込まれそうになる。
本人に自覚はなくても、その誘うような唇から目がそらせない。
「……その話は、酒が抜けたらにしよーぜ」
「お酒のせいじゃないよ。ずっと、待ってたの。……試してみて、阿部くんがダメだって
思うなら諦めるから」
そう言って、心細そうに阿部を見上げる。右手が自分の洋服のボタンに掛かっていた。
阿部は今更になって血の気が引いた。自分の行動は、そう思われてもおかしくない。
ひと月、時間を貰ったのに、何もしてこなかった。篠岡も不安だっただろう。
布団まで敷いてお膳立てして、勘違いするなという方が無理だ。
阿部は腹をくくった。
「俺、経験ねーから。篠岡は好きだけど、女とどう付き合っていーか判んねーし、
その気になるまで時間かかると思う」
「じゃあ私で練習して。他の女の人の後なんてイヤ」
「う」
まさかこう切り返されるとは思わなかった。
今、篠岡を喋らせているのは、本心か?酒の力か?
阿部は必死でこの場を凌ぐ理由を考える。
「実を言うと、アレ持ってねーし。よーするに、俺そーいう気で呼んだ訳じゃねーんだ」
阿部は、あえて残念そうに言った。ここまで言えば、篠岡も諦めてくれる筈だ、と。
が。
篠岡は硬い表情で、ポケットから、隠すように持っていたものを差し出した。
ハンカチだった。そのまま、阿部に手渡す。
「バレンタインに、友達がくれたの」
個別包装のチョコか?と、ハンカチに包まれたそのパッケージを覗き込んで、阿部は
それを落っことした。
コレって、アレですか。実物見たことなかったけど。「友チョコ」は聞くけど、
なんで女同士でゴムをプレゼントしてんだ――?
「バレンタインで上手くいったら、使いなって」
「怖ぇなぁ、誰だよ?ウチのクラスか?そんな奴いるんだ」
篠岡が教室で一緒にいる女子に、そんな奔放でオープンな生徒がいるとは思わなかった。
女は見た目と本性は別なんだな、と別の興味がわいてくる。
急に篠岡が泣きそうになり、責めるように阿部を見た。
「○○の方が好き?」
「あ、いやいや、別に。女の下の名前言われても判ん…」
唇を塞がれた。篠岡から切なげな溜め息が漏れる。不器用に、重ねるだけのキス。
驚きのあまり、阿部は目を開けたまま受け止めていた。
俺、初めてなのに、こんな情けなくていーのか?
「ん…んん」
篠岡が抱きついて体重をかけ、阿部は腰が砕けてふらふらと座り込む。
そのまま、篠岡に覆い被さられるように布団の上に転がった。
まさか男の自分が襲われるとは思っていなかった阿部は、混乱していた。
「篠岡、落ち着け」
ついでに自分も。うわ、篠岡はこんなにアップで見ても可愛いんだ。唇、柔らけぇな。
篠岡がやっと阿部を離した。上目使いの大きな目が、うるうると揺らぐ。
「酔ってないもん」
「酔っ払いはみんな同じこと言うんだよ」
篠岡は反抗するように、目を見ながら阿部のシャツのボタンを外し始めた。
力の差で止めさせることは容易いが、阿部にはそれが出来なかった。
自分のことに必死になる篠岡を、可愛いと思った。
「ずっと好きだったの。見てるだけで終わりたくなくて、マネジの立場利用して
チョコ渡せて嬉しくて」
ふわりと篠岡が、阿部の裸の胸に頬を寄せる。もちろん、阿部はそんな経験は初めてで、
自分の異様に高鳴る鼓動を聞かれているのだと思うと、開き直る気になった。
背中に手を回して、ぎゅっと篠岡の身体を抱きしめる。
「最後まではやんねーけど、それでいいか?」
不思議そうに篠岡が顔を上げた。
「篠岡を泣かせたくねーから。俺も恥かきたくねーし」
「やっぱり、阿部くんって優しいね」
篠岡はホッとしたように頷いた。
「怖くなったら言えよ。止めるから」
その時まで、阿部は自分の身体は、自分でコントロール出来ると思い込んでいた。
合宿で他の連中と話した内容から判断するに、禁欲的な方だという自覚もあった。
寝る前だって、女の裸を想像するよりは、打者を打ち取るイメトレの方が日常的だし、
実際、篠岡に告られてからもそれは変わらなかった。変わりたくなかったせいもある。
だから今、こうして困ってる訳だ。
(もうちょい、勉強しときゃ良かったな。今日は途中までで止めといて、今度田島に
なんか借りて予習して……。その気があったら、続きをやればいーか)
篠岡が洋服を脱ぐのを手伝いながら、阿部はどこか他人事のように考えていた。
すみません、「書き込み」を押して「書き込みました」が出るのに
反応がなくて、何度も同じのを投下したかもしれません。
大丈夫っぽいよー
ここで終わり?まだ続くなら全裸で正座して待ってる
すみません。まだ途中です。
投下したい文章は長くないはずなのですが、なぜか、何度やっても続きが反映されません。
(この文章が書き込めるということは、規制ではないと思うのですが)
申し訳ないのですが、しばらく様子みたいと思います。
他の職人様がお待ちでしたら、お先にお願いします。
篠岡のぴんと上を向いた乳房は小さいながらも形が良かった。
淡いピンク色の胸の突起を舌で吸いながら、もう片方の胸を弄ぶ。
膝で足の間を割ると、熱っぽい吐息が漏れ、篠岡がくすぐったそうに笑いながら足を絡めてきた。
篠岡も初めてなのに緊張がないのは、今日は布団の中でじゃれ合うだけだと判っているせいだ。
ゴムは、篠岡が拾ってハンカチに包み直して、脱いだ服と一緒に部屋の隅に置いていた。
「阿部くんで良かった。私も怖いし、阿部くんに無理して欲しくないし」
「じゃあなんで、こんなことしたんだよ」
阿部が、脱がされたシャツを目線で示すと、まるで小学生のように篠岡が頬を膨らませる。
「他の女の子に取られたくなかったんだもん。阿部くん、チョコ貰ってたから」
貰ったといっても、他の部員……三橋や田島らに比べたらささやかな数だ。
「絶対、阿部くんに渡す人は本命だもん。言うつもりなかったけど、阿部くんにチョコのお礼
言われたら、我慢出来なくって……」
「くれた女は、ろくに話もしねーで逃げてったけど」
声を掛けるだけでガチガチに緊張し、礼を言う言葉も耳に入らない相手を見て、もう自分と話をする気は
ないだろう、と阿部は悟っていた。もちろん、阿部に感謝の気持ちはあるのだが、表情が伴わない。
身構える相手に気を使って言葉を選んでも、それが通じないほど阿部は女の扱いが下手だった。
その意味では、篠岡が言った通り練習相手にはぴったりかもしれない。
「……じゃ、練習させていただきます」
阿部は緊張気味に篠岡のお腹を撫でながら、指を下に滑らせていった。おずおずと下着の中に指を差し込む。
篠岡の身体が一瞬震えた。そっと、その柔らかな茂みを撫でながら、阿部は篠岡の表情を伺う。
篠岡は顔を赤くして、少し硬い笑顔で阿部の目を見つめ返した。
「俺、本当に判んねーから、ヤだったら言えよ」
「はい……」
篠岡の唇を貪りながら、指を秘裂に滑り込ませた。キス自体、今日が初めてだから探りながらだ。
それは篠岡も同じで、追い詰められて息継ぎもままならず、苦しそうに喘ぐ。
篠岡の中が熱く濡れていることに、阿部は戸惑っていた。
「中、すげーぬめるんだけど、これってフツーなのか?」
「知らな……ぁんっ!」
篠岡が声を上げ、阿部もつられてビクついてしまった。他に誰もいなくて良かったと初めて思った。
「やっ、あ、阿部、くん……っ!」
指の触れた部分に反応して、篠岡の身体が浮いた。阿部が指を動かすたびに呼吸が止まる。
初めて見る篠岡の高揚した表情、聞いたことのない色っぽい声に、それまで冷静だった阿部の中に
変化が起きていた。
突起のような部分を刺激すると、ますます篠岡が艶かしい声を上げる。
嫌がっているのかと思えば甘えるように絡みついてきて、キスを求めてくるのが可愛いかった。
(指だけでこれだけエロい篠岡が見れんだから、最後までやったら一体……?)
阿部は指を引き抜くと上体を起こして、布団を捲くりあげた。篠岡の白い身体が露になる。
戸惑う篠岡に「ワリ」と無愛想に言い放ち、下着を膝まで下ろした。
ちゃんと内臓が入ってんのかと思うような細い腰。その下の初めて見る篠岡の中心。
自分自身を無理矢理ねじ込み篠岡を壊してしまう恐怖が襲い、阿部はその想像を頭から追い出した。
それでも、部屋の隅にある筈の、ゴムの存在が頭から離れない。
俺、着けるタイミングも、やり方も判らねーんだぞ。
傷つけて泣かせて、カッコ悪いトコ見せて、嫌われるのがオチだ。止めとけ。
「阿部くん……好き」
突然、トロンとした目で、篠岡が呟いた。こんな殺し文句を言われたら阿部の決意も折れそうになる。
「最後まで、しても良いよ」
「は?」
自分のしたことに気づいて取り乱し、首を振って否定する阿部に、クスリと篠岡が微笑んだ。
「当たってるの」
ジーンズの上から硬く膨れ上がった股間をきゅっと撫で上げられ、阿部は顔から火が出そうになった。
「いや、これはその……」
「ホワイトデーのお返し、コレがいいな」
篠岡の言い方に、いやらしさは全く無かった。自分を好きな気持ちが痛いほど伝わってきて、
阿部は泣きそうになった。
「もうちょい、時間くんねーかな」
「うん。でも、阿部くんがイヤだったら別にいいよ。私が阿部くんを独占したくて焦ってただけだし。
阿部くん、真面目な人だって判ってすごく嬉しかった。甲子園に行くまでとか決めてくれれば、
良い子にして待ってるから」
奇しくも、百枝の言った言葉が篠岡の口から漏れた。
「イヤじゃねーよ。俺も篠岡が好きだから、待たせる気ねーし。すぐだから!すぐ!」
最短でも夏大が終わるまでなんて、阿部の方が我慢出来ない。
「急がなくていいよ」
「俺がやりてーんだよ!」
阿部の直接的な言葉に篠岡が照れ、そのあと思い出したように言った。
「あの……じゃあ、ちょっと早いけど、25日はダメ?」
「は?」
「誕生日。もうすぐなの」
ホワイトデーじゃなくて、誕生日のプレゼントかよ……。
阿部は自分の発言を後悔した。
明けて月曜日。朝練に顔を出した百枝は、阿部に声を掛けようとしてためらった。
暗い。阿部の背中から、どんよりと負のオーラが出ている。
自分が阿部に託した作戦は失敗に終ったんだ、と聞かずとも判った。
とにかく阿部を救済しないと甲子園が遠のく、と判断した百枝は、練習を少し早めに切り上げて
阿部を呼び寄せ話を聞いた。
先日、相談を受けた時よりも阿部は弱っていた。
計画が狂って2人きりになり、良い雰囲気にはなったが、最後まではやってない。
気の抜けたような阿部の説明に百枝は、
「なに中途半端なことやっとんじゃー!」
と、怒鳴りつけそうになったが、かろうじて抑えた。
これ以上、プライドの高い阿部を刺激すると、ややこしいことになる。
「千代ちゃんの誕生日前に、また練習をお休みにしよーか?」
今度こそ両親に立ち会わせれば良い。むしろ阿部から言いにくい状況なのだから、事前に頼んでおいて
両親の口から「甲子園に行くまではキヨラカなお付き合いを」と言わせたって良い。
が、阿部は諦めの表情だった。
「もーなんか、逆らうより、流された方が楽って気が」
「じゃあ親密なお付き合いをする訳?阿部くん出来んの?出来ないから悩んでたんでしょっ!」
それなんですけど、と急に阿部は神妙な顔になった。両手を顔の前で合わせて、百枝に頭を下げる。
「そんな訳で、お願いしますっ」
「なにを?」
変な沈黙が出来、意味の判らない百枝はぽかんと阿部の後頭部を見つめる。
「もう予習してる余裕ねーし、篠岡に痛い思いさせたくねーし」
「はぁ?」
「お願いします、監督。――俺を男にしてください!!」
土下座も持さない阿部の勢いに、一瞬百枝は頷きそうになり、即座に意味に気付いた。
怒りにこめかみをピクピクさせながら、百枝は指の間接を鳴らす。
「頭じゃなくて使い物になんないよーに、下を握ってあげよーか?」
「俺だって最後の手段すよ!よりによって最初が監督なんて、怖くて出来っか!」
「なにが最後で、なにが最初なの?」
ギクリとして百枝と阿部が声の主を振り返ると、不思議そうな顔をした篠岡が立っていた。
可愛らしく首をかしげる篠岡の登場に、阿部の顔が蒼白になる。
今の会話の中身を、他の女の後はイヤだと言い切った篠岡に知られたら殺されるに違いない。
「私が掛け持ちしてるバイトの話だよー。あらやだこんな時間。阿部くんも急がないと!
千代ちゃん、クラス同じでしょ。阿部くんが遅刻しないように声かけてあげてね」
「はい」
「モ、モモカン〜〜?」
百枝は阿部を見捨てた。
自分の恋愛くらい、自分で解決しなさい。私を利用しようなんて、百万年早いっつーの。
頭を下げると、阿部は目を泳がせながら着替えに歩き出した。その隣に、ちょこんと篠岡が並ぶ。
それにしても、あの阿部くんがビビる千代ちゃんって……?
百枝は想像しかけて、怖くなって止めた。
そうして、2人の後ろ姿を見ながら、「うん、お似合い!」と、無責任に自分に言い聞かせた。
終わりです。
>>17は「書き込む」でした。焦って変な書き込みを……。
たいした内容でもないのに、見苦しくてしまい申し訳ありませんでした。
内容はともかく、投下もグダグダで本当にすみません!
今までも何度か投下してましたが、今回からトリップ?付けさせていただきます。
ヘタレ阿部もなかなかいいなw
全裸正座で待機した甲斐があったよ。乙&GJ!
どうしよう、この阿部すごくカッコイイ。
ある意味とても男らしい。
GJ!
>>22 惜しみない乙とGJを
うちのスレは書き手さんに恵まれてるよね
ハナモモ投下しに来ました。
前後編各5レスずつ消費予定で前編えろなし後編えろあり
とりあえず前編を投下しますので苦手な方スルー願います。
西浦高校硬式野球部第一期生の夏が終わった。
何もかもが初めてだらけだった2年半を過ごしてきたグラウンドともしばし別れを告げ、
進学という新たな舞台に向かっていく。
その一方で、1、2年生を率いる監督、百枝まりあは今日もグラウンドに立ち球児たちを指導していた。
「はいミーティングしまーす。花井くん、始めて」
言ってからはっと口を押さえる。
花井梓は初代主将の名だ。つまりもう引退しており、ここにいるはずもない。
「カントク、またですかー。オレもうこの際坊主にしてこようかなー」
「いいんじゃねさっぱりして。ボウズ!ボウズ!」
「ボ・ウ・ズ!ボ・ウ・ズ!」
ここ1週間で数回名前を呼び間違えられている新主将がぼやくと、
周りで坊主コールが起こりだす。仲の良さと少々の悪乗りは先輩譲りのようだ。
「はいそこまで」
百枝が両手を挙げ自力金剛輪の構えをすると、コールはピタッと止んだ。
「呼び間違いは謝るわ。ごめんなさい。ミーティング始めてちょうだい」
百枝は腕を組んでやれやれ、と苦笑した。
なにせ花井の代の選手たちは2年半ずっと面倒を見てきたのだ。
主将と言えば花井、というのも2年半続いてきたもので、
人の名前を覚えるのが特に苦手というわけでもない百枝であっても
習慣はなかなか切り替えられないものだった。
(私がしゃんとしないと新主将が腐るわね。この子も一生懸命やってるだけに、
私のつまらないミスで関係が取れなくなるのはチーム運営上困るわ)
百枝は軽く唇を噛んで、2年のマネージャーが持ってきてくれた秋大会初戦の対戦相手データに目を通し始めた。
それから半年後、強風が梅の花を散らす3月のある日、西浦高校で卒業式が行われた。
卒業式には学校首脳陣の好意により百枝も招待され、
来賓席に座って一人一人が壇上に上り卒業証書を受け取るのを見ていた。
(ついこの間、あの子たちをグラウンドで出迎えたような気がしてたんだけどなー)
選手たちも逞しくなった。ある者は背が伸び、ある者は薄かった胸板に筋肉がつき、
そして全員に言えることとして、幼さの残る少年の顔から大人びた青年の顔へと変わっていた。
(こういうのも監督業の醍醐味ってやつなのかしらね)
生徒たちと一緒に小声で校歌を口ずさむ。7年前に歌ったっきりなのに結構覚えてるもんだわ、と
百枝は少々嬉しい気持ちになった。
謝恩会で一通りの挨拶を済ませ、一足先に抜けてバイトへ向かうべく
スクーターを止めた駐輪場を目の前にした百枝を追いかける影があった。
「か、カントク!」
振り向くと花井が走ってきたところだった。
相変わらずの坊主頭ではあるが練習の時にはかけない眼鏡と見慣れないスーツ姿は
ユニフォーム姿を見慣れた百枝にとっては若干の違和感があった。
そう、違和感。
(花井君って確かに元々背は高かったけど、こんなに大人っぽい子だったかな?)
同期の他の9人と比べて子供だったわけではない。
むしろ同期と下級生をまとめ上げる点において相対的に大人であったはずだ。
ならばこの違和感はなんだろう。
今はそれを考える時ではないと百枝は判断し、花井に向かってにこっと微笑みかけた。
「どうしたの花井君、まだ謝恩会は終わってないでしょ?」
「えっと、その」
問いかけられた花井はどぎまぎあたふたした様子で何かを言おうとしたが言葉が出てこず、
口元まで出ている言葉を飲み込むたびに顔が赤くなっていく。
「なーんだ花井君らしくないねー、言うべきことをちゃんと言えるのが元主将のいい所でしょ?」
百枝のからかうような言葉に花井はますます口ごもったが、しばらくして意を決したように口を開いた。
「カントク!3年間、本当にありがとうございました!」
「あららー、さっきも聞いたわよー。何回も言われるとなかなか照れるものね」
「あのっ!……オレは、3年間どうでしたか」
「どうって?」
量りかねる表情の百枝を見て花井は再びあたふたしながら言葉を続ける。
「いや、なんというか、主将としてっつーか、プレイヤーとしてっつーか、
まあ田島と比べられたら全然お話になってないっつー感じなんですけど、その」
「あっはっは、タイプの違うプレイヤーを比べたってしょうがないわよー。
田島君には田島君の美点があるように、花井君には花井君の良さがあったわ。
主将として2年半、よくがんばってくれたわね。すごく助かったわ。こちらこそありがとう」
ますます顔を赤らめる花井に百枝は言葉をかける。
「大学、地元にしたのね。学校の先生になるの?」
「まあ、そういう道もありかなあと思いまして」
「どんな道であれ花井君ならがんばれるよ。応援してるからね」
「……ありがとうございます」
頭を下げる花井越しに校庭の時計を見た百枝が顔色を変えた。
「やっば、そろそろ出ないとバイト遅れちゃう。じゃあ花井君、良かったら都合のいい時にでも
後輩たちの様子見がてら遊びに来てね。元気でねー」
手を振ってスクーターにまたがる百枝を名残惜しそうに見つめる花井のもとへ
野球部卒業生たちがわらわらと近寄ってきたのが見えた。
「根性なしー」とか「へタレー」とか花井をからかう教え子たちの声をかすかに聞きつつ、
百枝はバイト先へとスクーターを走らせた。
花井は、百枝に恋心を抱いていた。
そしてそれは勘のいい同級生だけでなく想い人である百枝本人にも筒抜けになるくらい真っ直ぐな好意であった。
花井本人は決してその言葉を口にしなかったが、たとえ告白されていたとしても
百枝は100パーセントの確率で断るであろう確信があった。
「『教え子に手出した』なんてつまらないちょっかいで野球部を潰されたくない」
おそらくそれをわかっていたからこそ今までの花井の沈黙があり、
卒業式を以って正式に監督と選手ではなくなったからこそ花井は百枝を呼び止めたはずだった。
「結局、何も言わなかったわね」
くすくす、と笑った数秒後、自分がまるで花井の告白を待ち望んでいたかのように思えて
百枝は唇をキッと真一文字に結んだ。
18歳、4月が来ればじきに19歳になる花井。自分はその7歳年上。
学生時代の同期から昨夜かかってきた不躾な電話を思い出した。
『イェーイ百枝、年下食ってるぅ?』
『人聞きの悪いことを言うんじゃないの。なんか用?』
気心の知れた相手ではあったので、不穏な言葉には構わずさらりと流した。
『25歳記念同窓会に来なかったからさー、まだ忙しいのかなーと思って』
『相変わらず忙しいよ。この分だと次の30歳記念でも無理かもねー』
『はぁ、アンタ30になっても野球のカントクやる気?つか結婚とかどうすんの』
『結婚どころか相手もさーっぱり見つかりませんよーだ。野球してるときが一番楽しいしね』
『寂しいヤツぅ。誰かいないの、顧問とか卒業生とか』
友人の「寂しいヤツ」という言葉に少々ムッとしながらも百枝は冷静に答えた。
『責任教師は2人の子持ち。卒業生も何も、明日卒業してく子たちが私が教えた初めての卒業生よ』
『うわー微妙ー。さすがに卒業したての子とか厳しいよねー』
『無理に野球部から相手でっち上げるつもりはないわよ。今は野球が恋人でございます』
『ちっ、かわいい年下の子でもいれば紹介してもらおうと思ってたのに』
『そういうことか。うちの教え子をアンタの毒牙にはかけません』
「微妙、か」
3月とは言えまだ冷たい夜風に、いつもより足元の冷えるスーツ姿でスクーターに乗ったことを百枝は少々後悔した。
職場に着いたらすぐ着替えよう。そして今日もいつも通り深夜までバリバリ働こう。
あれこれ悩むくらいなら忙しくして悩む暇などなくしてしまえ、というのが百枝の持論である。
きっと花井は、主将と監督という関係から変な風に刷り込みを起こして恋愛感情だと勘違いしているだけなのだ。
新しい環境に身を置けば、新しい出会いもあるし自分への好意も忘れるだろう。
百枝はそう考えて一抹の寂しさを覚えた。
しかしその寂しさは感傷から来るものだと自ら断じ、これ以上考えないことにしたあたりで
ちょうどバイト先の駐輪場に到着した。
ヘルメットを外した時に思いのほか頬が火照っていることに気がついて、
寒さのせいかと首をひねりつつも両手でパンパンと頬をはたいてから百枝は職場に入っていった。
それから1年10か月後。
西浦高校第2グラウンドでは、硬式野球部第1期生の成人式に合わせるように
OB戦が行われていた。在校生チームとOBチームの戦いは接戦だった。
OBチームは野球を続けているのは半分強くらいではあったものの
野球部創設メンバーは百枝のコーチングや攻撃パターンを知り尽くしており、
7回裏にサヨナラヒットが出てOBチームの勝利で試合を終えた。
その晩はバイトに休みを入れて家で休養していた百枝のケータイに着信があった。
「花井梓」
現役時代に連絡網として番号を交換したとは言え実際にかけることは少なかったし、
まだ同じ番号を使っているか疑わしくはあったが
アドレス帳から消去もせずに残していなければ相手が花井だとはわからなかったろう。
サブディスプレイに浮かぶその名前にどきりとしながらも、通話ボタンを押して電話に出た。
「もしもし」
『あ、えーと、百枝まりあさんのケータイでしょうか』
「そうよ、花井君?」
『あ、はい』
「どうしたの、電話してくるなんて急用?」
『カントク、もし今都合つくなら会えませんか』
電話の向こうの花井の声は、妙にくっきりと耳に入ってきた。
「ん、いいけど、花井君は大丈夫なの?同窓会とかお友達とかは」
『全部終わりました。オレどこまで出ればいいですか』
少々考えてから百枝は告げた。
「昼間行ったばかりだけど、西浦のグラウンドにしましょ。あそこなら私の家と君の家の中間くらいでしょ」
『わかりました』
電話を切った百枝は、部屋着から着替える際にふと鏡台の抽斗からコロンの瓶を取り出した。
常用の香水より小さなそのコロンは、いつも試合の大一番で気合を入れる時につけていたものだったが
百枝は無意識のうちに迷うことなくその瓶を取り、ごく少量だけつけるとたちまちのうちに身支度を終えて
ダウンジャケットを羽織りスクーターにまたがった。
また27で名前変え忘れたorz
とりあえず前編ここまでです。そのうち後編投下しに来ます。
後編えろありですが糖度高めなので今のうちに注意報出しておきます。
420さん、愛してます。
ああああモモカンも花井も可愛いw
続き楽しみにしてます!
そのうちとか言いつつ後編投下しに来ました。
予告していましたがハナモモえろ有り糖分高め。
苦手な方はスルー願います。
冬の夜はしんと冷える。
スクーターを停めて施錠し、グラウンドに入るとベンチの柱に花井がもたれているのが見えた。
街灯の仄白い光が眼鏡に反射しているせいか表情までは読み取れない。
「ごめんね、寒い中待たせちゃって」
百枝の姿を認めると花井は姿勢を正し、近寄って軽く一礼した。
「オレも今来たばっかですし、そんな待ってないっすから」
とは言え吐く息は白い。街灯に照らされる花井の顔は少々赤かったが、
酒が入っているからなのか寒さのせいなのかは今ひとつ判別がつかなかった。
「で、どうかした?」
自分の問いかけにおそらく花井は少々口ごもるだろうと思い、なるべく普通の声音で話そうと百枝は努めた。
「カントクは」
「ん?」
「カントクは、今付き合ってる彼氏とかいるんですか」
口ごもらずに花井が答えた意外さと、その直後の質問とに百枝は少々面食らった。
だがその反面、頭の片隅でつぶやく声も聞こえた。
(やっと来たね)
百枝は軽く深呼吸した後、いつもの口調で答えた。
「いないわよ、そんなの考えてる暇ないない」
その台詞を聞いた花井がやや視線を落とし、こぶしを軽く握ってから百枝の目を真っ直ぐ見て切り出した。
「オレ、ずっとカントクのこと好きでした。でしたっつか今でも好きです。
迷惑じゃなければオレと付き合ってください」
ついにこの言葉が来た。
私はこの言葉を待っていたのだろうか、と百枝は目をつぶり、再び静かに息を大きく吸い、そして吐いた。
「迷惑だって私が言ったら、花井君は諦めるの?」
「もしカントクがいやだって言うんだったら、諦めるように努力します。
すごく難しいですけど、好きな人困らせるくらいならオレが引けば済むことですし。
……カントクの返事をまだ聞いてません。教えてください。どんな返事でもオレは」
言い終わるその前に、花井の鼻先をふわりといい匂いが掠めた。
大会の時、ベンチの汗と砂埃に紛れて嗅いだことのある香り。
百枝が花井の胸に頬を寄せていた。その体勢のまま花井に問いかける。
「花井君は、私の歳知ってるわよね?」
「知ってます」
「同じくらいの年齢でかわいいオンナノコいっぱいいるわよ?それでもいいのね?」
「オレが好きなのはカントクです」
花井の両手が百枝の背中に伸び、そっと彼女を包むように抱きしめた。
百枝は花井のコートに染み付いた飲み屋特有の揚げ物とアルコールの臭いを感じながら続けた。
「後になってから酒の勢いです、なんて後悔しないようにね」
「ほとんど抜けてますから。それに、ずっと言いたくても言えなかったんで
酒飲んだ勢い借りるくらいしてもいいと思うんすよ」
(本当に、この子は私のことずっと好きだったのね)
百枝は顔を上げ、花井の目を見てようやく返事を口にした。
「迷惑じゃないわ。これからもよろしくね」
返事を聞いた直後、百枝を抱きしめる両腕の力を強めた花井は身を屈め、百枝に口づけた。
数回、唇が触れるだけの軽いキスをして体を離した花井は、再び百枝の目をじっと見据えた。
「よろしくお願いします!」
酒の勢いとは言ったものの、その夜百枝と花井が一線を越えることはなかった。
「なし崩しにってのもアリはアリなのかもしれないっすけど、オレは好きじゃないです」
という花井の言葉で、その夜はそのまま二人とも各々自宅へと帰っていった。
(花井君ったら、こういう時には本当、慎重派だこと)
百枝は帰宅後湯船につかりながらくすくすと笑い、花井のますます大人びた様子と
しっかり筋肉のついた胸と腕の感触を思い出してほんのり顔を赤らめた。
1、2年生の期末試験で部活が休みになる週の土日に、二人は予定を合わせて旅行に出た。
百枝は部活とバイトに明け暮れ、花井もレポートその他で1月はほとんど会えていなかったため
今日が付き合い始めてから最初のデートらしいデートということになる。
電車を新宿から乗り換え、指定席で流れる景色を見ながらとりとめもない話をした。
「来年になっちゃうとまた忙しくなっちゃうもんねー。花井君の大学は3年から教育実習だっけ?」
「ええ、今年は小学校行って、来年は中学校行くつもりっす」
「えー、高校はー?」
「中学と高校の免許は一緒ですから。それに、下手に高校行って西浦の敵に回るよりは
中学で指導したやつらを西浦に送り込む方がいいかなー、なんて思ったりして」
「試験、受かるといいわね」
「まだ実習も始まってないすよ?」
「それもそうね」
海の近くにある水族館でたくさんの魚を眺めた後近くのレストランで食事をとり、
近くのブティックホテルに入った二人はようやく抱き合った。
「カントク、いいすか」
「だーめ」
予想外の返事に花井が悲しそうな目をすると、その鼻先を人差し指でとんとんと叩きながら百枝が告げた。
「もう付き合ってるんでしょ、私たち。カントクじゃなくて名前で呼んでよ」
うっと言葉に詰まった花井が、何回か口をパクパクさせながらようやく愛しい人の名前を声に出した。
「まりあ、さん」
「よろしい!」
にっこり笑った百枝に花井が口づける。告白の時のように唇同士が触れるだけのキスから始まり、
触れる時間がだんだん長くなり、やがて唇を割り舌を絡め合って互いを求めた。
「んー、ふっ」
花井がぎこちなく百枝の胸を揉むと、合わせた唇の隙間からうめきが漏れる。
百枝がセーターを脱ぐと、ブラに包み込まれた百枝の豊かな胸はそれでも溢れんばかりだ。
「初めてだと難しいだろうから、自分で脱ぐね」
そう言って百枝は自らブラのホックを外し、拘束を解かれた胸は零れ落ちそうな程たわわに揺れている。
ベッドに横たわる百枝の裸の胸を花井は見つめ、谷間に顔を埋めると右手で左胸を弄りだし、
左胸の先端を口に含んだ。
その快感に百枝がぴくりと体を動かしたのを合図のように花井の愛撫が始まった。
(花井君確か初めてって言ってたわよね……まあ今時この手のハウツーなんかそこら辺にあるし)
そう思いながらも花井の愛撫が確実に自分を喜ばせていることに百枝は戸惑いを感じていた。
処女を失ってからは大分経つ。体を重ねた相手も1人2人ではない。
そのはずなのに花井の唇や指が触れたところから熱や痺れが体中に広がる様は初恋の頃のようで、
しかしそれを女の本能は刺激として受け取り、百枝は声をあげ、その身を快感で震わせた。
「私ばっかり気持ち良くなってちゃ不公平ね」
百枝はすっかり怒張した花井自身に触れる。うっ、とうめく花井をよそに百枝は優しくそこに触れ、
しばらく触った後で今度は口に含み舐めあげ始めた。
「うっ、カント……まりあさん、そんなにされるとオレ、出る……」
「いいよ、出しても」
唇と舌との愛撫は花井にとってまさに刺激的で、程なくして百枝の口の中で果てた。
出てきたものを百枝は吐き出すことなく全て飲み込み、花井自身に付着した分さえきれいに舐め取った。
今度は自分の番だとばかりに花井は再び百枝の胸を触り、もう片方の手が秘所へと伸びていく。
百枝のそこは先ほど花井自身を愛撫した刺激もあり既に濡れていて、
最初は恐る恐る秘裂を擦り、やがて溢れてきたものを突起や窪みへと擦り付けていった。
胸と秘所を同時に弄られる百枝の歓喜の声が段々抑えきれなくなってくる。
頭の裏が白くなりそうになるに至ってやっと百枝は花井が「止め時を知らない」のだということに気づく。
女を抱くのが始めての相手に雰囲気で察しろというのも酷だろうし、
先ほど一度放出しているからこれから気持ちが乗ってくるとしても無理はないかもしれない。
しかし、百枝自身がもう我慢できなくなっていた。
「花井君、もう、ちょうだい?」
その言葉にはっとした花井はベッドの枕元からゴムを取り出して装着しようと四苦八苦した。
百枝の手助けもありようやく装着し終わると、花井は顔を百枝の耳元に近づけ、囁くように告げた。
「いきます……」
花井を中に迎え入れ、久しぶりの感覚に百枝は身震いした。
漏れる声に促されるように花井は腰を百枝に打ち付け、その都度百枝の唇からは悦びが零れた。
「はないく、んあぁっ、いい、いいよぉっ」
百枝の喜びの声に促されるように花井はがむしゃらに腰を動かす。
やがて花井がぴたりと腰の動きを止め、深く挿したまま押し付けるように数回動かすと自らを抜いて
2.5ccの欲望が溜まったゴムをごみ箱に捨てた。
「すいません、なんかオレひとりで突っ走っちゃって……」
「謝ることないのに。気持ちよかったよ」
腕枕も久しぶりだな、と思いながら百枝は花井の頬に口づけた。
「あーあ、なんだか久しぶりにいつも動かさないとこ動かしたらなんだかだるくなっちゃった。寝てもいいかな」
「あ、はい、どうぞ」
「眠るまででいいから、そばにいてくれる?」
「……ずっと、そばにいます」
照れながら答えた花井にもう一度軽く口づけて、百枝は眠りに落ちていった。
<了>
これにて終了です。お粗末さまでした。
>>33-34 ありがとうございます、愛してます。
>>25 コテトリ付けて投下してる自分が言うのもなんですが同意。
これまで投下してくれた職人の方々がいなければ
自分もSS書いてみようと思わなかったので。
GJ!!!GJ!!!何回でも言うよ、GJ!!!!!
ハナモモには正直そんなに興味がなかったんだけど、
ぐいぐい引き込まれて、とても楽しませて頂きました。
ご馳走様でした。
>>41 心から乙とGJを
またよろしくです、勝手に期待してます
うちのスレは(ry
阿部チヨもハナモモの方もGJ!
最近投下が続いて嬉しい!ありがとう〜!
アベチヨにハナモモにすばらしい!GJ!
職人様、乙です!
また気が向かれたらよろしくお願いします
こんにちは。303です。
前スレの話の続きを投下にきました。
注意事項
・三回予定でしたが、諸事情により四回に変更
それにより今回は三回目
それでは投下します。
涼音からの最後の電話をもらって十日後の夜――。
榛名は本拠地の町にある選手寮の自室にいた。なにをするということもなく、ベッドに寝そべって怠惰な時間を過ごし
ている。
割り切らなければならない。榛名はそう自分へと言い聞かせてマウンドに上った。ところが結果は。
一回すらもたずの七失点で屈辱的なノックアウト。自分が惨めで情けなくて、なにをする気にもなれずにいた。
あれから涼音からはなにもない。本当ならできることなら、すぐにでも涼音のもとへと出向いて誤解を解かねばならな
かった。だが、榛名はもう社会人の一人であるのだから、職場放棄などできようはずがなかった。
本拠地のある町へと戻ってきて地元での登板で、先月までとはまるで人が変わったようにして失態を演じてしまい、
ファンからも痛烈な野次をもらってしまった。
それなら電話をすればいいとなるのだが。しかし、また涼音をあの日と同じようにして泣かせてしまうのではないかと
考えてしまい、どうしてもできなかった。
それに今度こそ完全に拒絶されでもしたら……。切り替えなければならない。それに次の登板はすぐそこまでやってき
ている。だが、涼音とのことがやはり気になってしまう。
同じような思考が延々とループしていき、榛名は完全に行き詰ってしまっていた。
「っ!? ……ふぅ」
枕元に置いてある携帯が着信を告げてくる。一瞬、涼音からかと思ったものの、それなら専用の着信メロディーが鳴り
響くはずだ。今かしましく音を立てているのは通常のものだった。
ディスプレイを見て相手を確認した。
秋丸恭平だ。榛名とバッテリーを組んで武蔵野第一の甲子園初出場に大きく貢献した秋丸は、現在、地元である埼玉の
私立大学へと進学して、そこでも野球部に所属している。
今でも二人は連絡を取り合って、お互いの近況報告などをしている。
先日は、今年の春のリーグ戦からレギュラー捕手として、マスクを被ることになったという話を聞いたんだったと榛名
は思い出した。
榛名は耳に当てて通話ボタンを押して電話に出た。
「おお、秋丸かよ」
『うん。久しぶり』
「悪い。今のオレ、あまり話したい気分じゃないんだ。また今度オレから……」
『待てよ。大事な話なんだ。それに切ると絶対後悔するぞ』
いつもの穏やかな話ぶりとは違い、どこか緊張感を漂わせてきていた。榛名は怪訝に思いながら上体を起こして、ベッ
ドの上であぐらをかいた。
『おまえさ、なにしたの? 宮下先輩から相談に乗ってほしいって電話がきて、今日会って喫茶店で話を聞くことに
なったんだ。だけど、先輩は店で突然泣き出しちゃって……』
「えっ」
『結局、まともに話できなくて相談に乗ってあげることはできなかった。オレに持ちかけてくるような話だったら、
おまえ絡みのやつしかないだろ? なにをしでかしたのか正直に話せ』
「泣いてた……のか。悪い。長くなるけど、聞いてくれるか? オレもどうすればいいのかわからなくなってて」
秋丸から了承をもらって榛名は、涼音の涙の原因――あの日のことを包み隠さず正直に打ち明けていった。
『……つまり、合コンにおまえが行ったってのは事実で、先輩もそれを知ってる。で、おまえはその日の昼に交わした
約束のことが頭にあって、とっさに嘘をついてしまった。だけど、先輩が疑っているようなことは一切なかった。
これでいいのか?』
秋丸からの確認に短く肯定を返した。電話口からは、うーんとなにごとかを考えているらしく、うなり声が聞こえて
きた。
『榛名、おまえはどうしたいの? 宮下先輩のことはもうどうでもよくなったのか?』
「いいわけねーだろ……ッ!? ずっとずっと片思いやってて、やっと振り向いてくれた人なんだぞ……。すぐにで
も埼玉に帰って涼音さんに会って謝って許してほしいよ。だけど、試合があるから。それはできねーんだよ……」
『だよな。おまえって先輩にベタ惚れだったもんな。あっ、今でもか。オレはおまえの言うことを信じるよ』
「えっ」
『おまえが何人もの女の子と同時に付き合っているってのはさ、どう考えても無理があるからな。だって、おまえは
宮下先輩が初めてできた彼女で、そういう経験に乏しい。それに、おまえが初対面の女の子といきなり親しくできる
はずがない。せいぜい困惑気味のぎこちない笑顔作って、たどたどしく相槌をうてるぐらいだ』
「…………」
悔しいが言い返せなかった。あの合コンでの榛名の行動を見事なまでに言い当ててきているからだ。それも酒の力を
借りて、なんとか合わせることができたという体たらくぶりだったのだから。
『まあ、おまえの性格をわかってるつもりだから、こんなこと言えるんだけどな。そんな器用な人間じゃないもんな、
おまえって。ぶっきらぼうで言葉足らずになって誤解されてしまって、なんとかしようとしても空回っちまって更に
ややこしいことにしてしまう。そういう不器用な人間だもんな』
「……うるせーよ」
いつもなら強く反発していただろう秋丸の言葉。けれども、やはり親友は自分のことを理解してくれていた。それが
素直に嬉しかった。
『オレが思ったことなんだけど、宮下先輩もおまえのことがまだ好きなんだよ、たぶん。じゃないと、誰かに相談し
ようとかは考えないだろうからな。おまえのことが好きだけど、でも、おまえのことがわからなくなっちゃってさ。
それでも、やっぱり好きなんだろうな。おまえのことを考えると、人前でも突然泣き出しちゃうほどにさ』
「…………」
『わかったよ。オレがフォローしとく。この電話切ったら、先輩にメール……じゃないな。電話するわ。それで誤解
なんだってことを説明してみるよ』
「マジか!?」
『正直な話、おまえらには幸せになってほしいから。おまえってプロに入ったら変わるかと思ったけど、なにも変わ
らずに先輩のことを大事にし続けてきてさ。もう二年近くも上手くいってたわけだろ。それなのに、こんなつまらな
いことなんかで終わってほしくないからな。
それに、オレはおまえらの恋のキューピッドだし、最後まで面倒見るよ』
榛名と涼音が付き合うきっかけとなったメールのことを、榛名に教えたのは秋丸だった。このことがなければ、二人
は付き合うことがなかったかもしれない。
そのことを思い出して榛名は心のなかで感謝しつつも、軽口を叩く。気の置けない友人にだからこそできることだっ
た。
『ぶっちゃけ、おまえが女子アナやタレントとかとくっ付くのはムカつくしなー』
「そんな出会いはねーよ。うちは露出が少ないからな。それに」
『涼音さん以外は興味ない、だろ?』
「…………」
無言の榛名の反応を受けて、電話の向こう側の秋丸は遠慮なく爆笑しているらしかった。自分の予想通りであったの
で、それもそのまますぎだったのがツボに入ってしまったようだ。
『……さてと。じゃあ、これから先輩に電話してみるわ。それじゃ』
「あっ、待てって!」
『わかってる。話が終わり次第おまえには、そうだな。もう夜も遅いからメールにするわ。それじゃ、切るな』
回線が遮断されたことで、榛名は携帯を閉じて親友からの報告を待つことにした。
それも真剣な表情を作って。そして、なぜか正座で。
約一時間後。秋丸からのメールが榛名のもとへと到着した。そろそろ消灯時間が迫りつつあったため、非常に落ち着き
なくそわそわしていた榛名は、すぐさまに確認をした。
メールの内容は、
『宮下先輩にちゃんと話した。完全に納得してくれたってわけじゃないみたいだけど。もう少し自分で頭のなかを整理
して考えてみるって話だ。
ここからオレの提案なんだけど、おまえは先輩にしばらくの間電話するな。お互いに冷却期間を作ったほうがいいと
思うから。それにうかつに先輩を刺激して泥沼ってことにもなりかねないだろうし。女の子の嫉妬って怖いからな。
一日に一通だけメールを送ることにしろ、っていうかそれで我慢しろ。返事はないかもしれないけど、誠意を持って
接してればわかってくれるよ。きっとな。
まあ、仕事も恋も頑張れ』
メールを読み終わると、遠い地元にいる友人へと榛名は深く感謝した。短いお礼の返信を送って眠りについていった。
六月も終わり、七月に入った。
プロ野球はオールスター戦を間近に控えるこの時期。前半戦の山場となる頃合である。このあたりになると、そろそろ
優勝戦線に踏み止まれるチームと、それから脱落して下位に甘んじてしまうチームとに分かれていく。
そんな時期である。
榛名元希が所属する球団は、今年も後者のほうであった。残念ながら。それでも球場へと応援に来てくれるファンがい
る限りは、勝利と少しでも上の順位を目指して戦い続けるのがプロというもの。
梅雨の晴れ間ということもあり、榛名のチームは本拠地の球場にて、久々に顔を出した太陽の下で練習を行っていた。
優勝は絶望的だというのに、それでも思いのほかに明るい。威勢の良い若手が、積極的に声を出して盛り上げているか
らであった。首脳陣が我慢に我慢を重ねて起用してきた若手選手たちが、ぽつぽつと結果を出し始めてきた。
それによりチームが、少しずつ少しずつと明るい方向へと進みだしているのを誰もが感じ取っていた。
榛名は他の先輩投手たちと、野手陣との合同で投内連携をこなしている。
榛名の成績は相変わらずであった。あの一件以来、未だに勝ち星はついていない。それにより白星は黒星に並ばれてし
まい、とうとう黒星先行となり借金を背負うことになってしまった。
それによりマスコミの論調は厳しいものへとシフトしつつあるのだが、首脳陣の評価は変わっていなかった。もともと
今年は、経験を積ませるという方針で先発ローテーションへと抜擢をした。それは、近い将来に投手陣の柱へと成長させ
るためにという意味合いでの起用である。
だから、我慢をする。
例え結果が出なくてもだ。勝てない日というもの。それはスランプということでもある。自分の力で乗り越えていくし
かないことなので、榛名が聞いてこない限りは必要最小限のアドバイスを送るぐらいに留められていた。
もっとも、降板直後と試合後での説教……もとい、ミーティングの時間は確実に伸びているようであったのだが。
六月当初の大乱調は酷すぎたものの、榛名が投げる試合は全部が全部ダメだったというわけではない。榛名が抑えた
ときは、後続の救援陣が打ち込まれてリリーフに失敗して榛名の白星を消すという試合もあった。
エースを張る先輩からは、
『ツキがないときってのは突然やってくるもんだ。どれだけ我慢強く辛抱してやっていけるかがカギだぞ。頑張れ』
と、励まされたりして、以前と比べて精神的にもかなり楽になっている。
一塁手から送られてきたボールを、ベースカバーに入った榛名がキャッチして一塁ベース踏み、打者走者はアウト。
夏の太陽に照らされた榛名の表情は明るいものだった。これには理由がある。
オールスター戦での休みを利用して地元へと帰る。それで涼音に会って謝る。ダメだったらもう諦めよう。諦められな
いかもしれない。そう簡単に忘れることはできないだろう。
だが、前に進まないといけない。いつまでもチームに迷惑を掛けるわけにはいかない。
ずっと涼音からの連絡はないから、もうダメになっているのかもしれない。それならそれでいい。とにかく、直接会っ
て話して決着をつける。
一ヶ月と少しの間に渡って悩み、苦しみ、そして悪戦苦闘してきた榛名が出した答えがそれだった。
覚悟を決めて一皮剥けた男の姿がそこにはあった。
「ヘイヘイ! そこでミスしてたらまた勝てねーぞ!?」
「高校生じゃねーんだから、しっかりしやがれ」
「ピッチャー、今日もお粗末だねぇ」
「……はぁ」
送られてきたボールをグラブの土手に当てて弾いてしまい、落球した榛名に対しての先輩たちから飛んでくる野次と
上司の嘆息。榛名は今日も弄られ役であった。
七月も中旬となって、宮下涼音の通う大学では前期試験が迫りつつあった。
夕方になって涼音は散歩に行くことにした。目的地は近所の公園なため財布は持たずに、携帯電話だけをジーンズの
ポケットに入れて自宅を出た。
暑さも随分と厳しくなってきて、正に夏本番という日が続いていた。先ほどまで降っていた夕立のおかげもあってか、
今に限ってはそこまで暑さは感じられなかった。
五分ほど歩いただろうか。目的地の児童公園へと到着した。小さいころによく遊んでいた場所で、大きくなってきて
からは考え事をしたくなったときに度々訪れている。
また、ここは榛名から告白されたところでもあり、涼音にとっては大切な思い出の場所である。
近頃は毎日ここへ通っている。それは涼音が思い悩んでいるから。
涼音は敷地内をそのまま進み、少々錆びてきてしまっているブランコのところで足を止めた。
手にしていたハンドタオルで座るところを拭いて、夕立の雨水を取り除いてから腰を下ろしていった。
家を出てきてからというものの、暗い表情のままである涼音。
来週から始まる試験が憂鬱だから――というわけではない。大学の講義は毎回休まずに出席しているし、帰宅したら
復習をちゃんとしている。それに、一年時、二年時と成績優秀者として表彰されていることもあり、涼音は今時珍しい
真面目な学生であった。このぶんだったら、三年生つまりは今年で卒業単位を満たすことが可能だろう。
そういうわけで、学校関係のことで悩んでいるのではない。
「はあ……」
ポケットから携帯電話を取り出して開いて、ディスプレイへとじっと見入っていた涼音はため息を漏らした。
涼音の肩を抱いて照れくさそうにしつつも、笑っている榛名元希の写真がそこを飾っていた。
あの日――涼音が嫉妬心と怒りに囚われて榛名を罵った日。榛名から裏切られたとそう解釈をした涼音は、電話を切
ったあと、自室のベッドの上で泣き暮れていた。
それからしばらくの間の涼音は、正直なにも手につかないというような状態であった。大学に行っては、違う講義の
教科書とレジメを持ってきてしまったり、アルバイト先では以前なら考えられないようなミスを連発してしまう。
それも全て榛名が悪いのだと責任を転嫁した。それと同時に、どうしても榛名のことを考えてしまう自分がいることに
気付いた。
涼音は自分がわからなくなりはじめていた。
そしてやってきた榛名の登板日。
どうしようかと思い迷ったものの、涼音は今までと同じようにして、スコアブックを持ってきてリビングのテレビへと
向かい、試合を観戦することにした。
涼音が目にしたのは、早々に打ち込まれしまって一回すらも投げきることができずに、強制的にマウンドから降ろされ
てしまった榛名の姿であった。
最初から違和感のようなものがあった。いつも不敵な面構えで傲慢にさえ見える強気な投球を展開するはずの榛名が、
そこにはいない。顔色悪く、自信なさげなその様子。対戦チームからあっという間に飲み込まれてしまい、初回すら投げ
きることができずにベンチへと引っ込められてしまった。
なにかが、おかしい。そう、なにかが。
言葉では上手く表現できないが、涼音の胸のなかでは得体の知れない感覚が生じてきていた。
悩みに悩んだ末に涼音は、後輩にして榛名の親友である秋丸恭平に連絡を取って、相談をしてみることにした。
その席で泣き出してしまったことは、涼音本人も予想外のことであった。それと同時に思い至ることができた。
やっぱり榛名が好きなんだ。現実はやはり、あのときに涼音が榛名に向けて罵倒した言葉通りのことなのかもしれない。
けれども、この二年近く一緒に過ごしてきたときのことを頭に回想していくと、そうでないのではと思う。
でも、やっぱり自分は弄ばれていただけなのかもしれない。
思考がぐるぐると堂々巡りをしてしまい、そして人前で突然泣き出してしまったのだ。
その日の夜に秋丸からもたらされた電話によって、事態が少しずつわかりはじめてきた。だが、榛名に言い含められた
秋丸がそのようにしてきただけなのかもしれない。涼音は自分でもそんなことを考えるなんてイヤな女だと思うが、どう
しても一度芽生えた不信感を、そう簡単に拭い去ることはできなかった。
更に数日後。涼音は大学であの合コンに誘ってきた友人を捕まえて、あの夜の詳細を聞くことにした。
わかったことは、はっきりしたことは単純に一つ。榛名は涼音を裏切っていなかったということだった。
先輩投手に半ば騙されるようにしてその場へと来てしまったこと。携帯電話の番号とメールアドレスの交換を女の子た
ちから持ちかけられても、
『ここにオレが来たのは、ただの人数合わせのためなんです。それに、オレにはもう高校生のころから真剣に付き合っ
ている人がいるんです。その人に悪いですから、すみません』
聞かれるたびにこうやって丁寧に断っていたらしい。
飲み会の途中からは、同じようにして居心地悪そうにしていた既婚の先輩たちのグループと一緒にいたとのことだった。
それも野球のディープな話題を重ねて、女子大生たちが入っていきにくいような空気を作っていたそうだ。
あまり多く話しかけられないようにということだったのだろう。
これらのことを知って安堵した。そして愕然とした。
榛名は誠実だった。だが、それに対して涼音はなにをしたのか。目先のことに囚われて嫉妬と憤りにとりつかれて、口
汚い言葉を連発して一方的に罵り倒してしまった。
確かに榛名は涼音に対して嘘をついてしまった。だが、これは情状酌量の余地があると解するべきだろう。昼間に約束
していたということもあるし、それにバカ正直に合コンに行ってました……などと告げられるはずがない。
顔を赤くしてデレデレしているように涼音には見えたが、よくよく考えてみれば、榛名は初めての飲酒なのだから適量
というものがわからなくて当然。単純に呑みすぎてしまったのだろう。それに顔に出やすいタイプなのかもしれない。
涼音は自分が榛名にとって、初めてできた彼女だという話を榛名本人から聞かされていた。それなら、女の扱いには慣
れていないと考えて間違いない。
そのような男が、とっかえひっかえての女遊びができるだろうか。答えは否だ。
自分が浅はかだった。
勝手に誤解して酷いことを言ってしまって。榛名よりも年上なのに、なぜ浅慮になって釈明を聞いてあげることもし
なかったのか。
あとに残ったのは、強烈な後悔の念ばかりであった。
「わたし、すごいバカだ……」
ひっそりと静まり返った公園で涼音が呟いていく。
「わたしが誤解して、酷いこと言っちゃって。なんとかしなきゃって考えても、今更どの面下げて寄りを戻してほし
いって言えないよって思って……臆病になってなにもできなくて。もう、メールももらえなくなっちゃった……」
一日一通だけ送信されてきていた榛名からのメール。それはいつの間にか涼音のもとへと届かなくなっていた。
じっと見詰めていた液晶画面がぼやけてきた。涼音の瞳に涙がじわっと浮かび上がってきたからだった。
「もう、イヤになっちゃったんだよね。こんな嫉妬深くて人の話を聞かないヒステリックな女は面倒だって、イヤに
なっちゃったんだよね……。ごめん、ごめんなさい……。でも、やっぱり好き……大好きなの」
涙腺が決壊し、熱い雫が携帯ディスプレイへと落ちていった。
自分以外に誰もいない公園で、遠い地にいる榛名へと許しを請うために懺悔の台詞を吐いて、そして嗚咽を漏らす。
それが涼音の日課となってしまったことであった。
「……っ!」
すぐ近くから足音が聞こえてきた。涼音は、握り締めていたハンドタオルでさっと目元を拭った。一人で泣いている
――痛いやつだと思われるのはイヤだからだ。
「隣、いいですか?」
(……えっ?)
涼音は自分の耳を疑っていた。それは聞き慣れた声だが、最近はそれを聞くことができなくて。夢にしか出てきてく
れなくなっていた人物のものだった。
涼音の返事を待たず、声を掛けてきた男は隣のブランコに座っていった。恐る恐るながら視線を上げて様子を窺って
いく。そこにはよく日に焼けた涼音の彼氏がいた。
「えっと、お久しぶりです」
「は、はい。お久しぶりです」
なぜか敬語で返してしまった涼音。その反応を受けて榛名はやや面食らったような顔を見せたものの、穏やかな表情
を依然として保っていた。
「話、聞いてもらえますか?」
「は、はい」
「あのときのオレは、確かに涼音さんに嘘をついてました。でも、疑われるようなことは一切していませんし、した
こともありません。だけど、嘘をついたのは事実です。すみませんでした」
ボストンバッグを肩に掛けた榛名は立ち上がって、涼音へとすっと頭を下げていった。実に十秒近くもそうしていた
榛名は、顔を上げると更に真剣な表情を作って切り出した。
「もう一回チャンスもらえませんか? その、オレとやり直してもらえませんか? やっぱりオレ、涼音さんが好き
なんです。もし、涼音さんがオレのことを本当にイヤになったんなら、諦めます。簡単には諦められないと思うけど、
諦めるようにします。ダメ、ですか……?」
「…………」
声にならなかった。榛名がやってきて復縁しようと言ってきてくれている。あんなに酷い態度を取ってしまったのに。
それでもやり直そうと手を差し伸べてきてくれた。
涼音が立ち上がったことによって、彼女が乗っていたブランコの鎖はジャラッと音を立て、座席は僅かに前後へと揺
れ動いている。
そのまま榛名の目と鼻の先まで歩いて止まり、見上げてじっと顔を覗き込んでいった。
(……な、なんかオレ、まずったのか? 家に行こうと思ったはいいものの、しり込みしちまって偶然ここで見つけて、
でもなに言ってるのかわかんなくて。泣き出しちゃったところで思わず飛び出してきちまったけど、まずかったか……?
もしかしてビンタが飛んでくるのか……!?)
冷や汗が背筋を伝っていくのを感じる。涼音は変わらずに瞬きをほとんどせずにして、榛名を食い入るようにして見詰
め続けていた。
いわゆる、ガン見というやつだ。
そして、高二の夏に食らったあの痛烈な平手打ちが脳裏を過ぎっていく。諦めるとか潔い台詞をつい口にしてしまった
が、あれをまたかまされて完全な別れを告げられたら、もう立ち直れないかもしれない。
「……許して、くれるの?」
「えっ」
「わたし、あんなに酷いこと言っちゃったのに……。許してくれるの?」
「原因はオレですから。それもこれも全部水に流して、やり直してもらえませんか?」
「……っ」
手にしていた携帯とハンドタオルを手放した。夕立のせいで湿り気を帯びた黒土の地面へと、放ってしまった。
けれど、そんなことはどうでもよくて。涼音は榛名へと抱きついて胸に顔を埋めて、ただ泣いていた。
「ご、ごめん、なさい……。ホント、に、ごめん、なさ、い……っ」
自分の胸へとすがり付いて謝罪してきてくれる涼音を榛名は抱きしめる。久方ぶりに味わう温もりをかみ締めながら、
ひたすらに優しく涼音の頭を撫でていっていた。
以上で今回の分は終了になります。
お付き合いいただいた方、お疲れ様でした。
前回の投下があまりにも非常識(文章量が多すぎ)だったので、あと一回増やすことにしました。
ご了承ください。
次回でエロ&完結となります。もう少しお付き合いください。
それでは。
乙&GJ!!!!!
すっごく続きが楽しみだー。
今から完結編にも期待してます。
GJです!!!!!
303さんの書く榛涼スキなんで早く続きをry
ほしゅ
そろそろ投下来るかな?
5月に十巻発売らしいから、楽しみ
>十巻
五月下旬らしいな
ちょうど二ヵ月後あたりか
そういや去年はそのころぐらいになってスレが急に盛り上がりだしたんだったなー
やっぱりアニメ化は偉大なフラグだった
当時は2球目で、今は8球目だから結構進んだんだなと、ちょっぴりしみじみしてる
あげ
職人様達、お待ちしております。
ここでおしっこものとか書いてもいいんだろうか
投下前に注意書きしとけば大丈夫じゃね?
とりあえずバッチコーイ!!
しかしおお振りキャラで失禁放尿が似合う女っていないような
それとも書いていれば馴染んでくるのか悩む
合わなきゃスルーがお約束ですよ!
ハルスズの続きもお待ちしております
ミハチヨです。過疎ってるのでやったモン勝ちネタで。
三橋でエロは本当に難しくて、ほっぺにチューまでです。
ほのぼの系なので、合わない方はスルー願います。
4月に入り、三橋にとって初めて経験するイベントがあった。
今までの三橋の学校生活では縁がなく、二重の意味でカルチャーショックだった。
田島の嬉しそうな笑顔、田島に呆れた泉の顔、栄口の気にかけてくれる優しい顔。
花井は呆れていて、阿部はいつも怒ってるから普段通り。
今日は「そーいう日」、だ。
練習の休憩時間に、三橋はみんなの顔と、田島の言葉を思い出していた。
(オレ、も)
一瞬、三橋はそう考えたが、なにも思いつかなかった。
* * * * *
春休みとはいえ、入学を前に熱心な新1年生が3人、既に野球部に顔を出していた。
さすがにマネジはまだだったが、代わりに篠岡の手伝いを覚え始めている。
自転車にジャグを乗せて押しながら、少しだけ西浦高校野球部の空気になれた生徒たちが、
篠岡を「優しい先輩」と認識して、気軽に話をする。
「で、本当のところ、どの先輩なんですか」
唐突な1人の生徒の質問に、他の生徒も興味深そうに頷く。意味が判らない篠岡は質問で返した。
「なにが?」
「彼氏ですよ」
「ああ、そーいうのはナイの、ウチは」
嘘だろぉ、と驚きの声が上がった。
「しのーか先輩かわいーのに、ありえねえって」
「本当は彼氏いんですよね?別の部ですか?」
「高校生にもなって、先輩たちどっかおかしいんじゃねーの?」
と、どんどんエスカレートしていく。
それを受け流すか、先輩として注意するか篠岡が迷っていると、
「あ、三橋先輩だ」
部員の1人が、フェンス沿いをふらふらと歩いて行く三橋に気づいた。
「阿部先輩は花井主将より偉そう」「田島先輩は話しやすい」「栄口先輩は優しそう」等、
大雑把な認識は、既に彼らの中には既に根付いていた。
が、この三橋先輩は全くの未知数なのだ。
挙動不審で繊細そうなのに、投手としては凄い選手らしい。
今はまだ仮入部の新入りに、本当は気が短いのに猫を被っている可能性もある。
馴れ馴れしく話しかけ、入部届を提出したとたん豹変するその確立すら読めない、扱いに困るタイプだった。
「どーしたの、三橋くん」
篠岡が声をかける。
三橋は篠岡の声に顔を上げ、周りに複数の部員がいるのに気づき、比喩でなく本当に飛び上がってビビった。
「お水?ああ、水道行くんだ。ドリンクが遅れてごめんね」
三橋は頭がもげるんじゃないかという勢いで、首を左右に振りまくった。
いつ見ても、行動が怪しすぎる……。
それにしても、なんで篠岡先輩は、この宇宙人みたいな生き物と、ごく当たり前のように
コミュニケーションが取れてんだろう?
「あの……。三橋先輩、喋ってないっすよね?」
「なんで判るんですか?」
不気味そうに部員たちは三橋と篠岡を見比べる。
「判るよー。マネジだもん」
「そんなの理由になんないっすよ」
だって、単語すらないんだよ?落ち着き無いし、俺らの目も見れてないし。
1人の生徒が、ぽつりと呟いた。
「もしかして、しのーか先輩の彼氏って……?」
他の生徒が凍りつく。
いや、それはナイって。だって、この人明らかに変だし。
でも、三橋先輩は逃げないし、篠岡先輩とは会話が成立している。
「三橋先輩?」
「へっ」
「篠岡先輩と、付き合ってんですか?」
その場の全員に注目されて、三橋の目と口が大きく開く。
冷や汗を流しながらキョロキョロと忙しなく目線が彷徨い、口がぱくぱくする。
聞いた俺らが悪かった、ぜってーありえねえ。
そんな空気が流れた。
が。
三橋は震えが治まると、意を決したように息を呑み込み、こくんと頷いた。
「は、いぃぃ?」
満場一致。驚きの声が上がった。
「なんで、よりによってこの人ー?」
責めるような回りの視線に篠岡はにっこり笑って、
「一緒に野球やれば、判るよ」
と、穏やかに答えた。
「そーいう訳で、私をからかうと三橋くんが怒るからね」
そんな風に言われたら、見かけによらず三橋先輩は想像を絶するキレ方をするんじゃないかと、
怖いイメージが膨らんでしまい、それ以上何も言えなくなってしまった。
青ざめながらこくこくと下級生らは頷き、ジャグを運びながら離れて行った。
首をかしげ、チラチラ振り返るその姿を2人で見送りながら、篠岡は満足そうに笑う。
「三橋くん、ありがとう」
「ふ、ひ」
達成感で三橋も興奮していた。
頷いただけだけど、上手くいったのだから、成功だ。
「最初はちょっと驚いちゃったけど……。今日が、4月1日だからだよね?」
篠岡の問いに、嬉しそうに三橋は何度も頷く。
数時間前、田島に「今日午後から雪降るってさ」と小学生のような嘘をつかれ本気で
信じてしまうという、「エイプリルフール」を三橋は初めて経験したのだ。
今日は嘘をついて良い日。だから、三橋もやってみたかった。
でも、嘘は良くない。みんなを騙してしまった。
急に反省して俯く三橋に、心配して篠岡が声をかけた。
「三橋くん、迷惑でしょ。あとで、みんなに訂正しとかないとね」
「うへ」
深く考えずに頷いてしまい、三橋は慌てた。
「しのお、かさん、は」
悪くない。自分さえ嘘をつかなければ、篠岡も嘘をつくことはなかったのだから。
謝りたい気持ちでいっぱいで、三橋は懸命に首を左右に振る。
その様子を見て、篠岡が目を見開いて、三橋を見つめた。
「迷惑じゃ、ないの?」
「……?」
少し間を置いて、三橋は頷いた。
なにについて聞かれたのかは判らなかったが、迷惑をかけたのは自分で、篠岡ではないから。
たっぷり1分ほどそうして緊張まじりにお互いを見ていたが、篠岡がふっと笑顔になったので
三橋はホッとする。
「じゃあ、本当にしちゃおうか?」
「う、ひ?」
会話に頭がついていかない三橋は、ただ篠岡の言葉に頷き、その後で意味を考える。
だから、篠岡が自分に歩み寄り、困ったような顔をして見上げ、ほっぺにキスをされた時も、
一体なにが起こったのか全く理解が出来なかった。
(???)
急激に体温が下がり、冷や汗が流れる。かと思えば、頭が熱くなってぼーっとしてきた。
力が抜けて、へなへなと座り込んでしまう。
「み、三橋くん、大丈夫?」
篠岡もしゃがんで、三橋の顔を覗き込んだ。
「ダイジョウ、ブ……」
条件反射のように、三橋は頷いた。これ以上みっともない自分を見せるのは嫌だから。
三橋は、篠岡は怖くない。
篠岡は三橋にとって、おいしいおにぎりを作ってくれる、ジュースもくれる優しい人だ。
なんとなく、自分の嘘に、忠実に篠岡が合わせてくれたのだということだけは判った。
(い、いい人……)
心の中が、ほんわかと暖かくなる。
そこに、遠くから三橋の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。
「三橋!……って、篠岡まで。マジだったのか」
阿部の顔が引きつっている。それを押しのけるように、田島が叫ぶ。
「しのーかー!三橋と付き合ってるってホントかー?」
その後ろから、他の同級生の興味深そうな顔もちらほらと見えた。
ドリンクを受け取った際に下級生たちから聞かされたのだろう。
「ホントだよー。三橋くんが、嘘つく訳ないでしょー?」
篠岡が答えて、ね、と三橋に笑いかける。
(しのおか、さん、わらってる)
三橋はふひっと、息を吐いた。
じゃあ、きっとそれで良いのだ。驚いたけど、さっきのは、自分もちょっと嬉しかったし。
右手でほっぺのその場所に触れると、篠岡が小声で言った。
「嘘じゃないって証拠に、明日から、三橋くんから出来る?」
三橋は即座に頷いて、その後に意味を考えようとした矢先に田島の声に驚き、思わずそっちを見て、
間違えて阿部と目が合ってしまった。
みんながこっちに来るのが見えて、三橋は思わず立ち上がる。
「あ。テメー、なに逃げよーとしてんだ!」
「みはぁしー、なんで教えてくれなかったんだよーっ」
阿部や田島に捕まり、ウメボシをされたり髪をぐしゃぐしゃにされたりする。
こんなことになったのは、嘘をついたせいだという思いだけはあった。
だから、約束は守らなきゃ、と三橋は心に決める。嘘はよくない。
(あ、した……)
自分から。三橋の心の中で、何かが弾ける。
笑顔の篠岡と目が合って、三橋も思わず笑顔になっていた。
終わりです。
同じネタで投下を考えていた職人様がいらっしゃったらすみません!
次回の投下こそエロ書きます。
エイプリルフールネタGJ!!
三橋も篠岡もかわいくていいよー。乙でした!!
74 :
名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 17:50:14 ID:/3z/L67j
ミハチヨは王道にみえて、案外少ないから
投下されてて嬉しかった!
GJ!!
ウソからでたマコトGJ!
>>72 gj!!
エロねた未満もこの二人ならなぜか許せるなww
ハルスズの続きを期待しながら保守。
昔の保管庫消えちゃった
捕手
アベチヨです。連投(?)すみません。
オリキャラみたいなのが出てますので、合わない方はスルー願います。
軽く怪我が話題になりますが、治療法はウロオボエですので間違ってるかもしれません。
移動教室に向かう途中の階段の下に、数人の女子が固まっているのが見えた。
その中に篠岡の姿もあった。
「どうした?」
阿部が声をかけると、皆が振り向いた。全員自分と同じクラスの女子だ。
「阿部くん」
篠岡が、座り込んでいる生徒を目線で示した。
「階段で足を踏み外してしまって……」
阿部がその女子の苗字を覚えていたのは、メジャーリーグに移籍した選手と同じだったからだ。
「立てねーのか?」
阿部が名前を呼び声をかけると、他の女子が興味深そうに見たのは気のせいだろうか。
せいぜい捻挫だと高をくくっていた阿部は、患部を見て絶句した。
丸く膨れ上がり、膝のこぶし1つ分下に、膝がもう1つあるように見える。
赤くなるとか青くなるなら判るが、まるで野球のボールみたいな白い半円は不気味だ。
「気持ち悪い」と騒ぐ外野はともかく、男の阿部までが口にすると怪我人が傷つくから飲み込んだ。
「歩けねーだろ。保険室まで、抱えてく」
「えっ、いいよっ!」
怪我人が声を上げた。悲鳴まじりの拒絶に怯んだ阿部に、
「阿部、運んであげなよ!」
「そーだよ」
他の女子が口々に言う。
感受性の強そうな、おとなしい生徒だ。本人が嫌がっているだけに、阿部は考えを巡らせた。
「保健室の先生呼んでくる。篠岡、状況説明出来るか」
「阿部、いーから連れてったげて」
「恥ずかしがってるだけだって」
困って篠岡を見るとなぜか微妙な笑顔で、阿部の教科書とノートを奪い取られてしまった。
釈然としないまま、その生徒の了承を得て、抱きかかえる。
周囲の好奇の視線にさらされながらの保険室までの道のりはきつかった。
篠岡がすいすいと早足で先を行き、追うのが大変だったこともある。
こっちは怪我人を抱えているのに、こんなに気の利かない奴だったか、と阿部は不信感が募った。
20分後、保健室の先生に委ねると、阿部と篠岡は授業のある教室に向かった。
篠岡は荷物を阿部に返して、お礼を言った。
「困ってたの。ありがとう」
「骨に影響なきゃいーけどな」
「心配だよね?」
先ほどから受けていた違和感を、阿部は篠岡の聞き方で改めて感じた。
「癒し系で良い子なんだよ。阿部くんの影響で野球中継見るって言ってるし」
予想が確信になった。やはり、わざと2人きりにするために先を急いでいたのだ。
阿部は、誰かに癒されたいなどと思っていない。
誰かに無理に野球の話題に付き合って貰っても、恐縮するばかりだ。
「聞かなかったことにすっから」
「なんで?」
篠岡は立ち止まった。少し不満気だ。
コイツも他人の恋愛が大好物な女か、と、自分が篠岡に変な期待をかけていたことに阿部は気付いた。
「ムリヤリ野球で接点作っても、外で会うのが野球場とバッティングセンターじゃ満足しねーだろ」
中学時代の教訓だった。好意を持ってくれた女子が、埼玉中の大会をチェックする阿部に
付き合ってくれたのは、2試合と3回の裏までだ。
女子が、阿部と同等の好意を野球に持ち続けることは、難しい。
「阿部くんが教えてあげれば、なんでも嬉しいんだよ」
「部活で手一杯で付き合う余裕ねーよ。たとえどんだけ野球好きだろーと、球種読めるくらい
詳しかろーと、部活第一に考えてくれる女でも……どんだけ美人で性格良くて、も……」
言いながら気付いてしまった。
身の程知らずな理想を並べて掲げてみたのは今が初めてだが、目の前に、まさに
その条件を満たす相手がいるのだ。
「そんな暇あったら……」
阿部の目が泳ぐ。篠岡は阿部の想いに全く気付かず、納得いかない顔をしていた。
「練習、だろ」
恋愛感情を自覚した直後、自分でその芽を摘む空しさに、阿部は唇をかみしめた。
篠岡の、怪我をした生徒の立場しか考えていない表情から、自分は端から異性として見られて
いないのは痛いほど感じる。
「じゃあ、今は考えられなくても、覚えておいてあげてね」
篠岡のダメ押しに、阿部は言葉を失う。
その後も何か言われたみたいだったが、ちっとも耳に入らなかった。
音楽室のドアに手をかけようとして、阿部は動きを止めた。振り返り、篠岡を見下ろす。
やるなら、今しかない。
不思議そうに口を開こうとした篠岡を、ドアと自分の身体の間に入れて動きを封じた。
息を飲み、驚いて見開かれる大きな瞳。ドアが不自然にガタついた。
動けば、中の教師やクラスメイトらに自分たちの存在を知られてしまう。
しばらく様子を見るように双方が固まったが、誰も気づかなかったようだ。
阿部は教科書ごと両肘をドアにつき、身を屈めて篠岡に顔を近づけていく。
思い直して腰を落とし、同じ目の高さにした。篠岡は怯えた目で阿部を見つめ返した。
「嫌ならドアを後ろ足で蹴ってみろ」と勝手な逃げ道を考えながら、篠岡の唇に自分のを重ねた。
そのままゆっくり押し付ける。さらに角度を変えて、吸う。
慣れない行為に音が洩れて緊張が走った。
無意識に手が篠岡の胸に行き、服の上から持ち上げるようにして掴んでいた。
音を立てる訳にいかない篠岡は、ドアに押し付けられさらに小さくなり、大人しく言いなりに
なるばかりだった。
かすかに吐き出される、感じているような吐息に興奮して、余計に力が入る。
自分の感情を無視した篠岡に腹を立てなければ、こんな行動に出ることはなかった。
どんな理由があったとしても許されることではないのだろうが。
日焼けして大口開けて笑おうと、男に媚びる格好をせずとも、篠岡が他の女子と比べようが
ないほど魅力的なことに今更気づいてしまい、阿部の鼓動は速まった。
明確に、身近な女に欲情したのは初めてかもしれない。
少なくとも、自分からキスをしたいと思ったのは、篠岡だけだった。
どれだけそうしていたか判らない。舌を差し込まれ、中をかきまわされていた篠岡は、
ようやく解放された。胸に置かれていた手も離れた。
「……どうして」
どうにか、それだけ声を震わせながら吐き出した。
女より野球と言ったくせに。なんで自分が?
篠岡の目が非難するように阿部を見る。
スカートの中に手を伸ばそうとしたその時、篠岡の携帯電話の音が廊下に鳴り響いた。
教室の中にいる生徒が、様子伺いのメールを出したのだ。
阿部を押し退けるようにして、篠岡はドアを開けた。
当然、授業はとっくに始まっていて、阿部が席に着くと「えれーカッコ良かったらしいな」と
花井にからかわれた。
「お姫様抱っこだってー?」
と、今度は水谷。阿部はつまらなそうに言い返す。
「あの状況なら、俺じゃなくてもそーすんだろ」
「そうか?相手によるよな?可愛い子だったら俺、張り切っちゃう」
言わずもがなの男の本音を、阿部と花井は無視した。
自分が助けた女はどうだったか考えたが、篠岡の顔しか思い浮かばなかった。
急に自分のしたことに対して、罪悪感が襲い掛かってくる。
が、篠岡が教師に怪我の状態を説明する声が聞こえ、周囲の冷やかすような視線を感じ、
阿部は考え直した。
自分がやったことは決して許されることではないが、篠岡が自分の気持ちを知りもせず、
好きでもない女との仲を取り持たれるよりはマシだ。
だから、反省はしても後悔はしない。
ただ、篠岡の泣きそうな顔は、頭から離れなかった。
篠岡が抵抗しなかったのは、自分を好きだからではなく、怪我をさせたくなかったからだ。
残念だが、篠岡はそういう選手思いのマネジだと思う。
授業が終わり、謝ろうにも、教室で篠岡に声をかけるのは勇気が要った。
「部活の時に」と考えているうちにタイミングを逃して、「メールで謝るのも誠意がないから」と
感じて行動は先延ばしになった。
そうなると、今更謝っても傷を穿り返すだけのように思えてくる。
篠岡は部活では何もなかったように接してくるから、彼女の中では「なかったこと」に
なっているに違いないし、「だったら言わない方が」とか、「謝って自分が満足したいだけだろうが」
とか、さらにいくらでも言い訳が浮かぶ。
まさか自分が、マネジを好きになるとは思わなかった。
もし、今回のことがなく、自分以外の誰かが篠岡と付き合うと聞いたら「手近な相手で済ますな」とか、
「よりによってマネジに手ぇ出すかよ」と呆れていたかもしれない。
そうして、篠岡の唇の触感や身体の柔らかな弾力を頭から消し去ることも出来ないくせに、阿部自身も
忘れるよう自分に言い聞かせた。
翌週に入り、体育の授業で阿部は隣のクラスの生徒に肩を蹴られて負傷した。
サッカーで、キーパーなどやったのがまずかった。
スパイクではないから深い傷は出来なかったが、打撲らしくだるさを感じる。
「保健室に行け」という花井たちの言葉には、「たいしたことねーよ」と返した。
本音を言えばちゃんと診て貰いたいが、「3年間怪我も病気もしない」と三橋と約束した手前、
もし保健室に出入りしたのがバレたらと思うと絶対に避けたい。
なにしろ先週、“阿部が保健室に”連れて“行った”という話だけでも、三橋は勘違いしかけたのだ。
「面倒くさい約束したなぁ」と頭まで痛くなってきた時、篠岡に呼び止められた。
「大丈夫?怪我したって、花井くんたちから聞いたけど」
久しぶりに、まともに篠岡の顔を見られたような気がした。
心配そうな篠岡の表情にドキリとする。
「メシ食ったら適当に湿布貼っとく。部活前に剥がせばバレねーだろーし」
「誰に?」
「……モモカン。練習、外されたら困る。他の部員に知られたくねーし」
どこから三橋の耳に入るか、判ったもんじゃない。
「お昼ご飯食べたら部室ね」
「え?」
「肩は自分でやるの大変でしょ」
そう言って、篠岡は女友達の待つ廊下に走り去った。その先には事の発端となった生徒もいた。
篠岡が下手に気を回さないでくれるといーけど、と阿部は不安になった。
阿部が部室のドアを開けると、既に篠岡がいた。
つい他の女子もいるのではと見回した阿部を、篠岡が不思議そうに見る。
「1人か?」
「そうだけど、私1人じゃ嫌だった?」
「は?」
思いがけず高圧的な声が出てしまい、阿部は慌てる。
「いや、その……悪かった」
「私の方こそ、阿部くんの気持ち考えないで、ごめんなさい」
応急セットを手にした篠岡がぽつりと言う。
今の話じゃない。先週のことだ、と阿部は気づいた。
「どう考えても、謝んのは俺の方だろ」
「なんで?」
「なんでって」
言葉に詰まる。
そりゃあ、声出せない状況で勝手にキスして服の上から乳揉んで、喜ぶ女がいたら変態だろ。
なぜか顔を赤くしてるのは阿部1人で、篠岡は真顔で阿部を見上げていた。
そうして、みつめ合ったまま2人して黙り込む。
「……時間がもったいないし、手当てして良い?」
篠岡はテキパキと椅子を2つ並べて、準備を始めた。
もさもさと阿部はシャツを脱いで、中のTシャツを捲り上げる。
椅子に座って、患部を突き出した。表面が擦りむけて赤くなり、青い斑点も出来ていた。
「そのシャツも、脱いでくれた方がやり易いかも」
篠岡ならふだんの練習で裸も見慣れているからいいか、と阿部は言われた通りにする。
湿布を直に貼ると、取る時に皮の剥けた皮膚ごと剥がすことになるので、患部にガーゼを当てたり
テープで固定したりする。スプレー程度の臭いしかしないから誤魔化せるか、と思ったが、
どっちにしろ着替える時にバレるから剥がす必要はありそうだ。
怪我自体はたいしたことないが、「ケアして貰っている」という満足感はあった。
「監督には言って、肩使わないメニューにして貰う?」
「いや、そこまでは」
とはいえ、マネジを味方にしとくと便利なんだな、と阿部は感心した。
マネジだから、ではなく篠岡だからか。
「とにかく助かった。ありがとう」
自分はシャツを着て後から行くから先に教室に帰るように言い、改めて謝ろうと口を開けかけたその時。
「私、野球観戦とかバッティングセンター、好きだよ」
「は?」
一瞬、何を言われたのか判らなかった。
「私は絶対、途中で飽きたり嫌になったりしないから。それに、阿部くんのこと嫌いだったら、
こんな風に2人きりになったりしないし」
呆然と篠岡の横顔を見つめる阿部と、俯いて動かない篠岡。
阿部は言葉が出ず、相変わらずコクコクと頷いて篠岡を凝視するのみだった。
(つまり、俺は、篠岡に、嫌われて、ない……?)
下を向いていた篠岡の視界に腕時計が入り、時間に気づいて道具を片付けながら続けた。
「最初は頭に来たけど。阿部くん、誰にでもこんなことする人じゃないから、私も真面目に考えたの」
やっと正気に戻った阿部は、がたっと椅子の音をさせて立ち上がる。が、やっぱりなんと言って良いか判らない。
「……お、怒ってねーのか?」
「うん、今は」
そう短く答えて篠岡も立ち上がると、箱を棚に戻した。
「もし、俺が付き合ってくれって言ったら……」
背中を向けたまま篠岡が頷いた。
「――っしゃあ!」
条件反射でガッツポーズをしてしまい、驚いて振り向いた篠岡と目が合った。
自然に2人とも笑顔になり、阿部は心の曇りが晴れた気持ちだった。
が、踏み出そうとした阿部を制するように、篠岡が一歩下がった。
「でも……付き合うのは部活引退後がいいな」
「あ?」
女は普通に我慢出来るのかもしれないが、男はそう割り切るには相当の覚悟が要る。
既に阿部の脳裏には先週の篠岡の感触が蘇り、大変なことになっていた。
「部活やりながらでも、付き合えんだろ?」
「部活で手一杯で付き合う余裕ないって言ったの、阿部くんだよ。私も無理だもん。
もし阿部くんが、付き合うの今すぐじゃなきゃダメなら、この話なかったことにしよーよ」
あまりにもサバサバと言う篠岡に、阿部は愕然となった。
俺って、その程度の存在?そもそも、篠岡は高校野球マニアだろ。俺が部活引退したら、
対象が現役の1、2年生に移る可能性もあるよな?今折れたら、一生付き合えねーかも……。
「急がないからゆっくり考えていーよ。この時間なら草取りできそうだから、もう行くね」
風向きが悪い、と篠岡は感じたらしく、怖い顔の阿部から逃げるようにドアに向かった。
阿部はその腕をぐいと掴むと、篠岡を引き寄せる。
「次の授業、サボるぞ」
「!」
篠岡が意味を理解して、真っ青になった。小刻みに首を振る。
「私、そんなつもりじゃ……」
「クラスの女に、俺は篠岡と付き合うって判らせるのに調度いーだろ」
「冗談だよね?花井くんや水谷くんだって判っちゃうよ」
「別に隠す気ねーよ。だいたい、引退までに他の男に取られない保証どこにある?
部室に行くって、誰かに話したか?」
「ううん。……ね、阿部くんは怪我人なんだし」
「こんなのかすり傷だ」
力で篠岡が勝てる訳もなく、拒む先から阿部は床に押し倒してしまう。
「阿部くん、今なら、授業間に合うからっ!ね?」
篠岡がなだめようとするが、阿部は無視した。シャツのボタンを外して、下着の中に手を差し入れる。
「付き合うのは、もっと……っ!」
阿部は、篠岡の唇を自分のそれで塞いで黙らせた。
可憐な膨らみの頂点を指でやわやわと揉まれ、篠岡は気持ち良さに眼を細めた。
阿部のもう片方の手は下半身に伸び、スカートを捲り上げて太股を這い回る。
ショーツの中に指を差し込み、中をほぐすように探った。
「んぁ、やっ。んんっ、やめ……あっ、あっ!」
懸命に止めさせようともがくが、抵抗も空しく甘い声が出てしまう。
「やっ!し、したいだけ、でしょ。私は近くにいただ…」
「だったらとっくに、あの女とやってる」
篠岡の目が見開き、押しのけようとする力が弱まった。
確かに性欲だけなら、ダメになった時マネジと付き合うのは後々が面倒だ。
阿部はニッと笑うと、その尖りを舌先で転がすように舐めた。
「あッ…!」
「俺は、好きな女以外にこんなことしねーよ」
「だ、だって……」
「俺は篠岡以外、興味ない」
阿部自身、誇るような経験はないから、本当に文字通り手探りだ。
人指し指を挿し入れる。途中で止めては抜き、くり返す度に早く深く指がめり込む。
篠岡は身体の中に出し入れされる指の動きに感じて声を上げ、震えながら朦朧としていた。
クリトリスを探り当て指で挟むと、篠岡のそこが敏感に反応して膨張する。
「ぅう、いやあっ、そこっ……そこはっ、あぁんっ!!」
キュンと篠岡の身体が大きく跳ね、あまりの大声に阿部は慌てて篠岡の口を塞ぐ。
「ばかっ」
「だって、だって……」
篠岡が涙声で反論しようとするが、声にならない。
阿部は組み伏せたままの体勢で、篠岡に囁いた。
「止めるか?」
「……」
「あの先生、来るの遅いし、女子には甘いから篠岡は帰れば出席間に合うかもな。
俺は男で、名前呼ばれんの最初だからダメだろーけど」
そう言いながら、突き放したように身を起こして篠岡を見下ろす。
「どーする?」
「……」
篠岡は頭も身体も快楽でいっぱいになってしまい、動けない。
まだ、途中なのは判る。この後に今知った世界よりももっと気持ち良いことが待っている筈で、
続きは欲しいが、阿部を喜ばせるのが悔しくてそう言いたくなかった。
この濃密な空間にずっといたい。もっとめちゃくちゃにして欲しい。
「こ、今度……」
「野球部辞めた時?」
そんなに待てない、という絶望が表情に浮かび、篠岡はゆるゆると首を振った。
「い、今……」
「どうして欲しい?」
意地の悪い阿部の質問に、ヒドイ、と篠岡の瞳が揺らぐ。期待通りの反応に、阿部はニヤリとする。
が、涙の膜はつーっと膨れ上がり、みるみる溢れそうになって、阿部は慌て出した。
「ああ、悪かった!」
「嫌い!」
阿部は止める気なんかこれっぽちもなかったから、必死に機嫌を取ろうとする。
篠岡が抱き付いてきて阿部の胸に顔を埋め、震えながらキスをしてきた。
そのいじらしさが可愛くて、阿部は頭を撫でてやる。
「ちゃんと、すっから……。いぃ?」
気づくと、篠岡は強く吸っていた。チリチリと痛みが走る。
「な、なにしてん、だ?」
引き剥がして場所を確認すると、アンダーを着て隠れるかどうかきわどい位置だった。
チームメイトやモモカンにも、このキスマークが見えるかもしれない。
涙を溜めた眼でいたずらっぽく笑う篠岡に、自分の思い通りになる人形じゃない、と認識を改めた。
阿部は下着を脱がせて、篠岡の両膝の辺りまでを両脇に抱え込んだ。
篠岡は唇をかみ締めて不安げに阿部を見た。
悩ましく眉をひそめ、恐怖に大きな瞳に涙を浮かべながらも、その表情とは裏腹に濡れた身体は
拒むことなく阿部を迎え入れる。
「ひぁっ!」
篠岡の身体がビクッ、と震えた。
「先端、入ったぜ」
「んっ……」
眉間にシワを寄せ、篠岡は硬直する。意識すればするほど、身体に力が入ってしまう。
阿部が、狭い穴を押し広げていく。滑る襞肉をかき分けるように、さらに身体をぶつける。
「あっ、あっ、んっ、うあっ、はぁ」
深く割り入ろうと動くたびに、篠岡のくぐもった声とヌチャッとした猥褻な音が部室に響いた。
篠岡に締め付けられ、気が遠くなりそうになる。
「力、抜いて……」
痛みと快楽の狭間で悶える篠岡には、全く余裕がなかった。
自分を根元まで、奥へ深く埋没させる。篠岡の身体が反り返った。
泣き声とも喘ぎ声ともつかない声に、絡みつく粘液に、篠岡の気持ちよさに酔った。
「……ワリぃ、俺……限界っ」
阿部は、強く腰を激しく揺り動かし、欲望を放出させた。
か細い、自分の名前を呼ぶ声に意識が引き戻された。
繋がったまま篠岡の唇にキスをすると、弱々しい笑顔が返って来る。
阿部は名残惜しそうにゆっくりと自分の分身を引き抜き、ぐったりと仰向けになった。
徐々に篠岡の呼吸も落ち着いてきたらしい。
「阿部くん……」
指が自分の手に触れたので、隣の篠岡を見る。
初めてだった篠岡は、気だるそうで、何かを聞きたそうに見えた。
指が絡んできた。篠岡の澄んだ目が、褒めて欲しがっている。
口にして、頑張ってた篠岡に恥ずかしい思いをさせる言葉は嫌だな、と迷い……
「後悔、させねーから」
焦ってちっとも雰囲気の出ないことを口走ってしまった。
が、頬を染め頷く篠岡を見て、胸がいっぱいになる。まあ良かったんだと思う。
「このあと、授業出ようね」
篠岡がそんなことを言い出したのは、自分に心配させないためだと阿部は気づいていた。
「中途半端より、全部サボった方が良くねーか?篠岡だって身体辛いんだろ」
「6時限目だけでも。座ってるだけだから、大丈夫だよ」
阿部は面倒になっていた。授業なんだから、練習を休むよりは余程マシだと思う。
部室で幸いだったのは部活の荷物がロッカーにあったことで、「汗かいたし」と時間を稼ごうと
する阿部を、それを理由に篠岡は急き立てた。
時間を確認しようと携帯を見ると、花井と水谷からの「どこ行った?」というメールが
入っていた。確かに、呼び出し音は何度か聞いた気がする。
返事を打っていたら篠岡に怒られてしまい、しぶしぶ阿部も身支度を整えて部室を後にした。
廊下を進みながら、篠岡が三つ編みを直しつつ聞いた。
「なんて言って、教室に入ったら良いのかな」
「いっそ本当のこと言う…イテッ!」
真っ赤になった篠岡が、阿部を突いた。バンバンと背中を叩かれる。
「違うって、怪我の治療!怪我人を叩くな!」
「そんなに手間がかかる怪我じゃなかったでしょ」
「じゃあ、俺が具合悪くなったことにでもすっか」
阿部の怪我はクラスの男子なら知っているから、多少の過剰報告なら許されるかもしれない。
この際、不名誉ながら篠岡の手当ての手際が悪かったとか、救急箱が見つからなかったとか、
嘘バレバレの言い訳をしておいて、三橋の興味を怪我から逸らす方が賢明かもしれない。
バッテリーの相手に彼女が出来ることよりも、軽い怪我の方が重大ってことは……あるか?
自分と三橋の関係ならあり得る、と思えることが複雑だった。
教室のドアを開けようとした阿部のシャツの裾を、突然篠岡が引っ張った。
振り向くと、襟をぐいと引き寄せられる。
「赤くなってる」
それをやったのはオメーだろ、と阿部は舌打ちして屈み、大人しく篠岡に第一ボタンを留めて貰った。
息を止め天井を見ていた阿部の口に、柔らかいものが触れた。
こじ開けるようにして舌で刺激され、さんざん貪ったあと篠岡は離れ、満足そうに微笑んだ。
幸せな天使のような篠岡の笑顔にやられ、身体中の体温が一気に上昇して、阿部は動けなくなる。
「じゃあ、開けるね」と言って、篠岡は先に教室に踏み込んだ。
用意していたサボリの言い訳がすっかり頭から抜け落ちた阿部は、1人廊下に座り込んでしまった。
その光景を見た教師が「本当に具合が悪い」と勘違いして、クラス中が大騒ぎになった。
篠岡は人形じゃない。自分が教えたことを吸収して、貪欲になっている。
「後悔させない」と口にした手前、期待に答え続ける今後を想像して、阿部は本当に眩暈がしてきた。
終わりです。
「カッコイイ阿部」を目指したかったのですが〜〜毎回似た感じになってしまってすみません!
トリ付きで雑談は避けるべきかもしれませんが、ハルスズの続きお待ちしてます。
GJ!
阿部カッコ変態だw
超GJ!
途中までスッゴイかっこよかった!
阿部はどうやっても、かっこよくはならないと思う
ミハモモ投下します。
高校3年引退後設定で、今回前編、エロは微妙。
こんなの三橋、モモカンじゃないという方、
このカプが苦手な方はスルーお願いします。
店を出るとあたりはすでにこの街の夜特有の猥雑な空気に満ちていた。
少し辟易しながら駅に向かう細い道を歩いていると、サングラスをした中年の男に突然肩をつかまれる。
「おねえちゃん、色っぽいねえ、芸能界とか興味ない?すぐに売れっ子間違いなしだよ!」
この手の勧誘には慣れていた。
体の良いことを言って大抵がアダルトビデオやその類だ。
百枝は慣れた笑顔で男を振り向くと、呼びかけを無視してそのまま歩き出した。
しかし、予想外に後ろから肘をつかまれ、引っ張られて行く手を阻まれてしまう。
「ちょっと〜無視はないんじゃないのお?おじちゃん怒っちゃうよ?」
そういう男の目は笑っておらず、百枝は思わずぞっとした。
そのとき前方に停めてあったワゴン車から似た風情の若い男が出てきて、サングラスの男と目配せするのが見えた。
車にはスモークが貼られている。
それを目の端でとらえた瞬間、背中に冷たい汗が伝うのを感じた。
(さすがに二人じゃ勝ち目がないわ)
そのときだった。
「カ ントク!」とあたり一面に大声が響き、ぎょっとした男が百枝の腕を放した。
大声の主は、すごいスピードで百枝のそばまで駆けつけてくると、その手をとって全速力で走り出す。
とっさのことに、男たちは反応しきれなかったらしく、追いかけてくる気配はない。
二人は手をつないだまま夜の街を走りぬけ、駅のそばまで来てようやく立ち止まると、
ぜいぜい言いながらその場にひざをついた。
「あ、り、がと・・・」
百枝が苦しい息の中から礼を述べ、たった今までつないでいた手の主を見上げると、
驚いたことに彼は腕で涙をぬぐっていた。
「ちょっ、三橋くん、どうしたの!?」
百枝を助けてくれたのは三橋だった。
こんな時間のこんな場所に三橋が居合わせたこと自体驚きだったが、
それよりもここで泣かれることの意味がさっぱりわからない。
(なんで泣くのよ!)
しかし百枝は辛抱強く待った。
(私もだいぶ気が長くなったもんだわ、3年は長かったってことね)
「よ、よかっ・・・」
「ん?」
「あ、か、かん とく が、つ、つれ てかれなくて、」
(なるほど)
どうやらこれは安堵の涙らしい。合点がいった百枝はにっこり微笑んでぽんと三橋の頭を撫でた。
3年間に開いた身長差のせいで少し撫でにくかったが三橋は落ち着いたようだった。
「三橋くんのおかげよ。さすがの私もいっぺんに二人は無理だわ、相手、車持ってたしね」
「く るま・・・?」
「気づいてなかったの?たぶん三橋くんが来てくれなかったらあそこにとまってた車に連れ込まれてたわね」
「ええ!」
三橋の顔色がさあっと青く染まる。ショックのあまり二の句が告げないらしい。
「カ、」
「か?」
「かん とくは、何で夜 に、」
「バイトよ。割が良いバイトが見つかったからミーティングの日に入れることにしたのよね」
「わ、わり・・・」
そう言って三橋は青い顔をさらに青くした。
百枝はすぐに三橋の考えを読み取って、三橋の頭をぎゅっと握り締める。
「何考えてたのか言ってみなさい!私が野球部つぶすようなことすると思う!?」
「いっ、い、いたっ、いい、あ、ご、ごめ、なさ」
「質問に答える!」
「う、し、しません、オ、オレ、わか」
「わかったらよし!」
にっこり笑って手を離すと、三橋は頭を抱えてうずくまった。
三橋はしばらく声もなく悶えていたが、百枝が声をかけるとよろよろと立ち上がった。
「大丈夫?」
「う、大丈夫、です」
「あなたこそどうしてこんな時間に外にいるの?」
「オ レは、予備校 で」
「ああ、試験もうすぐだもんね」
「オレ、は毎週あって、か、カントク は」
「私も週1、ミーティングの日だけよ」
「じゃ、じゃあ!」
「オレ、ら、来週 も、い、い、一緒に・・・」
百枝は思わず三橋をじっと見つめた。
高潮した頬、真剣な瞳、熱のこもった声。
はたから見たら年上の女性を口説いている少年の図にしか見えなかったが、
これは使命感にかられたときの三橋特有の口調だと百枝は知っていた。
「大丈夫よ、次からは気をつけるわ。今日は隙をつかれたけど」
「だ、だめ、です。カントクに何かあったら、オ、オレ 」
その声の真剣な調子に思わずドキリとしたが、すぐに我に返って盛大に突っ込みを入れる。
(なに今の!相手は生徒よ!?ていうか三橋くんなのよ!?)
三橋は百枝の動揺には少しも気づかずに、たどたどしく言葉を続けた。
「部の皆に、お、怒られ ます。た、たぶん阿部くんに、な、殴られる とおも」
(ああ、そういうこと)
心なしか少しがっかりしたような気がしたが、いやいやありえないって!とさらに自己つっこみをしていると、いつのまにか電車は最寄り駅に着いていた。
ちょっとした虚脱状態に陥っていた百枝は、なんとなく三橋と約束したようなかたちになったまま、結局そこで彼と別れたのだった。
翌週、バイトを終えて店を出ると、本当に三橋は百枝を待っていた。
夜の街の中で、居心地悪そうにしている姿がなんとなく微笑ましい。
本来なら教育者としては、こんなところにいてはいけない、早く家に帰りなさいと諭すべきところだろう。
それはわかっていたし、三橋を見かけるまではそうするつもりだったが、
なんとなく最初にそれを言うのはためらわれた。
(だってせっかく心配してくれてるんだし。
最初に叱るのはかわいそうよね。)
「三橋くん」
呼びかけると、ぱっと三橋の表情が明るくなる。
その表情の変化に胸をつかれ、百枝は自分がいい大人であることを意識した。
少しも己の感情を隠そうとしないてらいのなさは、百枝のまわりからはとうに失われたものだった。
(まあ、三橋くんだからね)
なんとなく彼はこのまま、大人になるような気がした。
裸の感情を隠すためのあらゆるパターンの表情や仕草、そういうものを身につける気がないように見えた。
それはときに人をいらつかせるが、ある意味そこまでよろわずにいられる強さはたいしたものである。
その強さに百枝も、3年間ずいぶん支えられたと思う。
花井や阿部のようにチームメイトを率先してリードするタイプではなかったが、
三橋はまごうかたなき西浦のエースであり、常にチームの柱だった。
「か、カントク、は やく」
帰りましょう、と促され、百枝は三橋の横を歩き出す。
(まあいいか)
どうやら本当に予備校が百枝のバイト先のすぐそばらしいし、もうすぐ巣立ってしまう生徒と、こうしたひと時を過ごすのも悪くはないだろう。
横を歩く三橋はほとんどしゃべらない。
接客業につかれた百枝には、三橋の無口さが心地良かった。
三橋は県内の野球好きの間ではちょっと名の知れた存在だった。
正確無比のコントロールと緩急をつけた独自のストレートに変化球。
職人的な投球自体の魅力もあったが、投手らしからぬ容姿と挙動がおもしろがられた一番の原因だった。
そんな元エースと若く美しい女監督の組み合わせが、人々の好奇心を刺激したのは無理からぬことだった。
「まりあちゃん、今日も廉くん来る?」
「さあ、別に約束してるわけじゃないですから」
「じゃあ彼が勝手に待ってるわけ?すごいねえ、熱いなあ高校生は」
店一野球好きのシェフの言葉に百枝は腰に手を当ててきっぱりと言い放った。
「いーい加減にしてください!私は生徒に手を出したりしません!」
「でももう引退したんでしょ?」
「だからって何言われるかわかったもんじゃないでしょ」
「まーねえ、へたしたら犯罪だしな」
「でもさあ、よく続くよね」
そう言ったのはこの店のオーナーだ。百枝の高校時代の友人であり大の高校野球ファンでもある。
ただの厨房手伝いで破格のバイト代をもらえるのも百枝の監督業を応援する彼女のはからいによるものだ。
「だからついでなのよ。角曲がったとこにある予備校に行ってるんだから」
「ばっかね〜、違うわよ!私が言ってるのはあんたよ、まりあ。」
「はあ?」
「だってさ、あんたの一番嫌いそうなことじゃん。夜道が危ないから送っていくとかさ。
大体あんたそこらの男より強いでしょ。高校のときだっていっつもそういうの怒ってたじゃん」
彼女の言葉に百枝はぐっと言葉に詰まった。
確かに彼女の言うとおり、女だから弱い、と決めつけられるのも、守ってやるなんて言われるのも百枝は好きじゃない。
そういうのはなんだか押しつけがましい気がした。
「…三橋くんは違うのよ」
「へーえ、何が?」
百枝の困惑を見透かしたようなにやにや笑いにむっとして眉を寄せると、オーナーは笑って手をあげた。
「怒らないでよ。あの子はあんたのそのたっかいプライドを傷つけないでそばにいられるのね。
それって理想ぴったりじゃない。懐の広い男じゃないとなかなかね。
私は応援するわよ、高野連がなんていうかは知らないけど」
「廉くんはああ見えて根性あるしなあ」
「勝手に話すすめないでよ。これでも色々苦労してるんだからね。甘夏つぶして見せたりとかさ」
「あんたじゃなきゃできない技ねえ」
オーナーがそう言うと店員たちは、百枝がいかに怪力かという話題でひとしきり盛り上がった。
百枝は話題が流れたことにどこかほっとして、後はバイトが終わる時間まで皿洗いに没頭した。
実際に自分の見た目が男たちにどのような印象を与えるか、百枝は嫌というほど知っていた。
だからこそ男子高生を統率する立場として生徒になめられないよう注意してきたのだし、
実際西浦の生徒たちは百枝を監督として評価もし、尊敬もしていると実感できる。
せっかく3年間かけて今の関係を築いたのだ。恋愛なんて冗談ではない。
(三橋くんは違うっていうのはそういう意味よ)
彼は大切な生徒だ。間違っても「男」ではない。
この関係も彼が自分を「監督」として大切にしているからこそ、その気持ちからの行動だとわかっているからこそ、許容できているのだと思う。
横を歩く三橋をちらりと眺めると、三橋は何を思ったか、おびえた様子で目をそらした。
(相変わらず挙動不審ねえ)
なんだかばかばかしくなって、怒ったのではないことを伝えようと百枝が口を開きかけたときだった。
「彼女、きれいだねえ!店探してるならうちにどう?ちゃんと二人きりになれるよ!」
チンピラ風の客引きに声をかけられたのである。
どうやら「店」とはラブホテルに近いものらしく、聞きもしないのにペラペラと男は店の素晴らしさを並べ立てた。
いわく、風呂が広いだの、コスプレができるだの、そういうことをだ。
「お、い、い、い、いりませ」
狼狽しつつも断る三橋に男は、馴れ馴れしく言い寄った。
「かたいこと言わないでさ〜、彼女すっごい巨乳だねえ、相当良い思いしてるんじゃないのお?」
それを聞いた瞬間、さっきまでおどおどしてたのが嘘のように三橋がはっきりと「やめろ!」と叫んだ。
それから、唖然とする男には目もくれずに、百枝の腕をとると、ずんずんと歩き出す。
あっけにとられたのは百枝も同じで、なんとなくその手を振りほどくことができないでいた。
繁華街の終点まで来ると、三橋はくるりと百枝を振り返って、「す、すみま せん」と謝った。
その目には涙がたまっており、百枝はぎょっとする。
(からかわれて嫌だったのかしら。すごい純情ねえ)
「三橋くんが謝ること無いわよ」
「うっ、で、でもっ、オレ のせい、だからっ」
「はあ?」
「オレ といたから。カ、カントク は、ああいうの、イヤ だって、オ、レ、知ってて。
な のに、オレ、心配 で。カントク に、何かあったら、ってこわ くて」
腕で涙をぬぐいながら三橋は繰り返し謝罪した。
(何よ)
(私のために泣いてるっていうの?)
三橋はなかなか泣きやまなかった。
「いい加減にしなさい!私は気にしてないわよ」
「う、は、はい」
歩き出しながら百枝は、三橋の言葉を反芻する。
三橋は言った。百枝がいやなことを知っていると。
きっと、今日のようなことが起こらないように今まで細心の注意を払ってきたのだ。
そうとは知らせずに、百枝のことを守ろうと。
思い返せば予備校のある日の三橋は、いつも必ず制服を着ていた。制服姿ならば誤解を招くことは少ない。
(三橋くんって本当に)
―――――優しい。
百枝は初めて意識した。自分が女であり、三橋が男であるということを。
「あんたの理想ぴったりじゃない。」
そう言ったのは高校以来の親友。誰よりも百枝のことをよく理解している。
(困ったことになったわね)
できれば気付きたくなかった。なぜよりによって三橋なのか。
初めての教え子。百枝にすばらしい野球を体験させてくれた。
不安定な身分で監督の務めを全うすることはやはりそれなりに大変なことだった。
これからも、いくらでも苦しいことが待ち受けている。でも、三橋たちのことを思えば乗り越えていけるだろう、彼はそういう存在だった。
百枝は彼らとの思い出をできるだけきれいな形で持ち続けたいと願っていた。
恋とか、そんなあやふやなもののために、壊してしまっていいものではないはずなのだ。
それに、幸いにも三橋が百枝のことを女性として意識している素振りはない。
(大丈夫、まだ好きになったわけじゃない)
百枝はコントロールできると思った。これでもだてに年を重ねたわけじゃないのだ。
見込みもない恋愛に身を投じるなんてばかばかしいと自分の心をなだめるくらい、そんなに難しい事じゃあないはず。
このとき百枝は知らなかった。
人の心を思い通りにすることはできない。たとえ、それが自分のものであろうとも。
その日二人が乗った電車はいつも以上に混んでいた。
遅い時間の電車はいつもそこそこ混んでいたが、雨のせいかその日はほとんどすし詰め状態というくらいだった。
自然、百枝と三橋は普段ならありえないというくらい密着して、電車が駅に着くまでの時間を過ごすことになった。
百枝の大きな胸が三橋の腕のあたりに当たっていたが、三橋は特に表情を変えることもなくいつもどおり何を考えているかわからないような顔をしている。
百枝は三橋と目を合わせないようにしながらも、ほんの少しも自分を意識してなさそうなその姿が少し淋しいような気もした。
でも、これでいいのだと自分に言い聞かせる。もう少しして電車が駅に着いたら、こんな複雑な感情ともおさらばだ。
(にしても可愛くないわね。もしかしてすごい細いのが好みとか?千代ちゃんが好きとかありえそうよね)
しかし、電車がガタン、と大きな音を立てて揺れたとき、三橋の方に倒れそうになりながら、百枝は、三橋が決して見た目通りの状態でないことに気付いた。
(今のは…?)
体勢を立て直した後、少しだけ足を動かして確かめると、やはり三橋は勃起していた。
制服のズボンの股間が固く張りつめているのが感じられる。
百枝は何食わぬ表情を装いながら、そのまま柔らかいふとももを三橋の股間に押し当て、電車の揺れに合わせて揺するように動かしてみた。
後から考えると、なぜそんなことをしたのかわからないが、その日はオーナーに付き合って飲んでいたために自制の糸が緩んでいたのかもしれないし、あるいは叶わない思いをぶつけたかったのかもしれなかった。
下から三橋を窺い見ると、さっきまでの無表情とはうって変わって、真っ赤になって目をぎゅっとつぶっている。
百枝は、その反応に気を良くして、今度はできるだけ自然に胸を三橋の体に押し付けた。もちろん、足で揺するのも止めない。
「三橋くん」
可愛さあまって憎さ百倍とでも言おうか、意地悪心がむくむくとわいてきて、百枝はわざと三橋に声を掛けた。
「…っは、はい」
「どうしたの?汗かいてるみたいだけど、混雑で気分が悪くなった?」
「あっ、やっ、だ、大丈夫、です」
(取り繕えるなんて、まだ余裕があるのね)
百枝は、足に込める力をほんの少し強くする。
三橋の目元に涙がにじみ、それを目にした百枝は自分がひどく興奮しているのを感じた。
三橋は段々と荒くなる息を懸命に抑えようとしているようだったが、百枝が、「辛いなら肩にもたれてもいいわよ」と告げると、百枝の背中に両腕を回し、その体にぎゅっとしがみついてきた。
百枝は初めて抱かれる三橋の胸の感触に陶然となったが、同時に、強く動揺して思わず三橋の顔を見上げてしまう。
すると、三橋もまっすぐに百枝の目を見つめ返してきた。
二人の視線が交錯し、百枝がいたたまれなさに目を伏せるよりも早く、
三橋は百枝の耳元に顔を寄せ、震える声で「スキ だ、」と告げた。
ここまで前編です。えらく中途半端ですみません。
モモカンがやたらSな人みたくなってますがそれもすみません。
後編はエロの予定です。
このカプに果たして需要があるのか激しく疑問ですが、
できるだけ早く続きを投下したいと思います。
三橋がカッコイイ…3年にもなってキャラ自体は変わってないのにw
なんか開眼しそうだ、続き激しくお待ちしてます!!
すっごく良いです〜。男の子な三橋、格好可愛い。
おお三橋はあんまりないから続き楽しみ!
続きです。
次で終了の予定だったのですが、思いのほか長くなってしまい、次の次で終わりということになりました。
しかもまだエロに到達していません。
本当にごめんなさい。
最後はがっつりエロを書きたいと思っていますが苦手な方はスルーよろしく。
三橋に強く抱きしめられ、百枝は体中の血が沸き返るような激しい熱とめまいを感じた。
しかし、三橋の告白が意味を持ったものとして立ち上ってくるにつれ、
肉体の衝動を裏切るように頭の芯は冷えてゆく。
咄嗟に三橋にしがみつこうと上げかけていた腕を下ろし、百枝はぎりっと唇を噛んだ。
今自分はきっとひどい顔をしている。
教え子に見せるにはふさわしくないような。
しかし、三橋は容赦なく百枝のあごを捉え、彼女の顔を上向かせた。
三橋の瞳は涙に濡れ、懇願するようなまなざしに百枝の胸は灼かれそうに痛んだ。
(私は…!)
なんてことをしてしまったんだろう。
このまま恋におちてしまうわけにはいかない。
自分にとっても、彼にとっても、失うものはきっと大きい。
3年間かけて積み上げてきたものを、
よりによって自分が壊してしまうわけにはいかないのだ。
必死に見つめる三橋から目をそらすこともできず、
しかし決定的な一言を言うこともできずにいると、
電車の扉が開き、出口を目指す乗客の流れに三橋の拘束が一瞬緩んだ。
百枝は、普段の彼女らしくもなく、逃げるように三橋の手を振りほどくと、
電車から飛び降り、一目散に外へと走った。
(最低)
きっと三橋の心を深く傷つけた。
彼のことだ、失恋そのものの痛手もさることながら、
百枝を困惑させたと思い悩むのに違いない。
本当に責められるべきは自分なのに。
百枝は駅を出ても、走るスピードを緩めないまま、
知らない景色が流れる中をぐんぐん走っていった。
そうして体を動かしてないと胸の痛みに負けて二度とは動けなくなってしまいそうだった。
三橋が自分を好いているという可能性をこれっぽっちも考えたことがなかった。
だからあんないたずらができたのだ。
それがこんな結果を招くことになるなんて。
三橋はもう店には来ないだろうが、次に顔を合わせたらはっきり言わねばならない。
百枝の本当の気持ちを決してさとられないように。
生徒を気遣う指導者らしいもっともらしさで三橋をふる自分を思い描くと、
さすがに胸が悪くなった。
それでも、三橋の前でただの女になって、いつの日かその深い信頼を損なうよりはずっと、その選択はましに思える。
走りながら百枝は唐突に気付いた。
自分の心は最初から決まっていたのに、その場で三橋にそれを告げず、走り出してしまったのは。
失恋の瞬間を少しでも引き延ばしたかったからだ。
いつのまにか自分で思っていたよりもずっと、彼のことを好きになっていたのだ。
気付いてしまうと涙がこみ上げて、百枝はようやく走るのを止め、
道ばたに座り込むと深く息をついた。
ミハモモでこんなに萌えると思わなかった
全裸で続き待ってる
「カントク!」
膝を折り曲げて泣いていた百枝が自分を呼ぶ声にぎょっとして振り向くと、
走って追いかけてきたらしい三橋が肩で息をしながら、百枝のすぐ横にかがんでためらいなくその手を握った。
百枝は泣き顔を見られないように顔をひざのあたりに伏せ、手を引き抜こうとしたが、
三橋は思いの外強い力でそれを押しとどめ、百枝の手を離そうとしない。
「はなしなさい!」
「イヤ だ!」
(どうして!)
百枝は怒りが込み上げるのをこらえ、キっと三橋にらんだ。
三橋は一瞬ひるんだように後じさったが、きゅっと唇を引き結ぶと、
震える声で「…どうして!」と言った。
「どう して、カントクが、泣く んだ」
百枝ははっとして手で顔をぬぐったが、時すでに遅しで、三橋はみたび「どうして…?」と聞いてくる。
先ほどの決意が百枝の胸をよぎる。
「ショックだったのよ。あなたがそんなふうに私を見てたなんて。
あなたの気持ちに応えることはできないわ。
生徒と恋愛する気はないの。」
思っていたよりもずっと冷えた声が出た。
三橋のことを思うと苦しかったが、これで終わりに出来るとどこかで安堵してもいた。
しかし、予想外に、三橋はそれでも百枝の手を離さなかった。
「カントクは、オレのこと、キ、キライ です か」
「好きとかきらいとかそういう問題じゃないわ。
教え子と恋愛するつもりはない。
それが私の答えよ。」
「オレ は、カントクが 好き です。
きらいなら、そう、言って くだ さ」
「だから!」
そういう問題ではないのだと、百枝が三橋に言い聞かせようとすると、
三橋は握っていた百枝の手に顔を寄せ、ぎゅっと目をつむると、また「スキだ、」と言った。
「スキ です」
好きだと繰り返しながら、三橋は片腕で百枝を抱き寄せ、肩口にすがりついてくる。
シャツの上に、三橋の涙がにじむのを感じた。
(あったかい)
今まさにあふれ出ている涙は、熱帯雨林に降り注ぐ暖かい雨のように、かたくなになった百枝の心を溶かしていく。
もうどうにもならないとはわかっていたが、それでもこの瞬間百枝の心は穏やかに凪いでいた。
こうして触れ合うのは最後かもしれなかったが、やはり三橋のことが好きだと思った。
三橋はしばらくの間肩を震わせていたが、ふと泣きやむと顔をあげた。
驚いたように見開かれた目で見上げられ、百枝は不思議に思い三橋を見つめ返す。
「手が…」
(手?)
「…あったかくなってる」
そう言って握りしめていた百枝の手を、三橋は百枝の目の前にかざして見せた。
(…!)
百枝は手を引こうとしたが、投手の握力にかなうはずもない。
まるで隠していた心の内を探り当てられたかのようにどぎまぎして、百枝は体温が上昇するのを感じた。
たぶん、さっきよりもずっと、手の温度は熱くなってる。
「オレ は、スキ ですけど、カ、カントクは…」
何故か三橋は真っ赤になりながらそう言って、百枝の目をじっと見つめた。
「それは…さっき言ったでしょう」
「ま、まだ 聞いて ませ」
百枝は観念した。
本当のことを言わないと彼はきっとこの手を離さない。
もちろん、己の恋心を露見させるつもりはなかったが。
「いやなのよ」
「えっ…」
言ったとたんに三橋の顔が青ざめる。
百枝はため息をついて続けた。
「こういうのは困るのよ。
私がたとえば、たとえばよ?
三橋くんのことを好きだったとしても恋愛はしたくないの。
この意味がわかる?」
三橋は首を横に振った。
盛大なはてなマークが見えそうなわけのわかっていないときの表情。
「恋愛になったら色々見たくないことも見えるかもしれない。
私は、3年間あなた達と一緒に野球ができて本当に良かったと思ってる。
私にとってはそれがすべてなの。
その良かったっていう気持ちを他の何かと引き替えに失いたくないのよ。
そしてなにより、あなたにそれを失わせたくない」
そこまで言ってもなお、三橋は表情を変えることはなかった。
頭の回転が速くないのは知っていたが、ここまではっきり言ってもわからないものだろうか。
百枝は一瞬、状況も忘れて、本気でこの元教え子の大学受験を心配したが、
次の瞬間、三橋の言葉にその気持ちもかき消えた。
「何も」
「?」
「な、何 も、なくす とか、ない、です」
「え?」
「な、なにがあっても、カントク と野球、できて、それがなく なる、なんて、絶対…
オレ、オレは!
カントクに会えなかったら、野球、たぶん やめ てて、
3年間、すごく 嬉しくて、カ、カントクのおかげ だから、
どんなこと があっても、オレは…!」
三橋は強い調子で言うと、百枝の手を引き寄せてそこに口づけた。
それは衝動に任せた行為かもしれなかったが、約束のしるしのようにも見え、
百枝の決意をぐらつかせる。
本当に三橋の言うようなことが可能だろうか。
それは、まだ男女の付き合いを知らない少年の幼い決意に過ぎないものであるのに、
三橋の言葉は真実であると百枝には感じられた。
なぜなら、百枝はずっと見てきたのだ。
三橋の強さ、その優しさ。
どんなに苦しいときでも彼は一番大切なものはちゃんと守り抜いた。
一人きりの3年間を経ても野球への愛情を失わず、
苦しい試合のさなかにも決してチームメイトを責めない投手だった。
「で、も、め、迷惑 なら、オレ、ちゃんと、あ、あきらめ ます」
三橋はそう言い切ると新しくにじんできた涙を肘でぐいとぬぐった。
その見慣れた仕草に、愛しさが募る。
その愛しさはあきらめに似た、けれどそれよりはもっと心地よい気持ちを運んできた。
全く以て三橋くんには負ける。
今までもずっとそうだったけれど。
「迷惑じゃないわ、三橋くん、」
「う、は、はい」
「この続きはあなたが卒業したら言うわ。今はそれでいいわね?」
百枝の言葉に三橋はしばらくぽかんとしていたが、
すぐさまその意味を察したらしくぶんぶんと首を振って頷く。
百枝は少し笑って、「遅くなったわね、早く帰りましょう」と三橋を促し、
そこでまだ手を握られたままなのに気付いた。
「三橋くん、手を離して」
そう言うと三橋は真っ赤になって、もごもごと口の中で何事かつぶやいた。
百枝が片眉を上げて先を促すと、ビクっと肩をすくめる。
そして。
「あ、の!キ」
(き?)
「…スしても、」
いいです か、と消え入りそうな声で言ったのだった。
(ああキスね、キス…えええ!?)
百枝は三橋の言葉にぎょっとしたが、
きっと不安なのだろうと、それくらいは許してもいいかと考えた。
(さっきの罪滅ぼしもあるしね)
三橋はうつむいて百枝の返事を待っていたが、
「いいわよ」
と言うとぱっと顔をあげた。
「じゃ、じゃあ」
し、します、とわざわざ宣告され、微妙な気持ちになりながら、百枝は目をつぶる。
しばらく何の動きもなく、百枝が焦れて目を開けると、思いの外近くに三橋の顔があった。
まっすぐ見つめる瞳に心をさらわれそうになり、思わず目をつぶると、
そのタイミングで口づけられる。
それは一瞬の、触れるだけの口づけだったが、
本当に三橋とキスしたのだと思うと、
する前には感じなかった恥ずかしさが込み上げてきて、
百枝は顔を見られないように三橋の胸に押し付けた。
早鐘のような心臓の音が聞こえ、三橋も緊張しているのだとわかる。
三橋は片手を百枝の背中に回すと、もう片方の手でその長い髪をすいた。
その気持ちよさにうっとりしながら、百枝は三橋の腕の力強い感触を堪能する。
本当はいつまでもそうしていたかったが、
相手は高校生なのだからあまり遅くなってはまずいと、百枝は三橋の体を離した。
今度は三橋も抵抗せず、素直に百枝の行動に従う。
帰り道を並んで歩きながら百枝はふと胸をついた疑問を口にする。
「三橋くんはどうして私のことを好きなの?」
百枝は男性のそうした視線には敏感なほうだと思っていたが、
三橋から異性としての好意を向けられていると感じたことは一度もなかった。
どちらかというと他の部員に比べても格段に自分を恐れていると思っていた。
それが自分に恋しているというのだからわからないものである。
「カ、カントク は、こわい、」
(やっぱり)
「け、ど、いつも、それ は、野球 か、オレらのため で、
い つも、かっこよくて、オ、オレあこがれ て」
(格好良くてそれに憧れて?)
それは、三橋が尊敬する投手に抱く気持ちとあまり変わらないような気がする。
少なくとも女性を好きになる気持ちとしてはあまり一般的ではないのではないだろうか。
「そ、それに、か、可愛い、です」
「はあ?」
なんというか前後の脈絡がまったく伝わってこない言いようである。
(可愛いのは三橋くんでしょうに)
「…無理しなくてもいいのよ?」
三橋がお世辞を言うとも思えないが、一応釘を刺しておくと、三橋は青ざめて首を横に振った。
「いつも、元気 で、楽しそう、で、そ れがか、可愛いって、オ、オレ」
「三橋くんストップ!」
「は、は」
「もういいわ。ずいぶん遅くなったわね。早く帰りましょう、
このままだと大学落ちるかもしれないわよ」
「うっ」
「さ、行くわよ」
「は、はいい!」
百枝は三橋を振り返らずに足を速めた。
三橋が後ろから百枝の手を握りしめたが、今度は百枝は否とは言わなかった。
今回はこれで終わりです。
いつもエロまでが長くて申し訳ないです。
次は卒業後の話になります。
せっかくモモカンをもってきたので濃厚なエロを書きたいと思います。
あくまで野望としては、ですが。
待っていてくれた方どうもありがとうです。
リロ忘れて途中でぶった切っちゃっててごめんなー
でもリアルタイムで読み応えあるのを読めてよかったよ
引き続き全裸で待ってる
濃厚なエロに期待
三橋頑張ってくれ
三橋がカッコ可愛くてヌゲー萌えました!がんばれ三橋!
そんでもって自分も全裸で続き待ってる!
じゃあ俺も脱いでおこうかな
じゃ パパも
パパはダメよ
ミハモモがこんなに待ち遠しいとは…
ミハモモ待ち遠しい〜
赤いスイートピーって何気に三橋songじゃね?
「何故 知りあった日から
半年過ぎても あなたって手も握らない
あなたに付いてゆきたい
ちょっぴり気が弱いけど 素敵な人だから」
歌詞書くのはまずいよ
奥華子の「ガーネット」がしのーかのイメージ
ここと篠岡サイトで篠岡ヤリマンだとわかった
みんなにへらへらしてるキャラ嫌いだから
嫌いキャラのベスト2はこいつら
おお振りの篠岡
タッチの浅倉
好きなキャラはたくさんいるけど代表で
ガラカメのあゆみさん
オスカル様
12国記の陽子
不利サイトまわって目についた点
不利の篠岡厨 と 種のカガリ厨が共通点ありすぎ
・人気主張
・争奪戦ネタ大好き
・かかわってないキャラ相手も妄想カプネタしまくる
・カプにした相手さえバカにした扱い
・当て馬付きのカプネタ大好き
・アスカガの何百分の1しか規模はないが、一応ノマカプでは阿部千代が人気らしいな
・自キャラについては「ありえない総受ネタ」してるわりに、「他キャラの受はありえない」と否定主張
・エロパロ板では、種はカガリ厨の巣窟、不利は篠原厨の巣窟
こんなにそっくり厨のキャラなら最終回は
一番人気らしい阿部チヨが崩れて
新しい女キャラが阿部とくっつくのか
他キャラ達がラブラブの中、篠岡だけハブかww
>>120 >>121 三橋萌えか・・・モモカンに萌える男なんていないんだな
いつからエロパロってこうなったんだろう
どうした?萌えなんて人それぞれじゃないか
モモカンには続きのエロパートで萌える予定だから無問題
久々に湧いてるww
妄想で叩くってすげーな
しかも他作品まで持ち込んで
今は保管庫があるから、変なレス挟んでも
そちらで読めるからどーでも良い。
レスも減りつつあるし「保守してくれてる」と思うことにするw
しのーか好きは同人の偽しのーか好きなんだから
本編しのーかは死んでも問題ないな
しのーかカプは801脳
801厨思考で男女恋愛を語るなw
荒らしの使う言葉が同人用語ばかりだと知ったが
よく意味がわからない
汚い篠岡という女のマンコにチンポいれさせられる男キャラはかわいそw
原作じゃ、おもしろいほど女として意識してもらえない
せっかく女一人で入部したのにw
同人と原作の描写が180度違うわww
男一人でも別女キャラとくっついたら篠岡厨は負け組ですねw
同人厨の思い通りにならないような
濃い設定のメインの少女キャラこないかな
楽しそうだなぁ
2年生に進級するまで、出番多そうな西浦の新少女キャラでてこなそうだし
しばらくヤリマン女をみなきゃいけないのかww
新しい女キャラ出て来ても扱いは篠岡と同じ。
男同士くっつけるのが同人だしw
昨日モモカンの誕生日だったんだ
スレが妙な伸び方してるところに紛れてこんばんはコテトリ付きです。
保守がてら投下しに来ました。名づけて
「第1回 チキチキあの子(篠岡叩きコピペ厨)ぼくがアベモモえろSS投下したら
一体どんな顔(コピペ)するだろう大会」ー。どんどんぱふぱふ。
ラブラブものではないので苦手な人はスルーとかIDあぼーん練習とかよろしくです。
合宿に向かう途中のバスの中で突然田島が叫んだ。
「あー、昨夜オナニーしてくんの忘れたーッ!」
マネジが「忘れた」という言葉だけを聞いてキョロキョロしていたが、田島は近くの席のやつらに4人がかりで押さえつけられて
それ以上の言葉をバスの最前列にいるマネジまで届けることはなかった。
隣席になった花井がオレに話しかけてきた。
「あいつ、本当に強いシニアの4番打ってたの?」
「ああ、本人がそう言ってたしオレも試合見たことある」
オレは入学式の日、三橋に手っ取り早く自分の価値とオレの優位を教えようとして花井と3打席勝負をさせた。
花井はオレの狙い通り三橋の「まっすぐ」を空振りし、更に幸いにも球筋を見る目があったらしく
三橋の「まっすぐ」が普通のストレートと何か違うことにも気づいた。
ただのプルヒッターだと思ってたがなかなかやるじゃないか。そう思っていた。
この合宿までの2週間で、オレの中で田島と花井を見る目にあるフィルターがかかった。
まず田島。
ある日の練習後、第2グラウンドに忘れ物をして夜道を自転車で引き返し、
近くに自転車を置いて歩いていた時にその声は聞こえてきた。
「ふふ、田島君ったらさっき出したばっかなのにもうカチカチだねえ」
監督である百枝の声だ。姿は見えないのでベンチ内にでもいるのかもしれない。
潜めているはずの声はなぜかオレの耳によく届いた。
「カ、カントク、もっと強くこすって」
田島の荒げた吐息と共に焦ってねだる声が聞こえた。
「ダメだよ、強くしすぎるのは不感症と遅漏の元だからね。でも早く動かすくらいはしてあげてもいいかな」
「おわ、ああ、あ、むぐっ、んんー」
おそらく口を塞がれたのだろう田島の声が聞こえなくなり、しばらくして百枝の愉快そうな声が聞こえた。
「じゃあ、明日も練習遅れないようにね、田島君おつかれ」
次は花井。
ミーティングのみの日、全員が解散して大分時間は経っていたが部室に置いていた配球プランをもう一度確認したくて
暮れなずむ校庭を部室へと歩いていったが、部室入口の前で足が止まった。
「うん、そう、いいよ花井君」
かすれたように囁く声は間違いなく百枝のもので、オレは先日の出来事があったので
田島の名前と聞き違えたかと思いこっそりと聞き耳を立てることにした。
ぎしぎしとおそらくは部室内の机か椅子が揺れて軋む音と吐息の後、百枝の相手と思われるヤツが口を開いた。
「オレ、もう限界です、カントク……!」
百枝と同じように声を最大限殺してはいたが、その声は聞き間違いでもなんでもなく花井の声だった。
百枝が何を考えているのか知らないが、まだ部員が入部してから2週間だぞ。
その間に花井と田島を食ってるとかどういう了見だよ。
田島は挿入までしてるのかどうか怪しいが、花井はおそらく最後まで行ってるんだろう。
何を考えているんだ。百枝も、田島も、花井も。
そんなオレの心など知る由もなく花井は田島と差をつけられたことに対してなんかぶちぶち言ってるし、
三橋は乗り物酔いで日ごろの挙動不審に拍車が掛かってるし、どうにもなんねえなホント。
合宿の幕開けから更にどうしようもないことは続いた。
バッテリーのみ別練習だと連れ出された野球場で百枝が三橋のコントロールの正体を暴いた。
オレがリードしてやれば三橋は球が遅くたってコースを突けるはずなのに、
百枝にそそのかされてどえらいノーコンピッチングをした三橋は、
百枝に渡された角材の上で一生懸命ワインドアップを試みてオレの意見なんか聞きゃしない。
投手なんかやなヤツばっかりだ。
挙句に百枝のこの言葉だ。
「阿部君は、捕手をわかってないねえ」
アンタになにがわかるって言うんだよちくしょう。暗い思いが心の中で波打った。
夕食後、はしゃぐ他のやつらから抜け出し、オレは外の切り株に座って一人ミットの手入れをしていた。
近づく足音に顔を上げると、ジャージ姿の百枝がにっこり笑っていた。
「チームを作ると大抵いい子が2人は入ってくるもんなの」
そう言った百枝が挙げた名前は田島と花井。
そうか、素質の面で有望なあの2人をカラダ使って手なずけることでチームを引っ張ろうとしてんのかこの女。
とんだ監督様だな。そう上手いこといくわけがねえだろ。
「阿部君、あなたは3人目だと思ってる」
……オレ?
そうか、オレも手なずけられそうだと見たわけか。おもしれえ。だがそう簡単に行かせるもんか。
練習着の後ろポケットに入れたままの携帯の存在を思い出し、その存在を後ろ手で確認した。
「オレは期待に添えそうもありません。だってオレは、捕手をわかってないんでしょう?」
何か言おうとした百枝を制してオレは続ける。
「それに、田島や花井みたいに体使って従わせればどうにかなるとでも思ったんですか?」
百枝が目を見開いた。ざまあ見ろ、動揺しやがれ。
しかし百枝はオレの手を小脇に抱え込むようにしながら引っ張ってずんずんと歩き始めた。
「ちょ、ちょっとどこ行くんですか」
「いいからついといで」
有無を言わせない言葉に黙ってついて行くと、そこは昼間悔しい思いをしたあのグラウンドだった。
「阿部君、私は勝ちたいの。入学式の日にも言ったと思うけど、私は本気よ。
勝てる可能性があって不正にならないなら、私は使える手段を使うよ」
百枝の目は確かにあの日と同じように燃えていて、吸い込まれそうな気になった。
しかしオレはなんとか自分を保つことに成功した。
「それで使える手段が選手と寝ることですか。お粗末なことで」
わざわざ挑発するように言ったオレを鼻で笑って、百枝はオレをベンチに座らせた。
「言ったでしょ、なんだってするって。私に従ってちょうだい」
ベルトを緩め、下着を穿かせたままオレのモノだけを外に出した百枝はそっとしごき始めた。
甘夏潰した握力の持ち主とは思えないような力加減にオレはつい背を逸らした。
「くッ」
「ふふふ、ここは素直なんだね阿部君」
自分でした回数なんか数え切れないけど、他人に触られるのは初めてで
いつもと勝手が違うし次にどこを触るかわからないというスリルですぐにオレのモノは硬くなった。
「硬くなったねー。まあ、こんなもんかな」
カリ首を人差し指と親指で弄られる。硬くなればムケるとは言え仮性包茎で余った皮を広げられ、
包皮越しに亀頭を擦られた。先走り皮と亀頭の間でがクチュクチュといやらしい音を立てる。
オレの息が荒くなったのを見て取ると百枝は唇だけで笑い、皮をずり下げると亀頭に直に触れた。
「うあああっ」
先ほどまでと違う強く鮮やかな感覚に背骨を何かが走り抜けるような気がした。
そうやって先端から根元まで手で弄り尽した後、百枝がオレのモノに顔を近づけ、
そして一気に口に含んだ。
「あっつぅ……」
これも初めての感覚だ。舌と口蓋に挟まれながら根元を唾液でぬぷぬぷした感触になった唇が責め立ててくる。
よく歯を立てないでいられるな、と思ったところで後ろポケットの携帯の存在を再び思い出した。
そうだ、今はオレが屈したとでも思ってるんだろう。でもアンタの思い通りなんかになってやるもんか。
百枝の口はなおもオレから色々なものを奪って服従させるべく動いている。
百枝の後頭部に左手で触れて動きを助けながら、右手でこっそりと携帯を取り出す。
サイレントモードのままの携帯を開く音さえ気づかせないようにわざと声を出し足を地面に擦りつけ、
用意は準備万端だ。あとは一度だけのチャンスを待つばかり。
オレの下半身からはもうそろそろ限界だという信号が送られてくる。
百枝の口の動きも早くなり、自分でも登りつめていくのがわかる。チャンスは、1回きり。
「くッ」
射精する直前に百枝の頭を引き剥がし、白濁した精液が百枝の顔や髪や胸元にかかる。
その間にオレはカメラを起動していた携帯のシャッターを押した。
連射モードのカメラは、百枝がオレのモノを咥えているところから精液が顔にかかるまでを確実に捉えた。
「っ、なにを……!」
動揺の色が百枝に浮かぶ。オレは肩で荒い息をしながらもカメラをプレビューモードにして
ディスプレイを百枝に向かって突きつけた。
「さあ、こんな写真撮られてどうするんですか?」
ぐっと息を呑む百枝に追い討ちをかけることにする。
「この写真、高野連に持ち込んだらどうなるのかなあ?なあカントク」
ここまで言えば目の前のこの女は泣き崩れて許しを請うはずだった。
そしてこちらが優位に立っているということを完全に解らせてやるはずだった。
しかしプレビュー画面を呆然と見ていたはずの百枝の目はギラリと光り、唇はにいっとつり上がった。
「やれるもんならやってみなさい。あなたも野球が出来なくなるのよ」
まさか。この女を組み敷いているのが自分だという証拠が一緒に写ってしまったってのか?
もう一度プレビューを見直そうと思ったが携帯を持つ手を強く握って固定されているせいか手首を返すことさえ出来ない。
「私は野球を諦めるだけで済む。でもあなたはどこに転学しようと硬式野球部に入る限り高野連の影は付いて回るし、
口さがない人はどこにでもいるわ」
しばらく睨み合いが続き、チチチチと鳴く虫だか鳥だかの声だけが響いていた。
先に口を開いてしまったのは、オレの方だった。
「……アンタ、本当に野球諦められんのかよ」
妙に喉が渇いて声がおかしな出方をしたが、気にしていないように百枝は笑った。
「阿部君こそどうなのかしら?自分の言うなりになりそうでしかもコントロールのいい投手見つけて、
リトルリーグ名門で4番を打ってたバッターもいる。こんなチームをあなたは手放せるの?」
「ふ、ふふ、ははは、あはははは」
気づけば笑いが口から漏れていた。それは悔しさなど通り越していっそ愉快でさえあった。
そうだ、彼女が手放したくないものはそのままオレが手放したくないものでもあったのだ。
負けだ。オレの、負けだ。
素直に負けを認めるのも悔しいので、精一杯意地の悪い笑い方をしてみせる。
「食えない人ですね、カントクも」
「君こそついこないだまで中学生だったくせに、なかなかの策士よね」
「どうやらオレたちは同じ穴の狢ってとこですかね」
唇の端を歪めて笑うと百枝も同じようにニッと笑う。
「そのようね。さあどうする?続き、する?」
「望むところですよ」
「オッケー。じゃあその前に……そこの陰で聞き耳立ててるアナタ、いらっしゃい。一緒に相手したげる」
終わりです。誰が聞き耳立ててたかはご想像にお任せってことでひとつ。
おそまつさまでした。
すんません訂正です。
>>149の
「先走り皮と亀頭の間でが」→「先走りが皮と亀頭の間で」
「用意は準備万端だ。」→「準備は万端だ。」
です。各自脳内補正よろしくお願いします。
うわっ!誰だ見てる奴!ww
どうかひとつ、あいつで続きを!
GJでした!
三橋と予想。
モモカンお誕生日おめでとうー。
共犯者なアベモモ読めて嬉しいです。
見ていたのは沖だと萌えるなあと。
さて、ミハモモ続き投下しますが、
・モモカンがやっぱりS
・三橋は監督に素で羞恥プレイを強いるひどい奴、その上へたれ
になっております。その上まったく甘くないです。
苦手な方はスルーよろしく。
とうとうこの日が来てしまった。
百枝は、特別な日にだけ身につける上等のスーツに身をつつみ、淡く香る香水を胸元に噴きかけた。
今日、百枝が初めて指導した選手たちが西浦を巣立つ。
そして、
―――――三橋との約束を、かなえるべき時が訪れる。
百枝が謝恩会の会場に着くと、すでに集まっていた選手たちから一斉に歓声があがった。
最後の時間を仲間たちで過ごそうと、野球部の謝恩会はクラスの打ち上げの後に設定してあったため
何人かはすでに酒が入っていると見え、会場は異様な盛り上がりを見せている。
未成年なのだから飲酒はまずいのだが、今日だけは大目に見なければならない。
今まで不祥事がないようにと目を光らせてきたことを思い、百枝は感慨深く初めて送り出す選手たちを眺めた。
3年間の笑い話や苦労話が思い思いに語られ、心地よい興奮に彩られた時間はまたたく間に過ぎていく。
最後に、選手たちから監督へ謝辞が送られることになり、一人一人から感謝の言葉や明日からの生活への決意が語られ、
――――ついに最後の選手の順番が来た。
百枝は、3年間でもっとも大きく成長を遂げたエースの姿に感動もひとしおだったが、
当の三橋はどこか焦点の定まらない目をして、ゆらり、と頼りなく立ち上がった。
(…なんかヘンね?)
「おーい、三橋!大丈夫かあ?」
「おっまえ、酒弱すぎ。一杯でなんなの?それ」
(なるほど)
どうやらここへ来る前にクラスで飲まされたらしい。
「頭まわんないだろうけど、何でも今思ったことを言えばいいんだかんな!」
「…い、い ま?」
「そ、監督に言いたいこと、なんでもさ!」
三橋の兄を自認する田島に促され、顔をあげた三橋と目が合った瞬間、百枝はいやな予感がした。
ちょっと待ってよ!と思う間もなく、三橋は軽く息を吸い込むと、精一杯という風に声を張り上げて、
「ス、スキ です!」
と、ワンナウトー!と叫ぶ勢いで言い放ったのだった。
一瞬、それまでざわついていた会場が水を打ったように静かになり、
次の瞬間、
スパコーン!と衝撃的な音が会場中に響いた。
阿部が三橋の頭を思い切り叩いたのである。
当然のこととして三橋はその場にくずおれ、何食わぬ顔をして阿部はその体を受け止めた。
そして、「監督が女に見えるなんておっまえどんだけ見境ないんだ!」と悪態をつく。
その瞬間どっと笑いが起こり、今の告白は謝恩会の最後を飾るエピソードとして、
その高揚した空気の中にきれいに消化されていった。
百枝がほっとして阿部を見ると、阿部が百枝にだけわかるように目配せしてくる。
不思議に思いながら、阿部のそばまでいくと、阿部は三橋を指さして小声で百枝に言った。
「オレたち二次会も行くんで、申し訳ないんスけどこいつ一緒に連れてってもらえますか」
「いいわよ、車を拾う予定だから」
「あ、こいつはオレが運ぶんで。監督は上で待っててください」
促されるままに店の外に出てタクシーをつかまえると、阿部が三橋をかついで階段を上ってきた。
タクシーの中に三橋を押し込むと、阿部はまじめな顔つきで「今日こいつんち親いないんスよ」と言った。
百枝はその言葉にドキッとしたが、阿部の表情から他意はうかがえない。
阿部はしばらく三橋のスーツの胸ポケットを探っていたが、キーホルダーを取り出すと百枝に手渡してきた。
「これで家入れるんで」
「最後まで世話女房だったわね」
百枝がそう言うと阿部は人の悪い笑顔を浮かべにやりと笑った。
「今日はこいつの大一番ですから。こいつのこと、頼んますよ」
(…!!)
その瞬間百枝は阿部の意図に気付き、さきほど三橋の頭を叩いたのもすべて計算づくだったのだと悟った。
「3年間でずいぶん仲が良くなったみたいね?」
動揺をさとられないように憎まれ口を叩くと、阿部は三橋を振り向いて薄く笑った。
「おかげさまで。また二人で部に顔出しますから」
そういうと阿部はぺこりと頭を下げ、タクシーのドアを音を立てて閉めた。
(まあ、いいか)
阿部は決して口外しないだろうし、実際先ほどの機転にはかなり助けられた。
百枝がちらりと三橋を見やると、三橋はまだ気持ちよさそうに眠っていた。
一杯しか飲んでいないというのが本当なら、ずいぶんと酒に弱いということになる。
(こんなんで大学大丈夫なのかしら)
大学に入れば飲み会の機会はぐんと増えるはずである。
こんなに無防備で女の子につけ込まれたりしないだろうかと、百枝はわずかに不安に駆られた。
先ほどの三橋の告白を思い出し、まだ自分は返事さえしていないのにと苦笑がもれる。
三橋の家の一つ手前の角で、百枝は三橋を揺り起こした。
さすがに一人で運ぶことはできないから、どうにか自力で歩いてもらわねばならない。
(今日はもう遅いし、話はまた今度になりそうね。)
百枝が監督しての最後のつとめを果たすべく「三橋くん、起きなさい!」と声をかけると、
存外にあっさりと三橋は目を開き、百枝の姿を認めると、「ひぃ!」と叫んドアに体をぶつけそうな勢いで後ずさった。
これが仮にも好きな女性に対する態度だろうか。
百枝は少し気を悪くしたが、今更だとも思い、ため息を一つ着くと前に向き直って言った。
「もう家に着くわよ。忘れ物がないようにね。」
「は、はい…」
間もなくしてタクシーは三橋家の前にすべるように止まった。
百枝が「水分をきちんととって、今日は早く休みなさい」と告げると、三橋は驚いたように目を見開いた。
早く三橋を休ませたほうがいいと判断した百枝は、それにはかまわず、運転手に次の行き先を告げようとする。
しかし、それは三橋に、「ま、待って…!」と手をつかまれたことにより阻まれてしまった。
運転手の前で何をはじめるのかと、百枝がかたまっていると、
「お客さ〜ん、降りるの降りないのお?」と運転手に間延びした口調で問われ、
三橋は「お、降り ます!」と告げると、握った手に力を込めながら願うような目をして百枝をじっと見つめる。
(…私はこの目に弱いわ)
百枝はため息をつくと、観念してタクシーを降りた。
こう見えて三橋は結構強引な性格である、と百枝は思う。
大抵の場合、驚くほどの素直さを見せるが、自分にとってのここぞ、という場面で譲るところはついぞ見たことがなかった。
たとえば、マウンド。たとえば、
(…私に関してもそうよね)
そこまで考えて百枝は、自分の思考に一人赤面した。
そして、今はまだそんなときではないと思考を切り替えようと試みる。
「三橋くん」
「は、はい」
「とにかくまず水分をとりなさい。話はそれからよ。いいわね?」
「う、オ、オレ」
「何よ?」
文句があるのかと威圧的な態度に出ると、三橋は青くなって目をそらしつつ言った。
「一回 寝たら、だ、大丈夫 で」
そこまで聞いた百枝は、みなまで言わさずにひゅっと右手を伸ばして三橋の頭頂に手を置きほんの少し力を込める。
「聞き捨てならないわねえ?どうしてそんなことがわかるの?」
「うっ、しょ、正月 に、じ、じいちゃんが、」
(うん、調子出てきたわ)
がたがた震える三橋を目にすると、監督モードに自然に切り替わる自分がおかしかったが、そのほうが楽なのも確かだった。
百枝がにっこり笑って手を離し、「なら仕方ないわね」というと、三橋はほっとした様子で息をついた。
その様子を見ながら百枝はふと思いつき、「でも、お酒には気をつけなさい。知らない人の前ではできるだけ飲まないように」と言い添える。
年長者の分別に見せかけて釘を刺すと、三橋は百枝の意図には気づかずに素直にうなずいた。
7つも年下の男の前で余裕のないところを見せるのは本意ではなかったから、こうした三橋の素直さはありがたい。
(それにしても)
一度寝たら酒が抜ける体質だというのが本当なら、三橋にはもう付き添いは要らないということになる。
百枝は、両親のいない生徒の家に理由もなく上がりこむことに抵抗を感じて、玄関扉の前でしばし逡巡したが、胸ポケットを探る三橋の様子に鍵を自分が預かっていたことを思い出し、とりあえずは、と鍵を渡した。
「な んで、カントク が?」
不思議そうにたずねる三橋に阿部から鍵を手渡された経緯を説明し、「阿部くんは知ってるのね?」と聞くと、
「き、気付いたの、あ、阿部 くん だから」としどろもどろに返された。
「どういうこと?」
「あ、オ、オレ がカントクを好きって、」
(なるほど。三橋くんのこととなるとさすがに良く見てるわね)
百枝が感心していると、三橋は少し赤くなって俯き、小さな声で「あ、あの!」と言った。
三橋のこの様子。
百枝は少し緊張して、次の言葉を待った。
三橋は、ほんの少し震えながら、けれど勢いよく面を上げると、まっすぐに百枝を見て言った。
「つ、続き を」
――――聞かせてくれます か?
そうして、それだけ言うと、またぱっと顔を伏せてしまった。
三橋は腕をまっすぐにおろしていたが、握りしめたその両手がわずかに震えているのがわかった。
春の空気を震わせる三橋のおびえと、勇気。
このときを待っていた、と百枝は思う。
けれどそのためには私にももう少しだけ勇気が必要だ。
百枝は、三橋の震える両手をとり、その熱を確かめるようにして自分の指を絡ませていく。
「迷惑じゃないって言ったわね」
「は、はい」
「三橋くん」
百枝は三橋に近づくと、少し背伸びしてその耳元に唇を寄せた。
「少し寒いわ。抱きしめてくれる?」
瞬間、とまどいがちに長い腕が伸びて、百枝を包み込むように三橋が抱き寄せる。
(あたたかい)
百枝は目を閉じると、体の力を抜いて三橋に体重を預けた。
今度はためらいなく、強い力で抱擁され、百枝はうっとりしながらささやくように言った。
「あなたのことが好きよ。あなたが好きだって言ってくれて、うれしかった」
それは小さな小さな声だったが、三橋が百枝を抱く腕に力を込めたので、三橋の耳にきちんと届いたのだとわかった。
三橋が自分の告白を聞いたのだとわかると、恥ずかしさが込み上げてきて心細いような気持ちになり、百枝は三橋の胸に顔を押し付けた。
こんな真似は自分には似合わないという自覚はあるのに、三橋の前ではいつものペースが保てない。
3年間、一切の弱みを見せずにきた相手の前でどのように振る舞って良いのかわからず、百枝が顔を上げずにいると、
三橋が「寒く、ないです か?」と問うてきた。
そして、百枝から腕をはなすと、「う、家 に、」と言いながら玄関の鍵を開けようとする。
百枝は今このタイミングで家の中に二人きりになることにとまどったが、邪推かもしれないと素直に三橋に従った。
だってやはり3月の夜は寒い。
(それにまだ…帰りたくない)
卒業したばかりの元生徒と今すぐどうこうする気はなかったが、お茶を飲むくらいなら許される気がした。
「ご両親はどちらに?式には見えたわよね」
「あ、ぐ、群馬に。今日は、帰って きません…」
三橋はそう言うと目に見えて赤くなり、顔を隠すようにうつむいてしまった。
(ちょ、ちょっと!)
何故そこで赤くなるのよ!と突っ込みたかったが、この上三橋におどおどされるのも面倒な気がして何も言わずに百枝は靴を脱いだ。
ようは自分が流されなければ済む話なのだ。
さすがに18の男の子に自制しろと言うのも無理があるというものだし、そういう雰囲気になってもうまくかわすぐらい、訳のないことである。実際、百枝はその手の経験だけは豊富にあった。
百枝が気にしない素振りを見せると、ほっとしたのか三橋はいそいそと靴を脱ぎ、リビングに百枝を通すと、暖かいお茶を入れてきた。
しかし、三橋はお茶を手渡しても、自身はソファに座ろうとせず、何となく所在なげに百枝の前に立っている。
「…三橋くん、座ったら?」
「あ、はい」
おどおどとそう言うと三橋は、百枝から微妙に距離を離して座った。
(えーと)
「もっと近くに座りなさいよ」
「え、で、でもっ」
百枝が少し近づくと、三橋は青い顔をして後ずさる。
(心配する必要、なかったみたいね)
百枝はため息をつくと三橋に向き直る。
「三橋くん、わたしがこわい?」
「い、 いい、えっ」
「うそね」
きっぱり言ってみせると、三橋は、目をそらしながら言った。
「カントク じゃなく て、き、嫌われる のが」
こわい、とどうやらそういうことらしい。あまりに三橋らしい思考に百枝はこの先を思い気が遠くなったが、
今は三橋になんとか自信を持ってもらうのが先決である。
何ヶ月も待たせた自分にも非はあるというものだ。
百枝は決心すると、三橋の前に跪いた。
「三橋くん」
まっすぐに三橋の目を見ながら言葉をつむぐ。
自分の気持ちがきちんと届くように。
「あなたのことが好きよ」
そう言うと百枝は手を伸ばして三橋の頭を両手で包み、その柔らかい癖毛に指を絡めると、ぐっと力を入れて引き寄せ、バランスを崩し掛けた三橋に優しく口付けた。
ただ触れるだけの優しい口付けを何度も繰り返す。
三橋は最初のうちはされるがままになっていたが、徐々に慣れてきたのか、キスしながら百枝を抱き寄せ、その体を持ち上げてソファに座らせた。
そうして、ソファの背に百枝の体を押し付けると、一旦唇を離して百枝をじっと見つめる。
赤く染まった目の縁の色に心を奪われ、
百枝はかすかに荒くなった息づかいの生々しい音を聞いた。
三橋は百枝の正面からソファに乗り上げると、少しかがんで百枝の背をそっと抱きしめる。
しばらくそうして無言でいたが、やがて抱きしめたままの百枝の耳元に唇を寄せると、
「舌 を、入れてもいい です か?」とささやいた。
その言葉を聞いた瞬間百枝の体はかあっと熱くなった。
なぜわざわざそんなことを聞くのか、というとまどいと羞恥が半分。
けれどあとの半分は。
「…いいわよ」
これから起こることを体が求めているのだ。
百枝の言葉が終わるより早く、三橋は百枝のあごをつかまえると、そっとその唇に舌を這わせた。
(…!)
てっきり口づけられるものとばかり思っていた百枝は突然与えられた感覚に耐えきることができず、思わず吐息を漏らしてしまう。
それが合図になったかのように、三橋はゆっくりとまさぐるように百枝の唇に舌を差し入れてきた。
三橋の舌は決して荒々しく動かず、優しく探るような動きで、百枝の口腔の中をけれど容赦のないしつこさで舐めまわす。
(…どうしよう)
百枝は焦っていた。ぬめる三橋の熱は、まるで三橋そのもののたちの悪い強情さで、百枝の熱を暴こうとする。
こんなふうに優しくされるとかえって感覚が鋭敏になるのだ。百枝は声を漏らすまいと三橋のスーツの胸元をつかんだが、三橋の舌がようやく出ていきかけてほっとした時に、唇の端の敏感な箇所を舐められ、思わず声を上げてしまった。
「やあ…っ」
自分の声にはっとして、思わず目を開くと、三橋が驚いたように自分をじっと見つめていた。
「あ の、き、きもち」
三橋が何を言いかけたかを気付いた百枝は、三橋の首に腕を回すと、有無を言わせずに濃厚なキスをしかける。
(私にそんな態度、百年早いわ)
百枝が先ほどの出来事を忘れさせようと、今までに習得したキスのコツの全てを込めて、三橋の舌を吸ったり舐めたりしていると、三橋は腰が抜けたようにへなへなと座り込んだ。
(良い気味)
百枝はキスを続けながら、指先で三橋の耳や首元をなぞり、性感を刺激することも忘れない。
しばらくそうして楽しんでいたが、そのうちに三橋は耐えきれないというように百枝の腕から逃れ、
ソファの横に倒れ込んで目元を両腕で覆った。
肩を大きく弾ませている。
せわしない呼吸が苦しそうだ。
「どうしたの?」
百枝が意地悪く問いかけると、三橋は涙のにじんだ目をついとそらし、「だ、ダメ、もう…」と言って目を閉じた。
そのいたいけな様子に嗜虐心をあおられ、百枝は三橋の上に馬乗りになると
「だめじゃないでしょう」と、すっかり張りつめた三橋の股間をなぞった。
「うぁっ」
三橋はびくりと肩を揺らすと、ぎゅっと歯を食いしばり、「や、やめ…て くださ」と途切れ途切れの息の中から言う。
(…可愛い)
確かに快感を覚えているらしいのに、百枝の愛撫を拒否するのは羞恥のためだろうか。
今時めずらしいその純朴さに百枝はかえって興奮をおぼえ、その首筋にキスしながらズボンのベルトに手を掛ける。
素早くベルトを外し、ジッパーを下ろすと、三橋が「止め て…!」と懇願してきたが、
「いやよ」とすげなく言って下着の中に手を差し入れた。
三橋のかたちを確かめると、それはすっかり硬くたちあがっている。
三橋はその瞬間恐怖に近い表情で百枝を見たが、百枝が指でやさしく包むようにすると、
ぎゅっと目をつぶり、次の瞬間背筋だけで起きあがって百枝の体を反転させ、自分の下に組み敷いた。
(…え?)
とっさに何が起こったか分からず、百枝は近づいてきた三橋の顔に思わず目をつむったが、
突然スカートをまくり上げられ、今度は逆に驚きのあまり目を見開いた。
「ちょっ、みは…!」
三橋は百枝の制止も聞かず、百枝のスカートをめくり上げ、ふとももとショーツを露出させると、その足を大きく開かせ、ショーツの上から百枝の足の間に性器をこすりつけるように動かす。
「や…!あ、ああ、や、やっ」
いくら布越しの感触とはいえ、すでにすっかり濡れていた部分に硬くたちあがったものを擦りつけられ、百枝は耐えることができず声をあげ、痺れるような感覚を逃そうと三橋のスーツの胸元をつかんだ。
あんまり強くつかんでは皺になってしまう、と頭の片隅を冷静な思考がよぎったが、激しい三橋の動きにそんな思いも消し飛び、すぐに三橋の動きを追うだけで精一杯になってしまう。
下着越しにも百枝の体液があふれ、三橋の性器の先端を濡らしているのがわかった。
体液の混じり合う音があたりに響き、百枝は耳を覆いたかったが、両腕を三橋に縫い止められていてそれもかなわない。
三橋は最初闇雲に動いていたが、百枝が抵抗しないとわかると、足を開かせた姿勢のまま百枝のショーツの中心をめくりその性器を露出させ、最も敏感な部分に自らの性器を押し当てぐりぐりと動かした。
「…っ!や、だめえ、っは、ああ、やっ」
(だめっ!いっちゃう)
百枝が反射的に足を閉じかけたとき、三橋が百枝の体から離れ小さくうめくのが聞こえ、百枝の太股に白い液体が伝った。
三橋は射精して我に返ったのか、サイドテーブルのティッシュペーパーで百枝の足を拭ったが、
はたと動きを止めると性急な動作で百枝のショーツを下ろそうとした。
百枝は達した後特有のけだるさにぼんやりしていたが、三橋のすることにぎょっとして思わず体を起こそうとすると、青い顔をした三橋と目が合う。
「ご、ごめん なさ、オ、オレ」
そう言いつつ三橋は百枝のショーツを脱がせると、閉じていた足をまた大きく開かせた。
(なっ…!)
「三橋くん!なに…っ」
「オ、オレつけるの 忘れてて!む、夢中で、」
ごめんなさい、と繰り返し謝りながら、三橋は百枝の性器に指を這わせた。
どうやら精液が付着していないか検分しているようだが、それにしても、
(恥ずかしいのよ!)
一体何の羞恥プレイだ、と百枝は思ったがあまりに真剣な三橋の様子に止めろと言い出すことができず、ただこの時が過ぎ去るのを待つしかないと歯を食いしばった。
「あ の、カ カントク、」
「…何よ」
「どっちなのか、わ、わかりませ」
「はあ?」
「うう、オレ のか、カントクの か」
「じゃあもういいから!」
早く下着をはかせて!と百枝は心の内で叫んだが、三橋は足の間にかがむと今度はその部分に舌を這わせてきた。
「っ!」
どうやら、とりあえず舐めとろうとしているようだったが、一度達してすっかり敏感になっている場所をまさぐられ、
百枝はぴくり、と体が震えるのを止められなかった。
そうでなくても、煌々と明かりのついた部屋で下半身だけをむき出しにされ、すべてを露わにされて羞恥に気が狂いそうなのに、このうえ冷静になった相手に快感に悶える様子を見られるなど屈辱でしかない。
百枝は三橋の動きに感じていることを悟られないように、必死に息を押し殺した。
三橋は少しも痕跡を残すまいと必死らしく、柔らかいひだとひだの間を余すことなく舐めとろうと、注意深く舌を動かしている。
やがて、三橋の唇がクリトリスに達し、そこをすっぽりと濡れた唇に含まれたとき、百枝はこらえきれず声を上げた。
「…はっ、三橋くん、もう…!」
止めて、と言いかけ、三橋と目が合う。
三橋は何故か真っ赤になって、大きな目をさらに大きくして百枝を見ていた。
まるでいやな予感がして、百枝が押し黙ると、
三橋はたどたどしく言葉をつむぐ。
「ま、また、ぬ、濡れて きて…、あ あのどうしたら」
いやな予感はあたり、百枝はぎゅっと奥歯を噛みしめると、
「とにかく下着をはかせて。じゃないと握るわよ?」とドスの効いた声で三橋を脅したのだった。
これにはさすがの三橋も体を離し、百枝はようやく下着を身につけることができた。
ついでにスカートも直し、何事もなかったかのように洋服を整えると、おどおどしている三橋を一睨みし、
「あなたも服を整えなさい」と言う。
三橋のスーツは百枝が引っ張ったせいですっかり皺になっており、百枝はため息をついた。
「いい?三橋くん」
「は、はい」
「女の子とこういうことをする機会があったら、まず状況を見なさい。
もちろんきちんと避妊はすること。」
今日は最後までしていないからいいものの、と思いながら、百枝は自らの先ほどの痴態を思い出し、頬が熱くなるのを感じた。
しかし、三橋はそんな百枝の胸のうちには気付かずに、かたい声で「し、しま せん!」と言った。
「避妊しないつもり?いい度胸ね?」
「ち、ちが くて!
カントク 以外 の女 とはし、しないって…オ、オレ」
その言葉に百枝は顔が熱くなるのを感じた。
好きだ、と答えたのだから一応自分たちは恋人同士ということになるのだろうが、まだそれを実感するには至っていない。
恋人らしい甘いささやきの一つも自分たちは交わしてはいないのだ。
三橋は百枝の瞳をのぞき込むと、「オレ の部屋 に、い、行きません か…?」とためらいがちに誘った。
百枝はそれには答えず立ち上がると「2階ね?」と言って先に歩き出す。
後ろに三橋の気配があることに、あたたかい気持ちが満ちるのを感じながら、百枝は小さな声で言った。
「私もあなた以外とはしないわ」
「え?」
「なんでもないわよ。明日も練習だからもう寝たいわ。」
一緒のベッドで眠ってもいい?と三橋を振り向いて問いかけると、三橋は頷いて百枝の肩を抱いた。
以上です。
この後三橋の部屋でまたやるのだと思うのですが、投下を引き伸ばすのもどうかと思い、これで一旦終わりにしました。
三橋が格好いいと言ってくださった方には申し訳ない終わり方なのでこの二人の続きを書けたらいいのですが。
長々とスレ消費申し訳ありませんでした。
乙です!
読み応えあるし設定に無茶もないしなによりモモカンがすげーいい!
ぜひ続き投下もしていただきたい
乙&GJ!!
続き投下を是非ともお願いしたい
待ってるよー
GJ!
三橋の困る行動にニヤけてしまった
続きお待ちしてます
つ、続きを書いてくれるまで
GJとか言ってあげないんだからね///!
GJでした!待ってて良かったー!
なんだかんだで三橋に振り回されてるモモカンに萌えました!
三橋はもうちょっとがんばれw
ああ〜〜っすっごく良かったです!
三橋もモモカンも原作キャラの性格出ててめちゃ萌えました。
サイコー!
燃料あったようですよ
水谷→しのーか→阿部
868 名前: 名無しさん@ビンキー [sage] 投稿日: 2008/04/22(火) 22:10:59 0
恋愛描写か
よかったね
715 :名無しさん:2008/04/22(火) 19:31:12 ID:jj4yAzmIO
買った
細かいメモは栄口だった
バッテリー一歩前進
篠岡→阿部
水谷→篠岡
微かにフラグたったかもしれん
まだ出先なので詳しくは後で
110 名前: マロン名無しさん [sage] 投稿日: 2008/04/22(火) 21:43:03 ID:???
43 マロン名無しさん sage New! 2008/04/22(火) 20:38:09 ID:???
水谷「ね なんで阿部ンち知ってんの?」
篠岡「引っ越す前近くだったからだよ」
水谷内心で「同中だったんだし・・そーゆーことだな・・・うん!」
176は今月号の早売りバレらしい
嫌アベチヨが過剰反応しませんように
あのさ、エロって男視点と女視点どっちが萌える?
書くとき結構迷うんで読んでる人の意見が聞きたいなーと。
都会はもう売ってるのか・・・。でも地方民で単行本派のおれにはどうでもいいことなんだぜ。
176のバレ情報の回も数年先の掲載になるだろうから、そのころには忘れているからな。どうでもいいさ。
それはそうと職人さんそろそろ来てくれないかな。
なんかリアルで忙しいのだろうか・・・。
ひぐちは何気に狙ってカプ描写かいてる気がする
しのーかについては、考えてみればこのセット多かったし、もともと予定どおりなんでしょ
水谷しのーか
阿部しのーか
ハナモモもやっぱありそうな気がする
これもセット多い品
三橋はここまで女子スルーだと、定番の新人マネジのほうがありそうな予感
下の2つは出番しだいか
ハマオチ
越智先輩が浜田ネタ話してた時点でありそうな予感
カノルリ
定番設定や、わざわざ弟まで出してきたり、桐青でなにげに描写あったな
話の展開上手っ取り早いから篠岡が教えただけで、
水谷はフラグ潰しじゃないかと。
むしろ家近いのに存在を認識してなかった阿部ってどうよ
という話になるわけだな
>>183 阿部は本当にしのーかが興味ないんだな
とはっきりした
阿部の地図書いてるとこをあっさり流さず
わざわざ水谷の心情を書いてるとこみると
水谷はしのーかを多少意識してんのかね
栄口は知らなかったのに、篠岡は知ってたの?
そこまで近かったのに印象ないのか阿部・・・
そろそろスレチ
みんな真面目に原作考察してるなあ。
そんな空気も読まずに未来捏造ニシチヨを投下します。
西広先生がほんのり黒め、浮気(寝取り?)要素あり。
苦手な方はスルーやIDNGなどよろしくです。
「やっぱり、3年も経てば飽きられちゃうのかな」
昼下がりのファミレスにはあまり似合わない不穏な言葉に、西広は眉を動かした。
目の前ではその言葉の主である篠岡がアイスティーをゆっくりと飲んでいる。
「飽きるって、アイツが?篠岡に?まさか」
フォローを入れたつもりだったはずなのに視線を更に落とす篠岡を見て、
西広はもしかして地雷を踏んでしまったのかと身構えた。
「久しぶりに会って指一本触れないって言ったら大げさだけど、
なんていうか、その、してない、んだよね」
後半を恥ずかしそうに早口で言う篠岡を見てなんだそんなことか、と西広は拍子抜けした。
「何年経とうがアイツは篠岡のこと好きだと思うよ?たまたま気分が向かなかっただけかもしれないし、
寝ないからって飽きたってのも短絡的なんじゃないかな」
少々強引かもしれないと思いながらも篠岡をこれ以上うつむかせないように西広は言葉を継いだ。
「大体飽きる前に向こうがなんか注文つけてきたりするだろ。今日はこうしてみろとかさ。
たまには違う趣向にチャレンジっていうの?」
「んー、そういうのも特にないかなー。遠距離だからちょっとでも会えたときは
ベタベタするもんなのかなーと思ってたんだけど、向こうはもう今はそんなんじゃないみたい。
なんか、私が期待しすぎてるのかなあ」
夏の終わりに昔好きだった女の惚気なんだか別のものなんだかよくわからない話を
よくもまあ聞いてるよなあ、とひそかに西広は苦笑した。
部活の仲間と付き合いだしたその時にひっそり胸の中の想いを手折ったその相手は今、
西広の目の前で憂い交じりのため息をついた。
高校生の時よりも色気の増した薄紅色の唇が軽く閉じるのをじっと見て、
それから篠岡と目を合わせて西広はある提案をした。
「それなら篠岡、オレのこと練習台にしてみる?」
――何も難しく考えることはないよ。アイツにしてみたいと思ったことを、オレで試せばいい。
たった一度のことだ。篠岡とオレさえ黙ってれば、何も問題はない。そうだろ?
その言葉は、冗談として笑い飛ばされるはずだった。
だがその提案を聞いた篠岡はしばしの黙考の後、首をこくんと縦に振った。
(しかし、本当に話に乗ってくるとは思わなかったな)
ファミレスを出て、その日1日借りる約束の父親の車を運転しながら西広は思った。
助手席には篠岡が所在なさげに座っている。
車はさいたま市内を大宮方面へ、更に東に向かい走っていく。
「知り合いがいなさそうなあたりの方がいいよね?」
車に乗り込む前に問いかけた時、篠岡は黙って頷いた。
(不思議なことでもないよな、二十歳越えて彼氏が手出してこないって悩むこと自体は)
悩んでいるのが篠岡だということが自分にとっては問題なのだろうと西広には解っていた。
高校時代。初めての野球。仲間たち。白球。熱意に目を輝かせる監督と、穏やかに笑う責任教師。
そして、影から自分たちを支えながらも野球への思いは誰にも負けることはなかったマネージャー。
輝く笑顔に幾度となく励まされ、挫けそうな日があっても三年間野球を続けてこられた。
それが全てではない。それでも、恋に落ちるには十分な条件だった。
(そして、何も言えずに終わった)
今でもあの日のことは思い出せる。部活を引退して、篠岡に恋の相談をされた日。
(野球部のヤツだったから、オレは黙ってたんだ)
そして彼女の恋が成就し、微笑んで祝福をしたあの日。
(アイツだから黙ってた。アイツも篠岡のこと好きなのは知ってたから)
卒業後、篠岡は埼玉に残り相手は県外に進学した。
恋の相談をしたこともあってか、何か悩み事があると篠岡が頼ってくるのは決まって西広だった。
(もう3年近くになるのか、我ながら本当によくここまで話聞いてきたよな)
東北道のインター入口を示す標識が現れはじめ、その手前で西広はウインカーを出して脇道に逸れる。
程なくして着いた東北道脇のその一画にはラブホテルが何軒も立ち並んでいて、
その中の1つに西広が運転する車は吸い込まれていった。
「先に風呂入っちゃおうか。いきなりとかやだろ?」
「そ、そうだね。私、お湯入れてくるよ」
部屋に入ってからの気まずい空気から逃れるように、篠岡がバスルームへ入っていった。
西広は冷蔵庫を開け、ミネラルウォーターを手に取ると三分の一ほどを一気に飲んでベッドに腰かけた。
「篠岡もなんか飲む?」
バスルームから出てきた篠岡に尋ねると彼女はただ首を横に振り、
ベッドの横にあるソファにぽつねんと座った。
「しかし安めの部屋選んだってのに広いよね。テレビも大きいしさ」
「西広君は」
「ん?」
「西広君は、こういうとこ、慣れてるの?」
「別に。使ったことはあるってくらいだよ」
「そうなんだ。私、実は初めてなんだよね」
意外な答えに西広が驚いていると、篠岡は慌てたようにしなくてもいい弁解を始める。
「あっあのね、こっちに戻ってきた時は私が向こうの実家にお邪魔してたり、
あっちに行った時にはアパートだから、なんていうか」
「ああ、一人暮らしでわざわざラブホ代出すのもってことか。
……お湯、溜まったみたいだね。一緒に行く?」
返事を待たずに西広はバスルームの方へ歩いていき服を脱いだ。
湯船に浸かると中身が妙にぬるっとしていた。
(ローションバスってやつか。ここは標準でこういう風になってんのかな)
家とは違う広めの湯船で足を伸ばして体を温めていると、バスルーム入り口のガラス戸が
軋むような音を立てて開いた。篠岡の白い裸身が西広の目に入ってきた。
高校時代は細い印象しかなかったが、こうして裸を目にすると腰から脚にかけてのラインが
まろやかな丸みを帯びていて篠岡が女であることをいやがおうにも意識させる。
「入っといでよ」
西広の言葉に従うように篠岡が湯船に入ってくる。
西広が足を縮めたのを見たせいか向かい合うように篠岡は座り、
落ち着かないように西広の肩のあたりを見たりガラス壁の向こうを眺めたりした。
「目のやり場に困る?」
頷く篠岡を見て西広は手招きをした。
「じゃあこっちおいでよ。背中向けてればこっち見えないだろ」
篠岡は一瞬戸惑った様子を見せたがやがてゆるりと立ち上がり、西広に背中を預けるようにして座った。
細いうなじに顔を埋めると篠岡の全身がビクッと動いたが、
西広の両腕が逃がさないように篠岡の体を捉えた。
うなじに軽いくちづけを繰り返しながら、西広の両手が篠岡の乳房をゆっくりとまさぐり始める。
まだその低い頂にも触れていないのに、ローションバスの粘性がいつもと違う感触を与えたのか
篠岡の口から吐息が漏れた。ゆるゆると胸全体を揉み、
それから先端をつまむと吐息は音を伴い始めた。
「んんっ」
胸を弄ぶ手の片方をゆっくりと下へずらしていくと西広は問いかける。
「気持ちいい?」
体をまさぐられながらの質問に、篠岡の頷きには甘い吐息が混ざった。
「声出しなよ。我慢しなくていいからさ」
それでも口を閉ざし、しかし快感を隠しきれない篠岡の鼻にかかるくぐもった喘ぎを聞くと
西広は一旦手の動きを止め、優しく篠岡を抱きしめると耳元で囁いた。
「ここは実家でもアパートでもないんだ。誰かに何か言われることなんかないし、
それにここならみんな同じことをしに来てるんだ。気にしなくていいんだよ。声、聞かせてよ」
篠岡の耳朶を口に含み、甘噛みし、舌で弄ぶとようやく篠岡の唇が開いた。
「っはぁ……」
西広は薄く笑うと、左手で篠岡の左脚を持ち上げて閉じていた膝を開かせ、
右手で篠岡の秘芯を弄りはじめた。
篠岡の両脚は西広の両膝にかけるような形で広げられ固定され、
蜜壺は指の侵入を許し、胸を繰り返し揉まれ首筋を西広の舌が這う。
「やっやあぁっ、あ、あ」
快感を声に現すことで更に体はほぐれ、新たな快感が呼び覚まされていく。
「ねえ篠岡、ぬるぬるしてるけどお湯のせいかな?それとももう濡れてる?」
こらえきれずに喘ぎながら首を横に振る篠岡だったが、それは否定のためなのか、
繰り返し自分に与えられる刺激に耐えるためなのか、篠岡自身にもわからなかった。
「はぁ、あ、っくっ、あっあはぁっ」
尻の辺りに張り詰めた西広自身の存在を感じながら最初の絶頂に達しようとしていたその時、
西広が急に両手の動きを止めた。
突然のことに潤んだ目で篠岡が振り向くと、西広は穏やかに微笑んだ。
「体洗おうか。一旦出よう」
備え付けのボディソープを手に取ってシャワーで泡立てると、その泡を西広は篠岡の体に塗りつけた。
湯船の中で与えられた刺激によって昂った篠岡の体はそれだけで震えた。
背中、脇、腕。今まで触っていた場所をわざと外すようにボディソープの泡が体にまとわりつくが、
その感触はことごとく篠岡に快感を与えていく。
「胸もあそこも触ってないのに、気持ちよくなっちゃってるの?」
西広の声に篠岡がたまらず何度も頷く。
「じゃあさ、壁に手、ついてよ」
篠岡が言われるがままに両手を壁につくと、再びボディソープを手に取った西広が
胸と秘芯を同時に触ってきた。
「ふあああぁぁぁぁっ」
素直に快感を声に出す篠岡を後ろから両手で責めたてながら、
西広は自分の中に芽生えていたものの存在を自覚した。
(もしかしたらオレは、自分の手で篠岡のことをめちゃくちゃに泣かせたかったのかもしれないな)
シャワーで泡を洗い落として体を拭き、ベッドに横になった二人はしばらくそのままでいた。
篠岡が上体を起こして心細そうに西広の顔を覗き込むと、西広はさも屈託なさそうに微笑む。
「そう言えば、オレは今日練習台なんだったね。忘れてたよ。
オレは自分からは動かないから、篠岡の好きなように動くといいよ」
「え……」
篠岡の表情は戸惑いに変わり瞳は感情を反映して揺らいだが、やがて意を決したように西広にくちづけた。
(へえ、前に「好きな人としかキスしたくない」とか言う女がいたけど、篠岡はそうじゃないんだな)
自分から動かないとは言ったが、篠岡が懸命に絡めてくる舌を西広が迎えれば
合わせた唇からは篠岡の媚を含んだくぐもった喘ぎが漏れる。
長い接吻を終えると篠岡は西広の耳の裏から首筋へと唇を這わせ、
心臓の音を聞くかのように胸に頬を寄せた。
それから両手でそっと西広の筋肉をなぞると、篠岡の手は下腹部へと伸びていった。
篠岡は西広の膝と膝の間に跪き、顔を近づけるとまずは右手でそっとそそり立つものを握り、
根元から裏筋にかけて強すぎず弱すぎない力加減で何度も親指を往復させた。
ふう、と西広が息を吐いたのを聞いて篠岡は、今度は先端を咥えて少しずつ口内へ収めていった。
唾液で濡れた唇と西広の陰茎とが立てる卑猥な音に合わせて篠岡の頭が揺れる。
(ふうん、さすがに歯は立てないね。舌も裏筋にぴったりくっつけてるし唇まで唾でぬるぬるだ)
快感に呑み込まれるのを食い止めるようにわざと冷静に篠岡の動きを観察していると、
西広のものを咥えて懸命に口で奉仕している篠岡と目が合った。
西広が微笑みかけると、篠岡は西広自身から口を離し上体を起こして西広を潤んだ瞳で見つめた。
「ねえ、もういいかな」
篠岡の意図するところを解っていながら、西広はわざと訊き返した。
「何が?」
「……もう、ほしいの」
視線を逸らしながら求める篠岡の上気した頬を見て、西広はもうひとつ段階を置くことにした。
「篠岡はどれくらい濡れてるの?ココに、またがって擦ってみせてよ」
少しの間逡巡した篠岡は、やがて言うがままに西広の陰茎の根元へ自らの秘裂をあてがった。
「ふあぁぁ、あっ、はっあぁ、はいっちゃいそうで、こわ、あっあぁ」
竿を擦る篠岡の秘裂からは蜜がしとどに溢れ出て、口内とは違った刺激を西広に与えた。
なによりも自らにまたがり身を捩じらせて啼く篠岡の淫蕩な姿を目にして
西広の全身をびりびりと興奮が駆け抜けた。
「よく出来ました。入れたげるからちょっと待ってて」
身を起こす西広と入れ替わるようにベッドに倒れ伏した篠岡は、西広がゴムをつけ終えたのを認めると
仰向けになりゆっくり脚を上げたが、西広は優しくその脚を倒すと篠岡を再びうつ伏せにした。
「顔が見えない方がいいだろ」
異を唱えるその前に西広が後ろから篠岡を貫いた。根元まで埋めると待ち望んでいたかのように膣内はうねる。
ゆっくりゆっくりじらすように西広が腰を動かせば、それでは足りないと求めるように篠岡の腰も動く。
押し寄せる快感に耐えるように篠岡は顔を枕に押し付け、手はシーツを握ったが
やがて上体が持ち上げられて掴む所を失くした手は宙を掻いた。
「もっとやらしい声聞かせてよ。せっかく気持ち良さそうにしてるんだから」
首筋を這う西広の唇と胸の先端を弄ぶ西広の指とが篠岡の残り少ない理性を飛ばしていく。
もはや快楽に完全に身を委ねた篠岡の喘ぎ声を聞きながら西広は満足気に笑うと、
果てるまで篠岡の体を容赦なく貪り続けた。
事後、背中を向ける西広へ篠岡は腕を回した。
「ごめん、私のことばっかりで、西広君が気持ちいいかどうか考えらんなかった」
回された腕をそっと退けると西広はいつも通りの穏やかな口調で
「オレは練習台で、好きなようにしていいって言ったろ?篠岡が満足ならそれでいいんだよ」
と返事をすると起き上がり、篠岡の方を見ないままトイレへ入っていった。
個室のドアを閉めると西広は便座に腰掛け、静かに大きく息を吐いた。
(あんなに好き放題篠岡を弄んでおいて『オレは練習台』?説得力も何もあったもんじゃないな)
他人には見せることのない自嘲に口元を歪め、うつむいてゆっくりと両手で髪を掻き上げた。
(もしかしたらこの先また同じことがあるのかもしれない。二度目を断れる自信はない。
でも三度目はナシだ。歯止めが利かなくなる。スリーアウトだ)
回数を重ねることは仲間への裏切りを露呈することに繋がりかねない。
出来得る限りその事態を避けたいと思うのは自分のためか、それとも?
個室から出た後で軽くシャワーを浴びてからベッドに目をやると、篠岡は丸くなって眠っていた。
西広はあらわになっている肩に毛布を掛け直してやり、
自分は服を着るとベッド脇のソファに浅く腰掛けて飲みかけのミネラルウォーターを口に流し込んだ。
空調で渇いた喉が潤っていく。時計を見れば既に夕刻と言える時間にさしかかっていた。
フリータイムの終了が先か、篠岡が目を覚ますのが先か。
(いずれにせよ、自分のためにももう少し時間は必要だ)
深く座り直すと西広はソファの背もたれに体を預け、祈るように天井を仰いだ。
終わりです。おそまつさまでした。
※篠岡の彼氏が誰なのかは明記してません(=決めてません)
何度でも言える!
420さん、愛してる!
GJ!!
200 :
名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 22:41:20 ID:RvqmCExj
乙&GJ
そしてここらで浮上、ageいくぞ!
カノルリ投下します。
苦手な人はスルーして下さい。
202 :
叶×瑠里:2008/04/26(土) 00:36:51 ID:HIlV0SlU
「おい、三橋」
耳元で名前を呼ばれて、瑠里は夢うつつから現実に戻ってきた。
ぼんやり目を開けると、目の前にせまる叶の顔に、瑠里はぱっちり目を開ける。
「お前、ホント終わったらスグ寝るな」
叶はため息混じりにそう言うと、瑠里に冷たい水の入ったグラスを差し出した。
「あ、ありがと」
瑠里はベッドの上に身を起こして、グラスを受け取ったが、
未だ裸だった事実に気づき、慌てて片手で毛布を抱き寄せた。
「隠すなよ」
意地悪そうな薄笑いを浮かべた叶の台詞を、瑠里はあっさり無視して水を一口飲む。
「何か夢でも見てたのか?」
突然の叶の言葉に、瑠里がきょとんと叶を見つめる。
「寝てる間ニヤニヤ笑ってたぞ」
「見てたわけ? 性格悪い!」
「ココはオレの部屋だぞ。見てたって文句言われる筋合いねー」
頬を膨らまして瑠里は叶を睨みつけるが、叶はちっとも堪えないようだ。
目線だけで先を促され、瑠里は先ほどの夢を回想する。
「・・・子供の頃の夢だった。懐かしかった〜。初めて会った時のレンレンとその頃の叶」
「へえ、廉の夢。」
何気ない叶の言葉に、瑠里は少し違和感を覚えてまじまじと叶を見つめる。
「アンタ、いつからレンレンの呼び方、戻ったの?」
「あー? ま、いいだろ。どんな呼び方したって」
練習試合をしたと聞いた時は、叶はまだ『三橋』と言っていたことを思い出した瑠里は
もっと聞きたいと思ったが、叶の背中はそれを拒否しているように見えて、口をつぐんだ。
そのまま上半身裸のままの叶の背中をぼんやりと眺める。
中学時代の廉と叶に何があったのか、瑠里は知らない。
それでも、廉が高等部に進まずに埼玉に戻ってしまったことから、
野球部で何かがあったのだと察してはいたが、叶に聞くことは何故かできなかった。
寂しそうな叶の表情から、少なくとも叶は廉が去ったことを残念に思っていることを知り、瑠里はほっとした。
「叶は、レンレンと一緒に野球したかった?」
瑠里の口から出た質問に、瑠里自身びっくりしたが、
叶もびっくりしたのか目を見開き、まじまじと瑠里を見つめた。
「そりゃ・・・、したかった・・・と思う。」
歯切れの悪い叶の返答に、瑠里の眉がひそめられる。
「でも、三星にいたら、廉はダメになってた・・・かもとも思う」
「どうして?」
俯いてぼそぼそと呟いた叶に、瑠里が尋ねると、叶は顔を上げ真っ直ぐ瑠里を見つめた。
その視線を目を逸らさずに受け止めた瑠里に、叶は手を伸ばして髪に触れ、指を絡ませた。
203 :
叶×瑠里:2008/04/26(土) 00:37:26 ID:HIlV0SlU
「オマエは、三星にいて辛くねーのか?」
「どうしてよ?」
唐突な言葉に瑠里の目がまんまるに開く。
その変化に、叶がふっと笑った。
「理事の孫だと、いろいろあんだろ?」
その言葉で、ルリは廉が三星を去った理由の一端が見えた気がした。
自分は強いから耐えて跳ね除けたが、気弱な廉では辛かっただろう。
「叶は、レンレンを守ってやらなかったの?」
「オレ一人が庇っても、無理だったな」
叶はそのまま指を絡ませてた髪をくいと引っ張り、唇を押し付けた。
「でも、廉があのまま三星にいたら、お前ともこうしてなかったかも」
自分の髪にキスをする叶を至近距離で眺めて、瑠里は頬を染めた。
確かに、廉がいたら叶とこんな関係にはなっていなかったかもしれない。
しかし続いた叶の言葉に、瑠里の眉が跳ね上がった。
「廉が残ってたら、お前は廉と付き合ってただろうし」
「はぁ!? あんた何言ってんの!?」
思わず顔を仰け反らせて、叶の手から瑠里の髪が勢いよくすり抜けた。
瑠里が叶を睨みつけると、少しいじけたような叶の表情がそこにあった。
「何って、お前の親からしたら、お前と廉がくっつくのは大歓迎だろ」
「な、何バカなこと言ってんの!?」
瑠里が顔を真っ赤にしながら、叶に抗議すると、叶は不意に真面目な顔つきになった。
その変化に、瑠里は少し虚を突かれ、口を閉ざす。
「オレんちも、お前んトコも、親戚増えることに敏感だろ?」
「え・・・え?」
瑠里は叶が何を言っているのか分からず、戸惑う。
叶はかまわず先を続ける。
「親戚や血縁増えると、相続がややこしくなるじゃねーか。
その点、お前と廉が結婚したら血縁は増えないし、
廉はあっさり理事につくだろうし、お前のじーさんからしたらそれが理想だろ」
叶の口から語られるあまりにも生々しさあふれる事柄に、瑠里は口をぽかんと開いた。
「アンタ、何。そんなこと考えてたの?」
「お前は考えねーのかよ。学園、継ぐ気ねーのか?」
心のうちを見透かされて、瑠里はぐっと言葉に詰まる。
確かに、学園を継ぐ野心は、ある。
弟にその役目を取られるのは、嫌だと思う。
今となっては廉が継ぐのかもしれないが、
あの廉に任せるぐらいなら、自分が継ぎたいとこっそり思っていた。
204 :
叶×瑠里:2008/04/26(土) 00:38:07 ID:HIlV0SlU
「一番手っ取り早いだろ、廉と結婚するのが」
瑠里は降って湧いたような考えに、思考がついていかない。
「で、でもそんなの・・・。考えたこと、ないよ」
従兄弟と法的には結婚できるだろうが、余りにも近い存在過ぎて恋愛対象として考えたことはなかった。
「そうなのか?」
叶は少し意外そうに瑠里を眺めた後、ふと何かを思いついたようにベッドの下に手を伸ばした。
「ホラ。」
やがて取り出したものを、瑠里の目の前の置いてみせる。
それは、未開封のコンドームの箱だった。
「なっ!? なんていうもの見せんのよ!?」
真っ赤になった瑠里に、叶は意地悪くにやりと笑う。
「何言ってんだ、今更。 ま、コレは高校入学した時に親に渡されたモンなんだけどよ」
「へっ!?」
瑠里はぽかんと口を開けて、叶をまじまじと見つめた。
「【へまするな】だってよ。ヘタに子供作って、ややこしい相続発生させるなっつうことだ」
瑠里の開いた口が、ますますあんぐりと開いていく。
その瑠里の表情を、叶が面白そうに眺めて、不意に身体をベッドに滑り込ませ、瑠里をぎゅっと抱きしめた。
「ちょ、ちょっと! 叶!?」
「まー、三橋との子供だったら、オレの親とお前の親が取り合いそうだけどな。跡取りだーつって」
ニヤニヤと笑いながらルリの目を覗き込む叶に、怒りがこみ上げてきたルリが釣りあがって目で睨み返す。
「バカなこと言わないでよ!」
「えー? オレらがしてることって一体何だ?」
「なっ!んっ!」
さらに声を張りはげようとした瑠里の唇を、叶はうるさいと言わんばかりに唇で塞いだ。
そのまま舌を差し込んで、かき回す。
「んっ・・・」
ぬるりと生き物のように蠢く叶の動きに、瑠里の唇から零れた言葉がかすかに響いた。
遠慮のない叶の手が、瑠里の身体をなぞるように滑り降りて、乳房の上で止まった。
強い意志の篭った叶の指が自分の胸でくっと曲げられるのを瑠里は視界の端に捕らえて、体から力を抜いた。
心地いい感覚が身体に広がっていくのを、瑠里は漫然と受け入れて、
ずっと自分の舌を絡み取り続ける叶の、その頭に手を伸ばし、ゆるいカーブを描く黒髪に自分の指を潜り込ませた。
叶の膝が、瑠里の脚の間にすっと差し入れられ、口付けたまま器用に叶は体の位置を変えた。
膝を折りながら大きく脚を広げられて、瑠里の頬が僅かに赤くなる。
体中に広がる叶の体温に、瑠璃はぼんやりと、最初に叶に触れられた時の事を思い出した。
205 :
叶×瑠里:2008/04/26(土) 00:39:13 ID:HIlV0SlU
新春の挨拶の時、少し不貞腐れた顔で瑠里の家にやってきた叶は、きょろきょろして誰かを探していた。
「アンタ、何してんの?」
あきれたような瑠里の声を無視して、叶はずかずかと家の奥に向かう。
慌てて後を追った瑠里は、叶が急に脚を止めたせいで、その背中にぶつかってしまった。
「きゃっ! アンタ、何急に止まって!」
叶は動きを止めたまま、じっと部屋の中を眺めていた。
その目線を追った瑠里は、そこが昔の廉の部屋だったことの気づく。
「アイツ・・・、いねぇの?」
少し硬い声で問いかけた叶に、瑠璃はわずかに戸惑いながら答える。
「レンレン、今年はこないよ。練習があるからって」
「ふーん」
叶はそこで視線を瑠里に向けて、じっと瑠里を見下ろした。
急にまじまじと見られて、瑠里は少し落ち着きを失くす。
「な、何よ?」
叶はぷいと顔を背けて、今度は瑠里の部屋の方向に向かって歩きだした。
堂々と歩く叶に、瑠里は呆気に取られて、ついそのまま後ろを歩いて行ってしまった。
瑠里の部屋に入り、叶は遠慮なしにじろじろと見渡していた。
不意に正気に戻った瑠里が、やっと抗議の声を上げる。
「叶! 何勝手に人の部屋入ってんのよ!?」
叶は肩越しに瑠里を振り返り、ぷっと吹き出した。
「オマエ、反応おっせぇな」
「な、何よ! アンタ何しに来たのよ!?」
瑠里が顔を真っ赤にしながらさらに抗議すると、叶はくるりと振り返り、じっと瑠里を見下ろした。
その叶の、今までに見たことのない表情に、瑠里の口がぴったり閉じられた。
叶はしばらく瑠里を見下ろした後、不意に視線を逸らせて、少し拗ねたように笑った。
「ホント、オレ、何しに来たんだ?」
「アンタねぇ、それ聞いてんの、私なんだけど?」
再び叶が瑠里を見下ろし、瑠里の口が閉じられた。
沈黙がしばらく続く中、叶の手がゆっくり上がり、そっと瑠里のほうへ伸ばされ、その髪に触れた。
瑠里の長い髪をその指に絡ませて、軽く引っ張っぱり、くしゃりと握る。
その奇妙な雰囲気と、二人の距離に、瑠里は頭のどこかが麻痺したような感覚に陥り、ぴくりとも動かない。
ただ、髪をいじり見下ろす叶を瑠里は見上げていた。
叶がいじっていた髪を離し、手を瑠里の頭頂部に置いた。
瑠里はじっと動かない。
叶の手がゆっくり瑠里の頭を撫で、そっと瑠里の頬に置かれた。
張り詰めたような空気が漂い、二人の目線は合わさったまま、瞬き一つしない。
叶の手が再び動き、その親指が瑠里の唇に触れ、ゆっくりなぞった。
瑠里は叶の顔が近づいてくるのをじっと見つめて、その唇が瑠里の唇に触れて、初めて目を閉じた。
206 :
叶×瑠里:2008/04/26(土) 00:41:04 ID:HIlV0SlU
叶の指がぐいと瑠里の中に差し込まれて、瑠里の意識が目の前の叶に引き戻される。
思わず肩をすくめて瑠里はその刺激に耐えた。
ぬるりと奥に届くその感覚に、瑠里は自分の胸に顔を伏せている叶の頭をかき抱きしがみ付く。
前後に引いたり、くるりと中をかき回されたりして与えられる強い快感に、
膝に力を入れて閉じようとしたが、間に割り込まれた叶の体のせいで、無駄に終わった。
手馴れたように準備を整えた叶が、瑠里の手を握りながらゆっくり侵入をはじめると、
瑠里の両目はぎゅっと閉じられて、息遣いがもっとも激しくなっていく。
「か、叶・・・」
堪えきれず名を呼んだ瑠里に、叶の熱の篭った声が答える。
「ルリ」
名を呼ばれた事実に、瑠里の目が開き、びっくりしたように叶を見上げると、
叶は一気に根元まで挿入した。
「あっ・・・!」
そのままの勢いで、叶は瑠里を揺らし始めた。
瑠里は翻弄されるがままに、頭を僅かに振りながらも、再び目を閉じて快感に耐える。
何かを求めるように瑠里の手が伸ばされて、叶の背中をぎゅうと抱きしめる。
叶は背中にピリっとした痛みを感じ、瑠里が無意識に爪を立てていることに気づいたが
おかまいなしにより一層腰を激しく打ち付ける。
瑠里の頭の中で真っ白な火花が散った頃、叶も同時に背筋を仰け反らせて動きを止めた。
今日2回目の事だったせいか、瑠里は叶が身を離すとほぼ同時ぐらいにすうと眠りに落ちた。
叶は苦笑いをして、ティッシュで瑠里を拭き、深いため息をついた。
じっと瑠里の寝顔を見下ろして、少し悲しげに唇を引き伸ばす。
「廉が、もし残ってたら、か」
自分で先ほど言い出した事を、改めて口に出して反芻する。
叶はティッシュをくしゃくしゃと丸めて、乱暴にゴミ箱に放り込んだ。
寝息を立てる瑠里の隣に滑り込み、瑠里の頭の下にそっと腕を差し込んできゅっと抱きしめた。
すると、身じろぎした瑠里が叶に寄り添うように頭の位置を変えたので
叶は瑠里のおでこに自分の頬を押し付けて、ゆっくり目を閉じて自分も眠りに付いた。
終わり
カノルリ久々な気がするなー。
三橋を意識しまくってる叶と叶しか見てないルリと
微妙にすれ違ってる感じがいいな。乙!
うんうん、無邪気なルリとぐるぐるしてる叶が好きだw
いきなり事後の描写から始まるのもいいね。GJっした!
GJ!
カノルリ好きだから、イメージ通りで嬉しい!
また書いてください
久々にカノルリ萌えた
アベチヨです。お嫌いな方、キャラ及び設定の捏造が苦手な方はスルーしてください。
バカップルですがエロはそんなに……です。
212 :
阿部×篠岡:2008/05/03(土) 16:53:27 ID:cPHZ2ov0
「千代のおばかー」
「ごめんなさいぃー」
マネジとクラスメイトの女子がフェンス越しに騒いでいた。
「どっか、金網破れた箇所ない?」
「ううーん」
篠岡は焦って、ノートを片手に右往左往している。
阿部は部活に向かう途中で、篠岡の遅刻よりもその状況が気になって声をかけた。
「何やってんだ?」
「わ、阿部くん」
「阿部!」
振り返った篠岡の後ろで、クラスメイトが猛獣のように金網を叩いた。
阿部は、あるノーコン投手を思い出して、首を突っ込んだことを軽く後悔した。
「調度良かった!千代にノート返して貰おうと思ったのに、このとーりフェンスがジャマで困ってんの」
フェンスは身長の倍以上もの高さがあり、途切れる場所まで行くには、ぐるりとグラウンドを迂回する必要がある。
「……ここでゴチャゴチャやってねーで、合流すれば?」
そう言って遥か遠い入り口を指差すと、
「来た道引き返せっての?手間と時間が勿体無いでしょ!用事あるから、早く帰りたいの私は!」
逆ギレだ。つくづく、あの球速だけが取得の俺様ピッチャーと重なる。
「阿部、フェンスよじ登って、上からノート落とせない?」
「はあ?」
「阿部くん怪我したらどーすんのよ!」
篠岡が慌てて制する。
「面倒がらずに、最初から阿部くんの言うとおりのことをすれば良かったんだよ」
ちょっと遅れますって監督に言っといてー、と篠岡がしょんぼりして、その三つあみの毛先が、
動きに合わせて顔の横で揺れた。
手には丸められたノート。
阿部は、思い付きを口にしてみた。
「篠岡、髪の毛しばってるゴムいーか?」
「え?」
おどおどと、言われたとおり三つあみを解いた篠岡は、そこで阿部の意図に気づいた。
ノートの両端をヘアゴムで留めて、阿部に手渡した。
「ちょ、ちょっと待って」
フェンス越しに声が聞こえたが、阿部はお構いナシにフェンスから離れる。
力いっぱい、筒状のそれを天に向かって放り投げた。
1回で越えるとは思っていなかったが、ノートがあっさりと向こう側に落ちていく。
「きゃー、凄い凄い!さすが野球部!」
落下地点が後ろ過ぎたので、確保に急ぐクラスメイトがはしゃいだ。
「阿部くんは捕手だもん!」
金網越しにゴムを受け取りながら、篠岡が誇らしげに言った。が、相手には通じていない。
「阿部、ありがとー!代わりに千代は、煮るなり焼くなり好きにして!」
能天気に手を振りながら、騒がしい女子は遠のいていった。
篠岡がしきりに礼を言う。自分にだけ向けられる笑顔に、落ち着かない気分になった。
少し長めの、ふわふわしたの髪の篠岡は新鮮だった。
部活が忙しくて切る暇がないのか、入学当初から随分髪が伸びたことに気づく。
非日常的で、ベッドの中での彼女を想像してしまうのは……考えすぎだろうか。
「アイス? ジュース? なんでも奢っちゃう!」
篠岡の手が邪魔そうに髪に伸びた。
何もいらないから、もう少しだけ結ぶの待て。
阿部の中に、篠岡の手首を掴みたい衝動が沸き起こった。
213 :
阿部×篠岡:2008/05/03(土) 16:55:41 ID:cPHZ2ov0
「阿部くん?」
篠岡が怪訝そうに見上げてくる。かろうじて、機械的に答えた。
「……たいしたこと、してねーから」
「そりゃ、阿部くんにはたいしたことじゃないよねぇ」
髪を揺らせて笑う篠岡は眩しかった。2人だけで話をすること自体、初めてかもしれない。
「あの子、これからデートだって。進学校の彼氏に勉強教えて貰うらしいよ」
「へー」
「制服デートって、憧れるよね。今しか許されないんだから」
髪をまとめながら、自分で言いつつ篠岡はうんうんと頷いている。
休みも返上して練習に明け暮れる野球部のマネジでは、普通に遊び歩くこともままならない。
が、阿部は高校生活にそんな期待はしてなかったから、同意を求められても困ってしまう。
「部活の方が有意義だろ」「ウチ基本、制服ねーし」と突き放した返事をしているうちに、
篠岡が下を向いてしまった。そのまま無言でゴムで髪を留める。
いつもふにゃふにゃと悩みが無さそうに笑ってる篠岡が、こんな顔をするとは意外だった。
篠岡に自分と同じ意識を強要する資格はないと気づいたが、どう言えば良かったのか判らない。
「お互い頑張って相手探そう」と傷を舐めあうか、あるいは……「じゃあ俺が」と冗談で名乗りを上げる?
あまりにも違和感があるし、三橋との関係すら上手く築けない自分にそんなキャパはなかった。
「篠岡は、同じ中学の阿部か栄口を追って西浦に来たんじゃないか」と、他の部員から聞かれたことはある。
接点のない篠岡が自分を知っているとは思えなかったし、対象が栄口だったとしてもそんな動機で
あれだけの仕事をやり通せる筈はない。野球の知識も釣り合わないと思う。
男に拘るなら、篠岡の外見なら「追っかけ」をやって有名校のエースを落とす方が効率が良い。
そういう、もっと華やかな青春もあった筈なのに、篠岡は人生で1番輝く筈の3年間を地味な裏方で終えるのだ。
そう思ったとたん、ふだんなら決して言わない言葉を、阿部は口にしていた。
「部活引退した時に、もし篠岡に相手いなかったら……デートすっか」
篠岡がひょいと顔を上げ、嬉しそうに頷いた。今まで、あえて意識しないようにして来たが、
身内贔屓を抜きにしても篠岡は可愛い。約束実行の暁に得するとしたら阿部の方だ。
お、喜んでる、と篠岡の反応に心が弾みそうになったが、篠岡は急に真顔になった。
「でもなんで?」
自分に気があるという、芽生えたばかりの淡い期待がぺしゃんこに踏み潰される。
「俺は部活だけでもいーけど、3年間夏休み、海もバイトも我慢して俺らの世話はキツイだろ」
「私も海とか興味ないなぁ。……幼児体型だから」
吹いてしまった。気を遣わせない為に言ったのだろうが、マズイと思った時には既に遅し。
「失礼だよ阿部くん!ここは『そんなの関係ないよ』とか言うトコでしょ!」
「ああ、気にすんな、うん」
「私じゃなくて、阿部くんがでしょ!」
なんで自分が?と思ったが、これ以上この話を続けるのはヤバイと判断して、阿部は話を逸らす。
「翌日練習がない日とか、試験中なら一緒に帰るくらいは出来っけど……」
きょとんとして、篠岡が見上げてくる。意味が通じていないことに焦って阿部は続けた。
「俺、ふだんから一応制服だから、疑似体験」
再び、篠岡の大きな瞳がきらきら輝いた。
が。
「あ、でも残念。家の方向、逆だから一緒に帰れないよ」
カチンときた。篠岡のために勇気出して言ったのに、さっきからなんでそう否定的なんだ。
「なんでもいーから、今度休み決まったら出かけるぞ」
「今度?さっき引退後って言ったよね?」
「いーんだよ、デートじゃねーんだから」
篠岡は複雑な顔をしている。
自分には余裕がないと言い訳をしていたくせに、阿部はムキになって約束を取り付けた。
214 :
阿部×篠岡:2008/05/03(土) 16:58:42 ID:cPHZ2ov0
* * * * *
「あっタカヤだ!」
声の主は男だった。
自分か?と半信半疑で振り向くと、武蔵野第一の控えの捕手が笑顔で立っていた。
「ウチも今日は視察なんですよ。あれ、私服ってことはプライベート?」
榛名の相棒は制服だった。チームメイトに声をかけ、球場の客席に1人座っていた阿部にすいすい近寄ってくる。
「……うっす」
自分は相手の名前を知らないのに、相手が自分を「タカヤ」と呼ぶのは落ち着かなかった。
榛名がそう呼ぶから、凡庸な苗字は抜け落ちたのかもしれないが。今は補欠だが、来年榛名と組むのはこの男だ。
考えてみると、この人だって榛名に迷惑を蒙っているのだから、「被害者の会」を結成したいくらい、
自分に親近感があるのかもしれないと思い直す。が、相手はまるでヤツの親のように、
「榛名はいつも断りなしでフラフラどっか行っちゃって。後でタカヤも来てるよって……」
「言わなくていーっす」
「あ、いた。おーい榛名こっちー!」
心臓がどくんと鳴る。
阿部に気づいた榛名の目が、獲物を見つけ小躍りするようにキラリと光った。
ゆっくりと近寄って来る榛名はさらにガタイが良くなっており、足元が同じ高さだと威圧感があった。
怖くて、認められたくて、裏切られたその相手は、過去の確執など忘れたように阿部の態度にダメ出しする。
が、覚悟していたほどには、ダメージはないように感じた。自分を見失うことなく、ただ受け流す。
試合終了後に待ってろと言われていたのを無視したこと、今後の組み合わせの話、自分の球速の自慢等、
マシンガンのように昔の相棒は喋り倒しに来たが、適当に返して阿部は立ち上がった。
「テメ、待てっつの!」
「ツレがいるんで」
「ツレって、あの子のこと?」
眼鏡の捕手に言われて見ると、少し離れた場所で、篠岡が飲み物を両手に持って立っていた。
3人に注目されて篠岡はペコリと頭を下げる。阿部たちの会話を邪魔しないために、様子を見ていたらしい。
「制服デート」じゃないから、私服だ。ミニのワンピースから覗く健康的で細い足。場をわきまえたカジュアルで
女の子らしいファッションの篠岡は、器用に髪をまとめ、阿部の目から見ても部活の彼女よりさらに魅力的だった。
「やるねー。可愛い子じゃない。ん?西浦のマネジだ。もしかしてタカヤの彼女?」
その人の良い外見からは予測出来ない視野の広さ、観察力、記憶力に感心してしまう。
返事には一瞬つまったが、「んーな訳ねーじゃん!」と高笑いする榛名に半ギレして阿部は強気に出た。
「そーっすけど、なにか?」
とたんに榛名が静かになった。食い入るように阿部を見つめる。
「うわー、クリティカルヒット。榛名なんかマネジの先輩に横恋慕でさぁー」
「秋丸ーっ!」
マジギレした榛名が手を上げたらしいが、阿部は頭を下げ2人から離れた。
榛名はどうでも良い。そう思い込んでいるだけで、まだ引きずっているのかもしれないが。
むしろ、自分は「秋丸」のように榛名を笑いながらコントロール出来なかったことがショックだった。
80球で下りるノーコン投手を、最後まで許せる度量も持てなかった。
それは、西浦に来てから三橋に対しても同じで、自分の捕手としての自信が揺らいでしまう。
215 :
阿部×篠岡:2008/05/03(土) 17:01:45 ID:cPHZ2ov0
「知り合い?」
篠岡が笑いかけてきた。
彼女は制服で高校名が判るし、自分の名を呼び続けていた張本人だと気づいた筈だ。
球界注目株の榛名を知らない訳がないと思う。が、判らないフリをしてくれている。
ふいに、榛名はまだ自分を目で追っている筈だという予想が頭に浮かび、篠岡の腰に手を回していた。
「阿部くん?」
他人の目がある場所では近寄りもしない阿部が、戸惑う篠岡の声を無視して引き寄せる。
取り乱している阿部を、この場から離れた方が良いと篠岡は判断したらしい。
「もう帰ろうか?」
「え?」
「グラウンドのせいか、間延びした試合で飽きちゃった」
篠岡が観戦をないがしろにするなんてありえない。自分に合わせてくれていると悟った。
手渡されたペットボトルは500mlで、最後まで見る気だったに違いなかった。
手を繋ぎたいと言ってきたのは篠岡で、その後、付き合うまでたいして時間はかからなかった。
せいぜいキスまでで、篠岡は服を脱ぐのを嫌がるから阿部は耐えている。
もっとも、場所も時間もなかったので無理は出来なかったが。
阿部が1つだけ、「周囲に秘密で」という条件を出して、それ以外は篠岡に合わせる交際だった。
榛名や秋丸に対してのダメージは大きくはなかったと思う。今は三橋という理想の投手がいるのだから。
ただ、心配そうに自分を見つめてくる篠岡を意識するうちに、必要以上に彼女の同情を得たくなった。
ずるずると浮上を拒む後ろ向きな自分に戸惑ってしまう。
「今日、弟さんは試合って言ってたよね」
駅に向かう道で、篠岡が突然言った。
今朝、中学生の弟の試合より高校の大会を取った阿部に、母親は呆れていたという話をした。
それを思い出したらしい。
「今からだと、半分くらいは見られるかもな」
遠回りにはなるが、いっそ、大声でヤジってスッキリするのも良いかもしれない。
家族になら篠岡を正式に紹介したって良い。さらに気が晴れる気がする。
試合後は父母を含めた親睦会があるが、そっちは阿部は顔を出さない。先に帰って……。
阿部は急に思い出した。
「ウチ、今日は誰もいねーんだけど」
「あ?」
「両親とも応援行ってて、帰り夜になるから。弟も一緒」
ICカードをかざして、改札を通る。篠岡も慌てて同様にするが、どこで下りるかは本人に任せることにした。
2人とも無言のまま、プラットホームで電車を待った。電車が到着して、座席が運良く空いていたので並んで座る。
阿部は篠岡から視線を逸らし、窓の外を流れる景色を目で追っていた。
篠岡は足元と車内の停車駅の案内を交互に見て、時々小さくため息をついていた。
弟の試合を観るなら、次の駅で乗換えという時になって、
「阿部くん」
電車の騒音にかき消されそうな声で篠岡が言った。
「いつも送って貰うから、今日は私が阿部くんを送るね。阿部くん、すごく具合悪そうだから」
「ああ、ありがと」
篠岡の笑顔の方が緊張して強張っていて、ようやく覚悟を決めた彼女を励ましたくなってしまう。
理由さえ作れば、女はいくらでも転ぶものかもしれない。
216 :
阿部×篠岡:2008/05/03(土) 17:04:08 ID:cPHZ2ov0
家に招き入れ、何か出そうとすると「ペットボトルのお茶があるから」とやんわり断られた。
客間に荷物を置き、篠岡は心細げに腰を下ろす。握り締めた両手が、膝の上で固まっていた。
すぐ隣に座ろうとした阿部に、篠岡が飛び上がりそうになり、仕方なく離れた場所に胡坐をかく。
「阿部くん、薬を飲むとか、横になるとかした方が良いんじゃないの?」
「なに薬?俺、どこが悪いんだっけか」
え、という顔をする篠岡を阿部は見返した。
「俺、アイツには言いたいこと全部言って、言い分も聞いたけど最後まで判り合えなかった。
でも、それが判ったから、今は西浦で野球をやってる。80球しか投げなくても、全力投球
しなくても、篠岡なら怒んねーから」
篠岡は、阿部が急に何を言い出したのか理解出来ずに困惑していた。
「俺とはキャッチボールする気もねーなら構わない。ただ、ちゃんと言ってくれなきゃ次行けねーよ。
俺は篠岡が、制服デートじゃなくて、俺とデートしたいと勘違いしてこうしてつきまとったんだし」
以前から、何度も家に誘ったが断られていた。付き合いに消極的な篠岡の気持ちは理解出来なくもないが、
その辺の話をしようとすると篠岡は口を閉ざす。好かれている筈なのに、実感がなかった。
突然、核心を突く話になり、篠岡は曖昧に微笑んだ。
「私は、阿部くんだからデートしたいって言ったんだけど……。阿部くんだって、理由を聞いた時に
私のこと好きだからとは言ってくれなかったし」
「はあ?」
握りこぶしを作りかけた阿部は、怯んだ。篠岡がなぜか怒ったような顔をしたからだ。
「阿部くんこそ同情してるだけでしょ。水着着たくないって言ったら、笑ったもん」
「……?あ、幼児、体型……」
以前の会話を思い出した。阿部にしてみれば、「そんなこともあったか」という程度だったが。
「篠岡が変なこと言うからだろ。つい笑った程度だし」
「阿部くんあまり笑わない人だから傷ついたんだよ」
篠岡の記憶では阿部が爆笑したことになっているらしい。
だいたい、笑わないなんてのは篠岡のイメージなだけで、「楽しければ普通に笑う」と反論したかったが
とりあえず言い分を聞くために自分を抑えた。
言いたいことを飲み込む三橋、言いたいことをぶつけてくるだけの榛名に比べたらまだ我慢出来る。
「私のよーな子は引退までどーせ彼氏出来ないから、不憫で付き合ってくれてるんだよね。
阿部くんこそ、スタイルの良い子と付き合えば良いのにって思ってた」
拗ねてると思えば可愛いが、自分の言ったことに全く耳を貸さない女を説得した経験がないから面倒になってきた。
とりあえず、篠岡にとって自分は『的』『壁』ではないらしいことだけは判った、と思う。
「俺が胸がデカい女が好きだと勘違いしてたなら、否定しとく。で……」
阿部は目線を篠岡から逸らして、何気ない口調で続ける。
「誤解は解けたんだから、いーんだろ?」
今まで、自分の体型の好みを気にして拒否されていたなら、障害はなくなった筈だ。
というか、覚悟して家まで来た筈なのに、このままスルーされるのだけは願い下げだった。
案の定、篠岡はしまりのない笑顔で「あ?」と首を傾げている。
「……判んねーか?」
「何が?」
「2人でやることの、可能性が、広がったと、思うんだけど……?」
さすがにストレートに言える訳もなく、何かの罰ゲームのようなむず痒い気持ちにさせられる。
217 :
阿部×篠岡:2008/05/03(土) 17:07:05 ID:cPHZ2ov0
今更しらばっくれんなよと睨むと、篠岡があははと笑い、その場の空気をぶち壊した。
顔の前で軽く手を振って、
「照れくさいし、無理だよー」
「俺じゃ本気出せないってことか?」
八つ当たりだという自覚はあった。篠岡は投手じゃないのに、榛名と同じに考えてしまう。
「あの先輩と何があった?阿部くん、今日はなんか変」
「なんで苗字なんだよ!」
「あい?」
榛名たちが「タカヤ」と呼び捨てておいて、篠岡が「阿部くん」なのは納得がいかなかった。
他人行儀すぎる。付き合ってんのに。名前で呼べ名前で!
阿部に無言のプレッシャーをかけられ、篠岡は口の中でモゴモゴと「隆也くん」と呟いた。
「阿部くんの方が言いやすい」
「呼び捨てで!榛名と同じはムカつくからタカでいい。親がそーだし」
やってみ、と促すと、篠岡は苦笑して頷いた。
「えと……タ、タカ?」
口にしたとたん、篠岡はぼわっと頬を染めて顔を背け、自滅した。
その破壊力に阿部も、今日は「タカ」以外は返事しねーぞ、と感動を噛み締める。
「阿部くんも、私を名前で呼ぶんだよね?……うう……タ、カ、も!」
阿部の圧力に負けて篠岡が言い直した。頬がぷくっと膨れて変な顔になる。可愛い。
興奮してきた。知っていることだったが、からかいたくなった。
「篠岡の名前、なんだっけ」
「ひど!千代だよっ」
「親はなんて?」
「千代とか、ちーとか」
「……ちー、か」
さっきとは比にならない程、篠岡の顔が真っ赤になり、悲鳴を上げて逃げ出しそうになる。
慌てて捕まえて、背中に手を回した。篠岡は最初だけ抵抗したが、両腕を畳んだままぴとっと張り付いてきた。
本当はこの場で押し倒してしまいたいが、それはぐっと我慢する。
「どうしたいか言ってくれねーと、キャッチボールになんねーだろ」
引退や卒業まで待てと言われれば、我慢出来る。野球に費やす目的の3年間だからだ。
ただ篠岡に甘えたい願望も強くあった。小さく柔かい篠岡に触れているだけで、ストレスが消えていく。
マザコンの自覚はなかったが、この距離を少しでも縮めたいと強く感じていた。
「……お風呂、借りて良い?」
腕の中で篠岡が消え入りそうな声で言った。
「電気つけないで。絶対、裸見ないなら……」
逆転満塁ホームラン。
信じられない思いで、阿部は篠岡を見た。まさか今日、許してくれるとは期待していなかった。
「その髪の毛、やり直すの難しいか?俺、下ろしたトコ好きなんだけど……」
218 :
阿部×篠岡:2008/05/03(土) 17:11:20 ID:cPHZ2ov0
阿部は、自分の部屋のベッドに腰を下ろして膝を叩いた。ためらう篠岡に声をかける。
「おいで」
まるで相手が子供かペットみたいだ、と我ながらくすぐったい気持になった。
バスタオルを身体に巻きつけた篠岡は控えめに微笑んで、阿部の膝の上に横座りした。
首に手を回して、そっと抱きついて、言われたとおり下ろした髪が揺れた。
その小さな身体を抱き返して、思わず息をついた。頬ずりして、首筋にキスを落とし、再び抱き締める。
髪をといて、見つめ合って唇に触れるだけのキスをする。
バスタオルを取る勇気がなく、ちらちらと胸元に目線を落として、阿部は迷っていた。
同年齢のグラビアアイドルと比較すると、多少控えめな身体のラインが気になってしまう。
自分が望んだことなのに、発育途中の女の子にいけないことをする罪悪感めいたものがあった。
「ゴメンね」
阿部の心の動きを読んだかのように、篠岡が謝る。
「いや、なんか……これはこれで」
「え?」
反道徳的で良いかも、と思ったが口にするのは、さすがに憚られた。
おごそかに篠岡を抱え上げて、ベッドに寝かせた。触れようとすると、篠岡が指を絡ませてきた。
「明日みんなに、付き合ってること言っちゃダメ?」
「からかわれんの、嫌だから」
まだ何か言いたそうな唇を奪う形で黙らせた。篠岡は、女友達の恋愛話に参加したいのを我慢している。
阿部は、篠岡と2人だけの時は宝物のように出来るだけ丁寧に扱うが、周りはそうは思わない。
勝手なイメージで一方的に怒られて、冷やかされて……と、想像するだけで憂鬱になった。
野球部員にも当然、カミングアウトする気はない。
ふだん、篠岡の話題が出てもノーリアクションの自分が袋叩きに合うのは目に見えていたからだ。
篠岡をベッドに組み伏せた。想像したとおりの、髪を解いた篠岡がそこにいた。
せっかく良い雰囲気になっても台無しにされそうで、唇を塞いで舌を吸い出して絡ませる。
篠岡はイヤ、と言いながら、その気にさせる潤んだ瞳で見上げてきた。いつもはここで断念させられていた。
バスタオルを剥がすと、篠岡が小さく悲鳴を上げて震えた。
「み、見ないでって言ったのにっ」
「薄暗いから、見えてねーよ」
安心させるために嘘をついた。ささやかな胸の膨らみに舌を這わせ、もう一方に優しく触れる。
自分の手で触れたとおりに形を変える不思議な柔らかさに胸が高鳴った。
舌で転がして軽く歯を当てると、篠岡は体をよじらせながら手を弱々しく握り返した。
「ゴメンね」
「俺、篠岡の身体、好きだよ」
「やっぱり見えてる」
「見えてねーよ。舐めて思っただけだから」
篠岡と目が合ったが、恥ずかしそうに顔を背けられてしまった。
そうして自分も目が慣れて見えているのに納得してしまうのが、どこか抜けていて笑ってしまう。
219 :
阿部×篠岡:2008/05/03(土) 17:14:17 ID:cPHZ2ov0
愛おしくて、全部食べてしまいたかった。篠岡の身体が受け入れる準備が整うまでは、と
時間をかけて、身体中舐めてない場所はないというくらい、貪りつくした。
篠岡の悦んでいるような啜り泣きのような色っぽい声と、自分と熱い息で部屋にいやらしい空気が満ちる。
「あ、阿部く、ん……」
太股に舌を這わせていると、篠岡が甘い声で喘いだ。名前呼びじゃないから、無視する。
やめて、という弱々しい声に、初めて阿部は顔を上げて、
「ここで最後だから」
「ン……」
両足の付け根に触れてみた。長時間焦らしに焦らされて、既に太股を濡らすほど中は熱くなっていた。
指を挿入して弄る。ある箇所に触れると、ビクリと篠岡の身体が揺れて声が上がった。
顔を近づけ、そのポイントに舌を差し入れ唇とで刺激する。
「あべくん……はぁ……あ、ん、やめて……」
阿部はさらに密着して、優しく、執拗に攻め続けた。篠岡の身体は受け入れたがっている。
成熟まではまだ時間が必要かもしれないが、だからこそなるべく優しくしてやりたかった。
「……っ!」
篠岡の身体が強張って反り返り、達した。
力が抜けてくたりとする。
どうして欲しいか言えって言っといて、聞いてやんなきゃ意味ねーな……。
篠岡の髪を撫でながら、阿部は苦笑した。
「イッた?」
聞きながら、目を瞑ったままの篠岡の唇に触れた。
人差し指を口の中に差し入れると、篠岡の舌はそれを舐めた。
さらに奥に咥え、んん、と呻きながら舌を指に這わせ、吸い付く。
自分の舌が疲れていて無駄なお喋りを防止するつもりでやったのに、気持ち良くて気が飛びそうになった。
「まだ、これからが本番なんだけど」
篠岡は答えず、気だるそうに音を立てて、指を愛撫し続ける。
阿部は指を抜き取って、両腕で篠岡の顔を挟むようにして覆いかぶさり、囁いた。
「ちー」
ゆっくりと篠岡が目を開けて、阿部を見つめ返して微笑んだ。
「俺、止めろって言われても、止められないと思うから、先に謝っとく」
「言わない、よ。でも……」
余韻から醒めつつある篠岡は、とろんとした目をして呟く。
「みんなに、阿部くん、優しいって……」
「名前で呼べって。そーいうの、ちーだけ、知ってりゃいーから」
阿部の言葉に、篠岡は瞬きをして、それから幸せそうに頷いた。
「私だけ?」
「浮気する暇もねーだろ」
「そうだね、私にしか出来ないよね」
会話がかみ合ってない。が、篠岡は1人で納得して笑った。
沈黙が出来て、篠岡が再び目を閉じた。くしゃっと頭を撫でてから、準備にかかった。
220 :
阿部×篠岡:2008/05/03(土) 17:17:04 ID:cPHZ2ov0
兄がいる部員が箱で貰って、「練習ばっかでいつ使えってんだよ!」と逆上して部室でばら撒いたり、
持ってると断ると「着ける練習とかしねーの?」と言われ納得してクラスメイトから貰ったり、
連勝中の野球部というだけで需要があると思われて買わずともスキンは手に入った。
とんとん拍子でここまで来たが、いざ裸の篠岡を前にすると可哀想で謝りたくなってしまう。
が、痛がらせない為だけに、猛る若い欲求を抑え込み、気の遠くなるような時間を使って奉仕して
きた訳で、これでダメなら相性が悪い。だからって、諦めないと思うけど。
「やっぱ……痛かったら途中までで止めるから、言えよ」
阿部はそう言って、篠岡を抱き抱える。ぎゅっと目を閉じた篠岡は明らかに緊張していて、
これだけ身体に力入ってちゃ、どうやっても痛いだろ、と苦笑した。
根気強く愛撫をくりかえし指で慣らした後、細い腰を捕まえて、十分に潤ったそこにゆっくりと挿入する。
合意の上なのに、犯しているような疚しい気分になるのは、篠岡のせいだ。
篠岡は華奢な身体で、くぐもった悲鳴を上げ、懸命に痛みに耐えている。
窮屈なその場所にきゅうきゅうに締め付けられて、圧迫感に引き込まれそうになった。
大丈夫なのか?と目で聞くと、篠岡は荒い呼吸ながらも健気に笑顔を作る。
その表情は少女から、しだいに自分を受け入れる女に変化して、幼さのある容姿とのギャップにドキリとした。
こいつはこんな顔するんだ、と阿部の理性が奪われていく。夢中で腰を動かし、奥まで割り入った。
篠岡が絡みついてきて、胸が押し付けられた。その弾みで粘膜が擦れて、篠岡の身体に電流が走る。
反動で跳ねる身体をベッドに押さえつけ、更に深く繋がるべく脚を広げさせた。
「いや、あぁ……ん、ぅあ、はぁっ、タカ、やめてっ!っあっ……」
名前呼び。
止めなければと思った時には手遅れで、がむしゃらにベッドごと激しく揺り動かした。
阿部が愛称で呼ぶと、締め付けが増した。篠岡の身体をガクガクと震わせ中に全て放出すると、頭の中が真っ白になった。
覆いかぶさり、倒れ込んだまま阿部は我に返った。篠岡の嬌声は止んでいた。
「ちー?」
一緒に気持ち良くなるために努力してきた筈が、篠岡は気を失ってしまったらしい。
最初は、怖がらせたくなかったのに。
虚脱感と独りよがりな達成感に襲われて、阿部も息を吐いてぐったりする。
今までは「胸はあってもなくても」程度に思っていたし、確かに大きい方が出来ることはある。
が、「小さい方が密着出来て1つになれるのに」と、篠岡の鎖骨に頬を寄せながら阿部は思った。
「思ってたほどじゃなかったよ」
まだ熱の残るベッドの中だった。気遣った阿部に、篠岡は指を舐めるのを止めて答えた。
「友達の話ではもっと……って、あの、痛さのことだからっ」
「おう良かった、不能になるとこだった。って、笑い事じゃねーよ!」
篠岡は1人でウケていて、やっぱり喋らせるんじゃなかったと阿部は後悔した。
やたらと指を気に入っているので聞いたら、前から阿部の指が好きだったと言う。変だ。
「雑誌のアンケートでも、女の子が男子で1番注目する身体のパーツは手なんだよ」
男子は当然(?)異性で意識するのは胸だったから、篠岡は生きた心地がしなかったと言う。
「俺の指に注目すんのは三橋くれーだと思ってたよ」
「私はサイン貰えないけど、阿部くんがあの先輩や三橋くんに出来ないこと、して貰えるんだね」
「はぁ?気持ち悪いこと言うなよ。さっきみたいに名前で呼べって」
「間違えて他の人の前で呼んだら、阿部くん困るでしょ?」
篠岡は再び、うっとりと指を舐める作業に戻ってしまう。
篠岡の胸に顔を埋めて、身体を抱きしめた。歯を立てる。
「大きくなるまで我慢してね」
思わず阿部が「今のままで十分!」と反論しようと顔を上げると、篠岡が髪を撫でてくれた。
小さな子供に戻って褒められているみたいで、気持ちが良かった。
「ちー」
篠岡がビクリとして、顔を赤くした。
今度から、2人だけの時は絶対こう呼ぶ、と決意する。
こんなに幸せなまどろみは、久しぶりだった。優しく頭を撫でられながら、阿部は眠りについた。
221 :
阿部×篠岡:2008/05/03(土) 17:19:55 ID:cPHZ2ov0
* * * * *
「阿部くん」
篠岡の声だ。まだ眠かった。肩を揺すられていた。
2人の時くらい名前で呼べって言ってんのに。篠岡、もう帰るんだ。最後に……。嫌がるかな。
夢うつつの状態で、覗き込む篠岡の首に腕を回して引き寄せる。
「ちー」
キスしようとした阿部の頭は、バチーンとひっぱたかれた。
「阿部くんのばかっ」
今更なにを照れてんだろうと思いつつぼんやり目を開ける。
「阿部ー、気持ちは分かるけどヨソでやれ」
「目に毒」
「?」
クラスの男子の声だ。覚醒とともに一気に周囲の音と風景が雪崩れこんできた。
教室だった。自習だから寝てたんだ、とやっと意識が追いついた。
「やっべー。リアルに付き合ってる光景想像しちゃった」
「俺も彼女欲しー」
篠岡は真っ赤になって自分の席に戻ってしまう。離れた席で、水谷が白い目で自分を見ているのに気付いた。
「いま阿部が俺を睨んでも説得力ねーぞー」
なんでお前も昼寝してねーんだよ、と八つ当たりしたくなった。
花井には見られてねーよな、と振り返ると引きつり笑いをしていた。
眩暈がした。
とっくに早弁はした。授業も残すところあと5分。
もう教師も最後の出欠取りはやらないだろうと見切りをつけて席を立った。
「オイコラ逃げんな。詳しく話聞かせてもらおーか?みんなに招集かけっから」
投げかけられた好戦的な花井の言葉は無視して、
「フライングして購買行ってくる」
と、強引に理由を作って逃げ出すことにした。
「千代は1人でご飯食べるってさっき出て行ったー」と席を通り抜ける際、女子から声が飛んできた。
は?と振り向くと、一同、軽蔑の眼差し。
男子の場合は「さもありなん」で、女子は篠岡が「彼氏ナシ」と言い続けたために、
阿部が寝ぼけてあの失態に及んだと思っているようだ。
篠岡は膝に弁当箱を乗せ、グラウンドのフェンスを背にして座っていた。
教室に居づらかったのは篠岡も同じで、事前にジャージに着替えており、その場でお弁当を食べて
すぐ草刈りをする気だったらしい。
阿部に気づくと、篠岡は解きかけた弁当箱を包んだ布を結び直し、いかにも呆れた、といった顔をした。
「購買行く口実で出てきたから、篠岡の分も買っといた」
そう言うと、阿部は無愛想に篠岡にたまごコロッケパンを突き出す。
競争率の高さを聞いていた篠岡はゲンキンにも一瞬目を輝かせてしまい、慌てて首を振った。
「俺の分もあるって。今日は楽に買えたし」
そう言うと、阿部はもう片方の手に持っていた自分の分を見せた。
「……でも」
「これくらい弁当の後に食えんだろ?部活の時、みんなから聞かれると思うけど、全部俺の妄想って
ことにすっから。寝ぼけて恋人気取りのイタイ奴ってことで」
「どうしても、阿部くんは内緒にしたいんだ……」
「篠岡だってひっぱたいたくせに」
「付き合ってることをみんなに言うのと、みんなの前でキスするのは違うでしょ!」
阿部は「そうか?」と首を傾げながら、パンを篠岡に押し付けた。
222 :
阿部×篠岡:2008/05/03(土) 17:22:34 ID:cPHZ2ov0
「それより、俺を起こした理由って何?」
「おにぎりの具、他の人と同じじゃダメかなぁって」
阿部の好みと、今日あるストックの具が一致しなかったのだ。
食べ物がモチベに直結するトレーニングでトップになったのだから、「ふざけんな」と暴れたいところだが、
今の立場と状況をわきまえ、阿部は「そういう日もあるよな」と不満を飲み込んだ。
「良かったー!」
篠岡はホッとして微笑む。
ふと、その篠岡の雰囲気違う気がして阿部がしゃがみこみ、目を凝らした。
「自習時間、『彼氏出来ないのは磨き方が足りないからよ!』って、メイクのレクチャー受けてて」
部活ジャージにパーティーメイクはおかしいと逃げたが、華やかなグロスは興味があったので借りたのだ。
おにぎりの具なんかより、うるツヤの唇を見て欲しい乙女ゴコロで寝てる阿部を起こしたのが真相だった。
が。
「天ぷら食った後みてーな口」
阿部にかかると「モテカワ☆スクールリップ」も「ラード塗った?」と、親世代の寒いリアクションで、
「こーいう人だったよ」と暗い気持ちになりながら、篠岡はポケットからティッシュを取り出した。
野球の時の阿部は気が遠くなる程カッコイイ。処女を捧げる相手としては理想的な程、最初から少しでも
気持ち良くなれるように根気良く扱ってくれたし、その後も態度も変わらない。
ユニフォームと裸の時はこれ以上ないくらい理想的なのに……制服の阿部はまるでおっさんだ。
制服デートなんて、1番やっちゃいけないタイプだと、篠岡は思う。
「童顔の私じゃ浮いちゃうし、どーせお昼食べる時に拭き取るつもりだったもん」
落胆してティッシュで拭っていると、阿部がぽつりと言った。
「隠してるから、こうなったんよな。やっぱり、ちゃんと報告しとくか」
聞き返そうとした篠岡の顎を持ち上げると、阿部は唇に残ったグロスを舐め取った。
さらに調子に乗って押し付けて吸い、舌を入れようとして来たので篠岡は突き飛ばした。
篠岡は耳まで赤くして、そわそわと周囲を見回す。
「だ、誰かに見られたら……」
「いねーからやってんだろ。でもバラすなら俺、こーして堂々と付き合うからな」
「あ?恥ずかしいから阿部くんは内緒にしたかったんだよね……?」
予想外で、両極端な阿部の言葉に、篠岡は困惑する。
「冷やかされるのが面倒だっただけで、別に。最初さえ我慢すりゃいーんだし」
「はい?」
阿部の見せる2人きりの時の優しい顔は自分だけが見られれば良いのであって、篠岡としては
教室や部活でまでいちゃつきたい訳ではない。むしろ、そんな野球部の評判を落とす
はしたないことはお断りだ。ただ好きな人の話を、遠慮なく友達としたかっただけで。
「阿部くんって、そーいう人なんだ……」
思い返してみると、阿部が周りの視線を気にしないからこそ、あの三橋に対する過保護っぷりや
執着があったのだと思う。
同性だからセーブしてきたことも、もし異性の篠岡が対象になり、関係をオープンにしたら……?
化粧やヒールのある靴、服装などで少しでも背伸びしようとすると阿部は嫌がるし、コンプレックスの
体型を喜んでくれるのも引っ掛かっていた。
今までと同じく秘密で通して「一見硬派な妄想家」と、公にして「ツンデレ・ロリコン疑惑」と、
どっちが彼にとって不名誉なのだろう?
既に阿部は、「まんまの篠岡が好きなのに、余計なこと教えやがって」と友達に悪態をついている。
そんな困る部分も含めて阿部を好きな自分もいて、戸惑ってしまう。
不意打ちで「ちー」と呼ばれ、何度も囁かれた時の状況が蘇ってしまい、篠岡は頬が熱くなった。
終わりです。榛名ファンの方、一方的な書き方ですみません。
223 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/03(土) 17:37:16 ID:9CTpsUGx
おお、リアルタイム遭遇!
GJ!!!!しのーか可愛いな…
しまった、sage忘れすまん
しのーかのかわいさと阿部のそこはかとないカッコ悪さが良いです。
これはGJと言わざるを得ない。乙でした!
GJすぎる〜〜〜〜〜〜!!!!
途中からカッコ悪くなる阿部最高でした!!
榛名で思い出した
303氏はもう来ないのだろうか・・・
ノートは丸めりゃ・・・
>>227 あの人はいつもすげー間が空くけど
ちゃんと完結させてっから来るんじゃね?
そうそう、マターリと待とうじゃまいか。たぶん忙しいんだろ。
さびしかったら保管庫に行っとけ。
保管庫の管理人さんがこまめに更新してくれてるからエロパロ板のなかでもかなり
充実した場所になっていることだしな。
231 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/05(月) 01:14:15 ID:jmwTndN9
週末だけど誰もいないのか・・・。
とりあえず保守。
ハルスズ待ち保守
捕手
ほしゅ
今週の繁栄祈願保守
職人さんはいらっしゃいますか?
カキコが1人いると、ROMは最低30人はいるらしいよ
まるでゴ○のよーだw
10巻とアフタとムック発売後に期待
ムックはもう発売したよ
本スレでは不評だが、このスレ的には美味しい内容だと思う
241 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/21(水) 08:55:57 ID:PymiD8ZB
5月28日に洋泉社からファンブックが出るんですよ
それなりにまともなのも載ってるが中途半端でどっちかというといわゆるキャラ萌え本。
でもPASH編集なんだから別に間違った内容ではないと思う。
244 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/26(月) 18:30:36 ID:cmkuPeOF
ハナモモこないかな
245 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/26(月) 22:42:30 ID:knp8PedE
昔書いたスヤチヨが出てきたので、保守がてら投下してみる。
巣山がやや手フェチ・妄想過多気味です。
エロくもないです。
趣味に合わない方はゲンミツにスルー願います。
247 :
スヤチヨ 1:2008/05/27(火) 22:59:37 ID:TXVs7TSr
駅までの道に篠岡を発見した。
向こうでもこちらに気付いたらしい。道の向こうから伸び上がって大きく手を振り、ぱたぱたと駆けてくる。
「お疲れさまー。巣山くん、これからどこか出掛けるの?」
練習帰りでないのは荷物の有無でわかったのだろう。
「友達のとこ。篠岡は? 今日、結構早くにあがったよな」
「うん。そうなんだけど、帰り、偶然友達と会って、さっきまで一緒だったんだ」
冬休みに入った今時期は、部の練習時間もまちまちだ。
今日はシガポが臨時の出張だというので、午後は練習が休みになった。
「あ。よかったら、これ食べる? ちょっと冷えちゃったかもだけど」
コンビニで買ったらしい唐揚げを差し出してくる。
ちょっと豪華な買い食いだ。腹が空いているので、遠慮なく貰った。言葉どおり、さほど熱くはない。大方、友人と一緒にコンビニに寄り、唐揚げを買って、いつの間にか長話になって冷めてしまったというところだろう。
「うま。チーズ?」
「そう、チーズ味。好きなんだー」
篠岡はにこにこと笑った。
いつもは部員全員に向けられるそれが、今は自分だけに向いている。
たまたま今ここに、自分しかいないから、そうなっているだけなのに。
たったそれだけのことなのに、一瞬でも篠岡を独り占めしたような気持ちになってしまう。
特別に思ってしまう自分の浅ましさ、愚かしさったらない。
勿論わかってる。篠岡は別に自分に好意があるわけじゃない。
巣山は自分に言い聞かせるように思った。
好意がない相手にでもこうやって親切で、優しくて、分け隔てなく笑顔を向けてくれるからこそ、篠岡に特別な感情を抱いたんじゃないか。
248 :
スヤチヨ 2:2008/05/27(火) 23:01:02 ID:TXVs7TSr
巣山が一口で放り込んで、一瞬で食べ終わった唐揚げを、篠岡は二口に齧ってゆっくりと食べた。
爪楊枝を使って食べていたが、手に油が付いたらしい。
最後の一つを食べ終わると、篠岡は指先を口許に運んだ。
油に濡れた唇を指先ですっと拭った後、人差し指の腹を唇にそっと押し当てる。
なんのためらいもなく見せられた仕草。
瞼が自然に伏せられ、まるで静かにキスでも落とすようだ。
唇の先で優しく吸うように舐め、親指の汚れも同じように、きれいに舐め取る。
舌先も見えない、ごく遠慮げな遣り方だ。
決して指先を咥えて舐めるような、露骨な遣り方ではなかったのに、巣山の身体にはビリビリと電流が流れたような感覚が走った。
赤い舌がぺろりと覗き、白く細い指先を辿る。
そのかすかな濡れた音を聞いたような気がして、巣山は不意に身体の奥がじんと痺れた。
やべ。
脳内に今の篠岡の仕草が鮮明に残る。
変なスイッチが入りそうで、無意識に眉根を寄せて口内で舌先を噛んだ瞬間、篠岡がはっとしたように声を上げた。
「あ……、ごめんなさい! 行儀悪かったよね」
篠岡の白い頬がみるみる赤らむ。
巣山が無意識に凝視し、顔を顰めたのを、別の意味に取ったらしかった。
「あ、いや」
慌てて言ったが、篠岡は恥ずかしいことしちゃった、と小さく呟いて俯いた。
二人の間に、不自然な沈黙が下りた。
巣山にとって篠岡のその仕草は、周囲を憚りながら、それでも半分無意識に出たといった様子がかえって屈託なくかわいらしく映った。
だからこそ、それ以上の意味を勝手に想像して、一瞬悶々としたくらいだ。
けれど誤解を解くために、自分が顔を顰めた理由を篠岡に正直に告白するわけにもいかない。
参ったな、と思った。
篠岡の細い指先に触れるのを、自分は何度思い描いただろう。
巣山が篠岡を考える時、そのきっかけはいつだって、この指先だ。
手を絡めて、その指先の一つ一つに唇を落とす。
それから捕らえた手首をゆっくりと引き寄せて、その肌を堪能するのだ。
249 :
スヤチヨ 3:2008/05/27(火) 23:01:42 ID:TXVs7TSr
脳裏に浮かぶ篠岡の姿態に、何度欲情した?
もう正確に数えあげることもできない。
それほど絶えず、繰り返し、くりかえし。
この手を、指を、腕を、足を。
胸を、腹を、腰を、そしてその最奥を、汚して。
巣山の意識の全てを、篠岡が支配している。無意識に絡め取ったまま離さない。
胸の頂きを舌先で舐って。腰に掌を這わせて。
日に焼けないままの真っ白な太腿の、柔らかい内側をじっくり堪能する。
やがて濡れていくだろうそこは、きっと熱いだろう。
花芯をつまみ、中を指の腹で擦り上げるとき。
篠岡はどんな顔をするだろう。どんな風に恥らうだろう。
愛撫に声をあげるだろうか。喘ぐよりも泣くかもしれない。
でも篠岡の涙はきっと、もっと自分を煽るに違いない。
猛った自身を持て余して、狭い中を穿ったら、もう本当に歯止めは効かない。
見境なく何度も突き、奥を抉って、果てるまで止まらないだろう。
その時、篠岡の手は、冷えているだろうか。熱くなって肌を汗ばませているだろうか。
腕全体でまといつくのか。それとも突き放すように突っ張らせている?
縋りついて爪を立てられる痛みも、きっと下腹に甘く響くだろう。
けれど篠岡の手が自分の体に触れるところを、巣山はうまく想像できない。
巣山はこれまで一度として、篠岡の指先に触れたことはない。
部員全員で手を繋いで行われるイメトレは、いつもそれとなく篠岡の傍を離れて、決して隣り合わないように細心の注意をしている。
手を繋ぎたくないわけじゃない。
でも手を繋いでしまって、自分の中のみだらな欲望を悟られるのが怖い。
なにかの拍子に、この感情が篠岡に伝わってしまったら。
それを思うと、イメトレどころではない。
平常心でいられる自信がないから、巣山はいつも少し離れたところから、篠岡を、そのきれいな、よく動く指先を見つめる。
この指先に、触れられたら。――巣山はごくりと乾いた咽喉を鳴らした。
でも、そんな時はきっと来ない。
篠岡は野球部員にも他の誰にも優しくて、かわいくて人気もあるだろうから。
自分はただ、こうして見ているだけでいい。
巣山はぎゅっと掌をきつく握り締めた。
250 :
スヤチヨ 4:2008/05/27(火) 23:02:08 ID:TXVs7TSr
なにげない話をぎこちなく振ってくれながら、篠岡はしばらく足元ばかり見て歩いていた。
よほど気まずかったのだろう。なんとなく居心地悪そうに軽く握った指先を擦り合わせる仕草。寒そうに赤く染まった手指が忙しなく動いている。
巣山は、今日はすぐ近くにあるその指先を、飽かず見つめている。
俯いた拍子にサイドの髪が流れて、マフラーの奥の項を露わにしている。
白くて細い首。思えば、いつも明るく前を向いて歩いている篠岡が、こんな風に長く俯いていることは滅多ない。
「篠岡は手、きれいだな」
「えっ?」
驚いたように篠岡が目を上げた。普段から大きな目が、今は零れ落ちそうだ。
「指も細いし。爪の形も整ってるし」
「そんなことないよ」
言いながら篠岡は照れたように掌をぎゅっと握り、胸元に引き寄せた。
「水仕事とかも多いのに、全然荒れてないし。すごい気ィ使ってる手だ」
篠岡が顔を上げる。
しかし巣山は、まっすぐなその目と視線を合わせるのに不意に怖気付いた。卑怯だと自覚しながら、遠くでしたバイクの音に気を取られた振りを装って、目を逸らす。
視線を外して、やっと言った。
「俺は、好きだよ」
「……え……?」
篠岡がぼんやりとした声で呟き、その場に立ち尽くした。
数瞬遅れて、ぎこちなく笑う。
「ああ、あはは。褒められちゃった。どうしよう、嬉しい」
篠岡が遅れた数歩分の距離を小走りに追いかけてくる。
「あのね、いつもハンドクリーム持ち歩いてて、練習後に必ず塗ってるんだよ」
自分を見上げる位置から、篠岡が掌を広げて少しだけ得意気に言った。
微笑ましい自慢だ。口許の辺りに掌を合わせて笑う篠岡がかわいくて、巣山は心の内でそっと呟く。
――そんなの、知ってるよ。ずっとその篠岡を見てたんだから。
その指先がどれだけ自分を惹き付けるか。
その指先がどれだけ自分の欲情をかきたてるか。
そんなことを、きっと篠岡はずっと知らないままだろう。
巣山は身内に湧いた自嘲を打ち消して、篠岡に静かな笑みを返した。
終わり。
投下慣れしてなくて、読みにくかったらすいません。
では、素敵職人さんの作品がくるのを期待して待ってるよ!
おおGJ!
これってちょっと前にあった埋めの手フェチの続きかい?
GJ!!
いいもん読ませてもらった乙
253 :
246:2008/05/28(水) 00:24:13 ID:f05zMrzd
>>251 あ。そうです。<埋めの手フェチの続き
よく考えたら、色々騒動があったことでもあるし、
ちゃんと冒頭に注意書きとか、付けた方がよかったですね。
申し訳ない。以後、気をつけます。
>>253 そんなの気にならないぜ!過疎だし
あの時はまだ手フェチが誰か開かされてなかったんだよなー
なんだか懐かしい
ログ見たらちょっと前どころか半年以上前だったww懐かしいww
懐かしい職人が残ってると思うと燃えてくるなぁ
半年も前の投下を覚えてたり、わざわざログ調べたり、
ここは保管庫も充実してるし、住人がすばらしくマメだなww
自分もログ見直して、燃えなおしてくる
>>256 再燃したら投下投下!
そしたら自分も書いて続くよ
小ネタ投下します。
DVD見直してたら気になった。
むかーし投下したモモカンのムネお湯に浮くのか合宿ネタと被るので
いっそのこと続きにした。
夏の大会開催まであと少しの頃。
西浦高校野球部員達は練習後の一時を近くのコンビニで過ごしていた。
篠岡もその日は付き合っていたが、前日徹夜でで桐青のデータをまとめたため瞼が重かった。
眠さを散らそうと無理矢理口に入れた小さなチョコを舌の上で転がしながら溶かし食べている、
その端から欠伸がこみ上げてきて、必死にそれを噛み殺していた。
先に帰ってしまおうか、と篠岡が考えた時。
急に田島が大声を上げた。
「あ! そーだ! しのーか!!」
その声に篠岡の半開きだった目がぱちくりと開き、田島を見るときらきらと光る目にぶつかった。
その目に、ひやりと篠岡の肝が冷える。
いつか見た目と同じ目だった。
「モモカンのおっぱい、どんなだった!?」
篠岡はくらりと眩暈を起こしふらついた。
確かに今日の朝、カントクにぎゅっと抱きしめられその豊満な感触は記憶に新しい。
気を取り直して助けを求めて周りを見渡すと、
期待に満ち溢れてコンビニの光よりも明るいぎらぎらした目が篠岡の目に突き刺さる。
怒りが湧くよりも先に気がふっと遠くなったような気がして目の前が暗くなる。
篠岡はいっそこのまま気を失いたいと思ったが、阿部の低い声が響き渡り現実に引き戻した。
「確かに気になるな。”ぽよよん”なのか”ぱふ”なのか”ぼいーん”なのか」
沖がまじまじと阿部を見て、ぽつりと呟く。
「阿部がそんな気にするなんて意外・・・」
「だな。お前デカイのには興味ねーじゃん?」
沖の言葉を受けて泉がもっともだと同意した。
阿部はじろりと泉と沖を眺めてため息をついた。
「アホか。単純な知的好奇心だ」
阿部の隣では巣山が真剣な顔つきで物思いにふけていた。
「考えられるのは、”ぽふっ”か、”ぽいん”・・・。個人的には”ぽよん” がいい」
さらにその隣で花井が冷や汗を垂らしながら視線を彷徨わせる。
「え〜と、ダ ダーン?」
「それ違うだろ!」
珍しく水谷が花井に突っ込みをいれた。
その傍で西広が軽く顎を摘みながら真面目な表情で口を開いた。
「ばよえ〜ん?」
「なんで2連鎖なんだよ?」
「違うよ3連鎖だよ」
「え?おじゃまぷよだろ?」
西広の呟きに栄口が素早く反応し突っ込むと、その栄口は沖に突っ込まれ、
一周したのか、最後は巣山が冷静に疑問を口にした。
放って置くとどんどんそれていきそうな気配の中話を元に戻すため、
三橋がなけなしの勇気を発揮した。
「たぶ、ん、”ぱふぱふ”、だとおも、う、よ」
「何で亀仙人なんだよ!?」
容赦ない阿部のつっこみに三橋は飛び上がってビビリ、目に涙を浮かべ言葉にならない声を上げた。
篠岡はこの隙にさっと帰ってしまおうかとそっと地面に置いたカバンを手に取った時、
獲物を逃がすわけのない田島の声がその動きを制止させた。
「そんで? しのーか!どうだった!?」
てんでばらばらの話をしていたうらーぜ達がぴたっと口をつぐみ、一斉に篠岡を見る。
逃げられない気配に、篠岡はうっと言葉を詰まらせた。
必死に逃げる算段を考える。
誤魔化す方法がないかと脳細胞をフル回転させる。
確かにカントクの豊満な胸には癒された。
疲れなんて吹き飛んだ。
あの感触は女同士でもありがたがる価値はあると思った。
しかし、それを彼らに言うと、彼らの脳内でカントクはどうなる。
絶対何も言わずにこの危機を乗り越えたい。
篠岡の気配を読み取ったのか、田島がじりっと篠岡に近寄る。
カバンを胸に抱えて篠岡は軽く身体を緊張させた。
「わ、私! 帰るね!」
と叫ぶと同時に自転車に駆け寄ろうとして、わ、と言った所であっさり距離を詰めた田島に腕を掴まれた。
掴まれた腕を振り解こうとしても、ピクリとも動かない。
「ね、しのーか!?」
ニヤリと笑いながら篠岡をじぃっと見つめる田島に、篠岡は心の中で涙を流した。
あきらめきった、力のない声が篠岡の口から流れ出す。
「どちらかというと・・・・”ふるぽよん”・・・だったよ」
「「「「それはどーいう感触なんだぁ!?」」」」
一斉に上がった叫び声の中で、阿部だけが真剣に目を閉じて考察していた。
「なるほど、”ふるるん”と”ぽよよん”を足して2で割って感じか・・・?」
阿部の言葉に、巣山が異を唱えた。
「違うだろ”ふるん”と”ぽよん”をかけたんじゃねーか?」
議論を重ねる二人をよそに、田島がぱっと篠岡の腕を離し、そのまま自分の頭の上で腕を組んだ。
「そっかぁ! ”ふるぽよん”かぁ! あ〜! いーないーな!しのーか!うっらやっまし〜!!」
屈託のない笑顔を浮かべて笑う田島を篠岡は力なく見上げてあははと笑いを返し。
しばらくそのまま笑った後、やがて深くてながーいため息を吐いた。
カントク、ごめんなさい。
そう思ったとか思わなかったとか。
---終わり---
おおおおお久しぶりですそして乙!
そうか、「ふるぽよん」かモモカンの胸は
なにそんな大真面目に……w
アホっぽくて良い!
ふるぽよん糞ワロタ
GJすぎる
この後しばらく部内で「ふるぽよん」という擬音が流行りそうww
空気の抜けたバレーボールを見ては「ふるぽよんって感じ」
帰りの買い食いで買った特大プリンをスプーンですくっては「これぞ、ふるぽよん…!」
しのーか涙目w
ハナモモ投下します。
・薄暗い雰囲気の、やってるだけっぽい肉体関係です
・甘くて幸せなハナモモ好きの方、ごめんなー
苦手な方はゲンミツにスルーでお願いします
彼女はアクメの瞬間、おちる、と囁く。
身体の緊張が高まり、一点に向けて上り詰め、爆ぜる、直前。
喘ぐように継ぐ呼吸の中で零される吐息。
その乱れた呼気に混じって、小さく押し殺される呟き。
――…お…ちる…っ
耳をそばだてていなければ聞き取れない、ごくかすかなその言葉が
胸の奥で引っかかって離れない。
百枝に唇の際を甘噛みされた。
「花井くん」
散漫な様子を咎めるように小声で呼ばれて、花井は慌てて、意識を目の前の相手に引っ張り戻す。
本当なら、夢中でその体に貪りつきたい。
というより、目の前の彼女のことしか見えないくらい、放っていても、
実際全く周りが見えなくなるのだ。
けれど最近、不意に、こんな風に自失することがある。
「なに、考えてるの」
熱い、甘い匂いのする、吸い付くような肌。
花井の愛撫に応えて、少しずつ揺らめき始める柔らかな腰。
他の事を考えている暇なんてない。
花井は問いに答える代わりに、細い首筋に深く顔を埋め、耳の後ろを舌先を尖らせて舐めた。
「ふ……」
明かりを落とした部室。
部屋は静まり返っている。
そこにあるのは、互いの呼吸、かすかな衣擦れ、そして肌のぬくもり。
窓からの月明かりを頼りに、軽く唇を啄ばませるように頤をゆっくり辿ると、
百枝はキスをねだって口を軽く開けた。
花井はわざと唇の先で触れるだけの口付けをした。
すると首に巻き付いた腕の力が急に強くなって、強引に熱い舌が花井の口に侵入してきた。
深く舌を絡ませあいながら、服の上から胸のふくらみに触れる。
下から支えるように掌で掬い、ゆっくりと、しかし強く揉みしだくと、
彼女は少しだけ苦しそうに呼気を零した。
「ん……」
鼻に抜けるような甘い響きに、花井は自身の腹の底が熱く沸騰していくのを感じる。
花井の大きな掌の中で、柔らかい胸はおもしろいように形を変える。
彼女はその変化に合わせるように静かに息を乱し、身を捩った。
仰け反らせた首筋に唇を辿らせ、頤伝いに耳朶を甘噛みすると、
「あっ……」
花井の背中に廻されていた手が、シャツ越しにきつく肌に食い込んだ。
耳が弱いのは、一番最初の時にすぐ気付いた。
唇だけで柔らかく薄い耳朶を軽くついばみ、わざと水音が立つように舌で耳を辿った。
彼女が、それまでとは明らかに違う、艶を帯びた声を必死で飲み込む。声を堪えようとした分だけ、背中に廻された腕の力は強まった。
花井は耳全体を埋めてしまうように舌の先を捻じ込み、何度も舐めた後、ふっと息を吹き込んだ。
「やぁ……」
力の抜けてくる彼女の体を抱きとめて、廻した手で背中を辿ると、服越しにブラのホックを外した。
白いシャツをスカートから引きずり出して、今度は直に胸に触れる。
「監督、こういう服、珍しくないですか」
バイトが肉体労働だからなのか、行き帰りがバイクだからか、彼女は普段カジュアルで、
動きやすそうなパンツ姿が殆どだ。
今日のようにスーツに白いシャツという姿は、滅多に見ない。
特に控えめな膝丈のスカートにパンプスなんて格好、もしかしたら初めてじゃないだろうか。
だからこそ、そうしたかっちりした服が徐々に乱されて、襟元やウエスト部分から
白い肌が覗くのは、妙に色っぽく映った。
「ああ、今日は、仕事の面接で……」
「またバイト増やすんですか。寝る時間なくなりますよ」
「それくらいでちょうどいい……、んんっ!」
双丘の先を指先で軽く抓った瞬間、声が抑えきれずに1トーン跳ね上がる。
それくらいでちょうどいい、とはどういうことだろう。
花井が引っかかった思考に一瞬手を止めると、絡ませあっていた足にぐっと力が入って、
彼女が身をすり寄せた。
他所事を考えるなと、さっき遠回しに指摘されたばかりだ。
花井は意識を集中しようと、小さく首を振った。
シャツと下着を一度に捲り上げると、日に焼けない肌に赤く咲いたような突起が、
もう硬くしこり始めているのがわかる。
「なんか今日の格好、すっげぇそそる」
「……服、汚さないでよ」
「わかってます」
本当は彼女の要求に応じられるか、あまり自信はない。
ただこれ以上、彼女に余計な言葉を喋らせるのが嫌で、物分りよく答えてみせただけだ。
胸に唇を落とし、日に焼けない鎖骨を舐めて、ゆっくりとその下に続く柔らかな稜線を辿る。
敏感な頂に辿り着くと、唾液を絡めながら軽く突付き、執拗にねぶって、
その隙に片方の腕をスカートの下へ滑り込ませる。
吸い付くような肌触りの太腿の内側を、ゆっくりと掌で撫でて、徐々に上へと上らせる。
下着をそっと触れると既に湿りを帯びている。
声にならない震える吐息が、花井の頭上で零される。
花井はもっとその声が欲しくて、前歯の先でそっと胸の突起を挟んで、下顎を軽くゆすった。
「やっ、駄目……っ」
駄目、と言いながら、彼女の全身は少しも本気では花井を拒もうとはしない。
それどころか下着の上をそっとくすぐる指先に、もどかしそうに腰をくねらせた。
その仕草がまた情欲を煽って、花井はごくりと唾を飲む。
「花井、く……」
抑えた声で呼ばれる。呼吸が荒く、胸を激しく上下させている。
花井が唇を離し、わざと黙ったまま上目遣いで見上げると、彼女は苦しそうに顔を歪めた。
暗に焦らされたとわかったのだろう。花井の背中に廻していた腕をゆっくりと解く。
そして無言のまま、震える指先で花井のシャツのボタンをもどかしそうに開き始めた。
下着を脱がしてそこに触れると、潤んだ中は溶け出しそうに熱い。
彼女は花井がそうしようという素振りを見せる前に、自ら花井の中心を自身へと誘った。
ず……ぐちゅ……ぬちゅ……。
布越しにもはっきりと聞こえていた水音は、貫き、動き始めると、膚のぶつかり合う音の合間に、
尚一層淫猥な響きで耳朶を打って、花井の劣情を駆り立てる。
こうやって、もう何度体を重ねたのかわからない。
彼女はいつも口の内側をそっと噛んで、嬌声を懸命に堪えた。
ぶるぶると震え、時には唇を色の失われるまで噛み締めて声を殺す彼女の姿は、
とてもけなげで、同時にひどく暗い嗜虐心を煽った。
花井は彼女の、抱き合う時だけ特別甘い、引きずるように高く掠れた声が聴きたくて、
毎回のようにわざと焦らしたり、嫌がるのを承知でどれだけ彼女が濡れ、自分を強く深く
咥え込んでいるかを耳元で囁いた。
いやらしい言葉を言わせようとしたことも一度ではない。
けれど子供のように(実際彼女からすれば子供には違いない)、小さな意地悪を
何度となく繰り返しても、彼女は決して応じようとはしなかった。
こうして体を繋いだ後は、彼女は殆ど呼気しか洩らさなくなる。
愛撫に襲う官能に喘ぎながら、湧き上がる嬌声を懸命に噛むのは、ひどく辛そうに見える。
どうして声を堪えるのかと問うたのは、多分、四度目の時。
彼女はからからと笑った。だって、部室で隠れてやってること、ばれたら困るでしょ。
当然の答えだ。
でも照れつつも花井が訊ねたのは、そういう意味のことではない。
彼女が必死で声を堪えている姿が、気の毒に思えていた。
唇を噛み、苦しくなると息を継ぎながら舌先を噛み、時には跡が残るほどきつく、指を噛み締めた。
情事の後に、指の関節に残った赤い跡が、花井には痛ましく思えて仕方がない。
そんなに堪えなければならないものがあるなら――、彼女に無理を強いてまで、
どうしても抱きたいわけじゃない。
身体を重ねたい欲求はある。でも、まるで我慢が効かないほど自分勝手ではないつもりだ。
言葉を選びかねて黙ると、彼女は花井の言葉の先を読むように言った。
『気持ちよくないんじゃないかって心配?』
『いや、それは……』
『そういう心配ならいらないよ。すごく気持ちいい。これは、本当に』
『……じゃあ、どっか別の場所、行きます? ホテルとか……』
『いい』
その言葉は、妙にきっぱりとしていた。
『いいの。ここがいい。……誰かに見つかるかもって声殺したりするのも、結構燃えるのよ。花井くんは、スリルがあるのは嫌い?』
苦しさにも似た甘い官能に溺れる声を、聞かせて欲しいのに。
その声で、もっと呼んで欲しいのに。
花井は注挿を繰り返しながら、聞き分けなく彼女の声を「もっと」とねだりたくなる自身の欲求を、
そっと脳裏に押し込める。
奥をぐっと突いて、引きながら腹側の膣壁を擦る。
「ふ……ぁ」
乱れた呼吸の合間に弱い吐息が洩れた。
その甘い響きまで自分のものにしてしまいたくて、花井はすかさず唇を重ね、
舌で上顎をくすぐった。
「ん」
顎を上向けて、彼女がもっと深くまで花井を受け入れる。
熱い舌が花井を誘うように動き、互いの舌が深く絡み、貪りあう。
ぴちゃ……、くちゅ……。
静かな部室に、粘膜の触れ合う音が響く。
熱い呼気が洩れ、彼女の掌が花井の背を優しくくすぐるように這い回る。
柔らかい感触が全身の神経を焼き切りそうだ。
「……は……ぁ」
彼女はきつく目を閉じている。
頬が紅潮し、目元がかすかに滲んでいた。
うっすらと浮いた汗が、彼女の肌を淡い月明かりに青白く光らせている。
「ぁ……、ん、ふ」
怒張を飲み込んで、彼女は自ら何度も腰を揺らした。
それに応えて、何度も深く奥を抉った。
抜く寸前まで腰を引くと、彼女の足が腰に絡み、全身でそうさせまいと花井をねだる。
わかっていると浅い入り口を擦ってくすぐると、
「あ……っ」
と、全身を震わせた。
ごくかすかな、けれど耳に残る、甘く高い彼女の呼気。
熱い柔らかい彼女の奥が、花井自身を飲み込み、全てを吸い尽くそうと蠢く。
彼女から溢れる愛液が、二人の間でみだらに光る。
床にまで滴った蜜の立てるいやらしい音と、肌のぶつかりあう音。
そして自身の乱れた息で、彼女のかすかな呼気を掻き消してしまう。
自身がどこまでも硬く、熱くなる。
足元から背筋を貫くように襲う、強烈な射精感
全身を這い上がる快楽の波を堪えて、花井は腰を優しく揺する。
「監督……っ」
耳元に唇を寄せて囁くと、細い身体がびくりと仰け反った。
同時に、肩に鋭い痛みが走る。
見ると、彼女がきつくしがみ付いて、肌に爪が立てられていた。
その様子がかわいくて、か弱くて、胸の底がざわりと疼く。
全身を溶かされそうだった。
今にも達してしまいそうな感覚を、彼女の与えてくる小さな痛みに意識を集中して、
かろうじてやり過ごす。
「監督……、もう、限界……」
花井が呟くと、彼女はきつく閉じられていた瞼を重そうに開けた。
目元まで赤く染まっている。
花井の目をじっと見つめ、ゆっくりと一度頷いた。
その拍子に、うっすらと瞳を覆っていた水の膜が、眦からスロー映像のように零れ落ちた。
緩慢な瞬きをして、彼女は再び目を伏せる。
濡れた長い睫毛が小刻みに震えている。そして。
――花……井く……。
小さな赤い唇が、確かにそう動いた。
頭の先まで突き抜けるような衝動に、理性の箍は一瞬で消し飛んだ。
全てをぶつけるように乱暴に、何度も、最奥を突いた。
細い体が揺れ、そして花井を咥え込む力が徐々に強まっていく
絶頂を迎える寸前の緊張の高まりに、花井は煽られるように上り詰めていく。
「監……督……っ」
がくがくと彼女の身体が震え始め、
「……お…ちる……」
吐息と共に、彼女の身体が大きく跳ねた。
びく、びくという痙攣に似た震えが、彼女を貫いている自身に伝う。
花井は詰めていた息で小さく呻き、やがて果てた。
ゆっくりと脱力し、彼女が細く長い息を吐く。
疲れたのか、ぴくりとも動かない。
閉じた瞼に差した影を、花井はじっと見つめた。
絶頂の瞬間を、脳裏に思い浮かべる。
それは、文字通り「これ以上ない頂に達する」感覚だ。
頭の中が真っ白になるほど、全身の神経が一点に、高みに向かって、上り詰めていく。
それは自分にとって、他の言葉に置き換えられる感覚ではない。
性別によって、快楽の捉え方は違うかもしれない。
花井は自分に言い聞かせるように思う。
自分が男で、彼女は女だ。基本的な身体の作りが違う。
身体を穿つ者と、それを受け入れる者とで、感じ方が異なるのは当然だ。
しかし、本当にそれだけだろうか。
花井はもう何度めかの自問を繰り返した。
彼女はまた、おちる、と言った。
その声はいつも、高く、苦しげに、なにかを堪えるように掠れている。
花井には、その言葉の纏う響きが、快楽の限界へと向かう切実さとは別のものを
孕んでいるような気がしてならないのだ。
快楽に溺れて理性が飲み込まれていく感覚が、奈落の底に落下するように思えるのか。
それとも――。
胸の底をちりっと引っかくような、かすかな痛みが走る。
言い知れない戸惑いが音もなく翼を広げ、心を暗く覆おうとしている。
「……花井くん?」
彼女の声が花井を現実に引き戻した。
まだ熱に潤んだ瞳が、物思いに耽る花井に訝しんでいる。
「なんでもないです」
応えて口許を笑ませると、花井は自身を捉える違和感を、浮かんだ汗ごと静かに拭った。
終わり
お目汚し失礼しましたー
GJ
勃起した
GJ
ハナモモいいね〜
捕手
275 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/14(土) 06:21:51 ID:y5q7CeWa
下がりすぎage
ども、スヤチヨ投下します。
未来設定あり(大学1年夏、巣山は県外進学で一人暮らし)
本文で8レスくらい消費予定です。
苦手な人はスルーorIDあぼーん等お願いします。
巣山君がひとり暮らしをしている町の最寄り駅に着くと、セミの大合唱に出迎えられた。
駅から連なる街灯には商店街の名前が入ったちょうちんと、
それをつなぐように張られた細い縄とその間に下がった白い幣束が青空に映える。
「篠岡!」
巣山君が手をあげてこっちに歩いてくるのが見えた。嬉しくて手を振り返す。
「久しぶり、だな」
「ほんっと、久しぶり!」
笑いあうと離れて暮らす日々が嘘みたいだ。
巣山君に促されて、アパートまでの道を歩く。
「これ、何入ってんの?」
持ってもらっている大きな紙袋の中身を気にする巣山君に、私は満面の笑顔で答えた。
「いーいものっ!」
巣山君のアパートは駅から10分くらい歩いたところにあった。
「へえ、きれいにしてるねー。なんか巣山君ちって感じ」
「なんだそれ」
苦笑する巣山君をよそに、意外と涼しい1Kの部屋を見渡す。
ベッドとローチェストとその上にミニコンポ、部屋の真ん中にローテーブル。
荷物を置いて座ると、開けた窓からさあっと風が吹いてカーテンを揺らした。
「で、さ」
巣山君がベッドに寄りかかるように座って、荷物の方を見た。
「その大きい方、何が入ってんの?持った感じ軽かったけど」
んー、着るにはちょっと早いんだけど、見せるくらいならいいよね。
「お祭りがあるって言ってたから、浴衣!」
紺色の地に朝顔が散らばる柄の浴衣を見せると、巣山君は驚いていた。
「埼玉からわざわざ持ってきたのか」
「だって浴衣見たいって言ってたじゃない。あ、着付けは自分で出来るから大丈夫だよ」
「いや確かに言ったけど……荷物になるのに悪かったな」
「見せる人がいないと、浴衣着ても張り合いないもん」
ぽんぽんと頭を撫でられて、なんだか嬉しくなって巣山君の方に近寄っていき、
私もベッドに背中を向けて座ると巣山君の肩に頭を乗せた。
巣山君の左手が背中から肩に回ってきて、そのまま引き寄せられる。
きゅっと抱きしめられた後、二度三度と唇を重ねるとどちらからともなく口を開いて
深くくちづけて舌を絡めあった。
それから唇を離して、そのまま巣山君の胸に顔を埋める。
「巣山君のにおいだぁ」
「あれ、汗臭いか?ごめんな」
「んーん、違うの。そうじゃなくって、巣山君のにおい」
汗臭いのとはまたちょっと違う、なんか安心するにおい。
ちょっとドキドキして、それよりももっと愛しさを感じる。
「あのな」
体を離されて見上げると巣山君がちょっと困ったように笑う。
「そういうこと言われると、ちょっと我慢できなくなるんだけど」
我慢できないのは、私だって同じなんだよ。
「じゃ、しよ?」
私の返事を聞いて窓とカーテンをちょっと乱暴に閉めた巣山君が、
ベッドに乗って私に手を伸ばしてきた。
その手を取ると強く引っ張られて、同時に仰向けに寝そべった巣山君の上にかぶさる形になる。
もう一度深くくちづけて、その間に巣山君の手がブラのホックを外して
キャミソールの裾から胸へ向かって私の体を優しく撫でた。
「んん……」
気持ち良さに声が出たけど、くちづけたままの喘ぎは巣山君の喉へと消えていく。
唇が離れていくとまくりあげられたキャミソールと用を成さないブラは脱がされて、
体の位置を逆転させると自分もTシャツを脱いだ巣山君が私の胸に顔を埋めた。
そっと両手で胸を触ったかと思えば、先端を指で弾かれる。
「ひゃっ」
交互に口に含まれて、吸われたり舌で転がされたりしているうちに
体の中からだんだん熱くなってくるような気がしてきた。
巣山君の体に手を伸ばせば、筋肉の付いた肩は汗ばんでいる。
「あつい……」
「オレも、熱いよ」
手首を掴まれて誘われるように触れたジーンズ越しのそこはもうかちかちで、
もう片方の手も伸ばして前をくつろげた。
ボクサーブリーフ越しだとそれは更に存在を主張している。
お互い裸になってまた抱き合ってから、巣山君のものに手を伸ばした。
思い切って口に含んで、舌を這わせるように動かすと、
「篠岡、お尻こっちに向けて」
と上体を起こした巣山君が背中に手を触れる。
言われるままに体の向きを変え、また口の中で熱くなる巣山君を頬張っていると、
脚の間をさわさわと撫ぜられた次の瞬間、一番敏感な所に巣山君の指が触れた。
「!」
「もう、濡れてる」
そのまま巣山君の指は私の中に入り込み、中を少しずつかき混ぜてきた。
「はぁ、ん、ふ」
「そのまま、続けて。千代」
下の名前で呼ばれるのと同時にクリトリスと中をいっぺんに刺激されて、
続けてと言われても少しずつ舐めたり手で擦ったりするのが精いっぱいだった。
スキンをつけた巣山君に両脚を持ち上げられて腰を抱えられ、
少しずつ、私の中に熱くて硬いものが入ってくる。
「千代の中、熱くて気持ちいい」
「は……こんな時ばっかり、名前、ずるい」
「呼んじゃダメなんて言ってないだろ」
全部が埋まって、少ししてから巣山君の腰が動き出した。
「はあぁっ」
カーテンの隙間から見える外はまだ明るいのにこんなことして、
それでも気持ち良さには逆らえなくて全身で巣山君を求めた。
シーツを掴んでいた手を解かれたかと思うとそのまま手を繋がれて、
目に、頬に、首筋に、何度も何度も唇が落ちた。
その間も奥深く突かれて、気持ち良さで繋いだ手に力がこもる。
「あ、あ、きもちい……すき、尚治、すきぃっ」
切れ切れに訴えると、私の目を見た巣山君が苦笑いを浮かべた。
「なるほど、こりゃあ効くな」
それから耳元を唇で探って、低い声で囁いた。
「もっと気持ちよくなって、千代」
刺激とその言葉で体が震えた直後、巣山君の腰が大きく早く動き出した。
「あ、あ、あ、あ」
途切れる声をはしたないと思う間にも体はますます熱くなっていって、
頭の中が真っ白になって力が抜けそうになる。
やがて巣山君が奥に押し付けるようにして動きを止めると、
ゴム越しに巣山君のものが放たれている感覚が伝わってきたような気がした。
しばらく裸のまま抱き合っているうちに日が翳っていき、
遠くから祭囃子の太鼓の音が聞こえてきた。
「汗かいちゃった。シャワー借りるね」
「おう。あれならその後浴衣着ちゃえよ。せっかくだからお祭り行こうぜ」
「そうする!」
浴衣を着て、巣山君と手を繋いで昼間通った商店街に着くと
出店がいくつも出ていてどこを見ても目を奪われてしまう。
「出てるのはどこも一緒だな」
「そうだね、でもやっぱりお祭りって楽しいよ。巣山君と来られて良かった」
巣山君を見ると、なんだか照れたように視線を逸らした。かーわいいの。
「よぉ、巣山!」
後ろから声を掛けられて、巣山君が反射的に私の手を離した。
振り向くと男の人が手を振ってて、巣山君がその人にお辞儀をした。
「先輩、ちわっす!」
「ちゃーす。ここでおまえ見かけるなんて思わなかったよ。隣、カノジョ?」
「ええ、まあ」
「コ、コンバンワ」
私も頭を下げると、先輩だと言うその人はニコーッと笑った。
「かーわいいなーオイ。大事にしろよー。んじゃ、オレ待ち合わせ中だから。ばいばーい」
ひらひらと手を振ってその背中が人ごみに消えてから、巣山君が私の手をまた強く握った。
さっきより握る力が強くて戸惑っていると、
「はぐれたらまずいしな」
と巣山君が呟くように言って歩き出す。なんかちょっと変。
「どしたの、機嫌悪い?」
「別に。ほら、行くぞ?」
それでもまだ巣山君の表情は硬いままだった。なんでだろ?
「自分ちじゃないけどただいまー、っと」
脱いだ下駄が玄関でからころと音を立てる。
付いた砂を軽く落としてから持ってきた時の紙袋にしまっていると、
ベッドに腰掛けた巣山君がいきなり私の手を引っ張った。
「きゃっ」
よろけてベッドに上体だけうつぶせるように倒れこむと、
アップにしていた髪を撫で上げられ、うなじに巣山君の唇が降りてきた。
急なことに体を震わせると、うなじから這い上がってきた唇が耳たぶを捉え、
歯が当たる感触がした。
「浴衣見たいなんて言うんじゃなかった」
襟元から手が入ってきて、胸を鷲掴みにされた。
「どうしたの、やだ、こわいよ」
頭を起こして見上げた巣山君の表情は険しくて、仰向けにされると
すぐに噛み付くように唇を貪られる。
胸元は大きくはだけられて、巣山君の唇が首筋から降りてくると
何箇所も強く吸われ、時には歯を立てて噛み付かれた。
外されたブラが上に押し上げられて、胸にも歯を立てられて
きっと私の肌にはいくつも痕がつけられている。
「ねえ、こわいってば。何も言ってくれないとわかんない、んんっ!」
抗議なんか聞きたくないと言うように裾もはだけられて、
あらわになった脚を巣山君の手が何度も撫で、やがて下着越しにそこを触られた。
巣山君の表情も行動も怖くて理由がわからなくて、それでも体は反応している。
また上半身をベッドにうつぶせにされると浴衣の裾が背中まで捲り上げられ、
下着がおろされたかと思うとお尻を高く持ち上げられた。
「ひゃあっ」
捲り上げられた裾ごと背中を押さえつけた巣山君は、
もう片方の手で私を執拗に攻めたてた。
やがてそこは大きな水音を立てはじめ、自分の腰が求めるように動き出すのがわかった。
「や、もう、おかしくな、ちゃ、あ、あ」
自分の声がはしたない響きになっているのを聞いて余計に水音が派手になっていく。
「おかしくなっちゃえよ」
耳元で囁かれた瞬間、頭の中で何かが爆ぜて脚に力が入らなくなった。
こんな状況でもいっちゃうなんて、私の体はどうなっちゃったんだろう。
そうだ、巣山君、は。
のろのろと首だけ後ろに向けて様子を伺うと、
服を全部脱いだ巣山君がスキンをつけ終えてこちらに近づいてきた。
力の抜けた腰をもう一度持ち上げられ、右手を後手に掴まれると
そのまま後ろから巣山君が中に入ってきた。
「っは……!」
絶頂から間もないそこは易々と巣山君のものを受け入れ、
くちゅくちゅといやらしい音を出して中を抉られている。
左手で何とか上体を支えて体を浮かせると、隙間から伸びてきた手が
私の胸の先端を乱暴に弄り回した。
何がなんだかわからなくて、ただ体は刺激を与えられるままに翻弄される。
だらしなく喘ぎを漏らすしか出来なくなっていた口に指が差し入れられて、
擦られる口腔の粘膜までもが快楽を促す器官と化していた。
突然巣山君が私の中からペニスを抜くと、私の隣にそのまま腰掛けた。
「上に乗って、千代」
散々攻め立てられてクタクタなのに、途中で置き去りにされた熱をどうにかしたくて
言われるがままに体を起こして浴衣の前もだらしなくはだけたまま、
巣山君にまたがってゆっくりと腰を落としていく。
「はぁ……」
奥まで巣山君のもので満たされて息を吐くと、前後に体が揺らされていく。
ベッドの軋む音に合わせて突き上げられる快感と、その合間の巣山君の声。
「オレのだ……千代は、オレのだ」
そんな風に囁かれて何度もキスを落とされて、夢中になって私も腰を動かした。
「しょ……尚治、しょうじ!」
腰骨から頭のてっぺんまで白い火花が駆け抜けて、背中に手を回してぎゅっと抱きついた。
それからすぐ中でどくどくっと波打つ感触がして、そのまま二人でベッドに倒れこんだ。
「え、あの先輩に見られたのがやだったの?」
抜けていた力も戻ってきて、ハンガーを借りてしわになった浴衣をかけていると
巣山君が突然の行動の理由を話し出した。
「あの人マメだしモテんだよ。んでなんか急に嫉妬っつーか、
よりによってすごく可愛いかっこしてる時になんで見てんだよっつーか、
うん、なんか本当ごめん」
裸のまま、巣山君は決まり悪そうに頭をぼりぼり掻いている。
もう、そんなことでムキになってたんだ。
ベッドに近づいて、巣山君の鼻先にちゅっとキスをした。
「怒ってないよ。心配しなくても、私は尚治のものだし尚治は私のもの。でしょ?」
「返す言葉もございません」
両手を挙げて苦笑する巣山君を見てにっと笑い、それからもう一度、私たちはキスをした。
終わりです。季節感とかなくてすいません。
浴衣で昆布巻が書きたかっただけなんだ。
意味のわからない人は「体位 昆布巻」でググると幸せになれる気配です。
いいよ・・!すごいいいよ・・・!
個人的には、挿入前の攻め立てている様子を
もっとねちっこくしていただけるとモアベターです。
じゅうぶんですけどね!
287 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 10:08:25 ID:ErC76z7S
スヤチヨGJです!
作者さん大ファンになっちゃいました!
スヤチヨ続きで嬉しかった
と呟きながら保守
ハルスズの続きはマダー?
想像だけど、好意的な感想の最後にwつけてたから、
からかわれたと思ったんじゃないかな
他の職人様のもクレームだけのレスとか。
今回のスヤチヨの職人様も嫌な思いしてないと良いけど
そんな繊細な人は2ちゃんなんかに投下しないだろ
今いる職人はみんな常連だし叩きにショック受けるのなんて最初だけだ
のんびりエロ妄想でもしながら待ってなよ
雑談禁止じゃないんだしネタ振っとけば職人がひろってくれるかもしれないよ
たまには更新報告。スヤチヨまで収納完了!
イズモモ、 オキモモ、サカモモ、ニシモモ、スヤモモ、ミズモモ
タジルリ、サカルリ、ミズルリ、ハマモモ、タキモモ、ロカモモ
とかを保管してみたい。
・・・・・という願い事書いてもバチは当たらないよな?
うん。のんびりといこうよ。
>>292 いつも乙です。間が空くことなくて定期的に更新してくれるので、スレ住人としては
嬉しい限りです。
保管庫管理人様
いつもありがとうございます!
いつも乙です!多分バチは当たらないと思います。
あとは高いハードルを飛び越えてくれる職人を待つことにしましょう。
管理人さん、いつも乙です!
ロカモモ、濃そう!読みたい!
高校時代にやってた野球で
色々思うところがあるのが接点か?
あとは出会いのきっかけ…が思い付かんw
こうやって考えると改めて、やっぱ職人さんすごいな
大人しく職人の降臨を待つことにするw
ロカモモ??
「和己めぇ・・・」
仲沢は小さな声で悪態めいた独り言を呟いた後、
持っていたヘルメットを小脇に抱え直し、オペラグラスを再び覗いた。
拡大された狭い視界のベンチに見える人影は3つ。
先ほど見た人物が中心に来たところで手を止めてブレ防止ボタンを押した。
帽子を深く被っているせいで、細かい造作は見えないが、体のラインははっきりとわかる。
細い首、襟元から除く黒いアンダー、胸の赤いロゴはくっきりと浮き出ているように見える。
なのにベルトで止められた腰はしっかりくびれており、それにつづく腰骨はこれでもかと
主張する流線を描いていた。
するとその人物が急に横を向いて数歩移動した。
途端しっかりと目視できたバストのトップとアンダーの差。
どこからどうみたって、ありえないほど差がある。
つかデカイ。
仲沢の頭の中で河合の言葉が響き渡った。
『けっこうかわいっすよ。んでこう・・・』
『まーいーや。見た目は。みりゃわかるし』
少し頬を染めて、妙な手振りで説明しようとしてやめた河合の姿が思い出されて
仲沢はオペラグラスを目から外して、一人で大きく頷いた。
「確かに、見りゃわかるな」
仲沢はへばり付く勢いでスタンドの一番前に進み、再びオペラグラスを目に当てた。
丁度その時、西浦ベンチでは百枝が帽子を脱いだ。
オペラグラス越しでも視認できたその百枝の顔に、仲沢は思わずごくりと唾を飲み込んだ。
くっきりとした眉、ぱっちりとした目、上気した頬、化粧気はないのに赤い唇。
戻ってきたナインを迎える目からは、オーラが見えそうなくらい強い意志が宿っている。
ストライクど真ん中。
「・・・・どうやったら、お近づきになれる?」
本音が口から駄々漏れになっていたことに本人は気づかなかった。
幸いな事に、それを聞いたものは誰もいなかった。
こうですか?わかりません
仕事はええww
わかってるじゃないか(ニィ)
過疎ってたけど結構見てる人はいたんですね
ロカモモ爆誕…!
今後の本誌展開と、職人さん達に激しく期待www
302 :
サカルリ:2008/06/23(月) 01:19:52 ID:cJYN7Txe
「…しまった、」
桐青に勝ったあと、風邪から復活した三橋に頼み込んであのイトコの子と会えるようになった。
最初はメールをちょこちょこしてて、意外に趣味もあって、じゃあ会ってみよっか、と向こうからのお誘い。デートとかいうやつだ。
人生初のデートにオレはすごく有頂天で、すごく楽しくて、そりゃもう楽しくて、彼女の具合が悪いことになんか気づかなくて。
それが今はどうだろう。
今は夜中の1時。場所はオレの部屋。そして、オレの部屋のオレのベッド、で。
「…やっちゃったなあ……」
オレの隣で白い肌を毛布から少し出してすやすや眠っている彼女。
生まれたままのその姿。すこし触れてみればすべすべとした肌が気持ちよかった。
デートの途中熱でへなへなと座り込んでしまった彼女。
三橋んちに送るには彼女の具合が具合だし、オレんちが近かったしで結局オレんちに泊めてしまった。具合がよくなればそれでいい、泊めるだけ。泊める、だけ。
そう思っていたのに部屋に薬を持って行けば『栄口くん、寒い…』なんて言ってオレにしがみついてきた彼女にオレはどうしようかとあたふたしてて、そのままくっついて離れなくなってしまった彼女に困り果てながらぎゅうと抱き締めた。
気づいたらオレは彼女にキスしてて、触れるだけだったそれが彼女が起きてしまったことにより徐々に深いものへと変わっていってしまって、しまいにはセックスしてしまった。なんかオレって最低だと思う。
「…ん」
「……起きた?」
「…うん」
「熱、大丈夫?」
「だいぶ…」
「寒くない?服着る?」
オレが床に無造作に散らかった彼女の服を指差すと彼女はふるふると首を横に振る。
「栄口くんの方があったかい、よ」
ああもう、だから。
そしてぎゅうと抱きついてくる彼女。反射的に抱き返すオレ。幸せそうに微笑む彼女のその笑顔が、今は天使どころか悪戯好きの堕天使の微笑みにさえ見える。だって、今からオレ朝までガマン大会だ。
「…おやすみっ」
「えへへ、おやすみー」
目覚ましが鳴るまであと数時間。
ガマン大会、開催。
(けど結局オレはその数十分後にガマンがとかれた、らしいことは後日にでもゆっくりと、)
***************
サカルリってどんなだろう。とりあえず投下!
303 :
名無し:2008/06/23(月) 01:58:33 ID:uVkS9T+s
GJすぎる!
栄口やるなぁ〜!
ロカモモもサカルリも続きを希望したい
なんにせよスレが投下で賑わうのはいいことだ
じゃあ妄想
ロカや滝井の大学の工事にバイトで乗り込んできた
モモカンに気付いて、口説くとか・・・
でも、滝井は単行本出てないか
308 :
ロカモモ。:2008/06/26(木) 00:03:01 ID:KXK9TwUX
>>307 っぽいものを考えてみた。
あ。一応本誌展開ネタバレの為、ご注意ください。
朝練の後、学校にしばらく居残った。
部の用事を済ませていていたら、もう昼時だ。
気付けば、学校前で行われている舗装工事の音も止み、昼休み前の一時の
静けさが満ちている。
昼飯を済ませたら、午後の授業に顔を出さなければいけない。
クラブハウスの戸締りをし、校舎裏に回る。
夏の太陽がぎらぎらと目の奥を刺してくる。
職員用の駐車場には屋根がない。仲沢は少しでも涼しいところへと思った結果、
バイクを学校の敷地添いにある、植え込みの影に隠すように停めている。
そこにほっそりした人影があった。
アスファルトにぽつんと、濃く短い影が落ちている。
どうやらバイクを見ているらしい。
じっとしていた後ろ姿が、なにかを覗き込むように少し俯く。
仲沢はその人物の背中をじっと見つめながら、無意識に尻ポケットに指先を
滑りこませた。
慣れた手触りを指先で探り出す。
それを引っ張り出した瞬間、小さな金属の触れ合って音を立てるのと、
視線の先で、『彼女』が振り返るのが同時だった。
いや、振り返るまで、仲沢にはそれが彼女だとはわからなかった。
つなぎを着て、工事用のヘルメットを被ってバイクを眺めている相手が女性だとは、
瞬時には思いにくい。
振り向いた彼女の両肩には、二つ分けにした長い三つ編みが小さく揺れていた。
あ…れ…? 西浦の…?
夏場の強い日差しに仲沢が目を瞬くと、彼女はぴょこんと頭を下げた。
「勝手に見てて、ごめんなさい」
「いや、いいですよ」
答えながら、さりげなく全身に目をやる。
大きな目。赤く明るい笑みを湛える頬。高い鼻梁とつんと噤まれた口が、
意思の強さを感じさせる。
見知らぬ男に声を掛けられているというのに、怖気付いた素振りもない。
何の気なしに見ていた後ろ姿は、前から見ると体の線を覆うつなぎの下にも、
肉感的な充溢が一目で感じ取れた。
真っ先に目を引くのは、豊かなふくらみを描く胸。
そして丸い柔らかなラインで張り出す腰。
その二つの主張と反するように、ウエストは細くくびれ、つなぎの布地が
あまって、だぶついて大きな皺を描いている。
平らかな腹や、ボディラインこそ見えないけれど腕や足は、よく鍛えられて
いるだろう筋肉の締まりが感じられる。
このプロポーション。間違いようがない。西浦の監督だ。
309 :
ロカモモ。:2008/06/26(木) 00:05:28 ID:Q9JVvIUr
女だてらに、十人そこそこの部員をまとめあげて、五回戦まで勝ちあがった、
新設野球部の監督。
確かちょっと変わった名前だった。なんと言っただろう、…。
仲沢は西浦のデータを脳内で呼び起こそうとし、同時に相手の足を止める為に
適当な言葉を継いだ。
「熱心に見てましたけど、バイク好きなんですか」
「そうですね。大きいの乗れたら気持ちいいだろうなって」
「ということは、今はあまり大きいのには乗っていない?」
「維持するのも結構大変ですし。今乗ってるのは、単なる移動用です」
ああ、そうだ。確か、ももえ。百枝まりあ。
「バイクにかける時間や労力を、今は西浦野球部にかけてるってことですね」
「え…っ」
百枝が驚きに目を瞠った。
それまでまっすぐに向けられていた視線が、かすかに揺らぐ。
仲沢は口許に穏やかな笑みを浮かべてみせた。
「驚かせてすいません。俺、ここの野球部のコーチなんですよ」
「あ――そうなんですか!」
百枝は頬に差した疑念を一瞬で拭って、にこにこと笑った。
白い歯が赤い唇から零れる。一気に親しみを感じたように笑顔が弾ける。
「夏は色々勉強させてもらいました。ありがとうございました!」
仲沢は向けられた明るい表情に、しばし戸惑った。
あの試合、西浦からすれば、決して納得行く終わりではなかったはずだ。
チームの要だろう捕手が怪我をして、途中退場。
バッテリーは急造にしてはよく持ち堪えたが、結局それ以降、打線もふるわなかった。
どんな負け方だって負けは負けだが、あの負け方で悔しくないわけがない。
半ば試合にならないような状況に追い込まれて、後を引かないわけがないのだ。
なのに、目の前の百枝は、まるでそんなことなかったように笑っている。
整った顔つきだけに、その表情はよけいに作り物めいて映る。
仲沢は目を細めて、眩しいように百枝を見た。
どうして笑っていられるんだろう。
自分は二年経った今でも、まるで昨日のことのようにあの夏のことを生々しく思い出すのに。
あの日の傷が塞がらないまま、血を流して疼いているのに。
どうしてあんたは、平気で笑っていられるんだ。
当事者でないからか。
あんたが女で――、実際に高校球児だったことがないからか。
でも監督なら、現場で一緒に戦っているはずだろう。
なのに、なぜ平気でいられる?
夏の日差しが強くて、陰影に視界がハレーションを起こす。
目の奥がちかちかと痛んで、その不快がじわりと仲沢の中である衝動を呼び起こす。
「お時間があるなら、是非色々ご教授願えませんか。――百枝監督」
頑張ったが、書けたのはここまでだった。あとは誰かにまかせるw
310 :
ロカモモ。:2008/06/26(木) 00:07:47 ID:KXK9TwUX
エロがない、と注意書きを入れ忘れてしまいました
本当にすみません
エロと、その他諸々、修行してきます
GJ!
ちょwそのまま続き書いてくれ〜!
312 :
307:2008/06/26(木) 00:20:53 ID:OpeFe4eo
あああー!
妄想を形にしていただいてありがとうございますー!!!
ロカ目線のモモカンが良いです。
もしよろしければぜひぜひ続きを〜。
313 :
308:2008/06/26(木) 02:18:44 ID:KXK9TwUX
>>311-312 ありがとう!
今更だが307を勝手に書いてごめんなー
続きは、約束できないけど、ちょっと考えてみる!
もし続きを書く時は、次こそ必ずエロで!
お待ちしてます
過疎ってるなぁ
すごく短い泉×篠岡投下します
パチンッパチンッ!
むき出しの臀部に腿が打ち付けられる度に、汗ばんだ肌が張り付き音が高らかに鳴る。
その音にかき消されそうにかすかに響く、ぬちゃりぬちゃりと粘膜が擦れ合う音。
本来聞こえるはずの喘ぐような声は聞こえず、教室の片隅で二つの影が蠢いていた。
昼休み人目を避けた空き教室の片隅で、人がいるのがばれないように声を立てずに求め合う。
「・・・っ・・・っ!」
必死に声を出すのを堪える表情の篠岡を、泉が黙って覗き込み満足げに唇を引き伸ばす。
ゆったりした篠岡のチェニックは首元までめくれ上がり、その下のスポーツブラも押し上げれられていた。
篠岡の流れるような背中の窪みに、泉は腰を動かしたまま口づけて
両手を前に回して篠岡の乳房を手のひらに包んだ。
そのまま、打ち付ける動きに合わせてその手をこねくる回すように動かしていく。
声を必死に堪える篠岡が顔を仰け反らして快感に耐えると、白いチェニックが泉の頭にふわりとかかった。
膝が震えて倒れそうになる篠岡に気づいて、泉は手を腰に回して抱え上げるように引き寄せた。
「イった・・・? なぁ篠岡?」
荒い息を吐きながら泉が小さな声で問うと、篠岡はかすかに頷いた。
泉は満足げに笑うと、両目を閉じて自分の精を吐き出す事に集中した。
「ヒドイよ。泉くん。こんな所で・・・」
ゴムと丸めたティッシュを小さなナイロン袋に包んでその口を丁寧に縛りながら篠岡は力なく泉を非難した。
昼休みが終わるまでまだ5分とちょっとある。
二人は教室の隅に座り込んでしばしの時を過ごす。
「そんなコト言って、ちゃんとゴミ袋用意してんだったら、お前も期待してたってコトだろ?」
意地の悪い泉の言葉に篠岡の頬は真っ赤に染まりきゅっと唇をかみ締めた。
「オレだって、お前がホントにヤならやんねーよ」
「そんなの・・・でも・・・だって・・・」
「でもでもだってうるせぇな。オレ知ってんだぜ?」
その言葉に篠岡が怪訝そうに泉を見ると、勝ち誇ったような泉の両目と合った。
「お前がそのブラしてん時は、OKの日だろ?」
「なっ!? そ、そんなことないもん!」
ニヤニヤと笑う泉に、篠岡は思わず両手で胸を押さえて声を荒げた。
スポーツブラは確かにホックがない分、しやすい事には変わりない。
だが、締め付けが少ないスポーツブラは楽だからつけているだけだというのに。
「じゃ、じゃぁもうコレつけないもん・・・」
「あー。シたくないなら、そうしろよ」
楽しそうに笑う泉に、篠岡は思わず拳を振り上げて叩く振りをすると、
泉はつかさずその手を捕まえて引き寄せてそのままキスをした。
軽く唇を離してじっと泉が篠岡を見つめる。
「何だ、お前からのアピールだと思ってたんだぜ?」
「そ、そんなことありません!」
至近距離の目線に必死に目を逸らしながら篠岡は強がりを言った。
泉は声を立てずに笑い続けて、やがて予鈴の音と共にふたりはそっとその教室から立ち去った。
数日後の朝、篠岡はベッドの上に自分の下着を並べて、件のスポーツブラを手に取った。
終わり
イイね〜え!
GJ
イズチヨはなかなか拝めないから有難い
チヨちゃんが
誰と何処で何を??↓
ハードル高っ!
323 :
319:2008/07/04(金) 21:58:02 ID:OMY9Qr9U
324 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/05(土) 01:15:18 ID:wwXpNoAJ
何という萌えシチュ
楽しみだ
325 :
319:2008/07/05(土) 01:16:13 ID:HvLXIOhU
連投になるが
「千代ちゃんが沖と部室で強制フェラ」
受け入れがたい人はスルーよろしく。
326 :
オキチヨ:2008/07/05(土) 01:16:45 ID:HvLXIOhU
「人が来たら・・・どうすんのっ?」
「大丈夫だよ・・・んっ・・・こないよ 多分」
「そんな・・・あっ・・・・わかんないよ?」
「声を我慢したら、いいと・・・はふっ・・・・思うよ?」
「そんな・・・ッあっ・・・!!」
「ダメだよ、・・・んっ・・・声・・・出したら・・・ね?」
「あっそこっ! ・・・・はっ・・・くっ・・・む、ムリだ・・・」
「あ・・・でも・・・沖くんの声・・・・好き・・・」
野球部は解散していても他の部はまだ練習中だ。
部室棟の壁は薄く、声を潜めていても隣に筒抜けだ。
もし、隣に人がいたらの話だが。
人気のない部室の、カーテン越しの夕日がかすかに照らすの薄暗さのさらに暗い片隅で。
床にへたり込んだ沖の股間に、篠岡が顔を埋めていた。
「ふっ・・・っ!!」
こらえ切れず漏れる自分の声に、沖が慌てて自分の口を手で押さえて我慢を試みる。
その間も、篠岡の舌は執拗に沖の陰茎を攻め立てていた。
根元まで口に含んだ後、ねっとりと唾液を絡ませながら両唇で挟むように顎を動かす。
篠岡の口から窪みが姿を見せ、ゆっくり、ぷくりとした形が姿を見せると、
篠岡はその先端に唇を押し付けてちゅっと音を鳴らした。
沖の肩がビクンと震える。
つつっと唇をずれて、舌が膨らんだ根元の筋に沿わせて丹念に動くと、つつぅっと唾液が垂れていった。
「くっ!!」
篠岡の耳に零れた沖の吐息が届く。
自分の中に沸き起こる嗜虐的な気持ちに篠岡はふっと笑うと、体をわずかに動かして顎の角度を変えた。
真っ直ぐ沖を見上げながら、改めて沖のソレを口に含む。
「し、しのおっかっ!・・・」
真っ赤な顔で目尻に涙を浮かべた沖が、潤んだ目で篠岡と目を合わせる。
「気持ちいい? 沖くん」
困った表情の沖が、眉を歪ませながらコクコクと頷くと、篠岡は心底嬉しそうににっこり笑う。
その幸せそうな篠岡の表情に、沖は困り果てて目をぎゅっと閉じた。
「何で、篠岡こんな・・・ことできんの・・・?」
「だって、沖くん、かわいいんだもん」
再びにっこり笑った篠岡の、初めて会った時から何一つ変わらない笑顔に
沖はかける言葉が見つからず、さらに困り果てた。
再び口に含まれて、沖の思考は快感に跳ね飛ばされる。
明るく可愛いマネジに憧れて、気がつけば好きになっていた。
自分なんかに振り向いてもらえるとは思わず諦めるつもりだった。
それでも望みは捨てれず、僅かな可能性に期待していたら、奇跡が起こった。
はにかむように笑う篠岡に、こんな幸せが自分に起きた事が信じられなかった。
手を繋ぐまで1ヶ月。
キスをするまで3ヶ月。
それ以上進むことに沖が生来の気弱さも手伝って躊躇していると、篠岡が行動を起こした。
押し倒され、主導権を握られて一方的にリードされて終わった初体験。
後手後手に回ってしまった事に、沖は男としてのプライドはズタズタになってしまった。
それ以来、そっち関係に置いて、沖は篠岡のされるがままになっていた。
ミーティングのみで解散した今日。
用事があるという篠岡についてきた部室で。
篠岡に無理矢理フェラされて逆らえない。
逆に篠岡を押し倒し返す勇気も出てこないまま、沖は篠岡にいいように弄ばれる。
「ふっ・・・しの・・・おかぁ・・・」
沖の弱々しい声に篠岡は限界を感じ取り、筋を舌で舐め上げながら再び見上げた。
「イきたい? 沖くん・・・?」
空気の震えさえも、狂おしく沖を刺激する。
沖は力なく篠岡を見下ろしながら、せめてもの望みを口にした。
「・・・イれたい・・・」
篠岡は一瞬目を丸くして、パチパチと瞬きした後いつもと同じ笑顔を沖に見せる。
その後、意地悪な目つきに変わり妖艶に笑った。
「ダ〜メ。今日は沖くんが一人でイく日」
そう言うが早いか、篠岡はかぷっと沖を口に含み、今までにない強い刺激を与え出した。
「うっ・・・っあぁっ!! ・・・っふ!」
肩を震わせながら沖が必死にその快感に耐える。
篠岡の顎の動きに合わせてじゅっと音が鳴り、窄められた頬のへこみが沖の視界に映る。
強く吸い付く篠岡の舌は沖からすべてを絡み取り飲み込む勢いだ。
絶え間なく繰り返される篠岡の上下運動に、沖はこらえきれずに精を開放した。
じゅっじゅじゅっと擦れた篠岡の唇から音が漏れ、こくんと嚥下する音が響く。
沖は肩で息をつきながら、諦めきった眼差しで篠岡を見下ろした。
満足そうな表情を浮かべながら篠岡が身を起こし、手の甲で唇を拭う。
「よかった?」
沖に顔を寄せながら、いつもの笑顔を浮かべる篠岡。
射精後のけだるさに身を任せながら、沖は押し付けられた唇を受け止めて、
差しこまれた篠岡の舌に自身の舌を絡めた。
さっき自分が放った精のえぐみが沖の喉の奥に落ちていく。
自分にきゅっと抱きつく篠岡の身体に力なく腕を回して抱きとめながら、
いつかこの力関係を覆さすことができる日が、来る事を天に祈った。
終わり
うん。要は 千代ちゃんが沖に強制フェラだったんだ。
本当に反省してる許してください。
もう消えます バッハハーイ ノシ
なんだよー消えなくていいじゃんかー
えろかったしよかったよ乙
仕事はええwwww
消えちゃいやだいやだ
「職人」って、こーゆーことだよなぁ
スゲェ
たじちよ とか かくひといないんかな
wiki見たらけっこうあったタジチヨ
>333
私は描く方専門なんすよ 文才はさっぱりorz
>334
もっともっと読みたいのですv
具体的な妄想を書くと、職人さんに拾ってもらえるかもよ?
保管庫にあるかっこいい田島もだいすきだけど、
田島のあの子供っぽさもちゃんと残してるのとか
しのーか大好きー!な感じが出てるのとか 読めたら いいな なんて
でもどんなタジチヨでも好きですっ
なんと絵とな
エロ絵も狂おしく希望!
┌──────────────
┤ロカモモ続きが読めますように
└──────────────
一日遅れで星に願いをかけてみる
保管庫もあることだし、過去の続編とかシリーズとか
気軽に書いて頂けると嬉しいかも。
あと、写真のイズチヨ好きだったので気になってる
アベチヨ読みたい。
ヘタレな阿部を読みたいw
千代以外がいい
テスト
こんばんは、それとお久しぶりです。303です。
生存報告を兼ねて短編を一本投下します。
花井の話です。
それでは投下します。
くちゅくちゅとかちゅぱちゅぱなどなど、そのような今まであまり耳にしたことがない音が自分の鼓膜を叩いてくるのを、
西浦高校野球部主将である花井梓はぼんやりと感じ取っていた。
頭がはっきりしない覚醒していないというか、端的に言い表せば夢と現実の狭間に身を置いている――早い話が起きる寸前
の一番気持ちがいいと言えなくもないそんな時間であったはずだった。
(……っだよ。まだまだ眠てーって……。まだ起きる時間じゃねーはず……って)
しかめていた眉根をほんの少しだけ戻して、ベッドから身を起こして枕元の目覚まし時計の所在を確かめようとしたところ
で気付いた。
――オレの部屋じゃねぇ?
小学校低学年のころに両親が綿密な計算の上でローンを組んで移り住んできたマンション。その今まで寝起きしてきた部屋
とは違う。小学校入学時に買ってもらい、今の今まで大事に使って世話になってきている学習机も見当たらない。高校生らし
いマンガと参考書などが混在して並べられている本棚も、ない。
――第一、オレの部屋はここまで汗臭くねーし
部屋の脇に並べ立てられた独特の光沢を放つ細長いグリップから徐々に太くなっていく物体――即ち金属バット。
黒いプラスチック製のカゴに入れられたいくつもの硬球。そのどれもが土埃で汚れているが、よく補修されて大事に使用さ
れてきていることが窺えた。
ようやくのことで頭がまともに起動してきたように感じられてきた。
いつものTシャツとスウェット姿という寝巻き姿ではなく、花井が身に纏っているのは野球の練習着だった。ブラックのア
ンダーシャツに、穿いているのは元の色は白だけど練習により泥だらけとなっている――そのズボンがない。というか、足首
にかろうじて掛かっている状態であるのに気付いた。
「はむんんっ、くちゅん、……ちゅるるるっ」
花井が今いる部屋、つまりは西浦高校の野球部部室の中央に据えられている大机から花井は身を起こした。
花井の股間に膝立ちとなって熱心に口唇にて男性器を愛撫している女性。彼女の長い黒髪がサラサラと揺れ動いている。
いつもはおさげにしているその髪形は、ストレートのままで白のシャツの上を泳いでいた。
ただひたすらに与えられてくる心地よい快楽に身を委ねてながら、まともに動き出し始めた脳みその処理速度が一段とスピ
ードを増していった。
(誰だったっけ、この人)
「ちゅっ……ふふ。どうかしら。気持ちいいわよね?」
女性が舌を這わせ続けていた若い勃起から顔を上げる。しかし、右手で竿の部分を、左手では二つの睾丸が入った大事な部
位をやわやわと刺激し続ける。
それが暴発してしまわないようにと抑えられているその動きがもどかしい。
「……? ……っ!? か、かかかかかっ」
性的快楽から紅潮していた花井の顔色が瞬時にして蒼白なものへと変わっていく。
「…………」
こめかみをぴくっとだけ動かした女性は、おもむろに右手の人差し指を赤黒く充血して先走り汁をとくとくと溢れさせてい
る亀頭部分の切れ込みへとねじ込んだ。
「っうっ!!」
敏感な、いや敏感すぎるところへの嗜虐性の強い行為だった。鋭い痛みを感じて花井は目を剥いて呻き声をあげた。
「ねえ、二人きりのときの呼び方は違ったはずよね?」
鈴口付近を更に嬲り続けながらに跪いていて立場は下かと見えた女性は問いかける。
「も、百枝さん……? っう……っ!」
「ねえ、わざとなの? それならこっちにも考えがあるわよ」
「や、やめてください、まりあさん……」
その呼称を耳にした瞬間に先ほどまでの表情とは明らかに異なる、優しげな色を湛えて、女性――百枝まりあは愛しげにし
て指で若干小さくなった亀頭を撫でていく。
まさに愛撫という表現がぴたりと当てはまる。そんな動きであった。つい僅かばかり前まで纏っていた可虐性の強い空気は
霧散していた。
「まださん付けなのね。まったくいつになったら呼び捨てにしてくれるのよ」
「えっ、ああ、いや、」
上目遣いに花井を見詰めるその瞳は明らかに不満そうであった。なにがなんだかわからなくて言葉を失っている花井をじっ
と見据えていたその視線は自らの手中にある生殖器へと移った。
「まあ、いいわ。それよりもさっきのお詫びにたっぷりと射精させてあげなきゃね」
「え……っ」
真っ赤な舌でぺろりとカウパー氏線液をすくい舐めていく。単純な男根は受けていた痛みを忘れて再び体積を増していった。
百枝の瞳が怪しく光る。一旦離して舌なめずりをして唇を濡らし、口を大きく開いて花井の分身を呑みこんでいく。そして、
じゅるじゅると卑猥な水音を部室内に響かせ始めた百枝は、勢いそのままに頭を上下に動かしてピストン運動を開始した。
「あくっ、じゅるるっ……くちゅるるるっ」
「くっうぅぅぅ……」
花井は自らの股間に顔を埋めてうまそうにして分身を吸いたててきている指導者を凝視していた。記憶はどうもはっきりし
てくれないが、今この瞬間に自分に訪れている快感は本物。それも経験したことのない快楽の津波が次々と押し寄せてくるの
だ。
若く健康的な男子高校生にとってその刺激は強すぎた。なにも余計なことを考える余裕などない。
いや、そんなもの最初からなかったのだろう。
とびきりの美人の部類に入るだろう女性が、自分をイカせることだけを頭に置いてあらん限りの技巧を花井の男の部分へと
注いでくる。
「ひもひいいんれしょ?」
男根の先端部分を咥えつつも、百枝は歯を食いしばって耐えている花井を見やる。顔面を紅潮させている花井は声をまとも
に上げることすらできずに、僅かばかり頷くことしかできない。
その余裕なさげな様子にいたく満足した百枝。ふふっと鼻を鳴らして男性器への奉仕を再開した。
「んっ……はぁぁん……、んふぅふぅんん……っ」
百枝は申し訳程度にして腰に引っかかっていたズボンを下ろして、ショーツのなかに左手を突っ込むと陰唇へと指を触れさ
せていく。その動きは徐々に激しさを増していく。
男性器を頬張ることによって起きていた音に、百枝が自己の女性器をまさぐることによって起き始めた音が加わった。
その二つの水音が奏でて作り上げる空気は、確実に二人の心を侵食していく。
花井は、尊敬している監督が自分にフェラチオをしてくれているだけでなく、オナニーをしてしまうほどに感じ入っている
ということに。
百枝は、目の前の男が感じ入っていることに自尊心を大いに満たされ、また自分は、はしたなく濡らしているということに。
いつもは和気藹々とした雰囲気に包まれている部室は、発情しきった男と女が醸し出す淫らな雰囲気に包まれていた。
「ま、まりあさんっ……オレ、オレもう、」
情欲に緩みきった男の哀願する声を受け、奉仕する女の行為はスパートに入る。
口に男根を頬張って舐めしゃぶり、根元付近からは右手でしごき上げ、左手で包んでいた睾丸二つを心持ち強く握った。
「あ……っ」
「んン……ッ」
百枝の口腔内は若い勃起が次々と吐き出してくる精液で満たされていく。
やっとのことで射精が収まったところで、百枝は花井の股間から離れると口内に頬張っていたザーメンを喉を鳴らして飲み
乾していった。
「……っ」
唇からちょっとだけ垂れてきた精液をぺろりと舌で舐めた百枝に、花井は思わず息を呑む。脳内から出された信号を受け、
だらりと力を失っていた勃起は、勢いを取り戻した。
花井の顔と股間を交互に見た百枝は、満足げに微笑んだ。
そして、立ち上がると花井が寝そべっている机へと上がり、顔の上に跨ってきた。右手の人差し指と中指にて大陰唇を開い
てみせてた。顔面騎乗の形であった。
止め処なく溢れてくる愛液。その局部を惜しげなく、また恥ずかしげもなく見せ付ける百枝は荒い呼吸を繰り返している花
井を見下ろしつつ、冷酷な声音で命令した。
「さあ、今度はあなたが私を気持ちよくさせる番よ……。舐めなさい」
「は、はい……」
花井は濡れそぼって男を誘惑してくる陰部へと首を上げていき、そして――。
「……てぇ」
抱き枕を力いっぱいに両手両足にて抱えて、カーペットに全力でキスしている。それが最初に花井が気付いた自らの状態で
あった。
まだ寝ぼけ眼のままに上半身を起こして辺りを見渡す。
今でも大事に使っている学習机。マンガと参考書が入り混じってお互いの勢力争いをして覇権を競い合っている本棚。花井
がずり落ちたシングルサイズのベッド。
どこからどう見ても、自宅にある自分の部屋であった。
「はぁ……」
嘆息しつつ立ち上がる。ベッドからダイブしたことによってジンジンと痛む顔面には、あえて意識を向けない。
「……いっ!? まさか」
いつものように元気に朝勃ちしている分身。それだけならよかった。そう、それだけなら。
股間に感じるねばねばとした不快極まりないあの感触。
枕元の電波時計を取ると、日付と時刻を確認。ぽいっと興味を失ったようにしてベッドに投げる。
「はぁ……。十七にもなって夢精かよ……」
股間の惨状を確かめた花井がつく息はどこまでも深いものだった。
こうして、花井梓にとっての十七回目の四月二十八日は訪れたのだった。
今日は週に一度のミーティングのみの日なので朝練もない。つまり、いつもよりもゆっくりとしていられる貴重な日だ。それ
でも一時も早く股間の気持ち悪い感触から逃れたい花井は、タンスから換えの下着をあさると取り出して、スウェットと汚れた
下着を同時に脱いだ。
それと同時に、ドアが開いた。それも随分と元気よくだ。
その主は花井の二人の妹たちであった。まだ真新しい制服に身を包んだ双子たちは、元気よく大好きな兄へと挨拶した。
「おにーちゃん、おはよー」
「朝だよー」
今年の四月から中学生となった双子。週に一度のこの朝練がない日だけは、兄と一緒に朝食をとって一緒に学校に行きたいが
ため(もっとも中学生と高校生だから途中までだが)、起こしにきていた。
今日もそのようにしたツインズ。
「…………」
「…………」
つい先ほどまでのかしましい空気はどこへやら。二人の視線は元気に勃起している兄の股間へと注がれていた。
同時に首を捻る。瞬きをしてお互いの顔を見合わせた。次に兄が握り締めている下着に移った。
「あれだね」
「うん。あれだね」
「お、おい」
おずおずと声を掛ける兄。その兄を華麗に無視したツインズは、これまた同時に回れ右をして兄の部屋から飛び出していった。
「「おかーさーんっ、おにーちゃんったら十六じゃなかった……十七才にもなってお漏らししてるーっ!!」」
「あっ、ちょっ、おまえら……っ!?」
どたどたと駆け出した妹たちへと差し出した花井の右手は、虚しく空を切った。
兄としての威厳それからプライドなど、その他諸々が一瞬にして崩れ去った朝であった。
「ねー、お母さん。お兄ちゃんったらお漏らししちゃったんだよー」
「ちょっと……ううん。かなりおかしいよね? でもオシッコの匂いじゃなくて、なんだろ? イカ……かな。うん、イカみ
たいな匂いがしたんだよねー」
「えっ、ええ……。そう……」
花井家のダイニングキッチンでは家族六人が勢ぞろいして食卓を囲んでいた。お漏らしではなくて年頃の男の生理現象である
夢精だということを知らないツインズは無邪気に笑っている。
茶碗へとご飯をよそっている花井母は口元を引きつらせていた。今にも吹き出して爆笑してしまいそうになっており、緩みそ
うになっている頬の筋肉を叱咤激励して堪えている。
「……母さん。お茶をくれないか」
新聞を読んでいる花井父は、広げた新聞によってどのような顔をしているのかわからない。であるものの、声の端々が震えて
いるのは隠しようがない事実だった。
祖母はあらあらこまったわねと微笑みつつ、のんびりお茶をすすっている。
食事はできるだけ家族一緒で――という決まりごとにより席を立つことができない花井は、不機嫌さを隠そうともせずにただ
ひたすらに黙々と箸を動かし続けていった。
「えっとね。なんて言えばいいのか、お兄ちゃんのはお漏らしじゃなくてね……」
「学校行ってくる……ッ!!」
無意識下における事故とはいえ、自らが引き起こしたことで性教育が開幕する状況にいたたまれなくなった長男は、逃げるよ
うにして席を立ち鞄片手に家を飛び出していった。
教室の窓際の自分の席にて花井はぼけっとしていた。ちなみに授業中であり、科目は野球部顧問兼部長の志賀が担当している
数学であった。
軽快にチョークを黒板に走らせながら、書き上げていく計算式の説明をしていく志賀。いつもの花井ならば得意科目の数学で
あるため、他の授業よりも集中して受けているはずなのだが、とても今の花井はそう見えない。
一見、教科書とノートをしっかり広げて真面目に授業に臨んでいる姿であるがに、どこから見ても集中力を欠いてしまってい
るようにしか見えなかった。
(なんで、モモカン相手にオレは……)
朝から何度となく繰り返している自らへの問いかけだった。ここまで鮮明に覚えている夢というのは珍しいことだった。
二年生に進級したことで野球部にも新一年生が入部してきて後輩ができた。それにより、主将である花井はしっかりと引っ張
っていかないとと一年のころよりも気合を入れて毎日の部活に励んでいる。
積極的に声を出すのはもちろん、持ち前の面倒見のいい性格を発揮してまだ慣れていない一年生のフォローをしたりとしてお
り、一日が終わるころにはすっかりくたくたになっている。
そのため、家に帰ると食事と入浴を終えると泥のように寝るという状態が続いていた。なにかしらの夢を見ているのだろうが、
今日のようにして鮮明に覚えている夢というのは、かなり久しぶりのことであった。
(んー、なんであんな夢見たんだろな……)
顎に手をやり俯き加減に考え事に耽る。その考察対象は百枝だ。
花井にとって百枝の存在は尊敬する監督ということに過ぎなかったはずだった。ファーストインプレッションから女らしから
ぬ部分を多々見せつけられて、まず恐怖の感情が圧倒的に独走した。
それから今日に至るまでの一年の間に多くのことを教えられてきた。野球のことだけでなくて実に様々なことを学んできたと
思う。野球の技術はもちろんだが、一人の人間としても大きく成長できた。
(やっぱ、あれだよな。うん、あれだよ)
尊敬できる、無条件でついていきたくなる上司。
これが一番当てはまるものだろうと花井は考えている。こちらが何故ここまでしてくれるのかと感じるほどに熱心に親身にな
って指導をしてくれる。
百枝も若い一人の女性なのだから、いろいろとやりたいことは他にもあるはずだろうに。自分たち野球部員以上に全てを捧げ
て尽くしてくれている。
お金だけでなく、それよりも大事だろう時間も。
自分が今まで出会ってきた指導者たちよりも遥かにこの人の力量はすごい。
この人についていけば、自分たちはどこまでもいくことができる。
尊敬の念を超えて心酔しているという表現のほうが正しいかもしれない。
その結論に改めて至ったことにより、もともと真面目で潔癖なところがある花井は、今朝の自分のことを恥じた。そして、猛
省をした。
(すんません。監督――)
花井は心のなかで頭を下げた。が、そこに出てきた百枝は今朝見た夢のあられもない姿であった。
「あーっ、もう! ちげーだろ、オレ……ッ!?」
ガタっと席を蹴立て絶叫した花井。授業中のため、黒板とそれに書かれた数式を解説していた数学教師へと注がれていた幾重
もの視線は、瞬時にして声の主のもとへと殺到した。
「えっ、あっ」
その状況に気付いた花井は羞恥心から顔を赤くして滝のような冷や汗を流す。昨年から同じクラスである阿部や水谷も訳がわ
からないというにしてぽかんとしている。
「花井」
「は、はいっ」
チョークを静かに置いて口を開いた野球部責任教師に、ひたすらに恐縮する部の主将。
「大声を出すのは部活のときだけでいいからな」
教室中に笑いが響き渡るのであった。
放課後。
週に一度のミーティングのみの日とあって、野球部員たちは視聴覚室に集合して日ごろの練習のことや、それにおける改善す
べき事柄などを熱心に話し合っていた。
司会進行役を務める主将の花井は、平常心でいることを心がけていた。だが、どうしても少し離れた場所で議論を見守ってい
る百枝へと目が行き、顔を赤くしては逸らすということを繰り返していた。
幸いなことに熱心に意見を交し合っている他の部員たちが、どこか様子のおかしい主将を気にすることはなかった。
「よし。こんなとこだな。起立っ!」
程よく今週の方針がまとまったところで花井が号令を掛けたことにより、総勢三十名となった部員が立ち上がって、百枝と志
賀へと向いて一斉に挨拶をした。
解散となったため、出入り口へとぞろぞろ向かっていく同級生たちと後輩一同を花井は疲れた様子で見送っていた。
(欲求不満なのかな、オレって……)
どかっと腰を下ろしたことで、パイプ椅子はぎしっと悲鳴を立てつつも律儀にその役目を果たしている。花井はおもむろに鞄
からクリアファイルを取り出すと、それから数枚のプリントを引き抜いた。
どうせ視聴覚室の鍵を返すのは主将である花井本人なのだから、宿題でも適当にやって時間を潰そうとでも考えたようだ。今
朝のことがあるので家にあまり早い時間帯に帰りたくないという思いからの行動であった。
筆箱からシャーペンと消しゴムを出して勉強の準備を整える。続いて眼鏡をかけてプリントへと目を落とした。
(部活で疲れてっけど、適度に抜いてはいるしな。それに好きな女って今いねーから、そんなわけないと思うんだけどなー)
教科書にある解き方の一例を参考にし、すらすらとプリント上にシャーペンを走らせる。流石に得意科目としているだけあっ
て、特別つまったりするようなことはなかった。
「……つーか、こんな余計なこと考えてどうするよって話だよな。オレが浮ついてちゃまずいだろ」
脳裏に今年入ってきた新入部員たちを思い出す。自分たちの代の倍となる人数が入ってきたことで思わず気圧されたりもした
もので、なおかつ実力的にもあなどれない人間が少なからずいる。
なんでも阿部や栄口といったシニア出身者が、中学のころの所属チームに顔を出すがてらにスカウト活動の真似事をしていた
らしい。
でも、いろいろとハンデを抱える公立校に来るはずないだろうと二人は半ば考えていたそうだが、昨年の花井たちの活躍を球
場まで観戦に来ていた者たちがいたらしく、興味をもったらしい。
いわく、先輩たちが一学年上だけで少ししかいないから、あまり上下関係が厳しくなさそうで、のびのびとやれそうだとか。
いわく、甲子園に行くなら強い私立から行くよりも、そこをぶっ倒して出たほうがカッコいいだとか。
そのような実力も兼ね備えた猛者もいる。県内有数の強豪私学からの誘いを蹴ってまで普通の公立校である西浦を選んだのだ
から、酔狂というほうが近いかもしれない。
「……さっさと宿題片すか。帰って走り込みと素振りしねーと」
「居残って宿題をやるだけでなく、自主トレのことも忘れてない。うちの主将はホントに感心ね」
「……へっ?」
突然、後ろから聞こえてきた声に驚く。今朝方から今までずっと花井の脳内の中心部に居続けている女性のものだ。
「かかかかかっ監督!!」
「ちょ、ちょっとそんなに驚くことないんじゃない? はい、これ」
百枝は花井の反応に驚きつつ、向かい側にあるパイプ椅子を引き出してきて座った。そして、手にしていた二つの缶コーヒー
を花井が勉強道具を広げている机に置く。
「えっと、これは……?」
「ん? 別に深い意味はないわよ。ちょっと花井君に話があるのを思い出してここに戻ってきてみたら、勉強してるみたいだ
ったからね。手土産の一つでも持ってきてあげなきゃって思ったわけよ」
そのままに百枝は、どちらを選ぶかと花井に目線で問いかける。花井がおずおずと片方を選んだことで、選ばなかったほうを
持つとプルタブを開けて中身に口を付けていく。
「んくっ、んくっ……ふぅ。ん、どうしたの?」
「へっ、い、いや、なんでもないっス! いただきます、ゴチになります!!」
訝しげな顔をした百枝にこれ以上不審がられないように、缶コーヒーの一気にぐいっと呷っていく。
なんというか、ほとんど味がわからない。
――言えるわけないだろ、監督の口元を見てて夢でフェラしてもらってるとこ思い出しちまったなんて
ほんの数秒のうちに缶コーヒーを飲み干した花井は、自分に話があるという百枝にそのことを聞き返す。
「あっ、そうそう。花井君、これから時間ある?」
「時間、ですか? はい。家に帰るだけっすから」
「そっか。じゃあね、私についてきてくれる? いいとこに連れて行ってあげるから」
「……っ!?」
微笑んだ百枝。今朝の夢のことがある花井は戸惑いと、それ以上に期待している自分を隠すことはできなかった。
「さあ、なんでも好きなもの頼んでいいからね! 大盛りチャーシューメンに替え玉も何回注文してもいいし、ジャンボギョ
ーザなんてのも頼んでいいわよ!」
「…………」
「普段から頑張ってくれている花井には、先生からは大盛り焼き飯をご馳走しよう! 焼き飯が嫌いだったら、カツ丼とかで
もいいぞ?」
「…………」
思春期真っ只中にある少年の脳内に展開されていたような、未成年お断りな展開などになるわけなどなく。
花井は西浦高校の近所にあるラーメン店へと、百枝と志賀から連れられてきていた。西浦高校関係者はもちろん、近隣住民か
らも愛されている店で、特に部活が終わったあとの運動部員が多く訪れる店だ。
安くて美味くてメニューも豊富……と、賑わわないはずのない店内は今夜も盛況であった。その決して広くはない店内の貴重
なテーブル席にて、四つの席に着いている面々は、花井・百枝・志賀・篠岡の四名であった。
百枝が花井を誘った理由。それは実に簡単なことであった。誕生祝である。
昨年は部員が誕生日を迎えるたびに、全員をこの店に連れてきてラーメンを振舞っていた百枝と志賀であるが、新年度になっ
てからは断念せざるをえなかった。
三十人もの部員をこの広くはない店に連れてこれるわけがない。それに毎回そんなことをやっていたら経済的にも非常にまず
い。だが、なにもしないというのはしみったれすぎるだろう。
それなら、せめて誕生日を迎えた人間だけを連れてきてご馳走しよう。
というふうに落ち着いたのであった。
ちなみにマネジャーの篠岡は、部員一人と大人二人だと緊張するだろうからという計らいの下、毎回ご相伴に預かっている。
「ほら、花井。なにも遠慮することはないんだぞ? 先生、給料日からそんなに日が経っていないからな」
「……うす」
志賀からばんばんと叩かれてくる肩が地味に痛い。
『先生はオレの隣にいる篠岡を連れてどこか行ってください。モモカンと二人っきりにしてください』
などと言えようはずがなかった。
(つーか、今日はオレの誕生日で去年のこともあるんだから、予想できたことだろ。なに舞い上がってたんだろな、オレ……)
そっと嘆息を漏らした花井は、メニュー表を開いた。
帰宅後。さっさと風呂を済ませて部屋に引きこもった。今朝方に自分がやらかしたことがあるので、リビングでの家族団らん
に参加しようという気にはとてもなれなかったからだ。
明日の準備を済ませてベッドで寝転がっていると、欠伸が出てきた。枕もとの時計を見ると、寝るにはまだ早い時間帯であっ
た。
それでもせっかく眠気が訪れてくれたのだから、素直にその欲求へと屈することにする。照明をリモコンで消して、横になっ
た。
(監督が女として好きとかってのはない……と思う。でもいい女ってのは間違いないし、好きか嫌いかって話なら、そりゃあ
好きだ……いやいや。そうじゃなくて)
頭へと手をやってため息を一つ。
「ああ、もうなにがなんだかわかんねーよ。さっさと寝よ……」
ふうっと息を漏らした花井は、最後にもう一度だけ独り言ちた。
「あの人がしてくれてるように、オレも最後まで野球部に全力で尽くす。そういうのは全部終わったあとだ」
翌日の花井家――。
「「おかーさーん、おにーちゃんったら……えっと、なんだっけ。あっ、あれだ! 二日連続でムセーしちゃってるー!」」
「……ッ!!」
苦労性である主将。学校だけでなく、本来なら心休まるはずの家でも安穏とできる時間は取れなさそうである。
とりあえず、今しばらくのところは。
(終わり)
以上で投下完了です。お付き合いいただいた方、お疲れ様でした。
いろいろと立て込んでおりまして、しばらく来れませんでした。
ハルスズに関しては、PCからデータが消えてしまいまして、まだ時間が掛かりそうです。でも、ちゃんと完結は
しますので、もう少し気長にお待ちください。
それでは。
お兄ちゃんかわいそうっ♪ (´∀`)/`*:.+":.
303氏お久しぶり&乙&GJ!!!!!!!!!!!!!!!!
花井の振り回されっぷりがたまらんです。
ハルスズも完結予定ありと聞いてホッとしたし
気長に待ってるよー。
303さんの生存報告&良作キター--------!!!!!!!!
ハルスズの続きマジで楽しみにしてます!
すごい楽しく読ませてもらいましたGJ!!!
可哀想だがやっぱ花井はこうでなくっちゃwww
遅ればせながらオキチヨのひともありがとう
個人的には力関係は当分覆らない方希望w
苦労性な主将に噴いたwww
しかし連日の夢精って…絶倫だな…
久しぶりの花モモ!
やっぱ花井は片思い似合うなw
有難うございました〜!
保管庫見てたんだが
本誌では水谷→千代フラグが立ったし
以前からちょいちょいそれっぽい描写もあったわりには
ミズチヨの作品数って、そんなにないんだな
展開次第だが今後増えたりするだろうか
するといいなと期待
420氏のサイト、告知残して休止しちゃったのか
まさかと思うけどパryなのか…失礼なこといったならすまない
サイト見て来た
・「コピペ改変」ではなかったが
・「設定流用」に限り無く近いところはあったのを認める
ってことなのかな
設定流用も相手方の了承済みなら問題ないんだろうけど…
無断流用をパクリと考えるかどうかとか
パクリの定義とか
保管庫の作品はこのまま公開で大丈夫かとか
色々考えて、訳わからなくなってきた
教えてエロい人
420って何だ?
アベチヨです。しのーかの性格等、捏造してます。
その日の阿部はついてなかった。
じゃんけんで負けて、授業で使ったボールとビブスを体育倉庫に片付けるハメになり、
ちっとも面白くない。
鍵は女子が持ってると教師に言われたので、直接向かうと調度ドアを開けていた篠岡がいた。
「お前もじゃんけん負けたのか?」
「じゃんけん?」
篠岡が振り返り、両手に道具を抱えた阿部を見て笑い出した。
「阿部くん、2組分の男子でやって1番じゃんけん弱かったの?」
「勝負運をこんなつまんねーことで使う訳にいくか」
負け惜しみを言いつつ先に倉庫の中に入る。マネジの性分で自発的に片づけを引き受けた篠岡も
ライン引きを持って続いた。
阿部が荷物を元の場所に戻していると、既に用事を済ませた篠岡が後ろに立っていた。
「終わったんなら先帰れよ。鍵は俺が返しとくから」
「ううん、ちょっと……。阿部くんに話があるんだけど、いいかな」
いつも笑っている篠岡と違い、少し緊張気味で様子が変だった。こんな時に言ってくるのだから
他の部員がいる時に話せない悩みだと思い、阿部は頷いた。
「俺でいーなら聞くけど」
「あ、外には出ないで。ここで」
「ふーん?」
篠岡が手伝ってくれて、ビブスを色分けして片付けた。
阿部は礼を言って、周囲を見回した。話をするにしても、ホコリまみれで息苦しい空間だ。
今は昼休みだからちょっとくらい遅れても問題ないが、篠岡の用件は時間がかかる重い内容
なんだろうかと気になった。
「で、話ってなんだよ?」
「えーと……」
篠岡の声が細くなる。
この時点で、阿部は告白されるとは全く考えていなかった。
というのも、クラスメイトやマネジとして篠岡を認識する以前に、モモカンに会ってしまっている。
奇跡的なプロポーションにあの美貌。大人の色気と子供のような笑顔を持つ才能溢れる女性が身近に
いて、今更同学年の女子など目に入る訳がない。
とはいえ、別に付き合いたいとかいう下心ではなく……もちろん、誘われれば別の話だが、女として
見るというよりもモモカンは憧れの女性で、試験勉強の時期などは姿を拝むことも叶わず辛いほどだ。
篠岡の話で他の部員が盛り上がれるのが阿部には理解出来ないほど、マネジは眼中になかった。
だから篠岡に、
「阿部くんのこと、好きなの」
とストレートに言われた時も、
「俺もみんなも篠岡には感謝してるから、辛いことあるだろうけど頑張ってくれ」
とズレた返事をしていた。
「みんなも?」
怪訝な表情で篠岡が聞き返す。
「しょっちゅう可愛いとか彼氏いんのかとか、本命誰だとか気にして話してるからさ」
「だから、阿部くんなの」
「俺がなに?……って、はあぁ?」
青天の霹靂。
なんでだ?部活以外の会話、全くねーよな。俺は篠岡を女として見た覚え1回もねーし。
困惑の方が大きくて、阿部は眉間にシワを寄せて言う。
「なんで?」
「なんでって……。前から野球上手くてカッコイイなあって思ってたし、話が合って面白いし」
「合うっていうか……」
ミーティング時などに阿部が「最初は2年だろ」と言うと「そう、4回までです」と篠岡が補完する。
それが投手の話で、その高校の黄金パターンで、などという説明を吹っ飛ばしてるので、モモカンも
部員も一瞬だけ「?」になる。阿部に限らず男は褒められることに弱いが、篠岡も野球には詳しいから
雑談も大抵「そーだね」で会話は終わる。間違っても「阿部くんすごーい!」などと言ってくれる
ことはないので、楽しくもない。そもそも野球を熱く語る女は野球そのものより、選手や高校球児の
イメージに傾倒する割合が高く、阿部の趣味とはブレがあった。
「悪いけど俺、考えたこともねーから」
阿部の言葉に篠岡は黙り込み、悲しそうに瞬きをして頷いた。
「そうだね、ごめんね。今は野球だもんね。覚えててくれれば良いから」
そう言って、無理して笑顔を作る。可哀想なことをしたと思ったが、それでも言わずには
いられなかった。
「忘れるから、篠岡も忘れてくれ」
未だにモモカンに握られた手の感触を思い出して心が躍る阿部としては、部活さえ引退すれば
付き合えると勘違いされるのは困る。モモカンが居る限り他の女に目移りする可能性はないから、
ハッキリさせておきたかった。
「忘れるって……」
「時間の無駄だから」
「阿部くんが私を嫌うのは自由だし、私が阿部くんを好きなのも自由だよね?」
篠岡は時々、下手すると三橋より男らしい。そうだよな、と納得しそうになって、阿部は
かぶりを振った。
「言っただろ、俺以外の連中は篠岡のこと……」
他の奴と充実した高校生活を送ってくれと言いかけた阿部は、篠岡の行動に言葉を失った。
いきなり、着ていたシャツを脱ぎ出したからだ。阿部の頭の中が真っ白になる。
「篠岡っ!」
「彼女としてじゃなくて良いから」
そう言いながら、篠岡はジャージから足を抜いて、ブラのホックに手をかけた。
「初めては阿部くんって決めてたの。それさえ守れれば、どうなってもいい」
「何考えてんだよ、バカ」
俺だって経験ないのに、勝手に決めんな!
頭に来た阿部は、出口に向かおうとした。が、
「行っちゃうの?……叫ぶよ」
「は?」
脱いだのは篠岡で俺じゃねーだろ、とそのまま外に出ようとして、足が止まった。
……他人が見たら、自分が篠岡を襲った、と、思われ、る……?
すなわちそれは、たとえ埼玉県予選を勝ち進んでも、発覚すれば甲子園出場停止に繋がる。
ばっと篠岡を振り返った。
「篠岡、落ち着け」
篠岡の手から、下着が落ちた。ささやかな乳房が視界に入り、目が離せなくなる。
思春期真っ只中の高校生なのだ。モモカンの肉体には及ばないが、異性の身体に反応してしまう。
興味なかったくせに、と自分で自分に突っ込みを入れつつ、ふらふらと篠岡に吸い寄せられ、
気が付くと彼女をマットの上に押し倒していた。篠岡が抱きついてきて、何度も唇にキスされる。
大きな瞳に吸い込まれそうになり、甘く柔らかな唇がもたらす快感に、そのまま飲み込まれて
しまいそうな自分が怖くなった。
(俺、どうなっちゃうんだろう……?)
モモカンに童貞を奪われるシミュレーションは何百回もやったが、まさか同級生の篠岡に
誘惑されるとは全く想像しなかった。
「1回だけでいいから」
「は、いや、俺……」
「阿部くんも初めて?良かった」
篠岡が微笑した。普通なら、経験者の方が安心するもんだろうと阿部には意味が判らなかったが、
続いた言葉に凍りついた。
「男の人って、初めての女性は一生忘れられないって言うでしょ?」
「……ひゃ、し、しのおか?」
逃げ腰で、距離を取ろうとする阿部にしびれを切らせた篠岡は、阿部のぱんぱんに膨らんだ股間を
撫でた。満足そうに微笑み、ジャージと下着を下ろし始める。
「や、止めろっ」
「イヤ。クラスも部活も同じなのに、2人きりになるだけで何ヶ月も待ったんだよ?」
篠岡の指がペニスに触れた。やわやわと摩り、緊張して眉間にシワを寄せながらも珍しそうに弄ぶ。
阿部は、目を逸らすことも出来ず、目の前の光景に硬直していた。
「……こんなにおっきいの、入るのかな……」
まじまじと見つめられて、恥ずかしさに逃げ出しそうになる。
「し、篠岡……っ」
「想い出が欲しいの。1回してくれたら、それを心の支えにもっとマネジ頑張れるから。
迷惑かけないから、お願い」
思いつめた潤んだ瞳で言われて、突き放せなくなった。
覚悟を決めて、阿部は篠岡に向き合った。
「最初で最後だからな。あとでどっかに訴えたり、付き合ってるとか嘘言うんじゃねーぞ」
「うん、判ってるよ。ありがとう」
篠岡は目を閉じた。
さっさとやって忘れてしまいたい、と阿部は思った。
(モモカン、すんません……)
なんの義理もないのに謝りたくなった。流されるだけの、自分の弱さが悲しい。
篠岡の身体は柔らかく、肌は滑らかで、予想を裏切るほど気持ちが良かった。
強引に迫ってきたくせに篠岡は従順で、何をしても優しく受け入れた。
狭いそこは暖かく潤り吸い付いてきて、肉体的な快感に実感が薄れてゆく。
モモカンに比べ子供っぽい篠岡が眼中になかったのは確かだが、しがみつかれ何度も自分の名を
呼ばれると可愛いし情も移る。
「痛いか?」
「う、ううん」
冷や汗が全身を覆い、痛みで爪先まで突っ張らせながら震えているのに、篠岡は健気に微笑む。
必至で意識を逸らして耐えている篠岡が可哀想で、引き抜こうと腰を動かすと、篠岡の腕が
首に回った。熱い粘膜が締め付けてきて、一瞬気が遠くなった。
「止めない、で……」
吐息のような囁きに、最後まではやるつもりのなかった阿部の中の怯えと理性が吹き飛んだ。
身体を支えながら最奥まで突き動かして、激しく篠岡を揺らした。繋がっている快感と、
篠岡に呑み込まれてグチャグチャに熱く熔けてしまう恐怖に似た感覚。
熱い。篠岡の中に放出して、意識が朦朧となる。荒い息のまま篠岡の胸に顔を埋めて、その身体を
抱きしめた。
涙と汗で濡れた顔を指で拭ってやり、唇にキスを落とす。最初は触れるだけだったのが、激しく
吸い、舌でこじ開け篠岡が苦しがっても続けた。
1度だけの筈が、気持ちがそれだけではおさまらなくなった。
初めての異性の肉体に溺れ、最後まで離さなかったのは阿部の方で、いつまでも篠岡に執着
しているので、篠岡が苦笑した。
「もう行かなくちゃ。着替えて、ご飯食べて……んっ」
引き留めたくて、もう一度唇を塞ぐ。篠岡はそれも受け止めて、微笑んだ。
「ありがとう、阿部くん。絶対言わないし、つきまとったりしないから。これからも阿部くんは
野球に専念するんだよね」
「専念って……」
「そーいう阿部くんだから、好きになったの」
球児への幻想。恋愛より野球だとか目標の為にストイックになれる男だとか、こうであって
欲しいという願望を阿部に重ね美化している。
最初に約束した手前、今さら阿部の口から「付き合ってください」と言える筈もない。
するりと阿部から離れると、素早く服を着て篠岡は幸せそうに微笑んだ。
「一生の想い出にするね」
もう1度、礼を言って篠岡は倉庫を出て行った。
サバサバと過去に変えて前に踏み出す男前の篠岡とは正反対に、後悔に襲われ身動きが
取れなくなった阿部がひとり倉庫に取り残された。
確かに、忘れようがない……。
俺、野球に専念出来るんだろうか。
どこか他人事のように篠岡の感触を反芻している間に、阿部の昼休みは終わった。
おわりです。
おお、朝からGJです!
なんとなく長編でいうと起承転結の起を読んでる気分でした。
続編もちょっとみてみたい。
おおGJ!
確かに続きが気になる感じだ
GJ!
積極的なちよちゃんもいいな!
とてもGJです!!
つづき期待してます。
GJ!乙でした。自分から求める千代ちゃんいいな〜
最近、写真話のイズチヨのイメージがこびりついて妄想が止まらん・・・
この場合リレーとはいわんと思う。
前も写真イズチヨの続きを妄想して文章に・・・って書き込みあったような・・・。
折角、話題ずれたとこだが、この場合も
361-362辺りで話題に出てる「設定無断流用」になるんじゃないかな
ちゃんとイズチヨ作者さんの許可があって書くならまだしも
パクリとは言わないかもしれないが、ちょっと微妙なことになるかもと思う
373です。別に続編を書きたいというわけではなくて、
限りなくあのイメージが強い登場人物での妄想という意味合いだったんだけど、
設定流用というわけではないかな・・・どうだろう。
というか、このスレは1からいるんだが、
大分ブランクが空いてたので諸問題については深くは知らなかったので
あまり気にせずに書込みしてしまった・・・申し訳ない。今後は考慮します。
書込みしたのも初めてなので
>>376の言う前のは知らないけど
微妙な空気にさせてしまって申し訳ない。
もう少し発言に考慮します、では。
>別に続編を書きたいというわけではなくて、
>限りなくあのイメージが強い登場人物での妄想という意味合いだったんだけど
言いたいことはわかる
ただ、「限りなくあのイメージが強い」という部分が
具体的にどう文章化されるのか、書き方次第では
設定流用等に見えかねないかも、と思ったんだ
以前からパクリ疑惑があったり、
402氏の問題も最近話題になったばかりなので
こちらこそ過敏になって強い口調になったようで申し訳ない
設定流用等にならないくらい、別物に書けるなら
書いてもいいんじゃないかな
というか、そういう部分が別物なら、それはオリジナルって気もするんだが!
380 :
374:2008/07/15(火) 02:01:38 ID:QFvzEeoA
うわごめん特に深く考えての発言じゃなかった
写真のことじゃなくて、別に作った理由で篠岡を
追い詰めるなら雰囲気が似てても問題ないと思う。
ネタは被って当たり前だけど、特徴のある設定が被るのは避けるべきなんだろうね。
「写真をネタにエロエロ」→写真イズチヨの特徴
「写真をネタにアホなギャグ」→写真ネタが被っただけ
「別の秘密をネタにエロエロ」→別物、でも話が写真イズチヨクリソツだったらパ(ry
「エロエロでアホいギャグ」→もう全くの別物
あまり過去の投下作品が話題になると他の職人さんが
投下しづらくなるんじゃないかと心配になる。
モモカンが
誰と何処で何をどんな風に↓
三橋と部室で放尿
ものすごいハードルの高さだw
ハードル高w
投下の際は、「スカ」って注意書きよろwww
しっこって飲まなくてもスカ扱いなのか?
三橋がももかんがしっこしてるとこじっと見てなんか細かい感想とか言いながら
エロにもつれ込むSS書こうとしてたんだ実は
結局ハードル高くて書けてないわけだが
388 :
383:2008/07/17(木) 18:14:02 ID:OmczC3DK
>384 とりあえず了解した
389 :
383:2008/07/17(木) 22:34:21 ID:OmczC3DK
『モモカンと三橋が部室で放尿』
スカ!?注意
390 :
モモミハ:2008/07/17(木) 22:34:51 ID:OmczC3DK
カーテンを閉めているせいでほんのり薄暗い空間だった。
校内の人の気配がかすかに届く、どこか隔絶されたような静寂の中。
申しわけ程度に置かれていた机を挟むように、百枝と三橋が向き合って座っていた。
沈黙の中、百枝は机に頬杖をつきながらじぃっと三橋を見つめ続ける。
三橋は、ふらふらと焦点の定まらない目線をひたすら机の上に彷徨わせていた。
完璧にタイミングを失ってしまった百枝が、心の中でこっそりため息をつく。
三橋に普段からもう少し自覚を持ってもらい、エースとして部のムードメーカーになって欲しい。
三橋のマウンドへの飽くなき執着心と、普段の影の薄さの差を少しでも埋めたい。
花井や阿部から、三橋は割と頑固だと聞いているが、どこをどう見てもそうは見えない。
それを信じるとしても、まずは自分で確認しようと、こうやって呼び出したのはいい。
挨拶して、座って、さてこっちが黙ったら何分で根を上げて話しかけてくるかを試したら。
かれこれ数十分。
三橋はなんの言葉も発しない。
滝のように冷や汗を垂らしたまま、チラリとも百枝を見ようとしない。
引っ込みがつかなくなってしまった百枝は、どうすることもできずにただじぃっと三橋を見ていた。
やがて百枝の心に妙な胸騒ぎが起きてきた。
どこまでも気弱な三橋に対するイライラで、腹立たしさが生まれてくる。
舌打ちしたくなる気持ちが嗜虐心に変わるまで、そう時間はかからなかった。
さらに沈黙のまま時間が経過。
ひたすらじっと目線しか動かさなかった三橋が、僅かに身じろぎをした。
トイレに行きたいのだと百枝はすぐに察したが、ひとまず三橋が何かを言うまで見守る事にした。
しかし三橋は何も言わない。
身じろぎは次第に大きくなっていく。
それでも三橋は何も言わない。
三橋の膝がカタカタ震えて貧乏揺すりに移って行く。
目尻には涙が浮かび、唇をぎゅっとかみ締めながらそれでも何も言わない三橋に
百枝の嗜虐心がさらに膨らんだ。
百枝がガタンと音をたてて立ち上がると、三橋がびくっと肩を震わせて百枝を見上げた。
しかし、すぐに目を逸らし俯く。
百枝は足元に置いていたカバンの中からペットボトルを取り出し、一気に中身を飲み干した。
ぷはっと息を吐いた後、どっかりと向かい合っていた机に腰を下ろし、
空のペットボトルで三橋の顎をくいと上向けた。
391 :
モモミハ:2008/07/17(木) 22:35:29 ID:OmczC3DK
恐怖に見開かれた三橋の目が、百枝の目と合う。
百枝はこれが最後のチャンスだと心に決めて、三橋を試す一言を口にした。
「・・・なんなら、コレにしたら?」
三橋がそれを跳ね除けて出て行くことを期待しての行動だった。
暗い目つきの、冷たい口調のその言葉を、三橋はどう受け止めただろうか。
見開かれた目がさらに大きく見開かれて、やがてぎゅっと閉じられた。
震える手を伸ばしてペットボトルを掴んだ三橋に、百枝の中で何かがぷつんと切れた。
じぃと音が響き、三橋が自分のズボンのジッパーを下げた。
無地のトランクスが、開いた隙間から覗く。
三橋が限界に近いせいか、慌てながら布地の裂け目を探すと
何故か起ちあがっていたそれが勢いよくその姿を見せた。
いつの間に日が暮れていたのか、暗い闇の中で百枝が僅かに息を飲む。
天を向く自分のモノに三橋はペットボトルを押し当てた。
水音と共に、特徴のある匂いが部室の中にたちこめていく。
やがて三橋が肩を震わせて、小さく息を吐いた。
こぼさない様に気をつけて離したそれを、百枝が乱暴に奪い取った。
「あっ・・・」
やっと出た三橋の声だったが、百枝は乱暴にペットボトルにキャップを閉めて
先端を三橋の顔に押し付けた。
三橋が息を飲み、目が再び恐怖に彩られる。
「こうなったら、声を出す事も禁止よ。じゃないと、コレを飲ませる」
恐怖のあまり涙をあふれ出しながらコクコクと頷いた三橋に、
百枝はサディステックな笑顔を向けた。
百枝は手を伸ばして先ほどまで起ち上がっていたのに、今は元気を失くした三橋自身に触れた。
三橋の肩がビクリと震える。
しかし、言葉は何も発しない。
百枝は舌を出して自分の唇をぺろりと舐めると、おもむろに机から降りて三橋の前に膝をついた。
手の中の三橋の陰茎に優しく力を加えると、見る見るうちに元気を取り戻していく。
上下に擦るたび、三橋の口から息がもれる。
言いつけを守って言葉を発しない三橋を楽しげに仰ぎ見て、百枝は顔を伏せた。
「っ!!」
唇で先端に触れた拍子に、三橋が大きく息を飲んだのが気配で伝わる。
声を出さないように必死に快感を噛み殺している様子が、ますます百枝の征服欲を掻き立てた。
意識して唾液を出しながらペロリペロリと舌で嘗め回して刺激する。
三橋の、こらえきれずに鼻から抜けた息遣いが百枝の耳に届く。
一気に根元まで口に含むと、三橋の膝がガタンと震えた。
ぎゅっと根元を掴み、逃げられないように捕らえひたすら口を上下に動かしていく。
声を出す事を禁じられた三橋の、苦しそうな息遣いと、じゅっと漏れる音だけが
光の届かなくなった部室に響いていた。
支配欲に駆られた百枝がその動きをさらに激しくさせると、急に三橋がぐっと百枝の頭を掴んだ。
「!?」
百枝がびっくりした瞬間、口の中の三橋がひときわ大きく膨張し、
弾けんばかりに勢いよくその精を放出した。
頭を掴まれ、どくどくと口の中に吐き出されるそれをどうすることもできずに
喉に流れ込むそれを必死に飲み込んで、出し尽くした三橋が手を離した瞬間、
百枝も仰け反るように離れた。
気管の傍まで到達していたかけらを吐き出すように激しく咳き込んだ。
「げほっ!げほっ!」
やっと落ち着いた百枝が顔を上げると、暗闇の中で体育座りで蹲る三橋がいた。
肩を震わせて静かに泣いているようだ。
それでも、百枝の言いつけを守り声は出していない。
ある意味、意志の強い三橋に百枝は感心した。
『どこまでも逆らわない』というのは、それも一つの『意思の強さ』でもあるかもしれない。
つまり、頑固だと。
そんな考えに行き当たり、百枝は一人苦笑いした。
同時に、自分のしでかした行動に気づいて恥じ入った。
しかし、ほんの数十分の間にすっかり印象が変わったのも事実。
百枝は今だ静かに泣き続ける三橋に近づいて、そっと抱きしめた。
三橋の体がビクンと跳ねて、泣きはらした顔を上げた。
「三橋くんは、強いわね」
「・・・あっ・・・」
百枝の言葉に答えかけた三橋が、慌てたように両手で自分の口を塞いだ。
その手をそっと優しく掴み、百枝が頭を下げる。
「もういいから。・・・ごめんなさい。悪かったわ」
「あ、のっ! あ、・・・オレが・・・悪い・・・で、す」
決して百枝を責めない三橋に、百枝が泣き笑いの表情を見せた。
「三橋くんを見こんでお願いがあるの」
百枝の言葉に、三橋がぶんぶんと首が取れる勢いで縦に振った。
「今日の事、誰にも言わないでいてくれる?」
「う・・・っあっ! ハ、イ!・・・もち・・・・・ろ、んで、す」
「ありがと」
三橋の言葉に、百枝はほっとしたように笑い、立ち上がりかけたが、
その腕を三橋がぐいと引っ張った。
パランスを崩した百枝が戸惑ったように三橋を見ると、
マウンドでのみ見せる目をした三橋が、今日初めて百枝を真っ直ぐ見つめていた。
「あ、の・・・また・・・か わ、りに・・・」
言葉は短かったが、三橋の目にははっきりとした意思が浮かんでおり、
ノーとは言わせない強さがあった。
改めて三橋の頑固さを垣間見て、百枝は嬉しくなってにっこり笑った。
「いいわよ」
百枝の笑顔に三橋もつられて笑顔を見せた。
終わり
ハードルの高さを目的にされると・・・・・泣くぞ
じゃ逃げます。さようなら
>>393 逃げないでええええええええええ!
384ゲットしたかいがあったぜ!
ありがとうありがとう!GJ!
>>393 ペットボトルのくだりで笑いがこみ上げてしまったw
でも三橋なら有り得そうなのがまたなんとも言えずww
GJでした!
モモミハ好きなんだありがとう
>>365-368書いた者です。
書く予定ではなかったのですが、続編のリクエストに調子こいて書きました。
続きですがアベチヨではなくアベモモですので、合わない方はスルーしてください。
「じゃあ、野球部の中だったら誰?」
朝練が終わり、志賀が篠岡につきまとっていた。部員らは着替えながら半笑いで聞き耳を立てている。
「みんなカッコイイから選べません!選ぶ理由もないし」
彼氏の存在を聞かれて否定し、じゃあ部員から調達と志賀が言い出し、篠岡は優等生的な返事で逃げ
続けていた。志賀が篠岡をからかって遊ぶのはいつものことだが、今回はかなり突っ込んだ質問で、
ちょっと口を挟みにくい。が、みな興味津々だった。
「志賀先生しつこいです。なんで1番を決めなきゃいけないんですか!」
「海で篠岡が溺れたとするよね?その時に、篠岡が1番好きな人に人工呼吸させて上げるためだよー」
先生じゃ篠岡が可哀想だからね。先生ってホント良い人だなーと自画自賛する志賀に、
「埼玉にも甲子園にも海はありません!」
と篠岡が切り捨てる。部員らはとうとう吹き出した。
「シガポ目茶苦茶っ」
「モモカンに、1番篠岡にセクハラしてんのはシガポだって言いつけますよー」
「絶対娘に嫌われるタイプだな」
「またまたー。みんなの代わりに聞いてあげてるのに」
志賀は篠岡にイーッとされて苦笑した。
「キッチリ答えが出ないと嫌なんだよね、数学教師だから。そこの理系の2人もそうだよねー?」
突然矛先が向けられ、阿部は隣に居た栄口につつかれて「は?」と返事した。残りの1人は、
数学だけでなくオールマイティーな秀才・西広を想定していたらしい。
西広は笑いを堪えながら
「志賀先生、幸せな1人より不幸な9人を生むことが問題です。曖昧な方が幸いなことも
世の中にはいっぱいあります」
「ああ西広に振るんじゃなかった。阿部は?篠岡の本命、気になるよねー」
失笑がおきた。阿部は部活以外のこと、ことに恋愛には無関心で、マネジの話を部員らがやっていても
別のことを考えていて聞いていないのだ。
だから、いつものように「別に」と言い返すと部員たちは予想したのだが、この日の阿部は違かった。
「そーっすね」
一瞬、「え?」とみんなが阿部の言葉に驚いたが、阿部は疲れたようにため息をつくと、鞄を担いで
立ち上がった。
「お先ー」
マイペースに教室へ向かう阿部を指差して、志賀の大声が篠岡をそそのかす。
「はいっ、阿部もそー言ってることだし!」
阿部は、篠岡の本命が誰だか知っている。本人に告白されたからだ。それどころか篠岡に強引に
押し切られて、1度だけやった。そして、後日隙を見つけて言い寄った時は逃げられた。
余程自分が期待はずれで嫌われたり、篠岡が後悔してるのなら諦めもつくが、篠岡の熱っぽい
視線を頻繁に感じるのだから意味が判らない。
「野球部全員で海に行ったシチュエーションですよねー?」
観念したような篠岡の声が聞こえた。一瞬だけ、自分の名が出る可能性にヒヤリとする。
「監督。私が溺れたら、百枝監督に人工呼吸して貰ってください!」
やっぱりね、つまんねー、それはちょっと見たいかも、と好き勝手に感想を言い合う声を
背に、阿部は教室に向かった。
阿部が百枝に呼ばれたのは、その日の部活終了後だった。翌日から試験勉強で、練習は休みになる。
呼び出しの理由に心当たりはあった。練習中にも何度も雷が落ちたが、集中出来ていない。
篠岡が視界に入る時はもちろんだが、百枝の指導中に罪悪感で顔をまっすぐ見られないのだ。
やる気を疑われても仕方がない。
百枝には一方的な思慕であり、自分は恋愛対象ではないと理解していても、篠岡とのことは
裏切りに思えた。
かといって、篠岡にも未練がある自分が判らなくて、頭の中を掻き毟りたくなる程混乱していた。
他の部員らも、当然阿部の不調に気付いていて、「ご愁傷様ー」と同情しつつ帰って行った。
ベンチに座った百枝が、「阿部くんも座りなさいよ」と言ったが、阿部は断って立ったままだ。
百枝は苦笑した。
「阿部くんが私と目を合わさない理由、判るよ」
「え……?」
久しぶりに、阿部は百枝の顔を正視したと思う。目が合うと百枝はニカッと笑った。
「私の変な夢見て、意識してるとかだよね?私に思い当たる理由はなくて、急に関係がギクシャク
するなんて昔からよくあるし、高校生なんだからそんなの普通だって!」
あっけらかんと百枝が言い放つ。確かに、百枝で夢想する輩は多いに違いないが、そんな理由
ではない。勝手に自分を理解した気になっている百枝に、阿部は腹が立った。
「自分が男にどう見られるか、自覚あんですよね?俺が困った顔見んの楽しいっすか」
「え?」
予想外の阿部の反論に、百枝が怯んだ。阿部は畳みかける。
「美人が手ぇ握ってきたら、意識すんなって方が間違ってんだろ。俺だって監督を信頼してるし、
線引こうと頑張ってんのに。それをからかわれると結構傷付く。判ってんなら、こんな風に
2人だけになるようなこと、止めたらどーですか」
篠岡もそうだ。無理矢理やらせて夢中にさせておいて、あとは思わせぶりな態度で生殺しだ。
女なんか知らなきゃ知らないで、必要のなかった苦痛だってある。
部活が休みに入り、しばらくは顔を合わせないこともあり、阿部は取り繕うことは考えなかった。
だから百枝が、
「私が女だってことは変えられないし、指導のやり方も性別は無関係なの。私はどうしたら良いのかな?」
と問いかけてきても、
「俺がじゃなくて、監督が考えることなんじゃないですか?」
と強い口調で言い返していた。
本当はこんな反抗的な態度は取りたくないし、何かをして欲しい訳でもない。
百枝は阿部にとって憧れの対象であって、腹は立っていても離れ難くて、百枝を近くに感じていたい
ためだけにその場に踏み止まっていた。
「……してあげられることと、あげられないことがあるけど」
考え込んでいた百枝が立ち上がった。ついと阿部に近寄る。
「阿部くん、経験あるの?」
「な、なんすか……」
百枝の切れ長の瞳が、妖しく光り、射るような視線が阿部を捕えた。
「今まで付き合ってきた彼氏とこれから付き合う人に失礼だから、私は恋愛感情がない男とは
やらないの」
初めての合宿の夜が頭に過ぎった。あの時も阿部は、百枝の強い瞳に飲み込まれ、身動きが
取れなかったのだ。
「私のことどう思う?」
「尊敬、してます。男とか女とか、関係なく」
「女としてよ。したいと思う?」
そりゃ、モモカンみたいなイイ女を前にしてそう思わない男は不能か変態だろ!
……と、まさか百枝に答える訳にもいかず、阿部は聞こえなかったフリをした。
「阿部くんは教え子でしかないけど、阿部くんなら自分のルールを破っても良い。指導者なのに
勘違いさせることをやったんなら、責任は取るよ」
まただ。モモカンは俺を勘違いしている。身体目当てで、ゴネてると思ってる。
「なんか勘違いしてません?俺はそんなこと望んでねーし」
「へー。阿部くん逃げる人なんだ?」
「嫌なだけっす」
「別にやる訳じゃないよ。脱がないし」
「……?」
「私が脱いだら、阿部くん普通の恋愛出来なくなるでしょ」
確かに普通サイズじゃもう満足出来なくなるだろうな、とうっかり想像してしまい、気を抜いた
ところで急に周囲が真っ暗になった。照明が切れた。いや、百枝が切ったのだと気付いた時には
既に遅く、女と思えない力で首根っこを捕まれて押し倒されていた。百枝が上になる。
「ちょっと!こんな外で、なに考えてんだよっ!」
「予算不足で照明がお粗末なのよねー。練習後にこんなトコ、誰が通るの?」
「嘘つけ!あんたが電気消したんだろ!どこ触ってんだコラ!」
必至で抵抗するが、あっさり服の上から捕まれた。
「ぎっ」
「動くと、握るよ」
真夏の冷や汗も凍りつく、満面の笑み。想像するだに恐ろしい。
「大丈夫よ。噛み付いたりしないから」
「冗談に聞こえねーからっ」
皮肉なことに、こんな状況で篠岡の顔を思い出した。自分が判らなくなる。
望んだ通りモモカンが俺に触ってるのに。俺、一体どうしたいんだ……?
下着を下げられると、なぜか百枝の顔はペニスの先ではなく足の付け根に寄せられた。
ぺちゃりというかすかな音と共に、ぞぞぞと何かが背筋を走る。
ビクゥッとした阿部に、動きを止めて百枝が顔を上げた。
「や、止め……」
逃げようとする阿部を、怪力が押さえつける。周囲は真っ暗だが、目が慣れてくれば月明かりと
遠くの明かりでお互いの表情くらいは読める。
硬直する阿部に、百枝は満足そうに笑うと、目を閉じ再び赤い舌を差し出した。
舐め上げられる未知の快感に、身体中が震えた。食い千切られるかも、という恐怖は薄れ、
充血したモノが弄られる感覚に心を乱された。
ぴちゃ、ぺちゃりとかすかな音を立て、百枝の濡れた舌は少しずつ付け根から先端に向かって
移動して行く。
阿部は上を向いて息を堪えた。
ヤバイ。ヤバイヤバイヤバイ。大人って、こんな気持ち良いことやっちゃうのか。
声が出そうになるが、そうなれば百枝の思う壺だと思いひたすら我慢する。
意外にも、献身的に百枝は自分を丁寧に扱い、大人の女性の成熟すら感じた。
長い時間をかけたのち、ようやく先端に舌が到達する、と思ったとたん、その予想は裏切られた。
何事か百枝が呟いて、カリ首の付け根に沿ってぐるりと舌を滑らせたのだ。
「っあ!?」
阿部は混乱していた。
なんで戻る?やっと、クライマックスだと思ったのに……。
信じらんねぇ、と百枝を凝視した。してやったりな百枝の表情に恥ずかしさと怒りで頭が
爆発しそうになる。
棒状のモノをしゃぶるのに、最初に先を口に運ぶのが普通の感覚だが、付け根からスタート
するなんて、計算ずくでジラして阿部をもて遊んでいるとしか思えなかった。
きたねー大人なんか大っ嫌いだ!俺がどんだけ我慢してると思ってんだ、この悪魔!
なのに、脱がずともいとも簡単に気持ち良くされて……。
視界に入る百枝の長く艶やかな髪に、阿部は触れたくてたまらなかった。が、自分が百枝に
触れるのはルール違反な気がする。
ひたすら阿部は、百枝にされるがままになった。
固く絞られた舌に、刺激を繰り返された。どくどくと一点に血が集まって沸騰する。
先を舐める前に、一瞬だけ百枝は阿部を見上げた。挑発的な目。阿部は、自信に満ちている
この目が好きだ。
今度こそ咥えられる覚悟をする。
が、上を向いて待っているのに、何度も息を吹きかけられるばかりで、ぶるぶると歯を食いしばって
身悶えるハメになった。
限界だった。
……どこまでジラす気だこの――。
「変態っ!!」
我慢出来ずに怒鳴ってしまった。
なんだよ、この女。結局俺をからかってるだけじゃねーか!
「ご、ごめんね……」
百枝の弱々しく塩らしい声音に、ギクリとした。勝気で朗らかなモモカンらしくない。
「実は苦手で、躊躇しちゃって。……よし、ちゃんとやる」
決意した百枝は、自分のモノを持ち上げる。一瞬だけ観念したような表情になり、先走り汁を
ペロペロと舐め取った。百枝の眉間にシワが寄って、辛そうな顔になる。
そのあとようやく口が大きく開かれて、先をぱくりと咥え込んだ。
生暖かく湿った粘膜に包まれた。気持ち良さに、思わず百枝の後頭部を支えて、もっと奥に
入るように腰を動かした。ペニスがさらに膨張していく。ぬめぬめと吸い付いてくる今までに
体験したことのない快感に、声を抑え切れたか自信がなかった。
百枝が苦しそうに呻いた。きつく瞑った目には薄く涙が浮かんでいる。さらにもっと奥深く
飲み込まれそうになり、思わず阿部は百枝を引き剥がそうとした。決壊するものを飲まれると
思ったからだ。
そこまでは望まない。百枝には、監督として最後の尊厳を守って欲しかった。
「止めてくれ、これ以上は俺……ちょっと!」
が、百枝は阿部の動きを制した。がっちりと阿部の身体を掴んで行為を続ける。
気持ちよくて止めて欲しくない。でも、そんなモモカンは見たくない。
泣きそうになる。止めてくれ、と弱々しく呟きながら、阿部は自分が飲み干されるのを感じた。
最後まで百枝がしゃぶり終えると、2人とも放心状態でその場にへたり込んでいた。
「今まで付き合った彼氏のは、最後まで飲めなかったのに……」
呆然としながら、百枝は口元を拭った。指についた白濁色の液体も舐め取った。
百枝の視線が、阿部のペニスに集中する。直感的に「ヤバイ」と感じたのは何故だろう。
阿部は素早く下着の中に仕舞って、ファスナーを上げた。ベルトを締める腕を百枝の手に
素早く掴まれて飛び上がりそうになる。
「阿部くん」
「ひ」
自分の魅力を活かした、計算ずくの媚びる瞳とは違う。子宮から男を欲するような暴力的な
目に鳥肌が立った。
食われる。
貪られて、ボロボロになるまで搾取される恐怖が阿部を襲う。
「だ、だめですっ!」
まっすぐ百枝の目を見て訴えた。立場を理解して欲しかった。監督と選手は上下関係で……。
あれ。ってことは、俺は監督のいいなりってことか……?
百枝が妖艶な笑みを浮かべながら、ベルトに手をかける。阿部はそれを振りほどいた。
「監督!甲子園!」
阿部の言葉に、百枝はやっと我に返った。
距離を取れた機会を逃さず、阿部は機敏に立ち上がった。
頭を下げ、勝手に「おつかれっしたー!」と威勢よく挨拶する。
百枝は探るように阿部の顔を見た。引きつりながら、阿部は顔を上げて見返した。背中には
びっしりと嫌な汗をかいているに違いない。
「……明日は朝練ないんだから、ゆっくり電車で登校したら?車だから、今日は送ったげるよ」
1度は毅然と振り切ったくせに、情けないことに百枝の誘惑の言葉に動揺してしまう。
自分が惚れている、しかもフィギュア並みのプロポーションを持つ美女に誘惑されているのだ。
こんなチャンス、一生に一度あるかないか。蹴るなんて男じゃねーだろ!
「あ、あの……」
阿部は頭の中が真っ白になって、足元がヨロめいた。
ダメだ、俺……。俺は……。
「コーヤレンが。す、すんません……」
こんなことまでして手遅れかもしれないが、同い年の篠岡なら恋愛で済んだとしても、百枝が
15歳の自分を相手にするのは犯罪になる、と思う。法律以前に高野連が怖い。
恐る恐る百枝を見ると、肩が細かく震えていた。両手で口元を押さえ、俯いて表情が見えない。
が、その震えが激しくなったかと思うと、爆笑に変わった。
「ぅわっはー!可愛いトコあるじゃないー!なのに、やっぱ阿部くんは阿部くんだー」
笑い声はその後も長く続いた。
「か、からかった……?」
いつまでもウケている百枝に、阿部は呆然とした。安堵で腰が砕けそうになる。
でもこれで、良かったんだよな……?
「ごめんね。ちょっと調子に乗りすぎたかも」
「は、いえ……」
官能的な表情も良いが、こういう子供っぽい笑顔も好きだ。恐怖と憧れが混在する百枝に、
ますます惚れそうになる。
が、そんな阿部に信じられない言葉を百枝は投げつけてきた。
「惜しかったなぁ。もし阿部くんが他の女の子と経験済みだったら容赦しないんだけどー」
やっぱ、最初は一生引きずっちゃうからマズイよねーと、篠岡みたいなことを言う。
一応、百枝は阿部のために自重してくれたらしい。が、ここまででも十分トラウマに
なりそうな経験だったのだ。憧れは憧れのまま、キレイなまま強制保存と阿部は決意する。
そして、間違っても、篠岡のことは知られてはいけない。かなり惜しいけど。
……今から、カミングアウトすれば大丈夫か?イヤイヤ!
目が泳いでいる阿部の顔を、百枝が怪訝そうに覗き込んだ。
「阿部くん、どーしたの?もしかしてもう……」
鞄を抱えると、無言で阿部は駆けだした。
明日から部活がしばらく休みで、命拾いしたとつくづく思う。
それにしても、マネジだけでなく監督まで。
さらにしんどい境遇に陥ってしまい、阿部は途方にくれる。
野球は試験明けから頑張るとして、せめて勉強はまともにやらなきゃ自分は救いようないバカに
なってしまう。
とはいえ、こんな経験したあとに、どう集中しろというんだ。
百枝と篠岡のいる部で、まともに野球が出来るんだろうか……。
阿部の身体に疲労感が増したのは、自宅までの道のりを考えたからだけではないだろう。
気付くと深いため息が漏れていて、阿部は自転車置き場に座り込み、そのまま動けなくなった。
終わりです。
前回感想レスありがとうございました!
GJ!!!!
イイヨイイヨとてもいい!!
この後は当然3Pですよね?
阿部争奪戦!?のヨッカーン!
しかし、阿部w何故逃げるwww
乙バッチ!しかし阿部の今後を心配してしまうんだがw
そして西広先生の大人っぷりに萌えた・・・!
今日は沖の誕生日!おめでとう!!
沖、誕生日か。おめでとう!
篠岡が皆に内緒で作ってきたクッキーを
はにかみながら食べたりするといい。
食べ終わった沖の口の回りについたクズは
勿論篠岡が舐め取ってあげるに違いない。
しかしそこから、ほのぼの幸せな2人しか想像出来なかった自分は負け組w
>>407 篠岡の焦らしに沖がブチ切れていつまでもされるままだと思うなよと篠岡の両手両足を拘束し
やめて沖くん怖いよふざけただけなのごめんなさいという篠岡の声も無視して
篠岡は俺が篠岡を好きで仕方ないことに余裕を感じて俺をからかってるんだ!ブチブチ(ボタン飛んだ)
やだあ!やめてぇ沖君ごめんなさいごめんで済んだら(ry…なんでこんなに濡れてるんだよ!淫乱!
だってだって私(赤面)あっやだぁ許してあんだめだめいやあぬちょぬちょ
まで想像した自分はもう負け組で構わない
>>403 GJ!次は3Pですかwktkハァハァ
イズチヨです。初めて投下します。
捏造・妄想・キャラ設定の改造がお嫌いな方はスルーお願いします。
飾り気のない一室のベッドの上。
2人の荒い息遣いと、肌をぶつけ合う音が部屋中に響いていた。
「・・・篠岡。後ろ向いて。ケツこっち。」
結合は解かないまま、ゆっくり体位を変え篠岡を四つん這いにさせる。
そしてもう一度最奥までぐっと挿入を深め、速いリズムで腰を動かす。
「あっ・・・んぁっ・・・はぁっ」
篠岡の声は聞こえるが、四つん這いにさせているため、表情を見れないのが妙にもったいなく感じ、後ろから手を伸ばし髪を掻きあげてやる。
「やっ・・・」
「篠岡、顔、みせて・・・」
「っん・・・やぁっ」
「やらしー顔・・・」
そう耳元で吐き捨てると、膣内がきゅうっと締まった。
「っは・・・も、イきそ」
泉は篠岡の腰をしっかり掴むといっそう強く揺さぶり、そのまま絶頂へ駆け上がると勢い良く精を吐き出し、篠岡と一緒に柔らかいベッドへ倒れこんだ。
――――頭がぼーっとする。
あれ、篠岡がいねえ。
あぁ、そうだ。もう帰ったんだっけ。
そういや帰る時、何か言ってたな・・・。
まだぼんやりした頭の中で、篠岡との会話を思い出す。
「泉くん、明日練習試合なんだから、ちゃんと早く起きなきゃだめだよ。
電車で行くんだから、遅刻したら待っててあげられないからね。
いい?聞いてる?泉くん」
まるでおふくろだな、と心の中で言い返してやったのを思い出したところで、徐々に眠気が覚めていく。
――――ん?待てよ・・・練習試合?電車?
一気に眠気が吹っ飛び、ばっと時計を見ると、サァーっと血の気が引いていった。
7:23と表示されたデジタル式の数字を見たあと、アラームを設定しておいたはずの携帯を急いで確認する。
カーテンが閉められたままの部屋にぼんやりと浮かぶディスプレイには、着信7件、メール3件と表示されていた。
慌てて留守録を再生すると、やたらデカい花井の声が聞こえた。
「泉!?てめー今どこだよ!?まさかまだ寝てんじゃねーだろうな!?もう電車く」
言いかけたまま、メッセージは切れていた。
「・・・あーあ。やっちまったなぁ」
頭をボリボリかきながらも、すばやくシャワーを浴び着替えをすませ、エナメルバッグを肩に掛けると、家を飛び出し全速力で駅へ向かった。
「ぅわっ、人、多っ」
心の中でつぶやき、人と人の間を縫って走り抜けていく。
駅はサラリーマンや学生でごった返していた。
いつもチャリ通の部員たちにとって、「通勤ラッシュ」という罠に免疫がない。
人の多さに面食らいつつも、やっと駅のホームまでたどり着くと、自販機の前で携帯で誰かとしゃべりながらこちらに手を振ってくる人影が見えた。
「監督!泉くん来ました!今からそっちに向かいます」
周りの騒音に負けないぐらい大きな声で、そう電話の相手に伝えた篠岡は、電話を切ったあとキッとこちらを睨んだ。
「泉くん!?昨日あれほど言ったのに、何堂々と遅刻してんの!?」
「わり、寝坊した。つーか、何で篠岡だけなの?」
「みんな先に行ったよ。監督が残るわけにもいかないから、私が残って泉くんと一緒に来いって。」
「そっか。じゃあ登校デート・・・とは違うか。遠征デートだな。」
そう言って笑うと、篠岡も怒ったような困ったような顔で微笑んだ。
「でも、何で寝坊したの?目覚ましかけてなかったの?」
「あぁ、俺いつも携帯のアラーム目覚まし代わりにしてんだけど、昨日マナーモードにしたまま寝ちゃったからさ。
だって、ヤってる最中に携帯鳴ったらやだもんな?」
こんな人ごみの中で朝っぱらから何を言い出すんだと言わんばかりに、篠岡は泉の二の腕をつねった。
「いってぇ。」
それほど痛くもなかったが、つねられたところを大げさに手でさする。
「・・・だから昨日はやめようって言ったのに・・」
小声で独り言のように呟く。
「まぁ、俺、ヤった次の日は決まって寝坊するかギリギリかだったもんな。
でも篠岡ってよく寝坊しねーよな。あんな激し」
言い終わらないうちに、篠岡に背中をグーで殴られ言いかけて終わった。
同時にホームに電車が滑り込み、ドアから大量の人を吐き出すと、今度は吸い込まれるように人が入っていく。
やはり朝の通勤ラッシュはひどいもので、車内に入ると人口密度と熱気が一気に上がった。
泉と篠岡はちょうど車内の隅っこを確保できたが、篠岡の後ろに泉がぴったりくっついている状態になってしまった。
「篠岡、バックおろして持ってかれないように足の間に挟んどけ。」
「う、うん・・・」
篠岡は言われたとおり、前に抱え込んでいたリュックを足元に置き、自分の足首で転がらないようにしっかりと挟み込んだ。
するとバックが陣取っていた空間があき、多少身動きできる状態になり、壁に前のめりに寄りかかることができた。
慌しい駅員の声がすると、プシューッとドアが閉まり車体がゆっくりと揺れた。
「泉くん、きつくない?位置変わろうか?」
あくまで、これから試合を控えている選手を少しでも楽にしてあげようとマネジとしての気遣いの声をかける。
「平気だって。女に守られてちゃ情けねえしな。ぅおっと・・・」
車体が揺れ、泉の右腕が篠岡の顔のすぐ横に伸び、壁に手を付く。
その腕越しに篠岡は自分の右側にいる男を見た。
――――大学生だろうか。身長は泉よりも高く、こちらに背を向けているため表情は見えないが、キャップをかぶり、その上からヘッドフォンをしている。
顔をやや下に向けているので、携帯でもいじっているのだろう。
ヘッドフォンからは、音漏れとまではいかないが、耳をすますと微かに洋楽が聞こえてきた。
ずっと横に立っている男を見上げている篠岡を不審に思い、泉は声をかけた。
「篠岡?」
名前を呼ばれると篠岡はハッとなり慌てて前を向いた。
それと同時に車体が傾き、篠岡はバランスを崩し背中を泉に預ける形になった。
「あっ、ごめんなさ・・・」
元の位置に戻ろうとする篠岡の肩をぐっと掴んで引き寄せる。
「・・・いいから。このままで。こっちのほうが楽だろ?」
そう耳元で呟いてやると、篠岡は肩をすぼめながらコクンと頷いた。
篠岡が体重を預けているおかげで、泉の鼻の先にはすぐに篠岡の頭があった。
自分に嗅ぐ気がなくても、自然とシャンプーの匂いが鼻腔をくすぐる。
いつも野郎どもと過ごしているため、汗臭いのはもう慣れてしまっている泉にとって、不意に漂う女の清潔感のある柔らかな匂いは新鮮で、妙に気持ちが高ぶった。
「・・・篠岡。」
「ん?」
篠岡が振り向いた瞬間に、泉は自分の唇を篠岡の唇に重ねた。
一瞬のことで何が起きたのか理解できない篠岡は、大きな目をパチクリさせたあと一気に顔を赤くした。
「いっ、いっ、泉くん!?」
ボリュームは抑えていたが、興奮気味に声をあげる。
「なんだよ。別に初めてなわけじゃねえんだから、そんな慌てんなよ。」
「ちっ・・・ここ、電車の中!」
「分かってるよ。でも俺のすぐ後ろのおっさんが迷惑極まりなく新聞広げてるおかげで見えないし、そっちのニーチャンは音楽聴いてるし、そうそうバレないって。」
確かに泉のすぐ後ろには新聞が広がっており、泉より後ろに立っている人間と目が合う事はなかった。
すぐ横に立っている大学生は、相変わらずこちらに背を向け音楽に入り浸っていた。
「な?」
と言いながら笑っている泉の顔を見て、つられて自分も笑ってしまった。
「それよりさ、篠岡。今日試合やるとこって県外なんだよな?」
「うん、神奈川だよ。これ快速だし、しばらくは止まらないね。」
「そっか。良かった。」
「え?なにが?」
「・・・しようぜ。ここで。」
一瞬何のことか分からず、きょとんとしてしまった。
「なにを?」
「なかなかないシチュエーションだし、活用しなきゃな。」
「はい?」
横を向いていた顔をゆっくり泉のほうへ向けると、泉がニヤっと口角をあげた。
「バレねえようにすっから。」
あくまで「お前の匂いに興奮した」なんて言わない。
「ちょっ、何言って、だめだよ」
制止の言葉が見つからず、慌てふためいている篠岡をよそに、泉は篠岡の首筋に顔を埋める。
ちゅ、と柔らかいキスを落としたあと、篠岡の左側から手を滑り込ませワイシャツの第2、第3ボタンを器用に外した。
そして、ワイシャツをずらし最も死角になっている篠岡の左肩を露出させると、首筋と肩の中間地点ぐらいのところをきつく吸った。
「・・・ぁ」
ピリッとした痛みに、蚊のなくような小さな声を上げる。
自分では見えないが、きっと小さな赤い点が付いているだろう。
泉は何も言わずに、スカートからワイシャツの裾を引っぱり出すと、すばやくワイシャツの中に手を滑り込ませ、ブラジャーの上から手の平で胸を優しく包む。
篠岡の胸は泉の手にすっぽりと納まってしまうが、柔らかい感触は正しく女のものだった。
円を描くように揉みしだいたあと、ホックをプチッと外し、今度は直に胸をわし掴み、キュッと両方の乳首を指で挟む。
「んっ・・・だ、だめだってば、い・・・いず・・・」
篠岡は小さく震え、しゃべるのと同時に喘ぎ声が出ないように必死に我慢する。
その様子を見た泉は、自身に血が集まっていくのを感じた。
しばらく胸を弄んだあと、手をゆっくりと下のほうへさげ、今度は内腿に下から上へと指を滑らす。
篠岡は足を閉じようとするが、足の間にあるリュックが邪魔をしてうまく閉じれず、膝を震わせ与えられる快感に必死に耐えるしかなかった。
内腿を何往復かした指はどんどん篠岡の中心に近づく。
「っひ・・・」
布越しに割れ目を擦られ、思わず引きつったような声が漏れた。
相変わらず泉は黙ったままで、今どんな表情をしているのかも分からなかった。
割れ目を執拗になぞっていると、だんだん湿ってきているのが指先の感覚で分かった。
それでも焦らすように、布越しにゆっくりと擦り続けてやる。
そのうちに、篠岡の腰が指に合わせて揺れ始めた。
――――こいつ、さっきまで嫌がってたのに。・・・へぇ。
泉は心の内から溢れ出てくる加虐心を抑えられず、口角を上げたまま、篠岡の耳元へ唇を持っていった。
「篠岡。腰動いてるけど、気持ちいいの?」
低い声で吐息を耳の穴に吹きかけるように呟いてやるのと同時に、布の上から先端の粒を押しつぶす。
「っ・・・」
膝をがくがく震わせながらも頭を横に振る篠岡に、ますます追い討ちをかけたくなる。
「うそつけ。ここ、こんな濡れてんじゃねぇか。さっきまで嫌がってたのにさ。
ここ、電車ん中だぜ?」
さっき自分が言われた言葉をそのまま言い返してやる。
「電車ん中で、こんな人いっぱいいんのに、何感じちゃってんの?
見られたらどうすんの?」
篠岡を責め立てるような言葉とは裏腹に、右手では篠岡の中心を優しく愛撫し続け、左手で器用にズボンのチャックを下ろし、熱く張り詰めた自身を取り出す。
「・・・気持ちいいんだろ?こんな場所で、こんなとこ、こんな濡らしちゃって。
お前ってほんとやらしー・・・っな。」
最後の言葉と共に、自身を一気に篠岡の最奥へとねじ込んだ。
「んぁっ・・・」
ずっと声が出るのを我慢していた篠岡は、急に押し寄せた強い快感の波に全身を痙攣させ、1トーン高い声で喘いだ。
慌てた泉はバッと篠岡の口をふさぐ。
「しー・・・。いくら何でも声出したらバレるって・・・」
と言いつつ、自身を先端ギリギリまで抜いたあと、もう一度勢い良く突き上げた。
「・・っ・・!!」
篠岡は口を押さえていても一言も発しなかったが、全身を駆け抜ける衝動に耐えられず、今にも膝がかくんと折れてしまいそうになっていた。
「はー・・・。やべえ。興奮する。」
いつ誰に見つかってしまうかもしれないというスリルと、めったにない場所でヤっているという自覚が、性的興奮に拍車をかけていた。
しばらく、電車のゆったりした揺れに合わせて腰を揺らす。
篠岡はじれったく感じていたが、自分から腰を振るわけにもいかず、泉の動きに合わせてゆっくりと中をかき混ぜられていた。
しかし、絶頂への階段を登っていることに変わりはなく、突かれるたびに、ぶるぶると全身を震わせ、喘がないように唇をかみ締めていた。
泉は健気に声を我慢している篠岡の様子を後ろからじっと見つめていた。
立ちながら入れているので、篠岡の身長に合わせて曲げている足がそろそろ疲れてきた。
意識を他に向けようと、篠岡に抱きつき、胸をまさぐった。
抱きつくのと同時に2人の距離はなくなり、ずっと中途半端に膣内を刺激していた泉の自身が、ぐっと篠岡の最奥へ埋め込まれた。
「ぁっ・・・」
「篠岡。声、出したい?」
篠岡はふるふると頭を振る。
「意地になったら、気持ちよく感じられなくなっちゃうぜ?
・・・俺も、篠岡の声、聞きたい。」
甘えるような低い声に、篠岡はますます敏感になり、自分の胸を揉みしだいている泉の腕を掴む。
「・・・篠岡、しー、な。」
そう言って泉は篠岡の胸から手を離し下へ滑らせ、篠岡の赤く腫れた粒を撫でてやった。
「んんっ・・・」
「ここ、好きなんだろ?」
篠岡は観念したように小さくこくんと頷いた。
その様子に満足した泉は、篠岡の中の自身に意識を向ける。
――――そろそろ、限界だな。
一旦、体勢を立て直そうと、篠岡の中から自身を抜き始めた瞬間、車体が大きく揺れ今まで以上に深く泉の自身がねじ込まれた。
「やぁっ・・・!」
「うぁっ」
篠岡は勢いよく突かれた拍子に、一気に絶頂に達してしまい、泉は急に自身を締め付けられ思わず精を篠岡の中に放出してしまった。
――――やっと目的地の駅に到着し、すでにまばらになっていた人々が固まりになって駅のホームへ降り立った。
泉は近くのベンチに篠岡を座らせ、俯いている篠岡の顔を覗き込む。
「なぁ、篠岡?その・・・大丈夫か?」
「・・・声、聞かれちゃったかも。」
「うん。」
「・・・顔、見られちゃったかも。」
「うん。」
「泉くん、最低。」
「・・・わりー。」
2人の間に、沈黙が流れる。
その重い空気を破ったのは、泉でも篠岡でもなく、携帯の着信音だった。
泉は携帯のディスプレイを見て相手を確認し、受話器ボタンを押す。
「泉!?テメー何回も電話したのにかけ直しもしねーで!今どこなんだよ!?」
いつも冷静な花井がここまでとはなー。と他人事のように思った。
「おう、わりー。もう駅着いたから、今からダッシュで行くわ。
相手チームの学校ってここから近いんだろ?」
後半は目の前にいる篠岡にあてた言葉だった。
篠岡はこくんと頷き、泉と電話の向こうの相手との会話をじっと聞いていた。
「それならいいけどさ・・・。とりあえず急いで来いよ!あ、そういや監督歯軋りしてたから、多分あとで甘夏つぶし頭バージョンくらうかもしんねーけど、がんばれよ。」
「は?甘な・・・?」
泉の返答を待たずに、電話は切られた。
ため息をつき、パチンと携帯を閉じると篠岡が不安そうにこちらを見ていた。
「大丈夫だった?なんかすっごく怒ってる声したけど・・・」
「あぁ、キャプテンがな。まぁかけ直しもしなかったし、怒って当然だよな。」
「監督は?」
「歯軋りしてたって。そんで、あとで甘夏つぶし頭バージョンだって。」
「甘夏つぶし?って・・・あぁ、あの入部初日の。」
篠岡と泉は入部初日の2度にわたる甘夏みかんつぶしの光景を思い出していた。
「・・・あたしも、つぶされるのかな。」
「ははっ、何だそりゃ。篠岡は悪くねんだから、やられねーだろ。
それより、元気でたか?」
泉が微笑みながら篠岡に負けないぐらいの大きな目で、篠岡の顔を覗き込む。
「うん、もう大丈夫。そんなことより早く行かなきゃ!マネジだって仕事いっぱいあるんだからね!」
と立ち上がり、スカートをぱんぱんと払うと泉を見上げ、スネたような顔をして言った。
「でも、もうあんなこと絶対なしだよ。」
「おう。次は教室ん中でヤろうぜ」
と言って笑う泉のほっぺたを、篠岡は思い切りつねってやった。
以上です。読みづらい部分もあるかと思いますが、大目に見てやってください。
ありがとうございました。
GJ!!!
乙バッチ!
もっと真面目に野球に取り組みなさいと思いつつも泉なら許せるこの不思議w
やっぱしのーかは良いですな
朝から素晴らしい物読ませて頂きました
421 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 01:19:41 ID:MhgRHKVE
だいぶ下まできたんで、そろそろage浮上
本誌見ちゃうと書きにくくなるなー
>>422 本誌見たらアベチヨ書きたくて仕方なくなったよ
エロに持っていきづらいけどね
またアベチヨだらけになるのか
つか他チヨ書きにくいんじゃないか
やっとネタバレ解禁か
早売りで水曜に読んでたからここで叫びたくてしかたなかったよ・・・
ミズチヨアベの話が増えるかな?
あえてミハチヨでいきたくなったが話が思いつかん
エロは難しそうだね>ミハチヨ
かわいいと思うんだけど
初期の頃は割とあったんだけどね
エロ無しでも見たいがそれだとエロパロ板の意味が無いし
ググってみても絶対数が少なすぎる…。
おお振りの女性キャラ中心ファンサイトの少なさは異常。
ルリとかモモカンとかしのーかとかルリとかルリとかルリとか皆魅力たっぷりなのに。
>>430 まあまあ
ハナモモは過去の男の話がきたことで確実にあるとして
カノルリとサカルリもルリの短い登場期間に描写が組み込まれてたし
そのうちもっとはっきりした描写がくるんじゃない
全国大会の西浦VS三星の再戦やるまでかなり先になりそうだけど
432 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/26(土) 12:36:07 ID:f6MiEUef
いやいやこうもできるぞ
しのーかは(仝ω仝)が好き
↓
そんなに(仝ω仝)がいいのかよ
オレを見てよ
↓
(仝ω仝)よりオレ見てくれないならムリヤリにゃんにゃん
↓
アッー
とかな
なんだかどっかで見たことあるぜ
本誌やっと読んだ。
今後ここがアベチヨやミハチヨで溢れることより
それ以外がきた時に「本誌無視」とか
言われんじゃねーかと不安になった。
考えすぎかw
パロディだし、今まで通り色々なカプが読みたいな
色んなカプでおkでしょ。
他だって公式カプがあっても関係ない他のカプが好きな人もいるし
だいたいまだ千代の片思いなのだし
自己投影ならキャラ本人の意思気にしなくていいんじゃない
別にキャラ本人が幸せじゃなくても
自己投影の人が幸せになりたいだけだもの
>>434 エロパロ板でそんなあほらしい発言するやつがいるとも思えんが
もしいたらニヤニヤしながらスルーすればいいんでない
偽物で楽しめるならいいじゃない
ただの器と思ってんなら
好きじゃないやつにキスされたらどんなに気持ち悪いか
経験なければ罪の意識感じないだろう
原作で確定した後に妄想できてうらやましい
原作の面影もない偽物キャラのどこが楽しいんだか
2次書き手の作品キャラの好き度はそんなもん
>>438 それ言ったらおお振り内では何も創作出来ないな。
なにせCPがないんだから
マイナーでいいなら大河涼音とかか
エロパロでんなことマジで言ってるのか?釣りか?
お〜い スルー検定 スルー検定
しのーかばっかだなここ
公式ではっきりキャラの想い人がわかった後も
ヘンな男と無理やり恋愛感情向けさせるなら
そんなに男キャラと恋愛したいなら自分の名前で描きやがれw
キャラを幸せにしたいんじゃなくて不幸にしたくてたまらないんだろw
強姦魔と大差ないな
もう
自己投影じゃない
なんて
いいわけできないね(笑)
なんか久々
ああ…世の中は夏休みなんですね
わかりますw
それより今月号のミハシがえらい可愛かった
ちょっと保管庫のミハチヨ読んでくる
公式はこれから怒涛の鬱展開だね
そういう時こそ妄想でラブ分とエロ分を補完するんだ!
ここの職人さん達も、夏のイベント準備で忙しい時期なのかね
エロパロの人はオフやってる人少なそう
つーか自分がしてないだけだけど
ここんとこレンルリが無くて寂しいです
>>450 ああ、そうかも
オフやらないからこそ
オンでエロパロ投下なのかもしれん
>>451 YOU書いちゃいなよ!
ノマは801と違い公式に左右されちゃうからね
ルリのほうはカノルリ、サカルリが有力かな
桐青戦のサカルリはあまり深い意味ないとおもってたけど
今回のフラグみてると来てもおかしくないな
越智先輩もあれだけの出番でわざわざ浜田と絡ませたからな
ハマオチもいずれくる
とりあえず今公式で確定したのは
水谷→篠岡
篠岡→阿部
ぐらいか
花井→モモカン
三橋→篠岡
はまだ微妙かな
一度も会話ないのにサカルリ?
会話もないサカルリはないと思う
それを妄想で補うスレなんですけど・・・
まあ栄口は妄想逞しそうなので
ルリを妄想しながら自慰したことはあるだろう
じゃあさらニタジルリとか言ってみる
三橋んちに田島が泊まりに来た時ちょうどルリも遊びにきてて
夜三人でトランプとかしてたら三橋が寝ちゃって残った二人が!
なんてことの最中三橋が起きてあれよあれよと3P
強引にも程があるがそれでも田島なら…田島ならなんとかして(ry
460 :
カノルリ:2008/07/31(木) 17:05:34 ID:Vi+QJU4j
叶の舌が私の一番敏感なところに触れる。
叶の指が、私の一番深いところを撫でる。
私が声を我慢出来なくなって叶にしがみつくようにして背中に手を回すと、いつだって優しいキスをくれる。
私はそれだけで、これが愛だと簡単に錯覚することが出来た。
「…ん、…ッはぁ……、叶…もうきて……?」
「………」
叶の部屋でいつものように行為に及んでいた私達。指だけで達してしまいそうになった私は、叶にその先を促す。
しかし、叶の様子がいつもと違った。
いつもなら、私が促せばもう我慢出来ないとでも言うようにすぐにあの大きくて熱い塊をくれるのに。
私の秘部から指を抜くことなく、黙ってそこを弄び続ける。
「…あッ、!…ッぁ、…ッかの……っ!?」
「………」
叶の顔は私の首元に埋められていて、表情が見えない。何も言わずに与えられる快感に、不安になる。
顔が見たい。声が聞きたい。
なのに、私の頭は快楽に逆らえず真っ白になっていく。
「ッあぁ…!だ、だめ…ッん、かのぉ…っ」
二本の指は私の内壁を擦り、親指はクリクリと敏感な突起をいじくる。
たまらない、気持ちいい。もうなにもかもどうでもいいって感じだ。
「…ああん!」
カリ、と叶が私の胸の小さく主張していた蕾を甘噛みした。
ああ、ダメ。
いく、いってしまう。
もう私の頭の中は早く達してしまいたいという気持ちで一杯で、叶が与えてくれる快楽にただ身を委ねた。
「や…っ!いく…ッい……ッッはぁあん!」
達したばかりで、はぁはぁと息を荒げる私の身体の上から、ゆっくりと叶が起き上がるのがわかった。
「……かのー…?アンタは、シなくていいの…?」
ルリ失恋話なんだが需要があれば続き書く
>>460 カノルリは好きだけど個人的に失恋ネタは苦手
>>455,456
2巻
栄口が三星戦後、三橋からいとこの存在を聞き、興味を持つ
↓
7巻
栄口が桐青戦でルリの顔をみる
あの状況でわざわざ顔を赤らめる
くっつくかどうかはともかく、意図的に「栄→ルリ」フラグ描写してるようにもみえる
3度目なにか描写あるなら決定的なフラグかな
三橋→篠岡の三橋側の微妙な描写も忘れた頃にやってきたし
「4巻のおめでとう」から10巻分たった「15巻(今月号のコミック収録)」に描写がきたね
とはいえ、サカルリがどうこう以前にルリの付き合う相手は爺様が決めそう
三橋は比較的自由に恋愛できそうだが、ルリは本家の孫だから爺様の干渉がすごい気がする
政略結婚で本当の愛をみつけることもできるけど
話題の大河ドラマ、家定&篤姫、家茂&和宮のように
男性向け・女性向けの違いについて語るスレ・4 (同人@2ch掲示板)
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/doujin/1174153043/l50 15 名前:名無しさん@どーでもいいことだが。[sage] 投稿日:2007/04/16(月) 01:42:17 ID:47UzzD3T0
男性向けの場合カップル?はぁ?だろw
集団輪姦とか集団ぶっかけとか
カップルなんてどうでもいいのが男性向け。
つか男はどうでもいい扱い。
-------------------------------------------------------------------
163 名前:男女[sage] 投稿日:2007/12/21(金) 00:28:28 ID:fnxVMh1G0
>>162 それは男はキャラ単体で萌え、女はシチュで萌えるから。
男は「こういう属性の萌えっ娘のエロいシーンを見たい」が
原動力だからカプとかシチュとか関係ないし
そもそも棒役の男もどうでもいい。
女はエロは結果であって、そこに至る過程やキャラの関係性の方が重要なので、
カプやシチュがエロそのものより重要だし
二次なら原作がある(=ジャンル固定)ことが前提となる。
-------------------------------------------------------------------
174 名前:男女[sage] 投稿日:2008/01/04(金) 21:13:05 ID:fA/AEZTO0
>>172 エロありの場合
男性向け>エロ自体が重要
女性向け>エロに至る過程が重要
って感じかな
-------------------------------------------------------------------
191 名前:男女[sage] 投稿日:2008/02/10(日) 15:38:30 ID:JgLnTOOX0
このスレ読むと自分は精神的に腐女子じゃないのかなと思う
CPっていうかキャラピン萌えで
そのキャラの汁ダクエロは描きたいけどCPシチュ話が描けない
むしろ男性向けのような棒役黒子存在の男と萌えキャラの
陵辱エロの方が全然良い
でも需要がない、どこのジャンル逝っても異端っぽいし
男キャラしか萌えないのがダメぽい、結局エロは801になるし
女キャラに萌えたら迷いなく男性向けへ逝けるのだが…
-------------------------------------------------------------------
194 名前:男女[sage] 投稿日:2008/02/11(月) 19:17:48 ID:LYSoypxk0
そりゃ男も全員が全員「棒役の黒子と汁だく萌え娘エロ」だけが好きで
精神的な恋愛の絡みは興味ないってわけでもないだろうと思う。
腐男子と呼ばれる男は、801は精神面をちゃんと描くから好きだという人も多いし、
男でも百合好きは、801みたいなカプや精神面と重視する傾向がある。
女でも同様に、みんながみんな精神的な恋愛描写がないと駄目というわけでもなく
棒役の攻めと受が汁だくになるだけのストレートなエロが好きという人もいるだろう。
個々の趣味の話をしたらきりがない。
ただ割合の話として、男はビジュアル・エロ重視
女はストーリー・恋愛重視の人が多いということだと思う。
-------------------------------------------------------------------
207 名前:名前欄にスレ名入力推奨@自治スレ[sage] 投稿日:2008/03/21(金) 16:54:26 ID:OKKO1D3l0
女性作家がエロだからって無理して
男性の視点に合わせなくてもいい気がするけどね
わざと恋愛を排除して汁ダクエロにしたり
相手の男をのっぺらぼーキモメンにしたりしないで
恋愛が重要だと思ったら恋愛でもいいし、イケメンが書きたかったら書いてもいいし
女性が書きたいものを書いていいんじゃないの?
恋愛の障害アイテム
モモカン:過去のトラウマ
しのーか:部内恋愛のご法度
ルリ:お家のための政略婚
クソレ×きよえ希望
さり気なくイズモモ希望とか言ってみる
声高々にニシチヨ希望とか言ってみる
こっそりとモモサカ希望
じゃあオレは泉×泉母を強烈に希望してみる
恵子かわいいよ恵子
恵子…か
渋いな
ここの職人さんのサイトが見れないんだよなー
閉鎖してしまったのか…
>>471 ログにもあるけど、パクリ騒動があったようで休止にしてしまったようだ
閉鎖したのはしらなかった
>>472 いや、その人じゃないような気がする
前はよく落としてくれてた◆VYxLrFLZyg さんって420氏なの?
最近来てなかったらよくわからんが残念だ
新保管庫をチェックしてみたらいいんじゃね?
見てるけど文章の違いわからーん
つか数日前に見た時は休止報告とかなかったんだよ
やっぱり違う人かと。
◆VYxLrFLZygさん長くいてくれてたからな…残念
本誌の展開で、アベチヨ以外の千代受けはダメージでかかったかもしれないな
>>477 でもそのサイト基本アベチヨだったんだよね
それから色々書いてたけど。
まあこの話題この辺で
新保管庫の目次にあるじゃん
それを見た上で休止なら違う人だろうけど
>>479 おーすまん気がつかなかったよ。
そんでどうやらブクマしたアドレスが消えていただけのようだ…
ご迷惑おかけしました
480は超はちべえ。サイト見れて良かったねw
保管庫のトップに庫内メニューみたいなのがないから
目次とかの存在に気付かないこともあるのかね
>>481 管理人様の苦労考えようよ
ウィキだから自分で作業したら良いのでは?
保管庫と言えば
この間、新旧保管庫を色々読み直したんだが
志賀モモって見ないな
ある意味一番ありそう?なのに意外だった
シガポ、すげーネチネチ攻めそうなイマゲw
ちょっと前に勢いでかいて放置してたのを発掘したので投下してみる。
>>297の続きでかつ
>>307の妄想設定を頂きました。
ロカモモエロなし
「オイ! そこの!」
百枝はうるさい声にふと振り向くと、相手は自分を指差しているのに気づいた。
この大学に知り合いなんていたかと訝しげに相手を見つめたが、
脳内検索機能はヒットゼロを示した。
目つきの悪い男性が目の前まで寄って来てえらそうな態度で見下ろすので、
百枝は不機嫌さを隠そうともせずにジロリと相手を睨む。
「何か?」
「お前、あれだろ?」
記憶を探るように指をぐるぐるさせながら、目の前の男性はひたすら百枝を見つめている。
百枝の眉がますます潜められた。
「・・・今日からここで作業があるだけですが?」
この大学で今日から行われる工事のバイトに来た百枝は、
その事実を短く告げて立ち去ろうとすると、相手はさらに詰め寄ってきた。
「え〜と、アレだ。モ、モモ・・・」
百枝は自分の名前の前半を呼ばれて、完璧に不審人物を見る目つきに変わったのに
相手は気づこうともせずに、ブツブツと呟いた後、手を叩いてぴっと百枝を指差した。
「モモケツ!」
「・・・・は?」
百枝は完全に切れた目つきで相手を見上げ、相手に悟られないようにそっと体重移動した。
相手はなおも何かを思い出すようにブツブツ言っている。
「違った・・・・。そうだ! デカパイ!」
「こんの変態!」
百枝は手に持っていた工事作業用の道具を野球のバットに見立てて思いっきり振りぬいた。
かっこーん
星となってとんでいったロカを、百枝は目を細めて見送った。
「最近は、妙なのが増えたわねぇ・・・千代ちゃんにも気をつけるよう言わなくちゃ」
しみじみと呟いた百枝の言葉は、誰にも届かなかった。
終わり
続きません。本当にごめんなさい。
乙です!
エロ無しが続くってことは、
ロカでは難しそうだねー
乙!
ロカ阿呆な上に失礼ww
自分もロカモモ挑戦中なのでモチ上がったよ!
投下します。
前スレ元旦に投下した スヤチヨの続編、というより時期的にはあれの前に当たります。
スヤチヨ お家DEデート。
巣山が初めてデレになった日。
巣山のキャラが大変に崩壊なので捏造受け入れがたい人はスルーヨロシク。
「お邪魔します」
「ん」
恐る恐る巣山くんの後について、巣山くんのお家に上がった。
家の中はしんとしていて、誰もいないようだ。
すたすたと進んでいく巣山くんを見て、慌てて脱いだ靴を揃えてから後を追った。
「テキトーに座って」
「うん」
初めて入る巣山くんの部屋。
巣山くんが荷物を乱暴に投げた後、部屋から出て行ったのを見送ってから、そっと一歩足を踏み入れる。
物珍しくって思わず部屋の中をぐるりと見渡しちゃう。
壁には野球のポスター、机の上は教科書が乱雑に置いてあって、教科書の下にはノートパソコンまである。
机の脇の背が低い本棚には野球関連の本と、自転車らしい雑誌。
逆サイドを見るとベッドがあって、思わずどきんと胸が鳴った。
いつも、巣山くんはここで寝てるんだよね。
視線を一周させると、ベッドの隣、丁度ドアの傍に当たる所に大きな姿見が置いてあった。
男の子の部屋にも、こんな大きな鏡が置いてあるものなんだ。
何となくその鏡の前に移動してまじまじと鏡を覗き込んでしまう。
笑ってみたり、角度を変えてみたり。
全身が映るくらい大きいから、思わずスカートを摘んでくるりと背中越しに振り向いてみたら。
いつの間にいたのか、巣山くんがドアの所に立っていた。
「きゃっ!」
音もなく立たないで欲しい!
ばっと体の向きを正面に戻して、赤くなる頬を押さえてしまう。
「いや、続けていいけど」
しれっと真面目な顔のままの巣山くんがそんなことを言う。
「もう!」
説得力のない抗議の声を上げるものの、恥ずかしくってたまらない。
なんとか誤魔化さないと。
「ず、ずいぶん大きい姿見だよね」
「ああ。篠岡だって持ってんだろ」
「こんなに大きくないけど、まあ、あるよ。男の子も持ってるもんなんだね、鏡」
「身だしなみはチェックしないと」
「そういうもの?」
あんまり巣山くんが鏡の前でポーズつけてる絵は想像できないなぁ。
巣山くんは持ってきた飲み物のお盆を机の上に置いて、ベッドに寄りかかるように腰を下ろした。
私も釣られてその隣に座ると、丁度鏡に対して横を向く角度になった。
なんとなくそのまま鏡を見ると、私の向こうに巣山くんがいるのが見える。
「とりあえず、鼻毛チェックはしてる」
「ええ!?」
思わず顔を本物の巣山くんのほうを向いて、まじまじとその鼻を見つめてしまった。
「でてねーって」
「あ、うん」
巣山くんは軽く鼻を押さえて、苦笑いした。
男の子でもは、鼻毛とか気にするもんなんだぁ。
不思議に思い、頭のてっぺんから足先までじぃっと眺めてしまった。
頭は球児らしくて坊主にしてるけど、着てる物は何気にカッコイイ・・・?
男の子の服はよくわからないけど、きちんとしてるっていうか。
小物一つとっても、なんか他の子とは違う感じ、なのかなぁ?
とりあえず、自転車はとてもカッコイイの乗ってるよね。
「なんだ?」
「え? う、ううん」
巣山くんが首をかしげて見下ろしてきて、慌てて視線を自分の膝の上に戻した。
見惚れてたの、ばれたかな?
胸がどきどきして来たのを何とか誤魔化せないかと、机の上に置かれたジュースをもらおうかなと思った瞬間。
ぐいと巣山くんのほうに引き寄せられた。
右肩に巣山くんの腕が回って抱きしめられて、
左肩に巣山くんの筋肉を感じて思わずどきんと胸が鳴った。
「篠岡」
巣山くんの声のトーンが数段下がって、私の耳元で囁かれる。
こみ上げてくる気恥ずかしさに、私の顔は真っ赤に違いない。
「かわいい」
耳元で突然言われた言葉に、私の胸がどきんとなった。
びっくりして思わず顔を巣山くんのほうに向けると、
熱っぽい目で私を見てる巣山くんがそこにいて。
あっと思う間もなくその顔が近寄ってきて、私の唇に何か温かいものが触れた。
キスだ。
これって、キスだ。
いや、そりゃキスするのは初めてじゃないけど。
何だか、巣山くんが巣山くんじゃないみたいで。
頭の中が混乱して思わず身を引こうと体を動かしたら一瞬の隙にさらに引き寄せられた。
何時の間にか唇も外れて、後ろ向きに抱きしめられる。
巣山くんはぎゅうっと私を抱きしめて、うなじに顔を伏せてるみたい。
「篠岡、かわいい」
どうなってるの!?
この人誰!? 一体誰!? 本当に巣山くん!?
また呟いたその言葉に、私はどうしていいのかわからずに、
ただ私の身体を抱きしめ続ける巣山くんの腕を掴んだ。
その言葉は途切れることなくずっと囁き続けられて、嬉しさと恥ずかしさで頭がぼうっとして来ちゃう。
ひたすら巣山くんの腕をぎゅっと掴んでいたら、ふっと巣山くんの腕が揺るんだ。
私はこの何かの責め苦のような状態から開放されるのかとほっとしたら、その手は私の胸に触れた。
「あ、あのっ! 巣山くん!?」
もう何が何だかどうしたらいいのかわからずに、後ろにいる巣山くんを振り返ると、またキスされた。
びっくりして声を出そうとしたら口の中に何かぬるりとした感触を覚えて、舌を入れられたんだと気づいた。
おまけに手は変わらず私の胸に置かれていて、な、なんか揉まれてる!?
「う・・・は・・・あんっ!」
口の中の柔らかい感触に背筋がびりっと来て、思わず声を上げた。
くすぐったい様な、こそばいような感覚が私の全身を駆け抜ける。
抵抗しなきゃと思えば思うほどに、体からは力が抜けていって、必死で巣山くんの腕を掴む。
何時の間にか手が私の服の中に潜り込んでいて、じかに胸を触られている。
やっと開放された唇から、大きく息を吸い込むと、至近距離で私を見つめる巣山くんと目が合った。
いつのも、冷静な巣山くんの目じゃなくて、何だか見たことない人のようだ。
「篠岡、鏡見てみろ」
巣山くんの言葉に、反射的に首を翻して反対側の鏡を見た。
その大き目の姿見に映る、私と巣山くん。
私の胸に巣山くんの手が置かれていて、蠢いているのが見える。
ゆっくり動く手に引きつられるように、私の服に皺が寄る。
「・・・・っ!」
羞恥心の余り言葉が出てこない。
思わず鏡の中の自分を凝視してしまう。
はしたなくよがっている自分の顔。
無意識に擦り合わせてる、自分の膝。
すべてが恥ずかしい。
堪らなくなって目をぎゅっと閉じて顔を背けたら、耳元に巣山くんの吐息を感じた。
「見てなって。篠岡」
魔法がかかったかのように私はまた目を開けて、鏡の中の二人を見た。
巣山くんの手が、私の脚に触れてゆっくりスカートをまくっていく。
鏡越しに、巣山くんと目が合う。
抵抗したいのに、身体は金縛りにあったかのように動かない。
助けを求めて鏡の中の巣山くんを見る。
熱っぽく私を見つめている。
ついに下着越しに巣山くんの指が私に触れて体の奥から音が鳴った。
ビリっと、そしてじゅわっと。
自分ではこらえられない何かが、何かがどんどん溢れてくる。
「巣山っ・・・くん」
怖くなって思わず名を呼んだら、鏡越しのまま巣山くんはニコっと笑った。
ほんの少しほっとしたら、急に巣山くんの両手が私の腰に回った。
「え? あの!?」
抗議する間もなく、ひょいと抱え上げられて私はバランスを崩して思わず両手をで支えると
丁度、鏡に向かって四つん這いの姿勢になった。
反射でまた鏡を見てしまい、自分の姿にはっきり顔が赤く変化した。
赤くなっていく自分の顔をまじまじと見つめて、さらに赤くなる。
一瞬放心してしまって、鏡の中の自分のスカートが勢いよくまくられて現実に引き戻された。
「巣山くん!?」
後ろを振り返って抵抗しようとすると、ぐっと腰を抱えられて動けない。
立ち上がろうとしてさらに引っ張られて、思わず顔が床に着いた。
お尻を天高く突き出してしまっている姿勢に気づいて、必死に逃げようとしたら。
するっと下着を脱がされて、ぬるっとした温かい何かが私の中心に触れた。
「ひゃ・・・ああ! ああああん!」
全身を駆け抜ける今までに経験した事がない強い快感に、私の口からはしたなく声が漏れた。
止めようとしても、止まらない。
ピチャリとした音がかすかに耳に届く。
強い意志を感じるその動きには、何かを探し当てようとする意図まで伝わる。
そして、ひときわ強い刺激の所に触れた。
「あ、や、やあああ!」
腰が震えるほどの快感が体中で暴れるような感覚。
膝が震えだして、口が喘ぎ声を出し続けて止まらない。
「う、す、巣山・・・くん・・・」
助けを求めて必死に巣山くんの名を呼んだけど、答えは舌の動きで返された。
ぐりぐりと撫でられて、ねっとりと差し込まれて、じゅっと音をたてて吸われた。
もう何がなんだかわからなくなってただ目を閉じてそれに耐える。
そうしていると、頭をトンとつつかれて薄っすら目を開けると、
巣山くんの指がぴっと正面を向けと指示をする。
釣られて顔を上げると、いやようなしに鏡の中の自分と目が合ってしまった。
はしたなく腰を突き上げてお尻が見えてしまっている。
まくれたスカートが頭に届いていて。
巣山くんのがっちりした手が私の腰をしっかり掴んでいて。
自分のお尻の向こうに見える巣山くんの坊主頭が僅かに動くたびに私の体がいう事を聞かなくなる。
そんな自分の姿が、目の前の鏡に映っている。
「はっ・・・・ああん!」
我慢できない声が自分の口から出ているのさえはっきり見せ付けられて。
もう、どうにもならない。
やがて巣山くんが頭を上げて、鏡越しに私を見た。
楽しそうにニっと笑い、ベッドの下に手を入れた。
私は姿勢を変えることもできずに、ただ黙って鏡越しに巣山くんを見ることしか出来ない。
見えている私のお尻の向こうに巣山くんの顔が隠れて。
カチャリと金具が鳴る音と、ぴりっと何かを破る音が聞こえた。
巣山くんが身を起こして膝立ちになり、私を鏡越しに見つめてくる。
「このまま、いいか?」
目が合った左右反対の巣山くんに向かって、私は力なく頷いた。
巣山くんの指が、再び私の中をかき回す。
「んっ・・・ああっ!」
とめどめなく溢れて行くのが自分でもわかる。
じれったく思い、思わず腰を揺らしてしまうと、ぐっとつかまれた。
た巣山くんが、私に覆い被さってくる。
その動きを鏡越しに見つめていると、硬いものがぐっと押し付けられた。
私の身体は何の抵抗もせずにそれを受け入れる。
「ふん・・・っ・・・はぁん・・・っ!」
体の中が擦られる感覚が、強い電流のような快感になって私の身体を突き抜けていく。
それに集中したくて私は目を閉じて顔を伏せた。
すると、巣山くんの手が私の顎にかかり、ぐっと無理矢理上げさせた。
再び鏡の中の自分と目が合い、自分を見つめる巣山くんと目が合う。
今まで見たことがない、その巣山くんの顔。
学校では決して見せない、少し意地悪そうに笑い、心底楽しそうだ。
ゆっくり鏡越しに目を合わせながら、巣山くんが私の耳に顔を寄せた。
「篠岡、可愛い」
熱っぽく囁かれくと同時に激しく突き上げるように巣山くんが動き出して。
私の理性は完全に吹き飛ばされた。
「篠岡、大丈夫か?」
頬を軽くパチパチと叩かれて、私はぼうっと目を開けた。
心配そうに覗き込んでいた巣山くんと目が合って、慌てて身体を起こす。
「平気か?」
「う、うん」
ほっとしたように私を見て、巣山くんは私をぎゅっと抱きしめた。
肩口に顔を埋められて、私はやっぱりどきどきしちゃう。
「篠岡ってかわいいな」
今日何度目かの台詞に、私はまた赤くなる。
「ね、ねぇ巣山くん」
「何だ?」
「何だか、今日は違うね」
「そうか?」
「うん・・・」
こんなに甘えてくる巣山くんは初めてだ。
それに、さっきの、その・・・ちょっとエスっぽい所も・・・?
今までこんな所、見たことがない。
巣山くんの頭をぼんやりと見つめながら、しみじみと考えていたら、玄関があく音がした。
「あ、誰か帰って来たみたいだよ?」
「・・・親だ」
帰って来た人物の足音がだんだん近づいてきた。
部屋の前まで来た気配に、巣山くんが反応して、さっと私から離れておもむろにドアの前に立った。
「しょうー」
「何か用?」
巣山くんのお母さんの声がした瞬間、巣山くんがばっとドアを開けた。
今まさにノックをしようとしていた巣山くんのお母さんの姿が見えて、私は慌てて頭を下げた。
「お、お邪魔してます!」
巣山くんのお母さんはあんぐり口を開けて、私を見て固まってしまった。
私を見て、巣山くんを見て、やがて顔を真っ赤にさせていた。
「しょ、尚治?」
「用がないなら、じゃあね」
巣山くんが問答無用でドアを閉めた。
そのそっけなさに私の目が思わず点になる。
「あの、いいの?」
「いい」
私の問いに、巣山くんは面倒くさそうに振り返って私を見た。
それは、確かにいつもの巣山くんで。
先ほどまでとに違いに、私は思わず首を傾げてしまった。
ドアの向こうの巣山くんのお母さんが離れていく気配がして、巣山くんは再び私の隣に座る。
かと思えば、再び腕を回してきて私をぎゅっと抱きしめきた。
首筋に顔を寄せてきて、唇を押し付けられる。
「かわいー篠岡」
ほんの数秒前の巣山くんとはまるで違う巣山くんだった。
今日、何十回目かわからないその言葉に。
その、変わり身の早さに。
私の頭の中で、『デレスイッチ』という言葉が響いた。
終わりです。
本誌展開無視というのを書きもらしてました。
原作設定無視してすんません。
美味しくいただきました
同人の篠岡は淫乱女=篠岡厨の好みの設定
本編の篠岡はストーカー=ひぐちの設定
萌えたGJ!この巣山かっこいいな…
あいつの前に座ると勃起した
誰だって痛いのは気持ちいい
だけどこの事がばれたら
チームで浮くのは確実だった
あいつと組めたことを
幸運だとおもってた
こんなことを考えてしまうなんて
やっぱり夏≠ヘ怖い!
ここには初めて来ました振りのエロパロスレがあったとは(・∀・)
501 :
469:2008/08/09(土) 16:55:40 ID:WHw1AaAs
待ってても絶対誰も投下しないだろうなと思ったので、
自分で書いてみました。泉×泉母。なんかすみません。
シリアスともギャグとも言えない感じでエロなし、ただひたすらに泉がアレな話。
小ネタ的な感じなので短いです。
泉のキャラ崩壊が酷いので、そういうの見たくないってかたはそっと避けてください。
502 :
泉×泉母:2008/08/09(土) 17:09:41 ID:WHw1AaAs
高校生にもなって、まだオレは「ママと結婚するー」と言いたいらしい。
どう考えたって「マザコン」の域を超えている。と思う。
外食して「おふくろの料理のほうがうまい」とか、修学旅行のお土産選びで真先に「これおふくろに買っていこう」とか、
雑誌でたまたまウェディングドレスの写真が載っていたときに、おふくろがそれを着てるのをちょっと想像してみたりとか、
とにかく思い当たる事柄を並べたらキリがない。なんか自分が健全じゃないような気がして焦る。というか健全じゃない。
ただの母親想いならまだしも、そんな、おふくろの体を四六時中舐め回すように見てるとか、角ハンガーにおふくろの下着がかかってるのを凝視したりとか、
そんな、オレ、うわあああああ変態オヤジかオレは!
でもねほら、おふくろこんなに素敵な女性だしね、男なら惚れないほうがおかしいよね。と思っていたらいつの間にか兄貴に彼女ができていた。
この裏切者が…おふくろ以外の女性にうつつをぬかすなんてお前…。そういえば奴は今日も帰りが遅いな。どうせまたどこかのホテルに泊まって彼女とファッキンしてんだろ。
フン、そんなタクシー女と付き合ったくらいで得意になりやがって。お前にはせいぜいそういう尻軽女がお似合いだよ。
ちょっと悟りをひらけば自然と熟女に手が出るもんなんだよ。そうまさにオレのように!オレの目にはおふくろ以外映らない!!!おふくろラブ!!
と、ここまで考えてオレは、腰をかけていた自室のベッドから降りて一階へと足を運んだ。階段がね、ギシギシいってんだけどねオレ、この音嫌いじゃないよ。
むしろ好きなほうかな。いやいや、いやらしい意味じゃなくて。そりゃちょっとおふくろとオレがね、ベッドでね、とか考えたりとかする…訳ないだろ!!!さすがにそれはダメだ!!
いやいや、おふくろがもう40過ぎだから見た目的にダメとかそういうんじゃなくてね。なんかやっぱり実の母だと罪悪感がね、あるじゃん。な!
まぁそりゃオレだってね、チャンスがあればおふくろと…とかちょっと思ったりするけどね、そこはぐっと堪えて…。な!親子ってそういうもんだろ!え、違う?いいから黙ってろ。
そうこうしている内に居間に到着。椅子に座って、テーブルで家計簿になにやら書いている様子のおふくろがいた。親父は…いない、な。うん。
正直たまに、「もし親父が死んだら…」とか考えたりする。そしたら今度はオレがおふくろと結婚したいな〜って思ってるけど、
そんなねぇ、不謹慎なことはねぇ。な?言えないっしょ!オレもそんなん言わないよもちろん!うん。だってオレは親父のことも好きだしね。いやいや、そういう意味じゃなく!
だから死んで欲しいとかそういうのは微塵も思ってない訳よ。誤解しちゃだめ。
でもねやっぱりオレも男だしね。好きな女性とは結婚したいよね〜!!!というか結婚できなくてもいいからせめて新婚さん気分だけでも…名前呼びとか。そういう。
いやいやイカン。イカンよ。ちょっとやりたくなってきたじゃないかよ。名前呼び!いいね!「恵子!風呂!」とかそういうね!!
でも万が一にもそんなこと、うっかり口が滑って言っちゃったりしたらもう大変なことだよね。思春期真っ盛りの男子高校生がいきなり母親を名前呼びしてくるとかね。
もう何事かと思うよね。そんで不気味がられて避けられて最終的にはうわああああ
「おい、恵子」
やっちまった…。だが後悔はしていない。恐る恐る顔を上げてみるとびっくりしたような顔をしてこっちを見ているおふくろ。
これは…完全にアウトだ…やっちまった…。オレもう失恋決定。その前におふくろが親父と結婚してる時点でオレは産まれる前から失恋してるんだけど、まぁそんなことはいいよ。今はいいよ。
それより今になってちょっと後悔してきた。オレはバカか…己の欲望に任せてこんな…こんな…
「きゃはははは、どうしたのぉ孝介!やめてよもぉ〜!!」
びっくりするじゃな〜い!と付け加えて無邪気に笑うおふくろ。ああ…かわいいよおふくろ…まるで天使だ…。
こんなかわいいおふくろと付き合って結婚して子供まで孕ませたとは…親父許せん…だが好きだ。いやいや、そういう意味じゃなく!
そんな不健全なことを考えているオレをよそに、ホントもう、少女みたいなね、可愛い顔して笑うおふくろがね。ホント。かわいい!
もう結婚してくれ…一妻多夫があったっていいじゃないか。オレも親父もおふくろのお婿さんでいいと思うよ。もうホントおふくろオレと
「結婚してくれ…!!」
緩すぎるオレの口のせいで、今度こそオレは本当に失恋した。
思った以上に長かったみたいだ…ドカッとスペースとってすみません。
恵子ファンが増えると…いいな……
わろたww
お前アホだろうwwwww
だが嫌いじゃないぜこういう奴
505 :
名無し:2008/08/11(月) 00:21:08 ID:+cL44As+
恵子w
ノリに笑った!GJ!
遅くなったけどスヤチヨの職人様、またぜひ投下待ってます!
書きにくいかもしれないけど、職人様がんばって下さい
離れちゃう職人様は多いのかな・・・
ネタ切れなだけで実はずっといましたすいません
生存確認出来てよかった
待ってるからまたネタが浮かんだら書いてください
むしろあの流れでアベチヨが来ないのが意外だ
他の職人様は忙しいのかな
お盆だしな
帰省先からエロSS投下ってわけにもいかんだろうし
それに週末にはイベントがあるっていうし
とにかく紳士なら蝶ネクタイにシルクハットで全裸待機
510 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 00:28:06 ID:sTZ3MTYB
お盆だしな
小ネタっぽいの投下。
病んでるマネジ+暗いの嫌だって人は「ヤンデル」NG推奨。
貴方副主将、私マネージャー。
貴方三橋君の妻、私みんなのマネージャー。
どうしても埋まらない溝はどうしたらいいの?私は考えた。考えて考えて考えた結果、私は阿部君を草の上に押し倒す。
(ああ、青くさい。何がとは言わないけど。)
阿部君の顔、一言で言うとぽかん。可愛くて可愛くて、私阿部君が好き。隠しきれなかったし、抑えきれなかった。
(でも私がんばった。少なくとも、貴方の怪我が治るまでは。)
阿部君は不機嫌そうな不可解そうな、そんな瞳で私を見る。私だけを見る。怯えているようで、とっても素敵だった。
(こえた一線のさき、貴方は誰で私はなあに?)
―――――――
お粗末。
なんか片言WW
ちょっとウケタ
携帯小説っぽくていいよ。恋空っぽくて
女攻めは良い
次は阿部以外でよろ
この続きぜひ書いてくれ!
誰が誰とどこで何を?
↓
西広が
織田とルリがセックスしているところで
叶に見られる
521 :
516:2008/08/14(木) 19:14:37 ID:mILtnQiB
書けたんで投下します
織田が気持ち悪い上無理矢理犯してます
522 :
516:2008/08/14(木) 19:16:54 ID:mILtnQiB
「織、田……! ストップ! ここどこだか分かってるの!?」
少女は潜めた声で精一杯叫んだ。
「アカン。止まらん」
少年は少女の制服の上からカラダをまさぐり、首筋に唇を乗せた。
人目につきにくいとはいえ、ここは公園だった。少女は不安を露にしたが、少年は気づこうともしない。
なぜ、こんなことになっているか、それを説明するには少し遡らなければならない。
三星学園高等部からその男子寮へ続く道の途中に、こじんまりとした公園がある。公園にはブランコ、すべり台、ジャングルジムといった遊具が設置されているが、中でも子供たちに人気があったのは『ほらあな』だった。
ほらあなとは名ばかりで、公園にある公衆トイレの裏側が、ちょうど公衆トイレの壁・屋根と公園の塀に囲われていて、代々地元の子供たちは親の目を盗んではそこを秘密基地にして遊んでいた。それがいつからか『ほらあな』と呼ばれるようになった。
そのことを織田に話すと、想像以上に食いついてきた。根が好奇心旺盛なのだろう。
楽しそうやなぁ、だの、俺らんとこには秘密基地なかったで、だの、やっぱ田舎はええなぁ、だのと――最後は余計なお世話だと思ったが――興味心身だったので、「見てみる?」と半ば冗談で提案したところ、あっさり「おお、行こか」と言われてしまったので、案内をした。
お互い部活が終わってからだったためヘロヘロだった。『ほらあな』に到着してすぐは、何をするでもなくボーっとしながら、時折携帯をいじったりスポーツドリンクを飲んだりしていた。時刻は午後8時。いくら夏だとはいえ、とうに日は暮れていた。
「さすが秘密基地やなぁ、ガラクタがぎょうさんある」
「あー、私たちが遊ぶようになる前からあるものもあるんだ。それって凄いよねぇ」
「へー、例えば?」
「えーと……これとか!」
少女が見せたのは、いかにもぞんざいに扱われてきた人形だった。
「……えっらい可哀想やなぁ」
「ね。でも私たちの頃もリューの頃も、みんなちゃんと可愛がってたし、その頃からあんまり見た目変わってないから、ボロボロになっちゃったのはもっと昔だと思う」
「ふうん……」
人形の性別は女だった。ブロンドの髪を縦に巻き、ところどころほつれているリボンをつけている。破れたり縫われたりを繰り返していることが良く分かる洋服を着、片方だけ赤い靴を履いている。
523 :
516:2008/08/14(木) 19:17:15 ID:mILtnQiB
「……ソソるな」
「……はい?」
「こういうの、なんやソソらん? 破けとる服から見える白い肌――」
「知ってたけど、国宝級に可哀想な脳みそね」
少女は蔑むような目でじとーっと少年を見る。呆れていると言ってもいいかもしれない。
「うっわヒドッ! ええやん! 男のロマンやん!」
「なーにがロマンよ、変態なだけじゃない」
「せやかて、これは反則やで。破れかけたスカートに片方は生足。フリフリのブラウスははだけとるし、髪についとるリボンつこたら縛ることも――」
「わーわーわーわー! もういい聞きたくない! きもい! 私帰る!」
これ以上こんなヤツの妄想なんか聞いてたら耳が腐る!と考えた少女は、スタスタと少年を置いて帰りだした。
――はずだった。
気づいた時にはもう遅かった。少女は『ほらあな』の地面に押し倒されていた。
524 :
516:2008/08/14(木) 19:19:07 ID:mILtnQiB
ここでやっと冒頭に戻る。
「織、田……! ストップ! ここどこだか分かってるの!?」
「アカン。止まらん」
織田の手つきは厭らしく、もぞもぞとカラダを撫で上げる。鳥肌がゾクゾクと立ったが、それよりも気になることがある。
「……アンタ、本当に人形に欲情してたの?」
瑠璃の太ももには、硬いものが押し付けられていた。――ありえない。こんな奴に抱かれるなんて、考えたくない。
そんな瑠璃の思考など露知らず、織田は制服を脱がしにかかる。
「ちょ……! いくらなんでもここでは……!」
必死に抵抗をするが、当然のごとく無視をされる。それどころか、「静かにしい」と言われ、ほどいたネクタイで手首を後ろ手に縛られた。ブラウスははだけさせられ、スカートは脱がさず片方の靴下と靴だけ脱がされる。これじゃあまるで――
「お人形さんのできあがりやな」
満足気にニンマリと笑う男に対して、少女は恐怖しか感じなかった。自分が人間だと認知されてないのではないかと思い、ただひたすらに怖かった。
525 :
516:2008/08/14(木) 19:19:45 ID:mILtnQiB
胸の膨らみをゆるゆると撫でられ、そこかしこにキスをされる。あ、と思った瞬間、その頂に舌を這わされた。
「……ん……ぁ……!」
嫌だと伝えたかったが、声を出そうとすると全て喘ぎに変わってしまう気がしたので、変わりに首を左右に振る。
「痛っ、い……!」
そのかすかな抵抗が気に入らなかったのだろう。織田は乳首を噛んだ。さほど強くなかったにせよ、痛いことには変わりない。ぽろぽろと涙がこぼれるのが分かったが、自分では止めることができなかった。
伝い落ちる涙に気を良くしたのか、織田は噛むのをやめて、再び舌を瑠璃のカラダに這いずらせる。
胸元から脇の下、わき腹、臍……徐々に下腹部へ近づく舌に嫌悪感を抱きながら、それでも拒否する術を持たない少女は、ただひたすら涙を流すことで耐えた。
調子に乗った織田は、ついに瑠璃の秘部へと手を伸ばす。瑠璃の目が恐怖と驚きに見開かれた。
「やだ……! もうやだ! おねが……やめて!」
それまで以上に必死に拒否する瑠璃を見て、織田は密かに興奮を高めていた。まるで自分が一人の少女を犯しているかのような感覚だった。実際その通りなのに、なぜだかそれまで全くそういう気分にならなかった。
「ほんとにお願い! やめて……!」
必死に懇願する声は織田の耳に届いていない。下着を脱がせてそこに顔をうずめる。そして何を思ったか、匂いを嗅ぎはじめた。
くんくん、くん。まるで動物のようなその動きに、瑠璃はぞわりとした。同時に、とてつもない羞恥心がこみ上げる。
「やだやだ! そんなとこやだ! やめて! ゆるして!」
しかし織田がやめるはずもなく、今度は指でツンツンと豆の部分を触り始めた。触るたびにビクンビクンと打ち震える少女は、もう泣いていなかった。顔を赤らめ、目をぎゅっと瞑り、縛られた手をもぞもぞと動かしていた。
指でツンツン、鼻でくんくん。荒い鼻息すら快感になってしまうほど、瑠璃は敏感になっていた。もうここがどこであるかなんてことは考えられない。縛られて動けないため、ぞの快感を発散できず、ひたすらに声を上げることで和らげようとする。
「あぁぁっ! やだぁ! んん……!」
その反応が面白くて、織田は指を捏ねくり回すような動きに変える。
「きゃぁあ! あっあっあっ! やあぁっ! はぁ……んんんーっ!」
ぐにぐにとそこを練れば、瑠璃はジタバタと悶え苦しんだ。スカートの内側に愛液が滲んでいる。
「アララ、スカート汚れてしまうやん」
そう言って、さっきまで匂いを嗅いでいた瑠璃の秘部に口をつけ、じゅるるるる!と勢いよく吸う。吸われた衝撃と、捏ねているままの指によって、瑠璃に与えられた快感はキャパシティをとうに超えていた。
526 :
516:2008/08/14(木) 19:20:27 ID:mILtnQiB
それを感じ取った織田は、性急に自分自身を取り出すためにズボンのチャックを下げた。
その瞬間。
「あれ、織田まだいたのか?」
聞こえたのは我らがピッチャー、叶修吾の声。バクバクと鳴り響く心臓と背中を伝う冷や汗にドギマギしながら、後ろを振り返る。
「つーか、一人? 三橋に案内されて来たんだろ?」
きょとん、とした顔で尋ねられる。だめだ、今、瑠璃の姿を見られるわけには――
しかし織田の心境などおかまいなしでズカズカとこちらへやってくる。マズイマズイマズイ神様仏様助けてくれ!
「いねーみたいだな、帰ったのか?」
「……へ?」
振り返ると、そこにはパンツを脱がされ、リボンで後ろ手に縛られたブロンド髪の人形が、仰向けに寝転がっていた。
527 :
516:2008/08/14(木) 19:23:23 ID:mILtnQiB
以上です
きもい私帰る!の時点で瑠璃は帰ってます
それ以降は織田の妄想というか人形遊びというかとにかくきもいです
織田好きの皆様には土下座をして謝ります
本当にすみませんでした
ももしろかったお^p^
乙 しかし瑠里なんだ
乙でした!
しかし織田キモいwww
きよえと一緒にギラギラ光る性春ラインを飛び越えたい
保守
533 :
ロカモモ。2:2008/08/21(木) 23:13:40 ID:gJHS+1KI
ロカモモ投下します。多分5レスくらい消費予定。
・
>>308-309のロカモモの続きです。
・本誌展開のネタバレが含まれます。
・ロカが無理やりモモカンを、というエロ内容です。
コミックス派の方、ラブラブ以外に抵抗のある方はご注意ください。
苦手な方はスルーでお願いします。
534 :
ロカモモ。2:2008/08/21(木) 23:14:11 ID:gJHS+1KI
トレーニングルームの窓からは、野球部の専用グラウンドが見える。
その窓に、百枝を押し付けて自由を奪うのは簡単だった。
体格が一回り違う女の体を後ろから羽交い絞めにして、トレーニングで使うチューブで両手を後ろ手に拘束する。
口にタオルを突っ込んでしまえば、文句も悲鳴もまともな言葉にはならない。
強い批難を浮かべた目が、肩越しに仲沢を睨む。
仲沢は百枝の首筋をべろりと舐めた。
「――っ!」
ん、とも、あ、とも付かない抵抗の声が上がる。
元々きつい目には、更に厳しい表情が浮かんでいる。
この状況でどんなに強い視線を向けられても、大した効果はない。
それどころか、まるで挑発されている気分になる。
自分の腕の下でもがかれればもがかれるほど、自分が相手を好きにしているという優越感が強まるばかりなのに。百枝は強い目を向けるのを止めようとしなかった。
荒い息でこちらを見る百枝に、仲沢は冷たい笑みを浮かべた。
いい眺めだ。
征服欲というのは、こんな感情を言うのだろう。
*
学校の施設を見て回りながら、少し話をした。
百枝は仲沢が自分と年があまり離れていないことを知り、すぐに砕けた様子になった。
元々気安い性格なのだろう、屈託のない表情で部の練習のことや施設の話の受け答えをする。
西浦野球部は部が軟式から硬式になったばかりで、部員も自分も一年目だから自由にやれるのがいい、と言う。
トレーニング施設のようなものの充実はあまり望めないが、強豪や名門校の背負うプレッシャーとも無縁だから、その分伸び伸びやってくれる。それが一番の強みかな。
そう言って百枝はまた笑った。
そうだ、この笑み。
どうしてこんな風に笑うのだろう。仲沢には不思議で仕方がない。
夏大で負けて、まだ殆ど経っていない。
新人戦への時間もないから、切り替えなければいけないという事情はわかる。
それでも、こんな風にあっさり笑えるのは何故だ。
うちに負けて夏が終わったのに、どうして俺の前で笑える?
悔しくないのかよ。
仲沢は無性に苛々とした気分になって、夏の対戦の話を振った。
「あの怪我した捕手は」
「ああ。捻挫でした。新人戦はちょっとわからないけど、今のところ順調ですよ」
「あの捕手がいたら、最後までどう転ぶか、わからなかったでしょうね」
本当は負ける気など毛ほどもなかった。だからこの言葉は軽い皮肉だ。
しかしそのちっぽけな意地悪に気付いたかどうか。
百枝はどちらともとれる表情で、じっと仲沢を見つめた。
「でも優勝校以外は、必ずどこかで負けるんですから」
視線を逸らさず、明るい口調と笑顔はそのまま百枝は言う。
当たり前の対応だったが、その分、仲沢は自分の内の屈託と子供のような態度を指摘された気分に陥った。
相手を刺激するために心にもないことを言う自分を、穏やかに受け流す応対。また頭に血が上る。
この余裕に満ちた笑みを歪ませてやりたい。
思った時には、既に行動に移っていた。
535 :
ロカモモ。2:2008/08/21(木) 23:15:13 ID:gJHS+1KI
目の前に、実際歪んだ表情を見ていると、少しだけ胸がすく。
後ろから抱きすくめるようにして、百枝のつなぎを上から開く。
「ん――っ!」
蒸れたような、甘い女の匂いが鼻先をくすぐった。
耳元であがる声を無視して、仲沢はそっけない白いTシャツを捲り上げる。
手を背に回し、ブラのホックを外す。
そのかすかな音と共に、シンプルなデザインのブラに押し込められていた胸が身震いするように開放される。
下から掬うようにすると、たわわな双丘は仲沢の大きな掌から逃れるようにはみ出した。
「すっげ」
柔らかいふくらみに思わず声が洩れる。
胸は形を変え、仲沢の指先を埋め、飲み込むような感触を伝える。
「――――っ」
まるで唸るように百枝が抵抗の声をあげ、首を振る。
手から逃れようとする仕草を、もう一度後ろから圧し掛かるように制して、仲沢は小さく笑った。
「こんなことされるなんて、考えてもみなかった? 案外のんきだな」
窓に押し付けられた百枝の顔が歪み、また仲沢を睨み見る。
「そういう顔が見たかったんだよ」
胸を強く弱く揉みしだき、首筋に舌を這わせる。
襟足の髪の生え際から、耳の後ろを唇でこするように辿り、耳朶に軽く歯を立てる。
わざと唾液の音がするように耳を舌でくすぐる。
百枝が懸命に反応を堪えようとしているのがわかる。
仲沢は心地よい重みを主張する胸を掌で刺激しながら、人差し指と中指でその頂きを挟んだ。
「……っ」
羽交い絞めにした百枝の体がぴくりと震える。手指に挟まれたそこは、柔らかい胸の先でかすかに硬い感触を返してくる。
「感じる?」
百枝は否定の声をあげたが、爪先で引っ掻くようにした途端、それまでより高い声が洩れた。
「んん……っ!」
「自分でわかってる? さっきまでの抵抗の声とは随分違うよな」
敏感なそこばかり執拗にかわいがる。
仲沢の刺激に応えるように、乳首はしこりはじめている。
「ん……」
百枝がぎゅっと目を閉じた。頬がかすかに紅潮している。
胸全体を緩急をつけて刺激しながら、硬く主張する突起を指の腹で何度も擦り、指先で押し込むようにする。
「ふ……」
百枝の呼吸が徐々に荒く上がり、明らかにそれまでと違った乱れになる。
タオルで言葉を封じられていても、堪えようとする呼気に物欲しげな甘い響きが伴うのを隠し切れなくなっている。
仲沢は冷笑を浮かべながら、きつく乳首をつまみ上げた。
「ん――っ!」
百枝の体がびくりと跳ね、顎が大きく仰け反った。
仲沢に押さえ込まれたまま、体が小さく震える。
「気持ちいいんだろ」
百枝は答えない。また窓に頬を預け、目を閉じて呼吸を整えようと肩を上下させている。
百枝が小さく身体を震わせる度、その首筋から纏いつくような甘い匂いが立ち昇る。
仲沢はそれを堪能して、耳元で囁く。
「感じてんだよな」
百枝は目を閉じたまま首を振る。
けれどその体は愛撫に熱を帯び、肌に薄く汗が浮かび始めている。
仲沢は小さく笑みを浮かべて、揺れる三つ編みを強引に引っ張った。
「んっ」
体勢を崩してよろける体を受け止め、そのまま床に横たえた。
536 :
ロカモモ。2:2008/08/21(木) 23:16:18 ID:gJHS+1KI
トレーニングマットの上に、黒い髪が散った。
引っ張られた拍子にほどけたらしい。
つややかな髪は、それまでの三つ編みの後も残さず、緩やかなカーブを描いている。
仲沢は百枝にまたがり、上からその表情を見下ろした。
閉じた目元がうっすらと潤み、頬がかすかに上気している。
口にタオルを詰められたまま、苦しげに呼吸を継いでいる。
その姿はひどく扇情的だ。
仲沢は片手で百枝を抑えたまま、自分のベルトを外し始めた。
バックルの金属音に百枝が弾かれたように首を振り、言葉にならない呻きを上げる。
逃げようと懸命に体を捩らせるが、腕を拘束されたまま馬乗りにされていてまともな抵抗にはならない。
おそらく全力で抵抗しようとしているのに違いない。
けれどその抵抗は、仲沢には子供の戯れのようなものにしか感じない。
その先には絶望しか待っていないのに、まだ諦めずに逃れようと自分の下で懸命に身動ぎしようとする百枝を、仲沢は不意にかわいいと思った。
酷く歪んだ感情だ。
せせら笑いのような感情が込み上げて、仲沢は口許を歪ませた。
後ろ手に腕を拘束しているから、服をこれ以上脱がすことは出来ない。
不自由だが、このままかわいがってやる。
このまま汚して、最後にどんな顔をするのか見てやるのもいい。
終わる頃には、あんな笑い顔を浮かべることは出来なくなっているだろう。
いい気味だ。
百枝の腰辺りで引っかかっているつなぎの中へ、手を滑り込ませた。
「ん!」
下着の中の肌は熱く、割れ目の奥はしっとりと湿っている。
指先で入り口付近を軽くくすぐった。いやらしい水の音。
「結構濡れてんなぁ」
愛液を指先に掬い、百枝の前に差し出した。
濡れた指の先をよく見えるように動かす。百枝が目を瞑り、顔を背ける。
仲沢は愛液を百枝の唇に塗り付けるように強引に這わせ、また中に挿し入れた。
静かな部屋で、百枝の呼吸音にかすかな粘液のぬめる音が重なる。
自分の勃ちあがったものを入り口に宛がう。
百枝が顔を背けて抗うが、全身で圧し掛かるように抵抗を制す。
先を無理やり捻じ込んだ。
「ん――…っ!」
中は侵入を拒むようにきつく締まっている。
抵抗する足を強引に開かせ、体で押さえ込むようにして、更に奥へと体を沈める。
全身が熱く滾るようだ。
百枝がゆるゆると首を振る。
今出来る最大の抵抗だというように奥歯まで噛み締めて、体を強張らせている。
「無理やりやられて感じてんだ」
百枝ははっとしたように強く首を振った。
「こんな濡れてて、感じてないってことないだろ」
刺激から逃れるように顔を背ける姿はいかにも健気で、かえって征服欲が駆り立てられる。
「無理やりやられて感じるってどんな気分?」
仲沢は胸を揉み上げ、もう片方の手で秘唇に隠れた花芽を指先で摘んだ。
「んん……!」
百枝の体が仰け反り、その後、ごく一瞬緊張が緩んだ。
その隙に仲沢は体を引き、そしてまた奥へと貫いた。
「ふぁ……っ」
大きく口を開け、荒い息が百枝から洩れてくる。
その声は先ほどとは違う、甘い官能を静かに帯び始めている。
百枝はまだ頑なに仲沢を拒んでいたが、体はもう先ほどまでの強張りを残してはいない。
仲沢はゆっくりと注挿を始めた。
537 :
ロカモモ。2:2008/08/21(木) 23:17:13 ID:gJHS+1KI
中をかき混ぜるように動かす。百枝は堪えきれないように息を洩らした。
「ん…」
花芽を強く擦るようにしてやると、百枝の体が快感に小刻みに震える。
「ふ……、ぁ」
百枝の肌が赤く染まっている。
さっきまで強硬に振られていた首も、今は幼い子供がいやいやするように弱い動きで、なにかを堪えて揺れるだけだ。
汗が浮き、額や細い首筋に幾筋も真っ黒い髪が張り付いて、服で隠されていた肌がどれだけ白いかを強調している。
仰向けに寝てすら形をなくさない豊かな胸が、仲沢の動きに同調するように激しく波打つ。
「んん……っ、ふぁ、……んー……」
息を吐く余裕も与えず、仲沢は中を抉る。
浅くまで引いてくすぐり、また奥を突いた。
百枝の息が荒く乱れ、いつしか強張った呻きだった声も、甘く溶けた嬌声に変わっている。
「ひぁ、やぁ……、あ、あ、……んっ」
よがり声をあげながら、百枝の閉じた眦から薄く涙が浮いている。
仲沢はそれを至近から確かめるように見つめ、口許が歪むのを覚えた。
腹の底から、皮肉な笑みがとめどなく溢れてくる。
仲沢は、自身も無意識に、哂っていた。
百枝はただ苦痛とも快楽ともしれないものを孕んだ表情で、眉根を歪めている。
その表情が、仲沢の胸をすくような気がした。
もっと。この表情を、もっと歪ませてやりたい。
もう二度と、あんな風に笑えないように。
仲沢は注挿を繰り返し、更に狭い奥を求める。
ぐちゅ…。にちゃ…。
熱くぬかるむ奥を穿つ度、いやらしい音が辺りに響き渡る。
絡みつくような奥の、篭った、ぬちゃぬちゃという水音が、一層快楽の情動を煽る。
「く……っ」
百枝に、もう先ほどまでの余裕に満ちた笑みはない。
もうなんの抵抗もない。なされるがまま、身体を開いている。
タオルを噛んだまま、うわ言のように不明瞭な喘ぎ声が上がる。
「ふ……ぁっ、ああ……っ」
百枝の細い腰が仲沢を自ら奥へ導くように揺れる。
徐々に射精感が高まる。
絶頂へと上り詰める衝動のまま、仲沢は体をぶつける。
「ん…っ、ふぁ…、ぁぁ……っ」
真っ白く柔らかい太腿が、やがて痙攣を起こしたように震え始める。
百枝が上り詰めていき、仲沢も切迫した衝動が背筋から這い上がる。
絶頂が近い。
「やぁ…、も…ぅ、ん…っ」
百枝の全身ががくがくと震え、官能に大きく不規則に波打つ。
「ふぁ…、あ、あ、あ…っ」
体の緊張が強まり、仲沢をきつく咥え込み、締め付ける。
仲沢はクリトリスをきつく捻り上げてやった。
「あ、――――っ!!」
一際高い声が上がった。
瞬間、全身が強く緊張した後、一拍置いて百枝の体が弛緩した。
きつい締め付けの後、頭が一瞬真っ白になる。
仲沢は荒い息と共に、自身の精を奥へと吐き出していた。
538 :
ロカモモ。2:2008/08/21(木) 23:19:18 ID:gJHS+1KI
無理やりに詰め込んでいたタオルを取る。
唾液を吸ったタオルが、一瞬、細い糸が引いた。
百枝の目が無表情にそれを見、仲沢を見た。仲沢はまた小さく哂った。
何故だかわからない、暗い笑いが込み上げる。
タオルを取った途端に、唾を吐きかけられるか罵声が飛んでくるかと思ったが、もうその余力もないらしい。それがおかしかった。
いい気味だと思った。
荒い息を落ち着けている百枝に嘲笑を込めて訊く。
「どうした。声も出ねぇか」
「いい加減、手、外して」
背中を向けて言う。仲沢は言われるまま黙って戒めを解いた。
百枝が体を起こし、白く華奢な手首をさすった。
背や肩に長い髪が散り、細い腰や豊かな胸にかかる。
見え隠れする肌は、まだ先程の余韻を含んで赤く染まっていた。
百枝は投げ捨てられたタオルで体をおざなりに拭いた。
汚れたタオルを疎ましげにその場に捨て、黙ったまま服を調える。
痛むらしい体をやや気遣うように起こし、壁の時計を確認した。
「行かなくちゃ。昼休み終わっちゃう」
「おい」
乱れた髪をまとめて出て行こうとする百枝を、どうして引き止めたのかわからない。
無意識に声をかけた仲沢に、百枝が振り向いた。
「今は勝ち誇ったような気分でいるかもしれないけど。そんなのまやかしよ」
「あぁ?」
「こんなことして、私をどんなに好きにしたって、あんたの中のものは何一つ解消されない。一つたりとも」
冷めた目を投げかけて、百枝ははっきりと言った。
「いい気味ね」
返す言葉に躊躇った隙に、百枝が追い討ちの言葉を継ぐ。
「あんた、こんなことして本当に楽しいの。私にこんなことするのが、本当にしたかったことなの」
「お前に関係ねぇだろ」
「関係ないわよ。だから私は、あんたがなにを思ってこんなことしたのかなんて知らない。
知りたいとも思わない。でも、こんなことしたって、あんたは虚しくなるだけよ。
だからせいぜい自分で自分の傷に塩塗りこめばいいわ」
百枝の顔を静かに歪んだ笑みが覆った。
荒んだ笑いに、仲沢は一瞬胸を刺されたように言葉を失う。
酷薄な声音が、ゆっくりと仲沢の鼓膜を打った。
「忠告してあげる。あんたが教えている子達に、恥ずかしくないようにしなさい。
でなきゃ、後で自分が後悔するだけよ」
「…んだそれ…」
「今なら引き返せる。あんたの傷に、問題に、きちんと向き合いなさい」
「……てめぇ何様だよ。センコーか」
吐き捨てた言葉に、百枝が嘲笑を浮かべる。
「被害者よ。私が高野連にタレコんだら、あんたはもう終わり。
自分の方が強い立場だと思ってたら、痛い目見るのはあんたの方よ」
「男に連れ込まれてやられましたって、自分から言いふらすのか」
「その覚悟もあるってこと。中傷されるのなんか私はなんとも思わない。
やわでかわいい女じゃないのよ、生憎とね」
言った百枝の目には冷たい傷に揺れる色が浮かんでいた。
仲沢には目もくれず、百枝が扉へと向かう。
髪をかきあげ、首筋に絡む髪を指で払う仕草は平静を取り戻そうとする強がりか、それとも。
困惑に無言になった仲沢に、百枝が肩越しに振り向いた。
「あんたの八つ当たりの対象が私にあるうちは、まだいい。
でももしうちの子達に手出したら、その時はどんな手使っても、徹底的にあんたを潰すから」
「潰す?」
「野球の世界にいられないようにしてやるってこと。
言っとくけど、私は本気よ。よく覚えといて」
539 :
ロカモモ。2:2008/08/21(木) 23:20:10 ID:gJHS+1KI
*
出て行く百枝を見送って、仲沢は大きな舌打ちをした。
口中に苦いものが湧く。
彼女の笑顔を剥がそうとして、結局その下にある、もっと居心地の悪いものを掘り起こしたらしい。
あの冷たい目。荒んだ表情。
まるで仲沢自身の過去を見透かしたような捨て台詞に、仲沢は胸の底の傷跡の疼きに、顔を盛大に歪めた。
拳を思い切り壁に打ち付ける。大きな物音だけが虚しく反響した。
「くそ……っ」
百枝をここに誘い込む時に感じていた不快は、解消されるどころか、はるかに大きくなって腹の底に燻っている。
完敗かよ。
仲沢は立ち上がり、扉を蹴ると苛立たしげに出て行った。
終わり
540 :
ロカモモ。2:2008/08/21(木) 23:20:40 ID:gJHS+1KI
高校時代の野球に、色々屈託を抱えてそうな大人達の、
傷の抉りあいというか塩の塗りこみあいというか。
そんな感じが書きたかったのです。…w
続きを読みたいと言ってくれた方、
七夕に星に願いをかけてくれた方、ありがとうございましたー。
こんな話で期待にこたえられたかわからないけど、
一応、続き投下でした。長々と失礼しました。
いつの間にロカモモが!
GJ!
モモカンがカッコいー!
まさにこのスレ向けの燃料が本編でキタ
マジバレ。画像もあるぞ。おお振り本編はどんどん変な方向へ
http://a-draw.com/uploader/src/up3838.jpg http://a-draw.com/uploader/src/up3839.jpg 90 :マロン名無しさん:2008/08/21(木) 21:46:49 ID:???
早売り買ってきますた
今月は西浦エロ話と武蔵野・春日野戦の二本立て
田島が三橋に貸した何か(多分DVD?紙袋に入ってる)を返すところから
西浦面々の好きな妄想やシチュエーションの話に
以下メンバーの好み
三橋:ナースさん
田島:青カンシリーズ、ショートカット、髪の毛しばってる娘
泉:修学旅行の自由時間にビワコに行って水着で水中エッチ(中学の時のネタ)
水谷:家に忍び込んだ女ドロボウを捕まえて「ケーサツ呼んじゃうよ?それがイヤなら−」
という妄想ストーリー
栄口:豪華客船で(なんなら貸切とかで)パラソルの下でゆーったりと寝てるシチュ
巣山:「妄想って何?そんなんする?」
沖:和服
西広:白人系
花井:英語教師
浜田:ハーレム
阿部:肌の綺麗なのがいいけど妄想は意味がわかんねぇ!
西浦部分詳細
DVDを返してもらった後で
田島「スキなのあった?」
三橋「…オ オ オレ ナースさん」(顔真っ赤)
田島「コスプレのやつか かわいかったよな」
三橋「た た たじま くんは?」(顔真っ赤)
田島「オレは青カンシリーズー」
三橋「へ へ へ〜〜え」(顔真っ赤)
田島「泉の好みっぽいのまた持ってきてやんね」
泉「オレの好みって何よ」
田島「アレだろ? 修学旅行の自由時間にビワコ行ってー 水着で水中エッチ」
水谷「ぶっはーっ 何その具体的スギなもーそー!!」(大笑い)
泉「うっ うっせ! 中学ン時のだよ!」(顔真っ赤)
「たじまもよー 言うんじゃねーよ てめーわよう」(田島を首絞め)
田島首絞められつつ水谷に妄想あるよな?とネタフリ
水谷女ドロボウの妄想ストーリ披露
泉「お前の方がオモシレーから!」
田島ゲッラー!!!と大笑い
田島の好み(ショートカット 髪の毛しばってる子)から
水谷「カミガタだけかよっ んなのモモカンもシノーカもしばってんぞっ」
田島「あーえーとね カミの毛とかいじってんのが女子っぽくてかわいってこと」
水谷?「そんじゃ篠岡はアリ?」
田島「おお 篠岡はかわいいじゃん?」
泉「モモカンに失礼だぞー」
田島「えっ オレモモカンはスキだよ!」
「モモカンが今15でクラスメイトならスキンなるけどっ」
「出会いがマジーよ 監督と選手だもん」
栄口「やらしい話?」とノッてくる
好きなシチュエーションの話と分かると豪華客船の話披露
巣山「ハル・ベリーだろ」
田島「ハル…何ソレ?」
栄口「ソレじゃない 人だよ人 ジョユーさんだ」
(泉「栄口 洋物いけんだ ソンケー」)
水谷「巣山の妄想は?」
巣山「妄想って何 そんなんする?」(背景でビカッとフラッシュ)
花井、栄口、水谷、沖「はあ!?」(呆れ)
巣山「なんだよ! そんなんしねーよ!」(怒)
水谷「いやいやするって! なあ!」
栄口、泉うなずく
「沖はどんなん!?」
沖「(ビックリしつつ)オ オレは和服とか?」
(西広「ミコさんだろ」沖「それも含むね」)
「西広は?」
西広「シチュエーションじゃないかもだけど 白人系はスキかな」
(泉「西広もスゲー」)
「花井は?」
花井「まー 英語教師とかいーよな」(後ろで浜田ウズウズ)
浜田「オレはもーハーレム! 男の夢ったらやっぱ ハーレムでしょ! 阿部は?」
阿部「好みゆーなら肌のキレーなのがいーけど 妄想はイミがわかんねェ!」
浜田「ええっ」(ヒク)
巣山「だよなァ!」(食いつく)
阿部「おおっ ねたなんかそン時手に入る何かだよなァ?」
(栄口、水谷「それとは話がちがうよ!」と反論)
阿部「つかそれよーするに 自分で考えたエロ小話を自分でネタにしてるってことだろ?」
阿部、巣山「(白目で)キッ モ!」
がうね! 2人とも想像力がないんだと思う!」
阿部、巣山「お前らがエロすぎんだよ」
栄口「そうかあ? 妄想してるヤツのがエロ関連に夢見てると思うけど」
泉「お前らが即物的なんじゃねー? 日課の3分じゃ妄想する手間かけられねーもんなっ」
阿部、巣山「はー!?」
阿部か巣山?「じゃーお前は何日おきなわけ!?」
(沖「あ なんか だんだん具体的なハナシになっててイヤだな〜(どきどき)」)
西広「…わかった」
「実際 カノジョができたとしたら どーいうことしたい?」
水谷「それだ」泉「それが妄想の第一歩だ!」
巣山「え? そりゃまず”手をつなぐ”だろ?」
花井、西広、水谷、泉「…かっ かわいーーーっ」(ほんわか)
巣山「なんで!? 普通だろ!? じゃーイキナリ押し倒すのかよ!?」
阿部「(困ったように)そーだふつーだっ」
田島「みんなエロいな」
三橋「う ひっ」(きょろきょろ)
田島「今度”ナースなお仕置き”っての持ってくんね」
三橋「お し お」
シガポ「(突然入ってきて)さー続きは夜にして そろそろグラウンドに行けよ!」
みんなビックリして「はいっ」
廊下でモモカンもいるのでみんな気まずいままぞろぞろとグランドへ
モモカン「まだ県営で戦ってる子達もいるのにねェ」
シガポ「ですねェ」
本編がエロ全快でした
どこへ行くおお振り本編
他校のも見てみたいと思ってしまった
ロカモモ GJでした!
モモカンイイヨイイヨ〜
これが声優たちに「それ本編でも使っていいですか?」て確かめたっていう
エロ妄想か
各人の違いが面白いな
阿部巣山は好きな子をオカズにできないタイプかw
ロカモモGJ!
カノルリ投下します。
コミックス派なんですが8巻で名前が出てくる「リュー」は
ルリの弟だろうとエスパーしてます。
アフタの方で既に細かい設定出てたなら…恥ずかしすぎるな…orz
552 :
カノルリ:2008/08/24(日) 21:40:02 ID:Xb4iVcqh
小学校からずっと、スカートや短パン姿のルリを見かけるたび、
「三橋、パンツ見えてっぞ」とちょっかいかけていたのが、ある日を境に
「ルリ、愛してっぞ」になった時、あんたにとってはパンチラとラブが
おんなじレベルなのかと、思いっきりどやされた。
553 :
カノルリ:2008/08/24(日) 21:41:05 ID:Xb4iVcqh
*
「修ちゃんは、実は意外にB型っぽいよね」
と、リューが言う。何だよそれ、と訊ねたら、デリカシーのないところとか、と
結構ひどいことを真顔で言いやがる。生意気な。
「ルリ姉、修ちゃんが自分のこと好きだって、気づいてないよ」
「うっそ」
マジかよ。本気で驚いた俺に、そりゃそうだよ、とリューは呆れた顔をした。
「昔は顔見りゃぱんつぱんつだったし。今だって似たようなもんでしょ。
いまどき、好きな女いじめるなんて、そんな男は絶滅種だよ」
そうなのか。
「じゃあ、これからは好きだって言うわ」
そう言ったら、リューは遠い星を見るような目をして、
修ちゃんの決め球ってストレートだっけ?と呟いた。
「まあいいや。ルリ姉もさ、俺の前では修ちゃんのこと、バ叶とか叶んことか、色々
なんか言ってるけど、本当は満更でもないはずだよ」
かのうんこ?
「高校んなって、廉ちゃんは帰っちゃう、修ちゃんまで寮入っちゃったじゃん?
寂しいって素直に言わないで、文句ばっか言ってんの。こないだの練習試合の
ことだって、ずーっと根に持ってた」
リューは言い、深いため息をついた。……ああそうだった、夜電話して、廉
すごかったんだぜって報告したら、なにそれ?なんでさきにおしえてくんないの?
しんじらんない!しんじらんないばかばかばか!!レンレンもひどい!!!!!
とすごい剣幕だった。あの後、廉は大丈夫だったのかな。
「とにかくさあ、修ちゃん、ルリ姉と仲良くやってよ。そんで、俺が三橋の
家を継がねえーって事態になっちゃった時はさ、修ちゃん、ルリ姉の婿になって
うち来て、三橋家のことよろしく頼むよ」
「何だよそれ」
「いやほら、うちって、駆け落ちとかしちゃう家系だから」
リューはぽりぽりと頬を掻いて言った。ああ、廉のおじさんとおばさんの
ことか。それはおまえ、家系関係ねえだろ。
「修ちゃんなら、うちの家族、誰も反対しないからさ。
既成事実でゴーでも全然おっけーだから、マジで!」
554 :
カノルリ:2008/08/24(日) 21:42:27 ID:Xb4iVcqh
リューめ、末恐ろしいガキだ。だがまあ、それも仕方ないかもしれない。
頭はいい、ルリに似て顔もいい、実家は地元の名家で金持ちで、その
跡取り息子だ。小学校の頃から既に、周囲で女同士の小競り合いが
絶えなかったと聞く。そりゃ、ませるよな。
「修ちゃん、これからしばらく帰って来れないの?」
「うん。夏大前はな」
明日登校したら、そのまま寮に帰る。なので、リューに新しいマンガを大量に
借りに来たのだ。織田のリクエストの『ユリア百式』ってのは、残念ながら
リューの本棚にはなかったが。
ルリが俺に『満更でもないはず』というのが気になって、それはどういう
ことだと訊いたら、んーとね、と天井を仰いで、
「前にさ、みんなで一緒にテレビ見てた時、修ちゃんがショートの女の子の頭、
これ超かわいいとか言って」
と、謎めいたことを言い出した。
「その次の日俺、ルリ姉に、『あたし、髪短いの似合うかなあ』って訊かれた。」
「……」
「修ちゃん、頭の上、はてなマークが十個くらい出てるよ」
「ルリは長い方がいいだろ、絶対」
「あーもー、だからちゃんと似合わないよって答えましたよ俺は、ルリ姉
切らなかったっしょ?! 修ちゃんも、切られなくてよかったっしょ?!?」
わからない。リューは何をイライラしてるんだ。
「ちなみに俺の好みはショートボブの子、って噂が流れたら、次の日三星の
女子部の女の子、三分の一は軽くショートボブになってるね。
あ、ルリ姉帰って来たんじゃん?」
玄関の方で、ただいまあ、と声がした。俺は借りたマンガを詰めた紙袋を
持ち、じゃ、帰る、と立ち上がった。
「ありがとな、リュー。今度ドラゴンボール、完全版貸すわ」
「うん、ありがと。じゃあね」
バイバイと手を振り、リューの部屋を出た。階段を降りて行くと、広い
玄関に、山のようにデパートの袋が置いてあって、ルリとおばさんがいた。
「こんちは、おじゃましてました」
「あらあら修ちゃん、珍しいお菓子買ってきたのよ、食べていかない?」
挨拶したら、嬉しそうにそう誘われたが、もうすぐ夕飯の時間なので断った。
「あ、いえ、今日はもう帰ります」
「あらあ、じゃあ明日またいらっしゃいよ」
「お母さん、叶は寮に帰るんだよ。実家にいた時みたいにはいかないの」
サンダルの紐をぐずぐずほどいていたルリが、不機嫌そうに言った。おばさんは
小さく肩を竦め、じゃあね修ちゃん、とにっこり笑った。
「ああ、はやく冷蔵庫にしまわなくっちゃ」
そしてそんなことを言いながら、両手にいくつも袋を下げて、パタパタと奥に
走っていってしまった。
「青バーバリだ」
女の子の洋服、お高いブランドの紙袋が二つもあった。ここのワンピースは
ルリのお気に入りで、それを着た時のルリは、何か特別な光が当たったみたいに
かわいい。と、俺は思う。
「応援行く時、着るのに、買ってもらったの」
ルリは俺を見ずに、そう言った。ふうん、と思った。
「じゃあな」
「うん」
玄関を上がったルリは、入れ違いみたいに三和土に降りた俺に、またね、と手を
振った。玄関を出ようとして、ああそうだ、と思った。急に振り返った
俺を、ルリが瞬きしながら見つめた。
「ルリ、愛してっぞ」
555 :
カノルリ:2008/08/24(日) 21:43:26 ID:Xb4iVcqh
その時ルリは俺の気がくるったと思ったらしくて、一目散にリューに相談に
行ったらしい。リューが事の次第を説明してくれたようで、即電話がかかって
きた。
『ふざけないでよ! 急に何なのよ!』
「急にじゃねえよ。てか、なんでルリ知らねえんだよ」
『ぱんつイコールラブなんて、ありえないでしょ! しんじらんない!!』
そうなのか。俺の方こそ、俺がルリしか見てないの、ルリが知らないなんて
ありえないと思ってた。
「うん、だから、これからは好きって言う」
『え、あ、えっ、……』
「あ、悪い。メシだって」
母親が階下で、ごはんよ、と呼ぶ声がした。
「食ってくる。じゃあな」
『う、うん。じゃあ……』
「愛してっぞ、ルリ」
――ルリは返事をしなかった。
556 :
カノルリ:2008/08/24(日) 21:44:51 ID:Xb4iVcqh
*
アホかお前ら、マン汁なんてまずいに決まってるやろ、という織田の一言で、
童貞たちの淡い夢がガラガラと崩れた。
「ま、ま、まずいってどういう」
「あー、なんや青いチーズみたいな。」
「ひいいいい」
「嘘だ、甘いよ美味いよってエロゲーでは」
「た、たまたまだよな?」
「そら個人差あるやろけど。おおかたアカンわ」
「おおかたって、なんこもなめたのかー!!」
皆バタバタと倒されていく。
「えー、結論。基本的に、どんな美人もアカン子もビッチも処女も、出るもんは
同じです。以上。あとは自分ら、身をもって確かめてなー」
織田はそう言って目の前の屍たちをニヤニヤ眺め、なあ叶、と俺を見た。
「そうやったろ?」
被爆しなかったのが俺だけだったので、経験があると思ったのらしい。知らない、
俺童貞だし、と首を振ったら、逆に驚かれた。
「えええ? マジで? 自分モテそうやのに。彼女おらんの?」
「いるけど」
「あー、こいつの彼女、理事長の孫娘だから。手出しとか、ガッコ通ってる間は
無理無理ムリ」
よろよろと復活した畠が、そう口をはさんだ。あらら、と俺を見る織田の目は
同情に溢れていた。生殺しやん、キッツイな、と言われた。どうも、皆
そう思うらしい。
『――叶は、私のこと、好きなだけでいいの』
ある日、ルリにそう言われて、どういう意味か、最初わからなかった。
『好きなだけって?』
『だから、……か、彼女になって欲しいとか』
ああ、そういうことか。ちょっとびっくりした。なってくれんの?と訊いたら、
『わ、私も、「彼氏がいる」ってのに、憧れがあんの! べ、別に、叶が
好きだからとかじゃ、……全然なくはないけど、えっと、あんまりないから!!』
と、思いっきりテンパっていて、……その時、真っ赤になって下向いて
照れていたルリは、超、すっげえかわいかった。
「生殺しかぁ? 大好きな女が彼女なんだ。充分じゃん」
俺が言うと、なんじゃそらあ!とさっき死んだはずの奴らに、次々どつかれ
ぶっ叩かれた。
「おまえはブッダか、後光がまぶしすぎるわ!!」
「いってええ、何だよ」
「ちくしょう余裕こきやがってこきやがって」
「三橋さん、叶はインポです! でなきゃホモです! 逃げて―!!」
阿鼻叫喚みたいな騒ぎの中、あっはっはっは、と織田が高らかに笑った。皆、
きょとんとして織田を見た。
「かっこええなあ、叶、自分」
織田はニヤニヤと笑いながら、俺の肩を叩いて言った。
「カノジョ、大事にすんのもええわ。せやけど、あんま、女の子に恥かかしたら
あかんよ」
「何それ」
「欲しがってやらな、泣かれるで、っちゅうこっちゃ。」
ま、一応覚えといたらええんちゃう、と片目をつむって、さー風呂いってこよ、と
織田は部屋を出て行った。
「お、織田さん、それはどういう!」
「織田センパイ! ご教授を!!」
皆、織田の背中を追って走って行く。一人残った俺は、やれやれとポケットから
携帯を引っ張り出した。
557 :
カノルリ:2008/08/24(日) 21:45:49 ID:Xb4iVcqh
「よう、今大丈夫?」
電話に出たルリは、うん、部屋にいる、と答えた。
『叶は?』
「俺も寮の部屋。これから風呂」
『なんだ、はやく行きなよ。ありがと、声聞けたから、いいよもう』
―― 一日一回、必ず声を聞かせろ、というのが、ルリが俺の彼女になってくれる
条件だった。
「ルリ、愛してっぞ」
そう言ったら、知ってるよ、と言われた。
『知ってる』
そうか。知ってるか。
「じゃあな。また明日」
『うん。じゃあね』
通話が切れた。携帯をポケットに戻し、大きくひとつ、伸びをする。
――欲しがってやらな、泣かれるで。
「そんなもんかね」
俺は天井を仰ぎ、肩を竦めた。さあ、風呂だ風呂。
558 :
カノルリ:2008/08/24(日) 21:46:52 ID:Xb4iVcqh
以上です。
エロなしですみません……保守がてらの小ネタということで
ご容赦いただけるとありがたいです。
おおおカノルリごっつあんでした!
よかったら次はエロもあるといいな、とワクテカしながらまってます!
カ
カノルリGJ かわいいです
本編でも2人のやりとりみたいですね
リューくんの初登場も期待
お話の中で「寮」になってますが多分自宅通学では?
西浦VS三星の練習試合のは合宿所だったような気がする
このお話上で「寮」としたのでしたら別にいいです
作者氏ではないけど、勝手ながらに補足してみる。
私立の強豪校ってとこは、大半が寮生活なんだ。遠方から野球留学している生徒とかね。
でも一般的な学生寮ではないんだな。
一般生徒とは区別してて、球場とかの練習場のなかに入ってる野球部専用寮で生活してる。
つまりこの全部ひっくるめた施設が合宿所ってやつ。
まあ普通は合宿所生活ではなくて、寮生活って言うだろうけど。
三星野球部のレベルがどの程度のものなのかいまいちわからんけど、たぶん上みたいな
オーソドックスなやつではないかと思う。原作上の設定とかも。
単行本見た感じでは、叶は寮生みたいだから合宿所(寮)で生活してるんではないかと。
(2巻冒頭での風呂に入ってるシーン)
でもこれは黄金週間での強化期間とかで、合宿所に寝泊りしてるってことかもしれんから
違うのかもしれない。
最後にもう1個。SSじゃないのに長いカキコしてごめんなー。
>>563 なるほど確かにどっちでもとれる描写だね
強い運動部なら寮生活もありえる
作者さん、ふと思っただけだったんですけど気分悪くさせてたらごめんなさいね
>>551 リュー=ルリの弟は6巻に明記されてますよ
ともあれGJです!
続き待ち
いつの間にカノルリが!
後でゆっくり読みますノシ
>>542 本誌見てきた。爆笑したwwww
水谷マニアックすぎるw
皆高校生って感じで可愛かったわw
巣山は相変わらず男前だな
手をつなぐんだ
やっと読みました
カノルリ可愛かったです!
リューも可愛いー
今月号でタジモモに目覚めた
571 :
551:2008/08/26(火) 13:02:37 ID:NmizcC3/
カノルリ書いた者です
レス下さった方ありがとう! 嬉しいです
寮については風呂場のシーンを見てそうなんだろうと思いこんでいた上
6巻のルリとリューのメールのシーンは脳内から抹殺されてたです…
過去確かに読んでいたのに…
色々穴だらけですいません フォロー助かりました 感謝です!
ルリカノ乙でした〜!たまらん
キュン死したw
またお願いします
…ていうか寮は普通にあるよね?
三橋は高校まで三星なら寮〜みたいなこと栄口に言ってなかったっけ?
…勘違いならスミマセン
三橋は
家に女がいるから寮に入る
といったので全員が寮ではない
追加
栄口が寮に入るのが方針なのか
の質問にたいする答えが
女が家にいるから
だった
小ネタ投下します。
田島くんが駆けてくる。
「しのーか、ごめん。オレ、おにぎりの具、忘れてきた。昼、取ってくっから」
「あ、ほんと? わかった」
「それとも……じいちゃんに、フェンスんとこまで持ってきてもらおうかなあ」
「だめだよ、自分で取りにいきなさい」
甘えっこはだめ、みたいにたしなめられて、へへ、っと照れたような顔がかわいいなあと、私は田島くんをじっと見つめる。
田島くんもそれに気づいて、ニッと笑うと、すっと手を伸ばして私の頬を撫でた。
う、キスしたい。したいな、だめかなあ。
うずうずしている私に覆いかぶさった田島くんは、チュ、と鼻先にキスしてくれた。
「じゃな」
「うん、じゃお昼にね」
バタバタと走っていく後ろ姿。追っかけたいけど、
「篠岡」
「はいっ」
志賀先生が来たから、我慢する。
みんなには内緒だけど、私は志賀先生が一番好き。だってやっぱり、オトナなんだもん。
体つきとか全然ちがう、胸とか厚いし、あの腕に抱かれると、力がふうっと抜けちゃう。
何より手がね、男の人の手、って感じで、さわって欲しくなるの。いっぱい、いっぱいさわって欲しい。
その胸に背中でもたれて、からだの大事なところ全部さらした無防備な私を、先生は、かわいいよって言ってくれる。
耳の裏を優しくくすぐって。首から胸にかけて、そうっと、マッサージだよ、なんて言いながら撫でられると、気持ち良くて、甘えた顔になっちゃう。
腰の抱え方とか、全然乱暴じゃないのに、その手で押さえ付けられると私、どうしても逃げられない。
「じゃ、そういうことで」
「はい」
あ、やだ。色々思い出してたら、志賀先生の言ったこと、何ひとつ聞いてなかった。
「さ、おいで。今日は特別だ。数学準備室」
え?
「おとなしくね。ばれないように」
志賀先生はそう言って、意味ありげに片目をつむって、しー、のしぐさをした。私は口をつぐんだ。
あそこは本当は、簡単には入れてもらえない。今日は他の先生がいないのかな。
前に一度、あそこで志賀先生と、内緒の時間を過ごしたことがある。先生の腕に抱かれて、一緒にアイスを食べた。
先生が木匙にすくってくれたバニラアイス、私は夢中になって舐めて、とけたアイスが先生の胸にたれて、私はそれも全部、全部舐めた。
志賀先生は、ひょいと私を抱き上げ、顔を覗き込んで言った。
「いい子にしてたら、後でアイスあげる」
ほんと?
「あはは、正直だなあ、アイちゃんは」
喜びのあまり、しっぽをぶんぶん振ったら、そう言って笑われちゃった。てへ。
おそまつさまでした〜
それでは職人の皆様の降臨を待ちつつドロン
優勝が罰ゲームになるじゃんww
小ネタナイス!
途中までwktkしながら読んで、最後で和みましたww
過去ログから取り出して見たらレスが途中までしか表示されない…
>582
それが正常。
スレの限界容量超えたので1000までいかずにスレ終了しただけ。
おまいやさしいな
585 :
582:2008/09/09(火) 12:31:42 ID:hDpw9hmL
今453kbだね
10kbの短編4本投下されたらこのスレ終わるかな〜。
そういや投下SSで「短編」って
具体的にはどれくらいのものを指すんだろう。
個人個人で感じ方違うだろうけど
5〜10レスくらい?
あと、投下前提に話を書くとき
一本の長い話(で分割投下)がいいのか
短編連作みたいな形がいいのかとか
色々考えて話が進まず、なかなか投下できないw
それは控え室スレで聞いたらいいんじゃない?
投下前にカプだけかいてたら長かろうが短かろうが
気にならないけどね。
好きなように書いて投下したらイイ!
というわけで全裸で待機してる。
すまんスレチだった
このスレ的にどうなのかなと思って聞いてしまった
588ありがとう
控え室見に行って全力でSS書いてくる
投下待ってます!
お待ちしてます!
長くても短くても良いよ!
連休だし投下期待保守
593 :
名無しさん@ピンキー:2008/09/15(月) 18:12:10 ID:INBkch/f
保守
篠岡攻めとかないんですか?
全員縛って一人ずつ手コキで皮使うなと教える
動機は古賀が「剥けてる方が自信がつく」とかなんとか
古賀
「あ、大丈夫です。監督からメモもらってますから。
はい。志賀先生お疲れさまでした。」
バタン。篠岡はドアを閉め椅子に縛られた阿部と三橋を見た。
「いつも二人ずつ残して何してるかと思えば。はぁ」
篠岡は軽蔑のため息と共にモモカンからのメモを見た
「え〜古賀先生に縛ってもらって抜いてあげてください。手でかまいません。
口と膣は使わなくてもいいです。私も口でしかしてません。できるようなら胸で挟んであげ…
できるか!このチチオバケが!
」
メモを破り二人に近づいた。阿部も三橋も目隠しと猿ぐつわをされ
服はすべて脱ぎはだかで椅子にくくりつけられていた。篠岡は少しキレて
「10人で平日二人二時間ずつってあの人はサイボーグ?
で、あなたたちはこれを膨らましてたんだ。残念でしたね〜今日はモモカン風邪で。
だからマネジがするの?汚らしいこの…
立つんだ。もう立つんだ。犬の条件反射?今からマネジに抜いてもらうのが楽しみで立たせるんだ。
熱っ。これがカリ?さすが阿部君はズルむけだね
三橋くんのは剥かないとね。んでなんだっけ志賀先生は下だけで皮は使うなって。」
できません。誰か篠岡で二人をイジメてください。
GJ!妄想膨らんだ
逆に三橋がズル剥けで阿部が皮被ってたらウケる
GJ!
この篠岡良いなー。このキャラでまた読みたい。
チチオバケ笑った!
捕手
過疎っちゃったな…
原作があれじゃ書きにくいのかも
ハルスズ待ちかな
アクセス規制の影響はどれほどのもんだろ。
このスレだけでなくて、板全体が過疎っているような気がする
賑わっていたところもだいぶ落ち着いてきているというか・・・
あまり気にしなさんな
やっぱアク禁のせいですかね。
保守
新刊にチアや新しい女子キャラ出る?
そっちに期待
チヨアベがよみたい
次の新刊はいつでるんだ??
十月中旬か下旬だったはず
11月じゃなかったか?
10月23日だよお!!
越智先輩をついに拝めるんだな
プロフィールはぜひチアズで!名前を教えて!
615 :
名無しさん@ピンキー:2008/09/30(火) 16:14:27 ID:izqqmAe3
すみません
いっぺんageさせて(^^;)
職人さんも忙しいのかなー
新刊に期待しつつ捕手
今まで書いてた職人様はもう殆どいない気がする
仕方ないのかな
じゃあ次は君らが職人になる番だw
すばらしい正論だ。
>>618 自分は617じゃないが、職人には既になったぜ
枯木も山の賑いってばっちゃが言ってたw
保守
保守
このスレっていきなり何の前触れも無くエロが始まったり、輪姦したりしても大丈夫?
大丈夫。楽しみにしてる
そんなのこのスレだけでいくつもある。
YOUやっちゃいなYO!
応援団×チアとかよみたい
628 :
名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 12:51:30 ID:1fIzdtYs
保守あげ
保守がてら、スヤチヨ投下します。
・巣山がやや手フェチ+妄想過多の痛い子。
・大して続いてないけど、一応
>>247-250の続き。
・ちょっとした切り傷シーンがあり、血液の描写があります。
・何回かに分けて投下予定。今回投下分に、エロはありません。
以上、苦手な方はスルー願います。
630 :
スヤチヨ 1:2008/10/20(月) 22:31:18 ID:ibHEi1FD
初めて会った頃から、きっと気になっていたと思う。
明るくて、優しくて、いつも笑顔で気安く話しかけてくる。
こちらが舌を巻くほどの野球好きで、対戦相手のデータ作りなんて面倒で大変な仕事も、
嫌な顔一つせずこなしてくれる、一生懸命なマネージャー。
きっかけは、思い出せない。
ただ、いつからか毎日のように思い描くようになった。
篠岡の細い体を抱きすくめ、その温もりを確かめたい。
胸も腹も腰も、その体のずっと奥も、篠岡のすべてを触れてみたい。
いつもそう思っていた。
けれど巣山は特別な好意を覚えて以来、実際の篠岡に一度も触れたことはない。
頭の中で何度も堪能した、細く表情豊かな指先を掠めることすら避けてきた。
篠岡の、温もりに触れたい。
その感情が大きく膨れ上がるほど、自分自身の感情に強く蓋をした。
一度でも触れてしまえば、多分、自分の感情を隠し切れなくなる。
もっと、もっととその先が欲しくなる。
付き合うとか、そんなこと飛び越えたもっと先。
体の奥から焦がれるような切実な情動、突き上げるような欲求に抗えなくなる。
それがわかっているから、決して近づかなくなった。
無意識に篠岡を追おうとする視線を、なにげなく逸らして。
距離を置いていることに気付かれないよう、あくまでさりげなく。
自然に、なにも他意はないという振りをして。
――だけど、自制もそろそろ限界だ。
*
練習の始まる少し前。グラウンドに、小さな声が響いた。
「痛…」
声のした方に反射で振り向くと、篠岡がベンチの間に立っていた。
「どうした篠岡」
俯いた背が動かないのに、花井が軽く腰を浮かせる。
篠岡は、はっと気付いたように振り向いて、小さく首を振った。
「あ、ごめん。なんでもないの!」
「なんでもないって声じゃなかったぞ」
「えっと、虫がいたから驚いて。ちょっと手ぶつけちゃって、それだけ」
照れたように笑うと、篠岡は開いた左手をひらひらと振った。
「どれ」
「平気。もうどっか行っちゃったし。ありがとう」
篠岡の笑みには少しも陰りはない。
訝しげに首を傾げていた花井は、なんでもないと重ねて言われて納得したらしい。
「驚かせてごめんね」
篠岡は話を打ち切ると、ぱたぱたとベンチ脇の用具倉庫に走って行った。
少し離れたところでストレッチしていた巣山は、部員の輪の外から、皆の様子をさりげなく確かめた。
部員の意識は既に篠岡から離れている。
巣山はそっと篠岡に視線を遣った。
631 :
スヤチヨ 2:2008/10/20(月) 22:34:40 ID:ibHEi1FD
篠岡はこちらに背を向けたまま、なにか探しものをしているらしい。
左手をカゴの中に無造作に突っ込んで、覗き込んでいる。
右手は、きゅっと小さく握られたまま、カゴの縁に乗せられている。
片手だけでの探しものは、どこかぎこちなかった。
ぎこちなく見えるのは、多分、それが左手だからだ。
篠岡の利き手は右手だったはずだ。だから酷く不自然に映るのだろう。
なんてことのない仕草だったが、巣山は知らず表情が渋った。
握られた篠岡の右手を後ろから凝視する。
それが不自然に強張って見えるのは、多分自分が篠岡の手を篠岡以上に気にしているからだ。
だから不自然に見えるのは――怪我をしたと思うのは、多分気のせいなんだろう。
過敏なほど神経質になる自分を、巣山は充分自覚していた。
けれど、もし気のせいでなかったら?
あの指先が傷むのは、許せない気がした。
白く細い指。薄い手の甲。
整った爪や、ほんのりと桜色に色付く指先。
かすかに節だった関節はなめらかな動き、いつだって軽やかに巣山の目を奪う。
あの指先が、自分の知らないところで傷付き、汚れていくのは、想像するのも不快に感じる。
自分でも正体のわからない、苛立ちのような強い感情が、腹の底で渦巻く。
こんなのは、異常だ。わかっている。けれど。
巣山はそっと立ち上がった。
「手、見して」
いきなり呼びかけると、篠岡は驚いて振り向いた。
元々大きな目が、更に大きく見開かれている。
「え、巣山くん? なに?」
「手の怪我。さっきぶつけたって言ったろ。見して」
「ああ、あれは大丈夫…」
答えながら、篠岡は右手を胸元に隠すようにした。
巣山はその手を追うように手を伸ばした。
「大丈夫なら見せられるだろ」
真っ直ぐに目を見て言い切る。
篠岡がこころなし目を伏せた。自分から視線を外すのは珍しい。
巣山は不意に奇妙な意地悪さが滲んできそうになるのを、かろうじて堪える。
それを抑えようとして、いつも以上にぶっきらぼうになっていく。
黙って篠岡に近寄ると、腕をぐいと引っ張った。
篠岡は唐突なことで、よろけながら立ち上がった。
バランスを失った篠岡を、そっと受け止めて支える。
軽い身体、手首の細さを初めて知った。
自身の意識とは無関係に、なにか特別な情動が湧き起こる。
力を入れたら壊れそうな頼りない手応えだと、他人事のように思う。
握られた拳も小さく、自分の掌の中に簡単に納まってしまう。
怯えたように縮こまり、きつく折り曲げられた指。
巣山は強引に開かせて、掌に広がる赤い色に溜め息を吐いた。
右手の中指の先に赤い傷口がある。
流れたらしい血が他の指や掌のあちこちに付いて、瞬間ぎょっとするほど手全体が真っ赤に染まっていた。
ここまでとは思わなかった。驚くよりは呆れた。
「…これのどこが『大丈夫』」
「ちょっと切れただけだから、ほんとに大したことないし」
確かに傷口自体は、さほど大きいものではないようだ。
けれど、痛いのを堪えて。手当てもせず。
つまらない嘘を吐いて、一体どうしたかったのだろう。
巣山の中に、苛立ちに似たものが沸々と泡のように次から次と湧き上がる。
632 :
スヤチヨ 3:2008/10/20(月) 22:37:11 ID:ibHEi1FD
「……」
「大丈夫だよ?」
口許に笑みを湛える篠岡に、かえって苛々とした。
洩れそうになった舌打ちをぐっと堪えると、篠岡を乱暴に引っ張った。
*
「待って。巣山くん」
肩越しに、保健室に連れて行ってくると言うと、巣山はグラウンドを出た。
篠岡本人の了承も、他の誰の返事も待たず、本校舎への細い道をどんどん歩いていく。
篠岡は後ろから、手当てならここで自分で出来ると言う。
けれど巣山は篠岡の腕を取って、前だけを睨んで進んだ。
自分の利き手を自分で手当てするのは、多分難しい。
後ろを気にする素振りもない巣山に、篠岡は殆ど小走りで付いて来た。
「ねえ。もうわかった。引っ張らなくても行くから、だから、手」
「……」
「巣山くん。…手、痛い…から」
巣山ははっとしたように立ち止まった。
悪い、と小さく呟いて、やっと手を解く。
篠岡は握られていた手首を、左手で撫でた。
傍目に見てもはっきりと、指の跡が残っていた。
「あそこのベンチ、古いから背の部分が少しヒビ入ってるんだね」
「あれに引っ掛けたのか」
「うん。虫に驚いて。慌てて手を突いたら、ちょうどヒビのところで…」
言い掛けて、突然、篠岡が足を止めた。
「あ、大変! 私、みんなにベンチのこと注意してって言ってない!」
「必要ない。部員はもう皆知ってるから」
「え。知ってて放っておいたの?」
「悪い」
「ううん。これまで誰も怪我しなくてよかったぁ…」
ベンチのヒビのことを篠岡が知らないなんて、思いもよらなかった。
部員は当たり前のように知っていることだ。
なんとかしないとと、以前から皆言いながら、日々の練習の忙しさに取り紛れて、放っておいた。
それで、篠岡がこんな風な怪我をするなんて。
「…平気にしてたつもりなんだけど。どうして、わかっちゃったんだろう」
ひとりごちるように言うから、巣山は内心で自嘲を浮かべた。
あれだけ篠岡のことばかり考えて、意識していれば、嫌でも気付く。
視線を逸らしたまま呟いた。
「どうしてもなにも。バレバレだ」
「そっか…」
篠岡は俯いて、ゆっくりと右手を開いて見せた。
緩く結んでいた右手の指先。
傷口から指の付け根の方まで血が伝って、赤い線が伸びていた。
掌や指の付け根に付いた血は、少しずつ乾いていたが、指先はまだ赤い色が鮮やかで、巣山は思わず顔を顰めた。
633 :
スヤチヨ 4:2008/10/20(月) 22:38:34 ID:ibHEi1FD
巣山は噛み締めた歯の間から、重い息を押し出した。
口中に苦いもの感じる巣山に、篠岡は場凌ぎに照れ笑いを浮かべた。
――そのふわりとした表情に、気を取られる。
腹の底で熱い、強い、大きく荒れた感情が込み上げて、巣山は奥歯で舌をきつく噛んだ。
その痛みが、どこか他人事のように遠い。
感情を殺そうと、篠岡から意識を背けようとするのに、どうしても目が動かない。
篠岡の細い指、白い肌と赤い血のコントラストが、視線を縫いとめたように捉えている。
巣山の付けた指の跡に、自分の指先を合わせている篠岡が、まるで子供のように無邪気で苛々する。
おそらくなに一つ深く考えられていないだろう仕草に苛々する。
なにげない仕草のはずなのに、巣山の意識を誘って根こそぎ奪っていこうとするようで苛々する。
どうして。
どうして、こんなに苛々するんだ。
自分のことがわからなくなる。
「巣山くん?」
「…なにが、大丈夫なんだ」
巣山は自分でも無意識のうちに篠岡の右手を取り、自分の目線まで引き上げる。
わずかに屈められた指先を、強引に開かせる。
指先にぬるりとした感触が伝う。
自分の親指を染める赤い色。
頭の芯が篠岡の血の色に塗込められていくようだ。
熱い。眩暈のしそうな、強い感情が襲う。
――これは、なんだ。
自分の思考を確かめるように、乾ききらない傷口を指の腹で強くゆっくりと辿る。
「痛…っ」
篠岡の小さな悲鳴。
傷口が開いたらしく、また新しい血が滲んでくるのがわかる。
止めなければ。
手を離さなければ。
わかっている。けれど。
篠岡の指先に絡めた手が、それを嫌がる。
まるで別の生き物のように、巣山の手は篠岡の指先を求めて絡みついていく。
自身を強く惹き付ける衝動に、しかし巣山は抗って、ようやく強く掴んだ篠岡の手を離した。
「巣山くん…?」
ごめんと謝って、なんでもない顔で笑えばいい。
行こうと、当たり前みたいに歩き出せば、今なら篠岡は、この違和感をいずれ忘れるだろう。
けれど、それがどうしてもできなかった。
視線を合わせられず、そっぽを向いたまま、ゆるゆると下ろした自分の掌を見る。
指先を擦り合わせると、少しずつ乾き始めた部分の血が、徐々にその色を褪せさせて、かすかにごわごわとした。
傷口を強く辿った親指の腹だけは、まだ乾かない。
べったりと付着した血液が、未だ生々しい赤色をしている。
濡れて、目に痛いような赤い鮮やかな照り。
ぬるぬるとした、その触感。
巣山は目を閉じる。
瞼の裏に差す、篠岡の血の色。
神経が甘く痺れる。
634 :
スヤチヨ 5:2008/10/20(月) 22:39:54 ID:ibHEi1FD
篠岡の傷口に、もし口付けたとしたら。
そんな仮定が脳裏に一瞬過ぎる。
乾きかけた赤い血の跡に、唇を押し付けるようにして舐めたら。
さっきまで手の中にあった、篠岡のさらりとした肌の触感と温度。
口の中に広がる鈍い鉄の味を思って、巣山は足元を睨んだまま小さく瞬いた。
オレはいつから、こんなにおかしくなった?
軋むほど握り締めた掌が、その思考のように徐々に重く痺れる。
…いや。最初から、真っ当じゃないのか。
思わず醜い自嘲が湧いて、冷たい笑みがかすかに口許を覆った。
「篠岡」
呼ぶと、篠岡はぱっと顔を上げた。
少し不思議そうな表情が、上目遣いでこちらを見上げる。
そう。この表情を、オレはいつからかずっと、歪ませてみたいと思ってきたのだ。
巣山は堪えてきたものが全て消し飛んで、強引に篠岡を引き寄せる。
腕を掴まれて、篠岡は戸惑ったように視線を揺らした。
「な…に…」
突然のことに逃れることもできず、篠岡は小さく身じろぐ。
咄嗟に胸元に寄せた腕を、巣山は苦もなく捉えた。
さっきと同じように、切り傷のある指先をもう一度開かせる。
「痛…いよ。巣山くん」
いやに喉が渇く。
無理やりに唾を飲むと、ごくりと喉が卑しく鳴る。
頭一つ近く低い篠岡に俯いて顔を寄せ、その掌にそっと唇を落とす。
一瞬、篠岡が息を飲んだのが、至近でした呼気で伝わった。
唇で優しく覆うように、口内に篠岡の指先を閉じ込める。
最初は舌先で、指の付け根の血の跡を舐めた。
「や…っ」
白い肌から染みを拭うように、傷から伝った血の跡に舌を這わせる。
それから徐々に傷に近付き、やがて舌全体でゆっくりと傷口を舐めた。
ぴちゃ。
水音に、篠岡は我に返ったのか小さく首を振って嫌がった。
舌の先を尖らせて、傷口をぐいと抉る。
「いっ…た…」
腕を引こうとするのを更に強い力で制す。
細い指の節を口腔全体で包むようにして、ゆっくりと舌で辿りながら唇から離した。
また水音が立った。
ごくかすかなのに、耳の奥まで届いて、鼓膜を内からとろかすような音だ。
今度は爪の形を辿る。
小さな爪はきれいなピンク色で、唾液にまみれて薄曇りの空の下で光る。
卑猥さに全身が粟立ちそうになる。
またすっぽりと指を口内に誘い入れ、傷口をそっとこじるように歯を当てる。
下顎を軽く揺らすと、篠岡がその顔を歪める。
「痛い…っ やめて…!」
口全体をすぼめるようにして、指を吸った。
血の味が巣山の意識をますます侵していく。
全身の熱が一点に集中していく。
635 :
スヤチヨ 6:2008/10/20(月) 22:41:33 ID:ibHEi1FD
「や…めて…っ」
篠岡はもがくが、腕を捉えられていて、わずかしかその身を離せない。
巣山の脳裏で、赤い色がシグナルのように明滅している。
奔流のような衝動。
今更、押し留められない。
「巣山くんっ!」
今にも泣き出しそうな声と共に、頬に鋭い痛みが走った。
篠岡が闇雲に拘束を逃れようとして、その手が巣山の頬を叩いたのだ。
二人は一瞬、驚いたように動きを止めた。
やがて肩で息をするように篠岡が呟く。
「どうして、こんな…」
巣山は篠岡の手を唇からゆるゆると解放する。
「こんなの、おかしいよ」
「ああ。そうだな」
巣山は静かに肯定する。目の前が暗くなる。
篠岡の血の色が、巣山の押し隠してきた理性を剥奪してしまった。
たかが指先の先に出来た、小さな傷。
大して深くもない傷口一つに、こんなにも弄ばれてしまうなんて。
――欲情するなんて。
「おかしいんだよ、オレは」
巣山の指先が、柔らかい手首の肌に一層きつく食い込んだ。
篠岡の瞳の奥が音もなく竦む。
巣山はそれらを他人事のように見つめる。
「…すやま…くん」
「もうずっと、おかしかったんだ。篠岡」
その告白は、巣山自身の耳朶にも言い知れない情感を巻き起こした。
吐き出した息がみっともなく震える。うまく息が継げない。
目を閉じて、篠岡の肩口に縋るように額を付ける。
懸命に最後の理性を呼び起こして、巣山は篠岡の手を繋ぐ腕の力を緩めた。
いっそ汚いものでも見る軽蔑の目で、非難の言葉を投げつけられる方が救われる。
篠岡にかけられた巣山の手は、今はここになにかを繋ぎ止めるような力はなく、静かに触れているだけだ。
しかし篠岡は巣山の腕から逃れず、凍りついたように、その場にじっと立ち尽くしていた。
636 :
スヤチヨ 7:2008/10/20(月) 22:42:29 ID:ibHEi1FD
一体なにをしているんだろう。オレは。
巣山は急激に冷めていく自身に、また自嘲を覚える。
それまで煮えたぎるような熱にうかされていたのが、まるで嘘のようだ。
今は全身の血が足元から地面に流れ出した後みたいに、体中が冷えている。
一度、堰を切ったこの感情を、どうやって殺せばいい。
もしこの感情を押し留める方法があるなら、教えてくれ。篠岡。
自分が隠し続けてきた、篠岡への醜い感情も。
篠岡にした、この行為も。
もう、見て見ぬ振りも、なかったことにもできない。
もう、オレにもどうすればいいかわからないんだ。
自分の欲望を剥き出しにして、一方的に押し付けて。
この、みっともない自分を。
「――哂えよ」
胸が押し潰されたように痛んで、今はただ、苦しかった。
ちょっと長いので一時中断。続きは日を改めて投下します。
投下にいらした職人の皆さま、どうか遠慮なく投下願います!
ずっと前に考えたものなので、本誌設定を無視していて申し訳ない。
適当に読み流してもらえれば嬉しいです。
わ〜い、これからじっくり読みます!
GJ! 続きまってます
>>630-636の続きの、スヤチヨ投下します。
・内容は篠岡視点の一人エッチ(本番なし)
・篠岡が妄想気味のイタイ感じになっています。
上記がダメそうな方、
特に、篠岡にきれいな夢を見たい方は、全力で退避願います。
642 :
スヤチヨ 8:2008/10/21(火) 23:23:24 ID:QQHjWZD+
『しのーか、あんたホントに彼氏いないの?』
元ソフトボール部の先輩は、連絡をしてくる度、同じことを訊く。
実際いないのだから、何度聴かれても、いないとしか答えようがない。
すると先輩は納得がいかないというように、必ずこう続ける。
『でも好きな人くらい、いるんでしょ。誰? どのポジションの子?』
飽きもせず繰り返される追及に、篠岡はすっかり呆れている。
野球部の皆は、同じ目標を追う仲間だ。
篠岡自身はグラウンドに立つことは出来ないけれど、自分も一緒に戦っていると思っている。
彼等の目標を実現できるよう、一番近くで彼等をサポートする。
それがマネージャーとしての、篠岡の仕事だ。
少しでも役に立ちたい。そう思っていると、やるべきことは尽きない。
毎日野球のことだけで忙しなく過ぎていく。
恋愛にアンテナを立てる余裕なんか、あるはずがない。
あるはずがない、と思っていた。
*
『しのーか。ホントは好きな人、いるんでしょ?』
耳慣れた問いに、篠岡は一瞬胸がぎゅっと引きつれて、咄嗟に言葉が出なかった。
胸の奥が竦んだことに、驚いて目を瞬いた。
『お。今日は『いませんよ〜』って即答しないんだ?』
「…言い飽きちゃっただけです。先輩しつこいんですもん」
おどけて、笑った振りをした。
声がたどたどしい緊張を帯びたことに、先輩は気付いただろうか。
篠岡は全身を強張らせるように、携帯の向こうに神経を尖らせた。
『あーあ、つまんない! 一体いつになったら、しのーかの恋愛話が聞けるやら』
「たとえそんな話があっても、先輩にだけは喋りません」
『なにおう! 先輩が折角相談に乗ってやろうって言ってんのに!』
先輩の相変わらずの応答に、篠岡は少し安堵して笑みが浮かんだ。
先輩から電話が掛かってきたのは、そろそろ寝ようと思っていた矢先のことだ。
部屋の主照明は既に落としてあり、ベッドサイドのライトが間近で眩しい。
篠岡は寝転んだまま腕を伸ばし、ライトの角度をいじる。
指先を光にかざし、篠岡は、また、胸の奥がずきんと竦むのを感じた。
右手の指先、中指の腹から第一関節にかけて、一筋の小さな傷跡が残っている。
もう完全にふさがった傷跡は、けれど触れると、ピリリと電気が走るような気がする。
『しのーか?』
「…先輩。先輩は今付き合ってる彼氏、なんで好きになったんですか?」
『なに、突然』
「別にどうもしませんけど。ただどうなのかなぁって」
『そうだなぁ。…そうやって改めて訊かれると、なんでかなぁ』
一瞬落ちた沈黙に、篠岡は聞き耳を立てた。携帯の向こうから照れを隠した声音が返る。
『まあ馬鹿で考えなしだけど、困ったことに憎めないイイ奴なんだよ。優しいしさ』
「優しいんだ」
『ちょっと、しのーか。あんた今日やっぱり変だわ。
ホントに誰か好きな人出来たんじゃないの? 正直に教えな!』
「いても教えませんって!」
即答して、いつも通りを装う。
共通の友人の話や近況に話をすり替え、他愛ない遣り取りをする。
しばらく話して、話し好きの先輩が満足した頃、通話を切った。
篠岡は携帯を放り出し、もう一度、右手の中指の傷跡をゆっくりと確かめた。
643 :
スヤチヨ 9:2008/10/21(火) 23:24:15 ID:QQHjWZD+
その傷は、しばらく前のものだ。
グラウンド脇のベンチが傷んでいて、知らずにヒビに指を取られてしまった。
大した怪我ではなかったが、それを見た巣山は篠岡を強引に保健室へと引っ張った。
そして、傷口を舐めたのだ。
掌に唇を付け、乾きかけた血の跡を舐め、
指の付け根にたまった血を舌先で掬い。
指を這い上がってきて、篠岡の指を口内へ引き入れた。
舌全体で指を包み、尖らせた舌先が傷口を抉ってくる。
痛みと共に襲う眩暈に、篠岡は最初、殆ど声も出なかった。
濡れされていく肌に伝わる、ざらりとした舌。
時折、粘膜の立てる、いやらしいかすかな水音。
あたたかい口内の、ぬめるような触感に、篠岡は体中が震え、頭が真っ白になった。
やめて、という言葉は、我ながらうわ言のようで、巣山の耳には届かない。
巣山の手から逃れられたのは、もがいた拍子に半ば引っ掻くように巣山の頬を叩いたからだ。
それまで呆然としていた篠岡は、はっとした。
混乱したまま、謝らなくちゃと思った。
けれど、口を突いたのは、嵐のように襲う疑問だった。
――どうして、こんな…
篠岡の問いに、巣山はやっと篠岡の手を離した。
――おかしいんだよ、オレは。
――もうずっと、おかしかったんだ。篠岡。
低く、今にも震えそうな声で。
痛みを堪えたような表情を湛えて。
――哂えよ。
巣山は、篠岡に向かって、小さく、笑った。
そんな巣山を初めて見た。
かすかに歪んだ頬が、引き攣るように尖った目元が、篠岡を捉えて離さない。
篠岡は魅入られたように言葉も出ず、体の重心を失ってその場に蹲った。
あの時、偶然遅れてグラウンドに来た栄口が、遠くから声をかけてくれなかったら。
自分はどうしていただろう。考えるのは怖い。
巣山は栄口が自転車でやってくるのを待たず、篠岡を保健室へ送ってくれと声をかけた。
「いいけど、どうしたの」
栄口は言いながら、すぐ自転車を降りてくる。
巣山は篠岡を振り返ろうともせず、自転車のカゴから栄口の鞄を引っぱりながら言う。
「ちょっと手、切って。チャリで送ってって」
「わかった。篠岡、大丈夫? …血見て貧血起こしちゃったかな」
栄口が覗き込んでくる。篠岡は俯いて首を振った。
右手をぎゅっと握る。左手で胸元に隠すようにして立ち上がった。
栄口の手がそっと背に添えられる。
「大丈夫。なんでもないよ」
自分に言い聞かせるように答えた。
自身の内に波立つ動揺を、悟られたくなかった。
怪我はなんでもなかった。
なんでもなくなかったのは、心の動揺の方だ。
あの時のことを思うと、今でも中指の先が熱く痺れる。
今ではかさぶたも取れ、肌にかすかな跡を残しているだけの傷跡なのに、どうして。
篠岡は息を吐いた。
あれ以来、巣山とは口を利いていない。
元々、巣山は無口な方で、篠岡とも特に親しいという訳ではなかった。
けれど、ここまでではなかったはずだ。
以前なら、当たり前に視線は合ったし、それなりに話はできた。
でも今は、視線も合わない。
巣山はあれ以来、完全に篠岡を避けている。
周囲にそれとわかるような避け方こそしないが、それとなく篠岡の近くから離れ、
篠岡の視線からふいと逃れていく。
あの時の行為の意味を聞きたかった。
そして意図的でなかったとはいえ、頬を叩いたことを謝りたいとも思った。
けれど、巣山を見ていると、距離を置かれていることすら、篠岡の勘違いのような気がしてくる。
巣山は終始、平静を貫いている。
部の練習も相変わらず集中していて、特に変化がある様子も見つけられない。
巣山はいつも通りで、なにごともなかったようにそっけなかった。
その横顔はまるで、あの時の行為を意識している篠岡の方が、よほどおかしいと言っているようだ。
篠岡はかすかに残った傷跡を、爪の先でそっと撫でた。
くすぐったいような感覚に、篠岡はゆっくりと目を閉じる。
あの時。
巣山の手が、自分の掌をどう掴まえ、どう引き寄せたか。
落とされた唇がどのように自分に触れ、指先まで這い上がったか。
濡れた口内のあたたかさ、かすかに触れた歯の硬さ。
そして纏いつくように触れた舌の腹の柔らかさと、なにより尖らせた舌先の蠢きを、
篠岡は今でも鮮明に覚えている。
というより、時が経てば経つほど、その記憶は鮮明に蘇り、篠岡を困惑させた。
『しのーか。ホントは好きな人、いるんでしょ?』
さっき携帯越しに先輩に聴かれた言葉を思い出す。
無意識に屈めた右手を口許に寄せて、篠岡はそっと中指の先に口付けた。
先輩は付き合っている相手のことを、憎めないいい奴だと言った。
『馬鹿で考えなしだけど、優しい』。
好きというのは、きっとそういうことだろう。
多少不満があったとしても、優しいとか、尊敬できるとか、思えるから好きになる。
篠岡は唇を離し、もう一度、中指の傷跡を爪先でなぞる。
あの時のことを何度思い出してみても、篠岡の内に湧き上がるのは、困惑と、
あの時感じたわけのわからない恐怖だけだ。
だから、これは、「好き」じゃない。
「好き」ではないはずだ。なのに。
どうしてこんなに身体が熱くなるの――?
篠岡はぎゅっと目を閉じて、中指の傷跡をきつく噛んだ。
あの日、巣山がしたように、柔らかい掌の皮膚に唇を落とす。
今は無い赤い跡を、唇で掠めるように軽く吸い、血の溜まっていた指の付け根に舌先を捻じ込む。
強弱を付け吸い、濡れた音を立てて舐められた感覚が過ぎり、頬が紅潮するのを感じる。
篠岡の羞恥は、急き立てられるように脳裏に追いやられていく。
いやらしく舌を出し、舌全体で指を這い上がる。
中指の先に辿り着き、舌を尖らせて傷跡を舐める。
前歯で軽く甘噛みすると、身体の奥がじんと痺れた。
「ふ……」
甘い息が洩れる。
指を口に咥え、強く吸う。
震えに似た感覚が、徐々に身体中に広がってゆく。
切なさが膨れ上がり、胸がいっぱいになる。
篠岡は思わず胸を押さえた。
胸のふくらみはささやかで、掌に納まってしまう。
躊躇いながら、布地越しにかすかに指を這わせると、身体は敏感に反応し始めた。
苦しいような感覚を追って、篠岡は更に手を動かした。
弱い吐息が零れる。
柔らかいふくらみは、指を埋め、掌の中で形を変える。
胸の突起は主張するようにしこり、引っ掻くように触れると、篠岡の身体はひくりと震えた。
身体中が、どうしようもなく甘い波に襲われてゆく。
「ん…っ、は…ぁ」
全身が熱くなっていく。
はしたない。恥ずかしいと思いながら、止められない。
服の下に掌を差し入れ、直接肌に触れた。くすぐり、官能を煽る。
無意識に膝の内側を揺するように擦り合わせて、篠岡はいつしか奥底から溢れてくる快感を追っていた。
太腿の内側をゆっくりと撫でてゆく。
膝がしらず開いて、早くとその先をねだって腰が揺らめいた。
「んん…っ」
下着のすき間から、ゆっくりとそこに手をしのばせる。
少し触れただけで指が、くちゅ…と、いやらしい音が立った。
「は…」
躊躇いの残る指先は、濡れたそこに滑るように誘い込まれる。
あたたかい中に触れるのは、少し怖い。
指の先でぬめりを掬い、隠された突起を掠めると、身体がびくんと跳ねた。
「あ…っ、ぁ」
足元から頭の先まで快感が這い上がる。
全身が粟立って、篠岡は身震いした。
「んん…っ、ぁ…」
身体中が熱い。
浅ましく快楽を求めようとする自分が恥ずかしくて、堪えなければと脳裏では思っている。
けれど襲う官能と、もどかしさは篠岡を支配して、ただ何度も身体を捩らせる。
思考が奪われて、ただただこの先が欲しくて、仕方ない。
「はぁ、あ…、ん…」
掌は篠岡の意思を奪うように触れていく。
首。胸。腹。くびれた細い腰。足の柔らかい内側。
かたくなって敏感に反応を返す小さな芯。
そして、誰にも触れさせたことのない、柔らかく濡れた最奥。
篠岡の身体のあらゆる場所を、指先は這い回る。
まるであの時、巣山が掌に触れ、吸い、舐め、愛撫したように。
奪われる思考と反比例するように、官能は次第に昂ぶり、篠岡は自らを追い上げ、上り詰めていく。
「や…、あぁ、あ、あ…」
吐息を零す喉も、愛撫する手指も、がくがくと震えて止まらない。
真っ白になる思考に、不意に巣山の声が蘇る。
――おかしいんだよ、オレは。
鼓膜を溶かすような囁き。
まるで狂気に誘われるように篠岡の快楽は頂上に達し、びくんと爆ぜた。
「あぁ…、――っ」
*
あの時。痛くて、怖くて。どんな顔をしていいのか、どんな風に接していいかわからなくて。
頭の中がめちゃくちゃになった。
それなのに、篠岡は気が付けば、あの時のことばかり思い出している。
怖くて、思い出すのも今でも震えそうなのに。
巣山のことばっかり考えてる。
どうして、あの時、巣山くんはあんなことをしたのだろう。
巣山はなにもなかったように、平然としている。
自分ばかりが、今になっても、ぐちゃぐちゃにかき乱されている。
あの時のことを思い出して怖いと思いながら、訳がわからないと思いながら、
巣山の手が、唇が触れてくる想像をやめられない。
いやらしい行為を、また繰り返してしまう。
「…おかしいのは、私の方だよ…」
まだ整わない息を苦しそうに肩で継いで、篠岡は両腕で顔を覆った。
切りがいいので、ここで一時中断。また日を改めます。
次回は本番ありで、投下終了の予定です。微妙に長くてすまん!
他に投下したい方がいれば、どうか遠慮なく投下願います!
>>647 おお、乙です。
でもあまり無理はしないでくださいね。
ところで現在488kbまできてる。つまりそろそろ新スレの季節。
なにも問題なければ自分が立てるつもりだけど、テンプレなりなんなりで
なんか変更しなきゃならんとことかある?
特に変更はいらないんじゃないかな。
650 :
名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 16:09:07 ID:tSMuPYJh
≫647
乙
規制から復活できた・・・!
スヤチヨGJ!続きまってます!
埋めいきますか
田島が
誰と何処で何をどんな風に↓
千代と阿部がやってるところをのぞき
656 :
654:2008/10/27(月) 21:56:13 ID:nBin2D/P
657 :
654:2008/10/27(月) 22:51:38 ID:nBin2D/P
梅がてら
『田島が千代と阿部がやってるところを覗き』いきます。
苦手な人はスルーヨロシク。
658 :
田島ののぞき:2008/10/27(月) 22:52:55 ID:nBin2D/P
あんまり早弁すんのも考えもんだよなー。
昼休みには食うモンなくなっちまうんだもん。
こづかいもすくねーし、節約って言葉が身にしみる。
というわけで、その日は作ってもらった二つ目の弁当を食べてた。
目の前で浜田が嬉しそうに、なんか紙袋を泉に渡してた。
「ホ〜ラよ! 泉!」
「ばっか! 浜田! 堂々と出すんじゃねーよ!」
顔を真っ赤にした泉。中身はやらしいDVDだろうな。
そのまま黙って見つめてたら、泉と浜田が不思議そうにオレを見てきた。
三橋はひたすら食べてた。ナースネタ以外はどうでもいいもんな。
「なに?」
「田島、オメーいつもならもっと食いつくよな?」
泉の言葉に浜田がうんうんと頷いてた。
しょうがねーよ。だって最近ソレにお世話になってねーモン。
「にしし! まだ泉の好みねーんだわ! もうちょっと待ってくれよな!」
オレがそう言うと、泉がさらに真っ赤になった。
「それはもーイーんだよ! 昔のネタだっつの!」
うそつきだなー泉って。未だに好きなクセにー。
アンナコトしなければ、オレだって未だにDVDのお世話になってたんだろうな。
最近のオレのネタはいつだってあの時のアレだ。
今だって気を許したらアン時のこと思い出してチンコ反応しそうになる。
生まれて初めて後悔って言葉、覚えた。
きっかけはもう覚えてねー。
とにかく部活は先に終わって、篠岡はまそんときいなくって、後で戻ってくるってコトだった。
だから先にオレらは解散したんだけど。
何でびっくりさせたいと思ったか、とか。
何でロッカーに隠れようなんて思ったんだ、とか。
ナゾだらけなオレのアントキの行動だけど、今は心底しなきゃよかったって後悔してる。
とにかくオレは帰ったと見せかけてやがて戻ってくる篠岡を待って何故か部室のロッカーに隠れてた。
モクロミ道理、篠岡は部室に戻ってきたけど。
一人じゃなかった。
阿部と一緒だった。
659 :
田島ののぞき:2008/10/27(月) 22:54:08 ID:nBin2D/P
ロッカーからうっすら見えるドアのドアノブが回って、篠岡が来たと思った。
姿を見せた篠岡は、楽しそうに後ろを振り向きながら入ってきて。
続いて阿部が姿を見せた。
ほんの数ミリの視界で。
部室に入ってくるなりアイツラは。
抱き合ってキスをした。
完全に出るタイミングを失って、オレはどうしようかと混乱した。
とにかく、オレがいるのがバレたらヤバイ。
そう思って、ただ息を殺してた。
篠岡がすすんで阿部の首に手を回してた。
阿部は篠岡が自分を求めているのを確認してから篠岡の身体を抱きしめてた。
二人の唾液が絡みつく音が、ロッカーの中で息を殺してるオレの耳まで聞こえてきて
足元が音をたてて崩れ落ちるって言葉の意味を理解した。
それなのに、オレの目は二人から離れなくって。
ひたすら身じろぎすらせず凝視してた。
篠岡がまず阿部のシャツの下に手をもぐらせた。
なんか、阿部の胸を撫で回してた。
男の胸、撫で回して楽しいもんなのかな。
阿部の手が篠岡のシャツをたくし上げて、篠岡の白い背中が見えた。
さらにたくし上げるから、ブラジャーまで見えた。
手馴れたように阿部の手が篠岡のホックを外してた。
初めてじゃねーんだ。って思ったら、なんか胸が痛くなった。
「・・・久しぶりだね」
篠岡がそんなこと言った。
「溜まってるから、もう止まんねー」
なんだそれ阿部。久しぶりって篠岡。いつから二人そんなカンケーだったんだ?
そんな疑問がぐるぐる回って、ロッカーから飛び出したい衝動を堪えるのに必死だった。
胸が痛くって、悲しくって、叫びだしたくって。
ああ、オレしのーか好きだって思った。
なのに、篠岡はオレの目の前で阿部に抱かれてた。
そんな篠岡の姿にオレのチンコ、痛いほど反応してた。
「阿部くん・・・好き・・・」
なんで。しのーか?
なんで阿部?
こっちに背中を向けてる篠岡の綺麗なお尻から目を離せなかった。
阿部の裸なんて見たくもねー。
そしたら篠岡がこっち向いて。
光ってるようにな白い肌とか可愛い胸とか綺麗な色のチクビとか下のアレとか、なんか全部見えちゃって。
思わずその姿に釘付けになって息を飲んだら篠岡は、阿部に背を押さえてよつんばいになった。
篠岡の小さな腰を阿部のごつい手が抱え込むように掴んで。
阿部が腰を篠岡の腰に押し付けたら篠岡の顔が歪んで口が大きく開いて喘いでた。
「ああ・・・阿部・・・くん」
聞きたくねぇよ、篠岡。
そんな声、聞きたくねぇよ。
660 :
田島ののぞき:2008/10/27(月) 22:54:58 ID:nBin2D/P
「イーかよ、篠岡」
阿部がそんなこと言った。
うるせぇよ阿部。なんでソコにいるのがオマエなんだよ。
「イイよ・・・阿部くん」
聞きたくねぇよ! 篠岡!
なのに、オレは目を閉じれずに、ただ目の前の出来事を見ていた。
篠岡の返答を返事と取ったように阿部が腰を動かし出して。
その動きにあわせて篠岡が淫らな顔して喘いでた。
ああ、コンナ顔がミダラって言うんだ。
そんなことしみじみと考えてた。
篠岡の嬌声がひときわ高くなってった。
ひたすら阿部の名前、呼んでた。
タカヤ、タカヤって。
なんでユウイチロウって呼ばねぇの? 篠岡。
阿部もずっとチヨ、チヨって呟いてた。
黙れよ、阿部。何でオマエがその名前呼ぶんだよ。
二人がタっした時、オレのチンコからも出ちゃってた。
それ以来、DVDのお世話になってない。
だって、アン時のこと考えただけでタつし、ヌける。
フィニッシュの時、たまに阿部の顔が浮かんじゃって激しい自己嫌悪に陥るけど、
大体篠岡で終わってる。
でも、なんでかな。
毎回抜いた後、なんか涙が出てくる。
インポになったらどうしようって、たま〜に心配するけど。
でもま、今の所毎日タってるからいいんじゃね?
いつかユウイチロウって呼ばせて見せるって決めてるから!
終わり
661 :
654:2008/10/27(月) 22:56:29 ID:nBin2D/P
書いてて楽しかったっすー。
>>655すばらしい萌えシチュありがとうございますっすー。
じゃーまた会う日までさようならっすー。
GJ!
すげー田島っぽくて萌えた。
エッチに慣れたアベチヨもいい!
GJGJ!
まだ余ってるからもうちょっとゆっくりしてって!
残り6kか。
雑談で埋めちゃいますか。
埋めがてらにちょいと質問させてくれ
このスレでのねたばれ(コミックス未収録内容)に関する扱いってのはどうなってるの?
注意書きがあれば投下してもおkかなあ?それとも原作の展開に直結してるような内容はコミックス発売まで避けるべき?
注意書きがあればおkじゃないかな
コミクス発売まで年単位で寝かしてたら腐ってしまうぞ
本誌と単行本に恐ろしいほど開きがあるからなあ。
注意書きあればいいに同意見。
ネタバレ回避したいヤツはここにはこないだろ。
ほしゅ
ウメウメウッメー
保守
670 :
名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 16:38:23 ID:ZYJ0SqUw
単行本って2年くらい前の内容じゃねーのか?美女と戦っててまだ1回とかどんだけ
アニメ2期はやらないのかな。
9巻以降がネタバレってことはさすがにないよな?
ネタバレの定義がわからん。
発売前の本誌ネタはここでは見たくないが
発売後なら問題ないような。
コミックス派が圧倒的に多い事実
9巻以降がネタバレって、アニメ化されてない部分のことか。
さすがにそれはないんじゃないか?
とりあえず自分は、発売前の本誌ネタバレ以外は気にならない。
本誌とコミックスとで結構開きがあるから
コミックス未掲載ネタのSS投下時には
一言注意書きがあると親切かな、くらいは思うけど。