【おお振り】おおきく振りかぶってエロパロ6球目

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737名無しさん@ピンキー:2007/11/18(日) 09:49:09 ID:Bj0sSfCo
後半投下します。

西広→篠岡→阿部 エロパート 阿部×篠岡

阿部も真っ黒なので苦手な人はスルーヨロシク
738夏の終わり ◆VYxLrFLZyg :2007/11/18(日) 09:50:23 ID:Bj0sSfCo

西の空が赤みを増す時刻。
校内に響くのは運動部の部活の音。
人気のない屋上に、西広と阿部が向き合っていた。
篠岡はあれから果敢にも阿部に再告白したらしく、
疑問に思った阿部に呼び出されたからだ。

「篠岡と付き合ってんだろ?」
阿部の不機嫌そうな声音に、西広は穏やかな笑顔を向けた。
「阿部、少しは篠岡の言葉信じたら? 篠岡に告白されたんだろ?
しかも2回も。なんで付き合わないの?」
「オレは・・・。」
阿部はそこで言いよどんで、西広から目線を外す。
彼らしくない歯切れの悪さに、西広はどこか違和感を覚える。

そして、不意に理解した。
阿部が、言い淀む理由。


「阿部・・・気づいてたんだ・・・?」
「・・・・・・何がだ。」
かすれた声で搾り出した西広の言葉に、阿部は長い沈黙の後、疑問で返した。

しかし、阿部の目に一瞬浮かんだ動揺を、西広は見逃さず。
新しい事実に、西広自身も動揺する。
「・・・篠岡の気持ちも、オレの気持ちも。1年の時から、ずっと。」
チっと唇を噛んだ阿部に、西広は自分の言葉が正しいことを確信した。
「阿部はヒドイ奴だね。」
「・・・・・・。」
「オレに、チャンスをくれたって言うワケ?」
「違う。」
「じゃあ、何?」
「・・・オレより、お前の方がアイツ幸せになれんだろ。」
「っははっ!!」
阿部の言葉に、西広の口から思わず乾いた笑いが零れた。

「アイツがお前を好きになんなら、そっちのほうがいいと思っただけだ。」
「だったら、阿部、篠岡をぐちゃぐちゃに傷つけてよ。そしたらオレは優しくその傷を癒すからさ。」
「・・・・できない。」
「何で? 確かにオレの方が阿部より篠岡幸せにする自信、あるよ?
 どんな傷だって癒して見せるよ。オレにゆずるなら、そうしてくれない?」
「アイツを傷つけたくなんか、ねーんだ。」
「阿部は、篠岡を傷つけるよ?」

西広は、確信を持って阿部に断言した。
何故、そう思うかは西広にもわからないが。
西広の脳裏に昨日の篠岡の様子が浮かび上がる。
739夏の終わり ◆VYxLrFLZyg :2007/11/18(日) 09:51:16 ID:Bj0sSfCo

いらいらした様子の阿部が、先ほどの西広の言葉に対して声を荒げた。

「・・・だからお前の方がアイツ幸せになると思ったんだ!」
「なら、きっちり身を引いてくれよ。きっぱりあの子振ってくれない?」
「・・・自然にアイツがお前のこと好きになんなら、それが一番だと思ってた。」
「・・・もう譲る気はないってこと?」

ふっと自嘲気味に笑う西広に、阿部は再び視線を地面に向けた。
「オレは・・・。」

篠岡は阿部が好きで。
阿部も篠岡が好き。

その事実は西広の胸中にやるせない気持ちを吹き荒れさせ、意地悪な感情に支配される。
阿部の言葉にかぶせるように西広が穏やかに笑いながら声を上げた。

「残念だね、阿部。篠岡はもうオレのモノだよ。
 最初にあの子の身体に触れて、傷をつけたのは、オレだ。悪いね。」

瞬間。阿部の身体が衝動に突き動かされたように動き、西広の顔を殴りつけた。
西広の身体はその反動でフェンスにぶつかり、耳障りな音が鳴り、そのまま崩れ落ちた。
阿部は自分のしでかしたことに驚愕したのか、拳を握り締めたまま、呆然と西広を見つめた。
西広は傷む頬をそっと抑えて、口の端に笑みを浮かべながら阿部を見上げた。

「悔しい?阿部。」
「・・・・・・悪い・・・。」
「謝る必要なんて、ないよ。オレはそれだけのことは、した。
 弱ってる篠岡に付け込んで、その身体も心もオレのほうに向かせようと最低のことをした。
 なのに、篠岡は・・・・。お前を見るのをやめない。」
「・・・・・。」
「阿部、おれの賭けはすべて終わったんだ。見事に全部、オレの負けだ。」
「・・・・・西広。」

その時、荒々しい音と共に、校舎への扉が開いて、篠岡が飛び出してきた。
二人の姿を認めて、声を上げる。

「阿部くん!西広くん!」

殴られた頬を押さえてフェンスに寄りかかってへたり込んでる西広と、
拳を握り締めて西広を仁王立ちで見下ろす阿部に、篠岡は一体何の事実を見て取っただろう。

篠岡は一瞬の逡巡の後、西広に駆け寄った。

「大丈夫!?西広くん!?」
西広の傍に座り込んで、ポケットからハンカチを出して篠岡は西広の頬に手を添える。
と、阿部が篠岡の腕を取って無理矢理立たせた。

「阿部くん!?」
「ソイツはほっとけ。」
そう短く答えた後、嫌がる篠岡を連れて、阿部は校舎の中に入っていった。
740夏の終わり ◆VYxLrFLZyg :2007/11/18(日) 09:52:12 ID:Bj0sSfCo

「あ、阿部くん!? 西広くん怪我してた!」
「ああ、オレが殴ったからな。」
「手当てしないと!放して!阿部くん!」
掴まれた腕を振り払おうと暴れる篠岡を、阿部は階段の途中にもかかわらず、壁に押し付けた。
「い、痛い!」
「お前は、オレを見てんだろ!」
目に激しい感情を浮かべた阿部が、見抜くように篠岡を真っ直ぐ見つめる。
篠岡はその目をまともにみてしまい、思わず動きを止めた。

「・・・うん。阿部くんが、好き。」
「なら、もう西広にかまうな。」
「で、でも・・・。」
「オレはお前が好きだ。」
唐突な阿部の言葉に、篠岡の両目が見開かれ、やがて涙が溢れだす。
「・・・泣くな。」
「だ、だって・・・。」
だってを繰り返す篠岡の唇に、阿部は自分の唇を乱暴に押し付け、
そのまま小さな肩を掻き抱くように抱きしめた。
篠岡の両手が阿部の背中に回り、ぎゅっとしがみ付いた。



西広が、一人取り残された屋上でぼんやりと傷む頬を押さえていた時。
ふいに扉があいて、篠岡が姿を見せた。
「し、しの・・・。」
「西広くん。」
座り込んだままの西広の傍に篠岡は近寄って、手に持ったものを差し出した。
「これ・・・。」
「ありがとう。」
小さな冷却材を西広に渡した篠岡は同じように座り込み、西広と真っ直ぐ目の高さをあわせる。
「これで、西広くんへの恩はすべて返したことにするね。」
西広がびっくりして、思わずぽかんと篠岡を眺める。
「西広くんのそんな顔、はじめて見た。私、何も見えてなかったね。ごめんね。いろいろ。」
「篠岡が・・・・謝る必要なんて・・・ない。」
明るく話す篠岡の言葉に、西広は搾り出すように返答して。
「西広くんのことは、友達として好きだった・・・。ていうのは残酷、かな?」
続いた篠岡の言葉に、西広は一瞬辛そうな表情を見せたが、すぐに収めて。
いつもの穏やかな笑顔で篠岡を見つめる。
「・・・・・・・一番残酷な、言葉だね。」
「ごめんね。」
篠岡はそっと西広に顔を近づけると、ほんの僅かだけ自分の唇と西広の唇を合わせ、途端に離れる。
「今まで、ありがとう。西広くん。」
穏やかな笑顔で笑う篠岡に、西広も笑顔で返し。

そのまま篠岡が立ち上がって、その姿が校舎に消えた後も、西広はその扉を見つめ。
やがて、西広の頬に、一筋の涙が伝っていった。
立てた膝に顔を埋めて、西広は、初めて篠岡を想って涙を流した。
741夏の終わり ◆VYxLrFLZyg :2007/11/18(日) 09:54:34 ID:Bj0sSfCo

屋上に続く階段の踊り場で待っていた阿部は、戻ってきた篠岡を見て、ほっとした表情になった。
駆け寄ってきた篠岡の腕を掴み、そのままそこの壁に強引に押し付ける。
「あ、阿部くん?」
篠岡の戸惑う声を無視して、無理矢理篠岡の唇を塞ぐ。
唇を割り開くように舌を差し込んで、篠岡のそれと絡める。
「はっ・・・。」
同時に脚を篠岡の両脚の間に割り入れ、閉じさせないように固定する。
「あ、阿部くん!?」
「少し、黙れ。」
そのまま再び篠岡の唇を塞ぎながら、服の上から荒々しく胸を掴み、力を込める。
「えっ!? あ、阿部くん!!や、やめて!」
「やめない。」
無理矢理顔を背けて、非難の声を上げる篠岡に、至近距離で目を合わせながら、阿部は断言した。
「ドコを触られた?」
「えっ・・・!?」
「ドコ触られたんだよ!?」
「阿部くん・・・?」
「くそっ!」
戸惑う篠岡の目線に、阿部は悪態をつきながら、篠岡の肩口に顔を埋めて、壁に拳をぶつけた。
耳元で聞こえたドンという音に、篠岡の目に恐怖が浮かぶ。

「こんな思いすんなら・・・。遠慮すんじゃなかった・・・。」
阿部の呟いた声に、篠岡が呆然と阿部を見つめ返して。
「どういう意味・・・?」

阿部は顔を上げて、再び篠岡と目を合わせる。
「西広を選んどきゃよかったって、後悔してももう遅ーぞ。」
「・・・阿部くん。」
「お前がどんなに泣いても、傷ついても、オレはもうお前を離さねーからな!」
「後悔なんて、しないよ。何があっても泣いても、傷ついても、後悔は、しない。
 私は、阿部くんが、好きだから。」

阿部は篠岡の唇を塞ぎ、再び舌を深く絡めあった。
手を篠岡の脚に伸ばして、スカートを捲り上げる。
「あ、阿部くん。あ、あの!」
「うるさい。黙ってろ。」
阿部の動きは止まらず、下着の上から強く篠岡の中心を強く刺激する。
篠岡は扉の向こうの屋上に、まだ西広がいることを思い出し、阿部に抵抗するが
「阿部くん。に、西広くんが・・・まだ、屋上に!」
途端に、底冷えするような目で睨みつけられ、篠岡は思わず口をつぐんだ。
「・・・その名前、出すな。」
742夏の終わり ◆VYxLrFLZyg :2007/11/18(日) 09:55:39 ID:Bj0sSfCo

一言呟いて、篠岡の抵抗を封じると、再び篠岡の身体をまさぐることに集中し出す。
阿部の手が直接下着の中まで侵入して、直に篠岡の中心を撫で上げる。
「・・・っふ・・・。」
すぐに、下着も引き摺り下ろされて、ひんやりした空気に晒された。
篠岡を壁際にたたせたまま、阿部はその前に膝をつき、篠岡の片脚を肩に乗せた。
そのまま顔を篠岡の脚の付け根に近づけて、舌で触れる。
「・・・っやあぁ・・・。」

扉の向こうに西広がいる事実。
豹変した阿部の態度と、行動。
望まない場所でこんなことを強要される恐怖。
それでも、自分の身体は悦んで、心は感動に震えている。

阿部にぐちゃぐちゃにかき回されながら、羞恥心と快楽に心は乱されて。
篠岡の目から涙が零れ始めた。

やがて、立ち上がった阿部が、自分のベルトの金具を鳴らして。
篠岡の背中を壁に押し付けたまま、片脚を抱え上げた。
篠岡の中心に、質量のあるモノが押し付けられる。

「もう、遅ぇーけど。オレでいいんだな?」
篠岡の目を見つめながら、どこか不安げに確認してきた阿部に。
篠岡は阿部の目をはっきり見つめ返しながら、伝い流れる涙を拭うこともせず、篠岡は頷いた。
それと同時に、阿部は一気に篠岡を貫いた。
「・・・っい・・・っうう・・・!」
「・・・イテーのか?」
無理な姿勢で、無理矢理挿入された痛みは、篠岡の理性を瞬く間に飲み込む。
「・・・悪い・・・。」
阿部は、謝罪を口にしながらも、激しく篠岡を突き上げ始めた。
「いっ・・!!あっ!・・・いぃ・・・っ!」
阿部の動きに、身体の内部からの痛みと、押し付けられた背中の痛みが、
篠岡の涙をさらに溢れさせるが、阿部は動きを止めない。

やがて、篠岡の身体から阿部自身が引き抜かれて、廊下に白濁したモノがぶちまけられると。
支えを失った篠岡の身体は、ずるずると床に崩れ落ちた。



その時、屋上への扉が開いて、西広が姿を見せた。

743夏の終わり ◆VYxLrFLZyg :2007/11/18(日) 09:56:37 ID:Bj0sSfCo

二人の異様な雰囲気に、西広は思わず息を飲む。

床に座り込んで、服も乱れて泣き続ける篠岡。
よく見ると、スカートから伸びる脚にうっすら血の筋がついている。
こっちに背中を向けて顔だけで振り返る阿部は、頬が僅かに上気し、息も荒い。
かすかに鼻につく、匂い。

何があったのか一瞬で西広は察して。
思わず自嘲気味の、乾いた笑い声を立てた。

「っは、ははは・・・。」

思わず片手で顔を覆い、こみ上げる笑いのまま、しばらく笑う。
「阿部、お前は・・・本当にヒドイね。ここまで、やるかな?普通。」

阿部が何故こんな所で、まるで西広に見せ付けるように行為に到ったのか。
何があっても、もう篠岡は阿部から離れないことを見せ付けたかったのか。
それとも、西広が早く吹っ切れるよう、阿部なりの親切なのか。

未だに泣き続ける篠岡の、傷ついた風情の表情なのに、目には拒絶の光はない。
早速阿部に傷つけられ辛いだろうに、それでも阿部を想う心に変化はない。

すでに二人の間にある、強い絆をまざまざと見せ付けられて。
西広は押し寄せていた波が引いていくような感覚を覚えた。

「阿部って・・・ヒドイっていうより・・・不器用なんだね。」
「西広、・・・帰れよ。」

軽く身支度を整えた阿部が、西広に向き合い無表情で眺める。
笑いを収められない西広は、笑顔のまま阿部を見つめる。

「オレは帰るよ。じゃあね。篠岡。」

泣き通しの篠岡は、両手で顔を被ったまま、西広を見ようとしない。
西広はそんな篠岡を横目で眺めて、ふっと微笑み、階段を下りていった。


一つ下りるごとに、心がどこか軽くなっていくのを、自覚しながら。



---終わり---
744名無しさん@ピンキー:2007/11/18(日) 09:57:20 ID:aT9UachC
>721
現行スレでカズモモ書きました。
過疎ってるのでミズチヨかいてたら
職人さんキタ−!!

アベチヨ、阿部が泣ける・・・www
西広先生キタ!!続きずっと待ってます!!
745名無しさん@ピンキー:2007/11/18(日) 13:20:52 ID:uH13cA9u
くっ…西広先生…
西広先生が今度こそ幸せな恋をしますように
GJでした!

>>744
うんこ我慢して待ってます
746名無しさん@ピンキー:2007/11/18(日) 13:23:49 ID:p0w0LhZ2
早々の後編、ありがとうございました!
ハッピーエンドなのに、どきどきします。
阿部、おめでとう。こんな西広先生も好きです。頑張れ!

>>721 ドーパミンとハナモモを書きました。
同じく、過疎ってるので調子に乗って、続きをワタワタ書いてます。
馴れ合うつもりはないのですが、職人様の新作、楽しみにしてます。
747名無しさん@ピンキー:2007/11/18(日) 15:45:50 ID:NX3g0LTU
GJでした!
あいかわらず早い!

ところで、まだ次スレ行かなくて大丈夫?
748名無しさん@ピンキー:2007/11/18(日) 20:16:37 ID:MCZ5Upql
うおおおおおお萌えたよーーーGJ!!!
また書いて下さい!!!!
749名無しさん@ピンキー:2007/11/18(日) 22:10:41 ID:cWkn74vb
職人の生存が確認できて嬉しいよ
もうそろそろ次スレの時期か
ペースダウンはしてても着実に進んでるんだな
750名無しさん@ピンキー:2007/11/18(日) 22:14:41 ID:8sxcrWmA
よっしゃ、自分が逝ってくる
テンプレとかに変更点は特にないよな?
751名無しさん@ピンキー:2007/11/18(日) 22:30:14 ID:8sxcrWmA
新スレ立て完了

誘導用
【おおきく振りかぶってエロパロ7球目】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1195391926/l50

少し下手こいたが気にしないで
752名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 00:21:37 ID:0yhTX/aL
現在488kbか。
雑談には長いけど、SS落とすには微妙だね。


埋め
753名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 00:39:20 ID:rJ509uRf
>>751
乙です。

ほんじゃ埋めます。
叶×ルリ。エロくないので興味ない人はスルーよろしく。
754カノルリ:2007/11/19(月) 00:41:50 ID:rJ509uRf

電車が駅に着いた時、空からはぱらぱらと雨粒が落ちてきていた。

「あーあ、降って来ちゃった。」
改札を出て空を見上げると、ルリは溜息を吐いた。
ついてない。天気予報では雨なんて言ってなかったのに。
駅から家まではたいした距離ではない。
もう帰るだけだし、多少は濡れてもいいか…。
そう思って、ルリは雨の中を駆け出した。

蒸し暑い夏の夕方。汗ばんだ肌を打つ雨は思いのほか心地良く。
次第に強くなる雨はアスファルトの色を変え、昼間の熱が蒸気となって立ち上っていく。
いつの間にか、ローファーの中にまで水が入り込んでいた。
体温で温くなった雫が、肌を伝って落ちていく。こんなに雨に濡れたのは、いつ以来だろうか。
びしょ濡れになってみると諦めもついて、歩く速度は段々とゆっくりになっていった。
帰ったらすぐにお風呂に入ろう。そうだ、こないだ貰ったバスビーズを入れて。
人気のない薄曇りの道路。気づくとルリは鼻歌を歌っていた。

「お前、何やってんの?」
突然後ろから聞こえた声に、ルリはぎくりとして振り返る。
そこには向かいに住む幼なじみの姿があった。
「叶…。」
「お前バカかよ。雨ん中濡れながら歌なんか歌って。危ない人みたいだぞ。」
傘をさした呆れ顔の叶に、ルリは少し赤くなった顔で言い返す。
「…うるさいな。あんたこそ何やってんのよ。部活は?」
「今日は休みだよ。だからDVD借りてきた。あ、お前も一緒に見る?」
「結構です。帰ってお風呂入るんだもん。」
ぷいと顔を背けたルリに、叶は笑いながら傘をさしかけた。

「ほら、もっとコッチ来いって。」
「いいよ、もう濡れてるし。すぐ家だし。」
「いいから。ゴチャゴチャ言ってんなよ。」
肩をぐっと引き寄せられて、ルリは体が強張った。

叶は苦手だ。なんと言っても言動が乱暴で、行動が粗雑だ。
向かいの家に住んでいながら、中学進学以来、ほとんど顔を合わせることもなかったのに。
「廉、元気?」
「元気だよ。」
右耳の上から降る声は、記憶にある声とは違って低く響いた。
…こんな声してたっけ。なんとなく感じる違和感に、会話はすぐに途切れてしまう。
沈黙に耐えられず、何か話そうと思っても何を喋ればいいものかもわからず。
気まずい。早く家に帰りたい。
途切れ途切れの会話の中、自宅の玄関が見えて来ると、ルリはほっと息を吐いた。
755カノルリ:2007/11/19(月) 00:44:14 ID:rJ509uRf

「じゃあな。」
ルリを玄関まで送ると、叶はくるりと背を向けた。

…あれ?
からかわれたり、なんか意地悪なこと言われたりするんじゃないだろうか。
そう警戒していたのに、叶は呆気ないほど普通で。
ぼんやりと見つめた叶の後姿は、シャツの右肩が雨で濡れていた。

―私を傘に入れたから、叶が濡れちゃったんだ…。

気づくと、不思議そうな顔をした叶が、振り向いた肩越しにルリを見ていた。
無意識に叶のシャツの袖をぴんと引っ張っている自分に驚いて、ルリは慌てて手を離す。
「あ…、えと。」
「?」
砂利を踏む音がして、叶がルリに向き直った。

言動が乱暴で、行動が粗雑で…。小学校の時の叶は確かにそうだった。
それなのに、今目の前にいる叶はその頃に比べ格段に大人っぽく、なんだか知らない
人みたいに見える。
言いようのない不思議な気持ちで、叶を見上げ、ルリは呟いた。
「…ありがと。」
「どういたしまして。」
ぽんと頭に乗せられた手の重さに、胸がざわざわした。
道路を挟んだ向かいの家に帰っていく、叶の背中をじっと見つめる。

「あ。」
ふと、叶が思い出したように立ち止まり、振り返った。
ルリは一瞬身構える。
「な、なに…。」
自分を真っ直ぐに見据えた叶に、再び胸がざわついていくのを感じた。
この居心地の悪さはいったいなんなのか。息を飲んで、叶の言葉を待つ。

「いくら胸がないからっつっても、そんなカッコだと危ないから気をつけろよ。
世の中には、そういうのが好きな奴だって、いっぱいいるんだからな。」

「…は?」
そう言って笑った叶を、ぽかんと見つめていたルリだが、しばらくして自分の格好に
気づいて慌てて両腕で体を隠した。
濡れて張り付いたシャツは、華奢な体をラインを浮き立たせ、小さな胸を包んでいた
淡い色の下着が透けて見えていた。
ルリの顔がパッと赤くなる。

「余計なお世話だ、バカ!」
ルリの怒鳴り声と共に、大きな音で閉じられた玄関を見つめ、叶は肩を揺すって笑う。
「心配してんじゃん、これでも。」

笑いすぎて滲んだ涙を拭いながら、叶は踵を返した。
「ほんとにいるんだぜ、そういう、お前みたいのが好きな奴。」

青春が始まる、1年前の夏の出来事。
756カノルリ:2007/11/19(月) 00:44:46 ID:rJ509uRf
終わり。
757名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 01:37:08 ID:pHbxcoSU
GJ!
これをキッカケにカノルリに目覚めそうだ
頼むからまた気が向いた時にでも
投下おぬがいします
758名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 01:39:21 ID:LfzyAby8
すっごくかわいいカノルリだ…2人ともツンデレっぽくて好みです
続きがあるならwktkしてまってます
GJでしたー!
759名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 15:09:18 ID:kxu21RDV
760名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 19:49:33 ID:Qb1FwIrS
カノルリ萌えー!
甘酸っぱくて最高でした。
761名無しさん@ピンキー:2007/11/20(火) 00:20:20 ID:D/V00YFc
萌えますた・・GJ!!
ずいぶん、カノルリ投下なかったから本当に嬉しい
762名無しさん@ピンキー:2007/11/20(火) 00:44:09 ID:0apP4QUc
>>758
ゲンミツに続かない…。
まぎらわしい終わり方ですんません。
あえて続けるとしたら、過去スレにあるカノルリに続く?かな。
そういえばカノルリ最近ないね。
763名無しさん@ピンキー:2007/11/20(火) 14:48:36 ID:nJFmW4o1
◆VYxLrFLZygの人は当て馬作らないと話が作れないの?
764名無しさん@ピンキー:2007/11/20(火) 16:11:58 ID:zgkNBZ3u
普通にカップルとか小ネタとか、幅広く書かれてますよ
次スレでも楽しみにしてます!
765名無しさん@ピンキー:2007/11/20(火) 23:33:43 ID:R1YiqES4
埋めちゃいますか
766名無しさん@ピンキー:2007/11/20(火) 23:53:43 ID:xDqJbA9q
ですな
前スレは終わりのほうでちょっとおもしろい流れになったから
萌え雑談でもしながら行こうか
新スレでレンルリ来ますように!
767名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 00:48:30 ID:qoJ6yyuZ
最近投下少ないし、12月の阿部の誕生日とか
クリスマスや年末をネタに今から考えると
いうのはどうだろう
768名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 01:23:28 ID:KQ4gdIIM
梅だから本音吐くけど
◆VYxLrFLZygの人は実際、当て馬多いと思う。
阿部厨で千代厨なんだろうな。
769名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 01:47:51 ID:K70GolXi
それわざわざ言う必要あるか?
770名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 01:52:09 ID:AaOafSrc
クリスマスと年始通り越して、正月妄想を受信した

三が日は一人寝正月なモモカン宅に
「一人暮らしじゃお節も寂しいからって、うちの母親が」
と、母お手製お節を提げてやってくる花井とか

年越しのタイミングで近所の神社に行ったら
偶然鉢合わせるカノルリとか
自分、気が早過ぎw
771名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 01:55:51 ID:AaOafSrc
×年始通り越して
○年末通り越して

趣味に合わない投下作品は適当にスルーで
楽しめる作品だけ読めばいいよ
772名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 03:41:38 ID:ZT66z9im
当て馬にされたキャラが自分の好きなキャラだったらちょいと凹むから
何が言いたいかはわからなくはない

でもな、気に入らない作品はスルー汁
本人も投下前に注意書き書いて嫌だったらスルーしてって言っているわけだしさ
毒は本スレで吐いちゃダメだ
どうしても我慢できんなら誤爆スレで
じゃないと無意味に荒れちまう

年末年始でのんびりできたのは元旦ぐらいだったっけ
二日には集合して3日には始動していたから・・・
クリスマス?
そんなもん寮生活の野郎たちには関係n(ry
773名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 05:14:47 ID:0DIxO6WL
あえて言うが、ここはいろんなおお振りキャラが好きな人を見てると
いう事を忘れないで欲しい
自分の好きなキャラ当て馬にされて嬉しいやつはいないだろ

阿部千代は好きだが毎回誰かかが可哀相なのはストーリー重視で
心理描写も上手いなだけに嫌だ
勘違いならすまんが◆VYxLrFLZygさんってサイト持ってたような
どうしても阿部千代←誰か な話書きたいならそっちで書いたほうが荒れない
これで◆VYxLrFLZygさんが投下やめたら残念だけど
この先もこの調子なら間違いなく叩かれる

エロパロなんだからそれくらいなら3Pにしてくれたほうがずっと良いよ
774名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 06:57:56 ID:YhqMO029
もともと篠岡受けは総受けあて馬サイトばかりだよ
嫌いカプスレ関連でよく名前があがるキャラだ
775名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 07:05:06 ID:YBSzpN1W
>>774
釣り糸見えてるお^ω^
776名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 07:41:24 ID:K70GolXi
嫌カプはスルーがこのスレでのお約束
そのために毎回カプ表示させてんでしょ?
女キャラが少ししかいなくて、絡ませられる相手だってたかが知れてんのに
それ言い出したら誰も投下できなくなるよ
荒らしで言ってんならスルーできなくて悪かったけど
違うなら自分が好きなカプを好きなように書くか
細かくシチュ表示して職人に拾ってもらえるの待ってなさいよ
あえてだろうが何だろうが、このスレで職人叩きは必要ないよ
777名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 08:02:24 ID:QbqTPHbq
当て馬って言い方すると職人様が三角関係書けなくなる。
毎回アベチヨならともかく、イズチヨとかタジチヨでもあったのに。
自分は最初の説明読んで、合わないカップリングは斜め読みだ。
そういう板だと思うけど。
778名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 08:12:22 ID:6PR35eY+
ちよファンもチヨは雌犬だと思ってる
じゃなければ同人でビッチキャラにならんな
779名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 09:15:13 ID:ZOIJwO5G
基本的にSS投下は自分のオナニーだと思ってる
消化しきれない萌えを文章にして公開するプレイ

性癖なんてそれぞれなので、万人に受け入れられるわけがない
なので職人さん達には、叩かれても気にせず好きなようにがんがんやってもらいたい
読む側の人に押し付けるつもりもないので、嫌ならさらっと読み飛ばしてくれるとありがたい

ようはマターリエロエロいきましょうってことです
780名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 09:56:09 ID:KVW6OQsq
ホント、アベチヨ書いたくらいで叩かれちゃやってらんないよね。
誕生日のシチュで、いろんなアベチヨが読みたい。
781名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 11:54:29 ID:5xnD7C6s
阿部の誕生日とクリスマスか。
12月はネタに事欠かなくて楽しそうだね。
自分も書いて見ようかな
782名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 12:57:24 ID:KQ4gdIIM
三角関係にすらなってない当て馬だから嫌なんだよ。
上手な人ならその辺ちゃんとかけるんだろうけどな。
千代心変わり早すぎとか穴だらけの上、いっつも
同じような展開で、あきあきだ。
783名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 13:00:13 ID:KVW6OQsq
ぜひぜひ!
自分はエロは読みたいけど書くのは大変な作業で、
だからこそ他人がとやかくいうのは残念。
784名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 13:30:27 ID:5w1EvtaV
>>782
同じような展開って判りきってて、トリップもつけてくれてる
職人相手。なら、貴様にできることは判るな?
スルーだ。あるいは専ブラ入れてあぼーんしろ。
それが大人の板で遊ぶための資格だ。
できない子供は覗かないのが身のため、それがピンク板だ。
785名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 14:10:56 ID:fPXWFTpA
あれだけコンスタントに書いてちゃ、
多少似たものになっても仕方ないと思う。
他人が書いたのを理由作って叩くのは
自分が偉くなった気がして楽しいよね。。。
786名無しさん@ピンキー
ここは匿名掲示板だ。
だからこそ自由に意見を言うことができる。
自分は職人に対して書くなとは一言も言ってない。
ただ、自分が面白くないと思う点を言ってるだけだ。
しかも梅を待ってな。
落とされた話に対して、批判は許さない、
マンセーしか言っちゃいけないってか?