キモ姉&キモウト小説を書こう!Part10

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1名無しさん@ピンキー
ここは、キモ姉&キモウトの小説を書いて投稿するためのスレッドです。

○キモ姉&キモウトの小説やネタやプロットは大歓迎です。
愛しいお兄ちゃん又は弟くんに欲情してしまったキモ姉又はキモウトによる
尋常ではない独占欲から・・ライバルの泥棒猫を抹殺するまでの

お兄ちゃん、どいてそいつ殺せない!! とハードなネタまで・・。

主にキモ姉&キモウトの常識外の行動を扱うSSスレです。

■関連サイト

キモ姉&キモウトの小説を書こう第二保管庫@ ウィキ
http://www7.atwiki.jp/kimo-sisters/pages/1.html

キモ姉&キモウト小説まとめサイト
http://matomeya.web.fc2.com/
■8スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part9
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1202484150/
■8スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part8
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1200062906/
■7スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part7
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キモ姉&キモウト小説を書こう!Part6
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■5スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!
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■4スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part4
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■3スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part3
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■2スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part2
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■初代
キモ姉&キモウト小説を書こう!
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1176013240/
2名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 16:45:16 ID:U8MotKmX
■お約束
 ・sage進行でお願いします。
 ・荒らしはスルーしましょう。
  削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、
  削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。
 ・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。
 ・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。

■投稿のお約束
 ・名前欄にはなるべく作品タイトルを。
 ・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。
 ・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため)
 ・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。
 ・作品はできるだけ完結させるようにしてください。

SSスレのお約束
・指摘するなら誤字脱字
・展開に口出しするな
・嫌いな作品なら見るな。飛ばせ
・荒らしはスルー!荒らしに構う人も荒らしです!!
・職人さんが投下しづらい空気はやめよう
・指摘してほしい職人さんは事前に書いてね
・過剰なクレクレは考え物
・スレは作品を評価する場ではありません
3名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 16:45:53 ID:U8MotKmX
■誘導用スレ
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 往生47
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1202575766/l50
ヤンデレの小説を書こう!Part14
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1204261770/l50
いもうと大好きスレッド! Part4
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1188824773/l50
お姉さん大好き PART5
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1186239004/l50
4名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 16:53:05 ID:CPdoJZsp
ちおつ
5名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 17:05:40 ID:uReA59DU
少し早い気もするが乙
6名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 18:10:02 ID:D3kIMy2Y
1乙
7名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 18:20:23 ID:qzTZ4Qej
ドラゴンボール乙
8名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 18:29:17 ID:nHh+8dh6
>>1乙兄ちゃん……
さぁ、行こ……

幸せになるの……
9名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 18:34:29 ID:ULHRfdZ/
>>1
もう10スレ目か
10名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 19:34:55 ID:ELsCQ3GC
>>1
11名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 19:36:18 ID:ELsCQ3GC
sageるの忘れてた…orz
12名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 23:54:44 ID:dU7YN4pJ
13名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 00:50:46 ID:jgySssGy
そういえば>>1>>1の奥さんって、よく似てるよな。
14名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 01:00:30 ID:a9zyHx9s
実は生き別れの双子の妹らしいぜ
15名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 01:21:49 ID:sdyPKjD9
兄妹結婚イクナイ!(・A・)
16名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 02:19:09 ID:9bFSt/Ve
>>15
後ろで怖い顔してるの、おまえさんの妹じゃまいか?
17名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 02:19:30 ID:Bt/xuQ58
一乙
18名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 14:27:11 ID:5LCKb4Mw
お前らときたらwww
19名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 18:22:41 ID:sdyPKjD9
>>16
ああ、あれ?あれは弟だよ。だから安全。
20名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 18:30:18 ID:m5Jc90z3
しかし、弟は実は妹。実の兄にすら正体を晒さぬ男装の麗人だったのである。
21名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 19:18:40 ID:Cdbtffjt
>>19
いやその反対で見てるショートカットの女性は………



君の姉さんのはず!!
22名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 07:32:37 ID:4xSU5jtT
職人が多いおかげでスレの消化が早いな
実に嬉しいことだ
初代スレの立ち上がった経緯からは考えられん
23名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 14:47:40 ID:5zoHZaBl
24名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 19:12:19 ID:eAXmoecz
あー・・・俺の行動すべてに口出ししてくるキモ姉が欲しいなー
25名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 19:16:44 ID:b6pMR1qV
姉「>>24ちゃん! こんなスレに書き込んじゃダメ!」
26名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 20:20:19 ID:+aqIlPOP
>>24
姉「もう!トイレットペーパーは20cmまでって何度も言ってるでしょ!」
姉「何度言っても治さないんだしお姉ちゃんが直接手伝ってあげるしかないよね・・・?」
27名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 20:27:07 ID:r/CCfocb
「俺、シブタク。一緒にお茶しない?」
「私、ブラコンですから。お断りします」

これぐらいしか思いつかないぜ
28名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 22:18:11 ID:wC5ZJ7xC
シブタクw

あーそういえば粧裕がキモウトでデスノートを拾って……なんて版権パロネタを考えたこともあったっけ
29名無しさん@ピンキー:2008/03/06(木) 00:29:33 ID:/MqXhXrE
age
30名無しさん@ピンキー:2008/03/06(木) 00:37:49 ID:3gU3sGeV
>>24
お前がマザコンだったらよかったのに・・・そしたらうちの母さんあげてたのに。
31名無しさん@ピンキー:2008/03/06(木) 03:22:05 ID:qZ/NHvN1
リアル姉とはまあまあ仲いいが、ガチで姉さんに恋してる俺はもう人としてダメぽ…orz

このスレで何とか我慢してます…
やめなきゃいけないって分かってるんだけど姉さんで抜いてしまう…


もうおかしくなりそうだよ…
32名無しさん@ピンキー:2008/03/06(木) 03:30:27 ID:X0X0+YSI
姉弟っていっても男と女だしなぁ・・・
33名無しさん@ピンキー:2008/03/06(木) 03:37:37 ID:qZ/NHvN1
単なる性欲対象ではないんだ…
オナニーする時姉以外を想像出来ないってだけで、
姉さんと一緒に出かけたり飯食ったりのんびり過ごしたいって気持ちが強い。

でもそうするとますます気持ちが募るから最近姉のこと避けてるよ…


34名無しさん@ピンキー:2008/03/06(木) 03:54:10 ID:C2ukH2HE
キモウト(キモおとうと)だな
35名無しさん@ピンキー:2008/03/06(木) 04:10:30 ID:4X8BBXB0
キモーターやなw
キモウトモーターズなんやなw
36名無しさん@ピンキー:2008/03/06(木) 04:19:28 ID:qZ/NHvN1
やっぱりキモいよな…

姉さんごめんよ、こんな弟で…(ノ_・。)
37名無しさん@ピンキー:2008/03/06(木) 04:19:37 ID:Ze5NVkZ9
>>33
前スレで埋めがてら語ってみないか?
38名無しさん@ピンキー:2008/03/06(木) 17:20:18 ID:vF4phUQo
>>36
顔次第ですね
39名無しさん@ピンキー:2008/03/06(木) 22:35:22 ID:3gU3sGeV
>>36
お前の体験をどうにか姉→弟に変換できない?
男→女はどうも気持ち悪い><
40名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 00:53:16 ID:340ZjLQE
「ごめんね、たーくん。こんなお姉ちゃんで……」

だったら萌え燃えなのにねえ
41名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 01:23:38 ID:TluRiIlA
こうなったらキモ兄、キモウトスレを立てるしか…!
42名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 01:27:33 ID:1ojNSpv2
……腐の集いか
43名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 01:32:09 ID:340ZjLQE
妹がキモ兄に色々されるとかもあるだろう。ショタ好きな男もあるだろう。
それとも君はショタ好き=腐とか思ってるリトルアヌスマンか?
44名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 01:44:54 ID:VF46B4k/
鬼畜の臭いがするな
確かレイプスレに他の男に盗られるならってんで
悪友と結託して姉さんをレイプする話があった。
45名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 01:51:47 ID:nvV7xyFJ
勘弁してください
46名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 02:26:27 ID:XY9xlA0G
もうこの流れはいい加減にしようぜ
47名無し@ピンキー:2008/03/07(金) 02:38:03 ID:DJoTx4Ju
キモ姉に愛のエプロンで是非とも特製ハンバーグを作っていただきたい俺がいる。
48名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 03:26:45 ID:oZx5IkUG
バケツに出したら殺されそうだな
49名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 10:58:50 ID:ufpPvVYj
―――ここまで投下無し――――

↓以下、投下ラッシュ
50名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 16:16:37 ID:FQnw00h1
このスレは突然投下ラッシュが始まるから困る
51名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 19:30:43 ID:vYfZoaqo
>>43
男→女はキモイんだよ!!スレ変えやがれ!
52名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 20:43:20 ID:ho4qL24n
本当に成人してるのか怪しいレスがあるな
53名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 22:18:46 ID:IkfsAfkq
いいじゃんいいじゃん
ヤンデレ幼なじみにヒットアンドアウェイしながら職人を待とうよ
54名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 22:32:50 ID:IkfsAfkq
ヤンデレスレと勘違いしてた、済まぬ orz
55名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 23:16:39 ID:MF3UUTCz
ヤンデレ成分はあるけどね
56無形 ◆UHh3YBA8aM :2008/03/07(金) 23:22:53 ID:Fybgsp4k
お久しぶりです
2月に投下すると云っておいて投下遅れてしまいました。申し訳ありません
本年も宜しくお願い申し上げます
57永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM :2008/03/07(金) 23:24:55 ID:Fybgsp4k
※※※

心が震える。
そう云う“何か”を留めおきたいと願うのは、至って普通の感情だと思う。
例えば景色を。
例えば世界を。
例えば想いを。
本当に美しいと感じた時。
心に。
写真に。
或は絵画に。
記録し、記憶しておきたいと考えるのは当然の事だと僕は考える。
歴史上の誰かが行幸先の景色を認め、「この風景を切り取って持って帰れ」と、命じたのは有名な話。
歴史も、そこに生きた人人の在りかたを残そうとする行為も、それらの近親なのだろう。
“それ”を志す僕の姉。
彼女は今、広い庭で胴衣を着て、型を取っている。
流れ、止まり。また流れ。
それはさながら舞の様で。
見ていると――それだけで心が震える。
纏う空気も。
凛とした生き方も。
“残したい何か”、“留めおきたい何か”、と云うのは、多分、こういうものなのだろう、と思えた。
「クロ、そんな所に座ってないで、貴方も身体を動かしたらどう?」
縁側にぼんやりと腰掛けている僕に、姉は目を向ける。
「最近怠けているでしょう?身体は常に動かしておかないと駄目よ?」
「しろ姉さんこそあんなに長いこと寝込んでたのに、急に動いたりして平気なの?」
「勿論」
僕の問いに、姉は胸を張る。
「この間までは臥せっていたから、その分の勘を取り戻しておかないと」
云いながら放つ突きは速い。
体重の乗せ方、力の入れ方、総てが理に適っている。
当たったら痛そうで、確かに復調したようには見えるが。
「僕に、しろ姉さんの相手は無理だよ」
「仕合え、とは云ってない。身体を動かしなさい、そう云ってるの」
なんなら、一緒に走りこみでもする?
等と姉は笑いかけ、僕は首を振った。
「運動とは一寸違うけど――外を歩いて来るつもりだよ。それなら良いだろう?」
「クロ、何処かに出掛けるの?」
「うん」
僕は空を見上げる。
ほぼ真上には、自分の部屋。
その隅には。
「この間描いた絵、五代さんとこに持って往こうかなって」
「――」
姉は笑顔。
笑顔のまま、沈黙する。
「・・・しろ姉さん?」
「・・・・」
返事は無い。
もう一度話しかけると、姉は「何?」と傾首した。
「いや、急に黙ったから、どうしたのかって思ってさ」
「何でもない。少し考え事をしていただけ」
云いながら、顔を左右する。
「今日は物置の掃除をする予定なの。だから、すぐに戻ってらっしゃい」
僕は頷く。
もとより長居するつもりはさらさら無い。
「2時間以内に帰って来るのよ?」
「えぇっ」
(いくらなんでも)
それでは殆ど往復する時間しかないのだが。
58永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM :2008/03/07(金) 23:27:11 ID:Fybgsp4k
「何か問題が?」
「いや・・・」
僕は引きつった顔で姉を見る。
彼女は涼やかに笑っていた。
断れるわけは当然無かった。

と、云うわけで、支度を済ませた僕は、絵の包みを片手に玄関に立っている。
立っているのだが――
「しろ姉さん」
「なぁに、クロ?」
「うん・・・その・・・袖を離してくれると助かる」
「ええ、そうね」
玄関に立つもう一人は、先ほどから僕の服をちょんと摘んで離してくれない。
「・・・・」
「・・・・・」
「あの。袖」
「ええ」
「・・・・・」
「・・・・・・」
漸く離す。
すると。
「クロ、気をつけて往って来るのよ?」
姉は僕を抱きしめて離れるが、指だけはまた袖に掛かった。
(しろ姉さん、無意識でやっているのか?)
さっきからこの繰り返しだ。
とは云え、僕も時間を無駄にするつもりは無い。
「じゃあ往って来るね」
「あ・・・」
「ん?」
「絵、重いでしょう?なんだったら、置いていっても良いのよ?」
「いや、それだと出掛ける意味がないから」
「じゃあ、出掛けなければ良いわ。そうしましょう?」
等と云いながら、僕の袖をくいくいと引っ張る。
云ってることや、やってることが支離滅裂だ。どうしたのだろうか?
「そういう訳にもいかないよ。約束は守らなきゃ」
「約束・・・」
それはいつも姉が云っていること。
信義を守れる人間になれと。
「マキャベリズムを実践するなら、約束は場合によっては破棄して良いはずよ」
「うん。そうだね。でもそれが今の状況と何の関係が?」
「・・・・ぅ・・・・」
袖から手が離れた。
僕はもう一度往って来ますと云い、家を出た。
ドアを閉める時に見えた姉の姿は、しょんぼりとして小さかった。

※※※

絵里ちゃんの居住区域――雪見台へは、電車を使って往くことになる。
下下のものと、高貴な方方の住む場所には隔たりがある。
隔たりはいくつもあるが、物理的なものの一つとして、単純に距離がある。
だから移動のために駅前に来たのだが――
「ん〜。困るんですよね〜。私、貴方がたに興味無いですし」
目の前から、柔らかい声がする。
どこかで見たようなニコ目の美人さんと、軽い感じのする髪を染めた男2人がそこにいた。
どうやら、彼らは必死に女性を口説いているようだが、まるで相手にされていない様子。
「ねね、いいじゃん。俺達と遊びに往こうよ?」
「貴方達、高校生ですよね?帰ってお勉強したほうが良いですよ?」
「え〜?お姉さん、年下嫌い?」
「いいえ。寧ろ大好きですよ?」
59永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM :2008/03/07(金) 23:29:30 ID:Fybgsp4k
「じゃあ、オッケーじゃん。遊び往こうよ」
男の一人が馴れ馴れしく手を掴もうとする。
(あ、まずい)
僕は咄嗟に声を出す。
「おい、アンタ等、そのヘンにしとけ」
「あ?」
3人と――周囲にいた人人が僕を見つめた。
「何だ、オメェ?俺ら今忙しいんだよ」
「アンタ等の忙しさなんか知らないよ。怪我したくなかったら、その辺にしとけ」
「あ?」
僕の忠告を挑発と受け取ったらしい。男の一人の顔つきが変わった。
「誰が誰に怪我させるって?」
「怪我するのはアンタ等。させるのは僕じゃあ無い」
「何訳わかんねえ事云ってんだ?ブッ飛ばされてぇのか?」
彼は僕に近づいて睨め上げる。威嚇のつもりなのだろうが、無防備に過ぎる。僕が不意に目を突いたら
どうするつもりなのだろう。
(云っても無駄かな?)
そう思った刹那、男の片割れが仲間の肩を掴んだ。
「やめとけ、周り見てるぞ」
「チッ」
睨んでいたほうの男は、舌打ちして唾を吐くと背を向けて歩き去った。
「やれやれ・・・」
僕は肩を竦める。
と――
「クロくんっ」
柔らかい“何か”が、ぎゅむっと僕に押し付けられる。
「嬉しいです。助けに来てくれたんですね」
「ええ。主に、彼らのほうを」
いくら僕でもナンパしただけで血反吐はいてのた打ち回る男2人を見たくは無い。
「云い遅れましたが、こんにちは。甘粕先輩」
「はい。こんにちは。だけど他人行儀な呼び方は駄目だって、いつも云ってるじゃないですか」
頬を膨らませながら、殊更僕に抱きついてくる。
何と云うか、堂に入った抱きつき方だ。年季のせいだろうか。
「私、とても嬉しいです。クロくんは、お姉ちゃんのピンチには、何時でも駆けつけてくれるんですよ
ね?」
「ピンチだったのは、あの2人組みだと思いますが」
「あのまま身体とか触られてたら、私、怖くて泣いていたかも知れません」
「うん。恐怖で泣くのは、彼らのほうでしょうけどね」
「もう、酷いですよ」
云いながら、すりすりと頬を擦り付けてくる。どうやら機嫌は良さそうだ。
「甘粕先輩、他人に身体触られるの、嫌いでしたよね」
「男の人に触られるのが、ですね。だって私はクロくん専用ですから」
先輩は頬を染めて「えへへ」と笑う。
僕は頬を掻いた。
瞬間、身体が斜めに傾いた。組んだ腕を引っ張られた為だ。
「一寸、甘粕先輩?」
「私のこと助けに来てくれた優しい弟くんには、お姉ちゃんが御馳走しちゃいます。往きましょ?」
くいくいと僕を引き摺って往く。武道をやっているからか、はたまた生来のものか、この人は何気に力
が強い。
「待って下さい。僕、これから用事があるんです。申し訳ないですが、お付き合いできません」
しかもそれは時間制限付きなのだ。
「大事な用なんですか?」
「ええ、まあ」
「私よりもですか?」
じぃっと見上げる。素なのか計算しているのか、ニコ目のせいで胸中を測りかねる。
僕は云う。
「甘粕櫻子と云う個人よりは遥かに小事ですが、何かを御馳走になる時間よりは大事かと」
「むぅぅ〜」
先輩は口を尖らせ、
60永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM :2008/03/07(金) 23:31:44 ID:Fybgsp4k
「私より、画家志望の女の子の方が大事なんですね?」
「え?な、何で往き先判るんですか」
「判りますよぅ」
と荷物を指差す。
「この前のデートの時、お話聞かせてもらったじゃないですか。それ、クロくんの描いた絵でしょう?
なら、答えは一つです」
「明察には恐れ入りますが、それなら話は早いと思います。そういう訳なので、今日のところはお付き
合い出来ません」
「どうしても駄目ですか?」
「どうしても駄目です」
「大好きな櫻子お姉ちゃんが誘ってるのにですか?」
「すみません」
僕は頭を下げる。先輩は「判りました」と身体を離した。
「そう云う事情なら仕方ないですね。潔く諦めます」
先輩のは笑顔だ。
ニコ目だからではなく、普通の笑顔。
「ホントすいません。埋め合わせはしますので」
「はい。期待しています」
矢張り笑顔。
清清しいほどの笑顔。
(拗ねると思ったんだけどな・・・?)
疑問には思ったが、僕にも時間が無い。もう一度頭を下げて背を向ける。
『声』が聞こえたのは、その瞬間だった。

『さ、櫻子お姉ちゃん、大、好き』

「!!!」
ぎょっとして振り返る。
“無理矢理云わされた”かのような引きつった声。
それは紛う事無く――鳴尾クロのものだった。
「せ、先輩、今の・・・っ」
「あれ?クロくん。往かなくて良いんですか?」
携帯を片手に持った先輩は、満面の笑みで僕を見つめている。
『さ、櫻子お姉ちゃん、大、好き』
もう一度聞こえた。
矢張り空耳ではない。
「それ・・・こないだの・・・・」
「ああ、この声ですか?私の癒しです。聞くと幸せになれるんですよ。落ち込んだ時とか特に」
「そうじゃなくて、何で携帯に・・・」
「何でって、録音したからですよ?」
笑顔のまま首を傾げる。
『あの時』
僕がその科白を云わされた時、この人は携帯を弄っていた。
(あれは、録音のためだったのか――)
頭を抱える。
「ホラ、見てください。写真も撮ったじゃないですか。ちゃんと待ち受けにしたんですよ?」
「うぉ」
画面の中には、相思相愛にも見える男女が映っている。勿論、今ここにいる2人だ。
「アツアツですよね?この幸せを姉同士の誼で鳴尾さんにも分けてあげようかなって思ったんですよ。
写真と音声の同時送信です」
「同時送信です、じゃないですよ!こんなのがしろ姉さんにしれたら、僕はただじゃ済みません」
「大丈夫ですよ。私達姉弟の仲の良さを知って貰うだけなんですから。寧ろ祝福してくれると思います
よ?」
そんな事あるわけが無い。
判り切っているくせに。
僕はもう一度「勘弁して下さい」と声を出した。泣き声に近かったかもしれない。
「まあまあ、私のことは良いじゃないですか。それよりホラ、急いでるんですよね?どうぞ気にせずに
往って下さい。お姉ちゃんよりも、他の娘の所へ」
61永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM :2008/03/07(金) 23:34:00 ID:Fybgsp4k
ニコニコ。
にこにこ。
悪魔が笑っている。
「せ、先輩」
「何ですか?」
「よ、宜しかったら、お付き合いさせてください」

※※※

「器用であるとか、小才がきくとか、頭の回転が速いとか、そんなのは“優秀”に属する能力であって
“天才性”とは無縁だと思うんです」
『Silurian Period』
それが先輩と遣って来た喫茶店の名前。
この間の画材店、『Ikonographie』の傍に在る、全面水槽張りの不思議なお店だ。
その卓で僕の対面に座る甘粕櫻子は、五代絵里に渡す予定の絵を見てそう呟いた。
「どういう事ですか?」
僕は尋ねる。
「言葉通りです」
ティーカップを撫でながら彼女は云った。
「天才であることと、優秀であることは違います。世間では天才と優秀をイコールで考える方が多いよ
うです。人より勉強が出来れば“天才だ”、人より運動が出来れば“天才だ”と褒めますが、これは事
実ではないと私は思っています。勿論、優秀な天才も存在しますが、優秀でない天才も存在します。他
方、天才を凌駕する“偉大な凡人”もいるでしょう。・・・まあ、天才は一個の属性であって、凌駕、
勝ち負けなんて基準はおかしいのですが」
「納得出来なくは無いですが・・・。それが何か?」
もう一度問う。
甘粕櫻子の真意が読めない。
先輩は答えず、柔らかい動作で紅茶を口に運んだ。
「例えば――鳴尾しろ」
「姉さん?」
「彼女はまず間違いなく“優秀”に属する人間です。文武両道、書画の道にも通じていますし、性格は
兎も角、能力的には器用です。でも――“あれ”は天才ではありません。人より一寸秀でているだけで
す」
「・・・・・」
「事、思考や表現に限れば、天才とは“発想”出来る者のことであると私は考えます。凡人は――例え
才人・才子であったとしても、“連想”までしか出来ません。“無いもの”を見、“無いもの”を表現
し、無から有を創り出す。それは、天才だけが持ち得る能力です」
「成る程。それはそうかもしれませんけど、一体全体どういう話ですか?」
僕が首を傾げると、先輩は“笑顔で笑って”席を立ち、僕の隣に遣って来て、ぎゅうっと抱きしめた。
「成績は良好。但しそれは頭の良さから出なく、生真面目に予習・復習をしているから。運動もそれな
り。取り立てて得意なことも無い。完全な凡人。けれど、ある“表現”においては、際立った個性を有
する人がいる。そう云ってるんです」
「は?」
「ふふふ」
甘粕櫻子の機嫌は良い。
感触は柔らかで、身体を鍛えている割には、そのへんの女の子よりも遥かに上質である。
「ふぅ〜」
「あの、耳に息吹きかけるの止めて下さい」
「え〜。じゃあ、じゃぁ、クロくんがお姉ちゃんに吹きかけてください」
「いや、勘弁して下さいよ」
「勘弁しませんよ〜。クロくんのこと、可愛がるのもいぢめるのも大好きですから」
だからもっと、イチャイチャしましょう?
大きく柔らかな双丘に埋められ、ぐりぐりと頭を撫でられる。
気持ち良いが、居心地が悪い。
「甘粕先輩、毎回毎度、何て云うか・・・全力ですね」
僕は諦め混じりに呟いた。
この人は、こういうことには真っ直ぐだ。
「一期一会の精神ですから」
彼女の声はいつにも増して柔らかい。
62永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM :2008/03/07(金) 23:36:54 ID:Fybgsp4k
甘粕櫻子はその声のまま、僕の頭を撫で続ける。
「出会いがあれば、別れもあります。誰よりも大切な人だって、いずれは失うことになりますからね。
永遠なんて何処にも無い。永遠が無い状態だけが永遠に続くんですよ。だから私は、今を大事にしたい
んです」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

目の前にある世界。
それは、この世には無いものだ。
此処ではない何処か。
幻想の――それも、卓抜した幻視の結晶。
それが、四角い窓の向こうに広がっている。
此処には無い。
つまり、私が持ち得ない世界。
思い描けず、想い視る事も出来ない世界。
多くの表現者が目指し、けれど到達し得ない未踏の地。
それが、四角の中に納まっている。
ありもしない世界。
あり得ない法則。
幻だから存在出来る永遠と不滅。
それは、世界との断裂。
私との、埋まらぬ距離。
この絵に。
唯、それだけを思い知らされた。
薄くて、でも無限の景色のあちら側にいる人間は、私の評価を気にしているのだろう、どことなく落ち
着き無い様子でソファに座っている。
「お父さんは凄いです」
「え?」
唐突な私の言葉に、彼――鳴尾くろは首を傾げた。
それはそうだろう、あの人はここにいないし、この絵とも丸で関係ないのだから。
私は「何でもありません」と首を振る。
私の父は、画家になれなかった。
それだけの実力が無かった。
云い換えれば、こうやって、力の差を――否、表現力の有無を見せられ続けてきたという事。
その度に打ちのめされたはずなのだ。
けれど、父は今でも絵が好きでいられる。
それはとても凄いことだと思う。
目の前の絵。
以前見たそれとは、比較にならぬほどの出来栄え。
見るものを圧倒し、吸い込むような広大な世界観。
呆けて、感動して、その先に来たのは、自分の無力。
この人の歳になった時、自分はこの場所まで辿り着けるのだろうか?
その場所はあまりにも遠く、霞んで見えない。
果ての無い差を知って、泣きそうになった。
「・・・・・」
不思議そうに私を見ている男の人。
お姉さんによく似て、背が高くて、目つきも鋭いのに。
違和感を感じるくらい、穏やかな喋り方をする人。
そう――穏やか。
それが私の『視る』、あるがままの鳴尾くろ。
安息を司る、暗闇のような人。
人となりだけならば、彼の肉親に何度も聞いていた。
彼の姉に。
鳴尾しろという人物は、諸事に冷徹。私情を挟まない人だ。
故に、評価も適正、極めて信頼の出来る人物評を下す人。
その鳴尾しろが、弟の話になると蕩けたように身を捩らせる。
凛とした薄い微笑しか他人に見せないあの人が、子供のように、或は少女のように爛漫に笑うのだ。
だから私は、鳴尾くろに興味を持った。
この人にこんな顔をさせるのは、どんな人物だろうと。
63永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM :2008/03/07(金) 23:39:00 ID:Fybgsp4k
初見は、少し怖そうに見えた。
話してみて、穏やかだと気付いた。
そして絵を見て――もう一度、強い興味が湧いたのだ。
だからといって。
「くろさんって、お付き合いしている女の人がいらっしゃるんですか?」
こんな失礼なことを聞くなんて、自分でも思わなかったけれど。
「えぇ?」
彼は目を丸くする。
それは当然だろう。脈絡が無い。
父の事といい、今日の私は突飛にすぎる。
「あ、すみません。何か、急に変なこと云って・・・」
「いや、別に頭まで下げなくても良いよ。・・・でも、何でそんな事気にするの?」
「はい。あの・・・」
私は鼻孔に意識を集中する。
多分、間違いではない。
「くろさんから、女の匂いがします」
「え?」
「しろさんのそれとは全然違う、柔らかい香がしています。これだけしっかりと染み付いているって事
は、余程に密着していたって事ですよね?相当親しくなければ、そんな事しないかなって」
「あ〜・・・・」
何か思い当たることがあるのだろう。
くろさんは困ったように頭を掻いた。
「くっついていたと云うか、囚われていたと云うか・・・。まあ、その、恋人ではないよ。そもそも、
僕にはそういうの、いないしね」
「好きな人、いないんですか」
何故かホッとした。
「いや、恋人がいないって事」
それって、つまり。
「好きな人はいるって事ですか?」
「うん。いるよ」
困ったように笑っているけれど、声に澱みは無く、迷いも無い。
「まあ、詮無い話だけどね。しろ姉さんが認めてくれるとも思えないし」
確かに鳴尾しろという人物は、そういうのに厳しそうだ。
(それとも)
或は、厳しさ以前の問題の相手なのだろうか。
それ以上踏み込むことは私には出来ない。
誰を想っているのだろう。
目の前の男の人は、とても穏やかに笑っている。
その姿を見て、私の胸が、幽かに疼いた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

漸く家に帰り着く。
云い渡された2時間は、とうに過ぎている。
遅参の連絡も何度か携帯で入れたけれど、返事は無い。
姉は出掛ける時は携帯を持ち歩く人なので、家に居て、かつ携帯の傍にはいないのだと了解した。
つまり、予告どおり物置の掃除をしているのだろう。
一体、家事というものは得手不得手の他に、好みがある。
例えば姉は料理も裁縫も出来るけれど、特に好むのは清掃だ。
潔癖症――なんて揶揄されることがあるくらい、整頓掃除に余念が無い。
そんな彼女だから、暇があれば家の掃除をしている。
多分、今も。
僕は荷物を自室に置き、汚れても良い服に着替えると、姉の部屋には往かず物置に直行した。
果たして、そこには開かれた扉と、ゴホゴホと咽る声。
「しろ姉さん?」
声をかけると、すぐに返事がある。
「クロ、帰ってきたのね?」
咳き込みながら現れたのは、白い頭巾に割烹着を着た肉親だ。
64永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM :2008/03/07(金) 23:41:06 ID:Fybgsp4k
姉は所謂「カッコイイ」系の服が似合う人なので、こういう姿は奇妙に映る。いや、愛嬌があって可
愛いとも云えるが。
「ただいま、しろ姉さん。随分咽てるね」
「埃を吸い込んでしまったからね。ここも適度に掃除しないと駄目ね。それより――」
ジロリと姉は僕を見る。
「今一体何時だと思っているの?約束の2時間は過ぎているでしょう?」
柳眉を逆立てて僕に寄る。
誤魔化しても仕方ないので、素直に謝ることにする。
それは、事情を説明することと同義だ。
「甘粕!?」
説明も半ば――否、始めたばかりで、姉は声を荒げる。
あの先輩の名前。
矢張りそれはこの人には鬼門のようだ。
僕の両肩はしっかりと掴まれ、身体をガクガクと揺さぶられている。
「あの女に誑かされて遅れたのね?邪悪な人間とは付き合っちゃいけないっていつも云っているでしょ
う?」
(邪悪・・・)
「いや、事情が事情で」
「ナンパなんて放って置けば良いの!あの女をどうこう出来る人間なんて、そうそういないんだから」
「甘粕先輩がどうこうしそうだから、止めたんだけど」
「兎に角!甘粕には近づいちゃ駄目よ?クロだって、あの女の噂は聞いているでしょう?」
「毀誉褒貶半ばだよね」
「良い噂なんて擬態に決まってる」
姉は頬を膨らませる。
甘粕櫻子に纏わる噂は、両極端である。
優しい、親切、天使のよう、温かい人。
そう呼ばれる一方で。
鬼、悪の手先、邪悪の化身、地獄からの使者etc・・・。
まったく異なる評価が下される。
尤も、本人は悪い噂など何処吹く風。
「きいておそろし みていやらしい そうてうれしや あまかすさくらこ」
等とあの柔らかい声で謳っているほどだ。
「僕の身体が2つあれば、早く帰ってこられたんだけど」
「何を莫迦な事を云っているの?」
姉はジロリとこちらを睨む。
身体が2つなんて事は有り得無いのだから、1つの身でどう時間を使うかが重要――
そう教誨されるのかと思ったのだが。
「幾つあっても同じでしょう」
「え?」
「2つあれば2つ。3つあれば3つ。10あれば10。100あれば100。身体の数に関係無く、ク
ロは私の傍にいなければいけないの。数の問題ではないでしょう?」
「・・・・」
そうなんだ、知らなかった。
「クロ、取り敢えずそこに座りなさい。甘粕に誑かされた貴方にお説教します」
・・・・遅れたことじゃなくてそちらが主なのか。
結局、30分程お説教をされて、漸く物置の掃除に入る。
入り口付近の荷物は姉が既に片付けていたので、作業はその奥からになった。
「この辺は古い本とかが主だね」
随分と埃を被ったハードカバーの本の山。
僕が適当に退かそうとする傍で、姉は1冊1冊中身を確認している。
彼女は『片付けの最中に漫画を読み始める』タイプではない。
だから当然、何事かの目的があって掃除と検索を両立させているのだろうが。
「しろ姉さん、何か探してるの?」
「アルバム」
返答は簡潔に。
「アルバム?それってしろ姉さんの部屋に無かったっけ?」
「幾冊かはね。でも、1冊足りない。だからそれもついでに探しているの。そちらは自分で見つけるつ
もりだから、クロは掃除に集中して良いわ」
姉らしい截然とした態度だ。
65永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM :2008/03/07(金) 23:44:06 ID:Fybgsp4k
手伝う、と云った所で、
「片付けに集中しなさい」
と怒られるのは目に見えている。だから僕は冊子の開鑿に力を注いだ。
こう云う場合、姉は無駄口を叩きながら作業はしない。僕もそれに倣う。
幾分かそうしていたが、それでも先に口を開いたのは僕のほうだ。
「あ」
と、間の抜けた声を薄暗い倉庫内に響かせた。
「しろ姉さん、アルバムって、あれじゃない?」
書籍の山脈の中に見覚えのある背表紙を発見する。想起すると成る程、あんな感じの写真入れが昔あっ
たような気がする。
姉が振り向き、僕はアルバムらしき本に手を伸ばす。
勢いが強かったからか、場所が悪いせいか、狭矮な空間に埃が舞った。
「うわ。ごほっ、ごほっ」
「う、けほ、けほ」
2人とも咽る羽目になった。
「この辺は特に埃が凄いな、しろ姉さん大丈夫?」
「ごほっ、ごほっ」
姉は頷きながらも咽続けている。
少し遠い分、僕よりは埃を吸い込んでないはずなのだが、そうでもないのだろうか。
「ごほっ、げほっ、こほっ」
「しろ姉さん、咽方凄いよ、ほんとに平気?」
「ええ、けほ、大丈夫。それにしてもこんな場所に本を置くなんて。痛んでしまうじゃない」
「多分捨てる予定だったんじゃないかな。母さん、面倒臭いとすぐその辺に放り込むし」
母はややズボラな一般人なので、こういったことをやらかす場合が多い。纏めて放り込み、忘れ果てた
のであろう。
「アルバムは捨てるべきものでは無いでしょう?ろくろく確認もせずに仕舞ったのね。後で怒っておか
ないと」
不機嫌そうに云いながら、埃化粧をされた本を開いて往く。
「うん。間違いないわ、これね」
やや痛み、やや色あせた写真がそこにある。
小学校時代の数年分を写したものらしかった。
「うわ、懐かしい」
なんとなく見覚えのある過去達に僕は顔を綻ばせる。
そこには小さいしろ姉さんがいて、この頃から美人さんだったと再確認させられる。別の写真には甘粕
先輩。彼女はこの頃から発育が良く、妙な色気がある。
「クロ」
姉はアルバムを閉じる。
「掃除に集中しなさい。見たかったら、後で私の部屋に来れば良い」
探していたと云っても、やはりメインは掃除である。姉はアルバムを除けると、さっさと作業を再開し
た。
僕は「ごめん」と返事をし、整頓に取り掛かる。
アルバムの中には――
手を動かしながら、思い起こす。
(見なければ思い出さないクラスメイト達がいた)
一期一会。
甘粕櫻子は先程僕にそう云った。
その通り、彼らの大部分とは、もう逢うことも無いのだろう。
それでも、深く思い入れがある訳では無いのだから、「そういうものか」で済んでしまう。
けれど、と僕は考える。
僕の親しい人人とも、別れはいずれ遣って来る。
僕はそれに耐えられるのだろうか。
逆に、僕がなくなるとしたら、その人たちは、悲しんでくれるだろうか。
どちらにせよ、“その時”は必ず訪れる。
僕は姉を見る。
姉は咽ながら、黙黙と作業を続けていた。
66無形 ◆UHh3YBA8aM :2008/03/07(金) 23:50:48 ID:Fybgsp4k
投下終了です
3月は少し忙しいので次回投下は未定になります、申し訳ありません。

4月7日はこのキモ姉妹スレの誕生日なんですよね。
何か投下したいな〜、と思っているのですが、キツそうです。
お祝いくらいはしたいですが。
では、また
67名無しさん@ピンキー:2008/03/07(金) 23:53:20 ID:xJiA+sKG
GJ! お疲れ様でした!
68名無しさん@ピンキー:2008/03/08(土) 00:00:43 ID:1P84saq6
>>66GJです!!さてさて、くろの好きな人が誰なのか…続きを全裸でお待ちしております!
69名無しさん@ピンキー:2008/03/08(土) 00:33:10 ID:nmELSve2
GJです!
甘粕先輩が何者なのか非常にきになりますw

お疲れさまでした
次回の投下を楽しみに待たせていただきます
70名無しさん@ピンキー:2008/03/08(土) 01:10:35 ID:cbhXC/Vv
Gj!!袖を離そうとしないしろ姉さんがツボでしたwww
次回も期待してます!
71名無しさん@ピンキー:2008/03/08(土) 01:12:56 ID:IoIAfEAY
とてもとてもいいお話。
極自然な欲求として、くろの絵が見たい。と思う私がいる。

病んでるのかなぁ…。
どうあっても見れる訳がないのに。
でも見たい。見てみたい。
72名無しさん@ピンキー:2008/03/08(土) 02:17:15 ID:KNLTQbAV
兄が妹を無視する→妹が兄にしつこく甘える→兄が妹に怒る→妹興奮……こんな感じが俺は好き♪
73名無しさん@ピンキー:2008/03/08(土) 04:32:31 ID:ZgdPLZXs
しろ姉も甘粕先輩も必死なだwww

この二人のきもさがよすぎる。
74名無しさん@ピンキー:2008/03/08(土) 09:00:24 ID:5+qgFYoo
しろ姉さんと甘粕先輩の牽制がスゴス
75名無しさん@ピンキー:2008/03/08(土) 10:43:33 ID:Luef2FCK
これはきれいなキモ姉
76名無しさん@ピンキー:2008/03/08(土) 11:27:16 ID:YaKG2TDu
ついに永遠のしろが!!
しろ、なんて素晴らしいキモ姉なんだ
77名無しさん@ピンキー:2008/03/08(土) 23:55:50 ID:XfUloEip
しろ姉さんの咳が気になるのは俺だけだろうか……
78名無しさん@ピンキー:2008/03/09(日) 02:08:01 ID:l8Fl05Yt
>>77
!!!!!
79名無しさん@ピンキー:2008/03/09(日) 04:13:41 ID:Ipuhc3mZ
無形氏来てたー!
乙です!
80名無しさん@ピンキー:2008/03/09(日) 06:36:41 ID:7BnKq3/4
>>77
待て・・・・嫌だぜ俺は、そういう展開は・・・・
81 ◆a.WIk69zxM :2008/03/09(日) 14:32:40 ID:ZdQ1twML
 
投下します。
非エロ。11レス予定。
 
82__(仮) (1/11):2008/03/09(日) 14:33:27 ID:ZdQ1twML
 
 
 
 鈴虫の鳴き声が小さく木霊する深夜。満月に程近い月明かりが柔らかく差し込む自室で、
葉槻透夏は電燈もつけずにベッドに腰掛けていた。
 傍らには壁にかけられたコルクボード。秋巳と一緒の写真、カモフラージュのための椿や両親と一緒の写真に混じって、
新たに一枚打ち付けられたそれを、彼女は負の感情を詰め込んだ冷たい瞳で見つめる。
 柊神奈のスナップ。目線はこちらを向いたものではない。明らかに本人に気づかれずに撮影したもの。撮影者は葉槻透夏。
 先日の柊神奈との邂逅にて、葉槻透夏は確信した。
 この女は自分と同種の感情を、あの秋巳に抱いている。
 もちろん葉槻透夏は、自分の情念に比べれば、あの女の抱くそれなど取るに足らない矮小なものだと思い込んでいた。
 それでも目障りなことには違いない。自分と秋巳の『幸せ』を阻害する可能性のあるものは、僅かでも排除する。
 それが昔日から不変の、葉槻透夏の意志だった。

 かつてより、秋巳に言い寄ろうとした女子が、全くいなかったわけではない。
 秋巳の境遇に興味本位で好奇心を持ち、彼にちょっかいをかけようとした酔狂な人間は過去に何人かいた。
 それでもそういう女子たちは、基本的に秋巳自身を見ているわけではなく、物珍しさや自己満足からそういう行動を
起こしていたため、葉槻透夏は大した労無く退けることが出来ていた。
 彼女がちょっと仕掛ければ、我が身可愛さからそういう人間たちはあっさり身を引いた。

 それも当たり前だ。
 葉槻透夏は思う。
 自分と秋巳との深い絆の中に入り込む余地など無いのだから。だから、ちょっと現実を見せてやれば、慌てて引き下がっていく。
 そもそも、秋巳自身が撥ね付けるのだ。赤の他人との関わりを。
 ――自分以外の人間との関係を。
 葉槻透夏は、なんの迷いなどなく、そう信じている。
 それは、決して間違ってはいなかった。確かに秋巳は必要以上に他人と関わろうとしなかったし、
恋愛感情にも満たないものを抱いて彼に近づいたとしても、あっさりかわされる。
 哀れみや同情を付随して秋巳をある意味『下』に見ているそういう人間たちは、秋巳の反応に自分たちの思うような満足が得られないため、
すぐに興味をなくす。
 そこに葉槻透夏が駄目押しをするだけだ。

 写真を睨みつけながら思考する葉槻透夏。
 椿から得た情報だと、柊神奈は、学校ではいわゆる『男子の人気者』らしい。男どもにちやほやされて、いい気になって、
秋巳にも手を差し伸べてあげる優しい『私』、に浸っているのだろうか。
 ――いや違う。いままでとは性質が違う。
 頭を振る。
 秋巳に深い愛情を抱く人間として、明確な根拠を伴った理論的なものではないが、柊神奈と会ったときの態度を見て
葉槻透夏は直感で理解していた。
 あの女が、秋巳に抱いているのは、おそらく恋心。普通の女の娘があたりまえに抱く感情。
 秋巳との関係に上も下もなく、純粋に彼自身を見ているのだろう。自分と同じように。
 非常に厄介だった。
 なにより、葉槻透夏の足元を揺るがすかのごとく頗る動揺させたのは、秋巳の柊神奈に対する接し方であった。
 普段の赤の他人に対するそれとは若干異なる接し方。どちらかと言えば、自分や椿に対するそれに近いもの。
 柊神奈と知り合ってから後日、秋巳からそれとなく聞き出した柊神奈の情報。
 それを彼が話す雰囲気で伝わった。秋巳自身にとって恋慕といえるまでの情意を向けている相手ではないが、
少なくとも好悪の区別でいえば、好意を抱いていることを。
 それは、誰よりも秋巳を見つめてきて、誰よりも秋巳だけを想ってきて、どんな人間よりも秋巳を愛していると自負する
彼女だからこそ、感じ取れたこと。
 柊神奈自身が、に加えて、秋巳の態度もいままでとは異なる。そうまざまざと実感させられた。
 
83__(仮) (2/11):2008/03/09(日) 14:35:44 ID:ZdQ1twML
 
(なんで――?)
 葉槻透夏は懊悩する。
 秋巳は、妹の椿を『妹』として大事にして、それで自分も含めて三人だけいればいいじゃない。
 椿がいずれ誰かと結婚すれば、そのときは自分とふたりで。
 ふたりだけで幸福な人生を送れるじゃない。
 他の人なんていらないでしょう。
 幸い、秋巳が柊神奈に向けているのは、恋愛感情ではない。高々友達としての好意だろう。
 だが、葉槻透夏にとっては脅威である。
 自分が秋巳に捨てられるなど想像だにしないが、一時の気の迷いということもある。
 例え一時であっても、秋巳の情が自分以外の誰かに向けられるなど、葉槻透夏は我慢できなかった。
 だから、なんとしてもいまのうちにあの女を自分と秋巳の人生の舞台から退場させる必要がある。
 彼女はそう考えていた。

 そして、そのためにはどうしたらよいかの策を練っていた。

 一番手っ取り早いのは、あの柊神奈とかいう女が、別の誰かに恋愛感情を持つことだ。
 どうせ柊神奈自身も、一時の気の迷いみたいなものであろう。だったらさっさと別の人間に、それを向ければよい。
 その相手は。
(……ええっと、そう最初に会ったあそこで一緒にいた男)
 名をなんと言っていたか。
 葉槻透夏は思い出す。
 そう。水無都、とか言っていた。そこでふと思い当たる。
(ああ。水無都って、秋くんの前からの友達だったっけ……)
 あの男だ。
 その態度から、柊神奈に好意があるような素振りを見せていた。
 あの男を間接的に嗾けて――なんならレイプまがいのことでもいい――あの柊神奈とかいう女を秋巳のまえから
消し去ってもらえないだろうか。
 だが、葉槻透夏は、水無都冬真がどんな人間か全然知らない。
 うまいことそんな方向に持っていけるとは、思えなかった。少なくとも容易いことではない。
(まあ、一案として持っておけばいいかな……)
 葉槻透夏は、まず思いついた案をそう結論付ける。

 そしてまた、次の思索の海へと潜る。
 まずは、あの柊神奈という人間を調べるべきだろう。
 あの女の抱く情がどれほどのものなのか。自分がプレッシャーをかけて、引っ込んでくれるならそれに越したことはない。
 いちいち第三者を絡ませれば、それだけ思い通りにいく確率は下がっていく。
 葉槻透夏は決して単純思考の持ち主ではなかった。むしろ、かなり頭の切れる人間といって差し支えなかった。
 それでも。
 それでも、考えておかなければならない。
 最悪の場合の、最終手段を――。
 葉槻透夏は、いままでとは違った意味で、眠れない夜を過ごした。
 
 
 
84__(仮) (3/11):2008/03/09(日) 14:39:32 ID:ZdQ1twML
 
 
 明けて翌日。葉槻透夏は、昨夜決めたとおり、まず柊神奈に関する情報を集めるために動くことにした。
 ただ、最悪の場合、万が一にも自分が疑われる可能性をなくすために、秋巳や椿に訊ねるという形で直接それらを得ることは
これ以上控えることにした。
 大学は長期の休みに入っているため、時間はある。大学関係の人間のわずらわしい誘いもなにかと理由をつけて断っているので、
自由に動くことは可能である。
 基本は、自らがひとりで行動する必要がある。
 彼女はそう考えていた。
 変に柊神奈の周囲を嗅ぎまわっていることを誰かに知られれば、それが全く関係ない第三者であっても、
そこから糸がほつれる可能性がある。
 だから、他人に知られる場合や、他人を利用する場合であっても、本来の目的とは違う意味を持たせなければならない。
 かつ、本来の目的に合致する行動であることも要する。

 表向きの意味を与えるのは、娯楽。必要なのは時間と機会。両方に役立つのが、金銭。

 葉槻透夏は、夏休みに旅行する計画を立てることとした。
 それは最終手段の行動のため。それを行う時間を得るため。勿論、表向きは誰でも考える行楽のためという理由。
 最後の手を打つ段階になって、いきなり時間を取ろうとすれば、あとあと周囲に余計な疑念を抱かせる怖れがある。
だが、もともと計画していた旅行を実行するだけであれば、なんの問題もない。
 もし、柊神奈が簡単に引いてくれるようならば、単に旅行は中止したことにすればよい。
 さらに旅行するにはお金がいる。だから、バイトをする。それはごく自然の理に適った一般的な行動。
そのアルバイトを、機会を得るためと、本当に必要な意味でのお金を稼ぐことに利用する。
それにより、柊神奈と個人的に接する機会を作り、彼女のことを詮索する。
 であれば、なんの仕事をするべきか。
 それを決めるためには、柊神奈の行動半径、生活様式を知る必要がある。さらに、『結果』に対する合理的な理由を与えるためにも、
その情報は必須である。

 そう考えて、葉槻透夏は行動を開始した。
 まずは、周囲に旅行することと、そのためにアルバイトをしてお金を稼ぐことの宣言。それと平行して、柊神奈の情報収集。
それは、ひとりで彼女の後をつけ、監視することもあったし、柊神奈と一緒にいるときの秋巳たちと合流し、
なにげない会話の中から探ることもあった。そんななか葉槻透夏が特に注目したのは、柊神奈の休みの日の行動。
 もうすぐ、秋巳たちの高校も夏休みに入る。そのとき、柊神奈がひとりで行動する先に、『たまたま』自分がいる必要がある。
だから、その行き先を自分が事前に知っていることになってはいけない。たまたまバイト先に選んだところに、柊神奈がお客として来る、
それが理想であった。
 そうして、彼女の行動は、まるで自らを犠牲に善行を積み重ねた人間が最後に報われるかのように、その努力に見合った実を結んだ。
 
 
 
「いらっしゃい、って、あれ? 柊さん?」
 そこは西洋風のアンティークをモチーフにした小洒落た喫茶店。女の娘なら多くは気に入りそうな小奇麗な店で、
お客として来た柊神奈を、従業員としての葉槻透夏が迎えた。
「え? あ、あれ? 葉槻さん……?」
 柊神奈は、まさかこんなところで葉槻透夏に出会うとは思ってもみなかったのであろう、驚いた表情を顔に浮かべて、
店のドアを押し開けたまま立ち尽くしていた。
「うん。奇遇だね。実はあたし、このお店で働くことにしたんだよ。いらっしゃい、柊さん」
 まるで「似合う?」とでも言いたげに、店の制服のスカートの端をちょっと持ち上げて、お辞儀をする葉槻透夏。
 お洒落なカフェでバイトすることを、秋巳含め柊神奈たちに伝えていたので、そう応える。
「え、ええ。びっくりしました。まさか、ここでお店の人として葉槻さんにお会いするとは
 想像もしてなかったので」
「うん。あたしもビックリ。柊さんは、よくここへ来るの?」
 葉槻透夏は、すでに判明していることを敢えて訊ねる。
「ええ。休みの日は、ちょくちょく」
「へぇ。いいところだよね。ここ。あたしも、この雰囲気が気に入って、ここで働くことにしたんだ」
「そうなんですか。私も、ここ、気に入ってるんですよ」
 そうにっこりと笑みを浮かべる柊神奈。
 
85__(仮) (4/11):2008/03/09(日) 14:42:53 ID:ZdQ1twML
 
 その柊神奈の表情を見つめながら、葉槻透夏は彼女の言葉に対して思う。
 それもそうであろう。でなければ、休みの日にあれほど頻繁にここへ来たりはしないだろう。
なんておあつらえむきの状況があったものだ。
 秋巳たちの学校が期末考査終了後の試験休みに入ってからの四日間のうち二日、その店に通いひとりで本を読んだり
勉強をしている柊神奈の姿が見受けられた。
 だから、葉槻透夏は、監視を始めてから一週間としないうちに、その店でのアルバイトに応募することを決めた。
 葉槻透夏としては、もう少し時間がかかると踏んでいただけに、これだけ早期に柊神奈に個人的に接触する機会を
得られたのは僥倖であった。
 幸い、店のほうでは、緊急ではないが常時アルバイト従業員を募集している状況であったし、
葉槻透夏の容姿も相まって、そのカフェの店長はあっさり彼女の採用を決めた。

「あ。そうだ! 忘れてた。いらっしゃいませ。お客様、何名様でしょうか?
 おタバコはお吸いになられます?」
「ふふ。見てのとおり、ひとりです。禁煙席で」
 葉槻透夏のマニュアル通りの対応が可笑しかったのか、鈴の音が転がるような笑い声を洩らす柊神奈。
 葉槻透夏がどういう意味を込めて言ったのか推し量ることなど当然しない。
「はい! おひとり様、禁煙席にごあんなーい!」
 葉槻透夏は元気良く受け答えする。
 一生おひとりでね。
 
 
 案内された席で、柊神奈が一時間ほどひとり本を読んでいると、テーブルを挟んだ目の前の席に人が座る。
 その気配に気づいて、彼女が面をあげると、私服に着替えた葉槻透夏がにこやかな微笑を湛えていた。
「お邪魔だったかな? あたし、今日はもう、これで上がりなんだよね。
 だから、柊さんとお茶でも一杯飲んでいこうかなって」
「いいえ。邪魔だなんてとんでもないです」
 本に栞を挟みながら、柊神奈はふるふると首をふる。
「ほんと? やった、ナンパ成功だね! お嬢さん、ついでに、
 このあとホテルにでもどう?」
「あはは。遠慮しておきます」
「うーん。やっぱり性急過ぎたかな。こういうのはじっくり攻めないとね」
 まあ、あまりゆっくりもしていられないけど。葉槻透夏は、内心思う。
 そこへ、葉槻透夏の同僚のウェイトレスが、紅茶をふたり分もってきて給仕し、空になった柊神奈のカップを引き上げる。
「あ、あの。私は、注文してないですけど」
 そう言って、去っていくウェイトレスを呼び止める柊神奈を、葉槻透夏が押しとどめる。
「あー。いいのいいの。あたしのサービス。この店に良く来てくれるんだったら、
 柊さんはお得意様だしね。ま、ここは年上のおねーさんに花を持たせてよ」
「あ、ありがとうございます。では、お言葉に甘えて」
 奢られた者の義理を果たさんとばかりに、目の前に置かれた紅茶に口をつける柊神奈。
「うんうん。そういう素直なとこは、おねーさん好きよ」
 だから、その調子で、秋くんからは手を引いてね。
 頷きながら、葉槻透夏は、柊神奈に質問をする。
 知り合ったばかりで、あまり共通の話題がないことによる、当り障りのない会話を装って。
「柊さんは、よくここにひとりで来るの?」
「ええ。こういう静かなところが好きなんで」
「そうなんだ。でもね、働いてて気づいたんだけど、ここ、確かに騒がしくないけど、
 こういうお洒落なとこって、結構カップルで来るんだよね。
 寄り添ってひそひそいちゃいちゃ、いい加減にせい! って感じ」
「あはは。私も、良く見かけます。でも、ウェイトレスさんが、
 そんなこと言っていいんですか?」
「いまはお客だもーん。アイアムゴッドなのです。ところで、柊さんには、
 そういう人はいないの?」
 
86__(仮) (5/11):2008/03/09(日) 14:45:34 ID:ZdQ1twML
 
「え?」
 訊き返す柊神奈。
「寄り添ってひそひそいちゃいちゃする人」
「い、いませんよ! そんな!」
「そう? 意外だね。ひょっとして、彼氏は作らない主義?」
「そんなこと……ないですけど」
 柊神奈は少し躊躇って応える。
 彼氏になって欲しい人はいるのだ。その人と仲良くなってきている実感も得られている。しかし、彼氏彼女の関係には
まだまだ遠いように思える。
「柊さんみたいな可愛い娘だったら、望めばすぐできそうだもんね」
「そんなこと、ないですよ」
 その言葉どおり、そんなことない現実と照らし合わせたのだろうか、柊神奈は僅かに苦笑した表情を浮かべる。
「この前、一緒にいた男の子は? 彼氏じゃないの? 水無都くん」
「ち、違いますよ! 彼は、誰にでもあんな感じで接するんですよ」
「そう? その割には、もうひとりいた女の娘に対する態度とは違ってたけど」
「弥生は……。まあ、あんな感じの娘ですから。むしろ、水無都くんは、私なんかより、
 弥生の方を気に入っているんじゃないかな」
 その感情は恋ではないかもしれないけど。弥生と接しているときの水無都冬真は、楽しそうだ。
 そう柊神奈は感じていた。
「あらら。でも、あの年頃の男の子だと、好きな娘のまえでは、怖くて真面目になれなくて、
 軽口に逃げてるだけかもよ? もし、その彼が、キミのこと好きだったら、
 そんなこと言われたらショックじゃないかな?」
「え! それは……。でも、私も、水無都くんのことは良く知っているわけじゃないですけど、
 水無都くんって本当に好きな相手には、あんな態度とらないんじゃないかなって思いますよ」
 柊神奈は思う。
 そうだ。表面上だけなら、自分に好意を持っててもおかしくないと言える態度ではある。
 それでも。
 柊神奈が水無都冬真に友達以上の好意は向けていない事情を差し引いても、
彼は柊神奈に恋愛感情を抱いていないだろうと思える。
 秋巳が自分に恋心を抱いていないのが判るのと同じく。
「ふーん。まあ、彼の気持ちは別として、柊さんはどうなの? 彼のこと良く思ってないの?
 あたしも数回しか会ったことないけど、格好良くて陽気で楽しくて、
 高校生くらいの女の娘ならほっとかないんじゃない?」
 自身は微塵も受け取っていない印象を、一般論に押し込めて訊ねる葉槻透夏。
「えーっと……」
 柊神奈は困ったように手を擦り合わせて、返答に詰まる。
「ひょっとして、他に本命がいるとか?」
 葉槻透夏は、もうすでに判りきっていることを、いまさらのように予定通りの会話の流れで。
「え……あの、はい」
 こくん、と微かにその穏やかな空気を揺らすかのごとく頷く柊神奈。
 おそらく、彼女が秋巳の従姉弟でなければ、加えて、秋巳にあれほど親しげに接していなければ、
柊神奈は、そう本心を出さなかったであろう。
「あ! そうなんだ。いやーいいね! 恋する乙女!」
 眼前に座する柊神奈の恋する瞳を即座に抉り出してやりたい気持ちを押し殺し、そんな心情を微塵も表情や声色にのせずに、
葉槻透夏は笑顔で応える。

「そ、そういう、葉槻さんはどうなんですか。葉槻さんこそ、
 それこそ選り取りみどりじゃないですか?」
「え? あたし? うーん。あたしも好きな人はいるんだけどね」
「ど、どんな人なんですか?」
 柊神奈は、息を呑むように少し身を乗り出して質問する。先日の葉槻透夏の秋巳に対する態度から、ある種の予感を抱く様子で。
 
87__(仮) (6/11):2008/03/09(日) 14:48:31 ID:ZdQ1twML
 
「うん? あたしの好きな人? 柊さんは知らない人なんだけどね。
 でもね、ずっと想ってるんだ」
 そう。柊神奈など知るはずない。
 精々学校で接しているだけの秋巳しか知らないこの女が、自分の好きな『如月秋巳』を知るはずがない。
 そう思いを込めて彼女に返答する。
「え……? そ、そうなんですか?」
 拍子抜けしたように、柊神奈の強張った肩からかくんと力が抜ける。
「え? 意外? あたしが一途に想っていたら?」
「い、いいえ! そういう意味じゃないんです。ひょっとしたら、葉槻さんって、
 如月くんのことが……なんて思ってたもので」
 慌てた柊神奈は、ついつい本音が洩れてしまう。
「秋くん? 秋くんは、従姉弟だよ?」
 単に事実のみを述べ、葉槻透夏は、だからどうだとは触れない。勝手に柊神奈がその先を推測するよう仕向ける。
「あは、は。ごめんなさい。如月くんと葉槻さんが、あんまり仲良さそうだったんで」
「ということは、ひょっとして〜?」
 葉槻透夏は、にやりという表現が相応しい面持ちで、左人差し指を突き出し柊神奈の女の娘らしく柔らかい頬をつつく。
「え!? ええっ!? あ、あの?」
「柊さんの本命は、秋くんなのかな〜?」
 その愉快そうな眼差しとは裏腹に、柊神奈との会話が進むにつれて、葉槻透夏の内心は、
それこそ不愉快さが募り募って大フィーバー状態であった。
 その彼女のイライラがテーブルに置いた右腕から伝わったのだろうか、微かにテーブルが振動する。
「あ、あの。えっと、その……はい」
 下を向き、まだ半分以上カップに残っている紅茶が小さく波立つのを見ながら、柊神奈は応えた。
 柊神奈が直接はっきりと「秋巳が好き」ということを伝えたのは、これで二人目となる。一人目は当然、秋巳本人。
 その事実をはっきり知っている者として、秋巳から伝えられた水無都冬真が加わり、
確信に近い推測で理解しているものが春日弥生に椿と、さらにふたり追加されるが。

「ふーん。ほー。なるほどー」
 ある程度予測はしてたといはいえ、ここまで苛立つとは予想しなかった葉槻透夏は、その心内をなんとか表面に出さずに続ける。
「いやー。秋くんも果報者だねぇ。こんな可愛い娘に想われるなんて。
 ちなみに、秋くんのどこに惚れちゃったのかな?」
 どうせ、なにかへんな思い込みでもして、勘違いしているのだろう、そう見当をつけながら葉槻透夏は訊ねる。
「え、えっと。他の人には言わないでくださいね……」
 葉槻透夏が秋巳のことを好きでないと判ったためか、胸の中に渦巻く痞えがとれたかのごとく安心した柊神奈が、
そう前置きをしながら話す。かつて、秋巳に語ったときと同じ内容を。
 柊神奈が如月秋巳のことを気にするようになり、そして、恋心を抱くまでになる過程を。



「…………」
 柊神奈がひととおり話し終わったあと、葉槻透夏は二の句が継げなかった。
(なんでなんでなんで――!)
 この女がなにを知っているというのだ! この女など秋巳の苦しかったときをなにも理解していないではないか!
 おまえの惚れた秋巳になるまでに、自分がどれほど時を費やしたか、どれほど心血を注いできたかなにも判っていないくせに!
 貴様なぞに秋巳に惚れる資格などあるものか!
 だのに――。
 なのに、なんで、秋巳のことを理解しているのだ。秋巳のことをそこまで把握した上で慕っているのだ。
 理に適っていないではないか。後からしゃしゃり出てきた者などに、自分と秋巳の仲に入ってこられて堪るものか。
 いますぐ、秋巳を好きだというこの女の口を塞いでやりたい。秋巳を慕うその瞳を潰してやりたい。
二度と秋巳のことを考えられないようその息の根を止めてやりたい。
 
 
88__(仮) (7/11):2008/03/09(日) 14:50:41 ID:ZdQ1twML
 
「あ、あの……? 葉槻さん?」
 さすがに平静を装えなくなったのか、苦渋の胸中が滲み出してきた葉槻透夏に対し、
その様子を不審に思ったのだろう、柊神奈が問う。
「え……? あ、ああ。ごめん。その、キミがあんまり熱心に話すもんだから、
 思わずその世界に引き入れられちゃったよ」
 葉槻透夏は、そう取り繕ったが、その語調はわずかに震えている。
「え……? や、やだ。私、そんなに真剣に語っていました?」
「うん。もう、真剣も真剣。本気と書いてマジってやつだったよ」
 それこそ、真剣でその喉を掻き切ってやりたいくらい。
 煮え繰り返る腸を、卓の下に隠しきつく握り締めた右拳で、なんとか押し殺す葉槻透夏。
 これはもう――。
 これ以上、この女を調べる意味などあるのだろうか。
 『答え』は決まっているのではないか。
 葉槻透夏はそう自問自答する。
「あ。ごめんね。長々と読書の邪魔しちゃって。
 とりあえず、飲み物は頼み放題にしといたから、ゆっくりしていってね」
 いまの精神状態で、これ以上柊神奈と普通に会話が出来ないと悟った葉槻透夏は、若干歪んだ微笑を浮かべると、席を立つ。
「あ、あの!」
 そんな葉槻透夏を引き止めるように、柊神奈が呼び止める。
「うん? なに?」
「そ、その。葉槻さんは、如月くんのことをよく知っているんですよね」
「うん。まあ、そうかな」
 すでに、感情を押しとどめるために、そう応える葉槻透夏の口調は平坦に近いものとなっている。
「あ、あの……。その、こ、これからも、相談にのってもらってもいいです、か?」
 おずおずとそう申し出る柊神奈。
 自分の気持ちを暴露してしまったこともあり、さらに最近の閉塞感を無意識に自覚しているためか、葉槻透夏にそうお願いする。

(この女は――)
 自分を挑発しているのだろうか。それほど、己の考えうる最悪のパターンをとらせたいのか。
 そんなつもりは彼女にないのだろうと理性では判っていても、燎原の火のごとく噴きあがる胸裏を抑えられない。
 ならば――。
 それならば。
 いいだろう。望みどおりにはしてあげる。
 おそらくはそうなるだろう。
 いまこの段階で結論を得たわけではないが、葉槻透夏は、おそらく行き着く先であろう終着点を確信する。
「うん。いいよ。あたしなんかで役に立つなら」
 そうだ。ある意味都合が良いではないか。
 葉槻透夏は思う。
 十中八九この女は言いふらしたりしないだろう。己が、葉槻透夏に恋愛相談を持ちかけているなどと。
 だったら、好都合。自分の制御下の範囲にあるほうがよい。
「あたし、基本的に、毎日この時間くらいには、ローテに入っているから」
 それは彼女自身がもともと狙って希望を出していたこと。この眼前の不愉快な人間のことを探るために。
この忌々しい女を排除するために。
「あ、ありがとうございます!」
 ぺこりと頭を下げる柊神奈。
「そう御礼を言われることじゃないよ。秋くんが幸せになってくれるなら、
 それは、あたしの本望だし」
 だからね。消えてね。
 葉槻透夏は、血の滲む右手を後ろ手に隠し、左手をひらひらと振ると、柊神奈と別れた。
 
 
 
 
 
89__(仮) (8/11):2008/03/09(日) 14:54:46 ID:ZdQ1twML
 
 
       *  *  *  *  *  
 
 
 リビングの窓の向こうから油を揚げる音のようなアブラゼミの忙しい鳴き声が反響し、聴覚的な効果も相まり、
朝から日差しの強さを漂わせる夏の陽気のなか。
 いつもと変わり映えなく朝の支度をし、秋巳が朝食を摂りながらテレビのニュースを見やっていると、先に朝食を終え、
登校の準備を整えた椿が、彼に話し掛ける。
「ねえ。兄さん」
「うん? どうしたの?」
 いつもなら、そろそろ椿が家を出る時間だ。そして、その十分後が自分の玄関の扉を開く時間。
 なにげない調子で返した秋巳に対し、同様になにげない口調でこともなげに提案する椿。
「一緒に登校しませんか?」
「は……?」
 秋巳は手にしたパンを取り落とす。
 なにを言われたか理解できなかった。椿はいまなんと言ったのだろう。
 自分の聞き間違いでなければ、一緒に学校に行こうと提案した気がするのだが。
 まだ、寝ぼけてるのだろうか。
 ぶんぶんという擬音が相応しく頭を振ると、秋巳は椿に問う。
「ごめん。もう一回いいかな?」
「一緒に学校に行きませんか、と言ったのです」
「…………」
 空耳ではなかった。確かに、椿は、一緒に登校しようと申し出たみたいだ。
「ど、どうしたの? なにかあったの?」
 動揺を押し隠せない秋巳は、椿の登校途中になにかあるのだろうかと心配し、訊ねる。
「いえ、なにもありませんが」
「じゃあ、なんで……?」
「おかしいですかね?」
「え?」
「同じ家から、同じ場所に通うのに、一緒に行くのっておかしいのでしょうか? 
 それとも、妹と一緒に登校するのって恥ずかしいですか?」
「な……。いや……、え? そ、そんなわけないよ!」
 逆だ。椿こそ、自分と登校するのは恥ずかしいのだろう。嫌なのだろう。秋巳は困惑する。
「ごめん。急にだったから、びっくりしたんだよ」
「兄さんにとっては、急にだったかもしれませんけど。私にとっては、急ではないですよ。
 兄さんは、私に一度も言ってくれたことないですよね。一緒に学校に行こうって。
 私が、初めて登校する日でさえも」
「それは……」
 口篭もる秋巳。
 椿は、自分なんかと一緒に歩きたくないだろうって思ってたから。自分のような人間が兄であることを、
周囲に知られたくないだろうって配慮してたから。
「兄さんが、妹なんかと一緒に登校することが恥ずかしいのかなって思っていたので、
 あえて口には出しませんでしたが。でも、今日は終業式ですから。万が一、
 変な噂が立てられたとしても、夏休み明けに登校するときには、皆忘れてますよ」
「っていうか、椿は嫌じゃないの?」
 秋巳は恐る恐る訊ねる。
 それもそうであろう。秋巳の希望としては、一緒に通えるものならしたい、一緒にいろんなことを話しながら
通学路を歩きたいのだ。
 普通の家族ならば、それは当たり前のことではないのか。日頃のいろんなことを話し、いろんなことを共有するのは。
「兄さん。冷静に考えてください。そもそも私が嫌だったら、
 こんなこと言い出すと思いますか」
「いや……。誰かになにか言われたのかと……」
「なにか、ってなんですか?」
 なんだろう。
 椿の質問に、間抜けにも心の中で問い返す秋巳。
 
90名無しさん@ピンキー:2008/03/09(日) 14:56:05 ID:7he+GZmc
がんばれ!
91__(仮) (9/11):2008/03/09(日) 14:57:44 ID:ZdQ1twML
 
「ご、ごめん。変なこと言ったよね。いますぐ準備するから、ちょ、ちょっと待ってて」
 秋巳は、慌てて残りのパンを口に押し込むと、それをコーヒーで流し込む。
「兄さん。そんなに慌てなくても大丈夫ですよ。
 いつも兄さんが家を出る時間でも間に合うのでしょう?」
「――げほっ。あ。うん。そうだね。すぐ準備するから」
 答えになっていない返答をかえすと、秋巳は浮き足立って洗面所へと向かう。
「あ。待ってください」
 秋巳を呼び止める椿。
「え?」
「ほら。ネクタイがずれていますよ」
 椿は、そう秋巳の元へ歩み寄ると、彼の首もとへ両手をやり、その歪んだネクタイを締めなおす。
「…………」
「はい。大丈夫です。じゃあ、兄さんの準備が出来たら出ましょうか」
「あ、ああ……」
 椿は、穏やかな笑みを浮かべて、洗面所へふらふらとした足取りで向かう秋巳を見送る。
 
 
 
 
「おいーす。秋巳……って、椿ちゃん? ど、どうしたの? 寝坊でもした?」
 秋巳が椿とともに玄関を出て、椿が戸締りを確認していると、門の前を通りかかった水無都冬真が挨拶とともに
驚きの声を上げる。
「おはようございます。水無都さん。今日はいつもどおりの時間に起床しましたよ」
「お、おはよう、冬真」
 ぎこちない態度と声色で挨拶を返す秋巳。
 水無都冬真は、状況がよく把握できずに、固まったまま門前で出てくるふたりを迎えた。
「お、おい! 秋巳、おまえ、どういうことだよ! なんで椿ちゃんと一緒に、
 家を出てくるんだ?」
「水無都さん、落ち着いてください。私が誘ったのです、一緒に行きましょう、と」
「なに? あ、秋巳……。おまえ、ついにそこまで堕ちたか……。
 いったいなにを握ったんだ? 恥ずかしい写真か? 恥ずかしい声か? 
 恥ずかしい過去か? 俺にも共有しろよ!」
 秋巳に掴みかかり、がくがくと揺らす水無都冬真。
「ちょ、ちょっと冬真、落ち着いてよ。言ってる意味が判らないよ」
「だって、椿ちゃんだぞ? あの椿ちゃんが、おまえと一緒に登校するって言ってるんだぞ? 
 おまえ、なんか弱みを握って脅してるんだろう? そうなんだろう? 
 『言うこときかないと恥ずかしさで二度と表を歩けないようにしてやる』とかなんとか言って」
「水無都さんまで。そんなにおかしいですか、一緒の家に住んでて、
 一緒の高校へ通う兄妹ふたりで登校するのは」
「…………」
 水無都冬真は、なにか思考を巡らせているのか沈黙する。
「椿ちゃん、本気?」
「ええ。真面目ですよ」
「そ、か」
 それだけ呟くと、水無都冬真は、一転、気を取り直したのか、秋巳に向き直る。
「いやいや。からかって悪かったな。おかしくない。全然おかしくないよ。
 兄妹が仲良いことは、良いことだもんな。椿ちゃんがそう決めて、
 秋巳も異存がないんだったら、俺が口出しすることじゃないもんな。それに俺も、
 椿ちゃんと一緒に登校できて嬉しいし。さて、じゃあ、
 時間にそれほど余裕があるわけじゃなし、学校に向かいますか!」
 そう言って、秋巳の隣に廻り込んでその肩を組むと、秋巳を押し出すようにして歩き出す。
 秋巳は気づかない。
 その水無都冬真の行動が意味するところを、椿が推し量ろうとして、ふたりの後ろから冷たい視線を送っていたことを。
 
 
92__(仮) (10/11):2008/03/09(日) 15:00:00 ID:ZdQ1twML
 
 
 そうして、三人で登校している背後から。
「おはよー。如月くん、水無都くん、椿ちゃん」
 柊神奈が小走りで寄ってきて、三人に挨拶を交わす。その表情は、明日から始まる夏休みへの期待だけではないのだろう、
晴れやかな笑みを浮かべて。
「おお。柊ちゃん。おはよー。今日も眩しいほど輝いてるね!」
「おはよう。柊さん」
「おはようございます」
 三者三様の挨拶を返す。
「えへへ。明日から、夏休みだね」
 そう嬉しそうに三人に微笑みかける柊神奈。
 期末考査、試験休み、テスト返却日とこなして、本日は終業日。周囲を歩くまばらな生徒たちも、彼女と同様、
明日からの長期の休みに期待をかけているのか、楽しげな雰囲気が伝わってくる。
「おお! 明日から、ボクと柊ちゃんの甘酸っぱいラブラブストーリが始まるってわけだ。
 ひと夏の経験をして、ふたりはさらなる大人の階段を上る、と」
「水無都さんは、最初の一段目にまず足をかけないといけないのでは?」
 目を閉じ頭の中に広がる壮大なストーリでも妄想しているのか、両腕を広げながら語る水無都冬真に、
椿がつっこみをいれる。
「お? 椿ちゃん。なに? 嫉妬? 妬いちゃってるのかなぁ?」
「ええ。胸が」
 やけます。水無都冬真の妄想に。とは口に出さない椿。
「え? 胸がドキドキするって? いやー! モテる男は辛いね。
 いや、大丈夫、俺は懐の深い男だから。どんときなさい」
「そうですね。いけるものならいきたいですね。ドン、と」
「あの? なにか、別の意味込めてないよね?」
「なんでしょう?」

 柊神奈が合流してから、自然と、前を歩く秋巳と柊神奈、少し離れて後ろに続く椿と水無都冬真、とペアに分かれる。
「ねえ。如月くんは、なにか、夏休みの予定とかってあるの?」
「うーん。いまのところないかな」
「そうなんだ。じゃあ、また、弥生とか、水無都くんと一緒に、どっか行こうか」
「うん。まあ、そうだね。行けたらいいね」
「うん! きっと行こうよ! あ、そうだ。私、如月くんのメールアドレスとか、
 携帯番号知らないんだけど、教えてもらってもいいかな?」
「うん……。いいけど、冬真のは?」
「水無都くんには、大分前に教えてもらってるから」
 そう言って携帯を開く柊神奈。
 実際、水無都冬真が柊神奈にアプローチをかけるようになった頃に、ふたりは連絡先の交換をしていた。
 といっても、半ば押し付けるみたいにアドレス等を渡してきた水無都冬真に対して、一応の礼儀として、
自分も教えたという事情ではあったが。
 そして、アドレス交換はしていたものの、お互いの携帯にそれぞれ相手の履歴が載ったことはなかった。
水無都冬真が彼女を誘うときは、つねに学校で口頭ベースであった。
 
 
93__(仮) (11/11):2008/03/09(日) 15:02:16 ID:ZdQ1twML
 
 
 そんなやり取りをする秋巳と柊神奈から、若干距離をとって後ろを歩く椿と水無都冬真。
「いやー。初々しいねえ」
 水無都冬真は、なにが、と主語は言わない。かつ、前方には聞こえないよう椿に語りかける。
「ええ。そうですね」
 特に感慨を含めないように追従する椿。
「ところで、椿ちゃんは、どういう心境の変化かな?」
「なにが、です?」
 水無都冬真がなんのことを触れているのか判らないとでも言いたげに、椿は訊き返す。
「この状況が」
「前を歩く兄さんが、柊先輩と、初々しい中学生カップルのようなやり取りを
 していることですか?」
 椿は、判っていながら態と恍ける。
「うーん……。そういえばさ、前に喫茶店で椿ちゃんとふたりで会ったときに、
 俺、訊いたことあったよね」
 一見いままでの流れと関係ないような話を、水無都冬真は始める。
「なんでしたっけ? というより、いつのことでしょうか?」
「俺が付き合いたい人がいるって、話したとき」
 それは、水無都冬真が秋巳から柊神奈の告白の件を相談されて、その後、椿をメールで喫茶店『ユートピア』へ
呼び出したときのこと。
「ああ」
「思い出した?」
「おぼろげながら」
「あのとき、訊いたよね。いや、椿ちゃんが言ったんだよね。
 秋巳が変わるかもしれないって」
「そうでしたっけ?」
 詳しいやり取りなど、まったく覚えていないというように椿。
「あのときの想像はあってた?」
 椿の恍けた態度など微塵も歯牙にもかけずに、水無都冬真は幼い子に問い掛けるように穏やかに優しい口調で質問する。
「…………」
 椿は憂鬱げに瞳を細め、沈黙する。
 水無都冬真はそれ以上言葉を紡がない。
 それが三十秒ほど続いただろうか。椿は、水無都冬真の方へ向き、薄く笑みを浮かべた。

「――はずれました」
 
 
 
 
 
 
 
 
94 ◆a.WIk69zxM :2008/03/09(日) 15:02:47 ID:ZdQ1twML
 
以上。投下終了です。
 
95名無しさん@ピンキー:2008/03/09(日) 15:05:04 ID:MN9Sa1ed
リアルタイムGJ!
透夏も神奈も、釈迦の手のひらの上で躍る孫悟空に見える
96名無しさん@ピンキー:2008/03/09(日) 15:37:37 ID:UJjmFE0E
GJ
97名無しさん@ピンキー:2008/03/09(日) 15:55:52 ID:wUyrnDfy
>>94

GUっす!
葉槻と柊、この対決が益々見逃せなくなった!

98名無しさん@ピンキー:2008/03/09(日) 15:57:50 ID:ypEcswcW
GJ!
椿はいったい何を思っているのか、妄想しながら続きも楽しみにしてます。
99名無しさん@ピンキー:2008/03/09(日) 16:03:35 ID:XvSNpzU9
G・J!!
駒はそろったって感じですね
先がどうなるか怖い。なのにwktk
続きを待っています
100名無しさん@ピンキー:2008/03/09(日) 21:44:46 ID:7BnKq3/4
これは名作になりそうな予感
101名無しさん@ピンキー:2008/03/09(日) 22:57:35 ID:xhzXy9ai
GJ!!
とうとう椿が行動しだしたな…

続きwktk
102名無しさん@ピンキー:2008/03/09(日) 23:45:51 ID:vqCjVSAd
うーーーん…。
まさかとは思うけど、毎度毎度のワンパターンに陥っていくんじゃないだろうなぁ

今までの作品の中では一番好きだったけど、ちょっと暗雲。
でもまだ色々と編み込んでるから絶望するには早いか?

期待してますぜ?
103名無しさん@ピンキー:2008/03/09(日) 23:48:46 ID:lFT7LEeJ
はいはい
104名無しさん@ピンキー:2008/03/10(月) 00:10:51 ID:NuG7zxHv
どんな上から目線やねんと
105名無しさん@ピンキー:2008/03/10(月) 01:29:37 ID:etaIdRWn
上から目線ってキモイね
106名無しさん@ピンキー:2008/03/10(月) 01:31:11 ID:ewQjstAL
背の高い妹に、常に上から見下ろされるお兄ちゃん…
107名無しさん@ピンキー:2008/03/10(月) 01:38:25 ID:v0T7OYlm
う〜ん、これは冬真の動き次第なのかな?
死者0で終わってほしいけど……やっぱ無理だよなあスレ的に
108名無しさん@ピンキー:2008/03/10(月) 01:41:31 ID:vsObE2oQ
あー、続き気になるー。
そして喫茶店での透夏の心理描写が怖いww
109名無しさん@ピンキー:2008/03/10(月) 01:44:33 ID:5hgrxhFp
椿がついに動き出すか…
透夏の行動といい、これは期待せざるを得ない
110名無しさん@ピンキー:2008/03/10(月) 02:19:34 ID:PqRh60D8
>>102
まさにお前が、うーーん…だな
111名無しさん@ピンキー:2008/03/10(月) 03:12:47 ID:q9xZyIrA
>>106
それなんて俺(´・ω・)
見下されるじゃなくて見下ろされるだけど。
ほんと三次元は嫌だね。大腸菌だわ。三次元の女なんて。
112名無しさん@ピンキー:2008/03/10(月) 04:34:28 ID:L7omrw5h
ヤバそうな素振りを見せてない椿が、妙にブキミに見える…

何かいろいろ勘付いてるっぽい冬真の動向にも注目だな。
113名無しさん@ピンキー:2008/03/10(月) 13:10:12 ID:2rOkTJLu
とあるスレを覗いてきた。


現実のキモ姉がいかに危険か認識した。
114名無しさん@ピンキー:2008/03/10(月) 13:33:07 ID:oiJFT5EB
>>113
ブラコンの妹はどうしたらキモウトに昇格するんだろう…?
115名無しさん@ピンキー:2008/03/10(月) 13:33:32 ID:NCl0M1vp
>>113
VIP?
116名無しさん@ピンキー:2008/03/10(月) 13:57:54 ID:2rOkTJLu
男性 性的虐待で探してみ。
ただし、あそこを見る時は性的興味を捨て去る事だ。
117名無しさん@ピンキー:2008/03/10(月) 18:20:29 ID:FjaSLFVQ
はははは、馬鹿だなぁ
ただのメンヘルやヤンデルと、キモ姉キモウトは違うぞよ

はちきれるほどの愛
溢れんばかりの愛液
そして誰もが羨むルックス

この三つが揃わなければ、キモ姉キモウトの称号は得られない
118名無しさん@ピンキー:2008/03/10(月) 18:42:18 ID:B3gwSbLO
ああいうのはキモ姉って言うんじゃなくて本当の病気だからな
119名無しさん@ピンキー:2008/03/10(月) 20:08:57 ID:G5HnRNfC
ここでは美人、かわいい童顔はデフォ
120名無しさん@ピンキー:2008/03/10(月) 21:07:55 ID:o+nOy8BW
>>116
可哀想な人達がいっぱいいたよ
121名無しさん@ピンキー:2008/03/10(月) 21:45:45 ID:UD2EJ2GQ
ここはキモウトスレだから椿を応援するのが当たり前なんだろうけど
今のところ内面が描かれてないからなかなか感情移入できないね
だから、とりあえずは神奈がんばれ
122名無しさん@ピンキー:2008/03/10(月) 21:53:12 ID:OrE6C2cV
おれも神奈を応援してる
この娘に何かあったら泣くよ、おれ
123名無しさん@ピンキー:2008/03/10(月) 21:55:05 ID:2H0Y2azr
椿最高、兄と幸せになってほしい
124名無しさん@ピンキー:2008/03/10(月) 22:13:16 ID:bCPP2HFu
姉でも妹でもない柊に萌えるなんて……くやしいっ……
125名無しさん@ピンキー:2008/03/10(月) 22:49:16 ID:NuG7zxHv
まあ作者さんが思うように書くのが一番だからな
〇〇を危険な目に合わせないで下さい><
みたいなのはあんまりエスカレートさせないようにな
126名無しさん@ピンキー:2008/03/10(月) 22:53:19 ID:6Jnes8D7
喫茶店の一件で透夏が好きになった
従姉だけど一番つらい幼少期を一緒に過ごした事で姉というか義姉みたいな心情になってる感じがする
127名無しさん@ピンキー:2008/03/10(月) 23:01:00 ID:DTMtdiZ6
作者さんに余計な要望はしない方がいいし
上から目線の書き込みが不快というのも同意なんだけど
ジットリとした心理戦を長く楽しみたかった分、刃傷展開になってしまうのは
少しばかり残念という嗜好・気持ちはわかってしまうなあ。
ともあれ、期待してます、頑張ってください。
128名無しさん@ピンキー:2008/03/10(月) 23:31:55 ID:NSWt2Aa4
では話題を変えよう

女きょうだいのいない方に尋ねるが。

欲しいのはどっち?

・美人だけどまだ覚醒してないブラコン姉

・容姿はちょっと可愛い位だが、完全覚醒した18禁なキモウト

二者択一で!!
129名無しさん@ピンキー:2008/03/10(月) 23:36:58 ID:JGCjhC31
>>128
命が惜しいので姉を
130俺と香苗とキモウトの朝:2008/03/10(月) 23:47:01 ID:S2uMRc9M
「イッヒッヒ」
 こんな馬鹿な笑い方をするのは妹の純子ぐらいのものだなあと思いながら薄目を開ける
と、案の定そうだった。ベッドに横たわる俺を、小柄な人影が見下ろしている。
 ぱっちりした大きな瞳に、思わず摘まみたくなるぐらいに小さい形のいい鼻、微笑むと
猫っぽい形になる可愛らしい唇、ぷにぷにした柔らかい頬と完璧なラインを描く顎筋。
 文句なしの美少女だ。兄という立場上、幼いころから見慣れている俺ですらそう思う。
世のロリコンどもがこいつを見たら、誘拐とか監禁とか物騒なことを考えてしまうかもし
れない。
 だがしかし、そんな理想のロリータフェイスも、そこに浮かんでいるのが欲望まみれの
下品極まりない馬鹿笑いとあっては台無しもいいところだ。っつーか涎を垂らすな、床が
汚れるだろうが。
「ジュルリ……うへへ、何も知らずに眠ってやがる……馬鹿なお兄ちゃんだぜ!」
 馬鹿はお前だ。
「ハァハァ……やっべー、たまんねぇっすよ俺、今すぐこの唇犯しちゃっていいッスか先輩」
 よくない。っつーか先輩って誰だ。
 俺は心の中で突っ込みを入れながら、さてどうしたものかと考える。どうやら、眠って
いる内に純子の侵入を許してしまったらしい。俺としたことがひどい失態だ。こんなこと
なら罠でも仕掛けておくんだった。このアホなら漏れなく全部に引っかかって、物凄く愉
快な醜態を晒してくれただろうに。
「いや、落ち着けわたし。目覚めのキッスの前に、まずしなくちゃならないことがある!」
 落ち着いたのなら出て行ってほしい。
 そう思う俺の前で、純子は勢いよく布団の端を引っつかんだ。
「当然、まずはおにんにんだーっ!」
 ああ、やっぱりこいつは馬鹿だ。布団が剥ぎ取られて冷たい空気が体に迫ってくるのを
感じながら、とりあえず一発蹴りをお見舞いしてやろうと身構える。だが、俺の足が跳ね
上がるよりも早く、純子が悲鳴を上げた。
「うぎょあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
 いつも思っていることだが、あと少しでいいから可愛い声が出せないものだろうか。嫁
入り前の娘が、なんてみっともない。
 心の中で溜息をついたとき、俺はふと、奇妙な感覚を覚えた。布団を被っているときは
気付かなかったが、なんだか右の方に自分のものではない人の温もりを感じるような。
 そう思って体の向きを変えて、ぎょっとした。俺の隣で、長い黒髪の美人さんが健やか
な寝息を立てている。一瞬頭が真っ白になったが、よくよく見るとこっちも見知った顔
だった。
「テメーッ! 誰の許可を得てお兄ちゃんの布団に入り込んでんだコラーッ!?」
 純子が怒鳴る。お前こそ誰の許可を得て俺の部屋に入り込んでんだコラ。
 馬鹿の怒鳴り声に反応して、美人さんが悩ましい吐息を漏らしながら身じろぎする。美
しい睫毛がかすかに震え、ゆっくり開く目蓋の向こうから宝石のように輝く黒い瞳が現れ
た。美人さんは目の前に寝ている俺を見つけると、眠たげに、だが嬉しそうににっこりと
微笑んだ。
「おはよ、浩二」
 なんて甘美な声なんだろう。流れるような黒髪の向こうに覗く悪戯っぽい微笑みは、陳
腐ながらも天使に例えたくなるほどの愛らしさだ。
131俺と香苗とキモウトの朝:2008/03/10(月) 23:48:05 ID:S2uMRc9M
「お、おお、おはよう」
 そんなわけで俺がどもりながら挨拶を返すと、
「挨拶してる暇があったら地獄に落ちろやクソアマァッ!」
 案の定、馬鹿が雰囲気を読まずに暴走を始めた。常に持ち歩いているらしい包丁を大き
く振りかざし、俺の隣に横たわる美人さんに向かって躊躇なく振り下ろす。美人さんはそ
の包丁の方をちらりとも見ないまま、わずかに腕だけを動かして、鋭い切っ先を二本の指
で挟み取る。いつ見ても惚れ惚れする絶技だ。
「うふ。浩二のベッドって、なんだかいい匂いがするねえ」
 美人さんは俺の枕を引っつかむと、顔を埋めて鼻を鳴らし始める。実に艶かしいその仕
草に、俺は少し顔が熱くなるのを感じた。とりあえず、努めて素っ気ない口調で言ってやる。
「嗅ぐなよ、バカ」
「そーだっ! お兄ちゃんのベッドをくんかくんかして、その臭いでオナニーしていいの
はわたしだけだっ!」
「誰もそんなこと許可してねえっ!」
 ほとんど反射的に、馬鹿な妹を怒鳴りつける。ちなみにこの馬鹿、今は美人さんの指か
ら包丁を引き抜こうと躍起になって、顔を真っ赤にしている。しかし、奴が全身全霊の力
を込めているらしいというのに、包丁を挟む二本の指はぴくりとも動かない。美人さんは
空いている手を頬に添えて、楽しそうに笑った。
「相変わらず仲がいいねえ、浩二と純ちゃんは」
「よくねえよ」
「当たり前だよ、ラブラブのドロドロに決まってんだろーが! オメーが入る隙間なんか
その汚ねえ膣口ほどもねーんだよこの雌豚ッ!」
「お前はちょっと黙ってろバカ!」
 正反対の答えを即座に返す俺たちの前で、美人さんは上機嫌に目を細めている。
 この美人さん、名前は香苗と言って、我が家の隣に昔から住んでいる幼馴染である。年
は俺と同じ。昔から綺麗な顔立ちだったが、それに加えて最近では体の発達が著しく、気
さくながら大人っぽい雰囲気と相まって、見ているこっちがたまにどぎまぎしてしまうほ
どだ。顔も体も幼いままの純子とはえらい違いだ。
「あーっ! お兄ちゃん雌豚の汚ねーエロ乳見て発情してるーっ! チクショーッ、わた
しだってあと3年あればーっ!」
 訂正。俺の妹は顔と体だけじゃなくて頭もある意味幼いままだ。頼むからエロ知識より
も先に、ちょっとでいいから分別をつけてほしい。
「いやん、浩二のえっち」
 香苗がふざけるように身をくねらせながら、空いている方の腕で胸の辺りを覆い隠す。
隠すというか押し潰すというか。細い腕の下、薄い寝巻きの向こうで非常に柔らかいマ
シュマロ的物体がぐにぐにぷにぷにしていて、なんというかこう、
「性欲を持て余す」
「エロ乳に当てられてお兄ちゃんが壊れたーっ!」
「はっ……しまった、つい本音が!」
「何ていうか、やっぱり浩二と純ちゃんって兄妹だよね」
 ケラケラと明るく笑いつつ、香苗が「さて、と」と小さく呟く。その体がつむじ風のよ
うに回転したかと思うと、一瞬で香苗と純子の位置が入れ替わった。すなわち、ベッドに
押さえつけられる純子と、その腕を捻りあげて関節技を決めている香苗とに。
「いつ見ても惚れ惚れする神技だな」
「やだもー、そんなにおだてないでよ浩二ったら。あたしぐらいの年の子だったらこのぐ
らい誰だってできるよー」
「勝手にそんな恐ろしい世界観を構築しようとしないでくれ」
132俺と香苗とキモウトの朝:2008/03/10(月) 23:49:07 ID:S2uMRc9M
「っつーかいたいいたいいたいいたい! な、なにこれ、なにがどうなってんの、なんで
わたし一瞬にしてお兄ちゃんのベッドに這い蹲ってうへへへお兄ちゃんの臭いだぁ」
「痛がるかにやつくかどっちかにしろバカ」
 俺は溜息をつきつつ、ベッドから足を下ろした。立ち上がると同時に、香苗がぎりぎり
と純子の腕を極め始める。
「さー純ちゃん、今日も朝の運動を楽しみましょうねー」
「やめろぉぉぉっ! はなせクソアマァッ! 助けてお兄ちゃーんっ!」
 純子の悲鳴を背中に聞きながら、俺はカーテンを開け放つ。ガラス窓の向こうから、眩
しい朝日が降り注いだ。今日もいい天気、実にいい目覚めだ。
「ところで、純子はともかくとして、なんで香苗が俺のベッドに入り込んでたの?」
「だってー、夜中に監視カメラチェックしてたら、純ちゃんがこそこそ浩二の部屋の方に
向かうのが見えたからー」
「ちょっと待て、監視カメラなんか仕掛けてんのかお前」
「風呂とトイレのはわたしに寄越せ!」
「黙れ馬鹿」
「だって、浩二と純ちゃん、見ててとっても楽しいしー。ま、そんなわけで、純ちゃんを
お仕置きと称していじめるいい口実が出来たと思ったわけ」
 香苗は悪びれずに笑いながら、純子の背中にぐりぐりと膝を押し込み始める。「あ
ぎゃっ、ひぐっ、ぐぎゃぁっ!」と、純子が実に耳障りな悲鳴を上げた。
「うわーん、いだいよぉっ! だずげでおにいぢゃーん!」
「いつものことながら絵に描いたような自業自得だな」
「そうだねー。ほーら、もーっと痛くなるよー?」
「ひぐぅぅぅぅっ!」
「ハァハァ……やっべー、涙目の純ちゃん激かわいー」
「やめろぉっ、撮るなぁっ!」
「えへへへ、今日のオカズゲーット」
 香苗は左手一本で純子の両腕を極めつつ、右手でデジカメのシャッターを押すという器
用な真似をやってのける。まあこいつのスペックはいろんな意味で桁外れなので、今さら
驚きはしないが。
「ほどほどにしといてくれよ、香苗。こんなでも一応妹だし」
「了解。まあとりあえず折る直前ぐらいまで負荷をかけてみようかなーって」
「そんな! 助けてよお兄ちゃん!」
「正直気が進まん」
「浩二って結構サドだもんね」
「あ……そっか、お兄ちゃん、痛がるわたしを見て興奮してるんだ」
「そんな性癖は一切ない」
「照れなくてもいいのにっていだだだだだだっ! ちょ、やめ、指、わたしの指が、指がーっ!」
 ボキボキボキボキィッ! という破滅的な音と純子の悲鳴に背を向けて、俺は自分の部
屋を出た。
 今日も実にいつも通りの朝だった。早く飯食って学校行こう。
133枯木 ◆3OsbddjPtM :2008/03/10(月) 23:50:12 ID:S2uMRc9M
前回と大して展開が変わらんがまあいい。
134枯木 ◆3OsbddjPtM :2008/03/10(月) 23:53:28 ID:S2uMRc9M
ごめん、上のは前スレで書いた「ヘタレキモウト」ってSSの設定流用してますと書くのを忘れてますた。
135名無しさん@ピンキー:2008/03/10(月) 23:53:44 ID:SyAthReb
だが、それがいい。GJ!
136名無しさん@ピンキー:2008/03/11(火) 00:01:02 ID:lgJO3hA5
学校から帰ってきたら、色々と曲がっちゃいけない部分で手足が曲がったキモウトが
ベッドで幸せそうに気絶してそうだ…
137名無しさん@ピンキー:2008/03/11(火) 00:31:35 ID:2nu8k/YN
やべ、香苗にツボった。GJ!!
138 ◆busttRe346 :2008/03/11(火) 00:49:26 ID:41N3IJ2X
いかん…香苗がなんか…良いw



おひさです。投下いきます。
139ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.:2008/03/11(火) 00:51:33 ID:41N3IJ2X
五話



「いいよ」
「いよっしゃあああああああああああああ…じゃなくて、やったあ♪」
ヘンゼルの返事は何ともあっさりしたものでした。お姉さんは大喜びです。
そしてそのまま一ヵ月の月日が経ちました。それは、グレーテルにとって長い長い我慢の期間でもありました。
グレーテルは、さっさとこの家を出て行きたかったのです。それなのに、ヘンゼルお兄ちゃんは居心地が良いものだから、だらだらとお姉さんの家に居候していました。
商売は主に十代から二十代の女性に大人気。ネットとたかた社長のおかげです。そんなわけでお姉さんは、兄妹を養うくらいの経済力を持ち合わせていたのです。
毎日ごちそうをたらふく食べ、時に森の中を探検したり、仕事用のパソコンでこっそり2ちゃんねるを見たりして、二人は暇を潰していました。
お姉さんはそれを咎めもせず、暖かい目で見守っていました。そしてそれこそ、この一ヵ月間、お姉さんの身を守っていたのです。
お姉さんがむやみにヘンゼルに近付いてはこないため、グレーテルも彼女を始末すべきか判断がつきません。動向に目を光らしながら過ごす無意味な毎日は、グレーテルの精神を磨り減らしていきました。
「今日も問題無し…っと…。あーあ…早くお兄ちゃんと二人っきりになりたいなぁ…」
グレーテルは電気を消すとベットに入り、眠りにつくのでした。



140ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.:2008/03/11(火) 00:54:22 ID:41N3IJ2X
ぐつ。ぐつ。ぐつ。
鍋からは黄ばんだ煙があがります。中身は例の紫色の液体です。
「ふふふふふ…一ヵ月…長かったわぁ…」
お姉さんはいつにも増してご機嫌です。
火を止め、耐熱容器に移します。それを冷蔵庫にしまいます。
「これで明日には完成よ…ふふふふふ…」
お姉さんはぷるんぷるんの爆乳の谷間から紙切れを取り出すと、それを懐かしそうに眺めます。

ここらで少し昔のお話をしましょう。

かつてお姉さんは、ちょっとした有名女優でした。当時は美人だ、美人だ、と騒がれたものです。
たくさんの映画に出て、たくさんちやほやされて。だから少し調子に乗ってしまったのでしょう。
ある日、自分の出演した映画の舞台挨拶で、お姉さんはいつものように
「別に…」
と、ツンデレっぷりを存分に見せつけました。
けれど世の中はそう甘くはありません。ツンデレなんてものは所詮画面の中のみでしか有効ではないのです。
だからお姉さんは世間から散々叩かれました。慌てて謝罪会見をしたものの、涙を流す演技があまりに下手だったのでさらに叩かれました。
そんなこんなでお姉さんは自分の国―――つまり、魔女の国から追放されてしまったのです。
こうして、お姉さんはあちこちを放浪した挙げ句、この森の中でひっそりと暮らし始めました。この辺りでは、魔女の国なら当たり前の知識がとても重宝されます。
そこでお姉さんは媚薬や毒薬などを作って売る事にしました。商売はすぐに軌道に乗り、生活も安定し始めました。
でもお姉さんの心は満たされません。
森の中には家族がいません。友人がいません。恋人もいません。
夜になるとお姉さんは故郷を想ってむせび泣くのでした。
そんな生活が百五十年程続いたある夜、お姉さんのもとへ運命の男性が現れたのです。

お姉さんはその日の営業を終え、ご飯を作っていました。外では土砂降りの雨、だだ漏れの雷が荒れ狂っています。
お姉さんのスーパーイヤーは、激しい落雷の音に隠れたチャイムの音を聞き逃しませんでした。控え目ではありますが、ドアを叩いている音も聞こえます。
141ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.:2008/03/11(火) 00:56:27 ID:41N3IJ2X
「いらっしゃいませ!!」
営業スマイルを作りドアを開けると、そこにはびしょ濡れの青年が立っていました。
「えっと…」
「あの…僕、実は道に迷ってしまいまして…。少しの間だけ雨宿りさせてもらえないでしょうか…?」
お姉さんは青年を家へと迎え入れました。久しぶりの男の人に、お姉さんの胸はドキドキしっぱなしです。
青年は受け取ったタオルで体を拭くと、ソファに座り、家の中を物珍しそうに眺めています。水も滴るいいオトコとは良く言ったものです。
何と逞しい腕なのでしょうか。抱き締められたら体が折れてしまいそうです。
何と澄んだ瞳なのでしょうか。見つめられただけで溶けてしまいそうです。
足を組み着ていたツナギの前をはだける仕草ときたら、まるで「や ら な い か 」と誘っているようです。
魔女たるもの惑わしても惑わされるな、という格言があります。けれど、今のお姉さんにはそんな大人の事情など興味ありません。
興味があるのは大人の情事だけなのです。
そこで青年の晩ご飯に紫色の液体を入れました。青年はそれに気がつかず、満腹になるまで食べ続けました。

その間に、お姉さんは湯浴みをして念入りに体を洗いました。
お姉さんがお風呂から上がると、果たして効果はあったようです。青年はこっちをとてもいやらしい目で見ています。
心の中でガッツポーズをしながら、お姉さんは色気たっぷりに近付きます。
「実は男の人と話すの…とても久しぶりなんです…」
お姉さんは耳元で囁きながら、青年の股間をつつー、と指でなぞります。そこは今にも爆発しそうなくらいに張り詰めています。
「いけない…!!僕には妻も子供もいるんだ…!!」
青年はそう言いつつ、ズボンをいそいそと脱ぎだします。青年はやる気満々です。
こうして二人はめくるめく快楽の世界へと旅立ったのです。足腰立たなくなるまで責められたお姉さんが起きたのは翌日の夕方でした。
「あれ…?あの人はどこかしら…?」
ベットには人型の凹みだけが残されていて、愛しい青年の姿がありません。
(せっかく起き抜けの一発を、と思ったのに…)
そう思いながら、お姉さんはリビングへ足を運びました。
やはり青年はいません。
142ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.:2008/03/11(火) 00:58:35 ID:41N3IJ2X
それどころか彼の荷物も、さらにお姉さんの私物である金品も数点、無くなっていました。
お姉さんは不安になりました。家中を探しますが、青年の影も形も見つかりません。不意に、その目がある一点で止まります。
テーブルには『お世話になりました』とだけ書いてある紙切れが一枚、残されていました。
お姉さんはわんわん泣きました。百五十年ぶりの恋は一夜にして終わりを告げたのです。それからまた以前と変わらぬ毎日がやってきます。
一度知ってしまっただけに、募る寂しさは以前の比ではありません。青年の残した字で自分を慰めれば、その時だけは寂しさを忘れられました。
でも終わった後にはハイパー賢者タイムがやってきて、また寂しくなってしまうのです。
青年とはそれから一度も会っていません。連絡もとっていません。何度か会いにいこうかと迷いましたが、もし拒絶されたら…、と考えると足がすくんで動けなくなってしまうのでした。
風の噂では、青年は森の向こうの村で材木工場を経営しているそうです。家族四人で仲良く暮らしているとのことでした。
もうこの先、あんな激しい恋をする事はないでしょう。お姉さんは独身貴族のまま、この森に骨を埋める覚悟をしていました。

しかし神様は、お姉さんを見放さなかったのです。あの一夜から二十年経った今、あの青年とそっくりなヘンゼルが現れたのですから。
「今度こそ逃がさないわ…ね?あ・な・た…」
かつて青年が置いていった紙切れを見つめ、お姉さんは微笑みます。
「このおクスリでヘンゼル君を虜にしてあげちゃうんだから…ふひ、ふふふふふふひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ…」
想像するだけでお姉さんは軽く昇天しかけます。指を股間に這わせようとした時、床がギシッと鳴りました。
「誰…!?」
お姉さんがドアを開けます。
しかし、廊下には人っ子一人見当たりません。
「気のせいだったのかしら…それとも木の精だったのかしら…?」
ロマンチストなお姉さんは作業の続きをする為、再びドアを閉めたのでした。



143ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.:2008/03/11(火) 01:00:45 ID:41N3IJ2X
『気のせいだったのかしら…それとも木の精だったのかしら…?』
そんな声が聞こえた後、ドアがゆっくりと閉まります。そしてドアの影からやはりゆっくりと少女の姿が現れます。
グレーテルです。
トイレに行きたくなって、部屋から出てきたついでに隠れてお姉さんを見張っていたのです。
それもどうやらただの偶然ではなかったようです。きっとこれも絶対唯一神の御告げに違いありません。
「ようやく本性を現したわね…」
言葉こそ冷静ですが内心、グレーテルは動揺していました。
当然と言っていいでしょう。お姉さんの正体は人間を食べる(主に性的な意味で)魔女だったのですから。
グレーテルはすでに殺る気満々です。けれど今実行する訳にはいきません。鳥ならともかく人間を殺せば罪になります。計画を練って、その時を窺う事にしましょう。
―――あんな無駄乳食肉牛にお兄ちゃんを渡してなるもんですか…!!
グレーテルは音を立てずに、自分の部屋へと戻るのでした。


たくさんの星が輝いていたはずの空に、いつしか暗雲がたちこめていました。濁った濃い灰色の雲の隙間が、時折ピカッと光ります。
夜の森は真っ暗です。
そんな中、ぽつんと光る『犯しの家』。
窓から明かりが漏れています。その奥には廊下らしきものも見えます。一羽の鳥が、杉の木のてっぺんからそれを眺めています。鳥はもう三時間も前からそこにいて、身動ぎすることなく窓を見つめています。
と、その視界に人が入ります。外に目をやることなしに、廊下を突き進んでいます。
「見つけた…。見つけた…。見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた見つけた!!」
鳥は、あらんかぎりの憎悪を込めて叫びます。
「グレーテル…!!仲間の敵をとらせてもらう…そしてヘンゼルお兄ちゃんも…。
ふひ、ふひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!」
―――ドガァァァンッ!!
彼女に呼応するように雷が落ちます。
羽をばたつかせ、歓喜に身をうち震わせながら、ハマーDこと長澤まさみは笑い続けるのでした。
144 ◆busttRe346 :2008/03/11(火) 01:02:08 ID:41N3IJ2X
投下終了です。
145名無しさん@ピンキー:2008/03/11(火) 01:08:20 ID:qelNdeBl
一番槍GJ
146名無しさん@ピンキー:2008/03/11(火) 01:12:20 ID:W90C+WI5
GJ!!
ハマーD生きてたのかwww
147名無しさん@ピンキー:2008/03/11(火) 01:15:57 ID:zJiLIvuU
素晴らしい。
キモウトとよこしまな欲求不満魔女と変態鳥、メス3匹三つ巴かw
148名無しさん@ピンキー:2008/03/11(火) 01:48:16 ID:bxR/WJjh
長澤w
そして魔女は「べつに」の例のアレですかw
GJ!

>>134
香苗こわすぎw
負けるな妹よ! まあ無理だろうけど……w
149名無しさん@ピンキー:2008/03/11(火) 01:57:36 ID:vOKPBSlM
まさかの長澤まさみ!
150名無しさん@ピンキー:2008/03/11(火) 02:01:33 ID:RhplslZe
なんというカオスwwwwwwww

しかしハマーDという名を聞くたび、あの妙に耳がでかいミニ四駆マンガを思い出す。
去年の12月にはミニ四駆誕生25周年とかで、歴代マグナム&ソニックも復刻されたり
書き下ろしマンガでバイソンマグナムとロデオソニックなる新型も出たみたいだし。


ミニ四駆に熱中するキモ兄妹(姉弟)を題材にした作品とか需要があれば書いてみようかな…
151名無しさん@ピンキー:2008/03/11(火) 02:44:51 ID:u2oyWiZu
でたwカオス作品ww
だけどGJ!w
152名無しさん@ピンキー:2008/03/11(火) 11:22:18 ID:5qbqUcFJ
ちょwお姉さんww
一体魔女の国の平均寿命はどれくらいだと言うのかwww
153名無しさん@ピンキー:2008/03/11(火) 14:10:01 ID:78LGVEV4
童話っぽい語り口調なのにハイパー賢者タイムとか腹筋がぶっ壊れるwwwww
154名無しさん@ピンキー:2008/03/11(火) 18:12:28 ID:afmZctIZ
欲求不満魔女+変態小鳥=擬人化だよな…

あと魔女のお姉さんがヘンゼル兄を抱けば…
逆親子D(ry)
155名無しさん@ピンキー:2008/03/11(火) 22:57:17 ID:+ajjQRuG
もうなんかパロりすぎワロタww
156名無しさん@ピンキー:2008/03/12(水) 00:30:41 ID:J2BEIRBP
>>154
むしろ穴兄d(ry
157名無しさん@ピンキー:2008/03/12(水) 13:07:31 ID:GI0sN/x1
>>150
俺はピュ〜と吹くジャガーを思い出す…
158名無しさん@ピンキー:2008/03/12(水) 13:09:22 ID:jzZlVwTb
>>157
俺もそっちのフナムシ野郎を思いだした
159名無しさん@ピンキー:2008/03/13(木) 01:26:00 ID:/JHeWRP+
そういえば、izumo1のようなキモウトが暴走するSSとか読みたいな
160名無しさん@ピンキー:2008/03/13(木) 23:23:42 ID:Wwy1WSfX
>>133
心がすごく洗われたよ。
遅まきながら最高のGJ! を送ります。
161名無しさん@ピンキー:2008/03/14(金) 00:24:27 ID:OhFqChGs
キモ埋めGJ
なんという羨ましいお返し。これはどう見てもキモウト。


そういえば、我が家の妹に返すクッキー
、妹は喜んでくれるだろうか?
ウケを狙ってお返しは俺とでも、言おうか。
さあ、俺も寝るか……それにしても、今日はすごく寝む
162名無しさん@ピンキー:2008/03/14(金) 00:28:23 ID:8Kt9MiTH
前スレ埋めネタGJ!!王道キモエロ最高!!
163名無しさん@ピンキー:2008/03/14(金) 07:15:54 ID:bhJyyyIG
埋めネタキモいよ埋めネタ
164名無しさん@ピンキー:2008/03/14(金) 22:54:55 ID:HZJweKQr
前スレ埋めネタよかったw
ああいう表向き固そうな子が兄に対してあんなことしてるってギャップがたまらん
165名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 00:26:00 ID:M8po2ETg
>>564
ハァハァ・・・いいぞ・・・
もっと罵ってくれ・・・
166名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 00:30:13 ID:M8po2ETg
やっちまった・・・orz
よりにもよってキモ姉妹スレに誤爆するなんて・・・
167名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 00:32:01 ID:qjPdj1AZ
>>166
なんだただのMか
168名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 03:08:20 ID:HdI0xKAY
>>166
妹に30分罵倒されるCDでも借りてこい
169変名おじさん ◆lnx8.6adM2 :2008/03/15(土) 03:27:19 ID:SoGLKtpt
投下します
しかしどう頑張っても8レスに収まらないので、
起きている方がいらっしゃいましたら出来れば支援を頂きたく

それからグロ描写注意です
個人的にはグロくないと思いますが、以前ご指摘を頂いたので念のため
170ちゅー音の多い料理店:2008/03/15(土) 03:29:33 ID:SoGLKtpt
「ちゅーーーっ!」

今日も、厨房にいつもと同じ声が響く。
合わされた唇がきゅっと窄められるとこちらの唇が強く吸われ、
ぱっと吸引を止んだら次は啄むみたいに何度か軽く押し付けられる。
どんな食材とも違う人間の、多分女の子に独特の柔らかな唇の感触。
マシュマロに似ていて、だけどずっとしっとりとしている。

「────────っぷはあ♪」

そんなことを考える余裕が生まれるくらいには、
目の前で堪能したとでも言いたげな顔をする妹とキスをするのにも慣れてしまった。

「えっへっへぇ。それじゃあご馳走様でしたお兄ちゃん!
 お兄ちゃん分補給率ひゃっく☆ぱあせんと!
 元気復活した千癒(ちゆ)は早速戦線に復帰するでありますっ!」

妹は肩が重くなった気がするこっちとは対象に輝きそうな顔で敬礼をすると、
今もお腹を空かせて待っているだろうお客さんの下へと駆けて行った。
途中、装飾が多いのに露出度が高いウェイトレス用の制服から、ふりふりと揺れるスカートの中が覗きそうになる。
思わず溜息を吐こうとして、今は蓋を取った鍋の前にいることを思い出した僕はもう一度首を横に曲げた。



ここはさして広くもない、こじんまりとした料理店。
ずっと料理人を目指してきた僕がこのお店を開いてから、もうそれなりの月日が流れた。
同時に、美味しい料理を作ればお客さんが来るわけではないと知ってからも。
自分の料理を過信している訳じゃない。
自分より人気のあるお店と食べ比べてみて、今まで育ててきた舌で出した答えだ。
同じくらいの味の料理が並んでいる場合、当然だけどお客さんは味以外でどちらを食べるか決める。
それは値段だったり、その時の流行や、一緒に居る人といった状況による。
例えば、どんなに美味しくても恋人との外食でラーメンを選ぶ人はあまりいない。
僕はそういった料理そのもの以外に対する嗅覚が鈍かった。
僕みたいなようやく一人前になったばかりの料理人に集められる開店資金では、
あまりいい立地で店を構えることが出来なかったせいもある。
世の中には僕と同じ料理の腕と、僕以上に出す料理を選ぶ優れた感覚を持っている人がいた。
今、お店の経営は、あまり上手くいっていない。
元々規模を小さく、出来るだけ自分一人でやっていけるように店を構えたおかげで、
お客さんの入りの悪さが即致命的な打撃になることはないけれど。
それも長く続けば話は別だ。
実際にはそこまで悪い状況にはなっていないけど、
今の僕が客寄せから配膳まで調理以外の全てを一人でやってくれている妹にかなり助けられているのは確かだった。
妹は僕の料理が大好きで、普通に考えればかなり安い給料で働いてくれている。
どんな商売でも必ず頭を悩ませる人件費。
これが余所に比べて安上がりなっていなければ、この店はとっくに潰れていたに違いない。
妹の存在がこの店を支えていると言っても過言ではないだろう。

────その代わり、何故か妹はそれを盾に頻繁にキスをせがんでくるけれど、背に腹はかえられない。
この料理店が潰れるということは、僕の夢が終わるということだから。

思えば僕が料理人を目指したのも、
昔、今よりずっと小さかった妹が僕の料理を美味しいと言ってくれたのがきっかけだった。
母さんが早くに亡くなって、
それまでの二人分の稼ぎを父さん一人が背負うようになって、それで僕がせめて家事だけでもやろうと決めて。
妹が僕の料理を我慢せずに食べるようになったのはいつからだったか。
最後には僕の作った料理以外は口にしないと言って、
後で知ったことだけど、学校の給食に一切手をつけずに終わっているくらいだった。
家では僕が作るし、給食の年齢を卒業してからは毎日僕のお弁当、今はお店で余った材料で作る料理。
考えてみると、妹の食事は全て僕が用意している。
171ちゅー音の多い料理店:2008/03/15(土) 03:32:53 ID:SoGLKtpt
(またか・・・っ!)

言いかけて、何とか歯を食いしばって飲み込んだ。周囲のテーブルには他のお客さんの姿がある。
店の責任者として、下手なことは言えない。

「ではお客様、お会計をお願いしまーす。
 警察沙汰にはしませんから、しっかり払って下さいね?」
「い、いいよいいよぅ。おじさん、幾らでも払うからねぇ・・・・・・うひっ!」

よく肥えた牛みたいな動きでのっそりと起き上がったお客さんは、
隣にいる僕に構わずに妹の誘導に従って歩き出した。
妹は既にレジの前に移動している。
蟹股になったお客さんは懐を探ってから手汗に濡れたお札を出すと、お釣りも受け取らずによたよたと店を出る。
気のせいか、蹴られたはずの股間を抑える手が前後に動いていた。
その姿を見送って、胸に岩塩でも詰めたみたいな溜息が出る。

「にへへー。オーナー、千癒が心配で見に来てくれたんだ? 嬉しいな♪」

妹はお客さん達の前では二人が兄妹であることを思わせるような言動は取らない。
厨房では呼ばれない呼び方に振り向くと、いつの間に来たのか、まだ膝をついたままの僕をにこにこと見下ろす妹。
こっちが立ち上がると曲げられた背が伸び、表情はそのままで僕を見上げる。
胸に深く切れ込みを入れたエプロン。
上向かせた首と一緒に張られた胸のせいで、その谷間の先が見えてしまいそうだった。

「千癒。もう、その制服は止めた方がいいんじゃないか?
 最近、特にああいう・・・・・・その、セクハラが増えてきたけど」
「だいじょうぶっ!
 触られる前に潰せば害はないし、ちゃんとお金は落として行ってくれるから。
 あの手のタイプは程々にあしらえば常連になりやすいし。
 幾らお金を落としてくれても、オーナー以外に玉のお肌を許す気はないけどねっ♪」

その常連になりやすいのが問題なんだけど、妹は明るく笑ってくるりと回って見せた。
ひらりと、フリルでデコレートしたスカートが舞う。

「・・・・・・」

周囲から注がれる視線が、むしろさっきの騒ぎの時よりも強くなるのが分かった。
鋭さを感じるのに、どこかドロドロとした湿気と粘りを持っていて、熱い。あの男性客と同じだ。
僕の背中を貫いて妹を目指そうとする視線が、
そこら中に座っているあの男と同じような風貌のお客さん達から注がれている。
妹の姿を、その露出の多い制服から覗く体を目当てに集まった人達。
大部分は大人しくて、無害で、意外に置いてあるアンケートにもマメな答えを書いてくれるけど、
それでも僕の料理を目当てに来ている訳ではない『お客さん』達だ。
おかげで、最近は本当に調理をしている間でも気が抜けない。
今のところ妹自身が被害を受ける前に撃退しているとは言え、
兄として、今も妹に助けられている一人の料理人として気が気でなく、
ついつい理由を付けて妹の働く姿を覗きに行くくらいだ。
それに。
思えば、このお店の客層がそういうお客さんで固定されてから、女性客はほとんど来なくなってしまった。

「それにね?
 おに────オーナー、千癒がこういうカッコしてると、心配でついつい見に来ちゃうでしょ?」

なのに。
当の妹は、それを理解していてこんなことを言う。
女性客のことも、
『千癒に聞けばいいの。千癒も女だもん。それも、誰よりもずぅっと沢山お兄ちゃんの料理を食べてきた』、
なんて言うくらいだ。

「それとも・・・千癒を見に来るのは、心配だからなだけじゃなかったり?」
172ちゅー音の多い料理店:2008/03/15(土) 03:34:42 ID:SoGLKtpt
ほんの少し下がって背を傾けた妹が、丁度僕の視線の直線上になるよう位置に胸を置く。
指で引かれた薄布が肌から離れた。
二つ。大きな曲線の先についた小さな突起が目に入る。
後ろでは、残った手で摘み上げたスカートがひらひらと揺らされていた。

「ば、馬鹿っ! そんな訳ないだろっ!?」

周囲で興奮のどよめきが起こったけど、それを気にする余裕もなく叫んでしまった。
叫びながら咄嗟にそらしたつもりで、瞳の中には見せられた光景が焼きついている。
妹の笑い声が、顔の代わりに向けた耳へと入って来た。

「えっへっへ。心配だから、っていうトコは否定しないんだー」

甘い、角砂糖を転がしたみたいに高くよく響く笑い声。
反論はしないけど、目を合わせて肯定する気にもなれない。

「っ・・・それは、そうだよ。はあ。
 もういい・・・・・・僕は厨房に戻るから、千癒も仕事を続けてくれ」

そっぽを向いたままでそう言って、歩き出────────そうとして、捕まれた腕が邪魔をした。

「ちゅーーーーっ♪」

反射で振り向いたのがいけなかった。唇が柔らかい何かとぶつかる。
鼻の触れる距離にある、瞳を輝かせた妹の顔。
はっ、として吐き出した息が吸い込まれた。
吸い付かれたま、代わりと言わんばかりに何かが挿し込まれる。
口内に分け入ったそれが好き勝手に跳ね回り、僕の歯や歯茎、歯列の間に身を擦らせた。

「ひゆっ!」
「ちゅうううううぅぅぅぅぅっっ!!」

唐突にキスをしてきた妹を引き剥がそうとして、密着しているせいで簡単にいかない。
それどころか身長差を埋めつつ僕に張り付くために両腕両足で抱きついた妹のせいでバランスを崩し、
辺りのテーブルに並べた料理の皿を盛大に鳴らしてしまった。

「っつ・・・!?」
「もうっ、────ったら、本当に可愛いんだから♪」

咄嗟に背中を床に向けて倒れる。ガンと響く痛みの中で、一箇所だけ拘束が解かれた。
頭の中の痛みが、吸い込んだ酸素の美味しさに和らぐ。

「でもね?」

照明を後光のように浴びて、妹の笑顔がすぐ上にあった。
回された両腕も外され、硬い膝の感触が腰の両脇にある。
微かな光と一緒に注がれる、妹の視線。濁っているのに、怖いくらいにぎらぎらと輝いている。
気の遠くなるような時間ずっと何かを煮詰めたみたいな、さっきまでの男性客達のそれよりもずっと熱い、目。

「そんなに心配なら、千癒が誰のモノなのかを皆に教えちゃえばいいんだよ」

起き上がろうとして、両肩に一つずつ添えられた手に阻まれた。

「千癒が誰を好きで、誰に愛されてるのか。
 二人の間には隙間なんてなくて、この世でたった一人、
 千癒の愛する人以外は千癒に触れられないんだって、教えて上げればいいの。
 だからね? 丁度、人も多いみたいだし」
173ちゅー音の多い料理店:2008/03/15(土) 03:35:56 ID:SoGLKtpt
僕は妹に格安で働いてもらっている代わりに妹のキスに応じるという、
相手から強引に売り込んできたとは言えかなり変わった約束をしてはいるけれど。
そのセリフは果たして、セクハラ防止のために『そういうこと』にするためのものなのか。
首を巡らせた妹が、深く、僕の瞳を見詰める。

「集まってるお客さん達も、どうせそういうのが目的だから」

覆いかぶさる様にして胸を擦り付けると、僕にだけ微笑んで、僕にだけ聞こえる距離で囁いた。

「Get chu♪」

それは違う。
僕はそう言いたくて、だけど歯止めを失った妹は、僕にまともな発音を許してくれなかった。

「ちゅう、ちゅう、ちゅーーーーっ♪♪♪」

比較的、いつものことではあるけれど。今日は特別多く、それも人前で、僕のお店にこの声が響いた。



「つ、疲れた・・・・・・」

ステーキ数人前分は痩せたんじゃないかと思いながら、今日の店仕舞いを終えた僕はげっそりと呟いた。
もう手羽先の骨一本分の出汁だって出ない。コシのないヨレヨレの麺状態だ。
搾り取られるという表現の意味を体感した気がする。

「千癒も無茶をするよ・・・」

あの後。
何故か白熱する男性客達の前で数分に渡って僕の酸素と言葉を奪い続けた妹は、
天日干しの出来そうな晴れやかな顔で仕事を上がった。
僕は明日の分の仕込があるので、もう一頑張りしてからの帰宅となる。

「・・・・・・おや?」

と、包丁が一本足りないことに気が付いた。
足りないのは使用頻度が一番低い一本だけど、命ともいえる仕事道具を失くしたとあっては一大事である。
何処にやったかと大慌てて厨房を駆け回ること一分、自分が間抜けだったことに気が付いた。

「そっか。千癒に貸してやったんだっけ」

何で忘れていたのか。記憶まで妹に吸われてしまった気がする。
そう言えば、職場の影響を受けたのか急に自分も料理を覚えたいと言った妹に請われて貸してしまっていたのだ。
それならそれで僕に教わればいいのだろうけれど、
素人が曲がりなりにもプロである人間にいきなりマンツーマンで教わるのは敷居が高いらしく、
しばらく自主的に練習をしてから見てくれればいい、ということだった。
貸したのはいつ頃だったかな。
あまり上達されると、ただでさえ調理や仕入れ以外を妹に任せている僕の存在意義が無くなってしまうのだけど。

「まあ、そのうち聞いてみればいいか・・・・・・」

もう、考え事に回す体力も惜しい。
今日は余計な消耗があった分、仕込みの最中に集中力を切らさないように気を付けないといけない。
明日もお店は、僕の料理店は開くのだから。
そう思い、僕は今日あった色々なことも含めて頭から閉め出すことにした。
たとえ誰が相手でも、来てくれたお客さんには自分に出来る最高の料理を。
もう自分の手みたいに馴染んだ包丁を握る。
食材毎に違う、一定の切るリズム。一つ息を吐いて、僕はその中に埋没していった。
174名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 03:41:37 ID:I/ZYZHR8
支援
175名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 04:41:02 ID:1FVbB3Yw
紫煙が必要なのか?
176ちゅー音の多い料理店:2008/03/15(土) 04:41:51 ID:SoGLKtpt
「ちゅっ☆」

キレイなキレイな銀色の刃。
愛するお兄ちゃんがずっと使ってきた、お兄ちゃんが料理を作る手伝いを沢山してきた包丁。
その、きっとお兄ちゃんの手の汗で汚れて、お兄ちゃんの手との摩擦ですり減った、
お兄ちゃんの努力を受け止めてきた木の柄にちゅーをする。

「にへへ。お兄ちゃんの味」

舌を出して、ちょっと波みたいになってる模様に沿って鉄の部分をなめてみる。

「えへへ。お兄ちゃんの料理の、味」

千癒の大好きな味。千癒の体を作っている、味。
千癒はお兄ちゃんの料理を食べてから、今までずっとこの味だけを食べてきた。
お兄ちゃんの汗とか唾とか、それからお兄ちゃんが作ってくれた色々な料理。
千癒を生かしてきた食べ物。それ以外の物なんて、いらない。
学校の先生は、お残しはいけませんって、それだけしか言わなかったけど。
千癒は給食なんて食べなくても死ななかったし、お兄ちゃんの料理を残したことはない。
今でも学校の先生は嫌いだ。大嫌い。
お兄ちゃんの料理だけで生きていける千癒に、
自分の体をお兄ちゃんの料理だけで作りたかった千癒に、いつも吐き気のするものばかり食べさせようとしたから。
でも。一個だけ。お残しはいけませんっていう言葉だけには、納得してる。

「────────あ」

いけないいけない。
考え事をしていた、ううん、それともお兄ちゃんの味で興奮しちゃったからかな?
思っていたより早く相手の所に着いちゃった。

「ちょっとそこ行くおブタさん」

お兄ちゃんの包丁みたいにキラキラ光るお星様でいっぱいの夜空。
お兄ちゃんが次の日の料理の準備を始める、もう外をあんまり人が歩かなくなる時間。
遠くまで続くイカスミのスープみたいに真っ黒な道の上で、ムダなお肉ばっかりを横に詰めた背中に声をかけた。

「っ!? ・・・? ・・・・・・あ、あれぇ?」

首から上に遅れて、ハムみたいな体が振り向いた。ふしゅーっと、ヤカンみたいに息を吐く。
夜になって涼しくなっても油みたいな汗だらけの顔。
今日、お兄ちゃんのお店でセクハラしようとした時にお股を蹴ってやった、男のお客さんだ。
でも、先月くらいからよくお店に来てたからお金になってたけどそれも今日で終わりだし、
顔も名前もあんまり憶えてないから面倒だしブタでいいや。

「ぐふふ。だだ、誰かと思えばちゅーたんじゃあないかぁ」

ブタが、お兄ちゃんのお店に来る男のお客さんが勝手につけた千癒の愛称を呼ぶ。
きっと千癒っていう名前と、お兄ちゃんとよくちゅーをしてることからつけたんだろう。
鈍ちんなお兄ちゃんが気付いてないだけで、
千癒とお兄ちゃんがしょっちゅう厨房でちゅーをしてることはお客さんに結構知られてる。
悲しいけど、今のところお兄ちゃんのお店に来るのは、
お兄ちゃんを誘惑するための衣装を着た千癒と、お兄ちゃんとのちゅーシーンを目当てにしてるバカばかり。
流行のスイーツ(笑)とか目当てなだけのクソ猫どもが来るよりはずっといいけど、
お兄ちゃんが不満に思ってるのは知ってる。
ああ。可哀想なお兄ちゃん。
177ちゅー音の多い料理店:2008/03/15(土) 04:43:16 ID:SoGLKtpt
「こ、こここんな所でどうしたのかなあ? うへっ、へへへ。
 もし、もしかして昼間のお詫びをしようとおじさんを追いかけてきたとか、かな?
 うひっ! ひひっ! あぁ、でもブタ呼ばわりはひどいなぁ」

折角お兄ちゃんのことを考えていたのに、気持ち悪いブタの声で中断された。
どうしたらこんな声が出せるのかって思うくらい。
お兄ちゃんの声や、お兄ちゃんが食材を切る時の澄んだ包丁の音とは大違いだ。
吐き気がする。

────────いいや、さっさと殺っちゃおう。

「ちゅーっ♪」

お兄ちゃんの包丁にちゅーをして、お兄ちゃんの柔らかい唇にする時みたいに吸う。
薄いけど、口の中に伝わってくるお兄ちゃんの汗の味と、匂い。
それだけで、すぐに千癒の体はあったかくなる。

「ああああれええ? ででも、ちゅちゅちゅーたん、そう言えばその手に持ってるモノは────」

ブタが何か言っているけど、お兄ちゃんを感じている千癒には邪魔。
殺しちゃうのに遠慮はいらない。だから体は簡単に動いた。

お兄ちゃんの体から出るものとお兄ちゃんの料理だけを食べて生きてきた千癒の体は、
お兄ちゃんの味や匂いを感じると、ぽかぽかしてじんじんして、とってもリラックスする。
体が軽くなって柔らかくなって、必要な時に、必要な場所に必要なだけ力が入るようになって、
こういう時の千癒は、パワーアップアイテムを食べたヒーローになった感じ。
お兄ちゃんを大好きな千癒は、お兄ちゃんの一部やお兄ちゃんの料理を食べて強くなる。

「────────あれ?」

急にアップになった千癒の顔に驚いたブタが鳴いた。それ以上は許さない。
左手でブタの頭に生えた体毛を掴んで引っ張り、
右手で切りやすくなったブタの首にお兄ちゃんが研ぎに研いだ包丁を入れる。
さくりと音がしそうな感触がして、何て言うのかな? 豚肉の首の部分がかなり切れた。
引っ張る左手の勢いをそのままに、踏みつけていたブタの両肩を思い切り蹴って跳ぶ。
やっとブタの顔が動いた。なんだか変な形に歪む。汗を上にのっけた唇が開こうとする。
でも、遅い。みりみり。ぶちぶち。
ジャンプと一緒に引っ張ったブタの頭が取れた。千癒も地面に近付きながらブタの体から離れる。
途中でブタの頭を横に放り捨てるのも忘れない。
お兄ちゃんの包丁だけ落とさないようにして、足が着いてから急いで後ろに下がる。
すると、ブタの体から噴水が上がった。びゅーびゅーって。
真っ赤な水溜まりを作りながら、豚肉の血抜きが始まる。物凄い勢い。
お兄ちゃんのために夜なべして作った服にかからないよう、念のため後ろにもう何歩か。
安全な場所に移動してから見ると、勢いが凄かった分、噴水が弱くなるのも早かった。
飽きるヒマもないくらいの間に、もうほとんど勢いが止まってしまう。
残ったのは火の消えた花火みたいな、ブタの首無し死体だけ。

「ん。処理、終わり」

あんまりやったぞ、っていう感じがしないけど、一応は言ってみる。
やっぱり詰まらなかった。けど、大体いつもこんなものだから仕方がない。

「お残しはいけません」

それっぽく決めてみる。出来ればお兄ちゃんに見て欲しかった。
178名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 04:47:57 ID:1FVbB3Yw
C円
179名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 04:51:35 ID:1FVbB3Yw
私怨って1人でも大丈夫なのかな
180ちゅー音の多い料理店:2008/03/15(土) 04:53:11 ID:SoGLKtpt
このブタの罪は、今日、お兄ちゃんの作った料理を残したままお兄ちゃんのお店を出たこと。
いつもはちゃんと食べてたけど、セクハラをしようとした今日は食べかけのままだった。
だから、判決は死刑。
千癒のお兄ちゃんが苦労して作った料理を残した奴が平気な顔をしているなんて許せない。
昔、学校に通っていた千癒はどんなに食べたくてもお昼にはお兄ちゃんの料理が食べられなかった。
お兄ちゃんは給食を食べなさいって言って、お昼だけは千癒のご飯を作ってくれなかったから。
残したくても、残すものがない。
ひもじくてひもじくて、でも千癒はそれを頑張って我慢しているのに、
先生達はゴミみたいな給食を食べさせようとしてばかり。
あの頃、千癒には毎日のお昼の時間は戦いだった。

お兄ちゃんがお店を開いた今でも、本当はお兄ちゃんには千癒のご飯だけを作っていて欲しい。
学校に通っていた時も、学校を卒業してからも、千癒はお兄ちゃんの作った料理だけを食べてきた。
お兄ちゃんだって嬉しかったはずだ。
料理の学校に通っている時だって、一日に一回、必ず千癒のお弁当だけは作ってくれた。
だけど。
お兄ちゃんは、千癒以外の人にも料理を食べて欲しいみたい。
自分の作った料理を食べて喜んでいる人を見ると、お兄ちゃんはとても嬉しそうな顔になる。
お兄ちゃんが幸せなら、千癒は我慢する。ううん、して来た。
その反対に、お兄ちゃんが悲しんだら、千癒は我慢しない。
頑張って作った料理を残されたお兄ちゃんはつらそうな顔をする。
千癒なら、お兄ちゃんの料理を残したりしないのに。
本当は、誰にもお兄ちゃんの料理を食べさせたくないのに。
お兄ちゃんの嬉しそうな顔も、お兄ちゃんの料理も、お兄ちゃんも、独り占めしたいのに。

だから、判決は死刑。
千癒が独り占めを我慢してるお兄ちゃんの料理を残してお兄ちゃんを悲しませる奴は、千癒がぜーんぶ捌いちゃう。
お兄ちゃんに借りた包丁で。

「ちゅっ!」

持ってきた布でブタの血を取ってから包丁にちゅーをする。
キレイになった包丁は、お月様に照らすとキラキラと輝いた。
刃の部分に、にっこり笑った千癒の顔が映ってる。

「えっへっへぇ。よーし! 残り七人。千癒は頑張るからね、お兄ちゃーん!」

お兄ちゃんの包丁にちゅーをすると、また元気が湧いてきた。
今日、お残しをしたのはあと七人。全員住んでる場所は分かってる。
お兄ちゃんは嫌がるけど、お客さんが常連ばかりになるとこういう時に便利だ。
調べるのが楽ちんで助かる。

「ちゅーーーーーーーーっ♪」

早く済ませて、帰ってお兄ちゃんと一緒に寝ようっと。
仕込の終わったお兄ちゃんは疲れてるから、後で同じお布団に入ってもなかなか気付かない。
お兄ちゃんと見る夢は、いつだって最高に気持ちがいい。
あったかいお兄ちゃんの体に抱きついて、それから朝起きたときにおはようのちゅーをするのを想像した千癒は、
我慢できなくなってついお兄ちゃんの包丁にまたちゅーをしてしまった。

大丈夫。七人なんてあっという間。さっさと終わらせて、すぐに帰るからね?
だから、お布団に入った千癒を抱っこして、
朝起きたらおはようございますを言って、それからまた美味しい朝ご飯を作ってね、お兄ちゃん♪
181名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 04:54:04 ID:1FVbB3Yw
試演
182変名おじさん ◆lnx8.6adM2 :2008/03/15(土) 04:56:25 ID:SoGLKtpt
投下終了です

支援して下さった方々、本当にありがとうごさいました
私はjaneを使用しているのですが、書き込み終了と出るのに書き込まれていない状態で大混乱
実家のパソコンを使用中ですが、どうも調子がおかしいみたいです
ご迷惑をおかけしました
では
183名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 04:58:57 ID:1FVbB3Yw
>>182
投下GJ&乙〜
さて通りすがりは帰りますかね
184名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 05:03:27 ID:SoGLKtpt
よく見てみると支援はほとんど一人
>>174の方、>>183の方、ありがとうございました
185名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 05:24:46 ID:4dsk07Ss
>>182千癒koeeeeeeeeeeeee!!!!!!
某忍者番組の『お残しゆるしまへんでー』てレベルじゃねえぞ!!!
 
いやぁ、新鮮で良いSSですね。物語全体がかなり狂ってて(いい意味)で読みながら、かなり興奮した。超GJ!
 
俺も是非この料理店に行ってお残ししてこないとな!
186名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 06:25:50 ID:e9hj/xxb
きのうの3月14日、
「ホワイトデーにね、私、お兄ちゃんの赤ちゃんがほしいな。てへっ☆」
という電波を受信してたのに……

ヤ○オクの無料出品デーとかで
嫁がパソコンを占拠していて書けなかったんだよぅ(泣

キモウトに嫁をk(ry
しに来てほしいとは口を裂かれても言わんがな
187名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 09:13:21 ID:sP8WiKXL
っていうか、>>186にはそもそも妹さんがいるのですか?
188名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 10:02:44 ID:UrOuOBzV
>>186の嫁はキモ姉だったんだよ、昔。

で年の離れた(15・6才?)キモウトもいると。


ウラヤマシス……
189名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 10:35:54 ID:I+fXroeA
>>182
お見事です。特にこの絶妙のグロさ加減が。修羅場に初挑戦したらスプラッタに
なって困ってしまっている未熟者としては、うらやましい限りOTZ
190名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 12:22:08 ID:SMH9KBYq
>>182
koeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee
191名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 13:45:16 ID:YxebYIeO
>>182
GJ!ただ、すぐ足が付きそうだな
192名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 16:00:07 ID:5lZw0w8e
>>191
バカめ。このSSでは神がキモウトに殺人の権利を許可しておられるのよ。
193名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 16:55:18 ID:0z+KLaue
>>182
GJ!
これの他の話とかも気になるような話ですね
194名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 18:12:21 ID:I/ZYZHR8
>>182
GJ!「Get chu♪」のセンスに脱帽
195名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 21:36:05 ID:3MNr2m4F
おじさんまだいたのか。
よほど居場所がないんだね。
196名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 22:45:46 ID:vaI9mSgL
お さん
  ど      ん


おさんどん!!
197名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 23:11:16 ID:sP8WiKXL
近親相姦の弱点は公にできないこと
以前愛し合う兄妹でセックスしてたらそれを見たDQNに脅されて、
妹が輪姦寝取られなんてとんでもない漫画見て鬱になった事がある

そこんところキモウトやキモ姉はどうだろう?
自分が兄弟に惚れているor関係を持ってることをネタに脅されたら
198名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 23:13:32 ID:FsEbg31i
>>197
男に死亡フラグたつ
199名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 23:35:43 ID:aDwAKVa7
相手が一人なら殺すだろうけど……大勢ならどうかな?
心中かなあ。
200名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 23:42:04 ID:YxebYIeO
銀行襲って高飛び!
201名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 00:11:52 ID:YCAC/LbL
>>199
そこで相手が大勢だろうとも○してしまえるほどの戦闘力があるのがキモ姉キモウト
202名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 00:16:57 ID:92/Lk0oB
秘密を守れないほど大勢に知られたら、開き直って公表しちゃうとか、
どこか別の土地に移るとか、愛しい人を地下室に監禁して隠れ住むとか…
203名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 00:30:35 ID:4+oCMWOs
最初から隠さない
204名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 00:33:33 ID:92/Lk0oB
それだ!
「近親相姦しちゃうような男、誰も相手にしないわよ。もう、お兄ちゃんには私しかいないのよ」
という使い方も出来る。世間?何それ?美味しいの?
205名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 00:37:10 ID:uVx3Hb4+
どうでもいいが、となグラのキモウトが可愛い嫉妬しているわけだがw
206名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 03:00:14 ID:9tSgMjPk
>>197
詳細
207名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 08:09:07 ID:0F0fbpon
>>206
何でわざわざ不愉快な漫画に金を払わにゃならん
立ち読みだ立ち読み
一々内容なんて覚えてねーよ
208名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 09:00:53 ID:OUVMT7KW
まあそんな展開はエロゲじゃありふれているけどな
209名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 15:08:33 ID:ic+gSPZ0
サスペンスでは殺人の動機の六割は脅迫されたからだよな
210名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 17:21:57 ID:qCll+E5m
未完成の作品多いな
以前ワクテカリスト張ってた人いたけど、今つくったら大変そうだ
211ハルとちぃの夢:2008/03/16(日) 20:35:35 ID:e9X1ti2f
投下します。
212ハルとちぃの夢:2008/03/16(日) 20:44:24 ID:e9X1ti2f
 「どうするかなあ?」
 自室にて、遥が小声で呟く。

 遥は、既に兄を襲った相手を特定している。
 今までの言動、
 智佳が言っていた丁寧な言葉遣いをする同じ学校の生徒、
 そして、今日に嗅いだ匂い、
 それらが遥に、ある一人の人物を想定させていた。
 遠藤久美、
 少々変わった友人。
 「どう始末を着けようかな?」
 遥が、小さく首を傾げた。

 かつての、横山楓のように殺すのは、それほど難しくはない。
 あの時と違い、遥は久美の事をある程度は把握しているのだから。

 それでも遥は、あの時と同じ手段を取る事を躊躇していた。
 久美が同級生、
 だからではない。
 ”人の死”
 それが兄にどんな影響を及ぼすか、
 それが想像出来ないだけに、
 怖かった。

 楓という人間の死が兄に与えた影響、
 それは、自分と兄との間に、血縁だけではない大きな壁を作ってしまったのだ。
 その壁は、遥の望みを妨げている。

 そして、もう一つの理由を言うなら、
 久美が最後まで出来ていない、
 その事実に、自信がもてるからだ。

 通常、移り香が残る程に男女が近くに居続ける状況なら、
 ある程度の知識がある人間なら、大概が同じ答えをだすだろう。
 遥は、おそらくは智佳もその答えを導き出している、そう考えている。
 だが、遥はその答えを否定する事が出来る。
 楓の死が与えた後遺症が、
 自分だけが癒やせる、
 そんな根拠のない自信がある、兄の傷。
 その存在を遥は知っているから。
 とはいえ、兄に何らかの危害を加えた久美を、遥は許す気はない。

 「ちぃちゃんと協力して…」
 そこまで言いかけて、遥は口を止めた。

 もう一人の自分が、まるで悪魔の様に、囁きかけてきた言葉がある。
 それを実行すれば、兄は完全に壊れるかも知れない。
 だが、そうなれば、自分だけの兄に、
 兄貴から康彦へと、変られるチャンスにもなる。
 そこまで考えた自分に気付き、その考えを否定する為に、遥は大きく首を振った。
 まだ、その手段をとるのは早い。
 全てを終えていない今は。
213ハルとちぃの夢:2008/03/16(日) 20:45:19 ID:e9X1ti2f
 智佳は小さく溜め息を吐く。
 今回の出来事に対して。

 全てが分かる訳ではないが、智佳にはある程度の想像がついた。
 兄が、誰かの悩みを聞くうちに、その誰かを惚れさせてしまった、
 そんな簡単な事実。

 今、智佳が吐いた溜め息は、そんな事実に対してのものではない。
 遥に対してのものだ。

 智佳は遥の存在を認めている。
 実行力と勘の鋭さ、
 その二つは自分にはないものだ。
 だからこそ、智佳は遥と共闘しているのだ。

 だが、遥には遥の甘さがあった。
 身内を疑いきれない、
 そんな甘さが。
 それが智佳には、不満でもあり、物足りなさでもあった。

 今回の事、
 おそらくこれは、遥の友人から起こした出来事だろう、
 智佳はそこまで確信がもてる。
 そして、その友人とやらは、それなりの信号を発していたはずだ、
 智佳はそう考える。

 「もう要らないかな」
 小さく呟いた智佳の一言、
 その言葉には、人に言えない暗さが宿っていた。
214ハルとちぃの夢:2008/03/16(日) 20:46:33 ID:e9X1ti2f
 妹、久美の様子を見た早紀は、久美が何をしてきたのか、察する事が出来た。

 久美が、あの”先輩”と何かをした。

 具体的な説明は出来ないものの、そこはある程度以上に経験を積んだ、女の直感とでも言うべきものか。

 その上で早紀は悩んでいる。
 鈴に、あの先輩に惚れている友人になんと説明すべきかを。

 話さなければ良い、
 そんな考えは鈴からの電話、そして鈴からふられた話で駄目になった。


 「妹ちゃん、そこまでいったんだぁ…」
 「いや、そうじゃなくてさ、あの子は…」
 力無く言う鈴の言葉に、早紀は懸命に反論の言葉を捜す。

 鈴の口車に乗せられて言ってしまった一言、
 それを否定する為に、早紀は必死だった。

 「私は別に良いんだよぉ?」
 「早紀ちゃんの妹さんが幸せになるなら…」
 何かを悟ったように、優しく言う鈴に、早紀は言葉もなかった。

 「鈴…」
 言葉を詰まらせながら言うべき一言を考える。
 二人の恋愛を応援しようと決めたのだから。

 「そんなに気にしなくても、大丈夫だよぉ」
 早紀の胸中を察するように、鈴が優しい言葉を出す。
 「私はそんなに辛くないからあ!」
 そういう鈴の言葉は、早紀にはやせ我慢に聞こえた。

 「でも…」
 「大丈夫、大丈夫だからねえ!」
 何かを言いたかった早紀に、鈴はそれだけ言うと、焦る様に電話を切った。

 それが早紀には辛く感じていた。
215ハルとちぃの夢:2008/03/16(日) 20:48:20 ID:e9X1ti2f
 「ヤったんだあ、あの子ぉ…」
 電話を切った鈴が、一人呟く。

 「妹さん達ぃ、気付くだろうなあ…」
 その言葉は鈴に笑いをもたらした。

 そして鈴は目を閉じる。
 中学の時、初めて康彦に会ったあの日、
 自分を受け入れてくれそうな相手を見つけられた歓喜。
 それからは、康彦から決して離れない様に過ごしてきた日々、

 「辛かったなあ」
 過去を思い出して、思わずそんな言葉が口に出る。

 「でもぉ、もう終わりだよねえ…」
 歪んだ唇、濁った光を宿した瞳、
 それ以上は表現し難い顔を鈴はしている。

 久美という女がした行動に自分の夢を邪魔している存在がこれからするであろう行為、
 それに対して早紀がするだろうという報復、
 その二つを考えた鈴は思わず、
 「先輩、壊れちゃうかなあ」
 そう言ってしまった。

 ニヤけた顔は止まらない。

 「そしたらあ、私だけの先輩に…」
 その言葉が鈴の興奮を強めたのか、吐息が荒くなっていた。

 そんな自分を、鈴は懸命に押さえ込んだ。

 今回は決定的な証拠を掴んで、それを上手く早紀に使わせなくてはいけないのだから。

 難しい作業だとは鈴も思う。
 しかし、その先に待ってる未来は、鈴が待ち望んだ未来だった。
216ハルとちぃの夢:2008/03/16(日) 20:49:04 ID:e9X1ti2f
投下終了です。

217名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 21:31:19 ID:mc81RGtJ
一番槍GJ!
ああ、何か新鮮だ。鈴が黒杉
218名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 21:34:46 ID:/AGmoj7e
GJ!
読んでると、遥がある意味一番白いんじゃ無いかと思えてきた。
…まぁある意味だけど、つーかみんな黒い!黒いよ!
219名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 21:45:57 ID:XUfV40xn
久しぶり!
投下乙グッジョブ
220名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 22:03:04 ID:7rAsg58l
もうお兄ちゃんには生き残る道が残されてないんじゃないだろうかとw何はともあれGJ!!
221名無しさん@ピンキー:2008/03/16(日) 22:22:04 ID:hcC4uZZR
GJだがみんなこわいwww
こっからどうなるんだ…
222名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 02:10:30 ID:nRByoxAa
GJ!
しかしまあここはキモ姉&キモウトスレだからな
そういう意味では安心して読める…よね?
223名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 05:44:20 ID:aCdeT5WN
224名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 16:09:47 ID:DvfNpALE
>>220
お兄ちゃんに生きる意志が無いからむしろ本望だな
225名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 16:55:17 ID:3BCtyKaU
31歳男性が実妹(二十代前半)との間に、4人の子供をもうけた罪で、禁固二年半の有罪判決(ドイツ)
http://same.u.la/test/r.so/news24.2ch.net/news5plus/1205427267/l10 

226名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 18:42:59 ID:xDjnPn5+
携帯(笑)
227名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 18:50:03 ID:ZFbDLIOF
保管庫って毎日千人超の訪問者がいるようだが、2ch以外からのROMもいるんだろうか
228名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 19:33:18 ID:mUvH0Ep7
その1/10は俺だな・・・
229名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 20:06:17 ID:/rJdPJdD
1/5はおれだなぁ
230名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 20:19:29 ID:oxoQymmz
リンク見る限り検索サイトとか、まとめサイトのまとめとかから着てる様子
とはいえ、あのカウンターはあまり当てにならんけどな
リロードや戻るでTOP表示されるたびに1回カウントされるし
実際の3割り増しくらいじゃないか?多分だが
231名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 20:35:05 ID:FUP9sgwr
LV、0 気が向いたら保管庫を見てる
LV、1 気がついたら保管庫を見てた
LV、2 もう保管庫がないと生きていけない
LV、3 キモ姉・キモウトに対抗するために保管庫で勉強してる。もしくは、弟・兄をものにするため保管庫で勉強してる
LV、4 隣にいるキモ姉・キモウトに保管庫を無理やり見させられて、姉・妹の素晴らしさを延々と語られている
LV、5 LV、4でキモ姉・キモウトの素晴らしさに目覚めました
232名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 22:16:07 ID:UaUbayG4
LV2と3の間には永遠の隔たりがあると思うんだがww
233名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 23:11:49 ID:F//VX/vn
俺はどう頑張ってもLV2だ…orz
234名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 00:04:05 ID:KRtxXYLt
>>231
キモ姉妹的にはだな、たとえ例だとしてもほかの女を兄弟に注目させるのはどーかと思うんだ
235名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 00:07:48 ID:CZ2VNLWA
兄弟が、ほかの女のことを注目するように仕向ける、ぐらいの意味で。
わかりにくうてすまん
236名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 01:19:08 ID:0U/FVmDh
幸せになるための教科書ぐらいの感覚を持つキモ姉妹がいてもいいじゃないか
兄妹の本来あるべき姿を兄に知ってもらうためにも
だけど、>>235の主張ももっともなんだけどな
ネタなんだし深く考えなくていいんじゃないか
237名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 02:23:40 ID:dqdGKogi
まあ、教材とか兄・弟の啓蒙用に使うくらいはありそうだな






そして、後に「じゃあ、もうこれは用済みね」とか言って全消去・・・・・・
238名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 05:42:44 ID:ZYSYdLOl
働きすぎで不覚にも風邪を引いて寝込んでしまった

こんな時でもキモ姉と盗聴器で風邪を引いたと聞いて駆け付けた従姉妹のキモ姉がやってきて・・・・

なんて考える俺はもうダメだ
239名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 07:29:58 ID:rALD+3hL
>>238
変じゃないよ!
全然変じゃないよ!
240名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 08:49:15 ID:ECC+xvEb
おかしくないだろ…常考
241名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 11:09:26 ID:6b1jV90m
>>238
花粉がキモウトに擬人化してくれればって思う俺よりかはマシ。

冷静に考えると擬人化すればキモウトが1cuに100人も現れるんだよな。
そしたらこのスレ1人に5人くらいキモウトが出来るね!
5人のキモウトを交互に可愛がりたい(*´Д`)
242名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 12:12:24 ID:O5HGhvY2
昔の映画みたいに、プールに入って無限増殖とか素敵よね
243名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 12:16:18 ID:yWY1/F3S
>>241
永遠の花粉症で干からびてしまえ
244名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 12:49:28 ID:Keia+uBk
花粉キモウト注意報だな
245名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 13:08:14 ID:+gGDniVr
>>242
あと夜中の12時以降に食事を与えたら駄目だぜ
246名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 14:52:14 ID:JMWlWxyA
>>241
普通に気色悪いな
247名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 15:35:23 ID:2ecmDtXs
ドラえもんにバイバインという道具があってですね。
これを使えばキモ姉キモウトハーレムなんてすぐ現実になる。
248名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 16:22:32 ID:rALD+3hL
増えるのはいいんだがそのあと誰が兄・弟を独り占めするかで血闘が起こりそうな件
249名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 16:34:53 ID:NbDngDHR
バイバインは「増え続ける」薬品だから、血闘で間引かれないと地球が
キモ姉妹に埋め尽くされる。
250名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 17:12:21 ID:epGQ1BbZ
お前ら大切なキモ姉、キモウトを増やすとか間引くとかひどいぞ!
俺は1人でもいいから一途に思ってくれるキモ姉、キモウトがいればいい!
251名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 18:23:57 ID:ECC+xvEb
まず姉妹がいないから欲しい
話しはそこからだ
252名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 19:13:00 ID:k7rbg0/C
SSで我慢しとけ。
リアルの姉なんぞ碌なもんじゃない
253名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 19:42:22 ID:yWY1/F3S
鴨肉食べたいです
254名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 21:07:55 ID:Ck9+l3bp
酒はぬるめの燗でいいのです
255名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 22:06:17 ID:zGfDqk5T
コタツで食べると尚おいしい
256名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 22:31:12 ID:g7sBY+5S
エバラやきにくのタレ
257名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 22:34:28 ID:9cn++axx
>>254
「お姉ちゃんの胸でお燗したお酒にするよね〜」

「私の胎内で暖めたぬる燗にしますよね兄さん。……ちょっと別の物混じってますけど」

どっちなんだ?
258名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 22:44:41 ID:eYMniSAk
>>257
俺はお姉ちゃんの方を選ぶぜ!
おっぱい!おっぱい!!!(AAry)
259名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 23:16:24 ID:YTAVOMce
キモウトは俺がもらっていきますね
260名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 00:29:00 ID:Acve7ptG
>>253
私の兄は従妹(と言っても血はつながっていない)と結婚しました。
私から見て従妹改め兄嫁に言わせると、この結婚最大の利点は
「親戚付き合いが圧倒的に楽」なことだそうです。
261名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 07:59:58 ID:HpFZauD9
羨ましくなるからやめてくれ現実の話は
262名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 11:35:15 ID:KDioNn1F
羨ましがられたいからやってるんだろう
263名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 14:09:52 ID:QBK7jRTF
>>260
昔って従姉妹同士の結婚が流行ってたらしいね。うちの田舎は5代昔、兄妹けこーんもあったらしいし。
兄妹で子供作ると奇形が70%天才が70%の確率で生まれるらしいね・・・。
264名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 15:30:03 ID:zFgiB7se
血の繋がった夫婦はパーセンテージ越えの奇跡も起こすのか
265名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 15:38:59 ID:0MIv4pEZ
奇形と甜菜の形質が被るのか?
266名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 15:53:58 ID:tpvobr1Q
>>260
            ___
           ,r'     `ヽ、
          ,i"        ゙;
          !.(●)   (●),!
          ゝ_      _,r''
         /  ;;;;;;  ・・ ;;;;) <それは報告しなくてもいいです。
         /          (_
        |    f\ トェェェイノ     ̄`丶.
        |    |  ヽ__ノー─-- 、_  )
.        |  |            /  /
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        /  ノ           |   ,'
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     _ノ /              ,ノ 〈
    (  〈              ヽ.__ \
     ヽ._>              \__)
267名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 16:11:14 ID:27a5qJ+p
近親相姦で奇形が生まれやすいのは都市伝説じゃなかったっけ
あれはキリスト教的倫理観から生まれたものだったと聞いたような
268名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 17:08:44 ID:0MIv4pEZ
遺伝の勉強した?
269名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 17:18:08 ID:v09kARxs
おいおい、キミたちが子創りする訳じゃないのだから控えたまえ
270名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 17:23:22 ID:/yaagAtN
兄弟で子作りすると遺伝子に問題が出る確率はなんと10倍にもなります、絶対にやめましょう!
1/100000→1/10000だけどな〜
271名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 17:25:55 ID:v09kARxs
>>270
つっこんでもいいか?
272名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 17:38:47 ID:GYXHeRda
>>271
俺の尻になら
273名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 18:03:35 ID:2dCdM/A3
一卵性双生児の姉弟で子供作ったらどうなるんだろう?
274名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 18:07:52 ID:G9pWa0YG
基本的に一卵性双生児の性別は同じなので、子作りはできない。
数年前に男女の例があったと聞いたような気もするが。
まあ、その場合は少なくとも性別に関連する遺伝子が何か変異してるだろうから
厳密には御求めのような例にならないだろう。
275名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 18:17:41 ID:2dCdM/A3
確か3、4例あったと記憶してたんだが、やっぱりそうなんだ
つまらん
276名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 19:04:48 ID:2cKha8dq
田舎で従兄妹同士の結婚があるのは流行じゃありません。
一族婚と言って文化的なものです。

簡単に言うと、嫁に出すと嫁入り道具や持参金で一族の資産が減るので、
一族内で娶れば資産は動くだけで減らないというもの
277名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 19:13:25 ID:bWQXl8ZZ
>>268
遺伝子の勉強をするからこそ都市伝説になるんだが
278名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 21:18:01 ID:iV/LIS1X
HRスレで同じ議論をやってる
279名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 22:33:01 ID:/jr7f50b
ちとグロいかもしれんが、スコットランドのソニー・ビーン一族は
近親相姦を繰り返して3世代作ってる。
善悪は別にして、何の問題もないと認識してるがね。まあググってくれ
280名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 01:04:19 ID:btVWIE8D
もっとたくさんの例がないとなんともいえない
文系だから統計的にどれだけの数を調べなければならないかはわからないけど、その一族の話だけで結論はだせないことぐらいはわかる
281名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 03:11:01 ID:ASJwK/DW
実際奇形が産まれてもそれが近親相姦が原因だとは限らないからな
近親相姦で出来た子供に奇形が多いというデータは無いはず
282名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 04:34:29 ID:D8z8zKrC
奇形だのなんだのリアルでのことなんざ知ったことじゃないよ。

俺は職人さんたちの書いてくれたSSに萌えられればそれでいい。
それだけさ。
二次元で萌えられればそれでいいのさ。

小難しい話はここら辺で打ち切って、SSをマターリと待とうぜ。
283名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 05:13:26 ID:P/5eG7wP
>>282よし、二次元だな。ならば、夢の中でキモウトを作成してきゃっきゃうふふしてくるぜ。
監禁だろうが拷問だろうがバッチこいやぁ!
284名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 05:33:59 ID:hyijxwfR
しかし>>283の夢に出てきたのはキモ姉だった!!

「お仕置きするわよ…」

>>283は恐怖で立ちすくんでいる!!
285名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 05:52:45 ID:0ot0Pk+8
二卵性の男女の双子と知り合いの俺としては、一卵性にこだわる必要はないと思ってる
286名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 07:06:04 ID:tkZ4u8W8
>>285
もぉ、いつまでも一つのことに執着してるとお姉ちゃんが


お   仕  置  き 
しちゃうぞ?
287名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 07:43:28 ID:yXYHpQ3x
まあ実際、奇形が生まれる心配なんてほとんどないんだがな
雷が鳴ってる時に立っているだけか手を上げてるかで雷が落ちてくるかどうかってレベル
確かに確率は上がるが現実に起きるというわけじゃない

現に俺の義兄の弟と妹が作っちゃった子供はまともに育ってもう小学生だ
288名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 08:32:32 ID:l+uqqbGC
>俺の義兄の弟と妹
えっと、つまり、姉の夫の弟と妹ってことかね?
しかし釣りくせえな
289名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 09:07:52 ID:Rn3OOMzo
>>285
IDが少し惜しい
290名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 11:08:39 ID:Q8VS7uTy
そしてこの流れを収拾するかのように投下ラッシュが・・・
291名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 11:22:22 ID:4XxnWBh5
くるといいなぁ
292名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 13:26:19 ID:tdfuKrln
ごめん、今他のスレに投下する分を書いてるんだ。
なんて言うと、浮気者ぉとか言われてキモウトに監禁されるだろうか?
293名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 13:46:28 ID:4XxnWBh5
忘れられてて気を悪くした姉が・・・
294名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 17:40:44 ID:l+uqqbGC
くどいかもしれんが最後に言わせてくれ

キモ姉の熱愛を避けようと、
「俺が姉ちゃんとセックスしたら奇形の赤ちゃんが産まれちゃうだろ?」
なんて根拠のない迷信を言い訳にしたために、


医師免許を持つキモ姉がいつの間にかパイプカット
295名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 17:46:43 ID:nUNxyz7A
>>294
そこはむしろ「そう思う? じゃあ実験してみようか」だろう。
296名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 18:31:01 ID:z+8NWwot
あんまり投下がないようだから言ってやる。

俺の妹は俺のことをいつも名前で呼ぶんだよ。それは別にここのスレみたいに「実は兄のことを……」みたいな感じじゃなくて
ただ単に小さい頃からの慣れでそうなっている。

少し前のことだ。俺の彼女は偶然にも妹と同じ名前で『綾』というんだが、
綾が言い出したことがきっかけだった。
「そういえば今日、家に出る時にお兄ちゃんがさー……」
「おまwww お兄ちゃんてwww」
「え? 何?」
「いや……今時、お兄ちゃんていう妹初めて見たよ」
「私、昔からお兄ちゃんって言ってるけど」
「何!?」
俺は驚いた。
その時俺は自分の家のことだけを考えていたので、お兄ちゃんという一人称はエロゲの中だけだと思っていたんだ。
だから、つい。
「ちょ……お兄ちゃんって俺のこと呼んでくれね?」
って言ってしまった。
すると彼女は、
「は?」
と、かなり引いた目で見てくる。
まあ、当たり前だ。いきなり彼氏にお兄ちゃんと呼べ、なんていわれたら引くだろう。
しかし俺は、妹がいながらもお兄ちゃんと呼んでもらえない現状に不満を感じていたから、
エロゲとかタンスにめちゃあるのがバレないように、と願いながらも粘った。
「一回だけ!!……は駄目だな。三回だけ、頼む」
「三回って……やだよ」
「おま! それぐらいのこと!!」
「それぐらいって……妹さんに言ってもらえばいいじゃん」
「それが出来たらお前なんぞに頼むわけが……あれ?綾のお兄さんの名前、何だっけ?」
「お兄ちゃんの? あきらだけd」
「その感じ!!」
「え?」
「その感じで頼む」
「……」
こいつ、というよな目が俺を非難してきたが、このスレの住人である俺はあえて気にしない。
すると、綾がボソッと言ったんだ。
「お兄ちゃん、キモーイ」
「!!!!」

こ れ は

きもい、がつけられているのにこの甘美な響き。まさに妹の代名詞。
調子に乗った俺はセクロスの時もお兄ちゃんと呼ばせた。

数日後。


妹の綾は俺のことをお兄ちゃんと呼ぶようになり、

彼女の綾はブラコンになった。
297名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 18:37:36 ID:l+uqqbGC
一言言わせてくれ



それはキモウトじゃなくてキモ兄だ
298名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 18:54:34 ID:rrojxTJk
>>296
ワロタ
299名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 21:37:20 ID:VaaI6Qas
これは自業自得な寝取られ
と言うか彼女さんが気の毒すぎるw
300名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 22:08:29 ID:sWJeovxY
>>296
ん?……彼女はともかく、妹さんが呼び方を変えた理由が気になるな
301名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 22:19:53 ID:v92xAW5H
>>296の妹と恋人の名前に過剰反応したのは俺だけじゃ無いはずだ
302名無しさん@ピンキー:2008/03/20(木) 22:22:18 ID:TLSE7ZtL
>>300
自宅でヤる時に
兄が綾の名を呼びながら、
で彼女に「お兄ちゃん」って呼ばせながらしてたんだろ
で隣の部屋で妹が聞いてたとかじゃねえの

303名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 00:21:50 ID:l5W+FoBg
>>302

・・・・逆に身の危険を感じないか?
304 ◆busttRe346 :2008/03/21(金) 00:48:00 ID:OKA/aIsf
投下します〜
305ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.:2008/03/21(金) 00:49:01 ID:OKA/aIsf
六話



昨夜から降り続いている雨のおかげで、予定していた『森の中で素敵なサムシングを見つけよう』ピクニックはおしゃかになってしまいました。
「腹減った〜。今日の晩ご飯は何?」
お行儀の悪いヘンゼルお兄ちゃんは、スプーンで皿を叩きながら催促します。
「今日はローストビーフだよ♪あと、ミネストローネもね!」
魔法熟女リリカルお姉さんは、大きなかまどから焼きあがったパンを取り出します。ふっくらとしたパンからは、バターの良い香りがします。
グレーテルも、思わず涎を垂らしそうになりました。しかし今はパンに気を取られてはいけないのです。
(やっぱり…あのクスリを入れるとしたら…ミネストローネでしょうね…)
グレーテルは名残惜しそうに焼きたてじゃパンから目を離し、お姉さんの一挙一動に注意を払います。
「とっとこーはしるよハメ太郎♪やっぱりーねとるよハメ太郎♪だーいすきなのはー♪てーつかずのめすー♪」
聴くに耐えない歌を歌いながら、お姉さんはスープをそれぞれの皿に盛ります。そして真ん中の皿に紫色の液体を入れました。
(入れた―――!!今、入れた―――!!)
しかしお姉さんの手はそこで止まりませんでした。さらに、右隣りの皿にも紫汁を入れたのです。
それを各々の前に置き、
「さあ!召し上がれ♪」
と素敵な笑顔で言いました。
「お兄ちゃん、ちょっと待っ」
「うっし!!いただきまぁぁぁぁす!!」
ヘンゼルはよりにもよってミネストローネを真っ先に口に入れました。
「あ、ああ……」
(食べちゃった…。どうしよう…)
横目でお姉さんを覗くと、物凄い目でヘンゼルの食事を見ていました。明らかに発情しています。媚薬なんて必要なさそうな勢いです。
(どうしようどうしようどうしよう…考えろ、考えろグレーテル!!)
その時グレーテルの脳内に素敵な紳士が現れ、彼女に語りかけてきました。
―――逆に考えるんだ。お兄ちゃんが発情しているなら君が犯される可能性もあると―――

「それだッ!!」

「な、なんだ!?」
「何が?」
二人のびっくりした声で、グレーテルは我に返りました。
「あ…えっと…その…何でもない」
危ない危ない。あまりにナイスなアイディアだったものだから、つい興奮してしまいました。心の中で紳士にお礼を言いつつ、グレーテルはパンに手を伸ばしました。
とりあえず腹ごしらえです。これから体力を使うのですから。



306ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.:2008/03/21(金) 00:51:04 ID:OKA/aIsf
食べ始めてから三十分程経ったでしょうか。
ヘンゼルお兄ちゃんとお姉さんの様子が目に見えておかしくなってきました。肌は赤く色付き、目は虚ろ、口も半開きでたまに涎が垂れそうになっています。
そしてそんな相手の姿を見ては、手を下腹部に這わせようとします。
お姉さんも頃合と見たのでしょう。
「わたしぃ…おふろ、はいってくりゅ…」
熱にうかされた顔でお風呂場へと歩き出します。
そんなお姉さんの後ろ姿を見るヘンゼルお兄ちゃんの目は、ぎらぎらと血走っています。
(さあグレーテル!!ここからは時間との勝負よ!!)
己に喝を入れると、グレーテルは笑顔を浮かべてお姉さんの後を追います。
「私も一緒に入るー!!」
お姉さんの頭の中はもうヘンゼルとのセックスの事でいっぱいです。
「ええ、そうね。いらっしゃい…」
グレーテルに生返事を寄越すと、さっさと服を脱ぎ始めました。
正直、この後の事をグレーテルは思い出したくありません。媚薬の効果があまりに強烈で、お姉さんがすぐさまシャワーオナニーを始めてしまったからです。
グレーテルはお姉さんの淫らなアへ声を聞きながら黙々と体を洗いました。
「じゃっ!!私、先に上がってるね!!」
シャワーの水圧を全開にして股間に当てているお姉さんを置き去りに、グレーテルは風呂場を飛び出しました。
「あんッ!!あ、あ、あん…グレーテルちゃん、か、風邪ひかないように…ふぁッ!!ちゃんと髪乾かすのよ!?ああああ!!イくッ!!もうイくッ!!」
ドアを閉め、近くにあった洗濯機をドアの前まで動かします。これでしばらくは時間が稼げるでしょう。
「…どうぞ、ごゆっくり…」
洗面台の鏡に映るグレーテルの笑顔は、なかなかに凶悪でした。



さて、ところかわってヘンゼルの部屋は異様な熱気に包まれていました。熱を放出しているのは、もちろんヘンゼルお兄ちゃんです。
媚薬を盛られた事に気付いていないヘンゼルは、(随分溜まってたんだなぁ…)くらいの事しか思わず、一心不乱に自家発電に勤しんでいました。
ヘンゼルは“そういう行為”をする時、何故か全裸になる癖がありました。そうしないと集中できないのです。
そんなこんなで数えて六回目の絶頂に至った時、ヘンゼルの部屋にやってきた人間がいました。
「お兄ちゃん…?」
「うわっほーい!!ノックもしないで入ってくるんじゃねええぇぇぇぇ!!」
307ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.:2008/03/21(金) 00:53:21 ID:OKA/aIsf
ヘンゼルは凄まじいスピードで布団を被りましたが、時すでに遅し。グレーテルの目は、ヘンゼルお兄ちゃんのてぃむてぃむをしっかりと捉えていました。
(やっぱり…でっかいなぁ…お兄ちゃんのアレ…)
グレーテルは思わず唾を飲み込みました。
「んで…どうした、グレーテル?何か用か?」
いつもよりも口調がキツめです。さっさとソロライブの続きをしたいのでしょう。
「……んとね、何だか…寂しくなっちゃって…。今日はお兄ちゃんと一緒に寝たい…」
鏡の前で何度も練習した上目遣いを発動させて、ヘンゼルにおねだりします。
ヘンゼルはその一言で冷静になりました。
(そうか…。普段はしっかりしてるけど…。やっぱり寂しいんだな。そりゃそうだよな……。こんな小さいのに、親に捨てられて、もう家族は俺一人しかいないんだもんな…)
ヘンゼルは確かに駄目な男です。頭は良くないし、全体的に不真面目だし、下品だし、なによりニー…ゴホン、翼の折れた堕天使です。
それでも、家族愛だけは人一倍強いのがこのヘンゼルという青年でした。
布団の中で器用に服を着ると、
「よし、今日は一緒に寝るか!!おいで、グレーテル!!」



―――計画通り!!!



グレーテルはほくそ笑みます。さあ、後は存分に見せつけてやりましょう。身の程知らずの泥棒牛にヘンゼルが誰の所有物なのか、を。
「わーい!お兄ちゃああああん!」
グレーテルは無邪気にヘンゼルのベッドへとダイブしました。そしてヘンゼルお兄ちゃんの腕に、ぎゅっと抱きつきます。
ヘンゼルが頭を優しく撫でてくれます。グレーテルは嬉しくなって、さらに力強く抱きつくのでした。

「ヘンゼルくぅん…」

お姉さんのとろっとろに溶けた声が聞こえてきたのは、そんな時でした。腰をガクガクと震わせながら透け透けのネグリジェ姿で、お姉さんがやってきます。
「ね、ねぇ…?ヘンゼル君…。少しお話しない…?」
その淫らな姿に、ヘンゼルの目は釘付けです。
そんな中、グレーテルは眉をひそめていました。
(何…?この匂い…。何かが発酵したような…)
そしてグレーテルは気付きました。ネグリジェの向こうに見えるお姉さんの太股に、何か液体の筋が伝っているのを。
―――この女…!!どこまで変態なのよ…!?
お姉さんはヘンゼルの姿を見た瞬間、イってしまっていたのでした。その匂いはヘンゼルにも届いているに違いありません。
308ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.:2008/03/21(金) 00:55:28 ID:OKA/aIsf
(こんなジメジメ乳牛の匂いでお兄ちゃんの鼻を汚させるもんですか!!)
「ね、ねぇ…へんぜるくぅん…」
お姉さんは涎を零してヘンゼルに手を伸ばします。
―――パシンッ!
グレーテルがその手を払いのけました。ヘンゼルもお姉さんも予想外の乱入者に驚き、口をあんぐり開けたまま停止しています。
「お兄ちゃんは、今日疲れてるんです。だから今日は私と一緒にぐっすり寝るんです!ね!お兄ちゃん?」
いきなり話を振られたヘンゼルは慌てて、
「あ、いや少しくらいならだいじょ…」
「じゃあもっと疲れちゃえ!!」
グレーテルはお兄ちゃんの腰にしがみつき、顔を擦りつけます。
「お兄ちゃん大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き!!」
頬をぐりぐりと押しつけます。腰にしがみついている訳ですから、当然、グレーテルの顔にはヘンゼルの卍解した斬魄刀が当たります。
「おひょっ…!!」
ヘンゼルは唐突に訪れた刺激に反応して、妙な呻き声を上げます。
「へんぜるくぅん…」
「大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き」
リズムに乗るぜ!と言わんばかりにグレーテルの動きは加速します。
「おい、こら、グレー…あひょおおお!!」
未知の刺激に、ヘンゼルお兄ちゃんはまともに喋る事すらままなりません。そのうえ、媚薬の効果は依然継続中なものですから、意識も朦朧としてきました。
もはやネグリジェお姉さんなど眼中にありません。ヘンゼルは目の前の快楽を貪る事しか頭にありませんでした。
「大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好きー!!」
ぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐり。
ズボン越しでも、お兄ちゃんの限界が近い事が分かります。ツン、としたアルカリ臭がグレーテルの鼻をかすめます。
(このままいっちゃえっ♪)
ソフトオンデマンド総監修、最新式キモウト型バイブレーターの前に、お兄ちゃんの大紅蓮絶倫丸は成す術なく火を噴きました。
「はふぅッ…!!」
ヘンゼルの腰が痙攣しています。ズボンの中から粘ついた水音が聞こえてきます。
「ふひひ…」
グレーテルはその匂いを嗅ぎ、しばしうっとりとした後、素知らぬフリでヘンゼルに話しかけます。
309ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.:2008/03/21(金) 00:57:30 ID:OKA/aIsf
「お兄ちゃん、すっごいぐったりしてるよ?大丈夫〜?」
「やべぇ…いもうとマジやべぇ…パネェパネェ…」
ヘンゼルは焦点の定まらない目でそう呟き、半ば気絶するように眠りにつきました。
「あ、あれ…?寝ちゃった…」
(今夜は最後までするつもりだったのに…)
残念そうに溜め息をつき、ふと部屋を見回すといつの間にかお姉さんはいなくなっていました。
「…ま、お兄ちゃんの貞操は守ったし、今回はこれで良しとするか。でも…」
そうそう、「二人で」する作業は終わってもグレーテル「一人で」やる作業はまだ終わっていません。
「ちゃあんと綺麗にしたげるからねぇ〜…♪」
ヘンゼルのズボンを下ろし、ぐちょぐちょになったジュニアを取り出します。
「硬くなってないのに…こんなにおっきいの…」
ヘンゼルJr.を見つめ、改めてその大きさに驚きます。
(もしコレが入ったきたら…。うわあああぁぁぁぁ恥ずかしいッ!!とっても恥ずかしいッ!!)
グレーテルは元来恥ずかしがり屋さんです。脇の匂いを嗅ぐとか、乳首を吸うとか、陰毛を咥えるとかは出来ても、セックスなんてそんな恥ずかしい事出来ません。出来るわけがありません。
「入れるのは…もう少し待っててね、お兄ちゃんっ……はむっ!」
グレーテルはそれが実現する日を想いながら、かいがいしくお掃除をするのでした。



310ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.:2008/03/21(金) 00:59:35 ID:OKA/aIsf
お姉さんは放心状態でふらふらと自室に戻ってきました。
そして机の引きだしから例の紙切れを取り出すと、猛然と自慰を始めます。
「ふぅッ…あんっ…あ、あ、あ、あ、あのクソアマぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
邪魔しやがって!!アタシとヘンゼル君の邪魔を…あ、そこキモチイイッ…!!ぶち殺す…ッ!絶対ぶち殺す…ッ!!でもン゛ギモ゛ヂイ゛イ゛…ッ!」
紙切れを見つめ、グレーテルへの怨み言を吐きながら指を動かします。続けて、紙切れに話しかけます。
「ねえ…酷いのよ…グレーテルちゃんたら、私とあなたの邪魔をするの…ん、ああ…そこ、もっと舐めてぇ…。
あんなつるぺた女なんかに触られたって嬉しくなんかないよね…?そうよね?いらないよね、あんな妹はいらないよね?んん、もう少し…ッ!!もう少しで…!!」
ぴちゃ、ぴちゃ、と音を立てて紙切れを舐めます。
「私をお風呂に閉じ込めて、その間にヘンゼル君を誘惑するなんて許せない。ヘンゼル君だって辛かったでしょ…?あんな色気もクソもない女じゃ…ふあぁぁ…ッ!激しいッ!!壊れちゃうよ!!
ねえ、殺しちゃお…?私がいっぱいいっぱい愛してあげるから…。まな板娘なんかじゃ出来ないこといっぱいしてあげるから…んんッ!!」
油性マジックで紙切れに何かを書き込みます。
『お世話になりました』の文字の横にふきだしが描かれ、その中にはある文章が書き込まれていました。

『そうだね、ころしちゃおう』

と。
「ああん!やっぱりヘンゼル君もそう思ってくれてたのね!!嬉しい!!はぁんッ…!全部終わったら…んふ、んふふふふふふふふふふふ…あはははははははははははぁぁぁぁ…イ…イくッ…!!」
お姉さんは体を小刻みに震わせながら、昇天しました。
涎でべちょべちょになった紙切れに新たに書き込まれた文字は、静かに滲んでいくのでした。



311ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.:2008/03/21(金) 01:01:15 ID:OKA/aIsf
翌日。
(今年は暖冬になるのかな…)
もう冬も間近だというのに、振ってくるのは雨ばかり。雪が好きなグレーテルとしては残念でなりません。しかし、そんな些細な出来事で今のグレーテルは憂鬱になりません。
グレーテルの顔はツヤツヤです。きっと昨日、高濃度のたんぱく質を摂取したからです。隣ではげっそりしたヘンゼルお兄ちゃんが眠り続けています。
「お兄ちゃんの寝顔…ぬへ、ぬへへ…」
昨日あれだけ発散したというのに、またいたずらしたくなってきてしまいました。恋とは恐ろしいものです。グレーテルはヘンゼルの乳首に爪を立ててバッテン印をつけてやりました。
ヘンゼルのやつれ顔に、ほんの少し精気が戻ってきたように見えます。グレーテルは乳首からおへそへと舌を這わせ、さらに下半身へと…いこうとして、気付きました。
とても良い匂いがします。これはパンを焼いている匂いです。お腹がぐぅ、と鳴りました。
「奴隷牛も役に立つことあるのね…。パンを焼く腕前だけはプロ級だわ…」
色気より食い気、センシィティブなお年頃のグレーテルはリビングへと向かいました。後には、Tシャツをまくられた情けないヘンゼルだけが残されました。
リビングでは、お姉さんがいつも通り朝食の準備をしていました。見たところ様子はいつもと変わりありません。
(これは演技…?それとも本当に気にしていないのかしら?)
「お姉さん、おはよー!!」
元気良く挨拶をしながら、グレーテルは椅子に座ります。
「あら、グレーテルちゃん、おはよう!!」
お姉さんも笑顔で応えます。
朝ご飯のメニューはピザトーストにクラムチャウダーでした。グレーテルの大好物です。
「ヘンゼル君はまだ寝てるの?」
「うん。疲れがとれないみたい」
「そう…じゃあもう少し寝させてあげましょう」
お姉さんも椅子に座り、二人は向かい合って「いただきます」をします。
グレーテルは早速クラムチャウダーに手をつけました。素晴らしい味です。クノール社も真っ青な味付けです。やはり手作りに勝る味はないという事でしょう。
「ねぇ、グレーテルちゃん…」
「ズズッ…ムガホフ…なぁに、お姉さん?」
グレーテルは、スプーンを動かす手は止めずに返事をします。
「私ね…。昨日はとっても悔しかったわ」
お姉さんの声が急に低くなります。
312ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.:2008/03/21(金) 01:02:44 ID:OKA/aIsf
「……。腐れ牛にはお兄ちゃんはもったいないもの。他人のモノを盗っちゃ駄目って教わらなかった…?」
グレーテルも負けじと言い返します。
「ふふっ…、他人のモノ…ねぇ…」
「でも私、グレーテルちゃんが生まれる前から彼と知り合いなの…。だから泥棒はグレーテルちゃんの方なのよ…?」
グレーテルの手がぴたりと止まります。
「何言ってるの…?あんた…」
「私と彼はずーっとずーっとずーっとずーっとずーっとずーっと昔から知り合いなの…」
グレーテルの頭は混乱するばかりです。それに、さっきからスプーンがやたらと重くかんじます。
(頭おかしくなっちゃったのかしら…この女…)
「だからね、グレーテルちゃんにも味わってもらおうと思うの…」
瞼も重いし、座っているのも怠いのです。一体、グレーテルの体はどうなってしまったのでしょう。
「自分のモノを奪われた人の気持ちを、ね…」
グレーテルの体は椅子から落ち、床にごろりと転がりました。

―――しまった…一服盛られた…!!

自分を見下ろす、魔女の真っ黒な瞳を見つめながら、グレーテルの意識は深い深い奈落の底へと落ちていくのでした。
313 ◆busttRe346 :2008/03/21(金) 01:03:34 ID:OKA/aIsf
投下終了です。
314名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 01:11:32 ID:O1Pi2vbx
>>313
GJ!
315名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 01:13:16 ID:hBaktBKE
GJ!
魔法熟女で吹いた!
316名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 03:41:56 ID:wrmLONnB
GJ!!マジパネェパネェwwwマジキメェキメェwwwww
317名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 04:24:55 ID:UsmM7OJK
> 「自分のモノを奪われた人の気持ちを、ね…」

ということは、まだ毒薬ではなく痺れ薬とかで、
魔法熟女はヘンデルとのセクースをグレーテルに見せつける気なのか……

イチコロで効く青酸とかだと、さすがに話が続かないからな(汗
318名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 05:13:54 ID:dDu687Cp
>>312
GJ、久々にキモさで目眩が……w
319名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 08:17:40 ID:jECgyrwB
GJ!
しかしまさか、魔女の正体はヘンゼルの姉だったりしないだろうな・・・?
320名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 08:48:41 ID:vX+/jSIX
GJ!
大紅蓮絶倫丸にくそ吹いたwww
オサレすぎるwww
321名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 10:07:53 ID:TqzErCdq
ちょっwwジョースター卿なにやってんすかwww
322名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 15:54:10 ID:9aB8eQGR
>>313
キタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!

>―――計画通り!!!

ちょw
323名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 17:15:16 ID:vfacaTav
>>313
GJすぎてなんと言っていいやら。
ただこれ読んでると興奮すればいいのか腹抱えて笑えばいいのかわからなくなるから困るwwww
324 ◆a.WIk69zxM :2008/03/21(金) 19:37:53 ID:0n5Kv67J
 
投下します。
非エロ。14レス予定。
 
325__(仮) (1/14):2008/03/21(金) 19:38:25 ID:0n5Kv67J
 
 
 
 朝の涼やかな風が、開け放たれた窓から網戸越しに遮光カーテンを揺らし、その隙間を縫って、まだ穏やかな夏の陽が
ちらちらと差込む秋巳の部屋。
 時刻は七時半。普段であれば、すでに秋巳は起きている時間であるが、いまは夏休み。
 ベッドの上でタオルケットを抱え込むようにうずくまり、秋巳は静謐な朝の睡眠を気持ちよく貪っていた。
 だから、秋巳の部屋のドアを叩くノックの音も、中に入ってきた人物にも気づかない。
 その人物は、ノックに返事がないことを確認すると、音をほとんど立てずに部屋のドアを開き、
その足音すら敷かれている絨毯に染み込ませながら、静かに秋巳のベッドのもとへ近寄る。

「ねえ。兄さん、朝ですよ。そろそろ起きて、一緒に朝食を摂りませんか?」
 ゆさゆさと、愛しい我が子のゆりかごでも揺らすかのごとく優しく秋巳の腕に手をかけ、そっと声をかけるのは、妹の椿。
「んぅ……」
 わずかに意識が覚醒したのか、未だ夢うつつか、秋巳は息を洩らす。
 無意識に心地良い睡眠から引き戻されまいとしたのか、寝返りを打つ。その結果、起こそうとしている椿の方へ
向くことになったのは、なんとも皮肉であったが。
「ほら。兄さん」
 膝をつき、秋巳の枕もとに顔を近づけて、柔らかく、しとやかに、椿は囁く。
まるでゆっくりと秋巳を夢の世界から現実へと誘うように。
「天気も良いですよ。こんな日に、遅くまで寝ていたら、勿体無いです」
「んぁ……だれ?」
 未だ半分眠った様子ではあったが、近くに人の気配を感じ取ったのか、秋巳は薄目を開き、反射的に呆けた声をあげる。
 それもそうであろう。秋巳が誰かに起こされるなど、ずっとなかったのだから。少なくとも椿とこの家に再び戻ってきてから。
 まだ半覚醒状態の秋巳の思考では、この家に自分を起こしに来られるものなど、ひとりしかいないという結論を
導き出せるはずもない。起こしにくるものなどいない、というのが秋巳の日常なのだ。

 ゆっくり開いた瞳で、90度傾いた目の前の人物の顔を視認すると、秋巳の意識が一気に現実へ呼び戻されたのか、
二、三度おおきく瞬きをした。
 それから、大分はっきりした感覚で、秋巳はまずこう思った。
(――あれ? まだ夢?)
「起きましたか。兄さん」
「……つ、椿?」
「ええ。おはようございます。兄さん」
 その椿の挨拶に返事をすることもなく、秋巳はタオルケットを跳ね除けて上体を起こすと、椿に問いかける。
「ど、どど、どうしたの? なにかあった?」
 火事? 泥棒? なんで椿がここにいるの? いまなん時? ここ自分の部屋だよね?
 秋巳の頭は、ありえない朝の情景に混乱しきっていた。
「もう。まだ寝ぼけているんですか。兄さん。朝ですよ」
 椿は立ち上がると窓際へ寄り、シャッと軽快な響きとともにカーテンを開き、秋巳の目を覚まさせるためか、
朝の陽と空気を窓枠一杯に取り入れる。
 そうして、いまだ現状を理解しきれていない秋巳のもとにもう一度近づくと、少し腰を折り、再度秋巳に挨拶をする。
「おはようございます。兄さん」
「あ、ああ……。お、おはよう。だけど、どうしたの? きょうってなにかあったっけ?」
 漸く異常事態などなく、通常どおりの夏休みの朝を迎えたことを把握した秋巳ではあったが、
椿が自分を起こしに来た理由など、ひとつも思い当たる節がなく、疑問を呈する。
「いえ。いまのところは。兄さんさえ宜しければ、なにかある日にでもしましょうか」
「え?」
「ほら。朝食の準備ができていますから、着替えたら階下(した)に下りてきてくださいね」
 そう穏やかに笑みを浮かべると、踵を返し秋巳の部屋を出て行く椿。
「…………」
 秋巳は、それから五分以上も固まったままであった。
 
326__(仮) (2/14):2008/03/21(金) 19:41:28 ID:0n5Kv67J
 
 
 洗面所で顔を洗い、秋巳が居間へ入ると、珈琲の香りと、食欲をくすぐる焼いたパンとベーコンの匂いに包まれる。
「あらためて、おはようございます。兄さん。朝食の準備ができていますよ。
 いま、珈琲を淹れますから、よければ一緒にいただきましょう」
 台所で珈琲ドリップにお湯を注ぐ椿が、秋巳に食卓につくよう促す。
「う、うん。ありがとう」
 なんとなく釈然としないまま、だがしかし、焦がれていた朝の家族風景という雰囲気に飲まれて、席に座する秋巳。

 いったい椿は、どうしたのだろうか。
 秋巳は、つけられたテレビから流れてくる朝のニュースの内容など全く頭に入らないまま、考える。
 二日前の終業式の日に、一緒に登校しようと椿に誘われた。
 そのときは、驚いたけれども、家に帰ってきてからの椿の態度は、それまでとあまり変わりなく見えたため、
椿の気まぐれだろうかと、秋巳は結論付けていた。
たとえ、一時の気まぐれだろうと、秋巳にとって椿のその行為は喜ばしいものではあったが。

 また、秋巳は椿の態度が変わらないと結論付けたものの、それも他に明確な言動の変化がないからということで、
秋巳がそう己を信じ込ませたのに近かった。
 椿の自分への接し方が、いままでよりちょっと柔らかくなったのではないか、物腰が優しくなったのではないか、
秋巳はなんとなくそう実感したが、期待して裏切られることへの恐怖からそれを否定した。
 椿がたまたま学校に一緒に行こうと誘ってくれたから、浮かれていつもの仕種も自分には欲目でそう見えるだけなのだ。
ひょっとしたら椿が昔みたいに自分に徐々に心を開きつつあるのでは、というありえない夢を見たいがために、
そう感じるだけなのだろう。
 秋巳は、そう考え、そのように納得し、自分を諌めようとしていた。

 そこへ来て、椿のこの行動である。甘い幻想を抱いている自分に、一滴一滴甘い汁を垂らされているかのごとく。
 ただ、心内の葛藤とは別に、秋巳にはもうひとつ懸念が浮かびあがった。
 自分の希望に引きずられた主観を抜いても、椿の態度は、客観的に見て、いままでと異なってきているのではないか。
変化してきているのではないか。特に今日のことを含めれば。
 はっきりと表されたのは、先日の登校の誘いと、今日秋巳の部屋まで起こしに来たこと、
さらには朝食を準備して一緒に摂ろうと言っていること。
 秋巳は、そう心の中でひとつひとつゆっくり吟味する。
 普通の兄妹であれば、まったく疑問を挟む余地などない行動であろう。しかし、秋巳と椿の兄妹は、
いわゆる『普通』とは言えなかった。それを示すかのように、そんなこといままで一度もなかったのだ。
この一年間のふたりの生活の中で。
 椿に心境の変化が起こったとして、それは、彼女にとって良い方なのか、悪い方なのか。
 それが秋巳には心配であった。

 椿になにか良くないことが起こって、その結果の『いま』なのだろうか。
 確かに、いまの方向であるならば、椿の変化は秋巳にとって嬉しいことである。いままで望んでいたことなのだから。
 しかし、それが椿の本意ではないなら――椿が望んでいることでないのなら――そんなことを椿にさせたくなかった。
 秋巳は考える。
 可能性としてはまずありえないだろうが、極端な話、椿が誰かに脅されて、そういう行動を取れと言われて、
嫌々やっているのなら、椿にそんなことをして欲しくない。させたくない。
 あるいは、椿が失恋でもしてショックを受けて、その気晴らしとしてこんな言動に出ているのなら、
秋巳は二重の意味で悲しかった。
 それでも後者であれば――椿の意志で行っているのなら――秋巳は、それを受け入れるであろう。
彼女の言行に一喜一憂している自分を見て、椿が癒されるなら、それは全然構わないことであった。
 
327__(仮) (3/14):2008/03/21(金) 19:43:58 ID:0n5Kv67J
 
 
(だが、椿に直接訊ねてもよいものだろうか――)
 秋巳は悩む。
 たとえ訊ねたとしても、その原因が椿や秋巳にとって良くないものであれば、彼女ははっきり表明しないであろう。
 秋巳にとって、自分が椿に拒否されることが、最悪なのではない。椿が悩みを抱えてるかもしれないのに、
力になれない自分が最悪であった。

(椿の兄である資格など、疾うに失っているのにな……)
 自嘲する秋巳。それでも、椿の力になってやりたい。椿の自分に対する認識が『どうでもいい人』であったとしても。
 秋巳は頭を振って意を決する。
 一度だけ椿本人に、訊こう。
 それで、椿がなにも言ってくれないようであれば、それ以上深くは追求しない。椿が嫌がるだけだ。
 その場合は、誰かに相談でもするしかないのかな。
 秋巳の脳裏に真っ先に思い描く相談相手は、水無都冬真である。しかし、妹自身についての話を持ちかけるとなると、
同性のほうが適任ではないかと思える。自分が直接力になれなくても、椿がその人に相談等できれば、
間接的にでも助けられるのではないか。
 ならば。
 次に頼ることのできそうな相手として、秋巳のなかに浮かんだのは、葉槻透夏と柊神奈であった。
 葉槻透夏は言うまでもない。椿にとって相談相手としては、この上なくベストではないか。むしろ、自分が動かなくても、
椿が相談したければ、椿自らの意思で彼女のもとへ向かうであろう。
 そこで、ふと、秋巳は思考を止める。

 柊神奈――。
 自分は、なぜ、彼女を思い浮かべたのか。確かに、彼女も、椿とはすでに知り合いではある。
だが、特段椿と仲の良い相手というわけでもなく、彼女が椿の相談を受ける義理などないであろう。
 ああ。そうか。
 秋巳は得心する。自分が相談できる相手、として考えたからか。
 そのことがなにを意味しているかまで、秋巳は深く考えなかった。
(――そうだ。あれこれ考えても、まだ椿が悩んでいると決まったわけじゃないし)

「はい。兄さん。珈琲がはいりましたよ」
 秋巳の思索を打ち切るように、椿がカップを秋巳の前に用意された受け皿に置く。カップから立ち上る湯気とともに、
珈琲の芳ばしい香りが秋巳の鼻腔を擽る。
「うん。ありがとう」
「いいえ。それではいただきましょうか」
 そう言って、自分の分のカップを置くと、椿は秋巳の向かいの席につく。
「うん。いただきます」
「はい」
 テレビから流れてくる芸能ニュースを背景音楽に、ふたり銘々食事をしていると、椿が口を開く。
「ねえ。兄さん。先ほどの話ですが」
「さっきの?」
 なんのことだか判らない秋巳。
「ああ。先ほどは、兄さん寝ぼけてましたから、覚えてないのも無理ないですね」
 椿は、パンをちぎろうとしていた手を止めて、会話を続ける。
「兄さんを起こしたときに、問われましたよね。きょうなにかあるのって」
「え……、ああ」
 そういえば、と秋巳は思い出す。椿が起こしに来るなんてなにかあったのかと思い込み、そう訊いたことを。
「なにも、ないんだよね?」
 焼きたてでカリカリのベーコンを箸で抓みながら、念を押す秋巳。
「ええ。いまのところは。だから、なにかある日にしませんか?」
「え?」
 
328__(仮) (4/14):2008/03/21(金) 19:47:04 ID:0n5Kv67J
 
「兄さん、きょうのご予定は?」
「特には、ないけど……」
「私もです。でしたら、どこかへお出かけでもしましょうか?」
 そう提案してくる椿。
 その声色、口調、表情がいつもと同じかどうか、秋巳には判断つかなかった。
「その……、椿と僕で?」
「ええ。誰か他に誘いたい方がいますか?」
「ええ……と、さ。そのまえに、椿、ひとつ訊いていいかな」
 食事中にも関わらず若干乾いたようにぱさつく口内を湿らすために、秋巳は珈琲を一口啜ると、ゆっくりと食卓に置く。
わずかな右手の震えが伝わったのか、カップとソーサーが触れ合うときにカチンと音を鳴らした。
「はい。なんでしょうか?」
「椿は、いま、なにか悩んでることがある?」
 秋巳の質問は端的であった。因果も理由も含めず、彼にとって大事なことだけ。

「兄さんには、私が悩んでいるように見えるのですか?」
 そう訊ねられるのは心外だという意味も含めてだろうか、椿がその瞳を少し見開いて訊ね返す。
「ごめんね。僕には、椿のことがよく判らないんだ。
 僕がなんでこんなことを訊くか椿が判らないのと同じに」
 それは、秋巳が椿の兄という立場を捨てたから。自らの悲しみに呑まれて放棄したから。
自分が受けた仕打ちよりもさらに非道いことを椿に上乗せした結果だから。秋巳はそういう自虐を込めて応じる。
 悲しそうな面持ちをその顔に滲ませる秋巳に対し、椿はまばたきをひとつすると、静かに首を振る。
「いいえ。兄さんが謝ることではありませんよ。それと、兄さんに私のことを
 判っていただけていないのは、残念ですが、私は兄さんのことを判っているつもりですよ」
「え?」
「私のこの二、三日の言動、でしょう? 兄さんが、その疑問を抱くに至った原因は」
「あ、ああ……でも、なんで――」
 その秋巳の疑問に被せて椿が発言する。
「そのくらいしか、思い当たりませんから」
 事もなげに。
「それに、兄妹であっても、親子であっても、恋人同士であっても、
 それこそ双子であったって、お互い相手のことで判らないことがあったり、
 判りあえないことがあるのは当然ですよ。兄さんがそんなに気に病むことはありません。
 だからこそ、ヒトは、言語という素晴らしい意志伝達ツールを発展させてきたのですから。
 訊けばいいのです。伝えればいいのです」

 秋巳は気づかなかった。彼の思いと、いまの状況が逆転していることに。
 秋巳は、椿に悩みがあれば、それを解決してあげたかった。だが、椿に悩みがあるかどうかすら判らないことに苦慮している。
 その秋巳の憂慮を、椿が払拭してあげているのだ。
「兄さんの質問に応えるなら、私に特別な悩みはありませんよ。それは、私も人間ですから、
 全く悩みなしに生きているわけではありませんが、なにかに悩んでいるから、
 兄さんに対する態度が変わったとか、そういうことはありません」
「そう、か。もうひとつ確認させてくれるかな」
 椿のその台詞に背中を押されたのか、さらに真剣な顔で質問を投げかける秋巳。
「ええ。なんでしょうか」
「これは、椿の意に添わないことはない? これは椿の意思?」
「ええ。全く。そもそも、私が本意にそぐわない行動をしたりしたことは、ありませんよ。
 特に兄さんに対して。いまも昔も。そして、これからも」
「そう。椿が不本意でなければ、僕はそれでいいよ。
 椿の望んでいることをやれることが、僕の望みだから」
「と言うわりには、あまり納得された顔をしていませんね」
 椿が、秋巳の面貌を覗き込んで、言う。
 
329__(仮) (5/14):2008/03/21(金) 19:50:23 ID:0n5Kv67J
 
 その言葉は、確かに的を射ていた。秋巳の言に嘘はない。椿が望んでいるなら、秋巳にとってなんら不満はない。
 だが、秋巳には椿がなぜそのような変化に至ったか理由が判らないから、もしかしたら、と考える。
 良い方に考えれば、自分に気を使ってる。悪く取れば、自分には話すに値しない、と。
 そんな秋巳の複雑な心情を、その浮かない憂色から感じ取ったのか、椿は、はあ、と息を吐くと、
少し躊躇った様子でゆっくりと瞳を閉じ言葉を紡ぐ。
「これは……、できれば、あまり言いたくなかったのですが、私も怖かったのです。
 いいえ、おそらくいまでも少し」
「え? ど、どういう……?」
「兄さんは、私の態度が急に変わったことに対して、私がなにか悩みを持っているのかと
 考えていらっしゃるかもしれませんが、逆なのです。
 むしろ、時とともに不安が薄れてきたから、でしょうね。あえて、言語化して述べるなら」
 椿は一息入れるためか、すでに温くなった珈琲の入ったカップに口をつけ、ひと含みする。

「普通の兄妹のように接して、兄さんに、また、その……、以前のような態度をとられるのが」
 いままで怖かったのだ。畏怖していたのだ。だから、いままでのような言動をとっていたのだ。
 椿はそう言う。

「あ……」
 椿のその言葉に、秋巳は頭をガツンと殴られる。この上なく思い知らされる。
 自分の犯した罪が、いかに妹の椿を傷つけたのか。どれほど彼女の心に消えない裂傷を抉ったのか。
 彼女に不本意な態度を強いていたのは、他の誰より秋巳自身であったのだ。
(なにが、椿の悩みを解決してやりたい、だ……)
 誰よりも椿を悩ませたのは、彼女を見捨てた自分なのに。彼女の存在を己の中から消し去った秋巳本人なのに。
「兄さん、勘違いしないでください。それも、私の意志なのです。
 先ほどの言葉に、嘘はありません。私は常に自分が思ったとおりに行動してきました。
 そこに不満はありません。誰に対しても。もちろん、兄さんに対しても」
「でもっ――!」
 椿の台詞を否定して続けようとする秋巳に対し、なにも喋らないで、とばかりに椅子から腰を浮かすと
その冷たい人差し指で、秋巳の口を塞ぐ。
「そんな悲しそうな顔をしないでください。だから、言いたくなかったのです。
 でも、それで黙ったまま兄さんを苛ませるのは、私の望むところではありません。
 その私の気持ちを汲んでくれませんか?」
 それに、と椿は続ける。
「私だって、兄さんを傷つけるような態度をとったこともあったでしょう? 
 私自身の意志で。だから、それはどちらが一方的に悪いとかではないはずです」

 それは違う!
 秋巳は否定したかった。
 彼女自身が受けた迫害を考えれば、そんなこと非にもならない。
 当然の帰結だ。
 秋巳が椿のことを『存在しないもの』として扱ったことで、秋巳は彼女に対して莫大な負債を背負ったのだ。
椿が秋巳の心を蝕んだところで、その正当な貸し付けを返却してもらっているだけなのだ。
 実際には、秋巳が椿から受けた傷など、椿のそれに比したらその利子にも値しない微々たるもの。
 でも、椿は、自分の気持ちを汲んでくれ、と言った。
 あくまで、椿自身のために、己を責めないでくれと秋巳にお願いした。
(――自分は、どこまで)
 どこまで、椿に甘えれば気が済むのであろう。
 ひょっとしたら、己の存在自身が椿にとっての『災厄』なのではなかろうか。
 
330__(仮) (6/14):2008/03/21(金) 19:52:56 ID:0n5Kv67J
 
「兄さん。これから、を考えてください。過ぎたことを、ああすればよかった、
 こうすればよかったと後悔しても、なにも始まりません。これから、どうするか。
 兄さんが以前のように接してもらうほうが落ち着くというなら、そうします。
 私も正直なところ、すこし迷っていた部分もあるのです。
 いまから、ありふれた仲の良い兄妹のように接するのは、どうすればいいのかな、と」
「そっ、そんなことない! そんなことないよっ!」
 テーブルに手をつき椅子から立ち上がり、平静を失った様子で首を振ると、必死に否定する秋巳。
 椿が望んでくれるのなら。秋巳と椿がありふれた仲の良い兄妹になることを期待してくれるのなら。秋巳にとって是非はない。
「そうですか。それは、良かったです。私も、少しずつ慣れていけばいいのかな、と思っていたので」
 それまでの会話で積もった重苦しい雰囲気を取り払うかのように、にっこりと微笑むと、椿は、再び椅子に腰をおろす。
 それから、なにかを思いついた様子で、たおやかに細めた瞳の奥から、視線を秋巳に真っ直ぐ向ける。
「そうですね。荒療治、というのもいいかもしれませんね」
「え?」

「ねえ。どう思う? 『おにいちゃん』」

「…………」
 色々な意味で呆気に取られ、絶句する秋巳。
 そんな秋巳の表情に、満足したのか、ふふ、と声を洩らす椿。
「やはり、私にはいまさら似合いませんね」
 そうして、穏やかな空気を取り戻した朝食の時間が、過ぎていった。
 
 
 
               *  *  *                  
 
 
 
「ねえ。ところで、兄さん。話は戻りますけど」
 朝餉を終えた後、台所で食器を洗いながら、居間のソファに腰をかけテレビを見やる秋巳に、椿が話しかける。
「先ほども申しましたけど、今日は天気もいいですし、どちらかへ出かけませんか?」
「え、ああ、そうだね。つ、椿は、どこか、その、出かけたいところとか、あるのかな?」
 椿の申し出に応える秋巳の口調はどこかぎこちなかった。
ふたりこの家で生活する中で、普通の兄妹、ありふれた家族のやり取りというものが、ずっとご無沙汰だったため、
秋巳としては、なんとなく変に意識してしまっていることの証左だったのかもしれない。
 自分も迷っている、と先刻椿も言っていたが、妹も慣れないながらも、自分に合わせてくれているのだろうか。
 秋巳は思う。
 椿の言動に、違和感や変に力の入ったところなど見受けられない。とても自然に見える。
 表に見せないだけなのだろうか、それとも、自分が椿のことをそこまで感じ取れるほど、理解していないのだろうか。
 どちらにせよ、椿が希望していることであれば、それに応じたい。応えてあげたい。
「兄さんこそ、どこか行きたい場所、ありますか?」
「う、うん。僕は、椿と出かけられるなら、どこでもいいよ」
「ふふ。兄さん、そういう言葉は、妹でなく恋人に言ってあげてください」
「えっ? ええっ! いっ、いやっ! そういう意味で言ったんじゃ……」
「でしたら、どういう意味ですか?」
「いや、その、妹と出かけられるなら……、と」
「出かけられるなら?」
「……どこでもいいかな、と」
「すみません。さっきの言葉とどう違うのか、私には全然判りません」
 意地悪げな笑みを浮かべて、秋巳に応じる椿。
「う……」
 
331__(仮) (7/14):2008/03/21(金) 19:55:27 ID:0n5Kv67J
 
「ふふ。世間一般的な妹だったら、こういうとき、なんて言うんでしょうかね。
 『おにいちゃん、気持ちわるーい』とでも言うのでしょうか」
「え? あ……」
 椿のその言葉にショックを受ける秋巳。
 椿に対してごく普通に『兄』として『妹』に接するなど、自分にはやはり無理なのだろうか。
「兄さん、勘違いしないでくださいね。私は、私です。世間一般的な像で語られる『妹』ではありません。
 如月秋巳のたったひとりの血を分けた肉親である如月椿なのです。
 先ほどは言葉の綾で『ありふれた兄妹』などと申しましたが、私がなりたいのは、『如月兄妹』なのです。
 社会通念に照らし合わせて、その枠組みで無理矢理振舞うようなことはしたくありません。
 私も自分が思ったとおりに行動しますから、兄さんも兄さんの心のままに」
 椿はそこまで一気に喋り、一息つくと、ですから、と続ける。
「ありがとうございます」
「え?」
「そのように言ってくれて、ありがとうございます」
 それが私の応えです、と椿。
「あ……、その、別に、感謝されることじゃ――」
「だって、ご機嫌伺いなんかではなく、兄さんの本心なのでしょう? 先ほどの言葉は」

 椿は、確かめたのだ。秋巳の言が本心からか、『妹』に対する接し方を意識するあまりに出た台詞なのかを。
 だから、椿は、一度は「恋人に言ってあげたら」と返したのだ。妹に対して、機嫌を取るような言葉を選ばなくても良いですよ、と。
 それでも、秋巳は、椿と一緒にいたいだけ、と返した。
 それで椿は確信した。
 ああ、本当に兄はそう思ってくれているのだ。
 そして、それに満足すると、秋巳の反応を見越してわざわざ一般像を持ち出し、続けざまにそれ自体を否定してみせた。
 自分がなりたいのは、ごくありふれた妹などではなく、如月秋巳の妹である、と伝えた。

 秋巳の真意を問う椿の質問に、こくんと頷き肯定する秋巳。
「ああ。うん」
「ですから、私も思ったことを兄さんに言うだけです。ありがとうございます。
 私も同じ気持ちです、と」
「あ、いや、なんか、照れるね」
 秋巳は人差し指で、頬をかく仕種をすると、椿から目を逸らす。
 あまりにもギャップが大きすぎて。
 秋巳はいままでずっと思っていた。椿には恨まれているんじゃないか。疎まれているんじゃないか。
どうでもよい存在と思われているんじゃないか、と。
 でも、そんなことない、と椿は、秋巳の不安を払拭してくれている。
 秋巳が椿のことを大事に思っているのと同様に、自分も秋巳のことを思っていると陽に暗に伝えてくれている。
「兄さんは、恥ずかしいですか? 私には、これっぽっちも恥じ入るところなどないですけど」
「いや、その、誤解しないで欲しいけど、嬉しいんだ。嬉しすぎて、
 その、なんか、舞い上がっちゃうというか」
「ふふ。判っています。私も、同じですから。さて、片付けも終わったことですし、
 出かける準備をしましょうか。どこへ、とも決めずに散策するのも、結構楽しいと思いますよ」
 椿は、最後に洗っていたカップを軽く振って水を切ると、網籠に入れる。
「ああ。そうだね」
 秋巳は、そのとき信じていた。椿とふたり、かつてのような兄妹にまた戻れるのではないか。
秋巳が切望して、でも叶わないと半ば諦めていた、『家族』が戻ってくるんではないか、と。
 ここが通過点だと気づかずに――。
 
 
 
 
332__(仮) (8/14):2008/03/21(金) 19:58:17 ID:0n5Kv67J
 
               *  *  *                  
 
 それから秋巳と椿、ふたり街に繰り出し、特に当ても持たずに、夏の日差しが照りつけて汗ばむ陽気のなか、
様々なところを巡っていた。
 秋巳の住むところから三駅ほど離れた駅ビル構内の百貨店でのウィンドウショッピング。
「ほら。兄さん、こういう服なんてどうですか。兄さんが恋人に着てもらいたいとしたら
 どれを選びます?」
「え? それは、うーん。ごめん。よく判らないかな」
「ふふ。兄さんらしい答えですね。でも、折角だから、選んでください」
「椿なら、なにを着ても似合うんじゃない?」
「もう。恋人ならそれで誤魔化されてくれるかもしれませんが、妹はそうはいきませんよ」
「はは……。手厳しいね」
「ええ。それはもう。兄さんの妹ですから。直感だとどれですか」
「うーん。これかな。でも、椿がいま着てるのが一番合ってるよ」
「ふふ。兄さんは、天性の女たらしですかね」
「ええっ!?」


 お昼のきつい日差しを避けて、涼むために入った大型書店。
「そういえば、このまえ、睦月がお勧めだって言っていた本がありましたね」
「へえ。どんなの」
「なんでも、女性の品格を説いたものらしいですけど」
「努力家の萩原さんらしいね」
「ええ。彼女はいつも頑張っていますから」
「椿は、どうなの?」
「私も頑張ってはいますよ。いろいろとね」
「そうか。僕も頑張らなくちゃね」
「兄さんは、いまのままでいてくれればいいですよ」
「そうもいかないよ。椿の兄として、あまり恥じないように、ね」
「そうですか。ところで、兄さんは、普段どんな本を読まれるのですか。
 ああ、水無都さんから渡されるような、ひどく嗜好の偏った娯楽品は別ですよ」
「な……! つ、椿がなにを言っているのかよく判らないのだけど」


 午後になって、遅い昼食を取るために入った庶民的な定食屋。
「落ち着いてて、雰囲気のいいところですね」
「ああ。でも、デートとかでは、来るような場所じゃないかもね」
「あら。デートでこそ、使ってみたらいかがですか? 兄さん」
「え?」
「こういうとこに連れてこられて、それだけで興冷めして離れていくような人であれば、
 さっさと離れていったほうがお互いのためでは?」
「うわ。きついね。そういう椿は、どうなの? もし、恋人にこういうところに
 連れてこられたら?」
「帰りますね」
「あの? 言ってることが矛盾してるんだけど?」
「いいえ。全然、矛盾してませんよ」
「ひょっとして、椿って、ものすごく我侭?」
「あら。いまごろ気づきました? ものすごく我侭で自己中心的ですよ?」
「椿と付き合う男の人は大変だね」
「ええ。それはもう。ものすごく苦労してますよ」
「え? もうすでにいるの?」
「はい。目の前に」
「あ……。あはは。確かに苦労してるね」
「もう。そこは否定してください」
「でも、椿もいつか本当にそういう人とめぐり合えたらいいね」
「……そうですね」
 
333__(仮) (9/14):2008/03/21(金) 20:00:13 ID:0n5Kv67J
 
 
 いい加減歩き疲れて、ひと休みのために入った喫茶店。
「ふぅ。流石に疲れましたね」
「うん。そうだね。今日はよく歩いたよね」
「今日の夕食は、どうします? 兄さん確か当番でしたよね。どこかで食べて帰りましょうか?」
「そうだね。どうしようか」
「そういえば、今日はお祭りでしたね。近所の神社で」
「そうだっけ?」
「ええ。一度家に帰って、軽くなにか食事して休んでから、また、出かけましょうか。
 兄さんがお疲れでなければ」
「うん。僕は構わないけど。椿は大丈夫なの? 疲れてるみたいだけど」
「遊ぶ元気は別腹ですから。そうと決まれば、なにか軽くつまめるものでも買って戻りましょうか」
「うんそうだね」
 
 
               *  *  *                  
 
 
 そうして戻ってきた如月家。
 日も落ちて漸く涼しくなってきた風を、リビングの窓際にぶら下げられた風鈴のちりんちりんという音色とともに、
秋巳が感じている。そこへ、お祭りに行く準備をしますから、と自室へ引き上げて行った椿が、再び居間に姿を見せる。
「お待たせしました。兄さん」
 現れた椿は浴衣を身に纏っていた。椿の肌よりもさらに白い色を基調に、涼しげな藍色と水色の草模様をあしらい、
さらに紺地に白抜き模様の帯で締めた艶姿。
 秋巳は、普段見慣れない妹の晴れ姿に一瞬言葉を失った。
「それは……」
「ええ。お母さんのものです。私のは、子供のときに着たもの以外に買っていませんから」
「とても――。とても、良く似合ってる」
 なんの衒いも気負いもなく、率直な感想を述べる秋巳。
「ええ。ありがとうございます。私も一応女の娘なので、こういうハレの日くらいは
 お洒落をしてみようかと思いまして」
「そういえば、履物はあるの?」
「はい。これも、押入れの奥に眠ってたのを引っ張り出しました。
 きれいに拭いて玄関に用意してます。兄さんはその格好で行かれます?」
「うーん。合わせたほうがいいのかな?」
 そもそも自分も浴衣など持っていないことを思い出し、果たしてこの家に自分の着られる浴衣なんかあったかな、
と考えながら秋巳は返す。
「いえ。気にすることないと思いますよ。兄さんさえよければ、このまま出かけましょうか」
「うん。そうだね」
 このままふたりで歩けば、自分が色々な意味で不釣合いだとは思ったが、あまり気にすることを止め、秋巳は椿の言葉につき従う。
 
 
 
334__(仮) (10/14):2008/03/21(金) 20:02:51 ID:0n5Kv67J
 
 決して広いといえない神社の、あまり規模の大きくないお祭りだというのにも関わらず、人の賑わいに溢れ返り、
夜の気温を低下させまいとばかりに熱気に包まれる境内。
 盛況のなか、どこからともなく鳴り響くお囃子の音。呼び込みをかける屋台の人の元気の良い声と、
小さな子供のはしゃぐ甲高い声が木霊する。
 そんな雰囲気の中、人ごみの間をゆっくりと練り歩く秋巳と椿。
 時折、屋台のおじさんからかけられる「おお! 兄ちゃん、別嬪さん連れてるね。どうだい、ひとつ買ってかないか! 
彼女の手前気風のいいとこ見せなきゃな!」という謳い文句も半ば苦笑いで躱しつつ。

「あれ? 椿? 椿じゃない?」
「お? 椿ちゃん? どこどこ?」
 ふたりの背後から声がかかる。
 その呼び止めに、椿より先に反応した秋巳が振り返ると、水無都冬真と萩原睦月がふたり立っていた。
「あー! やっぱり椿だ! それと、お兄さんも! うわー椿どうしたの? 
 そんな浴衣まで着て粧し込んじゃって。っていうかすっごく綺麗!」
「こんばんは。睦月。それと、水無都さんも」
 椿の姿を見て、普段よりさらに一層テンションをあげて、彼女に向かっていまにも飛びかからんとばかりに
はしゃぐ萩原睦月とは対照的に、落ち着いて挨拶を交わす椿。
 それに、萩原睦月の隣に立つ水無都冬真が片手を挙げて応じる。
「おお! 秋巳、椿ちゃん、こんなとこでふたりに会うなんて」
「奇遇だね。冬真。それと、萩原さんも」
「はい! でも、今日はおふたりですか?」
「ええ。一緒に行ってくれるような異性がいない寂しい兄妹ですので」
「またまたぁ!」
「そういうおふたりは、デートですか」
「えっ! い、いや、デ、デートってわけじゃ……」
「えっ!? デートじゃなかったの? ひょっとして俺勘違いヤロー?」
「あああ! 違います違います! そんなつもりじゃ!」
 椿と水無都冬真の間で、あたふたとする萩原睦月。
「水無都さん、睦月をいじめないでくれますか」
「お? 萩原ちゃんをいじめていいのは、椿ちゃんだけって?」
「はい。そうです」
 即答する椿。
「ちょ、ちょっと椿!」
「なるほど。それにしても、今日はまたどうして? おふたりさん」
 そう水無都冬真が話題を変えるためか水を向ける。椿ではなく、秋巳に。
「あ、いや。折角お祭りやってるから、出かけようかなって」
「椿ちゃんが?」
「え? あ、そうだけど」
「ふーん、ほー」
 なにを納得したのか秋巳には判らなかったが、水無都冬真は腕を組みうんうんと首肯する。
「なるほど。なるほど」
 判ったぞ、と水無都冬真は呟く。
「どうしたの? なにが?」
「椿ちゃんが、今日お洒落をしてきているわけさ!」
「え? 水無都先輩判るんですか?」
「ああ。椿ちゃん、君は今日俺がこのお祭りに来ることを知っていたな? 
 そんで、愛しの先輩に自分の晴れ姿を見せようと、精一杯お洒落して兄貴を出汁に
 俺に会いにきたってわけだ?」
 そう椿に人差し指を突きつけ、犯人はおまえだ! とばかりに豪語する。
「…………」
「…………」
 沈黙する秋巳と萩原睦月。
 
335名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 20:04:44 ID:sg22SsEt
しえん
336__(仮) (11/14):2008/03/21(金) 20:06:23 ID:0n5Kv67J
 
「ふふ。流石ですね。水無都さん。なんでもお見通しってわけですか」
「ええっ! ほんとなの!? 椿!」
「勘違いしないでね。睦月。いまのは、水無都さん流の意地悪な言い方なの。
 あの台詞はね、本当は私に自分が来ることを知らなかっただろうって言いたかったのよ」
「え? ど、どういうこと?」
「簡単な論理よ。水無都さんは判っているのよ。水無都さんが来ることを私が知っていたら、
 ここに来るはずないって。ましてやお洒落なんかするはずないってね。
 それが、お洒落してここにいるってことは、逆説的に、私は知らなかったってことになるのよ。
 水無都さん意地悪だから、ああいう言い方をするのね」
「あの? そんな意味はこれっぽっちも込めてないんだけど。
 っていうか、そこまで言われると流石の俺でも傷ついちゃうよ?」
 その言葉どおり水無都冬真は落ち込んだ表情を見せる。暗にどころか、これ以上ないくらい陽に、
貴方の前でお洒落などしない、貴方になど会いに行きたくないと言っているようなものだからその反応も自然であろう。

「あら。違いました? 残念。私には、推理の才能がないみたいですね」
 そう言って、ふふ、と微笑む椿。
「ふぇー。椿にかかったら、水無都先輩でもたじたじなんだ」
 萩原睦月は、なにに感心したのか、大きく開いた手を口に当てて、そう感嘆を洩らす。
「お? 萩原ちゃん、言ってくれるね。まだまだ判らないよー! 
 野球は九回ツーアウトからって言うし」
「頑張ってくださいね。先攻の水無都さん」
「ちょ! それじゃ俺、逆転できないじゃん!」
「大量リードで逃げ切ればいいんですよ」
「無理! 柄じゃないし」
「あははは」
 椿と水無都冬真の会話の応酬に、萩原睦月は愉快そうに笑い声をあげる。
 そして、思う。
(ああ、本当に――)
 本当に、このふたりはお似合いなんだな、と。
(――もしかしたら、椿は自覚していないのかもしれない。水無都先輩も、
 はっきりとは認識していないのかもしれない)
 ただ、もしそうだとして、自分はどうする。
 萩原睦月は、かつて椿に言った。
 相手が椿であれば、水無都冬真のことを諦められるかもしれない。
 それがいま、現実のものとなるかもしれない。たとえ、真実は全然違っていたものだとしても、
萩原睦月の世界ではそう見えている。そう認識している。
 自分は水無都冬真のことを諦められるのだろうか。椿を応援できるのだろうか。
 萩原睦月は、漠然として答えの出ない自問を繰り返す。
 迷ってても仕方ない。なにかしら動かなければ、なにも進まない。真実も。自分の気持ちも。
 だったら、吉と出るか凶と出るかは判らないが、前に進むべきなのではないか。
 萩原睦月は、頭の中に渦巻くもやもやを振り払うかのごとく首を振ると、椿に提案する。
「ね、ねえ! 椿、お兄さん、ちょっとお借りしてもいいかな?」
「え?」
「どうしたの? 睦月?」
「うん。ちょっとね。お兄さんに訊きたいことがあって」
「およ? 秋巳のおしめが取れた歳なら、三歳だよ?」
「あはは。そんなことじゃないです」
「私は構わないけれど……、兄さんは?」
「お兄さん、いいですか?」
「え? ああ、別にいいけど……」
 果たして、椿の親友が自分にいったいなんの用事なのだろうか。
「それじゃ、すみませんけど、お付合いもらえます?」
 そう言って、神社脇の林の方に歩き出す萩原睦月。
「おい、秋巳! 人気のないところに行ったからって、襲いかかるなよ!」
「かからないよ」
 それだけ答えて萩原睦月の後ろにつき従う秋巳。
 
337__(仮) (12/14):2008/03/21(金) 20:09:13 ID:0n5Kv67J
 
 
 人の群れを抜けて、お祭りの雰囲気からは若干外れた神社脇にそびえる林の手前で立ち止まる萩原睦月。
「すみません。お兄さん。急に」
 後から付いてきた秋巳に振り返ると、まずは頭を下げる。
「いや、別に構わないけど、どうしたの?」
「えっとですね、椿と水無都先輩のことなんですけど」
「椿と、冬真の?」
「はい」
 そうして萩原睦月は自分の思いを語った。
 もしかしたら、椿は水無都冬真に惹かれているのかもしれない。それはまだはっきり恋心と気づいているものではないかもしれないけれど、
かつて椿が男性に恋愛感情を抱けるかもしれないと言っていたことと照らし合わせると、そんな予感がする、と。
 秋巳には、椿の言の部分を省いて伝えたが。
 そんなところにおいて、自分がどうしたらよいか正直判らない。
 性質は違えど、自分は椿も好きだし、水無都冬真のことも好きである。だが、もし、そのふたりが想い合っていたときに、
負の感情を抱かずに応援できるかどうか、自信がない。
 こんなことを秋巳に相談するのは、筋違いかもしれないが、椿と水無都冬真をよく知る人物として、頼ってしまった。
 それが内容だった。

「そうか……」
 萩原睦月の相談内容を訊いて、秋巳は呟く。
「萩原さんは、冬真のことが好きなんだもんね」
「はい……」
「僕もね、正直言うと、椿はひょっとしたら、冬真のことが好きなんじゃないかと思ってたんだ。
 萩原さんと同じように、はっきりとは自覚していないだろうけどってね」
「や、やっぱり!」
「うん。でもね。それは、椿が冬真に萩原さんのことを紹介する前にそう思ってたんだけどね」
「え?」
「でも、椿は、親友である萩原さんを冬真に紹介した。それが、椿の結論なんだと思うよ」
「でも! それは自覚していないから」
「じゃあ、椿が自覚したらどうすると思う? 君から、冬真を取り上げると思う?」
「椿はそんなことしないです! そんなことしないからこそ悩んでるんです。
 きっと、椿は自分の想いに気づいたとしても身を引いちゃう」
「萩原さんは、それが不満?」
「…………」
「さっき言ってたよね。しこりが無く応援する自信がないって」
「はい……」
「萩原さんは、身を引く前提なの?」
「だって……、自分の所為で、椿の想いを踏みにじりたくない!」
「萩原さんは、本当に椿のことが好きなんだね。ありがとう」
「そんな、お礼を言われることじゃ……」
「まあ。それはいいとして。これは僕の個人的な意見だけど聞いてもらえるかな?」
 秋巳のその言葉にゆっくりと頷く萩原睦月。もともと、秋巳に相談をしたくて呼び出したのだから、
それは願ってもないところだ。

「僕はね、椿には幸せになってもらいたいと思っている。椿が冬真と一緒になることで、
 幸せになれるならそうなって欲しいと思っている」
「ああ――」
 萩原睦月は実感する。自分はこの言葉を言ってもらいたかったのかもしれない。椿を想うもうひとりの人間にも、
椿のためにも引いてくれと宣告してもらって、踏ん切りをつけたかったのかもしれない。
「でもね――」
 秋巳は、そんな彼女の内心など気づく素振りも見せず、続ける。
「冬真もね、僕の友達なんだ。それこそ、萩原さんが椿のことを大事に思っているように、
 僕も冬真のことが好きなんだ。親友としてね。冬真にも幸せになってもらいたいと思っている。
 だから、椿の気持ちを優先して、冬真が椿のことを好きでもないのに
 付き合ってくれなんて頼むつもりは毛頭ないよ」
「え?」
 萩原睦月は、秋巳の言いたいことを図りかねて疑問を挟む。
 
338__(仮) (13/14):2008/03/21(金) 20:11:36 ID:0n5Kv67J
 
「冬真が好きな人は、冬真が選ぶんだ。だから、いいじゃない。
 ふたりとも冬真のことが好きになったとして、その瞬間に諦めることはないと思うよ。
 萩原さんも椿もね。結局冬真が好きな人と一緒になれなければ、それは、僕の望むところじゃない。
 身を引いたほうが、冬真の好きな人だったとしたら、それじゃ、冬真が可哀想だよ」
「あ……」
 萩原睦月は天啓を得たとばかりに、大きく目を見開く。
 それもそうだ。ふたりの人間が同じ人を好きになったといって、その好きな人の気持ちを無視して、
お互いのことを考えて身を引いたりなんだりと、確かにある意味身勝手と言えよう。
「冬真もこういうことに関しては、結構飄々としてて、僕もその本心までは窺い知れないところがあるけど、
 でも、こうやって、萩原さんとふたりでお祭りとかに来るってことは、満更でないと思うよ。
 冬真って、ああ見えて結構女の娘とふたりで出かけたりとか、あんまりしないから」

 だからね、と秋巳はさらに言葉を紡ぐ。
「萩原さんは、もっと素直に自分の想いを追いかけていいと思うよ。
 椿が気づいたときには手遅れだったとしても、それこそ、さっきの話じゃないけど、
 試合が終わった後に打席に立ったって、試合に勝つどころか、点すら入らない。
 打つことすら出来ないんだ。それはそれで、椿の人生なんだから」

 萩原睦月は、じっと瞳を閉じて、耳に染み入るような秋巳の言葉を、頭の中で反芻する。
 自分が素直であれば、きっと椿もそれに応えてくれるんではないか。
密かに自分の想いを仕舞いこんで、影で偲ぶなんてことせずに、正々堂々自分に宣言してくれるのではないか。
 それこそが彼女の望みであり、秋巳の言葉はそんな希望を萩原睦月に抱かせた。
「はは……。ありがとうございます。お兄さん」
「いや。別に。これは、僕の個人的な考えだし」
 萩原睦月の真っ直ぐな視線を受けて、照れた様子で頭をかく秋巳。
 萩原睦月の相談内容が、秋巳が誰より大事な椿と水無都冬真のことでなければ、基本的に他人に関心を抱かない秋巳は
ここまで真剣に考えて本心を話さなかっただろう。
 そのふたりに対して彼女がここまで真摯でなければ、秋巳は、当り障りのないことを言って、煙に巻いていたかもしれない。
 でも、秋巳はそのふたりが大好きで、そして、萩原睦月も愚直なまでに誠実だった。
 だから、秋巳は応えた。萩原睦月の期待以上に。

「はー。でも悔しいですねぇ」
「え? なにが」
「だって、水無都先輩に対する想いで、お兄さんに負けてる気がするんですもん!」
「ちょ、ちょっと……」
「あはは。でも、お兄さんも結構女殺しなタイプですね?
 あんな真剣に想われたら、大体の女の娘は一発ですよ?」
「あはは。妹と同性の親友だけどね」
「だからこそ、女殺しなんですよ」
 そう言って秋巳の肩を軽く叩いた萩原睦月に、その意味するところをよく理解できずに、秋巳はつられて曖昧に笑った。
 
 
 
339__(仮) (14/14):2008/03/21(金) 20:14:03 ID:0n5Kv67J
 
 
               *  *  *                  
 
 
 時間は少し遡って。秋巳と萩原睦月を見送った椿と水無都冬真は、人の流れの邪魔にならないよう御影石の敷き詰められた参拝道脇に寄り、
そこに設置されたベンチに腰をかけていた。といっても、腰を下ろしていたのは水無都冬真ひとりであり、
椿は、水無都冬真が座るよう勧めてもそれを遠慮し、その傍に屹立していたが。
「萩原ちゃん、秋巳になんの話だろうね?」
「さあ、私には判りかねます」
「心配じゃない?」
「なにが、でしょうか」
「いまごろ、自分の兄が自分の親友に襲いかかってるかもしれないって」
「いいえ。全然。むしろ、我が身が心配ですね。水無都さんに襲いかかられないかって」
「おりょ? 心外だね。俺は紳士よ。決して、暴力的な手段には訴えないさ!
 ましてや、人を使ってなんてね」
 そう自分の胸を硬く握った拳で、ドンと叩く水無都冬真。
 そんな彼を半眼でねめつけるように椿。
「どういう意味でしょうか?」
「ん? ああ、だから、人に頼んで椿ちゃんを襲わせて、
 そこに颯爽と自分が助けに入って椿ちゃんを惚れさせるなんて、小賢しいことはしないさ」
「どうでしょう。そんなことを思いつく人の言葉を、そのまま鵜呑みにはできませんけど?」
「もう。信用ないなあ。秋巳が悲しむようなことはしないよ? できるかぎりね」
「そう願います」
「ところでさ、話はちょっと戻るけど」
 座った位置から、椿を見上げる様子で声をかける水無都冬真。
「なんでしょう」
「野球の話。九回裏ツーアウトから、実際何点取れると思う? 一般的な話」
「理論的には、何点でも可能なのでは?」
「じゃあ、椿ちゃんが守り側で、九回裏ツーアウトまでとった状態でマウンドにいたとしたら、
 何点あったら、このまま逃げ切れると思う?」
「私は、野球のことよく判らないのですけど」
「勘で良いからさ」
 ほらほら、とばかりに、水無都冬真は椿に回答を促す。
 椿は、秋巳たちの消えた方角を見やりながら、水無都冬真の質問に考え込む仕種をする。
 そして、そのまま、彼のほうに振り向くことなく答える。
「――1点差、満塁、カウントノースリー、ですかね」
「ヒュゥ! かっこいー!」
 水無都冬真の囃す声が、欠けた月の肩に薄雲がかかる夏の夜空に吸い込まれた。
 
 
 
 
 
 
 
 
340 ◆a.WIk69zxM :2008/03/21(金) 20:14:54 ID:0n5Kv67J
 
以上。投下終了です。
ここまでで、約280KB。そろそろ収束します。
 
341名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 20:25:32 ID:iRUUH8T1
wkwkGJ!
342名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 21:04:08 ID:CpX9mH9E
>>340
GJ!
椿が一体どこまで計算しているのか
このスレのキモウトたちは月なんてめじゃないぐらい頭良いのが多いな
343名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 21:05:13 ID:I9gUJpDX
GJ!!
つっつ続きが楽しみすぐる…
344名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 21:10:38 ID:UoeLF+8V
ワクテカが止まらない…
皆が幸せになれますように〜〜
345名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 21:23:52 ID:hBaktBKE
兄、カッケーな!GJ!
346名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 21:25:32 ID:aD2HL6oM
いつもありがとうございます。
秋巳君を幸せに・・・いや過ぎたことでしたw
これからも無理なくご自身の納得のいく作品の執筆を続けていただければ幸いです
347めっちゃくだらんやつ:2008/03/21(金) 21:54:30 ID:kMRJxEZ2
こんなシリーズが読みたいなぁ…と思って考えたやつです。



〜その時キモウトは…〜


兄「洗ってないパンツあげようか?」
妹「え!?…う、うん!欲しい欲しい!」
兄「はい」
妹「わーい!ありが…と……って、これ新品じゃん!」
兄「うん。友達に貰ったんだけど要らないから…」
妹「ふーん…って!私の方が要らないよ!」
兄「でも、俺の指紋付きだぜ?」
妹「え?あー………」(※)

兄「……変な顔」
妹「ヒャッ!近っ!ジュルッ…」
兄(コイツ…俺の指紋で何想像したんだ…?)




妹(お兄ちゃんが付けた指紋……あ、ああ…私にもいっぱい付けてほし…はうっ!…ヤ、ヤバ!軽くイッちゃった…ジュルルリンッ)
348名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 22:16:21 ID:wHgRuNqV
>>340
__(仮)の中でも今回の話凄く面白かったです
GJ!
349名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 22:47:29 ID:EY58cCIF
>>340 GJ!
もう続きが気になって気になって……

しかし、椿がとうとう目に見える範囲で行動し始めたか…先が凄く楽しみだ。
350名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 23:07:31 ID:0TKOBkKj
>>340
秋己カッコヨス!!
しかし椿の完全な思惑通りに進んでいるのか?
……気になる……

>>347
思い付いたので便乗


妹「お兄ちゃん、私フィギュア見たいんだけど?」
兄「ニュースも終わったしな。ほれ何番だ?」
妹「8番、あっ真央ちゃんだ」
兄「…音小さいな。でかくしていいか?」
妹「うん、お願い『なんならお兄ちゃんのアソコも大きくしてあげようか?』」
兄「…ちょっとしすぎたか。ちょっと小さく…」
妹「CM入っちゃった」
兄「んじゃ、タモさんを…って今日は中止か。4番…」
妹「……」
兄「太田も毒薄くなったな。…てまたCMかよ」
妹「…(※)…ひゃん!!」

兄「おーい、フィギュア見ないのか?」
妹「え…あ、あの宿題あるから(ジュル)」
兄「…明日は休みだろ。変な奴」


(※)
妹『あ、あたしの敏感な部分もお兄ちゃんに押されたい!!…えっ…お兄ちゃんだめっ…!!
い、いい!!気持ちいい!!!!(ジュンジュルルン)……妄想で軽くいっちゃった…』
351名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 23:09:33 ID:/OS6Lziv
あー椿かわゆす。超GJ
しかし一方では殺す殺さないのレベルで思い詰めてる人がいるんだよなw
352名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 00:39:40 ID:fUHLv8h3
日曜日よりの使者グッジョブ
353名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 07:30:57 ID:YqHCsKx7
>>340

>「ねえ。どう思う? 『おにいちゃん』」
>「ねえ。どう思う? 『おにいちゃん』」
>「ねえ。どう思う? 『おにいちゃん』」
>「ねえ。どう思う? 『おにいちゃん』」
>「ねえ。どう思う? 『おにいちゃん』」


これに萌えたのは俺だけじゃないはず
354名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 16:25:05 ID:me5llFN+
すでに未完の作品っていわれてると、やっぱり再開の投下は遠慮した方が他の職人にとっていいのかな?
355名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 16:32:37 ID:mSCqw5ZC
別にいいんじゃね
356名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 16:43:06 ID:L19YLxu4
椿GJ!

さあここからどんな展開になるか・・・
357名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 16:58:51 ID:OMi7UW7n
>>354個人的にはいいと思う。連載再開待ってる人もいるしね。
358名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 17:01:48 ID:bLa7TJMj
困るほど連載されてない大丈夫
359名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 17:26:16 ID:JkJ8Zjb1
>>354
全然困りません。むしろ投下してください
360名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 22:55:04 ID:L19YLxu4
>>354
ばちこいSS!みんなおまいを待っとるぞ
361名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 00:58:40 ID:9chDhGI/
>>354
その言いまわしをした以上住人は期待してしまうんだから、言うからにはいつでも投下できる準備
をしてから言うべきだと思います。投下に時間がかかるなら一言ほしいです。
ほら、最近暖かくなってきたからって半裸待機してて風邪ひく寸前の俺がいるのだから!
362枯木 ◆3OsbddjPtM :2008/03/23(日) 03:06:08 ID:Ax4jhXDi
上の人ではないけど投下します。
>>130-132設定の流用ッス。
363俺と香苗とキモウトのバースデイ:2008/03/23(日) 03:07:25 ID:Ax4jhXDi
 珍しく机に向かって勉強していたら、部屋の扉がノックされた。
「お兄ちゃん、入ってもいい?」
 いいぞ、と答えると、とっておきの悪戯をする直前のような笑みを浮かべて、妹の純子
が部屋に入ってきた。後ろ手に何かを隠している。純子は俺の眼前に立った。
「お兄ちゃん、プレゼントフォーユー!」
 純子が綺麗にラッピングされた包みを両手で差し出してくる。俺は無言でそれを受け取
り、満面の笑みを浮かべた妹の顔をしげしげと見つめる。
「なんだこりゃ」
「だから、プレゼント」
「プレゼントって、なんかあったっけ?」
 俺の記憶では、向こう一ヶ月ほど、俺がプレゼントを渡されるようなイベントは一つも
ないはずだ。誕生日でもないし、バレンタインデーやらホワイトデーやらもとっくに終
わっているし。そう思っていると、純子は手で口許を隠し、少し頬を染めて意味ありげな
視線を送ってきた。
「ほら、来週わたしの誕生日だから」
「そりゃ知ってるが」
 確かに、来週の日曜は純子の誕生日だ。そろそろ何をプレゼントするか考えておかない
といけないな、と思っていたから、もちろん忘れてはいない。
「でもお前、それだったら逆だろ。お前はプレゼントされる側であって、する側じゃない」
「その辺はね、その包みの中を見てもらえれば分かるよ」
 期待に輝く純子の瞳に後押しされるようにして、俺は出来る限り丁寧に包みを解く。中
から、綺麗に畳まれたセーターが出てきた。厚手の毛糸で編まれているらしく、いかにも
温かそうな一品だ。
「ごめんね、編むのに時間がかかっちゃって、ちょっと時期外れになっちゃったんだけど」
「それは別にいいけどさ。まだちょっと寒いし」
 俺はセーターを広げて、上から下までじっくりと眺めた。
「なんでこれが、さっきの疑問の答えになるんだ?」
「うん、つまりね」
 純子は少し俯き、もじもじと両手の指を絡ませながら恥ずかしそうに言う。
「わたしの誕生日にこれを着ててほしいなー、なんて」
「ああ、そういうことか」
「うん、そういうこと」
 微笑む純子の前で、しかし俺は警戒を緩めずにセーターをチェックする。
(衣類だから、食い物とかよりはいくらか安全だろうが)
 少なくとも媚薬とかの類は入っていないだろう。だがまだ安心は出来ない。俺が入念に
セーターをチェックしていると、純子は悩ましげに太股の辺りを擦り合わせ始めた。
「やだお兄ちゃん、そんなに見られちゃ恥ずかしくてイッちゃうよ」
「イくな馬鹿。それで」
 ついに脇腹の辺りから何か黒いものがはみ出しているのを発見した俺は、ある種の予感
を抱きながら純子に問いかけた。
「今回は、何を仕込んだんだ?」
「それはね、溢れ出さんばかりのお兄ちゃんへの愛情と欲情と」
 笑顔で人差し指を立てる。
「わたしが昨日抜き取ったばかりの陰毛」
「返す」
 純子の笑顔にセーターを押し付ける。
「ひどいよお兄ちゃん!」
「ひどいのはお前だ! 実の兄になんてもの着せようとしてんだお前は!?」
「一生懸命編んだのに!」
「普通に編むだけにしとけ。そして込めるのはせめて愛情だけにしてくれ」
「え、それは遠まわしなOKと受け取ってもいいの?」
 馬鹿がまた調子に乗り始めた。かすかに息を弾ませ、濡れた瞳でこちらを見つめてくる。
俺は椅子に座ったまま後ろに下がろうとしたが、机があるので無理だった。そんな俺を見
て、純子はいやらしい笑みを浮かべながら、飛び掛る直前の熊のように両腕を上げる。頼
むから指をわきわきと蠢かせるのはやめてほしい。ついでに嫁入り前の娘だという自覚を
持ってほしい。
364俺と香苗とキモウトのバースデイ:2008/03/23(日) 03:08:01 ID:Ax4jhXDi
「落ち着け純子」
「わたしは極めて限りなく冷静だよお兄ちゃん」
「だったら今すぐ回れ右して俺の部屋から出て行ってくれ」
「ごめんもう辛抱たまんないッス自分」
「全然冷静じゃないし」
「お兄ちゃーん!」
 純子がグッと膝を曲げる。飛びかかる予備動作だ。仕方がないので蹴って迎撃しようと
身構える俺の横で、唐突に部屋の窓が開いた。
「ハァイ、浩二! 元気ぃ?」
 馬鹿に明るい能天気な声が響き渡る。ぎょっとして俺が横を見ると、開け放たれた窓か
ら長い黒髪の美人さんが入ってきたところだった。隣の家に済んでいる香苗だ。
「って言うかお前、ここ二階で、しかも窓鍵かけてたはずなんだけど」
「開けた」
「どうやって……いや説明しなくてもいい、いろいろ怖いから」
「そう。ところで」
 香苗はきょとんとした顔で首を傾げた。さらさら流れる黒髪が実に美しい。
「なんか、取り込み中だった?」
「その通りだよ糞アマァ!!」
 憤怒の形相を浮かべた純子が、いつの間にか手に持っていた包丁を香苗に向かって突き
出した。いつものことながらどこに持っていたのかは分からない。香苗の方は特に慌てる
こともなく、突き出された包丁の切っ先を二本の指でつかみ取った。苦笑気味にぺろっと
舌を出してみせる。
「あー、そうだったかー。ごめんね純ちゃん」
「謝るんならさっさと出てけ! っつーかどこから入ってきてんだテメー、窓からお兄
ちゃんの部屋に侵入していいのはわたしだけなんだよ!」
「お前にそんな許可をやった覚えはない!」
 俺の突っ込みはいつものことながら無視される。香苗は「んー」と唇に人差し指を当て
て、思い出すように呟いた。
「でもさー、隣の家に住んでる幼馴染って、窓から入ってくるものじゃない?」
「どこの世界の常識だそれは」
 呆れる俺の前で、純子が獰猛な唸り声を上げた。
「非常識なビッチだぜ! 大体テメー、お兄ちゃんの部屋に窓から入ってきて何をするつ
もりなんだよ、えぇ?」
「それはもちろん」
 香苗は空いている手を頬に添えて、恥ずかしげに身をくねらせた。
「朝起こしてあげたりとか、添い寝してあげたりとか、元気だったら沈めるために○×△」
「変態、変態がいるよお兄ちゃん!」
「どの口が言ってんだ馬鹿」
 俺は少々動揺しながらおざなりに突っ込みをいれた。怒る純子の向こうから、どことな
く切ない視線を送ってくる香苗を見ていると、なんだか胸がドキドキしてしまう。
「あー、お兄ちゃんが興奮してる!」
「してねえよ馬鹿!」
「やだもう浩二ったら、頼めばいつでもしてあげるよ? 一回一万円で」
「金取るのかよ!? しかも高ぇよ!」
「風俗よりは安いよ」
「なんでそれをお前が知っているんだと小一時間問い詰めたい」
 屈託のない笑みを浮かべる香苗に溜息をつく俺の前で、突然純子が馬鹿笑いを上げた。
「ついに馬脚を表したねこの泥棒猫! ほーらお兄ちゃん、この女に愛情なんて欠片もな
いんだよ! お兄ちゃんの体が目当てだったんだよ!」
「日常的に繰り広げられているお前の変態的行為と、どこがどう違うんだか聞いてみたい
んだが」
「やだなあお兄ちゃんったら、わたしはちゃんと、お兄ちゃんの心も堕としたいと思って
るんだよ? 金目当てとか、そういう不純な動機じゃないの! 愛なのよこれは!」
「それは愛じゃなくて欲望というんだ」
「愛と肉欲の日々!」
「黙れ馬鹿」
 いい加減頭が痛くなってきたので、俺はこの馬鹿なやり取りをにこにこと機嫌良さそう
に見守っている香苗に、手短に頼んだ。
「そろそろ黙らせてくれ」
「りょうかーい」
365俺と香苗とキモウトのバースデイ:2008/03/23(日) 03:08:45 ID:Ax4jhXDi
 目視できないほどの速さで香苗が動く……と思ったときには、既に彼女の細い腕が純子
を締め落としているところだった。どことなく恍惚とした表情で、純子が難なく気を失う。
「最近落ちやすくなってきたねー純ちゃん」
「そりゃ、ほぼ毎日似たようなことを繰り返してりゃあな」
 ぼやく俺の前で、香苗はそっと純子の体を抱え上げて、傍らのベッドに移した。
「んふ。お兄ちゃんの臭い……」
 気絶状態だというのに寝言を言いながら、純子が涎を垂らして俺の枕に顔を埋める。後
で枕カバーを変えなくちゃならん、と心に決めながら、俺は香苗に向かって片手を上げた。
「いつものことながらすまんな」
「別にいいよ? わたしも楽しんでやってるんだし」
 純子が編んだセーターを手に取りつつ、香苗がベッドの縁に腰掛ける。それから、わず
かに咎めるような、困ったような顔でこちらを見た。
「でも、女の子のお腹を蹴ろうとするのはよくないと思うな」
「なんだ、見てたのかよ」
「見てたからあのタイミングで入ってきたの。あのままじゃ純ちゃん確実に飛び掛かって、
浩二に空中でお腹蹴られてたと思うし」
「まあ、あの場合はそうでもしないとこの馬鹿を引き離せそうになかったからな。ああで
も、一応言っておくと手加減はする気だった……って言い訳にならんか」
 溜息をつく俺の前で、香苗はくすくすとおかしそうに笑った。
「優しいねえ。わたしもね、浩二のそういうところ好きよ」
「やめろよ、照れるだろ」
 おそらく赤くなっているであろう俺の顔を、香苗は見ていなかった。手に持ったセー
ターの表面から、凄まじい速さで何かを抜き取っている。その作業は数秒後に終わった。
「でーきたっと。はい、どうぞ浩二」
 片手で俺にセーターを差し出してくる。もう片方の手は、何かを隠すように握り締めら
れていた。俺はセーターを受け取りながら問いかける。
「何本ぐらい入ってた?」
「んーと、100本超えてたかなー」
「そんなにか!?」
「かなり念入りに隠されてたからねー。一本見つけられたのは運が良かったんじゃない?
今回はずいぶん張り切ったね、純ちゃん。多分今つるつるなんじゃないかな」
「やめてくれ、つい想像しそうになっちまう」
 げんなりしつつ、俺はセーターを受け取った。陰毛が抜き取られた今なら、まあある程
度は着るのに抵抗がなくなったといえる。
 無言で立ち上がり、押入れを引きあけて、布団の奥に隠されたカラーボックスを取り出
す。蓋を開けると、中には種類様々な品々がきちんと整理されてしまわれていた。本当に
いろいろなものがある。人形やら絵やら小瓶に入った謎の液体やら。その中に、丁寧に畳
んだセーターを押し込む俺を見て、香苗が楽しそうに笑った。
「純ちゃんからのプレゼント、ずいぶんたまってきたねえ」
「ああ。ったく、参るよな。飾っとくとこの馬鹿が調子に乗るし、だからって捨てるのも
忍びないし」
「やっぱり」
「あん?」
 何か含みのある声に振り向くと、香苗は機嫌良さそうに微笑んでこちらを見つめていた。
「浩二ってさ、あれだよね。ツンデレってやつ」
「なに馬鹿なこと言ってんだ、ったく」
 俺はまた押入れの方を向いて、カラーボックスを布団の奥に押し込んだ。多分、またも
赤くなっているであろう顔を香苗に見られるのは、なんとなく癪だった。

 ちなみに一週間後の誕生日、俺はあのセーターを着て純子の誕生日を祝ってやった。
 陰毛を抜き取ったことは説明してあったが、それでも妹は幸せそうだったので、まあ結
果オーライといえるだろう。
 その夜、「誕生日にお兄ちゃんの精液ちょうだーい!」だのと言って部屋に侵入してき
た純子が、たまたま天井裏に潜んでいた香苗にいつも通り撃退されたのは言うまでもない。
366枯木 ◆3OsbddjPtM :2008/03/23(日) 03:10:32 ID:Ax4jhXDi
以上。
367名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 03:34:07 ID:kwCG3DII
スゲーきめぇwwww
368名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 04:57:33 ID:9chDhGI/
>>366
GJ!純子きめぇwww
過去に自分の陰毛の本数を数えた人間はかなりいるはず!そして途中で諦める
369名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 08:52:35 ID:C10xl18F
すごいな
変態妹&超人幼馴染みの組み合わせと言えば
エロゲネタ板の朝妹スレの名物シリーズ(逆さしばり首団のアレ)が極めつけだが
これもワロタよ
370名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 11:21:17 ID:6Ouemsce
純子もアレだが、香苗も相当にきめぇwwww
371名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 18:26:38 ID:a/zbYhSF
>>368
なにその不毛な取り組み
372名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 18:29:27 ID:Au6ZTTvN
不毛だったら数える余地はないな
373名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 18:42:13 ID:o/zQCRnY
誰がうま(ry
374名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 19:41:49 ID:SHNTP4CN
だめだ、どうしても純子のイメージがきぬで再生されて困る
そしてGJ
375名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 19:56:55 ID:qN7Wuur0
かにかwww
376名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 20:43:29 ID:ozAE/klN
ぐぐったら金髪の貧乳が出てきたぜ。無理やり巨乳をイメージしてた俺に謝罪と賠償を(ry
377名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 21:53:44 ID:dJ4yzCwi
378名無しさん@ピンキー:2008/03/23(日) 23:40:33 ID:ozAE/klN
379名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 05:48:19 ID:zA7XvpOi
380名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 15:39:30 ID:V235Rol0
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part8に投稿しました

キモウトより愛をこめて 
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1200062906/79-84

の続編ですが、キモ成分が薄まりましたので

いもうと大好きスレッド! Part4
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1188824773/439-449

に投下させていただきました。
381名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 16:10:05 ID:2MdVesxb
拝読しました…この糖度は十二分に異常じゃぁ!
382名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 16:46:23 ID:krkWZyDM
乙です。
自分の大好きなシチュです
God job!
383名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 16:59:31 ID:1+FetwDT
キモ兄妹 兄が堕ちれば バカップル

思わず一句詠んでしまいましたが、思いを遂げてしまうというか、兄弟の調教に
成功してしまえば、このスレからは卒業になってしまうのだなぁ。
384名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 20:14:55 ID:rqfdT6K1
>>380
   /.   ノ、i.|i     、、         ヽ
  i    | ミ.\ヾヽ、___ヾヽヾ        |
  |   i 、ヽ_ヽ、_i  , / `__,;―'彡-i     |
  i  ,'i/ `,ニ=ミ`-、ヾ三''―-―' /    .|
   iイ | |' ;'((   ,;/ '~ ゛   ̄`;)" c ミ     i.
   .i i.| ' ,||  i| ._ _-i    ||:i   | r-、  ヽ、   /    /   /  | _|_ ― // ̄7l l _|_
   丿 `| ((  _゛_i__`'    (( ;   ノ// i |ヽi. _/|  _/|    /   |  |  ― / \/    |  ―――
  /    i ||  i` - -、` i    ノノ  'i /ヽ | ヽ     |    |  /    |   丿 _/  /     丿
  'ノ  .. i ))  '--、_`7   ((   , 'i ノノ  ヽ
 ノ     Y  `--  "    ))  ノ ""i    ヽ
      ノヽ、       ノノ  _/   i     \
     /ヽ ヽヽ、___,;//--'";;"  ,/ヽ、    ヾヽ
385名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 20:21:25 ID:86nqAzCr
何か奇形のキモウトの話とか見てみたい……妹は首が二つあるとか…
386名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 20:37:19 ID:shJ0/0m2
正気か?
387名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 20:50:35 ID:uIo+sKMc
さや?
388名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 20:55:34 ID:hXWoMypE
キングギドラ子さんっすか
389名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 21:02:06 ID:3XOuE27V
>>386
だが待ってほしい。
下手すると頭同士で殺し合いにならないか?
390名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 21:50:11 ID:4/8EuZrE
イワン・イワノヴィッチ・ゴラチンの女版?
391名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 22:30:48 ID:RsQjCyvY
核爆!
392名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 22:40:11 ID:1+6r89IL
奇形か、奇形なら・・・


ふたなりの姉(兄でもあるか)が弟にモーションをかけるも、
チンポのある奴に欲情できるか!と突き放されたために、
股間の助六寿司を千切り取る話が見たいな

ちなみに、豚の去勢は豚の一物掴んでそのまま千切り取るそうだよ
393名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 22:50:41 ID:cMsF1d3a
キモいというかグロいな、それ
394名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 23:20:05 ID:3UeYfUOK
すごく可愛いんだけど足の指が4本ずつしかなくてそれがコンプレックスでずっと閉じこもりっきりのいもあねがおとあににだけは心を開く
っていうソフト奇形のものはどうだろう
395名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 23:46:42 ID:shJ0/0m2
奇形かってぐらいでかいおっぱいでいいよ
396名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 23:51:30 ID:ij90Yzac
>>392
突き放されたから逆にふたなりお姉ちゃんが弟を突きまくる訳ですな
397名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 23:55:33 ID:lpc32q9Z
そういう身体的障害は抵抗ある。
二重人格で精神を病んでるキモ姉とかなら大歓迎なんだけどね
ショックを受けると暴力的な人格に切り替わって
その間のことを覚えていないとかな
398名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 00:01:47 ID:mUi0QzPi
シャムっ娘(シャム双生児な娘)に関しては、限りなくマイナーながらそういうジャンルが存在してるんだよな。
そういった娘さんが近しい人に精神的に大きく依存するのはごく自然な成り行きと言えるから、
キモ姉&キモウトにおいては案外無理のない設定なのかもしれない。

まあ書いたところで喜ぶのは少数だろうけど。
399名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 00:24:42 ID:/EA99hxW
>>392
今、日本に必要なのはそれだ!
400名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 01:12:07 ID:oRhAuJF5
今日本に必要なのは去勢なのか・・・
401名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 03:55:58 ID:7zKIr5Xq
キモウトに>>392の去勢方法をしてもらいたいと思った俺はドM
402名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 03:57:32 ID:i2HiZeib
そういえば昔お姉さん大好きスレにキモねえ作品があったよな、なんだっけ
403名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 04:00:59 ID:RCFRSJOm
>>385
ヘンゼル姉妹でググれ
404名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 06:24:37 ID:fqJZ2CPc
>>401
やめてよ!ふたなりはチンもぎしてもおまんこが残ってるけど、
俺は去勢されたら何も残らないぞ!
405名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 06:25:09 ID:fqJZ2CPc
あ、ごめん。間違えた
406名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 10:10:43 ID:tHZPPqDs
>>392 俺は去勢しなくともふたなりのままで(ry
407名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 14:07:06 ID:/3J99iye
>>397
常識人とキモ姉の二重人格なんてのも怖そうですね。常識人の方の人格が
壊れちゃいそうですが。

>>398
ご紹介の「シャム娘」というキーワードで検索し…人の業深きことを再確認しましたorz
これが両方ともキモ姉妹でも、片方だけが
キモでも、凄まじい話ができそうですね。
脳天気系一直線の自分には厳しすぎるお題ですが。
408名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 14:19:39 ID:vKDTPg22
知的障害者ですごく美人のやつが居てそいつの兄が遊び程度にあそこ触ってやったら後々大変なことになったと言う話を聞いたことあるぜ。
409名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 14:23:43 ID:4vVc6Bmc
ちっちゃいお姉ちゃんにぴったりくっつかれたい
410名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 14:59:38 ID:5qjlrQEL
くずみこくは
411名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 23:04:00 ID:fqJZ2CPc
>>406
いやいや、肝心なのは、愛する人が自分のフリークスを受け入れてくれない場合、
人格が壊れてしまって自分のフリークスの象徴まで壊してしまうという事だ

だとしたら、シャム双生児のキモ姉orキモウトもいいかもしれんな
弟or兄が自分を受け入れてくれないのは私が異常だからだ、
こいつが私の体にくっついてるせいで私を避けるんだ
なんて結論に至ってお互いを潰しあうって話もありかも
412名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 00:04:56 ID:g2ulnI3A
>>410
あれが弟べったりのキモアネだったら一生叶についていくのに!
413名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 05:35:46 ID:m74JuDyo
414名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 08:11:18 ID:fd506/K4
頭の上に乳を乗せてくるキモウトが欲しい
415名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 09:06:18 ID:L/rMF5vn
キモ姉妹にとって、普通のブラコン姉妹はどう移るだろうか?
兄弟を慕ってはいるけど血が繋がってるゆえに一線を越えられない姉妹は?
416名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 10:08:13 ID:OA96AY+U
>>415
生ぬるいとか思っているじゃないのか?
で、兄か弟に彼女が出来たら誰もが覚醒する

それがリ ア ル  だ  よ
417名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 11:03:55 ID:L/rMF5vn
いやぁ、出来たら出来たで自分は何も出来ずに寝取られ気分を味わうヘタレ
そういうパターンが多いよ、キモくなければ
418名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 15:17:53 ID:yWHj6f4D
くろとしろ姉と櫻子先輩の話の続きが気になるのはおれだけかな?
419名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 15:45:23 ID:DuPq8t9y
キモ姉妹とは何ぞや?
ヤンデレ+近親の合成獣という、とっても怖い存在ということでOK?
420名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 16:07:01 ID:ZJKRRBJt
>>418
おまえだけではない。ここにもいる。
だが、気長に待とう。このスレは1スレで一話以上確実に書いてくる職人の方が
むしろ少数派だ。ここは職人の層が厚いこともあってスレの進行が早い(もう
10スレ目だし)ので投下間隔が長いように感じるが、日数で考えると、
遅いペースでもないんだし。
421名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 16:23:00 ID:SE5dLAWY
変態……じゃなかった、偏愛の第二部を待ち望んでおります。
422名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 19:26:17 ID:Nj08FNns
ゾロアスター教ってマジでヤバイんだぜ!
なんせ宗教を挙げて近親婚を奨励してるんだぜ?
一番理想的なカップルは兄妹or姉弟!
何よりも恐ろしいのは、まだコレを信仰している地域・民族が存在するということだ。
423名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 19:27:27 ID:yc/FQGNn
>>420
禿同
職人の中には仕事で多忙な人もいるだろうしな・・・
まあ、じっくり待つのが一番。
しかし昔の職人も戻ってきてくれないかな・・・・綾とか綾とか綾とか
424名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 20:58:56 ID:Xnkrfad0
学生には春休みでも、勤め人には年度末ですからのう。
ということで、投下までの場つなぎに。
あなたにとってキモ姉妹とはどの程度?

1 ブラコンの時点で十分キモい
2 やはり裸で迫るくらいは必須でしょう
3 いやいや、近づく泥棒猫を非合法に排除するくらい出なければ
4 甘い。思い立ったら拉致監禁くらい基本
5 その他
425名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 22:25:07 ID:s6TaJ4T0
>>424
1
現実でブラコンの妹をみたことない
426名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 22:33:58 ID:BkPjZx6A
そう言われると、ブラコンってどんな程度のもの?って疑問が出てくるわけだがw
427名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 22:37:20 ID:4uevTg+d
>>424

3

とは言え、俺にはリアル姉妹がいないので、是非欲しい。
普通の姉妹でも。
428名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 22:43:15 ID:CdTGSSpR
まあマジレスすると
兄の価値観はほぼ絶対だった訳だが
あと自分を否定されるとうっかり死にたくなる
429名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 22:56:44 ID:TUUA7rbe
>>424
妄想の世界では、
6のテレビに出ている女でさえ視線を向けることを許されない
現実の世界では、
1のブラコンの時点で十分キモい
430名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 23:08:54 ID:ekliiXX5
俺は年齢が離れてればブラコンになってしまう確立は高くなると思ってる

事実、俺が見たことのあるブラコン女(姉または妹)は
男(兄または弟)と少なくとも4〜5歳以上は離れていた
431名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 00:04:42 ID:TMKnuSaI
そういえば、俺の友達には姉と妹両方いるという恵まれた奴がいるんだが、
妹の方とは7歳ほど離れていて、姉の方とは1歳違う。

友達、仮にAとすると、そいつは姉との仲は普通で、妹とは少しいいかなという程度なんだ。
でも、Aは仲は普通だが結構姉のことを慕っているようで、何かと姉を気遣っているようで
聞いてみれば、姉は色々とつらい過去なんかがあったそうなんだ。

で、そこまでなら、ふーんで終わる話なんだが・・・・。
妹の方が、ちょっとこのスレ向きな女の子だった。

もちろんキモウトとまではいかないんだが・・・・
傍から見れば立派にブラコンで、いつも兄ちゃん兄ちゃんと言っている。
こないだAをコンパに誘ったら、翌日に俺に電話がかかってきて
「お兄ちゃんに変な誘いをするのやめてもらえませんか」
と言ってきた。

Aにそのことを話して、お前らの兄弟仲いいな、なんていったら「んなわけねーよ」
とか言ってきたんで、聞き返すと
いつも姉妹のほうは喧嘩が絶えないらしい。

長くなっちゃたんで、もうやめるけど、前はAの取り合いをやって相談してきたぐらい
432名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 00:40:05 ID:PJggZNxE
>「お兄ちゃんに変な誘いをするのやめてもらえませんか」


なんだろう、この気持ち・・・ドキドキするような
433名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 00:45:33 ID:WIJopFqt
…2428見て「正常な兄妹関係ってなんだろう」って思うことにしている
ttp://www5c.biglobe.ne.jp/~nyu/COMIC/2428/20050909PcDstry.htm
434名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 01:29:55 ID:pBPhSzcs
>>433
見るな注意
435名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 01:32:19 ID:TMKnuSaI
くそ・・・内容は面白くもなんともないのに・・・・
このスレの住人だからニヤニヤしてしまうぜ
436名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 01:57:17 ID:VwqiaHdK
>>433
2428一気に読んだわ・・・はぅぁっ
437名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 02:01:42 ID:Ke8H2CMP
とっくに既読だったぜ…
いいところで終わってる
438名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 02:53:28 ID:X6HN3vJ/
今日俺誕生日だ…

リアル妹からは何の音沙汰もない
439名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 03:05:18 ID:LhqqAoXS
脳内妹がみさくら語で祝ってくれるさ
440名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 03:34:30 ID:aSdPS10W
>>438
誕生日おめでとう
妹が君を心から祝福して素敵な明日が始まりますように…
441名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 03:40:01 ID:mDQAbbHn
音沙汰がないのはドッキリの準備中だからに決まっているじゃないか。
きっと今日は最高のバースデイになるさ。

442名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 05:23:52 ID:ex9OjW/p
>>438今日寝て起きたら、妹と永遠に地下で過ごすことになるから、お月様とかお星様をゆっくり眺めてな。
443名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 10:39:02 ID:VUq/RD4t
>>438
「手錠、縄、スタンガン、睡眠薬、猿轡、そして……」
予め用意してあったバックに手際良く道具を詰める少女。
何時、何処で、何を使って行動するかは決めてある。あとは実行するのみ。
少女の目には迷いは無く、毅然とした決意が宿っていた。
「今年になるまで躊躇していたせいで何の進展もなかったけど……今年こそは!」
感情が口からこぼれ落ちると同時に、最後にバックに入れるつもりで手に持った警棒が不吉な音と共にひん曲がった。
「………」
思う所があるのか、再起不能となった警棒を眺めて黙考する少女。
やがて一つの結論に到達する。

―ああ、そうか。道具になんか頼らなくても、自分の5体を使った方が安全で確実だ。

折角用意したが、どうやらこの道具を使う必要は無くなった。
何より身一つならば自然体のまま近づけるし、何を使うよりも文字通り『この手で兄を感じられる』。
最後に姿見で自分を確認してから部屋を出る少女の顔は、この世界の誰よりも美しく狂っていた。
きっと今年は……否、今年から最高の人生が始まるのだろう。
果たしてそれが誰の人生かは判らないが………。
444名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 15:02:29 ID:OtB1+fbF
>>431
年が離れてると喧嘩とかなくていいわ。
離れすぎも考えものだけど。うちの三女は18歳も年下だから妹と言うより娘みたいだw
445名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 15:12:48 ID:qMo5fsyq
やっぱり現実に姉、妹がいると、そっち系には萌えなくなる?
446名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 15:28:54 ID:zyx64JqB
>>445
そうかもしれない。俺の姉萌えの引き金は従姉だからな。
実際の姉がいたらどうなってたか分からん。
447名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 15:49:24 ID:LhqqAoXS
>>431じゃないけど、俺も姉と妹両方いるよ。

逆に聞きたいんだが、
姉や妹がいない人たちはなんでそんなに萌えるんだ?
やっぱり一つ屋根の下に女がいるとかいうことで?
448名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 16:11:30 ID:iM1yWMbB
リアル姉妹がいると、姉妹萌えできないとかよく言われるけどね。
しかし俺は、「リアル姉妹の有無は関係ない」という反対説を唱えてみる。
姉/妹に萌えないという人は、単純にまだ自分にぴったりの姉/妹に出会えていないだけではないかと

リアル姉持ちの俺だが、当然その姉に欲情したりはしない
俺にとって性的興奮を呼び起こす姉とは、狂ったように弟を欲するみっともない姉のことだ
すなわちキモ姉。それが俺にとってぴったりの姉萌え。
だからココにいる
449名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 16:35:39 ID:SUEl72n7
リアル姉に萌えるはずがない

リアル姉にいいようにこき使われるのがオチだよ
450名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 18:10:46 ID:rr8NxIhi
リアル姉はいるがリアル妹はいない

そんな俺はキモウト派
451名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 18:40:44 ID:MYVU9jvv
姉を愛さない弟はいない
リアル姉は嫌いってやつは知らず知らずのうちに社会のルールに縛られて自分で自分に言い聞かせた結果

全ての男は姉に憧れを持っていてリアル姉がいない男も異性の中に姉の姿をみている

近親相姦をタブー視するのは弟のいない女たちの策略

男が母性と呼んで憧れるものは正しくは姉性と呼ぶべきもの
452名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 19:21:56 ID:PJggZNxE
韓国の伝説には





姉に萌えた事を後悔して自殺した男の話がある
453名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 19:23:14 ID:C2Y1ZiTd
>>448
そうだよな
姉がいるから姉萌え属性がないという奴は萌えの求道者として未熟だ
だったら母子物は何で存在するんだっちゅう話だよ
454名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 19:24:23 ID:OtKKB9jn
未完の作品多いね。いや、作者さん達に無理いえないのはわかってんだけどさ…
455名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 19:28:18 ID:8oWvxOgF
未完ではない、連載中だ!
456名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 19:31:59 ID:OtKKB9jn
>>455
そうだな。俺が悪かった。全裸で待ち続けるよ
457名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 19:35:27 ID:0YZAhyKx
俺はリアル妹にも萌えててそれがバレて妹に本気で拒絶された
シスコンでも嫌われるのが現実です
458名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 19:41:19 ID:Bop8mAmJ
弟が可愛くて可愛くて仕方ない姉が
弟を誘惑してやっちゃった実例なら知っている
その姉弟と親しくしていた2年間はベッタリだった
あんまりにもあからさまだったから周囲はドン引きだったな
その後、どうなったかは知らんがな
459名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 19:53:22 ID:oU1J0b+R
現実の姉妹を知っているからこそここに来るのだよな。
このスレみたいな姉妹がほしいぜ…
460名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 20:11:44 ID:hWMC4fnO
妄想と現実に区別がつかない奴らが多すぎます
461名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 20:37:49 ID:meYxwd0S
>>460ってあれだろ?
二次元に惚れ込んだ兄を持つキモウトの叫びだろ?
462名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 22:04:08 ID:iM1yWMbB
>>451
キモ姉乙
今夜こそ夜這いが成功するといいね
463名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 22:10:31 ID:cvbSEJgZ
好きこそものの上手なれ。これは真理ですよ。キモ姉妹属性がない人間が
頑張って書いてみても、どうしてもキモさが足りない。これじゃひいき目に見てもただのブラコンだorz
464名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 22:11:03 ID:0lXkI3hj
俺なんか昨日リアル姉と妹3人に麻雀で金巻き上げられたんだぞ!
ぜったいあいつら通しか何かしてる
465名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 22:16:10 ID:+TT+qLW/
姉  「……>>464は寝たかしら?」
妹1 「うん、寝たみたい」
妹2 「あんた、寝顔盗み見たりしてないでしょうね?」
妹1 「しないよ。そういう約束だもんね」
妹3 「さて……それじゃ、第ニラウンドといきましょうか」
姉  「……>>464の手垢と夢が詰まったこのお金……」
妹1 「誰が手にするのか……」
妹2 「駆け引きイカサマなんでもありのエクストリーム麻雀……」
妹3 「あらゆる手を駆使して、お兄ちゃんのお金を勝ち取るのは一体誰か……」

 こ の 勝 負 、 絶 対 負 け ら れ な い ! 



こうですね。分かります。
466名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 22:24:40 ID:TMKnuSaI
相変わらずここは神スレ、だな・・・・
467名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 22:28:30 ID:0lXkI3hj
>>465
ちょ、そんなかわいいもんじゃねーww
因みに姉2人に妹1人の3人って意味な。
どれくらい酷かったかと言うとトップ目でもない俺から直撃取るために山越えしてくるくらいw
そのときの言い訳が
半荘5回で2回飛ばされたorz
468名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 22:31:12 ID:0lXkI3hj
>>467
ミスった

そのときの言い訳が
「ごめんごめん、さっき妹が捨てたの見逃してたのよ」
469名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 23:23:08 ID:UTjM83AI
フリテンにならないの?
470名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 23:25:56 ID:UTjM83AI
山越え見逃してた○| ̄|_
471名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 23:31:25 ID:aSdPS10W
>>468
アカギ
カイジ
哲也
哭きの竜
おっぱい侍
ここら辺は姉の部屋の本棚に必ずあるな。近代麻雀とかは妹が愛読してるはず
姉1「バレなきゃイカサマじゃないのよ」
姉2「弟、背中が煤けてるわよ」
妹「クキキキ…クカカ…クコココ……」

…ちょっと嫌だなぁ……
472名無しさん@ピンキー:2008/03/27(木) 23:42:30 ID:D7FpVUBg
姉妹はみんなあの鼻なのかorz
473名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 00:18:19 ID:gDRvqTfS
リアル姉はいつも人がオナッてる最中に部屋に入ってくる。誰か引き取って下さい。
474名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 00:29:29 ID:HAaeuzWI
それ自殺ものだよな
475名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 00:39:26 ID:gDRvqTfS
しかも私の服が姉の寝ている部屋にあるので、夜姉の部屋に服を取りに行くと「よ、夜ばいにきたの?」と真顔でわけの分からない事を言ってくる。本当にぬっころしたくなる。ニ次元の姉がほしいです・・・。
476名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 00:56:21 ID:W9fs2vNq
これは450に同意せざるおえない
477名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 00:57:36 ID:kzKlJQqg
>>475
女装か…
478名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 01:02:35 ID:EnpeCVlz
>>475のフラグビンビン振りに嫉妬せざるを得ない。
479名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 01:13:59 ID:VvLGhgdP
リアル兄、リアル弟、リアル従兄、リアル従弟、リアル又従兄、リアル又従弟がいるが
姉も妹も従姉も従妹も又従姉も又従妹もいない男系一族の俺超涙目だぜ…
480名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 01:20:15 ID:HAaeuzWI
リアル姉妹などいない方が無難だよ
481名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 01:26:03 ID:4LXPsOCY
>>475
「よ、夜這いにきたの!?ままままま待って、ねえ待って!
 そんな真剣な目で見つめられても困っちゃうってばぁ!
 そそそそそりゃあお姉ちゃんだって期待には応えたいけど、こういうの経験ないし・・・
 そそそそそれにこういうのはその段取りや順序ってのものが・・・
 だだ大体、『ヒニン』も考えないといけないんでしょ!?
 だ、だから今夜は・・・・・・・・・・・・



 って、いねーし」
482名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 01:28:27 ID:ly7uZyoY
俺、学生時代先生に「お前の姉ちゃん元気にしてるか?」とか、友人に「お前の姉ちゃん見たぞ」とかよく言われてたんだ
今でも「お姉ちゃん子っぽいですね」と言われる事がある
一人っ子なんだけどな
483名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 01:41:33 ID:kRfvJUJ3
>>482が知らないだけで、実は生き別れた姉がいるんじゃないか?
484名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 02:25:06 ID:xeThec2w
>>479
うちは逆に俺以外いとこきょうだい全員女の超女系一族だぜ?
……まあ、だからと言ってどうということもないから安心しろ。
485名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 02:46:19 ID:Nr6Z795s
>>431
>「お兄ちゃんに変な誘いをするのやめてもらえませんか」

なぜか間宮くるみの声で再生された
486名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 02:48:31 ID:u/mMSqfy
ほとんどカンの当てずっぽうのくせに観察眼があるような顔をしてまぐれ当たりを狙う人っているよね
俺も前に母子家庭でしょとかほぼ初対面の人に言われたことがある
487名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 02:57:35 ID:4LXPsOCY
>>485
間宮といえば、ポポロクロイス物語2ってゲームのピエトロの妹(三歳)を演じてたなー
キモウトっていうよりは只のブラコンだったが
488名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 03:01:10 ID:lsje9Nli
別に確たる証拠はないんだろうが

落ち着いてたり、面倒見のいいひと→下に兄弟がいる?
逆の人→上がいる?

だとか、いわれるのはよくある話でね。
大抵の場合、言ってくる相手も、世間話程度のつもりであって
当たりを狙ってるわけでもないと思われるが。
どうでもいいが、職人さんがこないとすぐ俺語りになるね、この手のスレって。
489名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 03:02:32 ID:Nr6Z795s
それより晴れブタだろ
世界中のみんながお兄ちゃんを忘れてもたった一人だけ覚えている妹役
490名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 03:26:48 ID:4LXPsOCY
あの妹の声間宮だったのか
491名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 15:51:14 ID:SEIWIZ/9
なんつーか現実に妹がいるとか姉がいるとか
そういう話はうらやましすぎてつらくなるからやめてくれっつーの
492名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 16:47:31 ID:dAuEfySu
>>491
そーかそーか なら最大級の禁句を送ってやろう

『  美  人  な  ら  な  』     orz
493名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 17:03:30 ID:MS+6zGj5
学校でぶりっ子してるが、家では俺にだけすげーウザイ。
両親にもぶりっ子で俺だけにはすごい口悪い。
紹介してくれって友人が結構いるが、お前らは目をもうちょい見開けと。

そんなんでよければ>>492に差し上げるわ
494名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 17:11:22 ID:MHQHZQkJ
それはつまり、>>493の前でだけ本当の自分を隠さずにさらけ出してくれているということじゃないか
嘘臭い笑顔見せられるより本当に万倍マシだよ
495名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 18:06:16 ID:+ofTIfG7
俺の妹の場合、俺に対してのみドS、その他に対してはドMというわけわからん設定……
496名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 18:13:47 ID:6JLfd4X8
ここは厨房の雑談スレじゃねえ
497名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 18:41:34 ID:ctK6cb0a
某スレみたいに荒れるよりかはだいぶいいけどなw
498名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 20:12:50 ID:X1jFn4cX
でも正直ほとんどがネタだろうなとわかる
499名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 20:21:42 ID:l647oKNK
まあほどほどにしとけってことだな
フニャフニャ
500名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 21:11:01 ID:+0ZaAUy+
こんな進行速度だと、続きを書き終わる前にスレが埋まってしまうのが心配ですw
501名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 21:44:19 ID:iDG63I87
>>493
そういうエロ漫画、俺は何回か見たぞ
お前に対して悪態をつくのか、お前に対して地を曝け出すのか、
それによって妹がお前をどう思っているのかが違う
502名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 22:32:35 ID:xJiRPi7q
バカチンコじゃあるまいし…。

ガムシロップ代わりに涎を混入するキモウトとかそういうのじゃないと
503名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 22:37:06 ID:iDG63I87
ちげえよ!他の人にはぶりっ子する妹だよ!
504その時キモウトは…:2008/03/28(金) 22:43:54 ID:gok1wfop


妹「お兄ちゃん!卒業おめでとう!」
兄「おう」
妹「ねぇ、お兄ちゃん…ちょっとお願いがあるんだけど…」
兄「何?」
妹「……第2ボタンちょうだい!」
兄「何で?」
妹「え?あ!嫌なら別に第五ボタンでも…いいんだ…けど…」
兄「ん?別にいいけど……第五?」
妹「はぅ…あぅ…」(※)
兄「…おい。……ちょっとー」
妹「へ?キャッ!近っ!ジュルリン…」
兄「おかえり。てか、涎…凄いジュルってるぞ」
妹「え!嘘っ!ごめ…てか、恥ずっ!」
兄(また変な事考えてたな…)




妹(第五ボタン…お兄ちゃんのアソコに…はぁはぁ…一番近い第五ボタ…はぐあ!……はぁはぁはぁはぁ…ふぅー……また、イッちゃったよ…もう!お兄ちゃんは私の愛液製造機だよ……サムッ)
505名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 23:15:47 ID:X1jFn4cX
↑こういうのはなかなか書けないんだけど、
埋めネタ的なものならすぐできるんだよな。
今日も仕事中に一時間で仕上げてやったぜ
506名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 00:04:08 ID:S5+qBZKz
妹は思春期でみたネタだな
507名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 00:28:11 ID:tGIGjC3f
このスレはどのくらいキモくないと投下はやめてくれっていう基準ある?
508名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 00:44:48 ID:oWosrYXL
>>507
キモさを一概に数値化できる訳でも無し、大層難しい質問だが、
無理を承知で敢えて答えるなら、このスレのSSを読んで興奮し
ている俺達程度のキモさを基準とするのは如何だろうか?
509名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 00:45:38 ID:ks5/m/bs
すみわけ的意味で妹スレとかお姉ちゃん大好きスレだと
ちょっと引いちゃうレベル以上ならここでいいかと。
明確な境界線は引けないから、過去ログと照らし合わせるのも手かと。
510名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 00:52:44 ID:tGIGjC3f
了解。
最初はあんまりキモくないから、やめておいたほうがいいかもしれないな
511名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 01:03:53 ID:Mhw2FCJN
いや後からキモくなるならこっちでいいんじゃないか?
最初はまったりラブコメだったのに急展開で修羅場になったら妹スレとかだと
拒絶反応が出るかもしれない
512名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 01:06:40 ID:rlSMTyC7
こっちで頼む
513名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 01:31:28 ID:tGIGjC3f
そうか・・・・。
なら少し待っててくれ。
短時間でばーっと書いちゃったから推敲してないんだ。
514名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 02:32:35 ID:tGIGjC3f
じゃあ、投下するよ。
ざっと書いちゃったから、かなり駄文になっちゃってるけど、それでもよければ。
515名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 02:33:53 ID:tGIGjC3f
 俺は、父性が人より強いんだろうか。
 最近よくそう思う。
 リビングにある机の上に、落書き帳と書かれたノートをこれでもかというぐらいに広げる少女。幼女。
 俺の十歳離れた妹だ。
 名前は智。智ちゃん。
 智ちゃんは、ふーん、ふーん、なんて鼻歌を歌いながら色鉛筆で何かを描いている。
手をグーにして文字通り殴り描く姿は、幼い姿がとても映えていて、頬が自然と緩む。
 俺は、高校の制服を着ながらカレンダーを確認した。
 六月十八日。木曜日だ。
 今日は智ちゃんも幼稚園があるはずなのに、いまだに寝巻きのままというのはいただけない。
 俺はゆっくりと智ちゃんに近づいて、もうすぐ幼稚園のバスが来るよ、と伝えた。
 すると、俺の姿には気づいていたのか作業を止めて振り返ってくれる。
にっこりと大輪の向日葵が咲いたような笑顔だ。
「おにーちゃん、みてー」
 差し出してきたのは、もじゃもじゃと肌色と黒で描かれたわけのわからない絵。けれど俺はすぐに頭を撫でてあげた。
「おっ、よく描けたねー。これは……すごくきれいな絵だねー」
「えへへー。あのね、あのね。これ、おにーちゃん」
「おー、そうかー。俺を描いてくれたのかー。智ちゃん、どうもありがとう」
「うん。だって智、おにーちゃんのことが大好きなんだもん」
 そういうと、頭を俺の足にこしこしとこすり付けてくる。
 ほら、準備しないと、なんていいながらも自分とてこの子が離れるのが寂しくてしばらくそのままでいた。
 平日の日に起きてすぐに俺の絵を描いてくれた妹。こんなにも可愛い存在がいてもいいのだろうか。心が喜びに打ち震える。
 両サイドに結んだ髪をゆっくりと梳いてあげると、嬉しそうに今度は体ごと引っ付いてきた。
「おにーちゃん、好きー」
 ……あまりにも可愛かったので抱っこして自室に連れて行くことにした。きゃあきゃあ、と嬉しそうにする姿を見ると、こちらも幸せになりそうだ。
 部屋の前に着く。
 すると、ひょいと俺から下りて、勢いよく扉を開けた。
すぽぽん、寝巻きを脱いでしまう早業にちょっと苦笑しつつも、肩からかけられる黄色い鞄に今日必要なものを入れてあげる。
 うん、忘れ物はない。
 智ちゃんを見ると上着ボタンをつけずに、俺を待っているようだ。
つまりもう準備はできたということ。ボタンが空いているのはわざとだ。
「はーい、ばんざーいして」
 頭を押さえるように腕が上げられて、俺は一つ一つボタンを留めてあげる。
 これで終わり。
 丁度ぷっぷー、なんていう音が聞こえてきたから幼稚園バスが来たのだろう。
 窓から外を覗いてみると、猫の姿をした乗り物がエンジン音を鳴らせて待っていた。
 玄関を開けると、保母さんが俺達を迎えてくれる。おはようございます、と頭を下げられて、苦笑しながらあわせた。
 笑顔で智ちゃんを引き渡し、幼稚園に向かわせた。
516名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 02:34:25 ID:tGIGjC3f
 さて、俺にはもう一つ仕事がある。
 家を出るまでに後三十分。
 もう一人の妹を叩き起こす作業だ。
 プラカードがかけられている部屋に向かう。ノックを数回、返事を待つ。けれども、当然のように反応がないドア。
 俺はため息をついて、中に入った。
 俺の部屋とは匂いから違う異質な空間にちょっと複雑になりながらも、ベッドを見る。
 こんもりともりあがった布団と、中心に向かってしわを作ったシーツ。
 妹の住処だ。
「おい、朝だぞ」
 返信はない。
 山の布団がゆらゆら揺れる。
「おい、朝だって」
「今日は休むことにした」
 くぐもった声が聞こえてくる。どうやら起きてはいるらしい。
「何言ってんだよ。早く起きろって」
「わかってる。もうちょっとまて」
「そうやっていつも起きないだろ」
 ううー、と唸りながらも顔を出してきた。こうしてみると亀のように見えなくもない。
 こいつの癖は寝ている間に自然と体が丸まって、いつも起きたら布団の中に身を潜めるようになっていることだ。
 こちらに伝わるぐらいに億劫におきだすもう一人の妹。
 名前は智代だ。
 今でこそこんな醜態を見せてはいるが、頭脳明晰で明るく家事なども万能で、夕飯の支度などもっぱら彼女が行っている。
 兄の俺としては誇らしいけれど、最近は少しそっけないので寂しさも覚えそうなところだ。
 女の子って、成長するとこんなになっていってしまうのだろうか。
 智ちゃんに「お兄ちゃん、ウザいんだけど」なんていわれたら軽く死ねる。
 まあ、智代だってそんなことは言わないだろうけれど。
「朋也どけ。うっとうしい」
 ……たぶん。
517名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 03:38:53 ID:ENX1Nbd4
>>514だけど、ごめん。
なぜかこれ以上書き込めないんだ。今日はもうやめにするよ。
中途半端で本当にスマソ
518名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 07:02:34 ID:kGJJkNvN
クラナド?
519名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 08:41:13 ID:nAKCBPIg
>>517どっちが、あるいはどっちともキモ化するのか。期待してる。
個人的にロリキモウトって妄想に興奮しました。
 
>>518智代だけで反応したなコラ。まぁちょうど旬だから仕方ないけど。
520名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 08:57:06 ID:7Pg3IpQZ
蔵ナド?
521名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 09:21:07 ID:tGIGjC3f
>>516の続きを投下。
書き込めますように。
522名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 09:35:29 ID:ENX1Nbd4
謀ったように書き込めなくなっちまったぜorz

なんかもう荒らしみたいだな俺
去ることにするよ
523名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 09:37:12 ID:QqS+Mohk
>>522
諦めるな!
最初の1行が空白になっていないか? 1行が長すぎたりしないか?
書き込み間隔が短すぎないか? 連投規制なら俺が割り込んだことで書き込めるはずだ
524名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 09:46:31 ID:tGIGjC3f
すごく・・・・最初の一行が空白です・・・・
525名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 09:47:40 ID:tGIGjC3f
なんか半ば晒し者になっている気がするけど、
続き投下
526名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 09:48:09 ID:tGIGjC3f
 高校三年生にとって成績というものほど頭の痛いものはない。
 大学進学、就職、フリーター、どれを選ぶかは人の自由であり何か言及することなどありはしないけれど、この進学校においてほとんど選択肢はないからだ。
 俺も進学なので必然と成績というものが気になってくる。正確に言うならば偏差値といわれるものが心配で、今日は模試の結果が返ってくるのだ。
 学校へ向かう道の中、意味のないことだとわかっていながらも少しでもいい点でありますようにと天へ願う。
 手を擦り合わせていると横から声がかかった。
「何をしているんだ」
「神頼み」
「……模試の結果か? 今から神様に頼んでも遅いぞ」
「そうなんだけどなぁ。お前はどうだったんだよ」
「私か? まあ、たぶん七十前後じゃないかな」
 それってかなりのレベルでは、と思ったが深く考えることはやめにした。
 全く不公平なものだ。俺と智代は双子の癖に、こうも出来が違う。
 智代は七十前後、なんていっていたが俺はいいとこ五十の後半。偏差値だけの話ではあるが、学校定期の期末試験でもいつも智代には遅れをとっている。
 別に嫉妬なんてしないが、兄としては面目ない。
 良くこれをネタに馬鹿にされたりするし……。
 双子。
 それだけあって周囲の注目度も高い。
 おまけに智代は美人。
髪を肩まできれいに伸ばし、弱冠つり目だが、それでも凛とした雰囲気がとても際立っていて、男子生徒からはよく紹介してくれなんていわれている。
 別にしてもかまわないが、一回携帯のアドレスを俺の友達に教えていいかといったら、
何も言わずに拳が飛んできた。
 確かに俺とはクラスが違うとはいえ、同じ学年の奴を紹介なんて変な感じだし、俺の友達なんて智代の知り合いという意味だ。よく考えればこれはこれで変な話。
でも智代はあまり友達がいないようだから、男でも作って和気藹々としていてくれた方が安心はできる。
 そんなことを考えていると、とうとう地獄坂と言われている学校の麓にある場所までやってきた。つまりここを登ればもうそこは学校。
 俺はまた模試のことを思い出し、嫌な気分になる。
「朋也、神様は今日お休みなんじゃないか?」
 智代も追い討ちをかけてくる。
「なんで」
「だって、空」
 見上げると重厚な雲が、空を覆い隠そうとしていた。
 青と灰色の戦争は後者の方が分はありそうだ。
 傘を気にしたが、今からではもう遅い。
帰るまで降らないといいけれど、何て思ったが、帰宅時間になるころには、前が見えないくらいの大雨だった。
527名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 09:48:33 ID:tGIGjC3f
 昼休み、下駄箱でどうしようか悩む。
 このまま帰るというのは俺の模試の結果ぐらい良くないことだ。
 というのも、智ちゃんのこと。
 たぶん家の鍵の隠し場所なんて知らないし、バスで送迎されているとはいえ、家に入れないのではあまりに可愛そう。この大雨だ。
 俺は一瞬迷ったが、幼稚園に電話することにした。
 携帯を出す。
 無機質なコール音を後に、快活な声が聞こえてきた。
「はい、倉等幼稚園です」
「ああ、杏か」
「……呼び捨てにしろっていったのは私だけど、幼稚園に電話する時は気をつけなさい」
「ああ、はいはい」
「で、何の用よ」
「智ちゃんのことだけどな」
「ああ、大丈夫。雨だから心配なんでしょう? あんたが帰ってくるまで私の家にいさせることにするわ」
「悪い。じゃあ、よろしく頼むな」
「この借りは高くつくわよ」
「飯ぐらいならおごるよ」
「何で社会人の私があんたにおごってもらわないといけないのよ。姉としての面目がなくなっちゃうじゃない」
「じゃあ、どうすりゃいいんだよ」
「そーね、……ま、考えとくわ」
「なるべく簡単なことにしてくれよ。んじゃな」
 ピッという電子音を最後に切った。一息つく。
 これで、智ちゃんに関しては安心だ。後は自分をどうするかだが……。
「智代」
 いい具合に妹がいた。見れば、持ってきていなかったはずなのに傘が手元にある。
 小走りで近づいて、俺も帰りに入れてくれと頼んだ。
「いいぞ」
「悪いな。そうそう智ちゃんも迎えに行きたいから杏の家に寄りたいんだけど」
「…………わかった」
 そうして、智代のなんともいえない顔が気にはなったが、自分のクラスに帰った。
528名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 09:48:58 ID:tGIGjC3f
 六時限目の授業が始まる。
 日本史。
 個人的には好きな強化で得意科目だが、教師に関しては別だ。
 わけのわからないパンチパーマの髪型や鼻の下についた爆弾のような黒子がまずむかつくし、何よりも性格が我慢ならない。
 女を優遇して男を蔑視する。
 この手の教師というのは、何かしら思い過去でも背負っているのだろうか。
そうだとしても、体育教師でもないのに時代錯誤的な竹刀で生徒を叩くなんて許されることではないだろう。
「岡崎、この問題をやってみろ」
「……はい」
 席を立って前に出る。
 案の定、かなり難しい。
 日本史という科目は大体が記憶の作業だ。頭に詰め込んで覚えていれば正解できる。
 ただこの覚えるというのが曲者で、ただ単に名称を覚えているだけではすぐに忘れてしまうのだ。
 得意科目と入ってもすべてをわかっているわけじゃない。俺は黒板を前に、舌打ちしそうになった。
「どうした、こんなのもわからないのか」
 やばいな、と思いチョークで何か書くフリをする。
 でもそんなものがいつまでも続くわけがないので、さりげなく周囲を見た。
 こういう時は。
「…………」
 一番前の席に座る女生徒。
 机の上の参考書を指差している。
「できました」
「……おし、席に戻れ」
 悔しそうに顎で促す教師に反感を覚えつつも、席へと戻る。
途中、目でお礼だけ言った。いえ……、と小声で言っていたけれど俺には十分に聞こえた。
 座る。
 すると待っていたようにポケットの携帯が震えた。
 隠すように操作しながらメールを見ると、なんと智ちゃんからだった。
『おにーちゃん、おべんきょ、がんばれ。智はいい子にしてるから、安心していいよ』
 やべえ、かわいい。
 送り主を見ると、杏になっている。
 たぶん、あいつが智ちゃんに打たせてやったんだろう。
 時計を見る。
 そうか、もう幼稚園は終わってるか。早く終わらないかな、何て思って返信してあげることにした。
 読みやすいように全部ひらがながいいだろう。
『ともちゃん、ありがとう。あとで、ともよといっしょにむかえにいくからね』
 これでいいだろう。
 すぐに返事が返ってきた。
『おにーちゃん、ひとりがいい』
 ……ん? これは、どういうことだ。
「岡崎、なにこそこそしてる」
 これ以上は操作が難しくなったので、そこで中断して再度授業に集中する。
 でも、ひとりでいいなんて、もしかして喧嘩でもしているんだろうか。
 そういえば智ちゃんはあまり智代と話さない。仲が悪いというわけではないけれど、避けている印象はある。
 ……まあ、そんなに深く考えることじゃないかな。
 黒板を写す作業に戻った。
529名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 09:49:28 ID:tGIGjC3f
 叩きつけるという形容がふさわしいような雨の中兄妹で歩く。
 双子のくせにこうも似ていないから、へんな関係じゃないかと勘違いされそうだ。
 ちらりと横を見る。
 濡れないように所狭しと俺の方へ身を寄せてくる智代。俺が傘を持って配慮はしているが、やはりどうしても肩が少し雨に当たってしまう。
 しかし智代はあまり気にした様子はないようだ。
「傘、持ってきてたんだな。」
「ああ、これか。学校に一本置いてあるのがあったんだ。私も天気予報は見なかったし」
「見なかったというか、……寝坊したから見れなかったんだろ」
「ま、まあ、そうともいう」
 考えてみれば智代とこうして歩くことは多い。
世間一般では兄妹の仲は良いほうが少ないというが、思春期を迎えても我が家に限ってはそんな事はなかった。
 まあ、昔いろいろあったていうのもあるんだろうけど。
 それにしても、こうして兄貴と登下校を共にするというのは妹からしたらどうなんだろう。
 もちろん今日の下校は偶々だが、登校に関して言えば毎日一緒に行っている。
 何か取り決めをしたわけではないが、一緒の学校なのだからわざわざ時間をずらすこともないだろうと思って今に至るが、兄に気を使っているなら止めた方がいいだろうか。
「朋也」
「うん? なんだ」
「今日の夕食のことだが、何かリクエストはあるか」
「そうだな……、今日は智ちゃんを一人にしちゃったからな。ハンバーグとかで喜ばせてあげたいな」
「……ああ、そうだな」
 話していると、杏の家のマンションに着いた。
 茶色で縁取られたベルを押す。
 何回も木霊する無機質な音。これがコンビニに入ったときの音に似ていると思うのは俺だけではないはずだ。
 杏がドアから顔を出す。
「いらっしゃい。ちょっと待ってて」
 智ちゃーん、と呼ぶ声が聞こえた。
 とてとてと奥から智ちゃんが出てくる。
俺の顔を見ると嬉しそうに走り出した。飛びついてくる。
「おにーちゃん」
 撫でてあげると子猫のようにごろごろとのどを鳴らして目を細めた。
 おぶってほしいといわれたので、快く背中を差し出して持ち上げた。
「あがってく? 夕食ぐらい作ってあげようか?」
 杏はすでに保母さんの服を脱いでいるようだ。ちょっと露出の大きいワンピース。
 雨なのにご苦労なことだ。
「悪い、やめとくわ。あんまり外食したくないんだ」
 そういうと、僅かに残念そうにする。
「この子の料理の方がおいしいから?」
 予期していない皮肉まで返ってきた。
 驚く。
「そういうことじゃねえよ」
「冗談よ」
 愉快に笑う。
 あまりいい冗談とも思えなかったけれど、杏はさっぱりとした性格だから、そんなねちっこいのは本心じゃないだろう。
 俺は智ちゃんを預かってくれたことに礼を言うと、帰ることにする。
 帰り際、傘を使っていいといわれたので一本借りた。
「じゃあな」
「うん、ちゃんと返しにきなさいよ」
「明日また幼稚園バスに乗ってくるんだろ? そのとき返す」
「だめよ。あんたが家に持ってきなさい」
「はあ? なんで」
「それが礼儀ってもんじゃない」
 まあ、そういわれればそうかもしれない。渋々ながらも了承して後にした。

530名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 09:50:07 ID:tGIGjC3f
「今日ねー、お友達とお料理の練習したの」
 夕闇さえ灰色の中、智ちゃんは元気だった。
 負ぶった背中でうれしそうに騒ぐ。
「おっ、えらいなー。でも智ちゃんはまだ小さいんだから危ないものは使っちゃ駄目だぞー」
「智ちっちゃくないもん! それに砂のカレーだったから大丈夫!」
 砂のカレー? ああ、砂場でカレーのようなものを作ったということか。泥団子と一緒だな。
「だからね、あのね、今日はカレーが食べたい!」
 俺の頬に顔をくっつけてお願いしてくる。
 カレーか、そういえばしばらく食べてなかったな。
 さっき智代とハンバーグの話をしたけれど、カレーならば智代も作業が楽になっていいだろう。
「カレーか。それもいいね。ちゃんと残さず食べないと駄目だぞー」
「うん!」
 確認のため智代を見る。
 しかしは俺の意図とは反して、ずっと智ちゃんを見つめているようだった。
 智代も智ちゃんが可愛くて仕方ないんだろう。
「スーパーに寄っていいか? ハンバーグにするから色々買わないとだめなんだ」
 だからこんなことを言い出したのには驚いた。
 おいおいと思ったけれど、よく考えればこの雨だ。
 聞こえなかったのかもしれない。
 きちんと言い直した。
「智代。さっきの話の手前悪いけど、今日はカレーにしないか? 智ちゃんもカレーが良いって言ってるし」
「わかった」
 即答。
 俺の言うことがわかっていたようだったので引っかかったけれど、傘に隠れてよく顔が見えなかった。
 赤い傘が、よく似合っている。
 そういえば、今いくら財布に入っているか心配だ。
 俺は智ちゃんを背負ったまま、起用に財布を取り出して中身を確かめた。
 一、二、三、うん。これだけあれば大丈夫だ。
 安心してポケットに入れる。
 途中、智ちゃんの顔が眼に入った。
「ん? 智ちゃん、どうした? あっかんべーなんかして」
 俺の言葉にびくりと体を震わす。
 怯えたように見てきたので、何かあったのかと聞いた。
 けれど、えへへ、と笑うだけでよくわからないままだった。
 だから気づかなかった。
 智ちゃんは、ずっと智代に向かってそうしていたことに。
531名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 09:53:40 ID:tGIGjC3f
投下終了。
>>525ありがとう。貴方のおかげだ。

べ、別にクラナドとはかんけいないんだからねっ! 勘違いしな(ry
532名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 10:01:49 ID:fHZp/FFl
GJ!
さあ早くことみを出すんだ!
533名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 10:17:25 ID:Rq/5Ueqf
>>531

GJ!!続きをwktk希望。





だが…
アンカミスってるぜ…
正しくは>>523だろ?
あと心優しき>>523
「全裸紳士」の称号を進呈するぜ。
534名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 10:24:34 ID:015YKnSm
姉一人、妹二人と麻雀して、山越までされてねらい打たれて
ハコになる話だっけ?
535名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 11:05:45 ID:F6hhOtBU
>>531
グッジョブ
キモウト臭がプンプンするぜ
536名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 12:49:57 ID:dVNJyy2N
幼稚園の名前が…
537名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 13:26:15 ID:9FBF8HQG
さあ、盛り上がってまいりました
538The temptaion by my eery sister:2008/03/29(土) 13:33:50 ID:679D4TvE
まもなく投下します。

ジャンル  【キモ姉誘惑 弟堕ち】
種別    【和姦 通常性行為のみ 同性愛なし、SMなし】
キモ成分 【中】 犯罪行為はありません。
糖度    【中】 最後に甘みがでます。
流血グロ  【無】 鼻血も破瓜の血も滴りません
修羅場  【低】 一カ所のみ 大事には至りません。基本的には二人きり
総評    堕ちる気分を楽しんで下さい。 
539The temptaion by my eery sister:2008/03/29(土) 13:35:57 ID:679D4TvE
「んじゃ、行ってくる」
 弟の裕哉(ゆうや)が出て行くと、私は我慢できなくなって、脱衣所に走った。
裕哉の下着を取り出し、ついでに使ったばかりの電動ひげそりもつかんで、食卓に戻る。
 期待に震えながら、下着の前、ちょうど陰茎があたる部分を伸ばすと鼻を近づけた。
「裕哉(ゆうや)の臭い……」
 独特の青っぽい臭いに、一瞬で胸の頂きがはちきって、あそこがぐにゅぐにょと蠢きだすのがわかる。
すぐに嗅いでいるだけでは我慢できなくなって、口にくわえて舌でねぶり、ちゅーちゅー吸いまくる。
 乳首がさらに屹立して服にこすれ、痛くなった。
もどかしい思いでボタンを外し、ぼろんとまろび出た胸肉の頂きを、弟が使った箸で挟んだ。
裕哉の甘い唾液に濡れてるから、私の胸と間接キスだ。
「ゆうやぁぁ、姉さんの、乳首ぃぃ、咬んでぇぇぇぇ」
 痛いほど箸で締め付けると、痺れるような快感が走る。
そうなるともう止まらない。弟のパンツを吸いたくりながら、私は裕哉の使った箸やフォークで自分の乳首をいじめまくり、胸を走る快感に浸った。
 でもそれでもまたすぐ足りなくなる。だって裕哉の手じゃないから。裕哉の舌じゃないから。
 仕方がないから、下に手を伸ばす。
私は家に裕哉が居るときは、絶対に下着を履かない。下着というものは、見られたくない人に見られないためにあるんであって、裕哉と二人きりのこの家で履く必然性はない。
だいたい裕哉が私を襲う気になったとき、下着がうまく外れなくて、裕哉が正気に戻ったらどうするんだろうか? 
下着を履いていなければ、口だけでちょっと嫌だと言ってるうちに、きっと我慢できなくなった裕哉が入ってきて中でいっぱい出してくれるだろう。その差はとても大きい。
 下は思ったとおり、裕哉を欲しがってべとべとだった。我慢できずに思わず指を入れてくじってしまう。
足を上げ、太腿を椅子の肘掛けにひっかけて、裕哉の席に向かって、椅子の上で陰部を突き出した大股開きになる。裕哉がいてじっと見つめてくれたら、それだけでいけるのに残念だ。
自慰ではなく、裕哉に犯される練習にしたかったから、中でこねてた指を一度抜いて、裕哉の指を思い出しながら、人差し指と中指を乱暴に突き入れる。
 裕哉がにやにやと笑って「淫乱姉さんのおまんこを罰っしてあげるからね」というのを想像する。
それだけで腰が震えた。二本の指を奥の奥まで突き入れてぐりぐりとかき回した。
あそこから快感が爆発的に広がって背筋にまで駆け上る。
 食卓の椅子に縛られた私をにやにや笑いながら、裕哉が私に突き入れるイメージが湧いて、頭が沸騰した。
腰がびくびく動いて、私の膣がびらびらから奥まで指にからみつき、いやらしい汁が膣口から断続的に食卓に飛んだ。
 たまらなくなって尻の下から、テッシュペーパーを取り出す。
裕哉が自慰した後、精液を拭き取った奴だ。それをがむしゃらに私の膣に詰め込む。
もう一枚は、尻の穴に詰め込んだ。裕哉のためにはお尻もちゃんと使えるようになっておかないといけない。
女には生理があるんだから、そういうときはお尻の穴でおちんちんを締めてあげるべきなのだ。
 そんなことを考えながら、いよいよ我慢できなくなった私は電動ひげそりを取り上げた。
裕哉の肌にあたっていた部分を、丁寧になめ回し、髭の切れ端を飲み込む。
私は、弟のひげそりの掃除まで気を利かせることが出来るのだ。
 唇を離すのは名残惜しかったが、おまんこがどうにもうずいてぐにゅぐにゅうごき、我慢できなくなってきたので唇を離して、スイッチをいれる。
振動が響きだし、それを自分でじらしながら、ゆっくりと電動カミソリの柄、手で持つ部分をクリトリスにあてる。
 破裂音と共に、私は快感のあまり、食卓に小水をまき散らした。食器もテーブルも尿にまみれている。
掃除をするのは私だから構わない。今は頭の中まで響く快感に身を委ねるのが先だ。
 腰がだらしなく震え、陰部から尿と愛液が混じってしたたり落ちた。気持ちよかった。でも全然足りない。
 目の前に星が散り、血が出そうなほど指を噛みしめたくらいに気持ちいいのに足りなかった。
わかっている。膣に欲しいのだ。クリトリスも大好きだけど、やっぱり中に欲しくなった。
540The temptaion by my eery sister:2008/03/29(土) 13:36:42 ID:679D4TvE
 ためらいなく、電動カミソリの柄を滑らせ膣に突き入れる。
「あはぁぁぁぁ、ゆうやぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ」
 振動が私を粉々にして持ち上げ、浮遊させる。開放感と共にまた尿をもらしたのが遠い感じだった。
おまんこから始まって頭まで広がる痺れ感を味わいながら、私はまだ足りないことを自覚していた。
 夕方までは保つけど、明日の朝までは無理。
いままではなんとか押さえてたけど、もう限界。
だって、乳首だけでなく胸全部が硬くなって、凝ってる。裕哉に揉まれたがってるのだ。
おまんこだって、電動カミソリを放さない。裕哉のおちんちんじゃないのに必死に食い絞めている。
それでおちんちんじゃないって怒って、またぐにょぐにゅ動いている。
 喉も渇いた。裕哉の唾液が飲みたい。裕哉の精液ものみたい。精液ならおまんこの奥にも欲しい。
 私には裕哉が足りない。……もう限界。だめ。ごめんね、裕哉。
 むちゃくちゃになった食卓を放置して、椅子から足を下ろすと、私はシャワーに向かった。
 服と下着を買わなくてはならない。
胸元が開いて、肩が凝るけど自慢の私のバストをそそるように見せる服。
寄せてあげるブラで、いやらしく揺れるようにワイヤーが入っていないほうがいいだろう。
パンツはいらないが、ストッキングとガーターベルトは、買っておこう。
 裕哉はそういうのが好きみたいだから。
 
               【The temptaion by my eery sister】
541The temptaion by my eery sister:2008/03/29(土) 13:38:54 ID:679D4TvE
 三橋裕哉(みはしゆうや)は、姉のしのぶ(みはししのぶ)に困っていた。
 性格が悪いとかいじめられるとか、そういう問題なら簡単だった。距離を置けば良かったのだから。
 だが、彼の姉は優しく、家事万端で、気も良く回って、姉としては理想的だった。
 容姿はといえば、グラビアにのってもおかしくはなく、事実そういう勧誘もあったが、姉は興味ないと断ってきたくらいだった。
ふわりと少しだけ天然パーマがかかった腰まである黒髪と、たれ目がちだが美しく大きく優しい目。歯並びは白く整っており、唇は少し厚めで赤く妖艶。
口元のほくろがまた成熟した色気をだしていた。
 体はといえば、身長は高くないものの、胸は母性的に柔らかく巨大で、道行く男をことごとく振り返らせる魅力をもっている。
対照的に腰は引き締まっているが、尻は垂れることなく魅力的で大きく、そこから伸びる足が白く細かった。

 性格の良い麗人が姉ならば、普通であればうれしいはずだ。
しかし困るという感想を裕哉に抱かせるのは、姉が彼の世話を過剰に焼いてくるためである。しかも無防備な姿で。
いつの頃からか、姉は裕也に、まるで妻や母のごとく世話を焼きだした。
裕哉の好みの食事を作り、裕哉の衣類の洗濯を一手に引き受け、彼の部屋の掃除を完璧にするようになった。
しかも、裕哉が男であるという認識を完全に無くしているようで、姉は豊かな胸を彼に押し当て、すらりとした足をからませ、その美しい顔を口づけが可能なほど近づけるのである。
裕哉も普通の男であるから、過剰な接触に緊張したり、性的な目で見てしまったりするのだが、姉はそうした事に気付いているのかいないのか、まったく意に介した様子は無かった。
 結果、二人の姿は他人から見て、恋人以上の関係に見えるようとなっていた。
裕哉はそれを良くないとは思っていたものの、姉の好意と魅力に抗いがたいものを感じ、強く拒否したり距離をとることも出来なかった。

 また裕哉が姉に強く言わない理由の一つに、姉の過去と裕哉自身の行動が関連していることを知っているからでもある。
裕哉は幼い頃に母と別れた。母の不倫による離婚のせいである。母は、裕哉の父を裏切り続け、ついに異父妹を産んだ末の破局だった。
母と別れた後、裕哉は父方の祖父母に育てられ、裕哉自身はどうにか普通に育った。
母について行った姉は違ったらしい。そのことを知ったのは、姉と再会した、裕哉が小学6年のときである。
母に会ってみたいという冒険心は、養育費の増額を要求する母の手紙を探り当て、裕哉は母の居場所を知り、訪問した。
542The temptaion by my eery sister:2008/03/29(土) 13:39:48 ID:679D4TvE
 結果は無惨の一言である。母は裕哉になんら愛情も懐旧の情もみせず、嫌悪と拒絶を示したのである。
父に似た裕哉を、母は愛さなかった。それが母に引き取られなかった理由だと裕哉は母に直接告げられ思い知った。
涙すら出ない絶望と悲嘆に陥った彼に、その時わずかばかりでも再会の喜びを見せたのは、姉であった。
 中学生になっていた姉は、しかし裕哉の記憶とは変わり果てていた。
暗い表情とにじみ出る諦念ばかりが目立ち、別れたときの明るさや闊達さはまるきり影を潜めていたのである。
母はその時、離婚当時の不倫相手とは別れ、別の男と同棲していた。
 裕哉は後年。その生活が姉を変え、裕哉に密着する原因となったと考えている。
 そして裕哉は小学生らしい単純さで姉の苦境を解決した。
動機は、母への復讐だったのか、母の拒絶で母代わりに姉を欲したのか、単純に姉を救いたいと思ったのか、それは裕哉自身にも今に至るまで不明だ。
 ただ裕哉は再会して数日の内に姉を呼び出して、姉の同意もそこそこに祖父母のうちまで引っ張って帰ったのである。
そして姉の良くない変化を、姉と再会した父や祖父母も察知した。
裕哉の屈託のなさと祖父母宅での平穏な生活が、ついに姉の口を開かせ、姉の境遇がわかると父と祖父母は激怒した。
 父と祖父母、そして母達の間を弁護士や児童相談員が走り回り、怒声と金銭問題の争いが巻き起こったあげく、母はあっけなく姉を手放した。
 そうして姉は裕哉と共に暮らすようになった。
裕哉はその時は自覚しなかったが、精神的に母を失った痛手を、傷ついた姉に優しくすることで治そうとしたのだろう。
 姉は、徐々に立ち直っていった。ただし、裕哉と離れなくなってしまったのである。
 大学に進学した裕哉が姉、しのぶと二人暮らししている理由はこれであった。
父も祖父母も、しのぶをつらい目にあわせたという負い目があり、しのぶのたった一つの願い、弟の側で暮らしたいというささやかな願いを断ることはあり得なかった。
 大人達は、裕哉としのぶの仲の良さで無力感から救われていたのである。だから父も祖父母も、裕哉としのぶの危機に全く気付いていなかった。
543The temptaion by my eery sister:2008/03/29(土) 13:41:02 ID:679D4TvE
「また姉さんかよ!このシスコン!」
「仕方ないだろ。姉さんには何から何まで世話になってるし、それにちょっと複雑な事情もあるんだ。
おまえんところみたいに普通の姉さんなら、放置すりゃいいけど、こっちはそうもいかないんだよ」
「おまえ、マジでシスコンだなぁ。合コンぐらい黙って行ったって良いだろ?」
「駄目だ。この前それやったら、姉さん、真っ暗な部屋でじっと俺の帰り待ってたから」
「……こわっ! なに、それ。マジ? メンヘル系の女じゃん?」
「マジだ。それと人の姉をメンヘルゆーな。暴れたりとか怒ったりとかしてないぞ。
それどころか愚痴も文句も言われなかったけど、泣きはらした目で待たれると、クるものがある」
「……耐える系のメンヘラかよ」
「メンヘラゆーな。これ以上言うと、講義ノート貸さん」
「裕哉くん、たいへん良いお姉さんじゃないか! 大事にしたまえ、はっはっは」
「……もう講義ノート貸さない。代返もしない」
「あっ、あっ、裕哉ぁ、冗談だよぉ……」

 車窓に流れる茜色に染まった町が眺めながら、裕哉は大学での昼間の会話を思い出していた。
 彼の友人達は、全て女子大との合コンに行ってしまい、おとなしく家路についたのは裕哉一人だけだった。
それを悔しいとか思うことはなく、むしろ気にしていたのは、合コンという単語から連想した姉の異性関係の乏しさだった。
 姉は大学に行かなかった。高校を卒業して、近所のスーパーでパートをしている。
正社員にならないのは働く意欲が無いというのではなく、裕哉の世話をちゃんとしたいと言って、家庭に重きを置いていたためだ。
そのためか、浮いた噂一つなく、二十代前半という女の盛りなのに、姉は裕哉から離れなかった。
 恋人を作らないのかと聞いたこともあったが、姉は、裕哉の世話が大事だといつも答えた。
(子供じゃないんだけどな……)
 だが姉は今でも寝室すら分けず、同じ部屋に布団を二つ敷いて寝ていた。
それは姉が戻ってきてからの慣習だったが、さすがにどうしたものかとの思いが裕哉にはある。 
(やっぱり姉さんこそ、合コンとかに出てもらうべきなんだろうな)
 合コンを企画する友人に裕哉は一度頼んでみるかと、そう思ったところで、裕哉の降りる駅に電車は滑り込んでいった。
544The temptaion by my eery sister:2008/03/29(土) 13:42:47 ID:679D4TvE
 裕哉は時間通り帰ってきた。私の生き返る時間だ。
 うれしくて何もしなくても笑みがこぼれる。
一生懸命作った料理を食べて欲しくて、急いで皿を並べる。
そうすると裕哉が美味しそうにパク付く。それをみて私は自分が食べられてるようでうれしくなる。
そしてまたおまんこがうごめく。でも今日はもうちょっとの我慢でいい。
 食べながらたわいのない会話をする。内容なんかどうでもよくて裕哉の声が聞けるのがいい。
……訂正。裕哉がまた私に嫌なことを言い出した。合コンに参加してみろって?
裕哉が心配していることはわかるけど、余計なことだ。裕哉以外の男は見たくない。
 ついでだ、考えてたのより早いけど、始めてしまおう。裕哉も食べ終わったことだし。
「裕哉、それよりね、ちょっとお願いがあるの」
「何? 姉さん」
 裕哉が子犬のように首をかしげる。それだけで飛びついて抱きしめたくなった。
「体がね、凝りすぎて調子が悪いの。マッサージしてくれる?」
「ああ、いいよ」
 やった。第一段階成功。


 背中と肩は、ほんとうに凝っていたので、裕哉のマッサージは天国だった。
寝室の布団の上に座って、背後から裕哉のたくましい手が私をもみほぐしてくれた。
気持ちよくて、あれをしているみたいな声が漏れてしまう。
 裕哉が好きでなければ、肩こりの原因になるこんなに大きな胸なんて邪魔なだけなんだけど、今日ばかりはこの胸に感謝している。
Vネックのシャツ、寄せてあげるブラで、裕哉の目が、私の胸の谷間から離れない。
ここで裕哉がけだものになって、胸を触ってくれば話は早いのだけど、そんなことはない。
裕哉の真面目さが恨めしかったけど、でもどうせすぐに同じ事になる。
 肩と背中がすっかりとほぐれて、私は伸びをする。胸が目立つように突きだして揺らした。
裕哉の目で胸が犯されて、乳首が完全にそそり立った。
 さて、ここからが本番。
私は最高の笑顔を浮かべた。たやすいことだ。本当にうれしいんだもの。
「ねぇ、裕哉。まだ凝ってるところがあるから、そこもマッサージして?」
「どこ?」
 背中にいる裕哉のそれぞれの手を握り、私の両胸に導く。べったりと手のひらに胸を押しつけて、上から私の手で押さえつけた。
触れたところに快感が走って、乳房全体が重く固くなる。胸が喜んでるのだ。
 背中の裕哉から、とまどったようなびっくりしたような気配が伝わった。
545The temptaion by my eery sister:2008/03/29(土) 13:44:55 ID:679D4TvE
「ね、姉さん? そこは……」
「なーに? 姉弟なんだから、大丈夫よ? いやらしい事じゃないのよ? 姉さんは平気よ?」
 最高の笑顔のまま、私は裕哉に語りかける。裕哉の視線が定まらず、私の顔を正視しない。
「ね、お願い。ここも凝って調子が悪いの」
 そう裕哉がもてあそんでくれないから、凝って調子が悪い。責任をとって欲しい。
「で、でも、姉さん」
「変な裕哉。何を変なこと考えているの? 大丈夫よ、ただのマッサージなのに? それより、本当に凝って調子が悪いの。
……微妙なところだから他の人には頼めないでしょう?」
 うろたえる裕哉を見るのは楽しい。押し倒してキスしたくなる。その衝動を抑えて、さわやかに裕哉を誘う。
 裕哉の手がそろそろと動き出した。……たまらない。裕哉の手が私の……おっぱいを愛してくれている。
服の上から揉まれるだけで腰にまで気持ちよさが響く。おまんこがまた動いている。おっぱいだけじゃイヤだって言っているのだろう。
「ね、姉さん……そ、そろそろ、やめていいかな?」
 裕哉の声が震え、息が荒くなっている。私のおっぱいをもてあそぶ手も汗ばんでいた。
 確かに私もそろそろ限界だ。裕哉の手を胸から解放してあげた。
 裕哉がそっとため息をついたのを聞いて、私はほくそ笑む
「そうね。……そろそろ、服がこすれて痛いから、……直接、揉んで」 
 そういうと服を脱いで、ブラを外して、裕哉に振り返る。
「どうしたの? 姉さんの胸なのよ? そんなに意識することないのよ?」
 たまらない。顔は平静でも心臓が爆発しそうにどきどきしてる。
それ以上に裕哉のびっくりした顔がたまらない。私が立ち上がって裕哉に近づくと、怯えたように裕哉が一歩下がった。
「だ、駄目だよ。お、俺達、姉弟、なんだよ?」
「裕哉、意識しすぎよ。単なるマッサージなのよ? ね、裕哉にしてもらうと気持ち良いの、ね?」
 二歩進んで、裕哉の両手を捕まえて、私のおっぱいを裕哉の胸に押し当てる。
 裕哉にしてもらうと気持ちがいいのは本当。でも後はみんな嘘。
いいの。裕哉を引きずり込めば後はどうでもいい。……裕哉のせーえきがお腹ではじければなんでもいい。
 裕哉の両手をとって、裸のおっぱいに置いた。そして私の手で胸の中に押し込む。
私のおっぱいがいやらしく形を変えて、裕哉の手を包み込む。
おっぱいのお肉が裕哉にからみついて喜んでいる。乳首が裕哉の手のひらをつついて、もっといじめろってせかしている。
「あ、ああ、……ね、姉さん」
「裕哉の手は気持ち良いわ。ね、もっとこねて、揉んで……乳首もいじって」
 待ちきれなくなって私はおっぱいをさらに裕哉に押しつけた。
おっぱいが潰れて裕哉の手にはりつくのすら、どうしようもなく気持ち良い。
裕哉の手が動き始めて、おっぱいを不器用に揉み始める。素直に乳首までいじりはじめて、私はたまらなく裕哉が愛しくなった。
 呆然とした顔で私のおっぱいをいじる裕哉の首に手を絡めると、私は裕哉の唇を奪った。
そして舌を入れたところで、私は軽く達した。
裕哉の唾液は、甘かった。
裕哉の唾液がついたものでオナニーするなんてしょっちゅうだった。だけどこんなにたくさん飲めなかった。
直接飲めば、やっぱり濃くて甘くて美味しかった。当然だった。
 その欲しかった唇を思う存分なめ回して、唾液をすする。裕哉の舌に私の舌を絡めて舐めすすっただけでまたいった。
歯茎も歯も欲しくてなめ回し、唇を上と下にわけて端から端までなめ回した。
「あん」
 そこで裕哉が唇をもぎ離した。もう何がなんだかわからないって顔をしている。
546The temptaion by my eery sister:2008/03/29(土) 13:50:28 ID:679D4TvE
「ね、姉さん……どうしてこんなこと?」
「裕哉が気にしすぎなのよ。キスなんて挨拶じゃない。姉弟で挨拶してなにがおかしいの?」
 そういうと、まだ裕哉の唇にすいつく。おっぱいを裕哉に押し当てることを忘れるはずもない。
言葉なんてどうでも良かった。浮かんだデタラメを口にのせているだけ。
 もう一度舌を絡め、口の中を吸いまくり、唇を丁寧に愛してあげる、裕哉の唾液をすすって、私の唾液を送り込む。
裕哉が喉を鳴らして飲み込んでくれて、それで私はまた軽い絶頂に達した。
裕哉と私が混ざり合ったのだ。
裕哉の歯ブラシを舐めるより、裕哉の電動カミソリを舐めるより、裕哉の食べたお皿を舐めるより気持ちよかった。
だって私の出したものとわかって裕哉が飲み込んでくれたから。
 だから、私も裕哉の全部を飲み込んであげなくちゃいけない。
もっと唇を味わっていたかったけど、離した。裕哉の苦しみを癒してあげないといけないのだから。
 私がキスをやめても、裕哉はもう何も言わなかった。裕哉はパニックになっているようだった。きっとさっきのがファーストキスで、裕哉は女を知らないのだ。
それもまた嬉しくて、濡れる。私が裕哉の初めての女になれるなんて、初めてをもらえるなんて最高だ。
 そう考えただけで足から力が抜けて、裕哉の前に座り込んだ。体が勝手に裕哉にご奉仕しようと動いているみたいだった。
裕哉のスラックスの前、おちんちんのジッパーを下げて、手を入れると固くなった裕哉のおちんちんを丁寧に取り出した。
 時々寝ているときに触っていたから驚きはしないけど、……固いとやっぱりうれしかった。
これだけたくましいとおちんちんじゃなくて、おちんぽだ。
私が欲しいって、先からよだれを垂らしていて、ぴくんぴくんって震えている。
「何考えてるんだ。姉さん! 駄目だよ、姉さん!」
 ゆーや、そんなに怖がらなくてもいいよ。姉さん、全部飲んであげるから。
まずはよだれを舐めてあげるね。そう心の中でおちんぽに語りかけて私は先っぽにキスをした。
ゆーやのパンツでおなじみの味がして、私のおまんこがどろっとよだれを流した。
やさしくなめ回してあげるとおちんぽが口の中で喜んで震えた。ゆーやよりおちんぽの方が正直だ。
「……うっ……姉さん……だ、め、……」
 欲しかったおちんぽを舐め出すと私も止まらなくなった。おまんこが早く早くってうるさいから、指をつっこんで黙らせてやる。
そういうつもりだったのに普段のオナニーより全然気持ちよくて、ぐちゃぐちゃかき混ぜてしまった。
ゆーやのおちんぽが私を気持ちよくさせてくれることが嬉しい。やっぱり私にはゆーやのおちんぽが合うんだと思う。
 もちろん、ご奉仕も忘れない。ゆーやのおちんぽをちゃんと舌で可愛がる。私が舌を這わすとすぐにぴくんと震えるから可愛くて仕方がない。
本で読んだとおり下側を愛してあげるとおちんぽだけでなくゆーやまで震えた。
「だめ、ねえさん……それ以上は……」
 ゆーやが何か言っているが絶対に止めない。せーえきも欲しいし、ゆーやには堕ちてもらわないといけない。 
 ゆーやが震えるおちんぽの下側をたくさん可愛がって、先端を口に含むと舌を穴に入れてほじり、思いっきり吸った。
「うわぁぁぁ、姉さんっ!」
 おちんぽが震えると、突然熱いものが私の喉の奥に引っかけられる。この味はゆーやのオナニーテッシュで知っている。ゆーやの味。
咳き込んで吐いてしまうともったいないから、咳き込むのをこらえて、ゆーやのせーえきを口の中に貯めた。
 すごく粘っこく濃いせーえきをゆーやは震えながら出して、ようやくおちんぽが満足して柔らかくなる。
おちんぽをくわえたままでは飲めないので、残念だけど口から離した。そして裕哉に見てもらうために顔をあげてこぼさないようにゆっくりと飲みくだした。
ゆーやのせーえきが喉の奥にへばりつく。ちょっとこぼれた分は指ですくい取って吸った。
これでやっと私の口がゆーやのものになった。
「はぁはぁはぁ、……ね、姉さん! そんなの……きたない!」
「……裕哉の精液はきれいなの。おいしいの。……それよりこんなに濃いのを貯めてたなんて、ごめんね、裕哉」
 せーえきを飲み下した私を見て、ゆーやが焦った顔をした。
 ゆーやのせーえきだけは汚くないのに、裕哉はわかっていない。でも私に遠慮して濃いのを貯めてたから仕方がない。
547The temptaion by my eery sister:2008/03/29(土) 13:51:49 ID:679D4TvE
「え?」
「姉さん、もっと早くゆーやのおちんぽを可愛がってあげれば良かった。がまんさせちゃってごめんね」
 私はこの言葉を本心から言っていた。もっと早く裕哉を愛してあげるべきだった。裕哉の女になるべきだった。
裕哉が大好きな癖して、おしつけがましく世話して寄り添うだけで、裕哉を苦しめていた。
裕哉が私の胸やお尻を見ていたのを知っていた。苦しそうに自分で慰めていたのも知っている。
だけど私は怖いとか不潔だとか姉弟だからとか理由をつけて、裕哉に我慢をさせていた。
なのに、裕哉が女の子達と楽しそうにしていると、私は不安になって悲しくなって、裕哉を思ってあさましく慰めてた。
 そうなのだ。裕哉に助けてもらったんだから、この体は裕哉に返すべきなのだ。
体はずっとそう言って裕哉を求めていたのに、頭だけがつまらないことを考えていた。
 でも、もうそれも終わり。私は晴れ晴れとした気分で布団に寝転がる。
後は裕哉に私の体を食べてもらうだけ。……そう思っただけでいきそうになった。
 いくのを我慢して、ミニスカートを太腿の付け根までめくりあげ、そろそろと足を開いていった。
おまんこに入れてた指を、裕哉に見えるようにゆっくりと引き抜く。
そして、てらてら光っているだろう二本の指の先端で、おまんこの入り口を広げ、私は裕哉を、誘惑した
「裕哉、これ、裕哉のおまんこだよ。……裕哉のものなの。裕哉の好きにして」
「うあ、あ、あああ、ああああああ」
 衝撃が来たと思ったら、裕哉が私の腰にしがみついていた。それだけで何もしていないのにいった。
「ね、姉さん! 姉さん!」
 おまんこにぬるつくものが這い回った。ゆーやが私のおまんこを食べている。
それがわかったとき涙が出そうになった。怖かったのだ。裕哉に拒否されるのがたまらなく怖かったのだ。
 だから安心したら快感が背筋を突き抜けて頭に突き刺さった。おまんこがよろこんでくねりまくっていた。
「あああああ、ゆーやぁ、もっとぉ、もっとぉおおおおお」
 ほんとに私は馬鹿だった。裕哉はこんなに気持ちいいのに素晴らしいのにうじうじ悩んで我慢して、裕哉にも迷惑掛けて。
私は腰にしがみついたゆーやの手を胸に持ってきた。
「はぁぁぁ、おっぱいもぉぉぉ、おっぱいもぉ、ゆーやのだからぁぁぁぁ」
 私が叫ぶと裕哉の手が私のおっぱいをもみしだき、乳首をひねりあげてくれた。
「ゆーやぁぁぁ、すきぃぃぃぃ、だいすきぃぃぃぃ、ゆーやぁぁぁぁあぁ」
 次々と頭に刺さる快感で私はおかしくなって、手足ががくがく震え、体が勝手に反り返って、手が裕哉の頭をあたしのおまんこに抑え付け、足が裕哉の頭を挟み込んだ。
 そしてゆーやの舌がクリトリスを這って、つつかれて、軽く咬まれた。目の前に星が飛び散り、おまんこから何かがほとばしった。
「あはぁぁぁぁ、ゆーやぁぁぁ、ゆーやぁぁぁ、いくのぉぉぉぉ、いっちゃぅぅぅぅぅぅぅぅのぉぉぉ」
 体中を駆け上るぞくぞくした快感が、私の意識を体からはじき飛ばすと、かすむ目の前に黒い暖かな闇が迫り、体中が浮遊感に包まれ、私はかつてない絶頂に至った。
548The temptaion by my eery sister:2008/03/29(土) 13:54:38 ID:679D4TvE
 気がつくと裕哉が私の広げた足の前で困ったような顔をしていた。
手足の力が抜けていたので苦労したけれども、もっと足を広げて、裕哉の手を引っ張った。 
「いいよ、裕哉。我慢できないんでしょ? 姉さんの中に入れて」
「あ、う……、駄目だよ。僕たち……姉弟……だから……いけないんだ」
 ほんとに裕哉の真面目さと正義感にはほとほと感心する。
こんな状態でも性欲や衝動に抗っているなんて。
母の連れてきた男なんて、一週間で私の尻をなでてきたというのに。
でも今の私には邪魔。
「……裕哉、裕哉に大事な事を教えてあげる。どうして母さんが裕哉を拒否したと思う?」
 裕哉の表情が変わる。性欲がちょっと抜けて、疑問を抱いた顔になる。少し残念だけど仕方がない。
「私はね、母さんの連れ子。裕哉はね、父さんの連れ子だったからだよ」
「……嘘だ……そんなの……信じ……られない」
 ええ、嘘よ。母さんが裕哉を産んで、面会しにいったこと覚えているもの。私もちゃんと父さんと母さんの子供。二人は本当の姉弟よ。残念だけど。
「本当よ。裕哉は戸籍をみたことないでしょ? 本当の母親があんな態度取ると思う?」
 あの人は特別どうしようもないから、平気でなんでもするけどね。
「あ、ああああ、うあ、あああああああああああ」
 裕哉の目から滴が後から後からあふれ出し、流れ落ちた。口から意味のない叫びが漏れる。
 壊れた。私が裕哉を壊した。……うれしかった。これで裕哉は私のもの。
「裕哉の本当のお母さんは死んじゃったのよ。……だから、ね、裕哉を本当に愛してあげられるのは、私だけだよ。
私が裕哉のお母さんになってあげる。……寂しかったね。悲しかったね。でももう大丈夫だよ」
「姉さん! 姉さん!」
 泣きながら裕哉が私に入ってきた。涙と鼻水でぐちゃぐちゃになって私の胸に顔を埋める。
 ほんとに熱い固まりがお腹から全身に満ちて、私は裕哉を渾身の力で抱きしめた。
 私も泣いた。うれしくて、気持ちよくて泣いた。裕哉を騙したことにこれっぽっちも罪悪感は無かった。
だって裕哉、母さんはあんたを罵るとき、腹を痛めて産んだのにって口癖のように言ってたじゃない。
……あんなひどい女を母親なんて認めたくないのはわかるけど。
 でも今日からは私が裕哉の女。母にも姉にも恋人にもなんでもなってあげる。
「ゆーや、好き! 愛してる! 姉さんがずっといるから! 側にいるから!」
「姉さん、ねえさん、ねえさーーーん」
 裕哉の泣き顔を持ち上げて、唇を重ねた。裕哉が出入りしているおまんこから融けそうなほど気持ちいい快感が全身にあふれる。
「ゆーや、ゆーやああああああああ、すきぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」
「ねえさーーーーーーん」
 また私の意識が、虚空にとばされる。浮遊感を感じたと思ったら、お腹の奥で熱いものが叩きつけられる。
 それだけで私の体が勝手に震えだして、もうわけのわからないことになって、息をするのも忘れて、何かを叫びながら、真っ白い光にのまれて……私も……こなごなに……壊れた。



「姉さん」
「……いいの。何も考えなくていいの。ほら、裕哉のオッパイだよ」
 終わると私達は布団をかぶり抱き合って眠りについた。
 暗闇の中で何かを言いたげな目をした裕哉に、私は乳房を差し出す。
裕哉はそれでも何かを言いたげだったけども、結局オッパイを吸いながら目を閉じた。
そんな裕哉の頭を抱きしめながら。私は裕哉の足に自分の足を絡める。 
 私の体は、ようやく満足した。
いやらしくちろちろ燃える性欲の代わりに、裕哉の出してくれた精液の温かさがお腹を満たしてくれていた。
そして私はたまらなく幸せだった。裕哉の手に引かれて母のアパートを出てから、やっと裕哉の女になれたのだ。
……姉だけでは嫌だった。裕哉が居なくなったら、私はまたひとりぼっちなのだから。
「裕哉、私の裕哉、好きよ」
 私は裕哉の熱さと硬さを感じながら、いつまでも裕哉の寝顔をみていた。
549The temptaion by my eery sister:2008/03/29(土) 13:57:24 ID:679D4TvE
 朝、目覚めは爽快だったが、目覚めの後の気分は最悪だった。
よりによって、近親相姦だ。
 しかも姉さんと俺が本当の姉弟じゃないなんて事を、あっさり信じ込んでしまった。
 我ながら自分で、節操のなさと馬鹿さに嫌になる
 よく考えれば、アルバムに産まれたばかりの俺を抱いた母と父の写真があった。
姉さんのもあった。そもそも俺は祖父母から親父達のなれそめを慨嘆混じりで聞いてた。連れ子の訳がない。
 ぼーっとそんなことを考えていると目が覚めてきた。
姉さんの顔を見るのが気まずかったが、仕方がない。
 起きあがって伸びをして、覚悟を決めた。
「まず謝ろう。謝って許してもらってから、なんであんな事を言ったのか聞こう」
 独り言で気合いを入れて、俺はダイニングに向かった。

「あら、起きたのね」
「いっ! あ、おはよ」
 突然掛けられた声に思わず反応して、姉さんの顔を直視してしまい、照れた。
キッチンで食事の用意をしている姉さんの顔はいたって普通だ。いつものように優しくニコニコしている。
 ほっとする反面、自分の無節操さをえぐって叩き直したくなった。
「あー、姉さん……」
「どうしたの?」
 気まずさや照れ、罪悪感が入り交じって、うまく言葉が出ない。心を整理するために深呼吸を一つする。
「……き、昨日は、ごめん! 本当にごめん! 俺、どうにかしてた! 謝ってどうにかってことではないけど、だけど……だけど、心の底から謝る。ごめんなさい!」
 キッチンの床に土下座して、頭を地面にたたきつけるかのように下げまくった。
姉さんのスリッパを履いた足が近づいてくる。
「どうしたの? 変な裕哉ね」
 その言葉に俺は頭をあげて、姉さんをみる。姉さんは全く普通だった。
「だって姉さん、俺、昨晩……姉さんを」
 その言葉に姉さんは応えなかった。ただ、後ろ手にガスを止めて、顔を近づけると、俺に唇を重ねる。
驚く俺にかまわず、姉さんは、俺の舌を吸い、唇を舐め、唾液を飲み込むと、唇を離し、笑った。
「おはよう、裕哉。……裕哉は昨日の事、嫌なの? 後悔しているの? 私が嫌いなの?」
「そうじゃないんだ! ただ、俺達は姉弟で……」
「私、裕哉のことが大好き。愛してる。……裕哉とこうなりたかった」
 姉さんは、両手を胸に押しあて、輝くような笑顔で言い切った。
「裕哉、私は裕哉に愛されるだけでいいの。だけど、裕哉じゃないとだめなの」
「でも姉さん……」
「裕哉は私を愛してくれないの? 母さんが裕哉にしたように、私を放り出すの?」
 その言葉で、俺は突き落とされたような気分になった。
「違う……、違うよ……そんなつもりじゃ……」
「裕哉が嫌なら、私、いなくなるよ」
 姉さんがキッチンから包丁を取り上げた。きらりと刃を光らせながら、首に当てる。
「姉さん!」
「裕哉、今なら、私一番幸せだから。裕哉に殺してもらえるなら納得するから。……だから嫌なら、今すぐ、ここで私を殺してね」
 歌うような口調のまま、輝くような笑顔のまま、姉さんが刃を首に食い込ませていく。
「うわぁぁ、嫌じゃない! 嫌じゃないから!」
「きゃっ!」
 気がつくと自分でも意識せず、姉さんに飛びかかって、包丁を奪っていた。
 荒い息をつきながら、ぞっとするような光景を思い出して身震いをする。
550名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 13:58:18 ID:q8j/1sC7
支援?
551The temptaion by my eery sister:2008/03/29(土) 14:00:17 ID:679D4TvE
「ゆーや、姉さんを朝から押し倒すの? うれしいな」 
 自殺をはかった事を微塵も感じさせない口調で、俺の足の間に座り込んだ姉さんが、ずれた事を口走る。
あまつさえ、股間のジッパーを下げて、姉さんはその白く細く冷ややかな手で、恐怖に縮こまった俺の息子を取り出した。
「ね、姉さん! 押し倒すって、何を……くうっ」
「あはぁ、ゆーやのおちんちん、おねぼうさんかなぁ? おっきしましょうねぇ」
 言葉と共に肉棒が、姉さんの口に飲み込まれていく。
想像を絶する倒錯感に、俺は絶句し、動けなかった。
 キッチンに肉棒をしゃぶる淫靡な水音が響き、持ち主の思いと関係なく、快感が背筋を駆け上って肉棒は大きさと硬度を増し、やがて女に入ることができる態勢になった。
「姉さん、どうしてなんだ? ……なんであんな嘘をついたり、さっきみたいなことを……」
 情けなく肉棒を立たせながら、俺の頭はあまりの出来事の連続に混乱しきっていた
かろうじて心にあった疑問の言葉だけが、口から滑り出る。
「ごめんね、裕哉。姉さんは裕哉が欲しくてたまらないの。……ほんと、ごめんね」
 なぜか姉さんがしおらしげに謝った。
「姉さん、悪い女だよね。……ちゃんと罰は受けるよ」
 そういうと姉さんは、床にうつぶせとなって、きれいな形の尻を高々とあげる。
「姉さん?」
 姉さんが自らスカートをまくり上げ、裸の尻とその間にある全てを俺にさらけ出した。
「姉さんの悪いおまんこに、裕哉のおちんぽで、罰をちょうだい」
「あ、ああああ」
 俺の混乱した頭が空白に変わった。尻の白さと陰部だけが目に焼き付く。
 丸い尻が蠱惑的に振られ、姉さんの女陰から、液体がしたたった。女陰もまた、まるで誘うかのようにかすかに動く。
「ね、裕哉のおまんこのくせに、嘘ついたり勝手に死のうとしたから、ちゃんと奥まで入れてかき回して、ゆーやのおちんぽの言うことを聞くように教えるの」
 姉さんのしなやかな指が、膣に入り込み、ゆるゆるとかきまぜた。
「それからね、おまんこの奥にゆーやのせーえきをいっぱいかけるの。おまんこにゆーやの匂いをしみこませるの。このおまんこをゆーや専用にするの!」
 愛液の糸をひきながら、指が膣から抜かれ、姉さんの口に含まれる。
 尻が、物欲しげに振られながら、俺の股間に押しつけられた。
途端に俺の中で何かが何本かまとめて千切れとんだ。きっと、良識とかそういったものだったと思う。
 残ったのは獣だった。
姉さんの尻を無我夢中でつかみ、犬のようにあえぎながら、姉さんの穴に肉棒のねらいを定める。
なにかが越えてはいけないとささやいたような気もするが、もうどうでも良かった。
腰を入れると、肉棒がずるりと入った。そこからは腰を入れなくても、姉さんの密壺がおれを引き込み、俺は奥の奥まで入り込んだ
待ちかねたように姉さんの中が、肉棒の全てにからみついてうねる。
「ゆーやぁぁぁ、ゆーやぁぁぁ、ごめんねぇぇぇぇ、でもぉぉぉ、うれしいぃぃぃぃ、もっとぉぉぉ、もっとおくまでぇぇぇぇ」
「うあぁぁぁ、ね、姉さんがぁ!」
 たまらず腰を使って抽送を始めるが、姉さんの蜜壺は、俺を逃すまいと絡みつき、絞った。
あっけなく限界が訪れ、俺は姉さんの中に長々と放った。
「くぅぅぅぅぅ」
「でてるぅぅ、ゆーやのせーえきぃぃぃぃ、ゆーやぁぁぁぁぁぁ」
 なのに、限界だと思ったのに、からみついてうねる姉さんの肉が、俺をしごいて、再び俺の肉棒は姉さんの中でそそり立った。
「ゆーやぁぁぁぁ、ゆーやのおまんこぉぉぉ、えぐってぇぇぇぇ! もっとおくまでぇぇぇ、えぐってぇぇぇぇ」
 無我夢中で腰をふりたくりながら、俺はふと感じた。
自分が姉さんを責めてるのではなく、ただ姉さんに絡みつかれてもがいているだけなのだと。
そんな思いも、頭の先から血が引き、肉棒の中を精液が駆け上る快感で、すぐに散り散りになった。
「ゆーやぁぁぁ、もう離さないぃぃぃ、あああああああ、ゆうやぁぁぁぁぁ、あいしてるぅぅぅぅ、ああああああああ、いくぅぅぅぅぅぅっぅ」
 やがて、俺は声も出せないまま腰が抜けるほど姉さんの中に放った。
552The temptaion by my eery sister:2008/03/29(土) 14:01:31 ID:679D4TvE
「裕哉、もう考えなくていいのよ」
 台所で愛し合ったあと、まだ裕哉は悩んでいる顔をしていた。
それを見て、私は愛されてほてった体を裕哉に絡ませて、裕哉の頭を胸に抱いた。
もう考えさせてはいけない。私の体で忘れさせればいい。
「裕哉、姉さんのおっぱいを吸って」
 胸を裕哉の口に含ませると、私の胸に裕哉の顔を抱き込んだ。
「裕哉は母さんとは違うよね。私も母さんみたいに突き放したりはしないよ」
 裕哉がなにかもごもごと言った。きっと私を呼んだのだろう。
「ずっと一緒だよ、裕哉」
「……うん、姉さん」
 目を閉じた裕哉の顔から険がとれて、安らかな顔に変わっていった。
「愛してるよ、裕哉」
「……僕も好きだよ、姉さん」
……その言葉を聞いてまた、私は軽く達した。……そして私の体のうずきは完全に止まった。
裕哉は私の胸の中で乳首を吸いながら安らかに眠っていた。
裕哉が私のところに帰ってきたのだ。
 裕哉を放置して不倫相手のところに通う母さんの代わりに、私が幼い裕哉を育てた。
だから裕哉は私を忘れずに助けに来てくれたのだ。
 それだからこそ他の女になんかとられる訳にはいかない。体がずっとずっとそう言っていたのだ。
ようやく、私は、大事な体の一部を取り戻したことを知り、裕哉まみれになって満たされた。
553The temptaion by my eery sister:2008/03/29(土) 14:03:12 ID:679D4TvE
「じゃ、行ってくる」
 裕哉が手を振って、出て行った。
 もう私は、自慰をする必要がない。体は満たされている。裕哉に毎朝毎晩精液を注いでもらっているからだ。
おまけに肌もつやつやで、胸もまた少し大きくなってしまった。
 自慰をする必要はないが、しかしご奉仕はしなければならない。
 脱衣場に行って、裕哉のパンツを取り出すと、おちんぽが当たる部分を舐めてきれいにした。
もっとも最近は裕哉のパンツはあまり汚れない。
下着が終わると、次は食器だった。箸もスプーンもちゃんと私が舐めてきれいにする。
 電気カミソリはさすがにやめた。
壊して裕哉にお仕置きをされるのはうれしいが、振動でいかされるだけでおちんぽを入れてもらえないのはつらすぎる。
 ご奉仕をして幸せに浸っていると、電話が鳴った。父さんからだった。
「ええ、裕哉も私も元気よ。恋人? ええ、二人ともちゃんとできたわ」
 電話の向こうでうれしそうな声があがった。
「けれどそろそろ覚悟してね、父さん」
 なにをだ? と聞き返される。
「気がついたら、おじいちゃん、になってるかも」
 苦笑する父の声を聞きながら、私は下腹をなでた。
 そう、裕哉にできる最大のご奉仕を、私はまだしていない。
 ぐにゅと、ほんとうに久々におまんこが動いた。 
「ね、父さん、私に赤ちゃんができちゃってたらどうする?」
 ね、裕哉、私、裕哉の赤ちゃん、何人でも産むよ。だって、ここは裕哉のおまんこだから。

                          end
554名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 14:05:28 ID:2qDpo2dr
>>553
GJ
最近キモ成分はあるけどエロがないのが多いからうれしい
555The temptaion by my eery sister:2008/03/29(土) 14:05:54 ID:679D4TvE
以上 投下終了

キモウトより愛をこめて
キモウトといっしょ

これらにGJを下さった皆様方ありがとうございました。
556名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 15:16:47 ID:fHZp/FFl
GJってレベルじゃねーぞ!
最高でした!
乙です
557名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 15:38:07 ID:nAKCBPIg
>>555エロ随分と上手だな。もの凄い興奮した。
そして何より甘えん坊なキモ姉というポイントにやられました。可愛すぎだろ上皇…
神GJ!
558名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 16:25:41 ID:kJ3zVckx
ドSでロリコンの弟がいたとします。さて、キモ姉ならどうやって弟を振り向かせる?

1.大人を味わえ!
2.赤ちゃん言葉でメロメロ大作戦!
3.とりあえず監禁…
4.その他(何?)

…さあ、どれ?
559名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 16:51:10 ID:Rq/5Ueqf
4
薬物その他あらゆる手段で洗脳→お姉ちゃん大好きにさせる
560名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 16:53:11 ID:WIAQu6Io
実はお姉さんはつるぺただった
561名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 17:22:20 ID:Jv8UzDCo
スタンダードなキモ姉がきた
アと一歩どちらかに針が振れると違う世界にいってしまいそうな
ぎりぎりのテンションのキモ姉

好きだわw
562名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 19:16:18 ID:gSiXGJf+
>>555
G J !!
キモいってかエロス!まったくけしからんエロさだ!このエロティカ!!キモエロ!!
563名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 21:04:58 ID:xmglqHCs
>>555
久々にエロktkr!
全力でGJ!
564名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 23:00:30 ID:8qkBoWMr
しかし、なんか母の男にヤラれていた可能性があるような描写だよな。
565名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 23:10:24 ID:K7QdLpp9
>>555
GJ!!
こんなエロエロな姉さん欲しいぜ

>>564
弟との初えっち時に、破瓜の描写がなかったしな
NTRは非常に苦手だけど、無理矢理なら気にならないっていうやつ多いから大丈夫だろう
566名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 23:34:45 ID:FzsviHAc
精神が病む子は乱暴にされた経験のある非処女か、
本当に男の体を知らない未通女の
どちらかしかないと思う


あと、処女がセックスで出す血は処女膜じゃなく、単に膣内が擦過傷を起こしてるだけだそうだ
めっちゃくちゃに濡れて、脳内麻薬出まくりだったら、
もしかしたら初めてでも痛みも血もなく、処女を捨てれるかもしれない

・・・・・・って、まんまこの姉ちゃんの状態じゃないか!
567名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 23:46:25 ID:GvBIyFbp
>>555
お姉さんド変態すぎて最高w
GJと言わざるを得ないな!
568名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 00:08:37 ID:9g5WVzHZ
あんだけ髭剃りを中に入れちゃったりしてるんだから
初めてだけど出血も痛みも無かったんだと思いたい
569名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 00:15:22 ID:jhaCLv6M
>>566
非処女か未通女って、そりゃどっちかだろ!精神が病む子じゃなくても世の女全てな!
570名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 00:20:03 ID:4y+h86L6
>>569
ただの非処女ではないッ!「乱暴にされた」がポイント!
そしてただの未通ではなくッ!「本当に男の体を知らない」がポイントだ!
571名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 00:31:54 ID:jhaCLv6M
わかったよ、そうむきになるなよ
572名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 00:34:14 ID:jhaCLv6M
わかったよ、そうむきになるなよ
573名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 00:50:42 ID:gkY1Tr1h
二回も書き込んでいる>>571がすでにむきになっている件
574名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 00:55:01 ID:AorGY/Ka
>>573
大事なことだから二回言ったんだよ、きっと。
そんな俺は、姉なら非処女でも可だが妹の非処女はNGな偏屈野郎w
575名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 04:04:51 ID:b7ZobRjz
>>574
分かるわ。
年下には処女でいて欲しいんだよな。
576名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 05:03:19 ID:m/Xieo+p
俺は姉でもキモ姉妹な限りは処女でいてほしい
577名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 05:05:11 ID:KPZrqa1t
また荒れそうな話題ですな
578名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 05:50:23 ID:m0wQWRHv
おまえら、タクティクスオウガのカチュアが大好きだろ。
579名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 05:58:46 ID:eqdfR2hl
何を今更。あのお方こそ俺のルーツ!!
580名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 08:38:13 ID:8g44rgIe
エイプリルフールとキモ姉妹を、おまいらの妄想でどうにかして結合させられませんか?
581名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 08:54:42 ID:6bj1pHgt
基本形としては、急に疎外される→四月馬鹿でした、あるいはその逆パターンかな?
このスレ的には前者だろうけど、一ひねりすれば
「四月馬鹿のつもりだったけど本気に…」
という展開もあり得るのではないでしょうか
582名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 09:10:18 ID:/8M5cqTW
四月馬鹿でキモウトに告白、真に受けたキモウトが……、ということか
583名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 09:14:01 ID:6bj1pHgt
四月馬鹿のつもりでキモウトごっこをしてたら、本当にそのケがある自分を発見してしまったでも可

……ここまで言うなら自分で書けはご容赦を。ただいま他の話の続き中なので。
584名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 14:43:20 ID:RjzW63tP
うるさい!分身しろ!
585名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 21:23:08 ID:U7RWVq9k
>>584
釘宮の声に脳内変換した
586名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 21:48:16 ID:bX1TAlc4
病んで虚ろな釘宮だって?
587名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 00:04:22 ID:IEV1yhsQ
釘宮ってぐぐったら声優が出てきたがたしかに可愛い!
だが断る!俺は三次は興味ねぇんだ!!
588名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 00:50:26 ID:XxW1dQPx
…お前、釘宮を知らないのか?
589名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 01:06:15 ID:u8Wjv6HK
>>587
釘宮を知らない程に三次に無関心なお前に感動
そこまで二次に一途なら最後まで突き通せ
590名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 01:09:23 ID:mHzd0mal
言っとくが釘宮を常識だと思ってるお前らが異常
まぁそんなことはどうでもいいか
591名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 01:43:48 ID:jvxz353/
このスレが好きな奴は、もちろんヤンデレも好きだよな!
592名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 02:59:34 ID:v+1xybtk
>>578
カチュアで目覚めた俺は、幻水2のナナミもキモ姉だと思っている
593名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 03:09:09 ID:vlz3uXohi
兄弟のキモウト・キモ姉に目覚めたきっかけの一言を聞かせてくれ
594名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 03:27:12 ID:ikjCDlIA
レス消えた?
595名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 03:49:44 ID:Gr7QYRHP
>>593
星の運命としか言い様が無い
596名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 03:58:23 ID:2WJt92Me
>>593
エロゲ。そのエロゲをやったきっかけは2ch
597名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 05:08:58 ID:/EH90+FD
>>593謹慎創刊とヤンデレが好きだった。
後は…わかるな?
598名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 11:27:28 ID:ZBpwXz1s
>>555
超亀レスだがGJ!!

キモさとエロさのバランスが絶妙でモロにきた(*´д`*)
599名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 14:56:31 ID:5oNAtSIN
555のタイトル、和訳しても意味がわからなかったんだが
お馬鹿な俺に誰か教えてください
600名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 15:12:30 ID:Jey/Ic0P
不気味な姉妹の誘惑
601名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 15:19:33 ID:EeU/Srfx
>>588
知らないからぐぐったんだんだが・・・(^^;
>>589
三次元のエロを見てもまったく勃起しない特殊能力があります。
602555:2008/03/31(月) 16:02:50 ID:LT1qNfKB
The temptaion by my eery sister

  僕のキモ姉の誘惑

eeryは、イアリィ で、不気味な、気味が悪い、得体のしれない = キモい です。
603名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 16:26:23 ID:5oNAtSIN
あ、わざわざ有り難うございます
俺も誘惑されたいぜ!
604名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 16:33:39 ID:Jey/Ic0P
そう、ならYou workさせてあげる。
と強制労働が…
605名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 17:14:52 ID:0Ku0ux/i
    , -.―――--.、
   ,イ,,i、リ,,リ,,ノノ,,;;;;;;;;ヽ
  .i;}'       "ミ;;;;:}
  |} ,,..、_、  , _,,,..、  |;;;:|
  |} ,_tュ,〈  ヒ''tュ_  i;;;;|      __________
  |  ー' | ` -     ト'{    /
 .「|   イ_i _ >、     }〉}   <  弟君は宿題終わるまでさせてあげないんだから!!
 `{| _.ノ;;/;;/,ゞ;ヽ、  .!-'     \  
   |    ='"     |        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    i゙ 、_  ゙,,,  ,, ' {
  丿\  ̄ ̄  _,,-"ヽ
''"〜ヽ  \、_;;,..-" _ ,i`ー-
   ヽ、oヽ/ \  /o/  |
606名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 19:18:18 ID:1t3xxzmx
さて、もうすぐエイプリルフ−ルなわけだが
607名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 19:39:33 ID:na6mi+cz
ネタのつもりで姉に告白したら実は弟にばれないようにずっと思いを秘めていた筋金入りのキモ姉だった、とかか
608名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 20:23:48 ID:UmaSBgom
>>607
よう、俺
609名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 20:40:20 ID:EeU/Srfx
>>608
おい、それは明日だろw
>>607
気づかれないようにずっとパンツを盗んで自慰に浸ってたんですね!!1(*゚∀゚)
610名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 22:46:59 ID:RugEicNh
四月馬鹿で、キモウトに「ずっとお前の寝顔をおかずにしてた」とか言うとどうなるんだろう?
611名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 22:49:45 ID:WxeJBsLB
>>610
「そんなはずはないわ。だって、お兄ちゃんが寝るまであたしは寝ないもの。
……俺が寝た後はどうしてるんだって? 女の子にそんな恥ずかしいこと言わせないでよ」
612名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 01:45:40 ID:Yo/FuaRr
「はは…い、妹も冗談言うんだなー
まあ今日はエープリルフールだもんな騙されないぞー…は…ははは!」
613名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 03:22:15 ID:bpppOqu9
結局自分で墓穴ほっちゃうっていう(´・ω・`)
614名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 05:39:32 ID:+4nkimu2
なんか中途半端に目が覚めたので即興でエイプリルフールネタを書きました。
暇潰しにどぞ。
615エイプリルフールネタ:2008/04/01(火) 05:41:16 ID:+4nkimu2
コンコン。
不意に部屋の扉がノックされる。
まぁ……誰かは想像つくが。
「入っていいぞ」
ゆっくりドアが開き、続いて妹が入ってくる。
毎日毎日懲りない奴だな。
どうして毎日毎日、何が面白くて実の兄の部屋に来るんだか。
「またお前か……」
「またって!お兄ちゃん酷い!!」
「だってそうだろうが……、毎日毎日俺の部屋に来やがって一種の嫌がらせか?」
「またまた、お兄ちゃん嬉しい癖に〜」
「いや、全然嬉しくない」
きっぱり言い切る。
「……」
「はぁ〜、漫画みたいに幼なじみいたらなぁ。なんで妹なんだか……」
妹は急に俯いたと思えば無言のまま俺に近付き、互いの息がかかるぐらいの距離で俺と正面から対峙する。
妹の上目使いの大きな瞳が揺れ動く。
ゆらゆら、ゆらゆらと。
「どうして私がお兄ちゃんの部屋に毎日来るのか知ってるんじゃないの?」
「あれだろ…嫌がら……
妹の指が俺の唇に触れ発言を遮ると、そのまま妹は背伸びをして囁く。
「教えてあげようか?」
「はは……何をだ?」
妹が腰に抱きつき、耳のすぐ傍で囁く。
「私はお兄ちゃんが大好きなんだよ」
「なっ……」
「だから毎日毎日お兄ちゃんの部屋に来るんだよ。お兄ちゃんの匂いが嗅ぎたくて、お兄ちゃんをずっと見ていたくて」
頭が真っ白になりそうになる。
ずっと妹だと……。
それが当たり前だと……。
思っていたのに。
「なーんてね、嘘だよっ!」
「へっ?」
抱きついていた妹は傍を離れて楽しそうに笑っている。
まるでいたずらが成功した子供のように。
何もかもが急すぎて頭が整理出来ない。
「さて、今日は何日でしょう?」
「えっと…4月1日。あっ!!」
「ピンポーン。エイプリルフールでしたっ」
「こいつっ!」
「真っ赤になったお兄ちゃん可愛かったなぁ〜」
ニヤニヤ笑ってやがる。
この悪魔めが。
なんか無性に腹が立ってきた。
つまりはこいつに遊ばれてた訳だ。
「ゲーセン行ってくる」
だから気分転換に行こう。
それが一番だ。







真っ赤に怒りながらお兄ちゃんが部屋から出ていく。
玄関が開きお兄ちゃんが出て行った音を確認してから、お兄ちゃんが普段使っているベッドに身を投げる。
お兄ちゃんの香りが凄く心地よい。
「ねぇお兄ちゃん……大好きっていうのは嘘なんだよ」
616エイプリルフールネタ:2008/04/01(火) 05:42:20 ID:+4nkimu2
だって……。
「私は狂おしいほどお兄ちゃんを愛してるんだから」
大好きなんていう子供染みた言葉はとっくに越えたの、それからねお兄ちゃん。
もし幼なじみが居てもきっと変わらないよ?
私とお兄ちゃんの邪魔する人はこの世界にはいらないんだから。
そう考えるとお母さんもお父さんも邪魔かな?
まぁ……お兄ちゃんを産んでくれた事には感謝してるけど、私達の邪魔したら処分しなくちゃ。
はぁ〜悩み多い乙女心は辛いなぁ。
それも全てはお兄ちゃんの為だから頑張るね。
だからねお兄ちゃん早く私の心に気付いて。
貴方を狂おしい程愛してる私の心に。
617名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 05:48:58 ID:+4nkimu2
以上でおしまいです。
書いてる内に思い浮かんだのが。
「へいマイク!」
「やぁジョン!」
「君の家、今燃えてるぜ?」
「OH!!」
「なんて嘘さ!今日はエイプリルフールなんだ!」
「OH、ひっかかったよ」
「「HAHAHAHAHA!!」」

ってのが浮かびましたorz
また寝てきます……。
618名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 09:40:10 ID:0jbWrdSr
GJGJ!いいよぉー
619名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 21:32:00 ID:z7IT/fQQ
『女は女と 男は男と 親は子と 姉は弟と 
 男は人妻と 人は獣と
 交じり合え 奪い合え 殺し合え
 自らの欲望のままに飽くまで 真白き骨と成り果てるまで
 血肉を貪り合うがいい・・・・・。
 見よ、お前の愛しい土くれの子等の真の姿を
 それでも都は栄えるだろう・・・・・』
620名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 22:10:32 ID:NJ/ysAqO
>>619
おい、どうした?
621名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 22:43:17 ID:V0y5RtbW
>>619
感度良好だなオイ
622名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 23:00:25 ID:1VCif6f4
>>619
主よ、そこまで言って「兄と妹」は不許可だというのですか!
623:2008/04/01(火) 23:07:27 ID:p0kIoWJJ
全ての妹は俺の嫁
624名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 23:43:24 ID:mP/8xO0/
>>623
神様、仕事してください

大丈夫、私たち血は繋がってないし
とかそんなネタしか思いつかない俺凡夫
625イザナミ:2008/04/02(水) 02:36:44 ID:IttMlUVn
お兄ちゃん、なんで私を怖がるの?なんで私から離れるの?

……ひどいよお兄ちゃん


憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
626イザナギ:2008/04/02(水) 03:23:08 ID:1WK474dP
ひィィィィィィィ・・・・・・
様子がおかしいと思ったら・・・・

一応、岩で部屋の入り口を塞いで・・と。
627アマテラスオオミカミ:2008/04/02(水) 03:40:51 ID:P0zYG/5N
親自重
628名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 04:01:23 ID:AB3H2/2J
黄泉比良坂でのイザナギとイザナミの会話は「人は何故死ぬのか」、
そして「人が死んでいっても何故人は絶滅しないのか」、
これらへの答えを記した重要なものである
(尚、ここで出された答えは『人が死んでも、それ以上に人は生まれる』というものであるが、
 『人は死ぬものだから仕方ない』という発想のもと、話が展開するのは日本神話ぐらいである)

しかし、同時にこの二神の絆の強さを示しているものでもある
イザナミはイザナギを追いかけながらも「愛しいあなた」と言い、
イザナギもイザナミに追いかけられながらも「愛しいおまえ」と言う。
(これは生と死は反発するものではなく、癒着しているものという、
 これもまた日本神話にみられる、独特といっていい考えである)

つまり、全てを享受するものでなければ、やはりそこに愛は成立しえないという、
男女間の真理もここに含まれている

ちなみに夢を壊すようで悪いが、二神はお互いを「兄」「妹」というが、
昔は愛しい、近しい男性を「兄」と呼び、近しい女性を「妹」と呼んでいたため、
一応、同じ時に生まれた神々なので近親の関係には違いないが、兄妹ともまた違う関係である事を記す
(今でも家族以外の男や女を「兄」「妹」と呼ぶ習慣は朝鮮半島のほうに残っている
 このことから大昔のアジアでは何処もこんな感じだった事が伺える)
629名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 04:29:16 ID:MukP+ACT
>今でも家族以外の男や女を「兄」「妹」と呼ぶ習慣は朝鮮半島のほうに残っている

朝鮮半島も日本も大まかな文化でいえば大体同じだろ、米食ってるし

すると、今の今まで妹と呼んでいたあの女性は家族以外の女である可能性が浮上してくる訳だ

やったね!
630名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 05:30:24 ID:PS4x8F3c
二神ってその数え方でいいの?
独特だとか自信満々に書いてるところからすれば、それなりに調べてる人だろうと思うんだが
631名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 05:46:32 ID:/XNUZKGt
日本の神様の場合は数え方は「柱」だね
632[sage]:2008/04/02(水) 09:49:37 ID:0mCJ+tOR
神と書いて姉と読む
633名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 10:22:39 ID:1vFpGTz4
ドアを隔ててダンダンするキモウトのルーツですな
634名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 14:22:14 ID:0TAFztVh
個人的にはクールでメガネで高身長のエロい姉とかがたまらんわけです!
黒ストッキング・黒タイツ・黒ガーター・黒下着とか黒一色でシャツだけ白とかでメガネは銀縁か
縁なしのオシャレメガネで社長秘書風のエロスなキモ姉とかもうそんなんでドンブリ三杯は軽くイケます!

そんな姉のSSを誰か書いてほしいと願いながら風邪引いて寝込んでる住人が一匹いるわけですよ。
キモ姉に看病される妄想をしている寂しい虫けらに慈悲を…慈悲を……
635名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 14:40:17 ID:AB3H2/2J
>>631
柱を用いる場合は「二柱の神」と書く
民俗学や神道学では、一柱の神と一柱の神がいる場合は「二柱の神」と記すが、
殆どの場合、イザナギ・イザナミは番いの神として認識されているため、
二神として記されることが多い。
寧ろ、神道の世界では二神とはイザナギ・イザナミを指す言葉でもある。


>>634
当然、貧乳なんだろうな?
636名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 15:16:42 ID:BhzItLcm
>>635
  残念 巨乳なおねいさんで書いてるけど、きみの貧乳ラブに敬意を表して、ここは投下を譲るよ。
637名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 17:17:59 ID:HQ41QXka
>>632
『唯一姉』『邪姉』なぜか素敵な響きになるミステリー
638名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 17:43:49 ID:0TAFztVh
>>635
>>636
巨乳フェチ、美脚フェチ、尻フェチの俺だが>>634に表記した姉は乳より美脚なんだぜ
ここであえて言うなら美人なお姉さんには「曲線美」というものが存在する
曲線美ってのはアレだ。美しい山河があるだろ。見てるだけで心が洗われるようなさ。それに似てる。
まず全裸の美人お姉さんを想像しよう。したな?そしたら横向きに立っているイメージにしてくれ。
まず背中のラインだ。無駄な脂肪のない少し背骨が浮き出たくらいの白い背中の魅惑的な素晴らしさ
のなんたることか!背中美人って言葉があるくらいだ。美しいお姉さんは背中がまず綺麗だ。そしてエロい。
そして背中からゆっくり腰まで見下ろしていく……な?解るだろ?
そう、「腰」の「くびれ」だよ!くびれ!緩やかなカーブ。この曲線の美しさは腰が一番重要だ。
無駄な脂肪のない引き締まった腰のくびれ。コレを造り上げるために綺麗なお姉さんはたゆまぬ努力
を日々行っているんだ。イメージしてみ?綺麗なお姉さんが食後の風呂場で体重計に乗る姿を。
一喜一憂しては長風呂したり筋トレしたり、人の見えないところで影ながら努力してるんですよ。
そうやって造り上げられたのが「腰のくびれ」なんです!白鳥が水面の下で努力するが如く。
この背中から腰、そして腰から尻のなめらかなライン。更に言えば尻から太もも、膝、ふくらはぎ、
最後にキュッとしまった足首!曲線美とは部分的なものに非ず!女性の体全ての美しさを曲線美と言うんだ!!

太ももから下を省いて書いたが実は太ももフェチであったりするから文字にするとまた長くなりそう
だから敢えて簡潔に書く。太ももの最も美しく、そしてエロい部分は内股の付け根の空間。つまり、
股関の下の僅かに開いたスペースの美しさだ!(ドーン)
無駄に脂肪があれば空間は狭く、しかし脂肪が少なくて細ければ良いってもんでもない。
微妙かつ絶妙な肉感。その太ももが作り出す股関の下のトライアングル空間が太もものエロスだ!!
そして太ももは内側からも外側からも曲線美が楽しめる。ストッキングやガーターを履けばエロさも
楽しめる。解るな?

つまり、究極のエロスとは「曲線美」なんだよ!!
美しいお姉さんが影ながら必死で努力して汗を流しながら鍛え上げた結晶が「美しい体のライン」なんです。
だから巨乳だ貧乳だって言って譲り合いの精神を発揮せずに投下して下さい!

ご静聴ありがとうございます。
639名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 18:10:26 ID:Zy01FNwJ
>>638
江頭「ドーン!」

まで読んだ
640名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 18:14:59 ID:qhuSwu0i
>>622
主じゃないからいいの
641名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 19:12:00 ID:CdxxY7sW
>>638
おとなしくキモウトに看病されるがいい
642名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 19:19:43 ID:ECKwon3q
妹「兄さんが他の泥棒猫から守るために私は」




妹「鋸を必ず着用するからね!!」
643名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 19:27:36 ID:Tkh6tDbd
鋸…まさか中東の司法機関が使うという、斬首用チェーンソーか?
644名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 19:50:49 ID:i7k+keMo
北斗っぽく地面から首だけ出して鋸で切るんだろ
645名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 20:04:28 ID:iEoU1ilW
よいおにいちゃんのみんな!
TVをみるときはへやをあかるくしてはなれて
ほかのおんながうつったらすぐさまにチャンネルをかえるようにね!
646名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 21:33:05 ID:JMDe/DMz
「さあよいこのみんな!今日は簡単に作れる弟の作り方を教えるよ!」
「まず、おかあさんの生理周期を把握してね!」
「次に、いわゆる"危険日"の日におかあさんとおとうさんに「きょうだいがほしい」って言うんだ!」
「しあげに晩ご飯に番組特製超強力マカダミンCを入れる!」
「あとはほっとくだけできょうだいが出来るんだけど、ここで注意!」
「もし妹だったら早めに処理しないといけないぞ!」
647名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 23:30:22 ID:1ZM8wWcV
投下してもいいでしょうか?
久しぶりに書いてみました。
648いもうとはオオカミ:2008/04/02(水) 23:31:05 ID:1ZM8wWcV
妹のチコが、オオカミになった。
例えの話ではない。本当に、オオカミになってしまった。

そのオオカミは、ぼくのそばで尻尾を振って、幸せそうにぼくを見つめている。
時折、ぼくの顔に近づき、くんかくんかと匂いをかいで安心する姿は、
かつてのチコを思い出すような仕草。そんなチコは今や、オオカミ。
ぼくは、オオカミに食べられるかもしれない。
ぼくの事が好きで好きで、オオカミはぼくを食べてしまうかもしれない。
病室の窓に映る桜が、ぼくらをあざ笑うように咲いている。
あんな桜、目障りだから早く散ってしまえ。
649いもうとはオオカミ:2008/04/02(水) 23:31:36 ID:1ZM8wWcV
まだ、風がぼくらの耳を切り裂くように冷たかった頃の事。
「お兄ちゃん!早く帰ろっ!」
高校からの帰り道の途中。ぼくより3つ下のチコがぼくを見つける。
仔犬のような円らな瞳を輝かせ、ぱたぱたと交差点の向こうからチコが走ってきた。
本当は「智世子」なんだが、周りのみんなは「チコ」と呼ぶ。
「わたしは、お兄ちゃんの匂いが解るんだよ」
「うそつけ」
くんかくんかと、ぼくの首筋を匂う様な格好をするチコをぼくは小突く。
それでも、チコは嬉しそうな顔をする。
小突かれた事が嬉しいのではない。ぼくといるだけで、チコは嬉しいのだ。

「ウソを突いてないかどうかって、目を見れば分かるんだよ。ほら!わたしの目を見て!」
ぼくの背筋が凍る。
チコの目は、さっきまでの子犬の瞳ではなく、まるで血を好む獣のような冷たい目に変わっていた。
しかし、チコは元気にぼくの周りを飛び跳ね、目だけがウソをついているような
そんな、不思議な錯覚に陥る。チコはそれでも、ニッと笑う。
「うー!がおー!」
ふざけて、チコはオオカミの真似をしているが、本気のようにも見えるのが恐ろしい。
650いもうとはオオカミ:2008/04/02(水) 23:32:03 ID:1ZM8wWcV
翌日の朝、チコがぼくを起こしに来る。
毎朝の事なのだが、にわとりのように律儀にチコはぼくを起こす。
「じりりりりり!朝ですよー!」
外は、まだ薄暗く息も白くなるほど寒い。そんな現実の朝へとチコからの誘い。
チコはぼくを布団ごとゆっさゆっさと揺らし、ぼくの目を覚まそうとする。
「あと、3分―」
「だめです。早く起きないと、わたしと一緒に学校に行けないでしょっ!」
チコのわがままの為だけに、ぼくは残酷な朝に突き落とされる。
「もー!早く起きなさい!」

かぷっ

「痛たたたたたっ!!」
ぼくはびっくり箱の人形ように飛び起きる。チコに噛まれた事は今までに何度かある。
ぼくが中学生の頃、クラスの女の子との交換日記をチコが見つけたときに、二の腕を噛まれた。
テレビで好みのアイドルが映って、ぼくがにやけた時にも首筋を噛まれた。
最近では、チコと話していて、クラスの女の子・太田さんの名前をポロっと出しただけでその日、虫の居所の悪かったチコに手を噛まれた。
が、今日はよく研がれた剣で突かれた様な異常なまでの痛さ。
手で噛まれた所を抑えると、指が赤く染まっていた。
無邪気なチコがニッと笑って立っている。チコの目は昨日の様に獣の目。
口元の歯は、もはや牙と呼ぶ方がふさわしいほどの鋭さだった。
651いもうとはオオカミ:2008/04/02(水) 23:32:43 ID:1ZM8wWcV
その日以降、チコのオオカミ化は顕著になる。
食事も、肉ばかり食べるようになる。スズメを追いかける。ネコを追いかける。
そんな姿にぼくの両親も心配するが、当の本人はどこ吹く風。
心配のあまり、外に出るなと母親がチコを戒める。

「そんなことしたら、お兄ちゃんと一緒に遊びにいけないじゃないの!」
母親は、何かを捲りながら、座ったまま首を振るだけ。
「もしかして、お兄ちゃんとわたしを切り裂こうとしてるでしょ!バカ!」
親に「バカ」と言い出す始末。その時の顔は、もはやオオカミ。
くるりと、ぼくの顔を見て、ナミダメのチコはぼくに救いを求める。
「お兄ちゃんは、わたしの味方なんでしょ?そうでしょ?」
ここで「違う」なんぞ言ったら…ああ、恐ろしい。

「う、うん。チコの味方だよ」
殆ど脅迫に近いチコの質問に、ぼくは答えると嬉しそうにチコは甘噛みをする。
あきれた母親は、どこかに出てしまった。

ぽつんとテーブルには古いアルバムが残されてあった。母が見ていたのだ。
母方の家のアルバム、幼い母の写真が並ぶ。
いかにも田舎の農村という感じの風景がバックに写し出されているのどかな風景。
母は、とある地方の庄屋の家系の娘。家はかなり大きい。
順々に見ているとふと、あることに気付く。
母がある年齢の頃から一緒に写っていた少女がいなくなっているのだ。
その少女が、家族の集合写真にいるということは、母の身内の誰かという事。
姉妹がいたという話は、母や親戚から聞いたことがない。いたとしたら、ぼくやチコの叔母にあたるこの子。

この子は誰だろう。そして、今何をしているんだろう。心なしか、チコに似ている。
652いもうとはオオカミ:2008/04/02(水) 23:33:51 ID:1ZM8wWcV
「お兄ちゃん!買い物に付き合ってよ」
よそ行きの服に身を包んだチコが、ぼくの背中にのしかかる。
「智世子!もう、外に出るのは、やめなさいって言ったでしょ!」
母の言葉がチコを凍りつかせる。

「やだ!お兄ちゃんと一緒に出かけたいもん!」
背中にのしかかったままのチコ。
チコの涙がぼくの肩を濡らす。ぼくを後ろから抱くチコの手もまたオオカミのもの。
爪がぼくに優しく食い込む。
「わたしの邪魔をする人は、みんな死んじゃえ!!オオカミに噛まれて死んじゃえ!!」
この日から両親は、チコは長期療養の名目で学校を休ませる事にした。

寒さが和らいできた春分過ぎの朝。
ぼくと一緒に通学できなくなったチコは、一人くらい自分の部屋に閉じこもっている。
チコは、ぼくを起こしに来る日がなくなった。
「チコ、いるのか?」
心配になったぼくは、チコの部屋を覗いてみると、チコはベッドの上にちょこんと座っている。
頭から獣の耳が生えたチコの姿が、未だか弱い朝日の逆光でシルエットになっていた。
「どうして、わたしは…。生まれたんだろう…。お兄ちゃん…」
チコの泣き声が聞こえてきた。

そんなチコにとってはゆううつな日々が続く。
午前中は母親の話によると、どんよりと暗く沈んでいるらしい。
話しかけても、チコは取り憑かれたように、ぼくの事ばかり話しているらしい。
そして夕方、ぼくが帰ってくると、ぱあっと向日葵のように明るくなるとの事。
「わたしの人生は、夕方から始まり朝に終わる」
とまで、チコは言い出す始末。
また驚いた事に、ぼくが玄関の扉を開ける前に、ぼくの足音だけでぼくだとわかるのだという。
事実、玄関を開けると同時に廊下の奥からチコが走ってきた事がある。
「お兄ちゃんの音は、ぜーんぶ分かるんだから、逃げちゃだめだよ」
脅しとも受け取れる、恐ろしいチコの台詞。
家から出なくなった事により、チコはいっそうぼくに構いだす。
生まれたてのヒナが、親鳥についていくようだ。着いて来るのは妹だが。
そのため、家で一緒にいる時間が長くなった気がする。
653いもうとはオオカミ:2008/04/02(水) 23:34:16 ID:1ZM8wWcV
ぼくの安息の時間は、学校だけなのだろうか。
学校での安息は短い。この短い時間は、太田さんと過ごす。
太田さんは、身内と比べるのもなんだが、チコとはまた違うタイプの女の子。
大人しいめがねっ娘で、よく言えば優等生、悪く言えばガリベンなオタクさん。
人付き合いの苦手な太田さん。ぼくは、彼女と隣同士の席になってから、太田さんにずっと話しかけている。
できる事なら、彼女の心の扉を開けてあげたい。

「チコちゃん、大丈夫?」
「う、うん。ちょとね、ぼくも心配なんだけど、太田さんも気を使ってくれてありがと」
太田さんのほうから、人に話しかけることはない。いわんや男子においてをや。
ぼくは、ずっとチコのことを話していたので、太田さんは興味を持ったらしい。
この間、チコが長く学校を休んでいる、と太田さんに話したばかりだ。
しかし、チコはあの状態。無論、会わせる空気は家にはない。

チコは、野生の感が利く様になってきたのか、ぼくが話してない事まで気付くようになっている。
「お兄ちゃん。女の子の匂いがする!」
チコの牙がぼくを襲う。
たしかに、ぼくは今日、太田さんからハンカチを借り、
今度、洗って返すと言った。それで、今ぼくは太田さんのハンカチを持っている。
むりやり、ぼくのポケットからハンカチを引きずり出しチコは匂いを嗅ぐ。
ハンカチには「OHTA」と刺繍が。
「お・お・た?」
ああ南無三!
もちろん、チコは太田さんの事を知っている。しかし、会った事はない。
「わたしをのけ者にしちゃうと、お兄ちゃんを食べちゃうんだから!」
チコの牙は、もはやぼくを傷付ける為だけにしか意味を成さない。
「太田、待ってろよお!」
突然、チコがハンカチを持って家を飛び出した。
外には、満月が浮かんでいる。不気味な月光の浴びながら、ぼくはチコを追いかける。
654いもうとはオオカミ:2008/04/02(水) 23:34:38 ID:1ZM8wWcV
ハンカチを持って飛び出したという事は…。
考えると恐ろしい。早くチコを捕まえなければ。
ぼくは妹をさがす。そう遠くに言っていない筈だ。
心当たりを走り回ってさがす。必死にさがす。

しばらく探していると、耳が生え、尻尾のある見覚えのあるシルエットが目に入る。
チコが車道に居るようだ。遠くから車が近づいてきた。危ない。
「チコ!待て!」
チコは反射的に遠くに駆け出してしまった。姿がもう見えない。
ぼくは、咄嗟に車道に出る。さらに車が近づく。
気付いた時には、運転手の顔がはっきり見えるくらいぼくは車に近づいていた。

なんだろう…。ゆっくり、周りが動いているな。あまりにもまわりがノロマすぎて笑っちゃうくらい。

そう思っていると、ぼくは、赤く染まったアスファルトの上に寝転んでいた。
深夜ながら周りが騒々しかった。
遠くからぼくを迎えに、救急車が来る。そして、目の前が暗くなった。
655いもうとはオオカミ:2008/04/02(水) 23:35:13 ID:1ZM8wWcV
ぼくは、病院の庭に居る。
庭には、桜が悲しくなるくらい咲いている。
ここに運ばれてから、病院での暮らしが続く。松葉杖には、もう慣れた。
そういえば、ずいぶんとチコとは会っていない。チコはどこに行ったんだろう。
見舞いに来た両親もチコに会っていないと、心配している。
ぼくらはバカな兄妹だ。親が来ると説教ばかりでウンザリ。
太田さんにでも、見舞いに来て欲しい。

そんな中、思いもよらない来客があった。
ぼくの目の前には、オオカミがいた。
いや、違う。9割方オオカミになったチコがやって来たのだ。
チコの毛皮に覆われた体は血だらけで、着るものは着ていなかった。
「わたしの邪魔をする泥棒猫は、わたしが始末したよ」
チコに付いている血は、泥棒猫の血だと言う。
「太田…さん?だっけ?わたし、必死に太田…さんの家、見つけたんだからお兄ちゃん誉めてよね」
656いもうとはオオカミ:2008/04/02(水) 23:35:37 ID:1ZM8wWcV
まさか。
チコはにやりと笑っていた。
「でも太田さん、ちょっとお人よし過ぎるよね。『お兄ちゃんから預かった、ハンカチ返しに来ました』って言ったら
すぐ玄関開けるし…。ガブって手に噛み付いちゃったよ。アハハ。でも、番犬が騒いだのは誤算だったなあ」

このときのチコは、心なしか寂しげだった。
もう、人の心を持てる時間はあとわずか。獣の血に逆らえない。
「わたしがオオカミになってしまう前に、喋っちゃお…。
わたしね、聞いたんだ。お母さんに聞いたんだよ。お母さんに妹がいたって事。
その子ね、わたしと同じようにオオカミになっちゃったんだって。
ある日突然、目が変わって、牙が生えて、耳が生え、尻尾が伸び、オオカミに変わってしまったんだって」

チコが力を振り絞って話す。
「でも、お母さんは田舎の人でしょ。田舎ってびっくりするくらい体裁を気にするから
その妹を土蔵に閉じ込めて『居なかった事』にしたんだ。ひいおじいちゃんがそうしろって。
だから、アルバムは途中から居なくなってるの。初めに残ってた写真は、お母さんが必死に隠していたらしいよ。
『見つかったら捨てられるから』必死に隠したんだって。なんだか、さみしいね」
一言一言喋る度に、残酷にもチコのオオカミ化は加速する。四本の脚でないと、もう体を支えられない。
もはや、人間の面影もなくなり、話す声も声帯の変化でかすれてきている。
チコの目から涙が一粒。涙は、ヒトもオオカミも同じ。

「わたしの写真が残っていも、捨てないでね…。いつでも居られる様にね。
いつもちゃんと、お兄ちゃんの側に居てあげるから。お兄ちゃんのこと、わたし…」

とうとう、チコは完全なオオカミになった。今までのように喋る事は二度と出来ない。
チコは何を伝えたかったんだろう。もはや、確かめる事は出来ない。
一匹のただ生きているだけのオオカミが、ぼくの周りでうろうろしていた。
657いもうとはオオカミ:2008/04/02(水) 23:36:38 ID:1ZM8wWcV
後日、院内でぼくは太田さんに会った。
見舞いに来たのではない。太田さんは、ここの外来患者だった。

「わたし、びっくりしちゃった…。家でオオカミに襲われるなんて。
オオカミって日本には居ないと思ったのになあ。あれは何だったんだろう」
手に包帯を巻いた太田さんは、不思議な体験をしたらしい。
きっと、あの事だろう。犯人の兄として申し訳ない。
「ところで、チコちゃん。大丈夫?」
「う、うん。きょうも元気みたい」

うん。ウソではないよな。
そんなチコは病院の庭で、ぼくがこっそり抜け出すのを尻尾を振って待っている。
もうすぐ、桜が散りだす。


おしまい。
658名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 23:37:47 ID:1ZM8wWcV
投下終了です。
ふう。
659名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 23:39:40 ID:YnmisV6l
切ないお話ですなぁ
660名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 23:44:41 ID:qf1e772I
投下乙であります。…切ない。つдT)
もし続編があるなら救済編を見てみたいです。
661名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 00:01:45 ID:uqRV36ye
映画のキャットピープル思いだした あれも兄妹ネタだよな

…兄の方はつがいになるべき妹に拒否(!)されて黒豹のまま射殺、
妹の方は惚れた男を喰えず、黒豹になったまま飼われる生活を選らんじゃうんだが
662名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 00:15:01 ID:0GETwmhV
……切ないなあ
太田さんが生きていて良かったけど……
いずれチコも「いないこと」にされてしまうのかしら


>>661
でもあれってリメイク版で、映画マニアの間では評判悪いんだよなあ
「本当に変身させるなんて芸がない! 名作を安易に改変するんじゃねえ」とか
「しょうもないエロホラーじゃん」とか

エロならエロでそれもいいと思うのだが

映画ヲタの間でカルトな評価の高い
1942年製作の「キャットピープル」オリジナル(ジャック・ターナー監督)では
「豹に変身」は、本当に事実なのか、シモーヌ・シモン扮するヒロインのノイローゼによる妄言なのか
真相はわからないままに終わる。映画ヲタに言わせると、そこがいいらしい
663名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 00:15:40 ID:NA3pud2B
今度は獣化ネタが登場ですか。このスレの守備範囲の広さは異常だな。
664名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 00:46:09 ID:rSrST3jn
>>658
GJです。
運命っていい響きだよね。
665名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 01:33:25 ID:1N076xJG
今まで見た中で最高の姉モノと思う
http://pinknotora.net/2D/pc/img.php?src=../src/424-19.jpg
666名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 01:39:24 ID:Gj9weq22
にゃにゃーんっ!
667名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 02:03:35 ID:xBDRBrmG
>>658
(つд;)だめだ…切ないのには弱いんだよ…グッジョブ
668名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 07:04:41 ID:qHz2f2zI
>>658 乙でした。

ところで、ここはキモウトスレなのでいうのもなんだが、太田さんがヤンデレ化したら……と思う今日このごろ。
669名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 08:36:43 ID:coZEXEHW
>>665
お前はまだまだだな
670名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 09:29:53 ID:P+E2TcFl
>>665
詳細くらい書いとけよぉ
671名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 10:26:41 ID:coZEXEHW
>>670
天太郎でググれ
672名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 11:48:37 ID:KarG+m4o
時代劇、百合、ロボ、けだもの、乳びんた…境界分野へ積極的に挑む作者と
それを許容する読者の存在が、スレ繁栄の秘訣なのかな。
と、保管庫見てておもったんだが、こういう変化球系は妹が多く、姉は正統派?が
主なのね。
673名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 23:48:31 ID:Gj9weq22
そういえば姉は誘惑して弟の理性をぶち壊して計画的に犯されるって感じのが多い気がするけど
妹は脅迫したり「セクロスせざるを得ない」ようにするってのが多い気がするな

この違いが一体何を意味しているのか…
674名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 23:53:52 ID:zOxbuDVn
…知能差? うわなにす(ry
675名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 00:09:21 ID:DXBExZLU
>>673姉は弟に甘えられてる姿が似合うし妹は兄に甘えている姿が良く似合う、って事なんじゃね?まあだいぶ歪んではいるがw
676名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 00:12:12 ID:2nYpFneX
妹は兄(まれに姉?)の保護欲を利用するタイプが普通にいるからかも。
姉が弟に保護される側に回る「ダメ姉」というパターンもあるようだが。
677名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 07:41:11 ID:8x+bavBm
ダメ姉は大好物です
甘えん坊姉はもっと大好物です
だから、キモ姉も大好きなんです
678名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 15:33:04 ID:HexKmSld
ほとんど弟に飼われている状態のダメ姉が、あまりに深く依存して本当のペットに
してくれと…
679名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 16:59:43 ID:ITqZZmKi
(;´Д`)ハァハァ
680名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 16:59:57 ID:2AY7vpPA
ガクガク((;´Д`))ブルブル
681名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 17:45:13 ID:x7tZUBVx
そして弟は気が弱く、「そんなこと無理だよ」と言うが姉が襲いかかり…だと最高
682名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 17:52:05 ID:APFDZjtj
>>678
そしてわんわんプレイをしている所を妹に見つかって修羅場になるわけだな。
「へぇ、お二人とも随分と良い趣味をしてるんですねぇ…」
(;´Д`)ハァハァ
683名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 20:45:43 ID:ILN5RSpq
そして妹とにゃんにゃんするんですねわかります
684名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 21:32:44 ID:fpt6thd0
兄にゃん!
685名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 22:18:58 ID:bwuh+T8h
キモウトと………
「ニャンニャンプレイ」と聞いて飛んできました
686名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 22:30:07 ID:XHN6ZLLQ
普段は冷徹な彼女も、お兄様と二人っきりになった瞬間からネコミミモードなんですね
わかります
687名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 22:31:54 ID:sppuLHQU
発情期…。
688名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 22:52:32 ID:x7tZUBVx
あれ?それってツンd(ry
689名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 04:47:55 ID:Lhd2YAZO
__(仮)
待ってます
690名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 05:36:15 ID:i/+sxoXz
>>688
ツンデレは、最初はツンツン、関わっていくうちにデレデレ、になる。
ゼロ魔のルイズや炎髪灼眼などが典型。
691名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 06:14:36 ID:grRK/1Nm
>>690
いや、つまり>>686こそが本当のツンデレって意味でしょ?
692名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 06:38:14 ID:i/+sxoXz
本来、二面性じゃなくて時間経過によるもの。
>>686は二面性でしょ。
昔は兄とさして仲がよいわけではなかったが、次第に仲が良くなってきて今はデレデレ、じゃないだろ。
別に昔は兄と二人っきりでもツンツンだったわけじゃないだろ。
693名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 08:54:49 ID:6qrmJLY9
ナチュラルにどこにでも付いてくるキモウトが欲しい

で、キツいことを言ってみたい
694名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 09:29:30 ID:grRK/1Nm
>>693
妹「ねぇ〜お兄ちゃぁ〜ん、腕組もうよ」
兄「・・・・・・」
妹「あ〜ん、無視しないで何か言ってよ〜」
兄「うるさい、ついてくんな、邪魔だ」
妹「・・・!」
兄「・・・はぁ、またか」
妹「い、いまの『邪魔だ』を同じ感じでもう一回言って!」
兄「・・・チッ」
妹「はぁんっ!きょ、今日、三回目の舌打ちぃぃ!!」
兄「お前・・・マジで気持ち悪い」
妹「ああっっ!!もっとぉ!もっと罵ってぇ!お兄ちゃぁ〜〜ん!!」


うん、ドMなキモウトかキモ姉ってよくね?って言いたかったんだ
695名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 10:02:22 ID:jZKAk9G7
ドMキモウトは、兄に彼女ができて放置されたらどうなるのだろう?
放置プレイを楽しむ業の深いMに進化するのか、あるいは別モードが覚醒…
696名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 10:17:07 ID:grRK/1Nm
>>695
本当のM女は別れた男に付き纏って、
男に怒鳴られるか、
「じゃあ、ヤってやるよ!」と逆上した男に犯されるのを望むらしい・・・


ソースは電車で大声でこんな話してた女子高生たち
697名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 11:31:55 ID:kAttCTIa
神々はまだ来ないのか
698名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 12:08:37 ID:zVhkL8lL
今更だけどさ
普段は弟(兄)に対してキツいあるいは無関心な姉(妹)が
裏では自分の部屋の壁を弟(兄)の写真でいっぱいにしたり
弟(兄)に彼女が出来ても平然とした顔をしてるけど頭の中はカオスな事になってたりするのって良いよな
699名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 12:55:27 ID:xOlaGwa/
>>698
あれ? 俺がいる
700名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 15:44:05 ID:6qrmJLY9
以上まとめると

動物化した狂暴なクール姉が逆レイプする・・・?
701名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 21:03:36 ID:NnZTNPG7
>>700
姉はキツネ耳が至高だと思うんだ
702名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 22:12:42 ID:lS/wVNbv
そして弟のお稲荷さんをパクつくわけですね(;´Д`)ハァハァ
703名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 22:34:41 ID:/mnrhxiV
残念。それは私のおいなりさんだ!
704名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 23:14:31 ID:drcIMC6N
…寸断されたな (−人−)ナムナム
705名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 23:18:43 ID:cAkrOP8b
>>701->>703
チクショー。妄想せずにいれんじゃないか。
どうしてくれる。
706名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 23:23:21 ID:zVhkL8lL
一人っ子は寂しいのぅ寂しいのぅ
急にキモ姉恋しくなったorz
707名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 00:13:34 ID:/iUH/H5E
>>696
世も末だな
まあ俺には俺だけを愛してくれる妄想の妹がいるから知ったこっちゃねぇけど
708名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 00:31:38 ID:NYYBkzTy
>>695
キモウトなら、自分の御主人様(兄)を取り戻すために彼女を排除するんじゃないのか。
「お兄ちゃんどいて! そいつ殺せない!」
とかいって。
709名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 04:12:46 ID:NFs/TnLS
妹「ル・ラーダ・フォルオル」
兄「はいはいマホカンタマホカンタ」
710名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 04:59:25 ID:SFFM90iE
中編のキモウトものを書き上げたのに、昨日の昼にお茶をこぼしてPC壊れた俺がきましたよ
どうせ5万ぐらいはかかっちゃうんだろな…みんなスマソ
711名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 06:33:45 ID:/I3X4ZW9
>>710
あなたはネ申です(´ω`)
いくらでもお待ちしております
712名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 11:34:13 ID:NYYBkzTy
>>710
イ`。
713美咲の闘い:2008/04/06(日) 16:38:21 ID:AQs5uuOA
投下します。

不快に感じる表現が出てくると思います。
714美咲の闘い:2008/04/06(日) 16:39:40 ID:AQs5uuOA
 それまで、不動琢磨は平穏な日々を過ごしていた。

 小さい頃に両親を亡くし、様々な事情から姉である美咲と二人暮しをしてはいるものの、
 その生活に特に不平もなければ、不満も覚えていない。

 強いて琢磨が愚痴を言うとしたら、
 美咲が行き過ぎとも思える程にブラコンであり、何かとなく琢磨の世話を焼きたがる事、
 それが反抗期でもある琢磨に煩わしさを感じさせていたぐらいだ。

 とは言え、美咲は、弟である琢磨の眼から見ても美人であるし、
 快活な歯切れの良い性格は、接する相手に心地良さを与えるものだ。
 故に、琢磨自身もかなりのシスコンであり、姉を少しでも助けたくて、家事等を覚えてきたのだから、
 多少の煩わしを感じたとしても、それが特にどうと言う事はなかった。


 それ以外の琢磨は、高校受験の事で頭を悩ませる、一般的な中学生で、
 特に揉め事を作るタイプではない。


 もっとも、揉め事やトラブルといったものは、本人以外からの原因からも起こり得るもので、
 琢磨の場合、姉、美咲の存在、その趣向や性格が、悪夢を見させる原因になった。
715美咲の闘い:2008/04/06(日) 16:41:52 ID:AQs5uuOA
 その日は普段と変わらない朝だった。

 普段通りに美咲に起こされた。
 目覚ましはセットしているのだが、寝ぼけて止めてしまうらしく、その都度、美咲に余計な負担をかけている。

 その事を琢磨は心苦しく感じているし、美咲にも、
 「琢磨はまだ、子供だからしょうがない」
 そう言われる度に、情けなさも覚えている。

 「”オレ”に変えてもこれじゃなあ」
 そんな事を呟きながら着替えていると、
 「朝食の準備出来てるからね!」
 そう言いながら、美咲が笑顔で入ってきた。

 「な…なんだよ!の、ノックぐらいしろよ!」
 そう怒鳴りながら、慌ててトランクスを隠すのは、美咲は姉とはいえ、一応は異性であるし、琢磨自身も思春期だからだろう。

 そんな琢磨の様子に、美咲は優しい笑顔を浮かべながらも、
 「何を照れてんのよ」
 と、からかうような言い方をする。

 「照れてるワケじゃねえから…」
 「そんな事より、着替えんだから、姉ちゃんはとっとと出ていってくれよ!」
 顔を真っ赤に染め上げながら、抗議の声を張り上げる琢磨に、美咲はあくまで穏やかに、
 「はいはい、なるべく早く着替えな、ね」
 と言うと、
 「これぐらいで恥ずかしがるなんて…」
 「琢磨はやっぱり、子供だねえ」
 と笑いながら、部屋を出ていった。

 そんな美咲の態度に、琢磨は腹立ちを覚えながらも、
 「姉ちゃんには勝てないのかな…」
 と、嘆息する他になかった。
 その後は、特別に話をするような事はなかった。

 高校受験が今年になった琢磨は、余裕なく勉学に励んでいたし、特に友人付き合いで問題があるタイプでもなかったから、校内での様子を詳しく語るほどはない。


異変は、琢磨が下校する時に起きた。

716美咲の闘い:2008/04/06(日) 16:43:01 ID:AQs5uuOA
 その日の放課後、琢磨は何時も通りに帰宅していた。


 その日、琢磨は食事当番であり、何を作ろう思案しながら道を歩いていた。

 「キャベツと挽き肉があったな…」
 「後は…人参と…」
 冷蔵庫に残った食材を頭に思い浮かべながら、琢磨が家路を急ぐ。


 琢磨が料理できるようになったのは、ここ最近の話しだ。
 姉、美咲の助けに少しでもなりたくて、懸命に覚えたものだ。

 現在は、琢磨も料理当番を任されるぐらいにはなったが、それでも琢磨は不安だった。
 ”姉ちゃんが喜んでくれてるのか?”
 と。
 琢磨は常に不安げに美咲を見る。
 そんな時の美咲は、何時も通りに笑顔だ。


 話が逸れた。

 そんな訳で琢磨は、今晩に作る料理を懸命に考えながら歩いていた。
717美咲の闘い:2008/04/06(日) 16:43:47 ID:AQs5uuOA
4 「不動琢磨、ですよね?」
 見知らぬ相手に声をかけられ、琢磨は咄嗟に答えを返す事が出来なかった。

 「えーと、あんた…君は誰?」
 琢磨のその答えに、相手は嘲るような笑いを浮かべた、
 少なくても、琢磨にはそう思えた。

 次の瞬間、琢磨に何かが走るような感覚があった。


  それからの事は、琢磨はまるで覚えていない。

 「黒岩、早く運びなさい!」
 「このクズは、私がしっかりと…」
 そんな女の、暗く湿った声だけが、琢磨の耳に残った。
718美咲の闘い:2008/04/06(日) 16:44:46 ID:AQs5uuOA
投下終了です。
719コペピ改変だけど:2008/04/06(日) 16:46:08 ID:iar6EGNR
私は、お兄ちゃんが好き。お兄ちゃんが好き。お兄ちゃんが大好き。
お布団でも、ご飯の時も、おトイレの時も、お風呂の時も、登校中でも、友達と喋っているときも、授業中も、テスト中も、下校中も
ずっと、ずっと、ずっとお兄ちゃんのことを考えている。

宿題の分からないところを聞きに行ったとき優しく教えてくれるお兄ちゃんが大好き。
問題を解いたとき、頑張ったねって頭を撫でてもらった時なんて心が踊る。

お兄ちゃんと一緒にお風呂に入るのが大好き。
お兄ちゃんが目を逸らしながら、必死におちんちんを隠そうとしているのを見ると胸がドキドキする。

夜中にお兄ちゃんが私の写真と下着でオナニーしているの覗くのが好き。
一生懸命、手でこすって、私の名前を叫びながら、何度も何度も白いモノを出す様子は、感動すら覚える。

それを見ながら、お兄ちゃんとするのを想像するのはたまらない快感だ。
慌てるお兄ちゃんが、私の足で踏まれてニーソックスに、懇願しながら出しちゃうのも最高ね。

ドアを挟んで、スカートの中に手を入れていたのを見つかって、
20cmの勃起したおちんちんから、白いモノを体中にぶちまけられたときには、絶頂しちゃった。

暴走したお兄ちゃんに、滅茶苦茶にされるのが好き。
小さな膣穴が無理やり押し広げられて、処女幕をやぶられるのは、とてもとても痛いものよ。

絶倫のお兄ちゃんに何度もイカされても許してもらえないのが好き。
意識すら失った体をオナホールのように扱われるのは、屈辱の極みよ。

私はお兄ちゃんとの繋がりを、愛の繋がりを望んでいる。
お兄ちゃんは、一体、何を望むの? もっと、深い繋がり? 背徳的で甘美な深い繋がり?
エッチで欲望の限りを互いにぶつけ合う、濃厚な愛の繋がり?
いいわ、ならもっと私を貪って!

私たちは欲情に狂った獣よ。今まで想像で耐え続けてけた私たちに、ただのセックスでは物足りない!
もっと変態的なセックスを! 倒錯的なセックスを!
私の思いは、わずかに3563日。10年にも満たないけど、アトランティスの昔から、前世でも結ばれていたって信じてる。
ならば、私とお兄ちゃんの仲は、1万2千年前からの運命よ。

私たちの真実の愛をしらない、愚かな禁忌に縛られたお父さん、お母さんを叩き起こそう。
私たちの兄妹愛を目の前で見せ付けてあげよう。
お父さん、お母さんに愛の素晴らしさを思い出させてあげる。
お父さん、お母さんにこれがどんなに気持ちいいことか思い出させてあげる。
お父さん、お母さんも知らない、快楽を身体に教え込んであげる。
お兄ちゃんと一つになったまま、寝室に向かう。
このドアを開けたら、私の新しい人生が始まる。
ああ、お兄ちゃんイっちゃう。

最初に考えたバージョンだと、
お兄ちゃんが行方不明になった恋人を思って、涙するさまはとてもとても悲しいものよ。
とか言ってもっと猟奇な妹にするつもりだったけど間が思いつかんかった。
720コペピ改変だけど:2008/04/06(日) 16:48:16 ID:iar6EGNR
リロしてない間にちゃんとしたの来てたよ。
割り込まなくてよかったぁ。
721名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 19:20:09 ID:xJNgpys5
投下ラッシュ北−−!
722名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 20:42:10 ID:AZnwtOiw
ところで、保管庫で読んだ『妹−I−妹』のキャラで
『左=断海』で『右=射空』なのってさ、『金色のガッシュ』に出てくる
敵キャラ、クリア・ノートの技の
『左手=バードレルゴ(触れた“物体”を全て“消滅”させて断ち切る)』
『右手=ザレフェドーラ(触れた“物体”を全て“消滅”させて射抜く)』
から来てるの?
723名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 20:47:06 ID:A/bls/Qd
あのSSが投稿された時期はまだゼオン編の辺りだったと思う
724名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 21:31:50 ID:xPa6EFnB
というか、あれの続編でないかな?
725名無しさん@ピンキー:2008/04/06(日) 22:28:45 ID:5pIteGKZ
>>718
続きが気になるぜ。GJ!
726名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 08:19:45 ID:Kk258GPy
>>719
見 兄 必 愛!!

見兄必愛(サーチアンドセックス)だ!! 妹!!
私は命令を下したぞ!! 何も変わらない!!
727名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 20:55:42 ID:KkfqTvCB
キモ姉妹スレ1周年おめでとー
728名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 21:49:35 ID:kv7Yib6Q
おめー
729名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 22:03:35 ID:AD1rdTuj
おめこ

全国的にお兄ちゃん/弟くんのスウツ姿に発情したキモ姉妹が大量発生したかもしれんね
730名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 00:03:27 ID:X8alwsoE
この度はスレ1周年記念おめでとうございます。

いやっほぉぉぉぉぉぉぉぉぉおい!!
731名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 00:10:06 ID:Fr+yDjG6
あれ?一周年をキモ姉とキモウトに祝福されたと思いきや、
どっちがより喜んでもらえてるかで互いに威嚇し始めたりとかいうイベントはないのかい?
732 ◆busttRe346 :2008/04/08(火) 02:37:32 ID:hmdWYjA7
一周年おめでとうございます!!最終話、投下します。
733ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.:2008/04/08(火) 02:38:27 ID:hmdWYjA7
最終話



―――やっちまった…!!
まさみは焦りました。お腹の底からゴロゴロと不気味な音が響きます。腰から下が重くなり、へそ回りがじんじんと痛くなります。

これから大事な仕事が待っているというのに、この有様です。その仕事には、この宇宙のごとき胃袋が絶対に必要なのです。
「まさかこんな時にお腹をブレイクするなんて…」
日頃からの暴飲暴食がたたったようです。

「ハマーD、大丈夫なのか?」
ボブが心配そうにまさみの顔を覗き込みます。
「小麦粉製品は、お腹の中で膨らむからな…。でも一番危険なのはなんといっても『ふえるわかめ』だ。アレは…」
マッケンジーは0へぇな豆知識を語り出します。
「おい、五月蠅いぞ、マッケンジー。それにハマーD、早くトイレに行ってこいよ。計画の成功はお前の胃袋にかかってるんだぜ?」
そう言いながら、腹痛のお薬を渡すドイル。
「と、トイレはらめ…それだけはらめなのぅ…はおおおおぉぉぉぉうッ!!」
喋る間も、激痛はまさみを苛みます。でもまさみは絶対にトイレには行きません。アイドルはウンコなんてしないのです。
結局、まさみは今回の作戦から外されました。森の中のパン屑を全て食べるのですから、正直なところ彼女の不在は手痛いものがあります。



―――問題はそれだけじゃないしな…。
ボブはもう一つ、大問題を抱えていました。引っ越しの準備の為、小鳥達はそれぞれの家へと帰っていきました。
ボブも自宅へ向かって飛んでいる途中です。
「あぁ…言い出しづらいなぁ…」
ぼやきながら、ボブの体はゆるやかに下降を始めます。木の上に取り付けられた小さな家。その玄関に降り立ちました。
「おかえりなさい!ボブ!!」
家の中からグラマーな美人が現れました。ああ、美人というのは少し違います。正確には美鳥です。
「た、ただいま、キャサリン」
ボブも返事をします。
キャサリンはボブの彼女です。同棲してもう五年になります。
「なんだか元気がないわね?何かあったの…?」
「う、うん…。実は…大事な話があるんだ…」
ボブは話しました。
ヘンゼルとグレーテルのこと。
二人が捨てられそうになっていること。
自分はどうしても二人を見捨てたくないこと。
734ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.:2008/04/08(火) 02:40:08 ID:hmdWYjA7
「だから…君さえ良ければ、僕についてきて欲しいんだ!!今の生活は捨てる事になるけど…」
ボブは慎重に言葉を紡ぎました。言い終えると、キャサリンをちらと窺います。
「……。もうここには戻ってこないのね…?」
キャサリンが呟きます。
「あ、ああ……」
「良いわ、私、あなたについていく」
キャサリンはハッキリと言いました。
「ほ、本当かい!?だってキミ、つまりそれは……」
そう、ボブの言葉は事実上のプロポーズです。キャサリンがそれに応えるということは、二人は夫婦になるということです。
キャサリンは、ボブの胸に頭を擦り寄せると、浜崎あゆみにも負けない笑顔で言ったのです。

「結婚しましょう?私、羊水が腐る前に子供が欲しいの」

まさみが回復したのはそれから三日も経った日の事です。時間こそかかりましたが、体調は完璧です。
ドイルの渡してくれた薬が効いたのかもしれません。ラッパのマークにぺこりとお辞儀をすると、事前に決めておいた皆との合流場所へ向かいます。
しかし、そこでまさみを待っていたのは、哀れな小鳥達の亡骸でした。



まさみは、クワッと目を見開きました。そう、あれから随分と時が経ちました。森の動物達に尋ねたり、ググったりしてようやくグレーテルの居場所を見つけたのです。
「さて、そろそろケリをつけに行こうかしら…」
翼をはためかせ、『犯しの家』の窓をひょいと覗きこみました。

「なッ…!?」

想像を絶する光景がそこにはあったのです。



735ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.:2008/04/08(火) 02:41:54 ID:hmdWYjA7
「う、うーん…おにいちゃあん…だめぇ…そこは……ハッ!!」
グレーテルは目を覚ましました。うろんな頭でゆっくりと辺りを見回します。
今朝と同じ、リビングです。テーブルの上にもう料理はありません。
その代わりに置いてあったのは――――

「あら、目が覚めたのね?」

お姉さんがこちらを見てニタニタと笑っています。しかしグレーテルの目は或る一点にのみ、集中していました。
そこから目を逸らせません。逸らせるわけがないのです。
何故なら、テーブルの上には体中を生クリームと果物に飾り立てられた、ヘンゼルが寝ていたのですから。
「あらあら、グレーテルちゃんたら涎が垂れてるわよ?」
お姉さんの声にハッとして、涎を拭おうとします。
「な、なんじゃこりゃあああああああ!?」
グレーテルの涎が拭われることはありませんでした。グレーテルの体は椅子に座った状態で、がんじからめに縛られていたのです。
「ちくしょう!!この糞牛!!ロープを解けッ!!」
グレーテルがいくらもがこうとも、ロープは一向に緩む気配を見せません。
「ウフフ…グレーテルちゃん、そこで大人しく見ていなさい…」
魔女はそう言うと、装飾過多なヘンゼルへと近付き、乳首の上のオレンジを直接口で食べ始めました。
「オァフ…」
ヘンゼルは一度だけ身動ぎをしましたが、抵抗する事はありません。
「お兄ちゃんに何をしたッ!?」
「あなたと同じお薬を飲ませただけよ?ああ…なんておいしいのかしら…このオレンジ…」
魔女の顔は感激のあまり、緩みに緩みきっています。そしてさらに生クリームを舌で舐めとりながら、おへそへと向かいます。
「この林檎も、ミキプルーンも…美味しい…とっても美味しい…!!」
「くそッ!!やめろ!!私のお兄ちゃんに触るなああああああ!!」
グレーテルは涙目で叫びます。
その台詞を聞いた瞬間、魔女の動きがピタリと止まりました。
「…私の……?」
ゆらりと体を起こし、グレーテルを見つめます。その瞳には何の感情も見られません。
「ヘンゼル君はあなたのモノじゃないわ…。彼はね、もうずっと前から、私のモノ」
胸の谷間から、紙切れを取り出します。もちろん例の紙切れです。
「二十年前のあの日、ヘンゼル君と初めて結ばれたあの日から、ヘンゼル君は私のモノ…」
736ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.:2008/04/08(火) 02:43:57 ID:hmdWYjA7
「あ、あんた…何言って…」
お姉さんは嫉妬のあまり、かつての青年とヘンゼルを混同してしまっていたのです。
「だから!!一体何言って」
「お黙りなさい。あなたはただ見ていれば良いの。その腐れ眼にしっかりと焼き付けなさい…」
お姉さんはヘンゼルケーキに向き直ると、唇に迷いなく吸い付きました。
「あぁ!!この野郎ッ!!」
(目の前でこんな光景を見せつけられるなんて…!)
グレーテルの怒りは既に頂点に達していました。
さらにお姉さんは、首筋を、もう片方の乳首を、そこから脇腹、へそへと、舌を滑らせていきます。
舌が通ったあとには、ヘンゼルの肌が見えます。
「お兄ちゃんの裸を…!!くそっ…くそっ…くそっ…!!」
お姉さんの動きはまだまだ止まりません。へそより下、つまりヘンゼルのおにんにんへと迫ります。
ぴちゃぴちゃと音を立て、ヘンゼルのエクスカリバーを覆うクリームを舐めとっていきます。
「あっ…♪」
「あっ…!」
歓喜と失望の「あっ」が同時に発せられます。言わずもがな前者はお姉さん、後者はグレーテルです。
寝ているにもかかわらず、ヘンゼルのそこはムクムクと起き上がり、天元突破せんばかりにそびえ立ちます。
お姉さんはヘンゼルドリルを手で掴むと、上下に扱きだしました。
するとどうでしょう。先端の亀裂からじんわりと液体が滲んできたではありませんか。
「ふひひひひひひひひひひひひ…。出てきた出てきた…。ペロッ…ああ、甘い。とっても美味しいわぁ…」
お姉さんは、もはやエクスカウパーと化したヘンゼルのそれに舌を這わせ、先端に吸い付きます。
「ちくしょう…!!ちくしょう…!!やめろ!お兄ちゃんから離れろぉぉぉぉッ!!」
そんな変態行為を許すわけにはいきません。グレーテルは叫びます。
しかし、拘束された体では何も出来ません。成す術なく、グレーテルは床に倒れ込みました。
「ふふふふふ…いい気味ね。ほら、見てグレーテルちゃん…ヘンゼル君のカウパー、どんどん溢れてくるわ」
ヘンゼルの世界樹のしずくは、根元を掴むお姉さんの手も濡らしていきます。
この空間内で唯一、常識人であったグレーテルは、床をみっともなくはいつくばり、殺意溢れる視線で魔女を睨付けます。
737ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.:2008/04/08(火) 02:45:51 ID:hmdWYjA7
「手を離せ!!舐めるな!!この淫乱牛ぃぃぃぃ!!ああ…!!ちくしょう、ちくしょうッ!!ちょっとで良いんで私にも分けてくださああああああい!!」
どうやらこの空間内には、変態しかいなかったようです。
「さあ、それじゃあそろそろ…」
そう言ってお姉さんはヘンゼルの体を跨ぎ、彼を自らの雌に導いていきます。
「よーくよーく見てなさい、グレーテルちゃん…。そしてコレが私のモノだって事を…」
凶暴な笑みを張り付けて、お姉さんはグレーテルを見下ろしました。
「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
二人の宝具はもう触れる寸前まで近付いています。
「お兄ちゃああああああああああああああああああんッ!!」

―――バリイイィィィンッ!!

グレーテルが絶望のあまり叫んだその瞬間、彼女の背後にあった窓ガラスが、けたたましい音と共に砕け散りました。
『―――ッ!?』
何者かが窓ガラスを突き破り、部屋へと飛び込んできたのです。勢いそのままにそいつは、お姉さんのみぞおちへと突っ込みました。
「ごはッ!!」
無防備だったお姉さんはキッチンまで吹っ飛ばされます。そして開けっ放しになっていた大きな竈の中に吸い込まれていきました。
グレーテルは、その隙を逃しません。割れたガラスの破片でロープを切り、すぐさま竈の扉を閉めました。
「あ、開けなさい!!ここを開けろ!!」
ガンガンッと、中からお姉さんが扉を叩きます。
しかし、グレーテルは聞く耳もたず「中には誰もいないじゃないですか」と言わんばかりの勢いで、それを華麗にスルーすると、スイッチで竈に点火しました。
「あつッ!あつッ!!だが…これしきの強火でやられる私ではないわぁ!!」
絶体絶命のピンチだというのに、意外と余裕のあるお姉さん。
ところが、完全に読み違えていたのです。
「今のはメラゾーマではない…メラだ」
グレーテルは今度こそ、ノズルを限界まで捻って強火にしました。
「ぎゃあああああああ!!」
こうして、憎き魔女は死にました。知恵と勇気とピピッとコンロの勝利です。
でもグレーテルはまだ警戒心を緩めません。
自分の荷物から銃を取り出します。あの“人買い”が置いていったトカレフです。残弾数を確認すると、小屋の外へと飛び出しました。
『犯しの家』の屋根から伸びる、煙突。そこに目をやると、一羽の小鳥がとまっていました。
738ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.:2008/04/08(火) 02:48:32 ID:hmdWYjA7
「一体…お前は誰だッ!?」
前にも言ったように、グレーテルには鳥の表情なんて分かりません。だから、まさか自分の前にいる鳥があのハマーDと気付くはずもないのです。
いえ、仮に顔の判別がついたとしても気付かなかったかもしれません。ハマーDは仲間を殺された怒りのあまり、形相がすっかり変わってしまっていたのですから。
「分からない…?そうか…分からないのか…!!まあ良い、グレーテルッ!貴様を殺す!そして真の絶望を味わうが良いッ!!」
ハマーDはその清らかな心さえも失ってしまったのです。復讐だけを胸に生きてきたハマーDの心は、不治の病に侵されてしまっていました。
中二病という、決して治る事のない病に。
「ヘンゼルは、この私…帰ってきた漆黒の翼、ハマーDがいただく!!」
名前のわりに真っ白な翼を広げ、ハマーDが吠えます。
グレーテルはトカレフを握り締め、ハマーDを見つめています。
「そうか…生きていたのね…でも…」

「お兄ちゃんは渡さないッ!!」

「貴様だけはこの嘴で殺してやる!!勝つのは―――」



『この私だッ!!』
今、グレーテルの最後の戦いが幕を開けたのです。







五分後。
「はぁはぁ…。勝った…勝ったぞ、あは、あはは、はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!」
気が狂ってしまったかのように、グレーテルは笑いました。
足下には片翼を打ち抜かれ、見せ場も省略されたハマーDが倒れています。

「まだだ…まだ私には主人公補正という秘密兵器が…!!」
しかしそんな非現実的な事が起きる訳がありません。
「さあ…切り刻んであげる…。もうお兄ちゃんには肉の一片たりとも近付かせたりしない…」
グレーテルは腰から、刃物を取り出します。あの、“竜殺しの大剣1/4”です。落陽が剣を照らし、その刃が鋭く光ります。
「隙ありッ…!!」

ハマーDのすなかけ!
こうかはばつぐんだ!

砂粒はグレーテルの視界を奪い、一時的とはいえハマーDの姿を消しました。
その間に痛む翼を引きずりながら、ハマーDは森へと逃げ込みます。
739ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.:2008/04/08(火) 02:50:03 ID:hmdWYjA7
「次は必ずお前を殺してやる!!さらばだッ!」
「ぐっ…!!待て、ハマーD!!」
グレーテルが目を擦っているうちに、ハマーDはかなりの距離を稼ぎました。
(よし、逃げ切れる…ッ!)
ハマーDが確信したその時。
何とも不運な事故が起きました。
たまたま歩いていた野生のドアラに見つかってしまったのです。もう五日も食事にありつけていなかったドアラにとって、傷ついたハマーDは格好の獲物でした。
ばくりとハマーDを咥え込むと、ドアラはさっと森の中へ消えていきました。

こうして、地球の命運を賭けたラストバトルは終わったのです。
全身に傷を負ったグレーテルは、なんとかヘンゼルの下へと辿り着きました。
「お兄ちゃん…私…勝っ…た…よ…」
誰よりも愛しいお兄ちゃんの胸に倒れ込むと同時に、グレーテルは気絶してしまったのでした。

一週間が経ちました。
グレーテルは何とか目を覚ましたものの、体調は一向に回復しません。
度重なる戦いが、グレーテルの体を蝕んでいたのです。以前とは比べ物にならないくらい、力が衰えてしまいました。
今では自らの足で歩く事すら叶わないのです。
ヘンゼルは大層責任を感じたらしく、グレーテルをつきっきりで看病しました。しかし、素人に出来る事などほとんどありません。
兄妹は『犯しの家』の金品を鞄に詰めるだけ詰めて、自分達の家へと帰る事にしました。
地図と何度もにらめっこをし、時折迷いながらも、二人は何とか我が家に辿り着く事が出来たのです。



740ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.:2008/04/08(火) 02:51:48 ID:hmdWYjA7
長い長い冬が終わり、春がやってきました。
春。木々には新芽が芽吹き、花々が森に色を添え、厨が沸く季節。
小高い丘には木造家が一件、ぽつんと建っています。
その壁には心踊るような桃色のペンキが塗られていて、見る者の心までそうさせてしまうように輝いています。
ヘンゼルとグレーテルは、もう貧しくなんかありません。二人が持ち帰った金品は、予想以上に高価だったのです。
おかげで工場の借金問題も解決し、さらに、余ったお金も莫大な金額でした。
兄妹が出ていった後、お母さんはお父さんに愛想を尽かして出ていってしまいました。
二人は今、『りこんちょうてい』という醜い争いをし、裁判所で互いを罵倒しているそうです。
お父さんはその戦いのため、家を開けっ放しです。
グレーテルの体は、やはり元通りには回復しませんでした。その為、ご飯からお風呂まで全てヘンゼルが世話しています。
でも、ヘンゼルはそんなに嫌そうではありません。それどころか、最近はちょっとイヤらしい目で自分の妹を見たりしています。
まあそれはグレーテルが三日に一度料理に仕込む、紫汁のせいかもしれませんが。

その日の朝、グレーテルはいつもよりさらに遅く起きました。ゆっくりと起き上がり、背筋を伸ばします。
ひらりとベッドから下り自分の足でしっかり床を踏みしめ、車イスを見つめながら、
「めんどくさいけど……しょうがないよね、こっちの方がお兄ちゃん優しくしてくれるし…」
と呟きました。
そして車イスに座ると、ヘンゼルの部屋へ向かいます。
(まずはお兄ちゃんにおしっこ手伝ってもらおうっと…。えへへ、今日こそ襲ってくれるかなぁ…)
そんな不埒な事を考えつつ、ヘンゼルの部屋のドアをノックします。

「OH…OH…YES!YES!!AHHHH!!」

グレーテルはびっくりしました。いきなり異国の言葉が聞こえてきたからです。
そっとヘンゼルの部屋を覗くと、ヘンゼルお兄ちゃんが指先にとまったテントウ虫を撫でていました。
「いやぁ、テントウ虫ってかわいいなぁ…!!なでりなでり」
「OH!OHッ!!」

「そう…今度は泥棒虫なのね……」
グレーテルは低い声で呟いた後、手近にあった殺虫剤を掴みました。

「オニイチャン…」

グレーテルが休める日は、まだまだ遠そうです。







おしまい
741 ◆busttRe346 :2008/04/08(火) 02:54:46 ID:hmdWYjA7
投下終了です。お付き合いいただきありがとうございました。キモ姉妹スレの更なる発展を祈っております。
それではノシ
742名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 02:59:12 ID:L50H0/mv
>>741
GJです!
そして一周年おめ
743名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 03:05:47 ID:NZHYs8fV
最終話なのになにこのカオスと暴走
あんたに惚れたぜ、次回作もよかったら書いてくれよ!

あと吹いたお茶返して下さいwww
744名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 05:49:42 ID:4Q3V9AxH
ハマーDの冷遇っぷりに涙wwwwwwwwwwwwww
そして乙です
745名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 09:38:41 ID:Jv0UZXp8
ちょwww ドアラきめぇwwww GJ!
746名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 13:18:06 ID:aFF8/l/k
ネタ仕込みすぎだろwwwww
糞ワロタwwww
747名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 13:54:47 ID:x4KAef7X
腹がよじれるwwwGJ
ヘンゼルとグレーテルに幸あれ
748名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 20:24:13 ID:1PXLScIE
ハマーD哀れw
GJ!
749名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 20:29:02 ID:Fr+yDjG6
超展開すぎる、が、おもろいな。
シリアスな作品が割と多いこのスレにおいて、そのネタっぷりがよかったw
GJですた
750名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 20:29:10 ID:uNGP10TI
>>741
GJです!最後まで楽しませてもらいました。お疲れ様です!
これからもネタたっぷりのカオスまみれなSSを期待してます!

あと、スレ一周年おめでとうございます!キモ姉万歳!!
751名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 03:59:30 ID:YUyjsE6x
>>750
お前の後ろでお前の妹が凄い形相をしてるぞ
752名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 10:51:43 ID:YV/9f8pQ
>>751
え?マジで!?俺アイツになんかした?
753750の姉:2008/04/09(水) 12:19:30 ID:lUFHMdIN
いいの、いいの。
おこちゃまな妹なんかほっといて、>>750くんとにゃんにゃんにゃんよ。
754750の妹:2008/04/09(水) 14:27:36 ID:d94CRJjF
おにいちゃんはおばさんなんかにきょみないの。
きょうみをもっているのは、わたしみたいなぴちぴちなの。
755750の兄:2008/04/09(水) 15:08:03 ID:+kAEz2HW
や ら な い か ?
756750の父:2008/04/09(水) 16:31:28 ID:tBrkoCoY
はあはあ、可愛いな、息子よ
757名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 17:06:28 ID:vxI2/wMm
一瞬近親相姦スレに迷い込んだと思ったじゃないか自重しるwwww
758名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 17:13:29 ID:J2YhgJkt
キモ一家……駄目だ、わが妄想力の限界を超えるお題だOTZ
759750の母:2008/04/09(水) 17:49:48 ID:+6uw02O7
ママ以外の女はゆるしませんよ!
760名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 19:55:03 ID:aZm9+G53
>>758
キモ一家ならこういうのがありますよ
http://www42.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/62.html
761名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 23:13:04 ID:DTDWll+f
>>752-756>>759
一度、家族会議を開く事をお勧めします。

という事で、こんなお話はいかかでしょうか。
762コンコンねえちゃん:2008/04/09(水) 23:13:54 ID:DTDWll+f
「おかえりなさーい!」
ぼくが、いつものよう学校の帰りに神社の境内を通ると、社務所の方から声がする。
ぼくは、ここの神社の息子ではない。神社はただの通り道に過ぎない。
しかし、あの聞き覚えのある声は確かに「おかえりなさーい」と声がする。

「いちいち、うるさいなー」
ぼくが呆れながら、声のするほうにくるりと体を向けると、
社務所の影から、ぴょこんと巫女の格好をしている若い女性の顔が覗いていた。
「まーくん?おかえり」
「ってか、ここ家じゃないし。姉ちゃん、仕事しなくていいの?」
「いいのいいの。わたしの仕事なんかね…」

覗いていたのは、ぼくの姉。ここの神社で働いている…と言うより『ここの神社にいる事が仕事』なのだ。
パタパタと近づいてきた姉は、ぼくの顔を覗き込みながらニコニコと笑う。
「まーくんの元気な所見ないと、あたしね、もーやる気出ないんだ」
「いつでも家で会えるじゃん」
「ちがうの!お仕事中の時でも、まーくんのことずっと考えてて、今日はどうしようかな、
一緒におみくじでも引こうかなっとか、お賽銭ちょろまかして二人で買い物に行こうかなっとか
って…もー、まーくんったら、あたしの事困らせるんだから!」

姉の笑い声だけが、静かな境内に響く。岡目八目に見ても、困っているようには見えない。
むしろ、嬉しそうな姉は、ぼくの頭を恥ずかしそうに小突き、手をぐいぐいと引っ張る。
「もう、家に帰るから…もう離してよ」
「えー、もう帰るの?もっと遊ぼうよお」
バタバタと片方の腕を振る姉。頬の赤い姉は、まるでおこちゃまのようだ。
「きょうは、お客さんが来るんだから帰るの!」
「むー」
「『むー』じゃないの。帰るからね」
「それは『いいお客さん』?それとも『悪いお客さん』?」
「うるさいなあ。『いいお客さん』!」
姉とのくだらない会話を強制終了して、ぼくは鳥居に向かって歩き出す。
763コンコンねえちゃん:2008/04/09(水) 23:14:33 ID:DTDWll+f
「まったく…姉ちゃんは『お客さん』って聞くと、疑うんだから。でも、きょうは大畑さんが来るんだから楽しみだな」
歩きながら、ぼそぼそと独り言のようにぼくは呟く。
と、向こうから姉が血相を変えて走ってくる。しまった、と思った瞬間、ぼくの目の前に姉がいた。

「何?『大畑さん』って誰よ!!あたしのこの耳に聞こえないとでも思ったの?」
確かに、姉は耳がいい。
事実、ぼくの足音でぼくがここに来た事がわかったらしい。しかも、ぼくの足音だけがビンカンにわかると言う。

それもそのはず姉の耳はきつねのように大きく、というより『きつね耳』なのだ。
姉の耳が小刻みに動く。
さらに、腰から尻尾も生えているいわゆる『ケモノっ娘』。バタバタと尻尾が激しく揺れているのが、ちらちら見える。
もちろん、ぼくが生まれる前からケノモっ娘なのだ。姉がなぜきつねなのかは、良く分からない。
そのせいか、姉は少し人間の常識から離れているようにも思える。
そんな姉は、ぼくの制服のネクタイをむんずと掴む。息が苦しい。

「…おとこの…友達だよ…」
半ば、姉から脅迫されるように答えさせられる。
「それは『ホントの答え』?それとも『ウソの答え』?」
「『…ホントの…答え』…です」
「うそっぱちだったら、呪うからね!末代まで呪うからね!プロをなめんなよ」
(末代までって、身内だし…)
捨て台詞のように『プロらしからぬ』言葉を残し、くるりと踵を返す。
一緒に、姉の腰から生えた尻尾がブンとまわる。
764コンコンねえちゃん:2008/04/09(水) 23:15:36 ID:DTDWll+f
二階のぼくの部屋から玄関前で、少女がうろうろしているのが見える。
彼女は、なかなか入る決心が出来ないのか。

「もー、早くピンポン押してくれよ」
じっと見ていると、三分経ってようやくピンポンを押した。世界一長い三分間。
ぼくは、急いで玄関に向かう。

「あのー、栗原くん?」
扉越しに少女の声が聞こえてくる。
ぼくは、ドキドキしながら玄関の扉をゆっくり開けると、目の前にさっきまで
玄関前でうろうろしていた少女が一人。
「大畑さん!」
きょうは、大畑さんが家に来てくれる日だった。

大畑さんは、ぼくのクラスメイトの子。大畑さんはどちらかと言うと引っ込み思案。
いつも、クラスで一人寂しそうにしている彼女に、時々ぼくが彼女に話しかけて少しずつ親しくなった。
半年前の大畑さんは、ホントに暗かった。

「わたしって、何やってもだめなのね…」
「そんな事ないよ。オレ、大畑さんの一生懸命な所、いいと思うよ」
と、大畑さん自身が気付かない所をどんどん誉めてあげた。
大畑さんが笑えば、ぼくも笑う。大畑さんが泣けば、ぼくも泣く。

そして「トイレの紙って、破ったら三角にすると気持ちいいよね」とか
「カップ焼きそばって、ソースを入れて蓋をしたまま振ると、きれいに混ざるよね」
というくだらない話まで、大畑さんの方からしてくれるようになった。

そして、昨日の帰りがけ、こんな会話があったのだ。
「あの…栗原くんね…。宿題教えてくれない?」
「えっ?」
「わたし日本史、まるっきりダメなのね。いっつも一人で勉強してて、心が折れそうになるの。
でも、栗原くんと一緒だったら、頑張れるかな…て。ごめんなさい!迷惑だったら聞き流してくださいね!」
「全然、迷惑ではありません!」
765コンコンねえちゃん:2008/04/09(水) 23:16:14 ID:DTDWll+f
ぼくは、世界一幸せな少年かもしれない。
大畑さんは、一旦家に帰ってから着替えて家に来るという。
ホントは迎えに行きたかったんだけど、とある事情により、ぼくの家までの地図を渡していたのだ。
大畑さんには「用事を済ませてから」と伝えてある。

その、とある事情とは…無論、ぼくの姉である。姉がいたら、どこかに連れ出さなければ。
幸い、きょうは真面目に仕事をしていてくれている。ラッキー。

大畑さんは、春っぽいGジャンに身を包み、ハーフパンツが爽やかな雰囲気のいでたち。
ショートカットなので、ぱっと見は、少年のような大畑さん。
だが、後ろ手でバッグを持って待っている姿は、ほんわかして女の子らしい。
春風で、前髪がなびいている。

ぼくは、玄関を開けて、大畑さんを迎え入れる。
「すぐわかった?」
「う、うん」
「今日は、家の者がいないからごゆるりと」
「ありがとう。わたし、男の子の家に行くの…初めてなのよね」
ぼくは、なんだか嬉しい気持ちだ。ようこそ我が家へ、と。

大畑さんは、ごつめな男物のスニーカーを脱ぎ、家に上がる。
ぼくは、二階のぼくの部屋に案内をする。
ぼくの部屋によその女の子が入るのは、史上初の事。

「あ、このぬいぐるみ、かわいい」
ぼくの机の上には、きつねのぬいぐるみが置いてあった。
大畑さんは、ちょっと気に入っている様子。
「ははは、ちょっとかわいいかなーって、母が買って来たんだよ」

このぬいぐるみ。実は、昨夜、姉とぼくがスッタモンダのケンカをして、姉がぼくにぶつけてきたもの。
ことの原因は、ネットでぼくが見ていたイヌの動画が、メスのイヌというだけであった。
それを見た姉は、尻尾に来て「こんなにかわいいお姉ちゃんがいるのに!」と叫ぶ始末。
姉の部屋から、ぬいぐるみを持ってきて投げつけてきたのだ。
「まーくんのバカー!」と捨て台詞を残し、自分の部屋に逃げて行ったので、置きっ放しになっていた。
大畑さんには、姉の事は話していない。これは、あえて黙っていたのだが…。

「いきなり宿題もなんだから、ゆっくりしていってよ」
「うん。ありがとう」
ぼくにとって宿題なんぞ、どうでもいい。同じ部屋、同じ時間、同じ空気に大畑さんがいることで十分なのだ。
766コンコンねえちゃん:2008/04/09(水) 23:17:02 ID:DTDWll+f
しばらく、沈黙が続く。

「あの」
「あの」
しまった。気が合っているのか、合わなすぎるのか。なんだか気まずい空気が流れる。

「ちょっと、お手洗い借りていいですか?」
大畑さんを一階のトイレに案内し、ぼくはその間に台所で、お菓子を用意する。
パチリとトイレの電気が灯る。

ぼくのバカ、ぼくのバカ、ぼくのバカ。
こんなチャンス、滅多にないぞ。両親もいない、姉もいない。
憧れの子とふたりっきりお金では買えない、なんという贅沢な時間の無駄遣い。
もともと、女の子とは縁のなかったぼくには贅沢すぎるのか。そんな、ぼくをぼくが責める。

突然、ぼくの携帯のバイブレーションが鳴り出す。メール着信か。
送信主は、姉からだった。

『もうすぐ まーくんのところに もどつて くるからね
 PS おおはたさんが おんなのこ だつたりしたら




.                           』

うわあ、物凄く恐ろしくもあり、気になるメールだ。間違えて途中で送信してしまったのだろうか。

ぼくは、ヘンな汗をかきながら、お菓子を用意する。
さっき言いかけた「お菓子でもどう?」という言葉を言えなかった事を悔やみながら、
お菓子とジュースを持ってぼくの部屋に戻る。
トイレの電気は消えていたので、大畑さんはもう戻っているのか。
767コンコンねえちゃん:2008/04/09(水) 23:17:34 ID:DTDWll+f
「おまたせー」
あれ、大畑さんがいない。バッグは、ぼくの部屋に置いたままなのに。
一体どこへ行ったのか。
と、最悪の事態がぼくの頭に浮かんだ。お盆を置いて、部屋を出る。

「しまった!」
ぼくの部屋を出て、姉の部屋の扉を開けると大畑さんが固まって突っ立ていた。
間違って、姉の部屋に来てしまった大畑さん。彼女は、もう笑っていない。
姉の部屋には、ぼくの部屋にもあったきつねのぬいぐるみでいっぱいだ。
半年前の暗い顔で、大畑さんが振り向く。目が怖い。

「…ずいぶんと、仲良しなことね…。妹さん?お姉さん?ふっ。どちらでもいいけどね」
「いや、あの…うちのねえちゃんの…」
「別に、お姉さんがいることはどーでもいいのよ。ただね…わたしを一人ぼっちにして…」
「ちがうって!」
大畑さんは大人しい子なのだが、一方嫉妬深い子でもあった。
あえて、姉の事は今まで伏せていたのは、そのためだったのだ。しかし、もう後の祭り。
そんな中、玄関から聴き覚えのある素っ頓狂な声が。
「まーくぅーん!」
しまった!残念な姉だ!
768コンコンねえちゃん:2008/04/09(水) 23:18:55 ID:DTDWll+f
姉が雪駄を脱ぐ音が聞こえる。巫女装束のまま、神社をトンズラしたらしい。
やばい、二階に上がってくるかな。
「ふーん。あれが、お姉さんね」
姉に大畑さんを会わせてしまうと、ややこしい事になる。ぼくの淡いハートがSOSを出している。
姉の足音が…通り過ぎる。よしっ、一階の居間に姉は走ったらしい。
と、思いきや今度は大畑さんが、ぼくにぶつかってきて部屋を飛び出した。
ぼくがコケている間に、大畑さんは下の階に下りる。姉の所へ行く気だ。
頼むからやめてくれ。今度は、姉からぼくが呪われる。

「今、帰ったよ!!」
別の女性の声が聞こえる。うちの母がパートから帰ってきた。
一階の廊下で、大畑さんと母が鉢合わせ。
「あら、お客さん?」
「あっ、初めまして。栗原くんと同じクラスの大畑みゆきですっ。お邪魔しています!」
大畑さんは、ぱっといつもの大人しい女の子に戻った。
助かった…母さん、グッジョブ。ぼくは、二階の階段からその光景を覗き込んでいた。
769コンコンねえちゃん:2008/04/09(水) 23:19:19 ID:DTDWll+f
大畑さんが、ぼくの部屋に戻ってくると同時に、一階の奥から姉が玄関にやってくる。

「まーくん、どこー?一緒に『大凶』ばっかりのインチキお御籤つくろうよー。アルバイトになるよー」
「シノブ!あんた仕事ほっぽりだして何やってんだい!早く神社に戻りなさいよ!」
母が姉を叱る声が聞こえてきた。尻尾をピンと立てビックリした姉は、涙目になっている。
姉は両手の人差し指を合わせてグリグリしながら、こう答える。
「やだやだ!だって、まーくんと一緒にいたいんだもん」
「冗談じゃないよ。真人は、お客さんと一緒だよ。あんた、18にもなって恥ずかしいと思わないの?」
「だって、だって…お参りに来る人たちは『神様、神様』ってあたしのこと拝んでくれるよ!」
「何言ってんだい。このバカ神が!」
母が姉の頭をはたく音が聞こえる。神様が叱られている所を初めて見た。

ぼくの姉は、神社で働いている。何の神様かは、わからない。姉自身もわからないらしい。
たまたま姉と会った神主さんがピンと来て、居させて貰っている。
神主さん曰く「200年に一人の逸材」らしい。ホントかな。
この仕事をするまで、ニートだった姉にはもってこいの就職先。
はじめは「まーくんと離れたら、あたし死んじゃう!」と駄々をこねて、行きたがらなかった。
業を煮やした母親と神主さんが姉の尻尾を引っ張りながら、ムリヤリ神社に連れて来たのだ。
始めの頃は、随分と逃亡したり、サボったりしていたが、普通の勤め人よりも、ぼくと一緒にいる時間が多く取れると気付き、
今や姉曰く「神様が授けてくれた天職」とのんきに働いている。

そんなことより、大畑さんだ。しかし、事態は風雲急を告げる。
「なんだか、忙しそうだからわたし帰るね」
「あ、ちょっと!大畑さん!」
大畑さんはそそくさと帰ってしまった。それもこれも残念な姉のせいだ。
その頃、姉は母親から尻尾を引っ張られていた。
770コンコンねえちゃん:2008/04/09(水) 23:20:17 ID:DTDWll+f
その深夜、ぼくは泣いた。部屋の中で泣いた。
大畑さん、怒ってるかな。あした、ちゃんと話してくれるかな。
ぼくは思い込みが激しすぎるところがある。ちゃんと、それはそれでわきまえているのだが
直りっこない性格なので、ぼくは半ばあきらめている。

「まーくん。寂しいの?」
姉がぼくの部屋にやってきた。なにか紙袋を持っている。お菓子かな。
「うるさいな!」
「泣き虫まーくん、いまだ健在だね」
「帰れ!」
ぼくは、姉のほうにくるっと椅子を回し怒鳴りつける。
まったく、慰めに来たのか、からかいに来たのかどっちなんだ。

「そうだ、きょう『大畑さん』が来たんだってね?」
「う、うん。あの野郎ったらさ…」
大畑さんは、姉には「男子」と伝えている。しかし、ぼくが甘かった。
「女の子でしょ」
「え?」
「わかるんだよ。あたし、獣の血が流れているから、野生のカンがいいんだよ」
うわあ、この姉にカンづかれたかあ。死んでしまいたい。

「あたしね、まーくんが普通の女の子に取られちゃうんじゃないかと、いっつも心配なんだよ。
あたしは、きつねと人間の二つの血が流れてるから、こんな格好なんだけどでも、これがあたしの普通なんだよ」
姉は、ぼくを真正面から抱きしめる。けっこう大きいおっぱいが、姉の寝巻き越しにぼくの胸に当たる。
ああ、姉がゆすると一緒におっぱいも揺れる。
ブラもしないし、さらしも巻かない人なので、柔らかい感触が素晴らしいただ、姉という所が残念だ。

「いつも、まーくんと一緒にいたんだけど、なんせこんな耳に尻尾だから、人の多いところに出かけられないでしょ。
あたしは、どうでもいいんだけど騒ぐやつらは騒ぐからね。あーあ、めんどくさ」
そういえば、ずっと姉は小さい頃から、ぼくとばかり遊んでいたような気がする。
ケモノっ娘という事で、ひっそりと家で暮らしていた姉。自由に外に出ることもままならない。
それに比べて、ごく平凡で、自由なぼくに少し嫉妬していたのかどうか分からないが、
そんな気持ちから、姉のぼくに対する独占欲が生まれているのだろうか。
771コンコンねえちゃん:2008/04/09(水) 23:20:46 ID:DTDWll+f
くるっと踵を返した姉は、腰をぐっとぼくに向け、自慢の尻尾をぼくの股間に当ててきた。
尻尾がふわふわと揺れている。
「ううっ」
「小さい頃から、こうされるの好きだったでしょ?ほーら、こちょこちょ」

尻尾が、ぼくの股間をくすぐる度に、ぼくの理性が壊れそうになる。
気持ちいいし、相手は姉だし、…ぼくは、きつねに騙される!
「この尻尾に謝りなさい!『ぼくは、おねえさんを騙そうとしてました。ごめんなさい』って!」
「ぼくは…おねえさんを…騙そうとしてました…。…ごめんなさい」
いきなり始まったぼくの謝罪会見。こんなに悲しいのに、それでもぼくの股間だけは本能の赴くまま。
ぱたっと、姉は尻尾を振るのを止め、ぼくの顔をじっと見て話し出す。

「ふふふ。実はね『野生のカン』とかじゃないんだよ。あたし、全部分かってるんだから。
あたしが家に帰ったとき、まーくんを家中探したんだ。
居間とか台所とかね。トイレに行った時、洋式のさ、座るところが降りてたの。
で『誰かが座ってそのままにした』んだなと思ってたら、トイレットペーパーが三角になってたよ」
姉は、ぼくの胸を人差し指で突付きながら話を続ける。なんだか、ぼくは涙目になる。

「家じゃあ、そんなことする人いないから、まーくんは入ってないな、じゃあお客さんかなと思ったら
『座るところ降ろして使う』って女の子ぐらいしかしないでしょ?
お母さん、あのあと帰ってきたし、あと家の女の子はあたしだけだし…」
と、次の瞬間。

むにゅ、ぴちゃ!

大畑さんとも、まだした事ないのに…。
初めての感触だった。
ぼくの口の中が甘い。姉の柔らかい唇なんて、と思う反面、少しぼくはぼくを獣と感じる。
ぼくも、オスなんだろうか。

姉は口を指で拭きながら、紙袋から何かを取り出す。
「ね、今夜は一緒に仲良く藁人形作ろうね。もうすぐ丑三つ時だし、ナイスタイミングだねえ。
さて、じゅうたんにコロコロかけたら、大畑さんの髪の毛、引っ付くかな。ああ、月が眩しいなっ!
そのあとは…ねっ、まーくん。顔では泣いてても、体だけは正直者なんだから」
と、姉は右手にコロコロ、左手に五寸釘を持って笑っていた。

今夜は、姉ちゃんが寝かせてくれない。いろんな意味で。


おしまい。
772コンコンねえちゃん〜あとがき〜:2008/04/09(水) 23:23:24 ID:DTDWll+f
キモ・ダメ姉の新たな可能性を試みようと思いました。
タイトルはかなりテキトーですいません。

投下終了です。
773名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 23:29:51 ID:ZEP2k4Qb
gj
これはいいケモノっ娘ですね
774名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 00:20:44 ID:pFTU/qhq
GJ!
よかったら是非続きをかいてください!
775名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 01:55:26 ID:hNGlMrJU
本番な……し…だと…


ごちです
776名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 05:54:58 ID:RtOAykvu
>>772
画面にニヤけっ放しのキモいツラが写り込むんですが…

キツネさんの仕業でしょうか
777名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 06:07:09 ID:gdCUs6sK
しっぽコキシーンが最高でした。
しっぽコキシーンが最高でした。
できれば続きがほしい。
778名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 07:27:03 ID:JASY71Lf
>>772 GJでした。こういうコメディ系のヤンデレ好きです。こののりで、ヤンデレコンコンお姉ちゃんと
ヤンデレクラスメート大畑さんの対決が読んでみたいです。つまり、続きを書いてくださいというお願いです。
779名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 19:08:12 ID:PJ7axELD
780名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 19:25:54 ID:tGnrskUq
Meteor(メテオ)のClover Pointだな。体験版しかやってないが、なかなか烈だった。
781名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 19:39:53 ID:ALwv3QuJ
弁当箱でけぇ
782名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 20:52:05 ID:JASY71Lf
>>780 779の娘は体験版からヤンデレなの?
783名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 21:02:04 ID:tGnrskUq
>>782
ヤンデレ予備軍って感じかも。
ツン→デレに移行するキャラだけど、とにかく主人公への依存が半端ない。
784名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 21:03:37 ID:L2voE7CN
ちうことは
ツンヤンデレ?
785名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 23:21:40 ID:m9pe9ZV+
いや、個別√は依存+微キモウト
序盤は人見知りからくる少々つっけんどんな態度
786名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 00:35:38 ID:u6Z+ZnMw
盲目の主人公
しかし妹の姿だけは見ることができる…
依存ありは受け入れられてるのか
787名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 02:18:53 ID:Qvlo3RxO
>>779
ちょ、もう消えてる・・・
詳細希望、つか妹キャラなんてこれいないんじゃ?
公式見たけど・・・
788名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 02:23:37 ID:Yk4Pd6lI
>>787
ヒント:ネタバレ要素
よければ体験版プレイしてみ。上で言ってる意味が良くわかる。……あんまりキモくはないかもだけど。
789名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 02:40:44 ID:aNS0l8D5
>>787
体験版やればわかるけど詳細↓






















夜々は実妹
恋人同士になった後にそれが判明する
常識人の兄(主人公)は少し距離をおくことを提案するも、よるよるはあっさりそれを拒否
そうしてキモウト風味に
まぁ、うけている大部分の理由はキモウト成分じゃなくて、血縁関係が露呈するまでの甘々な恋人としての生活の描写だとは思うが
実妹に抵抗ないならいいんじゃないかな
790名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 06:44:36 ID:g5CqigNw
このスレで実妹NGってどれくらいいるんだろう

実妹ダメで実姉オッケーならまだしも
791名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 07:05:43 ID:OpN7eHp/
俺はその逆だな。
というか、何で家の兄弟は姉なんだよ。妹が良かった…
792名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 11:13:46 ID:sR4VbwL0
>>791
なに!?そいつをこっちに渡せ!!
793名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 11:32:25 ID:vkQF6i1V
>>791
実妹が出来る可能性はあっても、実姉が出来る可能性はないのだ!!
わがままを言うな!!ちくしょう!
794名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 11:48:37 ID:cMKeXCj3
今から実妹が産まれてもおいしい頃には俺が三十過ぎのオッサンなんだが……
ていうかオフクロ無理しすぎだろ
795名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 12:21:06 ID:Emzbpb//
>>794
いや世の中には腹違いの妹なぞ居てだな…
796名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 13:33:12 ID:OpN7eHp/
792-7932人いるからどちらもやろう。要らないからな。
797名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 17:19:55 ID:qX6kOtmm
生き別れの姉が現れる可能性もあるってことだ!
798 ◆a.WIk69zxM :2008/04/11(金) 18:07:25 ID:f8LJCZKw
 
投下します。
非エロ。13レス予定。
799__(仮) (1/13):2008/04/11(金) 18:07:51 ID:f8LJCZKw
 
 
 そこは、秋巳たちの住む地元から電車で二時間、さらにバスと徒歩をあわせて一時間ほど離れた避暑地のログハウス。
避暑場といっても特段有名なところというわけでもなく、辺りは緑豊かな自然に囲まれ、
ポツンと一軒その建物が人工物として、その存在を主張しているだけである。
 その邸宅のオーナーが小金稼ぎのために、自身が使用しない時期にだけ、一般客――ほぼ、そのオーナーの知り合い限られていたが――に
貸し出していた。そのオーナーもただ遊ばせておくくらいなら、といった具合で努めて商売熱心ではなかったため、
知る人ぞ知る隠れた穴場的なスポットといえた。
 その場所を葉槻透夏が知ったのは、彼女の父親の縁を通してだった。
 まだ彼女が小学生の頃、そのログハウスのオーナーと彼女の父親の葉槻栖一が知人を介して知り合い、
たまたまその場所を貸し出していることを聞き、家族旅行に、と葉槻栖一が借りたのが始まりだった。
 秋巳の両親の件があってからは、葉槻家でそこへ旅行に赴くということもなくなったが、秋巳と椿が葉槻家を出た昨年夏に、
秋巳たちに戻ってきて欲しいとの思いも込めてか、葉槻夫妻が如月兄妹も誘って数年ぶりにそこへ訪れることを企画した。
結局は、秋巳たちが遠慮することで、葉槻夫婦と葉槻透夏の家族旅行となったが。

 檜の香りの漂う屋内。周囲はセミの鳴き声と風が木々を揺らすさざめきのみに包まれる人工音の存在しない静かな領域で。
ふたりの少女が存在した。
 ひとりは、木製の椅子に腰掛け眠っている。もうひとりは屹立し、テーブルに軽く腰を預けて冷ややかにそれを見下ろしながら。
 前者は柊神奈、後者は葉槻透夏である。
「ん……。んぅ」
 小さく呻く声をあげ、身体を捩る仕種をする柊神奈。目覚めのときが近いのだろう。
 葉槻透夏は、その頬を引っ叩いて一気に覚醒させてやろうかとも思ったが、ぐっと堪えて思い直すと、自然に目を覚ますままに任せる。
 うっすらと瞳を開いた柊神奈を見て、声をかける葉槻透夏。
「はい。お目覚め?」
「……ぅ、うん?」
 柊神奈は、まだよく事情が飲み込めていないのか、二、三、瞬きをすると、目の前の人物に応じる。
「……あれ? 葉槻、さん?」
 どうして、と問いたげな表情を浮かべる。それから、眠りに落ちる前の事情を思い出す。
 そう。自分は、ここで、葉槻透夏と落ちあって、そしてお茶を飲みながら話していたら、急に眠くなって――。
 そこまで考えてから、自分が椅子に座らされたまま、身動きが取れないことに気づく。
「え? あれ?」
 立ち上がろうにも、腕が椅子の後ろ脚に沿う形で固定されて離れない。自分の脚が椅子の前脚に縛り付けられて動かない。
腰が格子状の背もたれに括りつけられている。
 身体を動かそうした拍子に椅子がカタンと音を立てるのみであった。
「ああ。あんまり動かないでね。跡が残ると厄介だから」
 その言葉どおり、葉槻透夏は、柊神奈の手足に縛られた跡が残らないよう、きつく縛り付けてはいなかった。
抜けないよう配慮しながらすこしだけ遊びを持たせて、解けないよう結び目だけは硬く締め付けて。
「は、葉槻さん……? こ、これは……?」
 まったく事情の飲み込めない柊神奈は、眼前の食卓用テーブルに腰を凭れながら自分に哀れみと憎悪の混じった視線を向ける
葉槻透夏を見上げながら訊ねる。
「うん? どうしたの?」
「いえ、あの、私、なんか、縛られてるみたいなんですけど?」
 理解できないまま、現在の自分の状況を、ただそのまま伝えるのみの柊神奈。
 なんで、自分がこんな状態でいるの?
 なぜ、葉槻さんはこの状況の中、平然としているの?
 どうして、自分に親の敵でも見るような目を向けているの?
 柊神奈は、全く判らなかった。
 そんな彼女の動揺など微塵も気にとめずに、腕を組んだまま葉槻透夏は淡々と応える。
「うん。そうだね」
「え、えっと、その……」
 この事態をまったく異常と捉えていない葉槻透夏の返答に、困惑する柊神奈。
 そもそも、なんで、自分が椅子に縛られているのか。なんで、それを見て、葉槻透夏が平然と当たり前の態度をとっているのか。
 単純に考えれば、眼前に立つ女が、自分を縛りつけたのだろうとの結論を得られるはずだが、まったく現実についていけず
混乱している柊神奈の頭では、それを導き出せない。
 
800__(仮) (2/13):2008/04/11(金) 18:10:35 ID:f8LJCZKw
 
「えっとね。柊さんと、ちょっとお話がしたいんだ」
 柊神奈の困惑など気にも留めず、葉槻透夏はそう彼女に話し掛ける。
「あの……。そのまえに、これを」
「これ?」
「その、この紐を」
「紐を?」
「は、はずしてもらえませんか……?」
「あはは。ダメだよ。だって、それじゃ、柊さんと『お話』できないもん」
 愉快そうなその言葉とは裏腹に、苛立ち紛れの表情を浮かべる葉槻透夏。
 柊神奈には、彼女の論理が理解不能であった。
 なんで、話をするのに、自分が縛られる必要があるのか。なんで、葉槻透夏が自分にこれほど忌々しげな顔をみせるのか。
 あきらかに彼女の表情は、柊神奈に対して敵意を放っている。
「は、葉槻さん? どうしちゃったんですか?」
「うん? あたし? あたしはどうもしないよ?」
「…………」
 柊神奈は、沈黙する。いまのこの葉槻透夏に、自分との意思疎通が図れる気がしなかった。
 これまで葉槻透夏の害意を少しも疑ったことのない柊神奈にとって、いま自分を見下ろしているこの女の人は、
彼女の知る葉槻透夏とは、全く別人としか思えなかった。

「さて。それじゃあ、お話しようか。好きな男の子の話――」
 葉槻透夏が、そう切り出す。
 それは、彼女たちの間で何度か交わされた語らい。喫茶店での会話を契機に、それを共通事項として、何度か会い、
そして、親しくなっていたと思っていた。柊神奈の方は、と但し書きがつくが。
 人の悪意を疑うことをあまりしない柊神奈にとって、葉槻透夏は、自分の相談に乗ってくれる良き姉のような存在であった。
 葉槻透夏自身が仕向けたとはいえ、彼女がどのような想いを抱いて柊神奈の話を聞いていたのかなど、柊神奈は露ほども気づかなかった。
思い至らなかった。

 事実として、柊神奈の良く通う喫茶店で働く葉槻透夏と『たまたま』会って、柊神奈が己の想い人のことを告白してから、
喫茶店以外でもふたりで会うことがあった。その場所のひとつがこの別荘である。
 柊神奈がこの場所を訪れるのは二回目。
 葉槻透夏がいい場所を知っているんだ、と柊神奈を誘い、日帰りでこの場所を案内し、さらにその後オーナーに紹介したのである。
 葉槻透夏が、彼女をこの場所に誘った名目は、秋巳との仲を深めるために遊びに行く場所としての紹介。
隠れ家的スポットで、オーナーに掛け合えば融通も利くから、秋巳たちと遊びにくるのに是非ここを利用したらどう、と提案し、
その下見もかねて、ふたりで遊びに来たのが一度目。
 葉槻透夏の本来の目的は、最終的に柊神奈を始末する場合になったときに、都合のいい場所としてここを選出した。
彼女の亡骸が発見された場所に、自分の足跡を完璧に残さないようにすることは現実的に考えて、まず難しい。
 自殺や事故として処理された場合であれば、まず問題ないだろうが、万が一にも事件として扱われた場合に、自分がそこにいた証跡を
どこから発見されるかわからない。だったら、はじめから自分がいた跡が残っていてもおかしくない場所にすればよい。
 自分がいるはずのない場所に、自分がいた証拠が残れば、疑うに足る――さらに言えば確信に足る――材料であるが、
己のいたことのある場所で『事件』が起こったとしても、確信に至る証拠にはなりえない。
 葉槻透夏はそう考えていた。
 自分が紹介した場所を、柊神奈が『利用した』としてもらえれば良いのである。
 だから、今回は、柊神奈自身にこの場所を用意させた。オーナーに連絡させ、このログハウスの鍵を借りさせ、
彼女ひとりでこの場所に向かわせた。そこに、『旅行中』の自分が落ち合ったのである。彼女に、内々に話があるから、と持ちかけて。
 
801__(仮) (3/13):2008/04/11(金) 18:13:49 ID:f8LJCZKw
 
 葉槻透夏も喫茶店の邂逅から、いきなりこの結果を持ち出したわけではない。準備は怠らなかったが、
その過程で出来うる限りの回避策はとってきた。
 葉槻透夏にはうざったいだけであったが、大学での『顔見知り』を通して、いわゆる女性に人気のある、
格好良くて、面白くて、女性の扱いに長けている男を偶然を装い紹介したこともあった。
 勿論建前上は、柊神奈に男性との仲を取り持つなどという形は取らずに、たまたま会った知り合いに挨拶をする上で
礼儀上紹介するという体裁ではあったが。
 葉槻透夏本人は、大学での人間関係などどうでもよいと思っていたこともあり、そのような策を取ること自体結構な労力を
費やす必要はあったが、それでも、柊神奈が秋巳から離れてくれるなら、とその苦労を惜しまなかった。

 だが、柊神奈は、全く靡かなかった。
 葉槻透夏は、その結論を元々ある程度想定はしていたが、
僅かでも――それこそ微々たる可能性であっても――それで解決するものならそうしたかった。
 彼女は、柊神奈のことなどどうでもよかったが、だからこそどうでもよい存在のために、自分が危険を冒して、
秋巳との幸せを失うリスクを負うことまでは、できれば行いたくなかった。
 しかし、柊神奈は、ひとつも葉槻透夏の思惑通りにはならなかった。

 だからこその最終手段である。
 それでも葉槻透夏は、まだ、その一手前の策を残していた。柊神奈自身の生命と引き換えに、秋巳を諦めさせる。選ばせる。
己の命と天秤にかければ、彼女は必ず身を引くだろう。誰だって自分の命は惜しいものだ。恋愛熱に浮かされただけの人間であれば、
我が身可愛さにさっさと退散するであろう。
 もし、葉槻透夏が逆の立場であったら、絶対彼女は引かない確信があったが、自分の想いと比べて、
柊神奈のそれなど取るに足らないものだ、そう信念を持っていた。
 その後の柊神奈の行動次第では、自分は脅迫罪に問われるかもしれない。だが、己の身可愛さに秋巳を切り捨てたという事実を
柊神奈に突きつければ、彼女は二度と秋巳には近づくまい。そう考えていた。
 柊神奈を精神的に『殺す』ことにしたのである。二度と秋巳のことが好きだななどと口に出来ないよう。

「ほら。柊さん。いつもみたいに話そうよ。あなたの好きな男の子、秋くんの話を、さ」
 柊神奈の顎に手を当て、自分を見つめるように顔を上げさせると、そのまま首筋にスライドさせ、そこを撫でながら話し掛ける。
「は、葉槻さん、お、おかしいですよ……。ど、どうしちゃったんですか……?」
 まったく葉槻透夏についていけないまま、先ほどと同じ台詞を吐く柊神奈。
 葉槻透夏の手から、指から、感じる冷たさが、柊神奈の中から生まれてくる得体の知れない恐怖を増幅させる。
 柊神奈の心臓の動悸が、彼女自身に警鐘を鳴らす。
「あなたも大概くどいね。あたしは、どうもしないって言ってるじゃない。
 それより、あたしの言葉が通じない? あなたは好きなんでしょう。
 あたしの半身である秋くん――如月秋巳のことが」
「え?」
 葉槻透夏の言葉が耳には入ってくるが、頭の中には入ってこない柊神奈。自分の半身とはどういう意味なのか。
「な、なにを――っ」
 言っているんですか、その台詞の後半は柊神奈の口から紡がれることはなかった。
 パァン、と鋭く差込む音を立てて、葉槻透夏が柊神奈の頬を叩いたからだ。
「――っ」
 彼女の右腕の動きに合わせて、彼女の左手になぎ払われる柊神奈の頭部。
 憎しみを持って本気で頬を叩かれる、という生まれて初めての痛みと畏怖で柊神奈の身が竦む。
 葉槻透夏の目的は、彼女の頭の中を埋め尽くすこと。精神的な恐怖と、肉体的な苦痛をもって。
 そうして己が身の可愛さを実感させる。自らの想いの弱さを痛感させる。それが、葉槻透夏の狙い。
「あはは。まだ、寝ぼけてるのかな? これで、目が醒めたかな? 
 これでもダメなら、もうちょっと手伝ってあげるね」
 そう言うや否や、葉槻透夏はテーブルの上に置かれたナイフを取り持つと、柊神奈の頬にペタペタと音を立てながら、押し付ける。
「ひぅ――」
 柊神奈は、目の前の葉槻透夏の異常な態度と、押し付けられているナイフの恐怖からか、口から悲鳴を含めた呻きを洩らす。
また、引っ叩かれた衝撃に対する体の反射反応だろうか、それとも戦慄からだろうか、彼女の瞳に涙が浮かぶ。
 
802__(仮) (4/13):2008/04/11(金) 18:16:40 ID:f8LJCZKw
 
「じゃあ、もう一回質問するね。あなたは、あたしが誰より愛おしい秋くんのことが、
 好きなんだよね?」
「…………」
「うん? どうしたの? 口が利けなくなっちゃった? ああ。この状態だと喋りづらい?」
 そう言って、柊神奈の頬に押し当てたナイフを離す。
「……は、葉槻さん、あなたは、如月くんのこと――」
「ええ。愛しているわよ。あなたみたいな、『恋愛ごっこ』の熱に浮かされたわけでもなく。
 彼はあたしの全てなの。なににも変えられないあたしの全てなの。存在意義そのものなの」
 いまさら隠すことなどなにもない。むしろ、この柊神奈に、自分が秋巳のためなら彼女を殺すことをも躊躇わないと
思わせることこそ、本望。
 実際、それは演技でも偽りでもなんでもなく、葉槻透夏の素直な気持ちであった。
 それをもって彼女を屈服させる。自らの想いの強さを知らしめると同時に、彼女の愛情とやらの脆弱さを露呈させる。

「で、でも前に――」
 心の情動が怯え一色に包まれつつも、葉槻透夏に対して抗議の言葉が柊神奈の口からついてでる。
 かつて葉槻透夏は、柊神奈に言った。自分は一途に想っている人がいる。それは、柊神奈の知らない人だ、と。
「ああ。誤解しないでね。嘘を言ったわけじゃないわ。あなたの知っている秋くんは、彼の一部なの。
 あたしの愛している如月秋巳の一部なの。あなたは、あたしの存在意義である
 如月秋巳は知らないもの。だから、嘘じゃない」
「それで、なんでこんなことを……」
「なんで? 決まっているじゃない。邪魔なの。あなたが」
 葉槻透夏は、柊神奈の鼻先に、握ったナイフを突きつける。触れるか触れないかの位置まで。
 その声色はあくまで冷酷に。その表情は冷徹に。葉槻透夏は、そのように努めているはずだった。
 しかし、葉槻透夏のなかで、徐々にどちらの想いが強くなっているのか区別がつきにくくなってきていた。
 脅して身を引かせるだけにするのか。
 本当にこの目の前の女――柊神奈――を消すのか。
 自分が誰より想う秋巳のためなら、ここは身を引かせるだけに留まるべきなのだ。
 それは、判っている。
 それでもなんとも言いようのない感情が彼女の心を支配しつつあったのだ。
 それは、恐れにも似たもの。危惧であり脅威。
 威圧している立場の葉槻透夏が、脅迫されている立場の柊神奈に、そのような感情を抱いているのは、なんとも皮肉といえるであろう。
 だから、葉槻透夏の言葉には、若干の焦りの色がつく。
「ねえ? あなた、この状況見て、自分が置かれた立場がまだ判らないの? 
 自分が、いま、これからなにをされるか」
「こんな……、こんなことをして、如月くんが、喜ぶと思ってるんですか?」
「は! 恋に恋して、自分の恋愛感情を追いかけているあなたが、秋くんの幸せを語るわけ? 
 彼の喜びを語るわけ? 彼の『為』を想うわけ?」
「違う! 私は! 私は、自分のこの想いが彼に受け入れられないなら、
 如月くんに押し付けようとは思わない。如月くんが望みもしないのに、
 私と一緒になって欲しいなんて思わない。でも、あなたがこんなことをして、
 如月くんが幸せになるなんて、到底思えない!」
 その瞳に強い意志を宿して、葉槻透夏を睨みあげる柊神奈。それが葉槻透夏を逆上させる結果になろうとも。
「おためごかしを――。なら、なにが、彼の幸せだと言うわけ? 
 なにがあなたにできるわけ? まさか、一途に想っているだけで、
 彼が振り向いてくれて、それで、彼も幸せになれるとでも?」
「判り、ません。でも、如月くんは、あなたがこんなことをしても喜びません。
 きっと悲しみます! それだけは、判ります!」
「よく回る口だこと。それでなに? あなたが言いたいのは、あたしがあなたを殺しても、
 秋くんは喜ばない。だから、己の命を助けろ、と?」
「ち、違います! どうして、判ってくれないんですか! 私が言いたいのはそんなことじゃ――」
 柊神奈の台詞はそこまでだった。葉槻透夏が、ナイフを持つ手とは逆の手で、彼女の首を締め上げたからだ。
「ぁっ――。ぅぐ――」
 
803__(仮) (5/13):2008/04/11(金) 18:19:23 ID:f8LJCZKw
 
 葉槻透夏は激昂していた。
 柊神奈が、この女が、圧倒的弱者の立場にいるのにもかかわらず、自分に口答えしてくることが。
 己に対し、秋巳のことを説くその言葉が。
 自分の保身の懇願を一切吐かないその態度が。
 すべてが葉槻透夏を苛立たせた。
 首筋に手で締められた跡が残ると、後々困ることになるなんて打算は、葉槻透夏の頭から消し飛んでいた。
「ねえ? 苦しい? 辛い? 死にたくない? 
 それでも、秋くんの、などと口走るわけ?」
「えっ、げほっ、ごほっ……ぅぐ、げほっ、はぁっ、はっ」
 一旦、柊神奈を開放する葉槻透夏。眦に涙を浮かべ、苦痛にその端正な顔立ちを歪める柊神奈を見下ろしながら。
「どう? 痛みは、苦しみは。生への渇望を呼び起こすでしょう? 怖いでしょう? 
 死にたくないでしょう? あたしの気が変われば、あなたのことを生かしておいてもいいわよ?」
「なにを――」
「そうね。あたしを納得させたら助けてあげる。あなたが、秋くんのことなんて好きじゃないって。
 あなたの貧困な語彙の限りを尽くして、あたしに、柊神奈が如月秋巳のことを嫌いであるって
 納得させられたら、おうちへ返してあげる。もう、痛いのも苦しいのも怖いのも嫌でしょう?」
 葉槻透夏は気づかなかった。自分が焦っていることに。本来であれば、柊神奈から自発的に己の助けを乞う言葉を吐かせるはずだった。
いまの台詞は彼女が「助けてくれ」といって初めて言い渡すはずだった。それを彼女自身が、自ら先出ししていることに。
 自分でも気づかないその苛立ちを暴力に変換して紛らわすように、柊神奈の腹をナイフの柄で突き上げる。
「あぐっ――!」
「そうだ。このまえ、あなたに紹介した男どものなかで、結構あなたを気に入った人たちがいるのよ。
 あなたにご執心でね。ねえ、あなた、処女なんでしょう?」
「げほっ、ぐぅっ」
 さらに柄を押し込む。
「それとも、もう、男を知っているの?」
「はぁ、……はっ」
 痛みと苦痛で息を切らす柊神奈。
「ほら、答えて」
 その命令と同時に、ナイフを握った手とは逆の左手で彼女の頬をバチンという音とともに打ちつける。
さきほど彼女の首を締めたその手で。
「どうなの?」
「しっ、知りません」
「そう。じゃあ、男も知らないまま逝くなんて可哀想だから、
 あたしが、『紹介』してあげましょうか。きっとあなたなら、大人気よ。
 好き放題できる女がいると知ったら、彼らは喜び勇んで知り合いも呼んで、
 集合してくれるでしょう。最後にきっと素敵な思い出をくれると思うわ。
 ここなら、誰も来ないし、泣き叫んでも誰にも聞こえないから、安心できるわよ」
 左手を柊神奈の胸に手をもっていき、強く揉みしだく葉槻透夏。
 その葉槻透夏の脅迫は、あくまで脅しのための、柊神奈の恐怖を煽るためのそれであり、実際彼女にそれを実行する意志はない。
 この目の前の柊神奈が、男どもに犯されようが、葉槻透夏の関知するところではないが、
自分の策略に他人を介入させるつもりは毛頭ない。
 このことは、自分ひとりで全てカタをつけなければならない。葉槻透夏はそう考えていた。
「や、やめて、くだ……さい」
 痛みと苦痛で顔をしかめる柊神奈。
 徐々に柊神奈の心が恐怖心に覆い尽くされていくのを感じながら、葉槻透夏は、もう一度先ほどの言葉を繰り返す。
 彼女に絶対的な絶望感を植え付けるために。二度と消えない諦念の楔を打ち込むために。
「じゃあ、もう一度訊ねるわ。あたしを納得させてみて。あなたが、如月秋巳のことを嫌っていて、
 そして、二度と彼に近づかないと信じるに足りうるだけの言葉を。ほら! 心から気持ちを込めて。
 じゃないとあたしは、納得しないから」
 葉槻透夏は、柊神奈の頭髪をつかみ、自分の顔に向き合わせる。
 
804__(仮) (6/13):2008/04/11(金) 18:21:27 ID:f8LJCZKw
 
 実際、彼女が心から、秋巳を否定する言葉を吐くかどうか、それはどうでもよかった。
 己の苦痛から逃れるために、恐怖から逃れるために、安寧を得るために、秋巳を否定する言葉を口にした時点で、
この女は絶対秋巳に心からの笑顔を向けられない、葉槻透夏はそう確信していた。
 己が助かりたいために、自分の安息を得たいがために、たとえ一時的にでも――それが演技だとしても――葉槻透夏に迎合した柊神奈は、
この先二度と如月秋巳に純粋な気持ちを向けられない。葉槻透夏はそれで満足だった。
 それで、この女を排除したことになる。そのはずだった。
「ほら。どうしたの? 考える時間が要る? 言葉を選ぶ猶予が要るの?」
「…………」
「悩むことはないわよ? これからの人生は長いの。
 あなたは、これから様々な男の人に会うでしょう。
 その中に、きっとあなたに合う人がいるはず。でも、それは生きていればこそ。
 このまま、ここで終わってしまうほど、あなたの人生は無意味な、
 無味乾燥なものなの?」
 その口から、柊神奈を堕落させるための甘言をもたらす葉槻透夏。
 ここで、恐怖に屈してもそれは恥ではない。これが最後ではない。まだまだ、あなたには機会があるのだと。これから先があるのだと。
 秋巳に拘る必要はないのだ、と。
「私は――」
 葉槻透夏に顔を叩かれたことで口内を切ったのだろうか、口の端から血を垂らしながら、柊神奈が言葉を紡ぐ。
「私は?」
 葉槻透夏は先を促す。彼女の口から吐き出されるその先の台詞を想像して。
 秋巳のことが嫌い。秋巳のことなんか愛していない。彼なんかどうなっても良い。彼がどうなろうと私は知らない。だろうか。



「私は、如月秋巳のことを愛しています!」


「なっ――!」
「この世で誰より、如月秋巳のことが好きです! 大好きです。愛しています!」
「なにをっ――!」
「たとえ、私がどうなろうとも、恐怖に屈して、如月くんのことを否定した時点で、
 私は終わりだから。私は、この先誰も好きになる資格はなくなるから! 
 だから、私は自分の気持ちに嘘はつかない! 好き! 大好き! 
 狂おしいほど、如月秋巳を愛しています!」
 瞳からは涙が零れて。それでも、葉槻透夏から視線をはずさずに。柊神奈は、そう言いきった。

「あはっ! あはははっ! あはははははっ! そう! そうなの!
 なんでっ! なんでなのよっ!」
 葉槻透夏は両拳を握り締めて、テーブルを叩く。それから、その拳が緩むと、手にしていた刃物がその手からカランと音を立てて滑り落ちる。
 葉槻透夏は身を引き裂かれそうな思いだった。
 どうして! どうして!! どうして!!!
 この女はことごとく自分の予想を裏切る!
 
 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
 ど う し て 自 分 と 同 じ 行 動 を と る の だ!
 
 それは、葉槻透夏が逆の立場だったらとる応え。もし、自分が誰かに脅され、同様の行為を強いられたときに対する返答。
 自分が誰よりも秋巳を愛し、誰よりも秋巳のことを考え、どんな人間よりも秋巳のことを想っているからと自負するからこその回答。
 それをなぜ、この降って湧いた女がとるのだ。己の命を危険に晒されながら。自身の純潔を風前の灯としながら。
それでも自分の尊厳を守り抜くというのか。
 
805__(仮) (7/13):2008/04/11(金) 18:23:17 ID:f8LJCZKw
 
「そう! そうなの! それが、おまえの応えってわけ! いいわ! 確かに受け取った。
 おまえの意思を! 大したものね。ある意味尊敬するわ。
 だから、あなたの想いに応えてあげる。確かにあなたの想いは本物よ!
 そんじょそこらの浮かれた感情とは違う!」
 それは、自分と同じ高みまで、彼女の想いが上ってきていることを認める言葉。
許容したくはないが、本気で柊神奈が如月秋巳のことを想い、自分の計略には動じないことの証左。

 葉槻透夏は思いつめる。
 ――だったら、もういい。
 この女を消すまでだ。自分の秋巳に対する情意は誰にも負けない。そのためにも、この女は排除すべきである。
 テーブルに横たわるナイフを再び拾い上げると、空いたほうの手で柊神奈の襟元を掴みあげ、半ば椅子ごと自らの元に引き寄せると、
葉槻透夏は、彼女に最後通告をする。
「おめでとう。あなたの想いは、本物よ。でも、悲しいかな、それを別の誰かに向けるべきだったわね。
 あたしと如月秋巳の間を脅かすものは誰もいない。そう誰もね!」
 そのまま、柊神奈の頭へ、握ったナイフの柄を振り下ろした。
 
 
 
               *  *  *                  
 
 
 柊神奈が、頭部に受けた衝撃から、気を失って、再び目を覚ましたのは、約三十分後。
 彼女が気を失う直前と、なんら状況が変わっていない――彼女は相変わらず椅子に縛り付けられたまま――ことを
理解すると同時に先ほどと僅かに異なる違和感に気づく。
(下着を穿いていない――)
 下半身に感じる涼しさから、彼女は実感する。柊神奈はミニのスカートを着けているが、その中で直接陰部に感じる空気に、
自分が下着を脱がされていることを悟り、戸惑った。
「ああ。おはよう。柊さん。二度目だけど、目覚めはどう?」
 柊神奈の背後から、部屋の扉を開け、彼女の前に回りこんだ葉槻透夏が、彼女が目を覚ましたことに気づき、声をかける。
手には制汗剤のスプレーとコンドームを持って。
「…………」
 沈黙を守る柊神奈。いまの葉槻透夏には、なにを言っても通じないだろうという思いを込めて。
「そうそう。あなた、これでもかっていうくらい、模範的ないい子ちゃんだから、
 本当に困ったわ。自殺の理由が見つからなくて」
「なにを――?」
「だからね、こっちで理由まででっち上げなくちゃいけなくなっちゃったのよ。
 ひとりの女の娘が自殺に至るまでの、ね」
 葉槻透夏はそう愉快そうに声をあげ、コンドームの袋を破る。ビニール手袋をしたその手で。
「ねえ。好きでもない、見ず知らずの男にレイプされて、それを写真にとられて脅されて、
 それを悲観して自殺するっていうストーリーはどう思う? 
 自殺の理由としては、それなりのものだと思わない。それにしても便利な時代になったものね。
 いちいち写真をプリントアウトなんかせずに、相手の携帯にでも送ればいいのだから」
 そう言いながら、スプレー缶にコンドームを被せる葉槻透夏。
 
806名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 18:24:53 ID:hltbFLg7
ほしゅ
807__(仮) (8/13):2008/04/11(金) 18:25:08 ID:f8LJCZKw
 
「あはははっ! このときばかりは、自分が男じゃないのが残念ね。まあ、いいわ。
 あなたの『初めて』を奪うこれをじっくりと見せてあげる。どう? 感慨深いでしょ?」
 そう彼女の頬に、その物体をこすりつける。その冷たさと鼻につくゴムの匂いが柊神奈の悲しみを呼び起こし、絶望へと誘う。
「それが……、それが、あなたの望みなんですか?」
 葉槻透夏は、右拳を握り締め、彼女の腹を穿つことでその質問に応える。
「あぐっ――!」
「ええ。そうよ。あたしの望み。おまえが絶望して、この世を去ることが、葉槻透夏の望み」
「はぁっ……! どうしてっ! どうして気づかないんですか。
 あなたは自分で放棄している――」
 葉槻透夏が、片手で柊神奈の両頬を掴みあげる。渾身の力を込めて。
「ぐふっ――っ」
「ああ。もういいのよ。あなたは喋らなくて。『お話』の時間は終わったのだから。
 あとは、ただ、ひたすら受け入れれればいい。すべての結果を。大丈夫。
 秋くんは、あなたが消えたところで大してショックを受けない。安心しなさい」
 まだ、いまならね。と言う言葉は彼女に伝えない。いや、葉槻透夏自身が認めない。
 スプレー缶を脇に置くと、テーブルの上に置かれた錠剤を掴み取り、鼻を摘み上げ無理矢理こじ開けた柊神奈の口に押し込む。
「ほら。これを飲み込んで」
 その錠剤を彼女の口に押し込むと、さきほど傍らに置いた水の入ったペットボトルを手に取り、
柊神奈の口に流し込むために無理矢理差し入れる。
「さあ、飲んで。次にあなたが目覚めることはおそらくないだろうけど、
 そのときは、きっと秋くんが幸せになっているから。
 あなたは、なんの心置きなく旅立つといいわ」
「えほっ……、ごほっ!」
 咳き込む柊神奈が、その薬を戻さないよう口を押さえて、嚥下するよう促す。
「はい。よくできました。さあ、ゆっくりお休みなさい」
 赤子になにも心配することはないのよ、と語りかけるかのごとく柊神奈の頭を抱き、その人生の終焉を迎えるよう促す。
 頭を優しく撫で、ひたすらに穏やかに。
 それから、葉槻透夏は思い出したように、脇に置かれた――テーブルの上の――スプレー缶を手にとる。
「そうそう。折角だから、あなたの『初めて』くらい、まだ意識のあるときに、奪ってあげるね」
 そう柊神奈の下半身に――愛撫もなにもなくさらさらに乾いた彼女の陰唇に――コンドームを被せたスプレー缶を押し当てる葉槻透夏。
「ひぅっ――」
「ねえ。どんな気分? やっぱり、せめて本当の男の人のほうがいいのかな? 
 あたしだったら、秋くん以外のはごめんだけど」
 そう言って、柊神奈の股間に押し当てる物体に力を込める葉槻透夏。
 徐々にぼんやりしていく柊神奈の意識。
 ぼやけていく視界。遠くなる音。薄れていく痛み。
 柊神奈が最後に聞いた葉槻透夏の声がそれだった――。
 
 
 
 
 
 
 
808__(仮) (9/13):2008/04/11(金) 18:26:54 ID:f8LJCZKw
 
 
 
        *  *  *  *  *  *  *  *
 
 
 
 
 夏休みも中盤を迎え、いまだ強い日差しを避けるように冷房の効いた図書館の机の一角で、椿と萩原睦月は向かい合って座っていた。
夏休みの終盤を憂いなく過ごすために、学校で出された夏休みの課題を片付けようと、椿が萩原睦月を誘ったのがきっかけだった。
 教科書と問題集、それにノートを広げながら、時々お互いの判らないところや疑問点を確認しあいながら、淡々と問題を解いていくふたり。
 そんななか、ふと思い出したのか、それとも問題に詰まってひと休み入れようとしたのか、萩原睦月が椿に話し掛ける。
「ねえ。そういえば、椿のお兄さんのクラスの、柊先輩のことって聞いてる?」
「いえ? 柊さんがどうかしたの?」
 萩原睦月に倣ってノートに走らせる筆を止め、彼女に訊ねかえす椿。
「なんか、家出しちゃったみたいなんだって。水無都先輩が、連絡取れなくなったーって、
 言ってて。話を聞いてみたら、家にはしばらく空けるから心配しないでって連絡が
 あったみたいなんだけど、どこに行ってるのかは判らないらしいの」
「へえ。そんな人には、見えなかったけれど」
「うん。あたしも。だから、水無都先輩なんて、かなり心配しているっぽい」
「そう。こちらも、透夏さんが旅行に行ってから、ちょっと連絡が取れなくなってるから、
 少し心配なのだけれど」
「えっ?」
 初めて聞いた話に、驚きの声をあげる萩原睦月。
「ああ。睦月は直接会ったことなかったかしら。前に何度か話したことがあると思うけど、
 私と兄さんの従妹で、葉槻透夏さんって人がいるのだけれど、いま旅行に行ってるのよ」
 そう言いながら、椿は、手にしていたペンをノートの上に置く。
「葉槻さんって、椿がお世話になってた人だよね?」
「ええ。それはもう。ものすごく」
 様々な思いを込めて言葉を紡ぐ椿。
「その人が、旅行中に連絡取れなくなちゃったの? もしかしたら、
 事故なのかもしれないじゃない」
「そんなことはないと思いたいけれど。多分、いつもと違う気分で楽しんでいるところを、
 私という日常に邪魔されたくないだけじゃないかしら。
 まあ、私もしつこく連絡したわけじゃなくて、一回メールして、
 返信がこないだけだから、もしかしたら、見落としているだけかもしれないしね。
 元々、それほど気にしていなかったんだけれど、睦月のいまの話を聞いたら、
 少し心配になっただけ」
「まぁ、そうだよね。そうそうそんなことが重なるわけないよね」
 そう軽く頷いたあと、ペンを弄ぶかのごとく手の上でくるくると回しながら、萩原睦月は、はぁーと深い溜息をつく。
「どうしたの? 睦月。柊さんのことが心配?」
 若干俯いた萩原睦月のその浮かない表情を、覗きこみながら訊ねる椿。
 
809__(仮) (10/13):2008/04/11(金) 18:28:43 ID:f8LJCZKw
 
「ううん。ちょっとそのことで自己嫌悪」
「自己嫌悪?」
「うん。柊先輩のことは、知らない人じゃないし、本当なら第一に心配するべきで、
 確かに気がかりなんだけど、ものすごく心配している水無都先輩を見てると、
 自分でも嫌な気持ちが浮かんできちゃんだよね。
 あたしが、同じ立場でも水無都先輩はこんなに心配してくれるのかな、とか。
 ほんと醜くて嫌な感情だよね。嫉妬って」
「あら。それは、仕方がないんじゃないのかしら。確かに、柊さんは知らない仲じゃないし、
 なにより兄さんの友達だから、私も心配だけど、その睦月の気持ちは、
 人としてごく自然のことだと思うわよ。でも、あなたの中で、それを良しとしないことこそが、
 むしろ睦月の感情が醜いどころか、誠実な証だと思うけれど」
「あ、はは。ありがとう。椿。慰めてくれて。ごめんね、愚痴っちゃって」
「謝ることないわよ。むしろ、私から見たら、睦月はもっと素直に自分の気持ちを出していいと思うけど。
 水無都さんに対してとか、遠慮してない?」
 先日の夏祭りのときの秋巳と似たことを椿は言う。
 あのとき、秋巳は、睦月の相談に対して、自分の想いを素直に追いかけていい、椿に遠慮して、自分の気持ちを殺すことない、と言った。
 ああ、やっぱりこのふたりは兄妹なのかな。改めてそう実感する萩原睦月。
「そんなことないよ。あたしは、いまは水無都先輩の傍にいられるだけで充分だから」
「そう。欲がないのね」
「それを言ったら、椿こそ、じゃない?」
「私が?」
「椿こそ、誰かに遠慮したりとかしてない?」
「私が? いいえ。自分で言うのもなんだけど、私は欲深いわよ?」
「あはは。またまた。椿のなにがなんでもっていう執着心は、あたし見たことないよ」
「欲しい欲しいと子供のように駄々こねて手に入るなら、そうするけれど」
「うわ。もう。クールでいらっしゃるんだから」
「ふふ。それはともかくとして、柊さんのことだけど、やっぱり心配よね」
 一旦ふたりのあいだで和んだ雰囲気から、話を戻すためか、椿は一転真顔になる。
 それに伴い、萩原睦月の顔からも笑みが消える。
 確かに、萩原睦月自身が言っていたように、柊神奈に対するわずかな嫉妬はあるものの、彼女のことが心配と述べた萩原睦月の言に嘘はない。
「高校生くらいの女の娘なら、一時そういうはじけ方をしてもおかしくはないとは思うけど。
 特に、柊さんは、あまり我を出すタイプには見えないから、
 もしかしたら、内々に鬱屈を溜め込んでいたのかもしれないし」
 胸の前で腕を組むように椿。
「うん。まあ、特に危ないことがなければ良いけど。
 でも、椿、その台詞を同じ高校生である女の娘で、しかも当人より年下が言う?」
 椿のあまりにも冷静な判断に、つっこみをいれる萩原睦月。
「あら、失礼ね。誰よりも高校生の女の娘らしい、私に向かって。まあ、それはいいとして、
 水無都さんは、なにか対応しているの? 柊さんの心当たりを探しているとか?」
「うん。柊先輩の友達とかをあたっているらしいんだけど、
 まだ、行き先とかは判っていないみたい」
「そう。早く見つかると良いわね」
「うん。なにもなければ、なによりだよね。まあ、杞憂に終わるとは、思うけど」
 そう不安げな面持ちを掲げるふたり。
 それぞれ違う意味で――。
 
 
 
 
 
 
810__(仮) (11/13):2008/04/11(金) 18:30:32 ID:f8LJCZKw
 
 
 
        *  *  *  *  *  *  *  *
 
 
 
 夕陽に赤く染まる学校の屋上。昼間の熱気を充分吸収したコンクリートは日が傾いてもいまだその熱を失わず、
ヒグラシの鳴き声を遠くに、一帯に黄昏の空気が漂っている。
 そんななか、屋上のドアノブを、その熱さを手に感じながら、秋巳は押し開ける。
 ぎぃぃと錆付いた蝶番の響きとともにドアを開ききると、落陽を背負い、屋上に設置されたフェンスに背を預けながら待ち受ける人物がいた。
 水無都冬真である。
 一瞬そこに立つ人物が、逆光のため判別がつかなかった秋巳ではあったが、目の上に手をかざして、
五、六メートルほど離れた場所に佇む影の正体を視認すると、その歩みを進めた。
 彼のもとへとゆっくりと歩み寄る秋巳に、水無都冬真は、片手を挙げて応じる。
 そうして交じる二つの影法師。
「よう。秋巳。悪かったな。夏休みなのに急に学校に呼び出して」
 そう爽やかな笑顔を浮かべる水無都冬真の表情には、しかし、どこか寂しげなものが漂っていた。
「ううん。いや、別にいいよ。冬真の頼みだからね」
 彼の前に立ち、そう応える秋巳。そんな秋巳の穏やかな反応に、はは、と乾いた笑い声をあげると、水無都冬真は小さく呟く。
「俺が、話し終わっても、その台詞を言ってくれることを願うよ」
「え?」
「いいや。なんでも。ところで、最近、椿ちゃんとの仲は、どうなのよ?
 一時の気まぐれでやっぱり冷たくされてるか?」
 そうなにげない世間話でも始めるかのように水無都冬真。
「え? いや。前からじゃ考えられないくらい、普通の兄妹をしてるよ。
 一緒に買い物に行ったり、その日一日あった出来事を夕飯のときに話し合ったり」
 幸せそうにはにかむ秋巳。それもそうであろう。それこそが、彼が望んでいた生活なのだから。椿とのたったふたりの家族風景なのだから。
「でもね、自分は、椿にあんな仕打ちをしたのに、こんなに幸せでいいのかなって、
 ちょっと後ろめたく思うんだ。椿は、気にしないって言ってくれてるけど、
 それで、僕の罪が消えるわけじゃないからね。でも、自分の罪悪感だけで、
 もう、椿の望まないことはしたくはないと思ってる」
「そう、か」
 納得したのか、とりあえずといった感じで頷く水無都冬真。その心中は複雑ではあったが。
「なあ、俺が椿ちゃんを奪っていったら、おまえはどう思う?」
 その水無都冬真の台詞に、秋巳は、真っ直ぐに彼を見つめ返す。
「冬真は、椿のことが好きなの?」
「だとしたら?」
「冬真が、椿のことを幸せにしてくれるなら、僕にはなにも言うことはないよ。
 むしろ、こちらからお願いしたいくらいだから」
「じゃあ、だとしなかったら?」
「…………」
 秋巳は沈黙する。そして疑問に思う。
 水無都冬真の質問の意味はどういうことだろう。
 水無都冬真が椿のことを好きでなかったとしたら。
 好きでない上で、椿を奪っていく?
 わけが判らない。
「仮定の話じゃ、応えられないよ」
「そうか。俺はね、おまえには感謝しているよ。正直いまの俺があるのは、秋巳、
 おまえのおかげだと思ってる。おまえと俺が初めて会ったとき……、
 いや、その言い方は適切じゃないか。初めて会話したとき……、
 いいや、これもおかしいか。そうだな、初めて遊んだときのことを憶えているか?」
「どうしたの? 冬真?」
 急に語り始めた水無都冬真についていけずに、秋巳は質問に問い返す。
 
811__(仮) (12/13):2008/04/11(金) 18:32:08 ID:f8LJCZKw
 
「いいから。俺の昔話に付き合ってくれよ。どうだ、秋巳、おまえは憶えているか? 
 おまえと俺が初めて一緒に遊んだとき」
 そう懇願する水無都冬真の雰囲気に飲まれ、いや、正確にはそれに逆らいたくないという秋巳の自発的な意思により、その質問に応える秋巳。
「うん。憶えているよ。小学校三年のときだよね。僕が、冬真を誘ったんだよ。
 一緒に遊ぼうって」
「ああ。そのとき、おまえ、俺のことどう思った? というか、なんで俺を誘ったんだ?」
「うーん。よく覚えてないけど。確か、新しい遊び教えてもらって、
 早く遊びたいってわくわくしてたんだ。
 それで、いままで話したことなかった冬真を見かけたからさ、
 ちょうどいいやって巻き込んじゃったような気がする。あはは、冬真からしたら怒るよね」
 頬を掻きながら、後半は後ろめたそうに語る秋巳。
 ようするに、遊んでくれる人なら誰でもよかった、と半ば言っているようなものだから、秋巳としては言い難いのは当たり前であった。
 ただ、綺麗な言葉で取り繕ろうなどとは露ほども考えなかった。
 相手が水無都冬真だからこそ。いまでは、誰よりも親友であるといえる彼に対してだから。
「あははっ! そう、そうなんだよな。だからだよ。だからこそ、なんだ。
 俺がおまえのことを好きになったのは」
 秋巳のその応えに満足げに、水無都冬真は笑った。
 あのころ水無都冬真の周囲の環境は最悪であった。
 家に帰れば親は別れるだの別れないだの終始喧嘩し、言いあい、罵りあい。
 お互い愛はなく憎しみあっているのにおまえが生まれたからだの、嫌いあっているのにおまえがいるからだの、
水無都冬真に向かって残酷な言葉を吐き。
 学校では、あそこは悪い家庭だからその子供と付き合うな、などと言い含められた子供たちが、水無都冬真を差別し、敬遠し、無視をし。
 たまにあるのは、からかいと嘲笑だけ。
 そんな境遇において、偏見も穿ちも持たずに接してきてくれたのは秋巳だけであった。他の誰とも変わらず、その他ひとりとして、
構ってくれたのは秋巳だけであった。
 そこに同情も憐憫も優越感もなく。
 そんな秋巳だったからこそ、水無都冬真の唯一の親友になったのだ。
 そんな秋巳だったからこそ、逆に秋巳が両親の件で周囲から浮いたときであっても、水無都冬真はなんら変わらなかったのだ。
 そんな秋巳だったからこそ、水無都冬真は他の誰よりも秋巳の幸せを願っているのだ。

「ほんとに、今日はどうしたの? 冬真?」
 愉快そうに笑い声を上げる水無都冬真に、不審げな顔を浮かべる秋巳。
 ひとしきり声をあげて、それから落ち着くと、水無都冬真は秋巳の両肩に手を置き、一旦俯いた後、再び面を上げた。
 その顔は、なにかを決意したように。
 
812__(仮) (13/13):2008/04/11(金) 18:33:40 ID:f8LJCZKw
 
「さて、秋巳。そろそろ本題に入っていこうと思うが、
 おまえ、最近、柊ちゃんと連絡取ったか?」
 急に話題が変わり秋巳は戸惑う。
「え? 柊さん? いや、連絡とかはしてないけど。どうしたの? なにかあったの?」
「ああ。柊ちゃんが家出しているらしい。もう四日ほどかな。
 一応、家には連絡が入っているらしいんだけどな」
 その水無都冬真の話の内容に、秋巳はわずかに衝撃を受ける。
 あの柊さんが、家出?
 そういうタイプには全然見えなかったが。
 しかし、連絡が入っている以上、事故とかに巻き込まれたわけではないのだろう。
「そ、そうなんだ。まあ、無事ならなりよりだよ」
「本当にそう思うか? 家への連絡は、メールでされているらしい。
 メールなんて、柊ちゃんの携帯があれば、誰でもできるんだぞ?」
「え? えっ!? 冬真は、柊さんがなにかに巻き込まれたと思ってるの?」
 水無都冬真の台詞から、推測すれば、それは、もう事故の可能性はありえないと言うことになる。
 意図的に、柊神奈の無事を装っている人間がいるということになるのだから。
「さあな。あくまで可能性だからな」
「その可能性を考えるよりは、柊さんが自分でメールを送っていると思うほうが自然だけど?」
「だから、あくまで可能性、だ。もしかしたら、俺が柊ちゃんを監禁して、
 勝手にメールを打っているだけかもしれないぞ?」
「あ、はは。冬真、冗談が過ぎるよ」
 乾いた声をあげる秋巳。完全に冗談と受け取れなかったのは、水無都冬真の表情が真剣だったから。
「冗談じゃないけどな。それぐらい、疑えってことだ」
 その声色に、鉛のような重厚さをのせる水無都冬真。秋巳の肩を掴む手に力が入る。
「冬真……?」
 やはり、いつもと雰囲気の異なる水無都冬真に対し、秋巳は心配げな視線を向ける。
「それで、いまから言うことが、俺が今日、おまえを呼んだわけだ。いいか――」
 その秋巳の瞳を、水無都冬真は真っ直ぐ射抜く。
 
 
 
 
 
「――いつぞやの貸し。今日これから返してもらうぞ」

 水無都冬真の覚悟を決めた言の葉が、秋巳の耳朶に深く突き刺さった。
 
 
 
 
 
813 ◆a.WIk69zxM :2008/04/11(金) 18:34:25 ID:f8LJCZKw
 
以上。投下終了です。
814名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 18:35:18 ID:rUZKoy+e
GJ
815名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 18:36:20 ID:d9+jCXK2
一番槍GJ!

あぁ、一体これからどうなるのか楽しみ過ぎて仕方ない。
816名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 18:37:44 ID:hltbFLg7
GJ!
スリル感がたまりません

あとほしゅじゃなくて支援でした
817名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 18:38:55 ID:d9+jCXK2
一番と言ってみて違うと結構恥ずかしいもんだね…orz
818名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 18:58:17 ID:lCt4U47t
>>779のサンプルCG見て来たけど、パンスト娘いるんだね。しかも黒髪。この組み合わせは最強だぜ。
エロゲーでは意外とパンスト娘は少ないからな……、だから貴重だ。
819名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 19:35:18 ID:wVxSlIXU
GJ!

読み終わって確信した。これは名作だ!
いや、ここまでレベルが高いssはひさしぶりだw
820名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 19:41:04 ID:lBKYQP8V
夢中で一気に読み終えてしまうし
読み終えた途端に先が気になってしょうがなくなるw
とにかくGJ!!!!
821名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 20:18:01 ID:w4HbbBdH
>>820
俺は読み進めるのが怖くて、一気になんて読めなかったよ…
822名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 20:26:28 ID:OpN7eHp/
だっ誰かっ!俺に義妹を!義妹をぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!
823名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 21:18:14 ID:E60JzLvp
実姉とそれなりなことは経験したが、キモ姉ではないのでスレが違う。
824名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 22:47:19 ID:5xTjd4Dc
あー毎回思うけど続き気になるw
GJです
825名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 23:30:25 ID:uBUf84hL
そういえば、アリスなんとかのアニメでさ、

きらはというキモウトがいてね
あのキモウトはコミック版の1巻は凄かったよな

兄と一緒にお風呂に入ったり
兄のためにゴスロリの服を着たり、
ライバルのヒロインの前でキスをしたり


懐かしいぜw


826名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 00:02:00 ID:zVnf+Kdg
永久アリス輪舞曲か
アニメしか知らんが…兄で妄想してハァハァしたりと、今思うと完全なキモウトだなw
しかも兄を好きな女相手どころか、兄が好きな物語の中の女の子にさえ嫉妬する始末

wikiによると原作では兄妹以上の関係になるらしいな
827名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 01:28:11 ID:NxygQFZI
なんてアニメ?
828名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 01:29:33 ID:9bdlFEXp
829名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 01:29:44 ID:NxygQFZI
すまん
830名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 02:08:12 ID:lPdSpB0w
「『永久アリス輪舞曲』か。アニメしか知らんが…」
「なんてアニメ?」
「(うっ、妹よ。何故こんな所に)な、なんでもないよ」
「ウソ!!わたしに内緒でそのアニメでハァハァしてるんでしょ!?」
「ち、違うんだ…。日本のアニメ文化について語っていた所で…」
「もー!お兄ちゃんがわたしにだけハァハァするようにしてやる!!」
妹は、兎のようにぼくの元から駆け出して言った。

ぼくの部屋から、妹の薄ら笑いが聞こえる。
部屋に入ると、ぼくのアニメDVDが全て粉々になっていた。
831名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 03:14:54 ID:fzsvzCQN
>>813
GJ!


神奈がああああああああああ
832名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 05:34:56 ID:2LC9LI0y
833名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 07:16:55 ID:pLYXPNj/
当時はそんな意識もなくアニメを見ていたな。
そっか、あれがキモウトになるのか。
834名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 09:37:12 ID:MOKGP9d4
>>830を見て何故か『「邪神ハンター」を妹に読ませたら』が頭に浮かんだ
835名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 11:24:05 ID:NxygQFZI
もっとオススメ漫画教えてくれ〜
ダ・カーポとかどうよ?
836名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 14:24:10 ID:uUFi7Nfn
漫画・アニメは×
ゲームだけやっても嫉妬深いだけの妹
公式設定の内容を知って始めて微妙な所だなと思う
 
キモ姉・キモウト的行動はしていないのに、キモウトSSの兄の呼び方が「兄さん」だと何故かUの朝倉姉妹が一瞬脳裏に浮かぶのは俺だけだろうか?
837名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 14:30:13 ID:NxygQFZI
ダカポU二期の妹がヤンデレしてくれそうな雰囲気なんだが
838名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 14:55:28 ID:FFEzrGHD
魔法で小さくなった主人公が、妹に散々虐められて、最後に食べられる。
と言う内容のゲームがある
839名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 15:42:29 ID:9bdlFEXp
kwsk
840名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 16:23:24 ID:JaDOjL7L
>>837
妹より姉の方がヤバイ件について・・・

自分以外のルートだと容赦なく消し去ろうとするぞw
841名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 17:33:42 ID:sVWOgnb4
最近投下が減った気がするな
特に古参の人々を見かけない…
842名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 17:39:30 ID:IDek/TR9
書いてる人は勤め人が多いってことかもね。学生は春休みでも
年度末〜年度初めは働いてる人間は忙しい。
843名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 21:18:23 ID:E0OYq26X
・・・・文が多すぎるから削ったほうがいい。そうすればもっとよくなる。あと、缶にゴムはそれなんて綾?
844名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 21:29:09 ID:NxygQFZI
845名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 22:01:26 ID:txEuc/g2
>>844思わず振り向いてしまったジャマイカww
846名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 22:19:25 ID:sDYX7xj/
>>844 これAYAKASHI H?でも、こんなシーンあったけかな?
847838:2008/04/12(土) 22:20:07 ID:FFEzrGHD
妹に食べられるのはBAD ENDルート

http://www.toranoana.jp/shop/080404_irafyou/
848名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 02:18:28 ID:/rv5Du1M
キモ姉に監禁されるssないですか?
849名無しさん@ピンキー:2008/04/13(日) 11:13:54 ID:FLpbiG6W
>>848
それは君が書くんだ!!
半裸で待ってるぞ。
850名無しさん@ピンキー:2008/04/14(月) 13:33:15 ID:EDc2n4CO
神奈、密かに応援してたのに…
851名無しさん@ピンキー:2008/04/14(月) 15:22:36 ID:5+sdb6Rp
姉ちゃん好きだったのに…
852名無しさん@ピンキー:2008/04/14(月) 16:35:07 ID:Fgp2Qfyb
無形さん
HPや過去の投下場所等、できれば教えて欲しいです
853名無しさん@ピンキー:2008/04/14(月) 18:44:39 ID:JPKW/pVi
携帯の俺に>>844>>847が何だったのか教えてください
854名無しさん@ピンキー:2008/04/14(月) 19:31:57 ID:28tic25p
もばじらと検索してみよう
幸せになれるはずだ
855変名おじさん ◆lnx8.6adM2 :2008/04/14(月) 22:38:00 ID:uY2uuzGq
世間一般で新生活が始まる時期、少々忙しくしておりました
果たして私は古参と言えるのかとか思いつつ投下
856湊家の朝 〜妹・彼波〜:2008/04/14(月) 22:39:17 ID:uY2uuzGq
その日も、湊 奏(みなと かなで)の朝は柔らかな重圧によって始まった。

「う・・・」

深い眠りの中から引き上げられた強引な目覚め。
頭が重く、無理矢理な覚醒に、未だタールに似た流れの意識が揺れる。
反射的に目を開こうとして、しかし上手く行かない。
目蓋越しの朝日が遠く、思考するための言葉は半分以上が夢の中。
接続を焦った肉体が混線を起こし、睡眠欲求の不満が不具合として訴えられる。
鉛の感覚。
特に、つっかえたような息苦しさを訴える胸が一際重い。
それから腹、腰の順で軽くなりつつも何かが自分の上に乗っている。
布団の重さではないだろう。
纏まらない意識で懸命にそこまで考え、奏は数秒の苦闘を経てから瞳に光を浴びた。

「────────何だ、またか」

その日一番の言葉を紡いで、漸く動き出した脳から急速に眠気が抜け出す。
押し出されたそれに代わって首の下から順番に繋ぎ直されていく神経の上を通る意思が全身に行き渡り、
部屋に差し込む日の光に細められた両目が焦点を結んだ。

「彼波(かなみ)」

起き抜けの、少し枯れたような声による呼びかけ。

「ふふ」

首だけを起こした奏の胸の上で鈴の音が響く。
軽やかな、高いが控え目な微笑の声。

「朝起きて最初に家族に言うのは『おはようございます』ですよ、兄さん」

相手の身じろぎに合わせて奏の体が揺れた。
開いた目の十数センチ先には自分と同じ色の瞳を持った制服姿の少女。
奏が長男を務める湊家の次女、彼波。
一つ下の妹が、兄の前で春の太陽のように柔らかな笑みを浮かべていた。

「・・・・・・おはよう」
「はい、おはようございます。兄さん、今日もいい天気ですよ」

爽やかとは言い難い調子で応えると、晴れやか、という顔で返される。
そんな妹にすぐには二の句が告げず、向けられる笑顔の前で二秒ほど悩んでから、
奏はふと最初に指摘すべきだったことに思い至った。

「あのさ、彼波」
「はい、何でしょう」

寄せれば触れそうな顔の近さで小首を傾げてみせる妹に、内心で失礼かと思案してから口に出す。

「どいてくれない、かな? その・・・息苦しいん、だけど」

重い、と言いかけてずらした視線が捉えたのは、いつも見るより早い時刻を示すデジタルの時計。
肺の圧迫に加えて、目覚めが悪くなる理由には十分だ。
つまり、原因の半分は今この瞬間にも自分の胸や腹の上に身を置いている妹。
ついでに言うと、彼女が第二次性徴期を迎えていると実感させる膨らみはまだ押し付けられたままである。
身体的と倫理的、奏にとっては二つの意味で心身に良くない。
857名無しさん@ピンキー:2008/04/14(月) 22:39:41 ID:yq+23Uz9
支援
858湊家の朝 〜妹・彼波〜:2008/04/14(月) 22:41:42 ID:uY2uuzGq
「あ。すみません兄さん」

言われ、彼波が身を起こそうと二人の乗るベッドを揺らす。
それまで抱きつくように密着していた彼女の腕が離れ、マットが沈み込む感触と共に顔の位置が上がった。
衣擦れより幾らか重い音を立てて布団が退けられ、重さの中心が奏の胸から腰へ移る。
彼波が膝で奏の腰を挟み込む馬乗りの体勢。
世間的には着衣の上でも問題のある姿勢だが、彼波は終始頬を赤らめることもなく奏から身を離した。
ベッドから降りる際に、その背中で振れる艶やかな黒髪の流れが奏の目に入る。
前髪よりも遥かに長い、天然色の一筋の流れ。
腰まで伸ばされたポニーテールは微かに左右へと毛先を躍らせると、
持ち主が振り返る動きで逃げるように背後へと隠れた。

「げほ」

胸の重石が取れた拍子にか、奏が何となく咳をする。

「どうしました?」
「いや、何でもないよ」

見咎めた彼波に首を振って答え、それで、と続けた。

「何でまたこっちに? それも制服を着て」

言いながら、奏が視線をやった先には自分が使用しているのとは別のベッド。
奏から見て彼波を挟んだ部屋の対岸には、彼の妹用の寝具が設置されていた。
昨夜、彼波はそこで眠ったはずであり、現にそちらの布団も乱れている。
彼女が起きたのも何時間も前という訳ではないだろう。

「朝御飯の用意が出来たので兄さんの様子を見に来たんですけれど・・・・・・その、
 兄さんの寝顔を見ていたら久しぶりに家族のスキンシップを図りたくなりまして」

着衣越しに兄と体を重ねるよりもその理由を告白する方が恥ずかしいらしく、彼波が僅かに頬を染める。
その様を可愛らしいと感じると同時に、奏は溜息を心中に留める努力を行わねばならなかった。
現在、湊の家に子供用の部屋は二つしかなく、そのうち一つは年長の姉に割り当てられている。
新たに部屋を設けるスペースも金もない湊家では必然的に年下の二人が残る一部屋を共有しなければならず、
結果、奏と彼波の二人は同じ部屋で寝起きを共にしている。
その結果自体に不満があるわけではない。

当時、最初から最後まで他ならぬ妹自身が兄と同じ部屋になることに肯定的だったのが、奏にとっては問題だった。
むしろ、積極的とさえ言えたかもしれない。
今でも、いや、むしろ以前より頻繁に奏の脳裏にはブラコンという言葉がよぎる。

「何も制服を着たままでなくてもいじゃないか。シワになるぞ」

それでも、今それを言い出しても良い結果にならない、
いやむしろ悪い結末しか迎えないことを経験から知っているため口にはしない。
軽く、そして遠回しに注意を促しておく。
859湊家の朝 〜妹・彼波〜:2008/04/14(月) 22:42:57 ID:uY2uuzGq
「いいんですよ。それが兄さんと『肌で触れ合った』証拠になるんですから」

奏は妹の返答に、口紅の跡の類でもあるまいし、スキンシップに証拠云々とは変に生々しいな、
とまで考え、そこで流石に意識し過ぎかと思い直す。

「とにかく、僕も着替えたら行くよ」

そのまま、わざわざ和製英語を翻訳したせいだと思うことにして暗に退出の要求を示した。

「わかりました。早く来てくださいね」

今度は兄の言いたいことを察した様子で、彼波も踵を返す。
乱れのない足取り。一定のリズムでポニーテールが踊る。
そして彼波がドアの手前で立ち止まると揺れる尻尾も止まり、振り返る動きと共にぽん、と跳ねた。

「ああ、そう言えば」

着替えようと部屋の入口に背を向けた奏の後ろで、ドアノブを回す音に混じる笑みを堪えたような声。



「兄さんは、着ないままの方がお好きでしたか?」



妹の問いかけに奏がその言葉の意味を理解しようとして、
自分の台詞を思い出し、相手の意図を理解し、顔に血が集まるよりも早く振り向く。

「なんっ・・・!」

────────同時に扉が閉まり、部屋には赤面した兄だけが残された。

「はあ」

咄嗟に言いかけた何かが、続きを伴わずに部屋の四隅へと消えていく。
遣りきれない。そして妹ならやりかねないと思い、一人、ようやく溜め込んだ息が吐けた。

「どうにか、ならないかな・・・」

願望に過ぎないと理解していても、つい口をついて出てしまった。
今の奏は、ほぼ姉と妹と三人暮らしという状況にいる。
三人も子供を抱えた両親は稼ぐのに忙しく、
また奏達がある程度大きくなってからは安心して夫婦共働きに出られるようになったからだ。
そこにきて妹と、更に今日はまだ見ていない姉の無警戒振り、と言うには積極的過ぎるブラザーコンプレックス。
前にそんな暮らしで男性の朝に特有の生理現象を見られたりはしないのかと友人に揶揄されたこともあり、
内心気が気でない。

「────────?」

と。
そこで一旦首を傾げてから、下げる。
妹と同じ黒瞳が見詰めたのは被服のために見えない腰の下部、両脚の付け根の間にあるもの。

「そう言えば」

最後に朝勃ちしていたのは何時だったか、と。
ふと気になって思い出そうとして、正確に思い出せないことに気が付く。
一年前か、二年前か。
妹、それに姉が布団に潜り込むようになった頃は気を付けていたのだが、
それが習慣化するあまりいつの間にか記憶に残らなくなっていたようだ。
860湊家の朝 〜妹・彼波〜:2008/04/14(月) 22:44:32 ID:uY2uuzGq
「一応、気を付けないと」

これまで騒ぎになった憶えはないが、用心に越したことはない。
いっそ枯れてくれた方が楽かもしれないと思いながらもそう心に留め、奏は妹のいなくなった部屋で着替えを始めた。
脱ぎ着するに従って髪を始めとする体毛が床に落ちる。
奏にとっては今朝の出来事もたまにある日常の延長であり、頭を悩ませながらも異常と捉えてはいなかった。





────────ガチャリ。

扉が閉まる。
回されたノブが戻り、金属の取っ手が鍵となって内外を隔てた。

「ふふ。本当は、おはようございますよりも先に『御馳走様でした』を言うべきでしたね、私は」

防犯としては薄く脆い一枚の木の板。
それでも防音には役立つ仕切りを隔てて、彼波は小さな声で愛しの兄へと呼びかけた。
聞こえてはいないと知りながら。
聞こえてはいけないと思いながら。
聞こえればいいのにと焦がれながら。
胃の腑へ収めた兄の一部に火照り、喉奥に残るそれの芳香を反芻する。

「息、生臭くはなかったでしょうか?」

『普通の女性らしく』口臭対策を施してはあっても、彼波は兄の猛りの凄まじさを思うと不安になる。

「私には最高のアロマセラピーになるんですけれど」

兄の前とは違う、艶の加わった笑み。
ん、と鼻を鳴らした彼波がドアノブの感触に冷えた指をスカート越しにその奥へと触れさせてみると、
沈み込んだ指先に熱いぬめりの手触りが返された。
二度、三度と五指を蠢かせる。
押し込み、弾き、摘み、引っ掻く毎に、口内で止める喜悦の代わりに兄への愛情の証が溢れるのが分かった。
はあぁ、と吐息が漏れ、指と触れ合うそこからどうしようもない痺れが這い登ってくる。

そこで、手を止めた。

「・・・・・・ふう」

それ以上は本当に止まらなくなるからだ。
兄から『ご馳走』を戴いた時に彼女が堪えられる限界は、せいぜい数度。
重ねて来た経験による答えである。
あまり『はしたない』女は兄の好むところではないという判断も手伝い、
彼波は軽く額をドアに触れさせ、惜しむように数秒が経ってからそっとその場を離れた。
861湊家の朝 〜妹・彼波〜:2008/04/14(月) 22:45:53 ID:uY2uuzGq
「残りは、また兄さんに買出しをお願いした後で」

そう言いながら、声と共に吐き出される呼気はひどく熱い。
だが、耐え難きを耐えるのも、その先に目標がや救いがあるならそう苦にはならなかった。

「その時は、兄さんに包まれて、全身に兄さんの香りを擦りつけながら」

あの、兄さんのベッドで、と低く呟く。

「ふふ。お部屋のお掃除も楽しみですね」

摘むような動作。
服に付いた汚れを取るように、しかしそれにしては慎重に、彼波が制服に付着した何かを二本の指の腹に挟む。

「兄さんの分の朝御飯は、しっかりと作ってありますからね」

輪を作った右手を顔の前に運ぶ。彼波の視線が上向き、摘んだものをじっと眺めた。
ひどく美味しそうに、期待するように舌で唇を舐める。
大きく、限界まで顎が開かれた。

「では、兄さん」

閉じていた指の輪が開かれ、支えを失ったものが落下する。

「一足先に────────『戴きます』」

彼波の口内に吸い込まれるように消えたもの。
細く線のように浮かび上がる縮れた何か。
誰かの陰毛にも見えるそれが彼波の舌に触れると同時、ぱくん、と小気味良く音の鳴りそうな勢いで口が閉じられた。

「ん・・・おいふぃ」

先ず歯を噛み合わせ、次いで顎を前後させて磨り潰し、『旨味』を引き出していく。
三十回。健康ではなく、兄への愛と感謝の念を込めてよく噛む。
その間、鼻腔を通る呼気に乗せて香りを楽しむのも忘れない。
もごもごと口を動かしながら、大きく、ゆっくりと鼻から息を抜き出していく。
擦りつける様に粘膜に匂いを吸収させながら、一回の呼吸に十秒近くをかける。
何度か繰り返す内に、流石に噛む作業が終わった。
喉を通る感触を意識しながら嚥下する。
それから舌の蠢かせ、内側から頬を押し上げながら口内に残った味を掬い取り、
薄くなった分だけよく味わってから唾液に溶かすと、くちゅくちゅと攪拌してから飲み下す。

「それではご馳走様でした、兄さん」

丁寧に時間をかけて兄の陰毛を味わい尽くした彼波は、ごくりと喉を鳴らし終えてそう言った。
扉に向かって手を合わせ、踵を返して歩き出す。
場合によっては、兄が着替えを終えて顔を洗ってくるまでに朝食を温め直さなければならない。
念のためにもう一度味見もしておこうか。
粘ついた喉とたっぷりと唾液に濡れた口内を意識しながら、彼波はそう考えて笑みを浮かべた。
862変名おじさん ◆lnx8.6adM2 :2008/04/14(月) 22:50:22 ID:uY2uuzGq
投下終了
スレも早一周年。本当に早いものですね

それと、遅レスですが
>>722の方

あの双子ちゃんは通称『戯言シリーズ』の澪標(みおつくし)深空(みそら)・高海(たかみ)姉妹、
それからブラックラグーンの兄様姉様兄妹・・・姉弟?がアイディア元になっております
特に後者、当時は衝撃的だったもので

>>724の方
頑張りますorz
863名無しさん@ピンキー:2008/04/14(月) 23:11:42 ID:Jw/kvDyj
724です。本当に楽しみにしているので、執筆頑張ってください。
864名無しさん@ピンキー:2008/04/14(月) 23:17:10 ID:OqpQT60I
キモ弟小説が読んでみたいな、なんとなく
865名無しさん@ピンキー:2008/04/14(月) 23:42:30 ID:JthDG9vZ
味ってあるのかな…と思いつつもそのシチュエーションがいいね
GJですた
866名無しさん@ピンキー:2008/04/14(月) 23:45:57 ID:ZfAS0Liq
>>862
GJ
867名無しさん@ピンキー:2008/04/14(月) 23:59:03 ID:ZbYqMZd1
>>864
ショタか・・・。

兄は背が高いが顔はあれで目立たなく鉄ヲタで世間一般的に見てキモいと言われてる奴で。
弟は背が低いが顔は奇麗で学校の人気者でいつも注目をあびていて男女からモテる存在な奴で。
昔は兄弟仲良く暮らしてたが今では口も聞かなくなった兄に対して弟がなんとかかんとか。
868名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 00:36:58 ID:wLxz8nXL
>>867
オール・二人用A寝台個室の
北海道行き豪華寝台特急「カシオペア」
モテない鉄ヲタたちは、料金の高さと相手の居ないことに躊躇して
乗りたくても乗れない列車

鉄道雑誌を見て「チッ」と舌打ちする兄に、ショタ弟が「ボクと一緒に乗ればいいじゃない」と提案
「なんだかなあ」とか言いながら、弟の誘いに乗って、せいぜいススキノの安ソープで抜いてこようかと考えている兄
かくして二人で乗り込んだ札幌行きの寝台車
だが弟の真意は……

ってなとこか?
869名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 00:43:24 ID:6alls1Ym
>>862
GJ。姉も待ってます
870名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 01:05:25 ID:PkL9avp1
>>862
けしからんキモウトめ!エロエロじゃないかGJ!!
871名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 01:13:29 ID:S9bTzrAW
>>867
おとこでキモはないわー
872名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 01:20:02 ID:dv+Vr0FO
>>867
男前の兄にキモ弟(ショタ)が憧れている。
しかし、兄の妹、弟の姉がキモウト&姉で弟を邪険に扱う。
「ちょっと、お兄ちゃんが困ってるじゃないの。もう、近寄らないでね!」
「で、でもぼく…」
「はあ?じゃあ、わたしとチューする?」
「それは…やめてよ…」
「ムカつく弟ね!」
873名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 01:26:23 ID:hyHoXy1a
ショタならいいかも・・・、とも思うがまあ需要がないのはあれだろうな
874名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 02:19:26 ID:3SUy27Ig
腐とかやめてくれよ・・・・
男同士とか普通にキモイ
875名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 03:44:17 ID:M+0kVCEZ
変名おじさんがついにエロを書いたか。GJ。
876名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 03:47:56 ID:Sapt7qsq
キモ姉が弟に執着
弟が姉を意識するようになって、こっそり服装とか姉の真似をするようになる
キモ姉が発見し、弱みを握って・・・

↑こんなシチュが一部入るのはアリだなぁ
キモ姉に引きずられた微キモ弟
877名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 03:52:12 ID:/+WuW8Dg
ショタは需要以前にスレ違いだろう
それ相応の場所に行っておくれ
878名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 03:54:49 ID:/+WuW8Dg
ゴメン、間違えた
男同士だった
879名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 03:55:52 ID:6lkUMq9B
脳の一部に妹が入ってる弟なら許せる
880名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 04:56:58 ID:HVESHvRC
はあ……一緒に死んでくれるようなキモウトが欲しい……
881名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 05:49:47 ID:hyHoXy1a
読みたくないんならスルーすればいいんじゃね?と思う今日この頃
882名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 06:10:28 ID:L3ZXCznS
それが出来ないやつがいるからスレが荒れる
883名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 06:32:37 ID:UkW/S3nb
スルーすればいいじゃねとか言う以前にスレ違いのものを投下されること事態が迷惑なんだが
ID:hyHoXy1aはそんなことも分からんのか?
なんのための住み分けだと思ってるんだよ。
884名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 07:05:38 ID:hyHoXy1a
どこと住み分けしてるんだよw
885名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 07:14:13 ID:7fTCvEfm
男同士なら801行けばいいんじゃね?
886名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 07:59:53 ID:WdAIEWRa
相変わらずスレタイが読めないのが混じってるな。
男同士が読みたい&書きたいなら801行けばいいのさ。
887名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 11:07:55 ID:h/6wcAGO
まあそこまでにしておけ
言っとくが議論も言い争いもスレ違いだからな
888名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 13:25:45 ID:69LVVisp
>>852

ヤンデレスレいけばあるよ
889名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 13:33:38 ID:jXnnivd+
古い荷物整理してたらタクティクスオウガ出てきた
カチュアってキモ姉でいいのかな。
血の繋がりは無いんだっけ?
890名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 13:53:19 ID:tIp9MaKd
血縁が無くてもキモければ良いんじゃない?
891名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 14:46:55 ID:3SUy27Ig
別に血の繋がりはなくてもいいんじゃないか?

ただ、どちらがグッとくるかと言えば・・・・俺は実の妹だと言い切らせてもらう
892名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 15:27:14 ID:jSJuRp5F
>>868
それをどうにか抽出したいwww
893天才天災転載:2008/04/15(火) 15:30:35 ID:R63IPYMr
「お姉ちゃん・・巴君に言っておきたいことがあるんです」
「何だよ」
「どうして、巴君はお姉ちゃんの部屋に夜這いを仕掛けて来ないの?
  全国の弟の皆様は問答無用にお姉ちゃんを襲うために布団に入り込むのに」

「いい歳して姉の寝床に入り込む人間はいないだろうが」
「そんなのダメですぅ!! 巴君は若い性欲を受け止めるのは世界でただ一人だけなのよ
  他の女の子に痴漢やレイプすれば、亡くなったもとい、弟と夢の二人暮らしのために
  謀殺したお父さんとお母さんに顔向けすることができないわ」

「いや、ちょっと待て。数秒待て・・。今、とんでもないことを言わなかったのか」
「そ、そ、そんなお姉ちゃんのことを性欲に飢えた狼の瞳で見つめないで
  恥ずかしすぎるぅぅぅよぉぉぉおぉぉ!!」
「華麗にスルーしやがった・・このクソ姉」
「巴君・・乱暴な言葉遣いしないの・・。さあ、お姉ちゃんがベットの中で
  大人の保健授業を教えてあげるから♪」
「うん。全力でお断り致します」
「そ、そ、そ、そ、そんな。実の姉、義理の姉、血の繋がらない姉に欲情しない
  弟は不潔よ。不潔よぉぉ!! 巴君はそんな悪い子じゃないよね?」
「残念ながら・・最近、嫉妬スレやヤンデレスレを見て悟ったことがあるんだ」
「何かな?」
「キモ姉というのは弟の事を考えずに激しい独占欲と嫉妬心で檻に閉じ込めるのが
  スタンダードらしい。これはあるある捏造なんてレベルを遥かに超えている都市伝説なんだけど・・
  姉は違うよな?」

「・・・・檻に閉じ込めるなんて・・そんなことは全国にいるお姉ちゃんなら
  誰だってやっていることじゃない!!」

「((((;゜Д゜)))ガクガクブルブル」

「愛しい弟に近付く泥棒猫から守るためには家から一歩に出さないわ。
  プライベートも巴君の自由な時間すらもお姉ちゃん権限で全て管理してあげるよぉ・・。
  ずっと、お姉ちゃんは巴君の傍から離れないわ」

「ま、ま、まさか。キモ姉は実在していたのか・・」
「うふふふ・・巴君巴君巴君・・お姉ちゃんだけの巴君・・」

「ちょっと待ってよ・・本気で俺を檻に閉じ込めるのか?」
「お姉ちゃんの布団で肌と肌を重ね合うように抱きしめてくれるなら
  檻に閉じ込める件については保留してもいいですよ」
「保留かよ!!」
「嫌なら今すぐにこの時のために作った地下牢の中に閉じ込める」
「ううん・・俺も今すぐにお姉ちゃんと一緒に寝たかったんだよ」
「やったぁーーー!! じゃあ、お布団の中に入ろうね」

 結局、キモ姉を持っている弟は絶対に逆らうことができないだろうと
  俺は姉の暖かなゆりかごに包まれながら、意識は遠くなって行った
894名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 15:31:01 ID:D/xPzbtP
>>892
弟を妹or姉にすれば問題なし
895即興で義理姉ネタを:2008/04/15(火) 15:53:38 ID:tIp9MaKd
「○子。あんたちょっと、ブラコンにも程があるんじゃない? 確かにあんたの弟は
良い男だけど、弟だよ。いい加減にしとかないと」
親友の忠告めかした言葉に、私は「その時」が来たことを悟った。彼女と親友で
あり続けられるかを決する時が。
私は静かに最後通告を口にする。
「問題ないわ。私、養女だから」
ああ、鳩が豆鉄砲食らったような顔ってのは、こういう顔なのね。
「解った? 私は本気なの。あの家の子になってからもう10年、あの子が
18歳になる日を待ち続けてるわ。
あの子を夫と呼ぶことができる日をね。
あなたが弟に気があることは知ってるわ。だから選んで。このまま
私の親友でいてくれるか、消し去るべき敵になるかを」
896名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 17:27:30 ID:GXmtx106
>>893
6行目 
巴君は若い性欲を受け止めるのは世界でただ一人だけなのよ

巴君の若い性欲を受け止めるのは世界でただ一人だけなのよ
897名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 18:57:36 ID:gA2pNvUX
1レス投下、どちらも乙です
殺伐と和む

898名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 18:58:45 ID:bR6ME0ji
>>867辺りの流れはつまりあれか。
普段はキモウトだが二重人格でショタなキモ弟になる訳か。
体は女、人格は男。
899名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 19:05:27 ID:S5RnlFJq
神楽坂潤的なキモウトですね
わかります
900名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 19:18:39 ID:l7gPFJ89
キモウトとキモ弟だと、書き分けが苦しそうだ。巧い人なら大丈夫なのかな?
弟の方は、ショタなだけで常識ある弟が良いかも。ちょっと性同一性障害だけど
それ以外はまともな弟の方をつい可愛がりすぎて、キモウトが自分の第二人格を
敵と認定……客観的には自傷になるのか?
901名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 19:38:07 ID:86dcqcuh
なんというか某神郷ブラザーズの三男がキモ化したらそうなりそうだな
902名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 20:37:41 ID:Otl7tG3J
903名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 20:41:25 ID:8zO4TWjk
>>899
俺は「殺戮は一日一時間」的なのが思い浮かんだんだが
904名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 21:28:04 ID:48cVZYMB
スレタイが読めないのかなんなのか
905名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 21:29:58 ID:jSJuRp5F
いちいち指摘する厨
906名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 21:31:20 ID:sbNK5TgP
801板でやれということですね、わかります
907名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 21:41:22 ID:CVEXmPlK
ここで「男同士もおk?」とか言ってる人は単なる荒らしでしょ。
908名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 21:43:47 ID:ebZz59dY
「おっ、伸びてる!」と思って開けりゃ何コレ
脱いだズボンをはき直しました
909名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 22:12:59 ID:JzKOp+xL
まぁキモウトキモ姉好きでも801属性かショタおkないと厳しいだろ・・・
せめて埋めネタみたいな感じで投下すれば見てる人もすくないだろうが・・・
910名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 22:39:48 ID:HYTzkheZ
そもそも投下する事自体がNGだろ、801板にはショタ専とか無いのか?
911名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 23:18:44 ID:WWafsRlM
801板じゃくてもエロパロ板にもそんなスレあるでしょ!たしか?
912名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 23:21:19 ID:4+2gXwkB
男同士がいいとかいっているやつは俺の妹に処分されてしまえ
913名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 23:22:41 ID:pMKEBo3d
ここは姉・妹スレだからな
どうしても投下したいならスレ立てればいいと思う
914名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 23:34:41 ID:LSjvhZ//
ここから先投下ラッシュスタート
915名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 23:34:46 ID:9fdJFuk9
姉と妹の話をしようぜ。
916名無しさん@ピンキー:2008/04/16(水) 00:08:53 ID:fe9k4ifn
じゃあキモウトプリンセスでどうやったら全員生存エンドが見られるか考えようぜ
917名無しさん@ピンキー:2008/04/16(水) 00:13:06 ID:BoZbhDve
続きよみてぇなぁそれw
918名無しさん@ピンキー:2008/04/16(水) 00:33:23 ID:18C9xLsV
姉が修学旅行だからあいつの本棚調べてたら奥に死ぬまでにはしたい10のオナニーなる本発見した…まじかよ…
919名無しさん@ピンキー:2008/04/16(水) 00:39:45 ID:devfdSBw
あの益田君オンリー本か
920名無しさん@ピンキー:2008/04/16(水) 01:18:08 ID:E2PVuhMb
ところで、保管庫の掲示板でひっそりとキモ姉が暗躍しているようだが
921名無しさん@ピンキー:2008/04/16(水) 06:14:12 ID:hBfzUXZv
>>920
まさに隠密活動だなw
こっちで書いてくれないものか
922名無しさん@ピンキー:2008/04/16(水) 11:31:43 ID:PQm5QT6/
キモ姉・キモウトの手によって陥落してしまった兄か弟の話が読みたい今日この頃
エロパロにふさわしい内容になると思わないか?
923名無しさん@ピンキー:2008/04/16(水) 12:07:01 ID:xyqSyyu9
視点を変えた話というのも面白いかもな
陥落する心理と獣の本能の葛藤が楽しそうだ
924名無しさん@ピンキー:2008/04/16(水) 15:14:43 ID:5S9EkDbN
ここの住人たちとしてはキスシスはアリか?
925名無しさん@ピンキー:2008/04/16(水) 15:44:42 ID:hIg4mTOD
レズのキモウト・キモ姉も百合板にご退場願いたいが、
生憎キモウト・キモ姉に変わりないから退場願えない罠
926名無しさん@ピンキー:2008/04/16(水) 15:50:08 ID:PPsn0kJp
>>922
タオロー兄さんのことですか?
927名無しさん@ピンキー:2008/04/16(水) 16:22:20 ID:YV8cWEH4
キスシスってキモ要素なくね?

ただブラコンなだけで
928名無しさん@ピンキー:2008/04/16(水) 16:37:18 ID:PQm5QT6/
スレチでなければkwsk
929名無しさん@ピンキー:2008/04/16(水) 16:38:50 ID:PQm5QT6/
↑安価忘れたorz
>>926へのレスでした
930名無しさん@ピンキー:2008/04/16(水) 18:41:23 ID:RAoUWBRf
未完の作品達の続きが読みたい
何ヶ月も経ってるのは、もう無理なんだろうか
931名無しさん@ピンキー:2008/04/16(水) 19:31:46 ID:+wHpClpi
どれが読みたいんだね?
932名無しさん@ピンキー:2008/04/16(水) 19:48:39 ID:hIg4mTOD
貧乳フェチの兄に爆乳の妹の話が見たいですな
933名無しさん@ピンキー:2008/04/16(水) 19:50:33 ID:gWMWTokV
>>930ではないが淫獣のつづきが読みたい・・・

こないかな・・・
934名無しさん@ピンキー:2008/04/16(水) 21:16:36 ID:pl7pPpBA
どんなのだっけ…
935名無しさん@ピンキー:2008/04/16(水) 21:57:56 ID:8UQkjeNM
淫獣って「淫獣のむれ」のこと?そういえばあの頃すごいペースで投下されてたなぁ
936名無しさん@ピンキー:2008/04/17(木) 02:34:05 ID:E8OsBdjx
>>927
小便した後に弟に拭かせるのはタダのブラコンで済ませていい物だろうか・・・?
937名無しさん@ピンキー:2008/04/17(木) 04:43:27 ID:c7ns8fAI
淫獣は読みたいなぁ
けど、他のは・・・・
938名無しさん@ピンキー:2008/04/17(木) 05:15:13 ID:Q7T90NDU
じゃあ永遠のしろは俺がもらっていって差し支えないと言うことでちょうだいしていきます。
939名無しさん@ピンキー:2008/04/17(木) 05:38:00 ID:Jyxgns2Y
じゃあ虎とあきちゃんは俺が…

もうあの駄目姉が恋しくて恋しくて………
940名無しさん@ピンキー:2008/04/17(木) 14:55:14 ID:zmypvQpo
>>932
逆もイイよ!
僕娘の妹が爆乳の兄にキレる。
941名無しさん@ピンキー:2008/04/17(木) 14:55:41 ID:zmypvQpo
ぎゃああああああqsljkfwねがwミスったえ;rkghwshw
!!”!1」

爆乳好きの兄だった
942名無しさん@ピンキー:2008/04/17(木) 15:11:44 ID:+jh0UxBA
TSかと思った
943名無しさん@ピンキー:2008/04/17(木) 20:03:10 ID:ROqRAhCG
俺は120`級のデブ兄を想像しました
944名無しさん@ピンキー:2008/04/17(木) 20:54:53 ID:x95tX6n9
妹よりカップ数が上で揉み心地のいい胸を持つ…………兄w
945名無しさん@ピンキー:2008/04/17(木) 22:38:46 ID:3y2IbTWe
某緑色の人を思い出した
兄を監禁して徐々に女性化させていくわけか
946名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 00:22:32 ID:Y6y/fLo0
無形氏は俺の嫁
947名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 01:03:21 ID:/XyqZxjU
>>946
節子、それSSやない。作者や。ってかキモ姉やなくてええの?
948名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 01:21:55 ID:84927/Oq
無形氏を嫁にすれば自動的に氏の創作するキモ姉妹もついてくるということですね。わかります
949名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 01:33:26 ID:St2QiwIq
そんなのどう転んでも全滅ENDやないか
950名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 02:38:43 ID:xQIcf5pQ
つまり綾の人は俺の嫁でいいということですね。本当にどうもありがとうございました。
951名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 02:45:01 ID:ZysOckzG
952内の世界外の世界:2008/04/18(金) 20:52:59 ID:fjvJBNAY

チュンチュンチュンチュン

AM5:55
俺は起きた
冴えない目を擦りながら片手で届く位置にあるテレビの電源をつける
画面にはニュースキャスターが座ってニュースを読んでいる
くだらないニュース、くだらない毎日
テレビ画面の左上に表示された時間は6:00
そろそろか

コンコン
予想通りに鳴るノックの音

「お兄さま…朝ですよ?」
「ん…起きてるよ」

「そうですか…それはよかったです…ご飯置いときますね」

ここにきて説明するのもなんだが俺はニートという存在だ

トイレに行くか風呂に入るか
それ以外自分の部屋からは出ない

例え何かが必要なときでも
先程の声の主、妹の楓が持ってきてくれる

それをありがたいとも思ってるし煩わしく思ってもいる

とにもかくにも、俺の一日は始まった
953名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 21:02:43 ID:mY0XNMty
支援
954名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 21:03:41 ID:mY0XNMty
支援
955内の世界外の世界:2008/04/18(金) 21:14:00 ID:fjvJBNAY
第1話
「内の世界」

楓が持ってきてくれた朝ごはんを食べる

味噌汁のしょっぱさがなんとも言えない
しかし…なぜ楓の作る味噌汁からはいつも柑橘類の匂いがするのだろうか
未だに謎である

目玉焼きの上に乗っている赤い調味料ケチャップ
まるで抉りとられた目玉を潰した時に出た血のような…

そういう事を考えて楓の飯を食べている俺は罰当たりであろう

しかしこういう性分なので仕方がない

朝ごはんも終わり次にすること

スタンバイさせていたPCの前に座る
そしてネット
ブックマークから大型掲示板を呼び出す

さぁ…今日も楽しむか

退屈な内の世界は相変わらず退屈で平和だった
956名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 21:18:52 ID:/y1MQyYZ
続きは?次スレかな?
957名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 21:21:51 ID:a+6Y8aL+
書きながらじゃないか?
958内の世界外の世界:2008/04/18(金) 21:25:30 ID:fjvJBNAY
第2話
「僅かな異変」

大型掲示板に入って暫く
画面をスクロールさせた俺は一つのスレッドを見つけた

兄を愛して愛して仕方ない人達集まれ


クリック


腹筋スレだった

溜め息をつきつつIDチェックをしようとした時に1つの書き込みが目に入った

私は兄が大好きです
いえ愛しています

「…ふむ」
思わず声に出してしまった

暫くしてリロードされる
同じIDの書き込みが増えている

私の兄は私がいないと何も出来ません

私は必要とされています
それがとても嬉しくていとおしい

「…」

リロード

でも兄は決して笑ってくれません
ああ、お兄さまお兄さまお兄さまお兄さまお兄さまお兄さまお兄さまお兄さまお兄さまお兄さまお兄さまお兄さまお兄さまお兄さまお兄さまお兄さま

突然の連続した単語に背筋がゾクッとした

リロード

「…なんだこれは」

書き込みが全てaという投稿でうめつくされていた

またリロードする
投稿は増えていく
全てaだ
「…気味が悪い」
そして俺は見つけてしまったのだ

直人お兄さま、楓は直人お兄さまを愛しています
直人
それはみまちがえるはずない

俺の名前

俺はパソコンの電源
959名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 21:33:30 ID:fjvJBNAY
第3話
「扉の前」

「ハァッ…ハァッ…」
おかしい…なぜこんなに寒い
あれはみまちがいだ…でも自分の名前
そして妹の名前
きもちわるい一致だ

「ハハハハ…大丈夫…大丈夫だ」

コンコン

「!!!」

「お兄さま…?直人お兄さま?」

偶然にしてはタイミングが悪すぎる

コンコン
コンコン

「お兄さま?お兄さま?」

怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
俺は物音を立てぬようにベッドに潜り込み暗闇の世界へと逃げようとした

コンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコン

「お兄さま?お兄さま?お兄さま?お兄さま?…直人お兄さま!」
やめろ…やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ

「寝てなさるのですか?」


…………………
………………?
行ったのか?

俺は布団の隙間から扉を覗こうとした

間近に俺と同じ黒い目玉

「なんだ…起きてるじゃないですか…愛していますお兄さま」

そこで俺の意識は途切れた
960内の世界外の世界:2008/04/18(金) 21:39:36 ID:fjvJBNAY
あげてしまった…すまない

第4話「夢」

「ん………」
目を開ける

なんてことはない自分の部屋だ

「…夢?」
そう、あれは夢

「飯を食べた後眠ってしまったのか…」

しかし体がさっきよりだるい

二度寝の影響だろうか

「…あの書き込みも悪い夢…あの楓も夢…それで解決する、そうさ…そうだろ…」

しかし俺は気付かなかった
扉が少し空いていて
そこから覗きこむ2つの目玉に

後に俺は最悪の形で外の世界の醜さを知る事となる


第一部完
961名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 21:56:12 ID:MVcf3yCt
>>960 GJ!!これぞキモウトというのを見た気がする。ところで、楓様はこのスレを見ているのだろうか?
962名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 21:59:20 ID:7nOasKuH
GJ!続きを早くみたいな
963名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 22:01:45 ID:fjvJBNAY
>>961きっと見てますよ…おや、あなたにお客様ですよ?

>>962一応結末は考えてあります
今は繋ぎを考えてます
964埋めネタ:コードキモス:2008/04/18(金) 23:54:38 ID:by8aTIU1
>>960続きをお待ちしてますよー。
埋めがてら投下します〜
965埋めネタ:コードキモス:2008/04/18(金) 23:55:17 ID:by8aTIU1
皇歴2010年8月10日、世界唯一の某神聖大国が地下資源サクラダイトを
巡って日本に侵攻してくることもなく。
何年経っても日本は日本であり、相変わらずEXILEが売れまくっていた。
さて、そんな日本の首都、東京は新宿区。
一人の少女が街を悠々と歩いていた。
少女の名は、ハチリー。名前が明らかに日本人ではないが、そんなものは些細な事である。
悪いのは、こんな名前をつけたモンスターペアレントであって、彼女には何の非もない。
ハチリーがいつものように、伊勢丹周辺をうろうろしていた時のことである。
事件は起きた。
向かい側から、髪をライトグリーンに染め、妙ちきりんな拘束衣を纏った少女がやってくるではないか。
まあ、ファッションなんてものは各個人の美意識に基づくものであるから、ハチリーが文句をつけるのは
お門違いな話ではある。
しかしこの緑色の女、事もあろうにいきなりハチリーの前に立つと、意味不明な事を話だしたのである。
『王の力はお前を孤独にする。それでも私と契約するか?』
ハチリーは、
(ああ、これはきっと新手のキャッチなんだわ…。こんなのに付き合ったりすれば、
きっと高い空気清浄機とか買わされるんだわ…。さっさと家に帰ってお兄様とお茶でも
しようっと…)
突然現れたDQNに惑わされる事なく、駅に向かって歩きだした。
しかし、その緑髪女、何とハチリーの後をずっと付いてくる。
しかも『王の力はお前を…』とか『力が欲しいか?』などと、ジャンルを超越した言葉をひたすら
囁いてくるのだ。
あまりのしつこさに、ついにハチリーが折れた。
「分かった!分かりました!契約しますよ!これで文句ないでしょう!?」
その瞬間、何だか色んな映像(提供、サンライズ)が頭の中を駆け巡った。
そしてハチリーが全てを理解した時には、もう緑髪の女は跡形もなく消え去っていたのだ。
ハチリーが手に入れたモノ。
それは、キモスという力。
相手と目を合わせる事で、どんな命令にも従わせる事のできる絶対尊主の力である。
無論、ハチリーはこの力を使って「この国をぶっ壊す!」などとは考えない。
そんなものは、X JAPAN好きの元総理にでも任せておけば良い。
ハチリーが考えたのは、
(この力があれば、お兄様を一生私のモノにできるかもしれない…。)
あくまでこの一点だけであった。






966埋めネタ:コードキモス:2008/04/18(金) 23:57:03 ID:by8aTIU1
さて、そんなこんなでハチリー我が家へと帰ってきた。
期待に微小な胸を膨らませ、股間をビショビショに濡らしながらハチリーは玄関のドアを開ける。
愛しの兄がいる部屋のドアを開ける。

(……いた)

ベッドの上で、こちらに背を向けるハチリーの兄、福山潤。何かブツブツ呟いている。
「お兄様♪こっちを向いてくださいな♪」
「ん?なんだいハチ…」
潤がハチリーへと首を回すと同時に、ハチリーの瞳にベンツのマークのような記号が浮かび上がる。

『ハチリー・リ・ぶるあああぁぁぁたにあが命じる!私の性奴隷になれ!!』

(ふはははははははははははははははははははははは!!やれる!やれるじゃないか!!)
ハチリーはこの時、既に勝利を確信していた。



「は、ハチリー…お前…何てはしたない事を…」
「あ、あれ?」
ところがキモスの力が作用しない。
理由は簡単である。
潤の顔全体に包帯が巻いてあったのだ。
「お、お兄様…。お兄様こそ一体何を…」
良く見れば、包帯には目が描かれている。ただし、瞳の部分が人差し指を立てた拳になっている
イカしたデザインだった。
「オレ、今日から世界征服する事にしたぜ!!」
「いけません、お兄様!そういう夢や思想は小さい頃に作った秘密基地にでも捨ててらっしゃい!!」
ところが、兄はこの包帯が大層気に入ってしまったらしく、なかなか外そうとしてくれない。
そのうえ、先程のハチリーの言動についてお説教を始めてしまった。

痺れる足をモゾモゾと動かしながら、ハチリーは誓った。
『見つけてみせる!!お兄様を手に入れる方法を…!!』
この日より、ハチリー改め「お兄様開放戦線」の戦いが始まったのであった。
967名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 23:57:36 ID:by8aTIU1
投下終了ざんす。
968名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 00:10:05 ID:FJn4O8dj
ここに投下した意味がよくわかんねーよ
969名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 00:21:06 ID:p582zUrv
>>968ネタのつもりで書いたんですけどスレ違いにも程がありました。
気に障ったらごめんなさい、以後スルーしてください
970名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 01:50:28 ID:TACSKSS+
俺は嫌いじゃないぜw

ってか兄貴の方、もうちょっと名前ひねってやれよww
971名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 01:55:47 ID:dIP9T1uU
あまりに直球過ぎて、妹の方の名前を理解するのも若干時間掛かったけどなw
972名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 17:23:51 ID:6ZgMYFkg
こういう文体結構好きだw
973名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 09:28:13 ID:6+hP+vV1
>>862
出夢君とリズムちゃんではないんですね
974内の世界外の世界:2008/04/20(日) 10:38:05 ID:5GfWoRW+
俺が内の世界を出なければ

―私がお兄さまを外の世界に出さなかったら―

きっとこういう

―結末はなかったのだろう―

第二部

第1話「転機」

何ヵ月振りだろう
携帯から数年前に流行った音楽が流れる
電話だ

「もしもし…?」
「あ!ヤッホー!覚えてるかな?私私」
「…由衣か」
「んふふふ♪ニート卒業できた?」
「…うるせぇ」

電話の相手は同級生だった由衣
唯一俺に話しかけてきた女だ
半年ほど前を境に連絡が途絶えたので忘れられたのだろうと思ってた

「用件は?」
内心嬉しかったが感情を込めないように…なるべくクールに会話を続けようとする
「んー…今から会える?」
ズキ
「外に…出ろと?」
「ん…駄目?」

俺は…俺は
975名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 10:50:25 ID:txa9OQed
もうすぐ500KBだけど・・・
976名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 15:47:05 ID:Dxe2igAZ
>>974これはよさげ、つづきは本スレでいいのかな?
977名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 17:02:04 ID:JLvvD+8o
どうぞここでお構い無く。
978名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 23:39:24 ID:3JgFeINN
           兄
     ____________
    ヾミ || || || || || || || ,l,,l,,l 川〃彡|
     V~~''-山┴''''""~   ヾニニ彡|       近親相姦はする・・・・・・!
     / 二ー―''二      ヾニニ┤       するが・・・
    <'-.,   ̄ ̄     _,,,..-‐、 〉ニニ|       今回 まだ その時と場所の
   /"''-ニ,‐l   l`__ニ-‐'''""` /ニ二|       指定まではしていない
   | ===、!  `=====、  l =lべ=|
.   | `ー゚‐'/   `ー‐゚―'   l.=lへ|~|       そのことを
    |`ー‐/    `ー――  H<,〉|=|       どうか諸君らも
    |  /    、          l|__ノー|       思い出していただきたい
.   | /`ー ~ ′   \   .|ヾ.ニ|ヽ
    |l 下王l王l王l王lヲ|   | ヾ_,| \     つまり・・・・
.     |    ≡         |   `l   \__   我々がその気になれば
    !、           _,,..-'′ /l     | ~'''  近親相姦の実行は
‐''" ̄| `iー-..,,,_,,,,,....-‐'''"    /  |      |    10年後 20年後ということも
 -―|  |\          /    |      |   可能だろう・・・・・・・・・・ということ・・・・!
    |   |  \      /      |      |
979名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 00:12:03 ID:knb9OanP
いや、20年後はちょっと……
980名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 00:40:11 ID:wsLkMcPb
5年後に作った息子or娘が、15歳になってるじゃないか。スレ違いだがw
981名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 06:52:50 ID:kef2E0xM
もちろん親はお前と姉妹どっちかだよな?
982名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 12:15:02 ID:0Dc9SyJ+
姉妹のどっちともっていうこともあるかもしれないんだぜ
983名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 15:36:06 ID:KSr+rb2p
まさに「籠の中」の世界ですね、わかります
984名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 17:17:33 ID:kef2E0xM
981だが実はそう言いたかったりしていた。
985名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 13:36:51 ID:Z9IHIfLh
キモウトSSの投下を楽しみに待っているお前らにお勧め
「全日本妹選手権」
ブック○フの100円コーナーに大体置いてあるから手頃な値段
SS投下までの暇つぶしにしては十分楽しめる作品だ
まあ騙されたと思って読んでみろ。今は亡きヤングアッパーズのコミックだ
986名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 14:07:01 ID:FOQ3+039
本気で言っているのか?
987名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 16:28:03 ID:oE2mFoQ0
>>985
ギャグだと明言しておかないと、騙される人が続出するぞ。

……しないか。
988名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 02:17:20 ID:jIo1QMz6
何か埋めAAみたいなのは無いもんかねw
989名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 08:10:08 ID:9RD9Urkz
キモ姉と言ったら、
別冊マガの、
キス×シス
だろ? ぢたま某が書いてる
990名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 14:41:45 ID:FjnJNZbl
キスシスはキモ姉ってほどキモくもない気がするが
991貴方だけを愛します ◆PsPjd8yE3E :2008/04/23(水) 19:52:23 ID:bRTgdH+/

投下、予告です。
992貴方だけを愛します ◆PsPjd8yE3E :2008/04/23(水) 19:53:04 ID:bRTgdH+/
[kai side]

うむ、プロットも、推敲も、誤字脱字も確認終わりっと。
残すは、我が人生にして最初のにちゃんねるカキコだ。

緊張するなーと心中ひとりごちる。
すると机の横、つまりは俺に真横に仁王立ちする女性が現れた。

「・・・・・・ッ!!!」

とりあえず、上書き保存して終了させる。
彼女に修羅場SSの原稿を見られれば、
うるさくなんか云われるだろうから。

そして、回転式の椅子を回し彼女に身体を向けた。
怒りに満ちた声で叫ぶが、まったく無音の状態だ。
やれやれと、耳でも穿[ほじ]ろうと耳に小指を入れた。
そしてああ、当たり前か、と100円ショップで購入した、耳栓を抜く。
ジャストタイミングに息を吸い込んだ彼女がミーの耳の傍に。

轟音。

「兄さん、聞いてるんですかっ!!
 まったく、私の服と一緒に入れないで下さいといったじゃないですか」

「・・・悪い、忘れてた」

そうなのだ、キーンと耳鳴りがする中、失念したことに気がついた。
この目の前のポニーテール少女は、俺の服と、自分の服を別々に洗うのだ。

もっともしょうがない、俺と妹は、義理の―――。

「ただいまー、」
「お義母さん、お帰りなさい」
「母さん、お帰り」

そう、僕の実の母親は幼いときに、病気で亡くなった。
まぁ、再婚に関してはそれから五年も経ったから、しょうがない、
と今では思うようには、していたが。

まさか、まさかあちらも子持ちだとは、思ってなかったわけで。

というか、俺としてはおっとりとした包容力溢れる桜さんから、
何故規律一辺倒のような雪が生まれたのかは、わからない。

正に、遺伝子さん何やってんですかってことだ。

閑話休題。
993貴方だけを愛します ◆PsPjd8yE3E :2008/04/23(水) 19:53:46 ID:bRTgdH+/

ともかく本題に戻ろうか。

雪は何故か一緒に僕と登下校を一緒にしないことが多い。
まぁ、俺が中学一年、雪が小学六年生だったときから、
俺がせめて行きは通り道である小学校まで歩いてやる、
なんて言ったもんだが、拒否された。

でもあの頃は、『兄さん眠れないから一緒に寝てください』
とプーさんのぬいぐるみを片手に俺の部屋に来たんだけどな。

兄さん、寂しいよ。自分の愛娘が離れていくってのはこんな感じなのか。

そして今現在とて、同じ高校に入れた・・・。
正確には、俺の学校のような三流ではなく、
一流を狙えることができたのにな。


『私、特待生で学費免除だから』とにこやかに振舞った。
もちろん、所謂裏モードというやつなのだが。(D.C.より参照)


それまで頑なに進学先の高校を知らなかった僕。
入学したとき、生徒会の下っ端として活躍し始めていた僕は、
ビラ配りをした相手がまさか妹なんてわからなかったわけで。
妹に似ているな、いやでも、妹はもっと可愛くて、なんて
真性シスコンになりかけた僕は・・・しかし、
入学したとき、僕は雪から真実を聞いた。

俺はあんぐりとした口を、元に戻すまで一分を要した。
まぁ、そのあと何故か生徒会に出入りするようになるんだけど。



994貴方だけを愛します ◆PsPjd8yE3E
[Yuki side]

「俺ってそんな臭うかなー?」

性ホルモンが出てんのかぁー?と
中肉中背のしかし逞しい肩口に鼻を寄せ呟く兄さん。

あなたが思うほど、匂いは出てませんよ。
むしろ、それが腹立たしいことです。
だから、こうやって溜めて洗濯するんですから。



兄さん、好きです。愛していますよ、“誰よりも”



本当は嬉しかったんですよ。
新しいお義父さんが出来たとき、
不安で押しつぶされそうになって、
でも、幸せな母さんに言い出せるはずもなくて、



手を差し伸べてくれた貴方を、今でも鮮明に思い出せます。



ぶっきらぼうに、しかし優しい手を、
怖くて私は掴む事はできなかったけど。



でも、それでも、あなたは、
毎日めげずに、私のことを心配してくれました。