らき☆すたの女の子でエロパロ35

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1名無しさん@ピンキー
アニメも好評のうちに終了し原作も大好評連載中、PS2版も08年1月24日無事発売した「らき☆すた」でエロいの行ってみよ。



☆カップリングは自由
☆基本的に百合マンセー
☆801は禁止(と言っても男キャラあんまいねぇ)
☆投下した作品の保管を希望しない場合、前もってその旨を知らせること



※マナー等※
※割込みを防止するため、書き込みや投下の前等にリロードを。
※荒らしや煽り、気に入らない人・作品等はスルーで。
※グロやSM、鬱モノなどの過激な内容は断りを入れてから投稿する
※読者=主人公の作品(いわゆる俺キャラもの)についてはNGワード指定や断り文を確実に。
※480KBまたは950レスのどちらかに近づいたら、次スレの準備を。



■みゆきさんの一言メモ

・投稿の際に、メール欄に半角英数でsageと入力すると、スレッドを上げずに書き込めます
 『sage』では有効になりませんので、全角・半角を確認してください

・スレッドの閲覧・書き込みは、絶対ではありませんが専用ブラウザの使用を推奨します
 これにより『人大杉』のエラーが回避できます

・SS投下は、一度メモ帳やワードパッドなどで書き上げてからまとめて投下してください
 投下間隔があくと、他の方がレスできなくなってしまいます



マターリはぁはぁしましょうか。



☆まとめサイト(管理人と職人に感謝!)(避難所の行方はここ参照)
ttp://www33.atwiki.jp/kairakunoza/pages/1.html
☆派生サイト:てけてけかなたさん伺か化計画
ttp://neo-experiment.hp.infoseek.co.jp/index.html
☆前スレ
らき☆すたの女の子でエロパロ34
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1200832768/
2双子の兄:2008/01/28(月) 04:03:43 ID:FQJ+BRGS
スレ立て感謝しますw
さっそく投下してもいいですか?
3名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 04:04:53 ID:qqR4LURr
>>2
べ、別にあんたの為に立てたわけじゃないんだからね!

…お願いします。
4名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 04:04:58 ID:KKfULITq
>>1
乙これはポニーうんたらさあ始めザマいくでンガー
久しぶりのかがつか期待wktk

もしかして一行目空白だと書けない規制の可能性は無いよね
5双子の兄:2008/01/28(月) 04:07:36 ID:FQJ+BRGS
『報われない恋』

短編

・かがみ→←つかさ
・非エロ
・シリアス

一行目空白にしてたかも;;
以後気を付けます。
6報われない恋:2008/01/28(月) 04:10:31 ID:FQJ+BRGS
 移り行く季節は時を感じさせるには充分な変化を見せてくれる。色んな季節を見る度に
、私の望みは霞み、想いは大きくなり続けていた。何処で間違えたのだろう。そんな反比
例な私の心は、私には辛すぎた。




     報われない恋




 最初の変化に気付いたのは高校三年になったばかりの春の事だった。淡い桃色の花を
満開に咲かせる桜の木の下で私達は向かい合って微笑み合う。「桜、綺麗だね」、そんな
取り留めのない会話を肴にこれから迎える高校生活最後の年に思いを馳せた。
 一枚、桜の花弁が舞う度にこれまで過ごして来た思い出が走馬灯のように頭の中を過
ぎ去って、少し切なくなるけれど、これからまだまだ沢山の良い思い出が出来て行くのだ
ろう、と楽しみにもなった。まだ少しだけ肌に痛い風は、春と言う季節を裏切らずに爽やか
な空気を運んで行って、受験と言う最大の不安も今だけは何処か遠い彼方へと吹き飛ば
してくれた。
「お姉ちゃん」
 不意に、桜に眼を奪われていた私に掛かる、嬉しそうな、何処か物哀しそうな、そんな声
。上に向けていた視線をすぐ隣へと移動すると、そこには私の実の妹であるつかさが微笑
を称えながら私の眼を見つめていた。紫苑の、キラキラと輝くその眼に、私も釘付けとな
る。毎日見ているはずなのに、今は春だからか不思議な魔法にでも掛かってしまったの
だろうか。
「どうしたの?」
 暫く、滑稽な話ではあるけれど二人で見つめ合って、私は尋ねる。周りには誰も居ない
。満開の桜の木の下、私とつかさの二人きり。吹きすさぶ桜の花弁は優雅に私達の間を
通り抜け、青一色の天へと舞い上がる。見上げてみれば、蒼いキャンバスの中には描か
れるようにして桜の花弁が映っていた。
「私達、ずっと一緒だよね」
 先ほどと同じ、おっとりとした微笑はそのままに、けれど先ほどよりも真剣な眼差しで。
つかさは私の眼を一直線に射抜いてきた。普段とは違う、真面目そうなつかさに多少驚
いて、けれども尋ねられた質問の答えは当然のように一つしかなく。私はつかさと同じよ
うに真剣な眼差しで視線を返す。
 一際強い春風が私達の間を通り過ぎて、私は一回深呼吸すると、乱れてしまった髪の
毛を片手で抑え付けてから言葉を紡ぐ。それは確かな拒絶であったのかもしれない。け
れど、教えてあげないといけないと思った。ずっと一緒にはいられない、これから先、私達
の人生の分岐点は無限に増え続けるのだ。これまでみたいにずっと一緒には居られない

「無理、よ。つかさにはつかさの人生があって、私には私の人生がある。ずっと一緒なん
て、きっと無理」
 そうだ。
 私の言った事は正しい事であるはずなのだ。これまではたまたま人生という列車が走
る線路が同じ方向に進んで来たからこそ一緒に居られた。スタート地点でさえ同じ場所、
同じ時、であったのだからそれはある種の必然と言えるのかもしれない。
 けれど、それは必然に見えるだけの偶然に他ならなくて、実際には色んな可能性が結
びついて結果的に同じ道を歩んで来ただけだ。これからは違う。私達には多くの選択肢
が突き付けられ、そして私達という人間が確立しているからこそ同じ道を歩むだなんてロ
マンチストな事は不可能だ。
 だから、言った。後悔はしていない。間違ったとも思っていない。つかさの為を思うなら
、そして何より私が私として前に進むためには、言った方が良い。言葉にしなくては伝わ
らない、それは私の覚悟の一つの表れだったのかも知れなかった。
「そっか……そうだよね」
7報われない恋:2008/01/28(月) 04:12:35 ID:FQJ+BRGS
 つかさは数度そう呟いて、足元に散らばる桜の花弁を少しだけ見つめて、自嘲するような笑みを零した後で、勢い良く
顔を上げた。一点の曇りも無い、つかさらしい無邪気な笑顔。それも、或いは――覚悟、
だったのかもしれない。「桜、綺麗だね」、再びそう漏らしたつかさの声はとても明るくて、
向けられた笑顔は眩しいほどに綺麗に見えて。
 私は心臓が一瞬跳ねた気がした。ドクン、と大きく脈打って、それはまるで“気付け”と私
を責める声のように。「そうね」返すと同時に強い風が私達の間を通り抜ける。爽やかな陽
気を纏った風は、桜の花弁と一緒に私の大切な想いを盗って、隠してしまった――。



 夏、全てを曝け出そうとしているかのように照り付けるお天道様の光がアスファルトを焦
がし、熱した鉄板のような熱気が気温を容赦なく上げていた。薄手のノースリーブの襟元
をパタパタと団扇の代わりにしながら、私は目の前に散らばる課題のノートを見て、嘆息
した。
 夏休みに入って、私は適度に遊び、予定通りに課題をこなし、そろそろ中盤に差し掛か
った長い休日の一時の中で机に向かわなければならない事に憂鬱な気分にさせられて
いた。すぐに課題をやる気にはならず、私は椅子を引いてそこに座り、頬杖をついて窓の
外を見遣る。
 遠くの空で、白く大きい入道雲が影を降ろしている。ゆっくりと流れる雲に感化させられ
たのか、私まで時の進みが遅く感じられる。それに合わせて降りかかる蝉時雨に耳を澄
ましてみれば、子供の頃に感じた懐かしい思い出が波となって私に押し寄せて来
た。



 小学五年生の頃、つかさが中々家に帰って来なくなった日があった。昼間に家を出て、
友達と遊びに行って来る、と言って家を出たつかさを見送ったのは私で、その時私は、私
を置いてつかさが一人で誰かと遊びに行くのが面白くなくて、素気なくつかさを送り出した

 それから太陽が夕陽の淡い赤を迸らせる時間になってもつかさは帰って来なかった。
何時もは暗くなる前には必ず帰って来るつかさがこの時間に帰って来ないのはかなり意
外な事で、それでももう少ししたら何事も無かったかのように帰って来るのだろう、と家族
全員がそう思っていた。
 けれど、予想に反してつかさは日が完全に地平線に沈んでも帰って来る気配を見せな
かった。流石に心配になった両親とお姉ちゃん達はそわそわしていて、後五分して帰って
来なかったら警察を呼ぼう、と話していた事も覚えている。切欠は、一つだった。
 警察、という単語が出て、誰よりもつかさを心配していた私は居ても立ってもいられなく
なった。気付いた時には蒸し暑い外へと飛び出して、街灯だけが提供してくれる頼りない
光を道標に走り出していた。後ろから聞こえていた制止の声も、まるで届いていなかった。
 走り続けた。行く先も分からないのに不安だけを胸に抱えて、一心不乱につかさの名前
を叫びながら走り続けた。途中、小石に躓いて膝を擦り剥いても、何処からか聞こえて来
る犬の遠吠えに怯えても、すぐに私の声がつかさに届くと信じて叫び、走った。
 どれぐらいの間駆けずり回ったのか、見当も付かなくなった時、私はある川の土手に座
り込んだ。漆黒の闇に包まれた川辺からは不気味なせせらぎの音が永続的に流れてい
て、まだまだ幼かった私は怖くて仕方がなかった。
8報われない恋:2008/01/28(月) 04:13:47 ID:FQJ+BRGS
 幾ら探してもつかさが見つからない。幾ら叫んでもつかさの声が返って来ない。自分が
やっているのは不毛なことなのだろうか、つかさはもしかして無事ではないのだろうか、そ
う思う度に涙が頬を伝った。何であんなに冷たくつかさを送り出したのだろう、と悔恨の念
に心が押し潰されそうになっていた。そんな時、川のせせらぎに混じって聞こえた音があ
った。
 何かを探しているのか、土手に茂る草を掻き分けているような、そんな音。それに混じっ
て、無いなー、と言う呟きが。私が聞きたくて仕方がなかった優しい声が、確かに川のせ
せらぎと一緒に聞こえた。
 私は叫んだ。そこに居るのがつかさだと、信じて叫んだ。夜の闇に負けないように、私の
声を遮る川のせせらぎを超えられるように、全力で叫んだ。不意に、土手の上に一台の
自動車が止まって、その車のライトのお陰で暗闇に包まれた川辺の土手は明るく照らし
出されて、込み上げて来る涙を必死に抑え付けながら私はあちこちに首を振ってつかさ
を探した。
「お姉ちゃん……?」
 私の不安を全て杞憂に終わらせてくれるような能天気な声は、意外にも私のすぐ下の
方から聞こえた。草のクッションに膝を付いて、着ている服を泥で汚して、キョトンと私を
見るつかさがすぐ近くに居た。
 私は声も出す事が出来ず、込み上げて来る涙に耐える事も出来ず、それらを抑え付け
るようにしてつかさの体を強く抱き締めた。え、え、と何が起こっているのか分からない様
子のつかさを無視して、私は嗚咽と一緒につかさの名前を呼び続けた。存在の証明が欲
しくて、ただ一心に。
 どうやら、土手の上に車を止めたのは警察だったらしい。私達の事を保護した旨を、報
告しているのが聞こえた。私は自分が落ち着くと、漸くつかさを腕の中から解放して、涙
のフィルターが掛かった視界でつかさを見つめた。ちょっと怒気を示して、ちょっと嬉しさを
滲ませて。
「あ、お姉ちゃんの為にこれ作ってたんだよ。はい、プレゼント」
 それなのにつかさはお気楽な声音で手に持った何かを私に差し出して、嬉しそうに微笑
んだ。自分がやった事がどれだけ私に心配を掛けたか、まだ分かっていない様子のつか
さに説教をしてやろうとも思ったけれど、当時私はまだまだ幼くて、おまけに心配ばかり
かける妹から離れられなくて、だから手渡された物を見て自然と顔が綻んでしまうのも必
然で。
 見れば、それは何処にでもあるような花を集めて作られた花輪が私の手の中にあった
。形は歪だし、一目見て不器用なつかさが作ってくれた物なんだな、と分かってしまう物
。決して綺麗とは言える代物ではなかったけれど、子供心につかさが話した理由は嬉し
すぎた。
「お姉ちゃん、今日は元気無さそうだったから……元気になってくれるかな、って思って
。ちょっと失敗しちゃったけど」
 エヘヘ、と恥ずかしそうに笑うつかさを見て、私はもう一度つかさの体を思い切り抱き締
めた。暖かい温もりと、つかさの香りを私は一番近くで受け止めた。人目なんか気にしな
い、ずっと一緒だと思って疑わなかった、幼い頃の思い出――。
9報われない恋:2008/01/28(月) 04:15:05 ID:FQJ+BRGS
 一人、感傷に浸っていると、遥か遠い位置にあると思っていた入道雲は少しだけこちら
に近付いていて、真正面に見る事が出来る夕陽の光に当てられて真っ白な色を赤く染
めていた。ゆっくりと流れる時に合わせて鳴いていた蝉達の合唱は徐々に沈静化を始め
ている。
 ふと、視線を机の上に落してみれば、そこには手の付けられていない白紙の課題。そ
ういえば何もやっていなかった、何時もなら此処で自己嫌悪する私だけど、久し振りに思
い出した懐かしい思い出の所為で辿り着いた結果ならば、後悔なんてするはずもない。
 そろそろ蚊が入ってくる時間かな、と私は網戸を閉める。それが終わると同時に私の部
屋の扉が開けられた。振り返らなくても誰かなんてすぐに分かる。やがて、その人物は声
を出した。
「宿題で分からない所があって……」
 控え目に尋ねているから、きっと私の勉強を邪魔していないかどうか怯えているのだ
ろう。つかさは優しいから、何を考えているのかなんて手に取るように分かった。
「数学?」
 私は振り返らない。確認する為に、質問する。
 つかさは私の機嫌が悪いとでも思ったのか、躊躇いがちにうん、と言った。それを聞
いて、私は椅子を回してつかさの方に向き直る。手には未だ手つかずの数学の課題を持
って。
「私もやってないから、一緒にやろっか」
 私が舌を出しておどけるのを見て、つかさは表情を一気に明るくさせた。そして、今度は
喜色満面の笑みと一緒にうん、と頷いた。



 もう蝉達の声は聞こえない。全てを白日の下に曝そうと猛威を振るうお天道様も地平線
に沈んでしまった。昼間よりかは幾分涼しくなって、私はつかさの部屋で向かい合いなが
ら誰が考えたのかも分からない問題を解いていた。
 前を見てみれば、うんうんと唸りながら問題集とにらめっこしているつかさの顔が眼に入
る。私はふっと微笑んで、つかさの隣に身を寄せた。夏だし、暑苦しいかな、とも思ったけ
れど、つかさの体は案外ひんやりとしていて気持ち良かった。
「お姉ちゃん?」
 私の行動が意外だったのか、つかさが丸くて大きな眼を更に大きく丸くさせて私を見た。
私は気にせずにつかさの前に広げられている問題集に指を滑らせる。見ると、解かれて
いる問題は僅かな量で、ちらりとつかさを見てみると恥ずかしそうに視線を下へと落とした。
「私が教えてあげるから、頑張るわよ。えーと、ここは――」
しそうな表情、まだ分からないのか、困った表情、そのどれもが見ていて飽きるものでは
なくて。教えてあげる代わりに貰ったものは割と高いものだったかな、と思った。
 もう蝉達の声は聞こえなくて、全てを白日の下に曝そうと猛威を振るうお天道様も地平
線に沈んで行って、昼間よりかは涼しくなったつかさの部屋の中、外からは楽しげな夏の
虫たちの演奏が、空に浮かんだ純白の光を放つ満月は、穏やかに私達を見守っている
ようで。
 そう、それは――私の気持ちがお天道様によって暴かれたからかもしれない。今まで
知らない振りを通して来た私の気持ちを、あのお天道様は。
10報われない恋:2008/01/28(月) 04:17:21 ID:FQJ+BRGS
 新緑の葉が色を変え始める秋、私達は変わり行く季節をすっかり色の変わった木の葉
を見ながら肌で感じていた。冷たいけれど、夏の余韻はそのままに、風は落ち葉を掬いな
がら吹き、私の長い髪の毛を、つかさの短めの髪の毛を揺らして行った。
 秋晴れ、その単語が正に似合うような天気の下で、私は飽きもせず、紅い背景に映るつ
かさの姿を見詰めていた。
 あの、熱く眩しい夏の太陽は隠していた私の気持ちを白日の下に晒してしまったのだ。
色んな理由を作って、それが正しいのだと言い聞かせて、私は自分の感情を殺していた
。けれど、それも出来なくなってしまった。元々抑え付けられるようなものではなかった。
隠したままで、今までと同じように毎日を過ごせるほど小さい感情ではなかった。
 私はつかさが――好き。
 双子だから、とか、そんなものではなくて、一人の女性としてのつかさが堪らなく愛しか
った。それを自身で納得するのは簡単な事ではなかった。本当はもっともっと昔から抱い
ていた気持ちのはずなのに、色んな事情が合わさって、それに気付けないでいた。
 同性愛者だから、そもそも姉妹間の恋愛など認められるはずがないから。もしも、そん
な可能性があるとしたら、それこそ万に一つ、いや、それ以上に小さい確率の話になると
思う。それを表現するならば、それはまるで天文学的数字でしか表わせないというほどに

 空を見上げる。少し悲観的な思考回路になっていたのか、秋晴れの天気だと言うのに
私の気分はちっとも晴れやかではない。少しだけ私から離れた所でつかさがはしゃいで
いる。もうそんな事ではしゃぐ年でもないでしょ、何時もなら簡単に出せる突っ込みも今は
出ない。
 世の中のしがらみを取っ払う事が出来るならどれだけ楽になれるのだろうか。少なくと
も今みたいに不毛な恋愛をしているんだ、と卑屈になることもなく、素直に想いを告げる事
も或いは出来るのだろう。それは何も出来ない今とは比べても比べられないような理想
の世界のような気がした。
 日に日に募っていくつかさへの想いが私にある種の楽しみな感覚と莫大な不安を同時
に与えてくれる。何時か、私は壊れてしまうのではないか、とそれが笑って言えないくらい
に私の心は参っている。こうしてつかさの顔を見ていると、その時だけはその事も忘れら
れるけど、一人になった時はどうしようもなく怖かった。
「お姉ちゃん、ほら見て。トンボが飛んでる」
 つかさが嬉しそうに駆け寄って、指差した場所には蜻蛉が縦横無尽に飛び回っている。
秋を感じさせるにはもってこいの昆虫が、私達を誘うかのように不規則な動きの軌道を見
せていた。
 すると、つかさがおもむろにその近くへと静かに近付いて、手を前に差し出したかと思う
と、そこから人差し指だけをぴょこんと突き出した。
 ああ、あれか。確かああやってると蜻蛉が人差し指に止まってくれるのだったか。幼い
頃、お父さんにそれを見せて貰った私達はあまりの感動にお父さんは魔法が使えるんだ
、と騒いでいた気がする。今ではそんな事言う訳もないけど――つかさはどうにか止まっ
てくれないか、と真剣そのもの、と言った表情で自分の人差し指の先端を睨んでいた。
 馬鹿な事を考えた。しなやかに伸びるつかさの指を見て、本当に馬鹿な事を。私らしくな
くて、普段は考えたくても考えられないような事。そんな事を極々自然に考えてしまった。
 もしも、あそこで飛び回っている蜻蛉が、この世の中に翻弄されている私自身だとした
ら、そこに差し出されたつかさの指に私は止まる事は出来るだろうか。全てを放り出して
でも、その指に止まる事が出来ただろうか。私から止まる事が出来ないのならば、差し出
された指には止まる事が出来るのだろうか。
 それでも、私が見ている光景は『つかさが』蜻蛉を指に止まらせようと頑張っているので
はなく、『蜻蛉が』つかさの指に止まろうと頑張っているようにしか見えなくて。そこまで考
えて気付いた。
 もしかしたら、つかさはもっと前から私に指を差し出してくれていたのではないか、と。例
えば私に泣きついて、頼りにして来てくれる時。例えば私と一緒に過ごしている時に私に
だけしか見せない笑顔を咲かせる時。それが当然だと思って疑わなかった昔の私はその
全てに気付かなかったのかもしれない。
 ああ、それに。今の私ではつかさの指に止まる資格など無いではないか。今年の春―
―桜の花弁が舞うあの季節に聞かれたではないか。あんなにも真剣な眼差しで、あんな
にも寂しそうな眼差しで。
“私達、ずっと一緒だよね”
 私は何と答えた?
11報われない恋:2008/01/28(月) 04:19:38 ID:FQJ+BRGS
 自分の気持ちに気付く事にすら怯えて、何も知らなかった私は何と答えた?
 言ったはずではなかったのか、明確に、真剣に、あの子の為だと自分を偽ってまで、ハ
ッキリと。拒絶の言葉を、つかさに向けて放ったではないか。そして、つかさは笑った。傷つ
いた、と訴える笑みを浮かべた。
 そんな事をしてしまった私が、どうしてつかさの指に止まる事など出来ようか。そんなの
は卑怯で、自分勝手で、私が大嫌いな事だ。私は私なりの結論を出していたのだ。あの時
、既に。
 仮につかさと私の想いが通じたとして、それが幾ら二人の合意の上だとして、世間は私
達を認めるのか。
 ――有り得ない。
 少なくともこの日本の社会の仕組みでは、それは決して認められない事であり、むしろ
蔑まれる立場にある。そんなのは嫌だったのだ。
 つかさを辛い目に合わせたくない。普通の人生を手に入れて、幸せになってもらいたい。
けれど、それは私と一緒に居ては決して叶えられない願いだから、私とは遅かれ早かれ別
れる時は来ていたはずだ。
 だから、あれを何時言うのかなんていうのは関係なくて、いずれにしろ私は拒絶の意を
示していた。
 報われない恋愛に意味はない。ならば、何も始まらない方がマシだと、私はそう自分に
言い聞かせる。眼の先では色付いた木の葉が舞う場所で、一生懸命人差し指を立て続
けるつかさが居て、その指の先端には未だ何も止まらない。空虚の中に佇むそれはとて
も物哀しく見えた。
 双子だから分かってしまうのかもしれない。きっと、私とつかさの気持ちは同じで、つか
さは私に拒絶されたからああして待つしかなくて、私はつかさを拒絶してしまったから何
も言う事が出来なくて、すれ違っている。
 自分がしてきた行動に後悔しながら、つかさの指先を見つめる。蜻蛉は、つかさの指に
掠るくらいに近付いたけれど、そこには止まらずに爽やかな秋空へと舞い上がった。ゆ
らゆらと揺れながら落ちる木の葉が、まるで私達の気持ちのように、虚しく舞い続けてい
た。


 寒波が押し寄せる冬。暖かい服装に身を包んだ私とつかさはお互いを暖め合うように
互いに身を寄せて体を小さくしている。恋人ならばここで躊躇わずに手を繋いだり出来る
のだろうか。懲りずに馬鹿な事を考えている私が居て、またしもそんな自分を全力で殴り
たくなった。
 普通の恋をしていたならば、こうして想う人と歩いているだけで楽しくなれるのに、片思い
ですら楽しく思えるというのに、私達の関係は寒気がするくらいに今までと同じで、それが
もどかしく、それどころか苛ついた。
 つかさは寒い、と手を擦り合わせながら息を吹きかけて暖めようとしている。私はそんな
つかさを横目に見ながら報われない恋に恋をしてしまった自分を憂いていた。
「ねえ、つかさ」
 名前を呼ぶ。つかさは突然呼ばれた事が意外だったのか眼を丸くさせながら私の方を
向いた。きっと、傍から見ればただの仲良しな姉妹にしか見えないのだろう。こうやって、
お互いに身を寄せ合っても、私達は仲の良い良い姉妹でしかなくて。もしも異性とこうして
歩いているのなら、それはそれは仲睦まじいカップルに見えたのだろうけど。
「私が、もし――」
 言って、自分が何を言おうとしていたのか疑った。
 どうかしている。
12報われない恋:2008/01/28(月) 04:20:55 ID:FQJ+BRGS
 私達はこのままで居なくてはならない、と決めたのは他ならぬ私自身のはずだったの
に、私は何を言おうとしたのだろう。決して言ってはならない事を、自分の想いを私は告
げようとしてしまった。
 俯いて、私は慌てて何時もの表情を作る。何事も無かったように、何を言おうとしたの
か、そんな事は忘れてしまったとでも言うように。
「ううん、何でもない」
 つかさはそんな私に微笑をくれて、再び手を擦り合わせる。きっと私が何を言いたいの
か分かっていたのだろう。だからこそ、それを言わなかった私の意志を拒絶の意味に感
じ取って、何も言わずに微笑んでくれた。こんな卑怯な私に、優しく微笑んでくれた。何時
も通りの優しい笑みで。
「お姉ちゃん」
 つかさが私を呼ぶ。寒そうに擦り合わせていた手を体の横にぶら下げて、穏やかな笑
みを称えながら。私は顔だけをつかさに向けて、その呼びかけに応じる。手が冷たい。冬
の寒さはこんなにも厳しいものだっただろうか。去年はもっと、暖かった気がする。
「私、」
 そこで一度言葉を区切って、つかさは空を見上げた。青い空の映し出されていない、灰
色に淀んだ曇り空。私の心をそのまま写したみたいな、そんな空。つかさはそれを暫く眺
めて、また微笑むと私に顔を近づけた。
 髪の毛と同じ、紫苑の瞳が私を見つめる。優しさしか感じられない輝きが私を射抜く。距
離はどれぐらいか、暴れまわる心臓の所為で、そんな事も理解する事が出来ない。私は
眼を瞬かせて、情けなく二の句を待った。
「お姉ちゃんが好きだよ」
 それは当り前の事だったのかもしれない。双子として四六時中一緒に居て、楽しく時を
過ごして、それなのに嫌いだなんて言われるはずがないと思った。これは純粋に家族と
して、姉妹としての『好き』だと言われている気がした。そんな事、昔は普通に言っていた
事なのに。
 どうしようもなく、暴れる心臓がその考えを否定しているように思えた。つかさが今言っ
た、『好き』の意味は、決してそんなものじゃないと。私が求めて止まなかった意味での『
好き』だと。それなら言ってしまえば良い。『私も』と、そう言ってしまえば良いのに。
「私も。そんなの当たり前じゃない」
 それなのに、どうして私の口から出た言葉は、つかさとは違った言葉なんだろうか。迷
う余地など無かったはず。同じ思いなら、言えば通じ合える事なのに。また、私はつかさ
を拒絶した。今年の春と同じように、つかさを拒絶した。私の本当の気持ちを有耶無耶に
して、拒絶した。何も変わらない私は、今でも臆病なままだった。
 つかさはニコリと、こちらが癒されるような優しい笑みを一つくれて、私は曖昧な笑みを
返す事しか出来なくて。空を見上げれば淀んだ曇り空。ハッキリしない天気が、腹立たし
かった。


 風が吹く。柔らかな春の香りを纏った風が、私達の間を吹き抜ける。鮮やかな色彩の
桜の花弁を持って、私達の間をすり抜ける。空は晴天、隣りには当然のようにつかさの姿
。去年と同じように、桜の花を見てはしゃいでる。私も、去年と同じようにそんなつかさの姿
を眺めてる。
 受験が終わってみれば、やはり私達はずっと一緒に居る事が出来なかった。つかさは
料理関係の専門学校に進学して、私は法学関係の大学に進学する事になった。ずっと
一緒なんて無理、私が去年告げた言葉の通りに私達は別々の大学に進学する事にな
ったのだ。
13報われない恋:2008/01/28(月) 04:23:06 ID:FQJ+BRGS
 これで良かった。そう思うのは何度目だろう。『これで』なんて言い訳にしか聞こえな
い言葉を、私は心中で何度も何度も呟き続けている。
 出来る事ならつかさと一緒の大学に行きたかった。何時までも曖昧な関係で居る事
は分かり切っている事だけれど、それでも少しでも長い時をつかさと過ごせるならばそ
の方が良かった。これからは、毎日のようにつかさと笑い合う事も出来ないし、話す事
だって出来ない。一人暮らしをする、そう決めたからにはそれは当然の事象だった。
 きっと、私はこれ以上長くつかさと居たら、自分の感情を抑えきれなくなってしまう。そ
うなれば、私達は辛い道を歩む事になってしまうかもしれない。それは駄目だ。去年、
今と同じこの場所で私は決めたのだ。
 だから、私はつかさと離れる事を決めた。臆病な私が考え着いた、最善の方法。つか
さと離れれば、この気持ちも何時かは劣化してくれるかもしれない、そんな不明確な考
えで、私は決断した。
 つかさが舞う桜の花弁を手で取った。何でもないその行動がとてつもなく愛しい。嬉し
そうに私に微笑んで、自慢げに手に取った桜の花弁を私に見せて来るつかさの表情が、
堪らなく恋しい。感情は素直だ。こんなにもつかさと結ばれたがっている。でも、体は強情
。こんなにもそれを拒んでいる。だから辛い。辛くて、仕方がない。
 けれど、それも今だけのはず。一人暮らしを始めれば、そんな気持ちもやがては劣化
の一途を辿る。そうすれば私は普通の恋を、普通にして、普通に過ごして行けるだろう。
辛いのは今だけ、そう自分に言い聞かせる。
「お姉ちゃん」
 つかさが私を呼んだ。私は特に何も言わず、「ん」と返してつかさが居る場所へと足を
向ける。一歩一歩足を進める度に、心が軋むのが分かった。痛い、と泣き叫ぶ私の心
があるのが分かった。
「桜、綺麗だね」
 去年と同じ言葉をつかさが紡ぐ。私はそうねと返し、満開の桜の木を見上げる。一色に
彩られた木はとても綺麗で。横で私と同じように桜を見上げるつかさはとても愛しくて。
それを言葉にする事は出来ないけれど、私は心は繋がっていると勝手に思い込んで、
それを心の中で告げた。
「去年も、綺麗だったよね」
 昔を思い出しながら、つかさは懐かしそうに眼を細めて呟いた。何もかも同じだ、桜は
去年と何も変わらず綺麗なままで、私の気持ちも去年と同じ。むしろ、去年よりも肥大
化しているように感じる。違うのは、ずきずきと痛む心だけ。
 風が吹く。私の心の裂け目をなぞるように作為的な風が、ひゅう、と吹く。簡単な事だ
。痛いのが嫌なのなら、告げてしまえば良い。心が繋がれば、隙間風なんて入る場所
も無い。
 きっと、私の想いをありのままつかさに伝えても、つかさは喜んでそれを受け入れてく
れる。私が考えている不安なんて、杞憂にしてくれるような綺麗な笑顔で微笑んでくれ
る。それは幸せな事だ。私が望む幸せは、私の目と鼻の先でちらついているのだ。
「来年も、綺麗かな」
 それは未来を表す言葉に他ならなくて。そして、それは一人で見る桜は奇麗じゃない
、と言っているように思えて。でも、私は気付かない振りを通す事に決めた。それは言
葉よりは明確ではないけれど、ハッキリとした拒絶の意を伴っている。そうすれば、つ
かさもそれ以上は何も言わないだろうと、高を括った。
「きっと、そうよ」
 でも、私が認識していたつかさと言う人間は、現実では全く違う人物だったのかもし
れない。私の知らない強さを、つかさは持っていたのかもしれない。少なくとも、私より
も強い部分を持っていた事だけは確か。つかさが告げた二の句は予想もしていない、
嬉しすぎる言葉だった。
「私達、ずっと一緒でいられるかな」
 それは、去年とは違った問い。自分の想いを全て含ませた、告白だ。何を意味してい
るかなんて、考える以前に感情が理解してしまう。あの、去年の冬と同じように、つかさ
は言っているのだ。『好き』だと。
 時が止まったような錯覚。混線する思考回路。視覚が取り入れる情報は、私を真摯
な眼差しで見つめるつかさと、その背景で舞う桜の花弁。私が感じている世界の中で、
唯一時を感じさせる桜の花は、ゆっくりと舞っている。私は言葉を発する事が出来なか
った。
14報われない恋:2008/01/28(月) 04:24:30 ID:FQJ+BRGS
 風が吹く。
 去年の此処で吹いた、一際強い風が、私達の間を吹き抜ける。あの日、隠してしまっ
た私の願望を、季節を回って私に返す風が吹いた。けれど、私の時は止まったまま。思
考はまともに動作せず、混雑したまま。
 口が、小刻みに震えているのが分かった。喉まで出かけている言葉が、あと一歩の所
で出せなかった。
 喉が渇く。眼がつかさから離す事が出来ない。大きく脈打つ心臓が、喉で止まっている
言葉を押し出そうと暴れていた。
「……」
 言葉が出ない。出そうとしているのに、私の中の何かがそれを拒んでいる。私は深い
深呼吸を行った。少しでも気が楽になれば、と春の空気を大きく吸い込んで、吐き出し
た。
 思いの外、効果は大きかった。喉は潤いを取り戻し、口の震えは止まった。私が言い
たい言葉もすんなりと滑るようにして形成されて、外界へと飛び出した。
「無理よ」
 時が動き出す。つかさの表情が悲しみに歪むのが分かる。私は、自分でも驚くほどに
落ち着いた声でそう告げた。『無理』、それに含んだ意味はとてつもなく多くて、大きくて
、残酷なものだった。
 喉まで出かけていた本当の想いは、引きずられながら私の心の奥へとしまい込まれ
て。何重にも鍵を掛けて、閉ざされた。二度と開く事は有り得ない。重く、冷たい扉の向
こうに、それは大事に残るのだろう。
 風が吹く。
 まだ冷たく感じる春の風が、私達に突き刺さる。桜の花弁はそれに掬われて、狂った
ような軌道を描いて空へと舞った。
 私は、表情を消して、空を仰ぐ。青いキャンバスの中にちりばめられた桜色が眼に付
いた。
 全てが同じ。去年と何も変わらない春の風景。ただ違ったのは、去年は無かった、風
の音に入り混じる誰かの嗚咽。
 ああ、何で。
 何で、『幸』と『辛』の字はこんなにも似ているのに、それが表わす意味は真逆なのだ
ろう。頬に伝う何かを感じて、そう思った。




――end.
15双子の兄:2008/01/28(月) 04:27:02 ID:FQJ+BRGS
 投下完了。短編にしては時間の流れがものすごく速いが、書いてみたかったので。
 後悔はしていない。ってか初投下とかマジ緊張したww

 ハッピーエンドも考えていたんだが、こっちの方が面白いかな、と思ってやってみた。
 
16名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 04:30:21 ID:qqR4LURr
>>15
初投稿GJ!
かがみは人一倍常識人な気がするから、世間一般からかけ離れた事実に対してはすごく葛藤しそうだよね。
そんなところがしっかり文章にされてて、切ない気持ちになった。
なんにせよ、初めてだとは思えないくらい綺麗な文章乙!
次回作も期待してます(´・ω・`)b
17名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 04:44:26 ID:I12meHjj
久々のかがつかよかったです。
こうゆう切ない話結構好きなんですけど是非ハッピーエンド編も投稿希望w
18名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 05:01:47 ID:KKfULITq
なぜハッピーエンドではないのかとGJを込めて小一時間(ry
短い中に過去から現在までの想いが濃縮されていて悶えました
こういうのが見たかった
19名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 05:18:42 ID:bFZikGFL
起きていて良かった。
キレイで悲しいGJです。
20名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 07:13:44 ID:4Jb3LC4A
早朝からGJせずにはいられない!
文が上手いので、楽しくよむことができました。こういう文が書ける人は羨ましい!
21名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 07:35:33 ID:I8gJalNM
今日一日、お仕事がんばれそうです……


とにかくgj!
22名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 08:00:40 ID:kgbhvTxl
起き抜けに新スレとかびっくりだ。
そして踏み出せなかったかがみがもどかしくも切ないなあ。

>>1乙、そして>>15もぐっじょぶ。
23双子の兄:2008/01/28(月) 12:12:16 ID:FQJ+BRGS
ありがとう、みんな。
かなり嬉しいものがありますわ。
ハッピーエンドのやつについては検討してみる。時間があったら書く方向で。

で、調子乗ってきた所でもう一作投下してもよろしいでしょうか?
他に投下する人が居なかったらさせてもらうが。
24双子の兄:2008/01/28(月) 12:16:43 ID:FQJ+BRGS
『最後のパズルピース』

短編

・ゆたか→←こなた
・非エロ
・シリアス
25最後のパズルピース:2008/01/28(月) 12:18:10 ID:FQJ+BRGS
 目の前で深緑の瞳を濡らす小柄な少女は嗚咽を耐えながら必死に言葉を紡ごうとして
いた。中々形成されないそれがちゃんと形成されるのを、私は心の何処かで逃避的な考
えを持ちながらただ待っている。聞くのが怖いのかもしれない。それを聞いた時、私達の
今までの関係は積み上げられた積み木を崩すかの如く簡単に音を立てて壊れてしまい
そうだったから。
 でも、私の中にある大きな額に収められて行くバラバラだったピースは確実に着々と合
わさっていて、それは一番最後の歪な形をした物だけがきちんと嵌まらないのも確か。い
や、最後のピースは見つかっていないのだ。それが見つかり、嵌まるのかどうかは、未だ
形成されない言葉を聞いた時に分かるのだろう。








     最後のパズルピース







 暑い夏の真っ只中、私は薄手のシャツをパタつかせながら申し訳程度の微風を自身に
送っていた。家のエアコンはこの暑さに耐えかねたのか、逃げるようにして呆気なく故障
してしまった。今は部屋の壁の片隅で涼やかな風を提供する事もなく佇んでいる。
 かなり昔から放置されていた年代物の扇風機も押し入れの奥から出してみたけど、そ
れもやはり灰色の埃に覆われていて、頑張って掃除したのに本来の役割を果たしてくれ
る事は無かった。私が磨いたお陰でクリアな姿を取り戻した扇風機もエアコン同様に部屋
の片隅に追いやられて翳っていた。
 猛暑の中で何も冷房器具が無いのはかなり大変なものがあるけど、だからと言ってど
うしようも出来ない事なので、私は無意味にしか思えない団扇の代わりの手を自分に向
かって振っている。開け放たれた大きな窓から時折入り込む風は、この暑さに拍車を掛け
るように、本当に時々しか流れて来ない。
 私は身体中に滲んで来る暑さの感覚に全てのやる気を奪われながらも畳に寝そべりな
がら随分と老朽化が進んだ家の天井をぼんやりとしながら眺めていた。既に思考を持つ
事を諦めた私の脳は最早自動的に動くようになってしまった手をただ動かし続ける事だけ
を命令しているかのようだった。
 私一人しか居ないこの部屋に存在する音は遠くの方から届いて来る喧しい蝉達の喧騒
だけ。お父さんはきっと自分の部屋で締め切りに追われながら執筆に勤しみ、私の従姉
妹であり、本当の妹のような存在のゆーちゃんはこの暑さにも関わらず夏休みの課題を
やると言っていた。そんな事が出来る精神が心底尊敬出来るけど、これではどちらが姉
なのか分かったものではないな、と私はぼんやりした頭の中で客観的に思っていた。
 夏休みも半ばに差し掛かり、柊家はたまの家族全員の休みが重なった事により伊豆の
方まで温泉旅行に赴いているらしい。電話で語られた羨ましい計画は記憶に新しい。友
人が気持ち良さそうに温泉に浸かっている所を想像すると自然と溜め息が零れた。みゆ
きさんは毎年恒例の海外旅行中、つまり、私は折角の夏休みの一時を誰と過ごすでもな
く一人で持て余しているのだ。
26最後のパズルピース:2008/01/28(月) 12:20:52 ID:FQJ+BRGS
 宿題をやろうか、と幾度となく思ったけど、机の上に重なる分厚い問題集とその中に詰
まる数式の山を思い出すと、どうにもやる気が起きず、結局行動に移す事は出来なかっ
た。ネトゲをやるにも、暑さにやられた所為か私のパソコンは電源を入れてもディスプレ
イは黒を映すだけで。その所為でやるべき事以外のやる事なんて何も見つからなかった


「はぁー……」

 今の自分の状況を第三者の目で見る私が肺の中の空気を全て出すような長い溜め息
を吐き出した。聞いてるだけで嫌気が差すようなそれも、私は赤の他人のような目で見て
いる所為で自分がしているとは思えない。何故にこんな卑屈な精神状態に私が成り果て
ているのかと言えば、それは責任転嫁も甚だしい理由なのだけど、ゆーちゃんがここ最
近私を避けるような素振りを見せているからだった。
 一番最初に異変に気付いたのは夏休みが始まって、数日が経った後。私が暇を持て余
していてゆーちゃんをゲームに誘ったりしていたのだけど、その全てをゆーちゃんはこと
ごとく「宿題やらないといけないし……」と歯切れの悪い理由を付けて断っていたのだ。
 何時もなら私には眩しいくらいの純真無垢な笑顔を向けながら、良いよ、と言ってくれる
のに、明らかに不自然な態度を取られては避けられていると思わざるを得ない。何せ、宿
題をやらなければならない、と言う理由だけをずっと使い続けているのだから、いい加減
に課題は全て片付いている筈なのだ。
 考えようによっては中々片付かない程の難易度を秘めた課題で、そのお陰で時間を喰
っている、とも思えるのだけど、ゆーちゃんに限ってそんな事は無いように思う。分からな
い所があればみなみちゃん達に聞いたりしている筈だし、とっくに片付いていると思うのが
妥当な判断だ。だから『責任転嫁も甚だしい』と思っているのだけど。
 ゆーちゃんが嘘を吐くのが苦手だと言う事は誰より私が知っている。そんな私から見て
、ゆーちゃんが言っていた理由は嘘以外の何物でもなかった。
 未だ鳴り止まない蝉達の合唱は私の気分とは正反対に楽しそうに聞こえる。それがま
るで手持ち無沙汰な私を嘲笑う嘲笑のように聞こえてしまって、私は仰向けだった体を反
転させてうつ伏せになった。懐かしいような、そんな畳の匂いを嗅ぎながら私はデフレス
パイラルになりかけている思考を何とか止めようと目を瞑る。そうしても気分は更に憂鬱
な方向に向かうだけで、気は滅入るばかりだった。
 いっそこのまま微睡めたら良いのに、そう思いはしても現実はそんな簡単には行かなく
て。蝉達の嘲笑は眠りに就く事も許さないのか暑さと一緒に私に纏わりついていた。ああ
、もう、少しは空気を読んで欲しい。それを心地よく思う人達が居る事も分かっているのに
、私は恨めしげな思考を離せなかった。
 今、ゆーちゃんがあの笑顔を称えながら私に話しかけてくれたらこんな憂鬱な気分も一
気に吹き飛ぶだろうに、二階から下って来る足音も聞こえなければ、家の中に他に誰か
人が居るのか、と疑ってしまう程にここは静かだった。もうどうにでもなってしまえ、そんな
意味の分からない投げやりな考えのまま私は昼寝に興じようとする。無駄だとは分かっ
ていたけれど。
 どれだけ時間が経ったのか、もしかしたら一分も経っていなくて、もしかしたら数時間は
経ったのか、後者だったら良いな、と思い始めた私の耳は変わらず蝉の合唱を聞き取っ
ていた。変化も何もない、その声に苛立ちが募っていたそんな時、忘れかけた声は私に
届いた。本当に久し振りだ、そう感じられる優しい声。
億劫ながら頑張って顔を上げるとそこには微笑を称えたお父さんが焦げ茶色の透き通っ
た液体が並々と注がれたコップを乗せた盆を持ちながら立っていた。
27最後のパズルピース:2008/01/28(月) 12:22:38 ID:FQJ+BRGS
「この暑さもキツいよなぁ。お父さんの特製、暑さも吹っ飛ぶスペシャル麦茶でも飲む
か? きっと元気出るぞ」

 何の変哲も無い麦茶の何処が特製なのか、聞こうと思ったけど、これもお父さんなりの
気遣いなのだろうから、私はその疑問を喉の奥に押しやって飲み込んだ。向けられた好
意は甘んじて受け取るべきだ、丁度喉が乾いていたのも手伝って、私は長い事動かして
いなかった体を主に腹筋を使って持ち上げた。
 来たのがゆーちゃんじゃなくてお父さんだった事が少しだけ残念だったのは私だけの
秘密だ。口を滑らしてしまえばお父さんは部屋の中から数日は出て来ないだろう。多分
お母さんの写真を見ながら「母さん、こなたがとうとう親離れしちゃったよ」とか呟いてそ
うだ。容易に想像出来るのはやはり長い間お父さんと二人で暮らしていたからだろう。

「ん、ありがと、お父さん」

 そう言って私はお父さんから麦茶の入ったコップを受け取った。ひんやりと冷たいコッ
プの中には何個か氷が入っているみたいで、手に持つとカランと小気味良い音が鳴った
。気温との差で生まれた水滴が手に染み込むようで気持ち良い。
 こういう時、一気に飲んでしまうと勿体無い気がしてならないので、私は少しだけの量
を口に含んでそれを存分に味わってから喉に通した。火照った体に有難い冷えた麦茶
は私の色んな所を癒して胃袋に収まる。憂鬱だった気分も少しだけ晴れた気がした。

「じゃあ、俺は仕事しないといけないから。もう一つはゆーちゃんのだから、こなたが渡し
に行ってくれな」

 コップをテーブルの上に置いた後、お父さんは微笑んでからそう言った。何でわざわざ
私に、その理由は聞かなくとも直ぐに分かった。お父さんの笑顔は心配そうな色が見え
隠れしていたから。私とゆーちゃんの間に流れる微妙な雰囲気を朧気ながら知っていた
のだろう。だから、これは気を使ってくれている、と理解するのは早かった。それが私に
とって良い事なのか悪い事なのかを思えばそれは分からなかったけれど。
 それでも折角くれた機会だし、私はそれを良い事の方に受け取る事にした。お父さんに
了解の意を伝えると、お父さんはそそくさと部屋に戻って行った。本当に締め切りが危な
いのだろう、どことなく焦っているのが背中越しに伝わって来た。
 それを見届けて、私はテーブルに乗せられた自分のコップを盆の上に乗せ、持ち上げ
るとゆーちゃんの部屋に向かった。部屋を出ると、風通しの良かった居間とは違うムンム
ンとした熱気が立ち込める台所を通って二階への階段を登る。やはり長い間住んで居る
この家は少なからず老いて来ているのか、一歩一歩進む度に軋んだ音を立てた。
 ゆーちゃんの部屋の前、私は深く息を吸い込んでそれを吐き出す。家族同然の付き合
いをしているゆーちゃんに会うのに緊張するなんて馬鹿げているけど、溜め息と一緒に
この緊張感も全て吐き出して何時もの私に戻れれば、と思うとそれも合法に思える。大し
て効果が得られなかったのが悲しい所だけれど。

「ゆーちゃん? 入るよ」

 扉を数回ノックして、私はゆーちゃんの返事が来る前に扉を開く。もしもこれで入って
来ないで、なんて言われたらきっと私は立ち直れないから、返事は聞かなかった。入っ
てしまえば何とかなる、そんな私の大雑把な性格がそうさせたのかもしれない。
 部屋に入ると、そこは何処とも変わらない暑さに満ちていた。綺麗に片付けられた内装
はいかにもゆーちゃんらしく、ベッドの枕の方に飾られた縫いぐるみ達は物も言わずに
座っている。こういうのを飾っているから、ゆーちゃんは萌え要素の塊なんだ、そんな場違
いな事を再認識した。
28最後のパズルピース:2008/01/28(月) 12:23:43 ID:FQJ+BRGS
「お姉ちゃん……」

 ゆーちゃんは机に着いて、何をするでもなくただ窓の外を見つめていた。やはり、私の
憶測通り机の上には課題なんて広げられていなくて、机の脇に掛けられた鞄の中に少
しだけ終わらせたのだろう課題の束が姿を見せていた。当て付けの理由が嘘なんだ、と
思い知らされた時、私の中では悲しさと寂しさが入り混じって言葉にならない感情が生
まれた。
 間に流れる暑さは先ほど感じていたものとは全く別物に思える。気まずさ、と言うよりは
近付いても大丈夫なのか、と言う不安の塊みたいな境界線が出来ている感じ。だけどこ
こで怖じ気づいてすごすごと退いてしまっては意味が無い。私は固唾を飲み込んで一歩
を踏み出した。

「麦茶、暑いからってお父さんがね。ゆーちゃんも飲むでしょ?」

 私は努めて何時も通りを装って言う。この空気が以前のような心地良い空気に変わる
事を期待して。でも、ゆーちゃんは小さく頷いただけで、私達との間にある境界線が消え
てくれる事は無かった。むしろ、その境界線が色濃くなった気さえしてくる。何がこうさせ
たのか、全く心当たりが無い私は無言でゆーちゃんの机の上にコップを置く。
 そこで気付いてしまった。コップが乗っていた盆の上にはまだ一つ、麦茶が随分と残っ
たコップが置かれている事に。紛れもなく私が持って来てしまった私のコップ。何を思っ
ていたのか私は自分の分までここに持って来てしまっていたらしい。自分の失態に気付
くと同時にゆーちゃんの目は私の持つ盆のコップに止まっている。引き返せばこの境界
線はくっきりと私達の間を隔てそうな気がして、私はどうする事も出来ずにその場に立ち
尽くした。

「わっ、私もここで飲んでも良いかな」

 焦燥に駆られる私は言葉をどもらせながらもそう言った。答えを聞くのが限りなく怖か
ったけど、引き返すのだけは嫌だ。私らしからない勇気を振り絞った頼みに、ゆーちゃん
はうん、と言って了解してくれた。
 浮かない顔をしているのが私に不安をもたらしていたけど、この時私は既に決意した。
何で私を避けているのか、その理由を尋ねる事を。行動を起こさなければ何も変わらな
い、と言い残した先人の言葉はどうにも的を射ているらしい。出来る限りのポジティブな
思考がもたらした苦肉の決意だった。
 暫くの間、沈黙が流れる。遠くから聞こえる蝉の喧騒はそのままに、私とゆーちゃんの
間はただ静寂に満ちていた。何かを話さなければならない、そんな使命感が頭をよぎる
けれど、良い話題は全くと言って良い程に私の中には浮かんで来なくて。何時もならど
うでもいい話題でさえ楽しい談笑の種に変わるのに、今ではそんな理想すら霞んで見え
た。
29最後のパズルピース:2008/01/28(月) 12:24:44 ID:FQJ+BRGS
「あの、ゆーちゃん?」

「……ん?」

 名を呼べばゆーちゃんは返事をしてくれる。一拍の間がどうしても気になってしまうけど
、今は何とか気にしないようにした。私は麦茶を口に含める分だけ含んで一気に飲み込む
。許容量を越えていたのか、飲んだ時に喉が少し痛くてむせかけたけど、それを何とか堪
える。蝉の鳴き声がやけに耳に付いた。

「あの、さ……私、ゆーちゃんに何かしたかな。それだったら謝りたいんだ」

 そう言う私の声は微かに震えていて。何がここまで私を怖がらせるのかなんて全然分
かりはしなかったけど、私はゆーちゃんの目を見つめていた。私と同じ深緑の瞳が揺れ
た気がした。不安に、申し訳なさに。
 ゆーちゃんは暫くの間何も言わなかった。それでも揺れる瞳は私を捉え続けていて、
だから私もゆーちゃんから目を逸らさなかった。不安に暴れる心臓を抑えつけながら、
瞳を固定する。ゆーちゃんの向こうに見える空は私の気持ちとは裏腹に澄みきった青だ


「……ううん。お姉ちゃんは何もしてないよ。謝る事なんて、何も」

 ゆーちゃんは小さなツインテールを横に揺らしながら呟くような声量で言った。そして、
明るい笑顔を私に向ける。以前のような輝くような笑みとは違う、翳った笑顔。無理をして
作っているのは傍目から見ても明白で、私が納得出来る筈なんてなかった。

「なら……何で私を避けるの? 最近、ゆーちゃんが私に対して冷たい気がする。ちゃ
んと理由を聞かせてくれないと、納得なんか出来ないよ」

 私はそこでとうとうゆーちゃんから目を離してしまった。私の瞳が映しているのは自分
の手。コップを握る手に力を込めて、白くなっている自分の手。私の心を写したかのよう
にそれは小刻みに震えていた。

「……」

 ゆーちゃんの返事は無い。下を向いているから表情なんて分からなかったけど、少な
くとも「そんな事ないよ」なんて全ての不安を杞憂にしてくれる笑顔と言葉を発してくれる
ような良い表情をしていない事は痛いくらいに分かった。きっと、私と同じでうつむいてい
る、何故かそう思った。

「ゆーちゃん……私、辛いよ」

 思った事がそのままに、全てを含んで口から放たれた。
 ゆーちゃんが私を避けているのが辛い。
 ゆーちゃんが笑顔じゃないのが辛い。
 ゆーちゃんが私を嫌いになってしまった、そう思えてしまう事が、辛い。
30最後のパズルピース:2008/01/28(月) 12:25:53 ID:FQJ+BRGS
「お姉ちゃん……」

 涙腺が弛むのが自分でも分かる。ゆーちゃんが私を呼んだ、その声がそれに拍車を掛
ける。泣くのを必死に堪える私の代わりに、蝉が五月蝿いくらいに大きな声で鳴いていた
。積み上げて来た私の心のピースは、今にもその繋がりを全て崩してしまいそうなくらい
に脆くなっている。最後の、最後の一つが嵌まれば全てがピッタリになるのに。
 椅子を引く音が聞こえた。ゆーちゃんが立った、それを伝える音。ゆーちゃんは私の前
に歩み寄っていた。小柄な私よりも更に小さいゆーちゃんの姿は胸から下だけが見える
けど、その上は私には見る事が出来なかった。夏仕様の薄い部屋着から伸びる白い足
が、手が、次第にボヤける。涙が今にも溢れてしまいそうなくらいにいっぱいまで溜まっ
ていた。

「お姉ちゃん……私の話、聞いてくれる?」

 ゆーちゃんの声も震えていて。それは泣きそうだからではなくて、不安と恐怖に心が
押し潰されそうで続ける言葉を出す事が怖くて仕方がないからだと分かる。だって、私も
そうだったから。ゆーちゃんが私を避ける理由を聞くのが怖くて不安で仕方がなかった。
だから、泣きそうになってる。年甲斐もなく、情けなく、子供みたいに。
 私は何かを話そうとすれば代わりに嗚咽が出て来てしまう気がして、声を出さずに頷
いた。ゆーちゃんの手が堅く握り締められた。何かを決意した、そう思わせる手だ。きっ
とこれから続くゆーちゃんの話は私の記憶から未来永劫消え去る事はないのだろう。
それ程の決意をしているのだ、ゆーちゃんは。

「私、お姉ちゃんを避けてた。最初は何でか全然分からなくて、一人でずっと考えてたら
それが分かっちゃったの」

 それは何故?
 私が駄目な姉だから?
 何時も茶化す私が嫌だから?
 分からない事を言う私がウザイから?
 続く言葉を聞くより先に、マイナスの思考が私の頭の中を埋め尽くす。子供みたいに大
声で泣けたらどれだけ楽だろう。そうしたなら、優しいゆーちゃんはきっと優しく私の頭を
撫でてくれて、その先の言葉を告げる事なく私を部屋に帰すのだろう。
 でも、出来ない。
 私はその先の言葉を聞かなければならないから。ゆーちゃんの本当の気持ちを聞か
なければ、この先の夜を過ごす事なんて到底出来ないだろうから。
 だから、私は顔を上げた。目に溜まる涙を溢れさせないように、ゆっくりと。ボヤける視
界で見たゆーちゃんの姿は、淡い紅色の髪の毛と深緑の瞳が混じり合って輪郭がよく
分からない。ただ、言葉を紡ごうと息を吸い込む所はしっかりと分かった。

「私……」

 ゆーちゃんは一気に言葉を告げなかった。その間の所為で、私の目の端から暖かい
雫が頬をポタポタと、伝う。それはゆーちゃんの部屋の絨毯に吸い込まれ、滲んだ。気
付けば手に持っていたコップの水滴が何滴も落ちていて、その下には水溜まりこそ出
来ていなかったけれどそれに近しいものが出来ていた。
 涙が零れたお陰でフィルターが外れたかのように私の視界は先程よりは鮮明になる
。ゆーちゃんは、瞳を濡らしながら不安と恐怖と言う負の感情と必死に戦っていた。何
度も口を開けて、でも嗚咽が出てしまいそうなのか、それを閉じて。
私の心の最後のピースは未だに見つからない。ゆーちゃんがこれから告げる言葉は
これまで私が完成させて来たパズルを壊すのか、それとも最後の空白を埋めてくれる
のか、ともすればそのまま最後のピースを煙に撒いてしまうのか。私はその先に続け
られる言葉を、待ち続けた。
 やがて、ゆーちゃんは大きく酸素を肺の中へと取り込んだ。ギュッと握られた小さな
拳、堅く瞑られた目、私の心臓はこれまでにないくらいに跳ね上がっていた。
31最後のパズルピース:2008/01/28(月) 12:27:15 ID:FQJ+BRGS
「私……お姉ちゃんが好き。好きで仕方がなかった。でもっ、お姉ちゃんはきっと受け入
れられないだろうから、だからっ……私……」

 カチリ。
 何かの音が心の何処かで静かに鳴り響いた。静かな音なのに、脳髄を痺れさせるよ
うな大きい音に聞こえるそれは、私の心の最後のピースが嵌まった音。最後の空白の
全てを埋めて、私の心を平穏に導く音。
 ゆーちゃんは耐えきれなくなったのか、大きな瞳から大粒の涙を流して、ひっく、としゃ
くりあげる。ゆーちゃんの想いはどれだけ大きいのだろう。私なんかでは計り知れない程
の恐怖と不安に、誰にも相談出来ずに一人でずっと戦って来たのだ。自身の葛藤と、世
の中の常識に板挟みにされて、それでも潰せない程の大きな想いを胸に抱きながら。
 強くないんだ、ゆーちゃんも、私も。ゆーちゃんの気持ちに怯えていた私はそ
れを知る強さが無いから涙を流した。自分の気持ちを自分でも受け入れられなかった
ゆーちゃんはそれを受け入れる強さが無かったから涙を流した。だから、私は──。

「……っ!」

 ゆーちゃんの口から息を詰まらせたような声が漏れる。突然、私がゆーちゃんを抱き
締めていたから。強く、強く、壊れてしまいそうなくらいに細く小さい体を、壊さないように
優しく。私よりも小さな体は私の腕の中にスッポリと収まる。正しいピースが正しい場所
に嵌まるかのように、ピッタリと。
 もう離さない。この先にどんな苦難が待ち受けようと、ゆーちゃんと一緒なら強くなれる
。苦難に立ち向かえるだけの、充分過ぎる強さが。だから、私は抱き締めたゆーちゃん
の耳元で囁いた。私はこの時の事を決して忘れないだろう。だって、私の心が完成した
瞬間だから。これから新しく必要となるピースもきっと見付けられる。私は確信にも似た
気持ちで誓いながら、ゆーちゃんを抱き締める腕に力を込めた。

「私も……愛してるよ、ゆーちゃん」

 やるじゃん、お父さん特製麦茶。今は床に置いてあるけれど、これのお陰で私のピース
は見つかった。密かな立役者のお父さんに感謝しつつ、私はゆーちゃんと顔を見合わせ
て微笑んだ。今までで一番の、ゆーちゃんにだって負けないくらいの笑顔で。
 蝉達の鳴き声も、今は讃歌のように聞こえていた──。





――end.







32双子の兄:2008/01/28(月) 12:29:50 ID:FQJ+BRGS
連続での投下申し訳ないが、他にする人も居なかったようなので。
今度はハッピーエンドにしてみた。個人的にこのカップルのバッドエンドを見てると辛い物がある。

俺が書くのはシリアスが多いな……。
甘いのを書ける人が羨ましいw
33名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 12:41:30 ID:kgbhvTxl
>>32
錆び付いて久しい職人崩れとしては、シリアス書けるほうがうらやましかったりするのだが。
夏のけだるさの導入描写からして吸い込まれるね、GJ。
34名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 12:58:48 ID:bFZikGFL
良作SSの連投>>32乙&GJっした!
そしてスレ立て>>1
35名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 14:12:17 ID:xeelNTU/
こ、これが初投稿?う、うめぇ〜
>>32GJですがな。
おいらが書くと会話が主体の文になってああいう風には書けない…
>俺が書くのはシリアスが多いな……。
>甘いのを書ける人が羨ましいw
それが作風というヤツなんでそれもいいんじゃないかと思う。
36名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 14:37:58 ID:sMWA3X1r
>>32
ニ連続でおつかれ!GJ!
自分には書けそうにもないな……
37名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 14:53:10 ID:cPSpP6ML
>>32
2連続シリアスGJ。確かにここまで情感たっぷりでシリアスものは、
自分にも無理だあよ…。
>今度はハッピーエンドにしてみた。個人的にこのカップルのバッドエンドを見てると辛い物がある。
しかしなあ…Elope作者のいう通り、こなたは3年生を、ゆたかは1年生を引き付けているから、この組み合わせはどう考えても泥沼を避けられないわけで…

そうだ!こうすればいいッス!
かがみ先輩とみなみちゃんを恋仲にするッス!
こうすれば、互いのカップル同士微笑ましく見ることができて一挙解決!
ツンデレとクーデレの組み合わせ…
こいつはかつてない二大巨頭のユリ…くぅ〜たまんないっす!

「何寝ぼけたこといってんのかしら…」
「ひよりんも言うようになったネエ(=ω=.)」
「これはまたおしおきが必要だねみなみちゃん」
「激しく…同意…」

ちょwwwwwみなさんなんで元の鞘にwwwwていうかお久しぶりにアッーーー!!
38名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 20:06:38 ID:KDdtH0+Q
流れ早すぎwww
ついてくのに睡眠時間がどんどん減ってくw
ところで満スレの最短記録って何レス?
39名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 20:18:07 ID:kgbhvTxl
>>38
恐らく、32スレ目の501レスが最短と思われる。
40名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 20:33:24 ID:KDdtH0+Q
>>38
sageとサンタモニカ間違えたw
予測変換
これはサンタモニカで何か書けとゆうことか?w
 
>>39
あえて言おうサンキューと
>>501
の5が8ならひよりんが(ry
41名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 20:39:41 ID:U35vj3/L
>>40
どきがむねむねしてくれば
夜も眠れない

ということで頑張れ
42名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 20:42:51 ID:NTPfcmNK
>>40
ちょwwwどないな予測変換やねん!!

そして、
>>15,32
激しく、切なくGJ!!

あまり人を泣かさないでおくれ
(意訳: これからもどんどん書いて下さい)




さて、中途半端な長編を執筆中であるが、
前スレで厳しいご意見を頂いたので、もう少しストーリーを練ってから投下します。
43名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 21:46:42 ID:I7R+x3qy
そうか分かった

ゴッドかなたさんしかりてけてけかなたさんしかり鼻血みゆきさんしかり、
人気の作家にはマスコット的な存在が居るんだ!



・・・と、前スレの599辺りで思った
4431-207:2008/01/28(月) 22:27:57 ID:FouyOAqA
他にどなたも投下予定がないようなら、一作品投下したいと思います。
・かがみ×つかさ
・微エロ
・4レス使用予定
・オリキャラっぽい人物あり
45つかさの、姉への想い 1/4:2008/01/28(月) 22:29:56 ID:FouyOAqA
 二年の三学期を迎え、高校生活もあと一年ちょっととなったころ。
 つかさの中では、ある種の不安が芽生えていた。
 つかさは今まで小学校、中学校、そして高校の間、ずっと姉のかがみのそばにいた。
 しかし、あと一年ちょっとの高校生活が終われば、かがみとはいままでのようにいつも一緒ではいられなくなる。
 志望する進路が違う限り、同じ大学へ進むことはできない。
 仮に二人とも近くの大学に入学すれば、少なくとも家では一緒にいられる。
 しかし、それでも一緒にいられる時間は今よりも確実に少なくなる。
 いつまでも一緒にいてほしい。
 ずっとそばにいてほしい。
 かがみへの想いは、つかさの心を大きく占めるようになっていた。


 〜つかさの、姉への想い〜


 ある寒い日の帰り道。その日、つかさは一人で家へと向かっていた。
 新学期になったばかりだが、かがみとみゆきは委員会の仕事で忙しいようで、今日も学校に残っている。
 明日も学校に残るようなので、クッキーでも焼いて持って行こうかと考えながら歩いていた。
 そして、つかさが家の近くの公園のそばを通った時、
「そこの、あなた」
 と呼びかける声が聞こえた。
 振り返ると、小説や漫画で魔法使いが着るようなローブに身を包んだ人物がいた。
 顔もフードで隠れていて、見ることはできなかった。
「えっと、私?」
 周りには自分しかいない。どうやら呼びかけられたのは、自分のようだ。
「そうよ」
 低めの声で、答えが返ってきた。声からすると、その人物は女性のようだ。
 聞き覚えのあるような声だが、誰かはわからない。
 その奇妙な格好に、つかさは
「あなたは、どういう人なんですか?」
 と尋ねた。
46つかさの、姉への想い 2/4:2008/01/28(月) 22:30:53 ID:FouyOAqA
「私のことは、とりあえず魔法使いとでも思ってくれればいいわ。
 私はね、あなたの気持ちを知っているの。
 お姉さんへの気持ちをね。
 いつまでも一緒にいたい、ずっとそばにいてほしい。もっと甘えていたい。
 それだけじゃないわね。
 お姉さんに対して、姉妹以上の感情を抱いてすらいる。
 私は、そんなあなたの手伝いをしたいのよ。あなたに、これをあげるわ」
 そう一気に言うと、彼女はガラスでできた小瓶を差し出した。
 受け取って見てみると、中には透明な液体が入っている。

「これは、なんですか?」
「それは、媚薬よ。それを飲んだ人は、しばらくの間性欲の虜になるの。
 その薬は一時的に感情を昂らせたり、理性を奪ったりするだけ。
 そして、その間に目の前の人物に対する強烈な執着心を引き起こすの。
 その執着心は、薬の効き目が切れた後も愛着心となってのこるものなの。」
 つかさは、彼女の言葉をなんとか飲み込んでいるようだ。

「もちろん、それだけであなたの望みをすべて叶えられるわけじゃない。
 そのうち一緒にいられる時間が減る、というのは仕方ないこと。
 でも、もっと甘えたいとかいう願いを叶える手助けにはなるわ。
 ほんの1〜2滴飲ませれば十分よ。そうすれば、すぐに薬は効いてくるわ。
 そうすれば、お姉さんの中のあなたへの愛着心はより強いものとなるの。
 もっと一緒にいてあげたい、もっと甘えてほしいといった気持ちが強くなるはずよ。
 恋人同士みたいな関係を望むならもう数滴あってもいいかもしれないけどね。
 でもね、これだけは覚えておいて。この薬はとっても危険なものなの。
 絶対に一度に一気に飲ませすぎないようにしてね。
 盲目的な愛ほど怖いものはないわ。
 それを使うかはあなた次第。それじゃ、私の用事はこれだけだから」
 そう言うと、彼女は立ち去ろうとした。
「あ、待って…」
 つかさは後を追うが、曲がり角まで来ると彼女の姿はもうなかった。
47つかさの、姉への想い 3/4:2008/01/28(月) 22:32:14 ID:FouyOAqA
 その日。家に帰り、夕食を食べた後つかさはクッキーを焼いていた。
 明日も委員会の仕事があるというかがみとみゆきに、仕事が終わったら食べてね、ということで
 持って行こうと考えていた。
 そして、もうひとつ。『魔法使い』さんがくれた薬を試してみよう、と。

 焼きあがったクッキーは、とても美味しそうだ。
 つかさは、そのうちの何枚かに二滴ずつ小瓶から雫を落とした。
 一滴、二滴とクッキーに染みこんでいく薬。
 そして、薬をかけたクッキーを小皿に分け、残ったクッキーを袋に詰めた。
 袋に詰めたクッキーは、明日持っていく分。
 そして、小皿に乗せたクッキーは――


 コンコン。
「お姉ちゃん、クッキー焼いたんだけど、食べない?」
 そう言いながら、かがみの部屋へ入るつかさ。
「明日も委員会の仕事があるんでしょ。だから、明日お姉ちゃんとゆきちゃんに持っていこうと
 思って焼いたの。よかったら、少し食べない?」
 委員会の仕事で疲れた後に食べるつかさのクッキーは、とてもおいしい。
 仕事で忙しい自分たちを気遣ってくれるつかさに、かがみは感謝する。
「悪いわね。それじゃ、少しもらおうかしら」
 そう言ってかがみは、クッキーをひとつつかみ、口に入れた。

 薬はすぐに効いてきた。
 かがみの顔は、見てわかるほどに上気している。
 かがみも自身の変化に気づく。
 体が、熱い。どうしたんだろう。
 息遣いが荒くなる。そして、急に目の前の妹が愛おしく見える。
 つかさが欲しい。
 どうしてだろ。妹なのに。
 かがみは、昂る感情を抑えるのに必死だった。

「お姉ちゃん、どうしたの?顔、赤いよ?」
 そう言いながら、かがみの顔を覗き込むつかさ。
 ああ、もうだめ。
 顔を近づけるつかさにかがみはついに耐えきれなくなり、つかさの唇に自分の唇を重ねる。
 そして、つかさの口内に舌をねじ込み、そのままつかさの舌に絡ませた。
「ん…」
 奪うかのように舌を絡めるかがみ。
 しばらくすると、かがみは唇を離した。
「つかさ、ごめんね。私、なんか変なの。急に体が熱くなってきて。
 変だよね、姉妹同士なのに。でも、我慢できないの。だから…」
 そう言ってつかさを自分のベッドへと連れて行こうとするかがみ。
「お姉ちゃん…」
 つかさは、手を引かれるままにかがみのベッドへと向かった。

48つかさの、姉への想い 4/4:2008/01/28(月) 22:33:45 ID:FouyOAqA
 ベッドの上で、かがみはつかさの体を抱きしめながら先ほどのような熱いキスを交わした。
 つかさの口内に舌を這わせ、夢中で舌を絡ませるかがみ。
 しばらくそうすると、唇を離し、つかさの服を脱がせた。
 そして、かがみは欲望のままにつかさをただひたすらに愛し続ける。
「お、お姉ちゃ…んっ」
 かがみのするままに身をゆだねるつかさ。
 ずっと、こうしてほしかった。
 思えば、いつでもそばにいてくれた姉。
 困った時には、いつも助けてくれる姉。
 そんな姉に、いつの間にか姉妹以上の感情を抱いていた。
 しかし、いつかは一緒にいられる時間は減ってしまう。
 本当は、ずっとこうしていたい。
 かがみに愛されながら、つかさはそう思っていた。


 このとき、つかさは自分の失敗に気づいていなかった。
 そして、その失敗は翌日に親友であるこなたやみゆきを巻き込むことになるのだが、
 それはまた別のおはなし。


 その日から、いままで以上に仲の良いかがみとつかさ。
「お姉ちゃん、一緒に寝てもいい?」
 あの日以来、かがみのベッドへ潜り込むことが多くなったつかさ。
 いままでも怖いものを見たときにはこうしてもらっていたが、
 今は甘えたいというだけですぐにかがみのところへと向かう。
 いつまでも一緒というのは無理。だけど、今はこうして甘えていたいから。
「もう、この前も来たでしょ。また少し甘えんぼになってきたんじゃないの?」
 そう言いながらも、かがみは内心では一緒に寝たいと思っている。
 つかさもそんなことは知っている。

 あの日、『魔法使い』さんがくれた薬。
 また今度、少し使ってみようかな。
 かがみの体から伝わるぬくもりを感じながら、つかさはそう考えていた。

4931-207:2008/01/28(月) 22:35:54 ID:FouyOAqA
以上です。読んでくださったかた、ありがとうございます。
長いものが書けないので、短めの話になってます。
一応一話で完結ですが、本文ですこし仄めかしたように関連した話があります。
関連作品の『つかさの失敗(仮称)』は明日か明後日ぐらいに投下する予定です。
あと、ひとつ聞きたいのですが、こういう『微エロ』ぐらいのもの(自分的には)は保管庫の
『カップリング別保管所(エロ) 』のところに入れて良いものなのでしょうか。
どなたか、教えていただけませんか。
50名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 22:39:51 ID:/BILDQ20
>>49
GJ!
何!?なんですか!?ついにつか☆フェチの到来ですか(゚∀゚)
全員がバルサミコ酢教に入信するんですか(゚∀゚)!

「バルサミコ酢はステータスだ!希少価値だ!」
「おうちに帰れば独り占めっ独り占めっ」
「ずるいですかがみさん、
 かがみさんのつかささんはわたしのつかささん
 わたしのつかささんはわたしのつかささんですだばだば」
「ひえええええ、うにょ〜〜〜ん(つかさ流アッーーー!)」
51名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 22:45:09 ID:sMWA3X1r
つか☆ふぇちが起きたら柊家の姉達が毎晩のようにつかさをベッドに誘ってきてひっぱりだこ……

とりあえず今はGJ!だ
52名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 22:52:52 ID:kgbhvTxl
>>49
媚薬ネタは定番だけど、つかさが仕掛ける側に回るってちょっと新鮮でした。
つかさ総受け編も楽しみにお待ちしてます。ぐっじょぶ。


で。微えろでもからみがあるのだから、エロ保管所に入れても構わないのではないかと思います。
以上、ご参考までに。
5331-207:2008/01/28(月) 23:16:50 ID:FouyOAqA
>>52
いちおうカップリング別保管所(エロ)にも保管しました。
さて、関連作品ではどういうカップリングでしょうかねぇ。
あと、『魔法使い』さんは……
一応完成してるので、早いうちに投下できると思います。
54双子の兄:2008/01/28(月) 23:25:29 ID:FQJ+BRGS
>>49
媚薬をつかさが使うとは……意外性たっぷりで面白かった。GJ。
あえて空気を読まずに指摘したい事があるとすれば、三人称で進めるのなら、もう少し三人称らしく
進めた方が良かったかな、と。かがみが昂る描写が主観的すぎて少し不自然に感じてしまった。

まあ、些細な事ですけど。

それと、分からない事があるんでみんなに質問したいんだが、ここに投下したSSはウィキに載せるにはどうすればいいんだろうか。
いまいち理解出来ていないので、教えてくれる方がいたら教えて欲しい。
初歩っぽい事を聞いて申し訳ないが。
55名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 23:26:33 ID:sMWA3X1r
>>54
ttp://www33.atwiki.jp/kairakunoza/pages/928.html
ここを参考にするといいと思う
それか、しばらく待ってれば保管してくれますよ
56名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 23:33:32 ID:MTVz5V0T
>49
GJなのですよ。
つかさが攻めなのは、新鮮かなあ。
でもラブラブモードでふわふわした感じがでてて良かったと思うのですよ。

>54
管理人氏が保管してくれるから、元ネタが出来てから、
wikiメニューの編集で「このページをコピーして新規ページを作成」かな。
まあ、説明を読んだほうがいいかもです。
57名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 23:38:12 ID:nKQQrwmV
どうしてだろう、ここ最近つかさ=黒という図式が自分の中で定義づけられている……
58我が愛しのコガミアキラ:2008/01/28(月) 23:39:54 ID:KDdtH0+Q
↑両方「さ」で予測変換
>>40ですw
いろいろおかしいところがあっても気にしない(主に俺が)

ちゃっちゃちゃーちゃーちゃ、ちゃっちゃちゃーちゃーちゃーちゃー

コガミアキラ、コガミアキラ、すてきな名前
コガミアキラ、コガミアキラ、腹黒い
プロデューサーにこび売って俺にきつく当たるーだけどとても気になる貴女の事が
コガミアキラ、コガミアキラ、なんかコガミアキラ
コガミアキラ、コガミアキラ、愛しのコガミアキラ
いつか言いたいこの気持
貴女のこと考えれば
ドキがムネムネしすぎて夜も眠れない
コガミアキラ、コガミアキラ、素敵な名前
コガミアキラ、コガミアキラ、愛しています
コガミアキラ、コガミアキラ、Oh,SexSexSexしたい サンタモニカ、サンタモニカ、Oh,SexSexSex
俺の嫁
ちゃん♪

白石みのるは一人自分の部屋で歌っていた。そのドアの裏で赤くなっている小神あきらが居たのは内緒。
59名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 23:51:32 ID:LnOwLl53
>>57
そういうSSばっか見てるんじゃね?
「こなちゃんは私のだよ」とか「お姉ちゃんには渡さない」とか
「笑顔がとれないよ?」とか
60名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 23:54:48 ID:FQJ+BRGS
>>57
ニコニコでもつかさが黒いのは多いよな

嫌いじゃないがww
61名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 23:55:41 ID:Q/V7QBiP
>>58
とりあえず吹いたw ってか
>なんかコガミアキラ
ってなんだよw
62名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 23:57:56 ID:/BILDQ20
>>60
いや、ニコニコでのつかさは黒じゃない




常軌を逸した電波に支配されてるwwwww
6325-176:2008/01/29(火) 00:07:49 ID:fZU2Pc36
31スレッドで実験作として投下した「狂愛」をリメイクしてWikiに追加してみました。
話の内容は変わっていませんが、視点変更等で少し裏側の描写等が増えています。
もしよろしければ、ご覧ください。


Fragment of memory
http://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0017.jpg

この画像は保管しないでください。
また、これは数日後に消します。
64名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 00:08:21 ID:MxMb1m3b
>57
つかさは、ほのぼのても黒くてもいい感じ。オールマイティ?
個人的には、ゆーちゃんが黒くなったかなあ。
(そーゆーのをかきすぎだorz)
純粋で素直なゆーちゃんの話を読むと、羨ましくなってしまう。
65名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 00:13:13 ID:lLmLlr8X
ずっと前に「ぶっかけ☆セーラー服」のMad観て、ふたなりのこなたが
かがみを涎たらしながら見てる時の擬音が、「ねっとり…」だったのを見て、吹いたの思い出した…
66名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 00:29:26 ID:wAX8e4z+
>>65
そんなMADあるのか……正直見たくねえww
67名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 01:29:22 ID:pfYVDUj+
パティ可愛いよパティ
パティでラブラブな一本書きたいよパティ
でも甘々な百合要員がいないんだよパティには
男オリキャラも何か違う気がするんだよパティ
68名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 01:33:27 ID:6snEvZcR
>>61
すまん思いつかなかったんだ。
6914-319:2008/01/29(火) 01:47:15 ID:1vTQoRJm
金曜投下予定してたものをいまさら投下しますー
前回の、「気になること」の続きです

以下、注意とか

かがみ&つかさ
4レス
非エロ

簡単に言えば前回の「気になること」とほぼ同じです
70気になるわけ:2008/01/29(火) 01:49:00 ID:1vTQoRJm
 今、私は人を待っている。
 詳しく言えばおととい、誰かさんにそして一方的に用事をつけられて自分の家で待ってるところだった。

 さて、もうすぐ来る頃だろうけど……恥ずかしいことにうちの末っ子がまだ夢の中にいた。
 遊ぶ約束を下校してる途中にこなたたちが日曜日に来るって言ったはずなんだけどね……憶えてるのかしら?
 起こしてる最中にチャイムが鳴っても少しめんどいので起こさずに待ってることにする。
 なぜ昼過ぎても起こさなかったと言えば、いくらつかさでも一人で起きれると思ったから。

ピピピピピピピピピピピピピピピピンポーン!

 とてもやかましいチャイムの音が家中に響く。
 まだ真昼間でうちにはお母さんもお姉さんもいるって言うのに…あいつは……。
 にしても、どこの名人の真似だ。
 お母さんとお姉さんにはちゃんと友達が来るって説明してあるけど、変な勘違いでもしてほしくなかった。
 また同じようなことされても困るのですぐ玄関へ向かいに行く。

 外と中を繋ぐ戸を開いた先には、今すぐにも16連射をしそうな指の持ち主が居た。
「あんたは人ん家に迷惑かけるのが好きなのか?」
「あ、だめだった?」
「駄目に決まってるわよ」
 とまぁ、いつもの顔ぶれがアホ毛の後ろに見える。
「みゆきも来たのね」
「はい、恐らく家が厳しかったら無理でしたでしょうけどお母さんがお母さんだったのでよかったです」
 一度みゆきのお母さんとは、みんなと夏に花火大会行った時に会ったけど…あのお母さんなら納得。

「ま、とりあえずあがって」
「ところでつかさは?」
「つかさは……一応家にいるわ」
「一応?」
「…とにかくさっさとあがらんかい、後ろがつっかえてるぞ」
「おおっと、ごめんヨ」

「お邪魔しま〜す」
「お邪魔ッ!」
「お邪魔します」
 峰岸、日下部、みゆきと続いて入ってくる。
 一人だけはしゃぎすぎだと思うけど。

 しかし、部屋に案内する前に重要なことを思い出したことがある。
 つかさがまだ起きていなかった。
 一階に下りて来てないということはまだ目を閉じたまんまなんだろう。

 だからと言ってこのまま部屋へ上がらせないのもおかしいと思われる。
 仕方ないからあまり触れないようにしよう。

「それじゃ、上行くわよ」
 5人一緒に二階へ続く階段を上がる。
 その間はなぜか奇妙なことにみんな口を閉ざしていた。
71気になるわけ:2008/01/29(火) 01:50:53 ID:1vTQoRJm
「はい、じゃあ入って」
 部屋の前に着き、こなた、みゆき、日下部、峰岸、と中に入れる。
 続いて最後に私も入り終えてみんなでテーブルを囲むように座る。

「でさ、こなたは一昨日、聞きたかった事があるからうちに来たんでしょ?」
「そだよー」
「まだなんか知りたいことでもあるの?」
「多分私だけじゃなく、みゆきさん、みさきち、峰岸さんも知りたいんじゃないかな?」
「え、そうなんですか?」
「ちびっ子、どんな話なんだ?」
「私やみさちゃんも知らないことなら聞いてみたいな」
 こなたの言葉に反応してみんなが食いつく。

「ま、その前に……つかさはいないの?」
 どうやら今は簡単な疑問から解決していきたいらしい。
 説明は…いいや適当で。
「自分の部屋にいるわよ」
「じゃあ、なんでこっちにこないのかな?」
「さぁ?知らないわよ」
「ん〜……まぁいいや。それじゃ、まずひとつめの気になること言うねー」
 その瞬間、この部屋が静かになる。
 っていうかなんでこんな沈黙が必要なんだ?
 みゆきもなんだか興味津々な顔してるし。そんなに私のことが気になるかね?
 日下部も峰岸も。ただ単に遊ぶだけならこなかったような気がする。

「この部屋の持ち主の人がなんで弁護士になろうかと思ったのかって言う事をね小一時間……」
「それは少し興味がありますね」
「え、柊って弁護士になりたかったのか?」
「そうね、私たちは今始めて聞いたかも」

 そういえばこいつらには話してなかったなぁと今更思う。
「別に大したことじゃないから話してもいいわよ」
「やっぱ私達と同じクラスになりたくて文系選んだから?」
「まぁ、それもあるとは思うけど深いとこでは違うわよ」
「泉ちゃんたちと一緒になりたかったのにそれでも私達と同じになっちゃうなんてね」
「どうでもいいけどひいらぎぃ、早く話してくれー」
「じゃあ行くわね」
「よし、やっちまえ」
「同じネタはもういい」
 それだけを言ってこなたの問いに答えるべく話し始めた。
72気になるわけ:2008/01/29(火) 01:53:53 ID:1vTQoRJm


「え?普通に話してちゃつまらないからいつもと違うように話せって?
 まぁ、別にいいけど……笑わないでよ!絶対に笑わないでよ!?
 じゃあ行くわよ……。
 数年前、少し寒くなってきた時期……。それは中学生のころに起こった――
 いつものようにお昼の休みに柊かがみは妹のクラスへ出向かうとなにか、昨日までとは違う空気が流れていた。
 その原因は……………あーっ!もう、なんだか堅苦しいし、しかもお前ら笑いこらえてんじゃないわよっ!
 そんな大声で笑うな……ったく。
 もう、やらなきゃよかった。なんでやっちゃったんだろ……。
 …はいはい、続きね。最初から行くわよ。
 中学生のころね――チョココロネのことじゃない。ていうか黙れ。
 5年ぐらい前のこのぐらいの時期、だったかしらね。お昼の休み時間にいつもどおりつかさのクラスに行ったのよ。
 そしたらね、なにが起きたのか知らないけどトラブルが起きててそれがつかさのせいにされていたみたいなの。
 そこで詳しく状況とか教えてもらったわけ。
 で、その話を聞いて……ちゃんと整理して考えたら、どう考えてもつかさは悪くなかったのよ。
 ま、それでその後すぐにこの話の決着は着いたんだけど、下校中につかさが突然その日のこと話し始めたのよ。
 その時に言われたのが、
 『お姉ちゃん今日弁護士さんみたいでかっこよかったよ。お姉ちゃんが弁護士さんならとても安心だよね』って言われてね。
 その頃は別になんも思ってもいなかったけど……今に至る。ってね」


73気になるわけ:2008/01/29(火) 01:55:16 ID:1vTQoRJm
「ま、こんな感じよ」
「へぇ…」
「ふーん…」
「ほー…」
「……」
 四人別々な反応…だけど微妙なリアクションね。

「かっこいいね」
「かっこいいなー」
「かっこいいですね」
「普段そういうかっこいいとこ見せないなぁ…って」

「四人揃ってうるさいっ!」


 おわ――がちゃ


「おねえちゃんおはよー……」

……………

「……やれやれ」
「あれ……?えっと…その……ごゆっくり……」

「つかさ、寝てたの?」
「え…まぁ……」
「つかささん、寝ぼけてましたね」
「柊の妹、よく寝るって聞いてたけどまさかこれほどまでとはなー」
「でも妹ちゃん、なんか可愛かったわね」
「なんで寝てるってことを教えてくれなかったの?」
「それは……教えたらこなたや日下部がつかさに悪戯しそうだと思ってたからよ」
「ま、いいや」
「いいのかよ!」


「まだまだ続くよ」
「まだあるのか……」
7414-319:2008/01/29(火) 01:56:35 ID:1vTQoRJm
と、まだまだ続くわけです。すみません。
以上でした。
75名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 01:58:17 ID:PHgyCRKo
>>67
正統的にパティと絡めるのはひよりんしか居ないと思うんだ

 百合同人のネタに困ってるひよりんに
「ショウがアリマセーン。ここはワタシが一肌脱ぎマース」
 とかいいながら文字通り脱いで組んずほぐれつ…
 同時にビデオカメラやらセルフポートレートやらで資料撮影。

「あ、ありがとパティ…お陰で極秘資料が撮れたよ(////」
「問題アリマセーン。ワタシも一攫千金武装錬金〜♪」
「へ?」
「Oh〜!キンソクジコウでシタ〜♪」

**

「おぉ〜…これは凄い…(=ω=.)」
「デショウ?今なら保存用と保管用がついて金利手数料はパティネット負担デース!」
76名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 01:58:50 ID:PHgyCRKo
sage忘れ&割り込むトコだったゴメンorz>74
77名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 02:05:34 ID:AqrS3FHq
バイト先つながりで一応こなたもいけるかと。
というかこなたとひよりくらいしか、絡めやすいキャラはいないような気がします(´・ω・`)

更衣室でじゃれあっているうちに、変な気分になっていくふたr(ry
78名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 02:11:34 ID:NBHDZsxv
一番カップリングの難易度が高いキャラはパティであったか
エロでいかないとしても、話を作るとしたら、
ひよりかこなたを絡めないと話を進めづらかろうしなあ。
なんとも悲しい立ち回りだ。
79名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 02:27:17 ID:tgaD0XGE
・パテ×こな
「OH、コナタのコスプレ。ベリーベリーグッドですよ。」
「そ、そうかな。いやそんな直接言われると照れ・・・えっ?」
「コナタ、オモチカエリ〜♪ Take out KONATA」
「ちょ、おま、あんっ・・・」

・パテ×かが
「カガミはツンデレにミコと、萌えヨウソのカタマリね」
「べ、別にそんなんじゃないってばっ!」
「リアルツンデレ、これがJapaneseのブンカでしたか」
「こ、こなたが二人いるみたいでやりづらいわ・・・」

・パテ×つか
「ばるさみこす〜」


ごめ、眠たくなっから後は誰か任せた。
80名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 02:34:52 ID:NBHDZsxv
ここで最難関、
パティ×あやのをやる猛者はおらぬのか(゚∀゚)ノ
81双子の兄:2008/01/29(火) 02:36:59 ID:wAX8e4z+
>>55
ありがとうございます、参考になった。

しかし、みんなはどちらの方法でやってるんだ?
自分でやるのは結構手間がかかりそうだが……。
82名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 02:40:54 ID:/k95PJvq
>>74
GJ!
続き楽しみですよ〜


ところでみゆきさんって「学級委員長」なわけで「生徒会長」では無かった気がするんだけど、気のせいですかね?
83名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 02:47:48 ID:NBHDZsxv
そこはほら、脚色ってやつよ、脚色(・∀・)
あの場合みゆきに有る程度の権力を持たせたほうが
物語に迫力がと説得力がでるし、
みゆきのあのスペックなら生徒会長になっても
なんら不思議はないしwwww
84名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 02:55:03 ID:AqrS3FHq
>>80

「コンニチハー、あなたは峰岸センパイでしタッケ?」
「あ、こんにちは。うん、そうよ。あなたは確か、パトリシアちゃんだよね」
「Of course.ときにセンパイ」
「はい?」
「センパイは私達の中でユイイツBoy Friendがいると聞きましたガ」
「え!? あ、うん……そうだけど」
「やっぱりカレシがいると幸せですカ?」
「う、うん。幸せよ」
「しかし最近ナニカ物足りなくはないですカ?」
「え? いや別にそんなことはないけれど」
「モノタリナクハナイデスカ?」
「え……あ、その……はい」
「そんなときは、刺激がヒツヨーですヨ」
「刺激?」
「時々刺激がないと、ケンタッキーが訪れてしまいまス」
「えっと……倦怠期のこと?」
「そうともいいますネ……センパイもそれは困りますよネ」
「う、うん……まぁ、そう……ね。倦怠期は、ないに越したことはないけれど」
「そんなときは刺激が必要なのデス」
「……具体的に刺激って何なの?」
「ハイ。三角関係とかいかがですカ?」
「……はい?」
「サンカクカンケイ、triangleです」
「その……誰と誰と……誰?」
「センパイとカレシさんと、私です」
「……パトリシアちゃんが、私の彼氏と付き合うってこと?」
「イイエ、私とセンパイがクンズホグレツするのです。マグワウのでス」
「あの、えっと」
「きっとカレシさんも嫉妬して、今以上にセンパイを求めることでショウ」
「あの」
「私も一度、ネトルというものをシてみたかったのデス」
「ちょ、ちょっとまってパトリシアちゃ……ひゃ!? こ、ここ学校!!」


即席ですみません(´・ω・`)
85名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 02:55:48 ID:AqrS3FHq
更にsage忘れすみませんorz
86名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 04:17:50 ID:uoy86uiE
>>85
ケンタッキー吹いたwww
GJ!!
てか20分て・・・ばけもんかよ(褒めてる
87名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 06:09:42 ID:knfxO7s6
おまいら、おはよう!!
んじゃ、おやすみ。
88名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 06:16:07 ID:IrbAQ509
>>49
微エロGJ!
確かにまだ文章に堅苦しいところがあるけど全然問題無しなのです
>>74
さりげなく続きwktkGJ!何でも原因がつかさっていうかがみがいいなぁ

こんなに連続でかがみとつかさ系の話が読めるとは、何十スレも耐えてきたかいがあったよ…
89名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 06:58:46 ID:7YjzLAtj
そうじろう×かなたの非エロ投下します。
90der Altweibersommer(1/4):2008/01/29(火) 06:59:32 ID:7YjzLAtj
 一月も半ば過ぎ。季節としては冬真っ盛りだが、この日は柔らかな日差しが暖かい、良い日和だった。
 古い畳の匂いが漂うアパートの一室。昼下がりの窓辺に、日向ぼっこをするように、一人の少女が腰掛けていた。茶けたイ草の上に広がる長い髪と、新雪のように白い肌が、冬の日向に良く栄える。
 傍らに古びた桐の火鉢が置かれ、切炭がやわらかい火をあげている。いまどき古風な暖房だが、小さな部屋なのでこれで案外用足りていた。ただ、換気のため窓を少しく開けているので、時折すきま風が吹き込む。
 薄く目を閉じている少女は、よく見ればうつらうつらと船を漕いでいた。繰り返すが一月半ば過ぎ。火鉢の傍、比較的日差しが強い日とはいえ、外気に触れながら昼寝をするような時節ではない。
「おい、かなたー……ん?」
 部屋の隅でどてらを着込んで文机に向かっていたそうじろうは、冬の日向で微睡んでいる少女を見て、慌てて傍へ駆け寄った。
「かなた!」
「……え? あ――」
 呼びかけられてすぐ目を覚ました少女――泉かなたは驚いたように目を丸くしてそうじろうを見つめた。……本当は少女という年齢ではないのだが、小柄かつ童顔なせいで控えめに見ても十代半ばとしか見えない。
「こんなとこで寝てちゃだめじゃないか」
「ごめんなさい、私ったらつい……今日は暖かかったから」
 かなたは恥ずかしそうに頬を染めた。
「暖かいって言っても冬なんだから。風邪を引いたりしないでくれよ」
 そうじろうはまだハラハラした様子で、かなたの顔色を確かめるように見つめている。
「はい、気をつけます。ところで何か用事?」
「あー、その……お茶でも飲もうかと思ってね……」
「お仕事の方、一段落ついたの?」
「いや……気分転換がしたくて」
 微かに苦笑いのようなものを浮かべながら、そうじろうは頬をかく。どうやら原稿が少々煮詰まり気味らしい。
「じゃあ、お茶にしましょうか」
 三時のおやつには少し早いが、こんな時、かなたは黙ってそうじろうに合わせることにしている。
 そうじろうは淡く晴れ渡った空をまぶしそうに見つめた。
「……確かに今日は良い日和だね。たまには窓辺でティータイムとしゃれ込もうか」
 小さなアパートで、しかも飲むのは日本茶でティータイムも何もあったものではないが、こういうのは気分の問題だ。
 立ちかけたかなたを止めて、そうじろうは自分でお茶の用意する。
 お盆に乗せた二人分のお茶とお菓子を前に、そうじろうはかなたと並んで、畳の上にあぐらをかいた。そのまま黙って、熱々の緑茶が入った湯飲みを手に、外の景色など眺めている。どこか落ち着きのない様子だ。
 かなたは唇を湿す程度にお茶を飲んでから、同じように外を眺めていた。
「…………良い天気だねぇ」
 長い沈黙の後、明後日の方を向いたままそうじろうがそんなことを呟いた。かなたは思わず苦笑する。まるで初めてのデートで会話の糸口が掴めない少年みたいだ。付き合いでいえば二十年以上、今では籍も入れて歴とした夫婦だというのに。
「ええ、本当に……」
 差し障りなくかなたが相槌を打つと、そうじろうはお茶を一口飲んでから、小さくため息をついた。
「なあ、かなた」
「はい」
「お腹の方は、どうだ?」
「何も問題なし。昨日の定期検診でも、万事順調ですって」
 かなたはそう答えながら、自分のお腹を愛しそうにさすった。ゆったりした服を着て坐っているので少々分かりづらいが、そこには新しい生命が在る。
91der Altweibersommer(2/4):2008/01/29(火) 07:00:04 ID:7YjzLAtj
「生まれてくる子のためにも、早く庭付き一戸建てに引っ越さないとな」
 そう言いながら、そうじろうは自然と表情を綻ばせる。
「そんなに急がなくてもいいんじゃ……」
「いや、子供が出来たら庭付き一戸建てなのだ! 一家の大黒柱としてここは譲れない!」
 握り拳でわけのわからんこだわりを熱く語るそうじろう。かなたは天使のような微笑みを浮かべながら一言。
「そのためにはお仕事頑張ってくれないとね? 大黒柱さん♡」
「うぐ……」
 そうじろうはうめき声を上げて目をそらす。
「……お仕事、そんなに進んでないの?」
「いや、まあ……〆切までまだ余裕はあるから、さ」
「そんなこと言って。そう君はまだ作家として新米もいいところなんだから、いい加減なことして編集さんに愛想つかされても知らないわよ」
「う、うん……どうもネタ出しの調子が悪くて……子供の名前案ならいくらでも出てくるんだけどなぁ。ほらほら、もう名前ばっかりで原稿用紙三十枚分もたまっちゃった」
「それは原稿料が出るの?」
「はい。すみません。出ません」
 かなたは深々とため息をつきかけ、胎教に悪いと思い慌てて引っ込めた。妊娠が分かってから、日に日にそうじろうは落ち着きがなくなっていく。
「そう君ったら、ここ最近ずっとそんな調子でそわそわして……出産予定日までまだ何ヶ月かあるのに」
「いやぁ……分かっちゃいるんだけどな」
「お仕事に差し支えるようなら、実家の方で出産に備えようかしら……」
 ぽつりとそんなことを呟く。もちろん本気ではなく、ふと思いついたことを口に出しただけだ。
 が、そうじろうは背中に「ズガァァァァン!!」と効果音が見えそうなほどショックを受けていた。
「か、かなたぁぁぁ! 俺が悪かったぁぁぁ! ちゃんと仕事するから出て行かないでくれぇぇぇぇ!!」
 かなたの腕をしっかと握りしめ、本気で泣きながら引き留める。
「がな゛だぁぁぁ〜〜!」
「はいはい、分かりました。どこへも行きません」
「本当に?」
「本当です」
「そうか……良かった……」
 心の底からホッとした様子で、そうじろうは倒れ込みそうなほど脱力する。
 ちょっと出て行くと口にしただけで身も世もなく泣き叫ぶそうじろうを見て、かなたの胸中に別の不安が湧いてきた。
「ねえそう君。もしも私がいなくなったら――」
「かなたぁああぁぁやっぱり出て行っちゃうのかぁぁぁあぁぁ!!?」
「たとえばの話よ。近所迷惑だから大きな声を出さないで」
 再び泣き出すそうじろうをかなたは冷静にたしなめる。これぐらいで慌てていては、この男の女房は勤まらない。
「そう君がそんなだから心配なのよ。もし私がいなかったらどうなっちゃうのかって」
「俺、そんなに頼りないかぁ?」
「うん」(←即答)
 ……ちょっときつかっただろうか。目に見えて凹むそうじろうを眺めながら、かなたはそんなことを思う。
「確かに俺はダメ人間だし、作家としての収入もまだまだだけどさぁ……」
「お金のことじゃなくて――」
「いや分かってる。かなたの言いたいことは」
 そうじろうは手に持っていた湯飲みを盆に戻す。
「でも仕方ないだろ。俺にとっては、かなたの存在がもう自分の一部だからな」
「……じゃあもし私がいなくなったら」
「考えたくもないけど……抜け殻になるかもな。いや、多分、なるんだろうな」
「ダメよ、そんなの」
「かなたがいなくなるってのは、俺にとってそういうことだ」
 これはある意味、脅迫ではないだろうか。一見かっこよさそうでかなりダメな台詞を真顔で吐くそうじろうに、かなたは諦観の面持ちで肩を落とす。
92der Altweibersommer(3/4):2008/01/29(火) 07:01:50 ID:7YjzLAtj
「だから俺は、絶対にかなたの傍を離れないからな」
「そんなこ――あ」
 不意にかなたが動きを止めた。何か不思議なものでも見つけたように、じっと身じろぎせず黙っている。
「どうした?」
「動いた」
「え?」
 かなたは少し興奮した様子で、自分の膨らんだお腹を両手で押さえる。
「多分だけど、胎動。まだだったんだけど、今初めて」
「ほ、本当か!?」
 慌てふためきながら、そうじろうは自分も手の平をかなたのお腹に当て、全身の神経をそこへ集中する。

 ……………………――っ……

「あっ、い、今、今の!?」
「落ち着いてそう君。私も初めてだからよく分からないし」
 かなた自身にも何となく動いている程度にしか感じられない。が、どうやら動いているのは確かだ。
「そうか〜、動いてるのか〜……」
 感動を絵に描いたような表情で、そうじろうが呟く。
「きっとこの子、そう君が頼りないこと言うから怒ってるのよ」
「ええっ、そうなのか!?」
 かなたの冗談をそうじろうは真面目に受け取り、ショックを受けている。
「嘘よ。でも私達の声は、きっと聞こえてるんじゃないかしら」
「そうか……」
 そうじろうはふと口をつぐむと、かなたのお腹にもう一度手を当てる。一分ほどして、短く小さく、手の平に動きが伝わってきた。
「……ん。頼りない俺だけど、精一杯、お父さんになるからな」
 まだ誕生していない我が子へしみじみ語りかけると、そうじろうは何か安堵したように息をついた。
「そう君。この子のためにも、抜け殻になんてなっちゃダメだからね」
「ああ。……でも、かなた。こんな良い天気の日に、そんなたとえ話はよそう。お腹の子にもよくないだろ」
「……そうね。ごめんなさい」
 そうじろうとお腹の子、両方に向けてかなたは言った。
「謝ることないさ。悪いのは、かなたに余計な心配かけてる俺だからな。さて、仕事の続きをするかな……」
 そうじろうは立ち上がると、大きく伸びをした。
「ん〜……それにしても、今日は本当に良い天気だな」
「ええ。……そういえば前にそう君が教えてくれたわね。冬のこんな日のこと、ドイツ語では『老婦人の夏』って言うんだって」
 かなたは西へと傾き始めた日の光を眩しげに見やりながら、言葉を継ぐ。
「いつか、私がお婆さんになっても、こんな冬の日和をそう君と一緒に楽しんでいたいわね……」
「もちろんだ。ずっと一緒なんだからな。その時にはこんなアパートの窓辺じゃなくて、立派な縁側でだぞ」
「ここはここで気に入ってるけど」
 そう言って微笑むかなたへ向けて、そうじろうは何か言おうとして、

 そこで視界がぼやけた。
 涙でも何でもなく。

 そのまま、不意に情景は霧散した。

93der Altweibersommer(4/4):2008/01/29(火) 07:02:50 ID:7YjzLAtj
 誰かが体を揺さぶっている。何度も、何度も。
「――さん。おとーさんってば」
「んぁ?」
 目を覚ますと同時に、口から垂れていたよだれが袖に落ちた。そうじろうは寝ぼけ眼で目の前の少女を凝視する。
「……かなた?」
「昔の夢でも見てたの? お母さんじゃなくてこなただよ」
 その通り。目の前にいるかなたと瓜二つの少女は娘のこなたで、ここはアパートではなく、庭付き一戸建ての縁側だ。
「今日は暖かいけど、いくらなんでも縁側で昼寝なんかしてたら風邪ひいちゃうよ」
「ああ、すまん……」
 一月、冬真っ盛り。あの日と同じように暖かな日和だが、時折吹く風は身が引き締まるほど冷たい。よくこんな所で寝られたものだと、そうじろうは自分に感心する。
 時計を見ると、正午過ぎ。
「あれ? こなた、学校は?」
「今日は日曜でしょ。ていうか朝からいたじゃん」
「そうか……」
 まだ寝ぼけているな……そんなことを思いながら、そうじろうは立ち上がり、大きく伸びをした。
「ん〜……」
 腰痛というほどではないが、腰のあたりに少々違和感がある。何といっても体が資本なので、暇があれば医者に行かなければ。
(俺も年食ったなぁ……)
 まだまだ気は若いつもりだが、肉体はそうもいかない。そういえば髪の毛にも少し白いのが混ざり始めている。
「お昼ご飯できてるから。すぐ来てね」
 こなたはそう言うと、寒そうに手を擦りながら歩いていった。
 そうじろうは顔を洗おうと洗面所へ足を向けかけ、ふと立ち止まり、振り返った。
「夢、か……」
 誰もいない庭を眺めながら、哀惜とも感慨ともつかぬ声を漏らす。
「……いや――」
 あの日とよく似た空模様へと視線を移し、そうじろうは呟いた。
 冬の日差しは、ただ優しく、降り注いでいた。


おわり
94名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 07:03:31 ID:7YjzLAtj
読んで下さった方、ありがとうございました。
95名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 07:09:17 ID:knfxO7s6
>>94
なかなか眠りにつけない明け方に、GJ!!
ありがとじゅしたー。
96名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 07:30:11 ID:nZ/IYMzc
>>94
最近あつらえたように朝方投下があるから、今日もまたお仕事がんばれる……
なんにしてもgj!


――自分も、早くss完成させよう( ´・ω・)
97名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 07:45:17 ID:vcw/++uw
Elopeやガラスの壁を見た後に
>>37氏の発言見てちょいとかがみ×みなみを構想してみた


OK、俺のヘタレた力じゃ厳しい
一応書いてみるか、見せれるものになりそうにないが
98名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 07:58:17 ID:nR3gKNDj
賛否両論(否の方が多い様な……)ある「カケラ」の続き、投下させて頂きます。

・みさお兄視点 (みさお兄×みさお) / 第三者視点
・今のところ非エロ
・5レスほど使用
・シリアス/タイムリープ/平行世界/鬱展開
・オリジナル設定が多いのは仕様です。
・物語の性格上、鉄分が濃いです。
・架空の町が登場します。
99カケラ 12 間-1/5:2008/01/29(火) 08:03:55 ID:nR3gKNDj
間.

「……………『星の石』、ねぇ」

カタンカタンという軽やかなジョイント音をBGMに、おれはすでに3本目のビールを飲んでいた。
ここは寝台特急「北陸」号の車内。
明日おれは、能登半島にあるとある業者と打ち合わせをするため、この列車に乗っている。
つまり、会社の出張だ。
打ち合わせは午後3時だから、朝いつも通り家を出ても十分間に合う時間だった。
何故わざわざ寝台列車で向かっているかと言うと、ちょっとした『用事』が出来たからだ。
たまたまこの日を出張にしてくれた会社を、おれは感謝した。
どうせ出張旅費は会社持ちなので、おれは久喜駅で切符を買って「北陸」号で行く事にした。

今回は『オマケ』まで付いている。今、そこで寝ているけれど。


結局おれは町立図書館へ行かず、夕方までずっと、柊さんと話をしていた。
何とも不思議な話だった。
100カケラ 12 間-2/5:2008/01/29(火) 08:04:19 ID:nR3gKNDj
〜〜〜〜

柊さんは昨日の高架橋崩壊事故を『事件』として見ていた。そこはおれと同じである。
ただ、やはりおれと同じく、確かな証拠が一つも見付けられずにいた。
おれは事故現場の付近で見た『穴』の事を、現場で撮った写真と、パソコンの画面を見せながら、簡潔に説明した。
というか、得られた情報が少ないため、簡潔にしか説明出来ない。
直径10メートルはある大穴だったこと、中は真っ暗で非常に暗かったこと、
端面がまるで冗談みたいに綺麗に整えられていたこと、
そして、この穴の情報が一切『表』に流れていないこと。
(あの『某掲示板』の連中ですら、口……いや文字にしなかった)

10分足らずで終わった説明を一通り聞いた柊さんは、ふむ、と小さく唸ってから出されたお茶をすすり、
ゆっくりと口を開いた。
「その『穴』は、誰かが『人為的』に開けたものではないねぇ」
えっ?!
「高架橋『を』崩す時に、開けられた……いや、『開いた』ものだろう」
「………はぁ」
予想外な発言だった。おれが契約している携帯電話会社のCMに出てくる、黒人の息子を思い出した。
お父さんは確か犬だったな。どうでもいいけど。
「『星のカケラ』の話を知っているかい?」
「いえ……」
聞いた事がない。
柊さんは「そうか」と短く答えると、『星のカケラ』について、話してくれた。
「昔の話だけれども、北陸の能都地方のとある集落に『星の石』という変わった石をお祀(まつ)りしていた神社があったんだ。
 その『石』は五芒星に似た形をしていて、色は透き通った黄色でな、夜にぼんやりと光るんだ。
 その『石』の光る様子を見て、人々は『神さまが宿った特別な石』として、その『石』を祀ることにしたそうだ」
何とも不思議な話だ。
しかし、世の中には現代の科学でも解明出来ない不思議な事象が幾つも存在する。
おそらく『石』の組織の中に蛍光体が入っているのだろう。
「しばらくの間、集落の人々は平穏な暮らしをしていたのだが、35年ほど前からかな?
 『岡山』の新聞記事に採り上げられた事から、その石を一目見ようと多くの観光客が集落を訪れる様になったそうだ。
 勿論、その石を悪用して、不当に金儲けをする人も居て、『石』が何度も狙われたそうだ」
何せ光る石だ。砕いて加工して『お金持ちになれる石です』と宣伝して数万で売れば、それなりに稼げるだろう。
その後の未来は相当暗いものだが。
「だが、その石を狙ったり、見たりした者は必ず怪我や病気に襲われ、死者も出た。
 人々はその石を忌み嫌う様になり、ある日、ある男が石を破壊してしまった。すると──────」
ごくり、と生唾を飲み込む。
「その石は神社と集まっていた人を吹き飛ばして、その『カケラ』は至る所へ飛び散ってしまった。
 その石には不思議な力が込められていた。
 それが──────」
そう言いかけた所で、柊さんは傍らに置いていた桧の箱を取り出し、幾重にも貼られた御札を丁寧に剥がして蓋を開けた。
ていうか、神道にも御札があったのか。
「────この『石』だよ」
柊さんが話した通りだ。
「安心しなさい、封印を施してあるから何が起きるという訳ではない」
その石の『カケラ』は確かに透き通った黄色で、まるでレモネード味の飴玉の様に綺麗だった。
『カケラ』なだけあって、形はかなり歪(いびつ)な直方体で、その断面はとても荒々しい。
しかし、上面(と呼ぶべきか?)は本来のものと思われる滑らかな地肌で、墓石の様に美しく磨かれている。

気になる事が1つだけある。
101カケラ 12 間-3/5:2008/01/29(火) 08:04:48 ID:nR3gKNDj
「その石はずっと、この神社にあった物なんでしょうか?」
おれの素朴な問いに、柊さんは答えた。
「この石は、崩壊『事件』現場で見付かった物だよ」
詳しく話を聞かせて貰ったが、この石を鷲宮神社まで持って行ったのは、この町に住む事故に巻き込まれた人とのこと。
名前や住んでる町域は流石に伏せられたが、自力でこの町まで持ち帰ったものらしい。
その人の証言によると、事故が起きる直前に、この『石のカケラ』が強く光り、その瞬間に橋が崩れたとのこと。
本人はそれ以上の事は一切口にせず、やがて家に帰ったという。
まさか……、
「貴方はその『石のカケラ』とやらが原因で橋が崩れてたとでも言うのですか?!
 貴方の娘さんも、その友達も、事故に巻き込まれたのかも知れないんですよ?!!」
仮に石が本当に光ったとして、何故橋が崩れるんだ?
その『カケラ』が爆弾でも無い限り、その『カケラ』が原因で橋が崩れる筈がない。
それがもし爆弾だったとしたら、とっくに粉々になって、今頃綾瀬川の底に沈んでいるに違いない。
「落ち着きなさい。私はその『カケラ』が事件の引き金になっているとは言っていない。
 それに、私も『彼女』の話を信じている訳ではない」
だったら何が言いたいんだ!?
「ともかく、この『石』が現場にあった事は確かだ。
 モノがモノだけに、この『石』が何らかの形で事件に関わっている可能性が無いとも限らない。
 幸いこの神社には多くの書物が残されている」
……だから?
「だから、この『石』は私が調べよう。そして、君に折り入って頼みがある」
ここでようやっと本題に入る。今までのは長い長い『前置き』だ。
「この『星の石』が祀られていた集落まで行って、そこで『石』について調べて頂きたい」
そう言うと、柊さんはおれに1枚のメモを渡した。
「その町の集落に行って、まずは『泉』さんという方に会って下さい。
 多分、君も知っているとは思うが、」
「もしかして『いずみ宗次郎』の………」
「そう、彼の生家だ」
『いずみ宗次郎』と言えば、あの作品で有名な能都地方出身の小説家で、おれのお気に入りの小説家のひとりである。
今は埼玉県に住んでいるそうで、そのうち一度で良いから彼にお会いしたい。
この時はまさか、泉こなたちゃんの父親だとは知らなかった。
しかし、今は状況が違う。
「分かりました。行って調べましょう。実は明日、七尾の方に出張なんです」
本当に凄いタイミングである。
おれは有名な小説家の事は頭の隅に追いやり、「矢波(やなみ)」と言う集落に行く事にした。
「ただし────」
柊さんの目を見て、おれは自分の意志を伝える。
「おれは『個人的には』、その石の『チカラ』は信じていませんし、『事故』に直接関わるとは思っていません。
 ただ、おれは崩壊事故のそばにあった穴、ひいては事件そのものの真相を知りたいだけなんです」
これだけは本当の事なので、伝える。
柊さんは、
「そうか」
と短く答えただけで、急須からおれと自分の分のお茶を淹れて、最後にこう質問した。


「君はウチのかがみやつかさ、泉こなたさんは、必ず帰ってくると信じるかい?」

〜〜〜〜
102カケラ 12 間-4/5:2008/01/29(火) 08:05:19 ID:nR3gKNDj
……………結果として、行方不明となっていたかがみちゃん達は見付かった。
それが分かったのは、おれが家を出る1時間前のこと。
実は昨日の夜に3人共見付かって病院に運ばれており、やっと身元が判明したとのこと。
ただ、無事ではなかった。
辛うじて生きてはいたが、『息をしている』だけであり、意識は失ったままだった。
外傷が至る所にあるが、幸い命に別状はないとのこと。
おれ達は彼女らが無事に目が覚める事を祈りつつ、
今与えられた課題──『石』と『事件』と『穴』の関連性──について調べる事にした。

ビールの4缶目を開けようと思ったが、大宮駅で買ったおつまみは既に底をついている。
かといってそこらに放置する訳にもいかないので、結局プルタブを引いて飲んでしまった。

おれがそろそろ別のB寝台の個室に向かおうとした所で、
ベッドで寝ていた『オマケ』がもそもそと起きあがった。
「ごめん、起こしちゃったかな?」
「うん、ちょっとだけ。まだ起きてたのか?」
「まぁな」
ちょうど午前零時を回り、日付が変わる。
そう、『オマケ』とは、おれの身近な血縁者、みさおである。
我が妹は玄関で散々小さな子どもの様に駄々をこね、どうしても一緒に行くと聞かなかった。
妹を甘やかすつもりは無いし、母親もみさおを説得したが、結局おれが責任を持って連れて行く事にした。
学校へは風邪で寝込んだことにする。まぁ、あながち嘘ではない。
みさおは午後から咳が止まらず、少しだけ熱もあった。

寝台券は自分の分しか用意していないのが、「北陸」号は予め寝台券を買わないと乗る事が出来ない。
そこで、おれ達はJRと接続する久喜駅の窓口でもう一式切符を買った。
幸い直前のキャンセルで余ったB寝台の個室があったので、そこの寝台券を買った。
いくら生意気でおれよりも体力があるとは言え、可愛い妹をノン・セキュリティな普通寝台に寝かせる訳にもいかない。
自分の分の寝台券を払い戻して、2人用個室を改めて買う事も考えたが、
いくら普段同じ部屋で寝起きしているとは言え、年頃の男女が二人用個室で寝るのは憚れた。
そもそも「北陸」号には2人用個室は連結されていない。
結局、B寝台の個室をおれが、A寝台の個室をみさおが使う事にした。
ところが、みさおは「寝るまで一緒にいて欲しい」とおれに頼んだので、しばらくの間、おれはみさおの部屋に留まった。
車掌が検札に来たが、「寝る時は必ずご自分の個室へお戻り下さい」と言うだけで、特にお咎めは無かった。
103カケラ 12 間-5/5:2008/01/29(火) 08:05:46 ID:nR3gKNDj
みさおが受けたショックは相当なモノだった。
陸上部の友達を失い、5年間一緒だった友達も危険な状態に置かれていて平気な筈がない。
おれも、みさおとあやのが事故に巻き込まれて重体になったら、多分冷静でいられなくなると思う。
おれはつくづく妹に甘いと思う。
いくら授業が全て終わっているとは言え、おれは学校を休ませてまで妹を連れ出してしまったのだから。
けれどもおれは、これ以上みさおが悲しむ姿を見たくはない。
いつも脳天気にはしゃいでいるみさおであって欲しい。
いつも楽しく笑っているみさおであって欲しい。
今だけは、目一杯甘えさせてあげたい。
だから、おれは妹を連れ出した。


「それじゃぁ、おれは部屋に戻るから」
そう言っておれがベッドから立ち上がり、出口の扉へ向かおうとすると、我が妹は服の裾を引いて、言った。
「朝まで…………、一緒にいて……………」
「でも……、」
「こういう時に言うのもナンだけどさ………………好きだよ、兄貴のこと」
その『好き』とは、もしかして…………。いや、まさか、な。
「おれもだ。お前はおれの自慢の『妹』だからな」
「違ぇよ、馬鹿……………」
敢えてツッコまず、妹の方に向き直る。
「だから…………一緒にいて……………」
「……………分かったよ」

おれとみさおは、一人用の狭いベッドで身を重ね、朝まで共に過ごした。
これだとあやのに半殺しにされるかも知れんな。おれは、最低な男だ。




午前6時22分、夜汽車は定刻通りに北陸・七尾線津幡駅に到着した。
一面は白銀の世界だった。

おれはこの時、30年前の『異』世界で何が起きているのか、知る由も無かった。
まさか、自分が事件の引き金になっていようとは…………。

*****

埼玉県桜園市。あの平成の大合併で誕生した、面積だけはやたらと大きな街の一角に、
小規模な市営住宅が建っていた。その中の一室にて─────。

「ふふふ。何としてでもこの計画は最後までやり遂げるわよ」
人殺しと呼ばれようがなにしようが構いやしない。
そうと言わんばかりに不気味な笑みを浮かべる小さな影が、そこにはあった。
104久留里:2008/01/29(火) 08:09:21 ID:nR3gKNDj
以上でございます。
みさお兄×みさおの夜のシーンは、また改めて。

初めて本格的な物語を書いているので、まだまだ未熟な点が多いと思います。
厳しい意見にもしっかりと目を通し、少しでも良い作品作りに勤めます。
105名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 08:21:38 ID:6LGWZ4yQ
>>94
808さん! 808さんじゃないか!
貴方のかなたさんが読める日が来るとは、お兄さんびっくりだ。GJでした。

>>104
なに、職人なんてのは黒歴史を積み重ねて大きくなっていくものよ。
まずは完走までがんばってー。そこから得る物がきっとあるはず。


ていうかみさ→兄だったとは。しおらしいみさおってちょっと新鮮。
106名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 10:15:02 ID:OmtH/e5T
まあ、今まで原作やアニメとかで描かれてきた「現実準拠のゆるゆるまったり路線」が好きな
人からすれば、ファンタジー路線に振ったSSに違和感を感じるのも、わからなくはないんだよね。
「ここにある彼方」が新鮮に見えるくらい、見事なほどファンタジー臭ないもんね。

でもさ、ネタバレになるから詳しくは言わないけど、公式のひとつであるところの桜藤祭(PS2)が
ゴーカイにファンタジー路線を突っ走ってる以上、こういう展開も「らき☆すた」の一つとして
楽しんだらいいんじゃないかなあ。
現実、ファンタジー、パロネタ、現実連動に公式二次創作(笑)、「なんでもあり」で視聴者のあらゆる
ニーズにお答えするのが、「らき☆すた」の強みでもあり、今なお人気の秘密でもある、
そう思うわけですよ。うん。

私のレプリカアンドロイドまで登場させちゃう人がいるのにはぶっ飛んだけどね(笑)


いじょ。久々登場の日向こなたでした。
107名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 10:19:20 ID:QSA2dyKY
>>94
情景が目に浮かぶようだGJ

>>104
GJ
毎回楽しませてもらってます
続きをwktkしながら待ってますよー
そして、みさ兄×みさを楽しみに待ってます
108名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 10:47:34 ID:ZX8WJr/C
ファンタジーものでも人気なのは人気じゃない?
根気よく続けることが大事ですよ
109或るあほげの独り言:2008/01/29(火) 11:29:25 ID:N9ve7kIA
誰もファンタジーであることが悪いとは言ってないみたいだけどね。
おそらくここのスレ住人にとってファンタジーは
それほど受け入れづらいものではないと感じるのは私だけ(=ω=.)?

むしろ悪評の焦点を見ると、あるキャラの下劣ぶりと、
視点の煩雑な切り替わりと突然設定の連発に…てのが多いね。

視点切り替えは、作品意図だと思ってるから様子を見てる。

悪態キャラは…もちろんいちゃいけないなんて言わないけど
下劣が行き過ぎたり、ヒール(悪役)としての魅力に欠けたりすると、
作中人物どころか読者も純粋な怒りに巻き込む可能性がある。
なんでこんな三下にお気に入りのキャラが侮辱されねばならんのか、とネ。
それもひっくるめて意図だとするならもちろん何もいわないけど、
そうじゃないなら少し考えた方がいいかもしれないネ。

あと突然設定…これはもう何とも言えない…
一つ言えることは追加されていくフラグメント、伏線の量は、
その伏線を回収するのに必要な作品の長さ、濃さに比例する、ってとこかな
ようは、設定を出したからには、責任をもって回収しつつ
物語を進行させよ。ってこと。
逆に言えば、設定の設置、設定の転換は
よくよく考えて行わなければいけないってこと。
もちろん、読者がついてこれる程度に、
適度なフラグメント回収もやってった方がいいしネ。
特にシリアスものは…そういった構成作業を怠りgdgdになると
目もあてられませぬ(〒ω〒.)

色々ほざいたけど、私はこれ、アリだと思ってますよ(=ω=.)b
当時の鉄道知識と時代考証を元に綿密に描かれた背景は
思わず物語にすーーっとはいってこれる魔力を感じたしネ。
できますれば、そのふいんき(なぜか変ry)を保ちつつ、
物語を進行して頂ければと願って止みませぬ。
110名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 11:30:03 ID:+L4Mg++L
広義な意味でのファンタジーモノはスレの当初からあったからな。
特にかなたさんネタで、GIOGIO氏のグラヴィティとか、
妄想屋(仮名)氏のおかえりなさいとか、◆cj23Vc.0u.氏の
アキハバラ1988とかてけてけかなたさんとか。
最近じゃぶーわ氏の人袖も遙か的なファンタジーで好評だった。
U−1的だったりメアリー・スー的なキャラ作りでなければ
ファンタジーでも立派に受け入れられるんじゃないか?
111名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 11:38:31 ID:ZX8WJr/C
超設定と厨設定は紙一重だからね
オリジナルキャラもしかり
その辺でいくとぶーわ氏の人袖はやっぱ凄いと思う
というかスケールがでかすぎるwwwwらき☆すたからよくもまぁあそこまで広げたよな
112名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 12:02:21 ID:pfYVDUj+
「これ、別にらき☆すたじゃなくてもよくね」って領域まできたら危険
11323-49:2008/01/29(火) 12:03:04 ID:N+RJ1QoJ
失敬
お話の途中のようですが、他に予定されている方がいないようでしたら投下させてください

前スレの「栗色攻略戦」の続編、予告どおりかがみのターン
時系列的には少々遡りまして、
「ついんずランチ」の日の放課後、および「ハニマスタード・ラプソティー」の日の夜の話
かがみがひたすらイライラするだけの内容です
さし当たって前半のみ、五分後ぐらいから行きます

・カップリング無し(あえて言うならかがつか)
・かがみ視点
・7レス使用
・エロ無し
・名無し顔無しの男子生徒が三名登場(以前お願いしたTS三人衆もどきです)

途中で止まってしまった場合は例によって wiki と避難所を参照してください
114圏外 前編 1/7:2008/01/29(火) 12:07:29 ID:N+RJ1QoJ
 
 久しぶりに妹のつかさと二人きりで昼食をとることになった、その日の放課後。
 教室を出て、靴箱の前まで降りてきたところで、つかさがおずおずと口を開いた。
「あの、ゆきちゃん、お姉ちゃん……ごめん、おトイレ行ってきていい……?」
 駄目って言ったら家まで我慢するのだろうか。
 なんてことを思いつつ、私は本日何度目になるか分からない溜め息を吐く。
「もう……先に済ませときなさいよね」
「あ、あの。すみません、私も……」
 すると同行していた友人の高良みゆきまで恥ずかしそうに手を挙げた。
 生じた少しの気まずさを誤魔化すために、私は肩をすくめる。
「はいはい。行ってらっしゃい」
「すみません」
「ご、ごめんなさい。じゃあ、すぐ戻ってくるから、待っててね。……先に帰ったり、しないでね?」
「はあ?」
 何を言い出すんだ、この子は。
「そんなことするわけないでしょ。さっさと行きなさい」
「う、うん。ごめん。――行こ、ゆきちゃん」
「はい。――ではかがみさん、失礼します」
 そうして二人は来た道を引き返していった。
 まったく。私が一人で先に帰るなんて、どっからそんな発想が出てきたのよ。
 こなたじゃあるまいし。
 ……ああ、そうか。こなたのことがあるからか。

 つかさのクラスメイトであるもう一人の友人、泉こなたは今、ここにはいない。
 先ほど私が三年B組を訪れたときには既にいなかった。
 なんでも、同じ学校の一年生で従妹でもある小早川ゆたかちゃんに急用があるとかで、
 HRが終わるとすぐ教室を出て行ってしまったらしい。
 その事実が、昼休みにも姿を消していたこととも合わさって、つかさを不安にさせている。
 そして私を苛立たせている。
 まったく、どういうつもりなのだろう。
 つかさの言うとおり、本当に仕返ししているつもりなのだろうか。
 だとして、何がどう「仕返し」だっていうの?
 自分が寂しいから私も寂しがらせてやろうって? 自分がいなくなることで?
 バカじゃないの?

 いや、バカなのか。
 そうね。あんなバカのことなんか考えても仕方がないわ。
 それよりも、もっと考えないといけないことが今はある。
 さっきみゆきに言われたこと――岩崎みなみさんのことだ。
 みゆきの向かいの家に住む幼馴染で、ゆたかちゃんと仲の良いクラスメイト。
 背が高く、綺麗な顔立ちをした、真面目で大人しい感じの子だ。
 昨日、九月十二日はその岩崎さんの誕生日だったらしい。
 彼女はそのことを友人にも誰にも話さず、当日を家族だけで過ごしたのだという。
 分からないではない。高校生にもなって「お友達を呼んでお誕生会」もないだろうとは思う。
 だが、周りに教えてすらいないというのはどうなのか。

 そこでみゆきが昼休みに、これまた岩崎さんのクラスメイトである田村ひよりさんに相談したところ、
 今度の日曜日にパーティーを開いてはどうかということになったそうだ。
 告白の件といい、今日のみゆきはずいぶんと忙しい昼休みを過ごしていたらしい。
 一人でだらしなく学食の扇風機に当たっていた誰かさんとはえらい違いだわ。
115圏外 前編 2/7:2008/01/29(火) 12:08:31 ID:N+RJ1QoJ
 ま、それはそれとして。
 みゆきからそんな話を聞かされ、私もつかさも二つ返事で参加と協力を引き受けたんだけど……
 参加はともかく協力って、何をすればいいのだろう。
 つかさにはパーティー料理という具体的な課題があるけど、私は?
 とりあえず、プレゼントを買うこと。そして当日に準備や後片付けを手伝うこと。
 それぐらいしか思い付かない。

「だよなー」

 え?

「うんうん。あんなにすごく臭くなるものなんだね」
「ああ。あの臭さは他ではちょっとお目にかかれんな」
「目じゃなくて鼻ですがね」
「うっせぇな」
 男子の声が廊下の向こうから、なんだかよく分からない会話を繰り広げながら近づいてきている。
 下校時刻の靴箱前だ。人も通るだろう。
 彼らは、私のいる三年C組に割り当てられた棚の裏側に入ったようだ。B組かA組の人たちか。
 顔は最初から死角になっていたので分からない。声に聞き覚えは……あるようなないような。
 少なくとも委員会仲間は混じっていなさそう。
 ……自分の、男子との接点の少なさに悲しくなってくるわね。
「すごいと言えばさ、すごかったよね昼休み」
「お前って急に話変えるよな。何がだよ」
「柊ツインズのことですよね」
 え?
「そう、それ。柊さんとそのお姉さん」
「ああ、アレな」
「君も興味津々だったじゃないですか」
「いやそりゃ……あんだけ騒がれたら誰だって見るだろ」
 ……そっか。
 つかさが――私もか。昼休みに泣いたり叫んだりしちゃったんだっけ。
 そりゃ噂話のネタにもなるわよね。
「確かに。あれはなかなかの見ものでした」
「やっぱ男の取り合いでもしてたのかねえ?」
 待て。
 だからってそんな根も葉もないことを言われる憶えはないぞ。
 修羅場がどうとか囀ってたのはお前か。
「そんなわけないでしょう。後半の、お姉さんのあの優しさを見てなかったのですか?」
 お。よし偉いぞ丁寧語。
 って何言ってるのよ私は。こんなの盗み聞きじゃない。
 でも離れようにも下手に動いて見つかったらもっと気まずいし……
 ああ、もう。
 いいわ。知ったこっちゃない。
 当事者がいるかも知れないところでこんな話してる彼らのほうが悪いのよ。
「じゃあなんなんだよ」
「知りませんよ。話の中身までは聞こえませんでしたしね」
 あ、そうなんだ。ちょっと安心。
 いや別に聞かれて困るような話はしてないけど。
「でもあの人、あんな優しい顔するんだねえ。もっと怖い人かと思ってたよ」
「あー、それは同感」
116圏外 前編 3/7:2008/01/29(火) 12:09:34 ID:N+RJ1QoJ
 悪かったわね。
 どうせ私は凶暴よ。
「惚れましたか?」
 ……。

 ……え?

「そっ――そんなんじゃねぇよ!」
「そうだよ! 何言い出すんだよっ!」
 ちょ……ちょっと。
 ちょっとちょっとちょっとちょっとちょっと!
 待ってよ。何よその図星刺されましたと言わんばかりの反応は!
 ほ――惚れって……え、えぇぇえ!?
「何と言われましても。一般論です。それまで特に意識もしていなかったクラスメイトの意外な一面を
見て、急に気になりだす――よくある話ですよね」
 うわ。
 なんかコイツむかつく。
 言ってることに筋が通ってるだけに余計にむかつく。
 けど……言ってることに、筋は通ってる。
 彼らの正体――顔や名前がさっきまでよりも気になっている私が、確かにいる。
 どうしよう。顔、熱い。
「クラスメイトじゃないだろ」
「そこが今、重要ですか? 下らない揚げ足取りばかり上手ですね君は」
「なんだとコラ!」
 きゃっ!?
 ――っと、あぶないあぶない。もうちょっとで声が出るところだったわ。
 ここで見つかったら気まずいどころじゃすまない。
 まったく、男子はすぐ力に走ろうとするんだから。
「や、やめなよ二人とも」
 あ、でもこの子はいい感じかも。
 ちょっと頼りない気もするけど、優しそう。
「これは失礼」
「この野郎……。そういうお前はどうなんだよ」
 まだ引っ張る気か!
 しかも何よその振り方は。この手の展開でその手の質問は地雷だって知らないの?
 てゆーかそもそもいつまで立ち話してんのよ。さっさと靴履き替えて帰りなさいよ。
「僕ですか? とうに諦めてます」
 え?
「彼女にはとてもじゃないですが、手は届きませんよ」
 ……ふ、ふぅん。なかなか殊勝な心掛けじゃないの。
「珍しいこと言うじゃないか。なんでまた」
「だって泉さんがいますからね」
 ……。
 ……。
 ……は?
「なんつった?」
「泉さんですよ。泉こなたさん。柊姉には彼女がいますからね。我々には手は出せません」
「ああ、そっか。そうだね」
 いやいやいやいや。
「そっかじゃねえよ。納得してんじゃねえよ。女同士だろうがどっちも」
 そうよ。
 そうよ。
 あんた気が合うわね。もっと言ってやって。
117圏外 前編 4/7:2008/01/29(火) 12:10:36 ID:N+RJ1QoJ
「では、君はあの二人の間に割って入れると?」
「む……」
 なんで黙るのよ!
「いや、つか、あいつらってやっぱ付き合ってるのか?」
 そんなわけないでしょ!
 やっぱりって何よやっぱりって!
「さあ?」
「さあってなお前」
「知らないものは知りません。――ただ、『理想的な関係』の一つではあると思いますよ。
信頼し合っていて、必要とし合っていて、それでいてどちらも依存はしていない。
女性同士だからこそ成立する関係なのかも知れません。どちらにしても、今のところあの二人は
彼氏などは必要としていないように見えますね。お互いさえいれば」
 ……何よ、それ。
「あれ? 柊さん――えっと、妹さんの方は放ったらかし? あと高良さんも。四人揃ってる方が
キレイだと思うんだけど」
「ああ、まあ一種の名物だよな」
「どうでしょうね。確かに四人揃っている方がより美しいですし、見てる分にも楽しめます。
本人たちも二人よりも四人を望むでしょうね、特に柊妹は。ただ、それも泉さんと柊姉の
関係があってのことだと思いますよ」
 ……。
「そういうものかなあ」
「分からんではないが……。でもここんとこ四人じゃないこと多いよな。今日もツインズだけだったし」
「ま、そんな日もあるでしょう。そもそもほとん憶測ですし、実は四人とも仲が悪いのかも知れません」
「お前な」
「そっか。付き合うにしても、四人一緒じゃないと残った人がかわいそうだよね」
「……」
「……」
「え? なに?」
「君は、たまに大胆なことを言いますね」
「できるもんならやってみろ。殺してやるから」
「ええっ!? そ、そんなつもりじゃ――」
「じゃあどんなつもりだってんだ」
「それは、ええと――」
「やれやれ――」
「――」
「――」

 ……そんな風に、見られてたんだ。

「――お姉ちゃーん」
「お待たせしました、かがみさん」
「お待たせ……どうしたの? お姉ちゃん」
「かがみさん?」
「…………なんでもないわ。行きましょ」
「う、うん……?」


     ☆


 翌日の夜。
 私は自室のベッドに寝転んで、蛍光灯の灯りを見るともなく眺めている。
 イライラする。
118圏外 前編 5/7:2008/01/29(火) 12:11:40 ID:N+RJ1QoJ
 今朝は、つかさを置いて一人で先に家を出て、日下部と峰岸の二人と登校した。
 三人でお昼を食べて、三人で下校した。
 何度か機嫌の悪さを指摘されたけど、寝不足ということであっさり誤魔化せた。
 実際夕べは寝付けなかったし。
 でも、日下部はともかく峰岸まで簡単に納得したのは少し以外だったわね。察してくれたのかしら。
 きっとそうね。日下部がしつこくしてこなかったのも、今にして思えばあの子が細かくフォローして
 くれてたおかげな気がする。良い友達を持ったもんだわ。
 あの子が「怒ったら怖い」なんて、本当なのかしら。
 私は「普段から怖い」らしいけどね。

“――もっと怖い人かと思ってたよ”

 あああああ思い出してしまった。
 たぶん元から寄っていた眉をさらに寄せ。目をぎゅっと閉じる。顔をしかめる。
 あの三人の会話が頭から離れない。
“――だって泉さんがいますからね”
“――あいつらってやっぱ付き合ってるのか?”
 イライラする。
 本当に、イライラする。
 無責任なことをベラベラベラベラ並べやがって。なんで顔も名前も知らない人にまでそんなことを
 言われなきゃいけないのよ。
 別に誹謗中傷をされたわけではない。それは分かる。
 最初はショックが大きかったけど、丸一日以上が過ぎた今ではそう判断できる。
 彼らの言っていたことは、「私とこなたはすごく仲が良い」と、要約すればそれだけだ。
 褒め言葉と取れないこともない。
 いやむしろ普通なら褒め言葉だろう。
 だけど、だからって「お互いがいれば恋人など必要ない」とはなんだ。どうしてそうなる。
 確かに現時点で私に恋人はいないけど、必要ないなんて思ってない。
 一人でいるのは……まず、付き合いたいと思うほどの相手に出会ってないからだ。
 いや、中学のときになら気になってた男の子もいた。
 いたけど、まあ、勇気がなかったり、その人には他に好きな子がいるらしいって話を聞いたり。
 あと……そう。つかさがいたから。
 あの子が一人になってしまうと思ったのが大きい。
 そうよ。そうね。
 私に恋人ができないのはつかさのせい……じゃなくて、私に妹離れができていないせいだ。
 こなたは関係ない。
 それに、そう。
 こなたと最初に仲良くなったのはつかさだし、みゆきと一番よく話すのもつかさ。
 私がB組に顔を出すのだってあの子がいるからだ。
 そういう意味では、私たち四人の中心はつかさであって、私とこなたなどではない。
 なんだ。何もかも間違いだらけじゃない、彼らの言ってたことなんて。
 そういえばそもそも勝手な憶測だとも言ってたし。気にすることなんかなかったんだ。
 それなのに丸一日以上グダグダと悩んじゃって、バカみたい。
「はぁっ」
 ため息をついて、起き上がる。
 ようやくすっきり……
「……」
 できてない。
 まだ胸の辺りにモヤモヤガ残っている。
「なんでよ……答えは出たじゃない」
 頭をガリガリと掻きむしる。
 ボリボリと脳に響く音が妙に不愉快だ。髪の毛の指ざわりも少しベタついた感じ。
「……お風呂、入ろ」
 そうしよう。
 今日もまだまだ暑かった。汗を流せばもう少しすっきりできるだろう。
119圏外 前編 6/7:2008/01/29(火) 12:12:42 ID:N+RJ1QoJ
「あの……お姉ちゃん?」
 お風呂から上がって、洗面所で髪を乾かしていると、横合いからそんな声がかけられた。
 ドライヤーのスイッチを切り、振り返る。
「あ、帰ってたんだ、つかさ。――なに?」
「う、うん。部屋まで行ったんだけど、いなかったから……」
 何かをためらっているのか、もじもじと煮え切らない態度で言うつかさ。
 そんな態度にまた少しイラっとくる。
 シャワーを浴びて体の方はさっぱりできたけど、胸のモヤモヤまでは洗い流せなかったらしい。
 しかし、だからといってこの子に八つ当たりをするわけにはいかない。
 気を静めて、私はなるべく硬くない声で続きを促す。
「うん。なに?」
「あ、その……ちょっと、相談っていうのかな……あって」
「いいわよ。終わったら行くから、あんたの部屋で待ってて」
「う、うん。ありがとうお姉ちゃん」
 するとつかさは、花の咲くような笑顔でうなずいた。
 ああ、冷たくしないでよかった。
 やっぱりこの子には、苛立ちをぶつけるより、笑ってもらう方が何倍も癒しになる。


 ノックして部屋に入ると、つかさは飲み物を用意して待っていてくれた。
「あら、ありがと」
 部屋の中央に置かれたミニテーブル、二つのグラスが置かれたそれの、
 つかさの向かいに腰を下ろし、早速手を伸ばす。アイスティーかな。
「……」
 麦茶だった。
 いや、いいんだけどね。
「で、なに?」
「えっと……たぶん、すっごくヘンなこと訊くと思うんだけど……」
 尋ねると、つかさは、自分で用意したグラスに手をつける様子もなく、
 返事とも言えない返事をうつむきがちに返してくる。
 こういうことは今までにも何度かあったから、辛抱強く待つのがセオリーだと知ってはいる。
 けど、今の私はそんなに長持ちしそうにないのだ。
「あの……あのね?」
 そんな気配を感じ取ったのか、つかさは思ったより早く、意を決したように顔を上げた。
 そして口を開く。

「女の子同士って、やっぱりヘンなのかな……?」

 ……。
 ……。
 ……はい?
「ごめん、なんて言った?」
「ぅ……だ、だから……男の子相手じゃなくて、女の子同士が、その……」
 遠慮も何もあったもんじゃない私の問いかけに、つかさがますます萎縮する。
 ダメだ。落ちつけ。昨日に続いてまた泣かせる気か。
 いやでもいきなりそんなこと言われたら……

“――女同士じゃねえか”

 ああもううるさい! 出てくるな! 関係ないでしょ!
 気にし過ぎだ。つかさはあの場にいなかったし、もし仮に連中の話を聞いていたとしても、
 それでこんなことを言って私をからかってくるような子じゃない。
 何か事情があるんだ。だから落ち着いて、まず聞こう。
120圏外 前編 7/7:2008/01/29(火) 12:13:44 ID:N+RJ1QoJ
「ええと、つかさ?」
 顔が上がる。不安そうな顔。
 やっぱりこの子本人の、そしてどうやら真面目な悩みだ。ならば聞かないと。
 私が聞いてあげないと。
「まず、ね? なんでそんな風に思ったのか、そこから教えてくれる?」
「あ……うん」
 うなずいて、つかさはその表情を幾分ゆるませた。
 そして意外な名前を口にする。
「パティちゃんが、ね」
「パティ? ……って、パトリシアさん? 留学生の?」
「うん。そのパティちゃん」
 パトリシア=マーティンさん。
 うちの学校の一年の、アメリカからの交換留学生。
 こなたとバイト先が同じで仲が良く、三年生のクラスがある廊下にやってくることも多いため、
 そんな立場ながらも私やつかさとも多少ながら交流がある。
 だからといって何故ここでその名前がと思ったのだけど、続くつかさの話を聞いて合点が行った。
 今日、この子が行きつけの食材店で買い物をしていたところ、鉢合わせをしたのだそうだ。
 なるほど。学校から近く、輸入品も多く取り揃えているあの店でなら外国人の彼女と出くわしても
 不思議はない。
 そしてそのパトリシアさんが、一人暮らしなのに自炊をほとんどしないで冷凍やレトルトの食品に
 頼りきりだと聞いたつかさは、ならばごはんを作ってあげよう、簡単なレシピを教えてあげようと
 申し出て、彼女のアパートに招かれたのだという。
 お父さんから「今日はつかさは友だちの家で食べてくる」と聞いてはいたけど、
 まさかそんな事情だったとはね。
 てっきりみゆきのところにでも行ってるものと思ってたわ。
「――それで、その……どうしてそうなっちゃったかは未だによく分からないんだけど…………」
「なに?」
「ええと……」
 と、つかさが再び言いよどむ。
 上の話だけでもつっかえつっかえで三十分以上かかってたのに、今度は促しても進まなくなってしまった。
 かすかに頬を染め、もじもじと恥ずかしそうに肩を揺すっている。
 まったくもう。
「……それで、なんだか知らないけど女同士がどうのって会話になったってわけね」
「へっ?」
 きょとん。
「そんな怖がらなくても、もう変な目でみたりなんかしないわよ。最初に聞いたんだし」
「え? あ――う、うんっ。そうなの」
 ため息を吐くと、驚いたように安心したように、つかさはこくこくとうなずく。
 なんだか、どこか微妙に不自然な気がしたけど、面倒なので追求はやめておいた。
「えと……『女同士はイヤですか』って、言われちゃって」
 イヤですかて、なんでそんな押し倒しながらみたいな言い方だ。
 ま、どうせこなたみたく変なアニメかゲームから引っ張ってきたネタなんだろうけど。
「それで、私……『そんなことない』って言っちゃって……」
 そう言うとつかさは表情に困惑を滲ませた。
「あとで考えてみてもホントにぜんぜんイヤだとかキモチワルイとか思えなくて。理屈だと普通じゃ
ないっていうか、男の子相手なのが普通なんだって分かるんだけど――」
 そして縋るような目で、私を見上げてくる。

「――ねえ、お姉ちゃん。私、おかしいのかな……?」

 ああ、もう。
 どうしろってのよ。




12123-49:2008/01/29(火) 12:14:48 ID:N+RJ1QoJ
ひとまず、以上です
ありがとうございました


かがみは別に鈍いわけじゃなく、常識というか、固定観念が強いだけだと思うんです
あとB組とC組の下駄箱は向かい合ってたような気がしないでもないです
それと、つかさは空気を読むべきだと思います

最後に、
自分も投下ごとに視点が切り替わっちゃう派なんですが、
情けないことにそうしないと自分でも話の流れ、特にキャラの心の動きが把握できないんです
今回の後半部分とか、「ついんずランチ」のときもつかさ視点も平行して書いてたりして
ぶっちゃけ無駄すぎるので投下はしませんが
で、必要と思われる部分だけ抜き出して投下している、と
ええとまあつまり、書いてるのがそんなヤツなので、諦めて無視していただければ幸いです
勝手な話ですけど

それでは、後編はまた後日
ちょっとかかるかも知れません
122名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 12:29:35 ID:ZX8WJr/C
>>112
それは逆じゃないかな?
別にらき☆すたじゃなくてもいい設定をらき☆すたでやるってのが二次創作だと思う
それ言っちゃえば百合はマリみてでやればいい、って言うのと同じじゃない?

そんな感じで淘汰していけば結局こなかがとかしか残らない気がするしね
123名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 12:44:34 ID:ZX8WJr/C
>>121
GJ! 男三人組が良い味だしてました!
というか遷○状態・・・ゴフゴフッ



確かに小説では主観だけで書くなら視点切り替えはNGって言われてますね

でももうこのスレでは定番みたいなところがあるから特に気にはなりませんでしたよ
124名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 12:55:25 ID:yrEqkxFt
>>121
男三人の会話に(・∀・)ニヤニヤしながら読ませていただきました!
自分としてはいろんなキャラの話が読めてとても面白いなと思ってます。
いつか全ての話が一つにつながるのかと思うとwktkです!

SSは小説と違うので、ある程度は気にせずに書いたらいいとおもうのです。
もちろん読みにくいのはダメですが、書いてる人が楽しく書いてないときっと読んでるほうも楽しくないと思うので…
125kt:2008/01/29(火) 13:06:23 ID:FeeQ8YIx
どうも!
ktです。
前スレではお世話になりました…
毎回(と言っても続き物は前作だけですが)「続」なのに「了」で終わったりして
すいません…行き当たりばったりなもので…

それでは
『ひよりん。パティ職人へのみち?』
投下してもよろしいでしょうか
:前作『ひよりん、パティ職人への道!』の続き
:ひよりんが壊れネタ、そして変わらずパティネタ
:登場人物…1年生ズとオリジナルの関西弁店長さん
:3レス
です。
126kt:2008/01/29(火) 13:07:23 ID:FeeQ8YIx
キッチンにて

「いや〜この前はスイマセンでしたっす」
「いや!別にいいんやー楽しかったしなあ…ほな!始めるでぇ!」

ひよりん。パティ職人へのみち?

「肉パティは愛=理解したやろし次は玉子や」
「ハイっす!」
「まぁ、玉子は簡単に言うと鉄板に乗せてフタ閉じて水入れてほっとくんやな」
「…なるほど、SMプレイっすね」
「そうか…そんな考え方もあるんか、為になるでぇ」
「んじゃ次はフライ物や!エビパティやフィッシュパティやな、妄想の用意はいいか?」
「店長さん…私、ばっちりって顔してるだろ?っす」
「OKぃ!…フライ物はまずカゴに作る量を入れる」
「ふむ…」
「油に入れる」
「じらすっすね〜くぅ〜」
「恋愛には『じらし』が肝心や!」
「なるほど…あとそれでこのあと何を!?!」
「それだけや」
「は?…今なんと?」
「それだけや!まぁ揚がったら油を切るぼt」
「……あの頃の」
「どしたん?」
「ぶつぶつ…あ…ぶつぶつ…」
「?、もうちっと大きい声で言ってくれんか?」
「…あの頃の情熱はァァァァどこ行ったンすかアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァアアアア!?!?」
127ひよりん。パティ職人へのみち?:2008/01/29(火) 13:09:09 ID:FeeQ8YIx
「ここで!私が最初に習った肉パティは!!そりゃもう付き合いたての恋人のよーに!!!ストロベリ
ってたじゃないすかッ!!!!それを今度は放って置くですってぇぇぇぇぇぇ?!あんたはパティの気持ちを
…気持ちを…考えた事が!あるのかァァァァ!!!!」
「ひ、ひよりサン…!?」
「あんたはパティの気持ちを考えた事が!!あるのかって聞いてるんだけどッ!?」
「か、考えてますよ…」
「いーや考えてない
ッッ!考えてない!!考えてたらパティはこんな気持ちにはならないッッ!!!分かる!?…あんたは毎
日パティに接しすぎて…パティにちゃんと向き合ってないんだよッ!」
「あの・・・ひよりさん?」
「なんっすか!?何か文句でも?!?」
「お客さんと他の従業員の人が観てます…よ」
「だが!!!そんなの関係ないっす!!!!」
(古ーーー!!)
「さぁ!ここで店長さんと私の愛のメモリーを!パティに見せ付けましょう!!!」
「ここで?!?衆人環視だし…あとキッチンだから油まみr」
「油まみれ…いい響きじゃなイカっっ!1!!!」
「カイラクノキワミ、アッー!!」
128ひよりん。パティ職人へのみち?:2008/01/29(火) 13:10:05 ID:FeeQ8YIx
「…っていう話を田村さんの夢の話を聞いて思いついたんだけど、、、どうかなぁ?みなみちゃん。田村さん。」
「…いや…どうかと言われても…」
(なんだか…ゆたかが…泉先輩に似てきたような…)
「いや…私そんなにテンション高くないっスよ」
(おお!いい感じに調教してきてるっスね、先輩!)
「それにしても…田村さん変な夢をみたんだね〜」
「まぁ…ハイ…」
(言えないっス…実はホントにやっちったコトだなんて死んでも言えないっス…)
「…案外…本当のこと、だったりして…」
「それはさすがにないと思うな〜」
「でも…なんでその話をするんスか?」
「うん、実はね、、この話こなたお姉ちゃん達と考えたんだ〜!」
「…へ?」
「田村さんの夢の話をこなたお姉ちゃんとおじさんにしたんだ〜!そしたらこなたお姉ちゃんが面白がって〜」
「っ!!…っ!!…っ!!…」
(…。。。。Orz)
「そういえば…こなたお姉ちゃんが『ふぅん…ひよりんをイジるネタが出来たねぇ〜(=ω=.)』って言ってたけど、、、何でだろう…?」
(あぁ…残りの高校生活…どうなるんだろうっス…)
「田村さん?田村さんっ!?…田村さんが倒れたーーーー!!!!」
「早く保健室へ!!」
「…大丈夫…ただの貧血っス…」

129kt:2008/01/29(火) 13:11:56 ID:FeeQ8YIx
これにて終了でございます
ありがとうございました〜
ってタイトル一部間違ってる…

…次回は「ひよりん、〜」の前日談となります
……この前エロい夢を見たのでそれを元に何か書こうと思っていたら
いつの間にか前日談になってましたw
…ホント行き当たりばったりです、ハイ
パティ(らき☆すたの方の)も出てきます!
130名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 13:16:36 ID:kO0zJOih
>>128
アレの続編がこう来るとは!!しかしそんな事(いくらゆーちゃんとは言え)人に話すなよ、これが自分の恥さえネタにせずにはいられない創作家のサガか……
しかしこのまま続くとむしろ「ひよりんいじり職人への道!」になってきそうですねw
それはさておき、面白かったので続きに期待!!ッス
131kt:2008/01/29(火) 13:16:41 ID:FeeQ8YIx
ところで…
こなた、かがみ、つかさ、みゆきさんって行きのバスが同じで
あと、一緒にかよってましたっけ?
132名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 13:17:47 ID:6LGWZ4yQ
>>121
かがみの固定観念云々にかなり頷けました。ぐっじょぶ。
で、まあ、視点云々は芸風なので開き直るのも一つの答えかと。
後編もお待ちしてます。

>>129
ゆーちゃんが壊れたー!? なんて行き当たりばったりですか、もっとやれ。

あと。
>パティ(らき☆すたの方の)
パトリシア・マーティンさん16歳による女体盛りバーガーの実演を幻視した俺はどうすれば。
133kt:2008/01/29(火) 13:21:14 ID:FeeQ8YIx
あ、数分の差で…ありがとうございます!

次回はパティ×ひより(男性化)になるかも!?です
なぜ男?…夢ですので
134106:2008/01/29(火) 17:01:58 ID:OKg31LgQ
>>109
う、うひゃああ!? 寝ぼけたコト書いちゃったよ私!? リセット、リセットぉっ!!


……orz


あ、そうそう、皆様GJ!
とくに、>>121のかがみの固定観念のくだりに同感。
意外にお堅いとこあるからねえ。

……ここ数日、忙しそうだったから遠慮してたんだけど、
ちょっくらかがみの事務所に顔出してみよかな……すぐ階下(した)だし。
135名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 17:40:57 ID:DPtLzQE1
>>131
春日部⇔陵桜までのスクールバスは四人とも一緒

でもこなたは遅刻ギリギリに来たり、乗る電車が決まってるわけじゃなさそうだから
駅か車内で偶然会ったら一緒に登校するってくらいじゃないかな
わざわざ待ってたら揃って遅刻しちゃうし
1364-243 ◆X9xLTlcDnY :2008/01/29(火) 18:08:56 ID:PHgyCRKo
>>132
女体盛りとは違う感じだけど描いてみた(´・ω・)ノシ
http://www.geocities.jp/extream_noise/rakisutaep/img/patty.jpg
137名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 18:19:30 ID:6LGWZ4yQ
>>136
仕事早っ! 毎度ながら恐れ入ります。


よし。新鮮なうちに食ってくる。無論性的な(ry
138名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 19:11:26 ID:NBHDZsxv
>>136
これはいい女体盛りに続く新しい手法の盛りつけですね
名づけてパティ盛り(゚∀゚)9m
上に乗せるバンズは無論俺g(ここから先読めない
139名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 19:15:18 ID:cTIxJGUE
>>136
仕事はええwwwGJです!
パティ可愛いよパティ
でも……エロにはしにk(ここから先は読めない
140ぶーわ:2008/01/29(火) 19:30:39 ID:cTIxJGUE
ども、鬱な0始で大バッシングぶーわです
「俗・人として袖が触れている」の続き投下させてもらいますね
相変わらず三人称で話が進みますがまだ慣れてないので拙いところだらけです
・平安パラレル
・みさお男性化
・8レス使用します
141俗・人として袖が触れている 1話(1/8):2008/01/29(火) 19:34:17 ID:cTIxJGUE
1.君はまだ袖が触れている


「へぇ、ゆーちゃんも最近恋文来るようになったってさ」
 女房に髪を梳かせながら、大納言家の一人娘であるこなたは文を広げていた。
 手紙の主はこなたのいとこ。
 その愛情溢れる手紙に眼を通しながら、笑顔をこぼす。
 それに返事をするように、髪を梳かしている女房も笑う。
「そっか、ゆたかちゃんももうそんな歳なのね」
 女房の名前はかがみ。
 こなた付きの女房で、彼女とは長い付き合いでもある。
「わっ、でも全部断ったってさ。ってかゆい姉さんが全部破り捨てたって」
「まぁ……あの人らしいわね」
 主人と女房という関係である前に、親友である二人。
 その間に敬語や遠慮というものはない。
 もちろんこういう他人の居ない空間のみではあるが、二人にとっては至福の時間だった。
 それは、二人の関係が親友だからだけではない。
 今はもう……それ以上の関係を築いていたからだ。
「……明日、だね」
 こなたの声に、女房の髪を梳く手が一度止まる。
 だがすぐに櫛を滑らせ、長い髪を梳かしていく。
 そして無理矢理、笑顔を取り繕う。
「そう……ね、一杯綺麗にしないとね」
「あははっ、自信ないなっ」
 『明日』。
 その言葉が少し二人の空気を固くする。
 明日はこなたにとって、大切な日。
 彼女の……結婚の日。
 それの意味する事実が、二人の空気を固くしていた。
「大丈夫よ、私が太鼓判押してあげる」
「そっか、『かがみ』がそう言うなら安心かなっ」
 こなたが振り向く。
 その時後ろに居た女房との距離が思いのほか近かったため、少し顔が熱を持つ。
 もちろん髪を梳いていた女房……かがみも、それに同じ。
 お互いが、お互いの気持ちを知っていた。
 観月の宴の日。二人の……運命の日。
 その日お互いに、想いを伝えあった。
 こなたの結婚の相手は、春宮。
 その下に入内(にゅうだい:結婚)すれば、宮廷に入る事になる。
 それならもう、こんな何気ない時間も終わりを告げる。
 だが二人は決めていた。
 例え残された時間が少なくても。
 出来るだけ多く、出来るだけ長く……一緒にいよう、と。
 それはお互い、口に出したわけではなかった。
 それでもお互いがそう思っていると、感じていた。確信していた。
 だからもう、二人は嘆かない。
 いつか来る別れが、そこまで迫っていても。
 たとえ離れ離れになっても。
 もう二人は……心で繋がっていた。
「ほら、準備しましょ……今日は人が来るんでしょ」
142俗・人として袖が触れている 1話(2/8):2008/01/29(火) 19:36:15 ID:cTIxJGUE
「そだね、あやのさん何時頃来るかな」
 二人が笑いあう。
 そしてまた、髪を梳く作業に戻った。




「はぁ……」
「みさちゃん、溜息それで五回目」
 揺れる牛車の上であやのに咎められ、みさおがさらに落ち込む。
 自分でも無意識に出ているので、彼にはどうにも出来ない。
 だがこの牛車の軋む車輪の音は確実に大納言家に近づいているのを教えてくれる。
 そういえば、とそこでみさおはふと思いだした
 もう数ヶ月も前の記憶が淡く蘇り、少し視線を外に向ける。
 それにあやのが気がつき、みさおの心を代弁する。
「そういえば、初めて会ったのも牛車だったね」
「……ん」
 あやのに見抜かれたのが分かり、少し顔を赤くする。
「みさちゃんが暴れて、牛車壊しちゃったんだっけ」
「車輪が古かったんだってば、偶然だって偶然」
 経緯はどうあれ、その時牛車が壊れた。
 その時勢いで突っ込んで出来たコブの痛みは忘れても、あの時感じた気持ちは忘れない。
 そこで、少女に出会った。
 始めはまだ、みさおにも気がつかないほど淡かった。
 だけど、確かにその時だ。
 彼女を……意識し始めたのは。
「あ、ほら見えてきた」
 牛車の窓から外を覗くと、見覚えのある邸が見えてくる。
 みさおのそれと同じくらいとは言わないが、それなりに大きな屋敷。
 それを見て彼の口からまた溜息。
 顔が熱を持っていくのが分かると、一回両手で自分の頬を叩く。
 もうここまで来たら後には引けない。
 頬を打つ痺れが脳まで届き、覚悟を決める。
 それと同時だった、牛車の動きが止まったのは。




「ようこそお越しくださいました」
 みさおが牛車から軽く飛び降りると、屋敷の女房が迎えてくれた。
 その顔に見覚えがあり、少し考えを巡らせる。
 だがそれを思いつく前に、向こうが先に気がつく。
「あっ、お久しぶりです。みさおさん」
「……ああ! 妹さんかぁー、久しぶりー」
 ようやく思い出し、軽く手を振るみさお。
 迎えてくれた女房の名はつかさ。
 みさおの想い人……かがみの妹。
 面識だって何度かあるし、それなりに親しい間柄。
 ちなみに彼女はみさおのことは、あやのの屋敷の雑色ぐらいにしか思っていない。
「あ、お姉ちゃんなら部屋に居ますよ」
143俗・人として袖が触れている 1話(3/8):2008/01/29(火) 19:37:57 ID:cTIxJGUE
「ふぇっ!?」
 つかさから返ってきた言葉に、みさおが飛び跳ねる。
 数ヶ月前の事だが、つかさは覚えていた。
 みさおと姉であるかがみが、一夜を共にしていた事を……ちなみに未遂だ。
 それ以来二人の仲は恋仲だと確信していたのだ。
「だってさ、頑張ってね。みさちゃん」
「んぎゃ!」
 あやのが彼の肩を強く叩き、最後の喝を入れる。
 そのままつかさに案内されて屋敷の中に消え、みさおが一人車宿に残される。
 部屋の場所ぐらいは、彼も知っていた。
 荷物を運ぶとか適当な口実をつけて、部屋まで着いていった事がある。
 その後に、もの凄い失態をしてしまったわけだが……それはまた別の話だ。
 ともあれ一度深呼吸をしたあとに、彼女……かがみの部屋を目指す。
 悩んでいれば居るほど、時間とは早く過ぎるものだ。
 寝殿造の端にある女房の部屋まで辿り着くのにも、彼にとってはすぐだった。
 まぁ、その部屋の蔀戸を叩くまでの時間のほうが長いわけだが……。
「え、と……かがみ、居るかー?」
 入り口で狼狽する事数十分。
 そろそろ行き交う女房の視線も痛くなってきたのか、ようやく声をかける。
 それに反応して中から物音が聞こえ、みさおの体が反応する。
 口から出て行きそうな心臓を押しとどめ、反応を待つ。
「誰?」
 声が耳を劈き、ゆっくりと蔀戸が開いていく。
 そして開いた戸から、何かが落ちる。
 それがみさおの足元に落ち、それに視線を奪われる。
 丁寧に枝に括り付けられてるそれは……所謂、恋文だ。
 それに気を取られていたのがいけなかった……みさおの視界にあるその恋文を、誰かが拾い上げる。
 その白い肌の手を見て、みさおの体が固まった。
「あらあんた……来てたんだ」
 声が脳を弛緩し、顔をゆっくりと上げる。
 視線が合い、動悸が早くなる。
 心臓が暴れて、言葉が続かない。
「突っ立ってないで入ったら?」
「え、い……いいのか?」
「用があって来たんでしょ?」
 もっともな理由を突きつけられ、何も言えずに部屋に上がる。
 何処か懐かしい彼女の匂いが鼻をつき、軽く眩暈を覚える。
「あ、えと……何してたんだ?」
 適当な所に腰を下ろすと、かがみも手にしていた文を机に置く。
 それだけでは間が持たないので、適当に話題を探す。
「何……って別に、本読んでただけ」
「本? ああ、これか……って『白居易』? 漢詩読めんのか!?」
「そ、そこまで大声出す事ないでしょ……趣味よ、趣味」
 近くにある写本を拾い上げるみさお。
 それは白居易(はくきょい:唐の詩人)の長恨歌の写本。
 漢字は主に公文書に使うために、男性が学ぶものとされていた。
 なので彼女のように本を読むまでになるには、相応の努力が必要になる。
「へー変わってんなぁー、漢字なんか無理矢理覚えさせられたもんだゼ?」
「漢詩が好きってわけじゃないわ、随筆とか読むのが好きなだけ」
144俗・人として袖が触れている 1話(4/8):2008/01/29(火) 19:43:06 ID:cTIxJGUE
 しかし、とみさおは少し呆れる。
 確かに女性の娯楽と言えば世間話の他にはそれぐらいしかない。
 だからと言ってそこまでして勉強してまで読むほどのものか、と。
 そして呆れた後に、笑ってしまった。
 その漏れた声に気がついたのか、かがみも少し頬を染める。
「いっ、いいじゃない。人の勝手でしょ!?」
 と、みさおから本を取り上げる。
 悪い悪いと彼も誤魔化すが、まだ顔が緩んでいる。
 別にかがみの事が可笑しかったわけじゃない。
 自分が苦手だった学問を、まさか好んでするような人が居るとは思ってもいなかった。
 それがしかも彼女で……それが何処か、可笑しかった。
「独学でやったのか? 凄いなー」
「まだまだ分かんない事だらけよ、これもまだ半分ってとこね」
 そう言ってまた本を広げるかがみ。
 そして難しい顔をし始めたので、みさおもつい席を立つ。
 そのまま彼女の持った本を横から覗き込んだ。
「『聖主朝朝暮暮情』……ああ、つまり君主様は昼も夜もずっと哀しいってわけ」
「分かるの?」
 不思議そうにかがみがみさおを見る。
 その距離が異様に近かったため、みさおが慌てる。
「あ、ああ。長恨歌なんて十になる前ぐらいには全部読まされたぜー?」
 春宮ともなれば、学問は嗜みどころか必須といってもいい。
 彼も女房などによって教えられてきたが、たびたび逃げ出していた。
 そのままあやのの所に遊びに行き、帰ってきては母や女房に叱られていた記憶はまだ新しい。
「じゃあ、これは?」
「『行宮見月傷心色』、行宮に月を見て心を痛める。行宮ってのは……」
 みさおの隣りで言葉の一言一句に耳を傾け、首を降るかがみ。
 それに至福を覚えるのは、男としては情けないが当然だろう。
 小さい本を二人で覗き込んでいるのだから、顔の距離が近いのは当然だ。
 それに加えて密室な事にみさおが気がついたのは、すでに数冊の写本を読み終えた後だった。




 幼馴染が上手くやっているか考えながら、あやのは大納言家の寝殿を訪れていた。
 案内してくれた女房も記帳の裏に隠れ、静まった寝殿に声が響く。
「こんにちわ、あやのさんっ。わざわざごめんねっ」
「ううん、物忌(ものいみ:厄除け籠り)じゃ仕方ないよ」
 あやのが笑いながら腰を下ろす。
 彼女にとっても幼馴染の彼を奮起させるいい機会だったので丁度良かった。
 まさか何しに来たのかも忘れて本を読みふけってるとは、考えもしなかったわけだが。
「明日はとうとう結婚だね、おめでとう。お友達が春宮妃だなんて鼻が高いなっ」
「あんがと。まだそんな実感ないけどね」
 照れながら返事をするこなた。
 結婚に向けて、父親が様々な調度品を新調していく。
 だが新品の匂いに包まれながら、未だにこなたは取り残されている気分だった。
145俗・人として袖が触れている 1話(5/8):2008/01/29(火) 19:45:46 ID:cTIxJGUE
 明日には初めて会う男性と、一夜を共にする。
 それを三日続けるのが、婚姻の儀式だ。
 でもそれもまだ……現実味がない。
「あ、あのさ」
「?」
 染めた頬を隠すように俯きながら、こなたが声を絞る。
「あやのさんもその……初めての時は、緊張した?」
「えっ……」
 少し踏み込んだ質問をされ、あやのも少し頬が染まる。
 こなたも自分の頬の熱を感じる。
 返歌もした。
 覚悟も決めた。
 そのはずなのに……彼女にはまだ、最後の一線を越える勇気が出なかった。
「やっぱりその、い、色々痛かったりとか……するんでしょ?」
「う、ううーん……なんて言うのかな」
 どうにも状況を説明しづらく、あやのが戸惑う。
 だが真摯な表情で自分を見てくるこなたを前に、誤魔化すわけにもいかない。
「みさちゃ……じゃなかった。春宮様はね、ちょっと大雑把な所はあるけど……こなたちゃんのこときっと大切にしてくれるよ」
 しかしあれで純情だからな、と勝手に心で思って口には出さなかった。
 今頃はもしかしたら会いに行った女房と上手くやっているのかもしれない。
 もしかしたら良い雰囲気になって押し倒して……。
 ――まぁそんなはずないか、と頭に上がった妄想を蹴飛ばす。さすが幼馴染。
「あはは、でもちょっと意外。こなたちゃんでもそういうのやっぱ気にするんだね」
「そ、そりゃするよ。一番重要なとこじゃん!」
 十八にもなれば男性経験の一つぐらいあってもよいものだが、あいにくこなたにそれはなかった。
 来る文を全部断り続けてきたのだから、当然と言えば当然の結果だ。
 そうやって一生独り身でも構わないと彼女は思っていた。
 だがある日来た文。
 春宮からの恋文、それをこなたは受け入れた。
 いや、受け入れる事しか出来なかった。
 貴族社会において、断ることは許されなかったからだ。
「やっぱり……不安」
「そうじゃないけどさ、何で私なんだろーとかは思っちゃうな……もっと良い人居ると思うけど」
「そ、そんな事ないよ? こなたちゃんとっても魅力的だし」
 まさか嫉妬の結果とはあやのも言えるはずがなく、慌てる。
 それに気を良くしたのか、こなたがそうかな? と照れ笑う。
 そして几帳の奥の女房に声をかけ、何か用意をさせる。
「せっかく遊びに来たんだし、貝合わせでもやろっか。珍しいのが手に入ったんだよねー」
 こなたはそう笑いながら、つかさに貝と筆の用意をさせた。




「『此恨綿綿無尽期』、この哀しみはどこまでも尽き果てる事はない……ってわけだ」
「……」
 長恨歌の最後の行を読み終わり、みさおが体を伸ばす。
 最後まで読まされた覚えはあるが、まさかこれほどすんなり読めるとは自分でも思ってもいなかった。
146俗・人として袖が触れている 1話(6/8):2008/01/29(火) 19:52:29 ID:cTIxJGUE
 この時ばかりはあの五月蝿かった女房にも、心で感謝する。
 さすがにかがみの前では、いい所を見せたかったらしい。
「……悲しい歌、ね」
「んー、まぁそんなもんじゃね?」
 長恨歌は七言百二十句からなる長詩。
 そこに書かれているのは、楊貴妃と玄宗皇帝の愛の物語。
 そして、破局の物語。
 それにかがみは、自分とこなたを少し重ねた。
「ごめん、全部読ませちゃったわね」
「んああいいっていいって」
 もちろんみさおも途中で何度かやめようかと思った。
 だが彼女の隣りに居る至福の時間を、少しでも長く味わいたかった。
「そっか、最近見覚えがあると思ったらあれだよな」
「?」
 閉じたはずの白居易の写本を開きなおすみさお。
 かがみと距離が出来て少し熱が引いたため、先ほどから引っかかっていた事を思い出す。
「あれで見たんだよ……ほらあの、なんてったっけ。堤中納言(藤原為時)とこの二の姫が書いたっつうやつ」
「えっ……」
 その時、かがみの目の色が変わる。
 そのまま好奇の眼でみさおに詰め寄る。
「あ、貴方じゃあ『あれ』読んだの!?」
「んああ、あやのがどうしても読みたいっつーから本人に頼んでなー」
 ある日の宴に出ていた中納言に、女房から声をかけさせればすぐだった。
 次の日には雑色が馬で駆けて持って来てくれた。
 こういう時は自分の位の高さを実感する。
「なんだまだ読んでないのかー、今回も凄かったぜ?」
「う、うん……写本も回ってきやしないわ」
 はぁ、と肩を落とすかがみ。
 女性の娯楽といえば随筆。
 そしてその中でも特に人気だったものが、それ。
 藤原香子(紫式部)作、源氏物語である。
「そっかー、じゃあ今度持ってきてやろうか?」
「へっ?」
 あやのが読み終われば、大人気の写本も行き場を失くす。
 結局みさおも読むように進められ、つい此間読み終えた所だった。
「い……いい、の?」
「まぁ、持っててもしょうがないしなー」
 どの道みさお付きの女房に押し付ける予定だったので、どちらでも同じだ。
 だけど、次の瞬間……彼に稲妻が走った。
「ありがとうっ!」
「ぬおっ!」
 みさおの手を、かがみが掴む。
 それに反応し、奇声が響く。
「あ、ごっ、ごめんっ」
 その声の原因に気がついたのか、かがみも手を離す。
 そこまで来てようやく、彼女の方も今の状況に気がつく。
 密室に、男性と二人。
 『よく知らない』はずの彼と、何時の間にか打ち解けていた。
 その状況が頭に入ったのか、思わずみさおから一歩だけ離れる。
 顔は少し、熱を持っていた。
 そして誤魔化しながら狼狽する瞳に、朱色の空が写った。
「大分引き止めちゃったわね……ごめん」
「いや、だからいいって」
147俗・人として袖が触れている 1話(7/8):2008/01/29(火) 19:58:00 ID:cTIxJGUE
 慌てながら散らばった白居易の写本を片付け始めるかがみ。
 読み終わってはみさおが適当に投げたため、辺りは写本が散らばっていた。
「……っと」
「何?」
 その時だ。
 それを手伝っていたみさおの視線が、不意に机の上に。
 そこにあったものを見て、少し彼の表情が曇る。
「だ、誰からだったんだ? 文」
 そして、思わず聞いてしまった。
 その机の上にある文……恋文の事を。
「ああ……左京少進(さきょうのしょうじん:役職名)から。しつこいのよこの人」
「しつこいって?」
 この言い方から察するに、どうやら一枚目の手紙ではないらしい。
 それが少しみさおの癇に障る。
「きちんと断ってるんだけど、中々折れてくれなくてね……困ったもんだわ」
 だが溜息が漏れる様子を見て、少し安心。
 彼だって同じだった。
 送った恋文を受け取ってももらえず、断られた。
 左京少進といえば正七位の上ぐらいのもの。
 春宮の位の自分を断ったのだから断られて当然だ、と安心する。
 ――だが、声が漏れた。
 かがみから、僅かに。
「……でも、もういいのかな」
「えっ……?」
 その僅かに漏れた声を聞き逃せず、思わず聞き返す。
「この人ね、毎回わざわざ自分の足で届けてくれるの……雑色に遣わせても一緒なのにね」
 そして文だけ残して去っていく。
 その甲斐甲斐しい姿を見れば、多少なりとも心は動く。
 かがみの心も、それに同じだった。
「私を大切にしてくれるなら……その人でも、いいのかなって」
「で、でも好きじゃ……ないんだろ?」
 自分で言っておいて、間抜けな質問だとみさおは思った。
 返ってくる答えは、分かっていたはずなのに。
「……そうね」
 文を手に取り、一度広げる。
 そして少し溜息をしたあとに、視線を窓へ。
 朱色から黒に染まっていく空が、時間の経過を知らせてくれる。
 刻々と減っていく時間が……かがみの心を締め付けていた。
「私ね……好きな人が居るの」
 みさおの心臓が跳ねる。
 もちろんそれが、自分のはずがない。
 いやむしろ、それが誰かでさえみさおは知っていた。
「だから他の人にはもう……同じ感情は持てない。だから、いい」
 かがみには大切な人が居る。
 でもその人と結ばれることは、決してない。
 その大切な人は、違う誰かのものになってしまうから。
 それを、嘆いた日もあった。
 恨んだ日もあった。
 だけど、いつのまにか……その心は消えていた。
148俗・人として袖が触れている 1話(8/8):2008/01/29(火) 20:03:09 ID:cTIxJGUE
「自棄になってるわけじゃないわ、でもこの人は私の事……大切にしてくれると思う」
「じゃ、じゃあ!」
 そこで思わず、みさおが声を出した。
 かがみの言葉を上手く飲み込めなかったからじゃない。
 思わず、叫んでしまった。
 彼にだって、自信があったからだ。
 誰よりも、彼女を大切にしてるという自信が。
「じゃあもしお前に『もう一度』文送ったら……いつかは受け取ってくれるのか?」
 かがみの眼を見て、言う。
 そうだ、とそこで彼はようやく思い出す。
 何をしに、ここに来たのか。
 何を伝えに、ここに来たのか。
「……」
 沈黙が続く。
 かがみがその言葉の意味を理解するのに、少し時間がかかった。
 だがそれは戸惑いとは少し違う感情。
 そして、その思った感情をそのままみさおに伝えた。
「何言ってるの?」
「えっ……」
 みさおにゆっくりと、彼女の言葉が染み渡っていく。
 彼の言葉の意味が分からなかったわけじゃない。
 彼女には……『理解できなかった』のだ。


「『貴方から文なんて、貰ったことないじゃない』」


 その言葉と共に。
 彼の鼓動と共に――開いた。

 閉じてしまったはずの、幻想の扉が。
 

(続)
149ぶーわ:2008/01/29(火) 20:04:12 ID:cTIxJGUE
 続きます。
 三人称はまだまだ慣れないので、読みにくいところがあったらごめんなさい。
 最後の貝合わせは、綺麗な貝を見せ合うカードゲームみたいな遊びです。
 平安時代の雰囲気を出せてますかね? その辺が、今後の課題です。
 あとみさ男をみさおっぽく書くのもですかね。
 あと場面転換も……って課題だらけやん!
150名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 20:22:31 ID:j5+X1Vaa
>>149
ハァハアたまらんGJ !
ぶーわ氏のことだから、このまま真っ直ぐお話が進むはずないと思うけど、どんな結末を迎える事になるのか
気になる
続きにも期待
151kt:2008/01/29(火) 20:26:07 ID:ukhoHMrM
どうもです、
ktです。
…それでは「ひよりん、〜」シリーズの前日談+続き
「ひよりんっ!がパティ職人になるきっかけまでの道」
投下してもよろしいでしょうか?

○自分が見たエロい夢を元にしております、エロは初めて書くので…表現がおかしいかもです
○パティ×ひより…なのか?
○3レス
○登場人物:ひより、パティ、こなた
○一部TSありマス、そしてネタ多め
です。

…ってうおをウォをををををををっをおっをを?!?
自分のってか自分のじゃないな…別の人のリクエストですがまさかパティバーガーがみれるとは
…これであと10年は戦える!
152名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 20:27:15 ID:ZqWc+ngo
>>149
続ききましたわー!GJ!
うーむ…こなたとかがみのことを考えるとちょーち辛いけど気になってしまうわけですが。
文をもらった覚えがない…というのはあれか?その時はあっちのかがみだったからか。
はてさてどうなる?
アニ研部室にて

「やふ〜!ひよりん♪」
「…泉先輩…どうしたんスか?…」

ひよりんっ!がパティ職人になるきっかけまでの道

「いや〜後輩がどんな作品を描いてるのか気になってねぇ〜」
「はぁ…って泉先輩アニ研は入って無いじゃないっスか!」
「細かい事は気にしない気にしなーい」
「…ところでひよりん?」
「はい?(あの話かッッ?!?)」
「あの話ってホントのこと?」
(キタ〜−ァァァ!…・・)
「ななななななな何がっスきゃ」
(…ひよりんカバー力ないねぇ…こりゃあとちょいかな?)
「あの展開はリアルだよねぇ〜」
「はぃ…」
「ホントみたいなんだけどまさかねぇ?」
「いや、あの……はい…まさか友達を妄想してバイトをクビになるとは思ってませんでしたっス…」
「うんにゃ〜私は同人誌に描いてあったひよりんっぽい人物が集団レイ(P〜)される話を聞いたんだけどなぁ〜」
(は、ハメラレタ……っス…)
「かまかけたっスね…」
(…まだまだ序の口だったんだけどナ〜…分かりやすいねぇひよりんは(=ω=.))

「やっぱりホントの事だったんだねぇ…まさか絵を同人誌に載せてるとは思ってなかったケド」
「いやぁ〜自分で言うのもなんですが、あまりにも良く出来た絵なんで載せざるを得なかったんス…」
「確かに…これはっかーなーりエロいっ!」
「ですよね……いつもの私の絵より突発的に描いた絵が凄いっていうのが…ハァ…」
「ところでひよりんや」
「…はい?」
「なんでこういうコトになったのかな?…かな?」
「…思ったんスけど…バイトの日の朝にあんな夢見ちゃったからかと…」
「お〜? 聞かせて聞かせて!」
「私がパティに攻められる夢で…なぜか私が「総司郎」って男になってるんス」
「むぅ…TSか〜…って何で男?」
「それが自分でも分かんないんス…」

〜ひよりんが見た夢、開始〜

「はい、はい…ありがとうございました …むぅ…また落ちた、か」
「総司郎〜!何ヲしてるンデスかぁ〜?」
「何だパティかぁ」
「もウ!何ダとは何デスか〜!」
「マタ…バイトの面接、落ちたンデスか?」
「うん…」
「私が元気がデルおまじなイしてアげましょうカ?」
「え?」
そう言って総司郎のズボンの中に手を入れナニを触るパティ
「え?ちょっパティ?!」
「手コキも知らナイんデスか〜♪」
「知ってる…けど…うっ…ここ…学…校…だ…よ」
「フフ〜ン。知ってマスよ?」
「人が…観て…るかっ…も…」
「ダカラこうしテ、カバンで前ヲ隠してルんでしょウ?」
この時、総司郎の何かが切れた
「…僕も触ってもいいよね?」
パティの答えを聞く前に胸をむにゅむにゅっと触り始める総司郎
「答えは絶対聞いてない!」
(うっほぉ!やーらけ〜!まさに天国だ〜!!)
「ohぉ…あっ…ハンソク…です…ヨ…総…司…郎」
「お…返シ…デ…ス…ぅ」
パティはズボンのファスナーを下げ、総司郎のアレを出し手で激しくピストン運動させた
「うぅ…う…あぁ…」
「フフン…ドウですか?アメリカ仕込みのワザは!?、、、フフ…エロい匂いですネ…ェ!?」
「ま…だだよ…下も… やらないか ?」
パティの下口はくちゅくちゅぅっといやらしい音をたてる
「う…ハァ…ァ…ぁんっ」
「どうかな?パティくん?」
総司郎の指使いが激しくなる、パティも負けずにやり返す、が
「つぁ…ンッ!…ひゃあぁ…んんっ…ん〜!…やめ…ちガっ…無いでぇ!…もっト!…ぁん…気持……っちひい…ぃ」
(う!…やべ…射精るかも…これ以上ここでやるのは…)
「もっ…とぉ!早…くぅ!イッ…ショに…ぃっ!」
「ストップ!」
「ひぃ…あ…ふぇ……ふぇ?」
「フフ…パティのおいしっ」
「パティ?…もう、、、収まりつかない…よね?」
「もうっ!…ココで止めるのは…ヒドすぎます…ソウジろうっ」
「……トイレに行こうよ」
「それってくそみそデスか…?」
「…何でそうなる」

〜ひよりんの夢、終了〜

「うひゃあ!?」
「いゃ〜…まぁ……なんつー夢…」


「…って言う感じのだったんス」
「あのさ、最後までやらないの?」
「…ここまでしか見てないんス」
「まぁそうだけどさぁ〜」
「どうにかしたいっスけど…ほら私ピュアーな女の子ですし」
「…どこがさ?」
「…ネタっス、、ほら今ニコ動で人気のt」
「それと、さ「そうじろう」って…」
「…なんかすいませんス」
「でもさ、…これバイト先で自重出来なくなる理由じゃないよね」
「…ですよね…」

156kt:2008/01/29(火) 20:31:49 ID:ukhoHMrM
パティ×ひよりだったはずなのに気が付いたらひより×パティになってました
……あれ?

どうだったでしょうか?
やっぱりどうも苦手ですね…
あと自分が見た夢はほぼ一緒ですが場所は何故か
電車の中でした

「ひよりん、〜」シリーズは、いったん終了です
次回はゲームコーナーである音声を聞いてひらめいたSSがあるので
それを投下しようかと思ってます

やっべえ…蝶、嬉しい…
そして大作の後だと自分の作品の愚かさがwwww…Orz…
157名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 20:34:15 ID:6LGWZ4yQ
>>149
そうか、平安かがみからも平成かがみの記憶は消えてるんだった!

いい感じに前途多難だし、伏線くさくて読み飛ばせないフレーズは入ってるし……この孔明め。
次回も楽しみに待ってます。(ジャーンジャーン)「げぇっ、ぶーわ!」とかそんな感じで。
158名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 20:41:06 ID:6LGWZ4yQ
>>156
っと、俺が孔明(と書いてリロード忘れと読む)の罠にはまるとこだった。危うし危うし。

そしてさすがリアル夢、なんというえろ・カオス(残機666)。次回作もお待ちしてます。
159冥土喫茶の杉田常連:2008/01/29(火) 21:21:30 ID:NBHDZsxv
>>156
その悔しさを糧に、この腐った(腐女子的な意味で)世の中を生き抜いて行くんだよ
160kt:2008/01/29(火) 21:27:45 ID:ukhoHMrM
かーなーり遅れましたが>135さん
質問に答えていただきありがとうございました、

そして…まぁ…うん…頑張ります
1614-243 ◆X9xLTlcDnY :2008/01/29(火) 22:51:33 ID:PHgyCRKo
>>151
パティ(具的な意味で)の元ネタは貴方でしたかw
口元その他ちょこちょこ手直ししました(´・ω・)ノシ
http://www.geocities.jp/extream_noise/rakisutaep/img/patty.jpg
16231-207:2008/01/29(火) 23:03:49 ID:oafKM7Gy
さて、他に誰も投下予定がないようなのでひとつ投下したいと思います。
昨日投下した「つかさの、姉への想い」の関連作品です。
・こなた×つかさ みゆき×かがみ
・微エロ
・5レスほど使用

163つかさの失敗 1/5:2008/01/29(火) 23:04:59 ID:oafKM7Gy
 かがみの隣で幸せそうに眠るつかさ。
 このとき、つかさは自分の失敗にまだ気づいていなかった。
 そして、その失敗は翌日に親友であるこなたやみゆきを巻き込むことになる。
 つかさに媚薬をくれた『魔法使い』ですら、その失敗は予測できなかっただろう。


 〜つかさの失敗〜


「ほら、つかさ。起きないと遅刻するわよ」
 かがみの声で目を覚ますつかさ。
 今いるのはかがみのベッドの上。
 つかさは、昨日のことを思い出す。
「うん。あ、そうだ。お姉ちゃん、昨日は…」
「あ、あれはその、ついというかなんというか、急におかしくなっちゃったみたいで!
 ご、ごめんね。いきなりあんなことして。その、嫌じゃなかった…?」
 そう言うかがみ。自分の突然の行動に自分でもわけがわからない、という様子である。
「ううん、別に大丈夫だよ。私も嬉しかったから。それでね、お姉ちゃん…」
 つかさが言葉を一旦切る。そして、
「また今度、ああいうことしない?」
 と言った。
 今のかがみにとって、つかさの言葉に抗うことなどできなかった。
「ま、まあ、たまになら、いいわよ…」
 顔を赤くしながらかがみはそう言った。


 着替えて、朝食を食べる。そして家を出て、一緒に学校へ向かう。
 学校で授業を受ける。昼休みには、かがみがつかさのクラスへやってくる。
 そんないつもと変わらない一日。
 しかし、つかさの顔はいつもよりも嬉しそうなものだった。

164つかさの失敗 2/5:2008/01/29(火) 23:06:07 ID:oafKM7Gy
 そして、放課後。
「今日は宿題もないことだし、かがみたちの家に遊びに行ってもいい?」
 そう言うこなた。
 こなたの家とかがみたちの家は比較的近い位置にあるため、遊びに行くこともよくある。
「うん、いいよ。あ、でもお姉ちゃんは委員会の仕事があるから私しかいないけど…」
「そうなんだ。それじゃ、今日はつかさと二人で遊ぼっか」
 かがみがいないと何か物足りない感じがしてしまうが、つかさとのんびり時間を過ごすのも悪くはない。
「ここのところ忙しいからね。あ、そういえばこの前借りたマンガ、読み終わったから返そうと
 思ってたんだ。ついでに持って行っていいわよ」
「ああ、あれ読み終わったんだ。どうだった?」
「結構面白かったわよ。続きが気になるわ」
「そう、それじゃまた今度続きも持ってくるよ」
「ありがと。借りたやつは私の部屋にあるから、勝手に持って行っていいわよ」
「うん。それじゃつかさ、帰ろっか」
「あ、ちょっとまって。私、お姉ちゃんとゆきちゃんにクッキー焼いてきたんだ。
 よかったら仕事が終わった後にでも食べて」
 そう言うとつかさはみゆきに昨日焼いたクッキーを差し出した。
「ありがとうございます、つかささん。それでは私たちもそろそろ行きましょう、かがみさん」
「そうね。それじゃ私たちは委員会の方に行くから」
 そう言って二人は委員会の仕事の方へ向かった。
「それじゃ帰ろっか、こなちゃん」
「うん」
 そしてこなたとつかさは一緒に学校を出た。


 こなたはつかさと別れ一旦家に帰り、その後つかさの家に遊びにきた。
「おじゃましまーす」
「こなちゃん、いらっしゃい」
「つかさ、遊びに来たよ〜。あれ?つかさひとり?」
「うん。お母さんは神社の方の手伝いなんだって。とりあえず、私の部屋行こっか」
 そして、とりあえずこなたはつかさの部屋にあがらせてもらう。
165つかさの失敗 3/5:2008/01/29(火) 23:07:20 ID:oafKM7Gy
「今日は宿題もないし、平和だね〜」
「そうだね〜」
 二人でのんびりとするこなたとつかさ。この二人だけだと、いつもこんな感じである。
「そうだ、かがみの部屋って入っていいのかな。あのマンガ、持っていこうかと思うんだけど」
 柊家にはよく遊びに来るので、かがみの部屋も何回も入っている。
 それでも勝手に入るのもどうかと思い、こなたが尋ねる。
「いいと思うよ。勝手に持って行っていいって言ってたから。あのマンガ、私も読んだけど面白かったよね」
「やっぱりつかさも読んだんだ。また今度続きもかがみに貸すから、つかさも一緒に読んでよ」
「うん。あれ、続きがすっごく気になるから楽しみだよ」
「それじゃ、失礼しまーす」
 もちろんかがみはいないのだが、なんとなくそう言いながらこなたはかがみの部屋に入った。
 つかさも入るが、つかさはかがみの机の上のものに気付き、しまったという顔をした。
 それは、昨日かがみに食べさせたあと置きっぱなしにしてあったクッキーだった。
「このクッキー、つかさが焼いたの?」
「う、うん。えっと、今日お姉ちゃんとゆきちゃんに持ってったやつだけど」
「あぁ、あれかぁ。かがみもいいよね、つかさのクッキーをいつも食べれるんだから」
 そう言うとクッキーをひとつつまみ、口に入れた。

 あっ、とつかさが小さく言ったがもう遅い。こなたはクッキーを食べてしまった。
「えっと、こなちゃん、だいじょうぶ?」
「大丈夫、って何が?それよりさ、つかさ、ちょっといいかな?」
 こなたはいたずらっぽい笑みを浮かべ、つかさに近寄る。
 そして、いきなり近くにあったかがみのベッドにつかさを押し倒した。
 こなたの小さな体がつかさを押さえつける。
「いや〜、やっぱつかさって可愛いよね。つい襲いたくなっちゃったよ♪」
「こ、こなちゃん、なんか変になってるよぉ…」
 ノリがおかしくなってるこなたに、つかさが言う。
 まあ、それは当然である。つかさがクッキーに薬を仕込んだのだから。
「今この家にいるの、私とつかさだけなんだよね。これはもう、好きにしていいってことだよね」
 こなたはそう言うと、押さえつけているつかさの唇を奪った。
「んく……んぅ……ちゅ」
 こなたはつかさの口内を舌でかきまわす。
 こなたはしばらくそうしていると唇を離し、今度はつかさの服を脱がせ始めた。
「こなちゃん、ちょっと……」
「ふふふ……お楽しみはこれからだよ、つかさ」
 いたずらっぽい笑みを浮かべるこなた。
 そして、つかさはこの後こなたの気が済むまで――薬が切れるまで、ずっとこなたの好きにされるのだった。

166つかさの失敗 4/5:2008/01/29(火) 23:08:57 ID:oafKM7Gy
 一方そのころ。委員会の方は仕事も終わり、他の委員たちはもう帰ってしまったころである。
「お疲れ様です、かがみさん」
「やっと終わったわね。今日も疲れたわ」
「そうですね。それでは、つかささんのクッキーでも食べませんか?」
「いいわね。それじゃ、そうしよっか」
 つかさの作るクッキーは、疲れた体にとってとても嬉しいものである。
 みゆきはつかさからもらった袋を取り出した。
 しかし、誰も知らなかっただろう。
 その中に、つかさが間違えてひとつだけ媚薬入りのクッキーを入れてしまっていたなんて。
 よりによって、みゆきは見事にそれを引き当ててしまった。

 どういうわけか、さっきまで委員会の仕事をしていた部屋には鍵がついている。
 みゆきはふらふらと立ち上がり、鍵を閉めた。
「どうしたのよみゆき、鍵なんか閉めて」
 いつの間にか、みゆきの表情は熱っぽいものに変わっていた。
 目つきはトロンとした、妖しいものになっている。
「かがみさん、少しよろしいでしょうか」
 そう言うと、みゆきはかがみに後ろから抱きついた。
 みゆきの胸がかがみの背中に当たる。
「!!ちょっとみゆき、いきなりどうしたのよ!?」
「かがみさん、私、あなたのことが急にとても愛おしく思えてきてしまったんです。それで…」
 みゆきはかがみの耳に口を近づけ、呟く。
「かがみさんが、欲しくなってしまいました」
 そう言うが早いか、みゆきはかがみを床の上で押し倒した。
 みゆきの力は意外と強く、かがみは簡単に押さえつけられてしまった。
 そして、みゆきはかがみの唇に軽めのキスを落とすと、
 手をスカートの下へ伸ばし、下着越しにかがみの秘所を軽くいじった。
「ひぁ!」
「ふふ、かがみさんのここ、弱いのですか?こんなに感じてしまって。
 かがみさんの可愛い声、もっと聞かせてくれませんか?」
 そう言い、指先を一層激しく動かす。
「ふぁ……あぁっ……みゆき、どうして、こんな…」
「かがみさんが、可愛いからですよ。さあ、もっと愉しませてあげますよ」
 微笑みを浮かべるみゆき。その表情はどこか妖艶さ秘めていた。
 そしてみゆきは、その後ずっとかがみを弄りつづけた。
 ――みゆきの欲望が収まるまで。
 
167つかさの失敗 5/5:2008/01/29(火) 23:10:02 ID:oafKM7Gy
 その日から、四人の間柄には明らかな変化があった。
 いままで以上にかがみに甘えるつかさ。
 つかさに対し、できる限りそばにいてあげたいと思うかがみ。
 そんな姉妹に対し、いままで以上に興味を感じる親友たち。
 四六時中ベタベタしているというわけではないものの、時々熱っぽい視線を送ったり、
 意味もなく抱きついたりという光景が見られるようになった。
 また、こなたとみゆきが柊家を訪れることも多くなった。
 今日も彼女たちがやってきてくる。


「おじゃましまーす!!かがみにつかさ、遊びに来たよ〜」
「おじゃまします。かがみさんに、つかささん」
 そう言う二人。もちろん、狙いはこの家の仲良しな双子姉妹である。
「二人ともいらっしゃい。あがっていってよ」
「いらっしゃい。とりあえず、私の部屋行こうか」
 そう言ってかがみとつかさは、二人を出迎える。
 かがみの部屋へ向かう途中、
「あら、いらっしゃい。こなたちゃんにみゆきちゃん。ゆっくりしていってね」
 と、かがみたちの母親、柊みきが二人に声をかける。
「あ、おじゃましてま〜す」
「どうも、今日はおじゃまします」
 そう言うと二人はかがみの部屋へ行った。

 それを見送るみき。
「もう、つかさったらいつもドジなんだから。お友達にまで薬を飲ませちゃうなんてね」
 柊みきは一人、静かに呟いた。
16831-207:2008/01/29(火) 23:11:36 ID:oafKM7Gy
以上です。
昨日投下した「つかさの、姉への想い」の関連作品ですが、
実は本編よりも長かったりして。
珍しいみゆき×かがみを書いてみました。
まだまだ文章力不足なところがあり、エロ描写も少ないですが
そこは、妄想で補ってください。
ところで、自分の中ではみゆきは
基本は鼻血、その他では
こなた相手:受け
つかさ相手:甘々
かがみ相手:攻め
というイメージがあります。なんででしょうか。
読んでくれた方、ありがとうございます。
169名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 23:13:24 ID:RHU4DTQM
リアルタイムでGJ!さすがつかさクォリティw

しかしみきさん・・・孔明www
170名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 23:14:58 ID:6LGWZ4yQ
>>167
リアルタイムにて読了。
みきお母さんが黒幕とは! ていうか娘にナニ渡してるんですかあんた。
読んでるこちらも、クッキーの魔力にあてられそうでした。ぐっじょぶ。
171名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 23:19:15 ID:ZX8WJr/C
>>149
続き来たGJ!
みさこなかがの行方も気になるその前に
濃い平安知識に吹いたwwwwどんだけー
ぶーわ氏本当に何者なんだろ
続きに期待です
172名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 23:23:43 ID:uoy86uiE
>>168
ぐっじょなんだぜ

>基本は鼻血
間違いなくこなフェチの影響だな
173名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 00:04:34 ID:VT3et0we
こう×ひより投下します。
174プライベート・ひよりん(1/3):2008/01/30(水) 00:05:17 ID:8jsJwfTp
 戦況は絶望的だった。
 兵站は底を付き、補給は途絶え、援軍など望むべくもない。武器を持つ手は既に力を失い、僅かな気力だけで保っているに過ぎなかった。
 どれだけ追いつめられ、切羽詰まった状況であろうと、時間だけは無情に過ぎていく。否。むしろ時計の秒針が倍速で進むかのように感じられる。
 だが、
「まだ……!」
 全身に残る力をかき集め、身を起こす。寝ているわけにはいかないのだ。
 ひよりは歯を食いしばり、手に持つペンに力を込めた。
 目の前の、机の上にある、真っ白い原稿用紙を睨め付ける。そのまま、震える手でペンを原稿用紙に突き立てようとした。
 しかし、用紙の表面から僅か数p上空で、ペン先は制止する。
「くっ……」
 ひよりは歯噛みした。
 白い原稿用紙の眩しさが、容赦の無いプレッシャーをかけてくる。
「まだだ……まだ終わらんよ」
 などと池田秀一ボイスで呟いてみても、時間と気力は容赦なく削られていく。
 やがて、視界が暗転した。

「そのご ひよりのすがたをみたものはいなかった……」
「って、聖剣2スか! 不吉なナレーションを入れないで下さい! ……あれ? こうちゃん先輩?」
 ガバチョと身を起こしたひよりは、いつの間にやらベッドで寝ていたことや、すぐ傍らにアニ研部長のこうがいることに目を丸くした。
「おっす、ひよりん。気分はどう?」
 状況がよく分かっていないひよりに対して、こうはいつも通りの気さくな表情で軽く挨拶する。
「あの……?」
「陣中見舞いに来てみたら、机に突っ伏してグースカ寝てたんだよ。風邪ひくといけないから、ベッドに移させて貰った」
「ああ、そうでしたか……」
 机を見ると、まだ中途の原稿用紙が散乱している。ひよりは大きなため息をついて、ベッドから出た。
「にしてもひよりん、ずいぶん漢らしい格好だねぇ」
 中学時代のジャージ上下にどてらを羽織り、足には靴下を二重履き。色気なんざぁどこ吹く風、といったなりだ。
「これが私の戦闘服っスから」
 部屋着とも言う。まあそれはさておき。
 母が用意してくれたのだろう。床に置かれたお盆に、二人分のお茶とお菓子があった。
「相変わらず原稿に難儀してるみたいだね」
 座布団に腰掛け話すこうに、ひよりは肩を落とした。ついでに目もそらした。
「まあ喩えるなら、ゴールデンコンビでペナルティエリアに突っ込んだ後、いざサイクロンを撃とうとした瞬間『くっ! ガッツがたりない』になったような状況といいますか……」
「分かりやすい喩えをありがとう。何にせよ、根詰めすぎないようにね。今だって、ほら」
 飲んでいたお茶を盆に戻すと、こうは身を乗り出してひよりに顔を寄せた。
「え? あの……?」
 思わず目を閉じたひより。その額に、こうの手の平が触れた。
「やっぱ少し熱あるかもよ」
「あ……そ、そうスか?」
「キスでもされると思った?」
「思ってませんよ!」
「そりゃ残念」
「冗談でも残念がらないで下さい。当方嫁入り前の体っスから」
「嫁入り前を自覚してるならエロ漫画描くのやめたら?」
「ぐぬぅっ!?」
 痛いところをつかれ、額に脂汗を滲ませながら苦悶の呻きを上げるひより。
「いや、そんなマジにせっぱ詰まったリアクションしなくていいから……ひよりん、テンパってても良い作品は創れないよ?」
「それは分かってるんスけど……」
「ちょっとは息抜きしたら?」
「息抜きと言われましても……何したらいいのやら……」
「そうねぇ……たとえば――」
175プライベート・ひよりん(2/3):2008/01/30(水) 00:06:12 ID:8jsJwfTp
 不意にこうは身を乗り出した。また熱でも測る気か――と、ぼんやり考えているひよりの唇に、次の瞬間、こうのそれが重ねられていた。
「っ!?」
 錯乱したひよりは、たっぷり数秒唇を吸われてから、ようやく大慌てで後ずさった。
「ななななな……!?」
「ベタなリアクションだねぇ」
 こうの目付きは、明らかに普段と温度が違っていた。
「せんぱ――!?」
 次の瞬間、こうはひよりを押し倒していた。
「な、何を、するんスか……?」
「だから息抜きにさ。煩悩もたまには発散しておかないと」
「そんな、こと……っぁ」
 もう一度、強引に唇が重ねられる。今度はより深く。
 こうの舌が侵入し、縮こまっているひよりの舌を探り始める。
「んっ……っ!」
 固く目を閉じたひよりが声を漏らす。こうは抱きしめる手に力を込め、ほのかに甘酸っぱいひよりの口腔をくまなく舐め回した。
 甘く暖かい感触をたっぷり楽しんでから、こうは唇を離す。二人の唾液が銀色の糸を引いた。
「や、やめてください……こんなの……」
「断る」 
 こうは組み敷いたひよりの首筋に口付け、舌を這わせる。
「ふぁ、あ……」
 羞恥に顔を染めながら、ひよりは身悶えする。こうの唇が触れた部分に、甘い痺れがある。肌のそこだけが、焼けたように熱い。
「脱がすよ」
 ひよりの了解など確認せず、こうはジャージのファスナーを下ろし、シャツをめくり挙げ、水色のブラに包まれた小振りな乳房を露わにする。
「へえ……地味な格好してるのに、下着はちょっと可愛いの付けてるんだ」
「いや、それはたまたまテキトーに選んだだけで……」
「まあどっちにしろ脱がすから意味無いけど」
「ひぁっ……!」
 こうはひよりの熱く火照った乳房に手を這わせた。
「ふふ……ひよりんのおっぱいやわらかいね」
「何言って……ぁ、ぅ」
 乳首を口に含み、軽く前歯を立てる。
「痛っ……」
「あ、ごめん。ちょっと強かったかな」
 こうは噛むのをやめ、今度は舌先でペロペロと舐りだした。
「は、ぅ……そ、そうじゃなくて、こんなことやめてくださいっス!」
「そんなこと言って、ひよりんも興奮してるじゃん」
「そ、そんなこと……」
「ないの? 本当にそうかな?」
「ちょっ、そこは……!」
 こうはひよりの下腹部へ腕を伸ばし、ジャージの下へ手を潜り込ませる。
「んー……微妙に濡れてる? かな?」
 こうは手探りでひよりのそこへ指を這わせながら、独り言のように呟く。ひよりは羞恥のあまり声も出せず、鯉のように口をパクパクさせていた。
「ひよりん、ヘア薄いね」
「なっ、ほ、ほっといてくださいっ!!」
 指先で感じたことを率直に伝えると、気にしていたのか、ひよりは顔を真っ赤にして吠えた。
「怒らない怒らない。別に悪いことじゃないしさ」
「あー、いや、そんなことよりもですね、先輩、その、それ以上はちょっ――〜っ!?」
 ひよりの中へ、こうが浅く指を潜らせてきた。痛くはないが、恐怖と羞恥が綯い交ぜになってひよりの頭に押し寄せ、再び言葉を失う。
「やっぱ経験無しか。それにしてもウブな反応だね」
「ぁ……ぁ、ぅ」
「この際だから、最後までやっちゃおうかな?」
 小悪魔のような笑みを浮かべて、こうは三度、ひよりに口付けた。
176プライベート・ひよりん(3/3):2008/01/30(水) 00:07:06 ID:8jsJwfTp
「――とまあ、こういう展開は漫画の中の話として」
「妄想!? 今のエロ展開全部妄想スか!?」
「当たり前でしょ。私はそっちのケ無いし」
「私だってリアルでは無いっスよ!」
「リアルと妄想って結構紙一重よ? ひよりんだっていつか新宿二丁目でギター弾いてるビアンのお姉さんにお持ち帰りされる日が――」
「来ないから!」
 顔を真っ赤にして力一杯否定するひより。ところで何で妄想を共有してたんだ? とか野暮なことは聞いてはいけない。
「ったくもう……先輩が変な妄想展開させたせいで、余計に疲れましたよ……」
「そりゃ悪かったね。お邪魔ならもう帰ろうか?」
「あ、いえ、別にそういうつもりではないので。ゆっくりしてってください。気分転換はしたかったスから」
 だいぶぬるくなったお茶をぐいと呷り、ひよりは大きく息をついた。
「……ボーッとしてても時間がもったいないですし、息抜きにゲームでもやりますか」
「そだね。何やる?」
「格ゲーだと腕が違いすぎるっスから……兄貴の360借りてギアーズ・オブ・ウォーやりましょう。協力プレイで」
「Z指定がどうこう言う前に、何でそんな男臭いゲームをチョイスするかね……」
「腐女子だからって年がら年中BL系や乙女系に浸ってるわけじゃないスから」
「ガチムチ系は別勘定なのか」
 何だかんだ言いながら、その後はひよりと仲良く地底人どもをチェーンソーでぶった切るこうだった。


おわり
177名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 00:07:46 ID:8jsJwfTp
読んで下さった方、ありがとうございました。
178名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 00:10:49 ID:8ixyrTH3
>>177
GJ!なのです。
凄く上手いですね。3レスなのに物足りなさを全然感じませんでした。
179名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 00:17:05 ID:/eL/xOOJ
>>177
妄想オチか、残念……と思ったら。
どこで二丁目とかお持ち帰りとかそんな生々しい知識を仕入れましたか、そこのCV:森永理科。
もしかして、こうにもその気があったりして? ぐっじょぶでした。
180名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 00:22:37 ID:a0V1VygQ
>>177
GJ!
ありそうなのになかなかみない組み合わせですね
というか初めて?
181名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 00:34:15 ID:E//VivqO
>>149GJ!!

そして貝合わせであや×こなが繰り広げられた俺は吊ってくる
182名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 00:42:06 ID:7SrTqTq0
>>180
いわれてみれば・・・
このカポウ、ありそでないな。

まさか、マジ今回が初めて?
183名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 00:45:01 ID:LOYj/XUX
>>177
GJ!!
ゲーム効果を目の当たりに気がしたのは、俺だけでいい。
184名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 00:50:53 ID:9wT1HHT4
>>182
雑食7-896氏(すんません)が結構前にやってるみたいだな
受け攻めは逆だけど
185名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 01:02:40 ID:a0V1VygQ
探してみた

こう×ひよりんだと
7-856氏の花
ぶーわ氏の褐色キューピッドは哲学する
の二つだった・・・通好み?
186名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 02:59:49 ID:clYXdf/2
保管庫を見たらひよりんのエロ自体割と少なめで驚いた。
ネタにはされるんだけどなぁw
187名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 03:29:30 ID:7SrTqTq0
アッーーー!ならいっぱいあるんだけどなあwwww
188名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 08:03:08 ID:+zbkrQH6
>>149
> 最後の貝合わせは、綺麗な貝を見せ合うカードゲームみたいな遊びです。

こなた
「吉野桜を攻撃表示で……いや、私自重」
189名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 08:09:42 ID:a0V1VygQ
貝合わせってなんか響きがえろいな
190名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 10:09:57 ID:ShHhV60e
>189
禿同。
俺も一瞬そっちの意味の貝合わせが頭を過ぎったぜw
191名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 10:24:35 ID:a0V1VygQ
これは貝合わせシーンのSSを期待していいんですよね!?
こなあやハァハァ
192みゆつか愛してる:2008/01/30(水) 14:18:36 ID:YMbQbYUO
>>177
これはGJですw
こうはあっちのほうも世話好きなのかと思ってしまいましたよ……。
桜藤祭でこうの株がぐんぐんあがっているので、あとが原作でも出番が増えてくれれば……。

桜藤祭が面白過ぎてあまりSSがはかどりませんが
前々スレに投下した「恋するひより」のおまけが出来たので投下したいと思います。
要望通りのエロありで、続編のようになっていますが
「恋するひより」を読んでいなくても楽しめるようにしました。

・男オリキャラ×ひより(非百合注意)
・エロあり
・9レスほど拝借予定

では、他の方の投下宣言がなければいきます。
193おまけ・恋するひよりX−RATED1:2008/01/30(水) 14:24:03 ID:YMbQbYUO
「うらっしゃー!」
大晦日が近付き、世界中が来たるべき新年に向けて動き出している12月26日。
私はいつものようにこのアニ研部室で、黙々と原稿に向かっていた……はずだった。
すでに冬休みに突入していたため、校舎に人影は少なかった。顧問の桜庭先生に頼んで、特別に教室を開けてもらっている。
「OH! ヒヨリ、アれてマスネー。シュークリームブンでもキラしましたカ?」
「だって、冬コミ本番はもう明日なんだよ? なのに、現地で配るフリーペーパーのイラストが……」
「全然仕上がらないの? ひよりん、静かに作業できる環境が整えば、すぐにでも完成できるって言ったじゃん」
こうちゃん先輩が怪訝そうな表情で私の原稿を覗きこむ。
「頼むよ、ひよりん。二時間後には仕上げてないと、今日中には現地に向かって、色々作業も残ってるのに。
 それコピーするのだって、結構時間かかるのわかるよね? コンビニ、今ごろ行列出来まくってるよ?」
「わ、わかってるっスよ。わかってるからこんなにテンパってるんじゃないっスか」
そう。12月26日がどういう日なのか……知らないオタクはいない……はず。
日本中のオタクが心待ちにしている、冬コミの前日だった。もちろん、ご多分に漏れず私達も参加する。
それもお客としてではなく、サークルとしてだった。私の参加するサークルも、ここにきて結構名が知られるようになり。
壁サークルとまではいかなくても、熱心な固定客がつくくらいには有望なサークルとして認知されるようになっていった。
すでに新刊そのものは完成していて、ビッグサイトに搬入済みだった。ただ、フリーペーパーだけが完成を遅らせていた。
時刻はお昼の一時を回ったところで、私達は朝から教室に入り浸っていた。本来なら昨日のうちに完成する予定だったんだけど……。
「ヒヨリ、ここはマヨわず、このキャラとこのキャラのカラミでもカいておくといいデスヨ?」
パティが指したのは、今回私達が出す新刊の元ネタに出てくる、イケメンキャラ二人だった。
「パティ。今回私達が出すのは、BLじゃなくてノーマル本っスよ」
「ワカッテマス。でも、サイキンのヒヨリ、BLカカナすぎデス」
「そうだな〜。『アレ』からずっとノーマル本のほうが割合大きいもんね」
「ヒヨリは、フジョシとしてのプライドをワスれてしまいマシタカ?」
アレ、アレか……こうちゃん先輩の言葉で、私はさらにため息を吐いた。
たしかに私はここ一年で、めっきりBLや百合を描くことが少なくなっていた。全く描いていないわけでもないんだケド。
その代わりにノーマルカップリングが主を占めるようになって、そんな私にパティは不服があるらしい。
「そうデスヨ。ボーイフレンドがデキたくらいで、ナゼノーマルばっかりになりましタカ?」
「そ、そんなの、私だってわかんないよっ。私の中ではノーマルに萌えブームきてるんだからしょうがないでしょ?」
「OH。オタクとレンアイは、ヤッパリマジワってはならないモノなのデス。ヒヨリにもいつか、バツがやってキマスヨ?
 ゲンダイブンカシカクケンキュウカイみたいに、スムーズにはいかないのデスヨ。オタクのコイはイバラミチなのデス」
「……」
オタクと恋愛は、交わってはならない、か……パティの言葉が、私の胸に響いた。
私が今こうして原稿に中々力を出せない理由、本来なら昨日ですでに終わらせられていたはずの原稿にここまで手こずる理由。
「ねえひよりん。これは漫画じゃないよ? イラストだよ? なんでそこまで悩む必要があるの?」
こうちゃん先輩の意見はごもっとも。でも、今の私は目の前の原稿以外にも、頭の痛い話があるんです。

******

私が彼と付き合って、一年と少しが経とうとしている。私も彼も、二年生になっていた。
私の秘密のノートを彼に見られてしまったことから、私と彼に接点が生まれて、どちらともなく惹かれあって、
まあ色々あって、たくさんの人達の力も借りて……めでたく私達は付き合うことになって。私にとっては初めての彼氏だった。
私のように趣味をあけっぴろげにしているオタクは、なかなか恋人を作りにくい。まず、理解があっても、拒絶が多いから。
それは女でも男でも同じところで、特に相手にパンピー……一般人を選ぶとその難易度は急激に高くなる。
私の彼もまた、オタクとは程遠い世界に生きていた人で……過去のちょっとしたトラウマもあって、臆病になっていた私だったけれど。
194おまけ・恋するひよりX−RATED2:2008/01/30(水) 14:25:18 ID:YMbQbYUO
彼が私の全てを受け入れてくれたとき、何の誇張でもなく生涯で一番の幸せを感じた。後ろめたい趣味だからこそ、尚更だった。
まさか私に人並みの恋愛が出来る日が訪れるなんて、それほど大きな期待もしていなかったから……この恋を大事にしてきたつもりだ。
たしかに何度かケンカもすることはあったけれど、その度によりが戻っては前よりも仲良くなって。そんな風に過ごしてきた一年。
一昨日、12月24日。私達は二人で過ごす二度目のクリスマスイブの夜を迎えて、彼の部屋で楽しくおしゃべりをする……予定だった。
『今夜は、僕と一緒にいられるんだよね?』
冬コミの準備も一段落終えて、あとはフリーペーパーのイラストをちゃっちゃと描くだけになっていた私にかかってきた彼からの電話。
久しぶりの電話だった。彼氏との予定よりも冬コミへの活動を重点に置いた日々がしばらく続いていて、お互いにお互いを渇望していた二人。
私も久しぶりに彼と触れたくて、24日だけは彼のためだけに予定を組んでいた。クリスマスイヴくらいは、恋愛に溺れたいのは当然だった。
「うん。今日は約束通りに、あの時間にいつもの場所でね。遅刻したらダメだよ?」
『大丈夫だって。すごく楽しみだよ。それに、久しぶりにひよりの声が聞けて嬉しいな』
ひより……彼が私を呼び捨てにするようになって、半年が経つ。恋人の声が聞けて嬉しかったのは私だって同じで。
イベントの度にその準備に終われて彼と連絡や接触が取りにくくなる。それは同人描きの宿命として、彼も受け入れてくれていた。
私はその度に彼に謝り、彼はその度に笑って私を応援してくれて、私もそれに甘えるようになっていた。その優しさを信頼しきっていた。
「私も……キミの声が聞けて嬉しかった。じゃあ」
「ひよりん、大変だよ!」
私達の久しぶりの愛の通話を邪魔したのは、息を切らして駆け抜けてきたこうちゃん先輩の大声だった。
「ごめん、ちょっと待って……どうしたんですか、先輩」
「ビックサイトのほうで、搬入ミスが起きたって! すぐに一緒に現地に向かって!」
「えっ……で、でも」
『どうしたの? ひより、大丈夫?』
彼の心配そうな声と、こうちゃん先輩の切羽詰った顔。私は一瞬混乱したけれど、すぐに状況を把握する事ができた。
「えと、今すぐに行かないとダメっスか?」
「そうだよ。サークルのメンバーがいないことにはお話にならないみたいで……ゴメンだけど、今夜は潰れるもんだと思って」
ここで「イヤです」と断ることも出来たかもしれない。実際、私もショックが大きくて、本当は彼とのデートを優先したかった。
しかし、彼はこういったことをいつも許容してくれて、そのことへの甘えがこの日の私の判断を誤らせてしまう事になった。
「……ご、ごめんねー……。今日のデート、無理になったみたい」
『え?』
戸惑う彼に私は事情を説明した。彼は無言のまま私の説明を聞いて、しばらく考えてから口を開いた。
『断れないの? 何時に終わるかわかる? 僕、何時でもいいから待つよ。それとも迎えに行ったほうがいいかな?』
「今夜は丸々潰れそうなんだ……意外と、面倒くさいもので」
『じゃあ明日は?』
「無理、かな……フリーペーパーも仕上げたいし、委託のサークルさんとの話し合いもあるから……本当にごめ」
『……なんだよ、それ』
もしかして彼は今まで、笑って私を応援してくれてはいたけれど、胸の内には不満をたくさん蓄積させていたのかもしれない。
初めて漏らした彼の不満に、許されて当たり前とばかり思っていた私は驚きを隠せなくて、しかも横では私を急かすこうちゃん先輩。
彼の気持ちを考える余裕もなかった私は、しなくてもいい余計な反論になぜか立ち回ってしまっていた。
それなりに期待されていたサークルだったことのプレッシャーもあったのかもしれない。とにかく、あのときの私は愚かだった。
『せっかくのクリスマスイヴくらい、同人のことなんか忘れてもいいじゃないか』
「しょ、しょうがないよ! それに同人のことなんかって言うけれど……」 
あとは売り言葉に買い言葉。このときの私は、彼が私の趣味を全て理解して何でも受け入れてくれているとばかり勝手に思い込んでいて。
その通話を最後に私と彼は連絡をとっていなかった。電話もメールも、どちらからも送っていない。
これまでで一番、深刻なケンカだった。落ち着いて彼の気持ちを考えれば、申し訳ないという気持ちが沸いてくる。
でも、私の趣味を理解してくれていたはずなのに……という気持ちもあって、素直に謝ることにも戸惑いを感じてしまう。
後悔と意地。謝罪と疑念。結局微妙なモヤモヤが私の中に残ったまま、私は最後の原稿を仕上げられないでいた。
195おまけ・恋するひよりX−RATED3:2008/01/30(水) 14:27:04 ID:YMbQbYUO
******

結局、以前に描き溜めてPCに保存しておいたイラストを載せることで、フリーペーパーの問題は解決した。
私達はビックサイトの近くに安いホテルを予約していた。泊まり込みは、参加者の基本中の基本だった。
現地に向かうバスの中で、こうちゃん先輩は終始不機嫌そうな顔をしていた。すでに三年になっていたこうちゃん先輩からすれば、
アニ研部員として最後のコミケ参加でまさかの手抜きをすることになるなんて思わなかったに違いない。私には謝ることしか出来なかった。
「ねえ、ひよりん」
「な、何っスか?」
「明日からの本番でもそんな顔してたら、許さないからね」
「……すんません」
「ダイジョウブデス、ヒヨリ! あのクウキをスって、ヒヨリがゲンキにならないハズ、アリマセン! サンソのウスさでハイに!」
バスの窓から見える空は、大事なイベントの前日にはとてもふさわしくないくらい、今にも振り出しそうな曇天模様だった。
毎年興奮で眠れないくらいテンションが上がっているはずのこの日、私の心は空を映しているかのように沈んでいた。
「現地についたらまず、ひよりんはホテル近くのコンビニでフリーペーパーのコピーをすること。パティは買い出しね」
「先輩は?」
「私はまあ、野暮用があるんだよ」
こうちゃん先輩は私の顔を見ずに答えた。沈黙が走るバスの中では、腐女子の外国人だけがテンションが高い。
「ヒヨリ、いつものテンションはどうしたデスか? あっ、いまビックサイトがチラッとミエたデスネ!」
バスを降りると、街にはすでに小雨が降り注いでいた。このままだといつ強さを増すかわからない。私達は急いで別行動を取った。
(大丈夫かな……私、明日笑顔でいられるかな。イベントに集中できるかな……)
コンビニのコピー機から印刷されたフリーペーパーが次々と出てくる様子をじっと見つつ、私は考えていた。
(やっぱり、会いたい。彼に会って、きちんと謝りたい。でも今の私は彼に会えない)
メールや電話よりも面と向かって、今一番言いたい言葉を口にしたい。そうでもしないと、余計な考えが湧いてふんぎりがつかないから。
さすがに今から彼の前に向かうことは出来ない。しかし、冬コミが始まってしまえばまた、仲直りがズルズルと先延ばしになる。
(それに……彼は今更私の前に現われてなんかくれない。私は、彼より趣味を優先したんだから)
ほんの僅かだって可能性が存在しない、つまらない望みだった。何が楽しくて、こんなところまで彼がやってくるというのだろう。
もしかしたら、もう二度と彼は私に愛情を注いでくれないかもしれない。同人女と付き合っていく気持ちは萎えてしまっているかも。
(また、悪い方向に考えちゃってる。妄想だったら、自分が幸せに感じる方向にしか考えないくせに……)
でももしも……そんなことを考えて、不安と悲しみは胸の中で一層大きさを増していく。
せめて明るい内容のメールや電話なり、一件でも彼から来たならば私はだいぶ救われる。ならばなぜ私は、自分から送らないんだろう。
(結局最後まで、私の趣味で彼を困らせて、我慢させて、甘えちゃってるな……)
涙腺が緩むのを感じて、私はぐっと顔をしかめた。コピーはすでに9割方終わろうとしている。
「……明日はもっと頑張らないといけないっスね」
コピーが終わった。大量に増えたフリーペーパーを封筒に閉まって、傘を購入してからコンビニを出た。
ホテルのチェックインをしなければ……外はすでに本降りになっていて、靴下が濡れるのを覚悟しなければならなかった。
「うわ〜……最悪っスね……フリーペーパーだけでも死守せねば……!」
とても防ぎきれるとは思えなくても、私はビニール傘を広げて、パツンパツンになった封筒を胸に抱えて走り出した。
(ホテルはそう遠くないっス! あの歩道橋を渡って、ちょっとだけ走れば……!)
水たまりをバシャバシャと踏みつけて、靴下がビショビショになるのも構わず私は走る。ホテルで着替えればいいだけのことだった。
足もとの悪い中で傘を刺したまま、しかも結構な重さになった封筒を抱えてのダッシュだったので、とてもバランスは悪かった。
196おまけ・恋するひよりX−RATED4:2008/01/30(水) 14:28:35 ID:YMbQbYUO
(来た、歩道橋っス! ここを抜けたらもうホテルは目の前――)
封筒を抱く手が少しばかりきつかったけれど、耐えられないほどじゃない。歩道橋の階段を数段昇った。
そのときだった。ガキンという音と共に私の身体が後方へと引き寄せられる。
傘が歩道橋の手すりに引っかかった。勢いよく走っていた分、私の身体は大きくバランスを崩した。傘から手が離れた。
防ぐものを無くして、雨粒がダイレクトに私の身体に降り注ぐ。倒れかけた身体を必死に整えるために、私は手すりに手を伸ばす。
「――っと、あっ……!」
封筒を抱き締めていた手の力がふいに緩んだ。しまったと思ったときにはもう遅く、封筒は私の手から落ちて、階段を転がる。
その勢いで、封筒からフリーペーパーが流れ出て、雨に濡れた歩道橋の階段に散乱する。私は心臓が冷えていくのを感じた。
「あっ、ダメっ! やだっス! いやだ、いや、ああ……」
私は散らばって雨に濡れたフリーペーパーを必死にかき集めた。すでに下着までグショグショになって、雨粒が頭からボトボトと流れる。
眼鏡がずり落ちて階段を転がったけれど、私にそれを気にする余裕はなかった。雨粒は痛いくらいに私の身体を打っている。
「お願いっ! やめて、もう、やめて……」
雨の中でも、道行く人の視線を感じた。笑い声も聞こえる。また、こうちゃん先輩やパティにも迷惑をかけるハメになってしまった。
インクが滲んで破れかけたフリーペーパーを何枚も握り締め、私は抑えきれずに、歩道橋の階段でポロポロと涙を零していた。
(ごめんなさい、先輩、パティ……私、またみんなに……)
私は何をしてるんだろう。彼には嫌われて、そうまでして選んだ道で、今はこんな不様な形で濡れ鼠になっている。
自分がひどく滑稽に思えた。でも、それに笑うよりも今は涙が止まらない。外でなければ、声もあげていたかもしれない。
どうしようもないほどの寂しさの中に、突き落とされたような気分になった。その瞬間、私の中にひとりの顔がよぎる。
(もしかしてこれは、彼をないがしろにした私の罰なのかも……)
私は歯をギリギリと鳴らして、階段に出来た水溜りの中に力なく座り込んだ。もう一歩だって、動く気力がなかった。
「寂しいよ……会いたいよ……ごめんなさいって、言いたいよ……」
こうちゃん先輩やパティよりも、彼に謝りたいという気持ちのほうが強くなった。私の口からは自然と言葉が漏れた。
雨の音も車の音も通行人が囁く声も、聞こえなくなっていった。このまま身体が雨に流されていきそうになっている。
「もうこんなのいやだ……こんな気持ちのままでいたくないよ……」
濡れたフリーペーパーを握る手に、ぎゅっと力が込もった。この問題をどうしようなどとは、とても考えられなかった。
ふと、私の身体を容赦無く打っていたはずの雨の攻撃が止まった。けれど、急に雨が止んだわけでもなかった。
私はばっと顔をあげて、涙目のままそれを見上げる。傘……傘が私を雨粒から守っている。
そして私に傘を刺してくれているのは、見覚えのある顔。見覚えだけじゃない――今一番会いたくて、今一番愛しい顔。
「ひより、大丈夫?」
「……嘘。なんで?」 
彼は少しかがんで濡れた私の体を片腕だけで抱きしめると、ぐっと引き上げて立たせてくれた。突然のことなのでされるがまま。
「このままだと風邪をひく。ホテルはむこうでいいんだよね?」
「え……う、うん。で、でも、フリーペーパー……」
「それは後でもいいから、とりあえずホテルにいこう」
そう言うと彼は私を自分の胸へとギュっと抱き寄せ、足元に気を使いながらも急ぐように、歩道橋を渡った。
彼の胸に顔を押し付けながら、彼の腕の締め付けるような強い感触に、心の中の何かが氷解していくのを感じていた。
ホテルにつくまでの数分の間、お互いに何も言わず、私は彼の身体にぎゅっとしがみついていた。
ホテルのロビーにつくと、私達の姿を見たフロントの人が、奥へと消えてバスタオルを持ってきてくれた。
「たしか、八坂先輩の名前で予約してるんだよね」
「そ、そうだけど……どうして知ってるの?」
「後で話すよ。ちょっと待っててね」
彼は私の代わりにチェックインを済ませてくれた。しかし、宿泊予定じゃない客でも、どうしてチェックインができたのかわからない。
197おまけ・恋するひよりX−RATED5:2008/01/30(水) 14:30:02 ID:YMbQbYUO
ルームキーを預かると、私達は急いで部屋へと向かった。一人一泊7000円、ツインベッドのビジネスホテルだった。
「ね、ねえ。どうしてチェックインできたの?」
「予約が八坂先輩の名前だからさ。『八坂こう』って、どっちの性別にも使えるだろ? 予約のときに性別までは言わなかったみたい」
「そっか……もしかして、こうちゃん先輩に会ったの?」
「ん、まあね……それよりも、風邪ひいちゃうからシャワー浴びてよ。僕はこれをコピーしてくるから」
彼がすっと差し出して見せたのは、私が落としたフリーペーパーの入った封筒だった。
「あれだけたくさん入ってたんだ。たしかにほとんど中身は出ちゃったけど、封筒の中には何枚かまだ大丈夫な物があったよ。
 それをまたコピーすれば、明日までには間に合うはず。ホテルまで近い距離だけどタクシーを使えばもう濡れないで済むだろうし」
そう言って微笑むと彼は部屋を後にしようとする。そのとき私はとっさに「待って!」と叫んでいた。
振り向いた彼の胸めがけて顔を埋めると、私は彼が濡れてしまうことに気を回せないまま、濡れた身体でギュッと彼に抱きついた。
彼は何も言わずに、私を抱き返す。しばらくそうしていると、シャワーを浴びたわけでもないのに身体が温まっていくようだった。
「ごめんね。ごめんね。私、キミの気持ち何も考えずに、自分のことばかりで……」
「……僕もごめん。ひよりだって寂しいんだって、わかっていたはずなのに」
それから彼は私のおでこにそっと口付けすると、子供に言い聞かせるように優しく「お風呂入ってね?」と言った。私はただ頷く。
彼が部屋を後にして、私は浴槽とシャワーと洋式トイレが簡単に備え付けられただけの浴室で、身体を温めた。
まだ何も、問題は解決していない。なのにシャワーを浴びていた私からは、不安や寂しさまで流されていくようだった。
下着とガウンを着ると、私は暖房を着けてベッドに腰掛けた。しばらく待っていると、彼が封筒とレジ袋を持って帰ってきた。
「……ご飯、買ってきたよ」
彼は微笑んで、私も微笑んで、私達はしばらく黙々と彼が買ってきたパンやらおにぎりやらを口に運んでいた。
それも全て食べ終えると、彼はふうと一息ついて、話を切り出した。
「メール、しようかと思った」
「えっ」
「電話も、しようかと。すぐにでも謝りたかった。でも、ひよりは忙しそうにしていたから……邪魔になったらどうしようかなって」
「邪魔なんかじゃないよ……私もずっと、キミからの連絡を待ってた。あっ、別に謝ってほしいとか思ってたわけじゃないよ?
 でも、私から連絡しようと思っても、色々と怖くって。でも、キミと連絡できないと、それが一番不安で、何も手につかなくなって」
「聞いてるよ。僕のことでずいぶん……アニ研に迷惑をかけちゃったみたいだね」
「迷惑なんて、そんな……あれっ、それもこうちゃん先輩から?」
「うん。今日、八坂先輩からこの近くに呼び出されていたんだ。ひよりの様子がおかしいのは、あんたのせいだろうって、はっきりと。
 そのせいでアニ研に迷惑がかかっている。でもそれ以上に、ひよりが冬コミを心から楽しむ事ができないのが、一番かわいそうだってね」
「こうちゃん先輩が、そんなこと……」
バスの中で言っていた野暮用とはこのことだったんスね……自分がアニ研として最後の参加なのに、私のことを考えてくれていたなんて。
本当に素晴らしい先輩だと思った。ああいう人が先輩で本当に良かった。卒業してしまうことが、実に惜しいくらいに。
「そして、僕にこのホテルに向かうように言ったんだ。そこにひよりがいるからって。正直、自分が情けないと思ったよ。
 どうしてそれを、他人に言われてじゃなくて、自分の考えで行わなかったんだろうって。でも、八坂先輩には感謝してる」
「えへへ……自慢の先輩っスからね〜」
「ひよりからすれば一回一回のイベントが、すごく大事なんだよね。それなのに、僕はそれを尊重できないないんて」
「そっ、それだけじゃないよ!」
「えっ?」
「私からすれば……キミとのイベントだって、一回一回、全部大事だよ……」
「ひより……」
自分で言っておきながらこれは恥ずかしい。本音だからどうしようもないんだケド……。
「だから……本当はクリスマスイヴも一緒にいたかった。でもあのときは混乱してて、キミの気持ちを全然考えてあげられなくて」
「ううん。僕だって、ひよりが困っていることぐらいわかっていたはずなのに、つい勢い任せに文句を言っちゃったんだし」
「あの……きちんと言う、ね……ごめんね」
198おまけ・恋するひよりX−RATED6:2008/01/30(水) 14:31:42 ID:YMbQbYUO
彼はまた私を抱き寄せると、小さな声で「こっちも、ごめん」と囁いた。私にはそれ以上、何もいらなかった。
胸の痞えはようやく全て取れた。多分、二人とも。私達がお互いに、お互いを思いあえていないわけなんて、あるはずなかったのに。
彼はそれから私の唇を塞いできた。蕩けそうな熱いキスだった。ガウンに下着だけの薄着でも、熱を逃がさないほどの熱い口付け。
そうだ。私は今、彼の前でガウンに下着という恥ずかしい格好だったんだ。なんとなく、忘れてしまっていた。今ごろ恥ずかしい。
でも、全くイヤな気分はしない。彼の唇の感触を味わいながら、少しばかり考えたけれど、やがて胸の中で小さな決心をつけた。
「あ、あの……」
「どうしたの、ひより?」
「ク、クリスマスのイヴときね? ……私、なんとなく覚悟してたんだ」
「覚悟?」
「私達って、付き合ってもう……一年以上だし。でも、今まで抱き合うとかキスとかしかしたことない……よね?」
「うん……あっ」
私の言いたい事に気付いたようで、彼は顔を真っ赤にした。もちろん、私だって真っ赤になっているだろう。
しかし、私もまさか自分からそういった方向に誘うだなんて思わなかった。いや、誘ってほしくてたまらなかったのかな……。
「あっち系のゲームの女の子とかって簡単に……あげちゃったりするケド、やっぱりリアルになるとちょっと怖いっていうか。
 でも、リアルだとクリスマスとかってそういうイベント、多いっていうし、それに、キ、キミだったら、私はその……」
「えと……その……」
「クリスマスの分……取り戻しても、いいかな?」
「ひより……それは僕からお願いすることだよ」
「……シャワー、浴びてきてほしいかな」 

******

私達はお互いに下着だけになって、もちろんそれだけでも死ぬほど恥ずかしいんだけど、とにかくベッドに腰掛けキスをしていた。
ああっ……! なぜ私には、下着をおしゃれにするっていうステイタスがなかったんだろう。おしゃれに疎い自分が恨めしい。
10分くらい……ゆっくりとキスをする。それから彼はゆっくりと私の身体を倒して、首筋や鎖骨にキスをした。
私は強張らせたままの身体に走るこそばゆさに身体を小さく跳ねさせて、目はきゅっと固く瞑っている。
(うう……恥ずかしいよ……今から『らめぇ!』とか『感じちゃう……ビクビクッ!』みたいなことをするんスかね……)
すると、急に彼の動きが止まった。私はすっと薄く目を開けると、彼はボクサーパンツ姿で私を見ている。
(あ、こうして見ると結構筋肉ついてるんだ。もうちょっとヒョロいのかと思ってた……って、そうじゃなくて!)
とりあえず、気になるのは彼の視線。その表情はなにか考えているようにも見えた。
「あ、あの……そんなにジロジロ見られると、は、恥ずかしいんだけど……」
「ご、ごめん。その……」
「もしかして、経験……ない?」
「……うん」
別に『初めては慣れた人じゃないとイヤ』とか『初めて同士じゃないとイヤ』なんて理想は最初から持ってなかったから別にいい。
でも、それはそれで少しばかり安心したよう気がする。お互い、心の準備をするのに余裕を持つことができそうだから。
やがて決心したように、彼の手が再び動き出すと、私のブラがすっと脱がされていった。私は慌てて胸を手で隠したけれど、
彼の手がゆっくり私の手を払いのけて、私の小ぶりな胸に優しく触れてきた。単にくすぐったく感じただけで快感はなかったけれど、
愛撫が手から舌になったとき、ようやく気持ち良さを覚え、私は身体を小刻みに震えさせながら羞恥と快感に耐えていた。
「ん……あっ、ううん……はあっ」
「ひより……気持ちいいの?」
「う……聞かないでほしいなあ」
「ごめん……あの、どうしたら気持ちいいかとか、教えてほしいな」
「そっ、そんなの言えないよ……で、でも、好きにしてもいいよ? イヤなときはいうから」
199おまけ・恋するひよりX−RATED7:2008/01/30(水) 14:33:27 ID:YMbQbYUO
彼は私が胸を舐められると気持ちいいとわかったからか、そこを集中的に攻めてきた。私は耐えられなくて、彼の頭をぎゅっと掴む。
「あの……ひよりってさ」
「ふ……う、うん」
「その……ひとりでしたりする?」
「……ノーコメントっス」
胸ばかりをどれほどいじられたかわからないけれど、私の身体はすでに熱がぐるぐると駆け回って、背中にはじっとりと汗が滲んできた。
ただ、大好きな彼にされているというだけでも、相当な快感に繋がるんだとわかって、その自覚がなおさら気持ち良さを呼んで……。
彼の手がついに私の、一番恥ずかしいところへと伸びてくる。下着の上からラインに沿ってすっと擦りつけてきた。
恥ずかしながら私も自分で自分を慰めるときは、このように下着の上からさすっていた。きちんと気持ちよくなれるかと思った。
……一向に快感が訪れない。ただ単に、下着をさすっている、というだけの感じだった。気持ちよくさせようとしてるのかな?
「……な、なにしてるの?」
「えっ……いや……やっぱり濡れるんだな、と思って……」
羞恥が襲う。私は顔を真っ赤にして、足を折り曲げて下着を隠した。彼は驚いたように手を引っ込めて、一瞬怯えたよう表情を見せた。
「こ、今度は私がしてあげるっス!」

******

(いつも同人で描いてある通りにすればいいよね……)
勢いと流れのままに彼に奉仕をしてあげていると、彼は気持ち良くなっているらしく、荒い息を吐いていた。
(うう……気持ちよくなってくれているのは嬉しいけど、結構つらい……もうあまりこういうシーンは描かないでおこう……)
こんな下世話なことを考えているなんて、彼はきっと思いもしないだろう。私はちょっとだけ反省した。
(でも……本当に感じてくれて嬉しい。私みたいな女の子でも、彼を悦ばせてあげられるんだ)
それだけで、胸が満たされていくような気がした。胸も小ぶりだし、美人なわけでもない。でも彼は私を選んでくれた。
元々、彼が私を恋人に選んでくれている時点で、そんなこと心配する必要もなかったのに、それでも私は素直に嬉しかった。
しばらくそれを続けていると、彼は時折「大丈夫?」と聞いてくる。そんなこと言われたら、大丈夫としか言えなくなってしまう。
「ひより、あのさ……」
「う、うん」
「そろそろ、いいかな……?」

******

「痛かったら言ってね?」
「うん……うう」
「はあ……ひより、大丈夫?」」
「あっ……痛いかな」
「やめたかったら、すぐやめるから」
「痛い……うう、痛いよ、痛い」
「ご、ごめん。やめよっか?」
「ううん……途中でやめられるとかえって辛いかも……大丈夫だから」
「わかった……うん、これで全部だよ」
200おまけ・恋するひよりX−RATED8:2008/01/30(水) 14:35:02 ID:YMbQbYUO
彼が身体を動かす度に、痛みが走る。でも、耐えられない痛みではなかった。彼の動きにリズムが生まれると、次第に慣れた。
私はただくぐもった声を出して、彼の背中に手を回してそれを感じていた。そうしないと、何かが壊れてしまいそうだった。
彼の背中は思っていたよりも広くて、胸は厚い。私はその強さに頼り甲斐を感じ、自分の全てを預けてもいい気分になる。
「うあっ、うう……うああ……」
私の声は決して色っぽいものではなかった。男の人からすれば、萎えてしまうような声だったかもしれない。
それでも彼は時々、「可愛いよ」と言ってくれた。私はそれだけで、自分のいやらしさに自信を持てるようになる。
「好き……大好き、だよ……」
「僕もひよりが好きだよ」
「うん……でも、なんだか不安だよ。私、私……」
「……大丈夫。全部僕が守ってあげるから。だからぎゅっとしてていいよ」
いつ終わったのかはわからなかった。気がつけば私は彼に抱き締められていて、二人で深い眠りに落ちた。

******

目覚めると時刻は早朝四時半。早い……と思ったけれど、冬コミ当日であることを考えたら、早起きに越した事は無かった。
(つ、ついにしちゃったっスね……)
恥ずかしい。思い返すたびに恥ずかしい。でも、よく考えれば今は素っ裸で、それはなぜかあまり恥ずかしくない。
喉元過ぎれば熱さ忘れる、みたいなものなのかな……と思いつつ、彼とひとつになれた喜びにも浸ってみる。
まだ眠りについている彼を見て多少迷ったけれど、起こすことにした。一人の朝は、なんだかひどく寂しく感じたから。
「こうちゃん先輩とパティって泊まる所どうしたのかな?」
「あっ……そういえば、それは知らない。僕もここにくることに精一杯で……」
「帰ってきた形跡もないようだし……でも、キミをチェックインさせた段階で最初から戻ってはこないよね」
「じゃあ、僕が泊まるってわかってたってことだよね?」
「うん。えっ……うあああああああああああ……!」
ヤバイ。あの二人の中ではもう、私がどんな言い訳をしても、私達がああいう関係になっているんだということになっている。
いや、実際になってはいるんだけど……いくらなんても恥ずかしすぎる! どのように冷やかされるかわかったものじゃない。
「地獄っス! この世の終わりっス! 穴があったら入りてえええええ!」
「ひ、ひより……たしかに恥ずかしいケド、そこまで……」
「うう……だって、だって」
「僕は幸せだよ」
彼は私を抱き寄せると、またおでこにキスをした。いつもながらこれには参る……私はおでこをキスされるのが好きなのだ。
「……私も」
彼の胸板に顔を隠すように押し付けると、私はぎゅっと抱き締めた。喜びでにやけた顔を、見られたくないからだった。
「今日だよね。冬コミ。頑張ってね。楽しめそう?」
「……へへへ。おかげさまで」
「ひよりのブースに遊びに行こうかな?」
「いやー……あの会場は素人にはオススメできないっスね」
「ひよりの彼氏を一年もやってるんだよ? もう素人じゃないよ」
「甘いっスね。この道はまだまだ長くて険しいっスよ」
でも、遊びにこられたらたまらなく嬉しいんだろうな。本当に甘いのは、私のほうだったりするんだから。
201おまけ・恋するひよりX−RATED9:2008/01/30(水) 14:37:01 ID:YMbQbYUO
******

「ひよりん、久しぶりー」
「あっ、泉先輩! お久しぶりっス」
「ひよりんのサークルもえらくなったネ。この勢いだと来年には壁かな?」
「いやいや……ここから壁までの壁が一番熱かったりするんスよ、これが」
「OH! コナタ〜オヒサシブリネ! カガミはどうしたデスカ?」
「んにゃー、かがみも大学休みだから連れてこようと思ったんだけどさ〜大学の集会で忙しいみたいで」
「そうなんデスカ。あいかわらずユリユリしてるんデスカ〜?」
「うおお! 小悪魔攻めの泉先輩と典型的ツンデレかがみ先輩との絡み、ごっつぁんです!」
「うひゃー、萌えられる側っていうのもちょっと気持ちが悪いネ」
「あ、これ新刊です。もらってくださいっス」
「タダでいいの? サンキュー」
「コナタはトクベツネ♪」
「ひよりんのサークルの新刊は毎回買わせてもらってるよ。ゲマズでやサイトでだけどネ。今回もノーマルもの?」
「イエス!」
「ひよりん、ここ一年くらい年齢制限もの描いてないよね。やっぱり彼氏いると変わっちゃうのかな?」
「そ、そんなことないっスよ! ……でも、描いたほうがいいんスかね?」
「んーん。同人誌ってさ、年齢制限ものばっかり売れるよね。だから売り上げ重視ならエロは描くべきなんだよね。
 でもひよりんはさ、年齢制限もの止めたのに本の売上下がらずに、ここまで人気サークルになったの、なんでだと思う?」
「そういえば……ちょっと、わからないっスね」
「それはだネ。ひよりんの本はちょうど年齢制限ものを止めたあたりから、恋愛の心理描写にリアリティが生まれたんだよ。
 まるで読者側が本当に恋に落ちているかのような気分になっちゃうんだよネ。それに所々の描写がすっごく丁寧。
 ひよりんは気付いてないだろうけれど、それがすっごく評判いいんだよ。ネットでのサークルの評判、見てみ見てみ。
 キスシーンなんか、おもわずこっちが蕩けそうなくらい生々しいっていうか……まあ、いかにして生まれた才能なんだかネ」
「うおおおお……! そ、それ以上は言わないでくださいっス!」
「OH! ヒヨリ、これゼンブジッタイケンデスか?」
「そんなわけないって!」
「あれっ、あれってひよりんの彼氏じゃないの」
「うそっ!」
「嘘だよ」
「ドウジンシにリアルなレンアイをモチコマナイ。ソウおもっていたジキがワタシにもアリマシタ」
「だから持ち込んでないって!」
「で、ひよりんはいつになったらリアルな年齢制限ものを描くの?」
「描かないっスよ!」
「あれっ、あれってひよりんの彼氏じゃないの」
「うそっ!」
「だから嘘だって。で、リアリティ中心主義のひよりん。次の新刊はどんな作品なの?」
「ワタシもゼヒしりたいデス」
「あああー! ……ラブラブ甘々なハッピーエンドっスよ! チクショー!」
202みゆつか愛してる:2008/01/30(水) 14:42:52 ID:YMbQbYUO
投下は以上です。読んでいただいてありがとうございました。
誤字脱字等ありましたら申し訳ありません。得に今回はキーボードのHが接触不良になっていまして……。
以前別の職人さんが投下された男×ひよりのエロがあまりに良すぎたために書くのを断念しかけましたが
こういうのも職人同士で良い刺激になるんだな、と学ばせていただきました。
それにしてもエロが本当に書けない……勉強させていただきたいと思います。

次回はみゆつか投下予定。最近はみゆき男性化でみゆつかもありかと思うようになりました。
では、他職人さんの作品をしゃぶり尽くす作業に戻りたいと思います。
203名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 14:52:36 ID:5AkoGQRz
>>202
アンタも恋してるだろ?ああああああああ!!!恋してぇえええええええ!!!!
GJ!半端なくGJ!リアルタイムGJ!!ひよりんヤバスギだよ!
204名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 14:58:09 ID:/eL/xOOJ
>>202
これ、もうおまけじゃないよ。続編だ。


ああ、口からチョコレートが漏れていく。ぐっじょ、ぶ(ぱたり
205名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 15:10:55 ID:clYXdf/2
>>202
うああああああああもうあなたってひとはああああああああ
いやーもうなんていうか読んでてニヤニヤするっていうか、
自分がひよりんになったみたいに恥ずかしいっていうか、とにかくいい意味でシラフでは読めなかったっス!
前スレの自分のおとひよと比べて、やっぱ本家は違うなと思いました。
とくに舞台を一年後の年末にするなんて一本取られたって感じです。くやしい…でもGJしちゃう!
これはもう、ひよりんのファン急増間違いないっスね!(超個人的願望)

あなたの甘さを目標に自分も頑張りたいと思います><
206名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 16:04:14 ID:s7Go4m+y
>>202 ひよりん可愛いよひよりん。GJです!

もし誰もいない様でしたら10分後くらいに投下いきますー。
207スペシャルクッキング:2008/01/30(水) 16:21:27 ID:s7Go4m+y
では投下いきます。
・つかさ→みゆき前提
・非エロ
・2または3レスくらい使用








深めの皿に盛りつけられた白い平麺の上には、肉味噌と小さく乱切りにされたきゅうり、刻んだ白葱が乗っている。それらを料理人の言うとおりによく混ぜて口に運ぶと…


「……!」

肉味噌が淡泊な平麺によく絡み、濃厚な味がしっかりと主張する。その味付けは味噌をベースに、醤油、にんにく…時折歯に触れる小さな賽の目はたけのこだろうか。どこか胡麻のような味もする。濃厚だけれど不思議と飽きのこない味で、どんどん口に運びたくなる。

肉味噌の味に気をとられていると、不意に現れるきゅうりのさっぱりとしたみずみずしさが味を引き締めてくれる。しゃくしゃくというその食感も平麺のもちもちとしたそれと相まって歯に心地よい。
素材の食感がもつリズムをしっかりと楽しんでから惜しむように喉を通らせると、鼻腔に軽く擦った胡麻と刻んだ白葱の風味がふんわりと広がった。


「お…美味しいですつかささん!とても美味しいです!」

普段あまり声を大きくしないみゆきも、つい声のボリュームをあげてしまった。つかさの作る料理だから確実に美味しいだろうと思っていたのだが、これは予想以上に美味しい。
208スペシャルクッキング(2):2008/01/30(水) 16:23:26 ID:s7Go4m+y
「えへへ…そ、そんなに言ってもらえると、すごく嬉しいな。初めて作る料理だから心配だったんだけど…」

そう言ってみゆきの目の前に座る料理人…つかさは、頬を染めて笑った。今日は学校の無い土曜日。最近覚えた料理を作るからもし良かったら食べに来ないかとみゆきはつかさから誘われたのだった。

「本当に美味しいです。私…じゃじゃ麺のことは知識として知ってはいましたが、食べたことは無かったので」

箸を休めて、みゆきは照れるつかさに微笑んだ。それを見たつかさの顔はますます赤くなる。そのまま放っておいたら、蒸気が出るのではなかろうか。

「え、えっとねっ、その…前偶然インスタントのを食べたことがあって。それが美味しかったから、自分で作ってみたの!」
「そうですか。以前食べたものをまたこうして自分で作るなんて…つかささん、すごいです」
「はわわわ……っ」

みゆきに誉められ、つかさは蒸気が出る前にもう卒倒してしまいそうなほど顔を最高潮に赤くする。

「そ…そうだっ!ゆきちゃん、ちょっと待ってねっ!」

つかさは抱えていたタッパーかられんげでひとつ肉味噌をすくい、みゆきの食べかけのじゃじゃ麺に入れた。そして置いておいた卵を割り入れると、上から電気ポットの熱いお湯を注いで掻き混ぜる。すると卵がうまい具合にとろりと固まり、辺りには良い香りが広がった。

「わあ…!卵スープになるのですね!」
「うん、チータンタンって言うんだって。一品で二度美味しいよね!」
「つかささんは、やはりとても料理がお上手ですね。素敵なお嫁さんになれますよ…いえ、むしろ私がお嫁さんにいただきたい程です」
「ええええっ!!!!」

(ゆ…っゆきちゃんのお嫁さんだなんて…そんな…そんな…)


そんなつかさの想いを、目の前で美味しそうにスープをすするみゆきは知る由もなかったのだった。

「つかささん」
「は…はいっ!」
「スープもとっても美味しいですよ♪」
「はうぅぅう…」

END.
209名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 16:25:58 ID:s7Go4m+y
以上です。昼に食べたじゃじゃ麺がすごい美味だったのでついつい書いてしまいました。美味しさが伝われば幸いです。あとつかさのテンパり具合も伝われば(以下略)
210名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 16:40:01 ID:bxZsqQYS
>>209
ジャージャー麺美味しいですよね。
中華料理は自分もよく作るんですが、意外と応用が効くものもあって楽しいんですよねー
自分も今度作ってみようかな。
SS、ご馳走様でした。
211名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 17:02:40 ID:wDT/orvs
桜藤祭の主人公×各キャラというのを考えてくれるかたいませんか 特にみゆきさんで
212名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 17:04:49 ID:NMM5osWy
>>211
只今ネタバレ自粛中
多分1ヶ月ぐらいかかると思われ
213名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 17:13:39 ID:d9Vl78vS
まあネタバレは……攻略本出てからかな?
214名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 17:19:06 ID:9wT1HHT4
>>209
味の描写がうまいっす
思わず食べたくなる
いろんな意味でおいしいSSごちそうさまでした
215名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 18:14:55 ID:zURMmNkD
さてだいぶ前にかがみ×みなみを考えた者ですが・・・
勢い任せで書いててElope前提のストーリーになってる現状でこのまま完成させるべきなのか・・・?
作者の設定引用許可(でいいのか?)が貰えるならこのまま完成させて載せてみようかと思うんですが



余談
普通に書いてて何故か毎回黒ゆーちゃんになる俺の脳を何とかしてくれorz
216名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 18:33:35 ID:Sn/l2WmU
>>215
許可なんて要らないんだぜ?
引用されるのは、案外嬉しかったり…

い、いや、俺はElopeの作者じゃないけど、SS書きの一人の意見さ。
217名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 19:09:47 ID:a0V1VygQ
ゴッドかなたさんとかこな☆フェチとかがいい例だよな・・・特に後者wwww
注意書きにでも書けば大丈夫だと思うよ
218名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 19:23:11 ID:ZzM6/9Mo
>>215
白ゆーちゃんが出てるSSを読みまくるんだ!
ここのSSでも足りなければ、余所で捜すの結構いいぞ
2ch上なら良策多いからな
21934−347:2008/01/30(水) 19:24:56 ID:+zt7c0Ce
「手錠」の続き投下させていただきます。
まだ慣れていないので上手くいかなかったらすみません。

・続き物。前スレ>>347の続きです
・ひかる×かがみ
・エロあり
・予定では7レス使用
220名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 19:25:48 ID:Ifd3TsS/
これからSS投下します。

非エロ
こなた×?
9レス使用します
221手錠・1:2008/01/30(水) 19:25:58 ID:+zt7c0Ce
「…こういうこと」
唇を離しながら先生がそっと呟く。
なんだろう。私は、何が起こったのかいまひとつ理解できなかった。
「おーい、柊?」
ボーっとしている私の目の前で先生が手を振る。
そのとき私はようやく、先生とキスをしたことに気がついた。

……キス?先生と私が?
「せせせせせ先生!?」
混乱する私を余所に、先生が口を開く。
「なぁ柊…。わかるか?
好きだから、ずっと私のクラスにおいておきたかったんだよ。」
いやおかしいって。どういう状況なのか今一度頭の中で整理する。
つまりそれって…先生が私を好きってこと?
ま……まさか…
「って、ちょっ先生!?」
訳がわからなすぎて頭がフットーしそうだよッ…!
となっている間に、先生は無表情のままセーラー服を脱がし始めた。
手馴れた手つきでボタンを外し、フロントホックのブラもは外される。
「いいだろうが。こちとら三年近く我慢したんだ。」
そういいつつ、露になった私の胸をもみ始めた。
「え…ちょっ……」
「可愛いぞ柊」
何これなんなの一体。これなんてエロゲ?というこなたの口癖が頭をよぎる。
いくら頭を頑張って働かせてみても、一向に状況が理解できない。
考えることに集中していると、胸に刺激が走った。
「…はぅっ…せんせ…やめ…やだ」
見ると桜庭先生が胸の先端部分を指で弄んでいる。


その刹那。
一気に感覚がリアルになった。
途端に顔・頭に血が上るのを感じ、私は先生から逃れようと身をよじった。


「せ先生っ、じょ、冗談はやめて下さい!」
「阿呆、冗談でこんな事するか。あまり変な事言うと生物の点数下げるぞ。」
「へ、変な事言ってるのは先生のほうじゃないですか。」
「柊、ちょっと黙れ。私は本気だ。こっち見てみろ。」
先生が私の肩を力強く掴む。真っ赤な顔の私は、顔を上げることが出来ず俯く。
先生が顎を掴み前を向かせた。
「こっち見ろって。」
先生の目がまっすぐ私を捉えた。
今まで見たことがない程真剣な顔をしていた。

その目を見た瞬間。
私の心が熱く疼いた。
222名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 19:26:00 ID:kmVfrXUh
>>217
>ゴッドかなたさんとかこな☆フェチとかがいい例だよな・・・特に後者wwww

ぎっくぅーーー! Σ(゚Д゚;)
お、お兄さんびっくりだ!


ゆい姉さんの「ぎっくぅー!」は、びっくりだ以上の迷セリフだと思う俺。
223手錠・2:2008/01/30(水) 19:26:26 ID:+zt7c0Ce
「本気……なんですか?」
「だからさっきから言ってるだろ。よし、続きだ。いいだろ?」
先生は私の返事を聞かず、そのままゆっくりと机に押し倒した。
私に考える暇を与えないほどの速さで又胸を弄りだす。
「……あっ…んぁ…」
先生の舌が胸に触れ、思わず恥ずかしい声が出る。
それを聞くと、先生は笑みを浮かべながら見上げてきた。
「いやっ、今のは違……」
「もっと声出せ。」
理不尽な要求を押し付けると、又口を胸に戻す。
そしてそのまま、私の体をなぞっていった。
私はひどく恥ずかしくって、顔を真っ赤にし、目を瞑った。
「あっあ……せんせ…い」
静かな生徒指導室。先生の舐める音と私の声だけが響く。
「…ふぁ……」
「気持ちいいか?」
私は答えず、ぎゅっと唇を閉めた。
しかし、羞恥心だけでなくもっと別の感情が芽生えているのを、私自身一番よくわかっていた。

……気持ちいい…


舌の感覚が止んだので薄っすら目を開けると、先生は私のパンツをに手をかけていた。
「ちょっ、そこは……」
「何言ってるんだ。こんなに濡らしておきながら。」
先生が下着の上から指でなぞる。
「あうっ」
一際大きい声が出た。
下半身が熱を帯びてるのを自分でも感じる。
きっと下着も凄い事になってるだろう。
「ほれほれ」
「ああっ…んあ」
敏感な所をつんつんとつつかれ、私は身をよじった。
されるがまま、私の下着は剥ぎ取られた。
224手錠・3:2008/01/30(水) 19:26:59 ID:+zt7c0Ce
「いやだっ……」
濡れたアソコに、ひんやりと空気を感じる。
私は急いで足を閉じた。
「足広げろって」
「む…無理ですっ」
広げるなんて、きっと恥ずかしすぎて死んでしまう。
今だって……恥ずかしさは限界だというのに。
「広げないと、気持ちいいことできないぞ」
意地悪い目で先生が言う。右手は太ももを、左手は胸を撫でながら、顔を近づける。
先生の顔が目の前にくる。唇同士触れてしまいそうな距離で、ささやく。

「柊はそれでいいのかぁ?」

……私は、ゆっくりと足を開いた。
今の今まで誰にも見せたことない。
もちろん誰にも触れられたことのない場所を、自らの意思で見せた。
「素直だなぁ柊は……可愛いぞ…それじゃあ」
先生がアソコに顔を埋める。
刹那。体に電気が流れるような錯覚に陥った。
「んああっ」
言うまでもなく舐められる事なんて初めてである。
信じられないほどの快感が私を襲う。
「…あっ……あっ…ふあ」
ボーっとしてくる。何が何だかわからなくなる。
熱い。とにかく身体が熱い。
私は視線を宙になげ、光を受け光る埃を意味なく見る。
駄目だ。壊れてしまいそう。
225手錠・4:2008/01/30(水) 19:27:29 ID:+zt7c0Ce
「あっん…ふぁあ…せんせ…これ…だめっっ」
先生は私の声が聞こえているのかいないのか、顔も上げずに舐め続けた。
「や…やばいですって……ぇあ、あああああっ」

同性の。
しかも担任で。
身長だって10センチ以上小さいこの人。


世界が、私と先生だけになった気がした。
あるのは快感だけ。
この後どうなるのか?世間体?
どうだっていい。
今はただ、先生と。
与えられる快感に身を任せるだけ。

「あ…んんっ…んあっっ」
「やっぱちょっと……きついな。2本だけなんだが」
急に進入してきた異物に体が反応する。
今まで自分でしたことはあるけど、いつも外から触るだけで中に指など入れたことない。
初めて体験する異物感に、少し顔をゆがめる。
「痛い……か?」
「いえっ…いたくない…です…」
「最初はゆっくりするから」
言葉通り本当にゆっくり、先生の指が私を犯していく。
痛くないと言えば嘘になるが、それよりも私はその先にある快感がほしかった。
「んっ…んっ」
「大分慣れてきたか…柊…」
愛おしそうな目で、先生が私を見る。
226手錠・6:2008/01/30(水) 19:28:13 ID:+zt7c0Ce
肩で息をする私を先生が優しく抱きしめた。
変わらない真剣な瞳。
「好きだ。柊」
「―――私もです…」
元々好きで自分でもその気持ちに気づいていなかったのか。
こんな事をされて好きになったのか。
自分でもわからない。
でも、今、好きだ。
とてもとても先生が好きだ。
先生は私の返事を聞くと、ホッとしたような目になった。
「……よし、柊。ちょっと待っとけ。あ、この服着てな。」
未だ余韻がのこっている私に、先生はセーラー服を渡す。
私は言われるがまま制服を身に着ける。
そして先生は私から離れ、そのままドアのほうに近づいていった。
「せんせ……」
先程とは打って変わって厳しい目つきをして。
私はなんだか不安になった。
先生がドアを開き、言う。
「覗きたぁいい趣味してんなぁ」
―――覗き?
小柄な先生の後姿。
ドアを開けたそこには―――
22734-347:2008/01/30(水) 19:35:57 ID:+zt7c0Ce
あれれ?
5と7が反映されないorz
また失敗してしまった……
とりあえずまとめWIKIにあげときます
228名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 19:39:10 ID:0TqrA5sU


229名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 19:46:33 ID:Ifd3TsS/
割り込みすいませんでした。投下は後にします

>>209
そこはつかささん美味しいと(ry

>>227
手錠っていうタイトルから重苦しい雰囲気になりそうではありましたが、
話はここから動き始めるっていう感じでしょうか。
230名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 19:47:36 ID:Sn/l2WmU
>>227
1行目を空白にするとエラーなしに異次元に飛ばされることがあるようです。
231名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 20:34:58 ID:iBzB2eVw
>>227
230以外にも、同じ単語が21以上あるとエラーが出ると言う報告も
(ただし、再現できたりできなかったりで絶対にそれが原因とはいえませんが)

もしくはNGワードが含まれていてRock54……
232名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 20:47:32 ID:Ifd3TsS/
自分が規制に引っかからないかどうか不安ですが
今度こそ投下します。

・非エロ
・こなた×?
・9レス予定
 パティに言われて気づいたわけだけど、私の周りには萌えキャラが揃ってる。
 お父さんとお母さんの馴れ初めのことを『幼馴染みのロリキャラなんてギャルゲーみたい』
なんて言ったことがあるけど、多分モテなかったお父さんに比べれば、私のほうがずっと
ギャルゲーに近い生活をしている。
 女の子だから当たり前? そんなの気にしない。
 最近の流行では男の子を好きになる必要がないんだから私にも友達を攻略するチャンスは
あるわけだよ。女の子しか登場しない漫画やアニメがゲーム化されたときに、どこの馬の骨
とも知れない男が登場して恋愛関係になったりするわけだけど、そんなのまさしくKYだね。
 今は全然気配がないけど、いつかどこかから男が現れて私の友達をとられてしまうか、
わかったものではない。
 そんなわけで私は決意した。私の大切な友達を男にとられるくらいなら私が攻略する!
 相手にも選ぶ権利がある? そんなの気にしない。
 何はともあれ、私にどれほど攻略の糸口があるのか考察してみよう。
 まず、つかさ。つかさは出会いの時点でもうフラグが立ってる。
 なんたって困ってるところを助けてあげたんだからね。私が高校に入って、それが初めての
友達だった。ありがとう外人。
 バレンタインのチョコを私に作ってくれたりして、つかさは私に惚れてるね、間違いない。

 次は、かがみ。今までの行動をみれば、かがみは大本命だ。
 つかさに会うためとか言いながら私たちのクラスに来るけど、あれは絶対私のためだネ。
本人は認めたがらないけど、そんなツンデレっぷりが可愛くてしょうがない。
 バレンタインも参拝のときの願い事もそうだけど、つかさを口実にして私に好意を示して
くれたことは何度もあったわけで、かがみが私のこと好きなのは確定事項ですよ、もう。

 続いて、みゆきさん。私が知る限り最高のスペックを持つ萌えキャラ。
 さっきの二人ほどじゃないけど、私がいつもみゆきさんに萌えていることをアピールして
るんだから、十分射程範囲内にあると思う。一人っ子同士、ちょっと甘えてみればいい雰囲気
に持っていける気がする。

 従妹のゆーちゃん。私にとっては妹のようなもので、今は同居人でもある。
 ゆーちゃんも私をお姉ちゃんって呼んでくれてるし、お父さんが家を留守がちにしてたら
まんまエロゲーの設定だ。まあ、お父さんは作家だからその真逆なんだけどね。
 とにかくそういう間柄だからかなり脈がある。私もゆーちゃんのためなら何だって頑張れる
しね。ただ気がかりなのは、みなみちゃんの存在だ。私がゆーちゃんを攻略するためには
みなみちゃんを超えなきゃいけない。逆に言えば、そこさえ乗り越えられればもう攻略したも
同然。

 同じ理由で、残念ながらみなみちゃんの方は難しいと言わざるをえない。ハーレムルート
とかそういうのじゃないと無理そうだ。

 ひよりんは何気にいいセンいってると思う。
 なんたって同じ趣味。しかも知り合う前から同人誌を読んでいて、作家として嬉しくない
はずがない。勝手にゆーちゃんに本を見せるとか羞恥プレイをやっちゃったけど、その気に
なれば同人誌を盾にとって脅すとかいうプレイもできないわけじゃない。エロ同人を描いて
るんだからひよりんだって興味津々のはず。百合に抵抗がないっていうのも大きいネ。

 パティも同類だから、これもなかなか脈があると思う。ゆーちゃんとみなみちゃんのこと
を見ていて、普通に百合を理解しているのも同様で、しかもバイトを一緒にやってる仲。
そもそも私を『ぬかりがない』なんて言ったのはパティだったしね。

 みさきちは、かがみを取り合うライバルだから攻略対象としては難度が高い。
 しかし、だからこそどうにかすればうまく持ち込めるんじゃないだろうか? 私もいつの
まにかあだ名で呼んじゃってるし。難度が高いとした上で、不可能ではないと考えていい。

 峰岸さんは、諦めざるを得ないかもしれない。みさきちがいるし、彼氏持ちだしね。

 ゆい姉さんも人妻だからさすがにまずい。これもしょうがない。

 黒井先生はちょっと頑張ればいい感じになれると思う。
 美人でもう適齢期なのに彼氏ナシ。孤独につけこめばコロッと来てくれるかも。私たちは
ネットゲームとはいえクリスマスや正月を一緒に過ごした関係。教師と生徒っていう背徳感も
たまらないよネ。

 うん、こうして考えてみるとやっぱり私の周りはいい感じに整ってる。エンディングがない
サブヒロインでもしっかりとシーンはあったりするので可能性は捨てきれない。
 というわけで早速攻略開始!
 ……とは思ったものの、具体的にどうしようか。これだけ対象がいると、どこから手を
出していいものやら。ゲームならセーブとリセットを繰り返して総当りすればいいけど、
実際にはそうはいかない。あんまりやりすぎてNice boatな展開にもなりたくないし。
 まずは改めて私たちの関係を見直すことが先決かもしれない。最初の数日は急速な展開は
望めないものだから、まずはさりげなくフラグを立てることを意識しつつ普段通りに振舞って
みようと思う。
 というわけで今日はゆーちゃんと一緒に登校することにした。一緒に歩くときは寒いよねと
言いながらいつもより距離を縮めて、電車に乗るときはさりげなく手をつないだり揺れたとき
に庇ってやることを忘れない。
 今日はかがみたちとはタイミングが合わなかったみたいで糟日部駅まで知ってる人には誰も
会わなかった。春や秋ならともかく、冬の寒さの中で来るかどうかもわからないかがみたちを
待つわけにもいかないので、そのまま二人で学校に行くことにした。
「……ねえ、ゆーちゃんって好きな人いる?」
 手を繋いで、少し顔を赤らめながら聞いてみた。だって、本当に恥ずかしいんだもん。
 いきなり直球な質問だけど、従姉妹なんだからいいよね。
「……うん、いるよ」
 うわ、ゆーちゃん真っ赤だよ。いきなりストライクだよ。てゆーかこの可愛さは私にも
ストライクだよ。ゆーちゃん萌えだよ。
「それって誰? 私の知ってる人?」
「…………」
 ゆーちゃんが俯いちゃったから、それより頭を下げて顔を覗き込んでみる。熱出しすぎて
いきなり倒れたりしないよね?
「ごめんねゆーちゃん、もうこれ以上何も言わないから」
「……ちゃん」
「え? なんて言ったの?」
「……みなみちゃんが好き」
 マジですか!
 ……半ば覚悟はしてたんだけど、まさかガチだったとは。
「それで、もう告白した? 付き合ってる?」
 さっきこれ以上何も言わないと言ったが、スマン、ありゃウソだった。
「……みなみちゃんのほうから告白してきて、それで……ごめんねお姉ちゃん、隠すつもり
じゃなかったんだけど……」
「いや、いいんだよ。お幸せにネ」
 一気に二人もフラグが消滅しちゃったけど、これもゆーちゃんの幸せのため。
 私は素直に身を引くことにしよう。
 さんざんネタにはしたものの、自分の従妹が百合カップルだったことは衝撃だったわけで、
校門のところでゆーちゃんと別れてみても、なんだか気分が落ち着かない。
 それとは別に、私も恋人が欲しいという気持ちが大きくなってきて、俄然攻略にも熱が
入ってきた。ような気がする。
「……って、かがみじゃん。おはよ」
「こなた、おはよ」
「……つかさは?」
 かがみが校門のところで待ってること自体おかしいけど、それ以上につかさがいないのが
おかしい。
「……ちょっとね」
 かがみも何だか元気がないように見えた。朝起きれなかったつかさを置いてかがみが先に
来てしまった、ということなら話はわかるけど、それなら言葉を濁すはずがない。
「昨日、ちょっとつかさとね」
「それでつかさを避けて、早めに登校してきちゃった?」
「まあ、そんなとこよ」
 かがみは肯いてみせたけど、それでもまだ話は半分だ。本当につかさを避けてるんなら、
いずれつかさが来るとわかっているこの校門で立ち止まるはずがない。こんなところにいる
のは普通、誰かを待つためだから。
「もしかして私を待ってた?」
 校門で好きな人を待つというシチュエーションはありがちと言えばありがち。それでも
私のために寒空の下耐えていてくれると思うと気持ちも浮き立つじゃありませんか。
「違う。つかさを待ってるの」
 なんかかがみが冷たい。いつもみたいなツンデレな物言いじゃなくて本気で私じゃないって
言ってるみたいで、正直ショックだった。
 と、私が人知れず打ちひしがれていると。
「お姉ちゃーん!」
「つかさ!」
 必死に走ってくるつかさと、それを聞いてつかさの名を呼びながら駆け寄るかがみ。
「ごめんねお姉ちゃん! でも、昨日のことを忘れるなんてできないよ! お姉ちゃんのこと
好きなんだもん!」
「昨日はウソをついたけど……本当は私もつかさと同じ気持ちだった。こんな私でいいなら、
ずっと一緒にいてくれる?」
「うん……もうお姉ちゃんから離れないよ」
 アノ、ツカササン、カガミサン、あなたたちは天下の往来で何を仰っているのですか?
「つかさ、好きよ……」
「私も……」
 そして二人は唇を――ってホントにしちゃったヨ!?
 姉妹百合!? 百合姉妹!? 二人で世界を作っちゃってる。
 てゆーかいろいろ飛ばしすぎだよ! フラグはどうした、フラグは!?
 初めて生で百合キスを見ちゃったよ。周りもみんな固まっちゃってるよ。
「……っていうことがあったんよね」
「ということは、今頃どこかでかがみさんと一緒にいるんでしょうね」
 私の中での大本命二人のフラグが消滅した経緯をみゆきさんに話していた。
 昼休みになればいつもはかがみがこっちに来るのに、来ないどころかつかさまでどっかに
行っちゃったんだ。
「それにしてもショックだよ。いつのまにあんなふうになってたんだろ」
「友達といってもここでしか会いませんからね。一緒に住んでいるお二人には何か事情が
あるのかもしれません。ましてや双子ですからね」
 うーん、家族じゃないと立てられないフラグっていうのもあるもんなぁ。みゆきさんは
普通に受け入れすぎな気もするけど。
「チビっ子! 柊が妹とって本当か!?」
 なんかうるさいのが来たよ。でも、向こうからこっちに来るのって珍しいかもしんない。
「間違いないよ。私も目撃してたからネ」
「なんてこった……柊は私の嫁なのに……」
 やっぱりみさきちはかがみ狙いだったんだ。今朝までの私だったら『かがみは私の嫁』
とか言い返すところだったけど、そんな気にもなれない。
「こらこらみさちゃん、何言ってるの」
 少し遅れて峰岸さんが来た。
「ごめんね、みさちゃんが迷惑かけちゃって」
「いえ、お気になさらずに」
 みゆきさんが答えても意味ないと思うんだけど、まあいいや。
「あやのぉ〜。柊が、柊がぁ〜」
「もう。泣かないの」
 この様子を見ていると、みさきちとフラグを立てるのは難しいかも。少なくとも今すぐ
立てることはできなさそう。
「柊ちゃん、柊ちゃんって、私じゃそんなに不満なのかしら?」
「でも柊は柊だからぁ」
 私の目の前でこれ以上続けられても、なんというか、困る。そろそろやめてくれないかと
言おうとしたその時。
「そう、それなら私が柊ちゃん以上になれればいいのね?」
 言うなり、峰岸さんがみさきちに顔を寄せて――やっちゃったよ!
 に、二度目の百合キス目撃ですよ! しかも今度は至近距離ですよ!
 みさきちもビックリしてますよ! 峰岸さんは彼氏持ちのはずですよ!
「あ、あやの!?」
「私にとっては、みさちゃんも大切なのよ?」
 それを受けてみさきちが何を考えたかはわからないけど、急にしおらしくなっちゃった。
今すぐフラグが立っちゃってますよ、なぜか。
「お邪魔しちゃったね。柊ちゃんによろしくね」
 何をよろしくすればいいんだろう。峰岸さんに連れられてみさきちも大人しく出て行った。
 ……でも、よくこんな教室の中でやるなぁ。みんな見てるのに。
「日下部さんって受けだったんだ」
「ちょっと意外ね」
 あの……クラスのみなさん、何で普通に話してるんですか?
「見せつけられてしまいましたね」
 みゆきさんはにこやかに言ってるけど、そういう問題でもないと思う。
「……っていうことがあったんだけど」
 放課後、教室に残っているひよりんとパティに昼休みの出来事を話したところ。
 かがみとつかさのことも話したから結構な時間になって、気づけば他には誰もいない。
「小早川さんと岩崎さんが校内バカップルランキング断トツ1位かと思っていたけど、
それを脅かす存在が現れたっスね」
 何そのランキング。
「このクラス、ゆーちゃんとみなみちゃんのコトってみんな知ってるの?」
「クラス中の噂っスよ。どう見ても恋人だとかどこまで行ってるんだとか」
 だからなんでみんな普通に受け入れてるんだってば。
 もしかして私って取り残されてる?
「ゆーちゃんってここではどんな感じ?」
「大体想像の通りじゃないかと。この間も――」
 ひよりんの口から二人のバカップルぶりが次から次へと語られる。
 ……思いっきり想像を超えてました。はい。
「ゆーちゃんは知らない間に大人になっていたんだね……」
「先輩にとってはショックだったかもしれないっスね……」
「デモ、ユタカとミナミのおかげで私とヒヨリは目立たずにいちゃつけるデスね」
 あれ、今変な言葉が聞こえたよ? 聞き間違えカナ?
「たとえばこんなコトも」
「パティ、待って、泉先輩が見てるっス!」
「見せつけてやりまショウ」
 あの、そこのお二人さん? キスはまだいいとして、どう見ても舌が入ってマスヨ?
「ん……あぅ……ちゅっ……」
 ひよりんなすがままだよ。キューリはパパだよ。
 っていうかもうお腹いっぱいだよ。
 なんだか焦るというかなんというか、とにかく嫌な気分だった。
 私とフラグが立ってると思ってたらみんながみんなカップルを作っていて、変な疎外感を
感じてる。
 私がいま感じている感情は精神的疾患の一種だ。しずめる方法は知らないけど、誰かこれを
共有できる人が欲しい。……要するにフラグを立てるってことなんだけどネ。
 恋人がいない人といえば黒井先生、ということで職員室に行ってみたんだけど、その先生が
いなかった。代わりに生物の先生と保健室の先生がいちゃいちゃしてたけど、見なかったこと
にしようと思う。
 心当たりを一通り探しても見つからなくて、ふと校舎から校門の方を見ると、そこには一台
のミニパトが停まってた。婦警さんが乗ってるアレね。それだけならまだしも、そのミニパト
の方に黒井先生が歩いて行ってた。
 ……先生、警察のお世話になるようなことしちゃった?
 そのイベントをうまく捌けばフラグをゲット! という欲と単純に野次馬根性もあって、
近くで様子を伺ってみることにした。
 私がそこに着くまでの間に先生はミニパトに乗り込んだものの、まだ発進どころかエンジン
を駆動させてすらいなかった。できる限り遠くから車内の様子を見てみると……
「ゆい姉さん!?」
 運転手はゆい姉さん。しかも黒井先生と車の中であんなことやこんなことを!
 パティとひよりんがやってたのより更に激しくやっちゃってるよ!
 胸まで揉んじゃってるよ! 二人とも大きいから揉み応えありそうだよ!
 っていうかゆい姉さん、人妻人妻!
 私の心の叫びなど届くはずもなく(届いても困るけど)、二人はそれからもっと凄いことを
やってた。CERO18くらいの。
 私以外にも見物人がいて、全員女の子だったのはあまり気にしないでおこう。
 出歯亀って言っちゃいけないヨ?
 みゆきさん! もう私にはみゆきさんしかいない!
 みゆきさんは私の心のオアシスだ! みゆきさん愛してる!
 という気持ちをみゆきさんにぶつけたかったんだけど、もう帰っちゃったかな。
 いきなりイベントに入るのは無理としても、みゆきさんに今日あったことを話して甘える
とかしてみたい。いやマジで。私の心は渇ききっているのです。
 みゆきさんってもふもふした感じがあって、抱かれると気持ちよさそうなんだよね。
 いや、ふかふかかな? 特定の一部分ならむにむにかな。
 そんな妄想はさておいて、今日のところは諦めるしかないかな。今まで行動してなかった
せいで他のカップルのフラグが立ってたと思うとあまりいい選択肢ではないんだけど、今日の
ところはどうしようもないっていうのが実状だ。電話をかけて愛を育むしかないと思う。
 いつもは携帯電話なんか持たない私だけど、それがイベント取りこぼしにつながるかもしれ
ないと思って、今日だけは持ってきていた。結局、今まで使わなかったけど。
 とにかく、駅まで歩きながらみゆきさんに電話をかけてみた。
『もしもし、高良です』
「あ、みゆきさん? 私」
 お母さんも家にいるはずだけど、たまたまいなかったのかもしれない。
『泉さんですね。どうかなさったんですか?』
「いろいろあって、みゆきさんと話がしたくなったんだ」
 ムードたっぷりの哀愁を込めた声で話しかけてみる。
『お話って、きゃっ、お母さん!』
「あ、お母さんいるんだ」
『はい、ちょっと、やっ、ん、あんっ……』
 みゆきさん? 声にとてもアダルトな響きがあるのは何故ですか?
『やめてください、今、泉さんと電話、あぁっ』
『えっちの最中に電話に出ることないじゃない』
 えーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!
 ナニヤッテルンデスカミユキサン!?
『い、泉さんが聞いてるんですよ!』
『泉ちゃんなの? 泉ちゃん、これ聞こえる?』
 よく聞くと背景に何かの振動音が……。
「えーっと……お邪魔しました」
 それだけ言って携帯の電源ボタンを押した。
「うぅ……木枯らしが冷たいよ……」
 泉こなた、真っ白に燃え尽きました。
 心の中に萌える、じゃなくて燃えるものがないとこんなにも寒く感じるものなのですね。
コート越しに自分の体を抱きしめても空しいだけです。
 他のカップリングはともかく、ゆかり×みゆきは予想外でした……。
 ……なぜか敬語になっていたのはさておいて、これほど冬を寒いと思ったのは初めてな
気がする。
 孤独に震える私を癒してくれるものは二つしかない。アニメショップかゲーセンだ。
 アニ○イトやゲー○ーズは同類がたくさんいて空しいので、ゲーセンに行くことにした。
 しばらく来てなかったけど、私が得意とする格ゲーは相変わらず置いてあった。相手には
悪いけど軽くボコらせてもらうことにしよう。
 と思ったけどやってる人がいない。コンピューター相手にしてもあまり燃えないんだけど。
 ま、適当に流して誰かが来るのを待つとしますか。
「あーっ、この前のチビ!」
「え?」
 なんとなく聞き覚えのある声がした方を振り返ってみると、そこにはなんとなく見覚えの
ある人が。
「あのときは捨てゲーなんかしやがって! ゲーマーにはマナーってもんがあるだろ!」
 ああ、これは……。
「もう一回勝負しろ。今度こそは……ん? どうしたんだよ、そんなに震えて」
「心の友よー!!」
 立った! 立った! フラグが立った!
「な、なんだお前! いきなり抱きつくな!!」
「わかった、勝負しよう! ただし私が勝ったら私と付き合ってもらう!」
「何言ってんだよ! わけわかんねえ!」
「君が勝ったら私が君と付き合おう!」
「同じじゃねえか!」
「いや、違くなるよ。攻め受けとか」
「お前、私と何をする気だよ!?」
「あ、そっち方面わかるんだ。それなら脈ありだね」
「人の話を聞けえええええ!」

−おわり−
2423-283:2008/01/30(水) 20:57:40 ID:Ifd3TsS/
私はゲームになった途端、男が登場するしてギャルゲーになるようなものを
好きになれないアンチなのですが、文句を言うよりもネタにしてしまおう
ということで書いてみました。
らき☆すたの場合は主人公が同性趣味はないと公言しているし、共学なので
無理はない方なのですが。
243名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 21:01:05 ID:wdxpoboV
こ れ は い い
244名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 21:07:52 ID:7SrTqTq0
>>242
なんというアンチこな☆フェチwwwwwwwwwww
そうか、なかなか実現しなかった組み合わせがここできたかwwww

「なぜ泉さんはレギュラーの中から
 私を最後の選択肢に選んだのですかだばだば
 あばりびぼつれだいです、つべたすぎばすだばだば」
「ひいいいいいいいソノ鼻血があるから最後までためらったんですっ!(脱兎)」
「にがしばせんだばだば、今度こそ実現夢のぱふぱふだばだば」
245名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 21:20:16 ID:sc570RRP
こなたはフラグは立てるけど立てっぱなしで放置だからな……
気を抜くとこうなってしまう危険があったのか!
246名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 21:22:35 ID:qZuBSilm
>>242
GJ
ここまで取り残されるこなたってのも珍しい。
それから
>ひよりんなすがままだよ。キューリはパパだよ。
俺のストロベリィティ返せ。
247名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 21:37:35 ID:wdxpoboV
そうそう忘れてたけど>>202もよかったよ
248名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 21:46:56 ID:7SrTqTq0
>>202が出てたときは俺まだ勤務中でGJできんかったが
>>202にも最大級のGJを捧げようじゃないかあ!(CV関俊彦)
作者、あんた恋愛経験をかなり積み重ねてきましたね、といえるほどの
2人のすれちがいっぷりと交差する機微っぷりと
そして、いざっ、というときの初々しい様といい・・・
全てが新鮮ですばらしいひよりんでした(゚∀゚)ノ
あと、こうのいぶし銀の活躍も見逃せない!
もうパティ涙目どころか、ヤンデレを起こすくらい
すばらしいカップル!万歳!!
249名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 21:48:51 ID:PLQtFCAI
>>242
テラGJ!
腹筋が痛いんだがwww
250名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 22:21:08 ID:ybMH5g43
某ハルヒのキョンはフラグクラッシャーの二つ名が付いてるが
こなたの場合はフラグ放置プレイだったのな、言われてみれば
そしてこうの登場で俺歓喜w>>242GJ!

ゲームではこうの出番が多く、評価がうなぎのぼりに上がったので
書き手の人、ぜひともこうのSSを!できればやまとも!
こう×やまととか書いてくれたら俺死んじゃう
251名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 22:40:06 ID:a0V1VygQ
ゲームネタは一ヵ月は自重らしいですよ
こうちゃん先輩がひよりんレイプしたり黒井先生に食べられたりみゆきさんに食べられたりとかなら保管庫にもありましたね
ゲーム効果で人気が出るといいな
252名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 22:50:48 ID:iwqXoVCG
ゲームネタ解禁したら男が出てくる話が増えるかもな
俺は空気を読まずに百合街道を突っ走るつもりだが
2534-243 ◆X9xLTlcDnY :2008/01/30(水) 23:04:23 ID:9sWwqSod
>>202
ひよ×男ドゾー(´・ω・)ノシ
http://www.geocities.jp/extream_noise/rakisutaep/img/hiyooto.jpg
254名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 23:21:25 ID:ybMH5g43
>>251
そうだったのか、では1ヶ月気長に自重しますわ
しかしこーちゃん先輩は原作で出てるから、せめて今はこーちゃん先輩だけでも推しとくぜ
まあ絡めるとなるとこなた、ひより、パティくらいか…
あえてゆたかとかつかさとかありえない組み合わせを妄想するのもまた一興か
25523-251:2008/01/30(水) 23:41:07 ID:8ixyrTH3
>242
ぐっじょぶなのです。
こなたのクラッシャーぶりに爆笑しました。

>215
引用表示をして頂ければ、構いませんよ。
256名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 23:43:26 ID:iZQ3ytap
>>252
仲間発見。
俺もそのつもりだ。どちらかというとゲームの方はアンチ気味だし。
やはり俺的にらき☆すたは百合に真髄がある。
百合街道を突っ走ってやろうじゃないかw
257名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 23:43:58 ID:1slHDGmM
なかのひと
なかのひと
258名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 23:44:52 ID:1slHDGmM
やべ、ある音源聴いてたら体が勝手に……すまぬ
259名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 23:46:21 ID:KpHTqai7
Bak-Bak-Bakoon!!か!?
260名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 23:46:30 ID:iZQ3ytap
>>252
なんという俺。共にがんばろう、兄弟
261名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 23:46:37 ID:Mao1Alma
>>242
おお!
俺の理想のあやみさ!!激しくGJ!!
262名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 23:49:45 ID:6ayx1FFS
>>252>>256
ヽ(´∀`)人(´ω`)人(´∀`)ノナカーマ
どうしても、どうしても男との絡みに拒否反応が出るんだ…!

あ、そういった作品を批判してるわけじゃないので悪しからず。
263名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 23:50:06 ID:iwqXoVCG
>>256
やっぱ百合に本質ありだよな
上の方のひよりなんかは良い味出してると思うし、良い作品もあるから否定するわけじゃないが。
そしてこなたはフラグをちゃんと回収しろと小一時間(ry
264名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 23:52:16 ID:7SrTqTq0
>>253
'`ァ(*´Д`) '`ァ萌えた!
ここんとこのひよりん祭りにもってきて、
ついにひよりんエロ絵まで!!





・・・でもこれ、どっちかつーと襲われてるかんじ?(=ω=.)
265名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 23:52:54 ID:a0V1VygQ
俺もTSは大丈夫なんだがオリ男はな
というか最近TSものの投下が少ない気がする
もっとバンバンやって欲しい
266名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 23:55:43 ID:2a//jLmY
オリ男は別に構わないんだけど
ゲームやってないとわからないネタとか使われると辛いかな、っと
267名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 00:16:09 ID:UUOPFre6
あやのは彼氏がいることでこのスレで惜しいキャラになってるね
2687-896:2008/01/31(木) 00:20:27 ID:/450gcWD
どうも、ふぇっちふぇちにしてやんよ7-896です(意味不
久しぶりの壊れネタを行かせてもらいます。
っていこうとしたら規制中だったので、まとめに上げておきました。
ほんとよく規制されます。たぶん俺が壊れてるからですね。
そしてこっちにURL貼りつけようと思ったら、携帯が行方不明に
さっきやっとみつかりました。
部屋はこまめに片付けた方がいいですね。

壊れネタ注意です。

ttp://www33.atwiki.jp/kairakunoza/pages/1638.html

久しぶりだったので、みゆきの扱いを計りかねました。
269名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 00:25:43 ID:44ztbYwq
>>267
別に、元々いなかった事にするとか、別れたとか、SSなんだし設定は自由なんだぜ?
270名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 00:32:36 ID:UUOPFre6
>>269
設定を足すのはともかく設定を消すのは無しだろ
271名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 00:36:29 ID:44ztbYwq
>>270
やっぱ、ダメ?
272名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 00:39:08 ID:881DtuhJ
>>268
吹いたwwwwwwwww
こなたの下着をすべて把握してるのかよwwwwww
273名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 00:39:55 ID:8bODRq01
こなフェチ師匠キターーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!

泉さん自重www
これで八分目まで笑えたw

そしてとうとうみゆきさん…どうなったwww
274名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 00:41:20 ID:0HAdiBa9
>>270
逆に考えるんだ
「設定がまだ明らかになっていなかった時点までタイムスリップした」
と考えるんだ
275名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 00:43:02 ID:dfwnSCLK
>>268もといナナバクロ様!

やっぱりこな☆フェチは貴方様にはかないませぬ
どこまで周囲キャラを壊せばお気が済まれるので御座ひますか
>久しぶりだったので、みゆきの扱いを計りかねました。
計りかねすぎて、
人外になるばかりでなく、
ついに人知すら超えてしまった!!






「ああ・・・ついにみゆきさん、消えちゃったよ・・・
 やっぱり私がいるとみんな危ないや・・・またしばらく、私が消えるね(ダンボール)」
276名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 00:48:03 ID:N68133SC
本来の設定を根底から覆すような設定は入れない方が良いと思うのは俺だけ?
まあ、保管庫で読んだ『泉こなたの寂寞』みたいなのは有りだと思うが。
つまる所、面白ければよし、なんだろうが、これは最早オリジナルって感じになったらアウトなんだと思う。
277名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 00:50:17 ID:8bODRq01
だめだ。こなたへの愛に飢えているかがみは、もはやダンボール・ステルス機能すら見破るぞ。


やっぱ7-896氏最高wwwイカれててw
27834-230:2008/01/31(木) 00:57:54 ID:pMvbPqHT
ども、ひよつか大好きっ子です。
前作の続き書けたので投下したいと思います。

・ひより&つかさ
・34スレ目の『笑顔な先輩』の続き
・非エロ
・3レス使用
279名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 01:00:08 ID:N68133SC
>>276
大丈夫、ここにも同士がいる。
原作に無い設定を暴走させすぎた作品を見ると

これ元ネタ何? と思うときがある。そういうのが好きな人もいるようだから難しいよな
280傍に居るだけで 1/3:2008/01/31(木) 01:00:30 ID:pMvbPqHT
先日の一件から、私は自然とつかさ先輩を目で追うようになった。
とはいってもクラスどころか学年が違うのだから、その時間は限られてくる。
そこで、一計を案じることにした。

―――傍に居るだけで―――

「もでる…?」
まるで初めて耳にする単語を聞いたような反応を返すつかさ先輩。
「そうッス!今描いている漫画の主人公が、つかさ先輩に似てるので…そのモデルになって欲しいッス!」
実際は似てるどころではなく、本人そのものなのだが…恥ずかしいので伏せておく。
この案が通れば、漫画の話も作りやすいし、先輩の近くにいることができる。
まさに一石二鳥だ。
「わ、私でいいの?」
「もちろんッス」
「私…じ、地味だよ?」
「大丈夫ッス!全然地味じゃないッス!」
「でも、その…」
急に『モデルになって欲しい』なんて言われたら誰だって戸惑う。
それは分かっていた。
「う〜ん」
俯いて悩むつかさ先輩。
なので、先に考えていた卑怯な手段に出ることにする。
「あの…駄目ッスか?」
瞳をちょっぴり潤ませて、懇願するように見上げる。
すると
「う、ううん!そんなことないよ!私でよければ手伝うよ!」
予想通り、その優しい先輩は簡単に折れた。
悪いと思いつつも内心でガッツポーズをとる。
「それで…えっと、私はなにをすればいいのかな?」
「つかさ先輩はいつも通りに過ごしてください。休み時間や放課後の帰り道などに私が先輩に付いていって観察させてもらうッス!その…お邪魔にならない程度に」
「それだけでいいの?」
「は、はい。」
普通人は観察されるのを嫌うものだけど…この人はあまり気にしないようだ。
(それはこちらとしても都合がいいんだけど)
自分で頼んだこととはいえ、先輩が嫌がるようなことはしたくない。
ちょっとだけ、救われた気がした。
「うん、分かった。それなら大丈夫!」
自分でも手伝うことができることへの満足感からか、先輩は少し嬉しそうだった。
「じゃあこれからよろしくね、ひよりちゃん♪」
281傍に居るだけで 2/3:2008/01/31(木) 01:02:23 ID:pMvbPqHT
小早川さんと岩崎さんに事情を説明し、その日の昼休みから、さっそくお邪魔することにする。
教室の扉を開けると、賑やかな話し声がどちらからともなく聞こえてくる。
その中で
「あ、ひよりちゃーん!こっちだよ〜」
一際大きなつかさ先輩の声。
そして
「つかさ…恥ずかしいからもうちょっと声下げてくれるかしら」
かがみ先輩の突っ込みも聞こえてきた。
とりあえず先輩たちがいる場所まで歩いていく。
そこで気づいた。
「あ、席」
どうやら既に席を用意してくれていたようである。
「うん、もうみんなには説明しておいたから。さ、座って座って!」
こういうちょっとした心遣いってなんだか嬉しい。
「ありがとうございます。っしょと」
用意されたつかさ先輩の隣の席に座る。
「いやぁ〜それにしてもひよりん。つかさを選ぶということは、今度の主人公は天然ドジっ子なんだねぇ」
うんうん、と一人納得したように頷く泉先輩。
「うぅ、こなちゃんひどいよぅ」
対して抗議の眼差しを向けるつかさ先輩。
が、泉先輩は全然気にしていないようだ。
「あ、あはははは」
図星な私は、渇いた笑いしか返せなかった。

「そうそう、つかさったら昨日また胸ポケットから携帯落したのよ〜。この前注意したばっかりだってのに」
「あははは!つかさまたやっちゃったんだ〜」
「あらあら、携帯の方は大丈夫でしたか?」
「はぅ!お、お姉ちゃんその事は言わないでって言ったのに…」

先輩たちの会話を聞いていて思うことが一つ。
やっぱりつかさ先輩は天然である。
本人は否定するが、あえて言おう
『天然は自覚がないからこそ天然である』と。

放課後、HRを終えた私は先輩の教室へと向かう。
するとそこにいるのはつかさ先輩だけだった。
高良先輩とかがみ先輩は委員会の仕事、そして泉先輩は秋葉に寄るらしいので教室で別れたらしい。
「えへへ、やることがなくて暇なのって私だけみたい」

ttp://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0018.jpg

ばつが悪そうに頬を掻きながら言う。
その仕草が、とても可愛らしい。
(くぅ〜!これは脳内フィルムに焼きつけねば…!)
さすがに携帯で撮るわけにはいかないので、しばらくその表情をじっと見つめることにする。
帰ったら現像(?)である。
「…どしたの?」
「ななななんでもないッス!それじゃ、帰りましょう!」
「うん!」
私は、計らずも先輩と二人っきりで帰ることになった。
282傍に居るだけで 3/3:2008/01/31(木) 01:03:12 ID:pMvbPqHT
校門を出て、二人肩を並べて歩く…のだが
「………」
どうしよう、話題が思いつかない。
てっきりいつものメンバーで帰ると思っていたので、なにも準備をしていなかった。
(二人っきりは想定外ッスぅぅ!)
自分が出せる引き出しは、アニメや漫画の話ばっかりである。
それでもつかさ先輩は気にしないとは思うのだが…やはり相手の知らない話を自分から切り出すというのは気が引けてしまう。
それに、あの時の二人っきりは偶然であり、今は必然である。
…いや、他の先輩たちがいないという点ではある意味偶然か。
とにかく、意識して一緒に帰るとなるとなんだか緊張してしまって、頭の中が真っ白になってしまっていた。
(泉先輩って凄かったんだなぁ)
いつもそんなのお構いなしに話を振りまくあの小柄な先輩が、今はとても羨ましく感じる。
そんな沈黙を破ったのは、つかさ先輩だった。
「こうしてひよりちゃんと二人で帰るのってなんだか新鮮だね〜。あ、でもついこの前も一緒だったっけ」
「え、あ、そそそそうッスね!」
どもった…焦り過ぎだ、私。
そんな私の心を知ってか知らずか、つかさ先輩は続ける。
「えへへっなんだか楽しいな♪」
「た、楽しい…ッスか?」
はて、自分は特に面白いことは言っていないはずだが。
「うん!いつもと違うことしてるって思うと、なんだかワクワクしない?」
「は、はぁ…」
…まぁ本人が楽しいというのだから、楽しいのだろう。
そうと分かると、なんだか気が楽になった。
肩の力を抜いて、周りを見回してみる。
前を見れば、いつもと同じ日常、いつもの帰り道の風景。
だけど横を見ると、いつもとは違う光景…笑顔のつかさ先輩。
なんていうか、悪くない気分だ。
「…ふふ♪」
自然と笑みがこぼれる。
それからは、二人話すことなく歩いていた。
だけど、さっきまでの重苦しい沈黙とは違い、心地の良い沈黙。

『一緒にいるだけで幸せ』

なんてフレーズを何かの漫画で見かけたことがある。
そんなの絵空事だと思っていた。
だけど、今ならこの意味を理解することができる。
傍にいるだけで、こんなにも私を幸せにしてくれる人がいるのだから…

帰宅後、さっそく作業に取り掛かろうとしたのだが…
頭が真っ白になった時に脳内フィルムも真っ白になっていた。
28334-230:2008/01/31(木) 01:06:35 ID:pMvbPqHT
以上です。
やりたいことをやるってイイネ!
なんか自分で書いてて幸せだったりします。
挿絵…気合い入れて描くと何故か絵柄変わる病な私です。
予定としてはまだ続けていきたいと思ってます。
ひよつか最高!
284名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 01:08:43 ID:6Dq3WE8Y
投下が大杉てGJが追いつかないです orz
皆さんGJっした。一括りで申し訳ないっす。
285名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 01:26:55 ID:N68133SC
>>283
『天然は自覚がないからこそ天然である』
正にその通りw

創作って自分のやりたい事をしないと面白くないし、そうやって良いと思えるのだったら凄く幸せだと思う。
だからこそ、自分の書きたい事が中々書けないときは辛いんだが。
つかさとひよりのコンビも中々に良いと思えた。そんな作品、GJ。
286名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 01:39:12 ID:dfwnSCLK
なにげにひよりん☆ラッシュですぞ兄弟ども!

ここまでひよりんにスポットが当たるというのも、
やっぱりこのスレならではなんだろうか!

でも、考えてみれば、ひよりんって本当にかわいーよなー
垂れ目でおでこさんで表情豊かで社交性もあって
しかも髪なんか純日本風ですぜ兄弟。
ドヘヴィ級のヤオイ系ヲタってことを気にしなければ、
AAランク+に入れてもいいくらいのポテンシャルは
十分持ってると思うのは俺だけかね?
287名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 01:44:14 ID:FAi8xixX
>>286
垂れ目でおでこさんで表情豊かで社交性もあって
髪が純和風なのにも関わらずドヘヴィ級のヲタなのが
ひよりんの魅力だと思うんだぜ( ´∀`)
288名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 01:49:42 ID:dfwnSCLK
>>287
あー、ごめんごめん
>>286は一般的に見れば、という見解から語ったので
「気にしなければ」といったんだが
もちろん俺たち兄弟はドヘヴィ級801ヲタの部分も
まとめて愛するのさ!当たり前じゃないか(゚∀゚)9m
289名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 01:56:04 ID:LhCCvUrP
>>268
爆笑wwwwwついにみゆきさん消えてしまったwww
そりゃキスなんてしたらそうなっちまうwww
290:2008/01/31(木) 02:47:39 ID:q37I4M5X

291名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 03:26:29 ID:44ztbYwq
>>285
確かに辛いね。
自分の文章力の低さに絶望したり…
あと、SS書く事自体がストレス解消にもなってた事に気がついた。
仕事忙しくて1ヶ月くらい書いてる暇無くて、結構イライラした…


292名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 03:47:01 ID:heH2hckp
3分間レスが無かったら>>350が白石にストライクバックされる
293名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 07:23:39 ID:Ig6/WPdx
>>276
>>279
…これはひどい


まぁ意見そのものには俺も同意だけどネ
294名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 07:31:03 ID:UJlEpDlK
>>292
三分どころか、三時間以上もレスがない件
295名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 08:17:43 ID:aOOKEBli
>>294
鯖移転に気がついてないんじゃない?
296名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 08:41:47 ID:TTMPafKp
ちょいと馬鹿話投下。
つかかがのややエロ。
297足を伸ばして:2008/01/31(木) 08:42:21 ID:TTMPafKp
足を伸ばして



 えい。
 かぽーん。
 ドラマとか旅番組でしか聞かないと思っていた音が響いた。
「お姉ちゃん、本当に桶や腰掛けってかぽーんって言うんだね。すっかり忘れていた」
「そーねー。やっぱり銭湯はこの音がないとねー」
 お姉ちゃんが向かい側の湯船の壁にもたれかかってまったりしている。
 ほんのりほっぺが赤くて…お色気? っていうのかな? そんな感じがして艶っぽいなぁ。
 私はふと、自分のソーナンスみたいにつるつるの体を見てため息。
 あぅ。双子なのになんでこんなに差があるんだろう。
 はう…。
「気持ちいいわねー。家のお風呂が壊れた時は、えーって思ったけど、こんなに広いお風呂で足を伸ばせるなら、
故障しなくてもたまには来てもいいかもね」
「うん、そうだね、お姉ちゃん」
 そう、今日は私達、お家のお風呂がこわれちゃったから、こうして久しぶりに近所の銭湯に来ているの。
 番台のお婆ちゃん、昔よりちっちゃくなっちゃったかな?
 お姉ちゃん達も誘ったんだけど、しっぽをぱたぱた振りながらも滝涙で、公共の場では流石にマズいけどでも
理性が悪魔が…我慢できそうにないから…って二人して歯を食いしばりながら断られちゃった。
 そんなに銭湯行きたいのにどうして?
 それとマズいって何が? 我慢って?
「何がまずかったのかなぁ? 変なの。ねぇ、お姉ちゃん」
「…ほ、ほんとに、何の事なのかしらね?」
 お姉ちゃんは口まで湯船につかってぶくぶくしている。
 顔、赤い? のぼせちゃうよ?
「…ここでヤる気だったのかい…」
 冗談じゃないわよ、と怒った様な、困った様な顔であっち向きながら何か呟くお姉ちゃん。
「何? 知っているの?」
「何でもないわよ」
 気になるけどまぁいいや。
 それにしても、銭湯ってやっぱり広いなぁ。
 天井も高いし手も足も伸ばせるし。
 声が反響するから何か声が良くなった気もする。
「いっちおくねんとにせんねんまえからあっいっしってっるぅ〜」
「こらこら」
 あ、思わず歌っちゃった。
「他の人が居なくても迷惑な事はダメよ」
 はーい。
 ここでも怒られちゃった。
 でも、にっこりしながら言っているから本気じゃないよ。
 わんこを躾ける時みたいな優しい怒り方。
 えへへ、なんとなくこういう叱られ方ってすきー。
 …別に私がわんこなんじゃないもん。
 ……。
 時間のせいなのかな。お風呂には私達しか居ないから貸し切り状態。
 うーん、何だか得した気分。
「さーて、体洗おうっと」
 あ、お姉ちゃんが立ち上がった。
 じー…。
 …おっぱい、ちょっと大きくなった?
 腰は…うん、きゅっとなってる。
 お肌なめらかだなぁ…。
 …あそこは、ぷにぷに?
 おしり、ちょっと大きい? でも柔らかそう
 背中も背筋がぴんとしていて、すらっとして…。
298足を伸ばして:2008/01/31(木) 08:43:06 ID:TTMPafKp
 うなじ、綺麗だなぁ。後れ毛が張り付いていてせくしーな感じ…。
 耳も…普通なのにかわいいなぁ…。
 それからやっぱりこの大きくて綺麗な瞳が…。
「つかさ、あんた何私の周りぐるぐる回っている訳?」
「はえ? え? ふわぁっ!」
 い、いけない! つい夢中になってお姉ちゃんの後について行っちゃった。
「あんたも体洗うの? 久々だし背中でもあらいっこする?」
「わーい!」
 お姉ちゃんが私の躰をいじりなぶりなめまわしてくれるって、くれるって!
 ど、どうぞ! もう私、心の準備は出来ているから!
「あのね、仰向けに寝なくていいでしょ? それと足を閉じなさい」
「えー? どうして?」
「やっぱやめ」
「座ります座ります!」
「あんた、奇行は考え物よ…ホント」
 気候? それは確かにあんまり天気が悪いと銭湯行くのおっくうだけど。
 あ、せなかごしごし。
 うーん、気持ちいいなぁ。
 ちゃんと首も洗ってね。
「あひゃひゃ、くすぐっちゃい!」
「大人しくしなさい」
「ねぇ、お姉ちゃん…。前と…あそこも洗って欲しいな」
 タオルだと痛いから手…と言うか指でくりっと…あ、ダメ?
「…あんた…だんだん、極めて悪い方向で大胆になってない?」
 そんな事無いよぉ。
「姉さん達にいよいよ似てきたような…」
 お姉ちゃんが青ざめながら口元をひくひくさせている。
 何の話?
「何でもない!」
 そう? それじゃはい、攻守交代。
 まず、私はお姉ちゃんの背中を念入りに洗う事にしまーす。
 泡をたっぷり手に付けて、ぶくぶく…まず首筋をなでなで。
 あ、今ぴくってなった。
 かぁわいい…。
 耳の後ろも小指でちょこちょこ…。あ、耳に泡が…指でくりくり。
 お姉ちゃん、体よじっちゃダメだよ。
 それから背中。
 背骨に沿って全部の指でこう、櫛で髪を梳く様にゆっくり…ねっとりと…だから体よじらないでってばぁ。
「ちょ…さっきから肌触りが変だと思ったら…あんた、タオルは?」
 指の方が肌に優しいんだよ。遠慮しないで。強弱も自由自在だし。
「何のだ! も、もういい!」
 …え?
「自分で洗う! 洗いっこなし!」
 …え…?
「分かったわね。まったくも…つかさ?」
「う…」
「つかさ?」
299足を伸ばして:2008/01/31(木) 08:44:07 ID:TTMPafKp
「うえぇ…うわあああーーん!」
「えぇ!? つ、つかさ! タンマタンマ!」
「やだぁー! お姉ちゃんの躰洗うー! うええーーん!」
「わわ、分かった! 分かったから! 分かりました! 存分に洗ってください!」
 ぴた。
「ホント?」
「…あ…あんた」
「それじゃ続きしまーす」
「……」
「お姉ちゃん?」
「…どうぞ…」
「わーい」
 それじゃえーと、肩胛骨のあたりからは両の手をわしっと開いて指の腹、手のひら全体でこう、撫でてさすって
ちょっとだけ爪を立てて…じわじわと腰のくびれまでつつっと…。
 あ、お姉ちゃんの腰がびくって浮いた。
 何か嬉しいな。
「つ、つか…!」
 気持ちいい? えへへ。そんな涙目になって喜んでくれなくてもいいのにぃ。
 さて、くびれから下が本番だよ。
 お餅の様な柔らかいおしりを傷つけない様爪は引っ込めて、お尻えくぼの辺りから思いっきり広げた両の手で
ゆっくりと手を押しつけながらぐにぐに…そしてさわさわ…するする…お姉ちゃん、ちょっとお尻上げて。
「な!? …な…ちょ…あの…」
 はやくぅ。うるうる…。
「…うぅ…なんで…ここ…銭湯…」
 腰掛けからゆっくりとかわいいお尻が浮き上がった。
「…わんわんみたい」
「言うなっ!」
 あは、押しつぶされていたお尻が綺麗な桃の形になったよ。
 はう…おいしそう…。
「ひっ! つつ…つかさっ!」
 あれ? 気が付いたら私、お姉ちゃんのお尻にほっぺすりすりしていた。
 まぁいいや。気持ちいいし。
「こ、こらっ! だからここ銭湯よ! 人が来たら…!」
 あ、そうか。あんまりお姉ちゃんの裸を他の人に見せたくないしね。
「そう言う意味じゃないわよぉ…。もう勘弁して…」
 ん? 寒くなってきたのかな? それじゃ、名残惜しいけどおしりの割れ目とその奥のお菊ちゃんをくちゅくちゅ…と
洗っちゃいまーす。
「あひっ!」
「はい、綺麗になったよ。それじゃ前向いて」
「ま、前っ!?」
「うん。早く早く」
「…う…」
「はい、前」
「……」
 うん、素直で嬉しいな、お姉ちゃん。
「…こう?」
 はぁん…。
 私の前には、お姉ちゃんが全裸で真正面向きに座っている。
 すてきだよお姉ちゃん…。
 押し倒して、もうめちゃくちゃにしたくなっちゃう…。
「い、今、背筋が…」
 あ、寒くなってきたかな? それじゃさっそく始めるよ。
 それじゃもう一度ソープを泡立ててと。
「やっぱり手なのね…」
「勿論!」
「……」
300足を伸ばして:2008/01/31(木) 08:45:33 ID:TTMPafKp
 はい、まず首筋を…。
「ふ…ぅ…」
 鎖骨をつつ。
「く…」
 ふたっつの膨らみが目の前だぁ。
 ふわぁ…こっちもおいしそう。
 さくらんぼさんもある…。食べたい…。
「あー…」
「だ、ダメっ! それはダメ!」
 えー? あ、そうか。今泡だらけだから流石に美味しくないよね。
「泡とかじゃな…ひん!」
 うわぁ…私の両手、今マシュマロをつかんでいるみたい…。さくらんぼもくりくりー。気持ちいいなぁ。
 食べたいなぁ。食べたいなぁ…。でも今は我慢して、もみもみもみ…。
「ふ…うぅん…」
 さきっちょつんつんつん。
「ひあ…!」
 つまんでくりくり。
「…あ…っ!」
 あ、お姉ちゃん、躰がぴくぴくってなった。
 …幸せ感じちゃう。
 それじゃ次はおへそー。
「ま、まだなの…」
「うん!」
 それから、嫌がっていたけどなんとかお願いしておへその下から足の指の間まで隈無く洗ってあげたの。
 あそこは最後まで抵抗されたけど、土下座したら慌ててOKしてくれたから嬉しかったな。
 優しいね、お姉ちゃん。
 おかげで久々に起きている時のお姉ちゃんのあそこを触れたし。
「起きている時?」
 何でもなーいよ。
 時間が長いって言っていたけど、でりけーとゾーンは丁寧に、ゆっくりと、ゆっくりと…だよ。
 あ、お姉ちゃん、躰が反って足が伸びちゃった。
 …いい眺め。サービスしちゃう。
「ちょ…や…あひぃっ!」
 その後、指にぬるっとした感触がたくさんあったの。
 それをこっそり舐めたのは秘密だよ。はふ、なんかあまぁい密の味がしたの…。
 最後は仰向けに倒れそうになったからびっくりしたけど、きっと満足してくれたよね、お姉ちゃん。
 少し後、ふらふらになったお姉ちゃんともう一度ゆっくり湯船に浸かる。
 息があがっている。やっぱりのぼせちゃった?
「はぁ…はぁ…。あ…あんたね」
 なーに?
「…もう…いい。つかさ、ちょっとこっち」
 はいはい、お呼びだね、お姉ちゃ…ふわぁ!
 お、お姉ちゃんが、湯船に座ったおねえちゃんが私を後ろから抱っこしてくれた!
 背中に感触が! お姉ちゃんの香りが…頭の中が…幸せになっちゃう…。
 はうぅ…。
「つかさ」
「にゃに…?」
 ちゅ。
「わひゃ!」
 おお、お姉ちゃんの顔を見ていたら…おねえちゃん、ちゅって、ちゅって…。
 わ、私もしかして死ぬの?
 これはいわゆるハデスのプレゼント?
 嬉しいけどでもまだお姉ちゃんと添い遂げてないよ?
「…ね? だから、お願い。もういい加減大人しくして。お願いだから」
 はう…優しい声…するよぉ、しますよぉ。
 こんな至福のご褒美が待っているなら今度はもっと頑張るからぁ…。
「いや、私は逆をお願いしたいんだけど…」
 お姉ちゃんは何故かため息をついて天井をみあげちゃった。
 ねーねーお姉ちゃん、帰り道は手を繋いで帰ろうね。
301足を伸ばして:2008/01/31(木) 08:50:00 ID:TTMPafKp
「…って事が銭湯であったの。きもち良かったよ〜。お風呂壊れて大らっきー!」
「……」
 朝の学校。
 私は深夜アニメとネトゲで眠たい頭にロードローラーをぶち落とされた様な衝撃を受けて目が覚めた。
 …ス、スタンドに、相手の記憶をDISKにして自分の物に出来るのって確かあったよね。
 くれ!
 今すぐ私にそのスタンド能力をくれっ!
 エンヤ婆! 虹村! 吉良! ポルナレフ! どこだ! どこに居る! 矢はどこにあるっ!
 今すぐその弓矢で私の燃え尽きる程に震えているハートを貫いて!
 て言うかつかさ! あんたはどうしてこう、いつもいつもよりによって学校で私を悶絶させるビッグサプライズを
かましてくれますか!
 かがみ! 私のかがみ! あなたの操は大丈夫? あーゆーおーけー?
「かか、かがみさんのクラスに行ってきて今すぐ拉致監禁あれこれそれどれしても宜しいものでしょうか? 私の家でしたら
地下室ありますし…悪いお話ではありませんよね?」
 みゆきさん。諸手を挙げて賛成したいけど人間としてそれはダメ。
 て言うか地下室あるの? 何のため?
 それと鼻血が壊れた水道みたいに出ているよ? 体内の血量は大丈夫?
「私の止血方法は百八式までありますから大丈夫ですわ」
 そう? 瞳孔開いているけど。
 あ〜〜…それにしても今日のお昼、かがみの顔まともにみられるかなぁ…?
 私こそ暴走しないか自信ないよ…。
 ああ! かがみ様の神々しく輝くナイスバディの妄想が頭から離れないっ!
「またお風呂壊れないかな〜」
 つかさ、あんたはちっと黙ってて。
 その幸せ全開のふにゃふにゃ笑顔を見ていると、嫉妬と怒りとねたみと八つ当たりで、力加減無しどころか筋力増量で
ひっぱたいちゃいそうだから。
「だから柊はさっき、なんとなくぼーっとしていて、雰囲気からそこはかとない色気を醸し出していたのかなぁ? う゛う゛
…羨ましいってうヴぁ…私の柊ぃ…」
 みさきち、あんたも何時の間に私の背中に立っていたかな?
 それからかがみんは私の物で私もかがみの物だから間違えない様に。
 ああ…それにしてもそれにしても…。
「ちびっこちびっこ」
 ん?
「ちょっと良いお話がありますぜ」
 みさきちが怪しいブローカーみたいな口調で私に耳打ちする。
 おや、偶然だねみさきち。
 私も君の耳に入れておきたいお得なお話があるのだよ。
 ふと気付くとつかさとみゆきさんも円陣に加わっている。
 これは…以心伝心という奴?
「にゅふふふふ…おぬしも悪だってヴぁ」
「くふふふふ…いえいえお代官様には…」
「何か財政的にお手伝いできる事がありましたら仰ってくださいね」
「大蔵大臣様、もったいのうございます」
「見取り図なら描くよ」
「良きに計らえってヴぁ」
「にゅふふふ…」
「くふふふふ…」
「うふふふふ…」
「えへへへへ…」
302足を伸ばして:2008/01/31(木) 08:52:22 ID:TTMPafKp
「お前らアホかーい!」
「へぶっ!」
 私達の笑いは、黒井先生に頭をはたかれるまで終わる事はなかった。
 あたたたた…。

「ふぅ」
 夕方。
 私は帰ってきて着替える気もせず、そのままベッドに突っ伏してしまった。
「…あ〜。今日の学校は疲れたわ…。て言うか謎すぎる…」
 ホントよ。
 教室に行けば日下部は朝から私の顔を見て、急にわたわたして、赤くなったり青くなったりして消えちゃうし。
 あげくには授業始まる直前まで戻って来なくて、私の方が心配して疲れちゃうし。
 昼休みは昼休みでめずらしく日下部と峰岸まで揃ってみんなでご飯したと思ったら、こなたと日下部は最初から
最後までごにょごにょやってるし。
 …時々、みんなの私を見る目が怖かったのは何故かしらね?
 それよりつかさ、まさかとは思うけど変な事話してないわよね?
 ……。
 …いや、まさかね…。
「お姉ちゃーん」
 つかさが部屋に入ってきた。
「なぁに…?」
「昨日はお風呂気持ちよかったね」
「…そう…ね」
「また行きたいなぁ」
「お風呂が壊れたら、にしましょ」
「えー、それじゃ何時になるかわからなーい。広いお風呂気持ちよかったでしょ? …イロイロと」
 その色々が何を指すのかは突っ込まないわよ。絶対に。
「ところでつかさ、さっきから…なんかがこーんがこーんって金属音が聞こえない? しかも割と近くから」
「え? あ、うん。そうだね…」
「何の音?」
「ささ、さぁ? 全然分からない」
「……」
 何? この嫌な予感は。
 その時、お母さんが入ってきた。
「かがみ。なんだかお風呂場の水が出ないのよ。今日も銭湯でいいかしら?」
「なんですとぉっ!?」
「わーい、銭湯銭湯。そう言えばね、みゆきちゃんがスパの券くれたの。今日の夕方から貸し切りだって。
さ、早く行こーよ!」
 ちょっとまて。
 なんだその絶妙で完璧でお見通しな行動は? あんたお母さんが話し終わる前に券出してなかった? しかも
既に時間指定してない?
「気のせいだよう」
「……」
 ぴんぽーん。
 そしてまた絶妙のタイミングでベルが鳴る。
 私の体内アラームも最大音量で鳴り始めたわ。
「あら、誰かしら。はーい」
「「「こんばんはー」」」」
 見事な三人分のハモりが聞こえた。
 つかさははーい! と玄関に走っていった。
「やふー。おまたせー。サバトの準備はおーけー?」
「色々な意味で肉体の限界に挑戦するの、楽しみだってヴぁ!」
「護送…送迎車を表に用意してますわ」
「わーい!」
303足を伸ばして:2008/01/31(木) 08:54:34 ID:TTMPafKp
 下からは無邪気? な歓声が聞こえる。
「……」
 私の知らない世界で何が起きているの? ここは閉鎖空間? デジャヴを感じるのは気のせい?
「かーがみん、迎えに来たよー。おや、制服で行くの? マニアックでいいねぃ」
「早くイこうってヴぁ!」
「お待たせしました。お車ではちゃんと拘束…シートベルトを締めましょうね」
「お姉ちゃん、帰りのお着替えの用意は済んでいるから、早く早くぅ!」
 その後、私は引きずられる様に、と言うか言葉通り引きずられながら部屋を出た。
 多分これから先、私に選択権は無い。
 えーと。
 とりあえず、泣いてよかですか?



おわり
304名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 08:56:05 ID:TTMPafKp
以上。
おそまつ。
名称気をつけたつもりだけど不備があれば脳内保管でよろ。
305名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 10:40:25 ID:X9MmBKcV
>>304
GJ!!!!それにしてもなんというかがみ総受けw
あまりにも計画的な陰謀、4人がかりの恐怖(快楽?)に明日までかがみの躰が持つのか心配です。

取り乱すこなたの気持ちが分かってしまう私、スタンド能力も良いけど「録験機」(↓を参照)が欲しくなりました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/ドラえもんの道具 (ろ)
306名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 12:46:44 ID:TrOPdDva
>>304
ついにきた!!かが☆フェチ!!
つかさのぼけぼけ愛撫と
こなたの身悶えっぷりと
みゆきのあいかわらずっぷりwwwが
どうしても笑わずにはいられないww
そしてめくるめく夜通し快楽パーティー
ツンデレ総受け万歳!

「おじゃま…するわよ…」
「そうか…かがみんもついにこちらにきたか
 歓迎するよ我が嫁」
「誰が嫁だ!」
「ど…どもッス、そうすか、かがみ先輩も…」
「そうよ。悪い?昨日はみんなに…よってたかって…
 なぜか…あんたもいたわね…責める側として」
「それ、多分別世界の私だね(=ω=.)」
「それにしても、ダンボールって意外と住みやすいものなのね」
「何気に頑丈だし、手触りも悪くないし、穴をちゃんとふさげば
 風通さないし断熱効果も少しはあるしネ」
「私も泉先輩から色々学んだッス。
 今ではもう住めば都って感じッスね」
「とにかく…私にも色々教えなさいよね。
 もう…その…体持たないし…」
「うゅ〜ふふふやっぱかがみんかわいい♪」
「やかましい!」
「(くぅ〜久しぶりに見たッス!理想的ユリカップル!
  ここんところ逃亡生活ばかりで随分ご無沙汰だったけど
  こういうのを怪我の功名っていうんすかね…
  はっ!いかんす!あまり妄想モード入るとまた見つかるッス!
  自重しろ!自重するッス!みんなの明日のために…;;)」
307名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 15:59:21 ID:2pWfPATg
おお、鯖移転したのか
こりゃ絶対大半が気が付いてないとみた

>>304
GJ!!!!!!
やっぱかがみだよ かがみ!!!!
308名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 16:27:30 ID:FtMwezoi
>おお、鯖移転したのか
>こりゃ絶対大半が気が付いてないとみた

俺もちょっと戸惑った、まあ壺だとお知らせが来るから(役に立たない「お知らせ」も多いんだけどw)一応分かるんだけど。

それにつけても
>かがみさんのクラスに行ってきて今すぐ拉致監禁あれこれそれどれしても宜しいものでしょうか? 
>護送…送迎車を表に用意してますわ
>お待たせしました。お車ではちゃんと拘束…シートベルトを締めましょうね
みゆきさんの台詞がいちいち危ない(いい意味で)欲望だだ漏れでんがなww
309ぶーわ:2008/01/31(木) 17:34:51 ID:2pWfPATg
ども、設定消去しまくり書き換えまくりで定評のあるぶーわです
その辺はもう 書き癖です土下座しかないですごめんなさい!!!
というわけで「0から始めよう!」の続き投下させてもらいます。
*パラレル注意 オリキャラ注意
*10レス使用
3100から始めよう! 24.定義しよう!(1/10):2008/01/31(木) 17:36:56 ID:2pWfPATg
 どうしてだろう。
 どうして……こうなったんだろう。
 私はただ、取り戻したかっただけなのに。
 いつもの世界を。
 何気く享受していた、当たり前の世界を。
 それだけ、なのに……。
『目覚めても、もう』
 みゆきの言葉が頭の中で反響する。
 嘘だ。
 嘘だ嘘だ嘘だ嘘だっ!
『動く事も、喋る事も出来ないそうです』
 言葉の刃が、私を切り裂いていく。
 ゆっくりと鈍い痛みが全身を襲う。
 私が求めた、平穏な日常。
 それがもう戻ってくる事は……なかったんだ。
 戻ってくるのは、苦痛と絶望の日々。
 機械に繋がれ、同じ天井を見続ける一生。
 そんなの生きてるって、言えるの?
 肉の塊と、何が違うの?
 それに……つかさ。
 狭い病室の一室で、彼女は今……その命の灯を消そうとしている。
 長い間隔で聞こえてくる音は彼女の命の音。
 それが今にも、途切れそうで怖かった。
 私は、ただ待つしか出来ない……『彼女』が現れるのを。
 来る……絶対に、彼女は現れる。
 私がそうだったように。
 ゆたかちゃんがそうだったように。
 そしてその時は……すぐにやってきた。
「あ……」
 間抜けな声が、私から漏れた。
 その姿は、天使と呼ばれるにふさわしいものだった。
 まるで光に包まれたような、そんな光景。
 そこに彼女は、現れた。
「しばらくですね……かがみ」
「……うん」
 零れそうになった涙を必死に堪える。
 今は、泣いてる場合じゃない。
 そうだ、そんなのは全部……後にするって決めたんだ。
「お願い……つかさを、助けて」
「……」
 声を振り絞る。
 今のつかさは、私と……ゆたかちゃんと、同じ。
 今にもその命の灯を、消そうとしている。
「出来るんでしょ? ……お願いっ!」
 必死に懇願する。
 いつか、天使は言った。
 私には、生き続けるチャンスがあると。
 それならつかさにだってある!
 だけど……言葉を失った。
3110から始めよう! 24.定義しよう!(2/10):2008/01/31(木) 17:38:54 ID:2pWfPATg
「……それは、できません」
 彼女が首を横に振った。
 視界が歪む。
 世界が、歪む。
 強烈な吐気が私を襲い、頭の中で何かが壊れていく。
 今……何て?
「なっ……何でっ!?」
 思わず叫んだ。
 彼女にしか、聞こえない声。
 それでも彼女は、私から眼を逸らさなかった。
「かがみ、彼女は自ら死を選んだんです……そしてそれは、罪」
 その眼に、いつもの優しさはなかった。
 悲しそうな眼で、私を見る。
「そんなの関係ないっ! つかさは、駄目。死んだら……駄目なの!」
 我慢していたはずの涙が零れた。
 自分で言って、矛盾を感じる。
 分かってた。
 だって、そうでしょ?
 いくら生き返ったって、また同じ。
 つかさはまた、絶望に飲まれ……自ら命を投げる。
 それなら、今と同じだ。
 また同じ事をずっと、繰り返すだけ。
「お願い……私、説得してみせるから! もう自分から死んだら駄目だって!」
「……」
 ねぇ、どうしてそんな顔するの?
 うんって言ってよ。
 いつもみたいに……笑ってよ。
 馬鹿みたいな、空気の読めない台詞でうんって言ってよ!
 お願い……お願いっ!
「かがみ」
 そして、その悲しそうな表情のまま彼女は言う。
 私の全てを、絶望で包む言葉を。
「……もう、間に合わないんです」
 それと同時だった。
 長い機械音が響くのが。
 つかさの生命を終える音が……響いたのは。
 暖かい何かが……私を包んだのは。
 包んでくれた天使の両腕に身を任せて、私は泣いた。
 彼女の暖かさに包まれながら。
 何処かで覚えのあるその感覚に、身を任せながら。




 狭い部屋の中で、皆のすすり泣く声がただ響く。
 お父さんが泣いてるのを、初めて見た。
 お母さんも泣いていた。
 いのり姉さんも、まつり姉さんも。
 皆が寄り添って……泣いていた。
 その輪の中に、私は居ない。
 もう……その輪の中に入ることもない。
3120から始めよう! 24.定義しよう!(3/10):2008/01/31(木) 17:41:22 ID:2pWfPATg
 つかさも同じだ。
 その顔の、白い布の下にはきっと……笑顔が広がってる。
 そんな淡い願いが叶うはずもなくて。
 私はただ、皆の声に心を絞られていくだけ。
「私……ね」
 今私は……暖かい両腕に包まれている。
 母のそれにも似た感触に身を任せている今だけは、心を切り刻む痛みが和らいだ。
 涙がよくもこれだけ出るものだと思った。
 溢れ続ける涙が彼女の服を汚していく。
 それでも彼女は、包んでくれた。
「生き返ってももう……駄目、なんだって」
 その暖かさの中で、思わず漏らした。
 これが彼女に漏らす初めての弱音だったのかもしれない。
「生き返っても、もう動けない……喋れない。そんなの、死んでるのと同じ」
 彼女にどれだけ伝えても、今ある現実が変わるわけじゃない。
 だけど、聞いてしまった。
 その答えを求めて、聞いた。
「私、分かんない……生きてるって、どういう事なの?」
「……」
 そんな機械の管に繋がれた体で、本当に生きてるって言える?
 じゃあ死んでる?
 分からない。
 そんなの……答えなんて、あるの?
「……昔の、話です」
 ようやく天使が口を開いた。
 重なった体から聞こえる声が、私に響く。
 そしてまるで子供に昔話を教えるように、ゆっくりと。
 静かに語りだした。
「私は二人の少女に出会いました……そしてそのどちらもが、その答えを見つけました」
 昔を懐かしむような言葉。
 彼女にもそういう感覚があるのだろうかと、少し不思議だった。
「一人は希望の少女、どんな辛い運命に取り囲まれても……諦めることを決してしなかった少女」
 天使は言う。
 その少女を取り囲む運命は、凄惨なものだったと。
 それでも少女は絶望の闇の中に、光を見つけたと。
「彼女は見つけました。生きるとは辛い運命に立ち向かう事……抗う事、戦う事だと」
 そして……全ての絶望を、打ち破ったと。
「もう一人は絶望の少女、悲しい運命に壊れ……世界を壊そうとした少女」
 その少女もまた、過酷な運命に覆われていたと天使は言う。
 それは誰にも、どうしようも出来ない現実だったと。
「だけど彼女も見つけました……生きる事は、有限だと。有限が紡ぐ、無限だと」
 その二人の少女……それが誰だかなんて、私には分からない。
 だけど、少しその二人が羨ましかった。
 その少女達は見つけたんだ。
 生きることの、意味を。
3130から始めよう! 24.定義しよう!(4/10):2008/01/31(木) 17:43:25 ID:2pWfPATg
「それが答えです……生きるという事、死ぬという事、それは人が身勝手に定義した概念でしかないんです」
 生きる。
 死ぬ。
 それは、人が作った言葉でしかない。
 言葉という概念。
 それに囚われている以上それは、概念の枠を超えることはない。
「永遠の時間の中から見れば、人の言う生とは刹那……それでも人はそれを定義し、それ以外さえも定義する」
 ……。
 少し、分かった気がする。
 彼女の言葉の意味。
 生きる事の……意味。
「前に言いましたね? 人は意識で人を殺す……その人が持つ、悪意で」
 私だってそうだ。
 誰かの意識で……誰かの悪意で、殺された。
「なぜなら人は、意識がある」
 ううん、それが悪意かは分からない。
 でも、何かの意思は確かに感じる。
 何かの意思が、私を殺そうとした。
「だから人は生を定義出来る……人だけがそれを出来るんです」
 少女たちは定義した。
 立ち向かう事だと。
 有限だと、無限だと。
「人にしか出来ない事、それが……人の生きている証だと私は思います」
 天使が私に言う。
 生きるいう事。
 それは、生を定義すること。
 ……生きる意味を、見つけること。
 ただ『生』とだけ定義するのもいいだろう。
 ただの言葉として……受け入れるのも一つの道だろう。
 それも定義の、一つなのだから。
「では、かがみ」
 そして天使が、私に問いかける。
「貴方に出来ますか? 生の、定義が」
「……無理よ」
 また零れた涙が、天使の服を濡らしていく。
 それに気付いたのか、私を包む腕に力が入るのが分かる。
「私には、無理。その子たちみたいには……なれない」
 私にはもう、何もない。
 動ける自由も、喋れる自由も。
 そんなの生きてなんかいない……死んでるのと、同じだ。
「いいえ、貴方にならきっと出来ます」
「……そんなのもう、意味なんかないじゃない!」
 生を定義したから、何だって言うの?
 そんなのを見つけたから、何だって言うの?
 今更そんなの、意味がない。
 誰も帰らない……現実は、変わらない。
 私は死んでる。
 もう、死んでるんだ!!!
「……かがみ」
 私の嘆く声を、彼女の声が止める。
 そして抱きしめていた両腕が、離れた。
3140から始めよう! 24.定義しよう!(5/10):2008/01/31(木) 17:46:18 ID:2pWfPATg
 まだずっと、抱きしめて欲しかった。
 でも、そんな言葉を言えるはずもなくて。
 涙をただ、堪えることしか出来なかった。
「全てを諦めるのも、貴方の自由……その術を、貴方は知っているはずです」
 私の心の靄を、天使が見抜く。
 そう……私は選ぶことが出来る。
 私は、朧な存在。
 こなたという存在が繋いでいるだけの、惨めな存在。
 このままずっとこの場所に居れば……私は消える。
 本当に……死ぬことが出来る。
「それが貴方の選んだ道なら、私はそれを受け入れます」
 天使の言葉が私の心を締め上げられていく。
 彼女は私を助けてくれた。
 零れ落ちる命を……拾い上げてくれた。
 なのに私はそれを、裏切ろうとしている。
「ですがもし、立ち向かうことを決めたなら……もう一度」
 彼女の手が、私に伸びた。
 彼女と視線が合う。
 その顔は……笑顔だった。
「もう一度、笑ってください」
 彼女の指が、私の涙を拭う。
「私は笑っている貴方が好きです。その笑顔を見るためなら、永遠の輪廻の道すらも耐えられる。幾億の破滅の道さえも、共に歩ける」
「えっ……?」
 その言葉の意味が分からず、狼狽する。
 だけどその戸惑いが伝わったのか、天使の手が私から離れた。
 残った暖かさが、名残惜しかった。
「ゆたかの下に戻ります……願わくばもう一度、会えることを」
 最後にその言葉を残して、天使は消えた。




 病院の外はもう、暗闇が支配していた。
 その暗闇に溶けて消えることが、私には出来る。
 誰にも見えない私。
 誰にも触れられない私。
 誰も私に……気付く人はいない。
 気を抜いたらすぐにでもまた、涙が零れそうだった。
 天使は言う。
 生きる意味は、自分で定義しろって。
 ……。
 やっぱり、無理だよ。
 天使の言う、少女達みたいにはなれない。
 立ち上がれない……立ち向かえない。
 有限だなんて、割り切れない。
 その葛藤に耐え切れず、外に出た。
 皆の傍で、皆の嗚咽を聞くのが耐えられなかった。
 それで……逃げた。
 私は卑怯者だ。
 卑怯で……臆病な人間なんだ。
3150から始めよう! 24.定義しよう!(6/10):2008/01/31(木) 17:49:08 ID:2pWfPATg
 つかさはもう、居ない。
 世界中のどこにも……居ない。
 今なら分かる、つかさの気持ちが。
 私たちは双子……まるでその半身が抉られたような虚無感。
 この絶望につかさは、負けたんだ。
 そして私も。
 ごめんね、お父さんお母さん。
 いのり姉さん、まつり姉さん。
 親不孝でごめんね、皆より先でごめんね。
 でももう私は……耐えられない。
 もう、嫌だよ。
 もう全部が……。
「え……」
 その時、だ。
 涙が溢れる視界に、何かが入った。
 病院の入口の、植え込み。
 その暗闇に……座る人影。
 それと目が合って、思わず声を上げる。
「……こなたっ!?」
 私の声が届き、それが顔を上げる。
 そして不機嫌そうに、ベンチから立ち上がる。
「……遅すぎ」
「あ、あんた何でっ!?」
 皆が泣く部屋に、こなたの姿はなかった。
 だから、成美さんがきっと連れて帰ったんだと思ってた。
 なのに……ここに居る。
「ほら、帰ろ」
「ま、待って。何であんた居るのよ……!」
 踵を返したこなたが足を止める。
 だけど、振り向かない。
「いいじゃん、別に……どうでも」
「よくないわよっ!」
 まさか……待ってたの? 私を。
 ずっと、ここで? ……一人で?
「馬鹿じゃないの!? 何時出てくるかもしれないのに!」
「出てきたじゃん、それでいいよ」
「だから……良くないっ!」
 だって、出てくるかなんて分からなかったはず。
 私がまだ、泣き叫んでいたら。
 未練がましく、家族の傍に居たら。
 次に出てくるのは明日だったかも……明後日だったかもしれないのに。
 それでも、待ってたの?
 私を……もう死んでる、私を。
「だってかがみ、言ったじゃん」
「えっ……」
 ようやく振り向いたこなたが、私を見る。
 視線が合い、鼓動が揺れる。
「一緒に居なきゃ……消えちゃうんでしょ?」
 その眼には少し、涙。
 そして伝わってくる……彼女の、不安な気持ちが。
「ゆい姉さんに無理矢理帰されたけど、我慢出来なかった……かがみが居なくなるの、嫌だもん」
3160から始めよう! 24.定義しよう!(7/10):2008/01/31(木) 17:51:54 ID:2pWfPATg
 私の存在は、こなたに依存している。
 こなたが居なければ、感覚を感じることさえ出来ない。
 そしてずっと離れれば……消える。
 そんな虚ろな存在が、私なんだ。
「中には入れてもらえなかったけど……ここならかがみの気持ち、伝わってきたからさ」
 だからこなたは、ここに居た。
 私の近くに。私の傍に。私のために。
 私が……消えないように。
「何よ、それ」
 思わず、零れた。
 言葉が……涙が。
「何よそれ何よそれっ何よそれっ!!」
 暗闇に私の声が響く。
 誰にも聞こえない……こなたにしか聞こえない、声が。
「聞いたでしょ? 生き返っても一緒なの、死んでるのと一緒……だったら一緒、今と一緒! 消えたって……一緒! なら……」
 ただの肉の塊。
 意識があるだけの、木偶。
 そう言った。
 つかさがそう……言った。
「ならもう……殺してよ」
 声を絞る。
 もう嫌だ。
 誰かが私を殺したなんて、どうでもいい。
 全部が、どうでもいい。
 ここが終わり。
 私という、終わり。
 これが私の、死の定義。
 生きる事を止めた時。
 絶望を受け入れられない時……人は死ぬ。
 つかさもそうだ。
 だから、私も……そう。
「言ったよね……私はそんな事、思ってない」
「嘘っ! だって、喋れない! 動けない……何も、出来ない!」
 何も出来ない。
 何も、伝えなれない!
 そんなの……そんなのっ!!!
「『生きてる』よ」
「……っ!」
 こなたの言葉が、私を貫いた。
 暖かい言葉は……天使のそれを、思い出させる。
「動けなくたって、喋れなくたって……かがみは生きてる。死んでなんかない」
 涙が、零れた。
 つかさは言った。
 私はもう、死んでるって。
 みゆきだって一緒だ。
 いくら言葉で取り繕ったって、零す涙がそれを認めた。
 だけどこなたは、違う。
 私を見て、言う。
 私は……『生きてる』って。
3170から始めよう! 24.定義しよう!(8/10):2008/01/31(木) 17:53:56 ID:2pWfPATg
「かがみは逃げてるだけだよ、辛い現実から目を逸らして……死を受け入れるほうが楽だと思ってるだけ」
「……!」
 その言葉が私を切り裂く。
 それが図星だったから。
 心を、見抜かれたから。
 だから私は……叫んだ。
「あんただって……あんただって、一緒じゃない!」
 そうだ。
 私は逃げようとしてる。
 つかさの死を、受け入れたくないから。
 私を襲う絶望を、受け入れられないから。
 つかさだって、そう。
 彼女は受け入れられなかった。
 私の死を……私の居ない、世界を。
 だから自ら、命を投げた。
 だからもう……居ない。
 ううん、きっと会える。
 私が消えたらきっと……会えるよ。
 だから、私は……。
「そうだよ」
 こなたの声が、聞こえた。
 その言葉に一瞬、言葉の詰まった頭の中が真っ白になる。
 こなたの心の闇が、私にも広がる。
「私は逃げてた……お母さんが死んで、全部が嫌になった。一人だけの世界に、逃げてた」
 彼女も、同じだった。
 私やつかさと、同じ。
 母を失った現実を、受け入れられなかった。
 そして孤独な世界で……生きていた。
 たった一人だけの、惨めな空間。
「そこに居ればね、どんなに寒くても暗くても……乱されなかった、誰も私の心を傷つけなかった」
 悲しみに、彼女は心を閉ざした。
 全てを拒絶して、深淵にその身を投げた。
 幽閉された空間。
 他人の居ない、空間。
 だから誰も失うことはない。
 だから、悲しむこともない。
「でもね、ある日……突然声がしたの。本当に突然」
「……声?」
「うん、声……熊の人形持った変な人の、声」
 思い出したかのように、こなたの顔が緩んだ。
「その声が聞こえた日から、私は変われた……かがみが居たから、向き合えたんだ」
 ゆっくりと、こなたは変わっていった。
 お父さんにも心を開いた。
「かがみはたまたま私だったって言ったよね……でも、私は違うよ」
 そして、そのまま笑った。
 その暖かさが、私を包んでいく。
3180から始めよう! 24.定義しよう!(9/10):2008/01/31(木) 17:56:44 ID:2pWfPATg
「私は偶然なんて信じない。かがみとの出会いはきっと……必然。だから、私が変われたのも……必然」
 説明が難しいや、と照れ笑いを見せるこなた。
 そんな事、考えたこともなかった。
 だって私たちが出会えたのは、偶然だ。
 天使の悪戯な……気まぐれ。
 私たちが巡り合う事なんか、なかったんだ。
「そして教わった。とても大切なこと……かがみが、教えてくれた」
「私……が?」
 私の中に、こなたの言葉が溶けていく。
 そしてこなたが、言葉を紡いだ。
「生きるってね……大切な人と、時間を重ねる事だと思うんだ」
「……っ」
 言葉を、失った。
 こなたの言葉が私を包んでくれたから。
「大切な人と同じ時間を重ねて……想いを伝え合って、信じあう。私はかがみと時間を重ねてる。それが……凄く嬉しい」
 それに、とこなたは付け加えて私を見る。
 その吸い込まれそうな瞳に、動悸が速くなる。
「かがみにも居るはずだよ……まだ、時間を重ねたい人が」
 頭の中に、顔が浮かんだ。
 それは沢山の人たち。
 お父さんに、お母さん。
 いのり姉さん……まつり姉さん。
 学校の皆に、先生たち。
 まだまだ、他にも沢山……居る。
 その中には……こなただって。
「私はまだ、かがみと一緒に居たい……そんな姿じゃなくて、ちゃんと」
 希望の少女は言った。
 生きることは、立ち向かう事だと。
 絶望の少女は言った。
 生きることは、有限だと。
 こなたは言った。
 生きることは、時間を重ねることだと。
 天使は言った。
 生きることは、それを定義することだと。
 ……じゃあ、私は?
 私にとって生きるって、何なの?
「だから一緒に受け入れよう……悲しみも、苦痛も。少しずつ、始めていこうよ」
「あ……」
 こなたの言葉が脳まで届き、感覚を弛緩させる。
 そうだ……分かった。
 喋れない私、動けない私。
 それを私は死と定義した……死んでるのと、同じだと。
 何も出来ないから、死んでる?
 何かをしてれば、生きてる?
 動けないから? 喋れないから?
 動けるから? 喋れるから?
 そんなの、違ったんだ。
 生きるということ。
 それは……辛い現実を受け入れること。
3190から始めよう! 24.定義しよう!(10/10):2008/01/31(木) 18:00:24 ID:2pWfPATg
 今を受け入れなければ……それは死んでるのと、一緒なんだ。
 それが私の、生きる定義。
 私の生きる……意味。
「ねぇ……こなた」
 彼女の名前を呼ぶ。
 それと一緒に、暖かい何かが胸の奥から溢れてくる。
 この柔らかな感情もきっと……必然、なのかな。
 ……きっと、そうなんだろうな。
「生き返っても、支えてくれる? 私を……何もない、私を」
「うん、もちろんっ」
 こなたが笑う。
 精一杯の笑顔で。
「私が、私にとってのかがみになる。嫌ってぐらい一緒に居てあげるよっ。今までのお返し……仕返しにねっ!」
 その笑顔に私は、笑顔で返そう。
 それが天使との……約束だ。
 まだ悲しみは、心を縛り上げる。
 つかさの居ない世界を、体が拒む。
 でも、駄目なんだ。
 希望の少女は教えてくれた。
 絶望の少女は教えてくれた。
 こなたは教えてくれた。
 天使は教えてくれた。
 絶望から逃げたら駄目……立ち向かわなきゃ、駄目。
 私は向き合ってみせる。
 この絶望と、この体と……この、有限の世界と。
 少しずつ、ほんの僅かでも少しずつ……。
 全てと向き合って、受け入れてみせる。
 そして大切な人と一緒に……時間を重ねよう。
 例えそこに、何もなくてもいいんだ。
 動けなくても、喋れなくても。
 そこから、全てを受け入れて……始めよう。
 言葉も感覚も、何もない世界から。
 何もない体から。
 こなたと一緒に。
 私の大切な人たちと、一緒に。

 ……0から、始めよう。

(続)
320ぶーわ:2008/01/31(木) 18:01:06 ID:2pWfPATg
続きます。
死人注意と入れ忘れました ごめんなさい
そろそろ終わりが見えてきましたね
前もなんかこう言って ひたすら引っ張った記憶がでじゃヴ!
ってゆーか人袖もなんかこんな展開じゃなかったっけ? レパートリーなくてごめん!
さて次回……とうとう?
321名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 18:07:28 ID:2OpOFPZO
>>320
もうオリジナルキャラで書いた方がいいんじゃないかと一瞬思った俺は吊るべきですね。
しかし、そう思うほどストーリーがきちんと練られていて良い感じですよ。
改めてGJでござる。
322名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 18:08:12 ID:ZdaDqrkC
>>320
いつもいつもこれしか言えない自分がもどかしいが言わせて貰う
GJ!
なんか、涙出てきたっすよ

うん、いつもこんなコメントばかりで、ごめんなさいっ
323名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 18:15:44 ID:ShIgENIP
一瞬最終回かと思ってしまった。そうだったら反響がすごそうだw
結末の読めない展開はさすがです。続きにワッフルワッフル
324名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 18:18:51 ID:JqtARALV
>>320
すごい、ゴッドさんがまともなこと言った! 明日は天変地異だ!


……それはさておき。いつの間にか、逆にかがみを支える立場にまでなっていたんですね、こなた。
さて、立ち向かうと決めたかがみの行く手、最後まで見届けようと思います。ぐっじょぶ。
325名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 18:19:49 ID:nUSYWpD+
>>296
乙!
続き見てぇw
326かみさま:2008/01/31(木) 18:44:01 ID:H0YnHZ6Z
>>324
ううっ…ひどいですひどいです…えすかりぼるぐ…
「ちょwwwwwおかーさんおちついてっ(=ω=.;)」

そして、私の株を一気に上げてくださったぶーわさんには
盛大なGJを!!

「でーもー、私情で点数調整してくれた恨みは
 まだ晴れてないわよ^^^^^^^^#」
ひいっ!かがみっそのハリセンはいつだしたのっ
「問答無用!」

すぱーーん!

うう…ひどいですひどいです…

「まあ…GJといっておいてあげてもいいわよ」
「てれるなてれるな(=ω=.)」
327名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 18:45:35 ID:6Nyyw21M
>>320
うおおお哲学してるぅぅ
生きることを定義する・・・深いですね
というかゴッドかなたさんがカッコ良すぎて惚れます人袖の話がでてきてニヤニヤしてました! これは俗人袖ともまさか連携したり!?
むぅぅGJでした
328215:2008/01/31(木) 18:51:04 ID:kDEUBAM1
>>23-251
許可ありがとうございます


熱出してボロボロですが一応完成までこぎつけたので投下したいと思います

・Elope前提
・かがみ×みなみ

では書き込みがなければ投下したいと思います
329215:2008/01/31(木) 18:55:27 ID:kDEUBAM1
「うーん・・・」
私、柊かがみは今悩んでいた。その理由は机の上にある本である。
「私、こんな本買ったかな?」
表紙にはただ『友情』と書いてあるだけの本、それ以外はいたって普通の本だった。
「・・・見てみようかな」
受験も終わりやることがない現状、本があるなら読むのが道理じゃないだろうか?
という訳で中を見ることにした。

内容は1人の男が主人公で、彼には女の友人が2人いた。
彼はそのうち1人に恋心を持っていたが、打ち明けぬまま、ある日その女の友人の片方から相談された。
相談内容は「2人で好きだけどどうしたら良いんだろう?」とのことであった。

「・・・」

ここまで読んで私はこなたとゆたかちゃんの事を思い出した。
2学期の終業式の日、2人は駆け落ちし、私達とは連絡が取れなくなった。
その後2人を追って行ったけど、色々あり、失敗に終わった。
「つかさやみゆきはもう吹っ切れたみたいだけど・・・」
私はまだ諦めきれない部分があるのは事実。そう思いつつ続きを見るため本のページをめくった。
「え?」
次の瞬間私の目に止まったのは男が言った一文である

「2人が好き同士なら応援するってのが友達だろ、駆け落ちでも何でも2人が決めたことなら俺は応援するぜ」

応援するのが・・・友達・・・
私は本を置いていのり姉さんの部屋に向かった。
「いのり姉さん、いる?」
「あれ?かがみどうしたの」
「ちょっと聞きたい事があって・・・」
そしてこなたとゆたかちゃんのことを私の立場に立った場合どうするかを聞いてみた。無論名前等は出してない
「私としては・・・好きな気持ちもあるとしても応援してあげるかな。でも親とかから勘当されたりすると色々辛いだろうし・・・でも2人がそれで幸せなら・・・」
その後いのり姉さんは色々考え込んでいたので一言お礼だけいい、部屋を出た。そして次はつかさの部屋に
「つかさ、いる?」
「あれ?お姉ちゃん。どうしたの?」
「つかさ、私達とこなたって友達・・・だったよね?」
「え?あ、う、うん。友達・・・だったね」
突然の私の質問に色々慌てるが、つかさの答えを聞く事が出来た。
「でも何で急に?」
「うん、ただ・・・」
「もしかして、まだこなちゃんのこと?」
「今になって思うと・・・認めてあげてよかったんじゃないかな・・・」
そう言ってあの追跡のことを思い出す。最後まで探す事を続けていたのは私やみなみちゃんだ。
「それなら手紙を書いてみたらどうかな?」
「手紙?」
「手紙なら実際に会うわけじゃないけど思いを伝えれるんじゃないかな?」
330215:2008/01/31(木) 18:57:25 ID:kDEUBAM1
「あ、それなら・・・でも、住所はどうするの?」
「あ・・・」
やっぱり1つ抜けてる所がつかさらしい、でも手紙ってのはいい案かも。
「住所に関しては後で何とかするとして、手紙なら大丈夫かも。ありがとうつかさ」
私はそう言って自分の部屋に戻り、ノートを1枚破り、ペンを持った。
「でも・・・何て書こう・・・」
書きたいことは色々ある、でも・・・と、そこでふと気づいた。
「そうだ、みなみちゃんにもこのこと伝えておかなきゃ」

翌日、私は1年の教室へと赴いた。
「あれ?かがみ先輩じゃないっスか。どうしたんですか?」
その途中、ちょうど田村さんと会った。
「あ、田村さん。みなみちゃん呼んでくれるかな?」
「いいっスよ、ちょっと待ってください」
田村さんにそう言ってしばらくその場で待った。数分後、みなみちゃんを連れて田村さんがやってきた。
「柊先輩・・・用事ですか?」
「うん、あ・・・ここだとちょっと・・・どこか人気のない所行きましょ、校舎裏とか」
みなみちゃんは黙って頷いた。後ろで田村さんが何やら「ツンデレとクーデレの2大巨頭・・・」なんて呟いてるけど・・・

「それで・・・どんな用事ですか?」
私は昨日の事をみなみちゃんに話した
「手紙・・・」
「うん、昨日読んだ本を見て少しずつ思ったの、私もみなみちゃんも、自分のことばかり考えてて。友達の恋を・・・応援するのが友達じゃないかって」
でも、みなみちゃんは・・・あの騒動を引き押した張本人でもある。同意してくれるかな?
「一晩・・・考えさせて下さい」
「判った。後これ、みなみちゃんも読んでみて」
そう言って私は昨日見た『友情』と題された本を渡した。
「この本・・・柊先輩も?」
「も?もしかしてみなみちゃんも?」
「ええ・・・少し前に見つけて、まだ読んでないけど・・・」
「判った。今日これを読んで、明日答えを聞かせてくれるかな?」
みなみちゃんは頷いて答えた。これは肯定でいいのかな?
「それじゃ、戻りましょ」
「はい・・・」
戻った後パトリシアさんに色々言われたがこの際これは何も考えないことにしておいた。

翌日の放課後、私とみなみちゃんは再び校舎裏で会った。
「それで、答えはどっち?」
「ずっと考えた・・・でも、私はまだゆたかが諦めない心があると思う・・・」
「そう、それじゃあ・・・」
「でも・・・柊先輩と同じように・・・私も・・・友達としてゆたかを祝福したい・・・だから、手紙を送りたい」
みなみちゃんの表情は悲しいけど・・・でも、決意が篭っていた。
「今なら多分誰もいないし、3Cの教室に行きましょ」
331215:2008/01/31(木) 18:59:22 ID:kDEUBAM1
みなみちゃんは頷き、私と共に3Cの教室へ歩き始めた。

「多分みなみちゃんも色々伝えたいことがあると思うけど・・・」
私とみなみちゃんは教室でペンを持って紙と対峙していた。
「色々言うよりは・・・多分・・・少ない言葉の方がいいと思います・・・」
みなみちゃんの言葉に頷き、私も書き始めた。伝えることはただ1つだけ・・・幸せに

手紙を書いた私達はそのまま泉家へと向かった。色々悩んだ末、こなたのお父さんに渡すのが一番いい手段だと思ったからだ。
「かがみちゃんにみなみちゃん、こんばんは。どうしたんだ?」
「こんばんは・・・」
「えっと、手紙を・・・」
私はそう言って2人分の手紙をこなたのお父さんに渡した。
「・・・読んだみたいだね」
多分、あの本のことだろう。
「はい、あの本・・・」
「ちょっといろんな人に頼んで部屋に置いてもらったんだ。俺が昔書いた話だが、言いたい事は判るね?」
私もみなみちゃんも頷いた。
「確かにまだ諦めきれない部分もあるかもしれない、だけど、認めてやって欲しいんだ」
「はい・・・」
「手紙は預かっておくよ。今日は冷えるから早く帰った方がいい」
「ありがとうございます、それじゃあ・・・」
私とみなみちゃんは手紙を渡し、一礼して歩き出した。

「柊先輩・・・ありがとうございます」
帰りの途中、みなみちゃんがふと口を開いた。
「え?」
「柊先輩が声をかけてくれなかったら・・・まだ断ち切れなかったと思います・・・」
「いや、私もそうだし・・・だから」
「でも、ありがとうございます・・・」
「こっちもつき合わせちゃって悪かったわ。それじゃ、また明日」
私がそう言って帰ろうとすると、みなみちゃんの小さな呟きが聞こえてきた。
「あの話の男の子みたいに・・・なれるといいですね」
あの男の子・・・そういえば私、最後まで読んでなかったな・・・

家に戻り、本を開いてみる。私が読んだのは相談後、2人が駆け落ちした所までだった。
続きを読む。その後、様々な困難があるも、2人は幸せに暮らしていると男が報告を受け、1人夜道を歩いてる時に呟いた。
「初恋は適わない物か・・・また新しい恋を探そう」
初恋・・・そうか、私も・・・みなみちゃんも・・・あれが初恋だったんだ・・・
「結局私やみなみちゃんに足りなかったのは積極性かな・・・ゆたかちゃん、大人しそうに見えて大胆な行動取っちゃうから。それに負けたかな」
そう呟いて私は携帯を取る。私も少しは積極的に行ってみようかな。
『もしもし、岩崎です』
「もしもし、みなみちゃん?」
『柊先輩?』
「うん、明日一緒にお弁当食べない?そっちが無理なら別に良いけど」
『大丈夫です』
「ありがと、それじゃお休み」
『お休みなさい』
短い会話だけどこれが大きな1歩になることを信じて・・・明日のお弁当は自分で作ろう。
332215:2008/01/31(木) 19:01:19 ID:kDEUBAM1
熱で限界なんでここで1度切りますorz・・・

一応お弁当ネタは次回続いて行くつもりです。


チラ裏

弟よ、友情勝手にパクってすまん
333名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 19:08:48 ID:pP+hdxhb
>>320
GJ!!0から始めようってそういうことかぁ…てっきりこなたのことかと思ってた。
とりあえずエンジェルかなたさんはやはり…。
ここで人袖のことさえも絡んでくるとはまったく持って予想外。
なんか今回はいろいろと考えさせられる内容でしたわ。

そしてこなたとかがみはお互いがお互いを支えあう形になってたわけですな。
ヤヴァイほど続きが楽しみでございますですよ
334名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 19:21:53 ID:9T5eST9S
今日、ゲームの予約限定版を予約せずに買えたんだけどこれってラッキー?
335名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 21:24:48 ID:PBCa1jgi
こんばんわ。
ゲームしながら、寝たせいか変な夢を見たので投下します。
エロ無し
萌え無し
盛り上げりも特には……
でも、捏造設定はあります。
暇つぶし程度にお読み下さい。
2レス程お借りします。
336名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 21:26:22 ID:PBCa1jgi
こなたさん達が、卒業を控えた、ある春の、麗らかな午後……
「えぇぇぇえぇぇぇ!!!!!」
突然、泉家に響き渡る叫び声。
それも、そのはず。
先程、泉家の主がとんでもない事を言いましたから。
「お……お父さん。ごめん。もう一回言って……」
「いや。だからな、お父さん、再婚しようと思うんだ」
今度は、打って変わって静まりかえる泉家。
ちなみに、ゆーちゃんは、みなみちゃん達と、遊びに出掛けてます。
「あのね。おとーさん。再婚って、1人じゃ出来ないんだよ?」
うん。なんか、可哀相な人を見る目ですね。こなたさん。
「いや!妄想じゃなくて、ちゃんと、相手もいるんだって!!
本当は、こなたが卒業してから、切り出すつもりだったんだけどな?
こなた、卒業したら一人暮し始める事にしたろ?
それで、今を逃したら切り出せなくなると思ってな」
おや。これは、そうじろうさん本気ですね。どうします?こなたさん?
「んー……あのさ?お父さんは、今でもお母さんの事好き?」
「当たり前だろ!」
即答ですね。
「じゃあ、今度、結婚する人は?」
「かなたと、同じ位大切で、幸せにしてあげたいと思ってる」
そうじろうさん……今日の貴方、ちょっと、かっこいいですよ!!
「そっか。じゃあ、私は構わないよ。お父さんの人生だし。
それに、お母さんも、きっと許してくれると思うよ」
こなたさん……
貴女、ええ娘や。ものすごく、ええ娘や。
「そうか。ありがとな。こなた」
「別にいいよ。幸せになってね。お父さん」
うんうん。美しき、父娘愛ですね。
「ところでな?こなた?」
「なに?」
おや?なんでしょうね?
「今日の夕方、その人が来る事になってるんだ」
「………………………………」
あら?こなたさん?こなたさん?もしもーし!!?
………完璧に固まっちゃってますね。
「えぇぇぇえぇぇぇ!!!!!」
あっ。戻ってきましたか。
337名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 21:27:57 ID:PBCa1jgi
「なんで、そーゆー事は、もっと早く言わないのさ!!!」
「いや。その、予定は大分前から決まってたんだが、言い出しにくくてな。
明日言おう。明日言おうって思ってたら、遂に当日に……」
いや。そうじろうさん。年甲斐も無く、頬染めて照れてる場合じゃ無いですって!!
こなたさん、明らかに怒ってますし!!!
「おとーさん!!!!あぁ………こんな事してる場合じゃないや!!!
部屋の片付け!!その前に、リビングの掃除!??洗濯物も片付けなきゃ!!?」
「そんなに慌て無くても、何度か来たことあるから大丈夫だって」
「うるさい!!いいから早く片付ける!!?」
あらら。気合い入ってますね。こなたさん。
「調度いいや!!セバスチャンも手伝って!!」
え??僕ですか!!?いや……あの、僕一応、ナレーションの仕事中なんですけど。
「いいから、手伝う!!」
はい!!解りました!!!



何はともあれ、無事片付けも済んだみたいです。
後は、そのお相手が来るのを待つだけですね。
こなたさんは、随分そわそわしてますけど、そうじろうさんは、随分落ち着いてますね。
「お父さん……随分、余裕だね?娘と、再婚相手が、初めて合うっていうのに」
「ん?ああ……絶対、うまくやっていけるからな」
「その自信が、何処から湧いてくるのか……」
『ピンポーン』
あ!!来たみたいですね!!いったい、どんなお相手なんですかね!?
『ガチャ!!』
「オッス!!」
ドアの向こうに居たのは、紫色の髪をツインテールにしてる……かがみさん……ですよね?
「かがみ?ごめーん!!今日、ちょっと、これから予定があるんだー……
来る前に、電話してくれれば、よかったのに」
「え?ちゃんと、前もって言ってたわよ?そう君から、聞いてない??」
……そう君?あれ??もしかして??
「いらっしゃい。かがみちゃん。待ってたよ」
「お待たせ。ねえ?そう君??こなたに、まだ言って無かったの??」
ギギギギ……と、錆びたロボットのような動きで、振り返るこなたさん。
お察し致します。まぁ、そうなりますよね。
「………もしかしてぇ〜…なんだけど〜……お父さんの再婚相手て〜……」
「かがみちゃんだ」
「私よ」

えぇ。解りますよ。こなたさん。今回は、僕も、付き合わせていただきます。

「えぇぇぇえぇぇぇ!!!!!」
えぇぇぇえぇぇぇ!!!!!


続かない
338名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 21:29:01 ID:PBCa1jgi
以上です。
え〜;;書いといてなんですが……
読み飛ばさずに読んでくれた方……
ありがとうございます。
339名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 21:43:28 ID:ShIgENIP
ちょっと面白かったですw
340名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 21:45:11 ID:pP+hdxhb
>>338
まさかナレーションが白石だとはww
らっきーちゃんねる以外の仕事が来たんだw

だがこうなってしまうとこなたは一人暮らしをやめてしまうのではないか。
かがみをそうじろうと二人だけにはしておけない!とか言い出して。
341名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 21:49:01 ID:55R1GzQU
「・・・オチは?(=ω=.)」
「ちょ・・・こなた・・・イキナリ何?」
>>338、オチは(≡ω≡.)」
「おいおい、イキナリ何凄んでんの!?」
「オ   チ   は   ? (   ≡   ω   ≡ . )」





「どうしたんだろうこなた・・・最近口きいてもらえない・・・;;
 俺なんかしたかぁ;;」
342名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 22:04:45 ID:c7Z0w78E
>>338
単純に、わろたw
34318-490:2008/01/31(木) 22:15:58 ID:PMKi1XIK
>>338
自然に笑みが零れました(GJ的意味で)

さて、試験期間中に2スレほど経過してやっとこ追い付きました。
ってことで、久しぶりに投下したいと思います。

タイトル『大切な言葉』
こな×かが
非エロ
(重要人物ではありませんが)オリキャラ注意
6レスお借りします。
344大切な言葉:2008/01/31(木) 22:17:11 ID:PMKi1XIK
アル晴れた日のコト…じゃなくて、ある休日。
私は、こなた曰く『宿題の掃除』の為、朝早くから泉家にお邪魔している。

てゆーか、あんたの宿題なのになんで私がこんな朝っぱらから呼び出されなきゃならないのよ…

「そう言いながらも律義に来てくれるかがみ萌え♪」
いつもの猫口に左手を添えながらニヤニヤ笑いながら言うこなたに、グッと口ごもる。
確かに、確かによ。
普段の私なら『アンタが来い』の一言で一蹴したはずだけど…
今日は状況も事情も違う。


『今日お父さんもゆーちゃんもいなくて…だから、ね?』

先程の受話器ごしに聞こえるこなたの声を思いだして、ボッと顔が熱くなる。
付き合ってる男女―いや、正確には女女だけど―が密室で、しかも二人きりって言ったら…………ねぇ?

って、何考えてんのよっ、私…!!!

とにもかくにも、好きな人と家に二人きり…なんて状況に期待しないっていう人がいるなら是非ここに来て欲しいわね。
今期の市民聖人君子賞を堂々の1位で受賞させてあげるわ。

「…がみ……かがみ?」
「へ?!…って、ちょっ…!」
市民聖人君子章の勲章ワッペンのデザインはなににしようかしら、なんて意識を飛ばしていた私を、いつの間にかキスしそうなくらい近い距離に移動していたこなたが現実に引き戻した。

って、か…顔が…近っ…!!

深いエメラルドグリーンの瞳、その斜め下にある泣きぼくろ、そして…
プニプニと柔らかそうな、こなたの唇が目と鼻の近くにある。

キス……したい…、かも。

かも、なんてのは勿論妄言。
ぶっちゃけ…したい。

どちらかがちょっとでも動けば簡単に唇が触れ合うような距離に、私の心臓がこれでもかっていうくらい収縮運動を繰り返している。

「かがみ…」
少し熱を持った声音でこなたが私の名前を呼ぶ。
その吐息にさえも反応してしまう私にゆっくりと目を瞑ったこなたの顔が近付く。

――キス、される…
と反射的に私も目を瞑って次に訪れるだろう唇の感触に備える。
………
………………
…………………
…………あれ?
一向に訪れない感覚を不思議に思って右目を少し開けてみると、ニヤニヤしたこなたの口元が見えた。
345名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 22:17:20 ID:BJKzDd/d
紫ツインテツンデレでかがみって名前の、全く赤の他人だろ。そうだよな?
そうだと言ってくれ、じゃなきゃ今俺の隣で寝てるかがみは誰なんだぜ!?
346大切な言葉:2008/01/31(木) 22:19:23 ID:PMKi1XIK
「キス、されると思った?」
「…っ、なっ、ちが…!!」
図星をつかれ、思わず後ろにのけ反ってしまう背中をギュッと抱きしてられて、耳を甘噛みされた。
「あっ…!ちょ、なにす…んんっ?!」
恥かしさのピークに達していた私がこなたに文句の一つでも言ってやろうと口を開いた瞬間。
こなたが私に口付けた。

「…んっ……」
啄むようなキスを繰り返した後、つつっと下唇を舐められて、ジン…と下半身が疼いてしまう。
コイツ…ずるい。
「ぁっ…んぁ…」
ペロペロと私の唇を堪能しているこなたからの刺激にピクッと肩が反応してしまう。
いじらい刺激に物足りなくて、無意識に舌を伸ばしてしまうと、ピチャとこなたのそれに絡みとられた。
クチュクチュという唾液の絡まる水音が私をどんどん興奮させていく。

「…んはぁ、…こな、んんっ…」
気持ちよくて、でも胸の奥から突き上げてくる物足りなさをどう処理していいのか分かんなくて、思わずこなたの名前を呼ぶ。
「んっ…かがみ…」
ぎゅうと後ろに回されたこなたの腕が私の髪を撫でた。
髪の毛には神経が通ってないはずなのに、なんで好きな人に触られるとこんなに心地いいのだろう。

「かがみって、髪撫でられるの好きでしょ?」
「えっ…?」
「なんか気持ちよさそうにしてるから」
むふふ、と笑うこなた。
こいつ…なんでこーゆーことには目敏いのよ。
ニヤニヤといつもの猫口をしている様子を見るところ、私の思想なんてこなたにとってはどっかのドラマのヒロインの如く、まるっとお見通しなのだろう。

だけど、私の口が素直に「こなたに触られてるからよ」なんて言うはずもなく…

「べ、別にそんなこと…ないわよ」
なんて言ってしまう自分の意地っ張りさに内心溜め息がでる。
「ふふー、やっぱりかがみはツンデレだねぇ♪」
「だから私はツンデレじゃないって何回言えば…」
「ツインテールにつり目、しかも意地っ張りときたら…ツンデレなのだよ、かがみん」
ふふん、と胸を張るこなた。
なんでアンタが偉そうなんだ?

347大切な言葉:2008/01/31(木) 22:20:37 ID:PMKi1XIK
「そーいえばさぁ…」
相変わらず目と鼻の近くにいるこなたが、私の髪をグリグリと指先で弄りながら口を開いた。

「なんでかがみっていっつもツインテールなの?」

……なんか前にも同じ事聞かれた気が。
デジャブか?
なんて既視感に苛まれている私をキラキラと目を輝かせながら見るこなた。

そんな顔されたって期待されるような話じゃないぞ?

「いいじゃん、いいじゃん♪ささっ、話して話して」

こなたに促されるように私は忘れもしない、あの出来事を思い出す。

あれはそう、私が幼稚園の年長に上がる時だ。






「つかさがまた泣いたぞー」
「やーい、泣き虫つかさー」
「うぐっ…ひっ…」
手洗い場で水を汲んでいた私の耳に入ってきたのは、砂場がある方から聞こえた男の子達の声と、双子の片割れであるつかさの泣き声だった。
その声を聞いた瞬間、私はばっと手洗い場を飛び出し外へと駆け出した。

「こらぁ、つかさイジメるなー」
「げっ、かがみだ」
「逃げろー」
叫びながら砂場の方へ走っていくと、つかさをイジメていた男の子達は鬼ごっこを楽しむかのように逃げていった。
「……まったく」
「うっ…お、おねぇ、ひっく…ちゃ、ん…」
「よしよし」
ぺたんと膝を下ろしているつかさを抱き締めながら、ポンポンと泣きじゃくって上下運動を繰り返している背中を軽くたたいてあげる。

引っ込み思案で、人見知りが激しいつかさは、この通り私が少し目を離した隙にすぐ男の子達からからかわれてしまうらしい。
目から零れ落ちている涙を自分のティッシュで拭いてあげると、擦って少し腫れた目を私に向けてつかさが口を開いた。

「お、おねぇちゃん…あ、ひくっ、ありがと…」
頭の上で結んだ黄色のリボンを揺らして、涙を拭う。

「ん…もう平気?」
そう言って座っていたつかさに手を差し出す。

「う、ん…もうだいじょうぶ…」
「じゃあ、先生に言って着替えさせてもらお?つかさ、砂まみれだし」
パンパンと砂のついた制服をはたいて落とそうと思ったけど、靴下の中にも砂が入ってしまってるらしく、着替えた方が早そうだ。
こくりとつかさが頷いたのを確認して、つかさの手を握って、校舎に入った。

348大切な言葉:2008/01/31(木) 22:22:13 ID:PMKi1XIK
「かがみちゃんは偉いわね、さすがお姉ちゃんね」
つかさの着替えを頼もうと、私達の担任の先生に事情を話すと、聞き飽きたセリフと共に優しい手が私の頭を撫でた。
「…うん」
少し気恥ずかしくて、視線を足元の方に向ける。

「さぁ、つかさちゃん。お着替えしましょうか」

泣いていた目をタオルで冷やしてもらっていたつかさが無言で頷き、脱がしてもらいたいのか両腕をあげてバンザイのポーズをしていた。

「ふふっ、つかさちゃんは甘えん坊さんね」
4人姉妹の末っ子、ということもあるのだろうけど、つかさは甘えたがり屋だ。…て言うより甘え方が上手い。
その影響か、はたまた双子の姉としての意識の違いか、私はつかさよりも一歩前にいなきゃいけない、と思っていた。
だから必然的に「しっかりしてる」とか「お行儀がいい」って褒められるのは私で、「かわいい」と褒められるのはつかさ、というポジションだったのよね。


「ん〜、素晴らしきかが×つか♪姉妹愛だね」

「なんだよ、かが×つかって…」
話の区切り、と言ってもプロローグ程度の話が終わって、喉を潤そうと、テーブルにあった麦茶を飲むと、こなたがニヤニヤしながら口を挟んだ。
「そこでつかさが押してたら、つかさルートになってたわけか…ふぅ〜危機一髪」
「なんだ、それ…」
「あ、でもかが×つかだと、近親相k…」
「ストーップ!!!
それ以上の発言は危険な気がする」
こなたに制止の声をかけ、ふと窓の方を見ると、窓にはポツポツと雨粒がついていた。
そう言えば…あの時もこうやって雨が降ってたっけ。


「かがみちゃん」
つかさが着替え終わるまで傍にあった絵本をパラパラと見ていた私に声をかけたのは担当の先生だった。
「つかさちゃん、泣き疲れちゃったみたいで…」
苦笑というよりは、仕方ないなぁという笑顔を私に向ける先生を見ると、先生の膝の上でスヤスヤと寝息を立てて眠っているつかさがいた。

まったく、この子は…

起こそうと口を開いた瞬間、シーッと先生が人指し指を唇に置いて、手招きをした。
「…?」
その行動の意味は分からないけど、テクテクと先生とつかさの元へ近付く。
「つかさちゃんは、もう少し寝かせてあげましょ。」
「でもっ…」
それじゃあ、先生が大変なんじゃ…
349大切な言葉:2008/01/31(木) 22:23:27 ID:PMKi1XIK
「その間、かがみちゃんの髪結ってもいいかしら?」
「わたしの…髪?」
「うん、かがみちゃんいつも髪下ろしてるけど、結んだらもっと可愛くなるわよ」
かわいく…
肩より少し長い髪の毛を触ってみる。
朝は忙しくて滅多に、というか髪を結ってもらうってことをしてもらったことがなかった。
私でも可愛くなれるの…かな。
可愛いね、と褒められるつかさが心のどこかで羨ましいと感じていたのだろう、私は無言で頷き、スッと先生の前に腰を下ろした。


「はい、出来たっ!!」
三つ編みやらポニーテールやらおだんごやらほぼ全ての髪型を制覇し、先生が最終的に選んだのが、少し高い位置に左右に結ばれた髪型だった。
鏡の前に立って結んでもらった髪と自分を見る。
「うん。似合う、似合う」
褒められた事が嬉しくて、先生にお礼を言った後、私はすぐに教室から走り出した。


「〜♪」
幼稚園で習ったばかりの歌を歌いながら、私は上機嫌で園の正門の方へ歩いていた。
結んでもらった髪を誰かに見てもらいたくて、自然に歩く速度が早くなる。

「はぁ、はぁ…
ふぃー、ちょっときゅうけー」

急に聞こえてきた声に思わず私の足が止まる。
声の聞こえた方に目を向けると、幼稚園の正門に手をかけてハァハァと息を整えてる女の子が目に入った。
少し汚れた柔道着のような格好で額の汗をぬぐっている。

…始めて見る子だ。

じっと見つめる私の視線に気付いたのか、その子がフッと視線を合わせた。

あ、目が合った…
「ぬぉっ!!
つり目にツインテ…リアルツンデレだっ!」
つ、つんでれ?
えっと、なんだろう…
シンデレラの親戚なんだろうか?
「いやぁ、たまにはランニングも役立つことあるね〜」
何を言えばいいか分からない私をニマニマと観察するその子。
口が猫みたいになっている。
「えっと…つん、でれ…って?」
目を細めて私を見る視線に絶えきれず、思わず聞いてしまった。
「ふぉっ…そっか、十年前じゃツンデレはまだメジャーじゃないのか」
口を三角にして、ポリポリと鼻の上の絆創膏を掻きながら、何故か後ろを向いて話すその子。
誰に話してるんだ?

350大切な言葉:2008/01/31(木) 22:25:01 ID:PMKi1XIK
「ん〜、まぁようは『可愛い』ってことかな」
エッヘンと胸をはりながら、私を見る。
「かわ…いい?」
「うん、キャラにも合ってるみたいだし、可愛いよ」
キャラ?
なんか言ってることがいまいち分からないけど…
とりあえず褒められているのだろう。
「あ、ありが…」
「お…」
始めて可愛いと褒められ、少し恥かしくなって下を向いてお礼を言おうとした私にその子が言葉を被せた。
不思議に思ってその子を見ると同時に、頬に冷たい感触。
「……雨」
「うん、ふってきちゃったねぇ………って、早く帰んなきゃ亀センセーにおこられるっ!」
慌てて走り出したその子を呆然と見つめていた私だったけど、ハッと我にかえる。

「あ、ちょっ…名前」
って、もうあんな遠くに?!
時間にしてみると数秒程しかたっていないはずなのに、私との距離はどんどん遠くなっていく。
引き止めようした手を諦めて下ろすと、クルッとこっちを振り向いた。

「つ……れ…………え…!!」

その子が何か叫んだみたいだったけど、降り注ぐ雨の音で書き消されてしまった。



「…と、まぁこんな話よ」
「へー、つまりその子がかがみの初恋の相手ってワケかー」
うんうん、と頷くこなた。
「なっ、ち、違うわよっ…!!」
どう聞いたらそんな風な捕らえ方をするのよ。
「だって、その子に可愛いって言われたから、かがみはずっとツインテールなんでしょ?」
ぐっ…、そ、そりゃあ…
可愛いって言われて嬉しかったってのはあるけど…

ニヤニヤするこなたに敗北感を感じたけれど、図星だけに返す言葉が見つからない。

「でも…」
そう言いながらこなたは私の肩に顔を乗せた。
「少し、妬けるナー」
「べっ、別に…こ、子供の時の話だし…」
グリグリと顎を私の肩に押し付けるこなたの髪が頬に触れて少しくすぐったい。
「んー、でもなんだろ。そのシーンどっかで見た気もするんだよねぇ…」
「あんたの場合、ギャルゲとかじゃないのか」
「むっ、かがみが私をどーゆー目で見てるかよぉ〜く分かったよ」
少し拗ねるように頬を膨らますこなた。
そんなこなたを可愛いなぁなんて思う私は相当こなたの事が好きなんだな、と再確認。
もちろん、言わないけどね。
「でもその子、最後になんて言ったんだろうね」
私が聞き取れたのは『つ……れ……え』の3文字だけ。
つれえ……
新しい怪人の名前か?これ。
子供の頃の記憶だし、こう聞こえたかも怪しいものだけど。
351大切な言葉:2008/01/31(木) 22:26:17 ID:PMKi1XIK
「つ、れ、え……んー」
顎に手を当てながらその3文字からなんとかその子の言葉を推理しようとしているこなた。
無駄だと思うぞ?
「……あ」
「なによ、なんか閃いた?」
人指し指を立てて、こなたが何かに閃いたように声をあげた。
と、思ったらスーと深呼吸をし始める。
「……?」


「「「ツンデレ萌えーーっ!!!」」」


目一杯の声を出して叫ぶこなた。
って、藪から棒になんだそれは。
「『つれえ』の答えだよ。ツンデレ萌え」
「はぁ…。アンタじゃあるまい………」
し、という言葉を発する直前。
急にフラッシュバックするように、その子の姿が目の前によみがえってきた。


青空のように青い髪、ぴょんと重力に逆らって立っていたアホ毛、左目の下のほくろ、猫のような口、そしてツンデレ萌えという言葉。
そんな外見でこんな事を言うやつはこの世界上に一人しかいないだろう。
…というか一人で十分だ。


ばっ、とこなたの方を見るといつも私をからかう時のニヤけ顔をしたこなたがいた。
「まさかと思うけど……」
いや、もう120%確定事項だけれども。
おそるおそるこなたを伺いながら呟くと、最高級のニヤニヤを浮かべたこなたがますます口を猫にする。

ったく…

こなたのニヤけ顔に少し悔しさを感じたけど、溜め息交じりに口を開く。

「こなた」
「ん〜?」
「………髪、可愛い?」

私の問い掛けに答える言葉の代わりに、感じたのは柔らかい唇の感触。
結局私はアンタに過去も今も翻弄さるてるわけね。
なんか悔しいけど…


「かがみん」
「…ん?」
「好きだよ」
「………知ってるわよ」


愛を囁く言葉も
私の名前を呼ぶ言葉も
髪を褒めてくれた言葉も…

全て愛しい私の恋人からの甘い甘い、『大切な言葉』。
352名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 22:28:20 ID:PMKi1XIK
1レスオーバーすいませんorz
読んで下さった方、ありがとうございます。
353名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 22:31:38 ID:BJZPKSQm
リアルタイム遭遇!!

G☆J
354名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 22:32:14 ID:BJZPKSQm
すまん、さげわすれた・・・orz
355名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 22:32:42 ID:c7Z0w78E
>>352
かがみがかわええ〜
>「………髪、可愛い?」
ここで萌え死んだよ俺
いわゆるGJ
356名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 22:34:55 ID:55R1GzQU
いいねえ、昔話と絡め合わせながらのこな×かがGJ。
久しぶりにこなた主導権だし
'`ァ(*´Д`) '`ァしながらよませていただいた(・∀・)b










柔道着のような・・・
初めての出会いが、まさかこなたっぺ大将だったとは・・・
「んー?私が習ってたのは合気道だよー(=ω=.)」
357名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 22:35:09 ID:FA2hjO05
1箇所微妙によく分からないところがあったが…
ともかくGJ。いい話だった。
358名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 22:40:22 ID:zAufGKUy
>>352
萌えた、全俺が萌えた
359名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 23:34:43 ID:ShIgENIP
>「かがみん」
「…ん?」
「好きだよ」
「………知ってるわよ」

のやりとりだけでブラック3杯いけます。GJ!
360名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 23:51:21 ID:pP+hdxhb
>>352
GJすぎる!
昔からかがみはこなたにしてやられてたわけだ・・・

>「………髪、可愛い?
ここからのくだりがもう最高!
361名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 00:02:26 ID:VEGwacK3
GJ!
こなた・・・幼稚園にしてすでにオヤジの影響がw
362名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 00:14:46 ID:gfVr84OD
>>352
GJ!!溶けそうなぐらい甘いこなかがありがとう!
素敵昨日見ると創作意欲が湧くよね
363名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 00:34:27 ID:muAXrcmo
>>352
過去と現在の分け方が良かった。GJ。
最後の台詞は悶えるわww

ところで、鯖移転のことがよくわからんのだが、だれか教えてくれないか?
Jane styleで書き込みができなくなったし。
364名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 00:48:09 ID:hvjr6inZ
>>363
つ「ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1201460300/l50

どうやら、エロパロ板を含むBBSPINKそのものが移転した模様。
当方ギコナビ民なので、専ブラの設定までは力になれず。スマソ。
365名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 00:59:37 ID:cZQM5M6O
>>363
俺もJaneだが、ツールバーの板欄から、「板一覧の更新」ってやつで一発で更新できるぞ
366名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 01:10:47 ID:bFXLRSEi
俺はLive2chなんだが、なぜか板更新で更新されたスレと更新されなかったスレがある。
ちなみにここは更新されなかった(´・ω・`)
お気に入りに入れてるスレはそれほど多くないので、結局手動でURLを変えた。
※現URL→ウェブブラウザにコピペ→スレ一覧→同名スレクリック→新URL取得

「鯖が変わりました」とかひと言メッセージ出てくれると助かるんだが…
367名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 01:45:56 ID:muAXrcmo
>>365
おお、出来た。
情報感謝です。これで見やすくなった。

全く更新出来なくなった時はまさかの過疎化、とビビったなww
368名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 02:06:18 ID:NAB2jA/B
前スレラストでも質問した者だが保管庫にあるやつで男オリキャラものでオススメ教えてくれ
百合ヲタだからジャンルがジャンルだけに地雷は回避したいんだよ
369名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 02:11:16 ID:bFXLRSEi
>>368
貴方が何を地雷と思うか誰にもわからんのでオススメと言われてもだな…
370名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 02:14:09 ID:NAB2jA/B
>>369
おおすまん
男キャラのクセが強くないのがいいかな
あとは鬱要素さえなければ
371名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 02:48:37 ID:ElORoHJ/
むしろなぜ読もうと思ったんだw
クセが強くないってどの程度がクセが強くないのか分からんけど、
最近投下されたみゆつか愛してる氏の「恋するひより」はどうだろう。
エロ目的でなくてひよりんが嫌いじゃなきゃ間違いなくオヌヌメb
372名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 08:39:00 ID:EWTgFx8P
>>370
鬱注意とか強姦注意とか書かれてなきゃなんでも問題はないかと
どれも面白いし
373名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 09:39:34 ID:c+uE4Z61
>>324
>明日は天変地異だ!
いや、天変地異は既に起こっていた。…そう、今回の鯖移転のことだったんだよ!
と言ってみる。

今さっきようやく鯖移転のことに気付いたんだぜorz
374名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 09:49:32 ID:NAB2jA/B
>>371
ひよりんか、ひよりんね
thx読んでみる

>>371
いやあ鬱とは言わんまでもバッドエンドは嫌だなと思って
3757-896:2008/02/01(金) 09:59:33 ID:nSMJvoNk
いまならいける!!……気がする!!
取り敢えず、前回の4コマの続きみたいな感じで
投下させてもらいます。
以前に『ゴッドかなたさんのドジで地球が〜』
とおっしゃっていた方がいたので

ttp://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0019.jpg

早く規制解けないかなぁ……
376名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 10:00:46 ID:w+g0yl5e
>>375
ちょwwwコケたせいで地球がwww
ころんでしまいました。じゃないよゴッドかなたさんwww
377名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 11:09:05 ID:OGsbuWrY
>>375

思わず地球滅亡ネタ(ドリフBGM)のMAD動画作りそうになった件についてw
378名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 11:26:51 ID:MHiVRefb
>>375
ゴッドかなたさん!ゴッドかなたさん!

ぶーわ氏のまじめモードも惚れたけどやっぱこうでなくちゃwwww
これは続きにも期待大!
379名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 18:13:28 ID:/ufiunup
>>366
ちょい遅レスだが、運営カテゴリの2ch運用情報板に新設板・板移動情報スレがあって
そこに鯖が変わったところの一覧が書いてある
同じ板に板落ち情報スレもあるから、何か変だなと思ったらそこを見てみるのもいいかも
380名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 19:25:22 ID:BfmN0GTF
白石の一人称って“ぼく”だっけ、それとも“自分”だったけ?
381双子の兄:2008/02/01(金) 19:29:29 ID:muAXrcmo
>>375
普通に笑ったw
次回作に期待してます。

それでは、他にする人がいなければSS投下させてもらいます。

『凍えた手に温もりを』
・こなた&かがみ
・非エロ
・シリアス
382凍えた手に温もりを:2008/02/01(金) 19:31:28 ID:muAXrcmo
 お正月。誰もが楽しみにしていただろうこの期間は今日から始まった。私だってお正月
を楽しみにしていなかった訳じゃない。むしろ、学校も休みなのだから待ち遠しくて仕方が
なかったくらいだ。それでも、その思いとは打って変わって私の現在の心境は限りなくブ
ルー。それこそ、天に広がる冬の青空なんかよりももっと濃い紺色みたいな、そんな感じ
の、言うまでもなく良い気分ではない。
 はあ、と意図せずに口から溜息が零れ落ちる。それは外気に冷やされて白い吐息とな
り、霧散して消えていく。悴んだ手はとっくのとうにコートのポケットの中へと吸い込まれ
ている。顔は成す術もなく、冷たい空気に冷やされてはいるけれどその所為で寒くなって
いるのは身体だけじゃなかった。
 ありきたり、そう言われても仕方ないほどに使い古された言葉ではあるけれど、私が一
番凍えていたのは、『心』だった。
 朝の、静寂に満ち満ちた住宅街の通りはなんだか寂しげで。でも、時刻が八時を回って
いる為なのか、軒並み立つ異色同音の家々からは楽しげな声が聞こえて来ている。それ
もそうだ。今はお正月であって、新年を祝い、楽しげな正月番組を家族で見て笑い、お年
玉を貰って喜ぶ、私達の世代にとってはそんな時期なのだ。
 だから余計に、何故だかも分からずに私は孤独感に襲われていた。冬の寒気の所為で
、やたらと痛く、寒い。それは裸になって極寒の地に一人で佇んで身を焼くような寒さに凍
えているようで。誰一人通らない住宅街の通りは何処までも寂しかった。
 空は雲一つ無い快晴。周りに建つ家々からは他人の楽しそうな笑い声。世界の中で、
一人隔絶されているみたいな疎外感。否、これは私の意志だ。私は私の意志でこうやっ
て慣れない早起きをして、これまた慣れない朝の散歩なんぞをしている。
 家に帰れば暖かく迎えてくれる人がいるのにそうしていないのだから、これは間違いな
く私の意志なのだ。
 だから、思ってはいけない。
 だから、考えてはいけない。
 だってそれは、単なる責任転嫁だから。
 だってそれは、一番近しい人を裏切る事だから。

 ――羨ましい、だなんて。
   寂しい、だなんて。

 ポケットに入れていた手は、暖まりなんてせず、相変わらずひんやりと冷たいままで、空
は相変わらず快晴で、相変わらず笑い声は耳に付いて離れない。
 私は、意味も無く道路に転がっていた小石を思い切り蹴り飛ばした。




凍えた手に温もりを
383凍えた手に温もりを:2008/02/01(金) 19:32:51 ID:muAXrcmo
 当たり前のように過ぎる時に、疑問を持った事が私のこれまでの人生で果たしてあった
だろうか。冷たい風も、耳を通り抜ける笑い声も、当たり前のように時間に踊らされている
。今、私が行動している事でさえ、時間の経過を私に感じさせる事に他ならない。
 今までは、それに疑問を持った事なんて無かった。時間の流れを忘れるくらいに毎日が
楽しくて仕方がなかったから。むしろ、夜が私を迎える度に次の朝が待ち遠しくなった事さ
えある。
 それは、ひとえにいい友人に恵まれたからでもあり、それが私の中の寂しさという感情を
燻ぶらせていたのだろう。
 でも、今は。
 今だけは違う。時の流れは残酷に私に圧し掛かり、私を潰そうとその重量を段々と増し
ていくようで、それに耐えられるほどに今の私は強く居る事なんて出来なかった。理由な
んて知らない。他でもない私が一番良く分かっているはずなのに、私にはそれが分から
ない。分かりたくなかったのかもしれないけれど、それもファイナルアンサーって聞かれ
れば答えに迷ってしまう。
 ただ、寂しい。閑静な住宅街が映し出す灰色の風景は孤独で、青い空はキャンバスに
描いたように鮮やかな色彩で。けれど私の気分をいい方向に向かわせてはくれない。早
い話、この綺麗な青空でさえも孤独に見えていた。誰に寄りかかる事も出来ず、今は慰
みの雲も無い。そんな光景がどうしようもなく孤独に見えた。

 ――あはははは。
 ――お母さん!

 笑い声と共に聞こえて来るのは自身の親を求める幼い子供の声。足を止めて、私の背
よりも少し高いくらいの鉄柵の間から、何処にでもあるような家を覗き見る。
 錆びた鉄柵は私が掴んだだけでギシリと軋んだけど、そう簡単には壊れない。小さな
庭園に置かれる植木鉢やら何やらで視界は決して良くはないけれど、何とか中の様子
は窺えた。
 中に見えたのは小学生だろうか、それぐらいの男の子が嬉しそうな声を上げながら傍
にいる女性の人にしがみ付いては離れ、を繰り返している。母親だろうその女性は騒い
じゃ駄目よ、と注意を促しているけれど、顔には優しげな笑みが浮かんでいた。
384凍えた手に温もりを:2008/02/01(金) 19:34:07 ID:muAXrcmo
 そう、母親が子に向ける優しい笑顔。それはこの家庭も例外に漏れずに同じだった。羨
ましいくらいに幸せそうで、憎いくらいに嬉しそうで。
 私はそこから目を離す事が出来なくなっていた。
 微笑ましい家族の光景を、私は見つめ続ける。
 親子の傍には木でできた臼、その傍らに横たわるのは重量感溢れるハンマーみたい
な、そんな物。何を行おうとしているのかなんて一目で分かる。その内に縁側の窓から
は顔中皺だらけのお婆ちゃんが出て来て、手に持っている大きな器からはホカホカと湯
気が立っていた。
 私が今まで経験出来なかった事を、この家族は実行しようとしているのだ。
 ぼーっと準備が進められていく様を私はまだ見続けている。自分が惨めに見えようと、
周りからは変人だと見られようと、そんな事には構わずにそこから目を離さない。
 涙が出そうなくらいに微笑ましいその光景から。
 庭には何時からか父親らしき人が出て来ていて、子供の明るい声援を受けながらそ
の期待に応えようと長袖のシャツをこの寒さにも関わらず巻くっていた。
 手にハンマーを持って、もち米が入れられた臼を真剣な眼差しで見つめる父親。やが
て、渾身の力を込めてそれを臼の中に向けて振り下ろす。ペタン、という音と共に上がる
明るい歓声。子供は凄い凄いと言いながらはしゃいでいた。
 もう一度、父親は誇らしげにハンマーを振りかぶる。それが臼の中へと到着すると同時


「人の家の中覗いて、何やってんの」

 見知った声が聞こえた。呆れたような感じを漂わせる声に振り返ると、そこには半目で
腕を組みながら私を見ているツインテールの少女が立っていた。
 吐く溜息を外気に晒し、白くしている少女――かがみは何も答えず、呆然とした様子で
立ち尽くす私を見て、もう一度深い溜息を吐いた。

「どうしたのよ、こんな朝早くからさ」

 かがみは今度は心配したような色を言葉に含んでもう一度問いかけて来る。私はそれ
で漸く我に返って、慌てて言葉を紡いだ。

「あ、いや、ちょっと眠気覚ましに朝の散歩をと思って」

 真っ赤なウソ。そんな理由でこんな事をしている訳じゃない。朝の散歩なんて、私の柄
じゃないし、到底やらない事だった。それなのにこんなウソを吐いてしまうのは、何時も
の私じゃない私を見られたくなかったから。
 依然聞こえる楽しげな喧噪を見て何を思っていたのかなんて、誰にも知られたくない。

「……目が濡れてるのは私の気のせいかしらね?」

 ふうん、なんて明らかに私を疑っているような相槌を打って、かがみは言った。そんな自
覚が私にある訳が無かったから、私は慌てて眼を擦る。
 かがみの言う通り眼を擦った手の甲は僅かに濡れている。何時の間に涙腺が決壊し
かけていたなんて、この時になるまで気付きもしなかった。
385凍えた手に温もりを:2008/02/01(金) 19:35:23 ID:muAXrcmo
「これは――ホラ、眼にゴミが入っちゃって。その時に丁度かがみんが来たんだよ」

 我ながら苦しい言い訳だったと自身の口を塞ぎたくなったけど、墓穴を掘ってはまずい
と思って、私はかがみの疑惑の視線を避けていた。鳴り止まないペタン、という擬音は私
達の間に流れる静寂に馴染むようにして流れて行く。新年を迎えた雀たちの囀りがそれを
楽しそうに彩っていた。

「ウソ」

「う……」

 かがみの目はまるでウソなんて全部見破っているような光を称えていて、それどころ
か私の心の中を全部見透かしているような気さえして。
 たった一言の真実に私の言葉は詰まる。次に続ける言葉が何も思い浮かばず、頭の中
で蔓延している思考はどうしよう、とかどう誤魔化そうとか、そんな何の解決にもならない
物ばかり。

「ウソじゃ、ないよ」

 私は馬鹿だ。私を気に掛けてくれている人にも本当の事を言えずに分かり切ったウソを
吐いている。何でも話せる親友の、かがみにさえ。素直になれないのはかがみの役回り
なのに。そんな場違いな事を考えてしまう自分が、本当に馬鹿だと思った。
 真摯な眼差しで私を捉えるかがみの目は透き通っていて、その向こうに締まりのつか
ない顔をした私が見えた。とても弱そうで、寂しそうな顔をした私が。
 かがみは再び呆れた感じの溜息を吐きだして、私に一歩詰め寄る。細く綺麗な形の眉
を八の字に曲げて、何処か怒っている表情で。
 後退なんて出来るはずもなく、私はそのままその場に立ち尽くす。ただ、何を言われる
のかが怖かった。

「じゃあ何でそんな顔してるのよ」

 一瞬、かがみが何を言っているのか分からなかった。私はもう何時も通りの自分に戻
れていると思っていたし、顔面の筋肉に違和感を覚えている訳でもない。でも、表情には
出ない感情をかがみは読み取ったのかもしれない、そう思うと私はきっと酷い顔をしてい
るのだろう、とウソみたいに納得出来る。

「……」

 私は何も言う事が出来ずに黙りこくる。かがみは私の答えを待っているのか、何も言
わずに私を見つめ続けていた。真っ直ぐな目は、ウソを吐く事を許さないような厳格さを
秘めて私に突き刺さる。何分経っただろう、ペタンという音が聞こえなくなっているほどに
長い時間が経過していた。
 とうとう、私は沈黙に耐えきれずに言葉を発した。

「……寂しかった、のかも」

 曖昧ではっきりしない答え。私に言えたのはこれが限界だった。明確に私の感情を言
ってしまったら、今もギリギリのラインを保っている涙腺がすぐにでも決壊してしまいそう
だったから。自分でも、なんでこうなっているのか分からない。手の冷たさが余計に冷た
く感じる。きっと、それは私の弱さを少しだけ露呈したからなのだろう。
 心を外に晒した所為で、私の裸の心は寒さに喘いでいるのだ。苦しみの悲鳴を上げる
事もせず、誰かに助けを求める事もせず、たった一人で壊れそうになっている世界と戦
っている。そう考えた時、私の感情を堰き止めるダムを破壊しようと襲いかかる負の感情
の濁流の量が一気に増した気がした。
 頬の内側を奥歯で噛み締める。泣いてはいけない。現実を知った幼い私はそう決めた
はず。心配は掛けてはいけないから、同情もされたくないから。
 それなのに――親友を前にして私はどうしようもなく弱くなっている。今まで積み重ねて
来た自分との契りが今にもちぎれそうになっている。
386凍えた手に温もりを:2008/02/01(金) 19:36:31 ID:muAXrcmo
 震える唇を悟られまいと、私は頬を噛む力を一層強くした。口の中に広がる血の味が
その力強さを物語っている。痛みは感じない。一番敏感であるはずの痛覚も心の痛み
に負けて麻痺しているようだった。

「……」

 かがみは何も言わない。その眼差しに同情の色を見るのが怖くて、私は眼を伏せた。
ポケットの中に納まる手は何時になく固められていて、寒さによる凍えだとか、そういう
のも一切感じない。強がれば強がるほど、それは色濃くなっていた。
 閑静な住宅街に流れる沈黙はこの世界全体を包み込んだかのようになっている。私
の呼吸とかがみの呼吸、私の鼓膜を震わせているのはそれだけしかない、そう思えるほ
どの静寂。今にでも走り出したい衝動を私は理性で必死に抑え付けていた。

「お母さんが、居ないから?」

 やがて、永遠とも感じられる沈黙の後、静かな口調でかがみは尋ねた。その声から
は同情だとか、そう言ったものは感じない。そのお陰で幾らか楽になったのと、かがみ
が発した単語によって私に襲いかかる痛みとは拮抗しているようで後者が圧倒的に勝
っていた。
 結局、それに耐えかねた私はかがみの問いに沈黙を返す事しか出来ない。けれど、
それは得てして肯定の意を伴っていた。それが痛いくらいに分かる空気は重く、切ない。
 今、かがみはどんな事を考えているんだろうとか、私はどうしたいのだろうとか、考え
ている事は山ほどあったけど、それを私が口に出す事はなかった。

「いっつも、そうだった?」

 かがみは問いに答えなかった私を責める事なく次の質問をぶつけて来る。やはり、
それは図星に他ならなくて、私は握りしめた手を開放して、今度は腰の辺りの皮膚を
ポケットの中で抓った。刺さるような痛みが背骨から這い上がって来る。
 けど、今はそれが唯一の救いに思えた。痛みで感情を押し殺す、その方法が。

「……ばか」

 ともすれば罵声にも成り得るその言葉が私に届き、その意味を理解しようとした私の
脳味噌は突然切り替わった視界と、体に感じる暖かな温もりとで止まるしかなかった。
 見えるのは静かな住宅街に伸びる道路。さっきかがみが居たはずの場所には何も無
く、その代わりに私の目前で薄紫色の細く繊細な髪の毛がチラついていた。くすぐった
いようなもどかしい感覚が、髪の毛が鼻に当たる度に感じられる。
 何をされているのかなんて考える余地もない。かがみが私を抱きしめている、そう理
解したのは遠くに見えた犬の散歩をしている人が曲がり角に消えた後だった。

「かが……み……?」

 途切れ途切れの声しか出す事が出来ない。何でこんな事をするのか、聞こうと思っ
ていたのに、まるっきり私の頭はその行為を拒絶していて、結局言えたのは名前だけ。
背中に何か固い物が当たっている違和感を覚えながら、私はそこに呆然と立ち尽くす
事しか出来なかった。
387凍えた手に温もりを:2008/02/01(金) 19:37:53 ID:muAXrcmo
「なんでよ」

 私の肩に乗ったかがみの頭。そこから怒ったような、けれど静かな声が聞こえた。何
も言えない私はピクリとも動けなくて、そんな私にかがみはさっきよりも簡潔な内容にな
った問いをぶつけた。心なしか、優しさが際立った、そんな声で。

「なんで、ずっと黙ってたのよ。相談出来る人はここにも居るし、つかさも、みゆきも居た
。それなのに、何で」

 自分の名前を出さないのがかがみらしい。そんな抜けた事を考えつつ、私は漸く動け
るようになった唇で幼児みたいに、たどたどしく言葉を紡ぐ。何時、人が通ってもおかしく
ないような路上で何をやっているんだろう、という浅はかな疑問も、今は忘却の彼方へと
飛び去っていた。

「そうしないと、みんなに、心配、かけるから」

 そう言った私は一層抱きしめられる強さが増すのを感じた。
分かってる。こんな事を言ったらかがみは怒るのだろうって。親友なら、どんな事も包み
隠さず相談しなさいよって、そう言うのも分かっていたのに、私は本当の事を伝えた。
 同時に湧き上がる自分に対しての嫌悪感。これではまるで、同情して欲しいと言って
いるのと同義な気がした。

「……ばか」

 それなのに――かがみは私の予想とは掛け離れた言葉を静かに私に告げた。その言
葉は全然そんなのじゃないのに、けれど、母親が子に向けるような、そんな優しさを秘め
て私の心の中に広く、深く、ゆっくりと浸透していった。
 だから、私は。
 不可抗力だと自分に言い聞かせながら、とうとうさっきまで感情の濁流を堰き止める事
に奮闘してくれていたダムを自らの意志で崩壊させた。溢れるような感情の波は、私の
目尻から落ちる涙という形になって流れる。冬の寒さに冷たくなりそうなそれも、何故だ
かとても暖かかった。

「そんな心配しなくてもいいの。あんたが私達に相談してくれれば、それだけで嬉しいし
、迷惑な事なんて何もない。むしろ、自分だけで溜め込んでる方が私には迷惑」

 かがみは優しい。だって、そう言ったかがみの言葉は虚言になんて微塵も感じられな
かったから。紛れもない、かがみの本心でそう言ってくれた。それが嬉しくて、嬉しすぎて
、私の目からは止まる事を忘れたように涙が溢れ出す。
 しゃくりあげるばかりで何も言えない私に、かがみは更に優しくなった声音で言葉を続
ける。気付けば、かがみの背中に手を回している自分がいて。もう濡れすぎて使い物に
ならなくなった視界を閉ざし、私は腕に力を込める。

「だから、もう溜め込まないで。辛くなったら私が傍に居てあげる。お母さんの代わりなん
て出来ないけど、私は『柊かがみ』としてあんたの傍にいるから」

 同情なんてしていなかった。憐れんでなんて、いなかった。かがみはかがみとして私を
支えてくれている。それが堪らなく嬉しくて、もう悲しみの涙なのか嬉しさによる涙なのか
、流れる雫からは判別出来ない。
 声を出そうと思っても、出るのは押し殺したような嗚咽だけで、私はかがみにも分かる
ようコクコクと首を縦に振った。かがみは、優しく私の背中を摩ってくれていた。
388凍えた手に温もりを:2008/02/01(金) 19:39:43 ID:muAXrcmo
「もう大丈夫。ありがと」

 それからどれぐらいの時間が経ったのかは定かではないけれど、とにかく長い時間が
過ぎ去って、私は落ち着いた頃にかがみの背中に回していた腕を解いた。かがみも、そ
れを聞いて「ん」と小さく言って腕を解いた。
 改めてかがみと向き合って、私は今になってある事に気付いた。涙やら鼻水やらで濡
れてしまった顔をコートの袖で拭いながら私はそれを尋ねる事にした。

「かがみ、家の手伝いは?」

 毎年、柊家の年明けは忙しいはずだ。神社の参拝にくる人の為に、まだ高校生のかが
み達も家の手伝いを行っている。それなら、今、この時間にかがみがここに居るはずが
なかった。見ているだけで汗をかきそうな、それぐらいの忙しさの仕事だから。
 おまけに、かがみの手には結構大きめで重量がありそうな立方体の物が風呂敷に包
まれて持たれている。わざわざこんな重そうな物を持って、仕事をほったらかしにするよ
うな性格ではなかったはずだ、かがみは。

「あー、何とかお願いして、今日の午前中だけ自由にして貰ったのよ。つかさや姉さん達
には申し訳ないんだけどね」

 あはは、と苦笑混じりに言ったかがみは明らかに何かを言おうとして戸惑っていた。見
れば、私の視線が釘付けになっている事を悟ったのか、体の前に持っていた風呂敷包
みの物を後ろ手に持ち替えて、隠していた。

「なんの為に?」

「えーと、それは……」

「さっき持ってたのは?」

「う……」

 全部言われてしまったのか、かがみは言葉に詰まる。そして。観念したようにポツリポ
ツリと話し始めた。頬を朱に染めて、もじもじしながら視線を下に向けて。
 その時点で私はかがみの目的が薄々分かったけど、それは敢えて言わなかった。

「その、あんた前にさ、おせちなんて食べた事無いって言ってたでしょ? だから――そ
の、私が作ったので良かったらお父さんと一緒に食べるかなって」

 半ばヤケクソ気味に言い切って、かがみは眼を堅く瞑ったまま中に重箱がはいってい
るだろう包みを私に差し出した。それはもう、絵に書いたようなツンデレっぷりで。相変わ
らず素直になれない所が、かがみの可愛い所なんだ、と改めて実感した。

「――うん、喜んで食べるよ。お父さんも、きっと泣いて喜ぶから。だから、かがみも来な
い? 時間、まだあるでしょ?」

 私はかがみから風呂敷を受け取って、そう提案した。手に感じる重みを幸せの重さに
置き換えて、自分で思うのもあれだけど、きっと満面の笑みで。
 かがみはふい、と目を逸らしながらも「味の保証なんてしないからね」とぼそっと言っ
て私よりも先に歩き出した。思わず笑みが零れてしまう光景に、私は少し遅れてかがみ
の後を小走りで追いかけた。

 ――お母さんが居なくても大丈夫。

 天国から私を見守ってくれているお母さんに、心の中で力強く告げて。
 さっきまでは凍るようだった手も今は暖かい。こんなにも人の温もりは偉大な物だっ
たんだ――そう感歎しつつ、私はかがみの隣でかがみの事ををからかうのだった。


――end.
389双子の兄:2008/02/01(金) 19:42:22 ID:muAXrcmo
投下終了。
またしてもシリアスでした。
次は甘いのも書いてみようかな。
でも、やっぱりシリアスの方が書きやすい。
390名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 19:46:28 ID:hvjr6inZ
>>389
リアルタイムにて読了。
もう、後ろから抱きしめるシーンで萌えて重箱のくだりでまた萌えました。
良質のかがこなかが、ありがとうございました。ぐっじょぶ。
391名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 19:54:34 ID:Nzhz9GAV
>>389

☆この作品の味わい方☆

・まず、通しで一回。
・二人の心情を頭に入れ、台詞の部分だけもう一回。


人の言葉って、一言で万感を語るよなぁ……GJした。
392名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 20:21:33 ID:Mvo6Qj5r
>>389
マジでGJ。
あなたが神にしか見えないww
393名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 20:25:50 ID:sT9pLCdl
>>389
あれ……鏡開きってまだ続いてたっけ?
とにかくGJ!
394名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 20:31:18 ID:ElORoHJ/
>>389
すんばらしいこなかがをありがとう!
人には得意分野がありますからね。私はあなたのシリアスが大好きですよ。
最初かがみ視点だと勘違いしてて「かがみが二人!?」となってしまったw
395双子の兄:2008/02/01(金) 20:32:23 ID:muAXrcmo
>>393
いや、このSSは新年入ってから書いたやつだけどそのまま放置してたんで。
季節外れなのはわかっちゃいたんですが、これ以上引き延ばすのもあれだったんで、投下しました。

396名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 20:32:26 ID:xBfN6LAt
阻止
397名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 21:01:25 ID:oQlDs/PM
GJ。
ただ若干改行箇所が変で読みづらいかな。
398名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 21:03:26 ID:t5MYfw0f
>>389
すごい・・・すご過ぎる・・・
直接的な恋愛描写でなくここまで引き込まれるシーンを書けるってすごい
399双子の兄:2008/02/01(金) 21:10:37 ID:muAXrcmo
>>397
次からは気を付けます。

会話の前後に改行入れるのと入れないのってどっちが見やすいんかな?
どうも、こればかりは分からない。

あ、そう言えば、まつりっていのりの事、なんて呼ぶんでしたっけ。
それが分からなくて執筆が滞りそうな感じなんですが、誰か知ってる人、いますかね?
400名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 21:28:07 ID:MHiVRefb
自分は入れない派
テンポ良く書けるし、場面転換が分かりやすいから使ってます
多分どっちかじゃないといけないってのはないんじゃないかと
401名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 21:34:34 ID:ElORoHJ/
あと「。」とか「、」で改行するとこういう場では読みやすくなると思います。
呼称はまつりの性格的に一対一だと「姉さん」、区別の必要があるときは「いのり姉さん」じゃないですかね。
402名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 21:35:45 ID:GCH4Hn1B
>>399
イメージ的には「姉さん」。
アニメで呼ぶシーンがあったかもしれないけど思い出せない


すいませんが、流れを切って質問させていただきます。
保管庫にSSを収録するとき、名無しの方でも
「これとこれは同一人物だろう」という人が何人かいますが、
本人が名乗らない限りは別人として扱うべきでしょうか?
今更といえば今更な質問なのですが。
403名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 21:37:18 ID:GCH4Hn1B
『「これとこれは同じ作者だろう」という作品がいくつかありますが』に訂正。すいません。
404名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 21:37:29 ID:WHdK8YsZ
GJ〜。

そういえば、こなたがお母さんを恋しがる作品って、ありそうで意外と少ないよね
405名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 21:43:45 ID:muAXrcmo
>>400
なるほど。場面転換は確かに分かりやすくなりますね。
俺もそうしようかな。

>>401
どうしてもスピードを求めて一か所で固定して、バンバン改行してしまうんですよね;;
今度からはそういう心遣いが出来るよう、努めます。

>>402
俺には判断しかねますが、不満があったら本人から名乗り出て来るはずだし、
独自の判断で行動しても良いかと思います。
俺的には確証がなくても同じ人っぽかったら一まとめにして欲しいですけど。
406名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 21:43:58 ID:MHiVRefb
>>404
てけてけかなたさんとか?
最近でいうと0から始めましょうとかこいしがりすぎて引きこもりだったけど


確かに純粋にはないかも
もうふんぎりがついてるものとして考えてるのかもね
原作がそんな感じだし、その枠組みから出るのは難しいかも
407名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 21:45:08 ID:muAXrcmo
>>402
あ、あと、情報感謝です。
執筆に気合入れて頑張ってきますわw
408名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 21:47:47 ID:oQlDs/PM
>>404
まぁ本編のこなたが結構サバサバしてるからね。
だからこそ口ではそう言ってるけど本音では…みたいな作品がメインになるんだけどね。
409名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 21:48:33 ID:/ufiunup
>>402,403,405
名無しのまま、または名乗らない事にはそれなりの理由があると思うので
わざわざ他人が口出しすべきではないかと……

仮に書き手Aと書き手Bの作品が似ていて、両方ともAのページにまとめたら?
自分のページは消滅して、Aのページだけが残っているのをBが見たら?
Bにとっては自分の作品がAに盗まれたのと同じことになるでしょう

今保管されているコテまたは鳥のある書き手の方が名無しで投下している場合も
小ネタだからとか、試験的に投下してみただけだからとか、考えられる可能性は多々ある
深く詮索しても「お前>>xxxの作者だろ」と勝手に決め付けて荒れてdat落ちするだけ
実際に、自分はそれで消えて行ったスレをいくつも見てきた
410名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 22:01:36 ID:gfVr84OD
まあ…自分もコテ付ける前に何度か名無しで投下したが…
仮に今統一されても恥ずかしいんだよね
初めての作品とか完全に黒歴史www
411名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 22:08:23 ID:Wv3f/vvF
>>389
う〜ん、うまいなぁGJ
どうしても会話が多くなる俺涙目〜
ただ、>>397とか>>401も言ってるけど改行部分
少なくとも、句読点が行頭にくるのはやめたほうがいいと思うよ
これからも、楽しみにしています
412名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 22:11:28 ID:muAXrcmo
>>409
確かに……。
ちょっと配慮が足りてなかった。
俺はあなたが言っている事が正しいと思う。
413名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 22:11:45 ID:GCH4Hn1B
では「名乗らない限りは別人として扱う」ということにさせていただきます。
もともと匿名掲示板ですしね。
他の作品と同じ作者であり、作者ページに追加したい場合は
ご自分で編集するか報告フォームにて連絡してください。
それと>>328のタイトルは暫定的に「Elope後日談」として収録させていただきます。
単品のタイトルだったら勝手に決めたりするのですが、シリーズの名前を勝手に決めるわけにも
いかないので無難なところで。
変更したい場合はこれも報告フォームへお願いします。
いつもは黙って保管するんですが、今回は質問&お知らせがあったので、お目汚し失礼しました。
414名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 23:12:45 ID:c+uE4Z61
保管庫でちょっと思い出したんだが

(保管庫の「参考資料その他」より)
>各キャラクターの誕生日とか
>桜庭ひかる       1/25
>八坂こう        2/3
>黒井ななこ       2/8
>小神あきら       2/14

今の時期って結構、なにげに誕生日ラッシュなんだな
415名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 23:26:45 ID:6FqV8qr4
こう言っちゃあれだがまた・・・・あれなキャラの集合ですな

こうはゲームで飛躍したが
416名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 23:31:26 ID:MZRjS5e+
>>415
ななこ「アレいうなや!」
あきら「アレつってんじゃねーよ!」








ななこ「これでも出とる方なんや・・・売れ残りやないんや・・・」
あきら「白石が全て悪ィんだおのれおのれおのれ・・・」
417名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 23:32:01 ID:G58C/Y6o
あきら「あぁ?!」
白石「あきら様っ!」

どうしよう誕生日SS書こうか迷い中
しばらく書いてないからなぁ…
418名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 23:41:55 ID:oQlDs/PM
>>414
まぁ…敢えて一言で斬りすてるならば 地 味 だな。
419名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 23:42:32 ID:NAB2jA/B
今月はバレンタイン傑作SSの投下注意報だしょ
420名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 23:46:50 ID:M4ujm9jq
>>419
リアルで体験ないから無理っす。書けないっす。
悲しいことなら、いっぱい書けるっす…
421名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 23:48:16 ID:bFXLRSEi
> バレンタイン傑作SS
みゆきの発明した「こなたんチョコ化光線」でチョコレートになったこなたを
みんなで頂くんですな
422名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 23:49:03 ID:GRpydnvO
>>415>>418
なんという命知らず……

>>420
つかさが活躍しそうだ
くになま的な意味で
423名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 23:49:19 ID:SUiIbBbD
>>420
自分でチョコ作ってPCの前に供えれば幸せなんだぜ
味とか形とか考えながら作っても楽しいし
424名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 23:52:09 ID:GRpydnvO
あ、>>422>>419へのレス
>>420よ、すまぬ

……この際だから書いてみるとかw
425名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 23:53:45 ID:GRpydnvO
>>423
ななこせんせーこんばんわー
426名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 23:54:31 ID:X4+ttMdI
>>420
悲しい話wktk
ゆたか→こなたとか
つかさ→こなたとか
報われない恋でどうだい?
427名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 23:57:27 ID:bFXLRSEi
ところで、投下者名の件なんだけどもこの際、

**************
・まとめサイトへの作品収録の関係上、SS投下時には作者名(ハンドル)を明示してください。
・ハンドルを決めかねる場合は、初めてSSを投下する(した)際の「スレNo.-投下No.」(例:12-345など)でお願いします。
※特にハンドルの記載が無い場合、作品は「小ネタ」に分類されます。
**************

という具合にしたらどうだろうか?

今までの流れから決まった事だとは思うけど、作品数の増加や、これからの
まとめ管理人や保存屋さんの手間も考えて今後の改善案の一つとして提示してみた
428名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 23:59:16 ID:NAB2jA/B
>>421
それなんて魔人ブウ
429名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 00:06:07 ID:zD2TGxsm
>427
そりゃ、不要だとおも。

SS投下は、保管庫に掲載する為にしているんじゃないから。
あくまで、スレへの投下が主で保管庫は、補完するものだから、
保管庫の利便性を高めるために、名無しさんの投下SSを小ネタ扱いに
すべきではないし、する必要もない。
430名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 00:15:31 ID:q+Si7gOg
>>427
2ch、及びPINKちゃんねるへの書き込みは基本が名無しさんなんだし、
HNはあくまでも"個人識別用"という扱いじゃないか?

通りすがりで投下する人もいるだろうし、そこまでキツく縛るのは無いほうがいいと思う。
431名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 00:31:24 ID:l7jZ2uID
>>429-430
半年前位ならそれも判るんだが、まとめが既に補完の域を
越えてると考えている俺としては改善案に一票入れたい

ハンドル強制は論外だけど、レス番表記可なら負担にならない
だろうし
432名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 00:33:16 ID:OiTO96te
ここではもうコテは半ば普通にいるけど、
大概の板やスレでは、コテはあまり歓迎されないのが通常だしねー

あ、俺の今の意見、コテ否定じゃないからねっ!勘違いしないでよねっ!
コテの人もコテじゃない人も、今までどおりがんばれー!
433名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 00:35:05 ID:4RY6/hnt
縛りはない方が良い
敷居が上がったんじゃ本末転倒だ
434名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 00:36:56 ID:6/XOfLqD
ここは作品が多すぎるからむしろ読む側のためのコテハンだよな
435名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 00:44:34 ID:zD2TGxsm
>431
保管庫に無理に入れてもらう必要はないわけだけど。

但し、申告がない限りは自動的に入るという、ローカルルールがある以上、
名無しさんを、固定ハンドルと差をつけた扱いをすべきではないんじゃないかな。
436名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 00:54:22 ID:q+Si7gOg
一応参考に書くと、巨大保管庫の一つである「2chエロパロ板SS保管庫」では
名無しさん群は「名無しさん」でまとめられるのではなく、そのスレの番号と
そのレスの番号を結びつけて書かれている。

"35-436様: (作品名)"

といった感じで。根本的な解決方法ではないし、これまでのも書き換えないと
いけないんじゃないかという手間も出そうだけど、識別の方法として
こんなのもあるってことで。
437名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 01:05:54 ID:8T6ffAfG
んー、今の状況で特に名無し投下で困ったことにはなってないんだよね
数字コテの件は、それが必要になったときにまた議論すればいいかと
これがもし「名無しさん総合のページが重くなりすぎてるから、複数作品ある人はまとめてくれ」
ってんなら話は別だが

「備えあれば憂い無し」とはよく言うけど、
「備えてた梨が熟れすぎて腐った」になったらダメだこりゃ
438名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 01:10:08 ID:cYqH7sFU
コテさんが、過去の名無し作品をカミングアウトするのはありだとは思う。



俺には、まだそんな勇気はないがなw
439名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 01:15:12 ID:dsNi+GGC
こっそり修正を発見したら生暖かく見守ってくださいw
440名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 01:31:00 ID:OiTO96te
「お、なんやなんや、ついにワイの出番か!?」
「せんせー、急にどしたんですか(=ω=.;)」
「いやあ、さっきからコテ、コテってさわいどるさかいな」
「(せんせー・・・その発想自体がすでにコテコテですから!(=ω=.;))」
44123-49:2008/02/02(土) 01:53:46 ID:COiCoPeK
ども、流れぶった切りですが23-49です
さっぱり筆が進みません、ってゆーかあさっての方向に進み始めて困ってます
というわけで放出放出
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【 圏外魔境 】


 つかさの部屋から自室へと戻り、再びベッドに倒れこむ。
「……女の子同士、か」
 それは奇しくも私自身が抱える問題と重なっていた。
 つかさのことは、適当に言いくるめて黙らせることができたけど。
「あんなので、よかったのかな……」
 良いわけがない。
 逆に言えば、適当にいいくるめて黙らせてしまったのだから。ちっとも逆じゃねえ。
 とにかく、もっと真剣に向き合わないと。
 それにはまず、あの子の気持ちを理解してあげることだ。
「……って言ってもねぇ……」
 同性相手への、性的な意味での抵抗。
 それが『ない』というのがどういうことなのか、正直言って分からない。実感が湧かない。
 ならば具体例を挙げてみるのがこういう場合のセオリー……ではあるんだけど……
 それはつまり、自分が同性相手に、その……そういうことをする場面を想像してみるということだ。
 めちゃくちゃ気が進まない。――けど、
「……やるしかない、か」
 となると問題は、相手を誰にするか、だ。

“――柊姉には泉さんが”

「……やかましい」
 浮かんだ声に渾身の右ストレートを叩き込んで黙らせる。
 なんであんたらの口車に乗んなきゃなんないのよ。
 それにどっちみち、こなたは駄目だ。だってアイツ女の子っぽくないし。
 理由が理由なんだから、もっと女性らしさのある人でないと。
 身の回りで言えば……みゆき?
「いやいやいや」
 峰岸。
「待て待て待て」
 土曜日だけど明日も学校はあるんだぞ。どんな顔して会う気だ。
 もっとこう、距離のある人じゃないと。
 例えば学年の違う委員会仲間。
 卒業した先輩。
 ――教師。
「あ」
 そうだ。
 あの人なら、会うこともあんまりないし、女性らしさもあるし、人となりもそれなりに知っている。
 しばらくあの場所に近寄れなくなるけど、まあなんとかなるか。
「……よし」
 いや、よくはないけど。
 ともかく仰向けに寝なおし、目を閉じる。
「天原先生……」
 その姿を脳裏に浮かべながら、手を胸に (この平行世界は剪定されました)

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

何をやってるんだ本当に・・・・
いやでもやっぱり一本ぐらいエロいの書くべきかなあ・・・・・
442名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 01:55:45 ID:xzAyZnx/
>>441
……終りなの?
443名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 02:07:33 ID:wL31mn1y
>>441
明後日の方向なら、あやこなでエロとかどうすか?
……とかいうのはかがみが怖い事になりそうなんで止めとくが全裸待機してるよ!
444名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 02:14:44 ID:OiTO96te
こなたをほかとくっつけーると
かがみが、くるぞー
つんでれついんのかがみが、くるぞー
445名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 02:26:18 ID:kHOCVSDW
もっと長くまとめてから投下した方が良いかと。
じゃないともどかしくてたまらんww
446名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 02:26:44 ID:cYqH7sFU
>>441
あさっての方向にキャラ達が勝手にしゃべりはじめたなら…
キャラ達に任せてみれば?
447名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 04:01:55 ID:ZtTOAkXd
>>389
GJすぎる・・・なんかこう、胸に来るものがありますな。
やっぱり普段がああだからって片親だってのを気にしてないはずがないんだよね…
二人の関係はやはり親友とかを超越してる気がする。
448マハトーマ:2008/02/02(土) 05:06:46 ID:Fex5iHwF
こなた「う〜〜ん・・・勇者、え〜とぉ僧侶、商人。」
つかさ・ゆたか「ほ?」
かがみ「急に何言ってんだぁ!?」
こなた「いやあ・・・ドラクエVのキャラをみんなの名前でしたいんだけど、職業は どうなるかって。」
こなた「わたしはプレイヤーだから当然勇者!」
こなた「つかさはイメージ的に(使えそうで使えない)商人。」
こなた「ゆ〜ちゃんは攻撃より回復専門の僧侶。」
かがみ「なるほどねえ・・・さしずめわたしは遊び人とか盗賊とか言いたいんでしょ。」
こなた「ふ〜む いやぁ〜かがみは『人気のツンデレ・ツインテ・キャラ』だから『一番人気の武道家』だよ。
かがみ「『人気の』って 気恥ずかしいから やめてくれ・・・・。」
つかさ「おもしろいねえ、他の人はどうかな?」
こなた「ひよりンは 妖しげな攻撃魔法をあやつる魔法使いかな。」
ゆたか「岩崎さんはクールでカッコいいから盗賊かなぁ。」
つかさ「ゆきちゃんは頭良いし物知りだから賢者かな。」
こなた「ふ〜〜む みゆきさんは何と言っても戦士でしょう。」
こなた「ビキニ・アーマー姿見たいよお 特にあのヘンを。」
かがみ「発想がオヤジだよ・・・。」
449名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 05:24:32 ID:6/XOfLqD
パラレル的なネタ考えてるんだけど、やっぱそういうのは不評なのかね
というかどこまで許されるものか気になるぜ


まぁ二次創作の時点でパラレルだ、と言ってしまうとそれまでなんだが
450名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 05:28:50 ID:cYqH7sFU
>>449
まずは、投下してからでも。
451名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 05:41:34 ID:6/XOfLqD
>>450
ごめんまだネタだけwwww
ファンタジー的な感じの電波がきたんだけど、なんか似た感じで久留里氏が最近叩かれてたからさ
ある程度ぐらいは設定自重すべきかなって



というかぶーわ氏と久留里氏の違いを教えて欲しいんだ
超設定という点では異世界飛ばされものとかって一緒じゃないかと思うんだけど
452名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 06:06:10 ID:bTxQ6YwE
>>451
GJが貰えるとは限らないが、作者さんは「書きたいものを書いて投下」すればいい
その際、SSの内容(特に鬱とか死とかの注意点。>>1や常連さんの投下を参照)を明記してくれれば何の問題も無いんだぜ

というか「読みたいものだけを読む」のがセオリーなんだから、叩いてる連中なんて気にする必要は無いのさ
それをアドバイスと取るかどうかは作者の自由だと思うけど
453名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 07:44:27 ID:QMHHSp+z
っていうか、以前にそんな内容のSSが投下されてたぞ。全然続きが来ないが。結構続きが気になってるんだけどなぁ。
454名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 07:47:41 ID:Ue0Xay7V
ちょっと質問携帯から失礼します、らきすたキャラで時代劇物の話ってアリでしょうか?今度初めてSS書こうと思うのですが…
455名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 08:12:41 ID:hPY2YkF3
アリだと思う人にとってはアリだし、ナシって人にはナシだろうねぇ。
ま、書きたいものを書いて投下すればいいさ。きっちり前書きで注意入れとけば問題なし。
456名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 08:29:36 ID:HJrKRKOk
まぁ平安時代の話とかもあるし問題ないだろうが…
ただあまりにもらき☆すたとかけ離れたものだと「ナシ」だと思う人が多そう。
原作設定がほとんどそのままでは使えなくなるから、
最低限キャライメージだけは踏襲して欲しいかな。
457名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 08:49:48 ID:zD2TGxsm
>451
全然問題ナッシング。注意書きをした上で、自信をもって投下されたし。
何かいわれるかも知れないが、別に気にすることはないです。
SSは他人がダメといったから、引っ込めるってものではありません。
書きたいから書くという強い気持ちでのぞんでくださいな。
458名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 08:54:46 ID:zD2TGxsm
レスあんか間違えたorz
>451氏でなくて、>454氏です。訂正いたします。
45918-230:2008/02/02(土) 10:30:01 ID:A6PsC3kI
>>
46018-230:2008/02/02(土) 10:36:52 ID:A6PsC3kI
あらら、書き込む前に押してしまった……orz

>>454
大丈夫だと思いますよ?
自分のSSも妄想だだ漏れですし(ぁ


というわけで、お久しぶりです……かなり
前の投下ではこのカップリング好きな人が居て結構安心しました
でも投下はかなり遅れてしまったorz
だって桜藤祭が(ry

それでは以下注意事項です
・みさお&白石
・エロ無し
・12レスです
・受け付けない方はスルーで
あと携帯からなので文体がおかしいかもしれません
では
46137th lucky! 第9話(1/12):2008/02/02(土) 10:39:10 ID:A6PsC3kI
あの騒ぎからしばらく、俺たちはまるで何事も無かったかのように日常を送っていた。
……いや、色々あったか。
次の日かがみと峰岸を説得したりとか。
あきら様が『私も住む!』って言ったの止めたりもあったな。あれは多分酔った勢いで言ったんだろう。
いや、そんなことは、今俺が抱えてる問題に比べれば些細なことか。
そう、その問題だ。
……最近みさおの様子がおかしい。
部屋に帰ってきてもあんまり喋らないし、何か話しかけても飯に関すること以外はほとんどに返事が無い。
原因を調べようにも、まだ日が浅いせいで、それも出来ない。
……でも、みさおの悩みを解決しなければならないのは分かっていた。
あいつを助ける責務は、俺にあるような気がしたからだ。



――――



「うぃーす」

昼休み。
いつも通り軽い挨拶をして、C組の教室に入る。
最初は違和感があったこんなことも、今ではすっかり慣れっこになっていた。

「こんにちは、白石君」
「……」

峰岸からの返事はあったが、みさおからの返事は無かった。
……やっぱり変だな。

「どうした? 最近いつもそんな調子じゃないか。どこか体の具合でも――」
「……っ」

46237th lucky! 第9話(2/12):2008/02/02(土) 10:41:21 ID:A6PsC3kI
そこまで言いかけたところで、いきなり席から立ち上がるみさお。

「……みさお?」
「どうしたのみさちゃん?」
「……ちょっと昼飯忘れちまってさ。購買行ってくる」
「は? お前何言って」
「んじゃーまたなっ!」

また俺の言葉を遮って、逃げるように教室を飛び出すみさお。
それを俺と峰岸はただ見てることしか出来なかった。
ちなみにあいつは、俺の作った弁当はちゃっかり持って行っている。つまり弁当を忘れたということは、あり得ない。
今は見逃したが、多分手には弁当の包みがしっかり握られていた筈だ。

「どうしたのかしら……。白石君は何か知ってる?」
「すまん、俺にもさっぱりだ」
「そうなんだ……」

俺の言葉を聞いて、峰岸は残念そうに呟く。

「白石君と喧嘩してたのかなって、そう思ってたんだけど……」
「……え?」

それを聞いて、俺は思わず峰岸に聞き返していた。

「何でそう思うんだ? 出来れば教えてくれ」
「うん。……前はみさちゃん、よく白石君の話をしてたの。でも最近、そういうのが無くって。だから、白石君とみさちゃんが喧嘩したんじゃないかって……」
「……そう、だったのか」

46337th lucky! 第9話(3/12):2008/02/02(土) 10:43:38 ID:A6PsC3kI
それを聞き、返す言葉が詰まってしまう。それぐらいの衝撃を受けた。
今までのあの様子は、全部俺が居るとき以外は無かったのか……。
でも。……だったら、やるべきことは決まった。

「分かった。俺がなんとかする」
「え? でも、白石君にも分からないんじゃ無かったの?」

その言葉に頷く。

「確かに、さっきも言ったけど、俺には何が原因か分からない。けど……」

けど、俺が原因なのは明白だ。
なら、俺が解決するべきだろう。

「だから、これは俺に任せてくれないか? 絶対になんとかするから」
「……分かったわ。白石君、みさちゃんを元気にしてあげてね?」「任せておけ」

今の俺には、そんな気休めの台詞しか言えなかった。
こんなに寂しそうな峰岸の顔を見ていたら、単なる慰めの言葉だけで傷つけてしまいそうだったからだ。
結局、この後俺たちは、二人で静かに昼飯を食べ始めた。
そして結局、みさおは昼休み中に戻っては来なかった。



――――



46437th lucky! 第9話(4/12):2008/02/02(土) 10:45:55 ID:A6PsC3kI
翌日の昼休み。
俺は、早速自分の机で弁当の包みを開く。
みさおの様子を見る為に、まずは今日からC組に行かないという方法をとった。
峰岸には上手く言っておくように伝えてあるし、みさおが不思議に思うことも無いだろう。
……結局、部屋に居れば顔を合わせることにはなるんだが。
こんなことしか思いつかない自分悲しい。
そんなふうに感傷に浸っていると、泉が俺のほうへ近づいてきた。

「あれ? セバスチャン、今日は隣行かないのかい?」

セバスチャン言うな!
……と言いたかったがそこはなんとか堪える。

「で、何か用か?」
「今言ったよ。今日は隣行かないのかなー、ってさ」
「別に。何だっていいだろ」

泉の事を無愛想に突っぱねて箸を取ろうとする。
と、

「……やっぱりみさきちと何かあったんだ?」

泉の発言によってその手が止まる。
……いきなり核心を突かれるとは思わなかった。

「泉……なんで分かった?」
「そりゃ最近のセバスチャン見てれば、みさきち目当てで行ってるのはバレバレだよ」
「違う、俺はただみさおが心配なだけでだな」
「まあまあ、そう謙遜しなくていいよ。私の場合、身近に例が居るから分かるんだって」

46537th lucky! 第9話(5/12):2008/02/02(土) 10:48:10 ID:A6PsC3kI
一瞬、横から鋭い殺気が放たれた気がした。
……が、振り向くと生きて帰れない気がしたので、とりあえずスルー。

「ねぇ、何かあったの? お節介なのは解ってるけどさ、話してくれれば力になるよ」

泉からの提案に少しの間悩んだが、話すことにした。
相談出来る相手が居るに越したことは無い。
今の俺じゃ何も分からないしな。

「……分かった。じゃあお前だけに話すぞ?」

こうして、俺は最近のみさおの様子を過不足なく話し始めた。
そしてそれが終わると、泉は何故かニヤニヤし始めた。

「初々しいねぇ。お姉さん恥ずかしいよ」
「誰がお姉さんだ。それより、なんだその顔は? 本当にちゃんと考えてるのか?」
「大丈夫だよ。今の話で原因は簡単に分かっちゃったし」
「本当か!?」

思わずガタッ、と音を立てて席を立つ。

「ほらほら。落ち着きなってセバスチャン」
「す、すまん……」

その台詞とともに、席に座る。
その場で少し気を落ち着けてから、俺は話を戻した。

「で、原因が分かったんなら教えてくれ。今すぐに」
「……いいの? それで後悔しない?」
「後悔も何もあるか。いいから早く」

46637th lucky! 第9話(6/12):2008/02/02(土) 10:50:19 ID:A6PsC3kI
まさか1日で答えが出るとは思わなかった。
その答えを今すぐ知りたくて、泉を急かす。
……焦り過ぎだな、俺。
もちろん理由はある。峰岸と約束した以上、この問題は早く解決して、不安を取り除くということが一つ。
もう一つは……みさおの元気じゃないところなんて、もう見たく無かったからだった。
そして、うーむと唸っていた泉から、その答えが告げられた。

「恋だよ恋」

……は?

「あー……なんだって?」
「だからー、恋だってば。セバスチャンもみさきちフラグが立ったか〜。いやー、苦労した甲斐があったヨ」

待て、お前はどういう苦労したんだよ。
一切関わって無いんじゃないか?

「で、セバスチャンはみさきちのことどう思ってるわけ?」

泉は唐突に、とんでもない質問をしてきた。
そして、それに俺は、

「……」
「……」
「……」
「……」
「へんじがない ただの」
「まだ死んでねえよ!」

と、反射的にツッコンでしまった俺を、これまた泉はニヤニヤと笑っていた。
そんな泉からプイ、と顔を背ける。

46737th lucky! 第9話(7/12):2008/02/02(土) 10:52:29 ID:A6PsC3kI
「ほっほーう、これはますます……。で、結局どうなの? 無言イコール肯定ってことでいいのかい?」
「……そういうことにしてもらえると助かる」

ちくしょう、何だか恥ずかしい。
誰かにこんな女々しい事を話すなんてな……。
しかし、再び泉の方へ向き直ると、さっきとはうってかわって真面目な表情をしていた。

「ふーむ。これは相思相愛って奴かな?」
「……まあ、そうだったらいいけどな」

これは仮にみさおが俺のことを……好きだったらの話だ。
みさおが俺のことが嫌いな可能性だって十分にある。
一応同じ場所に住んでるんだ。俺自身が気が付かないうちに、あいつが嫌になる何かをしてないなんて保証は、どこにも無いんだからな。

「可能性は半々かな……? でも、それだったら告白しちゃったほうがいいって」
「そんなこと言われてもな……」
「大丈夫、人間はそうやって傷つくことで育っていくものだよ」
「失敗が前提かよ!」
「あっはっは、冗談だよ冗談。……でもさ、時間があるなら余計に早く言わないとね」

そう言うと、泉は向こう側に居るいつもの面々を一瞥して、俺のほうに向き直る。

46837th lucky! 第9話(8/12):2008/02/02(土) 10:54:47 ID:A6PsC3kI
「さて、私はそろそろ戻るよ。つかさとみゆきさんが待ってるし、何よりかがみが寂しそうにしてるからね」

その時、また横から「誰がウサギだ!」という抗議の声が聞こえたような気がするが、またスルー。

「それじゃあアドバイス。言うタイミングは……今日がいいかな? あんまり時間はかけてられないからね」

よりにもよって今日かよ。
……言わないで先延ばしにするよりかはいいだろうけど。

「……努力はする」
「その意気やよし。んじゃ最後に一言」

そう言うと、普段とは違う、いつになく真剣な表情で泉は、

「頑張ってね。言わないで後悔するのだけは、絶対にしちゃ駄目だよ」
「……ありがとう、泉」

俺の返事を聞いた泉は満足そうに頷き、そのままいつもの3人のところへと戻って行った。

「……さて、どうするか」

まあ、どうするもなにも無いか。やることは唯一つ、決まっている。
さっき泉が言ってたように、後悔だけはしたくない為にも。



――――



46937th lucky! 第9話(9/12):2008/02/02(土) 10:56:53 ID:A6PsC3kI
「ただいま」

その言葉とともに部屋のドアを開ける。
そのドアに鍵はかかっていなかったから、先に帰ってきているようだ。
部屋に入ってから数歩進んでその奥を見ると、案の定みさおはそこにいた。
しかも俺に背を向けて体育座りをしていた。
……事情を知らない奴が見たら引きこもりに見えるぞ、これ。
とりあえず部屋の真ん中ぐらいまで歩き、みさおの後ろで立ち止まる。

「……」
「……」

……気まずい。
この後何をすればいいんだろうか。
泉は結局何したらいいか教えてくれなかったし。
今から告白するという重圧に、脳がパンクしていたのだろう。
こういう場合は……あれだ。抱きしめるのか? なんて解答を選んでしまった。
……というわけで、とりあえず後ろからぎゅっと抱きしめてみる。

「うわっ!?」

みさおが驚いて声を上げる。普通なら仕方無いよな。

「なっ、ななな何してるんだよっ!」
「何って……抱きしめただけだ。気にするなって」
「む、無理に決まってるだろ!」

47037th lucky! 第9話(10/13):2008/02/02(土) 10:59:04 ID:A6PsC3kI
そりゃそうか。
っていうかおかしくないか、俺。普通こんな事したら顔真っ赤になるだろ?
でも……これは逆にチャンスなのかもしれない。
そんな感覚が麻痺してるんだったら、伝えたかったことも、あっさりと伝えられそうだ。

「お前に話したいことがあるんだ。……いいか?」
「……」

話しかけるが、やっぱりみさおからの返事は無い。
その無言を、泉の様に肯定と受け取って、話を進める。

「話すことって言っても、たった一言なんだけどな」

自然と抱きしめていた腕に力が入る。
そして、

「みさお。……お前の事、好きなんだ」

……言ってしまった。しかも随分あっさりと。
ともかく伝えたかったことは伝えられたらしい。
実感が湧かないのは当たり前だろう。何せ、脳がパンクしてるんだからな。
……暫く沈黙が流れる。
すると、みさおを抱きしめていた腕に少し力が入った。
そして、

「……うん、私も」

自分に言い聞かせる様に、ゆっくりと。はっきりと。

「私も、みのるの事、好きなんだ」

俺の問いに、そう答えた。

「よかった……」

完全に安心したのか、自然とその台詞が口からこぼれ出ていた。

47137th lucky! 第9話(11/13):2008/02/02(土) 11:01:13 ID:A6PsC3kI
「そりゃこっちの台詞だってば。もし駄目だったらどうするつもりだったんだよ?」
「その時にならなきゃ分からないだろ、そんなの。大体お前だってそうだろ?」
「……まあな。でも、私も良かったって思ってるんだぞ? こんなに私たちは、お互いの事好きだったのにさ。私はそっから逃げてばっかで、みのるが困ってるのにも気付かないで……。なーんか、無駄に悩んじまったなーって。さっさと好きだ、って言えばよかっただけなのにさ」
「お前はバカだからな。そんな難しい事考えられる訳無いだろ?」
「……相変わらずひっでー奴」
「その相変わらずが一番なんだよ」
「なんか納得いかねーなぁ」

と、そのときだった。

ぐ〜〜〜〜。

「……お前、雰囲気ぶちこわしてんじゃねえよ」
「あはは……。人間の食欲は押さえらんねーぜ」
「全く、本当に相変わらずだよ、お前は」

そう言って、俺は腕を離して立ち上がる。
……と、そこでようやく気付いた事があった。

「さっきはすまん。いきなり抱きしめたりとかして……」

あれは俺がやったんじゃないかと、今でも思う。
多分、もうあんな突発的な行動は出来ないだろう。

「気にすんなよ。だって」

47237th lucky! 第9話(12/13):2008/02/02(土) 11:03:19 ID:A6PsC3kI
みさおは、俺が抱きしめた部分を掴んで言った。

「みのるの腕、あったかかったからさ」

そう言った後、日下部の顔は赤くなっていた。
かく言う俺も真っ赤になってるはずだ。多分みさおよりも。

「……ほ、ほら! さっさと飯作れって!」

自分で言っててよっぽど恥ずかしかったのか、みさおは俺を台所へと押しやった。
恥ずかしいんだったら言うな、という話なんだが……。まあいいか。
そして着替えるのが面倒だったので、制服のまま準備に入る。

「で、今日は何がいい?」

と、みさおに聞いてから思い出した。
――この問いかけも久しぶりだな、と。
で、みさおの返事もいつものように

「ミートボール! 今の私は肉に飢えてるぞ!」
「肉食獣かお前は」

今日のおかずは肉100%以外拒否されそうな勢いだ。
どうやら大人しく従うより他に無いらしい。
早速冷蔵庫に手を伸ばし……手を止める。

「やっぱり、まだ実感湧かないな……」

俺の頭や体が、いつも通りのスケジュールをこなそうとしている事がその証拠だ。
お互いがあっさりし過ぎなんだろうな、これ。

47337th lucky! 第9話(13/13):2008/02/02(土) 11:05:36 ID:A6PsC3kI
「ま、いいんじゃね? 何事もいつも通りがいいんだよ。な?」
「分かってるって。それに、その台詞は俺がさっき言ったぞ」
「あれ? そうだったっけか?」
「……もういい」

何か、今日も色々な事が起きすぎて疲れたな……。
しかし、いつも通りに戻ると、こういうドタバタがまた毎日押し寄せてくる訳で、それははちょっときつい気もする。

「……ま、いいか」

それでも、喜べることはあるんだ。
いつもと変わらない、でも少し変わっているはずの日常。
向こう側に居る、無邪気なあいつの笑顔。
ようやく俺は、そんな大切なもの達を取り戻したんだから。
47437th lucky! 第9話あとがき:2008/02/02(土) 11:07:48 ID:A6PsC3kI
投下終了です
1レスオーバーorz

しかし、恋愛描写難しいなあ(´・ω・`)

そして次で終わり……なはず
またしばらく開きそうな気もしますが、気長に待って頂ければこれ幸いです

それでは
475名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 11:10:30 ID:wth/5JKB
>>474
リアルタイムで読了。
恋愛描写は確かに難しいが、気づいてしまえばあっさり普段どおりになるのも
この子達らしくて良いような希ガス。ぐっじょぶ。
476名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 11:14:55 ID:UifMAlu0
>>474
リアルタイムGJ
やったー好きな話キター!
いつもこれ読みながら、「これあきら様何て言うかな〜」とか考えてしまうw
だめだにやにやが止まらないw
477名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 12:25:38 ID:d17vXHby
2つ前のスレでななこ先生とオリキャラ物を書いてた奴です。

「kissは少しだけ背伸びして」の第2話ができたので投下するっす。

・オリキャラ(男)がいる
・基本シリアス。非百合
478477:2008/02/02(土) 12:42:11 ID:d17vXHby
……あれ?
書き込んでも、認識してねぇ……。
479477:2008/02/02(土) 12:45:10 ID:d17vXHby
【KISSは少しだけ背伸びして・2】

 夜に浮かぶ月と、月明かりに照らされた海。
 波の音すらも、何処か幻想的に聞こえる。

「夜の海って、綺麗なんやな」
 私がそう言った時、彼はその隣りで笑いながら口を開いた。
「そりゃそうさ。月が見えるから、尚更神秘的に見えるしな」
「兄貴に言わせりゃ、ななこさんの方が綺麗だって」
「おい、雷斗!」
 彼が怒鳴ると、雷斗は「あはは!」と笑いながらその場から思いきり跳んだ。
 そう、海に向かって。
「うわ、冷たっ!」
 海面から顔を出した彼は口を開くなりそう叫んだ。
「今は秋だぞ雷斗。冷たいと解っててどうして飛び込むか弟よ」
「えー、だってこんなに月と海が綺麗なんだぜ? 飛び込みたくもなるさ」
「飛び込んだらあかんて、海斗ぉ、風邪ひくやん………って、海斗ぉっ!?」
 遅かった。私が目を離している隙に、海斗は飛び込みのモーションにまで入っていた。
「どれ、ならば飛び込んでやろうではないか弟よ! そらっ!」
「か、海斗ぉーッ!」
 水の音と共に、彼は海面にぽっかりと首だけ出して私を見上げた。
「ななこ、なかなか気持ちいいぜ? ななこも、飛び込んできなよ」
「大丈夫だよ、ななこさん。兄貴が、受け止めてくれるって」
 彼も、雷斗も、そうやって笑う。

 けど、私には見える。
 2人が遠くに、遠くに、流されていくのが見える。手が届かない位に。

「海斗ぉっ!」
 叫んだ。だけど、2人は笑って、手招きするのをやめない。行って欲しくないのに。
 そう、行ってなんか欲しくない。それ以上行ったら、戻ってこれなくなるから。
「海斗ぉッ! 海斗ぉーッ!!!!!」


「―――――海斗ッ!」
 目を開いた時、何処かで見たような天井が視界に飛び込んできた。
 記憶を探ってみる。そうだ、確か5時間目の始まりから保健室で寝てたんだっけ。
「珍しいな、黒井先生が男の名前を言うなんて」
「魘されていたみたいですけど……大丈夫?」
 ベッド脇で、同僚の桜庭先生と養護教諭の天原先生が私を見ていた。
「え………ウチ、思いきり寝言言ってた?」
「そりゃあもう思いっきりな。男の名前を連呼してたぞ」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ」
 この2人に聞かれていたか。しかし、あんな夢を見るなんて久し振りだ。
 海斗と、雷斗の兄弟が揃ってる夢を見たのは。
480477:2008/02/02(土) 12:47:36 ID:d17vXHby
「黒井先生なら、保健室に行ったよ」
「そ、そうですか。すいません、どうも」
 俺は近くにいた先生にそうお礼を言ってから、職員室を出た。
 放課後なら掴まると思ったが、どうやらそういう訳にもいかないらしい。
「参ったな……」
 俺がそう呟きつつ教室に鞄を取りに戻ると、まだ教室に人影が2つ、残っていた。
「あ……ゆたかちゃんに、みなみさん?」
「お帰り、雷斗君」
「先生に……会えた?」
「いや。会えなかった」
 俺が首を振って見せると、2人は少しだけ残念そうに俺を見た。
「そうなんだ………」
「雷斗は………黒井先生と昔何かあったの?」
 やっぱり聞かれたか。それを聞くのがひよりさんじゃなくてみなみさんってのが少し意外な気がするが。
 って、それはどうでもいい事だ!
 さて、どうやって答えるんだ俺?
 魔法カード、エマージェンシーコールを発動!「E.HERO」と名のつくモンスター1枚を手札に銜えて―――――って違う!
 落ち着け、クールになれ篠崎雷斗。敵はいつ襲ってくるか解らないぞ。
 時間だけが無情に過ぎていく。黙ったままお茶を濁すのも悪い気がする。クールになった俺の思考が導き出した答えは。
 ―――――チンッ!
「俺の兄貴の、大学の時の同級生でさ、昔、よく家に来てたんだ」
 あながち嘘は言ってない。そう、よく家に来てたのも兄貴の同級生であるのも嘘じゃない。
 本当はそれだけじゃないだけの事。
「……そう」
 みなみさんはそれで納得してくれたのか、そう答えて黙り込んだ。
「……ねぇ、雷斗君、一緒に帰らない?」
 ゆたかちゃんがすぐに口を開く。女の子の方から一緒に帰ろうという誘いが来るとは……俺って幸運だな。
「うん、いいよ」
 俺がそう答えると、みなみさんが少しだけ笑ったような顔を見せた。
 もっとも、微々たる変化だったから見間違えかも知れないが。
 そう、多分……。

481477:2008/02/02(土) 12:48:17 ID:d17vXHby
 チェーンが切れてしまったチャリ助6号を押して校門まで行くと、既に2人は待っていた。
「悪い。待たせたか?」
「ううん、全然待ってないよ」
「自転車……チェーン、切れてる」
「おう。今朝、ブッツンとな。後で自転車屋に行かんと」
 俺が頭を掻きつつそう言うと、みなみさんは思いだしたように口を開いた。
「この近くに………自転車屋さんある」
「え? 本当? 場所、教えてくれる」
「こっち……ゆたか、少し遅くなるけど……」
「大丈夫だよ、みなみちゃん。雷斗君の自転車、直してあげないと」
 ゆたかちゃんの言葉にみなみさんも頷き、俺を自転車屋へ案内し始めた。


「これ、新しく買い直した方がいいよ?」
 俺の自転車を見るなり、自転車屋はそう告げた。
「嘘ぉっ!?」
「嘘じゃないって。チェーンが切れてるだけじゃない。タイヤがかなりすり減ってるし、フレームも歪んでるし……どうしたんだい?」
 チェーンが切れたのは今朝ですけど。
 ああ、タイヤがすり減ったのは自転車でアホみたいな速度を出しまくったせいでしょうか?
 フレームが歪んでるのは何度か小学生に横から追突されたせいでしょうか?
「……多分、全部だと思う………」
 みなみさんはそう言ってから自転車屋に向き直った。
「…………買い直した方がいいって事は……どの自転車が修理費より安くなるの……?」
「あ、そうだ。それ、俺も気になってたんだわ」
 つーか、買うのは俺だけどな?
 まぁ、確かにデザインとか値段とか色々考慮しないといけない点はあるけど。
「そっちより先は安い方だよ」
 自転車屋に礼を言いつつ、並ぶ自転車を見てみる。
「これ、可愛いね」
 ゆたかちゃんが近くにあった桜色に染められたフレームを見ながら言うと、みなみさんが口を挟んだ。
「……ゆたか、自転車を買うのは雷斗だよ………」
「ふぇ? ああ!」
「む、確かにな……」
 実は正直、目立ち過ぎる色はあまり好きではない。
 黒とか藍色とかグレーとかそういう色の方が……。
「(でも、フツーっぽいこの金属そのまんまってのは好きじゃないしな)」
 まったく、俺も我が侭な奴だ。そう思って、自分で苦笑する。
 かと言って、欲しくないかと聞かれるとそうではない。チャリ助7号を早く買わなければ明日の俺は遅刻する。

 そこで、近くにあった自転車が目に留まった。
 6号はMTBだったので、MTBにしようかと思っていた。だが、目に留まったのはMTBではない、シティサイクル。
 だけど俺は………その自転車に決めた。
482477:2008/02/02(土) 12:49:01 ID:d17vXHby
 走りに走ってひた走る。早きこと風の如くで兵は神速を尊ぶ。………風林火山も兵法も今はどうでもいい。
「おおっ、快調過ぎるぞチャリ助7号!」
 俺がそう声をあげた時、荷台に座っていたゆたかちゃんが急に背中を叩いた。
「ん? どした? 気分、悪くなった?」
「う、うん。ちょっと」
「む、そうか。なら、少し休むか」
 俺は減速して、ゆっくりと止める。
 新しく買ったチャリ助7号の色はエメラルドグリーン。見た目もそうだが、何となく気に入った。
 MTBで無い分、悪路に多少弱そうだが別に構わない。どうせ一般道しか走らないのだし。
 ちなみに、何故俺がゆたかちゃんを後ろに乗せているかというと、みなみさんの家は結構遠いとの事。
 俺は自転車を新調したので、送ってこうかと提案したのだが
「ゆたかをお願い」と言われたので、今、彼女を後ろに乗せていた。
「………綺麗な色だよね、自転車」
「ん? ああ、そうだな」
 まぁ、選んだのは俺だが。しかし、俺は決して緑系統が特別好きという訳では無い。
「何で、その色にしたの?」
「……何だろう? 何となく、なんだよな」
 本当に何でだろう?そう首を傾げた時、ゆたかちゃんがくすりと笑った。
「ん? 何で笑うのさ?」
「だって岩崎さん、雷斗君がそれを選んだ時嬉しそうだったよ?」
「へ? そう?」
 俺がそう思いつつ自転車を改めて見た。そして気付く。
 この色が何処かで見覚えがあると思ったら。みなみさんの髪の色と、同じ色だった。
 自転車屋を知ってると言ったのも、みなみさんで。
 そう言えば……お礼を言ってなかった………。
「………むぅ、お礼を言うのを忘れてしまった」
 俺が頭を掻きつつそう言うと、ゆたかちゃんも「明日言うといいよ」と言って頷いた。
 うむ、それならば万事解決。多分。
 俺がそう思った時、後ろから声がかかった。
「いたいた。おーい、ゆーちゃん!」
「あ、お姉ちゃん?」
 振り向くと、こなた先輩が走ってくるのが見えた。かなり早い速度で。つーか、早ッ!
「む。お主、ゆーちゃんを一緒に帰るとは何事か。この重罪人め」
 あのー、こなた先輩?何故、俺が重罪人扱いされねばならんのでしょう。
「自分の胸に聞けい!」
「え? あの? な、なななななな何の事でしょう?」
 その時、何故かブチッと言う音が聞こえた。そう、何か切れる音が。
「…………ななこ先生、泣いてたよ?」
 直後、俺の中で大地が崩落したかと思った。つーか、大地震?マグニチュード7ぐらい?
 頭の中が真っ白になりかけた所で、こなた先輩がメチャクチャ怒ってる事に気付いた。
「……何をしたのか。何があったのかを。言え」「……断ったら?」
「お前に拒否権は無い! ついでにお前に名乗る名も無いッ!」
「そっちは関係ないと思いますよ。少なくともドリルとかヘリに変形する相棒はいませんし」
 こなた先輩を前に、俺の別の苦悩がスタートしようとしていたのだった。
483477:2008/02/02(土) 12:50:30 ID:d17vXHby
投下完了っと。
ふー、ブラウザの設定という身近な敵が潜んでいたとは。

次までにもうちょい文才の修行でもしてみるかと思ふ俺。
484名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 15:04:39 ID:Ue0Xay7V
477さんGJッス!
ちょっと仕事中に思い付いた替え歌投下します。携帯からですが…
こな☆ふぇちの歌
さ〇えさん風
こなたを抱えたみなみちゃん〜お〜おっかけてテーテッテ〜♪
半裸でっ♪駆けてく愉快〜ぃなかが〜みちゃん♪
つかさが〜オチ(気絶)てるぅ〜♪
みゆきが吹いてるぅ(鼻血)ルールルールー♪今日〜もいいフェチ〜♪
仕事中こんな事思い付いた俺終了Orz
485名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 15:33:28 ID:WJQ6BtmL
>>421

砂糖菓子こなたを思い出したw
486名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 16:55:04 ID:xnxYWtcz
ふと思ったことを…
各キャラスレに散らばってるSS達が
過去ログでないと読めなくなるのが、少し悲しい…
487名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 18:55:19 ID:Sicbk9x8
静かだ…
これが嵐(SS投下ラッシュ)の前の静かさってやつか。
488名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 19:14:33 ID:OiTO96te
「荒らし(ウザイ方の意味で)の前の静けさだったりして(=ω=.)」
「縁起でもない事いうんじゃない!」
489名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 19:28:41 ID:/7+bEmBk
三分以内にレスがなかったらパティは俺の嫁
490名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 19:30:31 ID:HJrKRKOk
だが阻止
491名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 19:34:06 ID:OiTO96te
>>490
オウ、アリガトゴザイマース
ワタシはひよりんの嫁デース;;;;














「ゾク・・・ダンボールダンボール・・・」
492名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 19:39:25 ID:bTxQ6YwE
「セツブンは年齢の数だけマメを食べるソウですネ♪ ひよりんのマメは私のモノ、私のマメは私のモノ♪」
「ちょ、それはマメじゃな…アッー!!」
493名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 19:40:53 ID:bTxQ6YwE
「One for all, All for one. ひよりんはみんなの為に、みんなはひよりんのマメに(=ω=.)」
494名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 19:45:44 ID:OiTO96te
「じゃあこなたのマメは私のマメということになるわね」
「おにはーそとー、こなちゃんはーうちー」
「マメといわず全てが私のですだばだば」

「アッー!アッー!アッー!アッー!アッー!アッー!アッー!アッー!アッー!アッー!
 アッー!アッー!アッー!アッー!アッー!アッー!アッー!アッー!
 (歳の数だけ性的な意味で喰われた)」
49543Hev0JB:2008/02/02(土) 20:24:27 ID:ee9udCuW
スレの変わった間の作品全てに盛大なGJ!
〉494
明日はお楽しみですね!
(性的な意味で)
496名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 20:48:56 ID:xwLXMV8X
こなた・みさお×かがみの非エロ投下します。
「お〜い、かがみ〜」
 昼休みの3年C組教室。今日はみさお達とお弁当を済ましたかがみの所へ、隣のクラスからこなたが出張してきた。
「こなたか。どうしたの?」
「別に。遊びに来ただけだよ」
「そう」
「ちょうどかがみも私に会いたがってたみたいだしね」
「はぁ? 何でよ?」
「さっきかがみが私に会いたがってる思念波、通称『かがみん波』をこのへんがキャッチしたんだよ」
 このへん、と言いながら嬉しそうにアホ毛を指さすこなた。
「アンテナなのかそれ……? ていうかそんな意味不明の電波発信してないから」
「はっはっは。照れるな照れるな」
「照れてないって」
 わけのわからんやり取りを交わしてから、こなたは適当に空いてる椅子へ腰を下ろした。
「ちびっ子と柊は、いつもすげー仲良いよなー」
 かがみの机に寄っ掛かって二人のやり取りを見ていたみさおは、微妙に頬を膨らませる。
「別にそんなことないわよ。ただの友達なんだし」
「ただの友達だなんてそんなぁ。お互いのホクロの数まで知ってる仲なのに」
「誤解を招きそうな大嘘つくな! 目元のそれ一個しか知らないわよ!」
「? 誤解を招くって、何で?」
 キョトンとした顔で尋ねるみさお。三人が石のように固まった。とりあえず、いち早く立ち直ったこなたが説明する。
「えーと、つまりほら、ホクロの数を知るには、体を全部見る必要があるわけで……」
「あ。あーあー、なるほどぉ」
 素で分からなかったらしい。納得した様子で無邪気に手を打つみさおは、そのままあやのに向き直る。
「んじゃあさ、あやのはうちのあ――」
 ミシリ、と何かが音を立て、みさおは一瞬で口をつぐんだ。
「みさちゃん。時と場をわきまえてね?」
 あやのはこの上なく柔らかな笑みを浮かべながら、優しい口調でみさおをたしなめた。
 動物的本能というか、長年の付き合いによる勘というか、とにかく調子に乗りすぎたみさおは自重する。
「と、ところでさぁちびっ子。ちょっと聞きたいことがあんだよ」
「ほほう、みさきちが私に質問とな?」
 興味深そうにアンテナを揺らし、こなたは話を聞く姿勢に入る。
「柊って、いわゆるツンデレってやつなんだよな?」
「って、私の話かよ」
 かがみの突っ込みを尻目に、みさおとこなたは話を進める。
「うむ。県下随一の良ツンデレと言って過言ではないよ」
「過言だっつの!」
「そのツンデレなんだけど、具体的にどういうもんなんだ? 漫画とか読んでもイマイチ分かりづれーんだけど」
「ふむ……確かに萌え業界の拡大に伴い、ツンデレが定義するところも昨今曖昧になりつつあるね」
「そうなのかー」
「でもぶっちゃけ、深く考えなくてもいいよ。とりあえず、かがみはツンデレ→ちぃおぼえた、で問題無しだから」
「問題あるだろ! さっきからツンデレツンデレって言うな!」
「おっ、これまた典型的ツンデレ台詞だね〜」
「ん? 何だそれ?」
「ツンデレであることを強く否定するのは、ツンデレキャラにとって重要なファクターの一つなのだよ。ツンデレキャラによる『ツンデレって言うな!』の流れは、いわばお笑い芸人でいうところの『押すなよ! 絶対押すなよ!』なんだね」
「なるほどぉ〜」
 実によく分かった表情で頷くみさお。かがみはもう突っ込む気も失せていた。
「ったく、くだらない……」
「でも二人とも、ツンデレな柊ちゃんのことが好きだからああいうお話してるんじゃないの?」
「んなっ……!?」
 にっこり微笑んだあやのにそう言われ、かがみは顔を赤くする。
「な、なに言ってんのよ。たとえそうだとしても、人のこと勝手にツンデレとか決めつけられて迷惑なだけで――」
「おおぅ、これこれ。この照れ顔丸出しの表情でツインテールのさきっちょを指で弄りつつ強情を言うかがみが何とも言えぬ味わいで」
「あっ、ずりぃぞ〜」
「あんた達いちいち触りに来んなぁ!!」
 蜜にたかる蜂のように寄ってきたこなたとみさおを、かがみは真っ赤になって吠え散らした。
「う〜ん、怒ってるのも可愛いよツンデレかがみん♪」
「処置無しかあんたは……」

おわり
498名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 20:50:18 ID:xwLXMV8X
読んで下さった方、ありがとうございました。
499名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 20:57:27 ID:arIaufbD
これってセクハラしておきながら「相手も本当は喜んでるんだ」って
言い訳するノリに似てる気がするw
まあ、実際にかがみがツンデレだから変なの二人に付き纏われる
ことになったんだろうけどw
500名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 20:59:52 ID:OiTO96te
>>498
ぐじょお!もうね、君!分かってるじゃないの!(=ω=.)b
ツインテールの髪をくりくりいじるあたりもまた、かがみんの魅力の1つなんだよね〜
かわいいよね〜もう!さらにいじりたくなっちゃう!

「日下部んとこいこーかなー」
そんなっ!調子のらないからゆるしてかがみ様〜(〒ω〒.)
「もう・・・まったくあんたってば・・・」








「(ぴくっ・・・ナンカ今、かませ犬にされたような気がして
 すっげえ悔しい気分になったんだけど・・・
 発信源はどこだ・・・この気分・・・えぅう・・T△T)」
501名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 21:06:36 ID:i6oelzu9
バルサミコー酢、やっぱいらへんで〜
502名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 21:08:39 ID:wth/5JKB
>>498
かがみん波か。そうか、かがみん波か。


というかアホの子みさおが可愛いのです。ぐっじょぶ。
503名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 21:42:34 ID:zD2TGxsm
>498
ぐっじょぶ。
かがみんはつくづく皆のおもちゃですね。

準備している方がおられなければ、投下いたします。
50423-251:2008/02/02(土) 21:47:32 ID:zD2TGxsm
『危険な関係』 (第2話)

(こなた&ゆたか、かがみ、つかさ)

注意事項
・続き物 …… 23スレの一話完結ものの続き(続き物に変更)
・シリアス
・非エロ
505危険な関係 1/5:2008/02/02(土) 21:50:28 ID:zD2TGxsm
 2.

 晩秋の長い夜はようやく終わりを迎え、東の空は次第に明度を増している。
 私は、温かい布団から身を起こして目を擦り、隣ですやすやと寝息を立てている
少女を見つめながら、ぽつりと呟いた。
「ゆーちゃん」
 反応するように、従姉妹の小さな唇が動く。
「お…… ねえちゃん」
 雀の鳴くような声を漏らし、小さい身体を捩ってから、再び寝息を立て始める。
「はあ…… 」
 私はため息をついて、眠る少女の寝顔を眺めている。

 ゆーちゃんとの曖昧な関係は、ずっと続いている。
 キスはするけどそれ以上は進めない。
 従姉妹という血縁関係であるにしては親密にすぎるし、かといって、
面と向かって恋人かと尋ねられれば、首を捻ってしまう。
 ゆーちゃんは何度か、キス以上を求める『そぶり』を見せていたけれど、
私はずっとはぐらかしていた。

「ううん…… ごめんね。おねえちゃん」
 勇気を振り絞っての誘いを断られた時にみせる、苦しさを無理矢理
押し殺した微笑を目の当たりにする度に、酷く胸が痛んでしまう。
 私は、ゆーちゃんの辛そうな笑顔を見る度に、はっきりしない関係をいつまでも
続けることはできないと、強く思うようになっていた。

「ごめんね。ゆーちゃん」
 心の中だけで呟き、時計の針がまだ6時半を指し示していることを確認した後、
ゆっくりと瞼を閉じた。
506危険な関係 2/5:2008/02/02(土) 21:51:19 ID:zD2TGxsm
 今年の春、ゆーちゃんが入学してからは、一緒に登校している。
 彼女が泉家の住人となる前は、遅刻をすることが多かったけれど、
流石に『姉』としてのプライドみたいなものが出てきて、朝寝坊で始業時刻に
間に合わないということはなくなっていた。

 電車で数十分揺られた後、陵桜学園の最寄駅で降りる。
 学校へ向かう生徒達の群れに溶け込みながら、鮮やかな黄色に変わっている
銀杏並木の下を歩いていき、正門のすぐ手前でかがみとつかさと顔を合わせる。

「おはよう。こなちゃん。ゆたかちゃん」
 つかさは、夏の向日葵のような笑顔をみせる。
「おっす。こなた」
 一方のかがみは、不機嫌とまではいかないけれど、いま一つ気分が乗らない感じだ。
「おはようございます。柊先輩」
 ゆーちゃんは緊張しながら挨拶する。
 かがみに対して、隔意があるように見えるのは、おそらく気のせいではない。

 小柄な下級生を見下ろしながら、かがみは、ややそっけなく挨拶を返す。
「おはよ」
 校門からは一緒に歩くことになるが、誰も話題を振ることはなく、沈黙に包まれている。
 つい最近までは、こんなに張り詰めた空気はなかったのだけど。

 そろそろ頃合だろう。
 昇降口に近づいた時、私は、用意しておいた爆弾を落とすことに決めた。
「今度の連休に、みんなで旅行に行こうよ」
507危険な関係 3/5:2008/02/02(土) 21:52:10 ID:zD2TGxsm
「えっ? 」
 3人が同時に声をあげて、私の顔をまじまじと見つめてくる。
「こなちゃん。ここにいる4人ってこと? 」
「うん。そうだよ。つかさは駄目なのかな 」
「ううん。こなちゃんの誘いを断ることなんてありえないよ」
 つかさの返事は何気に際どい。天然なのか本気なのかは分からないけど。

「つかさが行くのなら、いってもいいわよ」
 かがみは、早速ツンデレモードを発動している。
 どうして素直になれないのかな、なんて思うけれど、素直じゃないところがかがみの萌えポイントだ。

「ゆーちゃんはどうかな? 」
 誘いを向けると、戸惑った声をあげた。
「あの、お邪魔じゃないですか? 」
「そんなことないよ。ゆたかちゃん」
 つかさは、女神のように優しい微笑を2年下の後輩にむけている。

 一方、かがみは腕を組んで眉を潜めている。
「こなた。みゆきは誘わないの? 」
 幾分か迷った末、ゆーちゃんの問いかけを、間接的に無視する形で尋ねてくる。
「みゆきさんには、昨日、電話で話したんだけど。ちょっと用事があってね」
「ふうん、そう」
 かがみは、幾分かの不審を残したまま頷いた。
 どうして、みゆきさんにだけ、先に旅行の話を持っていったのかを訝しんでいるようだ。
「で、ゆーちゃん。どうかな」
 再び、ゆーちゃんの顔を覗き込む。
「あ、あの。ご迷惑でなければ…… 参加させてください」
 彼女は小さく頷いてから、かがみとつかさに向き直り、ぺこりと頭をさげた。
508危険な関係 4/5:2008/02/02(土) 21:53:25 ID:zD2TGxsm
 ゆーちゃん、かがみの順で別れた後に、つかさと一緒に教室に入る。
 しかし、席に着いて荷物を置いてからすぐに、つかさが再び近寄ってきて話しかけてくる。
「こなちゃん。何をするつもりなの? 」
「どういうことかな? 」
 私はとぼけたけど、黄色いリボンをつけた少女は、はぐらかされてはくれなかった。
「お姉ちゃんと、ゆたかちゃんを旅行に誘ったことだよ」
「かがみは親友で、ゆーちゃんは大好きな従姉妹だし、ふたりは何度も会っているから、
別におかしくないと思うな」

「ごまかさないで」
 つかさは、形の良い眉をしかめながら続ける。
「こなちゃんは、お姉ちゃんとゆたかちゃんの気持ちに、気がついているよね」
「さすが巫女さんだねえ」
「えっ? 」
 首をかしげているつかさに、説明をすることにする。
「つかさって、天然なところあるけど、妙なところで鋭いから。
本当に神意を受けたりすることもあるかも…… なんて思ったよ 」

「じゃあ、どうして二人を? 」
 当然の疑問に、肩を竦めながら答えた。
「決着をつける必要があると思うから」
「こなちゃん…… 」
 つかさは、私の名を呟いたきり、何も言えずに教室の天井をみあげていた。

 かがみとは高校からの付き合いとはいえ、毎日のように話をしているから、
おおよその気持ちは分かってしまう。
 ツンデレの代表選手のように振舞いながらも、ふとした瞬間に向けられる好意には、
気づかざるを得ない。
 もっとも、ツンデレという言葉を、私が唇に乗せた途端に、機嫌が悪くなってしまう為、
かがみが見せてくれる気持ちは、陽が昇った後の霧のように、消えてしまうのが常だった。

「ねえ、つかさ」
 長い髪の一部を触りながら、つかさを見上げる。
「私、分身できたら良かったのに」
 ため息混じりの言葉に、つかさは笑顔を見せて言った。
「もし良かったら、3つに増やしてくれないかな」
 彼女にしては珍しい冗談に、私は口元を綻ばせた。
509危険な関係 5/5:2008/02/02(土) 21:54:19 ID:zD2TGxsm
 4時間目の授業は、黒井先生が教える世界史だ。
「世界史なんて、受験を考えるんやったら、参考書を丸暗記しとけばええ。そやけど
そんな意味ない授業をする気は、毛頭あらへんで」
 多くの高校で世界史の授業を受けてないことが、マスコミに騒がれて以来、
世界史の履修についてはやかましく言われているけど、黒井先生にとっては、
不本意なことだったのかもしれない。

「歴史を覚えるのは人生における愉しみや。ウチが教えるのは、楽しむ為に必要となる
ベースの部分やで」
 板書をしながら黒井先生が伝えた言葉は、今でも脳裏の片隅に残っている。

 4限の終わりを告げるベルを耳にすると、昼休みとなる。
 つかさとみゆきさんが席をくっつけてきて、間もなく隣の教室から来たかがみも加わる。
 しばらくの間、雑談と、昼食を胃袋に入れる作業を交互に続けた後、
口火をきったのはかがみだった。
「みゆきは今度の連休、旅行に行かないの? 」
「ええ。申し訳ありません。遠地にある親戚の法事に行くことになっておりまして」
 みゆきさんは、いつもと変わらぬ穏やかな表情のまま謝った。
「ですから、お気になさらずに楽しんでくださいね」
「そう…… 」
 うなずいてから、かがみはミートボールを口にほうりこんだ。

「こなちゃん。旅行はどこに行こうと思っているの? 」
 つかさは興味津々といった様子で尋ねてくる。
 私は、チョココロネの最後の一切れを、お茶と一緒に喉に流し込んでから、
重大な何かを宣言するように口を開いた。

「京都に、行くつもりだよ」
 みゆきさんは小春日和のような微笑を変えなかったが、つかさは首を傾げており、かがみは……
 どこか思いつめたような顔をして、私を見つめていた。 
51023-251:2008/02/02(土) 21:58:38 ID:zD2TGxsm
以上です。読んでくれた方ありがとうです。

今度は「穏便な」旅行編となります。
もっとも、呉越同舟となりそうですが……
かがみのこなたに向ける強い想いを、深く書ければと思います。
511名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 22:08:05 ID:ZtTOAkXd
>>510
GJ。はてさて・・・何かドロドロとしたものを感じてしまうわけですが。
先入観のせいかな。何はともあれ楽しみですわー
512名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 22:10:13 ID:wth/5JKB
だからあなたはなんでそんな心臓に悪いシリーズを量産しますか。目が離せなくなっちゃうじゃないですか。
という訳で、はらはらしながら続きをお待ちします。ぐっじょぶ。
513みゆつか愛してる:2008/02/02(土) 22:27:02 ID:2yBJYo2N
サタデーナイトにこんばんわ。
職人さんの皆様、GJ&おつかれさまです。

>>253
絵ktkr!!!!!!
ありがとうございます!最高に嬉しいです!
これは百回保存させていただきます。いやはやエロい!

マイナーカップリングだとは思いつつも世間に認知させるべく
合言葉は つ か さ は み ゆ き の 嫁 ということで
みゆき×つかさを投下させていただきます。

・みゆき×つかさ(つかさ視点)
・非エロ
・11レス拝借

では他に投下宣言がなければ投下させていただきます。
514とどまることない愛1:2008/02/02(土) 22:32:06 ID:2yBJYo2N
「つかさ、何やってんの?」
私がタンスを漁っていると、お姉ちゃんが後ろから声をかけてきた。
時刻は午後十一時。タンスの前に座り込んだ私の周りには、たくさんの洋服が散らばっている。
正確には散らばらせたわけじゃなくて、中身を出しているうちに散らばっちゃったんだけど……。
「あのね、明日ゆきちゃんとおでかけなの」
「みゆきと? ……あー、ハイハイ。デートね」
「デ……う、うん」
お姉ちゃんは少し意地悪な笑みを浮かべて私を見ていた。
「やっぱりいつになっても、デートの前は浮かれちゃうものなのね」
「えへへ……お姉ちゃんだってそうでしょ?」
「そ、そんなことないわよ。中学生じゃあるまいし……」
「でもお姉ちゃん、最近金曜日の夜はニヤけてること多いよ? 土曜日は朝から見かけなくなるし」
「う、うるさいわね……私そんなにニヤけてた?」
「うん。こなちゃんとデートしてるんでしょ? ここのところ毎週だよね」
「そ、それはこなたがどうしてもっていうから……」
お姉ちゃんは露骨に照れていた。顔を真っ赤にして、ばつの悪そうな表情を私に見せる。
やっぱり恋人とのデートになると楽しみで仕方ないのは二人とも一緒で、それは双子だから似ているとかじゃない。
私とゆきちゃんが恋人同士になってもう三ヶ月になる。私にとってゆきちゃんは、初めての恋人だった。
ゆきちゃんが私の家に泊まりにきたときに、相手の気持ちに気付かないまま両思いだった私とゆきちゃんは、
たくさんのすれ違いもあって色々と起こったけれど、お互いから告白して、晴れて恋人同士になることが出来た。
『好きです、つかささん。世界中の誰よりも好きなんです』
『私も好きだよ、ゆきちゃん。ずっと言えなくてごめんね』
女の子同士だっていうことは、私達の間には些細な問題でしかなかった。私達はただ、幸せで……。
もうわかると思うけど、お姉ちゃんとこなちゃんも恋人同士になっていた。仲良し四人組はもっと仲良しになった。
「でも、あんたとみゆきももう何回かデートしてるんでしょ?」
「うん。このあいだはね、一緒に水族館に行ったんだよー」
「水族館か……私とこなたじゃ絶対行かないところね」
「その前はね、図書館に行ったんだケド……私、途中で寝ちゃって」
「つかさは本が読めないものね」
「お姉ちゃん達はよくどこに行くの?」
「基本はショッピングだけど……まああとは……ゲーセンとか、ゲーセンとか、ゲマズとか……」
お姉ちゃんはがっくりと肩を落とした。こなちゃんっぽいと言えばこなちゃんっぽいけど、お姉ちゃんは不満なのかな?
でも、お姉ちゃんとこういう恋バナができる日がくるなんて思わなかった。しかもお互い恋人持ちの状態で。
二人とも女の子と付き合っているなんて、ちょっとおかしな気もするんだけど……これも双子だからなのかな……。
「でも好きな人と行くと、どんなところも楽しいよね」
「そ、そりゃそうだけど……そんなこと、よくも恥ずかしげも無く言えるわね」
「?」
「で、明日は何時にどこで待ち合わせなの?」
「糟日部駅前に十時だよ」
「どこに行く予定なのよ?」
「あのね、まず糟日部ショッピングモールにお買い物に行って、それからお昼ご飯食べて、遊園地に行くんだ」
515とどまることない愛2:2008/02/02(土) 22:33:15 ID:2yBJYo2N
「泊まりなの?」
「う、ううん! 門限までには帰るよ」
「そっか……まああんた達に泊まりはまだ早いわよね」
「え?」
「なんでもないわよ。だったら、早く寝た方がいいんじゃないの?」
「そうだ……明日、朝からお弁当作るんだった!」
「ますます寝なさいよ。あんたただでさえ起きないんだから」
「で、でもお洋服が……」
お姉ちゃんの協力もあって、なんとか着ていく服が決まった。みんなで遊びに行くときはここまで悩んだりしないのに、
ゆきちゃんとのデートのときだけは、いつも遅くまで悩んじゃうんだよね……でも、悩んでる時間も楽しいっていうか。
ゆきちゃんはどうなのかな? 私みたいに無闇に張り切っちゃったり、お洋服に悩んだりしているのかな?
そうだったら嬉しいな……そんなことを思って、ベッドに潜り込んではみたけれど、なかなか寝つけなくて。
それに、私にとって明日のデートはそれまでのものと少し違っていた。どうしてもやりたいことがあったから……。

******

AM 10:10

「ゆ、ゆきちゃーん! お、遅れてっ、ご、めーん……!」
トートバックを揺らしながら、私は駅のホームへと向かって走っていた。息を切らしていたから、うまく喋れない。
そこには私の好きな人がひとり佇んで……私に向かって笑顔をみせながら手を振っていた。
「おはようございます、つかささん。……大丈夫ですか?」
「ご、ごめんね……ちょっと遅れちゃった」
「私も今来たところですので、気になさらないでください。ゆっくり来られてもよかったのですが……」
そういうとゆきちゃんはポケットからハンカチを取り出して、私に差し出してくれた。心配そうな顔で私を見つめている。
「あ、ありがとう……」
「何かお飲み物を買ってきましょうか?」
「ううん、大丈夫だよ。それより、お買い物いこ?」
「そうですね。では、モールのほうに向かいましょうか」
「ゆきちゃんは何買うの?」
「ブックストアに寄りたい……と思いましたが、本はかさばるのでまた今度ですね」
「私、お洋服や小物が見たいかな」
「私も……時期的に春物が少し気になるんです」
「じゃあまずはお洋服だね〜……ねえ、ゆきちゃん」
「はい、なんですか?」
「この服なんだけど……わ、私に似合うかな?」
私がこの日選んできたのは、アイボリーカラーのダッフルコートの下に、オフホワイトのガーリー風ブラウス。
リボンのついたホワイトのショートパンツで、足元はお小遣いをはたいて買ったアンクル丈のトランパーブーツ。
精一杯のおしゃれを、ゆきちゃんはしっとりとした目で見つめていた。緊張がピークに達していた。
516とどまることない愛3:2008/02/02(土) 22:34:48 ID:2yBJYo2N
「大丈夫です。とても可愛らしいですよ」
ゆきちゃんはにこやかに答えてくれた。私はほっと胸を撫で下ろす。悩んだ甲斐があった。ありがとう、お姉ちゃん。
「それにつかささん……いつもとは違うリボンですよね」
「えっ!」
私の胸が一瞬、大きく高鳴る。たしかに、リボンもいつもより少しいいものをつけてきていた。
でもそれを指摘されるなんて、少しだって思ってなかった。単純に、気合を入れるためのようなものだったから。
「えへへ……気付いてくれたんだ……」
「はい。そのリボンも、すごく似合ってますよ」
顔が真っ赤になる。家族ですら気付かなかったそんな微妙な変化まで、気付いてくれていたなんて……。
するとゆきちゃんは、少し迷ったような表情を見せると、頬をそめてうつむきながら私に訊ねてきた。
「あの……私のほうはどうでしょうか」
「ゆきちゃんのお洋服?」
「はい……お恥ずかしながらつかささんとのお出かけのときは、いつもより洋服選びに迷ってしまうんです」
胸の中に喜びが溢れる。やっぱりゆきちゃんも、私と同じだったんだ。でも、二人とも女の子なんだから当然、かな?
ゆきちゃんはといえば、グレーベージュのシンプルなボーダータートルに、バルーンラインでライトグレーのミニスカート。
ベルト付きのスエードブーツ、ブラウンのトレンチロングコートを羽織って、スタイルのおかげですごく大人っぽかった。
胸元にはシンプルなデザインのシルバーネックレス。なんだかドキドキしてしまうくらい……綺麗だった。
「うん、すごく似合ってる……でも」
「で、でも?」
「なんか……並んだら年の離れた姉妹みたいに見えちゃうかも〜。こ、子供っぽくてごめんね……」
ゆきちゃんはちょっと困ったような顔で微笑んでいたケド、すぐにいつもの穏やかな顔に戻った。
「それじゃ、いきましょうか」
「うん!」
私達はおしゃべりをしながらモールへと歩いた。ゆきちゃんのお話を聞きながらも、私はずっとゆきちゃんに見とれていた。
私とは比べ物にならないくらい綺麗だし、服装もシンプルなのにすごくお洒落だし、何より雰囲気がすごく優しくて……。

******

AM 10:35

「ゆきちゃんは春物探してるんだよね? どんな物が欲しいの?」
アパレル関係のショップが並んだ階で、私とゆきちゃんはお店を冷やかしつつ歩いていた。
「そうですね、ブラウスが欲しいと思っているんです。この間衣類の整理をして、暖色系が少なくなってきたので」
「じゃああっちのお店に寄ってみない? お姉ちゃんがね、好きなお店なんだ」
「かがみさんがですか? では、泉さんと二人で来られてることもあるかもしれませんね」
「来てるのかなあ……? う〜ん、なんか想像しにくいような……」
「失礼だとは思いつつ、私もあまり想像できませんね……」
休日だからかもしれないけれど、まだ朝なのにお客さんは結構たくさんいた。
やっぱり私達は周りの人から、お友達か姉妹に見えてるんだろうな……本当は恋人ですなんて、誰も思っていないはず。
そういうことは本当はもっと気を引き締めないといけないはずなのに、なぜか私の気持ちは浮かれていた。
私とゆきちゃんとで秘密を共有してることも原因のひとつなのかもしれないけど、それよりも私は自慢したい気持ちだった。
ゆきちゃんみたいに素敵な人が、私の恋人なんだから。もちろん誰にも言わないけど、みんなに宣言したいくらい。
517とどまることない愛4:2008/02/02(土) 22:36:51 ID:2yBJYo2N
「あ、このパンプスかわいいー。でも私全然似合わないんだ」
「私もあまりはきませんね。いざはいても、私ではすぐに転んでしまいそうなので……」
「ゆきちゃん、ドレスとかと合わせたら似合いそうなのにね」
「つかささんも、ワンピースなどと合わせてみては……」
「ゆきちゃんきっとすごく綺麗だよ」
「つかささんも絶対すごく可愛らしいですよ」
私達はすぐに褒めあいに進展する。私がゆきちゃんを褒めるのはわかるけど、私は褒められるところあまりないんだけどな……?
ブラウスを手にとって私が品定めをしていると、ゆきちゃんはちらちらと下着コーナーのほうを見ていた。
「下着買うの?」
「あっ、いえ……今日はさすがにやめておきます」
「また……サイズあわなくなったとか〜?」
するとゆきちゃんは顔を真っ赤にして、それから小さく頷いた。大きくなっちゃったんだね……。
ゆきちゃんはピンクのブラウスと赤いニット帽、私はソックスとハンカチを買ってお店を出た。
「あの、つかささん……」
「なあに?」
「実は私……他に欲しいものがありまして」
「何が欲しいの?」
「その……つかささんのご迷惑になるとは思うんですけれど」
私の迷惑になる、ゆきちゃんの欲しいもの? 私には全然予想がつかなかった。
「ゆきちゃん、何が欲しいの?」
「実はですね、つかささんとペアになるものが欲しいんです」
「二人で一緒のものが欲しいの?」
「はい……あの、やっぱり恥ずかしいですよね?」
ゆきちゃんは申し訳なさそうに、どこか気恥ずかしそうに、私の顔を覗き込んできた。
そんなお願いに恥ずかしいとか迷惑だとか、私が思うわけがないよ、ゆきちゃん。ただ、少し驚いていた。
そういうことはいつも、私から口にするものだと思っていたから。私からしても、そのお願いは嬉しい限りで……。
「私も欲しいな……? ゆきちゃんとお揃いのもの」
「つかささん、よろしいんですか?」
「うん! じゃあ二人で一緒に探そっ」
なんだか駆け出したくなった。喜びが溢れてきて、身体が衝動的に動き出しそうになっていたから。
安心したような顔を見せたゆきちゃんは、少し前に進む私に引きずられるように歩いている。私のほうが嬉しいみたい。
「どんなのにしよっか」
「小物がいいのではないでしょうか。アクセサリーとかいかがでしょう?」
「あ、いいね。身に着けられるものだったら、いつでも思い出せるね」
「そうですね。いつでも……つかささんをそばに感じられます」
518とどまることない愛5:2008/02/02(土) 22:38:09 ID:2yBJYo2N
色々検討した挙句、ペアリングにしようということになった。小物やアクセ関係のショップを二人で見て回る。
ガラスケースの中にきらりと光るシルバーリングを見付けた。いくつものハートが象られていて、ゆきちゃんに似合いそうな。
「ゆきちゃん、これなんか可愛いよ」
「本当ですね。つかささんにすごく似合いそうで……」
「うん。あっ、でもこれ……」
「お値段が……少々張りますね」
「……別のにしよっか」
「そうですね……」
シルバーで作られたリングはみんな、高校生が親からもらったお小遣いで買うにはちょっときついようなものばかりだった。
安いものでもひとつ六千円はする。せっかくのペアリングなんだからとも思ったんだけど、このあとのデートができなく……。
「つかささん、これなんかいいのではないですか?」
別のお店でゆきちゃんが手に取ったのは、木製の小さなリングだった。柄のないものからけばけばしい柄まである。
ひとつ千円から二千円。これなら手が届く。それに、私は木製の暖かな感じに惹かれちゃっていた。ゆきちゃんも同じみたい。
「あ、かわいいね。どの柄にしよっか」
「シンプルなのもいいですね」
「サイズもぴったりみたいだし……あっ、これ!」
「お気に入りの柄が見つかりましたか?」
私が手に取ったのは、シンプルに真っ赤に塗られたリングだった。それを指で弄んでみる。
「それが気に入りましたか? つかささんには少し、派手なようですけれど……」
「うん……そうだね。派手……だよね。別のにしようね」
「……」
ゆきちゃんは私がじっと見つめていたリングを手に取ると、にっこりと微笑んで……レジへと向かった。
「すみません、これを二ついただけますか?」
「ゆ、ゆきちゃん?」
二つの真っ赤なリングは、代金を支払われるとそのまま私達の小指に納まった。私は左手に、ゆきちゃんは右手に。
「少し疲れましたね。そこのベンチで休みましょうか?」
「うん……」
モールの所々に設置されている休憩用のベンチを指差しえ、自動販売機でジュースを買うと二人で腰掛けた。
「ねえ、ゆきちゃん……」
「はい、なんでしょう?」
「ペアリングなんだけど……ゆきちゃんはこの色でよかったの?」
「もちろんですよ。つかささんが選んだリングなのですから」
「うん……ありがとう」
「それにしても少し意外でした。つかささんは赤色がお好きなんですか?」
「ううん。そういうわけでもないんだけどね? ただ、これ……」
「何か特別な理由がある、とかでしょうか?」
私は迷った。このリングを選んだ本当の理由を言うべきかどうか。でも、ゆきちゃんがそれを知らないのは可哀想だし。
頬を染めて、私はこくりと頷いた。
「あのね、ゆきちゃん……笑わないで聞いてね?」
「はい」
519とどまることない愛6:2008/02/02(土) 22:39:11 ID:2yBJYo2N
「こうやって二人で小指に赤いリングつけてるとね……運命の赤い糸、みたいじゃない?」
「赤い糸、ですか?」
「うん……こういうの、お姉ちゃんからは『つかさって乙女だねー』とかってからかわれちゃうんだけど……。
 昔から憧れだったんだ。私の運命の赤い糸が繋がってる人にいつか会えたらなって。恥ずかしい話なんだけどね。
 これは糸じゃなくてリングだけど、その相手がゆきちゃんだったら、嬉しいなって思って……ダメ、かな?」
胸のうちを口にしながら、私は赤いリングを指で撫でていた。特別に綺麗でも可愛くもない、ただ赤いだけのリング。
ゆきちゃんにはどう思われたかな。変な子だと思われたらどうしよう。重いとか思われたら、ちょっとイヤだな。
「つかささん……」
「うん……」
「ペアリング……お互いにずっと、大事にしましょうね」
「……うん!」
私達はお互いのリングを優しくぶつけて、カチカチと音を鳴らした。まるで、リング同士が何度もキスするみたいに。
周りの人が不思議そうな目で見ていたけれど、全然気にはならなかった。私達の耳には、カチカチだけが聞こえる。

******

PM 12:13

「そろそろお昼にしましょうか」
モールから出た私達は、湾岸近くの公園を歩いていた。売り子のワゴンがいろんなところに止まっている。
「あ、今日はお弁当作ってきたんだよー」
「そうなんですか? ありがとうございます。つかささんは、お料理がお上手ですからね」
「あのね、サンドイッチとね、ミートボールとね、それからそれから……」
港が見える欄干近くのベンチに座って、私はトートバックから取り出したバスケットを開けた。
色とりどりに盛られたお弁当。いつもよりちょっと気合を入れてみたり……。
「このサンドイッチ、とても美味しいですね。レタスにかかったソースのほのかな酸味が……」
「それね、バルサミコ酢使ってるんだよー」
「このミートボール、とても美味しいですね。お肉がやわらかくて」
「それね、バルサミコ酢使ってるんだよー」
「このリンゴはうさぎの形をしていますね。お上手です」
「それね、バルサミコ酢使ってるんだよー」
「私ももっと、お勉強しないといけませんね」
「ねえ、ゆきちゃん」
「はい、なんでしょう?」
「……はい、あーん」
フォークに刺したミートボールをゆきちゃんに向ける。ゆきちゃんは頬をぽっと染めると、そっとそれを口にした。
「……つかささん、お返しです。はい、あーん……」

******

PM 13:20

遊園地へとやってきた私達。お化け屋敷には入らないよね? できれば絶叫ものも……。
「つかささん、メリーゴーラウンドに乗りませんか?」
「メリーゴーラウンド? これなら怖くないかもー」
520とどまることない愛7:2008/02/02(土) 22:40:33 ID:2yBJYo2N
「はい……あっ、でもすごい行列が」
「メ、メリーゴーラウンドなのに行列?」
「『世界一メルヘンチックなメリーゴーラウンド』と書いてありますね」
「どんだけ〜……」
「どうします? 待ちますか?」
行列は思っていたよりも長くなかった。ゆきちゃん曰く、これなら三十分もすれば乗れるみたい。
私達は待つことにした。時間なら、まだまだたくさんあったから。それに、ゆきちゃんとなら長くないしね。
小指のリングをじっと眺めてみた。それから横目でゆきちゃんのリングを見ると、思わず顔がニヤけちゃう。
(おそろい……ゆきちゃんとおそろい……私、おっちょこちょいだから、これは大事に扱わなきゃ)
ゆきちゃんと目が合って、私達はまた小指のリングを優しくぶつけあう。よくわからないけど、クセになりそう。
「ゆきちゃん」
「はい、なんですか?」
「……えへへ、なんでもない」
「ふふ、変なつかささんですね」
「楽しいね」
「楽しいですね」
穏やかな時間が流れた。私達は微笑みあって、辺り障りのない話に盛りあがる。
ふと、お姉ちゃんやこなちゃんも私達のように、ありふれたような時間を幸せに感じているのかな、と考えてみた。
私が言うのもなんだケド、あの二人はぴったりだと思う。だから二人が付き合っているのを知ったときは嬉しかった。
私とゆきちゃんもああいう風になれるのかな。パズルがぴったりはまるように、完成した二人になれるのかな。
「そろそろ三十分経ったかなあ? でも行列全然動かないね」
「えと……今は15時30分ですね。……えっ!」
「あれ!? ゆきちゃん、私達、行列から弾かれてるよ!?」
「もしかして……私達は2時間近くもその場で立ちっぱなしだったみたいです」
「そんなぁ……全然気がつかなかったよー……」
「ごめんなさい、つかささん。私がぼーっとした性格なばかりに……」
「ううん、私もだよ……」
私の心配は無駄だったのかも。あんまり良い方向だとは思わないけど、すごく気が合ってるみたいで……。

******

PM 16:35

遊園地を出て、もう一度湾岸近くの公園まできた私達。
結局、遊園地ではほとんど遊べなかったけど、それなりに満足していた。ゆきちゃんといれば、アクシデントも面白い。
ゆきちゃんもそれは一緒だったみたいで、私達はずっと笑顔のままだった。そばにいるだけで十分すぎた。
「冷え込んできましたね」
「もうすぐ夕方だからねー」
「この季節は外が暗くなるのが早いですからね。できるだけ早く帰るようにしないといけませんね」
「うん……そっかあ。もうそんな時間になろうとしてるんだね」
二度と会えなくなるわけでもないのに、ゆきちゃんとの別れはいつも気持ちを暗くさせる。
本当はもっと明るい気持ちで別れたいのに、寂しがり屋の私はこういうときにダメな方向に傾いちゃう。
521とどまることない愛8:2008/02/02(土) 22:42:22 ID:2yBJYo2N
でも今日は、明るく別れるために……やらないといけないことがあった。昨日からずっと、決心していたこと。
(今日はきちんとお願いしないと)
売り子のワゴンが消えた公園を、二人で並んで歩く。寒さがますます増して、頬を突き刺してくる。
私とゆきちゃんの間なら、もうそれほど心配はいらないはず。私は息を大きく吐いた。
「ね、ゆきちゃん」
「はい、なんですか?」
「あのね……」
「あれーw お姉ちゃん達ふたりっきりでなにしてんのーwww」
私の声を邪魔したのは、男の人の野太いダミ声。私達は驚いて振りかえった。
「お、このねーちゃんいいスタイルしてんじゃんwwww」
「俺はこっちの子がタイプだなーw 俺貧乳好きだしwwww」
「うはwwww おめー変態だべwwww 超ヤバイじゃんwwww」
ニヤニヤして私達に近付いてきたのは、ガラの悪そうな男の人三人組。ダボダボの服に真っ金々の髪型、ピアス。
人を見た目で判断しちゃいけないってわかっているケド、これはいわゆる『不良』の人達……。
「こんなところで女の子二人で危ないよーwwww それともナンパ待ち?wwww」
「こんな真面目そうな子がかよwwww うはwwww」
「ゆきちゃん……この人達、怖いよ」
「は、はい……ここはひとまず、逃げましょう」
私達に緊張が走る。ゆきちゃんも不安になっていることが、私にもわかった。足がすくんでしまいそうになる。
それでも、私はゆきちゃんに肩を押されて、男の人達に関わらないようにその場から離れようとした。けど……。
「ちょっと待ってってばwwww 一緒に遊ぼうよwwww」
「無視すんなよwwww お高くとまってんじゃねーぞwwwww」
「すみません……やめていただけますか」
「やめていただけますか、だってよwwww お嬢さまだぜこの子wwww」
「マジかよラッキーwwww ほら、遊ぼうよってwwww」
「つかささん、走りましょう」
「えっ、うん」
私達はばっと駆け出した。後ろの三人組は、しつこく私達を追ってくる。こんなときに限って、公園は人影がなかった。
ゆきちゃんの足の早さなら、私達は逃げられたかもしれなかった。問題は私の足だった。すぐに息が上がって、足元がふらつく。
「つかささん、大丈夫ですか!」
ゆきちゃんは私に合わせようとしてくれていた。その間にも三人組との距離はどんどん縮まっていった。
「はい、おいついたwwwww」
「ひゃーはーwwww」
気が付けば三人組は私達の前に再び立ちはだかっていた。一人の手がゆきちゃんの右手を掴む。
「痛っ……や、やめてください! 人を呼びますよ!」
「今誰もいないしwwww」
「ゆきちゃん! お、お願いだからゆきちゃんを離して!」
「お嬢ちゃんは俺と遊ぼうやwwwww」
「や、やだっ、やだよぉっ!」
もう一人の手が私の手に伸びてきた。掴まれそうになったけれど、私はそれを必死に振り払った。
522とどまることない愛9:2008/02/02(土) 22:44:07 ID:2yBJYo2N
「痛ぇwwww 何すんだこのガキwwww」
肩に衝撃が走って、私の身体が後ろに飛んだ。突き飛ばされていた。
「つかささん!!」
私の身体が転がった。地面に手を引きずって、視界がぐるぐると回る。ゆきちゃんの叫び声が聞こえる。
「つかささん、つかささん! 大丈夫ですか!」
掴まれえいた手を振りほどいたゆきちゃんが、私に近付いてくる。私は気絶だけはしないですんだみたいだった。
「う……痛いよぉ……うっ」
「……!」
地面を激しく引きずった私の左手は大きく擦りむいて、血が流れていた。ゆきちゃんの目がかっと見開く。
「あ……」
怪我はとても痛くて、たしかにショックだった。でもそれ以上に、私にショックを与えるものがあった。
真っ赤なペアリングが地面にぶつかって擦れたせいで、真っ二つに割れてしまっていた。
「リ、リング……」
「つかささん! 大変です、つかささんが怪我を……!」
「ゆきちゃんとお揃いのリング……」
「つかささんが怪我を……つかささんが怪我を……つかささんが怪我を……つかささんが怪我を……!」
ゆきちゃんの身体からゴゴゴゴという音がする。瞳がギラギラと光っていて、髪の毛が少し逆立っていた。
それよりも私の心を支配していたのは、傷の痛みよりもリングをなくした悲しみだった。
どん底に突き落とされたような気持ちだった。ゆきちゃんの周りの景色が、陽炎のように揺れている。
「つかささんが怪我をつかささんが怪我をつかささんが怪我をつかささんが怪我をつかささんが怪我を」
「どうしよう、リングが……ゆきちゃんとお揃いのリングが……」
「暴れるから怪我するんじゃんwwww おとなしくしてれば痛い目みないってwwww」
「……つかささん」
私の前に現われたのは、さっきとは違って優しい笑みを浮かべたゆきちゃん。その手がそっと、私の頬に伸びる。
「申し訳ありませんが……三分、いえ、一分だけでも構いません。目を閉じて、耳を塞いでもらえますか?」
「えっ……う、うん」
ゆきちゃんがいつもの穏やかな笑顔でそう言ったから、私はその瞬間に自然と恐怖とショックを忘れられていた。
言われるがままに目をしっかりと閉じて、両手で耳を塞ぐ。もちろん何も見えないし、何も聞こえなかった。
でもゆきちゃん、どうする気なんだろう。一人じゃ危ないよ? あとで警察の人、呼んでこなきゃ……!
「お、ねーちゃんw 俺らと遊ぶ気になったか?www だったらちょっと付きあわびゅ」

******

PM 17:15

薬局から戻ってきたゆきちゃんは、包帯とバンソーコと消毒液が入った紙袋を抱えていた。
私が目を閉じている間に、問題がおさまっていたみたいで……ていうより目を開けたら別の場所にいて……。
最初は少し混乱していたケド、ゆきちゃんが優しい言葉をかけてくれたから、今はこうして落ち着ける。
「少し染みますよ」
「うん……んー!」
ゆきちゃんは私の怪我した左手に消毒液を塗ってくれたあとに、バンソーコと包帯で応急処置を施してくれた。
まだズキズキと痛みはあった。それは左手だけじゃない。しっかりと私の心は、苦しみを訴えていた。
523とどまることない愛10:2008/02/02(土) 22:45:40 ID:2yBJYo2N
「とんだアクシデントに見舞われてしまいましたね」
「うん……怖かったね」
「今日のことは早く忘れるようにしましょう……手の怪我だけで済んで、幸いと思えるぐらいには」
「忘れられないよ……今日は、ゆきちゃんとの楽しい思い出もあったんだもん」
ゆきちゃんだって怖いに違いなくて、私はそれを感じるたびにやるせなくなった。
忘れられないと言っても、今日のことは思い出すだけで夜も眠れなくなりそうだった。
お姉ちゃん達やお父さん、お母さんには話さないようにしよう。余計な心配は、かけたくなかったから……。
「今日はもう帰りましょうか。その怪我も、きちんと治療しなければいけませんし……」
そう言うと、ゆきちゃんの右手が私の左手をそっと包むように触れた。私の視界に映ったのは、小指の真っ赤なリング。
(あっ、だめ……!)
私の頭の中に、あの真っ二つに割れたリングの姿が蘇って……我慢していたものが、ついに溢れてしまった。
「……ううー、ひっ、うわああん」
「つかささん!?」
突然の私の涙に、ゆきちゃんは驚いていた。これ以上ゆきちゃんを困らせたくなかったのに……それでも止まらない。
「ごめんね、ゆきちゃん……泣きたくないのに、ごめ、ひっ、ごめんね」
「き、傷が痛むんですか?」
「リング……壊れちゃった……」
「……リングですか?」
「ゆきちゃんとのお揃いのリング、ずっと大事にしようって思ってたのに……二人が繋がってる証だったのに……。
 運命の赤い糸なのに、私、ぐすっ……すぐに壊しちゃった……ごめんね、ゆきちゃん……ごめんね……。
 私達の赤い糸、なくなっちゃった……ひっ、ゆきちゃん、本当にごめんね……あくっ、赤い糸……うわああああん」
本当にごめんね、ゆきちゃん。リングを壊しちゃったどころか、最後まで困らせちゃって。
だから私はゆきちゃんの顔をまともに見れなくて、手の痛みも心のズキズキもおさまらなくて、ただただ泣き続けた。
するとゆきちゃんは私の頭を包み込むようにそっと抱えて……自分の胸に優しく押し付けてくれた。
「つかささんのせいじゃありませんよ。だから、泣かないでください」
「でも、ペアリングはゆきちゃんのお願いだったし……」
「リングならいつでも買えます。でも私は、リングが無くなることよりつかささんが泣いてるほうが悲しいです。
 つかささんが自分を責めて泣いていると、私まで泣きたくなってしまいます。つかささんは何も悪くないんですよ」
「でも私、不安だよ。怖いよ。私達の赤い糸、簡単に壊れちゃうんだもん」
「……そうですね。ちょっと待ってください」
私を引き離すと、ゆきちゃんはバックからショップの袋を取り出して、中から『それ』を取り出した。
モールでゆきちゃんが買った、赤いニット帽だった。ゆきちゃんは手早く毛糸を一本引き抜くと、
片方を自分の左手の小指に巻きつけて、もう片方を私の右手の小指に巻きつけた。
「ゆきちゃん?」
「よろしいですか、つかささん」
「……うん」
「目に見えるだけの赤い糸は、いつだって消えたり無くなったりします。これもハサミで切ってしまえばおしまいです。
 でも私はこの糸が切れても、つかささんとの繋がりあった心が切れているとは思いません。……これではダメですか?」
涙でぐしゃぐしゃになった私の顔をまっすぐに見詰めるゆきちゃんの目はすごく優しくて、でもとても力強くて。
……私、この優しさを好きになったんだ。それを思いだして、気が付けば涙が嘘のように引っ込んでしまって。
「……ダメじゃないよ。私、まだゆきちゃんと繋がってる」
524とどまることない愛11:2008/02/02(土) 22:47:13 ID:2yBJYo2N
私達は小指に巻き付けた糸だけで触れ合ったままで、夕暮れの風に吹かれていた。涙はもう渇ききっていて……。
「ゆきちゃん、あのね」
「はい、なんですか?」
「今日ね、ゆきちゃんにお願いがあったんだ」
「お願い?」
「手、繋ぎたかったの」
「……手、ですか?」
「ふたりっきりのときはよく繋いでるけど、お外とか人がいっぱいいるところだと、つないだことなかったでしょ?
 ふたりとも周りの目を気にしていたから……でも今日こそは、外でゆきちゃんと手を繋ぎたいなって思って。
 私はどんな風に見られてもいいけど、ゆきちゃんまではそうはいかないから……で、でもゆきちゃんがよかったら」
私がそれを言い終えない内に、寂しんぼの手のひらに温もりが伝わってきた。離れなくなりそうなくらいにぎゅっと。
「ゆきちゃんの手、暖かいね」
「つかささんの手も、とても暖かいですよ」
目に見える赤い糸の欠点を、私はもうひとつ見つけた。すぐに消えたり壊れたりするだけじゃない。
そこでしか、それでしか触れ合えないっていうこと。その糸の長さだけ、私とゆきちゃんに距離が生まれる。
でも今の私とゆきちゃんはたしかに触れ合って、手が固く結ばれるたびに目に見えない赤い糸もきっと強く結ばれている。
私達の距離はゼロになった。きっとこれから先もずっと、たとえ遠い場所にいても、ゼロのままでいる。
「そろそろ帰りましょうか」
「うん……このままでもいい?」
「はい、もちろんですよ」
「離さないでね?」
「離れないでくださいね」
「うん!」

******

「ぶっそうな事件もあったものねー」
「なにがあったの、お姉ちゃん?」
「たまには新聞も読みなさいよ、つかさ。『湾岸近くの公園で暴行事件発生。被害者は男性三人組で全治半年の重体。
 うわごとのように鬼が来る、鬼が来ると呟いており、現場はおびただしい血痕と台風が去った後のような荒れ様』
 ですって。この現場って、昨日あんたがみゆきとデートした場所の近くでしょ? 巻き込まれなくてよかったわね」
「わあ、怖いねー。そういえばお姉ちゃん、今週はこなちゃんとデートしないんだね?」
「ああ。なんかバイトが変なイベントがどうとかで忙しいみたいなのよ。まあ仕方ないわよね」
「お姉ちゃん、寂しくないの?」
「だ、誰が! 全然、寂しくなんか……ないわよ……」
「大丈夫だよ。お姉ちゃんとこなちゃんの赤い糸、切れてないよ!」
「……は?」
525みゆつか愛してる:2008/02/02(土) 22:49:15 ID:2yBJYo2N
投下は以上です。読んでいただいた方ありがとうございます。
誤字脱字等ありましたら申し訳ありません。
原作やエロパロでは割と忘れられがちなつかさの乙女な部分と
みゆきさんの天然設定を生かしてみました。
本当は5〜6レスですませる話のつもりが……。
やはり甘々を書いているほうが幸せみたいです。

では、他職人さんのSSをペロペロあふーんする作業に戻ります。
526名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 22:53:26 ID:wth/5JKB
>>525
ド○ン・カッシュ曰く。

「人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られて地獄へ落ちろ!」

いやもう。
覚醒みゆきさんが男前だったり、つかさの一挙手一投足が福原ボイスで脳内再生されたりして大変でした。
さすがコテに入れることだけはある、貴方のみゆつかは核兵器だ。ごちそうさまでした。
527名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 22:59:00 ID:i6oelzu9
>>525
甘々GJなのです
DQNの描写が秀逸でした…ってのは褒め言葉にはなりませんかね
528名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 23:31:07 ID:fH9G8U0C
GJ過ぎる!もうみゆつか愛してる氏のみゆつかを愛してる!!
529GJ物語「負けてられない2人」:2008/02/02(土) 23:36:31 ID:OiTO96te
「・・・>>525GJ・・・っていってあげても・・・いいわよ・・・」
「ん〜なになにかがみどったの?
 そんなにうらやましーの?あの二人(=ω=.)」
「ば、ばかっ!そんなわけないじゃない!」
「そんなにアニメイトとかゲマズとかばっかりじゃあ
 だめだったかあ・・・かがみんもヲタだから十分だと思ってたのにw」
「誰がヲタだっ!」
「そおねえ・・・確かにそんなショップだけだとアレだし、
 たまにはアトラクションいっぱいの場所でデートってのもいいねぇ」
「こなた・・・」
「緒大場のジョイポリとか、二個球のワンダーエッグとか=ω=」
「あーもう・・・アンタのアトラクションの行き着く先はそこかい・・・」
「それに、今日だって・・・」
「ん?」

「ぐあ・・・・このチビなにもんだ・・・」
「ひ"ゃあ"あ"あ痛い"ぃい"いい;;」

「そこのヲタ狩りのおにーさんたちー、早いとこ病院行ったほうがいいよ。
 手首関節複雑骨折してるかもだから(=ω=.)b」
「こなた・・・いくら助けるためとはいえ、合気道フルブーストすること
 なかったんじゃない?」
「何を言うデスカ、ヒーローに助けられる姫!これこそ萌え要素!
 それに・・・私の嫁に手を出す奴は、許せない・・・
 みゆきさんが鬼になった気持ち、すっごくよくわかるもん」
「こなた・・・」
「とにかくっ!そんな2人を甘く頼もしく書いた>>525、ぐじょお!」
530名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 23:39:06 ID:nBYgrYaF
>>525
やばいです、面白かったです、いろんな意味で!!
もう、あなたの虜になりそうっ><
531名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 23:41:50 ID:Sicbk9x8
>>525
PC画面が真っ赤になりました(鼻血的意味でw)
甘々みゆつか最高ですな。

うさぎ形リンゴにバルサミコ酢で吹いたのは俺とみゆきさんだけの秘密w
532名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 01:43:08 ID:gsPFgdED
こう×ひよりの非エロ投下します。
533ひよりとこう(1/3):2008/02/03(日) 01:44:10 ID:gsPFgdED
 春は出会いの季節である。
 とはいえ、誰にでも平等に出会いが用意されているわけではなく。
「はぁ〜……」
 桜も散り始めた春半ば。昼休みの校庭で、八坂こうは一人ため息をついた。
 この時期、校内ではそこそこで各部活や同好会の勧誘が行われている。今、こうが歩いている校舎脇の通り道は、ちょうどその手の勧誘集団の巣になっていた。

「バスケ部新入部員募集中で〜す!」
「美術室で美術部の作品展示やってます! よかったら見てってください!」
「そこの君! 野球やりたそうだな!」

 どこの部員も、フレッシュ感あふれる新入生達の青春汁を搾り取ろうと虎視眈々だ。
 今年度からアニメ研究会部長となったこうにとっても、他人事ではないのだが。
「どうしたもんかねぇ……」
 憂鬱な表情でひとりごちる。アニ研は部員数が少ない。別にそれは構わない。体育会系の団体競技ではないのだから。
 大体にして、絵を描きたい人は美術部に行き、話を書きたい人は文芸部に行く。アニ研はというと、創作目的というより単なるアニメ・漫画好き――それ系の半数もパソコン研究会に流れたりするのだが――が集まる。それはそれで間違っていない。しかし、
(得がたきはトキ、逢いがたきは強敵と書いて『とも』か……)
 あくまで創作を志す側としてアニ研を選んだこうとしては、色々と物足りない。去年はまだ良かった。先輩のアニ研部員には同人活動に精を出す人もいたし、意見を交わすことで良い刺激を得られたと思う。
 今は残念ながら、アニ研で積極的に創作を行おうという人間はいない。こう以外には。
 最大限の希望を言えば、互いに切磋琢磨できるような熱意溢れる部員が欲しい。そうでなくても、少しは創作に興味を持つ人が来て欲しい。誰も来ない部室で一人ちまちま創作ノートに向かっているのは、快適ではあるが、時折ひどく寂しいのだ。
「考えるより行動か」
 部員募集のポスターは指定の掲示板に貼ってあるし、あとは直接勧誘あるのみだ。
 ちなみに今ここでアニ研から勧誘活動に来ているのはこう一人である。別にこれぐらいで物怖じするような性格ではないのだが、心細くないといえば嘘になる。
 文化系の勧誘が集まる場所に移動すると、目の前をうようよしている新入生達を前に、こうは大きく息を吸った。こういうのはインパクトが大事だ。
「えー、アニメけ――」
「おーい、八坂ー。どうだ調子はー?」
 こうが大きな声でアピールを始めようとした時、横合いから白衣を着たちんまい女教師が声をかけてきた。
「……今まさに気合い入れ直して呼び込みしようと思ってたんですけどね。ひかる先生」
 故意ではないだろうが、出鼻をくじかれたこうは口を尖らせる。アニ研顧問の桜庭ひかるは反省した様子もなく「そうか」と頷いた。
「まあほどほどにな。部員数が危機的に不足してるわけでもないんだし」
「そりゃあ、そうですが……」
「それに、こういう場所に集まってくる連中は、どの部に入りたいというより、せっかくだから何かの部に入ってみたい、あるいは冷やかし半分ってのが大多数だからな。お前の欲しいような人材は望み薄だと思うぞ」
「……」
 部員勧誘にかけてこうが抱いている気持ちを漏らしたことはないのだが、全部お見通しだったらしい。
 確かに、熱意を持ってアニ研に入るようなら、入学間もないうちに、勧誘など待たず部室に飛び込んでくるのが普通だろう。それはこうにも分かっているのだが。
「ま、一パーセントでも可能性があるならやってみますよ。どうせ暇ですし」
「そうか。頑張れ」
 素っ気ない励ましの言葉を贈ると、ひかるは踵を返して歩き出した。その足の向く先は、職員室ではない。
「先生。この前ふゆきちゃんが言ってましたよ。保健室を休憩室代わりに使う人がいて困ってるって」
「そんな生徒がいるのか。けしからんな」
(あんただよ、あんた)
534ひよりとこう(2/3):2008/02/03(日) 01:45:03 ID:gsPFgdED
 昼休みも残り僅かとなった。大勢いた新入生も、だんだん少なくなっている。
「こんなもんか……」
 こんなもん、という内訳は収穫ゼロなのだが。たまに話を聞いてくれる人はいても、入部は誰もしてくれない。
 そろそろ教室へ戻ろうと思い、こうはため息をつきながら校舎の方へ足を向けた。
「ぁたっ」
「え?」
 振り向いた矢先、何か軽い物が体に当たった。こうよりも頭一つ分以上小さい女の子と、うっかりぶつかったのだ。
「ちっさ……」
 140センチも無いと思われるそのサイズに、こうは謝るよりも先に小声で呟いてしまった。桜庭先生も相当なものだが、こちらは背丈に加えて雰囲気とかも色々とミニマムだ。
「っとと、そうじゃなくて……ごめんね。大丈夫?」
「あ、はい。こちらこそボーッとしててすみません」
 幸い転びもせず、ちょっとよろめいた程度で済んでいた。こうはホッと胸をなで下ろす。何となくだが、この子には小動物のような可愛いけれど脆い印象があった。
「君、一年生だよね? 何か部活入ろうと思ってるの?」
 一応尋ねてみると、その子は困ったように曖昧な苦笑みを浮かべた。上級生を前にして、少々緊張している様子だ。
「いえ、すみません。そうじゃなくて……」
 単に通り道として歩いていただけらしい。こうは強いてアニ研に誘おうとはせず、ぶつかったことを改めて謝ってから、その場を去った。
(いるとこにはいるんだなぁ、ああいうリアルで萌えキャラみたいな子って)
 廊下を歩きながら、そんなことを考える。小学生並の低身長に幼い顔立ち、加えて全身からどことなく漂う病弱そうなオーラ。ロリキャラのコスプレなどしたら映えまくりそうだ。
(私としては萌えキャラよりも萌えキャラを作る人が欲しいわけだけど)
 あの子がもしあの外見でバリバリのオタクだったりしたら、いわゆるギャップ萌えというやつか。そんな想像をしながら教室に入ったところで、予鈴が鳴った。

 放課後。アニ研部室の戸を開けたこうの目の前に、見覚えの無い女生徒の姿があった。誰もいない部室で、所在なさげにしている。
「あ、すみません。アニ研の部室ってここでいいんスよね?」
 丸眼鏡と長い髪、それからオデコが印象的なその子は、こうがアニ研の部長であることを知ると、田村ひよりと名乗り、アニ研への入部届けを差し出した。
「よろしくお願いします」
「うん、よろしく……」
 妙にあっさり新入部員がやってきたことに、こうは拍子抜けというか、少々戸惑っていた。
「差し支えなければ聞きたいんだけど、田村さんはどうしてアニ研に?」
「アニメが好きだからですけど」
「そう……最初から――ああ、ごめん。別に深い意味があるわけじゃなくて、世間話として聞いてるだけだから」
 初対面から詮索屋みたいなのはよろしくない。軽く詫びてから、改めて尋ねる。
「最初からアニ研に入ろうと思ってたの?」
「いえ、美術部とか考えてたんスけど。やっぱりこっちの方が面白そうだと思って」
 そう言って、ひよりは鞄からホチキス綴じの冊子を取り出した。去年出したアニ研の部誌だ。こうが書いた短編小説も載っている。
「これ、こちらで作った本スよね?」
「そうだけど」
「面白かったっス」
 素直な言葉で簡潔に感想を述べながら、ひよりの目の奥には野心的な光がある。こうはそれを見逃さなかった。
「あの、これ、良かったらどうぞ」
 ひよりはもう一冊、こちらは二十ページほどのオフセット本を取り出した。一般向けアニパロ同人誌だ。
「田村さんが描いたの?」
「はい。一番最近のやつです」
 受け取ったその本を、一ページずつ眺めていく。未熟な部分も多いが、十分に「上手い」と言える内容だ。もう一言加えるなら「面白い」。
「…………ふぅむ」
 読み終えた本を閉じたこうは、そのまま目をつぶり、瞑想しているように黙り込んでいる。
「先輩? どうしました?」
「……捜し物する時にさ、散々色んなとこ探し回って、それでもどこにも見つからなくて、もう諦めようって思った瞬間、見つかることがあるじゃない。今そんな気持ち」
「?」
「いや、むしろ棚ぼたかな? なかなか面白かったよ。田村さん、早速だけど次の部誌に何か描いてみて」
「押忍。喜んで」
「了解したね? 〆切はびた一文まけないからそのつもりで」
「うっ……そ、それに関しては限りなく柔軟な対応をしていただけるとありがたいのですが……」
「だが断る」
「そんなぁ……」
 情けない声を上げるひよりに、こうは意地の悪い笑みを浮かべながら、ページ数と〆切日を告げた。
535ひよりとこう(3/3):2008/02/03(日) 01:47:06 ID:gsPFgdED
 最後の期末テストも終わって、春休みまで間もないある日。冬枯れの木々をアニ研部室の窓から眺めながら、こうは小さく息をついた。
「どうしたんスか先輩? 何かちょっとセンチな雰囲気で」
 椅子に腰掛けて本を読んでいたひよりが声をかける。日によって来たり来なかったりが多いアニ研部員の中で、この二人が部室にいる確率はかなり安定している。
「月日が経つのは早いもんだと思ってね」
「そうっスねぇ」
「ひよりんがアニ研入ってから、もうじき一年か……」
「あれ? 私のことっスか?」
「まあね」
 窓の外へ向けていた視線をひよりに送ると、こうはどことなく楽しげな表情をしながら言葉を続ける。
「特にドラマチックなエピソードもなく、普通に入部してきたわけだけど」
「えーと、そこは『普通って言うなぁ!』と返すところでしょうか?」
「いやいや。中身が結構きわどいんだから、あれぐらいでちょうど良かったよ」
「そうスか……」
 褒められてはいないが、かといって貶されているわけでもなさそうだ。ひよりは曖昧に頷いた。
 こうは立ち上がると、棚にまとめてある部誌のバックナンバーをざっと眺める。どれも懐かしいというほど昔ではないが、それなりの感慨がある。
「ふむ……」
 一通り眺め終えると、今度はひよりの傍へ寄り、不意にその頭へ手を乗せた。髪を乱さない程度にグリグリと撫でる。
「な、何スか先輩?」
「別にー。うりゃ」
 右手で頭を撫でながら、左腕でひよりの体を強引に抱き寄せる。
「うわ、ちょっ、何を……!?」
 唐突に抱きしめられたひよりは、当たり前だが驚いて目を白黒させていた。
「たまには可愛い後輩を愛でてもバチは当たんないでしょ」
「め、愛でるって、私はそういうキャラじゃないし、先輩だってそんな――」
「まあまあ、遠慮しなさんな」
「遠慮とかじゃなくて! 恥ずかしいっスよ!」
 ひよりの叫びにも聞く耳持たず、こうはスキンシップを続ける。
「来年はひよりんがここの部長だからね。頑張れよー♪」
「わ、分かったら放し……アッー!」
 アニ研は今日も平和だ。


おわり
536名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 01:47:40 ID:gsPFgdED
読んで下さった方、ありがとうございました。
537名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 02:10:05 ID:jnVNb1RF
>>536
Oh!ひよりんを愛でるのはワタシデス!
でもGJです。ひよりんの初々しくもいきなりインパクトの有る登場は
さすがワタシの嫁と思いマーシタ!









「コソコソ・・・ダンボールの中でダンボールをテーブルにして
 原稿を描くことが増えてきたッスよ・・・」
538名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 02:28:03 ID:CehgFQPm
>>536
GJ!

「そういえば、こーちゃん先輩、今日(2/3)誕生日ッスよね。おめでとうございます」
「おお、さすがひよりん。覚えててくれたのか!そうだなー、プレゼントは―――」
「あ、あれ?受け取る側が指定するんスか?……っていうか先輩、目が怖いッス」
「……よし!今年の誕生日プレゼントは、ひよりんに決定ー!」
「け、結局そうなるんすか、アッー!!」

 ガラッ

「さ……桜庭先生!?」
「ん?八坂に田村。こんなところで何やってるんだ?」
「あ、いやー、田村さんが私に誕生日プレゼントをくれるって言うから……」
「ちょ、私は何も言ってないッスよ!」
「そうか。なら私も交ぜてもらうとするかな。少し遅いが、私への誕生日(1/25)
プレゼントがあまりなかったからな」
「そ、そんな!二人がかりとか、アッー!!」
539名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 06:47:40 ID:WErtqZ8d
黒井先生×兄沢店長を見たい
540名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 06:50:49 ID:kNH8sicX
このまえ関東平野(かんとうへいや)を「かんとうひらの」とよんでしまった。
生徒におもいっきし突っ込まれた。俺はもうダメだ。
541名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 08:10:47 ID:eBOVL34u
>>540
大丈夫だ、俺はこの前『白石(しろいし)』行きの電光掲示案内を(しらいし)って読んだからwww
542名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 09:22:59 ID:Ozf8Nc/v
>>539
男オリキャラならまだしも店長はきついだろう
543名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 09:35:16 ID:Wn00qO0p
>>541
なんか住んでるところ同じな気がするwwあれは見る度にそう思う
泉とかもあって幸せな気分になります
544名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 09:56:13 ID:BbMH7OJg
>>536
題材といいキャラのちりばめ方といい、さすがに上手いなあ。ぐっじょぶ。

>>540
というとつまり……。


 今日の授業中のこと。
「……ここ、試験に出るからな。次に、かんとうひらのでは……」
 教科書を読み違えたまま、すらすらと説明していく先生。教えてあげたほうがいいのかな、と思って無意識にみなみちゃんの
方をちらりと見ると、みなみちゃんが小さく手を上げるのが見えた。
「あの、先生」
 そんなに大きくないのに、なぜだか良く通る声。綺麗だな、っていつも思ってるのは私だけの内緒。
「ん、どうした岩崎?」
「かんとうへいや、です」
「あ、ああ、関東平野、な。関東平野では……」
 ばつが悪そうに説明する先生。その様子があんまりにもおかしかったから、私は教科書で口元を隠してちょっとだけ笑った。
(ふおおおおおっ!? 隠れヲタっスか? 隠れヲタっスね先生? 来た来た、ネタの神が光臨したー!)
 田村さんは何かひらめいたみたいで、アイディア帳を取り出してしきりに何か書いている。授業中なのに大丈夫かなあ。
 でもどうして「ひらの」がアニメとかに結びつくのかな、と思っていたら。
「ハイ、先生っ!」
「お、どうしたマーティン?」
「先生ももえがく5トカ欠かさず見てる口デスカ? ソレとも解体新ショー?」
「な、何を言うだぁー!?」
 パティちゃんが元気良く席を立って先生をびしっと指差した。
 先生に指差すのは失礼じゃないかなぁ、と心配しついでにふと思い出す。「ひらの」、ってお姉ちゃんが好きな声優さんの
苗字だったっけ。
「図星デスネ? 図星デスネ? 先生もあーや好きデスネ? Gyaoの新番組とかcheckしてマスネ?」
 男の子たちを中心に笑いが漏れる。私もつられてふき出しちゃったのは、お姉ちゃんに感化されたのもあるのかな。
「素直にcoming outしまショウ、そうすれば新しい世界が開けるですヨ? サア! サア! サアサアサアサア!」
「ドッゲェーッ! マーティン!!」


……こうですか? わかりません!
545名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 10:36:38 ID:JMAD3Zd7
関東ひらの行ってみたいなぁw

投下予定の方がいらっしゃらなければ数分後投下します
546名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 10:38:58 ID:BBrK7oYE
>>536
こういう話もいいですね。
特にドラマチックじゃないあたりがそれらしいです。
最後の叫び声を「アッー」にするところとか
ネタを忘れないのも流石w
54726-485:2008/02/03(日) 10:41:58 ID:JMAD3Zd7
・節分ネタ
・かがみ×こなた
・6スレ拝借
・エロ有り
・キャラ崩壊有り

半分ギャグ、半分エロって感じ
では行きます
548季節を分かつ慣わし(1/6):2008/02/03(日) 10:42:38 ID:JMAD3Zd7
 季節の移り変わり。
 それは普段意識する事はないけど特に立春の前日の事。
 私達は豆を撒いたり食べたりする習慣がある。





 季節を分かつ慣わし





 穏やかな日差しが春の近づきを感じさせる、そんなある日曜日の午後。
「遊びに来たよー」
 我家の玄関に聞き慣れた友人の声と客人の訪問を告げるチャイムの音が響いた。
「ほーい」
 居間でくつろいでいた私はこなたがやってきた事を知って、読んでいた本を閉じて返事をした。すぐに立ち上がり出迎えに行くと、私の背中を追いかけるようにつかさも神棚が設置された部屋を抜ける。
「いらっしゃい」
 ドアを開け目の前に現れた、ファーが付いた狐色のコートに身を包んだこなたに歓迎の言葉を掛ける。
「お邪魔しまーす」
 そう言うこなたは既に家の中。もうお邪魔してるんじゃないかとかくだらない事を一瞬考えて、即行で消し去る。
「いやー、外は寒いねぇ」
 白い息を吐きながらしみじみと語るこなた。吐息の色や手をすり合わせる仕草から、実際にはその寒さを体験してはいないのだが、屋外は相当寒いと言う事を私は感じ取った。
「そうでしょうね。暖房効いてるわよ」
 早く温まりたいとはこなただけでなく私の願望でもあったので、先程まで姉妹揃って温もっていたこの家で一番間取りの広い部屋にこなたを通す。
 通路から居間に舞い戻ると、再び訪れた温もりに私達は至福の表情を浮かべた。扉を一枚隔てただけでこんなに気温が違うとは、人間の発明品とは実に素晴らしいと実感する。
 特にこなたは玄関付近の室内より更に冷える外で寒風に吹き曝されていたから、室内を天国のように思っているのではないだろうか。
 鼻の頭を赤く染めている小さな来訪者に向き直ると、目を極限まで細めてとても幸せそうな笑みを浮かべていた。私の思っている通りで間違いなさそうだ。
「何か温かい飲み物持ってくるね」
 つかさが此処と隣接している台所の方を指差して言った。
「おー、ありがとー」
「悪いわね」
 私達の返事を確認して優しく微笑み、つかさは歩みを進め始めた。
 隣の部屋に入っていく妹の後姿が見えなくなった頃、再度呼び鈴が鳴らされた。
 恐らく本日召集を掛けたもう一人の人物が到着したのだろう。
「みゆきさんかな?」
 こなたも同意見らしく、私が脳内に思い浮かべた人物の名前を口にした。
「多分そうね。つかさー、みゆきの分もお願い」
 前半はこなたに、後半は呼んだ名と同様に少し離れて位置しているつかさに向けて言う。
 少々のタイムラグを生じて返ってきた、了解の意を示した少し大きめのつかさの声。それを聞きとった後、私はこの場所から身を移す事を憂鬱に思いながらも、二人目の訪問者を家に上がらせるべくゆっくりと歩き出した。
549季節を分かつ慣わし(2/6):2008/02/03(日) 10:43:00 ID:JMAD3Zd7
「そう言えばこなた、あんた何か用があるって言ってたでしょ」
 四人揃ったところでこなたに話題を振る。
「おお、そうだったそうだった」
 こなたは私の言葉でようやく当初の目的を思い出したようで、持参してきた荷物の中を探り始めた。
「皆、今日が何の日か勿論知ってるよね?」
「カリスマアパレル系ショップの店員というネタをされている芸人さんの誕生日ですね」
 そうだったのか。『かしこまり〜』とか言っているちょっと太った女の人が私の頭に浮かぶ。
 あの人幼児期から赤ちゃんモデルやってたらしいわね。生まれた時の体重は四千四百近くあったそうな。
「違うよゆきちゃん。今日はバルトロメウ・ディアスが喜望峰に到達した日だよ」
 マジか。っていうかつかさ何でそんな事知ってるんだ。
 私もこの流れに乗って、今日はのり巻きの日よと発言しようとしたが、こなたがしょんぼり顔になっているのを見て慌てて口を閉じる。
「今日は節分でしょ」
 私のもっともな回答に、こなたの顔が見る見る内に明るくなっていく。それに比例して私の理性が削られていく。何という理性デストロイヤー。
 ちなみにのり巻きの日とは、節分の夜に恵方に向かって太巻きを食べると幸福になると言い伝えから、約二十年前に全国海苔貝類漁業協同組合連合会によって制定されたらしい。
「そうだよかがみん。それで私はこんなものを用意したのだよ」
 目を爛々と輝かせたこなたがちらりと見せた、黄色の地に黒の横縞をあしらった布地。
「鬼の衣装ね」
 私はその模様でこなたの準備したものとその後の展開を理解した。
「皆で豆撒きパーチーだ!みゆきさん、例のもの持ってきてくれた?」
「ええ、ここに」
 そう答えてハンドバッグから大量の炒られた豆を取り出すみゆき。ご丁寧な事に複数の升の中に均等に分けられていた。
 明らかに許容量を超えるその多さに、何処か異空間にでも繋がっているのではないだろうかと本気で考えた。しかし答えを聞くのが怖くて私は押し黙る。
「食用の分も残してあるので遠慮なく使ってください」
「んで、問題は誰が鬼をやるかなんだけど……」
 こなたが私の方を見た。瞳を潤ませて哀願するような目線で私を射抜く。
 こっち見……てください。
「嫌よ。こなたがやりなさいよ」
 こなたに鬼の役割を譲渡した理由は主に二つ。私がやりたくなかったのと、こなたの鬼の姿を見てみたかったから。
 配分がどちらかに偏ってるけど気にしない。
「では公平にじゃんけんで勝った人がかがみさんに鬼をやって貰うよう頼みましょう」
 待てこら。それではこなたが着るケースがないじゃないか。
 結局一人五指を収束させたみゆきは、手の平を開いた私達に負けて鬼の役をやる事になった。じゃんけんって大概言い出しっぺが負けるのよね。
「かがみさん、常識的に考えて紙が石を上回るなんてあり得ませんよね?」
 言い訳がましく抗議するみゆきは放っておく。
550季節を分かつ慣わし(3/6):2008/02/03(日) 10:43:24 ID:JMAD3Zd7
「結論から申し上げると、サイズが合いませんでした」
 こなたから渡された衣装を手に一人脱衣所に入っていったみゆきだったが、数十秒後元の服装のまま出てきた。
「非常に残念です」
 残念じゃなさそうにみゆきが呟く。
「こなた、あんたサイズ調べてきたの?」
 振り返ってたった今問題となった衣服を調達した本人に確認を取る。
「そう言えば私に合わせたかも」
 ちょろっと舌を出すこなた。他に人がいなければ床をのたうち回っているところだ。
「結局自分が着る気だったんじゃないの」
 にやけが止まらない私は、少し前に悔いた事がこんなにも早く現実になるこの流れに、多大なる感謝の気持ちを寄せた。
「うーん、私しか着れないだろうし……よし!私が着てしんぜよう!」
「では泉さん、どうぞ」
 みゆきから縞模様の布地を受け取って、こなたは扉を開けた。閉められるのを目の当たりにすると、自然と舌打ちが漏れた。
「みゆきの眼鏡って透視出来るみたいな特殊能力ついてないの?」
 無茶振りも良いところだと自分でも思う。
「ついてますよ」
 今すぐその眼鏡をこっちに寄越せ。
「本当に?」
「浮かび上がった光の色で宝箱の中身がアイテムかゴールドかエネミーか判断出来ます」
 使う機会あるのかそれ。
 ドアを前に佇む三人。沈黙が流れる。
「かがみさん、つかささん、これをご覧になってください」
 みゆきが私達に提示するように突き出したのは、何の変哲もないみゆきの腕だった。
 何か見せてくれるのではなかったのかとしげしげと眺めていると、みゆきの指が変に折り畳まれているのに気づいた。人差し指と中指は前側に、その他の指は手の平に向かっている。
「じゃんけんの第四勢力のピョーです」
 何言ってるんだこいつは。
「パーには勝てますがグーとチョキには勝てません」
 どうやら先程パーに負けたのが余程悔しかったらしい。心中でそう読み取ると、丁度扉が開かれる音がした。着替え終わったようだ。
「じゃじゃーん!どう?」
 それを合図に視線を向ければ、目に飛び込んでくるのは鬼の衣装に身を包んだこなた。
 その服装は所謂ツーピース。みゆきの特殊能力になんか頼らなくても、今だけはこなたの腰の括れや小さなおへそも丸見えだ。
 上半身は肩紐のない黄色と黒色を基調とした布だけに巻かれるように覆われていて、こなたがもっと見てと言うように動けば連動するように同色系統のフレアスカートも揺れる。
「ねぇかがみ、どう?似合ってる?」
 こなたが私の前に歩み出れば、鬼をモチーフとした衣装はひらりと翻る。ミニスカートが、着用している人物の動作に遅れて元に戻る。
 これは核兵器並の破壊力だ。威力が鬼ヤバい。皆に危害が及ぶ前に実態を調査せよ柊かがみ。
「お……」
「お?」
「鬼は内いいいいいいいいいぃぃぃぃぃ!!!」
「にゃあああああ!!」
 私はこなたを担いで自室へと駆け出した。核実験の為だ。
 もう一度敢えて言う。核実験の為だ。
「ちょ!かがみっ!普通鬼は外だよ!?つかさ、みゆきさん、そうだよねっ!?」
「こなちゃん、鬼を祭神や神の使いと扱う神社は鬼も内で良いんだよ」
「他にも姓に鬼のつく家庭でも鬼は内で良いんですよ。鬼塚とか鬼丸とかオニオンとか」
「ええっ!?そうなのっ!?」
「そうなのっ!」
「いやかがみ!?絶対知らなかったよね!?今確実に話合わせたよね!?ほら!早く皆で健全に豆撒きしようよ!二人だけでかがみの部屋直行なんて―――誰かー!」
551季節を分かつ慣わし(4/6):2008/02/03(日) 10:43:48 ID:JMAD3Zd7
 こなたは仰向けで私の部屋にあるベッドの上。そして私はこなたの上。
「もぅ……強引なんだから」
 私を見上げて頬を染めながら囁くこなたに私は自我と記憶と魂を失いかけたが、何とか現世に踏み止まる。
「こなたぁ……良いよね?」
 私が顔を近づけながら猫なで声で聞くと、こなたはより一層顔面に浮き出た朱色の部分の面積を広くした。
「どうせダメって言ってもやるんでしょ?」
 こなたの声には諦めと期待が入り混じっていた。自然と顔が綻ぶ。
「良く分かってるじゃない……」
 私はそう呟いて、こなたの唇を奪った。反射的にこなたが目を瞑る。
 両手を繊細なものを扱うかのように優しくこなたの頬に添え、自分の唇をこなたの柔らかい部分に押し当てていく。
「ん……」
 存分に堪能した後、私は更なる繋がりを求めて舌端を伸ばした。こなたの熱い口内をうねりながら進む私の舌は、すぐに同じ形状の物体に出会う。
 粘膜に覆われたそれらはお互いを必要とするかのように絡み合い、存在を確かめ合う。
 私達だけの世界に響く淫猥な水音。刺激に反応して時たま漏れる嬌声。一種の心地良さを感じさせるこなたの香り。
 どれも私しか知らないこなたの淫らな様子。気分を高揚させるには十分すぎるほどだった。
 更なる興奮を手に入れようと、私は激しく舌を動かす。
「んむぅ……んふっ……」
 唇から歯茎まで余す事なく隅々まで舐め回す。縦横無尽に快感を弄る私の舌は暴れるような動きで、もしかしたら私の心理状態を表していたのかもしれない。現に私の脳は、唾液にまみれた部分同士の接触によって起こる淫靡な感触にショート寸前だった。
 それでもこなたはまだ満足していないのか本能のままの行動なのか、積極的に巻きついてきた。こなたを私が欲情させているという事実に私は嬉しくなって、もっと強くこなたの唇を吸った。
 濃厚な口づけをたっぷりと味わって、私は名残惜しさを感じながらも接合部を離した。大分密着していたはずなのに、まだ足りないと不満を示す私の心は貪欲なのだろうか。
 混ざり合った私達の唾液は細く長い糸を引いていて、もっと深い連繋を欲する私の心情を表しているようだった。
 それが千切れてシーツに染みが出来た時、私の中の何かも切れた気がした。
「かが……ふあっ!」
 突然訪れた快感にこなたの発言は中断を余儀なくされたのだろう。原因を生み出した張本人なのに、私は随分と冷静な視点から観察していた。
 こなたの水色の縞々パンツは既に下着の役割を果たせない状態になっていた。布を隔てていても伝わるこなたの秘所の湿り具合に、私は今一度こなたを高ぶらせた事を実感する。
 この模様も今日の衣装と合わせて選んだのだろうか。もしかしたらこういう状況を予想して私の為にはいてきてくれたのだろうか。
「か、かがみ?こういう事はさ、また今度にしない?」
 こなたの上目遣い攻撃が開始された。私のハートに天使が放った矢が突き刺さる光景が浮かぶ。急所に当たり効果は抜群、こなたの属性とも一致していてその威力は実に通常の六倍である。
「ほら、つかさやみゆきさんもいるわけだし……」
 気合の何とやらで何とか瀕死だけは防いだ私に追加攻撃が襲い掛かる。第二防衛ラインも突破されそうな勢いだ。
「今日は節分なんだから、節分っぽい事しようよっ」
 一気に勝負を決めるつもりなのかこなたは力強く提案した。しかしここで諦める私ではない。
 何とか節分からに関する事で私の望む結果にありつける言葉はないだろうか。凄まじい速さで脳内に様々な知識を巡らせる。
 節分……鬼……鰯……太巻き……豆……
 ―――豆?
 閃いた。
552季節を分かつ慣わし(5/6):2008/02/03(日) 10:44:09 ID:JMAD3Zd7
「ねぇこなた。節分って歳の数だけ豆を食べるわよね?」
 答えは分かってはいるのだが、そう聞きつつ私はこなたのスカートを脱がせる。
「そうだけど……」
 堂々とショーツを覗く私に歯切れ悪く答えるこなた。
 咎められないという事は、こなたもこの後の展開を受け入れる準備をしているのだと良いように解釈して、私は下着に手を掛ける。
「じゃあ節分らしく豆でも頂こうかしら」
 私は上機嫌にこなたの秘所を露出させた。何度見ても飽く事のない、魅力的な光景が繰り広げられる。
 透明な液体が僅かに光り輝くこなたの陰唇は、ひくひくと微かな反応を見せる割れ目を襞が囲っていた。
「な、何をするつもりなのかな?」
 じっくりとそれを視認する私に上擦った声でこなたが尋ねる。
「だから節分に因んで豆を食べるのよ」
 私は強引にこじつけた行為続行の理由を伝えた。
「こなたの豆を……歳の数だけね」
 言い足して、私は頭部の全面を露わとなったこなたの大切な場所に寄せる。
「ひゃっ!」
 甘酸っぱい匂いが鼻腔をくすぐる。軽い目眩が起こりそうな感覚に人格のコントロール権を奪われそうになったが、私は何とか見えない力の強奪のもくろみを失敗に終わらせる。
 愛液滴る秘裂に、私はそっと舌を差し入れた。
「ひゃうっ!」
 自分の意志ではないだろうが、恥部に無断で入り込んできた異物を拒絶するかのように膣口をすぼませるこなた。
 私はこなたの両脚を半ば無理矢理開かせ、侵入者扱いされた自分の口中の突出した器官を押し付けるように顔をなお一層接近させる。
「んっ……」
 陰部を妖艶に煌かせる愛液はまるで媚薬、私の性的欲求を急速に催させた。
 酸味のあるこなたの味を知覚しながら、包皮に包まれた肉芽を舐め上げる。
「んあっ」
 途端にこなたの足先が伸びて、筋肉の収縮を行動で表した。
 真珠のように小さく優美な突起を、唾液を乗せた舌先でつついたり転がしたりするだけで、秘裂の奥から粘り気のある液体が滲み出る。
 全てを舐り取るようにこなたの中を掻き回す。
「ひあっ……」
 こなたの下半身の猥りがわしい有様を当人に示すように音を立てる。
 私は内部をなぶるような動かし方を止め、引き抜いては両度差し込むといった愛撫の方法に変更した。直後、身体を反らしてスプリングを軋ませるこなた。
 突き入れる時は強烈な圧迫感、抜き出す時はざらつく吸引力がまるで誘っているかのように私の火照りを増させる。
「大分濡れてきたわね。そろそろ限界なんじゃないの?」
 いやらしい効果音を立てるのを止めて、こなたに問い掛ける。
「そ、そんな事ないもん」
 本人は強がっているようだったが、私には恥らっているように見えた。
 羞恥の色に染められた顔、無意識によじられる身体。大部分は欲求に正直で、与えられる感覚に抗う術を持ち合わせていなかった。
 こなたの大事な箇所を包む皮に再び舌を這わせる。
 密接させてから少しの間は擦るように動かした。甘さを含んだ声が自然と出てしまう度に、新たに愛液が溢れ出してくる。
「んんっ……」
 次いで掻き分けるように進める。一際敏感な局部に突き当たり、私はそこを拠点とし辺りをなぶり始める。
「はぁん!」
 甲高い声が上がる。それはこなたがもうすぐ達するという事を私に伝えてくれるようだった。
 こなたに気持ち良くなって貰いたい一心が私を加速させる。
「んっ……くぅん……!」
 慎ましやかに鎮座する突起に口唇を丸めて吸いついた。
 焼痕が残りそうなほどの高熱に覆われる感覚に、何も考えられなくなる。
 私の頭が真っ白になった瞬間―――
「ああっ!ああぅ……!あっ!うああぁっ!!」
 こなたの全身が硬直し、痙攣する。止め処なく湧き出す絶頂に達した証は、私の鼻の頭を、紅潮したこなたの身に降り掛かっていった。
「数分後に第二ラウンド開始ね」
「ど、どんだけぇ……」
 私の宣言に眉をひそめるこなたはしかし、嫌がっているようには見えなかった。
553季節を分かつ慣わし(6/6):2008/02/03(日) 10:44:30 ID:JMAD3Zd7
「いやー、すっかり遅くなっちゃったわね」
 一階へと続く階段を下りながら、私は満悦の笑顔を浮かべる。
「全く、本当に十八回やるとは思わなかったよ……」
 こなたはそのまま自分の心情を表現するかのように複雑な表情で返す。
 結局私達はつかさとみゆきを完全にほったらかしてしまっていた。気がついたらもう太陽は沈み掛けて、世界が紅一色に染まる美しき夕方の風景が見えていた。
「時間って忘れるもんねー。今日は泊まっていきなよ」
 これから帰宅するのも大変だろうと思い、こなたに言う。
「んー、じゃあそうしようかな……」
 こなたは思案顔で答えを出すと、扉を開けた。
 つかさとみゆきがほぼ同時に振り返る。二人は向かい合うように座って、何かを話し合っていた。
「何してたの?」
「じゃんけんの第三十七勢力について討論していたんですよ」
 お前ら私達がニュークリアーテストしてる間中ずっと議論を交し合っていたのか。どこまで根に持ってるんだ。
「みゆきさん、それ本気で使うつもりなの?」
「当然です」
「誰も分からないしみゆきしか使えないじゃない」
「私ルールです」
 もはや螺子が数本外れているどころの騒ぎではない。狂っている。私が凶ちゃんならみゆきは狂ちゃんだ。
「では第五勢力から紹介しましょう。これがペーで……」
 様々な形に手を変形させながら熱く語るみゆきの話を、私達はそれぞれ思い思いの事をしながら流していた。
「つかさ、私泊まる事になったから」
「あ、そうなんだ。じゃあご飯は二人分追加だね」
 こなたとつかさのやり取りを聞いて、私は疑問に思った事を口に出す。
「みゆきも泊まるの?」
「これがポーで第十八勢力に当たります」
 聞いちゃいねぇ。私達も聞いてないけど。
「私と一緒に今日中に五十は作るって張り切ってたよ」
 つかさが代わりに回答してくれたところで、私のお腹が空腹を訴えてきた。
「今お母さんが夕ご飯作ってるよ。もうちょっと掛かりそうだけど」
「私もお腹空いたなぁ」
 両手で腹部を押さえてしょげるこなた。気持ちアホ毛も項垂れている。これだけでご飯十杯はいける。太ったらその分こなたとの室内運動で消化すれば良い。こなたが原因なんだから手伝わせる権利が私にはある。
「ではその間大豆を食べませんか?」
 全て説明し終えたのか途中で誰も聞いていない事に気づいたのか。いつの間にかみゆきのオンステージは終焉を告げていた。
「そ、そうだね。折角持ってきてくれたんだし」
 賛同するこなたの声は少し裏返っていた。理由を知っているのは私だけ。
 私達はみゆきが取り出した大豆を自分の年齢と同じ数だけ手に取った。私はさっき食したけどまぁ良いや。一つずつ口へと運んでいく。
 全部食べ終えてから、こなたの方を見た。小さなその手にはまだ豆が握られている。
 豆になりたいなぁ。でも禁忌を犯して腕と足を失うのはごめんだわ。
「何で豆って歳の数だけしか食べちゃいけないんだろうねぇ」
 今のこなたの台詞が『もっとかがみに私のを食べて欲しかったのに!』と幻聴で補足された私は病気だろうか。
「イエス高須クリニック!」
 叫ぶみゆき。通じる人が多いか少ないか微妙なラインだ。というか私の心の中と普通に会話しないでくれ。
「でも歳の数より一つ多く食べると身体が丈夫になるって言い伝えもあるみたいだよ」
「っ!」
 みゆきの発言ををまるでなかったかのようにして、こなたの疑問に答えるつかさの何故か豊富な知識に反応した人間がこの場に二人。言うまでもなく私とこなた。
「いやっ!かがみっ!私もう限界……」

 ここから先の私の記憶は自室で全裸のこなたに寄り添っている場面から始まっている。
55426-485:2008/02/03(日) 10:46:55 ID:JMAD3Zd7
他の方とネタがかぶらんようにキャラ壊したいなぁとか
思っていたらこんな結果に
最初はオールギャグで行こうと思ってたんですが
執筆途中に豆のネタが浮かんできて急遽エロを組み込む事に
無茶して混ぜてどちらかが出来損ないの中途半端に
なってなければ良いんだが……

読んでくださった方有難う御座いました
555名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 10:52:06 ID:BbMH7OJg
>>554
リアルタイムで読了。
ていうか鬼プレイかかがみ、ぺーとかぽーとか何やってるんだみゆきさん。
笑えておっきして、貴方が福ですかほんとにもう。ぐっじょぶでした。

あ、あと。容量がアレなので、他に立候補される方がおられなければ11時をめどに次スレ立てを試みます。
556名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 11:02:21 ID:BbMH7OJg
555より住人職人の皆様へ。次スレ立てに成功しましたので、移動と埋め立てをよろしくお願いいたします。
次スレにもゴッドかなたさんのご加護を。

らき☆すたの女の子でエロパロ36
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1202004018/l50
557名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 11:08:10 ID:L3kRgKDj
もう36かぁ・・・なんか本当にゴッドかなたさんの御利益がある気がしてきた。
558双子の兄:2008/02/03(日) 11:44:27 ID:R2y59tbd
埋めネタ投下しますー。
シリアスでほのぼのな感じ。
ギャグも書いてみたいけど、自分のギャグセンスの無さに絶望しそうだ。
559節分の日:2008/02/03(日) 11:45:21 ID:R2y59tbd
 一緒に時を刻んだ人は少ない。かがみやつかさ、みゆきさんと出会ったのは高校に入ってから。だから、付き合いが浅いと言えば浅いのかもしれない。それでも、感じる友情はそれこそ幼馴染のように大きかったけれど。
「お姉ちゃん、これでいいんだよね」
 だけど、実際の所で言えば、私には本当に一緒に時を刻んだ人が少ない。中学ではかかがみ達みたいな気の良い友達は居なかったし、それより前だって同じ。私と一緒に時を刻んでいたのはお父さんくらいの人だった。
「おー、全然オッケーだよ」
 それでも、お父さんは私の事を本当に大事にしてくれた。行き過ぎな所はあったけど、本当に私を大事に、そしてここまで育ててくれた。感謝したって感謝しきれない、それぐらい私はお父さんに感謝している。
「お父さんの方はー?」
 だからなのかもしれない。色んな行事を、私はお父さんと二人でやってきた。だから、こういう事が。全く当たり前のように感じられなくて、特別で楽しい事のように感じる。今まではあった、遠くにいる人を想う寂寥感が、薄れてくれている。
「こっちは準備完了してるぞー!」
 だから、私は今一度誓おう。
 遠くにいる人を悲しませないで、安心させる事が出来るように。
 私は、誓おう。
「じゃあ、お父さん、どうぞー!」
 私は幸せになる、って。
 今でも充分過ぎる幸せを噛み締めているけれど、もっともっと幸せに。それこそ、遠くにいるあの人が羨むくらい、幸せに。私は生きて行こう。
「おっしゃー! どうだ? 似合ってる……って、いてっ、いたっ! ちょ、そんな不意打ち無だって……痛い!」
「あははは! 鬼はー外ー!」
 だってこんなに良い人たちが此処に居る。これで自分が不幸せだなんて思ったら、罰が当たる。私は幸せなんだ。こんなに、心から笑えるほどに、幸せなんだ。
 私は全力の力を込めて、鬼の格好をして仮面を付けたお父さんに小さな豆を投げ付ける。お父さんは面白い恰好で、私の豆の散弾銃を避けようと頑張っていた。
「あはは……」
 ゆーちゃんはそんな私達を見て、苦笑い。けれど、控え目ながらちょっとだけ豆を投げていた。その仕草が可愛くて、本当に妹みたいだな、って今一度思う。
「分かった! 鬼は外に行くから投げるのをやめてくれー!」
「あ、ちょ、その恰好で外に出ないでよ、お父さん!」
 駆けだしたお父さんを捕まえる為に、私もその後を追いかける。きっと、私は凄く幸せそうなな顔をしてる。こんなに楽しいんだから、私は幸せだ。
 これからは、出来が良いのか、良くないのか、微妙だけれど、世界で一番私を大事にしてくれるお父さんと、可愛くて、ちょっとドジで、病弱な最高級の妹のゆーちゃんと一緒に、“家族”という枠組みの中で生きて行ける。
 一緒に、時を刻める家族が、私には居る――。




――end.
560名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 11:45:52 ID:5TuCg8I+
>>554
>>554
なんなんですかこのエロスとワロスが共存する神世界は。
受けこなたも良かったですが、意地になるみゆきさんも可愛かったです><GGJ!

もう36とは…2スレ目からずーっと見てきましたけど、
それでもまだ一年も経っていないんですね。なんだか3年くらい経ってる気がします。
561名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 11:46:14 ID:R2y59tbd
これだけです。
短すぎたかな……。
562名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 11:47:27 ID:eBOVL34u
>>554
ジャンケン第51勢力、グッジョブ!!!
いやー、昼間からおっきしましたwナイス、かがこな。


>>555
スレ立て乙。
36かー、ここまで伸びるのは素敵な職人さん方と、らき☆すたを愛するスレ住人の力だな。
勿論ゴットかなたさんに見守られながらw
563埋めネタ「豆まき大戦争」
今日は節分。
確かに節分だが、家に帰ってそんなことをする余裕がない。
なぜならば、今目の前の人が、鬼の役目だからね。

節分に備えて、あたしはたくさんの豆を用意している。
大豆、小豆、落花生、黒豆の煮たの。
「あきら様、あの、後半はおかしいんじゃないですか?」
うるさい!あんたが口出ししないの!!
あたしが睨んでやると、そいつは体育座りで震え始めた。

さーて、いくわよ。
まずは大豆から!

「おにはーそとぉぉぉ!」
「ぎゃぁぁぁぁ!枡ごとなげないでぇぇぇ!」

ばらばらとそこらへんに散らばる豆たち。
鬼の面をつけてないけど今日は鬼の人の学ランに、
豆の残骸がたくさんついている。

次、小豆。

「あのあきら様、小豆はなげないとおもうわああああああいたいいたいいたい」

あたしが大豆って言ったら大豆!小豆っていったら小豆なの!
これって煮たらおいしくなるのよね。
どっちかっていったらつぶあんよりこしあんよね。
これ常識。

「ぼ、僕はつぶあんのほうが好きです…だってうわいてててて」

あんたの意見なんて聞いてない!

次、落花生。
殻ごとでいいのかな?

「落花生だーってまってください、それ泥ついてる!ぎゃああああ」

え?これ落花生でしょ?泥ついてたけど買ってきちゃったからなげただけなんだけど。
ダメだった?

「せめて、市販されてる一般的な落花生にしてください…」

最後よ白石、覚悟しなさい!
黒豆!

「あきら様!あの、投げるのはいいとしましょう!」

じゃいいじゃない、投げるわよ!

「だからって缶詰のままわあああああああああああああああああああああ」

ぱたりこ。

あれ?白石大丈夫?
とりあえず起きたら一緒に缶詰あけようね。
でも豆使ってケーキ作るのはなしよ?

「ぼ・・・僕はあきら様の豆が食べたかっ…がくっ」
「変態。」