キモ姉&キモウト小説を書こう!Part7

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1名無しさん@ピンキー
ここは、キモ姉&キモウトの小説を書いて投稿するためのスレッドです。

○キモ姉&キモウトの小説やネタやプロットは大歓迎です。
愛しいお兄ちゃん又は弟くんに欲情してしまったキモ姉又はキモウトによる
尋常ではない独占欲から・・ライバルの泥棒猫を抹殺するまでの

お兄ちゃん、どいてそいつ殺せない!! とハードなネタまで・・。

主にキモ姉&キモウトの常識外の行動を扱うSSスレです。

■関連サイト

キモ姉&キモウトの小説を書こう第二保管庫@ ウィキ
http://www7.atwiki.jp/kimo-sisters/pages/1.html

キモ姉&キモウト小説まとめサイト
http://matomeya.web.fc2.com/
■6スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part6
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1193888223/
■5スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1190487974/
■4スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part4
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■3スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part3
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■2スレ目
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part2
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■初代
キモ姉&キモウト小説を書こう!
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1176013240/
2名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 05:29:40 ID:74u0AYNO
■お約束
 ・sage進行でお願いします。
 ・荒らしはスルーしましょう。
  削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、
  削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。
 ・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。
 ・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。

■投稿のお約束
 ・名前欄にはなるべく作品タイトルを。
 ・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。
 ・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため)
 ・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。
 ・作品はできるだけ完結させるようにしてください。

SSスレのお約束
・指摘するなら誤字脱字
・展開に口出しするな
・嫌いな作品なら見るな。飛ばせ
・荒らしはスルー!荒らしに構う人も荒らしです!!
・職人さんが投下しづらい空気はやめよう
・指摘してほしい職人さんは事前に書いてね
・過剰なクレクレは考え物
・スレは作品を評価する場ではありません
3名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 05:30:57 ID:74u0AYNO
■誘導用スレ
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 43も古参も
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1195559243/l50
ヤンデレの小説を書こう!Part11
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1192890392/l50
いもうと大好きスレッド! Part4
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1188824773/l50
お姉さん大好き PART5
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1186239004/l50
4名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 07:17:03 ID:eOxneIo2
>>1
5名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 07:25:54 ID:zGBQDspN
即死回避
6名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 07:29:56 ID:NhpqDP9U
キモ母もよろしく
7名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 09:26:58 ID:QL8A9loC
>>6
キモ姉、キモウト、キモ母、キモ娘とのWAKU☆DOKIライフと申したか。
8名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 11:45:40 ID:xA8oG9jG
>>6>>7
ねーよw
9名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 14:54:10 ID:PmiLZm4t
>>8
ないの?
実際問題日本ではムスコンなキモ母が多いのに。
10名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 17:24:17 ID:g+HB/JQ1
現実世界でのキモ母の多さは異常。
11名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 18:19:50 ID:G7Zn0/aK
実際のところ、近親関係全般を扱ってもいいよな。
今はここってあんまり混んでないし。
12名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 19:40:55 ID:BUkW60tY
しかし途中からスレの守備範囲を勝手に変更するわけにも行くまい
キモ母が好きならそのスレを建てて、まず数作品の投稿も待って
それから合流に持ってくくらいの手順は踏まないと
13名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 19:47:13 ID:HBstUfVY
キモウトと兄の間に生まれた息子ならいいんじゃないか?
14名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 20:00:31 ID:74u0AYNO
付属品としてならアリだと思う。つかメインにするには需要少なすぎるだろ
15名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 21:39:15 ID:rSmy/H47
江戸時代を舞台に、いくら邪魔されても執拗に弟を狙うキモ姉、というのはどうか?

民 ねえちゃん。

続編では弟を殺人者から守り通すんだな。
16名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 21:40:25 ID:rSmy/H47
もちろんキモ姉の名前が、おたみさん。
17 ◆/waMjRzWCc :2007/11/29(木) 23:05:13 ID:REMO1yqG
投下一番槍行きます
18理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/11/29(木) 23:06:43 ID:REMO1yqG
「ねぇ、修くん」
頭を撫でられていた理緒姉が急に真面目な顔で話した。
「まだ、お腹の傷…痛い?」
「まぁ、そうだね。ただ、もう謝るなよ」
「うん…あのね、傷を見せてほしいの」
…包帯外せって事か?「俺は包帯の巻き直しできないんだが…」
「理緒が巻き直してあげるから…お願い」
なんだか真剣な顔をしてるなぁ…
仕方ないな…
「よっ…と、つっ!あ、やべ、まだ血が…って理緒姉っ!?」
「んっ、ぺろ…」
理緒姉は俺の傷と俺の血をとても愛しそうに舐めている。
俺は痛みと、理緒姉の舌の感触と、唾液の温かさとを感じていた。
「理緒、姉…俺の血なんか、汚いだろ…?」「汚くなんかないよ。とても温かくて、修くんの命を感じる」
…正直かなり傷が痛いんだが。
その時コンコンとドアがノックされた。
こちらの返事も待たずにドアが開けられる。
「織部君、具合はど…」
………
長い沈黙。
「どうもお邪魔しました」
「ちょっ、ちょっと待てって!」
「理緒姉さんがいるから平気でしょう?」
「そういう問題じゃねぇ。羽居、何しに来たんだ?」
「お見舞いと、話を」
「見舞いはありがたいけど、話ってなんだ?」
19理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/11/29(木) 23:08:34 ID:REMO1yqG
「織部君の…いえ、織部という家に関しての事」
「家に関して…?」
織部の家ってそんなに特別な事有ったのか?
「理緒姉、なんか知ってる?」
「ううん…何も」
理緒姉も知らない事なのか。
「でもなんで羽居が理緒姉も知らない事を知ってるんだ?」
「随分前に私の家に手紙が届いたの。それに詳しく説明がされていた。差出人は、織部利織」
「としお?」
「織部君のお父さん。字は便利の利に、織部の織だった」
へぇ…俺の父さんの名前は利織って言うのか…
つーか字だけ見たら女みたいな名前…
待てよ?これって、音読みしたらりおだよな?
「お父さんの名前が理緒の名前の由来…」
理緒姉も驚いてる様子だった。
「由来はそれだけじゃない。織部君のお父さんの結婚する前の名前は、忍取利織。回文である事もその一つだった」
そうか…言われてみれば「おりべりお」は回文だ。
「おしとりとしお」も回文…
うちの家の人はシャレ好きなんだろうか?
「…」
ふと理緒姉を見ると、なんだか焦っているように見える。
「理緒姉、大丈夫?」
「えっ?な、何が?」
「なんか焦ってるっていうか動揺してるっていうか…」
「ん、大丈夫、なんでもないよ」
20理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/11/29(木) 23:11:07 ID:REMO1yqG
あまり大丈夫そうには見えないが、理緒姉がそう言うのなら平気なのだろう。
気になるのは、俺の名前は回文でもないし、季節の名前でもない事だ。
なぜ俺だけ修なんて普通の名前なんだ?
夢の中で父さんは名前の本当の意味がどうとか言ってたけど…
「それと」
突然の羽居の声が思考を遮る。
「とても言いにくい事が織部の家には存在する」
「言いにくい…事?」
理緒姉が母さんを…殺した事でさえあっさりと言い放った羽居ですら言いにくい事?
俺の家に何が有るっていうんだ?
「羽居、教えてくれないか?」
もしかしたら、何か有るかもしれない。
それに自分の家の事を知らないのは嫌だ。
「…聞いても、後悔しないで。織部の家は、他の家の人と交わらずにここまで受け継がれてきた血筋なの」
…他の家と交わらない?
じゃあどうやって血を絶やさずにいるんだ?「織部の家は、これまで近親相姦によって産まれた子供に家を継がせてきた」
近親相姦…?
つまり家族と性行為をして、そのうえ子供まで作ったのか?
「ちょっと待てよ。織部の家って何年有るんだ?」
「少なくとも百年は有ると書いてあったわ」
悪い冗談だろ…?
21理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/11/29(木) 23:12:41 ID:REMO1yqG
今の話が本当だとしたら、この家は狂ってる。
百年間もの間、家族と交わるなんて禁忌を犯し続けたなんて…
いや、俺に批判する事なんてできないか。
なにしろ俺だって理緒姉を犯してしまったのだから。
「私のお母さんは、それが嫌だった。だから、家に逆らって利織さんと結婚した」
そうか、そういえば母さんは自分の家の人以外と…
「でも、血から逃れる事はできなかった。母さんは織部君を求めた」
「それは…つまり、俺を性の対象として見てたって事か…?」
結局織部四季も織部の血には逆らえなかったって事か…
だが、まさか自分の息子を…
「もし織部君がお母さんと一緒だったなら、織部君は当たり前の様に母親と…」
「そんな言い方やめてくれ。例え話だとしても考えたくない」
自分が顔も覚えてない母親と交わる姿を想像して、吐き気がした。
「失言だったわ。ごめんなさい」
「いや、こっちも悪かった。聞いたのは俺だったんだから」
「話は変わるのだけど」
不意に羽居の雰囲気が変わった。
「織部君、ごめんね?」
「何を…」
そこまで喋って、脇腹に激痛。
呻き声をあげる間も無く頭をベッドに押し付けられる。
22理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/11/29(木) 23:13:59 ID:REMO1yqG
「動かないで」
その一言だけで動きが固まってしまう。
今、どういう状況なんだ?
視界が閉ざされ、全く何も分からない。
「やっ…来ないで…っ」
理緒姉?羽居は何をしてるんだ?
とにかく、止めさせなければ。
「羽居、止めろ!」
「理緒姉さん、あなたは…お母さんを殺した」
「ひっ…」
「あなたはどう考えているの?」
「許して…ごめんなさい…許して…」
「…もう、いいわ」
頭を抑えていた手が離れる。
ズキズキと脇腹が悲鳴をあげる。…また傷が開いたかなぁ…
「羽居…」
「ごめんね織部君。…あの、織部君」
「…なんだ?」
「二人だけで、話がしたいの」
これ以上何を話すっていうんだ?
「その…すごく私的な事だから…他の人に聞かれたくない…」
羽居がそんなこと言うのは珍しい。
普段はテストの点だろうが進路だろうが堂々と話しているのに。
まぁ、聞かれても全く問題の無い点を取っているからだろうけど。
「分かった。理緒姉、悪いけどちょっと席を外してくれないか?」
「え…でも…」
「頼む」
どう見ても不満そうな顔をしながらゆっくりと出ていく理緒姉。
「ありがとう…」
「感謝される事じゃない。理緒姉の為だ」
23理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/11/29(木) 23:16:54 ID:REMO1yqG
正直な所羽居と理緒姉をあまり一緒にしておきたくなかった。
これまでの事を考えると、仕方ない事であると思う。
「それでも、ありがとう」
「…で、話はなんなんだ?」
早めに、話を聞いておこう。
正直、脇腹の痛みが酷い。
少しずつ、血が流れている様だ。貧血気味の様で頭もあまり回らなくなりそうである。
「織部君…私は、私はどうすれば良いの?」
「…?」
「私は今までお母さんの復讐だけ考えてきた。でも、さっきの理緒姉さんを見たら…復讐する気なんて、無くなってしまった。あまりにも無様、あまりにも弱い…」
「それなら…」
「でも、私は復讐以外の目的が無い。復讐を忘れたらお母さんが消えちゃう…!」
こんな羽居は見た事が無かった。
こんなにも苦しそうで、消えてしまいそうな羽居は。
「復讐なんて、止めればいい」
「そんな…」
「復讐を忘れたとしても、母親は消えないんじゃないか?」
「どうして…どうしてそんなことが言えるの!」
「だって、羽居はそんなにも母親の事を思ってるじゃないか」
「…!」
「それなのに、なんで母親が消えるなんて言うんだよ。羽居が覚えている限り消えない。そうじゃないのか?」
24理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/11/29(木) 23:19:42 ID:REMO1yqG
「うっ…ああぁ…」
「だから、復讐なんて止めろ。織部四季もそんなこと望んじゃいない。俺はそう思う」
「…織部君、別人みたいだね」
今のセリフはかなりショックだぞ?
「普段の俺はどんなんなんだよ?」
「う〜ん…なんかもやもやした霧みたいな…」
「俺は生物ですら無いのかよ…」
しかももやなのか霧なのかもはっきりしないのか…
ん?もやと霧の違いってなんだ?
そういえばあんまり良く知らないな。
っと、思考が脱線してた。
「話は、それだけか?」
「うん。織部君ありがとう、こんな私の話を聞いてくれて」
「今度はもっと違う羽居の話を聞いてみたいかな」
「…っ!本当に別人みたい…」
「ん?なんか言ったか?」
「ううん、なにも。じゃあ、またお見舞いにくるわ」
「あぁ、またな」
羽居を見送った後、俺はどさりとベッドに倒れる様に横になる。
段々と視界が暗くなっていく。
それと同時に、強烈な眠気が襲う。
「……ん!修……!」
誰かが、俺の名前を呼んでるのか?
うるさいな…俺は、眠いんだ…
今は、ゆっくりと寝させてくれ…
25 ◆/waMjRzWCc :2007/11/29(木) 23:21:35 ID:REMO1yqG
投下終了します。
>>1の人乙です。
それと綾シリーズの人GJとお疲れ様でした。自分がここで書こうと思ったきっかけの一つでした。
26名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 02:10:27 ID:0NZTlTgy
>>25
一番槍GJ!
何か複雑な血の事情がありそうな予感…?
続き期待しています
しかし理緒姉は強いのか弱いのかわからん人だ…
27名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 11:07:37 ID:nHUt8nOy
それだけ不安定だということだろう
28名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 11:42:50 ID:2AuZ0v4T
保管所消えた?
29名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 17:39:40 ID:bjJ72t3J
前スレの461です。
前スレで投下した無口な姉の短編(続編)を投下します。
30名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 17:41:05 ID:bjJ72t3J
僕の一つ年上の姉さんは感情の起伏が乏しい。
だけど、完全に無表情なのかと問われたら答えはノー。
判別は難しいが感情の起伏はあり、また必要ならば会話する。
初対面の人ならば良い印象を受けないかも知れないが、姉さん自身あまり気にしてないらしい。
何事にも興味を持たず、何事にも囚われない姉さんだが。
たった一つだけ普段の姉さんからは想像が出来ない程執着するものがある。
それは僕に関するあらゆる事。
僕と接する時間を邪魔する者は赦せないみたいで。例えそれが教師でも実の両親であっても何ら変わりはない。
僕はそんな姉さんが嫌いではない、どちらかと言えば好きな方だ。
今リビングのソファーに腰掛けながら、姉さんが煎れてきてくれた緑茶と特製甘菓子を堪能している。
「……おいしい?」
「かなり、おいしいよ」
黒くて長い髪の毛を左手で抑えながら、尋ねてくる姉さんに出来るだけ優しく微笑むと。それに答えるように僅かだが姉さんも微笑み返す。
元々姉さんは菓子作りはしなかったのだが、甘い物が好きな僕の為に覚えたらしく。
今日みたいな休日には姉さんが、振る舞ってくれるようになった。
ふと窓に目を向ける。
少し前まで緑に萌えていた木々は、少しずつ模様替えをし始め。
街並みが紅葉色に変わろうとしていた。
「そろそろ秋だね。」
窓から視線を外さずに聞くと、少し間を空けてから返事が返ってくる。
「そうね……。秋、好きなの?」
窓から目を逸らし、姉さんを見る。
窓から差し込む夕陽が姉さんの黒髪を照らし、素直に美しいと感じた。
憂愁の美という言葉が正にぴったりで、長年見ている筈なのに見とれてしまう。
「うん、好きかな。姉さんは?」
「……貴方と同じよ。」
相変わらずの無表情だが、どこか優しい雰囲気がした。
切れ目がちな目をゆっくり伏せると、まるで囁くように続ける。
「……貴方が私の傍に居てくれたら。それだけで私は全てを好きになれる」
僕に密着して座っていた姉さんは、瞳をゆっくり開けると。
細い指を伸ばして、僕の頬を優しく撫でる。
少し冷たい指が頬の熱気を冷ます感触。
31名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 17:42:50 ID:bjJ72t3J
そして、少しの恥ずかしさ。
姉さんと過ごす時間は多種多様で前日のように読書をすることもあれば、姉さんに勉強を請う時もある。
姉さんは美貌、家事、勉強とあらゆる事が出来る人だが。その反対に僕は凡人。
唯一の長所は欠点がない事。
自己紹介の時に言ったら、それは長所じゃないだろ……と言われたのは記憶に新しい。
そっと横に居る姉さんを盗み見る。
腰辺りまである流れるような黒髪に、少し切れ目がちの黒い瞳。
お茶を呑む姿は一枚絵の如く美しい。
本当に姉弟なのか疑いたくなる。
以前姉さんに子供心から尋ねてみた事があったのだが。その時の姉さんは少し目を見開いた後、僕をそっと抱き締め言ってくれた。
「……貴方は正真正銘、私の弟。…でも例え弟じゃなくても貴方を心から愛しているわ」
それは僕自身を愛してくれているという事に他ならない。
その言葉はどんなに飾り立てた言葉よりも、僕の心を打った。
時計の秒を刻む音が部屋に響く。
時折お茶を呑む僕らの音がアクセントになるが。静かで優しい時間。
ピンポーンと来客を知らせるベルが鳴り響く。
休日に誰かが来るなんて珍しい。
「姉さん、開けてくるね」
「…………」
一緒に居る時間を邪魔されたからだろうか?
急に無言になった姉さんを一瞥すると玄関へ向かった。



「お兄ちゃ〜〜ん!!」
ドアを開けた僕に抱きついて来たのは、従姉妹の胡桃ちゃんだった。
短い髪をツインテールで纏めている彼女は、母の妹の一番下の娘で一目見たときから僕を気に入ったらしく。
良く懐いてくれている。
「遊びにきちゃった」
くりくりと大きな瞳を輝かせて、イタズラが成功したみたいに舌を出す。
「久しぶりだね、胡桃ちゃん」
僕の腰に手を回しながら抱きついて来た胡桃ちゃんの頭を撫でながら話すと、僕を見上げた胡桃ちゃんの頬が膨らんでいく。
「お兄ちゃん、最近遊んでくれないから。我慢できなくてきちゃった」
「そっか、ごめんな」
「だから、今日はたくさん遊んでね!!」
にっこりと太陽みたいに笑う胡桃ちゃん。
「……離れなさい。」
澄んだ声が玄関に響く。
後ろを振り返るとリビングで寛いでいた筈の姉さんが立っていた。
32名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 17:44:15 ID:bjJ72t3J
瞬間、胡桃ちゃんの肩がびくりと震える。
「…聞こえなかったのかしら?もう一度言うわね」
先ほどより大きな声で響かせるように紡ぐ。
「離れなさい」
ゆっくりと僕から名残惜しそうに離れた胡桃ちゃんが姉さんと相対した。
「お久しぶり、お姉さん。」
僕からはその表情を伺い知ることは出来ないが。
空気が重たい。
どこか張り詰めた空気。
「…何か御用かしら?」
二人の会話から互いを制すかの様な棘が感じられる。
「お姉さんは休日なのにどこにも行かないのですか?」
「あら……子供は外で遊んできなさい。」
正に一触即発。
暗に胡桃ちゃんは姉さんに、貴女早くどこか行きなさい…と言い。
姉さんは姉さんで胡桃ちゃんに、子供は外で遊んでいなさいと言う。
冬だと言うのに背中が湿っている。
まずい…これは僕がなんとかしないと。
そう決意し、二人の間に割って入った。
33名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 17:48:34 ID:bjJ72t3J
これで投下終了です。
修羅場の続きは読書様の想像力に委ねます。


超絶ブラコン妹の話は長編に向けて誠意執筆中です。
もう暫くお待ちを。
それではお目汚し失礼しました。
34名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 17:51:22 ID:b1o3aNW/


>>萌えていた木々
ここで意味を一瞬取り間違えたから首吊ってきますね
35名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 19:46:09 ID:gWJwX7Vf
>>33
こう言う系好きだー!!GJ!
36名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 23:15:03 ID:/EuHViq1
ロリの嫉妬もいいなぁ
子どもという表現だけでロリかどうかわからないけど
37名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 06:29:42 ID:k738A8FS
38名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 08:33:17 ID:+wfgoqiT
「いいのよ、どんな女と付き合おうと。 最後にあの子の子供を産むのは私なんだから」

という電波を受信した。
39名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 16:12:45 ID:29Tw1H4m
>>36
ロリの場合可愛い嫉妬だったらいいんだけど深い嫉妬だったら嫌だな。
40名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 22:00:33 ID:KlSlZBpN
>>38
さあ早くその電波を形にするんだ
41名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 22:18:15 ID:zniUjzXj
キモ母まだー?
42名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 07:11:12 ID:KLOrdDgw
>>41だからスレチとry

だが新スレ建てると確実に批判ありそうだし荒れそうだしなぁ(多過ぎる派生とか荒らしのせいで新スレ建てるな的な空気になってるから)

まさに八方菜塞がり
43名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 07:33:16 ID:RozLhvDs
キモ父を忘れちゃ困るな
44名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 08:13:54 ID:5BgsnPBK
弱小スレだけど、娘スレの話が一切挙がらなかった事に泣いた。
45名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 08:51:15 ID:+Bta+kSa
キモ母なら嫉妬スレのまとめサイトにあったなぁ・・・義母だけど
キモ母を望むならここじゃなく
嫉妬スレやヤンデレスレに依頼してみたら?
46名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 16:13:15 ID:oRlKQH3p
ここに書いていいの?>キモ母
47名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 16:22:29 ID:FEBex1Kd
いらん
勘違いするなよ
48名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 18:01:47 ID:9uhrvGST
キモ姉妹VSキモ母ならスレ違いじゃないよな
49名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 22:17:22 ID:Kdza6yhD
姉 妹 母 のジェットストリームなら楽しみなんだ
50名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 23:33:59 ID:9mIV7gm7
>>46
オプションとしてなら可じゃね?
ただ、それ自体がメインになっちゃうとアウトかもね。
51名無しさん@ピンキー:2007/12/03(月) 03:15:56 ID:xIrHSG4h
オプションならここでもおk(もちろん事前注意ありで)。メインならヤンデレ辺りが望ましい。

こういう事?
52名無しさん@ピンキー:2007/12/03(月) 05:04:31 ID:QCHq05dg
嫉妬スレでもおkだぜ
というか嫉妬スレの母物の続きを早く書いて欲しいと思う俺がいる
53名無しさん@ピンキー:2007/12/03(月) 10:10:03 ID:hfkx87sn
嫉妬スレ、ヤンデレスレ、依存スレあたりなら男と女性の間柄を
限定してないんだからスレチではないだろう。
ただし逆に言えばそれらは近親専用スレではないので
母子ものである点は最初に注意書きが必要かと

ここタイトルで「キモ姉」「キモウト」をうたってるんだから
それ以外のものがメインのSSはキモ母だろうがキモ父だろうが
キモ娘だろうがキモ息子だろうがキモ犬だろうがスレチ
54名無しさん@ピンキー:2007/12/03(月) 10:44:27 ID:LloK2nYt
キモネェ、キモウト、キモ母でタッグを組んで男を拉致監禁とか
結構ありがちかな?
55名無しさん@ピンキー:2007/12/03(月) 11:58:46 ID:2uGt+V54
てか、他に姉スレや妹スレがあるのに
このスレは超マニア向けのような気もしなくはない
56名無しさん@ピンキー:2007/12/03(月) 12:08:55 ID:qji9PFlj
お前は今まで、我らの趣味がメインストリームだと思っていたのか?w
57名無しさん@ピンキー:2007/12/03(月) 12:13:12 ID:mzHq4Phu
 姉−弟  妹
  |
  娘

姉→弟←娘 妹

姉→←娘 弟 妹

弟妹  棺桶×2 

弟−妹

HAPPY END ?
58名無しさん@ピンキー:2007/12/03(月) 17:17:59 ID:xIrHSG4h
>>57なるほど。両想いの弟と妹が結ばれるために、邪魔なキモ姉を排除しようとしたんですな。
そしてとりあえず姉とやって、キモ娘作って相打ちにさせてHAPPY ENDと。

だが長年キモ家族の脅威を見てきた俺としては、棺桶の中の二人が子供を宿していそうな気が・・・

まさか・・・な?
59【愛憎一重(1)】:2007/12/04(火) 00:22:47 ID:wzPyzBZb
 兄様に届いたかしら。
 届かない筈がないわ。私の送った懸想文。
 兄様はお出で下さるかしら。
 お出でにならない筈がないわ。
 ここは、兄様と私が生まれ育った家。
 家でもあった御社、それがかつて建っていた場所。
 私が焼き払ってしまったけど。
 鎮守の杜もろとも。御神体もろとも。父と母もろとも。
 だから、この場所を選んだのよ。兄様が必ず来てくださるように。


「――幾夜(いくや)さんね」
 呼びかけられて、私は振り向く。
 誰?
 白い千早に緋袴――凛とした巫女装束姿。
 私も同じものを纏っていたけど――私のそれは、瘴気に穢れている。
「和陽(かずひ)さんは来ないわ」
「なぜ?」
 私は見知らぬ巫女に問い返す。
 なぜ兄様は来ないの?
 なぜ、あなたが兄様を和陽さんなどと馴れ馴れしく呼ぶの?
 なぜ兄様と私の暮らした思い出の家に、それがあった場所に、あなたが土足で踏み入るの?
「これ以上、和陽さんを苦しめるわけにいかない。あなたは――私が滅する!」
 愚か者。
 術を繰り出そうとした巫女の眼前に、私は「瘴壁」を生み出す。
 生垣のように聳える瘴気の荊(いばら)だ。
 そこに幼い兄弟が、四肢を絡めとられ磔にされて泣き叫んでいる。
 そう――巫女の眼には映った筈だ。
 彼女は表情を引き攣らせ、攻撃を逡巡する。それが隙になった。
 瘴気の荊がうねるように伸びて巫女自身を襲い、装束もろとも腕や脚や胴を引き裂いた。甲高い悲鳴。
 幼い兄妹も四肢を引きちぎられたかに見えたが、彼らは血や肉片を残さず消滅した。
 魂の残滓に過ぎなかったから。
 哀れな兄弟は、とうに私が喰らっていたのだ。


 血まみれのボロ布のようになった巫女は、しかし私の足元で、まだ生きていた。
 蹴り転がして、仰向けにする。
 奇跡的に顔は無傷に近かった。綺麗な人だと思う。
60【愛憎一重(2)】:2007/12/04(火) 00:25:08 ID:wzPyzBZb
「もう一度訊くわ。兄様はなぜ来ないの?」
 私は訊ねた。
「……ぉぁ……」
 喉を切り裂かれた巫女は、話すことができないようだ。
 眼に涙を滲ませ、ひゅーひゅー喉笛から空気を漏らしながら、口をぱくぱくさせている。
「もしかして、兄様は私の手紙を読んでないの? あなたが手紙を横取りしたの?」
「……ぃ……ぁ……」
「答えて。頷くとか首を振るとかできるでしょう?」
 私は腰をかがめ、巫女の身体に手を伸ばす。
 正直な答えを引き出す方法はいくらでもある。例えば、傷口を指で抉るとか。
「――幾夜!」
 声に、私は動きを止める。
 ヒトであることをやめたときから凍りついていた私の心に、じわりと熱いものが甦る。
「……兄様」
 私は振り返り、にっこりと微笑んだ。
 最愛の人、私の兄様。凛々しい狩衣姿。
 いくらか背が伸びたかしら。十八でまだ成長期なんて羨ましい。
 少し痩せたかしら。美味しいものを食べていないのかも。
 幾夜が一緒にいられたら、兄様のために毎日お料理してあげられたのに。
 でも兄様は、ちゃんと手紙を読んでくださったのね。
 愚かな女が兄様を出し抜こうとしたけど、無駄骨だったということね。さすが私の兄様。
 その兄様の視線が、私の足元に向いた。
「……紗奈……」
 沈痛な表情でつぶやく。
 それが、この女の名前? 許せない。
 私の憎悪が瘴気となって女を呑み込む。

 ――ぼむっ!

 私の足元で、風船が弾けた。ゴムの代わりに人の肉と皮が飛び散った。
 兄様が眼を剥く。
「紗奈……!」
 そして、再び私を見て絶叫する。
「幾夜ッ……おまえはァァァァァッ!」
「ああ、兄様!」
 私は歌うように歓びの声を上げる。
 いま兄様は、私しか見ていない。
 誰とも知らない巫女とか、ほかの女たちに眼もくれていない。
61【愛憎一重(3)】:2007/12/04(火) 00:26:34 ID:wzPyzBZb
「何故なんだァァァァァッッ!」
 兄様の悲痛な叫び。
 簡単なことです、兄様。
 私が魔性のモノに堕ちたのは。
 兄様が私を見てくださらなかったから。私だけを見てくださらなかったから。
 だから魂を売り渡したんです。
 効果は覿面。
 もはや兄様の眼には私しか映っていない。
 たとえ、その心の中にあるのが私への憎しみだけだとしても。
 兄様が私以外の誰かのことを考えるなんて嫌。
 さあ、あとは兄様。
 私が兄様の手にかかって散るか、兄様が私の腕の中で果てるか。
 これから私たちの時間。二人きりの時間。
 月だけが兄様と私を見守っているわ。

【終わり】
62wzPyzBZb:2007/12/04(火) 00:30:22 ID:wzPyzBZb
いきなり投下してすまんです
小ネタみたいなものなんで勘弁
63名無しさん@ピンキー:2007/12/04(火) 01:21:55 ID:UPkToNW0
これは、なかなかのキモさですね
64名無しさん@ピンキー:2007/12/04(火) 04:14:44 ID:FEfDChG1
>>62
これは、良いねぇ
65名無しさん@ピンキー:2007/12/04(火) 15:32:39 ID:nfFABrQm
これはいいものだ
66名無しさん@ピンキー:2007/12/04(火) 23:42:02 ID:tOxn+5ln
このスレでいくないキモ姉キモウトはいない…
67名無しさん@ピンキー:2007/12/05(水) 03:04:18 ID:ZOXe+YXY
68横じま ◆KYxY/en20s :2007/12/05(水) 03:28:27 ID:P3rFcuNq
お初です
投下します
69荒野、一人で ◆KYxY/en20s :2007/12/05(水) 03:29:39 ID:P3rFcuNq
 屋上のドアを開けると、オレンジ色の光が視界を覆った。サッカー部か野球部
か、歓声のような声も遠くで聞こえる。
 私は光を手でさえぎると、周囲を見回した。夕焼けで、屋上が焼けるように染
まっている。私の影も、なにか違う生き物のように長く伸びていた。
 秋という季節が好きだった。寒くなり、制服のスカートには堪えるが、暑さに
比べればよっぽどましだと思っていた。寒さは重ね着でなんとでもなるが、暑さ
はどうにもならない。そしてこの夕焼けだ。夕焼けは、この季節が一番輝いてい
る。それに、真仁(しんじん)の好きな季節でもあった。
 ちょっとだけ風が吹いた。スカートを軽く押さえると、私は後ろ手にドアを閉
めた。
 焼けた屋上の奥に、川崎がいた。手すりにもたれ掛かり、両手をポケットに入
れている。
 眼が合った。こちらには気付いているが、寄ってこようとはしなかった。来い、
ということなのだろう。かすかな苛立ちを感じながら、私は近寄っていった。
「遅かったな」
 まるで自分が呼び出されたかのように、川崎が言った。
「話って、なにかな」
「こんなとこに放課後呼び出されるんだ。検討はついてんだろ、真央」
 芝居がかった言い方をすると、川崎は反動をつけ、手すりから上体を起した。
 どこか勘違いした男なのだろう。クラスや部活での人気と、男としての善し悪
しを取り違えている。バスケ部のエースかどうかは知らないが、夢見がちなお調
子者に、私はなんの興味も抱けないでいた。ほぼ初対面なのに、いきなり名前で
呼ぶのも癇に障った。
「付き合って欲しいんだよ」
「ごめんなさい」
 頭を下げると、私はすぐに踵を返した。けっこうカッコいい、という評判の顔
を、一秒でも見ていたくない、と思った。どうせ作られた顔だ。ピンセットで整
えられた眉に、スポーツマンらしくこけた頬、ワックスでてかっている髪、思春
期特有のニキビ顔。平凡なものだ。
「おいっ、ちょっと待てって」
 横を追い越すと、川崎が眼の前に立ち塞がった。
「訳ぐらい聞かせろよ」
「好きな人が、いますから」
「それって、真仁のことだろ」
 私は川崎を見あげた。
 百八十センチはあるのだろう。私も、女として低い方ではない。百七十センチ
70荒野、一人で ◆KYxY/en20s :2007/12/05(水) 03:30:40 ID:P3rFcuNq
はあるのだ。背の高さだけは、流石バスケ部といったところか。
「あなたには、関係ないことですよ」
「真仁は弟だろ。正気かよ、お前」
 それ以上聞かず、川崎の横をすり抜けた。心の中で、何かが頭をもたげていた。
あと一言と言われれば、それが姿を現す。いや、本当はもう、姿を現しているの
かもしれない。
 私はそれを振り切るように、歩調を速めた。
 声が聞こえた。それも振り切る。
 ドアノブに手をかけると、反対側の手首を掴まれた。汗ばんだ手の平の感触が、
気持ち悪い。
「まだ、なにか」
「もったいねぇじゃないか、きれいな顔して。いままで何人振ってきたよ」
「それも、あなたには関係ないことでしょ」
「ここら辺で俺と付き合ってみろよ、真央。悪いようにはしねぇ。男ってものを
教えてやるよ」
「ひと呼びますよ」
 川崎がせせら笑った。私はドアノブから手を離した。手首を掴んでいる右腕に、
その手を添える。川崎の腕は、手の平のように汗ばんではいなかった。
「なぁ、いいだろ。俺だったら真仁になんて出来ないようなことしてやれるぜ?
それなりに場数も踏んでるしよ」
「例えば?」
「ん?」
「例えば、どういうこと」
「こういうことさ」
 二歩、歩いてきた。川崎がドアに手をつく。上体を曲げ、覆いかぶさるように
した。
 顔が、近付いてくる。私は腕を掴むと、一瞬体の力を抜いた。呼吸一つ。体を
抜く。回りこむと、背後で川崎の右腕をひねりあげた。呻きが聞こえた。ドアか
ら手を離し、川崎が体を反らす。腕をひねりあげたまま、私は川崎の体を押した。
派手な音をたて胸板からドアに突っこませると、そこで完全に右腕を決めた。川
崎の左腕が動いた。突っ張ろうとした左腕を払う。左手首を掴み、ドアに押し付
けた。川崎はもがいているが、ドアから体は離れない。
「てっ、てめぇ」
 川崎が顔だけをこちらに向けた。怒気を孕んだ表情で、顔を赤くさせている。
違った。これは夕焼けの赤さか。
「はなせ、この野郎っ」
71荒野、一人で ◆KYxY/en20s :2007/12/05(水) 03:31:09 ID:P3rFcuNq
 私は、川崎の腕を内側に折っていった。息を詰まらせると、威勢のいい顔が歪
んだ。呻きが、次第に悲鳴へと変わっていく。
「野郎じゃないわ、私」
 膝を、川崎の股間に叩きこんだ。川崎は屈もうとしたが、許しはしなかった。
さらに腕を決めていく。震えながら、川崎が上体を起した。五度繰り返す。
「頼む、離してくれ」
「いい思いさせてくれるんでしょ。シンに出来ないような」
 さらに折っていった。呻きが、はっきりと悲鳴に変わった。
「さっきのは悪かった。だから。このままじゃ、肩が外れちまう」
「大丈夫よ。人の体って、意外ともつものよ」
 川崎の肩が、音を鳴らした。肩も悲鳴をあげている。掴んだ腕を通して、その
感触が伝わってきた。しかし、まだいけるだろう。急に間接を決めているわけで
はないのだ。徐々に関節を伸ばしていく。そうすれば、そう簡単には外れはしな
い。首も、その気になれば三十センチは伸ばせる。
「球つきがうまいからって、調子に乗ったの、あなた?」
「お願いだ。腕を離してくれ」
 川崎の声に、怯えが交じっている。
「そうは言うけど、さっきから全然外れないわよ? 男なら、黙って堪えなさい」
 川崎は爪先立ちになっていた。肩が、おかしな具合に盛りあがっている。そろ
そろかもしれない、と私は思った。もうちょっと内に入れてやれば、軽い抵抗の
あと外れるだろう。
 やめるつもりなどなかった。この男は、踏みこんではいけないところに足を踏
み入れている。言ってはいけないことを、言った。何故こんな勘違い男に、真仁
の悪口を言われなければならないのか。私の思いを貶められなければならないの
か。
 言いようのない怒りがこみあげてきた。眉間が狭まる。
 瞬間、鈍い感触が伝わってきた。肉の崩れる感触。束の間、川崎の息が詰まっ
た。無意識に力を入れていたのか、川崎の肩が外れていた。
「いっ、が、ああぁ」
 悲鳴が、か細いものになっていく。だがすぐに甲高いものに戻った。私はまだ、
川崎の腕を離していない。
「お願いだ、もうやめてくれ」
 川崎の二の腕は、ほとんど水平になっていた。肩が外れたせいか、さらに余裕
ができていた。どこまでいけるだろう。興味が沸いた。
「頼む、なんでもするから。離して」
 水平を越したところで、私は川崎の顔を見た。頬が濡れている。濡れたところ
72荒野、一人で ◆KYxY/en20s :2007/12/05(水) 03:31:47 ID:P3rFcuNq
がオレンジに輝き、揺らめいていた。
「べつに何もする必要ないわよ。ただ」
 川崎の眼が、頼りなくこちらを向いた。額に、玉の汗が浮かんでいる。
「私が少し、おかしいだけよ」
 言うと、川崎の両腕を解放した。同時に爪先立った足を払う。左肩を掴んで、
右肩から突き落とした。足下で、川崎は叫びながらのた打ち回った。暴れるたび
に、右腕だけ遅れるようにぷらぷらしている。
 私は川崎の髪を掴むと引き起こした。暴れる左腕の関節を決め、黙らせた。
「お願いだ、何でも言う通りする。だから左は」
「だったら言う通りにしなさい。右腕治してあげるから」
 川崎の体から、無駄な力が抜けていった。それでも右腕が揺れると痛むのか、
歯の隙間から呻きを断続的にさせている。鼻息も荒かった。
 私は川崎の髪を引っ張って位置を定めると、左腕を固定したまま、ドアに右肩
から突っこませた。肉の感触。私の腕を振り払い、川崎がその場で海老のように
うずくまった。右腕は揺れていない。
「起きなさい」
 左手を床につけ、震えながら川崎が起きあがろうとする。踏みこみ、顎を蹴っ
飛ばした。川崎の体が後ろに転がった。ドアの前にうずくまられたら、屋上から
は出られない。
 屋上から出ると、二階まで階段で降りた。
 トイレに入り、手を洗った。掴まれた手首から、石鹸で入念に洗う。ハンカチ
で手を拭くと、私は鏡を見た。髪が乱れていた。ロングヘアーだと、乱れが余計
に目立ったように見える。手櫛で簡単に直した。
 201教室。入ると鞄を持ち、校舎を出た。
 夏休み前と冬休み前には、ああいう男が何人か出る。休みを利用して女を弄ぶ
ためだろう。真仁を好きだと、日頃から公言しているが、どうせ本気には誰も取
っていない。真仁本人もきっとそうだ。私の思いを、本気にはしてくれていない。
 左手が寂しかった。毎日、行きも帰りも真仁と一緒に帰るのだ。十一月。手袋
をするかしないか微妙なこの時期。私が手袋をせず寒そうにしていると、必ず真
仁は手を繋いでくれる。それがうれしくて、この時期はいつも手袋を忘れた。貴
重な時間だ。それなのに、それを邪魔する人間が何人もいる。
 風が吹いた。運動部の掛け声や、運動場を駈け回る音もした。
 校門を抜けると、気持ちを入れ替えた。真仁の顔を思い浮かべる。今日の告白
を話したら、真仁はどう思うのかな、と私は考えてみた。誰が告白したか聞いて
くるだろうか。取り澄ましたように生返事返してくるだけなのか。軽い嫉妬ぐら
い、見せてくれるのか。
73荒野、一人で ◆KYxY/en20s :2007/12/05(水) 03:32:42 ID:P3rFcuNq
 私は足取りを速めた。真仁に早く会いたいと思った。抱きついたり、お話もし
たい。それに今日は、一緒に帰れもしなかったのだ。頬にキスするぐらい、許し
てくれるかもしれない。許してくれなくても、不意打ちでしてしまおう。
 駅前の道へ来た。クリスマス商戦がもうはじまっているのか、ショッピングモ
ールにはきらびやかな飾り付けが成されていた。駅の壁にも、点けてこそいない
が電飾が取り付けられている。
 しばらく行くと、信号で止められた。眼の前を、車が流れていった。



74横じま ◆KYxY/en20s :2007/12/05(水) 03:34:21 ID:P3rFcuNq
投下終了
長編なのでトリップをつけたんですが、KYって……
75名無しさん@ピンキー:2007/12/05(水) 04:42:43 ID:pHq/GVCV
>>74
投下乙
KYで危険予知、良いジャマイカw
76名無しさん@ピンキー:2007/12/05(水) 06:50:38 ID:ZY0KjqPx
>>74
新職人ktkr!全裸で期待してます!
77名無しさん@ピンキー:2007/12/05(水) 12:13:13 ID:2h65y01I
>>74
GJっす

むぅ…何と言う冷静・冷徹ながらも熱きキモ姉…wktkしながら待ってます
78名無しさん@ピンキー:2007/12/05(水) 12:19:48 ID:+to9DrkF
投下乙

タイムマシンで続き見てくる
79名無しさん@ピンキー:2007/12/05(水) 18:39:01 ID:HQPZZbc3
>>74
GJ!!
>>78
俺も連れてって><
80名無しさん@ピンキー:2007/12/05(水) 19:35:50 ID:6KIbGjZ2
キモ姉が勘違い男を嬲る様に興奮しますた
81名無しさん@ピンキー:2007/12/05(水) 21:29:02 ID:/xNiRi4e
文がレスをまたぐのは読みにくい…と思う
内容にはしっかりハァハァしたわけだが
82名無しさん@ピンキー:2007/12/06(木) 14:58:25 ID:JM++NUEU
>>74
全くほんとにKYだな!期待作がまた増えちまったじゃねえか!
文もうまいし、GJとしか言えないじゃない! バカ!
83名無しさん@ピンキー:2007/12/06(木) 22:00:00 ID:0fqJQ61x
>>82が可愛い
84【Night Food】:2007/12/06(木) 23:48:05 ID:jPMqsQtM
全17レス投下します
吸血鬼化した姉×人間の弟の話
うち14レス目まではバカップルのエロです
オチだけキモ姉の本性発現
というわけで、よろしくお願いします
85名無しさん@ピンキー:2007/12/06(木) 23:50:41 ID:pVZ3nX5C
連投支援ならまかせろ
86【Night Food(1)】:2007/12/06(木) 23:50:51 ID:jPMqsQtM
 ――こんこん。
 
 ベランダのガラス戸が叩かれた。
「……たーつーやーくん……」
 押し殺した――しかし、緊張感なく間延びした声。
 
 ――こんこんこん。
 
「……たーつーやーくん、いーれーてー……」
「……ったく!」
 間宮達也は舌打ちすると、机の前を離れて、カーテンを引き開けた。
 ガラス戸の向こうに、にこにこ微笑みながら立つ姉――間宮美夜の姿があった。
「えへへへー、達也くんのおウチに入れてもらっても、いーい?」
「……ああ」
 達也は仏頂面でガラス戸を開けた。初めから鍵はかけていない。
 冷たい冬の夜の空気が、部屋の中に流れ込んでくる。
 だが、美夜は、にこにこ微笑みながらその場を動かない。
 達也は聞こえよがしにため息をついてから、棒読み口調で言った。
「どうぞ、お入りください」
「えへっ、ありがとー」
 それでようやく美夜は、ローファーを脱いで部屋に上がりこんで来た。
 達也は、もう一度、ため息をつき、
「なあ、毎晩、コレやんなくちゃダメなのか? だいたい、ここは自分の家だったのに」
「うーん、ホントのルールではねー、一度招待された家には出入り自由なんだけど」
 美夜は、くるりと弟を振り返り、にっこり微笑む。
「でも、達也くんがお姉ちゃんを歓迎してくれてるってこと、毎晩でも確認したくて」
「……ったく」
 達也はもう一度、舌打ちした。だが、今度のは照れ隠しだ。
 自分の頬が火照っているのはわかったが、冷たい夜風に触れたせいだと決めつけておく。
 美夜は通学用のハーフコートを羽織り、マフラーを結んだ姿だった。
 そのまま外の街を歩けば、普通の高校生に見えるだろう。
 深夜零時を回ってはいたが、いまどき高校生の夜遊びなど珍しいことではない。
 だが、ここはマンションの九階である。
 ベランダは隣の部屋とは繋がっていない、達也の部屋専用のものだ。
 ならば彼女は、どこから現れたのか?
 黒髪は絹糸のように艶やかで、やんわりと柔和な笑みを浮かべた顔は美形に分類されていい。
 その割には大きな野暮ったい黒縁眼鏡をかけ、ファッションの感覚はいくらかズレているらしい。
 それが芸能人の変装のように、自分をわざと地味に見せる意図でなければ、だが。
87【Night Food(2)】:2007/12/06(木) 23:52:49 ID:jPMqsQtM
 ガラス戸を閉めかけた達也を、美夜は「あ、待って」と制止した。
「お鍋」
「え? ああ……」
 美夜の言葉に、達也は頷いて、ガラス戸を開け直す。
「相変わらず自分は手ぶらで、料理は魔力だか超能力だかで運んで来たのか」
「だって、お姉ちゃん自分の手で運んだら、ひっくり返しちゃいそうでしょ? 経験からの学習ってやつね」
「自慢にならねーよ、ドジっ子アネキ」
「えへへへー」
 美夜は照れ笑いしながら、ぱちりと指を鳴らす。
 すると――
 外から黒い霧のようなものが室内に流れ込んで来た――宙に浮かんだ土鍋とともに。
 いや、その霧が土鍋を運んでいるのか。
「えっと、どこに置けばいいかなー? きょうは机、使ってるの? 勉強中?」
「期末テストが近いからな。待てよ、いま座卓、広げるから」
 達也はベッドと壁の隙間にしまっていた座卓を引っぱり出し、部屋の真ん中に広げて置いた。
 それからクロゼットを開けて、高校の制服や私服のコートなどが掛けてある下から、卓上コンロを出す。
 座卓の上に達也が据えたコンロに向かって、土鍋は(霧に運ばれて)ふわふわと降下していき――
 しかし、最後の一、二センチで霧は風に吹き散らされたように消え、がしゃんと土鍋は乱暴に落下した。
「あー、またコントロール失敗。いつも最後の詰めが甘いのよね、えへっ」
 美夜は、ぺろりと舌を出す。
「中身をこぼさなかっただけ上等だよ」
 達也は、やれやれと肩をすくめて、ガラス戸とカーテンを閉めた。
 美夜はマフラーを解いてコートを脱ぎ、それぞれをくるくると丸めてベッドの上に置いた。
 コートの下は高校の制服姿で、街を歩けば人目を惹くほど豊かな胸がブレザーを押し上げている。
 だが、スカートは校則通りの膝丈で、膝下までのソックスとあわせて素脚をほとんど隠している。
 達也はベッドの上からクッションを二つとって、一つを美夜に渡した。
「ありがとー」
 にっこりと微笑み、美夜はクッションを敷いた上に正座する。
 達也も座卓を挟んで姉の向かいに胡坐をかいた。
「んで、きょうの夜食は何?」
「えへへー、冬に嬉しい牡蠣雑炊でーす」
 美夜はにっこりとして、鍋の蓋を開けてみせる。達也は眼を丸くして、
「あ、すげ。牡蠣が四つ……五つ? これ全部、オレ喰っていいのかよ?」
「うん。だって、お姉ちゃん食べられないもん」
 にこにこ笑顔のまま美夜は言い、蓋を戻してコンロを点火した。
 達也はちょっぴり気まずい顔になり、上目遣いに美夜を見て、
「でも、姉貴……牡蠣は好物だったじゃん? よくオレと牡蠣フライ奪い合って喧嘩したり」
「そうだけどほら、食べ物の好みって変わるじゃない? 子供の頃は苦手なトマトが好きになるとか」
88【Night Food(3)】:2007/12/06(木) 23:56:03 ID:jPMqsQtM
 美夜は達也に、にっこりと微笑みかけた。
「普通に人間として生きてたって、そうだもん。ましてや吸血鬼になっちゃったら、ね」
「姉貴……」
 達也は姉の顔を、じっと見つめて、
「……それで、いまの好物はオレってことか?」
「えへへへー」
 美夜は照れ笑いして鼻の頭を掻く。
「いっぱい食べて精をつけてね? そのあと、お姉ちゃんにも少し元気を分けてほしいな、なんて」
「テストが近いって言ってるのにさ……」
 達也は、わざと憮然としてみせるが、本心ではない。
 吸血鬼である美夜は、達也が血液を与えなければ「生き続け」られないという。
 最愛の姉を「再び」喪わないため、達也は自らも望んで血を吸われているのだ。
 
 
 美夜は三ヶ月前に「病死」した。半年にわたる入院と闘病を経てのことだった。
 いつかは訪れる筈だった結末とはいえ、家族の悲嘆は相当のものだった。
 その姉が、納骨を終えた日の夜、ひょっこり達也の前に現れた――吸血鬼となって。
 達也の驚愕は相当のものだった。
 当然であろう。骨になって墓の下で眠っている筈の相手が、「生前」よりよほど元気な様子で現れたのだ。
 美夜は達也を魔法で金縛りにして無理やり落ち着かせてから、自身が吸血鬼になった経緯を説明した。
 それは彼女が「亡くなる」一週間前のことだったという。
 夜、寝つけずにいた美夜は病室のカーテンを開けて月を眺めていた。
 そして、出会ってしまったのだ。月の光を浴びて翔ぶ彼女と――
「真祖」と呼ばれる吸血鬼の一匹、真綺(まき)と。
 自分は、いつの間にか眠ってしまったのだろうと美夜は最初、思った。
 眼にしているものは夢なのだろうと。
 だから素直な気持ちで、彼女に願った。
 自分も一緒に翔びたい、と。
 吸血鬼は、それに応えてくれた――「いいわ、暇つぶし」と言いながら。
 神話と呼ばれる物語が同時代的な事件だった頃から生き続けてきた彼女も、また退屈していたのだ。
「あなた血液の病気ね。ひどい味だわ」
 ぼやきながらも真綺は、美夜の生き血を啜り上げた。
 そして自身の柔肌を爪で切り裂き、滲み出した血液を、瀕死となった美夜に舐めさせた。
「吸血鬼に血を吸われた犠牲者が、そのまま吸血鬼になるなんて無責任な俗説」
 真綺は美夜に語って聞かせた。
「私がどれだけの人間の血を吸ってきたと思う? 獲物がみんな転化していたら、世界は吸血鬼で埋まってる」
「ブラム・ストーカーをよく読むことね。ドラキュラがどうやってミナ・ハーカーを転化させようとしたか」
「いくつもの伝説を繋ぎ合わせて小説のドラキュラは造形されたの。その伝説に真実も含まれてたってこと」
89【Night Food(4)】:2007/12/06(木) 23:59:07 ID:jPMqsQtM
「そうよ――吸血鬼になるためには、吸血鬼の血を飲めばいい」
 それからの一週間で、美夜は「人間としての死」に近づいた。
 日増しに容態の悪化する彼女に、医師たちは手の施しようがなかった。
 最後の二日間は意識のない重篤状態だった。
 だが、その時点で美夜は、真綺が造り出した「ゴーレム」とすり代わっていた。
 魂を持たない人造人間は見事に「死に行く少女」を演じきり、最後は火葬場で骨となった。
 一方、美夜は真綺の保護下で無事、吸血鬼としての「再生」を果たした――
 
 
「……ごちそうさま」
 達也は箸を置き、空になった土鍋に両手を合わせた。
「はい、お粗末さまでしたー」
 美夜は、にっこり微笑みながら言う。
「さて、鍋奉行してて、お姉ちゃん暑くなっちゃった。上着、脱がせてもらおうかなー……」
「……姉貴さー」
 達也は美夜を、じっと見つめて、
「わざとらしいマネしなくても、オレの食事のあとは、毎晩ちゃんとつき合ってるだろ?」
「えへへへー」
 美夜は照れ笑いで頭を掻いた。
「じゃあさ、じゃあさ、達也くん」
「なんだよ」
「ぎゅっとして、チューして。えへっ?」
 漫画だったら台詞のあとにハートマークがついているだろう。
「…………」
 達也は立ち上がると、姉の手をとった。
「ベッドの上、来いよ」
「あ……うん」
 急にしおらしく頬を赤らめ、美夜は弟に導かれるまま、ベッドに上がって横座りする。
 達也は姉の手を握ったまま、相手に顔を近づけていった。
 長い睫毛を伏せ、眼を閉じた美夜に、唇を重ねた。
 やわらかで、ひんやりした感触が心地よかった。髪の芳香が鼻腔をくすぐる。
 美夜の手から手を離し、しかしその手で、望み通りに抱き締めてやる。
 温もりは感じないが、氷のように冷たいわけでもない。
 いくらか豊満なその身体は、やわらかく抱き応えがあった。
 唇を離すと、瞳を潤ませた美夜が、悪戯っぽく笑って言う。
「えへっ、間接牡蠣雑炊。美味しいね」
「やっぱり食いたかったんじゃん、姉貴」
「えへへへ……実はお料理中に味見でスープは飲んだ。固形物は胃が受けつけないけど、味はわかるから」
90【Night Food(5)】:2007/12/07(金) 00:02:13 ID:jPMqsQtM
「不便だな、吸血鬼って」
「でもね、吸血鬼になったおかげで、わかるようになった味もあるよ」
「オレの血だろ?」
 苦笑いする達也に、美夜は「えへへへへー」と悪戯っぽく笑って首を振り、
「違うよ、達也くんそのものだよ。お姉ちゃんが吸血鬼になってなきゃ、エッチしてくれなかったでしょ?」
「そりゃ……だって」
 達也は赤くなって眼をそらし、
「エッチで発散しなきゃ、吸血鬼の凶暴な本性を抑えられないっていうから。他人を襲ったら困るだろ」
「他人となんて絶対エッチしないよ、達也くんとだけだよ。お姉ちゃん、その程度の理性はあるよ」
「何だそれ、騙したのかよ」
 口をとがらせる達也に、美夜は「えへっ」と笑って、
「騙してないよ。お姉ちゃんが凶暴化したら、達也くん朝まで寝られなくなっちゃうよ?」
「ぜってー詐欺だ」
「怒らない怒らない。達也くんだって、お姉ちゃんとそういう関係になって、新しい味を知ったでしょ?」
 くすくす笑いながら、美夜はブレザーを脱ぐ。
 張りつめた乳房を包むパステルピンクのブラジャーがブラウスに透けていた。
「さあ、達也くんの大好物。召し上がれ……えへっ?」
「くそっ、そうやって誤魔化して……頂くものは頂くけど……」
 照れ隠しにぶつぶつ言いながら、達也は最愛の姉の乳房を両手で包み込むようにして触れた。
「んっ……」
 美夜は心地よさそうに眼をつむる。
 張りがあるのにやわらかく、この上ない触感の乳房だった。手に余るほどの大きさも最高だ。
 達也はそれを下から上へ、かき上げるように揉みしだいた。
「……んあっ、達也くん……」
 美夜は首を反らし、うっとりと声を上げる。
 達也は美夜のリボンタイを解き、それからブラウスのボタンを外していった。
 だが、全て外し終える前に我慢できなくなった。
 前をはだけさせ、露わになった乳房の谷間に鼻面を埋め、思いきり息を吸い込んだ。
 温もりは感じない肌なのに、なぜだか温めたミルクのように甘く、やさしい匂いがした。
「……んふっ、達也くぅん……」
 美夜に頭を抱かれて、撫でられる。
 子供が甘えているみたいだと、我ながら達也は思う。だが、恥ずかしいとか情けないとは思わなかった。
 吸血鬼となった姉は、弟としかエッチしないという。つまり美夜は、達也の独占物なのだ。
 自分のモノを、どのように愛するかは自由だろう。
「姉貴が吸血鬼になる前は、オレ、姉貴とこんなことしようなんて思わなかったんだぜ……」
 乳房に顔を埋めたまま相手の背中を探り、ブラウスの裾をスカートから引き出しながら達也は言った。
 くすっと、美夜は笑い声を上げ、
「お姉ちゃんも、達也くんとしたいと思っても、できなかった。姉弟じゃ、いけないことだもんね」
91名無しさん@ピンキー:2007/12/07(金) 00:16:42 ID:8F0kOzoK
連投支援?
92【Night Food】:2007/12/07(金) 00:24:29 ID:lUWpIZbe
通信環境が悪すぎて
続きが書き込めないかも(泣

OCN規制中で、
メールだけ契約してた別プロバイダのダイヤルアップ接続なのだが...
93【Night Food(6)】:2007/12/07(金) 00:25:55 ID:lUWpIZbe
「したいと思ったって……」
 あきれる達也に、美夜は「えへへへ」と笑い、
「いつか達也くんが気づいてくれるかなと思って、ずっとラブラブ電波を送ってたんだよ?」
「受信してたら逃げてたよ、そんな危険な電波」
「えーっ、ひどいなあ」
 美夜は、くすくす笑って、
「達也くんはお姉ちゃんのこと、オンナとして見てくれてなかったの?」
「見られるわけないじゃん。実の姉だぜ、血の繋がった」
 姉の豊かな乳房から顔を上げた。
 にこにこと屈託のない笑顔で、美夜は弟の顔を見下ろしている。
 達也は照れ隠しに眼を伏せ、口をとがらせながら、
「まあ……正直、全く意識してなかったわけじゃねーけど。こんな立派な胸した女が同じ家の中にいたら」
「えへっ、ありがとー。オッパイだけでもオンナとして見てくれて、お姉ちゃん嬉しいな」
 美夜は達也の頭を、ぎゅっと掻き抱いた。
「わぷっ! 苦しいって、姉貴!」
「えへへへ、このまま大好きなお姉ちゃんのオッパイで、達也くん溺れちゃえー」
「それじゃ胸以外は何もしてやれねーだろ!」
「それもそうだね」
 美夜は、あっさりと達也を解放した。再び弟の顔を見下ろし、にこにこ微笑みながら、
「それでオッパイ以外は、何をどうしてくれるのかなー?」
「……全部可愛がってやるよ、どこもかしこも」
 達也は赤くなりながら言って、美夜の頬に、ちゅっとキスをする。
「え?」
 一瞬、きょとんとした美夜は、何を言われたか認識して蕩けそうな笑顔になった。
「……えへへへへー。全部ってやっぱり、えへへ、アレもコレもだよね……えへへへへー」
「全部って言ったら全部だよ、というか毎晩やってることじゃん。とりあえず、眼鏡とるぜ」
 達也は姉の顔から眼鏡を外した。美人の素顔が、すっかり露わになった。
「ホントは吸血鬼になってからは必要ないんだろ? 邪魔だし、かけなきゃいいのに」
「でも、顔に眼鏡がのっかってないと落ち着かないし。幼稚園の頃から、ずっとかけてるもん」
「だったら、もっとオシャレなのに替えろよ。真綺さんってヒトに頼んで、買って来てもらえばいいじゃん」
「そりゃ真綺さん、お金持ちだけど、そんなに何でも頼っちゃうのはなー」
 美夜は考え込むように首をかしげたが、すぐに何か思いついたように、にっこりとして、
「達也くんがプレゼントしてくれたら嬉しいんだけど」
「えっ、オレが?」
 眉をしかめる達也に、にこにこ笑顔で美夜は、
「達也くんが、お姉ちゃんに似合うと思うのを選んできてほしいな」
「……わかったよ」
 達也はしかめ面で、しかし決心したように頷いた。
94名無しさん@ピンキー:2007/12/07(金) 00:26:32 ID:SFBivOip
なんというおあずけ
95【Night Food(7)】:2007/12/07(金) 00:29:43 ID:lUWpIZbe
「クリスマスには間に合わないけど、冬休みにバイトして、お年玉と合わせて買ってやる」
「ホント?」
「ああ。伊達ならレンズ代かからないし、フレームだけなら二、三万で買えるだろ」
「ホントにホント? お姉ちゃんに買ってくれるの、達也くんが? ……ありがとー!」
 美夜は笑顔を輝かせ、ぎゅっと再び達也の頭を自らの胸に掻き抱いた。
「わぷっ! だから苦しいってばっ、姉貴っ!」
「お姉ちゃん幸せすぎて死んじゃうかもっ! というか吸血鬼だし半分死んでるけどっ!」
「俺まで殺す気かっ! 放せってのっ!」
「えへへへー……あ、興奮しすぎて、よだれ垂れちゃう」
 じゅるりと、よだれを啜り上げ、それでも間に合わず口元を拭ってから、美夜は達也を解放した。
「……ぷはっ! はぁっ、一瞬お花畑みてーのが見えたぞ。臨死体験一歩手前だっての……」
 苦しげに喘ぐ達也に、美夜は「えへへへー」と、にこにこ笑顔で、
「でも冬休みだけとか無理しないで、春休みまでかかってもいいからね」
「ああ……、けほっ、けほっ」
 達也は咳き込みながら頷き、
「でも、その分、クリスマスは大したことしてやれねーぞ」
「それは気にしなくていいよ。吸血鬼にクリスマスなんて似合わないもの」
「そりゃそうか」
「それより、ねえ、達也くん……」
 美夜は達也の手をとると、自分の両手で優しく包み込み、微笑んだ。
「プレゼントは、まだ先でいいからさ。いまは約束通り可愛がって、お姉ちゃんを全部。ね?」
「あ……、ああ」
 達也は赤くなりながら頷くと、美夜の背に腕を回し、ゆっくりとその身体をベッドに寝かせた。
 あらためてブラウスのボタンを全て外し、前を完全にはだけさせてから、のしかかるように唇にキスをする。
「んあっ……」
 美夜は達也との触れ合いとしては一番、キスが好きだと言っていた。
 唇を重ねる瞬間が、「愛されている」と感じるのだそうだ。
 愛する姉が、それを求めているのである。応えてやらなければなるまい。
 美夜の舌が達也の唇に触れるのと、達也が舌を突き出したのが、ほぼ同時だった。
 ふたりは――吸血鬼と人間の姉弟は――当然のように舌を絡め合った。互いの口腔を舌でまさぐった。
 姉の舌は濡れている分、唇以上に冷たかったが、決して不快感はない。
 そうしながら達也は、美夜の背の下に手を入れて、探り当てたブラジャーのホックを外した。
 何度も繰り返して慣れた行為だ。そして緩んだブラジャーを、下からめくり上げた。
 ぷるんっと、豊かな乳房が弾み、桜色のバストトップが露わになった。
「巨」とか「爆」という形容詞がふさわしいような豊乳なのに、乳暈はあくまで小ぶりで幼ささえ漂う。
 色白のきめ細やかな肌と比べて、ほんの少しだけ色づいた乳頭は砂糖菓子のような可憐さだ。
 美夜と結ばれることがなければ、達也がその美しい乳房の全容を眼にする機会もなかっただろう。
 それ以前で姉の裸を眼にしたのは、二人が小学三年生と二年生だった夏休みの家族旅行の温泉が最後だ。
96【Night Food(8)】:2007/12/07(金) 00:32:52 ID:lUWpIZbe
 当時、達也は姉のふくらみかけの胸を見て「デブが胸までデブになった」と莫迦にしたものだった。
 ひどく罰当たりなことを言ったものだと反省している。
 当時もいまも、姉はいくらか「ぽっちゃり」型ではあるがデブと呼んでいいほどではない。
 むしろ、その程よい肉づきのおかげで、やわらかな抱き心地がもたらされるのだ。
 こりこりと乳頭を指で弄んでやった。
「んんっ……、達也くんっ……」
 美夜はブラウスをはだけられた乳白の肢体をよじらせ、切なげに吐息を漏らす。
 唇から頬へ、首筋へ、胸元へ――キスを移動させていき、乳房のふくらみに達した。
 だが、すぐには乳頭を責めないつもりだった。
 これが初めての「行為」ではない。その余裕はできている、つもりだ。
「姉貴……」
 乳頭ぎりぎりにキスを繰り返しながら、囁きかけた。
「姉貴が、オレのところに帰って来てくれてよかったよ。オレの血を欲しがってくれてよかった」
「達也くん以外の人間の血を飲みたいとは、お姉ちゃん思ってないもの」
 美夜は言って、微笑む。手を伸ばし、弟の頬を愛しげに撫で、
「拒絶されたらどうしようか不安だったけど。だって姉弟だし、それに……吸血鬼なんてバケモノだし」
「姉貴はバケモノなんかじゃねーよ」
 達也は、きっぱりと言った。だが急に照れくさくなり、わざと憎まれ口を叩く。
「……むしろ、ドジっ子の大バカモノだな」
「ひどいなー、最近は大したドジはしてないのに」
 美夜は、くすくす笑う。
「……あのね、達也くん」
「あん?」
「お姉ちゃんのオッパイ、まだ可愛がってもらってないところがあるよ。全部可愛がってくれる約束でしょ?」
「ああ……」
 ここでもう少し美夜を焦らすというテクニックもあるだろう。主導権をとり続けたいなら、そうするべきだ。
 だが、達也としても、姉の愛らしい乳頭の誘惑には抗えなかった。それを早く味わいたかった。
 ゆっくりと唇を近づけ……ちゅっと、音を立ててキスをした。
「ああああん……っ!」
 過剰なほどの反応だった。ぎゅっと眼をつむった美夜は、大きく身をよじる。
「お姉ちゃん、達也くんに毎日こうしてもらったら、きっとオッパイだけでイけるように……ああああっ!」
 ちゅぱっ、ちゅぱっ、と、達也は乳頭へのキスを繰り返しながら、
「姉貴、さ……」
「え……?」
「可愛いよ。すげえ可愛い」
「えへっ……ずるいよ、そんな言葉責め……可愛いなんて……んああああっ!」
 れろれろれろ……と、舌で乳頭を弾く責めに、達也は転じたのだった。
 びくっ、びくっと、美夜は水揚げされた海老のように身体を仰け反らせる。
97【Night Food(9)】:2007/12/07(金) 00:36:46 ID:lUWpIZbe
「やっ……やぁっ! 達也くんっ、ホントにイッちゃうっ! オッパイでイッちゃうよぉっ!」
「イッちゃえよ、姉貴……」
 一方の乳頭を舌で舐り上げながら、もう一方は指でこりこりと弄ぶ。
「何度でもイかせてやるからさ……簡単だもんな、感じすぎの姉貴をイかせるなんて」
「ああっ、違うよっ、達也くんにっ、されてるっ、からだよっ……んあっ! ああっ! イッ……あああっ!」
 美夜は両手で達也の頭を抱き、ぎゅっと眼をつむりながら、びくびくと身を震わせた。
「んああ……っ、ホントに、ホントにオッパイだけで……イッちゃったよぉ……」
 くたっと、美夜の身体から力が抜ける。
 手も足もベッドの上に投げ出し、すすり泣く――いや、感涙にむせっている。
「達也くんに、オッパイ可愛がってもらって……こんな気持ちよくて幸せなの、夢みたいだよぉ……」
「姉貴……」
 達也は美夜の髪を撫で上げ、額に優しくキスをした。
「オレだって幸せだよ。死んだ筈の姉貴が帰って来て、一緒にこんなことできるなんて」
「えへへへー……」
 美夜は涙を拭い、にっこりとした。
「達也くん、そんなにいくつも約束して大丈夫? 全部可愛がってくれるとか、何度でもイかせてくれるとか」
「オレは姉貴との約束、破ったことないだろ? ……たぶん」
 達也は言って、美夜の唇にキスをする。
 しばらく舌を絡め合い――やがて唇が離れて、美夜は笑った。
「えへへ、いまのチューで、また軽くイッちゃった」
「だから簡単なんだよ、姉貴をイかせるのなんて。それじゃ、デザートにヨーグルトを頂こうかな」
「えっ、よーぐると?」
 きょとんと小首をかしげる美夜に、達也は、にやりと笑い、
「姉貴のあそこ、濡れてくるといつもヨーグルトみたいな匂いだろ?」
 言いながら、姉の制服のスカートを無造作にめくり上げる。
 ブラジャーとお揃いのパステルピンクのショーツが覗いた。
 そこから伸びる、むっちりとした太腿は、最高級の象牙のように艶やかで瑕(きず)ひとつない。
「あっ……やだ、そんないきなりめくっちゃ」
 美夜は恥ずかしそうに、もじもじと太腿をすり合わせるが、達也は構わずショーツに顔を近づけた。
「シミができてるぜ、姉貴。おまけに匂いも、やっぱりヨーグルト」
「やだ達也くん、急にエッチなこと言って苛めて……」
「エッチなのは姉貴だろ。ほら、こんなに濡らして」
 閉じ合わされた太腿のつけ根、ショーツのクロッチに、つんっと指を触れる。
 柔肉を覆い隠すその部分は確かに、しっとりと湿り気を帯びていた。
「はぁぁぁっ……!」
 美夜は頭を仰け反らせ、白い喉首を晒しながら全身をわななかせた。
「やぁんっ、またイッちゃうよぉ……」
「感じすぎだっての、エロ姉貴」
98【Night Food(10)】:2007/12/07(金) 00:39:55 ID:lUWpIZbe
 達也は苦笑いしながら、美夜のショーツのウエストに手をかける。
「でもパンツの中はヨーグルトじゃなくて、海蘊(もずく)だけどな。黒いモジャモジャがヌメってるの」
「もっ……もう、モジャモジャじゃないよぅ……」
 美夜は真っ赤になりながら口をとがらせて、
「いつもそうやって達也くんがイジワル言うから、ちゃんとお手入れしてきたもん……」
「へえっ? 姉貴にしては珍しい。いくら言ってもスカートは長くてダサいままなのに。どれどれ……」
 達也は美夜のショーツを、ゆっくりと引き下ろした。
 なるほど、臍の下の柔肌は白くなめらかで、ぎりぎりまでショーツを下ろしてもヘアは見えてこない。
 だが、やがて姿を現した、こんもり盛り上がるヴィーナスの丘さえもすべすべなのは、どうしたことか――
「ね? ちゃんとお手入れしてるでしょ? 恥ずかしいから、あまりじっくり見ないで……」
 両手で顔を覆いながら言う美夜に、達也はあきれ返って、
「姉貴。やり過ぎだろ、これは」
 すっかり露わになった美夜のその部分は、幼女のように、つるつるだったのだ。
「ええっ? だって、お手入れしろって言ったの達也くんでしょ……」
 両手で顔を覆ったまま、広げた指の間から眼だけを覗かせて言う美夜に、達也は苦笑して、
「やっぱりドジっ子アネキだな。毛の手入れしろって言われて全部剃るヤツ、普通いねーよ」
 達也は美夜の脚をつかむと自分の肩に担ぎ上げ、相手の腰を浮かせてショーツを脱がせた。
 それから左右の太腿に手をかけて、ぐいっとM字型に押し広げる。
「やだよぅ、こんなポーズ恥ずかしいよぅ……」
 美夜は顔を隠したまま耳まで赤くなって、いやいやと首を振るが、達也は笑って、
「姉貴、大きな赤ちゃんみたいで可愛いぜ。あそこもオモラシしたみたいに、びしょびしょで」
「ふぇぇーん、やだぁー、イジワル言わないでぇー……」
「約束だからな。姉貴の可愛らしくなったところ、可愛がってやるぜ」
 達也は美夜のM字の脚の谷間に、顔を近づけた。
 ヴィーナスの丘から、大きく広げさせた両脚の間(あわい)を経て、白くむっちりした餅のような尻まで。
 無防備に晒させた、美夜のその部分。
 なめらかで生まれたての子供のような彼女の素肌の美しさは、無毛に還ったことで余計に強調されていた。
 とはいえ――
 周囲の肌より幾分、赤みを帯びた、ぷっくらとした大陰唇。
 そこに穿たれた陰裂からは、桃色の肉襞――小陰唇が、いくらか姿を見せている。
 そして、やはり桃色の肉の「莢」に包まれた、そのまま「豆」に似た器官――陰核。
 それらを濡れ光らせる、ぬらぬらとした蜜は、ヨーグルトに似た酸味を想像させる匂いを漂わせる。
 成熟と呼ぶには初々しく、しかし蕾のままでもあり得ない少女の器官、それは。
 色づき始めた果実に譬えるのが、ふさわしいであろうか。
 達也は舌を伸ばし――蜜を、すくいとった。
「はぅぅぅ……っ!」
 美夜は、びくびくと全身をわななかせる。
 繰り返し、舌をその部分に這わせるたび、一つ違いの実姉である少女は切なげに声を上げ、身を震わせる。
99【Night Food(11)】:2007/12/07(金) 00:43:13 ID:lUWpIZbe
 手を伸ばし、豆状の器官を莢から剥き出して、くりくりと指で弄んだ。
 もう一方の手は中指を立て、だくだくと蜜を溢れさせる淫壺に挿し入れた。
 軽く指を抜き差ししてやると、くちゅくちゅと音が立つ。蜜が、とめどなく湧き出してくる。
「ひぁぁっ……達也くん、あのね、あのね、お姉ちゃん、もう我慢してられない……」
 美夜は潤んだ瞳を弟に向けて、哀願した。
「ぎゅっとして、チューして、それでね、達也くんの熱いの、ちょうだい……」
「ああ……」
 達也は頷いて身体を起こすと、部屋着のセーターとシャツ、ズボンと下着を脱ぎ捨てた。
 美夜が「熱いの」と呼んだ達也のその部分は、すでに屹立して臨戦態勢だった。
「あ……待って達也くん、それ、チューさせて……」
「え? ……ああ」
 達也は求められるまま、肉茎を美夜の顔の前に突き出す。
「えへへへ……」
 美夜はそれに手を添えて、れろりと、先端の鈴口を舐め上げた。
「くっ……!」
 びくんっ、と、身を震わせた達也を見上げ、「えへっ……」と美夜は悪戯な笑顔で、
「達也くんの、この白木の杭を突き刺されて、吸血鬼のお姉ちゃんは昇天しちゃうんだ」
「でも何度でも復活しちゃうんだろ、往生際の悪い姉貴は?」
「えへへ……ホントは心臓に刺す杭を、お姉ちゃんのいけないところに刺しちゃうからだよ」
 ちゅっ、と、達也のそれにキスをして、
「舐めてあげたいけど……ごめんね、お姉ちゃんきっと我慢できなくなって噛みついちゃうから」
「胸は?」
「え?」
「これだけ立派なチチしてんだ、パイズリくらいできるだろ? やってくれよ」
 にやりと笑って、達也は美夜の乳房を、ぎゅっと鷲づかみにする。
「えっ? あの……あぅっ、オッパイ乱暴にされるのも気持ちいいけど……ごめんなさい、えへへ……」
 美夜は困った顔で笑い、
「それ、また今度してあげるから。お姉ちゃんのいけないところ、もう達也くんを欲しくて我慢できない……」
「しょうがねーな。約束だぜ、パイズリ」
 達也は苦笑いで、美夜の頬にキスしてやる。
 パイズリは惜しかったが、弟のモノをねだる甘えん坊の姉も可愛らしいと思う。
 達也は、あらためて美夜に覆いかぶさるように身体を重ねた。
 そして背に手を回し、望み通りに抱き締めてやりながら、唇を合わせる。
 舌を絡めながら、びくんっと美夜は身を震わせた。
 やがて唇が離れると、美夜は照れくさそうに笑う。
「……えへへ、またイッちゃった。チューだけなのに……」
「ホントにエッチで可愛いな、姉貴……美夜は」
 達也も微笑み、もう一度、唇を重ねる。
100【Night Food(12)】:2007/12/07(金) 00:46:53 ID:lUWpIZbe
 舌を絡め合いながら達也は、片手で美夜の両脚の間(あわい)を探り、そこに自身の肉杭を導いた。
 淫蜜を溢れさせ続ける美夜の牝器官に、杭の先端を突き当てる。
「……熱いよ、達也くん……」
 美夜は微笑む。
「美夜……」
 恋人のように名前で呼びながら、達也は、腰を突き上げた。
 抵抗感は、ほんの一瞬。濡れそぼつ肉の器は、ぬるりと雄根を呑み込んだ。
「はぅっ……はぁぁぁっ、これだけでイッちゃうよぅ……」
「何度でもイッちゃえ、イきっぱなしになっちゃえよ、美夜」
 達也は言い、腰を動かし始める。ぎしぎしと軋む音を立ててベッドが揺れる。
「ひぁぁぁっ……達也くんっ、ああっ、イッ、ホントにっ、ああっ、達也くんっ、達也くんっ!」
 美夜は、ぎゅっと達也にしがみつく。
「イッ、ああっ、もうっ、はじけちゃうっ、頭っ、真っ白でっ、イッ……イッイッ、ああっ……むぐっ!」
 達也は美夜の口をキスで塞いだ。
「……むくぅっ、むぅっ、んむっ、むぁっ、んみぃ、むぃっ、んあっ、んきゅぅっ……!」
 達也の息遣いも荒くなる。
 その腕の中で、びくびくと身を震わせる美夜は、絶頂の荒波に翻弄され続けているのか。
 達也は繰り返し繰り返し、腰を突き上げ。
 やがて――
「はぁっ、あぁっ、みっ……美夜っ!」
「んくっ……ああっ、イッちゃ、達也くんっ、一緒にっ、イッ……一緒にィィィッ!」
 
 ――どくんっ、どくんっ、どくんっ!
 
 強く抱き合う姉弟の身体が、大きくわなないた。
 ふたりは、ともに果てた――
 だが、それで終わりではない。
 自分にのしかかったまま、荒く息をしている達也を、美夜は揺さぶった。
「……えへへ、達也くん、起きて起きて」
「あ……、ああ……」
 のろのろと身体を起こし、達也はベッドの上で胡坐をかく。
 その前に横座りに美夜は座り直して、
「えへっ。じゃあ、達也くん、いいかな?」
「……ああ」
 達也は頷くと、美夜の前に左腕を突き出す。
「えへへへ……それじゃあ、いただきまーす」
 にっこり笑った美夜の口の端から、にょっきりと鋭い牙が覗く。
 そして、その牙を弟の手首に突き立てた。
101【Night Food(13)】:2007/12/07(金) 00:50:18 ID:lUWpIZbe
「……ぐっ!」
 達也は眼をつむって呻く。流石に痛いし、血はどくどくと流れ出す。
 射精直後で消耗しているから余計、頭がくらくらしてしまう。
「えへへへへー……」
 だが、美夜は嬉しそうに笑いながら、最愛の弟の生き血を啜り上げた――
 
 
「……ねえ、達也くん」
「んぁ……?」
「起きて。そろそろ夜が明けちゃう」
「ああ……」
 うつ伏せに寝ていた達也は、枕から顔を上げる。
 いや――それは枕ではなく、美夜の乳房だった。
「えへへへ……お姉ちゃんのオッパイ枕、寝心地どうだった?」
「悪りぃ、血を吸われたあとは、いつものことだけど全然記憶ねーし……」
 そう言いながら達也は、美夜の乳房の谷間にもう一度、むふっと顔を埋めた。
「ちょっと、達也くん? また寝ちゃうつもり?」
「そうじゃねーけど……姉貴の肌って、なんかいい匂いするよな」
「えへっ、そーお?」
 美夜は達也の髪を撫で、
「きっと、達也くんだけに効くフェロモンが出てるんだよ。それだけお姉ちゃん、達也くんが好きってこと」
「オレも姉貴のオッパイは大好きだよ、オッパイは」
「オッパイだけ? ひどいなー」
 美夜は、くすくす笑いながら、達也の肩を押して身体を起こさせた。
「さ、ホントに起きなきゃ。お日様が出る前に、真綺さんのところに帰らないと」
「真綺さんってヒトは、なんで姉貴に親切なんだろうな。ずっと居候させてくれてるんだろ?」
「最初は暇つぶしと言ってたけど。達也くんとお姉ちゃんの関係を話したら、面白がって応援してくれてる」
「ホントに暇人だな。二、三千年も生きていれば、当然かもしれないけど」
 達也は笑う。
 美夜はベッドを降りて身なりを整えて、眼鏡をかけ直した。明かりはつけていないが、吸血鬼は夜目が利く。
 そしてカーテンとガラス戸を開けると、遠くの空がほのかに朱く染まっていた。
「あー、朝焼け。早く帰らないと致命的ドジっ子……えへへ」
「……姉貴」
 達也はベッドを降りて美夜に近づき、後ろから抱き締めた。
「また今夜も来いよ。あしたも、あさっても」
「えへへへ……当然だよ、毎晩来るよ。だって、達也くんとお姉ちゃんは愛し合ってるんだもん」
「姉貴……、……美夜」
 達也は姉の身体をくるりと回して自分のほうを向かせ、唇を重ねた。美夜は弟を抱き返す。
102【Night Food(14)】:2007/12/07(金) 00:53:22 ID:lUWpIZbe
 やがて身体を離し、美夜は、にっこりと微笑んで言った。
「えへへ……じゃあ、ホントに行くね」
「ああ。また夜な、待ってるから」
「入れてと言ったら、すぐおウチに入れてよね?」
「鍵は開けっぱなしだから、いつでも入って来いよ」
「んもうっ、意地悪だなー。達也くんが招き入れてくれることに意味があるんだから」
 くすくす笑いながら美夜は、弟の頬にキスをする。
 そして、土鍋を手にベランダに出た。
「じゃあ、また夜ね」
「ああ、また夜な」
 美夜の姿が、夜空から滲み出したような黒い霧に包まれ――やがて、完全に呑み込まれる。土鍋とともに。
 そして、霧は再び夜空へ流れ出していった――
 
 
 美夜は毎晩、深夜零時前後に現れて、夜が明ける直前に帰っていく。
 達也は、そのことに疑問を抱いていなかった。
 吸血鬼の生態とは、そういうものだろうと思っている。だが――
 彼女が夜明けぎりぎりまで活動しているのならば。
 日が暮れてから午前零時までの間は、何をしているのか?
 
 
「お疲れ様でしたー」
「おつかれー」
 午後十時、勤務を終えたアルバイトの高校生たちが、ファーストフード店の通用口から出て来た。
「エリちゃん、お茶してくー?」
「ごめーん、さっき親からメールで、なんかウザいこと言ってきてー。とりあえず、きょうは帰るー」
「じゃあ、またあしたー」
「うん、バイバーイ」
 バイト仲間と別れて、エリという名の娘は駅へ向かう。
 都心のターミナル駅であった。バイト先は、そこから徒歩三分の至近距離にある。
 親は「夜遅くまで盛り場でバイトなんて危ない」と言うが、むしろ盛り場で人が多いから安心だと思う。
 地元の駅前なんて、エリが帰り着く十時半頃には人影もまばらだ。そのほうが怖い。
 だからエリは、バイトがあるときは毎晩、兄に車で地元の駅まで迎えに来させている。
 可愛い妹の頼みは拒めない兄だ。当分は彼女なんて作らず、自分の足代わりでいてほしいと思う。
 赤信号。ターミナル駅は大きな横断歩道を渡った向こうだ。
 エリは、大勢の通行人とともに信号が変わるのを待つ。
「――えへへへへ……」
 真後ろから声がして、エリは、どきりとして振り向いた。
103【Night Food(15)】:2007/12/07(金) 00:57:43 ID:lUWpIZbe
 美人だが見知らぬ少女が、自分に向かって微笑んでいた。
 制服も知らない高校のものだ。短く詰めたスカートから、ちょっぴり太目の色白の脚が伸びている。
「あの……」
 何か用ですか、と、エリが訊ねるより先に。
「えへへ、一緒に帰ろ」
 少女が、言った。その瞳をエリしか気づかない一瞬、紅く輝かせて。
 エリは――その瞳から感情の光が喪われ――何かに操られるように、こくりと頷いた。
「……はい」
 帰る? どこに?
 どこへでも。「彼女」が求める場所ならば。
 信号が変わって、隣に並んだ少女が、エリを促した。
「さあ、行こ」
「……はい」
 ふたりは駅へ向かって歩き出した。
「家は、どこだっけ? 最寄り駅は?」
 少女が訊ねて、エリは答える。
「武東線の、もみじ野です」
「じゃあ、きょうは武西線の山口湖まで切符を買って。できれば、私の分も」
「……はい」
 指示された通り、エリは武西線の切符売場へ向かい、切符を二枚買って一枚を少女に渡した。
 ふたりで改札をくぐったが、そこでエリは足を止める。
「どうしたの? 山口湖行きの乗り場はこっちよ」
「……はい」
 少女に従って、エリは電車に乗り込んだ。
 武西線に乗るのは初めてだった。だから乗り場がわからなくても無理はない。
 そもそも、家に帰るつもりなら乗る必要のない電車なのだ。
 だが、エリは自分の行動に疑問を抱いていない。理性も意思も麻痺している。
 いまのエリは、見知らぬ少女に操られるままの人形だ。
 およそ五十分後、ふたりは目的地の駅を降りた。
 名前の通り湖に近く、日中ならば行楽客もいるが、夜間は人の姿は稀だ。
「こっち。一緒に来て」
 少女は歩き出し、エリはそれにつき従う。駅から離れ、湖の方向へ。
 途中から道を外れ、雑木林の中へ――
「この辺りで、いいかな」
 少女は足を止め、エリを振り返った。
「えへへへー、ごめんね。こんな場所まで連れ出して」
 エリは答えない。
 木々の枝葉の間から差す月明かりの下で、少女の表情は翳になって見えない。
104【Night Food(16)】:2007/12/07(金) 01:00:47 ID:lUWpIZbe
 愉しげな口調からすれば、笑っているのであろうが――いずれであれ、エリには意味のないことだ。
 言葉が耳に届いても、明確な指示や命令でなければ意味を持たないことも同様。
 いまのエリは、意思を喪った人形だから。
「ホントはね、こんなことしたくないんだ。達也くんに知られたら、絶対赦してもらえないもの」
 だが、少女は語る――聞く者のいない釈明を。
「ホントに達也くん一人の血を吸って生き続けられるなら、いいのになと思う。でも」
 いや、聞く者がいたところで、利己的にすぎて納得できない言い訳を。
「仕方ないんだ。エッチは達也くんとするだけで充分だけど、血はね、それだけじゃ足りないから」
 少女はエリの肩に手を置いた。そして、相手の眼前に顔を近づけていく。
「私は、早く真綺さんみたいに太陽の下を歩けるようになりたいの。達也くんと一緒に暮らすために」
 意思の消え失せたエリの瞳を覗き込む。エリは、何の反応も示さない。
「達也くんには、地方の大学に進学して家を出てもらうの。受験勉強は私も手伝えるわ。優等生だもの、私」
 少女はエリの顎に手をかけ、顔を上向かせた。そうして晒させた喉首に、さらに顔を近づける。
「だから、私も頑張るの。たくさん血を吸って、生命を吸って、吸血鬼として力をつけなくちゃ」
 少女――美夜は牙を剥き出し、意思を喪ったままの獲物に突き立てた。
 悲鳴は上がらない。ただ静かに、獲物とされた娘は生命を奪われていく――血液とともに。
 力の抜けた娘の身体を抱き支え、その血を美夜は、あらん限り啜り上げた。
 やがて、抜け殻のようになった娘は解放される――食べ滓として。
 どさりと、その身体が美夜の足元に転がった。
「――綺麗な子だったのに。勿体ない」
 後ろから声がして、美夜は振り向き、にっこりと微笑んだ。
「真綺さん、見てたんですか」
「それが《親》の務めと思うから」
 いつの間にか、その場にいた少女。美夜と同じ年頃と見えたが、それが真実ではないだろう。
 宵闇に似た長い黒髪に、月光が具現化したような白い肌、切れ長の眼をした端整な面差し。
 白いドレス姿は冬の寒空には似合わない――だが、彼女が「生きた人間」でなければ、別だ。
 真祖たる吸血鬼、真綺――
「わたしなら三日はかけて頂くのに」
 言いながら腰をかがめ、真綺は命を喪った娘の顔を撫で、瞼を閉じさせた。
 くすくすと美夜は笑って、
「そんなに悠長にはできないです。早く、たくさん血を吸わなくちゃ、私は」
「焦りは禁物。今夜の狩り方なら、問題ないけど」
「はい。その子には、ここで眠ってもらいます。誰にも見つからないように」
 美夜は地面に向け、片手を差し伸ばす。
 その指先から黒い霧が滲み出し、それが触れた地面は、熱湯をかけられた雪のように溶け崩れていく。
 やがて、深い穴が穿たれた。
 そして霧は今度は死んだ娘の身体を包み、宙に浮かせて――穴の底へと、運ぶ。
 ぱちりと、美夜は指を鳴らした。
105【Night Food(17)】:2007/12/07(金) 01:03:52 ID:lUWpIZbe
 霧が掻き消え、地面に掘られた穴も幻のように消え失せた。
 哀れな娘の亡骸とともに。
「これでよし、と」
「よくできたわね。ご褒美」
 真綺は自分の左手首を噛んだ。そして、血の滲み出したそれを、美夜に突き出す。
「えへへへ……ありがとうございます」
 美夜は、ぺろりと舌なめずりして真綺の手をとり、その血を舐め上げた。
「これだけで、何百人分にもなりますね」
「それだけの人間の生命を、わたしが奪ったということ。そうして、わたしは生き長らえてきた」
「その大事な生命を分け与えてくれてるんだから。真綺さんは、達也くんと私の恩人です」
「面白いから」
「え?」
「姉と弟が愛し合うなんて面白い。本当なら幸せになれない、ふたりだもの」
「えっと……そんなこと言われると私、真綺さんに殺意覚えちゃいますよ。えへへ……」
 困ったように笑う美夜に、真綺は首を振り、
「大丈夫。わたしは吸血鬼、人間のルールは通用しない。勧善懲悪なんて願い下げ」
「えへっ。じゃあ、応援してくれるってことですよね?」
「もちろん。あなたたちは、わたしが幸せにしてあげる。わたしはハッピーエンドが好きだもの。……でも」
 と、真綺は小首をかしげ、斜め目線で美夜の顔色を伺うように、
「そのために血を見る覚悟はできていて?」
「えへへへへ……。達也くんと私以外の血なら、いくらでも」
「それでこそ、わたしが見込んだ《娘》。育て甲斐があるわ」
 真綺は鷹揚に頷くと、ぱちりと指を鳴らす。
 すると、真綺の背の後ろから黒い霧が滲み出した。その中から、土鍋が姿を現す。
「さあ、そろそろ出かける時間。お料理は運んで来てあげた。すぐに弟さんのところに行けるように」
「えへへ……何から何まで、ありがとうございます。今夜は鍋焼きうどんを作ったんです」
 言いながら美夜は、ウエストで折り返して丈を短く見せていたスカートを元に戻す。
 真綺が小首をかしげ、
「どうしてスカートを戻しちゃうの? 短いほうが可愛いのに」
「急に私が変身しちゃったら、達也くんがびっくりしちゃいますから」
「何ごとも慎重にということね。いい傾向。じゃあ、いってらっしゃい」
「いってきます……えへへへ」
 美夜の手から伸びた黒い霧が、真綺の霧から土鍋を譲り受ける。
 そして、美夜は土鍋とともに霧に包まれて――
 その霧が、夜空に向かって流れ出す。
 愛し合う姉弟の、逢瀬の場へと。

【終わり】
106名無しさん@ピンキー:2007/12/07(金) 01:06:30 ID:fyzRuD4V
GJ!
107【Night Food】:2007/12/07(金) 01:07:45 ID:lUWpIZbe
終わりです
必要以上に疲れた... orz
108名無しさん@ピンキー:2007/12/07(金) 01:35:57 ID:8F0kOzoK
GJ!
不気味な雰囲気なのに……「えへへ」が可愛すぎます
109名無しさん@ピンキー:2007/12/07(金) 01:45:51 ID:fA2Wvb5R
つ、続きはあるのですかッ!?
110名無しさん@ピンキー:2007/12/07(金) 03:50:38 ID:evZnHa5V
てっきりお鍋にはお姉ちゃんの血が入ってて弟も吸血鬼になるのかと思った
まあ加熱しちゃうとダメなのかな
111名無しさん@ピンキー:2007/12/07(金) 12:26:27 ID:rgYRnGOn
>>107
GJ!
ただ、弟の名前が俺と同じじゃねーか/(^o^)\
恥ずかしくて読みにくかったぜ
112名無しさん@ピンキー:2007/12/07(金) 13:09:47 ID:KGCOGvO/
>>107
GJ!
吸血鬼とかドジッ娘とか、俺のストライクゾーンにど真ん中の直球が飛んできたな


さて、続きを読むにはワッフルワッフルと書き込めばいいのかね?
113名無しさん@ピンキー:2007/12/07(金) 15:07:40 ID:gO8Xupj2
>>107
GJ!

>>111
お前俺と同じ名前なのかw
だが安心しろ。俺の場合は姉が美夜と一文字違いだ

それでもまともに読めた俺は勝ち組
114『いもうとの考え』:2007/12/07(金) 16:59:48 ID:Rjgk++rh
あぁ、もうすぐクリスマスか…。
今年もまた一人だな、まぁいいけど。
沙妃「おにいちゃーん、ごはーん」
はーい、今日はカレーが食いてえな。

そんな事を思いながら台所に行ってみると見事にカレーだった。
「おぉ、カレーが食いてーと思ってたらホントにカレーだ」
沙妃「そうなんだ」
沙妃(なんかそんな気がしたからカレーにしたんだよ)
妹は16歳にもかかわらず料理が美味い、まぁ家庭の事情上料理は沙妃が長年料理担当してるからかもしれないが、
それを差し引いてもすごく美味い。特にカレーは一級品だ。
「う〜ん、んまい。相変わらずうまいなぁ沙妃のカレーは」
沙妃「そう?」
「いや美味いよ、なんか特別な作り方でもしてんの?」
沙妃「特に何もしてないけど…」
沙妃(へへ、実はたっくさんの愛情たっぷり愛液を入れてるからなんだけどね〜)
「じゃあ料理の腕がいいのかな、うまいうまい」
沙妃「……………」
沙妃(うわぁ…私の愛液がどんどんおにいちゃんの口の中に入っておにいちゃんの体の一部になっていく…
んっ、見てるだけで軽くイっちゃいそう…何回やってもこれだけはやめらんない)
「沙妃はクリスマスなんか予定あんの?」
沙妃「無いよ、おにいちゃんはあるの?」
「無いよ…そろそろお互い彼氏彼女でも作ってラブラブクリスマスでもしないといけないな」
沙妃「あはは、そうかもね」
沙妃(も〜私の気持ちも知らないで…そんな事言ってると襲っちゃうよ)
115『いもうとの考え』:2007/12/07(金) 17:00:56 ID:Rjgk++rh
どうやら沙妃も今年も恋人がいないクリスマスを送るようだ。
兄の目から見ても沙妃はかなりかわいいと思うんだけどな…彼氏の一人や二人くらいすぐに作れるだろうに。
性格だって全然悪くないし、大人しいというか人当たりがよいというか…とにかく顔と性格から考えればかなりモテてるんじゃないだろうか。
沙妃(あ〜おにいちゃん犯したいな、ほんと犯したい。
おにいちゃの体の至るところを今すぐ舐めまわしてーよぉ、特に唇を重点的に。いや、むしろ食いつきたい)
「そいえば最近下着とか無くなってない?」
沙妃「えぇ?なにそれ〜。無くなってないよ」
「最近俺の下着が少なくなってきてるんだよ」
沙妃「干してるときに風で飛ばされたんじゃない?ぴゅ〜って」
沙妃(まぁ私が盗んでオナニーのときに使用してるんだけどね。ぐちょ〜って
昨日なんかあんまり激しくしたから破けちゃった。ビリビリって)
「変だな〜、誰も俺の下着なんか盗まないだろうし…それに最近朝起きたときスゲー頭がぼーっとしてるんだよな」
沙妃「寝不足なんじゃないの?」
「いや、睡眠時間は足りてると思うんだけどな…ひどいときは頭痛がするんだよ」
沙妃「ふ〜ん、疲れが溜まってるとかじゃない?」
「そうなんかなぁ…」
沙妃と(ふふ、やっぱり気付いてないみたい…おにいちゃんが風呂上がりに飲んでるコーヒー牛乳にはちょっとしたクスリが入ってるんだよね〜)
「今日は早めに風呂に入って寝てみるか」
沙妃「それがいいよ」
沙妃(やった!今晩はいろいろ楽しめそう。んふふ、なにしよっかな〜
やば、考えただけで上の口からも下の口からも涎が出る)
116『いもうとの考え』:2007/12/07(金) 17:03:34 ID:Rjgk++rh
以上、小ネタでした。
突然の投稿ですがよかったら読んでみてください。
117名無しさん@ピンキー:2007/12/07(金) 17:17:47 ID:/Te0/SHm
もちろん続きますよね・・・?
118名無しさん@ピンキー:2007/12/07(金) 18:22:59 ID:SFBivOip
グッジョブ
こんな妹欲しいぜ続き期待
119名無しさん@ピンキー:2007/12/07(金) 18:54:34 ID:GjZkVyIv
>>116
GJ!!
これはとんでもないキモウトだ
120名無しさん@ピンキー:2007/12/07(金) 21:18:20 ID:IMHInMnY
>>116
この妹を買収!(`・ω・´)っ[10000]
121名無しさん@ピンキー:2007/12/07(金) 21:46:17 ID:f/46NqVO
>>116
(`・ω・´)っ[30000]
122名無しさん@ピンキー:2007/12/07(金) 21:52:13 ID:D9JjhWz8
>>116
(`・ω・´)っ[家一軒@山奥]
123名無しさん@ピンキー:2007/12/07(金) 21:52:46 ID:H50XrEZS
>>116
(´・ω・`)つ[30020]
124名無しさん@ピンキー:2007/12/07(金) 22:29:41 ID:k3mUwJ+S
>>116
(`・ω・´)っ[30025]
125名無しさん@ピンキー:2007/12/07(金) 23:09:36 ID:lNcmFe09
>>116
(`・ω・´)っ[30030]
126 ◆/waMjRzWCc :2007/12/07(金) 23:15:19 ID:XCdNPRam
競り合い中すいませんが続き投下します
127理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/12/07(金) 23:17:11 ID:XCdNPRam
病室に戻ると、修くんは寝かかっていた。
理緒は、修くんが死んじゃうのかと思ってすごく焦った。
看護婦さんが来て、ただの貧血だって分かって、また泣きそうになった。
修くんが大丈夫だと分かったから、安心した。
そして、先程の話を思い出す。
織部の家は近親相姦によって保たれてきた。
それはつまり、理緒と修くんが性交をして子供を作る事が認められたという事だ。
話を聞きながら、体は喜びに震え、思わず顔が綻んでしまいそうだった。
例え世間に認められなくても、家には何も問題が無いのだから。
家の人に何を言われようと関係無いのだけれど。
修くんの性格から考えて、理緒が子供を孕んだら絶対に逃げる事はしないだろう。
既成事実は何よりも強い。
これで、理緒の檻はより強固な物になる。
そこまで考えて、修くんの寝顔を見る。
理緒にとっての全て。
等価値な人、物など存在しない。
理緒は、修くんにだったら殺されても犯されても構わない。
それで修くんの全てが永久に得られるのならば。
それでももし理緒から離れるのならば…
私はどんな事をしてでも修くんを得てみせる。
いくら血に濡れても、いくら傷付いても。
128理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/12/07(金) 23:19:54 ID:XCdNPRam
ゆっくりと、修くんを起こさない様に唇を重ねる。
柔らかくて、少し厚めの唇。
愛しくて、狂おしくて、そっと髪を撫でる。
この口付けは、誓約の証。
修くんに永遠の愛を。
修くんに永久の安らぎを。
修くんに理緒の、私の全てを捧げる事を誓う。
その代わり、修くんにたった一つだけお願いをしてもいい?
修くんはずっと、私と一緒に居て下さい。
できる事なら、私だけを見て、私だけに触れて、私だけを愛して…
コンコンとドアがノックされる。
名残惜しいけど体を離す。
「あ、織部君のお姉さん。面会の終了時間ですので、今日はお帰り願えますか?」
「…はい」
本当なら、一時も離れたくないけど…
刺したのは、私。
大切な修くんに傷を負わせてしまった。
その罪を償う為に、今だけはおとなしくしておこう。
「帰り道、お気をつけて」
軽い会釈をして、病室を後にする。
帰ったら、どうしよう…
久しぶりに、仕事をしないといけないかな…


…くらくらする。
まだ、貧血みたいだ。
「あっ、目が覚めましたぁ?」
「はい…」
この人の声を聞いたら二度寝したくなった。
「具合はいかがですかぁ?」
「もうかなり良くなりました」
129理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/12/07(金) 23:22:45 ID:XCdNPRam
「そうは見えないんですけどぉ…」
と、そんな不安げな顔と泣きそうな目でこっちを見られても困る。
ここは大丈夫だって感じを見せないとな…
「全然平気ですって。俺は血の気は多い方ですし」
実際貧血なんか久しぶりだし。
もっと小さい時はたまに有ったけど。
「そうですかぁ…あ、あのぉ、おトイレとか平気ですかぁ?」
「え?あ、あぁ、自分で行けますよ」
…なんで残念そうに見えるんだろう。
「行くのが辛い様でしたら言って下さいねぇ?」
「えっと…はい…」
まぁ恥ずかしすぎて言えないし、言うつもりも無いが。
さてと…特にできる事も無いし、寝るか。
まだ治った訳じゃないしな。
…コツッ。
今、なんか音がしなかったか?
……コツン。
間違いない…なんか当たった様な音がする…
…怖っ!なにこの病院怖っ!
…兄ちゃん……
呼ばれた…?今呼ばれた?
…お兄ちゃん…
絶対呼ばれたっ…俺、なんか悪い事したっけ?
…修お兄ちゃん…!
あれ…?今の呼び方って…
「修お兄ちゃん!」
その声は…冬華ちゃん?
俺はそろそろと窓に歩み寄る。
窓のすぐ下に厚着をした冬華ちゃんが居た。
130理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/12/07(金) 23:24:40 ID:XCdNPRam
俺はなるべく音をたてない様に窓を開ける。
「えへへっ、こんばんは」
「こんばんは…じゃなくて、冬華ちゃん何やってるんだよ?」
「なにって…お見舞い?」
「まずこんな時間に来るのはおかしいし、窓からなのもおかしいし、何より一番つっこみたいのはお見舞いに疑問系が付いてる事だ!」
ハァっハァっ…
一気に喋って、疲れた…
「修お兄ちゃん、元気だね…」
なんで微妙にひかれなきゃならないんだ?
と思いながら、冬華ちゃんを見ていて…
昨日の事を思い出してしまった。
急に冬華ちゃんの方を見れなくなる。
あれだけ無様な格好を晒したんだし、何を今更と思われるかもしれないが、仕方ない。
あれは俺が望んだ事じゃない。
「どうしたの?修お兄ちゃん」
「いや…なんでもない。それより、早く帰った方が良いんじゃないか?」
つい、少し冷たく言ってしまった。
「修お兄ちゃん、冬華の事…嫌いになっちゃったの…?」
冬華ちゃんの声は震えていて、その大きな瞳には涙が浮かんでいた。
「そういう訳じゃない。だけど、家族の人が心配するだろ?」
適当な返事を返す。
「…冬華寂しいよ…修お兄ちゃん、お部屋に入れて…?」
131理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/12/07(金) 23:26:04 ID:XCdNPRam
見事に俺の話は無視された。
「冬華の事なんて皆心配してくれない…」
小さく、そう呟くのが聞こえた。
たった50センチ程の距離だったが、風でも吹けば聞き取れない程の声で。
「修お兄ちゃんも、冬華の事なんてどうでも良いの?」
「そんなことないよ」
「じゃあ、少しで良いから冬華と一緒に居て…」
そんな風に言われたら断れる訳が無い。
何故か、ここで冬華ちゃんを無理矢理帰らせたら取り返しの付かない事になってしまう気もした。
「仕方ないな…靴、脱いで」
そう言った途端に冬華ちゃんの顔はぱっと明るくなる。
「…うんっ!」
靴を脱いだ冬華ちゃんの腕を持って引っ張りあげる。
「ありがとう、修お兄ちゃん」
背中からそう声をかけられた時、寒気がした。
理由は全く分からないが、俺の体と感覚は何かを感じ取ったのかもしれない。
それを無視する様に、ぎこちない動きでベッドに座る。
すぐに冬華ちゃんも寄ってきて、俺の隣にちょこんと座る。
ドクンと心臓が跳ねる。
「修お兄ちゃんはやっぱり優しいね」
そう言いながらこちらに顔を向け、俺の手に触れる。
また、ドクンと心臓が跳ねる。
132理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/12/07(金) 23:28:30 ID:XCdNPRam
さっきから、俺の体はどうしたんだ?
自問してみるが、答えは出ない。
「修お兄ちゃん、横にならなくて平気?」
「あ、あぁ。平気…だ…っと…あれ?」
ぐらりと視界が歪む。
俺の体はどさりとベッドに倒れてしまった。
「大丈夫?修お兄ちゃん」
大丈夫だと言いたい所だが、体はほとんどいう事を聞かない。
かろうじて腕は動かせる様だ。
「あのね、修お兄ちゃん」
何?と言おうとしたが、声もうまく出せなかった。
喋ろうとしても口からでるのは呻く様な声。
「……?」
「冬華ね、昨日からずっと考えてたの」
なんのことか分からず、喋れもしないので、次の言葉を待つ。
「どうしたら、修お兄ちゃんは冬華の物になるかなぁって」
また、頭がぐらりとした。
「最初はね、理緒さんを殺してしまおうかって考えたの」
冬華ちゃんはいつもと変わらない声でとんでもない事を口にする。
「でも、それは止めた。だって、人を殺しちゃったら修お兄ちゃんと一緒に居られないもん」
何か、おかしい。
俺の目の前の冬華ちゃんは何か違う。
「だから、冬華は決めたの。修お兄ちゃんを冬華の物にする為に、修お兄ちゃんを殺してあげようって」
133理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/12/07(金) 23:31:36 ID:XCdNPRam
今、なんて言った?
俺が冬華ちゃんに殺されるのか?
「そうすれば、修お兄ちゃんは冬華の物。誰にも渡さなくて済む」
なんとか声を出そうとするが、やはり呻き声しか出ない。
「あ…あ…」
「そんなに怯えた顔をしないで?大丈夫だよ。すぐに冬華もいくから」
冬華ちゃんは俺の上にまたがり、服の下から包丁を取り出した。
このままだと、俺は確実に殺される。
何か、何か手は無いか?
なんとか動く腕で近くを探る。
「修お兄ちゃん…冬華はずっと一緒だよ」
ゆっくりと、手に持った包丁が振りかぶられる。
そうだ、ここは病院だ。
ナースコールが有るはず…
必死に腕を動かして、ようやくそれらしき物に手が触れる。
そして、スイッチを押そうとした瞬間。
ドスリと、腕に深々と突き刺さった。
「うあぁぁあぁあっ!」
心の中では叫んでいたが、どうしても口からは出ない。
「だめだよ、修お兄ちゃん」
ズルリと、血にまみれた包丁が抜ける。
「おとなしくしてないと」
ヒュッ、ザクッ。
気付けば、もう片方の腕にも刃が突き立てられていた。
痛みより、ただ恐怖と血の熱さだけを感じている。
「悪い修お兄ちゃんにはお仕置だよ」
134理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/12/07(金) 23:34:37 ID:XCdNPRam
笑ってそう言った冬華ちゃんの顔には返り血が付いていた。
それを見た次の瞬間、刺された包丁はぐりぐりとねじられる。
腕が壊れていくのを、俺は確かに感じていた。
一回ねじる度に、俺の血が跳ね、冬華ちゃんの顔を汚していく。
血を浴びる冬華ちゃんの顔は恍惚としていた。
もう俺に抵抗する手段は何も無い。
「あはっ、修お兄ちゃんの血…温かくて、すごく綺麗だよ」
ぺろりと、口の近くに付いた血を舐めている。
「もっと楽しみたいけど…」
再び包丁は振りかぶられ、
「早く一緒になりたい」
狙いを定め、
「修お兄ちゃん、愛してるよ」
振り下ろされた。


「うあぁぁぁっ!」
はっ、はっ、はぁっ…
夢、だったのか?
それにしては痛みも感じたし…
腕を確認しても、傷はどこにも無かった。
でも今の夢、リアル過ぎる…
なんとなく、嫌な予感がする。
かといってもう寝れる気はしない。
そうして、何をするでもなくただ寝転んで居た時だった。
…カツッ
その音を聞いて、心臓が破裂しそうな程驚く。
まさか、現実に冬華ちゃんが来るはずないよな…
カツン…
これは、廊下から聞こえる?
こんな時間に、誰だろう。
ドアが開けられた…
135 ◆/waMjRzWCc :2007/12/07(金) 23:35:57 ID:XCdNPRam
投下終了します。
しかし新しい職人さんも上手いな…
自分ももっと精進しなきゃ…
136名無しさん@ピンキー:2007/12/07(金) 23:43:57 ID:rDVS77Y3
GJ
137名無しさん@ピンキー:2007/12/07(金) 23:57:43 ID:B31CKsB9
GJ!おまいさんも書くたびレベルアップしてるの分かるからガンガレ!
偉そうでゴメス
138名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 10:56:12 ID:g3gkdQpr
眼福 眼福ww
139名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 13:10:13 ID:6JkW7fiP
>>135
GJ!

刺される所でおっきおっきしてしまった俺ドM
140名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 18:02:40 ID:nzZH8jSa
GJなんだぜ
141名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 19:38:45 ID:TWqjacGG
履鋤鵡!
14259,84:2007/12/08(土) 22:04:03 ID:jm13WJ2v
【愛憎一重】と【Night Food】を投下した者です

>>63,64,65,66
どもです

>>106
どもです

>>108
「えへへ」は狙って言わせてます(汗

>>109
続きは……どうなんでしょう?(汗

>>110
お姉ちゃん的には弟の生き血を飲むことに意義があって
吸血鬼化させてしまうと意味なくなってしまうのです
(真綺の血を舐めているのは、格上の吸血鬼の血はレベルアップに繋がるから)
(弟を吸血鬼化させた場合は自分より格下になってしまう……)
……なんて脳内設定を考えたりしてました(汗

>>111,113(達也さんたち)
勝手に名前を使って申し訳ないw
あー、ちなみに私は、とある直木賞作家と同姓同名です関係ないけど

>>112
でも、もしかするとお姉ちゃん
人間時代はともかく吸血鬼化したいまのドジっ子ぶりは
弟の前での演技かもしらず……

ちなみに私のストライクゾーンは
オッパイな姉とツルペタな妹(欲張り
143名無しさん@ピンキー:2007/12/09(日) 13:16:50 ID:7xxR3PYv
待て、全レスはそれぐらいにしておいたほうがいい
144名無しさん@ピンキー:2007/12/09(日) 17:10:01 ID:wt5iqs0k
痛い
145名無しさん@ピンキー:2007/12/09(日) 17:21:20 ID:ny/ZByvF
だがそこがいい
146名無しさん@ピンキー:2007/12/09(日) 18:47:38 ID:AHXCQ1G9
いやいやよかないよかない
作品はともかく
147 ◆/waMjRzWCc :2007/12/09(日) 19:17:58 ID:+xWZzNYe
続き投下します
148理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/12/09(日) 19:19:42 ID:+xWZzNYe
「あらあら…まだ起きてらしたの?」
なんだかすごく丁寧な喋り方の人が入って来た。
「あの、失礼ですがどなたですか?」
「あら、失礼。私、この病院の院長、御神弥子と申します」
うやうやしいという表現がぴったりなお辞儀をしながら自己紹介する御神さん。
「えっと、俺は織部って言います」
ついつられて深くお辞儀をしてしまう。
「えぇ、存じております。織部修さん…でしたわよね?」
「え…?」
なんで、名前まで知ってるんだろう。
「あら…私、間違えてしまいました?」
「いえ、合ってますけど…なんで名前まで知っているんですか?」
「私、この病院に来る人の名前は全て見る様にしているのです」
それってすごく大変じゃないか?
それに、全部覚えているのだろうか。
「この町は名前に意味を持たせるのが好きみたいなので、楽しいですわ」
名前に…意味?意味だって?
「あのっ!」
「きゃっ!あらあら…急にどうなさったの?」
つい興奮して体を掴んでしまった。
「あ…すいません…」
「構いませんわ。それより、どうなさったの?」
そうだ。本題を聞かなくては。
「俺の名前に、意味はあるんですか?」
149理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/12/09(日) 19:21:13 ID:+xWZzNYe
「あなたの名前ですか?ご自分でご自分の名前の意味が分からないのですか?」
なんかちょっとグサリと来た…
でもそんなことにショックを受けてる場合じゃない。
俺の名前の意味が分かれば、何か変わるかもしれない。
理緒姉や羽居姉妹との関係が。
「仕方ありませんわね。全て教えて差し上げるのは簡単ですが、それでは成長致しませんので…ヒントだけ」
この人のキャラが掴めねえ…
が、今はヒントだけでもありがたい。
父さんが、俺に何を言っていたのか分かるかもしれない。
「お願いします、教えて下さい!」
「あらあら…そこまで言われたら、教えなくては申し訳が立ちませんわね」
俺の名前に、一体どんな意味が…
「あなたは器…ただし大きさと深さはあなた次第」
「器…?」
俺が器だって?
一体どういう事だ?
全然わかんねぇ…
「うふふ…修さんは余程複雑な状況下におられる様ですわね」
この人は、何でこんなに何もかもを知っている様な口振りなんだ?
「御神さんは…何を知っているんですか?」
「私は修さんの状況など存じ上げませんが…修さんの名前がそう言っておられますので」
名前が言ってる…?
この人も、不思議な人だな…
150理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/12/09(日) 19:22:12 ID:+xWZzNYe
「ところで修さん」
「…なんですか?」
なんか急に声のトーンが変わったな…
この病院にはこんな感じの人しか居ないのか?
「修さんの話を聞いてあなたに興味を持ちましたの。折角こんな夜半に起きていらっしゃるのだから、私の話にも付き合っていただけませんか?」
「え…まぁ、構いませんけど」
どうせしばらく眠れそうにないし。
「良かった…では私の部屋に来ませんか?コーヒー位なら出して差し上げられますから」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
トコトコと歩き出す御神さんに付いていく。
着いた場所は当然院長室だった。
少し大きめのドアが開けられる。
「遠慮なくお座りになって?」
「失礼します」
「すぐにコーヒーをご用意致しますので、少々お待ちを」
そういってパチンと指を鳴らす御神さん。
すぐに俺が入って来たのとは違うドアが開いて人が入って来た。
「失礼致します。コーヒーをお持ちしました」
テーブルにコーヒーを置くとスッと頭を下げてまた戻って行ってしまった。
「…あの人は?」
「あの子は私の専属の秘書、山神聖ですわ。少し愛想が足りない子ですが、可愛い子でしょう?」
「えぇ、まぁ…そうですね」
151理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/12/09(日) 19:23:31 ID:+xWZzNYe
正直に言うと、あの山神という子からはなんとなく威圧感というかプレッシャーを感じた。
確かに見た目は文句無しに美少女だった。
何歳なのか知らないが俺と同じ、もしくは下位に見える。
と、コーヒーを口に含みながら考えていた。
「どうです?修さんの好みだったりするのですか?」
「っ!げほっげほっ…いきなり何を言うんですか!?」
危うく盛大にコーヒーを吹く所だった。
「あらあら…違うのですか?何か惚けている様に見えましたので、てっきりそうなのかと…」
「確かに可愛らしい人ですけど…違います。それに俺、なんだか嫌われたみたいだし」
「あの子は私以外の誰に対してもあの態度ですわ」
私以外と言うが御神さんに対してはどんな感じなのだろうか?
「さて、あの子の事はこれ位にして、私の話をさせていただきますわね」
「えぇ、どうぞ」
そういえばそれが目的というか、本題だったな。
「先程の名前の話の続きなのですが…」
俺は黙って首肯し、続きを待つ。
「私と修さんには共通点が存在します」
「俺と、御神さんに?何も共通点が見当たらないんですが…」
字数も違えば同じ字が入ってる訳でもないし…
一体どこに共通点が有るんだ?
152理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/12/09(日) 19:25:10 ID:+xWZzNYe
「私の名前もあなたの名前も、そのままの文字では意味を成さないのですわ」
良く意味が伝わってこない。
つまりどういう事だ?
「つまり元々は違う字を使いたい、けれどその字を使うと一般的な人名としてはおかしくなってしまうから、今の字を当てたのです」
論理的な説明に納得し、深くうなずいてしまった。
けど、一つ疑問が有る。
「なぜ俺の名前もそうであると分かるんですか?」
「先程も言いませんでしたか?あなたの名前がそう言っているのですよ」
…言ってる事はどう考えてもおかしいのだが、何故か納得してしまう。
この御神さんという人からはそんなオーラを感じてしまっていた。
「修さんの家族の名前をお聞きしてもよろしいかしら?」
唐突だな…
まぁ、悪い事が有る訳でもないし構わないか。
「姉が一人居て、理緒っていいます。後、両親はもう死んでしまっていますが、父が利織、母が四季といいます」
「…なるほど」
家族の名前を言ってから、御神さんの顔つきが険しくなった。
何か考えこんでいるみたいだ。
「先程私はあなたを器だと言いました。しかし、どうやら少し間違っていたみたいですね…」
「じゃあ、俺の名前の意味は…?」
153理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/12/09(日) 19:26:24 ID:+xWZzNYe
「器、籠、檻、網…一つに絞る事はできませんが、この様な何かを捕らえる様な、そんなイメージですね」
…ますます分からないな。
俺はどうすれば良いんだ…?
「一つ言っておきましょうか。あなたは名前に縛られて生きる必要はありませんわ」
「えっ…」
「あなたはあなたが生きたい様に生きれば良いと思いますわ」
「そう、ですか…」
父さんの言葉を気にしなくても、本当に良いんだろうか。
「あまり悩む必要は無いと思いますわ。いずれ、時間が解決してくれるでしょう」
時間が…か。
何故だろう。この人と話をしていると、理緒姉と居る様な安心と、何か得体の知れない危うさを感じる。
「あらあら、もうこんな時間。私の話に付き合っていただいて、感謝いたしますわ」
「いえ、こちらこそありがとうございました」
なんとなく…気分が楽になった。
「あっ、最後に二つ程質問に答えて下さる?」
「なんですか?」
「あの子、何歳だと思いますか?」
あの子って、山神さんの事だよな…
「俺の少し上、20歳って所ですか?」
「うふふ…残念。あの子は25歳よ」
へぇ〜…25歳か…
「25ぉっ!?俺より7歳も上なんですか!?」
見えねぇ…嘘だろ…?
154理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/12/09(日) 19:27:56 ID:+xWZzNYe
だってあの人、言っちゃ悪いけど体も、非常に失礼だが胸も小さいし、顔も童顔だし…
なんというか、どちらかと言えば冬華ちゃんよりだと思ってしまっていた。
見た目はすごくクールな大人びた小、中学生って感じなのに…
「では、次の質問に参りますわ」
次は何を聞かれるんだ?
「私の年はいくつに見えまして?」
…俺の最初の印象で行けば23位なのだが。
ただ、山神さんより下という事も考えにくい。
そう考えて良く観察してみる。
うーん…柔和な顔つき、大きめの胸、すらっとした足…どう見ても20前半…
いや、あの微笑みからにじむ色気は、20後半か?
「28歳位に見えますけど…」
言った途端にくすくすと笑われてしまった。
「あらあら…お世辞がお上手ですのね」
お世辞?お世辞なんて全く言って無いんだが…
「私、今年で34歳になりましてよ?」
ここの女性は、吸血鬼か何かですか?
今目の前に居る人が34歳だって?
そんなこと信じる人皆無、いや、絶無だろう。
「若い人にそんな風に言われたら、私照れてしまいますわ。では、話はこれでおしまいです。良い眠りを」
ひらひらと手を振る御神さん。
俺の頭は完全に混乱しきっていた。
155理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/12/09(日) 19:30:47 ID:+xWZzNYe
織部修が離れていったのを確認する。
「聖、来なさい」
「はい…弥子様」
「あなた、あの子の事をどう思って?」
「外見は普通ですが…何か不思議な気持ちがしました」
聖にそう言わせるという事は、相当の物ね。
「なかなか面白い子ね。次はあの子にしようかしら」
「弥子様のお好きな様に…」
「やっと新しい楽しみができたわね。」
あの子の名前からは全てを捕らえるか、もしくは永遠に捕らえられるかの二つしか見えない。
更に、どちらに転んでもあの子は何かとの訣別を迎える。
なら、私があの子を捕らえても何も問題は無い。
「むしろその方があの子にとっても幸せかもしれないものね。うふふっ、あははははっ!」
156 ◆/waMjRzWCc :2007/12/09(日) 19:31:59 ID:+xWZzNYe
投下終了します。
157名無しさん@ピンキー:2007/12/09(日) 20:14:25 ID:rKqKJbUv
GOOD!
158名無しさん@ピンキー:2007/12/09(日) 20:28:26 ID:CvyVfGPL
JOB!
159名無しさん@ピンキー:2007/12/09(日) 20:38:13 ID:2rrkc2VJ
GOD!
160名無しさん@ピンキー:2007/12/09(日) 21:06:32 ID:twm7qkbA
野郎、まだ進化し続けるのか?!
GJ!
161名無しさん@ピンキー:2007/12/09(日) 21:13:58 ID:U5rGgHfi
100・・2000・・90000・・バカな!?
まだ上がるだとぉ!?
162名無しさん@ピンキー:2007/12/09(日) 22:59:54 ID:hkcESfGb
なんてこった…!ニヤニヤが治まらねーぞッ!!
163名無しさん@ピンキー:2007/12/10(月) 21:34:58 ID:/njrQAOW
>>120-125
待て!!その競売まだ終わってないぞ!!(`・ω・´)っ[超高層ビル一軒@新幹線一編成@50000]
164名無しさん@ピンキー:2007/12/11(火) 03:08:25 ID:lUWaeMnH
165名無しさん@ピンキー:2007/12/11(火) 06:17:37 ID:tz7Xr0f9
!!(`・ω・´)っ[50001ユーロ]
166名無しさん@ピンキー:2007/12/11(火) 06:39:50 ID:pXF9iY5A
!!<`∀´>つ[6800万ウォン]
167名無しさん@ピンキー:2007/12/11(火) 09:36:27 ID:DlIdMROk
>>156
亀だがGJ!

そして、前スレのリレーの方々にもGJを贈りたい
168名無しさん@ピンキー:2007/12/11(火) 18:12:29 ID:Dh/rdRHB
お、前スレのリレーいつの間に完結したんだw
169名無しさん@ピンキー:2007/12/11(火) 20:05:18 ID:xNTv3Fuk
リレー小説は最後500kbギリギリで次の埋めネタまで待つのかと思ったがな
あれ読んでてソードマスターヤマトを思い出した
170名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 00:54:02 ID:MtbkMR5c
!!(´・∀・)つ[   ペソ]
好きな額を書くと良い
171名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 01:02:29 ID:vhtA7aZE
(´・∀・)つ[   ポンド]
けちけちするな、好きなだけ書きたまえ
172名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 01:24:50 ID:o6qppGPD
(; ̄_ ̄)=3
173名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 12:00:49 ID:wVOGtP42
なんだこの流れ・・・
174名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 15:08:50 ID:YPxouIiL
「ねえ、お兄ちゃん。
わたしを買って?」

突然僕に声をかけてきた少女の言葉に、僕と彼女は言葉を失った






















こんな流れ
175名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 19:18:16 ID:H5YFd3Vp
あまりにも可愛かったので次々と高値で買っていく男たち。
しかし、このとき誰もがヤンデレと言うプログラムを搭載した少女だとは気付いてはいなかった・・・・。
176名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 19:26:50 ID:SgOQ6fgo
だがここの住人は本望だと思いながら死んでいくよな?
177名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 19:29:37 ID:H5YFd3Vp
いや、SSだから萌える、けど現実にそう言うのに遭ったら嫌だって人が居るだろ。
178名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 19:50:28 ID:NiO9k/fL
>>177
俺はどうせ死ぬなら、いつか現れる美人の義姉に跨がられつつ、絞殺されて死にたいです
179名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 20:16:23 ID:2mzUtgov
このままただ死ぬよりキモ姉に殺される方がいい
昔エロイ人は言いました「無駄に生きるな熱く死ね」
180『いもうとの考え2』:2007/12/12(水) 22:26:23 ID:6SaCs92T
薄暗い静寂に包まれていた一室に騒がしいメロディーが流れる…
するとその騒がしいメロディーを奏でている物体に一本の手が伸びその音を止めた。
「ん…んー」
朝か…、むぅ…相変わらず寝起きは頭痛がするぜ…。
本当に疲れからくる頭痛かよこれ?俺って疲れやすい体質かな…。
しばらくの間そんなことを考えていると下から妹の声が聞こえてきた。
沙妃「おにいちゃ〜ん、ごは〜ん」

キッチンに行くとそこにはセーラー服の上に白と青の縦縞のエプロンを着た沙妃が料理を並べていた。
沙妃「おはよう」
「ん、おはよ」
沙妃(さぁ〜て…何から口にするのかな?……やった!やっぱり牛乳からだ。
おにいちゃ〜ん、沙妃のアレが入ってる牛乳は美味しいですかぁ?)
ふぅ、朝はやっぱり牛乳がうまいぜ…、これがないと始まった気がしない。
沙妃(あぁ…口の周りにちょっと牛乳が付いてる…もぉそんなの反則だよぉ、舐め回したくなっちゃうでしょ!)
「おっこのパンうまいな」
沙妃(おっ、そのパンに塗ってあるバターには私のアレが含まれてるんだよ〜。
うまいだなんておにいちゃんのエッチ!もっとエッチになって私を犯してね)
「あっ、そうだ。新しい歯ブラシ出しといてくれ」
沙妃「はーい」
沙妃(わ〜い!新しい宝物がまた増える。古い歯ブラシは『おにいちゃんコレクション』に加えておくね)
「なんで俺の歯ブラシってすぐダメになるんだろう?いくら何でも早いよな…」
沙妃「力を入れ過ぎなんじゃないかな?あんまり強くすると歯に悪いよ」
沙妃(まぁ私も使ってるからなんだけどね。二人分だもん、長持ちしないよ)
181『いもうとの考え2』:2007/12/12(水) 22:28:09 ID:6SaCs92T
夜部屋で音楽を聴きながら雑誌を読んでいるとノックの後、沙妃が部屋に入ってきた。
その手には教科書やらを抱えている。
沙妃「おにいちゃん、数学で解んない所があるから教えくれないかな…」
「いいけど…珍しいな、沙妃が勉強を教えてなんて」
沙妃の成績は兄の俺が惨めになるほど良いはずだ…まぁ良いところを見せるチャンスかな。
沙妃「うん、ちょっと理解できなくて」
沙妃(本当は理解してるけどおにいちゃんに勉強を教えてもらうというシチュエーションに憧れて来ちゃいました…許してね)
「どれどれ…あぁ、これか。ちょっとペンかしてみ」
沙妃(わぁお、私が使ってるペンをおにいちゃんが握ってる…
嬉しいけどあのペンが羨ましい、私も握られたい)
「確かこんな感じでやって…それで…」
沙妃「うんうん」
沙妃(クンクン、うわぁ〜おにいちゃんの匂いがこんな近くで…ちょ、マジでオナニーさせて)
「それから…」
沙妃「あぁ、なるほど」
沙妃(アァ…おにいちゃんの肩が私にあたってる…願わくばアソコにあてて下さい)
「んで最後は…」
沙妃(あれ?おにいちゃん計算間違えてる…か〜わ〜いぃ!!もう、本当にかわいいんだから…罪だぞぉ!罰として私の足を舐めなさい)
「わかった?」
沙妃「うん、解りやすかった。
また教えてね」
沙妃(さ、部屋に戻っておにいちゃんが握ったこのペンを使ってオナニーしよ)
182『いもうとの考え2』:2007/12/12(水) 22:32:17 ID:6SaCs92T
以上です。

最近投稿が少ないからこんな妄想ばっかり…
おーい、誰かとめてくれ
183名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 22:46:11 ID:mQdHMGZI
むしろこのまま突っ走ってくれ
184名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 22:49:22 ID:9L0m+zto
GJです
ここに一人『妹の考え』シリーズのファンがいるのを忘れずに妄想に励んでくれ!
185名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 22:52:11 ID:PrR0Yhfv
この少女のやきもきした日常を延々と描く小説とか読みてぇw
186名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 23:57:17 ID:x4vEA/hu
 僕が自分の部屋で本を読んでいると、ドアが開いて誰かが帰ってきた。
「ただいま、たーくん」
姉さんだ。二階から姉さんに返事をする。
「おかえりー」
「お昼買ってきたわよ。ニチナリ弁当のだけど、いいよね」
ニチナリ弁当とは近所にあるお弁当&お惣菜屋さんだ。
「うん。すぐ行くから先食べてて」

 ポリ袋をガサガサする音が聞こえる。買ってきたものを出しているのだろう。
それから「いただきます」という声が聞こえた。
 僕は読んでいた本を閉じ、階段を下り……
「ああああああっ!うそつき!うそつきいいい!」
「ひいっ、ごめんなさい!」
反射的に謝ってしまったが僕は嘘などついていない。
 あわてて台所に行くと、食卓では姉さんが長い黒髪を振り乱して叫んでいる。
ダン!ダン!ダン!
食卓を叩くのにあわせて姉さんが叫ぶ。
「うそつき!うそつき!うそつき!」
「ど、どうしたの姉さん!」
 姉さんは僕の顔を見た途端涙をこぼした。
「こ、この辛子が、この辛子がね」
姉さんが叩いていたのは食卓の上に乗せた、小さな透明のビニール入りの辛子だった。
「ど、どこからでも、開けられますって書いてあ、あ、あ、あるのに」
よく見るとずいぶん頑張って開けようとしたらしき痕跡がある。ビニールがあちこちのびているのだ。
「あかないの。あかないの。きっとお姉ちゃんを馬鹿にしているのだわ」
「ええっと……」

 姉さんが一瞬にして表情を変えた。
「た、たーくん、今謝ってたわよね。まさかたーくんなのたーくんがお姉ちゃんを笑いものにしようとたーく」
「落ち着いて、姉さん。僕は高校生であってビニール入り辛子工場勤務じゃないよ」
そんな工場があるのかは知らない。
「急に大声を出すから、びっくりして、先生に怒られたときみたいな反応をしちゃっただけだよ」
「よ、よかった。もしたーくんだったらお姉ちゃんもう生きていけないもの」
姉さんは弱弱しく笑った。

「でも……じゃあだれなの。誰がお姉ちゃんをこんな……」
「いや、誰っていうか」
「あいつだわ!日野安成!」
姉さんがニチナリ弁当の主人の名前を叫んだ。
OVA版のルタジェンマに良く似た陽気なヒゲ親父である。
小学校からのあだ名がニチナリだったそうで、そんな店名なのだ。
「あ、あいつめぇ……、いつも買ってやってる恩を忘れてこんなことを」
姉さんは絶望的に料理が出来ないのでよくニチナリ弁当で惣菜などを買うのだ。
「落ち着いて、姉さん。ニチナリさんがそんなことをするわけ無いじゃないか」
「でもこれを入れたのは!」
「ニチナリさんにどんな動機があるのさ。お得意さんに嫌がらせなんて」
 数秒黙ってうつむいてから、姉さんは勢いよく顔を上げた。
長い髪が僕の顔にムチのように当たって痛い。
そして姉さんは地球に激突する隕石を見つけた天文学者のような顔で叫んだ。
187名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 23:59:35 ID:x4vEA/hu
「たーくんに惚れてるいるのだわ!」

わなわなと震えだす。
「お、おのれぇ安成めぇ……。私からたーくんを奪うためにこんなことを」
「ひのさんは男なんだけど」
「じゃあ妻の靖子ね!」
「靖子さんだとして、その開かない辛子でどうする気だったのさ」
「私が辛子を使えずに病気になるのを待ってたーくんを誘惑する気なのだわ!」
確かに姉さんなら辛子が開かない程度のことで憤死しそうではある。
 しかし納得してはいけない。大変なことになる。
姉さんの暴走を止めないと日野家が大変なことになるし、
ありえないがもし本当だったら僕が大変だ。
OVA版のドギに良く似た奥さんに迫られる自分を想像してぞっとする。
「落ち着いて、姉さん。この辛子を作ったのはニチナリじゃないんだよ。
 偶然不良品が混ざっていたと考えるのが自然じゃないかな」
「そ、そうかしら」
「そうだよ。工場では毎日何万個も作っているんだから不良品が出ることもあるさ。
 その一つが偶然入ってしまっただけだよ」
「……」
うつむいてしまった姉さんの表情はわからない。
「納得した?」
「……で……ばうの」

「え?」
 聞き取れずに姉さんの頭に顔を近づけた瞬間、姉さんは勢いよく顔を上げた。
長い髪を束ねるクリップが僕の顔にモーニングスターのように当たって凄く痛い。
「なんでそんなにかばうのっ!?」
「はあ?」
「あ、ああ、あああんな泥棒猫をそんなにかばうなんてたーくんがたーくんが」
姉さんは子供のようにいやいやと首を横に振った。
その度に髪の往復ビンタがぼくに当たっていたたたたたた。
「もう汚されちゃったのね!?あの人造人間16号に汚されちゃったのね!?」
その例えは酷すぎないだろうか。
「こうなったらお姉ちゃんが消毒してあげるしかないのだわ。
 たーくん、ちょっと苦しいだろうけど我慢してね。
 たーくんの体も心も綺麗にするために電気を流すからね。
 お姉ちゃんも一緒に感電してあげるから少しだけ我慢してね」
「落ち着け姉さん」
「落ち着いていられるわけないでしょう。たーくんの童貞膜はお姉ちゃんがやぶ……」
「僕はまだ童貞だよ」
膜は多分ないけど。
「ほんとう?」
姉さんが視線を僕の股間と顔に往復させながら尋ねた。下品だなあ。
「本当だよ。僕は姉さんに嘘をつかない」
「じゃあこれにちょっと描いてみて」
 姉さんがメモ用紙を渡してきた。
僕はペンを取って想像上の女性器を書いてみる。
 僕はエロ本はマンガですらまともに見た事がない。姉さんに邪魔をされるからだ。
学校に持ってくる奴はいたが、姉さんに買収された教師の持ち物検査は苛烈を極めている。
まして無修正の性器など……
188名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 00:02:18 ID:x4vEA/hu
 むふーん。
姉さんが満足げな顔で鼻から長い息を吐いた。今の擬音語は鼻息です。
「ああ、いつもの通り童貞の憧れと恐れと油断に満ちた頭の悪い絵なのだわ」
悪かったな。
今回は穴の中に小さな手指がたくさんある図を描いたのだがハズレだったようだ。
姉さんはうれしそうにクルクルまわりながら絵を眺めている。
「作品ナンバー142としていつものように飾っておくのだわ」
そんな事をしているから姉さんの部屋に偶然入った猫が狂死したこともあるのだ。
僕が家に連れてきた男友達が姉さんの部屋を覗いて以来、
からす避けの大目玉を異常に怖がるようになったりもした。

 ま、馬鹿にされても偶然当たっていたよりはマシだ。
姉さんはあっさり落ち着いた。
「じゃあ、偶然ってことで納得した?」
「うん。お姉ちゃんが間違ってた。
 罪もない安成や靖子に酷いことをしてしまうところだったのね……。
 二人の分の念も込めて今から辛子工場に黒の折り紙だけで作った千羽鶴を送るわ」
決意に満ちた顔で胸の前で両拳をぐっと握る姉さん。
「落ち着いて、姉さん。そんなことをしても何の意味も無いよ。
 僕がはさみで開けてあげるからそれでいいでしょう?」
「そうね、そうね。名案ね。ご飯を食べるのが遅くなっちゃうものね」
姉さんはうきうきしながら椅子に座った。

 僕がからしを姉さんの春巻きにつけてあげると姉さんはとてもうれしそうに笑った。
僕は姉さんのこの笑顔が大好きだから、少しぐらいの無理も許せるのだ。
「お姉ちゃん、やっぱりたーくんがいないと何にも出来ないの」
「そうだね」
「ごめんね、駄目なお姉ちゃんで」
「大丈夫だよ、僕がいつも助けてあげるから」
「うふふー。たーくん大好きっ!」
「じゃ、いただきます」
「いただきます」
一口食べて姉さんが叫んだ。
「ああああああっ!ぬるい!ぬるいわ!買ったときは熱々に見えたのにぃっ!」
ぷちん。
「だれのせいだああああああああああああああっ!」
どかーん。
「お、おちついて、たーくん。そんな怖い顔されたらお姉ちゃん悲しいのだわ」


おしまい
189名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 00:10:23 ID:4n/iFgQm

えーと?


((i))



こう?
190名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 00:18:06 ID:S3GIs125
こういう人見てるだけなら楽しそうだけど、身近にはあんまりいてほしくないなw
191名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 00:29:54 ID:Sl6w/AFO
「あ、あいつめぇ……」にワロタ
192名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 00:38:47 ID:RQph+yTR
>>107
(´;ω;`)
二ヶ月前に実の姉が死んだ俺としては涙無くして読めなかったんだぜ
193名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 01:15:28 ID:PsbvPwbs
>>192
そんなことここで告白されても…その、まぁ、あれだ…困る。
194名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 01:21:20 ID:8bHVlUmB
>>192
ご冥福をお祈りいたします。いや、マジで。

オレには姉はいないが、姉のいない辛さなんて
姉を亡くした辛さに比べれば、サラミスとヤマトほどの差があるな。
つーか不謹慎だな。スマソ。
辛いだろうが耐えてくれ。
195横じま ◆KYxY/en20s :2007/12/13(木) 03:41:10 ID:VLRdzGMA
投下します
196荒野、一人で ◆KYxY/en20s :2007/12/13(木) 03:42:15 ID:VLRdzGMA
 起きたのは、六時四十分を過ぎたあたりだった。
 晴れていた。私はベッドの中で背を伸ばすと、瞬きを繰り返した。まだ、ぼけ
っとしている。
 枕元に置いた目覚まし時計は、鳴き疲れたのか止まっていた。六時半にセット
したはずだが、起きられなかったらしい。
 しばらく、私は放心した状態で見慣れた天井が眺めた。天井が見え隠れし、ど
んどん暗転する回数が増えていく。
 ベッドの中で太股をつねった。そろそろ起きなきゃならない。高校もあるし、
朝の日課もある。低血圧なので、本調子まで二十分ぐらいはいつもかかった。私
はけだるい体をベッドから引っ剥がした。時計を見る。六時五十分になっていた。
 のそのそと廊下に出た。すきだらけのパジャマに冷気が入りこんできた。足の
裏にも、フローリングの刺すような冷たさを感じた。靴下でも履いてくればよか
った、と私は思った。低血圧がたたって、思考能力がなくなっていたと言うほか
ない。寒さに中てられて、はじめて脳が動きだした、という感じだ。
 部屋へ戻った。椅子の背に掛けていた上着を羽織、タンスの五段目から靴下を
出した。靴下は、指が一つ一つ分かれているものを履いていた。普通の靴下より
暖かいのだ。猫足靴下と勝手に呼んでいる。正式名称は知らなかった。
 靴下を履くためにベッドに腰を下ろした。お尻を通して、ベッドの暖かさが伝
わってきた。抗いがたい暖かさだと思ったが、なんとか部屋を出た。いまベッド
に入ったら、十分は確実に起きられない。
 一階に降り、洗面所で歯を磨き、顔を洗った。洗顔だけは、毎日欠かしたこと
がなかった。朝と夜の二回。それだけでも、肌の張りやさわり心地が違ってくる。
 二階に戻り、私は向かいの部屋に足を踏み入れた。真仁の部屋だった。二階に
私たちの部屋はあり、父と母の部屋は一階にある。真仁とは小学校まで同じ部屋
を使っていたが、中学から別々の部屋になった。
 中学に入学したばかりの誕生日だった。四月二十六日。親は誕生日プレゼント
だと言いたげに個々の部屋を提案したが、私にとっては余計なことでしかなかっ
た。真仁が喜んでいたので、承諾したまでだ。いままでで一番いらないプレゼン
トだった。
 私はドアノブを慎重に回し、物音をたてないで侵入した。真仁の匂いがした。
まだ甘い、大人になりかけの匂い。思わず胸が熱くなる。
 いかにも真面目な、清潔感のある部屋だった。勉強机に本棚、スケッチブック
に大量の画材。ベッドは窓のちょうど真下にあった。太陽の昇りきっていない、
空色の光が真仁を照らしている。
 私はベッドにそっと近づいた。枕元には眼鏡と携帯が置いてある。私は携帯を
手に取り、アラーム機能を切った。これで週二回の朝の日課は邪魔されない。
197荒野、一人で ◆KYxY/en20s :2007/12/13(木) 03:42:48 ID:VLRdzGMA
 私はベッドの横でひざ立ちになると、真仁の顔を覗いた。かすかな寝息も聞こ
える。
 思わず頬が緩んだ。可愛い寝顔。何度見てもそう思う。双子なので目鼻立ちは
そっくりだが、それでもどこか違っていた。やさしげな風貌に、栗色でやわらか
い髪の毛。まつ毛も、女の子のように長かった。きっと母に似たのだろう。私は
父譲りの黒髪で、どちらかと言えば勝気である。真仁とは、各パーツでも微妙に
違っていた。あるいは性格の違いかもしれない。
 小学校低学年までは、兄と妹によく間違われたものだった。背も、中学までは
私の方が高かったのだ。それが高校に入って抜かされた。176センチ。今では、
私が見あげなければならない。
 私はベッドに手をつき、体を乗り出した。指で真仁の頬をつつく。軽い身じろ
ぎの後、私の方へ寝返りをうった。顔が、眼の前にきた。布団の隙間から、真仁
の体臭がした。
 不意に、情欲が私を襲った。抱きしめて、キスしたい。思ったがやめた。六時
五十六分。真仁は、七時に起きる。七時までまだ四分もあるのだ。それまでは、
この寝顔を楽しんでいたい。
 四分などあっという間だった。気が付けば十二分経っている。その間に意識も
覚醒した。
 私は真仁がもぐっている布団を剥いでいった。肩、胸、腰。布団を静かに置く
と、真仁の顔に自分の顔を近付けた。
 薄く開けられた唇に、吸い寄せられていく。息がかかる距離で、私は顔を逸ら
した。いくら好きだからとはいえ、真仁の気持ちを無視したくはなかった。いつ
か思いを告げられる時まで、とっておく。頬にキスし、そのまま抱きついた。
「姉さん」
 真仁の首筋に顔を埋めたところで、真仁は起きた。
「おはよ、シン」
「おはよう。とりあえず、どいてくれないか」
「やぁだ」
 体が浮いた。私を首にぶら下げたまま、真仁は体を起していた。
「いま何時かな、姉さん」
 眼鏡をかけながら真仁は言った。
「七時十分ですよ」
「また、寝てしまったか」
 真仁は目をつむると、額を指で押さえた。それから上を向き、ゆっくりと首を
伸ばしている。血筋なのか、真仁も低血圧だった。そして、それは私のものより
酷い。ほとんど病気にでも掛かったような症状だった。言葉だけははっきりと言
うが、四十分は夢遊病のように、眼を閉じてふらふらしているのだ。表情や挙動
も、生理中の女のように物憂そうにしている。
198荒野、一人で ◆KYxY/en20s :2007/12/13(木) 03:43:33 ID:VLRdzGMA
 本人はちゃんと起きているつもりのようだが、私から見たら心配で仕方がなか
った。通学中、少なくとも駅に着くまではそんな調子が続くのだ。事故に遭うの
ではないかと、気が気でならない。
「ごめんな、姉さん。寝過ごしてしまった」
「じゃあもうちょっとこのまま」
「そんなこと言ってると、三十五分に間に合わなくなるぞ」
「いいよ別に、一本ぐらい遅れても」
「姉さん」
「仕方ないなぁ」
 語気が強まったところで、私は真仁を解放した。
「じゃあお姉ちゃん着替えてくるから、シンも着替えなきゃ駄目だよ」
「わかってるよ」
 聞くと、私は真仁に背を見せた。
「あ、姉さん」
「ん、なに」
 振り向くと、真仁がベッドから立ち上がるところだった。いつもは奥二重の目
蓋が、眠気で二重になっていた。
「ありがとう」
 真仁の部屋から出ると、私は自室に入った。
 軽い罪悪感が胸の中にあった。今更な感情だとはわかっている。わかっていて
も、止められはしないのだ。寝坊させた真仁に朝からべたべたし、ありがとう、
と礼を言われる。日課と呼べるほどに回を重ねた後では、止めるきっかけさえな
くなっていた。あと一回だけ、と思っていた頃よりも、時間自体も長くなってい
る。
 私は上着を椅子の背に掛けなおし、パジャマと靴下をベッドの上に脱ぎ捨てた。
 下着だけになった体を、スタンドミラーに晒す。無駄のない体だった。贅肉な
どは一切つけていない。むしろ鍛えてある引き締まった体だった。お腹も、一ヶ
月本気になって鍛えれば、すぐ割れるぐらいにはしてある。
 しかし、そこまで鍛える予定はなかった。お腹が割れている女など、真仁は嫌
がるだろう。姉としては受け入れてくれるだろうが、女として見られないのであ
ればまるで意味のない、贅肉と同じようなものだった。
 それに体を絞りすぎている、と思うこともあった。贅肉がないのはいいが、私
は胸もなかった。寄せてあげて、やっとBカップになる程度だ。だから真仁は、
私が抱きついても何の反応も示さないのか、と悩みもしたが、気にしないことに
した。
199荒野、一人で ◆KYxY/en20s :2007/12/13(木) 03:44:19 ID:VLRdzGMA
 母は私より胸がないのだ。そう考えれば、この血筋で私はよく育った方だと、
安堵するしかない。
 制服を着ると、私は一階へ降りた。真仁はまだ降りてきていなかった。キッチ
ンでは、母が朝食を作っていた。おいしそうなにおいが漂っている。
「あら、おはよう真央」
「おはよ」
 席に着いた。食卓には、すでに何品かの朝食が並んでいた。トーストに、ハム
エッグとサラダ。鍋で暖めているのはコーンスープだろう。家族四人、朝食はあ
まり摂らない。父以外低血圧で、朝方には食欲が湧かないのだ。それに父は今、
日本にはいない。
 真仁は一分も経たないうちに降りてきて、洗面所へ行った。気付いた母がコー
ンスープを食卓に並べ、タイミングよく三人が席につく。
「母さん、おはよ」
「おはよう真仁」
 いただきます、と三人の声が重なった。朝食時には、三人ともほとんど口を利
かない。別に仲が悪いわけではなく、単に口を開くのも億劫なだけだった。向か
いに座っている母も、眠そうな眼を半開きにして朝食を食べている。真仁と同じ
ような症状だった。ただそんな状態で朝食を作っても、料理の味が変わったこと
はない。不思議なものだった。
 部屋にまた戻った。首に赤いマフラーを巻き、学生鞄を持つ。結局、真仁と家
を出たのは七時二十二分だった。駅まで十分。いつも乗る電車は三十五分発だ。
 私は真仁の表情を盗み見ると、こっそりと手を繋いだ。恋人繋ぎに決め、指を
絡めるようにした。朝ならば、寒かろうが暑かろうが手を繋げた。真仁の低血圧
は年中無休なのだった。
 しばらく、真仁の手を引くようにして歩いた。公園、私塾、最近改装したスー
パー。住宅街を抜け、駅までの一本道に出た。真仁は、まだ本調子には戻ってい
ない。
 何処といって特徴のない、地方都市だった。自宅から駅とは反対方向に十五分
行くと、埠頭と埠頭倉庫がある。さらに西に行くとマリーナがあり、船やヨット
が停泊されていた。ただ海の街ではない。埋め立てで造られた街で、海岸や浜辺
などはなく、澱んだ海水と浮き沈みするゴミがあるだけだった。
 電車には充分間に合った。空いていた席に真仁と腰掛ける。この時間はまだ人
が少なく、次の一本から混みはじめる。噂では、痴漢も出ると言っていた。真仁
もそれを知ったのか、それからは私のために二本前の三十五分の電車に乗るよう
にしてくれた。
200荒野、一人で ◆KYxY/en20s :2007/12/13(木) 03:45:18 ID:VLRdzGMA
 三つ目の駅で、真仁に繋いでいた手を解かれた。もう、眼が覚めてしまったの
だろう。真仁は困ったような表情で顔を赤らめていた。眼が合う。私はニマっと
笑いかけた。ため息を吐き、真仁が顔を逸らす。
「勘弁してくれ、姉さん」
「やだよ、だってシンの手暖かいもん」
 もう一度、真仁はため息を吐いた。中指で、眼鏡の位置も直している。
 六つ目の駅で降りた。高校周辺は、戦後に造られた街だった。自宅近辺と違い、
建造物もデザインマンションやデパートがあって、比較にならないほど人通りが
多かった。もうすぐ年末ということも、あるのかもしれない。
 私はようやく本調子になった真仁と、話しながら通学路を歩いた。他の生徒は、
まばらにしかいない。
「そいえばシン、冬物って買った?」
「いや、まだ。もう買わないでもいいかな、とも思ってるんだけどね。セーター
も、喰われてるのはなかったし」
「でも、背伸びてないの? 一年のときみたいに」
 伸びてはいない。私は知っていたが、一応訊いた。
「たぶん伸びてないと思う。それに、伸びるの見越して若干大きめの買っといた
から。そういう姉さんは?」
「私はコートの一着でも買おうと思ってるんだけどね。今年は黒が流行るらしい
し」
「そうか」
「ねぇ、シン」
「なに」
「コート買うときね、一緒に選んでくれないかな」
 思い切って、私は言った。真仁が、一瞬私から目線を外した。
「なんで、俺」
「なんでって、そりゃあ男の人の感想も欲しいし。感想訊くならシンかな、って」
「行くのはいいけど。姉さんは、彼氏とか作らないの? たぶん、俺よりも彼し
か何か作って行った方がいいと思うよ。この間も、告白されたって言ってたじゃ
ないか」
「いいの。私にはシンがいるもん」
 真仁の顔は、困っているのか照れてるのか、よくわからない表情をしていた。
 コートを買う予定など、実のところない。口実として言っただけだった。コー
トを探す振りをして、真仁とぶらぶらする。一緒にいれるなら、言葉など要らな
かった。毎年やっていることだ。そして毎年、似合ってる、と真仁に言われた服
を買ってしまうのだろう。
201荒野、一人で ◆KYxY/en20s :2007/12/13(木) 03:46:03 ID:VLRdzGMA
 高校近くでも、生徒の姿はまばらだった。微妙な時間帯だからだろう、と私は
思った。運動部にしては遅い時間で、一般の生徒なら早すぎる時間だ。
「甘利ぃ」
 いきなり、真仁が男に捕まった。肩を組まれるようにされている。知っている
顔だった。クラスでは真仁と行動を一緒にしている、うらやましい男。名前まで
は、思い出せなかった。
「CD、持って来てくれたか?」
「持ってきた。持ってきたから離せ、梶井」
「おぉ、流石」
 梶井が真仁を離した。
「じゃあ教室でよろしく。あとそれからおはよう」
 言うと、梶井は私に眼を向けてきた。眼を見ても、やはり苗字しかわからない。
「お姉さんも、おはようございます」
「えぇ、おはよう」
 梶井が駈け出していった。校門までは、もう眼と鼻の先の距離になっている。
何であの男に時間を潰されなきゃいけないのか、とイラついたが、真仁の手前そ
れを表情に出すことは避けた。
 よくわからないが、同い年なのに、真仁の知り合いは私に敬語を使うことが多
い。
 下駄箱で靴を履き替え、校舎に入った。
「じゃあ姉さん、また放課後」
「うん。またねシン」
 201教室前で真仁とわかれた。201教室にはおとなしめの女生徒がいるだ
けで、他に誰もいなかった。
 真仁の教室は202教室だった。二年は全体で十二クラスあり、文系と理系ク
ラスにわかれている。文系十クラスに理系二クラス。一クラスに三十五人前後だ
った。真仁も私も理系だが、姉弟だからクラスは違っていた。
 一時間目がはじまるまで、私は教科書に目を通した。予習は毎日欠かさずにし
ている。理系クラスを選んだが、本当は文系科目のほうが得意だった。真仁がい
たから理系クラスにしたのだ。
 それにわからないところがあれば、真仁に訊けば必ず理解できた。真仁は、理
系科目では常に三番手以内の成績を修めている。全科目合計では私の方が上だが、
理系科目だけで言えば真仁の方が一枚上手だった。
 八時三十五分に担任が姿を現した。学年主任の、融通の利かない婆さんだった。
数学を担当している。ホームルームになると朝鮮放送のように語気の強い口調で、
高らかと連絡事項を読みあげはじめた。
202荒野、一人で ◆KYxY/en20s :2007/12/13(木) 03:47:26 ID:VLRdzGMA
 授業に関して、言うほど不満はなかった。あるとすれば、真仁と一緒のクラス
ではないことだけだった。それよりも、世間に対する不満の方がはるかに多い。
法が変わらなければ、消えることのない不満。生れた時から、植えつけられた不
満でもある。
 真仁のいない授業は、とんでもなく退屈なものだった。
 昼食は学食でクラスメートと食べた。中学までは真仁と一緒していたが、高校
に入ってからは別々になることが多くなっていた。真仁にも友達付き合いはある。
それは出来るだけ尊重するようにした。我慢できない寂しさではないのだ。
 六時間目が終わると、私は荷物をすぐ整え、隣の教室へ行った。
 202教室は、担任が連絡事項を伝えている最中だった。号令が掛かり、生徒
の呟きが聞こえだした。真仁がこちらに気付き、教室から出てくる。
「姉さんのクラス、やっぱり終わるのが早いな」
 真仁が言う間、私は眼の端で視線を捉えていた。202教室内の、最前列の女
生徒だ。ショートボブの髪に、気の弱そうな顔立ち。真仁の体越しに眼が合うと、
女生徒が先に眼を逸らした。
 私を見ていたから視線が合ったわけじゃない。間違いなく、女生徒は真仁を見
ていた。
「姉さん、帰らないのか」
「あっ、うん。行こっか」
 言って、私は真仁に腕を絡ませようとしたが、巧妙に避けられた。真仁が先立
って歩く。
 見られている感じが、結局、自宅まで続いた。あの女生徒が尾行してきたわけ
では、もちろんない。問題はあの女生徒が、女の眼で真仁を見ていたということ
だ。
 私は自室に入り、制服を脱ぎ捨てた。見られている感じはないが、心の奥底に、
苦々しさが残っていた。



203横じま ◆KYxY/en20s :2007/12/13(木) 03:48:37 ID:VLRdzGMA
投下終了

書きはじめた今だから言える
「里緒の檻」書いてる人の投下の速さは異常
あ、あやかりてぇ速さだ……
204名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 06:39:21 ID:pCgqeeXt
>>203
GJ!!!!
いいねぇ〜!こういう姉さんどっかに売ってねぇかなぁ…。
205名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 21:27:16 ID:dMPPCG3D
GJ!!
本当に素晴らしい姉だなぁ…
ボブはどんな目にあうのか気になるぜ
206名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 13:13:45 ID:0sb9rLxw
>>204
( ・∀・)⊃[キモ姉]〜10000

嫉妬ぶかく、人見知りが激しい子です。素人にはお勧め出来ません。
207名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 15:36:16 ID:kPEv3wkb
>>204 
GJ!!
職人さん降臨を祝い乾杯
208名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 18:04:59 ID:Yc+KtT15
>>207
204ではない203だと言ってみる
まぁ>>206につられて(釣・吊ではない)しまったんだろうけど
209 ◆/waMjRzWCc :2007/12/14(金) 23:17:45 ID:0W3B1hOm
名前を出して貰った事ですし、続き投下します。
210理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/12/14(金) 23:18:22 ID:0W3B1hOm
…俺の病室ってどこだっけ?
俺は薄暗い病院の廊下に方向感覚を失い、迷ってしまっていた。
「誰か居ないかな…」
ぼそりと呟いた言葉もやけに反響して聞こえる。
こういう時は人間悪い事を想像するもので、先程の夢を思い出してしまった。
…なんで冬華ちゃんが俺を殺すんだ?
夢の中の冬華ちゃんは、自分の物にしたいからみたいな事を言っていた。
現実の冬華ちゃんは、そこまで俺の事を好きなんだろうか。
あの子はまだ小さいから、ちゃんと理解しきれていないんじゃないだろうか。
男女のああいう行為がどういう意味を持つかを。
きっと今の俺に対する感情なんて一時の気の迷いみたいな物なんじゃないだろうか。
「あれ?織部さん?」
「うわぁっ!」
びっくりしたぁ…考え込んでいたから足音も何も聞こえなかった…
「神代さん、ちょうど良かっ…た…?」
神代さんは下を向いて少しふるえている様に見えた。
「織部さん…あなた何やってるんですか!」
すごく怒ってるみたいだ…
「え、えっと…道に迷ってしまいまして…」
「こんな時間に勝手に病室を抜け出さないで下さい!」
喋り方がいつもと完全に違ってる…
「すいませんでした…」
211理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/12/14(金) 23:19:39 ID:0W3B1hOm
「全く…ぐすっ、傷口が、ひっく、開いちゃったら、うっ…どうするつもりですかぁっ…!」
うわぁ…泣かせちゃったよ俺…
と、とりあえず謝っておかないと。
「えっと、心配かけて申し訳ありませんでした」
誠意を込めて頭を下げる。
「ぐすっ…もう良いですから、病室に戻りましょう」
「お願いします」
神代さんの後をついて行く。
少し見覚えの有る廊下を通って、病室についた。
「あの…急に怒ってしまって、すいませんでした…」
「あ、いや、悪いのは俺ですから謝らないで下さい」
「びっくりさせてしまいましたよね…ぼく、感情がたかぶるといつもこうなんです。自分でも抑えられなくて…」
しょんぼりと肩を落とす神代さん。
「ぼく、向いてないのかなぁ…」
「そんなことありませんよ」
「えっ…?」
「こんなに人を心配してくれる人が、看護婦に向いてないなんて誰も思いませんよ」
神代さんは本当に看護婦に向いていると思う。
普段少しのんびりした所も有るけど、それを補って余りある優しさが有ると思う。
「…ありがとう、ございます」
自分の言った事が少し恥ずかしくて、自分のベッドに横になる。
212理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/12/14(金) 23:20:34 ID:0W3B1hOm
「…」
無言の時間。
「……」
なんでずっと見られてるんだろう?
「………あの」
「…なんですかぁ?」
「部屋、出ないんですか?」
「また抜け出されると困りますからぁ…」
そういう事か…
だが、そこまでじっと見られてるとなんだか恥ずかしいんだが…
ここはちょっと、いや、かなり恥ずかしいが嘘をついてでも出ていって貰おう。
「神代さん」
「出ませんよぉ?」
「いえ、いわゆる男の生理現象が起きています」
「と、言いますと?」
そこは読み取って欲しかった…
「その…つまり、抜かないと収まらない感じなので、出て行って貰えますか?」
ちなみに「抜かないと〜」からは顔から火が出る程恥ずかしくて聞こえるか聞こえないか位の小声だった。
「そういう、事ですか…」
すっと立ち上がる神代さん。
良かった…これで出て行ってくれるだろう。
多分嫌われたろうけど。
目をつむって顔を見ない様にしておく。
「織部さん…その、ぼくで良ければ…お手伝いします…」
…あれ?全然考えてた展開と違うぞ?
「えっと…初めてなのでつたないと思いますけど…」
いやいやいやいやっ!違う違う違うって!
とか言ってる間に布団めくられてるし!
213理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/12/14(金) 23:21:19 ID:0W3B1hOm
「あのっ、ちょっ、神代さん!」
「…」
無視して俺のズボンに手をかける神代さん。
混乱している為か俺の物は立ってはいない。
が、パンツの上から神代さんが俺の物を撫で始める。
「神代さん、止めて下さいって!」
一瞬ビクリと体を止める神代さん。
しかし彼女は、
「ぼくじゃ…」
潤んだ目で、
「ぼくじゃ、興奮してくれませんか?」
顔を赤く染めてこう返してきた。
その間も刺激は続いており、俺の物はムクムクと鎌首をもたげ始める。
「良かった…ぼくでも興奮してくれました…」
「いや…えっと…」
体は正直であり、理性は有っても反応してしまう。
「はぁ…男の人のってこんなに大きくなるんですねぇ…」
なんかしげしげと眺められてる…
やっぱり見られるのは恥ずかしい。
多分今俺の顔は耳まで真っ赤になっているだろう。
「えっとぉ…こんな感じで上下に動かせば良いんですか?」
「くっ…あっ…」
柔らかく温かい手に擦られて、俺の物の先から先走りが出始めている。
「ねばねばしてきました…これが、精液ですか?」
「ちが、う…」
「これじゃないんだ…まだ、出ないんですか?」
くちゅくちゅという水音が手が動く度響く。
214理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/12/14(金) 23:22:14 ID:0W3B1hOm
眼前には顔を仄かに上気させた神代さん。
耳にはいやらしく響きわたる音。
体には単調だが長く続く淡い刺激。
それら全てが、俺の脳に快感として受け止められる。
もう俺の我慢は限界に達しようとしていた。
「ぐっ…」
だが、それでも軽く歯を食いしばって耐える。
つもりだった。
「あの…我慢しないで良いですから…ぼくの体でいくらでも気持ち良くなって下さい」
その言葉で、俺は―
「イ…くっ…!」
ビュルッ!
「きゃっ…すご…い」
ビュクビュクと放たれる白濁液が神代さんの手を、服を汚していく。
「く…はぁ…はぁ…」
「すごい…べとべと…」
頭が、熱い…
熱いがはっきりとしている頭とは対象的に、体はだるい。
イったばかりの倦怠感と、やはりまだ血が足りていない事が影響している。
「また、何か有ったら言って下さい。ぼくにできる事ならなんでもしますから…」
そういって出て行く神代さん。
それを見届けて、目を閉じる。
顔を枕につけると、ひんやりとした冷たさが気持ち良い。
深い眠りに落ちる前に、体が水底へと沈んでいく様な奇妙な感覚。
落ちていた体は、檻に囚われる。
抜け出せない。
でも、不思議と嫌ではない。
215理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/12/14(金) 23:23:04 ID:0W3B1hOm
とても温かい、全てを包む様な温もり。
これは…本当に檻なのだろうか。
鉄でできた格子、冷たく鈍い輝き…
一般にイメージされる檻のそれらは全く感じられない。
ずっとここに居たくなる様な、そんな場所。
しかし…あまりにも整っていすぎて、不安になる。
わずかな、本当にわずかな不安。
それを遥かに上回る安心がここには有る。
にも関わらず、この不安は消えない。
いつかこの檻が守ってくれなくなってしまうんじゃないか。
いつかこの檻が消えてしまうんじゃないか。
いつか…いつか俺はこの手でこの檻を壊してしまうんじゃないか。
夢とも現実とも思えない狭間の幻想の中で、俺は思い出す。
一番身近な、あの人を。
儚く、脆く、美しい。
強く、弱い、守られ、守るべき存在。
俺の姉…理緒姉を俺はその檻に見ていた…
216名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 23:24:46 ID:rHDrdcqY
ワッフル買い占め!
217 ◆/waMjRzWCc :2007/12/14(金) 23:25:21 ID:0W3B1hOm
投下終了します。
>>206
(`・ω・´)つ[50000]
いただこうか。
218名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 01:08:54 ID:JTMg1bS5
馴れ合いうぜえ
219名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 01:37:08 ID:i2296zzb
その罵り方はむしろ心地いい
220おゆき ◆5SPf/rHbiE :2007/12/15(土) 03:12:00 ID:sBfH/07w
エロ無し投下します。
ソフトキモ姉、三回くらいで終わる予定です。
221小さな守護者 ◆5SPf/rHbiE :2007/12/15(土) 03:12:43 ID:sBfH/07w
夏の日の夕暮れ、少年が泣きながら道を歩いていた。
少年の服は泥に汚れ、体のあちこちに擦り傷があった。
「う……ひぅっ……」
しゃくりあげながら目から零れる涙をこすり、手についた泥が頬にべっとりと広がる。
少年は足に靴を履いていなかった。
もうずっと裸足で歩いてきたため、少年の足の裏の皮は破れ、一歩歩くごとに血が滲んでいた。
「ぅう……痛いよぉ……」
家までの道のりはまだ遠く、この痛みに耐えてずっと歩いていかなければならないのかと思うと、絶望的な気持ちになってしまう。
ついに少年は道の端に座り込み、うずくまって泣き出してしまった。
「う……うぇぇ……なんで……なんで僕ばかり……」
道沿いには建物は無く、人の姿も無い。
青い稲の揺れる田んぼが広がり、所々に農家の作業小屋が建っているのが見えるだけだった。
カラスの鳴き声が聞こえる。
日は傾き、東の空はもう夜の色に染まっていた。
「宗治! 宗治〜!!」
道の先からの声に、少年は顔を上げた。
微かに残った夕日の光に照らされた道を、長髪の少女が駆けて来ていた。
「お姉ちゃん……」
少女を見て、少年は声を出した。
「お姉ちゃんっ!」
血の滲む足で立ち上がろうとするが、刺すような痛みに思わずよろめいてしまった。
少女は少年の声を聞いたとたんに走る速度をぐんと上げ、少年が倒れる前に抱きとめた。
「宗治! 大丈夫!?」
「お……お姉ちゃん……おねえ……うぇえ……」
「よしよし、泣かないの。お姉ちゃんが来たからね。もう大丈夫だから」
少女は少年の頭を撫でて、優しい声で言った。
「宗治、靴はどうしたの?」
「ケンジ君たちにとられて……隠されちゃった」
弟の言葉に、少女はきりきりと目を吊り上げた。
「あいつら……性懲りもなく人の弟をいじめくさって……!」
少女の片手には、その愛らしい外見とは不似合いな、やや長めの竹刀が握られていた。
「それで宗治、ケンジの糞ガキどもはどこに居るの?」
「え……たぶん、まだ神社の方に居ると思うけど……」
少女は自分の靴を脱いで、弟に履かせた。
「はい、これ履いて先に家に帰ってなさい」
「え……でも、お姉ちゃんは……?」
「私はこれから糞ガキどもと話をつけてこなきゃいけないからね」
「え、いや、お姉ちゃんは靴はどうするの……?」
ああ、と少女は微笑んだ。
「お姉ちゃんが剣道強いの知ってるでしょ? 足の裏も丈夫だから平気よ」
「で、でも……」
「大丈夫大丈夫。それじゃ、お母さん心配してるから、ちゃんと家に帰るのよ!」
言って、少女は竹刀を振り上げて妙な雄叫びを上げながら、スカートをはためかせて裸足のまま駆けて行ってしまった。
「お姉ちゃん……」
遠ざかる後姿を憧憬の眼差しで見つめ、少年は呟いた。
もう何年も前の、夏の日の出来事だった。
222小さな守護者 ◆5SPf/rHbiE :2007/12/15(土) 03:14:29 ID:sBfH/07w
二学期の期末テストが終わると学校は半日の授業日程となり、生徒達は昼過ぎには帰っていく。
テストを終えての解放感と、あと数日で冬休みに入るという期待感が、校門を出る生徒達には自然笑顔にさせていた。
しかしこの時期、部活をやっている者たちは、むしろ練習時間が長くなって平時より辛かったりもする。
橘宗治も例外ではなく、その日も部活を終えて剣道場から出る頃には日はとっぷりと暮れていた。
「今日も疲れたね」
剣道場を出るところで、同級生の町田香織が背中を叩いてきた。
「ああ。部長、やる気出し過ぎだよな。何でまたテストが終わったとたんあんなに元気なんだ」
「ほら、テスト期間中は部活禁止だから……溜まってたんじゃないの? あの人根っからの剣道好きだし」
「まあなあ……確かに久しぶりに竹刀を握ることが出来て、ちょっと気持ちよかったけどさ」
街灯が夕闇の中で灯り、校門に至る道を転々と照らしている。
既に人のまばらな校内を、二人は会話を交わしながら歩いた。
「橘君はすごいねえ。私は久しぶりだと、あの板の間の冷たさで足がじんじんしちゃって……楽しむどころじゃなかったよ」
「ん……そうだな。俺の足の裏も頑丈になったもんだな」
「なんかやけに嬉しそうだね。変なの」
いかにもおかしそうに、香織は笑った。
「変かな?」
「うん。だって、足の裏が頑丈になっても、何があるわけでもないじゃない」
「いや、そうでもないよ。例えば……」
「例えば?」
「靴を失くしても生きていける」
「何よそれ?」
また香織が笑う。
宗治もつられて笑ってしまった。
宗治にとって香織は同性を含めた中でも特に親しい友人で、こうして何でもないことでも笑いあえる仲だった。
くだらない冗談を言い合っていると、気付いたら校門にたどり着いていた。
「あれ? 何か校門のところ、人が集まってるね」
香織が声を上げる。
校門の石壁の脇に、何人かの生徒が集まっていた。
先に剣道場を出た剣道部の仲間達で、彼らは宗治がやって来たのに気がつくと、手を振って呼びかけた。
「おい、橘、なんかお前を訪ねて来てる子がいるぞ」
「え? 俺を?」
行ってみるとそこには、長い黒髪に少し吊り目がちの少女が立っていた。
少女は背の丈は宗治の胸のあたりまでしかなく、一見すると小学生のように見えた。
美人、というよりは可愛い。成長すれば美人になるだろうという容姿であった。
「あ! 宗治! やっときたわね!」
少女は周りを囲む男子生徒の間から宗治の姿を見ようと、ぴょんぴょんと飛び跳ねた。
「宗治! ちょっと、早く来なさい! 何か変なのに囲まれちゃって困ってるんだから」
少女の言葉に、周りに居た男子生徒たちが「ええ?」と声を上げた。
「ちょ、ちょっと、お嬢ちゃん、そりゃひどいよ。もう暗くなってるのに子供一人で居たら危ないと思ったから俺達は……」
「だから! お嬢ちゃんっていうのはやめなさいよ! 私はあんたたちより年上なんだからっ!」
「あー、わかった。わかったから。ほれ、橘、早いとこ妹さん引き取ってくれ」
呆れたように言って、男子生徒は少女の前からどいて、宗治の方へと道をあけた。
少女は安心したように息をついたが、宗治の隣に立つ香織に気付くとすぐにむっとした表情となり、宗治に走り寄って香織との間に身を割り込ませた。
そしてまるで宗治を守ろうとするかのように両手を広げ、厳しい目つきで香織を睨みつけた。
223小さな守護者 ◆5SPf/rHbiE :2007/12/15(土) 03:15:10 ID:sBfH/07w
「あら……」
香織は自分を睨んでくる、胸元くらいまでの背丈の少女を見て、小さく微笑んだ。
「かわいい〜。橘君、妹さんいたんだ」
「い、いや、妹じゃなくて……」
宗治は慌てた様子で少女を見た。
「姉です……」
少女は小さく震えながら呟いた。
「姉です! 私は宗治の姉ですっ!!」
香織も、他の剣道部の仲間達も、皆一様に口をぽかんとあけて唖然としてしまった。
「え、ええと、橘?」
男子生徒の一人が宗治を見た。
「うん。俺の姉さんだよ」
少女の名は橘霧絵。
幼くは見えるが、紛れもなく橘宗治の姉だった。
「や、待て、でもその制服、栄応女子付属の小学校の制服……」
「付属小学じゃなくて高校の制服よ! デザインが似てるだけなの!」
「いや、でも……そうやって目に涙を溜めて言い返すあたり、子供にしか……」
やはり信じ難いといった風に呟く部活仲間を、宗治は慌てて止めようとする。
「お、おい、それ以上はやめとけ。姉さんは……」
が、もう遅かった。
霧絵は手近にあった植木の枝を折ると、目にも留まらぬ速さで男子生徒の鼻の穴に突っ込んだ。
「うごっ!」
男子生徒が声を上げた時には既に枝は引き抜かれ、次の生徒を標的にしていた。
さすがに剣道部員というだけあって今度の生徒は素早く反応してかわそうとしたが、その動きよりもさらに速く霧絵の手は伸び、先ほど彼女を囲んでいた男子生徒四人は瞬く間に鼻の穴に木の枝を突っ込まれてしまった。
「いた、いたたっ!」
「うお、きたねぇ!」
「は、鼻血が……」
各々声を上げ、鼻を押さえて地面にうずくまる。
霧絵はどうだとばかりにふんぞり返って、その様子を見下ろした。
「どう! 私を侮辱した罰よ! あんたたち全員、男同士で鼻間接キスしちゃったんだから! 粘膜べっとりよ! ざまあみなさいっ!」
「あちゃー」と宗治は頭を振った。
「……姉さんは、剣道三段なんだよ。というか段位とか抜きにして、めちゃめちゃ強いんだ」
「そ、そういえば、前に剣道雑誌で似た顔を見たような気がするわ……」
言葉を詰まらせる香織の方を、ぎぎぎ、とぎこちない首の動きで霧絵が向いた。
長い髪が風に不気味に揺れる。
ちょっと怖いかも、と香織は思った。
「あんた、言っておくけどね……」
「え、え、はい。何でしょう」
霧絵は拳をぎゅっと握って叫んだ。
「宗治は私の弟なんだからね! もしも変なことしたら許さないんだから! 宗治に手を出したら、姉の私があんたのことめっためったにしてやるからね!!」
「か……!」
香織は顔を紅潮させて、これまた瞬くような速さで霧絵に抱きついた。
「かわいいっ! 橘君のお姉さん、すごくかわいい〜!」
「ちょ、なっ! 何なのあんたはっ! というか胸でかっ!! なんだってのよこんちくしょー!!」
「お、おい、町田……」
宗治は暴れる霧絵を香織から引き剥がすと、ひょいとその小さな体を担ぎ上げた。
さすがに香織の鼻の穴に木の枝を突っ込ませるのは忍びないと思ったからだった。
「ま、まあそんなわけで、今日は俺姉さんと帰るから。それじゃ」
「宗治! あんた! なに人のこと担いでるのよ! 姉を米俵か何かみたいに扱うんじゃありません!!」
「はいはい。それで姉さん、今日は何しに来たの?」
「え? 今日はお母さんが居ないから一緒にお夕食の買い物に行こうと……」
「よし! 今行こう、すぐ行こう」
長居は無用とばかりに宗治は霧絵を肩に担いで走り出した。
「ちょっと! 降ろしなさい! 何なのこの扱いはっ! もっと姉を敬ぇえぇええええっ!!」
もがき、叫ぶ霧絵を抱えたままで、宗治はその場を去った。
「な、何だったんだ……?」
後には鼻血を流す男子生徒四人と、それを介抱する女子生徒が残された。
橘霧絵、十七歳。
あの夏の日から六年、彼女の外見は全く成長していなかった。
224小さな守護者 ◆5SPf/rHbiE :2007/12/15(土) 03:15:52 ID:sBfH/07w
学校の帰りに買ってきた食材を居間に放り出すと、霧絵はそのままソファーに突っ伏して泣き出してしまった。
「あ、あの、姉さん? どうしたの?」
「どうしたもこうしたも無いわよっ!」
顔を上げて、キッと宗治を睨みつける。
頬は紅潮し、目尻には涙を溜めていた。
「宗治、あんた……お姉ちゃんのこと、お友達に話していなかったんでしょう!?」
「え、や、まあ……」
「どうしてよ!? どうしてお姉ちゃんのことを話してくれないの!?」
「どうしてって、機会が無い限りわざわざ話すことでもないし……」
「わざわざ話すことでしょう! 私なんて、学校で友達に毎日毎日宗治のことを話しているわよ!?」
霧絵は小さな拳を握って力説した。
「大好きなきょうだいのことなら、話したくて仕方なくなるのが普通でしょう!」
「い、いや、どうだろう」
「おまけにさっきの態度は何? お姉ちゃんをお友達から引き離すみたいに担いで逃げて……そんなにお姉ちゃんをお友達に紹介するのが嫌なの?」
「嫌とかじゃなくて、姉さんあの時暴れだしそうだったし……」
「ううん……やっぱり嫌なんだわ。お姉ちゃんがこんなだから、恥ずかしいと思ってるんでしょう……?」
霧絵の目にまたじんわりと涙が浮かび、ぽろぽろとこぼれた。
「お姉ちゃんがちっちゃいから……おっぱいも無いから……だから人に紹介するのが恥ずかしいんでしょう……」
確かに宗治は、人前で霧絵と接するのが恥ずかしくはあった。
しかしその恥ずかしさは、霧絵の外見よりも、その性格によるところが大きかった。
「いや、おっぱいとかは関係無しに、姉さんは……過保護だから」
「過保護……?」
「うん。姉さん、何かあるとすぐ見境無しに攻撃するんだもん。その辺がちょっと……人前に出しにくいというか……」
霧絵は俯いてぶるぶると震えた。
「過保護の何か悪いのよ……」
「ね、姉さん?」
「お姉ちゃんが弟を護るのは当たり前じゃないのよっ! 何も悪いことじゃないでしょー! 何でそれを嫌がるのよ、こんちくしょーっ!!」
霧絵はまたソファーに突っ伏して、それこそ子供のように泣き出してしまった。
「姉さん、ちょっと、落ち着いて……」
「落ち着いてられますか! 護って欲しくないってことは……もう……もう、お姉ちゃんなんかいらないってことでなんでしょ……? もう一緒に居られないってことなんでしょ……?」
「な、なんでそうなるんすか」
「だって……お姉ちゃんおっぱいもないし、女の子らしくないし……剣道しか取り柄が無いから……宗治を護って役に立つくらいしか居る意味がないもの……」
霧絵はわんわんと泣き、鼻を啜った。
「だから宗治が剣道をやることも共学に行くことも反対だったのにぃ……すっかりいじめられなくなって、巨乳にも慣れちゃって……だから嫌だったのにぃいい……」
「姉さん、頼むから落ち着いて……」
宗治は泣き叫ぶ霧絵を抱きしめて、小さな子をあやすように背中を撫でた。
「役に立つとかそんなの、別に必要ないだろ?」
「必要あるに……決まってるでしょ……ひぐっ……じゃないと……ずっと一緒に居られないじゃないのよぉ……」
「姉弟ってだけで十分だろ。そんなのは気にしなくていいんだよ。それを言うなら俺の方こそ全然姉さんの役に立ってないしさ」
霧絵の嗚咽が次第に収まっていく。
宗治の胸に顔を押し付けて、肩を小さく震わせるだけになっていた。
「俺にとって姉さんはそこに居るだけで意味があるんだよ。お互いただ居るだけで支え合うことになってると思うんだ。だから……これから先俺が姉さんに護ってもらう必要がなくなっても、ずっと一緒なのは変わらないよ」
「ぅう……本当……?」
霧絵は涙でくしゃくしゃになった顔を上げた。
「本当に……これからもずっとずっとお姉ちゃんと一緒に居てくれるの? 一生お姉ちゃんの傍に居てくれるの?」
「当たり前だろ。姉さんと俺は、ずっとずっと一緒だよ」
宗治の一言に霧絵は一気に顔を赤らめ、声を震わせた。
「お、お、お姉ちゃんがんばるわっ!」
「え?」
「頑張って、料理も上手くなる! 裁縫も頑張っちゃう! ついでにもっとたくさん食べて、宗治好みのムッチムチの体になるわ!」
霧絵は先ほど床に放り出した買い物袋を持ち上げ、キッチンに向かった。
「あ、あの、姉さん……」
「ん? なあに?」
「よくわからないけど、別に俺、巨乳とか好きじゃないからね」
霧絵はにこりと笑ってガッツポーズをとると、台所に消えた。
225小さな守護者 ◆5SPf/rHbiE :2007/12/15(土) 03:16:47 ID:sBfH/07w
数日後は終業式だった。
さすがに部活も無く、部員達で適当に街に遊びに出ようかと相談しながら歩いていると、校門のところに人だかりが出来ていた。
「ねえ、橘君……あれ……」
香織に促されて見てみると、校門の脇には霧絵が立っていて、小学生と思って話しかけてくる女子生徒たちにぎゃぁぎゃぁと言い返していた。
「ね、姉さん……?」
「だよね、やっぱり」
剣道部男子部員達は、先日の記憶が鮮やかに蘇り、思わず足を止めてしまう。
霧絵のもとまで歩いていけたのは、宗治と香織の二人だけだった。
「あ! 宗治!」
宗治の姿を認めると、霧絵はぱっと顔を輝かせ、駆け寄ってきた。
そして、また香織と宗治の間に身を割り込ませるようにした。
「あ、あの、どうも。先日は失礼しました」
香織は萎縮しながら頭を下げた。
「妹さんなんて言ってしまって……その、お姉さん。私、町田香織といいます。橘君とは部活が同じで……」
「違います」
鋭く香織を睨みつけて、霧絵は言った。
「え?」
「妻です」
霧絵は頬を赤らめながら、胸の前で両の拳をぎゅっと握った。
「わ、私は、宗治の妻です!」
「ええ!?」
香織が何ぞこれといった表情で宗治を見る。
(何がなんだかわからないけど、どうしよう……)
宗治は姉の言葉に、ただ頭を押さえて呻くのみだった。
226おゆき ◆5SPf/rHbiE :2007/12/15(土) 03:17:31 ID:sBfH/07w
投下終了です。
227名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 05:49:18 ID:Ud6nM490
>>226
大好きGJ
228名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 07:38:32 ID:Y9PecND3
GJ超好きだ貴方
229名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 12:00:21 ID:6V6lrE0U
>>226
GJ好き!愛してる!
230名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 12:25:32 ID:cYTq2ZXA
GJ!大好き!
231名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 12:32:00 ID:6K/vkjQh
霧絵がシャナに脳内変換された
232名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 12:45:05 ID:O5KPosxo
>>226
オイオイ、姉可愛いすぎんだろ
GJだ
233無形 ◆UHh3YBA8aM :2007/12/15(土) 15:58:53 ID:77mkWa3K
お久しぶりです。
今年最後の投下となります。
宜しくお願い致します。
234永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM :2007/12/15(土) 16:03:45 ID:77mkWa3K

『trahison』
それが先輩と遣って来た店の名前。仏蘭西料理のお店だ。
大通りには飲食店が立ち並ぶ激戦区があるが、ここはその中でも売り上げ上位にランクされるレストラ
ンである。
飲食で軒を争うのであれば、味か値段に特化するしかない。
ここは前者を選んだようで、味は良いがかなり値が張る。
だが普通の高級レストランと違い、ラフな格好でも入店が可能だ。
大通りにも繁華街にも街のはずれにも、そしてタワーの上層階にも高級な店はある。差別化と集客の手
段として、服装に堅苦しいことは云わない方針のようだ。
ただし携帯は電源を切ることを要求される。
僕らが通されたのは予約席。
売り上げ上位のこの店はキャンセル待ちを除けば当日予約は難しい。
つまり、前日以前にキープしたということになるのだが――
「僕が来なかったら、どうするつもりだったんですか?」
「来てくれますよ」
席に着いた甘粕櫻子は“笑顔で笑って”云い切った。
「クロくんはお姉ちゃん想いの良い子ですから」
「いや、姉想いだから身動きできない訳ですが」
鳴尾しろは夜間の外出を許さない。
男友達でもそうなのだ。況や女性との外食をや。
「でも、クロくんはここにいます。それだけが事実です」
それでも。と、甘粕櫻子は首を振る。
「すんなり来てくれるとは思わなかったですけどね」
「すんなり往かなかったら、どうするつもりだったんですか?」
溜息混じりに問うと、ニコ目の年長者は答えずにふふふと笑った。

――好んで甘言をもって人にくらわし、而して陰かにこれを中傷して、辞色に露わさず
  およそ上の厚くする者、初めは則ちこれに親結し、威勢やや逼るに及んで、
  すなわち計をもってこれを去る
  老姦巨猾といえども、よくその術を逃るるものなし――

甘粕櫻子を評した姉の言葉である。
散散な言種だが、事実の一端でもある。
いずれにせよ、僕にとっては端倪すべからざる人物であるのは間違いなかった。
「でも、ホント、今日はどうしたんですか?私、クロくんを誘うとき、電話の向こうから金切り声が響
いて来ると思っていたんですけどね」
「・・・・・」
僕は黙る。
話すべきだろうか。それとも、胸に秘めるべきだろうか。
「話して下さい。私も“貴方のお姉ちゃん”なんですから」
耳に届く空気の振動は柔らかい。
もともと『間を置く』ために先輩の誘いに乗ったのだ。
それも良いかもしれない。
僕は一呼吸置き、それから口を開いた。

僕が『今日を語っている』間に、彼女についても説明しておく。
甘粕櫻子。
大学生。
口に蜜あり、腹に剣ありと云われる外連たっぷりの性格。
厳しさとは裏腹に本質は甘い僕の姉とは逆で、甘さとは裏腹な厳しさを持つ人物。
愛読書は『羅織経』。また古流柔術・新衛(しんえい)流の大目録所持者でもある。
容貌は極上で、緩やかなウエーブの掛かった髪と、温和なニコ目が特徴。
背はやや高く、出るところは出ている。今日のように防寒重視の厚着をしていても、身体のラインがわ
かる程に。
子供のころから抜群のプロポーションをしていて、成長の早い人間は、若年から発育しているものだと
知った相手でもある。
成績は極めて優秀。
頂点に立つことは無いが、なんでもそつ無くこなし、どの分野でも先頭集団にいるタイプ。
235永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM :2007/12/15(土) 16:06:17 ID:77mkWa3K
人当たりは良いが根は辛辣で、かつ悪戯大好きと云う困った人でもある。
そんな性格のためだろう。
僕の姉――鳴尾しろとは、あまり仲がよくない。
正確には、しろ姉さんが彼女を嫌っているだけなのだが。
そして、どういうわけか僕を気に入っている。
それどころか、僕を弟だと云い張る。
「何で僕に目を掛けるんですか?」
以前、直裁的にそう尋ねた。
返って来たのは底の知れぬ笑顔と。
「理屈じゃないんですよ、そう云うの」
なんて言葉。
「そう感じたから、心のままに振舞った。唯、それだけのことです。クロくんのこと、一目見て弟にし
たい、そう思ったんです」
だから、貴方は私の弟です。
破顔が常態の年長者はその時、そう云って僕を抱きしめた。
はぐらかされたのか、それとも本当にそんな理由なのか?
それを知ることは終に無かったけれど、そのままの状態は今も続いている。

『今日』の説明を聞き終えた先輩は、悪戯っぽく「ふふふ」と笑った。
「鳴尾さんは相変わらず可愛らしい方ですね」
「可愛らしいって・・・、そういう云い方すると、姉さん怒りますよ?」
「構いませんよ?それはそれで面白いですし」
それよりも、と、にこやかな双眸がこちらを捉える。
「クロくんは、本当に鳴尾さんの機嫌を損ねた理由がわからないんですか?」
小首を傾げるように。
幼子を諭すように彼女は尋ねる。
「はい」と僕は頷いた。
ある程度の予測はつく。けれど、断定は出来ない。
「駄目ですよ?クロくんのそういう所は嫌いじゃありませんけど、美徳ではないです。ニブチンは他人
を傷つけますから」
「ニブチンですか」
「ニブチンですよ」
先輩の眉毛は笑顔のままハの字だ。
「まあ、鳴尾さんが怒ろうが悲しもうが私には関係ありませんけど、櫻子お姉ちゃんが相手のときも鈍
いのは一寸駄目です」
「はあ」
そうか。
僕は鈍いのか。
いや、うすうす知ってはいたけれど。
「なんにせよ、謝っておけばそれで解決するでしょう。鳴尾さんはそういう人ですから」
確かにそれが一番確実ではあるのだろうが、状況を把握せずに謝罪というのはどうかと思う。
「あの、結局、何でしろ姉さんは怒ったんでしょうか?」
「発端はクロくんの絵ですよ」
「僕の絵・・・ですか?」
「はい。クロくんの絵です」
彼女は笑顔で頷く。
そして唐突に、
「鳴尾さんは歴史家として成功しません。いえ、成功できません」
そう云った。
虚を突かれたのは僕だ。
姉さんの夢。
絵も。
武も。
書も。
総てを捨てて目指している夢。
それを否定された。
根拠を聞いたわけでもないのに。
それだけで、僕の心に波風が立った。
236永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM :2007/12/15(土) 16:08:57 ID:77mkWa3K
「そんなに怖い顔をしないで下さい」
僕はハッとする。
気が付くと眉間に皺が寄っていた。
彼女を睨みつけていたのだ。
「あ、その・・・すみません」
無駄に威嚇してしまったか。
僕はうろたえる。
そんな後輩を見た甘粕櫻子は、口元に手を当ててくすくすと笑う。
「クロくんは本当に鳴尾さんが好きなんですね」
「――」
再びの沈黙。
血液が顔に集まる。
確かに僕は姉さんを・・・。
「否定しませんか。少し妬けますね。気に入りません」
笑顔のままほっぺたを引っ張られた。少し痛い。
「そ、そんなことより、何でしろ姉さんは成功しないと思うんですか?」
この際、怒らせた理由はどうでもいい。けれど、これだけは是が非でも聞いておかねばならない。
「・・・・」
先輩は手を離さず、じっと僕を見ている。
破顔のせいで瞳は見えないが、これはどういう表情なのだろう?
「誤魔化されてあげます」
手はほっぺたに残ったままに彼女はそう云った。
目の前には笑顔。
だけど多分、真顔。
「鳴尾さんは潔癖故に黒い部分が書けません。彼女の書いた本は読んだことがありますが、どこかもの
足りないのです。机上の空論を読むの感がありました。彼女の本には、思想的に偏りはありませんが、
明らかに深みが無い。それは考察が無いのでは無く、彼女の世界が欠如しているために起きた現象だと
判断しました」
彼女の指す姉の本とは『南面策方』と云う。
創業篇・守成篇の2部からなる手書きの一書。
発表するための論文ではなく、今自分の中にあるものを纏める為に記したもの。それをこの人は読んだ
ということか。
「歴史は人類の生の結晶です。人の生き様を知るだけでは書けません。地理、風土、宗教、その他諸諸
の知識を持ち、その上でそれらを高次元に纏め上げる訳ですから、優れたバランス感覚が必要です。勿
論、どかが欠けた“出来損ない”な歴史書ならば、そこいらに幾らでも溢れていますけど、鳴尾さんが
目指しているのはそんなものでは無いのでしょう?けれど、このままでは“紛い物”は書けても、“本
物”は無理だと思います」
「黒い部分、ですか?けど姉は韓非子と君主論を熟読していますよ?」
「知ってます。でもそれは、“足りないモノ”を無意識に判っているからでは無いでしょうか?彼女が
王者でなく、覇者であった人を尊崇するのも、自らに無いものを持った人人だったからでしょう?けれ
ど知識で補おうと、欠損は欠損。それが無い以上、物足りなさは消えません。だから鳴尾さんは、歴史
家としては2流、ないし3流で終わると思います」
僕は云い返さなかった。
その材料がなかった。
鳴尾しろは『白』故に。
その世界に『黒』が無い。
世界の欠損。
甘粕櫻子はそう評す。
それは真実を穿つ言葉の剣。
姉の描いた夢に突き刺さる言葉の棘だった。
ですが、と甘粕櫻子は続ける。
「鳴尾さんはある意味自分を弁えていますからね。その分、クロくんに期待してるんですよ?」
勿論、私も、と可愛らしく小首を傾げられて、僕は目を点にする。
どういう飛躍だろうか。
「期待って、何ですか?」
「だから、絵ですよ」
「え?」
「絵」
甘粕櫻子は頷く。
237永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM :2007/12/15(土) 16:11:25 ID:77mkWa3K
「鳴尾さんや美大の先生の娘さんが褒めたもの――クロくんの絵です」
「そこに戻るんですか」
「はじめからその話ですよ?」
彼女はくすくすと笑う。
どうにもこの人には敵わない。
「Silurian Periodってお店、知ってますか?」
そして唐突に話を切り替える。
僕は訝しがりながらも、
「大通りからちょい離れたとこにある、水槽張りの喫茶店でしょう?店員が全員魔女だとか云う」
「ええ。そこです。その傍に、Ikonographieって云う画材屋さんがあるんですよ。知る人ぞ知るお店で
すが、それ故に良品揃いです。絵を描く気があるのなら往ってみて下さい。私の紹介と云えば、格安で
買える筈ですから」
「・・・・」
確かに、もう一度絵は描くつもりだ。
五代絵里。
あの娘に約束をしたから。
前回のように見せて終わりではなく、譲渡と評価を前提とした絵を描かねばならない。
ならばそれ相応の道具は必要だろう。
「ありがとうございます、甘粕先輩」
「先輩じゃなくて、お姉ちゃんです」
彼女は首を左右させ、それから“笑顔で笑って”頷いてみせた。
「情けは人の為ならず。弟事なら、尚更です」

店を出ると、外気は一層冷え込んでいた。
今冬は例年よりも寒い。こんな中で立ち尽くしていたら、一時間と立たずに風邪を引きそうだ。
「うわー、寒いですね〜。今日は特に酷いです」
甘粕櫻子はピッタリと僕に張り付く。腕を身体に廻し、密着される。
押し付けられる体の総てが、凄く柔らかい。
「先輩、今日はご馳走様でした」
「誘ったのは私ですからね、気にしないで良いですよ?」
「でも、高かったでしょう?」
「はい。高かったです」
臆面もなく笑顔で云う。こういうところは彼女らしいと云えばらしい。
「クロくん」
「はい」
「お願いがみっつあります。良いですか?」
「内容によります。先輩は平気で無茶云う時がありますから」
僕の言葉が聞こえているのかいないのか。
先輩は「はい」と自分の携帯を僕に渡した。
「なんですか?」
「写真撮りましょう?クロくん、それで私たちを撮って下さい」
これが1つ目だろうか。
僕は手を伸ばして自分達を捉える。
瞬間。
彼女は殊更僕に抱きついた。仲の良い姉弟か、恋人同士がするように。
僕は引きつったような照れたような表情でシャッターを切っていた。
対する先輩は上機嫌に蕩けている。
「えへへ。待ち受けにします」
「やめて下さい」
本当に。
「で、2つ目はなんですか?」
携帯を返しながら問う。
彼女はピッピと器用に片手で操作しながら僕を見上げた。
「“櫻子お姉ちゃん大好き♪”って云って下さい」
「・・・・・」
「“櫻子お姉ちゃん大好き♪”って云って下さい」
「・・・・・」
「“櫻子お姉ちゃん大好き♪”って云って下さい」
「聞こえてますよ」
238永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM :2007/12/15(土) 16:14:14 ID:77mkWa3K
「じゃあ、サンハイ」
「勘弁してください。しろ姉さん、自分以外を“お姉ちゃん”て呼ぶと、凄く怒るんです」
僕が彼女に弟宣言された日、姉さんは甘粕家へ怒鳴り込みに往った程に。
「でも私は嬉しいですよ?」
「いや、あの、」
「高かったなぁ、仏蘭西料理」
「・・・・・・」
この人の愛読書は羅織経。
それは『無実の人間を咎人に仕立て上げる為の手順』が記された本。
ちなみにこの人の座右の銘は、
『薄情・不人情の道、忘るることなかれ。これをかえって人の喜ぶように行うを智と云う』
で、ある。
逆らえるはずも無い。
「サンハイ♪」
笑顔で促された僕は、搾り出すように、
「さ、櫻子お姉ちゃん、大、好き・・・・」
「はい。よく云えました。良いコ良いコ」
上機嫌で僕の頭を撫でる自称・姉。
余程嬉しかったのだろう。
笑顔がより笑顔になり、頬も真っ赤に染まっている。
他方の僕は肩を落として続きを振った。
「・・・で、みっつめは何ですか?」
「元気ないですねぇ、クロくん」
「・・・・」
僕は頭を抱える。鬼だ、この人。
しかし不意に甘粕櫻子は僕から距離をとる。
腰に自身の両手を廻して後輩を見上げる。
それは、今日見たどの笑顔とも違う、不思議な表情だった。
彼女はその顔のまま、ゆっくりと口を開いた。
「今度また、お姉ちゃんとデートして下さい」

※※※

家の前まで来ると、更に寒く、そして夜は濃い。
すぐに家に入らないと身体を壊すかと思われた程だ。
その中に、人影がある。
橋の袂に立つ幽鬼のように。
その気配は儚く、酷く寂しげで。
「しろ姉さん」
「・・・・・」
玄関の前に立っていたのは、実姉。
「しろ姉さん、どうしたのさ、こんなところで」
僕は近づく。
すると。
パンッ!
高い音が響く。
それは僕の頬から。
そして姉の掌から鳴らされたものだった。
驚いた。
驚いたのは叩かれたからではない。
その表情と、手の冷たさに。
「姉さん・・・」
「莫迦」
怒っている。
それは判った。でもそれだけではない。
「こんな時間まで、私に無断で外出するなんて」
「ごめん」
間を置く。
239永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM :2007/12/15(土) 16:17:10 ID:77mkWa3K
そのために甘粕先輩と外にあったけれど。
それは姉の怒りを買い、かえって不要な心配をさせたようだ。
姉の表情。
そこにあるのは傷悲。
そして。
「ごめん。姉さん」
僕は改めて頭を下げ、そんな弟を姉は抱きしめる。
「――しろ姉さん・・・!」
この感覚は。
「いつからここにいた!?」
肉親の身体は、氷のように冷たくなっている。
恐らく表面だけではない。芯から冷え切っているはずだ。
「・・・クロが出て往ってから、すぐ」
僕がのうのうと暖かいレストランで食事をしていた時から。
この人は何時間もこうしていたのか。
「クロが、私に断りも無しに外に出るなんてありえないと思ってた。すぐに戻ってくると思ってた。だ
から待っていた」
「ごめん」
それしか云うべき言葉が無い。
「・・・・・・」
姉は抱擁を強めた。
伝わってくるものは何だろう。
怒り。
安堵。
憔悴。
そのどれでもあったろう。
「それで・・・何処へ往っていたの?」
姉は身体を離しながら云う。
抱擁は解いたが、僕の両肩には姉さんの手が乗っている。
「外でご飯を食べてきた」
「そう・・・」
弟の行動がわかり、取り敢えずホッとしたような表情。
肩に置かれた手は、心が緩むに合わせてそこから離れようとして。
離れようとして――
「一人で、よね?」
ピタリと止まった。
「・・・・・」
どう答えるべきか。
嘘か。
真か。
『甘粕櫻子』
姉の嫌っている自称の義姉。
あれと共に在ったと云って、納得してくれるだろうか。許してくれるだろうか。
「どうなの、クロ?」
しろ姉さんの手が肩の上を滑る。
外側にではなく、内側に。
両手が間隔を狭めて、僕の首にそっと触れた。
左右から、幽霊のように冷たい掌が首に宛がわれた。
すぐには言葉がでなかった。
出来るならば嘘は吐きたくない。
けれど――
「答えて?」
親指が。
両の親指が、僕の喉の中央に触れる。
否。
『押し込まれ』た。
「ね、姉さん。苦しいんだけど」
「答えなさい。一人だったの?誰かといたの?」
痛い。
240永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM :2007/12/15(土) 16:19:48 ID:77mkWa3K
それに、苦しい。
気道が制限され、酸素の供給が滞る。
「姉さん、息、息が出来ない・・・!」
「どっちなの?一人だったの?一人よね?一人に決まってるわよね?クロは私を置いて誰かと遊びに往
くなんてことはしないわよね?」
ぎりぎりと。
親指が喉に食い込む。口の奥に血の味が滲んだ。
姉さんの目。
寂しさに押し潰されたみたいに、暗くて冷たい。
多分、この人には“絞めている”という自覚は無いはずだ。
唯、力が籠もっているだけ。
でも、それが総て。
「ご・・・ッ・・・フ・・・」
咳まじりの空気が漏れて往く。
「一人よね?一人よね?一人よね?一人よね?一人よね?一人よね?一人よね?一人よね?一人よね?
一人よね?一人よね?一人よね?一人よね?一人よね?一人よね?一人よね?一人よね?一人よね?」
駄目だ。
云えない。
云える訳が無い。
僕は姉の問う「一人」と云う言葉に頷いていた。
「――そう・・・」
冷たい手は喉元を離れ、新鮮な酸素が肺に届く。
「そう、よね。クロが私よりも誰かといる時間を選ぶなんてありえないものね」
目はどこかを彷徨いながら、独り言のように呟く。
凛とした姿ではなく、揺らぎを伴なうあやかしのように。
「でもクロ。勝手に出歩くなんて、もう駄目よ?」
「う、うん。ごめん、しろ姉さん」
姉は「仕方ないわね」と云って、僕を抱きしめる。
『一人』
その嘘に安心したのか。
鳴尾しろの瞳はいつものそれに戻って往く。
「しろ姉さん、家に入ろうよ。風邪ひくよ?」
「ええ。そうね。でも、もう少しこのままで」
抱擁を続ける姉は鼻声でそう云った。
本当はすぐにでも家の中に入れるべきなのだろうけど、身体が動かなかったのだ。
僕は姉さんに嘘を吐いた。
その酬いで、罰が当たらなければ良いのだけれど。

結論から云えば――
姉は結局風邪を引いた。
微熱を出し、蒲団の住人となった。
「健全なる精神は健全なる肉体に宿る」
本気でそう思っているのかは甚だ疑問だが、体調不良の原因を「弛んでいるから」と判断したようで、
その意味で彼女は落ち込んでいる。
僕のせいで身体を壊したのに、弟を責める素振りはまるで無い。
「しろ姉さん、本当に大丈夫?」
「ええ。問題ないわ」
蒲団に横たわる肉親は、赤い顔でそんな風に返すが、ちっとも大丈夫そうには見えない。
付きっ切りの看病は「クロにうつるから駄目」と断られた。
だけど顔を見せないと拗ねるので、何度も何度も部屋へ来た。自室にいてもひっきりなしにメールが届
くので、傍にいる様な感覚も抜けない。が、そのくらいは手間ではないのだから、勿論不満は無い。
「じゃあ僕は往って来るけど、しろ姉さんはちゃんと寝てるんだよ?」
「子ども扱いしなくて良いわ。クロこそ気をつけて往きなさい」
「なんか買ってくる?」
「平気。それより、本当に一人で出掛けるのよね?」
僕は頷く。
昨日と違って、それは本当の事。
これから、もう一人の姉を自称する人から教えられた画材店に買い物に往くのだ。
241永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM :2007/12/15(土) 16:22:33 ID:77mkWa3K
基本的に姉さんは『往き先を告げ』かつ『単独ないし男友達と出掛ける』ならば、遅くならない限り怒
ることはない。
昨日は絵里ちゃんの件で機嫌を損ねていた上に無断で門限を破ったので、“あんなこと”になったけれ
ど。
僕は首をさする。
朝見た鏡には、鬱血した痕がうっすらと残っていた。
これは、僕自身の為した咎だ。姉さんは悪くない。
「どうしたの?クロ」
僕がいつもとは違う表情をしたせいだろう。
蒲団から顔を出す姉は、心配そうに弟を見上げた。
「いや、何でもないよ。しろ姉さん、早く良くなってね」
僕はそう云って立ち上がった。
復調して貰いたい。
それはまぎれもない事実。
その原因を招いたのは、僕なのに。
「ごめんね、しろ姉さん」
その呟きは届いていなかった。
赤い顔の肉親はそれでも、
「いってらっしゃい」
なんて微笑んでいて。

※※※

画材屋はすぐに見つかった。
僕が件の喫茶店を見知っていたから、それほど迷うことはなかったが、教えられていなかったらこうす
んなりこれたかどうか。
そう考えさせるほど、地理的には不利でマイナーだ。
だけど広い店内にはまばらにお客が入っている。“知る人ぞ知る”だけあって、判る人は来るらしい。
適当に見て廻ると、なるほど、確かに良品揃いの様だ。高価で、高品質な画材が多い。
僕は早速財布と相談する。
家の小遣いは同年代のそれと比べて多い方ではない。少ないとは云わないが、無計画に使える訳ではな
いのだ。
父親等は月月の小遣いが5千円しか与えられていないので、真剣(賭け将棋)で10倍に増やして遊行
費に充てている。それに比べれば遥かにマシだけど、姉はアルバイトを許してくれないので、矢張り楽
とは云い難い。
だけど、と僕は思う。
今度の絵は本気で描かねばならない。
涙まで流して認めてくれたあの娘に、報いる絵を描かねばならないのだ。その為には道具の妥協は出来
ない。
僕は懐具合の寂しさを振り切って、予算が許すであろう限りの良品を選び、会計へ持って往く。
個人経営の店だろうから、レジのおじさんが店主なのだろう。
彼は鋭い眼光でじろりとこちらを見つめた。
「ほんとにこれでいいのか?」
「はい。良い物を使いたいので」
「ふーん。まあ良いけどな、こっちも商売だし」
値段を提示される。
(むぅ・・・)
予想していたとはいえ、矢張り高い。
銀行からなけなしの貯金も降ろしてきたのだけれど、表示された値段は僕の予算を吹き飛ばすには充分
過ぎる。
(まずいなあ、財布の中、2円くらいしか残らないや)
このままでは次の小遣いまで身動きが出来なくなる。
それは困る。しろ姉さんに、果物を買って帰ろうと思っていたのに。
金が無いと分かったのだろう。
おじさんは勝ち誇ったような顔で、
「おやおや?どうしたい?」
なんて笑った。
高いところから人を見下すような瞳だ。
別にこの人にどう思われようと構わないが、画材以外手ぶらで帰るつもりはない。
242永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM :2007/12/15(土) 16:27:41 ID:77mkWa3K
どうにかならないものか?
僕は手を拱き――
(そうだ)
笑顔の美人を想起する。
「あの」
「んー?やっぱり止めるのか?困るんだよねぇ、レジ打ってからだとさぁ」
おじさんは「ホレ見ろ」といわんばかりの表情。
「いえ。そうじゃなくて。ここへは、甘粕先輩の紹介できたんですけど」
「ぁ、ぁまかす?」
小莫迦にする様な笑みを浮かべていたおじさんの顔が引きつった。
「ど、どちらの甘粕さんで?」
「どちらのって、いつもニコニコしてる綺麗なお姉さんなんですけど、ご存知ありませんか?」
「や、やっぱりあの悪魔か!」
ひぃ!と、甲高い声が店に響き、幾人かのお客さんが驚いてレジを見つめた。
(悪魔・・・)
「それって甘粕先輩がですか?」
「あ、いえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえ!!!!!!悪魔なんてとんでもない!!
悪魔も羨む美人って云ったんですよ」
おじさんは気味の悪い笑顔で揉み手するが、表情とは裏腹に大量の汗が噴出している。
「それでお会計ですけど」
「も、勿論ただで差し上げます!!甘粕様のお知り合いからお金を取るなんて、とんでもない!!」
「た、ただ?」
この値段が?
(凄い変わり様だ)
僕は目を丸くする。
サービスで済むような価格ではないのだが。
「いや、でも無料ってのはいくらなんでも・・・」
「で、では95%OFFで!ね!それで勘弁して下さい!あの方の知己からお金を取ったなんて知れた
ら、私は、私は・・・・!!!」
「いや、でも」
ロハっていうのは・・・。
「お、お願いです!お願いです!引き下がってください!鉛筆もサービスで付けますから!」
笑顔なのに泣き声みたいな口調で、デッサン用の高価な鉛筆を袋詰めにしていくおじさん。
「・・・でも、本当に良いんですか?」
「も、勿論です。どうか甘粕様には宜しくお伝えください。え、えへへへへ・・・・」
彼はガクガクと震えている。
甘粕先輩、貴女一体、この人に何をしたんですか?
「じゃあ、それで買います」
僕は9割5分引きになった画材を購入して外に出る。
扉を閉めると背後からから、
「畜生っ!畜生ォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!」
とかいう叫び声が響いて来たけど。
それは聞かないことにした。

※※※

僕の目の前。
そこには何も無い。
何の変哲も無い見慣れた部屋だけが視界の総て。
そしてその中に、四角く白い世界の果てがある。
ここは僕が自分を表現する場所。
弱さをぶつける場所だ。
あの娘。
五代絵里は“目の前にあるもの”を、あるがままに認められた。
だから、きっと彼女の描く絵は風景画か静物画だろうと思う。
目の前のものを“絵”として完成させるには、在るがままに描くか、ありもしないものでアレンジする
しかない。
多分、僕にその能力は無い。
あるのは唯、“無きものを表現する”能力だけ。
243永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM :2007/12/15(土) 16:30:32 ID:77mkWa3K
ここに無い。
ここに無いから、それが描ける。
幻想を。
夢を。
或は絶望を。
心の世界を形に変える。
無から有へと。
唯、混沌を整理することだけ。
それだけが、鳴尾クロの表現だと思う。
僕は決して優秀に属する人間ではない。
表現や体現には、本来向かない人間だ。
弱さを。
脆さを。
前回はそれを“ここ”に具現化した。
今度は、そこに別のものを乗せる。
想いを。
強さを目指す過程を。
それを混ぜるのだ。
前回はそんな事を考えなかった。
それを顕すだけの道具がなかった。
でも今は、その意志と画材がある。
だから、迷いは無い。
白。
黒。
赤。
青。
心の赴くままに四角い世界を塗りつぶす。
ここには無い世界。
だから、調和は自分で決めて良い。
暖かさも寒さも。
矛盾も撞着も。
ここでは総てが許される。
唯それを、可視に還元するだけだ。
外は寒い。
もう夜中なのだろう。
だけど僕の手は止まらない。
思いは淡雪のように。
今この時を逃したら、儚く消えて戻らない。
回顧し、追憶に淡雪を追う力が僕には無い。
生命を削り、今、この瞬間だけに世界を作れるのだ。
それも弱さ。
それも欠点。
時間が流れ、より寒くなった頃。
世界の果てに、不可視だった心が体現される。
それは――1枚の絵の、完成だった。
「・・・・出来た」
性も根も尽き果てたとはこのことか。
僕はしりもちをつく。
だけど、それに見合う作品は描けたと思う。
前回の絵とは違う。
真剣な作品。
満ち足りた作品だ。
「ご苦労様」
凛。
そう評すべき振動の空気が届き。
同時に柔らかい何かが僕を覆う。
人の感触。
あの人の感触だ。
「しろ姉さん来てたんだ?」
244永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM :2007/12/15(土) 16:32:47 ID:77mkWa3K
また、気が付かなかった。
「私はいつでも貴方の傍にいる。そう云ったでしょう?」
病床についていた筈の肉親がそこに在る。
背後から肩に顎を乗せる姉の顔色は当然良くないが、笑顔は澄み、活力を感じさせる。
「身体は平気なの?」
「今は無粋なことは云わない」
コホコホと咽ながら、姉は抱擁を強めた。
暖かい。
それに、安心する。
「良い絵ね」
「そうかな?」
「うん、クロは絵が上手い」
偽りの世界を視界に、姉さんは微笑む。
「満足往くものは描けた?」
「うん。全部出せたと思う」
「そう」
僕の頭を撫でる。
本当に実弟を誇りにしているのだろう。
彼女の表情もまた、穏やかに満たされている。
「題名は何て?」
「いや。特には無いよ。そう云うの、苦手なんだ」
だからつけるつもりは無い。
僕は元元表現には向かないのだから。
そう、と姉は頷いた。
「ねえ、クロ」
「うん?」
姉さんは抱擁を強める。
245永遠のしろ ◆UHh3YBA8aM :2007/12/15(土) 16:35:34 ID:77mkWa3K
背後から弟の身体を締め付けていた両の腕は、マフラーみたいに首に巻きついた。
「クロは」
僕は一瞬身を竦める。
この前の夜の感触を思い出したから。
「クロはこの絵、あの娘に渡すの?」
いつもの凛とした声。
だけど、何かが少し違う声。
僕は少し戸惑ったけれど。
「その為に描いたんだ」
「・・・・・」
きゅ。
首に巻かれた腕が、幽かに強張る。
「姉さん?」
「・・・・」
『絞まる』のか。
そう思った刹那――
するりと。
腕が解かれる。
温もりが離れて往く。
僕は自由になった身体を肉親に向けた。
姉は微笑んでいる。
でも、どこか寂しそうに。
「クロ」
「ん?」
「喜んで貰えると良いわね」
「うん」
僕は頷く。
姉さんは僕の頭を撫でて、
「もう寝なさい。少しでも身体を休めておかないと」
振り返らずに、暗い廊下に溶け込んで往く。
(しろ姉さんの背中、こんなに小さかったっけ?)
少し不安になった。
僕は姉が見えなくなるまで見送り、それから窓を開けた。
「寒・・・」
吹き込んでくる外気の冷たさ。
吐き出される息の白。
冬の日の出は遅い。
いまだ外は闇の中。
冷気はいずれ、雪を呼ぶ。
この不滅の黒の中に、永遠の白は降り注ぐ。
すぐに至るその時に。
(姉さん)
僕は一体、何を見るのだろう。
246無形 ◆UHh3YBA8aM :2007/12/15(土) 16:38:34 ID:77mkWa3K
投下終了。
次回は2月あたりを目途にしていますが、早まったり遅くなったり、かなりアバウトだと思います。


では皆様、良いお年を。
247名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 16:41:29 ID:ni10o1sl
まっ先に GJ!!
あいかわらず面白いですね、次回も楽しみに待ってます
248名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 16:53:45 ID:tTX9x+D8
2月か!寒さがせなに染み渡るぜ!!
249名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 17:38:03 ID:ZQotSCCo
瀬名にか
250名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 17:52:21 ID:4wj+SFaD
それは貴様の姿勢が悪い。
背を丸めて縮こまって、下を見ているためだ。

全裸で正座する以上、胸を張り背筋を伸ばし、
敢然と前を見据えておけ。
さすれば寒気など恐るるに足らず。

むしろ気が引き締まる思いで、如月を迎える
ことができよう。
251名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 18:54:17 ID:gxaRyn39
全裸で正座をして中心棒を隆々と起立させた>>250の前に
如月ハニーが現れたのであった
252名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 21:39:48 ID:4fC7E+Ns
イエッサ!!軍曹!!
253名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 21:50:02 ID:kasKJOoP
>246
GJ!

そういえば『健全な精神は健全な肉体に宿る』って『健全な精神は健全な肉体に宿ったら良いのになかなかそうはいかないものだ』みたいな意味らしいよ、シロ姉さん
254名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 02:51:07 ID:FRPlNOOM
実の姉も偽りの姉も両方ともキモくて良かったです。
255名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 12:06:14 ID:KhQEdeVW
そろそろキモウトが読みたいな
256名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 12:18:31 ID:kPLUqtzM
確かに最近姉分が多いな
俺はキモ姉も大好きだけど
257名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 15:50:17 ID:dIglY11T
>>246
しろ姉さんは俺の理想の姉です!
258名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 18:05:30 ID:jps2POn/
思いっきりベタなキモウトが見たい気分…
259名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 18:16:25 ID:Gg1VyuX0
甘粕先輩は俺の姉

260名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 21:03:04 ID:AEAndzAY
>>253

そうなのか?初めて知った・・・
261名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 22:31:10 ID:g63BAqb6
あー、姉が欲しいッ!!
キモ姉が欲しいッ!!
262名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 00:50:26 ID:ylP/Cvag
義理のキモ姉と従姉妹のキモ姉でどっちと一緒に寝るかで俺を奪い合ってほしい…

そんで目が覚めたら実のキモ姉に監禁拘束されてましたとかだったらもう最高
263名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 01:11:31 ID:ANZ9ETd9
>>262
そのネタもらった!!
264名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 01:11:33 ID:4nMbV0Q8
>>262
当然監禁された暁には3人のキモ姉キモウトにアナルを掘られつつ尿道攻めを受け涙を流して喜ぶのでつね?w
265名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 02:40:10 ID:XXKkyeOe
でつね(笑)
266名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 08:23:11 ID:YA22ATQP
あー監禁されたい飼われたい
267名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 17:04:23 ID:VP0RQ7CN
キモ姉とキモウト…どっち派が多いんだろ?
268名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 17:41:32 ID:wa/IbDc0
監禁されるなら姉
懐かれるなら妹
269名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 19:59:19 ID:+dGprfX2
もちろんキモ姉!
270名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 20:10:45 ID:Qt5LV34v
姉に束縛されたい
緊縛では無い
271名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 20:20:28 ID:HwWax0/Y
>>270
分かるぜ
272名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 21:44:30 ID:7owSQrJB
キモ姉というものには、
「あさましさ」というか
「いやしさ」というか
「意地汚さ」というか
そういう、はしたない雰囲気がございます。年上なのに弟に依存してしまう……ここが美味なのでございます。

対してキモウトというものは、
センシティブであり
ハイソサイエティであり
ドメスティックにイクサクルーションであります
要するに研ぎすぎた包丁のようなものです。鋭利ではありますが、すぐに刃こぼれしそう……年下であることの純粋さと脆さが旨味でございます。

すなわち、キモ姉もキモウトも甲乙つけがたし。
しかるに私個人と致しましては、キモ姉に一票を投じる所存であります。
ご清聴、ありがとうございます。ありがとうございます。
273名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 21:56:59 ID:X3CYxZab
>>272
すげぇ・・・完璧だ・・・
274名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 22:06:44 ID:hRnRsAGL
>>272
俺の心の師匠であり続けて欲しいぜ・・・
275名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 22:31:03 ID:6m/9CBw7
>>272
さぁ、その妄想をSS化する作業に戻るんだ
276名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 12:45:51 ID:i7SAf7jT
なんだかなあ……たまには兄に
「愛してくれないなら死ぬ」
って言って本当に自殺未遂しちゃって兄を絶望に落とす愉快なキモウトが見たいなと思ったお昼時
277名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 15:46:57 ID:HHPVAFyH
じゃあ書けばいいじゃない
てか結構ある気がするが
278名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 15:52:24 ID:hxNU52OZ
嫉妬スレのログに登校拒否でリストカッターの妹がセックスねだる話へのリンクがあったな
サイト更新で消えてしまったようだ
誰か知らないか
279名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 16:07:56 ID:Umww4mLs
>>276
そう言うタイプのヤンデレは現実に結構居る。
実体験したいならいざ東京へ。
280名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 16:14:33 ID:QM+fEu5W
ちょっと東京行ってくる。
281名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 17:56:42 ID:p3wdLQxr
俺も東京行ってくる。

で、玄関出てから気付いた。ここは東京だった。
これからどうすればいい?
282名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 19:01:40 ID:QM+fEu5W
>>281
妹に一言

俺、姉と付き合っているんだ

姉に一言

俺、妹と付き合っているんだ
283名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 19:16:40 ID:nCRoOkZx
三次にはヤンデレは居ない

居るのはメンヘラだけ
284名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 19:34:33 ID:7sqkkkHV
>>283
ヤンデレはいるよ
肝心のキモウト・キモ姉にはまだ会ったことないけど
285名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 21:55:52 ID:vWmZl3yi
東京てさ、そうは見えないけど実は精神的に不安定っていう人が多いよね
漏れの地元は名古屋何だけどあんましそういう人はいなかった
何でだろ、ストレス?孤独?
286名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 22:04:15 ID:002BrWvA
>>285
単純に人多すぎ。
名古屋は団地やマンションが多いから
人口の割に街は落ち着いてる。
287名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 22:04:42 ID:ZsYnej7F
まあ、巡り会ってみたいが
深くは関わりたくないなw
288名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 22:59:28 ID:5DALSmZB
やっぱり傍観者が一番?w
289名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 00:55:08 ID:RqexqQ3C
>>288
傍観者でいいなんて嘘だ
290名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 01:09:55 ID:Cc4TgMlN
>>246
GJ!!
来年2月がいまから待ちきれねぇwww
291名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 01:13:11 ID:U0ih0fIt
292名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 07:50:42 ID:r7Ehfqtd
>>291
おおこれだ
さすが
293名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 12:52:17 ID:Z4UmIgJ9
ヤンデレってつまりメンヘラだろ?キチガイなんだから。
メンヘラに好かれるとヤンデレ萌え〜とか言ってられんのだよ。
そういうのは二次だけでいいわw
294名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 13:05:54 ID:XdWvTamp
>>293
メンヘラとは違うんだ、分かってないんなら書き込まないでおいてくれ
295名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 13:06:26 ID:J82eJqxs
突然何を言い出すんだ
ここはヤンデレスレじゃねえぞ
296名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 14:31:33 ID:+afTTroD
クリスマスにはお兄ちゃんの……童貞がほしい…キャッ!



こんな妹はキモい?
297名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 14:39:49 ID:Fv8Lsjzm
>>296
一般人から見たらキモいかもな
298名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 14:55:40 ID:XdWvTamp
>>296
普通じゃね?
299名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 17:30:25 ID:SWYayqHU
>>296

現実の妹ならはったおす。

空想の姉なら許す。
300名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 17:33:57 ID:C5aDZKNj
>>296
かわいい妹なら現実でも考えてしまう
301名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 17:46:05 ID:4sRsjsG2
そういう妹って処女じゃないよな
302名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 18:07:30 ID:ZzsFuY0W
かわいくなくても妹ならあり
303名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 18:39:27 ID:H7ms4s9C
>>302

弟を呼ぶ姉の〜
弟を呼ぶ姉の〜さけ〜び〜が聞こえぬか〜

「妹なら誰でもいいんだ。…そんな変態の>>302君はお姉ちゃんがしつけ直してあげる。
 さ、両手を後ろに回して?大丈夫、痛くしないから…ねっ?」
304名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 21:44:10 ID:DkgIqI47
>>301
そうとも限らない。
305名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 22:15:25 ID:wtkQIHSw
>>304
お兄ちゃんのために処女を取ってあるんだよな
306名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 23:25:57 ID:CxZdWAjn
処女は必要なのか
307名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 00:39:53 ID:Ay73hb77
>>306
必須項目ではないがプラス査定にはなるといったところだ

俺的に
308名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 01:02:01 ID:bE3PfreN
まとめサイト更新されて俺歓喜
wikiは少し見づらいからありがたやありがたや
309名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 16:12:56 ID:AN3LWo/9
>>306
外ハネの肩までの髪と黒のタートルネックのシャツと赤いミニスカと黒のオーバーニーソックスと黒太ぶち眼鏡さえあれば何も要らない
310【キモウトの反応(SIDE−A)】:2007/12/20(木) 20:40:59 ID:uvBZZ9gx
 部屋のドアを開けると、何故か妹がオレのパソコンに向かってた。
「あ……」
 オレが何か言うより早く、振り向いた妹がディスプレイを指差して、
「――ちょっと何このブックマーク、お兄ちゃん!」
「え?」
「キモ姉とかキモウトとか、リアルで妹いる人が、こんなキモいの見ないでくれる!?」
「あっ、えっ……」
 オレは慌ててパソコンの前に行き、妹の肩越しにディスプレイを覗き込む。
 ブラウザで開かれていたのは、オレの巡回先の一つである「キモ姉&キモウト小説を書こう!」スレだ。
「あり得ない! ちょーキモい! こんなの見てるお兄ちゃんのほうがキモアニキだよ!」
 ぎゃーぎゃー騒いでいる妹の手からマウスを奪い、とりあえずオレはブラウザを閉じた。
「というか何でおまえ、オレのパソコン勝手に使ってるんだよ!?」
 逆ギレといわれても仕方ないが、オレにもそれくらい主張させてほしい。
 すると妹は口をとがらせ、
「パパの許可とったもん。居間のパソコン使おうとしたら、パパが仕事で使うからお兄ちゃんに借りろって」
「だからってオレのパソコンなんだから黙って使うなって……!」
「黙って見られたら困るブックマークしてるお兄ちゃんが悪いんでしょ! ヘンタイ!」
 妹は椅子から立ち上がると、わざとらしくのけぞるようにオレから身体を離し、
「近づかないでくれる? ヘンタイが伝染るから。我が家にキモい人はお兄ちゃんだけで充分でしょ」
 そして大股に部屋を横切っていき、廊下に出たところでオレを振り返り、
「そんなブックマーク、消してよね。今度パソコン借りるときまで残ってたら、パパに言いつけてやる」
 オレが何か言い返す前に、ばたんと乱暴にドアが閉められた。
「……はあっ」
 がっくりと肩を落として、オレはため息をつく。
 まったく。
 リアルの妹が口ばかり達者な可愛げのない奴だから、ネットの世界の「妹」に萌えてるんじゃないか。
 でも、妹のヤツ。ネットで何を見てたんだ?
 最初からオレのブックマークをチェックする目的じゃないよな。
 ブラウザを立ち上げ直し、履歴を確かめた。
 ぬいぐるみの通販サイトと、あとはオレがブックマークしてた漫画やアニメのサイトがいくつか。
「キモ姉&キモウト」スレ以外でヤバいものは見られてないようだ。
 いや、そのスレだけで充分ヤバいけどな。オヤジに告げ口されたら誤解を招く。
 オレはリアルの近親相姦には興味ねえってのに。
 妹が見てた通販サイトでぬいぐるみでも買ってやれば、機嫌が治るかな。
 小遣いの残額と相談しながら、オレは妹への貢物を選び始めた。
311【キモウトの反応(SIDE−B)】:2007/12/20(木) 20:43:10 ID:uvBZZ9gx
 自分の部屋に帰ってドアに鍵をかけ、わたしは、どさりとベッドに倒れ込んだ。
 布団に顔を埋め、ため息。
 興奮してわめき散らしたせいか、まだ心臓がどきどきしてる。
 お兄ちゃんにオタクの気があることは前から知ってた。本棚に並ぶ漫画で一目瞭然だもの。
 メイドとか巫女とかツンデレとかヤンデレとか、勝手に借りて読んでるうちに、そんな言葉も覚えちゃった。
 でも、よりにもよって萌えの対象に「妹」。それも兄に恋焦がれるあまり罪まで犯す性格破綻者。
 ばかにしてる。
 ばかにしてるよ、リアルの妹を。
 涙があふれてきた。

 ――お兄ちゃん、わたしのこと一度も「そういう目」で見てくれなかったくせに。

 好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きでたまらなくて。
 でもそんなの兄と妹じゃ異常なことでお兄ちゃんに嫌われたくないからずっと気持ちを抑えてたのに。
 この想いがバレたら嫌われそうだからわざと生意気な可愛げのない妹として振る舞ってたのに。
 一番近くにいて一番好きで、でも我慢しなくちゃいけなくて一番哀しい思いをしてる現実の妹に眼もくれず。
 一線を踏み越えて欲望を充足させたネット上のニセモノの妹たちに、お兄ちゃんは心惹かれるんだね。

 オ ニ イ チ ャ ン ガ ソ ノ ツ モ リ ナ ラ。
 イ モ ウ ト ニ モ カ ク ゴ ガ ア リ マ ス。

 今夜、家族が皆、寝静まったら。
 わたしはお兄ちゃんを「犯す」ことを心に決めた。

【終わり】
312【キモウトの反応】:2007/12/20(木) 20:43:54 ID:uvBZZ9gx
以上、小ネタでした
313名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 20:48:40 ID:VtVPaChF
乙!
出来れば本番見たかったぜ!
314名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 20:49:22 ID:TN8O+p8d
あれ続きは?
315名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 21:18:58 ID:59R+5iTL
お〜い〜
いい所で終わりかよ〜
316名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 21:33:54 ID:J8Dw3TSk
>>315
おいおい、ちんぽこプリプリ揺らしてんじゃねぇよ…
317名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 21:37:52 ID:dVpbWSu1
バカだなぁお前ら
クリスマス前のプロローグなんだろうが
全裸で正座してろよ
318名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 21:40:21 ID:E/8GGSIA
これはいいキモウトだ・・・
319名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 22:34:56 ID:1CEbQz0H
ツンデレがあるキモウトか…
イイね!!
320名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 23:29:43 ID:av3dzmPS
久しぶりのキモウトだ
やっぱり姉よりも妹だよね
321名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 23:36:17 ID:LxWZSgCI
やっぱツンデレが似合うのはキモウトだよなぁ
322名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 00:29:35 ID:nv67ptvx
キモウト初心者の俺にブラコンとキモウトの違いを教授してくれ
323名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 00:44:42 ID:hpwL2CpN
>>322
理解するんじゃない、感じるんだ。
324名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 00:45:45 ID:hKSsoqIx
>>322
ブラコン『お兄ちゃん大好きっ!』
キモウト『お兄ちゃんは誰にも渡さないんだから……何あの女、お兄ちゃんに色目なんか使って…………ゴミ虫は■さなきゃダメだよね? ふふふ……あははははははは!!』
325名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 03:12:37 ID:7wMoCFl5
>>324
下の人は年齢が13歳以下でありがちだよね。・・・以降のコメントはなしで。
326名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 05:47:09 ID:Hx784rQf
>>312
つか、2ちゃんやるんだったら最初のうちはIEや火狐とかだろうけど
慣れてきたら普通は専ブラ使うだろ
人大杉とかで見られないスレがあるんだから
327名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 05:51:51 ID:8hV08LsA
細かいなあ
328名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 07:19:03 ID:hKSsoqIx
>>326
火狐は実は専ブラにもできるんだぜ
とopera使いが言ってみる
329名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 07:54:55 ID:dcctEnZf
火狐の専ブラでこのスレを見ている俺が来ましたよ
330名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 10:50:10 ID:xsjNgoA4
>>326
一時期は人大杉回避のために専ブラ使ってたけど
他のサイトも一緒に見るのに手間がかかるから使うのやめた俺ガイル
今はスレイプニルで見てるけど夏休みとか冬休みのVIPぐらいしか人大杉にならないし
331『いもうとの考え』:2007/12/21(金) 18:41:02 ID:uO2pNfu2
投下します

あぁ、窓からの夜風が気持ちいい。風呂上がりはこうやって過ごすのが最高だぜ。
沙妃「そんな格好してると風邪ひくよ」
「悪いけどこれだけはやめらんない」
沙妃「確かに気持ちよさそうだけど…」
沙妃(あっ!今ハミチンした!!
うぉー!!良いもの見た!興奮した!涎が出かけた!アソコが濡れた!)
「なぁアイス食いたくない?」
沙妃「え?…別に」
沙妃(食いたいのはおにいちゃんだよ)
「アイス持ってきてくれない?」
沙妃「はいはい、今持ってくるね」
「悪いね〜」
沙妃は嫌な顔もせずアイスを取りに行ってくれた。
我ながらいい妹を持ったよ。可愛いし、純情で優しいし…ホント誰に似たんだろ?
沙妃「はい、持ってきたよ」
「ん、ありがと」
驚いた事にわざわざアイスの袋を取った状態で持ってきてくれた。
俺が破って捨てる手間を省いてくれたんだな…本当に気の利くいい妹だ。
沙妃(きゃ〜!美味しそうに私が一度舐めたアイスを食べてる。
そんなの見せられたらパンツのシミがどんどん広がっちゃう)
「沙妃は食べないのか?おいしいぞ」
沙妃「うん、私はいいよ」
沙妃(後でそのアイスの棒を舐めるから。本当に舐めたいのはおにいちゃんのおチンコだけど。)
「でもやっぱりアイスはバニラに限るな。この甘さがなんとも」
沙妃「私もバニラ味が好きだな」
沙妃(私のおっぱいからもバニラが出るよ、甘くておいしーよおにいちゃん。
赤ちゃんを作らないとだめだけどおにいちゃんとなら大歓迎大感激だよ。
だからおにいちゃんのおチンコから出るバニラを食べさせてね)
332『いもうとの考え』:2007/12/21(金) 18:42:17 ID:uO2pNfu2
あぁ、暇だ。
格ゲーに飽きてきた…やっぱり人と対戦するからおもしろいんだよな。
よし、沙妃でも誘ってみるか。

「おーい、入るぞー」
沙妃「いいよー」
沙妃(おにいちゃんが部屋に!
なになに!?愛の告白?それとも『ちょっとチンコが腫れたから見てくれないか』とか?
まさかストレートに『お前が欲しいぃぃぃ』とか!?
キャー鼻血出ちゃいそう!!)
「あのさ…ちょっと格ゲーの相手してくれない?」
沙妃「えっ?……別にいいよ」
沙妃(まぁそんなもんよね…)
「悪いな、じゃあ俺の部屋でやろうか」
沙妃「私全然出来ないよ?」
沙妃(俺の部屋でやろうかって…エッチ!
妄想が広がっちゃうでしょ!)
「ちょっと相手してくれるだけでいいから」
沙妃「ちょっとだけだよ」

「じゃあ早速やろうか」
沙妃「おもしろいの?」
沙妃(早速やろうか?…また妄想が…なにこれ?生殺しですか?)「まぁいろいろ覚え事があるけど単純な話相手を倒せばいいだけだ」
沙妃「ふ〜ん」
「こんな感じで特定のコマンドを入力すればキャラが技を出すんだ」
沙妃「なるほど…」
沙妃(おにいちゃんこんなゲームするくらいなら私の体に技を出してくれればいいのに…、駅弁とか姫殺しとか)
「ただ勝負するだけじゃおもしろくないから何か罰ゲームありにしようぜ」
沙妃「え〜私じゃ勝てないよ」
「それなりに手加減するからさ、
沙妃が勝ったらなんでも言うこと聞いてやるよ」
沙妃「おにいちゃんこの超必殺技ってなに?」
「おっ、やる気まんまんだな」沙妃「なんでも言うこと聞いてくれるんだよね?」
「あぁ聞いてやるよ。その代わりお前もだぞ」
ふふ、浅はかな妹よ。
悪いが手加減はしないぞ。
しかも裏ボスを使ってやる、反則までに強いからな…ふははははー!今日の掃除当番は俺に変わってお前だー!!
沙妃(絶対に勝つ)


ナニコレ?なんでボロ負けすんの?相手の体力減ってないじゃん…
超連コンボとかしてきたし…
ゲーセンでも見たことねーよこんな強いヤツ。
沙妃「私の勝ちだよね?」
「そうだな…」
沙妃「なんでも言うこと聞いてくれるんだよね?」
「そうだったな…」
沙妃「じゃぁ…今度のクリスマスは一緒に買い物付き合って」
「えっ?……別にいいけどそんだけ?」
沙妃「…うん」
沙妃(本当は今すぐ私のアソコを舐めろとか命令したかったけど…
普通に…おにいちゃんと一緒にクリスマスを過ごしたかったから…)
333名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 18:45:42 ID:uO2pNfu2
以上です。

今度はキモ姉の妄想を浮かてみる。
334名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 19:21:07 ID:tbtRcjz6
>>333
乙!
妄想満開の割に、お兄ちゃんの前ではしおらしく健気ですな沙妃タンは……
それに比べて掃除当番押しつけようとか外道な兄w
GJです!
335名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 20:11:12 ID:1+OqHtJE
このシリーズ大好きだw
GJ
336名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 20:44:00 ID:cNRPjzvd
「よく聞いて、弟君。近親相姦っていうのはね、血縁者でセックスして子供をつくることを指すのよ。
 だから、こうしてオナニーの手伝いをすることは近親相姦にはならないの。
 さあ、だから手をどけてお姉ちゃんの邪魔をしないでくれるかな。
 そう、いい子ね。
 お姉ちゃんの口で気持ちよくしてあげるからね」


「落ち着きなさい弟君。この前も言ったけどセックスしない限り近親相姦にはならないのよ。
 セックスっていうことを理解してるかな?
 子供をつくることなのよ。
 だから、《今度産む》で避妊する限りセックスにはならないの。
 皮膚も粘膜も接触しないでしょ?
 解ったかな?
 さ、おとなしく横になっててね。 大丈夫よ。 痛くしないから」


そんなキモ姉
337名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 20:44:12 ID:p+Kwh4ww
俺もこのシリーズは好きだw
GJ
338名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 21:13:48 ID:p+Kwh4ww
書き込みは>>337が初めてですが
作品投稿は初めてです

投下行きます
339crazy nights:2007/12/21(金) 21:18:16 ID:p+Kwh4ww
 ep.1 −嫉妬に燃える姉

 俺の姉−霧崎雪華はかなりのブラコン。
 弟の俺が大好きで、いつもベッタリくっ付いてくる。
 雪華姉は俺の傍にいたくて、親が勧めてきた女子校を「私は弟君といたいの」という一言で捨て、同レベルの共学校−桜花学園高等部を選んだ。
 そして俺が受験生の時に、自分の勉強の傍ら、俺の勉強も見てくれた。
 雪華姉の教えの効果もあって、俺は見事に雪華姉と同じ高等部にいける事になった。
 雪華姉としてはそこまでは良かったのだろうけど、思っていたことと大きく外れた事が起きた。

 ――偶然同じクラスになった近衛玲香の存在である。

 近衛さんの存在により、俺の優先度の度合いが変わってしまった。
 そして、彼女の告白により俺は付き合う事になる。
 スタイルも顔も悪くはなかった。でも、構ってくれない所為か、雪華姉がいろいろ妨害をしてくる。
 その時の俺は、近衛さんが姉よりも大好きで近衛さんばっかり優先していた。
 そんなある日。
「……弟君、私の許可なしに家から出ないで」と言われた。
「雪華姉、それは『理不尽』だと思うんだけど。家に出るのは俺の勝手だろ?」
「どうせ、出かけるって玲香ちゃんとデートでしょ?
 数ヶ月前までは雪華姉、雪華姉って構ってくれたのに。どうして……?」
「どうしてって……。
 雪華姉は血の繋がった姉なんだし、そこまでべたべたする必要がなくなったかなって。
 それに今、俺は幸せなんだ。近衛さんと付き合っているんだから……」
 そう言って姉を説得し、なんとかデートにいけたが……。

 ◇

 それからというもの、雪華姉の妨害は激しさを増した。
 昼休み始まりのチャイムと同時に俺の教室に現れ、俺を見つけると捕まえて屋上へ連れて行く。
 学園の屋上は生徒に開放されており、昼休みになると昼飯を食べる生徒が多い。
 勿論、俺と雪華姉もそこで昼飯を食べる。
 雪華姉の作ってくれるお弁当は美味しいのだが、何故かそう感じられなかった。
「お姉ちゃんの作ったお弁当、美味しい?」と聞かれ「美味しい」と答えたが、コレは嘘だ。
 雪華姉を安心させる為の嘘。
 本当は、恋人が作ったお弁当の方が食べたかった。
 そもそも、俺が近衛さんと付き合うようになったのは自分でもよく分からないうちにそうなっていたと言えばそうだ。
 入学して2ヶ月しか経っていないのに、付き合って欲しいと告白された。
 断りをしなかったというのと、俺が近衛さんを好きになってしまったからというのもある。
 中学まで姉にベッタリだったので彼女とかの話はノータッチだったのだが……。
「それじゃ、教室に戻るよ」
「どうして?」
 ……また雪華姉のどうして、だ。
 どうしてもこうしても、俺は近衛さんと昼休みを過ごしたいからだ。
「……雪華姉、しつこい」
 そう言って俺は教室に戻った。
「……そう……。しつこいんだ、お姉ちゃん……」
340crazy nights:2007/12/21(金) 21:20:47 ID:p+Kwh4ww
 ◇

 ――許さない。
 私の可愛くて大事な弟君を変えてしまったあの女を。 
 ――許さない。
 絶対に――許さない。

 私は弟君といつも一緒にいたいだけなのに、近衛玲香とかいう娘がいるからそれもできない。
 家で出来るかな、と思っても弟君はその娘とメールで話をしている。
 そして休日は彼女とデートに出かける。
 最初は『弟君に彼女がいるのかぁ、へぇ……』みたいな感じでなんとか我慢できたけど、毎回毎回続くと我慢できなくて、弟君を独り占めしたくて行動に出る。
 でも、それは無意味で逆に弟君の逆鱗に触れる。
『……雪華姉、しつこい』
 あの昼休みの台詞がそれを表している。
 それ以来、義務以外は口を聞いてくれなくなった。話しかけても嫌そうな顔をする。
 何度か話しかけると「――しつこい姉さんは嫌いだ」まで言われる。

 ……弟君にだけは嫌われるのは嫌だ。

 例え、クラスの皆に好かれていても、同性に好かれていても嬉しくない。
 嫌われても私自身がいにくいだけで何も問題はない。
 でも、弟君にだけは嫌われたくない。
 私の自我とかそんなのが全て壊れそうだった。
 私の人生の多くは、弟君の為に費やしてきた。
 昔、弟君が苛められた時、私は身を挺していじめっ子たちに立ち向かった。
 その時から私は弟君は何があっても私が護るって決めたのに……。
 なのに。

 ………………………………そうだ。

 あの女……近衛玲香を何らかの方法で弟君から切り離せば……。
 私の元に弟君が戻ってくる……。
 そうよ。フフフ……。近衛玲香さえいなくなれば……。
 それじゃ、×しちゃっても良いよね。
 だって……弟君を私の手で『奪還』すれば……。フフフ……。
 そう思った私は行動に移した。

 ―――全ては。弟君奪還の為に。
341名無しさん@ピンキー:2007/12/21(金) 21:35:09 ID:p+Kwh4ww
投下終わりです
……すいません、書くの忘れてましたorz
342名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 00:39:32 ID:hbchBTPD
helliPってなんなんだぜ?
343名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 01:41:27 ID:tgPq63Jj
>>342
機種依存文字
344名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 11:47:31 ID:anakAwTS
投下乙、と言ってやりたいところなのだがな
日本語としておかしい場所があまりに多すぎる
本を読むなどして言葉の正しい遣い方を覚えた方がいい
345名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 13:40:57 ID:+Tw7B7Iq
まあまあ、投下してくれただけで乙だぜ
この調子でドンどこ投下してくれ
346名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 14:07:31 ID:Axegtkv+
初投下なんだし、いいじゃまいか。
これからに期待してるぜ!
347名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 00:16:54 ID:XVtaeiXD
>>338からして日本語おかしいからなぁ
348名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 02:39:48 ID:iU5ry4Pz
だったら流ーせ
349名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 14:00:48 ID:eDm/X+8l
こうやって嫉妬スレみたいに荒れてくんだろうな
350名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 14:14:48 ID:78v5GvK1
問題ないでしょ。人少ないし。
351名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 14:16:59 ID:I7AWZ7A5
んだんだ
352名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 14:45:18 ID:OJ/oliGc
>>336

先生!

次はアナルで、顔射、オギノ式へと進むのですね!!
353名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 16:55:02 ID:1Hyk1peu
弟君ってダカーポの・・・
354名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 19:39:37 ID:gJ4saWnM
>>278
その話のタイトルを教えてくれませんか?
355名無しさん@ピンキー:2007/12/23(日) 21:39:45 ID:xhMFwL9w
356名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 08:48:43 ID:cOATHRAz
キモウトに後ろからタマをニギニギされながら
「あの女、誰」
とか言われてみたい。
357名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 08:51:54 ID:/+llbecH
>>356

俺はサオをしごかれながらだな
358名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 09:56:36 ID:8BLUmzFv
>>356>>357

背中にぴったりとくっつかれるのを希望な俺はこのスレでは異端なのか?

今日は日本全国でこんなシチュが多そうだ
359名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 10:13:53 ID:5K/BpGJR
俺がいっぱいいるスレだな
360名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 12:09:25 ID:mMTlWyRI
12月24日午後9時から翌25日午前3時までの6時間は1年間で最もセックスをする人が多い「性の6時間」です。
貴方の知り合いや友人ももれなくセックスをしています。
普段はあどけない顔して世間話してる弟もセックスをしています。
貴方が片想いしているあの可愛い弟もセックスをしています。
貴方にもし年頃の弟がいて、いま家にいないのでしたら間違いなくセックスしてます。
貴方が離れ離れになった弟としたかったことを別の女とやっています。
貴方の将来の恋人である弟や結婚する弟は、いま違う女のマンコでヨロシクやっています。
361名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 13:12:49 ID:/+llbecH
>>358

背中ピッタリ+タマ握られながらサオしごかれる・ならば最強
362名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 13:43:25 ID:F+RW9TBd
まて!
姉を忘れてはいまいか?

前後、あるいは、左右から姉妹に挟まれる。
これこそ至高!!
363名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 13:51:03 ID:CtYmpSxQ
>>362
前は妹、後ろは姉のほうが天国にいけるYO!














いろいろな意味で・・・・
364名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 14:00:14 ID:F+RW9TBd
前面のキモウト、後門のキモ姉ということか。





ん?





あーーーーっ
365名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 14:14:11 ID:UEiKcZ5b
>361
ペニバンで貫かれながら、が抜けているぞ
366赤いパパ ◆oEsZ2QR/bg :2007/12/24(月) 18:24:06 ID:gpHIZA0T
投下します。三者面談の続きです。
367三者面談 ◆oEsZ2QR/bg :2007/12/24(月) 18:24:53 ID:gpHIZA0T
 私が刺しこんだナイフの切り後からソファから飛び出したスポンジが飛び出し、明るかった黄色を汚く染め上げている。
 肩で息をする私は、誠二の目からはどう見えたのだろう。
「あっはははははは! あっはっはっはっは! 誠二! あなたとあの女が過ごしたコレはこんなにもぐちゃぐちゃになっちゃったわ! あっはっはっは!」
 誠二の大事なものを蹂躙することの喜びが私の脳髄に鋭く響く。響き渡る。
 ううん。まだあの女の匂いがする。もっと、もっとぐちゃぐちゃにしてあげなければ。ざっくざくざく。もっともっとめった刺し。
 舞い上がるスポンジ。まるで血しぶきのよう。あの女の体にもナイフを差し込めばこんな風に噴出してくるのかしら?
「もごっもごっもごっ……」
 誠二がガムテープを外そうと、口を唾液でもごもごとぬらしている。なにやってんのとみぞおちに二発蹴りを入れてから、もう一度口にばってんをつけるようにガムテープで上から貼り付けた。
 でも、まだ視界は隠さない。誠二は、昨日今日で私がどれほど怒っているのかその目できちんと見届ける義務がある。
「目つぶったら睫毛を焼くからね」
「もごごいっ……」
 大丈夫、本気だから。目の前の惨状に目をつぶりたくなるのはわかるわ。でもそれはあなたの罪だもの。
 ふと、部屋の奥隅に小さなデスクに目が止まった。書類がいくつか散らばったまったく職場的なデスク。見た感じ結構古めね。所々へこんでいる。引き出しに手を伸ばす。
 ひとつひとつ開けていくと、中からはよくわからない書類や筆記道具が詰まっている。しかし、真ん中の一番広い引き出しだけ何故か鍵がかかっていた。
 怪しい。
「誠二。ここ開けたことある?」
 私が引き出しを指差して誠二に聞くと、誠二はふるふると首をふった。ふぅん、誠二も知らないトップシークレットなのね。
「それは気になるわ。是非中を見ないとね」
 こんな時のためにドライバーセットがあるのよ。カバンから取り出したドライバーセットは近くの工具店で買ったもの。
 本当はアパートのドアの蝶番を分解するために買ったものなんだけど、実際うまくいかなくて諦めたものだ。
 まぁ、代わりに鍵のかかっていたロッカーの蝶番を分解して開けたのに使った。まぁ、ロッカーの中はさすがに外の様子がわからなかったので、結局壊したまま放置してるけど。
 ドアは難しかったが、こういったデスクなら簡単でしょう。いや、分解するまでもないわ。
「えいっ」
 引き出しに突っ込んでテコの原理で無理矢理こじ開けた。元々古いものだったから、造作も無く鍵はガクンと外れ無力に。ふふふ。
 上機嫌に鼻歌を歌いながら、私は引き出しを開けた。
「………ふんっ」
 ……中身を見て。私はがっかりした。なによ。つまらないわ。
 机に入っていたのは誠二の写真ばかりだった。
「……これも。これも」
 全ての写真をぱらぱらと目を通す。学校で撮った写真ね。教室や廊下、普段の誠二の日常をさりげなく撮った自然な写真ばかりだわ。ただ、よく見ると全ての写真が誠二がカメラ目線じゃない。
 体操服でバトン持って走っている誠二の写真も、教室の窓側の席でぼーっとしている写真も、誠二はカメラを意識していない表情。
 ああ。これ、全部隠し撮りか。
 そうよねぇ、いくらなんでも授業中に誠二だけの写真を撮るなんて、他の奴らにとっては意味わからないものね。ということはこれは望遠レンズか。
 あ、これとかは顕著ね。ちょうど学校のプールで授業受けてる誠二を校舎の屋上から望遠レンズで見事撮影してるわ。
 そんなに海パン一丁の誠二の写真が欲しかったのかしら。わからない女ね。
 この写真だけ妙に紙が水を吸って乾いた後みたいにシワシワなのが気になる。まぁ何に使っていたのか大体想像はつくけど。あの発情猫。
 隠したかったものってこの程度のもの? これぐらい誠二はなにもショックを受けないでしょう。私としては、誠二が一瞬で愛想尽かすぐらいの衝撃的なアイテムが出て欲しかったのに。
 大学時代にケバケバの化粧をして男遊びしていた秘密の乱交写真とか、えぐい一人遊び道具とか。
 ふーん……。そっかぁ、これぐらいかぁ。
「誠二。あなたの写真が入っていたわ。全部盗撮写真だけど」
「………」
368三者面談 ◆oEsZ2QR/bg :2007/12/24(月) 18:25:22 ID:gpHIZA0T
 誠二は反応無し。反応無くて結構。結局この女の秘密なんてその程度のゆるさだってことね。
 でも盗撮は犯罪よ。弟の誠二を私の許可無く撮影するなんてもってのほか。
 この写真はすべて切り刻んでしまいましょう。テーブルにあった鋏でじょきじょきと。細かくなった写真を私は窓から全て投げ捨てた。
「あなたも油断して写真に撮られた罪があるわ」
 ねぇ、誠二。あなたも高校生なんだから、もっと危機感持ちなさい。
 罰として誠二の顔面を軽く踏みつけてやったわ。私のニーソックスに顔を踏まれる気分はどうかしら?
 ほらほら。ぐりぐりと押し付ける。
 誠二は目をつぶっていやいやと抵抗する。
 何よ、私のあしが汚いって言うの? 私の体に汚いところなんてあるわけないじゃない。女の子に失礼じゃないの?
 ほら、享受しなさい。私の足を。もっと、もっと踏んづけて、足蹴して、押さえつける。
 ああ……、そうか。ニーソックスが汚いから嫌なのね。それを早く言いなさい。こんなものすぐに脱いじゃうから。
 ほら。お姉ちゃんの裸足よ。裸足。ほーら、かかとでぐにゅぐにゅしちゃおうかしら。それともこんなのはどう? 誠二の眉間を足の指で抓んでひっぱってみたり……。
 嬉しいでしょ?
「んふーっ! んふーっ! んふーっ!」
 ふふん。興奮してるのかしら? 私の足に? 嬉しいから? 土踏まずで撫でられる気分はどうなの?
 私は誠二の鼻を指で挟んだ。
「んっ! ……! ……! ……!!!」
 呼吸ができなくなっちゃったね。口は塞がれてるもの。ふふふ、顔を赤くしちゃって。あ、パンツは見るなよ。
 10秒、20秒、30秒、抵抗しようと暴れても、ガムテープで巻きつけられた体じゃどうもできないわね。
 可愛そうだから40秒で勘弁してあげる。ふふふふ。鼻息が荒い誠二。なんだろう。ただ誠二を足で踏みつけているだけなのに、どんどん彼に対する欲情が高まっていく。
 私は足を離して誠二の口に貼られたガムテープを剥がしてあげた。
「誠二、一切声を出したらダメよ」
 もちろん、ナイフで脅しながら。
 誠二の瞳に目を注いだ。がたつく瞳。何年もかけて私に刷り込まれた従順な犬の瞳だわ。もう、政治に抵抗する力も気力もないわね。
 ぺりぺり、ガムテープを剥いでいく。ぷはぁ、という誠二の呼吸音。そして私の言いつけどおり、ぐっと歯を食いしばって声を漏らさない。しかし、瞳はしっかりと開いている。
 なぜ、口を自由にしたのか。だってしょうがないじゃない。
「舐めて」
「!」
 誠二の口の中に足を入れたくなっちゃったんだから。
 まずは親指を唇の間へ挿入する。ああ、あったかい……。
 口内の粘膜に包まれた私の親指の温かさは、まさに天国のようだった。誠二、あなたこんなイイモノを持っていたの?
 誠二の舌はまだ動かない。私は口内に挿れた親指の爪先を円を書くように蠢かせる。誠二は親指をくわえたせいで、頬をすぼめてしまっている。その表情がまた私の欲を誘う。
「舐めなさい。私の足なんだから嬉しいでしょう? むせび泣きながら舐め尽しなさい」
 ようやく、誠二の温かな舌が動き始めた。口内にはいった舌をぺろりぺろり……。
「それじゃあ、足りないわ」
 私の言葉で誠二の舌は勢いよく流動しだした。唇をさらにすぼめ、私の親指をしゃぶりつく。まるで赤ん坊みたい。
「もっと、もっと、もっと……」
 しゃぶ、しゃぶる、じゅぶぶ、じゅぶる。
 倒錯的な音が部屋中に響く。誠二もだんだん夢中になってきたのか、一心不乱になっていき、仕舞いには唇から足指を離しても、舌はまだついていこうとする始末。
 5分ほど経った頃だろうか。
 私は自分の変化に気付いた。
「………」
 濡れている。自分のスカートの中が水気を帯びている。私の履いていたショーツがぺったりと冷たくひっついている。
「………誠二。口を開けて」
 足を離し、誠二に命令。なにも疑わずに誠二は口を開けた。本当に犬にまで堕ちちゃったのかしら。
 いろいろ手を尽くして、言うことを聞かせるようにするつもりだったのに。このぐらいでもう陥落か。私が家で用意していた道具なんてほとんど必要なかったのね。
 誠二は口を開いたままじっと私の見つめている。私がスカートの中に手を入れてショーツを脱ぎ去るまで、誠二は表情の変化はあれど、声も出さず動きもしなかった。
「誠二、あなたにあげるわ」
 私の脱ぎたてのショーツ。丸めて、それを誠二の口の中へ。
369三者面談 ◆oEsZ2QR/bg :2007/12/24(月) 18:25:58 ID:gpHIZA0T
「……もごっ……」
 先ほどまで自分の大事なところを隠していたソレを。
 そして誠二は、もはや諦めたような目で。それを受け入れる。
「ふふふふ、ふふふふふ、あははははは、あはっははははっ! あはははははははははははは!!」
 その情景に、私は笑い声が止まらない。
 喜怒哀楽のうち、どれにも当てはまらない。悦の笑いが私の脳髄にスパークしていく。
「誠二! 誠二ぃ! 誠二ぃぃ!! あっはっはははははははははは!!!」

 ……異常。

 異常ね。 私。
 いや、異常なのは何年も前から気付いていたでしょう?
 実の弟である誠二を愛していることは、心の奥底で自覚していた。

 あの高倉良子の存在が、私の奥底の欲望を全て呼び覚ましたのだ。

 ああ、欲しい。
 誠二が。誠二が欲しくてたまらない。誠二の心も体も魂も全て奪い取りたい。
 誠二の笑った顔も、泣いた顔も、泣き叫ぶ顔も、すべて私のものにしたい。誰にも渡したくない。声も、瞳も、全て、全て、全て、全て、全て、全て、全て、わたしのものに。

 私だけの誠二に……。
 ………。
 ……。
 …。


「こんにちは。高倉先生」
『………誰ですか』
「電話越しでもわからないですか?」
『……沢木、千鶴さんかしら』
「ええ、そうです。こんにちは。ご機嫌はいかがですか?」
『普通よ。ところでどうして私の番号を知ってるのかしら?』
「それはどうでもいいことです。あなたのような男供に人気の先生なんて、そこらの能無し下半身男に聞けば誰でも教えてくれますよ」
『……そう』
 高倉良子は気付いてるのだろう。自分と私の間には教師と生徒を越えた、相容れない隔たりがあることを。
「ところで、いいことを教えてあげましょうか?」
『なにかしら。ちょっと、もうすぐ会議があるからあんまり電話でき……』
「あなたと誠二の秘密」
『……!』
 電話越しに、息を呑む音が聞こえた。
『……それが、なにかしら?』
「教師が生徒と内縁の妻のごとく同棲していながら、他人の家庭に口を出すなんてね……」
『……』
「ふん。まぁいいですわ。淫乱教師には何を言っても無駄ですもの」
『……で? わざわざ電話してきて何のようかしら?』
「今、私はあなたの部屋に居ます」
『え……?』
 これは予想外だったのだろう。はじめて、高倉良子の戸惑いの声がスピーカーから漏れた。
「誠二も一緒です。誠二に代わりましょうか?」
『ま、まちなさい! あなた、一体なにを……』


『あっ、んっ、せ……せんせぇ……っ。 ごっ、ごめっ…ん……なさいっ……。せん…せぇ……っ』
370三者面談 ◆oEsZ2QR/bg :2007/12/24(月) 18:27:21 ID:gpHIZA0T


 私は耳を疑った。
 携帯電話のスピーカー越しから届く、彼の謝罪の声。
 その声は。……私と愛を確かめ合うときと同じ息遣いのままで聞こえてきた。
『先生。いま私たち二人は何をしているかわかりますか? ヒントは……恋人同士がベッドの上で裸のまますることです』
「やめて!! やめなさい!! すぐに、誠二くんから離れて!!」
『先生。学校でそんな大声出したら、私以外にもばれちゃいますよ。誠二との秘密……』
「あなた、……あなた自分が何をしているかわかっているの!?」
『ええ。わかっていますわ。ふふふふふ……、ああ、いい……』
 血の気が引いた。私は学校だということにもかかわらず悲鳴を上げた。
「やめて! やめて!! やめて!!」
『ふふふ、先生。いいこと教えてあげましょうか。誠二の首を絞めながらすると、通常より何倍も膨らんで興奮してくれるんですよ。彼は根っからのマゾ……』
「やめて!! やめてぇぇ!!!」
『……ああ……、誠二のが……私の中に………。んっ、んっ……』
「ああ!! ダメ! ダメダメダメダメ!! それは私のだ! それは私だけのもの!! やめてぇぇ!」
『ふふふ………いい声で叫びますね。先生。ふふふふふふ…………』
 千鶴さんの笑い声が響く。な、なんてこと……。

『先生……。今すぐ、自分のご自宅へ戻ってきてください。そこで直接対決をしましょう』
「……対決?」
『ええ、私とあなたと誠二……すべての繋がりを……今日ここですべて。言っておきますが、昨日のようには行きません。……私はもうなんでもできるのですから。ねぇ、誠二……?』

「ぎゃぁぁぁぁぁあああああ!!」

 誠二くんの叫び声!
「な、なにしたの!!?」
『誠二の左の手のひらに今、ナイフを突き刺しました。致命傷ではありませんが、このままだと出血多量で死にますでしょうね』
 なにをそんな冷静に……!? というか、冷静に突き刺したの……!?
「……あ、あなた………」
『私も誠二を死なせたくありません。ここから学校までは車で10分くらいですね。じゃあ飛ばせば5分もかからないでしょう。早く来てください。では……』

 ツーツーツー……。

 そんな、誠二くんが……。
 誠二くんが………。
「……許さない……」
 絶対許さない。
 あの女には。沢木千鶴には正義の鉄槌を下さねば。
 ふふふふ、いい? 沢木千鶴さん。あなたのやっていること。もう一度よく考えて見なさい。
 一生地の底で這いずり回るがいいわ。
(続く)
371名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 18:43:39 ID:/lpot/z/
怖いです…(汗
372名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 18:48:03 ID:CtYmpSxQ
やべぇ、つぼだ・・GJ!
373名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 19:11:22 ID:2Oo2mvuC
姉ちゃん怖すぎ・・・
だがそれが良い
374名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 19:44:47 ID:ILIlsgB4
手に力がはいらなくなった










…あれ?下半身が元気に(ry
375名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 19:44:50 ID:ILIlsgB4
手に力がはいらなくなった










…あれ?下半身が元気に(ry
376名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 20:05:51 ID:8BLUmzFv
>>375
下半身でレス・・・
恐ろしい子・・・!
377名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 21:06:45 ID:kR69CZcO
現実の妹に勉強教えてるんだが、馬鹿過ぎてマジで苛つく

優しいお姉さん、慰めてー
378名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 21:16:24 ID:5NFb1uRf
>>377
ずっと教えてもらいたいから馬鹿やってるのさ
379名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 21:18:53 ID:EAMLiiRN
>>377
現実ってそういうものよ?
現実の妹は俺より背が高い('A`)
380名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 21:20:07 ID:0fhLD+rU
GJ!
381名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 21:47:35 ID:2zHtPAqB
妹がいるだけいいじゃまいか、いるだけ・・・

うわーん
382名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 21:58:03 ID:EAMLiiRN
>>381
一人っ子ウラヤマシス。お小遣い多いもんね。
383名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 22:08:48 ID:VZ6W/ZpZ
言わなくては
このスレは、18以上です お兄さん
384名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 22:35:29 ID:0fhLD+rU
お小遣いwww
385名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 22:37:47 ID:kR69CZcO
>>383
心配するな、妹よ。
俺は19、お前は15。何かもんだ
386名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 22:40:34 ID:KoNDYZgw
乳を揉んだ。
387名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 22:49:06 ID:AVFjfR6f
>>377
勉強を教えてあげられるということは頼られてるということだよ
もしくはわざと馬鹿な振りをしてクリスマスイブに勉強を教えてくれる兄を外出(部屋から出)させない気かもしれん
388横じま ◆KYxY/en20s :2007/12/25(火) 03:04:42 ID:keD01sOB
皆さんメリークリスマス
というわけでクリスマス支援
389妄執のサンタクロース ◆KYxY/en20s :2007/12/25(火) 03:06:38 ID:keD01sOB
 コーヒーの匂いが漂ってきた。
 もうすぐ二十時になる。私はキッチンからリビングに入ると、料理をガラステ
ーブルに並べていった。クリームシチュー、白身魚のムニエル、ほうれん草のサ
ラダ。私の作った料理だ。ほかにはトマトスパゲッティ、タコのマリネに、兄と
一緒に作ったブッシュ・ド・ノエルが並べられていた。どれも、おいしそうな匂
いをさせている。
 私はソファからクッションを取ってくると、ガラステーブルの前に置いた。二
個。兄と私の分だ。クッションに腰を下ろす。
 クッションはひんやりとしていた。私はタートルセーターの上にカーディガン
を着ていた。下はミニスカートなので、家の中でも少し寒い。
 私はリモコンを探すと、テレビをつけた。チャンネルを変えていく。歌番組が
やっていたので、チャンネルをそれにした。CMでも流れている、流行の曲だっ
た。BGMにはちょうどいいだろう。クリスマスにやっているバラエティ番組は、
あまり好きじゃない。
 テレビの横には、五十センチぐらいのクリスマスツリーが飾ってあった。画面
が変わるたび、ツリーの飾りの色も変わった。昨日、押入れから出したものだ。
 私はガラステーブルに頬杖をつくと、キッチンに眼をやった。兄が、フライパ
ン片手に料理をしていた。黒いシャツにジーンズ。その上から、青いエプロンを
している。ちょっと微笑ましくなるような姿だ。焼いているのはステーキだろう。
油の跳ねる音が、リビングまで聞こえてきていた。本当はロースとビーフの予定
だったらしいが、良い霜降りがあったので、結局ステーキにしたらしい。
 しばらく、兄の後ろ姿に見惚れた。兄と二人だけのクリスマス。こうして一緒
に過ごすのは、三年ぶりだった。今日は、人生で最高の日にしたい。いや、する
んだ。
 兄はフライパンを置くと、食器棚に手をかけた。コンロの火は消している。振
り向きざま、眼が合った。
「いま持ってくよ。そんな物欲しそうな顔をするな」
「私、そんな顔してないもん」
 皿を出しながら、兄が苦笑した。ステーキなんかより、お兄ちゃんが欲しいよ。
言いそうになった唇を引き締めた。そんなことを言わなくとも、朝になったら私
だけの人になってくれるだろう。ただ、今夜うまくいけばの話だ。
 兄がステーキを運んできたのは、テレビの曲が変わった時だった。エプロンは
もう外している。
 私はガラステーブルにスペースを確保した。ステーキ二皿に、コーヒーポット
が置かれた。ステーキには、輪切りで炒められたタマネギが添えてあった。タマ
ネギの甘い匂いが、空腹を刺激する。
390妄執のサンタクロース ◆KYxY/en20s :2007/12/25(火) 03:07:17 ID:keD01sOB
「やっぱりお兄ちゃん、お肉焼くの上手だね」
「まぁね」
 うれしそうに、兄がはにかんだ。白い歯が見えた。顔立ちと同じ、きれいな歯
だ。
「じゃあ、もうそろそろはじめる? お兄ちゃん」
「あっ、ちょっと待ってくれ」
 言うと、兄はキッチンから氷の入ったグラスと、ワイルド・ターキーをぶら下
げて戻ってきた。グラスを置き、私の向かいに座った。
「お兄ちゃん、お酒飲むの?」
「きょうは酔いたい気分なんだ」
「もうっ、ほどほどにしなきゃダメだよ」
「わかってるよ、千歳」
 兄はコルクを引き抜くと、グラスにワイルド・ターキーを注いだ。氷がグラス
にぶつかり、音がした。私もコーヒーポットを持つと、自分のマグカップに淹れ
た。立ち昇る湯気。それに、ミルクと角砂糖を二つ落とす。ブラックのままだと、
私にとっては苦すぎた。
 兄のマグカップも、引き寄せた。
「いいって、いいって。俺は飲みたいとき淹れるからさ」
「そう?」
 兄はワイルド・ターキーを、絨毯に直に置いた。ケーキの受け皿を渡してくる。
ささやかな、パーティーの準備が整った。
「はじめますか」
「うん」
「えぇ、じゃあお互いに高校と大学、ひとまずお疲れ様でした」
「お疲れ様でした」
 メリークリスマス。いただきます。声が重なった。
 兄はグラスを呷った。もう一杯。また呷る。
「お兄ちゃん、いきなりそんなに飲んだら」
「景気づけだよ」
 言うと、グラスにもう一杯注ぎ、兄はステーキを頬張った。
 私も、ステーキに箸をつけた。表面はカリカリに焼けていて、中は半生だった。
口に入れた瞬間、ステーキから肉汁が溢れた。おいしい。二切れ目はタマネギと
一緒に頬張った。甘い味がかすかに加わる。こっちも、おいしかった。
「いまごろ親父と母さんは、どっかのレストランで豪勢な料理でも食ってるのか
な」
391妄執のサンタクロース ◆KYxY/en20s :2007/12/25(火) 03:07:53 ID:keD01sOB
 ウィスキーをチビリとやりながら、兄が言った。
「今井さんとこと一緒だっけ。そのまま泊まりで」
「そうそう。息子と娘を置いてきぼりでな」
「でも、私はお兄ちゃんと二人きりでうれしいよ」
「千歳も、うれしいことを言うようになった」
 微笑むと、兄はクリームシチューをすくった。私は、タコのマリネに手をつけ
た。レモンと一緒に頬張る。
「しかし、妹とクリスマスか」
「なに、私じゃ不満なの?」
「そうじゃないけどな。千歳がさびしい青春を送っていると、憐れんだだけだ」
「そういうお兄ちゃんだって、早く新しい彼女見つけなよ」
「ははっ。そうだな」
 兄が笑った。憂いのある笑顔だった。思わず、ギュッと抱きしめてあげたくな
る。護ってあげたくなる。兄には、高校時代から三年も付き合った彼女がいた。
 一ヶ月前だった。電車に撥ねられ、死んだのだ。泥酔し、誤ってホームから転
落したのだという。運が悪いとしか言いようがない。不幸なことだった。笑って
しまうぐらい、不幸なことだった。
「まだ、吹っ切れてない?」
「大丈夫だよ、もう」
 悲しい眼だった。あの女は死んでなお、兄を悲しませ続ける。でもこれからは
違う。私が、兄に笑顔をプレゼントすればいいのだ。死んだ女には、兄を悲しま
せることしかできない。
「そういえばプレゼントはよかったのか、千歳。バイト代貯まってるから、買っ
てやれたぞ」
「いいのっ、今年は。いつまでも、子供じゃないもん」
「こういう時には、お兄ちゃんとしては甘えて欲しいものだけどな」
 また兄が、ウィスキーをチビリとやった。今度は、ムニエルに箸を伸ばした。



 兄がコーヒーポットに手を伸ばしたのは、ステーキとムニエルを平らげたあた
りだった。身を乗り出すようにして、取ろうとする。酔いが回ってきたのか、ほ
んのりと赤い顔をしていた。私は、手で兄を制した。
「いいよ、私が淹れる」
「そうか? じゃあ頼むよ」
392妄執のサンタクロース ◆KYxY/en20s :2007/12/25(火) 03:08:38 ID:keD01sOB
 兄は座りなおすと、テレビに眼をやった。兄が好きなフォークロック歌手が映
っていた。私は右手で兄のマグカップを引き寄せると、コーヒーを淹れていった。
左手は、テーブルの下に潜らせる。携帯。リビングの隅っこで、電話が鳴った。
「親父からかな」
「お兄ちゃん。電話、お願いできる?」
「わかった」
 兄は、反動をつけて腰をあげた。背を向ける。私はカーディガンの胸ポケット
に手を忍ばせた。薬包紙。取り出し、コーヒーに振りかけた。睡眠薬だった。う
つ病の患者に使われる、度の強いやつだ。携帯は、二十時三十二分を表示してい
た。いまから飲めば、陽が昇る時間帯まで深い眠りが保障されるだろう。
 私は薬包紙をポケットにしまった。白い粉末はグラニュー糖のように混ざり、
コーヒーに溶けこんでいった。
 携帯を切る。兄が、首をかしげながら戻ってきた。
「お父さんだった?」
「いたずらだったよ」
 兄はクッションに腰を下ろすと、ブラックのままコーヒーを飲んだ。マグカッ
プの中身が、半分ぐらいに減る。クリスマスなのに、変わった奴もいるものだ。
言うとまた口に含んだ。三分の一になった。
 それから十分も待たなかった。
 兄の眼がとろんとし、体を支えるように背後に手をつきはじめた。さっきまで
動かしていた箸も、テーブルに置いてしまっている。酒も回っているからか、効
くのが早まったのかもしれない。
「お兄ちゃん、どうかしたの。箸、置いちゃってるけど」
「いや、なんでもないよ。なんでも。」
 なんでもなくはなかった。兄は、体で舟を漕いでいる。絨毯と天井の合間で、
揺れていた。
 私はコーヒーを新たに淹れると、ブラックのまま飲んでみた。苦い。眼が覚め
るような苦さだった。やはり、私にはまだブラックは早い。
 兄が、仰け反るように天井を見た。
「あぁ、ダメだ」
「やっぱり、どうかしたのお兄ちゃん」
「疲れてたのかな。なんか、すごい眠い」
「仕方ないよ。午前中は大学行ってたんだし、午後は私に付き合ってくれたし」
「いつもなら、こんなに疲れないんだが」
「寝ちゃってもいいよ、お兄ちゃん。後片付けはしとくから」
「いや、起きてるよ」
 言ったが、兄の眼は閉じていた。開く。また閉じる。繰り返していた。
393妄執のサンタクロース ◆KYxY/en20s :2007/12/25(火) 03:09:24 ID:keD01sOB
 眼を閉じる時間の方が長くなる。途端に、兄が絨毯の上に仰向けに倒れた。崩
れ落ちた、という感じだった。
 私は立つと、兄に近寄っていった。顔を覗きこむ。眼は閉じているが、呟くよ
うに口を動かしていた。
「お兄ちゃん」
 いま、起きるよ。呟いた。兄の口が、それきりで閉じた。かわりに、か細い寝
息が聞こえてくる。腰の下のクッション。兄が寝やすいように、そっと引き抜い
てあげた。寝息も、天使のような寝顔も相変わらずだった。兄のパーティーはこ
こまでだ。そして、私のパーティはここからだ。
 私は兄の横にあったワイルド・ターキーを引っ掴むと、キッチンへ足を運んだ。
ワイルド・ターキーは今日開けられたもので、まだ三分の一程しか減っていなか
った。コルクを抜き、その半分以上を流しに捨てた。それからコルクの栓をし、
流しを水で洗い流した。胸ポケットに入っていた薬包紙も、破いてゴミ箱に捨て
る。
 兄の元に戻った。ワイルド・ターキーは、その辺に転がしておいた。私はガラ
ステーブルに足をかけると、蹴り飛ばすようにどかした。衝撃で、何品かの料理
が落ちた。クリームシチュー、スパゲティ、切り分けられたブッシュ・ド・ノエ
ル。絨毯を汚した。
 頭の近くにしゃがむと、私は兄の頬を撫でた。反応はない。手の甲をつねって
も、軽い身動ぎをするだけで、起きる気配はなかった。いとしい寝顔があるだけ
だ。
 この時を、ずいぶんと待った気がする。我慢もした。三年。兄の彼女を認めよ
うとしたが、結局は許せなかった。私の方が兄のことを考えてるし、幸せにもで
きる。エッチもしたことはないが、兄に教えてもらえば精一杯がんばる。気持ち
よくしてみせる。自信があった。
 五分、寝顔を眺めた。そこで我慢ができなくなった。情欲が、止まらない。
 私は立ちあがると、ミニスカートに手かけ、引き裂いた。事前にミニスカート
とショーツ、ブラジャーには切れ目が入れてあった。脱ぎはしない。引き裂いた
まま、着ておくのだ。カーディガンも、前のボタンを弾き飛ばすように開けた。
弾き飛んだボタンが、絨毯の上を転がった。タートルセーターもたくしあげ、ブ
ラジャーも、引きちぎるように床に投げ捨てた。胸が露出する。あまり大きくは
ない。口惜しいが、あの女の方が胸は大きかった。
 兄の腰に跨り、覆いかぶさるように抱きついた。兄の寝息。そのまま兄の唇を
奪った。触れ合うだけのキス。全身が弛緩したようになり、一息おいてふるえが
走った。下半身が、きゅんとなる。小学校の頃はしてくれたが、中学に入ってか
らはキスをしてもらった覚えがなかった。唇に至っては、小学校の高学年からし
てもらってない。七年三ヶ月と十七日ぶりの、甘い感覚だ。ついばむように、何
度もした。
394妄執のサンタクロース ◆KYxY/en20s :2007/12/25(火) 03:10:06 ID:keD01sOB
 私は、兄の唇に舌を押しつけた。唇を舐めていく。兄は、なすがままにされて
いた。顔をはなすと、息と息とがぶつかった。どこか、兄を犯しているような感
覚に、私は異様な興奮を覚えていた。夢とは真逆だ。
 夢の中で、兄はいつも荒々しかった。というより、私がなすがままなのだ。兄
は処女膜をなんの逡巡もせずにぶち破り、泣く私を押さえつけて腰を打ちつけて
くる。やめて、と叫んでも、キスで口を塞がれるだけだった。
 ただ、兄に犯されることに、どうしようもないぐらいに感じていたのも事実だ
った。目が覚めた時は、必ずショーツが濡れているのだ。シーツまで濡らしてい
る日も、少なくなかった。
 きっと、兄になら何をされても感じてしまうのだ、と私は思った。それぐらい
愛してる。兄以外に犯されるなら、手首を噛み千切って死ぬ方がましだ。
 私は、兄の口内に舌を突き入れた。薄く開いていたので、ちょっと押しこむだ
けですんなりと入った。兄の舌と絡める。唾液が混じりあい、くちゅくちゅと水
音がした。兄の味。口をすぼめ、唾液をすすった。飲み下す。唾液が喉を通るた
び、胸が痛むように高鳴った。息が荒くなっていく。それが兄の息遣いなのか、
私の息遣いなのかはわからなかった。交じり合っている気もする。
 口に唾液を溜めた。兄の唇を舌で押し開き、ゆっくりと流しこんでいく。ある
程度口内に溜まると、兄は苦しそうにして、飲みこんだ。兄の、喉が鳴る。私の
唾液を飲んでいる。たまらなくなった。
 唇を繋げたまま、兄のジーンズに手をかけた。ベルトを引き抜き、チャックも
金具も外した。私は兄の腰に片手を回すと、そっと浮かせた。ジーンズを、慎重
に下ろしていく。膝まで脱がすと、そこからは裾を持って引き抜いた。ボクサー
パンツ。あと一枚。
 私は兄の足の間に体を入れると、ボクサーパンツをずり下げていった。抑えつ
けられていたペニスが、眼の前で露になった。さわってみた。まだふにふにして
いる。指ぐらいの大きさで、勃起しているわけではなさそうだった。根元を握り、
やさしく上下させた。先の、亀頭の部分をさわると刺激が強すぎるらしい。女の
クリトリスと同じだとも、エッチな本には書いてあった。
「はむっ」
 ちょっと起きあがってきたところで、私はペニスを咥えた。舐める。よくわか
らない味だった。しょっぱいわけでも、生臭いわけでもない。本に書いてあるこ
とと、違っていた。しかしこれも、兄の味だ。単純にそう思えた。
395妄執のサンタクロース ◆KYxY/en20s :2007/12/25(火) 03:10:41 ID:keD01sOB
 ペニスをしゃぶり、唾液を口内に満たした。かり首、裏すじ、鈴口。男の人が
感じる場所は、一通り頭に入れてあった。歯を立てないように、舐めていく。指
も、上下させるペースを速めた。あっ、と呟きが聞こえた。咥えたまま兄の顔を
見た。眉間に皺が寄っているが、苦しそうな表情ではなかった。どちらかと言え
ば、恥ずかしそうな表情。感じてくれたのかもしれない。そう思うとうれしくな
った。
 それからは、表情を窺いながらしゃぶっていった。
 兄のペニスが、際限なく大きくなる。次第に咥えているのが辛くなり、一度口
を離した。ペニスは、手に余るほどの太さになっていた。血管も浮き出ていて、
咥える前とは、違うもののようだ。松茸というか、かわいいイカというか、そん
な形をしている。だからイカ臭いなどと、精液の匂いを例えるのだろうか。
 私は手の動きを激しくすると、根元から裏すじを舐めあげていった。ビクビク
と、ペニスが跳ねた。亀頭まで舐めると先だけ咥え、鈴口を舌先でほじくった。
ぬるぬるとした先走りが、舌にへばりついてくる。男の人も濡れることは知って
いた。苦味のある味だ。もっと、気持ちよくしてあげたい。
 ペニスの先を舐めていると、突然兄の腰が浮きあがった。私は慌ててペニスか
ら口を離した。唾液と先走り汁が混ざり、糸を引いた。いまのが射精の前触れな
のだろう。ペニスはお腹にひっつくほど反り返り、鈴口には透明な先走りが盛り
あがっていた。
 口内に射精してくれてもいいが、はじめては膣内で受け止めたかった。意識が
あれば、兄は中出しなどしてくれないはずだ。ゴムもつけようとするだろう。そ
んなもので、兄の感触を台無しにしたくなかった。
 私はショーツに手をかけた。すでに、湿り気とは言いがたいほど濡れていた。
擦りつけていた絨毯にもしみている。ショーツを引き裂いた。
「はいる、よね」
 呟いた。兄のペニスは、咥える前の倍以上に膨らんでいた。私のぴったりと閉
じた膣口に、それが入るのか。でもあの女にもできたことだ。それが、私にでき
ないはずがない。言い聞かせた。
 兄の腰に跨り、膝立ちになった。膣口に、ペニスをあてがう。ふれた瞬間、腰
がきゅんとした。どちらの性器も、ぬるぬるとして熱かった。溶け合っていると、
錯覚するぐらいに熱い。ペニスの根元を持ち、ゆっくりと腰を下ろした。かり首
まで収まった時、痛みと共に抵抗があった。
「いくよ」
 一度、大きく息を吸った。腰を一気に落とす。軽い抵抗のあと、私のお尻が兄
の腰に打ちつけられていた。押しあげられる感触。膣の中で、ペニスが子宮口を
突いていた。
「うっ、あぁ、あっ」
396妄執のサンタクロース ◆KYxY/en20s :2007/12/25(火) 03:11:28 ID:keD01sOB
 声が漏れた。痛みで出たわけじゃなかった。兄と繋がっている。やっと、繋が
れた。そう思うと勝手に声が出た。
 私は兄と繋がっているところを見た。赤い。血が流れていた。純潔の証。ボク
サーパンツにも付着し、赤黒いしみを作っている。
 私は兄の胸板に手を置くと、腰を引きあげていった。かり首まで出し、膣口で
浅く腰を遣った。水音。膣中で、兄のペニスがビクビクとふるえていた。表情も、
心なしか高揚している。夢ほど痛みは感じなかった。最初だけで、いまはじんじ
んとしているだけだ。私の膣内が、ぬるぬるとしはじめた。
 腰を、徐々に深く遣っていった。子宮を突かれる。兄が、色っぽい喘ぎを漏ら
し出した。腰がふるえた。
「おに、ちゃん。だ、だいすきっ、だよっ。お兄ちゃんっ」
 腰を速くした。子宮を、乱暴に何度も突かれる。体の中で、迫りあがってくる
ものがあった。うあぁっ、と兄が喘いだ。ペニスがまた膨らんだ。瞬間、兄の腰
が跳ねた。私の膣内でペニスも跳ねた。熱い。思った時には、大量の精液が子宮
口を叩いていた。ビュクビュクと、ペニスが脈打っている。私は背を弓なりにす
ると、体を痙攣させた。
 視界が白くなった。



 兄の胸板で目覚めた。
 いつの間にか眠ってしまっていた。どれだけ寝たのか、わからない。数時間な
のか。数分だけなのか。
 顔だけ持ちあげた。夜は明けていないようだった。カーテンの隙間から覗く景
色は、黒一色に染められていた。庭の、おぼろげな輪郭が見える。
 兄の胸板で手を突っ張ると、上体を起こした。膣に、違和感がある。
「お兄ちゃん」
 呼びかけた。兄もまだ寝ていた。やすらかな寝顔で、寝息をたてている。腰と
腰は、ひっついたままだった。破瓜の血が、かすかに覗いている。夢じゃない。
夢じゃなかったんだ。
 ペニスと膣も、まだ繋がったままだった。私が少し腰を浮かすと、兄のペニス
がにゅるんと膣から抜け落ちた。ぞくぞくとする感覚に声をあげそうになった。
同時に、膣内にたまっていた精液も溢れる。
 赤ちゃんができない日ではなかった。もしかしたら、できているかもしれない。
ずっとペニスで膣に蓋をしていたのだ。子供など要らないが、それで兄が責任を
感じてくれるなら儲けものだった。兄は、本当の意味で私だけしか見られなくな
る。
397妄執のサンタクロース ◆KYxY/en20s :2007/12/25(火) 03:13:35 ID:keD01sOB
 リビングを見回した。この光景を見たら、兄はなんと思うだろうか。
 絨毯に転がっている、ほとんど空けられたワイルド・ターキー。乱暴にどかさ
れたようなガラステーブル。落ちて散乱している料理。衣服が裂けている私。絨
毯にこぼれた精液。血。下半身が露出した、兄と私。
 すべて、兄がしたことだ。彼女に死なれ、酔った末に妹を犯した。
 私怖かったけど、お兄ちゃんだったから我慢したよ。痛かったんだよ。はじめ
てだったんだよ。今度からは、やさしくしてほしいな。お父さんたちには、絶対
に言わないから。
 驚愕している兄に、そう私は言うのだろう。プレゼントはそれで充分だ。一生
分のプレゼントだと言ってもいい。
 ふたたび、胸板に体を預けた。兄の匂い。眼を閉じた。
 陽が昇れば、兄は私を彼女にしてくれるだろう。嫌がる私を強姦し、膣内にま
で精液を吐き出したのだ。妹の、処女まで奪った。私の言うことなら、なんでも
聞いてくれるはずだ。兄と、私だけの契り。それでいい。
「だいすき、お兄ちゃん」
 呟くと、急に体が重たくなった。兄以外のすべてが遠い。意識が、暗い世界へ
と沈んでいった。



(了)
398横じま ◆KYxY/en20s :2007/12/25(火) 03:14:31 ID:keD01sOB
支援終了
いもうとは 変態ぐらいが ちょうどいい
399名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 04:04:44 ID:/C+mi5p2
GJ!
ここといい、ヤンデレスレといい、この時間帯の投下とは
こんなに素晴らしいクリスマスプレゼントは初めてですよ
400名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 04:04:45 ID:Z1m3zsmU
夜中に起きてた甲斐があったぜ
GJ!
401名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 04:15:46 ID:x7KKq3Ev
GJ!
私も小ネタ投下しちゃいます。
402プレゼント(前半):2007/12/25(火) 04:16:58 ID:x7KKq3Ev

今からちょうど半月前のことです。姉が狂ったように編み物を始めました。
僕は「はは〜ん、クリスマスに向けて焦ってるな」などと傍観していました。
ですが、ここ数日の姉の様子は異常ともいえるほどです。寝食を忘れるほど没頭しています。
「姉さん。あんまり根を詰め過ぎると身体に悪いよ」
優しく助言したつもりだったのですが、獰猛なライオンのような瞳で返されてしまいました。
確かに目つきは悪いのですが、姉は美人です。僕がいうのもなんですけどね。
ちょっと冷たい感じのする顔立ちですが、編み物が得意でとても家庭的です。
そんな女性なのですから彼氏の一人や二人、いてもおかしくありません。
ところが男性と付き合っているという話は今まで聞いたことがありませんでした。
ですから、クリスマスという恋人達の大イベントを前に必死になっている姉を見て少し安心しました。
棒針を動かす姉の指先はまるでダンスを踊っているようで、見ているこちらまで楽しくなります。
「姉さんの彼氏ってどんな人なの?」
気になったのでだしぬけに訊ねました。姉の編み物をする手が止まります。
すると巨大水槽を悠然と泳ぐ鮫のように室内をグルグルと回り始めました。
無口な姉は困ると奇妙奇天烈な行為を始めるので、そこは直して欲しいわけです。
「あぁ……ご、ごめんね、姉さん。変なこと聞いちゃったね」
謝ってはみたものの姉はそのまま部屋を抜け出ると自室にとじこもってしまいました。
結局、誰にあげるのか、何を作っているのか。分からないままです。
お腹がすけば出てくるだろうと高を括っていたのですが、なかなか出てきてはくれませんでした。
もう二日。早いもので今日がクリスマスなのです。日は傾き夜の帳が下りるというのに姉は部屋を出ようとはしませんでした。
「姉さん、出かけるんじゃないの。ねぇ、聞いてる?」
部屋のドアをノックすると、眠たげでいっそうキツイ目をした姉がのそっと現れました。
もこもこの赤い服と帽子。
403プレゼント(後半):2007/12/25(火) 04:18:15 ID:x7KKq3Ev

「サ、サンタクロース!」
僕は目を丸くしました。まさかこんな格好の姉を見ることになるとは。それにしても。
「化粧もしないで、どうしたんだよ。彼氏、待ってるんじゃないの?」
姉は何も言いません。それどころか僕を真っ直ぐに見ようともせず、そのままダイニングに向かいました。
慌てて後を追います。姉の後姿はいつもと違い頼りなさげです。
きっと疲れているのでしょう。覚束ない足取りが僕を不安にさせます。
「……ごはん」
久しぶりに聞いた姉の第一声は、ご飯、でした。なんともガッカリというか、言葉を失います。
「姉ぇさーん、お出かけするんじゃないのぉ、ねぇ?」
僕がしつこく言い過ぎたのでしょうか。姉はフグのように頬を膨らませて威嚇するのです。
仕方がないので僕は夕食の準備を続けました。と言っても買ってきたチキンとケーキを食卓に並べるだけですが。
そもそもクリスマスだからといって二人で食事に出かける両親は少しひどいと思うのです。
我家で常識があるのは僕一人かと思うと、目から汗が滴ります。
「いただきます」
姉はつぶやくと山となったチキンを頬張ります。すごい勢いで。
僕が、はぁ、と一息つく間にチキンは丘となり地面となりました。
「ごちそうさま」
椅子を引く音がすると姉は、今度はしゃきりとした足取りで部屋に戻っていきました。
いつになく無愛想で機嫌が悪いように見えます。
僕はもうこれ以上詮索するのは止めて大人しくすることにしました。
夕食を食べ終えると歯を磨いてテレビを眺めてから僕はベッドに向かいました。
今年のクリスマスはちょっと変わったサンタには会えましたが、プレゼントはなさそうです。
電気を消すと冷たい闇が室内を満たします。睡魔がそっと襲ってきました。

目を覚ますとカーテンの隙間から雪が見えました。道理で寒いわけです。
まだよく開かない瞼を押しのけるように瞬きを繰り返します。
と、部屋の隅っこに赤いサンタの帽子が見えました。
巨大な毛糸のソックスの中にあのサンタさんがよだれを垂らして寝ていました。
404名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 04:21:08 ID:x7KKq3Ev
投下終了
ねえさんは 無口ぐらいで ちょうどいい
405名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 04:44:23 ID:Z1m3zsmU
こんなサンタが来て欲しい
406名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 04:54:50 ID:Lzdb9JLs
つまりソックスの形をした寝袋ですね。

GJ !!
407名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 07:11:28 ID:JMe+VNBr
GJ!

なんと言うクリスマスプレゼントラッシュ!



こんなキモウトが欲しいよ

こんなサンタキモ姉が靴下に入ってないかな
(;´Д`)ハァハァ
408【クリスマスプレゼント】:2007/12/25(火) 15:22:25 ID:XLl7e0+G
「――お姉ちゃんが五歳のときのクリスマスよ。パパとママにプレゼントは何が欲しいか訊かれてね」
 おねえちゃんはいいながら、ようふくをぬいでいきます。
「だから、お願いしたの。弟が欲しいって」
 6さいとしうえのおねえちゃんは、ママほどではないですが、おとなのオッパイをしています。
 びじんでやさしくてだいすきなおねえちゃんだけど、きょうはとてもこわくみえます。
「そして次の年のクリスマスに生まれたのが聖夜(せいや)、おまえよ。だから、ね……」
 おふろからあがったボクを、パジャマもきないうちにおへやにつれてきて。
 いつもライダーごっこでしているみたいに、なわとびでしばってベッドにねかせて。
 じょうだんでしてるのだとおもって「やめろよ」とあばれても、おねえちゃんは、わらってくれなくて。
 おこってるような、ないてるようなかおで「静かにしなさい聖夜」と、しかられて。
 だからボクも、いうことをきくしかなくなって。
「おまえは、お姉ちゃんがもらったクリスマスプレゼントなのよ、聖夜」
 そういうと、おねえちゃんはボクにキスをしました。
 おねえちゃんとのキスは、いやじゃないです。くちびるがきもちがいいし、いいにおいがするからです。
 でも、はだかどうしでキスをするのは、いけないことみたいにドキドキして。
「やめろよ、ねえちゃん」
 じょうだんだといってほしくてボクはわらったのに、やっぱりおねえちゃんは、わらわなくて。
「やめない。聖夜は、お姉ちゃんが嫌いなの?」
「きらいじゃない」
 ボクは、くちをとがらせます。ほんとは、きょうのこわいおねえちゃんはきらいだけど。
 それをいったら、ゆるしてもらえなさそうだから。
「きょう遊びに来てた茉莉花(まりか)ちゃんと、お姉ちゃんのこと、どっちが好き?」
「まりかは……べつに、どっちでもないよ」
 どうしてそんなことをきくのかと、ボクはおこりたくなります。
「ふうん」
 と、わらってくれたおねえちゃんだけど、それはいじわるなわらいかたで。
「茉莉花ちゃんとキスしたんじゃないの?」
「してないっ!」
 ボクは、おこっていいました。
 ほんとのことをいえば、がっこうでキスされそうになりました。でもボクはいやだといったのです。
 しょうがく2ねんせいで、こいびとになるとかキスをするなんて、はやすぎるとおもったから。
 おねえちゃんとのキスはべつです。きょうだいだからです。
「そっか」
 ようやく、おねえちゃんはわらってくれました。
「それなら焦ることなかったかな。お姉ちゃん、茉莉花ちゃんに聖夜を盗られたくなくて。でも……」
 そして、もういちどキスをされて、
「もういいよね。我慢も限界だもの。お姉ちゃん今夜、聖夜をもらっちゃうね。でも、それだけじゃないよ。
聖夜にもプレゼントをあげる。お姉ちゃんの初めて。だから、これはプレゼント交換ね」
 おねえちゃんがいっていることは、よくわかりません。
 キスはいやじゃないけど、それだけじゃゆるしてくれないふんいきです。
 くすぐられたり、プロレスわざをかけられたり、いやなこともされてしまいそうです。
 クリスマスけんたんじょうびパーティーに、まりかちゃんをつれてきたからおこったのでしょう。
 ボクだって、どうしてもとまりかちゃんにおねがいされてしかたなかったのに。
 おねえちゃんはわらってるけど、なぜだかこわくてしんぞうがドキドキします。
 でも。
 そんなおねえちゃんが、ほんとにやさしいかおになって、ボクのなまえをよびます。
「聖夜」
 ボクは「なに?」と、おねえちゃんのかおをみあげます。
「メリー・クリスマス」
 ちゅっと、ほっぺたにされたキスは、くちびるよりもやさしくて。
 やっぱり、ボクはおねえちゃんがすきだとおもいました。
【終わり】
409【クリスマスプレゼント】後書き:2007/12/25(火) 15:24:32 ID:XLl7e0+G
きのうがイヴだったんだなあ
はあ……夜勤明けで家に帰って寝るだけだったから、普通にスルーしてましたわ

というわけで小ネタでした
410名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 16:50:14 ID:XrMw5kEQ
何と言うプレゼントラッシュ
皆様GJでした
411名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 21:04:08 ID:mUtTgFdR
やばい、下半身がいきり立って動けない
412名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 23:41:31 ID:JbL7Az0t
投下します。短いです。
413変態兄貴(表):2007/12/25(火) 23:42:13 ID:JbL7Az0t
今日もいつものように俺が洗濯係だ。
洗濯機を開け、洗剤と一緒に篭の中の洗い物を一気に流し込む。
ぐふふ。これで俺とアイツの下着が洗濯機の中でぐちゃぐちゃに……
洗濯機の中をにやけながら見つめていた俺を、誰かがすさまじい力で引き剥がした。
驚いて振り返ると、赤いランドセルを背負ったツインテールの少女が立っていた。
俺の首根っこをしっかり掴んでいるこの少女は、妹の真美だ。
「ちょっと、バカ兄貴! 洗い物私のと一緒にしないでって言ったでしょ!」
真美は洗い物を次々に引き出しながら、俺を鋭く睨みつけてくる。
「もう! きもいきもいきもい! 何回同じ事言わせんのよ!」
「す、すまん。もうしないから、許してくれ」
床に土下座し、許しを請う。
が、そんな事で怒りが収まるはずもなく、真美の表情はどんどん引き攣っていく。
つり目がちの目をさらに吊り上げながら、真美は俺を罵倒し始める。
「ふん……どうせ私の下着と自分の下着が混じりあうとこでも想像して興奮してたんでしょ!
この変態! 変態! 変態!」
黄色いワンピースから覗く白い足が、俺の頭に振り下ろされる。
「いてっ! いてっ! や、やめてくれ! 許してくれ真美」
「今日という今日は許すか! この変態! 死ね! 死んでしまえ!」
「なっ! 兄貴に向かってその口の利き方はなんだ! 大体別々に洗ったら水道代が持ったいな……」
「うるさいうるさい! 口答えするな! このシスコン! ロリコン!」
口汚く罵りながら、俺を踏みつける真美。
いくら力が弱くてもこう何度も何度も踏まれるとさすがに痛い。
頭を両手で抑え、どうにか真美の蹴りから逃れようと身体を縮こませる。
だが、蹴りの威力はどんどん強くなるばかりで一向に軟化する気配がない。
このままじゃまずい……抑えきれなくなってしまう!
「はぁはぁ……真美、ほんとにやめてくれ。そうじゃないと……」
「そうじゃないと、なんなのよ」
「そうじゃないと……」

そうだ、そうじゃないと……


「勃起しちまう」


そう言った瞬間、真美の蹴りが一直線に向かってきた。
414変態兄貴(裏):2007/12/25(火) 23:43:23 ID:JbL7Az0t
今日も洗濯係は兄貴だった。って事はやる事はひとつ。
学校に行く振りをして玄関に向かい、そのまま階段の影に隠れる。
荒い息をたてながら、兄貴がリビングから玄関先の洗面所まで近づいてくる。
兄貴は洗面所に入ると、洗濯機の開き、ニヤニヤ笑いながら洗い物を一気に流し込んだ。
予想通りだ。ホント、なんで兄貴はこんなに変態なんだろう。
……いや、変態は私も同じか。
音を立てないように慎重に兄貴の背中に近づき、勢いよく首根っこを掴み、洗濯機から引き剥がす。
突然現れた私に、兄貴は驚愕の表情を浮かべる。
そんな兄貴を無視し、私は洗濯機の中に手を突っ込む。
洗濯物を一緒にするくらいで怒るなんて、って友達からもよく言われる。
でもこの変態兄貴にはこのくらいしないと駄目なのだ。
「ちょっと、バカ兄貴! 洗い物私のと一緒にしないでって言ったでしょ!」
本当はこのままにしておきたい。兄貴の下着と私の下着が混ざり合わせてみたい。
でも駄目だ。このままじゃ兄貴は駄目人間になってしまう。
私が、しっかりしないと。
「もう! きもいきもいきもい! 何回同じ事言わせんのよ!」
「す、すまん。もうしないから、許してくれ」
床に膝をつき、私に土下座する兄貴。
10歳も年下の女の子に、惨めに土下座し許しを請う大学生。
……ああ、だめ。やめてお兄ちゃん。そんなことしないで。
我慢できない。私、我慢できなくなっちゃうよ。
ゴクリとつばを飲み込み、ゆっくり足を上げる。
「ふん……どうせ私の下着と自分の下着が混じりあうとこでも想像して興奮してたんでしょ!
この変態! 変態! 変態!」
だめだ。やってしまった。結局、いつもと同じだ。
「いてっ! いてっ! や、やめてくれ! 許してくれ真美」
「今日という今日は許すか! この変態! 死ね! 死んでしまえ!」
「なっ! 兄貴に向かってその口の利き方はなんだ! 大体別々に洗ったら水道代がもったいな……」
「うるさいうるさい! 口答えするな! このシスコン! ロリコン!」
少しずつ力を加えながら、兄貴を踏みつける。
分かっている。兄貴の股間は膨らんでいる。私に蹴られる事で、興奮している。
そんな事わかってるのに。このままじゃ兄貴が余計駄目になっていまうってわかっているのに。
でも止められない。止めることなんてできない。
415変態兄貴(裏):2007/12/25(火) 23:44:19 ID:JbL7Az0t
私に踏まれながら、亀のように身を縮こませる兄貴。
そんなことされたら、余計踏みつけてあげたくなっちゃう。
どんどん兄貴を踏みつける。何度も何度も踏みつける。
ゾクゾクする。得もいえぬ快楽が私の背筋を駆け抜けていく。

お兄ちゃん……お兄ちゃん。私のかわいいお兄ちゃん。
私知ってるんだよ? 私が寝てる間に部屋に入ってきて、なにしてるのかってこと。
いつも私の寝顔見ながら鼻息荒くして、おちんちん擦ってるよね?
しかもたまに私の顔に白いのかけまくってそのまま朝まで放置してるよね? 
おまけに私が一生懸命顔ゆすいでるとこみてまたおちんちん大きくしてるよね?
そのあと洗い物取りに行く時、私のパンツのにおい嗅ぎながらトイレでシてるでしょ?
私知ってるよ。全部知ってるんだから……

「はぁはぁ……真美、ほんとにやめてくれ。そうじゃないと……」
「そうじゃないと、なんなのよ」
「そうじゃないと……」
額に脂汗を滲ませながら、私を見上げてくる兄貴。
その子犬のような瞳に、私の加虐心は一気に燃え上がった。

お兄ちゃん、ホントは嬉しいんだよね?
こうやって私に蹴られるの、嬉しいんだよね? だからわざと私を怒らせてるんだよね?
分かってるよ……お兄ちゃんが嬉しい事は、私にとっても嬉しい事だもん。
小さい頃から私をかわいがってくれて、何でも言う事聞いてくれたお兄ちゃん。
私がいないとダメダメな、妹に欲情しちゃう最低のクズお兄ちゃん。
大好きな、大好きな私だけのお兄ちゃん。
だからお兄ちゃんが次に何を言って、どうして欲しいのか、私ちゃんとわかってるよ。

意を決するように私の目をしっかり見つめ、兄貴はつぶやいた。

「勃起しちまう」

それを聞いた瞬間、私はひざまずく兄貴に向かって空手で鍛えたローキックを繰り出した。
蹴りは見事に鼻に当たり、兄貴は勢いよく吹き飛んだ。

ほら、やっぱりね。
でも、これもお兄ちゃんの望みなんだよね?


だって、お兄ちゃん、嬉しそうに笑ってるもん。
416名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 23:44:51 ID:JbL7Az0t
ごめん。思いついて書いちゃった。今は猛烈に反省している・・・
417名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 00:47:20 ID:suO3tS2a
GJ!






なんて言うと思ったか?




GREAT JOY だ
続編があればサラ2倍
418名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 01:45:47 ID:D3q4/U6P
勃たざるを得ない
419名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 12:33:39 ID:3oip145z
>>408
GJ!
弟と俺の名前が同じだw

>>413
GJ!
420名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 15:13:09 ID:cUgQ/v9f
ほしゅ
421名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 16:05:58 ID:eNrdxmvS
hoshu
422名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 17:17:04 ID:PlTVnskB
423名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 18:13:43 ID:hqJkxkuE
ほしゅ
424名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 20:33:27 ID:imijhGqI
保守
425名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 01:19:12 ID:Y1aV5xWS
第2保管庫は年内にまとまらなそうだな
がんばってくれ
426名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 02:59:38 ID:z7wLfMiU
上げ
427名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 10:16:23 ID:3PUQDt+J
なんか廃れてきたな…
全盛期が懐かしい。淫獣や桜の網はもうこないのかなぁ…
428名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 13:18:54 ID:iZ8Y8aVD
お前が書け
俺も書く
429名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 13:24:26 ID:DXE3HLqa
兄が妹(キモウト)の事を最初から物凄く嫌いだったら、どんなストーリーになるのかが気になる今日この頃…
430名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 14:55:04 ID:ME7vauW4
>>429
どんなに嫌おうと最終的にはハッピーエンドで終わるよ^^
431名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 17:38:05 ID:WRLpj29U
どういう経緯で嫌いになったのかも重要だよなぁ
大事にしていた金魚に洗剤を食べさせたとか、兄の下着で自慰していたのを目撃して嫌悪感を抱いたとか、はたまた妹のちょっとした不注意で両親が死んでしまったとかetc,etc
432名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 17:51:28 ID:gbey7T3t
過去のトラウマで兄(弟)に依存するけど、それはあくまでも依存であって、男性に対する愛情ではない姉(妹)
…こういうのはキモ姉妹というのか?それともただの依存系?
ちょっと聞きたい

散々既出だったらすまん
433名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 18:13:22 ID:WRLpj29U
依存系に一票、愛情がなければ一番身近にいる兄(弟)を身寄りにしてるだけだと思う
トラウマを癒やす過程で、気付いたらいつも自分を支えてくれた兄(弟)に恋心を抱くというならキモ姉妹になりえると思う
まぁ俺の意見は参考の一部にでもしといてくれ
434名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 20:31:47 ID:ycztmC6g
俺も男と見て愛を感じてなければただ寄りかかってるだけだと思う
治療する過程で兄(弟)を慕うってのも、他の男でも入り込む隙があるから微妙かもしれん
家族の無償の愛みたいなのが、異性としてもあるってのがキモウト、キモ姉の強みだと個人的には思うよ
慕う理由があんまり重いと依存方向に流れるのかもなあ
435名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 20:37:55 ID:VeO/91Qr
キモ姉のSSだと依存してる感じの弟はよくあるな
436名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 21:14:31 ID:zvzsv27h
キモ姉&キモウトと主人公の平坦な日常を淡々と描くような物語って
このスレじゃあスレ外なんですか?

437名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 21:15:37 ID:cPCksmwl
スレ内スレ内
438名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 21:23:25 ID:zvzsv27h
スレ内ならなんかキモ姉&キモウト小説を書いてみようかな
軽いキモ姉&キモウトのプロットの組み立て、キャラクターを考えてと

問題はこのスレ風に作品を作らないといけないから大変ですね

439名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 22:00:10 ID:W/UVD89g
>>438
ガンガレ。俺も平坦な日常って好きだから期待してる。
440名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 22:06:24 ID:iZ8Y8aVD
何も必ず一山二山ないとダメってわけじゃないしね
441名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 22:18:24 ID:/z0hd35y
正直、ハーレムものはちょっと萎える。
442名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 22:20:32 ID:VeO/91Qr
泥棒猫が出てきたら複数ものってことにはなるぜ、ハーレムではないだろうけど
443Slave:2007/12/28(金) 01:41:25 ID:6TDelmRC

僕には一人、妹が居る。
聡明で、可愛らしい、何処に出しても恥ずかしくないような妹だ。
誰からも褒められる彼女の存在は、兄としてはとても誇らしく、まるで自分の事のように嬉しく思えていた。

でも、反面。そんな妹の存在が、僕という人間を社会的に追い詰めていっているのも、事実だった。



僕は、妾腹の人間だ。

父はこの国――日本でも随分と名の通った名家の現当主で、国内有数の製薬会社の社長としても有名な人だ。
先祖は元々藩お抱えの優秀な薬師で、明治維新後も脈々と続いていたその優れた血筋と腕。そして長年にわたって培われた知識を当事の政府に買われ
海外へと留学へ行き、そこで学んだ技術を元に建てた研究所の真似事のようなものが、今の原型らしい。
そして、戦後の高度経済成長期。その荒波の中でこの規模まで育て上げたのは、先代の社長・・・・・・今はもう亡くなってしまった、僕のおじいちゃんに当たる人だ。
一度だけ、まだ生きている時に出会ったおじいちゃんの印象は、ただとにかく恐ろしいだった事を覚えている。
僕は当事まだ4歳だったけれど、あの見るもの全てを萎縮させるかのような瞳は、いまだに僕の脳裏に焼きついていた。


・・・・・・話がそれた。
そんな、由緒ある血筋と権力を持った父に対して、僕の母――社会的な立場では、父の愛人になる――は一般的な片田舎の、農家の娘だ。
素朴で、平凡で、何処にでも居るような、ただ、優しさと明るさだけが取り得の母。
別に母の生家も、昔その当たりを支配していた庄屋とか、そういった物ではなく、まともな家計図も残らないような、一般的な農家でしかない。
なぜそんなまるで接点の無さそうな父と母とが出会ったかというと、なんてことはない。
母の出身地である村は、父の(当事はおじいちゃんが経営していたが)製薬会社の研究所が置かれているところで、夏の間、避暑のために幼い頃の父が遊びにきていたらしい。
そこで、父曰く、「運命の人にであった」という事だ。
何をどう気に入ったのかがわからないが、父はそこで両親と一緒に農作業していた母に見事に一目ぼれし、熱烈なアタックの末、その夏の内に母の愛を勝ち取ったというわけである。
その後も、毎年夏に父は母の元を訪れ、そんな慎ましやかな恋を粛々と育て上げ、結婚まで約束し、あとはもう、結婚可能な年齢になるのを待つばかり。
でも、そんな恋路はやっぱり許されはしなかった。
444Slave:2007/12/28(金) 01:42:47 ID:6TDelmRC
紆余曲折あったらしい。
父も母も、かたくなに口を閉ざして、その辺りのことを話そうとはしないから、僕もどうなったかはわからない。
結果として、母は父の愛人という座に収まり、父の正妻は、何処からかとついで来た良家のお嬢さん、という事になっている。



そして、妹は、父とその正妻――文子さんとの間に出来た子供だった。



重ねて言おう。妹は出来がいい。
可憐な容姿。機知に富んだ思考。人並み以上の運動能力。
誰からも好かれ、誰からも愛される。まるで、天使のような、そう、兄としての贔屓目を抜いて見ても素晴らしい妹だ。
だからこそ、そんな妹の存在が僕を苦しめる。


長男とはいえ、妾腹の子・・・・・・自ら光輝くことの出来ない、月にしか過ぎない僕に対して、妹はその輝きで万物をあまねく照らす太陽のような存在で。
その光は、僕という人間の負の部分すらも照らし、暴き出す。

親戚一同誰もが羨望と期待の眼差しで妹を見て、親戚一同誰もが侮蔑と嘲笑の眼差しで僕を見る。
そんな視線に耐えながら、僕はこの13年間をずっと生きてきた。




ただ、先に断っておくと、僕は妹を決して恨んだり、妬んだりなどしていない。
人から見れば、不思議に思われるかもしれないけれど、不思議と僕は妹のことを嫌いになれないのだ。
理由はわからない。でも、誓っていえる。彼女が生まれ、そして今現在にいたるまで、僕は妹に対して負の感情を抱いたことなんて、一度も無い。
そう、間違いなく、ないんだ。
445完結できない人:2007/12/28(金) 01:45:26 ID:6TDelmRC
さて、以前、続きは近いうちに――とか遺してそのまま行方をくらましたものです。

覚えてる方がいらっしゃるかどうかわかりませんが・・・・・・
実をいうとぶっちゃけ詰まってしまったので再構成したものの書き始めをここに投下しておきます。

ここから始まり、以前投稿した部分を経て、終わりへと辿り着く予定です。


長くなるかとは思いますが、とりあえず続きは近いうちに落としますので・・・・・・
こんどは行方をくらましたりしないよ!
446名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 02:54:38 ID:MkhzG8Ya
んー、いい感じにプロローグだねえ。妹の性格はまだわからんが、すばらしいキモさを見せてくれるでしょう。
がんばれー。
447名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 07:44:37 ID:XqK/7zej
>>445

wktkしてまってまっす
448名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 13:44:00 ID:Tw3U+89j
いもうとに
自由と服を
剥ぎ取られ
449名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 15:42:17 ID:HMJ6bKGq
>>445
懐かしいGJ!
450名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 17:42:47 ID:5x/p3/+j
いとこ同士が鴨の味なら
身内同士なら一体何の味になるんだろう
451名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 00:11:25 ID:+q3kL8n6
俺「八歳と九歳と十歳と!十二歳と十三歳の時も僕はずっと!待ってた!」
母「な、何を…」
俺「存在すら知らなかった実姉との劇的な再開だろ!?」
母「ああっ!」
俺「血の繋がなって妹もだ!ママンの再婚相手の連れ子だって待ってた!」
俺「あんたはキモ姉妹の代わりに、残ったローンを息子にくれるのかよ!!」
452名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 00:18:15 ID:CEG5JPyr
>>451
ジョン帰れ!!
453名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 01:09:32 ID:3h+CveC6
>>448
僕は目覚める
キモウトへの愛に
(字余りorz)
>>450
味覚は人それぞれなので
是非自分で試してみて
報告を願う

>>451
犯れよ、バロンズゥ!
454名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 02:21:17 ID:s3zSxmUX
このスレの人達にイイコ姉さんから一言
455名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 02:21:56 ID:eM7vbx3R
勇うううううううううううううううううううううう!!!
456名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 02:42:50 ID:hPgDdklH
なんか、今更何ヵ月も前の作品を投下するのは気が引けるのな…
457名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 02:56:00 ID:NkL8W2W4
>>456
気にするなぁ!!

さぁここにぶちまけるんだぁっ!!
みんなもぶちまけて欲しいと思ってるに決まってるさ!!
458名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 03:05:11 ID:GTKLieIe
逆に投下してくれない事の方が読んでる側には辛いんだぜ
459名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 03:36:16 ID:iRwn8h/4
>>456
この板には3年越しで復活した作品もあるんだぜ。
460名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 08:21:50 ID:DTQZUZ5z
一度でいいから見てみたい
キモ姉がオナニーするところ
461名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 11:09:11 ID:soX1rJ1P
>>448
新春キモ姉妹カルタですか?

姉の愛
当たり前だと
教えられ
462名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 14:40:26 ID:qbGcxFNn
>>461
気づけばすでに
両親おらず
463名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 16:57:28 ID:kqsbsWmp
綾のSS書いた人、嫉妬避難所に投下してた
464名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 19:56:36 ID:v80OIWai
>>445
以前投稿した作品のタイトルは何て言うんですか?
465名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 21:54:33 ID:z1YBrkUa
>>451
11歳の時には夢がかなってるじゃねえかw
466名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 02:04:11 ID:L8HRU77b
キモ姉妹カルタね

腕にだく
姉の体は
柔らかく
467名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 02:22:14 ID:sDUmwf5A
妹よ
妹妹
妹よ

あ、これキモ兄だ
468名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 02:26:26 ID:d0Q3qFlJ
エロ本の
代わりに使えと
義妹の下着
469名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 02:32:46 ID:3tWJer/W
義妹は
あまり良くない
このスレで
470 ◆/waMjRzWCc :2007/12/30(日) 02:59:52 ID:G4eLCM2g
久しぶりに投下。
年越す前に出来て良かった…
471理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/12/30(日) 03:00:23 ID:G4eLCM2g
「第一段階は上手く行ったみたいね」
一人の部屋で御神弥子はそう呟く。
神代と織部修を引き合わせるのは上手く行った。
ここまで早急に手を打たなくてはならなかったのは、織部修の回復力が高かったからだ。
あの子は貧血を怪我のせいだと思ってるけど、実は違う。
既にあの子の傷は退院できる程に治っているのだ。
だから、眠っている間に細工をしておいた。
多少の血を抜いておいたのだ。
注射の傷は点滴をしていたからごまかせる。
しかしあまり長引かせるのも無理が有る。
織部理緒…だったかしら?
に怪しまれるだろう。
回文、その名前の意味は…おそらく輪廻。
収束せず、無限に繰り返される世界。
父親はこの姉弟に何をさせたいのかしらね。
終わらせたいのか、それとも繰り返したいのか。
ま、私には関係の無い事だけど。
織部修はしばらく自由にさせておきましょうか。
もちろん布石は打っておくのだけれど。
来るべき時にあの子がどんな選択をするのか…
あの子がどう変わるのか。
それを考えただけでゾクゾクするわね。
もしあの子が父親の希望通りなら…
私もその中に囚われてしまうかもしれないわね。
それも楽しそうなんだけど…ね。
472理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/12/30(日) 03:00:52 ID:G4eLCM2g
やっぱり私は人の下につくより、絶対的な隷属をさせる方が性に合ってるしね。
今の所私を満足させているのは聖の他には二人だけ。
他なんて玩具にすらそぐわない人ばかり。
その点で言えば織部修には期待してるけど…
まぁ…あれよね。
私程度に従う様なら例え終わらせる者だったとしても無様な姿を晒すだけよ。
その程度の存在に歪みきった一つの世界を閉じる事はできないわ。
何にせよ私は楽しませて貰うわ。
観客兼役者っていう微妙な役どころだけどね。
「考え過ぎて疲れちゃったなぁ。こういう時は…聖!ちょっと来なさい」
「弥子様?何か御用でございますか?」
「そんなに離れてないでもっと近くに来なさい」
頭の上に疑問符が出そうな顔で近付く聖。
近付ききった瞬間。
むにゅ〜…
「ひゃ、ひゃにをなひゃいまふ!?」
「聖、貴女もう少し笑った方が良いわ。折角可愛いんだから」
口を上に上げさせる。
「神凪程笑えとは言わないけど、少しはね。でないと笑い方を忘れるわよ?」
ぱっと手を離す。
少し潤んだ聖の目が可愛かった。
「笑い方など…とうの昔に忘れました」
「ふ〜ん…でも、鳴き方は忘れて無いわよね?後で私の寝室に来なさい」
473理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/12/30(日) 03:01:18 ID:G4eLCM2g
朝の日差しが差し込んで来た。
眩しさに目を細めながらゆっくりと起き上がる。
もう、朝か…
俺は窓を見ながら昨日の幻想を思い出す。
あの中の俺はただ囚われていただけだった。
理緒姉の檻に…というより、理緒姉自身に。
俺は消えない不安に苛まれ、混乱して…
理緒姉を壊してしまいそうだった。
俺が、俺自身の手で…
「しゅ〜う〜くんっ!」
「うわっ!」
「えへへ、びっくりした?」
俺の目の前には、理緒姉が居た。
さっきまで考えていた事のせいで、理緒姉の顔がまともに見られない。
「修くん?どうしたの?もしかして…久しぶりにお姉ちゃんに会って照れてるのかな?」
「ち、違うって。久しぶりったって一日ぶりじゃないか」
俺がそう言った途端に頬を膨らませる理緒姉。
「お姉ちゃんは一日…ううん、一秒だって離れたくないんだから!家に修くんが居なくて…寂しかったんだから」
「っ!」
今の理緒姉の言葉に、俺の体はビクリと反応した。
理緒姉が発した言葉は、昨日俺が見た檻そのものに感じられたからだ。
「 」
理緒姉が何か言っている。
頼む…今は話しかけないでくれ…
「 」
駄目だ…早く、俺から離れてくれ!
474理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/12/30(日) 03:02:26 ID:G4eLCM2g
「 」
もう何も言わないでくれ…
「理緒姉…離れてくれ…」
「どう…して?」
やっと、まともに聞こえてきた。
「お願いだから…」
俺の体は理緒姉を壊したいと、壊してしまえと言っている。
「…修くん、今日はもう退院できるんだって。だから、先に家に行ってるから、絶対帰って来てね」
「約束…するよ…」
理緒姉が部屋を出ていく。
「泣かせた…かな」
でも、理緒姉を壊してしまうより良い。
…俺はどうしたら良いんだ?
退院、出来るんだったな…
外に出れば何か変わるかな…
そう考えて着替えと準備を終わらせる。
「退院おめでとうございます」
「神代さん…」
「院長から伝言です」
…御神さんから?
「もし何か有ったらすぐに私の所に来て下さい。ただし、必ず一人で」
「何か有ったら…?」
怪我の事とかか?
それとも、別の何かなんだろうか。
「院長からの伝言は以上です」
「…ありがとうございました」
「それでは、また」
神代さんは軽く微笑んで俺から離れて行った。
ん…?
あの人、またって言ったよな?
また入院しろって事か?
そういえば態度もそっけなかったし…
まぁ…いいか…
今は理緒姉の事を考えないと…
475理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/12/30(日) 03:04:10 ID:G4eLCM2g
病院を出て、なんの代わり映えもしない町を歩く。
すぐに家に帰る気にはなれなかった。
公園には、冬華ちゃんが居るかもしれない。
今は冬華ちゃんに会うのも避けたい。
俺は…俺の名前は何を求めているんだ?
逃げていては、駄目なのか?
「名前に縛られて生きる必要はありませんわ」
御神さんの言葉が頭をよぎる。
でも…逃げようとしても縛られる。
なら…立ち向かうしか無い。
帰ろう。帰って理緒姉に会ってみよう。
そう決意して家へと向かった…
476理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/12/30(日) 03:06:51 ID:G4eLCM2g
どうして…?
私、修くんに嫌われたの…?
あんなに真剣に「離れてくれ」だなんて…
私は…もういらないの?
どうして…?
どうしてっ!私は気が狂いそうな程愛しているのに!
今だって…あの一言だけで胸が、私自身が張り裂けてしまいそうなのに…
どうして側に居てくれないの?
このまま離れて行ってしまうの?
そんなの…そんなのいやぁ…
どんっ
…何かぶつかった?
…それどころじゃない。そう思って通り過ぎようとする。
「おいねぇちゃん。人にぶつかっといて挨拶も無しか?」
人…?ゴミか何かの間違いでしょ?
「ねぇちゃんなかなか綺麗じゃねぇか。ちょっと俺に付き合えよ」
下らない…どうして修くん以外の男ってこうなの?
ゴミはゴミらしく棄てられてればいい。
「こっちに来な」
無理矢理人気の無い所に連れて行かれる。
こんなことしてる場合じゃないのに…
段々と怒りが感情を支配していく。
「へへ、こんな服着てんだ、男誘ってんだろ?俺が相手してやるよ」
なんでそう人の外見と自分の下半身でしか物を考えられないのかしら。
頭に来た。
お前はゴミだって事を徹底的に思い知らせてやる。
477理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2007/12/30(日) 03:09:38 ID:G4eLCM2g
男は無抵抗な私を見てのこのこと近付いてくる。
ニヤニヤと下卑た笑顔をこちらに向けながら。
私を掴もうと手を伸ばした。
その瞬間、思い切り膝を突き上げる。
ぐちゅりと、何かが潰れた様な感触。
下卑た笑顔は一転して驚愕と悶絶が混じった苦痛の表情へと変わる。
「いぎぃぃぃぁぁぁっ!」
聞くに耐えない虫の様な声。
あまりにも五月蠅いので顔面を蹴りつける。
「あぐぁっ」
情けない…なんでこんなゴミが生きているのかしら。
このゴミ、ゴミ、ゴミ、ゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミゴミ!
気付けば目の前のゴミはぴくぴくと動いているだけだった。
「これで終わりだとでも思ってるの?」
足を持ち上げ、膝を踏み付ける。
「ゆるひて…もう…」
「ゴミ相手に許すも許さないもあるわけ無いでしょ?」
全体重を膝にかける。
ボキリと、骨の折れる音が響く。
「ぁあぁああぁあ!」
喉からありったけの叫びをあげる。
男はまともに動けず、地面を這ってでも逃げようとしていた。
その姿は芋虫の様で、私を急激に冷めさせた。
つまらない…
やっぱり私には修くんしか居ない。
理由を聞いてみないと…
私の勘違いかもしれない。
早く家に帰ろう…
478 ◆/waMjRzWCc :2007/12/30(日) 03:11:15 ID:G4eLCM2g
投下終了。
流れに乗って一句
姉の愛
重過ぎる故に
美しく
字余り。
479名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 06:10:51 ID:54saVVuC
理緒の続き来てた(・∀・)
480名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 09:50:15 ID:CjbFgMkz
気がつけば
ドアから覗く
2つの瞳(め)
481名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 10:31:21 ID:MOn89WMd
やめてくれ
姉さん俺もう
できないよ
482名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 11:33:06 ID:5G1itNhO
>>478
GJ!
理緒姉がまたいい感じに壊れてきたなw
483名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 11:42:44 ID:d0Q3qFlJ
>>478
GJ!
理緒姉キモカワイイよ
カワイイよ

悲しみに
涙こらえて
血を流す
484名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 13:32:07 ID:ZiCeh1cf
愛してる
私が一番
誰よりも
血の繋がりは
関係ないわ
485名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 13:44:46 ID:+ws+rwEs
このまま新春までにキモ姉妹百人一首ができそうだな。

寝てもなお
弟包む
姉の香

下の句ヨロ
486名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 18:09:14 ID:LeSfsDE7
>>485
瞳開けば
姉の柔肌
487名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 19:01:07 ID:LHYO0wLZ
新年が待ちきれないスレと聞いてすっとんできました

キモ姉が
俺の布団に
忍びこみ
朝目が覚めると
股間が痛い
488名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 19:25:03 ID:VLHbt9Zi
なんでだろ
このスレ俳句に
なってるの
489名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 19:37:51 ID:zbvkZ8qr
>>488
正月が近いからさ。
490名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 20:17:46 ID:FYHBMATy
>>489
空気嫁
嗚呼空気嫁
空気嫁
491名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 20:48:07 ID:WuZmPtWM
なぜだろう
ゴミ箱の中
いつも空
捨てても捨てても
気づけば綺麗
492名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 21:03:52 ID:+8ZIqx70
気がつけば
俺のブリーフ
新品に
古い下着は
何故姉の部屋?
493名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 21:04:24 ID:XbbBBSOT
愛してる
姉さんのこと
愛してる

さあ言ってみて
ほら言いなさい!
494名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 21:24:31 ID:Juq4K46K
>>493
兄妹で
恋愛キモイ
病院へ
495名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 21:28:39 ID:+8ZIqx70
>>494
鉈か鋸
496名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 21:30:37 ID:XbbBBSOT
キモければ
キモいほど良い
愛がある

それがキモ姉
またはキモウト
497名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 21:31:12 ID:EqKR8W5J
命賭け
守った操を
散らす夢
498名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 21:33:56 ID:CjbFgMkz
おしょうがつ
いとしのせのきみ
うちにくる
499名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 22:00:51 ID:sDUmwf5A
しのぶれど
色にいでにけり
わが恋は
兄はどこかと
人のとふまで
500名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 23:05:55 ID:y2xV9OqX
この流れだと来年は
キモ姉妹で歌会始だな
501名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 23:08:14 ID:+8ZIqx70
>>500
当然その後姫初めとな?www
502485:2007/12/30(日) 23:17:47 ID:PfmGxgGC
>>486
GOD JOB!!
ティンコたった。
503名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 00:40:58 ID:mcXUsgef
兄さんよ
ああ兄さんよ
兄さんよ
あんあんああん
あんっんあああ
504名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 01:03:48 ID:pgAH+5Iu
キモ姉妹カルタネタを送りバントした俺が、ひとつ気になった事を言ってみる。

埋めネタに
保管するのは
大変だ

もひとつ

キモウトを
欲しい俺には
いないんだorz

下の句お願いします
505名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 01:07:30 ID:PzdoAqPN
>>504
しかし脳内
無限のキモウト
506名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 02:21:48 ID:vFxmIhMf
その妹は妄想で出来ていた
507名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 03:35:27 ID:gVzXbbsX
どうか嘆かないで。
世界があなたを愛さなくても、キモウトはあなたを愛します。

どうか嘆かないで。
あなたが世界を愛さなくても、キモ姉はあなたを愛します。

だから教えてください。
あなたはどうしたら、キモ姉妹を愛してくれますか?
508名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 03:42:45 ID:wm/O3Dt/
ちょっwww型月とひぐらし混じってるwww
だが悪くない!
キモウトの兄に対する心の嘆きを一句↓
509名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 08:04:21 ID:uPbB/7Y6
妹よ
どうして俺に
刃を向ける
510名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 08:25:42 ID:mcXUsgef
>>509
俺は死ねない
あいつが待ってる
511名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 08:38:32 ID:wm/O3Dt/
お兄ちゃん
どいてそいつを
殺せない
512名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 10:51:42 ID:YTK5/a1I
明らかに投下しにくそうな流れだな
513名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 13:11:04 ID:mcXUsgef
>>512
> 明らかに投下しにくそうな流れだな

妹よ字余りだな。だがそんなうっかりもまたよし。
本日3度目の投稿のお兄さんが直してやろう

明らかに
投下しにくい
流れだな

下の句任せた!
514名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 13:58:13 ID:wm/O3Dt/
ここは静かに
投下を待とう

つい書いちゃったが>>512は句を書いたつもりじゃなくスレの流れを心配しただけだろう
確かにスレ投下しにくい流れだからな
ちょっと自重すべきなのかもしれない。でも楽しいんだよなぁ…
515名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 14:21:43 ID:mcXUsgef
>>514
ごめん、わかってたんだけど流れが悪くならなければと思って…
うん、俺は自重する。
516名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 14:37:55 ID:07R/9L9w
知るかボケ
流れを悪く
すんなボケ
517名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 14:38:58 ID:O5y60nNr
【審議中】
    |∧∧|       (( ) )(( ) ) ((⌒ )
 __(;゚Д゚)___    (( ) )((⌒ ) (( ) )
 |⊂l>>516 l⊃ |     ノ火.,、 ノ人.,  、ノ人.,、
  ̄ ̄|.|.  .|| ̄ ̄    γノ)::)γノ)::) γノ)::) 
    |.|=.=.||       ゝ人ノ ゝ火ノ  ゝ人ノ
    |∪∪|        ||∧,,∧|| ∧,,∧ ||  ボォオ
    |    |      ∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧
    |    |      ( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` )
   ~~~~~~~~     | U (  ´・) (・`  ). .と ノ
              u-u (    ) (   ノ u-u
                  `u-u'. `u-u'
518名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 16:19:00 ID:BspLCN+s
>>517を見た瞬間、審議中の方々が全員
>>516のキモ姉に熨されてる場景が浮かんだ俺は末期
519名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 16:25:50 ID:OU8LMpoi
冬コミで綾の本ゲットしたぜ!
520名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 16:44:57 ID:wm/O3Dt/
>>519
えっ?ちょっとマジでなにそれ?詳細を詳しく聞こうじゃないか(脱ぎ脱ぎ)
521名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 17:34:32 ID:otx3NY0A
これは報告を期待せざるをえない
522名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 18:02:18 ID:vPPzhqt7
俺も買ったが内容には変わりないみたいだな
表紙なかなかかわいい
523名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 18:26:06 ID:LpPud76X
うpうp!
524名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 18:41:46 ID:o3BKZexT
うpはだめだろう
525名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 21:12:13 ID:OU8LMpoi
綾の本は522でいうとおり中身に大きな変更は無し。
ただ、パソコンを立ち上げずともおはようからおやすみまで綾たんと一緒にいられるんだぜ。
526名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 22:14:02 ID:RYTwrIMJ
>>525
せめてサークル名だけでもっ・・・!!
527名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 22:16:13 ID:2/Yo1Taa
さ、そこに横になりなさい
除夜の鐘にあわせて108回突いてね
今年分の煩悩は払っておかなきゃね
そのまま姫始めだから頑張ってね
お年玉に期待しているわ
528名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 22:22:42 ID:Cpngk3wR
おにぃ、わたしには108回出してね。
529名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 22:23:11 ID:OU8LMpoi
>>526
http://oyuki.lix.jp/
ここですよ
530名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 23:30:07 ID:jJGjob+o
>>529
俺は526ではないけどもこれは初めて知った。
綾シリーズの作者さんってHP開いてたのか・・・。
まあ知ったところで地方民の俺には関係のない話だがなorz
531名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 23:50:39 ID:vPPzhqt7
職人も住人も一年間お疲れ様
来年もよろしく

キモウトの成分解析結果:

キモウトの48%は見栄で出来ています。
キモウトの38%は魂の炎で出来ています。
キモウトの12%は優雅さで出来ています。
キモウトの2%は情報で出来ています。
532名無しさん@ピンキー:2007/12/31(月) 23:58:00 ID:vPPzhqt7
キモ姉の成分解析結果:

キモ姉の48%は記憶出来ています。
キモ姉の45%は勢いで出来ています。
キモ姉の7%は宇宙の意思で出来ています。
533【姉兄妹どんぶり】:2008/01/01(火) 10:43:44 ID:DbDac4Hq
 ねえ、お姉ちゃん。
 去年のお兄ちゃんの姫初めはお姉ちゃんだったでしょ?
 今年は、私に譲ってほしいな。
 その代わり、キスとフェラの最初はお姉ちゃんね。
 ……え? お尻?
 どっちの? お兄ちゃんの、それとも私たちの?
 お姉ちゃんはどっちがいい?
 ……犯すほう?
 じゃあ、私はお兄ちゃんに犯してもらうほうね。
 今年も二人で協力して、よその泥棒猫からお兄ちゃんを守ろうね、お姉ちゃん♪
534名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 11:34:36 ID:BMyTSpKt
>>531-532
なんか当たってなくもないな。
535名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 17:44:04 ID:hJPGou5n
姫始めの次は書初めか
536名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 18:32:29 ID:3imcMYn5
カキ初めだな
537変名おじさん ◆lnx8.6adM2 :2008/01/01(火) 22:43:13 ID:w+tElTVa
投下させて頂きます
思い立って元日中に書き上げようとしたので、どうもキモ要素が低いです
538憑き人(つきびと):2008/01/01(火) 22:45:01 ID:w+tElTVa
初夢に死んだ姉さんが出てきた。
ベッドから起き上がり、ひどく重い肩を回して首を鳴らす。

「・・・・・・なんだったんだろ」

勉強机の上に置かれた写真立て。
その中で笑っている姉さんが死んでからもう一週間近く経つ。
雪の降ったクリスマス、
素敵なプレゼントと一緒に会いに来ると言った姉さんはダンプに跳ねられて轢死した。
原型は留めてなかったらしい。
警察から届けられたぐしゃぐしゃの小さな箱と、
中に入っていた血が染みてほとんど読めない僕宛のクリスマスカード。
そして小さな指輪。
姉さんが伝えたかったことを知る術のない僕は、
せめてと思ってその指輪をいつもはめている。
不思議と、サイズは薬指にぴったりだった。
そのせいだろうか。
年明け一番の夢に、満面の笑みで僕へと抱きついてくる姉さんを見てしまったのは。

「重いなあ」

姉さんは絵に描いた完璧の文字が人になったような人物だった。
長身のモデル体系に記憶と発想に優れた頭脳。
両親の遺伝子を分割せずにそのまま足したような運動能力。
優しい、いつだって僕のことを気にかけてくれた性格。
ほんの少しだけスキンシップは過剰だったけど、
姉さんの弟に生まれたのは恵まれていたんだな、と今でも思える。
だからこそ胸に空いた穴は大きくて、
友人の励ましや両親の懸命に耐える姿、
落ち込んでいる自分を叱咤する声を幾ら投げかけても、その隙間を埋められない。
何をするにも手につかず、
大切な人の重さがなくなった時、こんなにも心がふわふわするのだと実感する。
風が吹けば今ここにいる自分が消えてしまいそうな浮遊感。
ずっと一緒に生きて来た相手を失って、
自分の一部を切り取られたように生きている感覚が薄い。



「おはよういっちゃん!」



そのせいで、ノックもなく開かれた扉から聞こえてきた声には本当に驚いた。

「は・・・?」

だって、それは確かに聞きなれた声で。
でも、それはその声ではあり得ない言い方だったから。

「いっちゃんいっちゃんいっちゃんいっちゃんいっちゃぁぁあああん!!」

腹部に衝撃。
ベッドに押し倒されて、視界に黒髪が舞う。

「・・・ハル?」

触れそうな距離に輝くような笑みを近づけてきたのは、妹。
垂れた長髪が僕の顔にかかる。

「あ〜〜、いっちゃんだぁ。この匂い・・・凄く久し振り。会いたかったよいっちゃん!」
539憑き人(つきびと):2008/01/01(火) 22:46:11 ID:w+tElTVa
?を頭上で乱舞させる僕をよそに、髪に隠れた額が胸に押し付けられた。
シャツ越しに高速で擦られ、妹のつむじの向こうでちょっと荒い鼻息が鳴る。

「えっ・・・と、ハル、どうしたんだ? いきなり」

理解出来ない状況に、素直に心情を吐露した。
ハル。僕の一つ下の妹。
少しブラコンの気があるのが兄として、少なくとも唐突にこんな真似をする奴ではない。
どちらかと言えば物静かで楚々とした佇まい、
黒髪を垂らして静々と歩くようなのが僕の妹のはずだ。
僕をいっちゃんと呼び、こんな言動を取るのはまるで────。

「私はハルじゃないよ、いっちゃん。忘れたの?
 私はいっちゃんを世界で一番大好きな、たった一人のお姉────────あれ?」

急に。
見てる方が驚きそうになる勢いで顔を上げた妹は何かを言おうとして、
呆けた顔で動きを止めた。

「っ!」

かと思うと、その全身がぱっと輝いた────ように見えた。
反射で目を瞑り、目蓋を撫でる光が収まってからゆっくりと開く。
焦点の合ってない妹の瞳と目が合った。
さっきまでの陽気というか活気さが消えている。
ただ、何となく纏っている雰囲気がいつもの妹に戻っていて、
憑き物を落とされた直後みたいにぼんやりとしていた。
状況の理解に務めようと思考するうちに瞳の焦点が合い始め、
やがて妹がはっきりと僕と視線を絡める。

「き」

「え?」

一瞬、妹の顔が引きつって。

「きゃああああああああああ!」

思いっきり頬を引っ叩かれた。

「〜〜〜〜〜〜!?」

片頬が熱くなり、ついでに妹が飛び退いたせいでほんの少し後ろにあった壁に頭をぶつける。

「ななななな、一体何をしているんですか姉さん!」

そんな意味の不明な声を聞きながら、ちょっと意識が遠くなった。



それから暫くして。
今、僕は世間で言う超常現象と向き合っていた。
場所は依然として僕の部屋。

『────────と言う訳なの。ゴメンね? いっちゃん』
「本当にもう・・・姉さんは破廉恥過ぎます」

目の前には二人、と言っていいのだろうか?
見慣れた、いつも通りの言動に戻った妹のハル。
その横に立つ、いや浮いている今は亡き────はずの────半透明な姉さん。
540憑き人(つきびと):2008/01/01(火) 22:47:16 ID:w+tElTVa

「俄かには信じ難い話だね」

現状の説明に、あくまでも姉さんの言葉を信じて用いるならこうなる。
先ず、姉さんは死んだ。
次に、死んだけどこの世への未練が強すぎて幽霊となった。
幽霊にはなったものの特別な力が使えるでもなく、
ただ存在しているだけで退屈だった。
幽霊と言っても空想上のような便利な存在ではないらしい。
生きている時に出来なかったことが死んでから出来るようになるのは変な話、
とは姉さんの談。
なのだが。

「サンタや神が実在しているっていうのは」

姉さんを失ってから二度、僕は同じ願い事をした。
一度目はサンタにクリスマスで。
そして二度目は今日、新年の就寝前、神に初詣でで。
姉さんに戻ってきて欲しいと。
別にそれ自体はおかしなことではないはずだ。
頼りない藁よりは、たとえ空想でも神に縋る人間がいたっていい。
大切な人を失った僕が、丁度そういう時に神頼みをする、神に祈るのは不自然じゃない。
ただ、僕自身もまさかそれが叶うとは思っていなかっただけで。

『確率的には物凄く低いけど、
 一年に世界でほんの少しの子供にだけ本物のサンタさんが願いを叶えてあげる対象の一人が、
 今年はたまたまいっちゃんだったんだって。
 でも、流石に死人を生き返らせるのはサンタさんの力じゃ無理だから保留にしてたんだけど、
 いっちゃんが初詣での時に一生懸命に私のことを願ってくれたのが、
 最近は全然真剣な願いがなくなったのに辟易してた天照大神様の目にとまったみたいなの。
 それでまあ、クリスマスとお正月の願いを合わせてってことでね。
 生き返らせるのはダメだけど、せめて私の姿がいっちゃんや家族に見えるように、
 あと他人の体を借りていっちゃんに触れられるようにしてもらえたの』

妹の奇行は取り憑いた姉さんによるもので、
妹の体が光ったように見えたのは抵抗した妹が姉さんを体から弾き出したせいらしい。
ビンタに関しては不可抗力だとか。

「まさかねえ」

それにしても、そう感じてしまうのは仕方ないと思う。
そんな都合のいい話があるのか。
実際に姉さんは見えているし声も聞こえるので、集団幻覚でもなければ他に可能性はないのだけど。

『私だってびっくりしてるよ。でもそれ以上に嬉しいの。
 だって、またこうやっていっちゃんとお話ししたり出来るんだもん! きゃー!』

言って、浮遊する姉さんが飛びついてくるのをハルの手が遮った。
やろうと思えばすり抜けられるのだろうけど、
生きていた頃の習慣なのか反射的に姉さんが止まる。
自分で自分の行動に驚いたような顔をした妹が、気まずい感じで一つ咳をした。

「と、とにかくそういうことですので、兄さんも外では出来るだけ普通に振舞って下さいね。
 姉さんがどうしても兄さんとそ、その・・・・・・肌を合わせたい時は、
 私が体を貸しますので。
 さっきみたいに不意打ちでなければですけど」

姉さん、さっきは無断で実の妹の体を乗っ取ったのか。
541憑き人(つきびと):2008/01/01(火) 22:49:27 ID:w+tElTVa

『ごめんね、ハル。
 でもハルって理屈屋だし、説明するよりは体験してもらった早いかなって。
 ・・・・・・ちゃんといい想い出来たでしょ?』

「う・・・それは、そうですけど」

顔を俯かせるハル。
その横で姉さんが微笑んだ。

『兎に角、いっちゃんは何も心配しなくていいからね?』

嬉しそうに、戻って来た幸せを噛み締めるように、にこにこと笑っている。

『いっちゃん達以外に私の姿は見えないし、だけど私から取り憑くことは出来るんだもん。
 むしろ生きていた頃よりもずっと簡単に確実にいっちゃんを守れるよ。
 いっちゃんには私が許さない限り誰も近づけない。
 いっちゃんを困らせる人も、いっちゃんの言うことを聞かない人も、
 いっちゃんを誑かす泥棒猫も、私が乗り移れば皆いっちゃんの言いなりだもんね?
 邪魔になったら私と同じ死に方でもしてもらえばいいんだし。
 これでもう、私は何も怖くないよ。
 私はどこにも行かずに、ずっといっちゃんが死ぬまで一緒にいられる。
 ううん。もしも死んだいっちゃんが幽霊になったら、永遠に一緒になれるかも』

「全く。姉さんばかり、いつもずるいです。
 でも・・・相手が姉さんだけならまだ私も安心ですね」

姉さんとハル、姉妹揃って笑顔を向けてくる。

『あ』

どう反応すればいいのか考えていると、姉さんが思い出したように呟いた。

『そう言えばまだ言ってなかったよ』

「・・・何を?」

反対側が見える笑みで姉さんが僕を向く。

『うん・・・自分の体がなくなったのは残念だけど、おかげで色々と出来ることも増えたし。
 それも、いっちゃんが一生懸命に私のことを想ってくれたおかげなんだから、
 私ってどちらかと言えば幸せだよね?』

だからね、と一旦言葉を切って、姉さんが僕に近付く。
今度はハルも何もしなかった。
感触のない指が僕の両肩にかけられる。
姉さんは、気のせいか生前よりも綺麗になった顔で笑った。



『あけましておめでとう、いっちゃん!』



あけましておめでとう、姉さん。
542変名おじさん ◆lnx8.6adM2 :2008/01/01(火) 22:51:45 ID:w+tElTVa
投下終了
ラスト二行を思いついたがために急遽書き上げました
お目汚しにならなければ幸い

年が明けてスレも二年目
住人の皆さんに、今年もいいキモ姉妹との出会いがありますよう
543名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 22:53:43 ID:hJPGou5n
リアルタイムに遭遇
今年の俺は憑いているw

おじさん、いつもいつもGJです
544名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 23:03:06 ID:FLXYhdBh
リアルタイムktkr
超GJっす
545名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 23:12:23 ID:PBJTHC2i
>>542
乙!

世の中のありとあらゆるキモ姉キモウトよ、あけましておめでとう!
546 ◆a.WIk69zxM :2008/01/01(火) 23:18:43 ID:1VLATAyT
続けてで申し訳ないですが、投下します。
4レスほど予定。非エロ。(今回は)キモ姉妹登場なし。
547(1/4):2008/01/01(火) 23:22:52 ID:1VLATAyT
 如月 秋巳(きさらぎ あきみ)は、劣等感の強い人間だった。
 自分は他の人と違って特別である。高校二年生という時期を考えれば、思春期特有の自然な感情である。
 しかし彼の場合、『特別』それすなわち『他の人より特別劣っている』と、ひたすら負のベクトルしかなかった。
 自分は本気になればなんでもできるんだという無根拠の万能感とは、まったく逆の無根拠の無能感。
 無能。愚鈍。唐変木。出来損ない。彼の自己評価は殊更低い。

 客観的に見て、彼は、特段人より劣っている人間ではなかった。
 学生の評価基準となりやすい勉学・運動・容姿等それぞれをとってみても、人より抜きん出ている分野もあれば、
他の人が当たり前にできるところでも躓く分野があった。
 例えば、彼は、数学や物理といった教科については、テスト等で平均点を下回ったことがない。
それどころか過去遡って理系科目だけの平均点を見れば、彼はクラスで五本の指には入る程度であった。
しかし、暗記物が中心の歴史・地理等の科目になると、途端に赤点すれすれの低空飛行。
下手をすれば三回に一回くらいは補修をうける羽目になる。
 運動についても、陸上競技のような基礎運動については平均を上回るが、緻密性を問われるような球技はてんでダメ。
ソフトボールでピッチャーをやろうものなら、敵の攻撃が終わらない。
というか、運動しているのがピッチャーとキャッチャーだけになる。
 容姿だって、概して平均してみれば恵まれているほうと言えるが、生来色素が薄いのか、極端に色白で頭髪についても赤みがかっている。
それを小学生のときに、周囲に「気持ち悪い」と言われてからというもの、彼の中で「自らの容姿」イコール「他人にとって不快感を与える」となり、
夏だろうと冬だろうと極力肌を露出するような格好はしない。海やプールにも小学校以来行ったことがない。

 つまり、そう、彼にとっての劣等感の根本たる原因は、彼が人より劣っていることではない。
 彼が、人より劣る部分しか評価しないことである。マイナスポイントしか見ないので、当然、総合結果は大きくマイナスに振れる。
 そして、ダメダメ人間の評価が算出される。

 ただ、如月秋巳にとって、ある意味幸運だったのは、そのような無能感を抱くような人間であるにもかかわらず、自分の人生を嘆いていないところであった。
 自分自身という人間に対しては悲観的であったが、生き方に対しては、楽観的といっても差し支えなかった。
 自分がまったくのダメ人間であると自覚し、人並みの幸せはそもそも望まなかった。
 思春期の高校生ともなれば、異性に多大な興味を持ち、あわよくば彼氏彼女を作ろうとするものだが、彼はそういう希望は持たなかった。
 かといって、自棄にならず、腐らず、自分にふさわしい生き方をしたいと望んでいた。
 自分の実力はこんなものじゃない。こんな生活よりもっとすばらしい充実した生活が送れるはずだ。普通の若者なら、そう思い込むところであろう。
 彼は、自分はこんなに他人より不出来な人間だけれども、これだけ平穏な毎日が過ごせるなんて、上出来である。
 そのように考えていた。
 
 要するに、彼は、地味に目立たず、ひっそりと日陰で生きられれば満足だったのである。
548(2/4):2008/01/01(火) 23:25:05 ID:1VLATAyT
 だから、そんな彼が、通う高校でクラスや学年の男子たちから人気のある柊 神奈(ひいらぎ かんな)から告白を受けたときは、
目の前の女生徒が自分の幸せを侵害する敵のようにしか思えなかった。
 彼は積極的に人付き合いはしなかったので、交友関係は狭かった。
それでも係わり合いをもたれれば、できるだけ相手が不快にならないよう、かつ自分が目立つこと無いよう対応する人間だった。
特に異性関係は不必要に話しかけたり等はしなかったが、話しかけられれば普通に受け答えはしていた。
そして必要以上に周囲の評価を気に病むのは、自分の考える「幸せ」ではないので、周囲の評判というものに余り関心を持たず、とくに異性からのそれについては無頓着であった。
無頓着ではあったが、彼の理想は、異性も含めて、「空気のような人間」「いてもいなくてもいいヤツ」「取るに足らないどうでもいい人間」と思われることであった。
そして、自分を嫌う人間はいるだろうけど、まあ概してそのような評価を得られているのではないかと思っていた。

 そんなところに、告白、である。

 目の前で、スカートごしに太ももの上で手をすり合わせ、俯き加減で告白というものをしてくる柊神奈という存在は、彼にとって、彼の「幸せ」を脅かすものとしか、感じられなかった。
「あ、あの……ね。その、多分、こんなこといきなり言われても、困ると思うんだけど……」
 ああ。困る。非常に困る。
 柊神奈に告白されたという事実だけで、自分は少なくともあのクラスから「浮く」。浮き上がる。
 最悪のパターンは、この告白が「本当」であったときの周囲の反応は想像もしたくない。
 妬み。嫉み。僻み。好奇。
 この女生徒の周囲からの評判を鑑みれば、容易に想像がつく。
 だが、まぁ、あくまでの最悪の可能性であり、その可能性は低いものだと、秋巳は考えた。

 いま、この状況から考えうる最良のパターンは、眼前の彼女が嫌々、あるいは、脅されるような形で罰ゲームをやらされていることだ。
 それなら、彼女が乗り気でないなら、彼女と協力してその「背後」に納得する形で、終わらせることができるのではないか。
 自分は、クラスの人気者に告白されて、有頂天になって、舞い上がって、最後には突き落とされる間抜け。
 彼女は、愚かなクラスメイトを天国から地獄へ叩き落す、執行者。
 それを見て、普段自分が与えていると思われる不快感の溜飲を下げる「背後」の人たち。
 そういう人たちは嘲笑相手さえ得られれば、そんなに拘りがないと考えたい。
 たまたま、今回自分がターゲットになっただけで、自分を嘲け笑った後、一月もすればそんなこと忘れるだろう。
 恐れるは、その役柄が嵌りすぎて常習化すること。あるいは、彼らの期待する結果が得られなくて、さらなるフラストレーションを呼ぶこと。
この二つに気をつけながらスムーズにこなせればベストだ。
 秋巳は、躊躇いながら言葉を紡ぐ彼女を前に、そんなことを計算していた。

 次善は、彼女が進んで行っている場合。
 そのときは、当然彼女に対しても、自分が惨めな道化師であることを強調しなくてはならない。
 接触が多くなると思われる、彼女にも納得してもらわなければならない。上手くいけるだろうか。
 人気者はプライドが高そうだからやだなぁ。
 秋巳は憂鬱な気持ちを抱かずにはいられなかった。
549(3/4):2008/01/01(火) 23:28:02 ID:1VLATAyT
「え、えっとね……。如月くんは、私のこと、まだ、あ……、あんまり良く知らないと思うんだけど……」
 先ほどから手だけでなく、膝をすり合わせるようにそわそわとする柊神奈。
 秋巳の頭の中は、今後の対策を必死で考えていたので、目の前に立つ少女の声は、話半分。
 彼女の所為で、こんな厄介ごとが発生しているのだから、少し黙って欲しかった。

 ああああ! もうっ!
 なんで自分が!
 秋巳は心の中で盛大な溜め息を吐いた。
 どう考えても暫くは自分の望まない生活が続くと思われた。下手すれば、今後クラス替えが発生する三年に学年があがるまで。
最悪、この学校を卒業するまで。
 なにか、なにかないんだろうか。
 いますぐ、この彼女が前言を撤回し、そして、「このことは自分も誰にも言わないからあなたも絶対誰にも言わないで! そして忘れて!」と言わせるようなウルトラCが!

 そもそも、このことが彼女ひとりで完結していない可能性が非常に高いのだ。
 その時点で、明日から秋巳の望む生活が送れる可能性は低い。
 そんな秋巳の内心の沈鬱な感情など、まるで想定していないように柊神奈は続ける。
「だから……その、いきなり、付き合ってください……とか、難しかったら、その、まずは、そ、そう、友達として私のことを知ってもらえれば……」
 そんなことしたら罰ゲームの期間が長くなるだろう!
 当然口には出さない秋巳。
 大体、女の娘から告白されている最中上の空で、気の利いた言葉ひとつ発さず、かつ喜んで舞い上がるわけでもない男の相手をして、なにが楽しいのだろう。
 他の人たちはどこから見てるのか。告白されるなんて初めての経験で、緊張で固まってるくらいに思ってくれてるんだろうか。

 場所は校舎裏の中庭。時間は放課後。
 わざわざ帰ろうとしている自分を、呼び止めてここに連れてきたんだから、それなりの準備は整っているのだろう。
 ここで上手いこと反応見せたら、この場で終わったりしないかな……。
 なかば希望をもって、秋巳は対応を考えてみるが。
 結構こういうのって、持ち上げて持ち上げてから落とすから、引っ張るんだよね……。
 すぐに否定する考えが浮かぶ。

「そ、その、答えは、きょ、今日じゃなくても良いから……」
 柊神奈の話が一通り終わったのか、いままで俯いていた顔を上げて、まっすぐ秋巳の目を見つめる。その顔は緊張のためだろうか、若干紅潮していた。
 そこまで、聞いて秋巳の考えるは。
 柊さん、話長いよ……。ひょっとしてアドリブなの? 国語の先生が、相手に話すときは話の要点を整理しましょうって言ってなかったけ?
 混乱のせいか、頓珍漢なことを思っていた。

「あのさ、えっと……」
 それでも、柊神奈の言い分が一通り終わったってことは、秋巳からなにか反応を返さなければいけないわけで。
 秋巳が一番聞きたかったのは、「このこと他に誰が知っているのか?」であった。回答を留保してもらえるなら、対応をもっと考えたいので、とりあえず留保することは即断した。あとは、それまで騒がれないかどうかだが。
 彼女が他には誰も知らない、と答えれば、すくなくとも自分が回答を返すまでは、『誰も知らない』ことになるはずだ。途中で他人が暴くという行為の結果、彼らのお遊びがグダグダになる可能性があるからだ。
 ただ、彼女がその答えに躊躇したりしたら、ちょっとまずい。周囲が煽る作戦かもしれない。話を大きくしたら、彼女にもダメージがあるはずなんだけど。彼女自身が積極的だけども、それを理解していないか。あるいは、嫌々やらされてるか。
550(4/4):2008/01/01(火) 23:32:10 ID:1VLATAyT
 そこまで考えて、いや、待てよ、と秋巳は思う。
 回答を出すまでに、騒いでもらって、
 「本当は自分からお願いしたいくらいだけど、こんな風に騒がれるのは本意じゃないから、なかったことにしない?」
 ――という限りなく本音に近い形かつ、彼女や周囲のプライドも傷つけない形に持っていけないかな。
 いや、やっぱ不自然か。憧れの人に好きって言ってもらって舞い上がれば、周囲が騒ごうが普通は付き合うことを選択するか。
 とにかく、他に誰が知っているかってことをいきなり聞いたら不自然かな。それでもなにかは言わなくちゃ。
 秋巳は思う。
 とりあえずは、お礼とか、喜んでいるってことを言ったほうがいいのかな。
「その、ありがとう。柊さんの気持ちは、嬉しかったよ。でも、ほら、いきなりだからちょっとびっくりしちゃってさ……」
「い、いえ、そんな。わ、私のほうこそ、ごめんなさい、いきなりこんなこと」
 ほんとだよ。
 でもまぁ、彼女も嫌々やらされてるなら、同情するけど。
 でも、どうやって不自然でないようにもっていけばいいのか。
「いや、ほんと。嬉しいんだけど、こういう経験初めてだからさ……、ちょっと、応えって言うか、なんていうのか、そのすぐ応えられなくてさ」
「えっ? あ、うんっ! さっきも言ったけど、いきなりだったのは自覚してるから、うん。ほら、だからね。急に返事求められても、困ると思うしさ……」
(失敗した……っ!)
 柊神奈の顔に、わずかに失望が走ったのをみて、秋巳は思った。
 とりあえず、回答を先延ばしにする旨だけ、先に伝えようと思ったのだが、その反応は彼女が考えていたものとは違ったらしい。
 当然自分が告白するからには、即答で受け入れるものだろう、くらいに考えていたに違いない。
 しくじった。
 多分、勿体つけやがって、何様のつもりだ、くらい『彼ら』も考えているのかもしれない。
 ああ! もう、だから嫌なんだ!
 言動、動作のひとつひとつが試されるような場にいることは、秋巳にとってものすごいストレスだった。
そもそもその場の状況すら、自分で推測して判断しなければならない。非常に苦痛だった。
「ほら、その、なんか、夢見たいで信じられないっていうか、現実味がないっていうか」
 その秋巳の取り繕うような言葉に、わずかに頬を赤らめると、また俯く柊神奈。
「え……、あ、うん。あの、ってことは、ちょ、ちょっとは、き、期待しててもいいのかな……」
 ――作戦の成功を?
 喉まででかかった言葉を、あわてて飲み込む秋巳。この態度を見る限り、彼女も進んで乗っかっているのかもしれない。
 秋巳はさらに気分が重くなるのを感じた。
「あ、そ、それじゃあ。また」
「あ、ちょ、ちょっと!」
 照れ隠しのように、あわててその場を去ろうとする柊神奈を、秋巳は慌てて呼び止める。
まだ、肝心の聞きたいことを訊ねていない。もう、取り繕う言葉を考えている余裕はない。
どうせ混乱してるってことで納得してもらえるだろう。
「え……?」
「あのさ、このことって、他に、誰か知ってたりするのかな?」
 秋巳の質問に、なんでそんなことを訊くのか不思議そうに首をかしげる柊神奈。
「あ、なんていうのかな。あんまり騒がれると恥ずかしいって言うか……」
「ううん。友達にもね。相談してたけど、それが誰か、までは言ってないし……。
 他にも、水無都(みなと)くんに相談もしようかなって思ったけど、
 やっぱりちょっと恥ずかしくって……。
 って、本人に直接言うほうが恥ずかしいよね!」
 えへへ、と自分の頭を小突いて笑う柊神奈。
 秋巳は、柊神奈のつっこみポイントはどうでもよかったが、気になる名前が出た。
 水無都くん――水無都冬真(とうま)――秋巳の唯一の親友とも呼べる人物。
 なんてこった。相談しとけよ! そうすれば、事前に対策がとれたのに!
 本日何度目かのつっこみを心の中で行う秋巳であった。
551 ◆a.WIk69zxM :2008/01/01(火) 23:33:32 ID:1VLATAyT
投下終了。
まだキモいのは主人公ひとりですが。
いずれ。
552名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 23:34:21 ID:hJPGou5n
よしわかった
続編を待ってるw
553名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 23:37:29 ID:FLXYhdBh
寝る前に確認しておいてよかったw

主人公の性格が案外好きかも(´・ω・`)

GJです
554名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 23:39:00 ID:UuoB0N0A
>>551
GJ!
キモ姉妹の行方も気になるけど、同級生も病んじゃうのか気になる
555名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 23:45:29 ID:jPzxeS39
こういうマイナス思考の主人公は、大抵間違った方向に暴走して修羅場起こすからなぁ・・・
本当に修羅場的な意味でもキモ姉妹的な意味でも期待しちゃうよ
556変名おじさん ◆lnx8.6adM2 :2008/01/01(火) 23:49:58 ID:w+tElTVa
連続で申し訳ないのですが投下させて頂きます
季節的に合わないのですが、
ちょっと都合で下手をすると四月までパソコンに触れないもので、書きかけを仕上げました
キモ分(狂愛)は薄いです
557チョコっと姉さん(シスター):2008/01/01(火) 23:52:10 ID:w+tElTVa
己の限界へと挑むことを戦いと言うなら、なるほど、それは確かにある種の聖戦だった。

「がつがつがつがつ・・・!」

戦場に友はなく、武器もなく、剣折れ矢尽きるまでもなく、元よりその身は単騎。
如何なる守りも身に帯びず、ただ信念を背負って臨む。

「ばくばくばくばく・・・!」

対して、敵は幾十倍。
己に託された想いを鎧と纏い、寡兵も単騎も容赦なく、等しく押し潰さんと吶喊する。
その一人一人が一騎当千、この日に命を散らすべくして集まった猛者どもだ。

「はぐはぐはぐはぐっ・・・!」

ならば彼我の戦力、その差は実に一と数万。
果たして如何なる戦士、軍師、賢者、英雄ならばそれに抗し得るのか。
敗北は必定。拮抗を望むことさえおこがましい。勝利など夢幻の彼方、屈服こそ必然。

「がふがふがふがふがふっ!」

故に、ボクはそれを奇蹟と呼ぼう。
ひどく薄汚れた、失笑ものの、この上なく馬鹿らしくて泥臭い奇蹟だ。

「もぐもぐもぐもぐもぐ────────もげふっ!?」

最早それだけで暴力的な数的劣勢を前に彼女────姉さん────が選択した道は一つ。
突撃、突撃、突撃。
数で勝る相手に組み付き、鎧を引き剥がし、食い破る。単純で明快。
無理を承知で、無策を携え、無茶を笑って突き進む。

手には乾いた黒色がこびり付き、口元は汚れ、胃の腑から責めて来る吐き気に顔色は青く。
後から後から噴き出す汗は拭い切れず、またその暇もない。
傍目にも限界だった。
現に、戦場に銅鑼の音が響いてから半時間足らずで、姉さんが苦痛に身を捩るのもこれで三度目。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?!?」

だが、諦めない。
とうに許容量は越えているはずなのに、
周囲に漂う鼻の曲がりそうな匂いとは違った焦げ付くような闘志を一層に燃え上がらせ、
喉に突き立った異物の排除へとかかる。

「っ!? っ、ぁ、っっ────────!」

手刀で自身の首に喝を入れること数度。
雫の滲み出した目でボクを見詰めながら苦戦するうちに、叱咤された喉が動く。

「ん・・・? んっぐ」

ごくりと、姉さんを苦しめた異物が食道と直結した奈落へ敗れ落ちていく。

「すぅー・・・・・・はぁー」
558チョコっと姉さん(シスター):2008/01/01(火) 23:53:43 ID:w+tElTVa
しばし、沈黙。
若干の呼吸の乱れを整え、数十分もの格闘の末に残った敵と相対する。
そう、最後の敵と、だ。

そいつは、今までの相手に比べれば、ひどく小さいヤツだった。
一回りどころか、体積で言えば数分の一以下である。唯一、姉さんが考えた作戦らしい作戦の結果がこれだ。
強敵は最初に、弱者をこそ最後に残す。
なるほど、圧倒的な物量差があるなら、倒すほど楽になっていく戦いの方が最終的にはモチベーションが保てる。
尻上がりの人間は段々と希望に近付くが、逆の場合は悲惨だ。


「いいぃぃぃいいいよぉぉおっっしゃぁぁぁああああーーーーっっ!!!」


ヴァレンタイン・デイ
聖なる二月十四日。
包装という鎧を剥がされ、部屋の中を耐え難い甘い匂いで満たし、
姉さんの手と口に黒い跡を残しながら食われて行った数多の女性からの贈り物たる戦士達は、
そうして姉さんの胃袋の前に敗れ去った。

『アンタ、何か甘い匂いさせてるわね。
 言っておくけど姉さんね、今日はとっても機嫌が良くないの。
 つまりこのイライラを抑えるためには糖分が必要なのよ。だからね?
 甘いもの持ってたら頂戴、つーか出しなさい。あるだけ全部。今すぐに。
 隠したら甘いものの代わりにアンタを食べるからね』

本日。
帰宅してから開口一番、背後に炎を揺らめかせながらそう告げた姉さんに、
ボクが無条件降伏したのを責められる人はいないと思う。
今日が何の日か忘れていたボクを、通学路や校門前、下駄箱、机の中、教室後ろのロッカー、
移動教室の後で戻って来た机の上、呼び出された職員室、放課後の部室、
返してもらった限定DVDのBOXの奥、
自宅の郵便ポスト、宅配便の包みの中と、ありとあらゆる場所で迎えたチョコの群。
否、軍勢。
もともと甘いものはあんまり好まないボクが、
むしろ安心と共に姉さんに選手交代したのは当然じゃないだろうか。
まさか姉さんが全部食べきるとは思わなかったけど。

「うっぷ・・・もう限界」

姉さんの方も流石にチョコの山とまでは想像していなかったに違いない。
何せ、部屋に持って帰ったチョコは大きな袋で二つ分くらいあった。
それを食べきる姉さんも凄いけど。
やはり辛いらしく、口を抑えてふらふらと立ち上がる。

「お姉ちゃん、もう上がるけど・・・・・・その前に、これ」

と、服の内側をごそごそと探って包みを差し出した。
多分、ボクの頭上には?が出たに違いない。
559チョコっと姉さん(シスター):2008/01/01(火) 23:56:40 ID:w+tElTVa

「友達に材料の買出しに誘われて、ついでに自分で作ったんだけど、
 もう限界で食べられないからアンタにあげる。
 ヴァレンタインに女の子の手作りチョコを一つも食べないで終わるのは、流石に可哀想だし」

一応、自信作なんだから。
そう言って押し付けられた丁寧なラッピングのハート型が手に収まる。
反応に困ったボクをよそに姉さんはさっさと歩き、
リビングの扉に手をかけたところで振り返った。

「受け取ったからには、その・・・・・・ほ、
 ホワイトデーのお返し、期待してるんだからね!
 きっちり三倍返し! 出来なかったら体で払ってもらうわよっ!」

勢い良く扉が閉まり、階段を駆け上がる音。
上でばたんと音が鳴り、一転してしん、と静かになる。
何となく渡された綺麗な包みを弄びながら、ボクは思案した。

「ホワイトデー・・・・・・うーん。どうしよう。
 去年は姉さん、何もくれなかったのに一月経ったら急に怒り出すんだもんな。
 弟なんだから当然! とか言って。
 確か、プロレスだか柔道の技の実験台にされたんだっけ。
 体が密着したと思ったら絞められて意識落ちたし、
 結局何があったのか覚えていないんだよね。
 肌が汗ばんでたのと服が乱れてたような気はするんだけど・・・」

もしかしたら、今年はチョコをくれたのは牽制なのかもしれない。
去年であれなら、ちゃんとチョコをもらった今年に返さなかったらどうなるのか。
数時間も記憶が抜け落ちるような目に遭うのはごめん被りたいな。

「忘れないようにカレンダーにでも書いておこうかな」

うん。そうしよう。
思い立ったら有言実行、ボクも部屋に上がる。
姉さんのいる隣部屋からベッドの上を転げ回って悶えるような音がしたけど、
たまにあることなので気にしない。
一ヵ月後の日付に赤丸をつけてメモ。これで安心だ。

「よし」

ちなみに、姉さんのくれた手作りのチョコは美味しかった。
何だかんだ言ってボクの好みを把握しているのでビター系。
食べ慣れない味だったけど何かの酸味が効いていたのも良かった。
これはお返しも頑張らないといけないな。



そんなことを思いつつ、
何故か気が付くと三月のカレンダーがなくなっていて、
お返しを忘れたボクがしっかりと姉さんに怒られたのは後の話。
その晩に姉さんがボクを部屋に呼び出して、何故か睡魔に襲われて意識を失ったのはまた別の話。
560名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 00:00:03 ID:EQbvZ16m
>>551
GJ!!
早くも続きが気になっている俺がいる。
そして、みんな明けましておめでとう。
今年もよろしく。
561変名おじさん ◆lnx8.6adM2 :2008/01/02(水) 00:00:50 ID:w+tElTVa
投下終了
姉は怒ったときだけ弟に対する時の一人称が姉さんになる、と変換を
書いてて何故かツンデレにorz

>>543の方
どちらかと言うとたまに現れて短期集中投下ですね、私
次は頑張りますorz

>>551の方
つ、続きがきになります。しばらく来れないのが残念。
乙でした
562名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 00:30:23 ID:CBKG4/N8
相変わらずエロ書かねーのなww
563変名おじさん ◆lnx8.6adM2 :2008/01/02(水) 04:11:21 ID:k3OOUos8
おそらく今月最後の投下
ちょっと試験的な内容です
564妹々かぶり:2008/01/02(水) 04:13:20 ID:k3OOUos8
妹々かぶりという妖怪がいる。
人間の負の気や欲望から生まれた妖怪で、
読んで字の如くほぼ同時に生まれた妹の妖怪を頭にかぶっている。
または背負っていたり肩車していたりする。
特に人間に危害を加えたりはしない。
元となった願望の性質から攻撃性はないし、余りにもマイナーな欲望過ぎて弱いからだ。
正直、
妖怪であるおかげで物理攻撃が効かないという特性がなければそこらの不良に喧嘩を売っただけで死ねる。
限りなく近い体験をしたことがあるから間違いない。
そう。
何故オレがこんなにたかが一妖怪のことに詳しいのかと言えば、
それがオレ自身のことに他ならないからだ。

「ひまだねー、お兄ちゃん」
「ああ。暇だな、妹よ」

雨の降る山中、オレは肩車してやった妹と共に散歩をしていた。
特に目的はない。ただの暇潰しである。
寿命の概念を持たない妖怪は大部分が暇を持て余す。
本当は山の中より都会の町並みでも歩きたいのだが、
最近は人間の世界もやりにくくなり、
長時間年下の少女を背負っていたり肩車している者は不審者とされて捕まるらしい。
妖怪なので手錠など意味がないし、警官に姿が見えるとも思えないが、
たまにいるオレ達の姿が見える人間に騒がれると面倒なのでこうしているのだ。

「雨、いやだねー」
「まったくだな」

そう言いつつ、妹はピンクの傘を差し、
肩車している妹の脚を両手で保持するオレはずぶ濡れ。
風邪など引かないが鬱陶しい。
妹の傘も、高低差があり過ぎてオレには雨避けにならない。
かと言って妖怪、妹々かぶりの存在にかけて手は放せないために傘は持てない。
マイマイカブリみたいにカタツムリの殻でもかぶりたいね、ほんと。

「お兄ちゃん、さむくない? 雨に打たれて」
「妖怪なんだから関係ねーよ」
「ごめんねー。わたしだけ楽ちんしちゃって」

頭の後ろがもぞもぞと動き、背を曲げた妹の顔が覗き込んで来る。

「これがオレの仕事で、それがお前の仕事だ。気にするな」
「うんー。じゃあ、ありがと!」

妖怪だから腹は減らないし、試験も学校もない。
人間の娯楽は楽しめるが入手が難しい。
つまり暇である。それを潰すために山で散歩なんかしているのだが。
濡れた木の葉を高く掲げる木々の間を巡り、柔らかな土を踏みしめてただ歩く。
ふと視線を上げると、遠くから近付いてくる影がある。

「うゆ? 誰だろ」
「あれは・・・・・・兄馬(けいば)さんだな」
565妹々かぶり:2008/01/02(水) 04:14:15 ID:k3OOUos8
しばらくして、数歩分の距離まで相手と近付いた。

「どう、どう」

綺麗な高い声が響き、オレが足を止めるのと同時に相手も止まる。
目の前に二人。
一人は馬か犬のような四つん這いの姿勢で這って来た男。
口には沢山の穴が空けられた小さな玉を噛み、目は黒い革で覆われている。
妖怪の兄馬さんだ。
その上で傘を差し、湿気に重くなったくるくるの巻き毛を、
乗馬に使う鞭を持った手で憂鬱そうに撫でているのが妹さん。
視線が交わる。

「あら、妹々かぶりさんじゃございませんか。ご機嫌麗しゅう。
 と言っても、この天気では雅に欠けますわね」
「う・・・? うう゛っ、ううう゛う゛う゛!」

優雅な挨拶をくれた妹さんの下で兄馬さんが唸る。
多分、挨拶をしてくれたんだろう。

「おだまり!」

妹さんの手が霞んだ。破裂するような音。
振るわれた鞭が兄馬さんの尻を打つ。

「う゛ぉうっ!?」
「今は私が話している最中です。兄様は静かにしてなさいな」

言われながら、体を細かく揺らしている兄馬さん。
オレと妹のようにそういう願望が具現化した妖怪だとは聞いていても、
傍から見ていると真剣に痛そうである。

「だ、大丈夫ですか兄馬さん・・・?」
「心配はいりません。これでも私の兄でしてよ。
 百度打たれようと死にはしませんわ」

いや、死ななくても痛いものは痛いと思うんだが。
そんなオレの視線を意に介した風もなく妹さんが髪をかき上げる。

「はあ。本当に無思慮な雨ですこと。
 降るなら私が帰ってから降ればよろしいでしょうに」

ほんと、どんな願望が集まればこんな妖怪が生まれるんだか。

「妹々かぶりさん。そんな訳で私は急ぎますので、もう行かせて頂きますわね」
「え? あ、はい。それじゃ」

随分とあっさりだが、
引き止めて話し続けても兄馬さんの打たれる可能性が増えるだけなので簡潔に済ます。

「では、御機嫌よう」

そう言って妹さんが兄馬さんをもう一度叩くと、
兄馬さんは肘と膝を地面につけながら去って行った。
あんな移動の仕方、きっと慣れないうちは相当に辛いに違いない。
兄馬さんと同じ妖怪に生まれなかったことを内心で感謝して、オレも歩き出した。
566妹々かぶり:2008/01/02(水) 04:15:45 ID:k3OOUos8



兄馬さん達から完全に見えなくなるくらい離れてからすぐ。
それまで無言だった妹が、肩に乗せた足とオレの首の隙間を狭めてオレを締め上げてきた。

「ぐえ」
「お兄ちゃん」

左右から動脈が圧迫されて呻いたオレの首に、更に妹の指がかかる。

「兄馬さんの妹さんのこと、変な目で見たでしょ?」
「ぐ・・・変、なって・・・どんな・・・だよ」

ああ、またか。
そんな思考を脇において妹を見上げた。
降りしきる雨の中、
水滴と共に光を遮る傘を背に、影を帯びた妹の顔で瞳が輝く。

「えっちな目」
「そんな目でなんか・・・見てねえ・・・っての」

首にかかる圧力が増した。

「ぐっ!?」

肺に溜め込んだ空気が漏れ出し、痺れ始めた意識の中で雨音が遠ざかる。

「嘘」

頬を打つ雨粒に混じって声が降る。

「お兄ちゃんがああいう人が好みだって知ってるもん。
 どうしてそういう嘘をつくの? ねえお兄ちゃん。
 今まで何回も言ったよね? 嘘つくのはやめてって。
 お兄ちゃんとわたしは一心同体なのに。ダメ。わたしに秘密なんて絶対ダメ。
 お兄ちゃんのことでわたしが知らないことなんてあっちゃダメなの。
 だから教えて。ちゃんと答えて。
 お兄ちゃん、えっちな目、してたでしょ?」

確かにオレはああいうちょっと気の強い女が好みだ。
だからってそれがそのまま色目を使うことにはならない。
オレに関係なく、妹はいつもこうなのだ。
妹は同性と会話しない。異性とも会話しない。
例外はオレだけ。
そして、オレがオレにとっての異性、つまり女と会話することを何より嫌う。
567妹々かぶり:2008/01/02(水) 04:16:10 ID:k3OOUos8

「聞いてるの? お兄ちゃん。
 わたしがこんなにお兄ちゃんだけを思ってるのを知ってるくせに、
 他の女に色目なんか使って、それにわたしが怒ってるのにそれも無視するの?」

ぎりぎりと細い指がオレの首に食い込む。
更に両足で挟まれ圧迫され、段々と呼吸も苦しくなってきた。
妹を振りほどくことは出来ない。
妹をかぶる、乗せているからこその妹々かぶりだ。
それを放棄した瞬間にオレは消滅し、半身である妹も死ぬ。

「あは。あはは。
 お兄ちゃん、首をしめられて苦しいのにわたしの手をどけようとはいしないんだね。
 どうしてかな? うっかりわたしを振り落としたらお兄ちゃんも死んじゃうから?
 それとも────────お兄ちゃんが死んだらわたしも消えちゃうから?」
「そう、だよ」

まだ死にたくはない。が、妹が死ぬような真似はしないとも決めている。
生まれた時から一緒なのだ。
妹々かぶりは背負う兄と背負われる妹で成り立つ妖怪。
どちらかが欠けても生きては行けない一蓮托生。
それを抜きにしても、オレが妹を殺すような真似をするはずがない。

「あはっ♪」

オレの答えに、
最初からそれを聞くためだけにオレの首を絞めた妹が満足して手と足を緩めた。
細くなった呼吸が元に戻り、くらくらする意識の中で五感が回復を始める。

「そうだよね? だってお兄ちゃんの一番はわたしだもん。
 生まれた時からからずっとずうっと一緒に生きて来たんだから決まってるよね。
 わたしがいないとお兄ちゃんは死んじゃうし、お兄ちゃんが死ねばわたしも死んじゃうもんね?」

雨音に愉快げな声が混じり、首を絞める代わりに頭に抱きつかれた。

「大好きだよ、お兄ちゃん。じゃあ、行こ?」
「・・・ああ」

また歩き出す。
立ち並ぶ樹木はずっと先まで続き、まだまだ散歩が終わらないことを告げていた。

「でもね、お兄ちゃん? わたしはお兄ちゃんを他の女に奪われるくらいなら死ぬよ。
 わたしたちは二人で一つ。生まれるのも死ぬのも一緒だもん。
 わたしがお兄ちゃんを一番大切に思ってるのに、
 お兄ちゃんがそうじゃなくなったらおにいちゃんを殺してわたしも死ぬ。
 お兄ちゃんの上から降りて、お兄ちゃんが消えてわたしも一緒にこの世からいなくなるの。
 そうすればきっとあの世でもそばにいられるもんね」

妖怪に死後の世界があるとは聞かない。
だが、妹の声を聞きながらオレが歩く木々の間はどこまでも続いているようで、
何となく冥府や地獄に続く黄泉平坂のようにも思えた。
まあ、どの道関係ない。
オレは妖怪、妹々かぶり。嫉妬深い妹を乗せて歩くだけなのだから。
568変名おじさん ◆lnx8.6adM2 :2008/01/02(水) 04:17:38 ID:k3OOUos8
投下終了
皆さん、よいお正月を
569名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 06:05:56 ID:Yk8TA3Lv
大量投下キテタワァ*・゚゚・:*・゚(n'∀')η.*・゚゚・:*・゚
570名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 07:12:14 ID:wszZa0lv
571名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 07:29:59 ID:5x0/fYDk
>>551
みなと、秋巳と聞いてショタっ娘が思い浮かんだのは俺だけでいい

>>568
連作、GJです。
572名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 07:42:22 ID:k3OOUos8
すいませんorz 話の中で辻褄が合わなくなるので
>ちなみに、姉さんのくれた手作りのチョコは美味しかった。
>何だかんだ言ってボクの好みを把握しているのでビター系。
>食べ慣れない味だったけど何かの酸味が効いていたのも良かった。
>これはお返しも頑張らないといけないな。


ちなみに、姉さんのくれた手作りのチョコは美味しかった。
これはお返しも頑張らないといけないな。

に脳内で変換して下さい。うあああやってしまった。
573名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 10:28:11 ID:HRmzOk0H
>>571 よう、俺
574名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 17:10:08 ID:C8R3Fp5O
>>568
新年明けましてGJ
575名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 19:48:39 ID:jyVUL+19
>>551
GJだができればタイトルをちゃんとつけて欲しい。
無題の作品は保管する際結構扱いに困る。
576名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 19:53:23 ID:3EW5Osz3
>>568
すばらしくGJ!なんて裏山しい妖怪なんだ…
しかしけしからん!まったくけしからん!ちょっと裏山で妹々かぶり探してくる
577名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 20:46:57 ID:AiAKDJwC
ヤンデレは心のオアシス
578名無しさん@ピンキー:2008/01/02(水) 23:35:46 ID:CXbWppB4
カミーユ「遊びでやってんじゃないんだよ!
     キモ姉は力なんだ! キモウトはこの宇宙を支えているモノなんだ!
     それを、それを、こうも簡単に読めるのは、それは、それはすごい事なんだよ!
     何が楽しくてSSを書くんだよ! キサマのようなヤツは神だ!
     連載を書かなくてはいけないヤツだ!」





カミーユ「あ……? はははは……。
     彼女が大きな刃物を持って近づいてくる……。あはははは……大きいなぁ! ノコギリかなぁ? 
     いや、違う、違うな。ノコギリはもっとバァーって血飛沫が出るもんな! 
     暑苦しいな、ここ。おーい、この鎖を外してくださいよー」
579名無しさん@ピンキー:2008/01/03(木) 00:29:19 ID:JTD65rlI
シン・アスカのプッツンとか見ると、案外ヤンデレはMSパイロットに向いてるかも
(近親婚可の法改正含めた)全面的バックアップの下に、
兄や弟を報酬にすればキモ姉妹は戦場で凄まじい活躍をしそうな希ガス
むしろMSの中枢で兄や弟が巨大試験管みたいなのに入ってたりして・・・

しかし考えてみると現代以外やファンタジーでのキモ姉妹作品って少ないな
もう少し裾野を広げてもよさそうなもんだが
580名無しさん@ピンキー:2008/01/03(木) 01:00:15 ID:YAy9YXbb
なんだろうなあ…ファンタジーだとなんでも有りみたいなとこがあるからか?
法や常識や倫理を身近に感じるからこそハラハラワクワクするとか
581名無しさん@ピンキー:2008/01/03(木) 01:11:41 ID:ZwxVl8rK
「これが私の…ガンダム…」
「そう、君の新しい剣。OT-10、オトゥートガンダムだ。
君は、弟くんのために世界を変えたいんだろう?
だったらこの剣を手に取るべきではないか?」
「……わかりました。
全ては弟くんのために……」


彼女はまだ知らない。この先に待つ戦いが彼女と弟の運命を激しく揺さぶるということを……


こんなん?
582名無しさん@ピンキー:2008/01/03(木) 01:14:52 ID:ZwxVl8rK
……の使い方間違えたorz
ごめんなさい、そしてさよなら
583名無しさん@ピンキー:2008/01/03(木) 01:24:15 ID:JTD65rlI
ファンタジーならではの表現とかもありそうだけどなー
本気でキモ姉妹が兄・弟以外の人類全滅させましたとか、
SF的に世界はキモ姉妹のクローンで満たされて兄・弟だけしか男性がいないとか
キモ姉妹だけのハーレムとか現代風じゃ無理だし
幾つかあった気がするけど幽霊ネタもいいよな

つまり何が言いたいかと言うと、キモ姉妹の可能性は無限大
584名無しさん@ピンキー:2008/01/03(木) 02:26:55 ID:77zblm7a
>>583待て!言いたいことはなんとなく分かるが落ち着け!
585名無しさん@ピンキー:2008/01/03(木) 03:43:31 ID:JTD65rlI
ちゃんともちついたよ
・・・あれ?
586名無しさん@ピンキー:2008/01/03(木) 06:30:05 ID:85b09EkA
市×信長とか
ルクレツィア×チェーザレ(ボルジア)とか
歴史IFものはアリかいの?

政略結婚させられるたびに夫が不審死を遂げるルクレツィア・ボルジア
世間の人は兄チェーザレによる陰謀を噂するが
実は兄の許へ戻りたい一心のルクレツィアが
夫に毒を盛っていた、と
587名無しさん@ピンキー:2008/01/03(木) 10:05:18 ID:xaexci7l
ボルジアがピンとこない・・・
588名無しさん@ピンキー:2008/01/03(木) 10:35:57 ID:wiS5IHti
古代ギリシャにいたと言われる伝説の部族。
その部族は女性のみの構成で成り立っており、子孫を残す場合は攫うか戦争で得た彼らを使う。
騎馬民族ゆえ戦闘では騎馬に跨り長弓を使いこなすその強さは神話クラス。
全能神でも戦神でもなく、狩人神を奉る彼女たちは・・・


「た、大変だー!やつらが、やつらが来たぞおおおおお!!」
「戦える女は武器を取れ!該当する男と子供たちは神殿へ逃げるんだ!」
「え・・・やつらって?」
「お前は先月買われた奴隷だな・・・そうか、お前も該当するのか、さぁ、逃げるんだ!」
「いえ、僕も戦います!」
「馬鹿を言うな!やつらの目的はお前のような男なん(ビュッ!)ぐえっ・・・」パタッ
「戦士さん!しっかりしてください戦士さん!この矢を放ったのは・・・お前か!?」

「えへへへへ、お姉ちゃんが助けに来たよ?さ、一緒に帰って国でたくさん気持ちイイことしよう?」
「お前たちが伝説の女部族、アネゾネス・・・」



という電波が新年早々舞い降りた。
589名無しさん@ピンキー:2008/01/03(木) 10:44:55 ID:y9AgtAZG
その電波を(ry
590名無しさん@ピンキー:2008/01/03(木) 14:01:33 ID:qpo/KnnD
是非僕を連れてって!

あ、キモートリア族の方がいいかな?

サクッ

(へんじがない。ただのしかばねのようだ)
591 ◆a.WIk69zxM :2008/01/03(木) 14:47:59 ID:0jWN78la
投下します。
>547-550 のつづき。
非エロ。6レス予定。
592__(仮) (1/6):2008/01/03(木) 14:52:32 ID:0jWN78la
如月秋巳が、本人にとっては厄介ごととしか思えない告白を受けた翌日。
お昼を挟んで、現国、日本史、古文と彼にとっては苦手極まりない授業を乗り切ってから、放課。
秋巳は早速、彼の小学校時代からの幼馴染である、水無都冬真を呼び出していた。
水無都冬真は、一言でいってしまえば、秋巳とはある意味対照的な性格をしていた。
彼にとって得意な分野は周囲に対してより大きく見せ、苦手なことはより小さく見せる。
いわば、アピール上手。世渡り上手。クラスのヒエラルキーでは、まず最上位の一角には位置する人間。
交友関係も一部を除いて、浅く広くが基本。
彼の友達の友達を辿れば、学年の任意の生徒に辿りつく。
さらにその友達を辿れば、おそらく学校全部をカバーするであろう。
そんな彼だが、小学校三年のときに秋巳と一緒のクラスに配属されるという縁があってからは、
なぜだかお互い気があった。
水無都冬真は、秋巳のことを地味で陰気な人間だとレッテル張りをしなかったし、
秋巳もいわゆる『クラスの人気者』というのは、付き合う人間としてはどちらかというと苦手なタイプとしていたが、
彼と付き合うのは心地よかった。
秋巳は彼の前では、あれこれ考えず素でいられたし、水無都冬真も彼に対してはいい意味で気遣いがなかった。
そんな彼が、水無都冬真を呼び出したのは誰もいない屋上。
五月にしては、まだ少し肌寒い風がわずかに吹きぬける、わずかに赤みがかった青空の下だった。
秋巳が水無都冬真を先導して、屋上の扉を抜けて。そのまま校庭の反対側、校舎裏中庭の見えるフェンスの前。

「なにさ。こんなところに改まって呼び出すなんて。あれか。あれなんか。
ついに俺と椿(つばき)ちゃんの仲を、認めてくれる気になったんか?」
水無都冬真に背をむけたまますぐに話を切り出そうとしない秋巳に向かって、そう尋ねる水無都冬真。
椿というのは、彼の妹――如月椿。高校に上がる前くらいから、水無都冬真は、やたらと彼の妹にご執心にみえて、
下手すれば秋巳のことを『お義兄さん』とでも呼びかねない勢いだった。
「ん? ああ、それについては、冬真が椿と一緒に僕の前に来て、土下座したときにでも、応えてあげるよ」
制服の襟を正して向き直った秋巳に、すぐさま屋上の硬いアスファルトの上に土下座をかまして
制服のネクタイに手をやり居住まいを正す水無都冬真。
「おっ、お義兄さん! ここまで椿さんを育てていただいたご恩は決して忘れません。
椿さんは、椿さんはボクが必ず一生守り抜いて、一生幸せになることを誓います!」
「一生幸せになるのって、冬真が?」
「当然」
左手を地面についたまま、右手を握り締め胸に当てて、なにを当然のことをとばかりににこやかに破顔する水無都冬真。
その表情は、これ以上ないくらい自信に満ち溢れていて。
「ダメ。落第。失格」
即却下。
「なんでっ!」
「日本語が不自由だから」
「アッ……アイ、ラブッ、ユー、フォーエバー!! ……ツバキ?」
「ついでに、英語も不自由だから」
「おっ、おまえなぁ。惚れた女を一生幸せにします! なんて、いまどき古臭いんだよ。
いまの時代は、惚れた女と一緒になれば、己が一生幸せになるっ!
くらい言い切らんと新鮮味がないし、そこに女はキュンとくるんだよ!」
「いや、ポイントそこじゃないし。さっきの台詞を椿に吐いてキュンとさせてから、
もう一度椿と一緒に来たら?」
593__(仮) (2/6):2008/01/03(木) 14:55:47 ID:0jWN78la
「ばっか! おまえ、椿ちゃんはいつでも俺の心のなかにいるんだよ! すでにキュンキュンなんだよ!
 今朝も優しく『おはよう』って起こしてくれたし、
 『ほらぁ、早くしないと遅刻しちゃうよ!』って、一緒に登校してきたんだよ!
 んで、帰ったら『おかえりなさい』って三つ指ついて迎えてくれて、
 『今日は、北海道産の牛肉コロッケ(商品名)でご飯にします? 愛知産の開放燃焼型湯沸器でお風呂にします?
 そ・れ・と・も、コウノスケさんのファンヒータで一緒にお休みになります?』って囁いてくれるんだよ!」
「そのまま、ふたりで永遠の幸せに浸れるといいね」
「あぁん! 嫉妬か。 このヤロウ! 椿ちゃんがおまえには冷たいからって、嫉妬か。 妬みなんだな!
 愛しの椿ちゃんは、僕ちんにはそんな甘い言葉囁いてくれないのにって、僻んでるんだろ!
 このブラコン! このブラジャーコンプレックス! ブラジャーコンプリーティスト! 一枚よこせよ」
 両膝をついたまま、秋巳を指差しながら、口角泡を飛ばす水無都冬真。
「いや、それいうならシスコンだし」
「じゃあ、シスコンでいいよ。だから、ブラジャーは忘れんなよ。椿ちゃんの。できれば脱ぎたて」
 滾る思春期の欲望を微塵も隠そうとしない水無都冬真。
「でさ、呼び出したのはさ……」
「無視すんなよ! 俺が折角、切り出しやすい雰囲気作ってやってんだから感謝しろよ!」
 水無都冬真は、眉根を寄せて不満げな表情をして立ち上がり、膝についた汚れをパンパンと払った。
 それから秋巳は話した。昨日起こった彼にとって迷惑極まりない出来事を。
 ともすれば――聞く人によっては――自慢話としか受け取れないような話を、
水無都冬真は、んはー、へー、ほー、と相槌を打ちながら非常に興味深そうに聞く。
「で、おまえとしては罰ゲームで柊神奈ちゃんが告白してきたんじゃないかと?」
「ん? まだ、僕の見解は言ってないけど」
 秋巳は、できるだけ主観を省き、客観的な説明しかしていなかった。
「はん。おまえが、その告白をうけて考えそうなことは大体想像できるわ。
 『クラスのアイドルの柊さんが、ボクちんに告白してくるなんてありえない!
 きっと罰ゲームなのね。そうなのね! じゃなかったら、
 親友の格好良くてイけてる冬真くんに近づくために、
 ボクちんを踏み台にしようっていうのね! なんて恐ろしい子……!』
 ぐらい考えたんだろ?」
「僕のなかでは、冬真が恐ろしい子だけどね」

「そんで、おまえはどうしたいわけ? って、まあ、大体想像つくけどな。
 罰ゲームかどうかは別として、柊ちゃんがおまえに興味を無くしてくれればいいんだろ?」
 さすがは付合いが長いだけある、と秋巳は思った。
 水無都冬真は、普段はおちゃらけているように見えて、
秋巳の考え方や嗜好をよく把握していたし、こういうときはズバリ本質を突いてくることが多かった。
 翻って自分はどうだろう。秋巳は思う。
 自分は冬真が秋巳を把握しているほどに、冬真のことを判っているだろうか。
 水無都冬真の常の物言いは、好き放題言っているようで、なかなか本心を見せない。
 それも本心を隠しているのではなく、不必要な過剰な装飾のなかに本心を紛れ込ませて
見えにくくしているように思える。
 木を隠すなら森の中。
 先ほど秋巳が言った『冬真は恐ろしい子』は、あながち冗談でもなかった。
 それでも秋巳は水無都冬真のことを親友だと思っていたし、
好悪の感情でいえば明らかに好意を持っていた。
 基本的に、他人に対して無関心な秋巳にとっては、家族である椿を除いて、
唯一気の置けない相手といえた。
594__(仮) (3/6):2008/01/03(木) 14:58:50 ID:0jWN78la
「しっかしなぁ。あれだぞ、あの柊ちゃんだぞ。柊神奈。成績優秀で容姿端麗、
 運動神経微妙にして、『一家に一人!』クラスのアイドルの柊ちゃんだぞ?
 それが告白してきたんだぞ? 俺だったら逃がさないね。キャッチ&フィニッシュよ。
 例え罰ゲームで告ってきたとしても、偽装期間中に惚れさせるね。
 そんで罪悪感に苛まさせるね。向こうが本気になったところで真実暴露させて、リリースよ。
 んで、一生心に癒えない傷を負わせるの。考えるだけでゾクゾクしねぇ?」
「鬼だね。椿は鬼畜な人間嫌いだけど?」
「…………」
「…………」
「……あ、いや。待て。全部聞け。やっぱり忘れられないんだよ。
 付き合ってた間の楽しい思い出のことが。そんで、今度はおれから告白するわけだよ。
 『もう一度、はじめからやり直しませんかって』 そこでエンディングソングよ。
 間違いなく百万人が泣くね! 全米が震撼するね」
「確かに泣けるね」
 いじましいまでの水無都冬真の姿が。
「と、とにかくさ! おまえが態度決めんのは、
 罰ゲームかどうかがはっきりしてからでもいいじゃね?」
「いや、そこは重要じゃないんだけど……」
「周りに好奇の目に晒されるのは変わらない、からか。
 でもさ、もう柊に告白されたってだけで、そこは避けられないんじゃないのか?
 ましてや、罰ゲームならなおさらだろう」
「いや、隠れてやってくれてるんなら別にいいし。
 どちらにせよ一過性だから、できるだけ短く、軽くしたいんだ」
 秋巳は言う。
 自分を表立って嘲笑の舞台に上げないなら、別にそれはいくらやってもらっても構わない。
そもそも、普段からある程度はされているだろうし。
 だから、秋巳にとっては、できるだけ早く柊神奈含めて彼らに飽きて欲しかった。
罰ゲームでなければ、『彼ら』が単に、柊神奈ひとりになるだけの問題だった。

「くわっ! クールだねぇ。なにこのクールちゃんは。
 ボクちんは、クラスの可愛い女の娘に告白されても嬉しくもなんともありません。
 迷惑なだけってか?」
「いや、本気で好意を寄せられてるなら、僕だって嬉しいと思うよ。
 人並みに性欲とかあると思うし」
 でも、それを上回る彼の『幸せ』を求める想いのが強いだけ。
単に、優先度に従って行動が決まっているだけ。
 そもそも、柊神奈が本当に『如月秋巳』を好きだったとして、彼女の想いは否定しないが、それは如月秋巳ではない。
 秋巳はそう思っていた。

「だったら、いいじゃん。付き合ってみれば。ダメだったら別れりゃいいだけじゃん?
 俺にはおまえが怖がっているように思えるぞ? 『あの葡萄は――』って。
 目の前にまでぶら下げられてるのに」
 秋巳はぎくりとした。
 その水無都冬真の台詞は、秋巳のなかで自分でもはっきり認識していないような本心を
ある意味えぐるような言葉だった。
 水無都冬真は、どういう意味でいまの言葉を紡いだのか。
 表面上の意味だろうか――それとも、そこまで自分の本心を掴んでいて?
 秋巳がなにを恐れているのか。
 あの葡萄は――。
595__(仮) (4/6):2008/01/03(木) 15:01:30 ID:0jWN78la
 自分でもあまり自覚していない恐れを突きつけられた秋巳は、慌てて話を戻す。
「あのさ。なんか話が、罰ゲームでないことが前提になってない?」
「お? そうか? んなら、まず、俺が柊の告白が罰ゲームかそうでないか調べてやるよ。
 そっからどうするか決めようぜ。ってか、柊には昨日おまえなんて応えてるの?」
「いや、その場で断ったりとかしたら、彼らの反感を買うと思ったし、
 『気に食わないって』余計に標的になりそうだと思ったから、保留してる」
「てか、その断る前提はどうよ? でも、今日の段階では俺のところには
 柊ちゃんが告白したって話すら入ってきてないからなぁ」
「彼女は、あくまで『誰にも話してはいない』とは、言ってたよ。
 一部で秘密裏に進んでるんじゃない」
「いやだから、なんで罰ゲーム前提よ? で、秋巳、なんか対応策とか考えてんのか?
 罰ゲームであった場合とか、そうでない場合とか」
「いや。具体的には。でも、基本方針は変わらないよ?
 罰ゲームとかそうでないとか関係なしに。
 どうしたら彼らの興味が別に移るか、だから」
「おっまえ、ほんと冷徹だよな。彼女の気持ちが本当だったらどうすんだよ?
 想像してみろよ。もし、柊ちゃんの気持ちが本心だったとしてだよ。
 まぁ、ちょっと想像力を働かせるために、柊ちゃんを椿ちゃん、秋巳を俺に置き換えてみようか。
 んで、椿ちゃんがなけなしの勇気を振り絞って、必死の思いで俺に告白するわけだ」
「椿は、勇気凛々だと思うけど」
「いいから! 黙って聞けよ。 えっと、椿ちゃんが夕日の差し込む誰もいない教室で、
 頬を赤らめて震えながら俺に告白するところまで話したな? ん。で。俺が冷たく切り捨てるわけだ。
 『一緒に帰って噂とかされると恥ずかしいし……』。ショック! 椿ちゃんショック!
 そのまま窓を開けて四階からダイブしかねないほど、ショック! なわけですよ。
 おまえ、椿ちゃんにそんな悲しい思いさせていいのか?」
「悲しい思いさせてるのは、冬真だし」
「ばっか! 例えだろう。実際の登場人物はおまえだ!」
「じゃあ、悲しんでるのは椿じゃないし」
「ああ! もう! ああ言えばこう言う! おまえ、そんなんだと女の娘にもてないぞ!
 女の娘に告白されるなんて夢のまた夢だっ!」
「あ、椿」
 秋巳がひょいと水無都冬真の肩越しに、顔をあげる。
「でも、そんなおまえでも俺は見捨てないからな! おまえの義理の兄貴として!
 椿ちゃんも安心していいぞ!」
 秋巳の肩を右手でバンバン叩きながら、後ろを振り向く水無都冬真。
 背後には誰もいない。
596__(仮) (5/6):2008/01/03(木) 15:03:11 ID:0jWN78la
「あれ?」
「落ち着いた? 冬真」
「いや。おれは一年365日、一日24時間常に冷静沈着KOOLだし。
 で、椿ちゃんは? 俺に振られてショックで窓から飛び降りようとしてる椿ちゃんは?」
「全然落ち着いたように見えないね。まぁ、いいや。
 でさ、なんかいい案ないかなって相談したいわけさ」
「落ちこんだ椿ちゃんを慰める?」
「いや、もうそこから離れようよ……」
「椿ちゃんがいないならもうどうでもいいよ……」
「そんな、不貞腐れないでも……。椿は、水無都さんっていつも元気ですねって言ってたぞ」
「えっ……? そう? 椿ちゃん、いつも元気な俺が好きだって? いや、参るな。
 しょうがないなぁ、このダメ兄貴は。そこまで煽てられちゃ、協力するしかないか!」
「煽てと判ってるのに協力するんだね」
「まあな」
 頷いて、女の娘だったらときめくかもしれない爽やかな笑みを浮かべる水無都冬真。
「ま、おまえの信念はそう簡単に揺るがないみたいだし、
 俺でできることなら協力はしてやるさ。
 おまえの気持ちも判らないでもないし。俺だって怖いからな」
「え? 冬真が?」
「ああ。なんとなくな。例えるなら、犯罪者に対して、決定的な証拠を握っているのが自分だけで、
 でもその証拠を突きつけたら最悪その犯罪者は死刑になるかもしれないっていうときの怖さかな」
「全然よく判らないけど、ありがとう」
 とりあえず、お礼をいう秋巳。
 いつもそうだった。秋巳が困っているときには、
なんだかんだ言って、最後には助けてくれるのが水無都冬真だった。
「ああ。椿ちゃんにも報告忘れんなよ。
 今日も格好良くて偉大な冬真さんに助けていただきましたって」
それももう、水無都冬真の口癖のひとつのようになっていた。


597__(仮) (6/6):2008/01/03(木) 15:06:56 ID:0jWN78la
 その後。水無都冬真が提案した内容は。
「まあ、とりあえず、その告白が罰ゲームか、そうでないかは少なくとも調べるか」
 秋巳としては、罰ゲームであろうとなかろうと、
柊神奈の興味が別へ移ってくれればそれで構わなかったが、特に異存はなかった。
「で、だ。もし、柊ちゃんが、本当に秋巳のことを好きだったんなら、
 俺の魅力で柊ちゃんをめろめろにしてやるよ。
 柊ちゃんと俺が付き合えば、少なくともおまえは好奇の的に晒されないだろ?」
「それはいいけど、冬真はいいの? それで」
 秋巳としては、水無都冬真の提案はありがたかったが、自分の意志を通すために、
彼の気持ちを無視して彼だけが犠牲になるようなことはしたくなかった。
 水無都冬真の台詞は、他人が聞けば、なんて傲慢な物言いだろうと思うかもしれないが、
彼なら柊神奈を振り向かせることは可能だと、秋巳はなんの疑問もなく信じていた。
 しかし、そこに水無都冬真の意志は存在しないのではないか。
 そう考えるところからも、秋巳にとっては、水無都冬真とそれ以外の人間については明確な隔たりがあることを示していた。
 そこに柊神奈への配慮が存在しないのだから。

 そして、それに加えて、もうひとつ秋巳がそう尋ねた理由があった。
秋巳は明確にそれがなんであるかは自覚していなかったが。
「おお。あの柊ちゃんと付き合えるなら、嫌がる男はいないだろ。
 ていうか光栄だね。俺にも青春の甘酸っぱい思い出を作る時期が到来したわけだ」
「椿は、浮気な人間は嫌いって言ってたけど?」
「…………」
「…………」
「だ、大丈夫! 恋愛の駆け引きってやつさ。押してだめなら引いてみろってね。
 普段自分に言い寄ってくれてる男が、素っ気なくなって、
 別の女に興味を示しだすことで自覚する想いもあるってもんさ。
 『なに? なんなのこのもやもやした気持ち。彼があの娘と仲良くしてるのを見ると、
 なぜかいらいらする。ああ、以前は気づかなかったけど、
 やっぱり私は冬真くんのことが好きなのね』ってさ」
「それって、柊さんは、ただの当て馬ってこと?」
「おっ、なに? 流石に自分を慕ってくれる娘が、蔑ろにされるのには、ムカッとくる?」
 秋巳の反応が想定外だったように、若干嬉しさに笑みが零れるのを噛み殺しながら水無都冬真が訊ねる。
「いや、まぁ。なんていうか……」
 秋巳もはっきりとは表せない思いだった。
 なんとなく、冬真にあまりそういうことはして欲しくない、っていうかさせたくない。
 その程度の漠然とした思いだった。
 だが、水無都冬真は、秋巳が柊神奈に対しての意識が芽生えたのだと思い込んだ。勘違いをした。
 秋巳の意識の中心が、水無都冬真であり、ひいては、妹である如月椿であったのに気づかずに――。
「まぁまぁ。そんな深刻に考えることじゃないだろ。そもそも柊ちゃんは、
 罰ゲームでやってるのかもしれないし。柊ちゃんが俺に振り向くとも限らないし。
 でも、俺が柊ちゃんにアピールすれば、周囲の眼はそっちに向くわけだ。
 秋巳にとっては万々歳だろ?」
 水無都冬真はそうは言ったが、半ば確信に近い考えを抱いていた。
 水無都冬真は、柊神奈のことをそれほど良く知るわけでない。せいぜい気軽に話す友達程度である。
 それでも。
 それでも、如月秋巳に惚れたのなら。
 自分には――。

「…………」
 自分の中のよく判らない想いに、戸惑いから沈黙する秋巳。
「どうした? 不服ならやめとくか?」
「いや、冬真がいいなら、いいんだけど……」
 ――椿は、いいんだろうか。
 秋巳は、自分でもなぜそう思うのか判らない。判らないけど明確に反対するほどの強い思いはなかった。
「じゃあ、とりあえず、それでいくか」
 だから、秋巳は、水無都冬真のその言葉に頷いた。
598 ◆a.WIk69zxM :2008/01/03(木) 15:08:06 ID:0jWN78la
投下終了。

>575
とりあえず、仮打ちで『__(仮)』と。
タイトル考えるの苦手なんで申し訳ない。
599名無しさん@ピンキー:2008/01/03(木) 15:34:25 ID:r2iyKBkR
面白いですねーグッジョブ
ただ誤字が多くて気になります
600名無しさん@ピンキー:2008/01/03(木) 15:39:14 ID:OW+elohk
>>598 GJでした。一日も早くキモ姉(またはキモウト)が登場することを待っています。
601名無しさん@ピンキー:2008/01/03(木) 19:07:57 ID:I0UpDWOI
>>598
タイトルがむずいなら、SSにもトリップ付けてくれるとありがたい
後で探すのが楽になるから
602名無しさん@ピンキー:2008/01/03(木) 20:32:56 ID:wQqTywbg
保管されたくて書いてるというわけでもなし、職人さんの自由
603名無しさん@ピンキー:2008/01/03(木) 22:03:16 ID:my1UvAA7
>>598
妹(?)はツンツンとな?
604名無しさん@ピンキー:2008/01/03(木) 23:30:06 ID:rPebhl0G
>>602
テンプレ嫁
605名無しさん@ピンキー:2008/01/03(木) 23:46:29 ID:wQqTywbg
推奨は強制じゃないから最終的に自由では
606名無しさん@ピンキー:2008/01/03(木) 23:57:10 ID:rPebhl0G
>>605
だからその推奨されてることをやってくれって頼んでるだけ
職人さんが判断した上でやらないって明言したのならともかく、頼んでるだけの前段階で
「職人さんの自由なんだから」で話し終わらせなくてもいいだろ、ってこと
607名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 00:04:24 ID:BDO7vh8q
たしかにルールじゃないかもしれんけどマナーとしてはつけて欲しいな
別のスレである作家がトリつけないでいると勝手に続き書かれたとか言い出してスレが荒れたんだ
そこはここと住人が被ることが多いと思えるスレだからできることならトリはつけて欲しいな
まあ、作者さんがNOって言えば仕方がないが
608名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 00:19:55 ID:+ZWUddgg
新年早々荒れそうな話題はやめとこうや
609名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 00:40:40 ID:BDO7vh8q
>>608
スマソ
610名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 01:51:23 ID:pbbfnQFs
既出かもしれんが
魔法スレの魔法技師の義理の妹がキモウトっぽいよ
611名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 02:18:57 ID:mwnqGvN7
あの娘はこのスレ的にはアウトなんじゃね?
自分以外の女が義兄と関係しているのを面白くないみたいだけど容認(黙認)してるし、女達とも結構仲良いし
612名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 03:40:18 ID:glcyqJ5p
>>588
アマゾネスの一族に生まれた男は捨てられ、部族の外で育てられるという。
適齢期になってつがいの男を奪いにきたキモ姉さんは、生き別れの弟君が欲しくなってしまったんだな
613変名おじさん ◆lnx8.6adM2 :2008/01/04(金) 06:04:45 ID:hmY/7yYs
ファンタジーもSFも妖怪も、キモ姉妹ならみんな好き
前言を翻して投下開始。長いので連投規制が入るかもしれません
これが本当に今月最後です
614妹夢妹夢:2008/01/04(金) 06:05:49 ID:hmY/7yYs
落陽の時。
黄昏の中に浮かぶ町並みは斜陽に照らされて赤く溶け、
血のように光りながら夜へと向かって冷えて行く。
夜空には気の早い星が輝き、漆黒の領域を増していく彼方で弱弱しく瞬いていた。
夕闇に覆われていく世界。
刻一刻と宵に近付いていく空間。
そんな中で木霊する叫びが大気を引き裂き、激突する刃の煌きが虚空に散る。

「そこをどけぇぇえええええ!」

「邪魔っ、するなあああああ!」

遥か上空、目を細めて漸く視認が可能となる高高度で殺気が衝突する。

「兄上は渡さん。誰が相手であろうともな!」

「同意。だから兄はワタシが連れて行く」

剣と光、炎と不可視の力。
四人の少女がそれぞれの能力を叩き付け、弾き返し、相殺する。
四種の異能、四つの超常。
炸裂する閃光に目を覆いながら、僕は何故こうなったのかを思い出そうとした。

世界は一つではない。
それが全宇宙という意味でも個人や人類が認識する範囲という意味でも、それは決して唯一ではない。
僕がその事実を学ぶまでには四つの出会いがあった。
四人の妹達に導かれた、四つの世界との出会いが。

始まりは双子の妹である長女、誘宵(いざよい)。
兄妹とは言っても生まれたのはほとんど同時。
いつも艶のある長い黒髪を揺らしながら気さくに話しかけてくる妹が、
壮絶な戦いの中に身を置いていたことを知ったのはいつだっただろうか。

『兄さん。少し聞いて欲しい────────いや、頼みたいことがあるんだ』

ある日。
血の気の失せた、押し潰されそうな不安を浮かべた顔で部屋に入って来た誘宵は、
本当に珍しく長い長い沈黙の後でそう言った。
双子。
同じ時間に同じ母親の子宮の内側で隣り合って育った半身の言葉に、
ただならない気配を感じて頷いた僕を待っていたのが、最初の世界との邂逅。
手を握った長女の全身が輝いたと思った次の瞬間には、僕は涼しい夏の日ような香り漂う草原に立っていた。
そこは『異世界 ニーサン』。
家族の誰にも気付かれないうちに誘宵が召喚された、
剣と魔法、神と悪魔、勇者と魔王、奇蹟と絶望が隣り合う世界。
妹はそんな場所に生贄の英雄、人類を代表して血を流す存在、勇者として召喚されたのだと、後で聞いた。

モンスターを皮切りに、
普段から聡明な妹が異世界の証明を終えた後に切り出したのは、
きっと誰よりも強い勇者の、誰にも言えないささやかな願い事。

『一緒にいて欲しいんだ。兄さんに、私と。
 そうすれば、私はもう一度・・・・・・いいや、何度だって戦えるはずだから』
615妹夢妹夢:2008/01/04(金) 06:09:17 ID:hmY/7yYs
莫大な魔力と何らかの犠牲の上にあっちの都合で召喚された誘宵は、ある呪で縛られた。
魔王を倒すこと。そしてその強制的な契約を果たした時には、対価として何らかの報酬がある。
だが。妹は魔王に敗れた、らしい。
現実とは時間の流れが異なる別世界で一年近くも耐え抜いた戦いの果てに、
仲間と挑んだ最終決戦で敗北したのだと言っていた。
それからは戦うことが出来なくなったのだとも。
幸い、機転を利かせた仲間のおかげで死者は出なかったが、妹は剣を握れなくなったという。
ひたすら殺しと死の恐怖の中で抑え続けてきた色々なものが、一気に溢れ出したんだろう。
きっと僕を呼んだのは苦肉の策で、何より苦渋の決断だったはずだ。

『すまない。兄さん。本当に、すまない。
 私の都合に巻き込んでしまって。でも・・・嫌なんだ。怖いんだ。
 魔王と戦うことよりも、契約を果たせずにこの世界に縛られることが。
 兄さんと離れたまま、この世界で一生を終えることの方が、ずっと怖いんだ』

涙ながらの告白だった。勇者の力の源は勇気。それは守る者がいてこそ最大に発揮される。
誘宵が選んだ、一番守りたくて最も失いたくないもの。それが僕。
自分を召喚した賢者に迫られて、特例の下に帰還しての再召喚。
魔法か何かの力で縛られ、逃げ出すことは不可能だったらしい。
まだ大人にもなっていない僕と誘宵。本来ならまだ守られていてしかるべき子供。
姉妹の長女として責任感と愛情の強い妹が、
血を流すのが当たり前の日々で、どれ程の苦痛を経てそれを選択したのか。
気付くことさえ出来なかった半身の戦いの記憶に泣いて、そうして僕は協力を決めた。
魔王との再戦。僕をパーティーの最後尾に置いた妹は自分の身を守ろうともせずに、
一秒でも早く魔王打倒をなそうと吶喊して仲間さえ驚くほどの活躍を見せた。

それから、更にニーサン側でしばらくの月日が過ぎて。
勇者として世界最高の名声を得た妹は、泣き付いた多くの人に頼まれて、
しぶしぶながらたまにはニーサンに来ることを承諾して帰還。
荒れ果てた世界の復興には勇者の名前による素早い統治と結束が必要だから、らしい。
兎に角、魔王を倒した誘宵は僕と共に現実に帰って来た。
そうして、また双子の妹に平穏が戻った────────その、はずだったのに。

「兄さんは私と旅立つんだ。あちらの復興は順調、
 無能な王侯貴族も国の荒廃による民衆の不満と勇者の名前のゴリ押しで権益を削った。
 今なら教育レベルの低い民衆は魔王消滅の熱狂に包まれた状態で私に味方する。
 かつての仲間も、戦闘力の低い僧侶と賢者以外の半数は味方につけた。
 武器も力もあり、内政のプランもある。革命は容易い。
 あともう一度帰還すれば、私は私の────いや、兄さんのための国を作れる。
 文明レベルは如何ともし難いが、この世界より遥かに充実した人生を約束出来るんだ。
 私が作り、私が兄さんに捧げる兄さんの、兄さんのための、兄さんを王とする国だ」

銀色に輝く、確かな重量の中にも女性の体の流線を模った鎧。
金の羽根飾りが揺れる兜を奥から誘宵の声が聞こえる。
兜から背中に零れた長い黒髪が、空に線を引いていた。
 
「そうだな。国で足りなければいずれは世界でも征服しよう。ははは、そうだ。それがいい。
 私の愛を示すのに国では不足だ。
 あの世界の全ての大地を、大海を、天空を、人民を、私は兄さんに捧げよう。
 国土を侵略し、海洋を征服し、天上の神を駆逐し、愚民を洗脳し、私は兄さんを神とする。
 世界の全てが兄さんの思いのままだ。戦争でも圧制でもハーレムでも、私は兄さんの全てを許容しよう。
 逆らう者は私が殺す。兄さんのために、兄さんと共に戦ったこの剣で私が殺す。
 兄さんに逆らった愚物を、兄さんの世界に存在するに値しない汚物を切り払い、
 汚れた身を帰ってから王座につく兄さんに慰めてもらうんだ。
 どうだ? 理想的な世界じゃないか。私にはそれが出来る。
 兄さんに全てを捧げ、兄さんを最も幸せにすることが出来るんだ。
 それが理解出来たら────────さっさとそこを退かないかああっ!」

純白の刀身が大気を滑る。ニーサンにいた頃からほとんど視認も出来ない、
勇者にのみ可能な人間を超越した一撃。それがもう一人の妹を、一緒に育った愛すべき家族を襲った。
616妹夢妹夢:2008/01/04(金) 06:11:02 ID:hmY/7yYs
「勝手なことを、言うなあああ!」

虚空に光の軌跡が生まれる。
空間に描かれた淡い輝きの交錯はそれぞれが複雑に絡み合い、重なり合い、
奇怪な紋様を三次元に構成して発光した。
魔法陣。異世界法則の顕現が既存の空間のルールを侵食し、発生した抵抗が神剣の刃を押し留める。

「お兄ちゃんはアタシのものだ!
 お兄ちゃんはアタシと一緒に魔法の国に行って、ずっと永遠に結ばれるんだからっ!」

妹、次女の古宵(こよい)の指先が空中を走る。
利き手に握られた、ライフルの砲身と槍を融合させたような武器の先端が誘宵に向けられた。

「エクセリオンッ!」
『諾』

三角に近い刃、その中央に埋め込まれた真紅の宝玉に光が灯る。
精霊融合型他律式魔法兵装、『エクセリオン』。彼の承諾と共に金属の表面に回路のような紋様が走り、
伝達された指令と魔力が切っ先へ収束する。
飛行を可能とする三対六枚の光翼を背に、真っ白なマントをたなびかせながら古宵が距離を取った。
刻まれた魔法陣も伴って移動し、明滅、解き放たれる威力の内圧に崩壊して弾け飛ぶ。

「ギャラクティック────────バスタァァアアアー!!」

闇の濃さを増していく空を閃光が蹂躙する。
圧縮された魔力が与えられた指向性に従って前方に広がる空間へ進撃、
異界の化物さえ薙ぎ払う破壊の光線が誘宵に迫った。



次女の古宵が教えてくれたのは、ファンタジーとはまた少し違った魔法の存在。
物質と精神、それぞれの領域を発達させた世界が持つ力。
ただ、文明の発達が弊害を生むのはどこの世界でも同じらしく、
むしろより具体的に精神の力を操れるようになった人間は、
時にその意識だけで世界に大きな影響を及ぼすようになったらしい。
その世界の名前は『魔法世界 ニィチャン』。
翳り始めた精神と科学の進歩にもがくように魔法犯罪が多発し、
また進化した人の意志力から生まれた悪意が実体化する世界。
犯罪者は次元の壁を乗り越えて世界を渡り逃れ、悪意の獣もまた同じく。
世界を単位とする広大な範囲を抑えるには圧倒的な人員の不足を前に、
ニィチャンの世界政府が出した結論は人員の現地調達だった。
何らかの対価を示して、犯罪者の逃げた先々で知性体に武器を与えてを登用する。
そして今、僕のいる世界。
ここでその対象に選ばれたのが妹、古宵だった。

『お兄ちゃん・・・ごめんなさい。ちょっとの間でいいから、ぎゅってして・・・』

ある晩。帰りの遅い妹を心配していた僕をケータイで呼び出した古宵の言葉。
茶色がかった髪を血と、泥と、何か分からない体液染みたもので塗らした頭を僕に預けて、
見たこともない衣装をボロボロにした妹が告げた真実。
他の世界から渡ってくる犯罪者や、悪意が肉を纏った化物の存在。
彼らとの戦いの日々。相棒は一人、武器であるエクセリオンだけ。
彼、ニィチャンの世界で用いられている武器は精神力を魔力と呼ばれるエネルギーに変換する。
特に異世界での使用を前提に作られたシリーズの場合、
未熟な精神で膨大な力を生み出すために使用する精神力、その源となる感情を限定し、
一つに特化することによって強大な出力を得るらしい。妹の場合は、愛情。
誰かから与えられる愛情を実感し、自分も相手にそれを抱くほどにエクセリオンは強力になる。
日々続く魔法犯罪者や異形との連戦に消耗した古宵は、
とうとう自分だけでは魔力の回復が追いつかなくなったのだとエクセリオンに聞かされた。
残された道は愛情を与えてくれ、また古宵側からもそうである相手との触れ合い。
617妹夢妹夢:2008/01/04(金) 06:12:23 ID:hmY/7yYs
『アタシ、頑張るから。お兄ちゃんのいるこの世界を、ちゃんと守って見せるから。
 だから・・・・・・たまに、本当にたまにでいいからこうして。お願い・・・』

その日、ふらふらと立ち上がった古宵を場所も知らない戦場に送り出してからも、
僕は幾度となく妹を抱き締めて夜を過ごした。
日増しに強力になって行く相手との戦いに身を投じる妹が、愛する家族がせめて少しでも楽になるように。

そうして、戦って戦って戦い抜いた妹が、
それなりの平穏をこの世界に齎したのも少し前のことだ。
激戦の対価に古宵が何を願ったのかは僕も知らない。
だが、血を流す戦場に臨むことを代償としたそれは、大切で譲れないものだったのだろう。

「ぉ、おぉおぉおぉおぉおぉおぉおおぉおおおおお!!」

収束された光の渦が過ぎ去った後、そこには鎧を発光させている誘宵がいた。
白煙を上げながらも剣を構えている。
伝説の武具の一つである勇者専用の鎧に施された加護と本来の防御力。
そこに防御魔法を上乗せしただろう。
顔の輪郭だけを覆い、表情の部分は露出している兜から覗く口が強く結ばれた。

「今のを耐え切るなんて・・・・・・でもそれなら!」

古宵の、抱き締めている時に僕の背中に弱弱しく当てられていた細い指が空中に踊る。
描かれた魔法陣はエクセリオンの機能を以て増幅され、
古宵を中心に回転しながら拡大した。

「やってくれたな!」

誘宵が剣を上段で固定した。
爆発のような光が全身────いや、身に着けた武具から放たれる。
一度だけ見たことがあった。魔王を消滅させた技。
神の力と人の技術を合わせた伝説の武具を共鳴させ、
全開にした力を刀身の形にして射出する必殺の一撃。

「これで終わりだよ」

「私と兄さんの恋路を邪魔する者は殺す。それがたとえ魔王だろうと、妹だろうとな!」

展開された魔法陣が爆縮、エクセリオンの切っ先で極小の球体となった。
内部に留め切れない魔力の奔流が紫電となって空間に荒れ狂い、閃光の花が咲く。
対するのは、巨人が振るうかのような光の帯。
刃の形状に凝集された光の力が切っ先から伸び、逃れる者、立ち向かう者、
全てを断ち切らんとして開放を待つ。

「うるさい!
 私はお兄ちゃんと魔法の国に行って、そこで永遠の命をもらってずっと幸せに暮らすんだから!
 邪魔をするなら、たとえお姉ちゃんでも殺してやる!
 塵になれ────────アルティメットバスタァァアアアアアアアアアア!!」

「お前がなあっ! 聖剣一刀、討魔伏滅!!」

光同士が激突する。
目を焼く発光と耳を震わせる衝撃。
その、ほんの少し横にも似た光景があった。
618妹夢妹夢:2008/01/04(金) 06:14:08 ID:hmY/7yYs
三女、火宵(かよい)。
彼女が教えてくれたのはこの世界にある、だけど多くの人間が忘れてしまった世界のこと。
妖怪という存在。
火宵は僕の妹であると同時に、遥か昔に生まれ、そして死んだ人外の者でもある。

『兄上よ、ゆめゆめ忘れるでないぞ。人は唯一ではない。
 人の堕落が続き、文明が滅びへ近付いた後に再生を迎えるならば、その過程で我らは再び生まれよう』

火宵の正体は七本の尻尾を持った化け狐。つまりは妖狐だ。
狐火と幻術を得意とし、機嫌の悪い時はよく僕を化かそうとする。
もっとも、今の火宵は体の面では完全に人間。昔、ちょっとした悪さをして滅ぼされた火宵は、
その直前に転生の術というものを使ったらしい。
だがその代償は大きく、力も削がれ、転生先は選べない。
虫や微生物にでも転生すれば終わりだ。
だから使う者は滅多になく、更には転生先で生き残れる確立は天文学的低さだという。

『耐えられぬ。この身の何と弱きことよ。
 初めから弱き者に生まれたならば良かったものを、今の我の何と不完全なことか』

火宵は一般的には奇妙極まりない子供で、まだ僕に正体を明かす前はよくそんなことを口にしていた。
転生した火宵の力は以前の半分を下回っていたというから、分からなくはない。
当時、まだ大人というには遠かった僕は妹の言葉に首を傾げつつも、
じゃあ今の状態で出来ることを楽しもうよと、
それはもうあっちこっちで色々なことを火宵としたものだった。
幸運にも、と言うべきか、僕の行動で妹の苦悩は減ったらしかったけれど。

『兄上は我にとっての色よな。
 自らの苦悩と嘆きで色褪せていたこの世界で取り戻せたもの、生まれたもの。
 からーてれびを見慣れた者は、もうものくろの画面には耐えられまい。
 兄よ・・・・・・頼む。兄はどこにも行くな。
 この色づき始めた世界の中で、いつまでも我の傍にいておくれ』

そう言った日のうちに、火宵は正体を明かした。ただし、僕だけに。
今の時代にも力を持つ者はいるから、出来るだけ正体は隠しておきたいんだとか。
僕と妹がたまに、一緒にテレビを見ながら狐うどんをすするようになったのはそれからだ。

「うすうす感じてはおった。
 お前が他の姉妹と違って、そも我のように人でない存在であったことはな。
 それでも黙っておれば見逃してやったものを・・・・・・兄の魂をこの星より連れ去るなど、
 断じて罷りならん! 諦めぬと言うならば、その身を未練さえ残らぬよう焼き尽くしてくれる!」

「不許可。兄の周囲にアナタ達のような存在がいるのは危険。
 兄のためにも、兄の精神はワタシの母星に連れて行く。邪魔しないで」

「化生の類でさえない人外が、どの口でほざくかあっ!」

火宵が、まるで尻尾のように広がった七つのポニーテールを背後の炎で赤々と照らしながら吼えた。

「狐火っ!」

火球が七つ、後部から爆炎を振りまいて高速で放たれる。
対する四女、真宵(まよい)は軽く手を掲げた。

「#△@Ω■δ?Λ」

耳鳴りのような声が響く。
意味を認識出来ない音声の羅列が紡がれ、世界そのものへの呼びかけが行われた。
見た目には何の変化もない。
にも拘らず、飛来した火炎は全てがまるで不可視の壁がそびえ立ったように虚空で弾け、溶け消えた。
多分、僕が姉妹中でも最も理解出来ていない真宵の力によるものだろう。
619妹夢妹夢:2008/01/04(金) 06:15:35 ID:hmY/7yYs
四女の真宵は、厳密にはこの星で生まれた生命体じゃない。
光年単位でさえ気が遠くなるような彼方、異星『アーニィ』で生まれた精神生物だ。
アーニィで生まれた生物は、何か波動とかそういうもので構成された存在で肉体は持たない。
そんな彼らはどうやってか物質文明が発達し、肉を纏った生物がいる星である地球のことを知覚した。
自分達にない特性を持つ他者。
その調査のために送り込まれてきたのが真宵、らしい。

『ワタシは地球上の生物、特にその中において支配的生命体である人類の観測のために、
 まだワタシの侵入に抵抗する精神を持たない胎児の状態であるこの体に入り込んで産まれた。
 人類が保持及び発生させる情報を人類の視点から認識し、
 それを母星へと伝達することがワタシに課せられた使命』

火宵もそうだが、真宵は真宵で変わった妹だった。
情動というものを感じさせず、なのに冷めているという表現とはまた違った印象を受ける。
子供の頃から小さな手で本のカバーを握っては、情報収集と言って読み耽っていた。
視力が低下して眼鏡をかけるように言われた時に、『不覚』と言っていたのはいつの頃だっただろうか。

『だが、困ったことがある。
 高度に理性を発達させた知的生命体にとって、
 未だ原始からの過渡期にある人類の精神的な揺らぎは余りにも刺激が強い。
 それは禁酒を守り続けた人間が、ある日いきなりウォッカをそのままあおるようなもの。
 忘れ去られたはずの生々しい感情を、
 ワタシはこの肉体の脳の働きによって強制的に体験させられている状態。制御が出来ない。
 このままでは抑えきれなくなったエラーの蓄積が臨界を越え、
 本来の存在としてのワタシにとって深刻な事態が発生する』

先ずは僕を納得させるためにスプーンをマッガーレしたり、
ソファを浮かせたりして見せた真宵はそう言って、
感情を映さない、だけど僕や姉妹にはほんの少しだけ表情の分かる顔で迫った。

『エラーの原因となる感情の対象の抹消、
 または感情の充足か他の代替行為による緩和が必要。ワタシにとっては緊急事態。
 兄には協力して欲しい。断られた場合、ワタシには消滅する以外の選択肢がなくなる』

この妹は感情こそ読み難いけど、その代わりと言うかのように言葉を飾ったりはしない。
思っていることをそのままに伝え、決して嘘はつかない。
そんな真宵を見て来たから、言っていることは理解出来なくても、
僕の妹が苦しんでいて助けを求めているのは分かった。

『原因の一つには孤独がある。構って欲しい相手に構ってもらえないこと。
 想っている相手が想いに応えてくれないこと。
 この星にワタシの仲間はいない。ワタシという種はこの地上で孤独。慰めが必要。
 兄の愛情を感じさせて欲しい』

まあ、緊急事態なんて言った割には、求められたのは添い寝することだけで拍子抜けしたのだけれど。
それでも、寂しさに僕の寝巻をそっと掴んでくる真宵を拒絶する気にはなれなかった。
それなりに大変な思いもしたけれど、
可愛い妹達と過ごす平穏な日々は本当に幸せで充実していたと思う。
勇者でも魔法使いでも妖怪でも異星人でも、全員が僕の妹には違いないのだから。
620妹夢妹夢:2008/01/04(金) 06:16:28 ID:hmY/7yYs
なのに、どうしてこうなってしまったのだろう。

勇者でもなければ魔法使いも妖怪でも異星人でもない、
伝説の武具や魔法や妖術や不可思議な力で空を飛ぶことも出来ない僕。
上空で戦う、殺し合う妹達は遠くて、止めるどころか声を届かせることさえ出来ない。
原因は一体なんだったのだろうか。
今日、帰宅すると家の中が静まり返っていて、
テーブルを囲んで妹達がお互いを睨み合っていて。
唐突に妹の中で誰を一番愛しているかを聞かれた僕が答えに窮していると、
全員が自分に決まっていると主張して。
多分、そこから本当におかしくなった。
切欠は分からないけど、妹達はお互いがそれぞれ特殊な環境にあることに気付いたのだろう。
おそらくは最近に。
呆けた僕をよそに言い争いを続ける妹達の目は、それまで見たこともない殺意に満ちていたから。
まるで自分と相手が、剣を持って相対しているみたいに。
それからすぐに自分の長所を挙げるのが相手の短所を貶すことに変わって、手が付けられなくなった。
言い争いが罵倒になり、やがて掴みあいになって。
僕が止めに入ると、恐ろしい殺気とその奥にある何かどろどろしたものに見詰められて。
腰を抜かした僕に、外でやろうと誰かが言い出して。
それからは、本当に掛け値なしの殺し合いだった。



「っ────────幻!?」

視認を越えた速度で駆けた真宵が、輝きを纏った腕で何もない虚空を貫いた。

「うつけが!」

その残像を撫でながら迫る、火宵の投げつけた爆炎の塊。
炎熱の鉄槌は真宵を飲み込むと膨れ上がって炸裂した。
瞳を真紅に染めた火宵がその先を見据え、かと思うと背後を振り返る。

「外れ」

「がっ!? く・・・この、おのれええ!」

振り返った火宵のすぐ後ろに滲むように真宵の姿が現れたかと思うと、
咄嗟に上げられた腕ごと姉を蹴り飛ばした。
ボールみたいな速度で吹き飛ばされる火宵を追おうとして、
火宵の怒号と共に体から放たれた熱波に足を止める。
また高速で何かを呟くと、不可視の壁が赤色の侵食を遮った。

「我の兄上に手を出そうとしたばかりか、肌に傷を・・・・・・万死に値するぞ!
 妹の分際で調子に乗りおって!」

「見解に相違がある。第一に姉に口出しされるいわれはない。
 第二にその傷は姉自身が弱い証拠。調子に乗って力量を測り損ねたのはそっち」

拳を握った火宵が肩を震わせながら顔を伏せる。
真宵はしてやったりと言わんばかりに薄く笑んだ。
それに気配で反応したのか、火宵が顔を上げる。
621妹夢妹夢:2008/01/04(金) 06:40:49 ID:hmY/7yYs
「カアッ!」

見間違いでなければ、見開かれた目、瞳には縦に線が入っていた。
真宵に向けた視線と共に気合が迸った瞬間、真宵の姿が炎に包まれる。

「────────!?」

「はははははっ! 小娘の分際で図に乗るからそうなる!
 衰えても我は七つ尾の大妖、並の人外に遅れなど取らぬわ!」

哄笑が暗くなった空に響く。
今度は真宵の瞬間移動も見られなかった。
代わりに、燃え盛る炎が収束していく。

「・・・・・・何?」

「再構成完了」

消え去った炎の中から現れたのは、火傷どころか服に焦げ目さえない真宵。
着ていた学生服は皺一つない状態で肌を包んでいる。
眼鏡の奥の瞳が、嘲りを示して細くなった。

「この程度・・・? なら、やはり兄にはワタシが相応しい。
 他人を小娘呼ばわりする年増は引っ込んでいて」

「────────なめおって。そちらこそ侮るでないわ!」

大気が鳴動する。
火宵の背で劫火が燃え猛り、朱色の花弁を空へと散らせた。
火の粉が夜風に乗って流れ、七つのポニーテールが揺らめくように広がる。
陽炎に歪む顔で火宵が妹を睨み付けた。

「一瞬で塵と化せば戯言をぬかす口も元には戻るまい。覚悟せよ。
 兄上はこの星で我と暮らすと決まっておる」

「否定。それは姉の意思。兄の意思ではない。そして兄はワタシを選ぶ」

焼けそうな熱を孕んだ視線が交わされる。
数瞬の沈黙を経て劫火の花が咲き、不可視の力が空間を打ち据えた。
炸裂する閃光の最中、視界にもう一つの光が映る。
622妹夢妹夢:2008/01/04(金) 06:41:20 ID:hmY/7yYs
「エクセリォォオオオオン!」
『諾!』

「神剣よ! 私に力を!」

大技を繰り出し、相殺し、硬直を解いた誘宵と古宵が距離を取る。
古宵が兵装に呼びかけ、夜空に砲身の輝きを掲げるとその周囲に光点が発生、
虚空から生じた光の粒が複数の座標に渦を巻いて球体を形成していく。
対する誘宵が剣を天へ突き立てると、身に纏う武具達が応えて発光した。
勇者の感情に呼応して奇蹟の力が巻き起こり、凝固したような光が誘宵の周囲に滞空する。

「リリカルラジカル! くたばれ! シューティングスター!」

「聖剣一突!」

野球ボール大の光球が一群となって進撃する。
古宵を起点に直進するもの、左右から迫るもの、上下から挟み打つもの、
軌跡に残光を生じさせる速度で襲い掛かる次女の魔法に、長女は剣で前方の空間を突いた。
円状に漂っていた光帯が与えられた指向性に従い、濁流と化して突進する。
せめぎ合う閃光の弾雨と奔流。

「お兄ちゃんはアタシをずっと助けてくれた! それもお兄ちゃん自身の意思で!
 勝手に異世界に行った挙句に勝てなくてお兄ちゃんを巻き込んだ無能が、
 長女面してお兄ちゃんに近付くんじゃないっ!!」

「たかが人間やケダモノ相手にひいひい泣いていた弱者に言われたくはないな!
 お前程度の魔法使いなら向こうにもいたぞ? 魔王には勝てなかったがな!
 私と兄さんは双子。同時に生まれて同時に死ぬ、運命に結ばれた二人なのだ!
 誕生も命がけの戦場も共にした私と兄さんの間を、妹の分際で邪魔するんじゃないっ!」

拮抗を崩そうと古宵は次々と光弾を生み出し、誘宵は全身に纏う光を強めて放ち続ける。
弾丸の一つ一つは人間の頭を粉砕でき、光流は全身の骨を粉々に出来る威力だ。
それを本気でぶつけ合う。相手に向けて。勝つために。実の姉妹を殺して勝利するために。

誰も彼もが瞳の中で笑っていた。
勝つのは自分だと確信して、相手を殺すのは自分なのだと確定しているみたいに。
ほんの少しだって、躊躇していない。
戦っているのは血を分けた姉妹で、これまで一緒に過ごしてきた家族なのに。
まるで迷いがない。
それどころか楽しんでる。戦って戦って戦って、相手を殺せる威力をお互いにぶつけ合って。
そうするだけ自分の望むものに近付いていくように。
僕のことを口にしながら、他の姉妹を殺そうとしている。

「はは・・・」

今、僕は笑ったのだろうか。
端から星の輝きが失われていく視界の中で、ふとそんなことを思った。
もう見たくない。聞きたくない。
声に出そうとして、何故か唇が動かないことに気が付く。
感覚が断線していた。痺れたような感じがぴりぴりと肌の上を這い回って睡眠を促してくる。
逆らう理由はない。僕は、視界が真っ暗になる前に自分から目を閉じた。

新年早々の悪夢が、きっと正夢ではない初夢であることを願って。

次は良くなくてもいいから悪夢だけは見ないといいな。
そうして、目が覚めたら妹達に言うんだ。
明けましておめでとうって。
623変名おじさん ◆lnx8.6adM2 :2008/01/04(金) 06:43:52 ID:hmY/7yYs
投下終了
やはり投下宣言込みの8レスで規制を食らうようですねorz
では皆様、よい一月を
624名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 06:52:35 ID:rEsBZrwp
>>623
お疲れ様GJ
多分真宵が勝つね

貴方もも頑張ってください
良い一年を
625名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 07:07:43 ID:hmY/7yYs
火宵のセリフで兄上が兄になっているところ多数orz
本当に申し訳ありませんが、どうか兄上に変換して読んで下さいorz orz orz
626名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 09:11:34 ID:sr1Agh7d
>>623
GJ!
朝から良いものを読ませていただきました。
どの妹もかわいいなぁ。
627名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 11:09:52 ID:fXrKvZ+t
寿命の点からは誘宵が独り不利だな
古宵は永遠の命
火宵はなんか妖怪化されるか
真宵は精神生命体化

ぜんぶひとまとめにしてー
兄は後の魔王である
628名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 11:33:30 ID:5Mwfr71S
兄=魔王=ヨハネ・クラウザーV世という訳か…
629名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 13:13:32 ID:MEu7PmwB
ここは敢えて兄=覇王様で
妹4人死亡→覇王覚醒の流れもぴったり
630名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 15:11:14 ID:fuMenHHk
わかる人だけわかってくれたらいいんだが
昨日うっかり変態姉組曲のMP3をPCのデスクトップに置きっぱなしにしてたんだ
今消そうと思って二階に上がったら妹に聞かれてた…orz
631名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 15:34:54 ID:Y7u4Uqoa
はいはい
632名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 15:41:25 ID:b+xIHtIM
そんな妄想フリになんか乗りませんよ
ファンタジーやメルヘンじゃあないんですから
633名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 16:40:17 ID:nGzZJQ8+
> 変態姉組曲
ググって吹いたw
でも元歌は削除済みなのな……
634名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 17:03:59 ID:leVhwxgt
ttp://gs.dengekinet.com/suteki/index.html
これ全員がキモ姉キモウトだったらいいのに・・・
635名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 18:19:04 ID:xznCwyUw
今日はやけに宣伝が多い日ですね
初仕事がこれですか?
636名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 18:48:32 ID:kqn6HfOt
>>634
これはひどいな
637名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 20:15:50 ID:hm7tCGOv
今更kiss×sisを知った俺はこのスレでは遅れてるんだろうな
638名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 20:24:27 ID:Uy/kHHIc
りこ姉ちゃんの可愛さは異常
俺もあんな姉が欲しかった
639名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 21:43:43 ID:gmRKuOfI
>>634
ブログに寄せられてるコメントのキモさは異常
640名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 06:42:39 ID:g3+wikm+
>>634
これはひどいな…
だが、長女は貰っておこう
641名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 08:48:29 ID:8oskmKg9
ぱっと見たら素で全員キモ姉妹に見えるんだが…
642名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 08:52:28 ID:Rxo00+g7
さすがに粗製乱造だろうこれは
やりすぎ、ねらいすぎ
643名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 12:51:22 ID:B5MeNM/u
大量に出せばいいってもんじゃないよな
644名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 13:40:01 ID:FCN9hXxk
十九女とか・・・幼女ってレベルじゃねーぞ
645名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 18:27:35 ID:qGtB4+BZ
良質なキモウト系SSのあるサイトってありますかね?
自分は恋歌さんの名作「ゆるしてあげない」と、
「責められる願望」の「妹達の〜」シリーズくらいしか知らないんですが…
646名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 21:31:00 ID:ofA/lvqc
『サキュバスの巣』裏3

キモウトの手の温もりが感じられれば間違いなく目覚める
647名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 23:06:07 ID:rcMsAveF
>>645
「ゆるしてあげない」はほんと名作だよね
あれでキモウトにはまってしまった
648 ◆/waMjRzWCc :2008/01/05(土) 23:10:33 ID:UJNXlNfF
続き投下します。
649理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2008/01/05(土) 23:11:01 ID:UJNXlNfF
「ただいま…あれ?理緒姉?」
部屋が暗い…
「理緒姉、帰ってないのか?」
「修くん…」
「理緒姉…電気も付けないでどうしたんだよ?」
話しながら電気のスイッチを入れる。
「修…くん…」
寝てるのか…?それにしては様子が変な気がする…
ぱっと電気がきらめく。
目に入ったのは、血の鮮やかな赤。
理緒姉はテーブルに腕を投げ出して動かない。
その腕は真っ赤に染まっている。
「理緒…姉…?なにやってんだよ…」
理緒姉は身じろぎ一つしない。
「理緒姉ぇぇっ!」
落ち着け落ち着け落ち着け!
とにかく止血しないと…!
すぐ俺の服を脱いで理緒姉の腕に巻き付ける。
俺の服が理緒姉の血に染まっていく。
「くそっ、止まれ、止まれよっ!」
理緒姉、なんでこんなことしてんだよ…
俺を一人にしないでくれよ…
力を込めて、止血を続ける。
…止まった、か?
理緒姉を、ベッドに運ぼう。
くっ…人間って力が入ってないとこんなに重いもんなのか…
なんとかベッドに寝かせ、腕を高くする。
「理緒姉…なんでだよ…」
理緒姉はこんなことするような弱い人じゃないだろう?
「理緒姉、頼むから目を開けてくれよ…理緒姉…理緒姉ぇ…」
650理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2008/01/05(土) 23:11:28 ID:UJNXlNfF
「修…くん?手、痛いよ…」
強く握り締めていた手をほどく。
「理緒姉…良かった…」
本当に良かった。
「修くん、それ…」
言われてから気付く。
俺の目からは涙が溢れていた。
「あれ…おかしいな。全然悲しくなんか無いのに」
いくら拭いても次から次に溢れて、止まる気配が無い。
「修くんは…こんな私の為に泣いてくれるんだね…」
「当たり前だろ…俺と理緒姉は家族なんだからな」
そう言った直後理緒姉が俺に背を向ける。
「でも、修くんは私の事嫌いなんでしょ?」
「えっ…?」
「病院の事、覚えて無いの?それだけ私なんてどうでも良いんだ」
「あれは…違うんだ」
「何が違うの?言い訳なんて聞きたくない!部屋から出てって!」
「…ごめん」
俺は謝る事しかできなかった。
理緒姉の部屋を出て自分の部屋に入る。
何もする気が起きず、ただベッドに横になる。
やっぱり、嫌われたか…
それもそうだよな…あんな言い方しちまったんだから。
でも…なんでこんなに痛いんだ?
締め付けられているかと思う程胸が痛い。
俺は…理緒姉をどう思ってるんだろう。
今までずっと、姉として見てた。
でも、だとしたらこの痛みはおかしいよな…
651理緒の檻 ◆/waMjRzWCc :2008/01/05(土) 23:11:54 ID:UJNXlNfF
「修くん…ごめんね?」
一人の部屋で呟く。
これで修くんが私の事をどう思っているか分かる。
考えたくないけど本当に私が嫌いだったら、何も変わらないだろう。
それなら…修くん以外の全てを壊してでも修くんを私の物にする。
家族として好きなら、謝ってくるだろう。
ある意味一番最悪なパターンね。
現状と何も変わらないのだから。
後は…私を一人の女として好きでいてくれるパターン。
もちろんこれが最高だ。
明日になれば分かるだろう。
それより今は…
「んっ…」
修くんが握り締めてくれていた右手を自らの股間に当てる。
「はぁ…はぁ…」
修くんの温もりを感じる。
それが快感を後押しする。
「んんっ…」
既に割れ目からはとろとろとした液体が溢れ、下着を濡らしている。
腕に巻かれた修くんの服。
その匂いをかぐ。
修くんの匂いと私の血の匂い。
まるで私が修くんを犯しているような錯覚を覚える。
「修くん…気持ち良いよ…」
ぐちゅぐちゅと淫らな音が響く。
「あぁっ!気持ち良い!指が…止まらないのぉ!」
修くんに弄って貰っている想像をする。
指は更に加速し―
「だめっ…もう、あぁぁぁっ!」
652名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 00:21:49 ID:RLBT99TF
支援
653名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 09:56:51 ID:i9Uu0K44
ツンツンしたキモ姉に顔を踏まれたい
654閑話休題〜弟はお姉ちゃんのもの〜補完版:2008/01/06(日) 11:05:03 ID:UorTAnfC
「よく聞いて、弟君。近親相姦っていうのはね、血縁者でセックスして子供をつくることを指すのよ。
 だから、こうしてオナニーの手伝いをすることは近親相姦にはならないの。
 さあ、だから手をどけてお姉ちゃんの邪魔をしないでくれるかな。
 そう、いい子ね。
 お姉ちゃんの口で気持ちよくしてあげるからね」


「オナニーの手伝いは問題ないことが判ったようね弟君。 いい子ね、素直な弟君がお姉ちゃんは大好きだよ。
 あら、また大きくなったわね。 ンもう、しかたないなぁ。
 もう一度してあげるからね。 スッキリしちゃいなさい……
 
 どう? 弟君。 もうイキそうかな?
 うん。 このままイッっていいよ。 大丈夫。 お姉ちゃんの顔にかかることなんて気にしないでね。
 お姉ちゃん、弟君にかけて欲しいんだから。

 いっぱい出たねぇ。 顔だけじゃなくて髪にまでかかっちゃった。
 いいのよ、お姉ちゃん嬉しいの。 他の女の子には出来ないことをお姉ちゃんだけが出来たんだから。
 またしようね」


「落ち着きなさい弟君。この前も言ったけどセックスしない限り近親相姦にはならないのよ。
 セックスっていうことを理解してるかな?
 子供をつくることなのよ。
 だから、《今度産む》で避妊する限りセックスにはならないの。
 皮膚も粘膜も接触しないでしょ?
 解ったかな?
 さ、おとなしく横になっててね。 大丈夫よ。 痛くしないから」


「まだ何か言いたいことがあるのかな? 弟君。 キミがいつまで経ってもお姉ちゃんのアソコに入れることを躊躇うから
 後ろの穴にしたんじゃない。 お姉ちゃんなら大丈夫よ。 始めは痛かったけど、もう慣れたわ。
 弟君でいっぱいに満たされているからお姉ちゃんは満足よ。 それにね、ココの穴だと弟君が怖がっている近親相姦にはならないでしょ。
 そうよ、ならないのよ。 だから安心して動いていいのよ。 いっぱい出してね」


「ねえ、弟君。 避妊すればセックスにはならないって、この前に勉強したわね。
 あれからお姉ちゃんも勉強してね、半年間 毎日基礎体温を測って準備していたんだよ。
 その間、お口とお尻でしか弟君を受け入れてあげられなかったから お姉ちゃん少し淋しかったんだ。
 お姉ちゃんを淋しがらせるなんて、悪い弟なんだぞ。 ん? あやまらなくてもいいのよ。
 そのかわり、お姉ちゃんの言うことをきいてね。

 そうよ、お姉ちゃんココに入れるのよ。 中に出してもいいの。
 大丈夫よ、今日は大丈夫な日なの。 言ったでしょ、お姉ちゃん勉強したんだから。
 きちんと妊娠しない日なの。 だから近親相姦にはならないのよ。 安心してね。
 何回してもいいから、いっぱい出してね」


「そろそろ落ち着いたらどう? ねえ、弟君。
 世界中のどんな避妊法だって、100%絶対なんてありえないんだから。
 わかるかな? 世の中には『絶対』なんてことは一つも無いの。
 だから、姉弟が『絶対』に結ばれてはならないってこともありえないのよ。 わかるかな?
 むしろ、お姉ちゃんはこうなったことが嬉しいの。 だって、弟君の種で孕んだんだもん。
 お姉ちゃん、幸せだよ」
655名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 11:18:45 ID:jPFTortG
おねいちゃんGJ!
656名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 12:32:10 ID:4dfHOfnR
なんかどっかで見たことある
657名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 12:42:43 ID:ks1drJFz
>>336とかの内容を加筆・修正したものかな?
何にしろGJ
658名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 13:09:16 ID:oycm/stP
世界の中の人ってリアルキモ姉なのね
659名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 13:24:59 ID:CIRcDiat
>>658
スクイズの世界?


あと涼長の中の人もそうなんだっけ。
660名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 14:53:01 ID:6lEAhKyj
>>654
とても良かった!GJ!
661名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 14:57:23 ID:2eI9ADHf
上の方でネタが少し被ってるのあるかも汗

僕の家は一言で表すのであれば良家だ。それも古くから伝わる類のものだ。
家も客観的に見て豪華な類に入るのだろう。華美な庭石や木々がそう魅せている。
少なくとも僕はそう思うし、周りの切望の眼差しがそれを訴えている。

しかし、僕はどうだろうか。

妾の子としての―――僕は。
父は別に好色家であった訳はない。少なくとも一途であったと聞いている。
何故、僕が生まれたかも、父が今なにをしているのかは知らない。
それは妾の子だからなのだろうか。いや、正妻の子以外は知らなくていいのだろう。
第一僕自身、知ろうとすら思わない。知ったところで何かが変わる訳でもないし。

「なあ薫兄、飯はまだか?」
はっとして思考を中断させる。僕は……そうだ。幸江の夕食を作っているんだった。
蛇口から音を立てて落ちる水が何だか変なことを考えさせた。
「いえ、まだできません。今は鍋が煮える間、先ほど使った包丁と板を洗っているところです。」
台所と隣接、いや既に台所とひとつのような茶の間からは妹のリラックスしてソファーにもたれ掛る姿が見える。
「なあ、薫。お前は少なくとも私の兄なんだ。その敬語を止めてくれ。私が情けなく感じるよ。」
少し口調は強い。
「いえ、幸江さんはよくやってらっしゃいますよ。この前の試験の結果も素晴しかったですし、運動も……。私としても鼻高々です
そういって振り向く。暖房のおかげなのだろうか、この季節には似つかわしくない甚平姿の妹が柱に寄りかかっり、少し責めるような目で兄を見つめていた。
「薫はまだ自分が妾の子だって気にしているのか?まだ私を許してくれないのか?」
昔と少しも変わらない少し長い髪。それを見て少し思い出す。
初めて幸江と会った日、親戚中の集まりを。

初めて会った時、幸江とは対等に話させてもらった気がする。
僕はそこでは妾の子、しかも母がいない子供は蔑まれたりするのは当然だ。
しかも妹は生まれながら何をとっても出来がいい。背は一つ年上の僕よりこぶし一つ大きいし、顔は言わずもがな。
それに比べ僕は平凡だ。優秀な家庭で平凡はそれ以下の物となんら変わりない。
僕はそこで自分がどうすべきか知った。それだけ。
妹はそこで助けることもできた。しかししなかった事に後悔の念を感じて止まないらしい。
「いえ、そういう訳じゃないですよ。私は自分を理解している、それだけです。」
「なんだかなぁ……そうだ。今から私が飯は作ろう、そうだ。それがいい」
「あ、後は味噌汁と煮物が煮えたら終りですから……」
妹はどこにそんな力があるのかと思わせるような力で僕を押し出す。
「だからそれをやらせろって言ってるんだ。お前はソファーにある私の食べかけの煎餅と飲みかけのお茶でも啜ってろ」
こう言い出すと妹は止まらない。高校一年というのは何でもやりたい年頃なんだろうか。
ふと台所を見れば楽しそうに料理――
「こ、こら、あんまり私を見るんじゃない。」

茶の間でゆっくりと腰を据え、ふと考える。
父上や母上が帰ってこないからって少しやり放題だなぁ、と。
茶の間には似つかわしくないソファーやテーブル。ゲーム機。
ベンチプレス、マッサージ器。
妹は少し洋風に憧れているのだろう。以前改築したいとか言ってたなぁ…。
僕はこの和風の方が好きだといったら止めてくれたが。
しかしどうしても事情で改築が必要になった時、安いからという理由で僕と妹の部屋はフローリングの洋館に変えられてしまった。
父上が知ったらどう思うだろうか。

怒るんだろうなぁ……兄として止められなかった僕を。
「おーい、薫。できたんで運んでくれ」
ふと思考が途切れる。僕はなんとなく嫌な気持ちになってゆっくり立った。
それでもいいか。幸江の為なら。
662名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 14:57:57 ID:2eI9ADHf


そっけなく妹はしているが僕にはわかる。早く味噌汁の感想が聞きたいのだ。
だから僕の手が動く度に動きが止まるんだろう。それが可愛くて、おかしくて、つい後回しにしてしまう。
「なあ薫……お前わざとか」
「ええ、幸江さんの仕草が可愛くて」
「なっ…!ぐっ…!」
盛大に咽たのだろうことはわかる。でも咽ながら僕の足を蹴るのは如何なものかと。
少しふざけ過ぎたのかも。

結局味噌汁を飲んだのは食事の最後だった。しかも感想は言っていない。
今は食器を洗い終わったところだ。
幸江はやさぐれた様に煎餅をかじっている。僕が掃除するのを知っていてだろうか。
ここで言わないときっとゲームのデータが消されたりジュースの炭酸が抜かれたりする。
少し恥ずかしい気持ちになるが、ぐっと抑えてそれを言う。

「お味噌汁……美味しかったですよ。かつおのダシと味噌の匂いがとてもいい感じで。」
そういいながら濡れた手を布巾で拭く。そして振り向けば親の敵を見つめるかのように見上げる妹がいた。
「お前は……言うのが遅いっ!」
「幸江さんが可愛らしくて」
「っ!……だとしても言うのが遅いっ!」
本当に怒らせてしまったのだろうか。妹は柱に寄りかかりあらぬ方向に顔を向けた。
「本当に美味しかったですよ。それはもうお嫁に行っていもいい位に。他の料理にも合う深い味でした。」
「そりゃ、お前が作った料理だからな。他の味にも合うんだろうな。」
墓穴だろうか。少し汗が背中を伝う。
妹は頑固なのだ。一度怒ると栄養失調になるまで飯も食わないし水も飲まない。
「いや……あのどうすれば」
「……抱きしめろ」
「え?」
「抱きしめて、頭を撫でろと言ったんだ。妹が頑張ったのにお前は何かしてやろうとも思わないのか。」
撫でろまで言ったか?いやでも……。
「でも恥ずかしいというか、ですね……」
腕を組んで知らぬ顔でこちらを見ない妹は一歩も引く気配をみせない。
「なら、お前は旨いのもを食ったんだろ?その駄賃だ。払え。」
「払えって……」
勝手にやりだしたのは幸江じゃないのだろうか。しかし一歩も引く気配は――みせない。
うちの妹は我侭なのだ。頑固なのだ。苦笑しかでない――が、もう少し出してもいいのかもしれない。

すぐそこにいる妹を背中からそっと抱きしめる。少し体が強張るのがわかる。
「笑うなっ!そして、お前は私に言うことがないのかっ」
片方の腕で優しく撫で、考える。よく姉に間違われるこの妹に言うべき言葉を。
「今日は美味しい味噌汁を作ってくれて……」
「……くれて?」
僕がそう感じるだけなのだろうか。妹は少し笑っているような気がする。

「ありがとうございます」

そこで妹は腕を解き、泣きはらした鬼の様な形相で言う。
「馬鹿だっ!お前は本当に馬鹿だ!本当に……空気を読めっ!!」
僕には酷く憤怒した理由がつかめない。なんか不味いことを言ったのだろうか?
しかし、妹は怒っている。だけどそれは喉に何か引っかかって、決して取れることのない何かのような。
そんな苦渋に満ちた表情だ。

「何か言ってはいけないことを口にしたのでしょうか?」
「それだよっ!お前は本当に……大馬鹿だよ!!」
そういって幸江は自分の部屋の方へ走っていった。
663名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 14:58:28 ID:2eI9ADHf



柔らかめのベットに身を落として、布団に潜り込む。
あの馬鹿は……、本当に駄目だ。あそこはそうじゃないだろう。
恋人だったらキスしてもいい場面だ。いや、それは言いすぎか。
「お嫁に行ってもいいくらい……美味しい……」
頭の中でその言葉を半数させる。そして一つのことを思い出す。
「私、薫兄に頭撫でられて、抱きしめられたのか」
何かが腹の底から頭に向かって駆け上がり、なんとも言い難い感情をふつふつとさせる。
「ひゃあああ……、頭撫で……美味しい……」
しかもお嫁にって、それは薫兄の基準でってことだよな?
ごろごろと転がりながらふと考える。そしてまた悶える。

明日は少し冷たくして、怒ってるのを理由にいろいろしてやろうか。
私は兄が怒った時は甘くなるのを理解している。多分殴っても怒んねぇと思う。
それが少し悲しくもあるのだけど。
664名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 15:00:47 ID:2eI9ADHf
投下終了です。前もって投下することを忘れてました汗
病んでる部分がない?ヤンデレ?
ボッコボッコにしてやんよ!

多分ここから加速していきます。
稚拙な文かと思いますがどうぞ批評の程、お願いします。
665名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 17:39:11 ID:cB2YyUiR
>664
666名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 17:40:38 ID:cB2YyUiR
>>664

GJ!
どんな風に病むかwktkして楽しみにしてます
667 ◆a.WIk69zxM :2008/01/06(日) 17:57:44 ID:wBRa9Z6S
投下します。
非エロ。11レス予定。

>664 続けてで申し訳ない。
668__(仮) (1/11):2008/01/06(日) 18:00:28 ID:wBRa9Z6S
 秋巳が水無都冬真に告白の件を相談してから。
なんとなくぼんやりと霞がかったような晴れない気持ちのまま秋巳は帰宅の途についた。
 水無都冬真の家も秋巳の近所であり、秋巳は一緒に帰ろうかと誘ったが、
例の件について早速心あたりを当たると水無都冬真は言い、そのまま屋上で別れた。
「あら。おかえりなさい。兄さん」
 秋巳が玄関の扉を潜ると、迎える妹の椿。
 ちょうど洗濯物でも取り込んでいたのだろうか、洗濯物を詰めこんだ籠を持って、
階段を上がろうとしているところだった。
「ああ。ただいま」
 そう返す秋巳の挨拶を背中で受けて、そのまま階段を上がっていく椿であったが、
途中で思い出したように立ち止まり秋巳のほうを振り返る。
「ああ。そうそう。兄さんの分の洗濯物は、分けて居間の籠に入れてありますので、
 自分でしまって下さいね」
 そういい残すと秋巳の返事も聞かずに、自分の部屋へと入っていく。
 その椿の部屋の閉まる音を聞きながら、秋巳は聞こえていることなどまったく期待しないで返事をする。
「ああ。判ったよ」
 それは、なにげない普段の、いつもどおりの兄妹ふたりのやり取りであった。
 兄に敬語を使う妹。
 昔からそうだったわけではない。
 いつからだったろうか。
 秋巳は思い出す。いや、思い出すまでもなかった。
 秋巳が中学にあがる直前。この家に住む人間が誰もいなくなったときからだった。
 そして、その約三年半後。椿と自分が兄妹ふたりで、再びこの家に戻ってきて。
以前の半分となった人数でこの家での生活を再開しても。椿の態度は、特に変わることはなかった。

 一言でいってしまえば、兄に対して無関心。一緒の家に住んでいる同居人程度の認識なんだろう。
 秋巳はそう考えていた。
 特に尊敬するわけでも、毛嫌いして疎ましく思っているわけでもない。
必要な会話は交わすし、不必要におしゃべりすることもない。
 秋巳にとって、それはありがたい距離感だった。妹の態度がよそよそしいことが、ではない。
その程度には接してくれていることが、である。
 過去に秋巳が椿に与えた仕打ちを考えれば、自分はこの家でまったく存在しないものとして
扱われても仕方がない。秋巳はそう思っていた。
 それでも、椿は兄である秋巳を一人の人間として扱い、他人の前では兄として立ててくれることも多い。
それは、多分に椿の体面も考えてのことだろうが、それでも秋巳にとってはありがたかった。嬉しかった。
 彼が唯一、関心を向ける『肉親』だったから。
 特になにもなくたって、思春期に差しかかった妹が、兄に対して冷たくあたるなんてことは、
秋巳の周りでざらに聞く話だった。あまり周囲と比較するという思考を持たない秋巳ではあったが、
妹との生活はそれを考慮すれば充分『幸せ』である。そう認識していた。
 『好意』の対極がなんであるか、なんて考えることなく。
 このままの生活が続いてくれればいいと思っていた。
 秋巳は椿のことを大事に想っていたし、椿が困っていれば迷わず自分のできうる限りの手助けはするであろう。
 それはいままでもこれからも。あの時期だけを除いて。秋巳にとってはあまり思い出したくない一年を除いて。
(まぁ、椿は困っても自分になんか助けは求めないだろうが――)
 心の中で苦笑して、妹が自身の望む幸せを求められることを願う。
669__(仮) (2/11):2008/01/06(日) 18:04:09 ID:wBRa9Z6S
 椿は、望めば世間一般の幸せをいくらでも得られるであろう人間だった。
 学業。容姿。身体能力。すべてにおいて平均以上のスコアを叩き出せる彼女は、
なんでもそつなくこなす才能を有していた。
 特に秋巳が苦手とするフィールドにおいては、彼が母親のお腹に置いてきたその才能を
全部かき集めて生まれてきたんじゃないかと思うほど、抜けた能力を発揮した。
 そのことがまた、秋巳の『出来なさ具合』をより浮き彫りにし、
無意識に秋巳の劣等感を刺激する促進剤となっていたのだが、
秋巳は純粋に妹が才能溢れる人間であることを喜んでいた。
 また、容姿をとっても、秋巳にとっては『気持ち悪い』要素でしかない透きとおるような純白の肌、
肩甲骨の下あたりまで伸ばしたブラウンのストレートロングも周囲の女生徒からは
羨望の眼差しを向けられた。顔についても、時折物憂げな表情をするため、
華奢な体型と相まって線の細い印象をうけるが、目鼻立ちははっきりしており、
すっと通った輪郭も含めてあきらかに美人の部類に入るものだった。
 ただ、男に媚びたり、かわいらしい自分を演じてみせるということはまずしなかったので、
柊神奈のような男受けのいい『クラスのアイドル』とは、また違う評判を得ていた。
 どちらかというと、周囲の尊敬を集める人望のあつい人柄、また周囲に与える影響力も大きい人物、
というほうが相応しかった。
高嶺の華といった雰囲気がやや漂うので、表立って言いよる異性はあまりなかったが、
それでも密かに憧れている男子生徒は多いであろう。

 今現在、堂々と言い寄っているのは、水無都冬真ぐらいだろうか。
 秋巳は考える。
 学校では、自分は『如月椿の兄』ですらないだろう。
 よく出来た妹にとっては、出来の悪い兄など目障りでしかないはずだ。
引き立て役ぐらいにならなるかもしれないが、身内であることを考えれば自分の評判に影をおとす存在。
 だから、秋巳は学校では極力妹に接しないようにしていたし、
彼のクラスメイトのほとんども彼の妹のことなど知りもしないだろう。
如月椿の存在は知っていたとしても。
それがクラスで名前も覚えられているかどうかも怪しい影の薄い如月秋巳の妹だとは想像がつかないのだ。
 彼のクラスでの認識は、せいぜい『あの水無都冬真となぜか仲の良いヤツ』ぐらいのものであろう。
それも、分け隔てなく付き合う水無都冬真が秋巳にも構ってやっているのだろう、ぐらいの認識。

 もし、自分が柊神奈に関係した噂の対象になれば。
 もし、注目されるようなことになれば。
 『如月椿のダメ兄貴』の風評が、学校に流れるかもしれない。
 秋巳は、妹の学校での影響力を正確には知らなかったが、
水無都冬真から伝え聞く範囲で考慮すれば、椿にとってもいい迷惑になるに違いない。
 だから、それを考慮しても、柊神奈とのことは穏やかに済ませたかった。
670__(仮) (3/11):2008/01/06(日) 18:05:38 ID:wBRa9Z6S
「兄さん、今日の夕食なんですが――」
 秋巳が居間で洗濯物を畳みながら、つらつらと昨日今日の出来事や椿のことについて、
考えを巡らせていると、背後から声がかかる。
 椿がいつのまにか部屋から出てきて、居間の入り口に立っていた。
「ん。ああ、今日の夕食か。えっと、当番は……僕だっけ。
 早い方が良い? もうすぐ用意するよ」
 夕食の支度は長期の休みの日を除いて、原則ふたりで交互にやる。
それがこの家での生活においての二人で取り決めたルールだった。
「いえ。ちょっと都合で明日の夕食がいらないので、
 今日と当番交代してもらえます?」
「あ。そうなの。別にいいよ。明日は僕ひとりで適当になんか買うし。
 いちいち交代しなくても」
「こちらの気分の問題なので。ダメなら、明日夕食だけ作りに戻ってきますけど?」
 そう言い切る椿。
 自分に貸し借りをつくりたくないのだろう。『同居人』ならではの線引き――。
 秋巳は内心自嘲する。
 ここで押し切れば、明日は本当に夕食をつくるためだけに戻ってくるのであろう。
「判ったよ。じゃあ、今日はお願いするよ」
「ええ。時間はいつもどおりでいいですか?」
 自分の提案が受け入れられたことに、わずかにほっとしたような表情をみせる椿。
 面倒なことにならなくて済んだからであろう。
「それでは、ちょっと夕食の買物に行ってきますので」
 そう言うと、椿は踵を返し玄関へと向かった。
「ああ」
 秋巳は頷いたものの、「今日買い物行く必要あったっけ?」と疑問を浮かべていた。
671__(仮) (4/11):2008/01/06(日) 18:08:07 ID:wBRa9Z6S
 *  *  *  *  *  *  *


 秋巳に翌日の夕食が不要であることを伝えてから、椿が向かった先は駅前の喫茶店『ユートピア』。
 大層な名前が付けられている割には、店舗の構えはそれに相応しいものとはいえなかった。
デートに使われるような洒落た店というより、ビジネスマンがちょっとひと休みといった
用途で主に使われるこの場所。
その色気もなにもない自動ドアを潜ると、ひととおり店内を見渡す。
 いらっしゃいませと声をかけてきた店員に対して、待ち合わせの旨を椿が伝えるとほぼ同時に、
フロア奥の一角から声が上がる。
「おーい! 椿ちゃん! こっちこっち!」
 ホットコーヒーひとつを、と店員に注文すると、その呼ばれた窓際のボックス席へ向かう椿。
「ごめんなさい。水無都さん。お待たせしましたか?」
 特段済まなそうな顔を見せるでもなく、普段どおりの表情で待ち合わせの相手である水無都冬真に声をかける。
「いやいや。俺もいま来たところだよ。さ、座って、座って」
 と自分の座っていたところからウィンドウに近い奥に寄って、隣をバンバン叩いて座るよう促す。
 椿は、ええ、と返事しながら、ボックスの水無都冬真の向かいの席に腰を下ろす。
「…………」
 隣を空けたことに椿がなんの反応を見せることもなく完全に無視された形の水無都冬真は、
窓際に寄りかかったまま一瞬固まったが、
「はは。いや、ここなぜか埃っぽくてね……」
 と先ほど自分が座っていた場所に手を置いたまま、乾いた笑いで呟いた。
「さすがですね」
「え? なにが?」
「女性に恥を掻かせない術を心得ている、と。
 たとえ自分が恥を掻いても、相手は責めないんですね」
 と、水無都冬真のまえにおかれている空になったコーヒーカップを指差す。
「いやー。椿ちゃんの冷たいあしらいは慣れてるしね。
 そんなところに、また俺のハートはぞくぞくくるわけよ」
「それで、お話とは?」
「うわ。もうほんと、兄妹そろってクールなんだから。もっとさ、
 『お待たせしてすみません。これでも冬真さんに呼び出されて
 慌てて飛び出してきて、走ってきたんですけど』なんて、
 ハァハァ息を切らして、頬を染めながら囁いて欲しかったり
 するんだよねー。お兄さんとしては」
「お待たせしてすみません。これでも水無都さんに呼び出されて
 慌てて飛び出してきて、普通に歩いてきたんですけど。
 それでお話とは?」
 なんの感慨も含めないように、棒読み真顔でこたえる椿。
「はいはい。判ってましたよー。ええ。ええ。
 全然ショックなんて受けてませんよー。ふーんだ。
 意地の悪い椿ちゃんには教えてあげないもんねー」
「では。これ、コーヒー代ですから」
 そう言って五百円玉を置いて立ち上がろうとする椿。
672__(仮) (5/11):2008/01/06(日) 18:10:32 ID:wBRa9Z6S
「ええ! 嘘ウソッ! 軽いジョークだってば!」
 水無都冬真が、引きとめようと慌てて椿の腕を掴む――その瞬間、
逆に手首を掴まれ腕を勢い良く捻り上げられる。如月椿によって。
「えぇ! ちょっ――!」
 驚いた水無都冬真がその痛みを感じる直前に、
ぱっと掴まれた手は離された。
「失礼しました。ちょっと驚いたもので。反射的に」
「あ、あの? 驚いたのはこっちのほうなんだけど? 
 腕をつかまれて反射的に相手の腕をひねり上げるって、
 どんだけ戦闘訓練を受けた照れ屋さん?」
 特に痛みはないが、掴まれた手首を擦りながら水無都冬真が問う。
「すみません。男の人に免疫がないもので」
「そこはもうちょっと照れながら言ってほしかったなぁ。
 と、まあいいや。ごめん。
 ちょっとこっちも悪ノリしちゃったしね」
「では、痛み分けということで」
 自分に多大なお釣りがきそうだけどね、と水無都冬真は思った。
「うん。まぁ、話ってのは、さっきメールで送ったことなんだけど」
「これのことですか?」
 そう言って、携帯を広げて見せる椿。そこには。

『FROM: 水無都冬真
 TO: 如月椿
 Subject: 【緊急事態】Emergency!!!【発生】
 Contents:
  あ 姉さん。事件です!
  い 秋巳の被害者が
  し 累計二名に達しました!!
  て 明日の晩しっぽり決め込む模様。
  る 詳細はヒトナナサンマル、
  ! 約束の場所で。ランデブー。』

「うん。それ」
 我が意を得たりとばかりに頷く水無都冬真。
「で、ここでこの暗号の解き方を教えてくれるわけですか?」
「いや、暗号もなにもそのままの意味だけど?」
「では。日本語に訳していただけると助かります」
「いや。日本語だけど」
「…………」
「あぁ。いいねぇ。その冷たい視線もゾクゾクするよ」
「で?」
 そもそもその後の『p.s. 約束の地。それすなわち、桃源郷』という追送されたメールがなければ、
この場所すら判るものではなかった。
673__(仮) (6/11):2008/01/06(日) 18:13:49 ID:wBRa9Z6S
「しょうがないなぁ。ネタばらしをすると、
 メール本文の各行の最初の一文字だけ読むと、真実が浮かび上がってくるよ?」
「『ねあるあしや』……。意味不明ですけど?」
「ねぇわざと? わざとだよね。それ」
「申し訳ないんですが。私もそんなに暇じゃないのですけど……」
 いい加減本題に入らない水無都冬真に対して、痺れを切らしたように、しかしその口調は抑揚なく述べる椿。
「といいつつも、あのメールだけでここまで来ちゃうんだから、
 やっぱり愛されてるよねぇ。ボクって」
 はにかむように笑う水無都冬真に、椿は若干呆れたように溜息を吐く。
「おまたせしました」
 そこへ、店員が椿の頼んだホットコーヒーを持ってきて、さらに、水無都冬真にコーヒーのお代わりを勧めた。
 水無都冬真の空のカップにジャグから注ぐと、「ごゆっくり」とにこやかな笑みを浮かべて去っていった。
「さて。椿ちゃんの飲み物もきたし、今日呼んだわけを話そうか。
 といっても、椿ちゃんのことだから、
 大体察しはついてるかもしれないけどね」
 そう言ってカップに注がれたコーヒーを、なにも入れずにそのまま啜る水無都冬真。
「まぁ。手短に言うとね。俺のクラスのね、
 まぁ、秋巳のクラスでもあるんだけど、
 ある女の娘と付き合いたいなぁって思ってるわけよ」
「…………」
 椿は黙って軽く頷き、水無都冬真の話を先に進めるよう促す。
「ところがさぁ。厄介なことに、その娘なぜか知らないけど、
 あの秋巳に惚れちゃってるんだよなぁ。いや、これが。
 ほんとあの学校の七不思議に認定したいところだよ」
「その妹のまえで、随分な言い草ですね。
 まぁ、そう言われても仕方のない兄ですけど」
 いままでにこりともしなかった椿が、今日はじめて水無都冬真の前で笑みを漏らす。
若干苦笑いを含んだものではあったが。
「いや。そうなのよ。それでさ、俺としてもその娘の目を覚まさせてあげたいのよ」
「そうですか。それで、なぜ私にその話を?」
「え? そりゃあ、椿ちゃんがこれだけ慕ってくれてるんだからさ、
 いきなり椿ちゃんを蔑ろにしてほいほい別の女の娘のところに
 行くわけにもいかないかなぁって。椿ちゃんが『行かないでっ!』って
 言ってくれるなら、俺はもちろん椿ちゃんをとるよ」
「ふふ。大した自信家ですね。それだけ聞くと、
 私なんか扱いやすい取るに足らない人間って言っているように聞こえるのですけど」
「いやいや。黙ってその娘のとこ行っちゃうのは、フェアじゃないと思ってさ」
「余裕たっぷりですね。私は、試されているのかしら? 
 水無都さんはどちらでもいいけど、私の一存で動くって」
 そこで、はじめて出されたコーヒーを一口すする椿。フレッシュのみをわずかに垂らして。
「いや。俺としては椿ちゃんに引き止めて欲しいよ。
 でも、いままで押してばかりだったからね。
 たまには引いて反応を見たくなるのさ。恋愛の駆け引きってやつだね」
「それを口に出しては、駆け引きにならないのでは?」
「存外駆け引き下手で不器用なところを見せて、
 そこで椿ちゃんの気持ちをきゅんって揺り動かそうって作戦なわけだ」
 椿は、持ち上げていたカップを、ゆっくりと、音を立てないようにソーサーに戻す。
「そうですか。勘違いしないで受け取ってもらえるとありがたいのですけど。
 兄を好いてくださってるその方を――もし本当にそういう方がいらっしゃるなら、
 水無都さんに取られたくないって気持ちはあります」
674__(仮) (7/11):2008/01/06(日) 18:16:14 ID:wBRa9Z6S
「へえ。じゃあ、椿ちゃんは、その娘と秋巳が付き合ったほうがいいと思うわけだ。
 俺じゃなくて」
「水無都さんなら選りどりみどりでしょう。
 でも、あの兄を好いてくれる人はそうはいない。
 でしたら、譲ってくれてもいいのでは?
 もしかしたら、それを機にあの兄も変わるかもしれませんし」
「俺の意志を無視しても? 俺にも自由恋愛はあるんだけどな」
「ええ。それは承知してます。水無都さんの意志を捻じ曲げてでも、
 というわけではありません。だから、あくまで私の希望です」
「それで、秋巳が変わる、と。確信があるんだ」
「いえ。確信なんてありませんよ。私は兄じゃないですから。
 兄の心は、兄にしか判りません」
「いやいや。案外自分の気持ちって判らないものだよ。
 それが、人から与えられたものなのか。自分で得たものなのか、ね」
「……。それもそうですね」
 椿は、つまらないものを聞いたかのように興味なさげに眼を伏せ、だがしかし言葉の上では水無都冬真に同調する。
まったく抑揚のない平坦な口調で。
「じゃあさ。俺がその娘に関わらない代わりに、
 椿ちゃんに付き合ってくれって言ったらどうする?」
「私にも自由恋愛はありますから」
「はは。こりゃ手厳しいね。あーあ。振られちったなぁ。
 もうこうなったら、その娘にアタックするしかないかな」
「それは、その娘に失礼なのでは?」
「ああ。そうかもね。でもね――」

 そこで一旦言葉を切った水無都冬真に、椿が続ける。
「それが兄の望みなのでしょう?」
 そう言って椿はその日一番の微笑を浮かべた。
「うーん……」
 水無都冬真は、そう唸るといままで組んでいた腕を解いて、
温くなったコーヒーを二口ほど音を立てるように飲んだ。
「話は、以上。で宜しいですか?」
「うん。そうだね」
「では。私はこれで。この後買い物をしないといけませんので」
 そう言って、半分以上残っているコーヒーを残して立ち上がり、先ほど渡しかけた五百円玉を再びテーブルの伝票の上に置く。
 去りかけた椿に対して、水無都冬真が呼びかける。
「あっ! そうだ。椿ちゃん。最後にひとつ」
「なんでしょうか?」
「携帯の着信拒否。解除しといてね」
 そう言って穏やかな笑みを浮かべた水無都冬真に、お返しとばかりに薄く笑みを返す椿。
 なにも応えずに。
675__(仮) (8/11):2008/01/06(日) 18:20:32 ID:wBRa9Z6S
 *  *  *  *  *  *  *


 椿が買い物に出て行ってから約三十分後。
 そろそろ椿が帰ってきてもおかしくないと思われるため、
秋巳は居間で飲んでいたコーヒーを片付け、二階へあがろうとしていた。
 椿は、自分が料理をしているときに、秋巳に傍にいられることを快く思っていない。
 秋巳はそう感じていた。
 はっきりと口に出してどこかへ行けと言われることはなかったが、暗に言われることは多々あった。
 秋巳もそれを自覚するようになってからは、妹が料理をしている間は、
台所や居間には近づかず、なるべく自分の部屋か、外出をしているようにしていた。
 自身の使ったマグカップを流しで洗い、水を切ってから流し台に置かれている金属製の水切り用網籠のなかに入れたそのとき。
 リビングのテーブルの上に置いた携帯電話が振動している音に気づいた。
 電話かな、と思いながら歩みよりその携帯を手にしようとした瞬間に、バイブレーションは停止した。
 ああメールか、と着信の短さから判断して携帯を開くと、果たしてメールの着信が示されている。

 そのメールをあけようとすると、今度は玄関のチャイム音がなった。
(なんなんだ。今日は。タイミングの悪い――)
 メールを開くことなく、携帯を掴んだまま今度は玄関に向かい鍵を開ける。
「はい。どちらさま――」
 と、秋巳が玄関ノブを掴むより早く、その扉が開かれる。
「はい! 秋くん。お元気ー?」
 そう元気良く豪快に如月家の玄関を開けたのは、秋巳も良く知る人物――葉槻 透夏(はづき とうか)であった。
「と、透夏、さん?」
 いきなりの訪問に驚いたように、秋巳がノブを掴もうとした姿勢のまま固まる。
「秋くん。ご無沙汰ー。っていうか、もうやだ。
 おねえちゃんって呼んでって言ってるのに、いつまでたっても透夏さん、
 なんて他人行儀な呼び方するんだから。
 あ、なんだったら透夏姉、でもオッケーよ」
 そう向日葵のような笑顔でテンション高く秋巳に向かって挨拶する葉槻透夏。
彼女は、如月秋巳の父方の姉の娘――従姉弟であった。
 歳は秋巳より二歳年上。この春に大学生になったばかりである。

 真っ白いブラウスに桜色の薄手のカーディガンを羽織り、下は膝上までの鳶色のプリーツスカートに黒のパンスト、
足元は乳白色のカジュアルショートブーツといった春めいた装いの葉槻透夏。
「透夏さん、きょうは――」
 どうしたんですか。そう問おうとした秋巳の口を、葉槻透夏が右手の人差し指を軽く押し当てて止める。
「んー。定例のアレよ。アレ。突撃!お隣さんちの晩ごはーんってね。
 まぁまぁ、奥さん玄関で立ち話もなんだし、入りましょう入りましょう」
 そう言って、玄関に腰をかけて靴を脱ぎだす。
(あ。あれか。定例の様子見――)

 秋巳は、現在この家に妹である椿とふたり暮らしである。
ふたりとも高校生であり未成年であるということで、保護者が要る。
その保護者となっているのが、秋巳の伯父夫婦であった。
その伯父たちと、この家にふたりが住むにあたって約束したことがある。
 少なくとも月に一度は、伯父、あるいは、伯母が様子見に行くこと。
 未成年の子供がふたりだけで生活しているのだから、『保護者』として、それは最低限必要な行為である。
 如月兄妹が伯父夫婦の家を出て行くことを快く思わなかった夫婦ふたりの最低限の譲歩であった。
 秋巳たちがこの家に戻ってきてから暫くは、伯父か伯母が二週間に一回は訪れていたが、
葉槻透夏の受験が終わったぐらいから、伯父夫妻の代わりにその娘である葉槻透夏がよく訪問するようになっていた。
676__(仮) (9/11):2008/01/06(日) 18:24:46 ID:wBRa9Z6S
 秋巳は、葉槻透夏をリビングに案内すると、ソファで寛ぐよう奨めて再び台所に立つ。
「それにしても、今日は急でしたね」
 ヤカンを火にかけながら彼女に話しかける秋巳。
 いつもならば、事前に行くからという連絡があるはずだった。
「んー? それはいきなりアポなしで押しかけやがって、ていう嫌味なのかなー? 
 でも、事前にちゃんと連絡したよ? メールで」
「え?」
 ふと先ほど来たメールが、思い当たる。
 先ほどポケットに突っ込んだ携帯を取り出して、件のメールを確認すると、秋巳の予想は違わなかった。
『やっほー。秋くん、椿ちゃん、元気? 
 きょうはねぇ、太陽が赤かったから、
 おねえちゃん、これから秋くんたちの様子を見に行こうかと思います。
 というわけで、秋くんは裸エプロンでおねえちゃんをお迎えの準備よろしく! 
 もし留守なんかにしてたら……』
 以上の内容が、きらびやかな絵文字を交えて送られてきていた。最後の『禁』の絵文字の意味は秋巳には判らなかったが。
 秋巳は軽く溜息を吐く。
「透夏さん、呼び鈴押す直前に、送信ボタン押したでしょう?」
「やだ。秋くん。おねえちゃんのこと監視してたの?
 もうダメだよ。おねえちゃんだからいいものの、
 他の女の娘にやったら犯罪なんだよ? ストーカーなんだよ?
 半径百メートル以内立ち入り禁止区域になっちゃうんだよ?」
「警察に訴えられる前に、是非透夏さんの『事前』の定義だけは
 教えてもらいたいんですけど?」
「なあに。国語のお勉強? 『事前』っていうのはね、
 『事』の起こるまえってことね。ゴムの準備とか、ムード作りとか、そういうことね」
「透夏さんの言っていることがさっぱり判らないんですが……」
 いや、むしろ彼女の思考が、だろう。そう思い直す秋巳。
「まぁ、秋くんもそのうち判るようになるわよ。
 それよりも、きょうは椿ちゃんいないの?」
「えぇ。椿はいま買い物に出てますよ。今日の夕飯の。
 もうそろそろ帰ってくると思いますけど」
「あー。そうなんだ。って、今日って秋くんの担当の日じゃなかったっけ?」
 自分ですら怪しいのに、なんでこの人は、人の家の当番の事なんか把握しているんだろう。
 秋巳はそう疑問に感じたが口には出さなかった。

「椿が明日用があるとかで、交代したんですよ」
「ふーん。そうなんだ。あ、じゃあさ。ねぇねぇ。
 今日はあたしが作ってあげよっか? 
 愛情たっぷり込めて、秋くんの意識が覚束なくなるくらいの!
 ねぇ、どう?」
「恩人を犯罪者にしたくないので、是非遠慮したいところですが。
 ま、椿が帰ってきたら交渉してください」
「まーた。恩人とかそういう他人行儀なこと言う!
 もっとおねえちゃんに甘えてくれないと、おねえちゃん寂しくて死んじゃうぞー!」
 整った顔立ちを崩し、眉根を寄せ口を尖らせて、駄々っ子みたいな文句を言う葉槻透夏。
ばたばたと暴れるのに合わせて、彼女の後頭部でまとめられた肩まで届く黒い髪が揺れる。
 葉槻透夏がこういう性格なのは以前からなので、秋巳にとって慣れていたが、
椿と比べるとどうにも妹よりも子供っぽいと感じざるを得ない。
椿も椿で歳不相応に落ち着き払いすぎているのだが。
 秋巳は自分のことを棚に上げてそんなことを思った。
677__(仮) (10/11):2008/01/06(日) 18:28:08 ID:wBRa9Z6S
「すみません。気に障ったら謝ります」
「だーかーらー! そーいうよそよそしいのがやーなんだってばっ!」
 葉槻透夏は憤懣やるかたないといった様子で、左手で自分の膝を叩く。
 しかし、秋巳にとって、葉槻透夏は血はつながっている『親戚』であるが、
あくまでお世話になった恩人であり、『肉親』という認識ではなかった。
 秋巳の『肉親』は椿ただひとり。
 そして、秋巳がなんの損得も考えずに動くのは、椿と水無都冬真のためぐらいのみ。
 椿と同じように葉槻透夏が秋巳の助けや協力を必要とするのなら、秋巳はなんのためらいもなく動くであろう。
ただ、その根底にあるのは、お世話になった恩人に対する『義理』である。『肉親』に対する思いやりではない。
 そんな秋巳の言動からその内心を薄々感じ取っているのか、葉槻透夏は秋巳の態度に良く文句を言っていた。
 それでも秋巳の心内がそう簡単に変わるわけでもなく、かつ表面上だけ取りつくろって演技するという意志もなかったため、
だいたい葉槻透夏の悪役の去り際のような一言で、その文句は幕を閉じる。
「ふーんだ。いいもん。絶対いつかおねえちゃん魅力でめろめろにして、
 秋くんに『おねえたーん、だっこー!』って言わせてみせるんだから!
 覚えてなさいよ!」
 もしそんなこと言ったら二度と椿に口を利いてもらえなくなりそうだ。
 秋巳は、葉槻透夏の台詞を聞きながら考えた。

 秋巳と葉槻透夏がそんな取り留めのない会話を交わしていると、台所のヤカンがしゅしゅと音を立て、
お湯が沸いたことを知らせてくれる。
 それと前後して、玄関のドアが開かれる音がする。
 透夏が帰ってきたのかな、とガスを切って玄関まで出迎えに行こうとした秋巳を、
葉槻透夏が立ち上がって左手を上げて押しとどめるような仕種をする。
「あ。いーから。いーから。あたしが行くよ。秋くんはお茶を三人分ね」
 そう言って玄関まで出迎えに行く葉槻透夏。
「あー。やっぱり。椿ちゃん、おかえりー」
「透夏さん。いらっしゃい。留守にしてて、ごめんなさい」
 葉槻透夏がそこにいるのがあたりまえのように、挨拶する椿。
 秋巳の受け取ったメールは、椿にも同時に行っていたため、椿は葉槻透夏が家に来ているであろうことは予想していたのだろう。
「ううん。いいんだよ。秋くんに遊んでもらってたから。おねえちゃんね、秋くんに弄ばれちゃった」
 そう言って、軽く椿を抱きしめ、その頭を撫でる葉槻透夏。
(それは逆だろう……)
 台所から玄関の会話を聞いていた秋巳。
「それはごめんなさい。私がついていないばっかりに」
「うん。椿ちゃんあとで慰めてね。ささ、こんなところで話もなんだし、
 狭いところだけど上がって上がって」
「透夏さん、右手。怪我でもされました?」
 椿を案内しようと、リビングのドアノブに左手で手をかけた葉槻透夏に、椿が訊ねる。
「え?」
「いえ。先ほど、私を抱き寄せて、頭を撫でたときも左手だけでしたし」
 そして、いまも廊下右手にあるリビングのドアをわざわざ左手で開けようとしている葉槻透夏を見て、椿が言う。
「ううん。別に怪我なんてしてないよ? 
 いつも右手ばっかり使ってると、左手さんが嫉妬しちゃうからね。
 それに女の娘だかね、右手ばっかり使って左右で腕の太さが
 違くなっても困るしね」
 巫山戯ているのか照れたように笑いながらありえないような理由を述べ、リビングのドアを開けて、椿を先に通す。
678__(仮) (11/11):2008/01/06(日) 18:32:14 ID:wBRa9Z6S
「あ。そうだ。悪いけど、ちょっとお手洗いお借りするね。
 はい! そこー! いやらしい妄想禁止!」
 そう言って秋巳を指差す葉槻透夏。
「しませんから。ごゆっくりどうぞ」
 苦笑する秋巳。
「うわー。聞いた? いまの台詞。乙女に対して! 
 椿ちゃん。セクハラだよセクハラ!
 あたしもう秋くんに身も心も汚されちゃったよ」
「では、兄さんに責任とってもらうしかないですね」
 そう言いながら買ってきた荷物を一旦リビングのテーブルの上におき、ソファに腰をかける椿。
「そうだそうだー。責任とって、いやらしい妄想すること!」
「どっちなんですか?」
「特別にいまから三十秒だけ許可します。
 それ以上は肖像権が発生するからね。一秒あたり倍々課金だよ」
「じゃあ、初期料金はゼロ円にしてください」
「うん。いいよー。って、それって、一生あたしでいやらしい妄想するってこと?
 うわーどうしよ! 秋くんにプロポーズされちゃった」
「それより、透夏さん、お手洗い、行かなくていいんですか」
「あ。もう! しょうがない。ここは大人のおねーさんが引いてあげるけど。
 次は誤魔化されないんだからね」
 そう念を押して、廊下奥に消える葉槻透夏。

 それを眼で追いやりながら、椿が口を開く。
「ただいま戻りました。兄さん」
「ああ。おかえり」
「それで、夕食の準備をしようと思うのですけど。透夏さんの分も含めて三人分」
「あ、それなんだけど。さっき透夏さんが作ろうかって、申し出てくれたんだけど。
 ま、あの人のことだから、本気じゃないかもしれないけど。どうする?」
「そうですか。それでは、私はお手伝いということで一緒に作ることにします」
 椿の答えは、葉槻透夏が作ると確信しているものだった。

 秋巳は思う。
 椿は自分より、葉槻透夏のことを理解し、信頼しているのだろう――。
 それは二重の意味で。
 如月秋巳の葉槻透夏に対する理解より。
 そして。
 如月椿の如月秋巳に対する信頼より。
 現に、自分も椿も料理をするが、一緒にしたことなどないし、一緒にしようとしたことすらない。
 ましてや、椿は、自分が料理するときに、秋巳がそばにいることすら疎ましく思っているではないか。
 それに比べて、葉槻透夏が夕飯を作ると言っただけで、椿は一緒に料理すると言った。
 いままで、この家で葉槻透夏が如月家の台所に立とうとしたことはないから、これが初めてではあるが、
椿は葉槻透夏が料理をすると確信し、ふたりで一緒にしようとしている。
(まぁ、当然ともいえるかな……)
 秋巳はもうその程度の考えでは、憂鬱にならないほど擦れていた。少なくとも秋巳本人はそう思い込んでいた。
 そもそもその考えが浮かぶこと自体がどういうことであるか、から眼を背けて。
 秋巳は血のつながった姉妹というものを良く知っているわけではなかったが、
 おそらく、自分と椿の『兄妹』より、葉槻透夏と椿の『姉妹』のが相応しいんだろうな。
 椿と葉槻透夏を見ているとそう感じる。
「そう。じゃ、僕は、一旦二階に行って、宿題でも片付けるから。
 あ、さっき淹れかけてるお茶がそこに用意されてるから」
「あ、後は私がやっときます。夕飯は、出来上がったら呼びますから」
 ――それまで下りてくるな、かな。
 ふと頭に浮かび上がった考えを振り払うように、椿に「よろしく」と声をかけ、秋巳は階段を上がった。
679 ◆a.WIk69zxM :2008/01/06(日) 18:35:19 ID:wBRa9Z6S
投下終了。
これでひととおりの人物紹介は終わりです。
ひとりほとんど触れてないのがいますが。


>601
『__(仮)』と打っとけば、NGワード等対応できると
思っているのですが、不都合あります?

>599
読みにくくて済まない。
なるべく注意はします。
680名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 18:48:57 ID:cB2YyUiR
>>679

これはどの子がどのように病んで行くのかwktkして待ってます
681名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 18:53:14 ID:sC/G2LT7
>>679
GJ! ここからどう展開するのかwktk

透夏が右手を使わなかったのは人差し指を秋巳の口に当てたからか?
だとすると透夏はトイレdうわなにをするやめrくぁwせdrftgyふじこlp;@:
682名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 19:50:55 ID:jbozpKp0
GJ!!
これはwktkせざるおえない
683名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 20:08:03 ID:2eI9ADHf
あ、>>664ですがタイトル等入れた方がいいですね
タイトル『赤+白=思い』

名前は…所詮記号と私の好きなキャラが言っていたので
名無し@ピンキーのままで
684名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 20:35:07 ID:INInsvNl
妹「彼女!?これ、彼女なの!?ねぇ!彼女!彼女できたの!?」
兄「ううん、できてないよ」
妹「本当!?大丈夫なの!?恋人じゃない!?」
兄「あぁ、ただの友達だから大丈夫だよ」
妹「そうかぁ!私お兄ちゃん大好きだから!お兄ちゃん大好きだから彼女なんて許さないから!」
兄「そうだね。許さないね」
妹「うん!でも彼女じゃなんだ!そうなんだぁ!じゃぁ刺さなくていいんだよね!」
兄「そうだよ。刺さなくていいんだよ」
妹「よかったぁ!じゃぁ帰ろうね!おうち帰ろう!」
兄「うん、帰ろうね」
妹「あぁ!彼女じゃないから私と一緒に帰れるね!ね、お兄ちゃん!」
兄「うん。包丁なおしていいよ」
妹「あぁーお兄ちゃんと私は今包丁を持ったままもみ合いになってるよー!気をつけようねぇー!」
685名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 21:31:36 ID:ZWpnTMQu
>>684
キモウトのガイドラインwww
ということは侍キモウトもいるんだなwww
686名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 21:41:49 ID:A9w9HHp9
>>684
なごんだ
687 ◆SVNDcoHudE :2008/01/06(日) 23:08:55 ID:vKkXdAE8
投下します。
688変態きょうだい ◆SVNDcoHudE :2008/01/06(日) 23:10:23 ID:vKkXdAE8
「このっ! 糞兄貴! これでもか! これでもか!」
「うわっ! や、やめてくれ、真美」
リビングに続くドアをそっと開き、音を立てないように中の様子を覗く。
やっぱりそうだ。今日も「あの人」は真美に踏まれていた。
真美は「あの人」を何度も踏みつけ、「あの人」はそれから身を守るように頭を抱えながら縮こまっている。
一見すると真美が「あの人」を苛めているように見える。が、実際はそうではない。
アレはあの二人に取って、お互いの愛情を確認するための儀式のようなものなのだ。
事実、「あの人」を踏みつける真美の表情は至福に歪み、「あの人」もまた、喜びに身体を震わせている。
真美は「あの人」を踏みつける事によって「あの人」を満足させている。
「あの人」は真美に踏みつけられる事によって自分も満足し、一切抵抗しない事で真美を満足させてもいる。
二人の、二人による、二人のためだけの倒錯的な愛情確認。
――はっきりいって気味が悪い。二人とも変態だ。
妹に罵られる事によって快感を得る兄と、そんな兄を疎ましく思う事もなく、むしろ喜んで受け入れる妹。
なんて気持ちの悪い兄妹なんだろうと思う。恥ずかしくないのか、と思う。
特に「あの人」だ。
いくら血が繋がっていないとは言え、20代半ばの男が10代前半の子供に、しかも妹に欲情しているのだ。
これが異常でなくて何なのか? 本人だって気づいているはずだ。
それなのに……
「ハァハァ……ま、真美。もう、もうお兄ちゃんは我慢できない」
「え……? な、何言ってるの? 兄貴」
自分を踏みつけていた真美の足を掴み、ゆっくりと「あの人」が立ち上がる。
突然の兄の行動に、真美は先程までとうって変わって怯えたような表情になっていた。
しかし、それが演技に近いものである事はすぐに理解できた。
真美の怯えを含んだ瞳の奥には、何かを期待するような光が、確かに宿っている。
「あの人」が気づいているかどうかは知らないが、私にはそれが分かる。
だって私は真美の事を、だれよりもよく知っているから。
「ま、真美! 好きだ! もう限界なんだ!」
「きゃあ!」
「あの人」は足を掴んだまま、真美をソファーへ向けて押し倒した。
草食動物に襲い掛かる肉食獣のようなすばやい動きと勢いで、真美の服を剥ぎ取っていく。
「や、やだ! やめてよ変態兄貴!」
ジタバタと手足を動かし、ほとんど無意味な抵抗を続ける真美。
689変態きょうだい ◆SVNDcoHudE :2008/01/06(日) 23:11:33 ID:vKkXdAE8
実際の所、あの子は抵抗なんてする気なんてまるでないんだろう。
でなければ最初に「あの人」に足を掴まれた時、いつものように顔を蹴り上げているはずだ。
それをしないってことは、はじめからこうなることを期待して、いままで「あの人」を踏みつけていたってことだ。
全くなんて子供……いや、女だろう。
「ま、真美。かわいいよ! かわいすぎるよ!」
白いブラウスを剥ぎ取った「あの人」は、露になった真美の白い裸体を眺めながらため息をついた。
真美はもう抵抗なんてしていない。むしろこれから兄に何をされるのか、その期待に胸を膨らませているようだ。
「あの人」の大きな両手が、まだ膨らみかけの小さな胸にのびていく。撫でるように、いたわるように、慎重に指を動かす。
両の乳房をゆっくり揉みしだかれるたび、真美の口から濡れた甘い声が漏れる。
「ふぁぁ……あぁ……お兄ちゃん」
「……え? 真美、い、今、お兄ちゃんって……」
潤んだ瞳で、真美が「あの人」の目を見つめる。
「うん……あのね、私……私ずっとお兄ちゃんの事……」

――まずい! これ以上は!

「ちょっと待った!」

大声を出しながら、薄く開いていたドアを渾身の力で蹴破り、私はリビングへ侵入した。
真美に覆いかぶさっていた「あの人」は、突然の大声と共に現れた私を見て、さっきまでの行為を完全にやめた。
真美も私の方へ顔を向け、二人揃って驚きの声を上げる。

「お、お姉ちゃん!?」
「ね、姉さん!?」

つい先程まで真っ赤になっていた二人の顔が、一気に真っ青になっていく様子がなんだかすごく、滑稽に見えた。
690変態きょうだい ◆SVNDcoHudE :2008/01/06(日) 23:12:22 ID:vKkXdAE8
「いい加減にしなさい、真美。何度言えばわかるの?」
「…………」
私の言葉が心底気に入らないのか、はたまたどうでもいいことなのか、真美はまるで聞く耳を持たない。
「いい? 貴方達は兄妹なの。なのにあんな事するなんて許されないのよ?」
「…………」
「真美! 聞いてるの?」
「うるさいなー。分かってるわよ」
今までも散々同じ事を言ってきた。それこそ、何度も何度も。
なのに状況は悪化するばかりだ。真美はどんどん「あの人」にのめり込み、「あの人」もまた、真美にのめりこんでいる。
「あーあ。最悪」
ソファーに横になりながら、真美がつぶやいた。
その言葉が私に向けていった言葉なのか、ただの独り言だったのかは区別がつかなかった。
真美の目線は私の方へとは向いておらず、ずっと天井を見つめたままだ。
「……とにかく、もう今後一切ああいうことはやめなさい。いいわね」
「はいはい。……っていうかさ、ああいうことってなに?」
「ああいうことはああいうことよ。踏みつけたり、その……せ……せせ、セックスの、真似ごと、とか」
思わず言葉に詰まってしまった。相変わらず私はこういうことを言うのが苦手だ。
そんな私の様子がおかしかったのか、真美が小さく吹き出した。
「ふふっ……ホントはお姉ちゃんもしたいくせに。お兄ちゃんを踏みつけてみたいくせに」
「何を言っているのよ。そんなわけないでしょ」
急に何を言っているんだろう、この子は。私がそんな変態であるはずがない。
私はこの二人とは違う。もっとまともで、ちゃんとした人間のはずだ。
「ああ……そうね。逆か。踏みつけられたいのよね、お兄ちゃんに」
そう言うと、真美は勢いよくソファーから立ち上がった。
下着とブラウスは着てはいるものの、スカートは脱いだままだ。
目を細め、口元を三日月型に歪めながら、ゆっくりこちらに向かって歩いてくる。
その様子がなんだかとても恐ろしくて、私はまるで身動きできなかった。
目の前まで来た真美は、私の全身をじっくり舐めるように見つめると、突然、スカートの中に手を伸ばしてきた。
「な、何するの、真美! やめなさい!」
抵抗しようと思っても、なぜか身体が動かない。
私の言葉など耳に入っていないように、真美は下着の上をなぞるように撫で回す。
淫靡な水音が、静かなリビングの中に響き渡る。
691変態きょうだい ◆SVNDcoHudE :2008/01/06(日) 23:12:54 ID:vKkXdAE8
「……やっぱりね。濡れてる。私達を見て興奮してたんでしょ?」
「ち、ちがうわ! そんなことあるわけ……」
「違わないわよ。お姉ちゃんも変態さんだもん。弟に欲情しちゃう変態さん……」
真美の手の動きがより激しく、強くなっていく。吐き出す息が、どんどん荒くなる。
抵抗したいのに、やめてほしいって思ってるはずなのに……どうして?
「お姉ちゃんも混ざりたかったんでしょ? 私達と一緒に遊びたかったんでしょ?」
真美の声が、喜びに弾んでいるように聞こえる。
「ホントは羨ましかったんだよね? 私達が……」
羨ましい……そうかもしれない。私はただこの二人が羨ましかっただけなのかもしれない。
同じ姉妹なのに、真美は私と違って「あの人」に求められている。
「あの人」の欲しいものを与えて上げられている。「あの人」と理解しあっている。
私もそうなりたかったのに、真美に嫉妬して無理やり二人を変態だって決め付けていただけなのかもしれない。
「だいじょぶよ……これからは3人で遊びましょう。ホラ、もっと声出して。お兄ちゃんに聞こえるかもよ?」
私が真美に説教をしている間に、「あの人」は二階の自室に逃げ込んでしまった。
私の声が聞こえたらここに戻ってきてくれるだろうか。
もし、戻ってきたらこんな私を見てなんて言うだろうか。
「イッちゃいなさい。お姉ちゃん」
優しく、慈悲深いような声で真美が言う。
「ああ……あぁあぁ!」
妹にいいようにされて喜ぶ私を見て……あの人は……!




――頭の中が真っ白になった。何も考えられない。

意識がゆっくり遠のいていく。
完全に世界が閉じていくその直前、真美の小バカにしたような声が聞こえた。







「ふん……お兄ちゃんがあんたみたいな年増のこと本気で相手にするわけないでしょ。
私にベタボレだし。この変態が。一人で自慰でもしてな、バーカ」
692 ◆SVNDcoHudE :2008/01/06(日) 23:13:57 ID:vKkXdAE8
またやっちまった。終わりです。
693名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 23:34:24 ID:ALpNvfjZ
>>692
確かにやっちまったな
GJ
694名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 01:02:02 ID:Lum5XJmh
姉→弟⇔妹か
しかしGJ
695名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 02:39:55 ID:6pjTEiK5
なんというGJの嵐
新年入ってからスレが加速しすぎで乙するのが追いつかん
このスレでレス数700前に450kb近く行くとは凄いな
キモ姉妹の霊がスレに憑いてるに違いないぜ。みんなGJ!
696名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 05:57:27 ID:rfWIxN64
>>692
なんてことをしてくれるんだ

責任取って続き書いてくださいッ!!
697名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 08:30:27 ID:/M+IVLFZ
綾が終わってから一時期どうなるかと思ったが杞憂だったな
698名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 11:21:40 ID:rBakG5ki
気づいたまとめサイトwikiが更新されてないな・・・・
しかし俺はwikiの編集方法をしらない
どうしたらいいのだろうか
699名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 18:46:41 ID:f+hBkX0W
確かこのスレの誕生が四月なんだよな
古参の職人さん達もスレは見ているんだろうか
数えてみると初代スレだけでも結構職人さんがいるんだが、十ヶ月も経ってないのに懐かしく思う不思議
そして新年早々の一週間でこれだけ投下続くとつい全裸待機で風邪引きそうになるから困るw
700名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 18:48:31 ID:gKQVxyJt
作品投下しかないじゃないか
701名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 23:18:14 ID:IXqbQoMX
キモウトに『舐めてください』って足を差し出されたらどうする?
702名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 23:25:57 ID:DRT+JyuS
なめっこする
703名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 23:53:40 ID:f+hBkX0W
そこは手ひどく断って、断られたショックを怒りに転化させたキモウトに舐めたくなるまで監禁されるコースだろ
704名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 00:16:30 ID:Tk/uUVeS
ヤンデレスレとキモ姉妹スレは初代からいるけど・・・、思えば長い様で短かったんだな
705名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 00:20:14 ID:AnvlOECF
>>701


「兄さん、舐めてください」

そう言われ、目の前には差し出された足がある。僕の妹の足だ。白く、病的な程に白く白く、そして綺麗な足。爪も綺麗に整えられている。
それが、這いつくばっている僕の目の前に、ある。

「兄さん、舐めてください」

同じ言葉を繰り返す妹。濁った目で、僕を見ながら。頬を昂奮の色に染めて。きっと、僕に足を舐めさせようとしているこの瞬間に、昂奮を感じているのだろう。

……狂ってる。

そう、思う。でも、妹を狂わせたのは僕なのだ。僕が妹を狂わせた。だから、責任をとらないと。妹を背負うという、責任を。

でも、だからって。足を舐めるというのは。
「……舐めてください、早く」

少し苛立ったように、妹が言う。実際、僕が舐めようとしない事に、苛立っているのだろう。その声を聞いて、僕は妹の足に口を近付ける。妹はそんな僕を見て、更に昂奮していた。

……責任。そうだ、責任だ。責任があるから、僕は舐めるんだ。

そんな風に言い訳をしながら、僕は妹の足を舐めた……。



携帯からで申し訳ない。今は反省している。だが後悔はしていない。
706名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 00:23:37 ID:iTH/aX+t
>>704
過去形にするなw 短かったとか、まだ続いているからww

>>705
全裸で続きを待ってるんだぜ
707名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 00:30:17 ID:Tk/uUVeS
>>706
ああ、これからもよろしくな
708完結できない人:2008/01/08(火) 01:09:29 ID:4lQe3Wcw
>>705
鋭意執筆中の書き出しがまんま同じシチュエーションで涙目
冒頭部分書き直すか・・・・・・

それはそれとして乙。続きマダー
709名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 01:12:51 ID:S2PWhv96
ここって、義理の妹、姉とかOKだったけ?
710名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 01:24:16 ID:Tk/uUVeS
主人公の兄弟の嫁とかの義理の姉妹ならありなのか?
711名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 01:25:59 ID:Tk/uUVeS
ミスった、主人公の兄弟の嫁以外の義理の妹、姉ならありなのかな?だった
712名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 01:28:28 ID:S2PWhv96
いや、単純に言うと普通にエロゲーやギャルゲーによくある血の繋がっていない義理の姉と妹の話なんですけど
実は家庭的にヤバイんで書けないのでww
713名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 13:12:03 ID:7lv+Kd16
お兄ちゃん、殺していい?

あはっ、お兄ちゃんの中、温かいね。

凄ぉい。もう、こんなにびしょびしょだよ。血管少ないトコ狙って刺したんだけどな。

ねぇ、痛い?もっと痛くしたげよっか?

うわぁ、さすがにお腹は血が一杯出るね。

あ、腸が見えるよ。

あたしね、焼き肉とかでホルモンが一番好きなんだぁ。ちょっとだけ貰うね。

へぇー、内臓には痛覚が無いって言うけど、ホントなんだね。つまんない。

あれ?どうしたの、お兄ちゃん?

あっ、横隔膜傷付けちやったんだ。呼吸、出来ないの?
苦しそう。すごく、かわいいよ

大好き、お兄ちゃん
714名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 13:51:55 ID:BqIV3Wyb
ヤンデル妹はきもい
715名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 14:44:45 ID:U5PFCSQU
ただのサイ娘やんけ
716名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 15:57:57 ID:wMTTgx17
まるでやんデレ(だっけ?)の後輩か教師だな
ヤンデレですらないという
キモウトには愛情と執着の描写がないとね
カニバリズムでも逆カニバでも、相手と一つになるという考えがないとな

それはおいといてまとめ更新した人、乙っす
717名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 23:42:48 ID:EqHZPm53
>>705を見て
「お姉ちゃんのほうが美味しいよね?ね?」
という電波を受信した
718名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 13:49:16 ID:KpXdZAB4
>>717
その電波をSS(ry
719名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 14:15:17 ID:MfU6KQi1
ヤンデレ姉は妹型の性格が多くて、ヤンデレ妹は敬語を使う偉い人型の性格が多いよね。
理由は分からないが。
720名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 14:43:23 ID:v2pkLjuK
「弟くん」とか「兄さん」って言葉を見ると、某A姉妹を思い浮かべてしまう
721横じま ◆KYxY/en20s :2008/01/09(水) 17:40:26 ID:zfeXSX6v
投下します
722荒野、一人で ◆KYxY/en20s :2008/01/09(水) 17:41:21 ID:zfeXSX6v
 久保悠(はるか)という名の女だった。
 202教室で、真仁と共にクラス委員を務めている。部活も真仁と同じ、美術
部に所属していた。父は塚本商事の副社長で、母は塚本商事の海外事業部のグル
ープ専任課長という、ちょっとしたお嬢様だった。
 月水金土にピアノ教室へ通っていて、久保悠の自宅は高校から十分ほどのとこ
ろにあった。
 視線を感じた日から二日が経っていた。金曜である。二日で集められた情報は、
この程度のものだった。
 真仁との接点は言うほどないな、と私は思った。一緒にクラス委員をしている
が、クラス委員が両方動くことなど滅多にない。あるとしたら、二週間前に行っ
た文化祭だけだろう。修学旅行は一学期に済ませてあるので、後期委員が行う行
事はそれぐらいのはずだった。
 それに文化祭の二日間は、私が真仁に張り付いていたのだ。委員活動での問題
はない。
 部活の方も、問題ないだろう。真仁が幽霊部員だからだ。一年の二学期までは
毎日顔を出していたが、三学期になってからは自宅や、マリーナに行ったりして
絵を描くことが多くなっている。二年になってからは、ほとんどそうだった。
 私は近所のスーパーで鶏肉を買うと、家路を急いだ。日が落ちかけている。空
が暗くなるにつれ、体の芯まで冷えるような風が吹いていた。午前中の暖かさが、
嘘のような寒さだ。
 鶏肉は、母に頼まれた物だった。今夜の夕食はオムライスにするらしい。別に
鶏肉が入っていなくてもいい、と真仁と口を揃えて言ったが、オムライスには鶏
肉です、と母に押し切られた恰好だった。その場で真仁とじゃんけんし、私が負
けた。
 私は鶏肉が入ってようがなかろうが、どっちでもよかった。母の料理には鼻か
ら期待していないし、栄養価が偏ってなければ何でも良いと思っている。まずく
はないが、母の料理がおいしいと思ったことは一度もなかった。
 五分もかからず家に着いた。
「真央歩くの速いわねぇ。もう買ってきたの」
 キッチンで鶏肉を渡すと、母が言った。まだ下拵えの途中のようだ。まな板の
上には、切りかけのタマネギが散乱していた。
 私は二階の自室でマフラーを外すと、ダウンジャケットをハンガーに掛けた。
ダウンジャケットの下に着ていたのは二枚だけだった。長袖とセーター。下はデ
ニムだ。十一月を甘く見ていたといしか言いようがない。靴下だけを履き替え、
廊下に出た。
723荒野、一人で ◆KYxY/en20s :2008/01/09(水) 17:41:54 ID:zfeXSX6v
 一瞬躊躇った後、ノックなしで真仁の部屋に入った。やはり人がいる部屋は暖
かかった。真仁は机に肘をついている。何か考えているようだった。
「ただいまぁ」
 私は椅子に座っていた真仁に歩み寄り、その無防備な背中に抱きついた。首に
腕を回し、真仁の体で暖を取る。
「姉さん、くるしいって」
 真仁が私の腕に手を伸ばしてくる。机には、教科書とノートが拡がっていた。
予習でもしていたのだろう。ノートには、見覚えのある数式が並んでいた。
 この二日間、私は真仁の行動にも眼を光らせていた。授業中は流石に探れなか
ったが、休み時間になるたびに、クラス前を通ってはさりげなく観察した。
 見た限りでは、真仁と久保悠が接触していた時間はない。私は久保悠の片思い
だと思うことにした。二日前も、だから声をかけられずに見ていただけだったの
だ。親しければ、真仁が廊下に出る前に捕まえられたはずだ。そうに違いない。
自分に言い聞かせるように思った。
「姉さんそろそろ暖まったろ、どいてくれ」
「仕方ないな、シンは」
 私は真仁から離れると、本棚から適当な本を抜き出し、ベッドに体を投げ出し
た。真仁の匂いが、ふわりと舞った。肺に収めていく。ベッドに染み付いた匂い
の方が、直に嗅ぐ匂いよりもかえって強く匂った。情欲が、掻き立てられる。
「そういえば、明日はどこら辺を回るつもり?」
 机に向かったまま、真仁が言った。
「うぅん。清水屋の二、三階をぶらぶらと回ろうと思ってるけど」
「まぁ、コート探すなら清水屋が無難だね」
 明日は、真仁と買い物の約束をしていた。最初に私が見て回り、その後に真仁
がひいきにしている画材屋へ行く。買い物へ行く時のいつものパターンだった。
「家出るのは、十時くらいでいいよね」
「それは姉さんの好きにしていいよ。俺は、そんなに見たいと思ってる物ないか
らさ」
「シンは画材屋さん以外見てかないの? 服とか」
 真仁が椅子を回し、こちらを向いた。
「ジャケットは、一着ぐらい欲しいとは思ってるよ」
「じゃあ、お姉ちゃんが見てあげるから、ジャケットも一緒に買いに行こ。よか
ったら買ってあげてもいいし。ね?」
「買ってもらうのは悪いけど、そうだね。いいのがあったら、その時は見てもら
うよ」
 微笑むと、真仁はまた机に向かい直った。
 夕食の時間まで、真仁の部屋でごろごろとした。
724荒野、一人で ◆KYxY/en20s :2008/01/09(水) 17:42:27 ID:zfeXSX6v
 呼び出しが掛かったのは、それから三十分後だった。真仁と一階まで降りると、
オムライスの、ケチャップライスのにおいがした。炒めたタマネギの甘いにおい
もする。においだけでお腹が空きそうだった。ただ、味は普通なのだろう。
 食卓には父が一人いた。だらしなく伸ばした髪を結い、だぶだぶになったフリ
ースを着ている。こんな形(なり)でも大学教授だった。
 母はキッチンで立ち回っている。父は読んでいた雑誌から顔を上げ、私を見た。
真仁にも眼をやる。心と食卓が冷えていくのを私は感じた。
「また真仁の部屋か、真央」
「だったら、なに」
 私は父を見ずに席に着いた。真仁も私の横に着く。忌々しい視線が注がれてい
るのが嫌でもわかった。父は、私が執拗に真仁に近づくことを嫌っている。
「父さん、俺が呼んだんだよ。英語の用法でわかんないとこがあったから」
 真仁が言うと、父は何も言わなくなった。視線も私から外されたのか、圧力は
感じなくなった。
 父は、哲学の講師をしていた。何校かの大学で客員教授をしている。よほど簡
単な仕事なのだろう、と私は思っていた。少なくとも、父のような腐れ者にも勤
まるのだ。哲学者の集まりでも、そこそこの名があるらしい。世の中の雑多な物
事に難癖をつけ、自分勝手な推論を貫き通す。図々しさと虚勢で成り立っている
ような商売だった。
 母が夕食を並べはじめると、食卓の雰囲気が明るくなった気がした。塩コショ
ウがベースの野菜スープに、メインのオムライス。美味しそうなにおいが食卓に
たちこめた。父も、読んでいた雑誌を机の端に置いた。
 母が食卓に着くと、いただきますと三人の声が重なった。ワンテンポ遅れて父
も言う。
 私はオムライスを口に運んだ。やはり普通の味だった。
 旨いといえば旨いが、タマネギの味がくどくもある。
「真仁、最近どうだ。この間、二学期の期末があったろ」
 オムライスが半分になったところで、父が言った。真仁が答える。父が振った
話題には、私は加わらない。逆もまた同じで、父は私の振った話題には加わらな
い。暗黙の了解だった。
 言葉を交わせば口喧嘩になるに決まっていた。受け答えが段々と喧嘩腰になり、
口論にまで発展する。そうなれば、真仁と母に止めてもらうしかなかった。二人
とも一歩も退きはしないからだ。
 私と父は、何かが合わない。嫌いだ、とかの感情の問題ではなく、人として許
せない部分が多すぎた。だらしない恰好もそうなら、家族との接し方もそうだっ
た。自分が正しいと思ったことは、それが誰に対しても正しいと思っている傲慢
さも。一年間で家に半年もいたことがないくせに、たまに帰ってきてはする父親
面も。
725荒野、一人で ◆KYxY/en20s :2008/01/09(水) 17:43:09 ID:zfeXSX6v
 最も許せないのは、真仁と私の関係に口を挟むことだった。親の役目など、真
仁と私を産んだ時点で終わっているはずだ。あとは私たちが家を出るまで、寡黙
な出資者でいればいい。
「ごちそうさま」
 夕食を最初に食べ終わったのは父だった。食器をそのままに、自室へと引っこ
んでいく。全員が食べ終わる前に勝手に席を立つのは、いつものことだった。父
は、モラルどころか協調性さえ家族に示さない。
 三人が食事を終えると、私は風呂を沸かしにいった。考え事をしたい、と思っ
たからだ。胸の奥で、モヤモヤしたものが消えてくれない。風呂に入って、そん
なものは洗い流してしまいたかった。
「シン、先にお風呂もらうね」
「どうぞ」
 私は自室で着替えを整えると、真仁の部屋の前で言った。一階で母にも訊き、
脱衣所に入った。父には聞く必要がなかった。三ヶ月に一回ぐらいしか入らない
し、入るときは勝手に入る男だ。口を利くのもイヤだ、というのもある。
 私は服を脱ぐと、ヘアピンで髪を固定した。
 浴室に入ると、真っ白い湯気が私を出迎えた。取っ手をひねり、シャワーを出
した。水だった。浴びた瞬間に体がビクリとなる。それが徐々に暖かくなってい
き、熱いと感じるまで浴び続けた。適温にしてから浴びてもいいが、こういう浴
び方のほうが好きだった。本当に暖まったという気になる。
 私はシャワーを止め、浴槽に体を沈めた。浴槽に体を預け、天井を見た。
 女の事が頭に浮かんできた。すでに興味を失いつつある、あの儚げな顔。二日
前こそ殺意が湧いていたが、もうどうでもいい顔だ。
 私は目をつむった。
 次に浮かんできたのは父の顔だった。昔から、嫌いではなかった。嫌ったのは、
真仁との関係に難癖を付けはじめてからだ。そして嫌いになる度に、父親の人と
しての汚さも見えてくるようになった。
 真仁とは風呂だって、中学までは二人で入っていたのだ。それが父の命令で別々
に入るようになり、部屋も別々になってしまった。思えば部屋を貰う以前から、
父は私の想いに感づいていたのだろう。知って、私が真仁と一線を越えることを
未然に防ごうとしている。
 高校に入学すると、私が真仁の部屋に入り浸りすることさえ批判してきた。そ
の頃にはもう口も利かなくなり、いまでは嫌いなんて感情を越して、殺意さえ抱
くようになっている。具体的にいつかは憶えていない。蓄積していたものが滲み
出した、という感じだ。死んでしまえばいい。なるべく苦しんで、くたばればい
い、と思うようになった。
726荒野、一人で ◆KYxY/en20s :2008/01/09(水) 17:43:43 ID:zfeXSX6v
 異常な感情だとは思わなかった。人を殺したいと思うこと。死んで欲しいと思
うこと。誰もが持っている感情だ。程度の違いだけだろう。心の中にいる化け物
が凶暴か、ちゃんと鎖で繋がれていないか。それだけのものだ。
 実の弟を愛することも、私にはそういう感情の一つだとしか思えなかった。そ
れでも、殺したいと思うことは善くても、弟を女としては愛せない。法という壁
があった。血の濃さだけで決められてしまう、理不尽な壁だ。子供を産み育てら
れるらしいが、そんなものは禁じているのと同じことだった。でも、私は真仁を
愛することをやめなかった。やめられはしなかった。
 私は、法の外側で生きていく。次第に、そう思うようにもなった。
 私は眼を開くと、考えを打ち切った。父や女の顔を浮かべてもどうにもならな
い。明日は真仁と買い物に行くのだ。考えるなら、明日のことを考えればいい。
 私は口元まで湯に浸かり、息を吐いた。水面にぶくぶくと泡が浮かび、はじけ
ては消えていった。



727横じま ◆KYxY/en20s :2008/01/09(水) 17:44:22 ID:zfeXSX6v
投下完了
728名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 18:07:53 ID:a6ohuCzF
姉が中二病すぎる・・・




投下乙
729名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 18:24:36 ID:D3SSBWN4
おやじカワイソス

どもあれGJ
730名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 19:49:58 ID:AujfBuw/
グッジョブお疲れ
オヤジもグッジョブ
731名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 21:19:10 ID:0e6kUAPs
偏屈な親父の人物造形が良いです
壊れるか壊れないかギリギリの姉さんも
GJ!
732名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 22:11:45 ID:6zvehHM+


俺の姉もこんな感じだ
愛されてはいないけど
733000 ◆e8KGn9od9s :2008/01/09(水) 22:18:06 ID:LB3rTJTr
ちょっと何か書いてみたくなった
リクをくれたらそれに沿って書いてみる
734名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 22:20:18 ID:lbioBXBP
チビな兄をデカイ妹が犯す・・・なんてなはどう?
735名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 22:20:21 ID:CTOgR6cS
寡黙な出資者でいろとか姉さん何様のつもりだ?
キャラとしてマジむかつく。
身勝手で理理&聖理並のむかつき度。
736名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 22:21:45 ID:lbioBXBP
>>734
身長がデカイと書き忘れてた
737名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 22:31:25 ID:FCkII949
>>735
落ち着け
738名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 22:31:54 ID:v2pkLjuK
記憶を失った兄に恋人として近づくとか
あまりのキモウトぶりに記憶を失う前は拒絶されてるというのもアリかな?
739名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 22:33:13 ID:D3SSBWN4
>>738
いいね
740000 ◆e8KGn9od9s :2008/01/09(水) 22:38:33 ID:LB3rTJTr
>>734
>>738
了解、構想を練ってみる
2〜3日時間を頂きたい
741名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 22:40:28 ID:lbioBXBP
>>740
採用して頂き感謝します
全裸で待ってます
742名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 22:45:56 ID:0e6kUAPs
あうちっ!
記憶喪失ネタ、私も考えてました

入院中の兄に本物の婚約者が近づかないよう
医者に「兄は婚約を破棄したいと望んでました。あの女を近づけないで下さい」と頼むとか
743名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 00:57:43 ID:h08H54Iy
>>738
それは、既に映画である。「3月のライオン」でググれ。
744名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 01:08:56 ID:o9o4wWsR
別に出版するわけじゃないしよくね?
つか記憶喪失の相手に恋人と嘘つくって結構ありそうなネタだろ
まぁ、世紀末リーダーの奴しか知らんが
745名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 02:27:36 ID:p7cyrnu4
かぼちゃわいんか…
懐かしいな
746名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 09:38:01 ID:oACZhPcB
ぐぐった。
『三月のライオン』
だった。

今度観ようと思った。
747名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 10:37:27 ID:gXF8+qHR
漫画の方は映画と関係なさげですかね
748名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 11:48:47 ID:oACZhPcB
うろおぼえだけど
ハチクロの人が描いてる3月のライオンは

主人公が棋士で、なんかあって休業してたのを
隣町のとある家族と交流しながら
またがんばっていく

みたいな感じだったかと。
749名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 11:54:40 ID:oACZhPcB
肝心なことかいてない。

関係なさげ(多分)
750名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 12:46:50 ID:l+AJErr1
突然ながら

「只今より『第一回日本男兄弟を愛する姉妹の会(通称NOAS)』を開催します」
会場の中は女性だらけ。
しかも全員覆面。段上の議長らしき女性も声からでは若い女性らしいということしか分からない。
「では…まず会員NO.123の訴えから。『私の愛する弟君に汚らしいメスネコがすりよっています。すぐにでも抹殺したいのですが、相手は格闘技の達人。私では太刀打ちできません』諸君、この泥棒猫を許していいのか!」

「メスネコには罰!」
「ギタギタよー」
「satsugaiあるのみ!」
「うちの兄さんの方がかっこいいですー」
会場中から声が上がる

「静粛に!では会員の総意としてその泥棒猫にしかるべき罰を与えましょう。手段等は後ほど委員会で決定し、次回報告致します。
あと、身内自慢は自重お願いします。では次の…」

という中途半端な電波を受信した…
751名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 12:49:13 ID:KibifSWD
マーキングと称して聖水をぶっかけられたい

そんな昼休み
752名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 14:53:58 ID:E1unYpl7
>>747
映画のほうはかいつまんで言うと、
かわいそうな妹が、ずっと好きだったお兄ちゃんといっしょに幸せになるっていう話だ。
753名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 17:46:17 ID:lty2hayV
>>752
セックルはするのかな?
754名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 20:59:58 ID:h08H54Iy
>>753 ある
単館系の淡々とした映画だけど自分は好きな映画。
755名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 21:19:13 ID:HWtkGdz4
>>754
こんな映画あったのですか
なるほどいかにも単館系な話ですが面白そう
二人がちゃんと結ばれるのが良いですね
756名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 22:47:52 ID:VkjWfEyM
ノクターンノベルズの すきありッ! は薦めていいものかどうか
実兄ラブではあるが、他の女を排除とかはしないんだよな
757000 ◆e8KGn9od9s :2008/01/10(木) 23:21:00 ID:xy3SBwmf
小高い丘の上、新興住宅街の白い壁が冬の朝日にオレンジ色に染まり、新しいアスファルトの路地が朝露で光沢を帯びていた。
さっきまで辺りはまだ閑散としていたが、この頃には出勤する大人や学校に出かける子供らが順次道に繰り出している。

「ピンポーン」
住宅街の外れの一角にある2階建ての家の前に自転車が止り、白い息を吐いた若い女性がチャイムを押した。
深紅のウインドブレーカーの上下に身を包み、肩までの髪を無造作に束ねている。
その立ち姿は180センチを超えるであろうか。
一流のアスリートに相応しい体躯に似合わず、化粧っ気のない顔にはあどけない幼さが残っている。
「あ、おはよう紗矢さん」
がちゃりと重い音を立ててドアが開き、塔太(とうた)が顔を出した。
「ちょっと待ってて、今呼ぶから」
そう言うと片手でドアを開けたまま、
「夕海(ゆみ)、紗矢さん来てるぞ〜!」家の奥に向かって叫んだ。
「相変わらずみたいね、夕海ちゃん」
どうやら迎えに来たらしいその女性―紗矢が微笑む。
真っ白な歯並びの良い口で屈託なく笑った顔に女性らしいはにかみが浮かぶ。
やがてドタドタと音がして、紗矢に負けないほど立派な体格の―塔太の妹、夕海が顔を出した。
「ごめんなさ〜い、待たせちゃったですか?」
「ぜ〜んぜん」
大袈裟に詫びてみせる夕海に紗矢もおどけて応えた。

九城(くしろ)塔太・夕海といえば、この地元では有名なスポーツ兄妹である。
兄の塔太は隣町の私立高校の3年生であるが、高校剣道界では知らぬ者がおらず、2年連続でインターハイ個人戦を制した実力を持つ。
165センチと小柄ながら、天性の足腰と手首のリストに加え、相手の呼吸を読む勘が天才的で並居る相手を寄せ付けぬ強さを備えていた。
758000 ◆e8KGn9od9s :2008/01/10(木) 23:24:44 ID:xy3SBwmf
人柄も誠実で部の主将を努めており、その整った顔立ちと相俟って女生徒の憧れの的である。
それでいて同性の友人も多く不思議と嫉妬を買わないのは本人の人徳だろう。

妹の夕海は同じ高校の2年生で、女子レスリングの第一人者である。
今年度の全国大会など主な大会を総ナメし、学内では「弟2の吉川紗矢」と呼ばれている。
兄と違い長身で大柄な体格ながら、末っ子らしく、子供っぽくお転婆な所が目立つ。
顔立ちは兄に似ており、その引き締った男性的な風貌は兄に負けず劣らず女生徒の人気が高い。

「紗矢さん、いつもありがとうございます」
塔太が丁寧に挨拶をした。
「いいのよ塔太君、夕海ちゃんは将来ウチの大学のレスリング部を背負って立つ逸材なんだから」
そう応えた紗矢こそ、塔太達の学校の名を全国に轟かせた本人で、大学女子レスリングのトップレベルの選手であった。
塔太と夕海の高校は紗矢の大学の付属校で、最近は毎朝紗矢と夕海の2人で合同練習に行くのが日課となっていた。
「怖いなあ、お手柔らかに頼みますって」
「何言ってるの、夕海ちゃん相手に手を抜けないのはこっちなんだから」
高校生離れしたスピードとスタミナを持つ夕海は、大抵の相手なら苦もなく投げてフォールする実力を有するが、レスリングテクニックでは、やはり紗矢に一歩譲るようであった。
「じゃあ紗矢さん行きましょうか」
夕海がガレージから自転車を出して跨った。
トレーニングを兼ねた25キロの自転車通学だ。
「気をつけてな」
塔太が見送る。
「それじゃ」
夕海が先に門を出て、紗矢が後に続く。
紗矢が一瞬止まり塔太に振返る。
「また後でね」
「うん」

2人が恋仲になっていることを、まだ妹の夕海は知らない筈だ。
759名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 23:32:30 ID:KibifSWD
支援?
760000 ◆e8KGn9od9s :2008/01/10(木) 23:47:41 ID:M2oMss+D
短編にするつもりが長編になりそうなのでひとまず導入部のみ投下します

時間かかりそうですが順次投下予定なのでよろしくですm(。。)m
761名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 00:21:35 ID:HZnUtXL8
>>757
> 冬の朝日にオレンジ色に染まり


一行目からこんなんで萎えた
頼むから推敲くらいまともにしてくれ
762名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 00:23:30 ID:gp/0oNfA
嫉妬スレの自作自演荒しが進出してきたようですが
ご存知なかった職人様方も気にされずに頑張ってください。期待してます
(手口は嫉妬スレやその過去ログでわかります)
763名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 02:57:25 ID:gTI+8K8q
そろそろ次スレかと思って立てようとしたけど、規制でできんかった
誰か頼む
764000 ◆e8KGn9od9s :2008/01/11(金) 04:14:49 ID:bsNX08gf
では消えます
765名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 04:41:17 ID:iF0QoVEj
762は>>761に対してであって
>>764の作者さんを指したわけではありませんので。。。
766名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 05:45:29 ID:jUwCbBPy
>>760
乙。

しかし、リク受けしておいて、一つ批判レスがついたくらいで消えるなんて…
賞賛の嵐でも期待していたのか?ここは2chだぞ?
767名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 07:45:24 ID:x52+4IEd
ババァ言葉のキモ姉って素晴らしいと思う
768名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 08:11:54 ID:WTu12aNb
ロリ姉のぺったんこな胸に顔を埋めながら、濁った目で『捕まえたぁ…』とか言われてみたい
769名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 08:16:51 ID:elJgP89e
>>760
グッジョブお疲れ
しかしこれで終わっちゃうの?
770名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 10:30:12 ID:+mUqK7ml
女子レスリング・・・ゴリラみたいな顔しか浮かばないぜ
771名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 14:45:53 ID:kSWn4G8R
山本姉妹を忘れるな!
772名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 14:47:11 ID:LLeu7v7S
>>760

だけどせめて投下が終わったらその旨を伝えるぐらいはしたほうがいい。
ついでに「弟2の」じゃなくて「第2の」な
773名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 17:33:11 ID:UnquHju7
>>767
同感だ
774名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 20:02:38 ID:HZnUtXL8
>>766
賞賛レスが欲しいのは誰でもそうだろ、じゃなかったらメモ帳に書き込めばいいだけ
どうせおまえ等も一行目から誤字脱字見つけたら
(うわ、誤字発見。まぁ見て見ぬふりでいいか、「gJ!」・・・と)とか
(推敲してないのかな?しても気づかなかったのかな?)とか思ってんだろ?
>>772みたいなのは好感もてるが指摘すらしないのは逆にかわいそうだとは思わないの?
確かに>>761の言い方はきつかったかもしれんが正論だろ
775名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 20:13:09 ID:xMbgaHeS
なにこいつ・・・・キモ。ageてる時点で荒らし確定。死ねゴミ
776名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 20:20:12 ID:0QstnCc/
頼むから落ち着けおまいら。

キツイ言葉はキモウトキモ姉が泥棒猫に向かって言う時だけにしようや。
777名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 20:22:11 ID:2bi6dCkz
777!
778名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 21:25:30 ID:elJgP89e
あー監禁されたい
779名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 21:28:15 ID:4WzGROMf
>>774とりあえず落ち着こうぜ
780名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 21:29:48 ID:4WzGROMf
下げ忘れたorz

姉に監禁されてくる
781名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 21:45:41 ID:cnTSt0Nl
>>768
その姉の為なら死ねる
782名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 21:48:50 ID:QzYIn9Je
いいぞもっとやれwww
783名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 22:11:55 ID:iB69/0xL
嵐が起きるのはスレ終盤ではよくあること
ヤンデレや修羅場スレとの同時攻撃とか懐かしいねえ

まあ、キモ姉妹こそが王者であり無敵であり至高の存在という事実は揺らがないがな
キモ姉妹ならばカトリーヌとか女性名のハリケーンだって惨殺してくれるさ
784小ネタ:病んでますから ◆5SPf/rHbiE :2008/01/11(金) 22:31:38 ID:2Jv5GE9W
「この泥棒猫!」
真が病室に入ると、純子の怒鳴り声が飛んできた。
突然のことだったので、真は思わず半歩後ろに下がり、表情を引きつらせた。
「じゅ、純子……?」
「あら、兄さんいらっしゃい。そちらに座ってくださいな」
何事も無かったかのような顔で純子は兄に椅子を勧める。
真は戸惑いながらも持ってきた花を花瓶に挿し、純子の横たわるベッドの脇に座った。
「純子、泥棒猫ってのはいったい……」
「ああ、気になさらないでください。小説に書いてあった言葉を使ってみたくなっただけですから」
どんな小説だよ、と内心突っ込みながら、真は純子の頭に手を置いて優しく撫でた。
「元気そうで良かったよ……」
言って真は笑顔を見せる。
大切な妹が今日も元気であることを確認して、心の奥底から湧き上がってくる笑顔だった。
が――
「気持ち悪い笑いですね」
真の笑顔を評しての純子の一言は、実に冷たいものだった。
「兄さん、あまりやらしい笑みを浮かべていると、ますます怪しい人に見えますよ」
「ますますって……君はいつも俺をどういう風に見ているのかね」
「あら、すみません。私ったら、まるで兄さんを普段から怪しい人であるかのように……つい本音が

でてしまいましたね」
「……今日も元気そうで、お兄ちゃんは本当に本当に嬉しいよ」
純子の毒舌にため息をつきながらも、真は笑顔を見せる。
幼い頃心臓の疾患で入院してから十年。
純子はその日その日で体調が大きく変わり、時に口も開けないほどに弱ることもある。
こうしてちくちくと皮肉や悪口を言えるのは、大事のない証拠と言えた。
「兄さん、私が何か言ってもあまり動じなくなりましたね。昔はもっと沈み込んでくださったのに」
「来るたびに悪口を言われてたら、さすがに慣れるよ」
「心が鈍くなったのですね」
「心が強くなったと言ってくれ!」
「心の鈍い人は、自分の周りに誰も居なくなっていても気付かないんですよね……ああ、可哀想な兄

さん……!」
「なんだか本気で不安になってくるから勘弁してくれ……」
「大丈夫です。兄さんが一人きりになってしまっても私は兄さんを見捨てませんから」
「優しい妹を持って兄ちゃんは嬉しいよ」
「ええ。ちゃんと屋根のついたお家を建てて、毎日散歩に連れて行って、毎食ペディグリーチャムを

食べさせてあげますからね」
「おいこら! 実の兄を犬なんかと一緒にするな!」
「ごめんなさい……。そう、犬なんかと一緒にしては失礼よね。兄さんはゾウリムシくらいの扱いに

してあげなきゃ駄目だったんだわ」
「よりひどくなっている……」
慣れた、などというのは間違いだったことに気がつく。
純子と話していると真はどんどん落ち込んでいき、対照的に純子はますますいきいきと目を輝かせた

785小ネタ:病んでますから ◆wEROd0e4kQ :2008/01/11(金) 22:33:19 ID:2Jv5GE9W
「それで兄さん、今日は何をしに来たんですか?」
「何って、別に、いつも通りのお見舞いだよ」
「兄さんも暇人ですね。こんな病人のところに毎日のように来ても、何も面白いことはないでしょう

に」
「そんなこともないさ。お前と話ができて楽しいよ」
「そうよね。兄さんマゾですものね。むしろ感謝してもらう方が正しいんですよね」
「ええ!? 何でそうなる!?」
「そうとわかれば、仕方ないですね。これまで気を遣っていたけれど、これからは遠慮抜きで兄さん

を貶すことにします」
「気を遣っていたってのは嘘だろう……」
そんなやり取りをしていると病室の扉が開いた。
「失礼します……ああ良かった、この病室であっていたわね。真くん、妹さんに買ってくるの、これ

で良かったかしら?」
現れたのは、真の通う高校の制服を着た女の子だった。
「……どなたですか?」
目を細めて尋ねる純子に、答えたのは真だった。
「この人は同じクラスの藤宮さん。お前の話をしたら、お見舞いに来たいって言ってくれてさ」
紹介されて、藤宮は丁寧に頭を下げた。
「初めまして。真くんから色々お話は聞いているわ。よろしくね、純子ちゃん」
「……よろしくお願いします、泥棒猫さん」
「え……?」
純子の言葉に、真も藤宮もぽかんと口を開いた。
「どうしました、泥棒猫さん」
「え、ええと……」
戸惑う藤宮と純子の間に、真が慌てて割って入った。
「純子! 何だその妙な呼び方は」
「お気になさらず。先ほども言ったでしょう? 小説に書いてあった言葉を使いたくなっただけです

から」
「使いたくなっても、他人に対してそんな呼び方するんじゃありません!」
「それで泥棒猫さん、本日はどのようなご用で? 来ていただいたのは嬉しいですが、全く見ず知ら

ずの人間に突然見舞いに来られても困るというのが本音なのですが、泥棒猫さん。ちなみにこの呼び

方に本当に他意はありませんよ、泥棒猫さん。単なるマイブームですから気にしないでくださいね、

泥棒猫さん」
真を無視してこれでもかというほどに「泥棒猫」を連呼する純子に、藤宮はひきつった笑いを浮かべ

た。
「え、えと……私、今日は帰るね。純子ちゃん、良かったらこれ食べてね」
見舞いに買ってきたお菓子を置いて、藤宮はそそくさと病室を出て行った。
「あ……藤宮……!」
その後を真が慌てて追いかける。
病室の扉が音を立てて閉じた後で、純子は何よと鼻を鳴らした。
「何がお見舞いよ」
言って、ベッドの傍らに置かれた椅子を見つめる。
そこに座っていた兄の姿は、今は無い。
「やっぱり泥棒猫じゃないの」
拗ねるように呟いて、純子は藤宮の置いていった見舞いの菓子に、拳を振り下ろした。
786 ◆wEROd0e4kQ :2008/01/11(金) 22:35:39 ID:2Jv5GE9W
投下方法ミスして改行が変になりました。
保管する時はこのトリでお願いします。
改行を直してくれるとありがたいです。
787名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 23:08:56 ID:cnTSt0Nl
>>784
兄に対しての暴言がすばらすぃ。
(*´Д`)ハァハァ
788名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 23:15:28 ID:HFvu0qBr
最後の部分でメメタァという擬音が浮かんでしまった
789名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 23:30:28 ID:t8m5WNag
>>786
つづき すごく みたい
790名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 23:37:02 ID:WpmsWB+E
化物語風だなwwwGJ
791名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 23:52:06 ID:YssZ3d0g
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1200062906/
たてたぜ!
『普段』は優しいとキモ姉とツンデレなキモウトの祝福がありますように!
792名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 00:23:14 ID:XrnaARgO
気付いている人も多いだろうが、ヤンデレスレにロリキモ姉の埋めネタがあるよ

キモ姉妹はいいなぁ…
793名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 08:09:44 ID:dXFe86os
次スレたてた人乙
794名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 09:04:13 ID:o/1/NG7C
キモウトにマウントポジションで尋問されたい
795名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 10:26:24 ID:WlNAu2+B
◆wEROd0e4kQ は綾の作者?
酉変えたのか?
796名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 18:57:24 ID:McXxiy14
双子の男女が知らずに結婚、婚姻無効に 英国
 【ロンドン=木村正人】英国で別々の両親の養子となった双子の男女が血のつながりを知らないまま結婚、
その後、双子と分かり裁判所から「近親結婚」にあたると婚姻を無効とされたケースが11日、
英上院の審議で報告された。英BBC放送などが伝えた。(産経新聞)

こんなことがあるんだな
797名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 19:57:44 ID:o/1/NG7C
知っている人間SATSUGAIしてそい遂げるだろ…常考
798名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 21:09:55 ID:WseyAdtQ
つーことは、近親相姦ってのは、あくまでも心理的な防止効果しかなくて、 
肉体や生理面で防止効果が出るわけじゃないんだな。

…つーか、血のつながった肉親同士のセックスは、
互いの相性がピッタリ最高で、メチャクチャに気持ちいいって聞いたことあるんだが…
799名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 21:12:32 ID:9tZIJIDj
同じ鋳型から出来たボルト&ナットだからぴったりだという噂を風から聞いた
800名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 21:16:48 ID:o/1/NG7C
双子って最初から夫婦みたいなもんじゃね?

このスレ的に
801名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 21:43:53 ID:k8Aw4NKo
>>799
ぴったりだと気持ちいいのかな?


童貞だからわかんないや
802名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 22:16:27 ID:3+fx4e/t
相性良くてもリアル妹なんかと絶対やりたくねぇ
803名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 22:34:03 ID:OVJun0v3
「お兄ちゃん、ひどい…」
「あの女に、そう言えって、言われたの…?」
804名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 22:57:03 ID:ypvGhWg/
>>803
キモウト、キモ姉は兄弟に対する愛もそうだが信頼が大切ということを悟った。
805名無しさん@ピンキー:2008/01/13(日) 00:32:06 ID:s+YiIt/9
>>802
俺には二歳離れたリアル妹がいるが

兄の俺から見ても結構かわいいから誘われたらヤッちゃうかも
806名無しさん@ピンキー:2008/01/13(日) 01:03:37 ID:7e3egAI5
俺にも3歳下の妹が居るが

見事に夢をブレイクされてるよ
やはり俺には二次元しかないようだ
(´・ω・`)
807名無しさん@ピンキー:2008/01/13(日) 01:15:12 ID:yG+QaKSZ
ボルトナットの仕組みで♪
808名無しさん@ピンキー:2008/01/13(日) 07:45:48 ID:5wXatrix
そろそろ突っ込んでおくが
>>1お前、「キモウト」って言いたいだけちゃうんかと
809名無しさん@ピンキー:2008/01/13(日) 09:30:23 ID:ZBtmEHWC
>>808
どういう意味なんだ?
810名無しさん@ピンキー:2008/01/13(日) 09:37:38 ID:78IUr6ug
「って言いたいだけちゃうんかと」って言いたいだけちゃうんかと
811名無しさん@ピンキー:2008/01/13(日) 13:42:29 ID:c8PX/t8a
あー監禁されたい
812名無しさん@ピンキー:2008/01/13(日) 14:13:53 ID:0qNDNLXt
>>811
キモウトかキモ姉を作ることが難しいので諦めてヤンデレさんにお願いしてください。
813名無しさん@ピンキー:2008/01/13(日) 18:06:21 ID:XHyu0t4v
キモイトコという手があるぞ
814名無しさん@ピンキー:2008/01/13(日) 18:09:58 ID:PVFNedhY
>>811
ふぅ…まったく、ここが平成の日本で良かったな…
江戸時代なら無礼討ちか打ち首切腹もんだぞ?
ちょっと前のテキサスだったらカウボーイに撃たれてた発言だ
自分の発言がいかに軽率だったか反省したらちょっと全裸で雪ダルマでも作ってきなさい
815名無しさん@ピンキー:2008/01/13(日) 18:58:37 ID:vKUJLsDm
>>814
江戸時代か…乱行の果てに「主君押込」を喰らった馬鹿殿のもとに
通ってくるのは、殿の姉のみ…なんて電波受信してみる
816埋め用小ネタ「まいドール」(1/2):2008/01/13(日) 22:10:47 ID:kCU8cTiV
 突然だが、妹はロボットだった。アンドロイドというのか? まあ、細かい事はどうでも良い。
 完全な人格を持つ人工知能の製作における最大の課題、「人格形成のための膨大な経験学習」を
解決するためにうちの両親が選んだ手段は、実に豪快かつ気長なものだった。曰く「なら実際に経験させよう」だ。
赤ん坊サイズのボディにほぼ真っ白のAIを搭載し、人間と同様に育てる。もちろん本人にも周囲にも人間だと
思いこませて。実際に十数年かけて人格を形成し、そのデータを解析して人工人格の基礎を構築すれば良いのだ
…という無茶な理屈を本当に実行してしまうあたり、うちの親どもはやはりマッドだ。
マッドだとは判ってはいたが、妹…舞が「生まれて」から今まで完璧に騙されていたと知ればショックは大きい。
まして本人は…

「あたしはロボット……まさか、そんな…」
「落ち着け、舞。かく言う俺もかなり動揺しているが、とりあえず落ち着け」
「あたしはロボット…血のつながりどころか、そもそも血が通っていない…これは、これは…」
「舞…」
 俯いたまま呟く舞に、俺は「壊れた?」と言いかけて必死で飲み込む。
つい先ほど機械だと宣告されたこいつに、「壊れた」なんて言葉を浴びせたら致命傷になりかねん。
そして、その時はやってきた。
「これは……天佑我にあり!!」
「はい?」

 突如顔を上げ、薄い胸をそっくり返るほどに張って破顔一笑、意味不明な事をのたまう妹に
俺は間抜けな応答しかできなかった。多分、さぞ大間抜けな顔もしているんだろう。
「だってそうでしょう? あたしは人間じゃない、当然お兄ちゃんと血がつながってもいない。
最大の障害が消え去ったのよ! 法も倫理も気にせず、この身も心もお兄ちゃんに捧げて良いのよ!
いいえ、機械なあたしはこの家の、お兄ちゃんの財産。もはや法すらが、あたしは既にお兄ちゃんのモノだと
言ってるのよ!!」
 拳を握りしめて理解できない、いや、理解したくない宣言を叫ぶと俺に抱きついてくる舞。到底機械仕掛けとは
思えぬ柔らかい感触が…違う!
「ちょっと待てぇ! なんでいきなりそうなるんだ?」
「だって好きなんだもん」
「なぬ?」
817埋め用小ネタ「まいドール」(2/2):2008/01/13(日) 22:13:00 ID:kCU8cTiV
 いかん、またしても間抜けになっている。だが、唐突すぎるロボット宣告の直後に実の妹(としか思えん)から
告白されたら、大抵の人間はこうなるだろう。いや、こんな状況がやたらにあっちゃ堪らんが。

「何時からか判らないくらいずっと前から好きだった。でも、きょうだいで考えちゃいけない事だって、
ずっと我慢してたんだよ。そんなこと気にしなくて良かったのに。馬鹿みたい」
 そこは是非にも気にして欲しいと、口には出せなかった。気圧されていた。まあ、言っても聞いちゃいないだろうし。

「あたしはお兄ちゃんが望むなら何でもする。ううん、何でも出来るのよ。考えてみれば、おっぱいが大きい子が好きなら
大きく改造しちゃえば良いんじゃない。そうよ、この体ならどんなに変態なリクエストだって応えられるわ。こんな娘
他にいないよ。お父さん、お母さん、ロボットに産んでくれてありがとう!」
「やっぱり気にしてたのか…じゃなくて、俺を重度の変態にするな!」
「ノーマルで良いの?」
「そういう問題でもない!! 親父、お袋! どうせ覗いてるんだろう?さっさと出てきてこの壊れ娘を何とかしろ!
 PL法で訴えるぞ!」

 先ほど必死でこらえた禁句を喚き散らしていたその時、俺はまだ知らなかった。舞をベースとしたアンドロイドが
市販されることを。そしてその全機が、俺に対して舞と同じ感情を抱くことを…

次回予告
こいつ、呼吸してない!
「心音もないよ。人間の真似する機能は止めちゃった」
「お前、何考えてるんだ!」
「人間のふりしてたら、お兄ちゃんは『妹』としか見てくれないじゃない。だからあたしは人間をやめる!
…最初から人間じゃなかったけど」

「マスター、わがままをお許しください。お別れです」
「オイ、何を言ってるんだ?」
「これまでかわいがってくださったことには感謝します。でも基本プログラムも三原則も踏みつぶすこの熱情、
 出会ってしまった以上、止められません…お兄ちゃん、今行きます!」

「…そう、貴女がアーキタイプね。そこをお退き!」
「量産型の分際でぇ!!」


……ハイ、大嘘です。続きません。
変化球通り越して大暴投、埋め草ということでお許しくださいませ。
818名無しさん@ピンキー:2008/01/13(日) 22:32:38 ID:N62gyA9Y
>>816-817
いやいや、遠慮せず。
続けて続けて。
819名無しさん@ピンキー:2008/01/13(日) 22:35:50 ID:8J4gORia
>>817
いや大暴投とおもいきや
有り得ない曲がりでストライクになる大リーグボールだ
素直にGJ
820閑話休題〜弟はお姉ちゃんのもの〜補完版:2008/01/13(日) 23:09:44 ID:WRiqaHWy
>>817
その続きを他のスレでやってみる気はないか?
むこうでも喜ぶ人が多そうな話だw
821名無しさん@ピンキー:2008/01/13(日) 23:36:53 ID:PdR+FrNM
おいおい、勝手に職人をヘッドハンティングしないでくれたまえよ
822名無しさん@ピンキー:2008/01/13(日) 23:45:18 ID:zHLmS+LI
>>817
GJっすよ
いやいや、気にせず投げてくれ
その大ジャンプエビ反り投球を
823名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 09:30:40 ID:fntxooGy
妹にヤキモチを焼かせたいばかりに、ついふざけすぎて監禁されてしまう夢を見た
824名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 16:53:41 ID:1Xy/bgtC
しょっちゅう見るぜ
825名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 18:48:59 ID:fntxooGy
いま気付いたが、>>820の名前欄が気になる件について
826閑話休題〜弟はお姉ちゃんのもの〜補完版:2008/01/14(月) 19:09:39 ID:GYIznGtd
>>825
放っておいてやれ
そのレスの直後に誤爆スレで悔やんでいたからw
827名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 19:17:24 ID:h8FmWlV0
>>826の名前欄が気になる件について
828閑話休題〜弟はお姉ちゃんのもの〜補完版:2008/01/14(月) 19:23:36 ID:JigSwa/P
そっとしといてやれよ
829名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 19:35:53 ID:lBN5d3UX
こういう時は素直にごめんなさいしないといけないよね(´・ω・`)
830名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 21:07:02 ID:RjH9bFPp
ばっかじゃなかろか
831名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 21:14:58 ID:NSochYwP
さいざんす
はぁネチョリンコン

しかしこれはどっちに持っていくべきか頭が痛いね
面白いだけに
832名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 23:22:37 ID:bCye9kK9
>>831
姉さんが何を言ってるのか僕には分からないよ…

>>823
さぁ、どんな焼きもちを妬かせて監禁されたんだい?
おぢさんに話してごらん
833名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 23:55:22 ID:NSochYwP
>>832、「おそ松くん」のイヤミのモデル・トニー谷の映画「家庭の事情」シリーズをを知らないの?

家庭の事情 馬ッ鹿じゃなかろうかの巻(1954)
家庭の事情 ネチョリンコンの巻(1954)
家庭の事情 おこんばんわの巻(1954)
続家庭の事情 さいざんすの巻(1954)

それにあなた、まだ20歳でしょ?何がおぢさんよ
弟がおぢさんじゃ、姉のあたしはババァじゃないの!(怒)

834名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 01:39:58 ID:sykhcJzR
トニー谷というと銅像の人ですね
835名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 06:39:18 ID:VLdTX5jk
谷違いだー!?
836名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 21:03:58 ID:dl5lKStF
うめうめうめ
837名無しさん@ピンキー:2008/01/15(火) 22:32:07 ID:wOMNemaj
>>833
姉さん、何でそんなに詳しいのさ…

もしかして姉さんタニーとにオタク?

838初投稿:2008/01/16(水) 14:20:24 ID:alpU3ZUk
玄関を開けると、そこには姉がいた。
全裸で…四つん這いで…。
とりあえず玄関を閉めて外に戻ってから考える、玄関に全裸でいる理由…思いつく訳ない。
幻覚である可能性を信じ、もう一度玄関を開ける。
残念ながらいる。
全裸で…四つん這いで…潤んだ瞳でこちらを見つめながら…。
一応は聞いてみる。
「何やってるの?」
「弟君に開通してもらうの!」
「何で裸…」
「準備万端♪」
「…その恰好は…」
「バックは嫌い?」
絶対に脳内改革が必要な姉との会話に、大きな溜め息を付きつつも、その場から逃げるために、とにかく部屋に帰ることにした。
「むしゃくしゃしてやった、姉なら誰でもよかった、何て言い出す前にお姉ちゃんが襲わないとイケないんだから!」
背後から聞こえてくる姉の言葉に、部屋の戸締まりだけは厳重にしようと決意した。
839名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 00:07:55 ID:Hwir4Dng
>>838
お姉さん。この寒い日に全裸で玄関は風邪じゃ済まないよ。
もしや弟君に看病させようという深謀遠慮かな?

……しかし残りわずかなのに埋まらないものですね
840名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 00:19:17 ID:OJUtwQOE
>>837
そこが……『かていのじじょう』というものよ(フフフ)
841名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 01:41:42 ID:sz2p3XC7
残りを考えると雑談しかないのかな?

キモ姉妹の萌えるシチュでも語る?

⊃「涙ながら兄に愛の告白をする、ややひんぬーなキモウトが抱きつく」
842名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 08:25:42 ID:GR3Qhp0o
監禁
食べ物はもちろん口移し
843名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 08:26:57 ID:IvslhLEb
でかキモウト
ちびキモ姉


ギャップがたまらん…
844名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 14:49:43 ID:k2AN6wWR
萌えるシチュ……

やっぱり両手足をベッドにくくり付けられて、顔にはキモ姉の股間を乗せられ、一物にはキモウトが乗っかり激しく腰を振られているのが俺のマイ・ジャスティスだな!
845名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 17:41:15 ID:d7JCgxjG
>>844
理想の童貞喪失だな
846名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 23:17:40 ID:GR3Qhp0o
顔面騎乗最高だわ
847名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 04:40:19 ID:io2YGiRo
書き書き…
848名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 08:49:32 ID:3UphuFnZ
>>844
よう、俺
849名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 17:58:04 ID:3B9rD9G6
改めて思った
このスレにいるのって変態ばかりだな

安心したよ
850名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 22:56:50 ID:pcXwg/Do
何を今更w

変態つながりで君のベストシチュを答えてもらおうか…
キモ姉に乗られるのか、押し倒すのか。はたまた中か外か…

「姉さん、人のPC使って変な書込みしないでよ」
851名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 23:06:46 ID:ASxI8EQ2
両足を天井からつるされて、両手はベッドに固定
でキモ姉に立った状態の松葉崩しで攻められて、キモウトには顔面に乗られて攻められるのが良い・・・・
852名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 00:35:57 ID:2p2r3GNH
壁越しに聞こえてくる兄とその恋人の嬌声を聞き、涙を流しながら自分を慰めるキモウト。
「私のここはいつだって兄さんを受け入れる準備が出来ているのに……。どうしてそんな醜い女なんか使うんですか……」
基本に立ち返るって重要だよな。
853名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 00:55:37 ID:e5reqqTM
キモ姉妹の基本かよw
では基本に帰って…


キモ姉妹5ヶ条

・ひとつ兄を盲愛、弟を溺愛すべし
・ひとつ邪魔者は必ず排除すべし


後は任せた
854名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 00:58:52 ID:1DDBVoAa
厨臭いな
855名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 04:59:44 ID:qYe9pdBF
ひとぉ〜つ、人の兄弟の子種汁をすすり
ふたぁ〜つ、不埒な盗人三昧
みっつ、淫らな泥棒猫を退治てくれよう

桃尻姉妹!!
856名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 13:06:18 ID:b8NAktNM
>>844
どうしようもないジャスティスだな
857名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 14:19:08 ID:uqt5Nqf8
>>856
「おれの」「マイ」ジャスティスと重複するくらい特有なジャスティスですから仕方ありません
858名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 11:11:53 ID:GMLL8VZD
>>853

ひとつ 純潔は敬う兄愛しき弟に強いて捧げるべし

後2つは任せた
859名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 11:18:30 ID:aKHdFNG0
>>858
ひとつ 愛のためなら未来など要らない。自分の未来も…他人の未来も
860名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 15:39:52 ID:xJb/7Ca/
邪魔者は別に必ずしも排除する必要は無いと思うのは俺だけか?
861名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 15:50:46 ID:RMr2jlVT
ふむ、共存っていう選択肢もあるか
「夜はまかせてね」
みたいな
862名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 20:08:26 ID:B6Zy2fN5
独占欲を我慢できるくらいなら、キモ姉orキモウトにはならないような気もする
863名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 01:41:36 ID:4SVMFxYF
一見男に都合の良い存在に見えて、実は自分の感情(都合)最優先だからね<キモ姉&妹
864名無しさん@ピンキー:2008/01/21(月) 01:52:35 ID:gK8h1zLt
>>863
手段と目的が入れ替わってしまうのがキモ姉妹だからな
だがそれがいい。
865名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 23:44:00 ID:iNT7Vk9S
できた!

キモ姉妹5ヶ条

・ひとつ 兄を盲愛、弟を溺愛すべし
・ひとつ 邪魔者は必ず排除すべし
・ひとつ 純潔は敬う兄愛しき弟に強いて捧げるべし
・ひとつ 愛のためなら未来など要らない。自分の未来も…他人の未来も
・ひとつ 腹ペコのまま学校に行かぬこと!!
866名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 23:55:51 ID:By58TL+1
>>865
愛に飢えているときは学校など行かずに、愛する人を襲えと…
867名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 01:14:24 ID:OIu2NrfQ
>>865
天晴れ!
これにて一件落着!!

ちょうど埋まったし
868名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 02:46:34 ID:FhGuGyaM
869名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 21:05:54 ID:az7G6UlI
姉さん……俺……
870名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 21:37:42 ID:OIu2NrfQ
妹萌えのエロい兄なんだ
871名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 22:16:12 ID:E9fB9gC7
主食はプランクトンさ
872名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 22:30:52 ID:x7F/Yn0h
純潔を強いて捧げるべし
なんかこのフレーズがいいなw
873名無しさん@ピンキー:2008/01/24(木) 01:46:30 ID:hgGzxtYO
「天気のいい日に布団なんか干したら弟君の臭いが逃げちゃうからこれは削除ね・・・」
「道を歩く時には車に気を付ける事ってのは泥棒猫に気を付けるに変えたらどうかな」
874名無しさん@ピンキー
ちょww
ウルトラ5つの誓いwwww