ここは人間の住む世界とはちょっと違う、ケモノ達の住む世界です。
周りを見渡せば、そこらじゅうに猫耳・犬耳・etc。
一方人間はというと、時々人間界から迷い込んで(落ちて)来る程度で数も少なく、
希少価値も高い事から、貴族の召使いとして重宝がられる事が多かったり少なかったりします。
けど、微妙にヒエラルキーの下の方にいるヒトの中にも、例えば猫耳のお姫様に拾われて
『元の世界に帰る方法は知らないにゃ。知っていても絶対帰さないにゃあ……』
なんて言われて押し倒され、エロエロどろどろ、けっこうラブラブ、
時折ハートフルな毎日を過ごすことを強要される者もいるわけで……。
このスレッドは、こんな感じのヒト召使いと、こんな感じのケモノ耳のご主人様との、
あんな毎日やそんな毎日を描いたオリジナルSSを投下するスレです。
このスレッドを御覧のヒト召使い予備軍の皆様、このスレッドはこちらの世界との境界が、
薄くなっている場所に立てられていますので、閲覧の際には充分ご注意ください。
もしかしたら、ご主人様達の明日の御相手は、あなたかもしれませんよ?
それではまず
>>2-5を見てください。
以上、テンプレ
変更点は絵板の追加のみ
wikiへ過去ログを上げるのはどなたかがやってください
ではどうぞ
1乙
子供が生まれたらヒトを飼いなさい。
子供が赤ん坊の時、子供の良き守り手となるでしょう。
子供が幼年期の時、子供の良き遊び相手となるでしょう。
子供が少年期の時、子供の良き理解者となるでしょう。
そして子供がおとなになった時、自らの死をもって子供に命の尊さを教えるでしょう。
それはそうと
>>1乙
>>前スレ707
正しく飼い猫って感じだな
>>14 構おうとして怖がられる長男と、ネコかわいがりする長女と、距離置いて餌あげてたら懐かれた次男か。
>>11 よう!おれ。w
今書いてる話でそれ使おうと思ってたのに・・・・
一言一句くりそつ(死語)なんで、ちょっと気味が悪いくらい・・・・(激汗
元ネタあるんだから仕方ないさwwがんがれ!
ちょっと他スレから落ちてきた者ですが。
ここは作品落とす、あるいは書く前に
何の種族で書くとかいう設定を晒す必要がありますか?
>>18 既出の種族なら過去作品を前提に書く。
新規なら自由。
既出はまとめwikiの種族一覧に載ってる。
後、コウモリが避難所で設定すりあわせ中のはず。
何の種族かは投下時に断りを入れればいいと思う。
早い回答ありがとう
見れば分かるとおもうが「〜〜族つくってるよ」程度の公表ならこっちだけど
こまかい世界設定のすり合わせには避難所が向いている。
こまかいすり合わせはどうしてもネタバレとレス大量消費になるからな、こっちじゃ自重推奨。
もう即死回避はできてるのかな。
まだなんじゃなかろうか
虎の威たのしみ!
「むふん、スレの流れを見ていると何やら拙僧も新種族で書きたくなってきたのう」
「……一人称には突っ込まないぞ。で、親種族ったって何を書くのよ」
「実在する生物は今更なので、ここで一つ架空生物の萌え娘を開拓したいなと」
「竜はやめとけー。でるでるといっておいてでないパターンになるから」
「いや、そんなファンタジー溢れる生き物ではない。風情がなさ過ぎる」
「萌えと風情はあんまり関係ない気が……。で、何にするつもりだ?」
「架空生物と言ったらやはりアレだろう。ハナアルキ」
「ちっとも萌えねえっ!?」
「何故だ」
「何故とか聞くか!顔面の中心に歩行器官のある逆立ち生き物にどうエロスを感じろと!?
海外の無駄に考証やりすぎSF小説でもよーやらんぞ!」
「むう……それではある程度ヒトに近い構造にしたほうがいいか」
「顔面で歩行する少女を書きたくなければそうしておけ」
「では猿などどうかな?」
「猿、ねえ。悪くないとはおもうけど。んで、具体的にはどの猿?」
「クロマニョン」
「ほぼ人類だっ!?てか、それは「猿人」であって厳密にはヒトの類だ!!」
「むう、ではキンシコウなどどうだろうか?」
「あ、孫悟空のモデルになった中国の猿か。中華モチーフは獅子と被るけどいいんじゃね?
で、ヒロインはどんな感じ?」
「うむ、拳法の達人でな。エライ田舎の出身にしようかなと」
「ほうほう、ベタだけどいいんじゃね?」
「そして、この世界に落ちたヒトの青年を元の世界に戻す為、七つの宝玉を捜す旅に出るという……」
「そこまでにしておけーっ!?」
27 :
名無しさん@ピンキー:2007/11/01(木) 21:04:20 ID:dBqOSHqS
クロマニョン=ホモ・サピエンス
ネアンデルタールとは違うのだよ!ジャワ原人や北京原人とも別の種類だ!
時に、絵板もいいかげん死にかけてる気がするわけだが。
……いや、絵なんか描いたこともない俺が言えた義理じゃないがw
絵板か。
なんかリクエストでもしてみれば?職人がやる気をだすやも。
個人的にはセシル様を見たいが。
もともと小説のキャラクターを実際に描くのは難しくないか?
イメージが人それぞれだから。
それにしても静かなスレだな、相変わらず此処は。
今回の投下でチヒロが描きやすくなったかな。
全裸ローブのエロプレイテラミタス
ハナアルキをチョイスした>26とはいい酒が飲めそうだ
これは良い良スレ(意味重複)
この頃気がついたんだけど
エロいのって短編よりもこのスレみたいに長編のほうがエロく感じるな
なんていうか、いきなりセックスされちゃうと、読んでる側は置いてかれる感じするけど
セックスに至るまでの「理由」というか「心境の変化」みたいなのを細かく書いてくれてるとH描写の時にすごい引き込まれる
だから連載みたいな形式をとってそーゆーのを細かく書いてくれる作品がいっぱいあるこのスレはエロパロ板の中でもスゴく良い良スレだと思うよ
思考ベースになるもの(二次スレなら原作、シチュスレならそのシチュそのもの)が不完全だからじゃないかな
だから世界を描写しながら話を進める長編の方が向いてるのかもしれない
37 :
26:2007/11/02(金) 19:15:24 ID:DVFufa4Y
>>33 最近酒屋で見つけたズブロッカが美味しいので、それで乾杯といきましょう。
そう言えばここって架空の生物はどうなんだっけ?
あいまいだな。
とりあえず竜はいる。
ただ、畜産レベルから神格クラスまでピンキリらしい。
竜の肉は食用ファーミングとかのネタあったし、虹衣のロナは軍用竜のキメラだし、夢日記だとドラゴンボール的な竜がいる。
つーかですね、ユニコーンとかカーバンクルとか存在する前提で話を構築中ですので(ry
6本足の馬とかいますな
触手要員としてスライムを登場させる予定。
といってもヒロインにエロいことしたらさっさと退場させるけど。
狐や猪の国だと、カモシカは鬼、コウモリは天狗と呼ばれてる気がする。
架空の生物は下手すると強さのバランス壊しそうで怖い
出すならその辺り考えないといけませんのう
架空の生物というと
ツチノコ
モスマン
チュパカプラ
モケーレ・ムベンベ
などか
あんま強くなさそうな気もするが
つ「フライングヒューマノイド」
上でも挙がってるが
竜種だな、扱い間違えるとまずいのは
確かにピンからキリで
下の方だとトカゲがデカいだけみたいなもんだが
上の方だと一匹で軍隊を圧倒したり人型になったり古代言語魔法を使えたりと
はっきり言って無茶苦茶なのが多い
>>44 デラコー並の腕前がないと萌には変換できないなあ。
つかむしろ人外スレのネタだろうそれは。
竜は竜でも恐竜なら普通にアリじゃないのかしら
なんたって実在ですよ
しかも古代種族とかですよ
古代種繋がりで思いついたが、サカナの一氏族でシーラカンスやメガマウスってのも有りだろうか?
謎に包まれた暮らしぶりや、古代種ならではの不思議パゥワーとか
>>48 ジャバウォッキーと申したか。
>>49 チョウチンアンコウとかやると、おにゃのこの肉に取り込まれるヒトのSSが書けるよ!
カマキリとなら命懸けの恋が(略
52 :
虎の子:2007/11/04(日) 21:48:29 ID:uzL9HmsV
私は蟹が好きです。
殻に守られた中身は、プリッとして甘い身が詰まっている。
例えば、いつも殻に包まれていて、する時だけ殻がむけて中から粘液に塗れた美少女が出てくる。
そんな種族は居ても良いと思いませんか?
虎という字を見るとどきっとする
人魚(っぽいサカナの一種族)が一部の獣人の上流階級では珍味とかいう
なんというカニバリズムな設定を考えて欝になったことがある。
龍人の話題が出るたび思うけどなんでアウト扱いなんだ?
別に支配欲求が無くて人里離れた秘境とかにいる…ならすんなり通りそうな物だが。…というかちょっと書きたい。
まぁ確かに居たら某魔王さんを除いて最強設定になるのは間違いないけど…
蛇との外見的区別がつけづらいのが最大のネックだと自分は思う。
確か竜(龍)についての議論や見解とか提案は過去に避難所でされてたハズ。
んで結論は、面白けりゃ受け入れられるしつまらなけりゃ見限られるだけ。
やりたきゃやれば?ってカンジだったな確か…。
竜でもトカゲっぽいのとかつるつるぷにぷにのとか
色々いるんだなって勉強になったよ、あの時は…
まぁなんだ
このスレの目的がちゃんと分かってれば龍人出しても問題ないとは思う
ぶっちゃけると
俺の作品のキャラTueeeeeは
こういう場所では上手く動かさないとヤバい
決して自己オナ全開にならないようにな
>>58俺もあの竜の設定は結構驚いた。
竜スキーの集まりの中で、あんな細かくカテゴライズされてるとは思わなかった。
……結構あの設定のお話、楽しみにしてるんだけどなぁ。
もう半年くらい経っちゃった。
避難所で点呼してるし、今もいるなら返事してくれるかな。
龍人(竜人に非ず)は魔力と腕力と寿命が凄いことになってるけど
繁殖力には恵まれず個体数はヒトよりもさらにずっと少ない
単独または少人数のグループであちこちを放浪していて
こちむい世界の人間なのに扱いは現実世界のUMAに近い
とか妄想してたときがありました
龍(竜)人ってビジュアル的には伝説のオウガバトルに出てきたフォーゲルがそうなるんだよな
>龍がアウトな理由
だって実在してないし…
絶対に実在限定とか言い出したら
既に危ないのがいるわけだが
何とは言わんが
今までの流れからして、いわゆる獣人は実在限定ということになってるのでは?
竜人?はキメラみたいだし。
個人的には、パワーバランスの観点やヒトの世界との因果関係を保つという意味でも
これまでの扱いでいいと思う。
まだ出てない種族って何があったかな?
たぬたぬ
脇役だけの種族ならたくさんいるけどな
ヒョウとかキツネとか
海で生きる種族ならまだまだいそう
アルマジロとかカンガルーとかアリクイとか……
ハリネズミのジレンマ
イルカとかサメとかクジラとか?
俺の妄想じゃエロくならんorz
鰐とかワニとか、わになど・・・
>>73イルカのエロさが分からないなんてッ!!
あのツルツルスベスベのおなかなんかそそられまくるじゃないか!!
……俺だけだな。うん。
イルカって頭いいんだよね
で、頭いいと悪さするやつもいるんだよね
弱いものいじめとかレイプとか
イルカのちんこがものすごいって前に出たような
偶蹄類を見かけない気がする
イルカの男が想像出来ないんだぜ
80 :
とらひと:2007/11/08(木) 01:03:53 ID:SvEvsFDk
アカブ×チヒロ
素股
やや鬱傾向
千宏がこの世界に落ちてきてから、すでに半年が過ぎた。
気候の穏やかなトラの国にも四季はあり、冬ともなれば山のふもとは雪に埋もれる事も少なくない。
千宏は酒で体を温めることを覚えざるをえず、また外に出る時は厚手のローブの上から更に
毛皮の外套を羽織り、手袋とマフラーを片時も離さないという徹底防寒で臨まざるを得なかった。
それでも、バラムが森に入ることをやめることは無く、冬眠とは無縁のトラたちは寒さの中
も実に勤勉に、時に怠惰に働いた。
「雪が降った翌日は市場をしめるべきだと思うんだ」
パルマに連れられてやってきたいつもの市場で、千宏は息を真っ白にして絶え間なく不平不
満を並べ立てた。
寒いに始まり、眠い、しもやけができる、耳が冷えて頭痛がする、雪のせいで歩きにくい、
トラの男達の毛皮がずるいなど、千宏の不満はとどまる事を知らない。
「ヒトは寒さや暑さに弱いもんだからな」
そう、カアシュが自慢の知識をひけらかしながら差し出したあたたかいジュースを受け取り、
千宏はパルマに店を預けて休憩と決め込んだ。
周りをカブラたちが囲んでいれば、それだけでなんとなく暖かい。
トラ男達の真ん中で丸まりながらちびちびと熱い液体で体を温め、千宏はカアシュにせがま
れて日本の冬がいかなる物かをぽつぽつと教えてやった。
鍋料理がおいしい季節であることや、ハロゲンヒーターの素晴らしさ。床暖房や電気カーペ
ットの恩恵の数々。
そして話が至高の一品こたつに及んだ時、それ、ネコの国でも流行してるぜ、とブルックが
声を上げた。
「こ、こたつがあるの?」
「おう。なんでも冬場のネコを行動不能に至らしめる科学兵器だそうだ」
「ねーこーはこったつーでまーるくーなるー」
思わず歌ってしまった千宏である。
「あー。あるのかぁ。こたつ。欲しいなちくしょう。高いのかなぁ。アカブに頼んだら買って
くんないかなぁ。副業でも見つけてお小遣い稼ぐかなぁ」
こたつみかんのためならば、悪魔に魂を売っても構わないとさえ思う。
それが冬場の日本人である。
「あっちも今は冬かな……」
はぁ、と真っ白な息を吐き、元の世界となんら違いの見出せない空を見る。
捨てきれぬ懐郷と染み渡った諦めに千宏が静かに目を閉じると、カブラ達がおもしろいほど
うろたえた表情で、互いに顔を見合わせた。
「まだ時々、これって夢なんじゃないかって思うんだ」
すっと薄く瞼を開き、深くかぶったフードの奥から三人を眺める。
千宏を強姦しかけた三人だ。
吐き気がしたこの男たちが、今では大切な友人に思える。
「目が覚めたら遅刻しそうで、慌てて着替えて、ご飯食べてさ。電車に乗って、講義を受けて、
友達とおいしいケーキ食べて、お母さんにもお土産買って――」
「チ、チヒロ!」
慌てたような、悲しそうな、そんな声を出したのはカアシュだった。
ふと視線を向ければ、今にも泣きそうな顔でこちらを見ている。
その、ぺたりと伏せた耳のあたりをわしわしと撫でてやり、千宏はひょいと立ち上がった。
悪夢と信じて疑わなかった。
はやく目が覚めてくれることばかりをひたすら願った。
だが、今は――。
「でも今はさ、きっと目が覚めても、あたしはまたこの夢が見たくなる」
ぽかん、と、三人揃って間抜け面をならべ、理解できなかった言葉の意味を三人でひそひそ
と相談しあう。
その様子を見ながらけらけらと声をあげて笑い、千宏はふと、その三人の向こうに見える、
馬車の停留所に吸い寄せられるように視線を投げた。
たった今そこに止まった馬車の、幌馬車でも荷馬車でもない、風変わりなその形――。
81 :
とらひと:2007/11/08(木) 01:04:29 ID:SvEvsFDk
「護送車みたい……」
そう千宏が呟いた瞬間、三人が同時に馬車の方を振り向いて凍りついた。
長方形の箱に車輪がついているような馬車である。
サーカスで見かける動物運搬用の檻に近いようにも思える。
「ねえ、あれ――」
「見るな」
鋭く命じて千宏の視界を塞ぎ、ぐるりと馬車に背後を向けさせたのはカブラである。
千宏は目をぱちぱちと瞬き、それでもカブラの肩越しに馬車のほうを振り向いた。
「見るなって――なに? 見ちゃいけないもんなの?」
「なぁに、特に珍しいもんじゃあねぇよ。国境市まで荷を運ぶやつらが時々ここを通るんだ」
「国境市は色んなもんが集まるからな。変わった積荷を運ぶには変わった馬車が必要なんだろ。積荷が違うだけでただの商人だよ」
カアシュとブルックが千宏の視界を遮るように立ち、平静を装いきれないまま気にするなと
繰り返した。
嘘の下手な種族である。
「見るなって言うならまぁ……」
見ないけど、と言いながら、その実千宏はうずうずしていた。
見るなと言われれば見たくなるのがヒトの常だ。
千宏の言葉にころっと騙され、三人が気を抜いた瞬間、千宏は脱兎のごとく駆け出した。
ひどく慌てた様子でカブラが千宏の名を怒鳴る。
しかし、人通りの多い市場では、身軽で小柄な千宏の方に利があった。
するすると人混みをすり抜けて馬車に駆け寄る千宏に、カブラたちは追いつけない。
そして馬車の前にたどり着き、千宏は美しい装飾のほどこされたその箱状の馬車をまじまじ
と観察した。
長辺の側面の真ん中に境目がある所をみると、恐らく観音開きに開くのだろう。
その他にもいくつかスライド式の小窓があり、トレーラーハウスのような印象を覚えた。
しかし、積み荷は全く分からない。
「つまんないなぁ」
「チヒロッ!」
「うぇ、やべ」
鬼の形相で駆け寄って来たカブラに乱暴に引っ立てられ、千宏は慌ててごめんごめんと謝った。
特に悪びれた様子も無い千宏に対して、カブラの真剣さは尋常ではない。
「来い!」
「わかったわかった! わかったから引っ張らないでよもう! 行くよ行くよ、いきますよー」
ぐいぐいと腕を引っ張られてぎゃあぎゃあ喚く千宏の背後で、扉の軋むような金属音がした。
あの、観音開きの壁が開いたに違いない。
カブラに腕を引きずられながら特に深く考える事も無く振り返り――千宏は凍りついた。
「馬鹿! 見るなって――」
千宏の異変に気付いたカブラが、馬車に視線を釘付けにしたまま動けずにいる千宏を乱暴に
抱え上げた。
「ヒトが――」
「見間違いだ」
思わず零した千宏の言葉を、カブラがすかさず遮った。
エサの時間だ、と、トラよりもずっと小柄な――恐らくネコだろう商人が怒鳴る声がする。
「でも、カブラ――」
「チヒロ!」
鋭く叱責したカブラの瞳が、怒りとも嘆きともつかぬ感情に揺れていた。
その虹彩は相変わらず、空よりも清んだ青をたたえている。
カブラの肩にしがみ付いてもう一度馬車を伺って、千宏は瞠目したままカブラの肩に額を押
し付けて沈黙した。
高級奴隷――。そう、バラムは確か言っていた。
奴隷商人がいるとも言っていた。
なるほど、ならばあれがそうなのだろう。いると知っていた者を、あると知っていた物を見
たところで、驚くようなことはない。
だが――あれは、違う。
一瞬、千宏は“積み荷”と目が合った。
否。相手の目を見たのは千宏だけで、相手は千宏を見てなどはいなかった。
その、生気の無い虚ろな瞳――。
馬車を背にして、逃げるようにカブラは歩く。舌の奥になにか、妙な苦さがあった。
82 :
とらひと:2007/11/08(木) 01:05:04 ID:SvEvsFDk
ずっと考えていた事が、考えないように抑え込んできた事が、するすると解けるように次々
頭に浮かんでくる。
「カブラ」
「何も答えねぇぞ」
「歳を取った奴隷は――価値が下がるよね」
「よせ」
「狂った奴隷も、きっと持ち主に捨てられるよね」
「チヒロ……!」
「あの馬車――」
「考えるな!」
ぐっと、頭を押さえ込むようにして抱きしめられ、千宏は自分が震えている事に気がついた。
カブラもまた、なにかに怯えるように震えている。
それが、全てを物語っていた。
「奴隷の下請け業者だね」
ペットは大切な家族だ――という者は、千宏の世界にも多くいた。
だがそれと同じ数くらい、流行を追いかけてペットをブランドの品のように取り替える者も
いることを千宏は知っていた。
古くなっていらなくなったペットは捨てられる。
虐待して使い物にならなくなったら殺される。
そして、そんないらなくなったペットを買い取る業者が存在すれば、率先してそれを利用す
るだろう。
そして――値が下がったヒト奴隷は少し質の劣る人々に売り渡され一生を終えるか、あるい
は再び業者に引き取られる。
最終的には――。
「カブラ」
「すまねぇ……すまねぇ……!」
「ヒトの肉って――食べたことある?」
使い物にならなくなった競走馬は、余程の素質が無ければ食肉工場に送られる。
カブラはもう、言葉を発する事も出来ないようだった。止まってしまった足が動こうとする
気配も無い。
ひどく寒かった。
すまねぇ、と、またカブラが繰り返す。
「カブラが悪いんじゃない……」
カブラだけではない。
誰も悪くなど無いのだ。
元の世界でだって、あたりまえのように、日常のように起こっている出来事だ。
いつだったか食卓で、元の世界では牛肉は食用だったのだとパルマに語った。それと同じこ
とだ。ただ恐らく、ヒトの肉は高級品で、恐らくは珍味の類だろう。
「でもあたし――」
落ちてくるヒトの数は、そう多いものではないはずだ。
だがすくなくとも、いらなくなったヒトをぞんざいに扱えるくらいには――いらなくなったら替えがきくくらいには、この世界にヒトはいる。
「あたし……」
はじめて、自分以外のヒトを見た。
はじめて、自分以外のヒトの――おそらく、まだマシな部類に入るヒトの境遇を見た。
箱庭の楽園が、千宏の回りに広がっていた。
だけど一歩箱庭の外を覗けば、そこは目もくらむような悪夢が広がっていて――。
「カブラ! チヒロ!」
カアシュとブルックと共に、駆け寄ってきたのはパルマだった。
カブラにしがみ付いた千宏を見て、きゅっと形のいい唇を噛む。
「馬鹿! あんた達チヒロになんてもの見せるのよ! この役立たず! なんのためにそんな
デカい図体してんのよ! 腕利きのハンターが聞いて呆れるよ!」
パルマがきぃきぃと怒鳴りながらブルックとカアシュを殴る。
そしてすぐさま千宏に駆け寄って、カブラから千宏を奪い返した。
「大丈夫だよチヒロ。私、絶対にチヒロをあんな目にあわせたりしない。だからね、そんな顔
しないで?」
フードの中にパルマの手が滑りこみ、千宏の冷えた頬を優しく撫でた。
その優しさが――当たり前のように受け取ってきたその好意が、ひどく痛い。
泣き出すような激しい感情ではなかった。
ただ、重い。
あの虚ろな瞳の奥に潜む絶望を想像するだけで、胸が押しつぶされそうなほど苦しかった。
83 :
とらひと:2007/11/08(木) 01:05:39 ID:SvEvsFDk
「ねぇ、私おなかすいちゃった! なにかあったかい物でも買って食べよう。ね?」
ぐいと、パルマが無理やり作った笑顔で千宏の腕を引く。
その好意を振り払う権利を――幸福を与えてくれる存在を傷つける権利を、千宏は持っていない。
パルマを、カブラを、カアシュとブルックを安心させてやりたくて、千宏も笑って頷いた。
果たして彼らはこの世界に落ちてきて――例え無理やりでも、自分の意志で笑えた事がある
のだろうか――。
***
市場でヒト奴隷の商人を見てから、さらにひと月が経過しようとしていた。
書く事は出来なくとも読むことならば随分と堪能になって来た千宏は、ヒトとの生活教本や
交配教本、ヒトを題材にした官能小説に至るまで、難解な専門用語や文学表現に苦戦しながら
ヒトに関する本を読み漁った。
そして、自分がいかに幸福な境遇にあるかを思い知る。
落ちてきた瞬間に死ぬ者も多く、生き延びても落ち方が悪ければ、落愕病と呼ばれる病に犯
される事もあると言う。
当然の事のように記される、胸の悪くなるような調教方法。
品評会の様子。市場の様子。
繁殖機関の存在。
調理法。
知れば知るほどに、自分の幸福が恐ろしくなった。
特殊技能のあるヒトは、それ相応の待遇を受ける事もあると言う。
だが特殊技能の有無を考慮せず、ただ性奴隷として壊されてしまう事例のほう圧倒的だ。
皆が死んでいるのに。皆が壊されているのに。
自分よりも美しい人が。自分よりも幼い子供が。自分よりも弱い老婆が。知識のある人間が。
技術を持った人間が。自分より価値のある人々が殺されているというのに――。
幸福すぎる。
その言葉が、千宏を確実に蝕んでいた。
夜、夢を見るようになる。
虚ろな目をしたあの、男か女かも判別できなかった奴隷の眼前で、自分が幸福に笑っているのだ。
そうして、事実彼らの存在を知りながら、優しい家族に囲まれて幸福に笑っている自分に気
付いて頭を抱えてうずくまる。
最も幸福なヒトの死とは、この世界に落ちると共に命を落とす事である――と、そう記述す
る本は少なくない。
そしてこの世界で最も不幸なヒトとは、正気を保ち続けている固体の事だと言う。
様々な本の中で、千宏の心に最も響いた一説がある。
落ちたる人々――著者不明。
曰く。願わくば、この世界に落ちた全てのヒトが、幸福のうちに発狂できん事を――。
***
夜。
朝から降り続いていた雪が、ついに吹雪に変わった頃である。
アカブは千宏の部屋の前に立っていた。
千宏の様子がおかしい――と最初にバラムが言い出したのが、今日から半月ほど前である。
なにがおかしいのか分からないが、とにかく嫌な違和感がある、と美しい顔をしかめたバラ
ムの言葉を、しかしアカブはきのせいだろうと一蹴した。
食欲が減退したわけでもなく、具合が悪い様子も無く、いつものように楽しげに笑う。そん
な千宏の、一体どこに違和感を覚えるというのか、アカブにはわからなかった。
だが最近になってようやく、アカブもふと気がついた。
嫌だ。と言わなくなったのだ。
そして、前はよくアカブに甘いお菓子を作ってくれとねだったのに、今ではそれどころか何
かを欲しがることをしない。
あんなにも熱心だったローブの収集も、いつの間にかやめてしまったようだった。
84 :
とらひと:2007/11/08(木) 01:06:16 ID:SvEvsFDk
アカブは自分を内心激しく罵った。
半月も前にバラムが気付いていたことに、一番千宏と時間を共にしている自分が一切気付か
なかったのだ。
慌ててバラムにこの事を相談すると、バラムは渋い顔をしていつの間にか束ねるようになっ
た銀髪をもてあそんだ。
そして、様子を見て来いという。
おまえの方がそういうのは上手いだろ、と慌てたアカブの問いに、バラムは眉間により深く
皺を刻んで首を振った。
そして、今に至る。
アカブは手にした熟れた果実をじっと睨み、静かに部屋のドアをノックした。
一瞬の沈黙を挟んで、千宏が中からドアを開ける。
そしてアカブの姿を確認するなり、不思議そうに首をかしげた。
「どうしたの? なにかあった?」
その仕草に、表情に、やはり以前との違いは見られない。
「いや……少し、様子を見にな」
ほらよ、と果物を差し出すと、ありがとう、と笑って受け取る。
促されて久々に入った千宏の部屋は、知らぬ間に本で溢れていた。
「すげぇな……いつのまにこんなに集めた」
「一ヶ月くらい前からちょっとずつね。市場に来てる商人から安くゆずってもらったり」
しゃく、と音を立てて千宏が果実にかぶりつく。
「何か知りてぇことでもあるのか? 何の本だ?」
何かに興味を持つのはいいことだ。
他の何かに熱中しているのなら、ローブを集めなくなった理由も説明がつく。
内心ほっとしつつ床に落ちている本を拾い上げ、アカブは凍りついた。
「ヒトの本」
畳み掛けるように、千宏が答える。
しゃくしゃくと果物をかじりながら、千宏は凍り付いているアカブの横を素通りしてベッド
に歩み寄った。
その上に伏せてある一冊の本を手にとって、無表情に近い笑顔でアカブを振り返る。
「意味がわからない単語があるんだけど、教えてもらってもいい?」
「なんで……」
「なんでって……いや、パルマに聞いてもいいんだけどさ。今目の前にアカブがいるんだし、
折角だから――」
「何があったんだ」
「アカブ?」
「なんでおまえがこんな本持ってんだ! お、おまえが――おまえがこんな事知る必要なんざ
ねぇだろう!」
悪事を暴かれた罪人のような心境で、アカブは千宏に詰め寄って肩を掴んだ。
トラであるアカブが読んでさえ胸の悪くなるような、ヒトを生物とさえ認識しない書物の数々。
それをどうして、ヒトである千宏が――。
「怒ってるの?」
困ったような表情で、千宏が首を傾げてみせる。
「ごめん。読んじゃいけない本だった?」
「チヒロ……?」
「次からさ、読んでいい本かどうか、ちゃんと確認取るよ。だからさ、怒らないで? ね?」
いつものように悪びれた様子も無く言われた言葉は、しかし明らかに対等の立場から発せら
れる言葉ではあり得なかった。
じっとりと冷たい汗が滲む。
「あの、じゃあさ。この本まだ途中なんだけど――」
ぱたん、と片手で器用に本を閉じ、表紙が見えるようにアカブに差し出して見せる。
その表紙に綴られた文字を読むなりアカブはそれをひったくって部屋を横切り、閉じられた
窓を開いて吹雪の中に投げ捨てた。
ヒトの限界――壊さず殺さずとことんまでヒトを楽しみつくす百の方法――。
「おもしろいのに」
ちぇ、と、可愛らしく唇を尖らせる。
吹雪に閉ざされた部屋を照らすぼんやりとした魔洸の光が、千宏の笑顔から無邪気さを奪っていた。
残った果肉をしゃくしゃくと平らげて、ヘタをゴミ箱に放り込む。
「色んなヒトが落ちてくるんだね。知ってた? 落ちてきてほとんどは、誰にも拾われずに死
んじゃうんだって。あたりまえだよね。あたしだって、バラムに拾われなきゃ死んでたんだし」
「……カッシルに、襲われたんだってな……」
85 :
とらひと:2007/11/08(木) 01:07:14 ID:SvEvsFDk
ぺろぺろと指についた果汁を舐めながら歩み寄ってくる千宏に無理やり会話を合わせ、アカ
ブは初めて千宏を見た日の事を思い出してうなづいた。
「俺を見て気絶しただろ」
あはは、と、楽しげに千宏が笑い、窓から身を乗り出して下を見る。
誰かが拾ったらびっくりするだろうなぁ、あの本、と何気なく呟いて、ふと、千宏はアカブ
を振り仰いだ。
「売るのか? って言ったの、覚えてる?」
問われて、アカブは愕然と目を見開いた。
吹き込む吹雪に息を白くし、千宏がじっとアカブを凝視する。
「ヒトのメスは、オスの相場の十分の一なんだってね。それでも五百セパタくらいにはなるの
かな? それともまだ若いから、千くらいの値はつく?」
「おまえ……何が言いてぇんだ」
千宏にアカブを責めている様子は無かった。
ただそれだけに、その質問がひどく重くて、妙に寒い。
「オスの少年なら数十万セパタで取引されて、求められるのはアナルセックスだよ? そんな
信じられないような値段を払うほど、ヒトの体にはそういう価値があるんだね」
寒い、と白い息を吐き出して、千宏が窓を閉めてカーテンを引いた。
吹雪と共に吹き込んだ冬の冷気が部屋の暖気をすっかりと冷やしてしまい、部屋の中はそれでも寒い。
対照的な表情で向かいあいながら、ふいに千宏が寝巻きのボタンに手をかけた。
「あたしより小さい子や、あたしより何かの技術があって、あたしより頭がいいヒト達が、そ
んなものよりもセックスに価値を見出されてる。それなのに、なんの才能もないあたしがさ、
こんな風に家族として扱われて、分不相応にも程があるとおもわない?」
ぷつん、ぷつんと、ひとつずつ外されていくボタンを何も出来ずに凝視していたアカブの前
で、するりと千宏が寝巻きの上を脱ぎ捨てる。
「男も、女も、落ちてきたら誰だって、大概は見たら気絶しちゃうような大男に当たり前のよ
うに犯される。どれくらい痛かっただろうね。死ぬほど怖かっただろうね。強姦されかけただ
けで怖くて、痛くて死にそうだった。最後までやられちゃった人達は、どんな思いだったんだ
ろうね」
しゅるりと、衣擦れの音を立てて千宏の下半身を覆っていたズボンが落ちる。
そして、ひたりとアカブの腹部に手を添えて、千宏は静かにひざまずいた。
「犯して」
いとおしむように、千宏の唇がズボンの上からアカブに押し付けられる。
「このままじゃ、罪悪感でおかしくなる。考え付く限りで一番痛いやりかたであたしを犯して。
道具みたいにあたしを使って。泣き叫んだら殴っていい」
この状況で――。
こんな事を聞かされて、それでも千宏の裸体に興奮し、押し当てられる唇の感触に下半身の
ものを充血させている自分に吐き気がした。
口の中に血の味が広がる。
噛み締めた奥歯が、砕けるのではないかと思うほどギシギシと音を立てていた。
「それ以外の価値なんかあたしにはない」
つ、と指を滑らせて、千宏がアカブのズボンに手をかける。
そして、何かに驚いたように手を止めて、ひざまずいたままアカブを見上げて愕然と目を見開いた。
ぽたり、と、千宏の手の甲にしずくが落ちる。
恐らく、百年はその存在を忘れていただろう涙が、アカブの瞳から溢れ出していた。
「俺の家族を侮辱するのか」
金色の瞳が真っ直ぐに千宏を捕らえ、唸るような声が千宏を戦慄させた。
思わず下がった千宏の体を乱暴に引っ立てて、肩から壁に押し付ける。
「おまえは俺の家族だろうが! 俺が家族だって認めたんだ。俺たち全員がおまえを家族だと
思ってる! それなのにてめぇは、自分には性奴隷の価値しかねぇなんて抜かすのか! ふざ
けんじゃねぇ! 侮辱すんのも大概にしやがれ!」
ひ、と、食いしばった歯の奥からこぼれるような悲鳴をあげ、千宏はがちがちと歯を鳴らし
ながらぼろぼろと涙を流して泣き出した。
「だって――あたしばっかり、こんな、幸せじゃ……だめなんだもん」
白くなるほど噛み締めた唇が、ぷつりとはじけて一筋の血液を溢れさせた。
ひく、ひくと震える白い首筋に、くねりくねりと赤い線が蛇行しながら垂れて行く。
突き飛ばすようにして千宏の体を解放し、アカブは忌々しげにはき捨てた。
86 :
とらひと:2007/11/08(木) 01:08:19 ID:SvEvsFDk
「言っておくがな。俺たちのところにいながら不幸になる事は許さねぇぞ。そんなに不幸のど
ん底に行きたきゃこの家を出ていけ。だがてめぇが不幸になった所で一人のヒトもたすかりゃ
しねぇ。ただてめぇが不幸になるだけだ。それに何の意味があるよ? てめぇはそんなに不幸
の仲間入りがしてぇのかよ!」
拾い上げた服を千宏に投げつけ、視線も合わせず部屋を後にしようとずかずかと歩き去る。
もぎ取るような勢いで取ってに手をかけると、背後で声を殺して泣いていた千宏が待って、
とかすれた声で呼び止めた。
「いか、ないで……ねが……そばに……ッ」
自分が脱ぎ捨てた服をかき抱いて、千宏が肩を揺らして必死に嗚咽を押さえ込む。
呼び止められるままに足を止めて振り向いたアカブは、その姿に急速に頭が冷えていくのを
感じて深く長く溜息を吐いた。
ふと見れば、力加減も忘れてひっつかんでいた千宏の腕が、痛々しいほど赤くなっている。
お願い、お願い、と膝を抱いて言い続ける千宏に歩み寄って膝を折ると、千宏は抱いていた
服を放り出してアカブの首にしがみ付いた。
子供のように泣きじゃくる体をしっかりと抱き寄せて、よしよしと背を撫でながらベッドま
で運んでやる。
それでもしがみ付いて離れない体を無理に引き剥がそうとはせず、アカブは千宏を膝に抱い
てベッドのふちに腰掛けた。
「いち、ばで……どれい、の、馬車がね……見て、それで……だ、だから」
「落ち着け。話は後でいいから、とりあえず泣き止め」
「ごめ、あたし……アカブ、に、ひどいこと……言って……!」
ぎゅうぎゅうと、ともすれば首が絞まりそうな勢いでしがみ付いてくる千宏の体を、落ち着
くまでただひたすら撫でてやる。
ほんの五分か、あるいはそれより短い間に千宏は落ち着きを取り戻し、鼻紙に手を伸ばして
はなをかみ、毛布をたぐりよせてぐしぐしと涙を拭うと、しかし再びアカブの首にしっかと腕
を回して抱きついた。
「落ち着いたか?」
「ん」
「何か話してぇことは?」
「ない」
「俺にどうして欲しい?」
「……朝まで一緒にいて」
「寝るまでじゃだめか」
「じゃあ寝ないもん」
絶対に離れないぞ、とでもいうように、千宏が首に絡める腕に力を込める。
一緒にいてやるよ、と約束すると、絶対だよと念を押し、千宏はようやくアカブの首から腕
を解いた。
噛み切った唇が赤く腫れて痛々しく、そこから垂れた血液が胸の半ばで停滞している。
特に何かを意識する事も無く拭ってやると、千宏が驚いたように身を竦ませて、鼻にかかっ
たような甘ったるい声を零した。
そして、ほぼ全裸に近い千宏の格好に思い至る。
「――服を着て来い。襲っちまうぞ」
苦笑いを隠そうともせず千宏をひょいと膝から降ろすと、しかし千宏は服を取りにいこうと
はしなかった。
思いつめたように沈黙し、そのままベッドに上がってもぞもぞと毛布を手繰り寄せる。
そして一言、
「ん」
とだけ言ってアカブを毛布の中に入るように促した。
――さすがに、それはまずいのでは無いかと思う。
ほんの少し前、犯すの犯さないのと言っていた二人である。
アカブが躊躇して固まると、千宏は責めるような目でアカブを見て、がばっと毛布を広げて
背後からアカブに圧し掛かった。
「あったかい」
もぞもぞと、温もりを求めるように毛布の下で千宏の手が動く。
「おい、おまえ――!」
「これ、あたしのせいだから……」
先ほど立ち上がったまま収まる様子のないアカブの陰茎を、千宏の指がそっと包む。
「責任、取らないと……ね」
小指から人差し指にかけて、段階をつけて緩やかに締め上げる。
87 :
とらひと:2007/11/08(木) 01:09:01 ID:SvEvsFDk
どこでそんな事を覚えて来たのかと愕然とするアカブを取り残して、千宏はアカブを背後か
ら抱きしめたまま毛布の下でせっせと指を動かした。
「よせ! チヒロ! いい!」
両手を使って器用に全体を愛撫してくる千宏を引き剥がそうと身を捩ると、すいとあっけな
く千宏が体を離す。
面食らって固まったアカブと毛布に包まったまましばし見つめあい、千宏はまるで、何か意
を決したようにきゅっと唇を引き結んだ。
毛布からぬっと千宏の手が伸び、ベッドに上がれと言うようにぐいぐいと腕を引かれる。
一緒にいてやると言った手前、まさか同じベッドに入らないわけにはいかず、アカブは大分
躊躇した挙句千宏に引っ張られるままベッドに上がり、押し倒されるような形で仰向けに横た
わった。
その上に、千宏が躊躇する事なく圧し掛かる。
なにか、拒絶してはいけない真剣さがあった。
千宏はアカブの腰をまたいでベッドに膝をつき、肩に毛布を引っ掛けたままアカブの腹に手
をついて体重を支えているようだった。
まさか、挿れようなんて暴挙には出ないだろう。
だが次の瞬間アカブの陰茎を包んだ暖かさに、アカブは愕然として半身を起こした。
「う、動かないで!」
すかさず、千宏の懇願するような制止が入る。
「大丈夫、いれたり、しないから……待ってね……いま、ちゃんと……」
「おまえ……なんでこんな事知ってんだ……!」
この、吸い付くような、包み込むような湿った暖かさは、決して指による物ではない。
かといって挿入したような圧迫感は無く、千宏は明らかに素股と呼ばれる行為に及ぼうとし
ていた。
アカブの陰茎に手を添えて互いの性器を密着させ、位置を調節するように緩やかに腰を動かす。
それだけで、はっとするような快感がアカブを捕らえ、アカブは千宏を振り払う事が出来なかった。
毛布に隠されて触れ合っている部分は見えないが、感触と表情で、しっかりと包み込まれて
いるのが分かる。
「どう? 口よりいい?」
苦しげに眉を寄せたまま心配そうな顔をして、千宏は確かめるようにゆっくりと、しかし大
きく腰を降り始めた。
ぐちゅり、と粘っこい水音が毛布の中からこぼれてくる。
ぞくりと這い上がってくる快感に、アカブははっと息を詰めて千宏の腰に手を添えた。
「本で、ね……はじめてのメス、は、これがいい……って。だから……ぁ、んぁ!」
びくん、と千宏が背を反らせて、その拍子にするりと肩から毛布が落ちる。
赤く上気した皮膚に、爪でいじめて欲しそうに立ちあがった乳首――。
たまらず、アカブは千宏の制止を無視してその体にむしゃぶりついた。
「やぁあ! あ、アカブ、だめ! やだ、だめ、だ、だめぇ……!」
べろりと、舌の表面全体を使って千宏の乳房を舐め上げ、もう片方の胸を尖らせた爪で優し
く引っかく。
それだけで逃げようとする腰をしっかりと密着させて揺すり上げると、千宏はアカブの肩に
両手を突っ張って小動物が甘えるような声を出していやいやと首を振った。
「だめ、した、ざらざら……やだぁ! あぁ……ひ、そ、んあ、ゆすらない、で……うごい、
ちゃ、だめだよぉ……!」
どろりと、後から後から溢れてくる愛液が、腰を動かすたびに絡みつき、じゅぶじゅぶと、
ぐちゅぐちゅとうるさいほどに音を立てる。
男を奮い立たせるメスのにおいが、汗ばんだ体から立ちのぼってくるようだった。
しっとりと吸い付く肌が、どんな女よりも柔らかく、味わうように舐めしゃぶるアカブの舌
に蹂躙されて怯えるようにがくがくと震える。
がっちりと掴んだ腰を思うままに引き寄せ、揺すり上げると開きっぱなしの唇の奥からもっ
ともっととねだるような可愛らしい悲鳴をあげ、二本の足が活魚のようにビクビクと跳ねた。
「だめ、だめ、だめ、だめ……こ、こわれちゃ……も、っと、やさし……あぁああぁ!」
いつの間にかベッドに沈み、アカブに押し倒される形になっていた千宏が、シーツを掴んで
びくりと背をのけぞらせた。
肩を浮かせて反り返り、それでも構わずに責め上げると、その状態のまま更に大きく体を震わせる。
突き上げる角度を変え、亀頭部分で真っ赤に充血した肉芽をぐりぐりと押しつぶすと、とう
とう千宏は声にならない悲鳴を上げて泣き出した。
「やだ、もうや、やぁ……やめ、やだぁ……! あく、ぁ、ひん……ぅあ!」
88 :
とらひと:2007/11/08(木) 01:10:01 ID:SvEvsFDk
縋るように伸ばされた腕を無視して、ずるり、と竿全体を使って擦りあげる。
千宏はやだやだと苦しげに身もだえし、それでも押し上げられる絶頂に逆らえずに歯を食い
しばり、そして快楽に飲まれる絶望に甘い悲鳴を上げて仰け反った。
その、仰け反った千宏の腰をぐいと持ち上げ、おおいかぶさるようにして細い体をくの字に
丸める。
そして、アカブは快楽に蕩けきり、涙と唾液で汚れた千宏の顔に向かって思い切り白濁をぶ
ちまけた。
その、ぞくぞくと這い上がり、突き抜け、腰が抜けるような射精感。
しばし千宏の暖かさに包まれたままその快感に浸りきり、たっぷり数十秒は余韻を堪能して
から、アカブはようやく千宏の腰を解放した。
「ぁう……あ……」
とろりと、頬を伝ったアカブの精液が、半開きの千宏の口に流れ込む。
その、大嫌いな精液の味に失いかかっていた気を取り戻したのか、千宏はぼんやりとうるん
だ瞳でアカブを見た。
「……食い殺されるかと思った……」
何を言うかと思えば、相変わらず色気も余韻もない台詞である。
「髪についた……うぇ、不味い……」
新たに口に入りそうになる精液をぐしぐしと腕で拭い、起き上がろうとしてまた垂れてくる
それに千宏が嫌そうに目を閉じる。
見かねてアカブが拭ってやると、千宏は完全にふて腐れてアカブから顔を背けた。
「むっつりすけべ」
「な、なんだいきなり……!」
「紳士っぽい事言うくせにさ。お母さんみたいなこと言うくせにさ。なんだよこれ。このケダ
モノ! ケダモノ!」
小さな拳を振り上げ、がしがしとアカブを殴る。
「てめえ……この程度で済ませてやったのを感謝もしねぇでケダモノ扱いか」
あんな風に誘われて、射精一度きりで解放してやるなどトラにして見れば紳士極まりない行
動である。
もし相手の女がトラだったら、一度きりでやめたのでは腑抜け呼ばわりは必至である。
「本当のケダモノってのがどんなのか教えてやろうか。てめぇさっき好きなように犯せとか抜
かしたか」
がしがしとアカブを殴っていた手が止まり、さっと千宏が青ざめる。
困ったように眉を寄せ、おろおろと視線を彷徨わせ、しゅんと肩を落としてうな垂れる。
そしてあろうことか、
「どうぞ」
などと言い出した千宏に、アカブは容赦なく拳骨を落とした。
ぎゃん、と叫んで、千宏が頭を抑えてうずくまる。
「いだい」
「殴った俺の拳もいてぇ」
「どこのお母さんだよ! あたしの方が痛いよはるかに! はるかに!」
「だったら殴られるようなこと言うんじゃねぇ!」
「むっつりすけべが偉そうに……」
「いいだろう。そっちがその気なら三日三晩でも犯してやる。トラの精力舐めんじゃねぇぞ」
「二度といいません」
ひたりとベッドに正座をし、額をこすりつけて謝罪する。
てめぇはイノシシかキツネの剣士か、とアカブが笑うと、千宏はそれバラムと全く同じ台詞
だよと唇を尖らせた。
「あそこは落ちモノ文化がつえぇからなぁ」
「和風ってこと?」
「行きてぇか?」
「別に」
「……そうか」
いつもなら、即断で行きたい、と答えるだろうに、どうやら完全に元通りと言うわけにはい
かないようだった。
沈黙してしまったアカブに対して、慌てたように千宏が笑顔を取り繕う。
「それよりさ、お風呂に入りたい。だってアカブ思いっきりぶっかけるんだもん」
髪についた精液を何とか手で拭いながら、千宏がぶうぶうと唇を尖らせる。
89 :
とらひと:2007/11/08(木) 01:10:40 ID:SvEvsFDk
腰が抜けて歩けない、とだだをこねる千宏を仕方なく浴室まで運んでやり、背中を流してや
りながら、アカブは漠然と、根本的な事は何一つ解決していないのだと気付いていた。
これは馴れ合いだ。
ただ一時、千宏が望むように快楽で痛めつけ、千宏の奥深くまで食い込み、根付いてしまっ
た罪悪感のほんの表面の花を摘んだに過ぎない。
このまま時が過ぎればまた、きっと今よりも深く根付き、激しい激情を持って千宏を揺さぶ
る罪悪感が芽吹くのは火を見るより明らかだった。
だがそれでも、わかっていても馴れ合わずにはいられない。
それ以外に千宏を正気に留めておく方法が、アカブには見つけられなかった。
あるいはそれも、ただ千宏が狂っていく速度を緩やかにしているに過ぎず、結局千宏を今の
まま、幸福に留めておくことなど出来ないのかもしれない。
千宏は自分の幸福に負い目を感じ、他の多くのヒトと同様に不幸になるべきなのだと思って
いるのだ。
そんな馬鹿なことは無いと思う。
だがもし、そう思わなくなる事が、自分が幸福である事が当然だと思えるようになる事が発
狂だと言うのなら――。
発情期の時にずっとそうしていたように、千宏を腕に抱いてベッドに入る。
アカブの胸にすがりながら、幸福そうにすうすうと寝息を立てる千宏の髪を優しく撫でてア
カブも静かに目を閉じた。
切らせていただきます
うーむ、どんどんエロく切なくシリアスに……GJ!次回も期待しています。
しかし何というか、きっついなぁ……あの世界で一般的なヒトの末路をガチで書いたのって初めてじゃなかろうか。
そしてアカブフラグがますます遠ざかっていくのが微妙に切ない……。
GJ!!
エロ悲しいな……
幸せなのが不幸せというのは切ないね
千宏はなんかいつも誰かのためで、もっと自分にエゴイスティック
が足りないのかなぁ。
せつなさGJです
いつも胸が締め付けられるエロスをありがとう。
ケモ♂×ヒト♀派なのでストライクゾーンど真ん中です。
GJ。
チヒロは優しい子だねえ。
>>92 アフリカの少女兵士の話を聞いて、
「ああはなりたくない」と思うのが普通の人で、
「何かしてやりたい」って思うのが優しい人なんだと思う。
ネタに使えると思うのが(ry
こっちの世界の黒人とかみたいに
いつかヒトの地位も向上する時はくるのかなあ……
ヒトの地位向上があるとしたら、それを支援する既存国家なりが必要じゃね?アメリカの奴隷解放の戦争みたいに。
しかも、すべての国がヒトの奴隷化を公認している世界だ。個人レベルの感傷で家族として扱うのがいてもな。
簡単に言うと、軍事的と政治的な意味で世界の半分近くが奴隷解放に合意しないと無理じゃね?
でも世界の半分と半分が対立しあうとしたら、モロ現存の設定を破壊しまくらんといかん。
時代を変えた一巡後の世界と割り切らないと書けないかも。
どうにもできない悔しさにモニタがにじみました。チヒロは、いい家族と友達のなかで育ったんだね……
GJであります。
バラムとのエロも見たいなぁ・・・。
バラム、千尋の事好きで好きで可哀想なんだもん。
千尋の変化にもバラムの方が先に気づいてるし。
どっちとくっ付くか楽しみなんだけど
バラムにも良い事があって欲しい。
なんていうか少女漫画してますね。
えろいしえぐいけど
最近の少女漫画ってこういう感じなのか?すごいな…
とらひとさんGJ!
>>97 連載中に書いてはいけないことかもしれないが
単独で弱いなら群れる方法もあるね
千宏の居場所では他に人のいる気配は無いけれど
もっとはるかに大きな都市的地域だったり
もし優等種族(上流階級)が集まるよう地域があるとするなら
相対的に飼われているヒトの密度も上がる
そうなっていれば人間ならネットワークを作ると思う
でも、人間世界でも少数民族は辛酸をなめる場合が多いからなあ
>>102 ご主人様がネットワークを許すかどうかと言う問題だな。
フロミアとかルカパヤンみたいな特殊環境以外だと非常に厳しいと思う。
首輪とか檻とかで屋内監禁デフォだし。
そこで色仕掛けで他の召使を篭絡ですよ。
メモくらいならなんとかなるかも?
そしてメモ渡したことがご主人様にばれて御仕置きと称した逆レイプの始まりですか
むしろ無実の罪を着せてじっくりねっとり…
鬼畜すぐるw
「ふふふ、口ではそう言っても身体は正直ニャア……」
「ああん、途中から尋問内容が変わってますーっ!」
まで受信した。
・生命の安全
・理解のあるご主人様や隣人
・未来の希望
・生きがいの存在
この辺が全部クリアされてたらまず幸せなヒトだと言えるかな。
……フユキ、チヒロあたりは間違いなくトップクラスの幸せ者かと。
次点でヨシ、キョータ、「ぼく」ってところか。
あたし(狗国)はランク外?
>>110 サイアスに殺されかけてるから「生命の安全」に問題があるかなと。
あと、ジーきゅんは立場上極めて危険な任務をやることもあるだろうから、ご主人様が先立ってしまう危険性も考えたり。
「未来への希望」の辺りも突き詰めれば微妙なトコロ。
まぁ現世を生きる俺らも未来に希望がある人間なんてあんま多くないからねぇ。
まぁつまりフユキが羨ましいと。
こちむい学園化したらあたしがチヒロの先輩になりそう
ほんとはチヒロが年上だけど
脳味噌チョコ犬が(ry
ミツキと言えばwikiに書いてある備考がツンデレ助手なのが気になる
あれはツン→デレではなく、デレ→デレデレデレデレだと思うんだが
そもそもこちむい世界ではツンデレは炊事洗濯と同様、ヒト召使なら当然持つべきスキルの一つだからな。
新妻……!
ミツキってそういえばそうだな!
もういっかい読みなおしてくる
>>118 ぼく、ソラヤ、サトル、
レーマ、フユキ、キオ、
りょー、トール、タチヤ、
アズキ:『5時間に及ぶ協議の結果、「あるあ……ねーよwww」との合意に至った』
キョータ:「いや、ちょっと待って欲しい」
一同:『ねーよ』
>>120 そのメンバーだと、むしろツンデレはご主人様のスキルと結論づけられそうだなw
男女別召し使いの座談会(飲み会?)なんて
メチャ面白そうだなあ。
ぼくとキョータやあたしとミツキが意気投合したりw
その後各々の夜の仕事に話が移って微妙な空気が漂い始めるのか
>>122 > 男女別召し使いの座談会(飲み会?)なんて
ドキッ☆男召使だらけの焼肉大会
〜誰だ、タン塩の前にタレカルビ焼いたのは〜
というデムパが降ってきた
>>122 レーマ「これ、お近付きのしるしに(どん)」
ぼく「なんだか…変わったカカシですね」
レーマ「国の伝統工芸で『じょせーようこーそくぐ』って名前なんです(←意味がよくわかってない)」
ぼく「これ、もらっていいんですか?」
レーマ「ええ。お土産屋さんもマナ様なら喜ぶんじゃないかって言ってました」
ぼく「…ご主人様が喜ぶんなら」
レーマ「それと、これはあなたにってお店の人が」
ぼく(…痔の薬?)
まで幻視した。
投下が途絶えて久しいけれど、続きが気になるSSってある?
そういうこと訊くとウッカリ上げ忘れた作品の作者さんのやる気が減るから言わない。
パンが無いのならケーキを食べればいいじゃない。
投下が無いのなら自分が投下しちゃえばいいじゃない。
古人の格言は汎用性高いね
学園キノを読んだが、こちむい学園はこのノリなんだろうか
全部気になる
途絶えたっつってもまだ一週間投下がないだけだし
そう言う意味じゃ住民の側のちょっと贅沢になったよなぁ
前は1ヶ月途絶えたりしてたしw
ふつーに雑談してればいいんじゃね?
だな。
チヒロの処女そうしつの相手は精神的にはアカブがいいんだが、
肉体的負担を考えるとバラムが妥当な気がして悶々とする。
いっそパルマにディルドーで……
>>129 ええと、つまり、
リュナ卿がサモエド仮面になればいいのか?
その理論からするとワンワン刑事がジークになるな
ここの住人は症候群のようなものがしばしば起こるから困る
おかげで保守は必要ないけどね
みんな病んでるね
↓↓以下ヤンデレ禁止
できることならこちむい座談会みたいなのでは
猥談に花を咲かせてほしい。
ヤンデレって、自分が好意を寄せていて依存している人への依存が妨げられたりして満たされない場合、
まともな事が考えられなくなって気違いな言動をする人の事を指すんだよな……。
果たして
>>138の用法は間違ってるのかある意味正しいのか……。
つかヤンデレって、その性格を指す代名詞は最近確立されたけど、結構昔からいるよね。
主に少女マンガとか昼ドラに。聞いた話だとヤンデレって腐女子発らしいし。
病んでるデレだったのか。てっきりヤンキーデレなのかと思ってた
>>141 ケダマ獅子がどうしたって?
>>140 そういえば、ツンデレとクーデレは多いけど、意外と依存っ娘がいないな。
依存っ子ならソラヤきゅんとかいるけどw
マナさまとかじーきゅんとかクリフ先生とか
相手無しじゃ生活もままならないほど依存してるじゃないか
マナ様やクリフ先生はまだ笑えるレベルでしょ。
ジークは若干そのケはあるけど。(見聞録最後の辺りとか)
ジーきゅんはあたし失ったら死にそう
逆もまた然り?
じーきゅんは死なないんじゃないかな
と言うか死ねなそうな気がしてならん
「あたし」はそれ以前に腹上死しかねんがw
でも実際のところ、老いる前に腹上死したほうが幸せなんだろうなとも思ったり。
ある意味、一番ハッピーエンドな最終回は、実は主従で手を取り合って無理心中なんじゃないかなとかいう気持ちも心の片隅から消えない。
好きな男にあそこまで求められたら女として本望だと思う
死ねないけど(今以上に始末の悪い方向に)壊れた結果
完全に壊されてしまうんじゃまいか>>「あたし」を取り上げられたジーきゅん
老婆になった「あたし」を甲斐甲斐しく世話するジークか。
なんかそれはそれで見てみたい気もするが。
しかし、あんな場所だとたぶん一生、あたしは自分以外のヒトを見ることはないんだろうな…。
ジーきゅんさえいればそれだけで幸せと言うかもしれないけど。
でもジーあんな事件起こしたからあのあといろいろ二転三転し
そうだと思う。
もっとも今となっても知るすべ無いから妄想するしかないけど
そういえばそもそもあそこに飛ばされる前に一件やらかしてるらしいしな>じーきゅん
あの後一体どんな結末を二人が迎えたのか・・・・気になって仕方ない
読む人によって違うであろう結末のイメージだけど、イヌの国なだけに何となくバッドエンドかも。
軍令違反でジークが処分され、「あたし」は王都のヒト研究施設へ送られ……
その後、2人が顔を合わせる事は死ぬまで無かった……みたいな。
2人とも末永く幸せに暮らしました。チャンチャンなんて、ハリウッドの安映画みたいな展開はないだろうなぁ。
一流の悲劇より三流のハッピーエンドを選ぶ、自分は
作者と読者の感覚の乖離ってやつかも。
ハッピーエンドで終わる映画は続編が苦労する法則だそうで、救いは無くとも現実的な無力感無情感と言った、
「どうにもならない現実」を見せつけられた方が諦めもつきやすいかも。
言い方は悪いけど、大人の小説と児童文学の境目って、案外こういう部分かもね。
つまり大人びた小説よりも子供にも伝わる文学を目指せと。
こんな話聞いているとお気楽なテンポの脱力系が読みたい気分になった
なんかこう、
落ちちゃったー→可愛いご主人様に出会っちゃったー→ヤっちゃったー→今は幸せ
って流れもいいと思うんだけどな
ハラハラするストーリーも好きだけど、なんかこう
サザエさんとかああっ女神さまみたいなほのぼのまったりした
日常の中にエロがある感じが好きかな。
狗国前半みたいなエロ抜きでもささやかな愛のある日常みたいな
>>157 児童文学でもグリム童話の原作とかけっこうえぐいよ
世にも奇妙な物語入ってるのとかあるし
サザエさん、女神、見聞録か……
どっちに行ってもハードル高ぇなぁ……orz
「ザサエさん女神異聞録」に見えた。
……これならハードル高くなさそうだな!
本編『最終』及び『隠しシナリオ』ダンジョンには
セーブポイントがほとんど無いと言う、高杉ハードルに超涙目(w
真・サザエ転生〜見聞録〜
真・サザエ転生〜見聞録〜
ジャンル:RPG
ハード:Wnya
メーカー:バステト
大人気RPGシリーズ「真・サザエ転生」から外伝が発売される。
いつものヒト奴隷召喚魔法術式を使うシステムではなく、
自分の人格の一側面であり、理想の異性像である
「アニマアニムス」を使うという斬新な改変を遂げている。
プレイヤーはこの「アニマアニムス」使いとなって、
数々の種族と性的な意味で戦いながら、「謎のマイマイ、サザエ」
が起こす事件を追っていくことになるぞ。
もちろん、サザエ転生シリーズおなじみの肉体交渉システムも、
新しい形で搭載されている。
ディープなファンも、今まで敷居が高くて遊べなかったユーザーも満足の出来だ。
この冬休みのゲームはこれで決まり!
タイトルがシュールでワラタwwwww
ぶっちゃけジーきゅんとあたしのその後はシリアスよりも
二人で温泉入って駅弁で帰るはめになるとか、はじめての
フェラチオとかそういうのが見たいの
犬国見聞録の話書いてた人はもうこのスレにはいないのかな?
さすがにもういない気が。
しかし、このスレのエロパートにおけるフェラ率の高さは異常な気がするw
みんなフェラ好きなんだなあw(職人さんがた)
ヒトサイドから見れば、獣人のナニのサイズ的な問題。
獣人側にすれば「嘗める」と言う獣の愛情表現の問題。
その辺じゃないかと。(と、自己肯定してみるw)
主「むう、フェラチオがおおいというのは本当か?」
従「ここに限らずの話だが、創作・二次創作ともに多い傾向にはあるな」
主「なぜだ、誰しもがそれを好むとは限るまい」
従「理由はいくつかあるが、一番の理由は尺の問題だろうな」
主「尺?」
従「うむ、映画などでシーンの長さを指す言葉なのだが、ここでは文章ボリュームの意味だ。
本来エロシーンというのは単調になりがちだ。挿入してからは得にな。
ゆえに創作のエロはそこにいたるまでを重要視する。状況や前戯などで気分を盛り上げるわけだ。
そして、フェラチオは挿入前のワンクッションに便利なので多用されるのだ」
主「しかしそれではまるで水増しではないか」
従「しかり、だが主人よ。考えてもみろ。ミートホープ、赤福、船場吉兆。
この世はまるで偽装表示ばかりではないか。
このような中、我々ばかりが馬鹿正直に生きることもあるまい。
むしろ積極的にフェラチオを取り入れた描写を心がけるべきではないか」
主「なるほど、それでは実践練習だ!」
従「ちょ、や、ま、ズボンを脱がすなっ!」
ま た 一 歩 職 人 に 近 づ い た
俺は……水増しとか尺とか、そんな理由でフェラチオを書いたことは一度だって無い
どんな時だって……俺はフェラチオが大好きだったんだ……
そうだ……ロマン……それは男のロマンなんだよ……ッ……!
フェラはツンデレのデレの始まり
獣娘の舌でフェラ……
後は言わなくても分かるな?
逆もあるが気にしない
おまえら・・・漢だよ・・・
・・・そんなに作品多かったっけと思い出せない俺だめぽ
フェラってある意味エッチより深いよね
エッチは無理やりでもできるけど
口でっていうのはやろうっていう気がないとできない。
>>179 無理やりやらせたりやらせようとしたら、もれなくジーきゅんやフェイレンさんにフルボッコされる運命が待ってますw
>>180 ジーきゅんやフェイレンさんに無理矢理くわえさせる猛者がいるのか……。
>>181 待ていwww
しかし、ティンダロス相手という絶望的能力差なりに一思いに死ねたサイアスと、
半殺しになるまで殴られた挙げ句に鍋にされる猫商人とか、
フルボッコされて亀甲縛りにされた上、口封じで味方に首刎ねられるカモシカの女盗賊とかだと、まだ前者のほうがマシな気がするなw
…まあレイパー中一番の勝ち組は、未遂ですんだおかげで、アカブにフルボッコされつつもいまだ生きてるトラの三馬鹿だと思うがw
>>182 >待ていwww
ええっ!
「謎のステキ気功でフタナリになったサーシャさんがフェイレンさんを夜這いしてイマラチオ」
と言う展開ならあり得るかな?と思い始めたところなのにっ!!
もし"あたし"が何かの術でふたなりになったら
ジーきゅん「なめたい!ふしグげッッ!!(首を絞められた)」
185 :
とらひと:2007/11/22(木) 02:23:10 ID:MNsGBYCy
エロ無し
三日三晩降り続いた雪がやみ、広々とした草原が一面銀色に染まった朝。青々と晴れ渡った
空にいてもたってもいられなくなり、千宏はもこもこの厚着をして階段を駆け下りて、一階の
窓から勢いよく銀世界へと飛び出した。
ずぼ、と、盛大に膝上あたりまで沈み込み、都会育ちの千宏はかつて経験したことのない積
雪に感動し、おおいにはしゃいで柔らかな雪の中を思う様ずかずかと突き進んだ。
押しても引いても一向に動かなかった玄関の石扉は、外から見ると雪のせいですっかりと雪
に埋もれており、これならば動かないのは納得だと千宏は呆れに近い感動に白い溜息を吐き出した。
「雪かきしないと、玄関使い物にならないなぁ」
ゆうに数センチの厚みで扉にへばりついてる雪をごそっと剥がし、ぎゅうぎゅうと両手で丸く固める。
投げる相手もいないのでえいやとその辺に投げ捨てると、ごす、と重たい音を立てて雪の塊
が雪の中に埋もれていった。
ずぼずぼと雪から足を引っこ抜き、扉から少し離れて上を見上げる。
玄関から僅かにせり出した雨避けにも、これでもかと言うほどこんもりと雪が積もっている
のが見えた。
「チヒロー!」
甲高い、きんきんと響く呼び声が飛んできて、千宏は先ほど自分が飛び出してきた窓に振り
返ってぱたぱたと手を振った。
パルマである。
「そこ! あぶないー!」
早くどけ、と言うようにパルマがばたばたと両手を振り回す。
なにが危ないのか――と再び雪に埋もれた扉に振り向いて、千宏は愕然と固まった。
一ミリたりとも動く気配の無かった石扉が、ごくゆっくりとではあるが確実に、降り積もっ
た雪を押しのけて開いていく。
「チヒロー! あぶないって――きゃぁあぁ!」
雪が降ってきた。無論、塊で。
扉が開く振動で、雨避けに積もっていた雪が落ちたのだ。
おぐ、だとか、あぐ、だとか妙に鈍い悲鳴を上げ、千宏は蟻を押しつぶそうとする子供の足
のごとく振ってきた大量の雪の塊に、あっという間に飲み込まれて雪の中でじたばたともがいた。
雪崩に飲み込まれたスキー客の気分である。
「アカブー! バラムー! チヒロがぁ!」
雪の向こうでパルマが叫ぶ。
窒息しそうな圧力にどうする事も出来ずに早くも死を覚悟すると、雪の山からからはみ出し
ていた足をふかふかとした感触に掴まれた。
まさか――と硬直し、ちょっと待ってと悲鳴を上げようとした千宏の口に、容赦なく雪が入
り込んでくる。
ぐん、と力強く足を引っ張られ、千宏は盛大に悲鳴を上げた。
氷のようになっている雪がざりざりとむき出しの皮膚を引っかく。何より、腿の付け根から
明らかに尋常じゃない音がした。
脱臼しなかったのが奇跡である。
「無事か」
逆さまの世界にうつる見慣れた白黒と、聞きなれた声。
千宏は足を掴まれた逆さ釣り状態のままじたばたと手足を振り回し、なんて乱暴な事をする
んだとぎゃんぎゃんとわめき散らした。
「脚が引っこ抜けるかと思ったじゃんよ! 普通雪をどかそうとするでしょ? ねぇそうだよ
ね? なんで雪に埋まってる人を力任せに引っこ抜くわけ? おかしいよね? ちょっと力自
慢すぎるよね? あ、た、ま、に、血がのぼるぅうぅ!」
「助けてやったっつーのに礼も無しかこのやろう」
埋めるぞ、と脅されて、だらんと両手を垂らして大人しく吊り下げられる。
ぐるりと視界が正常な向きに戻り、千宏は柔らかな雪の上に立たされてばたばたと全身の雪
を払い落とした。
「チヒロー!」
ざかざかと雪をかきわけるようにしてパルマが駆け寄ってきて、ぴょん、と飛び跳ねて千宏
に抱きつく。
ひりひりと痛む、恐らく真っ赤だろう頬をふわりと手の平で包み込まれ、千宏はその暖かさ
にうっとりと目を閉じた。
「ぬくい……」
「うわぁ。こんなに冷えて! だから危ないって言ったのに」
186 :
とらひと:2007/11/22(木) 02:23:46 ID:MNsGBYCy
「でも普通、雪に埋もれたこの扉が開くとは思わないよ……アカブが開けたの?」
パルマの手の上から更に自分の手を重ね、ぬくぬくとしながら側に立っているアカブを見る。
この程度はどうってことないとばかりに親指を突き立てる雪原の白虎に、千宏は感心すべき
か呆れるべきか判断が付かなかった。
しかし、それにしてもよく積もった物である。
川までが埋もれてしまっているのだ。とても市場まで馬車を走らせられそうにない。
「よっしゃ。夜に向けて一仕事だ」
「よる? 夜って?」
「召喚儀式。雪が積もるとさ、ここってこんな風に完全に孤立しちゃうでしょ? だから毎年
精霊を召喚して道を作ってもらうの。術者は代々の当主で、つまり今はバラムだね」
「しょ……召喚? 精霊?」
また、なんともファンタスティックな単語が飛び出した物である。
魔法があるという話は知っていたが、さすがにこうも当然のように説明されると少し引く。
「で……なんでアカブが張り切るの?」
「薪を積みあげて火を焚くんだ。炎を象徴する記号ってのがあってな、線で結んだ記号の端点
で薪を燃やして、その中心に術者が立つ。召喚ってのは体力使う仕事だから、薪を積んだりす
る雑務は俺たちがやるんだ」
「は……はぁ。なるほど……」
「ネコなんかはマッチがありゃあそれだけで召喚できるらしいんだが、トラは魔法が苦手でな。
やりゃあできねぇ事もねぇんだろうが、時間に余裕がある時は術者への負担を減らすために正
式な手順を踏むのがどおりってもんだろ。魔力の消費も抑えられるしな」
「そ、そうだね……うん。わかるよ、よくわかる」
実際は全くわかっていない千宏である。
しかしいくら千宏に何もわからなくても召喚儀式とやらの準備は滞りなく進められ、手伝お
うにも何をすればいいのか全くわからない千宏には、ただ二階の窓からぼんやりと、それは忙
しそうに動き回るアカブ達を見下ろしている事しかできなかった。
術者であるバラムは何か準備らしき事はしないのかとパルマに問うと、別に何もしなくてい
いらしい。
難しい魔方陣なんかが必要なのではないかと重ねて問うと、そんな難しい魔方陣使ったら森
を焼き払うようなのが召喚出来ちゃうよと面白そうに笑われた。
「魔方陣っていうのは、ようは精霊の出入り口なんだ。だから、力の弱い精霊を召喚する時は
簡単な魔方陣で、魔力も少なく呪文も簡単。呪文は制御に使うのね。力の強い精霊を召喚する
時は、大概難しい命令をするのがほとんどだから、呪文も長くて複雑になってくる。それに、
力の強い精霊に簡単な命令しか与えないといじけて命令してない事までやりだすから、もし簡
単なことしか命じないならそれを制限する呪文も――」
「せ、精霊がいじけるの?」
「そりゃね。千宏だって、本当はもっと凄い事が出来るのに、すごーく簡単なことだけやれば
いいって言われたら、折角出てきたのに! って思うでしょ?」
人間味溢れる精霊である。
なんだか友達になれそうな気さえしてきた。
ふと、頭にテレビゲームでおなじみの可愛らしくデフォルメされた精霊が浮かび、千宏は慌
てて振り払った。
「えーっと……つまりその、精霊界みたいなところがあって、それの出入り口が魔方陣で……」
「精霊界? なにそれ?」
話を整理しようとした千宏は、逆に聞き返されてしまいきょとんとして固まった。
パルマが怪訝そうに顔を顰める。
「そういうのがあるっていうのは聞かないなぁ……つまり、小さい炎には小さい精霊が宿って、
大きい炎には大きい精霊がやどるでしょ? でも彼らは炎の中に閉じこもってて出てこないか
ら、炎に入り口を作るわけよ」
「ほ、炎に入り口……?」
「そう。大きい炎には力の弱い精霊がたくさんと、それを統率する力の強い精霊が一体くらい
いるのかな? で、大きな炎をガンガン燃やせば、たくさんの精霊の中の一体くらいは、大し
た強制力はなくてもふらふらと出てきてくれる可能性があるわけよ」
「は、はぁ……」
「それが、マッチの炎なんかの小さい炎だと、例えば中にいる精霊が偏屈だと、たくさんの魔
力を使って無理やり引きずりださなきゃいけないでしょ? 絶対数が少ないわけだから」
「う、うん……」
「精霊との相性もあるし、魔力の質とかもあるし、つまり精霊がたくさんいるところで儀式を
したほうが術者への負担が少ないわけ」
「な、なるほど……」
187 :
とらひと:2007/11/22(木) 02:24:34 ID:MNsGBYCy
「わかった?」
「……たぶん」
引きつった表情で首をかしげる千宏に対し、けらけらとパルマが笑う。
「まぁ、私もよくわかんないし、わかんなくても大丈夫だよ。魔法使いじゃないんだし」
「バラムはわかってるのかな……」
「そりゃ当主だもん。色んな儀式の手順や概念を覚えてなきゃ。それが大戦から続くシキタリ」
「大戦?」
今日はどうも、知らない言葉がぽんぽんと飛び出してくる。
そういえば、魔法の事なんて今まで話題の端にも上らなかった。
「えーと。ほら、山を越えるとイヌの国があるじゃない? 昔ね、イヌの国と他のたくさんの
国とで大きな戦争があったの。それが大戦」
「イヌの国をたくさんの国で袋叩きにしたの?」
「仕掛けてきたのはイヌの方だよ。でもそれがすごく強くて、とにかく色んな種族が手を組ん
で必死にイヌに抵抗したんだ」
「トラも参加したの?」
「征服されたくはないからね。それで、まあ勝ったんだけど、戦争を仕掛けたイヌを山で囲ま
れた土地に閉じ込めて、イヌがまた戦争を仕掛けてこないように見張るための同盟みたいな物
が出来た。それが絹糸の盟約。そして、代々この土地を治める領主が国境を監視して、イヌが
国境を越えて襲って来たら防衛の最前線になる――っていうオキテ。だからこの領地には領民
がいない」
「最前線になるから――領民がいない?」
「そう。もしここに町や村があったとしても、領主は領民を守るより国を守る事を優先的に考
える。そのためなら、領民は全滅してもかまわない。だから領民を住まわせない。ここは合戦
場なんだ。そんな所に住みたいって人もいないでしょ?」
「でも、じゃあその、イヌが攻めてきたら――」
「領主が一人で防衛する」
事も無げに言ってのけたパルマの言葉に、千宏は愕然と目を見開いた。
「そんな――た、たった一人で、どうやって……!」
「森だよ」
「も、森?」
「そう、森。バラムがほとんど毎日通ってるのは、森のあちこちにある魔法のトラップや、結
界の状態を確認しに行ってるんだ。変化した地形に合わせて新しくトラップを張ったりね。そ
ういうのは、当主から次期当主に受け継がれて、赤ん坊のころからそうあるように教え込まれ
る。トラップの発動権限は当主の血筋にしか与えられてないから、子供はたくさんいた方がい
い。戦力にもなるしね。そのための、ハンショク」
当主の血筋が絶えると、折角のトラップも全部無駄になるからね、とパルマは笑った。
「元を正せば、銀色の毛並みは王家に仕えた、トラの国切っての魔法使いの血筋の証拠らしい
んだ。その中でも魔力が強いと毛並みが白くなるって噂もあるけど、よくわかんない。でも、
この領地を治める当主の妻は銀髪じゃなきゃいけないってシキタリがあるのは確かだから、全
くのデタラメって事はないと思う」
「……シキタリ」
「そう。シキタリ。かっこいいでしょ」
にぱ、と、パルマが破顔した。
「だからバラムは、この森から離れちゃいけないんだ。バラムの世界はこの家と、広い森と、
あの賑やかな市場だけ。子供の頃にはお母さんに連れられていろんな所に行ったらしいけど、
当主になってからはずーっとそう。同じ毎日の繰り返し」
開け放たれた窓に背を預け、窓枠を軸にして落下しそうになる程大胆に背を逸らす。
逆さの世界をぼんやりと眺め、パルマは珍しく、わざとらしさを感じないごく小さな溜息を
吐いた。
白い息が、赤く染まりかけた空にとけていく。
窓の下に広がる銀世界では、すでに六ヶ所に薪が積み上げられ、その中に燃えやすそうな藁
が詰め込まれている。
「ほんとは、全部血族以外には秘密なんだけどね。森にトラップがあるとか、当主しか発動で
きないとか。でもチヒロはモノと同じ扱いだから、何話してもいいんだ」
「……そうなんだ」
「うん」
「下働きのトラ達は?」
「あれは壁係」
「壁?」
188 :
とらひと:2007/11/22(木) 02:25:28 ID:MNsGBYCy
「長い詠唱をする時は、術者を守る壁が必要でしょ? あれで一応えり抜きの戦士なんだって
さ。伝令係も兼ねてる。でもアカブより弱いんだよね」
ふふ、とパルマが面白そうに笑う。
「ねぇチヒロ」
「うん?」
「笑ってないと、バラムがだめになる」
「――え?」
ぐん、と、思い切り反らせていた背筋を元に戻し、パルマはくるりと千宏に振り向いた。
「だからさ、バラムの世界は凄く狭いんだ。バラムの世界でたった一人が不幸になっても、そ
れはバラムの世界のほとんどが不幸になったことになる」
「あ――」
「バラムはチヒロが好きだよ。だから、笑ってられる内は側にいてあげて。でももし、もう無
理だって思ったら、私に言って。どこか遠くに逃がしてあげる」
真剣に、寂しそうに、どこか懇願するようにパルマが笑った。
箱庭の外に広がる不幸。
それを眺めて、箱庭の中の幸福に罪悪感を覚えるあまり、千宏は周囲を巻き込んで箱庭の幸
福を荒らそうとしていたのだ。
箱庭を荒らす害悪は出て行かなければならない。
その箱庭の中核をなす存在を――国を守るために箱庭に縛られた存在を犯す者は、箱庭に存
在してはならない。
千宏は半ば愕然として、パルマの笑顔を凝視した。
「パルマ。あたし――」
「ま、ぜぇんぶチヒロしだいなんだけどね」
くるりと踊るように背を向けて、パルマはばたばたと廊下を走って行ってしまった。
全部――全て自分次第。
自己嫌悪を払拭するために自ら不幸に身を投じ、同族意識に浸るのも。
箱庭を自分の世界として外界から目をそらし、ただ近くにいる人の幸福だけを願うのも――。
***
ごうごうと、六つの炎が赤々と燃え上がっていた。
闇に浮かぶ二つの月より尚明るく、銀色のトラをその身と同じ色に染め上げる。
長い、長い銀色の髪が、まるで炎に舞い上げられるように踊っていた。
バラムを中心に円を描くように、バラムが言葉を紡ぐたびに不思議な紋様がつらつらと浮か
び燃え上がっていく。
言葉を紡ぐたびにバラムが空に描いているのは、自らが立つ炎の記号の形だろうか。
「……きれい」
「やつぁマダラだからな。精霊の受けもいい」
思わず零した千宏の声に、隣のアカブがどこか自慢げに同意する。
無連環六節の言霊を持って我は汝らを願う
我が誘いに応えて出でよ
使役されざる炎の子らよ
ごう――と、周囲の雪が蒸発するような熱気を噴き上げて、六ヶ所で燃える炎が空を多い尽
くさんばかりに立ち上った。
炎の渦がヘビのようにくねりながら、生き物のようにバラムの周囲をぐるぐると回る。
「……あれ、精霊?」
「そうだ。あたりを引いたな。具現化するときに手足がない奴ぁ大概気性が穏やかだ」
「色んな形があるんだ……むれんかんなんたらって?」
「現れ、留まり、聞き、叶え、傷つけず、帰れで六節。これを一度唱えただけで繰り返さない
と無連環呪文になる。繰り返すたびに二連三連になって、連環が増えるたびに精霊に対する拘
束力が増す。呪文の中に従えを入れると少なくとも三連環は必要らしい」
「同じ言葉を繰り返すんだ……めんどくさいね」
「無連環強化法ってのもある。同じ言葉を繰り返す代わりに、同一の意味を持つ言葉を続ける
んだ。これだと無連環呪文でも三連環と同等の拘束力を持たせられる」
魔法ってのは言葉だからな、とアカブが締めくくる。
よくはわからないが、そういう事ならばそういう事なのだろう。
189 :
とらひと:2007/11/22(木) 02:26:02 ID:MNsGBYCy
「アカブって案外頭いいんだね」
「あのな……これでも百六十年生きてんだぞ。バラムが倒れた時は代理が務まるくらいにゃ
色々と頭に入ってる」
「あ、動く」
すい、とバラムが指差した先を目指して、炎のヘビがくねりくねりと進みだした。
雪の壁がヘビの炎でたちまちとけだし、そして蒸発してもうもうと湯気を上げる。
瞬間――ヘビが一瞬鎌首をもたげ、ぐるぐると回転しながら猛烈な勢いで雪の中に突っ込んだ。
息苦しくなる程の水蒸気が辺りを包み、ヘビが赤々と燃え上がりながら雪を溶かしてはるか
彼方まで道を作って行く。
あれは――あのまま市場の手前まで突き進み、そして消えてしまうのだろうか。
途中で誰かを巻き込んで燃やしたりはしないかと不安になる。
はるか彼方にちらちらと赤い炎が輝き、やがてそれが見えなくなると、わ――と見守ってい
た下働きのトラたちが歓声を上げた。
パルマもバラムに駆け寄って、きゃあきゃあと騒いでいる。
千宏もついついぱちぱちと手を叩き、半ばうっとりとして溜息を吐いた。
「相変わらず見事なもんだな」
パルマを腕に絡ませながら歩み寄ってきたバラムに対し、アカブが拳を掲げて笑う。
その拳に自らの拳を押し付けて、バラムはふと千宏を見下ろした。
「――どうした?」
「なにが?」
「なにがって……見てただろ」
「そりゃかっこいいものは眺めますよ」
うぇ、と目を見開いて、バラムが赤面して顔を反らす。
「やめろよ。なんだいきなり。照れるだろうが」
「言われなれてるくせに」
「パルマ!」
「まぁ実際かっこいいからね」
「お、お、おまえら――!」
「お兄ちゃんかっこいー」
アカブの絶妙な棒読みである。
バラムを囲んでどっと笑い声を上げ、三人は口々にバラムを褒め称えてからかった。
「と、とにかく! これで明日からは馬車が使えるが、明日は俺は休暇だ」
付き合ってられるか、とばかりに背を向けて、バラムが苦々しげに吐き捨てる。
パルマとアカブは了承済みのようだったが、事情がわからない千宏は一人きょとんとしてバ
ラムを見た。
明日は千宏とバラムが市場へ行く日である。
「どうして休みなの? そんなに疲れてるようには見えないけど……」
あぁそうか――と、バラムが歩き去ろうとする足を止め、首だけで千宏に振り向いた。
「でかい魔法を使った日はな、一晩魔素が濃い所に留まって魔力を取り込むんだ」
「また難しい専門用語を……」
「激痩せしたから食料が豊富な所に行って脂肪を蓄えるのと同じだ」
「理解した」
完璧である。
「で、そのマソなる物が一杯ある所に行かなきゃいけないから、明日はお休みなんだ」
「そうだな」
「遠いの?」
「いや、森の中だ」
「寒そうだね」
「いや、あついくらいだな」
予想外の返答に、思わず会話が止まってしまう。
冬の森で――あついだと?
「あついの?」
「火傷するほとじゃねぇがな」
「よく意味がわからないんだけど……」
「温泉があるんだ」
答えたのはアカブである。
え、と思わず見上げると、アカブはヒゲをひくつかせてバラムを見た。
「連れてってやったらどうだ。たまにはいいだろ」
「馬鹿言うな。夜の森だぞ。連れてくなら昼間だろ」
「えー? 私はこのまえ夜に連れてってくれたじゃない」
190 :
とらひと:2007/11/22(木) 02:26:59 ID:MNsGBYCy
「おまえはまがりなりにもトラだろうがよ。ヒトと比べるなヒトと」
ああだこうだ喧々囂々と言い合う三人を、完全に輪からはずれて眺めながら、千宏はぼんや
りと、まだもとの世界にいた時に読んだ温泉ガイドブックを思い返した。
温泉――森の中と言う事は、しかも露天である。
雪がある。月も出ている。これで桜があれば雪月花だ。月が二つあるから花はなくても我慢
しよう。とにかく世界の憧れの的である。花鳥風月のきわみである。
「行きたい」
きっぱりと断言した。
ぴたりと三人が言い合いをやめる。
「温泉で熱燗で雪見酒。したい、いきたい、やりたい」
この家の風呂は広い。
パルマと酒を飲みながら入った事ももちろんある。
だが違うのだ。情緒とはそういうものではない。
お願いー、お願いー、と繰り返すと、アカブが呆気に取られてパルマに振り返り、パルマは
にまにまと笑って千宏を見た。
「連れてってあげなよバラム。大丈夫だよ。森の中なら最強でしょ?」
「そりゃあ……まぁ……じゃあ、行くか」
バラムがあっけなく折れる。
やった、と手を叩いてはしゃぎ、千宏はたっと駆け出した。
「お酒とってくる! あんまりきつくないやつね。アカブ選ぶの手伝って!」
「な、なんで俺が……」
「はやく!」
「お、おぅ……」
急かされて慌ててアカブも後を追う。
居間で待ってて、と言い残して走って行く二人の後ろ姿を見送って、バラムは機嫌の良さそ
うなパルマの襟首をがっしと掴んだ。
うぇ、とパルマが妙な声を出す。
「おまえ、チヒロに何か言ったか?」
「なんのことかにゃー」
「パルマ!」
にゃぁ、とパルマがわざとらしく頭を庇う。
そして目だけでちらとバラムを見上げ、にまにまと口元を緩めた。
「悪いほうには誘導してないと思うけどな」
「何言いやがった」
「自分で聞けばいいじゃん。二人っきりの温泉でぇとでさぁー」
「おまえ――!」
「私はアカブに言われて相談に乗っただけだもーん。ちゃんと元気になったでしょ?」
褒めて欲しいくらいだよ、とぱたぱたと尻尾を振り、パルマは軽やかに地面を蹴ってくるり
と空中で回転し、バラムの拘束を振り払って着地した。
「これは儀式なんだ」
「ぎ、儀式だぁ?」
「そう。チヒロって凄く頭がいいんだ。どうすれば自分が気持ちよく生きられるかずっと考え
てるし、凄くいい方法取ってる。まるでネコみたい。でもね、なんかこう、それでもネコじゃ
ないっていうのがヒトなんだよね」
191 :
とらひと:2007/11/22(木) 02:27:39 ID:MNsGBYCy
「意味がわからねぇよ」
むう、とパルマが首をかしげる。
「今ね、チヒロは落ちモノなの」
「いや、これからもずっとそうだろ」
「だーかーらぁ。バラムはチヒロをヒトにしないといけないんだ。それが儀式」
ぽんぽん、とパルマがバラムの胸を叩き、ぐっと背伸びして唇に吸い付く。
「頑張ってね。元はといえば全部バラムのせいなんだから」
くるりと踊るようにきびすを返し、逃げるように走り去ってしまう。
湿っぽい温もりの残る唇をひとなでし、バラムは理解できない言葉の意味にがりがりと髪を
掻き乱した。
***
薄暗い地下の貯蔵庫で、千宏が踏み台の上であぶなっかしく背伸びをしながらあれこれと酒
を選んでいた。
甘口でさらっと飲める物がいい、と言われてもトラが飲む酒にそんな穏やかな物があるはず
もなく、その上熱燗がいいんだと言い張る物だから、アカブはとうとう狐の商人から買った秘
蔵の地酒を出してやるはめになった。
正直な話をすれば、あまりアカブの好みではなかったために数十年貯蔵庫に押し込んでいた
だけのことなので、あまり惜しくもないのだが、それでも一口舐めて“まずい”と文句を言わ
れるのは面白いものではない。
一抱えもある重たい酒樽から透明な小瓶にとくとくと中身を移し変え、千宏はきゅっと固く
栓をして満足そうに頷いた。
「ま、様式美ってやつだよね。熱燗はやっぱ日本酒じゃなきゃね。楽しみだなぁ温泉で熱燗」
いひひひ、と不気味な笑い声を上げる。
アカブは溜息を吐いた。
呆れの混じった安堵の溜息である。
パルマがどんな手を使ったのかは知らないが、とにかく千宏は元気を取り戻しつつあるよう
だった。
アカブがしたようなその場限りの馴れ合いとは違う。もっと根深い所で千宏に変化があった
のは明らかだ。
「ねぇアカブ」
「なんだ」
「あたしが死んだら、アカブどうする?」
突然何を言い出すのかと、アカブは愕然と千宏を見下ろした。
千宏は腰に下げた布袋に酒の瓶を押し込むのに苦労していて、アカブを見上げようともしな
い。
「――なに?」
そう、聞き返すことしか出来なかったアカブに、チヒロはようやく顔を上げた。
「あと、長くて八十年。短ければ六十年くらい。病気になればもっと早いかもしれない」
寿命だ。
それは――あるいは、何かの方法でわずかに伸ばす事はできるかもしれない。
だが例え百年寿命を延ばしたとしても、どうしたってアカブたちが生きているうちに千宏は
死ぬ。
192 :
とらひと:2007/11/22(木) 02:28:18 ID:MNsGBYCy
そうしたら、どうするか。
それは、今から考えておかなければならないことなのか――。
「あたしね」
「……ああ」
「アカブのこと好きだ」
「……そうか」
ようやく瓶を袋に詰める事に成功し、しっかり袋の口をとじる。
「変な感じ。元の世界にいた時は、好きになるのは一人だけって思ってた。恋愛ってもっとト
ゲトゲしてて、一途で痛いものだって思ってた」
「恋愛ね……慣れねぇ響きだな」
あはは、と声をあげて千宏が笑う。
「なんか、全部すっとばしちゃった。あたしん中今、家族愛でぎっちぎち。アカブも、バラム
も、パルマも、みんな好き。好きでしょうがない。全員の子供が欲しいって思うくらい」
「チヒロ……」
「アカブ。キスして」
艶めいた響きなど何処にもなかった。
決別さえ臭わせるその誘いが、ひどく苦しい。
どこか儀式めいた雰囲気が、薄暗く湿っぽい、消えきった地下貯蔵庫に満ちていた。千宏が
アカブの胸に手を添えて、ごく静かに目を閉じる。
不思議な感じだった。
ただ挿入をしていないと言うだけで、互いに舌を這わせあい、肌を重ねた仲だというのに、
二人は今まで一度もまともに唇を重ねた事がなかったのだ。
あるいは、それをなにか、決定的な一線として無意識に引いていたのかもしれない。
拒絶する事はできなかった。
そっと千宏の腰を抱き寄せて、小さな唇に自らの唇を合わせる。
ぺろりと、その唇をからかうように舐められて、アカブは苦笑いと共に顔を逸らした。
もう一度唇を合わせ、舌を舐めうようにしてたっぷりと唾液を混ぜ合わせる。
ぺちゃぺちゃと音を立てながらお互いの舌を貪りあい、アカブは千宏の口の中に自らの舌を
ねじ込んだ。
千宏が苦しげに眉を寄せ、それでも小さな舌を動かしてアカブに応えようとする。
たまらなかった。
このまま食べてしまいたい。この舌を噛み千切り、唇にくらいつき、頭からばりばりと食い
尽くしてしまいたい。
そんな衝動が恐ろしくて、止まらなくなりそうで、アカブは千宏を引き剥がすようにして唐
突に唇を離した。
千宏が苦しげに息を乱しながら、不思議そうにアカブを見る。
一瞬の沈黙を挟み、千宏は唾液でてらてらと光る唇を手の甲でぐい拭い、にこりと明るく微
笑んだ。
「行ってくるね。温泉」
「チヒ――」
「だぁいじょうぶだよ。心配しないで。お母さん」
からかうように軽く片目をつむってみせ、千宏はアカブに背を向けて走り出した。
たたた、と軽快に階段を駆け上がり、廊下に飛び出してかけていく。
ネズミのようで、ネコのようで、トラのようでもあるが、それら全てと異なる存在。
些細な事で肉体的にも、精神的にも壊れてしまう弱い存在。
守ってやらなければと思った。一人では何も出来ないと思っていた。
それが、あの強さはなんだ。
あの誇りはなんだ。
「一人で走っていきやがる……」
守ってやっている気になって、家族だと呼びながらペット扱いしていたのは自分だ。
何も出来ないと決め付けて、千宏には全てを甘受する以外選択肢など無いと思い込んでいた。
あれは決別の口付けだ。
生ぬるい馴れ合いが、対等と銘打った甘ったるい主従関係が終わりを告げる。
「女なんざまっぴらだ……あぁ、ちくしょう。たくさんだよ」
もう――あいつ一人でいい。
千宏はアカブのものにはならないだろう。
だがきっと、バラムのものにもなったりしない。
それだけでいい。
ただひたすら、千宏が自由でありさえすれば、アカブはそれで満足だった。
193 :
とらひと:2007/11/22(木) 02:28:52 ID:MNsGBYCy
***
ごっそりと雪の積もった森の中を、バラムは千宏を背負って飛ぶように駆け抜けた。
雪から突き出した岩を足場にし、あるいは丈夫な木の枝に足をかけ、障害物など目に入らな
いとでも言うように森を疾走する姿を前に、誰もバラムをマダラだとからかったりはできない
だろう。
いくつかの岩場を登り、崖の下に広大な森の木々が望めるような高度まで到達すると、バラ
ムの耳にはごぼごぼと湯の沸きあがる音がはっきりと聞き取れた。
落ちる落ちる怖い怖いと絶え間なく騒ぎ続けた千宏は既に疲労困憊で、バラムの背中にしが
み付いたままぐったりとしていたが、目的地に到着すると途端に元気を取り戻し、高々と拳を
空に突き上げて雄叫びを上げた。
「お、ん、せ、ん、だー!」
もうもうと立ち込める湯煙にげほげほとむせながら、バラムの背から飛び降りて水浸しの岩
場にかけていく。
その側にごろりと転がっている巨大な一枚岩にそそくさとよじ登り、千宏は腰を下ろすなり
靴を脱ぎすてて早速温泉に足をひたしした。
「おー! 足湯! うわー! うわー!」
冷えた体には熱すぎるのか、数秒つけてはあちちと叫んで湯から足を上げている。
「よし! 熱燗の用意じゃ! うふふお代官様ったらぁ」
意味の分からない独り言を並べながら腰の袋から酒瓶を出し、千宏は湯から足を上げてひょ
いと一枚岩から飛び降りた。
「で? どうするんだ?」
バラムも千宏に歩み寄り、しゃがみ込んだ千宏にならって膝を曲げる。
降り積もった雪を邪魔そうに押しのけて、千宏は家から持ってきたらしい乾いた薪を積み上げた。
「熱燗するんだ。お酒を湯煎で人肌まであっためるの」
袋から次々と、小さな片手鍋やら鍋を置く土台やらが取り出される。
バラムがその様子を見守っていると、千宏は互い違いに組み上げた薪の中にちぎった紙を
ぎゅうぎゅうと押し込んで、ひょいと火のついたマッチを投げ入れた。
ちりちりと火がくすぶり始め、やがてごうごうと燃え上がる。
「へぇー……上手いもんだな」
思わず感心してしまった。
ふふん、と千宏が自慢げに鼻を鳴らす。
「キャンプは昔っから好きだったからね。落ちてきた日も友達とキャンプしてて、川で泳いで
た時だったんだ。ごぷん、って急に足場なくなってさ。いやぁびっくりした」
鍋を持って立ち上がり、雪の上を裸足でのしのしと歩く。
温泉の湯を鍋に満たして再び焚き火の側にうずくまり、千宏は栓をぬいた酒瓶を静かに鍋の
中に沈めた。
酒瓶の半分くらいまでが湯につかり、実に暖かそうである。
いまだ極寒の森の中に座っているだけの身からすると、酒瓶が羨ましくさえある。
「バラム先に入ってていいよ。寒いでしょ?」
はぁ、と、千宏が真っ白な息を吐き出してバラムを見た。
バラムはその様子にふむと頷き、しっしと千宏を温泉の方へ追い払う素振りをした。
「俺は慣れてる。おまえが先に入ってろ。凍えて死ぬぞ」
「やだよ。バラムに任せるとお酒沸騰しそう」
「だめなのか」
「人肌なんだってば」
「ヒトの体温ってことか?」
「実際にはもう少し熱いらしいけど……」
「じゃあ温泉にひたしときゃよかったんじゃねぇか? わざわざ火にかけなくても……」
愕然と、千宏が目を見開いてバラムを凝視した。
蒼白な顔色で、ぶるぶると唇を振るわせる。
「い……いや。俺が悪かった……そうだな。熱燗って言うくらいだから、温泉程度じゃ温いよ
な……はは。馬鹿だなぁ俺……」
千宏がじわりと涙を滲ませるに至って、ようやくフォローに入るバラムである。
意固地になったのかなんなのか、頑なにその場を動かずに睨むように酒を見張り続ける千宏
をどう扱っていいかわからず、結局バラムも大人しく酒を見守り続けた。
194 :
とらひと:2007/11/22(木) 02:30:14 ID:MNsGBYCy
なんとも珍妙なたたずまいである。
ことことと、鍋に張られた湯が沸騰を始めた。
千宏は首をかしげている。
人肌――というのが正しいならば、恐らく瓶の中身は既に人肌を超えているだろう。
酒瓶の口からゆらゆらと湯気が立ち上る。
「チヒロ……?」
「なに?」
「酒……沸騰するぞ」
「そうだね」
「いいのか……?」
「凄い事に気付いたの」
くり、と首だけをめぐらせて、千宏が引きつった笑顔を見せた。
「どう考えても、熱くて取り出せない」
笑ってはいけない――と、頭ではわかっていた。
しかし頭と体は別のもである。
バラムは思い切り吹き出した。
「わ、笑わないでよ! もう! 切実だよ! なきそうだよ! とんだトラップだよ!」
ひぃひぃと腹を抱えて笑うバラムに、千宏が半べそをかきながらばしばしと拳を振り下ろす。
「もういいよ馬鹿! 馬鹿!」
ふん、とそっぽを向いて立ち上がり、ずんずんと温泉に向かっていく。
「お酒なんていらないもんねー! 温泉があればしあわせだもんねー!」
全力で強がりを言いながら、ばさばさと服を脱いでいく。
その様子にさすがに笑いも引っ込んで、バラムは今にも沸騰を始めそうな酒瓶の口をひょい
とつまみあげて熱湯から取り出した。
千宏が放置していった袋からマグカップを二人分見つけ出し、こぽこぽと中に酒を注ぐ。
さぶん、と盛大に飛び込む音がして、直後に千宏は悲鳴を上げて温泉から転がりだした。
「あっちぃなおい! なんだこりゃ! すっげぇあっちぃ! うわぁあっちぃ!」
さすがにこれには耐え切れず、バラムは再びそっくり返って大笑いした。
火傷する火傷すると騒ぎながら、千宏が無謀にも雪を温泉に投げ入れている。
わざと笑わせようとしているのかと疑いたくなる程である。
「いやいや落ち着け。考えるのよ千宏! 負けちゃダメ! 足はつかれたんだ、足は。体が冷
えてるんだよね。よし、ゆっくりはいろう」
ゆっくりと――それはもうゆっくりと、恐る恐る千宏が湯船に足を沈める。
数秒を堪え、よし、と頷き、じりじりと腰までつかる。
最後にえいや、と肩まで沈み込み、千宏は顔を真っ赤にしながら石のように動かなくなった。
「ん! 慣れた!」
ぐっと拳を握り締める。
アカブとパルマにも見せてやりたかった超一級の喜劇だったが、どうやら終幕したようだ。
「慣れたか。ほらよ」
温泉の中で動き回れるようになり、温泉だ温泉だとはしゃぐ千宏に、バラムはマグカップを差し出した。
え、と千宏が目を瞬く。
「え? 出せたの? 熱燗? まじで!」
「トラの皮膚はヒトほどやわじゃないんでな」
「わー! いただきまーす!」
ほかほかと湯気を立てる透明な酒を、嬉々としてぐいとあおる。しかし一瞬も口に含んでい
られず、千宏は思い切り吹き出した。
「まっず! うっわ! ひっど! うぇおぁ! 何これ! なにもの!? 冷たいときはまだ
飲めたのにこれはひどい!」
「ひどいのはおまえだ、おまえ」
秘蔵の酒まで出させられ、尚且つこうも罵られたのではあまりにアカブが哀れである。
これは冷やすべきだ、冷やして飲むものだと繰り返し、千宏はマグカップを雪で包んで冷や
し始めた。
やれやれと溜息を吐き、バラムもほかほかと湯気を立てる熱燗とやらをあおる。
瞬間――やはり千宏同様に吹き出した。
「ぐっは! なんだこいつぁ! 未知の領域だ! 新手の毒薬か!」
「それが兄の言う台詞か……」
「こいつぁ冷やして飲むもんだ。ありえねぇありえねぇ」
千宏にならってマグカップを雪にうめる。
ふう、と、恐ろしい何かを地底に埋めたような安堵感に包まれた一瞬の後、二人は同時に声
を上げて笑い出した。
195 :
とらひと:2007/11/22(木) 02:30:49 ID:MNsGBYCy
「帰ったらアカブにも熱燗作ってあげようね」
「酒瓶一本作ってやろう、この味は広く知らしめる必要がある。当主としての義務だ」
ばしばしと、温泉を囲む岩を叩いて千宏が笑う。
笑い疲れてぶくぶくと湯に沈み込み、千宏はようやく、ぐるりと周囲を見回した。
「はー……雪月花って言っても、木に月が隠れててほとんどなんも見えないねぇ」
すいすいと器用に泳ぎ回る。
その様子をぼんやりと眺めているとさすがに寒さが身に染みて、バラムも乱暴に服を脱ぎ捨
てるとざぶんと温泉に身を沈めた。
千宏はバラムとは反対側のふちに泳ぎ着き、身を乗り出して眼下に広がる黒く広大な森を見
下ろしている。
「ま、雪だけは豊富にあるか」
両手でごっそりと雪を掴み、ぎゅうぎゅうと丸く固める。
そのままくるりとこちらを振り返り、千宏は思い切り振りかぶった。
「おい、ちょっとま――!」
ぼすん、と冷たい衝撃が顔面で弾け、バラムは首を仰け反らせた状態のまま頬を引きつらせ
て固まった。
「あのなチヒロ……がきじゃねぇんだか――」
ぼすん。ぼすん。ばすん。
息つく間もない連続攻撃である。千宏はけらけらと笑いながらも、せっせと次の雪だまをこ
しらえている。敵は手ごわい。――バラムは切れた。
すいと空中に手を突き出し、魔力を込めてぐいと握る。
「散!」
短い宣言と共に、千宏の手の中で雪球が破裂した。無論、作り置きも全てである。
うわ、と叫んで湯の中に尻餅をついた千宏の頭上に、バラムは指先を突きつけた。
「見てみろ」
言われるままに頭上を見上げ、千宏はうげ、と叫んで慌てて逃れようと身を捩った。
バラム達の頭上には木がある。そしてその木にはもちろん、大量に雪が積もっているのだ。
すかさず突きつけた指を振り下ろす。
「散、降、包」
広がり、落下し、むき出しの素肌を容赦なく包み込んだ雪の冷たさに絶叫し、千宏はぎゃあ
ぎゃあと喚きながら頭まで湯船に沈み込んだ。
ざば、と、十分に纏わりつく雪を溶かして湯船から顔を出し、そんなのズルいとバラムに指
を突きつける。
「魔法なんてずるい! ずーるーいー!」
「知るか! やられたら兆倍がトラ流だ!」
「やだやだ。ちょっとしたお遊びにムキになって大人気ない。根暗だよバラム。陰険。陰気。
陰湿」
見事な無連環強化法である。
それからしばらく、意地の張り合いのような沈黙が続いた。
バラムは黙って魔力を蓄える事に専念し、千宏は温泉を泳ぎまわっている。
のぼせそうになると湯船から上がってふちを囲む岩場に腰かけ、足だけつけて体を冷まし、
寒くなるとまた温泉につかるという行動を繰り返していた。
そんな様子を眺めていて、ふと、思う事がある。
ヒトに、果たして一晩中温泉につかれるような体力があるのだろうか――?
記憶が正しければ、千宏は家の風呂でさえ、パルマに付き合って長くつかりすぎるとぐでぐ
でに疲れて死にそうなっている。
そう言えば、先ほどから千宏の動きが妙に鈍いような――。
「――チヒロ!」
とぷん、と千宏が沈み、バラムはぎょっとして立ち上がった。
案の定ぶくぶくと沈んでいる千宏の体を慌てて湯船から引き上げて、ふちに座らせてぱしぱ
しと頬を叩く。
しかし完全にのぼせているらしく、とうとう鼻血まで流し始めた千宏にバラムは思い切りう
ろたえた。
冷やそうにも、温泉から出ればそこは氷点下の夜である。体の芯まで冷える前に凍傷になる
のは明らかだ。
きっちりと服を着せて焚き火の側に転がしておくのもさすがにどうかと思う。
――致し方ない、という状況は、確かにある。
バラムは苦虫を噛み潰したような表情で千宏と共に湯から上がり、使いなれすぎて詠唱不要
になった風呂上りの乾燥魔法で千宏と自分を包む水気を飛ばし、とりあえずズボンだけ身に着
けた。
196 :
とらひと:2007/11/22(木) 02:31:33 ID:MNsGBYCy
更に上半身裸体の上から自分が着てきたコートを羽織り、そのコートと自身の体で千宏の体
を包み込む。
火が弱まってきている焚き火に雪でしけった枯れ木を放り込み、バラムはかたわらの木の根
に腰を下ろした。
その上で、時々冷気を送り込んでのぼせた千宏の体を冷やしてやる。
「うぇ……なんぁ、なにがおこってるんぁ……」
ふい、と、息を吹き返すようにぼんやりと目をあけるなり、千宏はバラムの腕の中でもぞも
ぞとうごめいた。
まだ自分で状況を理解できるほどに頭ははっきりしていないらしい。
「のぼせたんだ。大人しく冷まされてろ」
ぱたぱたと冷気を送ってやる。
するとあろうことか寒い寒いと文句を言って、千宏はぎゅうとバラムの体にしがみ付いた。
「なんれー温泉かぁーでてうんらー」
「だからのぼせたんだっつってんだろ」
「ばらむが?」
「おまえがだ!」
「うぬぅ……ばかな。なんたるふかく……」
ぐにゃりと、ふたたびバラムの腕の中で脱力してしまう。
意識せずして、ひどく穏やかな溜息がこぼれた。
パルマが儀式だなんだと言っていたから妙に身構えてしまったが、これではその儀式とやら
も遂行はできないだろう。
「今日の所は帰って休むか」
あれだけ大掛かりな仕掛けを用意すれば、いかに召喚魔法といえどそれほど魔力は消費しない。
なにより、千宏をこのまま一晩中寒空の下に置いておくのはあまりにも不安である。
仮に復活したとして、一晩中温泉にいれておくわけにもいかない。
「やすむ?」
「そうだ。服を着て、帰るぞ」
「あー……ん? いや、それはいかん! あたしにも計画とゆーものがある!」
がばっと勢いよく起き上がり、しかしやはりくらくらと崩れてしまう。
この調子では服を着るのも危うそうだ。
「ぬぁー。あたしのシリアスでおとななけいかくがぁー。かっこつけてきたのにぃー」
「何の話だ、何の」
「温泉でぇ、お酒飲んでぇ、シリアスな話をしてぇ、なんだかそれっぽい雰囲気に任せてえろ
い事をだねぇ」
「え、えろっておまえ……」
「する計画だったのにぃー!」
「勝手に妙な計画を立てるんじゃねぇ! 大体おまえはアカブが――」
好きなんだろうがよ、と言おうとして、バラムは千宏の責めるような視線に気圧されて口ごもった。
ふと、少しずつ思考力が戻ってきたらしい千宏が、バラムの腕の中でぺたぺたと自分自身の体を触る。
「――服、着てない」
「ご、誤解するなよ。これはおまえがのぼせたから――」
ぺたりと、千宏の手がバラムの胸に触れた。ぺたぺたと、これ以上ないほど無遠慮に触れてくる。
「裸コート……?」
「そんな目で俺を見るな! 急いでたんだよ! わかるだろ?」
それに、ちゃんと下ははいている。
いかがわしい事は何もない。
「……えろいね」
「チヒロ!」
「えろいよ」
深々と溜息を吐いて、諦めたようにぐったりと千宏がバラムの胸に体を預ける。
「おいしいシチュエーションなんだけどなぁ。のぼせて倒れた裸の少女を介抱する男の図。う
わぁ絵に描いたよう」
「知るか! ほら、コート貸してやるから服着て来い」
自分の体ごと千宏を包んでいたコートの前をあけると、千宏が寒すぎると悲鳴を上げた。
手早く脱いだコートを千宏の体に巻きつけて、早く自分の服を着ろと追い立てる。
197 :
とらひと:2007/11/22(木) 02:32:20 ID:MNsGBYCy
ふらふらと覚束ない足取りで脱ぎ捨てた自分の服の元に向かう千宏の後ろ姿をぼんやり眺め、
バラムもやれやれと立ち上がった。
いくらトラといえども、アカブのような天然の毛皮を持たないバラムである。服を着なけれ
ばさすがに寒い。
「思ったとおりに進まないなぁ。二人っきりで温泉とかなったらさ、普通はほら、なんだ、女
が無防備に全裸になってるんだからさぁ、男として襲ってくるのが礼儀だと思うわけですよ」
脱ぎ捨てた服に袖を通し、バラムが愕然として振りかえった。
千宏はバラムのコートをまきつけたまま、器用に服を着込んでいる。
男が着るようなズボンとシャツの上から厚手のローブをすっぽりかぶり、フードつきの外套
を巻きつけて、千宏は硬直しているバラムを見た。
「あたしね、トラになりたいんだ」
てくてくと歩み寄ってきた千宏に、ありがとう、という礼とともにコートを差し出される。
呆然としたままそのコートを受け取って、バラムは意味を理解できずに首をかしげた。
「もしあたしがトラだったら、バラム、ここであたしのこと抱いたよね」
寂しそうに千宏が笑う。
バラムは瞠目した。
「あたしがヒトで、抵抗する力なんかなくて、その上初めてバラムと会った日にあたしがあん
な風に抵抗したから――だから、何もしなかったんでしょ? バラムは凄く優しいから」
「俺は……!」
優しい――と言うのとは、違うだろうと思う。
千宏をこの森で拾ったその夜、バラムは千宏を抱こうとした。
その時の千宏の悲鳴が、恐怖に引きつった表情が、千宏に対して情欲を覚えると、吐き気に
近い感情と共によみがえるのだ。
あの時は、拒絶された事への驚愕で、思わず引いた。
だが今は――拒絶されることが分かっている今は、例え嫌だと拒絶されたところで、自分を
抑えられる自信がなかった。
きっと、自分は千宏を壊してしまう。
決して優しいわけではない。ただ、恐ろしいだけなのだ。
「大事にされてるって、わかってる。でも、それはあたしが落ちモノだからで、だから、そう
いうのはもういいんだ。今までは、お母さんのおなかの中で、ぬくぬくと育ってた。でも、そ
ろそろ産まれないといけない」
寒さで赤くなった白い頬。
吐き出される白い息。
守ってやらなければと思う。それは、千宏が弱いヒトだから。なにも知らない落ちモノだか
ら。一人にしたら壊れて死んでしまうから。
そう――思い続ける事は、いけないことなのだろうか。
千宏の言葉が、パルマの言葉がわからない。
落ちモノから、ヒトにするということは、つまりどういうことなのか――。
「あたしにナイフをくれた時、強姦されても耐えろって言ったの覚えてる?」
「あぁ……覚えてる」
よかった、と千宏は溜息を吐いた。
「正直、今のままじゃむり。精神的には我慢できても、体のほうがとても耐えられない。だか
らね、バラム。戦える力は無理だけど、あたしに耐えられる強さを頂戴」
「おまえ……自分が何言ってるかわかって――」
「抱いて」
決定的な一言を、まるでどうでもいいことのように千宏は言った。
どうでもいいことだ――確かに、トラからすればどうと言う事は無い。
だが千宏はヒトで――自分で言ったのではないか。肌を重ねるには特別な感情が必要だと。
その感情がなければ強姦なのだと――。
なのにどうして――。
「ッ――おまえは! おまえは……あ、アカブ、が……好きなんだろうが! なんで俺に言う
んだ!」
「バラムのことも好きだよ。パルマもだ。みんな好き」
「だったらなんであいつに言わない! あいつはおまえが――!」
「だから、無理なんだって。入らないんだよ。どう考えても。あたしが痛いって喚いたら、ア
カブだって萎えるでしょ? でも、バラムなら大丈夫だってパルマが――あ、べ、別にバラム
のが小さいって言ってるんじゃないよ!」
慌てて取り繕う千宏の声を、しかしバラムはまともに聞いてはいなかった。
パルマがそう、言ったのか。
ならばこれが、パルマの言う儀式なのか。
198 :
とらひと:2007/11/22(木) 02:32:58 ID:MNsGBYCy
千宏を抱く事が儀式なのか。
強姦される事を前提として、自衛手段として体を男に慣らす事が、千宏にとって必要な儀式
だと言うのか。
そしてそれが――全て、元はといえばバラムのせいだと――。
「このままね、何もかもに気付かない振りしてさ、家族なんだって思いこんで生きてたら、あ
たしそのうち壊れちゃう。なんにも変わってないんだ。あたしはただ、あんた達に与えられた
仕事をこなしてるだけで、一人じゃやっぱりなにもできない。そりゃ役には立ってるだろうけ
ど、あたしにはあんた達が必要なのに、あんた達にとってあたしはやっぱりペットなんだ。選
択肢なんかない」
「なにがペットだ! ふざけんな! 俺がおまえを他の奴らと違うように扱ったか? おまえ
は仕事だってしてるじゃねぇか! 俺達はずっと、おまえの事を家族として――」
「ペットにはなにか仕事を与えた方がいいでしょう。何かを成し遂げたという達成感を与えて
やると、ペットのストレス発散に役立ちます」
す、と人差し指を突き立てて、千宏が講義をするような口調で言った。
思わず呆けたバラムを前に、やはり千宏は微笑んだ。
「仕事と、寝る場所と、食べ物と、愛情。ペットと仲良くやっていくのは全部重要なんだ。バ
ラムはそれ、全部あたしに与えてくれた。それでも、家族って呼んだところで所詮はペット。
わからないほどヒトは馬鹿じゃない」
違う。
そんな事、一度だって考えたことはない。
アカブが家族として扱おうと言った時、確かに最初は戸惑った。
だが、それだけだ。千宏を家族と呼んでから今日までずっと、一度だって、千宏を家族と別
の存在として扱った事などない。
それなのに、なぜ――。
「そんな顔しないでよ。違うんだ。別に恨み言とか、自虐とかそういうんじゃない。ただバラ
ムは、ペットには与えちゃいけない物を、あたしにくれちゃったからさ……」
すらりと、千宏が腰から使い込まれたナイフを抜いた。
誇りの問題だ――と、あの時、バラムは確かにそう言った。
だが、それが一体なんだと――。
「自由」
はっと――バラムは呼吸を止めた。
愛おしそうに、千宏がナイフをひらめかせる。
「きっと、あたしを鎖に繋いでも、バラムは今と同じようにあたしを大事にしてくれた。それ
であたしは、鎖に繋がれてるから仕方ないんだって、自分自身を納得させて幸せな日常にべっ
たりと甘えて生きられた」
首輪をするか、しないか――その選択肢を千宏に与えたのはバラムだ。
なにも変わらないと思っていた。
変える力などないと――そう思うことこそが、千宏を対等として見ていない証拠ではないか。
「でも、好きにしていいんだよ、って言われたら、あたしは好きにしたい。好きにできるだけ
の力が欲しい。与えられた力じゃなくて、自分自身の力が欲しいんだ。そのために、最後にも
う一つだけあたしに与えて。あたしのご主人様はバラムだから」
かしん、とすんだ音を立て、千宏が腰にナイフを戻す。
「……俺が、その耐えられる強さとやらを与えたら……おまえ、どうする気だ」
「どうもしないよ」
「うそだ」
「うそじゃない。ずっと一緒にいる」
「だったらずっと守ってやる! 力なんざいらねぇだろうが! 何がしたいんだ。何が欲しい。なんだってくれてやる。だから――!」
「信じて」
――ヒトにしないといけないんだ。
それが、儀式。
千宏を失いたくない。ここでバラムが拒絶すれば、千宏をここに縛り付けておける。
仮に信じて――そして、もし千宏を失ったら――。
「……明日」
だらん、と力なく両手を垂らし、バラムは低く呟いた。
「部屋に来い」
「バラム、じゃぁ――」
千宏をここに縛り付けたところで、きっと結局は千宏を失う事になる。
それならば――側で狂っていくのを眺めているくらいなら、いっそ望むままに手放してしま
った方がいい。
199 :
とらひと:2007/11/22(木) 02:34:35 ID:MNsGBYCy
そうすれば、仮に千宏がバラムの手を離れても、千宏が幸福であると夢を見る事は出来るのだ。
「帰るぞ。ほら、おぶされ」
「うん!」
膝を曲げて背を向けると、千宏は勢いよくバラムの背に飛びついた。
ぎゅっと首にしがみ付き、いひひひ、と不気味な笑い声を上げる。
「ありがとうバラム。ご主人様大好き」
ぐっと、背後で千宏が伸び上がるのを意識した。
瞬間、はむ――と、唇で優しく耳を挟まれる。
ぞわりと背筋を這い上がるなんとも言えない感覚に、バラムは力ない悲鳴を上げて千宏と共
に崩れ落ちた。
切らせていただきます
絵版の絵師さんありがとう。
全身からありとあらゆる汁が出るほどうれしかったです。
貴方、ほんとにすごいわ
内容の無い褒め言葉だけの書き込みは
作者さんによっては嬉しくも何とも無い事もあるので
いつも何かしら具体的な感想を書こうと思っているのだけど
今は賞賛しか思いつかないな
なんでこんな強くてバカで頭良くて……不運で、幸福なんだろう。
チヒロが人間的な魅力にあふれすぎです。トラの皆だって大好きだ。
これしか言いようがないよ毎回。GJ!!
いったい何食べたら人間の情をこんなに細やかに描けるんだろう?
もうみんな愛しくて、誰と誰がどうくっついてもいいと思った。
チヒロが誰とくっつくか…そう考えていた日が、僕にもありました。
なんかもーマジ全員愛しいぜー!
201が言いたいこと全部言ってくれてる。
なんかもう大好きだ!GJ!
チヒロは聡いね。強欲なぐらいに。
GJ.
他の作者さんに比べると勢いと量がありえないな。
このまま他の投下が無いと1スレまるまる虎の威で埋まりそうだ。
>>206 だからいちいち比較されても困るというに。
>>207 そうかっかしなさんな
筆が早い人は早い。遅い人は遅いだけなんだから
みんなどうしたのww
スレストしてるよ!
またーりしようよ!
アカブ萌え
ここ半年位は大作があまり間を置かずにバンバン発表されてるんで、
なんか今月に入ってから停滞してる気がするんだが、やっぱり
贅沢になったのかなぁ
職人さまがた、がんがってください。
先月の末以来、ひたすら保守書き込みばかりな俺の巡回先に比べればぜんぜん恵まれてるんだぜ?
ここは恵まれてるスレだろう。
そんなスレに出会えた自分が、幸福でならない。
周囲の書き手のレベルが高すぎるのも辛いものなんだぜ……
低いよりは良いぜ
自分の立ち位置とか、目指すべきものが分かるし
何はともあれ、投下し続けることがスキルアップにつながると思うよ、ってことでカモン
>>214 なに、嫉妬はエネルギーだ。以前上にいた相手を見下ろして高笑いするのは快感だぞ
なんだかこの流れにデジャヴを感じるんだが…
へへ…俺のSSなんか他の作者様方から完全に浮いているんだぜ?
自分の趣味に走りすぎだorz
だが、それがいい。
ところで、ウサギの魔法式=エンチャント(魔法付与)
で、おk?
>>218 自分のSSで 自分の趣味に走らんでどうするw
パクリと二番煎じがやりたいならともかく。
そのまま突き進め!
しかし、とらひと氏の作品以外が見事に停滞期と言うのはある意味異常かもしれん。
年末に向かって社会人は忙しいと思うが、それでもちょっと心配にゃり。
現実問題、いま投下してもどうせとらひと氏の引き立て役にしかならないからな…
レベルの低い作者は投下するなって言い続けてきた効果が出たんだろう
結構なことじゃないか
>>219 亀だが、エンチャントというよりはソードワールドのメイジスタッフじゃないかしら。
魔法の発動を補助するモノだし。
>>222-223 アルコールの力を借りて、今、必殺の30分テキトー劇場!!
「んんっ……くふっ……ああ、凄い匂いがするよお……」
こ、こは何事ぞ?なぜ私の部屋でお嬢様が、机の角で一人エッチ、俗に言う角オナニーなどをっ!?
いけません!お嬢様はまだ25歳。ネコとしては見事に未成年です。
同い年の私はヒトだからして既に成人してるのでマスターベーションなどしても問題ないのですが、
お嬢様が私の部屋で角オナニーするのはよろしくありませんっ!!これは由々しき事態です。
ああ、しかもお嬢様、なにやら染みの付いたティッシュなどを嗅いでおります。なんとはした無い!
このようなことをお館様になんと言えばいいのか……。
そんなだめです、お嬢様!そんなつるぺたな胸を抓ったりさすったりしては!しかも綺麗なピンク色の
乳首を摘んだり転がしたりするなんて!尻尾も耳もぴーんと立って、お嬢様が興奮していることが丸わかりです。
「精液の匂い、すごいよお……とまらないよお……これで本物の精液飲んじゃったらどうなるのお……」
どどど、どうやらティッシュは私が性欲処理をした際の廃棄物のようです。こここ、これはいけません。
いますぐお館様にかわってお嬢様をお止めせねば!!
「お嬢様!」
「にゃあっ!?」
私が部屋にはいりざま声をおかけしますと、尻尾がぶわっと広がってお嬢様が思わず飛び上がります。
「んふぁ!?ああぁぁぁぁぁ……」
その拍子に強く押しつけてしまい達したのでしょう、お嬢様は身体から力が抜けてへたり込んでしまいました。
「お嬢様!なんとはしたない……」
「や、やあ、見ないでぇ……」
はだけたドレスを直してその白い素肌を隠そうとしますが、その艶のある声とうなじだけでも男の欲望を煽ります。
「私のような卑しい身分の者の部屋で自慰をするなど……、それがどれほど恥ずかしいことか分かっているのですか!」
「ひっ!……だ、だって、だって」
「だっても何もありません!見つけたのが私だから良い物の、これがもし市井の者でしたら家の恥になるところでしたよ」
「ひうっ、ひっく……ぐす……」
ハァハァお嬢様の泣き顔ハァハァ……じゃなくって!ううむ、泣き出してしまいましたが、お嬢様を立派なレディにする
為には、ここでちゃんとした教育を行わないと行けませんね……。
「いいですか、お嬢様。性的なことに興味を持つお年頃なのは分かりますが、だからといってこんな泥棒のような真似は
よろしくありません」
「だって、お父様やお母様には言えないし、あなたに相談したら、えっちな子だって思われちゃうし……」
「そんなことはありませんよ。それに、お嬢様はえっちな訳ありません。なんなら調べてみましょうか?」
「え、調べるってどうやって?」
「そうですね、では診察しますから、まずはスカートを脱いで机の上に座って下さい」
30分じゃこれが限界。
頼むから僻みや愚痴は他でやってくれないか?
せめて名指しは止めてくれ。
他のスレでも似たような理由で追い出されてるしな
>>224 GJ!
そのいきやよし!
>>226 誉めたところでなんにも出ないよ。
でもありがとう。
未成年にやる気満々の召使いww
……あれ、この場合ロリになるんじゃ(ry
酒の力GJ
>>221 獅子国でよければ今週末か来週末に投下できる見込み。
ええ、引き立て役で結構ですとも。
おまえらのタフさに感動を覚えた
期待してますよ
>>221 夢日記です。
ある程度書き溜めてから投下する方が話しの整合性を取りやすいと思うタイプなんですいません。
現在約200KBくらいは溜ってるんですが、全く校正もしてないし、それに、結構尻切れとんぼなんでw
出来上がったところから暫時投下でも良いんでしょうけど、個人的な好みとして後から突然話しの前後を組み替えたりするので、
すいませんがもうちょっと待ってください。
ただ、お呼びでないってな場合は・・・・しゃしゃり出てすいませんでした。
見事なスレストww
あんた空気読めよ
一人だけ浮いてんだから消えれば?(禿藁
>>232 おちつけw
>>231 夢日記の人。いつも楽しく読ませていただいてます。
でもその書き方だと、そのつもりはなくても連載投下組みの人に嫌味を言ってるように見えます。
200kbの書き溜めは、少なくとも『ある程度の書き溜め』とは言えないのではないでしょうか。
完成度を求めて時間がかかるのは悪い事ではありませんが、20〜30kb程度の連載投下でも、
出来たところからのぶつぎり投下とは言わない思います。
獅子国も楽しみだよ!
引き立て役なんて思わないよ!
まあ、人それぞれってことで。どの作品も続きが楽しみなんだよ
次回投下までオナ禁して待ってるから。俺、オナ禁して待ってるから!
人気職人が現れると叩いたり荒らしだす奴って去年の冬もいたなw
ま、スルー推奨ってことで。
>>231 おつかれさまです。
完結しそうな長編は完結してから読む主義なので、
最終章がUPされる日を気長に楽しみに待っています。
一年ぶりくらいに来たら、お話が一杯投下されてる〜!!
いつからこんなに賑やかなスレになってたんだ、ココは。
とらひとの人、とりあえず185から読んでみました。チヒロとバラムに限らず
キャラクター同士の台詞の掛け合いが面白い!!
アカブとのキスシーンも「えろいよ(千宏っぽく)」
男(バリバリ獣)と女(ヒト)の組み合わせを読んだ事が少ないからかもしれないけど
キスシーンを想像して不覚にも浴場・・・。
獅子国の人、たしかカモシカの国の話も書いてらっしゃる方でしたよね?
また貴方の書き下ろす話を読む事ができて嬉しいです。
キョータ君とファリィは相変わらずなんでしょうか?
個人的にはフェイレンとミコトの関係が最終的にえっちぃな間柄になるのかどうかが
一番興味のあるところだったりします(ミもフタもねぇ聞き方でごめんなさい)
夢日記の人
ごめんなさい、久しぶりに来たので雪かきの話以降全然読んでません。
あれからどれくらい話が進んだのか、マサミとアリスがどれくらい苦労を重ねて来たのか
まとまって休みのとれる正月にでも一気呵成に読んでしまいたいです、すごく楽しみ。
必殺の30分テキトー劇場!! の人
うはw やっぱりこのスレの華はコレだよな、コレ!! GJ GJ GJ!
・・・てか、なんですか、これは、一番良いとこでブッち義理ですかw
駄目です、続きです、延長です、追加料金払いますのでもう30分延長して〜!!
蛇担当の人や蛇足の人、ピューマの人、鼠の人、やぎの人、サカナの人、ベスペの人
1年近くもご無沙汰してといてこんな事書ける手前ではありませんが、感想書かないまま
時間が過ぎてしまいました、ごめんなさい。
作品、いつも(時間が出来た時に)楽しく読ませていただきました。
最近はスレにも寄れず、新しい作品もまだチェックできていませんが、それでも
楽しみに待ちつづけていいですか?
やはりアルコール力は偉大だ、そうでなければこんな長文書き込みなど出来ないw
質問なんですが、過去に投下された作品の感想って何処に書き込めばいい?
このスレだと最新の投下分とゴッチャになって読み難くなる気がするけど問題ない?
おまいさんのその深夜のテンションに脱帽した。
別に問題ないんじゃね?
だれのどの作人に対する感想なのかかいとけば。
やっぱみんなちゃんと書いてるじゃないか……とっても安心した。
むしろ自分としては職人の皆様方にはゆっくりじっくりやって欲しいトコロ。
やっぱリアルの生活も大切にしにゃーな。社会人の方は特に。
この流れの中 スミマセン
半年以上停滞している『鉄(クロガネ)は凍月(イテツキ)と舞う』の作者です
ここ半年以上入院等の一身上の都合により中々書く暇がありませんでした
浅ましい限りだとは思いますが 続けて宜しいでしょうか?
続ける場合は年内完成を目指します
>241
阻む理由はありませんよ。続ける続けないは個人の自由ですから。
とりあえずガチムチウーマンアーミーには期待してますw
>>241 ダメとは誰も言わないと思うのですよ。むしろやれ。
しかし、年末締め切り多いなw。
>241
無理しないで自分のペースでね。楽しみにしてるよ〜。
>>241 体調崩さない程度にがんがれー。
応援してるよ。
ガチムチキャラって少ないな。ガチ親父や兄貴が活躍するのを見たいぜ。
獣人は基本ガチムチでは…
貧弱な獣人は想像できないなー
いや、ヒトがガチムチってこと。
主人公の多くが少年だったり少女だったりするから、たまにはMGSのスネークみたいな
ワイルドな男が獣人に抗い抜く話とか読みたいな、と。
だって物理的には勝てないんですもの。
武器が斬鉄剣なら何とかなるかもしれないが、銃器は弾切れたらおしまいだし。
存在が武器な勇○郎とか、厨房だと無敵化するヒトは別としてね
ガチムチの毛深いオッサンが落ちてきて、マダラみた〜い!とモテる話とかwww
>>248 愛気の承久みたいなキャラならやれるかもな。
「動く物なら170kgが1tでも投げられる。体重差が勝率に影響するようなお前らのレベルと一緒にするな」
と言ってのけるほどの達人なら。
しかし問題は
人を攻撃する犬が普通放置される事がないのと同じで
例え獣人に勝てる力があっても、それを行使するには誰か強力な権力の下にいるか
もしくはアンダーグラウンドな世界にいるしかないんだよな
もしくはさっさと逃げるだな
組織に対抗できるのは組織だけだ
ガチムチなヒトといえばドイツ軍人の話の続きが気になっている。
女性陣はたしかにローティーンがメインで、そういう意味でのバリエーションは
乏しいね。
30代40代以上だとヒロインに据えにくいからだろうが。
>>251 また随分知名度の微妙なマンガを引き合いに出したもんだ
俺はあれ好きだけど
普通はバキの渋川剛毅とかだろ
自分より力が強い動きが素早いってのは技術や機転である程度まで対抗できるとしても
魔法使われちゃったら9割9分負け確定な訳で
>>アンダーグラウンドな世界
頭の良さを気に入られて裏の組織に拾われた(または買われた)ヒトが権謀術数を駆使して
敵対組織との戦闘を勝利に導き内部抗争を生き延びやがて自分がゴッドファーザーになる
そんなサクセスストーリー
そこまでアンダーグラウンドじゃなくてもさ、いるじゃないか。
ソラヤきゅんが。
>>257 ソラヤきゅんとかレーマとか、戦闘力があっても美少年なら、
多少のやんちゃは捕まえた後のお仕置きの口実として黙認されるけど、
その点ガチムチ親父はかなり……なぁ……w
>>255 つ【クシャスラたん】
つ【槐公主】
つ【フローラ様】
つ【キャロ副主任】
一等自営業氏のキャラには辛い世界だなw
チヒロはハイティーンだろ。
さて、サブティーンのヒロインを考えるか。
大人の女性で落ちてきた人がほとんどいないな。
夢日記と凍月にちらほら出てくるくらいか。
やばい!
ウルトラ糞忙しいのに、たった今おれの頭の中に神が降りてきやがったぜ
我慢しても我慢しても出てくる下痢みたいに文章が溢れてきやがる!
ひたすらICレコーダーに記録したんだが、文章に文字起こしする作業が辛そうだぜ orz
年末進行なんて大嫌いだ!
落ち着け
とりあえず思いついた事をメモる事
んで、時間に余裕が出てきたらそのメモを自分流に繋げるんだっ
リアルを大切に
こっちは土曜日まで全く書く時間が取れねえぜw
たぶんみんな、同じ状態なんだろうな。
みんな頑張れ。俺も頑張る。
こちむいMr.コンとかみてみたひ
アカブに一票
なにゆえミスコンではないのかw
じーきゅんに一票
0票の同志、超がんがれ。
こんなのに負けて心と筆を折るんじゃないぞ。
アカブやジークの女装か
サトルに一票。
>>269 名指しで誉める流れになると必ずわくこういうレス、なんとかならんか。
フォローしてるつもりで逆効果だよ。盛り下がるし。
好きなものを好きと素直に言えない雰囲気を作るのは勘弁してくれ。
>>267 猫医院のトトロ先生に一票。
ラスキに一票
キオに一票
そしてあつかましく集計
アカブ 1
ジーク 1
サトル 1
トトロ先生 1
ラスキ主任 1
キオ 1
Mrか……(非性的な意味で)好きなキャラは一杯いるから一人に絞るのは難しいが……
葬らん将軍ことマフムード将軍に一票
ポール・スロゥチャイム公に一票
なんか性格的に凄く可愛い人だよ。
―現在の状況―
遠くの方で、ディン様が内裂の呪文を唱えはじめました。
セリス君も邪悪な笑みを浮かべています。
時男さんとフェイレンさんが諸肌脱ぎで拳をぽきぽき鳴らしています。
リュナ卿とカルロは剣を抜き、マサミとユウジはデザートイーグルに弾を装填しています。
一方、フユキとぼくとキョータくんとりょーとアズキは我関せずとご主人さまといちゃいちゃらぶらぶしています。
バジとバラムと主任以外の猫井テレビ野郎共一行は車座で男の魅力とは何かと熱く語りながら酒飲んでるかな。
俺はあえてイェスパーに1票
ダンディズムっていみならアッシュ
助演男優としてルキウスに一票
うーん、最近の投下作だと猫井の野郎共が一番好きっちゃ好きなんだが
メンバーの大半が男の尊厳奪われ予定なのが何となくアレだし・・・
ここは個人的にはじーきゅんに並ぶくらい好きな妹萌えの星ユパに一票を
ソラヤきゅんをお持ち帰りしつつヴィリー・ヴォーン氏に一票。
ところで、今週末に投下できそうなんだけど、投下してもいいだろうか。
人気投票のど真ん中で投下すると空気嫁とかKYとか言われそうな気がしてかなり怖いw
>284
全然おk。っつかそれの選択基準はなんなんだw
ショタを愛でつつSMプレイの変態度に定評のあるドイツ人ってw
元祖中年ヒトであるトクさんに一票
さらにあつかましく集計
1 アカブ
1 ジーク
1 サトル
1 トトロ先生
1 ラスキ主任
1 キオ
1 マフムード将軍
1 ポール公
1 イェスパー
1 アッシュ
1 ルキウス
1 ユパ
1 ヴィリーヴォーン
1 トクさん
このまとまりの無い集計は一体なんだ?w
>>287 むしろ0票ブラザーズの豪華さはなんとしたことだw
ただの名簿になってるじゃないかw
といいつつクリフ先生に一票
じゃー俺ファルムに一票
有効だよな?
何となく奴隷日記のキジ猫君に一票
ネット中毒でニートで引き篭もりという負け犬臭がいい
水着審査はブーメランビキニ。それ以外は不可!!
ただし、宗教的理由などがある場合には豆褌までは許可する。
ルンちゃんに一票
票の重複がまったく無い件について
ヒトの中で高い筋肉度といえば…誰だ?
本命:キオ 職業:消防士
対抗:ユウジ 職業:傭兵
大穴:ぼく 職業:マナさまのペット
鬼の貌が浮かぶ腰かw
303 :
284:2007/12/09(日) 14:08:00 ID:meFLZjl7
相変わらず、二人きりだとバカップルじゃのう。もっとやれw
gjです!!
部屋割からしてミコトは一人なのか…
ミコトの話も読みたいです
ああ、飯がすんごい旨そう
肉マン食いたいな、と思ったが中身が気になる
……まさか猫や犬が(ry
GJ!
ネコマンは嫌ァァァァァァwwww
GJ!
大丈夫、肉まんの中身は猪肉……
Σ( ゚Д゚)
逃げてーバジ逃げてー!!
久しぶりに来たが相変わらず平和なスレだなw
ざっと作品見返してみたんだけど、魚も昆虫もみんな一応卵生なのかな?
もしくは鮫みたいに卵生むけど体内受精だから性交可能みたいな感じなんだろうか。
>>310 ヒューマノイドの産卵シーンはグロを感じる人もいるから、意図的に触れていないんじゃないかって気がする。
トリのご主人様に卵暖めておくよう命じられたヒト
うっかりうたた寝してその間に孵る卵
刷り込み発動
「ぱぱー♪」とすっかり懐かれるヒト
冷たい水滴が顔に落ちてきて目が覚めた。
飛び起きて、顔を拭う。
そして、顔を上げたあたしは見事に固まった。
どこだ? ここは。
目の前に広がるのは暗闇だけ。しかも、空気はジメっとしていて若干寒い。
地に着いた手のひらからはゴツゴツした岩肌の感触。
あぁ。そうか。
瞬時に理解する。
ここは地獄だ。
あたしは自殺した。だから、きっと、そうだ。
暫く、ぼうっとしていたが、目が暗闇に慣れてきたので、ここから動くことにした。
岩壁に手を着き、恐る恐る歩いていく。
どうやら、地獄は洞窟のようなところらしかった。
今、あたしが歩いているのは、横幅が二車線道路ぐらいはある通路みたいなところだ。
天井はやけに高い。目で確認出来ないぐらいには高い。
ところで、地獄と言えば、鬼だ。遭遇したら、棍棒を振り回しつつ襲ってくるのだろうか。そうなったら、どうしよう? 走って逃げるのは嫌だ。走るのは嫌いだから。
そんなことをつらつら考えながら歩いていると、前方に小さな灯りが見えた。
どうやらそれはこちらに近づいてきているようだった。
あたしは立ち止まって、それを待ち構えた。
それが意外に高い位置にあると気づいたときには、もう奴の黒い翼がすぐ近くに来ていた。
悪魔。
そう思った。殆どは人と同じだが、肩からは腕でなくて、蝙蝠のような翼がはえている。
腰のところにカンテラを引っ掛けて、奴は飛んでいた。
なんてこったい。あたしは知らない間にクリスチャンになっていたらしい。
祖母が仏教徒だから、あたしもそうだと思い込んでいたのだが、目の前にいるのは鬼ではなくて悪魔。和風ではなく洋風。
どうせなら、日本の地獄に来たかった。閻魔大王を見てみたかったのに。
などと、くだらない思考を繰り広げて現実逃避している間に、悪魔はあたしの目の前で止まった。地面に足は着けていない。飛んだままである。
足と指先が震える。
あたしはこれからどうなるのだろう。
怖い。自殺した瞬間よりもずっと。
自殺した時は、もうこれで人生が終わると思っていたから、先のことなど怖くはなかった。
しかし、死後の世界が存在していることを知り、まだ人生が続くことを知った今となっては、先のことが恐ろしくてたまらない。
やがて、悪魔が口を開いて何か言ってきたが、あたしには悪魔が喋っている言葉が理解できなかった。
もしかして、日本の地獄じゃないから、言葉が通じないのだろうか。
悪魔は更に何回か話しかけてきたが、あたしが言葉を理解していないことに気づいたのか、困ったように押し黙った。
対するあたしはホッとしていた。
どうやら、この悪魔は危険ではなさそうだ。安心してから気づいたのだが、話し方もなんだか穏やかだった。
悪魔はあたしの顔を見て、翼をバサバサと羽ばたかせる。
どうも、付いて来いと言っているようだっだ。
あたしは黙って付いていく。
悪魔はあたしを気遣ってか、随分ゆっくりと飛んでくれた。
暫く歩いた後、小さな小屋に辿り着いた。
住居というよりは店というような雰囲気だった。
悪魔は二階部分にある窓から入っていった。
残されたあたしはどうしていいのか分からず、ただただ立ち尽くすのみ。
やがて、きぃという音を鳴らせて小さな扉が開いた。
さっきの悪魔が出てくると油断していたあたしは度肝を抜かれた。
そこから出てきたのは、山羊の頭をした男だったのだ。
思わず逃げ出した。走るのが嫌だとか言っている場合じゃない。
本当の悪魔だ。山羊の頭を持つ悪魔。
山羊など恐ろしいと思ったことはなかったが、顔が人の体の上に乗っかっているというだけでこんなに違うものとは。
頭からバリバリ喰われそうだ。
さっきの蝙蝠悪魔は、まだ人の顔をしていたので、そんな恐怖はなかった。
あたしは懸命に脚を動かしたが、すぐに捕らえられてしまった。
必死に抵抗するも、山羊の悪魔はびくともしない。
あたしは引きずられ、再びあの小屋へと戻らされた。
乱暴に檻へ入れられる。
その後、注射器のようなもので紫色の液体を体内に注入されたあたしは落ちるように意識を手放した。
コーモリ来た?
期待wktk
>>311 なるほど。参考にさせて頂きます、ありがとうございました。
コウモリキターッ!
続きが気になる
随分中途半端なところで止まってるな、連投規制か?
とりあえず評価保留だが、wktkして続きを待ってるぜ!
理想の生活
トラの国に土地を買い
イヌの建てた家で
オオカミの守衛と
獅子の料理人と
ネズミの家政婦を雇い
ヘビの絨毯と
キツネの家具があり
イノシシの酒と
ネコの魔洸機器と
カモシカの衣服に囲まれ
トリやサカナの友人から珍しい話を聞く
願わくば
健気なヒト召使の一人もいて
ウサギが愛人か妻でなければよい
>>321微修正
×カモシカの衣服
○ピューマの衣服と
カモシカの性的玩具
>>321 バロスwww
こちむい世界人的夢生活だな
>ウサギが愛人か妻でなければよい
って愛人か妻だったら駄目なのかよ!!?
……あ、いや、確かに駄目かもしれん
負けそうだし(性的な意味で
あとはヤギのお抱え楽士とハチの庭師もいれば完璧。
ところで理想の性活だが、ピューマの嫁と獅子の幼なじみとトラの姉さん、ネズミの義妹がいて、
ヘビの女王様に仕えて職場の同僚にカモシカの騎士、
近所にはネコの女教師とウサギの女医さん、イヌの未亡人が住んでて、酒場にはイノシシの看板娘。
これである日、家の庭にメスヒトが一人落ちてくればたぶん最強。
>ウサギの女医さん
「風邪ひいたの? じゃ聴診器あてるから服まくって、下は脱いで」
まで幻視した
でも主人公がウサギの男だったら?
うーん、ウサギは性方面に強すぎる印象のせいか
いまいちネタレスでも盛り上がり辛く感じるのは俺だけ……?
現状登場してるのが色々と強烈過ぎるキャラばかりで
話題に上げられても面白みに欠けると言うか……
ウサギは寂しいと死んじゃうのよ、爆発して。
すごい緊迫感。
>>329 怖えよw
自爆テロってレベルじゃねーぞw
性的に爆発するのは勘弁してほしいなw
まあ世の中には爆発してバラバラになった双子が一人分に繋ぎ合わされました
なんつぅシュールなウサギもいるわけだし
問題なかろ
>バラバラになった双子ウサギ
このビッチ!(えー
キレネンコがこちむい世界にいたら恐ろしいことになりそうだ
どうも
鉄(クロガネ)は凍月(イテツキ)と舞うの作者です
インフルエンザに感染して寝込んでいました
第2話を今週末位には上げられそうです。
第3話は三一日モノで書いているので三一日までに上げます
皆様 遅れに遅れてすみません
>>334 お疲れさんです。楽しみに待ってる。
でも無理はしないでどうぞお大事に!
別にウサギが貞操固守を否定しているとは思わんなー。
人口抑制策に都合の良い思想だし。
まあ、それだけにとどまらずテロルで革命しようとしたなら捕まりそうだが。
>>337 何度でもつっこむけど、「アトシャーマ」です。
>>337 この発想はなかったわw まあ確かにこういうのがあってもおかしくなさそうだあの国はwww
>>338 ウサギの場合避妊方法が充実してるだろうからこそ
貞操を守るって概念がなさそうだと思うけど
人を害さなければ何したってイイジャナイ理論が普通らしいから
「特定の相手だけとしかしないなんてなんてもったいない!」
「僕(私)が身をもって良さを教えてあげないと!」
みたいなノリで救いの手という名の調教とかしそうで怖い
(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
まあ万獣の詩さんの作品がまだ最後まで投下されていないから
俺の想像が勘違いだったとか誤解だったで済む可能性もあるけど
>>340 他に自の思想を強要しないから、それは少ないと思うぞ。
兎がかる〜くアプローチして、相手が不明瞭な態度したらグイグイ引っ張り込むかもしれんが
相手が明確に拒否したらザラキエル様ぐらいしか無理やりはないと思う。ん?ザラキエル様にオレって偏見もってる?
アッー!
ごめん最後のが書きたかっただけだ見えなかったことにしてくれ
ちょっとマナ姫からエターナルフォースブリザード食らって来る
343 :
340:2007/12/19(水) 00:46:48 ID:Ib5PwqIt
>>341 うん、まあ設定見るだけだとそう思えるんだけど
実際に作中に登場したあのウサギ夫婦や
キャロさんのお風呂シーンで出てきたウサギに対する評価とか見ていて
かつ魔法やら薬やらが潤沢なお国柄でそっち方面にも特化してるとなると
拒否する暇なんて与えずに洗脳まがいの勢いでヤられそうだなぁと
ちょっと考えすぎだとは思うけどね
344 :
340:2007/12/19(水) 00:51:29 ID:Ib5PwqIt
リロードしとけば良かったorz
>>342 メンゴ
江戸時代のエロ充実振りを考えると、現代より江戸時代の精力旺盛なおっさんが落ちてくる話も面白そうだ。
江戸っ子VSウサギ
「哀しいほど江戸っ子…… 滑稽なほど江戸っ子!!」
「や、それは求められてる方向と違うんじゃねーカナ」
最近ニコニコにはまってるんだが、シロクマ×ょぅι゛ょはありだろうか。
>>347 蛇担当氏が設定持ってるから、氏の許可が降りればおkだと思う>シロクマ
ただ、シロクマについては一年ちょい前に悲劇的な出来事があったんで、
正直、いい返事が返ってこない可能性もあるかと。
幼女という時点で個人的にはGOしてもらいたいんだがな
351 :
蛇担当:2007/12/20(木) 20:39:12 ID:qX44S4ra
オッケーですよ。
そもそも私の手を離れたモンですし、あの二人以外は手つかずに等しいし。
もうすぐクリスマス。
こちむい世界では、裸リボンでベッドの上にちょこんと座ってご主人さまの帰りを待つメスヒトが大陸の各地に現れる時期か。
そして種族を超えた男共が集い、しっと団として決起するんですね。
うつむき加減ですこし恥ずかしそうに座ってるミコトとか
ちょっと涙を浮かべてジーきゅんを睨みつけてるあたしとか
挑発的な上目遣いでアカブを誘ってるチヒロとか
ネコ三姉妹に無理やりフリルリボンで亀甲縛りにされてるぼくとか
裸リボンというだけで妄想が広がるのが言葉の力というものだな、うむ。
……ていうか、アトシャーマいったら旦那同士が
「じゃあ、プレゼントの交換と行きますか」
「いいですね」
とかいいながら、箱に入れた裸リボンの嫁や娘や姉妹を交換してそうだな、普通に。
旦那同士とは限らないんだぜ。
箱に入れた裸リボンの旦那や息子や兄弟も交換してるんだぜ。
性別が同じとも限らないよな
向こうは嫁でこっちは旦那とか
なんというフリーダム
だがそれがアトシャーマの性夜
金曜日のホームパーティーだろ
いつもかよwww
まさかウサギさんたちが箱の中に普通に入れるわけも無く
前に後ろにびっしり玩具をつけられ強い薬を入れられるも両手は拘束
暗い密室で交換会まで涎を垂らしながら悶え狂うプレゼント係
箱の中からの喘ぎ声をよそに和やかに進むパーティ
部屋のすみっこに棺おけのように並んだ箱からゴトゴト音がしなくなったころ
イきすぎてへろへろになったプレゼント同士を箱から取り出して肛姦
最後はプレゼント係同士で皆の前で痴態を披露したところで
・・・やっと1次会終わりとか
・・・しかし、兎の人もよくもまあこんな素晴らしきネタ種族を思いついてくれたものだw
そのころの書き手はみんないなくなっちゃったけど。
今のこちむいスレの最古参住人って、何年前ぐらいからの住人なんだろ(俺もうすぐ三年目)。
アトシャーマの性夜は、相変わらずドラゴンボール並みにインフレしてるな
>>363 兎の人からだっけ? ここまで強烈だったのって
兎の女性はともかく兎の男性も強烈な個性になったのは
アトシャーマガイドラインと万獣の詩氏の作品からだったような
あ〜、こんな可愛い子が女の子の筈がないというような獣耳ショタっ子を飼いたいなぁ。
ならばディン……いや、何でもない
そーいや、ここってあからさまにショタ系少ないね
マダラって言えどもじーさまや、ガチガチだもんな
もはや初期しかいないな
女の子として育てられた女装ショタっ子なご主人様というのはアリだろうか?
んで拾われるヒトは生真面目な青年なんだが、ショタっ子の妖しい色香にやられて…
むしろショタ同士の絡みが見てみたいぜ
普通の牡×斑 牡×人 斑×人 どれも美味しそうじゃないか
いや、流石にそれは。
腐ったお兄さんお姐さんがたに需要はあるが、板違い気味だとオモ
どうしてもやるなら注意書きとセットでtxt投下かと
ちょっとあったかい気持ちになった。ありがとう。
あの作品のその後がどうなっているかを規定しちゃってる辺りはパラレルと思うとして
切なくもあったかい気分になっていろいろとボルテージとかがグングン来ちゃってるぜ今畜生!!(嬉しい悲鳴)
賛否両論になりそうではあるけど超GJ!
この二人の話もっと見てみたいなぁ、幻視設定も面白いし
あと暗唱攻めとはマニアックなw
>>372 面白かったー!
こういうの好きだ。また読みたい。
びっくりしたァ―――
文章が某あの人とソックリで本人かと思ったぞ、おい
しかし、巧いな
別の人とはいえ読めてちょっと涙でたわ… GJ!
自分の中ではパラレルになるけど
この二人はこの二人でまた読んでみたいです
なんつーかGJ。
あと377後半に同意。何この見てて楽しいコンビ。
379 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 04:02:27 ID:qfLMzGdo
パラレルという扱いにはなるかもしれないけど
あの後二人が幸せそうに暮らしてるって分かっただけでよかったなー
もう一話ぐらいみたいな
ほんとにどうでもいい日常の話でいいから
>>379 いや、それ幻視
その後の2人(1人と1匹)の行方は誰も知らない…知られちゃいけ〜ない〜♪
こういうクロスオーバーする話、大好きです
またどこかでこの2人と出会いたいですね
"フライパンにカビた「目玉」焼きってどうよ実際"
作者の意図と違うモノを想像して激しくガクブル、マジ怖ぇ…
それにしても。
せっかくのクリスマスイブに飯に誘えるお相手もなく年末進行に追われる俺と、
種族は違えど一生を捧げられる相手がいる一部の落ちもの少年少女のどちらが幸せなのかと考えると切なくなるな。
例えそれが、、身も心も捧げざるを得ない消極的依存だったとしても、それでもなお誰かに必要とされてるなら、
それは間違いなく素敵な事じゃないか、例え種族は違うとも。
おいらもこれから必要とされてるところに行ってくるよ。
せっかくのクリスマスイブだって言うのに、客先へ謝罪行脚・・・・
マジ死にてぇ orz
生`
――十数年後
「サトラー?サトラー?」
絢爛豪華、にはほど遠くも掃除の行き届いた王宮の廊下を一人の少女が人を探しながら歩いていた。
蛇の沙漠の一国の王宮にありながら、その少女はヘビではなかった。すらっと長い手足にしっかりと
筋肉の乗った女偉丈夫。そんな鍛え込まれた身体の上には、白い巻き毛と垂れた犬耳の付いた童顔
が乗っていた。だが、犬耳を有していながらも彼女はイヌではなかった。
角が生えていた。額の髪の生え際から緩く湾曲したカモシカの角が二本、はっきりと生えていた。
だが、そんな異形であろうとも生まれてから十数年も経てば、本人にとっても周囲にとってもただの日常でしかない。
「あら、リーザ様。殿下でしたら少し前に工房に向かわれていましたよ?」
異形に臆することなく、通りがかった女官が声をかけた。
「そう、ありがと。……まあた機械いじり?まったく、一国の王女って自覚が無いのかしら」
「陛下も、殿下にはお甘いですから」
王族に対してやたら気安い言葉を使うリーザ。だが、女官もそれを咎めるでもなくにこやかに話を合わせた。
「それじゃ、ちょっと行ってみるわ。そっちが見かけたら、陛下がお呼びになってるって言っといて」
「はい」
女官と別れてリーザは王宮の離れにある工房に向かった。
さして広くもない中庭を抜けて、王宮の規模にしては大きめの工房にたどり着く。はたして探し人はそこにいた。
ケールを持った少女、を模した機械人形が机の上に完成しており、机に一人の少女が突っ伏して涎の
池を造っていた。肩口で切りそろえられているはずの黒い髪はぶわーっとだらしなく広がり、スカート
の中から伸びる大蛇の身体はでろーんとだらしなく床に伸びきっている。
「サトラー?」
「むにゃ、もうたべれないよお……」
母親譲りの美術品めいた美貌もこれだけゆるんでると台無しだ。呼びかけても答えないサトラの肩をリーザが揺する。
「サトラ、ほら起きて」
「うーん、でも甘い物は別腹だよぉ……」
「……」
この期に及んでいまだ寝言を抜かす大物ぶりに業を煮やしたのか、リーザはサトラの耳を掴んで頭を
引っ張り上げた。そのまま耳に口を近づけて大声で呼びかける。
「アルサトラ=アンフェスバエナ王女殿下はいずこにおわすや!?」
「にゃあっ!?」
びくんと上半身が跳ねる。痛みと驚きで混乱するサトラがリーザを認めて抗議した。
「お姉ちゃん!いきなりなにすんのー!!」
「起きないのが悪いんでしょ!というか、こんなところで涎垂らして寝ない!あーもう、べたべたにしちゃって……」
「うわ、ほんとだ?」
叱りつつもハンカチとりだして顔を拭いてあげるあたりリーザも相当過保護なのだが、本人にその
意識はないようだ。拭かれるサトラもされるがままに慣れているようで嫌がる様子もない。
「まったく、少しは王族の自覚を持ちなさいよね」
「えぇー、だって所詮は属国の王族だしそんな堅苦しく考えなくても」
「そうも言ってらんないかもよ」
「え?」
聞き返すサトラにリーザが眉間の皺を深くして続ける。
「陛下がお呼びよ」
「お母さんが?」
「例の養子の件、どうやら確定らしいわよ」
「えー!!だって、何で私?」
「そりゃ、あの方の親族でそれっぽい年頃のっていうとあんたしかいないもの。あの方、子供には
恵まれなかったし」
「でも、そんなの困るよ……」
「そーゆーのから自由になれないのが王族って仕事よ、諦めなさい。……とにかく、陛下とちゃんと
話しあってきなさい」
「うん……」
ずるずると下半身を引きずりながらサトラが女王の所へと向かう。遺されたリーザはふと機械人形に目をやった。
ずいぶんと精巧な人形。机の上の図面を見ると、どうやら手に持ったケールを回すとゼンマイが巻上がる仕組みらしい。
興味が湧いたリーザはゼンマイを巻き上げてみる。ゼンマイを巻いて手を離すと、ゆっくりと音楽がなり出した。
「一からオルゴールを作ってのける機械マニアが次期アディーナ女王ね……。どんな国になるのやら」
ため息を一つ吐く。
どうやら、自分がついて行ってやらなければならないようだと思いながら。
第九話
ttp://0cgi.net/rent_h/bbs/sr3_bbss/sr3_bbss/31nachtum/73_1.txt 最終話
ttp://0cgi.net/rent_h/bbs/sr3_bbss/sr3_bbss/31nachtum/74_1.txt
386 :
蛇担当:2007/12/24(月) 21:36:32 ID:12kUIBxw
おおっと、書き忘れた。
「放浪女王と銀輪の従者」です。
>>386 9話と最終話の展開の差にびっくりした!
って言うか、とうとう、とうとうこういうの来ちゃったか……!!
色々な意味で泣いた!! つД`)・゚・。・゚゚・*:.。..。.:*・゚
ああ、なんかもう衝撃的な展開に良い言葉が思い浮かびませんが
何はともあれ、完結おめでとうございます!
これは……激しく欝だが、GJというしかないな。
読み応えあったし。
しかしこうなると、こっちは意地でもハッピーエンドを書き上げてやるという妙な意欲が沸いてきたw
ヒトが幸せな老後を生きるという不可能を、俺が可能にしてみせると誓いたい気分。
うわああああああああああ!!!!!!!!!!!
完結おめでとうございますうう!!!!!!!!
どうしよう。マジ泣きしそうなんですが。・゚・(ノД`)・゚・。
正直、これはすごい。God Job!
>>385 あまりにいろいろなものが込み上げてきて…GJという言葉しか出てこない…
読んでる途中はこんなんしちゃってこの世界平気かよとかいろいろあったけど
読み終えるともう言葉が…本当にGJです
完結おめでとうございます
そしてお疲れ様でした
8時から仕事だってのにこんな時間まで読みふけっちゃったよ('∀`)
異種間交雑といえばライガー(ライオン♂×トラ♀)とかラバ(ロバ♂×ウマ♀)とかの扱いってどーなるんだろーね
共に身体的能力において両親の種族を凌駕するけど繁殖力に恵まれない生物なわけだけど
>>391 >異種間交雑
一応、多大な手間はかかるけどネコのキメラ生成やカモシカのヒポグリフという形での混合種はすでにいる。
ただ、ザラキエル博士のすごいところは、カモシカが国家規模で何百年がかりでまだ実験段階、
かの血まみれフローラでさえ多大な失敗を行っている事柄を、一個人の力でやったということ。
馬鹿となんとかは紙一重とはよく言ったものか。
あと、ライガーに関してはそれぞれの国が大陸の極東と極西にあるという地理的条件考えると存在しない気がする。
>>385 感無量。
悲しいけど、楽しませて頂きました。
これ以上言えねえ…
昨日はいろいろ衝撃でGJとしか書けなかったけど、改めて考えると、
命を投げ出せるというのは、相手を「もう自分がいなくても大丈夫だ」と確信できるだけの完璧な信頼がないとできないよなぁと。
それ考えると、この三人(精霊一名含む)は切ないな。
……それにしても、正直サトルだけは不死身だと思ってただけにまだ気持ちが落ちつかない。
396 :
蛇担当:2007/12/25(火) 22:18:54 ID:h3fUKKSi
>>387-395 皆様方におかれましては最後までご愛読いただきありがとうございます。
……愛されてたんだなあ、サトルは。
>>388 スゲエ読みたいので頑張って下さい。レッツはっぺーエンド。
>>391 「怒りの獣神」みたいになるんじゃないですかね?(年齢踏み絵)
>>392 言われてる本人の言を借りれば、「馬鹿だから天才」なのかもしれませんがw
>>395 やたらタフな男でしたからねえ。
折られても砕かれても、倒れない。今になって思えば、そんな奴になっていた気がします。
>385
何も言葉が思いつかない。
ただひとつだけ言えるのは、読み続けてきてよかったということです。
完結おめでとうございます
これで終わりなのかと思うとより切ない気持ちになるなあ
聞いてみたいんだけどこの結末は物語を書く当初から決めてた事?それとも話を進めながらだった?
スレ乱立中につき保守
402 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 20:47:21 ID:aOo2sxg5
保守age
巡回スレが落ちてたからこちらだけでも保守orz
ほぼ投下の直後に来るのな……。
念のため保守
それでもザラキエルなら、ザラキエルならなんとかしてくれる…
俺はそう信じてる…。・゚・(ノД`)・゚・。 サトル…
407 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 11:04:26 ID:gk1KhxkA
誰も突っ込まないからあえて突っ込む。
…前書きのケール少女型オルゴール、絶対ロイツマが流れるだろw
……ロイエンタールの妻?
しかし、まとめサイト管理人さん、今月は修羅場が続いてるんだろうな。
ケールといったら緑と白で細長くて、刻んで薬味として鍋やうどんに入れる、
イヌやネコに食べさせるとアウト(ただしこちむい世界の人には安全)で、
風邪を引いたら首に巻いたりしりに突っ込んだりする食べ物だろうに。
>>385 読みながら、マジで吹き、マジで鳥肌立ち、マジで驚き、最後マジで泣いた。
どんなに忙しくても、どんなに仕事だらけの日常がつまらないと思っていても、
ここの作品読んでる時は最高に楽しい。寝るのを忘れて読んでしまう。
やっぱさ、俺このスレの存在を知っていてよかったよ。
心の底からこう思いました。
なんかもう投下された瞬間に立ち会えなかったのが凄い悔しいくらいです
これからの12/24は、どこまでも格好良かった一人の男を思い出し、そっと追悼の祈りを捧げたいと思います。
完結おめでとうございます
そしてお疲れ様でした!
遅れてすみません
鉄(クロガネ)は凍月(イテツキ)と舞う
の作者です
投下は三十一日に二話三話同時になります
>>385
貴方の物語を読んでこのスレに来ました。
お疲れ様でした!!
417 :
372:2007/12/28(金) 22:28:53 ID:/PquMO6K
空気を読まずに、パラレル書いた者です。
安西先生、本当の最終章が読みたいです。
ありがとうございます。本物じゃなくて御免なさい。
犬と羊のほうは小ネタはいくらでも浮かぶのですが
どう足掻いてもエロパロ板になりません、本当に(
文章は似せる努力は当初したのですが途中で半ば諦めました。
ディン様ならそっちの目玉焼きもきっとやってくれると思います。
所で、例のお2人のお互いの愛情パラメータが足りない場合と、
助けてと名前を呼ばれても効率優先で出て行かず、結果的に
あたしの負傷度が中→重に変化していて最後の最後で蜂の一刺しが
出来なかった場合。駐屯所に戻れず仕舞いのパラレルも
あっただろうなと思います。
お礼と年賀状代わりを置いていきます。よいお年を。
ttp://0cgi.net/rent_h/bbs/sr3_bbss/sr3_bbss/31nachtum/75_1.txt
>>406 ザラキエル宣わく、
「同じ遺伝情報を持つ個体を作ることは可能だ。
それが本当に『サトル』なのかどうかは、我輩が決める事ではないが」
だそうです。
>>407 なななななな何を根拠にっ!?
もしかしたら「たぴ☆ぱん」かもしれないじゃないですか!!(余計ダメだ)
>>414 本気で楽しんでいただけたというのなら、書き手として本懐というものです。
んでも、12月24日はもーちょっと別の事に使いましょうよw
>>416 >貴方の物語を読んでこのスレに来ました。
マジデスカー!?光栄です。僥倖です。恐悦至極です。
……てか、なぜこちむいより先に放浪女王?
>>417 GJ!&良いお年を!
それと一言。
>神様仏様お願いです、ハンターの最終回の載ってるジャ●プでもいいです…
贅沢にも程があるぞwww
やっと規制解除されたんで・・・・(汗
>>385 物語の完結、おめでとう御座います。
そして、最後まで読み応えのあるお話をありがとうございました。
ぶっちゃけますが、おそらくサトルは死ぬだろうなと思ってました。
何て言いますか、各側の本音の深いところで言うと・・・・
死んでもらったほうが物語を終らせやすいよなぁと思ってました。
でも、改めてその展開を読むと胸が痛いですね。
愛されるキャラでしたから、こうやって終らせるのは作者としても辛いだろうな・・・・と。
2次キャラではなくて自らに作り出したキャラですから、言うなれば自分自身の一部ですよね。
その存在を生かしも殺しも出来るのは作者だけですから、最後の最後でなかなか死なない部分は、
作者自身も躊躇っているようにも読めてしまいます。
次の世代の視点で物語を締めくくる。
その部分が一番の救いなんだと思います。
充電されて、そしてまた新たな物語を紡ぎ出される日を楽しみにしています。
ひゃっほおおおおおおい
ウェエエエエイ
エロなしでも面白いもんはやっぱり面白いなァこんちくしょーw
ゆかりちゃんいいよーゆかりちゃん
>>417 小ネタでも面白いから気にならないんだぜーGJ!
でもパラレルでいいからこの二人がエロ完走してるところ見てみたーいw
>数字向けの設定は通るでしょうかどうでしょうか。
その設定がどう生かされるかとか
実際にそのシーンを書いた時住人にドン引きされるかどうかとかの諸問題はともかく
設定自体は通るんじゃないかなぁと
既にウサギみたいにぶっ飛んだのも存在はするし
避難所が点呼モード入ってるからこっちで質問。
……こちむい世界で宝石の産地ってどこだろう。
狗国には100%ないのだけはわかるけど。
宝石っつったって種類によって産地が違うからなあ。
こっちの世界にある宝石だけじゃないだろうし。
それはそうだが。
しかし、宝石とか貴金属とかみたいな高価な特産品は、職人の人たちが自国の産業にするのを自重してるし、
いざ宝石をネタに使おうとすると結構出自に困る。
蛇か猫あたりでいいんじゃない?
見聞録で蛇と猫の宝石絡みの話ってなかったっけ?
人を惑すものということで、産出ならやっぱり蛇かなと。
で、加工なら犬の国の捨てがたく。
こっちの世界でも、たとえばベルギーなんて
ダイヤモンドが出る訳でもないのにダイヤモンドの加工では世界トップクラス。
>>427 宝石とチョコレートは産むところと売るところが違うからな。
そー言う意味ではカモシカ当たり宝石鉱山の利権が買いたたかれてそうだが。
>>426 夢日記じゃ狼の国で産出した金属をカモシカの国で精製し、兎の国で加工したって記述があったな。
単純に地下資源って視点なら、それらが豊富な山岳地域に押し込められた狼って風じゃないかと。
ただ、貴金属じゃなくて宝石の場合は、魚の国の深い深い海底にある魚以外はたどり着けない鉱脈とか、
そういうのもありかなぁと。
そうか!魔法の宝石とか独自の性質を秘めた宝石とかいう
ファンタジー全開な要素もアリなんだ!
それゆけファンタジー!魔法バンザーイ!呪いバンザーイ!幻想バンザーイ!
ちょっと作品考えてくる
最大の産出国は、実は地下に存在するモグラ地下帝国という電波を受信しました。
モグラ【土竜】/アースドラゴン
はるかな古代、争いを嫌って地上を去ったと言われる幻想種。
地中の巨大空洞に無数の集落を作って暮らしていると言われる。
今ではかつて駆け抜けた空の存在を忘れ、文化レベルも後退し、
「天の光はすべて敵」と怯えながら暮らしていると言う。
>>430 > そうか!魔法の宝石とか独自の性質を秘めた宝石とかいう
> ファンタジー全開な要素もアリなんだ!
>
> それゆけファンタジー!魔法バンザーイ!呪いバンザーイ!幻想バンザーイ!
ガイガーカウンターに反応する宝石とか。砕いてゆでるとカン水が出来る宝石とか。肩に貼ると凝りがとれる宝石とか。舐めるとしょっぱい宝石とか。
>>428>>435 リュナ「ふっ、実はこの国では“黒いダイヤ”の異名を持つ炎の魔石がいくらでも採れるのさ、はっはっは……」
フィリーヌ「……それ、ただの石炭だから」
ベリル「それに、ル・ガル国内でも普通に採れるから」
リュナ「…………」
だが狗国で石炭取れたら冬になるたびに凍死者続出(見聞録、夢日記)にはならないような気もする罠
イヌの国民が死にすぎ死にすぎいうが、19世紀末倫敦では毎日3000人の人間が死んでいるぞ。
……毎年110万人、十年で1100万人……(((;゚Д゚)))
いやいや、石炭が取れても自国で使うとは限らんぞ。
貧乏なイヌの国は、売れる資源はとことん売りさばいて金にしていこうとするんじゃないか?
国営の鉱脈なんかで働く工夫ならもらえるかもしれないが、それ以外の人間に行き届いてるとは限らないと思う。
まぁ、19世紀のイギリスだって産炭地だし、
倫敦の霧なんて石炭スモッグだったって言うしな。
猫の商人が鉱山を独占、地元民を酷使、
もちろん精製する段階で出る化学物質のせいで周囲の環境も健康もえらいことに とか。
ありそうで怖い
こうして読んでると犬国の国民が本気でかわいそうになってきた
じーきゅんやクリフ先生の家庭は相当恵まれているわけだな。冷蔵庫もあるし
>>443 まあ、ジーきゅんはGARM最強の戦士だからともかく、クリフ先生は……
たぶん、ぼんくら探偵は仮の姿で、実はネコの国の情勢を本国に送るGARMの敏腕調査員だったとか。
さて、猫井観光の新春ツアーは多分、こんな感じなんだろうか。
・狐耳国で初詣
・獅子国で爆竹と美食
・山猫亭のおせちとヤギ楽団の年越しライブ
・フロミアとルカパヤンでヒト文化体験。百人一首と凧揚げ
・スキャッパーで雪かきと温泉旅行
・猪国で新酒と博打三昧
・アトシャーマで年越し二千人組手(要性命保険)
そういえばシュバルツカッツェを走る路面電車って、
こちらの世界で言う私鉄なのか国鉄なのかなぁ。
んで新年は盛大に祝うのかなぁ。
新年といっても、イヌやヘビやカモシカは落ち着いて祝えない奴が多いだろうなあ…
代わりにネコやウサギなんかはもう死ぬほどはっちゃけそうだけど、もちろんウサギは性的な意味で
新年の区切りをどこに置くかでまた変わってくるかと。
冬至とか、月齢基準とか、山の雪が溶けてからとか。
ところでワンコ軍人と女軍人マダー?
お年玉をおくれぇ
>>447そうか、新年の始まりの日もこの世界と違うんだった。
こちむいでは冬の真ん中くらい?な雰囲気だけどね
>>450 リアル世界でも、中華文化圏は旧節を祝うしね。
季節の概念がないウサギは月齢基準だろうし、サカナなんかは潮の満ち引きで決めてんのかも。
二つの月で太陰暦は実は複雑かもしれない。
一ヶ月が40日から20日まで月によってバラついてたり、うるう月があったりして。
453 :
イノシシ国:2008/01/03(木) 22:07:30 ID:cy8Ve+L5
明けましておめでとうございます。
旧年中は御世話になりました。
本年もどうぞよろしく御願いします。
題名:イノシシ国 ヒト編 参
注意:やや鬱描写
454 :
イノシシ国:2008/01/03(木) 22:08:03 ID:cy8Ve+L5
参
髭が伸びた。
仕方なしに伸ばした無精髭が、もみあげまで伸びてきて繋がっている。
瓶の水で顔を洗い、手拭いで顔を拭って振り返ると、ご主人様がちょうどあくびをしていた。
「……おはようございます」
ご主人様は鷹揚に頷く。
外は陽気も手伝い、春から初夏の雰囲気を漂わせつつあった。
そろそろ一張羅の洗濯もしたい時分で、俺は下着姿で泥だらけのズボンと靴下を水洗いし、ひなたぼっこをしながら、上も干す。下が生乾きでも乾くと、ズボンだけ履いて、今度は下着の洗濯にかかる。
ご主人様は、そんな俺をただ眺めていた。
切り株に腰掛け、焦げ茶の硬い髪と小さな耳が、日の光に透けている。
ご主人様がいつも身に纏っている衣は、胸の大きさを覆いきれないらしく、胸元はいつでもはだけていた。膝小僧の覗く衣の丈の長さも、長年着込まれた生地の感じも、何もない家と相まって、貧乏なのか、無頓着なのか、よくわからなくなってくる。
ご主人様は物を持たない。
ご主人様が元々持っていた物は、この家と、大きな水瓶と、薄い掛け布団と、数枚の手拭いと、身につけている衣だけだ。履物すら無い。いつも裸足だ。
食べ物は、捧げ物や、山の物を適当にとって食べている。家の中では火を使わない。
用を足すのも、外で行う。
不便きわまりない暮らしのはずなのに、ご主人様は気にも止めず、日中はどこかへふらりとでかけるか、俺に用事を言いつけて、山を下りさせる。
家は、本当にここで人が暮らしているのだろうか、というほど、生活感が無かった。
土間に増えた荷物は、俺が下から持ち帰ったもの。
大きな背負い籠も、農具も、それから、僅かばかりの食器や身繕いの品も。
なんとか、箸だけは自作した。茶屋でこっそり余った竹を分けてもらい、慣れない鉈のような刃物と格闘して。
ご主人様は、物が増えても何も言わない。
俺の生活の匂いだけが日に日に濃くなっていくのに、ご主人様の生活感と言えば、酒を呑む時と、飯を食らう時だけだった。
いや、一度だけ、様子がおかしかったことがある。
あの早朝だ。
けれども、俺にはあれが夢なのか、現なのか、よくわからない。確かめる勇気もない。
目が覚めたら、ご主人様が傍らで眠っていただけで、それ以外の物証は何も無かった。
次の日からはまた元通り、朝目覚めてもご主人様は隣にいない。
いや、ちょっと違うか。
ご主人様は外にいるのだ。
今朝みたいに。今みたいに。
ご主人様はただ、俺を見ている。
視線を合わせないように、洗濯に励む。
「ゴボウ」
洗濯が一通り済むと、ご主人様が口をきいた。
「これを里長に届けてくれ」
ご主人様が出してきたのは、あの小さな壷だった。果たして蜂蜜は後どのくらい残っているのだろうか。
「儂は留守にする」
「どこへ行かれるんですか?」
「山巡りだ。こう見えてもこの周囲六山は儂の掌中での。たまには周らなくてはならんが、近隣はともかく、一番遠くまではそうそう行けぬ」
里向こうには確かに、他にも山が見える。
そこまで行く気だろうか。
「帰りは?」
「…わからぬ。だが里には泊まらずに帰ってこい。儂に属する者なのだからの」
ご主人様はいつものように言った。
簀巻きにされた出会いは、供物を山に捧げる儀式だったようで、俺は山のヌシであるご主人様に属している。
山と里は厳密に分けられているようで、行き来は普段無い。
俺も、いつもは、里境の茶屋まで往復して、斎をもらって帰ってくるだけだ。そして、必ず日帰りだ。
455 :
イノシシ国:2008/01/03(木) 22:08:34 ID:cy8Ve+L5
「わかりました、ご主人様」
生乾きの服をどうしようか、と考える。
今身につけているのはズボンだけだ。
「これでも着ていけ」
ご主人様が、自ら着ていた服を……、脱ぐはずも無く、傍らに置いていた布の固まりを投げてよこした。
袖がぼろぼろになった七分袖の着物だった。丈も短い。
俺が羽織るとちょうど肘までの袖に、腰の半ばまでの丈になる。
少し埃っぽかった。
「これは?」
「昔の衣だ」
後から帯も投げてよこされる。
俺はそれをいい加減に結ぶと、素足にスニーカーを履いた。
「いってきます」
振り返ってそう言ったが、もうご主人様の姿は無かった。本当に神出鬼没だ。
仕方なく壷を小脇に抱え、茶屋への小道を下る。
「こんにちは」
俺は店先で声をかけた。
「いらっしゃい……なんだ、あんたなの」
茶屋の看板娘は相も変わらず不機嫌そうだ。
「いつもお世話になってます、ミクル様」
軽く頭を下げる。
なんだかんだ、毎日通って、俺は彼女の名前だけは聞き出していた。この辺りでは名字は無くて、区別する時は、住んでいる場所や、父親の名前を上につけるらしい。元々名字なんてそんなものだったのかもしれない。
「何よ。気持ち悪いわね、本題は何」
勿論、自分の名前も名乗っている。呼んでくれた試しがないが。
「あのさ、里長の屋敷ってどう行くんだ?」
ミクルの視線が、届け物の壷にちらりと注がれた。
「それを分けてくれたら教えてもいいわ」
中身は単に蜂蜜だったはずだ。
「甘いものが好きなのか?」
「なっ」
ミクルがみるみる顔を染めた。
「『白膚』じゃないんだから、そんな訳無いでしょ! それより、それがヌシ様から里長様にってことはアレなのよ、アレに変わってるのよ!」
なんで甘い物好きが白膚と関係するのか、そもそもおまえは色白じゃないか、とか。いろいろ疑問は尽きないが、俺はミクルの迫力に押された。
「アレって?」
「アレに決まってるでしょ。いつもお斎を捧げてるあたしが分け前貰ってもいいはずよ」
「だからアレって?」
ミクルは、ようやく、押し問答の徒労に気付いたのか、冷静さを取り戻した。
「蜂蜜酒よ。自力で作ろうとしても失敗するのに、ヌシ様のは絶妙なの」
そんな物を作っていたとは知らなかった。
「先代にも劣らないって、里長様がおっしゃっていたわ」
「先代?」
「ちょっと前までは、ヌシ様は先代の御代だったらしいわ。あたしはまだ生まれる前だけどね」
「へえ。でもまあ、これはご主人様から里長への届け物だから、里長に聞いてみないと何とも」
ミクルは俺を見て、溜息をついた。
「里に入るの?」
「ああ」
「ま、あんたも少しはがっちりしてきて、髭も伸びたから、前よりは軽んじられないかもね」
「だといいんだがな」
正直里人にあまりいい印象を持っていない。
「気をつけて」
「ああ」
俺はミクルに道を教えてもらい、茶屋を後にした。
456 :
イノシシ国:2008/01/03(木) 22:09:08 ID:cy8Ve+L5
水田と、畑。
そんな光景の畦道を歩く。
時折農作業をしている、イノシシの女が、手を止めてこちらを見やる。
でも、前みたいに襲っては来ない。だが、近寄っても来ない。
太陽が中天に昇って、俺の長い影が、畑を横切っていく。
昼過ぎにようやく、俺は里長の屋敷にたどり着いた。
何処からか、子供達の声が聞こえてくる。
俺の肩辺りまである高い生け垣の中に入ると、声がぴたりとやんで、静まった。
見られている。
視線だけが、何処からか、俺を見ている。
ため息をついて、玄関へ向かう。
俺がここに来て最初に連れてこられた、あの土間だ。
何ヶ月ぶりだろうか。よくわからない。
一ヶ月半くらいかな。
「誰じゃ」
正面の衝立の後ろから、幼い声がふたつ。重なって言う。
「御山の、供物に捧げられた者ですけど」
これで、わかるだろうか。
ん。
気配がドタバタと去った。
「……来たか、久しいな」
奥から里長が姿を現す。今日は藍染めの着流し姿だった。
両脇にはミニサイズの里長……、じゃない、イノシシの子供がむすっとして、こちらを睨んでいる。
格好からしておそらく女の子だろう。見た目年齢的には小学校高学年ってあたりだろうか。まだ、髪の毛にメッシュが入っている。
「かかさま、こいつ誰?」
「かかさま、こいつ何?」
両脇から双子の姉妹に尋ねられ、里長は相好を崩す。
「御山に捧げたヒトだ。ほら、春先に騒ぎがあっただろう」
「これが?」
「あれが?」
「シンヤです。その節はどうも」
俺は頭を下げた。
「……その名を、ヌシの前で言ったか?」
すっと真剣な眼差しに戻った里長が尋ねる。
「いえ、聞いてもくれないし、言わせてもくれません。いつも『ゴボウ』と呼ばれています」
「ゴボウ?」
「ゴボウ!」
姉妹が愉しげに名前を連呼した。……言いたくなかったぜ。
「ゴボウか。ではわたしもそう呼ばせてもらおう」
里長が笑いながら言った。
「いえ、出来れば、名前の方で……」
「ゴボウ!」
「ゴボウ!」
俺の抵抗は無駄だった。
「で、用向きは何だ、ゴボウよ」
「……これを、ご主人様より預かってきました」
俺は土間に突っ立ったまま、壷だけを玄関の畳の上に置く。
里長は跪いてそれを確認した。
「ふむ、蜂蜜酒か、久しぶりだな。後でいただくとしよう」
「あの……」
「なんだ」
「それをミクルの奴がちょっぴり欲しがっていました」
言うだけ言ってみる。
「ミクル?」
里長が首を傾げた。
「ミクル!」
「赤毛!」
双子が叫ぶ。
457 :
イノシシ国:2008/01/03(木) 22:09:51 ID:cy8Ve+L5
「ああ、茶屋のあの娘か。元気にしているか?」
「はい。いつも世話になっています」
「そうか。それはよい」
そう言って、里長は奥に入っていこうとした。
どうやら、ミクルの願いは叶いそうにない。
「ああ、そうだ」
里長が振り返る。
「ちょうど、忙しくての。子守を頼みたい」
「子守?」
里長の足下にまとわりつく双子がこちらをじっと見つめた。
値踏みされていないか? 俺。
「どうせ、夜までに帰ればいいのだろう? 昼餉は用意してやるから、面倒を見てくれ」
どうやら決定事項のようだ。
「わかりました」
俺は頷く。
里長は満足そうに笑んだ。
「その髭、似合っているぞ」
「どうも」
>>452 二つの月が同時に蝕に入るとき、ヘベリットから
無数のウサギが……
459 :
イノシシ国:2008/01/03(木) 22:13:16 ID:cy8Ve+L5
子守り、というからには、双子の相手か、と俺は思っていた。
だが、生け垣を抜けた時の視線はそれ以上にあり、今、俺は足下を固められて途方に暮れている。
「ヒゲだ」
「ヒトだ」
「デカい」
ちまっこい服を着たうりぼうが数匹。
それに混じって、獣耳の女の子が数人。
こいつらのガキ大将は、里長のところの双子らしく、今は黙々と給仕をしている。
「そこ。並べ」
「飯、やらぬぞ」
わーっと、俺の元から散っていく子供達。
両手で数えられる程の人数だが、とにかくやかましい。
「ゴボウ。おまえもだ」
えらそうに、双子の片方が命ずる。
「へいへい」
里長の屋敷はどうやら日中は保育園のようになっているらしい。
母親達はそれぞれ、農作業にいそしんでいる。
里の全部の子供達が集まっている訳ではない。小さな子達ばかりだ。
双子だけが、飛び抜けて大きい。
俺は久々に賑やかな環境で、飯を食べた。
うりぼうの子供も、獣耳の子供も、皆同じような短い着物を着ている。うりぼうの方は、足が蹄。獣耳の方は、俺と変わりない。皆、同じように小さな牙と、剛毛と、尻尾と、小さな耳を持っている。
俺は一人髭面のヒトで、背丈はちび共の倍近い。
遅い昼食の後は、ねだられるままに、高い高いを一人三回繰り返し。ジャイアントスイング等もやってみて。くたくたになったところを、里に連れ出された。
田畑は、芽が伸びて、草になった一面の青に彩られて、そよ風を受けて、きらきらと光っている。初夏の緑はまぶしくて、日差しの中を駆けていく子供たちが、俺の周りを駈け回りながら、俺の手を引っ張っていく。
「こっちこっち」
用水路だろうか。ちょっとした川のほとりに連れてこられる。
土手沿いにはちょっとした木陰もあって、俺はへばって、座り込む。
「小魚がいるんだぜ」
「虫も」
「捕ってみせてよ」
ねだるガキ共に、手を振る。
「……さすがに、無理」
息が切れて、しゃべりにくい。
「ゴボウだなあ」「ゴボウだ、ゴボウだ」
ひどくがっかりしたような口調で言われる。
何なんだ? ゴボウって。
「なあ、ゴボウってどういう意味なんだ?」
「食べられない」「役に立たない」「ひょろ長い」
そういえば、イノシシ達は案外グルメだ。
ゴボウのささがきが飯に入っていたことは一度も無い。
ご主人様もそういうネーミングだったのか。俺はひそかに落ち込んだ。
だが、落ち込む暇も無く、再び里の中を連れ回され。
里長の屋敷に戻ってきたのは、夕暮れ時だった。
「世話になったな」
里長は、俺を労い、荷を持たせた。妙に軽い、包み紙に覆われた荷物。
「なんですか? これ」
「おまえのその上着。昔ヌシが着ていたものだろう」
「……そうみたいっすね」
「そんな襤褸を着せて寄越したということは、そういうことだ。いや、あやつにも色気が出たとは、喜ばしい。これからも仕えてくれよ」
里長は目元に笑い皺を滲ませて言った。
ご主人様をあやつ呼ばわりか。どういう関係なんだろ。
そもそも、ご主人様は、どうやって、ヌシになったんだろう。
(ちょっと前までは、ヌシ様は先代の御代だったらしいわ。あたしはまだ生まれる前だけどね)
わからないことだらけだ。
そう思いながら、俺は帰途についた。
460 :
イノシシ国:2008/01/03(木) 22:14:23 ID:cy8Ve+L5
日も暮れると、見慣れた景色がわからなくなる。
帰り道の途中で、俺は見えなくなり始めた道に焦って、登っていた。
往復しているうちに気付いたが、よく注意してみると、この道から無数の獣道が交差して、あちらこちらに消えているのだ。日中は俺のスニーカーの足跡も見えるが、今は暗くておぼつかない。
俺は注意深く、荷物を抱え直して、微かに浮かぶ、岩の輪郭に手をかけた。
「んっ」
ん?
今、岩が生温かかったような。
それに。感触が岩じゃない。
「どこを掴んでおる」
一瞬遅れて、ご主人様の声がした。
「あ」
ご主人様の、胸を、わしづかみに、した、ようだ。
俺の手からはみ出るご主人様の弾力ある胸。
慌てて手を離そうとすると、ひっかかって、布地がめくれる。片乳がぷるんとはみ出した。
硬直する。
「迎えにきてみれば、何だ」
ご主人様は、前を直さずに言った。
背後には、夕闇に浮かぶ山の輪郭。
坂道なので、俺の顔の前に、ご主人様の張りのある乳房が、でんと、目の前にある。段差万歳。
岩に足をかけて、片膝を上げたご主人様の姿勢のせいで、太腿も、半ばどころか、付け根まであらわだ。
今気付いたけど、ご主人様って、もしかして、褌?
いや、それだと尻尾が……。いや、尻尾の下からまわしているし、左右は紐っぽいし……。
いかん、妙な気分になってきた。
「ご主人様、前、隠してくれませんか」
「おまえがやったのだろう」
「いや、俺も男なんで」
「そんなのはわかっておる」
何だか、妙な間があった。
「一度試したであろう?」
蜂蜜の匂い。早朝の秘めごと。
俺の脳裏でフラッシュバックして、めまいがしそうになる。
あれは、事実か。
「ご主人様」
自然と声が低くなった。
「なんだ」
俺をご主人様が見ている。
朝と同じように。
朝と同じように?
ごくりと唾を飲み込んだ。
「いいですか」
「なんっ……」
ご主人様の声が途切れた。
俺の手が、ご主人様の胸を掴んだからだ。
そのまま後ろに回り込んで、陥没している乳首をつまみあげる。
「いたっ……」
「なかなか勃たないっすね」
荷物を落とさないように、片脇で挟みながら、両胸を後ろから鷲掴みにする。
首筋に息を吹きかけると、反応して背が反り返った。
「誘ったのはご主人様ですから」
「儂は何も……」
そうだ。
ご主人様は俺を誘っている。
じゃなきゃ、あんな露出度の高い格好でうろうろしているはずがない。
あんな胸がほとんど隠れてない着物を着ているはずがない。
今だって、胸を隠さないはずがない。
闇に浮かぶ肌を撫で回す。
461 :
イノシシ国:2008/01/03(木) 22:15:15 ID:cy8Ve+L5
「いいんですよね?」
足下が坂道なのはやりにくい。
俺は、僅かに森の方へと押し倒した。
ご主人様が気圧されて、斜めに張り出した木の上に背中を押し付ける形になる。
「こんな危ないところで、動いたら危険ですよね」
ご主人様に体重を預けながら、俺は慎重に足場を整えて、ご主人様の胴体をまさぐり続ける。
ああ、やはり褌だ。
この前の時はすでに何も履いてなかったから気付かなかったけど。
こんなにお尻の割れ目に食い込んで。
何気なくずらすと、割れ目の奥へと指を進める。
少しだけ、濡れている感じがする。
荷物が足下に落ちる、音がした。
それを踏まないように、足で横へと蹴り上げて、どかす。
ご主人様の体を木に押し付け、片足をあげさせて、腕を通し、尻からあそこを攻めると同時に、胸に吸い付く。
「んっ」
「勃ってきたっすね」
俺のよだれでべちょべちょの乳首を舌先でつついて、転がす。
「儂は……」
ご主人様の中から、とろりと、愛液が溢れ出してくる。
「着替えましょうね、ご主人様」
俺は、帯はそのままに、ご主人様の着物をはだけさせる。
豊かな胸があらわになり、そよぐ風に、よく濡らした乳首が勃ったのを手のひらで確かめると、そのまま、揉み込む。
「くっ……」
ご主人様の体がずるずると、下へ滑り始めた。
それを抱きかかえ、俺は一気に、腰をすりつけた。
ズボンの布地が、褌の食い込みをさらにきつく、食い込ませる。
「あっ」
腰を少し離すと、ご主人様が潤んだ目で俺を見上げた。
闇の中で、ご主人様の目が光っている。
俺は、ズボンのチャックを下ろした。
そのまま、今度は褌を少しずらして、挿入する。
先程出た、とろりとした愛液が、俺の侵入を助けた。
そのまま、俺たちは息を吐くだけ、抽送の音だけを響かせて、山の中腹で交わった。
ご主人様の押し殺した喘ぎ声。
闇が濃くなり、白く浮かぶ、ご主人様の肌。
ご主人様のしがみつく腕が、俺の着ていた昔の衣をびりっと引き裂いて。
締め付けは最高潮に達した。
「はあっ……」
事の済んだご主人様は、腰にまわった帯だけが、前開きになった衣を形ばかりに押さえていて。
ずらされた褌は、股間の端に食い込み、ぽたぽたと、地面に俺が吐き出した白濁を滴らせていた。
俺は、持って来た荷物を手探りで拾い上げ、土のついた部分を取り払い、丁寧に油紙を開いた。
袖のぶら下がった腕でご主人様の肩に、新しい衣をかけてやる。
「帰りましょう」
ご主人様は、股間をぐちょぐちょに濡らした格好のまま、頷いた。
462 :
イノシシ国:2008/01/03(木) 22:15:44 ID:cy8Ve+L5
次の日も、俺は何食わぬ顔で、里に出かけた。
昨日着ていたご主人様の昔の衣は、ご主人様に思いっきり袖を破られたので、いっそのこと、両方とも袖を取ることにして、下にTシャツを着た上に着込んだ。
ご主人様は、里長から贈られた着物に袖を通し、今日も何処かに消えていた。
昨日と同じように、俺はガキどもの相手をした。
ガキどもは小魚を追っかけ回したり、虫取りに興じ、俺はいちいち持ってくる獲物の評定を下したりして、荷物の見張り番をしていた。
そのうち、ひときわ小さいうりぼうが、俺に付き纏うようになった。
他のうりぼうや、女の子達と違い、どうもうまく獲物を捕まえられないようだ。
俺はそいつと、少し離れた川沿いに行き、石切をして遊んだ。
うりぼうの姿に、短い着物。
多分、俺達の年齢にしてみれば、小学生にもなっていないくらいの、幼さだった。
俺の投げた石が水面で跳ねていくのを見て、ちびは目を輝かせた。
「ごぼう」
大きい奴等の真似をして、つたない口調で俺を呼ぶ。
「俺はシンヤだ。それ以外返事をしないからな」
はっきりと言い渡す。
「シンヤ?」
案外素直なちびは、あっさり訂正した。
「おうよ」
気分よく答える。
「あそこの、木、あるだろ?」
「ああ」
「あそこの下、いいの出るんだ」
「いいの?」
「うん。おやつ」
おやつが掘ると出てくるのか。
何を食べるんだろ?
芋とか?
でも芋がこんなところに生えてるとも思えないしなあ。
俺はちびの動きを見守った。
気づけば、周囲のガキどもは皆同じ動きをして、地面をほじくり返している。
「あった!」
「そうか。どれ見せてみろ……」
俺は首をかしげた。
どうみても、ただのミミズだ。
若干太いが。そして長いが。
次の瞬間。
俺は目を疑った。
ちびは、ミミズを食った。
うれしそうに、ミミズを食べる姿に、俺は引いた。
嫌な予感がして、周囲を見回す。
皆、ミミズを食っていた。
「シンヤ、食え」
ちびが、俺にミミズを突きつけてくる。
「いや、それはちょっと」
「うまいぞ」
「勘弁……」
いつのまにか周りをガキどもに囲まれていた。
皆、俺を見ている。
俺はその場から全速力で逃げた。
意外に追っかけてくるスピードは速く、鬼ごっこは日暮れまで続いた。
463 :
イノシシ国:2008/01/03(木) 22:16:09 ID:cy8Ve+L5
次の日からは、雨が続いた。
こうなると舗装されていない山道はぐちゃぐちゃで通れない。
俺は斎を取りにいくことも出来ず、ご主人様と家にこもっていた。
「雨、やまないっすね」
ご主人様のあそこを舐め回しながら、俺は言う。
「ああ。……まあ、この分だと三日は降り続くだろうな」
ご主人様は俺に足を開いた格好のまま答えた。
「そんなに? あいつら……家の中で退屈してんだろうな」
俺は仲良くなったガキどものことを思い出していた。大人と違って、彼らは偏見が少なかった。
女の子はこまっしゃくれてたけど、男の子は本当にうりぼうそっくりでかわいかった。
ミミズ食いさえなければ。
「何、雨期が終われば本格的に夏になる。それまでの辛抱だ」
俺のヒゲの感触がたまらないのか、ご主人様が時折身をよじらせる。
「そうっすか。でもこっちは、辛抱しませんよ」
俺はご主人様の尻尾の付け根に手を伸ばし、愛撫した。
「うむ……ぁ」
俺は、ご主人様の耳の付け根を甘噛みした。
464 :
イノシシ国:2008/01/03(木) 22:16:41 ID:cy8Ve+L5
俺のやりたい盛りがおさまると、ご主人様のムラムラもおさまって来たようだった。
前よりは長めの衣をまとい、胸がはだける心配も無い。
その頃には山も雨がやんで。
俺は久々に茶屋へ顔を出した。
雨の間は外出するのはご主人様だけで、ご主人様の穫ってくる物はすべて未調理だったからだ。
「よう、久しぶり」
俺の顔を見た途端、ミクルは青ざめた。
「何で来たのよ!」
「何でって……お斎をいただきに」
「そんなの、あたしに任せて御山で待ってればいいでしょう! 今まで飢え死にしなかったんだし」
ミクルの剣幕からは、怒りの意味がよく読み取れなかった。
「何か、あったのか?」
俺はおそるおそる訊いてみる。
「あんたが、構ってたちび。死んだわ」
何を言われたのか、わからなかった。
「あんたが来なくなってからも、あんたが教えた石切だっけ? あの遊び。1人で川にやりにいってたのよ」
あの、雨の続く、日にも?
「随分、御山には降ったわよね。あっというまに増水したわ。里は雨が止んでいたのにね」
「……嘘だろ?」
久々に晴れた空がまぶしい。
「さっき、ようやく下流で見つかったわ」
俺はミクルの制止を振り切って、駆け出した。
あの川は用水路で、普段は浅く、増水する時はあっというまに増水する。
曇り空の日、俺が来ないのを待ちくたびれたあのちびは、1人で遊びに出かけて、石切の練習をして、鉄砲水に溺れたのだ。
俺が調子に乗って、2日も子守りをしなければ。
俺があんな遊びを教えなければ。
あのちびは助かっていたかもしれない。
やっとたどり着いた下流は、人だかりが出来ていた。
ざわめきが起こる。
俺を、見つけてではない。
川向こうから渡ってくるご主人様を見つけて、だった。ご主人様は見慣れぬ錫杖を手にしていた。
皆の衆が伏礼する。
「死んだ幼子は」
「ここに」
ご主人様には、俺がさんざん溺れ込んでいた時とは違い、威厳のようなものがあった。
里長が仕立てた着物は、あつらえたように良く似合い、その威厳を引き立てている。
「御山預かりの幼子は、親の手元に帰ること無く、地に還る」
ご主人様は上流の、俺たちが遊んでいた方角を指差した。
「この幼子が落ちた場所に、木を植えよ。そしてその下にその亡骸を埋めるが良い。地を踏み固め、鎮魂の舞いを踊れ。さすれば、幼子は還るだろう」
イノシシの女達は平伏した。
俺は薮の陰に隠れたまま、一部始終を見守り。
白い布にくるまれた遺骸が葬列に運ばれていくのを見届けて、その場を後にした。
亡骸は、人ごみで見えなかった。
だが、周りをついて歩くガキどもの中に、あのちびの姿は無い。
俺が。
俺が、殺した。
自責の念に駆られ、俺は山まで走り出した。
465 :
イノシシ国:2008/01/03(木) 22:18:03 ID:cy8Ve+L5
途中、御山の中腹で、花の咲き乱れる場所があった。
そこは、急激に伸びた草花や蔓で、登り道が、見えなくなっている。
行きは気付かなかった。
この場所は……。あの日、ご主人様と帰りにあった場所だ。
あの時は暗かったけど、こんなに草花が生い茂っていただろうか。
まだ一週間も経っていないのに。
俺はしばし、吸い込まれるように、咲き乱れる花々を見ていた。
「……か」
そんな俺の背後から、何か、声がした。
俺は、驚いて飛び退く。
草花の生い茂る茂みから、イノシシの頭が、にゅうっと突き出した。
随分と白毛の混ざった、艶のない毛並みに覆われた顔とは不釣り合いな、黒々とした瞳。
手には錫杖。服装は、山伏みたいな格好だった。
俺は既視感に襲われた。
「ここは……か」
俺は錫杖に見覚えがあった。
さっき、ご主人様が手にしていたものだ。
そして。
初めて落ちて来た時に見た、祠。
そこに彫られていた像が持っていたものに、よく似ている。
「なんですって?」
俺は聞き返した。
イノシシが、人の言葉を喋ってる。うりぼう達で慣れたはずなのに、落ち着かない。
何だか、変な臭いが漂ってくる。でも顔を背けたくても、背けられない。
「ここは白翁山か」
しゃがれた、老婆の声。老人じゃない。老婆だ。
俺は、答えられずに押し黙った。
イノシシの老婆は、一歩前に踏み出て、俺は一歩退がった。
「ここは白翁山か」
「いや、ここは白継山だ」
力強い声が、背後から響く。
振り返るとご主人様がいた。
「ご主人様……」
少しほっとして、声をかける。
でも、いつのまに登って来たんだ?
俺が逃げ出して来た時は、まだ、里人に指示を出していたはずだ。
ご主人様を見て、老婆が跪いた。
「門番衆じゃな。名は何と言う」
ご主人様は俺の脇を通り過ぎ、坂道の上から老婆を見下ろした。
「白翁山がヌシの配下、カンナにござりまする。貴方様は」
「白継山がヌシじゃ。白翁山の跡目にあたる」
「では、白翁山がヌシは……」
「数十年前に、儂が」
「そうでございましたか。不義理申し訳ない」
老婆はがくりと肩を落とし、錫杖にすがるように、上半身を支えた。
「いや、煙火の一つもあげぬ儂に非があろうて」
「門番衆ともあろうものが、代替わりに馳せ参じぬとは……」
老婆が咳き込んだ。
「社へ」
ご主人様が厳しい顔で言うと、歩き出した。
この裏の獣道ではなくて、大階段のある表の方へ。
無数ある獣道を横に抜けていく。
俺はご主人様と、老婆の後からついていった。
何者なんだろう。このイノシシの顔をして喋ってるばあさんは。
段々日が暮れてくる。
通ったことの無い獣道は、枝が張り出していたり、薮で視界が遮られたりして歩きにくい。
でも前を行く二人は全くそんなことを気にしていなかった。
466 :
イノシシ国:2008/01/03(木) 22:18:34 ID:cy8Ve+L5
隣山に、夕日がかかっている。
長い石畳の階段に、三人の影が落ちていた。
最初に簀巻きで運ばれて以来、ここに来るのは初めてだ。あの時は担がれて通っただけで。
階段の下の方は、森の中に消えていて見えない。あの向こうに里があるんだろう。
「さて、門番衆カンナよ。こうして姿を見せるとは何用じゃ?」
「そろそろ、御山に還る頃だと、体が告げておりました故。こうして長旅を重ねて参りました」
「どこまで行っておったのじゃ?」
「東の果てまで。海も、見ました」
「海か」
ミクルが言っていた。塩の街道をずっと行くと海があるって。どのくらい遠いんだろう。この平野と山に囲まれた場所からは想像がつかない。
「その後、書物堀で門番を相つとめ、数百年が経ち。御山の代替わりも耳にしながら、動きもせず。何とも、不心得者にございます。ご容赦くださいませ」
数百年?
一体、このイノシシ達は、ご主人様は、何歳なんだ?
「書物堀か。……カンナよ、ヒトに会ったことはあるか?」
いきなり、何を。
俺は息が止まりそうになった。
「……はい。幾度か」
少し、間があって、老婆が答える。
ヒトって、人間のことだよな。俺みたいな奴らってことだよな。
じゃあ、なんとか堀っていうところに行けば会えるのか? そう老婆の肩を揺さぶって聞いてやりたくなって、近づいたところを、俺はご主人様に制止された。
錫杖が揺れて、俺と、老婆の間を分つ。
「そこに、他に誰かいなさるのか?」
老婆がきょろきょろと見渡した。
俺に最初に会ったのに、俺に気付いていない?
「儂につき従う者がおる」
「おお、それは失礼いたしました。もう、目も、鼻もききませぬ……」
耳は、まだかろうじて、聞こえているようだった。そういえば、ご主人様の声は、よく通る。そして、今はかなり大きな声で話している。威圧の為ではなかったのか。
「山の精気が、凝る、場を、目指し、参……」
緊張の糸が切れたのか、それとも長旅で疲れきっていたのか、老婆は言葉が途切れ途切れになり、腰砕けになったように、階段に腰を下ろした。
「ヌシ様……我を、再び、御山の物へ」
何を言っているんだろう。このばあさんは。
「相わかった」
ご主人様は、錫杖を階段の横の地面に突き刺した。
「よくぞ戻って来た。儂が白翁山がヌシのかわりに、看取ってやろう」
ご主人様は、座り込んだま顔を上げない老婆を、労った。
467 :
イノシシ国:2008/01/03(木) 22:19:00 ID:cy8Ve+L5
抱きしめる、そう思った時。
ご主人様は大きく口を開けて、老婆の肩口に噛み付いた。
「ご主人様っ!?」
俺は駆け寄った。
「何してるんですか、ご主人様っ」
空が暗い。
日が、山の向こうに落ちたんだ。
ご主人様が何をやっているのか、見えない。
どさっと、物音がした。そして、同時に、ご主人様の影から、何かが倒れこむのが見えた。
ご主人様は無言のまま立ち上がる。
足下の階段に、老婆が横たわっていた。俺は老婆に近寄って、脇から、呼吸を確かめた。
息を、してない。
噛んだ方が下になっているらしく、俺には確かめることが出来ない。だけど、さっきのは間違いなく。
振り返ると、ご主人様が星の浮かぶ夕闇を背に、俺を見下ろしていた。
「なんで死にかけのばあさんを噛んだりしたんですか!」
俺は立ち上がって食って掛かった。
階段の上で立ち上がると、ご主人様の背が、俺の腰ぐらいになってしまう。
「山に還る為だ」
ご主人様の表情は見えない。
「はあ? だって、あいつの時は何もしないでさっさと木の下に埋めてたじゃないですか」
俺は見届けなかったくせに、そう言った。
「毛並みの生え変わらぬうちは御山の物だ」
うりぼうだからってことか。
確かに、俺の世界でも、七つまでは神様のものとか、そういう風習が昔あったはずだ。
でも。
「御山の物、御山の物って、俺も御山の物ってやつなんですか?」
やりきれなかった。
この世界に来て、最もやりきれなかった。
「そうだ」
ご主人様は、錫杖を2つ手に取り、俺の脇を通り過ぎ、階段を昇っていく。
その横顔は、厳しい顔つきのままだった。
「御山って何なんですか、ご主人様!」
「御山は、掟だ」
ご主人様は振り返らない。
「わからないっす、わからないっすよ!」
俺は、ご主人様の背中に叫んだ。
鬣のような剛毛の髪が、誂えたばかりの新しい着物の上で揺れていた。尻尾は髪に隠れて見えない。
ご主人様は、御山のヌシ。俺は、ご主人様に預かれている御山の物。
俺と、ご主人様にはならない。
俺と、彼女にはならない。
御山って、何だよ。
掟ってなんだよ。
生暖かい風が吹いた。
あの老婆の遺骸は、階段と同化したように、闇の中に溶け込み、俺にはもう見分けがつかなかった。
ヒト編 参(了)
468 :
イノシシ国:2008/01/03(木) 22:21:57 ID:cy8Ve+L5
絵板のバジ&なせ、ありがとうございました。
精進します。
尚、ヒト編参にも出てきます通り、イノシシ国の下着はそれです。
バジが身に付けていた下帯も同じものです。
ヌシのは、モッコか黒猫、バジのは御想像にお任せします。
では、次回、イノシシ編四にて。
リアルタイムGJ!
そして、途中に妙なレス入れてしまってすいません。
470 :
イノシシ国:2008/01/03(木) 22:29:11 ID:cy8Ve+L5
>>469 お気になさらず。
あ、後一つ忘れていました。
茶屋の娘の名前ですが、決まった後に、未読の某有名小説キャラと被っていることに気付いて名前を出すのを控えていました。
が、この前読了してみて、印象は被らないと判断し、この度解禁しております。
御了承下さい。
>453
想像するだにうりぼうが可愛すぎます。おやつに吹きましたw
のどかな田舎を、得体の知れぬ山中を、脳裏に展開させてくれる描写が大好きです。
しかし、この悲しみと謎をどうやって乗り越えるのだろうか……続きが気になります。
>>453 なんかただただ圧巻してしまったw
すごいなぁ
あーうさぎさんに「私の事しか考えられなくしてあげる(ハート)」
なんて言われて犯されてえ
>>453 読みふけりました。GJです。
なんていうか、最近の職人さんって上手だなあ。
>>458 怖すぎるわw
>>472 落ちた瞬間に、二度とそんなことは思えなくなるってユウジが言ってたw
>>453 楢山節考を思い出して泣けたな。
不条理ともいえる掟に誰も逆らえない現実があって、
それに沿って生きる事こそ無上と評される空気があって。
でも、それに抵抗したいと思いつつ出来ないで居る憂鬱。
色々と書きたい事がありすぎて整理できてませんが、とりあえずGJ!をつけておきます。
私なりの解釈を拙作に混ぜてみましょうか。
まとめサイト管理人さん、交通事故とか病気になってなければいいけど。
>>475 実家に帰省してて更新できないとかじゃね?
>>472 ファリィかクリフ先生かアカブに拾われるなら落ちてもいいかもとか思ってる読者は少なくないはずだw
……それ以外は普通に生命ないし性命の危険があるとも言えるがw
ジーきゅんなんかに拾われたら両方危険だしw
>>477 でも、実際にはそんな幸運な例など極僅かなんだろうな
>>477 ちょっとまて?なんで女性じゃなくて男性に拾われたいんだ?
いや、まあ、女性の読者もいるだろうし。
それに案外、同性同士の種族を越えた友情タッグも色恋が交ざらないから逆に悪くないかもよ。
マサミとポールとか、キョータとフェイレンとか、サトルとカルロとか。
同性主従と異種族美少女の三角関係とか、もし俺に文才と発想力と〆切守れる意志と完結まで投げ出さない粘り強さと性知識があれば自分で書きたいぐらい。
好きなご主人様と拾われたいご主人様は別だからな…
スレ住人に、好きなご主人様と拾われたいご主人様が誰かを調べたら、全然違う結果になりそうだw
とりあえず、お話として読む分なら良いけど、いざ主にするとなったら
兎 だ け は 嫌 だ !
どれ程貧しくとも犬の国が良いな。
うん、兎だけはいやだw 少なくともアトシャーマには落ちたくないw
国外の兎ならまだ希望があるかもしれんが
ヒトオスが落ちた時は比較的どこの国の女性も許容しやすいと思うけど
ヒトメスが落ちた時はマダラのご主人じゃないとかなり覚悟が必要になるな
元々の嗜好が合うなら別だけど
そうだよな。俺が落ちても都合よくトラでケダマのご主人様が拾ってくれるとは限らないもんな
ここらでそろそろ獣人萌え属性の落下ヒトが出る作品をw
(流石家ネタは前にあったけど短いし)
それで少年ご主人様(♂)のふかふかの毛並みに鼻血だだながしてぎゅうぎゅう抱きしめるわけか。
ご主人様のガチケモお父さんとケダマのお母さんに囲まれて超絶ハーレムなわけか。
イカス
>>483 そういえばヒトオスだと女性のご主人様よりもアーッの可能性が高いよな……
ショタなご主人様だったりまっちょなご主人様だったり成金オヤジなご主人様だったり……
夢がひろがらねぇーw
いわゆる漫画チックな御都合設定のお話って、
短編どころか掌編でも書くのが苦痛なんだよなぁ
そんな訳で言いだしっぺの
>>485に期待する
ガンガレ、超ガンガレ
>>488 そうやってさりげなく猛毒吐くんじゃないw
「いわゆる漫画チックな御都合設定のお話」を書いてる俺だが、それでも需要はあると思ってる。
漫画チックなご都合主義のお話を書くのって割と難しいんだぞ。
ありがちな話を最初の読者である自分が納得できるレベルまでクオリティ上げなきゃならないんだから。
ケダマイイよねケダマ
トラネコオオカミあたりで。
モフれと。
モフれと申すか。
ちくしょう。やれっていうならやってやるさ。
494 :
モフ子:2008/01/09(水) 02:03:48 ID:xQ2XAq0A
僕が猫のお嬢様の右おみあしに、ピンクのペティギュアをぬりぬりさせて
頂いていたときのこと。
「今日、遠い国からオトモダチが遊びに来てるのだけどね」
左のおみあしのかかとを、僕の頭にぐりぐりさせながらお嬢様はこうおっしゃい
ました。
「お前、今晩、伽をしておもてなしなさい。いいわね? 絶対に失礼の無いように
お仕えしてくるのよ?」
ご主人様のご命令とあれば、お客人のおもてなしをさせて頂くのは、奴隷の
つとめ。
たとえそれが男の方相手であっても(アッー!)、いつも心をこめておもて
なしさせて頂いております(血涙)。
そんなこんなで、その夜遅く、いたってオーソドックスではありますがマイ枕
持参の上、指定された客室に出向きました。
「失礼いたします」
鍵のかかっていないドアに軽くノックをして、そっと開くと、中は真っ暗。
もうお休みになっておられたのでしょうか? ちゃんとおもてなし出来なかった
とあっては、お嬢様にどのような目に合わせられるか分ったものではありません。
お休みを邪魔するのも申し訳ないと思ったのですが、小声で呼びかけてみます。
「お客様、もうお休みでいらっしゃいますか・・・・・・?」
「あ……あの」
暗がりから聞こえた、その小さな声は明らかに女性のもの。
ほっ。
一応、準備してきた潤滑油(吐血)は、今日は必要無いようです。
「お待ちしてましたわ。でも、電気はつけないで、こっちへ来てくださる?」
ご主人様とは違う、控えめでやさしそうな声に、思わず胸がときめきます。
「明るいと、恥ずかしいから・・・・・・」
495 :
モフ子:2008/01/09(水) 02:08:51 ID:xQ2XAq0A
しゅるり、と絹のシーツの音。その音のしたほうへと手探りで向かいます。
少し目がなれてきますと、お嬢様の部屋にあるのと同じくらい大きな、客室の
ベッドが見えました。天蓋から垂れ下がった重たげなカーテンは閉じられたまま
です。
その脇まで近づくと、いきなり手が伸びてきて、あっというまに閨の中に引き
ずりこまれてしまいました。
モフ!もふもふ!
なんと真っ暗闇の中で、僕の顔に押し付けられた肩口も、私の足に絡まる足も、夜着
ごしにおしつけられる胸も、モッフモフのフワッフワ!
そのうえ、初手から積極的に、私の夜着の中に忍び込んで無遠慮に体の上を這い
まわる手は、細い毛が密集しているのか、びろうどのごとき肌触りなのです。
「うふふ、すべすべね! うらやましい・・・・・・
私、ケダマなの。女の子なのに毛むくじゃらで恥ずかしいわ・・・・・・」
だから、あんまり見られたくないの、とことわって、彼女はふわふわの毛と
長いひげの生えた頬を傾けて、僕の唇に湿った鼻と甘い唇を押し付けてきました。
ぬるり、と僕の口の中に差し入れられた舌は、びっくりするほど熱くて、果実の
ようにみずみずしく、思わず、激しく音をたてて吸い取ってしまいました。すると彼女の
喉の奥から苦しそうな声が漏れたので、慌てて口を離し非礼をわびようとしましたが、
その間もあらばこそ、柔毛に覆われた胸をそのまま顔に押し付けられて一言も発する事が
できません。
口ではかわいらしいことをおっしゃってますが、なかなか積極的なお客様のよう
です。
ならば、こちらも遠慮することは無いでしょう。モフモフ+やわやわで夢のよう
なさわり心地の胸を右手で堪能しつつ、左手は柔らかい毛を掻き分けて、ツンと
とがった乳首を捉えます。親指で押しつぶすように愛撫すると、小動物のような
愛らしい鳴き声がしました。そのまま顔を寄せて、口の中でより硬さを増したそれを、
舌先でこねつつ甘噛みしてみました。
「ふぁあぅ!」
舌を動かすたびに、ぴくん、ぴくん、と全身の筋肉が緊張するのが、毛皮越しに
感じられました。
かなりお胸が感じる方のようです。
496 :
モフ子:2008/01/09(水) 02:14:25 ID:xQ2XAq0A
これで、下の方を愛撫したら一体どうなってしまうのでしょう?
胸をまさぐっていた右手を、柔らかい腹毛を愛でつつ下に下ろしていきます。
(――!)
どうやったら、これほど濡れるものなのでしょう?
おへそと思しきあたりを過ぎて少しすると、いきなり僕の指は濡れた暖かい場所
にぬるりと吸い込まれてしまいました。
下腹の柔毛では吸収しきれないほど蜜があふれて、もう、ぐっしょり、どっぷり、
にゅるんにゅるんなのです。
慌てて、慣れ親しんだ「とっかかり」を毛の中に捜そうとしましたが、全く見当
もつきません。そのいささか乱暴な「手探り」がお気に召したのか、可愛らしい声は
いっそう高くなりました。
「くふぅ・・・・・・ふうううん!」
ですが、肝心な所に僕の指が届いていないせいでしょう、しばらくすると、
じれったそうに腰を少しうかせて、鼻をならしはじめたのでした。
僕は、いささか不遜な態度でたずねてみました。
「どうしてほしいんですか? ご主人様?」
「いじわるしないで・・・・・・ッ、イかせてよぉ・・・・・・」
泣きそうな声です。
「ねえ、おくちでして・・・・・・? それとも、ケダマのお○んこなんて、舐めるの
おいや??」
「そんな事有りませんよ! 僕は毛深いご主人様も大好きです! 落ちる前は
豊島○〜さくのBreederがバイブルだったんですからね!」
僕は柔毛を掻き分けて、際限なく蜜を吐く果肉にためらいなく口を付けました。
甘酸っぱく、どこか獣くさい匂いが果実から立ち上って、僕の頭はくらくらしました。
舌を精一杯伸ばして、肉の中に差し込むと、僕の頭を抑える彼女の手には痛い程
力がこもりました。
顔も手も、とろとろの果汁まみれになりながら、必死で、彼女の反応を読みながら、
ただ一点を探ります。
そこ、を舌先が掠めたとたん、彼女の足に力が入ったのが分りました。
「うぅっ」
探り当てたそこを、一心に舌でせせり、追い上げていくと、先ほどの可愛い声とは
また違う、獣じみた低い声が混じり始めます。
容赦無く責め立てていくと、やがてそれは、哀願するような泣き声に変わり、
「――――っ!」
最後には声にならない声を上げ、全身をびくびく痙攣させて、彼女はイきました。
497 :
モフ子:2008/01/09(水) 02:21:07 ID:xQ2XAq0A
********
充分に一度イった余韻がひいた頃を見計らって、僕は彼女の首筋に顔を寄せて
いきました。少しばかり毛が薄くなって体温が感じとれるそこに、口付けを落として
いると、彼女はため息のような声をもらしました。
「お、お耳、お耳も感じるのぉ……。ねえ、お耳をハミハミってしながら、
・・・・・・を入れてほしい・・・・・・」
「はいはい、仰せのままに」
ちょっと甘えたような鼻声でおねだりをされて、僕はリクエストに答えるべく、
彼女の頭を抱え寄せ――――
(そういえば、お嬢様に彼女の種族を聞いていなかったな……)
「そこ」、に唇をすべらせていくと、猫のものよりもずっと長い耳が生えているのが
分りました。
先は、まんまるです。
「あふぅん!ンふううん!」
−−高くて可愛い声が、また、彼女の口から間断なくもれはじめました。
果たして僕は明日朝、この部屋から立って出ることができるのでしょうか?
おちまい!
性命の危機か……
GJ!
ぐっじょぶ!
>ずっと長い耳
なんという性的死亡フラグw
GJ
GJ!!
う お お お お
ここにて兎好きが感涙しております
耳噛みえろいよえろいよ
ウサギさんの場合、普通のオナゴだとリアルバニーだろうけど、
ケダマちゃんの場合はどんなだ?想像がつかないなぁ
かと言って、見に行くのは果てしなく危険な行為だしなぁwww
獣絵板あたり探せばイメージ沸くかも。
手塚●虫氏の某隊長とか某●ケモンでいうとミミロッ●とかが自分のイメージ
ブラッディロアのアリスあたりのイメージで想像してた
>>506 ぐぐってみた。……ちょっとまだソレでは勃たなそうだ。まだまだ修行が
足りないということか。
>>508 おお、これはいいものです。
こうしてみるに、やっぱり髪の毛って人間としての記号だねえ。
ふと疑問に思ったんだが、イノシシ国はかなり和風なムードなのに
ゴボウは食用にしてないのか。
ささがきにして飯に炊き込んだり、うどんに入れたりカキアゲにしたり
うまいのになー。
イノシシは鼻が良いから筍とかも早い段階でほじくり出して食べているそうだ。
おそらくゴボウは鋭意品種改良中なんだよ。もしくは超高級食品
>>510 美味しく食べれるのに「もやしっこ」って言うじゃない。
薄味京料理風の狐国料理と関東風濃口の猪国料理
……みたいな脳内イメージ。
牛蒡はなんか関西のイメージがある。
でも、マイスゥイートの手料理がイチバンさ
でもケールだけは勘弁な
いつの間にケールって不味い神話が出来たんだw
ネギ好きな人も中にはいるだろww
確かにケールばっかり鍋は俺もリバースするが
ジークがコドモ舌なんだと思うなあ。
う〜ん、あっちの野菜食ってみてえ…。
獅子国や虎国の市場とかめちゃ楽しそう。
今日は割りと暇なんで管理人さんが行われていないお話の収録を行おうとwikiの操作を試みたのですが、
なんか使い方が全然分からなくて挫折しました。
簡単に出来る方法って無いもんですかね?
>>517 俺も挫折したから、がんがれとしか言えないorz
そんな難しいの?
ちょっと後学のためにもやってみる。
一部だけやってみた……めんどくSEEEEEEEEEE!
これまで以上に保管庫管理人さんへの尊敬が高まったよ。
wikiの場合は新しく収録したりリンクを張ったりって作業が独特なんで面倒なんだよな。
htmlを直接いじったほうが楽って場合もあるくらいだしww
ついでに言うと、txtアップしてくれる職人さんには悪いけど、実はテキストベタ張りのほうが、
管理する側は楽だったりするわけでw
こちむいの管理人さん、頑張ってください。
>>522 乙!激しく乙!
「一年後」とか入れる当たり激しく乙!
蛇担当氏もイノシンの人も作品管理できてて偉いなあと思うPC音痴&超無精な俺。
次の投下までには俺もまとめサイト更新しなきゃな……がんがれ、俺。
……さて、それはともかく成人の日。各種族で成人の儀式とかって何か設定ありますか?
どっか伝説の聖地に旅するとか(カモシカの国はそれ)、
新成人同士で何かのガチ勝負するとか(獅子国はこれ)、
乱交パーティとか(ウサギはたぶんこれw)
その他、軍隊に入隊するとか誰かに夜這いかけるとか、普通にヒトと同じようにどこか集まって訓戒を聞くとか。
各国の風習とかが知りたいです……と、ここまで建前。
……本音を言うと、なんか急に成人の儀式ネタのエロが読みたくなりましたw
>>525 話が明後日の方向だが軍隊と言えばあっちの世界の兵器水準ってどうなんだろう
ピューマの国みたいに剣や槍や投石機とかが主力だったり、犬の国みたいに小銃や機関銃を装備してたり、虎の国みたいにミサイルやレールガンが暴虐の限りを尽くしたりと随分と水準に差があるからよく分からない…
もはや虎の国には賑やかな市場や豊かな自然のイメージしかない俺は何組み?
>>526 魔王様はパラレルってことになってたはず。
あと、小銃と機関銃はあくまでルカパヤン(とスキャッパー)限定なんじゃないでしょうか。
個人的イメージとしては、基本はポールウエポンと弓を中心にした感じ。大量破壊兵器としての魔法。
ちょうど放浪女王最終話のイメージに、各国の個性としての特殊兵団って感じだと思ってます。
>>525 ヘビは15回目の脱皮を終えると成人として認められるという風習が……とか適当抜かしてみたり。
>>526 全部が全部同じ時代と考えなければいんじゃね?
もしくはマシンガンに対抗する為の魔法があるとか、弾丸が量産できないからめっさ高価とか、のリアルな言い訳と
忍法奥義光線白刃取りとか、真空波(笑)を放つ蹴り技があるとか、13mm拳銃弾じゃ毛皮を貫通できないとか、
の大嘘な言い訳を併用してみる。
銃でふと思ったけど、コルトネイビーを持った西部の女ガンマンが落ちてくるとかも面白そうね。
個人的にはコルトのピースメーカーを持った女ガンマンが西部劇の世界から落ちてくるってのを希望。
っつうか、実はそれでプロット作って辞めた過去がw
イヌの軍隊は基本的にマスケット銃を装備してるレベルです。
予算と加工技術の関係でライフリングを切った銃身を装備するライフル銃は一握りのエリート部隊程度と想定。
軍隊の実態としては漫画の方の「皇国の守護者」をイメージしてもらうとちょうど良いはず。
そこへルカパヤンから想定外の超平気引っさげヒトが乱入してくると言う想定です。
ついでに言うと、ヒトの銃火器は何度も試作したけど完成しなかった事にしてあります。
拙作でも述べましたが世界のバランスの関係です。
だから、こちむい世界のオーパーツですねw
そんな訳で近日第10話を公開させていただきます。
上の方に、ここへ直接投下したほうが管理しやすいとありましたので直接投下しますが、問題ないですよね?
お、夢日記さんだ。
そーかそーか、もしかすると夢日記ではなくベルスタァ強盗団になっていたのかもしれないのか。
……やべえ、スゲエ読みたくなってきた。
ところで投下は嬉しいんですけども、
120秒規制の条件下で100k以上の直接投下って、それだけでも夜が明けませんかね?
533 :
525:2008/01/14(月) 21:37:49 ID:/puuhp0E
>>531 その、50KB越えるならテキストの方が……
前に「岩と森〜」で、一日に72KB+22KBを直接投下(約40レス使用)したら、その後急速にスレ全体の風潮がtxt投下推奨の流れになっちまった苦い過去が。
それにしても、考えてみたらイヌと隣接も危険な立地だったけど、国内にルカパヤンあるってのは精神衛生上かなりきっついよなぁw
こっちに刃向けられたら旧来の武器でどう対処すればいいのかという逆戦国自衛隊状態だし。
ヒトはこちむい世界における弱者の立場から脱出したとき、じゃあ「それだけ」で、つまり生存権と社会権が保障されるだけで満足できるのかっていうとかなり疑問だし。
弱者でなくなった時、次は強者を目指し、最終的に世界の覇者になるまで欲望がやまないんじゃないかって気がしてならない。
イヌとかヒトとか、「自分は弱者」って免罪符持ってる奴は生きるためっていう理由でどこまでも残酷になれるし、そういう奴が戦争じゃ一番強いし。
そういうこと考えると、いろいろ怖いなあと。
……などと、いろいろガクブルしながら楽しみに待ってます。
>>532 保管庫でヘビ9&10とイノシシ3のページを作ってみた者です。
ほんとは管理人さんのお早いお帰りが一番なんだけど
戻る気配がなかったら、また見よう見まねで保管してみます。
名前欄とかを消す手間が省けるので微妙にtxtのほうがラクでした。
でも慣れてないから、結局どっちも同じくらいの手間かもw
というわけで各作者さんの落としやすい方でいいんじゃないすかネー
鉄は凍月に舞う
の人はどうされたんだろ
お体大丈夫なのか?
で、成人の儀式だが。
エロパロ板にある以上、種族は違えど最終的にやることは違わない気がするw
どこで、だれと、どんなふうにやるかの違いだけで。
……新成人を祝って大人どもがよってたかって押し倒し、
0時から24時まで一秒の休みもなく、新成人が失神してもお構いなしに1日中やりたおすアトシャーマの性人式だけは脳内で確定したがw
ひょっとして、成人って概念が存在しない国とかもあるのかも知れないな。
昔は人間も自分達の子どもの事を「小さな大人」として扱っていたらしいし。
それに一口に成人といっても、寿命が種族ごとに異なる以上、いつからが成人なのかはよく分かんないZE。
538 :
531:2008/01/15(火) 11:35:23 ID:Wg37LhQo
えっと
とりあえず10話はおよそ90kbなんで校正し終わった部分から順次投下になるかと思います
まとめて90kbはさすがにどうかとw
ルカパヤンはイヌとカモシカの国境に挟まれたグレーゾーンに立地です。
まだこれから色々とネタ出ししますが、大侵攻レッツゴーをするほどの工業力とか経済力を持てるほどじゃ無いかと。
都市攻撃とか平原戦闘とかならばかなり手ごわい存在でしょうが、じゃぁ国家規模で相手を屈服させられるか?といえば、
それこそただの都市国家レベルですから土台無理な話、21世紀の最新兵器持った日本が第1次大戦の頃にタイムスリップしたとして、
その兵器使えば世界征服できるかと言うと、たぶん兵站の問題で出来ないでしょうし。
それに、ルカパヤン自体が3次産業を主体とした繁栄ですから、領土欲・支配欲といった部分よりも都市の安全保障に重きを置くはず。
「平和を享受したければ戦争に備えよ」
強力な防御力を持ち専守防衛を旨とするヒトを中心とした多種族軍隊と言うのがルカパヤン軍事力の実態だと思います。
それ故に兵士の士気の問題で周辺国家への軍事侵攻はかなり無理があるのではないかと。
あくまで私見ですが、アトシャーマの場合は先に都市の容量が決まっている関係で、
人口の総量調整がかなり切実な問題だと思うんです。
それ故に偶発的な妊娠出産を招きかねない大規模乱交パーティはかなり難しいんじゃないかと。
むしろ、成人した大人として我慢するべき部分は我慢する事を重視して、ストリップバーとかでわざとムラムラさせて、
その後ひたすら我慢させるとかww
万獣さんのお話に出てくる両刀の紳士淑女なウサギさんの話しを読んでいると、
そういった部分をかなり上手くセルフコントロールしてる気がしますし。
犬の国って封建制度だから領主が自領の軍隊を動かせるんだよな
犬の国と国境接してる国って何処と何処だったかな
それらの国って常に侵攻の可能性に晒されてるのかね
>>538 わかりました。
投下を楽しみにしてます。
>>540 絹糸盟約に加盟してない隣接国は今のところネズミ、コウモリ、カモシカ。
このうちべったべたの親犬国がネズミ。
大戦の敗戦仲間で意識共同体なのがコウモリ。
テラヤバスなのがカモシカ。
ヤギ、イノシシは隣接してないんだっけ。
>>539 考えてみれば、それも一つの「大人への道」ですか。
個人的嗜好としては焦らしプレイも悪くないですしw
……万獣さん、今頃どうしてるんでしょうね。
元気にしているんでしょうか。
そういった野暮ったい事は口を紡ぐもんだぜ?
半年は待つのは当たり前。待ってる間に修行して自分も職人目指しちゃえYO!
>>543 × 口を紡ぐ
○ 口を噤む
↑以外は、ドゥーイ
>>540 > 犬の国って封建制度だから領主が自領の軍隊を動かせるんだよな
>
> 犬の国と国境接してる国って何処と何処だったかな
>
> それらの国って常に侵攻の可能性に晒されてるのかね
ネコ、狼、カモシカ、あたりか。
不戦条約があっても小競り合いぐらいはあるかもな。
とはいえ、明確に国境を接しているわけでもなく辺境を挟んでる形だろうけど。
うーん
言葉だけだとイマイチ地理関係が分からない
俺の偏見で世界地図書いてみようかな
明確に国境線として確定してるケースのほうが稀なのかもしれないよ。
猫とか犬とかカモシカの国家の境界は実は非常にあいまいで、
それこそ北海道の道東地域みたいに、市街地を離れると田畑があって、
それを過ぎると荒地とか森とかに成ってるだけとか。
だから、それぞれの中間線付近が便宜上の国境線と言うだけで、
その近くでそれぞれの国の軍隊とかが何か知らしていると様子見に出てきて、
それで小規模な戦闘を含めたゴタゴタを繰り返すとか。
そもそも国境の無いこの島国に住んでるせいで、イマイチ実感が湧かない
外国に行く金なんかねぇよ
>>547 史実の中世とか出すんならば、辺境領主が隣り合う双方の国に忠誠を誓って戦火を免れるとかあったしな。
まあ、許容できないレベルで種族の差があるこちむい世界では難しいが。
国境ってのは自然の河川とか海とかあるいは山脈とか
人の行き来の妨げになるところがなったりするからそう
イメージしている。
大陸なら島国日本と違って大きな河川が物流の要になっ
たりするから内陸らしい犬の国にも港湾都市があって犬
お得意の魔法付加製品の輸出とかしてるんじゃないかと
妄想してました。
魔術的模様で水だけでどんな汚れもさらりと落ちて三階
から落としても傷ひとつつかない陶器とか
どうも鉄(クロガネ)は凍月(イテツキ)と舞うの作者です
新年、風邪だと思っていたのが気胸で入院していました。
帰ってきたらデータが半分位飛んでしまったパソコンと対面
現在鋭意復旧作業中です。
多分一月中には出来ます。
皆様には多大なご迷惑をおかけしてすみません
うおお、気胸とはまた大変でしたな。
急がずとものんびり待ってるから、あんまり無理せず気楽にね。
553 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 01:31:53 ID:DTuUggIX
保守続き待ってます
>>546 確かに簡単でもいいから位置取りが分かると助かる
画像庫のを元にすると大丈夫なはず
新しく追加された国の場所ってどの辺りだったかな
>>551 ガチ病気でしたか。大変でしたね。
続き楽しみにしてます。
>>539 性人式案内状に避妊薬つき。会場内ではスキン無料&無限配布。
それでも万が一妊娠した場合は、性人式参加者全男性のDNAのDATAから父親が割り出され
最後まで責任をとることになる、というのはどうでせう。
なんだか兎社会でさえ人生の墓場になるような気がする。
成人式会場に避妊薬入りの料理や酒・ジュース等を用意、えらい人の談話の後、軽く食事をしてから、さぁ!本日のメインイベント!って感じにすれば(w
いまだに一話しか投下していないけど続きが気になる作品ってある?
俺はドイツ狙撃兵と狼っ娘の続きが気になる。
お、おぢさんが世間知らずな褐色爆乳狼っ娘に色々と教えてあげたいな。
>>559 華蝶楓月は読みたい。正確には、狐耳国は導入部だけしかないから、後から書くときにどこまで自己設定入れていいのか悩まされるw
今のところ、巫女連のある場所の地名さえ明らかになってないし。
個人的には瑞穂京(みずほのきょう)とか名付けたいけど。
>>560 そんなこと特に気にしないで筆を進めようとしていた俺は―
まあ地方の話だし、都とは関係ないから大丈夫だよ…な?
>>562 あなたはまずどれかひとつに絞って完結させたらいかがだろうか。
華蝶楓月のひとはどこへいっちゃったのだろうね……
>>563 たぶん、貴方がその言葉を言いたい相手はむしろ俺の方だと思うw
まあその、そう急かさないでください。
>>536 >>559 彼の国の基本理念は「気持ち良く」でも「不要に孕ませない」(多分)
なら
大規模乱交の時は最初からお尻しか使わないとか決めておけば
男も女も受け攻めに平等に参加できる気がする
女子は半分しか気持ち良くなれないって言われそうだけど
本物みたいに感覚を伝えるペニバンなんかも普通にありそうだし
568 :
ななし:2008/01/17(木) 11:22:21 ID:uWcH1M2d
質問だが、ここは薔薇はOKなのか?
今まで前例がないが、投下前に注意書きするなりtxt投下するなりすればOKなんじゃない?
個人的には薔薇にもちょっと興味があるがw
いあいあ、た か が 乱 交 くらいで望まぬ妊娠をしてたら、ウサギとしてこの先やってけないでしょう
性人式は、ウサギとして生きていく上で必須の避妊を実践で学ぶ場、越えなくてはいけない通過儀礼。
バンジ―ジャンプもたしか、どこかの成人通過儀礼だったはず。あれと一緒。飛ばなくては
大人として認められない。
そしてたまに本当に落ちてしまうことも、ある(笑)
そしたら多分、避妊教育機関みたいなので再教育されるとか、最悪断種措置とかも有るんじゃない
かと勝手に想像してみる……
ところで、この手の設定話って、どのへんから避難所推奨なのかな?
ちなみにリアルウサギの生存方法は
「多産多死」だから、妊娠中の交尾によって多重妊娠したり、
母体の栄養不足時に胎児を自己堕胎して分解吸収してしまったりするらしい
スレ違いかもしらんが豆知識。
そういう意味では彼らは元の種とは真逆の行き方を選んだことになるんだろうか
薔薇は個人的に見て見たい。
マダラ同士とかじゃなくて。
こう、モフモフと。フカフカと。ゴワゴワとした感じの。
別に薔薇でも百合でも注意書きがあればいいが、
今までの経験上、sageない上に名前記入のヤツは、
半年ROMれっていいたくなるヤツが多い気がする…
数字はともかく、薔薇は受け付ける人少ない気がする。
574 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 16:10:31 ID:/hUzqXts
百合でも薔薇でも、物語的にうつくしければ良いんでないか?
まぁ、外した時のフルボッコ覚悟でな。
薔薇と数字の区別がつかないです。
それはそうと地図の人乙
いい仕事っぷりだったよ
今までで一番地図らしいな。>地図
虎の国って猫の国と接しているイメージがあったから結構新鮮。
地図といい誰かwikiいじれる人、絵板の絵を
保管庫に入れてくれないか?
もし万が一消えてしまったら勿体無い。
個人的にこちむい世界のにちゃんネタあたりの
小ネタも収蔵して欲しいもんだが。
犬の国は辺境のイメージだったけど意外と交通の要所ぽいんだなー
じゃあちょっとやってみるよノ
一応ウィキいじったことあるし
あれ?
一部だけど絵版の絵がアップロードされてるけど、
ひょっとして誰かやろうとしてた?
わたくし出遅れてる?
ヘタに触らんほうがいいかな
>>578 四方八方から包囲網=それらの国の中心ってことでもあるから。
>>578 犬の国は無駄に広いから、中央があれば辺境もあると思うよ。
画像保管オワター
エロ絵に注意書きとかいれてないんですが、
やばいと思ったら誰かちょちょっと書き足してくださるとありがたいでし
仕事はやっ! GJ感謝! それとご指摘にも感謝。
丸投げした身で申し上げ難いのですが、犬羊な人達の絵は
あそこに置いちゃっていいの…ですか?(ガクブル
絵板はよっぽどのことがない限り容量オーバーにならない設定ですが
鯖側の理由とかで急にデータ消失する可能性もあるので、保管thx!
それに作品別になってると見やすくてイイ!
>>584 ユカちゃんは「その他」に変更しときましたー
動画差分追加しました。
>583
保管庫自体が18禁だから、注意書きはなくてもいいんじゃない?
568の者です
コメント感謝です
牛の国の話を書こうかと画策している内にそっちネタが出たので確認しました
賛否両論のようなのですが、するとやはり抜くべきでしょうか?
私としてはどちらでも構いませんので聞いておきます
ROMして二年くらいになるんですが、sageルール?知らなくてすみません(汗)
これでよろしいでしょうか?
>>588 TXT投下で注意書き付きなら、そうは叩かれんと思うよ。
オレはバラなんぞ読まんけど。
2年ROMでsageがわからんってw
ROMってるだけだと、わからなくて当然、とりあえず実際に書き込んでみないとローカルルールはわからんて。
まあそれはともかく、牛の薔薇は嫌だな。
なんか金網有刺鉄線デスマッチみたいでw
592 :
588:2008/01/19(土) 18:00:23 ID:L4OYt2Cg
金網有刺鉄線デスマッチが何かは知りませんが、たぶん心配はないかと
今のところ牛(普通)×ヒトか牛(普通)×牛(マダラ)、ヒト×牛(マダラ)しかありませんから
そしてメインはヒト×牛幼女のつもりなので
おお、新作来てた。
次はエロですな、がんがってください。
>>594 再開をずーっと待ってたよ。
そしてGJ。
懐かしい人が戻ってくると嬉しいな。
ところで、世界地図が更新されてるんで、誰か保管庫の絵もそちらに替えてもらえないでしょうか。
保管庫wikiをいじってみたんだが……
カナリアさんの新作のページを新しく作ったのはいいんだが、
リンク作業が上手くいかず、作品別メニューからつなげることが出来ない。
わかる人いたら修正お願いします。
半端に手をつけてしまってすまん。これ以上いじっておかしなことにすると怖いので、
他のには手をつけないでおきます。
質問質問!
書いちゃった、アップしちゃったあとで
既存の作品との矛盾点が見つかったらどうしたらいい?
……もっとちゃんと読み直しておけばヨカッタヨ orz
ってか既存作品と過去スレ全部に目を通さないと
迂闊なこと書けないって厳しいな
誰か過去スレ12以降おくれ…
>>599 ちなみに、どんな矛盾?
ある程度は後付設定でなんとかできるから気にしないほうがいいよ。
過去には放浪女王で、月が一つ足りないとか言う事態すらSS一本で解決してるんだから。
それ以外にも、作品間で細かな矛盾は意外と探せばあるけど、俺含めて読んでる側は案外、気にしてないし。
世界観を共有する形で大勢の職人がSSを書いてるんだから多少の矛盾は仕方ないと思うぞ
過去の作品全てに目を通すにしても、自分の趣向に合わないのだって一つか二つあるだろうし
いやあのスレ矛盾無しで書く方が難しいだろ。
たぶん俺もいくつか矛盾あるし。
そこはそれほら。例のアレでな……何百年後とかな……
そういうのを安直に片付けないで
如何に上手く切り抜けるかってのは
むしろ腕の見せ所だと思うぞ。
ありがとう…みんな優しいな…
ちなみに、30か40はあるだろうと踏んで
気楽につまんじゃった饅頭が、
1+6+3で合計10しかない金の饅頭で、
しかもヴィンテージせいぜい二百年くらいかと
思ったら実は六百年だったと、そんなかんじだ。
頑張るしかないだろうか。とにかくありがとー。
>>604 い、いまいちよくわかんない感じだけど……がんがって。
ところで、俺も小さな悩みがあるんだが。
絵的に萌えると思って組み合わせた、大柄けも♂とちっちゃいメスヒトの主従がいるんだが、
いざエロを書こうとすると、サイズ的に考えてナニがアレに入りそうにないw
だからといって、実は体躯の割にナニが粗末というのも嫌だし。
……やっぱり、無難にお口?
素股から慣らしていくというのは如何か
受け入れられるように特訓というのも愛らしい
入らないことに気付いて悶え苦悩する大柄けも♂というのも中々そそると思うんだ
狗国にそんなケモ♂との物語があったような…
俺からも質問なんだけど
近代兵器自重の空気って存在する?
ジェット戦闘機とかミサイルとかレーザー兵器とかではないが、
戦車やレシプロ戦闘機を出したいなとか思ってる
>>606 見聞録と虎の威の一読を激しくおぬぬめするよ。
>>609 存在する理由をうまいことこじつけられて、パワーバランス崩壊とかにならなければいいんじゃないかな。
突き抜けるとパロ扱いにされるけど……
611 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 22:14:09 ID:sCR4V0SS
マナ様世代のネコ国住民が月が一つしかないのに違和感を感じていなかった、とかだと苦しいけどな。
とりあえず食材は
ケール=ネギっぽい何か(アルケール=タマネギとか派生あり)
ブッフー=形状不明(描いた職人なし)で牛と豚を足して二で割ったような味の食用家畜
これさえあれば、どうにかなるよな?
ageちまったからちょっとイ゛エ゛アアァァァ(浮上)
>>605 「おにんにんを小さく&早漏にする呪いにかかってる」というのはどうだろう。
激しくイヤンだが、復讐とか刑罰とかいうのでならありそう。
>>609 虎の子と草原の潮騒はパラレルワールド扱いされるレベル。
>>611 それで何を作る気か。鍋か、鍋なのか。
葱で出しとってお湯が湧いたところに豚バラ、あとはポン酢だけってのも乙なものです。次の朝は雑炊確定な流れですが。
まあこっちにある食い物なら向こうにもあるだろう、一方通行で文物が落ちていく以上な。
>>609 自重の空気っつうより、それらが必要な舞台の方が問題かと。
でも、戦車は違う意味で燃えるよなぁ。
魔法と近代兵器の折り合いは夢日記の書き方が衝撃的だった。
特定の目的に特化した魔法は有効だけど、かといって万能ではないって辺りに脱帽。
人型兵器が出て来て蛸♀博士との物語が…
草原の潮騒でしたっけ?
戦車は出さないけど、マニアックな乗り物は出します。
あとサイドカーも出ます。
今はそれだけしか明言できないなぁ…
蛇国に自動車が落ちてきてたから、燃料と整備の話を無視すれば出せないことはないかなぁと思う
>>619 >燃料
石炭は使われてるみたいだから、石油もあるだろう
蛇国や獅子の国には油脈がありそうだな
>>620 油脈があっても精製しなきゃ使い勝手は悪いからね。
どちらかと言えば植物性油脂がメインかも。
菜種油とかが実用的な灯明油だったりして。
その菜種油も江戸時代だと高価で、鰯油使ってたようだから砂海の魚も一部油にしてたりしてな
まぁそんな量出ないと思うからありえんとおもうがな
車は燃料考えて使えて1話分しか持たないだろうね
どっちかというと空間としての使用が主かも
家の中に車を運び込んでそこで考え事とか読書とかエッチとか
石油満載のタンクローリー丸ごと落ちてきたら、たぶんフル稼働でも1年くらい持つと思う。
タンカー落ちてきた例もありましたね。
>>623 もしくはばらして部品を使用とかかなあ。
窓ガラスとか薄い鉄板ってこちむい世界の技術では
(国にもよるけど)稀少だと思うし。プラスチックなんかオーパーツそのものだし。
…あれ? 猫井のテレビの外装って何で出来て…?
ところでwikiのアップローダーにアクセスできないの自分だけ?
>>626 >…あれ? 猫井のテレビの外装って何で出来て…?
そこは猫井の技術力。
>ところでwikiのアップローダーにアクセスできないの自分だけ?
今試した。こっちもダメ。落ちてるのかな。
>>626 あれって映写システムとか通信システムどうなってるんだろう
魔法☆で解決か
ところで、リナ様の大陸無双、槍術天下一の設定はまだ生きてるんだろうか…?
見聞録以降すっかり影が薄くなったけど、今でも一応近接戦最強設定なのか、
それとも猫国内で最強なだけで、実はジークやサーラ様のほうが強いのか…
いわゆる『最強番付』って一番厨臭い部分じゃないか?
戦闘槍術としては強いかもしれないが、実戦で無敵か?と言うと甚だ疑問。
たとえ素人でも1000人単位でいっせいに襲い掛かられたら無意味じゃね?
一騎打ちだとか手合いだとか、武術の切磋琢磨と言う環境なら最強かもしれないけど。
現状の全作品を横断的に眺めた場合、個人戦闘で最強は魔王さまを除けばディンスレイフかフローラ様。
純粋武術とか武芸でなくて、戦って死なないで生き残る事を追求する場合はジークだろうか。
そうでなくて、とにかくどんな手段使ってでも生き残る事が最優先なら、ルカパヤンのネットワーク使えるマサミとユウジだろうか。
個人間の単純戦闘ならば各々の装備とか状況によって変わってくるだろうね。
>>632 いやいや、最強番付というかな、古い設定はどこまで無視できるのかという話でもあるんだ。
こちむい世界も何年も設定が積み重なってきて、古い設定と新しい設定がぶつかることも増えたわけで。
そんななかで、一番古いけど基本になったこちむいの設定を、どこまでなら『なかったこと』にしても許されるかという一例。
リナ様の大陸無双がスルーしても許されるなら、別にフローラ様より優秀な魔法使いが生まれたり、
実はネコより豊かな国があっても、やり方次第ではパラレルワールド扱いされずに許されるのかなと。
…書いてから思ったが、夢日記はパラレルワールド?
イノシシやカモシカの話では同世界にあるみたいだけど、なにげ魔王様級のバランスブレイカーな気もするし。
魔王様ほどじゃ無い気もするが。と言うより、何のバランスを壊してるのかが疑問だが。
銃火器は量産できてないし、対外的に武力侵攻するような勢力でもないし。
むしろ、サトルが残したAK-47の設計図のほうがはるかにヤバゲな気もする。
銃身内部のクロム鍍金処理とかどうするんだ?と言う部分を考慮すると、量産なんか土台無理だと思うが。
近代兵器ってどの辺りからバランスブレイクになるんだ?
第一次大戦レベルは許容範囲かなと思っていたのだが…
>>636 個人的には、それの存在によってネコの覇権を脅かすと判断できる場合は、バランスブレイカーじゃないかなと思う。
>>631 書いてる方の意識としましては、サーラ様は別に世界最強だなんて思ってませんでしたが。
ジーきゅんと10回ガチやったら1回殺して8回は死ぬぐらいかなー、などと勝手な脳内バランス取りしてたり。
多分リナ様と試合しても負けるんじゃないんですかね?
年齢を考えれば訓練総時間はリナ様の方が上だし、仮に技量が互角だと仮定しても体格で負けてますし。
こう、なんと言うか、そのな……
兎ってバランスブレイカーだと思うんだ
つうか、サトルが人質状態のサーラ様なら戦闘力は普段の100倍位じゃないかと。w
マナ様から1ヶ月くらい『ぼく』を貸してあげると言われたリナ様も100倍くらい強そうだ。
でも、人質に囚われた『あたし』が作った「ちょー美味しいよ!」とか言う漉し餡の大福とか、
それが浮いてるお汁粉とか、べったり塗ってあるおはぎなんかがあると、ジークは鬼神モードだな。w
あまりに世界設定のバランスを崩さなきゃある程度は仕方ないんじゃないかな、と思う
それをやると既存の設定が土台から崩れてしまうようなものはやめたほうがいいんじゃないかな、と。
例えば、ネコの国より豊かな国が大々的に存在していることにすると既存の作品の大多数が非常に困ったことになるわけで
それはちょっとないよね、という具合に。
つまるところ、大切な誰かを守る時には並々ならぬ力が発揮出来るわけですな。
イイねイイね、そういったアツい展開大好き。
>>639 兎さんをバランスブレイカー扱いすると死ぬよ、性的な意味で
科学水準は19世紀初め〜半ばくらいが許容範囲だと思う
ネコの国は魔導レーダーやらテレビやらと魔法工業が栄えて、大体19世紀半ばくらいの科学水準を持ってる
いきなり猫を上回る国土と国力を持った国や勢力が現れて「猫攻めようぜ」とならん限りは大丈夫かと
まあ…流石に魔王様は許容外だけど
>643
テレビの時点で普通に20世紀だと思うが。
あの世界ではオーバーテクノロジーな産物も普及しているが、
それを除けば庶民の生活は19世紀並み…というか19世紀と明言しているのはイヌぐらいじゃん。
逆説的だけど、19世紀かもう少し前位の社会にいきなりヒトの科学が入ってきて、それで格差が広がってると思うんだ。
テレビみたいな電波を使う技術とか路面電車みたいなパワーエレクトロ分野の技術はヒトの科学を使わないと実現不可能だろうし。
バランスの話題が出るたびに思うんだけど、突拍子も無い設定で安定した世界のバランスを崩すってかなり難しいのではないだろうか。
最大国家・巨大国家のネコだけど、純粋な軍事力ならイヌだろうし、農業国家ならばトラだろう。
それらの設定に噛み付いてしまう設定でない限り、少々のヒト科学が定着していたとしても、バランスを壊す程じゃないと思うし、それに世界征服だなんて土台無理だと思う。
逆説的って言葉の意味が違う気もするけど、まぁそれはともかく。
巨大国家のネコが世界へ手を掛けられない一番の理由がヒトのテクノロジーじゃないかって気がするんだよね。
攻め滅ぼそうとすれば手痛い反撃食らうから、戦争より商売だと。w
つまり、猫井万歳!
要約するとある程度のことでバランスブレイクとか言わないようにしようってことか
それでは引き続き異世界をお楽しみください
もしそうなら、ヒトは奴隷階級どころか国家の救世主な気が。
自作に銃器出してる一人として気にしてることは、基本は剣と魔法の世界だということを忘れないようにしたいなと。
その世界に銃があっても、剣術や槍術が時代遅れと思われないというのが、
こちむい世界で近代兵器が存在を許されるラインじゃないかと個人的には判断してる。
>>648 多分、下手に真実告げると国民のプライドが大崩壊するから
自分達が発明して教えてやったみたいな捏造教育が全開なんじゃね?
人からすればバリバリ右寄り&共産主義な某お隣さんや
軍事大国一直線な中つ国のがまだ交渉や利害の一致した場合による
共闘が期待できる分、理解可能なレベルかと
銃っても千差万別だからね
先込め式のなら一発打って重点に時間掛かるし、銃身の作りがヘタレならあたらないし……とか、
出すなら出すで色々下調べ必要だからちゃんとやらなきゃだめだよねぇ
ヒトの科学力を他国に利用されないように、
ヒト・イコール・性奴隷という公式と、ヒト奴隷の
阿保みたいな価格帯を作り上げ、
とくに高い技術を保有している確立の高い
オスヒトをほとんど猫王室で買い占める状況を整える。
それこそがフローラ様の陰謀だったんだよ。
そう妄想していた時期が私にもありました。
ヒトにも色々使い道があるって事じゃね?ヒトの科学が重要なだけで、ヒト自体はべつにどって事無いんだろ。
そんで、落っこちて向こうで子供こさえたら使い道の無いヒトに育ったんで性産業に従事して、
それ自体が差別の対象の一歩前だから、逆転的な展開で奴隷扱い化とか。
この空気の中で、ヒトの科学技術とかまるで無縁の話を書いてる俺は一体……
いっそのこと、時代設定をフローラさま即位50年後(こちむいの200年前)ぐらいにすればいいのかな。
唐突な質問だが、スレ住人的にはオスヒトとけも娘の主従の場合、けも受けとけも攻めのどっちが好みなんだろう。
けも側の誘い受け
>>656 SSを書く上での質問ならスレ住人なんて気にせずあなたの思うがままにどうぞ
個人的嗜好で言うならけも娘の襲い受けがいいかな
>>655 暫定的にですが、絵板をtxt形式のファイルもアップできるような設定にしたので、
うpろだが死んでる間に投下したい場合は使ってください。 (場所は
>>3 )
661 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 14:51:00 ID:CfBVWncS
>>659 あなたが神か?
でなくてww
いつもご苦労様です。
ちょびっとWikiいじって大変さがわかりました。
感謝感謝!!
少々事情が出来まして、トリップの変更をいたします。
この書き込みは、古い方のトリップで行っています。
以降の投下には、こちらを使わせていただきます。
……ろだが死んだら、そのろだで投下したSSも消えるんだな。
獅子国、まだまとめサイトに入れてなかったのに……
これで、PCのファイルまで消してたら、さすがにちょっと笑えねえorz
>>659 ありがとうございます。
ところで、すこしお伺いしたいのですが、テキストファイルを投下したい時は普通に「画像アップロード」に入れれば良いのでしょうか。
なんかいま、試しにやってみたらテキストファイルが真っ白になっていたので。
>>665 理由は不明なんですが、あまりに小さいバイト数のファイルの場合
ブラウザ上で表示されないようです。1.5kbくらいのは表示されました。
また、表示されないファイルも「対象をファイルに保存」で
PCに保存すれば、PC上で見ることは可能っぽいです。
使い勝手が悪いですが、危急の場ということでカンベン。
保存も閲覧も出来ない人が多いときはまた考えます。
書き忘れ。
「文章/画像投稿」→「画像アップロード」欄に目的のtxtファイルを指定
で投稿できます。
ろだ、このままあぼんなのか…。
お客さまの中に羊と犬のお持ちの方いらっしゃいませんかー!
読めなくなるの悲しい。
再アップされた獅子国は保管庫に移しておいた。
リンク関係修正はよろしく。
羊と犬は持ってないな…。
「わんわん異聞+羊と犬とタイプライター」カーテンコール付き
ttp://ud.gs/40ebb zipで固めてあります
ダウンロードのパスは"猫耳少女と召使いの物語14"(タイトルをそのままコピペ)
作者さんじゃないけどこのまま読めなくなるのは惜しいと思いまして。
保管庫への移管はやり方が判りませんでした、どなたかお願い出来ますでしょうか
この世界では銃弾を剣で真っ二つにしたり、槍の柄で受け流したりする運動神経の持ち主や、
PDRを用いる魔法使いがいるのがザラなんだよな……
特に魔法使いに対してなんかは、PDRのRが得意な相手だったら自殺するようなモンだし、
銃なんかおっかなくて使えねぇぜ。
……話を掘り返すようでアレだが、銃ってこれくらいの位置かなぁなんて思ってたり。
差し向かいで戦闘するならそんなもんだろうね。
現実世界だって、手が届く距離の戦闘なら銃より刃物だし。
つうか、ロダが復旧しないのは困りもんだな。
どうしたんだろう?
魔術師オーフェンとか空の軌跡みたいな銃が普通に出てくるファンタジーに
慣れ親しんでいる身としてはもっと銃だせ、そして魔法の通じにくい相手には銃、
銃の通じにくい相手には魔法で戦うアウトレンジマンセーなオリヴァルト皇子のようなキャラを
>>672 すみません、PDRって何の事なんですか?
>>675 プロテクション・ディストーション・リフレクション
かな?
剣、魔法、ガンとかメガテンを思い出すなぁ
呪殺や物理反射でパトったのもいい思い出
ペルソニャー!
ディフレクションじゃなかったっけ?
防護・偏向・反射だったと思うよ
「ご主人さまPDRってご存知ですか?」
「ニャニャッ!私をそこらの猫と一緒にしちゃ困るニャ」
「流石ご主人さま。ご存知なんですね」
「私に知らない物はないニャ。落ちもの電子手帳の事ニャ」
「ご主人さまそれはPDAです」
「ニャニャッ!?学校の保護者会かニャ?」
「それPTA」
「平和維持活動ニャ!!」「PKOですか?ってかなんでそんな言葉知っているんですか?」
「ニャニャッ!私に知らないものは無いのニャ」
「ではPDRはなんですか?」
「PSDなら大好きニャ」
「は?」
「ぷに・ショタ・奴隷ニャー!!!」(ガバッ)
「あーっ答えになってないー!」
という電波を受信した
移管完了
読みにくいかもしれないのは御愛嬌。
うpしてくれた人、
まとめにいれてくれた人、
ありがとう!
ついでにラーメン屋の話も希望!
あと、大陸地図も修正がたくさん入ったんで最新版を入れてもらえれば。
……ところで、まとめwiki自体が死ぬことはないよね?
地図はいらないんじゃないか?
あんまり多くあげても見る人が迷うだろうし、そういうのは想像に任せたほうがいいと思うんだが
>>685 多く上げろと言ってるんじゃなくて、
いま保管されてる地図が絵板の方でよりよいものに修正されてるから、新しいのに差し替えたほうが良いんじゃないかと。
考察好き・設定好きにとっちゃ、考察済みの地図記載は
非常にありがたい物ですが。
読みにくいかも、というので行間いじってみた。
詳しい人ー、あれでいいのか確認頼みます。
設定といえばなんだけど、聞きながしてもらってもいいが
漂流女学院ってしたらばに移ってるスレあるけど実はこの世界の
ずっと過去なんての考えたり、、、、女学院の女の子達は和解し
謎の惑星に残ることになっていったという感じ
人とあの世界の獣は交配可能とあるが多分これで数世代後
淫獣の遺伝子欠陥が改善かつ強い能力をてに入れたなど
改善でメス、オスの均等化に異種交配能力の退化あって
安定強化したのでは、人との交配の獣からの数代後メスに人型の例とか
長寿命に魔術の由来や人伝説や中心の空間転移、、、、過去になんか有ると思ったとき
女学院スレとこじつけた私の考えです。
幼稚な携帯文章でスマソ
日本語でOKとしか言いようが無い気がするが
携帯からなので稚拙ですが悪しからず
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
わたしはあなたが嫌いだった。
時おりやって来ては、幼いあなたは興味本意でわたしにひどいイタズラをするから。
幼いわたしも懲りずにあなたと戯れてはひどい目にあっていた。
そんなわたしの不幸を笑うあなたがとても憎らしく思えていた。
わたしは、たぶんあなたが嫌いだった。
成長した少年のあなたはわたしに構わなくなった。
大人になったわたしもあなたを構うなんて言う愚行はしなくなった。
時おり頭を撫でようとしてきてくれるけど、またイタズラされると思って逃げていた。
わたしは、あなたが嫌いなんだろうか?
もう少し年月が経って、あなたは立派な大人になった。
対するわたしはよぼよぼのおばあちゃんになっていて、あなたが来ても眠ってばかりいた。
あなたも疲れているのかよく眠っていた。
わたしはたぶん、あなたが好きだったんだろう。
その背中で眠るのが大好きだったように。
無邪気に笑いかけてくれたあなたが、大好きだったんだろう。
そんなことを思いながら、わたしはあなたの背中でまどろむ。
わたしの声はあなたに届かないけれど、温もりなら届くと信じてるから。
そしてあなたに
>>688 設定は聞かれるまで言わないのがかっこいいんだぜ。
馬鹿な、自分など聞かれなくても設定だけ延々語っていたいぞ!?
>>688 もしかして漂流女学校かな、あそこの作家達は素晴らしいよね
日数単位のタイムテーブルでSSなんて真似できん
ところでうpろだは復旧したんでしょうか?
そろそろ新作読みたいです!
職人様方もwikiの管理人さんも超がんがってください!
>>695 そういう事言われると、本当に書いちゃうぞ。
ろだ復旧おめー
これまでのも残ってて一安心
698 :
とらひと:2008/02/02(土) 01:08:27 ID:CACBjfvt
お久しぶりです
虎の威
バラム×チヒロ
くるみ割り人形の旋律が、しんしんと冷え込む夜にぎこちなく流れていた。
昨夜、温泉から家に帰って四人で話し合った結果、しばらくは毎晩バラムの部屋に通い、慣
れてきたらアカブに抱いてもらう事で話がついた。
最初は薬や魔法を使い、ゆるやかに体を男に慣らしていき、最終的には二人同時に相手に出
来るように頑張るからと意気込むと、パルマに真剣な表情で命が惜しかったらやめておけとさ
とされた。
そういえば前に、パルマはバラムの体力についていけないのだと聞いた事がある。バラムは
マダラだから、アカブよりも体力は無いだろう。
千宏よりはるかに丈夫なパルマが、アカブよりも体力のないバラムの相手をしきれないのだ。
なるほどヒトの千宏が二人同時に相手にしようなど、完全に自殺行為である。
オルゴールによる単調な演奏が終わり、再び部屋に沈黙が満ちた。窓の外には風もなく、二
つの月が凍えながら空に輝いている。
ぱたん、と布張りのオルゴールのふたを閉じ、千宏は枕を抱いて立ち上がった。
バラムの部屋へ続く長い廊下を、息を白くしながら歩く。
四階建ての最上階。階段を上りきった正面にある大扉から、左に二つ目のドアがバラムの部屋だ。
この世界に落ちてきてバラムに拾われ、この家で生活するようになって随分経つ。それなの
に千宏は、一度もバラムの部屋に足を踏み入れた事がなかった。
探検と称して家の中を歩き回った時も、四階に上がって大扉を見た瞬間にそれ以上先に進む
のが怖くなってすぐさま階段を降りてしまった。
呼ばれてもいないのに、立ち入ってはいけない。
そう思わせる緊張感が、あの大扉を中心に四階全体に広がっているようだった。
だが、今日はちゃんとバラムに呼ばれていて、用があってきているのだ。千宏は階段をのぼ
りきり、あらためて大扉をまじまじと観察した。
「……地獄の門……っぽいかな」
有名な彫刻家、ロダンの作品だ。堅牢な岩の扉で、びっしりと彫刻が施されている。
この大扉も、複雑な紋様や文字がびっしりと刻まれ、恐ろしげな獣の彫刻や、美しい女性の
彫刻がこちらを威圧するように掘りこまれていた。
「不気味だよな」
「うわ!」
何の前触れもなく、すぐ隣に現れたバラムに千宏は声を上げて飛びのいた。
「子供の頃、この扉が怖くて泣いた。戦争のための部屋だ。使われたことは、大戦以後一度もねぇ」
「そう……なんだ」
「それでも、必要な部屋だ。例え数千年に一度しか必要とされなくても、常に万全じゃなきゃ
意味がねぇ」
数千年に一度、必要とされる時。
それは明日かもしれないし、百年後かも知れないし、数千年後かもしれない。あるいは、
永遠に必要とされないかもしれない。
それでも、決して無視できない数千、数万、数億分の一の確立のためだけに、常に完璧で
あり続けなければならない物が、確かにある。
「俺と同じだ」
呟いて、バラムはそっと扉を撫でた。
「存在し続ける事が仕事なんだ」
「……つらいの?」
思わず訊くと、バラムは意外そうに千宏に振り向いた。
「そうだな――どうだろうな」
苦笑いして、バラムは千宏の髪をくしゃりと撫でた。
「一人だったら、辛いかもな」
いとおしげに髪を撫でるバラムの指が、とても弱々しく感じられた。頬をひと撫でして離れ
ていくバラムの手を、思わず掴んで再び頬に引き寄せる。
699 :
とらひと:2008/02/02(土) 01:09:10 ID:CACBjfvt
「一人じゃないよ」
「……チヒロ」
「ずっと一緒にいる。嘘じゃない」
昨夜、森で言った言葉は嘘ではない。自由を得ても、力を得ても、千宏はずっとここにいる
と心に誓っていた。
「……部屋、入るぞ。廊下は冷える」
困ったような、照れたような表情で視線をそらし、バラムが不機嫌そうに低く命じる。
大人しく頷いて、千宏はバラムに呼ばれるままに薄暗い部屋に足を踏み入れた。
トラはそれほど光を必要としない。
千宏の世界でそうであったように、トラに限らず猫科の生物はみな一様に夜目が利く。
それなので、夜、千宏が薄暗いと感じる空間で、バラム達は平気で活動する。それにしても、
暗すぎだった。ロウソク一本ともっていない。
「真っ暗……」
呟き、千宏は何かにぶつかったりはしないかと手探りで足を進めた。
「こっちだ」
バラムに手を引かれ、暗い部屋を真っ直ぐに突っ切って行く。
「ここが部屋なんじゃないの?」
「ここは応接室だ。奥が寝室になってる」
「応接室……」
客なんて来ないじゃないか、と思ったが、まぁ来た時の事を考えればあった方がいいのは
間違いない。
バラムに導かれて寝室のドアをくぐると、思っていたよりずっと明るい部屋に千宏は安堵の
息を吐き出した。
「酒は?」
「飲んだほうがいい?」
問い返すと、バラムは一瞬意味を問うように振り返り、しかしすぐに苦笑いした。
「そうだな……飲んだ方がいい」
とくとくとグラスに透明な酒を注ぎ、バラムは千宏に差し出した。
甘い果物の香りがする、千宏が気に入っている酒だ。トラ国原産の酒は全て千宏には強すぎ
てとても飲めたものではないため、旅の商人からネズミなどが飲む物を手に入れている。
「ありがと」
礼を述べてグラスを受け取り、ちびりと舐める。その目の前で酒瓶からぐいぐいと酒をあお
るバラムに負けじとこちらもグラスを大きく傾け、飲み干すと共に千宏は急激に回ってきた酔
いに後押しされて羽織っていた上着を脱ぎ捨てた。
「よっしゃぁ! やるかぁ!」
ここまで来たらもう後戻りはできない。気合を入れて声高に叫ぶと、バラムがぎょっとして
酒を吹き出した。
「お、おまえな! やるかって……そんな決闘じゃねぇんだから……」
バラムの咎めるような視線を無視してずかずかとベッドに歩み寄り、千宏はベッドに腰掛け
て睨むようにバラムを見た。
「さぁ! ご随意に!」
ご随意に、と言われても、敵を見るような恐ろしい目つきで睨まれてはバラムも手を出し
にくい事この上ないだろう。
しかし、恐らくこれがこの場において千宏が出しきれる精一杯の勇気である。
数秒間の気まずい沈黙を挟み、バラムは諦めたような溜息を吐いて酒瓶を置き、ゆっくりと
した動きで千宏の隣に腰を下ろした。
「おまえを拾った日の夜も、こんな風に並んで座ってたな」
その言葉にぎくりとする。
千宏が今着ているのは、ゆったりとしたワンピースの寝巻きで、腰でゆるく縛るタイプの物
だった。あの日、パルマから借りてきていた物とは随分違う。
「俺な」
「うん……」
「おまえのこと、面白い玩具くらいにしか、思ってなかったんだ」
「まぁ……うん。普通、そうだよね……」
「おまえが泣いて、あんな風に抵抗できると思ってなかった」
それは、この世界での常識だ。
千宏だってバラムを異常者だと思ったし、アカブを見た時など恐怖で気を失った。
700 :
とらひと:2008/02/02(土) 01:09:45 ID:CACBjfvt
「あの日の夜な。俺、どうせ逃げられやしないって……一人になったら生きていけないんだか
ら、俺たちに頼るしかないんだって……そのうち、自分から懐いてくるだろうって、そんなこ
と考えてたんだ」
「……バラム?」
「アカブが、おまえを家族として扱おうって言った時……おまえが、一人で生きる力が欲しい、
ペットなんて嫌だって言った時……自分に吐き気がした」
膝の上で組んだバラムの両手に、骨が軋むほど力がこもる。
「あいつらがいなかったら俺……おまえのこと壊してたかもしれねぇ。おまえにも家族がいた
なんて、おまえにも誇りがあるなんて、考えもしなかった」
「それは……だって、仕方ないよ。それがこっちの常識なんだし、それに――」
「あいつは自分でそれに気付いたんだ!」
怒鳴って、バラムは金色の輝く瞳で真っ直ぐに千宏を見た。
「薬がある」
「え?」
「男に体をならすなら、ヒト用の薬や、道具がある。無理に俺を使う必要はねぇんだ。俺なん
かよりあいつと、そういうのでゆっくりならしていけばいい」
「ま、待ってよバラム! ちゃんとみんなで話し合って、それでこういうことに決めたんじゃ
ないか! そんな今更――」
「まだ選べる。大切なことなんだろ? 打算で決めるな。焦る必要はねぇんだ」
「それで――あんたを選んだんじゃないか」
ぽかん、と、バラムが千宏を凝視した。
痛くないように、怖くないように、ゆっくりと男に体を慣らす。それだけが目的ならば、
道具や薬でどうとでもなる。
その選択肢を知った上で、千宏はバラムに与えてもらう事を望んだのだ。昨晩、あの雪景色
の中で確かにそう伝えたはずだ。
「アカブだって、バラムにしてもらった方がいいって力説してたじゃん。あたしだってバラム
のこと信頼してる。道具なんかよりバラムのほうがずっといい」
「そりゃ……まぁ……そう、かもしれんが……」
「確かにさ、あたしにだって意思があるんだって最初に気付いてくれたのはアカブだよ。でも、
バラムはそれを受け入れてくれたじゃないか。ヒトを家族として扱うなんて馬鹿馬鹿しいって、
切り捨てる事だって出来たのに」
しおしおと、バラムの尻尾と耳がたれていく。
やはり可愛い。無駄に可愛い。
「だからさ、気持ちよくしてよね。ご主人様」
言って、ぽんぽんとバラムの肩を手の平で叩く。
不意に、バラムが力なく笑い出した。ヒトの途方もない強さに呆れたように、弱々しく首を
振って肩を揺らす。
「あぁ……絶対に痛くなんかしねぇ。くせになるくらい感じさせてやる」
宣言して、バラムはそっと千宏の唇に口付けた。
先ほどバラムがあおっていたきついアルコールの味が、冷めかけていた千宏の酔いを再び
激しく呼び起こす。
マダラのキスは、蕩けちゃうくらいいいんだから、とイシュは繰り返して言っていた。確か
にその通りかもしれないな、と、千宏はぎゅっとバラムの服を握り締めた。柔らかな唇。繊細
な舌。アカブとしたキスとはまるで違い、ぼんやりと意識がとけていく。
ヒトのようなバラムの手がすべすべと千宏の脚を撫で、くすぐるように指先で太腿をなぞる。
そのままベッドに押し倒されて、千宏は不意に頭をもたげた恐怖に近い緊張に気付くまいと必
死にバラムの首にしがみ付いた。
自分から触れるのことには、もう随分と慣れたように思う。だが、相手に主導権を握られる
のがひどく怖い。
「チヒロ」
「……ん」
「俺の目を見て、繰り返せ」
命じられるままに唇を離して顔を上げ、千宏はぼんやりと金色の輝く瞳を凝視した。
「怖くない」
すっと、乾いた砂にしみ込むように、その言葉があっさりと心に染み渡ってくる。
薄らいだ恐怖心に戸惑いながら、千宏は自分の口で、怖くない、と繰り返した。
701 :
とらひと:2008/02/02(土) 01:10:51 ID:CACBjfvt
「どうしよう……怖くない。凄い、ほんとに、全然怖くなくなっちゃった。これ、魔法?」
「ああ。魔法ってのは言葉だからな」
前にアカブが同じことを言っていたが、今ならば理解できる。
「楽しめ。それがトラ流だ」
笑って、バラムは突然千宏の服をまくりあげ、あろうことか容赦なくくすぐりはじめた。
一瞬なにが起こったのか理解できなかった千宏は、しかし直後にけたたましい笑い声を上げ
てベッドの上を暴れ回った。
「いやぁあぁ! 無理! これ無理まじむり! うひひゃはははは! だ、だめ、や、やぁめ
てえぇえ!」
必死に逃れようと逃げ惑っても、所詮はトラとヒトである。千宏に逃げられる術などあるわ
けもなく、苦し紛れに千宏は楽しげに揺れるバラムの尻尾を引っ張った。
「ば! てめ、尻尾は――!」
びくん、と大きな肩を震わせて、バラムが千宏から距離を取る。その隙にさっと体制を整え
なおし、千宏は弱点見切ったとばかりにわきわきとバラムの尻尾を狙い始めた。
そのまま、一分近い睨み合いが続く。
先に根負けしたのは千宏だった。思い切り吹き出して、げらげらと笑い出す。つられたよう
にバラムも苦しげに笑い出し、二人はベッドの上で何も言わず、ただげらげらと笑いあった。
じゃれあいに疲れてうつぶせに倒れ込んだ千宏を追って、背中から抱きすくめるような形で
バラムもベッドに横たわる。
二人とも悲惨なほどに着衣が乱れ、最早半裸に近かったが、そんな事など気にならないほど、
たまらなく楽しかった。
バラムの指が太腿をなでさすり、小さな胸をやわやわともみしだく動きにすら、肩を揺らさ
ずにいられない。
「やだ、きもちいいよ」
「上手いだろ。繁殖相手でもねぇのに俺と毎晩寝られるなんて、光栄に思えよ」
「そっちこそ、ヒトと毎晩寝られるなんて最高の贅沢なんだから、幸福を噛み締めてよね」
お互い、希少生物同士である。
ふと、ようやくそのことに思い至って顔を見合わせ、二人は再び笑い出した。
初めて市場に行った日、イシュが言った言葉の意味がようやくわかった。マダラがヒトを
犯している場面など、一級品の見世物だろう。それだけで食っていけるに違いない。
「ん……あ、は……あん……んん……」
ふかふかとした長い尻尾が、すっかりとさらけだされた千宏の白い素肌をなぞる。くすぐったい
よと文句を言うと、お前こそ耳を触るなと文句を言われ、千宏は全身を這い回るバラムの指と
唇に切なく呼吸を乱しながら、文句や軽口を叩き続けた。
やがて、つぷりとバラムの指が浅く埋められ、ぎくりとして肩を竦ませる。
十分に潤っていたため痛みを覚える事はなかったが、鈍い違和感に千宏は顔を顰めてそこを睨んだ。
「いてぇか?」
「ううん……なんか、でも、はいってる……」
「じゃ、これは?」
指が二本に増えて、ぐにぐにと動かされる。
「なんか……もぞもぞする。指、に……なんか、力入って……落ち着かない」
だが、快楽と認識できる程のものでは無い。
702 :
とらひと:2008/02/02(土) 01:11:29 ID:CACBjfvt
「チヒロ、目」
言われて、千宏は再びバラムの目を見た。
輝くような金色の瞳が、ごく至近距離にある。
「気持ちいい」
ぞくりと、背筋を這い上がってくるものがあった。下腹部の下の、更に奥の方がきゅうきゅうと疼く。
「繰り返せ、ほら」
促されて、千宏は乾いた唇を舐めた。
言うのが少し怖くなる。
「……怖くない」
最初にそう呟いて自分を奮い立たせ、千宏は恐る恐る囁いた。
「気持ちいい」
瞬間、ぐっとバラムが中で指を折り曲げる。千宏は甘く悲鳴を上げて仰け反った。
「う、うわ……嘘、なにこれ、うわ……!」
「ほら、もう一度」
「ひゃあん! あ、や……きもちぃ……あぁあ! バラム! それ、い……あ、やぁ、きもち
い……きもち……よすぎ……うあぁああぁッ!」
重く、鈍く弾けるような快楽が立て続けに襲ってきて、千宏は大きく弓なりに背を反らせた。
ねっとりとした水音を響かせて、バラムの指が抜き去られる。
休む間もなく大きく脚を割り開かれ、千宏は快楽に潤んだ瞳でバラムを見た。
「いいか。俺が今からする事に、痛みなんか少しもない。ただ、気持ちいいだけだ」
「……今からバラムがする事は、少しも痛くない。気持ちいいだけ」
「そうだ。いいか、俺がいいって言うまで、絶対に他の事は考えるな。いいな?」
こくん、と頷き、千宏はまっすぐにこちらを見ている金色の瞳を同じく真っ直ぐに見返した。
はっとするような熱の塊が、とろとろに蕩けた秘所に押し付けられる。
「痛くない、痛くない、痛く……な……あ、んぁ……!」
つぶり、と先端が埋まり、千宏はぞくぞくと襲ってきた快楽に言葉を詰めた。
「繰り返せ。休むな」
「痛くな……い、きもちぃ……きもち、い……うぁあぁ! だ、ばら、む……そんな、ゆっく
り、じゃ……」
奥まで、もっと奥まで貫いてもらわなければ、このぐいぐいと押し上げられるような切羽詰
った苦しみからは解放されないような気がして、千宏は嫌々と首を振った。
痛みなど無い。本当に、少しも痛みなど感じなかった。ひたすら、ただひたすら、視界が白
むほど、苦しくてもがくほどの快楽に涙がこぼれる。
「すげ……んだ、このキツさ……」
苦しげに呻いて、バラムが一瞬動きを止め、千宏の腰をしっかりと抱えなおした。抜ける
ギリギリまで引き抜かれ、直後に最奥突き上げられる。
千宏は声にならない悲鳴を上げてぐっとシーツを手繰り寄せた。
トラの体温は、ヒトのそれよりいくらか高い。風呂の湯を固めて押し込まれたような感覚に
千宏は歯を食いしばって小刻みに肩を震わせた。
「あつ……い、よぉ……なか、あつ……」
「泣くな、楽しめ」
それが礼儀だと囁かれ、千宏は握り締めていたシーツを離し、バラムの長い銀髪に指を絡め
て逞しい首に腕を回した。
「気持ちいいだろ?」
「ん……」
「俺もだ。すげぇいい。パルマには悪いが、さすがはヒトだ。こうしてるだけでたまんねぇ」
バラムの肩越しに興奮した様子の長い白黒の尻尾が見える。
そうか、バラムも気持ちいいのか。
そう思うとまた、なんだか妙におかしくて、千宏は泣きながらくすくすと笑い出した。
「楽しい……楽しいよ、これ。すごい面白い」
考えてみれば滑稽だ。
耳と尻尾を生やした男と、異世界からやってきた少女が、裸で腰をつき合わせて汗だくにな
りながら出来もしない子作りに励んでいるのだ。
これが、笑わずにいられようか。その上千宏は処女なのに、気が遠くなる程に気持ちいい。
千宏が笑い出すとバラムも笑い、そして、激しく腰を突き上げ始めた。
静かな部屋にじゅぶじゅぶと愛液の掻き乱される音が響き、それに混じって千宏の甲高い
嬌声や、子供がはしゃぐような笑い声が上がる。
これは娯楽だ。
この上なく気持ちよくて、この上なく楽しくて、異常で、背徳的で、滑稽で、その癖最も
純粋な娯楽なのだ。
703 :
とらひと:2008/02/02(土) 01:12:56 ID:CACBjfvt
「あぁあぁ! いく、い……も、あぁあぁ! ひん! ふ……あぁ――バラム、バラム!」
「違うだろうが。ほら、ご主人様だ」
「ご主人さ、ま……ご主人様ぁ! ごしゅじ……ん、さま……あぁあぁ!」
叫んで、千宏は力任せにバラムの背に爪を立てた。
痛みに近い感覚を覚える程に熱く滾った白濁が、どくどくと子宮に注ぎ込まれる。
ぐったりと脱力して弛緩した体をベッドに投げ出し、千宏は乱れた呼吸でぼんやりとバラムを見た。
くしゃりと、子供にするように髪を撫でられる。
中から抜き去られてしまった熱の塊を寂しく思いながら、千宏はぐいぐいとバラムの髪を
引っ張ってキスを求めた。
求めるままに与えてもらった口付けに満足し、バラムの胸に圧し掛かるようにして目を閉じる。
「あー……なんか、幸せだな」
「あぁ……そうだな」
同意して、ふと、バラムは思い出したように千宏を見た。どうかしたかと問うように見上げ
ると、に、とバラムが歯を見せて笑う。
「おまえらがいるから、つらくねぇ」
その、底抜けに幸せそうな――ともすれば間抜けに見える動物的な笑顔に、千宏は一瞬面く
らい、弱々しく吹き出した。
切らせていただきます
>>698 は げ し く G J い ち ば ん の り !
全裸で正座して続きを待ちます!
しっぽ責めwwwwテラエロスwwwwwwww
ごちそうさまでした。
なごんで笑って萌え萌えハァハァしつつ、
最後に何か切なさドスンときた。
果てしなくGJ!超続き待ってる!
貫 通 お め で と う ご ざ り ま す る !!!
ああああお兄ちゃんはいい子だなあ
千宏もいい子だなあ
かわいいなあもう
おいしくいただきますた!
次回まで全裸待機してますね
ところでwikiの地図を更新したけどあれでよかったのだろうか?
素敵でした!
虎基準で開発しちゃったらチヒロはものすごい淫乱(虎的にはきっと誉め言葉)になっちゃいそう
こんなに幸せなのに、真剣で、滑稽で、どこか切なくて、いい話ですねえ。GJ!
なんて素敵なベットシーンなんだろう!
大変GJ!であります、もうほんとに凄いなぁと。
こういう話しを書きたいんだよ、俺は・・・・
と、嫉妬と羨望の眼差しでみております。
あんたの新作も早く読みたいぞっとw
>>711 嫉妬は心が折れていない証拠だw
そして嫉妬ほど燃費効率の高い執筆エネルギーはないぞw
まあつまり、俺が待ってるからがんがれ。
俺もそろそろがんばろうorz
なにこの幸せな風景。GJとしか言えない。
>>709 トラは淫乱なんじゃなくて、オープンで積極的なだけだよ!
好みのタイプにはオセオセガンガンだけど、好みじゃなかったらどんなに言い寄られても無視なんだよ!
やっべぇ、とらひとさんアンタすげぇよこれが萌えってやつですか!!
そういや、あんまり出てこない種族とかいるよなぁ
キツネとか好きなんだが、あんまり出てこなくて悲しい
何より描きづらいよな。
自分のイメージが果たしてみんなの想像しとる狐国にふさわしいかどうかは分からないし……
そもそもイメージはあるんだが描写する力がががががが
誰か脳内イメージをそのままアウトプット出来る装置を作ってくれぃ
>>718 > 誰か脳内イメージをそのままアウトプット出来る装置を作ってくれぃ
シュールリアリズムな絵しかでなさそうだな。
巫女だったけどとある禁忌を犯したがために沢山あった尻尾を一つ残らず
切り落とされて追放されたキツネ巫女を出そうとは思っているが。
どうだろう?
てか、スタンダードな狐さんが見たいです。
<チラ裏>
本スレでチラ裏話、失礼します。
実はキツネって書き手側にすると凄く魅力的な部分があるんですよ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%84%E3%83%8D wikiさんの文章読むだけでプロットが頭の中に湧いてくると思います。
ヒトに化けて子を成す伝説とか言うだけでもう・・・・
失われた古い言語の魔法を使ってヒトに化け、
落ち者ののヒト♂と子を成してしまうキツネ♀のプロットを書いたんですが、
現在進行中の拙作が予想外に時間が掛かってますので、
恥を忍んでありがちな話しのテーマをば。
</チラ裏>
724 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 00:10:44 ID:RZ8zL0Vx
失礼します。
書いた小説を投稿したいのですが、文章が長すぎて字数制限が入ってしまいます。
これは何回かに分けて投稿しなければならないのでしょうか?
もし何らかの方法があるなら教えていただいてもよろしいでしょうか?
何回かに分けて投稿を。大体20行程度で区切ると良いと思う。
量が多いならば txt に固めて uploader 使うのも良いと思うよ。
>>724 この板の場合は横40文字で50行位までが一回の書き込み辺りの上限だから、
それから逆算して分割していけば良いんじゃないかな。
行数表示機能つきのテキストエディタ使って分割してやると良いと思う。
727 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 00:27:13 ID:RZ8zL0Vx
>>725さん
理解しました。
解決です。 どうもありがとうございました。
728 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 00:31:34 ID:RZ8zL0Vx
失礼しました。
>>727さん、どうもありがとうございました。
まだ、完成はしてないのですが、近日中UPできるよう努力します。
>>727 メール欄に 「sage」 って入れておくと周囲から優しくしてもらえるよ。れっつとらい。
なんか最近狐の話題が出てるんで便乗して
自分も今狐もの書いてるんだが、
>>718も言ってる通りいまいち世界観が把握しきれなくて難しい
そこで質問なんですが、狐の国って何時代のイメージですかね?
個人的には飛鳥〜平安時代のイメージなんだけど、一口に昔の日本って言っても色々あるし
まとめは一通り見たんだけどいまいち確信持てないんで、皆さんの意見もらえると嬉しいです
既出の質問だったらごめんなさい
731 :
とらひと:2008/02/08(金) 03:45:35 ID:NI1BUPiq
虎の威
アカブ×チヒロ
バラムに抱かれ、処女を捨て、滑稽な幸福に笑い合った夜から一月が経った。
男に対する恐怖はすっかりと消え去り、快楽を受け入れる事にもなれ、千宏は自分から男に
快楽を与えることをも覚えて逆にバラム達を心配させた。
急がなくてもいい、無理をするな、ゆっくりなれていけばいいのだという言葉を、しかし千
宏は相変わらずの頑固さで聞き入れようとはしなかった。
そして、魔法や薬を使わなくとも男を受け入れられるようになり、千宏はバラムの部屋に通
う日々を卒業した。
「そんなわけで、今夜はアカブの部屋に夜這いを掛けようと思います」
アカブに作ってもらったおやつのプリンを誇りっぽい市場で味わいながら、千宏はにやりと
唇を吊り上げた。
同じくプリンを書き込んでいたパルマが、ぴん、と耳を立てて千宏を見る。
「それって、ひょっとしてアカブには内緒でってこと?」
ぐぐっと身を乗り出して、ひそひそとパルマが囁く。
千宏は地の底から這い出そうとする魔王のごとき含み笑いを上げ、パルマに歓喜に震えた
悲鳴を上げさせた。
「それいい! すごくいい! 絶対、死ぬほどびっくりする!」
「そうでしょ、そうでしょ! パルマとイシュに教わった超絶技巧で腰砕けのごろごろにゃーん
状態よ!」
「まってまって! ただ夜這いをかけるだけじゃまだ甘いって! お風呂上りで完全に油断し
て部屋に帰ったところでさ……」
「パルマの鬼畜! この変態!」
きゃあきゃあと叫びあいながら、ばしばしとお互いを叩き合う。
そんな様子をやや遠巻きに見守っていたカブラ達は、アカブを羨んでいいのかはたまた憐れ
むべきなのか判断しかねていた。
そして、穏やかに夜がやってくる。
やたらと風呂を勧めてくるパルマと千宏に半ば押し切られる形で風呂に入り、妙に気を利か
せてパルマが持ってきた冷酒のせいで思わず長風呂してしまったが、アカブは身も心もほかほ
かと温かく、ほろ酔い気分でこの上なく上機嫌だった。
今夜もぐっすりと眠れそうだ。これで千宏のブラッシングでもあれば文句は無いのだが、
それは贅沢の言い過ぎというものである。
自室へ向かって寒い廊下を歩いていると、階段を降りてくるバラムとばったりと出くわした。
今夜は森に向かう日だ。
気をつけろよ、と声をかけようとアカブが口を開くより前に、バラムが不意ににやりと唇を
吊り上げた。
そして、無言でぽんぽんとアカブの胸を叩き、兄の表情で深く何度も頷きかける。
あまりにも不気味である。
「じゃあ、気をつけてな」
に、と歯を向いて意味ありげに笑い、バラムは軽やかに階段を降りていってしまった。
「……いや、それはこっちの台詞だろう」
家の中にあってアカブが何に気をつけろと言うのか。
パルマの行動も妙だったが、今日のバラムはそれに輪をかけて変である。
しばし黙然と立ち尽くし、しかしそうしていても寒いだけなので、アカブは首を捻りながら
再び自室を目指した。
どうも嫌な予感がする。
自室の前にたどり着いてドアノブを握り、ふと、アカブはある可能性に行き当たってドアか
ら飛びのいた。
ドアノブを捻った瞬間にトラップが発動し、大爆発が引き起こされたりするのではなかろう
か。あるいはもっと陰湿に、全身の毛が抜け落ちるなどという下らない悪戯が仕掛けられてい
るのではあるまいか。
前者ならばまだ許そう。だが後者だったら当主の交代を欠けてバラムを殺さなければならな
い。尻尾を逆立て警戒の眼差しでじっと自室のドアを睨み、次の瞬間、アカブは溜息と共に弱々
しく指を左右に振った。
馬鹿馬鹿しい。いくらなんでも考えすぎだ。少し酔いが回りすぎたかもしれない。
少々自嘲気味に笑いながら、アカブはドアノブに手をかけた。
開いたドアの隙間から、甘ったるい香りが鼻腔をくすぐった。エクカフでかぐような刺激的
な物では無いが、思わず警戒心が緩む香りだ。
732 :
とらひと:2008/02/08(金) 03:46:19 ID:NI1BUPiq
これは、本気で何か怪しげなトラップが仕掛けられているかもしれない。
ドアの縁に手をかけて、アカブは慎重に、注意深くドアを開いて中の様子を伺った。薄暗い
部屋に、ロウソクがいくつか灯っている。無論、アカブがつけたものではない。
中に誰か――ベッドの上に――。
「ねーぇ、綺麗な白トラさん」
金色の月と、赤い炎に照らされて、ほっそりとしたラインが薄暗い部屋に浮かぶ。
じゃらりと、鎖の音が響いた。
「あたしをた、べ、て」
「ぐはぁあぁあ!」
手を添えていたドアの縁を握力のみで完膚なきまでに粉砕し、アカブは鼻からだばだばと血
液を溢れさせながらその場に崩れ落ちた。
アカブが初めて他者によって膝をつかせられた瞬間である。
パルマと千宏のけたたましい笑い声が響いた。いつの間にかすぐ後ろにいたパルマが、腹を
抱えて廊下を転げまわっている。
「凄い! この威力は凄いよチヒロ!」
「鼻血が! は、鼻血で血の海がぁぁあ! ひぃいい! 死んじゃう! 笑い死んじゃう!」
「もったいない! これはバラムもったいない! 笑いすぎてへんになるぅう!」
「て、て、て……てめぇらよくも――!」
鼻を押さえて復活しようとしたアカブの耳に、再び鎖の音が響いた。
思わず、そちらに目をやってしまった自分を恨む。
ほっそりとした首にはめられたごつすぎる首輪と、そこから伸びる白銀の鎖。
「おしおきするの?」
うるうると瞳を潤ませ、千宏が上目遣いにアカブを見る。
これは――これこそが、全世界の男が夢見るメスヒトの姿ではないのか――。
そんな事を思いながら、アカブは血の海に沈んだ。
「だぁから、謝ってるじゃんよ! ごめんってばぁ!」
何リットル流れたのか疑問になるような血液をせっせと雑巾で処理しながら、千宏は無言で
血に塗れた毛皮を拭っているアカブにごめんなさいと繰り返した。
パルマは頭に巨大なこぶを作って泣きながら部屋へと逃げ帰ったが、千宏には小言一つなく
完全に無視である。
こういう少々陰気な怒り方まで、この兄弟は無駄によく似ている。
すっかり廊下の血液を拭き終えて、千宏はごしごしと手を拭いながら修復不能なほどに粉砕
されたドアを眺めて溜息を吐いた。今夜は隙間風がきつそうだ。
「アーカブ。アカブさーん。ねぇねぇ、見てよこの服。アカブのために買ったんだよ。可愛い
でしょ? アーカーブ」
ねこなで声を出しながら不機嫌そうな背中に歩み寄り、頑なにこちらを見ようとしないアカブ
の顔を覗き込む。
ぷいとそらされる顔を追って反対側に回り込むと、再び顔をそらされる。二百歳も超えた男が、
まるで子供である。
「じゃあ、ブラッシングしてあげようか。ね? アカブブラッシング好きだもんね」
ぴくん、とアカブの耳が反応する。しかし堪えているのか、相変わらずこちらを向こうとはしない。
これは相当怒っているなと、千宏は困り果てて天井を仰いだ。
「ごめんなさい」
囁くように謝罪して、ベッドに胡坐をかいているアカブの首に腕を回し、広い背中に圧し掛かる。
ふかふかとした毛並みに頬を押し当てて目を閉じると、アカブが低く、ぐるぐると喉を鳴らした。
「俺を笑いものにしやがって……」
「ごめんなさい。反省してる」
「だいたい……なんなんだその格好は! 首輪とか、鎖とか……!」
レースとリボンをたっぷり使ったワンピースだ。
ただし、スカートの丈は腿の半ばまでしかなく、肩はむき出しで胸元のリボンを解くとヘソ
まではだけるような仕組みになっている。
「ネコの国のオス奴隷用の服なんだってさ。似合わない?」
「似合う似合わないの問題じゃねぇだろ! バラムは何て言ってたんだ!」
「褒めてくれたよ。可愛いって」
アカブが頭を抱えて忌々しげにバラムを罵る。
「アカブも喜ぶだろって。嬉しくない? こういうの嫌い?」
「だから――!」
733 :
とらひと:2008/02/08(金) 03:46:58 ID:NI1BUPiq
「食べちゃいたくならない?」
間抜け面を晒して固まったアカブに、ちゅ、と音を立てて口づける。
「おまたせ」
そう言って、ぎゅっとアカブの体を抱きしめる。
ようやく、アカブを受け入れられる準備が出来た。満足いくまでというわけにはいかないだ
ろうが、それでも、しゃぶったりはさんだりではなく、ちゃんと受け入れられるのだ。
ごくりと、アカブが息を呑む音が聞こえた。ふかふかとした手で腕を捕まれ、そっとベッド
に上がるように促される。
「……あのな、チヒロ」
「うん」
ベッドの上、アカブの正面にちょこんと腰を下ろし、千宏はにこにことアカブを見上げた。
「無理に、俺とやらなくたっていいんだぞ」
「……うん?」
既視感を覚えた。
確か一月前、バラムとする前も、こんなやり取りをしなかっただろうか――。
「俺は、そりゃ、バラムほどじゃねぇが、それほど女に困ってるわけでもねぇしな。おまえは
もう家族の一員だからよ……だから、俺とやるのを嫌がったって、何も悪いほうに転んだりは
しねぇんだ。だから――」
「えい!」
「あぐっ!」
喋ってるアカブの鼻面を平手で軽くひっぱたき、千宏は腰に腕を添えて咎めるようにアカブ
を睨み上げた。
「ねぇ、あたしのこの格好見えてる? 自分の立場を守るために嫌々抱かれにきた女が、こん
なに気合入れた格好する? どうしてトラってそんなに鈍感なの? それでもネコ科なの?
それともあんたたちが特別馬鹿なの?」
「ば――馬鹿って! お、俺はただ、おまえの事が――!」
「楽しませてよ。それがトラ流でしょ?」
毒気を抜かれた表情で、アカブがまたも間抜け面で千宏を見る。
この後、笑うんだろうな、と思った千宏の予想通り、アカブは大声を上げて笑い出した。
「ああ、くそ。そうだな。それがトラ流だ」
「うわ!」
ひょいと体を持ち上げられ、ぽすん、と背中から抱きすくめる形でアカブの膝に座らせられる。
ふかふか。もふもふ。千宏はうっとりと目を閉じた。
「よく似合ってる。全部食っちまいたくなる」
千宏の頭を握りつぶせそうな大きな手が、むき出しの太腿の柔らかさを堪能するように
むっちりともみしだく。
首筋にはぐはぐと浅く歯を立てられて、千宏はさすがにぎくりとして肩を竦ませた。
「やだ、食べるって意味、違うよ……」
「そうか? まぁ、どちらにしても、美味そうだ」
ざらざらとする舌が、味見するようにべろりと舐める。
いつのまにかスカートの奥に到達していたアカブの指が、下着の上からすりすりと割れ目を
なぞり、千宏は思わずアカブの腕に手を添えて身を捩った。
「や、爪……だめ、おねがい、爪、しまって……」
「傷つけやしねぇよ」
「ちが、そうじゃな……! それ、感じすぎ……」
皮膚を引き裂きそうな鋭い爪が、すでに湿り気を帯び始めた下着の上から、絶妙な力加減で
赤く充血した肉芽をくすぐる。
ちくちくと突き刺すような快楽が痛いようで、千宏は腰を浮かせて唇を噛んだ。
「そうか。じゃぁ、問題ねぇな」
「や、やぁあぁ……! ばか、ばか! あッ……」
胸元のリボンが解かれ、するすると引き抜かれる。
半分ほどはだけた服にアカブの手が滑りこみ、そこでもアカブは、鋭い爪を器用に使い、
楽しげに千宏をさいなんだ。
予定では超絶技巧でアカブを骨抜きにするはずが、これではまるで逆である。
「うぅう……くそう! こんなのずるい! あたしばっか、せめられ、て、ずるいよぉ!」
「悔しかったらやり返してみろ」
「うわぁぁん! ばか! ばか! ばかばかばかばかぁ!」
思い切り罵りながらごく浅い絶頂を迎え、千宏はぞくぞくと肩を震わせて引き抜かんばかり
の勢いでアカブの毛皮を掴んだ。
734 :
とらひと:2008/02/08(金) 03:47:57 ID:NI1BUPiq
さすがに痛かったのかアカブが怯み、そのすきに膝から逃げ出すも今度はうつ伏せにベッド
に押さえつけられる。
形勢逆転ならずかと内心地団駄を踏んでいると、上半身を押さえつけられたまま腰を引き上
げられて千宏はぎょっとして肩越しにアカブに振り向いた。
「ちょ、ちょちょ! ちょっと! まってまってこれはあまりに屈辱的! な、なにしてんの?
ちょっとアカブさん? まって、ほんと! まってそれ! それま――ひゃぁあぁ!」
尻を高く突き出した状態でやすやすと下着を剥ぎ取られ、むき出しになった尻をべろりと
大きく舐められる。
ざらりとした感触にたまらず間抜けな嬌声を上げ、千宏はぎゅっとシーツにしがみ付いた。
本気で、比喩表現ではなく食われそうな気がする。
そう思っている所に歯など立ててくるからたまらない。
「た、食べないで、食べないでよぉ。歯、立てるの、禁止だってぇ……!」
「甘噛みは愛情表現だ。諦めろ」
「んぁ! あ、あぁ……ざらざら……して、な、なか……なか……あッ……!」
ざらざらとした肉厚の長い舌が、とろとろと溢れ出る千宏の愛液を掬い取り、堪能するよう
にぺちゃぺちゃと音を立てて舐め上げる。
やだやだと腰をゆすって逃げようとするのをやすやすと押さえつけられ、千宏は中にまで押
し入ってきたアカブの舌に喉を反らせてぱくぱくと唇を動かした。
「あ、あぁ……や、そん、な……おく、までぇ……」
ざらざらと、柔らかな肉壁をアカブの舌が擦り上げ、上り詰めて行く感覚に千宏はがりがり
とシーツを引っかいた。
バラムとは違う。ケダマとは全く違う。あまりにも圧倒的で力強い。
いく――と噛み締めた歯の奥で小さく呟いた瞬間、アカブがあっけなく舌を抜き去り、千宏
を拘束から解放した。
肩透かしを食らって唖然とし、潤んだ瞳でアカブを見る。
すると首から下がっていた鎖を引かれ、千宏は向かい合う形でアカブの膝に抱き上げられた。
「いれるぞ。いいな」
確認するように、アカブがかすれた声を出す。
恐る恐るアカブのものに指を這わせて確認し、やはりといおうか、当然と言おうか、ヒトの
基準からすれば十分大きいバラムのものより二回りは大きい怒張に、千宏は期待と緊張に胸を
高鳴らせた。
「いれて……大丈夫、怖くない」
ぎゅうぎゅうと、ぬいぐるみを抱きしめるようにアカブを抱きしめる腕に力を込める。
だけどさすがに、やはり少し怖くて、千宏はアカブの唇に唇を押し付けた。
ゆっくりと腰を引き寄せられ、先走りを滴らせる先端でぐちゅぐちゅと入り口を擦りあげられる。
それが少しずつ、焦れるような緩慢さで、ゆるゆると押し入ってくる。
痛くない、痛くない。怖くない、怖くない。
心の中で繰り返し、つぷりと、最も太い部分が最も狭い入り口を突き抜けた。
「あ……わ、ぅわ……はいっ――」
溶けるような熱さが、圧倒的な質量をもって奥へ奥へとねじ込まれていく。
息苦しいほどの大きさが、臓腑を押し上げるように、しかし受け止めきれない優しさで。
こつん、と、奥に当たるのがわかった。だがそれでも、最後まで収まりきっていないのがわかる。
「ぁ……ね、だいじょうぶ、だから……もっとちゃんと、全部……」
「いい」
ぐっと頭を抱き寄せられ、ふかふかの毛皮に火照った頬を押し付けられる。
「十分だ」
「ぁ……」
「わかるか? 奥まで入ってる」
押し付けるように、奥の方を擦りあげられ、千宏はぴくりと肩を震わせた。
「わかる……わかる、よ。奥に、アカブ、の……あたって……」
急に、涙が溢れてきた。
後から後から溢れてきて、どんなにぬぐっても止まらない。
「よか……よかった、うれし……どうしよ……うれしくて、涙とまんな……」
どうして、なにが、どう嬉しいのかはよくわからない。
だが、どうしようもなく嬉しくてしかたがなかった。
「うごい、て……アカブ。あたし、で、気持ちよく……」
舌を舐めあい、甘噛みしあい、腰を揺すられ言葉と思考が奪われていく。
子宮ごともっていかれそうな激しい動きに目がくらむ。
735 :
とらひと:2008/02/08(金) 03:48:35 ID:NI1BUPiq
長い尻尾がふわふわとした毛並みで背筋や胸をくすぐって、千宏はだらしなくよだれをこぼ
しながら快楽に悲鳴を上げた。
「すき、すき……あかぶ……あか……ッ」
何度目かわからない絶頂だった。
だが、苦しくてすがりついた男はまだ、一度も達していない事はわかっている。
だが、口でした時も、いれずに肌を重ねた時も、もっと早く達していたよう思う。
「あたしのなか……きもちよく、ない……?」
急に不安になって、千宏はぐったりとアカブに体を預けたまま問いかけた。
もしそうだとするならば、どうすればいいかわからない。
「ごめ……ごめん。ごめ……あたし、どうしたら……」
「違う、そうじゃね……」
苦しげに息をつめ、アカブが低く呻いた。随分久々に声を聞いたような気がする。
「終らせたくねぇんだ。やめたくねぇ。悪い、辛いよな」
照れたような苦笑いを見せられて、千宏はまた、感情がせりあがってくるのを意識した。
「いいよ。やめないで」
「チヒロ……」
「でも……また、いつでもできる……よ」
恐らく、だいぶ間抜けだろう笑顔を浮かべて見せて、千宏はわしわしとアカブのふかふかの
毛並みを撫でた。
「あぁ……そうか」
「そうだよ」
「そうだったな」
「うん」
「一気に食っちまったら、もったいねぇや」
笑って、アカブは再び激しく千宏を突き上げ始めた。
今までとは明らかに違う、加減をせずにまっしぐらに高みを目指すような、そんな乱暴で請
求な動きに、千宏は喘ぎ、浸りきっていた。
好きだ。好きだ。好きで好きで、きっともう、随分と前から狂っていたのかもしれない。
奇妙な耳と尻尾を生やした大男が、人様を人形みたいに飾り立てたがる少女が、肉食獣にし
か見えない化物が、心底から愛おしい。
思い切り、叩きつけるように限界まで押し込まれ、どろりとした熱が弾け、ぶちまけられた。
どくどくと激しく脈打ち、断続的に吐き出されるどろどろに溶けた欲望の塊が、何の意味も
なくたっぷりと子宮に注ぎ込まれる。
深く、満ち足りたように大きく息を吐き出して、アカブは千宏の中に留まったまま積み重ね
た枕にどさりと巨体を沈めた。
ふかふかとした拾い胸に抱き寄せられ、すりすりと頬を摺り寄せる。
「あたし、頭おかしいや」
「なに?」
「皆のこと、好きすぎる。ほんとにやばい。頭おかしい」
一瞬の沈黙のあと、く、くくくと、アカブが苦しそうに喉の奥を振るわせる。
「じゃあ、俺もだ」
「うん?」
「俺も狂ってる。あいつらもだ。あぁ、まったくどうかしてるぜ!」
ヒトはペットだ。
家族と呼んでも、家族ではない。どんなに大切に思っていても、踏み越えてはいけない一線
が存在する。
その一線を千宏は、アカブは、バラムは、パルマは、手に手を取って一斉に踏み越えたのだ。
狂人の集団に他ならない。
心から、本当に心から思うことがあった。
願わくば、全ての人が幸福のうちに発狂できん事を――。
*
夏が来ると、千宏が落ちてきた日のことを思い出す。
蒸し暑い夏にずぶぬれで森をさまよい、カッシルに襲われ、泣きながら笑って気を失った
少女の事を思い出す。
冬を越して春が訪れ、二度目の夏が過ぎ、また冬が来て夏が来た。
千宏は発情期にはアカブと連れ立って世界を旅し、大量の土産と土産話を持ち帰り、森に
縛られたバラムとパルマを楽しませた。
736 :
とらひと:2008/02/08(金) 03:49:36 ID:NI1BUPiq
幸福だった。
千宏も幸福だったように思う。
だから、どうしてなのかわからなかった。
唐突に、本当に唐突に千宏が姿を消した。
部屋に残されたたった一枚の置手紙に綴られた、千宏らしいといえば千宏らしい、あまりに
も簡素な旅立ちの言葉に、バラムたちは言葉を失い、立ち尽くした。
『どうしてもやりたいことがあるので、少し遠くまで行ってきます。何をするかは、今は秘密。
きっとアカブがあたしを部屋に閉じ込めて、三日三晩説教たれたくなるような事だから。
いつ帰ってこられるかはわかりません。でも心配しないで。一年か、二年か、トラからした
らほんの一瞬で帰ってこられると思うから。
その気になったら追いかけてこられるだろうし、探し出すこともできるだろうけど、出来れ
ば探さないで、待っていて欲しいです。
信じて待ってて。いってきます』
「あいつ……ヒトが、たった一人でどうするつもりだ! すぐに探して連れ戻すべきだ!
あいつはこの世界をまだ知らなさすぎる!」
「そうだよバラム! まだそんなに遠くには行ってないよ! 間に合うよ!」
読み終えた手紙を静かにたたみ、バラムは激しく照りつける太陽を見上げて沈黙した。
「――自由だ」
当然、賛同を得られるだろうと思っていた二人は、一瞬バラムの言葉の意味が理解できずに沈黙した。
「留まろうと、出て行こうと、あいつの自由だ。連れ戻すべきじゃない」
それを、千宏はずっと望んでいたではないか。
あんなにも小さく、あんなにも非力で、あんなにも脆いくせに、ずっと自由を求め続けてい
たではないか。
ずっと一緒にいると言ってくれた。信じてと、あんなにも真っ直ぐな目で言ったのだ。
「待とう。帰ってくるさ。百年だって待ってやるさ。あいつは頭がいいんだ。死にやしねぇよ。
絶対に帰ってくる」
ぽたぽたと、熱いしずくが頬を伝って手紙をぬらした。
苦しくて、苦しくて、息さえまともに入ってこない。
そして翌日、千宏と共にカブラ達三人が姿を消した事をイシュから聞かされた。
*
千宏が去ってから三年が経った。
暑さも薄らぎ、過ごしやすい秋がやってくる。
ふと、アカブは馬車の音に気付いて窓から身を乗り出した。はるか道の向こうに、確実にこ
ちらへ向かう馬車が見える。
そしてわずかに聞こえる、安っぽい歯抜けのメロディー。くるみ割り人形。
千宏がこの家を出た時、オルゴールは千宏とともに姿を消していた。
「バラム――おいバラム! パルマ! 外に出ろ!」
怒鳴って、アカブは三階の窓から庭へと飛び降りた。
息を切らせてパルマとバラムが降りてくる。
そして、馬車が着いた。――日よけのカーテンのため、窓から中はうかがえない。
ドアが開き、そして、飛び出してくる者があった。
「うわぁ! ほんとにマダラだ! それに白虎! 母さん! ねぇ母さん!」
くりくりとした瞳の、アカブの膝までしかないような少年だった。落胆すると言うより、
唖然とする。
それに今、この少年はなんと言った。――母さん?
「こら! 失礼なこと言うんじゃありません!」
次いで、馬車を飛び降りてきたのは、三十がらみの片腕のメスヒトだった。状況が分からず、
三人は呆然と立ち尽くす。
そして最後に、とん、と軽やかに馬車を降りる見慣れたローブ姿があった。
ぱさりとフードを脱ぎ去り、前よりも少し長くなった髪をうっとうしそうにかきあげる。
「出迎えご苦労!」
に、と、少し大人びた、しかし変わらない笑顔で千宏が笑った。
瞬間、パルマが悲鳴を上げて地面を蹴る。
「もう! 心配したんだよ! すごく心配したんだから!」
「うん。ごめん、ごめんねパルマ。ごめんなさい。ただいま!」
.
738 :
とらひと:2008/02/08(金) 03:53:07 ID:NI1BUPiq
「チヒロ! てめぇ――説教だ! 三日三晩みっちりと説教垂れてやる! 心配させ
やがって! この――!」
パルマごと、アカブが千宏を抱きしめた。
「よく帰った」
「ごめんアカブ、ただいま。ただいま」
涙を浮かべてお互いの存在を確かめ合い、ふと、千宏が顔を上げてバラムを見た。
「……ただいま、バラム」
「……おう」
「それだけ?」
「……ああ」
それだけ言って、バラムは顔を顰めて不意に千宏に背中を向けた。
「母さん、あの人泣いてる!」
ヒトの少年が、バラムを指差して声高に叫ぶ。
「あー、感動しすぎて言葉がでてこないんだ!」
「お兄ちゃんかわいー」
パルマが叫び、にやにやとアカブが笑う。
「ちくしょう! うるせぇな! だいたいなんだそいつら! その親子!」
ごしごしと涙を拭いながら、バラムが牙を向いて凶悪に怒鳴る。
千宏は力強く頷いた。
「彼女はコズエさん。それと、その子供のイノリ君」
「だからなんだってヒトの親子が――!」
「それと、あたしのヒロミ」
言って、千宏は自分の腹に手を添えて、いとおしげに目を細めた。
「ん? いや、ちがうな。――あたしたちのヒロミ」
あんぐりと口を開け、三人が一様に千宏の腹を凝視した。
「ぼくのお嫁さんなんだ!」
にこにこと、ヒトの少年が嬉しそうに笑う。
弱々しく、気抜けしたようにバラムが笑った。次いで、アカブが引きつった笑いを零し、
パルマが腹を抱えて笑い出す。
そして、これ以上は想像すら出来ない幸福に、千宏も声の限りに笑い続けた。
おしまい。
皆さん長らくお付き合いありがとうございました。
これにて『虎の威』完結とさせていただきます。
目のくらむような誤字脱字にもめげず、心温まる感想を下さってありがとうございました。
このスレに投下できて本当によかったです。
それではまた、なにかで!
.
書き込みミスったorz
>>738 素敵な作品をありがとう。
いやぁ……最初どうなるかと思ったがハッピーエンドで本当に良かった…
泣けた。良かった。ハッピーエンド万歳!
こんなSSが読めて幸せだー GJ!!
キレイに締めやがって! こんな続きの妄想ご自由にな状態で終わらせやがって!
山も谷もしっかり描ききってるし! 幸せな終わり方に自然につなげてるし!
ちくしょう、大好きだこいつらぜんぶー!! G! J!
完結キターーーー!
大好き、ありがとう。
GJ!
一つの物語を、書ききると言う偉業。
本当にありがとうございました。いいものを、読ませていただいた。
終わってしまうと思うと読み進めるのがもったいなかった。
最初のいたずら?の皆の反応に笑った。面白すぎる。
ほんで泣いた。末永く幸福でいてくれ!
いや、もう、なんと言うか……まいった!!
最初の方でのチヒロの不安定さと感情の振り切れっぷりがすごく印象に残ってます
それが徐々に狂気を孕んでいく(と思えた)訳で、行く末はキ◯◯イ&お花畑ENDか!?
と一人で戦々恐々しながら読んでました、とらひと氏さーせんw
ラストシーン
皆で一線を踏み越えた挙げ句、大きな輪っかになって笑顔で踊っている
そんな情景が頭を翳めましたよ、この狂人達が末永く幸せであります様に、いや本当!
虎の威完結おめでとう、そしてありがとう!
ここまでハッピーな結末になると思わなかった!
いい意味での裏切りは大歓迎です。さーて、
最初から読み返してくるかな。
と思って保管庫を見ると、長編できちんと
完結した物語ってまだ4〜5つしかないんだね。
他のシリーズもいい子にして待つよ。
>>747 >完結した物語
自分が作ったキャラのくせに、そいつらと別れるのが名残惜しくて年ほど水増しエピソードを追加し続けているとか書いたら、お前はバカかと言われそうで怖いw
>>748 なんでそんな自分で自分にジャンプの編集者みたいな縛りを……w
それなら連作短編みたいにするといいよ!
本編終わらせたあとにファンディスクみたいに
外伝後日談パラレル書く手もあるよ!
その気になれば、いつでも綺麗に無理なく終らせられる状況なら、
いっそ終らせて外伝や続編を書く方がいいかもしれんよ。
とりあえず完結って形を取った方が、いろいろ広げやすかったりする。
753 :
ツキノワ:2008/02/12(火) 00:11:07 ID:giP0Wx+2
投下するなら今の内…。
クマ♂とヒト♀(19)の恋物語です。
見たところクマー関係は過去にひとつしかないようだったので、設定を壊さない程度に膨らませてみました。
もし同じようにクマーの国で書いてる方がいましたら、すみません。
尚、wikiで熊の国が「牧歌的」と書いてあったのをいいことに、かなり内輪だけで完結する話です。
自分はファンタジー小説を読むのは大好きなのですが、世界観の設定などに関しては苦手としか言いようがなく、いずれ泣きながら避難所に駆け込むことになると思います。
その際は、お手隙の時にでもお知恵を貸して下さい。
どうぞよろしくお願いします。
むっちゃ緊張するorz
754 :
ツキノワ:2008/02/12(火) 00:16:29 ID:giP0Wx+2
【ツキノワ】 1.熊とあの世でティータイム
午前1時。
荒波の日本海を望む崖の上に一人、私は立っていた。
地面は靴の先から約3cmのところですっぱり切り落とされていて、切り立った岩に激しく当たっては砕け、泡立つ白い波頭をそこから見おろしている。
夏が去ったあと、ただでさえひと気のない漁村の海は朽ち果てたように見えた。聴こえるのは寂しげな波の音と、鳴き交わすかもめの声だけ。
水平線と夜の境目がわからないほどねっとりとした藍色の空間で、大きくカーブした湾のむこう、街の灯がひしめきあって瞬いている。そしてときどき雲の切れ間から覗く三日月の、冴え冴えとした白い光。
とはいえ私には、のんびりとこの景観を味わう余裕なんてなかった。ただひたすらに足元を凝視し、
(あはは。死ぬには今日が絶好の日和じゃない…)
負け惜しみにそんなことを考えながらも、恐怖で脚をガクガクと震わせていたので。
確かに自殺のロケーションとしては最高級だろう。二時間ドラマの帝王だってぐうの音も出やしない。
ただ残念なのは、風が完璧に凪いでいるということだった。これでは強風に煽られて体勢を崩し…という、内心期待していたアクシデントが起こる確率は少ない。
どうあっても、自分の意思で飛び込まなくてはならないということだ。
…海面まで30m以上はあるっていうのに。
こんな高さ、バンジージャンプだって恐ろしいのに、ヒモなしだなんてとんでもない。飛び降りたら間違いなく死んじゃいますよ、こんなの。
……いや、死にに来てるんですけどもね。
だってこんなに怖いのに、少しも『帰りたい』とは思わないし。
そもそも私にとっての帰る場所なんかもう、この世のどこにもないんだし。
755 :
ツキノワ:2008/02/12(火) 00:29:49 ID:giP0Wx+2
クククククク・クマキターーー!!
ここ最近のガチケモ×メスヒト祭りは異常! しかし大歓迎!
ウルの田舎臭さたまらんよ。
ヤスコの筋肉フェチクソワロタよ。クマに一目ぼれするその図太さGJwww
死ぬほど続き待ってます。
GJ!
ウルかわいいなぁ!
筋肉フェチワロタwww
続きもwktkしてます!
GJ!
なんかヤスコさん、打たれ強いというより、打たれ慣れてる性格だなあ。
なんか煮詰まってたら凄いの………キタ━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
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┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
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┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ゲホゲホッ・・・キ,キタ━━━━━┓
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━(゚∀゚)━!!!
動揺して書き込んじまった、テヘ
微妙になまってるウルの喋りが良いなぁ。
イメージ的に東北系かトイサチ系か。
続きwktkして待ってるっぺ
761 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 22:52:50 ID:ou0QYb2h
マルチうぜー!
GJ過ぎて、最早このAAを贈らざるを得ない。
∩___∩
| ノ ヽ
/ ● ● | クマ──!!
| ( _●_) ミ
彡、 |∪| 、`\
/ __ ヽノ /´> )
(___) / (_/
| /
| /\ \
| / ) )
∪ ( \
\_)
続きwktk
ヤッちゃんの筋肉フェチ度は異常
ぐぐぐGJ!!
ガチケモ・筋肉って何て萌えだよ
このっこのっ!
766 :
ツキノワ:2008/02/13(水) 23:48:39 ID:gV0ZL3US
そ、そんな褒め言葉で俺様がクマー!(AA略)
嘘です。ありがとうございます。人様に読んで貰えるって嬉しい事ですね…。
ウルの訛りは北海道で農家をやっている親戚の喋りを意識しています。
(クマの国もだいたい北海道と同じくらいの面積です)
お察しの通りヤスコは打たれ慣れてるので、滅多なことでは動揺しない子です。
明日が何の日だか知りませんが、続きを仕上げられたらいいなと思います。
何このGJ具合。続きテラwktk(*・∀・)
しかし、なぜかヤスコさんの外見イメージが黒髪でテンション低めな蒼崎青子だったりする俺
ウルの旦那いわく可愛い系らしいからもちっと別ぽいが
768 :
とらひと:2008/02/14(木) 02:24:48 ID:FlBvsyIM
バレンタインネタ
馬鹿エロ祭り
百合表現注意
果たして、この世界にチョコレートは存在するのか。
存在したとして、それは手に入れられるようなものなのか。
それ以前に、猫科のトラがチョコレートを食べて無事ですむのだろうか。
否。それよりもまず、重要な大前提が存在する。
この世界に、バレンタインデーは存在しているのか――。
「チッヒロー! もうすぐバレンタインだね!」
「あ、あるんですね。普通に」
ここ数日の千宏の苦悩をコンマ数秒で吹き散らし、パルマが元気よく元気よく背中に飛びついてきた。
賑やかな市場の真ん中で、深く被ったフードを慌てて押さえて振り返る。
パルマやにやにやにまにまとだらしなく唇を緩め、ぐにぐにと千宏の頬を指先で突っついた。
「アカブがねーぇ。ここ最近おいしい卵とかめったに手に入らない濃厚ミルクとか爽やかな甘さのお砂糖とか集めてるんだよ。それでね、バラムもなんだか怪しい動きをしてるんだ。どうする? どうする? これはなかなか難しいバレンタインダよ!」
「む、難しい……?」
「だってバレンタインっていったら一世一代の大勝負だよ! どっちがより相手を喜ばせられるかの大勝負! そこでね、だかね、共同戦線を張らない? すっごくいいあいであがあるんだ!」
ほんとに、なんでも勝負事にしたがる種族だな。と内心呆れながら、千宏はふむふむと頷いた。なるほど、この世界の――少なくともトラ国のバレンタインは、男女が双方に送りあう方式らしい。
「ず、随分張り切ってるね。そんなに一大イベントなんだ……」
「だって第二の発情期ってくらいだからね。あ、そうだ。市場で誰かに何かもらっても、絶対に受け取っちゃだめだよ。恋人でもない人に贈り物をするってことは、今夜はあなたと一夜を共にしたいってことだからね」
「は、はぁ……それ、初対面でも?」
「初対面でも」
さすがにこの程度では驚かなくなってきたが、やはりこのオープンさは少々引く。
「あんたたちも、命が惜しかったらチヒロにちょっかいださないでよ? アカブにいいつけるからね!」
「えーえー。発情期空振り組みは、バレンタインも孤独に凄しますよー」
舌打ちしたカブラの背後で、カアシュがいじけて答える。
なるほど、発情期で成立したカップルが、お互いに贈り物をし合うのか。だがそれならば、あぶれた者同士が贈り物をしあい、新たなカップルが誕生する事もあるのだろう。
「あぁ……第二の発情期ね……」
納得し、千宏は頷いた。
「それでね、チヒロぉ。共同戦線なんだけどさぁ」
「あぁ、うん。まだこっちのバレンタインとかよくわかんないし。パルマに任せるよ」
「ほんとに? やった! じゃあすぐに準備にかからないと!」
きゃあ、とパルマが元気よく飛び跳ねる。
気がつけば、市場にはもうバレンタインデーがやって来ているようだった。
*
バレンタインデー前日・夜。
アカブとバラムは明日の決戦に向け、それぞれ大詰めを迎えようとしていた。
アカブは厨房でコックに混じってきらびやかに飾り付けられ、味も見た目もボリュームも過去最大級のプリンの製作に励み、バラムは森で採った鉱石を削りだして丁寧にカットした宝石を懇意にしている細工師に託してアクセサリーに加工させ、魔力を込める段階に入っていた。
チヒロはもとより、パルマにはこういった物を作る特技が無い。
769 :
とらひと:2008/02/14(木) 02:25:27 ID:FlBvsyIM
この勝負――男衆の完勝でおさめてみせる。バラムとアカブは手に手を取り合い、兄弟の暑苦しい友情でそう誓い合っていた。
そして、当日がやってくる。
昼間は仕事をして過ごし、感動に悲鳴をあげ、完敗に涙する二人の女を思い描き、アカブとバラムはすでに勝利の気分に浸っていた。
夕食にはパルマとチヒロの好物をこれでもかというほど用意して振る舞い、イシュから仕入れた香水を部屋に振りまいてメスの気分を高揚させる。
デザートにアカブの作った眩いばかりのプリンタワーを与えて二人に甲高い悲鳴を上げさせ、うっとりとその味に浸っている二人に王侯貴族が泣いて喜ぶアクセサリーを差し出してノックアウトだ。
千宏の細い首には繊細なペンダントがよく似合い、パルマの可愛らしい耳には金色のイヤーカフスがキラキラと輝いて、二人はこれに言葉を失って喜んでいた。
トラに限らず、女は光物に弱すぎる。
勝った! ヒトの言葉を借りるならば、第三部完!
バラムとアカブはぐっと拳を握り締めた。
「それで――」
こほん、と咳払いを一つ、バラムは普段ならば決して見せない優しげな笑みで二人を見た。
「おまえ達は何を用意してくれたんだ?」
かなうような物が用意できているはずが無い。
どんなに可愛くも必死な贈り物が出てくるのかと、勝者の立場でわくわくとしながら訊ねると、千宏とパルマは顔を見合わせ、にやりと唇を吊り上げた。
「あんまり大した物じゃなくって恥ずかしいんだけど……ね? チヒロ」
「うん。でもね、あたしたちの精一杯なんだ……ちょっとしたお芝居。ね? パルマ」
これは、今までにない嗜好である。
チヒロという相方を得て、パルマがなにか仕掛けてこないはずはないとは思っていたが、なるほどそういう方面で責めてくるか。
「二階の四番客間で待ってる。用意があるから、十五分後に来て!」
装った無邪気な笑顔をはりつかせ、二人が手に手を取り合ってそそくさと走り去っていく。
バラムとアカブは顔を見合わせ、少々相手を侮っていたやもしれぬと頷きあった。
こちらだって、この日のためにそれなりの時間をかけてきた。だが、芝居を用意したということは、二人で台本を作ったり、こっそりと練習をしたり、衣装を作ったりしたのだろう。
それだけで既に嬉しい。演技などお粗末で構わない。自分達のために二人がそれほどの努力をしてくれたことが、もうたまらないほど嬉しい。そして、芝居の内容があざといまでに男心をくすぐる物だったらどうしよう。
この芝居、心して挑まねばまさかの逆転で勝ちももっていかれかねない。緊張の十五分を過ごし、二人は指定された部屋の前に並んで立った。
瞬間、アカブが何かを察知して思い切り後ずさった。
「バラム! 気をつけろ! 危険な香りがする!」
言われて、ようやくかすかに漂う甘い香りに気がついた。
これは――イシュがよく使う香水だ。万年発情女と呼ばれるイシュは、常に男心を掻き立てる媚薬のような香りを纏っている。
「おまえは見てねぇからこの恐ろしさをしらねぇだろうが、俺は体内の血液の三分の一を瞬時に奪われた……」
「……あのオスヒト用の衣装でか……?」
「おい、なんだその哀れな生物を見るような目は」
我が弟ながら、少々純情すぎるのではないか。
そんな考えが頭を過ぎったが、しかしバラムは口に出さなかった。当主は思慮深くなければならない。ここで仲たがいをするのは間違いである。
770 :
とらひと:2008/02/14(木) 02:29:50 ID:FlBvsyIM
「よし。だがわかった。つまりあいつらは色仕掛けで攻めてくるってことだな。不意打ちさえ
食らわなければ、結構なことじゃねぇか。存分に楽しませてもらおう」
「バラム……おまえってやつは、なんて頼りになる兄貴なんだ!」
がっしと拳を握り合い、熱い情を交わして頷き合う。
そして、二人は同時に客間のドアを開いた。――ひどく暗い。
締め切られた部屋には一切の光がなく、むせ返るような甘い香りが濃密に肺を犯す。
「……パルマ? チヒロ?」
名を呼びながら、バラムは部屋に足を踏み入れた。
ふかふかとしたカーペットを踏みしめ、アカブがその後に続く。
背後でドアが閉まり、部屋に完全な闇が訪れた――その瞬間。
革が激しく床を叩く音がした。その音に思わず身をすくめた瞬間、ごう、と部屋の四隅で炎
が上がる。かがり火――パルマの魔法だ。
炎に目を奪われる寸前、何かが見えた。銀色に光る何かが――。
「ぐはぁああぁあ!」
「さぁ! 足を舐めるのよこの淫乱!」
唸りを上げてムチがしなり、激しく床に叩きつけられる。
その光景を網膜に焼付け、バラムとアカブは同時に絶叫して崩れ落ちた。
檻があった。
部屋全体を埋め尽くしかねない巨大な檻と――その中に広がる光景。
正に地獄。否、天国。
パルマが豊満な肉体を惜しげもなく晒してムチをふるい、その足元で、千宏がケモノのよう
に四つんばいになりながら、パルマの足を苦しげに舐めていた。
千宏の首から伸びる鎖はしっかりとパルマの手に握られ、服はぼろぼろに破れて辛うじて体
に引っかかっている程度。
両手両足にはガッチリと手かせ足かせがはめられており、どうやら下着は着けていないようだった。
「パルマさまぁ、もう、もうあたし、我慢できません……おねがい、いつもみたいに……」
「やめろおぉおおぉ! よせ! よすんだチヒロ! いつもってなんだ! おまえらいつも一
体何をやってるんだぁあぁ!」
「落ち着けアカブ! これは芝居だ! 芝居なんだ! ちくしょう、下半身が……思うように
動けねぇ!」
早くも我を失って暴走を始めたアカブを必死になだめて引き戻し、バラムは鈍く疼く下半身
を押さえて膝を突いた。
恐ろしい。恐ろしい攻撃だ。やつらを見くびっていた。甘く見すぎていた。バラムはつつ、
と垂れてきた鮮血を拭い、しかし挑むようにその光景を睨み付けた。
「可愛いチヒロ。そんなに気持ちよくして欲しいの?」
「うん、うん。お願いパルマさまぁ」
その台詞――頼む、俺にも言ってくれ。バラムはごくりと唾液を飲み込んだ。最早かぶりつ
きである。
「じゃあほら、どうして欲しいか言って? 賢いヒトだもの、ちゃんと口に出しておねだりで
きるわよねぇ?」
「そんな、口でなんて……」
「言えないの? 奴隷のクセに恥ずかしがるなんて生意気よ?」
「あぁ! やぁ、そんな……乱暴にしちゃ……ひんっ……」
ぐいとパルマが鎖を引っ張り、千宏が苦しげに呻いてパルマの腰にすがりつく。
そのパルマの足が千宏の足の間に消えて、しかし、何をしているかは見えないし、分からな
い。千宏が一声高く喘いで、泣きそうな声で懇願した。
「お願い、おねが……お、おっぱい……いじめて。ちくび、こりこりしてぇ……」
「ぎゃぁあぁあ!」
断末魔の悲鳴を上げ、アカブがその場に倒れ付した。しまった。完全に存在を忘れていた。
白い毛皮が真紅に染まり、辺りはもう血の海だ。
「アカブ! アカブ大丈夫か! まってろ! 今血を止めてやる!」
「兄さん……あぁ、兄さん……俺はもうだめだ……お花畑が……」
「アカブ! だめだアカブ! 逝くな! アカブー!」
アカブは意識を手放した。
バラムは弟の体をしっかと抱きしめ、涙さえ浮かべて淡々と繰り広げられるかがやくばかり
の楽園を睨み付けた。
もう――限界だ。こんな事は絶えられない。
「もういい……十分だ……」
低く呻いて、バラムは檻に飛びついて絶叫した。
「俺達の負けだ! だから頼む! 俺たちを中に入れてくれぇ!」
771 :
とらひと:2008/02/14(木) 02:30:34 ID:FlBvsyIM
「だぁーめ。まだお芝居の途中だもん。ねーチヒロ?」
「ねーパルマ」
残酷だ。あまりにも残酷すぎる。
「さぁて、クライマックス、いくよぉー!」
にぃ、とパルマが凶悪な笑みを浮かべ、千宏の体を引き寄せる。
ぼろきれをはだけられ、むき出しになった千宏の白い素肌に、パルマの赤い唇が近づいてい
く様を、バラムはどうする事も出来ずに呆然と凝視した。
パルマがちろりと舌をだし、からかうようにちろちろと千宏の乳首を舐める。
「ひん……ぁ、ぱるま、さまぁ……やぁ、もっとちゃんと……なめて、しゃぶってぇ」
「おまえこそ俺のものをしゃぶってくれぇえぇ!」
叫んで、バラムはがっくりとその場に膝をついた。もう、涙しか出てこない。否。鼻血は出る。
「……パルマ? ねぇ、ちょっと……あれ……」
急に千宏の声に緊張が走った。演技ではないその声色に、思わず俯いていた顔を上げる。
千宏とパルマが、蒼白な顔色でこちらをみていた。
だが見ているのはバラムではない。その、背後の――。
「……犯す」
愕然と、バラムは後ろを振り向いた。
今さっきまで気を失っていたアカブが、全身を血液で赤く染めたまま、ゆらゆらと歩いてい
る。その瞳に宿る――凶器。
「ひん剥いて、舐めて、しゃぶって、よがらせて……犯して、犯して、犯しぬいて犯した上で
また犯す。ち、ひ、ろぉおおぉ……!」
「あたし限定!? あたし限定なの!? やばいよアカブ完全に目がいってるって! ほんと
にやばいよパルマ! パルマぁ!」
千宏が甲高い悲鳴を上げて、檻の一番向こう側に張り付いた。
パルマも恐怖に目を見開き、千宏を庇うように抱き寄せる。
「アカブ! アカブ落ち着け! 目を覚ますんだアカブ! 俺がわからないのか!」
ことの重大さを察したバラムが、アカブの前に立ち塞がった。
しかしアカブには、全くバラムが見えていない。その瞳にはただ、恐怖に震える千宏だけが
映っている。
檻の入り口はこちら側だ。しかしアカブはその、もっともこじ開けやすい扉には目もくれず、
眼前に立ちはだかる鉄の棒をがっしと掴むと、力任せに左右にこじ開けた。
金属の軋む嫌な音が部屋に響く。
「パルマ! チヒロをつれて逃げろ! 今すぐ! もう俺にはアカブをとめられねぇ!」
「チヒロ! こっち!」
叫んで、パルマは千宏の手を引いて駆け出した。アカブが捻じ曲げた鉄の棒の隙間から、檻
の中に足を踏み入れる。
パルマが扉に取り付き、鍵を開けて扉を開いたその刹那。
「いやぁあぁ! バラム! ぱるまぁ!」
今までのゆっくりとした動作からは想像もつかない俊敏さで、アカブが千宏を引っさらって
檻の中にあるベッドに押し倒した。
772 :
とらひと:2008/02/14(木) 02:31:35 ID:FlBvsyIM
いつの間に、と叫ぶパルマの前で、千宏の衣服がばりばりと破かれていく。
芝居のためにつけていた手足の鎖が、千宏が暴れるたびにじゃらじゃらと悲痛に響いた。
「いやぁあ! アカブごめん! ごめんなさい! ごめんってばぁ! やだ、やだ、そんな乱
暴にしたらこわれちゃ――ひゃぁあん!」
「このケダモノ! チヒロをかえせぇ!」
「よせパルマ! 下手に刺激したら余計に暴走する!」
アカブに飛び掛って千宏を救おうとするパルマをすんでのところで引き止めて、バラムは腕
の中で暴れるパルマを抱きしめたまま千宏の悲鳴に目を伏せた。
「やぁ! やだぁ! だめ、だめ、や――あぁん! だめ、だめ、あぁ、や……やぁあ! だ
め、だめ、あかぶ、の……ひ、ぁ……おっき……んぁあぁ!」
ベッドに組みふした小さな体に、アカブの巨体が容赦なく自身をつきたて、激しく腰を振りたてる。
獣の咆哮が上がった。
弟よ――おまえは、一体どうなってしまったのだ。それにしても、羨ましい。
「……パルマ」
「え?」
「俺たちも、な?」
「ちょ、ちょちょ、ちょっとちょっとバラム! そんな場合じゃないでしょ! なんとかしな
きゃチヒロが――!」
「死にゃしねぇよ。大丈夫だ」
暴れるパルマをカーペットの敷き詰められた床に組み伏し、若々しく張りのある体に顔をう
ずめる。しばらく抵抗していたパルマだったが、しかし体の方はすっかりと出来上がっている
ようで、バラムは最早爆発寸前だった下半身の怒張をパルマの柔らかな肉壁の奥へとつきたてた。
「きゃあぁん! あぁ、ふ……だめ、こんな……あ、ちひろ、ちひろぉ!」
「ぱるまぁ! たすけ、あぁ、や……ぱるま、ぱるまぁ!」
二人の少女の泣き声が甘く響く。
そうして、バレンタインの夜はふけ、やがて朝になったが、客間から喘ぎ声が途切れる事は
なかった。
翌日の仕事を千宏が全て休んだ事は、もはや言うまでもない。
おしまい。
前半改行ミスした……orz
初弾おみごとであります! おっきしたよGJ! 見たいぜこの光景!!!!
そしてすごくどうでもいいのですが
>アカブは厨房でコックに混じってきらびやかに飾り付けられ
……この一文から男体盛り!?とか思った俺はどうかしてると思うんだ
仕事がはやいっ!
GJ!
い、いきなりきやがった……GJすぎるw
くそぉ、こっちも負けないぞぉ。
とらひと氏すげぇ、まだ弾の蓄えがあったなんて……
GJ
この仲良し4人組めが!!!
素晴らしいバレンタインプレゼントいただきました!
あんた、あんた最高だよ!!!
とらひと氏、GJです。ちくしょーみてろよ!!
素敵な馬鹿をありがとう。
GJGJGJ!
こんなにバカで幸せでエロい弾を残していたとは…さすがとらひと氏じゃよ!
781 :
トラ貴族:2008/02/15(金) 01:40:42 ID:g92pp1IW
うおお、暫く見ない間にGJな作品が投下されてる。とらひとGJだよとらひと
まあ自分は空気を読まずにトラと女子の話を投下するわけだが
長くなりそうなのでとりあえず序章だけ。改行見難かったらスマソ
----------------0
彼女は、なにやら知らないうちに見知らぬ土地で独りぼっちになっていた。
見渡す限りの目に鮮やかな草原と、今まで見たことのないってくらい、遮るものが何も無い空。
さわさわと風が足元の草を揺らす。おおよそ今まで自分のいた環境とは全く別の光景に、彼女は暫く見入っていた。
あまりにも周りが広大すぎて、時間の流れる感覚もうまく掴むことが出来なかった彼女だったが、
しばらくしてから自分のおかれた状況に気付き、初めて眉間に皺を寄せて渋面を作る。
とにかく、移動しよう。
小さく呟いて、さて、どの方向に行こうかを決めることになってから、また彼女はその眉間に刻まれた縦皺を深くした。そこには何も無さ過ぎた。
川か、もしくは人工の道は無いかと辺りを見回して体を一回転させても、あるのは緑と青だけ。
かなり遠くのほうにうっすらと山のようなものが見えたが、そこまで行くのにどれだけ時間がかかるのか、彼女には皆目見当が付かなかった。
諦めにも似た感情が彼女の心に湧き上がりそうになった瞬間、足元の草原の海が大きく浪打ち、びっくるするくらいの風圧が彼女を襲った。
耳元で、進路を遮ったことに腹を立てたかのような轟音を伴った風が吹き抜けたのを彼女は感じた。髪の毛が引っ張られるような痛みさえ感じた。
突然の強風に耐え切れず尻餅をついて、まだごうごうとい音を残しながら我が物顔で既に遥か遠くを走る風の跡に目をやった。
後に残る音の余韻が消えるまで呆けたようにその方向へ顔を向けていた彼女だったが、意を決したように立ち上がると、そのまま迷い無く、風が過ぎ去って行った方へと歩き出した。
何も無いところでいきなり襲ってきた凶暴ともいえる風に、言い表せない何かを感じたからか、はたまた何か思惑があってのことかは定かではなかったが、
ただ一ついえることは、彼女のその決断が、彼女にとってのその後を決定付けたのは確かだったということである。
彼女が『落ちた』場所は、大陸を俯瞰から見て、中央より東南に位置するトラの国。
その中のほぼ真ん中を穿つようにして存在する<ズィーロ・メッドー(何も無い場所)>という、文字通り草原の海原と、呆れ返るほど青い空しか存在しない、
あらゆる意味で無益で無駄な場所であった。
782 :
トラ貴族:2008/02/15(金) 01:45:24 ID:g92pp1IW
--------------1
『…お前、ヒトか』
『ちょうど良い。お前はヒトだもんな。<人間>じゃねえし、なにより…他所モンだ』
『あいつらよりかは大分マシか』
とある小さな町。ズィーロ・メッドーと他の大きな町との丁度中間に位置する小さな町。
とある変わり者の貴族が治める土地の中にある小さな町。
そんな小さな町の小さな通り。小さい少女と物凄く大きな男が、偶然にもとか、運命的にもとか、
どうにでも言えるけれども、とにもかくにも、出会ったのだった。
仰天して思考が追いついていないままの少女を見て、ホンの一瞬だけ目を大きく開いた大男は、
すぐさま元の無気力な面差しに戻り、胡乱な眼で少女の頭の天辺から爪先までを軽く眺めた後、
両手に持っていた大量の買い物袋を片手に抱えなおし、空いた方の手で少女の体を
いとも簡単に肩へと俵のように担ぎ上げ、未だ男の肩の上で呆ける彼女を『保護』するために、自宅へと持ち帰っていった。
783 :
トラ貴族:2008/02/15(金) 01:47:52 ID:g92pp1IW
-----------------2
『お前、名前は』
『…まあいい』
『お前はオレが拾った。だから生かすも殺すもオレの自由だ』
『死にたくなかったら…』
眠りと覚醒の間を行き来した後の、イイかんじでぼやけた頭に、昔のことがいきなり、しかも明瞭に思い出された。
「・・・眠い・・・」
ポカポカとした陽気は、優しく私の全身に満遍なく降り注ぐ。
気候が温暖で、比較的過ごしやすい南側の平原に出来た町に居を構える、目を剥くほどに巨大な洋館は、
一年と半年前に私を『拾った』、とある風変わりな貴族、ディーゴ・ヴォン・ジェファーソン、通称デコ、の持ち物である。
もちろんデコ、という名前は私の胸のうちにひっそりと仕舞われて、直接彼に投げかけられることは無くて、
大抵心の中で彼を毒突く時に使われる。
例えば「さんをつけろよ、デコ助野郎!」とかそんなノリで。
ここは彼の家であるけど、もっと詳しく言えば、彼の父親が、彼が成人を迎えた際のお祝いに与えた、
庭付き一戸建ての『別宅』なのだ。
一般中流家庭出の、庶民オブ庶民の私から言わせて見れば、ふざけるなと。
そう叫びたくなるほどその別宅は立派だった。
「これで別宅とか、デコ助野郎はどんだけボンボンなんじゃい」
独り言の様に(事実その時間帯に屋敷にいたのは私一人だったのだけど)毒づいた私は、
しわくちゃになったベッドシーツをいい加減に整えて、急いで自分の部屋から庭に出て、
干してあった洗濯物を粗方かごに詰めて、改めて覆いかぶさるように(これは少し言いすぎだけど)そびえる私の今の住居を仰ぎ見た。
784 :
トラ貴族:2008/02/15(金) 01:53:37 ID:g92pp1IW
----------------3・1
私がズィーロ・メッドーで進路を決めてから約一年と半年。
あの後色々と紆余曲折あってから、ここの屋敷で住み込みの召し使いとして働いている。
私が『落ちた』ところは、私のようなヒト科ヒト目の生物が大手を振って表街道を歩けるような世界ではなく、
寧ろヒエラルキーの最下層に位置すると言っても過言ではないほど『ヒドイ』世界だった。
ここは、ケモノの頭部に人の様な体をもつ、所謂獣人が人間と呼ばれ、席巻する世界。
体力的、総合的に見て、獣人は強く、ヒトは弱いとされ、それがこの世界のヒエラルキー構築の基礎となっている。
弱いヒトは強い獣人に追従しなければ、この世界では生きていけない。
体力気力共に、獣人の基準からヒトは遥かに劣っているのだという観点以前に、
そういうことが常識であるのだという社会が、いつの頃からか形成されていたからだ。
ぶっちゃけた話、ヒトは獣人の奴隷、または召し使い、あるいは玩具、愛玩動物、
その他諸々の用途のために使われるといった扱いを受けている。
かくいう私もその一人であって、この世界で生きていくため、この屋敷の住み込みメイドとなって、
家事雑事をほぼ一人でこなさなければならなくなったのだ。全く持って遺憾である。
いきなり突きつけられた理不尽な階級制度に対するしこりは、一年三六五日と半分を過ぎた今でも、
私に微かではあるが、反発心を抱かせる。
まあ、『落ちた』ヒトの中では、こっちに来てすぐに命を落としてしまうヒトや、
邪な考えを持つ獣人に利用され、出すものすべて搾り取られた挙句
ゴミのように捨てられてしまうヒトもいるという話はよく聞くので、私は結構、
いや、かなり運良くヒト召し使いになれたということになる。
今までの短い年月の中で、とりたててトラウマになるような出来事にも出会うことなく…
いや、あるにはあるのだがそれとこれとはまた別のカテゴリに入るというかなんというか。
まあいいとして、健やかにヒト召し使いライフを堪能…?出来ている次第なのです。
「おいコラ、俺はお前に休んでいいと許した覚えは無いが?」
洗濯カゴの中身を仕舞い終え、馬鹿にしてるんじゃないかと思えるぐらい大きな部屋
(これでもほんの一室なんだけど)の中で、これまたドでかいソファーに体を預けて、しばしの休憩を楽しんでいた私の平穏は、
たった今外出先からご帰宅なさった我らが『ご主人様』の、
ドスの利いたバリトンよって無残にも打ち砕かれて瓦解してしまった。
785 :
トラ貴族:2008/02/15(金) 01:56:20 ID:g92pp1IW
----------------3・2
「(呪われればいいのに)ハイハイすんませんね」
「ああ?なんだって?」
あえて『ご主人様』を見ないで返事したためか、不愉快一色に染まった声が、
ズシズシと重い質量を容易く想像させる音と共に私のほうへ近づいてきた。
いくら聞き慣れているとはいえ、悪人も裸足で逃げ出すような悪者然とした声を背中越しで聞くのは心臓に悪い。
巨大な質量を持つ圧迫感が強く感じられるぐらいを見計らって、ソファーからずるりと降りて、
私のご主人様と向き合った。
あえて視線は合わせないまま、スカートの裾を摘んで引き上げる真似をして深々と頭を下げた。
「顔を上げろ」
「・・・」
目の前で腕を組んで仁王立ちをする、それはそれは見事な毛並みと巨躯を持つホワイトタイガー。
それが私の今の『ご主人様』であり、この屋敷の主でもあるディーゴ・ベガロ・ジェファーソン、
通称デコ、その人…イヤイヤ、獣である。
白地に薄い黒の縞模様が施された毛皮をまとった、大人のヒトの男性よりも軽く一回り程大きい体からは威圧感と
圧迫感が溢れ、胸の上で組まれた両腕は私の太ももより太くてがっちりしていて、
筋骨隆々なんて言葉が霞んでしまうんじゃないかってほど鍛え上げられた上半身は、惜しげもなく曝け出されている。
おまけに、おおよそ可愛いなんて言葉が似合いそうに無い凶悪な面相が加われば、悪人じゃなくたって誰だって裸足で逃げ出したくもなる。
しかもそれらが一般的なトラ獣人のオスの標準装備より小さいというのだから、
ほんとに何で私はトラの国に落ちてしまったんだろうと、軽く自己嫌悪に襲われる。
「んで?その気っ色悪い声色と言葉遣いは誰に許可されてやってるんだ?」
「はて、ご主人様の仰りたい事の意味が私目には皆目見当がつかぬ次第でございますが」
「はぁ〜ん、そういう態度を取るかね。なるほど、オレもまだ躾がなっちゃいなかったって事か」
「いやなに、冗談ですよ冗談ハハハ私が貴方様に逆らうとでもハハハハハハ」
「その無駄な笑いを止めろ、ヒトメス」
「はあ…ごめんなさい」
「ん…ん、まあ、それでいい」
786 :
トラ貴族:2008/02/15(金) 02:00:04 ID:g92pp1IW
----------------3・3
ここで働き始めてから思ったのだけど、デコはネコ科の種族だというのに、冗談を冗談と取るのが下手だ。
ほんの少し、会話の端にからかいの言葉を入れただけでも、激昂するか、すねるか、真正面から受け止めることしか出来ない。
彼の性質は、どちらかといえばイヌとか、オオカミ見たいな印象を受ける。
…だけど、ネコ科の種が持つ特徴の気まぐれさは、むしろ普通のネコ科動物より顕著であるように思う。
さっきも躾だのヒトメスだの聞き捨てならない言葉を発して、確実に苛立ちの色を見せていたにも拘らず、
今はどこか上機嫌に彼の自室へ続く階段を上ろうとしている。
「あ、そうそう」
階段の中腹辺りで私に振り返ってズビシと指をさした。
首を傾げた私を見て、デコは鋭い肉食動物…この世界だと人間?特有の歯をのぞかせて、
この場合、笑ったと取るべきなのか判断に困るのだけど、
「ただいま」
それだけ言って二階へと消えていった
「おかえりなさい……へ?」
条件反射的に返したけど…まぁふさわしい言葉を言ったといえばそうなんだけど、
いくらなんでも唐突過ぎて面食らってしまった。
一年三六五日と半年、デコの召し使いとして身の回りの世話を言い付かってきたけど、
未だにあの凶悪な面相でたくましい体を持ったホワイトタイガーの獣人の性格を把握しきれていないのが、
今のところの私の現実だった。
-------------
とりあえずここまで。あとは出来たら順次あげていきます
ふむう、期待。
改行するごとに空行開けるのはやめたほうがいいと思う。
しかし白トラとヒトメスには期待!
けもけももふもふえろえろ期待!
貴様、おれのストライクゾーンを知っているな!?
たまらんよ! これはもうたまらんよ!!
えろえろミコトに迫られるフェイレンさんも期待してます!
馬鹿エロ祭りさいこう!
一言言わせて欲しい。
えろえろミコトちん、超希望。
しかし一身に不幸を受け止めまくっってる気がするなぁ>ミコト
一人称での「です」「ます」調が、より幸薄さを強調している様でなんか泣ける
フェイレンに赤ん坊をあやす様に優しく抱かれるミコト
そんな感じでよろしくお願いしますぜ!!>獅子国のダンナ
794 :
とらひと:2008/02/18(月) 23:55:49 ID:9yZIY6yh
フライングホワイトデー
ご注意
当作品にはBLもしくはガチホモ要素がふんだんに盛り込まれておりますので、
苦手な方はスルーしてください。
馬鹿ギャグ。エロ無し。
ことの発端は、バレンタインが終わって一週間ほど経ったある夜のことだった。
「ホワイトデー……」
ポツリと、ほんとうにごくわずかに、バラムが小さく呟いた。
家族四人揃っての、就寝前の穏やかな一時である。
千宏は聞き慣れた言葉に顔を上げ、パルマは不思議そうに首をかしげた。
「おまえんとこでは、ホワイトデーってのがあるんだってな」
「あるにはあるけど……全国的に一般的な行事ではないよ。トラのバレンタインは、お互いに
贈りあうんだから、バレンタインのお返しをするホワイトデーはおかしいんじゃ――」
「バレンタインのお返し?」
ぴくん、とアカブが耳を立てて千宏を見た。
「ほら、つまりあれだ。日本だと女から男にチョコを贈るって風習だから、ホワイトデーに男
がそのお礼を――」
「お礼……?」
パルマがごくりと息を呑む。
千宏を除く三人の間に、ピリピリとした緊張が走った。ホワイトデーの何がそんなに問題な
のか理解できず、千宏は首をかしげるばかりである。
「そうか、バレンタインのお返しをする日があるのか」
「家にはヒトがいるからな。そりゃあヒトの習慣を取り入れるのは当主として当然の義務だな」
バラムとアカブが視線を交わし、がっしと手を握り合う。
千宏は目を瞬いた。
「いや、だからお互いに贈りあうトラのバレンタインにホワイトデーは……」
「よっしゃぁ! そうと決まれば早速準備だ!」
「おうよ! アカブ! 作戦会議だ!」
言うなり、二人はばたばたと部屋を立ち去っていった。
瞬間、真剣な面持ちでパルマが千宏の肩を掴む。
「チヒロ。ホワイトデーっていつ。いつなの?」
「さ、三月の十四日だけど……」
パルマが素早く、ヒトの暦とこの世界の暦の早見表に視線を投げる。
「準備期間はたっぷり――あなどれない。でも大丈夫よチヒロ! 絶対に私が守ってあげるからね!」
「は、はぁ……」
ぎゅっと、パルマが千宏を抱きしめる。
ふにふにと柔らかく、弾力のある大きな乳房に顔をうずめながら、千宏は一人取り残された
気分に首をかしげた。
ホワイトデー当日。
ありえない事が起こった。パルマの言葉を信じるならば、ここ百年はおこらなかったことだと言う。
この、学校とも要塞ともつかない巨大な建築物に、数人の客人が訪れたのだ。
「カブラ、ブルック、カアシュ。それにイシュ! ようこそ我が家へ!」
千宏とパルマは四人を笑顔で迎え入れ、アカブとバラムはその様子に愕然と固まった。
パルマがにやりと笑い、勝ったとばかりに胸を反らす。
イシュは別としても、カブラ達三人は完全に千宏の味方と言っていい。アカブとバラムがど
んな計画を立てていようと、バレンタインデーのように千宏が襲われる事はまずあるまい。
パルマは行動や言動によらず、そこそこの策略家であった。
「しかしなんだ。おまえらこんなとこに住んでたんだなぁ」
興味深げに辺りを見回しながら、カブラ達があちこちを歩き回る。
アカブとバラムは眉間に深く皺を寄せ、しかし力強く頷きあった。
「おいおまえら、今日が何の日か知ってるか?」
そう切り出したのはバラムである。まさか、とパルマが目を見開いた。
仕掛けようというのか――この状況を見てなお――!
「今日はホワイトデーっつってな、チヒロの世界ではバレンタインデーの“お返し”をする日
なんだそうだ。つまり、バレンタインに辛酸を舐めさせられた奴らに与えられた報復の日だ」
「えええええ! ちょ、ちょちょ、ちょっとなにその新解釈! お礼ってそういうことなの!?」
795 :
とらひと:2008/02/18(月) 23:56:38 ID:9yZIY6yh
ようやく先日のバラムたちの言動の理由がわかり、千宏が部屋の片隅で悲鳴を上げる。
しかしバラムは千宏の言葉に反応を見せず、いかにも当主然として話を続けた。
「俺たちはパルマとチヒロにバレンタインデーで敗北した。だが今日! 俺たちはこの二人に
確実に負けたと言わせてみせる! おまえたちにはその証人になってもらいたい!」
「おのれバラム! そういう手でくるとは卑怯なり!」
「黙れパルマ! おまえの浅はかな知略など俺には通じん!」
「どうしちゃったの二人とも!? 何があったの! 何が起こってるの!?」
「決闘だ……誇りをかけた決闘に、俺たちは立ち会ってるんだ……!」
ごくりと、真剣極まりない声色でカブラが呻く。
イシュが緊張に唇を舐め、カアシュとブルックがにらみ合う三人をはらはらと見守っていた。
相変わらず、千宏は蚊帳の外である。
「では、五分後に四番客間で会おう――分かるなパルマ。因縁のあの場所だ」
「私が敗北を叫ぶと思うの? 笑止! 安寧と過ごしてきた腑抜けた当主のおごりなり!」
「落ち着いて! 落ち着いて二人とも! ホワイトデーだよ!? ねぇ! おとなしくキャン
ディーとマシュマロ食べようよ!」
「安心して千宏。あなたはずっと私の後ろにいればいいからね」
ぎゅっと、パルマが千宏を抱きしめる。
千宏はまともなホワイトデーを過ごす事を諦めた。
そして、五分が経過した。
六人で連れ立って、ぞろぞろと四番客間に向かう。
甘い香の香りがした。気分のいい香りで、どこかふわふわとした気分になる。
「この香、この前の……」
イシュが低く呟いた。先日、バラムがパルマに言って調合させた、女に効く媚薬のようなも
のだという。
「わかってる。私たちと同じ手を使うつもりみたいだけど、所詮は二番煎じ! 同じ手で打ち
倒そうなどと片腹痛いわ! さぁ、いざ!」
叫んで、パルマは思い切り乱暴に四番客間のドアをぶち破った。
予想に反して、部屋は明るい。そして、先日のような檻も入ってはいなかった。
ただ、きっちりと正装したバラムとアカブが立っている。
瞬間、イシュが甲高い悲鳴を上げた。
「あれがバラムの弟? やだ、凄く逞しいじゃない! それにあの毛並み!」
「あ、やっぱりそうなんだ」
なんだ、普通に格好いいんじゃないか、となぜか自分が褒められたような気分になる千宏である。
しかし、二人とも夜会に出かけるイギリス紳士のような装いだった。確かに格好いいとは
思うが、馴染みの無い千宏から見れば少々引いてしまう。
急ごしらえで用意したためか、種類も形もばらばらの椅子が、六つ理路整然と並んでいた。促されるまますわり、バラムが咳払いをするのを黙って眺める。
「……先に断っておくが」
咳払いし、バラムは真剣にその場にいる面々を見渡した。
「芝居だからな」
ぎらりと、殺意さえ感じる視線で睨まれ、全員がぎくりとした。こくこくと玩具のように頷
くと、バラムが再び咳払いする。
そのバラムの肩を、乱暴にアカブが引き寄せた――。
「兄貴、いつまでそんな奴らの相手してんだよ」
低く、舐めるような声色だった。バラムが困惑した表情を浮かべ、そっとアカブの手を振り払う。
「よせアカブ。後でいくらでも相手してやるから……」
「きゃぁあぁあぁ!」
パルマとイシュが悲鳴を上げて立ち上がった。
あまりにもキンキンと響くその声に、思わず千宏が耳を押さえる。
何事かと周囲を見渡すと、屈強な三馬鹿があんぐりと口を開けて目を見開いていた。千宏に
は状況が理解できない。
「そんな事言って、最近仕事ばっかりで全然休んでねぇじゃねぇか。俺が全身ほぐしてやるよ。
ほら、こっちこいって」
「アカブやめろ、まだ人が……ッ!」
「やめてぇえぇ! だめ、そんな兄弟でなんて禁断よ!」
「このケダモノ! ケダモノォ! バラム逃げてぇ!」
飛び出したイシュとパルマの鼻先で、ばちん、と衝撃が弾けた。パルマが愕然と目を見開く。
「結界――!? なんて周到な!」
796 :
とらひと:2008/02/18(月) 23:58:58 ID:9yZIY6yh
「やれぇアカブ! その小奇麗な服をひんむいちまえ!」
突然カブラが声を上げて立ち上がった。
そういえばこの男、前にバラムのケツがどうとうか言っていなかったか――。
「そんなこと言ったって、まんざらでもねぇんだろ? おまえが毎晩どんなふうに鳴いてるか、
みんなに見てもらえばいいじゃねぇか」
「頼む、やめてくれ……頼むアカブ……」
バラムが苦しげに眉をひそめて顔を逸らし、その褐色の首筋にアカブの赤い舌が迫る。
パルマの唇が震えた。結界の前でなす術も無く、興奮して悲鳴を上げているイシュの隣で
大きな瞳を更に大きく見開いている。
べろりと、アカブの舌がバラムの首筋から顎にかけてを舐め上げた瞬間、バラムが乱暴に
アカブを突き飛ばした。
「よせ! 俺たちは兄弟だ! こんなこと……もう、終わりにすべきだ!」
「兄貴……おまえ、俺を捨てるって言うのか!」
「わかってくれアカブ……俺は――!」
「聞きたくねぇ! 俺はこんなに兄貴が……畜生!」
怒鳴って、アカブは乱暴にバラムの腕を掴んで引き寄せ、カブラの叫び通りバラムの服を
勢いよく引き裂いた。
パルマとイシュが抱き合いながら飛び上がる。他の男三人も立ち上がり、いまやアカブに
激しい歓声を上げていた。
「負けでいい! もう私達の負けでいいから! おねがい優しくしてあげて!」
「だめよ激しく! 乱暴に! 荒々しくして!」
バラムがアカブを床に押し倒し、鋭い爪で衣服を剥ぎ取っていく。バラムの悲痛な悲鳴が
上がり、部屋は羞恥と歓喜と耽美の渦に包まれようとしていた。
その時である。
「はいはいびーえるびーえる」
冷め切った千宏の一言で、白熱した部屋の温度が一気に下がった。
唖然として、バラムとアカブを含む全員が千宏を見る。
千宏はすっくと立ち上がると、さもつまらなそうに二人を眺めてローブをひるがえして、
さっそうと背を向けた。
「ち、チヒロ……?」
「そっちはもう卒業したんだ。ごめんね」
半身を起き上がらせて間の抜けた声を上げたバラムに、千宏が申し訳無さそうに答えて
さっさと部屋を出て行ってしまう。
馬鹿な――王侯貴族が泣いて喜ぶ筋書きを、なぜあんなにもあっけなく一蹴できるのだ。
797 :
とらひと:2008/02/18(月) 23:59:54 ID:9yZIY6yh
「……まぁ、パルマには勝ったから、引き分けか……」
ぼそりとバラムが呟き、のそのそとアカブの下から這い出す。
「えー! もうおしまいー?」
「出し惜しみするんじゃねぇよ!」
「うるせぇ! 俺は男に興味はねぇ!」
そう怒鳴ったバラムの肩を、がっしとアカブが乱暴に掴んだ。
は? と間の抜けた声をあげ、自分よりはるかに体格のいい弟を見上げる。
「バラム……おまえ、綺麗だよな」
「……待て。おい。どうしたアカブ。目が……やば……」
「一回くらい……試してみるのも……経験だよな……」
「いらねぇ! そんな経験はいらねぇ! よせアカブ! はなせ愚弟! ぎゃぁあぁ! よせ、
よせ! うわ、獣くせぇ! おい誰か! だれかこいつをなんとか――!」
観客から歓声が上がった。
「きゃぁあ! 泣いて嫌がる兄を押し倒す弟なんて、最高に燃えるわぁあぁ!」
「バラムー! 色っぽいよぉー! 惚れなおしちゃうー!」
だめだこいつら。
バラムは顔色を失った。
つつ、とアカブの爪が下半身へと伸びていく。
「よせアカブ! 兄弟の縁を切るぞ! 本気できるぞ!」
「バラム! 実は俺は昔からおまえのことがぁあぁ!」
「血迷うんじゃねぇえぇえぇ!」
その日、偏狭の領主が納めるどこかの領地で、小規模な爆発が観測されたと言う。
その後しばらく、バラムがアカブを避け続け、アカブは全身の体毛を燃やされて酷い有様に
なったりしたが、それはまた、別の話。
おしまい
心底バカでサーセンwww
と、とらひとの御方!
お気を確かにぃぃぃwwwwwwww
つうか千宏よ、卒業したってことは
裏を返せば昔は腐だったのか?w
ご乱心GJ!!
今ちょうど本編読みおわって
これってハッピーエンドなのか?苦難の始まりなんじゃ?
とか、モヤモヤしてたところにコレですかwwww
おかげで心救われまして、ぐっすり眠れそうです
アーザッシタ!
百合もBLもケモなら無問題!
耐性あるから大丈夫と思ってお茶のんでたのに!損害の賠償を(ry
乱心GJ!!
ノンケだって食っちまうような男だったのかw
なんてノリのいいやつらだwwwww
朝飯吹いたwwww
なにやってんのーーー!?wwwwww
正直、とらひと氏すげえよw
GJすぎるw
うほっ いい兄弟
どさくさに紛れてパルマのおっぱいに顔をうずめたい
馬鹿すぎるwwwww GJwwww
しかしチヒロの過去に何があったんだ……w
バラム逃げてーwwwwwwwwwwwwww
たっぷり笑わせてもらいました、GJです
にしてもとらひと氏の引き出しの幅広さは異常wwwwwwww
ネタ的な意味でも性的な意味でも
なんていうか、あれだけ時間かけて一個ずつ積み上げていったものを
なんの躊躇いも無く、むしろ歓喜をもって突き崩す、快感ですか?>とらひと氏
それでもなお、土台がしっかりしてるから素養のない者でも楽しめるんだと。技量って
こういうことか。とそう思いマスター。多分、最初からガチホモ書くつもりだと反発が
出ることも有るだろうに。
これを機に諸兄らが「ウホッ」の世界にめざめたら……とらひと氏はどうするおつもりなのだろうか。
チナミに私的には超GJ!むしろもっとやってーって感じでーすwww
……猫耳少年と召使のスレ@数字板を立てようか真剣に迷うくらいwww
別にとらひとさんの作品を貶めるつもりはないけど、ファンの方々がはしゃぎすぎて
ちょっと気味悪く思えるんです
そういうネタはやっぱり避難所の方がよかったのではないのでしょうか?
バカエロ祭りだからしょうがない^o^
流れを変えたくばSSを投下するのみ。
……などと書いておきながら、こっちはひな祭りと馬鹿エロと出歯亀狐侍がどうしても結び付かなくて困ってる。
いぬがひつじをおしたおせません…たすけてください…
つ[酒の勢い]
つ[媚薬]
つ[(イヌが)泣いて懇願]
つ[第三者強姦]
つ[からかわれまくってイヌが逆上]
つ[ヒツジの一時の気の迷い]
つ[イヌの妄想落ち]
つ[取材の名の元に]
. \ 人間のクズといったら? / ______ なんで漏れの気持ち
良スレだったのに\ ∧_∧ ∩腐女子だろw .|| ∧_∧ 分かってくれないですか・・
腐女子が占領… \ ( ・∀・)ノ______ / .|| (´;ω;`) .||
∧ ∧. \ (入 ⌒\つ /| ./ || つ と ||
(゚Д゚ )_ \ ヾヽ /\⌒)/ |/ プッ∧_∧==・ ・ ・===∧_∧ あんな自己中な奴の気が
/ ̄ ̄∪ ∪ /| \ || ⌒| ̄ ̄ ̄|. / ( ´∀.) (∀・; ) 分かる訳無いっつーの…
/∧_∧またですか・・・.\ ∧∧∧∧ / .( ) と )
/ (; )_/ \ < 腐 ま > || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||
|| ̄( つ ||/ \< 女 た > || ||
|| (_○___) || < 子 >  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄"
――――――――――――――― .< か >――――――――――――――――――――――――
∧_∧ 構って欲しい < ! > ∧_∧フン ∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
( ;´∀`) だけのくせに・ ・ ∨∨ ∨ \ (`・ω・´) (`・ω・´) < 逆らう奴は童貞キモヲタ決定(藁
_____(つ_ と)___ / \ ( )__( ) \__________
. / \ ___ \シニタイ ./ ∧_∧腐 \∧_∧ ∧_∧ ///|
.<\※ \____.|i\___ヽモウヤダγ(⌒)・∀・ ) 女 \ ;) ( ;) /┃| |...|
ヽ\ ※ ※ ※|i i|.====B|i.ヽ /(YYて)ノ ノ 子 \↑ ̄ ̄↑\)ウゼェ / |__|/
\`ー──-.|\.|___|__◎_|_.i‐>/ \  ̄ ̄ ̄ ̄\め! スレ住人 ┃
おっと、誤爆誤爆w
でも、ケモホモだろうがなんだろが、801と百合は他所でやれよ。
気持ち悪いし、せっかくの良スレが再び腐りかねない。
あいつらに占領されるとスレが死ぬし、本当の物語を紡げる作者さんが逃げ出すのは悲しい。。
AAは余分だか概ね同意。
ネタとか余興ならともかくも、狙ってホモネタは直接投下はご遠慮願いたい。
腐女子のなだれ込み繁殖で腐ってしまった良スレが幾つも有るだけに、
801板に出張スレ作って透過するか、または避難所にテキスト投下が理想かも。
他人の趣味にとやかく言うのもどうかと思うけど、となかく奴等は鬱陶しいから。
とらひとさんのはネタでしょ?
つか、ネタにしかみえねーし。
それを空気読めないヤツが801キターとか盛り上がってるだけじゃん。
ってか、空気読めないのは
>>808だけだな。
他の人のコメントは普通だよ。
数字板にと最初から言ってるものを、
何を念入りにほりかえしてるんだ。
808もたぶんツッコミ待ちのボケ半分なんだろうけど
数字もケモ萌も毛嫌いする奴はいるから
もう少し配慮してくれな。
神様職人様、クーデレのケモ子が読みたいです。
821 :
812:2008/02/21(木) 18:34:42 ID:/4nGBrJB
案をありがとうございます! つまりこうですね!
『ひつじが風邪ひいて媚薬を盛られて酒に酔ったあげく
一時的に気が迷って取材の名の下に第三者を強姦し
からかわれまくって犬が逆上し泣いて懇願、
しかるのち妄想オチ』
…なんだこの難易度!? 燃 え て き た
そしてここまでしても妄想オチになる犬に泣いた。
>>821 全部混ぜるとは剛毅だな。
そんな君にこの言葉を贈ろう!!
【アイディア全部を拾わない勇気】
その勇気は俺が貰った!!
犬が涙を誘いすぎるwww
大変だ
昨日は猫の日だったんだぜ・・・
にゃんにゃんにゃん
・・・うわぁ
何気に最近、wikiの画板が面白い件
>>789の続きは来週までかかりそうな感じ。
日曜日には四人目の職人さん(orとらひと氏)投下してくれるのかなあ。
>>812氏がんがれ、超がんがれ。
……幼児退行って意外と描写難しいな。
馬鹿エロが素直に馬鹿エロにならないというか、油断してるとすぐに物悲しいふいんきになりやがる。
830 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 23:48:27 ID:tSsqxk8B
泣かないで、泣かないで、笑って! 第3話
耳元で小さなくしゃみが聞こえた。
薄い掛け布団の中、半覚醒した羊司が薄く目を開くと、長い羊の耳をしたかわいらしい少女がむず痒い顔をしながら身体をすり寄せてくるのが見えた。
「んぅ〜……」
少女は未だ意識が夢の中なのか寝言をもらす。
ああ、これは夢だなとぼんやりとした意識の中、自分も寒いので少女のやりたいようにさせる。
落ち着ける場所を見つけたのか、少女は羊司の胸元に額をつけた。 小さな手が彼の服を掴み、そのまま引っ張る様に身体を密着させる。
「……すぅ」
落ち着かない顔をしていた少女が、穏やかな表情を浮かべ安らかな寝息を立てる。
その安らいだ表情に羊司は笑みをつられた。 他人が見たらそれは幸せに眠る仲の良い兄妹に見えたかも知れない。
暖かく柔らかい少女の感触に眠気を刺激されたのか、彼もまた夢の世界へ旅立とうとする。
ふとウェーブのかかった少女の髪が鼻にかかった。
肩甲骨までの長さしかない真綿のようなおぐしに顔をうずめながら、羊司は少女の匂いを楽しむ。 ほのかにミルクの香りがした。
羊司は虚ろな状態のまま、たまにぴくりと動く少女の羊の耳を眺めながらも少しずつ思考が回復に向かう。
通算八度目、少女の耳が動いた時、彼のもうろうとした意識が急速に目覚めた。
「……はっ!?」
気の抜けた声を発し、羊司は目を疑った。
小さな寝袋に十代半ばと思われる少女が眠っている、これはまあいい。 そして、その少女を抱きしめた自分がいる。 これは非常によろしくない。
目の前で無防備に眠りこける彼女の存在に、羊司の頭が混乱をきたす。
――なぜ、俺の隣に見知らぬ女の子が?
もしかしてやらかしてしまったか、と羊司は責任の取り方を思案する。
結納まで思考が飛んだとき、少女が身じろぎした。
羊司は驚いて身体を離そうとするが、彼女の小さな手がそれを許さない。
それどころか更に身体を擦り付けようと、少しずつ近づいてくる。
「ちょ、コリン、それやばいから!」
焦ったように言ってから気が付いた。 そうだ、この少女はコリンだ。
昨日の事が走馬燈の様に蘇る。
動物の世界に落ちた事、少女に逃げられた事、奴隷になった事、主人が出来た事、狼男に襲われた事、そしてそれを自分が殺した事。
まるでファンタジーの世界じゃないかと思う。
額に手を覆い被せ、溜息をついた。 隣を見るとその時出逢った彼女が先程のように寄り添い、何の悩みもなさそうに無垢な表情を覗かせている。
一切の疑いも無く穏やかに笑みを浮かべて眠る少女の姿に、波が引くように動揺も収まってくる。
羊司は彼女が目覚めるまで、安らかに眠るその横顔を眺めていた。
831 :
師走:2008/02/24(日) 00:02:20 ID:tSsqxk8B
お久しぶりです、師走です。
久しぶりに羊モノを投稿させていただこうと思ったのですが、申し訳ありません。
どうもPCの調子がおかしいようで、投稿に何度も失敗してしまいます。
ですので、頭を投稿しただけで申し訳ありませんが、後日もう一度別のPCで投稿させていただきます。
1行目が空白だとか、
改行の無い長い文章とか、
同じ記号が沢山、とかはダメらしい。
あと、一度の投稿は40行2KBまでだとか。
絵板にエロパロ板&創作文芸板とあるのに気づいて驚いた。
しかし探してみたけれども見つからず。
エロパロ&文章創作板の間違いじゃないのか、それ。
ここ、2chですらないが。
割と古くから居る人にもたまに判ってないのがいるけど
ここ2ちゃんねるじゃなくてpinkちゃんねるなんだよね
>エロパロ&文章創作板の間違いじゃないのか
気づかなかった
保管庫のほうも間違ってたからサクッと修正。
昔はただのエロパロ板だったんだっけ?
838 :
837:2008/02/24(日) 14:01:44 ID:4Wx5rrJv
上の表記が間違っていました。ヒト♂×ネコ♀です。
すいませんでしたorz
>>837 なんというクオリティ。
そして何というタイトルセンスw
GJです!
840 :
師走:2008/02/24(日) 19:51:47 ID:qIWZZuBj
目を覚ましたコリンが最初に見たものは、男の妙に生暖かい視線だった。
ただでさえ対人恐怖症的な少女は、男に抱かれている、至近距離から顔を見られているという事実から理解するまで数秒の時を要した。
結果、悲鳴。 森中に響いたのではないかと彼が思うほど、少女の悲痛な声は響いた。
「ふ、ふぇぇ……」
「悪かった、いや本当に」
コリンは掛け布団を頭から被り、涙目で羊司を非難する。
何とか落ち着いたのか、叫び声を上げることは無くなった。
その気を見逃さず、羊司は寝袋の上で正座して、低く頭を下げ謝罪する。
「すまん、昨日はギター弾いて、携帯食っぽいパン食ってそこのブランケットに包まれて隅っこで寝た様な気がするんだが……」
羊司は少し離れた場所に敷かれたシートと適当に丸められた毛布を指差す。
一息つき、静かに語る。
「いつの間にかコリンの寝袋にダイブしてたっぽい」
「ヒグッ……」
その直球の言に、しゃくりあげる少女。
「責任の取り方がわからないから……好きなようにしてくれ……ただその、出来れば出て行けって、言わないでくれると助かる」
そう言って頭を下げる。 暴力を振るわれるという事は無いだろう、が追い出されるという事は十分過ぎるほどありえる。
一人で自分の世界に戻れるか、それ以前に生きていけるか、答えはノーだろう。 しかし少女が強硬に出て行くように旅を続けられないと言ったらそれを拒否することは出来ない。
気弱な子だとは理解している。 だからこそ強姦魔(未遂と思いたい)とは一緒にはいられないだろう。
頭を下げたままの状態でそう思う。
正直記憶が無いので、何を言っても言い訳にしかならない事は理解していた。
「あの……私が、呼んだんです……」
おそるおそるといった感じで、掛け布団から顔を出すコリン。
初めて悲鳴と泣き声以外を聞かせてくれた事と、少女の意味不明の言葉に、羊司は間の抜けた顔を勢いよく上げた。
「ひっ!」
「ああ、悪い。 ごめんなさい」
841 :
師走:2008/02/24(日) 19:54:52 ID:qIWZZuBj
またも頭から布団を被り視線から逃げるコリンに、羊司は頭を垂れこっそり溜息をついた。
コリンの説明によると、夜中に寒さで震えていた俺を気遣って、寝袋に連れ込んだ。
上下取り外し可能な厚めの寝袋だから楽に寝袋に入れることができたが、狭いのでどうしても寄り添う形になってしまった。
朝、先に自分より早く起きて気付かれないうちに寝袋から出るつもりだったとの事……らしい。
「それで俺の方が先に起きちまって、結果コリンと顔を合わせることになったって事か」
「はい……」
恥ずかしそうに俯く少女を見ながら、羊司は誤解が解けたようでほっとする。
羊司は申し訳なさそうに顔を上げない少女の頭に手を乗せる。
被せられた手に驚いて顔を上げるコリン。
「ええと、だ……ありがとう」
「い、いえ……」
先程も感じた少女の柔らかい髪を撫でる。
壊れ物を扱うように優しく漉く羊司の手に、ふとコリンは今は亡き両親と兄弟姉妹を思い出した。
――お父様の手……。
脳裏に浮かぶのは穏やかで優しい父と母、そして戦争の最中にはぐれてしまった妹や死んでしまった兄や弟、そして自分。
国と言ってもそれ程大きくも豊かでもないが、確かにあった自分の居場所。 少女は羊司の荒れた手から、様々な楽しかった日々を思い出し、追想に浸った。
――やべぇ、どうしよう。
俯いたままの少女を宥めようとしてつい頭を撫でてしまった。
すぐに振りほどかれると思っていたが、少女は幸せそうに目を閉じされるがままなっており、むしろもっとして欲しいとばかりに顔をすり寄せてくる。
コリンの嬉しそうな表情に、羊司は顔を赤く染める。 鼓動が徐々に速くなってゆくのが自分でもわかる。
――手、止めるわけにはいかないよな……
こんな安らかな顔してるんだから、と羊司は誰かに言い訳するように自分に言い聞かせた。
842 :
師走:2008/02/24(日) 19:56:08 ID:qIWZZuBj
テントの外から鳥の鳴き声が聞こえ、コリンは正気に返ったと同時、すぐに亀のように丸くなりながら器用に後ずさった。
「ご、ごめんなさい」
赤く染まった顔を隠すようにコリンはまたも顔を布団に隠す。 羊司も同じくらい赤い顔をしていたが、この時だけ少女に顔を見られなくて良かったと思う。
「いや……俺も悪かった」
後頭部に手を当てぺこりとおじぎする。
その姿にますます恐縮する少女。
もともと口下手な少女と、話すことは好きだが原因が自分にあると言う事でうまく言葉を紡げない青年。
お互い気まずい沈黙が続いた。 羊司は無意識に頭を掻いて何とか話題を探そうと視線を泳がせる。
ふとコリンが注意していないと聞き逃してしまうほど小さく呟いた。
「……お父様、見たいだと思いました」
「えっ? ……そうか」
――コリンの両親はもういないんだった。
羊司は昨日ゴズマが言っていたことを思い出す。
「お父様はよくこうやって撫でてくれたんです。 大きな手で何度も、優しく」
手を伸ばし宙をゆっくり何度も撫でる仕草をする。 穏やかな瞳は、過ぎ去った幸せな日を見ているのだろう。
懐かしむ顔をする少女に、羊司は微笑ましさよりも痛ましさを感じた。
「コリン、君は――」
――これからどうするんだ?
途中まで言いながら言葉を噤む。 容易に言ってはいけない気がした。
狼男、ゴズマといったか――あいつが言うからには、この目の前で眠るコリンという少女はお姫様らしい。 既に国も無くなり家族も皆殺されてしまったが、未だに追っ手がかかってる。
その中でそれまで何不自由なく暮らしてきたであろう一国の姫がどれだけ苦労してきたかはわからない。 それなのに、興味本位なんかでどうするかなんか聞けない。
コリンが自分の口から言うまで聞かない、と心に誓う。
迷惑をかけるだろうが、離れもしない。 そして困ったら相談してほしいと思う。
843 :
師走:2008/02/24(日) 19:57:21 ID:qIWZZuBj
「まあ俺はコリンについて行くだけだ」
「?」
羊司の呟きが聞こえたのか、コリンは意識をこちらに向けた。
「何か、言いました?」
「ああ、いや。 何でもない」
そうですか、と話は終わったとばかりに立ち上がる少女に、ふと悪戯心が湧く。
シートの上のブランケットを片付けようと足を伸ばすコリンに、羊司はほんの軽い気持ちで言い放った。
「寝てるとこ眺めるなんてデリカシー無かった。 超ごめん」
立ち上がったままの状態で固まった少女に、軽く笑いかける。
その言葉を理解したのか、じわじわと瞳に涙を集めるコリン。
頬を涙が伝う。 その姿にギョッとする羊司。
「ふ……ふえええぇぇぇん」
落とした毛布にまたも全身を包まりながら、大声で泣き出す少女。
――幾らなんでも泣く沸点低すぎんだろ!?
しまったと思うにはもう遅い。 羊司は己の失敗を悟り、頭を抱える。
土下座まで始めたヒトの男と泣き止まない羊の少女のやりとりは一時間にも及んだ。
テントの外で二人は食事を作る。
昨日と変わらぬ冷えた空気と眩しい太陽の日差しを浴びながら、羊司は一箇所に袋詰された食材を確認する。
表面が白いジャガイモっぽいものや赤色の人参っぽいもの、牛肉っぽい謎の肉など少し齧って味を確かめ、これなら作れないこともないかと調理にかかった。
謎の肉を鍋に入れ煮込み、何度もアクを取る。 皮を切った黒い玉葱のようなものを半分に切り、人参の味がした人参のようなものやジャガイモっぽいものと一緒に鍋に入れた。
後は適当に香草を放り込む。
コリンは手際のいい羊司の姿に唖然としていたが、高校時代から今までレストランや定職屋でアルバイトをしてきた本人にとって食事を作るのはお手の物だった。
844 :
師走:2008/02/24(日) 19:57:55 ID:qIWZZuBj
「かぼちゃ、チャーシューメン、明太子、コンビーフ――」
羊司は鼻歌を歌いながら木べらで鍋をかき回している。
手料理を誰かに食べてもらい喜んでもらえるのを期待しているのだろう。
「ビーフステーキなキス、キスフライ、フライドチキン、キンピラ、ラッキョ――」
異国の歌と羊司の作っている料理が気になるのかコリンは何度もこちらを伺う。
その手にはすり鉢とすりこぎが握られており、昨日手に入れたきのこを粉末状にすり潰している。
「今日もダンス、ダンス、ハッピー・ダンス」
火加減を調整し終えると、羊司はコリンの方を向いた。
「これで暫く煮込んだら完成だから……コリン?」
「は……はいっ」
突然声を掛けられ、とりあえず返事をする。 その際すりこぎに力を入れ過ぎ、すり鉢が鈍い音を立てた。
「暫く煮込まないといけないから、その間これからの指針を教えて欲しいんだけど」
これから自分はどのように行動すればいいのかわからないので先に聞いておく。 迷惑はかけるだろうが足は引っ張りたくない。
「え、えと、普段なら薬になる植物を採集した後テントを畳んで次の土地へ移動するんですが、今回はまだそれほど集まっていないので、もう少しここで探すために野営します。 ヨウジさんは自由にしてくださって結構ですよ」
「いや、ヒモにはなりたくないから……コリンの薬の原料探し手伝うよ。」
健康体である自分が、年下っぽい気弱な少女一人に生活の面倒をかけるのは男としてどうかと思う。
羊司の面子の問題だった。
「はぁ、人手が増えるのは正直助かりますが……それじゃあ食事が終わったら行きましょうか?」
「ん、了解」
だし汁をすくい味見する。 少し味が薄い気がするが悪くはない。
コリンは粉状にしたきのこを小さな皮袋に詰め、似たような袋が入った鞄に入れる。
「ところでヒモってなんですか?」
「げふっ」
コリンの純粋な疑問に思わずむせかえる羊司。
「あ、あのっ、私変なこと言いました?」
「けほっけほっ……いや、言えなくも無いが……出来れば忘れてくれ」
「はぁ、よくわかりませんが、わかりました」
気まずそうに言葉を濁す羊司に、コリンは首を傾げた。
845 :
師走:2008/02/24(日) 20:00:05 ID:qIWZZuBj
羊司の作った食事はとても美味しかった。
コリンは普段は一人で食べていた食事が二人で食べるとこうも違うのかと驚いた。 少食である自分が2杯もお代わりしたほどだ。
後始末は俺がすると言う羊司が汲み置きしていた水で皿を洗っている姿を眺め、物思いにふける。
ポトフ、と言ったか。 羊司の作った料理の名前だ。
確かにポトフという料理は、名称が違いこそすれ自分の国にもあった。 以前まで住んでいた宮中でもかなりの頻度で食膳にのぼっていた。
裕福な国ではなかったが、きっと今食べていたものより随分と金はかかっていただろう。 あの頃は当たり前のように食べていたそれが、今ではとても懐かしい。
いつの間にか記憶の海に没頭し俯いていたらしい。 ふと歌が聞こえ顔を上げると、羊司はまた聞いたことの無い異国の歌を歌っている。
――楽しそうな顔……。
昨日の夜もそうだった。 羊司がギターを弾いてくれるというので、つい頷いてしまった。 人嫌いな自分が、だ。
火をたき、果実をつまみ、切り株に腰掛けながら羊司の歌を聴いた。
笑みを浮かべ、自分を笑わせようと、人殺しをした罪悪感を紛らわせようと、この世界でのヒトとしての不安を一時でも忘れようと歌った彼は、最初幾度か暗い翳を落とすことが多かったが、次第に吹っ切れてきたのか陽気な笑みを終始浮かべていた。
コリン自身も随分と久しぶりに笑った気がする。
あの時笑っていた顔と似ている。 コリンは羊司の顔を見ながらそう思った。
先程コリンは羊司が寒そうにしていたから一緒に寝たと言ったが、本当の理由は少し違う。
夜、昼間の事で悪夢にうなされているのか、必死で宙に手を伸ばし涙を流す羊司の姿を見ていられなかったのだ。
彼の肩にも届かない小柄な身体で羊司を抱きしめ頭を撫でてやると、いつの間にか彼は穏やかな寝息をたてていた。
そして久しく忘れていた人の温もりに、いつしか自分も夢の世界へと旅立っていた。
――あんなに暖かかったのは久しぶり……。
目が覚めたときは顔から火が出るほど恥ずかしかったが、羊司はきちんと自分に謝ってくれた。 そして、頭を撫でてくれた。 優しかった父に似た大きな手で。
コリンにとって羊司はどのように扱えばいいのかわからない存在だった。
しかし今は少し違う。
羊司は、何の力も持たないヒトで、死にそうになっても諦めず最後まで自分を裏切らなかったヒトで、逃げてるだけの自分とは違い前へ進もうとする強いヒトなのだろう。
――頼ってもいいのかな。
昨日の今日なのに信じてもいいという自分がいる。
自分は弱い人間だとコリンは理解していた。 一年前、流浪のみになってから何度も騙されそうになった。 その時は頼れる友人が傍にいて事なきを得たが自分一人になると何一つ判断できない。
ふと、自分をいつも一番大切にしてくれた侍女の姿が頭に浮かぶ。
――人を簡単に信じちゃ駄目よ。 それが男なら尚更だからね。
2ヶ月前に離れ離れになってしまった友人の言葉を思い出す。
彼女は人を簡単に信じるなと言った。 しかし羊司は自分を信じて助けてくれた。
彼女の言葉と彼の行動に、思考が何度もループする。
いくら悩んでも結論が出ず、羊司が呼びに来るまでコリンの葛藤は続いた。
846 :
師走:2008/02/24(日) 20:05:49 ID:qIWZZuBj
「なあ、これは大丈夫か?」
「それは……トラフグダケですね。 味はとてもいいらしいのですが猛毒を持ってます」
「駄目じゃん」
引き抜いた黒と白の模様をしたきのこを投げ捨てる。
のんびりと薬草を採集する二人。 食休みもかねているのでそれほどテントから離れていない。
「寒冷地なのに意外と生えてるもんだな」
羊司はコリンから借りた上着の上に大きな籠を背負い、周囲を見渡しながら歩いている。 見るもの全てが珍しいのか、子供のように落ち着きが無くフラフラと歩く。
コリンは灰色の麻の服と膝丈の紺のスカートの上に、昨日着ていた白い外套を羽織った姿である。
「あ、包清花。 羊司さん、お願いします」
「ほいきた」
指差された白い花をつけた小さな草を引き抜き、籠にいれる。
「あの赤い実がついた奴は?」
羊司が指し示した先には赤い実をつけた木があった。 丸くて赤いそれは羊司の世界にある林檎を思わせる。
「玉稟、ですね。 甘くて美味しいですよ」
「たくさんあるな……ちょっと取ってくる」
そう言うなり羊司は玉稟のなっている木へと向かう。
背を伸ばし、赤く熟れた実に手を伸ばすが、わずかに身長が足りずに届かない。
思案に暮れた羊司は、落ちていた枝で玉稟を数度叩き落とし、籠の中へ入れる。 それを何度か繰り返してコリンの元へ戻った。
「ほらっ」
「ありがとうございます」
手渡された玉稟を受け取り、コリンは嬉しそうに笑う。 早速齧ってみると口の中に甘い蜜が滲み出る。
「っつーか完全に林檎だな、形は少し違うけど」
「ヨウジさんの世界にも玉稟があるんですか?」
「ああ、俺の世界のはもっと縦に長いんだ。 味と色は同じだけど、やっぱりこういうところで違いが出てくるな」
そうなんですか、と感心の声を上げ彼女は玉稟を齧った。
「そういやコリンはよくそれだけ植物の名前や性質を知ってるな」
羊司は籠に手を突っ込み、黒い花をつけた植物や白い種を取り出した。
「これは――ミシブスマだったっけ?」
「はい、根を煎じて飲むと熱さましの効果があります」
「こっちの白いのは?」
「モルガドの種ですね。 磨り潰して水に浸すと気持ちが落ち着く芳香剤になるんです」
「よくわかるな」
847 :
師走:2008/02/24(日) 20:07:11 ID:qIWZZuBj
多種多様な植物が籠の中に所狭しとひしめきあっている。 それら全ての性質や名称をコリンは暗記していた。
「人に会わなくてお金を得る手段はこれぐらいしか思いつかなかったんです。 花とか、きのこの名前や作用は侍女に教えてもらいながら覚えました」
彼女は寂しげに笑いながら言った。 少女の辛さを笑顔で隠す姿を見て羊司の心は罪悪感に駆られた。
――口にすべきではなかった。
羊司は自身の浅はかさを悔やんだ。
「あ、でもですね。 私自身、花とか見ることは好きですし、このお仕事は全然辛くないんですよ」
羊司の沈んだ顔を見て、慌ててコリンが取り繕うように言う。
彼は顔を上げるが、すまなかったという沈痛な表情を崩すことができない。
「私も人見知りなところがありますから天職だと思ってるんです」
少女は微笑む。
「そのお友達も死んでしまったわけじゃないですし、ちょっとはぐれちゃっただけですし」
寂しさを隠し、今までの苦労を見せず自分を心配してくれる彼の為に笑顔を見せる。
「落ち合う場所も決まってるんです。 クトもいますし今は……ヨウジさんもいますし、寂しくはないですよ」
羊司の目が見開かれる。 コリンは穏やかな顔を羊司に見せている。
何も答えることが出来ず、羊司は玉稟を握ったまま驚いた表情で少女を見つめた。
コリンは羊司からそっと視線を外し、そっと玉稟の幹に触れ空を仰いだ。 そして数秒目を閉じ物思いにふけ、滅んだとは言え一国を担う者としての覚悟を決めた目で羊司に向き直った。
「ヨウジさん、私の素性は知ってますよね」
「……ああ」
自分が殺した饒舌で酷薄なゴズマの姿が浮かぶ。 脳裏に奴が言っていた亡国の姫という言葉が思い出される。
「私は一年前までこの地から南東の方にある……今は無いですけれど……自然公国、ルブレーの第二王女でした」
少し休みましょう、と言って少女は幹にもたれかかる。 羊司もそれに習った。
「山岳地帯で国土も小さく、誇れる商業も毛織物しかない貧しい国でしたが、争いも起こらない平和な国でした……あの日までは」
少女の顔が険しくなる。 両手に持った玉稟の実を強く握り締める。
感情がこみ上げてきたのか、押し殺した声で話すコリンを羊司は不憫に思った。
848 :
師走:2008/02/24(日) 20:08:16 ID:qIWZZuBj
「武力をほとんど持たない国です。 大群を率いてやってきた彼らは瞬く間に城を占拠しました。
私と妹は侍女の一人に連れられ何とか逃げ延びることが出来ましたが、優しかった両親や兄と弟、お喋りが好きな侍女や生真面目な料理人、陽気な庭師の方達は皆その屍を晒していました」
そのときの光景を思い出し、涙が薄っすらと目じりにたまる。
「妹とも離れ離れになってしまいました。 脱出を手助けしてくれて私にいろいろな事を教えてくれた侍女も二ヶ月前に追っ手に襲われ、姿が見えなくなりました」
最悪の瞬間をどうしても考えてしまう。 それはふとした事で思い出したり、夢となり眠っている間に襲ってくることもある。 少女はこの二ヶ月間ほとんど眠っていなかった。
「復讐する、という事も考えなかったわけじゃありません。 でも、子兎一匹殺せない、人見知りをする自分が、数千を超える人口を持つ大国ワーグイシュー、私たちの国を滅ぼした彼らに適う力はありません。 ですから――」
コリンは涙を浮かべた顔で無理に笑った。
「仕方なかったと、諦めてるんです」
「そんな……」
その少女の言葉に彼は愕然とする。
簡単に諦めたわけではないだろう。 何度も悩んだ末の決断でだろう。 両親や兄弟、国民を殺され許せるわけが無いだろう。
しかし少女の言う事が正しいと言う事も理解していた。 国が相手では人殺しに対しての法的手段も意味をなさないだろう。
かといって少女に武器を取れなどとは絶対に言えない。 羊司はコリンに戦えなどと無責任な言葉を放つことは出来なかった。
「そうだよな……」
「はい……そうなんです」
羊司にと言うより、自分に言い聞かせるように彼女は言った。
849 :
師走:2008/02/24(日) 20:09:10 ID:qIWZZuBj
承諾の意を示した羊司は、学生鞄程の大きさのナップサックを開いた。
その中には小さな皮袋がたくさんあり、どれがシガラを詰めてある袋かわからない。
何度か間違った皮袋を開け、やっとの事で赤い粉の入った袋を見つけ出す。
「あったよ」
鞄から皮袋を取り出し、コリンの元へ持ってくる。
彼女は礼を言って粉を一摘みし、鍋の中へと入れた。
「それは元の場所へ戻しておいてください」
「はいよ」
言われたとおりに鞄に直し、コリンの調理する姿を眺めることを再開する。
コリンはもう諦めたのか、羊司の方を見ずに真剣な顔で料理に取り組んでいる。
「後はさっき作ったスープを温めなおして……出来上がりです」
ピーマンっぽい物と玉葱っぽい物の肉炒めと、切ったサツマイモのような物が数個入ったのスープ、固そうなパンをそれぞれ用意していた皿に盛り付ける。
「それじゃ、冷めないうちに食べましょう」
「おう」
羊司は手を合わせ、スプーンを取った。
「お味はどうですか?」
コリンはヒトに初めて食べさせる食事に、不安な顔をしながらも興味津々といった目を向けながら聞いてくる。
――昼間の俺もこんな顔をしていたんだろうな。
羊司は顔には出さず苦笑して、プアールをスプーンで掬って食べる。
「うん、美味い」
「良かった……」
安堵の表情を見せコリンも食事を始める。
「これは何ていう食べ物?」
「プアールとアルケールとブッフーモドキの炒め物です」
「こっちのは? 浮いてんのさつま芋っぽいんだけど」
「ワイコのスープです。 パンはそのままでは少し固いので浸して食べてください」
「なるほど」
850 :
師走:2008/02/24(日) 20:10:09 ID:qIWZZuBj
言われるままパンに漬けて数度スープの中で踊らせ、ふやけて軟らかくなったところを齧ってみる。
「甘……」
蜂蜜を水で薄めたような味だった。 指で取ったワイコを食べてみると、思ったとおりさつま芋の味がした。
――まんまさつま芋の蜂蜜漬けじゃんよ。
確かに美味しいが完全におやつだ。
隣を見るとコリンはワイコとスープをスプーンで掬いながら美味しそうに食べている。
これが異文化の食事か、と羊司は納得するが、これは単にコリンが甘党で好みの問題であった。
これは後回しにしようと羊司はブッフーモドキにスプーンを伸ばした。
「ヨウジさん、あの……御迷惑でなければ、また歌を聞かせていただけませんか?」
夕食も終わり食器の片付けを済ませた後、コリンは地べたにシートを敷いて横になっている羊司にお願いする。
「歌……? ああ、いいよ」
羊司もまたコリンのお願いを無碍にすることは出来ず、胸焼けを我慢しながら起き上がる。 甘い物は嫌いではないが夕飯として出すのは勘弁して欲しかった
立ち上がった彼は重い足取りでテントに入り、ギターを手に取り戻ってくる。
「希望はある?」
「えっと、昨日の夜に聞かせて頂いたあの……世界中どこだって、笑いあり、涙あり……」
「『小さな世界』だな。 わかった」
数度弦を鳴らし、喉の調子を整えるように咳をして、軽く発声練習をする。
虫のざわめきも聞こえない静かな夜に星と月が二人を照らす中、息を整えた羊司は穏やかに愛用のギターを弾き歌い始めた。
「世界中どこだって、笑いあり、涙あり――」
昨日少女は羊司の歌う異世界の音楽をたくさん聴いたが、中でもこの『小さな世界』が一番好きだった。 優しく、平和で、幸せな歌詞が彼女の心を捉えたのだ。
少女は目を閉じ、正面で歌っている彼の歌に耳を傾ける。
「みんな、それぞれ助け合う、小さな世界――」
心が温かくなる。 彼女にとって暗闇は嫌なものだった。 友人で侍女の彼女が居たときは寂しくは無かったが、一人になると途端に恐怖が襲ってくる。
城から逃げ出した初日は暗闇の恐怖に怯える暇もなかったが、二日目、侍女が食料を調達してくると言って一人になった夜、コリンは生まれて初めて独りぼっちとなった。
追っ手の心配もあったため火を焚くことも出来ず、少女は一人泣きながら夜を過ごした。
851 :
師走:2008/02/24(日) 20:10:52 ID:qIWZZuBj
「世界はせまい、世界はおなじ、世界はまるい――」
二ヶ月たった今でも少女は夜陰に怯えなかなか眠る事が出来なかったが、昨日は命の危機にあったばかりだというのによく眠れた。 目の前で歌う彼のおかげだった。
「ただひとつ――」
羊司と出会ったあの日、いつものように人に羊の王女だとばれないように外套のフードを被り薬草を探しに高原へと探しに来てみると、今の様に彼が見たこと無い楽器を弾きながら歌を歌っていた。
聞いた事の無い旋律とところどころに含まれる謎の言葉、気になってこっそり近づくと、不意に声をかけられた。
その後妙な事を口走りながら追いかけてくる彼から必死で逃げ出した。 知らなかったとは言え自分と同じぐらい悲惨な境遇に陥っている彼から。
「世界中誰だって、微笑みあえば、仲良しさ――」
コリンは帰るべき家が無い。 羊司は帰ることが出来ない。 その事実から彼女の心の中に少しだけ同属意識が生まれ、喜んでしまった。 自分と同じような境遇の人間がいる、と。 根が優しい少女はすぐにそんな悪意を持ってしまった自分を恥じた。
そして一人の寂しさを味わっている彼に、同情とお詫びの気持ちも含め一緒に行かないかと誘ったのだ。
「みんな、輪になり手をつなごう、小さな世界――」
月明かりしかない暗い森に男の優しい歌声が響き渡る。
少女は終始微笑みながら彼の歌を聞いていた。
「そろそろ休むか」
「それじゃ、今日はここまでですね」
その後は羊司の選曲で何曲か弾いた後、歌ってる途中で欠伸をした羊司の発露で休む事となった。
立ち上がった二人は獣除けの為、火を灯したままテントに戻り、それぞれ折りたたんだ毛布と寝袋を広げる。
お互い顔は少し赤い。 今朝一緒の寝袋で寝たことを思い出したのだろう。
気持ち若干距離を離し、羊司はシートを敷いた。
「それじゃ、お休み。 コリン」
「お休みなさい、羊司さん」
毛布に潜り込み、目を閉じる。 朝から歩き回った所為か、程なく眠気がやってきた。
眠い目でコリンの方に顔を向けると、寝つきがいいのか仕事と気疲れからか彼女は既に寝息を立てている。
羊司はそのまま睡魔に身を任せた。
852 :
師走:2008/02/24(日) 20:11:36 ID:qIWZZuBj
「う……くぅぅ……」
夜中、コリンはあまりの身体の熱さに目が覚めた。
身体を起こすと、全身が信じられないほどに火照っている。 慌てて寝袋の掛け布団を捲ると、全身びっしょりと寝汗をかいていた。
「な、なんで……?」
夜の空気は満遍なく冷えているが、それでも熱い身体は酷く濡れた身体を寒いと感じることが出来ない。
顔が高潮し荒い息を吐く。 豊乳の多いヒツジの中では比較的小ぶりな胸が必死で自己主張し厚手のシャツを持ち上げている。 コリンは今まで感じたことの無い身体の変化に狼狽した。
――ヨウジさん!
この姿を見られたくない、と慌てて眠っているであろう彼の方を向く。 隅っこの方で未だに眠ってはいる彼が酷く寝苦しそうにしている。 よく見ると彼も、自分と同じぐらい大量の汗をかいている。
気付いていない様子にほっとするコリンだが事態は改善されたわけではなく、身体の高ぶりはさらに強くなってゆく。
彼女は不安から両腕を交差させ身体を抱く。 必死でその考えを打ち消そうとするが、どうしてもその思考を払拭できない。
彼女はこの感覚を知っていた。 以前、月経が始まった頃から情操教育として学を受けたことがあるし、自分でそれを解消したこともある。
――私、まさか……発情して……
ふと交差した右腕が彼女の胸の先端を軽く擦った。
「ひぅっ!」
全身を迸る快感から間の抜けた声を上げてしまい、慌てて彼を起こしてしまったのではないかと確かめる。 相変わらず寝苦しそうな顔をしているが、幸い気付いていないようだ。
コリンはゆっくりと身体を上げ、外に出て水でも飲んで落ち着こうと立ち上がる。
この高ぶり方は異常だ。 どんどん理性が薄くなっているような気がする。
意識をしっかり持とうと出来るだけ音を立てないように努めるが、身体中が過敏になり過ぎている。
歩くたびに下に何もつけていない胸はシャツに擦れ、快楽中枢を刺激する。 そのつど汗は流れ、気が狂いそうなほど子宮が熱くなった。
彼女はこの症状が一過性のものであると判断し、何とか外に汲み置きしたままにしたの水筒にたどり着こうとする。
震える足を叱咤しながら、一歩ずつ踏みしめながら歩く。
羊司の枕もとで、彼を起こさないように音を立てずに進む、が突然羊司が呻き声を上げながら身体を動かす。
「うぅ……」
「ひぁっ!」
寝返りを打つ羊司に驚いて、コリンは体勢を崩してしまう。 敷いてあるシートに足を滑らせそのまま彼の元へうつぶせに倒れた。
853 :
師走:2008/02/24(日) 20:12:06 ID:qIWZZuBj
「ぐふぅっ!」
「痛っ!」
突如感じた柔らかな重量物に羊司は肺の空気を全て吐き出し奇妙な声をあげた。
クッションの代わりになった彼に倒れこんだコリンは一瞬何が起こったかわからなかった。 驚きで目を見開き、羊司を見つめる。
「えぇと……コリン?」
「……あっ」
眠気など一発で吹き飛んだ羊司に声を掛けられ、やっと現状に気付く。 自分は彼が寝ているところを突然のしかかって、抱きしめている状態だと。
「ご……ごごごごめんなさいっ!」
赤くなった顔を更に朱に染め、口早に彼に謝る。
「本当にごめんなさいっ! 躓いてしまって、そんな気は無かったんです」
「いや、俺は大丈夫だから……」
「すぐにどきますっ、すぐにどきますからっ!」
何度も羊司に向かって謝罪する少女に、自分が悪いことをした気になってくる。 動揺して上手く立つ事の出来ないコリンを慌てないように静めようと肩に手を置いた。
「ひゃうっ!」
「うおっ!? ……ごめん」
肩に触れた瞬間、彼女は突発的に身体を振るわせて手を払いのける。
手を伸ばしたまま呆然とする羊司の目を見て、彼女は酷く罪悪感に駆られた。
「すみません……」
俯き、小さな声で彼に謝る。
「いや……平気だから」
「迷惑だったわけじゃないんです。 本当です。 ただ、今は……」
伏せた顔をあげようともせずに、胸元に手を置き荒くなった呼吸を抑えながら話す。
最初は未だ彼女が自分に慣れていないからだと思った。 しかし大量の汗を掻き、過呼吸する彼女に羊司は異変を感じた。 彼女の動作の一つ一つが彼の不安を掻き立てる。
「本当に大丈夫か? すごい汗かいてるし、呼吸も何かおかしいぞ? 胸が痛むのか?」
「だ、大丈夫ですから。 気にしないで下さい……」
そう言って心配ないと言い張るコリン。 顔を背けようとする彼女を身体を無理に曲げて覗き込む。
「どう見ても大丈夫そうに見えな――」
そこまで言って羊司は言葉を止めた。
854 :
師走:2008/02/24(日) 20:12:33 ID:qIWZZuBj
「あ……う……」
たどたどしい口調、涙で潤んだ瞳、朱色に染まった頬、荒い吐息、のしかかった彼女の柔らかな感触と甘い匂い。
明らかに体調に異常をきたしている彼女に一瞬見惚れてしまう。
この状態はいろいろヤバイと心の中で警報が鳴り続けているが、当の本人は上の空だ。
「はぁ……」
邪な感情が理性を蝕む。 無理に身体を離そうとするが、のしかかったままの状態の少女は動こうとしない。 むしろ徐々に近づいてきている気がする。
切羽詰った羊司は早口に言った。
「コリン、少し身体をずらしてくれ」
「……」
「コリン!」
「あ……え……何、ですか?」
心ここにあらずといった状態で返事をする。
「もう休んだほうがいい。 布団に戻るんだ」
「わかり、ました」
ぼんやりした瞳で羊司の顔を見つめる。 ゆるゆるした動作で彼の腰の横に手を置いて身体を持ち上げようと彼女は力をこめた。
「く、ふぅ……」
腕を震わせ上体を上げるが、すぐに力が抜けて羊司の胸元に鼻先から倒れこむ。
「あ……」
「おい、コリン! 大丈夫か?」
それほど厚くはないが顔から胸板にぶつかったのだ。 さぞ痛かったであろうと心配するが、彼女は顔も声も上げようとしない。 かわりに聞こえてくるのは少女の息遣い。
「はーっ、すーっ、はーっ、すーっ」
「お、おい。 コリン?」
呼びかけても反応せず、少女は顔をうずめたまま呼吸音を響かせる。
「すーっ、すーっ、はーっ、すーっ」
その様子にまさか、と思う。
しかし一度立った疑念は払拭できない。
言うべきか言わぬべきか躊躇しつつも尋ねてみる。
「もしかして、コリン。 俺の匂い……嗅いでる?」
一瞬肩を大きく震わせ、コリンは羊司の胸に額をつけたまま固まった。
服を握り身体を硬直させ、しばし照準した後わずかに頷く。
そのしぐさに凍りつく洋司。 自分で言っておきながら頷かれたら頷かれたで、どの様に反応すればいいかわからなかった。
855 :
師走:2008/02/24(日) 20:13:50 ID:qIWZZuBj
「ヨウジ、さん……」
顔を上げ、熱っぽい瞳で羊司を見つめる。 その柔らかな肢体の感触と潤んだ瞳から目を離せず、羊司は扇情的な姿の彼女に唾を飲んだ。
「あー……なっ、何だ?」
コリンは羊司の肩に手を置いて上体を上げ、ゆっくり彼の顔に自分の顔を寄せる。
昨日初めて会った人見知りする少女が、陶然とした顔でやらかそうとしている行為に気付いた羊司は慌てて彼女を止めようとする。
「ちょ、ちょっと待て! コリン――」
「……ごめん、なさい!」
一言詫びの言葉を入れ、彼女は彼に口付けた。
逃げようとする羊司の首に腕を回し、引き止める。 固定された頭を押さえながら、少女は小さな舌で羊司の口を割り無理やり舌をいれた。
「んぅ……ぷぁ……はぁぁ……」
「は、んふ……ん……ん、ん……」
幼さを残しているが十分美少女と呼べる女の子に押し倒されて執拗に口付けされ、羊司の限界まで堪えていた抵抗はすぐに瓦解した。
羊司も舌を伸ばし彼女に絡める。 くちゅくちゅと何度も粘液が交わる音がたち、時折どちらともなく唾液を嚥下する。
「はぁっ……ん」
息苦しくなってきたのかコリンは顔を離し、肩で息をする。 ただ、その淫靡な視線と首に回された腕は彼を捉えて離さない。 数十秒、目と鼻の先の彼を見つめ、再び顔を近づける。
荒く息を吐いていた羊司もまた呼吸を整え、彼女を迎える。
「コリン……」
「ヨウジさん……」
再び舌を絡めお互いの唾液を交換しあう。 羊司もコリンの細い腰に手を回し、口付けに夢中になるコリンを抱きしめようとする。
さっきは肩に手を置いただけで過剰に反応されたが、今回はむしろ当然そこにあるべきといった感じに彼女は彼が抱きしめやすいように身体を動かし補助する。
「んじゅ……じゅ…じゅう……」
「はぷっ……ぷは……じゅる……じゅる……」
倒れている羊司の腰に両足を広げ圧し掛かっている彼女を抱きしめ、何度も舌で唾を運び、飲ませあう。
その度に羊司は理性が薄れてゆくのを感じた。
「んぐ……」
そのうち物足りなくなってきたのか、羊司は上半身を曲げ、ゆっくりとコリンを押し倒そうとする。
856 :
師走:2008/02/24(日) 20:14:30 ID:qIWZZuBj
「んっ〜〜〜〜」
身体を倒され仰向けの状態になり、コリンの股間に羊司のモノが触れる。
既に羊司の股間はズボンを持ち上げるほど勃起しており、彼女の寝巻きのズボンにゆっくりと彼のモノを擦る度に言い知れない快感が少女の身体を襲う。
初めて味わう男性器の感触にコリンは身体を何度も振るわせる。
いつの間にかコリンも腰を前後に動かしていた。
「ふーっ、ふーっ、ふーっ……」
「はぁーっ、はあーっ、くっ……」
このままではすぐに出してしまうと判断した羊司は、コリンの肩を抑え、無理やり動きを止めた。
彼女は切なそうな顔をして、羊司を見上げる。
「あの、ヨウジさん……」
未だ燻った身体を持て余しているのだろう。 続きをして欲しいと言葉にするのは躊躇われるのか、しきりに目で訴えている。
羊司は無言のまま、彼女をシートの上に押し倒した。
少女は熱に浮かされたように情欲に流されており、普段の庇護欲を誘う顔から、男を誘う妖しげな艶を思わせる顔に変貌している。
その目は若干の怯えと、羊司の次の行動に対しての多大な期待を映していた。
経験の無い羊司は、少女のその艶めいた姿に見惚れた。 少女は口に出していないが、先程までの行動はどう考えてもその身体を好きにしていいという意思表示だろう。
そう思った羊司は、手を伸ばしてコリンの服の上から胸に触れた。
「ん……」
くすぐったいのか小さく笑う。
こねる様に優しく触りながら、今度は少し強く揉む。
「んぅっ!」
堪える様に目を閉じ、体を捻る。 慌てて羊司は手を離した。
「わ、悪い。 嫌だったか?」
「い、いえ。 その……続けてください」
湯気を出しそうな程赤くなった顔で彼女は言った。 するのはいいが乱暴にされるのは嫌なのだろうと判断し、羊司は今度は慎重にコリンの胸に手を伸ばす。
「ふっ、くぅ……」
胸に触れると一瞬びくりと震えたが、少しずつ体の力を抜いて彼のされるがままにする。
「はぅ、あっ……ん」
厚めの生地の上から何度も撫でる。 その度に少女は甘い声をあげ羊司の脳髄を刺激する。
「ああっ!」
服を一際盛り上げる先端の突起に触れると一際大きな声を出した。
857 :
師走:2008/02/24(日) 20:15:46 ID:qIWZZuBj
小柄な身長に見合った胸を何度も擦りながら、彼は生唾を飲む。
今度は服の下から中に手を入れ、直接揉みしだく。
「あぅぅ、んあっ、あっ……」
服の上から触るより鋭敏な声を上げ悶えるコリン。
その様子に気を良くした彼は、彼女の服をたくし上げ、下着を着けていない柔らかな肌の起伏に口をつけた。
少女は突然寝巻きを捲り上げられた事に驚いたものの抵抗せずに羊司に身を任せる。
「あっあっあっ……んんぅ……」
子犬のように執拗に上半身を舐められ、少女は与えられる快感に必死で堪えようとする。
声を抑え我慢するコリンの姿に嗜虐心を刺激された羊司は、嬌声を上げさせようと更に少女の肌を蹂躙にかかる。
「はぁぁ……コリン……コリン……」
「やぁああぁ……そんなに舐めないで……」
コリンの懇願を無視し、何度も音を立てきめ細かい肌を吸い、乳首を転がし、身体中に指を這わす。
嬌声を上げるコリンの朱に染まった肌に赤い印を何度も残し、羊司はそっと愛撫していた手を少女の下半身に伸ばした。
「ひっ!?」
突然ぞわりとした感覚がコリンの局部を襲った。
視線を向けると目の前のヒトが胸を舐めながらズボンの股間あたりを何度も擦っている。 初めて襲う未知の感覚に怯え、慌てて羊司の頭を引き離そうと力をこめる。
「う、あっあっ……だ、駄目です、そこは、ふあっ、やあぁん……」
抵抗するがその力はとても弱々しい。 敏感な場所を撫でられ、身体にほとんど力が入らないが、それでも恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。 何とか押し返そうと抵抗する。
「ふっくぅ、はうっ、やんっ」
「気持ち、いいか? コリン」
「変なこと、言わないで下さい! あぁっ!」
そんなコリンの心情を知ってか知らずか、羊司はとうとうズボンに手を掛ける。 それに気付いた彼女は右手で羊司の頭を押し、左手でズボンを抑える。
「駄目っ、駄目ですっ!」
「誘った方が駄目って言うのは、ゴーサインの意味だろ」
「何を言って――」
押し戻そうとする手を振りきり羊司は自らの唇で、早口に喋るコリンの口を塞ぐ。
「〜〜〜〜〜〜」
舌を入れ歯垢や歯の裏を丹念に舐め、暴れる彼女の気が緩んだ隙に無理やりズボンを引きずり下ろす。 既にコリンの下着は濡れそぼっており、はっきりと少女の陰影が浮かび上がっている。
「〜〜っはあぁぁぁ、ヨウジさん……」
コリンは止めてくれなかった羊司を睨みつけるが、上気した頬で涙目で睨まれても恐くも何とも無い。
むしろ普段から喜怒哀楽の怒りが見えない分、その子供っぽく膨れた顔が何とも愛らしい。
その姿にさらに嗜虐心を刺激された羊司は、のしかかった状態で器用にコリンを抱きしめながら、耳元に顔を近づけ言う。
「嫌だったら止めるぞ?」
858 :
師走:2008/02/24(日) 20:17:18 ID:qIWZZuBj
それを言われたコリンは堪ったものではない。 既に全身が性感帯のような状態になっているのに、ここでお預けなどされたら気が狂ってしまう。
口では嫌がりながらも彼女に止めるという選択肢はなかった。
消え入りそうな声で彼女は言う。
「……続けて……」
「聞こえない」
「続けて……ください……」
「何を続けるんだ?」
悪戯心が湧きあがり、わかっているにも関わらずちゃんと言わせようとする。 少女は大粒の涙を溜めて意地悪をする目の前のヒト奴隷を睨んで、今度こそはっきりと叫んだ。
「私の身体を、胸を、腰を、あそこを触って下さい! いっぱい気持ち良くして下さい! 意地悪しないで、下さい……」
そう言ってぼろぼろと涙をこぼす。
「わ、悪かった! もう意地悪しないから」
流石に泣かせるつもりまではなかった羊司はコリンを抱きしめ、頭を撫でて抱きしめてやる。
最下級なヒト奴隷が王族である人間を苛めて泣かせるなど、殺されても仕方がない所業だが、幸いな事に目の前の主はそんな事を思う人間ではなかった。
嗚咽をもらしていた少女の顔が、少しずつ穏やかな顔に変わる。
熱っぽい瞳をそのままに羊司に向け、言った。
「続きを、してください……」
「わかった」
少女は嬉しそうに微笑んだ。
コリンが身体中が敏感になって喘いでいる中、羊司もまた限界まで高ぶっていた。
目が覚めた時から今現在まで、いささかも彼の剛直は衰えず、早く出せと言わんばかりに脈動する。 羊司は立ち上がり、コリンから借りた寝巻きの上下を急いで脱いだ。
「わぁ……」
男のモノを見るのは初めてなのだろう。 感嘆とも驚きとも呼べない声を上げ、羊司のペニスを興味深そうに眺めるコリン。
「あんまり見るなって」
羊司は恥ずかしそうに言うが、少女の目は彼のペニスを捕らえ離さない。 時折脈動する彼のモノに少女は恐る恐る手を伸ばした。
「何をして――」
「熱い……ですね。 それに、すごく固い」
859 :
師走:2008/02/24(日) 20:18:29 ID:qIWZZuBj
ふにふにと撫でながら少女は技法も何も無く、単純な興味で羊司の剛直を弄りまわす。
稚拙な愛撫とも呼べない行為だが、先程から少女の身体を触ったり舐めたりといろいろ限界まで堪えていた童貞の彼には、かなりのダメージだった。
「や、止めろ、コリン! それはまずい!」
切羽詰った声を上げる彼に、今度はコリンの悪戯心がもたげてくる。 慌てる羊司に嬉々としながら亀頭を弄る。
「ふふっ、さっきのお返しです」
膝立ちで羊司に抱きつきながら、コリンは彼のモノを様々な角度から何度も触ってくる。
亀頭の先、裏筋、竿、睾丸など、拙い動きで刺激してくるが、それがこの王族の少女が経験の無いと言う事を証明していた。
「びくびくって動いてますよ。 ヨウジさん」
「もう十分、楽しんだだろ……?」
「駄ーー目ですよ。 苛めっ子のヨウジさんにはもっとお仕置きが必要なんです」
そう言って少女は竿を掴み、力強く掴んだ。
「ぐぅっ……」
「気持ち良くして上げます……」
頬を染めながらコリンは、王族の情操教育として習った事を思い出しながら、ゆっくりと羊司の剛直をしごきだした。
「うぅ、コリン……は、あぁぁ」
「良いですか? ヨウジさん」
「あぁ……気持ち良い……」
その言葉に気を良くした彼女は、顔を羊司の股間に近づけた。 羊司はコリンを目で追ってはいたが、頭がもやにかかったように働かない。
彼女は唾を飲んで羊司のモノを凝視していたが、覚悟を決めたのか、そっと剛直に口付けた。
「うおっ……」
突如、生暖かいぬるりとした感触に刺激され意識を取り戻した羊司が下を向くと、自分の竿を何度も舐めているコリンの姿が目に入った。
「んっ、んぐっ、ぺちゃ……はぁ……ぺちゃぺちゃ、じゅるっ……」
一心不乱に竿を舐め、小さな手で何度も亀頭を扱く。 その普段とは全く違う少女の様子に、羊司は上手いとは言えない技術ながら激しく興奮した。
羊司はあっさりと限界を迎える。
「くっ、出る!」
「ひゃあっ!」
突如、脈動したペニスから勢いよく精液が飛び出し、少女の顔を汚す。 飛沫した精液は顔だけではなく肩や胸など全身に飛び散り、呆然としたコリンはそれを拭おうともしない。
それを見た羊司は、コリンの生臭い精液がへばりついた身体に、魁惑的な美を感じていた。
860 :
師走:2008/02/24(日) 20:19:17 ID:qIWZZuBj
「こほっ……苦いです」
我に返ったコリンが口に入ってしまった精液を舐め、苦い顔をする。 その声で意識を戻した羊司は、しゃがんで彼女の顔を窺いつつも、少女の眉をひそめた顔を見てつい笑ってしまう。
「すまん、大丈夫か?」
「大丈夫じゃないです……」
笑っている羊司に気を悪くしたのか、彼女は拗ねたように言う。 その仕草が彼女をいっそう幼く見せ、羊司は更に笑みを濃くしてしまう。 それを見てますます不機嫌になるコリン。
「コリンが調子に乗りすぎたからだろ?」
「ヨウジさんが最初に私を苛めたからですよ!」
「わかった、わかった。 俺が悪かった」
普段気弱な彼女がこうも感情を剥き出しに怒ってくれるのが嬉しくて、つい頭を撫でてしまう。 子ども扱いされているのが気に食わないのか彼女は唇をくい締める。
しかしその手を払おうとはせず、上目遣いに羊司を睨みつけた。
「ところで、コリン」
「何です――」
「俺もう我慢できない」
最初から返答を聞く気がなかったのか、未だ膝立ちしてる少女を軽く押し倒し、身体中に指を這わせる。
少しずつ情欲がおさまってきていた身体はたちまち朱身を取り戻し、コリンは嬌声を上げた。
「あ、んん……ヨウジさん……」
コリンの最後の下着に手を掛ける。 今度は彼女も抵抗せずになすがままにしていた。
「女の子の気持ちはわからないなぁ……」
先程の様に怒って暴れると身構えていたが、特に文句も無く下着を脱がされても羞恥に身体を捻るだけで文句を言うわけでもない。
「強引と乱暴は違いますから……」
「あー、すまん。 さっきは無理矢理過ぎた」
そう言って大切なものを扱うかのように優しくコリンを抱きしめる。 そして、朱に染まったきめ細かい肌を優しく撫で上げ、その度に小さく震えるコリンの反応を楽しんだ。
「はいっ、優しくしてください。 優しく……ふぅんん……」
甘える様に鼻を鳴らしながら少女は、羊司の手を淑やかに包みこむ。 絡み付く手を気にすることなく羊司はコリンの下半身に手を伸ばし、濡れた膣に触れる。
「んっ」
敏感に反応するコリン。 陰核には触れず丁寧に周囲に触れ、物足りなくなった所で中指を膣にそっと入れる。
「ひっ、ヨウジさん……」
コリンは体内に異物が侵入する感覚に、声と身体を引き攣らせる。
締め付けがきつい彼女の中をゆっくりと犯す羊司の手を、絡ませた手で引き抜こうとするが、大事な場所を扱っているせいかその力は弱々しい。
時折回転を加えたり、周囲を擦る度にか弱く反応を示す彼女に興奮しながら、羊司は途中で指に抵抗を感じた。
おそらくこれが処女膜なのであろう。 羊司はコリンに目を合わせると、彼女はコクコクと頷いた。
861 :
師走:2008/02/24(日) 20:20:42 ID:qIWZZuBj
入れたときと同じように慎重に指を引き抜く。
「はあーっ、はあーっ、はあーっ……」
コリンは興奮と緊張が入り混じった息を吐く。 羊司は愛液で光る指を眺めながら、彼女の息が整うのを待つ。
羊司は勃起したペニスをコリンの陰部にあてがい、浅い呼吸までコリンが落ち着いたところで話を切り出した。
「あーっ……いいんだな? 本当に」
「お願いします……して下さい」
その言葉を聞いて抑えきれなくなった羊司は、仰向けに倒れているコリンの腰を掴み、一息にモノを突き入れる。
「あっ……あああああああぁぁぁぁぁぁぁ」
膜を破った気配を感じ、一瞬遅れてコリンが悲鳴を上げた。 シーツを握り締め
「ひっ……ひっく……痛い、です……」
「よく我慢したな」
結合部から一筋の血が流れ、しゃくりあげるコリンを優しく抱きしめる。 時間をかけて入れるより、一気に入れたほうが痛みは少ないと思っての行動だが、やはり無茶だったかと思う。
きつく締め上げる少女の体内を、羊司は痛いぐらいに感じながら、大粒の涙を流す少女に労わりの声をかけた。
「大丈夫か? コリン」
「はい……もう、平気です……」
コリンは下半身を襲うこれまで感じたことの無い激痛に堪え、涙で濡れた顔で無理に笑みを浮かべる。
震える手で羊司の背中に腕を回し、力をこめる彼女を、羊司は早く痛みが過ぎるようにと信じていない神に願う。
「ヨウジさん、もう、大丈夫ですから」
どれほどの時間たったかわからないが、ふいにコリンは言った。
羊司がコリンの顔色を伺うと、先ほどまで青白くなっていた顔がかなりマシになっている様に見えた。
震えていた手も落ち着きを取り戻したのか、先ほどのしがみつくといった感じから抱きしめるといった状態になっている。
「痛いなら無理するなよ」
「痛くありません」
「本当か?」
「……ほんとはまだほんの少しだけ痛みますけど、ヨウジさん、辛いですよね?」
「平気だ。 余裕っ」
本当は微妙に振動を与えてくる膣をがむしゃらに動かしたいが我慢する。 それぐらいの甲斐性は羊司にもあった。
「顔が引きつっています」
顔を明後日の方へ逸らす。
「動きますから……」
コリンはそう言って、羊司の肩に手を置き膝立ちをして身体を起こす。
「コ、コリン!」
「っ……やっぱり痛くありませんから、羊司さんはじっとしていて下さい……」
羊司の静止の叫びを無視し、コリンは痛みをこらえながら腰を上げる。 そして羊司のモノをぎりぎりまで抜いた後、大きく息を吐きゆっくりとコリンは腰を下ろす。
痛まないわけないだろう。 羊司はコリンを抱きしめて動きを止める。
862 :
師走:2008/02/24(日) 20:21:39 ID:qIWZZuBj
「無理するな、コリン」
「全然無理なんかじゃありません、ヨウジさんに気持ちよくなって欲しいだけです……」
支離滅裂な彼女の本気の言葉を聞いて
コリンは腰を抱きしめられている状態で身体を揺すり、性感を刺激しようと無理矢理動く。
「っつぅ……」
涙をまぶたに集め自分の為に健気に奉仕してくれるコリンに、羊司の心は腹を決めた。
「んうっ!?」
膝立ちしてゆるゆると腰を動かすコリンを下から思いっきり突き上げる。
「痛っ、よ、ヨウジさ……んっ」
「すぐに終わらせるから」
座位の体勢のまま、羊司はコリンにキスをする。
「んふっ、い……あぅ」
腰を揺すり、羊司はコリンの胸にそっと手を這わす。
コリンは先程の官能が蘇ってきたのか、所々で痛みに顔をしかめながらもしっかりと反応を示す。
「ひゃうん、はうっ、ああっ」
羊司の首筋に腕を回してしがみつきながらコリンは嬌声をあげる。 息も絶え絶えな様子で羊司は話し掛けた。
「だい、じょうぶかっ? 少しは、気持ち、いいか?」
「いいです、よぅ。 気持ち……いいですっ」
「そう……か!」
コリンの反応に気を良くした羊司は、更に激しく身体を動かした。
「はぁっ、くあっ、あ、あ、あううぅ」
胸の先端を指ではさみ、摘み、擦り、ぐりぐりと押しつぶす。 感度が良いのかその度に過敏ともいえるほど反応を示してくる。
「コリンっ、コリンっ」
胸に顔を押し付けるコリンを上向かせ、羊司は強引に口付け舌を入れようとする。
「ふあっ!? ヨウジさんっ」
突然の羊司の行動に驚いて目を見開いたコリンだが、すぐに顔を弛緩させ彼の舌に自分のを絡ませる。 息苦しくなりながらも互いの歯垢をなぞり、口内の唾液を交換し、すすり、音を立て飲み干す。
863 :
師走:2008/02/24(日) 20:22:09 ID:qIWZZuBj
「っは……コリンの、甘くて、美味いな」
「はぁぁ……ヨウジさん」
羊司は朦朧とした意識の中ぼんやりと思う。 女性とキスした事が無いわけではなかったが深く付き合うことが無かったので、今までこんな情熱的な口付けをしたことが無かった。 コリンの唾液は蜂蜜の様に甘く、羊司の舌を狂わせた。
羊司はコリンの腰を両手で掴み、がむしゃらに腰を叩きつける。
コリンも最初はぎこちなかったが今では羊司に合わせて腰を何度も揺する。
限界が近い。
「ふあっ、ああっああん、あぁっ!」
「コリンっ、そろそろ――」
「あはぁ、んあっ、私も、もうちょっとで、あぅっ、イっちゃいます」
叫びながらコリンは押さえつけるかのように羊司の腰に足を絡める。
「コリッ……ン、離れて……ヤバイんだって!」
羊司の理性がギリギリの状態で止めに掛かる。 流石に中に出すのはまずい。
言っているにも拘らず、少女は離れようとしない。
「あぐっ、もう――」
「ヨウジさん! 大丈夫ですから!」
その言葉が引き金となった。
「っくぅ」
「はあああぁぁぁああぁぁあぁ」
羊司の中から勢いよく出たモノが少女の中を汚す。
達したのかコリンもまた身体を振るわせて羊司の精を膣奥で受け止めてゆく。
「あーー……大丈夫か」
羊似顔をコリンの顔から若干逸らしながら、隣に座り毛布に顔を埋めた少女に問いかける。
コリンも毛布から顔を上げることなく答える。
「へ、平気です。 ヨウジさん」
情事が終わった後、羊司もコリンも今更襲ってきた羞恥のせいでお互いの顔を見ることも出来なかった。
先ほどまで感じていた火照りは今はかなり治まっている。 今は早く汗でべたついた体を洗い流したい。
「すみません……いきなり変なことをして……」
俯きながらコリンは言う。 その言葉に驚いた羊司はコリンを弁明する。
「コリンは悪くない。 俺が、その、もっとしっかりしていれば……」
顔を上げコリンは言う。
「私が、誘いました。 私が寝起きで抵抗できないヨウジさんを襲ったんです」
「小柄な女の子に圧し掛かられて抵抗できないわけないだろ」
「人間の中では非力な部類に入るとはいえ、私は羊です。 ヒトであるヨウジさんと比べてもそれ程劣ってはいません」
「俺が本気で抵抗したらコリンだって絶対に途中で止めてただろ? 会ってから一日しか経ってないけど、その程度ぐらいは理解してるつもりだった」
「いえ、私が悪いんです」
「違うって。 俺のせいだ」
そういって二人とも押し黙る。 かける言葉も見つからず二人とも自己嫌悪に陥り、それが延々と頭を回る。
刻々と時間だけが過ぎてゆく。
864 :
師走:2008/02/24(日) 20:22:57 ID:qIWZZuBj
「……ごめんなさい」
ポツリとコリンが呟く。
「やめよう……事故みたいなもんだった」
自分の髪に手を埋めながら、俯いているコリンに言った。
「それにしてもなんで突然あんな風に……」
顔を少しだけ染めながら思い出すのはコリンの痴態と嬌声、自身の異常な興奮と高ぶり。
健全な男として適度に発散させているが、あそこまで興奮するとは。 今思い出しても赤面ものだが、自分はそこまで節操無しだっただろうか。
「その、私も発情したことは以前に何度かありましたが……こんなに気が狂いそうになるほどに発情したのは初めてです……」
あっ、と話してから自分が何を言ったのか気付いて顔を朱に染めるコリン。
「そ、そう……」
コリンの言葉に羊司はどう返したらいいかわからず、苦笑いを浮かべることしか出来ない。
「そ、そうだ! コリンはもう身体は大丈夫なのか? えらく身体が熱かったし、意識も虚ろだっただろ?」
「羊の発情は一過性のものですからもう大丈夫です。 まだ燻ってる感じはありますが、我慢できない程のものでもありませんので」
コリンはチラリと羊司を見る。
「ヨウジさんこそ身体、平気ですか? 随分酷く、その、発情されてたようですけど」
「あー……大丈夫。 というか人間って常に発情してるようなもんだし――」
「そんな! 大変じゃないですか、今すぐお薬を!」
慌ててコリンは薬を詰めたナップサックを取りに行こうとする。
情事が終わってすぐに服を着るわけにもいかず、全裸のまま胸元に毛布を抑え小走りするが、その度に小さなお尻が揺れるのを羊司はしっかり見ていた。
「あ、あれ? これって香辛料を詰めた方……」
「おーい、コリン。 薬は使わなくても大丈夫だぞー」
鞄をあけて困惑するコリンに後ろから声をかける羊司。
「ッ! まさか!」
「コリン!?」
何かに気付いたように毛布を投げ出しコリンはテントを飛び出した。
裸のまま出て行ったコリンに驚き、追いかけようと羊司も立ち上がろうとするが、すぐに彼女は鞄を抱え戻ってきた。
それを地面に置いて、鞄を開く。 そして次々に詰め込まれた皮袋を開いていく。
「これでもない、こっちでもない……」
「コリン? もう身体は何とも無いぞ?」
「いえ、そうではなくて……ありました」
そう言って一つの皮袋を羊司に見せる。
「赤い粉……これってシガラ、だったっけ?」
コリンが夕食に調味料として使っていたのを思い出す。
しかしコリンは首を振り、
「これはミタラヅというきのこを粉末にした物です。 あの、昨日ヨウジさんが絶対に食べない方がいいって言っていたあのきのこです」
「……あの赤くてイボ付いてて毒きのこ見たいだって言ったアレ?」
「そうです。 確かに見た目は毒きのこに見えますが、この寒冷地にしか生えない珍しいきのこなんですよ、コレ」
「ちなみに、効能は?」
「疲労回復、虚弱体質改善、滋養強壮――滋養強壮にも種類がたくさんありますが、つまるところ、精力増強……です」
「んなアホな……」
羊司は頭を抱える。
865 :
師走:2008/02/24(日) 20:23:21 ID:qIWZZuBj
「あと、私も知らなかったのですが、どうやら媚薬のような効果もあったようですね」
皮袋を閉じ、鞄にしまう。 そしてコリンはおもむろに頭をさげた。
「やっぱり私のせいです。 私が鞄をしっかり確認しなかったせいでヨウジさんにこんなご迷惑を……」
「違うって。 俺が鞄を間違ったから――」
これではさっきと同じではないか。
コリンも気付いたようで、黙りあう。 しかし先程の暗い雰囲気は無かった。
「やめよう」
「ふふっ、そうですね」
小さく笑いあう二人。
「ところで」
「はい?」
「服着たほうがいいんじゃないか?」
ニヤリと笑いながらコリンを眺める羊司。
「えっ? 何です――」
舐めまわすような羊司の視線に気付いたコリンは、今となって自分がどんな姿でいるか気付いた。
端正な顔が急激に朱に染まり、首筋まで広がる。
その瞳に見る見るうちに涙が溜まってゆく。
「……グスッ」
その場でペタンと座りこむ。
「うわっ、またやっちまったか」
「ヒグッ、ヒグッ、グシュッ。 ふ、ふぇ〜〜〜〜〜〜〜ん」
何でこうなるかなと頭を抱えながら羊司。 とりあえず泣いている少女に隠すものをかけてやるかと思い、落ちている毛布を拾いに行った。
「なあ、これからどこへ行くんだ?」
テントを畳みながら羊司は尋ねる。
「とりあえずここはオオカミの領地で危険ですから、北上してウサギの国へ行こうと思います。 あそこの人々はみな厚着をしてますからそうそうに正体もばれないでしょうし、食料も乏しくなっているので採取した商品をお金に換えないといけません」
コリンは小型の鍋を鞄に押し込みながら答えた。
「いくら何でもまたあの狼男みたいなのは出てこないよな?」
羊司は思い出して青くなった。 流石に剣を持って追いかけられるのはもう勘弁だった。
「ウサギの国の人たちは、皆温厚で優しい種族だって聞いてます。 書物で読んだところ、友愛を美徳にしているそうですから。 ただ……」
「ただ?」
「淫乱な種族だとも聞いてます。 体力自慢のトラの人がその、童貞、を無くすためにウサギの国に行ったら一日で女性恐怖症になったとか、イヌの軍人さんが八人連れなら大丈夫だろうと高を括って歩いてたら突然二十人がかりで襲われたとか……」
羊司は先程とは別の意味で青くなった。
「あと、女性も関係無いそうです」
驚いてコリンを見ると、想像してしまったのか小柄な身体がプルプルと震えている。
「コ、コリン……絶対に一人で出歩くなよ……」
「ヨウジさんも……駄目ですよ」
そう言って止めていた手を動かしだす。
羊司もテントのフレームを折るのを再開しながら考える。
――俺って本当に生きていけるのかなぁ
答えは出なかった。
866 :
師走:2008/02/24(日) 20:25:22 ID:qIWZZuBj
第三話 了
あとがき
一日遅れで投稿させていただきます、師走です。
羊モノ書かせてもらってます。
更新遅くて申し訳ありません……
コリンの可愛さはもはや凶器。
GJ!!
祭りらしくなってまいりましたー!
えろえろえろえろ! えーろえろえろえろ!
>>837氏
短編エロもうまいなぁ…。
>>師走氏
コリンたんのカワイさは異常。
お二人ともGJ!
ごちそうさま!
ウサギは… ウサギは…… !
ヨウジとコリンに幸あれ……
GJ!
亀だが
>>837氏GJ!!
他の方と感想かぶるが、タイトルセンスにワロタww
872 :
とらひと:2008/02/26(火) 02:22:30 ID:APoifTNC
この前は空気読めなくて申し訳ありませんでした。
馬鹿エロ。媚薬ネタ。
アカブ×チヒロ
秋の始まりと、春の終わり。トラの発情期はこの二つの時期に始まる。
千宏がこの世界に落ちてきて、二度目の発情期が訪れようとしていた。
この時期になると、アカブはバラムが森から持ち帰ってきた薬草やキノコから薬を作る。薬
草を搾って液体にしたり、乾燥させてすり潰して粉にしたりと、作る薬の形状は様々だが、先
の発情期に最も売れたのはそれらを菓子に混ぜた物だった。
それならば――と、今回の発情期でそれらを主力商品にすえるのは当然の判断である。
今日はバラムは森に出かけていていない。千宏もパルマも市場へと出かけている。
やるなら今しかないとばかりに、アカブは厨房でせっせと菓子作りに励んでいた。やはり、
一番人気は手軽で気安いクッキーだ。様々な可愛らしい型で整形したタネをオーブンでこんが
りと焼き上げて袋に詰め込む作業は楽しいが、地味で地道で時間がかかる。
日持ちするバターケーキも欠かせない売れ筋商品だ。焼きあがったケーキにたっぷりと酒を
しみ込ませ、保冷子で冷やしておかなければならない。
どちらも薬の強さによってきっちりとわけておかなければあとあと区別がつかなくなってし
まうため、丁寧に分類しておかなければならないのも難儀だった。
強。中。弱。微弱の四段階の紙を菓子の上に添えておく。
アカブは午前中一杯働き倒し、大量のクッキーとバターケーキを焼き上げてばったりと居間
のソファに倒れこんだ。
とりあえず、冷めるまで休憩である。
ぬくぬくと、暖かな日差しが窓から差し込んでいた。
もう正午をだいぶ過ぎ、そろそろ起き出す頃合だろう。
サク。
軽やかな音を耳が拾い、アカブはぼんやりと薄目を開けた。
サク。サクサク。
近くで聞こえる。すぐ近くで――。
「あ、起きた」
サク。と軽い音を立ててクッキーを頬張りながら、千宏が残念そうに呟いた。
アカブが眠っているソファの、テーブルを挟んだ向かい側にローブ姿の千宏が座っている。
その千宏が手にしている皿にならんだ、見覚えのある形のクッキー――。
全身の血の気が引いていくのがわかった。悲鳴の様な雄叫びをあげ、アカブは立ち上がって
テーブルを乗り越え、千宏が腕に抱えている皿をひったくった。
「てめぇこのクッキーどっから持ってきた! どこにあったやつだ!」
「ど、どこって、厨房のテーブルに……」
「吐けぇ! 今すぐ全部吐き出せ! 大量に水を飲めぇ!」
「いやぁあぁ! 落ち着いてアカブ! 落ち着いて!」
千宏の小さな体を軽々と肩に担ぎ上げ、アカブは水を求めて駆け出した。
厨房にたどり着き、嫌がる千宏に無理やり水をがぶ飲みさせる。
溺れる溺れると暴れる千宏を押さえつけて無理やり飲ませ、とうとう千宏が堪えきれずに胃
の内容物を流し台に嘔吐した。
「な、な、なにすんだよいきなり! あたしに何の恨みがあるんだよ!」
「馬鹿野郎! ここにある食いもんは全部媚薬だぞ! どれを食った! まさか強って書いて
あるやつじゃねぇだろうな!」
怒鳴り返すと、千宏が大きく目を見開いた。
「あぁ……そういう意味だったんだ。微弱にしといてよかった」
ぽん、と両手を打ち合わせ、さも愉快そうに笑い始める。笑い事じゃねぇだろうと怒鳴って
拳骨を落とすと、千宏はぎゃあと喚いてうずくまった。
「だって、おいしそうだったんだもん」
「だからおまえがいない時を狙って作ってたんだ。なんでこんなに早く帰ってきやがった」
「商品が全部売れたからだよ。色々買い物して帰るから、先に帰ってていいってパルマが……」
ぶぅぶぅと唇を尖らせる。
とりあえず、命に別状は無さそうだ。アカブはほっとして冷蔵庫をあけ、千宏のために用意
しておいたおやつのプリンを手渡した。
「やった! このためにパルマの買い物につきあわなかったんだもんね!」
「どこか変な所ないか? 幻覚とか見えてねぇな?」
「このプリンが幻覚じゃないなら大丈夫」
嬉しそうに笑いながら、千宏がプリンにスプーンを突き立てる。
873 :
とらひと:2008/02/26(火) 02:23:29 ID:APoifTNC
「大体さ、媚薬っていったってトラ用でしょ? あたしはまたたびで興奮したりしないし、
ヒトにトラの媚薬が効くとは限らないじゃん」
幸せそうにスプーンを動かしながら、千宏が物欲しげにクッキーを見る。
これ以上厨房に置いておくのは危険だと判断し、アカブはプリンを食べている千宏をずるず
ると引きずって居間へと引き返した。
「クッキー食べたいー。たーべーたーいー」
「うるせぇ! プリンで我慢しろ!」
てい、と千宏をソファに放り出し、自分は作業のために厨房へと戻る。
手伝ってあげるとしつこく寄ってくる千宏を幾度となく撃退し、夕方になってようやく、
アカブは全てを袋に詰め終えた。
明日はバラムと千宏が市場に出る日だが、バラムには決して千宏を一人で帰すなと念を
押さねばなるまい。
千宏の食への欲求はこの世界では危険である。
居間に戻ると、千宏は広々とした居間のカーペットに寝転がっていた。というより、
転がっていた。転げまわっていた。
「……なにやってんだ?」
「転がってる」
理解不能である。
千宏はしばらくアカブの前でごろごろと床を転がり、しかしついに耐えられなくなったよう
に雄叫びを上げて立ち上がった。
「ラーメン食べたい」
「は……?」
「おすし食べたい」
「な、なんだ突然……」
「ハンバーガー食べたい! ポテチ食べたい! ゲーセン行きたいカラオケ行きたい! ドラ
マの最終回が気になる! 漫画の続き読みたい! それとあの映画! DVDになるの待たな
いで見ておけばよかった! あぁもうなんだかすごいストレス! むしょーにいらいらする!
むしゃくしゃする!」
いらいらと文句を連ねながら部屋の中を歩き回り、時折立ち止まっては頭を掻き毟り、
しゃがみ込んで頭を抱え、また部屋を歩き出す。
不安定だ。発情期前のパルマよりも落ち着かない。
何があったのかとおろおろするばかりのアカブを、不意に千宏が鋭い視線で睨み付けた。
「なんとかして」
「は?」
「なんとかしてよ! なんとかして! いらいらしてどうにもなんない!」
「なんとかっておまえ……」
「なんかあるでしょ? なんか! なんかさ……なんかあるよ。なんか……」
苦しげに眉をひそめて唇をかみ、千宏はおろおろと視線をあたりに彷徨わせた。
ほんとうに、まったくどうしたらいいのかわからない。アカブは完全に固まってしまい、
ただ千宏が泣きそうな表情で立ち尽くしているのを見ていることしかできなかった。
ふと、縋るような目で千宏がアカブと視線をからませる。ぎくりとした。誘惑されている
ような錯覚に陥る。
「助けて」
慌てて、アカブは千宏から視線を反らした。
「い、いらいらしてるんだったら……じゃあ、散歩にでもいくか? 外歩けば少しは……」
千宏に背を向けた瞬間、どん、と腰の辺りに衝撃を感じてアカブは立ち止まった。
「……たぶん。クッキー」
「チ、チヒロ?」
「ちょっと、吸収したっぽい……」
背中に当たる吐息が熱い。
だが、まずいだろう。さすがにまずい。今はまだ夕方で、パルマもバラムも帰ってきていな
い。二人きりだ。二人きりか。二人きりなら問題ないか。二人きりなのが問題なのか?
アカブが混乱しているうちに、千宏の手がもぞもぞとアカブの下半身を探る。
「気、紛らわすの、なんもないんだもん。無理だよ。我慢できないよ」
ここまで言われて。誘われて。応えなければ男じゃない。トラじゃない。
いやしかし。だがしかし。千宏は媚薬で我を失っているのではないか。そんなところを
頂いてしまうのは男としてどうなのだ。
874 :
とらひと:2008/02/26(火) 02:24:06 ID:APoifTNC
アカブはだらだらと冷や汗を流しながら頭を抱えて苦悶した。頂いてしまいたいのが本音
だが、しかしそれは本当に千宏が望んだことなのか――。
「いただきまーす」
「はぐぁ!」
いつの間にか正面に回っていた千宏が、探り出したアカブの物を柔らかな唇で包み込んだ。
思わず呻いて腰を引き、バランスを崩してその場に転倒する。
「チヒロ! ばか! よせ落ち着け! ここは居間だぞ! 誰かに見られたら――!」
「うるさい!」
「ぐぁあぁ! 噛むなよせ! ソコに歯を立てるのはよせぇえぇ!」
「もとはと言えばアカブのクッキーのせいなんだから、責任とるのは当然でしょ? それとも
ラーメンくれるの? DVD見せてくれるの?」
「おまえが勝手に食ったんじゃねぇか!」
「うるひゃい! も、がまん、えきぁいんらかぁ。はぁく、おっひふ……」
鈴口に柔らかな舌をねじ込まれ、ちゅうちゅうと吸い上げられる。アカブはカーペットに
爪を立て、与えられる快感にぎりぎりと歯を食いしばった。
上手い。前回の発情期と比べるとまるで別人のように上手い。
アカブの意思とは裏腹に千宏の望むままに大きさを増していく自身の愚息が情けなかったが、
しかしとても抗える物ではなかった。
千宏の指が、舌が、これでもかと急所を狙って責めてくる。
「よし、こんなもんかな」
ごしごしと唇をぬぐって起き上がり、千宏は完全に立ち上がったアカブの一物を見下ろして
瞳を熱く潤ませた。
ローブを脱ぐのももどかしいのか、そそくさとズボンと下着のみを脱ぎ去ってアカブの上によじ登る。
「は、ぁ……あつ……いれるよ? ね、いいよね。いれるから、ね……?」
「待てぇい!」
「うわッ!」
このままやられてなるものかと、アカブはかっと目を見開いて起き上がった。
はずみで千宏がアカブの上から転げ落ち、仰向けに倒れこんでじたばたもがく。その両足を
がっしと掴み、アカブはそれを大きく左右に割り開いた。
千宏が情けない悲鳴をあげ、まくれあがったローブを慌てて押さえようと上半身を起き上が
らせる。だが、遅かった。アカブは既にとろとろと蜜を溢れさせている千宏の秘所に顔をうず
め、今まさにそれを味わおうと舌を出している所だった。
むっとする女の匂いに鼻面をつっこみ、アカブは先ほどの千宏よりも激しく、容赦なくそこ
を責め立てた。
「やぁあぁ! だめ、だめぇ! アカブ、や、なか、なかに……おねが、なかにアカブの、
欲し……ほしいよ、ほしいよぉ……!」
じたばたと暴れながら、千宏の手がぐいぐいとアカブの顔を押し返そうとする。しかしヒト
の力でオスのトラにかなうはずもなく、アカブはやだやだと喚く千宏を無視して溢れ出る愛液
をすすり、舌をねじ込み、思う様千宏の味を堪能した。
「いれて、いれてよぉ……アカブの、いれて、いれてぇ……」
「だめだな。まだいれてやらねぇ」
「なんでよぉ! なんでそんな、意地悪すんの? もう、そんなんなってるじゃん……アカブ
のだって、苦しそうなのに……」
「いいか! 今回は俺が気付いて吐かせたからこの程度ですんでんだ! もしそのまま気付か
ないでほっといたらただじゃすまなかったんだぞ!」
物欲しげに腰をゆらしながら、千宏がこくこくと激しく頷く。そしてアカブの首に両腕を回し、
力任せにしがみ付いた。
「反省してる。ごめんなさい。だからおねがい。ほしくて、へんになっちゃう……」
「だめだな。全然反省してねぇだろ! 大体おまえ、普段から市場で妙な物買い食いして体調
崩すことだって少なくねぇだろう! 興味本位でわけのわからねぇものに手をだすんじゃね
え! 命に関わるんだぞ! わかってんのか!」
「わかったよもう! わかってるから! だからおねがい、おねがい、おねがいだからぁ!」
叫んで、とうとう千宏は泣き出した。
アカブの首を解放し、責めるように何度も拳で肩を殴りつけてくる。それでもいれてやらな
いでいると、千宏はぐったりとカーペットに背を預け、肩を揺らしてすすり泣いた。
入り口にあてがった先端が、千宏の愛液でどろどろになっている。
875 :
とらひと:2008/02/26(火) 02:24:40 ID:APoifTNC
「ほんとに、はんせ……してる……も、しない、から……ごめ、ごめんなさ……ごめん……」
さすがに、可哀想になってくる。
説教はこのくらいにしてやるか、とアカブが腰を進めようと瞬間、ごく何気なく居間のドア
が開かれた。
「おいアカブ。おまえまた説教でチヒロ泣かせて――」
バラムが森から帰ってきた。予想外に早い帰宅である。そして、そのバラムの眼前に来り広
げられている光景。
泣きながら謝罪を叫ぶ女。
それを逃げられないように拘束している男。
お互いに露出度は最小限。未挿入。
ああ。まずい――。
「アカブ! てめぇえよくもぉお!」
「まてバラム! 誤解だ! 違う!」
兄は見た。弟が行う婦女鬼畜暴行の現場。そんな新聞の見出しが一瞬頭を過ぎり、アカブは
慌てて弁解を試みたが遅かった。
魔力の迸りを感じる。
「許せチヒロ! こいつをこんな愚弟にしちまったのは俺の責任だ! だが終わりだ! 一族
の面汚しは俺が責任を持って始末する!」
「違うんだバラム! 頼む話を聞いてくれ!」
お兄ちゃんはおまえをそんなふうに育てた覚えありません。
違うよ兄ちゃん。誤解なんだ。俺は悪い事なんかしてないよ。
激怒する兄と涙目の弟の魂の叫びが交差する。
あわや骨肉相食む流血沙汰と言うところで、第三者の介入があった。床にへたり込んだアカ
ブの胸に、完全に取り残されつつあった千宏がえいやとばかりに抱きついたのだ。
アカブを殺さんとしていたバラムが、殺意のやり場に困って硬直する。
「もう! 折角いい所だったのに! 邪魔しないでよ! バラムのばか!」
ようやく勘違いに気がついて、バラムが魔力をおさめかけたその瞬間、開きっぱなしだった
ドアからひょいと顔を覗かせる者があった。
「どうしたのいったい? ものすごい殺気で空気がピリピリして――」
パルマが愕然と息を呑んだ。
床にへたり込んでいる男。
その男に涙目で抱きついている女。
その正面で魔力を振りかざしている男。
まずい、とバラムの表情が引きつった。瞬間、パルマが軽やかに宙を舞う。
「違うパルマ! これは誤解――ガフッ!」
パルマの膝が鮮やかにバラムの顔面を捉えた。鼻を押さえてたたらを踏んだバラムの鳩尾に、
パルマの爪先が深々と突き刺さる。
魔力を込めた本気の打撃――魔法の心得が無い者が受ければ一撃で命を落とす。
これが、当主の妻となる女――。アカブは自分が長男でなかった事を心から両親に感謝した。
「当主ともあろう御方が見苦しいまねを! 色に迷って誇りを捨てたか!」
「誤解だパルマ! これはアカブがチヒロを強姦しようと――!」
「それこそ誤解だっつってんだろうが! チヒロが媚薬入りのクッキー食っちまったんだよ!
襲われてたのぁむしろ俺の方だ!」
というより、現在進行形で襲われている。
早く早くとせがむように、千宏はアカブの頬に自らの頬を擦りつけ、キスを求めて唇をついばんだ。
沈黙が場を支配する。
最初に動いたのはパルマだった。
「ごめんねバラム! 私、早とちりであなたを本気で殺そうとしちゃった! 痛かった?
どこか怪我してない?」
「大丈夫だ。いくらマダラだってあの程度で怪我なんざしたりしねぇよ。それより悪かったな
アカブ。勘違いで本気で弟を殺すところだった」
もう、なんでもいいから二人とも出て行ってくれ。
半ば投げやりに懇願したアカブを残して、二人が部屋を出て行く。バラムが若干うらやまし
そうだったがそこは無視した。
ともかくようやく落ち着いた。やれやれと溜息を吐く。
876 :
とらひと:2008/02/26(火) 02:25:40 ID:APoifTNC
「……もういい?」
聞かれて、アカブは頷きかけて思いとどまった。千宏が不安そうに見上げてくる。
「いや。まだだ」
なんで、と千宏が口を開く前に、アカブは千宏を肩に担いで立ち上がった。
「こうなったら一晩かけてたっぷり可愛がってやる! 覚悟しとけ!」
肩に担いだままぐにぐにと柔らかな尻を乱暴に揉みしだく。下半身の異物の問題で少々歩き
にくかったが、アカブは真っ直ぐに自室を目指し、まかり間違っても誰も入ってこられないよ
うに中からしっかりと鍵をかけた。
千宏をベッドに寝転がし、せがまれるままにその体に圧し掛かる。
「ね、前からして。もふもふしてたい」
服を脱がす間も惜しみ、アカブは正面から千宏を貫いた。濡れすぎなほどに蕩けきった千宏
の中は何の抵抗もなくアカブを飲み込み、それでいて痛いほどに締め付けてくる。
千宏が歓喜の悲鳴を上げて仰け反った。
「い、ひ……んぁ、うごい、て……はやく、いっぱい……」
「焦るな。すぐにもうやだって泣くようなことになっちまうぞ」
言いながらも、しかしこちらも止まらない。千宏の奥に自身を突き立てて、ようやく服を
脱がせる余裕が出来た。
邪魔なローブを剥ぎ取り、その下の服に手をかけ、最後に残った下着をずらしてあらわに
なった乳房にしゃぶりつく。
千宏は喘ぎながらも、どうにかアカブの服を脱がせようと四苦八苦していた。
悪戯心に、ボタンに手をかけようとするところを狙って激しく突き上げると、千宏はすぐに
作業を中断してアカブの背にしがみ付く。
「やだぁ! ふく、ぬいで、ぬいでよぉ。もふもふ、あったかいのが、いいのに……あぁあ!
は、ああ、い……あ、うわ、しっぽ、くすぐった……!」
激しく腰を振りたてながら小さな乳房を舐めしゃぶり、尻尾で全身をくまなく愛撫してやると、
千宏は髪を振り乱して仰け反った。
どう足掻いてもボタンを外すのは不可能だと察したのか、焦れた千宏がアカブのボタンに歯
を立てる。
さすがにボタンを引きちぎられたくは無かったので、アカブは千宏を抱き上げて向かい合う
ように座らせた。
「ほら、はずしていいぞ」
それでも、突き上げるのはやめてやらない。
千宏はアカブの肩に額を預け、苦しげに呼吸を乱しながら震える指で一つ一つボタンを外し
ていった。だが最後のボタンまではずしきれずに、アカブの服の中に腕を突き入れるように抱
きしめる。
「あたし、あた、し……も、いく。いきそ……いく、いく、いっちゃ……」
ぴくん、と小さく肩を揺らし、千宏が軽く達して唇を噛んだ。耐えるように固く目を閉じ、
歯を食いしばり、アカブの背をかきだいて次の波を必死に堪えようとする。
男みたいなやつだと、前に思った事がある。どうしてこの女は、行く時にいつもこうやって
耐えるのだろう。
「耐えるなよ」
ほっそりとした首筋に歯を立てて低く囁く。え、と問い返そうとした瞬間に最奥を突き上げ
ると、千宏はあっけなく達して甘く震える悲鳴を上げた。
快楽から逃げようと浮いた腰を、力強く引き寄せ再び奥まで自身を埋める。
「強姦してる気分になってくる。嫌なのか?」
「ちが、や、だって……だって、だって……」
「だって?」
「が、がまんしなきゃ、すぐにいつも、あたしばっか……ぅあ! あ、ふぁあ!」
下から激しく突き上げながら、愛液で光る赤く充血した肉芽を尻尾の先で押しつぶす。
いつもはこの時点で泣き言を始めるのに、媚薬クッキーのおかげか千宏の火照りが治まる
様子は無かった。むしろ、もっともっとと自ら腰をくねらせる。
「あ、アカブが、いくの……見たいのに……ひん……! あ、は……んぁ! が、がまん……
しなきゃ、ぜんぜん、なんもわかんなくなっちゃ、から……だから、だか、らぁ……」
また、千宏が必死にいくのを耐える。
だが、それならばこれは勝負だ。アカブも千宏がいくところを見ていたい。そして生憎、
アカブはこの勝負に負けてやるつもりは無い。そして一生負けることは無いだろう。
「あぁ、あ……ひ、や……だめ、だめ、また……また、またぁ……あぁああぁ!」
少し、ごくわずかに強く噛んでやる。すると千宏は本能的に恐怖で竦み、それと同時に今ま
で以上に強く快楽を感じるのだ。
877 :
とらひと:2008/02/26(火) 02:26:39 ID:APoifTNC
千宏の瞳が快楽でぼやける。ただしがみ付いているアカブの温もりが全てだとでもいうよう
に、それでも千宏は背に回した腕を解こうとはしなかった。
終らせるのは惜しいが、潮時だ。苦しませるには、千宏はやはり弱すぎる。
千宏の尻を抱えて抜けるギリギリまで体を持ち上げ、そしてアカブは奥まで荒々しく突きた
てた。千宏が目を見開いて声にならない悲鳴を上げる。
食いちぎらんばかりに千宏がアカブを締め付けた。出したい欲求が高まってきて、壊さない
ように気をつけながら、柔らかな肉壁に欲求のはけ口を求めて自身をこすり付ける。
「ふぁ、あ、ひぁぁあ! いく、い、いく、い……いぅ、あ! は、ぁ、あぁああ!」
背中の方でわずかに痛みがあった。千宏の爪が体毛をかきわけ、皮膚を浅く抉ったのだ。
だがこの程度、トラの女に爪を立てられることを考えればあまりにもささやかだ。
「出すぞ、チヒロ……!」
「あ、あぁ、い……きて、だし、て……おくに、おく、にぃ……」
千宏が悲鳴を上げて仰け反った。達した千宏の激しい締め付けをきっかけに、弾けるように
快楽があふれ出す。
千宏が苦しげに唇を噛み、堪えるようにアカブの胸に顔をうずめた。
「あつ、あつぃ……あつ……」
お湯並みに熱いんだからね、と、前に千宏が言っただろうか。唐突に、敏感な器官の最奥に
湯をぶちまけられる感覚などアカブには想像もつかないが、きっと相当の衝撃だろう。
目じりに涙を浮かべて震える千宏の背中を優しく撫でてやりながら、アカブに千宏の涙を
舐め取ってやった。
ぐったりと千宏がアカブの胸に体重を預ける。
いつものように、千宏を胸に抱いたままベッドに身を沈めると、いつもならば擦り寄って
くる千宏がぼんやりとアカブに体重を預けたまま動かなかった。
「……チヒロ? どうした?」
ふと、千宏がうるんだ瞳でアカブを見る。
「もっかい」
「な、なに?」
「もっかいしよ。ね? もう一回」
唖然として固まったアカブを無視して、千宏がアカブにまたがったまま起き上がる。
まだ千宏の中におさめたままだった陰茎が、再び充血し、硬度を増し始めるのを意識した。
千宏が肩を震わせて指を噛む。
「だめ。全然おさまんない。だめ、だめ。変になる。動いてアカブ。うごいて」
切羽詰った声で懇願しながら、千宏は緩やかに腰を振り始めた。
千宏の中から溢れ出した白濁が、動くたびにあふれ出してアカブの毛皮とシーツを汚す。
体力的に考えて、やめた方がいいのではないか。すぐさま中断して、なんとか解毒剤のような
薬を作る努力をした方がいいのではないか。
頭の中を理性的な思考が巡るが、所詮アカブもトラであり、男である。
兄さん。自分を律しきれない愚弟をお許しください。
ほっそりとした腰を掴んで荒々しく突き上げると、千宏がネコのような悲鳴を上げた。
「にゃぁあぁ! ふ、ぁあ、あ……い、いいよ、いい、いいよぉ……!」
腰を掴んだアカブの腕に指を絡めて、求めているくせに逃れようとする。大丈夫だろうか、
壊れてしまわないだろうかと不安だったが、しかしそれでも走り出した衝動は止まらなかった。
じきに、不安にも思わなくなる程のめり込んでしまうかもしれない。そうなったら、本当にま
ずいことになりかねない。
だが、とりあえずもう一回。この一回だけは溺れておこう。一度達したら二度目は早くなる
のはヒトもトラも共通だ。一度だけならそれほどの負担にはなるまい。
赤く立ち上がり、充血した乳首が寂しそうだったので、濡れた尻尾の先で可愛がってやる。
千宏は慌てて尻尾を振り払おうとしたが、しかしアカブは腰から手を放して千宏の腕を拘束し
た。下から激しく突き上げるたびに、千宏の体が大きく跳ねる。
878 :
とらひと:2008/02/26(火) 02:30:57 ID:APoifTNC
「ふぁ、にゃ、んにゃぁあ! あぇ、した、まぁんな……」
食いしばった歯の隙間から、とろりと透明な唾液が垂れる。絶頂に叫んで仰け反り、抜けそ
うになるのを力づくで引き戻し、アカブは既に精液で満たされている千宏の中へ、更に追加で
たっぷりと注ぎ込んだ。
うっとりと、千宏が幸福そうに目を細める。
数秒の沈黙を挟み、千宏が困惑したように眉をひそめた。予想通りだが、もう本気で終わり
にしなければならない。
「アカブ……」
「だめだ。今夜はもう――」
「後ろから……して」
今夜はもう終わりだ。体に触る。明日の朝泣きを見るぞ。頭の中で繰り返される言葉が、
どうしても口から出てこない。
ダメ人間。そんな言葉が頭に浮かんだ。
兄さん――兄さん、俺、ダメ人間だ。
結局その晩、アカブは千宏が疲れ果て、半ば気を失うように眠ってしまうまで千宏の要求に
応え続けた。正確な時間はわからない。ただ、空が白んでいたのは間違いない。
昼ごろに目を覚ました千宏は気分すっきり爽快で、アカブの心配したような薬の後遺症も
なかったが、筋肉痛だけは避けられなかったようでぎくしゃくとしていた。
その後、アカブが千宏のオヤツを作るたびに、猛烈な葛藤に見舞われたのは想像するに難く
ないことである。
おしまい。
>>クマの人。
どちらも楽しませていただきました。
3Pもそっくりさんもエロいよーエロいよー!
クマの続きを熱望しております。全裸で!
>>師走氏
初々しくも激しいエロテラGJ!
続きまたーりと待ってます。無理しないでがんばってください。
おかあさんである以前に一匹の雄トラなアカブ萌え。
エロエロモードの千宏もほんとエロい。
自室へ移動時下半身裸の千宏肩に抱えたらモロ見(ry
てかアカブもはいてな(ry 暴れん棒将軍?
不覚にも朝の総武緩行線の中でおっきし掛けてしまったじゃないですか!
うむ、GJ!ですじゃ。エロイのぉエロイのぉww
チヒロはローブ着てればまだいいとして
アカブはやっぱり丸出し暴れん坊(ry
いくら家の中でもご乱行ですぞ!
GJGJ!!!
ここの諸兄らは優しいな
883 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/26(火) 15:00:26 ID:xzcOIZo8
バラムとは、もうやらないのですか・・・?
バラム、バラム。見たいよう。
コメディ→シリアスは燃えるし
シリアス→コメディはより笑える
ギャップってすごいな〜
祭もまもなく折り返しですね。
投下待機中の職人様がた、バンバンやっちゃってくださーい!
気がつけば469KB。
ひょっとして容量的に収まりきらなくて投下できないとかあったりするのか?
かといって小ネタじゃ30KBに到達しないから、新スレ立てても埋め大変だしなぁ。
>>883 sageたほうがいいと思うよ
>らぶ☆ろーしょん君58号ばかり見てないでもっと私を見て欲しいの!
フイタ
>>888 ちょっとテキトーに登場人物の名前入れてやってみた。
* * *
こちむいからのラブレター
狭間悟くんへ
えっと・・・実はね昨日、クシャスラから相談があって、どうしても伝えて欲しいって内容なんだけど・・・。
クシャスラ、狭間悟くんの事が好きなんだって。
それを伝えてって頼まれちゃって・・・。
以前にみんなで王都に遊びに行ったよね?
その時に狭間悟くんと一緒に遊んでて、好きになっちゃったって言ってたよ。
狭間悟くん・・・、クシャスラの事好き?
でもね、でもね、私・・・、クシャスラは友達だし、付き合いも長いんだけどね、私も狭間悟くんの事が好きなの!
ううん・・・クシャスラのことなんてどうでもいいの。
私、狭間悟くんと一緒にいたい、もう好きで好きでたまらないの!
私の事、悪い女って思ったよね、当然だよね。
でも私が狭間悟くんを好きだって気持ちは誰にも負けない。
覚えてるかな?
まだ二人とも小さかったとき、二人で親に内緒で海底に行って、つけ尻尾を私に買ってくれたこと。
今でも私の宝物なんだよ。
3月1日の18時に海底で宝物を持って待ってる。
ずっと待ってるから・・・。
ドナテア
* * *
何このオチwwww
なんじゃあこりゃあwww
リナ様で占ったら、ラブレター出したのがディンスレイフだったw
なにこの大陸無双カプw
…そしてこんなカオスでもちゃっかりアンシェル様にラブレター出してるレーマw
GJwww
コレはカオスwww
キャラに合ってない文面ばっかしで腹痛ぇwwwwww
ほ
オスヒトとマダラネコ
父に教えられて登山をはじめて、もう二十年になる。
最初は傾斜のゆるい岩肌を這うように登ることから初めて、今では傾斜九十度の難所も平然
と登れるようになっていた。
岩肌をよじ登るなんて、なにが楽しいのか分からないと言う奴は多いが、俺もなにが楽しい
のかはわからない。ただ、トレーニングをさぼって登れなくなるのは嫌だった。かんが鈍るの
も耐えられなかった。だから、半ば義務感に駆られるようにひたすらに登っていた。
そんなある日、命綱なしでやってみないか、と誰かが言った。
俺は命を捨てたいわけではないから当然断ったが、ほんの十メートルだから大丈夫だろうと
拝み倒され、ほんのお遊びの気分で付き合うことに決めた。
たどり着いたのは森の中だ。断崖絶壁の十メートルほど上の方に、それなりの広さの岩棚が
見える。傾斜はほぼ垂直に近いが、まぁ八十度といった所か。落下した場合、叩きつけられる
のは当然硬い地面だ。
「落ちたら死ぬよな」
「落ちなきゃしなないよ」
俺の呟きに、友人が当たり前の答を返す。
しばらくあれこれと、どうやって登るか、どのルートを通るかと話し合い、俺たちは登り始
めた。お互いに岩登りには慣れていたし、そこそこのスリルを欲していた。それに、落ちない
という自身もあった。
だがどういうわけか、俺は落ちた。
手が滑ったとか、足場が崩れたとか、そういうのではない。友人が先に岩棚にたどり着き、
俺に手を差し伸べていた。お疲れ、と、友人は笑っていたように思う。
「ばいばい」
どん、と、それなりの力で突き落とされた。一瞬の浮遊感。命綱つきでの落下には慣れてい
たので、気を失う事は無かった。空が遠ざかる。
背中から地面に叩きつけられ、血液が飛び散った。全身を多い尽くす血液が身を切るように
冷たい。俺は血液に沈みこんでいた。
空が近い。背中に痺れるような痛みを感じ、俺は呻き声を上げてのた打ち回った。頭が空を
突き抜ける。
視界が黒く染まり、俺は目を覚ました。
ぐっしょりと汗をかいていた。
寝苦しい夏の夜だ。この家に冷房などという気の利いたものは無い。
頬を伝って顎から滴る汗を拭い、俺は目頭を覆って軽く頭を振った。
ベッドの下から呻き声が聞こえる。そちらい視線を投げると、白い下着に包まれた尻が見え
た。だが生憎と白くない。おまけに毛深い。
「何があったにゃ! なにごとにゃ!」
甲高い声をあげ、毛深い尻の持ち主が飛び起きた。
どうも俺がうなされてベッドから叩き落したらしい。
再びベッドによじ登り、汗にまみれた俺の顔を覗き込むその顔も、尻と同様に毛深い。とい
うより、全身が毛で覆われてるのだ。
二年前に川で拾った俺の飼い猫だ。ただし二足歩行する。おまけに喋る。新聞を読む。あろ
うことか魔法を使う。
俺は夢から覚めてもまだ夢の中にいた。もう二年はこの夢の中で生きている。
「……なんでもねぇ。いつもの夢だ」
溜息と共に猫の頭を撫でてやり、ついでに喉をかいてやる。猫は幸せそうに目を細め、ぐる
ぐると唸りながら、長い髪から覗くねこみみをわずかに伏せた。
「汗、流してくる」
「我輩、ミルクあっためとくにゃ」
笑って、足音も立てずに台所へ走っていく。俺はベッドから起き上がり、気だるい体を引き
ずって風呂場へと向かった。
この家は、外から見ると丸太の掘っ立て小屋でしかないが、中に入れば4LDKのマンショ
ン並みの広さがある。キッチンバストイレ付き。元の世界の俺の部屋よりよっぽど上等だ。
ただし前述したとおり冷房が無い。なぜかこたつはある。
場所は広大な湖のすぐ近く。水源はそこだ。ポンプらしきものも無いのにどうやって家まで
水を引いているのかは知らないが、とにかく家に水は通っていて蛇口もシャワーもある。
俺は熱い湯を頭から浴びて汗を流し、ふらふらと居間へ向かった。恐らく今夜はもう眠れな
い。光も漏れるドアを開くと、猫が先に熱そうにミルクを舐めていた。
その隣に腰を下ろし、俺もホットミルクを傾ける。猫は何も言わなかった。夢の内容は、前
に一度話してある。猫は俺の過去についてあまり詮索してこなかった。だから俺も猫の過去を
知らない。
俺が持っている情報は極わずかだった。ここは異世界で、俺は元の世界から落ちてきた落ち
モノだということ。俺達の種族はヒトで、高級奴隷なのだということ。特に俺のように若いオ
スは高値で男にケツを貸す仕事が多いらしい。心底死にたくなる話だ。
ちなみに俺は、クマのマダラみたいなのだという。俺の身長は百九十センチ近い。おまけに
ロッククライマーだったためかなり暑苦しい体格をしてる。クマと呼ばれてもそれほど違和感
は覚えなかった。
そしてこいつだ。この猫。こいつはケダマで、この辺りの土地の持ち主だ。この世界の女は
普通、ヒトに獣の耳が生えたような格好をしているらしいので、こいつは特殊な存在らしい。
しかもどうも、悪いほうの意味で珍しい存在のようだ。髪があるだけまだマシなのだという。
とりあえず、これが俺の知っている全てだ。
山の何処でなにがとれるとか、どの餌でどの魚がつれるとか、そういうことは随分覚えた。
だが俺はこの山から一歩も出た事が無く、こいつもずっと山にいる。
極たまに街に買出しに出かけるが、それも気が進まない様子だった。
「暑いにゃね」
「だな」
「涼みに行くかにゃ?」
「やめとけ。湖に落ちるぞ」
「落ちないにゃ」
「落ちたじゃねぇか」
「落ちてもおまえがいるから平気にゃ」
俺は猫を見なかった。猫も俺を見ていない。
結局、俺たちは湖の周りをぐるりと回る散歩に出かけた。二つの月が照らす森はぼんやりと
明るく、猫はあちこちと忙しなく走り回っては俺の元に戻ってきた。
ヒトである俺の目彼見れば、十六程度のほんの子供だ。だが実際は六十をとうにこえていて、
その半分はずっと一人だったという。
身長は俺の胸まであるかないか。胸だけは無駄に発達しているが、もちろん胸毛自慢のおっ
さんよりもはるかに毛深い。
「きもちいいにゃー」
湖に素足をひたして猫が幸せそうに笑った。
その隣に座り込み、俺も湖に足をつける。身震いするような冷たさに、蒸し暑さも吹き飛ぶ
ようだった。
「泳ぐか」
俺の提案に、猫が瞳を文字通り輝かせる。
もともと下着姿のようだった猫は下半身をおおう下着を残して全て脱ぎ、俺を差し置いて湖
に飛び込んでいった。
初めて会った時、こいつは水が苦手だといっていた。溺れたら死ぬからだ。泳ぎは得意でな
いらしい。
元々上半身に何も来ていなかった俺は、猫が幸せそうにざぶざぶ泳いでいるのを眺めながら
一緒に湖に身を沈めた。
この湖は深くて、すこし陸から放れただけで俺でも足が着かない。それでも猫は、すっかり
と安心して楽しげに泳ぎ回っていた。
少し寒くなって、陸に上がる。
草が暖かい。
草の上に寝転がりながら空を見ていると、ふと、仰向けに寝転んだ俺の上に猫がよじ登ってきた。
「冷えたにゃ。あっためるにゃ」
潤んだ瞳で命じられ、俺はたっぷりとした猫の乳房に手を伸ばす。
こいつは俺の飼い猫だ。だが時々、俺はこいつの飼いヒトになる。奇妙な依存関係だった。
もう二年も続いている。嫌では無い。
「にゃ……ふ、にゃぁ……ん。にゃ……」
「おいケダマ。ちょっと腰浮かせろ」
素直に腰を浮かせた猫の、下着のまたぐら部分をずらす。とろりと糸を引いた愛液が俺の指
にからんだ。その指を猫に舐めさせ、奥まで可愛がってやる。
喉を撫でてやった時より激しく、猫がぐるぐると喉を鳴らして喜んだ。下から突き上げると、
口を半開きにして嬉しそうに喘ぐ。
激しくうねり、絡みついてくる肉が、根元から俺を締め付けていた。小さな体相応に、猫の
中は驚くほど狭い。
「ふにゃぁあ! にゃあ、い、ひん、にゃ……い、いく、にゃぅ……! わがは、い、も……
もうだめにゃぁあ! だめぇ、だめにゃぁあ!」
叫んで、猫が俺の上で盛大に仰け反った。
弾力のある大きな胸が激しくゆれ、直後にそれが俺に押し付けられる。
繋がったまま俺に倒れこんできた猫の尻尾を優しく絞るようにさわってやると、猫は鼻をな
らして身を捩った。
眠気が襲ってくる。
構いはしない。どうせここには誰も来ない。
俺たちはそのまま眠り、そして俺は夢を見なかった。
おわり。
おお、GJ
何か最近ケダマ人気が凄いねえ
>896
GJ!気になる二人だ、今後展開はあるのかな。
>900
ぐおあぁぁ、なんという焦らしプレイ。
だがGJ!!イヌ♂の頑張りに期待。
随所の小ネタに毎度笑いが堪えられません。
>>900 本気で全部混ぜる気でいやがる!超期待。
>>900 後半マダァチン(AA略
ところで! 一箇所!
「誇張」になっててまるで本当は旦那のアレが小さいみたいです…!
14も終わりに近いしwiki更新。大体回収したとは思うけど抜けがあるかも。
羊と犬とタイプライターは纏め方がわからなかったので誰かまとめページ作成頼みます。
更新乙です。纏め難くて御免なさい題名長くてごめ(
誤字修正しました。ファイル名変えず修正できることに
初めて気づきました。なんて賢いあぷろだ君か。
>>896 マダラネコじゃなくて、ケダマネコだよな……
907 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 19:47:36 ID:IpbuRomQ
しかし、容量MAXが先か1000が先か、微妙な所だな
480k超えてるので落ちる前にスレ立てしてきます
うめうめ
ケダマが落ちてこないかなと思いつつ梅
埋めネタを投下したいなぁと思いつつ、このままじゃ本編が祭り期間中に間に合わないと言う絶望感w
あははははは もうダメだ もうダメ ぜってー間に合わない 間に合わないって!
何となくオツベルw
「ついに任意にヒトオスを召喚する機械を完成させたのにゃ!
これでもう他の姫たちの奴隷を指くわえて見なくてもいいのにゃあ!」
「素敵よマイシスター! ところでこの学園祭っぽいかんじの
オスヒト風マネキンは何なのかしら!?」
「うむにゃ。こすとぱふぉーまんすのために色々やってたら、
身体の一部を一時的に呼ぶのがいちばん最適だったのにゃ。
(マネキンの股間の空隙を指して)ここから生えるにゃ」
「…………。」
「な、なんだにゃその目は!? これは偉大なはつめーだにゃ!?
かはんしんさえあればいいって落ち物のマンガも言ってたにゃあ!」
「……本当に用を満たすだけ、ホンモノで不貞にならないなら…
いいわ可愛い私のマイシスター、その偉大な成果をおねえちゃんに見せて!」
「がってんだしょうちのすけにゃー!」
がちゃん、びびびびびび
「入試まであと●日…今夜も二時まで勉強だ。ん? すーすーする…ひ、ひぎぃっ!?」
「えー、つきましては次のグラフ、弊社の製品の……あひぃぃっ!?」
「か、彼女が俺の前で目を閉じた、行っていい、行っていいんだよな、はふぅんんん!?」
「(つやつやぴちぴち)どうにゃ、百発ひゃくちゅーだにゃ」
「……このマネキンくんのモーションテクがあれば召喚いらない気がしたわ」
埋め。
GJww
なんだろう・・・すげえ良かったです
筆が進まないなあ。なんでだろう。
内勤外勤問わず、疲れが出てくる時期だしな。
……休日は何もせず、ひたすらぼーっとしたい。
一週間前、風呂に落ちた。
風呂ってゆーか大浴場?
ギリシャローマ風の豪華風呂。うん、そういうの。
そんで今、まさに今、俺は椅子に縛られている。
縛られたまま椅子は仰向きに倒されてて、がっつり固定されてる。
銀色の狭い円筒の中、天井だけがいやに高い。
天井はとんがったドームっぽく、ちょうどでかい鉛筆の中をくり貫いたらこんなかんじ。
「うおー! はなせーほどけー!」
半狂乱で暴れてみても身体をがっちり巻いた金属フレームは緩まない。
「うおおおお、俺をどうする気だ、はなせーほどけーお願いしますー!」
ちょっぴり下手に出てみました。
返事なし。
壁と床、ゴゴゴゴゴって揺れてるし。
外から事務的なカウントダウンが聞こえてたりするし。
頭にはへんな電極いっぱいついたヘルメットかぶさってるし。
「こ、こ、このカウントダウン終わったとき俺はどうなるですかー!?
改造人間!? ポップコーン!? マシーンなネジ!?」
どれもいやだー!
「たすけてー! へるぷみー! 死んだ後でこんなのひどすぎるー!」
天国はパラダイスと決まってるのにー!
いや、たしかに風呂に落ちたときはパラダイスだったとも。
世界がすべて、脹らみ始めの青い裸体から喰いどきの肢体から
熟れきったむっちりまでのオールスター☆女体だった。
桃色ばら色白色黄色褐色小麦色、この世にはなんと多彩な肌色があったことかー!
そう、死後の世界とは女風呂だったのだ!
そっかー、死んだ奴がめったに生き返ってこないわけだよなー、そりゃこっちのほうがいいよなー。
とりたてていいことも目立ったこともない人生だったけど、良かった!
生まれてきてよかった!
天国最高! 死んで正解! ありがとう神様ー!
「男よ!」「オスだわ」「マダラ?」「ヒトよ」「うそ」「見たことない顔よ」
「落ちてきたわ」「いまここに落ちてきたのよ」「ほんと?」「ほんと」
「すごい」「すてき」「ホンモノのヒトのオトコだわ」「しんじられない」
「「「「「まだ誰のものにもなってないヒトのオスだわ―――――!」」」」
ひそひそぼそぼそ、小鳥さんの声でささやきあう美女軍団。全裸で。
男一匹チカン扱いどころか、歓迎っぽい。ブラボー天国。GJ神様あいしとる。
ちょっと前にテレビで見た消臭スプレーのCM。
女にもてる匂いという触れ込みで、無人島の男がスプレーをあびたとたん、
どこからともなく現れた水着の美女の大群が、アマゾネスみたく男にむらがっていく、
あのCM。
まさしくアレ。アレそのもの。アマゾネスっつーか狩りする生き物の目。
巨大プール施設並みにでかい風呂場の、散り散りに浸かっていた女体のすべてが、
津波のよーに俺めがけてちちしりふとももぷるんぷるんしながら駆け寄り詰め掛けて、
俺に群がり恍惚と身体をこすりつけて―――――
………天国! 天国!! 嘘みたい天国!!! だってちゃんと感触ある天国!!!!
「……ひぎっ、がはっ!?」
なぜかそこで回想が途切れた。
なぜだ。なんでだ。どうしてもその先を思い出すことが出来ない。
ほわい!? 楽園のパライソのアルカディアが!?
あとなんで俺の足、勝手にがくがく震えてやがりますかー!??
「ひぐっ…えぐっ…もう許して、もう出ません、もうタチマセン、赤玉でちゃう…」
なぜか口まで勝手に意味不明な言葉を呟いてる。わけわかんない。
あとなんか自分の吐いた言葉を理解しようとすると唇が海水浴で凍えたときっぽく震えるのどうしてかしら。
俺におかまないく、円筒の部屋の外から響くカウントダウンは止まらない。
床のゴゴゴゴはよけいひどくなってる。
し、し、死んだ後にこんな怖いのは嫌だーーーっ! おうち帰りたいーーー!!
「にゃ。」
がちゃん。ばたん。がちゃん。
「にゃ。」
ふにゃ、と上がる紅葉のお手手。
挨拶らしい。
幼女がドアあけて入ってきてドアしめて鍵しめてエプロンつけて猫耳つけてる。
「…………死のう」
「にゃにゃ!? 顔が紫色だにゃ!? しっかりするにゃあ!?」
とびついてきた幼女がちーさいやーらかい手の平で俺の頬をぱふぱふする。
勢いで俺の鼻先かすめた猫耳、ふんわり、もふもふ、やわあったかい。
「…………死んだ」
これはもう俺、確実に死んでる。
うぇーい、さすが天国すげぇなー、なんでもありだなー。
「死ぬなにゃー!? ヒトのオスはすぐ死ぬってほんとにゃ!? まったくけしからんのにゃ!?」
めっちゃ慌てる幼女。
エプロン、よく見ると手縫いだ。しかもすごい下手だ。
胸元に青いはぐれメタルっぽい刺繍。たぶん魚のつもりだ。下手だ。
「しっかりするにゃあ、いま死なれたらボクが困るのにゃあ…! あ、そうにゃ」
すごい名案思いついた顔の幼女。
しばられっぱなしの俺、俎上の鯉。もーどーにでもしてクダサイのポーズ。
「ええと、ええと、ちゃんと本で読んだにゃ、大浴場のも見てたのにゃあ…」
もそもそも。じー。
「はぷ」
「……………。っきゃあーーーー!!?」
幼女、いきなり俺のナニを引きずり出して咥えました。
「ひいっ!? はがぁっ!? あ、あ、なにをするだーーーーーっっっ!!?」
「もぎゅ? もご、はぷちゅ、ふごふご」
「痛い!? でも気持ちいい!? あっあっあっ、喋るのやめて舌、歯ぁー! とんがった歯ぁあああー!!」
「んむ。んぐ、んっがっふっふ、れる、はふはふ」
あ、あああ相手は幼女、相手は幼女!!
そっちのアブノーマルに興味はアリマセン犯罪です助けてーー!?
「やめてー!? でもやめないでー!? ああ、あああっ、禁断の記憶のドアが開くのー!?」
縛られて動けないまま俺、ケーレン。
記憶の奥底に封印しためくるめく女体のオモヒデぽろぽろ俺ぼろぼろ。
そんな俺のペンシルロケット、ただいま幼女の口内でカッパロケットくらいに進化中。
響くカウントダウン。止まらないカウントダウン。
「…ぷは。よしよし、元気になったのにゃー。ふふーん、ほんとにおっきくなるのにゃねー♪」
なでなで。くりくり。
「あぅー!? ひぃぎー!?」
カッパロケット、一足飛びにミューロケットに究極進化。
カウントダウン、あとテンカウント。
「ま、まだ大きくなるにゃあ? ふーん、へえー、ほぉー」
興味津々の幼女、間近で愚息をガン視。視姦。息あったかいくすぐったい。
「うあぅぅぅぅ。あうううううう。えぐぅぅ。おおぅおおおぅ(慟哭)」
カウント、あと5。
「ぴちゃ…ぺろ、…どこまで大きくなるのかゃ」
「はうーーー!? 嫌っ、ももももうだめですー! こんにちわアブノーマルな俺ー!?」
カウント、ゼロ。
『発射します』
ゴゴゴゴゴゴゴゴ。
「んぐ!? んぅ、んううう!」
天井から降り注ぐ衝撃とG。
見えない力に押さえつけられた幼女、俺のナニを喉まで勢いよくゴチソウサマ。
ついでに俺のロケットも発射しますた、本当にありがとうございます。
さようならさようなら、ノーマルな俺にさよーなら、なぜか涙で前が見えな(ブラックアウト)
眼が覚めたら日光江戸村だった。
「御用だ!」「御用だ!」「神妙にしやがれ!」
十手と梯子とちょーちん手にした尻っ端折りのおっちゃんたちが俺を取り囲んでいます。
俺は椅子ごと横倒し、椅子は根元が折れてるけど俺は縛られたまま。
都会ではお目にかかれない真っ黒い夜にぽっかり白い満月ひとつ。
お屋敷の中庭らしいです。でかい蔵があります。ドア開いてます。そのまん前にいます俺。
「はにゃ?」
猫耳ぴくぴくさせて、ぽかんと俺の横に正座してるエプロン幼女。あ、口元白い。
「おっと、ちょっと待ちねえ。おまえさんがた、探しているのはあっしじゃありませんかい」
唐突に夜陰に響くいい男の声。
おっちゃんたちが気をとられた隙に、俺は椅子ごとひっさらわれた。
気が付けば瓦葺の屋根の上。
幼女と俺を両脇に抱えてすっくと立つ、泥棒ほっかむりの知らない男。
誰ですか貴方。ここどこの映画村ですか。定時イベントも大変ですね。
「にゃにゃ? なにするにゃあ?」
「こんな可愛いお嬢さんと、ついでにこんな不細工をこの鼠小僧と見間違えるなんざ、捨て置けねえなあ」
「でっ、出たー! 鼠小僧め、今夜こそお縄を頂戴しやがれー!」
ははあ、そういう設定ですか。
「あははは! あばよーとっつぁーん!」
俺らを抱えたままひらりひらりと屋根の上を八艘とび。
すごいスタントマンのすごい筋力。
追っ手から離れた場所でひらりと地面に着地。
「さあ行きねえ、こっから堀沿いに行けば見つからねえよ」
「……あ、ありがとうございます」
「にゃ?」
「なあに、世の中、持ちつ持たれつってな。あばよ」
颯爽と去っていくほっかむり。
あとには月明かりしかない河沿いの、柳の下で立ち尽くす俺。と俺の服の裾につかまって
理解不能って顔してる幼女。猫耳つき。尻尾もオプションしてる。
「……にゃ? きっぷがないにゃ」
「さようですか…」
あー、月がまるいなー。
天国の月はふたつだったかなー。
………はやくドッキリでしたって看板出てくれないかなー(泣)
「三トンの黄金を圧縮してつくった切符にゃあ」
「ほうほう。そいつは豪勢ですねー」
あー、現実を見て、はやく言われたとおりに逃げなきゃやばいんだろうなー。
「……あれがないと帰れないのにゃあ」
うるっ。
「……。待て。待ちなさいそこの。帰れる?」
「帰れないにゃあ…切符なくしちゃったのにゃあ…」
『なあに、世の中、持ちつ持たれつってな』
「…あ、あ、あのドロボウ猫ーーー!!」
「うああああん! おねーちゃの所に帰りたいのにゃああああ!」
◆ ◆ ◆
以後、鼠小僧を目の仇にする、女鼠小僧がお江戸の町を騒がせたという。
が、正直知ったこっちゃないぞと。
「ネズミじゃないにゃ。ネコにゃ」
「うっさいですよ化け猫。とっとと鼠とるか大判小判かきあつめて切符作り直せ」
「にゃあっ、偉そうにゃ! お前はいいにゃ、どうせ三百年くらい待てば
自分の時代に帰れるのにゃあ。…ぐすん」
「死ぬ。それは死んでます。あと俺としても不法滞在よりはまだ風呂天国が
いい…ぐふっがはっ、持病の癪がぁっ!?」
おしまい。
げぇっ!なにこのGJなSS?
面白かったです。
ネコミミ幼女かー
いいよなー
924 :
※エビ♀:2008/03/12(水) 22:52:48 ID:+mpHKYM3
埋めネタ馬鹿エロ、オスヒト×エビです。
自分は今、白いタイルの広々とした脱衣場でご主人様がお風呂から上がるのを待っている。
くもりガラス張りで見えないが、今ご主人様はこの奥にある海底から吹き出す熱い水の中でなまめかしい肢体をくゆらせていることだろう。
おや、そうこうしているうちに脱衣場の真っ白い湯気の中からペタペタと可愛らしい足音が聞こえてきた。
金ぴかの装飾で縁取らたガラス戸が開き、まず最初に長い触覚がぴょこんと見える。
「しっかり櫛を入れてちょうだい」
「はい、ただいま」
すらりとした浅黒い輝く肌の所々に見目鮮やかな天然の鎧。
先ほどの触覚も合わせてみるとわかるだろうが、ご主人様はエビだ。
奴隷として雑用から夜の相手までをやらせてもらっているのだが…
丁寧に髪の毛をとかしていると、首筋からご主人様の匂いがふわりと鼻をくすぐる。
「…たまらない」
「は?」
櫛を放り出して、ご主人様の背中に抱きつく。
「ひっ…!?」
ぐらりと態勢が崩れ、びたーん!と痛そうな音を立ててご主人様が下敷きに、自分が上になる。
その瞬間ぶわっといい匂いに包まれて自分の脳内が満たされていく。
925 :
エビ♀:2008/03/12(水) 22:56:33 ID:+mpHKYM3
「あー……」
自分の口から思わず漏れる恍惚のため息、ご主人様は下でわなわなとしているが衝動は止まらなかった、仕方がない。
「マヨネーズかけてかぶりつきたい…」
「だから何でそうなるのよ!」
起き上がったご主人様にぱかんと頭をひっぱたかれる。
「ご主人様があまりにも美味しそうな匂いだから仕方ないじゃないすか!」
だって彼女はエビなのだ、熱いお湯をくぐった体はさながらむきエビ、ぷりぷりとした肌…!
「ヒトのくせに失礼!ほんっとーに失礼よねあんた!」
ご主人様の言うことは最もだ。
しかし形は違えど匂いはエビ、甘く朗らかなエビ…。
「ご主人様を食材として見るんじゃないわよっ」
ぱかんっとさっきより派手に殴られる、が手加減をしてくれてるとわかるので愛しさ倍増、ご主人様かわいい。
うつぶせに倒れて痛そうにお腹をさすっているご主人様を見る。
「ご主人様」
「なによ、にやにやして…」
さっ
「マヨネーズありますよ」
「は!?」
自分が今取り出したるはマヨネーズ、そうヒトの世界ではチューブに入ったのが同じみの万能調味料だ。
こっちの世界ではチューブがないので、ホイップクリームを絞るような袋に入っている。
926 :
エビ♀:2008/03/12(水) 22:57:23 ID:+mpHKYM3
「な、なんであるのよ!」
「だって自分、マヨラーですから!」
「いみわかんな…あ、コラ!そこはだめぇええ!」
自分が触角の一本を軽くしごいただけでご主人様は倒れ込んでしまう。
エビの触角はこういう時実に便利だ。
「前より塩と酢少なくしましたから!ねっ?」
「あ、ひ…うぅ…」
そんな赤い顔で睨んでもかわいいだけです、あぁ早くこのマヨネーズをそのお顔にぶちまけたい!
「…勝手にしなさい」
「うっひょーう!」
では早速、とマヨネーズをたゆんとした胸の先に絞り出す。
ご主人様の体の熱でマヨネーズがとろりと溶けて谷間と横乳に流れ出すのを舌ですくいとる。
「…あむ、レロレロレロレロレロレロレロレロ」
「あっ…や、ああん!気持ちい…いやあぁっ!」
乳首を強めに吸うと触角が小刻みに痙攣して自分の肩に落ちてくる、びくびくしてて大変かわいらしい。
「…ごっ、ご主人様もマヨネーズ舐めませんかっ」
にるうーと自分のマイサンにマヨネーズを絞り出すとご主人様がぎょっとした顔でこっちを見ている。
「そんな変なものを見るような目でみないで下さい」
「事実変なものじゃない!」
ずい
「さあマヨネーズがかかったホットドッグだと思って」
「ひ…」
927 :
エビ♀:2008/03/12(水) 22:59:07 ID:+mpHKYM3
ご主人様はお口でキレイキレイが苦手だ、自分がご奉仕する一方なのは嬉しい半分つまらない半分なわけで。
「さあ、さあさあさあ」
ずいっ
「わ、わかっ…むぐっ!?」
わ、が聞こえたところで勢い余ってねじ込んでしまった。
後で首はねられても文句はいえないオイタである、がその前に噛みちぎられそうな気がする。
「…ご主人様?」
「いひらり…らにふ…んぅ…」
怒りながらもゆっくりと舌が動かされる、少しざらついた舌が!舌が!
「い、いいですよ。気持ちいいです…」
「んふぅ…む、ぬぷ。んんむ…けほっ、こほっ」
喉につかえたのかむせこんでしまうご主人様の背中をさする。
「マヨネーズ美味しかったですか?」
「おっ…!いしいとかそういう問題じゃないわよっ」
まあまあ、と怒るご主人様をなだめてタイルに寝かせる。
「…挿れていいですか」
「み、水に戻りたいから早くしなさいよね」
「…こっちにもマヨネーズかけていいですか?」
「エラに入るから却下よ!」
わき腹の殻の隙間にエラがあるので毎回マヨネーズをかけさせて貰えない。
「どうせこの状態じゃもう一度お風呂に入るんだからはぶっ」
「いいから挿れるなら早く挿れなさい!」
928 :
エビ♀:2008/03/12(水) 23:01:11 ID:+mpHKYM3
「それじゃ、失礼します…」
ぬぷぷ、と音を立ててご主人様の中に愚息が飲み込まれていく。
「んぅ…」
「へへっ、大分慣れてきましたね」
そりゃあ出会ってからぬぱぬぱやりまくってますからね、初めての時のきゅうきゅうとしたきつさから今はとろけるような締め付けだ。
「あ、早くうごきなさ…じんじんする…」
ご主人様の細い指が自分の肩を掴んで促す。
そりゃあもう仰せのままに。
太ももをがっちり掴んで腰を打ちつけるとご主人様の汗が顔に弾け飛んだ。
「いっ、あぁっ!やぁ、気持ちい…!やだぁ!あぁいっちゃ…!」
「っく…」
「あ、やぁあああぁあ…!」
びくびくとご主人様の全身が波打ち、触角の先まで走った震えがようやく落ち着いた頃。
「………」
「よかったですよご主人様!」
マヨネーズと精液と愛液でべたべたになったご主人様の握られた拳がぷるぷると震えている。
「このバカ!もう一回お湯に浸からなきゃいけないじゃない!」
「でもご主人様も挿れてって…」
「うるさいわね、あんたも入りなさい!」
「じ、自分泳ぎは苦手でぎゃあああ」
――――――――――――――――
エビ国は興味があるけども難しいです
なんというマヨプレイ!ぐっじょぶ!
変態マヨプレイGJ。ど、奴隷はここまでやりたい放題
やっても許されるとですかッw
梅。
どうやらこれで埋め終了だな。
GJ!でした。
v――.、
/ ! \
/ ,イ ヽ
.. / _,,,ノ !)ノリハ i
i jr三ミ__r;三ミ_ ヽ
l ,iヾ二ノ ヽ二 ハ ノ / ̄ ̄\
ヽ、.l ,.r、_,っ、 !_, /ヽ、___ノ| / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
. ! rrrrrrrァi! L_./⌒( i " i | ./ < そら、次スレ行くぞ!次スレ!
ヾヾ ゝ、^'ー=~''"' ;,/. | i | i > \______________
ゞ","",,ヽ >、__,r / ヽ | i ″)
ヾ ,, ,, ヽ ノ | i i .丿
/ヾ ,, ,,ヽ ( / )/ | ‖i /
| ヾ ,,,, ヽ "──"" ノ(/| ii | )
ヽ ヾ ,, ,, ,,.ヽ ノ ./ .|__ii___|ヽ
ヽ ヾ ,,, ,, \ / i⌒( ̄ ~ |
/ )==(○)==( ヽ- ̄ ̄ /
(⌒-/",,--______-- ",, ヽ ゝ─-- /
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ヽ( ソ""""\ ヽ i_/
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