【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part9【改蔵】
2 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 12:25:44 ID:hjAZy2MD
⊂(゚Д゚⊂⌒`つ≡≡≡
>>1乙
・・・・・・・・しかしまだ前スレ立ってから2週間たってないんだが
・・・・・・・・どれも神作品ばかりだし・・・
>>1 乙です………って、私なんかに労われても迷惑なだけですよね
ごめんなさい!!本当にごめんなさい!!
さて
わずか2週間で前スレが寿命を迎えつつある今日この頃、皆様如何お過ごしでしょうか
この度は、先にさらっと予告させて頂いた大草さんものを投下させて頂きたく、馳せ参じました
テキストファイルのサイズがジャスト20KB、前スレが481KBということで、ギリギリアウトでした
前々回も同じ様なことがあった思い出があります、絶望した
ということで、大草さんメインです、が………ちょっと諸注意をば
・大草さんに勝手な鬱設定が負荷されています
・予想以上の長さになってしまったため、今回は前編のみの投下となります申し訳ありません
・まといのことを想って切なくなり過ぎたので、相手(というか主人公)が先生じゃないです
以上3点、本当にごめんなさい
了承して頂けたら、あるいはスルー決定して頂けたら………以下へ、どうぞ
7 :
徒花 1/7:2007/09/23(日) 16:37:04 ID:0RKpmk06
そんな恋愛なんて、ボクにとっては、フィクションの世界だけの存在だと思っていた。
本当にドラマチックな恋なんていうのは、世界に星の数ほど居る人間のうちのほんの
一部だけが体験できる特別な代物であって。その他大勢の人間は、フィクションの世界
に触れることで疑似体験することしか出来ないものであって。そしてボクは、確実に
その他大勢の側に居る人間であると。ずっと、そう思っていた。
「………はぁ………。」
そう。ずっと、思っていたんだ。
このクラスで………あの人に、出会うまでは。
「ごめんなさい、帰って夕食の用意しなきゃいけなくて………。」
「あ、そうなんだ。いいよ、あとはやっておくから。お疲れ様。」
その日、残った日直の仕事を引き受けて、ボクは大草さんの背中を見送った。申し訳
なさそうに1度ぺこりとお辞儀をして、改めてお礼を言って、彼女は去っていく。
廊下へ続くドアからこっそり顔を出して、小走りに昇降口へと向かう大草さんの背中
を見つめながら………ボクは、小さな溜め息を吐いた。
「どうしたの久藤くん。溜め息なんて。」
教室に誰も残っていないことを確認した後だったから………背後から突然声を掛けられ
て、ボクの身体は思わずビクリと跳ねた。
「………あれ。まだ残ってたんだ、風浦さん。」
いつの間にか背中を取っていた彼女に内心驚きながら、なんとか平静を保って返事を
する。彼女とは小さい頃から何かと縁があり、まぁそれなりに長い付き合いにはなる
のだが………今でも、何を考えているのか解からないことがある。
「別に、なんでもないよ。ちょっと、疲れてるだけ。」
「そう。あれ………麻菜実ちゃん、帰っちゃったの?日直は?」
「夕食の準備だってさ。ほら………いろいろ、大変なんでしょ。大草さん。」
「そっか………手伝う?」
「有難う、でも大丈夫。もう終わるから。」
こうして、普通の会話も出来るんだけど。時折見せる、妙な行動力というか、傍から
見たら奇行にしか見えないことに注ぐエネルギーは、どこから出てくるんだろう。
………ああ、やっぱりこんなドラマチックな恋は、風浦さんみたいな、ちょっと普通
からは外れた人が体験するべきだな。ボクみたいなありきたりな男には、荷が重い。
そんなことをつらつらと考えているうちに、風浦さんは教室を出て行った。去り際、
無理しないでね、と一声掛けてくれた彼女に微笑んで、手を振る。
そして………独り残された教室で、ボクはまた、溜め息を吐くのだった。
子供の頃は、ちょっと気になる女の子の2人や3人、出来たことはあるけれど。それ
は、この歳になって考える恋愛とは、やっぱり少し違ったもので。そう考えると、
ボクは今まで、本当に誰かに恋をしたことが無かったんじゃないかと思う。
だから………今、ボクが落ちているこの恋こそが、ボクにとっては、人生で初めての
恋ということになる。
正直に言えば、今までに女の子から愛の告白を受けたことは、何度もある。それこそ、
両手の指じゃ数え切れないくらいに。自分では、どこにそんな要素があるのかピンと
来ないけれど、どうも昔から、恋愛対象にされやすいらしい。けれど、そのどれもが、
ボクにとっての初恋には到らなかった。その理由は………やっぱり、自分が恋愛感情
を抱いていない相手と付き合うというのは、その相手にとっても失礼だと思ったから
………だろうか。まぁ、それを言うと、愛の告白なんてものはほとんど成立しない
ことになってしまうけれど。特に気になっていたわけじゃないけれど、告白された
からとりあえず受け入れる、という人も居るけれど………まぁ、それで結果的に幸せ
になれれば問題無いのかも知れないし、そもそもボクなんかがそれが正しいか間違って
いるかなんて決められない。だからそれについて、何か言うつもりは無い。
………話がズレたけれど、とにかく、今まで恋愛らしい恋愛をしたことがなかった、
恋愛に関してはまるで素人のボクにとって。
「(………大草さん………。)」
この恋は………余りに、重たかった。それこそ、両手に余るくらいに。
相手が同級生、というだけなら、どこにでもある恋愛だけれど。まさか、その相手が
………高校生にして既婚の、人妻だなんて。しかも、そもそもそんな女の子自体が、
そうそう身近に居るものではないだろうに、その上で彼女はその結構生活に、旦那の
借金やら浮気やらと、複雑すぎる問題を抱えている。
8 :
徒花 2/7:2007/09/23(日) 16:39:01 ID:0RKpmk06
同い年で、そんな、とてつもない心労を抱えているにも関わらず。ああして、ボク等
となんら変わらない笑顔で強く生きている彼女に、ボクは惹かれたのだろうか。
それとも、彼女の境遇に、あの人の影を………いや、それは考えないようにしよう。
いずれにしても………彼女が既に他の男の妻である以上、ボクの出る幕など、ありは
しないのだ。どうして、ボクが割り込んでいく隙なんてものがあろうものか。
この心の内で確かに花開き。しかし、決して実を結ぶことは有り得ない。
この先に何を残すでもなく、ただそこにあるだけの、まるで徒花のような恋心。
本当に………こんなに面倒な恋煩いなんて、小説の中だけの話にして欲しかった。
机の整頓を終える。窓の鍵は、さっきチェックした。
「………帰ろう………。」
ボクは独り、力無くそう呟いて………鞄を担ぎ、教室を後にした。
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ホームルームを終えて、望が宿直室に戻る。生徒達もあらから出払って、残っている
のはクラブ活動に勤しむ部員達くらいのものだ。文学部や書道部の顧問は、授業が
終わっても生徒に付き合わなければならない………断っておいて良かった。
「交………は、皆さんと一緒ですか。」
ちゃぶ台の上のメモを手に取って、望は苦笑した。
『少し、交くんを借りていきます。2のへ組一同。』
一同、とはまず間違いなく、女子一同のことだろう。女子高生のお姉様方と一緒に外出
だなんて、普通は、あの歳の男の子にとっては楽しいイベントだろうが………メンバー
がメンバーだ。交も、また何か新しいトラウマを作ってくるかも知れない。
「………まぁ、交には悪いですが………のんびりさせて貰いますか。」
「そうですね………。」
「って、常月さん!皆さんと一緒じゃないんですか!?」
いつの間にかちゃぶ台の向かいに陣取ったまといの姿に、望は思わず1歩後退る。
「迷ったんですが、やっぱり先生のお傍に居たくて………。」
「………はぁ………。」
「久々に、先生と2人きり………嬉しいですわ。」
「3人だよ。」
そうしているうちに、今度は押入れの中から、霧の声が割って入る。
「って、小森さんまで!人のプライベートルームに、勝手に入らないで下さい!」
「………宿直室だよ、ここ。」
せっかくの孤独な時間を邪魔されて、望ががっくりと肩を落とした。
と。そのとき。
『コン、コン。』
宿直室の戸をノックする音が、宿直室に響く。
「おや………誰でしょう?」
これ幸い、とばかりに、望が立ち上がりそそくさと出入り口へと向かう。正直な話、
あの2人の間に居るというのは、かなり気まずかった。原因はほとんど、望が彼女達
にあらぬ勘違いをさせたことにあるだが。
「はいはい、今開けます。」
ガラ、と引き戸を開ける。その先に立っていたのは、望の見知らぬ、男であった。
「え、っと………失礼ですが、2年へ組の、糸色先生はいらっしゃいますか?」
「糸色は、私ですが………どちら様でしょう。」
「あ、すいません、申し送れました。私達は………。」
私達、と言われ、望は首を傾げる。すると、戸の前に居た男の背後から、背の低い女性
が1人顔を出し、ぺこり、と頭を下げた。
そして、男の方も。
「………麻菜実の、身内の者でございます。」
そう言って、女性にならうように頭を下げた。
9 :
徒花 3/7:2007/09/23(日) 16:40:47 ID:0RKpmk06
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図書室で本を返して、次に読む本を借りて、下駄箱へと向かう途中。
宿直室の前を通り掛った所で、ボクは、意外な2人の姿を眼にした。
「あれ………常月さん、小森さん。」
2人が、振り返る。
「あ………久藤くん、久し振り。」
「あら。今、お帰り?」
まず霧が、次いでまといがボクの姿に気付いて、各々挨拶をする。この2人が一緒に
歩いているのを見るなんて、珍しいことだ。2人は一応、糸色先生を巡る恋敵のはず
なんだけれど。
と。そういえば、先生の姿が見当たらない。常月さんが先生の居ない所に居るなんて
珍しい。小森さんに到っては、こうして廊下を歩いているのを見るのが久し振りだ。
「珍しいね。先生の所じゃないんだ。」
「先生、お客さんだって………大事な話があるから外して欲しい、って。」
常月さんに尋ねたつもりが、小森さんに答えられる。
「へぇ………先生に、ねぇ。」
なんだか、先生がこの2人を追い出してまで対応するような相手を思い描くというの
は、難しいような気がした。誰かの保護者でも来たのだろうか。まぁ、木津さん辺り
なら家で先生のことをどう言っているのか解からないから、苦情の1つも言われそうな
ものだけど。
などと、つらつらと考えをめぐらせていた、そのとき。
「大草さんの、ご家族の方ですって。なんでも、大事な話があるとかで。」
常月さんが呟いたその言葉を聞いて………ボクの思考が、一瞬だけ、停止した。
「………大草さんの、家族?」
「ええ。せっかく皆出払って、先生と2人で静かに過ごせると思ったのに………。」
「3人だってば。」
2人の間に微かな火花が散るのにも、気付かず。ボクは、立ち尽くした。
大草さんの、家族。
それは、まさか………大草さんの、夫、のことだろうか。
「………まだ、居るのかな?」
「え?ええ多分、さっき来たばかりだから………。」
「久藤くん、先生に用事?」
「ああ、いや………ちょっとね。」
適当に、話をはぐらかす。やがて2人との会話を終えて、結局、先生が忙しいなら用事
は後にして今日は帰る、ということを2人に仄めかし、形だけは下駄箱に向って歩き
出す。
そして、宿直室を去る2人の背中が、廊下の曲がり角の向こうに消えた後………ボクは
こっそりと、宿直室の前に舞い戻った。
戸をほんの少しだけ開けて、中の様子を伺う。中には、こちらに背を向けて座る先生
と………それに向かい合って、つまりはこちらを向いて座っている、2人分の人影が
見えた。
片方は、背の低い、見たところ初老の女性。そしてもう1人は………割と体格の良い、
若い男の人だった。さっきの疑惑が、脳裏を過ぎる。
「(まさか………あれが………?)」
もしかするとあの男が、大草さんと結ばれ………借金や浮気で、彼女に苦労を掛けて
いる張本人なのだろうか?
少なくとも、一見した限りでは、そんなに不誠実な人間には見えないが………。
「ご家族、と仰いましたが………そちらは、お母様で?」
「はい。麻菜実の、母です。」
「すると、そちらは、もしかして………。」
先生が、いきなりボクにとっての核心に迫る質問をする。大草さんの家族と名乗った
相手が、彼女とどんな関係なのか確かめているだけなのだから、至極当然の流れなの
だが………ボクは必要以上に緊張し、掌に汗を滲ませた。
そして………。
「はい、私が、麻菜実の夫………。」
「(………ッ………!?)」
その男が放った、言葉を耳にして。
「………ということに、なっております。」
「え?」
「(え?)」
ボクと、先生が、同時に声を失った。
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麻菜実の夫、ということになっている。
その言葉を聞いた瞬間には、望は、その意味を理解できなかった。
「ええ、と………なっている、と、仰いますと………?」
ちゃぶ台越しに望と向き合ったその男は、しばし、視線を落として口を噤んだ後………
意を決したように顔を上げて、低い声で、語り始める。
「私は………麻菜実の、兄です。」
「………………は?」
いよいよもって、話が見えなくなる。夫であるということになっていて、しかし実は
兄である、とは一体全体どういった事情だろう。一瞬、禁断の恋を想像してしまうが
………それを、わざわざ担任の教師に伝えには来ないだろう、と考えを改める。
「すいません………その、何から話せばいいのか。」
「あ、いえ………ゆっくりで、結構ですよ。どうせ暇ですから。」
未だにどんな素性を持つのか解からない男と、麻菜実の母の重苦しい雰囲気を悟り、望
は努めて明るい声でそう言った。しかし、その額には、何か嫌な汗が浮かんでいる。
「おそらく先生は、うちの麻菜実が既に学生結婚をしているとお聞きでしょう。」
「え、ええ………旦那さんの話は、よく伺っておりますが。」
望の言葉に、男はまた視線を落とし………今度はそのままの姿勢で、言った。
「麻菜実は………結婚なんて、していないんです。」
宿直室の空気が、凍り付く。
「え………いや、しかし………麻菜実さんご本人は、確かに………。」
「ですから、その………非常に、言い難いことなんですが。」
「………………。」
「………麻菜実が、そう思い込んでいる、だけなんです。」
予想だにしなかったその言葉に、望は再び、言葉を失った。
「………まさか………何故、そんな………?」
「話せば、長くなりますが………先生のお耳には、入れておきたくて………。」
男は、そう前置きしてから、事の顛末を語り始める。
麻菜実の兄の、話によれば。
1年前まで………麻菜実には、実際に結婚するはずだった相手が、居たのだという。
名前は明かさなかったが、どうやらその彼は、中学校の頃から麻菜実と付き合っていた
恋人だったらしい。両親や兄とも仲良くなり、大草家とは、家族ぐるみの付き合いを
していたのだそうだ。
しかし。その関係は、ある事件をきっかけにして、激変することになる。
麻菜実が………その恋人との間に、新たな命を授かってしまったのだ。
高校生で妊娠、だなんて、最近ではそれほど珍しい話でもないが………しかし、それは
決して、世間一般に認められるような出来事ではなかった。恋人の家族も麻菜実の家族
も、そのことに関しては、2人をこれでもかと言うほど叱り付けたそうだ。
しかし、いくら叱ったところで、麻菜実の置かれた状況は好転しない。冷静になった
両家は、麻菜実の授かったその命について、今後どうしていくかを話し合った。どちら
の家族も、その命の芽を摘み取ってしまうことには、いささかの抵抗があった。しかし
高校生の2人が、赤ん坊1人を養って生きていけるほど世の中は甘くない。
そこで両家は、麻菜実の出産を許し、生まれた子供は2人が家庭を築ける能力を持つ
ようになるまで、協力し合って育てるという結論に到った。その頃、恋人の方は既に
高校を卒業していたが、麻菜実はまだ法律上は結婚が許される歳ではなかった。
その後、恋人は自立する為に必死で勉学に励み、やがて、自ら会社を立ち上げる決意を
するまでに到った。大草家も、それに協力する為、少なからず資金を提供した。
後は、恋人が自立し、妻と子供を養って生きていけるだけの人間に育って麻菜実を迎え
に来てくれるまでの辛抱だ。麻菜実は、自分と恋人の家族に感謝しながら、腹の中に
新たな命を抱き、辛抱強くその時を待った。どこからか噂を聞きつけたクラスメイトに
後ろ指を指される様なこともあったが、しかし、恋人への信頼と自らの子供への愛情
が、麻菜実の心を支えていた。
しかし。悲劇は、突然訪れることになる。
麻菜実の恋人は、あろうことか………起業の為に麻菜実の両親が貸した金を持ったまま、
蒸発してしまったのだ。
何の前触れも無く、連絡1つ寄越さず。家族にすらその行き先を告げず、恋人は………
いや、麻菜実の恋人を名乗っていたその男は、全てを捨てて、逃げ出したのだった。
麻菜実と家族が相手の家族を追及するも、恋人の行方は知れず。やがてはその家族も、
断りも無く逃げるように転居し。後には、茫然自失の麻菜実だけが残された。
全てが眼の前から消え去ったその日の夜、麻菜実は自宅で倒れ、近くの病院へ入院する
ことになった。そのときの衝撃と、おそらく精神的な疲弊も祟ったのだろう………残酷
なことに、麻菜実が宿した新しい命は、1度も外の世界の光を知ることなく、潰えた。
入院中、麻菜実は家族に対しても一言も口をきくことはなく。体力的に回復し、自宅に
戻った後も、長い間自室に引篭もるような生活が続いた。家族もその様子を悼みながら、
しかし掛ける言葉を見つけることが出来ず、無力感と、蒸発した男への憎悪に苛まれ
ながら日々を過ごした。
そして。家族すらも麻菜実の姿を見ないまま、数日が経った、ある日。
意を決して、麻菜実の部屋に向かったのが………麻菜実の、兄だった。
兄には、麻菜実の心の傷の深さを推し測ることなど到底出来はしなかったが、しかし、
そのまま何もせずに麻菜実を放っておくことなど、耐えられなかったのだ。麻菜実に、
立ち直って欲しい。あんな男の為に、この先の人生をこれ以上大きく捻じ曲げて欲しく
ない。その想い1つで、兄は、麻菜実を部屋から連れ出す決心をした。
しかし。
数日の間、麻菜実と家族を隔絶してきたそのドアを開いた先に居た、麻菜実は。
自分を迎えに来た、兄の姿を見て………思わぬことを、口走った。
『ああ………おかえりなさい、「あなた」。』
麻菜実は、自分の、実の兄に向かって。そんな言葉を、放ったのだった。
「………そんな、ことが………。」
望は、声を詰まらせた。
「医者からは………麻菜実の心が、自分を護る為に取った行動だと、聞かされました。」
「………つまり、その………精神的なショックの所為で………?」
「はい。耐え難い現実を忘れる為に、記憶を書き換えてしまったのだろう、と………。」
余りに、残酷というか、壮絶というか………とにかく荷が重いその話を聞かされ、望は
しばし、麻菜実の兄と母に掛ける言葉が見つからなかった。
それを察したのか、望の返事を待たずに、兄が続ける。
「その………こんな話をされても、迷惑かとは存じますが………。」
「あ、いえ、そんな。」
「けれど………糸色先生には、どうしても、伝えておきたかったんです。」
「………私には、と言いますと、今までは………?」
「今まで担任してくださった先生には………いえ、他のどの先生方にも、まだ。」
望が、首を傾げる。
「………どうして、私にだけ?」
兄は、ほんの少しだけ言葉を探すために沈黙した後、疲れ切ったような、しかしどこか
安らぎを感じさせる微笑みを浮かべた。彼がこの部屋に来てから笑顔を見せたのは、
そういえば初めてのような気がした。
「今までは、麻菜実の口から学校での話なんて、聞いたことが無かったんです。」
「………………。」
「それが、最近では………よく、話してくれるんです。クラスのこと、先生のこと。」
「………そう、ですか。」
「もしかしたら………麻菜実も、皆さんのお陰で、変わったのかも知れません。」
確かに、変わり者だらけのあのクラスに居れば、変わりもするだろうが。喉まで出掛け
たその言葉を、望はもう1度腹の底に呑み込んだ。
「そう考えたら、どうしても、話しておかなければと思えてきまして………。」
兄が、また、言葉を詰まらせる。その隣で、母は始終黙り込んだままだった。
「………解かりました。有難うございます、心に留めておきます。」
「………はい………。」
そして。望は、最後に尋ねる。
「差し出がましいようですが………これからは、どうなさるおつもりですか?」
「麻菜実も、昔より、精神的に立ち直ってきているのだと思います。ですから………。」
「………………。」
「遠からず………真実を伝えなければ、と。そう、思っています。」
その答えを聞き、望は微笑んだ。
「………そうですか。」
「麻菜実にはまだ、未来があります。私達が、触れるのを怖れていては………ね。」
「うちには、カウンセラーの先生も居ますから。何かあったら、相談してください。」
「………有難うございます。」
兄はそう言って、深々と頭を下げた。天辺が少々薄くなっていて、これは気苦労の所為
なのだろうな、というようなことを、望はぼんやりと考えた。
一通りの話を終えて。望は、2人を来客用の玄関まで見送った。
ひとまず、クラスメイトの面々には麻菜実のことを口外しないことを約束した。それは、
麻菜実が本当に立ち直ったその後に、知らせればいいことだ。変に気遣わせて、生徒達
の関係を壊してしまうようなことがあってはいけない。
挨拶を済ませ、その背中を見送った後。望は、がくり、と肩を落とす。
「………どっと、気疲れしてました………話が、重い………。」
「御疲れ様です、先生。」
「もう、戻っていいの?」
「わぁ!け、気配を消して忍び寄らないで下さい!しかも、小森さんまで!」
いつの間にか後を追っていた2人に狼狽しながら、望はいつもの調子で、ばたばたと
宿直室へ引き返していった。
結局最後まで………望が、いつの間にか学校を去った准に気付くことは、無かった。
//////////////////////////////////////
後悔した。
何も、知ろうとしなければよかった。
心の底から、自分の軽率な行動を、呪った。
「(………なんだよ………そんなの………。)」
彼女を捨て、彼女の心を病ませた男への、果てしない憎悪。
何の理由も無く、そんな身勝手な男に人生を狂わされた彼女への、深い憐憫。
そして………。
「(ボクが、知ったところで………どうしようも、ないじゃないか………ッ。)」
絶望的な程の、無力感。
ボクは自分が、彼女にとっては所詮、1人のクラスメイトに過ぎないことを改めて思い
知る。本来ならば知る由も無いはずの、愛しい彼女の悲しい真実を知り………しかし、
何一つとして、起こせる行動などありはしない。一方的に憧れているだけの彼女の過去
に根差した問題に、どうしてボクなんかがしゃしゃり出ていけるものか。
「(ボクは………ボク、なんか………ッ!)」
彼女の日常に干渉する権利も、彼女が信じてきた世界を否定する権利も………ボクには、
彼女を救い得るどんな権利も与えられていない。唯一与えられているのは、彼女が真実
を知り、そして立ち直るその時を、ただ祈りながら待つという権利だけ。
その程度だ。ボクに、そんな大それた資格など、あるはずもないのだ。
「(………くそ………っ………。)」
コンクリートの塀に、拳を叩き付ける。鈍い音が鳴り、痛みが骨にまで響く。
全身を掻き毟るような、焦燥にも似た感情は消えることなく。
ただ、ボクの心の闇の底で、じりじりと燻り続けるのだった。
//////////////////////////////////////
数日後。
麻菜実は、自宅の居間で、見慣れた顔の男と向き合っていた。
テーブルを挟んだその向こう、男の両隣に、自分の両親が控えている。
何故、こんなに沈痛な表情をしているんだろう。数分前、麻菜実は首を傾げた。
そして、今。
「麻菜実。今日はお前に、大切な話をしなくちゃいけない。」
「お前にとっては、とても辛いことかも知れないが………。」
「お前には、真実を知る権利があって、俺達にはそれを伝える義務がある。」
「家族として………いつかは、通らなければいけない、試練なんだ。」
「だから………眼を背けずに、向き合って欲しい。」
「お前なら、きっと受け止められるって………俺達は、信じてる。」
「………『兄さん』が………これから、話すこと。しっかり、聞いてくれ。」
麻菜実の頭の中で、眼の前の男が数分前に放った言葉が、リピートされる。
壊れたビデオデッキのように、同じ言葉と場面が何度も何度も再生される。それは、
いつも決まった所で頭出し繰り返し、その先へ進もうとしない。
まるで………麻菜実の頭が、場面がその先へ進むことを、拒んでいるかのようだった。
やがて。
延々と繰り返されるその映像を見つめ続ける、麻菜実の心の中で。
何かが、ひび割れる音がした。
14 :
徒花:前:2007/09/23(日) 16:54:53 ID:0RKpmk06
(続く)
前述の通り、先生がお相手だとまといを始め他の子が余りに切なかったので、初めて久藤君で書いてみました
とりあえず前編ということだったのに、途中までタイトルに入れ忘れました、絶望した
あと変に引っ張ってごめんなさい
まだ未完のものにお付き合いくださった方々、並びに華麗にスルーしてくださった方々に、御礼申し上げます
礼 多謝 土下座
>14
久々に続きが楽しみな作品が来た感じ。
楽しみにしてます。
そうゆう展開になるとは思わなかった!
予想できないぜ
むずんぱ! 可符香の手が芽留の腕をしっかり掴んだ。
携帯を取り上げられた芽留は抗議の言葉を発することもできない。抗うことさえできず、可符香にされるが
ままとなってしまった。
「大丈夫よ。言葉以外にも心を通わせる方法はたくさんあるのよ」
心の奥まで見抜かされそうな可符香の視線にじっと見つめられ、もう蛇に睨まれた蛙同様、何もすることが
できなかった。
「じー」
可符香の瞳から催眠術に掛かったかのように視線をそらすことができない。
「わかった! こうして欲しいのね」
可符香の手が伸び、いきなり芽留の服の下に差し込まれる。
「こんな大胆なことを私にさせてくれるなんて、照れるなあ」
可符香は終始笑顔だったが、そこに一瞬、今まで見たこともない意地悪な笑みが浮かんだように芽留は感じた。
新スレ早々なんてGJ
折角前スレの鬱SSがハッピーエンドで終わってすっきりしたのに
また続きを待ち続ける生活だぜ
だが、それがいい
>>14 切ないですなー。GJ。続き期待してます。
>>18 こっちも激しく続き期待なんですがw。
可符香に絡め取られていくめるめるも何だかアリな気がしてきたw。
放課後・・・。
人気もなくなった校舎の中、茶道部の部室で木津は一人備品の点検や整理を続けていた。
「もう、勝手なことされちゃ困るのよね」
備品の畳の位置が変わっていたり、什器が使われている跡があったり、最初は誰の仕業
かわからなかったのだが、最近になってやっと小森が使っていることに思い当たったのだ
が、印象と違い気の優しいところもある木津は、どう注意したものか言いあぐねていた。
「きっちり貸出票でも記入してもらおうかしら」
今日は部活動は休みの日である。他に何も予定はないし、木津にとっては心の休まる瞬
間でもあった。
コンコン、ノックの音がした。
「どうぞ」一体誰かしら? 木津は考えた。
「おじゃましまーす」
引き戸をがらりとあけて、ちょっと能天気とさえいえそうな明るい声を上げて入って
きたのは風浦可符香であった。
「明かりがついていたらと思ったら、やっぱり千里ちゃんだ。熱心ねえ」
「整理整頓していないとすぐに汚くなっちゃうから」
「きっちり粘着質だね、千里ちゃん」
普通ならかなり嫌味な言い方なのだが、可符香の場合あまりに自然にそれをいうので、
どうにも反論のしようがない。
「そうね」木津は怒るのをあきらめてそう答えた。
「あれ? そういえば千里ちゃんはカラオケ行かなかったの?」
「え、カラオケ?」そう答えて木津はやっと意味がわかった。今日の昼休み、晴美や
小節さん達が教室で何やら話しをしていたのだが、木津が近づくとちょっと困ったよう
に話題を変えたのだ。
(私を誘うのが嫌だったんだ・・・)そんなのはなんでもない、と無理に思い込もうと
したが、やはり傷ついた心はごまかせない。
「あ」
可符香も自分の問いが引き起こした結果に気づいたのだろう。慌てて視線をそらして
話題を変えた。
ただ、木津の位置からは見えなかったのだが、可符香の瞳には一瞬邪悪な光が浮かん
で消えた。
「あたし良かったら、少しここにいたいですけど」可符香が言った。
「いいわよ、別に。お茶でも飲む?」
「うん。ありがとう」
二人分のお茶とお茶菓子を用意し、畳の上にお盆を置いた。
「うわあ、やっぱり千里ちゃんのお入れたお茶は美味しいな」
「ありがとう。ま、きっちりお湯の温度まで気を使っているから」
「こういうのものんびりできていいね」
木津はあらためて可符香を見つめた。最初の頃は単なる天然ボケキャラなのかな、と
思っていたが、どうもこの子は人の心を手玉に取る才能がある、そんな風に考えるよう
になってきた。
最近では音無芽留も可符香にすっかりなついてしまっているようだった。いや、単に
私が誰とでも友達になれる彼女に嫉妬しているだけなのかもしれない・・・。
(どうしてなんだろう・・・? 私もこんな風に脳天気だったら、もっと毎日が楽しい
のかな?)
23 :
部室でのできごと3:2007/09/24(月) 16:21:34 ID:ee4u+TO4
「千里ちゃんって本当に奇麗な髪の毛をしているね。ちょっと触っていい?」
「え、でもそっと触ってよ」以前の大惨劇を思い出し、木津は言った。
可符香は千里の横に移動してくると、髪を手にとり、それを鼻に当てて匂いをかいだ」
「可符香さん!」
「千里ちゃんの髪の毛、とってもいい匂い」耳元で囁くように言う。
「先生が一度、ガムシャン、って言ってたよね。あれ、ひどいと思ったんだ」可符香
はそういったが、「ガムシャン!」と一番嬉々として叫んでいたのが可符香であること
を木津は知らない。
「うん、あの時はちょっと傷ついちゃった」つい本心を漏らしてしまう。
「あたしもこんな長い髪にしてみたいなあ」木津の横に座り、なおも顔を寄せてくる
可符香に対し、思わず身を引いた。
可符香も座りなおし、少ししょんぼらとした表情になって木津を見つめた。
「千里ちゃんってあんまり私のこと好きじゃないのかな?」
「え、そんなことないわよ。いつも仲良くしてるじゃない」
「でもなんか、ときどき避けられているような気がするよ」
木津はどきっとした。確かに最近可符香に対して苦手意識を持っているのではない
か、という考えを持つようになった。ただ、それをあからさまに示したことなどないは
ずであるが。
「そんなことないよ、いい友達よ」
「うれしい! あたしもっとももっといい友達になりたい!」
そう叫ぶと、可符香が木津に抱きついてきた。木津は驚いたが、それだけでは済ま
ず、勢いに負けて畳の上に倒されてしまう形になった。
「ちょっと、可符香さん!」木津はあわてて引き離そうとしたが、可符香はぎゅっと
抱きついたまま離れない。
可符香の髪の襟足が木津の口元に当たるような格好で、可符香はさらに耳元でささや
く。
「千里ちゃんがいいなら、あたしもっともっと仲良くなりたい」
「どういう意味?」
可符香は木津より一回り小柄だが、そこから想像もできないほど力があり、木津は押
さえつけられるような形になってしまっていた。
「こういう意味です!」
顔を上げた可符香はにっこり笑うと、木津にキスをした。
最初こそ抵抗したものの、木津はすぐに可符香のされるがままになった。
可符香の舌が木津の口の中をまさぐるように動き、その奇妙な感覚に木津も我を忘れ
て応えてしまった。
次に可符香が服を脱がせに掛かったときには、もう拒否することはできなかった。
「可符香さん、こんなことしたら、もう・・・」
「大丈夫だよ、千里ちゃん、まかせておいて」
可符香は手馴れた様子で木津の服を脱がせていく。
(もしかして、こういうことに慣れているのかしら・・・?)
木津は芽留が可符香になついてしまった理由に思い当たった。だがそれを問うことは
できず、可符香の手と舌を使った技の巧みさに、思わず声を上げてしまうほど感じてい
た。
可符香は献身的ともいえる熱心さで、木津を攻める。
「千里ちゃんの体ってとってもきれいね」
木津も可符香の体の感触を楽しんでみた。木津のものとは違い、ずっとふくよかなも
のに感じる。
「別に・・・お世辞を言わなくてもいいわよ」
「そんなことないよ」
茶道部の窓の外では、雨どいからがぶら下がったマリアが一部始終を見ていた。
手にはカメラを持っている。
「これはいい証拠写真になるナ」
シャッターを押そうとしたそのとき、ファイダーの中の可符香がマリアの方を向き、
かすかに首を横に振った。
「ん?」
意味を図りかねたが、シャッターのボタンから手を離した。
可符香には自信があった。そんなものに頼らなくても、今木津の心をしっかり自分の
ものにできたのだということを。
おわり
…いい加減住み分けってのをした方がいいと思う
GJ!
可符香って性的な意味でも女生徒たちを手玉に取っていそうだよね。
>>14 まといと霧の掛け合いが、それっぽくて上手いと思った
続きも期待してます
>>28 その誘導が必要かどうか疑問だと思うんだ。
明白な板違いならともかく。
アニメ見ててこんなネタが浮かんだ。
千里が大掃除に望の家(もしくは宿直室)にやって来る。
またいるかいらないか微妙なモノ(望にとっては大切なモノ)が次々捨てられる。
そんな中、紐を通した50円玉(五円玉のお守りみたいなもの)を見つける。
必死にそれを取り返そうとする望。一応お金なので捨てられず返され事なきを得る。
それがとても大切なのか理由を問いただす千里。だけど望は追求を頑なに拒み、口を割らない。
聞き出せなかった千里はイライラしながら他の微妙なモノを手当たり次第捨ててゆき
望の絶叫が響きわたる。その光景を見ていた交にも新たなトラウマが出来てしまった。
後日、千里が緊急連絡網でこの件を生徒全員に回す。
何故その50円玉をそんなに大事にしているのか?
2のへの生徒が一つの50円玉を巡って起こるドタバタオールキャラコメディ。
でも、書きません。
>>31 向こうでならその分野のを目当てにしている人ばかりだから喜ばれるけど
こちらではそうとは限らないって事だろ?
あちら側もpinkちゃんねるの板だし、そういう部類の小説をいくつか掲載しているし。
一ヶ月後、そこには大風呂敷をたためずに絶望する
>>32の姿が
おまいらまず前スレを埋めようぜ
>>32 そこは書いてくれよwwww
コメディは大好物なんだぜ。
自分で書きもしないコメディのプロットを書き込むのはOKで、他人には偉そうに誘導する神経は
わからん。
せめて誰か書いてよ、と依頼するのが筋じゃないか?
おまけにそのプロット、このスレに合っているのか?
>>37 まあ、とりあえず落ち着くんだ。
議論でスレを消費してちゃ職人様が来辛くなるじゃないか。
せっかく、このスレ始まって以来と言っても過言じゃないぐらいの豊作リッチ時代が到来してるんだ。
少々気に入らないことがあっても、大らかな気持ちで居ようぜ。
>>37 一言だけ言わせて貰うけど、俺が誘導した覚えはない。
ただ書き込んだ後
>>31にそういう疑問があったから答えただけ。
まぁ、その分野のスレがあるなら、そっちへ行ってもらった方が
スレの容量を少し軽く出来るとは思っているけど。
ここの住人が百合好きばっかだと思うなよ!
俺はうんこの付いたパフェの次に百合が嫌いだ。
突然ですが長編SS投下します。
携帯メモ帳がベースなのでブツ切り感があるかも知れません。
百合じゃないですよw
43 :
宿直室にて@:2007/09/25(火) 10:18:13 ID:R2T8VaiC
「先生遅いね」
ここは鈴木商店高校宿直室。
今現在、ここに寝泊りしている教師の姿はなく布団を羽織った色白の少女と和装の少女の二人の姿があるだけだった。
「え?うん、そうね」
和装の少女常月まといは少し驚いたようにして答えた。
本来ならここに住んでいる教師と行動を共にしているのだが毎度の騒ぎで見失ってしまったのだ。
話し掛けてくるなんて滅多に無いのに。
「ねぇ…」
色白の少女、小森霧は押し入れから這い出し話し掛けてくる。
「なによ…」
まといは彼女のことがあまり好きではなかった。
44 :
宿直室にてA:2007/09/25(火) 10:21:32 ID:R2T8VaiC
積極的にアピールをかけてくるわけでもない、それなのに教師の好みにあっているからなのかまんざらでもなさそうな態度を教師はとるのである。
それが気にくわなかった。
霧がつづける。
「まといちゃんは…したことある?」
「なにをよ」
「その先生と…」
霧の言いたいことはわかる。
まといの表情が強り、それでも冷静を装い答える。
「まだ、よ。何でそんなこと聞くの?」
イライラが募る。
「みちゃったの」
まといの体に緊張が走る。「何を」
冷静に…受け答える。
「先生とあびるちゃんが、その、えっと、ここで…」
まといが冷静な表情のまま振り返り霧に答える。
「あなたもみていたのね」
45 :
宿直室にてB:2007/09/25(火) 10:24:21 ID:R2T8VaiC
霧は少し驚いた顔をして聞き返す。
「知って、たの?」
当然だった。何せ先生の後を常に付きまとっているのだから。
「ええ、それであなたは何を言いたいのよ」
まといの語気が強まる
「これからどうしたらいいのかわからないの、私、先生のこと好きだけど、でもわからなくなっちゃって、まといちゃんなら私に近いからなにかわかるかなって…」
そこまで言ったところで霧の体は畳の上に押し倒された。
顔のすぐ上にはまといの顔があった。
46 :
宿直室にてC:2007/09/25(火) 10:27:51 ID:R2T8VaiC
まといの顔は紅潮していた。
霧の言葉を遮り叫ぶ。
「近い!?私とあなたが?何を言っているのよ!あなたは!」
興奮状態のまままといは続ける
「私より…あなたの方が先生は好きだわ!色白で、ひかえめで、一緒にいて気に掛けてもらえて!私なんかずっと一緒にいるのにいつも『いたんですか』の一言だけなのよ!」
そこまで言ってまといの言葉が詰まる。
「気に掛けてもらってなんてないよ」
霧が悲しそうな表情で言う。
「それよりずっと一緒にいられるまといちゃんのほうが羨ましいよ。私、引きこもりだから」
沈黙が流れる…
二人はいつのまにか涙を流していた。
47 :
宿直室にてD:2007/09/25(火) 10:30:39 ID:R2T8VaiC
二人はお互いをライバル視しながらもどこかで認め合っていた。
この娘になら先生をとられてもいいと。
でも現実は違った。
小森霧でも、常月まといでも、木津千里でも、三珠真夜でもなく、小節あびるを教師は選んだのだから。
二人の涙は止まることなく流れ続けていた。
ガラッ。
不意に部屋の戸が開く、そこには件の教師、絶望先生こと糸色望が立っていた。
48 :
42:2007/09/25(火) 10:33:45 ID:R2T8VaiC
とりあえず書きためているのはここまでです。
後半は午後には上がるかと思います。
携帯は容量が少ないからいけない…
ここが勝負の分かれ目ですw
このスレには藤吉さんがたくさんいるので百合は他の板でやってくれとのことです
50 :
42:2007/09/25(火) 11:41:43 ID:R2T8VaiC
中編投下です。
エロいといいなぁ。
51 :
宿直室にてE:2007/09/25(火) 11:50:23 ID:R2T8VaiC
こ、これはどういうことなんでしょう。
二人の少女が組み合っている。しかも泣きながら。
思わず望は叫ぶ!
「絶望した!空気を読めずにオフエアを堂々とオンエアした作者に絶望した!」
そんな望の絶叫を気にすることもなく二人は潤んだ目で望を見つめる。
こ、これは厄介なことがはじまる予感がしますよ。
この事態をオフエアにするべく望は部屋を後にしようとする。
と、いきなり強い力で引きずり倒されたかと思うと少女達が望の体に覆いかぶさってきた。
押し倒された形になり望は動揺する。
「あの小森さん、常月さん…」
「先生!私じゃダメなんですか!?」
望の動揺は増してきていた。
「え、と、いったい何のことでしょう?」
まといが問い詰める
「隠さないでください!私たち見たんです!あびるちゃんと先生がここで…その、してたのを!」
「先生、あびるちゃんが好きなの?」
霧が悲しそうな顔で問い掛ける。
「え、私が小節さんと?な、なんのことでしょう」
「しらばっくれないでください!」
二人の声がステレオみたいに重なる。
望には本当に心当たりがなかった。
二人は一体何を言って…そこで望は自分の体の異変に気づく、ある一点が熱い。
絶棒が自分の意志に反し、大きくなってきているのだ。
52 :
宿直室にてF:2007/09/25(火) 11:55:21 ID:R2T8VaiC
うら若き乙女の身体が密着してきているのだ。
一般的な男性ならばそうならないことの方がおかしいのである。
その異変に先に気づいたのは霧だった。
「先生…」
霧の顔が紅く染まる。
まとあもそれに気づいた。
眉をあげ、何かを決意した表情になる。
「先生、私じゃダメなんですか…」
言いながらまといの手が絶棒をやさしく撫でる。
「ちょ、なにを…常月さんダメとかじゃなくて私とあなたは教師と生徒…」
しゅるっ。
布擦れの音がする。
その方向に目をやると霧が望の袴を脱がしにかかっていた。
「せん…せぇ…」
その顔は耳まで真っ赤だ
「小森さんまで…」
『ぴちゃ…』卑猥な音が宿直室に響く。
その絶棒はむき出しにされその根元には二人の少女の顔がある。
「先生…」
まといが切なそうな表情を浮かべ絶棒を舐める
『ずじゅっ…じゅるるるっ』
その白く美しい顔からは想像もできない陰猥な音がなる。
霧が睾丸を舐め、吸いあげていた。
「うっ、二人ともやめ…」
「だめだよ。せ〜んせ。」
霧がいつもと同じトーンで答える。
しかしその表情はとても卑猥で同一人物とは思えないくらいだった。
「もう…とまりませんよ」
まといが言葉を繋ぐ。
「うう…」
望の目には半ば諦めの色が漂っていた。
53 :
宿直室にてG:2007/09/25(火) 12:13:40 ID:R2T8VaiC
まといの手が絶棒を支え、その小さな口でくわえこむ。
『んむっ…んっ、んんっ』
じゅぷ、じゅぷ、といやらしい音が聞こえる。
「くうっ!」ふと左の乳首に生温かい感触が伝わる。
霧が望の身体を這い上り乳首を舐めていた。
「せんせぇ…」
『ちゅぷっ、ちゅっ、ちゅ』
「くうぁあ…」
望は二ヶ所を同時に攻められ、とてつもない快感に身を寄せていた。
ふとその快感の波が止む。
二人の少女はいつのまにか全裸になり望を見つめていた。
すると霧が絶棒に近付き…
『むにゅうっ』
生温かい質感が絶棒を包み込んだ。
「せんせぇ、気持ちいい?」
『にちゃっ、ぱふん、にちゃ…』
胸で絶棒に刺激を与えていく。
ああこれが『ぱいずり』というもの…じゃない何を考えているんですか!私は!
「小森さんやめ…んんっ」
まといが望の口をふさぐ、舌が望の唇をこじ開け侵入してくる。
『んむ、ぴちゃ、れろれろっ』
もうどうなっても知りません…もはや望はされるがままになっていた。
『ねちゃ、ぱふ、ぬちゃ』霧のぱいずり。
『ちゅ、ちゅっ、ちゅるるっ』
まといはいつのまにか右の乳首を攻めていた。
とめどなくつづく二人の愛撫に望は絶頂を迎えようとしていた。
「うっ!」絶棒から勢い良く精液が吐き出される
「うぁ、あつうぃ…」
霧の顔に、胸に、それは勢い良く浴びせかけられた。
「これが先生の…」
『ぴちゃ…』
まといが霧の胸についた精液を舐めとる。
「あっ…」
状況はかなり違うが、二人は望が部屋に入ってきた時と同じ状態になった。
と、望が立ち上がり
「もはやここまでやってしまっては後戻りはできなさそうですね。二人の想いに答えることはできませんが………慰めることはできます。それでよろしいですか?」
望は一度放出したことで冷静さを取り戻していた。
「はい…」
「うん…いいよ…」
二人は望の提案を受け入れた。
54 :
42:2007/09/25(火) 12:16:32 ID:R2T8VaiC
中編終了です。
いよいよラストスパート。
某モード中にメニューを開くすべを覚えたので無駄がなくなりました。
メモ帳の容量は変わらないがな!w
いいね、いいねー。
3P、望受け、ドキドキ。ラスト期待。
56 :
宿直室にて:2007/09/25(火) 13:50:18 ID:R2T8VaiC
「では、いきますよ」
望が耳元で囁く
「う、うん、いいよ…せんせぃ…きて」
霧がか細い声で答える。
霧のそこは今までの行為により十分に濡れていた。
『ずぷっ』
「うぁ…」
望は腰を進める
『ずっ、ぷちぃっ』
「ひぃ…痛…ああっ」
「大丈夫ですか」
望が心配そうに聞く
「大…丈夫…先生のだもん…う…」
望はさらに腰を進めようとする
と、何か突き刺すような視線を感じた。
まといである。
彼女は切なそうにこちらを見ていた。
望は少し苦笑すると指をまといのそこに突き入れた。『ずぷんっ』
「ひあんっ」
まといが喘ぐ
望が耳元で囁く
「もう少しまっててくださいね」
まといの顔がさらに紅潮する。
『ずぷっずちゅっ』
「ああっせんせぇ!いいよぉ…」
霧が色白の顔を真っ赤に染め、喘ぐ。
「いつもはひかえめなあなたのそんな表情も先生好きですよ。ひいきしたくなります」
「せんせぃ…あたしもす、き、ぃ」
霧はとろけたような表情になり、望はその表情に快感を覚える。
不意に絶棒を引きぬく望。
「ぇうっ…?」
強ばっていた霧の身体が弛緩する
「ふぁあ…」
「おまたせしました」
絶棒をまといのそれにあてがう。
「先生…」
『ずぷぅっ』
絶棒を一気に突き入れる!「あぎゃっ!せんせ…あぁっ…先生さっきまでと何か…性格が…ちが、っう!」
「一度開き直った私は積極的なのですよ。それにいずれは私と心中してくれるのでしょう?心中するのであればある程度の積極性もいりますよ」
よくわからない理論だが今のまといにはそんなことを考える余裕もなかった
「せっ…せんせ…はっ…はぁ…いぃっ」
『ずん、ずんっ』
「先生激しっ、あっ、もう、だめぇっ!」
まといの下にいる霧もすかさず差し入れられた望の指に感じていた。
「せんせい、あたしもっ、もう…」
「あっ、あっ、あっ、あ…いっ、いくうぅっっっ!」
二人の絶頂に達した声が響く。
二人の身体から力が抜けていく。
こうして宿直室の情事は終わった。
57 :
宿直室にてI:2007/09/25(火) 13:53:52 ID:R2T8VaiC
望の両腕を枕にして二人の少女が気持ち良さそうに眠っている。
「たまにはこういうこともわるくないですね」
望の口から珍しくポジティブな言葉が紡がれる
「ディープラブも…たまには…いい…です…かね」
とても清々しい気分に身をまかせ望はねむりについた。
こうして宿直室の情事は終わった。
宿直室から光が漏れている。
光の先には愛しの教師と二人の女生徒。
きっちりと分けられた髪、その髪がかかる肩を震わせ少女は呟いた。
「先生…」
THE END…?
真昼間から半端なエロ小説でスイマセン。
宿直室にて、これにて完結です。
主なあらすじを決めて妄想のままに書き上げました。
色々伏線を張ってしまいましたが。回収するかどうかはスレの流れに任せたいと思いますw
60 :
42:2007/09/25(火) 17:03:35 ID:R2T8VaiC
携帯だと結構、粗がありますね。ミスをいくつか見つけて軽く凹んでます。
続きですが、半日かけて書いちゃいましたw
休みの日になにやってるんだろう…
さて、連投していいものかどうか…
>>60 携帯神42氏 気にしないでいいと思い。
・・・ところで、携帯からも連投規制ってあるのでしょうか?
62 :
42:2007/09/25(火) 17:27:21 ID:R2T8VaiC
携帯42です。
続き投下します。
携帯のメモ帳どころかスケジュール機能まで原稿用紙にしてしまいました。
スレ汚しかもですがどうぞ。
>>61 今のところはないですねー
「はぁ…」
きっちりと分けられた長髪を微かに揺らし木津千里はため息を吐いた。
昨夜、宿直室で覗いてしまった教師の情事。
覗くつもりはなかったただ教師にきちっとしてほしくて宿直室に婚姻届を渡しにきただけなのに…
「はぁ…」
再びため息を吐く。
がたんっ
不意に前の席で帰り支度をしていた少女が向き直り千里に問い掛ける
「もしかして私、邪魔ですか?」
「え、え?」
少女は続ける
「考え事をしている木津さんの視界に私ごときが入ってしまってすいません!すいません!」
「え、あ」
「私邪魔にならないように帰ります」
「待って!」
千里は少女の腕をつかみひきとめた
「相談が、あるの」
「え?」
意外な一言に少女、加賀愛は少し驚いたものの、わたしでよければ、と相談にのることにした。
「愛ちゃんはその…好きな人とかいる?」
「え、えっと…」
愛は狼狽する
「愛ちゃん?」
「木津さん、その、スイマセン」
愛は焦っていた。気づかれてしまったのか、と。
千里はただ「きっちりする以外に好きな人に想いを伝える方法」を相談したかったのだが愛の狼狽ぶりから一つの結論に行き着く
「愛ちゃんまさか…」
「すいません!わたしなんかが、その、糸色先生を好きになってしまって!」
「そうなの…」
また悩みの種が増えてしまった。
愛ちゃんはひたすら謝り続けている。
その姿に千里は苛立ちを覚えたが相談にのってくれた手前、怒るに怒れなかった。
ふと、ある考えが千里によぎる、そして愛にこう切り出した。
「愛ちゃん先生のこと好き?」
愛は戸惑いながらも答える
「はい」
「Hしたいくらい?」
愛の表情が固まるその発言自体にも驚いたが発言者があの千里というのが驚きの根幹だった。
「あの、それはどういう…?」
「私、こんな性格だけどいざとなったら踏み込めなくて…だからいつも暴走したふりをしてごまかしているの…」
衝撃の事実…そんな事情があったとは。
愛が驚愕する。
「でもきっちりした性格はなおせないし、だから…」
愛が息を呑む
「二人一緒にきっちり先生と関係を持ちましょう!」
「ええええーっ」
正気なのだろうか?
いやもう正気ではないのかもしれない。
きっちり等分できないからといってショートケーキジュースを作ってしまう千里のことだからこの提案は暴走の域なのかも…そう思案していると千里が切なそうな顔をして呟いた。
「一人じゃ…不安なの…」
愛は理解した。
確かに彼女は時に常軌を逸した行動をとってしまう時がある。
それにより近づきがたいオーラも自然発生していたのだが、それは気恥ずかしさの裏返しなのである。
しかしそれを続ける限りその悩みは解消されることはない…
愛は決意を固めた
「いいですよ…」
「本当にいいの…?」
千里が聞き返す。
今まで見たことのないような表情で。
「はい…」
「ありがとう!愛ちゃん!!」
「でも…」
?
「あなたのためだけにするんじゃないんだからね!」
「愛ちゃん…」
「誤解しないでよね!」
愛が強い想いを持って千里に答える。
「本当にありがとう」
千里は小さな声でそう呟いた。
次の瞬間教室のドアが開く
「何か声が聞こえると思ったらあなた達でしたか下校時刻はとっくに過ぎてますよ」
その男の名は糸色望。
几帳面・粘着質少女と加害妄想少女の忘れられぬ一夜がはじまろうとしていた。
66 :
42:2007/09/25(火) 17:49:06 ID:R2T8VaiC
とりあえず、前半をあげました。
後半は推敲、修正が終わりしだい投下します。
67 :
前スレ851:2007/09/25(火) 18:41:37 ID:FvPzu3n5
21はチリハルを構想していたのに、全然別の話を思いついてしまった結果だったのですが、
そもそもこのジャンル自体ここでは歓迎されてないみたいですね。すみません。
出来上がったのはありますが、読み返してみてもなんか特に出来がヒドイので投稿はやめ
ておきます
代わりといってはなんですが、木津千里27歳があまりに暗い感じがしたので、別の未来を
妄想した結果を投下します。
エロなし、オチなし、意味なしです。興味ない方はスルーでお願いします。
68 :
教育実習1:2007/09/25(火) 18:42:20 ID:FvPzu3n5
「はい、みなさん、ちょっと静かにしてください。先週お話したとおり今日から2週
間、教育実習の先生と一緒に授業することになります。それではまずみなさんに挨拶を
お願いできますか?」一年ろ組の教室、いつもの月曜の朝と同じように、糸式望は大声
で教室の生徒達に話を始めた。
教室の入り口の近くには、地味目のワンピースに身を包んだ教育実習生の女性が立っ
ている。望に促されて教卓に上がり、一呼吸置いてから口を開いた。
「みなさん、始めまして。木津千里といいます。今日からこのクラスで、糸色先生、
そしてみなさんと一緒に勉強することになりました。いろいろ至らないところが多いと
思いますが、一生懸命頑張りますので、何かありましたら気楽に話しかけて下さいね」
そう言うと黒板に大きく「木津千里」と書いた。
教室の後ろの方からは、男子生徒たちの「結構可愛いじゃん」という小声だが無遠慮
な内容のおしゃべりが聞こえてくる。
(木津さんが、先生になるんですね・・・)望ははっきりとはしていないが、やや苦笑
したといった感じの面持ちで木津の挨拶を聞いていた。
69 :
教育実習2:2007/09/25(火) 18:43:23 ID:FvPzu3n5
木津が教育実習に来ることを知ったのは、つい一週間ほど前のことである。実のとこ
ろ、教育実習生を受け入れなければならないことはもっと前から通知で知らされていた
のだが、、名前を確認することすらしていなかったので、通知に木津の名前が載ってい
るのに気づいたときには相当驚くことになった。
木津が新宿区の小石川区との境にある有名私立大学の文学部に進学したことは、自分
が進路指導を担当したこともあり、もちろん知ってはいたのだが、卒業後は年賀状のや
り取りがあるくらいで、まさか教職に進もうとしているなどとは思ってもみなかったの
だ。
(私を驚かせようとしたんでしょうか?)教育実習可能なら母校に来ることが優先さ
れるため、糸色のクラスに来ることも可能性としては十分考えられる。
(しかしそれでも偶然ですよね・・・)
70 :
教育実習3:2007/09/25(火) 18:43:54 ID:FvPzu3n5
木津の挨拶が終わると、1日目の予定の通り、教室の後ろで授業を見学することにな
った。
「はい、では授業を始めます。教科書は・・・148ページですね。その日、玉川上水を水
源とする地域で、水道水を飲むのは嫌だった、その心理を想像してみましょう、という
問題です」
その国語の授業の最中、視野の隅で熱心に木津がメモを取っている姿が見える。いつ
になく緊張して授業をすることになってしまった。
(昔なら、私が脱線するたびに、木津さんが注意してくれたものですね。私も昔ほど
は脱線しなくなりました。私がつまらない大人になったのか、あのクラスが特別だった
のかどっちでしょうね?)
* * *
放課後、職員室で今日の授業の内容について、木津がまとめたレポートを元に、質問
や指導を行った。木津のまとめた内容はさすがにしっかりしており、望は素直に関心し
た。
説明も一段落がつき、木津も少し気が緩んだ感じとなった。
「まさか私のところに教育実習にくるとは思いませんでした」
「私も驚きましたよ、先生。この学校に来ることになるのは知っていましたけど」
「教え子で教職に付いたものはいるのですが、教育実習に来たというのは初めてです
ねえ」
「そうなんですか? ところで私どうですか? 昔と比べて。それとも、私のことな
んて忘れていたとか?」
「まさか、木津さんのことは忘れようがないですよ。まあ、遠慮なしではっきり言わせ
てもらうと・・・ずいぶん丸くなりましたね」
「丸く・・・ですか。私そんなにきつかったですか?」
「はい、正直教師扱いされていなかったと思います」
「そんなことはないですけど」望の言葉を聞いて木津は笑い出した。
「木津さん、時間があるなら、帰りにお茶でも飲んでいきましょうか。ちょっと用事
をすませる間待っていてもらえるなら」
「はい、先生がよろしければ」
望が片づけをしたり、明日の教材の準備をしている間、木津は職員室の中で、甚六先
生たちに挨拶をしている。昔のことを話しているのだろうか、時折大きな声で笑ったり
するのが聞こえる。とても楽しそうだ。
三十分ほどが経ち、一緒に校門を出た。
71 :
教育実習4:2007/09/25(火) 18:46:01 ID:FvPzu3n5
「智恵先生がお辞めになったのは残念ですね。私もいろいろ相談にのってもらってい
たし」歩きながら木津が話しかけた。
「私には相談なんか一度もしてくれたことないですよね、そういえば」望は少し拗ねた
ような感じで言った。
「変わらないですねえ、先生。智恵先生が結婚したときは残念でしたか?」
「木津さんもそういう意地悪なところは変わってませんよ」
学校の近くの古い喫茶店に入った。木津が生徒の頃には、先生に会う可能性もあった
ので、あまり行かなかった場所であるが、数回晴美と一緒に来たことがあるので見覚え
がある。望も木津もコーヒーを注文した。
「木津さんはどうして先生になろうと考えたんですか?」
「ええと、そうですねえ・・・やっぱり糸式先生の影響だと思います」
「別にお世辞を言う必要ないですよ。教育実習の評価はちゃんと書いてあげますから」
「いや、本当です。大学2年までは特に何か考えていなかったんですけど、私が何を
やりたいか考えたら、あの頃のことを思い出して・・・あんな楽しい思い出をみんなに
作ってあげるような仕事がいいなあ、と思い始めて・・・。」
「そんなに楽しかったですか? あなたが一番文句を言っていたと思いますよ。授業
の内容については特に」
「確かにそうでしたね・・・。あの頃はすみませんでした」
思ったより真面目な顔をして木津が謝ったので、望は少し慌てた。
「いや、そんな謝ることではないですよ・・・考えてみると私も木津さんにはいろいろ
と挑発のようなことをしていたようです。」
「ええ、それは感じていました。ずいぶんからかわれはしたな、と」
「じゃあ、私も謝っておきます。ごめんなさい。もう許してくれますよね」
「はい」
二人は声を上げて笑った。
72 :
教育実習5:2007/09/25(火) 18:47:00 ID:FvPzu3n5
「先生はまだ宿直室に寝泊りしているんですか?」
「まさか。さすがに新しく家を借りていますよ」
「交君は?」
「交は親と一緒に地元に帰ってます。もう小学4年生ですからね」
「それじゃあご実家でやっとお兄さん夫婦と暮らしているわけですね。良かったで
すね」
一時間ほど喋ったあと、二人は喫茶店を後にした。
都電の駅が近づき、また明日、と別れの挨拶をしたあと、少し迷ってから木津がぽつ
んと言った。
「先生・・・結婚は・・・まだ考えてないんですか?」
「毎年見合いの話はありますけど」
「そうなんだ。じゃあ、私にもまだチャンスがあるかな?」
笑いながら、声だけは努めて真面目に、望は言った。
「木津さん、私はちゃんとした社会人でないと結婚の対象としては考えませんよ。そ
ういう妄想は教育実習が終わって無事に教員になれてから考えたらどうですか?」
「そうですね。」
「最近は教師も狭き門です。こんな楽な仕事そうそう空きがでるもんじゃありません
からね。教育実習が終わったぐらいで安心しちゃだめですよ」
「はい、私も絶望先生のような立派な先生になれるようがんばります!」
少しふざけてそう言うと、木津は改札をこえて駅の中に消えていった。
それを見ながら望は、自分が教師になってよかったと思っている事に気づいた。
(木津さんたちのおかげで、私も昔ほど絶望しなくて済むようになったのかもしれま
せんね・・・)
そんなことを考えながら、望は自宅に向かって歩き出した。
おわり
投下ラッシュktkr
74 :
42:2007/09/25(火) 18:58:35 ID:R2T8VaiC
後半いきます。
あっという間だった。
千里により望はロープで縛り上げられ身動きの取れない状態になっていた。
「これは何の冗談ですかあぁぁぁ!」
「冗談じゃないですよ」
千里が冷静に答える。
「絶望した!首吊り用のロープで身体を縛られるなんて用途以外の使用法に絶望した!」
「先生」
千里が話し掛ける。
その身体は心なしか震えている。
「は、はい…」
「いまから先生を襲います」
「え?」
「すいません!先生襲われてください」
「加賀さんまで!ダメですよ私たちは教師と…」
「常月さん、小森さん…」
!!
二人の名前を出されると望は硬直した。
「木津さん…まさか…」
「そういうことです私にもきっちりとお願いします」
一連のやり取りは愛にはよくわからなかったが千里の震える身体に気づくとそっと手をそえ、「大丈夫です。私もいますよ」と囁く。
千里が小声で返す。
「ありがとう愛ちゃん」身体の震えは止まっていた。身動きの取れない望から絶棒がむき出しになる。
まじまじとそれを見つめる千里と愛。
そして…絶棒を勃たたせるために二人は愛撫をはじめる事にした。
服を脱ぎ一糸纏わぬ姿になる二人、若く瑞々しい身体か望に密着する。
それだけで絶棒は膨張をはじめていた…
『ん…ふぅ…っ』
千里の唇が触れる。
その真下では愛が望の肌に小さくキスをしている
『ちゅ…っちゅっ』
昨日の今日であったが望の身体はそのたどたどしい愛撫に素直に反応した
「あ…」
千里が呟くと同時に大きく屈む
「んぁ…」
そしてそのまま絶棒をくわえこんだ。
『んぐ、ぅん、んぐぅう』千里の口内で絶棒が湿っていく。
「くぅ…んむ!?」
快感に身を委ねると不意に口を塞がれた。
同時に舌が入ってくる。愛である。温かい舌の愛撫に身を任せる望はもうどうにでもなれ、と思っていた。
絶棒は勢い良くそそり立っていた。
そしてそれに千里が自分の秘所を当てがった「先生、多少強引ですが…よろしくお願いします」
ぐっと力を込める。
「木津さん、彼女達にも言いましたが私はあなた達の想いには答えられません、それでもいいんですか…?」
千里の動きが止まる。
「かまいません。ただこれだけは伝えさせてください。あのことは偶然だったかもしれない…だけど…私、先生が好きです…」
「木津さん…」
「そしてこの娘も…」
「先生…」
「加賀さん…」
望は複雑な気持ちになった。恥の多い人生を送ってきた私に何故これほどまでの好意をよせてくれるのか、しかしその想いは紛れもなく本物である。そしてこの純粋な想いには答えなければいけないのだろう。
『ぐぐっ…』
「あはぁ…っ」
千里が腰を沈めていく。
その時だった。
千里の足がバランスを崩し、くの字に折れる。
その反動で一気に奥まで貫かれる千里。
『ずぷぅっ…ぶち、ぷち、ぶちぃっ!』
「あぐ、きゃぁあぁぁーーー」
絶叫。
千里の身体が大きく仰け反る
「木津さん!」
望は急いで絶棒を引きぬこうとする。
しかし千里の手がそれを拒んだ。
「抜か…ない…で」
「しかし!」
「こ…んな痛み、今まで…私が先…生やみんなにしてきた事に比べれば…なんてことない」
千里の口調か強まる。
「先生…お願い…します」
望は静かに頷いた。
痛みが引いてきた千里はゆっくりと動きだす。
『じゅぶっ、じゅっ』
「先…生気持ちい…い?」「ええ、とっても」
「ホワイト…ライじゃ」
「ありませんよ。本心です」
「嬉…しい」
今にも泣きだしそうな笑顔の千里。
その表情に望は興奮を覚える。
「木津さんっ!」
「先生、私、もう、あっ、あっ」
千里も初めてながら絶頂に向かいはじめていた。
『ずん、ずんっ、ずん』
「先生、せんせぃ…あっ、ああああああああーっ」
木津は絶頂に達した。
望はなんとか耐え切っていた。
「さすがに中はまずいですからね…」
ほぼ気絶状態の千里から絶棒を引きぬき千里を抱き抱える。
「ふう」
千里を抱え一息吐く望。
「おぅっ」
突然絶棒に生温かい感触が感じられた。
「加賀さん?」
「んむぅ」
望が達していないのを感じ取ったのか口での奉仕をはじめたのである。
『じゅっ、ちろっ、れろろっ、ぺちゃ』
初々しいフェラであったが優しさを感じることができた。
「…本来こういう状況で生徒に言う言葉ではないのですがありがとうごさいます加賀さん」
愛は絶棒をくわえたまま何かを訴えてはじめた。
『ふぇ、ふぇつにふぇんふぇいの、ふぁめぷぁんふぁにゃ、ふぁいんふぁふぁふぁね!』
「うぉう!」
何を伝えようとしたのかはわからないがその舌の絶妙な動きが望の絶棒を刺激した。
「うっ!」
愛の口内に精液が思い切り注ぎ込まれた。
「はぁ…はぁ…」
「すいません加賀さん」
「いえ、私こそ…」
加賀の加害妄想が発動しようとしたその時。
コツ…コツ…
廊下の方から誰かの歩いてくる音が聞こえきた。
「え!」
「まだ校内に誰かいるんですか?」
狼狽する望と愛。
「逃げるわよ愛ちゃん!」
いつのまにか復活していた千里が愛の手を掴む
「え、でも、制服…」
「あとから取りにくればいいから早く下着つけて!」
いそいそと下着をつけ二人で先生の羽織を羽織る。
「先生!羽織をお借りしますっ、宿直室までダッシュよ、愛ちゃん!」
「は、はいっ!」
「ちょっと!」
焦る望を置いて二人は一目散に逃げていった。
「だれかいるのー?」
教室外のドアから顔を出したのは奈美だった。
「ひ、日塔さん」
「あ、先生何やっ…て…」
椅子に縛られ上半身裸の上、絶棒丸出しの担任教師。
フロアにはみたことのない液体が付着し、止めとばかりに教師の周りに散乱する女子生徒の制服。
「ひ、日塔さんこれはですね…」
青ざめた奈美が絶叫する
「せ、先生の…変態ーーーーーっ!」
奈美はもの凄い速さで逃げていった。
「違うんですーーーーっ」
望は叫んだ、そして大きく息を吸い込む。
「絶望した!明日は教壇には立てないであろう我が身に絶望した!」
THE END…?
80 :
42:2007/09/25(火) 19:38:12 ID:R2T8VaiC
放課後、教室で
完結です。
前作とスタイルが似たような感じですが芸風ということでお許しをw
GJ!!
得ろ過ぎるぜアンタ
>>72 教師は楽な仕事じゃないぜ!
生徒が知らないだけで実際働いている時間はすごく長いんだぜ
俺なんか自給にすると200ぐらいなんだぜ
42さん、連投おつかれさまです。木津&加賀編もGJでした。
あの、もしかして、続編があったりしませんよね?
>>42氏GJであります。
次回作ないし続編があれば全裸待機でお待ちしとります。
結局次スレにまで及んでしまい絶望している真昼というかアヒルの者です。
懲りずに投下させてもらいます。今回は短めに5レスほど消費させていただきたく。
エロス分は…
>>42氏のSSで補充してくだされ…。
84 :
真昼が雪 33:2007/09/25(火) 19:58:54 ID:F+26nBaZ
救急車で望が運ばれた先は、命の居る糸色医院であった。
望の意識はハッキリしていた。だが、逆にそれは彼にとって残酷な事であったようだ。
運ばれている間も苦悶に身を捩る望を、可符香はただ傍で見つめる事しか出来なかった。
そうして気が付けば、可符香は病室の扉の前に立っていた。
望が運び込まれた後も、何やら色々あった気がする。
こうして扉の前に立ってから、どのくらい時間が経過したのだろう。
途中、看護師に「面会時間は終わっていますよ」などと注意をされた気がする。
自分は命の知り合いだと告げると、看護師は彼女がここに居る事を了承してくれた。
その会話すら、今の彼女はろくに覚えていない。夢の中の出来事にすら思えてくる。
意識がハッキリしない。混乱が、彼女の思考力を奪っていた。
ハっとして、ブンブンと勢い良く左右に首を振り乱す。
不安など、馬鹿げている。何を不安に思う事があるのだろう。
(大丈夫だよ…大した病気じゃない。お医者さんに診てもらえば、すぐ治るわ)
望の吐瀉物に混じっていた、コーヒー色の何かは――そう、きっと本当にコーヒーだったのだ。
昼食の時にでも飲んでいたのだろう。
――だが、確か自分は…彼と一緒に昼食を取ったのではなかったか。
その時彼は何を飲んでいた?少なくともコーヒーでは無かった気がする。
(…じゃあきっと、朝にでも飲んだのね)
朝に飲んだものが夕方近くまで胃に残っている不自然さには、目を瞑る事にする。
そうして悶々と扉の前に佇んでいると、中から人の話し声が聞こえてきた。
一瞬、目を覚ました望の独り言かと思った。
だがそれは確かに会話になっていて、すぐに命と望が話している事に気が付く。
二人は外見だけでなく、声も良く似ていた。
85 :
真昼が雪 34:2007/09/25(火) 19:59:57 ID:F+26nBaZ
「…どうしてもっと、早くに来なかった…」
開いた窓から、身を切るような夜風が滑り込んでくる。
それがカーテンを揺らし、そして自らの背筋を撫でていくのを、命は失意の最中で感じていた。
項垂れた兄を、薄目を開けて見つめる望。
望は申し訳無さそうに微笑んで、蚊の鳴くような声で「すみません」と謝罪した。
その笑顔があまりにも透明で、このまま弟が霞んで消えるのではないかという不安に襲われる命。
馬鹿げた妄想に自嘲して、命はカルテに目を落とす。
「―――入院しなさい、望」
「…すぐに、ですか」
「当たり前だろう―――血を…吐いたんだぞ」
「えぇ、はい…。苦しかったです」
吐血した時に襲ってきた苦痛もだが、その後の胃洗浄も辛かった。
「もう少し何とかなりませんか、あれ」
「そんなになるまで放っておいたお前が悪い」
カルテの角で軽く頭を小突かれた。
小さく笑ってみせる望から、目を逸らすように立ち上がる命。
「…手続きは、私がやっておくから」
そう言って踵を返そうとする命の耳に、
「―――待ってください」
――小さな、だがどこか必死さを感じさせる声が、届く。
その微かな声すらも、静寂に満たされた病室には大きすぎるくらいだった。
「何だ?」
命は振り返らない。その背中に語りかけるように、望は言葉を続けた。
「もう少し、待ってもらえませんか…入院」
息を呑む気配。
命と、そしてあともう一つ。
86 :
真昼が雪 35:2007/09/25(火) 20:02:55 ID:F+26nBaZ
扉の向こうで、少女の呼吸が一瞬止まった。
「まだ少し、やり残した事があるんです」
「――縁起でもない事を言うな…ッ」
まるで死刑を間近に控えた囚人のような物言いに、命は溜まらず声を荒げた。
勢い良く振り返る。白衣が、夜風に煽られてはためいた。
「そんなものすぐに治してやるッ、だから――そんな言い方は止せ」
「――…兄さん」
お願いします、と。
唇の動きだけで訴える。
―――――鈴虫の声。
窓際に、いつの間にかとまっていたようだ。
リンリンリン…。
まるで静寂を嫌うように、鈴虫の鳴き声が病室を満たす。
「…一日だけだ」
リン…。
命が答えると、鈴虫は遠慮するかのように、鳴くのをやめた。
「明日一日だけなら…動き回ってもかまわない。
但し少しでも無理だと思ったら、すぐにうちに電話しろ」
「随分とまぁ、過保護ですね」
「茶化すな」
苦笑しあう、同質の声が重なった。
「もう寝なさい」
それだけ言って部屋を後にしようと、扉に向う命。
「兄さん」
「ん?」
肩越しに振り返ると、望は目を細めて笑っていた。
「ありがとうございます」
嬉しそうに礼を言う弟に、どう返事をすればいいのか、わからなかった。
部屋を出る。
廊下に人影などある筈もなく、聞こえるのは、震える自分の呼吸だけだった。
87 :
真昼が雪 36:2007/09/25(火) 20:03:57 ID:F+26nBaZ
翌日。
望はいつも通り、教壇に立っていた。
その様子はいたって普段通りである。
いつもと違う事と言えば、HRが始まる5分前には、既に望が教室に居た事くらいだろうか。
普段の望は、いつもHRのチャイムが鳴ると同時に教室に入って来る。
望の予期せぬ5分前行動に、生徒たちは少なからず驚いていたようである。
黒板とチョークが奏でる音。生徒たちがノートにペンを走らせる音。
その音に眠気を誘われて、遠慮なく眠りの世界に落ちる者。
授業とは無縁とでも言わんばかりに、趣味に没頭している者。
それはいつも通りの、2のへの授業風景。
その中で、
「―――…」
可符香はじっと、黒板ではなく望の顔だけを凝視していた。
まるでいつもまといがするかのように、瞬きもせず望の姿を目で追っている。
その顔は微笑んではいるものの、瞳は不安そうに揺れている。
もはやその笑顔は、完璧なものではなくなっていた。
ノートを開いてはいるもののページは真っ白で、教科書にいたっては、国語の授業中だというのに社会の教科書を開いている。
完全に上の空だった。
「…可符香さん」
見かねた千里が、後ろの席から指で可符香の背中を突っつく。
「な、なぁに、千里ちゃん?」
それでようやく我に返ったのか、慌てて笑顔を作って振り返る可符香。
「今何の授業かわかってる?」
「うん、糸色先生の授業だよね」
「誰の、じゃなくて何の授業かって聞いてるのッ」
小声で怒鳴るという器用な真似をして、可符香の額にでこぴんする千里。
可符香は小さく仰け反って、エヘヘと照れ笑いを浮かべながら、黒板に振り返った。
88 :
真昼が雪 37:2007/09/25(火) 20:13:06 ID:XYpB/Ulm
と。期せずして望と目が合ってしまった。
「あ」
小さく声を上げる可符香。
「……」
だが望の方は一瞬硬直したのみで、何事もなかったかのように授業を再開する。
「可符香さん?」
突然素っ頓狂な声を上げた可符香に、千里は訝しげな顔をする。
弾かれたように振り返る彼女の顔は、心なしか青ざめていた。
「え!あ、ううん。えと…こ、国語の授業だよね」
わかったならちゃんと教科書を出せ。
そう言おうと思っていた千里だったが、可符香の表情を見て、思わず言葉を詰まらせる。
まるで迷子になった幼子のように、気弱げな表情。
それはいつもの朗らかな彼女には、あまりに似つかわしくないものだった。
「…可符香さん、貴女、体調が悪いんだったら…」
「ううん。大丈夫よ、千里ちゃん」
体調が悪いのは、私じゃないから。
内心でそう付け足してしまってから、自分で自分の思考に不安感を煽られる可符香。
「…ほんとに、私は大丈夫だから」
「そ、そう」
黒板に視線を戻す可符香の背中を、千里は、納得のいかない様子で見つめていた。
「――――……」
そんな可符香の様子を、チラリと横目に見る久藤。
彼女に気取られぬよう、すぐに手元の本に視線を戻す。
望の顔色が、いつもより優れない事にも、彼は気付いていた。
(…サナトリウム文学は嫌いだって、言ったじゃないですか)
ふと考えてしまった、あまりにチープな二人の恋の結末。
久藤は心の中で、そんな物語のラストページに唾を吐き捨てた。
42さん、前スレ851さん、投稿お疲れ様でした。
そして好作品をありがとう。
こういう作品を読みたかったんだと、今更ながら気がついたよ。
ここで一区切り。皆さん飽きまくってるでしょうが、もうちょっとで…いや、
もう結構で終わるので、どうかご辛抱を。
もう書いてる本人もいつ終わるか判らない有様…上手く話を纏められる技量があればなぁ。
91 :
42:2007/09/25(火) 20:17:59 ID:R2T8VaiC
>>83さん
>>84氏
続編執筆中ですが、携帯で一々、コピー&張りつけ面倒になってきたのでリアルタイム執筆いきたいと思います。
一レス目はコピペですが、そこからはリアルタイムです。
腕が試されますなw
嫌でなければですが、ご意見、要望、執筆停止要請までできることなら何でも承ります。
それでは暇つぶしにどうぞ。
92 :
無題@:2007/09/25(火) 20:20:38 ID:R2T8VaiC
「ふぅ〜」
糸色望は絶望していた。
あれから一週間、あの四人から目立ったアプローチはないものの、望には新たな悩みの種があった。
日塔奈美が私を避けている
元々、人と積極的に関わることはしない望だがあれだけあからさまに避けられては気分が良いはずもなかった。
しかし生来の性分の為積極的に解決をしようとすることもなかったのである。
その頃日塔奈美はとあるクラスメイトとメールをしていた。その相手は…
[だからよ。オマエ、そんなのいくら気にしたって先に進まねーじゃねーか]
メールの相手、音無芽留は奈美の日毎に多くなる愚痴に呆れ始めていた。
93 :
無題A:2007/09/25(火) 20:33:32 ID:R2T8VaiC
[でもさあ、あんなの見せられたら誰だってへこむよ〜]
[バカかオマエ、あのハゲのこと好きなんだろ?だったらそれをネタにしてせまればいいじゃねーか。どうせオレ達しか知らないんだろ。それ]
正確には首謀者、その影には千里と愛の姿があるのだが二人は知る由もない。
「せまる…かぁ、私にそんなことできるかなぁ」
奈美は特徴のありすぎるクラスメイト事もあり、もう一歩踏み出せずにいた。
翌日、本来は日曜日で学校は休みのはずだが奈美は学校にきていた。
「芽留ちゃんの言うとおりだわ。勇気を出して前に進まなきゃ!」
宿直室の前に立つ奈美。
しかし何か違和感を感じたそこで奈美はほんの少しドアを開けて中を覗いた。
「先生のえっちぃ…あ、ふっ…ぅん」
そこには情事にふける、糸色望と小節あびるの姿があった。
94 :
無題B:2007/09/25(火) 20:51:14 ID:R2T8VaiC
「先生、こんなにしちゃって可愛い。まるでしっぽみたい」
あびるはそういうと絶棒をくわえこんだ。
『んふぅ、んんんっ、じゅるるっ…ふぇんふぇ?』
望はあびるの頭を乱暴につかむと上下に揺さぶりはじめた。
『んごっ、ぐぼっ、ふぇんふぇ…くるひ…』
それでも望は止めなかった『ずじゃっ、ずじゅっ、くぷっ』
卑猥な音が響く。
『うぇ、げふっ、がはっ』苦しそうなあびる、しかしその目に悲壮の色は無い。やがてその絶棒から精液が吐き出され、あびるは大きく咳き込んだ。
「げほ、げほっ、うぇっ…もう、先生ってば乱暴なんだから…」
しかし、まんざらでもなさそうなあびる。
奈美はその情景にすっかり見惚れていた。それと同時に絶望感がよぎる。
「やっぱり私なんて…」
その時不意に後ろから声がかかる。
「日塔さん、日曜というのに何をやっているのですか?それと覗き見は感心しませんね」
耳に馴染んだその声。
奈美はが振り返ると、そこには二のへ担任、糸色望の姿があった。
95 :
無題C:2007/09/25(火) 21:20:22 ID:R2T8VaiC
「せ、せ、せ、せ、先生?い…糸色望、先生?」
「はい、私は確かに糸色望ですが?」
奈美は幽霊でもみたような顔で口をパクパクさせている。
「おかしな日塔さんですねそれにここから何が見えるというのです」
望は部屋を覗き込む。
顔色が一瞬にして青ざめる小声で奈美に問い掛けた。「あの方はどなたでしょう?」
「先生にしか見えません」「そうですね。お相手はあびるさん…」
望は納得した。
霧とまといが言っていた事の意味。
そしてもう一人の自分の正体。
「奈美さん」
「はい」
「あれは私の影武者です」
「そうなんですか?」
奈美はその言葉を聞いた瞬間、あの時のことを思い出していた。
もしかしてあれも影武者だったんじゃ…
ドアから距離をとり望は奈美に問い掛ける。
「まあ、影武者と小節さんの事はあとでどうにかするとして、日塔さん日曜にわざわざここまで来るなんて何か用事でもあったんですか?」
正直、望は影武者、あびるの件の解決など考えてはなかったが休みの日にわざわざ学校にきた奈美のことは少し気になった。
「あ、えと、相談にきたんですけどこれじゃ無理ですよね」
「宿直室には入れませんからね。私も行き場を失いました」
とその時。
〈うれしい悲鳴が今日も聞こえる〜〉
メールの着信音、奈美の携帯からだった。
相手は芽留だった。
[オマエ、今、家にいるのか?オレは偶然近くまで来てるんだけどよ]
奈美はメールをみて一つの考えに辿り着く。
「せっ、先生?」
「はい?」
「もしよければ私の家で…その…相談、したいんですけど」
96 :
日塔家にて@:2007/09/25(火) 21:35:26 ID:R2T8VaiC
「着きましたよ先生」
望はその提案をすんなり受け入れた。
宿直室には入れないし、何より休みの日にまで自分を頼ってくる生徒の想いを無下にしたくなかったのである。
途中で芽留と合流し日塔家に到着する。
「ご家族の方は?」
「あ、今、社員旅行で皆居ないんです」
それを聞いて芽留はニヤリとした。
心なしか奈美は緊張している。
「それで相談とは?」
ここは奈美の部屋。
何の変哲もない普通の部屋だ。
「えっとその…」
奈美はまだ躊躇している。しびれを切らしたのか芽留が望の肩を叩く。
「音無さん?」
振り向く望。
『ちゅうっ』
突然のキス。
望も奈美も目を白黒させている。
芽留が右手で携帯の画面を突き出す。
[なにやってんだよ。バカもたもたしてるとオレがこのハゲとっちまうぞ]
その時奈美の中で何かが弾けた。
97 :
日塔家にてA:2007/09/25(火) 21:54:27 ID:R2T8VaiC
「何やってるのよー!」
奈美が勢い良く立ち上がる
がたん
テーブルが揺れコーヒーが望の脳天へと降り注ぐ。
「熱っつうーーーーー」
「わあっ、先生、ごめんなさいー」
お決まりの絶叫。
「絶望した!教え子に弄ばれ、教師らしいことをすればするほど報われない自分に絶望した!」
しゃわああぁー
ここは日塔家のバスルーム望はコーヒーでベタベタになった体を洗うべくぬるま湯に身を投じていた。
「一体何なんでしょう?」芽留からのキスにも驚いたがそれからの奈美の狼狽ぶりにも驚いた。
そしていくら鈍感な望といえど奈美の相談内容にも薄々感付いていた。
「彼女達はなぜこんなにも…」
考えれど答えは出ない。
とりあえずお風呂を出たら今日はお暇しましょう。
しかし、事態は望の思うとおりにはならないもので。
ガラスの向こうに二つの人影がみえた、重ねて聞こえてくる布擦れの音に望は覚悟を決めるのであった。
99 :
日塔家にてB:2007/09/25(火) 22:24:20 ID:R2T8VaiC
「お、お背中流しまーす」
明るい声で奈美がバスルームに入ってくるがその声には緊張の色が映る。
その後ろでは芽留がニヤニヤしながら望を見ている。
「それではお願いしましょうかね」
今日の望は何かを達観しているようだった。
あわあわ、あわあわ。
奈美がスポンジではなく、自分の身体にボディーソープを塗りたくっている。
もう何も驚かない。
人間余計なことをしないのが一番です。
望の目下には芽留がいる。防水加工の携帯画面を望に突き付ける。
[前は任せとけ。ハゲ。こんなこともう一生ないかもしんねーぞ]
一週間前に似たような事態に遭遇したことはありますがね。
「ん、しょっと、い、いくよ、先生」
奈美が泡だらけになった身体を望に押しつける。
『ずりゅっ、ぷに、ふに』
と同時に芽留が張り詰めた絶棒に身を寄せる。
『ちゅる、ちゅる、ちゅ』
前後から押し寄せる快感に望は身を任せる。
奈美の動きが激しくなる。『ん、ふぃ、ふぅ、ふ』
息も荒く奈美が言う。
「先生、どう?気持、ち、いい?」
「ええ、とても。奈美さんご褒美です」
望は奈美の顔を引き寄せるとキスをする。
『んんっ、ふむっ、んー』
奈美の口内を望の舌が蹂躙する。
『んくっ、ふっ、ぷはぁ』
唇を放す。
奈美の顔はとろけきっていた。
芽留に目配せをし、フェラを中断させる。
奈美の方を向き直り、話し掛ける。
「奈美さん私はあなたの想いに答えることはできません。できるのはせめてなぐさめっ!?ひゃあ」
望が振り返ると芽留が菊門を舐めていた。
ずいっと携帯の画面を突き出す。
[カッコつけてんじゃねーぞ。ハゲ。さっさとヤッちまえよ]
望の中で何かが弾ける。
どうやらあなたから特別授業が必要な様ですね。
支援
101 :
日塔家にてC:2007/09/25(火) 22:50:19 ID:R2T8VaiC
『ずん、ずん、ずんっ』
芽留のちいさな身体が激しく揺れる。
何度も突き込まれ、その目の焦点はあっていない。
『ア、ア、ヴッ、アッ』
芽留の身体は既に脱力しきっており、携帯もその手から離れ、タイルの上に転がっている。
「くっ」
『ア、アッ、ヒッ』
望は絶棒を引きぬき、精を芽留へと向け放出する。
『ア、ア、アツイ…』
芽留の身体が白濁に染まる。
「さて」
望は奈美の方に向き直る。奈美は少し怯えているようだ。
「これでも、しますか」
望の目の色が変わる。
どこか頼りない、でもすごく落ち着ける、優しい目…
奈美はすっと立ち上がり
「お願いします。あの、でも」
「はい」
「優しく、してください」望は微笑み、頷いた。
「んんっ、はっ入りました?」
「まだです。奈美さん本当にいいんですか」
「いいんです、先生なら私…」
望は腰に力を込め絶棒を押し進める。
『ずぷ、ずぷ、ぷ、ちっ』
「あぁあぁあっ、先生ー」
「日塔さんっ!」
『ずん、ずん、ずんっ』
「あ、せあ、痛い、痛い、痛いー、先生、痛いよー」
「日塔さん、もう少しだからっ」
「はっ、痛、先生ー」
奈美の顔が顔前にせまる。「先生、好きっ、好きぃ!大好きっ!普通っていわれたっていいっ!先生のこと大好きなのーーー!」
「くっ」
望と奈美は同時に果てた。
102 :
エピローグ:2007/09/25(火) 23:12:08 ID:R2T8VaiC
宿直室。
藤吉さんの当番日を終え、交が帰ってきた。
「なんかすげー疲れてんな今日休みだったんだろ?」
望は机に突っ伏していた。「ええ、今日は少し生徒の相談役をしましてね。なれないことをすると疲れるものなのですよ」
「ふーん」
ここ最近色んな事がありました。
もうしばらくはそっとしておいてほしいものです。
<ぶれぶれぶれぶれ>
「おーい、携帯鳴ってんぞー」
「はいはい」
メール着信、相手は芽留からだった。
確か音無さんはあのまま日塔さんの家に泊まるんでしたよね。
メールの内容をみて、望は青ざめた。
[おいハゲ、来週、オマエんトコに押し掛けてお泊り会してやるよ。うれしいだろ。バックレたりしたらわかってんだろーな]
そして本文の最後には参加メンバーの名前が書いてある。
参加者
小節あびる・小森霧・常月まとい・木津千里・加賀愛・日塔奈美・音無芽留
望はもはや絶叫する気力も失せていた。
THE END
これだけの量を携帯で打ってるってのがすごいな
すでに携帯SS耐久レース状態だな
GJ
この時間まで起きていた甲斐があった。
勝手に続編を期待しますw
書きながら投下はマナー違反
まあやっぱり書き溜めで投下したほうがいいよ。その間他の職人が何もできないから
42さん、最後までGJでした。こんな感じの作品好きなので、次の作品も期待して待っています。
リアルタイム執筆、通算二時間弱を使いスレを汚してしまいました。
日塔家にて、これにて完結です。
これにて三部作完結とさせていただきます。
というかネタ切れです。
リアルタイムなんでシチュがコロコロ変わりまして、書いてて楽しかったです。右手が結構痛いですがw
あらすじの段階では日塔家の濡れ場は奈美の部屋だったし、芽留もあんなことにはならなかったはずなんですよねw
ハーレムENDはネタが出て書く気力があればいつか…書きたいなと思います。
では創作意欲が湧くまでまたロムに戻ります。
読んでくださった方、スルーしてくださった方、感想くれた方。感謝の気持ちで一杯です。
お疲れさま&ありがとうございました。
最後に
『絶望した!SS書きで貴重な休日を全て費した自分に絶望した!』
絶望した!あびると先生のセックスと思いきや、偽者とのセックスだった事に絶望した!
>>42 乙です。エロくてよかったw。GJ。
ただ、リアルタイムは好まない方が多いので書き溜めて投下したほうが
いいかもですね〜。
>>109 あれ、俺が。
あびるのHでハァハァしたのに、影武者とはw
>>90 全く飽きないです。展開いつも気になってます。期待っ。
あびると先生のSS希望
真昼の人のSSがそろそろ核心に迫ってきた件。
命兄さんが切ない。・;+゜・(ノД`):・゜+:・。
113 :
42:2007/09/26(水) 00:36:42 ID:4Bj4xCdD
夜はまだまだ終わらない。しつこくスイマセン。
寝ようとしたらネタが湧いてきてしまったものでw
リアルタイムではスレの皆さんに迷惑かけて申し訳ないです。
当然、書き溜め方式で投下します。
もう少しだけお暇な方はお付き合いくださると嬉しいです。
糸色望は覚悟を決めていた。
今日は千里主催の宿直室懇親会。
懇親会と言えば聞こえが良いが実態は単なるお泊り会である。
しかも参加メンバーが可符香に言わせれば「お手付き」な娘達。
ただでさえ騒がしいクラスなのに…望は机に突っ伏した。
交は風浦さんに任せましたし、今日は私以外に学校に残るものは居ない。
「ふぅ…」
逃げ場無しですねぇ。
逃げ切れるはずなとありませんしね。
トントン。
ノックの音。
望は今一度覚悟を決めた。
「それでは――乾杯!」
千里の音頭で宴は始まった。
当然お酒はご法度なのでジュースとお菓子での宴会。
形式上、主役のはずの望は部屋の隅で一人スルメをかじっていた。
「先生」
声の方を振り向くとあびるがいた。
「小節さん、楽しんでますか」
心にも無いこと平気で言う。望お得意の会話術だ。
「私を抱いた先生は影武者だったですよね」
ぶっ
不意打ちをくらい望は茶を吹きだした。
さっきまで騒いでいた皆もこちらを凝視する。
あびるを事あることに抱いていたのは望の影武者だった。
因みに影武者本人は問題が発覚してすぐに行方不明となった。
そういえば桃色ガブリエルの根元が若干盛り上がっている気がするが気のせいだろう。
「結構ショックだったんですよ」
クールなトーンであびるが続ける
「やり直し、したいなぁ」
長い、長い、夜が始まる。
寝ようと思ったのにどうしてくれるだァーー!!!
くそ、全部終わるまで全裸で待機してやる
「先生、こっち向いてよ」
こうなる事は予想できていた。
しかしあまりにも展開が急すぎる。
望は観念したのか向き直り
「小節さん、影武者の件は本当に申し訳ありませんでした。しかしそれとこれとは別の問――むうっ」
あびるの唇が望の唇に触れる。
軽い、触れ合う程度のキス。
あびるは望の目をまっすぐ見つめていう。
「何も問題なんてありませんよ」
望は、折れた。
「ここは影武者と変わらないのねー」
さり気なくショックの大きい事言わないでください、
と言いたくなったがあびるの心境を察し言葉を飲み込んだ。
『ん…』
あびるの唇が絶棒に触れる
しかし、妙だあびるがこんなことをしているというのに他の皆は今まで通り会を楽しんでいる。
何名かはこの情事に目を向けているようだが。
望は違和感を覚えたがすぐに快感によって掻き消される。
『ちゅぶっ、ぴちゅ、ぱふっ』
口を、胸を使い奉仕するあびる。
『んっ、ふっ、ふっ、ちゅ』
影武者に仕込まれただけあってとてつもない快感を望へとあたえている。
『ちゅぽん』
「先生っ、気持ち良かった?」
「ええ、まあ」
悔しさからか悪態をつく望。
「ふぅん、そんな態度とるんだ」
そういうとあびるは望にまたがる形になる。
「まだまだ…いくよ…時間もないしね」
『ふっ、ふぅ、ううぅん』すっぽりとあびるの膣内に絶棒が埋まりきってしまった。
「ううっ」
望の顔が快感によって歪む。
『いきますよ、せ・ん・せ・い』
『ぱん、ぱん、ぱぁん』
今までに感じたことのない激しい快感に望は限界を迎えていた。
『あっ、あっ、あっ、先生もっと…』
あびるが喘ぐ、動く。まるで何かをぶつけるように。
「くっ…もう出る」
その瞬間あびるはすかさず絶棒を引きぬき、自らの口で包み込む。
大量の精があびるの口内に注がれていく。
「ふふっ、先生…何か可愛い」
口元から精をのぞかせあびるが微笑む。
望の完敗であった。
しかしあびるは物足りなさそうに望の絶棒にすりよってきた。
「そこまで!」
千里の声が響く。
「時間よ小節さん」
「えーもうおわりー?」
あびるが不満を漏らす
「時間…?」
望が呟く。
「そう、時間です。これだけの人数で先生の懇親を行うのだからタイムスケジュールはきちっとしないとね!」
そうだった。
これは千里主催の懇談会。こういうパターンになるのは必然だったのだ。
「何という…私自身の意志は一体どこにあるんでしょう?」
隣ではあびるが渋々と服を着ている。
どうやら皆了承済みのようだ。
ふと望の横に小さな影ができる。
そこには音無芽留が立っていた。
携帯のディスプレイを誇らしげに望にかざす。
[この前のリベンジだ、覚悟しろよ。ハゲ]
118 :
42:2007/09/26(水) 01:44:05 ID:4Bj4xCdD
はい、パターン通りw
本日はここまでです。
一日2〜3話ペースで上げていけたらいいなとおもってます。
あらすじもくそもなく、もはや行き当たりばったりですけどw
これはwktkするしかないじゃないか!
何という神!!
しかし影武者め。まさか本番までしてないだろうなwww
42さん、またしてもGJ!!な話ありがとうございます。続きも楽しみにしています。
ところで、桜の木の下には死体が埋まっている、という噂は本と
このあとは血で汚れていて読めない。
コーヒーこぼしただけじゃない。
124 :
42:2007/09/26(水) 09:00:19 ID:4Bj4xCdD
朝、会社に行くと機械が止まっていた…
深夜に書き溜めたやつ、投下いきますー
芽留は望の前に屈むと再び携帯を突き出す
[今度こそヒィヒィいわせてやる]
芽留の小さな口が望の絶棒を包む
『れろろ、れろっ、ちゅ』芽留のフェラが望の絶棒を再び湿らせる。
しかし望の反応は小さかった。
芽留が上目遣いで望を見やると同時に望が口を開く
「いけませんね音無さん、最近の若者というのは少し基礎を覚えただけでその技術を習熟したと勘違いする人が多いのです!スノーボード等が良い例です。時に音無さんあなたも勉強不足のようですね。フェラというのは…」
望が芽留の頭を掴む。
「こうやるのですっ!」
『じゅぶっ!がしゅっ、がしゅっ』
『オブァ、グェ、ゲウッ』芽留が苦しそうな声を上げる。
しかし望は容赦しない
『ハブッ、グブゥ、ゥッ』
芽留の瞳からはとめどなく涙が溢れている。
さすがに皆、やりすぎでは?という目線を望に送る。
いや、一人だけ羨望の眼差しを向けている娘がいる。
あびるである。
まるで大好きなしっぽを見るような目でこちらを見ている。
望は心中で苦笑した。
こつん。
『ングヴゥー』
どうやら芽留の喉奥に絶棒が当たってしまったらしい。
芽留が口を放し咳き込む
「コボ、ゴホッ、ゴホッ」芽留が望を睨む。
望は芽留を見据えて言う。
「リベンジするんじゃなかったんですかぁー」
小学生かよ。
千里は突っ込みを入れたくなった。
望vs芽留2回戦である。
いわゆる駅弁状態になり望が芽留を突き上げる。
芽留も腰を振ってはいるのだが望には効果がない。
「アッ、アッ、アッ」
芽留の声が高まる
「ゥツ、アッ、クゥ」
芽留はもはや自分を保つこともままならなかった。
そして。
「アウゥッ、アーッ」
芽留は果て、そのまま気絶してしまった。
「ふぅ」
さすがの望も攻めっぱなしで疲れていた。
「あ、あの…」
「ん、次はあなたですか」
「すいません、私なんかじゃダメですよね、すいません、次の人に…」
駆け出そうとする少女加賀愛の手を望が掴む。
「ダメじゃありませんよ。先生、ひかえめな娘は大好きです」
「し、失礼します」
愛が望の顔前に跪く。
『んちゅ…ん、ふぁ』
やさしく温かい包み込むようなキス。
望は愛の秘所に手をやる。
『くちゅっ』
『ひぁん』
可愛い声をあげる愛。
『くちゅ、んちゅ、じゅぷん』
秘所を愛撫しながら濃厚なキスを続けるふたり。
今までとは完全にタイプの違う懇親だ。
『ふぁ…ん』
二人の唇が離れる
望が愛の耳元で囁く。
「いい…ですか?」
愛が耳まで真っ赤にして答える。
「は、はい、でも、あの」
「?」
「や、やさしくお願いします」
「わかってますよ」
望は愛に再びやさしくキスをした。
『あ、んぅん』
ゆっくり腰を沈める愛。
望もゆっくり腰をあげていく。
『ずぷんっ』
絶棒が秘所に吸い込まれてゆく
『ふぁ、痛っ、んくんっ』
「大丈夫ですか?」
「だっ、大丈夫です。それより」
「?」
「私迷惑かけてないですか皆さんの貴重な時間を奪ってはいないでしょうか?」
「もちろんですよ。迷惑なはずがありません」
望が愛を抱き締める。
皆が二人の行方をやさしく見守っていた。
二人は無理に動いたり、何かをすることもなく、やさしく繋がったまま残りの時間を過ごした。
愛が服を着替えているのを見ながら望は満足感に浸っていた。
『むにゅうっ』
突然、背後から胸の感触が感じられる。
「いたんですか?」
望は悪戯っぽく微笑む
「ええ、ずっと」
少女常月まといは妖艶な笑みを浮かべていた。
まといが望の絶棒に手をかけようとする、その時だった。
「あれーっ皆さんこんな所に集まって何してるんですかぁ」
そこにいたのは風浦可符香だった。
突然の可符香の登場。
と同時に。
「ら、乱交パーティ!?」
どこからともなく声が聞こえるが姿は見えない。
「やだなぁ、妖精さん。健全な校舎で乱交パーティなんかあるわけないじゃいですかコレはただの懇親会ですよ〜」
「え、でもコレはさすがに…」
「やだ誰も居ないのに男の人の声が」
「不気味ね」
「僕はまた透けてますか〜」
千里が聞く
「風浦さんあなたも?」
「うん。参加するよ」
「でもこの会は…」「大丈夫、わかってるから」可符香はまっすぐ千里を見つめる。
「わかったわ。参加を認めます」
飛び入りの為、順番は最後ながら風浦可符香の参加が決定した。
「時に風浦さん、交はどうしたんです」
「家でぐっすり眠ってますよ」
「そうですか、ならば安心ですね」
ちくっ
「先生…」
まといの視線が突きささる苦笑しながら望は振り返る
「お待たせしてしまいましたね。さあ、はじめましょうか」
128 :
42:2007/09/26(水) 09:29:19 ID:4Bj4xCdD
とりあえずこの時間はここまでです。
行き当たりばったりすぎて収集がつかなくなって絶望しそうです。
長編過ぎてこのスレに迷惑かけてませんか?
まだ機械は動かない。
男は休憩室で携帯を打ち続けているw
なんか173氏を思い出すな
まさにエロパロって感じのSSだ
このまま突っ走ってくれ
まさか臼井まで乱交に参加しないだろうなw
ハーレムパーティに男は1人で十分だ。
期待大ですな。GJ!
ところで細かいようだが
>>112は「核心に迫った」じゃなくて「佳境に入った」じゃないか?
42氏みたいな軽いSSも好きだが真昼氏みたいな重厚なSSも大好物なんだぜ
そして大草さんSSの続きが気になって仕方ないんだぜ
こういう軽い感じに読めるほうが読み手としてはうれしいな
最近作品量が半端ないから全部読むの疲れるw
なんか幸せだぜw
携帯のボタンと、42氏の親指が末期にならないようにネ・・・・
でも、続き期待してますww
真昼氏のような厚みのある小説はリアルで面白いなあ。
職人の皆さん応援してます。
また一人職人が誕生したか…
もはやこのスレの勢い誰にも止める事叶わぬ。
42氏GJでした。
2人ペアで先生とエッチの発想が好きです。
ハーレムルートはもっと好きです。
136 :
42:2007/09/26(水) 13:08:47 ID:4Bj4xCdD
137氏の影響はどこかにあると思ってます。
まさか自分がこんな長編を書くなんてその時は思いもしませんでしたがw
お昼になりましたので中編投下させていただきます。
「先生…」
まといが頬を寄せる
「常月さん…」
「お慕いして…おります」
『ちゅ‥ちゅく…ん』
まといからのキスの嵐。
『んふぅ…っ』
小さな舌がそのまま望の身体を舐めあげていく
『ちゅ…ん、ちゅ、ちゅるっ』
「ふ…っ」
望が堪らず身体を震わせる
『ん、くっ、ちゅ』
まといの舌が絶棒に辿り着く
『んぁむ…』
そのまま流れるような動作で絶棒をくわえこんだ。
美しい。
女学生とはとても思えない妖艶な愛撫。
望ははっとして思い直す。
いけません私と彼女は教師と生徒…うっ
考えを途切らせるほどの快感が望を襲う
『んぶっ、んぐ、れろっ』
まといの入念な愛撫がつづく。
『くちゃ、るろ、んちゃ』
「おうっ…」
思わず声をあげる望。
『ちれっ、るろ、れろろ』
「まといさん、もうっ」
まといが上目遣いで頷く。
次の瞬間まといの口に精が放出された。
『んぐっ、んぐ、ぐむっ』
まといは精を飲み干し、微笑む。
相変わらず…愛が重いですねぇ…
ふっと望の顔に影ができる。
まといの顔が顔前に迫る
「先生…」
まといが腰を沈めていく。
『ぐ、ぷぅん』
『あ、ああ…』
まといは絶棒を包み込み恍惚とした表情を浮かべる。
『ぱんっ』
『きゃんっ』
望が腰を突き上げる。
「このまま攻められっぱなしなのもなんですからね」
『すぶっ、ずん、ぱんっ』
『あっ、ひっ、あぅん』
まといは激しく声をあげる
『ずん、ずっ、ぱぁん』
『ひっ、くっ、ひ』
「常月…さん?」
「あ、ア、先生、私…」
「常月さん我慢は…いけませんよ」
「あ、先生、せんせっ」
まといの感情が高ぶる
「ぅ、あっ、あぁーーー」
まといは絶頂に達し果てた。
まといは望の胸に身体を寄せ微笑む
「先生、愛してます…」
まといは時間まで望の胸で微睡んでいた。
「ふぅ」
さすがの望もお疲れのようだ、しかし覚悟はできている。
「先生、大丈夫?少し休む?」
奈美が望に心配そうに駆け寄り声をかける
くいっ
望は奈美を引き寄せるとやさしくキスをする。
「普通に心配してくれるのはあなただけですよ」
奈美は惚けた表情で呟く
「普通って…いうなぁ…」
『ちゅん、ちゅ』
軽く触れるキスをする
「先生、あの…」
「なんですか?」
「その、お、ぉ…オ○ンチ○、舐めていい?」
恥ずかしそうな奈美の提案に望は少し嬉しそうに頷いた。
『んちゅ、ん、ぺろぺろ』
たどたどしいフェラだが心地よい、ふと望の視界に芽留の姿が映る。
不満そうにこちらをみているようだ。
もし今度懇親することがあったらやさしくしてあげましょうかね。
などと望は考えていた。
『ちろ、ちろ、れろ』
奈美が唇を絶棒から離す
『ちゅぷっ』
「日塔さん…」
「あ、先生、まって」
奈美が望を制止する
「?」
奈美は四つんばいになり望に背中を向けた
「その先生、今日は、こっちで…」
奈美の全身は羞恥で真っ赤に染まっている。
望の眼前には奈美の菊門があった。
『ぐぐぅっ』
『あ、くう』
望の絶棒が菊門に埋まっていく
『うあぁ、苦し、ぃひぃ』
「日塔さん無理をしないでください」
望が声をかける
「いいんです私普通だからこれくらいやらないと皆に置いていかれちゃう」
そんなことはない。そう言おうとして望は言葉を飲み込む。
言葉より行動がこの場合は適切ですかね。
『ああっ、くうふっ』
奈美の顔が苦痛に歪むが望は奈美の想いに答えるために腰を押し進める
『せ…先生、私のお尻…気持ち…いい?』
「ええ、とてもいい気持ちです」
『よかっ…た、はぁ、はぁっ』
「日塔さんいきますよ」
『ああっ、せんせいーー』望の精が思い切り良く放出される
『あ、せんせいのが、おなかに…あぁ』
絶棒が引き抜かれる
『あぁ、くふぅっ…』
奈美はそのまま気絶してしまった。
奈美を布団に横たわらせ望は一息つく。
じーっ
どこからか視線を感じる。視線の先は押し入れにあった。
不下校少女、小森霧が望を笑顔で手招いていた。
「お邪魔します」
押し入れの中には客用であろう布団が敷かれていた。
「せーんせっ♪」
霧は子猫のようにじゃれてくる
『ちゅ、ちゅ、ちゅ』
小さく、優しく、小雨のようなキスが降る。
『ん、ちゅくん、んん』
霧は少し体勢を変えると望の右乳首を優しく吸い上げる。
『せんせぃ、んちゅ、きもひいぃ?』
「ええ、とっても」
『んふっ』
無邪気に笑う霧。
張り詰めている絶棒を見つめ霧は目を潤ませる。
霧は顔をあげて微笑むと、背をむけ四つんばいになる。
押し入れは狭いので必然的にこういう体位になるのだ
望は霧のそこに指を優しく入れる
『あぅん』
霧が声をあげる。
そこはもうしっかりと濡れていた。
『ずぷっ…ずぅっ』
『ふぁあん』
霧はすんなりと絶棒を受け入れた
「動きますよ」
『うん、せんせぃ』
『ぱん、ぱんっ、すぱん』
小気味よい音が響き色白の肌が揺れる
『あっ、ああっ、あっ』
霧のそこに絶棒はきつく締めつけられ、限界を迎える
「霧さんっ」
『うん、いっしょに、いこうっ』
その瞬間望は絶棒を勢い良く引きぬく
『ひぁ!』
精が霧の背中に放出される
『ふぁん』
霧と望は同時に果てた。
望が押し入れを出ると異様な光景があった。
なぜか皆ぐっすり眠っているのだ。
そしてその部屋の中心には湿ったハンカチと薬品入りのビンをもった少女。
三珠真夜が立っていた。
142 :
42:2007/09/26(水) 13:38:57 ID:4Bj4xCdD
お昼の投下はここまでです。
なぜ真夜がそこに立っているのか?
それは私にもわかりませんw
いつの間にやらエロ神様が降臨なさっとるッ、GJです。
エロパロスレなのにまったくエロに突入しなくていい加減にしろって感じの真昼野郎です。
こんなアホ長いSSを読んで、あまつさえ感想までくれる仏様方にはいくら感謝しても足りませぬ。
今回は6レス程消費させていただきます。今まで以上に捏造設定の嵐ですのでご了承下され。
望は1時間目の授業以降、生徒たちの前に姿を現さなかった。
予定ではその後の授業のいくつかも望が受け持っていたのだが、急遽智恵が代行する事となったそうだ。
もちろん生徒たちは理由を聞いた。だが、智恵は「諸事情」とだけ答えてお茶を濁すだけだった。
望の姿が消えたと同時に、可符香も教室から姿を消していた。
朝から可符香の顔色が優れなかった事は千里も知っていたし、他の生徒たちも薄々気付いてはいたようで、彼女の早退に疑問を持つ者は居なかった。
そうして向えた放課後。
久藤はいつものように、夕暮れの図書室で本を呼んでいた。
他の図書委員は既に帰宅している。下校時間が迫る中で悠々と、彼は窓辺の席で本を読んでいる。
彼は、ある人物が来るのを待っていた。
「――失礼しますよ」
いつかと同じ台詞。一拍置いて開かれた扉の向こうには、予想通り、糸色望の姿があった。
いつかと同じように久藤も本から顔を上げて、薄く微笑みながら彼を迎え入れる。
「いらっしゃい、先生。来ると思ってました」
「そう思われてるだろうな、と思ってました」
照れたように笑いながら軽口を叩く望。夕暮れの赤が、彼の肌の青白さを隠していた。
「僕に聞きたい事があるんですね?」
「はい。貴方に聞きたい事があります」
久藤は開いていた窓を閉めて、冷たい風が望に当たるのを遮断した。
扉の前に立ち尽くす彼に椅子をすすめ、望が座るのを確認すると、ふっと瞳を閉じて見せる。
「可符香ちゃんの事ですか」
「…はい」
一拍置いて、頷く望。
「幼馴染の君なら、彼女の事を良く知っていると思いまして」
閉じていた目を開き、真っ直ぐに望の目を見る久藤。
たじろく事もせず、真っ直ぐに見返してくる彼の目は、何だか妙に優しかった。
「…彼女は幼少の時から…ああだったのですか?」
ああ、とは何ですか――あえてそう問うことはせず、久藤はふっと呆れたように苦笑した。
「ようやく気付いたんですか」
「いやはや、面目ない」
照れたように頭を掻く望。
望は以前の図書室でのやり取りを思い出した。
『油断ならない子だと思います』
そう答えた自分に、不満そうだった彼の本心が、今ならなんとなくわかる。
『それだけですか?』
おそらくはそんな所だろうか。
久藤からすれば期待はずれもいい所だったろう。
可符香の鉄壁のような笑顔を少しでも剥がす事が出来た彼ならば、彼女をもっと理解しているに違いない――そんな期待を寄せて、彼にその質問をしたのだろうから。
「先生は、彼女がああなった理由を知りたいんですね?」
「…やはり、明確な理由があるのですか」
「明確かどうかはわかりません。ですが、原因の一旦となったであろう出来事なら…」
「教えて下さい」
僅かな沈黙を挟んだ後、久藤は言った。
「それを知って、先生は何がしたいんですか?」
少しだけキツイ口調。だがその台詞からは、可符香を想う久藤の気持ちが読み取れた。
ただの好奇心程度の気持ちしかない者に、彼女の根底に根ざすトラウマを伝える事など、出来よう筈もない。
再び両者の間に、沈黙が降りる。
「―――助けたい」
答える望の声は、ともすればみっともない程に、震えていた。
自分の返答に呆れたように苦笑する望。だが、その一言が自然と唇を零れたのだから仕方ない。
自分は彼女を助けたいと思っている。たとえ彼女が、それを望んでいないとしても。
僅かなネガティブにも耐えられない、脆い少女が選んだ不器用な選択肢。
その危うさに気付いた時、望は胸が軋んで仕方なかった。
無理矢理にでも全ての不幸を、幸福に差し替えるという彼女の生き方。
それが最後まで、完璧に上手くいくというのならばかまわない。
けれど問題は、薄々その無理矢理さに彼女自身が気付いてしまっている、というところだ。
完全に物事をポジティブに取れる人間なら、わざわざそれを口にして自分に言い聞かせたりしない。
このままではきっと支障が出る。いずれはネガティブな事に、正面から向き合う事になる。
その時、彼女が今のままだったら、どうなってしまうだろう。
望に少し図星を突かれただけで、ああも心を乱していたのだ。
放っておいたら、壊れてしまう。確実に。
望の脳裏を、彼女の笑顔が粉々に砕けるイメージが過ぎった。
「あの子の思考回路には、些か柔軟さが欠けるように思えます。
だから―――できる事なら、絆してやりたい」
自由奔放に見える彼女の、あまりに凝り固まった観念。
それを解いてやらない事には、彼女を救う事などできやしない。
だがそれをするには、自分はあまりに彼女の事を知らなさ過ぎる。
もちろんそれを知ったからと言って、確実に彼女を救ってやれるとは言い切れない。
それでも知っておきたいのだ。彼女があそこまで頑なに心を閉ざす切欠となったであろう出来事を。
「教えて下さい、久藤君。私はあまりに、彼女の事を知らなさ過ぎるんです」
膝の上で両の拳を握り締めながら、望は深々と頭を下げた。
「――そうかな」
答える久藤の声は、何だかとても嬉しそうだった。
顔を上げる望。久藤は目を細めて、静かに彼を見つめていた。
「今の先生はきっと、僕よりも可符香ちゃんの事を理解してると思います」
「…買い被りですよ」
望は苦笑して首を振る。久藤は、いつも童話を話し出す時のように瞳を閉じてから、
「――これから僕が話す事は、酷く、曖昧な話です」
そう前置きして、ゆっくりとした口調で語り始めた。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
久藤准と赤木杏が出会ったのは、二人が幼稚園の頃まで遡る。
二人は自宅が近いという事もあり、元々顔見知り程度の面識はあったものの、入園してしばらくの間は、特に会話する機会もなく時が過ぎた。
この頃の彼女はとても無口で大人しく、今の彼女からは想像出来ないほど静かな子供であった。
子供の頃から本の虫であった久藤は、他の子供と遊ばずに、一人で本を読んでいる事が多かった。
杏も、性格からして友達とはしゃぎ回る事が出来なかったのだろう。よく一人で孤立していた。
自ら望んで孤立した者。孤立せざる得なかった者。
理由は違えど、二人は集団生活の中で異質な存在だった。
ある日。久藤はいつものように本を読んでいた。他の子供たちは園内をはしゃぎ回っている。
ふと隣に人の気配がして本から顔を上げると、杏がぼんやりとこちらを見ながら立っていた。
目が合うと驚いたように身体を震わせて、すぐに視線を逸らしてしまう。まるで何かに怯えるように。
「…座ったら?」
見下ろされていると落ち着いて読書が出来ない。
そう思って声を掛けると、杏は再度身体を震わせた。
「――ここに、居ていい?」
恐る恐る訊ねる少女の真意は、子供の彼には判らなかった。
だが、杏にとっては一世一代の大勝負とも言える問いだったのだ。
自らが協調性を欠いている事を理解している彼女は、自分が他人にとって迷惑な存在であると心に刷り込まれていた。だから自ら、他の子供たちと一線の距離を置いたのだ。
けれど、元来寂しがりやの少女に、孤独はあまりに辛いものだった。
そうして見つけたのが、自分と同じように一人逸れた少年の姿。
彼は自分とは違う――その事は理解していた。
けれど彼ならば、自分の事を受け入れてくれるのではないか。
そんな僅かな希望を寄せて、少年の様子を窺う。その希望が、粉々に打ち砕かれる事に怯えながら。
「うん、いいよ」
別に断る必要もないではないか――彼はそう思っていた。
拒絶される事を恐れる少女の心情を理解しないまま、彼はこくりと頷いてみせる。
すると、さっきまで眉をハの字にして怯えていた表情とは一変して、杏は瞳をパァっと輝かせた。
ここに居る事を許可された。ただそれだけの事が、彼女にとってはよほど大事な事だったらしい。
その嬉しそうな彼女の顔を、久藤は素直に「可愛いな」と思った。
それ以降。二人は共に時間を過ごす事が多くなった。
久藤は相変わらず本を読むだけ。杏はその隣で、ぼんやりと空を眺めている。
いつしか久藤は、杏に物語を読んで聞かせるようになった。
杏はどんな話にでも瞳を輝かせ、まるでその物語の住人になったようにのめり込み、一喜一憂する。
その様子が楽しくて、久藤の中でいつしか、杏という少女の存在は大きなものになっていった。
彼女に興味を持つようになってから、彼女の周囲の環境にも目を配るようになる久藤。
彼は両親や近所の人達の話から、杏が非常に恵まれない環境の中で生活している事を知る。
杏の父親の会社の経営が危うく、家庭内はその事でピリピリした空気に包まれており、
両親の理不尽な怒りの矛先は、常に彼女に向いていた。
彼女は少しでも目立たぬよう、節目がちになり、小声で話すようになっていった。
いつも隣で笑っている少女を取り巻く環境を知り、子供心に久藤の胸は酷く痛んだ。
助けたい――だが、いったい何をすれば彼女を助けた事になるのかわからない。
その事を彼女本人に伝えると、杏は眉をハの字にしながらも、懸命に微笑んで見せた。
「准君は、今までみたいに一緒に居てくれるだけでいいの」
それで十分だと、それだけで嬉しいと。
心から久藤に感謝しながら言う杏の表情は、あまりにも儚げだった。
翌日。杏の父親が自殺した。
彼女はその現場に居合わせたらしい――後々駆けつけた大人たちは、引き攣った笑顔で父親を見上げる杏の姿を見たそうだ。
全て人伝に聞いた話だ。久藤は杏の身にそんな不幸が及んだ事を実感出来ないままで、彼女の父親の葬式に出席した。
そこで見た杏の姿に、彼女の身に及んだ不幸を、否が応にも実感する事となる。
泣きそうな笑顔を張り付かせたまま、彼女の表情はピクリとも動かなくなっていた。
葬式に、彼女の母親の姿はなかった。
何でも、夫の自殺に耐え切れなかった彼女の母親は心を病み、今は病院に居るとの事だ。
実質両親に放り出された杏は、母方の叔父に引き取られる事となった。
といっても、叔父は半ば杏を押し付けられたようなものらしい。
そんな彼が、杏に優しく接するはずもなかった。
父親の死を目前にして以来、笑みが剥がれなくなった杏を見て、
叔父は常日頃、八つ当たり気味にこんな事を言っていたらしい。
「お前はいいな。何も知らずに、幸せそうで」
子供は何も知らない、感じないと決め付けた、大人の残酷な上から目線。
どうやら他の大人達も、彼女が笑顔を絶やせないのを見て、概ね同じ評価を下したらしい。
「杏ちゃんはいつも笑っていて、本当に幸せそうね――身の不幸も知らずに」
次第に彼女は、その周囲の声に合わせるようになっていった。
―――皆私を幸せと言うからには、私は幸せなのだろう。
不自然だった笑顔は、徐々に彼女の顔に馴染んでいく。
その笑顔が自然になればなるほど、彼女の心は病んでいく。
自らを幸せと思い込む事で、正常なフリが出来る事を覚えた少女は、物事を前向きに捉える事に必死になっていく。
そんな彼女を、久藤は見ている事しか出来なかった。
きっと何か出来たはずなのだ。だが、幼い自分はただ呆然と、彼女の隣に居ることしかしなかった。
小学校に上がってしばらくすると、彼女は名古屋に転校する事になった。
彼女に直接聞く事が憚られ、人伝に聞いた話では、何でも彼女の叔父が何か犯罪を犯したらしい。
再び放り出された彼女は、今度は名古屋の親戚の下に預けられるのだそうだ。
引っ越しの前日。
二人は幼稚園の頃からそうだったように、共に時間を過ごした。
久藤は何も聞かない。杏も、何も語ろうとはしない。
他の生徒の消えた夕暮れの教室で、久藤は彼女に、最後の物語を語る。
最後に彼女に読んで聞かせた物語は、「赤毛のアン」だった。
彼女はひどく安らかな顔で、久藤の声に耳を傾けていた。
そうして二人は、しばらくの間、袂を分かつ事になる。
彼女が引っ越してから、数年の時が経った。
その数年の間、彼女の身に何が起こり、彼女が何を感じてきたのか、久藤は知らない。
数年後に再会した彼女は、自らを「風浦可符香」と名乗るようになっており、
以前は少しだけ歪さを残していた笑顔は、すっかり少女の顔に馴染んでいた。
◇ ◆ ◇ ◆
設定の穴なんてキニシナイ!!てな所で一区切りさせていただきやす。
もはやスレ容量を無駄に食う荒しと化している節がありますが、
悪気はないんですただ話纏めるのが恐ろしく下手糞なだけなんです…。
荒しだなんてとんでもない。毎日待ってます!
152 :
前305:2007/09/26(水) 19:52:20 ID:LrhG4TVH
42さんへ
・・・奈美がかわいい・・・
芽留とコンビなのが私のツボだとはっきりとわかりました!
携帯の神よ! GJ!!!
えーと、お疲れ様です。
ちょっと他の方とバッティングしないか、恐々ですが、投下させて頂こうかなと・・・
以前、可符香の後日談として書いた、まといの話の続編・・・になります。
ちょっと鬱気味+長い(10レス消費)+エロ無しです。
苦手と思われる方は、スルーをお願い致します。では。礼。
また同じ夢を見ました。
私の目の前には、先生のいつもの背中。
その横に並び、手をつないで歩く少女。
音も無く、桜色の風だけが吹き抜けてゆく場所。
私は二人の後ろを歩く。 ついてゆく。
少女は、振り返り先生を見る。
銀色に光る髪留めが揺れた。
途端にあの子の姿が掻き消えた。
慌てる先生。
そして、少し離れた場所から微笑む少女。
先生は近寄る。だけど、近づけない。
先生は走る。少女は立ったまま、
その姿が遠く離れてゆく。
私は走る先生を追いかける。
やがて少女の姿は見えなくなり、この世界は色を失う。
先生の叫び声だけが聞こえ、
私は目を覚ましました。
最初に肉眼で認識できたのは、天井に灯るオレンジ色の常夜灯。
そして、鼓膜を震わして伝わる先生の低い呻き。
私は飛び起き、自分の手を握り、自身に現実の世界を実感させる。
そして、隣の布団で横になっている先生を見ました。
切れ切れに苦痛の呻き声を上げ、両手は目の前の宙を漂い、苦悶の表情を浮かべていた。
私は先生に覆いかぶさり、両手を押さえつけた。
そのまま抱きかかえ、半身を起こさせる。
口元から、逆流した胃液が伝い落ち、私はすぐに手で拭い取る。
先生を抱えたまま、その背中を何度もさすっているうちに、落ち着いてきたのか先生の呻き声が止まりました。
ゆっくりと布団に横たえ、私は先生の頭をそっと抱え込む。
しばらくそうしていると、先生は薄く目を開けました。
まだ夢を見ているのでしょうか。ぼんやりとした瞳は、焦点が合っていないようでした。
「・・・・・・・・・・・常月さん。」
やがて、私が分かった様子で、力無く微笑みかけてくる。
私は先生の頬を優しくさすりながら、微笑み返しました。
「もう少し、横になっていたほうがいいです。」
私の言葉に先生は小さく「・・・ええ」とうなずいた。
その言葉に安心して、私は隣に横になる。
先生は天井を向いたままだったけど、私は横を向いて先生の顔を見ていました。
「・・・あなたは眠らないのですか?」
「・・・・ここで先生をみてます。」
「・・・・・そうですか。」
先生は瞼を閉じたが、恐らく朝まで眠らないでしょう。
ここ最近はずっと・・・・・・・この繰り返しだから。
私は先生の唇に触れたくて手を伸ばし・・・・・・・・途中で戻した。
指が空を掴む。
夜明け前、空気に冷たい匂いが混じり始めているように思えました。
あれから・・・もう、半年と少し。
先生は、辛い思い出のある街を去ることに決め、もちろん、私は先生についていきました。
遠く離れた片田舎の町。
そこの高校で教鞭を振るう事に決まった先生と、当然のように転校してついて来た私。
先生は困ったように笑ったけど、何も言わなかった。
ここの生活でも、私は片時も先生のそばを離れずに暮らしていました。
『生きる努力をしてみます』
そう言った先生は、その言葉に偽りの無い日々を送っていました。
私が時々みる夢。
先生は毎日のように見る夢。
そこでだけ、最愛の少女に逢う事が叶い、・・・・・・・でも。触れる事は叶わない、残酷な夢。
・・・・・・・悪夢じゃないですから。
取り憑かれたかのように、繰り返し同じ夢を見続ける先生は、何度もそう言っていました。
『先生を連れて行かないで・・・・』
私は夢の中の少女に、ただひたすら懇願していました。
自分の夢にうなされ、ひどく憔悴して夜中に目を覚ます。
そんな日々が続いていました。
私にできる事は、身の回りのお世話と、祈る事くらい。
・・・以前の私は、「死」へ向かおうとする先生を止めていた。
でも、今の私は何をしているのでしょう?
歯を食いしばるように懸命に生きようとする先生に、私は何をしてあげられるのだろう?
毎夜苦しみ、疲れ果てても、逃げない先生を見続けていました。
少しでも、気休めでも、力になれたら・・・・・・
そう思い、先生のそばに居続け、
その日は突然、訪れました。
私の方に・・・・・・・限界が来てしまっていたようでした。
この街で初めて迎える冬。
ちょうど一年。
雪がちらつけば、やはり、思い出してしまう事。
そんな不安に押しつぶされるような夜でした。
私は初めて、先生と一緒に眠りについてました。
「今日は、寒いですから。お願いします。」
強引に押し切り、困惑する先生を抱きしめて眠りにつきました。
先生の体温は温かだったはずなのに、私の心は凍りつくような恐怖で満たされ、いまにも手足が震え出しそうだった。
先生の腕に、脚に、自分の両腕、両足をしっかり絡め、絶対に離さないつもりでした。
うつら、うつらとしながら時間が過ぎてゆく。
そして、また同じ夢を見ていました。
同じ夢、
手をつなぐ少女と先生。後ろにいる私。
一つ違ったのは、離れてしまった少女を追いかけようとした先生の手を、私がしっかりと握っていた事。
先生は走り出す事が出来ずに立ちすくんでいる。
『行かないで・・・・』
音の無い世界で、私の声だけが聞こえた。
少女の姿は微笑みを浮かべたまま、遠ざかってゆく。
先生は追いかけられない。・・・・・私が、離さないから。
私は遠くなって行く少女の姿を見ていた。
いつもと変わらない微笑み・・・・・・・なのに、何でだろう?
とても寂しそうに見えるのは。何故だろう?
そして私はなぜ泣いているの?
・・・・・・・そうか。
私が先生を離したら・・・・・・私は一人きり。
・・・あなたは、先生がそばにいないから・・・・・・一人きりで、・・・そこにずっと。
・・・・・私が、あなたを、一人にしている。
目が覚めたとき、私は自分の全身に鳥肌が立っているのがわかりました。
硬直した手足を、そっと、先生を起こさないように剥がします。
先生は・・・・・・・今日はまだ、うなされる事なく静かに寝息を立てていました。
先生、私、わかりました。
二人は、やっぱり、一緒にいないと駄目なんだって事が。
・・・ずっと、仲のいい先生たちを見てきた私には、それが当たり前であることが。
私は、静かに起き上がりました。
本当はずっと分かっていました。先生たちと、私が、ここから開放できる方法。
簡単な事なのは分かっていました。
押入れを静かに開け、奥にあったカバンを引っ張り出しました。
先生が私にくれた物です。
中から、そっと、練炭を取り出しました。
部屋は外の冷気が入らないよう、夜は閉め切ってありました。
ゆっくりとマッチを擦り、火をつけます。
炭の燃える匂いが部屋に広がり始め、私はカバンの中にある瓶を取り出し、フタを開けました。
円卓の上に置いてあった水差しを手に取り、瓶から取り出した錠剤を少しずつ口に含み、噛み砕きながら水で流し込んでゆきます。
ゆっくりと、ゆっくりと、その動作を繰り返し、やがて瓶の錠剤が半分ほどになった頃、私は水差しを置きました。
そして先生の隣に寄り添い、目を閉じました。
私はいつしか、子守唄を口ずさんでいました。
誰のためなのか・・・・・わからないけど。
先生・・・・・もうすぐ、あの子に会えますよ・・・・・
でも、私も寂しいから、ついてゆきますね。・・・いいですよね?
体の周りに暗闇が広がってゆくのがわかりました。
怖くはなかったです。
ずっと、先生の鼓動と、自分の鼓動が聞こえていたから。
せんせい・・・・・私・・・・・愛してる・・・って、言い過ぎてましたね。
・・・・・こんな時に、一度だけ言えれば良かったんですね。 せんせい・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
なんだろう? 私、いま、どこにいるの?
まっくらです。何も見えない・・・・・何も無い・・・・・私一人なの?
・・・・笛? 笛の音が・・・・・・
だれ? 可符香さん? どうしたの? 先生は・・・・・・・あれ、どこへ行くの?
何? この笛の音? だんだん大きく・・・・・・・
先生・・・どこ・・・・? どこにいるの? 一緒に行きましょう。・・・可符香さんが・・・・まってます・・・・・よ・・・・・・
笛の音が段々大きくなり、それが笛の音ではない事に気がつきました。
聞こえているのは、規則正しい電子音・・・・・・・
あれは何? 浮かんでいる・・・・? あ、そうだ、あれは点滴のパック・・・・・・・ 点・・滴・・・?
私は、ようやくはっきりしてきた意識で、おぼろげに自分の姿を確認できました。
何これ? 腕に紐みたいなものが刺さって・・・・・・
口元には・・・マスク? 息は楽だけど・・・・・
「・・・常月さん。」
あ・・・先生! そこにいたんですね。 ここ、どこですか? ここは・・・・・・
・・・・・私は急速に鮮明になってゆく頭の中で、次々と記憶がフラッシュバックしてきました。
薄暗い部屋。
ガラスの水差し。
手のひらに転がる白い錠剤。
奥歯がガチガチと音を立て、全身に震えが走りました。
「・・・・わ・・・わたし・・・・先生を・・・・先生を・・・・・自分で、先生を!!」
「・・・常月さん! 落ち着いて!」
いやぁぁぁぁぁっっ!!!!
声にならない悲鳴を上げたのが自分でわかりました。
やけに冷静な自分がいました。
私は、今から壊れていくんだな・・・・と。冷静に見ている自分がいました。
「また私を一人にする気ですか!!」
・・・・・・・あ・・・・・
いまの声・・・・・先生・・・・・?
気がつくと、先生の顔がすぐ近くにありました。
「あなたまで無くしたら、私はどうなります!?」
波が引くように、臨界点まで達しようとしていた鼓動が、おさまってゆくのがわかりました。
でも、気持ちが混ぜかえった状態で、どうしたらいいのか・・・・
笑うのがいいの? 泣くのがいいの?
「・・・せん・・せい・・・。私、どうしたらいいのか分からない。」
先生は私の手を握りました。
「・・・・・・・私に、腹を立てる所ではないでしょうか。」
「・・・・・どうして?」
そう・・・どうしてだろう。
「・・・あれだけ、あなたを突き放しておきながら・・・・あなたの気持ちを考えもしないまま、放っておきながら、あなたが
こんなになるまで何もしない人間ですよ? 当たり前のように、あなたの気持ちがあると思って、自分の世界に閉じこも
っていた卑怯者ですよ・・・・私は。」
「・・・・・・・だって・・・ついて来たのは私の・・・・・」
先生は首を振って、うな垂れた。
「・・・私はそれに甘えているのです。」
甘えてほしくて・・・・、私によりかかってほしくて、ずっとついて来たんですよ?
でも、・・・・・・・先生の命を、粗末にしようとしたんですね・・・・・私が・・・
口に出そうとして、でも言いよどんでしまう言葉が、ぐるぐると頭の中を回っていた。
「・・・・先生が・・・助けてくれたんですか?」
何とか言葉になったのは、その質問でした。
先生は少し青い顔でうなずきました。
「・・・・ええ。練炭の燃える匂いで飛び起きました。」
・・・そして先生は、薬瓶の横で眠る私を見たんですね。
どんな・・・・思いをさせてしまったのか。
「・・・・・先生、未遂経験は豊富ですからね。匂いには敏感になったのですよ。」
少し苦笑しながら、そう説明する先生。
そうだった。
誰よりも、死を恐れていた先生でしたよね。
私は微笑んだつもりだったけど、透明なマスクは少し曇っていて見えなかったかもしれない。
ようやく先生の顔を見れる余裕もでてきました。
「・・・先生・・・・・泣いていたのですか?」
先生は少し焦って頬にある涙の跡をこすった。
「恥ずかしながら・・・取り乱してしまいましたよ。」
「・・・ごめんなさい。」
私は握ったままの先生の手を強く握りしめる。
「もう、こんな事しません・・・・・・ごめんなさい・・・先生。」
先生は優しく私の頭をなでました。
「・・・さ・・・もう少し休みなさい。・・・安心してください。もう、ヤマは越えたそうです。」
私はうなずいて、
「・・・先生。ずっと、ここに居てくれますか?」
「・・・・・ええ。そのつもりです。」
「絶対・・・?」
「もちろん。」
「ずっと・・・・?」
そんな言葉を繰り返しているうちに、私は再び眠りに落ちてゆきました。
・・・夢を見たかどうかは、憶えていません。
それから、数日が過ぎたと思います。
・・・あまり記憶が定かではなかったので、はっきりとは分かりませんが。
私は、順調に回復し、明日には退院できるとの話でした。
「転校・・・・・ですか?」
先生の言葉を、私はそのまま繰り返しました。
「・・・やっぱり、今回の事で、ですね・・・・・?」
それはそうでしょうね。
私は質問しながらも自分で納得していました。
ただでさえ、自分の教え子と暮らしている教師が、問題を起こしたと見られてしまう訳ですから。
「いえ・・・確かに私も転任する事になるでしょうが・・・・・。そうではないです。転校、と言ったのは・・・・・・・・・常月さ
ん、あなたの事で。」
一瞬、先生の言葉が理解できませんでした。
何ソレ? 私だけが転校するって、何?
「・・・嫌です。だったら退学してもいいです! 私・・・・」
声を荒げた私に、先生は首を振りました。
「学校側の措置ではなくて・・・・・これは、私が判断した事です。」
先生は真剣な声ではっきりと告げました。
今度こそ、私は言葉を失いました。
「・・・ど・・・・どうし・・て、ですか・・・。だって・・・・先生は、私が必要だ・・・って言ってくれた訳じゃなかったんですか
? 嫌・・・・・嫌・・・・です!」
興奮して、ただ「嫌」と繰り返す私に、先生は静かに言いました。
「自分が寄り掛かるためだけに、あなたを必要とする事はしたくないんです。」
「そんなの・・・・・私は、先生になら・・・・・」
先生は、手を私の頬に触れて、私の言葉を止めました。
「常月さんの人生は・・・・私が全てなんでしょうか?」
「はい。」
私は即答して頷いた。
考えるまでもなく、そうだから。
でも、先生は困ったような笑いを浮かべた。
「それではいけません。・・・私も人の事は言えませんが、もっと他の事が、あなたの中にも、外にも、あるはずです。
それを、考えて下さい。先生も、そうします。だから・・・・・」
先生は私の髪を優しく撫でた。
「今は、離れた方がいいんです。・・・忘れろって言ってる訳ではありませんよ? ・・・・忘れられたら先生が寂しい
ですから。・・・・・ちょっと勝手な言い方ですが。」
先生以外の事?
考えられるの? 私に?
「・・・先生も、そうするのですか?」
「はい。・・・・・忘れられる物ではないですけどね。・・・・でも、忘れないまま、他の事を自分の中に入れてみますよ。」
私は先生の目を、真っ直ぐに見た。
「私の事も・・・・ですか?」
先生は小さく笑いながら頷いた。
「あなたが私を想ってくれる事、目をそらさないようにします。・・・いつか、二人に、答えが出せるように。・・・・・こん
な、どうしようもない私でも、想ってくれた事に・・・・・私は答えたいのです。」
二人・・・・・そうだ。
私も、それが心に重石となっていたんだ。
可符香さんから・・・先生を取り上げてしまうから。
完全に、一人に、してしまうから・・・・・・・
しばらく、静寂が訪れました。
先生が私の言葉を待っているのがわかる。
答え・・・・・言葉・・・・・私にとっての答えは・・・・
「・・・・約束してくれますか?」
そんな言葉が私の口から出た。
先生はうなずき、次の言葉を待つ。
「絶対・・・・一日一回は、私の事、考えてください。そして・・・・」
泣いたらだめ。
でも、泣きそうになる。
「・・・・・死・・・・・なないで、下さい。絶対に! ・・・・・・ちゃんと生きてるって事、私に伝わるように、して下さい・・・」
先生は少し間を置き、深く頷いてくれた。
「約束しますよ。」
そういって、ふわりと包み込むように私を抱きしめた。
そうして、先生は行ってしまったのです。
一人、病室に残った私は、例えようもない孤独感に取り付かれ、この一年の先生との暮らしが次々と思い出されてきました。
一緒に暮らしていた部屋。
エアコンが無くて、窓を全開で眠った夏。
小さい円卓で寄り添って食べた食事。
おそろいで買った箸。
同じような事が繰り返される毎日だったけど、先生のそばにずっと居れた日々。
私は、先生と離れて生きて行けるのでしょうか?
ベッドの上で、一人。ひざを抱えて考え続けていました。
答えは・・・・・・・・わからないままです。
これはいい病みっぷりですね。
まといはとことん切ないな。だがそれがいい。
「先生、さよならー。」
「また、あしたー。」
下校時刻が過ぎて、校舎の中は、にわかに騒々しくなりました。
でも、日が傾くころには、再び、静けさを取り戻し、
私は、一人、廊下を歩いていました。
昨夜は少し雪が降り、その名残が、まだ中庭にあるのが見えます。
ぱたぱたと、足音が近づいてきます。
「・・・ああ、常月先生。いまお帰りですか?」
甚六先生でした。
私が学生の頃から少しも変わらない、柔和な笑顔で話しかけてくれます。
智恵先生が退職された後、私が替わりとしてSC室を担当する時も、甚六先生が後押ししてくれました。
「お疲れ様です。・・・戸締りですか?」
「ええ。いま確認しおわった所ですよ。」
そう言って私の横に並びました。
「・・・あ、そうそう、コレ、見てくださいよ。」
甚六先生は携帯を取り出して、画面を私に見せます。
「・・・あら。赤ちゃんですか?」
「そうなんですよ、初孫が生まれたと、娘からメールがきましてねぇ。・・・いやあ、可愛いもんですなぁ。」
目尻を下げながら、嬉しそうに次々と画像を見せてくれます。
私の「おめでとうございます。」の言葉も聞こえないくらい、夢中になってました。
「あ・・・すいません、ちょっとはしゃぎすぎましたな。」
そう言って頭をかく姿を見て、私は思わず吹き出してしまいました。
「・・・・あら・・すみません。こんな時、先生が居たら、また何か言い出すんだろうな・・・と、思ってしまって。」
私の言葉に、甚六先生は、ポンと手を叩いた。
「おお! そういえば、明日、行かれるのですね? 有給は取られましたか?」
「ええ。大丈夫ですよ。ありがとうございます。」
先生は携帯をしまって、私の方を向いた。
「気をつけて。あ、糸色先生にもよろしく。」
そう言って、少しスキップを刻みながら甚六先生は去ってゆきました。
『年忘れですよ!』
思わず先生の言葉が思い出され、私はクスリと笑いました。
雲ひとつ無い、澄んだ寒空の下。
蔵井沢の駅から歩く事、小一時間。
小高い丘の上に私はいました。
手には、ささやかだけど、選んで作った花束と、今年は小さな袋に入ったキャンディー。
沢が一望できるその場所に、真っ白な墓碑が立っていました。
彫られた墓碑銘の横には、誰かの置いた花束が風に揺れていました。
「・・・・やっぱり今年も先生が先ですか。」
ちょっと苦笑して、私は花束と袋をその横に置きました。
目の前の大理石に少し会釈します。
「あのね・・・・・可符香さん。甚六先生に初孫が生まれたって。先生にもよろしくって。」
その上に積もった雪を軽く払いながら私は話かけます。
もちろん、答える者はいません。
風が針葉樹のこずえを撫でる音だけがしています。
私はしばらく空を見上げていました。
「ねえ。可符香さん、先生のどんな所が好き? 後ろ向きなとこ? 悲惨なとこ? 不器用なとこ?」
そこまで言って、私は溜め息をつきました。
「・・・私はね、よくわからない。・・・・・ただ好き。それだけなの。それだけでも、ずっと、気持ちは変わらないの・・・・
いまでも眠れない時もあるくらい。・・・・時々、一晩中泣いちゃうくらい・・・・・・」
すこし言葉を切りました。
「可符香さん。・・・そろそろ・・・私・・・先生の事、もらってもいいかな・・・・・。幸せに・・・なりたい。また、ずっと、先生と
一緒にいたい。ずっと・・・・ずっと・・・・・・一緒に・・・・・・」
私はいつの間にか泣いてました。
慌てて涙を拭い、私は立ち上がります。
「・・・・あ! 先生を幸せにしたい、が、抜けてたね。」
そう言って苦笑を見せた。
「ふふ・・・失敗、失敗。まだ、だめね。」
そう言って、白い墓碑に手を振りました。
「・・・・じゃ、また、来年くるね。先生によろしく・・・・・」
言い終わる前に、少し強い風が私のそばを通りました。
風は大理石の上にあった二つの花束を転がし、その下にあった物が見えました。
あれは・・・・・・何?
先生が持ってきただろう花束。その下にあったのは、手紙の白い封筒でした。
石の隙間にはさんであるそれを手に取りましたが、中身は入っていないようでした。
首をかしげ裏返してみると、そこには、見覚えのある文字で、
今度は 私から 会いにゆきます
考えなくても、誰かは分かりました。
私は、可符香さんの墓碑の前に座り込んでしまいました。
一度、止まった涙がまた溢れ出します。
涙で霞んで見える白い墓碑を私は見つめました。
「・・・ありがとう。可符香さん。」
それだけ言い、私は墓碑を抱えるように泣きました。
嬉しくて、切なくて、胸が痛みます。
一人じゃなくなる事と・・・・・・一人にしてしまう事に。
支援。でいいのかな
携帯が鳴りました。
履きかけのパンプスに急いで足を通すと、私は歩きながら通話ボタンを押します。
「もしもし? あら。え、もう入園式は終わっちゃったの? 今どこ? うん。分かった、ちょっと待っててね。はーい。」
私は小走りで、学校を出ました。
今日は娘の入園式・・・・だったのに、こんな日に限って、何だかんだで休めずに、せめて早退して遅れて行くつもりだったのに・・・・・
私は心の中で、こぼしながら、満開の桜並木の中を急ぎました。
そよ風が、花びらを運んでくれて、あたり一面を桜色に染めます。
・・・お昼は、外で食べるのもいいかもね。
そんな事を考えていると、娘と、先生・・・・・・主人の姿が見え。
私は思わず立ち止まる。
それは、いつか、繰り返し見た夢に似て
桜色の風 音も無くそよぐ
先生と少女の背中
二人、手をつないで・・・・・・
不意に、少女・・・・娘が振り向き、
「あ! ままですよ! ままーーっ!」
私に気がつき、走り寄る。
まだ頭でっかちで、ちょっと転びそうになりながら走り寄る娘を、私はしゃがみこんで迎える。
「おかえりなさいでした!」
私の胸に飛び込み、元気な声を上げました。
娘の頭を撫でてやると、嬉しそうに微笑みます。
ふと、私の横に先生が来ていた。
いつもの柔らかい笑顔で私達に微笑み・・・・・・手を伸ばして、娘の前髪に、一本の髪留めを通した。
銀色に光る・・・・・・・髪留め・・・・・
これは・・・・・・・・・
呆然としている私の前に、先生の手が差し出され・・・・・
その上には、同じ髪留めが一本・・・・
私は、意識せずにそれを手に取り、不思議そうな顔を浮かべている娘の前髪を撫で上げ、
先の髪留めと交差させるように髪に通しました。
・・・ずっと、心の中に積もっていた気持ち
「これ、なんですかー?」
不思議そうに、先生と私を見る娘。
「お守りですよ。私と、まといさんからの。」
私の背に手を回し、先生が穏やかに娘に告げた。
・・・あの子を孤独にしてまで得るもので、それを幸せと言えるのか
「うん・・・お守りよ。似合うわ・・・・・」
私は、たまらなくなって娘を抱きしめた。
頬を伝う涙が暖かい。
・・・先生が前に言った事、二人に答えが出せるようにと
「まま? 泣いてますよ?」
「うん・・・・桜が綺麗すぎて、泣けてきちゃった・・・・」
娘は嬉しそうに、私の顔に触れた。
・・・見つけてくれた。ここに・・・・約束した、答えを
「ぜつぼーしたー! きれーで、ぜつぼーしまったー!」
まだ、舌足らずな言葉でそう叫んで、私は思わず吹き出しました。
先生は明後日の方を向いていましたが、目が笑っているのがわかります。
・・・先生は、いないと言っていたけど ・・・神様がいるなら、感謝します
たくさん・・・いろんな所に行こうね。
いっぱい遊ぼうね。
ずっと・・・そばにいるから。
私たちは、ずっと一緒に。
・・・私たちを、出会わせてくれてありがとう
娘を抱く私を、先生の腕が包み込みました。
「・・・おかえりなさい。」
私と・・・・・この子に・・・・・
私は娘を強く抱きしめました。
「おかえりなさい・・・・・!」
桜の大樹の下
舞い散る花びらに包まれていました
私たちは・・・ずっと
165 :
前305:2007/09/26(水) 21:17:16 ID:LrhG4TVH
お粗末でした。
支援してくれた方、ホントありがとうです。
173氏の気持ちがわかりましたww
読んで下さった方、ありがとうございます。m(_ _)m
166 :
42:2007/09/26(水) 21:35:51 ID:4Bj4xCdD
143氏、前305氏、お二方ともGJです。
可符香もまといも切なすぎます。
心の澱ラストシーンは素晴らしすぎです。
さて、絶望の宴ラストまで投下させていただきます。
もう少しだけ稚拙なエロ小説にお付き合いください。
皆、不自然な程に寝入っていた。
そしてその中心には真夜。
その手には薬品のビンと、ハンカチが握られている。
望は考えた、三珠さんが犯人のはずありませんね。証拠が揃いすぎています!
ふと眼下に視線を落とすと真夜がいた。
「み、三珠さん?」
「………」
どんっ
突き倒され、望は尻もちをつく形になる
「三珠さん、何をするんです」
頬を朱に染めた真世の顔が眼前にある。
『くちゅ…』
絶棒の先に何か生温かいものが触れる
「え、えぇっ」
真世のそこは望の絶棒に侵入しようとしていた。
え、え?三珠さん、ノ、ノー○ン?
…錯乱してる場合ではない
このままではいけない!
望が抵抗の意志を示そうとした正にその時。
『ずぶん』
『……!…!!』
真夜の顔が苦痛に歪む
真夜の狭い秘所が絶棒を包む。
「み、三珠さん」
『……』
望には真夜が一瞬だけ微笑んだようにみえた。
『!、!!』
激しく動く真夜
ただでさえ狭くきつい。
その感触に望は瞬く間にのぼり詰める
「くっ、三珠さん抜いてくださいっ」
真夜は抜くのを嫌がったがそうもいかない。
望が真夜の身体を両脇を抱え思い切り引きぬく
『!、!!!』
間一髪、しかし、勢い良く放出された望の精は真夜の顔面を直撃した。
「み、三珠さんすいません何か拭くものを」
望が顔をあげた、その瞬間
くらっ
意識が遠退く。
何かを口に当てられている感覚がある。
そのまま望は倒れこんでしまった
微睡む望の視界が最後にとらえたのは割れたガラスから外に飛び出す真夜の姿だった。
生温かい感覚が望を眠りから覚まさせてゆく。
「ん…」
下半身に虚ろな眼を向けるとそこには絶棒を愛しそうに舐める木津千里の姿があった。
「もう、先生たら寝てしまうなんてひどいじゃないですか、私にもきっちり懇親させてくださいね」
「実をいうと私も少し寝ちゃってたんですけどね」
そういいながら千里は絶棒をくわえこむ
『ふぉふぁいふぉでふね』
千里がなんといったのかはなんとなく理解できたがそれよりも快感の方が勝っていた。
『じゅぶっ、かじゅっ、ちろ』
「うくうっ」
絶棒が大きくなったのを口内で千里は確認する
『ちゅくっ』
千里はおもむろに立ち上がり秘所を絶棒にあてがう。望からは千里の大事な部分が丸見えになっている。
望は気恥ずかしさで目を逸らしそうになる。
しかし千里はまっすぐに望をみつめる。
目を逸らすことについては達人のはずの望もその目は逸らせない。
『先生、大好きです』
力強い告白。そして。
『ずぷぅん』
千里は絶棒を一気に挿入した。
『うあぁあぁっ』
叫びともとれる声をあげる千里。
しかし望は何もいわず腰を進めはじめる。
望はその行動が正解だと思っているから。
この一連の行動、そしてこの懇親会。
世間では異端、間違いととらえられてしまうだろう。
間違いは発覚した時点で正解になる
望は不思議とこの言葉が今の自分に相応しい言葉だと感じていた。
『先生、先生、はぁっ』
千里はひたすらに望を呼び続ける
『あう、あん、あはぁっ』「木津さんっ」
『先生っ、先生、時間が、ぁ、じ、かん、が』
実は三珠によってもたらされた睡眠により千里の持ち時間は既に終了していた。
それに気付いた千里は行動を止めようとする。
しかし望はそれを拒み続けているのであった。
「木津さん、こういう時まできっちりしないでいいんです!」
『で…もっ…』
「あなたを…」
『…え?』
「木津さんを、満足させることができなければっ、私は死んでも死にきれませーーーん」
『!!、先生、先生っ』
千里の目から大粒の涙が流れる
『先生っ、わたし、嬉しいっ!愛してます!せんせいっ!』
『ぱん、ぱんっ、ぱん』
望と千里は激しく動き続ける
『先生、私…もうダ…メ』
千里の限界を感じとった望は絶棒を思い切り突き込んだ
『くふぅっ、あ、あっ』
千里は望の上で果てた。
望は千里を横たわらせる。
真っすぐな視線を感じる、望のすぐ後ろ。
宿直室懇親会。
最後の一人、風浦可符香がそこにいた。
「あなたも…するんですか?」
「うーん、そのつもりですけど…」
可符香はちらと視線を横にやる
「千里ちゃんは満足したみたいなんですけど他の皆はきちんと時間制限があったんですよねぇ」
「は?」
「それに千里ちゃんだけ時間過ぎてもいいなんて不公平じゃないですかぁ」
複数の視線が望を突きさしている。
「まさか…」
可符香が皆の方向を振り返り目を輝かせて叫ぶ
「そうだよね!みんな!」その言葉が切っ掛けとなり生徒達の目が輝きはじめる
「先生」
奈美が近づいてくる
「先生…まだ…いけるよね?」
あびるが耳元で囁く
「せんせぃ」
まといが望の背に密着する
「せんせ♪」
霧が押し入れから這い出てくる
[今度はやさしくしろよ、ハゲ]
芽留が携帯を望にむけている
「先生がご迷惑でなければ…」
愛がひかえめに同意を求める
そして可符香の一言が合図となった
「さあ!皆で私たちの絶望先生を思いきり懇親しちゃいましょう!」
鈴木商店高校、宿直室。
糸色望は大の字に寝かされていた。
さらっ
霧の手が優しく望の髪を撫でる。霧の膝枕のやわらかな感触に望もまんざらではなさそうだった
『んちゅ、ちゅるるっ』
芽留が望にキスをする。
望は優しくキスを返す。
芽留は満足したように微笑んだ。
『ずりゅっ、ぱふ、むにゅん』望の左腕は奈美の胸の谷間に吸い込まれている
『ちゅぷんちゅちゅる』
愛が望の右の指を丹念に舐めている。
『べちゃ、ぬちゃ、くちゅ』
右足に快感が走る。
まといが愛しそうに太ももを舐めるている。
「!?」
望の菊門に突然刺激が与えられる。
あびるが望の身体の下に入り込む形になってる。ちらとみえてしまう包帯が興奮を誘う。
『んちゅ、先生にも…ん…尻尾あればいいのに…ちゅぷっ』
『ちゅくちゅ、ずじゅるるっ』
一体どこからあらわれたのか真夜が望の睾丸を猫のような態勢でを舐めている。
いつの間にか復活したのであろうか千里が望の耳裏を舐めている
『ぺろ、ぺろっ、ふぁ…先生』
『ひぁ、くすぐったい…』
望の耳裏と同時に霧の太ももも舐めあげられることとなり霧の表情が朱に染まっている。
そして―――
望の絶棒は可符香の秘所にすっぽり埋まり快感の虜となってしまっている
『はっ、はぁっ、先生、気持ちいいですかぁ』
望の身体の上で可符香は恍惚の表情を浮かべていた。
『ぷぁん』
芽留の唇が望から離れる。息を吸い込み望は叫ぶ。
「絶望した!懇親される側の主張を華麗にスルーする懇親会に絶望した!」
絶望先生の宿直室懇親会はまだまだ終わる気配を見せそうも…ない。
THE END…?
思い付きの長編にお付き合い&スルーしてくださった皆さんに心からの感謝を申しあげます。
霧とまといのSSから書き始めたものがこんなにもなるなんて思ってもみませんでした。
さすがにもう力尽きました。ガチで指が痛いです。今度こそロムに戻ります。
たまにエロ短編投下するかも知れませんがw
スレの皆様、本当にお疲れさまでした。
お付き合いくださり、ありがとうございました。
174 :
前305:2007/09/26(水) 22:28:43 ID:LrhG4TVH
・・・42さん
あなたは173氏の化身ですか?ww
そして・・・・・即興でここまで作るなんて、見事っす。
そして、42さんに奈美のスイッチを押されまして・・・・・・次、書くとしたら
多分、奈美&芽留主役かなー・・・と! (ユリジャナイヨw)
では、また ノシ お疲れっす!
42さん、投稿おつかれさまでした。最後までGJでした。しっかり指を休ませてあげてください。
またのエロ短編の投稿を楽しみに待っています。では。
個人的には長編といえど、やはり最後まで書いてから投稿して欲しいと思う。
先を考えず、連載でちゃんとまとめられるのはよほど力のある人でしょう。
あと携帯での投稿もどうなのかな、と。まあさすがにリアルタイム投稿はやめてくれて
ほっとしているけど。
まとい長編といい懇親会といい、GJとしか言い様がない
読むモン多すぎて、眼球が嬉しい悲鳴を上げております
あと、携帯からでも違和感無くできるもんだなぁ、と感心しきり
俺今まで二次創作って嫌いだったんだよ。
本来のストーリーとの矛盾や恋愛感情の捏造とかを始め、
世界観を壊す設定の話しか見たことなかったから
でもこのスレ来て考え方を改めた。
どの話も素晴らしく原作のイメージも壊さない。
とここまで書いて気付いたがひょっとして
原作の時点で既にどこか壊れてる?
違和感がないのはそのため?
ほわぁぁぁあ…。
なんだか、もう、このスレ、止まらない電車に乗ってしまったような…。
>>42氏
ホント、純粋に楽しませていただきました!GJでした!
携帯で、しかもこんなにも短時間でこれだけの長編、敬服しました。
>>真昼氏
読めば読むほど、設定がしっかりしててすごいです…。
命兄さんのシーンの鈴虫の使い方にぐっと来ました…!
>>前305氏
まさか、あの話に続きがあったとは…!
切ないけどラストハッピーで…(。´Д
>>176 リアルタイム投稿はともかく、携帯での投稿がなんで駄目なんだ?書き溜めたもの落とすなら支障なくね?
まあ携帯だから必ずしもだめだということでないが、書きっぱなしでロクに推敲も
してないようなのを読まされるのは結構苦痛
182 :
42:2007/09/27(木) 04:38:07 ID:SiYX+k5Q
176さんの意見に勝手ながらお答えします。
まず投稿媒体が携帯なのは自宅にネット環境がないからですw
携帯かPC選べるのだったら間違いなくPC選びますw
もうあんな長編書くことはないでしょうけどね。
行き当たりばったりだったのは単純に携帯メモ帳の容量の関係です。
それであのペースになったのです。
181さんの意見ももっともです。
一応投稿前にチェックはしてるんですが投稿後に再度確認すると穴に入りたくなるようなミスがあり凹みます。
誤字、誤表現が確認しにくいのも携帯の弱点です。
言い訳になりますが…やはり私の確認不足ですね…申し訳ない。
さて状況説明だけじゃあれなので短編一本いきます。
ネタが!ネタが湧いて止まらないよ!w
調子に乗ってるスレ汚しと思われてしまいそうで不安です。
機械トラブルの関係で明日は会社休みです。
俺時給涙目w
「ふう…」
お団子頭を揺らし少女は思いに耽る。
彼女は木野国也に恋心を抱いていた。
私服が残念なことに一時は危機感を覚えていたが一度見慣れるとすっかり慣れてしまっていた。
デリシャスも結構いいのかもしれない。
しかし彼は私の方を向いてくれるのだろうか?
彼はどうやら加賀さんが好きらしいのだ。
図書室で大草と思春期らしい相談をしている
「告白、すればいいじゃない」
「麻菜実ちゃん…」
「行動しなきゃ始まらないって。それに私服、大丈夫になったんでしょ。それだけ彼の事が好きってことなのよ」
「そうだよね」
麻菜実ちゃんはこうみえても主婦をしている。しっかりと旦那さんを支えている彼女のアドバイスは的を得ていた。
「うん、私、頑張る!」
彼女は木野を図書室へと呼び出すことにした。
国也は考えていた。
4月頃から背後から感じる視線、お団子頭の女の子。
最近、彼女のことが気になって仕方がないのだ。
加賀にももちろん好意を抱いていたのだが、それとはまた別の気持ちだった。
「なあ、万世橋オマエ好きな子いるか?」
「木野くん!好きです!」
突然の告白。
大草に連れられて図書室に来ると想定外の事態が待っていた。
「お、俺…」
国也は彼女の顔を見る。
可愛らしい顔は真っ赤になり、トレードマークのお団子頭はぷるぷると震えている。
国也の心は恋愛小説のキューピットに胸を射られてしまったかの様に、もう既に情熱的な恋に落ちていた。
「俺も、その、好きだ、今いや、その、今じゃなくて…その…!」
「しっかりしなさいよ」
麻菜実が国也の背中を押す。
「俺も好きだ!オマエに惚れた!」
「えっ…う、嬉しい!」
木野と熱い抱擁を交わす。
麻菜実は彼女に目配せすると、図書室の外へと出ていいった。
そして『本日は閉館しました』のプレートをドアノブにかけ、その場を離れたのであった。
『ちゅ…っん』
キスを交わす二人。
もはや二人の情熱は止めることはできなかった。
「本当に…いいのか?」
「ん、抱いて…木野くん」
セーラー服をたとたどしくも国也が脱がせる。
ブラを外すと小振りだが綺麗な胸が姿をあらわした。
『ちゅ、ちゅうぅっ』
国也は優しく彼女の左胸を吸い上げる
『あ、あ…はぁん』
続いて右胸。
『ちゅ、ちゅ、う』
『木野くん…気持ちいいよぅ』
彼女の秘所からは熱いものが迫り上げてきていた。
スカートはそのままでショーツだけを脱がす。
彼女が今まで他の異性には見せたことのない場所がみえる。
そこはもうしっかりと濡れていた。
「いくぜ…」
「うん…きて…木野くん」
「国也って…呼んでくれないか?」
彼女に軽くキスをする
「はい、国也さん…」
受付の机に彼女の身体を押しあて右足をあげさせる。
そして国也はその熱く膨張したものを彼女の膣内に一気に突き入れた
『ずぷぅっ』
「ひあぁあぁん」
熱い、痛みが走る。
しかしそれ以上に二人の情熱は強かった。
『ずちっ、ぱん、ぱんっ』
『国也さん、国也さぁん、あっ、あっ、ああっ』
激しい腰の動き。
瞬く間に国也は限界に達しそうだった。
その時彼女は自身の身に異変を感じた。
『く、国也さん、ぁはあ』「どうした?」
『きちゃ、きちゃうの…』
「ああ、俺も…」
『ち、ちがうの、ぅあ、お…おしっこ…でそう』
その言葉に国也は一瞬驚いたがすぐに言葉を繋ぐ
「だしちまえよ、気持ちいいんだろ?」
『あ、そんな、あっ、あっ』
「くうっ」
二人の身体が大きく震える木野は今にも破裂しそうなそれを一気に引き抜く。
『くひゃぁん』
木野の精は彼女の健康的な肌を白濁で汚す。
そして――
『ぷ、しゃあぁぁ――』
彼女は感極まり図書室で放尿してしまった。
瞬間、身体が弛緩し国也にもたれかかる形になる。
『く、にやさん…』
こうして二人の熱い放課後は終わった。
186 :
エピローグ:2007/09/27(木) 05:03:44 ID:SiYX+k5Q
数日後――
付き合いはじめて初めての休日、初めてのデート。
待ち合わせの場所。
ざわっ
周りの視線が一気に国也に集まる。
しかし彼女はその視線をもはや気にすることはなかった。
何故ならば二人の間には情熱的な愛があるのだから。
「いこうか?」
「はいっ、国也さん!」
HAPPY END
それなんてエロマンガ?w
短編のつもりが中編ぽくなって申し訳ない。
書き始めると止まらないものでw
というわけで第九十四話妄想SSでした。
明日は臨時休みとはいえさすがにもう寝ます。
おやすみなさい。
スレ汚し失礼しました。
>>187 麻菜実は気配りの出来る子。GJなんだぜ!!
そういえば、大草さんSSの続きマダー?
また、投下予告整理してみた。(アンカは前スレのね)
>>真昼氏の長編SS 続き
>>220さんの三珠SS (
>>105さんと同じ人じゃないよね?)
>>280さんの大草さんSS 続き
>>283さんのあびるSS
>>285さんの兄妹愛SS
>>287さんのマリアSS続き(忘れたころ)
>>前305さんの奈美&芽留
>>430さんの埋め小ネタw
で合ってるかな?
予告整理とか焦らせるからやめれw
埋め小ネタは違うだろ
突然ですがこんにちわ。前スレ105です。105と言いながら、
最後の最後にお見苦しいものをお見せしたようですいません!
私のせいで430氏の埋め小ネタ投下が出来なかったみたいですいません!!
いやまじで妄想加害です。そしてこれも妄想加害です。
真夜ラーな私ですが、普通に他キャラも好きなんですよ。
だから加賀愛主演のお芝居作っちゃいました。
エロ無しです。駄文です。神々のせいでごみのようだ!
キャラ崩壊もありますので、スルーしていただくのが一番かも知れません。
かなり無駄に長くなっています。
でもこの時間帯なら、いいかな・・・?
194 :
ツンデレラ1:2007/09/27(木) 16:56:18 ID:WFuAmbSQ
むかーしむかしあるところに、一人不憫な少女がいました。
彼女の名前はツンデレラ。・・・出オチじゃないですよ!!
可哀想なことにこの少女は、幼い頃に両親と死別し、
それからいくつもの親戚やその友人のもとをたらい回しにされて、
今はもう縁もゆかりもない家に貰われているのでした。
そのせいか、彼女はいつも他人に危害を与えてないか、
気になって仕方がない加害妄想体質になってしまいました。
この割と大きなお屋敷の主は意地悪な継母です。
ツンデレラをいつもこき使います。
家には他に血のつながらない姉たちが二人いましたが、
二人とも継母のように意地悪でした。
三人はいつもツンデレラを奴隷のように扱うのでした。
継「ツンデレラ?」
ツ「ハイお母様、何でしょうか」
継「あなた、さっき玄関の掃除したのよねえ?」
ツ「ハイ、・・・もしかしてなにかご迷惑でし」
継「ああ、もう!!そうじゃないわよ!!ただ魔除けの壺の向きがいつもより西に0.8度傾いてたわよ。
ああいったものはきっちりしないと効果がないの。私たちを病気にでもさせたいの!?」
ツ「あああすいませんすいません!!ご迷惑をおかけしてすいませんん!!!」
継「・・・気をつけてよね。」
ツ「すいませんすいませんすいません・・・」
ツンデレラは、真ん中分けの継母がそこからいなくなっても謝り続けるのでした。
「(何かいびった気がしないなあ・・・)」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
195 :
ツンデレラ2:2007/09/27(木) 16:57:06 ID:WFuAmbSQ
姉1「ツンデレラ!」
ツ「ハイお姉様!何でしょうか」
姉1「後で私のしっぽコレクションのお掃除頼めるかしら?」
ツ「はい、分かりました。私なんかでよければ」
姉1「濡れた雑巾で拭いた後、から拭きでしっかり乾かすのよ?今日中にね?」
ツ「ハイ、わかりました」
姉1「ちなみに・・・」
ツ「・・・?」
姉1「私のコレクションは108まであるぞ」
ツ「・・・分かりました」
姉1「じゃあね、よろしく!」
ツ「(今晩は眠れないかも・・・)」
そこへ、次女のカエレッタもやって来ました。なにやらご立腹です。
カ「ツンデレラ!!」
ツ「はいい!!お姉様、何でしょう!?」
カ「何でしょうじゃないわよ!私のお気に入りの、愛しき王子のお写真を、ポケットに入れたまま洗濯したわね!!
おかげで見て!!コレ!!!ぼろぼろじゃない!!!!」
カエレッタは右手にクシャクシャの、紙ともゴミとも分からないようなものを掴んで、
それをツンデレラに投げつけるのでした。
それを見たツンデレラは青ざめます。
ツ「あああああすいませんん!!私のせいで大事なお写真が!!」
カ「ホントよ!どうしてくれるのよ!」
姉1「・・・(入れといたままの貴方がわるいんじゃ・・・)」
ツ「すいませんすいません!!」
カ「謝りゃいいってもんじゃないのよ!!お母様に訴えてやる!!」
ツ「すいませんすいませんすいません!!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
196 :
ツンデレラ3:2007/09/27(木) 16:57:43 ID:WFuAmbSQ
姉1「ねえカエレ?」
カ「なあにい、アビィ?」
ア「・・・ちゃんと'お姉様'って呼びなさいっていつも言ってるでしょう?」
カ「イイじゃない二人っきりの時くらい。誰かいるなら‘オネエサマ’って呼ぶけど」
ア「そう・・・」
カ「それより何?」
ア「ああ、ただ貴方、あの王子様のお写真いいの?ボロボロになっちゃったけど?」
カ「ああ、あれ・・・フフッ」
ここでカエレッタが実に意地悪そうに微笑んだ。
カ「いいのよ別に、あれ、わざとだもの。あのお写真いつも持ち歩いてたらあちこち破けちゃって。
だから自分で細かく破いて、濡らしたの。ああして、お母様に訴えれば、
ツンデレラはいたぶれるし、新しいお写真も手に入ると思ってね。」
ア「そう・・・(そんなことだろうと思ったけど)・・・クスッ、恐ろしい子」
カ「ウフッ、AHAHAHAHA・・・」
二人の笑い声が響く部屋の扉には、せめてもの罪滅ぼしとして、
クシャクシャの紙を集めて、乾かして、別の紙に貼り付けて、
キレイに修復された王子様の写真を持つツンデレラがもたれ掛かっていた。
王子様の顔がハッキリと分かるくらい、見事な修復だったが、
それを成した者の顔は、くしゃくしゃになっていた・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
はい、前スレ105です。本当に長いのでここらで一回打ち切らせて貰います。
もし誰か読んでくださっていたら、続きを投下したいと思います。
それでは〜。スレ汚しすいませんorz
>>191 そうねw ちょっとwktkがとまらなくてw
>>197 続きが気になる!
キッチリ最後まで投下してください。
200 :
42:2007/09/27(木) 17:56:36 ID:SiYX+k5Q
>>197 加賀さん切ない…
こういうパロは珍しいですね。
続きが気になります。
超短編一本いきます。
あまりエロくないです。
スイマセン。
『ウッ、アッ、ウッ』
芽留の身体が大きく跳ねる
『クゥ…アァー』
芽留は乱暴に突かれながらも絶頂を向かえる。
『フゥ…ン…』
嬉しそうに望に寄り掛かる芽留。
「ふぅ…」
あの懇親会が開かれてからというもの望に好意を寄せる生徒からのアプローチが日に日に強くなっている。望はいつもより騒がしい日常を過ごしていた。
芽留は優しくされるより少し乱暴にされるほうが好きらしく今日も学校が終わるなり望を求めてきた。
もちろん芽留以外の女性徒達も目に見えて積極的になっている。
まといは隙あらば望を求めるようになった。
愛はそれほど積極的ではないものの何かの拍子に二人きりになるとひかえめながらも望にアピールしてくる。
霧は望の就寝の際に行為に及ぶ事が多くなっている。
あびるは最も積極的に望に迫ってきている。そろそろ影武者の件に関してはリリースしてほしいものだ。
奈美は誘い方も、状況もいたって普通だった。
しかし行為自体は普通でない事の方が多い気がする。
望は最近不意に意識を失うことが多い。
目を覚ますと妙な怠さを感じているし、その度に望の周りに薬品やバット、レンガ等奇妙な状況が確認できるのだが望は深く考えることはしなかった。
千里は決まっていつも同じ曜日、同じ時刻に求めてくる。
たまに予定と違うこともあるが千里の几帳面すぎる性格に変化があったのかと思うと望は少し嬉しく感じていた。
可符香はあの懇親会以来、何かあったわけではないのだが時折感じる突きさす様な視線が望を不安にさせていた。
望は宿直室の天井を見つめ一つ大きなため息を吐いた。
「最近、絶望していませんねぇ」
THE END…?
202 :
42:2007/09/27(木) 18:17:35 ID:SiYX+k5Q
投げっぱなしですいません。
いいシチュがあれば続きが書けそうですがさすがにネタ切れ気味ですw
>>202 ええっ!? ココで延期!?ww
そろそろ、誰か一人を選んでくれ総当たり戦・・・とか?w
205 :
42:2007/09/27(木) 20:05:13 ID:SiYX+k5Q
またもや続きものにしてしまいました。
最近、間延び&投下のしすぎでスレに迷惑かけてそうで本当に不安です。
私のメインの投稿はこのシリーズで最後にしたいと思っています。
とりあえず前半いきます。
『それじゃあ、絶望、してみますか?』
どこからか声が聞こえたかと思うと望は後頭部に強い衝撃を受け意識を失った。
望はひやり、と冷たい空気を感じ目を覚ます。
そこは無機質な資材で作られた殺風景な部屋だった。
身体を動かそうとする。
しかし身動きがとれない。
よくみると木製の椅子に荒縄で身体を縛られている。
望は目の前にいる少女に気づき話し掛ける。
「こんな監禁紛いの事をしてどういうつもりですか?風浦さん」
仮面を被っているが確かに少女は可符香だった。
「やだなぁ、私達が先生を監禁なんてするはずないじゃないですかこれはただの新展開ですよぉ」
「ずいぶん乱暴な新展開ですねタ○ヤもびっくりですよ。ん、私達…?」
「皆、入ってきて」
すると唯一備え付けてあるドアから可符香と同じような仮面を被った少女達が入ってきた。
あびる、霧、まとい、芽留、奈美、愛、真夜、千里。
いずれも望と関係をもっている生徒達だった。
可符香が続ける。
「先生、先生にはもういい加減、私達の中から誰か一人を選んでほしいんです。皆、このままじゃ辛いだけだから…」
「………」
「でも、強制ではありません」
「?」
可符香は淡々と続ける
「もし誰も選ばない選択を選んだ場合は…」
「選んだ場合は…?」
『ここで一生私達の奴隷になってもらいます』
空気が、ざわつく。
可符香の目はまっすぐに望を見つめていた。
確かにこれは新展開ですね
今までと雰囲気が全く違う事を感じ取り、望は身震いをした。
望は選択を迫られる。
ここで私が誰かを選ばなければ私はともかく彼女達のこれからも束縛してしまうことになる。
望は静かに口を開く。
「運命の人を…選びます」生徒達に微かながら動揺の色が走ったのを肌で感じる望。
運命の人、重さを感じさせる言葉を使い、これが絶対の選択であることを皆に、そして自分に自覚させる。
望は静かに口を開く。
「私の運命の人は…」
207 :
42:2007/09/27(木) 20:26:19 ID:SiYX+k5Q
前半投下終了です。
後半はこれから書き溜めるので投下まで時間が空きます。
もう少し、本当にもう少しだけお付き合いくださいませ。
208 :
42:2007/09/27(木) 22:08:36 ID:SiYX+k5Q
後半〜ラストまで投下いきます。
209 :
望の選択:2007/09/27(木) 22:15:08 ID:SiYX+k5Q
「待ってください、先生」
可符香が望の言葉を遮り近づいてくる。
しゅる、しゅるっ
可符香が縄を解き、話を続ける。
「運命のその人の仮面を…外してあげてください…」
そういうと生徒達は一列に並ぶ部屋に緊張が走る。
皆、自然と目を瞑っていた。
すっ、仮面が静かに外される…
運命のその人が静かに目を開く。
『せん、せい…』
『私の運命の人は貴女です…木津千里さん』
張り詰めた空気が一気に弛んでゆく。
可符香が先導し、選ばれなかった生徒が静かに外に退出していく。
「先生…何で私を…」
千里が信じられないという表情で話し続ける。
「私いつも皆に迷惑ばかりかけ…て懇親会の時だって皆、自由にすればいいのに私が時間制限なんかつけて皆を束縛して…」
「千里さん」
望は千里の言葉を遮る
「貴女は本当に優しい子です。きっちりしてしまうのも皆を思っての事…そんな優しく、不器用な貴女だから…私は貴女を選んだんです」
望の一点の曇りもない正直な気持ち。
千里の目から涙が溢れる。「先生、せんせぃ、うわあぁあぁん」
千里は望の胸に顔を埋め、声をあげて泣いた。
210 :
運命の人:2007/09/27(木) 22:23:06 ID:SiYX+k5Q
『ちゅ、ぺろっ』
『あんっ』
千里の頬に微かに残る涙をキスを降らし、舐めとる。
かたんっ、望は椅子に座り千里を迎える。
千里は望の前まで進むと大きく屈み絶棒を取り出す。
絶棒は既に大きく膨らんでいた。
『んちゅ、ぺろ、くちゅ』
小さな舌で絶棒を優しく舐めあげる。
『ずぼっ、じゅる、じゅるるっ』
睾丸も優しく愛撫する。
『ぺろ、ぺろ、ぷぁ』
千里は顔をあげ絶棒をくわえる。
『ぐぷ、ずちゅ、ずじゅるるっ』
上目遣いで望の顔を見やる千里。
気持ち良さそうな望の表情に軽く微笑むと動きをさらに激しくする。
『じゅぶ、ちゅぶっ、ちゅうぅっ』
『せんせい…』
奉仕を中断し千里は望にまたがる形になる。
「愛してます。先生」
「私もですよ。千里さん」
望の口から明確に示される愛の言葉に千里はまた泣きそうになる。
『ん、ふっ』
激しくキスを重ねる。
『くちゅん、れろ、ふぁ』
『ちゅぷっ』
唇を離し見つめあう二人。
千里がゆっくりと腰を沈める。
『あはぁ…ん』
絶棒の先端で千里が濡れていることを感じ取ると望は腰を進める。
『ずちゅ、ずぷんっ』
千里が望を包み込む。
望は腰を動かし、千里に快感を与える。
『あ、はっ、あっ、あっ』
千里も激しく腰を振る。
「くうう…っ」
『ぱん、ぱんっぱん』
『あっ、あっ、ああっ』
望に、千里に絶頂が迫る。
「千里さんっ」
『先生、お願い、なっ、膣内にくださいっ』
ぎゅっ
望は静かに千里を抱き締める。
『せんせい、せ…んせぃっ!』
「くうっ」
望の絶棒から千里の膣内へと精が注がれる。
『あ、せんせぃ…あぁ…』
そういうと千里は望に身体を預け意識を失った。
千里を繋がったまま抱きかかえながら望は眠る千里を見つめて呟く。
『愛していますよ、千里』
211 :
エピローグ:2007/09/27(木) 22:32:04 ID:SiYX+k5Q
桜舞う四月。
望は校門へ続く道を歩く。
日常は騒がしく、いつも通りに過ぎていく。
望はその度に絶望し、場を掻き回す。
受けもつクラスの面々は変わってもそのサイクルが変わる事はない。
「せんせーい」
振り向くと一人の女生徒が望に話し掛けてくる
「珍しいね、こんな早く帰れるんだ」
「ええ、今日は大切な日なんですよ」
桜の花びらがが窓が開きっぱなしの望の部屋に舞い落ちる。
部屋の柱にかけてある
和風の日めくりカレンダー
今日の日付に小さく文字が書き込まれている。
『結婚記念日』
望は女生徒に答える。
「今日くらいきっちりと家に帰らないと奥さんがうるさいんですよ」
「やだー、先生ったらのろけてるー」
女生徒が望を悪戯っぽく茶化す。
校門前までくると髪の長い女性が門の前に立っているのに気づく。
「ほえー、綺麗な人…」
「おや珍しいですね。迎えにきてくれたんですか?」
「望さん」
女性は優しく微笑む。
「え、えー?この人先生の奥さん?」
「ええ、紹介しますよ。私の妻の…」
「糸色千里です。よろしくね」
桜舞う四月。桜の花びらは二人を祝福するかのように静かに空を舞っていた。
HAPPY END
終始行き当たりばったりみたいな感じですが望が彼女を選んだのはきっとこのお話なりの運命のような気がします。
これをもちまして私のメインの投下は終了します。
短編を投下するにしても忘れた頃になると思います。
ここまでスレを消費してしまい申し訳ありませんでした。
もしも、この一連のお話が誰かの心に残ったり、影響を与えたりしているのだとしたらこれほど嬉しいことはありません。
読んでくださった皆さん、スルーしてくださった方、本当にお疲れさまでした。
このスレに出会えて本当に良かった。
感謝の気持ちで一杯です。
ありがとうございました。
213 :
430:2007/09/27(木) 23:09:45 ID:XR4npWEO
>>193 うわあぁあ、前スレ105さん、何か却ってごめんなさい!
前スレの
>>598は、単に
>>594さんに答えただけのつもりだったんだけど
確かに、なんか、そういう風に読めますね…orz
埋め小ネタ仲間がいたのは、本当に嬉しかったんですよ…!
小ネタを投下を次の埋め作業まで待つってのも、
単に中途半端な話だったからなんですが…ええと。
いろいろ考えず、とりあえず、落とします。
「命さんは、どうしてお医者様になろうと思ったの?」
小首をかしげる女に、命は気が付かれないようにため息をついた。
―――また、この質問か…。
都内の某有名レストラン。
女がどうしても、というので連れてきたのだが、
―――この女とも、そろそろお終いかな…。
命は、ワインを飲みながら思った。
グラスをテーブルに置くと、悲しげな顔を作ってみせる。
「実は、弟が不治の病で…医者に見離されてしまってね…。」
口からでまかせの適当な話をしつつ、
命は、どうやってこの後、この女を家に帰そうかと考えていた。
「まったく…。」
駄々をこねる女を何とかタクシーに放り込むと、
命はジャケットを肩にかけ、夜の街をぶらぶらと歩き始めた。
「理由がなくて医者になっちゃ悪いか。」
不機嫌な声で独りごちる。
命の場合、「気がついたら医者になっていた」というのが正解であった。
命は、昔から何でもできる子供だった。
手先も器用で頭も良い。運動神経も悪くない。
一番難しいからと言うだけの理由で、最難関の医学部を受けた。
医学部でも成績は常にトップだった。
当然、国家試験にも難なく合格した。
そうやって、いつの間にか医者になっていたのである。
そんな彼に、周りの人間は常に期待と羨望の目を向けていたが、
当の本人は、周囲の熱とは裏腹に、いつも一人、
心の隙間に空風が吹いているような気持ちで生きてきた。
それほど努力もせずに、結果が得られるということの不幸は、
本人にしか分からない。
がむしゃらに努力することがなければ、苦労の末に勝ち取った達成感もない。
命の前には、どこまでも平坦ではあるが、味気のない人生が広がっていた。
大学に残って欲しいという教授の頼みを振り切って開院したのは、
これ以上、無意味な賞賛に耐えられなかったからだ。
命は、ふぅ、と息をついた。
少し、飲みすぎたようだ。
どうも考えがネガティブな方向へと進んでいる気がする。
「…望じゃあるまいし…。」
先ほどの女との会話で、勝手に不治の病にしてしまった、
実のところは至って健康である弟の名前を呟く。
この弟は、いつも人生に絶望しては死にたがる、超ネガティブ性格であった。
「…いや、違うな…。」
弟は、本当はネガティブなんかではない。
命は気が付いていた。
―――むしろ、あいつは人生に対して余りに夢を抱きすぎてるんだ…。
明日は何かいいことがあるはずだと思っていた子供時代。
弟は、大人になった今でも、その、子供のような純粋な期待を、人生に抱いていた。
だからこそ、何か期待通りに行かないことがあるたびに、絶望するのである。
自分のように、そもそもはじめから人生に期待も希望も抱かなければ、
あんな風に絶望することもないというのに。
―――ああ、また、ネガティブな方向に考えがいってるな…。
命はぼりぼりと頭をかくと、
「今からマンションに帰るのも面倒だな…医院に泊まるか…。」
そう呟いて、踵を返した。
医院に着くと、意外にも窓から灯りが漏れていた。
―――消し忘れか…?
訝しみながらドアを開けると、受付にいた看護師が顔を上げ、
目を丸くして命を見た。
「命先生…どうなさったんですか!?」
「それはこっちのセリフだよ…君こそ、こんな時間まで何をやってるんだ。」
看護師は顔を赤くすると、テキストを掲げて見せた。
「家だと、ついテレビを見たりして気を散らせてしまうので…。」
「ああ、また、薬の勉強かい?…熱心だね。」
「だって、患者さんの大切な身体に、何かあったら大変ですもの。」
まだ若いのに勉強熱心な看護師は、生真面目そうな顔を命に向けた。
「私は、ほら、先生みたいに頭良くないですから…。」
ふ、と唇を歪ませた命に、看護師は途中で口を閉ざした。
「…先生、どうかされたんですか?」
看護師が首をかしげて命を見る。
命は、彼女の視線を避けるように顔をそらせた。
「ああ…ちょっと飲みすぎた。…すまないね、君の勉強中に…。」
看護師は、立ち上がると奥の給湯室に向かった。
「紅茶でも入れましょうか。」
「いいよ、気を使わないでくれ。」
「いえ、私が飲みたいんです。ちょうど休憩したいと思ってました。」
彼女は、いつもこうやってさりげなく命を労わってくれる。
それは、患者たちに対しても同様で、
いつも気持ちの良い笑顔で患者たちの間をくるくる動き回る彼女がいなければ、
無愛想な医師しかいないこの医院など、とうにつぶれていたかもしれない。
命は、ほっと息をつくと待合室のベンチに座り、足を投げ出した。
しばらくして、看護師が湯気の上がるマグカップを持ってきた。
「はい、先生。ミルクティーにしました。」
マグを受け取ると、命は口をつけた。
いい香りの湯気が優しく顔を包む。
看護師も、自分のマグを持って命の向かいに腰を下ろした。
「…先生、最近、お疲れじゃないですか?」
「…え?」
看護師は、真剣な顔で命を見ていた。尋ねてきた。
「…なんだか、ため息をつかれていることが多いから…今だって。」
命は、マグを持ったまま、黙り込んだ。
まさか、味気ない人生に飽きがきたとも言えない。
そんな命に、看護師は頭を下げた。
「すいません、差し出がましいこと言って。
でも、先生。大変なときにはおっしゃってくださいね。」
「え…。」
「凡人の私には、先生の苦労は分からないけれど…。
でも、こうやって、ミルクティーを入れるくらいのことはできますから。
…しんどいときには、温かくておいしい飲み物、これが一番ですよ。」
そう言うと、マグを掲げてにっこり笑ってみせた。
「は…。」
命は、面食らった。
ミルクティー。
解決方法のない、人生の根本的な悩みに対して、ミルクティー。
なんて、単純で明快な。
彼女は、いつもそうだった。
何事にも、ストレートで、一生懸命で。
多分、人生の虚しさなんて、思ってみたこともないのだろう。
―――ミルクティーねぇ…。
何となく、おかしさがこみ上げてきて、命はくつくつ笑い始めた。
「ちょっと、先生、なんで笑うんですか?」
看護師が気分を害したように頬を膨らませる。
「いや…何でもない、悪かった。」
命は、笑いながらほんのりと甘いミルクティーを一口飲んだ。
かぐわしい紅茶の香りが、
こわばった気持ちを優しくほぐしていってくれる気がする。
「おいしいな…。」
彼女の言っていることは、あながち間違いではないのかもしれない。
人生で本当に大切なのは、こうした、温かい紅茶や何でもない会話、
そういった、ほんの些細なことなのかもしれない。
自分の人生には、希望も絶望もないけれど…でも、こうやって、
温かい紅茶をおいしいと思うことは、まだできる。
そして、その気持ちがあれば、いつかは、もしかして…。
命は、小さい声で看護師に呟いた。
「そうだね。また、こうやってちょくちょく紅茶を入れてもらえるかな…。」
看護師は、一瞬目を見張ると、嬉しそうにうなずいた。
「ええ、もちろんです、…喜んで!」
命は、看護師に向かってにっこりと微笑むと、再び、紅茶を一口飲んだ。
219 :
430:2007/09/27(木) 23:18:56 ID:XR4npWEO
…以上です、失礼しました。
投下して思ったけど、そもそも、小ネタとして長いわ、これ。
以前書いた命兄さんと全然違うキャラを書いてみたかっただけなんです。
まんま、某妖怪漫画の獣の槍の伝承候補者のキャラのパクリなんです。
(って言って分かる人がいるのか)
そして、改めて前スレ105さん!
ツンデレラ、すごい続きが読みたいです。
こういう、世界名作劇場パロみたいなの大好きなので。
糸色王子(愛しき王子?)の出番が楽しみで…!
>>42さん
乙でした!
忘れた頃とは言わず、近々の復活をお待ちしております…!
>>189 すんません、今ガリガリガリガリ書いてます、待ってくれてる方が居るとホント励みになります
長いこと放置して本当に………ってまだ、1週間も経ってないのに驚きです
冗談抜きにペース早過ぎるだろ!
最近、マジで神作品ペース早すぎて置いてけぼりくらいそうな感じです
嬉しい悲鳴が今日も聞こえる
最後に何気ない日常の話でほっと一息つけた気がしました………430氏GJです!
>>42氏
…こういう言い方は何ですけど、「絶望の宴」で完結させておいた方が良かった気がします。
なんだか無理に第三者の要望に答えた、蛇足という感じが否めません。
別に変につっかからんでも・・・・・・
突っかかってるつもりは無いんだけどね。
ただ、無理にリクエストに答える必要は無いってだけの話。
まさか看護婦で来るとはっ!
要望なんて、リアルタイム投稿やめれ・臼井イラネ・短編よろ
くらいしか無かったが。
まあたまーに投稿しているものの一人だけど、闇雲にGJGJだけ書かれるよりは、多少批判的でも
感想や要望書いてくれる人の方がいいなという気は少しする
221くらいなら問題ないでしょ
正直に言うと
>>42氏の文章はかなり読みづらいし描写不足で展開が都合良すぎる
特に今回の、絶望が千里を選んだことで他の女生徒が引き下がるシーン
なんでこんなに殺伐としてるの?
盛り上がってくると腐したくて仕方が無い人が出てくる。
これは良スレの仇花なのです。華麗にスルーでお願いします。
先生と藤吉さんで、初投下させてもらいます。
ほとんど会話劇です、描写不足で申し訳ありません、特にエロシーンが薄くて。
「先生、お邪魔させてもらっていいですか?」
夏休みに入り、数日が過ぎた頃、糸色望の住む宿直室に一人の女生徒が尋ねてきた。
彼の受け持つクラスの少女、藤吉晴美である。手には少し大きなカバンを携えている。
「藤吉さん?ええまあ、いいですよ。」
何もない部屋ですがどうぞ、と部屋にあげる。
ちゃぶ台に麦茶と座布団を用意し、晴美を掛けさせた。
「それで、何か相談したい事でもあるんですか?」
どうも今日の彼女は、なんだかそわそわしていて、落ち着きがない。
だが一方、望も内心穏やかではなかった。
(ああ、難しい相談事ならどうしましょう、友情とか恋とか将来とか性の悩みとか…
そんなもの私が相談したいくらいです!助けて!智恵先生助けてください!)
夏休み中なので智恵先生は居ない。彼女に押し付けて逃げるなんてマネはできないのだ。
「相談というか、お願いというか…しばらく、この部屋使わせてもらえませんか?」
「え?」
「実は、私の部屋のクーラーが壊れちゃって…困ってるんです。
全然終わってないんです、まだ全然…これが…」
そう言って、晴美は持ってきたカバンを開ける。
中に入っていたのは、原稿とマンガとペン、その他もろもろ。
「同人誌ですか…」
「はい、あんな熱い部屋でやってもべたべた引っ付いちゃって…(何より妄想に支障が出るし…)
家族にも友達にも秘密にしてるんで見せられないし。」
(親にも友人にもバレている気がするのですが。)
いや、知らないならその方ががいいか、と望は言わなかった。
「それで、私の所に、ですか。あれ、木津さんは知ってるんじゃないんですか?」
「駄目ですよ千里は!またこんなふしだらな本を、って怒られるし、4コマしか認めないし!」
「ああ、そうですよね…ん?」
なんだか今の発言に引っかかる部分を感じた…ふし…だら?
「って、あなた教師の目の前で、どういう本描くつもりなんですかぁ!?」
「だって時間がないんです!先生もう知ってるんですから、いいじゃないですくあ!
そうだ、プリンあげますよ!本当は一人で食べようと思ってたんだけど、先生にもあげます!」
結局、押しの弱い望は、晴美に負けてしまい、クーラーが直るまで、場所を提供する事になった。
真っ白な原稿を前にして、晴美は頭を抱えている。
「あ〜、こうじゃなくて、こうじゃなくて、うーん。」
望は、先ほどもらったプリンを食べながらその様子を眺めている。
(親近感が沸きますねえ、私は漫画ではありませんが、こうやって手探りでイメージを…
それをなんとか形にして…そうやってどうにか完成して…それで…そして…ああ…売れない…)
どよんど、と自身の体験を思い出し、落ち込む。
晴美は自分と違い、ちゃんと売れるということを思い出し、さらに落ち込む。
なぜかプリンをしょっぱく感じてきた望が、ふと晴美を見やると、彼女は畳に転がり漫画を読んでいた。
「それが原作ですか。」
「ええ、どうにも浮かばなくて…先生も読みます?完結はまだですけど、最新刊までありますよ。」
「それじゃ、お言葉に甘えて読ませていただきます。」
カバンの中から十数冊の本を取り出し、望に渡す。
「はい、先生。あ、何かアイデア思いついたら教えてくださいね。」
二人、寝そべりながら本を読む。
小一時間ほど経った頃、イメージが固まったのか、晴美は原稿に向かい始めた。
作っているモノがモノなだけに、望は少し悩んだが、
自分の生徒が頑張ってる姿を見れるのは、教師として嬉しかった。
望が、晴美に渡された本を全て読む頃には、辺りは暗くなりはじめていた。
「藤吉さん、そろそろ帰らないと。親御さんが心配なさいますよ。」
「えー、もうそんな時間ですかぁ…あの、先生…」
「明日も来るんでしょう?いいですよ、お茶菓子くらいなら用意しておきますよ。」
「ありがとうございます!それじゃ、先生また明日。」
「ええ、それでは。」
また明日、と別れの挨拶を交わす。
「おじゃましまーす。」
「いらっしゃい、藤吉さん。」
「そういえば、交くんはどうしたんですか?見かけませんけど。」
「ああ、交なら倫と時田と旅行に出かけてますよ。1週間ほど。」
「なんで先生は、行かなかったんですか?」
「私に南国は似合いませんから…、北国は北国で死にたくなりますけど。」
「あ〜、なるほど。」
「…これ、このキャラと、このキャラですよね?この二人恋愛描写なんてありましたっけ?」
「はい。ほら、このシーンですよ。」
「私には、睨んでるだけに見えるんですが…」
「だから、そんな穴はない!」
「これは、こういうものなんですよ。」
「わかりません!わかりません!」
「うーん、この後どうやってまとめよう…先生、何かいい案ありません?」
「心中しかないでしょう、最愛の人が同姓だなんて、来世に賭けるしかありませんよ!」
「先生…あの…うまく描けなくて、その…先生の…見せてもらえません?」
「え、あ、あの、わた」
「なんて言われるの期待しちゃったりしますか?男の人って、こういう状況だと。」
「絶望した!年下に弄ばれる自分に絶望した!」
「先生が書いたのも、読ませてくださいよ。あんまり暗いの嫌なんで、ハッピーエンドの。」
「恥ずかしいですが…どうぞ。」
「…先生、どうしてどれも心中で終わりなんですか?」
「それから先どうなるか、って考えると不安で、つい…」
「経験を活かして、女子高生モノとか女教師モノとか、書いてみたら良いんじゃないですか?」
「モノとか言うなあ!それに、そんな経験ありませんから!」
晴美の宿直室通いの日々は過ぎていった。
「おわった〜。」
全工程を終え、一息つく晴美に望が声をかける。
「お疲れ様です、藤吉さん。そろそろだろうと思って、お祝いのケーキ買ってきましたよ。」
「え、先生もですか。実は私も買って来てまして、先生に内緒で冷蔵庫に。」
今日は、ちゃんと最初から先生の分も含めて買ってきてますよ、と笑顔で続ける。
「では改めて、お疲れ様です。」
「ありがとうございます、先生が宿直室に入れてくれたおかげです。」
「ははは、プリンも受け取っちゃいましたしね。それに、楽しかったですよ。」
「ええ、私もすごく楽しかったです。もうこれで終わりってなると、ちょっと寂しいです。」
「いいんですよ、来てくれて。なんて言わなくても、皆さん、ちょくちょく見に来ますけど。」
「ええ…そうですよね。」
少しの沈黙の後、晴美が口を開いた。
「あ、そうだ。」
ゴソゴソとカバンの中を探りだす。
「じゃーん。」
「ネコミミですか。」
「はい、付けてくれますよね?」
「やっぱり、そうくるんですか。」
「もちろんです。いいじゃないですか、記念ですよ。それとも女装の方がいいですか?」
「すいません、女装は勘弁してください…ネコミミでいいです。」
「ありがとうございまーす。」
ネコミミを持って、望に近づいていく晴美は、実に嬉しそうだ。
「さすが先生、可愛いですねー。」
「ああ、あんまりいじくらないでください…」
別に神経が繋がってるわけでもないのだが、自分に付けられたネコミミをいじられ続けるのは、
なんだかむずがゆいような、変な気分だった。
「あははは、にょんたかにょんたか。」
「もういいでしょう?あんまりからかわないでくださいよ。」
「こんな風にからかわれるの、嫌ですか?」
「そりゃ、男として釈然としません。」
「そうですか、じゃあ、からかうのやめますよ。」
そう言って、晴美は望の眼鏡を外した。
「え?」
困惑している望の唇に、晴海の唇が重なった。
ちゅっ、と軽い音をたてて2つの唇が離れる。
「ふ、ふじよ」
「好きです、糸色先生。」
未だ事態の飲み込めていない望に、もう一度キスをする。
「本気ですよ。」
望の胸に頭を押し付けるようにして抱きつく。
混乱した頭も次第に晴れてきた望は、自分に抱きついた少女の頭を撫でながら、尋ねる。
「本気ですか?」
「さっき、そう言ったじゃないですか。」
「すいません…くだらない事聞いちゃって…顔を上げてください。」
言われた通り顔を上げる晴美に、今度は望の方からキスをした。
さっきまでの合わせるだけのキスとは違う、望の舌は晴美の唇を割り、中へと侵入してくる。
その行為に、ぎこちないながらも応えようと、晴美もまた望の舌をその舌で受け止める。
絡み合うたびに、甘い痺れがもたらされる。
と、その唇が不意に離された。
「んぅ、せんせ?」
「お布団、敷きましょうか。」
敷かれた布団の上に、望が腰をおろし、おいでおいでと誘う。
晴美は、タイムリープでもせんばかりの勢いで、その愛しい男の胸に飛び込んだ。
そのまま背中を預け、甘えた声で言う。
「せんせ、脱がしてー。」
子供のようなその様に、笑みがこぼれた。
衣服を脱がしていき、ブラを外した所で、その胸があらわになる。
「大きいんですね…意外と。」
「小さいほうが、お好みですか?」
「いえ、そんなことは。魅力的ですよ、すごく。」
むにゅむにゅと乳房を揉んでみる、包み込まれそうな柔らかさだ。
桜色の乳頭をつまみあげながら、首筋にキスをすると可愛い声を上げた。
「ひゃ、あ…せんせぇ、それ、気持ちいいです。」
「良い反応です、先生そういう子大好きですよ。」
耳元で呟きながら、スカートに手を入れ、下着の中へと潜り込ませてみると、湿った感触が指に触れた。
晴美を仰向けにして、布団の上に寝転ばせる。
残された衣服も脱がされ、怖いのか、恥ずかしいのか、緊張しているようだ。
割れ目に指を沿わせ、中へとゆっくり侵入させた。
体に流れた小さな電流に、身を震わせた晴美を、落ち着かせるように、おでこにキスをして続ける。
「大丈夫、力を抜いてください。」
愛らしい乳頭を口に含ませて、舌で転がす。新たに追加された快楽が、晴美の身体を伝わっていく。
「あっ…ふぅ、んぅぅ…」
一際大きな波が、その体を襲った。
「イっちゃいましたか?」
その髪をいじりながら尋ねる。
「はふ、ふぁい。」
ぽーっとした様子だった晴美の目の焦点が合ってきた。
「先生。」
「はい、なんでしょう?」
「先生も脱いでくださいよ。」
はいはい、と着物を脱いでいく。
晴美の期待に満ちた視線を感じ、なんだかとっても恥ずかしい。
あぐらをかいた望のそれを、四つんばいになった晴美が、赤くなりながらもまじまじと見ている。
「すいません、藤吉さんの描くのより小さくて。」
なんだかよくわからない敗北感を望は感じていた。
「そんなの気にしなくても…あの、先生の触ってもいいですか?」
「ええ、どうぞ。むしろお願いします。」
wktk支援
細い指が、絶棒に絡みつく。
「熱いですね、それに硬い。」
「あの、硬いくせにデリケートなんで、優しくお願いします。」
さわさわと、指に撫でられる感触が心地よい。
「…先生、失礼します。」
はぷっと、口にくわえられた。唾液にまみれ、舌に刺激された絶棒はその熱を増していった。
「は、藤吉さん、うぅ、ぁ…」
見よう見まねであるが、本で読んだ知識を使って晴美は懸命に絶棒を愛撫した。
じゅぷじゅぷと、彼女の愛らしい唇が卑猥な音をたてている。
文系とは思えない身体面での要領の良さも手伝っているのか、程なく望は絶頂へと導かれていく。
瞬間、白濁液が晴美の口内に広がった。その生臭さに顔をしかめる。
出して、と先生がティッシュの束を口の前に持ってきた。
耐えられず、そこへ口内の物を吐き出す。
「えほっ、えほっ…すいません、先生の飲んであげられなくて。」
「え、いやいやいいですよ!あんなもの、飲み物じゃないんですし。」
「あの、お詫びといってはなんですけど…」
もう一度、絶棒をくわえ、口をすぼめて思いっきり吸った。
尿道に残った精液が、搾り取られていく。
「ふぅぅ…えへへへ…」
しばらくは、絶望できそうもないほどの幸福感に包まれて、望はクラクラした。
「先生、続き。」
「あ…はい。」
少しどこかに飛んでいた意識が、晴美の声によって呼び戻された。
「入れますよ?」
「優しく…してくださいね。」
ずぷずぷと、自分の中を押し広げられていく感覚。
痛みと不安、そして愛する人を受け入れたい、という感情が交錯する。
「は…んぅ…あっ…はっ…」
「藤吉さん…大丈夫ですか?」
「いたっ、痛いです…先生、手…繋いで。」
「すいません、気が利かなくて。」
「ふぅ…ふふふ。」
握られた手に安心したのか、その顔をほころばせた。
少しでもその痛みを和らげようと、侵入を中断し、望は晴美の胸の突起を口に含んだ。
舌の上で転がすたびに、甘いため息が漏れる。
次第に晴美の体もほぐれていった。
「はぁ…動いて…いいですよお。」
望は、こくん、と唾を飲み込んだ。
きつく締め付ける晴美の中を、絶棒がじゅぶじゅぶと音をたてて刺激する。
「痛いけど、ちょっと…キモチイイ…です…」
望の方は、ちょっとどころではない、腰を砕かれそうな快感に襲われていた。
二人の息が荒くなっていく、もはや望の方は限界だ。
「あ…もう駄目です…先に…んっ!」
「ひゃ…先生のが…あったかい…」
びゅるびゅると自身に注ぎ込まれる感覚に痺れ、晴美も絶頂を迎えた。
「あのですね、先生。」
望に腕枕をしてもらいながら、晴美は言う。
「実はもう、うちのクーラー直ってるんですよ。」
「なんとなく、そんな気はしてましたよ。」
「ばればれですか。」
「ええ、楽しかったので黙っていました。」
「もしかして、こういう事期待して、ですか?」
「いや、さすがにそれは。」
「ああ、そろそろ時間ですねえ。お送りします。」
「うわ、今日はいつもより優しい。なんかやらしいですよ、先生。」
「いつもより遅いからですよ…」
なんだか恥ずかしくなって目を逸らす。
「でも、いいですよ、今日は。」
「そんな、遠慮しなくても。」
「違いますよ、今日は友達の家に泊まるって、言ってますから。」
「え?」
「泊めてくださいね、せーんせ。」
甘えた声で告げる。
「え、あ、はい。」
「それじゃ、おやすみなさい。」
ちゅ、とキスをして、そのまま寝転がり目を閉じた。
「本当に遠慮しませんね…」
そう言って苦笑して、望も晴美の横で眠りについた。
以上です。
藤吉さんは、末っ子だったり、あの千里と親友してるような子です。
きっと甘え上手ではなかろうか、そんな感じで書いてみました。
>>229 > 盛り上がってくると腐したくて仕方が無い人が出てくる。
腐しているというのはさすがに失礼じゃないかな
明らかな荒らしであるなら別だけど
そういう上から目線で他人の書き込みを否定する方が不愉快に感じた
>>254 これは可愛い藤吉さんですね。
GJです。
>>254 藤吉さん乙!
いいもの見せてもらいました。なんか新鮮だなー
>>254 これはかわいい藤吉さん、こういうのもいいな
やばい今
>>214読んだ命兄に惚れた
そして
>>254を読んでエロよりも前半の日常会話に萌えまくってしまった自分は異端なのだろうか
>>260 >前半の日常会話に萌えまくってしまった
あ、俺もだw 晴美がすごく楽しそうに先生を弄っているのが目に浮かぶ。
>>254 こんな可愛い藤吉さん初めてだ…!何かもう最中も可愛い。
二人揃って可愛い。可愛いしか言えんのか俺。
晴海分、補給完了!
オレも藤吉さんにこんなに萌えたのは初めてだ………おかしいなぁ、眼鏡属性萌えは無いと想ってたんだけどなぁ
お行儀良くツンデレラの続きを待っているのであった
>>254 そんな藤吉さんをアニメや漫画でみてみたいw
GJ!
266 :
6:2007/09/28(金) 22:59:13 ID:3BwF1Jk6
はいどうも。大草さんSSの者です。中編投下しに参りました。
………はい、ごめんなさい。後編じゃないんです。中編です。
前回投下時は、前後編のつもりで前編と書かせて頂いたんですが。
また予想以上に長くなってしまったので、3部構成ということになりました。
無計画ですいません。
ということで、謝罪も済んだところで、投下させて頂きます。
諸注意については
>>6参照のこと。
では、どうぞ。
日曜日。もうすぐ、お昼になる。
「ふん、ふ〜ん………♪」
私はいつも通り机に向かい、鼻歌混じりで内職の作業を続ける。
「今日は、結構頑張ったなぁ。」
ついつい、ぽつり、と声が漏れた。眼の前には、今まで見たこともないくらいに沢山の
造花の山があった。これだけ作ったんだから、多少身体がだるいのは仕方ない。
私は椅子に座ったまま、大きく身体を伸ばす。カーテンを閉め切った部屋は、薄暗い。
けど私、どうしてこんな昼間からカーテンを閉めてるんだっけ。まぁ、いいか。
「………お腹空いちゃった。」
そういえば、なんだかまるで、長い間何も食べていないみたいな空腹感がある。そんな
に仕事に熱中するなんて、自分でも珍しいと思う。けれど、私が働いた分だけ家計は
楽になるんだから、頑張らなくちゃ。あの人と、一緒に。
「(………あれ?)」
なんだろう。今、頭の奥の方が、ズキッと痛んだ気がする。
そういえばなんだか、ちょっとだけ気分も悪い気がする。頭が、くらくらする。
どうしたんだろう、寝不足かな。頑張るのはいいけど、気をつけなくちゃ。身体を壊す
わけにはいかないのに。何かあったら、治療費だって馬鹿にならないもの。
「………疲れてるだけよね。ちょっと、無理しちゃったかしら。」
とりあえず、一休みしてお昼にしよう。冷蔵庫に、何か残ってたかしら。そういえば、
夕べのおかずはなんだっけ。嫌だわ、自分で作ったはずなのに、忘れるなんて………。
「………あ、れ………?」
昨日の、おかず?私、昨日………料理なんてしたかしら?
どうしてだろう………なんだか私、ずっと、この部屋に居た気がする。朝から晩まで、
ずっと。なんだか長い間、この部屋から1歩も外に出た覚えが無い気がする。おかしい
な、そんなはず無いのに。ちゃんとあの人を玄関で見送って、帰ってくるのを出迎えて、
台所でお料理して、皆でご飯を食べて………。
「………なんで、思い出せないの………?」
それが、私の日常のはずなのに………どうして、覚えてないの?
それだけじゃない。昨日と今日はずっと家に居たけれど、その前は………学校にだって、
行ったはずじゃない。皆と一緒に登校して、皆と一緒に授業を受けて。いつも通りに、
先生が『絶望した!』って騒ぎ出して、それどころじゃなくなって………。
でも、そんな記憶、無い。私ずっと………机の前で、この造花を作って………。
「………え………何、これ………?」
あれ、どうして………机の上に、こんな、ゴミの山があるの?ノートに切れ端に、丸めた
ティッシュに、破れた布切れ………沢山あった造花は、どこに行ったの?
あれ。けれど………ちょっと、待って。
そんな………そんなの始めから、あるはずないじゃない。
だって、私。
内職なんて、していないもの。
「………わ、た………私………?」
私は、ずっと、この部屋で。
ずっと………独り、で。
ず、っと………。
//////////////////////////////////////
意識の奥底に封印されていた真実をこじ開けられた、麻菜実の精神は。
もはや、自分自身を欺き続けたかつての日常に還ることなど、適わなくなり。
「………や………嫌、っ………。」
ふとした瞬間に………全てを思い出し、悲鳴を上げる。
「いやああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!!!!!!」
もう何度目かになる絶叫を聞きつけた家族が、階段を駆け上がってくる音が聞こえる。
//////////////////////////////////////
数日前………ボクがあの事実を知った日から、1週間ほど経ってから。
大草さんは、学校に顔を出さなくなった。
「(………関係ない。ボクには、関係ないことだ。)」
今日も自分にそう言い聞かせて、極力彼女のことを考えないようにしながら、掌の中
の小説に視線を落とす。残念ながら、内容が頭に入ってくる気配は、無い。
「大丈夫かしら………先生は、風邪って言ってたけど………。」
「こじらせたら、肺炎とかにもなっちゃうしね。お見舞い、行こうか?」
「けど………私ちょっと、怖いかも。ほら、その………旦那さん、とか。」
クラスの女の子が、彼女を気遣う会話をしてくるのばかりが、耳から頭に入ってくる。
「………………。」
もちろんボクだって、彼女が心配じゃないわけがない。あんな話を聞いてしまった後だ、
彼女が家族から真実を聞かされてショックを受けてしまったんじゃないか、という縁起
でもない想像は、否が応にも浮かんできてしまう。
けれど………それでもやはり、ボクは、部外者だ。いくら彼女のことを想っていても、
助けたいと思っていても、家族でも担任でもない、ただの1人のクラスメイト。例えば
本当に、他の皆がお見舞いに行くというなら、多少無理矢理だとしても、彼女に会いに
行く口実もできようというものだが。
「………っ………。」
考えてみれば、皮肉な話だ。
彼女には本当は夫など居なかった、彼女はまだ誰の妻でもなかった。それが、明らかに
なったというのに………ボクは、そのことを知る以前よりも更に、彼女との間に距離を
感じるようになってしまった。
ボクなんかが、自分勝手な恋愛感情や同情で手を差し伸べることなど、許されはしない。
彼女はそれほどに、繊細で壊れやすい、まるで氷の彫像のような存在だ。
もどかしさに、人知れず奥歯を噛み締めてみても、現実は何一つ変化しない。
「………では、この時間で書き終わらなかった人は、明日私に提出してください。」
いつの間にかホームルームの時間も終わり、先生が二言三言の連絡を残して、教室から
去っていく。いつものメンバーの数人がそれを追って廊下に飛び出して、何やらまた
騒ぎが始まったみたいだ。今は、とても首を突っ込む気にはなれないけれど。
他の生徒も、だんだんと散り散りになっていく。ボクは、日直の仕事があるからまだ
帰れない。男女が1人ずつ日直を努める今のシステムだと、比較的人数が少ない男子は
どうしたって、仕事が回ってくる回数が多くなる。
「(………って、常月さんも日直だったじゃないか。)」
ボクはそのことに思い至り、早くも人影のまばらになった教室を見渡す。先生の背中を
追って行った常月さんの姿は、当然のことながら見当たらない。まぁ、あとは机の整頓
と、窓とカーテンのチェックくらいだから、別にいいのだけれど。
「………………。」
そういえば………あの日も彼女が先に帰ってしまって、1人で日直の仕事を片付けたん
だっけ。風浦さんは、今日は皆と一緒に、先生にくっついていったみたいだ。
前から順に、机を整頓していく。その間に教室には誰もいなくなる。窓の鍵は、誰かが
気を利かせてくれたのか、全部閉まっていた。
最後に教室の灯りを消して、ドアを潜る。他のクラスの生徒数人が行き交うだけの廊下
に踏み出し、はぁ、と深い溜め息を吐く。
「(………………。)」
家に帰っても、また、独りで無力感と倦怠感に苛まれるだけだ。
本の返却がてら、また少し………図書室で、時間を潰していこう。
//////////////////////////////////////
望がいつもの面々から解放されたときには、窓の外の景色は夕闇に沈み始めていた。
宿直室に戻り、はぁ、と息を吐く。
「おかえり、せんせ。」
「お帰りなさいませ。」
「………おかえり。」
霧、まとい、そして交が、順に望を迎える。女生徒2人に何かを言うような気力は、今
の望にはもう残されていなかった。
ただでさえ、麻菜実のことが気に掛かっている上に………数日前に、麻菜実の家族から
連絡を受けたその事実を、生徒達には決して悟られないよう、気を遣っているのだ。
「………大丈夫?」
「ご気分が、優れませんか?」
2人が、少し心配そうに望の顔を見上げる。今度は、交は黙ったままだ。
「まぁ、皆さんに付き合った後では、そりゃぁ疲れもしますよ。」
望はそう言って、精神の疲労を誤魔化した。霧とまといは、それであっさり納得する。
内心ほっと胸を撫で下ろしながら、望は、すでに1人分しか空いていないちゃぶ台の前
に、よっこらせ、と腰を降ろした。
と、次の瞬間。
宿直室に据えられた電話が、けたたましいベルの音を鳴り響かせる。
「………なんですか、一体………。」
すぐさま、いささか不機嫌そうな様子で立ち上がって、望が自分を呼び続ける電話の下
へと向かう。受話器を取ると、その向こうから、職員室に居る甚六の声がした。
「………電話?私に、ですか?はい、解かりました、有難うございます………。」
それは、職員室からの内線だった。どうやら望宛に、電話が来ているらしい。甚六に
一言礼を言ってから、望は電話のボタンを押し、保留されていた電話に出た。
「はい、お電話代わりました、糸色………。」
電話を受けた瞬間、望が挨拶の文句を言い終えるよりも先に、受話器から声がする。
酷く取り乱したその声の主に、望はすぐに思い至った。
「え、と………お、大草さんの、お兄さんですか?」
そこで初めて、受話器の向こう側の麻菜実の兄は、自分の名を名乗った。
「とにかく、落ち着いてください………どうなさいました?」
望は、受話器の向こうから聞こえる声に、時折相槌を打ちながら耳を傾け、そして。
「………抜け出した………!?」
思わず受話器を取り落としそうになりながら、その言葉を復唱した。
//////////////////////////////////////
見間違い、だろうか。
「………え………?」
図書室で、時間も忘れて本を読み耽った後。蛍光灯も消えて、廊下はすっかり薄暗い。
けれど………確かに、見えた気がしたんだ。
歩いていく、先。1階から屋上までを繋ぐ、その階段に。
「(………まさか………そんな、はず………?)」
ふわりと、風を孕んで揺れる………彼女とよく似た、黒のポニーテールが。
「………………。」
気のせいかも知れない。窓の外を、何かが飛んでいった、影かも知れない。だいたい、
今日彼女は学校に来ていなかったじゃないか、それがどうしてこんな時間にやって来て、
屋上に向かっているというんだ。そんなこと、あるはずないじゃないか。
「(………そんな、馬鹿な。)」
そう、見間違いだ。
そうに決まっている。
彼女のことを気にし過ぎて、ありもしない幻覚が見えるんだ。
………そうだと、心に言い聞かせる、けれど。
「………………。」
心に芽生えてしまった、胸騒ぎは………消えてはくれなかった。
内心、自分自身の行動を馬鹿馬鹿しいと思いながらも。
ボクの足は、下駄箱への経路を逸れて、そこに居るはずのない彼女の影を追った。
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「………ちょっと、出てきます。2人は、ここに居てください。」
身だしなみを整える暇も無く宿直室を飛び出そうとする望の姿に、何かただならぬ気配
を感じ、ちゃぶ台に着いた3人は一斉に望に視線を送った。
「先生、私も………!」
「いえ………すいません、今回ばかりは常月さんも、残ってくださいませんか。」
「どうしてですか!?」
「………何かあったの、先生?」
2人が食い下がる。交は、その様子をどこか他人事のように見つめている。
「………交を、お願いします。」
質問には答えず、望は1度だけ微笑んで、足早に今来た廊下を逆戻りしていった。
立ち上がって望の後を追いそうになったまといは、しばしの葛藤の後、苦虫を噛み潰す
ような表情で、再びちゃぶ台に着いた。霧と交は微動だにせず、そのままの格好で座り
続けている。
しばしの、沈黙。そして。
「………行かないの?」
霧が、望以外の人間と話すときの、抑揚に欠ける声で呟く。
身じろぎ一つせずにじっと正座していたまといが、つ、と視線を上げる。
「………こっそり、着いて行くと思ってた?」
「着いて行こうとしたら、止めようと思ってた。」
ごく静かな、しかしそれと解かるものにはひしひしと伝わる熱を孕んだ、声。
しばらくの間、霧と視線をぶつからせてから。まといは、机に突っ伏した。
「………行けるはず、無いじゃない。あんな………。」
「あんな先生、初めて見たから?」
言葉の先回りをする霧に、まといがまた、伏せた視線を上げる。どこか、刺すような
威圧感を帯びたその視線にも、霧は全く動じる気配を見せなかった。
「………そうよ。だから、何?」
ぶっきら棒で、刺々しい声。
「別に………でも………。」
「でも?」
「私も、初めて見たから………あんな笑い方する、先生なんて。」
「っ!」
まといの瞳に、一瞬だけ、驚きの色が現れる。しかし、それを決して言葉や態度に出す
ことはせず、まといはそのまま黙って顔を伏せてしまった。霧の方も、敢えてそれ以上
接触しようとはせず、ずれ掛けた布団を被り直す。沈黙が、再び到来する。
一抹の居心地の悪さを感じながら、交もまた一言も声を漏らさず、座り込んでいた。
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麻菜実は、驚くほど冷静に、眼の前に広がる景色を眺めていた。これは、自分が全てを
悟った所為なのか、それとも病院で精神を安定させる薬でも打たれた所為なのか。それ
は解からなかったが、とにかく麻菜実の心は、ほんの数日前の錯乱状態が嘘だったかの
ように、白波の1つも立たない、凪いだ湖面のような落ち着きを取り戻していた。
数日前、長い間自分を騙していた………いや、『騙してくれていた』家族に聞かされた
話を、麻菜実は既に、完全に理解し、受け止めていた。
初めてそれを聞かされ、自分が長い間信じていたものが偽物だったこと、かつての自分
が信じていた男が自分を裏切ったことを認識したとき。麻菜実の心は、その事実を受け
止められず、また病んだ状態に逆戻りしそうになった。部屋に引篭もり、自分の頭が
作り出した幻想の世界の残滓にすがり………しかしそれに陶酔することも許されず。
麻菜実の心は、今度こそ完全に、壊れかけていた。
しかし。今は、違う。
家族の手で、精神に病を患った人間が通う病院に入院することとなり。そこで、数日間
に渡って幾度もカウンセリングを受け、そして、徐々に平静を取り戻した。
受け入れることの出来なかった残酷な過去も、今はどうにか現実として認められるよう
になった。自分はかつて、愛し、信じていた男に騙され、捨てられ、その身に宿していた
新たな命を失った。そして、貴重な青春のうちの長い、長い時間を、自分の病んだ心が
生み出した幻想の為に、費やした。
それが、現実である。そのことを、麻菜実は至極冷静な心で、受け入れていた。
それ故に。
「………………。」
今こうして、日暮れを迎え、誰も居なくなった屋上に足を運んでいるのも。病んだ心に
突き動かされた奇行、というわけではない。
長い偽りの時間の中で、唯一偽りではなかった、この、学校での生活。
数少ない、空想ではない現実の時間を過ごしたこの場所で………自らの命を、絶つこと。
それが、全てを理解し受け止めた、健全な麻菜実の精神が導き出した、結論だった。
//////////////////////////////////////
屋上へと続くドアを開き、ボクはしばしの間、呆然と立ち尽くした。
橙から、灰色を経て濃紺に変わりゆく空を背景に、彼女が立っているその場所は………
ボクとは、フェンス1枚を隔てた、外側の世界だった。
ドアノブの音に、気付いたのか。彼女が、振り返る。彼女は、特に驚く様子も見せず、
ただ、ボクがこの場に居ることが不思議なだけだ、とでも言うような表情で、こちらを
眺めていた。
「………大草、さん?」
「あら………久藤くん。久しぶり。」
まるで、夏休み明けに朝の教室でばったり出くわしたときのような、何食わぬ調子で
彼女が挨拶をする。ボクは、彼女の名前を呼んだだけで、喉が震え上がってしまった。
「な、何………何して、るの………危ないよ、大草、さん。」
情けない声で、ボクは大草さんに呼び掛ける。そんな悠長なことじゃなく、もっと他に
相応しい言い方があるように思えたが、しかし、それをゆっくり考えるには、その状況
は余りに異常過ぎた。
彼女は柔らかく笑って、言う。
「そうね、危ないわよね………結構、簡単に越えられるもの。このフェンス。」
「そうじゃ、なくて………大草さん、そこで………何を………。」
明らかに平常心を失っているボクに向かい、大草さんは笑顔を作るのを止めて、一転、
どこか申し訳無さそうな表情を浮かべた。
「ごめんなさい………見つかったら、久藤君にも迷惑掛けちゃうわよね。」
「………迷惑………って………?」
「もっと、こっそり独りで行けば良かったわよね………こんな………。」
そして。次の、瞬間。
「最後まで………関係無い友達にまで、迷惑掛けるなんて………。」
彼女の、その台詞を聞いた途端に………ボクの中で、何かが、弾け飛んだ。
手にしていた本を放り投げて、彼女に、いや、彼女とボクを隔てるフェンスに駆け寄る。
そのままの勢いで飛び付くと、そのフェンスは彼女の言った通り、案外簡単によじ登る
ことが出来た。
頭の片隅では無謀なことだと理解しながらも、ボクはそれをひらりと乗り越えて、その
向こう側、僅かに人の身体1つ分と少しの幅しかないスペースに飛び降りる。そして、
片手でしっかりとフェンスにしがみ付いたまま、もう片方の手で、彼女の腕を力の限り
握り締めた。
「え………ッ………。」
ボクの突然の行動と、おそらくは余りに必死な様子を悟った所為だろう。腕を掴まれた
瞬間、彼女の身体が強張るのが解かった。
「………、だ………そんな………大草、さん………!」
自分でも理解のできない、言葉にならない声の断片が、口から漏れる。
突然の事態に眼を白黒させながら、彼女は、がたがたと震えながら自分の腕を掴むボク
の姿を見つめていた。
「………久藤、くん?」
「だめだ、そんな………ダメだよ………こんなの………!!」
「え、どうしたの………腕、痛いよ、久藤くん………。」
そう。ボクは、震えていたんだ。それは、屋上のフェンスの外側、一歩踏み出せば全て
が終わってしまうような場所で、命綱も何も無しで立っているんだ。少しも怖がるなと
いうのが、無理な話だ。こんな場所で少しも震えずに立っていられるなんて、よっぽど
肝の据わった人間か、それともよっぽど頭の悪い人間か。
そうでなければ………落ちても構わない、と思っている人間。そのつもりでここに居る
………例えば、死を覚悟しているような人間くらいのものだろう。
恐怖と、それから極度の緊張と混乱で、喉が震える。思ったような言葉が、出ない。
しかしそれでも、ボクは必死で肺から息を吐き出して………そして。
「………死ぬ、なんて………ダメだ………!!」
「………………ッ!?」
ようやく、その一言を搾り出した。
彼女の表情が、変わる。
「え………なんで………?」
「なんで、も何も………そりゃ、こんな所で………それに………。」
「………久藤、くん………?」
「………知ってるんだ。大草さんが………君が、こんなことする………理由を。」
「えッ………………!?」
また、表情が変わる。彼女の顔に、驚きの色がありありと浮かび上がった。
それはそうだろう。ボクの口からそんな言葉が出るなんて、思いもしなかったはずだ。
ボクはとにかく、話を続ける。今は、彼女の意識をほんの少しでも逸らせておかない
と、不安で仕方が無かった。
彼女の口調がにわかに強張り始める。
「………どうして、知ってるの?何を知ってるの?」
「君の、過去のことだよ。昔の………辛いことが、あったって。」
「誰から聞いたのよ、そんな話。」
「君の家族が、先生に話してたんだ。ボクは………盗み聞きした。ごめん。」
「………ッ………。」
彼女はしばし、その言葉が信じられないような顔でじっとボクを見つめていたが………
しかしやがて、ボクの言葉に嘘が無いことを悟ったのか、まるで全てを悟ったかのよう
な無気力な表情をし始めた。
「………全部、知ってるのね。何が、あったのか。」
「………たぶん、そうだと思う。」
「じゃぁ………ごめんなさい。手を、離して頂戴。」
彼女の身体が、ぐらり、とフェンスとは逆方向に傾きそうになる。ボクは、少し乱暴に
その腕を引いて、それを引き戻した。彼女は1度がくりと首を揺らしてから、泣いて
いるのか怒っているのか解からないような顔でボクを見つめた。
「お願い………離して。このまま………このまま、行かせて………!」
「………嫌だ。絶対………離さないよ。」
震える喉に精一杯の力を込めて、ボクは威圧するような声で言う。傍から聞けば、それ
でもやっぱり情けない声だったかも知れないけれど。彼女はその言葉に反発するような
強い声で、続けた。
「どうしてよ………全部、聞いたんでしょ?何があったか、知ってるんでしょ?」
「知ってるよ。昔の、恋人のことも………その………子供の、ことも。」
「だったら、なんで離してくれないのよ!!いいから死なせてよッ!!」
遂に、彼女が叫び声を上げた。
「もう嫌なの!!どうしていいか、解からないのよ!!」
「………嫌だ………ダメだ、そんなの………ッ!」
「もう、何も無いのよ!?これから、どうやって………どうやったら、私………ッ!!」
しかし、彼女の言葉の勢いは、長くは続かなかった。程なく彼女は声を擦れさせ、その
ままその狭い空間で、ぺたりと崩れ落ちるようにへたり込んでしまった。片腕をボクに
掴まれたまま、もう片方の掌で顔を覆う。その下から、涙の雫が滴り落ちる。
「あの人も、子供も………全部………誰、も、居なくなって………。」
「………………。」
「それが嫌で、自分で偽者の世界を作って………それも………壊れ、て、ッ………!」
「………ッ………。」
「どうしろって、言うのよ………こんな………こんなに、ボロボロになって………!」
嗚咽交じりの涙声で、彼女は、時折しゃくり上げながら嘆き続ける。
その様子が、余りに辛くて、痛々しくて………居ても立っても、居られなくなって。
そして。
「………ッ………!」
気が付けば。
「………っ………?」
ボクの腕は………フェンスを離れ、彼女の身体を、抱き締めていた。
彼女の嗚咽が、止む。
自分自身と、彼女と、その両方の震えを抑え込むように。自ら死を選ぶまでに追い詰め
られてしまった彼女を、必死で、こちら側に引き止めるように。
力一杯抱き締めた身体は、ボクが思っていた以上に華奢で、弱々しくて………そして、
ボクと同じ様に、小刻みに震えていた。
「………ぁ………ぇッ………?」
彼女の、か細い声が聞こえる。何かを言おうとしているけれど、しかし、上手く声が
出てくれない。さっきのボクが、そうだったように。
頭の中で、様々な言葉が、台詞が、ぐるぐると渦を巻く。彼女に伝えたいこと、彼女
に聞いて貰いたいこと。彼女と出会い、この学校で同じ時を過ごし、そして、彼女の
真実を知って、彼女が学校に姿を見せなくなったこの数日間の間に想ったことの全てが
想い返される。
けれど結局………最後に口を突いて出てきたのは。
「………大草さん。」
気が利かない、飾り気も何もあったものではない。
「ずっと………君のことが、好きでした。」
「………っ………!?」
何の変哲も無い、三文小説のような、愛の告白だった。
しばしの、沈黙。どこか遠くから、踏み切りの警報が鳴る音が聞こえた。
「………ぇ………な、ん………久藤、くん?」
余りに突然の、何の前触れも無い告白。事情が飲み込めないのか、それとも言葉の意味
を理解するのに手間取っているのか。彼女はボクの耳元で、まだ、言葉にならない声を
発し続けていた。
「ごめん、こんな………こんなときに、急に。けど………。」
「なんで………なんで、私なんか………こんな………。」
「………とにかく………ダメだ。こんなこと、して欲しく、ないんだ。」
「………どう、して………。」
お互いに、気持ちの整理など出来るはずもなく。ただ、心に浮かんだ言葉の断片の中
から、少しでもまともな形をしているものを掬い上げていく。決して会話にはなって
いなかったが、しかし………ボクは、彼女の震える腕が少しずつ自分の身体にすがって
くるのを、感じた。
より一層強く、彼女を抱き寄せる。
「けど、私………今まで、ずっと………。」
「………………。」
「………今まで、皆と、一緒に居たのは………。」
やがて彼女の言葉は、時を経るに連れてだんだんと確かなものになっていく。そして、
その言葉から、ボクは彼女の言わんとしていることを、悟った。
それは………こうして彼女に会うまで、少なからず、ボクも感じていたことだった。
彼女は今まで、自分の心が自己防衛の為に作り出した、幻想の中で生きてきた。彼女は、
確かにボク達と同じ時間を過ごしていたが、しかし、彼女が見ていた世界は、ボク達が
見ていたそれとは違う世界だった。
そんな世界の中で、何の疑いも抱かずに、平穏に暮らしていた彼女。そして………今、
こうしてボクの眼の前に居る、全てを知り、それまで信じていた世界が偽物だったこと
に気付いてしまった彼女。
果たして………それは、両方とも同じ彼女であると、言えるのだろうか。彼女が真実を
知り、自らの正体に気付いたとき、2年へ組のクラスメイトの大草麻菜実という少女は、
果たして実在し得るのだろうか。
それは、ボクが彼女の真実を知った後、彼女に対しそれまで以上の距離を感じていた
原因の1つでもあった。再び彼女がボクの眼の前に姿を現したとき、彼女が、ボクが
ずっと恋焦がれてきた彼女とは別の誰かになってしまっていたら。そんな不安に苛まれ
たことは、1度や2度ではない。
しかし………ボクはもう、気付いていた。それが、全くの杞憂だったことに。
「違うよ。」
「え………………?」
彼女が、死を決意していることを悟ったとき。ボクの身体は、ボクの意識がそう命じる
よりも早く、彼女をここに引き止める為に駆け出していた。
そして、今。こうして、腕の中に居る彼女の嘆きを聞く度に、彼女が死を口にする度に、
ボクの胸は、まるで万力にでも締め上げられているような痛みを覚えた。
彼女に、死んで欲しくない。そんな決断を、して欲しくない。
愛する人がそんなにも傷付いている姿を、どうして、黙って見ていることができようか。
「………好きなんだよ。大草さんが………今、ここに居る、君が!」
「ッ!!」
「今までのことなんて、関係無い………君は、君だ………!」
そう。ボクは、全てを知り、この世界に絶望した彼女を………引き止めたいと、思った。
今でも、彼女への愛は、消えていない。それが、今ここに居る彼女が、紛うことなく、
ボクがずっと恋焦がれてきた彼女自身であることを証明している。
「死んで欲しくないんだ………君が居なくなるなんて、考えられない!嫌なんだ!!」
彼女を掻き抱いたまま、吠えるように愛を叫ぶ。彼女の腕は震えながら、いつの間にか
ボクの背中に回されていた。
「………ぁ………ぅ、ぇ………ッ………!」
彼女がまた、何事かを呟く。なんと言っていたのかは、よく、解からなかった。
「だから………ダメ、だよ………戻ろう、大草さん。」
ボクは声量と声のトーンを落として、彼女の耳元でそう呟く。
ぐずぐずとすすり上げながら、彼女がゆっくり、小さく頷いたのが、解かった。
276 :
徒花:中:2007/09/28(金) 23:10:11 ID:3BwF1Jk6
(続く)
今回はここまでです。2回も引っ張って本当にすいません。近いうちに書き上げて戻ってきます。
ここまでお付き合い下さった方、並びに完膚なきまでにスルーしてくださった方、本当にありがとうございました。
礼、多謝、土下座。
今夜も良作揃いだったみたいだね。
最近朝が楽しみだ。
>>153の夢の描写って多分EDのシーンをモデルにしてるんだよな
先生が教え子達に妊法を使って大騒ぎな内容のもの希望。
妊法ってヤるわけじゃないからつまらんじゃんw
>>282 あ、なるほど。そうかも。
確かに悪夢っぽいシーンだ。
何度も見てると、不安定になりそうだww
妊法はあまりにスピードが速すぎて目に見えないだけじゃないかと想像する。
もう早漏なんてレベルじゃない。
倫「お絶望なさいましたか!?アニメがアレでも焼け太らなくてお絶望なさいましたか!?お兄さま」
望「うるさいですよ倫!」
「」
望「だいたい、おまえはいつも焼け太りだの凶作リッチだの
セレブ死にだのとその手のことしか言えないのですか!」
あびる「全部自分が言ったことじゃん」
望「金持ちであることをひがむ以前に、そもそもおまえは金持ちらしくありません!」
奈美「十分お金持ちっぽいけど…執事いるし」
望「本当の金持ちはこんなことをしますよ!」
●縦ロール&高笑い
●中学生なのに自動車通学
●ベイビーとかハニーとかセニョリータとか言う
●カードばかり使うから現金を見たことがない
●白ラン着用
倫「ムッ ならお兄様、例えば亀に乗ればよろいしのですね?」
望「か…亀?」
倫「金持ちは奇妙な挨拶をしたり、頭に尖りがあったり、
亀に乗って移動したりするものでしょう?」
マ太郎「マタ極端ナノ出シテキタナオイ」
倫「この私の足で、亀を踏みつければ宜しいのですね?
亀の頭を足でグリグリしてやれば宜しいのですね!?」
禿「ぜ…是非踏んで下さい!このボクの亀を!」
あびる「やだ…誰もいないのにまた声がした」
望「の…乗るのと踏むのは違います!なんですか頭って!」
マ太郎「亀ノ頭ヲ踏ンダラ何カ悪イノカ?」
可符香「亀が驚いて頭が何倍にも大きくなっちゃうのよ」
マ太郎「オー」
マ太郎「マリアセレブノ遊ビ覚エタヨ!」
マ太郎「亀踏ミ!」
ズゴッ
望「ぐわっ」
可符香「蹴り上げたら踏みじゃないでしょ」
>>278 言われて気がつきましたが・・・確かに似てるかも・・・・
実際、書いた時は違うイメージで起こしましたが・・・・・・・
無意識にはあったのかもです。
・・・ちょっと月末・月初で、ss書けなくて、気晴らしに雑談に来てしまいました。
失礼しましたー・・・・
>>287 懐かしいキャラだしてきましたな。
ほのかにエロいし、おもろいw
>>287 うまいなw
亀云々の元ネタがどうしてもはっきり思い出せない…。
おべんちゃら君だっけ…違う気がする…。
>>287「驚いて亀がおっきくなっちゃうのよ」
て(笑)
センスあるなあ
おぼっちゃま君だったけ?自分も微妙。
どっちにしろ笑ったw。
>>276さんの大草SSも佳境に入ってきて期待〜。
ところで、前スレ(前々スレ?)であびるSSのリクがあったと思うけど、
@まだ恋人関係にない→なんだかんだで仲良くなる→先生主導で突入
A既に恋人同士→あびるハッスルで先生受け
のどっちのほうが需要あるんだろ?
オラとしては@の方が何だか良い感じがする
しかしAもなかなか悪くない
1,2レスで収まる短くキレのあるネタは良い、こういうのももっと見たい
>>276 大草さん好きながらも、両手骨折で入院して大草さんが訪ねてくる、くらいしか思い付けません
そんな自分にはまさに希望の星、後編も期待させてもらいます
あと自分は、藤吉さんと絶望先生書いた者なんですが、今更なんでスカートにしたと大後悔
藤吉さんにはハーフパンツだろうよと、ハーフパンツだったことにしてください
でも、藤吉さんじゃウケが悪いかと心配でしたが、可愛いといってもらえて幸せでした
>>295 遅レスですが、藤吉さん可愛かったっす!
BL好きだから難しいだろなーと思ってたら、あっさりとw
すました顔で先生に甘える藤吉さんがすごくいいっす。
>>293 Bまだ恋人関係にない→なんだかんだで仲良くなる→あびるハッスルで先生受け
「困りましたね」
放課後の職員室、望の席のとなりに加賀が座っている。
今月になって、加賀が授業中に加害妄想の発作を起こし、校外に走って逃げて行って
しまう事件がもう3回も起きていた。
「加賀さんの気持ちも分かりますが、私にも立場がありますし」
望としては、加賀を探しに行くという名目で授業を中断し校外に行くのは別にかまわ
なかったのだが、スクールカウンセラーの新井先生に知られるところとなり、すぐに改
善策を立てないと校長に報告すると脅されていたのだ。
「すみません。すみません」
加賀としては、ただでさえ他人に迷惑を掛けることが苦痛でたまらないのに、先生に
呼びだされて放課後の時間を使わせている、と考えただけで、自責の念に押しつぶされ
そうである。まともな思考もできるはずがなく、ただうわ言のように「すみません」を
繰り返すばかりであった。
「でも、すみませんというだけじゃ何も解決しないですよ」
思いがけず厳しい言葉を口にしてしまい、望は自分でも少し驚く。ただでさえ自己主
張の強い生徒ばかりであるへ組の中で、加賀のような生徒はどちらかというと望が贔屓
したくなるタイプであった。しかし何度も探しに行かなければならなかったことと、あ
まりにも無反抗な態度に少し意地悪をしたくなった心を否定することはできなかった。
「どうなんですか? 加賀さん」
加賀の方の反応の方が強烈であった。もちろん先生に迷惑を掛けているという自覚は
ある。だが、一方で先生は自分のことを理解してくれているのではないか、自分を助け
てくれるのではないか、という甘えにも似た気持ちを持っていた。望の言葉を聞いて、
思わず体を震わせてしまった。
「 本当にすみません。迷惑かけてしまってすみません」
辛くて顔を上げることもできない。
「わかりました。先生、急いでやらなければならない仕事があります。こう見えても
やらなきゃならないことがたくさんあるんです。勤務時間外にもやっていることを考え
ると時給200円くらいですよ。教師なんて楽な仕事だと思っているかもしれませんが」
「そ、そんなことはありません。」
加賀は泣きそうである。
「今日は夕方は時間がありますから、悪いけど宿直室に来てくれませんか?」
「えっ」
加賀は即答できなかった。そもそも校内にいるだけで、他の生徒に迷惑を掛けないか
心配になってしまうため、授業が終わるとすぐに家に帰って部屋に閉じこもりたい方な
のである。
「もちろん今日あなたの都合が悪いなら、別の日でもかまいませんが」
加賀には自信というものがない、仕方なく「はい」とうなずいた。
先生に指定された時間まで時間をつぶす必要があった。最初は図書室で本でも読んで
過そうかと思ったが、もし自分が借りて読んでいる本を他の生徒が読みたかった場合
、迷惑を掛けてしまうのではと考えると恐ろしくなってしまった。
仕方なく、誰もいないといいのだが、と思いながら自分の教室へ戻る。が、残念なこ
とに教室には生徒がまだ残っていた。
「あら、加賀さん珍しいわね」
最初に声を掛けたのは木津である。加賀は彼女が苦手であった。意地悪をされている
わけではないことは分かっていた。むしろ根は面倒見のいい優しい性格であることは知
っていたが、どうしても言葉に厳しさを感じてしまい、上手に返事が出来ないことで相
手に迷惑を掛けていないか心配になってしまうのだ。
「はい、すみません」
「別に謝ることないのに」
「そ、そうですね。」
自分の席につき、意味もなく机の中にあったノートを広げる。
「宿題でもやるの?」
「そ、そんなことはないんですけど」
「そういえば今日みんなでカラオケに行くんだけど、加賀さんも行かない?」
「え」
カラオケ、と聞いただけで不安になってしまう。音を外したらどうしよう、誰かの持
ち歌を歌ってしまったらどうしよう、場に合わない歌を選んでしまったらどうしよう、
そう考えてただけで不安で頭が真っ白になってしまった。
「わたし、わたし・・・」
「千里とカラオケ行くなんて嫌よねえ」藤吉がふざけていう。「音を外しただけで帰
してくれないし」
「行きたくないなんて・・・そ、そんなことはないですけど」
木津の好意に迷惑を掛けることを考えるとどう答えればいいのかわからなかった。
「せっかくだから行こうよ」
「あ、はい」
加賀は否定できずに答えるが、そこでやっと自分がなぜここで時間をつぶそうとしてい
たかを思い出した。
「わたし・・・やっぱり無理です。誘ってくださるのはすごく嬉しいんですけど、用事が
あって。嫌なんじゃないですが」なんとか言葉を搾り出す。
「今日先生と・・・話をしなければならなくて」
「先生と?」
つづく
加賀支援
加賀により、S属性が発動してしまった絶望先生という展開になる・・・はず。
その流れで一本書いてみたい…
でもやっぱりワンパターンな展開になりそうなんで自重します。
安価付け忘れた…
298のことです。
>>305 良かったらぜひ書いてください。自分だとなんかギャグみたいになりそうなので(すでになっている)。
続きじゃなくてもいいし、この設定でいいなら勝手に使ってもらってもかまいません。
>>306 あ、私のじゃないですね。
勘違いしてすみません。途中で投げ出してすみません。
>>304 乙! これは続編に期待せざるを得ない
>>305 「あの時書いておけばと嘆くより、書いて傷つく方がいいでしょう!?」
う・p! う・p!
一週間も立たぬ内に復帰…
堪え性無くてスイマセン。298を元にしたあびる中編投下します。
木の葉が紅葉に染まる頃となってきた初秋。
鈴木商店高校は2年生の秋のこの時期に家庭訪問を行うのが通例であった。
もちろん2年へ組担任の糸色望も家庭訪問の真っ最中なのである。
「さて、本日の予定は小節さんと小森さんですね、昨日は木津さんと木村さんのおかげて予定が大幅にずれてしまいましたから、さくさくいきたいですね…二人には久藤君を見習ってもらいたいものです」
先日の家庭訪問を思い出しながら、独り言を呟く望。
横目でちらと時計を確認すると職員室を後にした。
外は雨が降っていたため傘をさし小節家へと向かった。
小節家に到着するとあびるの父親とあびるが揃って迎えてくれた。
「はい、先生」
「ありがとうごさいます」
あびるから差し出されたお茶にお礼を言う。
あびると父親が望と対面に座る。
家庭訪問が始まった。
望があびるをみての率直な意見を父親に伝える。
通常の授業態度にもこれといって問題もなく、これからの進路のこともしっかりしている。
生傷か絶えないことや運動神経については父親は理解しているし、少しづつ改善していこうとあびるを交え話し合う。
面談の様子から父子家庭であることから何か問題が生じているということもなさそうで、家庭訪問は一時間後には無事に終了した。
「先生、あびるをよろしくお願いします。」
「ええ、教師として最大限の努力をします」
一通り挨拶を済ませると父親は会社に仕事が残っているというので先に家を出た。
「さて私もこれでお暇しますか」
あびるがじっと望の方をみている。
「どうしました?」
「先生も教師らしいことちゃんとできるんですね。見直しちゃいました。」
「あなたは普段私にどんなイメージをもっていたんですか」
望が苦笑しながら答える。
あびるは少し照れているようだった。
「じゃあ先生、また明日」
「ええ、また明日」
そういって玄関に背を向け傘をさそうとしたその時
『ばしゃぁーーーーん』
家沿いの道路を結構なスピードで走っていた車が水溜まりを弾けさせ、その水が望を直撃した。
「先生!?」
ギャグ漫画のごとく頭の先にまで水浸しになる望。
「ついてないですね」と言いそのまま歩きだそうとする。
「!、先生、そのままじゃ風邪引いちゃうよ。お風呂沸かすから入っていってください。服も乾かしますから」
遠慮しようとした望だったが身体が予想以上に冷たくなっているのを感じて
「それではご好意に甘えさせてもらいますか」
と返事をしたのだった。
「ふぅ」
湯槽に浸かり冷えた身体を暖める。
小森さんは学校ですから急がなくてもいいですねなどと考えていると、脱衣所の向こうから人の気配がした。
「小節さんですか?」
返事はない。
かわりに布擦れの音が響いてきた。
「え、こ、小節さん?」
「先生、入るよ」
次の瞬間身体に巻かれた包帯を除けば、一矢纏わぬ姿のあびるが浴室に入ってきた。
「こ、小節さん、何を考えて」
慌てる望。
「大丈夫。お父さんともたまに一緒に入るし」
「それとこれとはまた別でしょう!」
「それに…今日の先生格好良かったし…」
「へ?」
「私のことちゃんとみてくれてるんだなって思ったら嬉しくなっちゃった」
「そ、それはクラスを受け持つ担任として…」
あびるが頬を染めて続ける
「先生、私、先生に…惚れちゃったみたい」
望はその言葉に一瞬思考を止めてしまったがすぐに思考を取り戻し、湯ぶねから飛び出した。
「し、失礼します」
するとあびるが望の腕を反射的に掴んでしまった。
どたーん
望は転んでしまい、痛ててと呟く、軽い痛みはあるがどうやら怪我などでははないようだ。
「小節さん、大丈夫ですか…」
望が顔を上げるとあびるの顔が眼前にあった。
どうやらあびるが望を押し倒した形になってしまったらしい。
「先生、好き…」
『ちゅうぅっ』
あびるの唇が望の唇と重なる、と同時にあびるの舌が望の口内に侵入し甘い音を立てはじめた。
『ちゅ、れろ、ちゅう』
なすがままになる望。
濃厚なキス、教え子との禁断の行為。
望の意識は溶けはじめていた。
一度火がついたあびるは積極的で望は攻められるがままだった。
あびるはいつのまにか絶棒をくわえこみ卑猥な音を立てている
『じゅぶ、じゅぶ、じゅるっ』
「ふ…ぁ」
快感によりもはや望の脳内はとろけきっており何が起こっているのか判断できなくなっていた。
『ちゅ…ぽん』
はち切れんばかりに膨張した絶棒から口を離し大股開きでまたがるあびる
「いきますよ、先生」
あびるの秘所が絶棒をつつみこんでゆく。
「うぁ…」
『…ず、ずぷんっ』
『っ、痛ったぁ』
あびるの秘所から破爪の血が流れだしそれを目にした望が一瞬にして我に返る。
「小節さ…うぁ!」
『じゅぷ、じゅぷん』
一瞬あびるの動きが止まったかと思うと激しく動き始めた。
『痛い、痛い…けど気持ちいい…きもちいいよぉ、せんせい、もっとぉ』
まるで尻尾を愛でるような甘い声で喘ぐあびる。
その声と、強烈な快感で望の意識は再び彼方へと飛んでいく。
『先生、もう、私、私っ…う、く、うぁあああん』
望はあびるの絶叫とともに何か熱いものがほとばしるのを感じたがそれが何かわからぬまま意識を失った。
目を覚ますと望はあびるに膝枕をされていた。あびるが笑顔でやさしく望の髪を撫でていた。
その数秒後、望は意識をはっきりさせるとともに強い背徳感と絶望感に襲われるのだった…
THE END
314 :
あとがき:2007/09/30(日) 14:46:34 ID:fYUkVdPg
長々と失礼しました。
相変わらず前置き長くてエロくなくてスイマセン。
あっさりした短編書きたいと思うのに書けない。
申し訳ないっす。
読んで頂いた方、スルーして頂いた方に感謝の意を表してあとがきにかえさせていただきます。
短編書ける力がほしい…
>>314 最後にあとがきを入れるなら、別に話の終わりに「END」ってつけなくていいと思う。
前の長編の「HAPPY END」の一文にはなんだか違和感があったし。
316 :
292:2007/09/30(日) 18:29:59 ID:0mhTAznr
>>304 好きなシュチエーションなので激しく期待。GJですよ。
>>314 仕事早いなー。乙です。十分エロイw。
新しい選択肢を42様が満たしてくれたので、@で書いてみる。
遅筆なんで1ヶ月近くかかりそうだけどさ。
できるだけ短く・・長くなったら自重するので期待はしないでくれ(´・ω・`)。
自重なんていわずにできれば長編の方が嬉しいんだぜ。
千里と芽留の貧乳同盟が胸を大きくすべく
二人がかりで望を襲い胸を愛撫させる
教師と生徒という関係を保とうとするも望も男の性には抗えず
千里と芽留もまた意中の男の愛撫によって火のついた身体は治まらず
脈動する絶棒はふたつの華を赤く散らし
みたいな妄想を思いついたが文にする時間がない
ネタはあるがエロシーンが書けない
>>319 今までもそういう作品は幾つかあるし、基本的に無問題。
エロイ妄想なら小説にしなくてもとりあえず垂れ流してみれば
智恵>カエレ>あびる>奈美>霧>(中略)>千里>マリア>芽留
ぐらいだと思うんだが中略部分がわからん
メインキャラの胸のサイズの話だけど
>>322 単行本派か?
多分あびると奈美の間に晴美が入るはずだぞ。
あびる≒藤吉>奈美>霧>大草>可符香>加賀>千里>マリア≒芽留
三珠は加賀さんと千里の中間ぐらいと予想
あびると奈美と藤吉は隠れ巨乳で可符香は平均サイズ、加賀さんがやや小さめだと思ってる
メインキャラ中にまといと倫と真夜は入らないそうです
326 :
奈美の受難:2007/10/01(月) 01:41:31 ID:DC4+srnr
「普通っていうなぁ!!」いつもの様に教室に空しい叫びがこだまする。普通少女こと日塔奈美は今日も絶望先生こと糸 色望に『普通』呼ばわりされて憤慨していた。
「はぁ…」放課後奈美は人もまばらになった教室で一人ため息をついて机に突っ伏していた。
−−−−いつも普通普通って先生は私の事−−−−
「どうしたの?奈美ちゃん。」そこへポジティブ少女風浦可符香が今の奈美の様子とはまさしく正反対な陽気な声をかけてきた。
327 :
奈美の受難:2007/10/01(月) 01:42:18 ID:DC4+srnr
「か、可符香ちゃん!?」急に話かけられて声がちょっとうわずる。
−−−さっきまでいなかったはずなのに−−−
そんな疑問も一瞬浮かんだが、可付香の優しそうな笑顔を見ていると、今の自分の悩みを解決してくれる−−−そんな風に奈美は思い始めた。
「ちょっと悩みがね…。ねぇ、可付香ちゃん」
「何?」相変わらず笑みを浮かべている可付香に奈美は思い切って打ち明けた。
「先生を見返したいのッ!」
「はぁ…?」内容の飛んだ話に可付香は話を把握できてないように小首をかしげている。
328 :
奈美の受難:2007/10/01(月) 01:45:00 ID:DC4+srnr
「あ…ご、ごめんね!いきなりこんな事いって。ほ、ほら私いつも先生に……その、ふ…」
「普通。」
「普通っていうなぁ!って、そう。いつもそういわれるじゃない?」
普通−−−自分では言いたくないのか、奈美がためらっているのを見て可付香が言葉を繋げ、脊髄反射でその言葉に反応する。
「だから一度でいいから違う反応を先生にさせてやりたくて…可付香ちゃんならなんかいいアイデア出してくれるかなって。お願い!きょうりょk「もちろん協力しますよぉ!」言い終わる前に可付香が答える。
その目は新しいおもちゃを見つけた子供のような光が帯びていたがそれに奈美は気付かなかった。
329 :
奈美の受難:2007/10/01(月) 01:45:42 ID:DC4+srnr
「ん〜そうですねぇ〜。やっぱり外見から変えるのが一番効果的だと思うんですよねぇ。」
可付香は手を組んで胸の前に置いて明後日の方向を向きながら話し始めた。
こういう時は可付香にエンジンがかかった証拠だ。
「あ、あの…そんなに一生懸命にならなくても…。」
あまりに快く引き受けてくれたためか奈美は多少戸惑っていた。
そのうち可付香はブツブツ呟く様にしゃべり始めた。
「…可付香ちゃん?」
「…ポ……ッカ……来世…肉花……ポジ…ス……プ」
危険そうな単語が途切れ途切れに聞こえてくる。
−−−マズい事になりそう−−−−奈美は直感的に感じた。
330 :
奈美の受難:2007/10/01(月) 01:47:12 ID:DC4+srnr
「か…可付香ちゃん!や、やっぱいいや!迷惑だよね!?」
「何を言っているのですか♪迷惑な訳ありませんよ。よし、決まりました。さぁ!準備しにいきましょう!」
「いやぁぁ!いいってばぁ!」
可付香にズルズルと引きずられ、廊下を移動する。
−−−−もうどうにでもなれ−−−−−−−
奈美はもはや抵抗するのをあきらめ、涙を浮かべながら引きずれるがままになっていた。
331 :
奈美の受難:2007/10/01(月) 01:48:11 ID:DC4+srnr
しばらく引きずられていると向かい側から藤吉晴美が現われた。腕には重そうな封筒が抱えられている。中身が気になる所だが今はそんな余裕は無い。
間もなく晴美もこちらに気付く。
「あれ?二人ともどーしたの?」
「これから奈美ちゃんを普通じゃなくしちゃうんですよぉ♪」
「へ、変な言い方しないでよ〜!」
涙目で抗議する奈美を横目で見ながら、
「へえ…た、大変ねぇ…。」厄介そうな事は避けようとそのままやり過ごそうとした時、
「まずは服装からだと思うんだけど晴美ちゃんはどう思います?」
服装−−−−その言葉に体がピクリと反応した。
332 :
奈美の受難:2007/10/01(月) 01:49:06 ID:DC4+srnr
「それってコスプレってこと?」晴美の目の色が変わる。
晴美はしばらく奈美をじーっと見つめていると何か思いついたらしく、
ニヤマリと笑った。
「そうねぇ…私も手伝っていいよねぇ?」拒否不能の響きだった。
−−−−あぁ、私はいったい何をされるのだろう。−−−抱えきれない不安を奈美は覚えた。
333 :
奈美の受難:2007/10/01(月) 01:50:22 ID:DC4+srnr
小一時間後、空き教室で二人は奈美を満足そうな顔で眺めていた。
「これでいいかな?」
「そうですね!かわいいですよ!」
「よし!奈美ちゃんおつかれさま〜。」
「うぅ…」
奈美は恥ずかしくて死にそうだった。
たくさんフリルのあるメイド服。簡単に言えばそんな格好をしている。
ぎりぎりまで短くしたスカート。そしてニーソで絶対領域を演出している。
上半身はというと肩は完全に露出されていて、胸元は大きく開かれて胸の谷間が垣間見える。さらに背中は半分以上が露出している。
体を覆う部分もタイトな作りのためボディラインがはっきりと出て普通に大きい胸を強調している。
334 :
奈美の受難:2007/10/01(月) 01:51:34 ID:DC4+srnr
死にたい…」顔を真っ赤にして俯きながら呟く奈美に、
「よく似合ってますよ奈美ちゃん♪」
「ホントホント。それに前から思ってたけどやっぱりこれよく似合うな〜」
と晴美が奈美の頭についているものを撫でる。
「やっぱ奈美ちゃんはワンコよね〜」ホレボレした様に晴美が言う。
奈美は頭に犬耳をつけられていた。
「もうなんなのよ!これぇ!」奈美がポロポロ涙をこぼしながら抗議する。
「普通じゃなくなりたいんでしょう?」
「うっ…そうだけど…」
可付香にそういわれると何も言えなくなってしまう。
335 :
奈美の受難:2007/10/01(月) 01:52:20 ID:DC4+srnr
−−−−確かに自分で望んだ事だけど…これじゃちょっと…−−−
「ねえ」晴美の問いかけに奈美の思考は遮られた。
「ん?なに?」
「なんで普通じゃない様にしようと思ったの?」
−−−−え?
「聞いてないの?」
「ん〜聞こうと思ったんだけどね〜。別にいっかぁって。」
−−−−別にいっかぁって…私これでもかなり悩んでたのに…
「そんなことよりもさぁ。」
−−−−そんなことよりって、何のためにメイド服以外にもあんなのやこんなの着たと思ってるのよ…
336 :
奈美の受難:2007/10/01(月) 01:53:46 ID:DC4+srnr
「他の耳もつけさせてもらっていい?」
「いいわけあるかぁぁ!」そう叫ぶと奈美は晴美に襲いかかった。
「フガー!!」
「ヒィイイ!?」奈美のあまりの勢いに晴美は一瞬ひるんでしまった。
瞬く間に奈美はマウントポジションを取った。
「あうぅ、ど、どうしたの!?奈美ちゃん?」
「どうしたもこうしたもあるかぁぁぁ!晴美ちゃんにはもっと恥ずかしい格好してもらうからねッ!」
「えぇッ!?なんでぇ!?」
「何でとか言うなぁ!!」奈美はスカーフに手をかける。
「あ、やだッ!ちょっ、ちょっと!可付香ちゃん!?奈美ちゃんを止めてッ!!」
しかし可付香はいつの間にかいなくなっていた。そうしてる間に奈美は奪ったスカーフで晴美の両手を縛った。
337 :
奈美の受難:2007/10/01(月) 01:54:34 ID:DC4+srnr
「ッく、痛ッ」
運動神経は晴美の方が断然上なのだろうが今の暴走状態の奈美は第二のバッテリーが発動していた。
身を捩って逃げようと試みる晴美を熱に冒されたような笑みで奈美は見つめる。
「ハァ…無駄よ。晴美ちゃん。フフフ…じゃあこの耳からつけよっか。」
晴美に逃げ道は無かった。このままあんな事やこんな事をされるのかと覚悟を決めかけたとき部屋の部屋のトビラが開かれた。
助かった。晴美はそう思った。トビラを開けた人物を可付香だと思っていたからだ。
しかし、正確には違った。可付香以外にもう一人いた。
338 :
奈美の受難:2007/10/01(月) 01:55:05 ID:DC4+srnr
「あなた達こんな時間まで何をやっているのですか!今日の戸締まりの当番は私なんですよ!
なんで私の時に限ってこんな時間にまで残っているのでしょう…ああもう絶望し…」ここまで言いかけた時やっと望は今の状況を認識し始めた。
「あ、あなた方いったい何を…それに日塔さんその格好は…?」奈美の格好を見て少し頬を赤らめた望むが尋ねた。
「い、いや…これはその、なんて言うか…」
「決して変な事をしてるわけじゃあ無いんですよ。」
いきなりの望の登場に素に戻った奈美がしどろもどろに喋るのを晴美がフォローする。
339 :
奈美の受難:2007/10/01(月) 01:56:06 ID:DC4+srnr
「あははは…そうですよ!なんて事無いですよ!別に何も…」
「そ、そうですよね〜先生驚いてしまいましたよ。これは証拠過多ですよね〜。」
「アハハハハハ……」三人の乾いた笑い声が響く。
「って信じられますかぁ!!さすがに自分に対してこの嘘は厳しいです!絶望した!!生徒達の知らなきゃ良かった秘め事に絶望した!!私は何も見てません!見てませんからぁぁぁ!」そう言うと望はばたばたと廊下を走り去った。
「ど…どうしよう。」二人は顔を合わせて言った。
そこへ今まで傍観していた可付香が近づいてきた。
「おめでとう!奈美ちゃん!」
「へ?」奈美は何の事だかわからなかった。
「これで先生は奈美ちゃんのこと一目置く様になりますよ!普通脱却です!」
「こんなので普通じゃないって思われたく無いよぉ!」と嘆いた。
「普通の反応ですね。」ちょっとつまらなそうに可付香が言う。
「普通って言うなぁぁ!」
340 :
奈美の受難:2007/10/01(月) 02:00:34 ID:DC4+srnr
終わりです。
本当は先生と奈美でエロエロなのを書くつもりでした。
でも出来上がったのを見るとなんかこれ百合気味ですね。
次はちゃんと本筋に沿えるようにできたらいいかと。
長い投稿すみません。異論反論オブジェクションは受け付けます。
ではまた。
まず投下予告をしてくれ。でないと色々と困る。
>>340 乙ですー。
奈美ってホント弄られキャラだなと、つくづく思ったw。
>>340 キャラの特徴が良く出てて、普通に面白かったと思う
個人的には先生と奈美でエロエロなのも見てみたかったw
>>340 「先生と奈美でエロエロなの」の予告編と受け取ったw
携帯で表示されない記号は使わないでほしいな
>>323 晴美はたまたま手元にあった2巻見て中略部分に含んだ
まといは和服だからわからん…と思ってたけど
1巻51ページの写真見た限りでは奈美>まとい>霧ぐらい?
最近真昼さん来ないねー
続きが気になるよう
真昼氏のSSを読んでから改めて氏のMADを見ると
破壊力がすごい・・・目から水が出っ放し
最近、可符香・まといss読んで、30倍悲しい読んで、真昼氏MADを見るローテー
あばば何か呼ばれているような気がする、気がするですよ真昼野郎です。
まさかお待ちいただいてるとはつゆ知らず。てか待っててくれる人が居た事に感涙。
またもスレ容量消費させていただきたく参上仕りました。今回は7レスほど。
「これで、僕の話はおしまいです」
語り終えた久藤は、ふぅ…と深く息を吐いた。
目を閉じ、じっと聞き入っていた望は、
「――おしまい、ですか」
そう呟いて、椅子から腰を上げた。
「はい。おしまいです」
久藤も立ち上がる。
もうすっかり、下校時刻は過ぎていた。
「随分と…長いようで、短い話ですね」
「ほとんど人伝に聞いた話ですから」
「彼女に問う事は、しなかったのですか」
「僕にその資格はありません」
立ち上がった久藤は、出口ではなく窓へと歩み寄る。
夕闇がさし迫る校庭を見下ろして、寂しげに呟いた。
「彼女と再会して、僕は――心底、何もしなかった子供の自分を呪いました」
「…誰も貴方を責めないと思いますよ、私は」
そんな慰めに意味はないと知りつつも、望はその背に言葉を掛けずにはいられなかった。
日に日に彼女の笑みは、硬度を増していく。
それがいけない事だと肌で感じながらも、それを止める事が本当に彼女の為になるのか、結局彼は最後の最後まで判らずじまいだった。
「彼女は不幸でした。
だけど、傍で僕がいつものように物語を語っている間、彼女は幸せそうに笑ってくれました。
それが嘘モノと知ってたのに僕は――その笑顔に、縋ったんです」
問う事で、その笑顔を崩す事が恐ろしかった。
彼女の傍で語り部で居れば、彼女はずっと笑っていてくれる。
『私の事、これからは、風浦可符香って呼んでね』
そう言われた時も、特に理由を聞く事はしなかった。
何も問わずに頷けば、彼女は満足気に微笑んでくれた。
人としての故障ごと、彼女を受け入れる――それが、彼の役割になっていた。
「――ひとつ、貴方は勘違いをしています」
「…え」
振り返る久藤の顔は、年相応の少年のように、不安定に揺れていた。
対する望は、まるでいつもと違う、大人のような落ち着きを宿した表情で、言葉を続ける。
「きっと貴方の傍に居る時の彼女は、本当に幸せだったんだと思いますよ。
だから――貴方の見てきた彼女の笑顔は、嘘モノなんかじゃありません」
「―――……」
その言葉に。
何だか救われた気分になってしまって、久藤は不覚にも泣きそうになった。
そんな自分を必死に律して、表情を隠すように俯く久藤。
「…何だか今日の先生は、まるで先生みたいですね」
「日本語がおかしいですよ、久藤君。あと、何だか失礼な事を言われた気がするのは」
「気のせいです」
顔を上げた久藤の表情は、すっかりいつもの微笑に戻っていた。
その笑顔は、いつもより幾分柔らかい。
ああ、彼はこんな笑い方も出来るのか…と内心で歓心しながら、望もフワリと笑い返した。
「それで、先生。僕の話は、何か役に立ちそうですか?」
「さて…それはまだわかりません。けど、聞いて良かったと思います」
踵を返す望。
「引き止めてしまってすみませんでしたね。
もうこんな時分です――久藤くんも…」
背を向けた望の身体が、ユラリと揺れた。
出口に向う望の歩が、止まる。
「――早く、か…―――え――っ、て…っ」
途切れた言葉と共に、望の身体はゆっくりと床に崩れ落ちていた。
「先生――!」
咄嗟に走り寄ってきた久藤に抱き止められたおかげで、寸での所で床との顔面衝突は避ける事が出来た。
が、せり上がってくる嘔吐感と痛みだけはどうしようもない。
荒い呼吸の中で、「大丈夫です、大丈夫です…」とうわ言のように呟き続ける望。
明らかに大丈夫ではないその様子に、久藤はまるで望と痛みを共有しているかのごとく表情を歪ませた。
「先生、とりあえず保健室に行きましょう」
言いながら、望の身体を背負い上げる久藤。
そのあまりに軽い感触に、久藤の内心の不安は煽られるばかりだった。
◇ ◆ ◇ ◆
少女は走る。
呼吸を荒げて、泣き出す直前のような表情で走り続ける。
その様子を、病院の廊下の窓から見下ろして、
「―――本当に、酷い男だな…我が弟ながら」
糸色命は、泣き出す直前のような表情で、呟いた。
◇ ◆ ◇ ◆
心臓が、肺が、血を巡らす管達が、もう限界だと叫んでいる。
それでも彼女は走るのをやめない。全力で廊下を蹴り、前へ前へと突き進む。
校内はすっかり夕闇に溶け込んでいた。
最近は日が落ちるのが早い。外はすっかり暗くなっているものの、時刻にすればまだ六時前後といったところだろう。
校門は閉まっていた。だが、校門以外にも学校への入り口というものはあるのである。
もちろんソコは一般生徒…どころか、教職員達も知らない秘密のスポットなのだが、今はそんな事はどうでもいい。
とにかく彼女はそこから学校に潜入し、こうして廊下を駆けている。
向う先は――宿直室だった。
その細い足のどこからそんな力が湧いて来るのか不思議になるほどの速度で、彼女は走り続ける。
「――杏ちゃん」
酸欠で霞がかった意識に、ハッキリと響く男子生徒の声。
彼女は咄嗟に立ち止まろうとして、だがすぐに勢いが殺せる訳も無く、そのまま前のめりに倒れそうになる。眼前に迫る、冷たく硬い床。
「わぁ…ッ!」
小さく悲鳴を上げて、襲い来るであろう衝撃に身を竦ませる可符香。
だが、彼女の身体に訪れたのは固い床の感触ではなく、両の腕で包まれる柔らかな感触だった。
「大丈夫?」
恐る恐る目を開き、視線を上げると、そこには心配そうにこちらを覗き込む幼馴染の少年の顔がある。
「准君…」
「危ないよ。急いでいるのはわかるけれど、君が怪我したら先生も、きっと悲しむ」
久藤の口から紡がれた「先生」という言葉に反応して、ハッと目を見開く可符香。
「あ、ありがとう准君!でも、私急いで先生に―――」
「先生なら、そっちには居ないよ」
自らを支える腕を押しのけようともがきながら、早口にまくし立てる可符香の言葉を、久藤は静かな声音で遮った。
可符香は驚いたように久藤の顔を見上げる。
大きな丸い瞳の中に、久藤の穏やかな微笑みが映り込む。
「どうして…?」
「先生は、保健室に居るよ」
久藤はそっと可符香から身体を離し、すっと保健室の方を指し示す。
「どうして、准君が知ってるの?」
「――急いでるんだろう、杏ちゃん」
可符香の問いに答える事はせず、久藤は可符香に早く行くよう促してみせた。
釈然としないながらも、この質問の優先順位はそう高いものでもない。
可符香はコクリと頷いて、機敏な動作で踵を返す。
「うん…。教えてくれてありがとう、准君ッ」
駆け出しながら礼を言う可符香の背中に、小さく「いってらっしゃい」と声を掛けながら手を振る久藤。
遠く、小さくなっていく可符香の足音の残響を聞きながら、久藤は窓の外へ視線を移した。
ふと。
「――あれ」
頬に濡れた感触を覚えて、そっと掌で撫上げた。
それが涙である事に、しばらく気付くことが出来なくて、呆然とする久藤。
涙は一筋だけ彼の頬を濡らして、顎を伝い落ち、制服に小さな染みを作る。
それはすぐに乾いてわからなくなる程度の、小さな跡。
窓ガラスに映る自分の泣き顔に苦笑しながら、久藤は掠れた声で一人ごちた。
「あぁ…そうか。
僕も――彼女の事が、好きだったのか」
一瞬の悲しみを、ほんの一滴の涙で洗い流して。
瞬きの後にはもう、彼はいつもの静かな笑みに戻っていた。
早鐘を打つ心の臓。そのリズムに合わせて、米神がズキンズキンと痛んだ。
それでも彼女は止まらない。思考に回す労力は、今は走る為に使う。
今までにない程全力で駆けて―――久藤と会話して数分も経たぬ内に、彼女はそこに辿り付いた。
保健室。
白く記されたその三文字は、暗闇の中にも溶け込む事無く、彼女の瞳に映し出された。
「っは、っは、っは―――ッはぁ」
扉の前で、すっかり熱くなった全身を冷ますように呼吸を整える。
途中で何度も咽こんで、彼女は痛む肺を直接握りつぶそうとするかのように、自らの胸を掴んだ。
熱暴走した身体は、夜気と――それ以外の、徐々に湧き上がる良くない感情に、外と内から冷やされていく。
どうにか呼吸が治まり、胸から手を引き剥がしながら、ゆっくりと瞳を閉じた。
――この先、何があっても声が震えないよう、一度だけイメージトレーニングをする。
「……―――」
自慢のアルカイックスマイルを拵えて。
彼女は、静かに保健室の扉を開いた。
糸色望は、まるで人形のような顔色で、そこに横たわっていた。
窓にカーテンはかかっていなかった。月光が、青白く室内を照らしている。
人が居るならば、いつもはベッドとこちら側を間切る為のカーテンが閉まっている。
だが今は、ベッドの上に人が横たわっているにも関わらず、それは開いたままになっていた。
「―――先生?」
声を掛ける。その声が震えていない事に満足しながら、彼女はゆっくりとベッドまで歩み寄る。
「先生。私です――寝ているんですか?」
横たわる彼の隣に立つ。近くで見ると、元来の肌の白さも手伝って、彼の肌は病的に人形じみていた。
触れても、体温がある気がしない。
「先生…」
薄い胸が上下して居る――呼吸は、あるようだ。
だがそれだけでは確信を持てずに、薄く開いた唇から漏れる呼吸を確認するために、そっとその上に掌を翳してみる。
掌を擽る僅かな息遣い。本当に、僅かな。
「―――先生…」
もう一度、呼んだ。
「先生。起きて下さい……、起きて下さいよ」
翳した掌を、そのまま頬に滑らせる。
返ってくる感触は思いのほか柔らかだった。
マネキンのような硬く冷たい質感を想像していただけに、少し驚いてしまう。
少し考えればそんな筈はないのだが、彼の肌の青白さは、そう思い込んでしまうほど人間味が無かった。
「………」
確かに掌に感じる体温が、じんわりと掌から全身に伝わるような感覚が、可符香を安心させた。
安堵の吐息を吐くと、それに反応したかのように、望はゆっくりと両目を開いた。
「あ――やっと起きましたね」
「……目覚め、の」
「はい?」
ぼんやりと中空を見つめていた彼の目が、優しげな笑みの形を象る。
頬に置かれた小さな掌に、自らの掌を重ね合わせながら、可符香の瞳を仰ぎ見る望。
「目覚めのキスでも、してくれたんですか?」
自らの掌を覆う、以外にも大きく暖かな掌の感触。
それに何故か泣きそうになりながらも、彼女は必死にその感情を笑みの中に押し隠しながら答えた。
「…して欲しかったんですか?」
「ええ、わりと」
「わりと、ですか」
いつもの、何という事のない会話。
可符香はクスリと微笑んで、いつものようにからかう様な口調で返した。
「でも、それじゃ立場が逆じゃありません?
まぁ確かに先生は、王子様より眠り姫の方が似合ってますけどね」
「それは嬉しくないですねぇ」
「綺麗だって言ってるんですよ」
「――……やっぱり嬉しくないです」
「ふふッ」
じゃれ合うように軽口を言い合う。掌は、重ねたままで。
不自然な程に穏やかな空気が、二人の間に流れていた。
いつもの二人ならば、もう少しだけ賑やかな会話になっていただろう。
可符香が望にからかわれ、嘆く望をまた可符香が宥め賺す。
だが今は、まるで望の方が年長のように――事実年長者なのだが――落ち着きを払い、
彼女は認めてはいないものの、逆に少しだけ、可符香の心が乱れている。
いつもとは、立場が逆転していた。
「随分と…急いで来たのですね」
「え?」
「掌が熱いですよ――それに、少し汗ばんでいます」
もう十分に冷えたかと思っていたが、どうやらまだ冷却が足りなかったようだ。
可符香は少しだけ焦ったように手を引いた。その動きに気付いて、望も重ねていた掌を放す。
お互いに名残惜しさを感じながら、二つの手は放れていった。
「気のせいですよ」
すかさず言い返す声音は、まだ震えてはいない。
「そうですか」
特に突っかかる事もせず、望は素直に頷いて見せた。
その顔に浮かぶ楽しげな微笑に、見透かされたような不快感を感じる。
「それで、そんなに急いで来たんですから…何か大事な用があったのでしょう?」
「だから急いでなんて居ませんよぉ。悠々と歩いて来ました。それに、大した用事でもありません」
本当に、いつもと立場が逆だ。
可符香は望にからかわれている事を自覚して、僅かに眉を顰めた。
「拗ねないで下さい、風浦さん」
「からかわないで下さい、先生」
売り言葉に買い言葉。このままでは、ちっとも本題に入れない。
可符香はコホンと小さく咳払いをして、場の空気をリセットした。
「――絶命先生に会ってきました」
命がその場に居たら即座に名称に対して突っ込むだろうが、残念ながら当人はこの場には居ない。
もしかしたら今頃、くしゃみの一つでもしているかもしれない。
脳裏に兄の姿を思い浮かべながら、聞き返す望。
「兄さんに?」
「はい」
「それで、何を話したんです?」
ぐっ、と。可符香は思わず拳を握り締める。
何を…と、聞き返す望の態度に、怒りに似た感情が込み上げる。
何を話したか。そんなもの、一つしかないではないか。
「…先生、倒れましたよね。私の、目の前で」
「――……ええ。あの時は、本当にありが」
「なのに何で、学校に居るんです?」
今更礼を言おうとする望の声を断ち切るように言い放つ可符香。
僅かに、声が震え始めていた。
「お兄さんに聞きました。先生、今すぐ入院しないといけない病気……なんでしょう?」
揺れる瞳を隠すように俯きながら、可符香は病院での命との会話を、思い出していた。
原作五十三話
『あれ 不可よ 原作があるじゃないかね』より
「逃げ道なんて、許せません!逃げずにきちんと説明するべきです!」
「まあ、まあ、熱くならないで」
ぽむっ
「あ」
こ、これは…
『もにゅ』
『あん』
なかなか…
『さわ、さわ』
『ん、ふ』
素晴らしい
『きゅ、すりっ』
『ひぁん』
感触ですね
「で、オチは?」
「考えていないみたい」
「投げっぱなしね」
「自分の妄想をぶつけたダケの品のナイ投下ダナ」
あ…あれ?おかしいなぁ。今回くらいでエロ突入する予定だったのに、まったくその気配がないよ?
何故だ。何故こうも話がダラダラ長くなるですか。そしてよーわからん所で区切るな自分。
何かまだ無駄に長くなりそうな予感ですか、俺は独りよがりになってないかー。
何だか尾崎な真昼氏キタ−−−−!!!
だめだ保健室のシーンで目が洪水になった
でもこの状態で先生エロできるんですか!?
>>360 もうエロでなくても感動一直線でおkだ!
超GJ!
>>360 うん、もう無理にエロ入れなくてもいい感じ
エロは他の職人さんで補充するから
真昼氏にはこのまま感動路線を突っ走って欲しい
364 :
アヒル:2007/10/01(月) 19:15:54 ID:UNnVMfoU
投下して、初めて気付く、誤字脱字。アオォオオ…!ちょっとこればっかりは直さなあかんばい!
真昼が雪49より。
×可符香が望にからかわれ、嘆く望をまた可符香が宥め賺す。
○望が可符香にからかわれ、嘆く彼をまた可符香が宥め賺す。
読み返して投下しろっつーのド畜生。
>359
GJ、こういう身軽な話は好きだ。
次回作にも期待。
不覚にも准君の所でグッと北
真昼氏GJ!!
真昼さんに一生ついていこうと決めました
>>360 真昼氏…こ、呼吸困難…。
本当に、全員キャラが深くて、そして話の作り方が上手い!!
じわじわとクライマックスが近づいてきた感じですね。
もう、この先、毎日正座待機ですよ!
いや、別に義務を感じさせているわけではっ!
めちゃくちゃ期待してるけどっ!!
>>360 先生のもとへ駆ける可符香にグッときました・・・・・・・・・・!
何かもう、この不器用な二人を見ていられない・・・
期待してます・・・!
>>368 ・・・・・・もしかして430氏ですか? いえ、なんとなくw
>>369 何故分かる!?
絶望した!語彙が少なくてすぐに身バレする自分に絶望した!
SSみたいな比較的長文を書くと、文章のクセをすぐ掴まれちゃうよね。
俺も見破られているかな。この2行じゃ無理だと思うけど。
>>340奈美が逆襲と珍しい展開に驚いたが普通に戻ったラストは安心感があって良いですね
>>371 藤吉さんと絶望先生書いた人じゃないのか?
374 :
42:2007/10/02(火) 03:49:58 ID:V64ThWgj
こんな真夜中になんですがあびる短編投下します。
一応、前回とつながってます。
「先生、居る?」
よく晴れた日曜の朝、あびるは望に会いに学校へ来ていた。
宿直室のドアを開けるとスヤスヤと眠っている望の姿があった。
「あ、寝てる」
お昼寝中だろうか?あびるは忍び足で望に近づいてゆく。
とその時――――
『ぐにゃり』
ふとした拍子にバランスを崩したあびるは望の「そこ」を踏みつけてしまった。
「わっ」
足をM字にして倒れこんでしまったあびる。
あ、先生は…気がついてないみたい。
「痛く…なかったのかな」
望は未だ熟睡している。
ふっ、あびるの足裏に先程の感触がよみがえる。
あびるは顔を紅潮させながら自然と望の股間に手を伸ばしていた。
『しゅ、しゅ』
『はぁっ、は、ぁっ』
息を荒くしながら絶棒を左手でしごいていく。
右手は自然と自らの秘所にあてがわれていた。
『ん、ふぅ』
あびるは絶棒が大きくなったのを確認すると靴下を脱ぎ足裏を望の絶棒にそえる。
『ぴとっ…』
なんか…あったかい…
『しゅ、しゅっ』
どこかで得た知識なのかそれともあびるの欲求なのかあびるは自らの足の裏で望の絶棒をしごきはじめた。
ああ、私、足なんかで先生のを…
『ん、ふう』
さっきまで望の絶棒をしごいていた左手は秘所をまさぐっている。
せんせい、あびるは悪い娘です…先生が寝ている間にこんなこと…
『しゅ…しゅっ、こすっ』
『ん、はぁ』
息はますます荒くなり、興奮してゆくあびる。
『じわっ』
足裏にぬるっとした感触。
絶棒の先端からねっとりとした液体が滲み出てくる。
とその時。
「…う、ぅん?」
「あ、わ!」
「〜〜ん?…っ」
はっ、と我に返る。
急いで下着をはき、望に乱暴にパンツと袴をはかせると、あびるらしからぬスピードで部屋から逃げ出した。
「ぅ…うん、よく…寝ましたねぇ。」
ぼんやりしたと意識が徐々にはっきりとしてくる。
「やはり昼寝は良いものです…?」
ふと股間に妙な感触を感じとる。
「な、まさか…」
股下に目線を移す。
その瞳にはっきりと映るその光景に望は絶望を覚えるのであった。
THE END…
MADでもSSでも絶望先生には何故死ネタが多いのか朝から考えてみた
先生が色白で線が細くてイケメンなことと
生徒と教師という涙腺系の関係
そして兄が医師というところ
考えたらサナトリウム文学にぴったりのシチュエーションの宝庫じゃないか
そんな設定でギャグを書いてるクメタンはやはりすごいと思った
そしてそんな自分は死ネタMADもSSも大好きです
真昼氏の続きを心よりお待ちしております
第四集「津軽通信教育」で先生はテクニシャンになっている。
この設定で智恵先生を弄ぶ話はないものか
連日失礼いたしやす、真昼の奴です。やたら小出しにして申し訳ない。
ホントにちょびっとの投下になりますが、話の区切りを考えるとどうしても短くなってもーて。
5レスほど失礼させてもらいますー。
◇ ◆ ◇ ◆
望の授業が終わった後。
可符香はすぐに命の病院へ向った。もちろん、望の病態を詳しく聞くためである。
昨夜の思わせぶりな会話についても、問い質すつもりでいた。
――糸色命は、ああ見えて意外と過保護な所のある男だ。
だからたいした病気でないにも関わらず、用心にと、弟に入院を勧めたに違いない―――
病院に着くまでの間に考えた、彼女お得意のポジティブな遁辞は、こんなところだ。
命の病院は相変わらず患者も疎らで、二人で話をする時間は簡単に取れた。
「先生の病態はどうなんですか?」
挨拶もそこそこに本題に入る可符香。その様子に深刻なものを感じ取り、命は真剣な表情で頷く。
「――正直なところ…良くは、ないよ」
「そんなのわかってます。どの程度、良くないんですか」
曖昧な態度の命に、可符香は容赦なく質問を浴びせる。
その頬を、一筋の冷や汗が流れるのを、命は見逃さなかった。
(――ああ、彼女は…。知るのが怖い、のか)
それにも関わらず、少女は必死にここに立ち、返答を待っている。
縋るような眼差しに答えるように、命は口を開いた。
「…早急に入院が必要な程、だ」
「じゃあどうして、先生は学校に来てるんです?」
「それは―――」
言い淀む命に、可符香は反論を許さない。非難するような強い口調でたたみ掛ける。
「お医者さんなら、患者さんを治す事を優先するべきじゃないんですか。
弟さんが大事なら尚の事です。どうして――先生の我侭なんかを、聞いたりしたんですか」
「ど、どうして君が…」
昨夜の事を知っているんだ。そう問い質そうとするも、
「そんな事どうでもいいんです」
ピシャリと言い放った可符香の眼光に二の句が告げなくなり、思わずすくみ上がる。
幼い少女の眼光に圧倒されている自分を、命は自覚せざる得なかった。
「それで先生は――……何の病気に、罹ってるんですか…?」
だが、次に彼女から紡がれた言葉は、先ほどまでの勢いが嘘のように、恐々と発された。
スルスルと萎むように、可符香の瞳に力が無くなっていく。
「――胃を、大分やられていてね…。
最近食欲が無かったり、お腹を痛がったりしては、いなかったかい?」
紅葉の上に倒れ付す、望の姿を思い出す。そういえば、腹部を押さえていた。
昨日、倒れる直前に取った昼食は、殆ど食べられずに残していた。
彼が倒れた時、肩に触れて初めて、元々細い身体が更に一回り小さくなっている事に気付いた。
思い出してみれば、何故気付かなかったのか不思議な程に、思い当たる節がありすぎる。
愕然とする可符香の様子から察したのか、命は眼鏡の奥の瞳を曇らせた。
「血を吐くまで……どうしてあいつも、気付かなかったんだかな」
その言葉が、まるで自分に向けられたものであるように聞こえて、可符香は胃の奥がきゅうと痛むのを感じた。
だがこの痛みの、何倍もの苦しみを望は味わった――いや、今も味わっているのかもしれない。
「あ、あはは…コーヒーじゃ、なかったんですね…」
乾いた嘲笑で自身を傷つける可符香の様子に、命は痛ましげに眉根を寄せた。
初診の時。それと、昨日望の付き添いに病院を訪れた時。合わせて二度程しか会っていない少女。
本来ならば彼女と望は、教師と生徒という間柄に過ぎない筈だ。
けれど、あまりに必死な彼女の様子は、二人がそれだけの関係ではない事を物語っているように思える。
いくら担任が倒れたとはいえ、それが自らの目前だったとはいえ。
わざわざ学校を早退してまで容態を訪ねに来るのには、何か特別な理由があるとしか思えない。
その『特別な理由』を――自分は聞く権利がある。
それに、昨夜望が残した意味深な言葉。
『やり残した事がある』
確信などない。だがその言葉が、この少女に繋がるような気がしてならなかった。
「風浦、可符香さん」
「はい」
頷く彼女の瞳は、今だ不安げに揺れている。
「貴女は望の生徒さんだ。それに、昨日は望を助けてくれた恩もある。
けれど――…何故君は、そんなにまで望を気にかけてくれるんだ?」
「それは」
ソレハ、センセイニ、コイヲシテイルカラデス。
彼女が彼を気にかける理由。今まで、ずっとそうだと信じてきた理由。それを口に出せばいい。
そうすれば、命は何の疑いもなく首を縦に振って、自分の質問に何でも答えてくれるだろう。
けれど何故だろう。彼女の唇は、その言葉を紡ぐ事を拒否していた。
笑みの形に強張って、ピクリとも動いてくれない。
(…あれ?)
唇どころか喉も凍りついたようで、無理矢理声を出そうとするも、掠れた呼吸が虚しく漏れるだけだった。
「どうしました?」
「…ぁ、…ァ」
呼吸すら危うくなる。冷や汗が顎を伝って、制服のスカートに染みをいくつか作り出す。
今までならば、すんなりと言えた。彼を監視するその理由。
それは、彼女の中で紛れもない真実であったからだ。
なら今は?
それを言葉に出来なくなったのは――自分の中で、それが真実ではなくなったと、言う事なのか。
そんな筈はない。そんな筈はない。
今だこの胸に痞える、以前より何倍も肥大したこの感情は、恋以外の何物でもない。
それ以外のモノとなると――彼女にとって、酷く都合が悪くなるから。
やだなぁ、怖いわけないじゃないですか。
やだなぁ、憎いわけないじゃないですか。
やだなぁ――決して、苛立ちなんかじゃありませんよ。
だってそれらは全て、自分の中にあってはならない感情だから。
そう。いつだって彼に抱いてた、この混沌とした感情は――――
『貴女はいつも、何を恐れているのですか』
彼女の心に、深く深く棘のように刺さった、望の言葉が蘇る。
刺し傷が、ズクンズクンと痛みだす。
今まで見てみぬフリをしてきた全てを、無理矢理見せつけようとする残酷な言葉が、痛みと共に蘇る。
『貴女は怖がりだ。人よりもずっと、怖がりだ。
だからそんなに必死になって、ネガティブな事を否定するんじゃないですか。
そうでもしないと―――耐えられないから』
ああ、そういえば。
―――あの時自分は彼の言葉を、少しも否定出来なかったじゃないか。
ようするに、この、恋とは名ばかりの、感情は。
「 あ はは 」
小さな乾いた笑いが、喉から滑り出た。
何かを諦めたように、強張っていた肩から力が抜ける。
何事か呼びかけている命の声を、遠く遠くに聞きながら、可符香は妙に穏やかな心地でいた。
(そうだ…もう、あの時とっくに、言い負かされていたんだ)
せっかく死に物狂いで築き上げた、風浦可符香という人物像を壊された事へのショックよりも、
それを暴いた人間が、彼で良かったという安心感が、彼女を満たしていた。
―――そう、人はそれを、恋と呼びます。
見開いた瞳に光が灯る。青ざめた頬に赤みが差した。
ようやく彼女の中で、糸色望への恋が、始まった。
気がつくと、可符香はベッドの上で横になっていた。
一瞬状況が飲み込めず、真っ白い天井をぼんやりと仰ぎ見る。
「目が覚めましたか?」
隣で聞こえた声にハッとして身体を起こすと、そこには心配そうにこちらを見る命の姿があった。
ここは診察室で、自分は彼に話を聞きに来ていたのだ。
しかし何がどうして、ベッドに寝転がったりしていたのだろう。
「あの、私」
「疲れていたようだね――話の途中で気を失ってしまったんだよ、君は」
言われてぼんやりと思い出す。どうやら葛藤に耐え切れず、意識を失ってしまったようだ。
「す、すみませんでした」
「いいんですよ。どうせ患者さんも来ませんから」
フッと影のある笑い方をする命。どうやら、彼女が寝ている間も来客はなかったようだ。
「どのくらい寝ていたんですか?私」
時計を見てみると、結構な時間が経ってしまっていた。もう夕方になろうとしている。
「気にしないで下さい……あぁ、随分と顔色は良くなったようですね」
可符香の顔を覗き込んで、ホッと息を吐く命。
「……それで、どこまで話しましたっけね」
「あ…ッ!」
言われてハッとなる可符香。
彼女の中で導き出された結論を、今ならば口に出来る。
―――そう、それを人は、恋と―――
「――ぁあ…。そうです」
ふっと、可符香の瞳に力が宿る。薄い唇から漏れた声は、喜びで上ずっていた。
「私――私、先生の事が……好きなんです」
頬を桃色に染めて、潤んだ瞳で言うその表情は、まさに恋する乙女のそれであった。
思わずその台詞が、自分に向けられたものだと錯覚して、不覚にも照れてしまう命。
だがすぐにそれが弟に向けられたものと思い直し、一瞬でも高揚してしまった自分を叱り付けながら、命は気まずげに咳払いをした。
「そう…そうか…。そんな所だとは思ってたよ」
可符香はもう落ち着いたようで、さっきまでの不安定な様子とは一変して、真っ直ぐな瞳で命を見つめている。
「絶命先生は、先生がどうして入院を延ばしたのか知ってますか?」
「――人をおちょくる余裕は出てきたというわけですね」
さっき僅かにでも少女にときめいてしまった自分を内心で自嘲しながら、命はズレてもいない眼鏡を人差し指で直した。
「私も理由は聞いていないよ。やり残した事がある……としか」
「――そうですか」
可符香はやおらベッドから降り立ち、ペコリと一つお辞儀した。
「ありがとうございました。絶命先生」
「だからッ!――あーもう、こんな時まで……!」
反射的に噛み付きそうになるのを必死に自制して、ブンブンと頭を振る事でどうにか耐え忍ぶ。
「直接望に聞くなら、早めに行った方がいい。―――もう……」
出口に向う少女の背中に、最後に掛けた命の言葉は、彼女を焦らせるには十分なものだった。
―――もう、会えなくなるかもしれないから。
バタンッ。
扉が閉まる音と同時に、彼女が廊下を駆け出す気配。
足音が遠ざかったのを確認すると、命も静かな足取りで診察室を出る。
窓から下を見下ろすと、さっきまで自分をおちょくっていた少女とは思えない、必死な表情で掛けていく可符香の姿が見えた。
「―――本当に、酷い男だな…我が弟ながら」
その姿が見えなくなるまで、命はじっと、廊下に立ち尽くしていた。
◇ ◆ ◇ ◆
短くてすみませんです…それにしてもやたら野郎率が高いSSだと最近気付いた。
何だかエロは無理に入れなくても大丈夫との声がありましたので、お言葉に甘えさせてもらいます。
さすがにこの状況でエロスは不自然やもしれんなぁと思っておりましたので。
真昼さん連日乙です。
やだなぁ、エロは次のSSで入れればいいじゃないですかぁ。
真昼で号泣した後でラブエロお待ち申し上げます。
新谷さん曰く、ノーマルでは先生攻めの方がすっごい萌えるらしいです。
キミキスのちょっとおまけ劇場を観て、「先生とってもとっても大好き部」という電波を受信したんだけど、どうする?
>>387 やるだけやってみようよ。と言ってみる。
>>378 ・゜・(PД`q。)・゜・
もうここんとこずっとこんな感じ
小出しでもいいから連日投下希望!
相変わらず真昼さんの描写力は凄いし次どうなるか気になるぜ
それとツンデレラ続きはマダーーー?
昼飯が食えなかったのは猫のせいだけじゃなかったのか!伏線だったのか…!!
真昼氏乙です!!続き楽しみにしてます!
>>390 待て、鬼畜先生の続きがまだだ
真昼氏GJ
>>394 鬼畜先生て、もしや前々スレだか前々々スレだかのあの鬼畜OP先生か?
あれは俺もずーーーーっとまとい編を待っているんだが・・・職人さんはまだこのスレにいるのだろうか
>369
ちくしょう!気づかなかった!読みなが甘いのか。後
>219
ああ…なんだ…風が…やんだじゃねぇか…
いや言いたかっただけ
週慢で出ていた加賀さんの話題に刺激されて軽いのを一本。
加賀さんと先生、あと可符香の3人のちょいエロコメです。いや、ただのコメかも…
少年誌に載せれる程度のことしかしてませんので、エロを期待する方、ごめんなさい。
扉の前で、すーっと深呼吸をする。一回、二回…
大丈夫、ただの日直としてのお仕事なんだから。
粗相のないように、失礼のないように、落ち着いて…
「お邪魔します…」
ガラリと宿直室の扉を開けると、糸色先生の顔が見えて、少し心拍数が上がった。
ここが、先生のお部屋…
「加賀さん?」
「は、すいません!すいません!ぼーっとしちゃって!これ、課題です!」
ずばっ、と集めた課題のプリントの束を渡した。
「はい確かに。ありがとうございます。」
「そんな、恐縮です!すいませんすいません!お邪魔しました!」
また、先生とうまく話せなかった。頭が真っ白になっちゃって…
そんな情けなさから逃げ出すように、踵を返したとき。
後ろで、ゴホッ、という音がした。
信じたくなかったけど、確かに聞こえてしまった。
振り返って見ると、先生がその口に手を当てている…やっぱり先生の咳だったんだ。
「もしかして私、くさいですか!?」
「はい?」
「だって先生、今、ゴホッって…すいません!すいません!」
「いや、そんなわけ…」
「こんな体で、先生のプライベートな場所に侵入して、異臭騒ぎを起こしてしまって!」
嫌われてしまう、いや、もう嫌われてしまったかもしれない。
今度は、まさに逃げ出すために、先生に背を向ける。
そのまま駆け出そうとした私の体を、がしっと抱きしめられた。
正面から。
「何言ってるんですか。愛ちゃん、全然くさくなんてないじゃないですか。」
「あなた…いつの間に現れたんですか?」
あまりに突然な登場に、私も先生も驚かされた。
「くさいどころか…すんすん…愛ちゃん、すっごい良い匂いですよ。」
「やっ…嗅がないでください!くさいですから、私くさいですから!」
私の首に顔を近づけて、くんくんと嗅いでいる。
息がかかって、むずかゆいし、恥ずかしい。
「ほんとに良い匂いなのにー…あ、先生も嗅いでみてくださいよ。」
先生に?そんなの考えただけでも、どうにかなってしまいそうだ…
「だめ、だめです!先生にそんなこと!」
「でも、においの感じ方って男女で違うらしいですし、男の人の意見も聞かないと。」
「…え、いやでもそれはちょっと…身動きの取れない嫌がる女生徒を嗅ぐ変態教師、と世間に…」
「そうですかぁ…先生ってば、愛ちゃんのにおい、嗅ぎたくないんだって…」
頭の中に大音量で、ガーン!と言う音が鳴り響いた。
「…」
「あ、愛ちゃん黙っちゃった…傷つけちゃいましたね、先生。」
「私のせいなんですかあ!?」
402 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/03(水) 03:34:27 ID:lPK6XN2i
くさっ!
「さあ、先生!愛ちゃんのためですよ!」
そう言って、私の後ろ頭の結んで房になった部分を押し上げる。
そこを嗅いで、ということらしい。
どうあっても離してくれそうになかったので、私は、もう抵抗するのは諦めていた。
「ああ、PTA様に見つかりませんように…加賀さん失礼します。」
ひあ、と声が漏れた。そんな私を見ている彼女は、なんだかいつもより嬉しそうだ。
くんくんと鼻を鳴らす音と、うなじの辺りの空気の流れを感じ、顔が紅潮する。
恥ずかしすぎて、視界がチカチカした。でも、先生は…先生は、なんて言ってくれるんだろう?
怖いけど、後ろから聞こえる声に耳を澄ました。
「うん。くさいだなんて、とんでもありません。良い匂いですよ。」
「…愛ちゃんの匂い…先生好きだって…よかったね…」
耳元で、私だけに聞こえるように小声で囁かれた。
「おお、愛ちゃんの力が抜けていく!」
二人の言葉を受けて、足に力が入らなくなってしまった。そのまま畳にへたり込む。
「落ち着きましたか?」
「愛ちゃん大丈夫?」
座りこんでしまった私に、二人が声をかけてくれた。
先生は、ちょっとだけ顔が赤くなっていた。
「あ…はい、大丈夫です。すいません、ご迷惑をおかけして。」
「愛ちゃん、咳なんかであんな気にしなくていいんだよ。」
「そうですよ、私が保証します。」
さっきの先生の言葉のおかげか、二人の言葉が素直に入ってくる。
「ありがとうございます。」
「うんうん、愛ちゃんは良い匂い。」
また、くんくんと嗅がれる。くさくないにしても、やっぱり恥ずかしい。
「…すんすん……あれ?愛ちゃん…愛ちゃんの手、カニのにおいがする。」
予想外の発言に、私と先生は一瞬言葉を失った。
昼食に食べたカニだろうか、きっと私なんかが、たらばがにを食べたから、バチが当たったんだ。
「すいません!すいません!カニくさくてすいま」
はぷっ。
「ひゃん!」
唐突に指をくわえられた。
「ちょ、あなたいきなり何やってるんですか!?」
「カニの味がするかなー、って。しませんでしたが…もう一度やってみます。」
かぷっ、ちゅぅー。
「だめ、だめです!私の指なんて、カニのにおいのするような不潔な…やっ…あぁ…」
「そんなカニの味なんてするわけ」
「あ!今、一瞬カニの味がした気がします!」
「ええー!?」
「あ、疑うんですねー。なら先生も試してくださいよ。」
先生に指を?そんなの考えただけでも、どうにかなってしまいそうだ…
なんだか、似たような情景をほんの少し前に見た気がする。
……
宿直室の畳の上に、望と可符香が座りこんで話している。
「愛ちゃんは、くさくない、汚くない、って言いたかっただけなのに、大変な事になりましたねえ。」
「煽ったのはあなたでしょうが…」
二人の視線の先で、愛は望の左手を握り、左半身を下にして寝ていた。
先ほどまでに比べ、衣服が乱れている。靴下は脱がされたようで裸足だ。
「そういう先生だって、夢中になってたじゃないですか。」
「…カニを食べるときは無口になる、とでも言いましょうか…」
適当なことを言って誤魔化した。
「その例えはどうかと思います。でも、愛ちゃん…可愛かったですからねえ。
もう途中から、ずっと先生の指くわえて離さないし、先生が間違い犯しちゃったのも仕方のないことです。」
「やっぱり間違いなんですか、コレ…」
いわゆるどよんど、と呼ばれる空気が流れる。視線を落とし、望はため息をついた。
「でも、これでもう愛ちゃんは大丈夫ですね。加害妄想に取り付かれても、先生がいますから。」
「そうだといいんですが…」
「やだなあ、気付いてなかったんですか?愛ちゃんったら、さっきからずっと寝たフリしてるんですよ。」
びくっ、と愛がその身を小さく震わせた。
「え?」
「先生に甘えてるんですよお。もう、身も心も預けんばかりにべったりと。」
言われて愛を見やると、相変わらず目は閉じていたが、少し顔が赤くなっていた。
「さて、私はお先に失礼しますね。さようなら先生、甘えんぼの愛ちゃん。」
愛の頬を、指でふにゅっと押しながら、別れの挨拶をして、可符香は帰っていった。
宿直室には、未だ寝たフリをする愛と、そんな彼女にどうすべきか迷う望が残された。
愛は、望のお気に入りの生徒である、いや、もはやそれ以上だ。
だが、本当に自分でいいのだろうか…それ以前に、可符香が言ったことも確証がない。
眉間にシワを寄せて悩んでいると、繋いだ愛の手が少し震えたような気がして、彼女を見た。
愛のハの字の形をした眉が、先ほどより角度が上がっている気がする。
その不安そうな顔を見ていると、自然に顔が緩んでしまった。
天井を見上げ、ふぅ、と息を吐き、数秒の間目をつぶる。
そして、望は決意を固めた。
おしまい。
タイトル入れるの忘れてました。ていうか付けてませんでした。
とりあえず、「クンクンカフカ」で。
『蟹好戦 下から目線ですみません』の方がいいなあ。
早起きしてみるもんだなぁ…GJ。ほのかにエロいんだけど不思議と和んだ。
ところで愛ちゃんは昼飯に蟹持参したのかと、どーでもいい事が気になったり。
先週、今週のマガジンで、再び俺の中の芽留萌えに火がついた
というわけで、芽留SS希望
言わなくても済む事なんだろうけど言わせてくれ。
漏れ、エロパロSSをナメてた。完全にナメてた!
軽く見てた!もっと早く見にこればよかったと今後悔してる
真昼さんすごいよ、泣けてくる・・・・・orz
いままでのss、保管庫にあるんよね?
こんな漏れに住人さんたちオススメのssって何か教えてもらえんでしょうか?
臼井君視点で先生と生徒たちの酒池肉林が読みたい
可符香神作品が豊作リッチな今…スレ汚しにしかならないでしょうが、一本望×可符香
を投稿させて戴きます。エロなしで絶望的ですがご容赦下さい…どうか…
恋が壊れるには、ほんの少しの時間があれば十分です―――
こんな言葉を彼女が教科書の片隅に書いているのを誰かが見たら、さぞ驚
く事だろう。何しろ、彼女は超ポジティブ思考の持ち主とされている風浦可
符香なのだから。
彼女が授業中に、こんな絶望的な落書きをしているのはおかしいと思うか
もしれないが、これも彼女一流のポジティブシンキングと考えられる。
なぜなら、彼女は恋の崩壊を切望しているからだ。
彼女の属するクラス―――2年へ組にいる多くの女子は恋をしている。そ
れも、共通の相手に。
風浦可符香は、それらの恋が壊れてしまえば良いと、いつも思っていた。
彼女もまた、皆と同じ相手―――担任の糸色望に恋をしていたから。
可符香の恋は、誰よりも早かった。
前髪のトンネルを開けられ望と対面したひきこもり少女より、心中の告白
をされたストーカー少女より、寝台を共にしただけで結婚を迫る几帳面粘着
質少女より…
そう、桃色ガヴリエルの下で初めて出逢った時からずっと、恋をしている
のだ。
しかし、幼い頃から沢山辛い目に遭い、いつしか自分の心を閉ざして別の
自分で表面を覆った彼女は、まともな愛情表現が出来なくなっていた。
好きなものにいたずらがしたくなって、すぐに炎ざたを起こしてしまう三
珠真夜や、嫉妬のあまり猟奇的な行動に走ってしまう木津千里以上に、可符
香の愛情表現は下手だった。
その結果、可符香は電波化し、いつしかクラスの黒幕的存在として、密か
に皆から恐れられるようになってしまった。
無論、恋しい糸色望からも、である。
「あなたは本当に、心のスキマに入り込むのが上手ですねえ」
望にそう言われた時、彼女はいつも通りの作った笑顔で応えた。だが心の
中では、彼女は幾筋もの涙を流していた。それを、言った当人の望はおそら
く気付いていないだろう。
「可符香さん、大丈夫…?なんだか顔色がすぐれないようだけど…。授業も
上の空だし…。」
前の席からの声。木津千里が心配そうに、振り返ってこちらを見ている。
普段は本当に委員長キャラなのだ。
可符香は筆箱でそっと教科書の端の落書きを隠し、
「いやだなぁ、私が体調を崩す訳がないじゃない」
いつもの笑顔で答えた。
「そう…?それならいいんだけど…。本当に調子が悪かったら、無理しちゃ
駄目よ。」
また黒板の方へ向き直った千里の、流れるようなストレートの黒髪をぼん
やりと眺め、可符香は泣きたい気持ちになった。どうしてこんなにも、素直
になれないのか…
泣きたい気分だが、彼女の表面を覆って乗っ取ったかのような笑い仮面の
瞳からは、涙など流れてこない。
(千里ちゃん…私、本当は重い病気なの…
お医者様でも、草津のお湯でも治らない……)
人として軸がぶれている。
だから報われない。
日に日に想いはつのるばかり。
明るく振る舞っているのもそろそろ辛くなってきた―――
下校の時刻を迎えた。
ショート・タイムの終わりを告げる鐘が鳴ると共に、望はそそくさと教室
を出て行った。先程、可符香に優しい言葉をかけてくれた千里も、先生恋し
さのため危険な人になる頃だからだ。
ストーカー少女・常月まといは驚くほどあざやかに望の背中にくっついて
するりと教室を抜け出した。望も気付いていない程だろう。
(1秒でも長く、先生の顔を見ていたい…)
そうは思うのだが、今の可符香にはとても絶望先生取り合いバトルに付き
合う気力はない。
しょんぼらと鞄を抱えて下駄箱へ向った。
「あっ…」
可符香は思わず立ち止まって声をあげた。しかし、その声はかすれるよう
に小さく、おそらく下駄箱の前で靴を履き替えていた日塔奈美には聞こえな
かったろう。
(あのアピール合戦には参加しないんだ。やっぱり普通…?)
などと考えていると、可符香に気付いた奈美は弾んだ声で言った。
「あ、カフカちゃん。一緒に帰ろ♪」
「ぇ…あぁ、うん…」
夕日がガードレールをオレンジ色に染める黄昏時。可符香は普通少女・日
塔奈美と肩を並べて歩いていた。
「ねえ…カフカちゃん」
ふいに奈美が口を開いた。
「カフカちゃんは…好きな人とかいるのかなぁ…?」
あまりに普通の女子高生らしい質問に、カフカはおもわずクスッとした。
「奈美ちゃんは先生のことが好きなんだよね?」
「えっ…やだ…そんな…」
夕日の射す中でも分かるほどに顔を赤らめて否定する奈美。本当に標準的
な反応だ。
「奈美ちゃんはいいな、普通の恋愛ができて…」
「ふつ…」
奈美は普通という言葉に反応したが、可符香の様子がいつもと違うのに気
がついて、お決まりの台詞を出しかけて止めた。そう、普段の周囲を疲れさ
せるような元気さが、今日の可符香には見られない。
「カフカちゃん…?」
心配そうな奈美の眼と、憂いを含んだ可符香の瞳がかち合った。
その時、可符香には何故だか、白無垢の花嫁衣裳を着た奈美の姿が見えた。
可符香の心のどこかに、「先生はこの普通少女に傾くかもしれない」とい
う不安があったのかもしれない。実際、自分が男だったとして、あのクラス
の女子の中から、一番嫁に貰いたい人を選ぶことになったら、可符香はおそ
らく、他のどこか問題のある人たちより、奈美を選ぶだろう。大草さんも良
いかもしれないが、彼女は既に人妻だ。
可符香は固まったように立ち止まった。いや、事実、表情は固まっていた。
「カフカちゃん?どうしたの…?」
「…忘れてた……私、こっちに用があったの!」
可符香はあくまで明るく、右へ曲がる道を指差し、
「じゃあ!」と、奈美に手を振って走り出した。
何が何だか分からず、ぽかんとしている奈美を振り向きもせず、可符香は
一心不乱に走った。
今、奈美と歩いてきた通りの一本脇の道に入り、学校へ向う。
(先生……先生………会いたい!)
ちょっとここで一段落…
後篇はあと少しで出来ます。
本当に、他の方の作品と見比べて絶望的になってきます…
>>420 GJ!カフカが普通より普通っぽいwこれからどうなるのか続きが楽しみだ
>>412 個人的に一番好きなのは173氏(保管庫では7-222ね)の『理不尽な神様』だが
真昼氏のSSが好きなら430氏のが合うんじゃね?
>>413 何視点かは聞き取れなかったけど、君がそれになりきれば全く問題ない。
そして今日も真昼氏投下を待って正座をするのであった
連日投下が義務付けられかねない雰囲気に絶望した!真昼です。期待が…期待が恐れ多くも重い…!
7レスほど消費いたします。ああ…いい加減書き溜めてた分が底を付いてきたぞー。
「――そうですか、兄さんに」
記憶の海に溺れていた可符香の思考は、望の声によって浮上した。
望は自らの顎に手を当てて、何事か考え込んでいる。
「それじゃあ、私が明日には入院しなければならない事も、知っているんですね」
「知ってます」
「では何も、怒ることはないじゃないですか」
「怒ってません」
そう、彼女は怒ってなどいない。
ただ、日頃あんなに他人の同情を集める事に必死な彼が、どうして病を隠してまで学校に来たのか。
そしてそれをするだけの価値がある、「やり残した事」が何なのか。
それが気になって仕方がないだけだ。
「先生――先生のやり残した事…もう、やれたんですか」
苦痛を嫌うこの男が、それに自ら進んで耐える事を選ぶほどの事。
気にならない筈が無い。まして、それが心寄せる男の事であれば、尚更だ。
可符香の真剣な問いに、望は柔らかく微笑みながら答える。
「いいえ、残念ながら。何せその相手が、今まで学校に居てくれませんでしたからね。
それに私も、一時限目が終わった後体調を崩しまして……宿直室で休んでいたんですよ」
その際に、交に自分の病の事も伝えてあった。
『叔父さんの馬鹿』
それだけ言って顔を伏せた甥の髪を、ゆっくりと撫でた感触を思い出す。
彼の事は、小森に任せてある。他の生徒たちも、何だかんだ彼の面倒は見てくれるはずだ。
寂しい思いはさせずにすむだろう。
「……人に関係する事なんですか?」
「ええ」
「―――誰に、関係する事なんですか?」
望はふと、少し戸惑うように口を噤んだ。
その沈黙に滑り込むように、可符香は重ねて問い掛ける。
「―――やり残した事って、なんですか?」
問われて、明確にそれが言葉に出来ない事に戸惑う望。
頭の中で伝えたい事を整理しながら、ゆっくりと、口を開いた。
「――伝えたい事があります。貴女に」
「……私に?」
まさか自分に関係する事だとは思っていなかったようだ。
可符香はキョトンと目を丸くして、自分を指差す。
望は頷いた。
「こういう状況で言うのもなんですけどね」
「なん、ですか?」
「好きですよ」
ともすれば、それが告白だと気付かないほどの自然さで、彼は言った。
「…は?」
何を言われたのか咄嗟に理解できず、思考が停止してしまう。
何か、何かとても大変な事を言われた気がするのだが。
「好きなんです。貴女が」
そんな可符香に、今度は染み入るような深い声音で、望は繰り返し愛を伝える。
ああ、告白されたのか、と。
ようやく理解した頃には、身体の方が先に反応したのか、可符香の頬は朱に染まっていた。
「……さ、さらっと言わないで下さい」
「だって、じっくりとっくり愛の告白なんて、照れるじゃないですか」
「これはこれで困ります。言われた方は」
誰かの言葉に、これほど困惑するのは初めてだった。
だって、理由がわからない。
確かに思わせぶりな態度も取った。けれど、まさかアレで好いてもらえるとは思っていない。
彼が自分に好意を示した理由がわからない。その告白は彼女にとっては、あまりに唐突過ぎた。
それも、自らが彼に好意を持っている事を自覚した矢先である。
幸運を通り越して、むしろ何かの罠じゃないかと勘繰ってしまう。
「好きとかじゃないって、こないだは言ってたクセに」
「言いましたね――でも、もう……私から素直にならないと、貴女も素直になってはくれないでしょう?」
ああ、アレは本当にツンデレだったのか。
という事は、今は彼のデレの部分を垣間見ているという事なのだろうか。
思考の端で冷静にそんな事を思いつつも、熱くなる頬はいっこうに冷めてくれない。
「私は貴女に、いつも自然に――あの時見せてくれたような、あんな笑顔で居て欲しいんです」
自分で抑制が効かないような、心の底から込み上げる笑顔。
そんな笑顔が、自然と彼女の顔に浮かぶようになれば、それはどんなに素敵な事だろう。
「……常に爆笑してればいいんですか?」
あまりにも真っ直ぐな望の目に耐えかねたようにそっぽを向いて、照れのあまり軽口を叩く可符香。
その様子が、いつもの余裕綽々なそれより何倍も可愛らしく見えて、望は笑みを隠しきれなかった。
「茶々を入れない。そういう事じゃなく、本心から笑っていて欲しいって事ですよ」
「……話が見えてきません。私は先生のやり残した事が聞きたいんです。
それがどうして、そこに繋がるんですか?」
はぐらかされたと取ったのか、不満そうな顔で問い質す可符香の頬は、まだほの赤く染まったままだ。
望は少しだけ困ったように沈黙を挟んでから、
「この間、話しましたよね。貴女の――怖がっているものの事を」
「……私が、逃げてるって話、ですか」
「そう……、あの話を、このまま有耶無耶にしてはいけないと、思ったんです。
風浦さん。貴女が避けているソレは、いずれ―――」
「わかってます」
いずれ貴女を、酷く傷つける事になる。
続く言葉は、強く放たれた可符香の声に断ち切られた。
「わかってます…先生。もう、その話には――決着がついちゃってます」
望は驚いて、眼鏡の奥の瞳を見開いた。
可符香はもう、笑顔が歪むのを隠そうともしなかった。
瞳は潤み、唇は震えて――今にも、泣き出しそうだ。
「私もう、あの時先生の言葉を否定できなかったから……。
だから、もう――私先生に、言い負かされちゃってるんです」
糸色医院での葛藤の末に、彼女は自らの故障を認めていた。
だがそれも、こうして改めて望に言われるまで、ハッキリとは認められなかった。
こうして望を前にして、会話を交わし、心の柔らかい部分に触れられて。
彼女はますます言い逃れが出来ない状況に追いやられていた。
どうにか笑顔を崩さずにすむのなら、それにこした事はなかったけれど、どうやらもう無理そうだ。
「私は――きっと、怖がりです…人よりずっと、怖がりです。
必死になって嫌なモノを見ないフリして……そうしないと、駄目になっちゃうから」
子供の彼女にはあまりに凄惨な、父の亡骸を前にして。
いっその事その時、母親のように壊れてしまえたら、楽だったかもしれない。
けれど彼女には、戻りたい日常があった。
毎日一緒に居てくれる、楽しい物語を聞かせてくれる、幼馴染との日常が。
おかしくなっていく日常の中で、彼との時間だけが、彼女に残された幸福だった。
耐えなければいけない。自分までおかしくなってはいけない。
自分は不幸などではない。不幸な事など何一つあるものか。
降りかかる数々の不幸に、幼い少女が耐える為には、そんな歪な自己暗示くらいしかなかった。
その無理矢理さに薄々気付いていたけれど、それでも――直視さえしなければ、彼女の心は耐えられた。
彼の許から、ずっと遠くに引っ越す事になった時は、さすがに挫けてしまいそうだったけれど、
最後に過ごした彼との優しい思い出は、再会を果たすその時まで、彼女を支え続けた。
自分流の世渡りのコツを覚えて、どんどん生きるのが楽になっていった。
軋んでいた心は硬化していって、痛みも麻痺し始めていた。
そんな中で出会った、糸色望という、くだらない男。
そんなくだらないと思っていた男に――自分は今、どうしようもなく恋している。
そしてその想い人は、今――――
「認めます…私、弱いです。駄目なんです…認めます」
こんなにも弱い自分を、暴き出しておきながら。
「認めますから……、だから―――」
―――いなく、ならないで下さい―――
気が付けば、もう自分はとっくに泣き出していて、いつの間にか暖かな両腕に抱きしめられていた。
ポンポン、と。まるで母親が子供をあやすように、可符香の背中を叩く望。
抱き締められる安心感が、よりいっそう彼女の涙腺を緩ませたのか、
可符香は肩を震わせて、何も言えなくなるほどに泣いている。
望は思っていたよりも随分と小さな少女の身体を、より強く抱きしめた。
「――それで、いいんです」
穏やかな声。
「泣いたって、弱くたっていいじゃないですか。私なんか、毎日泣いてる気がします」
しゃっくり上げる可符香の髪をゆっくりと撫でながら、望はそっと言い聞かせるように言葉を続ける。
「いつか泣き止んで――その先に笑顔があるのなら。
泣く事も悪い事じゃありませんよ、可符香さん」
「――ッお、お願…しま…ッ、わた、私、が…ッ…」
―――私が泣き止むまでは、せめて、一緒に居てください。
そう言おうとするも、上手く呼吸が出来なくて、言葉にならない。
日頃泣き慣れない所為か、息継ぎままならないほどだ。
「大丈夫です、大丈夫ですよ」
優しく背中や髪を撫でられると、少しだけ呼吸が楽になった。
それでも涙はあとからあとから湧き上がってきて、絶える事なく彼女の頬を濡らし続ける。
「大丈夫――ずっと、一緒に居ますから」
その言葉が真実だと、今だけは心から信じていたい。
可符香は痛い程に望の身体を抱き締め返した。
このまま彼が、どこにも行ってしまわないようにと。
どのくらい咽び泣いていただろうか。
いつしか彼女の嗚咽は小さくなっていき、乱れた呼吸も落ち着きを取り戻していた。
彼女が泣いている間、望はずっとその髪を優しく撫で続けた。
「可符香さん」
可符香を抱きしめる望の腕から、ほんの少しだけ力が抜ける。
涙や鼻水でグチャグチャになった顔を上げて望を仰ぎ見ると、彼は予想以上に優しい表情をしていた。
彼はやおら可符香から身体を放す。
彼女がずっと顔を押し付けていた望の胸元は、涙と――少々不潔ではあるが、鼻水で濡れている。
「っぇく――ごめんなさい、先生」
可符香はそれに気付くと、まだ少し落ち着かない呼吸の隙間をぬう様に謝って、
ポケットからハンカチを取り出し、望の胸元を拭おうとした。
「私より先に、まず自分の顔をお拭きなさい」
延ばしたハンカチを持った手を掴まれて、自分の顔の前まで導かれると、可符香はそれに逆らわず、乱雑に自分の顔を拭った。
彼女が顔を拭いている間に、望は自前のハンカチで胸元を拭う。
涙だけならともかく、さすがに鼻水を付けたままというのは気分の良いものではない。
まぁそれが愛しい少女のものとなれば、汚らしいという気持ちは不思議としないのではあるが。
「可符香さん」
お互いにハンカチを仕舞い終えると、望はポンポンと、可符香側の空いたベッド脇を軽く叩いて見せた。
「ずっと立ったままではなんでしょう?座りませんか」
ずび、と鼻を啜りながら、コクリと頷く可符香。
彼女がベッドに体重を掛けると、僅かにベッドが軋む音がする。
望は彼女が窮屈な思いをしないよう、自分の座る位置を調整しながら、彼女の顔をのぞき見た。
目尻と鼻を赤くして、目はまだ潤んでいる。
そんな自分の顔を見られるのが気まずいのか、可符香は望の視線に気付くと不満気に眉根を寄せて、すぐに俯いてしまった。
その様子が無性に愛らしく思えて、望は思わず可符香の肩を抱き寄せた。
「――何だか先生、気安いです」
「調子に乗ってますか?」
「乗ってます。凄く」
「嫌、ですか?」
可符香は答える代わりに、ゆっくりと望の身体に体重を預けた。
二人はしばらく、そのままお互いに触れ合ったまま、何も語らなかった。
次第に可符香の瞼が、うつろうつろと降りてくる。
「眠いですか?」
望の声にハッとなり、慌てて遠くなりかけた意識を戻す可符香。
「だ、大丈夫です」
「無理しなくていいですよ」
そう言うと望は、ゆっくりと可符香の身体を横たわらせて、自分もベッドに身体を預けた。
「いっそ一緒に寝ちゃいましょうか」
「女の子に『一緒に寝よう』なんて、先生破廉恥なんですね」
「破廉恥で結構――ですがまぁ、今は本当に……一緒に寝るだけで十分です」
お互いに至近距離で顔をつき合わせて、二人はクスクスと笑い合った。
まるで猫が甘える時のように、望の胸に顔を寄せる可符香。
望もまた、それを受け入れるように彼女の身体を抱きしめた。
「ああ――こうしてると、何だかとても落ち着きます……」
望の呟きに、それはこちらの台詞だと胸中で呟きながら、可符香はよりいっそう望に身体をすり寄せる。
「そういえば」
「はい?」
「いえね、どうでも良い話なんですけど……貴女、こんな時間にどうやって学校に入って来たんです?」
「……本当にどうでもいいですね」
「答えたくなければかまいませんよ」
「――入り口は一つとは限らないんですよ?先生」
可符香は悪戯っぽく笑って、こしょこしょと望に耳打ちした。
「なるほど、あそこですか。私も使わせてもらおうかなぁ」
「先生宿直室暮らしなんだから、そんなの必要ないじゃないですか――ん?」
ふと可符香の中で、何かが引っかかった。
「そういえば先生、最初並木道で倒れてた時……どうしてあんな時間に学校の外に居たんです?」
「ああ、あれは……お恥ずかしながら、朝帰りってやつですよ。
久しぶりに一人で飲みに行ったんですが、気付いたらゴミ捨て場で寝てまして……」
「先生でもそういう事あるんですね」
駄目な大人、とからかうように可符香が言うと、望は困ったような笑みを浮かべた。
次第に可符香の口数は少なくなっていき、眠気が彼女の意識を遠くしていく。
――眠りたくない。その一心で必死に瞼をこじ開けるのだが、それも限界を迎えていた。
そんな可符香の様子に気付いた望は、苦笑しながら可符香の髪を撫で付ける。
「寝てもいいんですよ」
「……でも……」
寝て起きた時、望はもう――きっと自分の傍には居ない。
「――大丈夫ですよ」
そんな可符香の心の声が聞こえたかのように、望は言った。
「ずっと一緒ですから」
その声があまりに優しくて、可符香はまた泣き出しそうになった。
「――先生」
「うん?」
望の着物を掴む可符香の手に、少しだけ力がこもる。
「……言い忘れた事が、ありました……」
眠い。とても眠い。
もう殆ど閉じかけた瞼の隙間から、必死に彼の顔を見ようとするのだが、
彼女の意図に反して、視界はどんどん閉じていく。
(まだ……まだ私、大事なこと――伝えてないのに)
眠ってはいけない。どうしても、言わなければならない事がある。
だというのに、意識はどんどん霞がかかるように、白く――
「私も―――先生の事―――」
プツン、と。何かの電源が切れるように。
彼女の意識は途切れた。
「―――おやすみなさい、可符香さん」
意識のない彼女に、それが聞こえたかどうかはわからない。
だが、自らの腕の中で眠る少女は、その言葉に僅かに瞼を震わせた。
この声が届けばいい――心底そう願いながら、望もゆっくりと瞳を閉じた。
柔らかな体温に包まれて。
彼女はその夜、とても幸せな夢を見た。
一区切りです。次の投下はちょいと先になると思われ…まだ書けてないんだもの…。
次はラスト一歩手前くらいまで行けるといいなぁ――いや、自分でハードル上げてどうする。
真昼氏GJ!!
目から塩水が出てきた…
真昼さん頼むから俺の可符香を幸せにしてやってくれ
もうどうせ身バレするんで430ですが、
真昼氏……これは、これは…MADのあのシーンですねぇぇぇぇええ!!
すでに号泣し始めてるんですが。
あの、前回ものすごプレッシャーかけちゃいましたが、
すいませんでした!続きはゆっくり書いてください!!
いつまでもお待ちしますので…って、これもプレッシャーかぁ…。
あと、
>>397 知ってる人がいた…!ちょっと嬉しかったです。
>>412>>421 そ、そ、そうなの!?
>>438 私も430氏を勧めますね。
・・・・・・え、と、身バレさせてスマソw
440 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/03(水) 23:30:21 ID:pPfTnlJl
読経が聞こえる。
小さな抑揚と短調な繰り返しが、その収容人数には不釣り合いに大きな堂内に、反響しては消える。
地獄の底から聞こえる様でもあり、お迎えの声にも例えられるそれは、私に(錯覚かも知れないが)余裕をくれる。
一人一人が発する、一音一音の文字。
何秒も無い命に海溝の寂寥を乗せて、
消える。
どこまでも、どこまでも、
退廃的なのに、悠久を感じさせる、華美な感情。
感情は淑々と、焼香から伸びる、白い煙となって、
静かに、儚く、確かな存在感を以って、目を閉じている私の境界を消していく。
死人のために創られた言葉は、それを聞かせる対象外の者にも、自ずと、それらに纏わる、又それに見合う空気を創り出させるしい。
例えその対象は、穢れとして忌み嫌われても、経が、この焼香の香りと相俟って一層強めるのは、やはり、この死人の空気なのだ。
幽玄でなお清明な、常世の空気を。
だが、多分、私はこの空気を創ってはいない。
我ながら卑屈に、頭の中でほくそ笑んだ。
不敬とは言わずも、機械的に題目を唱えるだけの自分に、きちんとした信仰心があるかは甚だ怪しい。
自己弁護すると、恐らくここにいる殆どの人間が、かけらの信仰心と儀礼という、絶対の強制力しかここに居る理由を持たない人間ばかりだろうと、私は邪推している。
しかし同時に、改めて宗教に恐怖する。
こんな気の遠くなる程遠い親戚の法事なぞに参加している自分も、彼の強制力に敵わないからこそここにいる。
洗脳にも似た『弔う心』を、私達は幼い頃から教育されてきた
441 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/03(水) 23:38:08 ID:pPfTnlJl
うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
誤投下してしまいました!すみません!
未完成の物などでお目汚ししてすみません!
未完成とか以前にこれは絶望先生なのか?
あとsageような
今週は芽留より藤吉さんの姫にやられた
豊作とはいえ藤吉姫ネタはさすがに期待しても来ないかな
今週の話は、芽留は口だけ毒舌だと思ってた俺にとっての鬼門
あれが本性だったのか!信じてたのに!きっと根はいい子なんだと信じてたのに!
禁止ワード「だがそれがいい」
世界はすずさまとともに!
>>443 晴美姫の姫初めは…さすがに季節はずれか
>>442 誤投下って言ってるじゃんか。要するに誤爆、間違いだ。
編集さん。そう言う事だから保管庫に
>>440のはいれないでね。
だがそれがいい
可符香好きな俺にとってはこのスレはまるでエルドラドですね
これはもう恋に違いないね!絶対!!
ま、恋のきっかけの99%は希望じゃなくて、勘違いだけどね。
451 :
433:2007/10/04(木) 19:28:07 ID:6zdSchYF
>>436,
>>437 つくづくスレ住人の優しさに目汁が出る…ありがとうごじゃります。
>>438 >MADのあのシーン〜
あばば、そんげな細かトコまで見てくれて嬉しいやら照れるやら。
蛇足ですが他にも元ネタ意識してるシーンがあったりしますが、
話の進行上多少(夕方のシーンが夜になってたり)は違ったりしてるんで、あまり気にせず見てもらえればと
452 :
430:2007/10/04(木) 20:00:46 ID:phF+9Lop
こんばんはです。
>>451 真昼さんだー!
そうか、MAD観ながら読み返してみるのもまた一興ですね。
って、そんなことしたら絶対に泣くけど(・ω・。)
>>443さん
自分も今週の藤吉姫にやられたクチです。
というわけで、先生×藤吉姫です。
思い切りパラレルですので、苦手な方はスルーお願いします。
敬語の使い方がめちゃくちゃですが、気にしちゃいけない。
ここは、さるお大名の江戸屋敷。
先日、目黒ですっかりBL本にはまってしまった晴美姫は、
今日も今日とて部屋一杯にBL本を広げ、熱心に鑑賞されておりました。
と、ふすまが開いて
「姫。お作法のお時間です。」
そこに現れたのは、姫の教育係の糸色望卿でございます。
この御方は公卿の家のご出身ながら、公家の常として身代が苦しく、
晴美姫の教育係として、日々の禄を得るお立場にございました。
卿は、姫の部屋に散らかるBL本を見て目を剥きました。
「姫…こ、これは何なんですかあっ!」
「ああ、これは目黒で調達したBL本というものじゃ。
やはりBLは目黒が一番じゃな。」
姫はにっこりと笑顔を浮かべて、卿をご覧になりました。
卿は、姫が見ているBL本のページをちらりと見て、天を仰ぎました。
「絶望した!一国の姫ともあろうお方が、
このような下劣な本を嬉々として読まれていることに絶…」
「のう、卿。」
姫は、卿のお言葉を全く聞いておられないようです。
まあ、卿が絶望されるのはいつものことですから、
今さらいちいち構うのも面倒なのでしょう。
姫は、顔をお上げになると首を傾げて卿をご覧になりました。
「それにしても、男というものは、随分変わったことをするものじゃのう。
卿は、今まで、このようなことは教えてくれなかったではないか。」
「姫。お作法のお時間の間は、先生とお呼びください。」
「では、先生。お尋ねするが、男の人と言うのは、
どうしてこのようなことをするのか?」
卿は絶句されました。
―――もしや、姫は閨房のことについて、何もご存知でない?
卿は恐る恐る姫に問いました。
「姫…姫は、どうやったらお子ができるか、ご存知ですか?」
姫は、むっとしたように卿をご覧になりました。
「馬鹿にするな、それくらい知っておる。」
卿はほっとすると、目の前の湯飲みをお取り上げになりました。
が、次の姫の言葉に、口に含んだお茶を盛大に噴き出しました。
「子供は、木のまたから生まれてくるのじゃ。」
卿は慌てて畳を懐紙で拭いながら叫びました。
「木のまたって…、どこぞの妖精さんですか!?
それ、洋の東西間違ってますから!!
…というか、姫、それは、本気でおっしゃってるのですか?」
姫はきょとんと卿を見ると、首を傾げました。
「…違うのか?」
その姿は、無邪気にも愛らしく、卿は一瞬くらっときましたが、
それどころではございません。
姫は、いずれはどこかの大名のご正室としてお世継ぎを生さねばならぬ身。
この御年になられれば、閨房での技についても学んでいなければなりません。
―――一体、お女中達は何をやっているのですか!!
卿は、腹立たしく思うと同時に、姫がいずれは嫁がれる、というその事実に
胸がきりりと痛むのを感じました。
所詮、自分は貧乏貴族。
お大名の姫に釣り合うような身分ではありません。
しかし…。
姫が、誰とも知れない男に抱かれている姿を想像することは、
卿には耐え難い苦痛でございました。
「先生?どうしたのじゃ?」
姫は、黙り込んでしまった卿に、不思議そうににじり寄り、
襟元をつかんで覗き込みました。
「―――!!」
卿は、喉元にかかる姫の温かい吐息に、思わず体をのけぞらせました。
姫の眼鏡の奥の瞳はくりっと愛らしく、尖った桃色の唇は艶やかで
姫に想いを抱いている卿にとって、至近距離からの姫のそのお姿は、
脆い理性を吹っ飛ばすのに充分でございました。
―――このままでは、姫は、大恥をかかれてしまいます。
私は、姫の教育係なのですから、全てをお教えせねば…!
卿は、とっさに都合のいい言い訳を考えると、姫に向き直りました。
「姫。あのような技は、本来、男同士で行なうものではありません。」
姫は驚いたような顔をされました。
「そうなのか?」
「ええ…もとは、男と女の間で行なうものなのですよ…。
…教育係である私が、責任をもってあなたにお教えいたしましょう。」
そう言うと、卿は姫の艶やかな唇に口付けをされました。
「ん…っ!」
姫の目が驚いたように見開かれます。
しかし、繰り返し、卿に念入りに口付けられていくうちに、
その目はトロンと蕩けてまいりました。
卿は、そんな姫を愛おしそうに見下ろすと、囁きました。
「今のが、口付け、というものです。」
「くちづけ…。気持ちいいものじゃな。」
姫は、うっとりと呟きました。
「もっと、気持ちのいいことを教えて差し上げますよ…。」
卿は、そう言うと姫をゆっくりと畳の上に押し倒しました。
しゅるしゅると帯の解かれる音が部屋に響きます。
卿は、手馴れた様子で、1枚1枚姫の着物を脱がしていきました。
襦袢1枚になった姫を見て、卿は感嘆のため息をつきました。
―――こんなにも、お美しい体だったのですね…。
いつもは幾重もの着物に包まれた姫の肢体は、
豊かな胸とくびれた腰、そして臀部に続くなだらかなライン、
いずれも男の情欲を誘うに充分な魅力を持っておりました。
「姫…お美しい…。」
卿が思わず漏らした呟きに、姫は真っ赤になりました。
「な、な、何を言うのじゃ。恥ずかしいから、あまり見るでない。」
そういうと、両手で胸元を隠すようなしぐさをされました。
卿は、その手を捉えると、左右に広げ、畳に押し付けました。
「いけません、姫…。
閨の中では、殿方には、全てをさらけ出さねばいけないのです。」
卿は姫の両手を抑えたまま、姫の胸元に唇をお寄せになりました。
「ん…っ」
胸元を強く吸われて、思わずというように姫が声を漏らします。
次の瞬間、それに驚いたように、再びお顔を赤くされました。
「いいんですよ、姫。こういうときは、お声を上げるものです。」
そう言うと、卿は、姫の襦袢の袷を左右に押し開き、
その桃色の胸の先端を口に含み、軽く舌で転がしました。
「あぁっ…、先生…!!」
姫が体をしならせます。
姫は、奥で育ったにもかかわらず、体が柔らかく動きもしなやかで、
卿は、その反応にすっかり夢中になっておしまいになりました。
気がつけば、姫の襦袢はすっかり肌蹴てしまい、腰巻も緩んで、
姫が身もだえするたびに、白く滑らかな腿が見え隠れします。
卿が、堪らず、むしりとるように腰巻を取り去ると、
今だかつて誰も触れたことのない未踏の地が、姿を現しました。
「…。」
卿は、緊張の余り生唾を飲み込むと、そこに顔をお近づけになりました。
そして、優しく、ゆっくりと、舌を伸ばされました。
「はぁ…っ!」
姫は、エレキテルに触れたように体をお震わせになりました。
きっと、今だかつて体験したことのないような感覚だったのでしょう。
しかし、卿は、姫の反応に頓着することなく、舌をお遣い続け、
それと平行して、指を姫の中に差し入れ、動かしました。
「あ…っ、あっ、ああああ!」
姫が再び体をそらせて、そのまま雷に打たれたように固まりました。
同時に、卿の指には温かいものが溢れてまいりました。
姫は、すっかり上気した顔で息を切らされております。
卿は、肘をついて体を起こすと、姫にお尋ねになりました。
「どうですか?姫…?」
姫は、ぼんやりと卿を見返すと、口の中で呟きました。
「すごく、気持ち良かった…。」
卿は、嬉しそうに、にっこりと微笑みました。
と、姫がいきなり、がばりと起き上がりました。
「わらわばかり気持ちよいのは不公平じゃ。」
そうおっしゃると、姫はやおら、卿の股間に顔を埋めたのでした。
「本で読んだ。こういうことをすると、殿方は気持ちよいのじゃろう?」
「ひ、姫!?」
卿も、驚いて体を起こされましたが、
すでに姫のお口は卿をしっかり捉えられておりました。
「…むぅ、ん…。」
高貴な姫の愛らしいお口が、自分のものを咥え込んでいるという事実に、
卿は陶然となりました。
しかも、姫は、BL本でいろいろと知識を仕入れておられたらしく、
初めての割には巧みな舌遣いをお持ちだったのです。
「う、あぁ…。」
卿は、余りの気持ちよさに思わず声を上げてしまいました。
と、姫がふいに、卿から口を離しました。
「…?」
卿が見下ろすと、姫は卿の下半身をじっと凝視されておりました。
「な、何をご覧になっているのですか、姫!」
慌てて卿は足を閉じます。
姫は、ぽつんと呟かれました。
「…穴が、足りない…。」
ずがぼん
卿は、畳に頭がめり込むほどの勢いで、突っ伏しました。
「…先生?」
ひりひり痛む額を押さえながら卿は叫びました。
「だから!!そんな穴なんかありませんから!!!!」
そう言うと、卿は姫を押し倒しました。
せっかく盛り上がっていたところに水を差されてしまい、
卿としては、これ以上は、姫に主導権を握らせるおつもりは
ございませんでした。
「もう、あなたときたら…!
これが、本来入るべき穴を、今から教えて差し上げますよ…!!」
卿は、その言葉とともに、姫の御み足を高く掲げると、
すっかり潤っているそこに、自身を奥深く突き入れたのでした。
「あああああぁあ!」
姫の目が大きく開かれ、そのお体が海老のようにのけぞります。
「せ、先生…!痛い…!!」
「大丈夫です…もう少ししたら、痛くなくなります…!」
そう答える卿も、いっぱいいっぱいの状態でした。
姫の若々しく発達した筋肉は、卿をぐいぐいと締め付け、
その快感に、今にも迸ってしまいそうになるのです。
卿は、姫と自分自身のために、しばらく深呼吸をすると、
やがてゆっくりと動き始めました。
「んっ…む、あぁんっ!」
最初はお辛そうに眉をしかめておられた姫も、だんだんと、
卿の動きに合わせて甘いお声を上げられるようになりました。
「姫…いい…いいですよ…。」
卿が、腰の動きを少し早めました。
「ぁぁぁあああ!」
姫が嬌声を上げて、卿の腕をつかみ、体を起こそうとなされました。
「せ、先生、もうっ!」
「まだ、だめですよ、姫…。」
ところが、卿は、先ほどのことを根に持っているのか、
まだ容赦しようとされません。
「いや…あぁぁ!!」
姫は、もはや半狂乱になり、すすり泣きながら卿の首にしがみつきました。
「せんせ……卿!…卿!!好き…っ、好きじゃ!!大好き…!!
ずっと、ずっと前から、卿だけが……っ!!!」
姫の叫びに、卿の動きが止まりました。
「…?」
姫が、息を切らしながら、怪訝そうに潤んだ瞳を卿に向けます。
卿は、泣いているような笑っているような不思議なお顔で、
姫のお顔を見つめておいででした。
姫の、たった今の告白は、卿にとって思いもかけない喜びでした。
しかし、卿は、それに対して返す言葉を持ち得ませんでした。
姫と卿との間に立ちはだかる身分という壁は、卿にとって、
余りにも高いものだったのです。
そう、それこそ、「教育」という名目がなければ、
姫に触れることもかなわないほどに…。
卿は、不思議そうに自分を見やる姫を見つめ返すと、
言葉を返す代わりに、想いのたけを体で伝えることにしました。
先ほどよりも、さらに、激しく、強く、深く。
まるで、自分の想いをあらわすように、卿は姫に体をぶつけていきました。
「―――卿、卿!!」
「―――姫!!」
姫と卿とは、同時に昇り詰め、果てたのでございます。
姫は、どうやら気を失われておしまいになったようでした。
卿は、姫の髪をなでながら、
自分がつけた紅い花びらを体中に散らせた姫を眺めておられました。
―――これは、お手打ち、ですかね…。
今日の夜、姫が湯殿に入る段になれば、姫の白い体に散るこの跡が、
お女中達に、ばれないわけがありません。
そして、それを誰がつけたのかも…。
―――仕方ありませんね、それだけのことをしたのですから…。
卿は苦笑されました。
姫と想いを遂げた今、例え罪人として裁かれても悔いはありませんでした。
と、姫が薄らと目をお開けになりました。
「卿…。」
「姫。お目覚めでございますか。」
「卿、逃げよう。」
「…!?」
卿は、驚いて姫を見つめました。
姫は、今やしっかりと目を見開いて卿をご覧になっておいでです。
「卿、わらわは、卿に教わって分かった。
このようなことを、卿以外の男とすることなど、わらわにはできぬ。」
「…。」
まだ、口がきけない卿に、姫は起き上がると尋ねました。
「それとも、卿は、わらわが嫌いか?」
「そ…。」
不安気な色を見せながらも、想いを込めて見つめて来る姫の眼差しは、
卿の胸の中の不安や恐れ、そしてためらいを溶かしていきました。
卿は思わず手を伸ばし、姫を胸にしっかりと掻き抱きました。
「そんなこと、あるはずがないじゃないですか!
私は…私は、…ずっと前から、姫をお慕いしておりました!!」
姫は、その言葉に驚いたように目を瞬かれましたが、
次の瞬間、卿を見上げると、心から嬉しそうに笑われました。
「そうとなったら話は早い。行くぞ、卿!!」
姫は手早く着物を纏うと、卿の手を引っ張って立たせました。
「って、えええええ、今ですかーーー!?」
「何を言っておる、善は急げじゃ!!」
姫は、持ち前の運動神経で、卿の手を引いたまま縁側を飛び降りると、
そのまま庭を突っ走って、ひらりと塀を乗り越えました。
最初は、戸惑いながら手を引かれていた卿も、
やがて、笑いながら、姫について走り出しました。
その後のお2人の行方は杳として知れません。
しかし、それから間もなく、江戸の片隅に小さな寺子屋が開かれ、
そこには、すぐに絶望したがる先生と、いつもBL本を抱えている奥方のご夫婦が、
いつまでも仲良く住み暮らしておりましたとさ…。
ということだけを、皆様にお伝えして、
このお話は、これにてお開きということにいたしましょう―――。
とっぴんぱらりのぷう
以上です。
あれ?先生いつの間に服脱いだんだ?…まあ、いいか…。
自分の中では先生×藤吉さんってCPはなかったんですけど、
パラレルだといけるもんだなあと思ってしまいました。
きっと、この先、
苦労性の寺子屋教師の先生と、世間知らずでおきゃんな奥方の晴美との
若夫婦を中心に繰り広げられる、江戸下町人情喜劇が始まるのですよ。
近所の小間物屋のきっちり娘の千里とか、両国の猛獣遣いあびるとか、
江戸でも有名な仏師の景兄さんとか、地丹が下っ引きで登場したり、とか。
ああ、アホな妄想が止まらなくなってきたのでこの辺で。
>462
ワロタ&GJ!
464 :
430:2007/10/04(木) 20:23:36 ID:phF+9Lop
うわあ、いいなあ
面白かったですGJ!
>>415-419の続きが出来たので投下させて戴きます。
前篇同様5レスです。スレ汚しですがどうかお許し下さい…
「先生!」
息を切らして宿直室の扉を開けると、望はちゃぶ台を前に、湯呑みのお茶
をすすっていた。
壮絶な女生徒の嵐はもう去っていたらしい。いつも望にくっついている筈
のまといがいないのは、嵐に巻き込まれたためか。
「ふ、風浦さん…!」
こわばった望の表情は、まるで「最大の敵が現れた」とでも言っているよ
うで、可符香は心にチクリと痛みを感じた。
それでも笑顔は崩さず、
「やだなぁ、そんなに怯えないで下さいよ。私はただ、先生がみんなから逃
げきれたかどうかを見に来ただけですよ?」
「そんな事を言って…あなたはまた、私の心のスキマにつけこんで酷い目に
あわせようというんでしょう!」
(先生は疲れてるんだ。千里ちゃんのスコップや、まといちゃんの包丁から
逃げきって、クタクタになってるんだ…)
そうは考えて見たが、望にたいする恋慕の心が最高潮にも達している可符
香にとって、この望の一声はきついものがあった。
「そんな…怒鳴ることはないじゃないですか…私は本当に先生を心配して来
たんですから」
しゅんとうなだれてしまった可符香の姿に、望はわずかに罪悪感を感じた
が、すぐにハッとして言った。
「もうその手には乗りませんよ!焼け太りの時もそうでした。あなたのその
表情にすっかり騙されて、ひどい目に遭いましたからね!」
この言葉が可符香にとどめをさした―――
誰からも支えられず、震えていた。
震えを隠すため、ぶれまくった。
支えてくれるのはこの人しかいない―――そう思っていた人から、こうも
続けざまに嫌悪の言葉をかけられたのは、今の可符香にとってこの上なく酷
だった。
「ぁ…」
かすかな声と共に、一粒の涙が―――可符香の頬を伝った。
自分でも思いがけない事だった。
可符香の本体が、笑い仮面を破って表へ出てきた瞬間と言っていい。
ここ何年も…いや、10年近く封じ込めていた涙は、ひとたび流れ始めると
止まらなくなった。
(嫌…先生に涙なんか、見られたくない…!)
だが、体に力が入らない。可符香は宿直室の畳にがくんと膝をついた。
「ふ。風浦さん!?」
望は慌てて立ち上がり、放心状態で涙を流しつづける可符香の肩を掴んだ。
その動作があまりに素早かったためか、ちゃぶ台の上の湯呑みはかなり間
を置いて倒れたかのように思えた。
可符香の眼からは涙が溢れつづけているが、泣き声といっては嗚咽の声ひ
とつ聞こえない。彼女はただ無表情に、虚ろな瞳を濡らしつづけているのだ。
「せん…せ…い…」
およそ1分程の沈黙ののち、可符香は口を開いた。
目の前には夕焼けを横顔に浴びた望が、心配を通り越して尋常ならざる面
持ちでこちらを眺めている。
(いつもはこういう時に、余計な事を言って先生に嫌われちゃうんだよね…
でも…今度こそ、今度こそは先生を逃さない…!)
可符香は望の胸に顔をうずめた。
初めて嗚咽の声が聞こえた。
宿直室の押入れでまどろんでいたひきこもり少女・小森霧は、押入れの外
界のただならぬ気配にハッとして目を覚まし、そっと戸を3センチほど開け
て様子を見て、ドキッとした。
それは何か、見てはならないものを見てしまったような驚きだった。
風浦可符香が、糸色先生にすがりついて、しきりにしゃくり上げている。
驚いているのは望とて同じだった。
「風浦さん…一体どうしたんですか…!?」
さっきまでこの少女に感じていた苛立ちのような感情はすっかり消え失せ
てしまい、予想外な状況に戸惑うより他ない…そんな様子だった。
「すみません、先生が言い過ぎました。謝ります…だから…そんなに泣かな
いで下さい。風浦さんらしくないですよ…?」
望がそう言っても、可符香は黙って首を振るばかりだった。
決着のつかない激闘を終え、宿直室に帰還を果たそうとした常月まといも、
中で風浦可符香が泣き伏しているのを見て、思わずドアの陰に身を隠してし
まった。
望の胸に押し付けていた頭を離した可符香。シンボルの髪留めでまとめた
前髪も乱れている。
空を赤く染めていた夕日も既に沈んでいたが、可符香の頬はまだ紅潮して
いた。潤んだ大きな瞳でじっと見つめられ、伏目がちな望も目をそらせなく
なった。
「これが糸色家のお見合いだったらいいのに…」
可符香が発した言葉は、望の聞きなれた作り物の、明るいトーンではな
かった。それは、可符香が心から思っていることなのだ。
押し入れの中の少女は、赤くなって戸を閉めた。これ以上見てはいけない
ような…そんな気がして、推し入れの中でじっと体をこわばらせた。
宿直室の扉の外にいる少女もまた、足音をたてないように小走りで走り
去った。これ以上見ていたくない…そう思って。
「先生は悪い先生です…生徒の本心を分かってくれない…」
「風浦さん、あなたは…」
「そうですね…私が駄目なんですよね…こんなに先生のことが好きなのに、
いつもいつも嫌われるようなことばかり。人の弱味につけ込む悪い女なんて
先生は嫌いですよね…」
ポジティブな電波少女の殻を破って出てきた可符香の本性は、望よりずっ
とよく絶望を知った…心に深い傷を持つ痛々しい乙女だった。
太宰気取りの通称‘絶望先生’糸色望にもそれが分かり、眼から熱い涙が
どっと溢れてきた。今度は自分から、可符香を引き寄せて強く抱きしめる。
可符香の方でもつよい抱擁に応え、腕を望の背に回して抱きしめる。
ぶれぶれ人間でもきっと、先生がいたら変わる…
また可符香の眼から、涙が流れはじめた。
今度は、人並みの泣き声を伴って…
翌日。
始業のチャイムと共に教室へ入ってきた望を迎えたのは、真ん中分けの前
髪をすっかり乱し、不安定なる精神状態を表したきっちり少女と、その後ろ
に殺気を放ちながら控える小節あびる、日塔奈美、音無芽留らだった。
「先生…。昨晩は、可符香さんが宿直室に行っていたそうですね…。一体何
をしていたんですか…?」
静かな調子だが、一音一音に恨みがこもっている。
教卓の方をちらりと見ると、腫れぼったい眼をしたまといがじっとこちら
を睨んでいる。一睡も出来なかったという様子だ。
まといに見られてしまったのか―――
予期せぬ可符香の闖入。まさに「鳶に油揚げ」で、同じように望を奪い合
う好敵手の千里にまといが告げ口をしたとしても何の不思議はない。
「木津さん、落ち着いて下さい…!昨晩、確かに風浦さんは来ましたよ。で
も、私は何もやましいことはしていませんからね!風浦さんは疲れて寝てし
まったので、添い寝をしただけですからね!」
「へぇ…、可符香さんと一つ布団で…。それで、何もなかったと言い張るん
ですか…?」
千里の前髪がさらに二房、三房はらはらと乱れる。
「あぁっ!絶望した!PTAやマスコミに散々叩かれるであろう未来に絶望
したぁ!!」
絶叫する望に、今しも躍りかからんとする女生徒陣。だが、
「本当だよ、千里ちゃん」
という可符香の声に、皆ぴたりと動きを止めてしまった。
「先生の言う通り……添い寝しか、してもらえなかった……」
ぽつりと放ったその言葉。千里をはじめとする、望に恋する少女達の耳に
は、とても嘘には聞こえなかった―――
アニメ主題歌「人として軸がぶれている」が可符香の事を歌っているように
書き込みミスしましたorz
アニメ主題歌「人として軸がぶれている」が可符香の事を歌っているように思えて
書いてみました。同じ軸がぶれた人間として、どうしてもこの可符香は救われて欲し
かったのでエロも何もない終わり方に…絶望した!
>>462 ふじよし姫キターーー!
それにしても仕事はええなw 終わり方が良かった
>>473 カフカ切ないよカフカ どうしてカフカはこんなに不幸が似合うのか
ん?
昨晩は珍しくスレの伸びが悪かったな・・・と思ったがこれが普通なのか
アニメ終わって2週間だしそろそろ沈静化してきたのかね
普通って言うなよ…
私はいつもここにいます
478 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/05(金) 07:13:26 ID:QhmG7iVH
やっぱりアニメ化の影響は大きかったか。
ああ、あの頃は全裸待機も苦ではなかったなあ。
>>478 豊作貧乏だったな・・って1晩に2本SS落ちてりゃ充分だとも思うが
以前ココで長編書いてた者ですが、アニメのキャラ付けの影響はありますね。
読む方にも書く方にもアニメの影響は少しながらあるんですかね。
しかし今週の藤吉姫や最近の芽留はやばいですな。
カフカSSが増えたのは完全にアニメの影響だろうね
>>462 こういうの好きだなあ
鬱からギャグまで守備範囲の広い430氏の才能に嫉妬
大草さんの続きまだー?
これだからゆとりは…
数日間すらガマンできんのか。
いい作品作るのは大変なんだぞ。
作る人の気持ちを少しは考えろ。
俺は何も作ってないけどね。
まあでも待たれないより待たれた方が書く側としても励みになるんじゃ・・・
と、読み専の俺が擁護してみる
486 :
105:2007/10/05(金) 19:24:19 ID:Bdn3yZFz
書き込みが出来る・・・かきこみできるぞおおあああああ1!!
・・・すいませんeo-netは可変アドレスだからホームサーバーが集団拒否うんたらかんたらとかで・・・
平たく言うとアク禁になってました・・。絶望しましたよ、ええ。
というわけでしばらく見ないうちにまた神さまがふえましたねえ・・・。
藤吉さんが可愛くて好きかも。
ツンデレラのSSが一応完成しているのですが、この神ラッシュには迷惑ですかねえ?
次の三択でお願いします
→スルー
→お前にはハッキリ言ってやる必要があるようだな、カエレ!お呼びじゃねえんだよ!!
→別に!投下したきゃ勝手にしたらいいじゃない
>>213 430氏、貴方が正しいんですよ。でもそう言っていていただくとありがたいです・・・。orz
それよりも前スレではろくなあいさつも出来ずに駄文投下してすいませんでした。
某妖怪漫画というのは解りませんが、命兄さんは悩んでいてもカッコイイですねえ
(*‘o‘* )ほわーってかんじです
べ、別に投下してほしいなんて思ってないんだからねっ!
誤解しないでよねっ!(ぷいっ)
お前にはハッキリ言ってやる必要があるようだな、投下!読みてえんだよ!!
俺がどれだけツンデレラの続きを待ってたと思ってるんだ!
続きが気になるので携帯を使ってでも投下してください。
困ります!投下して下さらないと困りますッ!!というわけで投下、投下。
491 :
105:2007/10/05(金) 20:20:16 ID:Bdn3yZFz
ううう・・・。コノスレノヒトタチヤサシイ・・・てゆうか世界一優しい!!「神様みたいないいk・・・」人!!
(勝手に改蔵&人間失格わからない人すいません)
では、ツンデレラ続き投下させていただきます。お前の駄文なんて忘れたってのって人は
>>194>>195>>196を
ごらんくださいまし・・・。もう話の流れは皆さんご承知の上でやるわけですから、エロ無しパロとして、
コメディ的なおもしろみを作るためにずいぶん長く(約700行)なってしまいました。
なので、小出し小出しにしていくことをお許し下さい・・・。
またアク禁の悪夢が帰ってこないよう祈りつつ・・・。
492 :
ツンデレラ4:2007/10/05(金) 20:22:16 ID:Bdn3yZFz
ある日、お城では舞踏会が開かれました。ツンデレラの家も招待を受けましたが、
ツンデレラはドレスはおろか、まともに人前に出られるような服を一つも持ってはいませんでした。
靴も与えられてはおらず、まして装飾品など・・・。
ですから、彼女はお留守番。お城へ向かう継母たちをお見送りします。
継「じゃあ、ツンデレラ。私たちが留守の間、お掃除きっちり頼むわね。」
ア「ラインバックのご飯、忘れないでね」
カ「サボるんじゃないわよー、キャハハ」
ツ「ハイ、ハイ、ハイ、行ってらっしゃいまし・・・・・・・・・・・・・はあ」
三人を乗せた馬車が、一人の影を残してガタゴトと走り出した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ア「クスッ・・・ゴキゲンね」
カ「そりゃあそうよ。今日の舞踏会はいつもと違うのよ。何たってあの王子様が、
国中の女たちを集めて、嫁探ししようってんだから。テンション上げなきゃ!」
ア「その噂本気で信じてるの・・・?」
カ「何よその目は。この噂が嘘だろうと、今日の舞踏会は大変なことになるわ。
どの女の子も、王子様に言い寄っていくに決まってるんだから。戦場よ!」
ア「まあ・・・貴方の言うことも一理あるわねえ」
カ「でしょう!!こうなったら私のフェロモンで王子様をイチコロにしてやるんだから。
そうすれば私は、この国のお后様!!」
継「フフ、頑張ってね。」
ア「(王子様が好きってワケじゃないのね・・・)」
カ「・・なんで無言なのよ、お姉様。イイトコもっていかないでよね」
ア「はいはい・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
493 :
ツンデレラ5:2007/10/05(金) 20:23:03 ID:Bdn3yZFz
家に一人残ったツンデレラは、継母の言うとおり、お屋敷の隅々まできっちりお掃除しました。
長女の言いつけもきっちり守って、庭にペットの虎のラインバックにエサをあげに行きます。
虎をペットにしているだなんて、アラジンのお姫様とここぐらいでしょうか。
ラインバックのエサは、ツンデレラの日々の食事より高級そうです。
ラインバックはこれ見よがしに美味しそうにかぶりつきます。
ツ「ふふっ、おいしいですか?よかったです」
ラインバックは嬉しそうにのどを鳴らしました。
そんな虎の可愛らしい姿に癒されながら、ツンデレラは胸元のポケットから紙を取り出います。
それは、今舞踏会に出席されているであろう王子様の写真でした。
カエレッタに投げつけられたボロボロの紙くずを、きっちり修復したものでしたが、
彼女に返すことが出来ずにいた。それからは、ツンデレラの宝物になっていました。
ツ「あああ・・・、私のような者がねこばばしてしまうだなんて・・・でも・・・」
写真の王子様は、ほっそりとして、育ちの良さそうな顔立ち。色白で、品のいい口元と、綺麗な目をお持ちです。
ツンデレラの心の中に初めて、ワガママな、この写真を自分の物にしたいという、確固たる強いキモチがありました。
そしていつしかこんな風に思うようになりました・・・。
ツ「このお方に、お会いしたい・・・。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
大陽がもう沈んでしまった頃、ツンデレラはまだラインバックと共に庭にいました。
ツ「ああ、でもできませんよね。私みたいな者が舞踏会にいこうだなんて、王子様にお会いしようだなんて、
迷惑ですよね・・・。迷惑ですよ・・・・・・。」
さっきからずっとこうして自分に言い聞かせるようにして、ブツブツと独り言を言う。
しかしいつまでも、心の中の新しい気持ちを、消し去ることが出来ませんでした。
ツ「だめえ!!!何時までたっても、衝動が抑えられないいい!!!!」
ツンデレラはとうとう真っ青になって、狂ったように叫びだした・・・!
ツ「このままでは数多くの方にご迷惑をおかけしますから・・・。・・私はもう、死ぬしかないでしょう・・・・・・。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
494 :
ツンデレラ5:2007/10/05(金) 20:23:57 ID:Bdn3yZFz
お屋敷の庭は裏手の森の方につながっている。
食後に気持ちよさげに寝ころぶラインバックを横目に、ツンデレラは森の方にゆっくりと歩き出した。
ツ「この気持ち、押さえられない・・・。このままじゃあ多大の方にご迷惑おかけしますから・・・。」
ツンデレラは裸足のままで森の中に入っていった。
森の中は暗鬱としていて、枝葉は僅かな月の光さえすくい取っていた。
ツ「ううう・・・暗い。それに、死ぬんだったらロープの一つでも持ってくるんだった・・・。」
暗い森の中をずいぶん進んで、彼女は心身共にボロボロになっていた。
ツ「どこかに死ねる場所はないかしら・・・。?ん?あれは・・・」
ツンデレラの目線の先には、闇の中で輝く光が見えた。しかしそれは家屋からの光とかではなく、
逆光でハッキリしないが、人影のような物が見えた。
ツンデレラはいつの間にか走り出していた。暗い中、激しく憔悴した状態で、誰でもいいからそばにいて欲しかった。
あの人にロープを借りよう。あの人に殺して貰おう。そう考えて走っていた。
ツ「あのッ!!」
謎の人影はゆっくりとこちらを向いた。それはマントに身をくるんだ若い女性だった。
くりくりっとした瞳と、ポニーテールが印象的だ。
手に持っていたのは、てっきり松明だと思っていたが、何か杖のような棒の先端が光っていた。
そんな彼女の出で立ちにツンデレラは二の次を継げない。
ツ「あ・・あの・・・」
謎「?・・・」
困ったような顔をしたツンデレラに、謎の女性が優しく微笑みかける。
謎「どうしたんですか?」
その一言に、ツンデレラは救われた気がした。心に出来ていた隙間を、彼女に埋められていくような感覚。
ツンデレラは無意識に、彼女に泣きつき、事のイッサイガッサイを話していた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
495 :
ツンデレラ5:2007/10/05(金) 20:24:58 ID:Bdn3yZFz
はい、ここで105です。このあとも読み返すと私の趣味全快で・・・。キャラ崩壊気味ですので先に謝りますすいません。
ここらでまあ様子を見るというか・・・。すいませんでした。また明日会えると思いますが、今日はこれで失礼します。
496 :
105:2007/10/05(金) 20:56:55 ID:Bdn3yZFz
っておいいいいいいい名前まなえ欄がああああ絶望したあああ
一週間ぶりに投下するとこれだもう絶望
>>494がツンデレラ6、
>>495が105です。スレ汚してすいません
投下し終わったら謹慎します
なんか来週の絶望先生は加賀ちゃんが大変なことになっているらしい
どっちみちセンターカラーだから買うことに変わりはないのだが
wktk
nininiにににににに2222期キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!
>>496 GJ。謎さんが明らかにおっきな草さんな気がするのは気のせいですか。
真昼が雪。これにて完結です。
もう一気に投下させてもらいます、故にちと長いです。10レスほど。
◇ ◆ ◇ ◆
望はせり上がってくる激痛に、堪らず目を覚ました。
「―――……ッ!!」
悲鳴を上げそうになるのを必死に堪える。愛しい少女の。優しい眠りを妨げぬように。
望は痛みに身体を震わせながら、可符香の身体を抱きしめる事でそれを凌いだ。
穏やかな彼女の呼吸が、少しずつ望の苦痛を緩和していく。
「――――は、ぁ」
苦痛の波も過ぎ去って、涙目になりながら、腕の中の少女の顔を覗き込む。
望の異変には気付かなかったようで、穏やかな表情のまま、静かに寝息をたてている。
望は愛おしげに、小さな微笑を浮かべた寝顔を撫でた。
そっと目尻に溜まった涙を指で拭うと、彼女を起こさないように細心の注意を払いながら身体を起こす。
彼に許された時間は、もう大分オーバーしている。
今頃彼の兄はやきもきしながら、弟からの何らかの連絡を待っているに違いない。
命の様子を想像して失笑しながら、彼はゆっくりとベッドから降りようとした。
と。自らの着物を掴む小さな掌の感触に、思わず動きが止まる。
望は小さく苦笑しながら、そっとその手に自らの掌を重ねた。
「――すみません、可符香さん――」
愛してます。
小さく呟き、そっとその手を解くと。
彼は覚束ない足取りで、保健室を後にした。
後にはただ、独り眠る少女だけが残された。
◇ ◆ ◇ ◆
寒い。
とても寒い。
さっきまで、とても暖かなものに包まれていたはずなのに、今は堪らなく寒かった。
それがとても寂しい事に思えて、彼女は喪失感の中で目を覚ます。
もうベッドには、愛しき人の残り香すら、残っては居なかった。
「――せんせ……?」
迷子の幼子のような表情で、ずっと一緒に居るはずだった彼を呼ぶ。
返事はない。
「先生……糸色先生……」
うわ言のように「先生」と繰り返しながら、彼女は覚束ない足取りで、保健室を後にした。
窓から差し込む日の光が、誰も居なくなった室内を、明るく照らしていた。
彼女は迷子のように学校を彷徨う。
時刻は早朝。まだ、部活動のある生徒すら登校してきていない。
教室。誰も居ない。
宿直室。そっと中を窺うと、交と小森が寄り添って眠っていた。
職員室。教職員の何人かは来ていたものの、彼女の求める彼の姿はない。
果ては男子トイレまで赴くも、彼女はとうとう、学校内に彼の姿を見つける事は出来なかった。
先生はどこ?
その答えを知りながら、彼女は彼を探す足を止められない。
気が付けば彼女は校門を越えて、いつも通るあの並木道を歩いていた。
「――あ」
彼女の視界に、一本の大樹が映りこむ。
今は桃色ではなく紅に色づいている、大天使様の木の根元。
そこに眠っている、一匹の名も無き犬の事を、彼女は忘れていなかった。
「お祈り……しなくちゃ」
彼女は小さく盛り上がった土の前に跪く。
あの時逃げ出した、悲しい命の結末に、真正面から向き直る。
可符香はそっと目を閉じて、しばらくその場を動かなかった。
本来ならばあの時、彼と二人で祈るはずだった冥福を、心から願う。
そこに。
「――おはよう、杏ちゃん」
風が、紅葉と共に懐かしい匂いを運んでくる。
背後からかかる声に振り向くと、そこには本を携えて佇む、久藤の姿があった。
「准君」
「何をしてるの?」
久藤はしゃがみ込んだままの可符香のもとまで歩み寄る。
「……お祈りをしてたの」
事の次第を話すと、久藤は黙って頷いた。可符香に倣って静かに目を閉じ、黙祷する。
「――准君。先生に合わなかった?」
自然と、その問いが唇を滑り出ていた。
ああ、今朝そこで会ったよ――何ていう、軽い返事をほんの少しだけ期待して。
日常の象徴である彼の口から、元気な望の姿を見たと聞けたなら、彼女は心から安心できただろう。
だが、それがありえない事という事も、彼女は知っている。
「…………」
久藤は答えなかった。
ただ静かに目を閉じて、すっかり冷たくなった風に、髪を撫でられるままにしている。
「……うん、ごめんね」
くだらない質問をしたと、申し訳無さそうにする可符香に、久藤はそっと首を左右に振った。
「謝る事ないよ」
「……私、何となくだけど知ってるの――先生が今、本当はどこにいるのか」
眠る可符香の髪を撫でて、そっと寝床を出て行く望。
愛しい少女に自分の苦しむ姿を見せぬよう、彼はそっと保健室を後にする。
その足で、兄の下に向おうとして―――
耐えかねたように、彼は地に膝を付く。
そんなイメージが可符香の脳裏を過ぎる。まるで年老いた猫のようだと、彼女は思った。
「知っているなら、行けばいいんじゃないかな。先生の所へ」
「うん――うん。そう…だけど」
彼が自ら消えた理由を深読みしてしまって、可符香の足は、その場所へ動いてはくれなかった。
可符香は口を閉ざし、俯いたまま黙して語らない。
二人の間に、沈黙が降りた。
カサカサと、地面に積もった枯葉が奏でる音だけが、静寂を満たす。
先に口を開いたのは、可符香の方だった。
「ねぇ准君」
「何?杏ちゃん」
「私ね――先生が好き」
顔を上げて、久藤の目を直視しながら、可符香は言った。
久藤は一瞬、ほんの僅かに悲しげに笑って――すぐにいつもの優しい微笑に戻る。
「そう……良かったね。本当に」
そう言う久藤の声は、本当に嬉しそうだった。
「最初はね、好きじゃなかった。
――ううん…きっと、嫌いだった。一目惚れなんて嘘だった」
想いが、言葉になって溢れ出す。
こんな事を彼に言っても、迷惑なだけだとわかってはいたけれど。
彼女の口は止まる事無く、胸中に渦巻く想いを吐き出し続ける。
それは愛の告白であり、懺悔でもあった。
「くだらない人だと思ってたのに……いつの間にか本当に好きになってたんだって、やっとわかった。
――そしたらね、先生も……私のこと好きだって、言ってくれて……」
久藤はただ、静かに可符香の言葉に耳を傾ける。
深く深く頷きながら、泣き出しそうな彼女の声を聞いている。
「嬉しかった――抱きしめられて、思いっきり甘えて……幸せだった。
先生は暖かくて……こんな私でも、優しくなれる気がしたの」
傍に体温を感じるだけで、波打つ気持ちが静かになった。
日頃あんなに落ち着きの無い人なのに、あんなにも穏やかな顔で笑うとは思わなかった。
たった一晩の触れ合いで、これほど愛しさが込み上げるなんて、思わなかった。
「なのに――なのに、幸せなのに」
嘘モノじゃない。勘違いじゃない。自己暗示でもない。
本当の幸せに包まれて、とても優しくなれた。
なのに。
「先生……、居なく、なっちゃう――」
限界まで瞳に溜まっていた涙が、とうとう溢れ出し、彼女の頬を濡らした。
自分がこんなに泣き虫だと――それを気付かせてくれたのもまた、望だった。
ぼろぼろと涙を零す可符香の肩に、久藤はそっと手を回した。
「それは――悲しい事だね……」
それはこの上なく、悲しい事。とても不幸な事だ。
「―――うぁ……ッ、わぁぁああ……ッ!」
可符香はもう声すら抑えられなくなって、子供のように泣きじゃくりながら久藤の胸に縋りついた。
彼女は深く傷ついている。どうしようもなく怯えている。
愛しい人を失うという、悲しい現実に、
逃げる事なく、言い訳を並べる事無く、真正面から向き合って。
(そっか……先生、上手くやれたんですね……)
望がそうしたように、縋りつく可符香の髪を撫でながら、久藤は胸中で呟いた。
彼女の嘆く姿はとても痛ましくて、久藤の心も酷く痛む。
けれどその涙の先に―――いつかまた、桜の下で微笑む彼女の姿が見える気がした。
大丈夫。
彼女はもう、大丈夫だ。
逃げる事無く、悲しみに正面から向き合って、こうして涙を流せるのだから。
久藤は心から望に感謝して、聳え立つ大樹の先にある空を見上げた。
まるでそこに、望の姿があるように。
◇ ◆ ◇ ◆
今はまだ、貴方に会えるかもしれない。
もしも貴方に出会えても、笑おうとして泣くだろう。
それでも会えるものならば、会って貴方に伝えたい。
あの夜伝えられなかった、「好きだ」というこの気持ち。
◇ ◆ ◇ ◆
〜エピローグ〜
大勢の足音が、不規則に入り乱れて廊下を反響する。
各々皆、汗を額に張り付かせながら、我先にと駆けていく。
2のへの生徒たちは、今朝のHRで初めて担任教師の病を知る事となった。
智恵からその話を聞いた生徒たちは誰からともなく席を立ち、教室を飛び出した。
望の病室は、もうすぐそこである。
先頭をきっていた千里はすぐさまドアに飛びつき、
「――先生!!」
悲鳴に近い声を上げながら、勢いよく開け放った。
糸色望は、静かに瞳を閉じて、そこに横たわっていた。
弟の眠るベッドの傍に立ち尽くしていた命は、ぞろぞろと病室に入って来る生徒達を驚いたように見つめた。
「あなたたち、授業は―――」
そんな無粋な事を言いそうになって、すぐに口を閉ざす。
そう、彼女達にとってそんなものよりも――弟の存在の方が大切だったのだ。
「……先生……」
誰かが、呆然と呟いた。
望はそれに答えない。
青白い顔で、深く静かに眠っている。
皆、言葉を失ったように口を噤んだ。
カーテンの揺れる布ずれの音だけが、無言の病室を満たす。
―――その無音を打ち破ったのは、マリアの声高な掛け声だった。
「センセー、おっきろー!!」
ッどずんば!
生徒達の隙間をぬうように駆けてきたマリアは、そのままの勢いで望の胸の上に飛び乗った。
「ッうっぶぇ!」
望は途端に目を見開き、喉の奥から潰れた蛙を思わせる奇声を発して痙攣した。
「ああちょっと!」
慌てたような命の声など完璧にスルーして、マリアは何度も何度も望の身体の上で跳ねた。
「起きろ、起きろ、おっきろ〜!」
「ぶ、ぅぶぇ…!」
バタバタとのたうつ望だが、軽い少女一人すら跳ね除けられないほど非力な為、成すがまま悶絶するしかない。
さすがに見かねて、助け舟を出す千里。
「マ太郎。もう起きてるから、降りなさい」
「でも、なんかグッタリしてるヨ」
「それは貴女の所為」
どうやらワザとではなく、本気で気付いていなかったようだ。
千里がマリアをベッドから降ろすと、望は勢いよく咽込んだ。
「ひ、酷いじゃないですか…ッ!病人なんですよ!?」
「元気そうじゃないですか」
涙目で訴えるが、即座に奈美からの普通の突っ込みが入る。
「いや…、わりとそうでもないんだけど」
生徒達のテンションに気圧されたように、おずおずと命が言った。
「ただの胃炎といっても、放っておけば十分危険なんだから」
急性外因性胃炎。
暴飲暴食や、刺激物、アルコール類を飲みすぎた時などに起こる胃炎である。
初期症状は上腹部の痛み、胃の不快感。酷くなると嘔吐、吐血などを引き起こす。
「そうですよ。血だって吐いたんですからね」
「――何でだろ。確かに心配な話なのに、本人が言っちゃうと途端に心配する気が失せるのよね」
あびるの呟きに、芽留は『かわいそぶりっこはいつものことだろ』とメールに打ち込み、それをあえて望の携帯に送信した。
病院内ではくれぐれも携帯電話の電源はお切りください。
「体調管理くらい、きっちりして下さい。大人なんだから」
「ぜ…絶望した。わりと重病なのに少しも心配してくれない生徒達に絶望した…」
望は拗ねたように布団の中に潜り込み、スンスンと泣き出した。
「ふんだ。もう帰ってください、私は病人なんですから」
「どうせカワイソぶるならカーテンの裏とかで、
『何だよ〜病人なんだぞぉ、はうはうはう〜!』くらいやればいいんですよ、先生」
「それは先生違いです!」
邪な希望を目を輝かせて言う藤吉に、布団から頭だけ出してツッコむ望。
―――そんな喧騒を、ドアの向こうから、笑顔で見つめている少女が一人。
「――あ」
望はその少女の姿を見止めると、顔を引き攣らせて硬直した。
それを胃の痛みによるものだと勘違いした命は、コホンと一つ咳払いして、
「申し訳ないが、そろそろ休ませてやってくれないか?
まぁ自業自得とはいえ、患者である事にかわりはないからね」
ワイワイと騒ぐ生徒達に、帰るよう促がした。
「貴女も」
「…ちぇ」
いつの間にかベッドの下に潜り込んでいたまといにも釘を刺しておく。
生徒達はしばらく名残惜しそうにしていたが、来た時と同じような騒がしさで病室を後にした。
あの様子では、またぞろ日を改めて来るだろうと、その時の事を考えて命はうんざりと溜息を吐いた。
「絶命先生?騒がしくしないから、あとちょっとだけお話させてくれません?」
「「ひあぁッ!?」」
気配もさせず病室に入り込んできた可符香の声に、ステレオで悲鳴を上げる男が二人。
あわあわと布団の中で冷や汗をかく望に、可符香は眩しいばかりの笑顔を向けた。二度目の悲鳴が上がる。
可符香は今度は命に向き直り、優しい声で問いかけた。
「ね、いいでしょう?」
声は優しいというのに、その質問に拒否権がない事を、命はひしひしと感じていた。
「い、いいですが――それより貴女いつ入って来たんですか。
あと、私の名前は糸色命ですと何度言えば」
「じゃ、席を外してください。二人で話したい事があるんです」
命の抗議にも耳を貸さず、可符香は有無を言わさぬ態度で命を部屋の外へと押し出した。
「あ、ちょ、ま」
バタン。
命が何か言おうとしたが、かまわずに扉を閉めてその声を遮断する。
扉の閉まる音が何故か冷たく聞こえて、望は身震いした。
「あ、あの…」
恐々声を掛ける。その背が、何かオーラを纏っているような気がしてならない。
「先生?お話、しましょうか」
ゆっくりと振り返る可符香は、この上ない程の笑顔だった。
カーテンの裏で「はうはう」と嘆きたい衝動に駆られつつ、望はコクコクと頷いた。
◇ ◆ ◇ ◆
「さ、最初に言っておきますが、私は一切嘘なんて吐いてませんからね!」
「じゃあどうして怯えているんですか?」
可符香はあえてゆっくりとした動作で、ベッド脇に手を付いた。
布団で顔の半分を隠している望を、上から覗き込むように見下ろす。
「かかか、可符香さんがオーラで脅迫してるんでしょう!?」
「やだなぁ脅しだなんて。私が怒ってるわけないじゃないですかー」
今まで見たことのない、底知れぬ笑顔で見下ろされて、望は溜まらず悲鳴を上げながら身を竦ませた。
「そうですよねー。先生、一度も不治の病とは言ってませんでしたもんねー。
エヘヘ、ですよねぇ――ぜーんぶ私の勘違いだったんですねアハハハハハハハハ」
「あうあうあう……」
空虚に笑う可符香の目は、少しも笑っていない。
いっそ布団の中に潜り込んでしまいたいが、何故か視線に射抜かれたように身動きが取れないでいた。
「もしかして最初倒れた時のアレは、胃炎ですらなくて二日酔いだったのかもしれませんねー」
「そ…そうかもしれません、ねぇ…?」
そう……思い返せば、誰も望が「不治の病」などとは言っていない。
望が倒れた後の命との会話も、ただ妙に思わせぶりだっただけで、望の死を匂わせるような事は何一つ言っていなかった。
命に望の容態を聞いた時も、彼はただ「胃をやられている」と答えただけだ。
可符香はそれを聞いて、てっきり胃ガンか何かだと思い込んでいた。
別れ際の言葉は「もう『しばらく』会えなくなるだろうから」とも受け取れる。
「でも……でも先生?
さすがにあの夜の態度は――思わせぶりすぎじゃないんですか?」
言いながら、可符香はずいと顔を寄せて、望の目を真っ直ぐに見つめた。
「ひぃッ」
睨まれているわけでもないのに、望はその目に底知れぬ恐怖を感じて、思わず悲鳴が漏れてしまう。
今までの事例は、完全に思い込みだったと認められる。
けれどあの夜の望の態度は、どうしても自分を謀ろうとしたようにしか思えない。
「お、お言葉ですが可符香さん……よく思い出して下さい。
あの時だって私は、一切嘘なんて言っていませんよ」
「そうですね――でも、わざわざそれを口に出して説明するのが、既に不自然なんですよ」
可符香が「望が死ぬ」と勘違いしている事を知らなかったというなら、
望はただキョトンとして、「何の事ですか」とでも聞いてくるだけだろう。
弁解するという事は、本人にやましい事があったという何よりの証拠だ。
「うぅ……」
今更ながら墓穴を掘ってしまった事を自覚して、望は喉の奥から呻きを上げた。
――ネタばらしをすると、望自身は彼女の勘違いに気付いていなかった。
おそらく彼――久藤准の口添えがなければ、泣きじゃくる可符香に「心配しなくても、ただの胃炎ですよ」とでも言っていたかもしれない。
図書室で倒れた後、実は少し、久藤と打ち合わせをしたのだ。
どうやら久藤も、望が重病を患っていると勘違いしていたようで、望がただの胃炎だと打ち明けると、久藤は逆にそれを逆手に取ろうと考えた。
「サナトリウム文学ですよ、先生」
どうやら可符香も自分と同じ勘違いをしているらしいと久藤に教えられ、そこで望は初めて可符香の心境を知るに至った。
そこで、心は痛むだろうが、最後まで彼女を勘違いさせたままにしてはどうかと、久藤は提案した。
可符香が「大切な人の死」という、この上ない不幸と真っ直ぐに向き合えたなら、
その時こそ彼女の心は、今よりずっと強くなれるだろう。
いわゆるショック療法というやつである。
その後、久藤が並木道で可符香に出会う所まで、彼の筋書き通りだったりする。
その全てを語ってしまえば、おそらく彼女の笑顔の矛先は久藤にも向くだろう。
さすがにそれは忍びなく、望はただ耐え忍ぶしかなかった。
「な――何を言われても、私は悪くなんてありませんッ」
必死に勇気を振り絞り――そのわりに弱弱しい声ではあったが――訴えると、可符香は少し間を置いて、ゆっくりと望から身体を放した。
彼女の纏う雰囲気が、幾分柔らかなものになったように、望には見えた。
プレッシャーから開放されて、ほっと息を吐きながら身体を起こす。
「そうですね……確かに、先生は悪くなんてない」
そう呟く可符香は、さっきまでとはうって変わって、何だか拗ねたように不満顔になっている
「―――心配、しましたか?」
「はい。とっても」
反射的に謝ってしまいそうになる。が、悪くないと言い張った手前それも憚られた。
望は困った末に――そっと可符香の髪を撫でた。
「言ったじゃないですか、ずっと一緒ですよって」
可符香は少しの間、じっと撫でられるがままにしていたが、やがてクシャリと表情を歪ませた。
「はい……はい。先生は――嘘、つきませんでした」
嬉しいと。勘違いで良かったと、今更ながら思い直して。
可符香はまた泣き出しそうな自分の顔を見られないよう、望に抱きついた。
望は少し驚いたが、すぐにその背中に手を回して抱き締め返す。
「先生、私、言いそびれた事があったんです」
「何ですか?」
「私も好きですよ」
まるで望の口調を真似るように、彼女は望の耳元で囁いた。
その吐息がくすぐったかったのか、望の唇からクスクスと笑みが零れた。
「あれ、もしかして私、返事貰ってなかったんでしたっけ?」
「そうです。ですから、今まで先生は片想いだったんですよ」
「うわ、それは……つまり私は、好かれてもいない相手にあれだけの事を?」
「んー、強ち…そうとも言えませんけどね」
一目惚れではなかったものの、きっと自分はもっと以前から――彼の事が、好きだったのだろうから。
あえてそれは言葉にせず、可符香はそっと望から身体を放した。
首の後ろに回していた手を滑らせて、望の両頬に添える。
「じゃあ、両想いになった記念に」
可符香は彼の薄い唇に、そっと口づけた。
望は一瞬、驚いたように目を見開くが――すぐに目を閉じて、間近に感じる少女の香りに酔いしれる。
羽のように軽い口づけ。それだけでも、お互いの体温を感じるには十分だった。
カーテンの隙間から見える外の景色は、少しずつ冬の気配を強くしていく。
やがて雪が降り、景色を白く染めるだろう。
身を切るような寒さを経て、春が来て――雪解けがぬかるみを作り出す。
その泥に足を取られて、転ぶ事もある。どこか擦り剥いてしまう事だってあるだろう。
けれど今の彼女には、その痛みに耐えうるだけの強さがある。
一人で立ち上がれなくても、そっとその手を取ってくれる人がいる。
それはこの上なく幸せな事だ。
この幸せがあるならば、これからの一切の痛みにも、耐えていけるような気がした。
―――雪どけを越えれば、今度は真昼に降る雪の季節がやってくる。
日の光を浴びて輝く、桜吹雪の降る季節が―――
―真昼が雪― 完。
感動した!
そして笑った!
乙!
GJ!
最大級の賛辞を送りたいけどボキャブラリーがないのでスマソw
あと、勘違いかもしらんけどぱにぽに学級崩壊スレで書いてなかった、昔?
終わったー、そして
>>508の名前欄ミスったー。
正しくは真昼が雪―エピローグ― 4です。最後の最後にナンテコッタイ。
まさかこんなスレ容量食いSSになるとは思いもよらず、ご迷惑おかけいたしました。
これにて真昼終了です、自分は読み専に戻ります。多分。
こんなエロなしSSに今までお付き合い下さりありがとうございましたー。うへぇしんどかった。
真昼さん、素晴らしい作品をありがとう!
悲しい予感の涙が、嬉しい涙に変わりました!
>>511 SS投下どころか、そもそも文章何てほとんど書いたことありませんでしたがw
ってか反応はえぇぇ!!いや、ほんとこんな長い話に付き合ってくれて感謝ですたい。
真昼さん、意外な程爽やかなハッピーエンドが良かったですよ!
てかツンデレラの魔法使いは可符香と思ってたらまさか大草さんとは!
>>512 規制解除! よかった、まにあった!
真昼氏、最後の最後は爽やかなエピローグ! ああ・・・よかった・・・・ ちょっと泣き笑い。
文章書いたことないとは思えないデスww 私も氏くらいの文が書ければなぁ・・・・・
ともあれ、お疲れさまです! ありがとうです!
よかった…、欝エンドじゃなかった……
真昼さんほんとうにお疲れ様でした
しばらくお休みされた後にまた会えるのを楽しみにしています
真昼氏お疲れ様です!!
ティッシュ隣に置いといたけど、使うことがなくて良かった!!ハッピーエンドで良かった!!
真昼さん……そ う き た か…!!!
やられた、やられました…!!
でも、死ネタより、こっちの方が何倍も良かったぁぁぁぁぁあ!
やっぱりハッピーエンドのが爽やかで読後感いいですね。
…私が言うのもなんですが。
設定が丁寧で、しかもキャラにぴったりはまっていて、
セリフの言い回しとか状況描写とか、とにかく、毎回毎回、
うまいなぁぁぁとため息つきつつ読ませていただいておりました。
しかも、これだけ長いお話を、書きながら投下で破綻していないのが、
もう、脱帽としかいいようがありません。
保管庫に収納されたら、改めて一気に読みたい作品です。
本当に、素敵なお話をありがとうございました、そして今までお疲れ様でした!!
そして、105さん、ツンデレラ続編…やった!
魔法使いさんは、大草さん…でしたか。
これからの展開を楽しみにしております!
…感想なのに、長すぎ…で、2期って…ホント…?
真昼氏GJ&乙。なんかホッとしたというのが正直な感想。
またこのスレに泣かされるのか、て思ってたから。
ツンデレラ、俺も魔女は可符香と思っていた。
なるほど、大草さん起用の理由は『奥様は魔女』か。
真昼氏投下超お疲れ様
読んでいた時の不安感を全て吹っ飛ばすようなハッピーエンドでしたよ!
正直このSSまで鬱EDだったら精神的に持たなかった自信がありますね
―――雪どけを越えれば、今度は真昼に降る雪の季節がやってくる。
日の光を浴びて輝く、桜吹雪の降る季節が―――
そうか、二期への伏線だったのか…
真昼氏GJ!乙
真昼氏、大長編の執筆本当にお疲れ様でした
鬱エンドも覚悟してましたが、いやはや、そう来るとは!
良かったです本当に………God−Jobとはまさにこのことか
………さぁー、オレも書かなきゃなー………
524 :
292:2007/10/06(土) 17:04:18 ID:Q8UsR7y/
>>105 ツンデレラ、先が気になるわぁ。こういうの凄く好きなんだよねw。
真昼氏という偉大な職人様の後でかなりビビッてます(あんな重厚な文章書けませんがな)が、
>>316で予告したSSを投下してみる。
「まだ恋人関係にない」からスタートだと、非エロが長くなるのに今更気付いた。
4回に分けて投下予定。
長くなった上に、エロは最終章だけになるかも(´・ω・`)・・絶望した!
【注意点】
望×あびるで、特に変った属性はないと思いますが、
非エロ長いのはウンザリと言う方はスルー推奨です。
1章はエロ無しで10レスほど消費予定。
これはあの日本中を引っくり返した戦争が終わった直後のお話。
あるお家に、女の子がいたんだ。
動物好きでね、散々親を説得して、猫をもらったんだよ。
ちっちゃな子猫。
1匹目が、たしか黒い方の猫だったかな。
そのうち、黒い猫がいつも寂しそうにしているんでね、もう一匹もらってきたんだ。
こっちは白い猫だった。これまた小さな子猫でね。
2匹はすぐに仲良くなったらしい。よく一緒に庭でお昼寝してたのを見たものだ。
女の子もたいそう喜んでねえ。
2匹は結婚するんだ、と友達に自慢げに言っていたのをよぅく覚えている。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★
こういうのが読みたい。
高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩
き通すという、鈴木商店高校の伝統行事だった。赤木杏は密かな誓いを胸に抱いて
歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために―。学校生
活の思い出や卒業後の夢などを語らいつつ、親友たちと歩きながらも、杏だけは、
小さな賭けに胸を焦がしていた。
14歳のとき両親殺害の罪に問われ、外界との交流を拒んで孤島の研究施設に閉じこ
もった天才博士糸色命。教え子の風浦可符香とともに、島を訪ねた鈴木商店高校教
諭、糸色望は一週間、外部との交信を断っていた博士の部屋に入ろうとした。その
瞬間、進み出てきたのはウェディングドレスを着た女の死体。そして、部屋に残さ
れていたコンピュータのディスプレイに記されていたのは「すべてが絶望になる」
という意味不明の言葉だった。
「絶望の男は飄然と砂漠の彼方に立ち去った。木津千里はその後を追った」…破滅
後の世界。「絶望の塔」の秘密の鍵を握る男を追い、一人のスコップ使いが今、果
てしない旅に出る。彼らの住む世界は我々の現実世界とどう関わるのか? 絶望の男
は何者なのか?そして「絶望の塔」には一体、何があるのか?壮大な物語が、今、幕
を明ける…。奔放なイマジネーションと超弩級のスケールが錯綜する
1章
秋の日差しが優しく降り注ぐ午後の教室。
カリカリと黒板に教師が書く音が、静かに響いている。
2のへ組は師が教え子達へ勉学を伝授し、その好学心に答える真剣な学び家
そのものであった。
教壇に立つ教師―糸色望―は満足感に浸っていた。
厳粛な教育現場をリードしているのは自分だという自負と、生徒達に与える自らの
影響力に感動していた。
そう、この一瞬までは――
「先生! 『堂』の字はキチンと左右対称に書いてください!バランスの悪い字は
美しくないです!」
望はびっくりして後ろを振り返った。
授業中、髪をきっちり真ん中分けにした少女が、突然立ち上がって発言したのだ。
しかし、周りの生徒達はほとんど驚いていない。むしろ、またかといった様な
あきらめの表情を浮かべている。
この風景、2のへの組ではもはや日常と化しているのだった。
望は自分の書いた「堂」の字を見た。たしかに、右の方の線が長すぎて不恰好だ。
しかし、それを今この場で言う事なのか。
完全に苦りきって望は少女に言った。
「左右対称が美しいなんておかしいですよ。世の中、非対称で美しい物なんて
一杯あります。大体、左右対称だったら人間の心臓は2つになってしまいますよ」
「心臓が2つになったら、それはそれは便利だと思いますが」
たちまち、真ん中わけの少女に反論を喰らってしまった。
他の生徒達も、口々に左右対称の是非について語りだす。
まさに、学級崩壊である。
そればかりか、生徒達に雪の結晶・平等院鳳凰堂・ユニオンジャックetcの例を
出されてしまい、望はどんどん不利な立場に陥っていった。
――ああ、また小芝居が始まった。
立ち上がった少女の斜め後方に席を陣取っいる女生徒が、そっと嘆息した。
すっと通った鼻梁、桜色の唇、瑞々しく白い肌、すこし吊りあがった褐色の瞳。
ツヤのある美しい黒髪は、2つの三つあみに分けられ肩に垂れている。
完璧なまでに整ったその顔立ちのせいか、どことなく表情が乏しく冷たい印象
を与えている。
惜しむらくは片方の瞳に眼帯があてられ、頭や手足のあちこちに包帯を巻いて
いることか。
しかし、その痛々しい姿が更に男を刺激するのだから不思議である。
彼女の名は、『小節あびる』という。
(良くあんな下らない話題で興奮できるなぁ)
あびるは心底感心して、その立ち上がって発言した少女―木津千里―を見上げた。
あびるは何故彼女が教師に突っかかるか知っている。
千里は、教壇の上にいる丸眼鏡の教師が好きなのだ。
好きだからこそ、構って欲しくてついつい突っ込みを入れてしまうのである。
(先生のどこがいいのだろう?)
不思議に思いながら、あれやこれやと言い訳をしている教師に目を移した。
背は高いが、顔は標準並みだし、身体付きはヒョロヒョロしていて頼りない。
性格は根暗で、情けなくて、ネガティブと3拍子揃っており、そればかりか
すぐに死にたいと自殺狂言をしでかすのだから始末に負えないのだ。
その男を、千里だけでなく、教師の後ろでウロウロしている常月まといや、
たぶん今頃どこかの教室でTVを見ているであろう小森霧が夢中になっているの
である。学園7不思議としか思えなかった。
彼は生徒達の集中砲火を浴び、舵を失って沈没寸前の戦艦よろしくふらふら体を
揺らしている。
馬鹿馬鹿しいと思いつつ、あびるも手を挙げて発言してみる。
「先生、私の三つ編みが左右で長さが違っていたら変でしょう」
「う……。」
教壇にいる望の顔が硬直し、動きが固まった。
「絶望した!左大臣を作ったら右大臣も作りましょう的な形式主義に絶望した!
学級崩壊にも絶望した!」
ついに、うわーんと泣き出して教室を飛び出していってしまったのだった。
*********
すまん。割り込んだ。
遠くからカラスの鳴き声が響く真っ赤な空。
夕日に赤く染め上げられた道路に、一つの影が細く細く伸びている。
夕暮れの愁う様な雰囲気の中、あびるは帰途を急いでいた。
あれから望が帰ってきてこなかったせいで、HRは開かれずに終わった。
今頃、職場放棄を同僚に責められて絶望している頃だろう。
――ざわざわ
風がそよぐと、周囲の木の葉が一斉にざわめき、枯葉がハラハラと数枚木の
枝から離れて、道路に舞い降りていった。
「ん?」
不意に誰かに呼ばれたような気がしてあびるは立ち止まった。
眼帯で隠れていない片方の目がゆっくりと周囲を見渡すが……、誰もいない。
ふと、塀の上の存在に気付いた。
一匹の猫がいた。
真っ白の猫。
目を閉じてじっとうずくまっている。
身体中が雪のように白い毛に覆われており、どことなく高貴な雰囲気を漂わせ
ていた。
ただ、身体が痩せ細っており、栄養状態はあまり良ろしくないようだ。
体のところどころの毛が剥げて中の肉が剥き出しになっており、多くの傷を
負っていることが見て取れた。
その猫は明らかに新参ものだった。
町内のあらゆる猫の尻尾を引っ張った事のあるあびるは、町で活動している
猫全てについて記憶している。彼女の脳内データベースに存在しない猫は、
どこか他からやってきた猫以外にはない。
首輪がないところを見ると、隣の町から流れてきた野良猫だろうか。
あびるの視線は自然と、猫の身体の後方に移動する。もちろん、尻尾を確認
するためである。
「あれ」
あびるは一瞬目を疑った。
その猫の尻尾は、奇妙な形状をしていたのだ。
尻尾の先が途中で二股に分かれていて、Yの字になっていた。
怪我をしているという訳ではない。
2つに分かれた尻尾は共にふさふさした白い毛並みに覆われ、時折ぴくぴくと
動いている。
これまで見た事もない尻尾を目の前にして、普段はどこか醒めているあびるの
瞳がキラリと光った。
静かに猫に近づく。
一歩――猫は気付かない
二歩――まだ猫は気付かない
三……突然、猫が顔を上げた。
素早く尻尾を掴もうとした少女の瞳と、白い猫の瞳が交錯した。
あびるは一瞬はっとした。
ガラスのようにどこまでも透き通った それでいながらどこか憂いを含んだ
その瞳――
その瞳の奥には、強い悲しみと長い長い辛苦を映し出すかのように灰色の霧が
掛かっているが、その更に奥には猫の強い意思を秘めた光が一点灯っている。
(なんていう奇妙な目をしているの……)
あびるは尻尾を握るという最重要事項を忘れて、思わず立ち竦んでしまった。
『にゃ〜ん』
猫ののんびりした声に我に返る。
気付くと、その猫は走り出していた。
「あ、待って!」
あびるは大急ぎでその後を追いかける。
建物の隙間を抜け、壁の上をつたり、猫は休まずにどんどん歩いていく。
痩せ気味の身体に似ず、その動きは軽快だ。
あまり運動神経の良くないあびるは、見失わないようにするのが精一杯になっていた。
白い猫はすっと、横道に入る。
あびるも息を切らせながら、急いでその横道に入った。
「おっと」
突然横道から出てきた男に軽くぶつかった。
「すいません!」
素早く謝り、その人物の横をすり抜け猫を追いかけようとする。
「小節さんではないですか」
横道から出てきた男から、意外な言葉が掛けられた。
驚いて立ち止まり、ぶつかった人物を見る。
それは彼女の担任教師であった。
「糸色先生?」
「何しているんですか? そんなに慌てて」
望の言葉にハッとして横道の奥を見るが、すでに猫の姿は跡形もなく消えていた。
一度見失った猫を追跡するのは、不可能といってよい。
内心舌打ちをしながら、自分の名前を呼んで邪魔をしてくれた男に尋ねた。
「こっちに白い猫が来ませんでしたか」
「猫ですか? さぁ、先生見てませんが」
望のさして重要とも思わないような軽い返答に、あびるは苦々しい気持ちになった。
ハァハァと肩で息をして、呼吸を整える。
教師の方を向いて、理不尽な八つ当たりと知りつつ、責めるような口調で言った。
「先生、私に何か用でもあったんですか」
「い……いえ」
「私が急いでいるのに気付いていたなら、無意味に声を掛けないで欲しいですね」
「すいません……」
あびるの厳しい言葉に、望は肩を落としてシュンとなってしまった。
大の大人が寂しそうに俯くのを見て、あびるは慌てて言い直した。
「あ……ごめんなさい。ぶつかったのは私が悪いのです。先生のせいではないです」
「いえ、私もよく周りを見ずに歩いていたので。」
望はズレた眼鏡を人差し指で上げてから、あびるの方に向き直った。
「猫を追いかけていたのですか?」
「ええ。珍しい尻尾をしていたものですから」
それを聞いて、望は苦笑した。
「相変わらず尻尾好きですねぇ」
望は顔を上げて、あびるの顔を見た。
あびるの瞳と望の瞳が合った。
人の目を見ない事についてはプロのはずの望が、思わず引きこまれたかの
ようにあびるの瞳を見詰めた。
「やっぱり、左右対称でなくても美しいものがありますよ……」
何かに操られたかのように、望の唇から言葉が紡ぎだされた。
「え?」
「あなたの両の瞳は……どんな芸術品よりも……美しすぎます」
何を言われたか分からず、あびるは一瞬キョトンとしてしまう。
突如として気付いた。さっきぶつかった衝撃で眼帯が外れてしまったのだろう、
いつの間にか左の瞳が露わになっていた。
あびるの瞳は左右で色が違う。
右の瞳は深く落ち着いた褐色の色をたたえる一方で、左の瞳はどことなく
エメラルドを思わせる煌らめくような緑の色をしていた。
その両目が、キラキラと夕日を反射している。
それはたしかに少女の整いすぎた美貌に彩りを沿え、神秘的で圧倒的な美しさ
を醸し出していた。
しかし、あびるは少し眉をひそめると冷たく言った。
「またそうやって、女性が勘違いするような言葉を言って。恥ずかしいですよ?」
「あ……」
望の顔は、夕日の光に圧倒的な紅潮を加えみるみる赤くなった。
「わ……私は、その……」
「あああぁああ、絶望した!とんでもなくクサい自分に絶望した!!
タイタニック映画を見てそれを真似するバカップルと同レベルの自分に絶望した!」
望は自らの言動に言いようもない羞恥を感じ、悶え始める。
「死のう」
ぽつりと呟くと、懐からロープを取り出し自分の首に掛け始めた。
その様子をじっと見ていたあびるの脳裏に、思わず先の白い猫の事が思い出された。
やせ細って、体中を傷だらけにした体。
悲しげで、それでいて猫としての誇りを失うまいとしているような瞳――
「不思議ですね」
意識せずにあびるは口に出していた。
「何がですか」
望は、一瞬縄を首に巻く手を休める。
「先生は経済的にも恵まれているし、健康状態も、家族関係も良好です。何に絶望
しようと言うのですか。何故死ぬなどと言うのですか」
「え……」
突然突きつけられた厳粛な命題に、望は戸惑った。
自分の過去――絶望する理由としては、否としか言いようがない。
望には多くのトラウマがあったものの、それは通常の人間であれば誰しも
通るような試練のレベルに過ぎなかった。
人が本気で絶望に至るような、お涙ちょうだいの悲しい過去なんて微塵たり
とも有りはしないのだ。
そう、自分でも分かっている。
単に絶望ごっこをして、被害者ぶって楽しんでいるのである。
周囲にもその事が分かっていたはずだった。
だからこそ、周りの人間はどこか哀れっぽく、どこか面白可笑しく彼の狂言に
付き合っていたのだ。
何故絶望するのかなどと面と向かって言うような無粋な人間は一人もいなかった。
しかし、目の前の少女はそれを許さず、正面から問いを発している。
少女時代の純粋さなのか――。
あたかも軽々しく絶望を口にする者を裁こうとする天使のように、あびるは
夕日を背に凝然と立っていた。
赤く染まった端整な横顔に、長い睫の影がくっきりと落ち、夕暮れの穏やかな風を受けて、
少女の三つ編みがかすかに揺れる。
その美しさと厳粛さに、望は震え上がった。
人の運命を変える出来事が、予想もしなかったある日に突然やって来た時のように、
なすすべをしらずに体を小刻みに震わせていた。
「う……生まれつき……なんですよ。こういう……性分なのです」
どうにか声を振り絞って望は言った。
夕焼けの中に降り立った天使は、じっと望の赤く染まった顔を見ていたが、
不意にその構えを解いて「そうですか」とそっけなく言った。
「失礼な事を聞いてすいませんでした。それでは」
くるりと背を向けると、あびるは静かに立ち去った。
その後姿を、望はいつまでも見詰め続けていた。
*********
その夜、望は一人悶々としていた。
目を閉じると、あびるの夕暮れに染まった姿が思い出されてならないのだ。
胸は異様に高鳴り、強い焦燥感に苛まされる。
望は布団を狂おしく抱きしめる以外に術がなかった。
*********
次の日――
HRが終わり、クラスの皆が部活動や帰宅の用意をするのをぼーっと眺めながら、
あびるは考え事にふけっていた。
昨日の白猫の事を考えていたのだ。
あの奇妙な尻尾を引っ張りたいのは当然の事として、猫の不思議な瞳がどうしても
頭から離れなかった。
「どうしたの、あびるちゃん。ボーとして」
友人の日塔奈美が、声を掛けて来た。
少し、微笑んで奈美のほうを向く。
「昨日、変った猫に会ったんだけどね。尻尾を握る前に逃げられちゃった」
それを聞くと、奈美はクスクス笑い始めた。
「相変わらずだなあ。ぼんやりしてるから、恋でもしたのかと思ったのに」
「恋?」
あびるだって、お年頃の女の子。
恋も2回ほどしたことがある。
初恋は、小学生低学年の時。相手は熊のきぐるみだった。
立派な尻尾とフサフサした毛並みに惚れこんだのだが、ある日『中身』を
見てしまい、一瞬で恋が冷めた。
2度目は、中学生1年の頃。相手はU動物園のフェレットで、何度か恋文を
書いたが彼には読めなかったようだ。
種族の壁を感じ、恋を諦めた。
奈美は普通の女子高生らしく、恋の話が大好きである。
「そんなのじゃないけどね。尻尾が2つに分かれている猫なの。珍しいでしょ?」
一目惚れなのかな?と内心呟きつつ、あびるは説明する。
「へー。尻尾が2つ??」
奈美も少し興味が出てきたらしく、身を乗り出してきた。
「まあ、たぶん遺伝子かなにかの異常だと思うけど」
「奇形ってやつね」
動物の中にも、遺伝子の突然変異で奇妙な特徴を有する個体が稀に生まれる。
生物でならった朧げな知識が、奈美の頭に浮かんだ。
「そんな、それは奇形なんかじゃないですよ!猫又です!」
突然、2人の後ろから甲高い声が聞こえた。
「あ、可符香ちゃん」
奈美が顔を上げて、少し困ったような表情をした。
後を振り向くと、2人の友人である風浦可符香が立っていた。
綺麗な前髪に、2本のピンをクロスさせて指しており、その瞳はクリクリと
悪戯っ子のように動いている。
黙っていれば、文句なしの美少女だ。黙っていれば、だが。
「猫又?」
あびるは、少し首を傾げて聞いた。
「そう、猫又。猫が20年間交尾をしないと、猫又といって強い妖力を持った
妖怪になるの。猫又の特徴は、尻尾が2股に分かれている事なんです」
「交尾って……」
周りに男子生徒がいるにも関わらず、可符香の全く頓着していない様子を見て
奈美は顔を赤らめた。
「あびるちゃんには、これを上げましょう」
そう言うと、可符香はどこからかコンニャクを出してきた。
「何コレ?」
「これを口にくわえると、猫又と話せるようになるんです!」
(それって、ドラえ●んの翻訳コンニャクじゃないの?)
奈美は突っ込みを入れようとしたが、あびるは真剣な表情でそのコンニャクを
受け取った。
――まさか、あびるちゃん信じている!?
奈美の額に、縦線が走る。大変な事になりそうな予感がする。
「さ、私に全てを委ねて。あびるちゃんは、猫又に恋しちゃったんですよ。
猫ちゃんに相応しい女になる方法、教えてあげますよぉ?」
可符香は獲物を誘うサキュバスのような妖艶な動きで、あびるの頬を撫でた。
あびるはまじまじと可符香を見た。
屈託のない微笑みを浮かべながら、その瞳はどことなく深みを増してあびるを
見ている。
女神の笑顔というのはこういうのをいうのだろうか。
あらゆる悩みを氷解し、すべての煩悩を赦す。そのような素晴らしい笑顔。
奈美は、息を止めて2人を見詰めた。
「ねえ……可符香ちゃん?」
「はい」
ニコニコしながら、あびるの言葉の続きを待つ可符香。その目はキラキラと
期待に輝いている。
あびるは整ったあごを少し上向きに上げて言った。
「可符香ちゃんの髪って、横から見ると鉄腕アトムみたいじゃない?」
「えぇええ!?」
突然とんでもない事を言われた可符香は、ワタワタし始めた。
額に縦線を走らせて、スカートのポケットから鏡を取り出す。
「そ……そんなこと…ない…です…よぉ…ぉ……」
「そうですか? それは失礼。このコンニャク、ありがとう。頂くね」
軽く会釈して、あびるは席を立った。
教室を出るところでチラと後を振り返ると、可符香は鏡に自分の横顔を映して、
髪をしきりに弄りながら奈美になにやら言っている。
ちょっと涙ぐんでいるのが可愛い。
「猫又って言うのも、悪くないけどね」
あびるはふっと薄く笑って、可符香のくれたコンニャクをポケットにしまう
のだった。
(1章終わり)
537 :
292:2007/10/06(土) 17:19:17 ID:Q8UsR7y/
>>529 いえいえ、お気にせず。
投下完了。続きはまだテロップだけしかできてないので、結構かかるかも・・。
お目汚し失礼しました。
>>537 乙! これから話がどう展開するのか、wktkしながら待ってるぜ。
あと、これは本編から外れたどうでもいいことなんだろうけど、
ユニオン・ジャックって地味に左右対称じゃないんだぜ。
>>537 文章が恐ろしく美しい。話の合間に挟まれる会話が上手い…。
これは続きwktkして待つしかないですよ。GJです。
540 :
105:2007/10/06(土) 21:57:12 ID:gTbOr5TN
NOOO!!真昼氏の神SSが終了し、H×HのT樫先生と同時に292氏が本気を出された!!
・・・いや、嬉しいんですけどね、あまのじゃくなんですよ私・・・。本当に嬉しいんですけど、
あまりに神過ぎると、自分のゴミさがわかるわけですよ・・・。
電車に乗ったら両隣をお相撲さんに座られたみたいな・・・、いや、違いますねえ・・・。
神様の後光が、隠れていたゴミ虫を照らし出したみたいな、そう、そんな感じ!
絶望してもしょうがないです。SS投下します。続きが気になるなんていっていただけると嬉しい半分、
プレッシャー半分・・・、自分は何を言い出すのでしょう・・・。本当に嬉しいくせに、電脳世界でも
どうしようもないんですね・・・。とにかく有り難いです。
くどいようですが諸注意を・・・。@皆さんもうおわかりの「謎の女性」のイメージが激しく壊れます。ご注意下さい。
A今日投下する範囲は作者の「ご都合主義」が満載です。せっかくうまくいってる話をつまらなくしている気がします。
Bここから先は、作者の趣味がにじみ出ています。趣味というのは、話や会話の流れといったものから、嗜好的なモノまで。
Cシンデレラの世界さえぶっ壊してます。NiceBoat、いやもはやナイスでさえありません
Dエロ無しです。
では始めます。
541 :
ツンデレラ7:2007/10/06(土) 21:58:39 ID:gTbOr5TN
謎「はいはい、辛かったですねえ」
すべてを話し終えて、未だ泣きじゃくるツンデレラを、自分の子供のように抱きしめてあやす。
謎「じゃあツンデレラ、あたしが何とかしてあげるわ」
ツ「・・?」
謎「自己紹介がまだだったわねえ。私オーク・サー・マナミ。マナミでいいわ」
ツ「はあ、マナミさん、ですか・・・。」
マ「そう、それでね、私、奥様で魔女なの」
ツ「はあ、奥様で、魔女・・・。えええっ!!いけませんよ!!
他人にそんなこと言っちゃあ!!魔女狩りにあいますって!!」
マ「魔女狩りて・・・、時代設定どうなってるのよ・・・」
ツ「それは、‘むかーしむかしのあるところ’ですから・・・」
マ「・・・まあいいわ。大事なのは私が魔女だって事。今から貴方にぴったりの洋服をそろえたげる・・・。
このステッキでね!」
取り出したるは、先ほどから光っているただの棒。光っていること以外は、とりとめのないただの棒。
ツンデレラはリアクションに困っていた。
マ「ああ〜、その顔は信じてないわねえ」
ツ「ええっ、すっすいません。・・・でも、そうじゃなくてあの、何でそんな良くしてくれるのかなあって・・・?」
マ「ああ、それわね、あなたが本当にいい人なのを、私が知っているからよ!」
ツ「わ、私が・・・?そんな、とんでもありません!!私なんて生きt」
マ「さあ目をつぶって!いくわよ〜、え〜いビビッテバビッテヒデブ!!」
ツンデレラをいっこうに無視し、マナミのあやしい呪文とともに、ツンデレラの衣服が光って消えた。
近年削除、変更されそうな、魔法少女モノにありがちな変身である。
あっという間にツンデレラは、いっぱしのお姫様になっていた。
マ「まあ!ツンデレラ!素敵!とっても素敵よ!!」
ツ「わあ、すごい!本当にスゴイです!!」
マ「あなた、これから愛リーンって名乗ったらいいわ!」
ツ「アイリーン?何ですかそれ?」
ツ「・・・そうよね誰も「シンデレラ」(1950年2月15日、ディズニー、アイリーン・ウッズ主演)
なんて知らないわよね・・・分からないネタで御免なさい・・」
ツ「そ、そんなことないですよ!」
マ「・・ありがとう。
ところで一つだけ条件があるの。というのはね、時間制限。十二時の鐘と共に、この魔法は解けてしまうわ」
ツ「ええっ!・・・でも、仕方ありませんよね・・・」
マ「御免なさいね、それからがお楽しみなのに・・・」
ツ「とんでもございません!!それより私なんかがそんなことを不躾と抜かしてしまってすいません!!」
マ「いや・・・言い過ぎだから」
ツ「いいえ!!そもそも私なんかが王子様に会おうだなんて事が・・・」
マ「いいから、謝らないでーっ!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
542 :
ツンデレラ8:2007/10/06(土) 22:00:27 ID:gTbOr5TN
ツンデレラはなぜだか立派な服装になってよりいっそうおどおどしている気がする。
マ「何か頼りないわねえ・・・。まりあーっ!」
マナミがステッキの光でMARIAと書くと、そこから可愛らしい、いかにもな妖精が現れた。
ツ「え、ええっ!?」
マ「紹介するね、まりあよ。妖精だから、貴方以外の魂のステージの低い人には見えないし聞こえないわ。」
ま「ヨロシク。アナタハダレ?」
ツ「ツ・・・ツンデレラよ。まりあちゃん」
ま「ワカッタ。ツンデレだネ」
マ「ツンデレ‘ラ’よ、まりあ」
ま「ツンデレーラ?」
マ「・・・なんだか逆に不安になってきた・・・。でももう時間がないわ。急いでお城に行かなきゃ!
・・・って、その格好じゃあ走れないか・・・うん?」
真奈美の目には草藪を揺らしている影が見えた。
マ「・・ツンデレラ・・・落ち着いて聞いてね・・・」
ツ「はい、何でしょうか・・・」
マ「虎がいるわ。」
ツ「へ?」
マ「今から捕まえるからジッとしててっんね!!」
そう言うとおもむろにステッキを振りかざし、影を浮き上がらせる。それは・・・
ツ「ラインバック!!どうしてここへ!?」
マ「へ・・・?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
マ「そう、きっと貴方のことを心配してくれたのね。いい子じゃない」
マナミの呪縛から解き放たれたラインバックだったが、その後も実におとなしく、まるで猫のようだ。
マ「!ちょうどいいわ!貴方、ツンデレラを助けてあげて!」
ツ&ラ「?」
マ「ツンデレラをお城まで送ってあげて欲しいの!お願い!」
ラインバックは唸って答えた。
マ「ありがと〜。コレも貴方の人徳(?)のお陰だわ。じゃあ早速、ビビンババピンパフーっ!!」
あっという間にラインバックはLamborghini Murcielago(ランボルギーニ・ムルシエアゴ)になってしまいました。
ツ「って、スポーツカーだなんて、時代設定どうなってるんですか!!?」
マ「時代設定?‘むかーしむかしのあるところ’、でしょ?」
ラインバックが楽しそうに轟音をあげた。マナミもとびきりの笑顔で言います。
マ「さあ、ツンデレラ、まりあも、早く乗って!それからラインバック、後は頼んだよ。
貴方だけが頼りなんだからね」
運転席にツンデレラが乗り込み、その肩にまりあがちょこんと座る。ラインバックはいつでも発進できる。
ツ「あの、本当にありがとうございました!!なんとお礼を言ったらいいのか・・・。こんな私に・・・」
マ「いいからいいから!お礼を言うのはこっちの方なんだから!それよりあなたはもっと自信を持ちなさい!」
ツ「本当にありがとう!!じゃあ私、行ってきます!!!!」
ラインバックが狭い森の中を器用に走り去った・・・。
マ「・・・ふう、あ〜あ、山菜採りに来たのに、すっかり遅くなっちゃいました。早く帰らないとっと」
一人の女性は、魔法のようなモノか、消え去ってしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
543 :
ツンデレラ9:2007/10/06(土) 22:02:59 ID:gTbOr5TN
お城では今までにないくらいの派手な舞踏会が開かれていました。
その様子に、若い女性たちはピリピリムード。お目当ての王子様の姿はまだ見えません。
カ「ほらお姉様、ご覧くださって。今日が王子様の婿選びの日だってみんな解っているわ。
そんなにのんきに構えているの、お姉様くらいよ」
ア「そう、でもそんなにたくさんお皿を構えているのも、貴方くらいよ」
カエレッタの前には、見事なまでの宮廷料理がたくさん乗った皿がありました。
カ「う・・・、だって美味しいんだもの。食べないとモッタイナイじゃない。日本人合理性に欠けてるよ」
継「いいけど、ほどほどにね。王子様が来たら、走ってでも捕まえなきゃダメよ。」
カ「ハイお母様」
ア「・・・」
継「あら、アビィさん。どうしたの?」
ア「ハイお母様。私王子に興味ありませんの」
継&カ「!!!」
継「まあ!なんということを!・・でも、どうしてなの!?」
ア「だってまだ・・・・・・、フラグたってないもの」
継&カ「はぁ?」
カ「・・・よくわかんないけど、後出ししたって遅いんだからね」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そのとき、三人から一番遠い扉の方から、大きな歓声が上がったのです。
継「王子だわ!いつもはこちらの方からいらっしゃるのに・・・」
カ「言ってる場合じゃないわお母様、行ってきます!!」
そう言い残し、カエレッタは一人で飛び出していった。
継「私たちも行くのよ!可能性は一人でも多い方がいいんだから!!」
継母は長女の腕を掴んで強引に後を追いかけます。軽く痛みを覚えました。
ア「(可能性というのはどういう事だろうか・・・。いや、既に解っていることを解らないフリして考えるのはよそう・・。)」
軽く痺れを感じました。痺れは痛みより涙を誘うものでした・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
544 :
105:2007/10/06(土) 22:05:01 ID:gTbOr5TN
はい、ここらで105です。ツンデレラは一応完成しているんですが、ここは最後までどうにか変更したかった
部分だったので、(結局変更はありませんでした)皆さんの正直な感想が心配でなりません。
続きの舞踏会は明日開かれると思います。
明日はきっとこのゴミ虫が、おすもうs・・、じゃなくて神様とともに踊れます様に・・・、
っていやいやいやいやいやいやいやいやいやいや・・・・・・恐れ多いわあ!!(ピンツッコミ)
明日はきっと神様のSSが、ゴミ虫が見えなくなるくらいに光り輝きますように。
乙
>>544 乙!随所に仕込まれた小ネタに思わずニヤニヤしちまったww
配役もいいねえww 次回の投下にも期待してるぜ!
547 :
305:2007/10/06(土) 22:52:50 ID:Qej4s3IG
えーと、お疲れ様です。
しばし、皆さんの文章力に愕然と・・・・・・・・
レベル高いぃぃ・・・・
・・・・・神ssが続いた後に何ですが・・・・・
久しぶりに奈美の短編を作ってみましたので、投下させて頂きたいなと―――
奈美×先生で、エロ無しです。
では m(_ _)m
投・下! 投・下!
「ん! 出来た! 我ながら上出来〜」
奈美は楽しそうな声を上げて、頭の三角巾をほどいた。
キッチンのテーブル上に置かれたオーブンプレートの上には、握りこぶしくらいのサイズ
のシュークリームが行儀良く並んでいる。
奈美は銀色のボールを手に取り、ヘラで少し残ったクリームをすくって口にくわえた。
「・・・ああ・・・・とろける〜 やっぱりちゃんとバニラビーンズを使って正解だわ。」
目を閉じ、うっとりした顔でひとり言を言う。
「・・・・・そうやって、また・・・」
「ひっ!?」
突然、後ろからかけられた声に、奈美はボールを落としそうになる。
振り向くと、開け放してある窓から先生が顔を半分のぞかせていた。
「先生? なんでそこに?」
「・・・また、恩を着せようというのですね! 感謝の言葉を求めて!」
問いかけには答えずに放たれた先生の言葉に、奈美は一気に脱力した表情になった。
先生は少し立ち位置を変えた様で、上半身が窓から確認できる。
奈美は少し怒ったような顔をして、先生に背を向けた。
「別に、先生にあげるなんて言ってませんよー!」
「・・・・え?」
その言葉に先生は首をかしげる。
「無いんですか? 私には?」
「そーです・・・・・・って・・・」
奈美は先生の言葉に少し口元を緩ませ、意地悪そうな笑みを先生に向ける。
「・・・もしかして、期待してるんですかぁ〜?」
しかし先生は表情を変えず、
「汚名を返上する気、満々にみえたのですが?」
「何の汚名だぁ!!」
奈美はヘラでボールをガンガン叩きながら叫ぶ。
そっぽを向いた先生の口元がニヤリとしている。
ふと、何かを思いついたように、奈美はテーブルの紙皿に数個置いてあったシューを一個
掴み、足音も荒く先生の目の前に行く。
「はい! しかたないから1個あげます!」
先生は奈美の方に向き直り首をかしげた。
「何だか、催促したみたいな流れになってしまいましたね。」
「・・・ってゆうか催促しに来たよね・・・? まあいいや・・・・。はい、先生! あーん!」
そう言って奈美は、先生の口の高さにシューを持って行く。
一瞬、手を差し出そうとしていた先生は、少し眉を寄せ、口を開けた。
「召し上がれ!」
すかさず、奈美が先生の口にシューを半分程押し込む。
先生はもごもごと、口を動かす。
「おいしいですよね?」
奈美は先生の顔をのぞきこみながら尋ねた。
先生の口の動きが止まった。――ちょっと考えるような顔をみせて、再び咀嚼を開始する。
そして、何かに気が付き、半分かじりかけのシューを手に取り確かめてみる。
「・・・・・これは・・・・・中までみっちり、全部、シュー皮・・・・! 失敗作ですか!?」
奈美はクスクスと笑い出す。
「この前のお返しですよー! 結構ショックだったんですからね!」
嬉しそうに言う奈美に、先生は表情を止めたまま、奈美の顔を見る。
「・・・・・・え?」
「仕返しのやり方もホント普通ですね。」
「普通って言うなあ!!」
先生は残りのシューをかじりながら遠い目をする。
「・・・・・まあ、中に針とか硫酸とか入ってたりしないですからね。」
ぽつりと呟いた言葉に、奈美の顔が引きつる。
「そんな危ない事しませんよぉ・・・・・・!」
「もちろん分かってますよ。あなた普通ですから。」
「だから、言うなぁ!!」
奈美は叫んでから大きく溜め息を付き、側にあったイスに腰を下ろす。
「・・・・あー・・・なんか立ちくらみした・・・」
先生は残りのシューを飲み下して口を開いた。
「いやぁ、普通がいいです。普通に夜更かししたり、普通に寝坊したり、普通に遅刻したり、
普通に宿題忘れたり・・・・・」
先生の並べる言葉に、奈美は肩をピクピクさせている。
「・・・・あと、普通に甘いもの食べ過ぎたり、普通にダイエットしなきゃと思ったり・・・・・」
奈美の顔がギクッと引きつり、赤くなる。
「なんで知ってるんですかぁ!?」
「・・・それは、緊急連絡網に――――」
「ええ!? やめてよぉ!?」
立ち上がって絶叫する奈美に、先生はニヤリとして見せた。
「先生が流しました。」
「流すなあ!! って、全然緊急じゃないだろ!?」
奈美は一気に叫ぶと、少し涙目になって恨めしそうに先生を睨む。
「何でいつも私ばっかりイジるんですかぁ・・・・・ この前だって、食べてみてくれるだけで済んだのに、わざ
わざ引っ掻き回さなくても―――― まあ・・・そりゃ、私も恩着せがましかったかもですけど!」
先生は少し真剣な顔をして腕を組んだ。
あごのあたりを指で掻きながら、短く唸るのが聞こえた。
「・・・先生?」
「ちゃんと、受け取って・・・・・美味しく頂いていたら――― その後どうなりましたかね?」
思ってもみなかった問いに奈美は眉を寄せた。
「それはぁ・・・・・・・えーーと、ほら! 『美味しい』って言われると嬉しいじゃないですか! 今度も張り切って、
もっと凝ったものを作ってみたくなりますよ?」
先生は一つうなずいた。
「・・・その後はどうでしょう?」
「そ・・・そのあと? それは、また先生に食べてもらいますよ・・・・・・・」
奈美は少し赤くなりながら答える。
そして、ハッと気がついたように口を尖らせた。
「何でそんな事聞くんですかぁ・・・・・・・」
先生は短く息を吐き、自嘲気味に笑みを浮かべた。
「・・・そして、スコップやら、包丁やらが、どこからともなく飛んでくる訳ですよ。」
奈美は小さく呻いて、瞬間的に顔を雲らせた。
先生を取り合っているクラスメイト達の顔が次々と浮かび、引きつった表情のまま、苦笑を浮かべる。
「あ―― そっか・・・。先生が命狙われちゃいますねぇ・・・・・・・」
「それだけなら・・・まだ、いいんですがね・・・」
先生はぽつりとつぶやいた。
奈美は小首をかしげる。
「それだけ・・・・・って。先生、命の危険があっても平気なんですか?」
先生は即座に首を振った。
「平気な訳が無いでしょう! まだ私だけの方が・・・・・・・・・いえ、まあ、いいです。」
ぽかんとした顔をしている奈美を見て、先生は苦笑した。
「おっと・・・・・・・そろそろ帰って・・・・・戸締りをしないといけませんね。」
「・・・・へ? 戸締り? ・・・まだ昼過ぎですけど。」
奈美の言葉に、先生はいつもの悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「ええ。しっかり戸締りをしますよ。・・・感謝強盗が来る予感がしてますから。」
「・・・・・・・・・・!」
奈美は頭痛でもしているように、片手で自分の額を押さえてうつむいた。
大きく溜め息をついて顔を上げると、すでに窓からは先生の姿は消えていた。
「何しに来たんだぁ! ああ、もう、ムカツク!!」
ドンドンと床板を踏み鳴らしながら、洗い物をシンクに持って行き、スポンジを握り締めると、力を込めて
洗い始めた。
食器や調理器具の硬い音が騒がしく鳴り出す。
ガチャガチャと洗い物をしながら、涙がにじんできた目をこすり・・・・・・・水が少し目にしみてしまい、余計
に涙が出てきてしまった。
「・・・どーせ、私は、恩着せがましいよ! 感謝だってされたいんだぁ! ・・・いいよ! 先生にはどうせ
分かってもらえないんだからさ!!」
片手で目を押さえながら、大声で悪態をつく。
水を止めて、洗い物を水切りカゴに移すと奈美はまた溜め息をついた。
「・・・・・すね方も普通ですね。」
奈美はハッと窓を振り向き、窓からのぞいている先生の顔を見付ける。
「普通っていうなぁ!! って、まだいたんですかぁ!?」
真っ赤になって窓に駆け寄ると、先生はすばやく身を翻し、逃げてしまった。
先生の走る足音が離れていく。
奈美は窓をピシャリと閉め、力が抜けたのか椅子に座り込み、テーブルに突っ伏してしまった。
「・・・・・先生のバカ・・・・・」
顔を伏せたまま、くぐもった声でそれだけつぶやいた。
しばらくの後、奈美はゆっくり顔を上げた。
頬のテーブルに付いていた部分が赤くなっている。
(・・・・・・ホントは用意してあるけどさぁ。まあ、作っちゃったし。)
少し乱れた髪を押さえつけて、奈美は立ちあがりエプロンを外した。
エプロンを適当に畳み、椅子の背もたれに掛けると、奈美は傍らのキッチンラックにまとめてある紙袋を
探り始めた。
(しっかし先生もモテすぎて大変だよねぇ・・・・・・、みんなで争いまくってるもんな・・・・・・。 ――まあ、私
はとても入っていけないけどさ。)
ちょうどいいサイズの紙袋を取り出したところで、奈美の頭に、ふと、浮かんだものがあった。
(・・・まさか・・・・ね。・・・・・考えすぎだよね? ・・・いやでも・・・・・)
一度、頭に浮かんだ考えはなかなか消えず、奈美はのろのろと、一番、形のいいシューを紙袋に入れる。
(――それだけならまだいいって、先生が・・・・。・・・じゃ、先生は私に・・・・・・・? そ・・・それじゃあ、いつも
の悪態は、そのため・・・・・・・・?)
じわじわと胸の内に広がる考えをまとめながら、奈美は紙袋の口を閉じた。
自然と鼓動が早くなってくるのが自分でも分かった。
(・・・・・憶測・・・・・でしかないけど。・・・なんか、いいな、この気分・・・・)
奈美は両手で持った紙袋を見つめ、微笑を浮かべた。
「よしっ! ・・・泣かされに行ってやるかな。」
奈美は笑いながら目を閉じ、紙袋に軽く唇を触れさせた。
唇が触れたところで、
「・・・ばっ・・・・! 何やってんの私は!? 中学生男子か!?」
少し赤くなって、今触れた場所を手で払った。
「お邪魔しますよー」
「あああっ!! 感謝強盗がお見えになった!」
「なぜ丁寧語っ!? なんか余計に腹立つ!!」
奈美は宿直室の入り口に立つと、先生に紙袋を差し出した。
先生は無表情で受け取ると紙袋を開いた。
「自信作なんですよ? さ、どうぞ。」
奈美にうながされ、先生はシューを頬張る。
「・・・・もちろん北海動産の生クリーム使って、バニラビーンズは本場フランス産なんですよ!
卵黄だって、平飼いの自然卵で・・・・・・」
延々と説明する奈美を見ながら、先生はゆっくりとシューを咀嚼し、飲み込んだ。
奈美は笑顔で先生に尋ねる。
「どうですか? おいしかった?」
「・・・・・・・・・良いと思いますよ。」
奈美の表情が固まる。
「え・・・ええ? 感想、それだけ!?」
「いや・・・・そう言われても・・・」
「・・・ほかに、あるでしょう? なにかもっとこう、しっくりとくるのが―――」
奈美の言葉に、先生は「ああ!」と、何かに気が付いたように手を打った。
「普通でした。」
「・・・普通って言うなぁ!!」
奈美は先生に向かって叫んで、部屋を飛び出してしまった。
「・・・・・・・もう、ぜーっっったいに、先生には何も作ってあげないからね!」
廊下の先から奈美の叫び声が聞こえてきて、先生は苦笑した。
「・・・やっぱり、普通ですね。」
誰にとも無くそうつぶやいて、先生は一瞬嬉しそうな表情を浮かべた。
先生は苦笑を浮かべたまま、聞こえなくなるまで、奈美の足音を見送っていた。
553 :
305:2007/10/06(土) 23:13:31 ID:Qej4s3IG
お粗末でした。
原作で、奈美といる時の先生が、一番、素の状態に見える私ですww
見てると癒される・・・
ドSだな。
絶望放送を思い出したよ。
あぁー良いなこういう微笑ましいの。超GJです。
ぷりぷり怒る奈美に萌えつつ、判りにくいツンデレな先生にも萌えてもうた。
GJ!!
原作をうまく絡めてるな〜。
やっぱり先生はツンデレ受けだなw
あびるが怖い
>>557 それはつまりアレか?
今週の落語ネタのつもりか??
百合向けの「ハル×チリ」を考えてたら「バル(ボラ)×チリ」という
妄想が浮かんで来てしまった私は病んでるかもしれん。
それ以前にココで百合は鬼門だ。
>>560 あぁ、スマン表現の仕方がマズかった。
「バル×チリ」の方はノーマル(広義的な近親相姦?)だからw
別に鬼門ではないと思う。あっちは保管庫とかないし、こっちに比べると何時消えても
おかしくないような不安定なスレ。
投下する者の好みでしょ。
保管庫がないなら作ればいいだけの話じゃないのか?
このスレの初めのほうでも百合に対しては余りいい評価ないぞ。
むしろ批判の方が多かった。
>>526 >こういうのが読みたい。
最後の奴は元はなんだっけ?
絶望メンバーによる夜のピクニックは何かすごそう。
>>563 別にマジパロだってなんだってあるんだから百合も許容していい気がするけど。
あまりいい評価ないって具体的なレスあったっけ?
批判というか、百合専用のところがあるから
こっちじゃなくて、そっちでやったほうが向こうもうれしいだろう
って感じじゃないの?要約すると
エロでもない鬱系は許されても百合はダメとか意味わからんけどな。
苦手な場合はスルーして下さい何てよくある言葉ですが百合は無条件でNGなわけ?
とは言いつつノーマルな方が好きなんだがね。
百合専用スレがあるなら、ここでやらなくても
そっちでやった方がいいんじゃね?ってことでしょ
別に「批判」も「無条件でNG」もしていないような
>>564 ぐぐったところ、スティーヴン・キングの「暗黒の塔」シリーズ1巻だそうな>最後の奴
ならそっちがあるよ、ぐらいの情報提供でいいじゃない?
こっちに投下したい人がいるならそれでOKじゃないかと。向うに保管庫がないのが嫌だというの
だって立派な理由じゃないかな。なければ作れ、とまでいうのはどうかと。
>>564 サンクス。そうかスコップ・スリンガーってわけですね。
書いてみたいが、難しそうだ・・・。
↑失礼。アンカー付け間違えました。
>>568さんへでした。
>>567 「私藤吉ですけど百合なんて見たくないんで他でやってくだしあ」
の意だろ。
百合でも最初に注意書きすりゃここに投下しても良いって事でFA?
ところで女体化で百合ってのはどうすりゃ…いやごめん何でもない。
それはこっちな気がするなぁ
あっちの人たちの趣向とはずれてるような・・・よく知らんけど
男同士が投下されたら数字板池というだろ?
女同士でも同じ事。それがわからない百合厨は死ねと。
>>569 過去に二回も行って両方とも無視されたがな。
それどころか2度目には非難されてる。
なんか最近周期的に荒れてんな。
2期も決まったことだし皆でまったり職人さんのSSを読みながら感想を言い合おうぜ!
別に百合でもBLでも明確にスレ違いってわけじゃないだろ。
俺様が気に入らないから、って理由だけでしょ。
そりゃ無視されるだろ。
BLは普通に自重されてる。
じゃなきゃ今頃ここはそんなんばっかりだっての。
基本読者は腐女子の方が多いから。
>>544「奥様は魔女」だから大草さんだったのか(笑)
マリアが妖精とか予想外な面白さがありますね
ここはBLに過剰に反応する住人が多いからな
BLはほんのネタ程度でも叩かれてるぞ
少しぐらいなら百合はあってもいいような気がするがな…
例えるならエロ漫画雑誌やエロDVD雑誌のように
メインは男と女の絡みだけどごく一部の作品は百合、みたいな
百合スレが無かったらここまで文句は出なかったろうけどな。
既にあるからこそ問題なんだよ。
584 :
105:2007/10/07(日) 14:41:35 ID:5bIXtunv
百合会議でスレが良い感じに乱れてきましたかね。これくらいが私には心地良いです。105です。
お昼時からお見苦しいSSが投下されます。今晩予定が入ってここにこれなくなるかも知れないので、
(多分大丈夫とは思いますが)心配性な、いやハートまで虫な私は今投下します。
エロ無しです。キャラ崩壊はあります。では・・・。
>>580さん、マリアには「ツンデレだネ」って言わせたかっただけです。あと、後で出ますがハッキリ物を言う点も
採用の理由です。変な配役してんじゃねえよって思われましたらすいません。
階段を一歩一歩下りてくるのは、将来この国の王となる、ノゾム王子。
色白いすっとした顔立ちをまっすぐ持ち上げて、フロアを見る。
もちろん、王子らしく行き交う人とのあいさつも欠かしません。
そうこうして王子が大部屋の中央に来るまでに、周りには王子を一目見たいと言うよりむしろ見て貰いたいという
‘自称将来のお后様’であふれかえりました。
ゼ「あ、あの、みなさん、落ち着いてください・・・?」
王子の声など聞こえてないといったように、会場はもう大混乱です。
そこに一人、老紳士風の男が、この混乱を解せぬかのようにスルリと割って入りました。
老「みなさん、ご静聴下さい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あれだけざわついていた会場をこの男は一言で静まりかえしました。
老「失礼しました。私こちらにおわします王子の召使い、ギャリソンと申します。本日はお集まりいただき誠に光栄でございます」
時t・・・、もといギャリソンは形通りのあいさつを淡々と述べました。
ギ「さて、本日はただの舞踏会ではないことを、その様子では皆様ご存知のことかと思われます」
その言葉に、静かだった会場がザワ・・・っとなる。
ギ「いかにも、今日王子は嫁を探しに参った次第でございます。十二時になりましたら、イトシキ族見合いの儀を始めます!」
‘イトシキ族見合いの儀’というのは面白いことが好きなこの国の王様が考えたモノで、
目があったら即結婚という、まあ見合いでも何でもないモノなのですが、
歴代のお后様の何人かがこの方法で決まっていたものですから、国中の人が知っていました。
ギ「ですから、十二時までは普通のダンスパーテイとさせていただきます!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ギャリソンが仕切ってから、普通のダンスパーティが行われました。
といったものの、ノゾム王子のお相手にと、順番待ちをする女の子たちが後を絶ちません。
ダンス中も、ノゾム王子に積極的に話しかける女性ばかり。王子は会場の女性たちをのべつ幕なく相手をするのでした。
その一人一人に丁寧に返すものの、心から楽しんでいるのかはわかりません。
ギャリソンもその一人一人にチェックを入れます。
ノ「(私は、消極的な子の方がいいんですがねえ・・・いや、そんな人、いるわけがない・・・)」
王子の周りにはいつも積極的な人間ばかりでした。そのくせ、みな王子に対して遠慮がちな態度です。
あるいは、口下手な人は、無理にでも話しかけようとしました。
王子は、そんな人たちに、うんざりだったのです。
ノ「はあ・・・。」
女「あら王子様、私程度では、お楽しみ頂けませんか?」
自分を卑下したコトバでしたが、その態度には自信で満ちていました。
ノ「いいえ。・・ただ貴方の魅力の前に、力が抜けてしまったのですよ」
女「勿体ないお言葉、カエレッタは嬉しゅうございます」
さりげないアピールも忘れない。別に、この女性が悪いというわけではないのですが、
言うなれば王子は、運命というモノを求めていました。
ノ「(今夜の見合いの儀・・、けして目を合わせずに、時間制限の朝を迎えてみせる・・・。なあに、私はこの日のために、
特訓として一週間誰とも目を合わせずに生活してきたんです。やってやるよL・・・もとい父上!)」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
パーティもそろそろ後半になってきた頃、王子の周りにまた人が訪れていまし7た。みんな十二時の鐘の音と共に、
王子と目を合わせようという魂胆です。王子のダンスも、小さく踊るしかないようです。
・・・そんなとき、この部屋の一番小さな扉、といっても縦横3mくらいのものから、背の低い女性警備員が走って現れました。
鋭い目つきを持ったその女性が、息を切らしながらあたりをギロリト見渡しました。
ギャリソンが対応します。彼はこの宮殿の中でも古株なのでしょうか。
ギ「何ですはしたない・・・。ここはダンスパーテイ会場なのですよ・・!」
その警備員にギャリソンが詰め寄って、彼女の耳打ちをかがんで受け取る。
ギ「・・・・・・・・!!なんと・・・あいわかった・・・。」
ギャリソンはそのまま警備員が来た扉から出て行ってしまいました。代わりに、目つきの悪い警備員が残りました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
パーティが終盤となってきた頃、王子の周りはいよいよ女性だらけになりました。
人がいっぱいでホールはまるで芋を洗うよう、中国的に言えば餃子を茹でるよう、ム○カ的に言えば人がゴミのようだあ!です。
そんなにぎゅうぎゅうでモミクチャですから、あちこちで怒号が聞こえたりする始末。
女1「何でお母様までここにいるのよう!!」
女2「何でって、この見合いの儀はねえ、老若男女はおろか、人間じゃなくたってその対象になるのよ。
なら、歳は離れていても、私にだってチャンスはあるの!!今度こそ私は、王子と結婚してやるんだからあ!!」
女2「うううお母様あ!!!」
この混乱の中、王子はもう踊ってなんかいられません。
ノ「うう・・・ギャリソン!いないのかギャリソンん!!」
返事はありませんでしたが、そのとき、爆発音のような激しい轟音が、どこからともなく聞こえてきました。
一体何事でしょうか。地震の様でもありますが、揺れは一切ありません。音は鳴りやまず、むしろこちらに迫ってくる感じです。
ノ「その扉だ!離れろお!!」
王子が指さした扉は先ほどギャリソンが出て行ったものです。そこからどんどんと音の発生源が近づいてくるのが解ります。
しかし何でしょうか、この今までに聞いたことのない爆音は!?人々は恐ろしくなったようで、
とたんに、そこから出来るだけ離れようと、もう押せや退けやの大パニック!王子も何もあったモンじゃあないようで、
ノ「お、押さないでください!わわ、!引っ張らないで!!あぶ!!」
王子は転んでしまいました。その後何人に踏まれてしまったか解りません。
ノ「(・・・・・・・・・・だから貴族は嫌いなんだ。とても付き合いきれない・・・。
ああ、結婚・・・。結婚するなら、昔、まだ5歳か6歳だった頃に街であったあの女の子がいい・・・。
きっと百姓の娘なのだろう、服とも布とも分からぬものを着ていた・・・、可哀想に・・・もう死んだのかもしれぬ。
私は、たまにそんな彼女のことを思い出して、たまらない気持ちになる。
けれども、君たち貴族は、そんな彼女の心を絶対理解できないばかりか、軽蔑しているんだろう?
人から尊敬されようと思わない人と結婚したい。けれども、そんないい人たちは、僕と結婚できやしない。
僕は、王子だ。貴族だ。だからいやなんだ。・・・決めた、この見合いの儀、誰かと結婚することになったら死のう。)」
うずくまる王子を見ていたのは一つの鋭い目だけでした。
その目の持ち主が王子に駆け寄ろうとした瞬間、爆音の正体はいよいよ扉を破りました。
警「おっ・・王子ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
588 :
105:2007/10/07(日) 14:44:47 ID:5bIXtunv
はい話が盛りあがってきてから105です。真夜ラー的には谷井あすかさんの声で「王子ー!」なんて叫ばれたら死ねます。
好き勝手やらせて貰ってますが、ツンデレラ、もう少し続きます。お付き合い下さっているこのスレの皆様に謝罪と感謝。
今晩また来るかも知れません。これなくてもまた明日来ます。お付き合い下さいまし。
もう百合でもBLでも何でもいいよ
最初に言っておいてくれれば俺はスルーするだけだから
>>588 ところどころにコネタがきいててGJ!
続きを楽しみにしてるぜ!
っていうか801板のスレはSSの投下ができないが、
百合板のスレは投下ができる。故にどちらかというとBLの投下に正当性がある。
だけど両方とも投下するべきじゃないね。巣があるんだから。
>>588 台本形式はちょっと読みにくいけど盛り上がってきました!GJ!
>>588 毎回良い所で切るから続きが気になるw
GJ!!
ちょっと見てない間にまた良作が溜まっちゃってて、これが嬉しい悲鳴って奴ですねえ
>>462 規制食らってるときに藤吉姫なんて極上のSS来ちゃってて
感想言えないのの辛かったですよ、もう最高、かわいすぎます
次スレの半分が藤吉さんネタになってしまえばいいのに
昨日誰かさんが
>>292さんの小説に割り込んだせいで
保管庫の作品が変な事になってる。
>>588やだなあ変なキャスティングなわけないじゃないですか
絶妙なんですよ
望とギャリソンは予想通りでしたがまさか真夜が警備員だなんて!
そしてここで見合いの義ネタをやるなんて本当に予測出来ませんね
>>553 遅レスだが、GJ!
思い切り新谷ボイスで再生されました
百合がダメなんだから、エロ無しなマジパロも別スレ作ってやるべき。
反対派多そうだけど個人的には賛成。
スルーしてたけど、ぶっちゃけただの鬱系とか見たくないんだよね。
内容が良いか悪いか別としてもう原型とどめてませんから。
百合やら鬱やら凌辱やらエロ無しやらの場合は投下前にその旨申告して、
タイトルなり作者名なり付けてあぼんできるようにするのが書き手の義務。
書き手側を追い出して棲み分けさせるんじゃなく、
気に入らない作品があったら黙って自分でスルーするのが読み手の義務。
こんなもんはエロパロ板の鉄則中の鉄則。
守らないスレは100パー廃れる。きっちりしなさい。
>>292 雰囲気まで綺麗な作品だなあ
期待してるよ、自分のペースで頑張ってな!
百合の場合はあくまで好み以前の問題なんだけどな。
>>599 そもそもエロパロで原型てお前 だったら原作でも読んでろよ
百合だって好みの問題だろ。
エロパロの方がくくりが大きいんだから。
自分の好みの問題なのに、さも原理原則みたいに語るアホが多くて困るな。
もうやめようよ
この雰囲気で職人さんが来にくくなっちゃうのが一番怖い
そっちの方がスレが廃れるよ
嫌ならスルー、これでいいじゃない
全員が全員納得するスレのルールなんか作れないよ
真昼さんのSSには「エロなし希望」が読み手側から上がったくらいなんだし
>>604 だからさ、ここでBLが投下されたら801板に行けというだろ?
百合だって同じ事。BLが投下されたらスルーできるか?
最初にBLですと注意書きすれば投下を許容出来るか?
それがわからないから百合厨はウザいんだよ。すぐ虫のように湧きだす。
だから801と百合は板の分類が違うんだって
801はここと同じだが百合は違うの
つかこの板にも百合を題材にしたスレあるしな
喧嘩すんな。
こんな雰囲気だと職人さん来なくなっちまうぞ?
過去にアニメ化された作品のSSスレも皆同じような感じで崩壊してったなあ
結局各々が外部にSSサイトを置いて2ch内ではやらなくなることが多かった
いい加減にスルーしろよ。
BLとか百合とかの議論を持ちかける奴は住人を煽ってスレを荒らしたいだけだろ。
エロパロ板によくいる荒らしの手口じゃないか。
>>608 801板→SS投下不可
百合板→SS投下可
成程、確かに違うわな。ん?801板はここと何がどう同じなの?
面倒くさいな…読みたくなかったら読まない。以上
ってことでいいだろ
読みたくない読みたいの問題じゃなくて、
別に投下できる場所があるならここじゃなくてもそっち行けばいいだろって事だよ。
無駄な投下でスレを不必要に加速させるなよ。他に場所があるのに。
スルーするスルーしないって全然そういう問題じゃないんだよ。TPO考えろ。
まったくアホらし。
こんな流れ無視して投下してくれる神マダー?
「音無さん、あなたは”あの言葉”が口に出来ないようですね!」
<めるめる>
『ウッセー。オレはオレの道を行く!』
毒メールを送りつけてぷいんと、横を向いて反抗する芽留。
「絶望した!”あの言葉”を言えない音無さんに絶望した!!今から訓練しますからね!」
そういうと、望は芽留の服をあっという間に剥ぎ取り、床に突き転ばした。
<めるめる>
『スケベ!何するんだ、キモイぞ!!』
メールを打ちつつも、起き上がろうとする芽留を、望は押さえつけて4つんばい
にさせる。
「さあ、お尻を高くあげて、”あの言葉”を言うのです!!」
「………!」
今の自分の格好に気付き、羞恥心で真っ赤になる芽留。
ぶんばぶんばと、ツインテールを左右に振る。
ピシャッ。
望の平手が芽留の綺麗で小ぶりなお尻を叩いた。
磁器のように真っ白なお尻は、みるみる赤くなる。
「ひ!」
びっくりして、涙ぐむ芽留。
「”あの言葉”は!?」
強烈な威圧感を感じ、少女はブルブルと震えて何も言えなくなってしまう。
ピシャリ
「ぅん!!」
望がお尻を再び叩いた。叩いた部分が更に赤くなる。
「言えないんですか?」
「……」
ピシャ ビシッ バシッ
叩かれる度に、芽留の体が硬直し、あどけない唇から呻き声が漏れる。
いい加減手が痛くなってきた望が、芽留を見ると、黒く大きな瞳が潤み頬を
紅潮させて、何だか恍惚とした表情を浮かべている。
晒された無毛の縦筋をみると、ほんのり濡れていた。
「叩かれて感じていたのですか!!マゾの変態ですね!」
「!!」
酷い言葉に芽留の心は一瞬で凍りついた。
「ひぅ………ぐす……ひぃ……」
とうとう、泣き出してしまう。
「先生が、音無さんの嫌がる事をするわけないじゃないですか」
芽留は涙に濡れた瞳を上げた。
そこには、いつものように優しい望の笑顔があった。
芽留は自分が恥ずかしかった。
大好きな人になら、コンプレックスを持っている声を聞かせても恥じる事は
ないはずだ。
「さあ、先生を信じて、”あの言葉”を言ってみてください」
コクリと頷くと、芽留は口をパクパクさせて発声してみた。
「……ぅ……ん」
しかし、うまく声が出ず、何だかHな声になってしまった。
ガッカリする芽留に、望は慈愛の微笑みを浮かべて声を掛けた。
「発声練習すれば、すぐによくなりますよ。」
望は、芽留の尻をつかみ、後背位の体勢になった。袴をするすると解いて絶棒を
取り出す。
「私が突いたら、発声するのですよ!」
望は、高く晒された縦筋に、自分の絶棒をあてがうと、一気に腰を沈めた。
「ぐ……んん!」
あまりに幼い器官に、凶悪な肉棒が突き刺さり、芽留の全身を苦痛が引き裂く。
赤い純潔の証が、つるつるの縦筋からタラリと幾本も流れ落ちた。
強烈な苦痛に、歯をギリギリと食いしばって耐える。
しかし、望は容赦せずにガンガン突いていくのだ。
「ほら、どうしたのですか。発声練習ですよ!声を出してください!」
何度も幼い割れ目に絶棒が突きこまれると、鋭い痛みによる被虐の心が呼び覚まされ、
背徳の快楽が少女を襲った。
「あっ…はあっ…ふぅうんっ…あっはっ…」
芽留の艶めいた喘ぎ声が、響く。
「ほらほら、絶望しちゃいますよ!”あの言葉”を言えないなんて!発声!発声!」
罵声とともに、望が腰を入れてはずぶずぶと絶棒を中に入れる。
一方的に痛みを与えられて、陵辱されているという事実が、芽留の心を麻薬のように
蝕んでいく。
「ひっ!…あ…あぁあ…あぁああああ…ぁ…」
芽留は、無意識に小さな白いお尻をいやらしく蠢めかていた。
「いやらしいメス犬ですね。発情期ですか。」
望は手を伸ばして、芽留の綺麗なツインテールを両手に片方づつ掴んだ。
「……っ!」
頭に痛みを感じる芽留。かまわず、ツインテールを思いっきり引っ張る。
「ーーーーっ!!!」
強烈な痛みとともに綺麗な髪が数本抜け落ちた。同時に、芽留の体が禁断の快感に震える。
「さあ、”あの言葉を”!!」
痛みを与えながら、望は腰を入れて少女の割れ目を強く貫いていく。
ツインテールを引っ張った事で喉が反り返り、気道が大きく開いたおかげで、
芽留は遂に”あの言葉”を口にした。
「すっ…うっ…ぅ…んっ………スルー!…………スルー!!」
甘ったるい、舌足らずな声で懸命に言葉を発する芽留。
その瞬間、望は強い達成感に包まれ、未成熟な膣奥に欲望の証をたっぷりと放出した。
望は髪を離し、芽留の体をしっかりと抱き締めた。
「偉いですよ!音無さん。あなたは本当に頑張り屋です。素敵ですよ!」
愛する人に息詰まるほどの抱擁を受け、芽留の顔は恍惚となった。
少女漫画の教え子よろしく、感動にむせび泣いていた。
「さあ、もう少し練習しますよ。」
「スルー♪スルー♪ヽ(´▽`)/」
(終わり)
ムシャクシャしてやった。今は反省している。
>>612 カテゴリーが違うのが分からない?
あと801は誘導すれば可だが
百合とか無くていいけどID:tMakh3s0を見てると腐女子って必死だなと思います
ああ、sakura02とsakura03の違いってことですか。
まあ既に場所があるのに百合SSを投下する理由にはなっていませんね。
あとスルーという人の中に、ドサクサに紛れて百合を投下させようとする人がいますが。
いくら言ってもこちらの言いたいことが伝わらないので終わりにしましょ。本当アホらし。
>>619 失礼な、腐女子じゃなくて嫌百合厨です。逆恨みはお止めくださいな。
無論百合が撤退してるのに801を投下する人がいたら追い払いますよ。
もうわかったから、次スレじゃ関連に百合スレ入れといてくれよ
エロパロという大ジャンルがあって、その下にノーマル?なり百合なりがあると
思うんだけど、そうじゃない考えの人もいるんだね。
そもそも今まで百合のが投下されても問題は起きてなかったと思うんだけど、
こういう「追い払う」みたいなことを言い出す正義感の強い人が居座るように
なったらもうだめでしょ。議論しようとすれば荒れるだけだから。
まあ、従うしかないんじゃない? 保管庫が欲しいならあちらでも作るように
して。
従っていればこれ以上荒らさないくらいの知能はありそうだし。
エロパロスレの末期→作品投下していないのにIDが真っ赤な奴がいる
>>616 まさにエロパロって感じで良いな、GJ。
空気を読まずに投下しようと思います。
昔、『糸色先生の絶望個人授業』というのを書いていた者です。
第3話、音無さんの話です。
誰も期待してはいないと思いますが。
望が霧と体を重ねた翌日、朝の教室が普段と様子が違っていることに気付いたのは、望が教室に入ってすぐだった。
「常月さん、そんな所でどうしたんですか?」
普段は望の背後にいるかどこかに隠れるかして望を見つめ続けているまといが、
今日は教卓の横に立っているのだ。
「おはようございます、先生」
挨拶を返すまといだが、その表情は冴えない。
質問には答えないまといにそれ以上食い下がれない望。
「これはいったい…?」
偶然目が合った可符香に助け船を求める。
「定員が一人だからですよ」
「…意味がわかりませんが…?」
仕方がないので望はそのまま教卓につく。
―人影?
間違いなく、教卓の下に誰かがいる。
「せんせ…」
覗き込んだ望を霧の笑顔が出迎える。
どうやら霧がここに引き籠もっていたため、まといが入れなかったようだ。
「先生が勇気をくれたから来れたんだよ」
屈託のない笑顔を浮かべる霧。
「そうですか…いつかは自分の机で授業を受けられるようにしてくださいね」
頷く霧を見て望が立ち上がる。
「授業を始めます!」
わざといつもより大きな声で宣言する。
あまり引っ張るとまといが何を言いだすかわからないからだ。
kita!!
こういう職人さんが現れることを待っていた!!
参加メンバーが一人増えた以外はいつもと変わらない様子で授業が進む。
ピロリパロピリロラ
不意に望の携帯が鳴る。
着信画面は芽留からとなっている。
『仕事中だろ マナーモードにしろよカス』
「す、すいません。
ですがなるべく言葉遣いを…」
メール画面を閉じてマナーモードにしながらぶつぶつ呟く望。
直後、望の手の中に振動。
また芽留からの着信だった。
『何で生徒に手を出す犯罪者に気を使わないといけないんだハゲ』
「人聞きの悪い事を言わないでください!」
望が額に汗を浮かべて反論する。
しかしその声に力はなく、図星を突かれていると解釈されても仕方のないものだった。
「先生、脱線しないできちんと授業を進めてください!」
その様子を見ていた千里ががたりと机を鳴らして立ち上がる。
その眉間にはしわが刻まれ、視線は望をまっすぐ射ぬいている。
「す、すいません…わかりました。授業を続けます」
その後、この日は滞りなく授業は進んでいった。
しかし、千里は終始不機嫌なままだった。
〜〜〜〜
「では、連絡事項は以上です」
帰りのHRで望が一日の終わりを告げる。
だが、望にはもう一つ言うべきことがあった。
「今日の昼過ぎ、先生の携帯が湯呑みの中で水没しているのが発見されました…」
望はそこまで言うとだんっと教卓を叩く。
その音に驚いた霧が身を縮こまらせるが、構わず望は続ける。
「これは紛れもないいじめです!
絶望した!教師すら標的とされるいじめ社会に絶望したっ!」
冷静さを欠いた望を生徒達が止めに入る。
そんな中、芽留が一人表情を固くしていたが、それに気付くものはいなかった…。
〜〜〜〜
放課後。
珍しく芽留に誘われて、望は新しい携帯を買い替えに行った。
芽留の奨めた店は対応が早く、望はすぐに新しい携帯を手にすることができた。
「助かりましたよ、音無さん。
やはりこのご時世、携帯が無いと不便ですからね」
『別に 先生のためじゃない』
芽留は携帯の画面から目を離さないため、望は一人で喋っている気分になる。
しかし他に生徒がいない以上、芽留が口を開かなければどうしようもなかった。
「音無さん、たまには喋ったほうが…」
『なあ先生 他に誰とヤッたんだ?』
望の言葉を遮るように携帯の画面が鼻先に突き出される。
「…してませんよ」
目を逸らして答える。
次の芽留の言葉はメールによって発せられた。
『じゃあ オレが三人目かW』
「お、音無さん!何を…」
望は芽留の真意に気付いて驚愕の表情を浮かべ、メール画面と芽留の顔を交互に見比べる。
芽留はもじもじと体を揺らし、俯いて頬を染めていた。
それはいつもの癖なのかも知れないが、望の目には普段よりも顔が赤いように見えた。
―まさか、音無さんは本気…?いや、彼女に限ってそんなことは…
「ははは、冗談はやめてください。」
『なんだ 怖いのか?』
『もしかして包茎か?なんならオレが剥いてやろうか?』
立て続けに芽留から挑発メールが送られる。
望の手が震える、昼間に携帯を壊された時の怒りが再燃する。
「ひっ…!」
芽留が小さく悲鳴を上げる。
望の手が、芽留の携帯を持つ手を強く掴んでいた…。
望が芽留の手を強く引き、路地裏へと連れ込む。
芽留の両手首を掴み、バンザイをさせる格好で壁に押しつける。
芽留は目を伏せてその体を細かく震わせているが、抵抗する素振りはなかった。
「これから特別授業をしますから」
望は短くそう告げると芽留の手を頭上の中央に寄せ、右手でひとまとめに押さえる。
左手で携帯を奪い取ると芽留が目を見開いて望の方を見上げた。
「ちゃんと自分の口で返せと言えたらお返ししますよ」
芽留は答えない。
ここまでは望の予想通り。
―携帯…そうだ!
望の頭のなかに一つの趣向が浮かぶ。
「言えるようになるまでは、こうしておきましょうか」
望は取り上げた携帯をいじってマナーモードにすると、芽留のスカートの中へと潜り込ませる。
「…!」
それでも喋らない芽留を無視して手探りで股間へと押しつけた。
「携帯は、もともと口にあてて使うものですから」
下の口…という望なりの悪ふざけだったが、もちろん突っ込む者はいない。
携帯から手を離すと同時に膝を割り込ませ、太ももで携帯を押さえる。
別に、冗談を言うためにこんなことをしたわけではない。
趣向は、これからである。
望は自分の携帯を取り出すと芽留へと電話をかける。
ヴィィィィ…と、くぐもった振動音が路地裏に響く。望の太ももに袴の布ごしの振動…携帯を隔てて反対側にいる芽留もまた、同じ振動を感じていた。
「っひ!……ぁ……ぅ!」
突然下腹部を襲う振動に、芽留は堪えるように声を上げる。
そのまま何度も、何度も。
奇しくも望が今している行為は、芽留が昼間に望の携帯を拝借して行い携帯を壊す要因になった悪戯と同じものだったが、
望にはそれを知る由もない。
「ふ…ぁ……んっ」
刺激を送られるたびにこぼれていた芽留の声が少しづつ熱を帯び、その小さな体がびくん…と震える。
芽留の手はいつの間にか解放され、スカートの端を強く握り締めていた。
―た、楽しい…!
一方…望は、携帯で少女の体を責め立てることに夢中になってしまっていた。
手を触れず(芽留の下半身に太ももを押しつけているが、それは別にして)に、
幼い体に快楽の波を打ち付ける…まるで少女の操縦桿を握ってしまったかのような感覚。
―常月さんの時といい、私はサディストなのかもしれない…
そんな不安を感じつつも攻め手を止めることはできなかった。
不意に、望の着物の胸元が掴まれる。芽留が望にすがりつくようにしながら首を激しく横に振っているのが見えた。
「イキそう…なんですか?」
望の言葉にツインテールの頭が縦に振られる。
芽留の限界が近い、しかし、もう一つの限界が先に来てしまっていた。
「あ…」
望の携帯のディスプレイが電池切れを知らせ、すぐに画面がブラックアウトする。
あまりに中途半端、だがここでやめては白けてしまう。
「お、音無さん。続きをしたいならちゃんと自分の口で言ってください」
とっさに機転を利かせた望を芽留がはっとした表情で見上げる。その目には涙を溜め、顔は耳まで赤くなっていた。
「さいご…まで」
しばらく間を置いての芽留の返事。おそらく町中の喧騒の中では聞き取れないほど小さく、弱々しい声。
「よく、言えましたね」
先の行為で湿った下着を脱がせて片足だけ引っ掛けておく、さすがに外に置くわけにはいかないからだ。
続いて自分の準備も済ませた望が、芽留の太ももを抱え上げて自らの肉棒の照準を合わせる。
「行きます」と一声かけて芽留の腰をゆっくりと下げていく。
先端が触れた瞬間、少女が小さく声を上げるが、肉棒が秘所へ埋まり始めるとすぐにその声は悲鳴へと変わった。
「ひぎっ…うー!あぁっ!」
固く閉じた芽留の目から大粒の涙がこぼれ、抱えられた足がばたばたと暴れる。
望が体を支えているものの、芽留の体重で自然と肉棒は沈んでいき、処女を奪って膣奥まで蹂躙する。
望の肉棒はそれほど大きい方ではない、だがそれ以上に芽留の秘所は狭すぎた。
「すぐ…終わらせますから…」
芽留の様子に彼女の危険を感じた望はなるべく早く終わらせようと抽送を始める。
とはいえ体位の都合上、ひたすら芽留の未発達な体を揺すって肉棒を膣内に擦り付けるくらいしかできなかった。
「ぁ…ぅ……」
体内に熱く堅い杭を打ち込まれたような感覚に、芽留が目を見開き声にならない悲鳴を上げる。
しかし、幸か不幸かその状況は長くは続かなかった。
「もう…出ます…!」
今までに経験したことの無い締め付けに望が限界を告げると、
意識的にか無意識なのか芽留の首が縦に一度だけ揺れた。
「く…!」
望は中で達したいという本能的な欲求に歯を食い縛って逆らう。
芽留の体を壁に押しつけ、腰を下げて爆発寸前の昂ぶりを引き抜く。
支えを失い崩れるように倒れこむ芽留、
望はその体を抱き締めながら、白濁を解き放つ。
自身の先端に触れるセーラー服の布地を感じながら…。
行為が終わっても芽留は目を覚まさず、結局望が背負ってあげることになった。
彼女の制服の胸元は望の精液で汚れているため、無理に起こして歩かせるよりも好都合だったからだ。
「…目を覚ましましたか…?」
背中の少女が身じろぎしたことに気付いて声をかける。視界を塞ぐように現われる携帯の画面。
芽留の携帯は愛液で湿りはしたが壊れはしなかった。
―おそらく下着越しだったからでしょうけど
『痛かったぞヘタクソ』
「第一声がそれですか…」
『ヘタクソヘタクソヘタクソ』
「すいません…」
画面を埋め尽くす非難と俯いた望の謝罪。
処女を奪ったことと、痛くしてしまったこと。
今更したことの重大さを思い知らされる。
『オレの中は良かったか?』
望の目の前で芽留の指が高速で動く。
「ええ、良かったですよ。音無さんも可愛かったで」
途中まで喋ったところで後頭部に鈍痛、芽留の肘だった。
「痛っ!ま、待ってください!」
『忘れろ』
「…無理ですよ」
『氏ね ロリコン教師』
返事とは裏腹に背中にぎゅっとしがみつく芽留、やがて彼女の呼吸が安らかな寝息に変わる。
そんな重さとぬくもりを感じながら、望は夕闇の中を歩いていった。
〜〜〜〜〜
翌日。
朝、職員室に向かう望の袖が誰かに引っ張られる。
振り向いた先には、ツインテールの少女…芽留だった。
「おはようございます」
望の挨拶にただもじもじする芽留、しかし…
「…………!」
芽留の唇が微かに動く。
―おはよう…?
そう言っているかのようだった。
勘違いかもしれない、それでも少し満足そうな笑みを浮かべて芽留を眺める。
「ところで体の調子は…って、ジャージ…ですか?」
芽留の体を気遣おうと視線を下げたが、彼女は制服ではなくジャージを着ていた。
そして下は制服のスカート、何ともアンバランスな格好だ。
『 大量に精液を出 すから制服が きられなくなった』
…と、芽留からのメール。
「す、すいません…」
望が芽留から視線を外して携帯をみている隙に芽留は走り去る。
「音無さ…」
後を追おうとした望の手から携帯が抜き取られる。
手の主は背後…振り向いた望は絶句してしまう。
「ち…智恵先生」
望が見たのは自身の携帯を凝視する智恵の姿だった。
「あの、これはですね…」
必死に言い訳を考える望。しかしこの状況を打破できる言い訳などあるわけが無い。
「このメール、スペース前の文字を拾うと『大すき』になりますね」
携帯を見たまま智恵が言う、そのまま閉じてポケットへ。
「後でSC室まで来てください、そこで携帯をお返しします」
「待ってくださ…」
智恵は望に背を向け、遠ざかっていった。
望の顔が青ざめる、息が苦しい。
―私は取り返しのつかないことを…
罪の意識が胸を締め付ける。
しかし、絶対にこの件で警察の世話になりたくはなかった。
「とにかく行かないと…いざとなったら…」
続く言葉を飲み込み、奥歯を噛み締めて歩きだした。
智恵の待つ、SC室へ…。
読んでいただきありがとうございます。
神職人の皆様にはかないませんが、楽しんでいただけたら幸いです。
たぶん、続きますが、また時間がかかると思います。
>>641 >「このメール、スペース前の文字を拾うと『大すき』になりますね」
萌え死ぬかと思った。
素晴らしい。GJ!!
すみません!書き間違いが…
13の智恵の台詞「スペース前の」ではなく「スペースの後の」でした…
すみませんすみません!
>>641 GJ! 芽留かわいいよ芽留。
俺も『大すき』には悶死しそうになったw
ところで、次は番外編「智恵先生の加虐個人授業」ですかっ!(ふんふん)
……すいません、調子に乗りました。言ってみたかっただけなんです。
うわあああ芽留可愛いよ芽留
先生の携帯を壊したのもそういうことをしてたからなのか
GJ!!素直じゃないのがまたいい!!
>>616-617 面白かったw
是非とも保管庫に入れてほしいwww
>>641さんのおかげで場が和んだところでそろそろ次スレの準備か・・・?
>>641 GJ!!特に教卓の下にいる霧可愛いよ霧
次の作品も(0゜・∀・)ワクワクテカテカしながら待っています。
>>641 GJ!メールのスペースを使う発想が凄い!
続きも期待してます。
うはw すごw 芽留かわええ!!
まだ、埋め小ネタには早いかなー 思ってスレ見たら、芽留神ss連続とは!
・・・で、私が作ってた小ネタが、芽留だったりしてw
このシンクロに感動すら覚えましたよ!!
・・・ただ、私のはたいしたネタじゃないです。
良かったら見てやって下さい。微妙にエロいと・・・いいなw
ぴろりぱらぴりろら♪
「おや、メールですね。――音無さんですか。どれ。」
画面を開く。
『別に いいだろ 携帯持ったままでもよ』
「・・・・・・・・・・え?」
困惑した表情を浮かべた。
ぴろりぱら――
『なんだよ あせんなよコラ いまさら嫌なわけねーだろが』
『別に怖くねーよ! コドモ扱いすんな!』
『乱暴にすんなよ エロ教師! 優しくしろよ』
先生の表情が青ざめてゆく。
「これは――なんだか、アレを始める所にみえますが・・・・・・まさかね。」
ぴろりぱ――
『なななんだよ! イキナリ名前で呼ぶな! 恥ずいだろ!!』
『・・・しょうがねー じゃ 望って呼んでやるよ』
「うわああああああ!!」
先生は頭を抱えて絶叫する。
「お相手は私ですかぁ!! そんなバカな!! 私はここにいますよー!!」
必死に叫ぶが、もちろん携帯の向こうまで聞こえるはずもなく。
ぴろり――
『なんだよ! じっくり見んな! どうせ幼児体型とか言うんだろ!』
『ほめてるように聞こえねーよ! あ あんまり触んな!』
『よく わかんねーよ・・・ すこし くすぐったいくらいだぜ』
「ま さ か・・・・・ 影―― あああ! 音無さんー!!」
必死に返信を打とうとするが、芽留のメールの方が早く、次々と送られてくるメールに阻まれてしまう。
ぴろ――
『ああ ん・・・いいぜ 』
『は? そ そうか? 別に 責任とるとか考えんなよ いいって言ってんだからよ』
『何だよ 調子狂うじゃねーか いつも通りにしてろ タコ』
『あれ ちょっとまて おいハゲ おまえ何か』
先生の目が画面に釘付けになる。
「音無さん! 気が付いてください! それは私ではないのです!」
ぴ――
『携帯見せてみろ!』
『おま これ なんだ!? メール無』
『だれだ! オマエ! ダレ』
『やめ イヤダ! やめろ yめrお』
『せんs』
そこで芽留からのメールは途切れた。
「――――!! そんな・・・・・」
先生は青い顔で飛び出そうとして―――― どこに行けばいいのか分からず、愕然と立ち尽くしていた。
n?これでおしまい?
小一時間もたっただろうか。
あれから何度も打った返信に返答はなかったが、
ぴろりぱ――
メールの着信音に、先生は噛み付くように携帯を操作した。
「・・・音無さん!!」
『ゴメン ハゲ ・・・オレ ゴメン』
「音無さん! いま、どこに!? すぐいきます!」
『オレ 駄目だ オマエの事で頭一杯で ノーミソ働かねー』
先生の胸がズキンと痛んだ。
「とにかく そこに行きます!」
『会って どうすんだよ ドーセ なぐさめるだけだろーが ボケ』
『どうせ 責任取ってとか どーのこーの言うだけだろ』
「・・・確かに御仕着せな言葉ですがね・・・本気ですよ。」
『何が本気だよ』
「私と一緒になりましょう。・・・あなたを放すべきで無いと痛感しましたよ。」
『・・・あまり 嬉しくねーよ ハゲ』
「心底本気ですよ。慰めなんかじゃありません!」
次の芽留の返信がくるまで、少し間が空いていた。
ぴろり――
『オレ 何にも 喋らねーぞ?』
「知ってますよ。今更、構うわけ無いでしょう?」
『・・・結構、性悪だぜ?』
先生は少し笑う。
「それが何か?」
『・・・オマエ ロリコンって言われるぞ。』
「いいですよ。何と言われようが。」
言葉に詰まったように、芽留のメールが止まる。
「あなたが私を嫌でなければ。」
『そんなわけねーだろ!! 考えて 物言え! バカ!』
『じゃあ――――オレの事 アイシテル――のか?』
先生はボタンを間違えないようにゆっくりと打ち込み、返信した。
「愛してます。芽留さんを」
返信は無かった。
代わりに、突然、背後から小さな足音が聞こえ、背中に誰かが飛びついてきた。
「な!? なんです?」
飛びついてきた小さな影は、先生の耳元に口を寄せた。
(オレも だ)
吐息が耳元で擦れた音でなければ、確かにそう聞こえた。微かな音だった。
「音無さん!? いつ――」
先生は言いかけたが、芽留がやけにニヤニヤしている事に気が付く。
『悪いな』
「え? ・・・・・え?」
芽留の携帯の画面が差し出される。
『いや 影武者の話は聞いてたからよ ・・・チョッとな』
「ああああああ!! 狂言ですかぁ!?」
『引っかかってくれて嬉しいぜ ・・・ああ イヤミじゃねーよ』
「・・・・・・・あなたねぇ・・・・」
何か言いかけた先生に、芽留はズイと顔を近づける。
『何だよ こんな美少女が 自分の物になったてのに 嬉しくねーのかよ』
「・・・もう、何が何だか・・・・ やられましたねぇ。・・・あなた、中々の悪女ですね?」
投げやり気味な笑みを浮かべた先生に、芽留はニヤリとする。
『どうしても欲しいものなんだからよ どんな手でも使うぜ? 言ったろ? 性悪だって』
先生は肩をすくめて、芽留の髪を撫でた。
「・・・まあ、無事で何よりです。」
『悪かったな ――まあ センセイの立場もあるし 卒業するまで待ってろよ』
芽留はそう言って、先生の唇に自分の唇を重ねた。
先生は、ぎこちないキスをくれた少女の、赤く染まった頬を優しくなでた。
ゴメンなさい! ちょっとトラブルで固まったorz
焦ったー
ちょwまw GJだが次スレ立てる前から埋めんなww
とりあえず立てられるかやってみるが規制かかってたら誰か頼む
641、650お二人ともGJ
どちらもアイディアがよかった。
>>657 乙でし。
あとは埋めるだけですかな?
提案があるんですけど、ただ埋めるだけじゃなくてこのpart9の最優秀絶望賞、
絶棒賞(エロさbP)、糸色望賞(パロさ、面白さbP)、特別賞を決めてみませんか?
ツマンネ(;´Д`)と思われたらスルーでお願いします
素晴らしい神作品ばかりで、難しいですが、私は「真昼が雪」を最優秀賞に、
あとタイトル出ませんが、仕事の早さとそのクオリティから藤吉姫を推したいと思います
もちろん、埋めSSは大歓迎です
>>663 そういうのやめれ 他の職人が書きにくくなるだろ 皆それぞれ素晴らしいSSなんだよ
いるよな、なんでも順位を決めたがるやつw
あほかとw
どれもそれぞれ良かったよ
埋め小説に待機
667 :
430:2007/10/08(月) 19:20:26 ID:Yw7IHac9
>>641 >>655 芽留2連発、GJです!
お2人とも、携帯の使い方がうまいな〜。
で、次スレ立ったのですね!ホント、早っ。
ということで、埋め小ネタです。
小ネタが好きなもので、毎度毎度ですいません。
エロ無しですけど…埋め草だから、ということで…。
小ネタのくせに、微妙に
>>214‐
>>218の続きになっています。
「命さん、私たちが付き合い始めて今日でちょうど1ヶ月よ。」
女が、ある宝石店の前で立ち止まり、期待に満ちた目で命を見た。
命は、無言で女を見下ろした。
この女と「付き合った」覚えは毛頭ない。
しかし、女は命の腕を引っ張ると、ショウケースの前まで連れて行った。
「ほら、この新作がね…。」
女が高価そうな指輪を指差しながら話しているのを適当に聞き流しながら、
命は、ふと、ショウケースに飾られているペンダントに目を奪われた。
このブランドの定番らしい、四つ葉のクローバーをモチーフにした、
周りをゴールドに囲まれた白蝶貝のペンダントヘッド。
可愛らしさの中にも清楚できりりとしたイメージがあり、何故か、
医院を切り盛りしている、しっかりものの看護師を思い起こさせた。
その日、女を言いくるめて何とか追い払った後、命はその店に舞い戻った。
翌日。
帰り支度をしている看護師に、命は小箱を差し出した。
「…なんですか、これは。」
しかし、看護師の反応は命が想像していたものとは全く違っていた。
彼女は、有名宝石店の包装紙に包まれた小箱を見ると、
この上なく不機嫌な顔で、命に問い返してきたのである。
命はとまどった。
今まで、女性に宝石をプレゼントして機嫌を悪くされたことなどない。
「なんですかって…プレゼント。」
「どうして、私がプレゼントをもらわなきゃいけないんですか。」
「どうしてって…。」
その質問に、命は、はたと考えた。
確かに、何故だろう。
これを見た瞬間に、なんとなく彼女が思い浮かんで、
ほとんど反射的に買ってしまったのが正解なのだが、そうも言えまい。
「いや、ほら、いつも君は一生懸命働いてくれているし。」
「それに対しては十分すぎるほどのお給料をいただいてます。
それ以上に、こんな高価なプレゼントをいただくいわれはありません。」
―――それもそうだな…。
命は、再び考えこんだ。
そして、ようやく思い当たることをみつけて、顔を輝かせた。
「君、いつもミルクティー入れてくれるじゃないか。そのお礼だよ。」
とたんに、看護師は泣きそうな顔をした。
そして、うつむくと、消え入りそうな声で言った。
「ミルクティーは、私が勝手にやってることですから…。
そんなプレゼントなんか、いりません。」
看護師の半泣き顔に、命はうろたえた。
自分は、何か間違えたことを言ってしまったのだろうか。
女扱いには自信があったのだが、この娘だけはどうも勝手が違うようだ。
黙り込んだ命に、看護師は顔を上げた。
そして、小さいがはっきりとした声で、命に告げた。
「プレゼントなんて、いらないんです。
もし、先生が私のミルクティーを美味しいって思ってくださるんなら…
一言、ありがとうって、言っていただけるだけで、うれしいんです。」
命はきょとんとした目で看護師を見た。
「そんなもので…いいのかい?」
看護師は、きっぱりうなずいた。
「それが、いいんです。」
「そうか…いつも、ありがとう。」
命が、にっこり微笑んで見せると、看護師は、真っ赤になった。
それを見て、命は看護師に笑いかけた。
「君は、本当に欲のない子だね。」
すると、看護師は泣き笑いのような顔をした。
「そんなことないですよ…。
私、もしかして、誰よりも、欲が深いのかもしれません。」
「…?」
不思議そうな顔をする命に、看護師は小さく笑うと、
「それじゃ、お先に失礼します。」
と頭を下げ、扉を押して帰っていった。
「欲が深い…?」
一人、医院に残された命は、しばらく首を傾げていたが、
やがて、あきらめたように首を振った。
そして、ふと手の中の小箱を見ると
「そうは言っても、買っちまったもんはなぁ…。」
とぼやいた。
―――彼女に買ったんだから、他の女にあげる気はしないし…。
また、別の機会にでもチャレンジしてみるか…と、
命は、頭をかきながら診察室に入っていった。
671 :
430:2007/10/08(月) 19:25:19 ID:Yw7IHac9
命兄さんは、肝心なところで鈍いといいと思います。
えーと、もう一コ、小ネタを作ってしまったので、連続投下しちゃいます。
こちらは、先生とブラコンな倫ちゃんのお話です。
これもエロ無しですが、埋め小ネタ(ry
そして、なんか前スレでも似たような小ネタを書いた気がしますが…まあいいか。
ポロロロン
下校時刻の後、校内を見回っていた望は、
音楽室から響くピアノの音色に、そちらに足を向けた。
―――まだ、校内に残っている生徒がいたんですか…。
秋の夕陽はつるべ落としだ。
望が歩く学校の廊下は、沈み行く太陽に赤く染まっていた。
音楽室のドアは開いていた。
そっと中を覗くと、そこには、ピアノに寄りかかるようにして立ち、
鍵盤に指を走らせている女生徒がいた。
ポロン…ポロロン
優しいピアノの音色が、夕陽と相俟って何故か郷愁を誘う。
女生徒の顔は、どこか憂いを含んで見えた。
「…倫。こんなところで、何をやっているのですか。」
望は、そっと女生徒――最近この高校に編入してきたばかりの妹に声をかけた。
倫が、はっとしたように顔を上げる。
「お兄様…。」
歩み寄る望を一瞬見つめた後、倫はふい、と顔をそらせた。
「…今日も、お兄様、いろいろと大変そうでしたわね。」
「え?ああ…いつものことですよ。」
望は苦笑した。
まといに張り付かれ、千里や真夜に襲われ、ロッカーを開ければ霧がいる。
それは、この高校での望の日常だった。
「お兄様は…人気がおありなのですね。」
「人気…というんですかね、あれは。」
望は首を傾げた
倫は、鍵盤を軽く叩いた。ポロンポロンと優しい音が漏れる。
「ピアノを見て…思い出していたんです、子供の頃を…。」
倫は、鍵盤を見つめながら言った。
「あの頃は、上のお兄様たちも家を出てしまって、周りは大人ばかりで…。
私は、いつも、お兄様の後を付いて回っていましたっけ。」
「そうでしたね。ずいぶん難儀しましたよ。」
望はくすくすと笑った。
倫が、顔を上げて望を見た。
「私…この世界に、子供は、私とお兄様しかいないんだと
思い込んでいた時期もあります。」
「…。」
「…でも、それでも、全然構わなかった…。」
「……倫。」
倫が、望から目線を外すと窓の方を向いた。
「どうして、あの頃のままではいられないんでしょう…。」
夕陽はすでに街の向こうに沈みかけており、空は藍を増していた。
残光に照らされた倫の顔は、先ほどと同じ憂いに満ちていた。
「……。」
望は、黙ったまま倫を見つめていたが、
ポロロロロロン
いきなり、手を伸ばすと鍵盤に指を走らせた。
倫が、驚いたように望を見る。
「せっかくですから…久しぶりに何か弾きましょうかね。」
そう言いながら、望はピアノの前に座った。
「お兄様…ピアノ、今でも弾いてらっしゃるの?」
「いえ…実家を出てからは、ほとんど触ってません。…けど。」
望は、倫を見上げた。
「ノクターンくらいなら、弾けるかと思って。」
倫は、その言葉に、一瞬、瞳を揺らした。
「ノクターン…2番ですか?」
「ええ。…実家で、いつもあなたが私にリクエストしていた。」
倫は、黙り込んだ。
しばらくして、倫は、小さな声で呟くように言った。
「そうですね…本当に、お兄様には、よくこの曲を弾いていただきましたっけ。」
「私が弾ける曲のレパートリーなんて、そう多くはないですからね。」
おかげで、すっかり暗譜させていただきましたよ、と望は笑った。
「……では…久しぶりに、お願いします…お兄様。」
倫の言葉に、望は嬉しそうに微笑んだ。
ポロ…ポロロロポロンポロン
アルペジオを効かせたゆったりとした伴奏に、美しい主旋律が絡まる。
すでに、陽も沈み、薄暗くなった音楽室に響き渡る夜想曲。
倫は、ピアノに寄りかかり目を閉じて聴き入っていた。
煌く星のようなコーダの後の、最後の音の余韻が消えても
倫は目を開かなかった。
望は、指を鍵盤から離すと、ふぅ、と息をついた。
「あちこち間違えましたが…けっこう指が覚えているものですね。」
倫は、そこでようやく目を開けると、望を見た。
望も、倫を見つめ返す。
2人は、柔らかな笑みを交し合った。
「ありがとう……お兄様。」
「………どういたしまして…。」
望は、ピアノの蓋を閉めると立ち上がった。
「さて、と。」
ドアに向かいながら倫を振り向く。
「すっかり外も暗くなってしまいましたし…送りますよ、倫。」
倫は窓の外を見た。
すでに空には星がまたたいていた。
「夜想曲の、夜…か…。」
倫は小さく呟いて、ふっと笑うと、望の後を追った。
675 :
430:2007/10/08(月) 19:29:15 ID:Yw7IHac9
いや、先生お坊ちゃまだからピアノが弾けてもいいかな、と思い。
でも、何年も弾いてないのに、いきなりノクターン…弾けないよね…。
本スレの埋め小ネタ投下はこれでおしまいでございます。
後は他の職人さんたちの作品に期待です!!
430氏…さすがとしかいいようのないGJ
命先生が好きになりました!!鈍くても憎めないですねえ
やはり倫はブラコンに限る
絶倫先生ェ!!
430氏GJ!!
命先生はちょっと女性に鈍感なところがいいっす。
看護師さんに、少しずつ解されていくような関係がとても!
682 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 22:20:10 ID:JOVH7Xr6
倫はヤンデレ?
ヤンデレはむしろ千r
ヤンデレはうーm
うーみんかわいいようーみん
一途なまといは、先生にいじめられて半泣きで
不器用な千里は、先生に愛されて
普通の奈美は、適当にあしらわれながら
なんてのが映える
687 :
105:2007/10/09(火) 00:46:29 ID:Ktw66fHj
105です。ツンデレラの続きを迷いましたが次スレに投下しました。
良かったら見てやってください。当然スルーしていただいて構いません。
っていうかこんなとこまできて言うことじゃないですかねすいません。
皆さん埋め頑張りましょう。(?)
430様・・・、こんな素晴らしいSSとは知らずに邪魔してすいませんでした。
命兄さんと看護師さんは心に染みるいいカップリングだと思いました。
>>105 リアル加賀さんだなw 新スレGJだったよ!
あと22KBか・・・小ネタどころか中編SSでもいけるぜ
なので職人さんよろしく頼む いやお願いします
絶命や絶倫もよかっただSS読んで芽留で初めて抜いたぜ
俺もめるめるの処女奪いてぇ〜
少し新スレ立てるの早い気もするけど、最近のスレの流れからするとこんなものなのかな
いずれにせよ、あとは埋めるだけだな
新スレにまた変な奴が沸いてきてるけど、皆釣られずにスルーしような
おいwww
真昼氏のMADでこのスレの宣伝してる奴、出て来いwww
オレオレ、オレだよオレ。
とまぁ冗談は置いといて、どうも。真昼書いた奴です。
あんげなモノでも、読んで楽しいと思ってくれた人が居て感謝の極み。
しかもわざわざMADの方までコメントをくれて凄く嬉しい…の、ですが。
作品はエロなしでも、如何せんこのスレ自体はお子様お断り板に立ってるもの。
うp主コメに私信なんて書いといて、そもそもここで連載しといて何を言う、と思われるかもですが、
このスレに直接誘導するようなコメントだけは自重していただきたく。
今んトコ誘導コメなどは見受けられませんが、一応某動画サイトは全年齢対象。
万が一お子様がココに迷い込んでしまったら、色々とちょっと…な感じなので。
もちろんここの住人と思わしきコメントは凄く嬉しかったのですよ、飛び上がりたいほどに。
ですが一応予防線という事で、こげな長文を打たせてもらいました。
スレ容量も残り少ないというのに、私信でまで容量食いまくって申し訳ない。
今現在ちょろちょろと真昼後日談なんぞ書いとります。いい加減うっといかもわかりませんが。
今度はエロエロのグチョグチョにしてやんぞグヘヘ…とか思ってるんですが口だけかもしれないです。
あんな純愛系書いといて何ですが、本当は下品な奴なんですよ…えぇ、おっぱいとか大好きですよ…。
お疲れ様です。
早すぎる埋め小ネタを出した上、芽留でエロいもの書けないか挑戦してあんな有様で、
しかも名乗る事すら忘れていた305ですorz
懲りずに、また、埋めネタ作って来ましたw
真夜が主人公で、なんちゃってバイオレンス? なネタでw
ちょっと、暴力的な表現がありますので、スルー推奨で。
では。
時刻はもう真夜中になっただろうか。
人気のない暗闇の廊下を忍び足で歩いてゆく影があった。
右手にバットを持ち、油断無くまわりの気配を伺いながら、真夜は宿直室のドアを開ける。
ヒュッ!!
風を切る音がして、真夜の鼻先を何かがかすめて行く。
背後で硬い音――恐らくは鋭い刃物が壁に跳ね返る音がした。
「来ると思ってたわ。」
凛とした声で告げ、まといは、もう一本包丁を取り出して構えた。
真夜はまといから目を離さないように、部屋の様子を伺う。
部屋の中央で立つまといの他には誰もいない―――いや、部屋の隅に丸められたように見える布団から
は、白い腕と、長い黒髪が床に広がっていた。
「・・・邪魔しようとした奴は、先に片付けたわ。先生には逃げられたけど――」
その言葉が終わるのを待たずに、真夜は身を翻し廊下を駆け出した。
意表を突かれ、まといの動きが一瞬遅れた。
ほとんど体当たりでドアを開けて、まといは包丁を構えたまま真夜を追う。
廊下を走り、階段を駆け上がって行く真夜の背に、まといが無言で迫ってゆく。
真夜まであと一足で届く距離まで追いつくと、まといは包丁の切っ先を真夜の背中に向け、両手で構えた。
真夜は――突然階段に倒れこんだ。
「なっ!?」
勢いのついていたまといはすぐには止まれず、転んだ真夜につまずき大きく態勢を崩した。
なんとか、片方の手で階段の手すりを掴み、踏みとどまったが、
カキン!!
起き上がり様に振るった真夜のバットが、まといの片手から包丁を弾き飛ばし、この場には不釣合いともい
えるくらい澄んだ音が響く。
「クッ!」
まといは床を蹴り、階段から落ちるように、踊り場に転がった包丁に飛びつく。
バットを大上段に構えた真夜が背後に迫った。
瞬間、バットと包丁が交差する。
まといの包丁は真夜の頬を浅くかすめ、真夜のバットはまといの耳もとを撫でた。
「甘い!」
まといは包丁で切りかかった勢いのまま真夜に体当たりをかけ、階段を突き上がった。
屋上へのドアにそのままぶつかり、鍵がかかっていなかったのかドアはあっさりと開き、二人は屋上に転が
り出た。
両者ともすぐに相手と距離を取って起き上がる。
真夜は、頬の赤い筋を指で撫で、無言のままバットを構える。
まといは風を巻いて切りかかって来た。真夜はバットで包丁を受け止める。
屋上に金属音が鳴り響く。
二人で力比べをする形になるが、単純な腕力ではまといに分があるのか、真夜はジリジリと屋上の端へと
追い詰められてゆく。
真夜の額に汗が浮かんできた。
まといは構わず、一気に力を乗せ、
ビキッ!!
「あっ!?」
包丁にヒビが入り、根元近くからへし折れた。
力の支点を失い、まといはよろめき、その脇をくぐりぬけ、真夜は背後を取った。
バットを大きく振りかぶる。
「し・・・しま・・・・・ぐうっ!!!」
唸りを上げてフルスイングされたバットはまといの背中を打ちつけ、まといの体が宙に浮いた。
真夜はそのまま全力を込めてバットを振り抜く。
まといの体はフェンスを越え、夜空に浮かび上がる。
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ――――――・・・・・・・」
―――悲鳴、そして、一拍おいて鈍い音が聞こえ、
それきり、辺りは静まりかえった。
――数分後。
真夜は、ほとんど休憩も取らずに、急ぎ足で階段を降りていた。
カツーン・・・・・・・・・・カツーン・・・・・・・・・
下の階から響いてくる音に真夜は足を止めた。
ゆらり・・・・と階段を上ってくる姿が見える。
時々、松葉杖が小さく見える長身の少女の姿が現われた。
その体のあちこちに巻いた包帯と、片手を固めたギプス。
空いた方の手に持つ松葉杖の動きが止まった。
ゆっくりと、眼帯をしていない方の目で真夜を見上げた。
躊躇なく―――真夜は跳んだ。
頭上の利を生かし、数メートル上から全体重を乗せ、バットを唐竹割りに振り下ろす。
あびるの手が動き、頭上を庇うように松葉杖でバットを受け止めようとする。
メキッ!!
松葉杖は一度はバットの衝撃を防いだように見えたが、次の瞬間、耳障りな音と共に砕け散り、あびるの
頭を直撃した。
あびるの長身がグラリと揺れ、
しゅるしゅるしゅるっ!
唐突に両袖から伸びた包帯が真夜を捕獲した。
そのまま、抱き寄せるように真夜を抱えこむ。
真夜は暴れるが、万力を思わせる力で締め上げられて身動きが取れないようだった。
額から鼻筋を通って血を伝わせたまま、あびるは真夜に笑いかけた。
「捕まえた・・・・・・」
真夜には、ゆらりと迫ってくるギプスで固められた腕が目に入ったが、どうする事もできず、
ドボッッ!!!
鈍い音を立てて、真夜のがら空きの胴に、ギプスが刺さる。
激しい衝撃と共に呼吸が止まり、真夜の意識は暗転していった。
一瞬か、数時間か。
どのくらいの時間が過ぎたか、分からないが、真夜は意識を取り戻した。
痛む腹部を押さえ、ふらふらと立ち上がる。
あびるはまだ倒れたまま、ピクリとも動かない。
真夜は、落ちていたバットを拾うと、体を引きずるように、のろのろとその場を後にした。
まだ、おぼつかない足取りのまま、真夜は校内を彷徨っていた。
先生はまだ見つからない。
―――と、
チャリチャリチャリ・・・・・・・
その耳障りな音は、前方の暗闇の中から聞こえてきた。
何か、金属製の物で床を引っ掻くような―――音。
真夜は本能的に戦慄を覚え、身構える。
暗闇の先から・・・・・美しいロングヘアーを垂らした少女が姿を現した。
片手で引きずるスコップには、赤黒い液体が、生乾きのままこびり付いている。
普段、ぴっちりと真ん中で分けている前髪は乱れるままで―――
真夜は、それが彼女の危険信号だと知っている。
バットを構えた、次の瞬間―――
千里の姿が掻き消えた。
「!?」
いや、そう見える程の速度で間合いを詰めて来たのだった。
「うなっ!!」
奇声と共に振るわれた、すくい上げるようなスコップの一撃を真夜はほとんど、紙一重で体をかわす。
制服のリボンが千切れ飛んだ。
慌てて、間合いを取ろうとするが、燕返しに千里の二撃目が襲ってきた。
何とかバットでスコップを受け止める。
―――が
「うううなあぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
雄叫びと共に、千里のスコップは金属製のバットを真っ二つに切り飛ばした。
真夜は連続して後方にステップを踏み、何とか間合いを広げる。
その目がチラリと動き、すぐ横の教室が何かを確かめる。
「うなぁっ!!」
一足飛びに襲い掛かって来た千里を、辛くも横に跳んでかわしながら教室のドアを突き破って進入した。
一瞬、真夜を見失ったのか、千里の目が泳ぐように周囲を探る。
「うなっ!」
すぐに壊れたドアに気がつき、教室に飛び込んだ。
千里がもう少し冷静であったなら―――あるいは、夜でなかったなら、部屋の異変に気がついたかも知れ
ない。
空気の漏れるような音と異臭。
それに気がつく前に、千里を目がけて半分になったバットが飛んできた。
軽くスコップで払い落とし、部屋の窓際に立つ真夜を見つける。
駆け寄りながら、その手に持つ着火マンを見つけ、千里の顔が引きつった。
真夜は迷わずトリガーを引く。
―――轟音と熱風が二人を包み、科学実験室は炎に包まれた。
ガラスの割れる音―――
爆風に乗って窓から飛び出した真夜は、芝の上を転がりながら服に燃え移った火を消した。
科学実験室は紅蓮の炎が舐めるように燃え広がり、黒煙を噴出している。
真夜は荒い息をつきながら、力が抜けたのか、へたり込んでしまう。
次の瞬間―――
ぴしゅるっ!!
炎の中から伸びた紐がムチのように真夜の首に絡みついた。
そのまま恐ろしい力で引き寄せられる。
部屋の中で、炎に包まれて立ち尽くす千里の姿が見えた―――気がした。
悲鳴を上げる間もなく、さらに引き寄せられ、真夜は吸い込まれるように炎の中に消えた。
―――三珠さん
誰かの呼ぶ声
―――三珠さん!!
強く自分を呼ばれ、真夜は我に返った。
目の前には担任教師。そして、ここはいつもの教室の自分の席。
片手で頬杖を付き、黒板の方を眺めている自分。
「どうしました? ボーっとして? もう授業は終わりですよ?」
―――白 昼 夢 ?
真夜は立ち上がり確認するようにまわりを見る。
いつもと変わらない風景。
首をかしげる先生を真夜は見上げた。
「・・・・何か?」
じわり・・・と涙が浮かぶ
「み・・・三珠さん!?」
困惑する先生に構わず、真夜は ひし! と、その腰に抱きついた。
教室は水を打ったように静まり返り―――
次の瞬間、大騒ぎとなった。
次々と女生徒達に責められ、慌てている先生と、自分を鋭く見ている数人の女性との姿に、真夜は頭に浮
かんだ言葉があった。
―――予 知 夢 ・・・・・・かな?
お粗末でした。
699 :
292:2007/10/09(火) 17:49:09 ID:nWyJ8ORZ
『猫の瞳』の2章非エロ部分(前半)を投下します。
「なんだかんだで仲良くなる」の部分になります。
非エロが長すぎたので埋めSS代わりに・・風景描写とかできるだけカットしたんだけど・・涙目・・。
後半はすでに完成しているので、新スレ使わせて下さい(一応エロっぽいのあり)
ユニオンジャック、素で知らなかったしさ(´・ω・`)。指摘感謝。
【注意点】
非エロ、前座にちょっとだけ欝あり。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★
でもねえ、戦後の混乱期だろう。悲しい事が起こっちまったんだよ。
わしも良くは知らないのだがね。
神社の裏山でね、その女の子が死体で発見されたんだよ。
乱暴されたんだな。遠目で死体を見たけど、酷い有様だった。
犯人? 村でも色々な噂があったが、結局捕まらなかったよ。
戦後すぐってのは、そういう世の中だったんだ。
取り残された猫達は、しばらくご主人様の帰りを待っていたんだけど、
ある日突然、白い方の猫がフラッと外に行ったきり帰ってこなくなったらしい。
黒い方の猫は、他所の飼い主に貰われたって話だったけど……
直ぐに逃げ出したんだったかな?栄養失調で死んだのかな?
昔の事だから、よく覚えていないなあ。
そんな事も悲しい一事件として、すっかり忘れていたんだ。
ところが、あれは5年ほど前だったかな、ふと小耳に挟んだんだよ。
アメリカでね、ある将校さんが死んだって言うんだよ。
それも、白い猫に喉をやられたらしい。
その将校さんはうちの村に駐在していた人なんだ。
柄の悪い人でね、良く揉め事を起こしていたんだよ。
米兵って言ったって、ほとんどが規律を守る人だったし、中には村の復興を
手伝ってくれた人だっていた。
でも、あの男は例外だったね。
女の子の事件の時も随分取り沙汰されたんだけど、やっぱりあのご時勢だから
うやもやになってたんだ。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★
2章
週末――
日曜日である。
高校教師糸色望は、町外れの公園で頭を抱えていた。
公園には彼以外誰もおらず、時折秋の風が枯葉を舞い散らすのみであった。
月日が経てば経つほど、あびるへの恋情がつのり最近は授業も手に付かなく
なっていた。教壇に立っていても、ついつい彼女を目で追ってしまう。彼女に
新しい包帯が巻かれているのに気付くたびに心が痛む。
(ああ……どうすれば良いのでしょうか。教師が生徒に恋をするなんて、
絶対のタブーですよ。こんな邪恋が世間に知れたら、とんでもないことになります。)
溜息をついて、太陽を見上げる。秋空の太陽は、雲に覆われてにぶく光っている
のみで解答を与えてくれるはずもない。
『にゃーおー』
不意に、一匹の猫が公園の中に飛び込んできた。
「おや。この猫は……」
望の目に、Y字に分かれた2又の白い尻尾が映る。
望は、奈美からの情報であびるがこの猫を追っていることを知っていた。
(この猫を捕まえて、小節さんの好感度アップといきますか)
迷いを振り切るかのようにベンチから立ち上がると、ゆっくりと猫に近づいていった。
***********
「おかしいな。この辺に逃げ込んだはずなんだけど」
数十秒後、息を切らせて小節あびるが公園に入ってきた。
2又の尻尾を持った白猫を発見し、近くまで追跡してきたのだが、もう少しの
ところで見失ってしまったのだった。
胸に手を当てて息を整えながら、公園をぐるりと見渡す。
褐色の瞳が、ベンチの近くにうずくまっている和服姿の男を捉えた。
「あれ、先生じゃない」
何か知っているかもしれないと思い近づくと、何やらめそめそと泣いている。
あびるは、手を腰に当てて彼の前に立ち、腰をかがめて覗き込んだ。
「先生、どうしたんですか。こんな所で」
「ああ、小節さん。助けてください!」
取り縋らんばかりに、あびるの足元に体を投げ出す望。
「何を?」と言おうとして、あびるはギョッと固まった。
袴の裾から、白く長い尻尾がはみ出していたのだ。
あびるの瞳が強い光を帯び始め、白い喉がゴクリと鳴った。
「ど……どうしたのですか……その素晴らしいお姿は……」
緊張と喜びで声が震えている。
胸がきゅんきゅんして早鐘のように鼓動を繰り返していたが、彼女にとっては
それすらも心地よい。
「化け猫に取り憑かれたのです!!」
「はぁ?」
怪訝そうな表情をしながらも、あびるの視線は彼の尻尾から離れる事はできなかった。
風に揺られて、白色の尻尾が揺られている。
望が呼吸するたびに、ぴょこんぴょこんと小さく跳ねていた。
「しっぽーーー!!」
<ギュム>
とうとう、あびるは我慢できずに揺れるY字の尻尾を思いっきり握った。
(やったーーー!!ああぁ……素晴らしい感触!)
尻尾の毛並み…硬度は申し分なく、最高の握り具合である。
あびるをほんわかとした幸福感が包み込み、その顔は恍惚とした表情になる。
『にゃ!にゃにゃ〜ん!!』
あびるが尻尾を掴んだ瞬間、突如として猫の鳴き声が望の喉の奥から発せられた。
包帯少女はビックリして望の顔を見た。
「先生、今何か言いました?」
「く……口が勝手に……」
望は、手で喉を押さえて口をパクパクして見せた。
「ん?」と、あびるはその口許を見詰める。
『にゃにゃにゃにゃにゃ〜ん』
望の口が動き、猫の鳴き声を発した。
同時に<ぶんぶん>と望の首が振られ、その声が彼の意思によるものではないこと
を示す。
あびるの脳裏に、可符香との会話が響いた。
【――猫が20年間交尾をしないと、猫又といって強い妖力を持った妖怪になるの】
まさかと思いつつ、あびるは聞いてみる。
「ちょっと。あなた何者?」
『にゃんにゃん』
「残念ながら、私は猫語を解しませんね。先生、翻訳してください」
「せ、先生だって知りませんよ。大学で猫語は選択しなかったのです」
困り果てて、う〜んと唸ってしまう2人。
その時、あびるは可符香に貰ったコンニャクを思い出した。
「これを使ってみましょう」
まさか使う事はあるまいと思っていたコンニャクを、バックから取り出す。
(後で、可符香ちゃんには謝らなくては)
心の中で呟きつつ、コンニャクを口に咥える。口内になんともいえない味が
広がった。
『ににゃん、な〜お、にゃんにゃん。なごなご、にゃん』
「にゃんにゃあ、にゃにゃにゃん、にゃん」
真っ昼間の公園で、いい年した男と女子高生がしきりに『にゃごにゃご』
言い合っているのだから、傍から見たらさぞ滑稽だろう。いや、もしかしたら
何かのプレイだと思ってくれるかもしれない。
しかし、当の本人達は大真面目である。
「分かりました」
しばらく、猫と会話していたあびるが、コンニャクを口から離して望に告げた。
「何ですって?」
「先生に取り付いた猫は、50年以上前から生きている化け猫だそうです。
自分の願いを聞いてくれなければ、このままずっと先生に取り憑くと言っています」
一瞬固まる望。
公園を秋の爽やかな風が吹きぬけ、枯葉が舞う。
枯葉が囁くカサカサという音に、望は不意に我に返った。
「な、なんですかその非現実的なオカルト話は!
私は1999年7月以降、そういう話は信じない事にしてるんですよ!」
「しかし、これが現実です」
「うう。ね、願い事は何ですか?!」
どよんどしながら尋ねる望に、あびるは肩にかかった三つ編みを掻き揚げて
微笑した。
「願い事の内容なんて聞いてませんよ。だって、先生の尻尾とても可愛いんだもの。
ずーーっと取り憑いていてね、と言っておきました!」
それを聞いた望の顔に縦線がいくつも走る。
「なんてこと言うのですか! この姿を生徒達に見られたらどうなるか!
世間に知られたら、捕獲されてスーパーテクノロジーで実験台にされてしまいます!」
「ああああ」と頭を抱え込み、うずくまってしまった。
「まあ、いいじゃないですか。そのお姿とても似合ってますよ」
あびるは嫌味なくらいに素敵な笑顔を見せて、望の肩をぽんぽんと叩いた。
もちろん、もう片方の手はしっかり尻尾を握ったままである。
「う」
思わずその笑顔に負けそうになったが、精神力を振り絞ってぷいんとそっぽを向いた。
「そ、そんな事言われたって全く嬉しくないですよっ。願い事が何か位は聞いて
くださいよ!」
『な〜〜おぉ……』
涙を浮かべつつ全力で抗議する望に同情したのか、それとも予想外の展開に慌てたのか、
猫も哀れっぽい声で鳴く。
「そのままの方が可愛いのに」
さすがに気が引けたらしく、ぶつぶつ言いながらもあびるは再びコンニャクを
口に咥えた。
「にゃにゃん。にゃんこにゃお」
『にゃーにゃー。にゃんにゃん』
あびるは何やらしきりに頷いた後、コンニャクを口から離した。
「分かりましたよ。飼い主のお墓参りがしたいそうです。」
「なんだ、そんなことですか。私はてっきり魂を喰うとかカツオブシ10年分
強奪とかそういうものだと思いましたよ」
望は心底ほっとした表情で溜息を付くと、服についた枯葉を落とし公園の
ベンチに座りなおした。尻尾のせいで、どうにも座りにくい。
あびるは、立ったままの姿勢で言葉を続ける。
「しかしこの猫、飼い主のお墓の場所を知らないらしいです」
「ほう」
望は、顎に手を当てて少し考えてみたが、結論は決まっているようなものだ。
「じゃあ、お墓を探してあげるしかないですねぇ」
「そうですね」
あびるも同意して頷いた。
「小節さんも……手伝ってくださいよ」
あびると仲良くなるチャンスかも知れないと、望は少し下心を出して聞いてみた。
もちろん、先生と生徒の恋は禁断であると先ほどまで悩んでいたことは、
すっかり忘れている。
あびるは、すんなり頷く。
「いいですよ。その代わり、願い事がかなってもずっと猫ちゃんが取り憑いたまま
でお願いしますね?」
「それじゃあ、意味ないじゃないですか!」
考えてみれば、謎のコンニャクを持っているあびるの手助けは必須なのだ。
今後の展開に悲観して、思わず絶望してしまう望なのだった。
うおぉ続きだ、GJ。今後の展開が気になるずぇ。
新スレでもwktkしてお待ちしております。
>>292さん
GJGJです!
もしかしてアナザーエンディングのカフカSSの146氏ですか?
違ってたらスマソ
まだ書き込めるかな
305氏、すっげー面白かった!!
アクションかっけぇ! また真夜SSよろしく頼むぜ!!