【ドラマ】セクシーボイスアンドロボ2【マンガ】
乙彼
5 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 09:09:31 ID:r/xA3Xu2
age
ロボ視点から見た最終回です。エロ無しでちょっと暗いです…
一海ちゃんデートの件が、一海ちゃんが遊び人過ぎて自分の中で納得できなかったのと
ロボの気持ちや行動にかなり妄想とねつ造が入っていますが、解釈の一つとしてご了承下さい。
長くなってすみません。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ニコ。
君と会わなくなって何ヶ月たったのだろう。
吸い込まれそうなこの青空の下で、君は何を思っているのだろう。
友達のこと、家のこと、学校のテストのこと。時々は俺のことも思い出してくれるかな。
いつか君と、星と星が近づくようにまた急接近する時があるだろうか。
三日坊主が帰るべき場所に帰った後、俺はなぜか一海ちゃんとデートすることになった。
記念すべき初デートの日、俺とマックスロボはちんぴら二人組にボコボコにやられるはめになった。
マックスが破壊された瞬間、俺は一海ちゃんの存在も忘れて、散らばる破片の行方を追ってしまった。
いつのまにかニコが呼びに行ったらしく、警官がやってきて、ちんぴら二人組は退散した。
俺は呆れ顔の一海ちゃんに「ごめんなさい。」と謝った。立ち向かえなかったことよりも、一瞬忘れていた
ことが申し訳なくて。
「別に…いいですよ。」と彼女は冷静な声で言った。「でも、これで貴方と私がお付き合い出来ないってこと、
良くわかったと思う。」
ハイ、と俺は小さな声で言った。俺にはそんな資格ないです。
「あなた悪い人じゃないけれど、私たち相性が合わないよね。いろんな意味で。」 悲しいけどその通り、だと思った。
「あの…、本当は、もう別の方とおつきあい、されてるんです、よね?
その人とどうか幸せになって下さい。」と俺はうつむきながら言った。
「ああ、あれ?嘘ですよ。」
「嘘?」
「名梨さんとこれ以上仲良くならないための嘘です。」
「えー…それって」
「名梨さんと私、たぶん同じ世界には住めないじゃないですか。
あの人・・・怖そうに見えるのに優しい人で。だから。私に気をつかわせたら悪いでしょ。」
「じゃあ、よっちゃ・・・名梨さんのために、あんな事をニコに言ったんですか?」
「彼のためっていうよりも。私のプライドのためかな。」一海ちゃんは艶やかに笑った。
「忘れられる前に忘れたふりをする方が、同じ寂しさでも我慢しやすいもの。
もし、社長さんと私とどっちか選ばなきゃいけなくなったとき、あの人は絶対社長さんを選ぶでしょ。
それってやっぱりちょっとツライじゃないですか。」
「そうだったんだぁ…。」
その通り、よっちゃんは本当は優しい。だから、きっと社長を捨てて恋に走ることはないと思う。
「私たち、特に何があったわけじゃないけど、これ以上名梨さんに近づいたら、私も本気になっちゃったかもしれないし。」
一海ちゃん、けなげな子だぁ。俺は自分が完全によっちゃんに負けてることはもうどーでもよく、泣きそうになった。
「そんな顔しなくても大丈夫。私モテますから、すぐに運命の人に出会って幸せになります。」一海ちゃんはにっこり微笑むと、
「あなたも、お幸せに。」ピンク色のワンピースの残像を残して、鮮やかに立ち去った。
俺は黙って、頭を下げる。
さようなら、一海ちゃん。貴女は、思ってたよりずっと現実的で、大人の優しさがあって、素敵な女性だったと思います。
一海ちゃんに完全に振られたのに、悲しいとは思わなかった。むしろ清々しくさえあった。
ただ、これでニコに一海ちゃんネタで騙されることもなくなったかと思うと、妙に寂しかった。
変だな。騙されていたかったのかなあ。騙されてバカバカ言い合うのが楽しかったのかなあ。
(あなたみたいな秋葉原にお勤めしているサラリーマンと、女子中学生が友達って、変でしょう。)
「幸子」に言われた言葉を思い出す。「変、なのかな〜。」
(カン様が好きってことにしておくと、便利なんだ。) ふいにかーちゃんの言葉が頭に浮かんだ。
「・・・一海ちゃんが好きってことにしておくと、ニコと友達でいるのに便利だった。そういうこと?」
自問自答する。じゃあ一海ちゃんがニコと関係ない人だったら何とも思わなかったの? えぇー。
いや、一海ちゃんは客観的に見て、可愛いかったじゃん。普通に会っても好きになっちゃうよ?
…でも、でも、俺はたぶん、ニコのお姉さんだからこそ、「好きだ」って思ってたのかも。
だって、俺は一海ちゃんがどんなことを考えていて、どんな強さと弱さを持ってるのか、最後まで気づかなかった。
本当の彼女を知らなかったし、知ろうともしなかった。
昭子さんの時はあんなに相手の想いが気になって苦しかったのに。
「結局、俺にとって大事なのは、ニコと友達でいることだったのかなぁ〜。」
今頃気づくなんて、MAXバカ野郎だな俺。 だけど… 本当は気づいてた気がする。
プッチーニ事件の翌日、
昭子さんが俺を置いていったことより、ニコを傷つけたことが気になっていた、あの日。
俺がニコを許した時(実際は許して貰った方なんだけど)、どんなに嬉しかったか、
温かい気持ちでいっぱいになったか、胸がキュウキュウしてたか、本当はわかっていた。
ねえニコ、一海ちゃんがいなくても、俺たち、友達でいられるよね。周りが変だと言っても、最後の一人になっても
俺は自分に味方するよ。だって俺にとってニコは、大事な、内臓だって取り替えられる世の中でも、
取り替えられないくらい大事な「友達」なんだもん。
いつかこの気持ちを、ニコに話そうと思った。上手く言葉に出来るようになったら。
ニコは、嫌がるだろうか、呆れるだろうか。気持ち悪いと思うだろうか。
でも、あの公園のベンチで許してくれたニコならきっと、微笑んで聞いてくれるような気がした。
その「いつか」が来ないかもしれないとは、その時はまだ、考えもしなかったんだ。
よっちゃんと社長は、流れ星のように俺の前から消えていった。
地蔵堂が無くなって、出動することもなくなり、俺とニコは会う回数が減っていった。
でも、そんなのは大した問題じゃないと思っていた。
ケロ山だって滅多に会えなくなったけど今でも友達で。だからきっと大丈夫だと思ってた。
中学生のニコと大人の俺では、時間の進み方が違うってこと、わかってなかった。
「ごめん、その話明日聞くわ、じゃあ、また明日ね!」
いつもの公園で、ニコは友人からの電話に出て、手を振った。
そういえば最近、転校生の友達が出来たとか言ってたっけ。
俺とニコはスパイになっていろいろ冒険したけれど、
中学生には中学生にしか出来ないことがたくさんあって、それはたぶんスパイよりも大事なこと。
ニコは俺が会社でどんな仕事をしてるか知らないし、俺もニコが中学でどんな生活をしてるかよく知らない。
知らなくても困らないし、お互いの邪魔もしない。俺たちのつきあいは、ずっとそんな感じだった。
翌日、いつもの通りコーヒーを沸かして、おやつにパンの耳の揚げたやつを用意していると、ニコからメールが来た。
「ロボごめん、今日行けない、三日坊主のポルターガイストのことでTVの取材が来ちゃってしばらく忙しいかも!」
そんな風に急に忙しくなるのはありふれた出来事だ。
だから、そのまま音信不通になってしまうのもありふれた出来事だったのだ。
次の日も、その次の日も、一週間、二週間たっても、ニコから連絡は来なかった。
一ヶ月たった頃、こっちから電話しようと思ったら、携帯がぶっ壊れてメモリが全部飛んでしまった。
昭子さんの間借り人に玄関先に投げられた時から調子が悪かったのに、無理に使っていたのがやばかったらしい。
もっと早く機種交換してメモリも移しておけば良かったと後悔した。
俺の電話番号は変えなかったけれど、ニコの電話番号も、メールアドレスも分からなくなってしまった。
同じ街に住んでいるのに、どんどんニコが遠い人になっていく。
バラバラになったマックスロボは修理出来たのに、それを買ってくれた少女の痕跡は、次第に俺の部屋から
消えていった。ニコ用のマグカップを手を滑らせて割ってしまった時、ちょっと涙が出た。
だけど、新しいマグカップは買わなかった。
ニコに会えるんじゃないかと思って、仕事が早く終わった日、いつもの公園に行ってみる。
そこで、壊れたおもちゃを修理したりしてたら、いつのまにか小学生達と仲良くなった。
俺は「おもちゃとアニメに詳しい面白いお兄さん」という自分の居場所を見つける。
最初は、ニコを待ってたはずなのに、今では子供達と遊ぶこと自体が目的になって公園に行くようになった。
「マックス、友情、パワー!!!」
こうして俺は、ニコのいない日常に少しずつ慣れていく。
会社の帰りに、夜空を見上げる。東京でも、こんなに星が見える夜があるんだ。
ニコ知ってる?1万年後、今の北極星は北極星じゃなくなって、白鳥座のデネブが北極星になるんだよ。
星だって動いてるんだよ、何十万年もかけて近づいたり、離れたり。すごいよね。だからさ、宇宙とか聞くとときめくじゃないか。
こんな会話を交わした日々を思い出して微笑む。懐かしさと、温かさと、痛みに包まれながら。
俺はいつまでもいつまでも星を見つめ続けた。
星を眺めた夜、不思議な夢を見た。ニコは地蔵堂の社長の格好をして、俺はよっちゃんの格好をして、どうやら
二人でスパイ活動をしているらしい。
「ロボ、出動だよ。救えるのは宇宙で私だけなの。」「宇宙とか言われると、ときめくじゃないか!」
目が覚めた時、ずっと心に残っていた寂しさが消えていた。星と星が近づくように、俺とニコの距離が近づくことも、
きっとまたあると信じてる。だから、ニコが見つけやすいように、俺は自分らしく輝く星でいればいいと思った。
冴えない小さな星だけど、宇宙の片隅でずっと輝いていようと思う。
だって 俺を救えるのは、宇宙で俺だけだから。
ニコ。本当は君に話したいことがたくさんあるんだ。でも、もう失くした心のかけらを探して、街を彷徨ったりはしないよ。
少しずつ咲いていく小さな花みたいな今の君が見れば、俺は変わらないように見えるかもしれないけど、
同じに見える違う毎日の中で、少しずつ変わって成長しているよ。
いつかまた俺たちの運命が重なる日が来たら、声を限りに君の名を呼ぼうと思う。
ニコ、お前耳がいいんだろ、だからその時には きっと
------------------ 俺の声を、聞いて。
以上です。
最終回のロボがなんだか可哀想で、脳内補完のために書いたのですが、
読んで下さってありがとうございました。
この何年か後に二人は絶対巡り合うんじゃー!!と、他の職人様のSSで妄想してハァハァしています。
12 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 16:38:56 ID:K+Q1rNJN
>>10 ありがとう!!GJ!!
ていうか普通に頭の中で映像化されてました!
ずっと揉めてたからもう誰も投下しないのかな、って思ってたけど一安心です!
GJ!!
14 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 09:17:11 ID:W2grFCVc
GJ! もやっとしていた部分に説明がついてスッキリでした。
星を見上げていたロボ。そこで振り向いたらニコがいたのかも、と思うと切ない〜。
初カキコ乙です!
GJ!
この板で泣けるとは……。
あの時ロボが振り向いたら違うラストになってたのかな、なんて思ったりしたものです。
>>1さん遅ればせながら乙でした。いいスレになりますように
夏の話を書いてみました。ほんのりラブで、エロなし。
昆虫がダメな人はスルーをお勧めします。
****
「見せたいものがあるから」
ってロボに呼び出されて、家を抜け出した。
夜風は心地よいけど、冬の夜遊びと違って夏は人が多くて怖い。
連れてこられた公園でも、酔っぱらいがいたかと思うと、茂みでごそごそするカップルが。
見せたい物ってこれじゃないよね?
きょどっているあたしを後目に、探検隊みたいな格好のロボはポケットだらけの暑苦しいベストから
ごそごそと何かをとりだした。
「はい!」
……って、頭につけるライト?
それに虫除けスプレー。それはいいよ、家出るときしてきたから、というのにシューシュー吹きかけ
られて、ムッとする。子供かあたしは。
「刺されると、集中して見れないからねー」
だから何をだよっ
「あーーー、あれ! あれがもうすぐ!」
空気を読まない大声で叫ぶと、ロボはあたしの腕をひっつかんで走り出した。ベンチでみつめあう、
あと5センチで口くっつくだろうって2人の方に。
イヤーーーーーッ
「ほら!」
喜色満面のロボが指さした先には、なにやら白い物がぶらさがって揺れていた。
何コレ?と言う頭をつかまれてライトが装着され、光の中に浮かび上がったのは
「……セミだ」
柔らかそうな青白いセミの、逆さ吊り。
「そう!昨日一昨日と雨が降ったでしょー?こういう晩は多いんだよ」
そう言われると足下には、きれいな丸い穴がぽこぽこと開いている。
「こっちのが背中に筋入ってるでしょ?
そのうちもっと割れて、アレみたいに中から盛り上がって来て
一時間ぐらいで、最初のこいつみたいに完全にぶらさがるよ」
次々と、お友達の様にに紹介されるセミの幼虫。
言われて初めて、公園中の木に、立て札に、しがみつく姿勢の茶色いの固まりや
そこから飛び出す青白く濡れて光る命に気が付いた。
「凄い……」
薄汚く思えた夜の公園が、たちまち違う世界にと姿を変えていく。ロボを中心に。
「初めて見た」
「だろうと思ってさ♪」
17 :
<2/2>:2007/07/25(水) 01:13:32 ID:y5aoFXVF
「……ちょっとキモイ」
「えーっ美しいじゃない!
オレなんて、何時間みてたって飽きないよ??」
「だって、やっぱり虫なんだもーん」
「あと10分! いや5分だから!」
これ以上何見るのー?と文句を言っていると、垂れ下がっていた白いのが動いた。
「きたー!」
腹筋(?)の要領でぐーっと頭が持ち上がると伸ばした細い爪があがき、ほんの一時前までは
自分自身だった殻を捉えて、さっと尻が抜かれる。
「ほら、ほら見た?? 凄いでしょ??」
「うん」
「ここからは、羽がぐんぐん広がるんだよー」
「うん」
ロボったら、興奮ついでにあたしの肩をつかんで一緒の幼虫を見てるもんだから顔が近いよ。
こんなこと考えてるの、あたしだけなのかな。
こっちも、ほらあっちもと、3,4回そんな腹筋を見物して最初の奴に戻ると、もう完全に羽は
広がって、白いけどセミだった。
「朝までに色がつくんだ?」
「そうだよー。でも今日はそこまでは見れないね」
見てたことあるんだね……。
帰り道。自販機でジュースを買っていると、横の枝にも逆さ吊りのセミがぶらさがっていた。
「ロボ、ここにもいるよ!」
そう教えて、そろそろ腹筋かなーと見つめながら一口飲む。
「これから変わるぞーって思いながらみてると、結構楽しいかも」
「でしょー?
だからさ、ニコにみせたかったんだぁ」
背中に寄ってきたロボが応えて、あたしの頭の横から手を伸ばしてセミに……触れずに
手を止めた。
「子供の頃は掴んでひっぱって、手伝ったつもりだったけど、
ホントは触っちゃいけないんだ。羽が曲がるから」
この姿勢……あたしロボの腕の中にいるんだけど。
「だから、見てるだけ」
そういうとロボは、あたしのジュースを勝手にとりあげて飲んだ。
っていうか、あたしを背後から抱きしめて、手を握っているともいえる。
ジュースの缶は戻ってきたけど、両手はやっぱり大きな手に缶ごと握られていて……
「せ、セミって6年も土の中で暮らすんだよねー?
気が遠くなるよねー6年だって!」
雰囲気を変えたくて小学生みたいなことを言ってみたのに、
「すぐだよ」
頭のすぐ上から振ってくるロボの声は変に真面目だった。
「6年なんて、きっと、すぐ」
天辺の髪にロボの頭が触れた。キスかもしれないし、違うかもしれないし。
その後は家まで、黙って前を歩くロボの背中についていった。
間接キスのジュースを飲みながら。
<*end*>
あら、夜中になんてかわいいお話が
投下されてるいるんでしょう。GJです!
ほんのりラブかぁ、いいねー。
GJ!
いやぁいいよ、いいよ。
GJです!可愛い。
意味深なロボの台詞に妄想がふくらむ〜w
昆虫嫌いはスルーしてくれってあるから
どんな話かと思ったら……
GJ!! ほんとかわえぇ〜〜
22 :
未来予想図 1:2007/07/25(水) 23:31:20 ID:q8atvYz/
20ですが、妄想が膨らんだわけではないですがwエロ無甘甘?なの書けました。
読んだ後勝手にしろ!なんてて方いたらスイマセ
ン〜
******
「あー赤ちゃんだ。ロボ見てよ、可愛いねえ」
休日の公園は家族連れが多くて、小さな子供の高い笑い声が響き渡っている。
「あ〜、本当だあ。ちっちゃいな〜」
あたしがふっと目にした若いパパとママと真新しいベビーカーに、ロボも
ラジコンを止めて目をやった。
「ロボと同じ位じゃん?あのパパさあ」
視線をゆっくりそっちから足下にしゃがんでいるロボに落とすと、
「そっかな〜……って、何その目?」
「別に」
こうも違うもんか。
「あー、あたしも若いうちに結婚して可愛い女の子産むんだ♪もちろん名前は幸子」
「まだそんな事言ってるんだ?ま、夢を見るのは良い事だ、うん」
「なーによ、それっ!ロボになんか言われたくないもんね。きっとあたしがハタチ
になってもロボはそんなんじゃ1人身だと思うよ。うん、絶対そうだ!」
「酷い!その言い方は酷すぎるう〜!なんだよ、俺だって温か〜い家庭作るんだ
もんね」
「はいはい、夢見るのは自由自由」
「あ〜バカにしてる」
ふーんだと拗ねながらラジコンいじりにまた意識を戻した。
「あ〜あ、ロボみたいなオタクが旦那様じゃ結婚したら苦労するよね」
「え〜、何で決め付けんの?」
「だってお金もないくせに趣味ばっかお金遣っちゃうし。多分お洒落なデート
なんかできないし」
「そんなのちゃんと考えるよ。いつまでも今のようにはいかないんだって事位
わかってます!ニコには心配掛けません〜。大人なんだからね、これでも」
意外とシビアな面もあるんだ。
「まあそりゃ少し位はロボット相手もいいけどさ。あたし結婚記念日とか誕生日
なんかは高い指輪とかじゃなくてもさ、お花位買って来てくれたりするような
旦那様がいいなあ」
「女の子ってそういうのが好きなんだな〜。ふうん」
じーっとラジコンの動きを目で追いながら、ロボは少しの間考え込んでる。
「ま、努力するかな。覚えとくよ」
チラッとこっちを見ながら
「奥さんが喜ぶのって、きっと俺だって嬉しいもんね」
と呟いて笑った。
「そうだよねー。あたしも相手が喜ぶ事してあげたいなあ」
それってなんだろうなあ、ってあたしも考えてみる。
23 :
未来予想図 2:2007/07/25(水) 23:32:50 ID:q8atvYz/
「ロボはどういうのが理想なの?」
「え〜俺?う〜ん、そうだなあ……」
何回も改良を重ねた萌えもんラジコンのコントローラをオフにして、腕組みを
してうーむと唸る。
「仕事から帰って奥さんと可愛い子供が『パパお帰りー』なんて言ってくれたら、
それだけで疲れが吹っ飛ぶような。皆が笑っていられるような優しい家がいいな、
うん」
「へ、そんだけ?」
「何が?」
「理想なんだからさ、もっとこう具体的な……料理がうまい人が良いとか、美人が
いいとか」
「だって好きだから結婚するんだよ?好きになったらさあ、きっと俺にとっては
奥さんが美人に決まってるの!料理なんか俺も出来るし、そんだけで決まらない
でしょ?」
「えー、……そっか。そういうもんかもね」
そうなのかもしれない。現実はね。
「あ、でも子供はたくさん欲しいなあ。男の子も女の子も両方欲しい」
「あたしも!幸子だけじゃ可哀相だもん」
初めて気が合った、と話が盛り上がって来てあたしもロボに並んでしゃがみ込んだ。
「あ、でもさ、男の子だとロボに似たらヤバいよね」
「えっ、何でよ?」
「だってさー、毎日ロボットアニメ一緒に見てマックスパーンチ!とかばっか
やられてみ?やっぱこれからは強くて逞しい男にならなきゃダメだと思うんだ」
「え〜、ロボットアニメ好きで何が悪いの?俺はね、息子には正義の心を教えて
やるんだ!腕力だけが男の強さじゃな〜い!」
「え〜、でもオタクはやっぱ困る。……んじゃ女の子は?」
振り上げた拳を下げながらロボが言う事には。
「そうだなあ、ニコに似てたら芯の通ったしっかりした子になるんだろうなって
思うよ。何だかんだ言っても優しくて、人のために一生懸命になれるようなさ」
聞いてて恥かしくなってきた。あたしの事そんな風に思ってくれてたの?って。
「そっか、てことは。正義感ある男の子としっかり者の女の子がいて、記念日には
俺が花を買って帰って」
「あたしは毎日子供達と『ロボお帰りー』なんて笑顔で迎えてあげたりして」
「あ、でもさ。誕生日が一緒だったら結婚記念日と2日しか夫婦の記念日ってない
んだけど」
「あ、本当だ。でもロボはそれだと花買うの楽でいいじゃん」
「そっか、そうだね〜」
そこまで言ってはたと気付いた。
24 :
未来予想図 3:2007/07/25(水) 23:34:27 ID:q8atvYz/
これってさあ。
「ねえロボ」
「うんニコ」
2人同時に声が出た。
「どっちの話なんだったっけ?」
あたし達はそれまで大声で語ってた事が、急に恥かしくなっていきなり無口に
なった。
「……ねえロボ」
「なあに?」
「あたし、幸せなママになれると思う?」
何となく沈黙が怖くなってとっさに聞いてみた。
「……ニコがそう思うなら、かなえてあげたいと思うな。俺なら」
ロボは手持ち無沙汰な感じでリモコンを撫でてるように見えた。
「ニコはさ、俺はいいパパになれると思う?」
「うん」
膝を抱き抱えた手を一層力を込めてあたしは言った。
「ロボならきっといいパパにも、素敵な旦那様にも……」
「あーーー!俺の萌えもんに何をぉ〜」
ロボはいきなり立ち上がってダッシュした。カラスがラジコンに止まったまま
ピンクの体をつつき始めたから。
「……聞けよ!はあー、もういいや」
あたしはあーあ、と付き慣れた溜息を付いてスタスタと歩き出した。
「ニコ待ってよ〜」
足だけは速いんだから。あっと言う間にロボは萌えもんを抱えて追いついて来た。
「さ、さっきの質問だけどさ」
ハアハア息を切らしながら話を切り出して来る。
「何が?」
「俺は?って聞くまでもないかなって思っちゃったからさ、もういいや」
「はあ?何で?」
「だってさ〜」
あたしの前に回って、ちょっと目を伏せた。
「ニコって今幾つ?」
「16」
「ならさ。後4年もしたらわかるんじゃない?」
「へっ?」
「だって俺はきっと幸せになるに決まってるから」
そう言うとあたしに背中を向けた。
「ニコを幸せに出来たら、俺も幸せになるの」
あたしがポカンとしてる間にロボはサッサと歩いていってしまった。
「ちょ、ロボ待ってよ!」
あたしも慌てて走り出して、ロボに並んだ。
「……あたしもロボもさ、いつか幸せになれるのかな?」
互いにちょっと指先が当たる。
「うん。なれる。きっとなる」
指先が少しずつからまって、それからしっかりと握り合う。
「でもロボットアニメはやめないんだよね?」
「花は何の花がいい?」
何となく見えてきた来た。
あたし(たち)の未来?
「おわり」
GJ!!
もう勝手にやってろって話大好きですw
>>22-24 あ〜いいねっ! なんだかんだいいながら
甘甘な二人が想像(妄想?)できる。
はい、名前は須藤威一郎です。
サラリーマンで、今も通勤の途中でした。秋葉原です。
ええ、先週もここに来ました。痴漢と間違われて。
マチガイですよ!ボクがそんなこと、するわけ無いじゃないですか!!
特に今日はアリバイがありますっ
いえ、電車の中には確かにいましたけど、この!
ボクの右腕のマックスロボが!無実を証明してくれます!!
ずーっと持ってました! ほら、満員電車で落とさないように外部装置で装着してあるでしょう〜。
いくらなんでも、この手で痴漢は無理ですよねぇ。
え?左手??無理無理無理。
物理的な問題だけじゃなく、この愛と!正義と!勇気の使者を持つ者が犯罪なんてー。
え、あれ? なんですか、その疑いの目はっ
違います! ボクは、断じてっ この人の黄色い横が紐のパンティなんて触ってませんから!!
キャーッて。どうしました?
なんで知ってるのって、紐なのはホラ、腰のこの辺がもこって。
痛い!! なんで叩くんですかー。
訊かれたから応えたのに。お巡りさん、この人ひどいです。
色? 色はそれは・・・ たまたま・・・
単に階段でこの人がボクの上にね、 男なら見るでしょ? ええ?お巡りさん見ないんですか?
覗いてませんよ! あくまで偶然に。 鏡なんてそんな!
だいたいブラが黄色ですよ? ほら肩ひも出てるでしょ。
こういう変わった色をわざわざ着る時はね、かーなりの確率で、お揃いですよ。ええ。
ひそひそって、どうしました? この? ロボットが怪しい?
いえー、贋作じゃないですよ。シリアルナンバーも、ほら。え? 違う?
盗撮の道具じゃないかって? まさか!!
分解って、やめて、くださいよ、離せよ、どけっ触るなーっ マックスパーンチ!!!
ブチ。
と、監視カメラ映像の録画を(秀吉に)停止させると、真境名は椅子ごと少女に向き直った。
「・・・ってことでネ、あの坊や、拘留されてるのよ。」
「そのままでいいんじゃないですか?」
「あらー。ニコちゃんがそう言うなら、そうかしら。」
<哀れロボの、明日はどっちだ!?>
チャンチャン♪
思わず吹きましたw
29 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 06:28:06 ID:xnBANlQk
ニコヒドスwww
エロありが書きづらい現状を打破したくて、ガチエロ(高校生ニコ×ロボ)
を書きました。エロありが嫌いなかたは飛ばしてください。
この設定ではロボの家にハーフユニット(浴槽のないシャワーのみの簡易浴室)
がありますが、ドラマの中ではお風呂があるかどうかは不明です。
では長いですがどうぞ。↓
31 :
夏1:2007/07/27(金) 18:01:50 ID:3G6NhVXm
いつものロボの家。
家主がいない留守を守るロボットたちに出迎えられて、私は玄関で靴を
脱いで上がりこむ。
「あっちぃー」
テーブルの上にカバンを投げ、熱気のこもった部屋の窓を全開にする。
窓から聞こえ始めたセミの声に少しだけ耳を澄ました。
まただるい一日が始まる。
「いいなあ…学生は〜」
夏休みに入った私に、ロボはため息まじりに呟いた。
「よくないよ…高2だから進路のこともあるし補習授業あるし・・」
「ま、がんばれ〜♪」
人ごとだと思って。
補習授業のない日はクーラーのきいた図書館で勉強するつもりだった。
なのに。改築工事とかで、利用していた大きな図書館は夏季中閉鎖され、
小さな図書館では勉強ができる机はとても足りなかった。
それで最初は仕方なく実家で勉強することにした。…のだが。
「なんだニコいたのー?」
「いたのーって・・・」
「しんちゃん奥の部屋いこっ」
一海ちゃんの後ろを見たことのない新顔の男がついていく。
そう、実家で勉強していると…姉が昼間から彼氏を連れてきては、
私の存在を煙たがるのだ。以前からそういうことはあったけれど。
「ねーニコ、お小遣いあげるからさー漫画喫茶でも行っててよ」
「えー…またー…?」
姉が家で彼氏となにをしたいのか、なんてどうでもよい。
何度か小遣いを握らされて、家を追い出されたことは、
姉が高校生くらいになったときから何度もあったことだ。
けれどそうやって素直に駅前の漫画喫茶に向かう自分がバカらしくなってきた。
「はあ…」
漫画喫茶に行く途中の道で、私は足を止めた。
32 :
夏2:2007/07/27(金) 18:04:44 ID:3G6NhVXm
そうして私はロボの家で勉強することにしたのだ。
クーラーがないという欠点をぬかせば、そこそこ快適だ。
夕方近くになって勉強も進まなくなったころ、冷蔵庫を漁って、
夕飯なんか作ってみたりする。
「あー、野菜がないかぁ…」
ノートを閉じて、近所の店に夕飯の材料を買い足しにいく。
メニューはカレーだったり、料理の本と格闘してみたり。
「私って主婦みたい…」
ふとそんな風に思ってしまった。こういうのもイヤじゃない。
だけどふと、フィギュアの山が目に入って考え直す。
「ヤダヤダ、こんなオタクなんかと誰が!」
怒りながらスープをかきまわす。
…。
ロボは。ロボはどう思っているのかなあ。
キスはしたけど、その先はまだないし…。
「まだ子供だから」って言って逃げているのは私なのか、
ロボなのか、わからない。
なんでかそんなことをさらに思ってしまって、部屋の暑さと、
火を使ったキッチンの熱気で汗ばんだ体がなんだか余計熱い。
料理も出来上がったので、一旦火を落とす。
時計を見ても、ロボが帰ってくるには少し早い。
さっぱりしたくて、シャワーでも浴びることにした。
ロボは我が家のささやかな灯りをみつけて、目を細める。
「ただいマーーックス」
玄関ドアを開けて元気よく言った。返事はないが、玄関にニコの靴があるのを
見て安心して、家に入る。
「あー疲れたぁ〜」
背広を脱いでネクタイをはずしながら、部屋の中を見回す。
テーブルに置かれた教科書、キッチンを見ると、良いにおいが
フライパンや鍋から溢れている。
「ニコお風呂〜?ご飯用意しとくね」
風呂場のシャワー音を聞きながら、料理に火を入れて、味見をする。
こっそり調味料を足した。
「ん、これでよしッ」
冷蔵庫から冷えたお茶のポットを取り出し、グラスに注ぎ喉に流す。
シャワーの音が。やけに耳につく。最近ぐんと成長したニコの
肢体を思わず思い浮かべる。
グラスの最後の一口を飲み干して、ゴクリと唾が鳴った。
あ、注釈忘れましたが、この作品はニコとロボの視点が交互に入れ替わる
ので、ちょっと読みづらいかもしれません。
34 :
夏3:2007/07/27(金) 18:24:33 ID:3G6NhVXm
体を洗いながら、あ、うるさいのが帰ってきた、とニコは思った。
シャワーで泡を洗い流して、つるつるした肌の感触を自分で楽しむ。
少し高いボディーシャンプーを買ってよかったと思う。
風呂場のガラス戸をそっと開けて、外につるしてあるバスタオルを
取ろうとして、それがないのに気がついた。
「ねーロボー」
「んー?なに」
居間のほうからロボの声が返ってきた。
「タオルとってくれない?」
「自分で取りにくればー?」
面倒くさそうなその言葉にニコはむかっとした。
「…とっとれるわけないでしょ、びしょびしょだし、裸でうろつけっていうの?!
うーあ、そうやって本当は私の裸、みたいんだ?」
ロボが黙ったと思うと、影が近づいてきて、バスタオルが目の前に投げられてきた。
ニコは戸の隙間からそれに手をのばす。
「ほんとまだ子供なんだから」
ロボが背をむけてつぶやいた言葉にニコは心底プライドが傷ついた。
「なによっロボのくせにっあームカツク」
テーブルに料理を並べて、洗い物をしようとキッチンに戻る。
その真横を浴室から出てきたバスタオル一枚のニコが歩いていった。
ちょーっもしもーし。
内心の動揺を隠して俺は見ないふりをして平然を装う。
チラリとみると、扇風機の前で、顔に風を当てて涼んでいる。
無邪気な少女のようで、男を無意識に誘う女の匂いもして。
…だから君は、子供なんだって。
「あー気持ちいい」
私はバスタオル一枚の姿で扇風機の前にたつと、風を一人じめした。
「年頃の娘さんが、お行儀が悪いよッ」
うしろで平然と洗い物をしたままのロボが母親みたいに言った。
「いいじゃん、どうせロボしかいないんだから。ロボは安全だしさ」
少し嫌味っぽく言ってみた。
「いいから、早く服着なさいね、ご飯できてるし」
妙に無反応なのが寂しくなる。
「はーん、本当は見たいんでしょ?でも我慢してたりする?ロボ意気地ないもんねー」
ロボがなにも言い返さないので、私はしばらく扇風機の羽だけ見ていた。
35 :
夏4:2007/07/27(金) 18:29:21 ID:3G6NhVXm
「…」
洗い物をしている水の音が止まったのだけが聞こえた。
突然だった。背後から私は両手首をつかまれて、ぐいっとロボのほうを
向かされた。巻いてるバスタオルが落ちそうになる。
「な、なに?」
私は真ん前の、固く口を結んだロボの顔に戸惑う。
「見たいよ、全部。俺だって男だし、ニコのこと好きだし」
「だからって…ん・・」
体を抱きしめられて、荒く長いキスをされた。唇が離れたと思うと、
そのままロボの唇は私の首筋を這う。
「あ、そ…恥ずかしいよ、ロボ…」
ロボは聞いていないのかやめてくれない。痺れるようなキスの感覚に、
飲み込まれそうになりながら、ロボのはだけたYシャツの胸元をきつく握って、
だんだん首筋から降りていく唇に抵抗する。
「ね、ロボ…やめて」
私の肩をつかんでいたロボの手が、ふっと緩んで体ごと離れた。
「ご、ごめん…」
ロボは私の髪を撫でると、目線を合わせないまま流しに戻っていった。
なにもなかったように私は服を着て、二人でご飯を食べた。
「ガンバスターいいなあ♪」
食後のアニメDVDを堪能するロボを横目に、私はさっきのロボのこと
ばかりが頭にあった。
「はあ、面白かった♪」
「ね。ロボ」
「?」
ロボがアニメを見終えたところで私はさっきのことを謝ろうと思った。
「ごめん…その、さっきなんか、からかっちゃって」
「そうそう、大人をからかうもんじゃないよ〜」
ロボは笑顔で私を見た。
「俺だってさーニコと…」
言いかけてロボは口をつぐんで、立ち上がった。
「あー暑い暑い。やっぱロボットアニメを見ると汗かくよね〜。
俺もシャワーあーびよっと」
36 :
夏5:2007/07/27(金) 18:35:10 ID:3G6NhVXm
「俺さー」
風呂あがり、白いタンクトップの中に扇風機の風を当てながら、ロボは
こちらを向かずに言った。
「ニコのこと、不幸にしたりしないよ」
テレビを見ていた私はロボが突然真面目なことを言ったので、返事に困った。
「なにそれ?よくわかんないけど…不幸にはなりたくはないな」
「うん。それだけは、信じてね」
なにを信じるのか、よくわからないけれど。
「暑いなー」
私はなんとなく夜風にあたりたくて、ベッドにあがると、窓辺にもたれた。
「ねぇニコ」
「なに?」
ふりむくと、ロボは私を見つめていた。
「俺、ニコと」
「ニコとしたいな」
37 :
夏6:2007/07/27(金) 18:38:19 ID:3G6NhVXm
どうして。そんなことを言うんだろう。なにを言ったらいいか、
わからないじゃない、ほんっとにバカなんだから。
「そろそろキスだけじゃなぁって…ニコは?」
なんで。ロボは好きなものにたいして、こんなに素直なんだろう。
「あ…うん、私も…し、したいよ…」
このスケベ変態バーカとか言ってごまかしてやろうとしたのに、
私の口から出た返事はちがうものだった。
ロボがやってきて、隣に座った。
「ねぇニコ、こっち向いて話そ」
ロボを見るのが怖い。
「恥ずかしいの?」
「わ、わかんない」
「そっかーごめんね〜ただ、ちゃんと言っておきたかったんだ」
ここで逃げたら、私はロボの優しさに守られて甘えているだけの、
子供のままで終わってしまう気がした。
「ロボ」
窓辺の少女は俺のことを避けるように外を見ている。
いつも勝気な黒い瞳はおびえているみたいだ。
その瞳が振り返って俺をまっすぐに見た。
綺麗な手が俺の胸板に触れて、俺がその手を握ると、
ゆっくりとぎちこなく、彼女は唇を重ねてきた。
シャンプーの香りがほのかにして、甘いめまいの中に落ちていく。
長い口付けを解いた彼女を、俺は腕の中に抱きしめていた。
38 :
夏7:2007/07/27(金) 18:51:09 ID:3G6NhVXm
「もおっ君は俺を壊す気ですかー?」
ロボは私を抱きしめながら、うめいた。
「ねー私のおへそになにか当たってるんだけど…まさか」
「こんな状況で、た、立たないほうが病気だよ」
ロボのパンツ越しのその硬さに私は真っ赤になった。
「ヤ、ヤッラシー!もっこりしてるじゃん!もっこり!」
「やらしくない!それに女の子がもっこりなんて連呼したらだめ!あッ」
私は好奇心でその硬いものを布ごしに触ってみた。
ロボがびくりと体を震わせたので、少し驚く。
「うっあ、ほんとにこんなに硬くて大きくなるんだ…」
「ヤラシーのはニコじゃないかーもうー」
ロボの様子が可愛くて、いじめたくなった。
私はもう一度その硬さを、形を確かめるようにゆっくりと指で撫でる。
「あ、ダメだって…」
ロボが吐息を漏らす。普段聞かない彼の色っぽい息に胸が高鳴る。
「気持ちいい?」
「うん…」
ロボが耳元でささやく。
「もうこんなになってるのはニコのせいだよ…どうしてくれるの?」
「しーらない」
「ダメ、責任とってください」
「…ロボ、したいの?」
「したい、したい、今すぐしたい、ニコとしたい!」
そのストレートっぷりがロボらしくて、笑いそうになった。
「私も」
もう一度私たちは長いキスを交わした。ロボの手が私の髪を撫でて、
やわらかい唇が、私の首筋を這い出す。
「ん・・・ね、ねぇロボ」
「んー?」
「ゴ、ゴムはあるの?…やっぱないとイヤだから…」
「ちゃーんとありますう〜」
いつ買ったんだろうか…用意していたならやっぱりスケベとしか思えない。
その謎も、ロボの唇の快感の前に、消えていった。
「ン・・ハァ」
鎖骨を唇でなぞられて、声を漏らしてしまった。
ロボは窓辺のカーテンをひくと、私を抱きしめたまま、ベッドに横になった。
39 :
夏8:2007/07/27(金) 18:56:43 ID:3G6NhVXm
彼女にキスをしながら、Tシャツの上から、ブラ越しにその胸のやわらかさを
確かめる。すぐにもっと触れたくなって、Tシャツの中に手を入れて、
背中のホックに手をかけた。ニコが体を浮かしてくれたのですぐに外れた。
ブラから開放されたやわらかい感触を、手の中で楽しむ。
「あ、ン…」
聳え立つ双丘の先を指で刺激すると、ニコは恥ずかしそうに声を漏らす。
着ていたタンクトップを脱ぎ捨て、ニコのTシャツと、ジーパンも引きずりおろ
して脱がした。キス交わしたまま、体の形を確かめるように、
彼女の太もも、おなか、全身を手で愛しんで撫でる。
ニコも俺の髪や背中を撫でた。
好きな男の裸に触れながら、私は恐怖感よりも、ときめいていた。
「あっ、ヤッ」
鎖骨のキスが胸に移っていって、サイドから手で揉まれ唇が触れると、
思わず体に力を入れて、ロボに押さえつけられた。
舌で固くなっていく先端を転がされて、得体の知れない疼きに、
我慢しきれずに吐息が漏れてしまう。
「あ、ヤッ、ン、ん、んぅ」
「可愛いなあ」
私を楽しむようにロボの愛撫は続いていく。
片手を彼女のおなかと腰を撫でるようにすべらせる。
やがてパンティーのラインをなぞって、喉を鳴らして布ごしに丘に俺の手が
触れると、彼女は体をよじった。
「ヤッ…」
「んーイヤならやめちゃおっか」
俺は意地悪く言い、もてあそんでいる胸の突起を指で弾いた。
「やぁっだ…モット…して…」
うるんだ目を開いて、ニコは俺を見つめた。
「もっとしてほしいの?エッチだな〜」
「ロボのせいだ…あ、」
布の上から指でゆっくり円をかき、秘芯をなぞる。
「イヤ…ア、アア、ハァ、ンッ」
彼女は未体験の感覚に抵抗して俺の肩をつかむ手に力を入れた。
その姿に興奮して、俺はもっと指を押し付けてスリットを摩る。
欲望が止めなく押し寄せてくる。
「ニコ、もっと見せて」
彼女のパンティーに手をかけ、膝まで引きずり下ろして、脱がした。
40 :
夏9:2007/07/27(金) 19:00:05 ID:3G6NhVXm
全裸の彼女は、まだ完成していない少女の体で、小さくてか弱くて。
少し罪悪感を感じてしまう。
「アッア…ロボ、アッ」
足の膝を折り曲げさせて、俺は見下ろしたまま、すでに濡れて感じやすくなって
いる未開の入り口と、秘芯に、彼女自身の潤いで指を滑らす。
くちゅ、という湿った音が大きくなっていく。
「ヤ、ヤァッ…恥ずかしいよぉ…」
耳のいいニコにはその音がもっとクッキリ聞こえているのだろう。
恥ずかしさと快感で時折、体を仰け反らせる。
彼女が感じやすくてよかった…と思う。俺がすることが、いくら彼女に
とっては初めてとはいえ、ただ苦痛をもたらすだけの行為なら、
やっぱり胸が痛いから。
「あ、いやぁ」
「大丈夫だからね」
入り口に少し指を入れると、違和感があったのか彼女が抵抗した。
それも最初だけで、ゆっくりと指を入れたり出したりすると、
さらに卑猥な音を立てて、ニコは押し寄せる波に吐息を乱した。
こんな音、死ぬほどやだって思うのに、私は自分と彼の指で発生して
いる音にさらに欲情していく。きつく彼の指を締め付けるコントロールのきかな
い力が、ロボを欲して、体の奥が震えるのがわかる。
「もう、しよっか」
見下ろすロボは、指を引き抜くと、私を抱きしめておでこにキスをした。
「用意するからね」
そう言って体を起こすと、タオルケットを私にかぶせて、ベッドの下に手をのば
して小箱を取り出した。
なんか、変な感じ。ロボがゴソゴソと準備する音だけが聞こえて。
「ニコ」
そうして、また大きな手に抱きしめられて長いキスをした。
避妊具をつけたロボのそれをじかに見て、ちょっと怖いと思った。
「ね、ねぇ・・・」
再び私の体にキスするロボの胸の中で、心臓が高鳴る。
「それ…入るのかな…」
「プ、心配なの?」
ロボが笑ったので少し腹がたった。
「わ、わらうことないじゃん」
「ごめんごめん」
ロボは私の髪を撫でると、もう一度キスをした。
「力ぬいてね」
耳元で囁かれて、その時がきたのだと覚悟する。
41 :
夏10:2007/07/27(金) 19:03:50 ID:3G6NhVXm
ニコの顔の横に手をつくと、ゆっくりと体重をかけて、
もう待ちきれない自分のものをあてがう。少し彼女の潤いを
お互いにこすりつけてから、入り口に押し入れた。
「ッイタッイタイッ」
貫通する痛みにニコが苦痛を浮かべて体をよじらせる。
彼女の手が俺の両手をぎゅっとつかんだので、手を握った。
「ロボ、ロボ!」
「ごめんね、ニコ」
涙を浮かべる彼女に胸が痛みながらも、俺は記憶に刻むように、
女になっていく瞬間の彼女を見ていた。
体の奥を、もう逆らえない重みと硬さが押し開いていく。
焼けるような痛みを逃したくて大きく呼吸をする。
「大丈夫?入ったよ」
その声に目を開けると、心配そうに見下ろしているロボの顔が
あって、私は少し笑った。ロボは私の首筋に顔を埋める。彼の
頭を撫でながら、加速しだした動きに私は目を閉じる。
暖かい内部の締め付けに、理性を忘れて俺は動きを増す。
「あ、あっ、ハア、ああッ」
耐え切れなくて息を漏らす俺の頭を、ニコは子供をあやすように撫でる。
「ハアハア、あっあ…」
この先もずっと俺はニコにあやされていくんだろうと思う。
幸せにするから、なんて偉そうにいっても、
きっと、いつも幸せにされるのは俺のほうだ。
「ア、ん、ロボッ、ダメ」
浅く早い動きに切り替えると、痛みだけだったニコの体が反応していく。
「ロボッ」
上りつめた快感が体の奥から全身に走って、私は体を震わせた。
ロボを抱いた私の壁は、ビクビクと痙攣してロボをしめつけた。
「ア、アアッアーッ、イッ・・ニコッ!ニ」
ロボが声を上げて動きは止まった。
小さく脈を打って、それは静かに終わりを告げた。
42 :
夏11:2007/07/27(金) 19:05:45 ID:3G6NhVXm
朝、目が覚めた私たちは、それぞれ着替えると、何事もないように
テレビを見ながら朝食を食べて、家を出た。
「あー暑いなあ、会社いきたくなーい」
背広姿のロボは、公園の道を歩きながらうだうだと呟く。
「なに朝から。なっさけなーい」
「ちぇっニコだって、そのうち社会人になったら同じこと言うって」
「私はロボと違うから言いません〜」
「あー、今のしかと記憶したからねーッ覚えてらっしゃい」
ロボは悔しそうに私を指差した。
「全部覚えてて、ニコが忘れてたら俺が言ってやるんだからっ」
「ふーん、それじゃ私たちずっと一緒にいるってことかー」
そう言ってから、私は自分が言ったことの意味を理解した。
ロボがニヤリとして私を見た。
「こ、こんなオタクなんかと、マジ勘弁。あーヤダヤダッ」
「ねーなにが勘弁なの〜?」
「うっさい」
「ニコ、顔が赤いよー?」
「もうロボなんかしらないっ」
耳まで真っ赤になってスタスタ早足で歩く私の横を、幸せそうな
顔のロボがいて、もう朝だというのに日差しは暑くて。
今日もだるい一日、でもいつもより熱い、夏。 END
なんかただ長くなってしまった…失礼しましたー
え、えろい・・・
視点が交差するところがリアルにえろくてハァハァ
来た来たー!! GJ!!
ガチエロっちゃガチエロだけども、愛し合う2人の爽やか初体験じゃないかー
感じやすいニコと自信満々のロボに萌え萌えだー
ちなみに今自分もクーラーの無い部屋で、窓開けて汗まみれ。
近隣の声が丸聞こえ。
窓が、窓が開いてンじゃないかこの場面?(ロボがカーテンは閉めてるけど)って
どうでもいいことで余計に興奮したーw
GJ!! 乙です!!
堪能いたしましたw
がーん 前スレ落ちたorz
このスレ初エロ読みごたえありました
>>48 落ちたねー
スレたてた1さん、どうしてるかなあ
51 :
chu 1:2007/07/29(日) 00:20:07 ID:FgHzkwV4
ロボとニコ、友達以上恋人未満でエッチはしてませんが初チューまでの話です。へんに前置き長いです。
******
「ねえロボ、キスした事位あるよね?」
突然のニコの質問に飲んでいた麦茶を吹き出した。
「ごほっ!な、いきなり何て事を〜!?」
むせながら側のティッシュを掴んで引っ張り出す。
「あ〜あ、服染みになるから着替えよ……もう!そんな事人に聞くもんじゃないの」
立ち上がって他のシャツを出すと、フィギュアの作業場に隠れた。
「何でそっち行くの?……いや、どうなのかなって何となく」
ロボが身を隠した棚の方へ視線をやりながら、ごく普通のトーンで答える。
「そんなの子供に答える必要ありません!……着替えるんだからいいでしょうが。
何よ見たいの?ニコのエッチ」
「ばっ!……誰が!ロボの裸なんか頼まれたって見ないっつーの。てゆーか
答えらんないわけだ?」
「はあ?何だよそれ」
脱いだシャツを持って、新しいシャツ姿のロボがニコの横を素通りして洗面所へ
向かう。
「だってした事ないから答えらんないんでしょ?聞いたあたしがバカでしたっ!」
ロボはチラッとニコを睨むように見たが、無言で洗剤を出すと麦茶の染みた
シャツを洗い始めた。
「(言い過ぎたかな……)」
ジャブジャブとシャツを洗う音を聞きながら、ニコは少し後悔した。
「あんな言い方するつもりなかったんだけどな」
ついこの前高校に入学して、すぐにロボとまた会うようになった。それから
当たり前のようにここへ来るようになって。
そこまでは前と同じなんだけど、少し違って来たものがある。
それは、
「ロボ、あたしを何だと思ってるんだろうな」
というニコの気持ち。
再会してからいつ訪ねて来ても(仕事以外は)大丈夫なのは当然彼女はいない。
じゃあそれまでの間はどうだったんだろう?ニコと会わなくなってからは恋は
していなかったのだろうか。
だとしたら……。
「なんであたし、そんなの気になるんだろう」
水のはねる音を聞きながらしばらくそんな事を考えていたが、思い切って
立ち上がった。
「貸して」
ロボの手から濡れたシャツを取るとサッサと洗いだした。
「いいよ、自分でやるから」
「あたしのせいだから」
52 :
chu 2:2007/07/29(日) 00:20:46 ID:FgHzkwV4
それだけ言うと手早く洗ってすすいだシャツはみるみる白くなった。
素直にゴメンねって言えばいいのに、と心に思っていてもロボを前にすると
悪態ついてしまう。
「気にしなくていいよ」
「別にそんなんじゃないよ」
ほらまた。
ニコは自分でもよくわからないのだ。何でこんなにイライラするんだろう。
何が自分をこうさせるんだろう。可愛くない。そして自己嫌悪の繰り返しだ。
水を止めてシャツを絞っていると、ロボが口を開いた。
「ねえニコ、何でさっきあんな事聞いたの?」
「何でって……何となく」
友達の間で彼氏の話題や、キスしたなんて話もこの頃になると普通にある。
「だからどんなかなーって。聞いてみただけだよ」
「あっそう」
「ま、でもロボじゃ話になんなかったから聞くだけ無駄だったかな」
思わず言ってしまってまたハッとした。
「(しまった……)」 また言ってしまった、と気付いた時にはもう。濡れたままの腕を掴まれて
ロボの方を向かされていた。
「したいの?」
切れ長の目が鋭くニコを見据えて間近に迫ってきていた。
「え……」
「キスしてみたいの?」
いつものロボじゃない。どこにも普段のような温和で抜けたようなロボの姿が
感じられなかった。
「目閉じてよ」
そう言ってニコに顔を近付ける。
「閉じなきゃ出来ないよ」
鼻が軽く触れ合って、本当にもう少しで唇がぶつかりそうになる。
「やっ……」
ニコは突然のロボの男の顔に動きを忘れていた。
「嫌だ!あたし誰でもいいわけじゃないもん!」
やっとの思いで叫ぶと顔を逸らして逃げた。
「そうだよね?」
パッとロボが腕を掴んだ手を離したので、ニコは自由になって一瞬よろめいた。
「俺だって、できたらいいってわけじゃないんだからね」
そのままニコから視線を逸らしてシャツを掴むと、
「俺だって男だよ」
と狭い幅をすり抜けて行ってしまった。
「あたし……」
怒らせてしまったのだろうか?初めてロボを『怖い』と思ったかもしれない。
危険だという意味ではなく、自分のあまりにも幼く無防備な振る舞いに対して
そう感じたのだった。
53 :
chu 3:2007/07/29(日) 00:21:49 ID:FgHzkwV4
ロボは布団を濡らさないように注意しながら、窓の外にハンガーを慎重に掛けた。
「これでよし」
しばらく外を眺めていたら、背後にニコの気配を感じた。しばらく無言のまま
背を向けていたが、やがていつもの顔で振り向いた。
「ニコ、おいでっ」
ニコは何か言いたげにしていたが、ずっと俯いたままモジモジしているように
見えた。
「おいで。もう怒ってないからさ」
そう言うと自分の左隣りをポンと叩いてあぐらをかいた。
ちょっと戸惑いながら示された場所にニコが腰を下ろすと、ロボは黙って
ニコの頭を撫でて
「もう。大人をからかって遊んじゃダメだよ?それにね」
撫でていた手を離して自分の膝に乗せた。
「結構勇気いるんだよ……」
そう言って目を伏せるロボにニコは思い切って聞いた。
「誰でもいいわけじゃないって言ったよね?」
「うん」
「じゃあ誰ならいいの?」
ロボは驚いてニコの顔を見た。ニコは必死で目を逸らすまいとその顔を見返す。
「その前に質問してもいい?」
「何?」
無言でニコの手を握ると
「俺の事どう思ってるの?」
と問い掛けた。
「どう?って……」
それは、その質問は。
「あたしは……ロボはあたしをどう思ってるのかなって、そう思ってた」
握られた手に気がいって顔がまともに見られない。
「俺はニコにずっと会っていたい」
握り締めた手に視線を落としながらロボは呟く。
「だから黙ってた。もしこんな事言って避けられたら、今度こそ……もう会えなく
なると思ったから」
ニコはゆっくり顔をあげた。
「それが怖くて。なのにさっきはあんな事してゴメン、ニコ」
「ロボ」
畳み掛けるようにニコは言葉を重ねた。
「謝るのはあたしの方だよ……。あたし、あたしだってロボが」
「もういいよ」
もう一方の手を唇に当ててニコの声を止めた。
「俺に言わせて貰っていい?」
何を?と聞こうとしてもそんなんじゃ話せない。ニコはただ軽く頷いた。
ロボはゆっくり息を吐くと、唇から離した手をニコの肩に置いた。
「ニコが好きでたまらない」
その手に力が入る。
「だからね、さっきあんな風に言ったけど、本当はニコとチュー、したかった
んだよね……」
ニコの目からじわっと涙が零れた。
54 :
chu 4:2007/07/29(日) 00:24:30 ID:FgHzkwV4
「わっ、ニコ?やっぱりやだったの?……ゴメンね」
ロボは握った手と肩に置いた手をそれぞれ離した。
「違うもん」
「えっ?」
「あたし、ロボが何言っても怒んなくていつも子供子供って言うから、あたしの
事なんかそういう風に見てくれてるなんてわかんなかったから、だから」
今度はニコがロボの腕を掴んで頭を胸元に寄せた。
「勢いであんな可愛くない事言っちゃった……」
その姿に目を細めながらロボは精一杯優しい声で話し掛けた。
「そんな事ないよ。素直じゃないし、生意気ばっかり言うくせに今みたいに
泣いちゃったりするとこ、俺は可愛いと思う」
その言葉に恐る恐る顔をあげたニコの目を覗き込んでロボがゆっくりと、でも
ハッキリと言った。
「俺男だからそりゃしたいと思うけど」
ニコはそんなロボを見つめ返す。
「今ニコ以外とはしたくない。ニコとチューしたい」
「ロボ……」
「してもいい?」
顔を真っ赤にしながらニコが頷くと、ロボはゆっくり顔を近付けた。
「ニコ、目閉じてよ」
「えっ、やだそっちが閉じてよ」
「先にニコが閉じなきゃしにくいよ」
「やだあたしだけ恥かしいじゃん」
言い合いながらおでこをくっつけた状態でそれ以上進まない。
「も〜、じゃこのまましちゃうぞ」
「えっやだ、そん……」
勢いで押しつけた唇同士が軽くぶつかって、それからロボが目を閉じた。
ニコも触れ合う感触を感じながら思わず目を閉じる。
しばらくそのまま互いの唇を押し当てながら、窓から入る風の音だけを感じ取っていた。
しばらくして唇が離れると今度はロボがその唇でニコの唇をくわえるように味わう。
「んっ」
時折軽く触れてはまた強く押し当て、長い間なかなか離れようとしないでいた。
ようやく2人が唇を離すと、ロボはニコをその腕に抱き締めた。
「何か食べられちゃったみたい」
ニコの言葉に思わず吹き出しながら
「ごちそうさまでしたっ」
とロボが返す。
「何でわらうのっ!?」
つい怒り声で話すニコに
「可愛いから」
と返すロボは
「またチューしたい」
とニコを覗き込んだ。
「ロボってキス魔だったんだ……」
「そうみたいだな〜」
そしてまたニコに顔を近付ける。
「ニコにだけだもん」
それからまたニコの柔らかい唇を確かめる。
何度も、何回も。
***終***
GJ! イイヨイイヨ〜
かわいいな〜ふたり
ロボって単なる「女好き」というよりも、
自分を好きになってくれる女の人に出会いたくて必死なんだよね。
だから間近にいる子供が、いつのまにか大人の女性になっていて
しかもその娘が自分に惚れてくれてると分かったら
もう可愛くて可愛くて、目に入れても痛くないんだろうなと思う。
57 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/29(日) 23:08:28 ID:bpxOEzsLO
ツンデレニコカワユス
初めて投稿します。エロなしでごめんなさい。
アドバイスいただけれると幸いです。
でも打たれ弱いので優しくでお願いします。
『どうしてここにいるんだろう?』
とニコは込み上げてくる吐き気と戦いながら思っていた。
下っ腹から突いて出てくるような不快感。
とても苦しかった。
『なんでこんな目に遭っているんだろう?私は。』
ニコは高校三年生になっていた。
ある晴天の休日の朝、
ニコは三日坊主と始めて話した公園を思い出に浸りながら歩いていた。
ロボとはあれから約3年会っていなかった。
あの時声を掛けそびれてからなんとなく会わなくなってしまった。
「ロボいるぅ?」
と尋ねれば、ロボは「ようニコぉ。」と普通に迎え入れてくれるだろう。
でも、日々の忙しさにかまけてなんとなく行かなくなってしまった。
一度切っ掛けを失うと明確な理由がないとなかなか会えないものだと始めて知った。
時が経つと「私のことなんか忘れちゃったかも?」という不安が益々足を遠のけた。
それでも心のどこかでロボのことは気にしていた。
『会いたいなぁ。』と思う時があった。
だから月に一度は必ず例の美容院に行っている。
偶然再会できればまた何かが変わってくるだろうと期待して。
そして丁度一年前だった。
美容院の扉の前に向かうと突然扉が開いた。
背が高く体格も良く緑のペイントをした白い服を着た男性が目の前に現れた。
ロボだった。
3年ぶりの出会いがあまりにも唐突だったので二人とも言葉を失っていた。
最初に口を開いたのはロボの方だった。
「ようニコぉ。久しぶりぃ。元気だった?」
成長して少しは女らしくなった私を見て驚いているようでもあった。
思い過ごしかもしれないけど…。
私は再びあえたことを喜びながらもそれを顔には出さず
「うん、勿論。ロボは相変わらずロボットを弄っているの?」
と聞いた。
ロボは「俺からロボットを取ったらなにもなぁい!」といつものガッツポーズを決めた。そして私たちは3年間のブランクを埋めるかのように時が経つのも忘れて話した。
嬉しかったのは、私たちの話が思い出話だけではなかったこと。
未来に繋がる今の話が中心だったこと。
以来私たちは事ある毎に会うようになり、
時折面白い事件や話題があると二人で独自に調査するようになった。
さほど大きな手柄というわけではないが、いくつかの事件を未然に防いだこともあった。
こうして私たちの信頼関係は益々増していた。
相変わらずロボはドジで間抜けではあったが、ここ一番という時に必ず助けてくれた。
それは以前と全く変わっていなかった。
あの頃の私はまだ子供でロボのことを一人の男性というよりは、
一人の頼れる…違うな…最も信頼のおける大人として見ていた。
私は漠然だけど「きっと頼れる男性に惹かれるんだろうなぁ」と考えていた。
あの間違い電話の男性のように優しく且つ自信に満ちた声の持ち主に。
ロボは明らかにそういうタイプではなかった。
私がいないと頼りなげでいつも「ニコぉ、助けてぇ。」と甘えてくる。
でも時折ハッとさせるような冷静な意見を言う。
中学生だった私は、それは大人の目線の考えと捕らえ深く心に刻んでいた。
しかし、今改めて聞くと、それは大人の男性の考えだと気が付いた。
しかもロボはどんな状況でもロボのままでいた。
それは昔も今も変わらない。
そして、それがどんなに大変な事なのか今の私には分かる。
頼りにされているようで、実は頼りにしているのは私の方だった。
それに気が付くと信頼のおける大人というだけではなく、
一人の男性としてロボを意識するうになっていた。
『いつまでも一緒に居たい。』
まさか私がそんなことを思うようになるとは考えもしなかった。
しかも相手がロボなんて…。
でもロボはいつの間にか私にとって取り替えることのできない大切な人になっていた。
肝心のロボの方はというと。
私のことをどう思っているのか全然分からない。
それでも以前の様に私の方からジャレたりすると
「もうニコはぁ!女性はむやみにそんなことはしないの!」
と叱ってくれる。
その度に私は「少しは女として見ているんだぁ」と嬉しく思っていた。
私と再会してからはテレクラにも行かなくなったようである。
でも時々そのハッキリしない関係に苛突くことがあり
ロボにきつく当たる事もあった。
そして約3ヶ月前の春の事だった。
その日の私は、ロボに対する想いで押し潰されそうになるのを苛々することで必死に堪えていた。
「どうして今日はそんなに苛々しているのぉ?」
と言いながら能天気にロボットを弄っているロボをみていると無性に腹が立った。
ついに私は我慢できずに
「ロボは私のことをどうもっているの!?」
私は言ったあと後悔した。
ロボの返答次第ではもう二度と会えなくなってしまう。
『他には取替えのきかない人なのに…。』
私は不安げに目に涙を浮かべながらロボの顔を真っ直ぐに見つめていた。
手にしたMAXロボを置いたロボは暫く私の顔を見て話し始めた。
「とても大切な人。他には取替えのきかない人。」
頬に涙が一滴流れた。
ロボは続けた。
「久しぶりに会ったニコはとても魅力的になっていたよ。勿論外見だけなく中身もね。
俺も男だから一人の女性として惹かれたよ。
でもね昔から知っているし、それにニコは俺のことを信じてくれているから、
それを裏切っちゃいけないと思って必死に自分の感情を抑えていた。
もし俺が変ことをしたらニコを一生失ってしまうでしょ?
それにオタクの俺のことなんか好きになってくれる筈ないって思っていたし。
だてにテレクラ通っていたわけじゃないからね。
世間一般的にどんな風に思われているかぐらい分かっているよ。これでも。
だからニコが普通の頼れる素敵な男性に出会うまで、こうして側にいたいなと思っていた。
ニコのことが好きで堪らない。ゴメンね。」
ロボの言葉を聞きながら私の目からは涙があふれ出た。
私は涙をぬぐうこともしないでロボに抱きついて
「好き。好き!大好き!」
とロボの胸の中で泣き叫んでいた。
そして自然の流れで私たちはキスを交わした。
その後、私たちは時々喧嘩をしながら…と言っても怒っているのはいつも私の方だけど…
ちょっとした事件の捜査をしたり、普通の恋人のように遊園地などでデートをした。
流石にこの歳で子供たちに混じってロボット大会に行くのは気が引けるけど…。
「やっぱMAXロボは最強だぁ!」
と満面の笑みを浮かべているロボを見るのが好きだった。
そして昨夜、私たちは結ばれた。
多少酔ったロボは、キスをした後も私をなかなか解放してくれなかった。
少し抵抗したものの私もそれが心地よく暫くロボの腕の中に身を任せていた。
「『ニコを傷つけたくない。大切にしたい。』と思いながらも
『ニコを抱きたい』と考えている。俺は最低だ。」
と言いながらロボは泣いていた。
暫くして
「いいよ、ロボだったら。」
と言い出していた。
自分でも驚いたと同時に顔が赤くなった。
ロボは驚きと動揺した顔で私を見つめていた。
「だって一生私を大切にしてくれるんでしょ?」
私は言った。
「私もロボだけでいい。ロボのそばに居たい。」
「勿論だ。全宇宙が敵になっても俺はニコのそばに居て味方する!」
ロボの言葉を聞きながら頷いて目を閉じた。
今朝目が覚めた時ロボはまだ寝ていた。
私は急に恥ずかしくなり急いでシャワーを浴びてロボの家を出た。
歩く度に痛みが少し走る。
でも嬉しかった。
これでロボと私の絆が深まり益々ロボがいとおしくなった。
きっとロボもそうだと思う。
全てはここの公園から始まった。
いや、あの目撃から始まったのかもしれない。
そして、ここで私が世の中に深く関わっていることを知らされた。
すると横に黒塗りの車が通りかかった。
軽くクラクションを鳴らすと同時に
「ニコちゃぁん。」
と呼ぶ声が聞こえた。
地蔵堂の社長だった。
しかも社長が運転していて、助手席によっちゃんが座っていた。
よっちゃんは「よぉ!」と言いながら顔面蒼白だった。
「私ね、戻ってきちゃったの。」
と社長は言いながら私に車に乗るように目で合図した。
後部座席に座ると社長が昨日免許を取ったばかりだと知った。
妙に柔らかいサスペンションと乱暴…というよりは下手な運転のため私は気持ち悪くなった。
「あら、ニコちゃん。顔色悪いわね?」
とミラー越しに私を見た社長は言った。
「なになに、ニコぉ。悪阻か?」
とよっちゃんがニヤけながら聞いてきた。
「し、失礼な!ちゃんとひにn…」
『あ!』と思い慌てて口を噤んだ。
「うお!まじかよ!相手は誰よ?」
よっちゃんは更に続けた。
「ニコを落とすなんて凄いスケコマシだな。騙されてんじゃないの?それに淫行だぜ!」
「ロボはそんな人じゃな…」
『しまったぁ!』
顔が赤くなるのが自分でも分かる。
「あら、あの坊やなの?良かったじゃなぁい。」
「やるなロボの奴。ニコを落すなんてプロフェッショナルだねぇ。」
私は先程から感じていた不快感も忘れ恥ずかしくなった。
でも二人が私たちを祝福してくれているようで嬉しくもあった。
「そうだ!よっちゃん。例の件二人に頼みましょ。」
「そうっすね!丁度いいや!」
「え?なんですか?」
「実はね。帝都大学でねカップルをターゲットにした些細な事件が起きているよの。」
「ま、それで目出度くカップルになったお二人に潜入捜査して欲しいってことよ。」
よっちゃんはまだニヤけていた。
「む、無理です!」
「あら?どうして?」
「え、えーと、私、高校生だし、受験とかあるし。」
「大丈夫よぉ。報酬は帝都大学無試験入学なんだから。」
「むちゃくちゃだ…。」
こうして私とロボの新たな冒険が始まった。
お目汚しありがとうございます。
なんか所々読みづらい所があるようで…。ゴメンナサイ
え、もしかしてこれでおしまい?
冒険の部分も面白そうで楽しみにしてたんですが。
まあいいや、気が向いたら是非続きをおながいします。
あ、御免なさい。詰めが甘いようでした。
潜伏捜査のエピについてもアイデアは一応あるんですが…。
なかなか考えというか構成が纏まらないでいます。
投稿される神々の偉大さを思い知りました。
公表できるレベルになったら投稿してみようと思います。
できるだろうか…。フアン
とりあえず潜伏捜査編を書きました。仕事が暇だったもので…。orz
お目汚し失礼します。
地蔵堂の社長が言っていた帝都大学で起きている不可解な事件とは、
誰もが羨むぐらい仲の良かったカップルが突然喧嘩をして別れるというものだった。
この春から既に4組が別れている。
それが怖くて付き合っていても公にしないカップルが増え出し、
言いたくても言えないフラストレーションが蔓延して学内を暗くし、
学生たちのやる気を失わせているとのことだった。
ロボと私は学内に潜り込み、誰もが羨むカップルを演じて、その原因を究明し解決することだった。
「ちょっとちょっとぉ!カップルを演じるって、どういうことぉ?」
とロボは任務の内容を聞いて私に言った。
「俺たちちゃんと付き合っているよね?カップルだよね?ね?ね?」
「だからこれはものの例えであって、いつものようにしていればいいの。」
フーンとロボは軽く頷くと突然パンっと手を叩いた。
「あ、でもいつも通りだと目立たないかもしれないから一杯イチャイチャしないとね!
嬉しいなぁ。人前で正々堂々とニコとイチャイチャできるなんて♪
手を繋ぐことでさえしてくれないもんなぁ。まずは手を繋ごう♪そしてキスなんかも♪」
「ば、バッカじゃない!す、するわけないでしょ!」
と私は少し赤くなった。
「あれ?ニコは嬉しくないのぉ?」
「う、嬉しいわけないじゃん!恥ずかしい!」
と言いながら心のどこかでは少し嬉しさを感じていた。
「とにかく私たちは仲の良いカップルを演じるの!いい!?」
「はい、はい。ニコリン大佐。」
とロボは軽き敬礼した後、未来を見るような遠い目をした。
『大丈夫なんだろうか…。』
「なにあの二人。手繋いで堂々と歩いているよ。こんな時に。」
「ほんとだぁ。男の方はなんか鼻の下伸びてちょっと変な顔しているけど女の子は可愛いなぁ。」
「でもさぁ、大丈夫なのかな?こんなに目立っちゃって。」
「そうだよね。また人前で大喧嘩始めて別れちゃうかも。」
「だよねぇ。ある意味勇気あるよね。」
「あ〜!でも!私もあんな風に彼氏と手繋いで歩きたい!」
「ホントよ!苛々しちゃう!」
「ちょっとぉ、そんなに鼻の下伸ばしてデレデレしないでよ!」
「だって、こんなに正々堂々とニコと手を繋げるなんて♪嬉しくて、嬉しくて♪」
とロボは目に涙を溜めていた。
「泣くなっちゅうの!もう!」
と言いつつ私もロボの手をギュッと握っていた。
恥ずかしいけど言いようのない安心感が伝わってくる。
『私も嬉しいのかな?
こんなに喜んでくれるんだったら時々手ぐらいは繋いであげよう。』
以前高校に潜入した時は私のことなんか見向きもしないで、
通り過ぎる女子高生の匂いを嗅いでいたロボが今は私と手を繋いでいる。
人生って何が起きるか本当に分からないものだ。
「あら、あなた達仲いいわね。」
と突然腕組みをしたカップルの女性が話しかけてきた。
4年生の森美香と宍戸次朗(つぐろう)だった。
学園祭の「ベストカップル」に3年連続選ばれている超有名なカップルだった。
二人とも思わず足を止めて見てしまうほどの美男美女のカップル。
地蔵堂の社長の話では、4組のカップルが別れた現場には必ずこの二人がいたらしい。
今回の件は、きっと彼女らが絡んでいる筈だ。
「あ、美香先輩にそんな風に言ってもらって嬉しいです。」
と私は出きるだけ明るく言った。
ロボは
「綺麗だなぁ。」とまた鼻の下を伸ばしていた。
『たく!もう!このスケベが!』
「あなたたち、なんかとても微笑ましいカップルね。
気に入ったわ。一緒にお茶でもしない?
それにあなたたちの勇気も祝したいし。」
と誘われ近くのちょっと洒落たお店に入った。
流石3年連続「ベストカップル」に選ばれただけのことはあるわ。
甘えるでもなくジャレるでもなく二人でいることがとても自然に感じられる立ち居振る舞い。
正に「大人のカップル」って感じ。
それに比べ私とロボは…。
ま、言うなれば、「子供のカップル」ってところね。
あ゙ー。
一海ちゃんからも
「あなたたち見ていると微笑ましいわ。」
と時々からかわれている。
「でも、あの人だったらいいんじゃない。
ちょっとオタクであれだけど…。優しいし、どんなことがあってもニコのことを裏切ったりしないでしょうから。
あ〜あ、どうしてニコだけ直ぐに運命の人に巡り会えたんだろう…。いいなぁ。
ま、私は今仕事に燃えているからいいけどね。」
と私たちのことを喜んでいる。多分…。
それとお父さんもお母さんも
「あ〜、あの青年だったら安心だ。」(『何がよ?』)
「そうね、そうね。安心だわ。」(『って何が安心なのよ!?』
と言って何故か喜んでいる。
話は自然に例のカップル突然破局の話になった。
「だからね、誰もが羨むカップルが突然別れちゃうのよ。
私たちもね、たまたまその現場に居合わせたから取り成したんだけど結局分かれちゃった。
あなたたちも気を付けないさいよ。ねぇ?」
と美香さんは次朗さんに同意を求めた。
「そうだよ、君たちも気をつけた方がいいよ。」
その駄目押しとも取れる意見を聞いてロボは
「そんなぁ、俺ニコと別れたくない!絶対別れたくないです!」
と握り拳を締めて力強く言った。
『おいおい、真に受けるなって…。
でも、ま、嬉しいかな♪』
「そうだ!私、いいこと思い付いちゃった♪4人のメルアド交換しましょ♪
何かあったら必ず連絡して、直ぐに駆けつけるから。」
「そうですねぇ。お二人がいてくれれば助かります。ね?ニコ?」
「おいおい、あの二人ほんと仲いいな。」
「そうね授業中でも手を握ってジャレ合っているし。」
「でもさぁ、なんかあの二人いいよね。」
「うん、微笑ましくて、見ているこっちが幸せな気分になれちゃう。」
「今年のベストカップルはもしかしてもしかするかもよ。」
「ねぇちょっとぉ授業中も手を繋いでいるの?」
「そう!そうじゃないと目立たないでしょ。」
「ん、もう、単にロボが握りたいだけなんじゃないの?」
「それもあるかな?」
とロボは口笛を吹くまねをした。
ジリジリリーと授業終了のベルが鳴った。
「あーやっと終わった。全然分かんないちゅうの。第一私は高校生なんだから!」
と言いながら私は教室を出た。
「え?ニコ、どこ行くの?」
「トイレよ。ト イ レ。」
トイレで美香さんと一緒になった。
「どうその後なんか変わったことあった?」
「いいえ、特に。」
と返事をすると私の携帯にメールが届いた。
メールには「あなたの彼氏は他の女とキスをしていた。」と書かれていた。
そして添付されていた写真にはロボと知らない女性がキスしているところが写っていた。
「ん、もう、あの馬鹿!」
と怒り心頭でロボのところに急いで向かった。
「ちょっと何よこの写真!」
と私はロボに写真を見せた。
「ニコだって酷いじゃん!」
とロボは言いながら携帯の画面を私に見せた。
そこには私が知らない男性とキスしている写真があった。
「な、なに、私知らない。こんな人。それに私はこんなに軽薄じゃない!
ロボは昔から女好きだったじゃない。絶対ロボは浮気しているのよ!」
私のあまりの剣幕を見た美香さんは
「ニコちゃん落ち着いて、男の人だったら誰だって浮気の一度や二度はあるものよ。」
私はキッと次郎さんを睨んで
「じゃあ次郎さんも浮気したことあるんですか?」
「いやいや、僕はないよ。そこらの一般的な男たちと一緒にされちゃ困るなぁ。」
「そうね、次郎はそんな馬鹿なことはしないわね。」
私はムッとした。
「ほら見なさいよ!ロボは馬鹿だから絶対浮気したんだ!
大体ね。ロボは足が臭いのに脱いだ靴下をそのままにするし、ロボットばかり弄っているし!」
「そ、それは今関係ないでしょお!」
ロボも必死に反論した。
「須藤君、こういう時は素直に認めた方がいいよ。」
と次郎が耳元で助言した。
「そ、そんな〜。浮気なんてしてない!断じてない!
そ、それに、ニコだって、いびきをかいていたじゃないか!」
「はぁ〜?なんてことを言うのよ!ロボなんか知らない!馬鹿!」
私とロボは「フン!」とお互いそっぽを向いた。
正確に5秒経った後、私とロボは目を合わせた。
そしてお腹を抱えて笑い出した。
美香さんと次郎さんは鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしていた。
「なるほどねぇ。こうやってカップルを別れさせていたんだ。
仲裁するようで実は火に油を注ぐなんて手の込んだことを。」
と私が言うと
「何を言っているの?私たちが一体何をしたっていうの?」
と美香さんはとぼけた。
「あのメルアド、あなた達だけにしか知らせていないの。
携帯の画面は小さいから良く分からないけどこれ合成写真でしょ。」
美香さんは多少動揺しながら
「あなたが受信した時私そばにいたじゃない。どうやってメールが送信できるのよ。」
と反論した。
「メールソフトによってはある決まった時間にメールを送信するのもあるのよ。
それにプロキシを噛ませば発信元も誤魔化せる。
なんだったらあなたの部屋のPCを見せてもらってもいいのよ?」
「あなた達は一体なんなの?」
「私たち?」
と言って私とロボは鼻を親指ではじきサムアップしながら
「二人はスパイ!」
とポーズを決めた。
美香さんと次郎さんは呆気に捕らわれていた。
「どうしてこんなことをしたの?」
と私が尋ねると美香さんは
「だって、4年連続ベストカップルに選ばれたかったの。」
と答えた。
「え?そんなことのために?」
とロボが聞く。
「みんなに羨ましがられたかった。私たちがどんなに素敵なカップルか見せびらかせたかった。
それにあんなことぐらいで別れちゃうカップルなんて遅かれ早かれいつかは別れちゃうのよ。」
「人が羨むとか見せびらかすとかじゃないんじゃない?付き合うってことは。
お互いがどんなに相手を慈しんで大切に思っているかが重要なんじゃないかな?」
とロボがとても寂しそうな顔で言う。
私はロボの手をそっと握った。
「そう。それに私たちはあんなことぐらいで別れたりなんかしません。
ロボと私は色々な苦難、時には死にそうな局面をいくつも乗越えた強い絆があるから
そう簡単にお互いの信頼が崩れたにしない。お互いを大切に思う気持ちは誰にも負けない。」
美香さんは目に涙を浮かべながら
「私たちもあなたたちみたいに強い絆で結ばれるようになるかな?」
と言った。
「なれる!絶対になれる!
二人がこんなことじゃなくて、もっと有益なことに対して協力し合い続ければなれる!
助け合い続ければ絶対なれるぅ!」
と私の手を力強く握りながらロボは言った。
「任務完了、ご苦労様。」
「人はどうしてあんなに信じていた人を簡単に疑うようになるんでしょう?」
「そうねぇ。信じることは不安との戦いだからじゃない?
信じたいと思う気持ちの裏には不安がある。
不安があるから信じたいと思う。表裏一体ね。」
「そうなのかなぁ。私はロボのことを信じたいと思うより、信じている感じなんですけど。」
「あなたたちの場合は、もうそのレベルじゃないのね。きっと。」
「え?」
「お互いを信じたいというレベルじゃなく、お互いを信じきっているというレベルね。
それは素敵なことじゃなぁい。
お互いを信じ続けていたからこそ、その域に達したのよ。私はそう思うわ。」
その日の夜、私はベッドの中で隣で軽い寝息を立てている彼の顔を見つめていた。
月明かりで微かにしか見えないその顔は、とても平和そうで優しかった。
私はこの人を愛している。
誰が何を言っても私はこの人を愛し続ける。
きっと彼もそう想っている。私はそれを知っている。
私たちはお互いがお互いを愛し続けられるよう、これからも協力して助け合って生きて行く。
好きになることは簡単。
その想いを伝えることは少しの勇気があれば簡単。
でも、その想いを続けることは難しい。
どんな時も相手を信じ続けること。
それが
大切なんだ。
終
お目汚し失礼しました。
優しい批評をお願いします。
いやーこれだけ書けたら充分すごいと思うんですが。
おもしろかったし、自信もって書いたらいいと思いますよ!
バカップルニコロボ カワユス
喜んでいただいたようで嬉しいです。
やはり投稿するって勇気がいりますね。
自分では良いと思っていても他の人から見ればつまらないのでは?
と不安になります。なんか妙に緊張しました。
スレ的にはエロ要素が必要なんでしょうが、これが精一杯でした。スミマセン
初めに投稿したものは最終回を見て自分なりに脳内補完した内容を基軸に書いたものでした。
なので個人的な解釈が多く入り込んでしまいました。申し訳ございませんでした。
また投稿する機会がございましたらお付き合いの程よろしくお願いします。
79 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/30(月) 23:41:15 ID:JRsvb2Te
おもしろかった!
実際は続編とか無さそうだからここで思う存分
その後のニコロボを味わいたい!!!
sage進行も守れない人がいるんじゃ投稿できないよ
作品がどうこうより、過剰な謙遜がここに向いてない。
個人的な解釈を云々って他の人もそうでしょうが。でも誰も謝ってないでしょうが。
次の機会があるなら、さくっと作品だけ落としてプリーズ それでもって
>>そして2人は結ばれた
ここを省略せずにプリーズw
SS落とすのって初めてだったら結構勇気が
いるだろうけどそう変な遠慮しないでいいと思うよ
83 :
夢のつづき:2007/07/31(火) 08:46:14 ID:CmF/No95
短いのですが難民では行数制限にひっかかったのでこちらに投稿します。
エロ無しです。(すみません)
**************************
「ロボいるぅ?」
と、いつものようにロボの部屋に駆け込んだら、ロボはまだベッドにいた。
「もー!お昼だよ、いいかげん起きろっつうの!」
と思いながら、揺すって起こそうか、セクシーボイスで起こそうか、それともマックスロボの
DVDでも大音量で流そうかと考えながらベッドに近づくと、ロボは布団の中で泣いていた。
ロボは泣き虫で、実によく泣く。
大人の男の人が泣く姿を見て最初はびっくりしたけれど、だんだん見慣れた。
でも今日のロボはいつもと違う。声を出さずに、ポロポロと涙をこぼし続ける。
「ロボ、…どうしたの。」
「怖い夢をみたんだ。」
そういって目を伏せて、また涙をこぼす。
「地蔵堂が無くなって、ニコがいなくなって、会社もなくなって、
ケロ山もシリウスもいなくなって、地球上で俺だけが取り残される夢。
他のみんなが笑いながら、別の星に移っていくのを、俺はずっと立ったまま見ている。
ニコが手を振ってさよならするのも黙って見てた。
何もかも変化していくのに、俺だけはまるでダイヤモンドで出来た像みたいに、
動けないまま、変わらないまま、一人で残ってる。
神様、助けて、こんなのは怖いです、俺は流されたくはないけど、一人で生きていくことも出来ませんって、
心の中でお願いしたら、あなたはここから動かなくていい、あなたは傷つかないのだから。って
神様がそう言ったんだ。」
「傷つかない人間なんて、いないのに。」
ロボは目をつぶって、拳を口元にあて、嗚咽が込み上げてくるのを堪えていた。
「大丈夫、それは夢だよ。」
私はロボの頭を撫でた。
「私はここにいるよ。ロボの側にいるよ。
ロボが優しくて強くて変わらないように見えても、ただの弱い人間だってこと、
私はちゃんと知ってるよ…。」
「ニコは本当にここにいるの。本当はこっちがフィクションで、目が覚めたら
俺はまたひとりぼっちで、幸せな夢を見たって思う。そっちがリアルなのかもしれない。」
「大丈夫、それは夢だよ。ただの夢だよ。」
「目が覚めるまで、ここにいて。」
ロボはそう言って、また眠りに落ちた。
いやいや皆さんエロなしだからって
そんなに謝らなくてもw
素敵なお話書いてくれてるのに
最終回のアレですね。 お母さんみたいなニコ萌え〜GJ!
>>59-63を別の視点から書きました。
ご要望に応じてエロありです。
『あ〜!ニコがいなぁい!』
ニコと一夜を共にしたロボは二日酔いと疲れで寝過ごしてしまった。
時計の針は12時近くを指していた。
あ〜どうしよう?
携帯は置いたままだから戻ってくるよね。
あ、でもぉ、嫌われちゃったかな?
そうだよなぁ、あんなことしちゃったんだもんなぁ。
まだ高校生だもんなぁ。
あ〜どうしょう?どうしよ?マックスぅ〜。
ベッドに目をやるとシーツには血の跡が。
『とんでもないことをしちゃったのかもしれない。俺…。』
と思いながらロボは自分の右掌を見た。
ニコの胸はどんなだったかな?
小ぶりだけど確かな弾力があったことをこの掌が覚えている。
しかし、緊張と酔いで正直あまり覚えていなかった。
覚えている事は、ベッドで抱きしめた時意外に小さい体なんだと思ったことと
直接触れた肌と肌が心地好かったこと。
そして、ニコが洩らす声に自分の男が一層興奮したこと。
自分がとてつもない快感に包まれていたこと。
最後『もう少しこのままニコの中にいたい』と思ったこと。
あとは何故かニコの怒った顔が浮かんだ。
「どうしてそんなのがあるの?」
「最低!」
「やらし!」
それに対して自分はテレクラがどうのこうのと返答していたような…。
あ〜一生の不覚!お酒なんか飲むんじゃなかったぁ。
でもぉ、お酒がなかったらあんこと言えなかったかも。
「ニコを抱きたい。」なんて…。
よし!精神統一して思い出すぞ!
ロボは自分の右掌をジッと見つめた。
ニコはどんなだったかな?
顔を左右に激しく振っていたよなぁ。
声も出していた。
あれは、やっぱ感じていたんだよな。
い、いかん。俺は何をしているんだ!
右手を視線から外すよう左手で右手首を握った。
こんな事してたら、ニ、ニコに嫌われちゃうじゃないか!
あ、で、でも、目が勝手に掌を見つめる。
あ〜、これって人としてどうよ?
俺は最低だぁ!
いや最低でもいいじゃないか!
あ、あ、でも、やっぱ駄目だ!
ど、どうすればいいんだぁ〜!
あ〜、あ゙〜!
3年ぶりにニコに会った時、初めはニコと気が付かず危うくお茶に誘うところだった。
目の前の女性はとても魅力的でロボの直球ど真ん中だった。
外面からも内面の豊かさが伺い知れる程素敵な女性だと思った。
「もし、良かったら、僕とお茶しませんか?」
口にする直前、ニコだと気が付いた。
慌てて平静を装ったものの気が付かれたかも?と少し不安になった。
ニコは会わなかった3年間のことを表情豊かに楽しく話してくれた。
ロボは懐かしさを感じつつ耳を傾けて微笑んでいた。
「大変だったんだよぉ。ロボがいなくて。
時折挫けそうになったり、自分を見失ったりしたんだから。
でもね、そんな時ロボから教わった呪文を唱えたの。
『バテレン、レンコン、トマトはマーックス!』って。」
「なんだそんなんだったら来れば良かったじゃん。
俺はいつでも迎え入れたよ。」
「うん、知っている。
ただね、あの時なんだかロボに引け目みたいなのを感じちゃったんだよね。
ロボってどんな時もロボのままじゃない。
私なんか、そうねぇ、フラフラしているっていうか…
自分らしさが分からなかったのよね。」
「そんなの当たり前だろ、子供だったんだから。
それに俺だって分からないよ。自分らしさなんて。」
「でもさぁ、そのどんな時も自分らしくいるって大人でも大変なことじゃない?
私さぁ、『ロボは凄いなぁ』と思っちゃった。
だから一度見かけた時も声を掛けそびれちゃったの。
なんか躊躇しちゃったの。
そしたら、なんだか、益々会いづらくなっちゃって…。
それに時が経つに連れて私のことなんか忘れちゃったかも?
と不安になっちゃって…。」
「バッカだなぁ。そんなことあるわけないじゃん。
あの3ヶ月は俺にとってもとても刺激的だったよ。
忘れるわけないよ。
それに俺もあの3ヶ月で大きく変わったよ。
それまではなんとなく口にしていた『愛と勇気と正義』だったけど、
やはりそれは実践あってのことなんだと思うようになった。
なかなか上手く行かないけど日々の生活の中でも意識するようにしている。」
「それがロボらしいってことなのよ。」
「そっかなぁ…?」
「そうよ。でも『愛と勇気と正義』と言いつつ相変わらずテレクラに通っているんでしょ?」
「ど、どうしてそれを!相変わらず勘はいいんだな。俺の愛は無限なんだよ。」
「でも、こうして会って話ができて良かった。」
「俺もだよ。」
「ホント!?じゃあまた遊びに行っていい?」
「勿論。」
「じゃあさぁ、ちょっと考えていることがあるんだぁ。」
「え?なに?」
「うん、それはね。ちょっとした事件の捜査をしたいなぁって。」
「お!それいいね!やろう、やろう!」
「ま、二人だけだから大したことできないだろうけど。」
そして二人はちょっとした事件の捜査を始めた。
町内で頻発していた靴紛失事件が猫の仕業だったことを突き止めたり、
万引きを未然に防いだり、寝ずの番をして自動車泥棒を捕まえたこともあった。
この時は犯人に必死に抵抗され大変危険な目に遭った。
ロボが庇っていなければ今頃ニコは…。
ロボは嬉しかった。とにかく嬉しかった。
またニコとこうして一緒に行動できる事が。
いや今回は少し違う。
外面的にも内面的にも魅力的な女性に成長したニコのそばに居られることが嬉しかった。
嬉しくてたまらなかった。
でもロボは知っていた。
『ニコは俺のことを信頼できる一人の大人としか見ていない。
でなければあんな無防備な行動をとったりしない筈だ。
それもそうだ。
こんなオタクに男しての危険を感じる女の子、惚れる女の子なんかいるはずない。
ニコは、いつか本当に頼れる魅力的な男性と出会って去って行ってしまうだろう。
それは仕方ないこと。
でも、その時までこうしてニコのそばに居たい。
もし、ニコが恋をすれば全力で応援したい。応援する!
それまで、この想いは決してニコに悟られてはいけない。
今はニコを失いたくない。ニコのそばに居たい。
勘の鋭い娘だから気を付けないと。』
ロボはニコとの時間を楽しく過ごした。
時々見せるニコの不機嫌な顔も可愛いくて見てるのが楽しかった。
『でも何で怒っているんだろう?俺何かしたかな?』
そしてある日、ニコが爆発した。
「私のことどう思っているの!?」
正直驚いた。
『まさか?ニコが?俺を?』
そんなことは全く想像していなかった。
『いや、そんなはずはない。』
今にも泣きそうな顔でロボを見つめるニコを見て。
『この顔、前もどこかで…?』
とロボは考えていた。
『あ!あの時だ!俺が昭子さんの所に行く時だ!』
そしてロボは反省した。
『またニコにこんな顔をさせてしまった。
俺って、最低だ。』
意を決してロボは自分のニコに対する想いを話し始めた。
ニコをこの瞬間失うかもしれないことを覚悟して。
ロボは言葉を慎重に選んで丁寧に語った。
ニコは涙を流していた。
ロボは全てを語り終え長い溜息をついた。
『あ〜言っちゃった。ニコはどう思ったろう…。
迷惑だよなぁ…。やっぱり。』
と思った瞬間
ニコはロボに抱き付いて来た。
「好き、好き!大好き!」
『え゙〜!』
意外な展開にロボは激しく動揺した。
自分の鼓動が聞こえる。
ロボの腕の中でニコの体は小刻みに震えていた。
ロボはニコの顔を上げると二人はジッと見詰め合った。
どちらかともなく自然に唇を重ね熱い口づけを交わした。。
ニコの唇は柔らかく気持ちよかった。
ニコの涙でロボの頬も濡れた。
『もう絶対に離さない!絶対に!』
『あぁ〜もう!あの人達は悪魔だわ!』
ニコはロボの家に向かいながら先程の車の中でのことを思い出していた。
「むちゃくちゃだ…。」
「あら?そう?いい条件じゃなぁい?」
「それでも私が断ったらどうします?」
「そうなの?断るの?
よっちゃぁん、あの例のなんたら条例って東京にもあるんでしょ?」
「あ、淫行条例っすか?勿論東京にもありますよ。」
「そうよねぇ。じゃああの坊やどうなっちゃうのかしら?」
「そっすね。ま、豚箱行きですね。ブ・タ・バ・コ。」
「なに言ってんのよ!
合意の上だったと私がちゃんと言うわよ!
豚箱なんて絶対無いないんだから!
ちゃんと愛があるんだから!
そうよ愛があるんだから。」
「あらら、そうなの愛があればいいんだぁ?
でもあなた達はそれでいいでしょうけど、ご両親はなんて思うかしらねぇ。
あなた、まだ高校生でしょ?
よっちゃんだったらどうする?」
「俺がもし親だったら相手の男をけちょんけちょんにしますね。
大切な娘を傷物にしたんですから。
しかも高校生っすよ!
自分がどうするか想像するだけで怖い。
あ〜ロボの奴、無事でいられるかなぁ。」
『お、鬼だ。い、いや、悪魔だ。』
段々ロボの家が近付いてきた。
『あ、どうしよ。なんか恥ずかしいな。』
でも、やっぱり嬉しい。
愛する人に抱かれることがこんなに嬉しいことなんだと始めて知った。
ロボと付き合うようになって、いつかはこうなるだろうと思っていた。
その覚悟はいつも持っていた。
でもいざとなると緊張した。
ロボの誠実な想いと悲しい顔を見て私はロボを受け入れる決心をした。
いや、自然に受け入れていた。
目を閉じた私にロボはキスをして右手で私の左胸を覆った。
先の敏感な部分を抓まれた時思わず体がビクンとした。
全身の力が抜けそうだった。
でも正直怖かった。
ロボはキスをしながら左右の胸の感触を一通り確認すると私を抱いてベッドに運んだ。
抱き上げられた腕の中で私は思っていた。
『やっぱり男の人なんだ。』
ベッドの上で私たちは再度キスを交わし、
そして胸を覆っていたロボの右手は段々下に移動していった。
スカートをたくし上げロボの右手は上から下へ向かった。。
勢い余ったのかロボの指先は私の皮膚に直接触れている布…下着の中に。
私は驚いて身を硬くした。
ロボも予想外の所に指が入ったようで一瞬指を止めた。
そして意を決したかのようにその指は少しずつ下の方に進んだ。
指先が私の最も敏感な部分に触れた時、全身に刺激が走った。
「あ、だめ…。」
微かな声を発していた。
私の願いも虚しく、ロボの指は私を刺激続けた。
声にならない声を発し続けた。
『意識が遠くなりそう…。』
暫くしてロボは
「服を脱がしてもいい?」
と聞いてきた。
私は軽く頷きながら
「電気を消して。それとちゃんと避妊してね。」
とお願いした。
『幸子に会うのはまだ早い』
「うん、分かった。」
とロボは言って電気を消してからベッド横の引き出しから小箱を出した。
その小箱を見て私はフトある疑念が湧いた。
「ね、どうしてそんなのがあるの?」
「え!?いや、どうしてって言われても…。」
「まさか、私といつかはこうしようと準備していたの?」
「い、いや、そ、それは違う。」
「じゃあ、なんでよ?」
「えとぉ、ほら、大人の男の身嗜みって言うか…。」
「やらし!」
「いや、だからこれはニコと出会うずっと前からここにあったんだよ。」
「え?それって私が中学生の時にもそこにあったの?うわ!やだぁ!」
「ほ、ほら、テレクラでいつどうなるか分からないじゃない。ね?それで…。」
「そんなこと期待してテレクラに通っていたんだ!最低!」
「あ、でも、これ使ったことないから。今封を切ったの見たでしょ。ね?」
暫くの沈黙の後。
「ロボは経験あるの?しょ、昭子さんは別として…。」
「え?ん、まぁ…。」
「へぇーロボのことを好きになった人いたんだ。」
「いや、だからそのぉ、そういうお店とかで…。」
「え?お店?」
「そう、体を洗ってくれるついでにちょこっとまぁ…そのぉ…。」
「最低!」
と私は布団を顔に被った。
ロボは項垂れてベッドの端に座っていた。
時計の針が動く音だけが聞こえていた。
「もう駄目だからね!」
顔を布団で覆いながら私は言った。
「え?」
「もう駄目だからね!そういうお店とか、他の人とか。」
「う、うん、勿論!」
「私はロボだけなんだからね!」
「俺もこれからはニコだけだから。」
私は以前見た懐かしドラマの一シーンを思い浮かべていた。
「ね、ロボ?」
と布団から顔だけ出して聞いた。
「50年後の私も愛してくれる?」
ロボは握り拳を握りながら
「も、勿論!
50年後だろうが100年後だろうが1億年後だろうが
ニコをずっと愛し続ける!
絶対!」
と誓った。
私は笑いながらロボに抱きついた。
「私もよ。」
電気が消えているとはいえ外から薄明かりが入りお互いが裸であることが確認できた。
私は仰向けに寝ながら恥ずかしくて右腕で両胸を隠し左手で下を覆った。
ロボは横から私の全身をマジマジと見ていた。
顔から火が出るくらい恥ずかしかった。
そしてロボはゆっくりと私の腕をどかし始めた。
「恥ずかしいわ。」
「綺麗だよ。」
ロボは私を力強く抱きしめた。
直接触れる肌と肌の感触がとても心地好い。
私は思わず吐息を洩らしていた。
ロボは首筋を舐め段々下に向かっていく。
私の胸の先端を口に含むと舌でそれを転がした。
時折歯で軽く噛んだりもした。
その度に私は吐息を洩らした。
『どうにかなっちゃいそう。』
ロボは私の体を舌で味わうかのように舐め回した。
それが局部に及んだ時、私は恥ずかしさのあまり
「そ、そこは駄目。」
とお願いした。
「ニコの全部を味わいたいんだ。ね、いいでしょ?」
私に答える間を与えずロボは私の最も敏感な部分を舌で転がし始めた。
遠くなる意識の中でロボに全てを任せた。
「そろそろ入れてもいい?」
私は頷いた。
ロボの先端が私の中に入ってきた。
段々奥に入るにつれ痛みが走った。
思っていたより激しくはなかったけど、やはり痛かった。
「痛っ。」
と言うとロボは侵入を止め
「大丈夫?」
と聞いた。
「大丈夫。続けて。ロボを感じていたい。」
私たちはお互いの局部でお互いを感じあっていた。
ロボの全てが私の中に入ると、ロボはゆっくりと動き出した。
擦れる度に痛みが走り苦痛が顔に現れた。
再びロボは
「大丈夫?やめようか?」
と聞いてきた。
「ううん、大丈夫。痛いけど…嬉しいの…。
ロボが大好き。好きで好きで堪らない。」
「うん、俺もだよ。この想いは誰にも負けない。」
何故だか二人とも涙を流していた。
ロボの動きは徐々に速くなった。
それは雄の本能に忠実に従っているようだった。
私も痛みとは違う別の感覚が体の奥から現れるのを感じていた。
その未知な感覚はロボの動きが激しくなるにつれて強くなってきた。
『なに?これ?
私、落ちている。落ちていく!落ちるぅ〜!』
私はロボに必死にしがみついた。
それは落ちないための虚しい抵抗だったのかもしれない。
顔を左右に激しく振りながら吐息とは明らかに違う声を発していた。
「あ〜んッ!」
目の前が暗くなり真ん中に見える光の点に向かって、
私は落ちていった。
ニコはロボの家の階段下に辿り着いていた。
上を見上げる顔はほのかに赤くなっていた。
「私。感じていたんだよね。
初めてなのに…。
恥ずかしい…。
ロボ、なんて思っただろう…。」
暫くその場で立ち止まり、そして意を決してニコは言った。
「ま、恥ずかしいなんて言っていられない!
私はロボが好きなんだから!」
ニコは勢い良く階段を駆け上がった。
不思議だった。
4年前は「今日もニコ来なかったなぁ。」とは思ったけど、
「ま、いつか来るだろう。」と軽く考えていた。
確かに「話したいなぁ。」とは思っていた。
毎月あの美容院にケロ山から貰った服を着て通ったのもニコのことが気になったからだ。
でも、今のこの気持ちはあの時のとは違う。
ニコが黙っていなくなっただけでこんなに不安になるなんて。
もう二度とニコとは離れたくない。物理的にも精神的にも。
携帯電話が置いあるから絶対戻ってくる!
絶対戻ってくる!
変な妄想もなんとか我慢した。
そうだ昨夜のことはあれで良いんだ!
思い出せなくたって全然OKだ!
これからいくらでもできる!
そうだ!今晩にでも早速!
そして、今度こそ!
この掌と目に焼き付けるんだぁ!
…。
俺は最低だ…。
なんて最低な奴なんだ…。
項垂れて少しすると階段を駆け登る音がした。
「この足音は!」
ロボは顔を上げ目を輝かせた。
玄関が開くと同時に
「ロボぉ、さっき懐かしい人に会ったんだよぉ。」
とニコの明るい声がした。
玄関から差し込んだ明るい光がロボの部屋全体を照らし、
眩いばかりの光の中ら現れたニコはまるで天女のようだった。
ロボはスッと立ってニコをギュッと抱きしめた。
「良かったぁ。戻ってきてくれたんだぁ。
嫌われたかと思っちゃったぁ。」
「ちょ、ちょっとぉ、何言ってんのよ!
そんなことあるわけないじゃん!
当たり前でしょ!」
ロボの腕から逃れるとニコは床に座り今朝あったことを話し始めた。
表情豊かに語るニコを見てロボは思った。
『俺は宇宙一幸せ者だ!』
終
GJ! ロボ視点の話よかったです。
81です。
言い方がアレだったかなーと後悔もしていたところだったので
ロボ視点アリガトウ! そしてGJ!
淫行条例の使い方ワロタ
ニコロボ再会後 ちょっとたってからの話です。
一応スパイっぽい冒険活劇を目指したら、無駄に長くなりました。
エロは無し(チューはあり)
**************************************************
別れが人が成長するために必然の出来事なら、再会も必然なのだと思う。
それは、まるで神様がタイマーで計っていたようなタイミングでやってくる。
私とロボの再会の日も、そんな風に突然訪れた。
会わずにいた日々の空白は、驚く早さで埋まっていく。
私は17歳。今は高校二年生で、春休みが終わったら三年生だ。
中二で初めてロボに会った時より、少し背が伸びたし、大人の顔になったと自分でも思う。
ロボとの年齢差は同じなのに、以前より少し距離が近くなった。物理的にも、精神的にも。
ロボは27歳で、あいかわらず、冴えないサラリーマンで、ロボットオタクだ。
元々年齢不詳っぽい奴なので、ほとんど老けた印象はない。今でも時々、びっくりするほど子供の顔をする。
まるで少年がそのまま図体だけ大きくなって途方にくれたような、アンバランスで挙動不審なロボ。
このおかしな男が、ダイヤモンドのような美しい心の持ち主だという事実に、世間の女の人はまだ気づいていない。
でも、それでいい。気づいているのは宇宙で私だけでいいんだ。
こんな独占欲にかられるほど、私はこの奇妙な永遠の少年を愛しているらしい。
(だけど本人には絶対に言ってやらない。ロボはすぐに調子にのるから。)
お互いはっきりと口にはしないけれど、他人から見れば、今の私たちは「恋人同士」に見えなくもないと思う。
ロボはもう、テレクラにも合コンにも行かないし、「一海ちゃん一海ちゃん」とも言わない。
自分のそばに、アホなオタ話につきあえるほど寛大な心の女の子がいる幸せに
やっと、やっと気がついたらしい。(気づくの遅いだろ!)
しかし、これが3年前だったら、家族が心配して、私たちは強制的に会うことを禁じられただろうし、
ロボは下手したら犯罪者扱いされてただろうから、結果良ければ全て良し、神様は全てお見通しだったのか、と思う。
言い忘れていたが、最近、もう一つの再会があった。地蔵堂のよっちゃんだ。
「私ね、現役スパイだった時、世界中を飛び回ったのに、仕事仕事で何も見てこなかったの。
だから残りの人生で、世界中の見たかったもの、全て見てやろうって決めたの。」
「でもよっちゃん、あんたはまだ若いんだから、これ以上私の道楽に付き合わなくていいの、
自分のためにプロフェッショナルな仕事をなさい。」
地蔵堂の社長は、そんなことを言って世界に旅立った。
財産のほとんどを、小野一朗さんの名義で遺族に贈与して、
店と裏で持っていた権利やコネクションは全てよっちゃんに引き継いで
昨日はアフリカのサバンナ、今日はベネツィアのカーニバル、明日は北極のオーロラ見物と、
地球全部を遊び場にして、「よく遊ぶ」人生を送っている。
よっちゃんは裏の仕事も表の仕事も再開し、実質的には、今は「社長」になった。
(でも誰も社長なんて呼ばない。私たちの間では「社長」はいつまでも真境名マキさんだ。)
で、「俺一人じゃ手が足りない。お前ら手伝えよ。」というわけで、私とロボはいつのまにか
「社員(というかアルバイト?)兼スパイ」に復活させられてしまった。
ロボと二人で地蔵堂の店番をしていた時、ついぼやきが出た。
「あー この休みが終わったらとうとう三年生か。憂鬱だな。進路、どうしようかな。」
「社会人は大変だぞ〜。大学行けるなら、行った方がいいんじゃない。」
「でもさぁ、理系か文系か決められないんだよね、両方とも中途半端に苦手科目と得意科目があって。
国語は駄目だけど英語は得意で、数学は駄目だけど地学は得意とかさ。
こんなバラバラだと、どっちに行って何やればいいのかわかんないよ。」
「それなら、一海ちゃんみたいに教育学部に行って一通り全部やってみるとか。
じゃなかったら無理に進学しないで、け、け、結婚すれば?」
私は飲んでいたお茶を吹きそうになった。
「けっこん?なんで?」
「だってニコ、もう法律的には結婚出来る歳じゃん。」
唐突に何を言い出すんだ、このオタクは。
「なにそれ、冗談きっついよ。っていうかさ、結婚って誰とよ?」
「え〜〜〜〜〜 決まってるでしょぉ…。お、俺と…だよっ 」
「ロボ…それ、もしかしてプロポーズのつもり?」
「っていうか、予約っていうか〜。ニコが大学行ってからでもいいしさ〜。」
「…なんで急にそんなこと言い出すかな。」
「とにかく、俺はそーゆーつもりでニコと付き合ってるから。」
ロボは真っ赤になって唐突に親指を立てる例のポーズをすると、
「き、急用思い出したから帰りマックス!」と言って店を飛び出していってしまった。
なんだかな。「結婚?できるの?てかするの?ぷぷぷ」って、失礼なこと言ってた奴が、まさか
自分から言い出すとは思わなかったよ。
でもロボ、順番が逆だよ。だって私たち、キスもまだしてないじゃん…。
そんなことを考えながら無意識に自分の唇に触れる。店の鏡に耳まで赤くなった私が写っていた。
「お前ら、しばらく会ってなかったんだって? でもまたつるんでて良かったよ。仕事頼みやすいしさ。
ていうか、俺ずっと前に運命の出会いだって言ってやっただろ?
お前みたいなのに付き合ってくれる女はニコしかいねーって。」
「あーーー。あの不味いラーメン屋さんのネズミの話?あれニコのことだったの?」
「ばっか お前、他にこんな珍しいほど趣味の悪い女がいるかよ。なあニコ?
お前な、今度ニコ泣かしたら簀巻きにして東京湾に沈めるから覚えとけよ。」
誉められてるのか貶されてるのかよくわからないが可愛がられてはいる、らしい。
「よっちゃんこそ!ニコに横恋慕とかしないでよね!」
「するかよバカ。部下との恋愛は仕事の邪魔。で、早速だけど仕事上のコードネームを決めるから。」
「はぁ?コードネーム?」
「よくわかんないけど、ときめく言葉!」
「プロフェッショナルなスパイの基本だろ。お前は、ロボでいいな。んで、ニコは」
「私もニコでいいよ。」
「バカそれじゃ本名まんまじゃねーかよ。そーだな、ニコのコードネームはセクシーボイスでどうよ」
「いいね!かっこいい!!」
「何それ!やだよ恥ずかしい。」
「いいじゃないセクシーボイスで!今度俺に電話するときは、『こちらセクシーボイス、応答せよ』
とか言ってよ。超〜萌える〜。」
「誰が言うかー!」
「まあ、名前が使えない時用ってことで。ついでに俺のコードネームはダブルセブンフォー。
774だから覚えとけよ。」
「それもかっこいい!ねえねえ、俺ももっと凝ったやつがいいな。「赤い彗星」とか。」
「ロボ、お前はボロにしなかっただけありがたく思え。」
とはいうものの。今の実際の仕事はただの地蔵堂の店番なわけで。はっきり言って暇でしょうがない。
ミステリー小説を読みあさり、せいぜいスパイ気分を味わうだけだ。
「今回のヤマはちょっと難しいんだよ。お前らみたいな半人前じゃ無理。やっぱプロフェッショナルが
対応しないと。」
そんなことを言って、よっちゃんはほとんど店には顔を出さない。
「俺になんかあったら、これを開けて指示通りにしろよ。」
私は貸金庫の鍵を渡された。
「なんかって、何。」
「だから、何か非常事態だよ。」
「非常事態って。そんな危ないことしてるの。よっちゃん、今なにやってるの?」
「簡単に言えるくらいなら苦労はしないっての。半人前は首つっこまない。」
ある日、よっちゃんは大量の「粉砂糖」と書かれた段ボールを店に持ってきた。
「それ、何。今度は喫茶店でも始めるつもり?」
「…ただの砂糖だよ。ニコお前、絶対絶対ぜぇったいこれに触んなよ。
あと、俺のいない時に変な電話がかかって来たら、『店番のアルバイトだから何も分からない。』
って言えよ。社長の話も出すな。」
まあ、ただの店番っていうのは合ってるし、実際なーんにもわからないし、社長はこの前タスマニアの
奥地で撮った写真を送って来ただけで(驚くべきことにタスマニアでもあのファッションだった)
居場所も連絡先もわからないから、嘘ではない。
「あやしいんだよなぁ…。」
首をつっこむなって言われたけど、好奇心はそうそう簡単には止められない。
「ニーコ!バイトがんばってる〜?」スーツ姿のロボが地蔵堂に来た。
「相変わらずお客は来ないし、暇だよ。ていうか、ロボこそ油売ってないでちゃんと働けって。」
そんな調子で結婚の話なんか出されても、説得力ないよ…。
「今日は営業先から直帰していいって言われたからいいのっ。ニコに会いたいからマックスダッシュで行って
きたんだからっ。それよりこれ見て。営業先の人からおみやげ貰っちゃった。」
ロボには似つかわしくない、高級そうなクッキーの詰め合わせだった。
「今からお茶いれるから、一緒に食べよ〜。ニコもおなかすいてるでしょ。」
ロボは勝手に地蔵堂の台所に上がり込み、鼻歌を歌いながら嬉しそうに紅茶を入れている。まあ、いいか。
「いただきマックス!」
ロボはガツガツと口いっぱいにクッキーをほおばり、のどに詰まらせそうになって
慌てて大量の紅茶を流し込んでいる。飢えた子供かお前は。
「ロボ、クッキーは逃げないんだからもう少し落ち着いて食べな。」
「う〜。なんかこの紅茶、変な味がする。腐ってんじゃない?」
「腐ってないよ? 昨日買ったばかりだし。」
「そうかなぁ…。 うわ!シャークイーンの大群がやってくるーー!地球を滅ぼす気か!」
ロボは突然立ち上がると、空中を見つめて暴れ出した。
「正義は負けない!マックスパーンチ!!」
「ちょっとちょっと!ロボなにやってんの!」
元々挙動不審な奴だけど、これはさすがに度が過ぎている。
「マックスキーック!マックスファイアー!」
「ロボ、ロボってば。」
「危ないっ ミサイルが飛んでくるぞ!ニコは俺が守ってみせる!」
ロボはいきなり私を抱きすくめると、見えない「何か」から庇うように覆い被さった。
「ロボ!どうしたのよ、わけわかんないよ、何やってるのよ!」
ラブシーンにしても、これじゃあんまりだ。私は無我夢中でロボの腕をふりほどき逃れた。
ロボは私を守ろうとする姿勢のまま失神して倒れた。顔色が真っ青だった。
「なんなのもう、ロボ!ロボ!起きてよ!」
ほっぺたを叩いてみる、ロボは意識を取り戻さない。
ふと、ロボが飲んだ紅茶のカップに気づく。
「まさか…」
思った通り、ロボが紅茶に入れてがぶがぶ飲んだのはよっちゃんが持ってきた「粉砂糖」だった。
私は慎重に、指の先にごく少量の「粉砂糖」をつけて臭いを嗅ぎ、舌の先に乗せた。
「やっぱり、これは麻薬…」
もちろん、それまで麻薬なんて私の生活に縁が無かったけれど、読みあさった推理小説に
描写されていたのと同じ味と匂いがした。
幻覚と興奮状態に続く意識の混濁。これは麻薬を大量摂取した時のショック症状だ。
「どうしよう、ロボが死んじゃう。」
とにかく、水で中和して吐かせよう。ロボの口元にコップをあてがい水を飲ませようとしたが、
意識の無い相手では、こぼれるばかりで上手くいかない。こうなったら仕方ない。
私は口いっぱいに水を含むと自分の唇をロボの唇に押し当て、口移しで水を飲ませた。
「なんで乙女のファーストキスが、こんなことに使われるんだ…。」
必死に何度も何度も口移しで水を飲ませ、ロボの口を強引にこじ開けると、のどに指を突っ込み、
胃のあたりを強く押す。息をつく音がして、ロボは大量の水分とクッキーを吐き出し、うっすらと目を開けた。
「…バカ!ロボのバカ。あんなに意地汚くがっつくからだ。」
緊張が解けて、私はゲロまみれのロボに縋り付いて泣き出してしまった。
「え…俺、どうしたの…。何があったの…。」
「もう、死んじゃうかと思ったじゃん!」栓が外れたみたいに涙が止まらない。
「ニコ、よくわかんないけどもう泣かないで、大丈夫だからさ。」
なぜかこっちが頭を撫でられ、慰められる立場になる。
「うっわ、ゲロくっせー!早く顔洗って着替えてきて、もう!」
乱暴にロボを追い立てた理由は、安心したら唇の感触を思い出したから、なんて。
自分でも認めたくないと思った。
「とにかく、ちゃんと説明してもらうから。」私はよっちゃんを睨み付けた。
「いろいろあやしい商売やってるのは知ってるけど、麻薬の密売なんて。私、犯罪の片棒担ぐ気は無いよ。」
「返答によっては、たとえよっちゃんでも警察に連れてくからねっ!正義の使者をこんなことに巻き込むなんて!」
ロボは自分が死の一歩手前にいたことを理解すると怯え、次にプンプン怒り出した。
「だーかーらー 誤解だって。逆スパイだよ。逆スパイ。」
「なにそれ。」
「麻薬密売組織に入ったふりして、警察に情報流してんだよ。俺と真境名は決裂した。
真境名は警察に通じてたから、その情報売ってやるって言ってさ。信用されるためには、密売人の仕事も
こなさなきゃいけないじゃん。まあ…お前らに黙ってたのは悪かったよっ。」
「それって、レオナルド=ディカプリオの映画みたいなアレ?」
「そ。でも、警察内部にも組織への密告者がいるらしく、イタチごっこなんだなーこれが。」
「組織と警察、両方にスパイがいるってこと?ますます映画と同じじゃん。」
「事実は映画より奇なりってね。もう少しで組織側の密告者をあぶり出せるところまで来てんだよ。」
「そうだったんだ。でも俺たちに言ってくれれば良かったのに。何か協力できるかもしれないしさ。」
「じゃあロボ、お前お歯黒女の時に作った探知機と同じの、また作れるか?」
「え?作れるよ。部品さえあればもっと小型化して性能良くすることも出来ると思う。」
「そりゃ助かる。2つ3つ作っといてくれよ。MAXとか余計な飾りはつけんなよ。」
「わかった。でも色は青に塗っていい?」
「塗るなっつの。目立たないようにしろよ。」
「よっちゃん、あのさ、私が言っても仕方ないけど、…くれぐれも気をつけてよ。」
「プロフェッショナルなめんなよ。」 よっちゃんはニヤっと笑った。
三日後、いつも通りに店番をしていたら電話がかかってきた。
「はい、地蔵堂です。」
「もしもし、真境名ってのは、あんた?」
低い男の声がささやく。何も知らないアルバイトのふりをしろって言われたけど。でも。
「ええ、そうよ。」とっさに私は社長の声真似で答えた。
「あんたのとこの若いの、預かってる。こういえば分かるだろ? 随分、ふざけたことをしてくれたじゃないか。」
「…彼はどこにいるの。無事なの?」
「今はかろうじて、な。あんたがいなかったらこのまま海に沈めるところだった。」
動揺するな、動揺するな私。
「要求は何。」
「20億。明日の夕方6時まで待ってやる。場所は〇〇埠頭の××倉庫だ。
海外逃亡の資金にしちゃ安いもんだ。一分でも遅れたら、遠慮無くバラすぜ。」
バラすって、殺すってことだ。よっちゃんが殺される!!
「もうわかってんだろ。警察には行っても無駄だ。通じてる人間がいるからな。
警察に通報したことがわかったら、こいつの命は無いと思え。」
「待って。彼が無事だって証拠を聞かせて。」
男が受話器を耳から離す気配がした。遠くでよっちゃんのうめく声がする。
私は全ての神経を耳に集中させた。
「だから、真境名マキはいないって言ってんだろ…。脅したって無駄なんだよ…。」
「『社長さん』とは無事に連絡取れたぜ。お前、命拾いしたな。」
(ニコ、おまえ本当にバカだ。絶対に助けに来るんじゃねーぞ、馬鹿野郎。)
「もしもしロボ?」
「んんー?」 このオタク、肝心な時にまた寝ぼけてるし!
「もしもし、ロボってば、早く起きて!よっちゃんが、よっちゃんが殺される!」
「よっちゃんがコロッケさらう?」
私はうんとセクシーな声を出して言った。
「こちらセクシーボイス、ロボ、応答せよ。」
「は、はいっ」 電話の向こうで跳ね起きた気配がした。
「ロボ、出動だよ。救えるのは宇宙で私たちだけなの!」
「〇〇埠頭の××倉庫って言ってたけど、今そこにいるとは思えない。」
「そうだな。足がつかないように別のところにいて、直前に移動するよな。」
「とりあえず、海の近くではないな。波の音が聞こえなかったもん。
どっちかというと、住宅地…。でも普通の家の音じゃない、たぶん小さなビルかも…。
車の音から言って、大きな道路沿いだと思う。」
「ニコ、すごい。電話越しの音でそこまでわかるの。」
「ちょっと待って、もう少し思い出しそう。そうだ、〇〇駅!〇〇駅のチャイムが確かに聞こえた。」
〇〇駅は沿線の中でも特徴的なメロディーのチャイムを使っていて、印象に残っていた。
「〇〇駅近くの大きな道路沿いの小さいビル。そこまでわかればなんとかなるっ!」
「でもあの辺はそんな建物、いくらでもあるよ。」
「そこでこれが役に立つのさ。マックス探知機二号ーーー!!!」
「なんだそりゃ?」
「あのさ、よっちゃんに探知機作ってって頼まれたじゃん?
性能をテストしたくて、よっちゃんの靴に試作の探知機しこんでおいたんだよね。
後でこんなに小型で性能いいのが出来たゾーって、驚かせて自慢したかったからさ。」
私は思わず目を見開いてロボの手を掴んだ。
「偉いぞロボ!!」
「そうだ、貸金庫!貸金庫を開けよう。非常事態になったら開けろって言われて鍵預かってるの。」
「じゃあ、その中に武器とかが隠してあるの?」
「たぶん。とにかく行ってみよう。」
私たちは指定の貸金庫に急いで駆けつけた。
焦りながら中を開けると、「真境名社長に渡して下さい。」と書かれた封筒が一通。
「なんだろう。社長は海外だし、こんな事情だから中身見てもいいよね。」
中身を傷つけないように、慎重に封を開けてみる。
すると入っていたのは、よっちゃんから社長宛の手紙が一枚。
それだけだった。
漢字間違いだらけのその手紙は、今までの感謝と別れの言葉が綴られていた。
「何、これ…。」 私はへたへたと座りこんでしまった。
「こんなの、何の役にも立たないじゃん!よっちゃんのバカ!なに一人で覚悟決めてんの。
プッチーニの時に、あんなに社長が死ぬのを止めようとしてた癖に、自分は何なのよ!」
「よっちゃんがよく言うプロフェッショナルって、こういうことか。」
ロボはつぶやいた。
「確かに、俺たちには真似出来ない覚悟だ。すごいや。」
「どうしようロボ、私たち何の武器も持ってない。」
「爆弾ならあるよ。」
「え?」
「堪忍袋…宇佐美先輩を覚えてる?先輩が作ってた爆弾、暇つぶしに俺も真似して作ったんだ。
ニコに会えなかった間、日曜が暇だったんだもん。」
「それどれくらいあるの。」
「バケツ3杯分くらいかな?」
どんだけ暇だったんだ! てか、それ犯罪だよ。
私はいったん地蔵堂に戻った。「もしかしたらまだ、アレがあるかも。」
雑然と物が並ぶ物置の中、ほこりまみれになりながら目的物を探す。
「あったよ…。」
ケースに入ったZIの銃。銃撃戦の中、隣で見ていたから、使い方も覚えてる。
深夜。ロボはいつものベストではなく、たくさんポケットがついたへんてこなアーミーベストを着て現れた。
ポケットは手製の爆弾でいっぱいに膨らんでいる。
「これさぁ、全部いっぺんに爆発させたら、小さいビルなら吹っ飛ぶよ〜。」
ロボは自慢げに笑った。
「…俺たちも吹っ飛ぶけどさ。」
「意味無いじゃん!それじゃ自爆テロだっつの。」
ロボは私の持っている銃に気がつく。
「使えるの?」
「たぶん。」
「使わないですむといいけどなあ。」
「うん。」
言葉少なく車に乗り込む。自然にお互いの手を握り合っていた。
「爆弾積んでるんだから、目的地まで、安全運転してよね。」
「わかってる。今事故ったら確実にあの世行きだからね。」
ロボは鼻をこすって親指を立てる例のポーズをして見せた。
「マックスタート!」
神様、私 精一杯努力します。だからよっちゃんを助けるの、ちょっとだけ手伝って下さい。
「このビルだ…」
ロボが作った探知機は意外にも?性能が良く、よっちゃんがいると思われる建物はすぐに見つかった。
「マックス探知機によると、よっちゃんがいるのは3階のはじっこあたり。」
「見て!非常口がある。」
いい具合に表からは見えない。…行けるかもしれない。
「じゃあ、例の仕掛けを。」
「実行しマックス。」
少しずつ、時間と量をずらして、近くの公園から道、目的のビルへ、爆弾を仕掛けて歩いた。
近所迷惑この上ないが人の命がかかってる。
「作戦開始!」
私達は二手に別れて走り出した。第一弾の爆発が公園で起きる。突然の爆発音で、近所の人達が外に出てきた。
あたり一帯がざわざわし始めたころ、第二弾の爆発と異臭。
「きゃあーっ!」
野次馬の人達を煽るように、私は悲鳴を上げる。
「ガス爆発だ!どこかで、ガスが漏れてる!危いよっ!」
本当はロボの部屋の生ゴミを爆発させただけだけど、そんなことを言って騒いでみる。
「本当だ、ガスの臭いがする!」「危険だ!」「ガスはどこから漏れてるの?」
だんだん大騒ぎになる。
「おまわりさん、あのビルから変な臭いがします!ガス漏れかも」
私は良識ある女子高生を装って、警官を引っ張っていった。駄目押しに、ビルの玄関で第三弾の爆発。
「警察だ、開けなさーい!!」ヤクザ風の男達がぞろぞろ出てきて言い合いになっている。
とうとうビルの住人達と警官がもみ合いを始めた。上手くいった!
ロボはよっちゃんが一人になったすきに非常口を破壊して連れ出す計画だ。
その時、携帯が鳴った。
「ニコ、作戦変更だ、車に戻れっ。よっちゃんが裏からどこかに連れていかれる!」
私は全速力で2CVに駆け戻った。
「たぶん行き先は〇〇埠頭だね…」
私たちは、よっちゃんが乗せられた車を追跡していた。
「今度は住宅地じゃないし、撹乱作戦は出来ないな。」
「でも連れ出したのは一人だったし、なんとかなるかも。」
なんとかなる、二人でいればなんとかなるよ。ロボは小さくつぶやきながらハンドルを握っている。
私は黙ってZIの銃をそっと握りしめた。
予想通り、よっちゃんは身代金指定場所の倉庫に連れていかれた。
見張りの男に追い立てられながら、体を折り曲げ変な格好をして、足を引きずり、這うように歩く。
「見て。足を折られてるんだ。」
吐き気と痛みが込み上げてきた。
「ロボ、よっちゃんをお願い。私が囮になる。」
「え、え、危ないよ。」
「今助けられるのは、宇宙で私だけ。」
ZIの銃を持って、私は電話の男の声を真似て怒鳴った。
「お前、何やってるんだ!ボスが呼んでるぞ!」
見張りの男は一瞬狼狽えたようだ。
「早く来い!こっちだ!」
コンテナの陰に隠れながら呼びかける。
一瞬倉庫の方を振り向き、大丈夫だと思ったのか、男は私の声を追ってきた。
私は時々呼びかけながら、少しずつ倉庫から引き離すように移動する。
あと少しだけ手伝って!神様!
「コードネーム774!救出に来たぞー!」
「…なんで来るんだよ、バカ。」
「バカじゃないです、オタクです〜。いいから逃げよう!」
「足をやられて、動けねーんだよ。ニコ連れて早く行けよ。」
「よっちゃんも連れてくよ!俺がおんぶしてやるから!」
「無理だって。」
「無理じゃない!火事場のマックスパワーだ!」
いくらロボに上背があっても、けして小柄ではないよっちゃんを背負っていくのは
かなり大変だと思う。でもロボは飛ぶように2CVまで走る。
「ニコ!車を出すから大通りで待ってろー!」
ロボは私にだけ聞こえるくらいの声で言った。
倉庫の方向に戻るのは危険だった。私は、身を隠しながら沿岸の大通りに向かって走り出す。
ロボはよっちゃんを投げるように車に乗せると、急いで2CVを発車させようとしていた。
その時、もう一名、どこかに隠れていた男が駆け寄り、銃をロボの頭に突きつけるのが見えた。
心臓が、凍り付いた。
「あ、あ、あ。」
「いい度胸じゃないか。車を降りて、両手を地面につけろ。」
「ひぃ。」
ロボとよっちゃんは、2CVのすぐ側に転がされて銃を向けられていた。
私が誘いだした見張りの男も気配に気づいて、戻っていた。
「真境名の差し金か。もうすぐ二人纏めて海に沈めてやる。」
「こいつら、もう一人仲間がいるぜ。」
「すぐにそいつも見つけ出すさ。」
突然ロボは口をとがらせて言った。
「これ以上、仲間なんかいないから、探したって無駄だよ!」
「何を言ってる、確かにさっき…」
「俺たち、友達も少ないしモテないんだよ!仲間なんかそんなにいるわけないじゃん。
ねー よっちゃん。」
「そーだそーだ、俺たちは友達も仲間も家族も彼女もろくにいない孤独な独身男だぜ。」
「日曜日になるとスーパーの家族連れが羨ましくてさー。」
「そーそー、サザエさん見ると切ない気持ちになるんだよな。」
「ケーキが食べたくなっても気が引けて一個下さいって言えないんだよねっ。」
「お一人様ですかって聞かれるのが寂しくて、ファミレスにも行けねーんだ。」
ロボとよっちゃんは緊迫した状況下でマヌケな会話を始めた。
恐怖と可笑しさと悲しさでぐちゃぐちゃになって涙が出そうになる。
「ニコ早く逃げて」 ロボは自分のつぶやきが私に届くことを知っている。
男が銃を握り、ロボの頭に当て直した。
「それじゃ、数少ない仲間と一緒にあの世に行けるのは本望だろ。死ね。」
「動くな!」
私はZIの銃を構えて叫んだ。
「残りの一人か。」
必死にZIの動作を思い出し、銃の撃鉄を上げた。
「こんなお嬢ちゃんがお仲間か。あんたにその銃が使えるのか。」
私は黙って、威嚇射撃をした。反動で手元が狂って、かえって男の頭上すれすれに弾丸が飛ぶ。
男の顔色が変わった。
「私は真境名からスパイの訓練を受けてる。私の方が腕が上だよ、おじさん。」
男達は顔を見合わせた。
「武器を捨てて、両手を挙げて。その二人を車に戻せ。」
「何を…」
「言うとおりにして!」
もう一発撃った。足元を狙ったつもりなのに、今度も狙いが外れて男の顔面すぐ横に弾が飛んだ。
男達は銃を地面に投げ捨てる。
「命が惜しかったら、動かないで。」
私は、右手で銃を構えながら、左手で男が捨てた銃を拾おうと少しずつ近づいていった。
すると一人の男が急に背後に移動し私の右手首を掴みねじり上げた。
「痛っ!」
「残念だったな。・・・う!」
私は渾身の力で左ストレートを男の股間に食らわせた。
男は股間を押さえて私の右手を離す。 …奴らは私が左利きだということを知らなかった。
それを合図のように、ロボは自分のポケットから爆弾を取り出し次々に投げた。
「食らえ、マックスボンバー!」
続く爆発音に、男達はパニックになった。
よっちゃんは地面を這うようにして男の銃を拾い、海に投げ捨てる。
私達は、足の利かないよっちゃんを支えて2CVに乗り込んだ。
「マックスタート!」
運良く2CVは軽快に走りだした。すぐに、男達は車に乗って追って来ようとする。
「ニコ、その銃貸せ!」
よっちゃんが窓から身を乗り出し銃を構え、リズミカルに四発の銃声が聞こえて、
男達の車がパンクして動かなくなったのが見えた。
海風を受けて、2CVは走り続ける。
「いやー。ニコのはったりには驚いたよ。すっげぇ迫力だったじゃん。」
「そーそー。スパイの訓練受けてて腕が上だって。生まれて初めて銃に触ったのにさっ。」
「だって」
私はほっぺたをふくらませて言った。
「半分は嘘じゃないじゃん。」
結局、よっちゃんは両足の複雑骨折で入院した。
「お前ら、いつのまにかプロフェッショナルな仕事してんのな。借りが出来ちゃったよ。」
よっちゃんが追っていた警察内部の密告者は、飲酒運転という間抜けな罪で逮捕され
よくある警察内の不祥事として表向きは報道された。よっちゃんは警察関係者から報酬を
貰ったけれど、社会的には何の名誉も得られないし、何の感謝もされなかった。
スパイはあくまでも陰の人間、表舞台にはけして出てこない存在で、それでもどうしようもなく
この世界に関わっていく。それがよっちゃんや社長が選んだ生き方だった。
「はいこれ、社長からのおみやげ。」
舌を噛みそうな名前の「南の島」から航空便で、現地に伝わる「幸運の人形」が送られてきた。
が、輸送の途中で壊れたらしく、足がぽっきり折れている。
「なんだこりゃ。足折れてんじゃん。縁起悪いなー。」
「きっと人形が身代わりになって助けてくれたんだよ。」
社長は、今回の件を知らない。「あの人は何十年もこういう生活をしてたんだから、今は
羽を伸ばせばいいんだよ。」と、よっちゃんが知らせなかったからだ。
私はよっちゃんの病室に、(ロボが直した)「幸運の人形」と「よっちゃん様」を並べて吊した。
「おいおい変なモノ飾んなよ。」
「結構可愛いじゃん。」
「あのさ、ニコ。」
「何?」
「お前、本気で将来スパイにならね? 才能あるよ。マジで。」
「前向きに検討しとく。」
病室を出る時、今度は一海ちゃん連れてお見舞いに来るよーと言うと、よっちゃんは複雑な顔をした。
会社帰りのロボと駅で待ち合わせする。
いつもの帰り道を、二人並んで歩く。3年前当たり前だと思っていたこんなことが
当たり前じゃなくなって、今また当たり前のようにロボと一緒にいるのが不思議だった。
「よっちゃんどうだった?」
「思ってたより、元気。」
「そっかー。俺も今度の日曜お見舞いに行くかな。
よっちゃんってエルガイムとダンバインどっちが好きだと思う?」
…その会話、常人には限りなく意味不明だよ。
「ねえロボ。私、よっちゃんのことよく知らなかったんだな、って思ったよ。」
「うん?」
「よっちゃんが背負ってる物のこと。何も知らなかった。
あんな…ハードボイルドな生き方してるんだって。もっと気楽な人かと思ってた。」
「他人のことなんてさ。何十年一緒にいたってよくわかんないもんだよ。」ロボは言った。
「自分の親だって兄弟だってさ。あ、こんなこと考えてたんだ!ってびっくりすることあるじゃん。」
「うん。」
「正直言うと、ニコのことだって俺にはわからない部分はいっぱいあるし、
ニコも俺のことがわからないかもしれないし。」
私は、ロボが昭子さんと行ってしまった時のことを思い出した。
「たぶん、他人を本当に理解するなんて、不可能なんだと思うよ。」
「そうか。そうかな。」
「だからいいんじゃないかな。理解できないからこそ、理解しようと努力するし、
少しでも何かを分かり合えた時には嬉しいとか、愛しいとか感じることが出来るからさ。」
パズルだって簡単すぎるとつまんないでしょ、とロボは笑った。
ロボの口から出た「愛しい」という言葉が私の耳を甘くくすぐって、どんな顔をすればいいかわからなくなる。
「あのさニコ。助けてくれてありがと。」
「ん?」
「俺あの時、もうニコが助かればいいや、って思ったんだよね。でも、命がけで来てくれたじゃん。
かっこよかったよ。怖くなかったの?」
…怖かったよ、ロボ。ロボの頭に銃が突きつけられて、今にも撃たれそうなのを見た時、
三日坊主の銃の前に飛び出した時より、ZIの銃撃戦に巻き込まれた時よりも
ロボが目の前で殺される方が私は怖かったよ。
「ロボにはミサイルから守ってもらった恩があるからな。」
「何の話?」
「なんでもないよ。」
いつか意識のあるときにやり直ししてよね。
「ニコ、…こっち見て。」
ロボはそっと、私の肩に手をかけ引き寄せると、覗き込むように顔を近づけた。
私の心の声が聞こえたはずは無いのに、なに、なにこのシチュエーション。
ロボの、子犬みたいな黒い目が間近に迫って、私は息が詰まって、そしてロボは、
私のおでこに優しくキスをした。
「…そっちかぁ。」
「え、何。」
「なんでもない。」
「怒った?怒ったの?」
「怒ってないよ。」
「だってニコ変な顔してる。怒った?嫌だったの?」
「怒ってないってば。」
「本当に?本当に怒ってない?」
「もう!うるさいな。」
私はえいっと背伸びをすると、乱暴にロボの後ろ頭に手をかけて、いつまでもさえずり続けるロボの嘴に、
自分の唇で蓋をした。
ロボは目を白黒させて真っ赤になって、そして世にも幸福そうにニカーッと笑った。
「…そんなことされると期待しちゃうだろ〜」
俺、将来に希望を持っていいのかな。もう忘れられるのは嫌なんだ。
ちょっと寂しそうに呟いたロボの横顔に夕日があたっている。綺麗だ、と思った。
私は黙って手を繋ぎ、ブンブンと子供みたいに振って歩く。
私の知らないロボ、ロボの知らない私、見えない溝はこれからも二人の間に永久に存在するんだと思う。
一緒にいてもわからないことはたくさんあって。解けないパズルを解き続けるようなもので。
だからその溝を跳び越えた一瞬、その瞬間を心から
愛しい、と思った。
******************************************************************************
終わりです。長々と読んでいただきありがとうございました。
是非!映像化を!
う〜お金があれば自主制作で作りたい!
すばらしい!
うぉ〜!!! 萌えた!元気出た!! ちょっと外走ってくる!!
>>94 マジレス。ゴムは暑さ寒さで劣化するので、未使用でも1年で捨てましょうw
ロボ、3-4年もたったゴムはかなり劣化しているから、使用中に破けるぞw
>>104 覚せい剤の摂取致死量は、3グラムから6グラムで十分。
砂糖みたいに摂取したら幻覚どころか死んじゃってるぞw
>>116 ノシお気をつけてーw
あらら、良作のラッシュ♪
イイ感じになってきましたね。
みんななんて上手いんだ〜
エロなしです。タイトルは「決着」。
バタン!ドタ、ドタ!
ロボは息を切らしながら地蔵堂にやって来た。
「あらぁ、どうしたの?一人?
あなた一人でここ来るの怖かったんじゃないの?」
「ニコ、ニコを知りませんか?」
ロボはゼイゼイ言いながら聞いた。
「知っているわよ。」
「ど、どこに?どこに居るんですかぁ!?」
「あら?居場所のこと?知らないわ。」
「今、知っているって言ったじゃないですかぁ!」
「『知っているか?』と聞かれたから『知っている』と答えただけよ。
居場所は知らないわ。」
「なになにロボ。もう逃げられたか。プロフェッショナルじゃないねぇ。」
「本当にですか?何か仕事を依頼していませんか?」
「してないわ。もししたらあなたにも話が行くでしょ?
あの子一人だけに依頼はしないから。」
「そうですかぁ。」
「そうよ。確かにあの子は聡明で行動力もある。
でもね。やっぱり女の子でしょ
いつどういう危険な目に遭うか分からない。
あなただったら彼女を守れるでしょ?
なんだかんだ言っても、あの子あなたのこと信頼しているから。」
「も、勿論です。僕はどんなことがあってもニコを守ります!
でも、おっかしいなぁ。ニコ何処行っちゃったんだろう?」
「なに?本当にいなくなったのか?」
よっちゃんは鋭く緊張した顔で社長を見た。
社長も真顔で落ち着いた低い声でロボに聞いた。
「いったい何があったの?」
ロボは説明を始めた。
ニコから何度もロボの携帯電話に電話があったけど、
仕事が忙しくて電話に出ることができなかった。
そして最後の着信に伝言メモが残っていた。
「ロボ、ごめんね。2、3日会えない。
今は詳しく話せないけど、戻ってきたら必ず話すわ。
最後はロボに決めてもらうことになるんだけど。
その前に私だけで確かめてみたいの。
ごめんね。」
「空港ね。これ。」
「ええ、そうですね。社長。」
「羽田かしら?成田かしら?」
「これだけじゃ分かりませんね。」
「ニコちゃん、パスポートは?」
とマキが鋭い眼光でロボに聞いた。
「わ、分かりません。でも海外に行ったような話は聞いたことありません。
「そう。じゃあ、多分羽田ね。」
「でも、社長。声の調子からして脅かされているようじゃないです。
切羽詰った…と言うよりは、思いつめているようだ。」
「そうね。身の危険はなさそうね。
ちょっと様子を見ましょ。
話している内容が本当だったら2、3日したら戻ってくるわ。」
「そっすね。何か動きがあるとしたらその時ですね。
いいな、ロボ。何かあったら直ぐに連絡を寄こせ。
どんな些細なことでもだ。
それと、何か思い当たる節があるかどうか考えろ。」
「単なる『かんげわち』だったらいいんだけど…。
もしそうだったら、あなたしか解決できないわよ。」
と意味深な目で社長はロボを見た。
「か、かんげわちぃ?なんですかそれ?」
ロボはキョトンとした。
『かんげわち』
なんだろう?それ。
とにかくロボは、よっちゃんの言う通り最近のニコの様子を考えることにした。
う〜ん、分からないなぁ。
特に変わったことなんかなかったような…。
俺、ニコのこと「好きだ、好きだ」って言っているくせに
何もニコのこと知らないんだなぁ。
ニコは俺のことを分かってくれているのに。
ロボット品評会で仲間たち全員にカレーを作ってくれるし、
本当は嫌なんだろうけどロボット大会にも付き合ってくれる。
オタクで駄目人間のこんな俺を優しく時には厳しく包んでくれている。
俺、ニコに依存してばかりだ…。
ニコと付き合うようになってから更に甘えている。
浮かれ過ぎていて何も見えていなかった。
そうだよ!
ニコに好きでいてもらうには俺自身が成長しないと!
よし!考えろ!何か変わったことがなかったか!
今、ニコを救えるのは宇宙で俺だけだ!
ロボは一生懸命色々な表情のニコを思い浮かべていた。
笑った顔、泣いている顔、怒っている顔。
うん?怒っている顔?
そういえば、怒っているというよりは苛々している時があるな。
あの苛々は付き合う前は頻繁にあったけど、付き合いだしてからはかなり減った。
でも、ここ最近増えたなぁ。いつ頃からだろう?
それに一度だけ心ここに在らずという感じで考え事していたな。
「どうしたの?」と聞いても
「ううん、なんでもない。」と直ぐに笑顔で誤魔化された。
あれは、なんだったんだろう?
もっと聞けば良かった…。
その頃、私は雲の上にいた。
南の島に向かう飛行機の中で私は考えていた。
もう後には退けないわ。
これを解決しない限り私達は前に進めないわ。
いや、結果次第では私だけ取り残されることになるわ。
考えたくないけど。
あ〜あ、見過ごそうと思えば見過ごせたのになぁ。
気が付かないふりができれば、どんなに楽か。
『ホント、損な性格だよ。』
ロボと付き合うようになってから常に心の何処かで燻っていた。
罪悪感。一海ちゃんの言葉を思い出していた。
そうこれは罪悪感。
一人になると押し潰されそうになる。
押し潰されそうで無性に苛々することがある。
塞ぎこむこともある。必死にロボには気が付かれないようにしていた。
それでも時々出てしまう。
特にロボと結ばれてからは。
『あ〜あ、私って意外にストレスに弱いのよねぇ。』
ロボが横にいてくれればどんなに心強いか。
今更のようにロボの存在の大きさに気が付かされる。
『でもこれだけはロボを頼るわけにはいかないわ!
それに結論を出すのはロボなんだから。
場合によっては…。私はロボとの別れを決意しなければならない…。』
自然に目に涙が浮かんだ。
夏休みに入ったばかりの一昨日のことだった。
『探すしかないわ!このままだと私、一歩も前に進めない。』
私は学校のパソコンルームにいた。
『都会生活に疲れた人達はは北に向かうって言うわ。
なんとなく分かるような気がする。でも今回は違うわね。
恐らく、南。しかも町里離れた村。
もしかしたら離れ小島かもしれない。』
と考えながら画面に映し出された日本地図を眺めていた。
そして目ぼしい町、村、島の名前をメモして検索ページで
思いつくキーワードと共に更に検索した。
「ここだわ。きっと!ここよ!」
私は直ぐに上品な中年女性の声で電話を入れた。
ビンゴだった。
そして行き方を調べチケットの手配も済ませた。
この時期の交通費は思いのほか高かった。
「う〜ん、きついなぁ。地蔵堂の依頼を2、3引き受けないといけないかなぁ。」
ニコのメモには「志木那島診療所」と書かれていた。
ニコは何かを思いつめていたのかもしれない。
何をそんなに?
「一海ちゃんに聞いてみよう。」
お姉さんの一海ちゃんには何か話しているかもしれない。
一海に会うとロボは直ぐに鼻の下が伸びた。
『いかん、いかん。ニコに知れたら大変なことになる。
でも、可愛いなぁ。一海ちゃん。』
「あら?ニコと一緒じゃなかったの?」
「え?」
「2、3日出掛けるって言っていたからあなたと一緒かと。違うのね。じゃあ誰と…。」
「え!?ニコ、一人じゃないんですか!?」
「あ、いや、分からない。分からない。」
ロボはニコが残した伝言を聞かせ、ニコがいなくなったことと
何か思い当たることがないかと尋ねた。
「そういえば最近よく机で考え込んでいることがあったわね。
私が『なになに、彼のことでも考えてんの?』と聞くと『違うわよぉ』と返事していたわ。
でも確かに様子は変だったわね。」
『やはり一海ちゃんには見せていたんだ。』
「他にありませんか?」
「そうねぇ…。そうだ!三日くらい前だったかな?変なことを聞いてきたわ。」
===========================================================================
「ねぇ、お姉ちゃん。
もし自分の魔が差した行為で人の人生を大きく変えてしまったらどうする?」
「え?なにそれ?最悪じゃん!私だったら罪悪感で夜も眠れなくなっちゃうかも。」
「そうだよねぇ。じゃあ、どうすればいいと思う?」
「う〜ん、やっぱ、元に戻してあげればいいんじゃないかな?」
「え?」
「だから、自分がそんなことをしなかった時の状態に。戻してあげるの。」
===========================================================================
「その後、ニコ。更に考え込んじゃって、話しかけても上の空だったわ。」
ロボは硬直した。
別れの挨拶もそこそこにロボは走り出していた。
『まさか!あのことを!まだそんなに気に病んでいたのか!』
空がこんなに高いものだったと改めて知った。
澄んだ空気。
宝石を散りばめたようにキラキラ光る海。
優しい波音が聴こえる長閑な場所にその診療所はあった。
「靖ジイ、そろそろ戻ろうか?」
と笑顔で車椅子を押す女性に私は近付いて行った。
時が止まっているよな長閑な景色の中をゆっくりと歩いた。
『このまま本当に時が止まってくれればいいのに。』
私に気が付いたその女性は言った。
「あら?久しぶりね。
ニコちゃんだっけ?」
「お久しぶりです。
昭子さん。」
一心不乱に走っているロボの携帯が鳴った。
よっちゃんからだった。
「ロボ!ニコが乗った便が分かった。
お前今から羽田に行け!タクシー使えば最終便に間に合うはずだ!」
「ホント!?よっちゃん!
あ、でも俺、タクシー代も飛行機代もない!」
「いいか、良く聞け!一度しか言わない。
四角ビルのタクシー乗り場に行って、ステッカータクシーの774号車を探せ。
予約と表示されている筈だ。
そして『地蔵堂の使いのロボだ』と言えば羽田の第2ターミナルまで運んでくれる。
羽田に着いたら大日本航空の18番カウンターに行け。
そこでも『地蔵堂の使いのロボだ』と言え。あとは航空会社の人の指示に従え。
ホテルまで案内してくれる手筈になっている。」
「昭子さん!昭子さんを探して!ニコは昭子さんに会いに行ったんだ!」
「昭子ぉ?あのプッチーニの昭子か?良し分かった。お前はホテルで連絡を待っていろ。」
「よっちゃんありがとう!何からなにまで。」
「勘違いするなよ。ロボ。金は後できっちり払って貰うからな。」
「うん!一生掛けて返すよ!」
『ニコぉ、待っていろよぉ。今行くからな。』
「待たせたわね。」
「ごめんなさい。お仕事中に。」
「もう終わる頃だったからいいのよ。」
私達は並んでゆっくり歩ていた。
「私が来たの驚かないんですか?」
「そうねぇ、驚かないわね。いつかは来るだろうと思っていたし。」
「え?」
昭子さんはクスっと笑った。
「彼と付き合っているのね?」
「え?どうしてそれを。」
「あなたがここにいるからよ。」
昭子さんはまた微笑んだ。
「いつかはそうなると思って…違うわね。
そうならないと変だと思っていたわ。
私がちょっと邪魔しちゃったって感じかな?」
「私…、私、昭子さんから預かったメモ、捨てちゃったんです。
それで、どうしても自分が許せなくて…。」
「それで私に許しを請いに来たの?」
私は無言で俯いた。
「違うでしょ?」
私はハッとして顔を上げた。
『この人は全てを見透かしている。』
「もし、私が『許せない!』と言ったらどうするの?
彼を私に渡すの?」
私は黙って昭子さんの顔を見つめた。
「そんなことはしないわよね。
ううん、できないわよね。
あなたは今とても深く彼を愛している。
あなたのことだから一生彼を愛し続ける筈。
そう簡単に彼を手放すようなことはしないわ。」
なにも言えなかった。
「あなたは私に『認め』てもらいに来た。違う?」
図星だった。
俯いて自分の足下を見ることしかできなかった。
遠くで聴こえる波の優しい音が心に沁みた。
「でも、単に認めて貰うだけじゃ私に会いになんか来たりしない。
あなたは私にというより、彼に対して罪悪感を抱いている。
だから、彼に私かあなたのどちらかを選ばせようとしている。
そして、もし、彼があなたを選んだら私に認めて欲しいとお願いしに来た。」
『顔を上げることができない。完敗だ。』
私は俯いたまま話し出した。
「そうです。
全て昭子さんの言う通りです。
私。私、欲張りなんです。
そして自分勝手なんです。
私からロボを手放すことなんかできない。
ううん、違う。手放したくない。
でも、彼を好きになれば好きになるほど罪悪感で押し潰されそうに…。」
私の目からは涙が溢れ出ていた。
「もう限界で…。苦しくて…。だから決着を付けないとと思って…。
彼が結論を出す前に昭子さんに一度会いたくて…。
会って承諾して貰おうと思って…。」
私はただ泣くだけだった。
自分が自分で嫌になった。
『私はこの人に勝てない。
この人の前では単なる駄々っ子。
4年前の公園の時と同じ子供のままだ。』
「ごめんなさい。ちょっと言い方がきつかったわね。」
私は顔を上げた。
昭子さんは私の顔を見てニッコリと笑った。
「いいのよ。あなたの気持ちは十分分かるから。
それに、もし彼が私を選んだら、あなたは黙って身を引くつもりなんでしょ?」
私は黙って頷いた。
昭子さんは優しく笑いながら私を抱き寄せた。
「ホント、可愛い子。あなたは。」
『私にもこんな時があったんだわ。』
ロボはホテルの部屋でよっちゃんからの連絡を今や遅しと待っていた。
「遅いなぁ。早く来ないかなぁ。」
4年前のことを思い出していた。
自分が捨てたメモを一生懸命探すニコの姿を。
「どうしよう。取り返しのつかないことをしちゃった。」
と半分泣いたような声でゴミ箱の中を探す姿を。
あの時、ニコのことを愛おしいと思った。
それが恋愛感情だったのかどうかは今となっては分からない。
ただ、「もう二度とこの子にこんなことをさせたくない」と思った。
そしてロボは、昭子のことも考えていた。
昭子さん。初めて俺の思いを受け止めてくれた女性。
ロボの胸の奥でキュッと締まるような音がした。
ロボは胸に手をやって「痛い」と思った。
突然電話のベルが鳴った。
「よっちゃん!?」
「分かったぞ!志木那島診療所だ!彼女はそこで看護師をしている。」
「志木那島?」
「そうだ。そこから船で約3時間の小さい島だ。
明日、もう今日だな。朝5時に波止場に行って『地蔵丸774号』を探せ。
『地蔵堂の使いのロボだ』と言えば志木那島まで連れて行ってくれる。」
「ありがとう!よっちゃん!流石だね!」
「こんなの朝飯前だ。プロフェッショナルを舐めんなよぉ。
あとはお前次第だ。しっかりニコを連れて帰ってこいよ。
いいな!二人でちゃんと帰ってくるんだぞ!。
「うん!」
とロボは力強く言って電話を切った。
『離れ小島の診療所かぁ。昭子さんらしいな。』
「ふぅ〜、世話の焼ける連中だ。プロフェッショナルじゃないなぁ。まだまだだ。」
「はい、よっちゃん。ご苦労様。」
と社長がビールを差し出した。
「あ、ありがとうございます。
社長がいなければ、こんな短時間であの女の居場所は分からなかったです。
俺の名前だけじゃまだまだ難しいことだらけッスよ。」
「伊達によっちゃんより永い生きしてないからね。
ま、とにかく『かんげわち』で良かったわね。
あとはあの坊やのお手並み拝見ってところね。」
「それで社長。今回の経費は?」
「勿論、あの二人に仕事をして貰うわ。
そのためにも、ちゃんと二人揃って帰ってきて貰わないとね。」
社長は薄笑いを浮かべた。
明るく差し込んだ日の光で私は目が覚めた。
昨夜は診療所の空いている病室に泊めさせてもらった。
診療所らしい診療所だと思った。
こぢんまりしているけど、手術も行えると昭子さんが言っていた。
東京から来た優秀な外科医と事務長と昭子さんの三人で切り盛りしている。
優秀な外科医なのに物腰の柔らかい先生で私は少し驚いた。
「良く眠れましたかぁ?」
調子外れの声で外科医は聞いてきた。
「あ、はい。申し訳ございませんでした。突然押し掛けて。」
「いいの、いいの。今は入院患者さんも居ないから。」
「大変じゃないですか?三人だけで。」
「うん、そうだね。大変じゃないと言えば嘘になるかな。
辛いこともあるし、悲しいことも一杯ある。
でもね、東京では味わうことの出来なかった町の人達との触れ合いがここにはある。
ちょっと、散歩してくると良いですよ。気持ちよく晴れていますから。」
「はい」
と言って私は外に出た。
今日も空は綺麗に澄み渡っていた。
私は深呼吸をして「気持ちいい〜!」と叫んだ。
「おはよう。」
昭子さんだった。
「良く寝れた?」
「はい。」
「そう、良かったわ。」
と笑顔で昭子さんは診療所の中に入って行った。
私は海を見ながらゆっくり歩いた。
『触れ合いかぁ。』
遠くの海に目をやりながら、ロボに会いたいと思った。
ロボのことを信じている。
でも、この事、昭子さんの事だけは分からない。
信じたい。不安だから信じたい。
社長の言葉が胸に突き刺さった。
『そう、私は不安の中にいる。』
暫く歩くと遠くの方でこっちに向かって歩いてくる人影が見えた。
その影は段々大きくなり、男の人だと分かった。
更に近付くと、私はハッと息を飲んで口に手を当てた。
ロボだった。
「やっと見付けた。」
ロボは微笑みながら言った。
「あれが診療所だね?」
私は黙って頷いた。
ロボと私は並んで診療所に向かうと昭子さんが出て来た。
昭子さんは私たち二人を見て、ちょっと驚いた感じだった。そして近づいてきた。
私は左横にいるロボの顔を見た。
でも長く見ることはできなかった。
『ついにこの時が来たんだわ。』
「お久しぶりです。昭子さん。」
「久しぶり。元気だった?」
「はい!その節は大変お世話になりました。」
とロボは頭を下げた。
「ごめんなさいね。黙って出て行っちゃって。」
「いえ、いいんです。昭子さんの気持ちも分かりますから。」
私は黙っていることしかできなかった。
『二人の中には入っていけない…。』
「さてと、ニコちゃん。丁度良いんじゃない?
彼に結論を出してもらおっか?」
「結論?」
ロボは私の顔を見た。
私は何も言えなかった。
「そう。結論。
あなたに私かニコちゃんのどちらかを選んでもらうの。」
「僕がですか?」
「そう。あなたが。」
ロボは昭子さんと私を交互に何度も見た。
昭子さんは微笑みながら、そんなロボの様子を見ていた。
私は顔を上げていることができず俯いた。
少ししてロボが言った。
「昭子さん!」
私はハッとしたと同時に目に涙が…。
『泣いちゃいけない。今ここでは!泣いちゃいけない…。』
私は拳をギュッと握った。
「僕は。ぼくわぁ!ニコを迎えに来ました!」
ロボは私の肩を抱き寄せた。
私は一瞬事態が飲み込めないでいた。
「昭子さん、ごめんなさい!」
ロボは頭を下げた。
私は涙を止めることができなかった。
「言ったでしょ?ニコちゃん。
あなた達はこうなるべき運命だったの。
私が少しだけ邪魔したの。
ううん、神様があなた達の絆を深めるために使わされた天使なの。
白衣のね。」
昭子さんは笑っていた。
「さてと、もう長居は無用ね。二人とも行きなさい。」
「はい、昭子さん。今度こそ本当にさよならです。行こ!ニコ!」
「う、うん。ロボ先に行って。ちょっとだけ昭子さんと話したいから。」
「分かった。ゆっくり歩いているから直ぐに来るんだよ。」
ロボはゆっくりと立ち去った。
「昭子さん。私…。」
私が話すのを遮るような形で昭子さんは手を差伸べてきた。
「ニコちゃん。何も言わなくて良いのよ。さぁ、お別れの握手。」
握手を交わしながら昭子さんは話し始めた。
「もう迷っちゃ駄目よ。あなたがそうであるように、彼もあなたを一生愛し続けるから。」
昭子さんの手は柔らかくて優しかった。
「でも、私…。」
また昭子さんは私の言葉を遮るような形で話し出した。
「あのメモにはね。何も書いてなかったの。
だから私たちは4年前に既にちゃんと別れているの。」
「嘘です。私、チラッとですが何か書いてあるのを見ました。」
昭子さんは微笑んだ。
「そうだったかしら?覚えていないわ。
でもね。書いてあったとしても私の中では終わった恋なの。
だから、あなたは前に進みなさい。彼と共に。もう立ち止まらないで。
彼を信じて。あなた自身を信じて。
ホラ、行きなさい。心配しているわよ。」
ロボが遠くで心配そうにこっちを見ていた。
私は昭子さんにお別れの言葉を言って、急いでロボの元に走って行った。
『ニコちゃん、あなたは気が付いていないかもしれないけど、
あの時、最後に公園で会ったあなたの目は、女の目だったのよ。
大切な人を取られまいとする女の目だったの。
だから私はあなたがあのメモを彼に渡さないことを知っていた。
あなたの取った行動は『魔が差した』ものなんかじゃないの。
恋する女の行動だったのよ。』
昭子は愛する人の元へと走り去って行くニコを見ながら思っていた。
『あのメモには何も書いていないというのは、あなたの言うとおり嘘よ。
でもね。
あのメモには居場所なんて書いてなかったの。
私はあなた達の間をちょっとだけ邪魔した。
通りすがりの女だから。』
「何話していたの?」
とロボは聞いた。
「ひ・み・つ。女同士の話。」
ロボは「ふう〜ん。」と遠くを見るような目で言った。
「ね、ニコ。ありがとう。」
「え?」
「ニコのお陰で昭子さんにちゃんとお別れを言えた。」
私はロボの横顔を見つめた。
「俺さ、ニコ。
今回のことでつくづく考えたんだ。
ただ『好きだ、好きだ』って言っているだけだったなぁって。
ニコのことを全然知ろうとしなかった。
ホント口先だけの男だなぁって。」
「そんなことないよ。
こうしてちゃんと探しに来てくれたじゃん。
それだけで私は嬉しい。
私ももっと自分のことをロボに話すようにする。
もう一人で悩んだりなんかしない。」
「そうだよ。俺達はペアなんだから。
どちらかが欠けちゃいけない。
二人で色々なことを乗り越えていこう!」
ロボはいつものポーズを決めた。
「そう言えば、地蔵堂の社長が今回のことを『かんげわち』って言っていたよ。
何だろうね?『かんげわち』って?」
私はその言葉をゆっくり声を出さずに復唱した。
「そうかもね。
私の一方的な。だけどね。悔しいけど。」
「え?なに?なに?」
「教えなぁい!」
「え゙〜、教えてよう。いいじゃなぁい。」
私はロボの手をそっと握って笑った。
『かんげわち』逆から読むと『ちわげんか』。
そう、これは私一人だけの『痴話喧嘩』。
昭子は、海辺横の階段に座っていた。
膝の上に右腕で立て肘をついて掌に顎を載せていた。
遠くの海に沈む太陽を見ながら、遠ざかる二人の後ろ姿を思い浮かべていた。
そして、あの時、あのメモに書いた言葉をゆっくりと口にした。
お・し・あ・わ・せ・に。
終
枕を濡らしてしまったぜ
いいな、いいなー、コラボまで! どれもスパイで読み応えあるなー。
でもこの辺で短いのも書かせて。全然スパイじゃないw 部屋から出ないw
A以上C未満の2人です。 ソフトにエロ、か?
*************
「もう、待ってよ」
来るなり、まだ靴も脱いでないのにつかまって抱きしめられて、キス。
ううん、キスだけなら嬉しかったのに、もぞもぞと胸の辺に手が伸びてきてるから。
「1,2,3 はい『待つ』の終了〜♪」
ふざけたコールで続きが始まりそうなのを、本気でくい止める。
「いーかげんにしろ!」
「ちぇー」
だって、ロボん家の玄関ってガラス戸で素通しだよ?? 丸見えだよ??
普通にダメでしょ。なのに、素直に引き下がられると、ちょっと可哀相になる。
恋のABC、は女子が超好きな話題で、くだらねーと思いながらも小中高生活で100回は聞いた。
それで言ったらあたしとロボは「Aの関係」になりたて☆だから。
まずはずーっといろんなキスをして、あっちこっちデート行って。そのうち「B」を許しちゃう日が来て、「C」はそれから?……ぐらいのちょっと先かと思っていたら、違うらしい。
大まじめに、そっとしてくれた初めてのキス以降は、全ての接触がゆるやかにセックスに繋がっている
気がする。前戯ってやつ?
……イヤじゃないよ。好きだから。
あの日、ロボに見つめられて目を閉じた時、本当に何をされてもいいと思った。
でもそれと、冗談みたいにお尻撫でられたり! ついでみたいに胸揉まれるのは、100Kmぐらい
違うでしょ!?
一応ロボは大人だから。イヤ、と言えばすぐに止めてくれる。でも、それはただの中断。
笑いながら触れてきて、拒まないとどんどん大胆になる。どこで止めるのかを決めるのは……あたし?
それってずるくない?
今日も。
あれこれくだらない話をするうちに、やっぱりキスされて、やっぱり前戯になっちゃって。
ロボの唇は胸元に落ちてきた。 これって、キスだけどもうAじゃないよね〜?
さわさわとロボの髪に首をくすぐられながら、官能よりは緊張で身を固くする。
ひとつ、ふたつ、外されていくボタンの分、はだけた隙間に吐息がもぐりこむ。
あの唇があたしの胸の素肌に触れて、ブラのラインを辿ってる。
どうしよう。
イヤって言えるのに言わない自分が恥ずかしい。見えるのが恥ずかしい。自由に動かせる両手は
どこに置いたらいいんだろう。
「柔らかい…」
そう、呟いて続けるロボの濡れたキスの音と、自分の速い鼓動が部屋中に響いてる。恥ずかし
さに身を捩ると、唇が追ってくる。でも、押さえつけるでもなく。
いつでも逃げられる自由だけを残されて、かえって不自由。
どうしよう。でも、これ以上、脱がされる様子も、ない、ならもう少しこのまま……。そんな逡巡を
余所に、ロボの吐息がくすっと笑って聞こえた?と思ったら
ぺろり
潜り込んできた舌が乳首をかすめた。
<2/3>
「もぉヤダ! 莫迦!」
身体の前でシャツをかき集めて、2Mは後ろに飛ぶ勢いで離れる前にギャーとか色気の無い声を
あげたかもしれない。突き飛ばされたロボは、文字通り腹を抱えて笑っている。
「やっぱり、これは、ダメなんだ?」
「分かってたらするなー!」
あたしが半泣きなら、ロボも涙をぬぐってる。笑い過ぎでだけど。
こんなこと、何でもない日に!そうショック受けてる自分にまた衝撃。あたしって意外に乙女だったんだ。
なのに、笑われてる!!
「もっと、大事にしてよ」
ぐずぐずの身仕舞いを直しながら、情けなくなってつぶやくと
「してるじゃない!」
目をまんまるくしたロボに抗議された。えー?
「俺ニコがすっごく好きで、大切だよ?」
「で、でもそれだったらこんなの……」
こんなの、イヤ、とは言えなくて言葉に詰まっていると、しばらくあたしの次の言葉を待っていた
らしいロボが、静かにキッチンに立ってマグを2つ持ってきた。
初めてのキスの後、2人で選んだ、お揃いの柄の色違い。
「はーい、ミルク入り砂糖抜き、ダイエット仕様でーす」
「……ありがとう」
受け取ると、自然に隣に座られて、ちょっとしまったと思う。
でも騒いで喉も乾いたし。ミルクが半分の珈琲(って言わないかコレ)をごくごくと飲んで息をつくと
ぷに、と頬に触られた。
「何〜」
「可愛いな〜と思って」
やだーもー、と肘をはたくと今度は頭をぐりぐりされた。
「ちょ、こぼすよ〜」
「これと同じなんだけどなぁ」
「へ?」
だからさと、まだあたしの頭を撫でながらロボが続ける。
「触りたいのもキスも、全部。ニコが可愛いから!
さっきのは…ゴメン。やりすぎた。でもやっぱり、好きだから、だよ」
ちょっと不安げなロボの瞳は、初めて好きだと言われた日を思い出させて胸が熱くなる。
いつもこんな、ロマンチックならいいのに。
「……うん」
「で、さ」
両手でマグを揺らしながら、ロボの眼が泳いでいる。
どうしよう。まさかいきなり、全てが欲しい、とかっ オレのものになってくれとかっ
「ニコは……俺に触りたく、ならない?」
「はぁ?」
<3/3>
3秒ぐらい、口が開いていたかもしれない。
だって、キスも、その他も、全部『される』『あげる』『許す』で、あたしが何かするもんだとは
これっっっぽっちも思ってませんでしたよー。
「無理かなぁ」
淋しそうにつぶやかれても。
あたしばっかり、おもちゃにされて。ロボばっかり、したいことして、って、思ってたのに。
ずっと『我慢してあげて』たのに。
慌てて、触れる。
無駄な肉のない、男の人の固くて長い腕。血管が浮き上がって出てるの、いつも不思議だった。
マグを離した手は、細かい作業の得意なきれいな長い指。
どっちも、ただ愛しく触れるのは初めてでドキドキする。でも何がしたいのか分からなくなって
終いにはギュッと抱きついた。
「ニコ?」
片腕にしがみつかれて、戸惑った声のロボはそれでもちょっと嬉しそうだったけど。
「そっか、腕かぁ〜」
と、ため息をついた。
「ニコが今はそれで十分なら、俺、いつも非道いことしちゃってるよなぁ。
嫌がられてばっかりでさ」
嫌がってなんて……いたけど。
「部屋で会うのも、もう良くないよ。
その…ふざけて誤魔化すのも限界っていうか……」
言葉を濁すロボが、何を指してるのか薄々気づいたけど何故かそれは別れ話みたいに聞こえて。
腕じゃダメなんだ。焦る気持ちで手を伸ばしてベストのボタンを外した。
「無理しなくていいって」
「無理じゃない!あたしだって……、ロボのこと、好きなのに」
「ホント〜??」
突然テンション高く向き直ったロボは飛びかかるように抱きついてきた。
「良かった〜。俺だけ1人で盛り上がってるかもって、ずっと」
ロボも、不安だったんだ。……自分と同じように、あたしが触らないから?
って、無理だよあんなこと!!
可笑しくなって笑うと、のぞき込んだロボが訳も知らずに笑顔を返してくる。
そっか、こういうことか。
最近のあたし、ずっと笑ってなかったのかも。
抱きしめられている腕をそっと外すと膝立ちになって、心持ちロボを見下ろす。
戸惑い顔に両腕を回して、見つめ合う。
「えっとね。大人のおつきあいは、いろいろ慣れないし怖くて困るんだけど。
キスは好き」
唇に触れてみる。
「それから、ロボが大好き」
そういえば、これも「返事」じゃなくて言うのは、初めてだったかも。
頬を染めるロボが嬉しそう〜に目を閉じたので、あたし初めて自分から、キスをした。
「尻、揉まない!」
「あゴメン、つい」
ロマンチックには程遠いけど、幸せかも。
<*end*>
ここ最近の職人さんの神っぷりはすごい!
昭子さんかっこいいし、ニコロボはかわいいし
まとめてで申し訳ないですが皆さんGJ!!
139 :
マシマロ 1:2007/08/02(木) 12:42:47 ID:uGt4gptZ
皆さんGJ!です。読み応えあって嬉しいなあ。
短いのでエロ有り挟ませて下さい。(昼間からスマソw)
タイトルは自分がこの呼び方が好きなので。違う言い方の人もいるかと思いますがツッコまないで…
******
不思議だ。
再会したのは3ヶ月前で、その前に最後に会った時はまだまだ子供だったのに。
その女の子が今腕の中にいるなんて……。
それだけじゃない。その、それも素肌と素肌が触れ合っていて、それがとって
も柔らかくて心地好い。
だって俺達ついさっき……。
「なーにニヤニヤしてんの?」
「うわっ!お、起きてたの?」
「最初から寝てなんかないよ。……思い出し笑いなんかして、やらしっ!」
そう言うと布団を引っ張って潜り込む。
「ちょ、1人じめはずるいって!俺寒い〜」
半分身体がはみ出た状態の俺に顔だけ覗かせながら
「暖めてあげよっか?」
なんて、ドキッとするような事を言うから。
「なーんてねっ、て……ヤダ!ロボのばか!もー」
「や、それは、え〜?」
俺の身体は正直で困る。
「も〜入れてよ!」
恥かしくて慌てて無理やり布団に潜り込んだ。
「ロボのえっち」
「バレた?」
「……もうバレてるよ」
そりゃそうか。そうじゃなきゃこんな状況有り得ない。
「喉渇いたなぁ。ニコこれちょっとちょうだい」
枕元に置いていたペットボトルの水を飲もうと、身体を起こして口を付ける。
「あ、あたしも」
ニコが起き上がって顔を近付けて来たから、俺はちょっとイタズラしたくなって
しまった。
「ちょっと待って」
一口口に含むと、俺はニコのほっぺを両手で挟んでくちづけた。
「ん、んんーーーー!?」
じたばたと驚いてもがくニコの唇を慎重に舌で開いてみる。
……ごくん。
飲み込んだのを確認してゆっくり唇を離して、もう1度軽くくちづける。
再び離れたニコの唇から少しだけ雫が零れてた。
「んもー。びっくりしたあ」
「おいしかった?」
なんて余裕をかましてみるが、実はこんなの初めてでドキドキしてる。成功して
良かったな〜、やってみるもんだなんて。
ニコはちょっと膨れてペットボトルを口にしていたが、いきなり俺の胸にそれを
押し当てた。
「冷たっ!」
140 :
マシマロ 2:2007/08/02(木) 12:45:36 ID:uGt4gptZ
「お返し」
ボトルに付いてた水滴がツーと垂れて、一瞬鳥肌が立った。
「も〜、いきなり酷い!」
「お互い様じゃん」
キャップを閉めてボトルを置こうとニコが身体を伸ばすと、布団から裸の胸が
覗いた。
それに思わずムラッとした下心と無防備な横顔がとても可愛くて、ニコが再び
その身体をこちらへ戻した時、俺は白い腕を掴んで抱き寄せそのまま腕の中に
包み込んだ。
「わっ」
「ん〜、柔らかくてあったかいなあ。幸せっ」
あ〜、俺今しまりのない顔しちゃってるんだろうな。
「ニコは可愛いな」
「は?いきなり何言ってんの?は、はっずかしー!」
とか何とか言いながら赤い顔して、決して離れようとはしない。
生意気言ってるくせに、そういう所が可愛いんだけど。
「ん?」
俺の胸の下くらいにニコの胸が当たってる?……さっきは夢中だったからなあ。
少しだけ、その柔らかさを確かめてみたくなった。
「ロボ何?……ンッ」
ちょっと強く唇を塞いで左腕でニコを抱き締めながら、右手は胸へ当ててみた。
柔らかくて気持ちいい……。
マシマロみたいな感触を味わっていたくて、なかなかやめられないでいる。
「ロボ……」
ようやく少しだけ離した唇からニコの声が漏れた。ただ呼ばれているだけなのに、
なんでたまらなく色っぽく聞こえてくるんだろう。
撫でたり少しもんでみたり、今度は指先を使って膨らみの尖端を苛めてみる。
「んっ、やだ、だめっ……」
敏感なんだな。もっと苛めてみたいけど、俺ももうダメかも。手を止めて両手で
今度はぎゅっと抱き締めた。
「はあ……」
「ニコ、好きだよ。大好き」
本当はもっと触れていたいけど、これ以上は俺にとっても限界だと思った。
さすがにいきなり2回目は可哀相かな。無理だよなあ〜……。
「ロボ、大丈夫なの?」
「えっ、何が?」
「だってさっきから」
あたしのお腹に、とニコが申し訳なさそうにチラチラと視線を落とす。
「あ、あ〜、いや、これはその、あの……だから」
「……我慢出来んの?」
「う〜……」
さっきよりも一層俺の身体は素直だった。
「責任取ってくれんの?」
「ばっ!何であたしがっ!?」
「だって〜」
再び柔らかな胸に手を伸ばす。
「あっ……だ、めぇ……んっ」
「ニコのせいなんだからね……」
君が俺をこうさせる。
柔らかな誘惑。
******終
続きは各自ご想像下さい なんて。
すばらしい〜職人様方GJ!!です。
ニコロボのエチーな話がなぜこんなにドキドキするかというと
普段イニシアチブを取っているニコとヘタレなロボの立場が逆転するという
ギャップに萌えるんだよね。
逆転してもロボが優しいところがいい。
大人が少女を自分のいいように扱う話はイヤンだけど
愛のある年齢差カポーって本当にかわいい。
143 :
社1:2007/08/03(金) 00:53:06 ID:UMX5NJmX
激しくエロあり投下っ!!!
二ヶ月ほど関西に仕事で出張に行ってきた。
毎日マックスロボを抱いて寂しい日々を送ったんだから。
「須藤威一郎、帰還でありマックス!!」
阿佐ヶ谷駅のホームに降りて、片手にマックスロボを掲げて思わず叫んだ。
改札外に、待っていてくれた高校のブレザー姿のニコの姿をみつける。
「ニコーーただいマーーーックス〜〜」
大げさな素振りで駆け寄り、彼女の肩を抱きしめる。
「…おかえり」
出迎えてくれたニコは少しだけ笑ってみせた。
なんだろう。元気がない。
「ね、俺がいない間になにかあった?」
アパートに向かう道の途中、さりげなく聞いてみる。
「ううん、なんにもないけど?」
ニコの返事はそっけない。
「それならいいんだけどさ〜あー早く帰ってロボットアニメみたいな〜」
「ロボットアニメならDVD持っていって、出張先のホテルで見てたんでしょ?」
「家でゴロゴロしながら見るのは別なんだよー」
「ふーん。地元のおねーさんとは出会いはなかったの?」
「いやー、一回だけテレクラ行ってみたけ」
あ、しまったと思った。ニコの目が途端に険しくなる。
「…へーじゃあ素敵な二ヶ月間だったんだ?よかったですね!!」
「な、なに?ま、俺だって男ですからー。あ、あの関西弁の子可愛かったな〜」
「…帰ってこないほうが幸せだったんじゃない?」
「あーそうだなーそのほうがよかったかもな〜」
ニコを睨みながらわざとらしく言ってみた。
144 :
社2:2007/08/03(金) 00:54:23 ID:UMX5NJmX
「…ね、ロボ」
突然ニコが足を止めた。
「ん?」
「公園の中、通って帰ろ」
「んー?でもさ、地蔵堂に挨拶していかないと…」
「そんなの明日でもいいじゃん」
そう言ってニコは俺の腕をつかむと、ぐいっとひっぱって公園に向かう道に
歩きだした。
「なんだよ〜もお」
「いいから……」
ニコは俺を見ないでただ前を見ていた。
大きな公園の中を通って、夕日の草原の道を真横に見ながら歩く。
「どうしたのニコ?なんかおかしいよ」
俺の疑問にも答えず、ニコはどんどん進むと、細い横道に入った。
道は小さな朽ち果てた社につながっていて、社の柱まできて、
ニコは学校のカバンを放ると、急に俺に抱きついてきた。
「とっても寂しかった…」
そう言うとニコは俺の胸に子供みたいに顔を埋めた。
「そっか、ごめんねニコ」
それで機嫌が悪かったのかな?彼女の頭を撫でて唇を合わせた。
お互いの唇の柔らかさを楽しむような、深く長いキス。
「ねぇ…」
唇を離すと、ニコが妙に色っぽい視線で赤くなって呟いた。
「ここで、しよ」
145 :
社3:2007/08/03(金) 00:55:54 ID:UMX5NJmX
「え?」
ここでって。
「こっちきて」
ニコに手をひかれて、社の裏にきた。夕日が森の木の上から差し込んで
綺麗だと思った。横にいたニコの手が俺のズボンのベルトをはずしにかかった。
「え、あ、え?ちょっとまったーーー」
俺は体をよじってニコの手を静止させる。
「だめなの?」
「だめっていうか…ね、家でしよ?こんなとこじゃ蚊、蚊にも指されるし、
それに誰かきたら…」
ニコがぷんっとすねた顔をした。
「…やっぱ関西の子のほうがいいんだ?あーそう」
「ちがうって!!」
「だったらここでさせて」
「わがままいうなよぉ〜。家なんて遠くないんだから」
「ロボのバカ」
ニコの目にみるみる涙がたまっていく。
「二ヶ月間ろくに連絡もよこさないで…」
「ごめんごめん!!」
二ヶ月間、休日は関西のフィギュア屋巡りが忙しくてつい連絡を怠った、
なんて口がさけても言えない。
「絶対許さないんだから」
社の建物に腰掛けさせられて、スボンのベルトを外されて、チャックをおろして、
スボンとパンツを少しだけおろされた。びよんと弾けるように飛び出したもの
に自分で恥ずかしくなる。しかももう、少し硬いし。
ニコはひざまづくと両手を沿えてそれにキスをして、チロリと舌を使い出した。
「ニコ〜とっても恥ずかしいんですけどー」
そう言いながら、彼女の柔らかい唇に魅了されて呼吸が荒くなっていくのは
制御できない。
146 :
社4:2007/08/03(金) 00:57:42 ID:UMX5NJmX
初体験の時はあんなに恥ずかしそうだったのに…俺がエッチにしちゃったんだ。
あんなことやこんなとこ、教え込んだもんなー…。
「あ、ああ…ダメだよ、こんなの〜」
彼女の頭を左手で抱いて、右手に持ったマックスロボを握り締める。
うっとりと目を閉じて俺を味わうニコの表情は、羞恥心と征服欲を駆り立てていく。
マックスロボを離して、右手をのばすと、彼女の制服の胸元に滑り込ませた。
「んっ」
びくりと彼女が反応する。ブラの中の膨らみを揉みながら立ち上がった突起を
つまむ。
「んー」
俺を含んだまま、ニコは息を漏らす。
「あ、ん」
耐え切れなくなったのか、俺から口を離して上半身をよじった。
彼女の体を引き上げて抱きしめてキスをした。
「ね…俺だけいくのはヤダ。一緒に…ね。いいね?」
彼女の制服のブラウスのボタンを外しながら、熱い視線でみつめあう。
「うん…」
そのまま首筋にキスをして、ブラウスの前をはだけて、
ブラをずらして胸に口づける。下着からずれてはみ出た膨らみと突起が
妙に興奮させる。
「ん、あ…ロボ」
汗ばんだ彼女のしっとりした肌の感触を楽しみながら、舌を這わせる。
「はぁ、ん…」
片手を彼女のスカートの中に偲ばせてつるつるした太ももを撫でる。
下着はすでに少し濡れているみたいだった。
ゆっくり指で弧を描いて痺れさせていく。
「俺も寂しかったんだからねー?」
彼女の胸元に顔をスリスリしてみる。至極の時間。
「なんかニコ、二ヶ月でおっぱい少し大きくなった?」
「あ、ん…なっ、なった」
「そっかー嬉しいな〜」
147 :
社5:2007/08/03(金) 01:00:16 ID:UMX5NJmX
その時だった。すっかり日が落ちてきた社の戸が、風もないのに
ぎぃぃぃっと音をたてて開いたのだ。
「ひ、ひぇぇぇデターーーッ」
俺は思わずニコを突き放して逃げようとして、おろされていたスボンとパンツの
せいで足がもつれて、地面におもいきり転んで顔面を打った。
「もももももももうかえろ!!絶対なんかいる〜!!!」
「…」
ブラウスの前を手で押さえながら、ニコは社の前に回って戻ってきた。
「なんもいないって」
途端にニコの冷たい視線を感じて、俺は起き上がろうとした。
「そそそ、そっか、なんだ、ハッハッハ」
「ロボ」
ニコが地面にしゃがんで、俺に馬乗りになるとキスをした。
「たくっバカでオタクでどうしようもないんだから…」
俺の手をつかんでニコは胸の膨らみに押し付けた。
「我慢できないの…ごめん」
ニコは自分のパンティーに手をかけると、膝までおろしてしまった。
そして俺のものに手を添えると、ゆっくり腰をおろした。
「あ、ん、硬い…」
下から貫かれる感触にニコは少し苦悶の声をあげて、それでも
息をはきながら全てを深く抱いた。両手を俺の腹に着けて、
恥ずかしそうに、腰を動き出した。
「…俺、ニコに犯されちゃうのかな〜?」
「あ、あ…だって…ロボ…ほしいんだもん…」
「そんなに待っててくれてたんだ?」
「うん…」
「俺も」
彼女の動きに合わせて下から深く突くように動きをくわえる。
「あ、やっ」
欲情して目を閉じて、俺の上で快感を求める彼女の白い胸元と太も
もが、夕闇の中で白く光る。もう女である表情のどこかに、かつての
幼さをほんの少し残して。
「はあ、ん…あ、ロボ、ダメ、あ、ああ、もう…」
「いいよ、いってごらん」
胸の突起を強くつまみあげて促し、彼女を見上げる。
「あ、ああっあ、ああ、ロボッ!!」
彼女は体をそらすと、痺れたように全身を震わせた。
「う」
奥深く俺を抱いた彼女がきつく締め付けてきて、その誘惑に耐えた。
夕闇の天にむかって体を震わせる彼女は、いやらしさよりも、
とてもとても綺麗だと思った。
148 :
社6:2007/08/03(金) 01:02:50 ID:UMX5NJmX
「ごめん…私だけいっちゃって…」
体を倒してキスをしてきた彼女を抱きしめて、体を起こす。
「じゃ、遠慮なくお返しさせていただきマックス」
立ち上がって社の壁に彼女を両手をつかせて、スカートをめくって、
おしりを突き出させる。
「え…立ったままするの?恥ずかしいよ…」
「もう貴方十分、恥ずかしいことしてますぅ〜」
「なによ、ロボのバ…アッ」
ニコの両手を後ろから押さえつけて、彼女の中に再び入った。
「いゃ、はぁ、あ」
さきほどの彼女の潤いで、動くたびに卑猥な音がする。
静かな森の中でその音が加速していく。
「ああっ、ん、ロボなんか……あっ」
彼女の耳に顔をよせて、軽く噛む。
「ロボなんかなに?」
「あっん、ん…」
「言ってごらん」
「ロボなんか…ダイスキ…」
「俺もダイスキだよ、ニコ」
「あ、や・…っあっああっ!!」
やがて再び登りつめた彼女を追いかけて、俺は彼女の中で想いを満たした。
「あーーーーーーーーっ」
帰り道、俺は悲鳴を上げた。
「ちょっと耳元でうっるさいなー…なに?」
横にいたニコが嫌そうに言った。
「マックスロボ置いてき゛ぢゃ゛っだぁ゛〜どうしよー」
「…ひとりで取ってこい」
「エエエエエエエ、ニコの薄情者〜」
思わず泣きそうな顔になって頭を押さえた。
「もういいっ明日の朝一番に取ってくるっ」
俺はニコの手を握って早足で歩き出す。
「それより早く帰って二人でッ」
言いかけてニコがさえぎった。
「なっに?まだする気?イッヤラシィー」
「お土産食べながらロボットアニメを見…ってニコなに想像してんの?」
「バ、バッカッ、ち、ちがうわよ!!!」
真っ赤になったニコは本当に可愛いと思った。
「ふーん、じゃニコのリクエストにも答えちゃおう♪さ、早く帰りマックス」
「ちがうって!!」
「はいはい♪」
149 :
社7:2007/08/03(金) 01:04:09 ID:UMX5NJmX
翌日
「おい、これおまえのだろ」
そういって駅に向かう途中の道で俺を呼び止めた名梨は、
カバンからマックスロボを差し出した。
「うわーあ、ありがと!!朝一に探しにいってなかったから、
もうどうしようと思ってたんだよー。ってなんでこれをよっちゃんが?」
「…いや深夜、一海とデートに行ったらあっry」
「えっ一海ちゃんと?」
「やべっ」
気まずい空気が流れた。
「あんなとこで…深夜にデート?」
「そっちこそ…なんでマックスロボがあそこに…?」
二人はぎこちなく笑った。
「おっーと、俺時間だし行くわ。ま、まぁロボもがんばれや」
名梨は俺の肩を叩くとぼそっと
「…あの社、いるよな、なんか」と耳打ちして去っていった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!イャーーー」 END
ニコが主導権握ってるのがいいなw
避妊してくれよー
でもエロさはたまらん、こんなの目撃したいw
空気を読まずにいきおいで変な話を投稿します。
エロ無し、過去話です。
***************************************
須藤威一郎(10歳)は、通知表に毎回「創造的だが落ち着きがない」「授業中にぼんやりしないこと」
と書かれてしまうような少年であった。
成績は中の下である。工作に夢中になるあまり図工室に一人取り残されて給食を食べ損なったり、
遠足で虫を追いかけていって迷子になったりする。平たくいえば少々アホの子だった。
当時担任だった30代の男性教師は「根はいい子なんですけどね〜。」とその先の威一郎の長い人生を思って
憐憫の表情を浮かべるのだった。
威一郎にとってエポックメイキングな出来事は2年前、小学三年生の時に訪れた。
当時威一郎が住んでいた街の寂れたおもちゃ屋の店頭での、超合金ロボットとの出会い。
これが威一郎の人生を決定づけることになる。
子供のころから夢見がちだった威一郎は、テレビのロボットアニメが大好きだった。
正義のヒーローがかっこいいロボットに乗って悪を倒し、世界の皆が幸せになる。
これが威一郎の理想の世界観であった。
だけどいくら彼がアホの子と言えども、現実とアニメの相違くらいは8歳にして気づいていた。
倒すべき絶対悪の姿も守るべき絶対正義の姿もなく、世界はぬるく混沌として存在している。
しかし、ここに、アニメのロボット達が実体を伴って目の前に現れるという奇跡がおこった!
夢だと思っていたことが夢じゃなかった!
無理だと思っていたことが無理じゃなかった!
威一郎は感動した。強烈に感動した。
そしていつか自分が守るべき「正義」の姿も、倒すべき「悪」の姿も、きっと
理解できるに違いないと考えた。
そしてその後「ぼくはせいぎのかがくしゃになってきょだいろぼっとをつくります」とか
「わるいうちゅうじんをたおすためにまっくすろぼにのってうちゅうにいきます」などと
大まじめに作文に書き散らし、善意の担任教師をますます悩ませたのだった。
しかし今、須藤威一郎(10歳)は悩んでいた。10歳児なりに真剣な悩みである。
世の中には「銀行強盗」とか「誘拐犯」とか「詐欺師」という存在が存在することを、
テレビのニュースで知った。それらが、自分が倒すべき「悪」であることは
なんとなく認識した。
だが、肝心の「正義」がわからない。
広島ファンの父親にとって、巨人は「悪」であり、打ち倒すべき存在である。
だけど同じクラスの親友の山ちゃんにとっては、巨人は正義であり、広島や阪神こそが悪なのだった。
威一郎は特定の野球チームに思い入れをもっていなかった。だからどちらのチームを
応援している人の気持ちも分かるのだった。
父親と山ちゃんを天秤にかけ、どちらがより「正しい」と判断することなど出来ることではない。
もしかすると絶対の正義などというものはこの世に存在しないのかもしれない。
すると次は、「銀行強盗のおじさんは本当は家にお腹をすかせた子供がいっぱいいたのかもしれない、
昨日はかーちゃんがおやつをくれなかったからおなかが空いて死にそうだったけど
そうゆう子供がたくさんいたら、たすけるためにお金をとるのは本当にわるいことなのかな」
などと考えはじめ、何が「悪」なのかも曖昧になるのだった。
世界は形を失ったカオスと化し、どんよりとして曖昧で、何を信じていいのかわからなくなった。
威一郎は自分のアイデンティティが危機を迎えていることを感じていた。
もう少し大人になれば、「正義」や「悪」を「法律」という言葉で代用する術を
学ぶのだが、それは威一郎(10歳)にとってまだ先の話である。
ある日、威一郎の母親は区が主催する無料健康診断を受けるために、威一郎を伴って病院に行った。
もう5年生になるのだから家で留守番をさせても良かったのだが、最近、ますます
ぼんやりしがちで、アホの度合いが増している息子を一人置いていくのはなんとなく心配であった。
「いいかい、かーちゃんは検査に行ってくるからね。ここでおとなしく待ってるんだよ。」
威一郎は「宇宙のひみつ大百科」と「戦国魔神ゴーショーグン絵本」と共に、病院の待合ロビーに残された。
こういった物を読みふけっている間は威一郎はおとなしい子供だった。
しかし。無料健康診断は予定よりも混雑し、母親が戻ってくるのは予想外に遅かった。
本に飽きた威一郎は病院の中をうろうろと散策しはじめる。過去にデパートで同じことをやって
迷子になって泣いた経験があったのだが、威一郎はなにしろ学習能力低めな子供だったので
そんなことは気にしなかった。
彼がやってきたのは、産婦人科病棟である。10歳の少年にとっては場違いこの上ないが、
病棟の廊下にアニメっぽいカラフルな絵が描かれているのに惹かれたのだ。
(ちなみにその頃はまだ、いわゆる思春期の目覚めは迎えていなかったため、
産婦人科というチョイスにアレな下心はなかった、と付け加えておこう。)
ディズニーのパチモノのような動物の絵に囲まれた新生児室を、ガラス窓から覗き込む。
生後数時間から数週間の赤ん坊がずらりと並んでいる。
ガオガイガーのフィギュアよりも精巧な、人間のミニチュアの大集合である。
こんなに小さいのに、指の先には爪があって、目元にはまつげが生えている。
驚くべきことにそれらはみな生きているのだった。すっげー。妹や弟のいない威一郎は、
見慣れない光景に目を丸くして見入っていた。
廊下の向こうから、赤ん坊を抱えた一組の男女がバタバタと現れた。
えらのはった個性的な顔立ちの妻と、多少髪の毛が危うい感じの夫。
「お人よし」を絵に描いたような平凡で善良な若い夫婦である。
「あなた、一海を保育園に迎えにいくの、川口のおばあちゃんに頼んでくれたわよね?」
「え?おまえが電話するって言ってなかった?」
「何言ってるの、頼んだじゃない!早く電話してきて。保育園が終わるのに間に合わないじゃない。
それに婦長さんにも退院のご挨拶してこなくちゃ。ちょっと、そこのボク。」
威一郎は唐突に呼ばれた。
「はい?」
「ボク、いい子だから少しだけ、この子抱っこしていてくれる?」
「あ、はい。」
通りすがりの少年に新生児の子守りを頼むとは、よく考えると非常識この上ない行動なのだが、
この夫婦は「お人好し」の上にバカがつく性格であり、さほどの心配もしなかった。
(後にこの性格が災いし、300万円の借金を抱え込むことになる。)
威一郎は赤ん坊を手渡され、ぎこちなく抱いて通路に置かれたベンチに座った。
ミルクの匂いと高い体温にむせかえる。この子、男の子かな?女の子かな?
ピンク色のおくるみを着ているからたぶん女の子なのだろう。
「赤ちゃん、初めましてっ」
「あー」
「地球にようこそ。」
「あぶー」
「生まれてきて、楽しい?」
「あー」
「そうか、楽しいんだ。そうかぁ。よかったねぇ。」
威一郎は一心に赤ん坊に話しかけた。少々ねじのはずれ気味な威一郎はロボットの玩具や道端の犬とも
会話を続けられる子供だった。
指を差し出すと小さな手で握りかえす。
こんなに小さく弱そうな生き物が、案外強い力をもっていることに威一郎は驚いた。
「この子、生きることが嬉しいんだ。すごくすごく嬉しいんだ。」
赤ん坊は無防備でふにゃふにゃしていて、しかし、しっかりした視線で威一郎を見つめる。
そのとき、ひらめきのような何かが威一郎の中に走った。
どんよりと曖昧に見えていた世界が、急にはっきりとした輪郭を伴って鮮明に見える。
この子が笑って成長できるような世界。それがぼくにとっての正義だ。
「ボク、急に頼んでごめんね。助かったわ。」
「かわいいね、その子。」
「そう、ありがとう。」
「それに生まれてきて嬉しいって。」
「ふふ。」
「おばちゃん、その子の名前なんていうの?」
「名前はまだ無いの。これから付けるのよ。」
「ふーん。そうなんだ。」
威一郎は赤ん坊の顔を覗き込んで、小さく手を振った。
「バイバイ、元気でねっ。」
その頃、ロビーでは母親が怒り心頭で待っていたことは言うまでもない。
案の定、母親には酷く叱られ今日のおやつも無しだったが、須藤威一郎(10歳)の心は
晴れ晴れとしていた。
何が正しくて何が間違いなのかわからなくなった時や、理不尽な理由で怒られ気力を失った時、
指を握り返してきた赤ん坊の手の力を思い出すと、頭の中がクリアになり、自分が守るべきものや
信じるべきものを取り戻せる感じがした。
威一郎は中学に入ってからも2,3の得意教科をのぞいて成績はふるわず、当然女の子にももてず、
あいかわらずロボットアニメに夢中だった。お世辞にもぱっとしない青春だったけれど、
少数ながら良い友人に恵まれ、それなりに幸福だった。
小学校の卒業アルバムには「好きな言葉は、正義」と書いた。
彼にとって「正義を守る」というのは「この世界を愛する」と同意義であった。
14年後、威一郎は例の赤ん坊と某所で再会することになるのだが、それはまた別の物語。
うおー、素敵だ運命の出会い!! バカの子威一郎、カワイイヨ〜
……ロボってどこ出身?とか新生児は寝てるだけ、
とかいうツッコミはないでもないけど。そこはいいやw 心洗われたよ、GJ!
ロボの過去話、いいですねぇ。GJです。
とても馬鹿らしいネタを思い付いたので投下します。今回は短編です。
エロなし。頬キスあり。タイトルは「乙女の危機」。
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ロボは相変わらずロボットを弄って遊んでいた。
三体のロボットが円陣を組んでいる。
どうやら攻撃方法の打合せをしているようだ。
『んとにもぉ!目の前にリアルの女の子が居るっていうのに!
なんなのよ!この状況はぁ!
これでもね!デートの誘いを断って来ているんだから!』
モテモテの一海ちゃんと同じ血統のためか、私も一応世間では可愛い部類に入っているようだ。
これでも結構告白されたりしている。
勿論、その都度丁寧に断っているんだけど。
このロボット馬鹿を見ると時々後悔してしまう。
『なんなのよ、もう!』
ロボと付き合いだして一ヶ月が経とうとしていた。
ロボへの想いで押し潰されそうになって、我慢できず勢いで私の方から告白したことが
妙な安心感をロボに与えてしまっているらしい。
ロボは事ある毎に
「だってさぁ、ニコが付き合おうって言ったんじゃなぁい。」
と言ってくる。
「言ってない!」
「言いましたぁ。
(両手を握って、目をウルウルさせ、口を少し尖らながら、ちょっと高い声で)
『私のことどう思っているのぉ?』って。
忘れちゃったんですかぁ?」
私は顔を赤くして黙るしかなかった。
恋愛に勝ち負けなんてないと思うけど、目の前のバカの言動によると
どうも先に告白した方が負けらしい。
『そもそも、男としてけじめをつけなかったあんたがいけないんじゃないの!
よくよく話を聞けば、あんたの方が先に!私に一目惚れしてたんじゃない!』
美容院の前で再会した時のことを思い出していた。
『せいぜい浮かれていなさぁい。油断していると遠くに行っちゃうんだから!
あとで泣いたって知らないんだから!』
なんてことを考えながら見慣れたロボの部屋を見回した。
本棚が視界に入った。
『ロボってどんな本を読んでいるんだろう?』
と思いつつ一冊の本を取り出した。
「ロボット大全集」と書かれていた。
「あ゙ー、やっぱりね。」
と項垂れながら小声で言いながら「ロボット大全集」を棚に戻した。
「あれ?これなんだろう?」
一冊だけ逆に置かれている本があった。
つまりその本は背表紙が見えないように置かれていた。
『これじゃ何の本だから分からないだろ。』
向きを直してあげようと思いその本を取り出した。
それは、本ではなく雑誌だった。
『去年の雑誌だわ。私と再会してちょっと後の頃のだ。
プレイボーイ?遊び人ってこと?』
私はその雑誌を開いた。
裸の女性の写真が唐突に目に飛び込んできた。
「キャっ!」
と小さく叫んでその雑誌を床に落としてしまった。
「ちょっとぉ、何してんの?
あ゙ー!」
ロボは慌ててその雑誌を取ろうとした。
私はロボより先に雑誌を拾い上げると裸の女性の写真をロボに見せながら
「何よ!この雑誌!このスケベ!変態!」
「違う!違う!ニコは誤解しているんだって!」
「何が誤解なのよ!こんな裸ばかり。んとに何なのこの人達。
恥じらいもなく裸なんかになって。見てるこっちが恥ずかし!
大体こんなのを買う馬鹿な男がいるからいけないのよ!」
目の前にいるバカもその馬鹿の一人だと思った。
『たっく!男って奴は!』
「だから違うんだって。前の方にある写真の女優が気に入っちゃって。」
「前の方って?この水着の人?似たようなもんじゃん!」
「違う、違う。水着を着てない娘がいるでしょぉ。」
「あ〜、この娘?」
裸と水着だらけの写真の中で水着を着ていないのは逆に目立った。
「ダイゴジュジュ…カ?」
「バカヤロ。オオゴスズカ。寿々花ちゃん♪」
「もっと分かり易い芸名つけろってーの!」
確かに可愛い娘だった。
はにかんだような顔が魅力的だった。
『ふ〜ん、ロボはこういうのが趣味なんだぁ。』
プロフィールを見ると色々な映画やドラマに出ているらしい。
『1993年生まれ?ということは…。この時…。14歳?』
「え?中学生じゃん!ロボ!あんたいつからロリコンになったのよ!
この変態!」
女子高生の自分がロリコンの対象になるのかどうかは置いておく。
「いや、だから。違うんだって。俺もプロフィール見るまで気付かなかったんだって。
買って来て家でその娘の写真見たら、なんか気に入っちゃってさ。
それでそのまま置いておいたの。どこかニコに似ているんだよねぇ。その娘。
でもニコの方が可愛いけど。」
ロボは再びロボットを弄りながらサラッと言った。
恐らく他意はないんだろうけど、私はちょっと心が躍った。
あっちは女優。こっちは普通の高校生。
勝負になるはずがない。
でも、ロボの目には私の方が可愛く見えるらしい♪
ロボの審美眼が他の人とどの程度ズレているかは置いておく。
やはり、嬉しい♪
『いつもこういうこと言ってくれるといいんだけどなぁ。』
私はロボの左頬に軽くキスをした。
「え?」
とロボは驚いて手を止めた。
そしてニッコリと笑って再びロボットを弄り始めた。
そのままロボの横に並んでロボの右肩に頭を載せた。
下から見るロボの顔には、ロボットを弄っている時とは少しだけ違う嬉しさが浮かんでいるようだった。
前に視線をやるとロボが動かすロボットが目に入った。
『マックスぅ、聞いてよ。私の方が可愛いってさ♪』
幸せ一杯の気分だった。
至福の時を暫く身を任せていると、ある小さい疑惑が少しずつ浮かんできた。
『うん?ちょっと、待って…。
あれ?』
「ロボぉ、さっきさぁ『買って来て家で写真見たら』って言ったよね?」
ロボに寄りかかりながら聞いた。
「え?そうだけど。なんで?」
私に目をやることなくニコニコしながらロボットを弄っている。
「ということは…。買った目的は別にあるってことよね?」
「あ゙。」
ロボの手が止まった。
私はロボの顔面に左ストレートを喰らわした。
同時に自分の乙女の危機を感じロボから離れた。
終
ニコたん、今ならユニクロに店舗に
ロボに似てるけどロボよりかっこいい人のタペストリーがかかってるから
復讐しちゃえw
激エロ注意
私は林二湖
中国人っぽい名前だけれどこれでも天下の女子高生
そのなかの高校三年生なんて
ストレスのたまる職場
で働いてる
けっこういい高校に入ってしまったおかげで毎日が学校で夏休みでさえ補習の毎日・・・
でもどんなに忙しくてもやっぱ心は女、彼氏が欲しい年齢になってきた
これまで一度も付き合ったことは無かった
三年生になるまで告白は何度もされたんだけど
クラスに大好きな人がいという理由で断ってきたそれは友達からはもったいないなぁとか言われたけど私にとってはあの人をあきらめることはできなかった
続く
その人との出会いは
お母さんに連れられて行ったクラシックのコンサートだった
その人はビオラを弾いていた学校ではあまり目立たずドジで変態でどっちかといえばヤラレの彼が壇上で美しく立ってビオラを弾く姿にとてつもなく感動いや正直にいえば興奮してしまった
あの長い指で私のあれをどうにかされたら
一瞬でどうにかなってしまうだろう
そんなことをかんがえながらオナニーをするのが習慣になってしまった
続く
おーい、続く続くって、書き上がってからまとめてアップなさい
>>159 これでパンチはロボカワイソw プレイボーイなんてエロ本のうちに入らんのに
でも潔癖な女子はこうかもねー となんか懐かしw
>>164続き
私は彼のギャップにやられていたのかもしれない
正直ゆうと、私は指フェチだ、長くて綺麗で美しい男の手を見るとドキドキしてしまうのだ
それに、あの手からあの美しく繊細な音がででいると思うと、さらにドキドキは増していった
耳のいい私には、いい演奏者なのか、そうでないのかはすぐにわかった
彼の弦楽器の奏でる音色に私は何度も逝きそうになるのをがまんした
耳が良すぎるのってつらい
はじめてそう思った
それからというもの
クラシックのCDを買いあさりそれを聞きながら
オナニーするというなんとも変な性癖がついてしまった
私は思った、性癖とは神様がそれぞれにいたずらにつけていってしまうものなのだと
聞きながらじゃなきゃイケないなんて
絶対人にはいえない
そんなこんなで彼に対する性的な想いは、日増しに膨らんで行った
ある日、私は毎日帰り道に彼を見つけた。まあ正確にいえば毎日家に帰る道をわざわざ反対方向に帰っていた
まあ簡単にいえば毎日彼の帰る後ろ姿を眺めていたというわけとんだ純情ガールだと思われそうだけれど、あたまんなかは変態な妄想でいっぱいだった。こんな私好きになってくれるはずがない、妄想がエスカレートするたび
>>166続き
そう思って
あの公園で
「自己嫌悪だぁ〜」
といっていた
でもその日は違った私の性欲はMAXに達していた
テスト週間でまともに解消してなかったのだ
私はできるだけかわいい女の子をよそおってかれに近づいた
「元気!」
すると彼は少しびっくりした様子で
私をみて
「よう!ニコか」とあいさつを返してきた
彼は驚くほど綺麗な手をしていた
私はおもわず彼の手をぎゅっと握ってしまった
そして私は勢いに任せてキスをした
彼は目を真ん丸にして
ただ驚いているようだった
私は彼に自分の気持ちを伝えた
すると彼は
「俺もずっとそうなればいいっておもってた」
と言った
そうして私達はいわゆる彼氏と彼女になった
私の希望で一回目のデートから彼の家にいった
彼の指と音に浸りたかった目的はそれだけだった
彼の部屋につき
彼はおもむろにビオラを弾きだした
私は快感に
包まれていつのまにか
いつものようにしていた
彼の驚きながらも軽蔑するような
視線がとりわけ私を興奮させた
彼はさらに激しくビオラを弾きはじめた
まるで私を弄ぶように
そして私は持参したCDをかけ、彼を彼だけを求めた・・・
えーと、これでおしまいですか?
続きがあるのか無いのか、いったん中断してそのうち再開するのか
何かリアクションが無いと
他の職人さんが作品投稿できなくて困ると思うんだけど。
(あとさすがにニコのキャラが違いすぎる・・・。)
もしかして「激エロ」部を執筆中かw 小ネタ落としちゃうぞ
**********************
ども、須藤威一郎です。
ロボット好きだからロボってあだ名は、実はどうかと思ってます。だってそれだったら、
俺の友達はみんなロボだー。
ハカセとか、マックスとかでも良かったじゃない、とニコに言ったらフンと鼻で笑われました。
ニコはしっかり者なので、俺は時々、彼女が中学生なのを忘れてしまいます。
昨日も、新聞を読みながらつい聞いてしまいました。
「ねぇニコって、もう生えてる?」
「へ?」
「あー、まだ早いか〜。 うん、いいんだ別に。」
「・・・生えてるよ。」
「ほんと? ちょっと見せてっ」
「ばっバッカじゃないの?見せられるわけないじゃない!!」
「えー、減るモンじゃなし」
「減る!っていうか、お金払うって人もいるぐらいなんだからねー」
「カネー? ああ、そうか
移植の研究とかに最近注目されてるってねぇ」
「移植?」
「うん、抜いてとっておいて、後で必要な時に」
「・・・これを? 抜いて? 頭に植えるの?」
「頭ー?」
<<親しらず、日本女性7割に生えず>>
タイトルを見たニコは、赤い顔をして走って帰って行きました。
・・・そ、そうか。生えてるのか〜
と、独り鼻血を出しちゃったのは 内緒です。
チャンチャン♪
(記事はたしか、朝日。タイトルチラ見だけなので詳細は知らんケド ……生えてないのか〜w)
檄ワラタ
直接のエロは無(キスどまり)ちょっと変わりダネの話です。
*******
「さて、思い切って行ってみるか」
あたしは自動ドアの前に立った。
数時間後、いつものようにロボのアパートで勝手に寛ぎながら家主の帰りを
待っていた。
「あ、お帰りー」
ドアの開く音に振向くと、疲れた顔のロボがゆっくりと部屋に上がって来る。
「ってロボ……どうしたの、疲れてる?具合悪いの?」
少し青ざめた顔のロボはあたしを見ると、いきなり抱き締めて来た。
「なっ!何?どうしたの」
「ニコ、ごめんね、無理させて」
「は?」
何だか今にも泣くんじゃないかな、なんて声でロボが尋ねてくる。
「だって具合悪いって言ってたじゃない?」
「あ、あー、まあ、確かに」
今週初めちょっと辛くてメールしたんだっけ。
『体調悪いからちょっと行くのやめとく』って。
「もう全然平気だよ。ロボ大袈裟なんだから」
でもちょっと嬉しい。
「本当に?」
「は?いや、マジで平気だってば」
そう言うと
「はあ〜、ならいいんだけどさ」
とあたしを抱いていた手を離して床にあぐらをかいた。
「でも無理しちゃダメだからねっ!」
ロボはまるで念を押すように言うと、
「さてご飯作ろ!あ、ニコは座ってて。いいから、ねっ」
とキッチンに立つ。
その後夕飯を一緒に食べたが、何故かいつもよりあたしのオカズが多いような
気がした。
「俺あんまりいらないから。ニコ食べて、食べて、ね!」
「太るって……」
勿体ないから食べちゃったけどさ。
とにかくその日のロボは変だった。
といってもロボが変わっているのはわかっているのであまり気にはしなかった
んだけど、その日以来ロボは本当になんだかおかしくなってしまったのだった。
『今日は残業なんだよね』
珍しい事もあるもんだ。だから翌日はロボの部屋には寄らなかったんだけど、
次の日もまた次の日も残業やら早朝出勤で、あたし達は会わない日が続いていた。
「なんか最近忙し過ぎない?」
土曜なのに休日出勤と聞いてあたしは思い切って言ってみた。
『うんまあ、稼ぎ時だからねっ!頑張って働きマックス』
「無理すんなよ」
ニコは心配しなくていいの!って言って電話は切れた。
でもやっぱり気にならないわけがなかった。
「何で急にあんなふうに仕事人間になっちゃったんだろう」
ロボは決してエリートではないけれど、そこそこ真っ当な社会人だと思ってるし。
……オタクで貧乏だけどさ。
「行ってみるか!」
よし、セルフスパイ活動、開始。
昼までで会社は終わりだった筈、と駅でロボを待ち伏せした。
雑誌で顔を隠しながら柱の陰から覗いていると、ロボが改札から出て来るのが
見えた。
「疲れてるな……」
遠目に見ても、ロボが元気なく歩くのがわかるから。
数メートルの間隔を開けてロボの後をつけて行くと、オモチャ屋で足を止めた。
すぐにいつものようにプラモの箱が山積みになった棚へ向かい、じいっと眺め
たり、手に取ってみたりしてう〜んと悩んでいる。
「買うのかな……今月いくら使ってんだよ」
だが、そのまま何も持たずに奥へ入って行ってしまったので姿が見えなくなって
しまう。
しばらく様子を見ていると、やがてロボは包みを抱えて出て来た。
「何買ったんだろー?」
あたしはそのまま尾行を続ける。
それに気付かないまま今度は書店に足を向けた。表のホビー雑誌を手に取り
しばらくじっと立ち読みしながらニヤニヤしたりして(完全に不審者だ、と
思った)いたが、それも棚へ並べ直して中へ入って行った。
小さな書店なので入るとバレそうだ、と電柱の陰から覗く。と、何か買ったのか
紙袋を持って出て来た。
「また何か買ってる」
フィギュア誌以外の本なんて珍しい事もあるもんだ、と何か府に落ちない気が
しながらロボの背中を見ながら歩いて行く。
それ以降はどこにも立ち寄らずまっすぐ部屋に戻って行った。
数分間を置いて携帯を取り出すとロボに掛けてみた。
「ねえ、仕事終わった?これから行っていい?」
『えっ、う〜ん、ゴメンちょっと疲れてるから……』
「あ、そう?じゃゆっくり休みなよ。じゃあね」
そう言って携帯を切ると、あたしは神経を集中して目を閉じた。
『やけにアッサリだな〜……ま、いいか』
その耳にかすかにロボの声が耳に届き始めた。
『あ〜、やっぱり可愛いね。喜んでくれるかなあ?』
ガサガサと包みを開ける音が聞こえる。1人言かな?何やってるんだろう……。
『さて、そんな事より。まだやらなきゃいけない事があるんだよな……』
バサッと音がして、カチャカチャとサスペンダーを外すのがわかる。着替え始めた
んだろう。
『あ〜、この服落着く!……ってお揃いみたいだな、アハハッ』
……何が?
『では、始めようか。何か悲しいけどさ』
はあ?だから一体何が?
『バサッ!ガサガサ!……ゴトン』
なんか運んでる?
『今日はお前達だ。今までありがとう。新しい友達と仲良くするんだぞ!う、うっ』
な、泣いてる?てか誰と話してんだっつーの!
『幸せになるんだぞ〜!俺も、俺達も幸せになるからなっ!なっ』
うわ、マジで泣いてるよ。鼻水すすってる!?汚いってば。
てゆーか、幸せになるからなっ!って何?
俺達って?
「あー!もうっ我慢出来ない!」
あたしもう限界だ。
『すいませーん。須藤さん?お届け物でーす』
「はい、ただいま」
ガチャ。
「………………えっ?」
『どうもニコニコ宅配便でーす』
久々に使ったあたしの特技にポカンとしているロボの間抜け顔。
「ロボ、一体何してんの?」
まだ信じられないといった顔であたしを見てる。
「や、やられたあ〜〜〜〜っ!」
「入るよ、どいて!」
有無を言わさずロボを押し退け部屋に上がり込んだ。
そこであたしが見たものは。
「何よこれ」
フィギュアの棚ががらんとしてロボット達の姿はほとんどなく、部屋のいたる
所には無数に置かれたダンボール。中には並んでいた筈のロボットが詰められて
いた。
でも驚いたのはそれだけじゃなかった。
「どういう事!?」
さっきのオモチャ屋の包みと一緒にあるのはどうみても、可愛い縫いぐるみや
赤ちゃんのガラガラ。
「あ〜あバレちゃった」
呆気に取られたあたしに背後からロボが呟いた。
「バレちゃった、って、ちょっと」
あたしは思わずカッとしてロボに詰め寄った。
「あたしに何隠してたの?吐きなさいよ!」
「吐くのはニコの方でしょお!?」
思いがけない返しにあたしは一瞬言葉が出なくなった。
「ニコこそ俺に隠してる事があるんじゃないの?正直に話しなよ」
「何の事!?」
あたしはマジで全く覚えがない。
「俺が頼りないのはわかるけどさ〜」
ロボはこの前みたいにまた泣きそうな顔であたしを抱き締めた。
「1人で抱え込んでないでちゃんと相談してよ」
「だから何?」
「も〜往生際が悪いよっ!わかってるんだからね。もうニコだけの体じゃないんだよ?」
「…………えっと、ロボ?」
話が見えないんだけど?
「こないだ仕事中見たんだよ。病院行ったでしょ?」
「あ、ああそういえば」
「で、いつなの?」
はい?
「いるんでしょっ?俺の赤ちゃん!」
「………………」
しばしの静寂。
「はあぁーーーーーーっ!?」
あたしは文字通り腰が抜ける程驚いたみたいだ。気付いたら床にへたりこんでいた。
「なんだそういうわけかぁ」
「最初から聞いてよ!」
ロボが見たのは、親の代わりに親戚の女性の出産見舞いに行ったあたしだった。
「産婦人科だからって……考え過ぎだよ」
ドジなんだから。
「でも何でロボット達がこんな事に?」
「……貯金もないし。色々調べたら凄くお金掛かるけど、俺にはこれしかないし」
「ばっ!だって大事な物ばっかじゃん」
好きで好きで集めた宝物なのに。
「うん、でも頑張ればまた取り戻す事も出来るかもって。でも、ニコ達は俺に
とって取換えのきかない物だから」
「だから、手放そうって。我慢しようと思ったの?今まで頑張ってたのに」
大量の箱の中のロボット達。
「バカなんだから!1人で考え込んでるのはロボの方じゃん!」
「ゴメン」
箱に付いた手の甲に雫がぽとりと落ちた。
「ゴメンねニコ」
謝らなくていいのに。ロボはバカが付く程優しくて、そんなロボに無茶させた
あたしはもっとバカだ。
「もう残業しなくていいからね」
「うん、なれない事はするもんじゃないよね」
きっと居眠りばっかしてた昼間のロボを想像したら、なんか笑えて。「ニコ達」
の言葉にあたしは、泣けた。
「これでよし!」
箱から取り出されたロボット達はまた元の位置に納まった。
「お帰りっ!みんな、これからもよろしくなっ」
満面の笑みを浮かべたロボを見ながら、あたしはもう1つの荷物の山を漁って
いた。
「しかしまあ、よくこれだけ買ったもんだわ。それにしても」
たくさんの育児書、オモチャ、小さな可愛いベビー服まで。こんなものいつ買ったんだろ?
「あ、それ可愛いでしょ?つい手が出ちゃってさ〜」
ニコニコ嬉しそうに眺めてる。その姿を見てると何だか申し訳ない気になって
きた。
「言っとくけど、あたしちゃんと確認したから。……その、先月もあの後大丈夫
だったし。今週体調悪かったのだって……」
恥かしかったけど思い切って言った。だってこれだけ心配かけたんだもん。
「えっ、え〜、そっか。……なんだあ、ハハッ」
ロボは気が抜けたみたいだった。笑ってたけど、なんか寂しそうにも見えたのは
気のせいだろうか?
「ガッカリした?まさかね」
あたしの問いに
「……少しね」
と小さく笑ってロボは答えた。
「でも案外本当はホッとしてるんじゃない?」
「う〜ん、少しね」
あたしは軽くロボのほっぺをつねって、それから抱き付いた。
約1ヶ月前のあの日。あたし達は最高に幸せだったんだ。でも1つだけ大事な
事を忘れていた。
「今度こそ本当に大事にするから。絶対にするから」
ロボはあたしをぎゅっと痛いくらいに抱き締めた。
「それにしても買い過ぎ。どうすんのこれ?結局無駄だよ勿体ない」
「大丈夫だよ。とっとけばそのうち必要になるでしょ」
まさかそれって。
「ね、ロボ……」
「あ〜、これこれっ!みてよニコ」
あたしの声を遮ってロボが何かを見せてくる。
「ね、これお揃いだよね、ね?」
手にしているのは小さなロンパース。そしてロボの姿は、
「ああ……確かに」
いつものステテコパジャマ。
「……そっくり」
いつかは会えるのだろうか?こんな風にはしゃぐロボと、その結晶に。
「ねえニコ、その……」
「ん?」
「今日は使っていいですか?」
取り出したるは小さな箱。
「もう限界なんだけど」
「えっ!やだスケベ」
「ダメ?」
「……んー」
答える代わりにあたしは自分からキスをした。
「……今度はちゃんとしてよね」
「うっ、うん!じゃあ」
ロボは嬉しそうに明かりを消した。
「本当、わかりやす……」
いつかのように恋愛故にロボがロボである事をまた置いてけぼりにしてしまう
所を、あたしは2度と見たくはないと思う。
でもそんなロボだから、きっとあたし「達」は不幸にはならない。
だから待とう。ひとつぶの幸せを。
*******終
GJです。
さりげなくプロポーズしているし w
ロボやるな!
GJ! イイヨイイヨー
先走って色々買ってしまうなんてロボならありえる
やっぱりなんだかんだ言っても
この二人は再会してラブラブになって
二人の子供は幸子になるのが一番自然な流れだよなー。
あれきり会わないなんて、そんなの嘘だ!
先走りロボがいいですね。ニコも可愛い。
>>119-133の続きを書いてみました。
エロあり注意。タイトルは「深い想い」。
誕生日にこんなエロを投下していいのだろうかと思いつつ投下。
差ほど激しい描写じゃないですが。
------------------------------------------------------------
私とロボは羽田に向かう飛行機の中にいた。
隣にいるロボは徹夜したため軽い寝息を立てて寝ていた。
私はロボの寝顔を見て「ありがとう」と小さく呟くと窓の外に目をやった。
遠くの方に今朝まで居た志木那島が見えた。
ふいに昭子さんの言葉を思い出した。
「あなたは私にというより、彼に対して罪悪感を抱いている。 」
本当だったら私は二人に罪悪感を抱かなければいけないのに、
昭子さんに対しては罪悪感を感じていなかった。
もっと別の、しかも黒い感情だった。
昭子さんへの感情…。
それが何だったのか、あの時ハッキリと分かった。
澄み渡った綺麗な景色の中で、
笑顔で車椅子を押す昭子さんを遠くから見た時…。
「嫉妬だわ。」
私は窓から視線を逸らした。
「私って嫌な女。」
昭子さんのことは嫌いじゃない。むしろ好き。尊敬さえしている。
なのに昭子さんを目の前にすると身構えてしまう。
だから昭子さんも初めあんな風にズバズバと話したんだと思う。
でも私は知っている。
昭子さんも私のことが好きだということを。
私が抱えている嫉妬心も含めて。私の全てを。
そう考えると気持ちが少し楽になった。
「結局、まだ子供なんだよねぇ。私。」
外を見ながら呟いた。
羽田に着くと私たちは地蔵堂に向かった。
「あら、ニコちゃん。帰ってきたのね。良かったわぁ。」
「お騒がせして申し訳ございませんでした。」
私は社長とよっちゃんに頭を下げた。
「ううん、ニコちゃんは悪くないわよ。騒いだのは…。」
と言いながら社長はロボに目をやった。
「そうだぞ!ロボ!
お前がニコの言う通り大人しく待ってれば、こんな大事にはならなかったんだぞ!
一銭にもならない仕事をしちゃったぜ。まったく。
プロフェッショナルじゃないぜ。俺としたことが。」
「ちょと、ちょとぉ。俺が悪いんですかぁ?
俺はニコが、ニコが何処かに行っちゃうんじゃないかと心配で心配で…。」
「だから、それは、お前の問題で。俺たちには関係ないの!」
ロボは口をパクパクしながらよっちゃんを見た。
「ま、いいんじゃないの。お陰で貸しができたんだから。」
社長が薄ら笑いを浮かべて私を見た。
「はぁ?どういうことですか?」
私は不安げに聞いた。
嫌な予感がする…。
「今回、費用。結構掛かっちゃったのよね。
私たちも慈善事業じゃないんだから。ねぇ?」
「そ、それは一生掛かってでも返すと言ったじゃないですかぁ!」
ロボはよっちゃんの顔を見た。
「あら、そう?それでいいの?
あなたの稼ぎだったら来世まで掛かるわよ。来世でも無理かもよ。
タクシーの貸切代と飛行機代、しかもスーパーシートよ。あとホテル代もね。
それと住基ネットを使うための撒き金。
あなたを手助けしたエージェント達への報酬。
私とよっちゃんの分を特別に除いたとしても結構の金額よ。」
私は目を見開いたまま固まった。
ロボはまた口をパクパクしながら言った。
「鬼だ。ひ、人でなしだ。」
よっちゃんがすかさず
「それがプロフェッショナルってもんだ。だろ?」
と言って笑った。
日が落ちて薄暗くなった道をロボの家に向かって歩いていた。
「ごめん、ニコ。俺のせいだ。俺のせいでニコの夏休みが丸潰れに…。」
「いいのよ、もう。どうせ特に予定なんかなかったんだし。」
「でも、高校最後の夏休みだよ。受験勉強もあるし…。」
「夏休みのアルバイトと思えばいいのよ。
そしてアルバイト代を前借りしたと思えば大して気にならないわ。」
「前借り?」
「そうアルバイト代の前借り。」
私はそっとロボの横顔を見た。
『何にも替えることのできない大切なアルバイト代。』
地蔵堂からはその内仕事の話が来るだろう。
そして、私たちはそれを断ることはできない。
でも、ちょっとワクワクしている。どんな冒険なんだろう?
それにロボと一緒だと思うと少し嬉しい。
「ニコ、今日は帰りなよ。お父さんとお母さん、心配しているよ。」
ロボの家が近付くとロボは言った。
「大丈夫。さっきトイレに行ったついでに電話したから。明日帰るって。
ロボと一緒だったら安心だってさ。」
ロボは突然立ち止まった。
「そうなの?
ニコのお父さんとお母さんはそんなに俺のこと信用してるの?
ロボは項垂れた。
そんなロボを私は訝しげに黙って見ていた。
「それなのに俺は…。2回もニコのことを…。」
「ば、バカ!何言ってんのよ。に、2回なんて。恥ずかし!」
2回目は帝都大学の事件を解決した日の夜だった。
事件を通じてお互いの絆の深さを知り、それを確かめるかのように激しく求め合った。
初めての時は未知の感覚に対する恐怖と驚きで全く余裕がなかったけど
2回目はその感覚に身を預け快感に酔いしれた。
『私って、淫乱なのかしら…。』
「だってぇ、俺、信頼を裏切ったんだよ。」
まだ項垂れていた。
「うちの親がいくら鈍感だからって、
年頃の女の子が年頃の(ちょっと歳だけど)男性と一緒に夜を過ごせば
どういうことかってことぐらいは分かっているわよ。多分…。」
ちょっと自信がなかった。
「あの人達の言う『安心』っていうのは、(多分…)
ロボだったら私を弄んでポイと捨てたりなんかしないでしょってこと。
それとも、愉しむだけ愉しんでポイ捨てするつもりだったの?」
「ない!絶対にそんなことはない!」
私はロボの手を取って言った。
「行こう!ロボ。今夜はロボと一緒に居たいの。」
ロボの目がキラリといやらしく光るのを見て
「変な意味じゃないからね。期待しないでよね!」
と釘を刺した。
夕食の支度をしているとロボはロボット達に報告していた。
「聞いてみんな。ニコが帰ってきたんだよ。
居なくなっちゃうと思って心配したけど帰ってきたんだよ。
みんなも心配していたでしょ。良かったよね。ね?ね?」
私は背中越しにその言葉を聞いて一人微笑んだ。
ロボをチラッと見ると頷きながらロボット達に話している。
「ニコはねぇ。偉いんだよぉ。一人で決着を付けに行ったんだよ。
それもこれも俺が頼りないからなんだけどさぁ。
俺、約束するよ!頑張るよ!ニコが頼れる男になってみせるよ!
だからみんなも応援してね。
それで俺が居ない間みんな仲良くしてた?
そっかぁ、そっかぁ、仲良くしてたかぁ。
新しい攻撃法?
よし!これから特訓だぁ!」
ワザと私に話を聞かせてるんじゃないことを私は知っている。
ロボは本当にロボット達と会話をしている
私がここに居なくても同じ事をロボット達と話しているはずだ。
それがロボのロボらしいところで、私が最も好きなところ。
計算も打算もない純粋な気持ち。
『ありがとう。ロボ。もう十分頼りにしてるわ。』
夕食を済ませ珈琲を飲んでいる時
私は飛行機の中で考えていたことをロボに話そうと決心した。
志木那島で「もう一人では悩まない」と約束もしていたし。
ロボは怒るかもしれない…。でも、ロボを信じてる。
最後は私を優しく包んでくれるはず。
「私さぁ。昭子さんのこと大好きなのね。
あんな風になりたいとも思っている。」
突然、私がそんなことを言い出したのでロボは驚いた顔で私を見た。
「でもね。昭子さんの前では素直になれないの。睨んじゃうの。
素直になっちゃ駄目って心の奥から声がするの。
なんか負けたくない!って思っちゃうの。」
ロボは黙って聞いていた。
「これって『嫉妬』なんだよね。
私ね。ロボ。
今も昭子さんに嫉妬してるの。
どうしようもないぐらい嫉妬してるの。」
ロボは優しく微笑みながら私に聞いた。
「どうして?
俺は今、ニコの前に居るじゃん。
今朝だって俺は選ぶ気なんかなかったよ。初めからニコを連れて帰るつもりだったよ。
そりゃあ、確かに懐かしいとは思ったけど、俺の中では既に終わっていること。
冷たいようだけど、昭子さんのことを思い出したことは殆どないよ。
特にニコと付き合うようになってからは全くない。」
私は黙って頷いた。
「ごめんね。ニコ。
もう少し早くに言えばよかったんだよね。
ニコがあの事、メモを捨てたことをまだ気にしているとは全然思っていなかったから。
でもね、あのメモには何も書いてなかったと思うんだ。
書いてあったとしても居場所じゃなくて何かメッセージみたいなものだったんじゃないかな?」
「昭子さんもそう言っていた。」
「でしょ。あの時点で俺たちは終わってるの。
だから、もう嫉妬なんてしなくていいんだよ。
それにね。ニコ。
あの時。ゴミ箱の中を一生懸命メモを探すニコを見た時ね。
『この子に二度とこんな辛い思いをさせちゃいけない』と思ったんだ。
俺はニコの望むようにしようと思ったんだ。」
確かにそうだった。その後も呼べば直ぐにロボは来てくれた。
ロボと会わなかった3年間も、ロボからじゃなく私からだった。
私から離れて行ったんだ。
ロボはずっとここで待っててくれた。
「ロボ、ありがとう。嬉しい。
でもね、それでも私は昭子さんに嫉妬しちゃってるの。」
ロボは怪訝そうな顔をした。
「私ね。昭子さんにも言ったんだけど、欲張りな女なの。」
「欲張り?」
「そう、欲張りなの。」
ロボは益々分からないという顔をした。
「怒らないで聞いてね。私、ホントに子供なの。駄々っ子なの。
昭子さんは…。ロボから想いを伝えられた人。でも私は違う…。」
ロボは驚いた目で私を見た。
私は静かに続けた。
「私が、あの時、あんな事を言い出さなかったら、こんな風にはなってなかった。
ロボの気持ちを知ることは永遠になかったと思う。
だから。だから。昭子さんに嫉妬しちゃうの。」
ロボは驚いた顔のままで少しどもりながら話した。
「で、でも、そ、それじゃ、一海ちゃんにも嫉妬してるの?」
「ううん、一海ちゃんはそれ程でもない。ちょっとだけ。
一海ちゃんはロボを受け入れないだろうと思っていたから。
あの時、一海ちゃんとのデートをセッティングした時も応援はしたけど
心の何処かでは駄目だろうと思っていたの。ゴメンね。
でも、昭子さんはロボを受け入れた。私以外にロボの良さを分かる人がいた。
それもショックだったのかもしれない。
勿論あの時私はまだ子供だったからそれが恋だったのかどうかは分からない。
でも、ショックだったのは確か。」
ロボは黙って私の顔を見ていた。目は少し当惑しているようだった。
「私。馬鹿よね。
過去に嫉妬しても敵うわけないのに…。でも悔しいの…。
欲張りなのよね。私。まだ子供なの。自分で自分が嫌になる。」
私はいつの間にか泣いていた。
ロボは手を伸ばして私の涙を指で拭って私を抱き寄せた。
「馬鹿だなぁ。そんなことで。そんなことで心を痛めてたんだ。
ニコは馬鹿だよ。でも、ごめんね。
またニコにそんな顔をさせてしまって…。」
「ううん、ロボが悪いんじゃないの。
それに、私も昨日昭子さんに会うまでは、よく分からなかったの。
私がこんなに嫉妬深い女だったってことを…。」
ロボは優しく私の唇にキスした。そして私の顔を見て微笑んだ。
その目は私に大きな安心感を与えてくれた。
私はロボに抱き付き私の方から激しいキスを求めた。
ロボを吸い尽くすかのように激しく舌を絡めた。
ロボもそれに応じた。
そして、ロボの耳元で「抱いて。」と小さく私は呟いた。
ロボはいつものように私を抱きかかえてベッドに運んだ。
キスを交わしながらロボは手で私の体を愛撫し、手際よく私の服を脱がした。
私の肌に直接触れるロボの肌から安らぎが伝わる。
ロボは今度は口で私の全身を愛撫し、私の準備ができたのを確認すると挿入の支度を始めた。
新しく購入したそれをロボ自身に被せ私の上になった時、私は言った。
「ロボが寝て。」
ロボはちょっと驚いた顔をしたけど、軽く頷いて仰向けに横たわった。
私はロボの上に跨り、被せ物をしたロボ自身を握り、
自分の入り口にあてがった。
『固くて大きい。こんなのが入るんだぁ。』
先端を少し入れて角度を決め、私は一気にロボを私の中に入れた。
「ん、あぁ…。」
思わず声がでた。
痛みはもう感じない。
私は右手でロボの左手を握り、左手でロボの右手を握った。
ロボに支えられる形で腰を動かすと、ロボも動きに合わせて下から私を突き上げた。
私は、より大きな快感を得るため自ら激しくロボの上で動き声を出した。
「あーんッ!」
『やっぱ、私って淫乱なのかしら?』
心の片隅でもう一人の自分が囁いた。
『ロボだからよ。』
私が言う。
下腹部から生じた快感は後ろ髪の毛先に移動し、私を後ろへと引っ張り倒そうとする。
ロボは私が倒れないように私の手を強く握り締めた。
そして、私たちはお互いの快感に酔いしれた。
「ニ、ニコ。俺、そろそろ…。」
「一緒に!一緒に!ロボ!」
私は顔を左右に激しく振りながら腰を動かしていた。
「う、うぅーっ!」
二人とも同時に声を上げた。
一瞬息が止まり、次に激しく息づいた。
私は放心状態のまま体を前後にゆっくり動かしていた。
手はまだロボの手を握っている。暫く余韻を味う。
ロボも余韻を味わうように目を薄く閉じていた。
私は急に恥ずかしくなり、手を解いてロボの胸の中に倒れこんだ。
ロボはまだ私の中に居た。
ロボは両腕で私を抱きしめた。
そのまま暫く抱き合い心地好い眠気を感じ始めた頃
ロボは私の頭に軽くキスして、頭を撫でながら優しい声で話し始めた。
「衝動的だったんだ。昭子さんの時は。何も考えてなかった。
それと、いつかは離れると常に感じてた。
でもニコの場合は…。どんな形ででも近くに居たいと思った。
俺、自信なかったし歳も離れてるから…。友達のままでいいと。
またニコと会えなくなるよりずっといいと。
だから自分の衝動を必死に抑えた。抱きしめたくて堪らなかったけど。」
私は軽く顔を上げロボを見るとロボも私を見た。
暫く見つめ合った後、私はロボの胸にキスして再びその暖かい胸に顔を埋めた。
ロボは話を続けた。
「どっちが大きいとか小さいとか比べることじゃないけど、
敢えて言うね。そして信じて欲しい。
ニコへの想いの方が深い。」
私の涙がロボの胸の上を流れた。
終
皆さんGJ!
何日か来なかったら良作の数々で
読むのが大変だぁ
ホント職人さんはすごいわ。
ふと思ったけどニコは他の男に言い寄られても大丈夫そうな気がするけど
ロボはナイスバディな美女に迫られたらどうするんだろう。我慢できるのか?
なんて考えたりする日曜日の午後……
そもそもロボの身に迫られるなんてことが起こりうるのかw
ニコのほうがロボが無縁だったことを経験すると思うけど
ラブレター貰ったり、告白されたりナンパされたりとか
>>189 >ロボはナイスバディな美女に迫られたらどうするんだろう。
にインスパイアされてちょっと書いてみました。
自らの経験がベースです。エロなしです。
----------------------------------------------------------------
「ね、ニコぉ。ニコって彼氏がいるの?」
と学校帰りに突然むーちゃんが聞いてきた。
むーちゃんとは同じ高校に進学したけど3年生になるまでクラスが別だった。
その為かむーちゃんとも2年くらい疎遠になっていた。廊下で会った時にちょっと話をするぐらいだった。
3年生になってまた同じクラスになって中学の時みたいに一緒に帰るようになった。
私がちょっと驚いた顔をしていると。
「ニコってさぁ、同性の私から見ても可愛い、ううん綺麗だと思うの。
それに中学の時とは違って、なんて言うのかなぁ、自分を持っているって言うか、
凛としたところがあって『格好いいなぁ。』と思うことがあるのね。
絶対男子が放っておかないと思うの。
でも告白した男子をことごとく断っていると耳にするから彼氏がいるのかなぁと思って。」
確かに高校に入学した当初から先輩、同級生、後輩問わず告白された。
今はロボが居るから「ごめんなさい、大切な彼がいるんです。」と断っているけど、
ロボと再会する前も『何となく違うなぁ』と思って、
「ごめんなさい、今は誰ともお付き合いしたくないんです。」と言っていた。
中には食い下がる人もいたけど、そういう人達に対しては、
「想っている人がいるんです。今その人にふさわしい女性になろうと思っているんです。」と言って断っていた。
「いるよ。」
「やっぱそうなんだぁ。きっとニコの彼は格好良くて頼りがいのある素敵な人なんでしょ。いいなぁ。。」
「全然そんなんじゃないよぉ。女好きで、バカで、スケベなどうしようもない奴よ。」
「そうなの?なんか不思議。あれかなぁ、ニコがしっかりしているからそういう人に惹かれちゃうのかなぁ。
良く分かんないけど…。でも今度紹介してね。」
私は曖昧に返答した。
紹介したらむーちゃんは気絶しちゃうかも。
そして、きっと「絶対駄目!絶対やめな!」と私を説得するだろう。
数日後、ロボと私は渋谷で映画を観て街を歩いていた。
「ねぇ、ロボぉ。ロボって基本的に女好きで、バカで、スケベだよね?」
「ちょっとぉ、何を言い出すんだよぉ。急に!
俺は、俺は…。う〜ん、そうかもしれない…。」
「だよねぇ。初めて会ったのもテレクラだったしね。」
ロボは仏頂面しながら言い出した。
「でも!今はテレクラに行ってない!信じて、ホントに行ってないから!」
「うん、まぁ、それは信じるわ。
でもさぁ、もし目の前に誰もが振り向くような綺麗な人が現れロボを誘惑したら、どうする?」
「バカヤロ。そんなに俺が信じられないか。ニコを裏切るようなことはない!断じてない!」
「でもあれだよ、ナイスバディでスリスリしてくるんだよ。」
「全くもって問題なし!俺の心はそんなに弱くなぁい!」
とロボは両手を腰にあてて胸を張り頷きながら断言した。
私はちょっと疑いながらも嬉しく微笑んだ。
『嘘でも嬉しい♪』
そんなたわいもない会話を交わしてからスクランブル交差点を渡り始めた。
ちょうど交差点の真ん中を歩いている頃、前からとても可愛い女の子が歩いて来た。
私よりちょっと年下のようだけどオーラみたいのが出ていた。
「あ、可愛い娘ぉ。」
と私は思わず言いながら横のロボに目をやった。しかしロボは横にはいなかった。
私の数歩後ろで背中を向けて立ち止まっていた。
顔は見えないけど鼻の下を伸ばしていることが容易に想像できた。
私は後ろから近付いてロボに話しかけた。
「ロぉボぉ。」
「う〜ん?」とロボは振り向いた。
鼻の下が伸びきった情けない顔を見た瞬間、私は左ストレートを放った。
そしてスクランブル交差点を一人足早に渡った。
「知らない!もう知らない!」
後ろから「ニコぉ〜。」と情けない声が微かに聞こえた。
終
そーこなくっちゃロボじゃないw 楽しかったっす
(でも「自らの経験です」っちゅーのは要らないよー)
135−137の2人のその後。 愛あるエロですが、力ずくなので嫌な人はご用心。
***********
とにかく、あと一時間ぐらいしか居られない。
デートは外でするようにして数ヶ月。さんざ『おあずけ』をくらった挙げ句、久しぶりに部屋で2人
きりなのに、あたしがゆっくり過ごせない、と分かってロボはプチっと何かが切れたみたいだった。
マーックスとかなんとか雄叫んでシャツを脱ぎ捨てる。 そしてベルトを。え?
ど、どーして下まで脱ぐのーっウソ〜 !!
そんな乙女の動揺はおかまいなしに、とっととトランクス一丁になったロボは
「分かってるって。
ニコは脱がせたりしないから」
意味不明になだめる割に、息はもう荒かった。
おいで、と裸の胸に抱き寄せられ、つい腕に納まってしまったのは逆に酷だったかもしれない。
ロボの素肌はあたたかくて、強い鼓動が心地よかった。いつになくキスもせず胸もお尻も触ってこずに
ただ、ぎゅーっと抱きしめるだけの長い抱擁。素敵。
……と思ったら、あまり優しくなくベッドに放りだされた。
「ちょっと、ロ」ボ、ロボ!
『今日はダメ』って言おうとしていたのに。 強引に、大人のキスで言葉を封じられた。
ひたすらに口腔を満たされながら、両の胸を揉みしだかれて。
立ち上がってきた先端を、服越しに執拗になぶられる頃にはもう、今までの優しいイタズラとはっきり
違う強い愛撫に、悶える以外の反応が出来なくなってしまった。
何より、膝を折って広げさせられた脚の間に、熱い塊が押しつけられてあたしの大事な部分を
刺激してくる。 リズミカルな腰の動きに全身を揺さぶられながら、ロボのものとあたしの…あそこが
激しく擦れて、甘く疼く。 これも。映画館で数秒許した指とは、全く別の出来事。
いくらトランクス越しで、あたしも下着は着けたままだといったって、これって。これって。
あたし、犯されてるよぉ。
しかも感じてる。
ロボが快感のうめき声をあげる度、あたしまで何か、きゅんと溢れてきて。
じわじわと濡れだしたのとは違うところで、時折電流のように何かが走る。
お願いだから、布越しの偶然の刺激じゃなくて、もっと…。
やっと舌が離れロボの手が体重を支えると、全身で重みに耐えていたあたしは少し息をついた。
でも円を描くように切り替わった腰の動きには、
「あぁぁ!」
もうダメ、身を捩って逃げる。これ以上の嬌声を手の甲を噛んで飲み込んだ。
「……ニコ?」
呼びかけるロボと目を合わせて、微笑んであげれたら良かったんだけど。
何もかも初めての、予測の斜め上をいく仕打ちとしびれる快感に震えるあたしの涙を、ロボは拒絶に
受け取ったんだろう。
耳元で『ごめん』『ごめんね、ニコ』って繰り返されて、違う、って首を振ったけれど、また縦に戻った
律動に全身が揺れていたから、それはきっと伝わらなかった。
そしていきなり離れていったロボはお手洗いに消えて,
あたしの耳は、そこでロボが果てたのも聞いてしまった。
<2/2>
虚脱。
確かに全部着てるけど、とてもこのままでは外に出られない。服も髪もぐちゃぐちゃだし、
顎は唾液で…あー、キャミの胸先も濡れてる…。
とにかく整えて、行かなきゃ……、って不思議に冷静だ。
他の人にされたんなら絶対にレイプ。舌噛みきってやる。でも、一体ロボ以外の誰が、パンツ残して
寸止めなんて、ややこしい婦女暴行をあたしに働こうっていうの?
大丈夫。大事にされている。
寝ころんだまま目に入る、棚を埋め尽くすロボット達。
こいつらには、全部見られちゃってるんだなぁ。初めて胸掴まれた日。ボタン外された日。舌使って
キスされた日。この部屋で。
あたしにはいちいち一大事で、泣いたり騒いだりしながらゆっくり1つずつ受け入れてきた。その間
ずっとロボが、あんな嵐の様な気持ちを抑えていてくれたことに、ちょっと感謝する。
今日のこともいつか、そんな風に、子供だったなーって思い出すのかも。 だって。
アレを挿入れたいんだよね、男の人は……。
リアルに残る固い感触を思い出して、身体の奥がまた熱くなった。当のロボは、まだ個室に
閉じこもったまま……可哀相に泣いているみたい。
痛む身体を起こして、服と髪を整えて顔を洗い、服を拾ってロボを呼びに行く。
深呼吸して。いつも通りのあたしの声で。
「ロボ? 開けて?」
あーこれじゃただトイレに入りたい人みたい。でも泣きやんだ。えーと。
「ごめんね。……辛い想いさせて」
カチ、と細めにドアが開いて
「どーしてニコが謝んのっ」
鼻をすすりながら抗議の声がする。
「俺、あんな非道いこと……抱きしめるだけのつもりが、我慢、できなくて」
ごめん、とまた泣き始めたロボの手を隙間から握る。
「うん、重たかったのと、今遅れそうなのはひどいと思うよ」
おずおずと開いたドアから、目と鼻を真っ赤にした顔が覗く。プ、優しく微笑む筈が、吹いちゃうよ。
あらわれた裸の肩に、慌てて服を押しつけて後ろを向く。
やだ、また思い出しちゃうじゃない。。
「前に、キスは好きって言ったの、覚えてる?」
「うん……それ以上は、怖いって」
ジッパーを上げながらロボが答える。そろそろ振り向いていい?
「今日は、乱暴でびっくりしたけど、怖くはなかった。ロボだから」
「怒ってないの?」
「他の人にしたら怒るよ」
左フックをボディにお見舞いすると、そんなことしませんー、と引っ張られて抱きしめられた。
だよね。そもそも年相応の人とおつきあいしてたら、こんな我慢する必要もないのに。
莫迦なロボ。
だから、待ってて。多分、あとほんの少し。
「じゃあもう、行くね」
「……それで外歩くの、ヤバイよニコ」
「え? 何??」 変な染みでもある??
「めちゃくちゃ色っぽい」
あーホントに莫迦だ。でも、大好きだよ。
<*end*>
ロボがいじらしくて可愛いー!(可哀相?w)
自分的にはすぐ泣く男は現実にはイタイ印象しかないんだけど、ロボは頭撫でてあげて欲しくなる、ニコに。
天然ゆえに許してしまうわあ。
なんか妙にドキドキしてしまったぜいっ
頑張れよロボ!w
GJ!!
下着越しが逆にエロい
続編投下キボンヌ
199 :
別れの朝 1:2007/08/07(火) 11:55:07 ID:u+S8Sw9u
エロ一切無で、もしやそういう危機もありえるのではと想像。
切ないのが苦手な片はスルーで
*******
1年ぶりに突然あったロボからの連絡に、あたしはただ愕然とするしかなかった。
もう「いつでも会えるから」なんて、気楽に思っていた自分に何故か腹が立ってきて仕方がなかった。
「父ちゃんがあまり良くないんだって。入院も長引くみたいだし、さすがに
母ちゃんも弱っちゃってさ」
久々に思い切って訪ねたロボの部屋は、ダンボールで一杯になっていた。
「しばらくは田舎に帰って側にいてやろうと思ってさ」
「もう帰って来ないの?」
荷物を片付けながら
「ううん。ただ……長くなりそうだからさ、今度は」
と答えたロボの姿が、何だか小さく見えたような気がした。
いつだったかこの部屋を出て行った事があった。あの時もいつ戻るかわからないと言いながらも、部屋の中はそのまま主を待っていたのに。
がらんとし始めたフィギュアの棚が、あの時とは違うのだという事を思い知らせているように思えて、あたしは言葉が見つからなかった。
「黙っていなくなるのも何だか辛くてさ……。ゴメンね、ニコも受験で忙しいのに」
「ううん!そんな事ない。ちゃんと連絡くれてありがとう」
そう言うとロボは、少し寂しそうだったけど笑っていた。
「いつ行くの?あたし手伝うから。大丈夫、無理なんかしないし」
言われる前に言ってやる。
「あと、3日なんだ」
「早っ……!!どうしてもっと早く言ってくれなかったのよ!?」
「ゴメン、だって」
別れが辛くなるから。ロボはそう言ってあたしの頭を撫でた。ふいに涙が出た。
止まらない……。
もっと早く会いに来れば良かった、ゴメン、ばか、とか色々な言葉が勝手に
口から溢れてはロボに浴せられる。それを全部受け止めながら、ロボはあたしを
守るように初めて胸に抱き締めた。
その中で泣いた。いつ以来だったのだろうか。スイッチが入ったあたしはもう、
ロボの顔さえまともに見られない程いつものあたしじゃなくなっていた。
この時のことは後から思い出して顔から火が出た。あんな状態でなぜずっと
あのままロボにくっついていられたのか、今となっては全くわからない。
翌日学校帰りに寄ると、荷物は全てダンボールに詰め込まれていた。
その翌日には家具も全て運び出されて、がらんとした部屋に手荷物だけ残した
ロボが待っていた。
200 :
別れの朝 2:2007/08/07(火) 11:56:30 ID:u+S8Sw9u
あたしが買ってきたおにぎりとお茶で食事をして話をしていたら、もうすっかり
暗くなっていた。
「ニコ送るよ」
「あたし明日休みだからここにいる」
えっ?とロボは驚いていた。当然か。
「スパイしてた時なんかよくあったじゃん?」
そう言ってさっさと赤い寝袋を出したら、ロボは笑ってた。本当は最初から
わかってたのだろう。すぐに青い寝袋を出して並べてたから。
並んで天井を見上げながら、あたし達はずっと喋り続けた。朝になってしまう
のが怖かったから。
それなのに。
どちらからともなく、寝袋からはみ出させた手を繋ぎながらその温もりを感じて
思わず目を閉じたら……。
目を開けた時には明るくなっていた。そして横にいた筈のロボの姿は、
そこには、なかった。
「何で!?酷いよー!」
何も言わずに行っちゃうなんて!ばか!ばか!ロボのばかー!!
「あたしの……ばか」
涙が零れそうになって俯いたら、ふと何かが視界に入り込んだ。
それは、マックスロボとその背中に貼られた紙切れ。
『今度戻って来るまでニコりん大佐にお任せします ロボ』
あたしのスイッチはまた壊れてしまったみたいだ。
ロボは田舎へ向けて車を走らせていた。何だか胸に何かがつかえているような
変なモヤモヤを抱えながらハンドルを握っていたら、携帯が鳴るのに気付いた。
路肩に寄せて開くとメールにニコの名があった。後ろめたさに恐る恐る見てみる。
『了解。安心して任務遂行せよ』
その瞬間、ロボは涙を一杯浮かべながら、ハンドルにうつぶせになった。そしてしばらくの間肩を震わせながら泣いた。
残して来たニコのあどけない寝顔を想いながら。
数か月後、ニコはマックスロボを抱えてあのアパートまでやって来た。
そして見た物は。
取り壊されるあの部屋。
ニコは膝からがくんと崩れ落ちそうになった。
「そんな!ロボが帰って来れなくなっちゃうよ……」
だがその瞬間
「大丈夫だよ」
と優しい声がニコの腕を掴んで身体を起こさせた。
「……どうしたの?」
「預けた物と忘れ物を取りに戻ったの」
ロボットとニコを同時に抱き締めながら、その声は言った。
「もう、大丈夫だから」
新しい鍵をチャリ、と鳴らせてニコの目の前に掲げる。
「ここじゃなくたって平気だよ。もう、遠くへは行かないから」
ニコはまたスイッチが入るのを感じた。
201 :
別れの朝 3:2007/08/07(火) 11:58:34 ID:u+S8Sw9u
「ロボといると、あたしのスイッチってなんか入りっぱなし
になっちゃうんだよね」
段々涙声になりながら温かい腕にしがみつく。
「下手すると壊れちゃうしさ」
「そんなの俺がいつでも直してあげるよ」
ロボは片方の手でニコの髪を優しく撫でながら囁く。
「どっちも2度と離すもんか」
腕の中の愛しい忘れ物の温もりを確かめながら。
ニコは優しく強く抱き締められながら想う。
今度こそロボが本当に帰って来た。あたしの所に。
宇宙であたしを守れるのは、あたし自身と
…………ロボ、あなただけ。
*******終
やべぇよ、飯食いながら俺泣いてる
>>202 飯食べながら泣いてる大人を想像したらウケるW
感動したー。やっぱニコロボは寝袋だな。
切ないいいお話(GJ!)のあとですが、軽いのを。
自分も、美女にロボが迫られたら?をヒントに書きました(かなり違っちゃったか)。エロ無し。
###########
「須藤く〜ん、どうしたの?こんな時間に!」
「きゃあ須藤くん、うちにも来てよ〜☆」
驚いた。ロボがもててるよ!
失踪人の捜索に、やってきた夜の繁華街。
あたしの護衛につけられて来たハズのロボなのに、なんでも普段の営業圏内だとかで、
あっちからこっちから声がかかるかかる。それも化粧の濃い、あきらかにお水のお姉さん達から、
黄色い声が降って来るじゃない。
「あ、ちょっと残業で」
「風邪もういいんですか?」
「この前頼まれたアレ、明日入るってマネージャーさんに」
と営業するロボも初めてみたけどさ。
鼻の下伸びてるし、いい匂いは嗅いでるし、ついでに胸の谷間もしっかり覗いてるのに!
お姉さん達はそれすら結構嬉しそうにロボにまとわりついて離さない。
あたしの方もチラ、と見るくせに、まるで取りあっても来ないってどういうこと??
せめて『あんた誰?』とか『この人の何?』とかぐらい、ないわけー?
ムカツク!!
置いてっちゃうぞ、と歩を進めたところで、何かが神経をかすめた。
この声……??
「ロボ!行くよ!」
わざとロボを待たずに路地に走り込む。
「え、待ってよ、じゃあその話、通しておきますから、また! ニコー!!」
着いたのは、隠すように看板を出す怪しい店だったけど、怖いもの知らずで突っ込んでしまった。
奥にざわざわと、集団で人の動く気配がある。その中に、失踪人が……?
と、耳をすまそうとするところに、いかにも悪人面な男が出てきてしまった。
「おや、これは可愛いお客さんだ。お連れ様はどちらで?」
「あ、あの……」
「それとも、うちで小遣い稼ぎに?」
眼鏡の奥が怪しく光る。
「えと、あたし、出直して来ま」
背を向けて出ていこうとするのを、逆手に押さえらた。
「こんなとこまで来て、今更恥ずかしがることねぇだろう?」
さわさわと、手が変なところを触ってくるよっぎゃーっイヤーッ
と、バンと扉が開いて、
「居た居た、こらーっ勝手に居なくなっちゃダメじゃないか〜」
暢気に、堂々と入ってきたロボが名刺を差し出した。
「すみません、コイツうちの新人で。ほら、時間無いぞ」
あ、どうもと相手まで名刺を出すのを律儀に受け取る間に、ロボの側に引き取られてちょっとホッとする。
じりじりと入り口まで辿り着いて、
「わ〜〜〜〜〜!!」
出るなり叫んで走りだす2人だった。
「はぁはぁ、あーっ怖かったよーっ」
「あんなとこひとりで入って!売られちゃったらどーするのっ」
そんなとんでもない店だったのかっ今更とんでもなく怖くなる。
「で、でもあの奥で探してる声がしたみたいなんだよー」
「うーん、じゃあよっちゃんとか。ちゃんと潜入調査しなくちゃじゃないかなぁ……
あニコ!怪我してるよぉ!」
「え?ああ、大したこと無い」
オヤジのでっかい指輪で切れただけのかすり傷なのに、ロボは大げさに騒ぎながら、手当をしてくれる。
優しいんだけどさあ……。さっきも、助けてもらってなんだけど、経済力なさすぎだし……。
あ、そうか。自分で稼いでたら別に、甲斐性はなくっていいんだ。
女の武器が売り物の人なら、素直にそれに反応するロボは可愛い相手なのかもしれない。
「ん? 何?」
アタシの視線に気づいたロボが微笑む。
「ロボってさぁ……ここのお姉さんにはもてるんじゃない」
「えー? あれは誰にでもああでしょ〜?そういうお仕事なんだから〜」
そうかなぁ。
「みんな綺麗だから話してるのは楽しいけどさ、そうだなぁ俺は、普段怖くても、俺だけに
優しい人がいいなぁ……それに……」
それに?
「女がいいし」
へ?
「あの並び全部、ゲイバーなんだよ〜。気がつかなかった??」
えーそんな、野太い声の人なんていな……それとも、腹が立って聞いてなかったっけ?不覚〜っ
「ま、今のニコ相手だったら、余裕で向こうの方が色っぽいけどね〜」
「はぁぁぁぁぁ?」
ロボはくくく、と笑うと
「さっきの名刺もさぁ、ゲイバーのマネージャーだから」
とうち明けた。ってことは何? そこの新人ですって紹介されたあたしは? オヤジの手が
素早くひっこんだのはそういうわけかーっ??
「さ、帰ろう。社長に報告しなくちゃ」
ぽんぽん、と頭を撫でてロボが歩き始める。
むーとふくらんだ頬のまま、あたしも横を追う。フンだ。
あたしだってすぐに、とんでもなくセクシーになってやるんだから!
<終わり>
楽しかったーw
その後綺麗になったモテモテニコにやきもち焼くロボも見たいな。
あ〜だから美女?たちはニコに見向きもしなかったんですね。
禿しく笑いました。
ほのぼのしているところ申し訳ないですがシリアスを投下。
再会した二人が別れるとしたらこんな感じかと思い書きました。
ベタな内容ですが…。
エロなし。冒険少しあり。タイトルは「別れ、そして…」。
----------------------------------------------------------------------
『油断してたんだわ。』
私は都内のある総合病院の集中治療室(ICU)に居た。
そして、ここ2ヶ月の出来事を思い起こしていた。
『一緒に居ることが自然過ぎたから。』
別れは呆気なかった。
あんなに深く愛し合っていたのに、別れる時は呆気ないものだった。
私さえしっかりしていれば、私たちは永遠だと思っていた。
まさかその私がブレるなんて誰が想像しただろうか?
私たち二人の別れがこんな唐突に来るなんて夢にも思わなかった。
ううん、私たちに限って離別はもうあり得ないと信じて疑わなかった。
油断していた。油断していたとしか思えない。
そう、私は二人の関係に油断してたんだ。
その僅かな隙間に大きな杭を打ち込まれ二人の関係は呆気なく終わった。
すべて私のせい…。
そして今私は、目の前の黙って目を閉じている人物の手を握っていた。
私は呆然としていた。
「ロボぉ、ごめんね。ロボぉ…。」
大学2年生の初夏。
3年前にロボと再会し、2年程前からお互いを大切なパートナーとして認め愛し合うようになっていた。
最近ロボは仕事が忙しくなかなか会うことができないでいたが、妙な安心感がお互いにあった。
交際して2年も経つと流石にマンネリになる。
それでも私たちの場合、地蔵堂の仕事のお陰でお互いの絆を確認することができるから
他のマンネリカップルより恵まれていると思う。
事件を解決した夜は、どちらかともなく激しく求め合った。
それはお互いの無事を確認するかのようでもあり、
自分自身が生きていることを喜んでいるかのようでもあった。
そんなある日、古くからの友人のむーちゃんから合コンの誘いを受けた。
私は合コンとかには興味がなかったから今までも誘われても断っていた。
そもそもロボが居るのに出るはずがない。
そんな私に周りは
「色々な人を見て目を養った方がいいよ。」とアドバイスする。
私は適当に聞き流していた。
『私は尻軽女じゃないわ。』
「ニコぉ、今回だけお願い!急に一人来れなくなっちゃったの。
だから居るだけでいいから、お願い!」
私は渋っていたが、むーちゃんは半ベソになりながら懇願した。
「じゃあ、今回だけよ。」と返事をしてしまった。
『ま、私さえしっかりしていれば問題ないんだし。』
女性4人で合コン会場に向かうと男性は3人しか居なかった。
訝しく思っている私たちに幹事らしい男の人が申し訳なさそうに説明した。
「ごめん、一人急に都合が悪くなったからピンチヒッターを頼んだんだ。
だけど、その人社会人でまだ仕事が終わらないみたいなんだよ。
俺たちの先輩でかなり歳行っちゃってんだけど物凄くいい人だから。
ね、ごめんね。ちょっとだけ待って。」
それを聞いた私以外の女性陣は
「え〜、オジンが来るのぉ?」と不快感をあらわにした。
私は「むしろ年上の方がいいかも。」となぜだか内心ホッとしていた。
『私ってファザコン?』
お互いの自己紹介が済んだ頃、細身のスーツをキリッと着こなした男性がテーブルに近付いて来た。
とても優しい笑顔をする人だった。
「音無さん!よく来てくれました。急に頼んで申し訳ございません。」
「ごめん、ごめん遅れちゃって。みなさん申し訳ございませんでした。音無響です。」
私は、その声を聞いて目を見開いて硬直した。
『あの時の…。あの時の間違い電話の声の人だ!』
私は上の空だった。何を食べ何を話したか殆ど覚えていない。
覚えていることは一つだけ。
私は知らず知らず音無さんとロボを比べていた。
ロボよりちょっと年上で、ロボより頼り甲斐のある逞しさが全身から滲み出ている。
優しい笑顔だけどその中には自信がうかがい知れる。本当の大人の男の人。
不満を言っていた女性陣も音無さんに関心があるようだった。
『私、変。どうかしちゃってる。』
私と音無さんは帰る方向が同じだった。
電車の中で私は緊張しながらも音無さんとの会話を愉しんだ。
心が躍っていた。
電車が駅に到着し私が下りようとした時、音無さんは
「今度の日曜、六本木ヒルズの映画館前で1時に待っています。」と少し大きい声で言った。
私は思わず「はい。」と答えていた。
その後も、学校帰りなどに音無さんとデートをするようになり私たちの距離は急速に縮まった。
私は次第に音無さんを響さんと名前で呼ぶようになっていた。
時々来るロボからのメールには「ごめん、今忙しくて。」と返事していた。
その度に胸が痛んだけど、私の心は坂道を転がるように響さんに惹かれていた。
「恋って気が付いたら走り出しているもの。」
いつか私が言った言葉だった。私は自分を抑えることができなかった。
その日は、帰りが少し遅くなったため響さんが私を家近くまで送ってくれることになり、
私たちは自然と腕組みして歩いていた。
家の近くまで来た時、一人の影が道路脇で私たちを見ていることに気が付いた。
音無さんは私を庇うように自分の体を盾にして足早にそこを通り過ぎた。
ロボだった。
ロボは、黙ったまま悲しい顔で私を見ていた。でも私はその視線を逸らした。
「知っている人?」
「ううん、知らない人。」
背中にロボの視線を感じる。胸が痛い…。
その日以来、響さんは私を家まで送ってくれるようになった。
ロボもう現れなかった。
ある日、家に向かう途中響さんは急に立ち止まり、怪訝な顔をしている私にキスをした。
突然のことで私は驚いたけど、抵抗せずに響さんを受け入れ激しく舌を絡めた。
『ロボ、ごめん…。』
そして、響さんの右手が私の左胸に触れた瞬間、私は響さんを突き放した。
「私、私、こんなつもりじゃ…。こんな女じゃ…。」
私は家とは違う方向に駆け出していた。
『ロボに会わなければ!ロボに会わないと!私、私…。』
ロボの家の階段を急いで駆け上がった。
明かりが消えた暗い部屋にはロボットたち以外誰も居ない。
テーブルにはメモが置いてあった。
「ニコへ
幸せにね。
そして今までありがとう。
ニコの強い味方のロボより」
「これが、これがロボの答えなの?これが答えなの!?
どうして!どうして!私を引き止めないの!?どうして!怒らないの!
どうして『行くな!』って言ってくれないの!
どうしてなの?どうしてなの!?ロボのバカ!!」
私はロボを責めた。
ロボはそういう人。
私の為だったら私を諦めることができる人。
私はそれを知っていたはず。
悪いのは私。
それでも私は泣きながら何度も何度も大声でロボを責めた。
「これがロボの答えなのね!?そうなのね!?意気地なしぃ!!」
ロボと私の別れは呆気なかった。
その後もロボの消息は分からなかった。会社も辞めて、実家にも帰っていない。
あれ以来、響さんにも会っていない。
別れたからといって直ぐに別の人と付き合うなんてこと私には簡単にできない。
私はそこまで器用じゃない。しかも別れた原因が自分にあるのだから尚更だ。
響さんはそんな私を優しく見守ってくれた。
「この前はごめん。急にあんなことをして。君の気持ちが落ち着くまで待っている。
今まで僕が一人でいたのも、きっと君に会うことを待っていたからだと思う。
だから、いつまででも待てる。」
響さんは私とロボのことを知らない。
私は響さんの大人の優しさに暫く甘えたいと思った。
そして、いつか響さんを受け入れ、共に歩くんだろうと漠然と考えるようになっていた。
そんな頃だった。地蔵堂に呼ばれたのは。
「近々拳銃の大きな取引があるらしいのね。でも、時間と場所が分からないの。
盗聴器を仕掛けようとしたんだけ失敗しちゃって…。
それで、あなたのその耳の能力で突き止めてもらおうっと思って呼んだの。」
私は気分転換に丁度いいと思いその依頼を受けることにした。
「今回はかなり危険よ。慎重にね。あの手下にもそう言っておいて。」
「ロボはいません。私一人でやります。」と私は言って地蔵堂を後にした。
私が出た後、社長はよっちゃんに目で合図した。
よっちゃんは頭を軽く下げ出て行った。
「心配だわ…。なにか悪い予感がするわ。」
数日後、私は売人の鮫島の家の近くに来ていた。
そして耳を澄ませ鮫島の様子を盗聴した。鮫島は誰かと電話で話していた。
「分かった。今晩これからだな。今から行く。」
どうやら取引は今夜のようだった。ただ場所が分からない。
「う〜ん、仕方ない尾行しよう。」
私は地蔵堂に連絡を入れ、十分な距離をおいて耳に神経を集中して足音を追った。
『こういう時、耳がいいといいのよね。』
雑居ビルにつづく長い道の十字路に差し掛かった時、
「ニコちゃん!」と突然後ろから私を呼ぶ声が聞こえた。
響さんだった。
「どうしてこんな所に?」
「響さん、ちょっとごめんなさい。今お話出来ないんです。」
「え?どうしたの何かあったの?」
人も車も通らない夜道に響さんの声が大きく響いた。
後ろで鮫島が立ち止まってこちらを見ているのが分かった。
そして、パーンッと発砲した。
距離があったため弾は私の足を霞めた程度だったが、私の動きを防ぐには十分な効力を示した。
響さんは驚きながらも私を抱きかかえ叫んだ。
「ニコちゃん!大丈夫!ニコちゃん!」
私は後ろに目をやると、鮫島は警戒しながらゆっくりと近付いていた。
そして、私たちに向かって銃を構えた。
私を支える腕から響さんの緊張が伝わった。
『もう駄目!やられる!ロボ!』
私は最後の時になって本当の自分の想いに気が付いた。
『なんて馬鹿な女なんだろう…。私は本当にバカだ。』
私はただ鮫島を見ることしかできなかった。
『最後にロボに会いたい!』
その時だった横から白い影が飛び出して私と響さんを突き倒した。
私は両手を地面に着いてその影に目をやった。
その影は私たちに背中を向け両手を大きく広げ大の字に立った。
『誰?』
鮫島がまた発砲した。
その影は「うっ!」と頭を下げながら右脇腹を右手で抑え膝を崩した。
そして、片膝立ちのまま右手を上げ再び両手を大きく広げた。
顔は真っ直ぐ前を見ていた。
「ニコ!逃げるんだ!」
「ロ、ロボ?ロボなの!?」
「逃げるんだ!ニコ!早く!」
パーンッ!
今度は私たちの直ぐ近くで銃声がした。
「ちくしょ!遅かったか!俺としたことが!」
よちゃんだった。
「ニコ!ジッとしてろ!直ぐに戻る!プロフェッショナルじゃねぇなぁ。まったく!」
よっちゃんは逃げる鮫島を追い掛けた。
そしてロボはそれを見て安心したのか崩れるように倒れた。
私は足を引き摺りながらロボの前に行きロボの頭を抱きかかえ叫んだ。
「どうして?どうして、ロボがここに?」
「よっちゃんが教えてくれた。バイト先に来て…。ニコがとても危険な仕事をしていると聞いて…。」
ロボは苦しそうだった。
「ロボ、もういいわ。話さないで。今救急車呼ぶから。」
私は右手でロボの傷口を押さえた。
私の手はみるみる赤く染まった。
『血が止まらない!血が止まらない!』
「よかったぁ。ニコが無事で…。よかったぁ。」
ロボは引き攣った笑顔を作って静かにゆっくり目を閉じた。
「ロボ!ロボ!」
私は必死にロボの頬を叩いた。でもロボは目を閉じたままだった。
「ニコ、どうだ?ロボの様子は?」
よっちゃんが戻って聞いた。
「血が止まらないの!止まらないの!血が!!」
私は泣き叫んだ。気が狂いそうだった。
「ロボが死んじゃう!ロボが!!いやー!!!」
手術室の前の長椅子に私は手を握り頭を下げて座っていた。
よっちゃんは社長に報告するため地蔵堂に戻った。
私の横には響さんが黙って座っていた。
「神様お願い!ロボを助けて!」私は何度も何度も呟いた。
『ロボに万一のことがあったら私も…。ロボ一人だけで行かせたりしない!
もう離れたりなんかしない!』
暫くして響さんが優しい声で話し始めた。
「こんな時に僕が何を言っても駄目だろうけど…。」
響さんはチラッと私を見た。
「もう会うこともないだろうからそのままで聞いて。」
私は頭を下げたまま目を開けた。
「僕は今とても悔しい。後悔している。どうしてあの時君の前に立てなかったのか。
そして君が彼と出会う前に何故君に出会わなかったのか。」
響さんは左掌を右手の拳で叩きながら悔しがった。
「僕はね、君たちが付き合っていることを知っていたんだ。
あの日君は『知らない人。』と答えたけど気になって君の友達に聞いたんだ。」
『むーちゃんだ。』
むーちゃんは私がロボと付き合うのをあまり良く思っていなかった。
「でも彼は君を深く愛している。僕なんかよりね。悔しいけど…。
そして、君も彼を頼りにしている。君たちは深い絆で結ばれている。
僕なんかが到底入り込めることのできない深い絆で…。」
私は黙って聞いていた。
一呼吸おいて響さんは続けた。
「ニコちゃん。もう迷っちゃ駄目だよ。もう二度と。ね?」
と言って響さんはゆっくり立ち上がって長い廊下を歩いて去って行った。
私は顔を上げその後姿を見つめながら呟いた。
「ごめんなさい、響さん。あなたに恋してました。それは本当です。一緒に歩みたいとも思いました。
でも、私は。私はロボを愛しているんです。」
『恋と愛は違う。』と漠然と考えていた。
地蔵堂で、社長は両肘を机の上に立て顔の前で手を握りながら
よっちゃんの報告を黙って聞いていた。
「そう、彼がニコを守ったのね。彼が…。」
社長は目を閉じ心の中で願った。
『神様、ニコを、ニコに、私と同じ思いをさせないで下さい。』
その様子をよっちゃんは黙って見ていた。
「ちくしょ!ロボの奴!くたばったらただじゃおかねぇぞ!生きて帰って来いよ!ロボ!」
目頭を押さえながら心の中で叫んだ。
峠と言われた最初の夜を無事過ぎロボは一命を取り留めた。
主治医の話ではロボの生命力は驚異的なものらしかった。
「可愛いあなたを残すわけには行かないと思ったんでしょう。」と私の顔を見ながら言った。
駆け付けたロボの両親とロボの無事を喜んだ。
しかし、まだ予断を許さない。このまま目を覚まさないかもしれない…。
『でもロボは生きている!そうよ!生きているのよ!それだけでいい。』
夜になって感染症の心配もなくなり一人だけ中に入れることになるとロボのお母さんは私に行くよう促した。
「目が覚めた時、ニコちゃんがそばに居る方があの子も喜ぶでしょ。」
と優しい眼差しで言った。
支度を整え中に入ると丁度酸素マスクが外されるところだった。
私は痛みを堪え足早に駆け付けロボの左手を両手で握り横に座った。
「ロボ、ごめんね。もう一人にさせないから。どんな時も一緒に居る。もう迷わない。
だから、だから帰ってきて。お願い、ロボ。」
私はロボと出合った時からのことを思い出していた。
テレクラで電話越しに驚くロボ、「マックスパーンチ!」とポーズを決めるロボ。
三日坊主、ごぼ蔵、お歯黒女、堪忍袋、うしみつ様、ハンーバーグさん、プッチーニ、幸子、
その他様々な事件を通して私たちは徐々に絆を深め、いつか愛し合うようになった。
そして会わなかった三年間私を支えた呪文を小さな声で何度も何度も繰り返した。
「バテレン、レンコン、トマトはマーックス!」
時折、看護士が休むようにと心配そうに言ってきた。
私は首を横に振って「大丈夫です。」と返事しロボの横から離れなかった。
しかし、疲れと寝不足で私はいつの間にかベッドに伏せて眠ってしまった。
どのぐらい寝てしまったのだろう、夢の中でロボが私の頭をそっと優しく撫でている。
そして、その感触が徐々に現実味を帯びてくると私はゆっくり顔を上げた。
目の霞が徐々に取れるとボンヤリとロボの顔が見えた。
ロボは優しい目で私を見ながら私の頭を撫でている。
「ロ、ロボ!」
「よかった。よかったぁ。ニコが無事で。」
ロボはたどたどしく小さな声で言った。
私は目に涙を溜め、ロボが目覚めたら言おうと思っていた言葉を口にした。
「ロボ、私を許して、そして…。」
私はロボの手の甲を自分の頬に当てた。
一滴の涙がロボの手を濡らした。
「そして…。そして私と結婚して下さい。」
ロボは目を大きく見開いた後、目を静かに閉じながら頷き再び優しく私を見た。
「愛してます。」
と私は言いロボの唇に自分の唇を重ね、長く優しいキスを交わした。
小さい窓から差込んだ朝日が私たちを照らしていた。
『私を繋いでおいて。もう何処にも行かないように。お願い、ロボ。』
終
ハラハラした〜!
感動!
映像化してほしい
レオンみたいなロボかっこいい。
ニコロボが本気で命の危険にさらされるようなシリアス展開も
見たかったなーと思う。
(ZIはちょっとそうかな?)
間違い電話の伏線を上手く使っていていい!gj!
連続投下失礼します。
>>208-214の続きをロボの視点で書きました。
エロらしきもの多少あり。タイトルは「自慢」。
注)読み終えた後、怒らないで下さい。
------------------------------------------------------------------
九死に一生を得て戻って来たら、何故か彼女も戻って来た。
しかもプロポーズまでされた。正直俺は驚いた。
いつかはそう出来ればいいと思ってたけど、まさかこんな形でとは夢にも思わなかった。
それに、やはり何処か自信がなかった。
宇宙一聡明で魅力的な女性を繋ぎ止める自信が…。
それなのに彼女の方から結婚を申し込んできた。
俺はなんて幸せ者なんだろう。
今まで多くの男性が彼女に声を掛けたことだろう。
そして、彼女はそれらを一切断っている。たった一人を除いて…。
その彼とは体の関係はなかったと彼女は弁明した。
ただキスと胸を軽く触れられただけだと…。
悔しい。自分から身を引いたとはいえ、やはり悔しい。
俺はなんて小さい男なんだ…。
でもお仕置きせずにはいれられなかった…。
俺は最低だ。彼女の言葉を疑っていない。信じてるのに…。
それでも彼女は俺を愛してくれてる。大好きだと言ってくれてる。
そして今彼女は生まれたままの姿で俺の腕の中で静かに眠っている。
聡明で行動力もあり身持ちも固い。誰が見ても素敵な女性だ。
そんな彼女だが一度彼女の中の「女」に火が付くと物凄い姿を露わにする。
正直そのギャップに驚かされる。
「ロボだからよ。ロボにだけ。」と彼女は言う。
そう!そんな彼女の姿を知っている男は宇宙で俺だけなんだぁ!
少し狭くて締まりの良い彼女の中に侵入した時の心地良さは宇宙一だ。
俺が突く度に彼女が発する切なげな声と表情は、どんなAV女優でも真似することは出来ないだろう。
俺の中の「男」が一層興奮する。
俺の手は彼女の体中の感触を知っている。
柔らかい肌、小ぶりだが確かな弾力のある胸、刺激すると体を反らす花心のコリっとした感触。
そして俺は彼女自身でさえ恐らく見たことのない彼女の体の部分を知っている。
その味も知っている。
指と舌で刺激することで彼女の体の奥から湧き出てくる出水の味は宇宙一の美味だ。
多くの男たちが求めて止まないことを俺だけが知っている。
俺だけに見せてくれている。
宇宙一魅力的な女性である彼女が、宇宙の塵みたいな存在の俺だけに!
勿論、俺が人として成長あるいは彼女を支えることを怠れば彼女は離れて行ってしまう。
だから、俺は頑張る。努力する。
もう二度と手放さないように!
他の男に渡さないように!
でも、それでも、俺は自慢せずにはいられない。
俺が『宇宙一幸せな男』であることを。
え?誰に自慢しているのかって?
それは…。
それはね、今これを読んでいる君にだよ。
終
219 :
変な味1:2007/08/10(金) 15:15:20 ID:ElCp4Gl2
いつもガチエロばかりなのでエロなし平凡話に挑戦しました。
「ないっお金が極端にない〜」
貧乏で
「この服どう〜?パズーみたいでしょ♪」
ださくて
「ワンフェス行かなくちゃー。ガンバスター6万円ほしいんだよね〜」
オタクで
「やっぱ夏は薄着の女の子が多くていいなッ」
スケベで
「またテレクラ不発だった…orz」
女の子には不器用で
それでも。
真夏の午後。
二人でガリガリ君を食べながら、なんだかわからないことで
言い合いながら、歩いていた。
「そうじゃないって!」
ロボはぽたぽた溶けだしたガリガリ君を振り回して反論する。
「全くロボは単純なんだから」
「なんでよ〜やっぱガリガリ君って言ったらソーダ味でしょ?
マンゴー味は邪道すぎるんだよッ」
アイスキャンディーの味でムキになる大人ってロボくらいだろう。
「もーどっちでもいいじゃん〜私はこれが好きなんだから」
私はマンゴー味を齧って言った。
「よくないっニコの味覚が変なんだよー変わってるって言われない?」
「えー?」
「ほら、これ食べてみ?」
ロボは溶けているソーダ味を突き出した。
手がベタベタになるのに…と思いながら、受け取る。
両手にアイスを持った私は贅沢な子供みたいだ。
唇からポタポタと溶けたアイスキャンディーの雫を落としながら、
私は冷たい塊を喉に通した。
220 :
変な味2:2007/08/10(金) 15:20:37 ID:ElCp4Gl2
「年上とつきあってるとさー」
高校の友達たちとお昼を食べながら、お互いつきあってる相手の話になった時だ。
「やっぱおいしいものとか、おしゃれなお店とか行けるからいいよねー」
「そうそう〜同じ高校生だとマクドナルドとかスタバとかファミレスとか、
そんなんで限界。映画館とかさー」
「映画館かーいいじゃん」
家でいつもロボとレンタルビデオかロボットアニメの私からみたら、
映画なんてがんばってる彼氏に見えるんだけど。
「私もこのまえ彼にリズリサのワンピ買ってもらっちゃったー♪」
「えーいいなー久美の彼氏、社会人だもんねー」
「ねーニコの彼も社会人だよねー?」
いきなり振られて口に入れたメロンパンを丸呑みしてしまった。
「ん、あ、う、うんそうだけど」
「じゃあやっぱデートはいい店とか行くんだ?」
ああ、子供ってみんな大人はお金があると思っているんだ?
「え、あ、あんまり…ないかな」
「えーごはんも?ホテルとかはー?」
「いつも自宅だし…」
「なにそれ〜つまんなくない?っていうか、ニコのこと大切にしてないん
じゃないの?」
恋人は贅沢させてくれるための道具じゃないだろ。
「あーね、ニコの彼氏って文化祭で目立ってた変な人でしょ?」
「う、うん…」
覚えていてほしくないことを、いつまでも覚えているのが友達だ。
「ニコの趣味って変わってるよね」
「そうかな…」
「そうだよ〜ニコなら可愛いし、もっとちゃんとした彼氏できるのにー
お金もない上に、自宅デートでいいと思う彼氏じゃ幸せになれないかもよ」
みんな人の彼氏のことは言いたい放題か。
「変でも」
私は言いかけてやめた。
「どうよ?やっぱソーダ味だべ?」
ロボは私を見つめている。
「ン…おいしいけど、やっぱマンゴー味がいいわ」
「えー」
ソーダ味を返されたロボは理解できないといった顔で、棒まで食べそうな
勢いでアイスキャンディーを口に入れた。
「変でも好きだから、いいの」
ロボにそう言ってから、あ、なんかあの時いいかけた言葉だと思った。
「そんなスッキリしないベタベタ甘い味が、いいのかねー」
ロボはもう棒だけを齧っていた。
221 :
変な味3:2007/08/10(金) 15:24:18 ID:ElCp4Gl2
アイスの棒を公園のゴミ箱に捨てて、私はベタベタになった手を
水道で洗った。
「ぶわっ」
水を飲もうと水飲み用の蛇口をひねったロボが、いっきにひねりすぎて、
水の柱を作った。慌てて蛇口をしめる。
夏の日差しの中で水の柱が弾けて、水滴が振ってきた。
「つっめたー!」
ロボは顔の雫を払う。前髪がびしょぬれだ。
「もーバッカじゃないの」
「でも気持ちいー」
笑うロボにカバンからハンドタオルを出して渡した。
「ねーニコ」
「なに?」
ロボを見上げると、いきなり私の唇にロボの唇が重なった。
「ちょっと!」
「んー甘い。マンゴー味も、いいかも」
「バッカじゃないの」
怒る私をロボはニヤニヤ見た。背の高い彼のうしろに夏の空が広がる。
その空に手をのばして抱きしめるように、彼の肩に私は手をのばした。
「さー今日はなに借りようかなー?お昼はラーメンでも作ろうか〜」
楽しそうにかわりばえのないことを口にするロボを見ながら、
ロボはロボの味で、この味だからごめんなさいとは言わない。
たとえダメな奴でも、その卑屈さのないダメさが好きだと思う。
さっきのキスの味をほんのり思い出して笑う。
変な味がわかる私は、きっと変わり者でついでに
「幸せ者、かな」
「なにがー?」
「なんでもな〜い」おわり
>>218 勝手にやって下さいwwwロボにマックスパーンチ!
>>219 ロボに大人のデートは期待出来ないねw
ガリガリ君マンゴー味あるんですか?マンゴー味好きだから探してみよう。(どこに食い付いてんだ)
>>219 テレクラ行ってんのか、おい!!w
可愛いお話でした〜。
>>218 怒ってないけどorz ウラヤマシス
224 :
HOME 1:2007/08/11(土) 03:41:49 ID:L6MtFmnW
エロ有りホームドラマ調(何だそれ)で1つ。
*******
「あ、あたし明日来れなくなっちゃった」
いつものようにロボの部屋に来た木曜日。
「え〜!なんでぇ?」
「あさって静岡の親戚の結婚式でさ、明日の晩から泊まりでみんな出掛けちゃう
んだよね」
「ニコは?」
「あたし週明けに英語のテストがあるんだよね」
だから今回はやめておいた。
「じゃあ、う、うちに、来れば良かったのにぃ」
「……そうなんだけど」
もう下心丸出しじゃん。わかりやすいなあ。
「じゃあ留守頼むねーって有無をいわさず押し付けられちゃったんだもん。夜電話
掛けて来るって言ってたしさあ」
「そっか〜。残念だなあ」
あたしだって本当はガッカリだよ。
「土曜は出掛けても大丈夫だからさ、ね?」
「ん〜」
なんか小さい子を慰めてるような気になってきた。
「じゃあさ、ちょっとだけ……ね?」
ロボの手があたしの胸を撫でる。
「えっ?ちょっ……と」
「だって寂しい〜」
スカートに忍び込む手をそのまま許してしまった。
「今日はピンクか〜♪」
「やだ!スケベ」
結局あたしはロボのペースに巻き込まれていった。
簡単に食事を済ませて入浴し、適当にテレビを見ながら洗濯物を畳んだりして
いた。
「ロボ今頃何してんのかなー」
あたしと同じようにご飯食べて、お風呂かな?でもって今やってる『懐かし
アニメ特番』見てんだろうな。
電話してみようかな?
そう思って携帯に手を伸ばした時、あたしの耳に何かが聞こえた。
古臭いエンジン音、ちょっと外れた鼻歌、軽い足音……。
「まさか」
携帯に掛けてみるとすぐに出た。
「もしもし?今どこにいるのっ」
なんかどっかで聞いた台詞だなあ……まあ、いいや。
『えっ?いやぁその、どこかなあ』
「当ててあげよっか?」
話ながらあたしは玄関のドアを開けた。
「なーにしてんだっつの」
「えと、その心配だったから……」
携帯片手にケーキの箱を持ってロボが立っていた。
「これ、お土産……」
ぐるるる〜〜〜っ。
……会社から帰って着替えたらそのまま来たんだな。
「……パスタならあるよ。食べる?」
「えっい〜の?食べる、食べる!」
もう、こういう子供みたいな反応に弱いのかな、あたし。
225 :
HOME 2:2007/08/11(土) 03:43:24 ID:L6MtFmnW
ササッと簡単に作ったナポリタンを目の前に出すまで、ロボはテレビにも目を
ほとんど向けずにきちんと座って待っていた。
「足崩しなよ。あたししかいないんだからさ」
「うん、でもこんな風にうち以外で2人きりで会うの初めてじゃない?やっぱり
緊張するよ〜」
「そうなの?……はい、どうぞ」
「お、美味しそう〜。いただきマックス!うん、美味しい〜」
見てて飽きないなぁ。本当に子供より子供みたいだ。……まぁ、やる事はやっぱり
大人なんだけど。
「ニコ熱いの?顔が赤いよ」
「へっ?あ、ああ、喉渇いちゃったから」
水飲んで来るって慌てて立ち上がった。昨日の事、つい思い出しちゃったよ。
高1の春ロボと美容院でバッタリ会って、またそれから遊ぶようになって、
そこから1つ進むのにはそれほど時間は掛からなかった。
誕生日に気持ちを確かめて、キスをして、ついこの前夏休みの最後にあたしは
初めての経験をした。
昔とは、明らかにあたしたちの在り方は変わっていた。
「ごちそうさまでしたっ」
律義に両手を合わせてロボは食事を終えた。
「おそまつさまでした」
食器を片付けながら、ふとさっきの箱を思い出した。
「ねーロボ、さっきのケーキって」
「うん。だって明日は特別な日だからさ〜」
へ?
「そう、だったっけ?」
「あ〜っ、やっぱりニコ忘れてる!」
えっ、全然わかんない。
「何だっけ?」
「もう!……俺達が付き合いだしたのはいつ?」
「誕生日……5月22日?」
「チューしたのは?」
「えっ、さあ?いつだっけ?」
「6月の22日!」
「マジ!?」
「……じゃあえ、えっちし、したのはっ!?」
「えっ?そんな事まで!?やだ」
「も〜、それも忘れちゃったの?」
「覚えてるよ……さすがに、って、ロボまさか!」
「うん。だから明日はなんか特別なってゆーかさ」
ゴニョゴニョと俯きながら耳まで赤くしてる姿を見たら、何かあたしまで恥かし
くなってきた。
明日は9月の22日。で、あの日は……8月の22日。
てゆーか、
「ロボってあたしより、よっぽど乙女だよね」
見た目は立派に大人の男?なのにねえ。
226 :
HOME 3:2007/08/11(土) 03:44:57 ID:L6MtFmnW
「ま、いいやお茶淹れるね?」
「うん。あ、トイレ借りるね〜?」
どうぞ、と言うと立ち上がった瞬間ロボは鞄にけつまづいてよろけた。
バサッ!と中身がぶちまけられてそのへんに散らばった。
「大丈夫?」
と尻餅を付いたロボに駆け寄った時何かを踏んだ足下を見ると、あたしは
「なーにこれっ!?」
とそれを掴んだ。
「イタタ、え〜?って、そっそれはっ」
洗いたてのロボのぱんつ。
「なあーんでこういうのがあんの?」
アワワってそれこそ首から上真っ赤にしちゃって。大体考えてる事わかるけどさ。
「……昨日もしたじゃん」
そうなんだけど、って小さく返事して。
「一緒に居たかったんだ……ゴメンね」
恥かしくなったのか、やっぱり帰るねって荷物集めて玄関に向かった。
「ニコ?」
気が付いたら、ロボの背中にしがみついていた。
「帰れなんて言ってないじゃん」
「いいの?」
うんって言ったらまた凄く嬉しそうに笑うんだ。
時々大胆な事するんだよな。
でもそこに弱いのかな?あたし。
「あ、お風呂まだお湯抜いてないから入る?」
「一緒に?」
「ばっ!バカッ!調子に乗らない!」
「はぁ〜い」
ったくもう!子供みたいだと思って油断したらやっぱりスケベだし。
後片付けをしながらケーキの用意をしていたら、電話が鳴った。
「もしもし?あーお母さん。うん大丈夫だよ」
話してたら、
「ねえゴメン、タオルどこ〜?」
なんて風呂場から声がしてギョッとした。
「ええっ?て、テレビだよ!やだなあもう、あ、キャッチだから切るね、じゃね」
もーロボのバカ!風呂場にタオルを投げ込んだ。
「ニコ怒ってんの?俺何かした?」
「もう遅い!……バレなきゃいいけど」
いくらうちの親が寛大でも、これはさすがにどうかなあ。自信ないわ。
「ねえってば」
「いいから早く服着て!……ってお父さんの借りるかー。もう、ロボ何でも
いきなりなんだから」
「じゃあ、いきなりついでに」
チュッて、軽いキス。
「……って、早くぱんつ履け!タオルはずれてるっ」
「えっ!うわあぁ〜」
ちょっと元気なそれはロボの気持ちを正直に表しているようだ。
……本当にね。
227 :
HOME 4:2007/08/11(土) 03:45:46 ID:L6MtFmnW
お父さんのじゃやっぱり長身のロボには小さくて、結局シャツとズボン。
「美味しい!これどこの?」
「会社の近くの店。社の女の人に美味しいって聞いてたからさ、ニコに食べさせて
あげたかったんだ」
そういう時にあたしの事思い出してくれるの、凄く嬉しい。
「あ、ロボの!」
ほっぺについたクリームを指先で拭いてペロッと舐めた。
「美味し」
そんなあたしをロボがフォーク咥えてじっと見てる。
「なに?」
「ニコも付いてるよ?」
そう言ってあたしの唇を撫でて、指先のクリームを同じ様に舐めた。
「まだ付いてるな〜」
「うそー?……んっ」
今度は直接唇を押し当ててきた。ゆっくりと舌であたしの唇を撫で回す。
「……甘いね」
ふっと笑いながらあたしを抱き寄せる。
「ロボ」
何だろう?凄くドキドキしてる。食べるって普通な事なのに、こんな感じ方が
あるんだ。
「食べよう、ニコ」
「うん」
「食べて……続き、したいな」
「……ばか」
ロボはばか正直で困る。
「女の子の部屋だあ〜」
2階の部屋に上がるとキョロキョロと落着かない様子で座ってる。
そういえば忍び込んだ事はあった(※ZI参照)けど、まともに入るのは初めてか。
「こっちは一海ちゃんだったよね?」
「何、気にしてんの?」
ちょっとムカつく。
「違うって!今はニコだけだからあ〜」
「どうだか」
あ、もしかしてあたし可愛くない。
「もう可愛くないよ!そんな事言って」
やっぱり。
「でもやっぱり可愛いんだよね。不思議だな」
あたしを膝に乗っけて抱き寄せて、そのままキスをする。ゆっくり舌を絡ませて。
「んんっ」
「……ニコ、寝よっか?」
膝からあたしを下ろすと、2人でそのまま床に転がった。
「ロボ、あれあるの?」
「うん」
用意のいい事で。
「だってさ。ニコが欲しくてたまらないんだよ」
「あ……ンッ」
パジャマのボタンを外されながら、あたしの唇はロボの舌に押し開かれてゆく。
ロボの指が胸に触れると、ふと戸惑って唇が離れた。
「そっか、ノーブラなんだ……悪くないなあ」
掌で膨らみを掴みながら、中指で尖端をつつき始める。
「あ、うぁ……」
その刺激に堪らず声を漏らした。
228 :
HOME 5:2007/08/11(土) 03:46:32 ID:L6MtFmnW
段々硬く尖ってゆくそこをロボの舌がゆっくり転がし、舐めあげられる度に
押さえ切れない喘ぎが唇から漏れ続ける。
「んっ、んんんっ」
ロボの髪が首筋を掠るのがくすぐったくて心地好い。
うっすらと目を開けると見慣れた天井とともに、視界にはあたしの胸に吸い
付いているロボの姿が映る。
目を閉じながら味わうように夢中で揉みながら舐めあげる姿が恥かしいのに
愛しくて、くしゃくしゃの髪を撫でてみる。 それに応えるようにますます舌の動きは激しくなり、指先が段々とお腹の方へ這ってゆく。
「はあっ、あ、……ロボ」
身体の芯から何かが熱く溢れては疼く。全身に緩い痺れが走り、確実に狂って
ゆく気がして。
「ロボ、もう、もう……」
あたしは更なる快感を求めてロボに訴える。
「……ニコ」
ロボは身体を起こして服を脱ぎ、あたしの物をはぎ取る様に脱がせていった。
「これも取っちゃうね……」
最後の1枚を足首から引き抜くと、両膝を掴むようにあたしの脚の間に入り込んだ。
「あ……!や、ロボ、ロボ」
曲げさせられた膝を拡げさせられて灯のもとに晒される。
「やだ!やめて……見ちゃやだっ」
「え〜、ニコ、綺麗だよ。……そんな事言わないで」
そのままロボはそこに顔を埋め、長い舌を滑らせる。
「…………っ!」
声にならない喘ぎが吐息と共に唇から零れ、あたしは半泣きになりながら左右に
頭を振って身を捩った。
そのロボの舌の動きが止まると、それまでのあたしの潤いを指で滑らせ一番
敏感な花芯をゆっくり擦り上げる。
ロボの長くて綺麗な指があたしは好き。その指にどうにかされると思うと、
それだけで身体の奥がほてり出す。
「あっ、熱い……!ああっ、なんかもう、もうだめ……」
「ニコ今日凄く可愛い。熱くて、もうこんな……」
あたしの耳には恥かしい程濡れたその音が嫌と言う位にハッキリと届いて、
もう本当に半狂乱になってしまいそう。
「だから、して。来てぇ!」
初めてあたしからロボにそれをせがんだ。側の鞄からアレを取り出すと慣れて
きた手付きで準備をするがそれさえももどかしいなんて。
「いくよ、ニコ……ん、あっ」
「ああん、ん、ロボ、ロボ!」
待ち切れないようにあたし達は繋がると激しく2人で互いに腰をくねらせた。
229 :
HOME 6:2007/08/11(土) 03:47:16 ID:L6MtFmnW
少ししてロボはいきなり動きを止めてそれをやめた。
「ねえ、ここに手を付いて」
言われた通りにベッドに手を付くと、四つん這いに脚を開かせて後ろから
入って来た。
「やあぁ!そんな、あたし恥かしいよ……」
ロボはそんな訴えを退け腰を動かし始める。両手はそれぞれあたしの胸を揉み
しだき、あたしはそれにまた声を漏らし始めた。
「ああ、ニコ、ニコ……イイよ。凄く可愛い」
「あ、あああっ、あたしもっ、ん!」
物心ついた頃から遊んで、勉強して眠ったこの部屋でこんな恥かしい格好して
るなんて。
抱かれてるというより犯されてるみたい……。
でもロボならいい。
「ロボ、ロボ、あたし好き。ロボなら何されても……あっ」
イヤらしい音が静かな部屋に響き渡るようで。
「俺も、好きだよ。ニコ、あ、あっ」
「や、イッちゃうっ!」
「一緒に、ね、イこう……」
シーツを力一杯握り締めるあたしの手を掴みながら、ロボはあたしが気を失い
掛けた時「ニコ……」と呟いて身体を大きく震わせながら果てたのを聞いた。
あたしはそのままロボに抱き抱えられてベッドに横たえられたのを最後に、
そのまま眠りに落ちた。
目が覚めたのは、昼になってからだった。あれから1度夜明け近くに目覚めて
今度はあたしが上になったりして……。
「ああっもう!そんな事思い出してる場合じゃない」
あたしってエッチなのかな?とにかくロボを起こそう。
「ロボ、起きて。そろそろ出よう」
「う〜ん、もう行かなきゃ、だな」
寝ぼけたロボに軽くキスするとあたしは手早く着替えた。ロボの服を掻き集めて
手渡したその時
「ただいま〜!」
と階下から声がした。
「……!!うっそーーっ!?」
「えっ?夕方じゃなかったの?」
とにかくロボに服着て隠れて!と促して階下に降りた。靴は?たしか下駄箱に。
「お、お帰り!お母さん早かったね?」
「そうなのよ。意外に早く終ってね、早い新幹線で帰って来ちゃった」
「お父さんはトイレ、一海ちゃんは?」
いない。まさか!
「キャアーーーーー!!」
2階から悲鳴が鳴り響いた。と同時にロボが
「ご、誤解だあぁぁ〜!」
と階段を転がるように降りて来た。
「うっわ、バカ……」
トイレから出た父とお茶を手にした母と、降りて来た一海ちゃんと、ロボと
あたし、誰1人動けない。まさにストップモーションみたいだった。
230 :
HOME 7:2007/08/11(土) 03:48:11 ID:L6MtFmnW
急いで着替えたロボは咄嗟にあたしのベッドの下に潜り込んだはいいが、一海
ちゃんが着替えようとしたため慌てて飛び出した……らしい。
「ど、どういう事なんですかね?その、いやあ驚いたなあ〜」
父はどうしたもんかと頭を掻いている。母はお茶を淹れて「どーぞ、ホホホ」
なんて笑うしかないみたいだし、一海ちゃんは膨れっ面で。ロボは緊張して小さく
なってるし。
とにかく、なんか気まずい。
「え〜と、須藤君だっけ?その、ニコとはどんな……いや、うちはオープンだけど
一応まだ16だし、その、歳もだいぶ違うみたいだし」
「あっ、あの僕は、僕は」
ロボテンパッてないか?何言うんだろう。
「ぼっ僕に、おじょーさんを僕に下さいぃぃ!」
ガバッと頭を下げた。突然の事に家族は勿論、あたしが一番驚いたに違いない。
「はあぁーーーーっ!?」
何考えてんだ。
「えっダメ?」
いや、ダメじゃないけど。なんか間違ってないか?
「ま、とにかくこっちで話そうか」
父に呼ばれて男2人で隣りの部屋へ消えた。
「ニコに先越されたの?あたし」
ちょっと悔しい?一海ちゃんにひきつった笑いで応えるしかなかった。
あれから小一時間。一向に出て来る気配がないのが気になって、夕飯の手伝い
もままならなかった。
「お父さん達何やってんのかしらねぇ?ニコ、見て来たら?」
「えー、お母さんみてよ」
あたし怖いって。
追い立てられるようにして仕方なく襖に耳を当てる。その様子を母と一海ちゃん
がじいっと。
『素晴らしい!お父さんこれはなかなか出来ない事ですよぉ』
『だろ?うちの奴等はこれが解らんのでつまんなくてさあ』
『いやあ僕には解ります!男のロマンですよね、ね!』
何だかやな予感。
「何してんの?」
思い切って襖を開けるとそこには、
「……やっぱり」
山のような牛乳のフタを拡げて感動している男2人だった。
「いやあ今度は君のなんとかロボのコレクションを是非見たいなあ」
「ええ。いつでも喜んでお見せしマックス!」
「……なんだか意気投合しちゃったみたいねえ」
「あーあ、ニコいいの?ま、悪い人じゃないけどね」
母と一海ちゃんの半笑いに力なくあたしは襖を閉めた。
231 :
HOME 8:2007/08/11(土) 03:49:56 ID:L6MtFmnW
その夜ロボは父と2人で勝手に盛り上がって大変だった。車だからとあたしが
止めなかったら、一体いくら飲まされてたんだろう。父はベロンベロンに酔っていた。
「須藤くーん、ニコを頼んだよおぉ、ううっ」
泣いてるし、おいおい。
「任せて下さい!僕の愛と勇気で必ずや幸せにっ」
あのなー。
「人の結婚式見て来た所だから盛り上がっちゃってるのよね」
母はのんきにお茶なんか飲んで、一海ちゃんはさっさと出掛けた(逃げた?)。
「ま、先の話だとしても。お母さんはかえって安心かな。いい人じゃない?」
そうだけどさあ。
「みんな勝手に……」
人の気も知らないで。
しばらくしてロボは帰ると言うので表まで付いて行った。何だかあたしは機嫌が
悪かった。
「うわ〜、緊張したなあ」
返事をしないあたしに気が付いて(遅いよ)顔を覗き込んで来た。
「ニコどうしたの?」
呑気ないつもと変らない姿がなんだか今はイライラきて、あたしは無視して
車の側まで急いだ。
何怒ってんの〜?って追いかけて来る声に、我慢ならなくなって振向いた。
「何で勝手にあんな事すんの?」
「えっ、俺何かいけない事した?」
わかってない。
「あたし何も言われてない」
あー、あたしって格好悪いかも。
「順番逆じゃない?」
「えっ」
「あたしオッケーしてないからね」
言い過ぎた?ハッとしてロボを見ると、ショックを受けたような顔でロボが
立ちすくんでいた。
「ゴメン」
慌てて謝ったあたしに消入りそうな小さな声で呟いた。
「それって何のゴメン?」
ん?何って……ああ。
「言い過ぎた、って事」
そう言うとホッとしたのか、急に笑顔になった。
「良かった。……そうだよね、俺ニコにはなんにも言ってなかったのにな」
あたしの手をきゅーっと握って。
「俺まじめに言ってるからね?」
「うん」
「何年経ってもかまわないから。俺と……結婚、しよ?」
「……いいよ」
ロボは「やった♪」ってあたしを抱き締めて、軽いキスをした。
わかりやすいなあ。でも、そこが好き。
しかし困った。
さっきから電柱の陰で出るに出られない一海ちゃんの姿に気付いちゃったよ。
うーん、もう少しだけこのままでいたいな、なんて。
あとちょっとだけ、ゴメンね。
*******終
またもや、先走るロボww(でもあれとは、続いてるわけじゃないのかな?)
楽しい!エロい!和む! 大満足でした〜www GJ!
エロ有りホームドラマGJ!
電柱の陰でモジモジしてる一海ちゃんカワユス w
GJ!7話でどうなってるかわかんないけど、ロボとニコパパって絶対気があうよな。
おもしろかった! GJ!
エロありホームドラマって
ナイスネーミングだねw
>>231です
前の先走りロボの話とは一応別物のつもりだったんですが、繋げてもいけそうですかね?
何も考えず書いたのですが発見でした。ありがとうございます。思わず感動したのでカキコさせて貰いました。
楽しんで頂けたら嬉しいです。
皆さんGJありがとうございます。
237 :
夏の日 1:2007/08/12(日) 02:23:02 ID:LhoVl3Cq
時系列は番組放送中の話です。中学生ニコなのでエチーはありません。
(ニコロボが共に夏休みを過ごすことがあったかどうかは不明ですが、
一応あったことにしてください。)
切ない系です。
******************************************
今日はうだるように暑くて、俺の部屋の古いエアコンは全く効かない。
新調しようと何年も思っているのに、乏しい給料はついついロボット達に化けてしまう。
何杯目かわからない氷入りの麦茶のコップを二つ、卓袱台の上においた。
「ロボ、麦茶飽きた。かき氷が食べたい。買ってきて。」
卓袱台に突っ伏したツーテールの頭がそんな我が儘を言う。
「勝手なこと言うなよー。第一、まだ全然進んでないじゃん。」
「暑いし、宿題はちんぷんかんぷんだし、もうやだ。つまんないー。」
手におえない数学のプリントの山を前にして、幼児のように駄々をこねる。
いつも冷静で醒めているこの子がこんな態度を取るのは、俺の前だけだということに最近気づいた。
「勉強っていうのはね、人からやらされてると思ってる間はつまんないもんなの。
そのうちしたくても出来なくなるんだから、ちゃんとやんなさい。」
なんか母親みたいだと思いながら説教するが、ツーテールの頭はぐずぐず言いながら
ベッドに移動して寝そべってしまう。
「英語なら得意なんだけどなぁ…。あたし耳がいいから。」
ペラペラと英語でニュースキャスターの真似をしてみせるのでびびった。
文法的に正しいかどうかはわからないけど、ネイティブスピーカーの発音そのまま。しかも男の声。
一見ごく普通の少女に見えるこの子の飛び抜けた才能を目にするたびに、俺は素直に賞賛の念を持つ。
こんな才能があっても、普通の中学生が普通に生きるのに必要なものばかり求められて、
いつも何かを抑えて生活している彼女の現実が少し可哀想になった。
「ロボあたしちょっと昼寝するからよろしく。宿題は、夕方やるよ。」
ころん、と窓の方に転がって完全に寝る体勢。あのーもしもし?俺、夕方までどーすんの?
「ニコー 俺手持ち無沙汰なんですけどー。」
「じゃあロボも一緒に寝ようよ。」
あぶねぇなあ。自分が言ってる言葉の意味、全然わかってないんだろうなあ。
とりあえず暑くて気力が出ないのは俺も同じなので、よいしょ、とベッドに上がり込んで寝転がる。
「あのさあ。俺以外の男にそーゆーこと、絶対言わない方がいいよ。」
「はぁ? 言うわけないじゃん。あたし男子苦手だもん。」
ロボちょっと腕貸して、というから差し出したら、枕にされてしまった。ちょっとちょっとぉ。
あっという間にすうすうと気持ち良さそうに寝息を立てる。
俺は腕を引っ込めるかどうか迷って、そのままにした。
・・・重い。暑い。くすぐったい。でも心地良い。
238 :
夏の日 2:2007/08/12(日) 02:26:22 ID:LhoVl3Cq
子供の頃、子猫を拾って、こっそり一緒の布団で寝たことがあった。
小さくて無防備な生き物と一緒に眠るのは、泣きたくなるほど幸せで、柔らかくて儚げで
なぜか少し官能的で、ドキドキした。
次の日、子猫は母親に見つかって、俺は泣いて頼んだけれど元いた場所に捨てられてしまった。
あの時の心の痛みが蘇って、ひどく切なくなる。
ニコの額にかかる髪をそっと払いながら、あと何ヶ月、いや何日、こういうことが
許されるのかなと思った。
本当はわかっている。気づいてないふりをしているだけ。
俺たちの関係は変わっていく、彼女は変わっていく、周囲も変わっていく、
そして何より俺自身が変わっていく。
こんな風にお互い何も考えずに受け入れることはきっと出来なくなる。
俺とニコの関係に名前を付けるのはとても難しい。
名前のないものは不安定で、やがて消えてしまう。
たぶん予想より早くその日は来るのだろう。
寂しいなー、と小さな声で呟いて目を閉じる。
恋がしたいな、と思う。相手は一海ちゃんでもいいし、別の誰かでもいい。
じゃなかったらニコが俺の知らない誰かと恋に落ちればいい。
中学生らしく爽やかな男女交際をすればいいじゃない?
自分から手放してしまえば、こんな風に失うのが怖くなったりしない。
このまま二人とも眠って目を醒まさなければいいのにと願って、自分の発想のやばさに気づいて笑った。
なにそれ、心中みたいじゃない? 何の為に?
名前のない関係のために人は死なないことになっている。
だから、夏休みの宿題が出来ないことに絶望して心中。ただの笑い話じゃん。
ニコが目を覚ましたら、一緒にコンビニに行ってかき氷を買ってやろう。
その代わり強制的にプリント1枚は終わらせること。
それから、地蔵堂に行ってへんてこな任務を貰って、バカバカ言い合いながら
笑って走って、またドタバタと日常を紡いでいけばいい。
そしたら、忘れられる。きっと忘れて日々を過ごせる。
やがて来るはずの喪失感のことなんて。
ニコには「ロボは幸せな奴」として覚えていて欲しいと思った。
いつか来るその日まで。
*******************************************
おわり
切ない…
うわーなんか、くるねグッと胸に
切ないなぁ…
最近セックスしてるニコロボに慣れてきていたので(←これもどうかと思うが)
初心に返ったような気持ちになった。
こんな心構えでいてニコに去られたかと思うと、星空を見上げるロボが違って見える…GJ!
自然に離れたというよりも、ニコの方から去っていってしまったと感じる人が多いのでしょうか?
私もそうだけど。
ニコがまたロボに歩み寄ってくれれば、ロボはきっと笑って受け入れてくれると思う。
だけど切ない…
>>135 -137,
>>194 -195、の2人、更にその後の顛末。エロ無し。
感想いろいろ、ありがとうございました。
続編希望もいただいて嬉しかったです(でもご希望がエロの続きだったなら肩すかしスマソw)
***********
「ロボー、やっちゃったなぁ」
「もーよっちゃんは帰ってよぉ」
夕刻の喫茶店。
さっきから俺は一海ちゃんに怒られている。
ニコの身体が痣だらけ、それも俺が念入りに触りまくったところが痕になってるのにおカンムリじゃ、
まったくもって俺が悪いデス。でも何故ギャラリーによっちゃんが。
「2人で何してるかに、首突っ込みたくはないけど!
あの子はまだ高校生なのよ? 体育の着替えもあれば身体測定だってあるのに
無責任すぎると思わないの!」
「すみません」
もうここは、平謝りで。
「ニコを泣かせたら、承知しないからね!」
「そんなことは、決して!」
この前も、泣いてるニコを見てもっと泣いてしまったのは俺だったのに。
「……まさか、避妊はしてるわよね?」
「いいえ?」
「はぁぁぁぁぁぁ?」
イヤ、だって、とかいうヒマもなく、立ち上がった一海ちゃんにネクタイを掴んで
引きずりあげられる。
「このバカオタク、外に出せば大丈夫とか思ってンじゃないでしょうね??」
「ちが、違い」
首が、締まる、締まってる!!
「中出しなんかしてたら、殺・す・わ・よー?」
「ホントに、ちがい、マスー」
244 :
<2/3>:2007/08/13(月) 05:40:24 ID:fq7CNVpp
まぁまぁ、と間にはいったよっちゃんに分けられ、ぐったりと椅子に腰を下ろす。助かったぁ、
可愛いけど一海ちゃん、やっぱりニコの姉ちゃんだ。
「この男が女子高生にナマなんて、出来る器じゃないっしょ!
あれだろロボ、まだ挿入れてないんだろ?」
ミもフタもない…。気のせいか店中の視線を感じてためらいつつも、ここは正直に答えるしかない
俺は、目を伏せたままコクンと頭を縦に振った。
「え〜〜〜???」
一海ちゃん、それは何に対する驚きですか。”ヘンタイな意気地なし”を初めて見ますか。
「……ならコレ、余計なお世話かもしれないけど」
細長い包みをテーブルに置くと、一海ちゃんは俺をいたわりながら帰っていった。べつに、童貞だ
とか言った覚えはないのに、そんな扱いをされた気がする。失礼な。
「まぁ新しいのもらっとけ、何年もとっといてると破けるぞ。じゃーな!」
よっちゃんも失礼だな。
ゴムならここんとこ、デートの度に用意して開いてないのが3箱はありますから!
って、ダメじゃん。
ひとり残されて落ち着くと、猛烈にのどが渇いていた。さっきの騒ぎで俺のグラスは倒して
しまったし。テーブルにはポツンと、一海ちゃんの飲みかけの珈琲が残されている。
出る前に、これちょっともらったってバチはあたらないよね……。
と、いうわけで。
カランカラーン♪
「ロボー!!」
軽快なドアベルの音色と共に、制服姿で駆け込んできて
「ごめんねー大丈夫だった?? 一海ちゃんが怒っちゃって、携帯も取られちゃって……」
と、さっきまで、一海ちゃんのいた席に飛び込んできたニコが見たものは。
「ん〜?」
一海ちゃんの口紅が残るカップに、まさに口をつけたところの俺でした。
「ロボの、ロボの、バカ〜〜〜!!!」
ああ……バチが……。
245 :
<3/3>:2007/08/13(月) 05:42:33 ID:fq7CNVpp
「ほんっと、ごめんなさい!」
ニコが頭からぶちまけたお冷や用の氷水で、俺はまだ濡れネズミ。いっそ風が心地良い。
「バカだよね、あたし。同じ処に口つけたなら、口紅が見えるわけないのに……」
「すぐ乾くよ〜、水だし」
そんなことより実は、水差しをひったくられた店員の納得顔に始まって、店を出るまでの俺達が
『そうか、この2人か』とどれだけ見せ物だったことか。それを知ったらニコはもう一度逆上するハズ
なので、内緒だ。
「よっちゃんを寄越してくれたのは、ニコなんだ?」
バス通りを並んで歩きながら尋ねる。
「うん、役に立った?」
「アリガト。殺されずに済んだかも」
ははは、と冗談めかしたつもりだったけど、ニコの顔が曇った。
「あたしのせいだね」
「またー、ニコが気にすることないって言ってるじゃないかぁ。
全部、俺が……いけないんだからさ」
そっと、手を握る。
制服姿のニコとスーツの自分じゃ、こんなことも無闇に人目を引くのは分かっているのだけど。
一昨日、着衣のまま組み伏せて、強引に好き勝手したのは俺で。
痕がつくどころか、怪我をさせたかもしれなかったのかと思うとたまらなかった。
「……痛いの?」
肩の下にニコの頭に顔を寄せて小声で聞くと、ぷるぷると被りをふった。耳が赤い。
「ただ、痣なだけ。自分でも気がついてなかったもん。
だからお風呂入ろーって、一海ちゃんの目の前で脱いじゃって」
うわー。
「『何それ、あいつがしたのね』って」
一緒にお風呂入るんだぁ……。
「ロボ?」
「う、うん。ゴメン。ちょっとぼーっとして、その」
勘のいいニコに考えを読まれた気がして、慌てて誤魔化そうとつい、別の本音が出てしまった。
「……見たいなぁ。それ」
「えぇ?」
「だって、責任あるでしょ、つけた本人として。
夕飯前にちゃんと、送ってくからちょっとだけ寄って、さ」
「えーっ、どーしよっかな〜」
良かった、笑ってる。しばらく会えないかと思ったのに今日も、駆けつけてくれたんだ、
俺のピンチに。
「大丈夫、今日は俺、脱がないから」
「ロボのそれ、変だよー」
大丈夫、きっと。ケラケラ笑うニコを見守りながら、胸の中でつぶやく。
まだ開きかけのつぼみの様なキミを、守ってやりたいのに時々、衝動で握りつぶしそうになる。俺も
まだまだ子どもなのかな。
内ポケットの中、一海ちゃんがくれた4箱目が踊る。そりゃあ使いたいけど。
この笑顔のためなら大丈夫、まだ待ってられる。……多分。
<*end*>
妹思いで大人な一海ちゃん素敵だ!GJ!
GJです!
シメられるロボにワロタ。
3箱って…一体いつから使ってないんだwww
もう一息、ロボ頑張れっ。
GJ!
よっちゃんのプロフェッショナルな推理?にワラタ
姉妹愛いいですねぇ。
そんないい話の後に気が少々引けるのですがエロを投下します。
>>218で何気に使った単語がどうしても気になったので書きました。
時系列は
>>218のちょっと前の話です。
エロあり。タイトルは「お仕置き」。
-----------------------------------------------------------------------------
ロボの回復は驚異的に進み、医師や看護師らを驚かせた。
「とても死にかけた人とは思えない。」だそうだ。
そして、1週間程度の入院でロボは退院した。
「旨い!なんて旨いんだ。やっぱニコが作るカレーが一番旨いやぁ。」
私は嬉しかった。こうしてまたロボと一緒にいられることが。
ロボが入院している間、私は毎日お見舞いに行った。
二人の関係は前に戻ったようだった。
ある一点の部分を除けば前より深まったと思う。
時々ロボは遠くを見るような目で私の顔を見る。
「なに?」と聞くと「ううん。」と返事して視線を逸らす。
『やはり気にしてるんだわ。』
ロボが気にしてること。それはきっと響さんのことだ。
ちゃんと説明しなければと思いつつ、どうすればいいのか分からなかった。
下手に説明すると二人の関係が終わってしまうのではという不安が私を躊躇させる。
恐らくロボも同じなんだと思う。
だから私は結婚話を進めて、先に二人の関係を深めようとしているのかもしれない。
『私って、ずるい女…。』
そして食事を終えた今もロボは遠くを見るような目で考え込んでいる。
私は決心した。
「ロボぉ、怒らないで聞いて。上手く話せないかもしれないけど正直に話すわ。あの人とは…。」
流石にロボに名前を言うことは出来なかった。
ロボは私の言葉を遮るように。
「いいよ、その事は。あの時『許して』と言われた時に許したんだから。」
「でもロボ、気にしてるんでしょ?時々考え込んでいるもん。」
ロボは私を黙って見ていた。
「私の気持ちは変わらない。ロボと一緒にいたい。結婚したい。
でもぉ。でも全てを知った上でロボに許してもらいたいの。
私が話したことでロボが私のことを嫌いになったとしても…。」
ロボは黙ったままだった。
「嫌いになんてなって欲しくないけど…。正直に話すわ。」
私は目に涙を浮かべていた。
するとロボが口を開いた。
「いいんだよ、ニコ。ニコがあの人に惹かれた理由は分かる。
とても頼り甲斐のある人だったし、自信に満ちてもいた。誰だって惹かれるよ。
だから俺、安心して身を引く決心をしたんだ。でも…。」
ロボは俯いた。
「俺が気にしてるのはもっと小さいこと。ホント俺は最低な奴だよ。」
私はロボが何を気にしてるのかも分かっていた。
「ニコとあの人が何処まで関係が進んだのか…。」
ロボは俯いたままポツリと言った。
「俺は最低の男だ。一度は身を引いてあの人にニコを渡したのに…。
こうしてニコが戻ってくるとそんなことが気になる…。自分の小ささが情けなく思う。」
私は意を決してキッパリと言った。
「だから聞いて。私、正直に話す。それでロボがどう思ってもロボを攻めたりなんかしない。
私たちそこから始めないと駄目なような気がする。」
ロボは再び黙って私を見た。
「あの人とはキスまではした。少しだけ胸も触れられた。
でも、その瞬間ロボに会わなければと思ってここに来たの。
ロボは居なくてあの書き置きがあったの。
でも私、あの事件まであの人には会ってない。会う気になれなったの。」
私はロボの顔をジッと見た。
どのくらい時間が経ったんだろう、暫くしてロボが独り言のように呟いた。
「そっかぁ、キスまでかぁ…。舌は…。」
「入れられた。」
私はもう駄目かと思い俯いた。
『なんて馬鹿正直なんだろう…。私って。』
暫くの沈黙の後、ロボは膝を叩いて言った。
「ま、仕方ないよな。あの人魅力的だったし。
それに。あんな状況でその程度で済んだのはある意味奇跡だよな!うん!奇跡だ!」
私は顔を上げた。
「許してくれるの?」
ロボは私の顔を見て返事した。
「う〜ん、そうだなぁ。ちょっとだけお仕置きさせてくれれば。」
「お仕置き?」
「そう、お仕置き。横に座って。」
私はロボの左横に座った。
ロボは私の肩を抱き口付けをしてきた。
それは長く情熱的なキスだった。
『これがお仕置きなの?いつもと同じじゃない?』
そしてロボはいつものように右手で私の体を愛撫した。
私の胸の感触を確かめると手を下にやり下着の上から最も敏感な部分を中指と人差し指で刺激した。
私は体の奥底から現れた快感に身を任せ目を閉じた。
「ニコ。目を開けて俺を見て。」
「え?だ、駄目…。で、できない。恥ずかしいわ。」
「駄目だよ、ニコ。これはお仕置きなんだから。」
「これが?」
会話の間もロボの指は私を刺激し続けた。
ロボの言うように目を開けようとするけど、恥ずかしさと快感で薄目がちになってしまう。
微かに見えるロボの顔はそんな私の様子を黙って淡々と見ているようだった。
それが更に私の羞恥心を煽ると同時に更に深い快感へと落とした。
私は我慢できずにロボの耳に囁いだ。
「ロボ、抱いて。ロボが欲しい。」
しかし、ロボはゆっくりと顔を振った。
「だぁめ。」
私は快感に顔を歪めながら少し驚いた顔をした。
「このまま指で行くの。」とロボが続けた。
「そ、そんな…。は、恥ずかし…。」
快感で言葉にならない。
「だって、これはお仕置きなんだもん。だから目を開けて俺の顔を見て。」
『そ、そんな、恥ずかしすぎるわ。』
私は自慰の経験はない。一応人並みに性欲はあるけど自慰をする程ではない。
ロボに抱かれるだけで十分だった。
でも、今、ロボの指とはいえ私は自慰をしているようなもの。しかもロボの目の前で。
ロボの冷静な目が私を更に興奮させる。
ロボの刺激している私の部分がとんでもなく濡れていることが自分でも分かる。
『私、このまま行っちゃうの?は、恥ずかしいわ。』
ロボは相変わらず黙々と私を見てる。
巧みにリズムを変えて私を刺激する。
私は必死に抵抗した。快感の溝に落ちまいと。
しかし、私の抵抗は虚しく私はその溝の中に落ちて行った。
「んっ!あっ!あ〜んっ!」
目を瞑って暫く快感の余韻に浸った後、ゆっくりと目を開けた。
『恥ずかしい。ロボの顔を見れない…。』
ロボはにっこり笑い私にキスした。
「気が済んだ?許してくれる?」と私は聞いた。
「ごめん、怒ってない?俺ってなんて最低な男なんだ…。」
「ううん、怒ってない。恥ずかしかったけど…。もう二度とは嫌だけど…。でもぉ…。」
私は一呼吸おいて続けた。
「でも何故か益々ロボのことが好きになった。堪らなく好きになった。」
私はロボにキスして
「今度はちゃんと抱いて。お願い。」とロボの耳元で囁いた。
「うん、でもぇ、俺まだ傷が痛むから…。」
「大丈夫。私が上になるから。それにロボだって2ヶ月半ぶりなんでしょ?こんなに堅くなってるよ。」
私はズボンの上からロボ自身を握った。
ロボは嬉しそうに頷いてベッドに運ぶため私を抱き上げた。
「痛!」
傷が少し痛んだようだ。
『頑張って!ロボ!』
終
>>249 まったりエロティックでGJなのですが、ニコの口調が女性的すぎるのが
ちょっと惜しいと思いました。
本編の、現代っ子っぽくちょっとぞんざいな喋り方のニコが成長しても
お淑やかな女性らしい言葉遣いは身に付かないような気がして…
恋が彼女を変えたのかもしれませんがw
>>249 いつもガッツキ気味のロボがジラすなんて‥!
エローっっ!
GJ!
>>254 仰るとおりです。意図的に女性らしくしました。
自分は
>>59以降ニコがロボとの恋に目覚めることで女性として成長する様を描きたかったのです。
また今回は、もう女子大生であることと一つの恋が終わった(
>>208-214)ことで女性として大きく成長したと想定しました。
それと自分の中である程度の女性らしさがないとエロがイメージできなかったのも一つの原因です。
このシリーズも次で一応の最終回を迎える予定です。今少々お付き合い頂きたく願います。
よっちゃんスピンオフが読みたいっす。っす。
258 :
花 1:2007/08/15(水) 02:43:10 ID:SNEL7Xzo
エチ無し純愛路線です。
最終回〜三年後 です。
**************
「疲れたぁ。」
「でも、最後の任務だし。」
「寂しくなるね…。」
「生きてればさ、きっとどこかで会えるよ、あの人達のことだから。」
地蔵堂が閉店して、私たちは最後の仕事としてお店の片付けの手伝いを頼まれた。
よっちゃんが店の商品からなんでも好きなものをくれると言ったので
私はアンティークの花の形をした時計を、ロボは古い自動車模型を貰った。
最後に「そいじゃ、またな。」と気軽に言って去っていくよっちゃんの後ろ姿を
私は大事に記憶の函にしまった。
「その時計、動かないの?」
「うん、壊れてるみたい。でも綺麗だから飾っておくんだ。」
「古い物って独特の匂いがするね。時間の匂い。」
「おばあちゃんの家も同じ匂いだったな。」
「もう10時かぁ…。結構遅くなっちゃったなあ。」
遅くまで「仕事」があるのは私には嬉しい。理由を探さずに長い時間ロボと一緒にいられるから。
地蔵堂が無いこれから、家にはどういう言い訳をすればいいのだろう。
ロボに苦手な科目を教えて貰ってるとか。 理系の大学出てるんだし…
とりあえず成績を上げないと説得力無いなー。
私は思いつくいいわけを片っ端から吟味して、親への口実(と、自分への口実)をあれこれ
探し始めた。だって私、まだロボの隣にいたいよ。
「ロボ、もう遅いし帰るの面倒くさいよ。泊まっていい?」
いつもどおり、うん、いいよって言ってくれると思ってた。
「駄目だよ。」
優しい声。でもはっきりした拒否。
「家まで送るから、ちゃんと帰りなよ。」
「え、なんで。」
「中学生が一人暮らしのサラリーマンの部屋に泊まったりするのは、おかしいの。」
「でも、今までは…。」
「今までは仕事があったでしょ。」
月のない夜の道は暗く、遠くを見ているロボの表情がわからない。
「俺だって、中学生の女の子をむやみに泊めるわけにはいかないんだよ。」
そんなの。今までだって充分おかしかったよ。変だったよ。今更なぜロボがそんなこと言うの。
一海ちゃんに「あんた またあの変態のうちに行くの?」って問いつめられて、
非常識だ危険だと責められて、大喧嘩になったこともあったんだよ。
なんで今気づくの。今になって。
社長もよっちゃんも好きだし「仕事」は面白かった。でも、私にとっての意味はそれだけじゃない。
ロボと一緒にいる大事な理由だと分かっていたから。
失って不安になっていたのに、ロボの言葉が追い打ちをかけた。
正論を言ってるのはロボの方だとわかっているけど、私には残酷に響く。
溢れてくる涙を隠すために下を向く。泣いちゃ駄目だ。
「あーーーーーっ 見て! UFO!!」
「えーっ どこどこ!?」
「ほらあっち、あっち!」
「えー見えないよー どこー」
「まーた、騙されたーーー!!あはははー!」
お腹を抱えて笑い転げる。涙の意味がロボにわからないように。
「じゃっ 今日は帰るよーん!おつかれ様!」
「待って。家まで送って行くってば。」
「へーきへーき。ここまで来れば明るいし。」
振り返らずにどんどん走る。
259 :
花 2:2007/08/15(水) 02:44:53 ID:SNEL7Xzo
ロボと話したいことは今でもたくさんある。
でも地蔵堂が無くなって、ロボとの距離の取り方がわからなくなってしまった。
ロボと一緒にいるとリアルに苦しくて、スイッチの切り方を思い出せない。
私はコントロール出来ない自分の感情が怖かった。
一海ちゃんとロボが上手くいけば、自然にロボの近くにいられたかもしれないのに。
時間の流れるままに、日々の生活に身を任せてしまおう。
そうすれば苦しくなくなるかもしれない。
忘れたからって無かったことにはならないけど
痛みから目をそらすことは出来る。
「バテレン、レンコン、トマトハマックス!」
呪文があれば大丈夫。きっと大丈夫。
「バテレン、レンコン、トマトハマックス!」
もう、スパイじゃない普通の女の子に戻るの。
苦しさからちょっと逃げたかっただけ。
いつかまた会えるとどこかで思っていたのに、
気がついたら声をかけることも出来なくなっていた。
「おいマックスー。おまえを買ってくれた人、来なくなっちゃったねぇ。
ニコ、忙しいのかな。元気にしてるかなぁ…。
俺、ニコを傷つけたくなかったんだ。俺の部屋に出入りしてると、
それだけでニコの傷になるって言われてさ…。
幸子とは友達になれたけど、世の中はそういう目で見てるってわかって。
やっぱ俺、オタクでスケベで貧乏で歳も離れてるし。そう思われても無理ないし。
でも、寂しいなー。たまには俺のこと思い出してくれるかなあ…。
強がって全部背負って泣いてないといいけどな。なあマックス?」
260 :
花 3:2007/08/15(水) 02:46:05 ID:SNEL7Xzo
最後にロボを見かけてから3年が立つ。
私は少し背が伸び、髪も伸びて、どこにでもいるような女子高生になった。
声を変えて物真似で友達を笑わせることはもうやめてしまった。
私の声の特技を、笑ってくれるより気味悪がる子が多くなったから。
ロボのことは少女時代の甘い感傷だと自分の中で片付けた筈だった。
冒険の日々は記憶の底にしまいこんで、最近は滅多に取り出すこともない。
私たちはもう、別々の道を歩き出して後戻りは出来ないと。納得したふりをしていた。
クラスメイトは、今日も恋の話に夢中になっている。
中学のころと違うのは、その中に生々しい「初体験の話」がまざっていること。
好きな人に自分の身体を晒すのはドキドキする経験だろうと思う。
「でも、好きな人と銃撃戦をくぐり抜ける方がもっとドキドキしない?」
そんなバカなことを言いそうになって、慌てて口を押さえる。
「ただいまー。」
学校から帰ると、家族はみんな出かけていた。
誰もいない家の中に、時計の音や冷蔵庫の音が響いて、私はこういう静かな時間が嫌いじゃない。
一つ一つを聞き分けるために、耳を澄ましてみる。
「あれ?」
普段聞き慣れない音が自分の部屋で鳴っていた。
いつも使ってる目覚ましの音よりも重い感じの、時計の秒針を刻むような…
「嘘っ なんで!?」
地蔵堂から貰ったアンティークの花時計が動いている。壊れていたのに。
ーーーー枯れないと次の花は咲かない。でも、新しい出会いがある。必ずある。ーーーーーー
「古い物だって新しい花を咲かせることが出来るんだ…」
きっと何度も花は咲くのかもしれない。何度も新しくめぐり会うのかもしれない。
昨日の私と今日の私が違うなら、そこにあるのはいつだって新しい出会いだ。
ーーー神様、これは合図なのですか?
ずっとずっと自分で閉ざしていた心の扉を開く音が聞こえる。
溢れる記憶と感情が止まらない。
急いで靴を履いて、夕刻の街に飛び出した。
世界が音を立ててぐるぐると周りはじめた、あの角を曲がった時のように。
261 :
花 4:2007/08/15(水) 02:47:14 ID:SNEL7Xzo
「ロボ!ロボ!」
会いたいよ、ずっと会いたかったよ。忘れたなんて自分に嘘をついて、バカだった。
見えないふりをしていたら本当に見えなくなっちゃうって知ってたのに。
理由の分からない涙が次々に出てきて、嗚咽が呼吸の荒さに重なって苦しくて、
それでも立ち止まらずに走り続けた。
「そんなぁ…!」
懐かしいアパートに辿り着くと、工事中の看板がかかっていて、取り壊し作業が始まっている。
脚がガクガクして体が震え出した、
私、遅すぎたの?
(いや、なにごとも、遅すぎるということはない!)
ロボの声が心の中で聞こえてくる、私はUターンしてまた走り出す。
初めて会った駅前の広場に向かう。
「ローボー!出動だよーーー!」
泣きながら叫ぶ。周りの人が不審そうな目で見てる。構うもんか。
「ローボー!会いたいぞーーー!!ローボー!!」
「…ニコ?」
遠くで懐かしい声が聞こえた。
「ニコなの?」
夕日を背にして、長身のシルエットが現れた。斜めがけの鞄に、寸足らずのズボン。
「ニコォ!」
見慣れた変なフォームで、風の早さで、私に向かって走ってくる。
会わない時間を軽やかに飛び越えるように。
262 :
花 5:2007/08/15(水) 02:48:17 ID:SNEL7Xzo
「また明日って言ってたのにさ。随分遅かったじゃん。」
「…ごめん。遅れてごめんね。」
「ずっと待ってた。ニコのこと。」
「どうして?」
「だって俺たち、友達だろ!」
差し出した手をギュっと握る。あの時ロボの手を取らなかったのは、きっと今こうするためだったの。
「友達でいるのに、理由なんかいらなかったんだよね…。」
「あたりまえじゃん!マックス友情パワーは不滅だっ。」
「会えてよかった、本当によかったよ…。」
「でも、どうしよう。俺、ニコとこれからも友達でいる自信無くなってきた。」
急にオロオロしはじめたロボを見て、ショックを受けた。私は間に合わなかったのだろうか。
「どうして?私が勝手に会わなくなったから?もう信用できなくなった?もう忘れちゃった?」
「違うよ!」
ロボの手のひらに汗がにじみ出るのがわかる。
「だって、ニコが…すごく綺麗になって…す、好きになりそうで…」
眉毛をハの字にして真剣に困ってる。
止まりかけた涙がまた噴き出してきて、笑いながら泣いた。
「地球が夕焼け色になってる。」
「ニコの目も夕焼け色だよ。」
ロボはベトベトの手を何度も気にしていたけど、私は繋いだ手を離さなかった。これからも離さない。
************
終わり
GJ!
こんなふうにまた2人が出会えたら、と感動しました。なんか泣きそう………
夕焼け色とか言われると、ときめくじゃないか!! 時計の使い方いいなぁGJ!
切なくてドキドキした!
リアルに胸きゅん!
GJ!
切ないですねぇ。いい話に感動しました。
エロなしです。タイトルは「最終回『花嫁はセクシーボイス』」。
設定にちょっと無理あり。
-----------------------------------------------------------------------------------------
私は今大勢の人を前にしてロボと二人並んで座っていた。
そう、今日は私とロボの結婚式の日。
私は学生だし、それにロボの稼ぎではとても披露宴なんかできるわけない。
それに、そもそも二人ともそんなことには興味がなかったので籍だけ入れるつもりだった。
しかし、ロボのお母さんが
「ニコちゃんみたいな素敵な娘を嫁に貰うのに何もしないのは須藤家の恥。」
と言って急遽式をあげることになった。
結婚を決意して僅か三ヶ月後に式を挙げることが出来たのは地蔵堂の社長のお陰だった。
しかも格安料金で。
=========================================================================================
「え?なんだって?披露宴に俺達を?バカも休み休み言えよぉ。」
とよっちゃんが大声を出した。
「こっちは真剣です。お二人に是非出席して欲しいとニコと話したんです。」
「おいおい、俺の形(なり)をちゃんと見ろよ。これが披露宴に参加できる形(なり)か?ね、社長。」
「そうねぇ、悪いんだけど私たちは遠慮させていただくわ。」
「え?そうなんですかぁ…。ニコ、仕方ないか。」
「うん、仕方ないね。でも、お二人には感謝しているんです。私たちがこうなったのはお二人のお陰と思っているんです。」
「あらそうなの?その坊やが感謝するのは分かるんだけど…。あなたにとってはどうだったんだか…。ねぇ?」
と社長は意味深なことを言った。
私とロボは「はぁ?」と言いながら社長の顔を見た。
「で、お前らいつ結婚すんの?」
「あ、まだそれは決めてないです。式場もこれから探すんで…。」とロボが返答した。
「え?お前らまだ決めてねぇのに招待しに来たの!?」
「あ、だから報告を兼ねて、そのぉ…。」と私。
「お前らと来たら後先が逆だろが。」
「いいわよ、よっちゃん。それもなんだかこの二人らしいじゃないの。」
社長は薄ら笑いを浮かべて私たちを見て続けた。
「披露宴には出席できないけど式場探しには力になれてよ。」
私は何故か嫌な予感がした。
=========================================================================================
そんなこんなで慌ただしく結婚式を挙げることになった。
朝に神前で式を挙げ今私はウエディングドレスで高砂に座っている。
ロボの紋付き袴姿は結構様になっていて『意外に格好いいんだ。』と私は思った。
そして今ロボはタキシード姿で横に座っている。
ロボのタキシード姿も様になっているけど…。鼻の下を伸ばしてさえなければ…。
「ちょっと!そんなに鼻の下のばしてニタニタしないでよ!」
「だってさぁ、まさか俺が結婚できるとは思わなかったからさぁ。やっぱ嬉しいわけよ。」
「何言ってんのよ。一応ビデオ撮っているんだからね。ちゃんとしてよ。」
「はい、はい。でも嬉しくて、嬉しくて。ニコと結婚できるなんて…。」とロボは泣いた。
「だから泣くなっちゅうの!
そういえばさぁ。昔失礼なことを言ってくれたわよね。『え?結婚でき…、するの?』って。」
「え?そんなこと言ったぁ?」
「言った。公園で。幸子の話をした時。」
「あ〜、あの時ね。いやぁあの時はまだニコ子供だったから、なんかイメージできなくて…。」
「ま、別にいいわよ。ちょんとこうして結婚できたんだから。まさかその横にロボがいるとは思わなかったけど。」
「おっ、言ってくれるじゃないの。『結婚して』って言ったのニコの方からじゃないですかぁ?」
「知らない!」
ロボは吹き出して「でもさ、やっぱ嬉しいわけよ。ニコと結婚できて。」
ロボのキラキラ光った目を見て私も笑った。
そう、あの頃、二人が出合った時、二人が将来こうなるとを一体誰が予想できただろう。
ロボと出会った頃、私はまだ子供でロボを男性と言うよりは信頼できる大人として見ていた。
そもそも私は恋愛というものに興味がなかったし、どうでもいいと思っていた。
恐らくそれは一海ちゃんのせいだと思う…。
ロボも私のことを友達程度にしか思っていなかったようだったし。
様々な事件を通して憧憬の念みたいのは持つようにはなったけど、それが恋愛感情だったかどうかは分からない。
でも、再会した昭子さんは私たちはこうなる運命だと言っていた。う〜ん…。
ということは、全く気が付いてなかったのは当の本人達だったってこと?
『なんだか複雑だわ。』
=========================================================================================
「ニコ!まだ大学生じゃないの!しかもあの人とでしょ。なんで?音な…。」
むーちゃんは私の厳しい顔を見て言葉を呑んだ。
そして慌てて言葉を取り繕った。
「ま、でもニコが選んだ人なんだからきっと良い人なんだよね。優しそうな人というのは分かる。
ごめんね。もう変なこと言わない。」
「うん、きっとね。きっと私にしか彼の良さは分からないと思う。」
私は人が気が付かないものを見付けた時のような誇らしさを感じてた。
むーちゃんは「なに、惚気てるのよぉ。」と言って笑った。
=========================================================================================
ロボの良さ。それは上手く言えないけど「打算や計算のない純真さ」だと私は思っている。
そして、それはどんな時もブレたりしない。
恋愛の「れ」の字も知らない時期にロボに出会ったからロボの良さを自然と理解し受け入れることが出来たんだと思う。
それには地蔵堂も大きく関わっている。
様々な事件を通して、ロボの男性として頼れる部分も知った。喧嘩は弱いけど…。
もし二人の出会いがもう少し後だったら、地蔵堂と関わらなければ、私はロボの良さを知ることはなかっただろう。
いや、知ろうとしなかっただろう。むーちゃんと同じような反応を示したと思う。
言ってみれば、私はいいように手懐けられた猫みたいなもの。
勿論、ロボに私を手懐けようなんていう意図は全くなかった。
あの時、ロボが私の電話を取ったのが私の運の尽きだったのかもしれない。
昔お父さんが言っていた。
「誰かが幸せになっているということは、どこかで誰かが不幸になっている。」
ロボにとって、私との結婚は幸運なことで幸せなことだと思う。多分…。
端から見れば間違いなく幸運。絶対そうだ!
ということは、私は不幸なのだろうか?不運だったの?
でも今は幸福感に包まれている。幸せを噛みしめている。
『幸運と不運、幸せと不幸って一体何なんだろう?』
そんなことを漠然と考えている間も式は滞りなく進んだ。
そして私はお色直しのため式場スタッフに導かれながら会場を出て着替え室に向かっていた。
「キャンドルサービスの時ね。」
不意に私の耳に入ってきた。
私は立ち止まって振り向くと上品な顔立ちの女性が険しい顔でお腹に手を当てながら小声で話していた。
「サッちゃん、ごめんね。あなたに会うことができないの。あの人を刺したら私も…。」
とその女性は言いながら私の式場の向かいにある会場に入っていった。
顔立ちや腕足を見る限り痩せている感じだったけど体型の分からない服を着ていた。
『妊婦さんだから?あの人これから人を殺す気なの?』
と考えていると私を呼ぶスタッフの声がした。
「須藤さん、どうしたんです?こちらです。」
私はその女性のことが気になりながらもスタッフの後に従った。
着替え室の鏡の前で漠然と私はあの女性のことを考えていた。
そして
「やっぱり嫌だ!見過ごすことなんって出来ない!」
と言い私は自分の化粧バックの中を引っ繰り返しながら探した。
程なくして目的の物は見付かった。
それは5mm角程度の物で以前ロボが「ニコの能力を最大限に活用できるグッズ。」と言って渡してくれた物。
小型のマイクとスピーカーだった。
私はそれらを持って、あの女性がいる会場へウエディングドレス姿のまま向かった。
自分の結婚式の時に殺人事件が起きたら困るとも考えた。
しかし、それ以上に私には気になることがあった。
「もし、『サッちゃん』が『サチコ』だったら、なんか嫌だ。」
どんな事情があるか分からない。とても不幸な事情なのかもしれない。
私がしようとしていることはあの人を更に不幸にすることかもしれない。
自己満足で我が儘なのかもしれない。
でも生まれてくる命が消えてしまうのは耐えられない。
知ってしまった以上、私を止めることは誰にも出来ない。
『サッちゃんを救えるのは宇宙で私だけ!』
ロボは写真撮影のため写真館に来ていた。
式場スタッフから花嫁が居なくなった報告を受けたがロボは一瞬驚いただけで直ぐに頷きながら黙って座った。
カメラマンと式場スタッフは結婚式当日に花嫁に逃げられた哀れな男を見るような目でロボを見ていた。
そんな彼らに対してロボは言い出した。
「大丈夫ですよ。ニコのことだから何か気になったことがあったんでしょう。直ぐに来ますよ。
スミマセンがこのまま少し待っていただけますか。彼女の気の済むようにさせてあげたいので。」
その頃、私はあの女性が入っていった会場の扉の前に居た。
「あ〜恥ずかしい。」
私は自分が考えた計画を実行することに多少の恥ずかしさを感じていた。。
「でも、やるしかない!」と言って勢いよく扉を開けた。
予期せぬ見知らぬウエディングドレス姿の女性の登場で会場は唖然とした。
私は気が付かないふりをして高砂に向かい、途中ハッと口に手を当て可愛い女性の声で大きく言った。
「あ!間違えちゃったぁ。」
会場はドッと笑い声で一杯になった。
『恥ずかしいぃ。』
私はサッと会場内を見回しあの女性が座っている場所を確認した。
彼女は後ろの出口近くの席に座っていた。
『好都合だわ。』
足早に出口に向い彼女の後ろを通る時躓いたふりをして、テーブルの隅に小型マイクとスピーカーを貼り付けた。
私は会場を出ると直ぐにもう一つのマイクに向かって幼い娘の声で話し出した。
「お母さん。」
「え!?」
「未来のお母さん。」
「え!?サッ、サッちゃんなの?」
「そうよ。お母さん。」
私は続けた。
「もう直ぐ会えるね。私、お母さんに会うの楽しみにしてるの。」
「サッちゃん…。サチコちゃん!」
やっはり『サチコ』ちゃんだった。
「私が生まれてお母さん大変になるだろうけど、サチコ良い子でいるから。だから頑張って。
お母さんに会えるのが嬉しいの。早く会いたい。」
「うん、サッちゃん、分かったわ。分かったわ…。お母さん頑張るから…。」
彼女はお腹に手を当てながら静かに泣いた。
顔からは先程までの険しさは消えていた。
「これで、よし!」
私は急いで着替え室に向かった。
衣装を替え写真館に行くとカメラマンは安堵の顔を浮かべた。
ロボは微笑んでいた。その顔から私を信じて待っていたことが窺い知れた。
「ロボ、ありがとう。」
「当然でしょ。ニコがいなくなるはずないじゃん。」
「ううん、それだけじゃないの。」
「え?なんのこと?」
「ロボのお陰で三人の命が救われたの。私の心も。あとで話すわ。」
と言って私はクスッと笑うとロボもニコッと笑った。
「なんか分からないけど、ニコが喜んでいるんだったらそれでいいや。」
撮影のポーズは二人がダンスを踊っているところを想定したものだった。
私は左手をロボの右肩に載せ、右手はロボの左手を握って前に突き出し、
ロボの右手は私の腰を支え、私はそこを軸に上体を反らしてロボと見つめ合った。
「なんか照れるね。」とロボは照れ笑いを浮かべた。
私は堪らなくなり手を解きロボの首に両腕を回し爪先立ちになってキスをした。
ロボは自然と私の腰に両腕を回し私を抱きかかえ私たちは長い口付けを交わした。
「あ、ちょっと動かな…。」
カメラマンは困った顔をしていたけど直ぐにエアーレリーズのゴム球を押した。
パシャ!
「お幸せに。」
=========================================================================================
「社長、上手く行きましたかね?」
「きっと大丈夫よ。あの二人だったら任務を遂行するはずよ。」
「それにしても流石ッスね、社長。
あの女の計画を知って、それをあいつ等に阻止させるためにあの式場を予約するなんて。
プロフェッショナルだなぁ。」
「だってぇ、孫娘の顔を見たいというお父様の願いを叶えてあげたいじゃないのぉ。」
社長は不敵な笑いを浮かべ煙草を吸った。
=========================================================================================
長いキスの後、私はロボから少し顔を離しロボに囁いた。
「ね、ロボ。私。私ね。幸子に。幸子に早く会いたい。」
ロボは優しく微笑んで頷いた。
幸運・不運とあるけど、今は不幸でも将来それが幸せに転じることもある。
逆に今は幸せでも不幸になることもあるだろう。
大切なのはこれから自分がどの様に生きようとするかなのかもしれない。
あの時ロボが私の電話を取らなければ、今の幸せはなかっただろう。
でも今そう思えるのは私たちは出会ってから共に行動し苦楽を分かち合ったから。
私が生きてきた時間の多くはロボと共にあった。
会わなかった3年間も心の何処かに常にその存在はあった。
次にロボに会う時に恥ずかしくない女になろうと努力していた。
再会してからも様々なことで絆を深め合ったけど、それと同じくらい別れの危機もあった。
それら全てを乗り越え今こうして二人は永遠の愛を誓っている。
これから先も何が起こるか分からない。
私たちの関係がどうなるのか分からない。
それでもお互いを想い合う心さえあれば乗り越えられると信じてる。
近い将来あなたに会うことになると思う。
あなたに会うことで私たちの絆は更に深くなると思う。
それまで私たちを見守って下さい。
そして、あなたに会うのを楽しみにしてます。
幸子。
完
GJ!幸せそうでいいな〜
>ロボの良さ。それは上手く言えないけど「打算や計算のない純真さ」だと私は思っている。
そして、それはどんな時もブレたりしない。
恋愛の「れ」の字も知らない時期にロボに出会ったからロボの良さを自然と理解し受け入れることが出来たんだと思う。
ここすごい納得しました。女性の計算やしたたかさが身に付く前の純粋なニコだったからロボの良さに
気づいたっていうのが本当にその通りだと思います。
ヲタクなロボと醒めたニコは一見対象的に見えるけど
根っこの純粋さは実はとても似ていて、本当にベストカップルですよね。
GJです! 幸せになってよかったー
今回で完結ってことですよね?
また気が向いたら何か書いて下さい!
気長に待ってます
最終回、乙!
今まで楽しかった!
ニコロボコンビニは最強だな!
気が向いたらまた書いてほしい!GJ!
GJ!長編乙でした。お幸せに〜。新作楽しみにしてます。
その後に何ですが……。
エロ有りですが注意※序盤ロボが少し壊れてます。不快な方は避けて下さい。
*******
乱れたベッドの上で散乱した床を見ながら、膝を抱えて俺は泣いていた。
「ニコ……ごめんね」
小さな宝物をこの手で、
壊した。
会社からの帰り道で公園に差し掛かると、高校生の男女がベンチで話をしていた。
それだけなら何てことなかった。俺の足を引き止めたのは女の子が、ニコだった
から。
「お帰りー。何か今日遅いね」
少し時間を置いて部屋に帰ると、いつものようにニコはベッドの上でにもたれて
雑誌をめくっていた。それに答えず乱暴に鞄を放り出すと、一緒にプラスチックのカードが落ちた。
「……まだ行ってたんだ?」
「悪い?」
「別に関係ないけど!……懲りないなって」
気の強いニコの言い方には慣れっこの筈だったのに、何だか苛ついた。
「そうだよ。ニコには関係ないでしょ」
「ロボ?」
ニコの顔が見られない。
「怒ってるの?あたし……何かしたの?」
わかってない。わかる筈がないけど、
「あのさ、あたし今日ね」
雑誌を置いて立上がろうとするニコを、
「俺ダメかもしれない」
手首を掴んで
「辛いよ」
ニコをシーツに押し付けた。
我に帰ると、乱れた髪でブラウスのボタンを留めるニコが目に映った。
「ニコ……」
震える声を絞り出して呼掛けると、1度だけ俺をチラリと見て背中を向けた。
「ごめんね……」
呻きながら涙を拭う事しかできない俺の言葉は多分届いた筈だ。だけど、ニコは
返事をせずに出て行った。
1人汗ばんだシャツのままベッドに俯せて今の出来事を思い出す。
シーツに押し付けられて驚いたニコの顔。
乱暴に押し当てた唇。
無理に外して千切れそうなボタンの隙間から見えた肌。
思わず掴んだ若い膨らみ、抵抗する白い脚……。
最後の一線を越えずに済んだのは、気持ちとはうらはらに言う事を聞かなかった
俺の身体のせい。いや、おかげでというべきか。
ジッパーをゆっくり上げて身体を起こすと、サスペンダーの金属の音、脱ぎ
捨てたジャケットとネクタイの散らばった床の様子を感じ取りながら呻いた。
「ニコ、ニコ……」
こんな風に押さえ付けていた自分の気持ちに気付くなんて。
大切にしてきた小さな宝石。
俺にとってのダイヤ……。
あれから1週間、ニコは姿を見せない。その間自分から電話も出来ずに俺は
あの日からまた通い始めたテレクラに入り浸った。
ただ誰かと話していたかった。1人であの部屋に帰りたくなかった。
ロボットとニコがいて、それだけで幸せな空間だったあの部屋に。
でもそれももうやめよう。虚しいだけだよなあ。
春に再会してから行くのを止めた。それは待ち望んだ奇跡だと信じて。
また帰りに立ち寄った公園で、会員証をゴミ箱に捨てて、側のベンチに座った。
ぼうっと揺れる樹々を眺めながら、考えるのはニコの事ばかり。
『あたし今日ね』
あの時何を言おうとしたのだろう。後からちゃんと冷静に聞いていればあんな
目に遭わせなくて済んだかもしれないのに。
気付くのが遅すぎた。
うなだれながら溜息を付くと、見覚えのある靴が俺の目に映った。
「隣り、いい?」
俺がバッと顔を上げると、少し間を開けて反対側に座った。
「ニコ……!」
ゆっくりと俺を見るまなざしは何故かいつもより切なくて、俺はまともにその
顔を見ることが出来ない気がした。
あんなに会いたかった筈なのに、いざとなると……怖い。
「ねえ」
しばらくの沈黙の後、先に口を開いたのはニコだった。
「なんであんな事したの?」
声が、震えてる。
「……ごめん」
言葉が見つからない。
「ごめんねニコ。俺どうかしてた。本当にごめん、ごめんね」
泣きながら頭を抱え込んで、ただ謝るしか出来ない。
「ずるいよ。そんなに謝られたら、あたし何も言えないじゃん」
ニコは決してして怒ってはいない様子で静かに呟いた。
「あたしロボに何かしたのかなー?だったら悪いのは、あたしかもしれないし」
「それは違う!」
ニコは悪くない。
「あの日俺ニコを見たんだよ。ここで」
ニコは少し驚いた様子で俺を見た。
「あの時俺に何か話そうとしたよね?……俺ちゃんと聞かなかった」
だからあんなふうに。
「ロボ、今からでも聞いてくれる?」
ニコは少し笑って俺を見つめた。それにホッとして頷くと、話し始めた。
「あの日ね、中学から同じ高校に行った人から呼ばれたの。で、好きな人いるの?
って聞かれたから何で?って聞いたら、告白されちゃった」
やっぱりそうだ。
「それで何て答えたの?」
黙っていられなくてつい聞いてしまった。
「知りたい?」
うん。俺は正直に頷いた。
「……断ったよ。あたしその気ないから」
どこかでわかってたのにやっぱり安心した。あの時だってニコはいつもと同じ
だったから、冷静に考えたらわかった筈だ。俺はやっぱりバカだ。
「そりゃ嬉しくないわけじゃないけど。だからあの時ロボに話そうとして、それ
で……」
理由も聞かず苛ついた俺にあんな仕打ちを受けてしまったわけだ。ニコに
合わせる顔がない。
「あれが原因なの?」
視線を感じて恐る恐る顔をあげた。ニコの綺麗な目と目が合った。
「どうしてロボが、そこまでしなきゃなんないの?」
もう黙っているわけにはいかないのかもしれない。俺は覚悟を決めた。
「ニコは俺の事をダイヤモンドみたいだって言ってくれた事があったでしょ?」
「うん」
「だけど、ダイヤって絶対傷つかないわけじゃないんだよ」
再会した頃、ニコが俺に言ったんだ。きっと褒め言葉だったんだろうけど。
「知ってる?ダイヤってダイヤでしか傷つかないんだって。でもダイヤだと傷つい
ちゃうんだよな」
ニコの目は少しずつ曇ってゆく。
「俺にとっては、ニコこそがダイヤモンドなんだよ。綺麗で潔くて。何よりも
誇らしくて。だから時々、辛いんだ……」
「ロボ……」
「またいつか気が付いたら遠くに行っちゃう。それが苦しくて」
言葉にすると怖くて。
「……先にどっかへ行っちゃったのはロボの方じゃん」
ニコは絞り出す様に呟いた。
「あたしを置いて行っちゃったのはロボの方だったんだよ!」
そうだった。あの時ニコはまだ子供だったから。どこかで解る筈がないんだと
冷たく突き放して。
だけど許してくれた。俺は……幼かったのは俺の方だ。
あの時も、今も。
「俺勝手だな」
「そうだよねー」
膝の上で組んだ手を弄びながら俯く横顔がとても可愛くて。
「遅いかもしれないんだけどさ。……ニコが好きなんだ」
初めて認めた自分の気持ちを言葉にした。
「遅いよ」
やっぱり。
「あんな事する前に言って欲しかった」
「……嫌われたんだな、俺」
頭を抱えてまた泣きそうになる。
「でも、あたしもロボを傷付けたんだね」
優しい手が俺の袖を摘む。
「今度は大事にしてくれる?」
思わず顔をあげた。
「ニコ?」
「あれから考えたんだ。もし他の人と付き合ってあんな事されたらどうなるのか
なって。……全然想像つかなかった。でもロボだったら」
袖を摘む指が震えてる。
「だから、今度はちゃんと優しくして」
「ニコ……それは」
「あたしが傷つくとロボも傷つくんだよね?……だから。あたしもロボが好き」
後は何も考えられなくなった。気付いたらニコを抱き寄せて、腕の中に抱いて
いた。
「ごめんねニコ。もうあんな事しないから。大事にするから」
嗚咽を漏らしながら耳元で何度も繰り返して罪を請う。
「ニコが好きだから。離したくないから」
「ロボ……」
まだ明るく人の目もある場所で制服のままのニコを抱き締めたまま泣いていた。
よく考えたら、マズかったかも。後からニコが恥かしかったと言っていたから。
帰りに通ったドラッグで一応避妊具を買った。無理にするつもりはもうない。
だけど今度は衝動的でなくニコを愛する時のために。(下心も正直あり)
その間にニコは帰宅していた。
「明日は休みだし、後で行くね」
情けないけど、やっぱり少し期待してしまう。俺ってどうしようもない。
夜8時を過ぎてもニコはやって来なかった。何かあったのか?迎えに行けば
良かったと悶々としていると、
「ロボ!ごめん遅くなった」
と息を切らして飛び込んで来た。
「一海ちゃんがなかなかお風呂代わってくれなくてさ。おかげでカラスの行水」
いつものニコだ。違うのは、入ると同時に鍵を掛けた事に気が付いた事。
「俺も風呂入るかな」
「どーぞ。テレビ見てるからさ」
勝手に麦茶を出して扇風機に当たりながら寛ぐニコを見て、心底幸せだと思う。
シャワーを浴びて出ると、ニコはテレビを消してこっちを見た。
「何?」
俺の言葉に答えず黙って立ち上がるとベッドの側に立って、思わぬ事を始めた。
「ちょっ、ちょっとニコ!ニコ!?」
カーテンを引くと、いきなり着ていたシャツのボタンを外し始めたから。
「だ、ダメだよ!俺何もすぐにどうこうとはもう考えてないから!ね?」
そりゃちゃんとしたいけど。
「ニコの気持ちがわかったら、それで気がすんだんだよ。大事にするって言った
じゃない」
ニコの手首を掴むと、外れた胸元からブラに包まれたあの膨らみが垣間見えて、
思わず血が昇りそうになる。
「謝ればそれでいいの?」
少し涙を浮かべてまっすぐに俺を見上げた。
「なかった事にはならないよ?……あんなふうにされたらちょっとヤダ」
「……ごめん」
やっぱり酷い事したよね。いくら謝っても足りない位に。
「だからちゃんとして欲しい。いつものバカで優しいロボがいい」
「……バカは余計でしょ?」
ちょっと吹いてしまった俺を睨みながら
「今度こそ優しくして。大事にしてくれるなら、ロボの手で幸せにして」
そう言って目を閉じた。
「……うん」
ゆっくり震えるニコの唇にキスをした。今度は優しく。
「でも、嫌だったら言って。やめるからね?」
うん、と頷くのを見て手首を離して明かりを落とした。
そのまま背を向けて自分の下着以外を脱ぎ捨てる。振向くと途中までボタンを
外したシャツのボタンを俺の手で外して、スカートと共に足下に落とした。
「外していい?」
とブラに手を掛けると小さく頷いた。背中に回ってホックを外すとニコが肩から
紐を抜くのが待ち切れずに背中から抱き締めながら腕から引き抜いた。
「ロボ……」
「好きだよニコ。すごく好き」
そのままベッドに引き入れた。
はやる気持ちを抑えながら首筋にくちづけてまだ熟し切らない胸の膨らみを
掌で包む。その柔らかさを確かめるのもそこそこに小さな蕾を指先で弄ぶとその
変化をゆっくり感じていた。
だけど、俺の気持ちとはうらはらに、ニコはずっと身体を堅くして、ただじっと
黙って耐えているように見えた。
「(まさか……)」
思い切ってお腹に手を当て、ゆっくりと下着の上まで指先を滑らせ、その場所
を確かめる。
そのまま手を離すとニコにキスをして、ただぎゅっと抱き締めた。しばらく
そのままで、俺の高ぶりが少し鎮まるのを待って口を開いた。
「もうやめよう。このまま寝よっか」
ニコは驚いて顔をあげた。
「まだ早いよ。焦らなくていいから、ね?」
その言葉にニコは背中を向けて泣き出してしまった。
「ごめんねロボ。ごめんなさい……」
震える肩を後ろから抱き締めながら、謝らなくていいのに、と俺も泣きそうに
なった。
ニコの身体はまだ硬くて、俺を受け入れる余裕なんかまだまだなかったんだ。
背後からニコの髪をゆっくり撫でながら、首筋にくちづける。
「好きだよニコ。大事にするね」
「ロボあたし……」
「何も言わなくていいから」
ただ愛したいだけ。シャンプーの香りが鼻をくすぐるのがたまらなくて、思わず
うなじに吸い付いた。一瞬ピクッと肩が震えた気がしたが、構わずそのまま背中に
指を這わせた。
綺麗な肌。
背筋を伝う度にニコの様子が違って来るのが感じられた。
「…………ぁ」
普通の呼吸とは違った、吐息混りの声が小さく漏れる。
ひょっとしたら。俺はニコの胸元に手を忍ばせ、そっと出来るだけ優しく触れた。
「嫌?」
ニコはううん、と言った。
それを確かめて尖端の小さな薄ピンクの蕾に指を当てると、少しずつ硬くなって
いくのと同時に互いの呼吸が速くなっていくのがわかって。
「ニコ。こっちを向いて」
意を決して耳元で囁くと、しばらくの間黙っていたが、やがて振向いた。その
紅く火照った頬が可愛くて、両手で包み込んでキスをした。
初めて舌を絡ませると、戸惑いながらそれを受け入れてくれたニコが、ますます
愛しくてたまらなくなった。
自分の下にあるニコの裸に興奮してそれこそ鼻血が出るかと思ったが、さっき
よりも頭は冷静な気がした。先走る気持ちを少しは抑えられてるみたいだ。
それよりニコに優しくしてやりたくて。ひたすらゆっくり優しく肌を撫でる。
堅く閉ざされた身体から力が抜けていく様子がわかる。その証拠に時折ビクッと
震え、速まっていく吐息が漏れていく。
指だけでは耐えられなくなって思い切って唇を硬くなった乳首の先に当てた。
「…………あっ」
ハッキリと声を上げた後、ニコは慌てて手を口に押し当てた。
……感じてるんだ。それがわかって心底嬉しかった。そのまま舌をあてがい、
それを味わった。ゆっくりと出来るだけ優しく。
「あん、ああッ!……はっ、あ、あ」
明らかに最初とは違う反応を見せながら身体を捩らせるニコに、俺も狂いそうに
なる。
胸への愛撫をどうにか続けながら、片足をニコの脚の間へ入れると、ゆっくり
膝を曲げながらそれを受け入れてくれた。
唇を再びニコの唇に重ねながら、怖々と下着の上から秘部に触れてみた。
しっとりと潤っているのが布越しにもわかる。
俺はホッと溜息をついた。明らかにさっきのニコとは違う。
俺、やっぱり焦ってたのかな……。必要以上に頑張ろうとして、かえってニコを
不安にさせてたのかも。
中へ指を滑らせて、その潤いを撫付けながら敏感な場所を探し当てると、
「あ、いやっ!」
と上げた声に思わず手を引き抜いた。
「や、違うの。そうじゃなくて……」
「えっ、だって嫌だって」
潤んだ目でニコは首を振った。ああ、そうか。余裕ないな、俺がこんなだから。
「ごめんね」
再び指先で軽く触れる。擦る度にニコが声を漏らして俺にしがみつく。首筋に
キスをしながらの愛撫はすぐ耳元でニコの唇から声が届くから、同時に目まいが
する。
「あン、ロボ。あたし怖い、怖い……」
荒くなる呼吸に喘ぎが紛れて。
「いいから。このまま任せて、……感じてて」
段々と速く乱れていく。
「や……あ、あああーーーーっ!!!!ロボ!ロボ」
痛くなる程背中に指を食い込ませて、ニコは俺を呼びながら震えて、イッた。
閉じた目をゆっくり開けると、ニコはそのまま動かない。
「どうしたの?」
「……しないの?」
え?
「その先は?ロボの番はまだなの?」
俺は、そりゃしたいけど。
「いい、の?」
「だって無理でしょ?あたしだってそのつもりで」
正直これじゃ確かに辛い。辛過ぎる。
「……怖くない?」
また怖がる様なら、無茶したらマズいし。
「そりゃ怖いよ。だけど……ここまできたら」
俺は残酷なんだろうか?そこまで言わせて。したいけど迷ってる、やせ我慢だ。
「それともアレがないとか」
うっ。
「い、いや、あるよ。あるけど」
「……そのつもりだったんじゃん」
じいっと睨まれて、もう覚悟を決めた。
「わかった。本当はしたいし、我慢すんのやっぱり辛いや」
鞄から包みを出すと、封を切った。
準備を整えてる途中ニコがじっと観察してるみたいで恥かしかった。
「……じゃ、するからね」
ニコが頷くと下着を脱がせて脚を開かせ、指先で探し当てたそこへとそれを
あてがった。
「ひっ……!あっ、あうっ!」
思ったよりキツい。苦しげに声を上げるニコが痛々しくて、
「ごめんね、ニコ」
何度も謝罪を繰り返す。
「ロボ謝ってばかり……」
「だって」
「いいのって……ん、んっ!」
少しずつ奥へ忍び込むが、その度に痛みに顔をしかめ、声を上げずにいられない
のがわかるから。
「あたしだって不安なんだよ」
ニコが?初めて聞いた。
「ロボこそまたあたしを置いて行っちゃうんじゃないかって」
そんな事。
「ないよ!俺絶対そんな事しないから。ずっとニコにいて欲しいから」
「ああっ!ロボ!ロボ……っ」
自分の気持ちをニコの中へ押し込んだ。
「どこへもいかない。ニコがいるなら」
快感に負けていく。腰を突く度にニコが呻く声が届くのに。
「だから離れないで。俺の側に」
「うっ、ん、んっ!」
肩に食い込む爪痕は、ニコの痛みの証し。
「ニコが……好きだから」
「あたしも、ロボ……!」
ただ愛したいだけなのに、ニコの声が痛々しくて。俺の欲望は果てなく続いて。
泣きながらニコの中の温もりにただ甘えて、そのままその心地好さに溶けて
しまった。
「あああっ、ニコ、いくね、いく、あっ……」
気持ちの全てを吹き出して、痺れる余韻に浸りながらニコの胸に埋もれた。
頭が真っ白になる中、ニコの手だけは2度と離すまいと誓った。
「あーっ、何で俺のご飯が小鉢に!?」
「だって探したけどお茶碗ないんだもん」
「だからって何でニコが使うの?」
「いーじゃん!ロボってケチ、ちっちゃいなー」
「ち、ちっちゃくない!昨日見たくせ……に」
ニコが冷ややか〜な視線を送って来るのに気付いて、思わず赤くなった(かも)。
「もういいよ。いただきマックス!……後でニコの分の食器買いに行こうか?」
「本当?」
目が覚めたら全て夢だったらどうしようと思った。だけど、汚したシーツが
引っ掛けられた手摺が事実を物語っていて、何よりニコがそこにいて。
「あー、面倒だからパジャマも買っとこうかな。歯ブラシとか」
そう言いながらご飯を食べるニコを見てふと思った。
「何か同棲するみたいだよね?俺達」
「えーっ、いきなり何言い出すかな?」
「やなの?」
「別に」
だったら。
「ニコが大学行ったら、そうしたいな、なんて」
ドキドキ。
「……考えとく」
それまで返事はおあずけって事ですか。だけどそれまでもそこからも。
きっと今度こそ壊さないように。
泣かさないように守るから。
君は大事な宝物。
*******終り
ロボのニコに対する抑え切れない気持ちが
溢れてるって感じで萌える〜 GJ!
ロボの優しさが伝わった〜
ニコもかわいい!GJ!!
GJです!
大事な宝物だよねーニコは。
GJ!
感動した!
なんかリアルで良かった。
最初の時ってこんな感じだよなあ。
何日かネット落ちしてたらまた、長編良作ラッシュ〜!心が太くなったよ、皆さんGJ!
箸休めに?小ネタです。 遠出デートの帰りとでも思ってください。
-------------------------
「混んでるね〜。高速降りても、一緒じゃん」
「うん…」ガクッ
「ちょ、いくら進まないからって、寝ないでよーっ」
「ゴメン、なんか眠くて」
パシパシ、とロボが自分の顔をはたく。
「なんとかしてよ、飴……はアタシが食べちゃったか。コーヒーはトイレ困るし〜。
……あー!!UFO〜!!」
「ええええ?どこどこ?」
「ほら、右の上で光がくるくるくるくる」
「なんだ宣伝のレーザーだよ〜」
「へー?こんな山奥で宣伝て、何の店だろうねー?」
「……ラブホテル」
それって何ー?と、聞けるほど無邪気なら良かったのに。ロボの眠気はちょっと
覚めたみたいだったけど、車内は思いっきり気まずくなった。
ヘビロテのマックスロボサントラをラジオに変えてみたりして。渋滞のままじりじりと
進むうちに車はそのレーザー発信元に辿り着き、ロボったらいきなりハンドルを切った。
ワカメみたいなゴムカーテンをひらひらかき分ける。
うわー、家族旅行じゃ絶対通らないとこに入っちゃったよ〜。
マクドのドライブスルーみたいなメニュー表前で、ボタンを押すと鍵が出てくるらしい。
車はそのままコテージ風の戸建てのプレハブに突っ込んでいく。
うわー、誰にも会わずに入れちゃうよー。
よく考えれば、車を降りない、という選択肢もあっただろうにアタシときたら、好奇心に
まけて促されるままロボが鍵を開けたドアをくぐってしまった。
へー、別に普通のホテルの一室って感じ?匂いも悪くないし。TVデカっ
カラオケあるよーっ
と、きょろきょろしていたらガバっとロボに両手をとられてみつめられた。
「ゴメン! こんなとこ連れてきて。本当に俺、最低だと思う。
後でどんだけ怒ってくれてもいいから、だから今は」
きゃー、そうだ、そういう場所なんだっけー。
「寝かせて」
はぁぁぁぁ〜????
ロボ、3秒後には熟睡。
信じられない。
そりゃ、ずっとひとりで運転して向こうでもマックス遊んで疲れただろうけどさー!
あてつけに冷蔵庫のジュースやたら開けて、セクシーボイス駆使してルームサービスで
夕飯食べて、ひとりカラオケしてDVD見て、せっかくだからエッチなビデオも後学の
為に見ようかってところで、ロボは爽やかに起きてきた。
「はーよく寝た〜」
ニコおはよーじゃないよ。
「あと5分で出ないと、延長料金だってよ?」
「えーっまずい、もうお金ぎりぎりなんだよー」
ばたばたと持ち物を集めるロボの横で、仕方ない、アタシは靴を脱いで非常用の現金を
取り出した。
「わー、二足歩行に感謝〜♪ これだけあったら、ぐふふ、
延長してちょっとお楽しみも……」
「すれば?アタシ帰るから。」
「えええ?」
「アタシはこのカネで、ひとりでタクシーで帰るから〜!!」
渋滞も落ち着いた帰り道、もちろんタクシーなんかなくて送らせてやったけど。
当分は彼氏どころか手下以下、下僕と呼んでやるから、そのつもりで。
終わり
GJ!
ちょっぴり期待してたニコ、カワユス !
何だか思いっきりドSなオチのニコにワロタwww GJ!
一体ロボは何時間寝てたんだー。勿体ないw
一話のニコみたいでいいなw
>>291 >ひとりカラオケして
これで目が覚めないロボって凄い!w
>せっかくだからエッチなビデオも後学の為に
禿しく笑いました。
>>272で「完」なんて書いておきながら小ネタを思いついたので投下します。
エロなしです。タイトルは「俺の家族」。
--------------------------------------------------------------------------------
「さてと、やっちまったな。」
暗い小さい部屋の中で俺は呟いた。
「もう社長にもあいつ等にも会えねぇな。年貢の納め時か。」
俺は後ろ手に縛られ柱に括り付けられていた。
体中が痛むけど骨は折れていないらしい。
あいつ等の活躍で捕まえた鮫島が最近になって口を割り相手の組織が分かった。
俺はいつも通りプロフェッショナルな仕事で次の取引の場所と日時を突き止めた。
そして取引現場に潜入をしたまでは良かった。
「なのに何故?俺はあんな物を持って来っちゃんたんだぁ?偽造免許証のはずが…。」
敢えなく正体がバレ袋叩きに遭った。
「俺って、慌てん坊さんだからなぁ。その場で撃ち殺されなかっただけで由としよう。
ま、それも明日までの命だ。明日の朝には東京湾の魚の餌だな。俺らしい最後だぜ。まったく。」
人生最後の時になると過去を思い出すと言うけど、俺はこの6年間のことを思い出していた。
「あいつ等のお陰で楽しかったなぁ。」
親の顔も知らず育ちチンピラにもなれず人間の屑のような生き方をしていた俺を谷川のオヤジが拾ってくれた。
俺はそこでこの稼業の「いろは」を学んだ。
そして、谷川のオヤジの昔仲間だった社長の護衛とエージェントとして社長の下で働き始めた。
「それからどのくらい経ったかなぁ?あの娘に会ったのは。」
初めあの娘は怯えていたな。それもそうだこんな形(なり)だし、喧嘩してたしな。
それにしても、あの娘の肝っ玉は据わっていたよ。
「関わるな!」と忠告しても首を突っ込んできたしな。
俺でさえ一寸気後れしたのに何の戸惑いもなく銃の前に立ったのには流石に驚いたぜ。
それも赤の他人のためにだぜ!できねぇよ、普通。
あれは将来きっと社長みたいな女になるな。うん、間違いない。
それとあの娘の相棒。
こいつも今時珍しいくらい純な奴だったな。
それでもいっちょ前に大人の見識らしきものを持ってやがる。
もしかしたらバランス感覚に優れているのかもしれねぇな、あいつは。
そんな奴があの娘の心を射止めちゃうんだから世の中分かんねぇもんだ。
ま、なかなかのお似合いコンビだったからいいか。
あいつもあの娘のためだと想像以上の力を発揮していたもんな。
銃を撃ってくる相手に大の字で立つなんぞ、余程肝っ玉が据わってなきゃできねぇよ。
それまでも決して退屈じゃなかったけど何処かモノクロだった日々が、あいつ等のお陰で色付いたな。
ホント、綺麗な色に染まったよ。
社長もなんだか変わった。どこか刹那的だったけど今は生きることを楽しんでいるようだし。
社長と放浪した4年間も楽しかったけど、あいつ等と居る方がもっと楽しいだろうと思って、
戻って来たんだよなぁ。予想通り楽しかったよ。
あいつ等いつの間に付き合っていて、しかももうやっちゃってんだから、驚いたぜ。
だってよ、高校生だぜ。あの娘。淫行罪だぜ、普通!
痴話喧嘩にも捲き込まれ大変だったなぁ。まったく。
南の島まで面倒見てやったかと思えば、いじけてバイトしている奴にあの娘の危機を知らせたり、
ホント振り回されたよ。あいつ等には。
「今度ラーメンでも奢ってもらうとするか。あいつ等が結婚できたのは俺のお陰なんだから。
ま、それも今度があればだけどな。」
俺は痛みを堪えながら一人で笑っていた。
「もう思い残すこともねぇな。奴等の結婚も見届けたし。明日で終わりだ。」
俺は覚悟を決め眠った。
どのくらい寝たのだろう。いきなり明るい日が目に差し込んできて俺は目が覚めた。
そして俺を呼ぶ声が聞こえた。
「いたぁ!」
ロボだった。
「助けに来たよ、よっちゃん。」
ニコだった。
「おめぇら、遅えんだよ!腹減っちまったじゃねぇか!ラーメン喰わせろ!」
二人は笑っていた。
もうちょっとこいつ等と楽しめそうだ。
俺は胸ポケットから免許証大のパウチっこした写真を見た。
そこには社長、ニコ、ロボ、そして俺の4人が写っている。
『俺の家族だ。』
終
_ ∩
( ゚∀゚)彡 よっちゃん!よっちゃん!
⊂彡
よっちゃんイイ!
また書いてくれて嬉しい!プロフェッショナルなGJ!
よっちゃんが助かってホッとした。
よっちゃん大好き!
いろんな視点があってホントこのスレおもしろい!
(ちょいマニアックだけどw)
自分も投下させて頂きます。エチありです。
携帯からなんで改行など読みづらかったらスミマセン。よろしくお願いします。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
気付けばロボと再会してから半年が経っていた。
あたしは高校生になっていたけど、以前と変わらずまたロボの家に出入りしている。
ひとつ変わった事があると言えばあたしとロボの関係だ。
星と星が急接近するように突然再会したあたし達は
以前よりも強く惹かれ合いいわゆる男女のお付き合いってやつをしている。
再会してから数日後、それは夕焼け色に染まるロボの部屋だった。
「ねぇニコ。キス…してもいい?」
あまりにもストレートな申し出に始めは「やぁだ、何言ってんのょっ!」と
冗談混じりに軽く流そうと思ったのにロボの目は至って真剣だった。
「いい…よ。」断る理由もなく初めてのキスは案外あっけなく訪れた。
それからと言えば、ロボの家から帰る時は必ずあたしをぎゅっと抱きしめて
「またね、ニコ。」っていつもの笑顔で唇に軽くキスをする。
でもあたしが高校生という事実に尻込みしているのか、それ以上は求めてこない。
そんな関係のまま半年が経ち、いまだ同じ状況のあたし達だ。
一応あたしもお年頃の女の子だし、キスより先に興味がない訳じゃない。
でも、ロボはここから先したくないの?なんて恥ずかしい事口が裂けても言えないし、
かと言って本当にここから先に進んでしまうのもちょっと怖い。
だったらしばらくこのままの関係でいよう、よし、それがいい!
なんとなくそう自分に思い込ませていたけど、遂にその関係に変化が起きた。
300 :
年上の彼 1:2007/08/19(日) 01:22:48 ID:8T0tHy7+
高校生ニコとロボです。エロは無し(でもチューはあり)
一応、二人は恋愛関係にあることを自覚していて、
でもプラトニックな時期です。
年齢差ネタです
****************************************
「明日。外でごはん食べない?」ってロボからメールが来たのは昨日の夜だった。
放課後に委員会活動があって学校を出たのが遅かったので、あたしは家に帰らずに
直接待ち合わせ場所に出向いた。
(あの女、かわいくね? どうよ。)
(誰かと待ち合わせしてんじゃん?)
(でも、さっきからあそこにいるし)
日の暮れた秋葉原駅前で、ミニスカートの女子高生がずっと立っているのは目立つらしい。
人混みの中から声が聞こえる。やだなあ。
横目でみると高校生かちょっと上くらいの男二人が、チラチラとこっちを値踏みするように見ている。
混雑する駅前広場ではコスプレ喫茶のおねーさんが愛想良くビラを配っていて
私の制服もコスプレに間違えられたのか、オタクっぽい人から一緒に写真撮ってくださいと頼まれて、大慌てで断ったりした。
(もう… 遅いよ! ロボのバカ!)
ずっとこっちをみていた二人組が近づいてきた。めんどくさいなあ。早く来てよ、ロボ。
「あのさぁ。暇?」
「俺たちと遊び行かない?」
「すみません、待ち合わせしてるので。」
「えーでもずっとここにいるじゃん彼女。ブッチされたんじゃない?」
「俺たちが慰めてあげるよ。」
どっか喫茶店にでも入ってればよかったと後悔しはじめたとき、ロボが走ってきた。
「ごめんごめん〜!」
「遅い。40分の遅刻。」
「終業間際に取引先の人から電話かかってきてさあ。メール打とうと思ったけど
その暇も無くて。ごめんね。今日は全部俺のおごりだから!」
「えー そんなこといって平気?またお金が極端に無いんじゃないの。」
「大丈夫ですぅー。昨日給料日だったのだ。はっはっは!」
「すぐロボットに使っちゃうくせに。」
「自分でもそー思ったから、わざわざ今日呼んだんだって。」
しょーがないなあ、ロボは。でもあたしは不安から解放されて、嬉しくてロボに微笑む。
301 :
年上の彼 1:2007/08/19(日) 01:23:58 ID:8T0tHy7+
あ。リロしなかったらかぶっちゃった。299さんごめんなさい
299さんのお話が終わってから続き落とします。
302 :
A:2007/08/19(日) 01:25:21 ID:2KI4AnDT
その日は何の前触れもなく、突然やってきた。
いつものようにロボの家でTVを見ながらなんとなく世間話をしていた。
「それでさ、むーちゃんが美味しいスイーツのお店見つけたんだって。
また今度学校帰りに行くんだー♪」
いつもだったらへー、いいなぁ、とかニコばっかりズルイ!とか
他愛もない返事が返ってくるはずなのに今日は何にも返事がない。
もぉ〜、またロボットいじりに夢中であたしの話聞いてない!と思って
すぐ隣にいるロボに目を向けるといつもと違う表情であたしを見つめていた。
「ねぇロボ、ちゃんと話聞い…」予想外のロボの視線に少し驚き言葉が止まった。
初めて見るロボの表情だった。
なんて言うか、大人っていうか、今まで見た事がない男の顔だった。
そんなロボに見つめられた瞬間、あたしの身体の中に電流が走ったみたいに動けなくなって
いつか夜空を見上げていたあの日のロボのキラキラした目とはまた違う
あまりにも魅力的な瞳に吸い込まれそうになった
「…ロ、ロボ……??」
やっとの思いで絞りだした声もロボの唇であっという間に塞がれた。
あれ?あれれ?なんかいつもと違くない?
ロボ鼻息荒いし、うわぁ、し、舌が入ってきた!
これが大人のキスってやつ〜?!
そしていつもと違うのはその後だった。
いつの間にかあたしを抱き締めていたロボの手の片方が
服の上から明らかにあたしの胸を探している。
「…んっ!ロ、ロボ…、ちょ、ちょっと待って…!」
ロボの唇からなんとか一瞬逃げ出す事のできたあたしは思わずロボの動きを止めた。
303 :
B:2007/08/19(日) 01:28:20 ID:2KI4AnDT
「…ちょ、ちょっと待ってロボ、そ、それはさ…。」
あまりに突然の出来事に動揺したあたしは、引きつりながらも頑張って笑顔を作りロボの顔を覗き込んだ。
するとさっきまであんなに男の顔をしていたはずなのに
今度は段ボールの中に捨てられた子犬のような眼差しであたしを見つめる。
「ねぇニコ…やっぱりこれは…イヤ?」
…もぉっ、そんな寂しげな目で見つめられたらイヤなんて言えないじゃん!
答えに困ってしばらく黙っていたらロボはあたしの頭を優しく撫でて微笑んだ。
「俺、ニコのこと大好きだよ。
またニコと出会えて、こうして一緒に過ごせるのがすごーく幸せなの。
この幸せを二度と壊したくないから、
ニコを大切にしたいから、ニコがイヤなら俺は我慢する。
ニコの心の準備ができるまで待ってるからね。」
心の準備はまだできてなかったけど、あたしの口は勝手に動いていた。
「ロボ…、あたし、ロボならいいよ…。
って言うか、ロボがいい。
ロボじゃなきゃイヤだ。」
俯いたあたしから小さく発せられた台詞にロボはちょっと驚いていたけど
すごく嬉しそうに微笑んで優しくあたしを抱き寄せた。
あたしはその胸のぬくもりを感じて、ロボともっと強く繋がりたいと心から思った。
304 :
C:2007/08/19(日) 01:29:25 ID:2KI4AnDT
今日この部屋に来た時はまだ夕焼けがきれいだったのに、気が付けばすっかり日も落ち夜空には月が出ていた。
ロボはあたしを軽々と抱き上げると電気の消えた暗いベッドの上に座らせた。
いよいよこの時が来てしまったんだ。覚悟はできたけどやっぱり不安だよ。
そんなあたしの緊張を悟ったのか、ロボはあたしの隣に座り頬に軽くキスをして言った。
「ニコ、大好きだよ。これからもニコの事ずっと大切にする。」
暗い部屋の中、月明かりに照らされたロボの優しい横顔だけがはっきりと見えた。
どのくらいの時間あたし達はキスをしていたのだろう。
お互い時間を忘れるほど唇を、舌を求め合った。
そして、やはり男の力には勝てず、あたしはロボに押し倒される形になっていた。
ロボの右手があたしの身体を確かめるように服の上を移動する。
やがてその手は背中から服の中に入り込み、ホックを外すと直接触れ始めた。
「ァッ、ぁぁ…」
思わず洩れたあたしの声に反応したのかロボはあたしの服を捲り上げ、
あらわになった胸の先端を綺麗なその指と舌で愛撫した。
「ぁんっ、ぁぁっ、、」
ぴちゃぴちゃと静かにいやらしく音をたてながら、ロボはあたしの胸を弄んだ。
そしてスカートを脱がすと少し強引にあたしの両脚を開き
一番熱くなっている部分を下着の上から指でそっと撫で上げた。
「ぁっ…、ロボ…」
ちょっと触れられただけなのに、さらに湿り気が増したのが自分でも分かった。
305 :
D:2007/08/19(日) 01:30:29 ID:2KI4AnDT
「ニコ…、俺嬉しい。こんなに感じてくれてるの?」
ロボはあたしの下着を脱がせ、指先で濡れた部分をそっと確認すると嬉しそうにそう言った。
そして今度はあたしの脚を広げてその真ん中に顔をうずめた。
「ぇっ…?!ぁんっっ、ぁぁっ!ィャッ…ぁぁんっ!」
いままで体験した事のない初めての感覚にもう声を我慢する事を忘れてしまった。
ロボの舌があたしの中に入ったり、外側を焦らすように舐め回した。
「ニコ、すごく綺麗。もっと感じて。」
するとロボの長い指がゆっくりと、驚くほど滑らかにあたしの中に潜り込んだ。
「…あっ…はぁっ…!」
「ぁっ、大丈夫?痛くない?」ロボは咄嗟に顔を上げて言った。
そのロボと目が合った途端、今さらながらこのシチュエーションが猛烈に恥ずかしくなって
近くにあったタオルケットを引っ張り寄せて顔を半分隠した。
「うん…、平気…。ねぇロボ、あたし恥ずかしくてどうにかなっちゃいそうだよ。」
「…いいよ。俺が全部見ててあげるから。」
ニコッと笑ってそう言うとロボは指を入れたまま、一番敏感な部分を唇に優しく含み
ゆっくりと指を出し入れする。
「…んっ!!あぁっ、ぁぁっ!ぁんっ…ロボぉ…!ァァッ!!」
しばらくの間部屋の中にはあたしの声と濡れた音、そして時折ロボの吐息だけが響いていた。
「ロ、ロボ…あたしね、ロボと繋がりたい…早く一つになりたい…」
今振りかえるとなんて大胆な事を口走っていたんだろうと思うけどそれがその時のあたしの本音だった。
もうどうしようもなく関わってしまったロボと早く繋がりたい、一つになりたいと心から願っていたのだ。
ロボはゆっくりと指を抜くと口元を拭い光ったその指を舐めあげて
「…じゃあちょっと待ってて。」と近くの棚からコンドームを取り出した。
初めて見るお父さん以外の男の人のモノに少しびっくりして
ロボが再びあたしの脚を開き、その濡れた部分に当てがった時
怖くなって反射的に脚を少し閉じてしまった。
「ニコ…、やっぱりまだイヤ…?怖い…??」
「ぅん…ちょっとだけ。だけど、あたしロボが好きだし信じてるから。だから大丈夫。」
「ニコ…、ありがとね。俺のために大事な決断してくれて。
何度でも言うよ、俺もニコが大好き。
もう二度と離れたくないよ。」
306 :
E:2007/08/19(日) 01:32:27 ID:2KI4AnDT
ロボがあたしの中に入ってきた。
めちゃくちゃ痛くて何度も痛いと叫んだ事は覚えてるけど
入りきるとロボと繋がれた事が嬉しくて痛さも忘れてしまった。
「んっ…ぁぁっ…」
見上げると恍惚とした表情で声を漏らすロボがいた。
その表情は今まで見た事のないロボで、あたしはロボをますますいとおしく思った。
そしてロボは徐々に腰を大きく優しく動かした。
「はぁっ、、はぁっ、、ニコ…大丈夫?い…痛くない…?」
「うん…平気…もう痛くないよ。はぁっ…ぁぁ…。
ロボ…、あたし…もうどこにも行かないからね。
だからロボもあたしの事…ずっと見てて…。」
ロボはあたしに覆いかぶさりキスをしながらさっきよりも激しく動き始めた。
「ぁっ…!ロボぉ…ぁん…な、なんか…変な感じだよぉっ…」
突然身体の奥から押し寄せてきた新たな感覚に襲われ、怖くなってロボにしがみついた。
「ニコ…、俺ももうイキそう…。怖くないからニコも一緒にいこうね…。」
ロボはあたしの奥の方まで何度も何度も突き上げた。
「あぁっ、あぁっ!ぁんっ!ぁぁん、ィャ…も、もうダメだよ…
あっ、あっ、ぁっダメ、ロボ、ぃゃっ……ああぁっ!!」
ロボも同時に果てたようで繋がったまましばらく抱き合っていた。
「ねぇロボ、実はずっと我慢してた…?」ロボの腕枕の中ぼんやりと話しかけた。
「そりゃあ俺も男だもん。好きな人としたいって思うのは自然な事でしょっ。」
「そっかぁ〜、そうだよねぇ。ごめんね、我慢させちゃって…」
「ニコは謝る事ないよ。俺の方こそゴメン。
ホントはニコが高校卒業するまでは我慢するって決めてたのに
我慢できなかった俺のせいだもん。
でもね、ニコの事もっともっと好きになったし
これからもずーっと守っていこうって思った。
改めてそう確信できたからさ、俺はすごく嬉しいよ。」
ロボの真剣な台詞に耳を傾けていたら、急にくすっと笑い声が聞こえた。
「…?どぅしたの…?」
「うぅん、俺って幸せだなぁって。さっきのニコねぇ、すっごい可愛かったんだから。」
ついさっきまでのあたし達を思い出し、あたしは一気に顔が熱くなった。
「ゃだっ、何考えてんのょ!!ロボのばかっ!エロッ!変態っ!!」
ガバッと飛び起き今にも殴りかからんとするあたしの手をぎゅっと握りロボは言った。
「ニコは嬉しくなかった…??」
ゔ…まただ…。また捨てられた子犬の目になってる。
「…うぅん。そんな事ないよ。すごく嬉しかった…。」
「ほんとにぃ〜?!良かったぁ〜。」
小声で呟くあたしに、ロボが安堵の表情で抱きつく。
あたしはロボが無意識に見せるこの表情が好きでたまらなく
この先もずっとその子犬のような目には勝てないんだろうなと思った。
「あぁ〜、あたしってダサい…。」
END
301さん、お先に失礼しました。
では、ドゾー。
307 :
年上の彼 2:2007/08/19(日) 01:38:32 ID:8T0tHy7+
>>299さんありがとうごさいます。変なタイミングに落としてすみません。
初初しいのにエチーでGJです。
>>300の続きです。
*********************************************
(援交? 援交かよ)
(あんな顔してヤリマンかよ あの女)
(金払えば誰でもいいんだろ。)
(援交してるくせに気取っちゃって。)
あの二人組がまだこっちを見て言ってる。
むかつく。
ロボには聞こえないみたいで良かった。
イヤな気持ちを振り払うように、ロボの腕に自分の腕を絡めた。
気にしない。あんな奴らなんて。
「ニコー それ、すごい気持ちいいけど鼻血でそうで困る。」
「なんのこと?」
「胸が腕に当たってる!さっきから!もうヤバイって。」
「…バカ」いそいで腕をほどいて普通に手を繋ぎなおす。
「可愛いなあ。なんでニコはこんなに可愛いんだろ。」
「ロボ、鼻血は出てないけど鼻毛出てるよ。へんな顔。」
「ああ!可愛いのに可愛くないっ!」
ロボはふざけてあたしの頭をくしゃくしゃにした。
一応気を遣ってセットしたのに台無しだ。
「もう!乙女の髪になにをするか…!今度ロボットの額にマジックで「肉」とか書くから!」
「そ、それだけは勘弁して。」
すっかりバカップルだな あたし達。
こんなことくだらないとずっと醒めた目で見てたのに。
「不二家でいいの?」
「うん、子供の時から外食っていうと、不二家だったから。」
「お寿司とかフレンチじゃなくていいの。言っとくけど、俺がお金あるの珍しいんだからね。」
「デザートにショートケーキが食べたいからいいんだもん。」
こんなに、一緒にいることが自然なのに。
スーツ姿のロボと制服のあたしの組み合わせは目立つらしく、周りの人がチラチラと見てる。
中にはゆがんだ笑いを浮かべる人もいる。でも、あの人達にあたしとロボの何がわかるの。
ふいにロボはため息をついた。
「ニコ、ごめんよ。」
「何が?」
「やっぱ日曜に私服で来れば良かった。ごめん、学校帰りに呼び出したりして。」
周りの視線と嘲笑にロボも気がついてたんだ。
「こんなの何でもないよ。ロボ前に言ってたじゃん、最後まで自分は自分の味方するって。」
「そうだけど、俺はいいけど、ニコが変な目で見られるのはイヤだ。」
「同年代の恋人同士だって、結婚した夫婦だって、自分に嘘をついて計算で
一緒にいる人はいっぱいいる。」あたしはロボの顔をまっすぐ見て言った。
「あたし、自分に嘘ついてない。ロボだって嘘ついてない。誰にだって堂々と言える。
好きだから一緒にいるって。」
「ありがと。」ロボは少し涙ぐんだ目をして、繋いだ手にぎゅっと力を込めた。
308 :
年上の彼 3:2007/08/19(日) 01:40:50 ID:8T0tHy7+
レストランで食事をしたあと、ゲーセンに行った。
あたしは一時期格闘技ゲームにはまっていて、結構強かったのだ。
ロボは「この不良娘」とか言いながら笑ってつきあってくれた。
「あ〜〜〜〜!悔しい!またやられた!」
「だから言ったのに、あたし強いよって。」
「くっそぉ、負けるか!マックスパーンチ!!とりゃ!」
「無駄無駄!100万年早いね。」
やたら熱中したロボは「絶対ニコに勝つまでやめないから!」と宣言して、
「ちょっと両替してくる!」と両替機のある別の階に走っていった。
これじゃロボのお金がゲームに消えちゃうよ、手加減して一回負けてやるか…と
考えていた時。
駅前で声かけてきた二人組にまた会った。最悪。
「彼女、俺らと遊んでよ。」
「お断りします。」
「どうして、いいじゃん。こんなところより良いところに行こうよ。」
「すみませんが、連れがいるので。」
「金、払うよ。」
「はぁ?」
「金払えばなんでもするんでしょ。アンタみたいな女は。」
「あんたの連れてるオヤジより俺らの方が金持ってると思うよ。」
「どーせ金貰うために股開くなら俺らでもいいじゃん。」
「いくらでやらせるの。教えてよ。」
「君たち、失礼じゃないかぁ!」
振り向くと、戻ってきたロボが怒りでブルブル震えてた。
「彼女に謝れ!」
「はー?何言ってんのこのキモオタ。」
「ロボ、もういいよ、行こう…。」
「いくない!こいつらにニコを侮辱する権利なんか無いっ!」
「うぜーんだよ、おっさん。」
二人組のうち、人相が悪い方が殴りかかってきた。
ロボは降りかかる拳を防ぐために腕を突き出した。筈なのに、
リーチがそいつより長かったために顔面にクリーンヒットしてしまった。
端からみたら、いい歳の大人が少年を殴り倒したようにしか見えない。
「うっわ。やば。」
あたしは、興奮してまだ何かわめいているロボの腕を取って、引きずるように
その場から逃げ出した。
「駄目だって、あんなのスルーしないと。
理由があっても手を出したロボが悪いことになっちゃうんだよ。」
「だってあいつら、ニコに、あんなこと。」
しょげかえった子供のように肩を落として、ロボはぐすぐす泣き出した。
「あたし気にしないよ。あんなバカなやつら。だからもうロボも気にしないで。」
「ごめんニコ、ごめんね。」
「なんで謝るのよぉ。何も悪くないじゃん。」ロボの背中をさすってやりながら
自分まで何か悲しくなって泣けてきた。
あたしは何も悪いことしてない。
人生で他の人より若い時期に、一番大事な人と巡り会っただけだ。
その人が自分より一足早く大人だっただけ。
恋をするよりも、友達になるよりも、仕事のパートナーになるよりも前に
ただ一緒にいるのが自然に思えた人。
初めて会ったときから、痛みを分かち合おうとしてくれた人。
離れてもまた巡り会いなさいって神様が教えてくれた人。
この関係が不自然で悪いことだというのなら、どんな関係なら許されるのだろう。
309 :
年上の彼 4:2007/08/19(日) 01:43:26 ID:8T0tHy7+
公園のベンチにロボと並んで座りながら呟いた。
「不公平だなあ…。」
「何が。」
「ケッコンテキレイキの出会いは祝福して貰えるのに。
14歳の出会いは変な目で見られるんだから。」
「うーん。でも正直14歳のニコじゃなかったら、あんな風に
下心も何もなく一緒にいられなかったな。」
「まあ、あたしも変な警戒心がついちゃったら
10歳年上のオタクと友達にはなれなかったかも。」
今ロボに巡り会ってもロボの良さに気づかなかったかもしれない。
実に希有なタイミングで私たちの運命は重なり、一度離れて、また重なったのだ。
「じゃ、あたし達、幸運なのかな。」
「幸運だよ。すごく。」
「でも、いろいろ面倒くさいよね。さっきみたいなこととか。来年になったら受験もあるし。
人生の大事なことを乗り越えるタイミングもペースも違って…。
それにロボ、同じ歳くらいの人と付き合っていたら、あの…男の人がやりたい生理的なこと 我慢しなくていいのに。」話しながら顔が火照るのがわかる。
ロボはあたしが何の話をしているのか分かって、困ったような照れ笑いをした。
「焦ってないよ。そういうことは。関心無いっていったら嘘だけど。」ロボは私の手に自分の手を重ねた。大きな手。
「ゆっくり大人になりなよ。ニコが俺のせいで無理に大人になろうとするの、辛いよ。」
「ありがと、ごめん…」
「でもキスはしていい?」
あたしがうなずくとロボはあたしを抱き寄せて小鳥がついばむようなキスをした。
「ニコ、俺いいこと考えた!」
「何?」
「17歳と27歳だと変な目で見られたりするけど、77歳と87歳だったら!全然変じゃない!
だから、ニコは77歳になるまで俺と一緒にいればいいよ!超名案でしょ。」
それってどーゆー意味、って聞きたかったのに、もう一度ロボに抱き寄せられて
今度は深いキスをされたので、あたしは何も聞けなくなった。
静かに目をつぶって、髪を撫でる優しい指先と自分の唇の中に忍び込んだロボの温かさを
感じながら、「64歳まで一緒にいよう」と歌ったのはビートルズかカーペンターズ
か、どっちだっけ?と考えていた。
*******************************************
終わり
>>300(自分299ですが、気になさらずに)
周りに認めてもらいたいという健気なニコが可愛くてGJでした!
>>299 >>300 それぞれ内容は違えど(当たり前か)どちらも素敵でドキドキしました。
自分も被った事があるのですが、ドンマイ
!
かえってワクワクしました。
まとめてで申し訳ありませんがGJでした。
うわー両作品ともいいな〜。
それぞれのニコロボがかわいい!
自分もまとめてで申し訳ないけどGJです!
>>299 純粋で、おバカで我慢してるロボと
ドキっとする様な大人なロボのギャップに萌えた!
どっちのロボも優しいのは同じで好き!
GJ!
>>300 からまれるシーンは、last voiceのヘタレロボを思い出してワラタ
ニコロボはずっと一緒に年を重ねてほしい
GJ!
期せずして競作祭りw GJ!
もう我慢できないロボと気の長〜いロボwと、どっちもより深く楽しめたww
こういうのが、個人サイトよりスレが好きなところなんだよな〜
>>224のニコロボ後日談です。冒頭に少しエロ入り
*******
「ロボご飯出来たよー」
最近ロボの部屋でご飯を作ってあげる事が多くなった。今日も学校帰りに立ち
寄って夕飯の用意をしていた所にご機嫌で帰って来た。
「今日はお母さんに聞いて肉ジャガ作ってみたんだよ……って、何?」
「ん〜?いや、なんかさ、こういうのいいなって」
ジャケットを脱いだだけでまだネクタイも締めたまま、あぐらをかいてニヤニヤ
している。
「早く着替えたら?」
「ん〜。……じゃ脱ぐついでに」
ロボの手がちゃぶ台にお箸を並べるあたしの手を掴んで、そのまま胸に包み込む。
「ご飯の前にニコが食べたい♪」
「は?ちょっ、ダメ!そんな時間ないよ……」
「じゃあこのまま」
えっ?えーーっ!?て思ってるうちにボタンの隙間から忍び込んだ指が、器用に
ブラの中にある胸の先をつつき、首筋に這わされたくちづけにぞくりと電気が走る。
「もう……シワになっちゃうってば」
「ん〜〜っ。じゃあ」
気付くと膝を立ててベッドにもたれる様にして背後から胸元と太腿をまさぐられた。
「ん……あ、やだ、恥かしってば」
「嘘ばっかり……」
脚を撫でていた手が下着の上から恥かしい部分に触れた。やだ、絶対この感触は。
「もう濡れてるよ?ニコだってエッチじゃん」
やだ!このままじゃまたこの前みたいな体勢で……!?
「あ、ダメ!や、やめ……あっ」
横から入れられた指先が音を立てて一番敏感な箇所を刺激してくるから、腰が
立たない……かも。
「逃げちゃダメだよ、もう」
「だって、や、ンーーっ」
その時、あたしの耳に何かが聞こえた。
「あ、ダメ、本当にダメだったら、ロボっ」
「え〜?もうニコってば往生際悪いなあ」
それは確実に近付いていた。間違いない。
「もう!本当にダメだったらダメなの。いーからやめて!マジやめてよー!」
半泣きになりながら身体を捩って力一杯ロボを突き放した。
「え〜?ニコ……俺がそんなにやなの?」
泣きそうな顔で突き飛ばされたままロボはあたしを見てる。
「違う。誰か、誰かくるっ!」
ロボの表情に胸が痛むけど、今はそれどころじゃない。
「早く服直して!」
わけのわからないロボと慌てて身支度を整えると同時に、玄関が開いた。
その訪問者とは思いもよらない人だった。
「あ〜〜〜〜!!!!」
ロボはその人を指差しながらあんぐりと口を開けている。
「久しぶりだな、元気だったか威一郎」
あたしはとりあえず小さくなって座っていた。
「か、か……」
震えるロボを無視して上がり込むと、その人はあたしの前に座った。
「あ、あの……こんばんは」
とりあえず、仕方ないから愛想笑いしながら挨拶する。
「突然すみませんねえ。威一郎の母でございます」
「母ちゃん!?何でいきなり来るんだよお〜〜〜〜!」
そう、いきなりやって来たその人はロボのお母さんだったのだ。
「見合い?」
ちゃぶ台につくなりお母さんはそんな話を始めた。
「ほら、母ちゃんの親戚の次郎さんの知り合いのお嬢さんが今東京にいるん
だってよ。お前に丁度いいんじゃないかって」
どうやらロボに結婚話を持って来たらしい。
「え!ヤダよ〜。俺そんな気ないからね」
「お前母ちゃんに逆らうのかい?」
お母さんに睨まれたロボはまるで蛇に睨まれたカエルだ。ぐっと黙り込むと
小さくなってしまった。あたしは溜息をついた。
「ともかく、お前もいつまでも年下の子と遊んでないで早く安心させとくれ」
それってあたしの事かなー?ちらりとロボを見ると、気まずそうな顔をしてる。
「それともお前、もう決まった人がいるのかい?」
聞かれてビクッ!としてロボがあたしを見た。
あたしはロボがどうするか気になって黙っていた。そうしたら。
ロボはそのまま何も言わずにまた俯きながら溜息を付き始めた。
「……私遅いので帰ります!お邪魔しました」
あたしはお母さんに頭を下げると鞄を持って飛び出した。
階段を降りて部屋の灯を見ながら耳を澄ます。
『さて、母ちゃんもお腹が空いたから頂くよ……お前、送ってあげたら良かった
のに』
『ん……』
『なんだい?本当にお前はハッキリしないねえ。』
追いかけても来ない。
「ロボのバカ!マザコン野郎が、もうしらない」
あたしの家じゃ勝手に先走ってプロポーズまでしたくせに。
「お母さんがそんなに怖いわけ?」
こっそりロボが窓から覗いてたのも知らないで、あたしは振り返りもせずに
足早に立ち去った。
次の日。当然あの部屋には行かずにまっすぐうちに帰った。
部屋でベッドに寝転んで携帯を眺める。
「掛かってこないじゃん」
バカ野郎!貧乏だしオタクだし、子供っぽくて気が弱くて、だけどスケベだから
やる事は……1人前の大人の男で。
この前ここでされた事を思い出して思わずカアッとなって頭を振った。あたしって
エッチ?それもこれも
「ロボのせいだ」
あーあ、何であんなの好きになっちゃったんだろう。もっと大人の落着いた人
好きになるんだろうなって思ってたのに。
1人悶々としていると、一海ちゃんが
「あんた、あの人とケンカでもしたの?」
と部屋に入って来た。
「何で?」
「下に来てるよ?お母さんが上がるように言ったけどいいって」
ロボが?
「だから何かあったのかなーって……ちょ、ニコ!?」
階段を駆け降りるとロボが玄関先で申し訳なさそうに待っていた。
「……何?」
「ニコに会いに来たんだけど」
変な気配を感じて振向くと、こっそり覗いている両親と目が合った。
「……出よう」
下手に知られているのもやりにくいもんなんだと知った。
神社まで来ると、ロボが口を開いた。
「ごめんねニコ。俺お見合いなんかしないから。だってニコと、その……したいし」
「何、昨日の続き?」
「ばっ……いや、そりゃ途中だったし」
ばか正直。つか、正直なバカ?
「だったら何でハッキリ言わなかったの?あたしってその程度だったんだ、あー
そうなんだ!」
「違うよ!まあ、確かに10歳も下の子供に手出してるなんてなかなか言いにくい
ってゆーか、恥かしいとゆーか」
「はあ?」
「てゆーかさ、母ちゃん怖いんだよ!ここぞって時だけは昔から何か逆らえな
くてさ〜」
「……言いたい事はそれだけ!?」
マジムカつく。
「あたしロボはオタクだし歳も違うけど、恥かしいなんて思った事なかったよ!
あーそうですか、子供だから紹介出来ないんだ。そう言う事!もう知らない、
バカ!死んじゃえっ!!」
また泣きそうなロボの顔が目の前にあった。だけど今のあたしにはそんな事を
気遣う余裕もなくて、その場から走り去った。
1度だけ振り返ると、しゃがんで頭を抱えたロボが見えたけど。
「何で追って来ないのよ……」
ロボのバカ。泣きたいのはこっちじゃん。
学校でも1日ぼうっとしちゃって、むーちゃんにもおかしいよって言われたし。
気付けば何となくロボの部屋に足が向かってた。
「あたし酷い事言った」
窓を見上げてると、鼻がつんとして来る。
「ロボに酷い事言った……」
謝らなきゃ。だけどどうしよう。
下を向いて目を擦っていたら、肩をポンと叩かれた。
「あ……」
振向くと、綺麗なハンカチが目の前にあった。
「母ちゃん、本当に見合いすんの?俺いいってば」
「仕方ないだろう?ほらもう向こうは見えてるんだから」
綺麗な庭園に面したホテルのラウンジで、ロボは和服の母に半ば引摺られる
様にやって来た。
「ああもうっ!俺、好きな子いるんだよ。こないだの子、まだ若いけど、ちゃんと
真剣につ、付き合ってるんだから!」
「じゃあ断るのかい?」
ロボは頷いた。
「だったら自分で断りな。母ちゃんは別の席にいるからね」
「えっ、ちょ!」
ポンとある席で背中を押すと母はサッサと他の席に着いた。
仕方ない。自分でちゃんと断ろう。俺は、俺には。
「あ、あの須藤です。失礼します。突然ですがこの話……」
言いかけて相手の顔を見るとあっと息を呑んだ。
「どうしたの?断るんでしょ」
つーんと唇を尖らせてジュースを飲んでる姿を見て、ロボは
「ううん。勿体ないからやめとく」
そう言って席に着いた。
「何か一目ボレしちゃったみたいだから」
「は?」
「僕とお見合いしませんか?」
グラスを置くと、相手は座り直してロボを見た。
「初めまして、須藤威一郎です」
少しの間俯いて、やがて恥かしそうに彼女は顔を上げた。
「初めまして。…………林二湖です」
2人は目を合わせて笑った。
「俺と結婚して下さい」
「……いいですよ」
再びグラスに添えた手をロボの手が包む。
側に立ったまま困った顔のウエイターに気付くまで、2人はずっと見つめ
合っていた。
「何でここにニコがいるの?」
ロボが驚くのも無理はない。あたしはそこで話し始めた。
昨日泣いてるあたしに声を掛けてくれたのはロボのお母さんだった。
あの後本当はあたしに以前会った事も覚えていて、すぐにわかっていたと言った。
見合いの話はとうに断りをいれてあると言い、ロボが言い出すのを待っている
のだと言っていた。
『あの子は昔から気が弱くてねえ。あたしは厳しかったからかもしれないけど、
もう少ししゃんとして貰わないと困るから、わざとあたしからはあなたの事、
わかってて黙っていたんですよ』
あなたには悲しい想いをさせてごめんなさいね、と言っていた。『あたしがあなたみたいな若い子をたぶらかしたって、怒ると思ったのねきっと』
それから今日ここに来て欲しいと言われて、ロボを待っていたのだ。
「母ちゃんも人が悪いなぁ……そっか、わかってたんだ」
「あたしがまだ若いから、ロボに嫌気がさすんじゃないかって言ってたよ」
「そっか、16歳に手を出すよりそっちの方が……って、ちょっと!」
「あたしが言ったんじゃないもーん」
コーヒーを飲んで、ロボがあたしを見ながら言った。
「何か今日凄く可愛いね?」
「お見合いだからね」
髪をアップにして、一海ちゃんからワンピを借りて来た。
「このままデ、デートしない?」
「いいよ」
「やった!ではどっかでこの前の続きを……」
「お母さんも一緒にね」
「あ、ああ、そうだね、それもいいか……orz」
「そうと決まれば早速」
ロボの手を取って席を立った。
その日は3人で東京見物をした。少し緊張したけど、あたしも東京タワーなんか
登るのは初めてで楽しかった。
「いつでも行けると思うと行かないものよ」
とお母さんは言っていたが、そうかもしれない。
あたしとロボもそうやって離れていた期間があったのだから。
だけどそれがかえって良かったのかもと今は思う。あのまま自然に合わなく
なって2人が会わない時間を過ごしたからこそ、また自然に引き寄せられて巡り
逢ったのだろうと思う。
星空を眺めるロボを見つけて声を掛けられなかったあたしは、今だからこそ
あのまま立ち去って良かったのだと思えるのだ。いつかは、会えると心のどこかで
信じていたから。
翌日お母さんが帰る前の僅かな時間に、見送りも兼ねてうちの両親と会う事に
なった。
場所は2人にはある意味思い出深い『おしどり喫茶』だったんだけど、
「いやー、一度来てみたかったんだよなあ、おしり喫……」
父のとぼけた一言に、あたしと母は冷や汗をかいた。
「ニコさんみたいな若くて可愛いお嬢さんを、本当にうちのバカ息子には勿体なく
って……お前、もっとしっかりしないと!愛想つかされるんじゃないよ」
「も〜わかってるよ。母ちゃ……“母さん”は黙ってて」
「いいよ、いつも通り呼んだら?」
あたしは笑いをかみ殺すのに忙しくて、緊張するのも忘れた。
端から見たらどういう集まりに見えたんだろう?大人の男であるロボとまだ
どうみても幼いあたし。
そんなあたしの気持ちを見抜いていたかのように、ロボのお母さんが言った。
「急がなくていいのよ」
何となくカップに当てたままにした手を暖かい手が包んだ。
「2人でしっかりやんなさいね。こんな息子だけど」
あ、この感じ。
ロボに似てる。包まれた手の安心する温もりは、この人から継がれたものなんだ。
「こちらこそ、まだ子供ですから」
頭を下げるうちの両親にまた慌ててお母さんも頭を下げた。(ついでにロボも
頭を掴まれ下げさせられてテーブルに頭をぶつけた)
まだ先の話だけど、あたし達はきっと幸せになれると思った。
駅まではロボとあたしで送った。別れ際に
「今度は一緒に連れて帰って来るんだよ!」
とロボに言って帰って行った。
「あー、それにしても何でニコの事わかったのかな?」
ロボは不思議がっていた。あたしはちょっとおかしくなって笑ってしまった。
「なに?なんかあんの?」
「肉ジャガ」
「へっ?」
お母さんが言っていた。やって来た日の夕飯の肉ジャガの味が、ロボの家の味と
違ったから、だって。
「あ、そっか〜。……あれはニコんちの味かあ」
「美味しかった?」
うん、ってロボは笑ってあたしの手を握った。
「これからもさ」
あたしの目を見つめて
「2人で、色んなもの作っていこう」
優しく微笑んで。
「俺達の味は、俺とニコで作っていこうね」
「うん」
ロボとの未来には、迷いは見られない。あるのはこれから作ってゆく何か。
「でもその前にさ〜」
握る手に力がこもった。
「この前の続き、したいな」
「ばっ……やだ!何よこんな時に」
「ダメ?」
んもう!そんな目で見ないでよー。
「……仕方ないなぁ」
「やった♪早く帰ろっ」
現金な奴!でもこんなロボだから好き。
あの温かい手が優しくて、ずっと繋いでいたいと思えるから、だからきっとあたし達は
幸せになれるよ。
*******終
母ちゃん、GJ!
GJ! 母ちゃん最高だあ〜
ニコとも気が合うと思う
もう、母ちゃん大好き!
良いキャラだな w
GJ!
正直なバカ、ワロタw
いい話なのにもれなくエロいところも凄いよww
プロポーズもしてるくせに、当日まで見合い断れないロボにはちょっとがっかりも
したけど・・・それがあっての妊娠騒動での行動力かと思うと成長〜w
326 :
1:2007/08/21(火) 22:27:54 ID:5+oR1ocK
宇佐美先輩と須藤君でエロ。
====================
地味な人だった。
陰気とは違うけど。同じゼミでもマドンナだった派手美女や、下ネタOKな女傑やらに挟
まれて印象の薄い、それこそえーと、名前なんだっけ? みたいな。
でも一限の体育にもきちんと出席で、2限の休講をメールで回してくれる、そんな真面目
で世話好きな”いい先輩”だった。
だから宇佐美先輩が留年、って聞いて誰もが驚いたと思う。
以来、ぷっつり校内でみかけなくなった。
なのに路上で酔いつぶれているのに遭遇しては、オレでなくたって放っておかなかった
だろう。
「先輩!、せーんーぱい! このマンションでいいんですか?」
「…んー」
ダメだぁ。首に回された手もさっきから力が抜けてる。
郵便受けで確かめると「宇佐美」が3階にあってホッとする。ああ、でもエレベータが
ないよ、ここ……。
諦めて階段を上る。
春先とはいえ肌寒い夜に、汗がにじんだ。 いくらスラリ系の先輩でも、ぐったりした大人
を背負うと結構重いもんだ。最初はドキドキした背中にあたる丸みも、触らないわけにいか
ない尻や太股の感触も、15分も背負って歩いたらもう、どうでもいいっていうか……気持
ちいいけど。
やっと辿り着いたドアの前で先輩を、そっと下ろした時には本っ当に、もう帰れるとホッ
としていた。
「着きましたよ〜」ペチペチと頬をたたいて声をかける。
「水……」
「だから、鍵がないと〜。 中、見ますよぉ?」
一応は断りを入れて、華奢な女カバンをかき回しても財布と化粧品と……うわ、避妊具
入ってるっ でも鍵は無かった。 身につけてるってことは……。
何度もいうけど、ここまでは全く下心はなかったんだ。断じて。
でも、そーっと胸ポケットを探り……柔らかい……ミニスカの尻のポケットを探すため
に、抱きかかえて横を向かせたあたりでまず下半身が正直に反応して、途端に、尻に置
いた手は鍵の為じゃなくイヤラシイ手に成り下がっていた。
先輩も先輩で、何を勘違いしたのかオレの背中に腕を回してしがみつき、キスを始めて
くれちゃったのだ。
えー、そんな、キスってのはもーちょっとムードあるところで、男の方から…。
「ん、んん、先ぱ…」
喋ろうと口を開けたせいで舌まで入れられた。酔っぱらいのディープキスは猛烈に酒臭かっ
たけど、何もしないのも悪いかな、と、ぎこちなく舌を絡め返す。
何してんだオレ。
と、顔を離して座った先輩は、ゆらゆらと揺れながら首元のスナップを外しだした。
プチン、プチンという音と共に開いていく胸元に目が釘付けで、深夜とはいえ屋外の廊下
だってことを忘れて自分も脱ぎそうに……ああ、なんだよ。
鍵が現れた。
327 :
2:2007/08/21(火) 22:29:12 ID:5+oR1ocK
チェーンで首から下げていた鍵を、床に置いて先輩はまた崩れてしまった。
とにかく ドアを開け、玄関に引き入れて靴を脱がせる。
開いた胸元から覗く小振りなふくらみ、めくれ上がったミニスカから伸びる美脚、半開き
の唇。どれもこれもエロくて仕方がない。
いったん起きあがった熱は、これ据え膳だから、と続行を希望していたけれど、流石に
意識のない女をどうこうするのは気が引けて、せめてじっくり脳裏に焼き付けておこうと
視姦する。
「みず……」
ハイハイッ
寝たままの先輩を跨ぎ越すと、脇のダイニングキッチンでグラスを探す。
溜まった洗い物、見渡せばコンビニ袋のゴミだらけ。女性らしく片づいた部屋を想像させ
る人だったのに、だらしないなぁ。道で酔いつぶれてる程だし、荒れているんだ。
卒業と就職がパーになっちゃ、無理ないかなぁ……。
そんなことを想いながら振り返ると、いつの間にか半身を起こした先輩がこちらを見ていた。
氷水を作って戻ると、手を出さずに口を開けられて、呑ませてやる形になる。傾け具合が上手く
なくて、こぼれた水が首を伝わって胸元を濡らし……ああ、もう。
またズキズキと熱が疼いて前屈みになったところへ、グラスを押しやった先輩から
「座って」
と命令された。床の上で戸惑っていると、目の前の食卓の椅子を指しながら
「座ってよぉ」
と甘い声を出す。訳のわからないまま従うと、四つん這いで寄ってきた彼女はオレの脚の間に
納まって股間に口をつけた。
「ひ」
おかしなもので、左手に持ったグラスのせいでオレは動けなかった。だってこぼれる。
堅さを確かめる様に根元を甘噛みしながら細い指はさっさと前を開け、腹にめり込むように
勃ち上がっていたオレのものをつかみ出した。荒っぽく角度を下げられて直にくわえ込まれる。
ひんやり。
そんな意表をついた刺激と、マニキュアの指に握られた衝撃とで張りつめた先端が、赤い唇に
出し入れされて、次に深く、あああ…
とにかく他人に触られている初めての経験は脳天に来て、舌使いもなにもあったもんじゃなく、
あっさりとオレははじけてしまった。
温かくなり始めた口の中に、それは多分勢いよく注ぎ込まれて……。
彼女が嘔吐した。
328 :
3:2007/08/21(火) 22:32:04 ID:5+oR1ocK
放出の快感を味わいながら、少なからずオレはアレを期待していたと思う。ほら、AVの
口の端からとろりとこぼれる粘液。 それとも『飲んじゃった、えへ』ってか…。
でも現実は厳しく、酔っぱらいは流しに向かって盛大にモドしていた。
オレはただ凹んだまま、ありえない事件の続きを見ている。これが10分前なら、背中でもさすって
あげたのに。そして
「あぁもう、サイテー、何してんだろっ」
うがいを終えた彼女は、シンクに激しく水を流しながら妙にはっきりと愚痴りだした。
「やっだやだ、どいつもこいつもぉぉぉぉ」
え?オレ? 身じろぎした物音に振り向いた彼女の、普段でも大きい目が驚きで更に見開かれる。
「須藤くん!? どーしてここに? えええ??」
どーしてって。
目線で、半立ちのそれが出したままだったことに気づいて、あわてて隠す。
立ち上がると前が開いていたパンツが下がった。
「オ、オレ、その」
「ゴメーン、死ぬほど呑んだの! ほんっと覚えてないけど、あたしのせいだね?
……須藤君だもん」
なんだそれ。
「か、」
帰ります、といいかけてふいに、握り続けていたグラスから左手が解放されて言葉を失う。
「今しゃべってるのも、明日には忘れちゃうかも。
それでも良かったら……」
もう氷の溶けた水を、先輩が今度はちゃんと独りで飲んだ。 突然、自分もすっごく乾いている
ことに気がつく。
「最後まで、しちゃう? 」
そんなセリフでまた握りこまれて、ふらふらとオレは童貞を捨てた。
あちこち撫でまわして コンドーム付けられて敬語で礼を言って、挿入 。
キスも無し、名前を呼びあったり慈しんだり抱き合ったりすることもなく。ただ手順を辿る
だけのセックスは、あえぎ声を耳障りに思いながら、勝手に終わった。
「鍵かけて……ポストに入れてってね」
布団にくるまって背を向けたまま先輩が言う。
とりあえず服を着たオレは、黙ってダイニングに出ていった。痕跡を残したくなくて、使用済
ゴムはティッシュごとポケットに押し込む。せめて流しの惨状は片づけて行こうと思った。
なんだかわかんないけど、お礼に。
329 :
4:2007/08/21(火) 22:34:06 ID:5+oR1ocK
その後、2人きりで会うことはもうなかった。
忘れるって言われていたし。一回寝たぐらいで彼氏ヅラなんて、それこそ童貞臭くてみっともない。
でも時折思い出しては、考えた。
オレには軽くトラウマだけど先輩にはなんだったんだろうって。
気まぐれ? 迷惑? それともちょっとぐらいの好意?
もしオレから追いかけてたら。好きになっていたら。何かが変わっていたんだろうか。
「宇佐美先輩は、そんな人じゃありません〜! 絶対違う!!」
「ふーん、ロボったらやけに庇うじゃん。
あー、実は昔好きだったとか!」
「そういうことじゃなくて」
爆弾魔の狙いと発端。明らかになる事情に胸が痛んだ。
好きだったら。もっと気にかけてあげていたら。こんな騒ぎになる前に力になってあげられたかも
しれなかったのに。
懐かしいキャンパスを歩きながら、気持ちの時間が巻き戻るとため息が出て、耳のさといニコが
不機嫌な顔をする。違うんだよ。
「突然だけどさー。怒んないで聞いてくれる?」
「何?」
「初めては、絶対、好きな人とがいいよ。 じゃないと、後悔するから」
何それ、いーやらし、と身をひるがえしてニコに逃げられた。
でも本当なんだから。
==終==
おっと!宇佐美先輩と!
着眼点に脱帽 GJ!
意外な組み合わせが!GJ!
こういう風に流されて初めてを迎えるってリアルな感じ
でもロボにそんな甲斐性があるかなww
創作スレに中の人のイメージや話題、画像を持ち込むのは禁止行為ですよ
「エッチあり!?」です。キライな方はスルーして下さい。
誤字、脱字は脳内補完して下さい。
題名【夏の思い出】
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
暗闇の中、2人の人間がいるようだ。1人は男もう1人は女
※ ※ ※ ※ ※ ※
「ねぇ、ロボ。やっぱり痛いのかな?」
「う〜ん?世間ではそう言うね。」
「あたしチョット怖いかも?」
「でも慣れれば平気だよ。きっと!焦らずゆっくりやろうよ。」
「ロボは初めてじゃないんでしょ?」
「実は初めてなんだよね」
「えっ?そうなの!」
「うん」
話は数日前に逆のぼる。
約2年ぶりに再会した2人はこの夏をほぼ毎日一緒に過ごしていた。
2人は夏前から付き合うようになった。
父は彼の事を気に入ってくれた。
家の車が故障した時に「MAX!おまかせ」と直してくれたのが良かったようだ。
母は「ちょっと変ってるけど黙って立ってるとモデルみたいね」と言った。
一海ちゃんは「ニコも趣味悪いわね。
でもやさしそうだしイイんじゃないの!」あきらめ顔で言っていた。
「あ〜ん、なんか今日もぬるい1日だね、ロボ」
「そう?俺は今年の夏が今までで一番楽しいよ。やっぱりニコが居るからかな?」
そんな風に言われるとやっぱりうれしい!
顔を赤らめながら
「ねぇロボ2人で夏の思い出を作ろうか!」
「うん、う〜んって、えっ、え・え〜?」
「何、驚いてんのよ?」
「イっ、イイの?」
「だってあたし達、恋人でしょ?」
「そうだね」
ロボはホテルの外観が写ったチラシを持って頷いた。
そして数日後の2人。
「じゃあ今日の夜、あっ、迎えに行こうか?」
ロボがやさしい瞳をして言う。
「大丈夫!着替えたら部屋に行くね」
「分かった。じゃあ楽しみにしてるよ」
それから数時間、彼は少女が現われるのをソワソワしながら待っていた。
カン、カン、カーン、ガチャッ。!
「ロボ!お待たせ!」
少女は浴衣姿で登場した!
「ニコ〜かわいい!」
「ありがと。」
外は充分に暗くなっていた。
「ロボ、もしあたしが痛がっても途中でやめないでね!」
「で、でも」
「大丈夫だから、ねっ!」「俺、ちょっと自信ないかも?」
「あたしロボとだったら最後までイケルわ。だから自信を持って!」
「うん、ちょっと勇気湧いてきたかも〜」
2人は手を握ると小さな声で
「バテレン・レンコン・トマトハマックス」と呪文を唱えた。
「あっ、イ、痛い」
ロボは心配そうに少女を見つめる。
ニコは顔をしかめながらも彼に微笑む。
「2人で最・後・ま・で」
ニコの言葉に勇気をもらうロボ!
そして彼は静かに動き始める。
「はぁ〜はぁ〜!」息を荒げるロボ
少女はそんな彼の顔を一心に見つめている。
「ニコ〜!お・俺、もう〜! ダメだ〜」
「ロボ、あ・あたしも〜!」
2人は時間(とき)が止まるのを感じていた。
※ ※ ※ ※ ※ ※
※ ※ ※ ※ ※ ※
その部屋は暗闇と静けさに包まれていた。
男が部屋の灯りをつける。
「あの2人、これからうまくやっていけるんですかね?社長」
「あの子達なら心配いらないわ!星と星が引き合うようにまた巡り逢った2人。
1人で過ごす淋しさを知った人間はお互いを同等以上に愛すコトが出来るわ」
「なんか詩人ですね」
「よっちゃんも早く見つかるといいわね!」
「俺はそんなのガラじゃないっすよ!」
「一海ちゃん」
「えっ!」
「まだ1人みたいよ」
「え〜!って何で社長がそんな事知ってるんですか?」
「ヒ・ミ・ツ」
「秘密って〜!」
「女はいつまでも待ってくれないわよ。
よっちゃん様に一海ちゃんの写真を貼って首から下げてるだけでいいの?」
「そこまでバレてんの?」
「家族、欲しいんでしょ!」
(まぁ、あいつらとなら家族になっても楽しいかな。)
「行って、きま〜す!」
「あっ!よっちゃん、その前に仕事を片付けてね。」
(ガクッ。やっぱり俺、社長に遊ばれてるよ〜)
「でもイインデスカ!あの2人のこんな映像を売り捌いても?」
「それはそれ!ビジネスに私情は禁物!」
「まぁ今回はプロフェッショナルな仕上がりですけど!」
「よっちゃんの隠し撮りと編集の腕は一級品ね」
「じゃあ谷川のおやっさんに渡してきます」
※ ※ ※ ※ ※ ※
※ ※ ※ ※ ※ ※
その頃ニコとロボは暑いロボの部屋で麦茶を飲んでいた。
汗をかいてグッタリと疲れた身体を癒しながら。
チラシが部屋の片隅で所在なさげに佇んでいる。
※ ※ ※ ※ ※ ※
真境名は立派なホテルの写ったチラシを眺めていた。
「あの子達にも出演料ぐらい差し上げましょう」
そう言うと店閉いをはじめる。
開いていた窓から風が吹き込む。
チラシが机から落ち、差し込む光に照らされている。
《第○回・汐留・かき氷早喰い大会》
参加賞:マックスロボプリズムカード
優勝賞品:高級ホテルのペア御食事券
参加資格:男女カップル
※ ※ ※ ※ ※ ※
「残念だったね、ロボ」
「やっぱり氷はキツイよな〜!」
「パン耳なら誰にも負けないのにね」
「うん。でも学校の友達とかも来てたでしょ。ニコがバカにされないかな?」
「平気だよ。ロボとの思い出作りだもん!今度みんなに聞かれたら、
あたしの彼はバカでスケベでオタクだけど1番大事な人って答えるよ。」
「ニ〜コ〜!俺、がんばるから!
年に1度はホテルで食事出来るようにがんば〜る〜!」
(年に1回なのかよ!でもロボ2人でいっぱい思い出を作っていこうね!)
※ ※ ※ ※ ※ ※
この後、あの映像の事を知ったニコによっちゃんはグ−パンチを喰うことになる。
映像を入手したロボは
音声だけを携帯プレーヤーに入れている所をニコに見つかりやっぱり殴られた。
(もうロボったら!ロボなら、いつでも…)
ニコとロボの【その日】は当分訪れそうにない!
[おしまい]
作品の都合上、場面描写を極力省いた会話が主体になっています。
読みづらいかも!
>パン耳なら誰にも負けないのにね
二人でハムハムしてる姿が浮かんで思わず吹き出しましたw
GJです!
実は家族が欲しいよっちゃんに萌えました。
よっちゃんかわいいよよっちゃん
改行、1カ所忘れてるし、
今、読み返したら
■ ■ ■ ■ ■ ■
「やっぱり氷はキツイよな〜!」
「かき氷、急いで食べると頭がツーンと痛くなるね。」
「お腹も冷えるしなぁ!」
「パン耳なら誰にも負けないのにね」
「そうだなぁ。」
「ロボ、もうお腹の調子は平気?」
「うん。落ち着いてきた。」
「でも学校の友達……?」
■ ■ ■ ■ ■
って入力するハズが抜けてる!
ネタバラシの大事なセリフだったのに!
なんかゴメン。ゴメンがいっぱいあってゴメン!
>>341 気にすんなよ、俺たち友達だろ!?
書き忘れた所抜きでもオチ分かったから大丈夫、心配するなよ!
ニコがヤケに乗り気で、どうしたんだろと思ってたから、オチでフイタ w
おもしろかったGJ!
>>341 脳内編集しておきました。GJ!です。
でも盗撮ビデオ欲しいかも…
(o ̄∇ ̄)=◯)`ν゜)・;'
本スレでちょっとネタが出たニコロボ入れ替わりネタです。
本編放送中の話です。
エロは無しですがほんのり下ネタっぽい場面はありなので苦手な方はご注意下さい。
*********
朝、ぼんやりと目を開けると部屋の様子がいつもと違っている。
カラフルな模様の布団。フリルのついたクッション。ぬいぐるみ。
ロボット達はどこ?
一瞬で目が冴えて、がばっと起きた。
お、俺、なんで女の子の部屋に?身に覚えがないよーー!
パニックになっていると「やっと起きたの?」と言いながらTシャツに短パン姿の一海ちゃんがやってきた。
「か、か、か、かずみちゃ〜ん!? なんでっ!?」
驚いて腰を抜かし、口をぱくぱくさせる。うそっ、もしや、一海ちゃんと、そんな
「ニコ、なにやってんの?」
はあ?ニコ?
そうだ、ここニコの部屋じゃん!ていうか、今の俺の声。まさか。
おそるおそる、鏡で自分の顔を見る。
「うわぁぁぁ ニコだーーーーーーー!!!」
「はぁ?何言ってんの?あんた大丈夫?」
一海ちゃんがずいっと近づいてきて、自分のおでこと俺のおでこをくっつけた。
だぼっとしたTシャツの間から胸の谷間がチラりと見える。
「はぅあーーーーー!!!」普段の俺なら嬉しさMAXな状況だが、あまりにたまげた事態の連続で、悲鳴を上げて飛び退く。
「熱は無いみたいだけど…なんか今日おかしいよ。」
俺は混乱する頭の中で必死に考えた。とにかく、理由は分からないが俺はニコになっている!
ということはたぶんニコが俺になっているはず!
「だ、大丈夫、ちょっと寝ぼけちゃったみたい。」
「早く着替えて、朝ご飯食べて。」
そうだとにかく着替えて俺の家に行こう、着替え…
どどどどーするよ、どーするのよ俺。
一瞬、裸の少女が鏡の前に立つエロティックな情景が脳裏をよぎった。
うわーうわー。もしかしてこれって結構エッチな状況なんじゃ…
すぐに笑ったニコの顔が頭に浮かんだ。駄目だ駄目だ、愛と勇気と正義の使者が
変なことを考えちゃ。
俺は適当にTシャツとジーンズを箪笥から引っ張りだして、目をギュっとつぶったまま着替えはじめた。
下着どうしよう、いろんな意味で難易度高すぎる!と思ったけど、
幸いスポーツブラらしきものをパジャマの下に身につけていたので、そのまま上からTシャツを着た。
「ニコ、朝ご飯は?」
「俺、いやアタシ、食欲ないみたいですの。出かけてくるわ。ほほほ。」
なんか言葉使いが不自然な気がするけどまあいい。とにかくニコも俺以上にパニクっているだろうと、いそいで自分の部屋に走っていく。
ドアを開けると、ベッドの上に半身を起こして、呆然としている俺の姿があった。
「ニコ?ニコだよね。」
「ろぼ…?」
俺が俺の声で俺の名前を呼ぶ。なんてシュールな光景。ニコ(?)は自分の顔をみると、ほっとしたのか目に涙を浮かべた。
「あたし、ロボになっちゃった。どうしよう。」
図体のでかい男がポロポロ涙をこぼしているのを見ると、(といっても自分なのだが)
なんとも情けなく、それでいて愛おしいような気持ちになって
ニコの(俺の?)背中を赤ちゃんをあやすように撫でてやった。
(そーいえば、俺が泣くとよくニコはこうしてくれるんだ。
なんかニコの気持ちがわかったような気がする…。)
「泣くなよ〜。大丈夫だからさ。そのうち元に戻るって!絶対!」
「でも、もし戻らなかったら?」」
「んー その時は、俺になった生活も結構楽しいよ。」
「そんなのぜっっったい やだ!」
「そ、そこまで全否定しなくても…。」
「あたしロボットに興味無いし、会社のお仕事もわからないし。
むーちゃんと一緒に学校行きたい。お父さんとお母さんと一緒に暮らしたい。
自分の体に戻りたい…。ロボがいやなわけじゃないけど。」
「そりゃ俺だってさあ。自分の体に戻りたいよ…。」一海ちゃんと一緒の部屋で生活するのはちょっと興味あったりするけどさ。
ニコは(ロボは、と言うべきか。もうわけわかんなくなってきた。)
手の甲でぐいっと涙を拭うと微笑んだ。
「ごめん。困ってるのはお互い様だよね。
ロボ、地蔵堂に行こうか。あそこに行けばなんとかなるかもしれない。」
「そっか!そうだね。じゃ、出かける支度して。今、洋服出すから。」
ニコはぎこちなく着替えをした。慣れないサスペンダーの付け方に戸惑っているので、
俺がつけてあげていると、うつむいて困ったように言い出した。
「あの、トイレ行きたいんだけど…。」
「え、あ。えぇっ?」
「トイレって、どうすればいいの。男の人…」
「えーと、えーと、チャック下ろして中から引っ張りだして、手で持ってするんだよ。」
「・・・出来ない。」
「やれば出来るって。」
「出来ないよ、そんなこと!」また下を向いて泣き出した。どどどどうしよう。
「え、えーとやったことないけど、女性がふつーに用足しするようにしても、
大丈夫じゃないかな、たぶん…。」
「そう?」ニコは顔を上げると、急いでトイレに行った。
「大丈夫だったよ!…見なかったよ。」
それから急に怖い顔になって
「ロボ、絶対絶対絶対にその格好で立ちションなんかしないって誓って。あと、余計なところ見たりしないって。したらマジで殺すから。」
「殺したらニコも元に戻れないじゃん。」
「じゃあ自殺する!」
「するなよ〜!絶対へんなことしないって誓うからさぁ!」
地蔵堂に着く頃には、ニコは冷静になり、今朝からの一部始終を説明した。
「またまた〜。おまえら、芝居打って俺たちをからかってんじゃないの?」
よっちゃんも社長も半笑いで信じてくれない。そりゃそうだ、自分の身に起きなかったらこんな話、誰も信じないだろう。
「芝居じゃありません!本当に入れ替わってるんです!
あたしがニコでこっちがロボなんです。」
だけど、俺の顔したニコが言っても証明のしようがない。
突然、社長は手元の雑誌のグラビアページをバーン!と俺たちの目の前にひろげて見せた。
「え。」
「あ。」
おっぱいぼーんなおねえさんの写真に鼻血を出したのは、ニコの顔の俺。
きょとんとしているのは、俺の顔のニコ。
「なるほどね。」
社長は俺たちの顔を交互に見ながら、「よっちゃん、催眠術の用意をして。」と言った。
俺とニコは並んで寝椅子に横たわった。部屋にはエキゾチックなお香が焚かれ
社長が変な呪文のようなものを唱えている。俺はだんだん眠くなってきて、目が覚めると…
「あいたっ」となりで俺が勢いよく起きあがり、棚に頭をぶつけている。
え? 俺がとなりに?
「うわぁぁぁぁ 戻ってないじゃーーーーん!!」
「本には、術をかけたあと12時間後に戻るって書いてあるわ。」
「12時間!じゃあ今日一日はこのままってこと!?」
「術の効き目が潜在意識に定着するまで、そのくらいの時間が必要だって。」
俺とニコは、ぽかーんとして顔を見合わせた。
「はあ…今日が日曜日で助かった。あと12時間ってことは、夜9時まで。
それまで何事も無ければ…ちょっとロボ聞いてる?何やってんの?」
「ラーメンが… ラーメンが上手く食えない…。」
二人とも朝食抜きで走りまわってフラフラだったので、ラーメン屋に入ってとりあえず
腹ごしらえをすることにしたのだ。
「なぜだ。箸が使えない!なぜなんだぁ!」
「ああ、あたし左利きだから。左で持ってみて。」
ニコの言うとおりにしたらスムーズに食べられる。俺はなんか新鮮で感動した。
「うわー、面白い、へーえ。左利きの人ってこうなんだ。」
「もう、ノンキだな、ロボは。」
「でもすごくない?こんな経験、滅多にできないよ!」
急に楽しくなってきて、勢いよくラーメンをすする。
ニコ(inロボ)は俺の方をじーっと見つめた。
「ロボから見ると、あたしってちっちゃいんだね。」
「うん、ちっちゃいよ、ニコは。(ズルズル)」
「クラスの背の順だと真ん中へんなんだけどな。
こんな小さく見えるなら、子供にしか思えないわけだ…。」
なんとなく寂しそうな溜息。えっ なんで??
「でもさ!小さいと草花とか動物とかに近いでしょ。それって結構羨ましいかも。
道に落ちてるお金もすぐ見つけられるし!」
ニコはちょっと笑って言った。
「ロボは星や虹や鳥に近いから、いいじゃん。」
のれんをくぐる時、またニコは頭をぶつけた。「あいたっ」
「もう、気をつけてよ〜。俺の頭なんだから〜」
「ごめん、なんか距離感つかめなくて。」
二人で歩いていたら、向こうから中年の女の人がやってきた。
「あら、林さん」
「こんにちは!いつもイトコのニコがお世話になってます!」
ニコは急に直立不動で挨拶した。
(誰?)
(中学の先生!お願い、話合わせて!)
「そう、林さんのご親戚。」
「はい先生、優しくてかっこよくて愛と正義の使者で自慢のイトコなんです!いつも勉強も教えてくれるんです!こんなイトコがいて最高に幸せです!」
俺は調子に乗って言った。横目でニコが睨んでる。
「じゃあまたイトコさんに教わってがんばらないとね。中間試験の数学、赤点だったでしょう。」
(そうなの?駄目じゃん…)
(仕方ないじゃん、かんにん袋の時だったんだよ!)
「はいもう次回はバッチリです!必ずや次こそは!よい成績をおさめてみせましょう!
是非ご期待下さい先生!」
「バカ、余計なこと言わないでよ…。」ニコは頭を抱えた。
「また誰かに会う前に早く帰ろう。元に戻るまでロボんちでおとなしくしてようよ。」
「そうだな。変なことに巻き込まれる前にさっさと家に…」
その時、知らないおっさんがさりげなく俺に近づき、俺の(というかニコの)
お尻を撫でると、小走りで去っていった。
「ひゃっ…!」
「どうしたのっ」
「痴漢!あのおっさんお尻触ったっ!」
キモい、マジキモい。涙目。痴漢にあうって、こんなにキモいものだったのか。
ニコは(というか俺は)蒼くなり、キッと前を見ると走り出した。
「待って、どこいくのー?」
「あの痴漢、ぶっとばすー!」
「ええ!? ちょっとーーーー!?」
ニコinロボはマックスダッシュで走っていく、なにしろ俺の足は結構早いので
たちまちおっさんにおいつき、えり首をつかんだ。
「ちょっと待てこら!」
鬼のごとき迫力でおっさんに迫るニコ。つ、強い。
「あんた、通りすがりの女の子のお尻触っただろ!警察行くか、警察!」
「な、なんのことです」
「とぼけんじゃないよ。いい大人が恥ずかしいことすんな!」
「すみません、あの、出来心で、すみません。」
「謝ってすむなら警察いらないっつーの!」
「すみません、二度としませんので見逃して下さい。」
まあ、今の状況で警察で事情徴収になってもこっちも困るので、散々謝らせて
反省させた後に解放した。
「すっげー。俺、痴漢に間違えられたことはあっても、痴漢やっつけたのは
初めてだー。なんか清々しい気分〜」
「やっつけたのはロボじゃなくて あ た し だから。」
「わかってるって。偉い偉い。」いつもの通り、ニコの頭を撫でようとしたけど
届かなくて、背伸びして撫でた。
「でも、ロボになってなかったら出来なかったと思う。ありがと。」
俺の部屋に付くと、ニコは「なんかすごく気疲れしちゃったよー。もーだめ。」と言って、ばたんと寝転がった。
「痛っ 足ぶつけ…た…」
「うわぁ、フィギュアの棚にはぶつからないでくれよぉ。」
「ごめん…」
ニコinロボは間もなく寝息を立てて眠ってしまった。俺は、普段見たことのない自分の寝顔をまじまじと見る。中身がニコだと思うせいか、やけにあどけなく見える。
へえ、俺って目をつぶるとこんな顔なんだ。へえ、首のところにホクロがあったんだ。
他人の目で見る自分ってすごく変な感じだ。
ベッドから毛布を持ってきて、ニコinロボにかけてやる。同じ毛布がなんだか普段より
重たく感じる。今は自分のものであるニコの手を、じっと観察した。薄く脂肪のついた細い腕、小さな手のひらに丸い爪。
「そっか、これがニコの世界か。」
普段よりも低い視線。か弱い腕力。でも誰よりも強い眼差しで世界を見ているニコ。
俺は好奇心に負けて、胸の小さな膨らみを手で包んでみた。卵から孵ったばかりの雛を
手に乗せているみたいだと思った。女の子って柔らかい。胸も髪も唇も。
そして、なんでそんなことをしたのか自分でもよく分からないが、衝動的に眠っている
ニコの(自分の)手を取って、唇を強く押し当てた。
それから、横になって目を瞑った。これ以上わけのわからない衝動にかられないように。
「ね、ちょっと!ちょっとロボ起きて!目を開けて」
「メロン開けて〜?」
「何言ってるのよぉ!戻ってる!あたしたち戻ってるよ!」
「え?」
ドカ!思いっきり足をフィギュア棚にぶつけた。大事なロボット達がぐらっと揺れる。
「痛ってぇ〜」
「今、何時?」
「9時15分!」
「社長の言った通りだ、12時間で戻った!やったぁ」
「よかったぁ!」二人でハイタッチをする。
「ねえ、ちゃんと起きてれば良かったね。意識が入れ替わる瞬間って
どんなだか経験してみたかったな。」
「でも、催眠術だからその時間が来たら自然に寝ちゃったんじゃない、
どっちにしてもさ。」
「ロボのかわりに会社に行くことになったらどうしようかと思ったよ〜。
でも、数学のテストはロボに受けて貰えば良かったかなー。」
「またまた、ちゃっかりしてんだから。立ちション出来ないって泣きべそかいたのは
誰だっけ?」
もーその話はやめてーと言ってニコは笑いながら叩く真似をする。
おっとっと、と防ぐ俺の手の甲に、ぽつんと薄赤い痕跡。
「あ。」
「なに?」
なんでもないよ、と後ろ手に隠してごまかした。
「そぅお。あの二人、ちゃんと元に戻ったの。良かったわぁ。」
「あいつら、結局なんで入れ替わっちゃったんですかね。」
「双子だとそういう症例があるみたいだけどねぇ。」
「ようするに、やつら似た者同士ってことですか?」
「全然似てないけど、ある部分では非常に近いかもしれないわね。」
「ところで社長、催眠術が使えるなんてすごいっすね。
それもスパイ時代に身につけたんですか?」
「ああ、この本、ブックオフで100円だったわりには役にたったわ。」
社長の手には「誰でも出来る催眠術入門」という本があった。
「マジですかぁ」
よっちゃんは腹を抱えて笑い、次にあいつらが来たら何て言ってからかってやろうかと考えた。
********
おわり
すげぇ笑った。GJ!
ニコ目線になったロボの心情がイイ!ときめいた!GJでした
入れ替わりネタGJです!
笑えるしロボのわけのわからない衝動っていうのも
何だかきゅんとくる。
>>266-272(最終回を迎えたはずなのに…。ごめんなさい。)
二人の新婚バカップルぶりを覗き見。
エロは多少ありですが苦手なのであっさりです。脳内補完して下さい。スマソ
タイトルは「奇跡の服」。
余計な後日談は読み飛ばした方がいいかもです。
---------------------------------------------------------------------
「あぁ、この服。」
ビニール袋に無造作に押込められた沢山のロボの服の中から、私は一枚取り出した。
慌しく結婚したためまだロボの部屋には私が住めるスペースがない。
私は旅行鞄に3日分の着替えなどを入れてロボの部屋に通っている。
平安時代の「通い婚」みたいに。
『でも、通い婚って夫が妻の家に通うのが本当なんだけど…。』
そんな訳で結婚して初めての休日、朝からロボの部屋を片付けていた。
私はその服をビニール袋から取り出してロボに聞いた。
「ロボぉ、この服捨てちゃうの?」
ロボは今ロボットたちを片付けていた。
「う〜ん?あ、それ?
うん、汚れちゃったから捨てようと思って。」
その服は白地に緑のペイントが施されていた。
ロボがケロ山さんから貰ったものだ。
ロボと出会った頃、美容院で偶然遭遇した時に着ていた服。
『あの時ロボは合コンで成功するためにこの服を着てたんだよね。』
今まで忘れていたことを思い出して、ちょっとムッとした。
そして3年ぶりにロボと再会した時も着ていた。
何かと私たちと縁のある服。
今その服の右下の方には、小さい穴とそれを中心に薄黒いシミが大きく広がっている。
「汚れちゃったんだぁ。私のせいだ…。」と小さく呟いた。
「うん?なに?どうしたの?」
「あ、えーと、このシミ…。」
「それは、俺の勇気の印。」とロボはちょっと胸を張った。
そう、あの時ロボが守ってくれなかったら今頃私は…。
臆病なロボが見せた勇気ある行動。
ロボは
「よっちゃんから聞いて居ても立ってもいられなくてバイト先から真っ直ぐ向かったんだ。
そしたらニコが撃たれていた。何も考えなかった。
ただ『ニコが危ない!』と思った。」と言っていた。
『私はロボに守られているんだよね。ありがとう。』
「ロボぉ、なんであの時この服を着てたの?」
「え?それは…。
いいじゃん、そんなこと。他に着る服がなかったからだよ。」
ロボはそう言って再びロボットたちを整理しだした。
「ふーん。」
私はなんとなく納得できなかったけど、その服を畳んでビニール袋に戻した。
午後になって二人で買い物に出かけた。
「ね、いつも言うことだけど、そんなに鼻の下伸ばしてニタニタしないでよ。
ま、喜んでくれるのはいいんだけどさ。」
「だってさぁ、初めてなんだよ。結婚して二人で買い物に出かけるの。」
学校帰りに買い物を済ませてしまうから、確かに二人で買い物するのは結婚後初めてだ。
「ニコは嬉しくないの?」
「いや、だから…。そんなこと考えたことないから。
だって今までも買い物ぐらいしてたじゃん。いつもと同じだよ。」
「違う。全然違う。今俺たちは結婚してるんだよ。新婚さんなんだよ。
こうやって並んで歩こうが、手を繋ごうが、抱きつこうが…。」
と言いながら私の手を握った後私を抱きしめた。
「キャ!なにするのよ!いきなり!」
私の声を聞いて道行く人たちが私たちを見て近付いてきた。
ロボは私の左手を取り上に挙げその横に自分の左手を並べた。
「違います。僕たち結婚してるんです。」
と360℃周りに見せながらニタニタ顔で宣言した。
私たちの薬指には結婚指輪があった。
周りの人たちはクスクス笑いながら通り過ぎていった。
「新婚さんなのね。仲がいいわねぇ。」
私は俯きながら顔を赤らめた。
「ね!ほら!
これが結婚してなければ今頃警察沙汰だよ。」と自慢げな顔をした。
「ホント!ロボってバカよね!」と私は足早にその場を去った。
恥ずかしさと多少の嬉しさを怒るふりをして誤魔化した。
「ちょ、ちょっとぉ!なんで、怒るのぉ?ニぃコぉ〜。」
『ホント、ロボは子供なんだから。』
追いついてきたロボの手を握り、時には腕組みをして、いつもよりは長く街を歩いた。
ロボはずっと鼻の下を伸ばしていた。
なんとなく周りから視線を感じる。
ロボの顔になのか私たちの様子になのか分からないけど。
私はロボの嬉しそうな顔を見て微笑んだ。
『ま、いいか。こんなに喜んでくれてるんだし。』
「はい、できたよぉ。食べよ。」
「を!ハヤシライスだ。
これってハヤシライス2個だからハヤシ・ニコだよね。ニコの名前。」
「そう。旧姓だけどね。」
「やっぱ、苗字が変わるのは嫌?」
「う〜ん、ちょっと寂しいけど…。
でもぉ、ロボと同じ苗字になったから嬉しい。」
「そっか。嬉しいかぁ。良かった、良かった。
よし!いただきMAX!」
ロボは「美味しい!なんて美味しいんだ!」と言いながら大きな口を開けて食べた。
食事を終え私が台所でお皿を洗っていると、ロボがニヤケながら私の後姿を見ていた。
「ね、どうしたの?」
「いや、なんかさぁ。いいなぁっと思って。俺、結婚したんだなぁって。」
「何言ってんの。もう一週間近く経つじゃん。それに私の台所姿なんかいつも見てたじゃん。
なんか変。今日のロボ。」
ロボはゆっくり立ち上がって、私を後ろから抱きしめた。
「ど、どうしたのよ!」
「ううん、このままニコを抱きしめていたいだけ。」
「もう!洗えないじゃん!」
と言いつつ私はロボに身を寄せた。
暫くしてロボが言った。
「やっぱ、ニコで良かった。ニコと出会えて良かった。
ニコと再会できて良かった。ニコが戻って着て良かった。」
ロボは泣いているようだった。
「ニコでホント良かった。」
「ロボ…。」
そしてキスを交わしロボは私を抱き上げベッドへと運んだ。
ベッドでロボは丁寧に私の体を愛撫した。
私の準備ができたのを確認すると挿入の支度を始めた。
「ロボぉ…。今日はそれしないで。」
「え?だってそれじゃ…。」
「言ったじゃない、早く幸子に会いたいって。」
「そうだけど…。ニコ、まだ学生じゃん。」
「いいの、そんなの気にしない。
だって結婚してるんだもん。子供がいつできたっていいじゃない。」
そしてロボは何も付けないで私の中に入ってきた。
お互いの快感が頂点に達した時、ロボの分身が私の中に放たれた。
新たな感覚を私は子宮で感じた。
『幸子、もう直ぐ会えるね。』
「なんか夢のようだ。それに責任みたいのを感じる。俺、がんばんないと。」
ロボは仰向けになって天井を見ながら言った。
私はロボの左腕を枕にしてロボの方を向いて横になっていた。
「どうしたの?」
「だってさぁ、ニコと会った時、ニコは子供だったわけでしょ。
それがさ、こんな風に結婚してるんだよ。不思議だよ。夢にも思わなかった。」
「そうだねぇ、確かに不思議。」
「それとさぁ、今日初めてニコの中に出したんだけど。
やっぱ、そのぉ、男としての責任というか覚悟みたいのがいた。
頑張んなきゃいけないなぁって。ニコだけじゃなく幸子も幸せにしないと。」
「そうよ。頑張って、お父さん。」
私たちは笑った。
「幸子一人だけじゃ嫌かも。」とロボは言いながら私の胸を揉んだ。
「やらし!」
暫くして、ロボは再び話し始めた。
「実はさ。ニコは覚えてないかもしれないけど、
偶然ニコに会った時、あの服を着てたんだよね。いつも。」
私はロボの顔をチラッと見た。
ロボは天井を見たままだった。
「うん、知ってる。」
「そっか、知ってたかぁ。だから…。
ニコに会いたいと思う時に着るようにしてたんだ。」
「え?」
「つまり、ね。あの時…。ニコに会いたかったんだ。
未練がましくて情けないけど…。自分から手放したのに…。
だから朝言えなかったんだ…。情けなさ過ぎて…。」
一呼吸おいて、ロボは話した。
「ニコにどうしようもなく会いたかったんだ。あの時…。」
私は暫くロボの横顔を見てロボに軽くキスした。
そして裸のままベッドを出て朝見たビニール袋を探した。
ビニール袋からその服を取り出し、自分の体にあてがいながらロボを向いて言った。
「私これ貰うね。ううん、私に頂戴。お願い。」
ロボは一瞬驚いて聞いた。
「うん、いいけど。どうするの?もう着れないよ。」
「ちゃんと畳んでしまうの。だってこの服は…。
私たちの縁結びの服なんだもん。」
少し間をおいて、ロボはコクリと頷いった。
「うん、ニコの言うとおりだ。」
私はその服をギュッと抱きしめた。
そう、この服が私たちに奇跡をもたらした。
普通だったら出会うことのない中学生の私と社会人のロボ。
初めての男の人との旅行。行きがかり上だけど…。
三年間会わずにいた二人を再び会わせてくれた。
もう決定的な別れと思った二人を再び引寄せてくれた。
いつもこの服は奇跡を起こしてくれた。
『私たちの奇跡の服。』
余計な後日談==============================================
数十年後、
年老いたニコは大きいシミの付いた薄く黄ばんだ白い服を羽織って縁側に座っていた。
そして自分の手の中にあるものをいつまでも見つめていた。
満面の笑みを浮かべている年老いたロボの写真。
ニコは静かに涙を浮かべながら微笑みかけていた。
仏壇には位牌が置かれている。
「お父さんに会ってるのね。お母さん。」
幸子は優しくニコの後姿を見ていた。
終
GJっす
余計な後日談でボロ泣きしてしまった
>>344 このドタバタ感が本家セクロボっぽい!楽しかった。 GJ!
>>354 後日談がせつなくて涙が止まりません。 GJ!
号泣した GJ!
でもシリーズものは個人サイトでだったと思う
間違ってたらゴメン
気分を害したらゴメン
ただ折角の力作がこのまま消えるのは惜しい気がする
死にネタは反則だー、注意書きが欲しいよ(><) うう、ロボ……
これ、最初からシリーズだったわけじゃなく、みんなの反応が背中を押して次々
書き足してのシリーズ化って感じじゃないのかな?(他にもそうなりそうなのあるよね。)
スレ乗っ取り状態でもオリキャラ満載でもないし、このぐらいはいいんジャマイカ
もうすぐ次スレの時期。セシーを含めて古いの通して読めるといいのにねー
(ここコテ名がないから、これとこれは同じ人?と想像してみたりしてる)
あ、
↑間違えました。ごめんなさい。
>>361 そうだったんですか。知りませんでした。
分かりました。個人サイト開設の方向で考えます。いつになるか…。w
丁度手直ししたいと思っていました。誤字脱字が多いので…。orz
今まで暖かく見守っていただきありがとうございます。>ALL
これにて失礼します。
シリーズじゃない小ネタを思いついたら投下します。
>>362 なんか禁じ手ばかりやってしまったよう…。orz
ごめんなさい。m(_ _)m
サイト開設しても、自分がそこに辿り着けるかわかんないし
ここで個人サイトを晒して貰うわけにもいかないから、
これからもネタ落として欲しいですー
もちろん、作者さんの中にサイト開設のモチベーションがあれば
それはそれでいいと思うのですが
本当は2ちゃんの方が肌に合うけれど、長くなるので個人サイト移行という
ことなら、
>>362さんも仰ってるように、ここで書いてもいいんじゃないかな
なんて思います。
自分もネタを書くことがありますが、他の職人さんの作品に
触発されたりすることが多々あるので、みんなが個人サイトに行ってしまうと
寂しいな。
>>365 まるっと同意。
いなくなっちゃったらさびしいよー。
また来て下さい。
もう次スレなんて考える時期なんだー。
セシーに比べたらスレ進行早かったね。
367 :
361:2007/08/24(金) 18:32:23 ID:qiy2ILgS
ゴメン変なこと書いた
今は反省している
気にしないで投稿して
368 :
362:2007/08/24(金) 20:47:09 ID:4Wf4feaH
>>361 イヤイヤ、他にも気になってた人いるかも知れないし。
次スレ前に協議しておくべきことで、ナイスタイミングだったと思う。
(結局、現状ではテンプレに入れるほどでもないってことでFA?)
一人による独占状態でもないし、
職人も住人もそんなに数がいるわけじゃないから、現状維持でいいんじゃないかな。
スレとしてちょうどいいペースだと思う。
6年後のニコロボ再会話。幸子産まれてます。エロ無。でも恋愛も無くてw長いので、こちらに
置かせてください
<1/5>
日曜の昼下がり。郊外の大きな公園。
家族連れが弁当を広げ、子どもが駆け回りカップルがバトミントンをする中、バーベキューとビールで
満腹になったオレは、幸せな昼寝で懐かしい夢を見ていた。
「ロボーッ!!」
そんな風に呼ばれてたっけ。不思議な冒険をして会社休んで、オレも若かった。
「ロボってば〜!!」
銃撃、宇宙人、誘拐、幽霊! 呼ばれたら、全速力で助けに行くんだ。大事な友達。大事な……ニコ。
……え、まさか、ニコ??
何年かぶりで思い出した名に驚いてハネ起きると、どーんっと何かに押し倒された。
ハアハアと荒い息でべちゃべちゃに顔を舐めまくってくるそれは、もちろんニコ。 ……じゃなくて!
「わ〜??」
「ロボ!こらヤめるのよ〜、ロボ!」
……犬〜??
のしかかっていたのはフサフサの大型犬で、飼い主らしい4,5才の女の子が綱を引いたぐらいでは
全く動じない。それでも、やっとオレが首輪をつかまえて顔を離すと、彼女の
「おすわり!」
の声でバカ犬は腰を落とした。おいおーい、敷物に泥足で乗りやがって!
「ごめんなさい、おじさん! つかまえてくれてありがとう!」
「もぉ〜。おじさんびっくりしちゃったよ。
こらロボ!逃げたらだめだろ!」
バカ犬の頭をぐりぐりと撫でると、ワホ!とないた。
踏まれてプキーと鳴ったおもちゃも、畳んであったベビーカーも足跡がついて酷いありさまだけど、
小さな女の子を怒っても仕方がないしなぁ。
「いつもはいいコなの。さっき急に、走りだしちゃって」
「ふーん、どうしたんだろうねぇ。
おうちの人は近くにいるの、か、なぁ……」
「サチコ〜? またロボがご迷惑かけてるの?」
「あ、ニコママ〜」
犬のロボをオレの手に残したまま、サチコちゃんが駆け寄った人影は、今度こそ、本当にニコだった。
<2/5>
「知ってるヒトー??」
「にんげんなのにロボなの?」
「あのね、最初はボロボロだったからボロってつけたんだよ、サチコが。
でもママがね、それならロボにしたらーって。 そういう顔だからって」
甲高い子供の声で話し続けていたサチコちゃんが、やっとロボとのボール遊びに行ってくれてオレ達は
2人になった。
「久し、ぶりだね?」
6年ぶりかな。
「うん。この辺に住んでるの?」
「いやぁ、友達が近くに住んでて。ホラ、シリウス覚えてる?
オレは今日初めて来たよ〜。午前中はあっちでバーベキューしてさ」
「うちはロ…犬の散歩で時々来るんだけど、今日は駐車場混み混みで、結構待っちゃった」
当たり障りのない会話、こんなの初対面みたいだよ。
「前の家、取り壊しちゃったんだよ」
知ってる。一度行ったから。
「オレの住んでたアパートも、もうないし……」
地蔵堂も。
そう言いたかったけど、多分ニコも知っていることだから飲み込んだ。
でも建物なんかどうだっていい。
横を向けば何よりも変貌した、大人になったニコがいるのに。まぶしくてオレは前ばかりみていた。
ロボとボールをとりあうサチコちゃんが、ニコに手を振る。応えて動くニコの左手だけが、今の
オレの目に入る全てで……きれいに塗ったマニキュアが、やっぱり知らない娘みたいだった。
「いい子だね。ちゃんと挨拶できて」
「そーお?生意気よー。
もう一海ちゃんと2人で、誰に似たんだろうって」
じゃあやっぱり、ニコに似てるんだよ。
と、お決まりのオチをつけて笑っていたらニコの携帯に着信が来た。機種を変える度、一応ねって
出してた通知が、宛先不明になったのはいつの頃だったっけ。
「あ、パパ?」
旦那さんからか。オレは急いで立ち上がった。
「うん居た居た。ロボ目立つも〜ん。あ、ロボっていえば、ちょ、ちょっと待って」
立ち去ろうとしていたオレに、電話口を抑えたニコが声をかける。
「うちの家族、会っていかないの?
一海ちゃん変わらないよ、綺麗だよ〜」
まだそれで、釣れる様に見えるのかなオレ。
<3/5>
「荷物番だったからさ、もう戻らないと」
「じゃあ、携帯の番号……」
せっかくニコからそう言ってくれたのに。オレは頭を振った。
もう会えないよ。
ただの友達だとか、そんなこと旦那さんも聞きたくないでしょ。自分の知らないニコを知っている男
なんて、不愉快に決まってる。何の権利もないオレですら、顔も知らない旦那に妬いているっていうのに。
「そっか。じゃあ、さよならだね」
淋しそうに、でも悟った顔でニコが呟く。
「うん。さよなら。元気で」 せめて、いつものポーズでビシッと指を立てた。
「ロボもね」
ワホ!そっちのロボが返事をした。
強がって笑顔で別れたくせに、荷物のところまで戻りながらオレは泣きそうだった。
どんなつもりで名付けて、毎日呼んでいてくれたんだろう、ロボって。
なんでオレは忘れていたんだろう。14才だったニコ、楽しいことだけ考えていた時間のオレ達。
そしてもう触れない綺麗な指。
……してなかったなぁ、結婚指輪。ん? 待てよ?
あの子何歳だ?
サチコって聞いてもう、ニコの子だって思いこんでたけどニコが今20才??
6年ぶりだからって、5才の子がいていいんだっけ?
いやママって呼んでた、うん。
『ニコママ』って……。で、ロボって犬につけたのが『ママ』??
「ニコ〜!!!」
大失敗に気づくなり、オレは全速力で走り出していた!
並んで座ったベンチの前を走り抜け、2人と一匹が去っていった方角に走り続ける。
「ニコ〜、サチコちゃんのお母さんは〜っ」
オレの脚で追いつかないなんて。
「ニコ〜!!」
聞こえてる筈なのに。どこかに隠れてしまったんだろうか……と、立ち止まったところで
今度は後ろから、突き倒されて芝生に転がった。
ロボ……またお前かっ!
<4/5>
「ほらロボ、お座り!
……もう、勝手に追い越してったくせに、恥ずかしいなぁ大声で」
ああこれだよ、さっきのニコに足りなかった懐かしい、偉そうな感じ!
「ニコ、さ、サチコちゃんは」
「アタシの子じゃないからね!!」
2人の声が重なった。
芝生の上、ロボと並んでお座りのオレと、腰に手を当てて見下ろすニコ。
「サチコだけど! アタシの子じゃないからね!
……フツーそんな勘違い…」
「してたぁぁぁ」
「ばっかじゃないの?ハタチだぞアタシ!!」
だよね。ニコが飼ってたってことは家族で飼ってたんだから。犬の幸子。
一海ちゃんが同じ事考えたって不思議じゃない。
もうオレは笑いがとまらないのに、ニコは笑ってくれなかった。
「……ロボは?」
「えー?」
「ロボは家族と来てるンでしょう? 赤ちゃんが居て。……奥さんも。
だから、もうアタシとは会えないんだなって思ったのに。どーして戻ってきたの??」
赤ちゃん?
奥さん? あ、あー。
「結婚して子供がいるのはシリウスだよ〜。オレはヒマだから、くっついて来ただけ」
「じゃあ何でそう言わないのよ!!」
「聞かなかったでしょ〜??」
2人でロボの足跡を拭いた時、そうか、ベビーカーだのおむつだのいかにも赤ん坊連れ
な荷物で、敷物だってディズニーものかなんかで。
ニコも戸惑ったかもしれないけど、突然の再会にてんぱってたオレは、そんなことに気づく
余裕がなかった。大体、自分のじゃないから汚したら怒られるんであって……
「あー!!」
「何、大きな声っ」
「荷物ほったらかし、怒られるよー。
オレ戻らなきゃ」
でも、今度こそアドレスの交換と再会の約束を忘れずに。
サチコちゃんに呼ばれてきたらしい一海ちゃんや、林家のご両親ともちょっと挨拶なんかして。
さっき涙ぐみながら戻った道を、今度は鼻歌にスキップで引き返した。
案の定、先に戻ってたシリウスの奥さんに叱られたけど、謝ってる間もずっとニヤニヤしてた
かもしれない。
<5/5>
さて、ニコとのデート(だよね?)はどこに行こう。
30才にもなって、それなりにスキルを上げたところをみせないと〜、とじたばたしていたのに
ニコからのメールで行き先はあっさりと決まった。
『よっちゃんに会いたかったらココへ』 *添付地図
そーゆーことは先に言ってよね。
犬のロボは、オレの匂いを知っていたのかもしれない、と電話の向こうでニコが呟く。
会わなくなっても、うちから持ち出したがらくたあれこれやMAX小切手、オレがあげた寝袋
一緒に持って歩いた鳥かごetc……。いろんなものが林家には眠っていて、サチコちゃんが
引っ張り出してはロボに与えて遊んでいたからって。
だとしたら、オレ達はやっぱりもう一度出会う運命だったんじゃない?
それとも、サチコちゃんがボロボロの仔犬を拾ったあたりからまさか、プロフェッショナルな
企みに操られたりしてるんだろうか?怪しい予感にオレは、ゾクゾクと身震いをしていた。
そして事実、一歩違う路地に呼ばれて入ると、世界はやっかいな『事件』に充ちていて……。
******
2人はスパイ! セクシーボイスアンドロボ(×2)! ワホ!
「おーいロボ!ご馳走だ! お前じゃねぇよ、お鼻の利くお犬のロボ様だよっ」
「よっちゃ〜ん。酷いよ〜」
「悔しかったら捜しもの嗅ぎ分けてみろっ」
やっぱり巻き込まれた騒動の真相はほろ苦く、スパイ犬まで連れたニコとオレは走り回らされて、
お互いを語る時間なんてほっとんどなくて。
サチコちゃんのママが、一海ちゃんじゃなくって雪江さんだったこと。
……つまりニコとサチコちゃんは、15才年の離れた姉妹なんだと、オレが知るのは
もうちょっと後のことになる。
==終わり==
おお!そうきたかっサチコ!
おもしろかったー。GJ!
雪江ママと竹男パパがんばるなーw
あの停電の日のロマンスなのかな
幸子のオチまでは読めなかったぜw
雪江さんの顔がぶぁっと思い浮かんでちょい吹いたw
GJでした!!
GJ
是非続編希望!!
私は焼肉ベイビーかと思ったんだけど、停電かな?GJです!そしてニコパパとママもGJ!www
ロボニコの子はどうなるのかな〜。
*******
>>316の2人の話になります。
このスレが終わりそうなのと、何となく続きを書いてしまって長くなりつつあるので、
一旦ここで終わります。
(別の展開も書いてあるのですが焼直してまたの機会にします)
相も変わらずwエロ入ってます。うちのロボはヘタレな上にいつもこんなですみませんorz
*******
ロボとあたしがまるで運命の糸が引かれる様にまた出会い、今度は恋をして、
気がつくとあたしは18になった。
初めてロボを紹介した時親友は想像していた大人の男と実際の姿に驚愕していた。
だけど、
「皆が認めてくれるんだし、何よりニコが選んだ人ならきっといい人なんだろうね」
そう言ってくれた。その時の彼女は本心から喜んでくれていたし、あたしも
ロボが誇らしかった。
家族も好意的で、本当にあたし達は稀に見る幸せなカップルなんだと思う。
だけど人間というのは勝手なもので、穏やかな日々を望みながらぬるま湯に
慣れてしまうとちょっとした波風を立ててしまいたくなるわけで。
「ねーロボ暇だ暇だ!」
「え〜、テレビでも見たら?」
「つまんない」
「じゃあ勉強しなさい!受験生なんだから」
「そりゃするけどあたし推薦のつもりだし……てゆーかさ、だったら家にいるし」
待ちに待った給料日に新しく手に入れたフィギュアをいじるのに夢中で、
あたしの事なんか眼中にないみたいだ。
「あーあ、これじゃ老夫婦みたい」
「何でよ。一緒にいるでしょ?それでいいじゃない」
なんだそれ。
「んじゃ帰ろっかなー。1人でいるのと変わんない」
あたしは何だかイラッときて、帰り支度を始めた。こういうのをマンネリって
言うのかな。だったら一緒に暮らしたりしたら、一生退屈しちゃうのかな?
色んな考えが頭の中にぐるぐる浮んで、気が付いたら泣いていた。
「ニコ?ちょっと待ってよ!何もそんな事言ってないじゃん……子供みたいだよ?」
「あたし子供だもん」
ロボに後ろから抱きすくめられて、身動きが取れなくなった。
「どうせロボより子供だもん!だから帰る、かーえーるっ!!」
「我が儘言わないの〜っ。ニコどうしたの?なんか怒ってる?」
自分でもバカみたいで余計泣けて来る。18にもなって何でこんな事で駄々こねて
るんだろう。
ロボといるとどうしてこんなふうに自分がわからなくなるんだろう?
黙って涙が止まるのを待っていたら、ん〜と頭の上でロボがうなる声がした。
「俺のせいかなあ?」
優しく頭をヨシヨシと撫でながら、
「ゴメンね」
って囁いた。
「何がゴメンなの?」
「ニコの事放ったらかしにしてたからでしょ?ゴメンね〜、やっと手に入れたから
ついさぁ」
なんかあたし格好悪いよー。
「こっちむいてよ」
「やだ」
「拗ねた顔も可愛いよ?ニコは俺より年下なんだから、子供だっていいんだよ」
普段はいい歳してマーックス!なんてやってどっちが子供だかわかんない
くせに、こういう時はやっぱり大人なんだなあって思う。
あー、あたしってまだまだダサい。
「だから帰るなんて言わないでよ〜。ね、ほら、あれ、あれ見せてよ」
「……あれって?」
「ニコが言ってたじゃん。むーちゃんに誕生日に貰った物、見せてあげる、って」
そうなんだ。ついこの間の誕生日に貰ったプレゼント、見せてあげるって言って
たんだ。
「見たい?」
「うん、見たい見たい」
そのつもりで用意してはあったんだけど、いざとなると躊躇してしまう。
「どうしたの?ニコ、まだ怒ってる?」
あたしはううん、と首を振ってロボを見た。
「お願いがあるんだけど」
「なに?」
「か、カーテン閉めて」
「へっ?」
「いいから……お願い」
首を傾げながらロボは窓を閉めてカーテンを引いた。
「はい、閉めたよ。なに?見せてよ」
無邪気な顔して話しかけてくるロボに、あたしはどんな顔したらいいのか
わからない。これからやろうとしてる事を知ったらどう思うんだろう。
「あ、あのさロボ」
「うん?」
「あたしが何しても驚かないでくれる?」
「え〜ニコ何するつもりなの?別にいいよ、うん」
ベッドに座って待ってるロボに近付くと、その前に立って深く息をした。
「じゃあ、いくね」
「うん?」
あたしはそのまま膝を付くと、ロボのシャツに手を掛けた。
「えっ、何。ニコ何すんの!?」
「いいから」
あたしがそんな事するなんて思いも寄らなかったロボは、半ば呆然としながらも
「お、驚かないって言ったもんね」
ってあたしのやるままにじっと動かずにいる。
ロボのシャツを脱がせてから、今度はあたしが立ち上がると自分の服に手を
掛ける。
「ちょ、ちょっとタンマ!ニコど〜しちゃったの!?」
無理もない。あたしからこんな事するなんて初めての事だから。
「……やっぱり変かな?あたし」
嫌われた?
「いや、嬉しいけど〜……なんか無理してない?」
頑張ったつもりだったけどロボにはわかっちゃうんだな。あたしは耐え切れずに
打ち明けた。
「ロボ、前みたいにあたしの事抱きたくなくなっちゃったのかな?って」
ロボは、泣きそうになりながら喋るあたしを見上げてる。
「気付いたら触れられるのが当たり前みたいになってて、
長くなればそれは少しずつなくなっていって」
「ニコ……」
「もうあたしに飽きちゃったのかな、考えてたら実は抱かれたくてたまらない
自分に気が付いて恥かしくなって」
「飽きたりなんかしないよ〜……バカだな」
「こんな事言ったら嫌われるかなって、やらしいって思うかなって」
「思わないよ」
そう言うとロボはあたしの手を引いて隣りに座らせた。
「むしろ嬉しいよ。でもそんな風に思わせてたんだ〜……ゴメンね」
頭を撫でながら抱き寄せられて、こんな時にロボの裸の胸にドキドキする。
「何だか2年以上も付き合って来たから、俺凄く安心しちゃってたのかもな〜。
まあ、最初は正直がっついてたとゆ〜か」
そこまで話すと
「で、むーちゃんは何が関係あるの?」
と顔を覗いて聞いてきた。
「うん……それがその、言いにくいんだけど」
「なあに?」
身体を離すとあたしはまた自分の服に手を掛けた。
「黙っててね」
釘を刺したから、ロボは口を開くのを我慢してじっと見てる。恥かしいのを
我慢してブラウスとスカートを脱いだ。
「えっ、え〜〜っ!?」「驚いたよ……ね?」
信じられない事にロボはいきなり鼻血を出して、しばらく動けないでいた。
「えっロボ!マジで!?」
それを見てあたしは余計恥かしくなった。
「は〜落着いた……そっか、それなんだ?」
「へん?」
ロボは回るんじゃないかと思う程横首をに振った。
元々あたしは着る物に対してそれほど執着してるつもりがない。一海ちゃんの
服貧乏にも首を傾げるばかりだし、下着だって清潔感以外に拘った事もない。
普段なら考えられない透けた白レースのブラと紐パン。
そんなあたしにむーちゃんが買ってくれた物だった。
『こんなの見たら鼻血出して喜ぶよー』
なんて絶対面白がってる気がしないでもないけど。
「別に普段でも不満はないけどなあ。でも……何かいいかも。むーちゃんに感謝」
拝むなよ!!……むーちゃんのいう通りになってるし。
「ねえニコ、俺もう我慢出来そうにないんだけど」
肩紐を指で弄びながらロボは耳元で囁く。
「ニコはどうして欲しい?俺どうしたらいい?」
また言わなきゃダメ?
「……して」
「何を?」
「もーやだ!しらないっ」
恥かしくてまた泣きそうになったあたしに
「ニコ可愛いんだもん。苛めてゴメンね」
って長いキスをして、ロボは透けたブラの上から既に反応している乳首を摘んで
離さない。
「んっ」
「生で見るより、えっちだなあ〜」
生地ごとそこを口に含まれて、不思議な感触に気が遠くなる。
そのまま右手が下へ伸びてゆくと、またレースの感触ごとロボの指の動きに
声を我慢出来ずにのけ反ってしまう。
「やあぁーーっ……あ、あっ」
薄い生地ごしに滑る指を直に感じたくて、何度も目で訴える。
「何?ちゃんと言ってごらん」
絶対わかってるよ。なのに、ロボの意地悪!
押寄せて来る快感に流されながら耐えていたら、ロボが急に動きを止めた。
「な、何?」
「ニコ、ごめん!」
ガッとブラに手を掛けホックを外すと、ショーツの紐に手を伸ばした。
「せっかくだからもう少しこのままにしときたかったけど、俺もう限界だよ〜。
やっぱり生で触りたいぃ」
言うが早いか片側の紐を解いてそのままそれをめくられた。
「これ、結構便利かも」
ろくに脱がされずにそこに顔を埋められて、あたしの羞恥心はこれ以上ない位
跳ね上がってしまった。
「やだ……あたしもうダメ、いやぁ」
「ダメ!今日はまだ許さないんだから」
もう後はどうなったんだか、何をされたのかろくに覚えていない。
ただロボの温もりだけがいつまでも残っていた。
余韻が残る中、しばらくあたし達は少し汗ばんだ身体を抱き合って過ごした。
「ロボ、あたしね」
「うん?」
「ロボが最初の人で良かったって思ってるんだ」
嬉しそうに笑って頭を撫でながらロボも答えた。
「俺もニコが最初で最後だから」
優しい声に浸りながら夢うつつにいたあたしはふっと我に返った。
「嘘だあ!?まさかー……だってあの時」
「やっぱりそう思うよね?だけど本当なんだよね」
あたしに気を遣ってるんじゃないかと思ってそう言ったけど、ロボは首を横に
振った。
「一緒に暮らしたのは数日間だったし、機会がなかったわけじゃないけど何か
あの時の俺は自分の気持ちをどうにかするのに必死で、とてもそんな余裕なんか
なかったんだ。いつもどこかでやって来る終りが見え隠れしていて不安だった」
あたしの頬を撫でながら瞼にキスを落とす。
「ニコと1度別れてまた再会した時は、まさかこんなふうになるなんて思っても
みなかったけど、あの頃から変らない部分と変った所のどちらのニコももっと
知りたくなって」
あたしは耳を傾けながらロボにぎゅっとしがみついた。
「全てを知ってもまだ足りない気がして、気が付いたら求めてばっかりいたから
……いや、知りたてでついってのもあるんだけどね」
「スケベだもんね」
「それを言うなって〜……でも安心し過ぎて寂しい思いさせちゃったんだね。
……今度からニコさえ良かったらいつでも襲って貰ってい〜からね♪」
「ばっ!バカ!」
まるであたしが盛りのついた猫みたいじゃん。
「ねえロボ、会いたいとは思わないの?」
「ん〜、思わないかなあ。会ってもどうにもならないしそれに」
ロボは体を起こして少しカーテンを開ける。
「一生に一度だけ、すれ違う事の出来た星だったんだ。だからもう会う事はないと
思う。それでいいんだよ」
あたしはロボの話を聞きながら昨日見つけた物を思い出していた。
爪切りを借りようとして開けた引出しに、片方の破かれたロボの写真を見つけて
しまった。切ない想いの詰った表情に、あたしは知らぬ間にきっと嫉妬していたのだ。
もちろんロボは何の意図もなく残してあったのだろうけど。
「暑いね。少し窓開けるよ」
ロボがそう言って部屋に風を入れた時だった。
ヒュン!と音がして何かがロボの髪をかすめたかと思うと、タン!と後方で
何かが刺さった。
「ひゃあああっ!?」
間一髪。ロボは悲鳴を上げてあたしにしがみついた。
「わっ、重いっ!ちょっとどいてよ!!」
側のタオルケットを掴んで身体を包んで音のした場所を探すと、棚に刺さった
見覚えのあるものが。
「ニコ!もしかして……出動?」
「……弓矢はやめてって言ったのに」
ロボが抜き取ったそれを眺めながら、あたし達は溜息とも安堵の息ともつかない
ものをついた。
「仕方ない。後で行ってみよっか?」
「そうだね〜。でもその前にニコ」
ヒラヒラとレースの布を手渡しながら
「もう1回だけ。脱がしてみたいんだけど〜……ダメ?」
「え、ええーー?」
効果ありすぎ。
ぬるま湯の様な毎日が、1本の矢によってまた変わろうとしている。
2度と戻らないと思っていた流れ星は、彗星のようにまたあたし達の前に
帰って来た。
「脱ぐために着るなんて意味ないじゃん!」
「それがいいんだって〜。お願いっ」
返事をする前に窓を閉められた。
この分じゃ当分退屈する事はなさそうだ。
*******終
書き手の勝手な想像が入ってますが、そこは適当に流して下さい。最初に書くの忘れたorz
>>370 GJ!です。エッチな下着が(・∀・)イイ!!
最終回を見た時は、寂しくて切なくて、
置いてきぼりみたいな星を見るロボが可哀想で、
声をかけたくてもかけられないニコが可哀想で、
こんな形で終わってしまったセクロボという物語をどう考えていいのかわからなくなって
何日も眠れなかったけど、
こことか難民でSSをたくさん読んでるうちに
ロボとニコは新しく出会うために、一回離れただけだと
無理な願望ではなく、素直にそう思えるようになった。
もう、自分の中では普通にニコとロボは再会して新しい絆を作っています。
職人様達本当にありがとうございます。
たかがドラマなのに、自分でびっくりするような落ち込みようだったので
本当に救われました。
>>386 そうですね。あの終わり方だったからこそ、自分は妄想話を投下しているんでしょうね。
エロなし。タイトル「こんにちわ」。
----------------------------------------------------------------
「暗い。なんか浮いている。」
私は目が覚めた。しかし、あたりは暗くて何も見えない。
それに水の中に浮いている感じがする。
でも苦しくない。むしろ心地よい。
『私どうしちゃったんだろう?』
直ぐ近くで女性の声がした。私に話しかけているよう。
でも話している内容までは分からない。
音だけがする。
その音は喜怒哀楽に富んでいた。
そして常に私に安心感を与えてくれてる。
時々男性の声も聞こえる。
勿論話している内容まで分からない。
その男性の声がする時、あの女性の心は躍っているよう。
時々その男性を叱ってることもある。
でも、その男性をとても慈しんでいることが私には分かる。
その男性も時々私に話しかけてくる。
私は見えない壁を手と足で叩いて私の居場所を知らせる。
『気が付いて、私に。』
その様な状況が暫く続き私は不安になった。
『いつまでここに居るんだろう?』
そんなことを思うようになった頃、突然私は押された。
ズンズン体が押される。
そして細いチューブみたいな物に頭から押し込められた。
『く、苦しい!』
でも後戻りできなかった。
とにかく前へ前へと押される。
私は苦しみながらその狭いチューブの中を前へと進んだ。
『た、助けて!』
少しして目の前に小さい白い光が見えた。
私はその光に向かって進んだ。
その光は段々大きくなってきた。
そしてその光が私の全身を包んだ時、私は安堵して大きい声で泣いた。
ひたすら泣いた。
『私は生きてる!』
そして、いつの間にか寝てしまった。
どのくらい眠ったのだろう。
次に目を覚ました時、私はベッドの上にいた。
ぼんやりだったけど二人の顔が私を覗き込んでいた。
『あの声の女性と男性だ。』
二人は同時に私に話しかけた。
「こんにちわ!幸子!」
終
>>388 スレの容量は500KBだよ。
現在443KB
つまりまだまだ余裕。
>>379セクシー下着のニコと二回戦のおねだりをするロボがいい!GJです!
まだこっちで大丈夫そうなので自分も
>>299の後日談として投下します。
エロなしです。よろしくお願いします。
※※※※※※※※※※※※それは一海ちゃんのこんな一言から始まった。
「ねぇニコ、あんたの彼氏昨日合コンしてたわよ。」
気付けばあたしの足はロボの家へと向かっていた。
頭に血が上りすぎてあのあと一海ちゃんとどんな会話をしたかよく覚えてないけど
とにかく昨日居酒屋で合コンをしているロボを見かけたらしい。
一海ちゃんはボーイフレンドと一緒だったからロボに声をかけたりしなかったけど
男女5人ずつでテーブルをはさみ、明らかに合コンだったと言っていた。
別にただの合コンだったらあたしも少しは目をつぶる。
でも昨日はオタク仲間の会合があるからどうしても会えないって言ってたじゃん。
嘘つくなんてひどい。許せない。
ロボの家に着くなり、あたしはノックもせずに玄関をバタンと勢い良く開けた。
「うわぁ〜、びっくりしたぁ〜!ちょっとニコぉ、どうしたの〜?」
机に向かってステテコ姿でロボットをいじっていたロボが驚いた表情でこっちを見ている。
言いたい事がいっぱいあるのに胸がつまって言葉が出ない。
すると言葉の代わりに涙がぼろぼろと溢れてきた。
「ちょっといきなりどうしたの〜?!俺なんか悪い事でもした?!」
「ロボのばかっ!嘘つきっ!女の子だったら誰でもいいんだっ?!
あたし、あたし、ロボだったからこの間…」
そう言いながら、初めてロボと結ばれた日の事を思い出していた。
「えっ?女の子って…、あっ!ま、まさか昨日の合コ…ぁっ!」
慌ててロボは自分の口を押さえた。
「もういい!!」
それ以上聞きたくなくてロボの家を飛び出した。
やっぱりそうなんだ。
一海ちゃんの見間違いかもなんて淡い期待を抱いてたあたしがバカだった。
ロボはあたしを追い掛けようとアパートの外まで飛び出してきたけど
ステテコ姿の自分に向けられた近所の人たちの視線に気付いて
結局追い掛けては来なかった。
「ニコォ〜、ちょっと待ってよぉ〜…。」
遠くの方でロボの声が聞こえたけど、あたしは振り向きもせず
泣きながら家まで走って帰った。
それから一週間、ロボと一切連絡を取らなかった。
かかってくる電話にも出なかったし、家に来ても居留守を使ったりした。
さすがにうちの家族も心配したみたいで、
「ニコ、男なんて合コンの一つや二つ、行くものよ。」なんて一海ちゃんはフォローしてたけど
あたしは合コンなんて事より嘘をつかれた事がショックだった。
まぁ今思えばちょっとの言い訳くらいさせてあげれば良かったかなと思うけど
あの時は怒りと悔しさと悲しさと色んな感情が混ざっていてそんな余裕なかった。
ちゃんとロボの話も聞けば良かったかな。
一週間も経てばさすがのあたしも怒りは多少治まっているけど
徹底的に無視してしまった手前、ロボと連絡を取るきっかけが分からなくなっていた。
あ〜、どんな顔してロボに会えばいいのか分からないよ。
それから数日後、あたしは思い切ってロボの家に行ってみる事にした。
行ってしまえばどうにかなると思っていたのかもしれない。
だけど。そこにロボの姿はなかった。
鍵がかかっていて中には入れなかったけど
玄関のガラス戸から見えた部屋の中の景色に見覚えがあった。
胸の奥がぎゅっと痛くなるようなこの感じ。
そう、ロボが昭子さんのところに行ってしまった時と同じ状況だった。
ロボの姿はなく、ロボットたちにはキレイに布がかけられていた。
電話も何度もかけてみたけど圏外だった。
それから毎日のように学校帰りにロボの家に行ったけど
あいかわらず帰った形跡もなく電話も一向につながらなかった。
ロボ、一体どこに行っちゃったの?
あたしがあんまり意地張りすぎて嫌いになっちゃった?
誰か違う人のところへ行っちゃったの?
一方的に怒ってしまったけど、本当は何か理由があったのかな…。
やっぱりロボともっとちゃんと話し合えば良かった。
ううん、ロボはきっとあたしと話そうとしてくれてた。
だからあんなに無視しても毎日会おうとしに来てくれてたんだよね。
なのにあたし最低だ…。
せっかくロボと再会する事ができたのに
こんなつまらない事でまた離れ離れになるなんてイヤだよ…。
ロボ、会いたいよ…。
ロボの家の玄関の前にしゃがみこんで泣きべそをかいていると
後ろから不意に誰かが話し掛けた。
「あれ?もしかしてニコちゃん…?」
振り返ると体格の良いメガネをかけた男の人が立っていた。
「一回この家で会った事あるけど覚えてないかな?
あ、それともケロ山って言ったら分かるかな?」
ケロ山さん…、そうか、思い出した。
お歯黒女を探す仕事を依頼された時
地蔵堂の社長に無理矢理持たされた100万円をどうしたらいいか分からなくて
とりあえずロボの家に行ったんだ。
その時確かにこの人に会ってる。
あれ?でも実家に帰っちゃったんだーって
ロボ寂しそうに言ってなかったっけ?
「この間はごめんねー、急に須藤借りちゃって。
久々に上京して張り切って合コンしようと思ってたら
どうしても男の人数が足りなくてね、
須藤はニコちゃんがいるから裏切るような事はできないって言ってたんだけど
結局無理矢理参加してもらっちゃったんだよね。」
「あ…そ、そうなんですか…。」
「でも安心してね。須藤のやつ、最初の自己紹介で
『俺には既に愛する人がいます!罪深い男ですみません!』
なんて宣言しやがって、浮気のうの字も見当たらないからさ。」
話を聞きながら涙がぼろぼろ零れた。
ロボが合コンに行った本当の理由に安心したのと
今すぐロボに会いたいという気持ちが押さえられなくなっていた。
その時。
「ちょっとちょっとお〜!
なんでうちのニコを泣かしてるのぉ〜!!」
大荷物を抱えたロボが立っていた。
「何言ってんだ。泣かせてるのはお前だろ。
あ、そうだ。俺な、もう実家に戻るから
それの挨拶しに来たんだ。楽しかったぜ。
また上京した時はよろしくな。それじゃ。」
そう言ってケロ山さんは帰って行った。
その後ろ姿に大きく手を振り、その姿が見えなくなるとロボはこっちに振り向いた。
「…さ、中に入ろ。」
部屋の中に入り、しばらくの沈黙の後ロボが口を開いた。
「ニコ…、本当にごめん!嘘ついて本当にごめんなさい!」
ロボは床に頭を擦りつけ土下座をしていた。
「…もぉっ!ずぅっとどこ行ってたのよっ!!
またいなくなっちゃったと思って…あたし、あたし…」
一旦止まっていた涙が堰を切ったように溢れだした。
あたしにとってロボがあたしの世界の中に存在するという事が
こんなにも何事にも代えがたい事だったんだと改めて思い知った。
ロボはあたしの怒りのポイントが自分の想像と違う事に戸惑っているようだった。
「ぇ…?あ…、うちのかぁちゃんがさ、地元でカン様ファンの支部長やっててさ…
この間年に一度の大きなオフ会があったみたいで
イベントの目玉でカン様のそっくりさんとしてお前も来い!って。
ほ、ほら、あのかぁちゃんだから断りようなくてさぁ…。
向こうからもニコに連絡しようと思ったけど
田舎すぎて圏外で…、って言い訳だよね。ごめん…。」
「…あたしも…、あたしもごめんね、ロボ。」
今度はあたしが謝る意味が分からずロボはきょとんとしていた。
「あたし…、ロボに言い訳させる隙も与えなかった。
ちゃんと話し合えばこんなに時間のかかる事じゃなかったのに。
それなのに勝手にロボのせいだって決め付けて
勝手にロボがまたいなくなっちゃったとか騒いで…。
あたしってサイテーだ…。」
泣きじゃくりながら話すあたしをロボがぎゅっと抱き締めた。
「そんなに自分を責めないの。ニコは最低なんかじゃないよ。
元はと言えば俺が全部悪いんだから。
いくら人数合わせの合コンだからってニコを心配させたくなくて
嘘をついた俺が全部悪いんだ。
ニコにそこまで思わせちゃって本当に反省してるよ…。
本当にごめんね…。」
あたしを抱くロボの腕に力が入り、
耳元で聞こえるロボの声が少し鼻声がかった気がした。
「もう絶対嘘はつかない。約束する。
…それから、この間ニコの事ずっと大切にするって言ったでしょ?覚えてる?」
ロボは腕を緩め、少し赤くなった鼻をすすりながら笑って言った。
覚えてるに決まってるよ。
初めてロボと結ばれた日の事はこれからも忘れない。
あたしはロボの目を見つめ黙って頷いた。
「もう何も心配しないで。ずーっとニコの傍にいるからさ。」
暖かい胸の中に包まれながらあたしはこんな事を考えていた。
この広い世界の中、たくさんの人たちがいる中
どうしてあたしはロボと出会ってしまったんだろう。
ロボじゃない誰かとだったら、こんなにも胸が締め付けられる事もなかったんじゃないか。
平凡な毎日もこんなに今ほど輝いて見えなかったかもしれない。
ちょっとした奇跡の積み重ねであたしたちは出会ってしまった。
運命なんていうと大げさかもしれないけど
この奇跡のような運命に身を委ねよう。
あたしはずっとロボについていく。
うぅん、何度離れたって絶対にまた巡り合うんだ。
そんな勝手な事を思いながらロボの胸に顔をうずめて
ロボがここにいるだけで今のあたしは幸せだと感じていた。
勘違いニコが可愛らしいですね。ほのぼのしました。GJ!
可愛いお話GJです!
うちのニコって言い方いいな〜
ケロ山いいねー。GJ!
ニコロボはきっと、周りから応援&祝福されて幸せになりそうなほのぼのカップルに
なるんだろうなー。
397 :
名無しさん@ピンキー:2007/08/27(月) 23:34:45 ID:2o7FrnJ1
保守
名梨の休日 1/3
エロなし・恋なし、ごめんなさい。
時期はニコとロボ(今回この二人は脇役)が三年後に再会し、その数ヶ月後と言う事で。
「社長、そろそろ(お店)閉めますか?」
「そうね、よっちゃん」
「はーい」
「ごくろうさま、あっそうだ!よっちゃん あなた休み欲しくない?明日お休みにしてあげるわ」
「突然なんですか?いいですよ社長、休みなんか。
第一、社長の食事の用意とかどうするんですか?」
「あらぁ、よっちゃん私だって料理くらいできるのよ。
それに近頃はコンビニなんて便利な物もあるのよ」
「うわっ、社長がコンビニに・・・似合わね〜」
「とにかく明日、お休みにしてあげる。
どうせヒマなんだから、プロフェッシナルに遊んできなさい」
「そうですかー?それならお言葉に甘えて」
地蔵堂の戸締りを住ませ二階の自室に戻りベッドに横たわり天井をながめる、よっちゃん。
「休みつってもよー何すりゃいいんだ?やりたい事も特にないし、行きてートコも・・・。
あぁ!(部屋の中のあるモノに目が止まり)忘れてたよ、どうなったかな〜
よし!あそこ行ってみよっ!元気にしてんのかな?
そうと決まればっ準備準備!」
朝、身支度をすませ出発の挨拶をしに社長のデスクの前に立つよっちゃん。
「えっと、昼食はテーブルの上に夜はカレーを作ったんで温めて食べてください」
社長は書き物をしていた手を休め、よっちゃんの格好を見て。
「!、そう あそこ行くの?なつかしいわね。
遊びとは言えないけど、なかなかいいんじゃない」
「それじゃ、社長いってきます」
「いってらっしゃい」
つづく
つづき 2/3
バイクに跨り、住みなれた町・馴染みのない町・バイクの排気音がやたらとうるさく感じる風景を通り過ぎ、
そのもう少し向こうの懐かしい町の一軒のお店(工房)にバイクを停めた。
「変わってねーな、 うへっ 髪ペッチャンコだ!」
カラン、コロン
「いらっしゃいませ〜」(ちらっとこちらを見て忙しそうに動き回る店員たち)
「(記憶の中の店内と比べながら歩き回り)色んなのがあんだな〜 お!これ涼しそうじゃん」
「メッシュをお探しですか?」(不意に話かけられビックリする自分に休日を実感する)
「いや、久しぶりに来てね!革ジャンっていろんなのあんだな〜って」
「お客さまのシングル(革ジャン)、古そうですねー、
すごく大事に着てもっらてて、ここにいる革ジャン達がうらやましがってますよ」
「そんなコトないよっ ただ飽きないから着てるだけですよ」
(大事にしている革ジャンを女性店員にほめられ舞い上がる)
「あぁ ほんとだ、いい感じに馴染んでますね」
(店長らしき人物が二人のやりとりを耳にして作業を中断し、たまらず会話に入ってきた)
「あれ?これ、おやじがつくったヤツにそっくりだな」
「・・・」
「お客さん、ひょっとして?間違ってたら御免なさい、名梨さんですか?」
「え?なんでオレの名前を?」
「あぁ!やっぱり、僕ですよ!広(ひろし)、この工房(革ジャン工房)でウロチョロしてた中学生の広ですよ!」
「あぁ!おやじさんの息子の、ぜんぜんわかんなかった!広かぁ」
「名梨さんこそヒゲ伸ばしてて、いやー懐かしいなぁ」
「え?今、お前が店長やってんの?で、おやじさん元気か?今も革ジャン作ってんのか?」
「僕も作るには作るんですが、最近は経営の方がメインで。
おやじも三年前に職人を引退して、そしたら気が抜けちゃったのか一年もしないうちにポックリと」
「そっか、おやじさん亡くなったのか。残念だな、社長もさみしがるよ」
「社長って?」
「オレの師匠の真境名マキ、マキナのおばちゃんだよ!」
「あ〜、おばちゃんって言ったらブッ飛ばされて強烈でしたよ。
マキナさんはまだ現役でご活躍されてますか?」
「おぉ!そりゃぁピンピン、ガミガミこき使われてるよ!ははははっ」
「ははははっなつかしいな〜、あ!そうだ是非、僕に名梨さんの革ジャン作らせてください!」
「ん?あぁいいよ!今日はそのつもりで来たんだし」
「それじゃ!早速デザインと採寸を!」
思い出話で盛り上がり、時より大きな笑い声にあふれた店内で採寸とデザインを決め、
帰り支度を終えてバイクに跨りエンジンをかけ。
つづく
つづき 3/3
「そんなしょっちゅう来れねーから、これ(封筒)先に」
「なんですか?」
「30万くらいで足りるか?」
「・・・名梨さん、本気で言ってるんですか?おやじがここにいたら殴ってますよ!
おやじが、もちろん僕も、どれだけ感謝してるか!
恩を返しをしたくてもマキナさんも名梨さんも、何処にいるのか分からないし。
だからここでずっと来てくれるのを待って革ジャンを作ってたんです。
僕はあの時、子供で何にも知らなかった!
後からおやじに聞かされて、
今の僕たちが在るのはマキナさん!名梨さん!あなたたちのおかげだと!
僕にあの時のお礼をさせてくださいよ!
今度は僕の作った革ジャンで、名梨さん!」
「そっかごめん、これは忘れてくれ!わるかったな広」
「いえ、革ジャンくらいでしかお礼できませんが」
「革ジャン屋が何言ってんだよ!最高じゃねーかよ!ありがとな。
それじゃ、寸方チェックとかあったらまた電話してくれよな?いつ来れるかわかんねーけど」
「僕が地蔵堂?へ伺います、マキナさんにも会いたいし。
おぉ!そりゃいいな!じゃっ待ってるからな またな!」
「ありがとうございました、それではまたぁ!」
バイクが去り、よっちゃんの消えた方向を見つめる広に女性店員が近寄り。
「あの人が名梨さんだったのね。
名梨さんが着てた革ジャン、お義父さんが作った物だったんだ」
「あぁ、
おやじは昔、マキナさんと同じ組織にいてね、仲間だったんだ。
でも母さんやオレたちを危険な事に巻き込みたくないのと、
大好きだった革ジャン屋を本業にしたくて組織を止めると決めて・・・
その時、マキナさんがいろんな人に頭を下げ、体を張って俺たちとこの工房を守ってくれたんだ。
名梨さんは、まだスパイの見習いでマキナさんの弟子だったんだ。
オレはそんなの知らなくてさっ、おもしろい兄ちゃんが来て遊んで、」
「兄ちゃんが来て遊んでくれた。何回も聞いたわよ、覚えちゃった」
「これはオレたち家族の歴史なんだ、子供ができたら話して聞かせるし、忘れちゃいけない」
「そうね、この子にも早く聞かせてあげたいわ」(お腹に手を当て)
「え?もしかして・・・」
帰って来たよっちゃんはバイクをねぎらう様にピカピカに磨き上げ、地蔵堂へ。
「ただいま戻りました〜、あれ?何で社長、そんなモン(カップラーメン)食べてるんですか?
カレーあったでしょ?」
「あぁ〜あれね、夕方、ニコとロボが来て全部食べちゃった」
「あいつら〜」
「見てたら、どんどん食べちゃうの。
何だか最近、ニコもロボに似てきたんじゃない?おいしそうに食べてたわよ〜」
「何か作りますよ」
「いいわよ、ニコとロボにコンビニ連れて行ってもらってこれ(カップラーメン)買って食べたから。
楽しいのねーコンビニって、また行こうかしら。
何やってるの?休みは明日の朝までよ!ボヤボヤしてていいの?」
「わかりましたっ!遊びにいってきます」
再び、地蔵堂の外へ飛び出していくよっちゃん。
「いい顔になってきたわ!あっという間ね、人の成長なんて」
おわり
GJ!
二話の革ジャン談義に
こんないい話があったと思うと見る目がかわるなー
よっちゃんといえば革ジャン
革ジャンといえばよっちゃんw GJっす!
GJ!
よっちゃんはいいなあ。
ハートフルで和む〜
GJ!
広ってピヨ吉かと思ってしまった‥!
よっちゃん、良いキャラだなぁ!
マキマキ昔から素敵だな!尊敬!
405 :
彩り 1/3:2007/08/30(木) 10:33:03 ID:JfLeDHTN
スレ埋めに駄文ではありますがコソーリ投下。エロ無しです。
∞∞∞∞∞
あーつまらない。味気ない。
仕事から帰って、食事してロボットアニメ観て。
いつもと変わらないのに何かが足りない。
まあ、それが何かは
「わかってんだけどさー。なあ、マックス」
ニコは昨日から修学旅行に行った。
お土産買ってくるからねーって笑顔で。
修学旅行って俺にとっては懐かしい響き。
でもニコにとっては今あたりまえのように過ごす高校生活のひとつ。
「10歳も違うんだからなぁ、俺とニコ」
ニコと再会してまた、つるむようになって
でも以前とは違う少し華やいだ気持ちが自分のなかに生まれてきていた。
別に毎日会っていたわけでもないし、何日かしたら
帰って来るんだけどニコがいないと落ち着かない。
電話してみようかなぁって携帯を握りしめてみる。
「いや昨日もしたし、迷惑だよな……」
ただニコの声が聞きたいんだ。
ニコ。
少しは俺のこと思い出してくれてる?
言ってみようかな『好きだよ』って。
ヤバイかなぁ、それって。ニコが困る?
でもさぁ、なんとなく…なんとなくなんだけどニコも俺と同じ
気持ちなんじゃないのかなぁって。
ロボットだけの世界にニコが入ってきてそれが当たり前のようになってて。
だからそこにニコがいないととたんに景色が変わってしまう。
「あーっ!ロボのお土産、間違えて社長とよっちゃんに渡してきちゃった」
「俺の土産を?」
「うん、奮発して他の人より高いやつ買ってきたのに!失敗した〜。ゴメンね」
申し訳なさそうにニコは言った。
いいんだよ。 そんなこと。
ニコの顔が見れたんだから。
ニコの存在に彩られる俺がいる。
406 :
彩り 2/3:2007/08/30(木) 10:35:45 ID:JfLeDHTN
ロボがおかしい。
おかしいのは今に始まったことじゃないけど。
帰ってきてから一緒にいるとロボの視線をやけに感じる。
それに気付いてロボのほうを見るとニッコリ微笑む。
それがとびっきりの笑顔だからこっちもうれしいんだけどさっ。
会えなかった間、毎日電話をくれた。ちょっとびっくりしたけど。
ホントはあたしもロボの声が聞きたくて電話したかったけど
なんだか気恥ずかしくってメールだけいれてた。
ロボ。
もしかして、あたしがいなくて寂しかった?
あたしに会いたかった?
あたしが『好き』って言ったら、ロボどうするかなぁ。
人を好きになるとなんでこんなに欲張りになってくるんだろう。
また出会えて傍にいられることがうれしかったのに今度はその人の気持ちが欲しくなる。
あたしだけを見ててほしい。 ロボの色に染まりたいって。
「ねえ、ロボ。またロボット増えてるよねぇ……?」
「あっ、わかった!?」
そりゃあ、ロボん家入り浸ってんだから、わかるよ。
「で、ロボットアニメも飽きずに観てるわけか」
「えーっ、飽きるわけないじゃん!おもしろいのに」
「おかげであたしも、ロボットに詳しくなったよ。
マックスロボ以外のロボットアニメの歌覚えちゃったし」
うんうん、いい傾向だなんて言ってロボは頷いている。
これってロボの色に染まるっていうより
ロボの好きなもの(ロボット)に染まってる感じ?
「アハハッ」
あたしはなんだかおかしくなって笑ってしまった。
「どうしたの、ニコ?」
急にあたしが笑いだしたのでロボは面くらったみたいだった。
「ううん、なんでもない」
「ふーん。 あっ、そうだニコ。今度の日曜日、公園行かない?
バージョンアップした萌えモン、ニコに見せてあげたいから」
「うん、いーよ」
ロボは楽しそうだ。
今はそれもひとつの幸せかな。
ロボと同じものを見て、感じて傍にいる幸せ。
いつかロボにもあたしを感じてあたしの色に少しでも染まってくれたらうれしいなって思った。
407 :
彩り 3/3:2007/08/30(木) 10:39:02 ID:JfLeDHTN
日曜日。朝からの曇り空が本降りになってしまった。
ニコは窓から外を見ていた。
「残念だなぁ……(デート気分だったのに)」
いつもと同じロボの部屋にふたりはいた。
「ん、これうまい!」
ニコが作ってきたお弁当をロボは口に運び言った。
「ありがと。でも、ロボのほうがうまいじゃん、料理。今度はロボが作って」
「えーっ、やだ。俺、ニコが作ったのが食べたい!ニコのがいい!」
真面目な顔で言われ、ニコはうれしく思いつつも
「そ、そんなに言うんだったら作ってやってもいいけどっ」
照れ隠しにぶっきらぼうに答えた。
顔が熱い。こんなことぐらいで反応しちゃダメだよ〜あたし。
そんなニコを楽しそうにロボは見つめていた。
「俺ねぇ、今すっごい幸せなんだ」
「えっ」
その言葉に彼のほうへ視線を向ける。
「ロボット達がいて、ニコがいて……大切なものと一緒にいることが」
「ロボ……」
「もう、誰も置いて行ったりしない」
ロボへの想いで胸が熱くなる。
「あたし、ずっとロボの傍にいていいの……?」
「うん。いて。いてくれなきゃ困る」
まっすぐにニコを見つめる。
「ニコがいないと俺のまわりの景色が変わる。
これからすべて真っ白な状態からいろんな色をつけて行こう。
楽しいことも悲しいことも俺と一緒に」
「あたし、あたしも……」
胸が一杯でうまく言えない。
心配そうにロボが覗き込む。
「あたし、もうロボの傍を離れない」
想いがこみあげてくる。
「あれーもしかしてニコ、泣いてるー??」
「バ、バッカじゃないの!違うわよっ。ちょっと目にゴミが入ったの!」
とそっぽ向く。
ロボはふーんといった感じでニヤニヤしながらニコを見つめている。
「もーホントにニコは…可愛いんだから〜」
ニコを引き寄せ抱き締めた
「えっ、ちょっ、ロボ!?」
突然のことに驚いたニコだったがそのままロボの熱い鼓動を心地よく感じていた。
「ニコが好きだよ」
「あたしもロボが好き」
∞∞∞∞∞
終わり
の、覗いて良かった……(ノД<)ぐ、GJ!
ツンデレニコがカワユス
ツンデレニコは萌えるなー
ロボも可愛いくてしかたないでしょ
GJでした!
>>405-
>>407 GJ!
ニコがツンデレじゃなくてめちゃめちゃ
甘えまくったらロボどうするんだろうな〜w
>>379で一旦切るつもりでしたがまだ大丈夫そうなんで1作品投下させて下さい。潜入編プラスキスごく微エロです。
*******
地蔵堂に社長達が帰って来てから2ヶ月が経とうとしている。
ニコは夏休みに入ってからロボの部屋か地蔵堂の店番をしながら勉強している
日が多くなった。
「遊ぶのにもそろそろ飽きちゃったのー」
なんてワガママな社長に付き合って、再びよっちゃんこと名梨もスパイ稼業に
逆戻りだ。
「ねえあなた達、そろそろ仕事引き受けて貰っていいかしら?」
8月の初めのある日、2人は真木名に呼ばれて依頼主に引き合わされた。
真木名の古くからの友人であるという初老の男性と、20代半ばの女性。
「今度こちらのお嬢さんが結婚なさるの」
「ええっ!いいなあ〜」
「おめでとうございます」
しかし当の本人は浮かない顔で俯いている。2人はまるで葬式に晴れ着で来て
しまったような気まずい雰囲気になった。
「それがねえ、あんまりおめでたくないのよねぇ」
「何がですか?」
ニコの質問に答えるよりも、地蔵堂社長としてはビジネスの方が優先らしい。
「この結婚、ぶち壊して欲しいのよ」
2人は思わず顔を見合わせた。
「私好きな人がいるんです。だから本当はこんな結婚嫌なんです!」
彼女には20近く年上の、それも父親の部下である恋人がいるのだという。
「年老いて出来た娘をなんであんな年上の男にと思ったが、奴のような野郎の
バカ息子に渡す位なら。娘に好きにさせてやりたいんですよ」
男性は裏の世界じゃ知る人ぞ知る人間で、その名を聞けば震え上がるほどの
最高の組織のトップであるらしい。
「でも、あなた程の方ならそんな事簡単にできるんじゃないんですか?」
ニコがそう言うと男性は
「昔の話だよ」
と自嘲気味に笑って溜息をついた。
「ある幹部の不始末で大損食っちまって、その穴埋めのために金と力を奴に借りた
のが全ての間違いだった。奴が欲しいのは今は名ばかりとは言えこの組織の
器と長年やってきたお陰で培った裏の人脈……まあ、腐っても鯛といった所か」
ニコはあまりの重そうな話にその場からサッサと逃げ出してしまいたかった。
だけど哀しそうな彼女を見てると何だかこっちまで切なくなってきてしまう。
「ようするに、お嬢さんも弱みの1つってわけですね?」
ニコが聞くと父娘は黙って頷いた。
「好きな人とは一緒になりたいもんね……あ、その顔は!ニコやるの?」
「だって、その人と結婚したいんでしょ?あたしだってわかるよ。そんな気持ち」
そう言うとロボは黙って微笑んで、テーブルの下でそっとニコに自分の手を重ねた。
「じゃあやるのね?そうと決まれば……よっちゃん!」
「はい社長。おう、ニコこれ目通しとけ」
名梨が数枚の書類を渡した。
「お嬢さんのプロフィールだ。頭に叩き込んどけ」
書類に目を落としてみる。
『佐蔵聖子・24歳』
他は趣味や出身校まであらゆる情報が書かれてあった。
「せいこさん、ですか?」
一応確認しておこう。
「いえ、しょうこ、と読むんです」
少しだけ、懐かしい響きにニコの胸がちくんとした気がした。
「で、何のためにこれをニコが?」
真木名はロボを見て意地悪な笑いを浮かべた。
「代わりにニコに結婚して貰うのよ」
「冗談じゃないよお〜〜っ!!何で俺以外の男にやんなきゃなんないんだあぁ!」
部屋に帰ると名梨からの指示で作業をしながら、ロボは悔し泣きに涙を
拭っていた。まあよく涙が出る男だとニコは思う。
「仕事だよ。お芝居なんだから!」
「だって、もし間に合わなかったら?」
「そうならないように、ロボとよっちゃんがいるんだよ」
その計画とは、式の直前にニコと花嫁が擦り替わり彼女を逃がす。
ニコが顔を隠して式に出席し、そこでロボと名梨が騒ぎを起こしてその隙に
逃げることになっている。
「リハーサルだと思えばいいじゃん」
誰かを幸せにするために手を貸してあげられるのなら、そしてそれを自分が
できるのなら。
「ねえロボ。これはあたし達にしか出来ない事なんだよ?あの人達を救えるのは
宇宙でロボとあたしだけなんだから!ね?」
「……宇宙とか言われたら、ときめくじゃないかもう!」
ぐっと顔を突き出して、
「ニコにもね」
「なんか火薬臭いってば」
そんなの気にしない、ってキスをせがむロボの鼻をニコは思いっきり摘んでやった。
いよいよ当日、朝早くから遠出してニコは眠くてたまらない。
「ふあー」
「花嫁が緊張感ねえなあ。色気もねえけど」
「ほっといて!」
だが名梨にからかわれたお陰ですっかり緊張が解けてしまった。本当は夕べ、
まともに眠れやしなかったんだから。
「それにしても随分遠くまで来ちゃったね〜。ちょっと走れば伊豆じゃない?」
多分あの日の事を思い出してるんだろうロボと目が合って、ニコは思わず微笑んだ。
「あのー取り込み中すんませんがねえ、着替えて貰えますう?」
名梨のツッコミに慌てて衣装箱を出す。
とりあえずトイレを探そう。
控え室の階を行き交う人に紛れて歩いているうちに、ある部屋の前で足を止めた。
『……だからさ、もうちょっとの辛抱だからよ。俺がお前以外の女と本気で
一緒になるわけないだろう?』
誰かと電話で話しているようだが、他に人がいなさそうな所をみると聞かれる
とヤバい話らしい。
何気に控え室の名前を見、ニコの何かがプチっと切れた。
「まあ、綺麗な花嫁さんですこと」
控え室では俯いたままひたすら祈るようにしている花嫁と、苦虫を噛み潰した
顔の父という、とても晴れの日とは言い難い雰囲気に包まれていた。
そこへ1発の爆音が響いた。
『従業員は直ちに安全の確認を!お客様は部屋から出ないで下さーい』
その声にその場にいた従業員は慌てて部屋から出て行った。
「一体何を……?」
呆然とする父娘の元へ若い女性従業員がやって来てドアを閉めた。
『早く!聖子さん、あたしと服換えてください』
「えっ?あ、あなた……」
その若い女は笑いながら言った。
「さっきの声はあたしです」
父娘は顔を見合わせた。
「これがあたしの特技なんです」
その頃エレベーター前には
「危険だから停止中!階段を使って下さ〜い」
と作業着姿の背の高い男、箱の中では
「おい、ちゃんと一気に1階まで動かしてくれよー?」
と髭面の男が待機していた。
** 数分後 **
「お騒がせしました。大した事はなさそうですので……では、参りましょうか」
『はい、行きましょうお父さん』
父に手を差し出すと、ヴェールの下で花嫁は小さく微笑んだ。
ヴァージンロードを歩きながらこっそり辺りを見回す。
参列客の中に長身と髭面の2人を確認すると、慣れない足下に神経を集中させる。
大丈夫、うまくいく。
誓いの言葉に反吐が出そうになりながらも、花嫁は
『誓います』
と精一杯の宣誓をする。
横に立つだらしない顔の小太りの花婿を、ムカつく気持ちを抑えながらこっそり
と睨み付ける。
「(誰がお前なんかと……)」
いよいよその時が来てしまった。
「では、誓いのくちづけを」
嘘の誓いを立てた花婿の手がヴェールに伸びようとしている。
今だ!
「あれ……?」
うっそーー!話が違うじゃん!!
ヴェールの下のニコの額に汗が滲んだ。
ロボは慌てて隣りにいる名梨の肩を掴んで小声で揺さぶった。
「ちょっと、どういう事よ?話が違うじゃん!!」
「何だよ、作ったのお前だろうが!?おっかしいなリモコン効かねぇ……」
ポケットから取り出す。
「あ、ほら俺慌てん坊さんだからさ」
「バッ、バッカじゃないのおぉ〜〜!?」
和紙に包まれた紅白饅頭は名梨の手汗でヤワヤワである。
「うわあぁ〜、ニコ、ニコが」
その時名梨がロボの手に何かを握らせた。
「何コレ?」
それは小振りのナイフ。
「いいかよく聞け。今からお前はニコの脇腹の薔薇を目掛けてこれを刺せ。その
騒ぎに紛れて俺は親父さんを逃がすから」
何を言い出すんだと耳を疑った。俺にニコを殺せと言うのか?
「よっちゃん!何考えてんの?」
「いいから言う通りにしろ!いいか、刺して倒れたらニコを抱えてそのまま
車で逃げるんだ。いいな?」
「そんな」
「見ろよ」
促された目線の先には必死でヴェールを上げられまいと、慣れないドレスで
体を捩らせるニコの姿があった。
「迷ってる場合か?」
握り締めたナイフが汗で滑り落ちそうになる。
もう限界だ。これ以上時間は稼げない。参列客もざわつき始め、誓いを挙げた
夫(ゲッ!)は完全に苛立っていた。
その時
「どけぇーーーーっ !」
とその手に何かを光らせて走り迫る者がいた。
花嫁はその前に身体を翻すと、男にしがみつきながらその場に倒れた。
ドレスの脇腹の白薔薇の飾りが紅く染まりゆくと、周囲から悲鳴が挙がった。
「ど、どけ、誰も近寄らないで……くれ」
顔面蒼白のままの男は花嫁を肩に担ぐと、ナイフをかざしながら出口へ向かう。
「に、逃がすな!」
新郎側の席からいかつい男達が数人立ち上がる。
「おっとお、そうはさせるかってーの!」
別の男が花嫁の父の側に駆け寄りながら
「これでも食らえ!」
と何かをそっちへ向けて投げ付けた。
「うわあ、何だ!?」
「ガスか?」
式場は一瞬にしてパニックに陥った。
「ただの煙幕だっつーの!」
混乱の中、花嫁とその父は姿を消した。
暗くなり始めた空の下ひたすら車は走り続け、やがて静かに停まった。
運転していた男は、助手席に眠る真紅に染まったウエディングドレスの花嫁を
そっと抱き寄せると号泣し始めた。
「ニコ……ニコぉ、俺はっ……ニコが死んだら生きて行けないよ」
「それ本当?」
「うん……えっ?」
顔を上げると
「あー疲れた!死ぬかと思った」
とヴェールをむしり取るニコがいた。
「で、で、出たあ〜〜〜〜!?」
「ロボ、ちょっと、ねえってば」
大の男の物とは思えない悲鳴をあげて、狭い車の中で暴れまくるロボがいた。
「一体どういう事なのさ〜?」
ロボは、思いっきり『正気に戻れ!』とニコにひっぱたかれたのが相当痛むの
か、しきりに頬を撫でている。
「敵を欺くにはまず味方からって言うでしょ?」
つまりはこういう事だった。
式場ではニコが特技の声色を使って式の誓いを立てる。(顔はどうせ良く見え
ないし)
誓いのくちづけを合図に、名梨がリモコンで仕掛けてあった爆弾を使って
会場を混乱させる。その隙にニセ花嫁はロボと共に逃げ出す筈だった。
もし万が一失敗した時のための予備として、前日に名梨から言い渡されたのが
今回の作戦だった。
予めドレスの脇腹に仕込んであった血糊をロボが刺したというわけだ。
「花嫁がストーカーに刺されて死んだらしょうがないもんねー?」
「俺って……orz」
しょげ返ったロボが可愛く思えて、ニコは首に腕を回してキスをした。
「……俺のご機嫌取ってるのかな?」
「ううん、誓いのキスのやり直し」
しわくちゃのドレスのままで交わした2人だけの誓いのキスは、なかなか
途切れはしなかった。
【一方その頃】
「ったく冗談じゃねえぜ!……籍入れる前に死にやがって。佐蔵のじじいも
どこに行きやがったんだ?」
控え室では『ストーカーに花嫁を殺された哀れな花婿』が、イライラと煙草を
吹かしていた。
「くそう……パパに言われなきゃあんな女と結婚なんかしなかったんだ!くそう!」
ともかく腹は減った。テーブルの上に置いてある紅白饅頭に手を伸ばすと、何か
硬い物を掴んだ。
「あ?なんだこれ」
丁度掌に納まる丸くて黒いそれを何気に眺めると、ボタンがある。
人間という物はついこうせずにはいられない、という本能があるようで。
そのボタンをふとした魔がさしたその瞬間に指がつぶし、本来なら今頃披露宴
が行われる筈だった場所で爆音が響いた。
「つまりね、あの男にも恋人がいて、聖子さんに結婚後保険を掛けて殺した後、
その女とお金持って逃げるつもりだったんだよ」
「酷いね〜!」
彼女だって望まない結婚だったのに。ニコはそれを偶然聞いてしまって怒りに
震えていたのだ。
「だからよっちゃんに話して、小型カメラと盗聴機を頼んだの」
「いつの間に……てことは、そこに忘れて来たのかな〜?本当慌てん坊さん
なんだから!」
多分今頃父娘を恋人の待つ場所へ送りながら、派手にくしゃみをしているに
ちがいない、と2人は笑った。
「へーっくしょい!」
「大丈夫ですか?」
「まさか儂の身柄まで……聖子達だけは無事にと思ったが」
「よして下さいよ。俺は……俺達はプロフェッショナルですよ!それに社長命令
は絶対っすからね」
いつものテーマを口ずさみながら、車は夜道を走り続けた。
ドレスを着替えると車の外からロボが呼んでいる。
「なあに?」
「見てごらん」
見上げるとそこには綺麗な星空が広がっていた。
「わあー、こんなの初めてだ」
「今度は俺の田舎で見せてあげるよ」
「うん……」
草原の真ん中で、ロボが敷き物を広げた上に2人は寝転んでしばらく空を眺めた。
ふいに電話が鳴った。
「もしもし?」
『あなたはニコさんですね?』
この声。ニコは聞いた事がある、と思う。
「あの……どちら様ですか?」
いきなりの出来事に密かに胸が高まっていった。
『今彼女も会長も無事に着きました。ありがとうございます』
ああ、彼が恋人だったんだ。
「お幸せに」
そう告げるとロボにもよろしくと言って電話は切れた。
「何?」
「うん、あのね……」
昔ロボと成り行きで伊豆へ行った事があった。その時の間違い電話の主は、
またこうしてちょっとだけニコの人生に関わった。
「そっか、無事だったか。幸せになれたらいいねぇ」
「聖子さん達きっと幸せになれるよね?」
この空の下にいる、もう1人のあの人に想いを馳せる。
「大丈夫だよ。あの人はきっと自分で幸せを見つけられる人だから」
ニコは驚いてロボを見た。
「ニコの考える事位わかるよ。俺達は2人で幸せになろう」
満天の星空の下2人は抱き合ってキスをした。
「このまま溶けてしまいたい」
「ニコ、俺もだよ……愛してる」
ニコは、ロボの肩越しに見える空に吸い込まれそうな気がしながら身を任せる。
「ロボ……あたし後悔しない。何があっても」
「俺も。ニコは絶対守るから」
ロボの手が胸を這う。
「なんか恥かしい」
「大丈夫……お星様しかいないから」
「……ぁ」
輝く夜空の下で求めるままに2人は愛を確かめた。
「夕べの内に3人とも無事に海外へ脱出したわよ」
翌日2人は地蔵堂へ報告に行った。
組織は既に解散。バカ息子は爆破したのが新婦席だったため、殺人未遂の疑い
でもしょっぴかれて、自分達の組織の危機にそれどころじゃないらしい。
警察に社長の繋がりで例の盗聴テープも渡っているから、事を荒立てたく
なければ向こうで勝手に片付けるだろうとの事だ。
「で、報酬なんだけど。随分目茶苦茶にしちゃったのねぇ?」
「は?」
「だって今回の報酬、そのドレスだったのよ」
2人は顔を見合わせた。
「こんなの2度と着れないじゃん!」
ズタズタのドレスを眺めながら溜息をついたが、何だか気分は悪くなかった。
「よっちゃんは?」
ロボが聞くと
「ああ、よっちゃんはノルマ未達成なの」
と先輩スパイは表で紅白饅頭を売らされていた。
「でもニコ綺麗だったよ?俺にとってはあれが報酬かな〜、なんて」
「幸せだな、ロボは」
「ニコも幸せにするよ。きっと、必ず」
病める時も健やかなる時も。
いつかロボと本物の愛を誓いたいと昨夜の星空にニコは思った。
だが思わぬ事が起こるのも人生で……。
*******終
おお〜!スパイだよ!
ニコ、かっこいいなあ〜。ロボは相変わらすだけどw
GJでした!!
GJです!
ドラマ本編でみたいくらいだこんなスパイ物
よっちゃんの紅白まんじゅう食べたいww
そろそろ次スレ移動ですか。まだ、早い?
ある日 1/1
エロなし・恋なし、ごめんなさい。
時期はドラマの8話より前の話。
「おじゃましまーす」
「おう!ニコか何かようか?」
「別にヒマだったから寄っただけよ」
「用がなきゃ来るなとは言わねーが、ここは一応スパイの本部なんだぜ、
もっとこうなんてーの?こう、な?あれの〜」
「よっちゃん、何にもないなら無理しなくていいよ」
「お!ゆうね〜」
「でも、マジメな話ここ(地蔵堂)って近所の人達からどう思われてんだろうね〜」
「ん?ニコお前、何気に鋭いじゃねーか。
実際ここに何年だ?ひぃふぅみぃの・・・わかんね、まぁけっこう長いコトいるけどよ
今だにオレから挨拶しねーと目も合わせてくれないんだぜ」
「ははは、そりゃーよっちゃん、いい人に見えないもん!」
「よっちゃんだぜ!こんな年してちゃん付けで呼ばれてる奴に悪い奴いるかぁ?」
「名前はともかく、初めてあった頃『オレがいい人にみえるか?』って私にのど輪かましたんだよ、女子中学生にぃ」
「それは強いものには弱く、弱いものには強く出るというオレの生き様が現れた心温まる・・・、すまんニコ許してくれ」
「まぁいいや、それに客層だって問題だよ」
「客の何が問題なんだ?」
「だって、私がここに来るようになった頃から考えても、
客のメインが殺し屋だよ!しかもみんな手ぶらで帰るし、何であの店潰れないんだろうってみんな不思議がってるよ。
一回はロボの車が壁突き破ってさぁ」
「しかたないだろ!客は選べねーんだよ。
その客が骨董品買ってかね−んだからよ、依頼のついでに壁掛け時計くらい買っていけよ!ったく。
そうだ!壁付き破った車にお前も乗ってただろうが、このやろー」
「えぇ!あの後、壁直すの手伝わなかったっけ(おろおろ)」
「とぼけやがって、ロボは車バックしてそのまま帰るし、お前もポーッとしてフラフラ歩いて帰るし、
近所の連中は壁の穴からこの時とばかりに覗くし、大変だったんだぞ」
「あぁ、ごめん」
「あの時はほんっと辛かったなぁ・・・、お!そろそろ社長が帰って来る頃だな、え〜と」(話ながら台所へ)
「そうだよ!社長のイメージが地蔵堂そのものなんだよ!
なんか、ぱっと見、綺麗でやさしそうなんだけど怪しくてさぁ、!!(誰?)」
「怖くて・意地が悪くて・人使い荒くて・金数えてる時の顔がすごくて」(ニコに聞こえるように大声で)
「楽しそうな話ね〜わたしもまぜて貰おうかしら」
「ひぃーしゃっちょー、いつのまに」
(ニコは耳がいい、逃げ足も速い)
「あいつ〜、オレに恨みでもあるのか?ちくしょう」
「よっちゃん、どーしたの?もう終わり?」
「すみません、終わりたくありません。オレは終わりたくないです」
おわり
ニコの鬼ぃ〜!w
GJ!
>>420 この様子ではまだ大丈夫なのでは?
SS長編は微妙かな。次スレがいいかも。
500KB越えたら完全に書き込めなくなるの?
425 :
明日:2007/09/02(日) 22:12:53 ID:Zsw3ZGcL
明日から学校だ('A`)
誰か元気になる呪文を教えて(速急で)
426 :
明日:2007/09/02(日) 22:22:14 ID:Zsw3ZGcL
あのできれば、三日坊主が好きだったあの詩を教えて(おまえの額には、ふとあせが見えるとかなんとかというやつ)
((<(・∀・)>バテレン
<(・∀・)>))レンコン
<(・∀・)>トマトハ
(・∀・)/マーックス!
(・∀・)/~ガンガレ〜
…ゴメン
>>426 これかな?
お前には不意に明日が見える
明後日が・・・・・
十年先が
脱ぎ捨てられたシャツの形で
食べ残されたパンの形で
お前のささやかな家はまだ建たない
お前の妻の手は荒れたままだ
お前の娘の学資は乏しいまま
小さな夢は小さな夢のままで
お前のなかに
そのままの形で
醜くぶら下がっている
色あせながら
半ばくずれかけながら・・・・・
世界 1/3
ニコとロボ、二人のスパイとしての成長を想像してたら、こんな話になりました。
ちょっと補足。
三年後、地蔵堂が帰って来たのを知ったニコはロボとスパイに復帰しました。
離れていた間も二人は自らの心の中に相手を感じ、すごしていた。
そんな二人に再会の機会を与えてくれた地蔵堂とスパイという危険な仕事。
二人には見えてなかった、再会の喜びとわずかの経験で得た自信(油断)という名の霧の向こうにあるプロの世界が。
スパイを再開し、更に一年(再会から四年後)。
「あなたたち出て行きなさい!!それから二度とここには来ないでちょうだい!」
「そりゃ社長、いくらなんでもいいすぎじゃ」
「よっちゃん、あなたは黙ってなさい!」
「さぁ!はっきり言われないと分からないの?
あなたたちは、クビよ!!聞こえたでしょ出て行きなさい!!」
ニコとロボは社長のあまりの激昂ぶりに何も言えず地蔵堂を飛び出した。
「あの社長、二人も反省して〜」
「よっちゃん!!おねがい、一人にして」
「・・・、わかりました。上(自室)にいます、何かあったら呼んでください」
「ロボ、どうしよう?まさか社長、あんなに怒るなんて」
「わからないよ!オレだって!!どーしたら・・・」
事の発端は、先日に請け負った地蔵堂の仕事。
当初、この仕事はごくありふれた探し物の依頼であったはずが、それを狙う別の組織が介入し
ニコとロボは何の準備もないまま巻き込まれその組織に捕らわれた。
その際、ロボは手に入れた品物をニコの命と引き換えに渡してしまい、二人は助かったものの当然仕事は失敗。
そして、二人はクビに。
三日後。
「あの二人どーしてんのかなぁ」(独り言を装って社長の反応をみる)
「しばらくはションボリしてるだろうけど、そのうち忘れるわよ」(あっさりと言い放つ)
「クビ宣告は撤回しないんですか?」
数秒考え、
「四年前、三日坊主の前に立ちふさがった不思議な女子中学生、その彼女の横で震える大男をみて
スパイを育てたくなったの、かつての私と彼のようなコンビをね。
あの二人は一度離れ離れになった事で、お互い会えなくなる事への恐怖が知らず知らずの内に大きくなって
最後の状況ではそれが何事にも勝ってしまうのよ。
それが露呈したのがこの前の仕事。
「あのレベルの仕事であんな状況になるとは誰も想像できないですよ!」
「でも、そうなった・・・
全部、私が悪いのよ。私の好奇心であの二人をこの世界に巻き込んだ。
今なら、まだ間に合うわ。
これでいいのよ、さみしいけど。 ねえ、よっちゃん」
「しゃちょう・・・」
一ヵ月後、地蔵堂店内。
数メートル先で銃をかまえる男に気付かない程、ニコとロボとの別れは二人の仕事感を鈍らせていた。
つづく
つづき 2/3
「あなた!?」
「てめぇ、なんで?おとしまえ付けただろうが!」
「いえね、この一ヶ月どーしても気が治まらなくてねぇ、
来ちゃいました、殺しに」
銃をかまえる男は、一ヶ月前ニコとロボが失敗した仕事の依頼主だった。
「そちらのスパイがヘマをして奪われたブツは返してもらいました。
良い人ばかりでスンナリ返してもらいましたよ、まるで寝ているみたいで。
それでこちらにもお礼をしないと失礼かと思いましてね、参った次第です。
それではそろそろ〜」
ドッオーーン、ガンッ
四年前、同じ事がありました。
「そっち!」
「おぉ!」
地蔵堂の壁を突き破り飛び込んできた車から女子高生と大男が飛び出し、
女子高生は男が手放した銃を奪い、大男はその男を押さえつけ手と足を縛り社長の前に放り出す。
その直後、男の仲間が店内に駆け込んでくるが女子高生がすばやく近寄り銃を突きつける。
「ニコ!ロボ!」
「あなたたち、どうして?」
「私たち、スパイを止めたくなくて。
二人で相談して、この仕事やり遂げようと思って依頼品を奪った組織を調べてたんです。
そしたら、この人達がやって来てその組織の人達を殺して依頼品を奪って、
帰りぎわに『次はマキナ社長を殺す』って言い出して、こうなっちゃいました」
「・・・そう、よっちゃん」(社長が目で指示を出す)
「はい!」(二人目の男を拘束し並べて座らせる)
「助けてもらっといて何だけど、あなたたちはクビにしたはずよ。
後でお礼はさせてもらうわ、今日は帰りなさい」
「社長!そりゃあんまりじゃ」
「社長!オレたち考えたんです。社長が何故、オレたちをクビにしたか。
オレとニコはとても絆が深い、それはオレたちの強みであり一番の弱点です。
それがあの時の仕事でイヤッっていうほど思い知らされた。
社長はオレたちが離れ離れになる前に、普通の世界に戻して苦しまないようにしてくれたんでしょ」
「でも社長?私たちはもう地蔵堂のない、社長もよっちゃんもいない世界になんて帰りたくない
クビになんてしないで下さい、おねがいします」
「ニコ、それにロボ、あなたたちの言いたい事はとてもわかるわ。
でも、またあの時と同じ状況になったらどうするの?」
「あんな事には二度となりません!今後どんな仕事も油断せずやります!」
「私も二度と捕まったり、失敗しません!社長!」
「オレもこいつら一生懸命フォローしますんでっ社長!」
「・・・口で言うのは容易いものよ、大切な人を失って後悔するのはあなたたちなのよ」
「口だけではありません!、ニコ」(おちついた口調でニコを呼ぶ)
(そう言うとロボは左手を広げて挙手をするように顔の高さに上げる)
「いくよ、ロボ」(何かを悟り、緊張を押さえ込むようにおちついた口調で)
バーン
「あ”あー」(ニコは奪った銃でロボの左手を撃ち向いた)
「ニコォ!!おめぇ何やってんだー!」(信じられない光景に動けない)
つづく
つづき 3/3
「ロボ(ロボの流血・よっちゃんの怒鳴り声を無視し淡々と銃をロボに手渡す)、
いいよ」(ロボから数歩離れ、ニコも小さく震える右手を上げる)
「やめなさい!!(今まで聞いた事のない大きな声でマキナが怒鳴る)
よっちゃん!ろぼを○○先生の所へ、早くっ!」
「はい!」
「ちょっと待って!よっちゃん、
社長!どーしても、どうしてもダメな時は!オレがニコをころ・・・」
「バカな事言ってないで早く病院行きなさい!」(ロボの声を掻き消すように)
ロボとよっちゃんのいなくなった店内で
「(パチン、ニコをビンタする)ニコ、なに考えてるの!自分の手を打たせようだなんて!
こんなに震えてるじゃない、女が自分で自分の体にキズを付けるなんて絶対にダメ、わかった?」
「はい、・・・ほんとはナイフで手の平を切って証明しようと思ってて、」(社長の顔を見れず、うつむいたまま)
「そんな事を言ってるんじゃないの!
あなたたちは、まちがってるわ![どうしてもダメな時は自分の手でパートナーを殺す?]、とんでもない間違いよ!
どんなに完璧と思える準備をしても、どうしようもない時は来るかも知れない」
「どうしようもない時はどうしたらいんですか?」(泣きながらふるえる声で)
「あきらめるしかないわね、だってどうにもならないんだから。
だから私たちは努力するの、生き残る為のね。
[何が何でも生き残る、そして必ず愛する人を救い出し生還する]そのくらいでなきゃスパイなんて勤まらないわよ」
「(泣きじゃくり、うなずく)」
「○○先生はアノ手の治療が得意なの、ロボのキズはさいわい弾もかすった程度みたいだし心配しなくていいわ」
「・・・」
「そんなにスパイを続けたいなら好きになさい!そして、早くプロになりなさい!
どんなに傷ついても知らないわよ、一緒に泣いてあげる事ぐらいしかできないんだから」
「しゃちょう、ごめんなさい」
「ほらっ!せっかくのかわいい顔が涙と鼻水でグチャグチャよ、顔洗ってきなさい」
「はい」
社長が自分を殺しに来た二人に歩み寄り。
「どうするの?あなたたちのせいよ!
あの二人、ニコとロボ とんでもないコンビになるわ!覚えといた方が良いわよ、生きていればね」
その後、ニコとロボはマキナに誓ったように最高のコンビとなり、
ある世界の住人にはセクシーボイスアンドロボの名は、
コンビを評価する際に用いられる最高のほめ言葉として永く記憶に残りました。
・
・
・
数十年後の未来。
「まったく、お前らはこんな仕事(依頼)もこなせねーのかよ、
お前らにセクシーボイスアンドロボの十分の一でも能力がありゃな〜」
「セクシーボイスアンドロボって何ですか?」
「お前ら、そんなコトも知らねーでスパイやってんのかよ!
セクシーボイスアンドロボってのはな昔、夫婦でコンビのサイコーのスパイだった伝説の奴らさ、
その仕事ぶりは〜」
おわり
>>430 ごめん、まちがえた。
スパイを再開し、更に一年(再会から四年後)ではなくて
↑
ドラマ終了時から四年後です
社長、格好いい!ニコロボ、よっちゃんも。
そうだよねぇ、スパイになるって余程の覚悟がいるよね。
GJ!
うんうん、社長カッコいいね。この4人のからみ好きだな。
で、梅梅に小ネタ
↓↓↓
ある日のロボの部屋
「ねーニコ。ニコってさあ、俺の事ずっとロボ呼びだけど
まあこれからもそうなんだろうけど、俺の本当の名前忘れてないよね……?」
「えーっ、なに急に。当たり前じゃん!えーっと、えー……」
「……………………」
「……………………」
やばっ、なんだっけ!?
さとう?…えとう……違うな〜
下の名前が何とか郎だったはず。
すずきいちろう!いや、これは野球選手だっけ。
困ったな。もし将来、ロボと結婚ってなって相手の名前
覚えてませんじゃ、シャレにならないよねえ…。
はっ!結婚って、何考えてんのっ、あたし!
「ニコ〜、もしかして……」
「あ、あぁ〜、ちょっとお腹すいたなーって思ってて…。な、名前ねっ」
うーんとはやし…はあたしか。
めんどくさいなあ、もうロボがうちに婿養子に来たらいいんだよ。
あ〜違う。そういう話じゃないって。
ふと、横のほうへ目をやると郵便物が。
「須藤威一郎……??………ああっ!(それだ!!)」
「……ニコ、やっぱり忘れてたんじゃ…」
「やあね〜、そんな細かい事気にしないの!
忘れてたからって、あたしがロボを好きな事に変わりはないんだからっ」
ニッコリ微笑みつつ。
「ロボもお腹すいたでしょ?あたしカレー作ってあげる♪」
「あ…うん」
なんだかうまくかわされたような気がするが
好きって言ってくれたから名前なんてどうでもいいか〜と
思うロボであった。
結局、二人は似たもの同士ってことで。
おわり
>>435 そういう何気ない日常っぽい小ネタが平和で好きだw
GJ!
次はそちらですね。
了解しました!ニコリン大佐!
こちらはウメ作業しますか?
救えるのは宇宙で私だけ!
準備 1/1
エロなし・恋なし、ごめんなさい
「よし!これでお歯黒女に弱点はわかった。
次はこの情報を元に武器を作ろう!」
「え?武器って、ロボそんなの作れるの?」
「ニコ、きみってヤツはオレを何だと思ってるんだ?」
「ロボットオタクでしょ」
「・・・、さぁ!時間はない早速製作に取りかかろう!」
次の日。
「ロボいるー?
わー、なんかそれっぽいのが出来たじゃん」
「ニコ、頼んどいた椎茸と捕獲ネット持って来てくれた?」
「うん、持って来たよ!はい椎茸、ネットは重いから階段の下に置いて来たから
ロボ持ってきて」
「んー、やっぱりそこら辺は女の子だなー
どれ、オレがちょちょいともってくるよ!」
「ごめんね」
カンカンカンカン(階段下りて)
「お!おもっ カン カン カン カン(階段上がって) ニコォ よくここまで持ってきたね」
「そうなんだよー重いは、人にジロジロ見られるはで大変だったよ」
「(ニコ、あんなちっこいのに力あるんだな) 捕獲ネット、これはナシだな)」
「じゃぁ、後は椎茸を取り付けたら完成だ!
ニコはこのヌンチャクに椎茸付けて、自分の使う武器は自分で作るんだ!」
「え?これ持って私に闘えって言うの?」
「それだけじゃないさ〜、このマックスシールドもあげるから。
ニコは力持ちなんだから大丈夫だよー」
なんかよく分からないが、とりあえず褒められたみたいなので納得してしまうニコ。
「これでいいの?」(椎茸ヌンチャク完成)
「おお!上出来だ」
「ほんとに、こんなで闘えるかな〜」(ヌンチャクの扱いに手間取る)
「何してんの!そうじゃないでしょうが、まったく〜
アチャーッ 投げて戻す!投げて戻す!!
(見てないな)ちょっと、練習しないとー」
「お歯黒女の泣き声だ
ロボ、出動だ!」
おわり
なかなか、埋まりませんなー
大丈夫だよ。過疎ってるけど
もう少しだからそのうち埋まるよ
満腹なのにまだ書き込める…。なぜだ。もぐもぐ
母ちゃんの耳 1/1
エロなし、時期はニコが高2、まぁアバウトに。
「ロボいるー?」(返事の有無に関らず部屋に上がり込む)
「ん?あんた、確かニコちゃんだったよね。
威一郎なら今、私の友達を車で迎えに行ってもらってるんだよ。
もうすぐ帰ってくるよ、待ってやってくれるかい?」
「あ!ロボのお母さんですよね、おひさしぶりです。
ああ、じゃちょっと待ってよっかな」
「でも、ありがたいねー。
あんなロボットばっかりいじってる男に、あんたみたいな可愛らしい娘が友達になってくれてぇ」
「はぁ、それほどでもないですけど」
「謙遜なんかしてぇほんといい娘だね〜。
さっ これでも食べて、のんびりしてておくれよ」
「あ、パンの耳揚げ。
これってお母さん譲りだったんですね」
「へぇ、威一郎もこれ作って食べてんのかい?」
「はい、時々作って食べてますよ。
お金がないからだと思ってたけど、昔から好きだったんだ。 ふ〜ん」
「私たちは共稼ぎで、晩御飯も遅くなる事が多くてね。
だからお菓子やらプリンとかおやつに買って置いといたんだけどね、
たまの休みなんかは私がコレ(パンの耳揚げ)作ってやってたんだよ。
『油が散るから、あっち行ってな』って言っても私のそばを離れなくて、うれしそうに学校の話をしてさ。
あの子には、ずいぶん寂しい想いをさせたんだろうね」
「・・・」
「それである時、またコレ作ってやったんだけどね。
うっかりしてて、賞味期限がその日までのプリンがあってもったいないからプリン食べなって言っても、
『母ちゃんの作ったパンの耳がいい』って聞かなくてさ。
でも結局、プリンも両方食べて気分悪くなってバカな子だよー」
「いい話ですね、ロボ、昔からやさしかったんだ」
「あの子はニコちゃんにも、優しいかい?」
「私にだけじゃなく、出会う人みんなにやさしいです」
「そうかい、みんなに優しいのかい」
「かあちゃん、帰ったよー。 あ!ニコ、来てたんだ。
○○さん達、商店街に茶菓子買いに行ったから後で来るよ」
「じゃっ私、帰ろっかな」
「え?何か用があるんじゃなかったのかい?」
「たいした事じゃないんで、
ロボのお母さん、コレちょっともらいます」(パンの耳揚げ二つ取って)
「また、来てやっておくれニコちゃん!」
「はい!それじゃ失礼します、ロボ またねっ」
「あぁ、またな」
ニコがいなくなって
「母ちゃん、ニコと何話してたの?」
「なんでもないよ!あんたの点数、上げといてやっただけだよ」
「・・・?」
おわり
母ちゃん、GJ!
梅完了?
まだいける?
ニコロボ大好きだー!
社長もよっちゃんも林家もロボ母ちゃんもケロ山も好きだー!
>「私にだけじゃなく、出会う人みんなにやさしいです」
いや〜、いい台詞だわ