女性の求めをエロカッコ良く押しとどめろ!2制止目

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1名無しさん@ピンキー
登場人物はカッコイイ男性とヒロイン。どちらを主人公にしても自由です。
男性はヒロインと出会い、二人は次第に惹かれていきます。そして、
ある日、とうとうヒロインは勇気を振り絞って男性をを求めました。
しかし、切なくもある事情と判断により、男性は彼女の求めを断りました。
本当はとても愛している。けれど、今はそれに相応しくない。男性が彼女の
気持ちを受け止めた上で、彼女の求めをカッコよく断るシーンを書いてください。
少し色香を漂わせながら・・・

前スレ
女性の求めをエロカッコ良く押しとどめろ!
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1119662056/
2名無しさん@ピンキー:2007/05/13(日) 00:19:38 ID:f9r6vxKk
前スレ>>801-811です。
すみませんすみません、512K超えの制限に気づかず投下して、スレ容量超えて
しまいました。
挙句に誘導もないまま新スレということに。テンプレ討議もできなかった……。
住人の皆様、職人の皆様、本当に申し訳ありません。
急ぎスレ立てしましたが、補完・意見等ありましたらよろしくお願いします。
とりあえず前スレからの投下物完結させます。あと1レスだったのに……。
3名無しさん@ピンキー:2007/05/13(日) 00:22:03 ID:f9r6vxKk


 静寂を取り戻した部屋で、祐は大きく伸びをする。
「……やれやれ、サービス業も楽じゃないぜ」
 そううそぶいて、ベランダに出る。煙草に火をつけ、大きく煙を吸い込んだ。
 明日には理恵―――五十嵐の姪も、脚の自由を取り戻しているだろう。
この空の下、どこかである両親が、涙に暮れることだろう。
 祐は目を細めて、静かに紫煙を吐き出した。



   END



エロよりホラー強くてすいません。
なんかもう本当に色々……orz
4名無しさん@ピンキー:2007/05/13(日) 17:50:26 ID:aOpJSc5A
いやいや、祐殿格好いいねぇ
5名無しさん@ピンキー:2007/05/13(日) 22:17:29 ID:n+UmAWnc
「お腹ふくれた?」
女と飯を食う時は必ず男が全額出すべきとは思わないが、
俺は今、女に全額出してもらっている。
助手席の女はうっすら赤い顔をして上機嫌だ。
「じゃあ、借金のカタに例のブツは貰っていくぜ。
まずはアンタの家まで安全運転するんだな」
ドラマに出てくる借金取りを真似て、更に上機嫌だ。
俺は酒を頼む金もない上に、運転手を仰せつかっているので飲んでいない。
会社勤めの固定給じゃない俺にとって、給料日前は惨めなものだ。

俺のアパートに入ると、女は玄関脇の流しに目を向けた。
「いくらお金がないって言っても、これはひどすぎ」
グチグチ説教を始めた隙に、ポストの中をチェックする。
黄色い目立つ紙は、電力会社からのお知らせだ。いつものことなので読まなくても判ってる、
「お支払なき場合は、不本意ながら送電をお断りいたします」だ。
見つからないようにそっと半分折にして、その辺に積んである本や雑誌の間に挟む。
「ま、今日は私のお蔭で栄養補給出来てよかったよね」
情けない話だが、本当のことなので素直に頭を下げる。
女はこちらの懐が寂しくなると飯を奢ってくれて、
「借金のカタ」と言って俺の持ち物を持って行ったり、俺に力仕事をさせたりする。
俺はこの女が好きだが、自分一人養うのもやっとな男に惚れる女なんかいないことは判っている。
「さあて、例のブツを出しやがれ」
6名無しさん@ピンキー:2007/05/13(日) 22:18:07 ID:n+UmAWnc
女はコンビニの袋から、缶ビールを一本取り出して開けた。まだ飲む気か。袋に入ったままのビールをこちらに寄越した。
「後で飲みなよ」
有難いやら情けないやらで曖昧に返事をした。女を家まで送ったら、味わって飲ませてもらう。
女はその辺に散らかしてある本をめくり出した。俺の仕事絡みの本なので内容が判るとは思えない。案の定、すぐに飽きたようだ。床に寝そべってゴロゴロし始めた。畜生、可愛い。
「もうすぐ誕生日だよね」
覚えててくれて嬉しい。顔がにやける。だが、俺は女に祝ってもらう価値のある男じゃない、忘れててほしい。
「なんで覚えてたら駄目なの?ムカつく」
みっともなくて言えないから、察してくれないかな。
「ねえ、腹筋触らせてよ」
仕事柄、筋肉だけは無駄につくが、自称・筋肉フェチの女はやたらに触りたがる。
「腹筋だけならこんなにカッコイイのに」
本当だな。いつになったら一人前になれるんだろうな。
この女は俺なんかに構ってないで、さっさと稼ぎのいい男と結婚すりゃいいんだ。この女を熱い目で見ている男が、俺の知ってる限りでも一人二人はいる。俺の知らないところにはもっといるだろう。

「お前、さっさといい男捕まえて結婚しろよ」
7名無しさん@ピンキー:2007/05/13(日) 22:19:31 ID:n+UmAWnc
俺の腹を触っていた手が止まった。
女の手がすっと肩まで上がってきて、女の顔が俺の顔の真正面に来た。
こんな近い位置で顔を見たのは初めてだし、女が見たこともない表情をしているし、固まって動けない。
「そうしていいんなら、そうするよ。いいの?」
いい訳ないんだが、顔は近いし、改めてそんなこと聞かれるし、返事が出来ない。
顔が更に近づいてきて、俺の唇に女の唇が重なった。
俺は目を閉じるどころか、瞬きも出来ず、女のまつげが結構長いのを見ているしかなかった。
女は唇を離すと、俺の胸に顔をうずめた。
俺は抱き寄せるどころか、食事を取り上げられた赤ん坊のように口をパクパクされていることしか出来ず、
女の身体は柔らかくていい匂いで案外胸が大きいと見当外れのことを考えるしかなかった。
「結婚してくれる人がいない訳じゃないんだよ」
女の腕が、俺の背中に回った。
俺はこの女を、好きな女を抱いていいのか?
8名無しさん@ピンキー:2007/05/13(日) 22:20:25 ID:n+UmAWnc
「他の男にはやらない。でも俺はお前に手を出さない。すぐに一人前になるから、それまで待っててくれ」

俺は女の背中を抱きしめた。女の肩が震えていたが、泣いているのか笑っているのか判らない。
飯もまともに食えない奴が大口叩いてと笑われても構わない。俺はこの女に釣り合う男になる。
「苦しいよ、息出来ない」
言われて初めて、俺は凄い力で締め付けていたことに気づいた。
力を抜いた俺の腕の中で、女は俺の胸に顔をうずめたままだった。
俺は女の髪の毛を撫で続けた。ずっとそうしていた。

女がそろそろ帰るから送って行けと言った時、
女はいつもの借金取りの真似をしているような表情をしていた。
「すぐに一人前になるって言ったけど、こんなもん貰ってるようじゃ、先は長そうだね。
“送電のお断りについて。3月分料金のお支払が遅れております。至急…”」
女の手の中には、電力会社の黄色い紙があった。さっき隠した筈なのに。
やっぱり今の俺には、この女を抱く資格がない。
9名無しさん@ピンキー:2007/05/17(木) 01:36:41 ID:fuq802BX
GJ

>ホラー系
おもしろかったよ
ちょっと渋めな感じの人を想像した


>電気料金未払い
女もいい女だな
抱く資格とか考えてるあたり
ただの甲斐性なしじゃない


みんなかっこいいっす

ごちそうさま



10名無しさん@ピンキー:2007/05/20(日) 11:40:21 ID:3cC8mkEl
ほしゅ
11名無しさん@ピンキー:2007/05/20(日) 15:54:18 ID:FHu+/uO3
あらいつの間にか新スレ行ってやがる
ってか新スレに行けたことに感動

>>8
なんか電気料金未払いあたりに親近感を覚えて
(いや俺はちゃんと払ってるけどなんとなく)
純粋に男を応援したくなったw
GJでした
12名無しさん@ピンキー:2007/05/25(金) 10:53:26 ID:FZutkUL6
保守
13名無しさん@ピンキー:2007/06/04(月) 00:04:57 ID:Xx3wC2x9
ほしゅ
14名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 11:47:39 ID:fYIe09NP
ほしゅ
15名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 00:18:36 ID:h4/IYgbZ
保守
16名無しさん@ピンキー:2007/06/19(火) 00:06:26 ID:mi4aHbkk
ほあげ
17名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 12:40:28 ID:tQXLRsyM
勝手な捨て台詞の
一つでも投げつけ
無理にでも笑って駆け抜けていくさ
18名無しさん@ピンキー:2007/06/22(金) 04:00:09 ID:tAAqfXIG
保守!
19名無しさん@ピンキー:2007/06/25(月) 08:40:10 ID:6GjuUkGO




ほーたる こい

あっちのスーレは にーがいぞ
こっちのスーレは あーまいぞ

ほ・ほ・ほーたる こい

……もとい、神降臨キボン
20319 ◆lHiWUhvoBo :2007/06/25(月) 10:47:36 ID:TwLhyjH0
エロ薄くて良し! なスレか

片思いじゃダメか?
21名無しさん@ピンキー:2007/06/25(月) 21:40:45 ID:6GjuUkGO
女性の求めをエロカッコ良く押しとどめてればおk!
待ってます!
22319 ◆lHiWUhvoBo :2007/06/26(火) 01:12:02 ID:+ZCDcqtm

 「何ゆえ…契りを交わさん…? 」

 男と言う男は、例外無く自分を抱く。或る王など指揮下の軍勢を道化にしてまで歓心を買おうと必死に為った。
都が危機に陥った時のみ上げる筈の狼煙をわざと上げ、自分が微笑むのを見て満足し繰り返し、最後には国を
滅亡させてしまった程だ。己の美に絶対の自信を誇る女は、己の前で胡座を掻き剣を抱いて眠る男を睨みながら
花弁にも似た可憐な唇を噛む。普通の男ならばその表情をした途端に肩を抱いてくる筈だった。

 「解らぬ…男色家でも有るまいに…」
 「何ぞ抜かしたか、虞姫よ? 俺の配下や無辜の民の血は、俺の命に替えても吸わせん」

 この男に拾われたのは日の光を浴び、弱っていたからであった。戦の後の亡骸から血を啜っていたが、朝日の
昇るのに構わず夢中になり、正午を迎えてしまったからだ。楚々と弱々しげに振る舞う女を抱き、巡幸のための
馬車へ乗せたのが昨今、『覇王』と呼ばれ始めたこの男だったのだ。男に附いて行けば、血に困る事は無いだろうと
心の中で哂っていたのだが…。

 「そうでは無いわ! これを見て…」

 薄絹の夜衣をはだけ、艶然と微笑んで見る。…これで飛び掛かって押し倒さない男はこれまでは誰も居なかった。
これまで古に賢者と呼ばれた者も、王と呼ばれた者も、聖人と呼ばれた者も、最後には必ず…欲望に屈したのだ。
しかし男と臥所を共にして早三月。女に勇んで飛び掛かる所か、部屋に閉じ込められ夜行すら出来ぬ状況であった。

 「…主(ぬし)は何も思わんのか? 」
 「奇麗だとは思うがそれだけだ。格別、どうこうしようとは思わん。…股座の当たりがむず痒くなる。止めろ」

 己の自負を捨てねばならぬのか。女の胸の奥で怒りが渦巻く。人風情にしな垂れ懸かるなど、自分の流儀では
無かったが、三月にも亘る押し込めと、手当たり次第に血を啜る事が出来ぬのはもう限界だった。普通の食事でも
滋養は満たせるが、趣きは飽くまで血を啜る方が良い。だが、この男で飢えを満たそうとは思わない。何故ならば…! 

 「ええい忌々しい! 去(い)ね! 」
 「枕で俺は殺せぬぞ? …大人しく眠りに就くのだな」

 腹立ち紛れに投げ付けた木製の枕が瞬時に両断される。何時の間に男が鞘走らせたのか、長大な『鋼の剣』が
格子窓から漏れる月光を鈍く反射していた。一般の者は『青銅の武器』しか持たないが、『覇王』と号するこの男は
潤沢な鉄の武具を生産させ、己の揮下に分け与えていた。男自身はさらに精錬させた『鋼の武具』を身に纏っていた。

 「主は何時、真に眠るのだ…」

 再び鞘に納めた剣を抱き、片目だけ瞑り、寝息を立て始めた男を見やる。開いた片目は、自分を見据えたままだ。
陰部の淡い蔭りも、薄絹に透ける乳房とその頂きの朱鷺色の小さな乳首も、濡れ光る紅唇も、全て見ている筈なのだ。
それでいて、何もしない。幾星霜の刻を嘉(よみ)して来た女には、己が世に存在してより初めての出来事だった。
23名無しさん@ピンキー:2007/06/26(火) 02:11:18 ID:JX3MuJzU
>>22
死神スレのサイドストーリー?
24319 ◆lHiWUhvoBo :2007/06/26(火) 02:39:13 ID:+ZCDcqtm

 女は決意した。流儀など言っては居れぬ。この男を篭絡せねば、傾国の美女と語られ続けた己の名が廃る!
床より降り、胡座を掻き眠る男に近寄る。害意を抱かぬか部屋を出ようとしない限り、男が剣を振るう事は無い。
三月にも亘る期間で女が学んだ、男の習性の一つだ。胡座を掻く男の膝の上に座り、そのすべらかな繊手で
男の頬を撫でる。

 「主(ぬし)は眠って居るか? 」
 「ああ、眠っている。血を啜るならば抗う。む…? 用向きは違うか…虞姫? 」

 男の首に女は唇を這わせた。男は向けられる害意には敏感だ。…幾度も『斬られて』来たので承知している。

 「…こそばゆい。止めろ」
 「…何ゆえ主は己の物にしようとせぬ…? 木石(ぼくせき)ではあるまいに…」
 「媚態は似合わぬ。平生(へいぜい)に戻れ。…調子が狂う」

 鎧の直垂を大きく押し上げているのは、間違い無く隆起した男根だ。男が真に欲情している事に女は驚いた。
何故それで耐えられるのか、女の経験では理解が不可能だった。男の首に両腕を掛け、ぶら下がる様にして
男の顔を見る。優しげに微笑む男とまともに視線が合い、小娘のように女は顔を赤らめてしまう。何故じゃ?
女は己の心の動きをどうにも認められずに煩悶して居た。…間違い無く、妾は…この者を…好いて居ると?!

 「…あの城塞(まち)の民を殺し、穴埋めにした事を…まだ気にして居るのか? 主の責では無いのに…」
 「お前の本性を知らず野放しにして、民に犠牲を強いた。…全ては俺の責だ。だが…」
 「だが…何じゃ? 申して見よ。聞いてやらんでも無いがの」
 「感謝している俺もいる。御蔭で…出逢えたからな」

 雷光の如く、女の脳裏に閃いた光景があった。血を啜り、眷属と成り果てた人間達を『もう一度殺す』ために
戦う男の姿の傍に現われた『己の天敵』の姿だった。闘う男と部下に加勢し、槍を以(も)て薙ぎ払うその姿に
歯噛みしたのを覚えていた。あの時の男の顔はまるで…! 男が女に興味を示さぬ理由が、胸を劫火の如く
嫉(や)いた。

 「あの…『喪門神』の女か! あの『喪門神』に! 主は下賎なる人の身でっ…! 」
 「…闘い続けるか、勇おし者と称えられる者に為れば逢えると聞いた。その果てに『覇王』と呼ばれたに過ぎん」
 「適わぬ恋など諦めい! 実らぬ想いなど抱くな! あれは…人を人とも思わん類の者! 」
 「…知ってるさ。だから…戦い続ける。闘いの中で死ねば…勲しを立てた俺を迎えに来てくれるやも…おい?」

 胸鎧に顔を付けた女に、男は声を掛けた。女はまさか己が泣き出すとは思っては居なかった。三月に亘る中、
女は巡幸用の馬車で常に男とその軍勢と同行していた。男と軍勢の向かうところ、敵は無かった。信頼に満ち、
軍勢は男の下で進軍する事を何よりの誇りとしていた。故郷の歌を高らかに吟じ、兵卒と語り合い共に笑い合う男。
その生を限り無く謳歌しているかに見えた男が、選(よ)りにも選(よ)って…死の象徴たる『喪門神』に…!

 「だから…『初穂』は『喪門神』のために…か! 己の奇麗な思いを見ろ、と操を立てて…! 」
 「…っ! 」 

 男の身じろぎが語らずとも答えていた。童貞でも女を襲った者は数多く居る。だが、この男は違う。一度言葉を
吐いたならばそれを成し遂げる強さが有る。男は言った。古(いにしえ)の者は屈してもこの俺だけは違うのだ、と。
 実はそう言い切った男の自信に満ち溢れた顔に見惚れていた。…何の事は無い。女の心はもう、男の虜(とりこ)と
成り果てていたのだ。数多くの男に自ら身を任せ続けて来た己を抱く気など、恐らく男には毛程の筋もあるまい。
三月の夜の間、散々この男にその事を吹いて来た己を始めて呪った。自らの過去の過ちを悔いた。女は嗚咽を漏らし、
顔を上げる。

 「主はさぞやこの妾を・・・醜いと胸の内で蔑んでいたであろう…! 」
 「醜くは無いぞ? …古(いにしえ)の聖賢もころっと参ったのも不思議では無い。安心しろ」
 「ならば…ならばっ!」
 「それは断じて否だ。済まないな…。俺が死んだら、他の誰かがいつか…お前を優しく抱いてくれるだろう」

 男の右手が、嗚咽を漏らす女の背に回される。何時の間にか朝日が二人を照らしていた。夜がまた、終わる。
25319 ◆lHiWUhvoBo :2007/06/26(火) 02:42:02 ID:+ZCDcqtm
>>22 …プロットで出そうと思って諦めた奴です。

あんまり格好よく無いか…な。 終わります。ではこれで。
26319 ◆lHiWUhvoBo :2007/06/26(火) 02:44:08 ID:+ZCDcqtm
>>23 レス番間違えました…失礼しました、スミマセン。おやすみなさい。
27名無しさん@ピンキー:2007/06/26(火) 19:16:18 ID:KKeMOwxo
職人さんキタ━━(゚∀゚)━━!!!!
アリガd! アリガd!!
余韻のある終わり方がめっちゃいい。

…ところで、『喪門神』てなんて読むの? バカデ (´・ω・`) ゴメソ
28名無しさん@ピンキー:2007/06/26(火) 21:02:58 ID:JcDp0MzU
そうもんしんorしにがみ
29名無しさん@ピンキー:2007/06/26(火) 21:17:27 ID:yqRZxSe1

力拔山兮氣蓋世。
時不利兮騅不逝。
騅不逝兮可奈何。
虞兮虞奈若何。

力は山を抜き気は世を蓋(おお)う。
時、利あらず、騅逝(ゆ)かず。
騅逝ず、いかにすべき。
虞や虞やなんじをいかにせん。
30名無しさん@ピンキー:2007/06/26(火) 22:48:23 ID:NvsvijHq
SS投下乙
いきなし投下レベルあげやがったなw
31名無しさん@ピンキー:2007/07/06(金) 03:31:49 ID:sDsqZqJe
保守
32名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 00:35:30 ID:tPJznJq5
保守代わりに前スレで『こんなシチュ読みたい』に今更触発されたネタを。

・舞台は隔離病棟。
・エイリアンの侵攻かなんかの戦後。
・エイリアンは麻薬様の脳内情報攪乱物質を分泌、女を薬物依存ならぬセックス依存に。
たぶん報酬系に関与する情報伝達物質の分泌阻害かレセプタ破壊による。
(鬱になる気もするがそこはスルーでw)
繁殖の手段とした。
・エイリアン自体はなんとか撃退され、地球は復興に向かっているが、後遺症に苦しむ
女性が沢山。
・隔離病棟ではその治療にあたっている。昔の精神病院のように揶揄や差別の対象。

以下登場人物3人。
・薬物依存の治療同様狂ったようにセックスを求める女、ただし多少好転気味。
・懸命の治療にあたる医師(男)。力及ばず恋人を同じ症状で死なせてしまった経験あり。
・女の恋人。見守るしかない歯がゆさ、医師への信頼と嫉妬で揺れ動く。

押しとどめるのは医師だけど、内容的にはエロゲか。
文章に起こせない……orz
33名無しさん@ピンキー:2007/07/12(木) 00:34:10 ID:h+Oq3mHU
>>32
そういえば今までSFはなかったな。
宇宙人が出てくるのは一応あったけど。
34名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 00:23:43 ID:SvNN2eba
高レベルの流れを読まずに投下
漫画とかによく出てくる、お金持ちで高慢な、いかにも当て犬タイプの女を想像してもらえれば。
35名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 00:24:55 ID:SvNN2eba
「あー、恭祐だー。今日は何の用できたの?」
「伯父さんに大学の合格祝いをもらったから、そのお礼。
清姐(きよねえ)こそ、また筋トレ後にそんな格好でビール飲んでると、伯父さんに怒られるぞ」
タンクトップにハーフパンツで、ジョッキに注いだビールをぐびぐび飲んでるこの従姉妹は、
20代も半ばにして独身だ。
清美という名のこの従姉妹に、俺は小さい頃から何かとかまってもらって懐いていたのだが、
最近は絡み酒のような清姐にむしろ俺がかまってやっているような気がする。
なにせ、『花嫁修行中』とかいう今時聞かない身分の清姐は、暇でしょうがないのだ。
今日も今日とて、清姐はだらしない格好でソファに寝そべりながら酒をあおっている。
「また見合い失敗したんだって?伯父さんが愚痴ってたぞ」
「今回はわたしのせいじゃないわよ。また相手の男の『実は好きだった恋人』とかが出てきて、
わたしの前で愛を宣言して、二人一緒に駆け落ちしちゃったんだから」
「…いつものパターンだな」
「そうよお。わたしが恥かいたおかげで幸せになったんだから、
感謝されこそすれ、恨まれる筋合いなんてないのよ。
あー、イヤになっちゃう。お父様もちゃんと身辺調査してから、見合いしてくれればいいのに」
酔っているせいか、清姐の口調はどこか舌っ足らずでおぼつかない。
そもそも、大会社の社長の娘であるということで、清姐にはしょっちゅう見合いの話がある。
顔よし、家柄よし、素行も良し、茶道も華道も師範レベルと、
清姐はまさに見合い用に仕立てられたような、ご立派な釣書の持ち主だ。
しかも、取引先の御曹司や、旧華族のぼっちゃんや、今をときめくスポーツ選手と相手には事欠かない。
が、なぜか毎回、清姐の見合いは全然うまくいく気配がない。
いつも、どこからかちょっと大人しめの美少女とか、血のつながらない妹とか、
血のつながった姉とかがでてきて、清姐という障害物を前にして婚約者になるはずだった男と愛を確認し、
何やかんやあるうちに、清姐は相手方から断られてしまうのだ。
おかげで清姐が成立させたカップルは、何十組と数知れない。
そのたびに清姐は、俺を相手にぐちぐち言いながら、
次の見合い相手の写真の山をめんどくさそうにめくるのだ。
だが、俺は清姐にも、ちょっとは責任があると思っている。
はした金を使って相手の恋人に対してつまらない嫌がらせをしたり、
自分の家柄と親の財力で嫌みを言ってみたり、余計なことをするものだから、
いつも肝心なところでこけるのだ。
元は悪くはないのだから、下手なことさえしなければ、清姐はとっくにどこかに縁づいていたに違いない。
36名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 00:26:09 ID:SvNN2eba
今はだらしない格好で酒を呑んでるこんな清姐も、俺が中学生の頃までは、いわゆる初恋の人だった。
あの頃の清姐は、本当にあこがれのおねえさんというやつを現実にしたような、優しくて賢い美少女だった。
いかにも清潔そうなセーラー服に身を包んだ清姐が、喧嘩に負けてぼろぼろに泣いていた
小学生の俺の手を引いて、その柔らかい手をどきどきしながら握り返したのも、今は遠い思い出だ。
そんな清姐がなんだか少しずつ変わり始めたのは、短大を卒業して、見合いをするようになった頃からだった。
化粧と目つきが少しきつくなって、他にすることがないせいか、それまで家でだらだらすることが多くなった。
外づらは相変わらずいいけれど、俺の前では自堕落そのまんまの格好でいるようになった。
あれだけ見合いを失敗すれば、確かにやけになるのも分からなくはないが、
そんな清姐を前にして、俺は失恋というやつを味わったわけだ。
「っつーか、またくだらない嫌がらせでもしたんだろ?
いいかげん、そういうのやめたら?相手の心証だって悪くなるんだしさあ」
「どーせ、あんたにはわかんないわよ。
結婚生活の障害になりそうなものを片づけておくくらい、別にいいじゃない。
だって、結婚したらずっとその家で生きてくしかないんだし。
他人の家に入り込まなきゃいけないんだから、そのためにじゃまなやつを排除しておくのだって、
当たり前だと思うでしょう?ねえ、恭祐」
「そんなの、俺に分かるわけないじゃん」
少しずつ清姐の口調がねっとりとしていくのが分かる。
深酒のせいか厄介なことになってしまった。
最近の清姐は、相当息詰まってるのか、とくに浮き沈みが激しいからだ。
「お父様だって、ずっとそのつもりだったんだから。
わたしが早く良いところへ片づかなきゃ、せっかく娘を育てたのが全部無駄になっちゃんだから」
ぐだぐだになった腕が、俺の腕にからみついてくる。
いくら絡み酒だと言っても、ここまで清姐が我を失うのは珍しい。
などと少しぼんやりしていたら、急に思いっきり腕を引かれ、二人してソファに倒れ込んだ形になってしまった。
熟れすぎて崩れかける寸前の果実のような、危うい匂いが間近にある清姐のほてった体からびんびんする。
酒っぽくて、湿った熱い息が耳の奥まで入り込んでくる。
「私からも合格祝い、あげようか…」
舌が触れるほど近く耳元で囁かれて、押し返していたはずの腕から力が抜けた。
37名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 00:26:51 ID:SvNN2eba
それなりの量感がある柔らかい感触が肩に押しつけられて、つい息が荒くなる。
俺の若い体は単純で、下半身はさっさと反応し始めている。
というか、考えてみれば清姐はどう考えても処女だ。まさかあの伯父さんが、
嫁入り前の娘に誰かが手を出すのを許すはずもないし、
箱入り娘の清姐が父親の目を盗んでこっそり誰かと経験しているはずがない。
つたない手つきで清姐の手が俺の体をたどり、徐々に下へと向かっていく。
その手首を握ると、びくっと震えるように清姐は動きを止め、縋るような目つきで俺を見つめた。
「引っかかったな、ばか恭祐め。わたしの毒牙にかかって、ひどい目に遭うがいいー」
けれどふざけた声を出しながら、泣きそうになって、ただ俺のシャツを握りしめているだけの清姐が、
俺には痛ましかった。
ここでもし手を出してしまったら、このぼろぼろの清姐は、
これをきっかけに際限なく自堕落になってしまうのではという予感がした。
崩れ落ちるその一押しを、俺がここでしてしまったら、ずっと何とか堪えてきた清姐はきっと壊れてしまう。
さんざんひねくれてしまったけれど、やっぱり俺は清姐には愛着があるのだ。
だから、最後まで踏みとどまっていてほしいし、こんなところで全てを壊してしまうようなことはしたくない。
「何やってんだよ、清姐…。俺が伯父さんに怒られるじゃん」
ぐいっと押しのけると、酔っていた清姐の体はぐでんとソファに転がった。
悔しそうな、情けなさそうな目で見つめられて、俺は不意に、
抱きつかれたさっきより鼓動が激しく、息苦しくなったような気がした。
その目から涙がこぼれたような気がしたけれど、清姐はごろりと体を反転させて、俺に背を向けてしまった。
「なあ、清姐」
「うっさい。もうほっといてよ、さっさと帰れ」
「焦ることなんか、ないんじゃないか?」
「なんか、もうやだ…。わたし、このまま誰とも結婚できなかったら、どうなっちゃうんだろ…。
お父様、せっかくいいところの取引相手を捜してきたのにって、怒るだろうなあ」
「やけになると、うまくいくもんもうまくいかなくなるぞ。
見合いなんて、まだ10回も20回もすればいいじゃん。そのうちいい人が見つかるかもしれないんだし。
それでも、どうしても引き取り手がなかったら、俺がもらってやるからさ」
38名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 00:27:37 ID:SvNN2eba
なんだか安請け合いしてしまったような言葉が、つい口から出てしまった。
後悔する間もなく清姐を見ると、ぽかんと俺を見る清姐は、
さっきまでの艶っぽさをすっかりなくしてしまい、少女を通り越してなんだか子供みたいに見えた。
「冗談でもそういうことはいわないでよ、ばか恭祐。
そう言って、結局わたしのことなんか忘れちゃうくせに。
いっつも最後には、だれもわたしをえらばないんだから。
だれかほかのひとのところへいっちゃうくせに。みんなみんなそうなんだから。
わたしきたいなんてしないから。しないもんばあか」
ろれつが回らなくなってきた清姐は、ついにぼすんとソファに沈んでしまった。
筋トレ後のビールはよほど効いたらしい。
もぞりと体を揺すってぐずるように眠っている。
強がっているくせに清姐は、とっくにあきらめたはずの、
お金やその他諸々に関係なく自分だけを見てくれる誰かがやってくるという、
そんな甘っちょろい恋をいまだに夢見ているのだ。
痛々しいような、馬鹿らしくなったような気分で俺は息を吐き、
その辺にあったタオルケットを清姐にかけてやった。


さて、7年後に、30を過ぎてもやっぱり見合いがまとまらなくて、
いい加減「花嫁修行中」という肩書きも無理になってきたので父親の事務の手伝いをやっていた清姐に、
順調に伯父の右腕となっていた俺がプロポーズするのは、また別の話である。
39名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 00:28:16 ID:SvNN2eba
以上
しかし、エロカッコ良いかどうかは微妙
40名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 16:01:04 ID:SGfeq3Sk
ふむ……確かにエロ格好いいかは微妙だ……

だが楽しかった。GJ.
41名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 21:22:57 ID:WiDHJ3k2
いいや!「俺がもらってやる」宣言は十分カコイイ!
清姐カワエロイ!(エロカワではないw)
姉さん女房ってのも(・∀・)イイ!!

職人さんGJJJJJ!!
42319 ◆K4NcOudD5E :2007/07/15(日) 01:58:07 ID:Zxq+YgYD
SFが無い、か。筆力落ちたと言われたから一つ、テストしてみるかね…。
43319 ◆K4NcOudD5E :2007/07/15(日) 03:29:15 ID:n0yYOgLU

 「抱いて…下さい」

 目の前の女のカタチをしたモノが涙まで流して哀願する様は、違和感を通り越し、質(たち)の悪い喜劇を見ている
気分にさせられた。…十年前、便利な相棒が欲しかった俺は、少女趣味のどこかの変態野郎が散々弄んで飽きて
捨てた中古のセクサロイドを拾い、修理して傍に置いた。人間ならばテメエの都合で簡単に俺を裏切ってくれるが、
『機械』は少なくとも俺自身が手を懸けた分だけ裏切らない。…裏稼業に手を染める前からの俺の信条だった。

 「自己診断プログラムを走らせろ。自分が今、何言ったか自分で解ってるのか? …さっさと寝ろ」
 「何処もおかしくはありません…」
 「…なら命令だ。スリープモードに移行。これ以上、俺の貴重な睡眠時間を削るな」

 うなだれるドロイドを一瞥し、俺はソファーに転がる。俺は馬鹿が嫌いなのでコイツの集積回路をバージョンアップ。
それから戦闘技術を一から『俺の手で』学習させた。人間と違って反復演練の必要が無いのが救いだったが、今度は
ハードの方が要求性能に附いて行かなかった。御蔭でコイツを拾うまでに稼いだ金の大半をコイツの身体につぎ込む
羽目になったのは、安く済ませようとした俺の自業自得だろう。今やコイツは若い女のカタチをした…殺人機械だ。

 「復唱はどうした? …っておい! 」
 「寝ろ。マスターは男性、そしてわたしは女性型。性交しろとの意と拡大解釈」
 「熱暴走か…? 降りろ、重い」

 様子がこうもおかしいのは、つい一時間前まで俺の商売敵がコイツを俺の情婦か何かと勘違いして誘拐してくれた
御蔭だろう。スケジュール管理からカネの運用までコイツにまかせっきりだった俺は、商売敵の呼び出しに不承不承
『顔を出して』やったのだ。実はコイツが本気を出せば『敵を皆殺しにして自分で帰って来れる』はずなのだが、何故か
そうせずに『外見通りにか弱い乙女』を演じてしおらしくお嬢様を決め込みやがってた。…調子が悪かったのだろう。

 「…来てくれて…嬉しかった…」

 覆い被さり、狸寝入りを決め込む俺の耳に熱く、艶やかな声を吹き込む。…糞、何て真似をしやがる。意外と高級品
だったんじゃないのか? オマエ? …耳を舐めるなっての。…調整が面倒なのでセクサロイド用の生体機能を残した
ままだった俺の不精が今は呪わしい。コイツを拾ってきた当初は抜け殻同然だった。照れながら風呂に入れて洗った
のも俺だ。…今更言うのも難だが、俺がコイツを『本来の意味で使った』事は一度たりとも無い。…本当だぞ? これは?
表稼業時代のコネを使って、アタマの生体記憶回路やスキンを修理した後、擬似体液を補給し、オマケに『処女膜』まで
再生させた俺だぞ?

 「そりゃ行くさ。何せオマエは俺の『マギー』より金を掛けてて、その何倍も使えるからな」
 「…『マギー』よりも? わたし…嬉しいですっ! 」
 「そこまでだ。明日も一所懸命に稼がなきゃならん。互いにベストを尽くそうぜ、『相棒その2』」

 その『マギー』を、コイツの目の前に突き付けてやる。百年前のコンバットオート、DE50。スウェーデンはハクスバーナ社
設計、生産は嫉妬する神ヤハウェを国を挙げて信仰するイスラエル。火薬式なので厳重に管理されているエナジーパック
なんて代物は要らない『相棒その1』だ。…整備や清掃に手間がかかるのが玉に瑕だが、俺の命を何度も救ってくれた。
『相棒その2』は、まだ俺の上で身体をすり寄せてくる。コイツ…俺が股にぶら下げてるもう一つの相棒をどうするツモリだ?!

 「俺はベストを尽くそうと言ったんだぞ? 」
 「はい、だから…満足して貰おうとして…」
 「あのなぁ…もう直接話法だ。体力の消耗は避けたい。オマエは俺の戦闘能力を下げて殺したいのか? 」
 「!!」

 泣き出しそうになる『相棒その2』の頬を撫で、ついに溢れ出した涙を拭う。浮かれ気分のほろ酔いモードから抜け出したか…。
だが、コイツの戦闘性能も落とす訳にもいかない。メンタルな機能を取っ払えば済む話なのだが、それでは人間型をしている
意味が無い。難しい所だが、全て拾った俺の責任だ。…全部背負って闘って、生き抜いてやるさ。これまでも、これからも。
俺は潔く離れようとした『相棒その2』の身体を強く抱き寄せた。驚く『相棒その2』に、右眉を上げて微笑んで見せる。

 「ご褒美、欲しいんだろう? このまま寝ようや、エイミー」
 「はい…」 

 最高の性能を発揮するためには厳しい自己管理が必要だ。例え明日に野たれ死ぬとしても、精一杯生き抜くために。 
44名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 23:59:17 ID:tHDPZ8e9
女→男は男女の感情だが、男→女は背中を預ける信頼、てことだろうか。
男女の仲じゃなくても、命を預けあうってとても深い繋がりだと思うが、
いまいちその辺が十分に描ききれてない感じかなぁ。上滑りしてる気がする。

でもそのチャレンジ精神にGJ。

そういや宇宙人とかセクサロイドとかあったからSFゼロじゃないな。
ハードSFって意味か?
45名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 13:04:38 ID:b9Uew6/O
これで上滑りつったら投下する奴いなくなるぞw
46名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 23:19:04 ID:UoZekz4w
エロカッコ道では合格。
47名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 23:10:47 ID:TlX54YtO
ご褒美、て響きがエロくてイイw
48名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 15:01:17 ID:4rnoJ3wF
>>43へ ひとつここで書いてくれないか? 戦闘モノでもいいから。

ロボット、アンドロイド萌えを語るスレ:α5
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1164199888/l50


49名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 20:35:01 ID:dhpDaX9k
ブチャラティはカッコ良い。
50名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 00:34:40 ID:JK58o7GY
保守
51名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 00:33:37 ID:Od3eau4e
誘い受けくさいが許してくれ。
投下予告で保守。頼むからそれまで落ちないで。
夏なので怪談っぽいの。
52いつかの17♯る’いんぺらとらいす:2007/07/26(木) 02:03:07 ID:cNy1b6YA
保守がてら便乗〜
例の夏祭りの入稿が済んだら投下の予定です。
53いつかの17♯GYAAAAAAAA:2007/07/26(木) 02:04:39 ID:cNy1b6YA
>>52 トリ失敗するとか本気でへこむ…
疲れてるんだろうかOrz
これでも失敗してたら軽く吊ってきます。
54名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 02:55:15 ID:pzPuKRCN
(´;ω;`)ウッウッ がんがれ・・・
55名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 09:13:46 ID:t8IrCMBc
トリップのシャープは半角だっ。
さあ、好きなだけもってけ!

つ################################################
56名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 16:16:43 ID:FmyhUEYN
319 ◆K4NcOudD5Eってここの専属?
57名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 00:01:01 ID:iW12P02D
本人ではない自分が口出すのもなんだが、少なくとも前スレ319さんでは
ないと思う。違ってたらごめん。
58名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 02:18:51 ID:Mlu7OgHl
支援。


恭介が扉を開けると、そこには満面の笑みで美里が待ち構えていた。
「じゃーん!」
右手は天に、左手は腰に。ポーズを作ってひらりと一回転。
「ふ、決まった」
得意げな顔が可愛いぞこん畜生。
恭介はとりあえず右手に下げたコンビニ袋を差し出した。
「はいアイス」
「きゃーありがとーv」
喜ぶ美里の横でやっと靴を脱ぎながら、恭介はちらりと視線を動かす。……目の高さがばっちり太腿ラインだったのは、狙ったわけではない。たぶん。
「新しい水着?」
「うん、買っちゃった」
冷凍庫にアイスをしまいながら美里が言う。
ホルターネックの上は白地に紺の横ストライプ、下は紺一色の一分丈パンツ。最近よく見る、街中でも着れないことはないデザインだ。着てほしくはないが。
「試しに着てみたから、恭介に見せようと思って。このカッコ涼しいし」
にこにこ言う女性に、男が返せる言葉など決まっている。
「似合ってる」
「ありがと」
「せっかくだから髪まとめようか?」
「ううん、それはいいの。それより……」

来た。

美里は甘えるような上目遣いをつくる。胸の谷間とくびれた腰と白い太腿が眩しいであります隊長。
「……しよ?」
恭介はしばし胸中で激しく戦った。
「ものすごく魅惑的なお誘いだけど……暑いよ?」
む、と美里が唇を尖らせる。
「世の中にはエアコンという文明の利器が……」
「京都議定書と美里の体のために却下」
実験室で生物と精密機械を扱う都合上、昼間過酷な温度差に晒される彼女の自律神経は毎年少なからずダメージを受ける。自宅では極力冷房を使うな、と言い渡してあった。
「……運動して汗かくのはいいんだもん」
「まあね。でも今日は寝といてもらわないと肝心の海で俺が襲えませんよ美里さん」
「……なんで?」
「良心の呵責、かな」
彼女はちょっと動きを止める。
「……もしかして恭介、けっこ溜まってる?」
「誰かさんが夏に弱いからね」
「……ごめん」
「海で取り返すからいい。てことで服着て。内臓が冷える。ちゃんと夕飯に味噌汁飲んだ?」
「うん」
「じゃアイス食べてよし」
わぁい、とうきうき奥へ向かう彼女を後目に、恭介はとりあえずトイレのドアを開けるのだった。



とっぴんぱらりのぷぅ。
5958:2007/08/02(木) 10:17:53 ID:Mlu7OgHl
うわ、改行入れてねぇorz
ごめん、ほんとごめん。
60名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 22:53:16 ID:z3AwZ30z
保守
61名無しさん@ピンキー:2007/08/12(日) 13:54:21 ID:7UkI2gVS
>58
GJ!おいしくいただきましたよ
62名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 01:05:14 ID:X5QAvLj2
牝犬の相手は御免だ保守
63名無しさん@ピンキー:2007/08/19(日) 05:01:01 ID:z+4bIhwK
>>62
病気で余命僅かの主人公だが、周りにその事を秘密にしている。
で、前から好きだった女の子から告白される。
でも自分はもうすぐ死ぬから、付き合ったりしたら傷つけるだけと思い、
「牝犬の相手は御免だ」と言ってわざと嫌われる訳だな?
64名無しさん@ピンキー:2007/08/19(日) 22:10:28 ID:iWlmUea7
ここって二次はアリ?
10年以上前のマイナー格ゲーでひとつ考えてるんだが。
65名無しさん@ピンキー:2007/08/20(月) 16:04:14 ID:Ng6uq3lc
いいんじゃないの。
でも10年以上前のマイナー格ゲーじゃあ、
元ネタに気づかない人が多い気がするな。
66名無しさん@ピンキー:2007/08/20(月) 21:19:19 ID:PS9np3EZ
久しぶりにきたので保守。
前スレ王様と御付の女みたいなやつが好きだった。
67名無しさん@ピンキー:2007/08/21(火) 15:08:38 ID:ebHV0lyV
>>65
dクス!でも「ファイターズヒストリーダイナマイト」なんて
もう誰も覚えてないだろうなー。
68名無しさん@ピンキー:2007/08/21(火) 18:18:57 ID:QEgJ6Nln
十年以上前の格ゲーと言われてバトルタイクーンしか浮かばなかった私に言わせれば充分メジャーゲー
69名無しさん@ピンキー:2007/08/22(水) 15:15:24 ID:IJI0aN7b
出来れば、無知な俺のような人のために、微妙に背景説明を入れて欲しいっす
70名無しさん@ピンキー:2007/08/23(木) 08:29:38 ID:Ub2ClCAs
了解。そして誘い受け臭いレスすまん。
じゃいっちょやってみるよ(ちなみに李×英美)
71名無しさん@ピンキー:2007/08/23(木) 23:40:33 ID:ZtPNtDhV
wktk!
72名無しさん@ピンキー:2007/08/24(金) 15:05:31 ID:NZswi6Hc
保守しに来たらFHDとはまた懐かしいモノが。
ストイックカッコいい兄さんと強気カワイイ娘っ子期待
7351の怪談1:2007/08/31(金) 17:59:44 ID:9SUoJa11
まだ夏だよね? そうだよね? 8月31日はまだ宿題セーフだよね?
……遅うなってすんませんでしたorz
ホラー風味は薄いですが幽霊話なんでそこんとこヨロ。




 薄墨が溶け込んだような、ぼんやりと正体のない闇だった。

 白無垢の裾を捌きながら、私は俯きがちなままそっと辺りに目をやる。
建物から出た覚えなどないのに、頬を撫でる大気の流れは野外のよう、
さりとて視界に入るのは、霧が立ち込めたような、やわやわとした闇だけだ。
背後でふらりと青火が揺れた。

「後ほどお迎えに参ります」
 私をここまで連れてきた禿頭の老人がくぐもった口調でそう言うと、
ひたひたと足音が遠ざかっていった。灯りがなくなっても見えるものは
変わらない。

 ……見えないことに変わりはない、というべきか。
 ただ、己の身が備えた輪郭だけが、幼い頃見た不安な夢の中のように、
不思議にくっきりと浮かんでいる。

 角隠しの陰で、私は微かに息を吐いた。花嫁衣装は死に装束に似ている。
かろうじて慶事であることを示すように、白無垢の下から金糸を縫い取った
紅襦袢が覗いていたけれど、これが人から祝福を受けるものでないことは、
私にも十分わかっていた。むしろ忌み事の類だろう。

 闇は徐々に深くなっていく。襟を大きく抜いたうなじが、冷気に触れてぞくりとした。
 ちょーん、とどこかで水滴の落ちる音がする。幾重にも残響がこだまする
様からすると、洞窟のような場所だろうか。粟立った腕を押さえ、私はしきりに
右手に握った数珠をたぐった。怖じ気づいている場合ではない、と自分に言い
聞かせる。
 ここから今逃げ出したら、一体何のためにやってきたのだかわからなくなる。

 ―――この先、どうやって生きていけばよいのかも……。

 溢れそうになった涙をこらえて目をつむり、唇を噛みしめると、不意にそこへ
冷たい指が触れた。
7451の怪談2:2007/08/31(金) 18:03:59 ID:9SUoJa11
「紅が剥げてしまうよ」

 私は慌てて声の方をふり仰ぐ。優しい、困ったような声の主は、間違いなく
期待していた通りの人だった。
「裕一郎さん……!」
 涙の絡んだ喉で呼びかけ両手を投げる。彼はしっかりと受け止めてくれた。
あまりに願い続けたことだから、確かな手応えがかえって夢のようだ。私は
うわごとのように彼の名前を繰り返した。
「裕一郎さん、裕一郎さん……!」
 彼は宥めるように私の背中を撫で、美緒子、と私を呼んだ。

 ―――これが聞きたかった。

 彼の声で、彼の抑揚で呼ばれる私の名を、私はどれほど嬉しく聞いていた
だろう。堪えきれなくなった涙が次々に頬をつたう。会いたかった。嫁いだ時には
すでに鬼籍の人となっていた私の夫。


 ひとしきり泣いて、私はようよう目的を思い出した。それまでずっと、何を問う
こともせず抱きしめていてくれた裕一郎さんの肩に顔を寄せたまま、まだ震えの
残った声を絞り出す。

「……妻にしていただきに参りました」

 密着した肌のすべてを通して、彼の体が強張ったのがわかった。

「……美緒子」
 否定の響きを感じて、私は必死に彼を見上げる。
「厭です、拒まないでください。どうしても否とおっしゃるならば、いっそこの場で
殺してください!」
 悲鳴のようになった訴えに、彼が顔を歪める。
「……どうして、そんな」

「……父が……」
 私は袖で目元を押さえる。絹の感触も、今はなんら私の心を慰めなかった。
「え、縁談を、もってきたのです」
 一度は落ち着いた感情が再び高ぶって、私はしゃくりあげながら事情を話した。

 花嫁行列の途中、世話役の家で一泊していた夜、裕一郎さんが子供を
助けるため馬車にはねられたと連絡が入ったこと。
 急ぎ駆けつけたが間に合わなかったこと。
 花嫁衣装を喪服に替え、泣き暮らしたこと。
 四十九日が過ぎて、父が新たに縁談をもってきたこと……。

 切れ切れの言葉を黙って聞いていた裕一郎さんは、いっそ穏やかな物言いで
私に訊いた。
「……やはり、ご実家の事業が思わしくない?」
 いたたまれない思いを抱えながら、私は小さく頷く。私たちの結婚が成った
あかつきには、裕一郎さんの家から相応の援助があるはずだった。当ての
外れた父の怒りようは、彼の前ではとても口にできない。
7551の怪談3:2007/08/31(金) 18:10:42 ID:9SUoJa11
 一生を添い遂げるつもりで嫁いだものを、誰もかれもがなかったことにしろ
と言う。確かに直接言葉を交わしたのは片手で足りるほど、ともに過ごした
時間はけして多くはない。だが言葉もなく見交わした視線が、幾度も取り交わした
文の墨の匂いが、結婚をお受けしたときの笑顔が。ひとつひとつの思い出が、
もはや私にくっきりと刻まれているものを。

 これを消そうというのなら、私ごと焼くか壊すかするしかない。

「……それで、どうして此処に」
「私の嘆きを見かねた妹が、寺社にお参りするうちに、親しくなったご老人から
冥婚譚をお聞きして。人伝に尋ね歩いて、ようやくここに」
「そうですか……」
 彼は深く息をつく。

「あなたの妻でいさせて欲しいのです。今更他の誰かに嫁ぐなど、私には
考えられません。たとえそれが――」
「……それが?」

 口を滑らせたことに気づいて、私は慌てて首を振る。だがその動揺こそが、
彼に真実を伝えることになった。

「そうか……。相手は伸次だね?」
 見透かされて、私はきゅっと目をつむる。伸次さんは裕一郎さんの弟だ。
悪い人ではない、悪い人ではないけれど、裕一郎さんに似た面差しが、
かえって私の心を追いつめた。

「裕一郎さん……」
「ああ、泣かないでおくれ。悪いのは美緒子、貴女じゃない。貴女を遺して逝った
僕の落ち度だ」
「貴方も悪くなどありません! 貴方は子供を助けようとしただけではありませんか!
責められるべきは私の父で―――」

 裕一郎さんは私の唇を指で押さえると、表情を改め、首を振った。

「お父上をそんな風に言うものではないよ。……私は、青くさい若造だけれど、
死んでわかったこともある。誰もが皆、自分の命だけを生きているのだとね。
誰も何も悪くない。ただ生きているだけなんだ」

「……でも」
 納得のいかない私に、裕一郎さんはそっと笑った。
「もっと早くにわかっていれば、貴女をこんな風に悲しませることもなかった
ろうけど―――死んでようやくわかったのだから仕方がない。己の不明を
恥じるだけだ。苦しませてすまなかったね」

「そんなこと」
7651の怪談4:2007/08/31(金) 18:12:36 ID:9SUoJa11
 首を振ると身体が離れて、ただ両手だけが包まれる。

「……この数珠は? とても綺麗だ」
「祖母が、持たせてくれたのです……」

 何を話したわけでもないが、家を飛び出す前日に『持ってお行き』と包んで
くれた風呂敷包みの中に入っていた。……妹から、話を聞いていたのかもしれない。

「いい護りだね」
「そう、なのですか?」
「うん。安心した。貴女の花嫁姿も見られたし―――もう、心残りはないな」

 え、と訊き返す前に、彼は数珠を私の手からむしりとる。じゅ、と、何かが
焦げるような嫌な臭いがした。同時に何か途方もないものが上から―――否、
八方から押し寄せて、私の身体を引き倒した。己の身を押しつぶすかのような
重圧に、視界が暗くなる。何が起こったのかわからない。

「―――美緒子」

 裕一郎さんの声が聞こえる。聞こえるけれど、顔をあげることも、助けも求める
こともままならなかった。


 愛していたよ。


 その言葉を最後に、私の意識は暗転した。



7751の怪談5:2007/08/31(金) 18:19:19 ID:9SUoJa11
 美緒子、と叫んで飛び出してきた男を、裕一郎は晴れ晴れとした顔で迎えた。
焼かれて感覚のなくなった腕で、なんとか数珠を放る。

「兄貴! 何をしたんだ!?」
「白無垢など着てこんなところへ来たから、依り代と間違った邪気に当てられ
たんだろう。……大丈夫。数珠をはめておやり。お前も護り刀を離してはいけないよ」

 真っ青な顔で伸次が―――弟が水晶の数珠を取り上げるのを、彼は眩しいような
思いで見つめた。
 美緒子がなんと思おうと、彼我の距離はこれほどまでに大きい。

「夢じゃ……なかったんだな」
 ぐったりとした彼女の身体を抱き起こして、伸次がぽつりと言う。裕一郎は首を
振った。
「夢だよ。夢枕、というやつだね。私は死んだんだ」

 彼女を失いたくなければここへ来い、と告げた。成功したのは僥倖だった。
機会を与えてくれた何かに、心から感謝したい。

 強ばった弟の顔に、裕一郎は苦笑する。
「言っておくけれど、お前を恨んでなどいないよ。私は自分から馬車に飛び込んだ
のだし、これで楽になると思ったのも本当だ。お前の想いを知りながら、美緒子を
愛したのも、それで苦しんだのも、全部私の人生だ。お前のものじゃない」

 時期で言うなら、先に美緒子に恋をしたのは弟の方だ。姓だけでやりとりした
文は数回、先方の勘違いと裕一郎自身の恋が重なって、事態はこじれにこじれて
しまった。嘘を塗り固めるのに、その後どれほどの嘘を重ねたことか。

「けれど、謝ることもしないからね」
 ―――これは罪滅ぼしなどではない。だから、後ろめたく思ってくれるな。

 伸次が何かを言いかけて、結局口を閉じる。何を言っていいのかわからない
のか。思えば昔から口下手な弟だった。―――自分は、そこにつけこんだの
だけれど。

「彼女と私の思い出は、私が冥府へ抱えていくよ。それくらい土産にくれても
いいだろう? 記憶をなくして彼女は混乱するだろうけど……せいぜい骨を
折るんだね」
 ちりちりと、焼けた腕が灰になっていく。苦いばかりだった生涯ただ一度の
恋を抱いて、土へと還っていく。
「幸せにおなり。人の命は儚いものだ。明日にも私の祟りで死ぬかもしれないと
覚悟するんだよ。腹が括れるだろう?」

 裕一郎は笑って、音もなく闇の中へと溶けていった。



 さようなら、愛しい者たち。
 最後に泣いてくれた君の涙が、何よりの手向けだ。




  END



章変えでもないのに改行入れるのって難しいorz
かえって読みにくくなってたらごめん。
78名無しさん@ピンキー:2007/09/01(土) 00:15:55 ID:XxT5Clva
>>51
おまえはよくやった。
だが エ ロ く な い 。
79名無しさん@ピンキー:2007/09/01(土) 01:33:43 ID:AcUv0s2I
>>77
裕一郎、かっこいい……
だが エ ロ く な い 。
という点にも同意。
80名無しさん@ピンキー:2007/09/01(土) 11:39:43 ID:i9ZK6N4r
>>78-79
花嫁姿で、闇から現れた触手にひきずり倒され蹂躙される寸前の
美緒子タソがエロくないと申すか。


……エロいのは俺の脳か(;゚∀゚)=3ムッハー


というわけで>>51GJ!
81名無しさん@ピンキー:2007/09/04(火) 03:21:04 ID:joSkfiGx
初めて見たんだけど、皆さんGJ


ところで、前スレってどこかで見れるんでしょうか?
もし、あるなら教えて欲しいのですが宜しくお願いします。
82名無しさん@ピンキー:2007/09/04(火) 15:03:53 ID:Q5FXofNL
>>81
ほいよ。
つtp://www.geocities.jp/mirrorhenkan/bbspink.html

保管庫はない(´・ω・`)
83名無しさん@ピンキー:2007/09/06(木) 00:01:07 ID:EvbIZoeJ
>>82
ありがとうございます。
見れないみたいですね。
84名無しさん@ピンキー:2007/09/10(月) 21:16:20 ID:5ky8uKNZ
神降臨希望ほしゅ。
85名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 14:01:54 ID:sLjgFaPJ
>>83
今更かもしれないが、携帯からなら、べっかんこ経由である程度は見れる。

1.「設」or「書」から「●ログイン」でログイン
2.過去スレのURLから「倉庫から取り出して読む」

無料だからやってみて。
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86名無しさん@ピンキー:2007/09/14(金) 23:15:50 ID:xm5hutNo
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87 ◆T24RU/jbYI :2007/09/16(日) 23:57:11 ID:yDD7x48v
こんばんは。

エロかっこよく、にチャレンジしてみました。

6レスほどお借ります。
88 ◆T24RU/jbYI :2007/09/16(日) 23:59:30 ID:yDD7x48v
 新宿。
 銀座のように上品でなく、六本木のように尖ってもいない。さりとて渋谷のように若くもない、あらゆる年齢、国籍、性別を受け入れ、飲み込む雑多な街。人間の欲望全てが上空に渦を巻いているような、そんなエネルギーがこの街にはある。
 新宿駅におりると、いつもその空気に眩暈がする。
 帰ってきた。
 思わずそんな言葉を口にしてしまう。
 東口の人込みをすり抜け、新宿通り、靖国通りを越えると、そこが歌舞伎町だ。ここは、新宿の中でもまた独特の空気を持つ。いや、新宿が新宿たるゆえんは、この小さな空間にあるのかもしれない。
 俺の仕事場はここにある。


 狭苦しい雑居ビルのエレベーターに乗る。チン、と音がして五階でドアが開く。三つしかないオフィススペースの一番奥が、俺の仕事場だ。
 「コスモシティファイナンス」
 よくわからないネーミングをドアのすりガラス部分にシールで主張している、この事務所に来るのは一年ぶりだった。
「よう」
 ドアを開け、中にいる男たちに手を上げて挨拶する。
「部長! おかえりなさい」
 中で新聞を読んだり爪を研いだりしている男たちの容貌はどれも、いかにもヤクザ、といったものだ。粗暴さを奥に秘め、表面はデキるビジネスマンを装っているが、いざその瞬間がくれば獰猛な牙をむく。そこまでを一瞥しただけで感じ取らせる男たち。それが俺の部下。
 闇金融といわれる金融屋が、俺の仕事だ。
 勤めた銀行を辞めてから十年以上、ここで俺は金と人間の欲望を扱ってきた。地方にもう一軒店舗を構えるというので、その立ち上げを手伝いに一年行っていて、今日、また帰ってきた。
「変わりないか?」
 座りなれたソファでくつろぎながら、俺は訊いた。
「ええ。人間のやるこたァ、そうそう変わらないですよ」
 俺の右腕としてここを取り仕切る、有能な営業マンだ。
「違いねェな」
 顧客名簿や帳簿関係をチェックするために、俺は右腕と共に奥の部屋に移動した
 ぺらぺらとめくっているうちに、ふと気になる顧客情報を見つけて目を留める。
 ハタチの女の情報だった。


 うちのような店に来る客は、ブラックリスト顧客や、何件もの店で借金を重ねた多重債務者だ。そうでもなければ、普通は闇金など足を踏み入れたいとも思わないだろう。
 だがこの女は違った。突然やってきた女には、いくら調べても他での借金は見つからなかった。
 男にダマされでもしているのかとプライベートも調べたが、下町にある小さな印刷会社に事務員として働いていて、男っ気はまるでなし。ブランド品を買いあさるなどの浪費癖も見当たらない。
 一体なんのためにうちで金を借りたいと言ってきたのか、まったく不思議な女だった。
 だが、貸してといわれてダメということもない。今の給料ではそのうち火の車となっていくに違いないと思ったが、そこはそれ。ハタチの女なら、なんとでもなる。
 見た目は、田舎から出てきた「イモ姉ちゃん」そのもの。黒い髪の毛をひっつめにして、大きな眼鏡をかけ、ほっぺたはりんごのように赤い。
 だが、眼鏡の奥から上目遣いにこちらを伺う怯えた瞳、震える唇、ぎゅっとハンカチを握りしめる細い指は、磨けば光るかもしれないと思わせるものがあった。
 コゲつきゃあ、風呂屋にでもいってもらいましょう。
 右腕はそう言ったが、女はコゲつくどころか、毎週きっちりと金を返しに事務所へやってきた。
 なにもうちで借りるこたァないんですがねえ。右腕も首をかしげるほど、女の返済はしっかりしていた。しかしおかしなことに、もうすぐで返済が終わる、という頃になると、事務所に来て俯いて言うのだ。
「もうお金ありません。また貸してください」
 結局、残りわずかな金額をジャンプして、また大金を借りていく。そしてまた毎週事務所へやってくる。そんなおかしな顧客だった。
「この女、まだやってたのか」
「ええ、ですが、ちょうど部長が地方行ってしばらくしてくらいから、マジメに返さなくなりましてね」
 今では借金は、数百万に増えていた。さてそろそろ最後の仕上げ、という段階にきているところだという。
「面白ェな。仕事場、どこだっけか」
「部長自らがいくこたァねえっスよ?」
「いい女がいるかもしれねえだろ?」
 冗談めかしていうと、右腕は手を振って笑った。
「数人、若い女はいますけど、ほとんどがオヤジとババアの、典型的な下町の工場ですよ」
「ま、復帰戦がてらに、ちょうどいいんじゃねえか?」
 またまたあ、という右腕の声を背中に、俺は事務所を後にした。
89 ◆T24RU/jbYI :2007/09/17(月) 00:02:19 ID:d+Cfs/4G
 そろそろ返し始めないと、さすがにまずいかも。
 ロッカールームで制服に着替えながら、わたしは頭の中に預金通帳を思い浮かべた。
 わたしがあの闇金でお金を借りたのには訳があった。いや、訳というほどのこともない。恋をしたのだ。道ですれ違っただけの、言葉すら交わしたことのない男に。
 その男に会うためだけに、わたしはお金を借りた。月に一度、振り込んでくれればいいよと言った営業マンに、毎週持ってきますと思わず答えていた。
 そうじゃないと使っちゃうから。そんな下手な言い訳をしながら、わたしは毎週事務所を訪れた。事務所に彼がいれば、そこでお金を返す。いなければ、今日はないからまた明日くる、と言っては呆れられた。
 デスクの向こうでじっと客と部下を見つめているその視線を、わたし個人に向けてくれればいいのにと、何度願ったことか。
 けれど結局一年間、ただの一度も会話すらせずに、わたしは毎週彼の姿を眺めるだけだった。それだけで幸せだった。
 だけど、そんな幸せも一年前に終わってしまった。突然いなくなった彼の姿を求めて、わたしは日参に近い頻度で事務所を訪れた。そしてようやく、地方へ行ってしまったのだと聞きだした。
 もう、お金を返す気にも、事務所に行く気にもなれなかった。彼がいないのなら、闇金の事務所など、怖いところでしかなかったからだ。
 そうこうしているうちに、あっという間に借金は膨らんだ。もう、どうしていいのかわからなかった。


 制服に着替え、いつもと同じ仕事をこなす。うきうきとしていたあの頃に比べ、なんと味気ない生活だろう。もう、借金を苦に自殺してもいいような気がしてきた。
 でもその前に。会いたい。一目でいい。前と同じように、会話を交わすことがなくていい。ただ、彼の姿を見たくてたまらなかった。
 夕方、もう少しで定時になるという頃。他の事務員の女性はみなそわそわとし出す時間。デートの約束、コンパの予定。
 そんなものに縁のないわたしは逆に、いつ、どうやってお金を捻出して持っていこうかと、気ばかりが重くなっていっていた。
 そんな時、事務所のドアが開いた。営業マンが帰ってきたのかと、入り口を見たわたしは息を呑んだ。
 見るからに高級な生地と仕立てでできているスーツ、ネクタイ。ココからでは見えないが、きっと靴も同じように高級で、そしてピカピカに磨かれているに違いない。さりげなく覗かせているポケットチーフに、袖から見える腕時計までが、キラキラと光って見える。
 まるで芸能人のようなオーラを放ちながら、エリートビジネスマンの格好をした彼が、そこにいた。
 女性陣はみな唖然として、ドアの前に立つ彼を見つめている。おじさんたちも燦然と輝いている彼を、ただただ眺めている。
「い、いらっしゃいませ」
 ようやく、受付当番の女性が上ずった声で彼に言った。
「お約束ですか?」
 彼女の熱い視線をものともせず、彼はカウンターごしにわたしの名前を呼び、微笑みかけた。
「やあ。久しぶりだね。営業でこちらのほうにきたので、寄ってみたんだ。チラシや名刺も作りたかったし、ちょうどいいかと思って。相談に乗ってくれるかな?」
 全員の視線が、今度はわたしを射るかのようにわたしに向かってきた。
 定時がもうすぐだと言うと、彼は「今日でなくてもいいから、新宿で会おう」と言った。それはつまり、事務所へ来い、ということだ。
 彼が、わたし個人に会いにくるわけがない。返済が滞っているわたしを威嚇するために、仕事場にきたのだ。それが分かっていても、わたしは胸が高鳴った。
 再会できただけではない。初めて。初めて会話を交わせた。それが嬉しくて、舞い上がるようにしてわたしは定時までを過ごした。
90 ◆T24RU/jbYI :2007/09/17(月) 00:04:22 ID:d+Cfs/4G
 女の工場から事務所へ戻り、俺は右腕とふたり、帳簿を囲んで今後のことを話した。
 そうこうしているうちに日は暮れていき、事務所の連中みんなで、俺の復帰祝いをしてくれるということになった。なんということはない。単に飲む口実が欲しいだけなのだが、その口実に使ってくれる心遣いが嬉しかった。
 若い連中を先に帰し、俺は事務所を閉める役目を請け負った。まだもう少し、店の内情を把握しておきたかったからだ。
「じゃあ、先に行ってます。早くきてくださいね、部長」
「ああ、わかった」
 全員が事務所を出ていき、俺はまた書類に意識を集中させた。
 気づけばすでに日はとっぷりと暮れており、夜の闇が街を覆っていた。小さく背伸びをし、ブラインドの隙間から街を覗く。
 夜になってから、この街は本来の姿を見せる。けばけばしいネオン。耳を塞ぎたくなるほどの喧騒。男と女の欲望と情熱が、ネオンに照らされて露わになる。そんなところは、確かに一年前と変わっていない。
 ぞくぞくするような喜びを覚え、俺は書類を片付けた。そろそろ店に向かわないと、と思ったからだ。
 その時、街には似つかわしくない空気をまとった女が、このビルを見上げているのが見えた。あの女だった。しっかりとカバンを胸に抱いて、やがて女はビルの入り口に吸い込まれた。


 俺は事務所のドアの正面にあるカウンターに座り、煙草を取り出して待った。女は、煙草が半分まで減ったところでやってきた。
 小さなノックが聞こえ、俺は煙草をくわえたままドアを開けてやる。ぺこりと女はお辞儀をした。ドアの隙間を塞ぐように俺は立ち、女に向かって言った。
「何しにきた? もう、あんたに貸す金はねえぞ」
「かっ、返しに……。返しにきました」
「ほう……。なら、入んな」
 女を事務所へ招き入れる。ドアを閉めてから俺は応接セットのソファにどかりと座った。女はおそるおそる俺の前のソファに腰掛ける。
 これを、とカバンから取り出したのは、銀行の封筒。中を見れば綺麗に揃った福沢諭吉の束だ。もったいぶって俺はその枚数を数える。
「百か。あんた、それでもまだ全然足りねェって分かってるか」
「ハイ。だけど、これで元金の半分は――」
「バカ言っちゃ困るな。こっちは毎回耳揃えて貸してやってんだ。なら、返す時も全額まとめてだろ。これは、利息分に当てとくよ」
 女は俯き、スカートをぎゅっと握り締めた。
「で? また前みたいに、毎週いくらか持ってくるつもりなのか? もうあんな金額持ってきたって、焼け石に水だぜ。まあ、ないよりはマシだがな」
 さっきまで吸っていた煙草を灰皿でもみ消した。すると女が突然立ち上がり、きゅっとこちらを向いて俺を見つめた。磨けば光るかもしれないと思った、綺麗な瞳だった。
「わ……。わたしを……。わたしを買ってください」
 かけていた眼鏡を外してテーブルに置き、髪をほどいた。おあつらえむきに、エアコンの風で黒い髪が女の肩のあたりで泳いで、俺を誘う。
「身体で、払います。払いきれない分は――身体で。わたしの身体で払いますから……」
 言いながら女は俺のほうへ寄ってくる。俺は黙って女のすることを見守っていた。
 女は俺の前で、ブラウスのボタンを外してスカートを床に落とした。地味な洋服とはアンバランスな派手で色気のあるレースの下着が、女の身体を僅かに覆っていた。
 恐らくまだ誰も触れたことがないであろう胸は、人並みより少し大きめ。大きな尻に、くびれた腰。股間を隠すレースの下からは濃い茂みがのぞき、その更に奥のことを想像させる。
「だから――抱いてください」
 そう言うと、女はかがみこんで、俺の唇に自分の唇を重ねてきた。震える小さな声を発する、赤いふっくらとした唇だった。
 キスをしたこともないのか、女の口づけはただ単に唇を重ねるだけだった。俺が小さく口を開くと、はっと気づいたように舌を差し入れてきた。
「んっ……。んん……」
 女のあえぎ声と、唾液が絡み合う水音が、薄暗い事務所に響く。ぎこちない、慣れていない舌と唇の動きに、俺の下半身が疼いた。
91 ◆T24RU/jbYI :2007/09/17(月) 00:05:00 ID:d+Cfs/4G
 わたしは少ない知識を総動員して、彼の唇を吸い、口の中を舌でまさぐった。彼は口を薄く開いた以外、何も反応を示さない。思い切ってわたしは彼のベルトに手をかける。
 恐怖と興奮とで震える手で、わたしは彼のベルトを外し、スラックスの前を開いた。
 ブラジャーの留め金を外して、胸を彼の前にさらけ出す。そうしておきながら、わたしは彼の下着の上から、彼の男根に触れた。触れたそこは下着の中でゆるやかに硬さを持ち始めていた。
 彼の首に手を回して、自分の胸を顔に押し付ける。彼の薄い唇が乳房に触れて、わたしの身体に刺激が走る。
 だが、彼はそれ以上何もしてこない。わたしは身体を離し、彼の膝に乗ってもう一度口づけた。口づけしながら彼の股間に手を寄せて、硬くなりつつある彼の男根をさする。
 わたしの手の中で徐々に固さを増し、大きくなっていく彼の男根。彼の中でそこだけが、わたしに反応してくれていた。ふと下半身に目をやれば、下着の上から見えている赤黒い先端が、てらてらと光っていた。
 すると彼はわたしの腰に手を回して、ぐっと引き寄せた。
 彼のシャツごしの肌が、わたしの身体に触れている。そう思うだけで、わたしのアソコは濡れてきて下着を汚した。
「抱いてほしいのか?」
 耳元で彼の声がした。こくりとわたしは頷いた。
「抱くのは構わねェがな」
 彼の男根をさするわたしの手を止めて、彼は続けた。
「あんたがどれだけ俺の上で腰振っても、俺には一銭も落ちてこねェってことは、理解してるか?」
 硬さを増していたはずの彼の男根が、元に戻っていく。触れていたはずの肌が、わたしの身体から離れていく。
「身体で払う覚悟ができたってんなら、それなりの店、紹介してやるぜ。そこで客相手に腰振って、稼いで、返してくれ。俺に股ァ開いても、あんたの借金はビタ一文、減らねえんだ」
 彼は腰に回していた手に力を入れて、わたしを膝から下ろした。
「服、着ろや。俺が客と、営業時間外にこんなことしてるなんて知れたら、部下どもがうるせえ」
「客……」
 ほら、とわたしが脱ぎ捨てた下着や服を手渡してくれながら、彼は頷いた。
「ああ。あんたと俺は、金融屋の店長と客って関係だ。それ以上でも、それ以下でもねえ」
 のろのろとわたしは下着を身につけた。初めてつけたこの下着の派手さが、自分の愚かさと浅ましさを表しているようで、惨めでたまらなかった。
 彼はソファから立ち上がり、いつも座っているデスクに腰だけ乗せて、煙草をくわえてわたしを見ていた。服をようやく着終わったわたしに、彼がデスクにあった手鏡を差し出した。受け取って、髪を軽く整える。返す時に触れた彼の手の温もりに、胸が震えた。
「すみませんでした」
 手鏡をデスクに置いた彼が、ぐいとわたしの手首を掴んだ。
92 ◆T24RU/jbYI :2007/09/17(月) 00:06:17 ID:d+Cfs/4G
 冷たい彼の手の平が、わたしの手首にあった。ごつごつとした指がわたしの腕にくいこみ、そこが熱を持つ。わたしの神経もそこに集中した。もっと触れて。もっと触れていて。もっと強く、もっと優しく。
「あんた、家族や親戚はいないのか」
 はっと気づくと、彼が話しかけていた。急いで頭を回転させて、答えた。
「両親は田舎にいます。親戚も」
「二本だ。二百万、親や親戚に頭下げて借りてこい。今日のその百に足しゃあ、あんたの借金の半分になる。それで勘弁してやる。その代わり、今月中だ。あと二週間のうちに、三本まとめて持ってくるんだ」
 彼の言っていることの意味が分からず、わたしはぽかんとして彼を見つめた。
「あんたの綺麗な裸に免じて、半額で許してやろう。間違っても他の金融なんかで借りてくるんじゃねえぞ、いいな?」
 煙草を灰皿に捨てた彼が、掴んでいたわたしの手を持ち上げ、手の甲に小さくキスをしているのが見えた。自分の手にされているのだと、気づいたのは一瞬後だった。
「分かったか?」
 頷くと、彼はふっと口元に笑みを浮かべて、じゃあ帰れ、と言った。再び頷くと、わたしの手首を掴んでいた彼の手が、離れた。
 宙に浮いた腕をやっとのことで自分の身体に引き寄せて、わたしはソファに置いてあったカバンに手をかけた。慌てていたためか、カバンの中身を床にばら撒いてしまい、わたしはそれを拾い集めた。
 彼はテーブルの上のお金を封筒に入れなおして、わたしのカバンの中に入れた。お辞儀をして、わたしはドアへ向かう。彼は後ろをついてきて、ドアを開けてくれた。
「あの――」
「返済が終われば、あんたはもう俺の客じゃなくなる」
 ありがとうございました、と礼を言おうとしたわたしの言葉を、彼は遮った。
 そうだ。返済が終わる時は、わたしが彼に会えなくなる時でもある。なんのためにこんなに借金を重ねてきたのか、結局、わたしは恋のひとつも実らせることができないままに、両親を泣かせることになる。
 バカみたいだと、わたしは自嘲した。彼を見るためだけに、計画的に借金をしていたはずなのに。借金がなくなるのは助かるし、嬉しかった。けど、もう会えなくなってしまう。
「客じゃないってことは、俺とあんたの関係も、男と女になるってことだ。――待ってるぜ、あんたが借金返し終わって、ひとりの女になるのをよ」
 じゃあな、気をつけろよと彼はわたしの頬をひと撫でして、額に軽くキスをしてくれた。呆然としているうちに、彼はドアを閉めていた。
 それからわたしはエレベーターに乗り、ドキドキと高鳴る一方の胸を押さえて街に出た。いつもは怖いと思う街の喧騒やネオンの光が、何故か今日は心地よかった。
 わたしは携帯電話をカバンから取り出し、実家の番号をメモリーから呼び出した。
93 ◆T24RU/jbYI :2007/09/17(月) 00:07:25 ID:d+Cfs/4G
 彼女が出て行った後の事務所には、女の匂いが漂っていた。それを消そうとして俺はまた煙草をくわえた。
「部長」
 ドアが開き、右腕が現れた。
「おお、遅くなって悪ィな。今出るところだ。あとな、あの女――」
「ええ、立ち聞きするつもりはなかったんですが、聞いてました。三百なら、いいんじゃないんですかね。どうせ元は百にも満たないんですから」
 なかなかつかないライターを苛立ち紛れにゴミ箱へ放り投げると、右腕が近づいてきてライターの火を貸してくれた。俺はそれに顔を近づけて煙草に火をつける。
「部長、女の趣味、変わりました?」
 冗談めかして右腕が笑いながら言った。俺はふっと煙を吐き、首を振った。
「似てんだよ」
「は? 似てるって、誰に?」
「――この業界くる前に、借金、苦にして死んじまった女房によ」
 俺がそう言うと、驚きと憐憫とが混ざりあった、なんともいえない表情を右腕は作り、俺から目をそらした。
「さあて。早く行かねえと、酒も肴もなくなっちまいそうだな」
 ソファの脇に彼女が落としていった、口紅を拾いながら俺は言った。


 事務所を出て鍵をかけ、エレベーターにふたりで乗り込む。
「部長も案外、ロマンチストだったんスねえ」
「冗談だろ。ただでさえこの一年忙しくて女どころじゃなかったんだぞ。あと二週間も女日照りが続くのかと思うと、泣けてくるぜ」
「アッレエ? 彼女が来るまで、他の女抱かないんですか?」
「どこに気軽に抱ける女がいるんだ。残念ながら一年も俺を待っててくれる健気な女はひとりもいなかったよ」
「部長相手ならいくらでも、って女、山ほど知ってますよ」
 俺は右腕の肩を抱いて、わざとニヤニヤ笑いながら答えた。
「愛のないセックスはいらねェな」
 今までの俺の行状を知っている右腕は、ぷっと吹き出した。
「知らなかったなあ。部長がそんなにロマンチストな上に貞操観念発達してたなんて」
 お前たちに合わせてたんだよ、と茶化しながら、俺たちは街を歩く。知り合いの黒服や不良どもが軽く頭を下げてくる。
 ああこれだ。ここが俺の街だ。
「彼女、明日あたり、三本耳揃えて持ってきたりして?」
「ああいいねえ。そしたら俺はその時点で仕事あがるぜ。明後日も休むから、頼むぞ?」
「どんだけヤるんですか」
「一年分」
「股、裂けちまいますよ、彼女」
 街にふさわしい下世話な会話をしながら、俺たちは部下が待つ店へと向かった。
「ねえ、部長?」
「あん?」
「さっきの話、本当なんですか? 奥さんに似てるって――」
 おそるおそる右腕が訊いた。俺はニヤリと笑い、煙草のパッケージを胸ポケットから取り出した。
「――さあな」
「まったく、部長にはかなわねえな」
 たどり着いた店のドアを開けて、右腕が笑った。
 俺はポケットの中の口紅にそっと触れた。それは、彼女らしいノンブランドの地味なベージュの口紅だった。
 明日、デパートの化粧品売り場で、同じような色の口紅を買おうと思った。プレゼントと言えば、箱に詰めてくれるだろう。
 箱にかけるリボンは赤い色がいい。彼女のうぶな唇とほっぺたの色だ。
 俺は、いつの日か来るであろう彼女のことを思いながら、店のドアをくぐった。
94 ◆T24RU/jbYI :2007/09/17(月) 00:10:47 ID:d+Cfs/4G
――了



「了」マーク忘れてました。以上です。

ご利用は計画的に。


みなさまのお口にあえば幸いです。
95名無しさん@ピンキー:2007/09/17(月) 00:50:45 ID:HMrmuRM/
このスレで初めて感想を書きます
自分とは全く縁のない世界ですが、かなりグッと来ました
部長カッコイイ!!
96名無しさん@ピンキー:2007/09/17(月) 08:58:55 ID:5veuQg3i
すげえ……
これは間違いなくエロ格好いい……
97名無しさん@ピンキー:2007/09/17(月) 23:49:00 ID:CGoOiPyE
やべえ。ちょーかっこいい。
98名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 07:02:08 ID:d0AFakZc
カッコイイ…!
部長と彼女のその後が知りたくなってしまうな。
99名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 03:45:39 ID:ECvdHJ3H
なんというエロカッコ良さ…。
保守のつもりで来たのに満足したわ。
100名無しさん@ピンキー:2007/09/27(木) 03:28:20 ID:z70L1m1n
ようやく100か
101名無しさん@ピンキー:2007/09/28(金) 02:10:48 ID:KJFeT9KR
ほしゅ
102名無しさん@ピンキー:2007/10/04(木) 00:08:31 ID:0Sf9hmbE
ホス
103名無しさん@ピンキー:2007/10/09(火) 02:42:50 ID:4qZmb+b7
保守
104名無しさん@ピンキー:2007/10/10(水) 23:14:47 ID:56fCgq9O
欲しい
105名無しさん@ピンキー:2007/10/18(木) 13:17:26 ID:4PI5rzye
保守
106名無しさん@ピンキー:2007/10/18(木) 13:22:13 ID:4PI5rzye
sage忘れた
107名無しさん@ピンキー:2007/10/21(日) 06:18:27 ID:HwC6bt5U
自分も書いてみたがまったくエロくもかっこよくもならんかった。
難しいな
108319 ◆lHiWUhvoBo :2007/10/23(火) 02:26:43 ID:L1pVBl2Q
 
 繁華街の路地でチンピラに囲まれていた小僧に酔った頭で説教を垂れ、因縁付けられたのでそいつらを叩きのめし、
行く所が無いと小僧が抜かすから部屋に連れ帰り、風呂に入れと言い残し、明かりを点けないまま部屋で寝てたら…
俺の腕の中にバスタオル一枚身に纏っただけの少女が飛び込んで来ていた。…全く。…ホロ酔い気分が台無しだ。
女臭ぇったらもう…髪が鼻をくすぐる。…知ってるか? シャンプー使おうが、女の体臭は自然と匂ってくるもんなんだ。

 「おとなしく寝てろや。どういう事情か知らんが一晩泊めて貰っただけでな、簡単に自分を安売りするんじゃねぇ」
 「…どうして? 」
 「どうしてかって? …自分の膝小僧よ〜く見て見な、お嬢ちゃん」

 かくかく膝が笑ってるだろうが。それに震えてる。どんな事情でそんな結論に至ったかは解らんが、そんな思い詰めた
挙句の女を抱けるほど、世慣れちゃあいない。だが我が愚息は意志に反比例してお嬢ちゃんのお腹を押し上げている。
…ほ〜ら言わんこっちゃ無い。またピクッ、と反応してやがる。…だ〜か〜らぁ、無理すんなっての。な? お嬢ちゃん?

 「怖いのに無理する必要は無いさ。俺が説教垂れたのも酔っぱらった上での気まぐれだしな? 」
 「でも……でもっ! 」 
 「俺のを握るなってのっ! …全く、そこにベッドあるからもう寝ろ。湯冷めしちまうぞ」

 やれやれ、良く吠える子犬を拾ったと思ったら子猫ちゃんだったとはね。誰かにばれたら淫行条例に引っ掛かっちまう。
事情は有るんだろうが聞くのは朝陽を浴びてからだ。今お嬢ちゃんに聞いてたら勝手に我が息子が直に聞いちまうしな?
ベッドのシーツを捲り、お嬢ちゃんを寝かせてから掛け直し、俺は後ろ髪を引かれる思いでかろうじてドアを閉め廊下に出る。

 「さあて、風邪でもいっちょ、引きますかね」

 冷たいシャワーを浴び続けて、この火照った頭といきり立ったモノを冷ますしかない。初秋とは言え、冷水は結構キツイ。
怖気づくと途端に、押し付けられた豊かな胸の膨らみの感触や、しっかり出来てた胸の谷間、スラリと伸びた綺麗な脚線、
潤んで見上げていたつぶらな瞳を思い出す。この時ばかりは遠い昔に夜戦訓練を受けて夜目が聞く自分が呪わしかった。

 「芸も無え。遺伝病を断つ為、一生独身を誓ったんだろ? おい? 」

 俺の余裕もここまでだった。意気揚々と脱衣所に踊りこむと、そこに篭もるお嬢ちゃんの匂いに悶々とし、風呂のナイロン
タオルを手にとって妙な想像をしてしまい、結局俺は頭から冷水を朝まで浴び続ける哀しい修行者の身と成り果てたのだった。
わざとやってるんじゃないかと思う程に狙った格好の、俺のワイシャツ一枚を身に纏い、お嬢ちゃんが朝食だと呼びに来るまで。
109名無しさん@ピンキー:2007/10/23(火) 14:21:47 ID:0kiazWXm
一レスでここまでやれるアンタが憎い
110名無しさん@ピンキー:2007/10/23(火) 14:30:42 ID:6+oPBshe
かっけEEEEEEEEE!
子犬だと思ったら子猫だった超イカス。
111319 ◆lHiWUhvoBo :2007/10/24(水) 22:54:00 ID:m2Ui8uNb

 「課長、余り根を詰めると毒ですよ」
 
 煩(うるさ)い。昭和30年代風の厳(いか)つい良い漢(おとこ)め。昨日は二次会に誘ったら『ああ、僕は全く飲まない
主義なんです』って逃げたくせに。一杯のんで真っ赤って、それ何処のネィティヴアメリケンなのキミ? 元自衛官って
イケる口なんじゃなかったの? もう! そんな真剣な目で見詰めないでったらぁん……深みのあるバリトンの声と
そのオトコ臭さの相乗効果でもう……やだ……濡れてる……。どうして来てくれなかったかなぁ、二人きりになれたのに。

 「課長、ココアでもいかがです? 」

 ……どーして役職でしか呼んでくれないかなこの堅物はっ! って元軍人だもんね。昔風に言えば。でもブログなんて
読むと自の人ってちゃらんぽらんだって言って……周囲の人ときっと合わなかったんだろうな、うん。彼、融通効くけど
自分の決めた道だけは邪魔させないっ! って人だから。……キミの御蔭で残業してるんだよ? ワタシは? ねえ?
キックバックとかリベート無しだと、価格で勝負するしかないんだよ? それも単価で? …質は落とせないんだから。

 「…今度の事は僕の我儘で済みません」
 「本当に悪いと思ってる? 先様の前でしょーじきに『ウチのこの品質のモノを買い叩いて、あそこは定価で? 』って
 言っちゃって。ねえ……? キミも知ってる筈でしょう? 先様の担当者が、あそこの社長の息子なのは? 」
 「ええ、課長よりお聞きして居ました。あの発言は担当の上司に聞こえるようにとの自分の独断です」
 「で、その人に価格表のシート持って来てくれって言われて? 最新のモノ頼むって言われて? で、キミの分は? 」
 「僕の分はとっくに出来ました。ですから何か手伝える事は無いか、と」
 「見せて」

 スッと彼が視界から消えたと思うと、音も無く私の背後に移動していた。そして私の右手のマウスに自分の大きな手を
重ね、デスクトップのフォルダをクリックする。……中学生の時の様に私の胸の高鳴りが止まない。彼の手は冷たかった。
きっと心の中は物凄く熱いのだろう。こんなにも綺麗な柔らかい手で、テッポウなんてものを撃っていたのかな、キミは?

 「僕は1730に課長に内容のチェックをお願いした心算なのですが、お耳に入らなかったようですね」
 「ヒトナナサンマルはまあイイとして、その『僕』ってのは、もう少し何とかならないかな? キミ? 」
 「はあ…いけませんか? 」
 「正直に言うと気持ち悪いの。もう私の前では『俺』でいいから」

 この困った顔! あ〜! もう、そそる! なよっちいのが困るのは絵にならないけど、大のオトコが困る様がイイの!
ん〜と、今は……2330。残ってるのはワタシとキミだけなんだよ、ね……。さってっとっ、こんなOAグラスは外してっ、
机に置いて、その帰りにマウスを持つワタシの手に置いたキミの手に重ねてっと。ぐフフぅ……さあ、ほら見なさいな!
25〜30までの食べ頃の、仕事のデキル女が放つ、余す所無き魅力をっ! 振り向いて、楚々と弱々しげにがコツ!

 「…課長? 」
 「今度こそ、逃げないよね? キミ? 」
 「敵には後を見せませんが、俺は味方を襲わない主義です。……仕事を早く終わらせましょう、香澄さん」

 もう……。この……鋼鉄(くろがね)の城ぉ……。そんな事を言うんだったらワタシ…・・・敵に…なっちゃうんだからね…?
112名無しさん@ピンキー:2007/10/25(木) 06:51:40 ID:GsgzwpFG
なんか……何故か……笑えてしまった……何でだろう?
すっげー続きが読みたいッス
113名無しさん@ピンキー:2007/10/25(木) 12:16:17 ID:SUSleTJc
オンナの萌えっぷりがほほえましいな
114319 ◆lHiWUhvoBo :2007/10/25(木) 17:52:59 ID:x3AATHV5

 15時。ビジネス街の真ん中にある、とあるファミレス。戦争の様なランチタイムが終わり、雲霞の如くに押し寄せた客の
姿も途絶え、店内は閑散としていた。兵(ツワモノ)どもの夢の跡、的な店内を見据えたフロア担当のアルバイトの女の子
がほっと溜息を吐く。今日も問題なく捌けて良かったな、と。この短いスカートと胸を強調した制服は男性客の視線が痛い
程に突き刺さる。ストレスと性欲の溜まっているオジサン達の視線を否応なしに浴びる格好のイケニエなのだ。
 
 「ご苦労様都ちゃん。もうブレイク取っていいからね」
 「は〜い、では入らせて貰いますねマネー…」

 都築 都(20)は振り向いた途端絶句した。このピア・キュロット6号店を常に陣頭指揮で切り盛りする、鉄の女と綽名
される敏腕マネージャーがそこに居た。なんと…フロアの制服で。そう言えば他のバイトの娘が噂をしていた。ここ数日、
マネージャーが決まってこの時間にブレイクを勧めたり、何故かフロアのシフトを変わってくれるようになった、などなど。

 「都ちゃん? どうしたの? 」
 
 普段のスーツ姿からは想像も出来ない程の色っぽさだった。…簡単に言ってしまえばまるでその筋の夜のオミズの
お店のお姉さんの卑猥さだ。キツイ切れ長の目の顔立ちと制服とのギャップが同じ女の目から見ても、もの凄くそそる。
特にボディラインのボンキュっポンの段差は犯罪的だ。思わず決して小さくは無い自分の胸を思わず撫でてしまう程に。
決して太くは無いウェストを確認する程に。決して弛んではいないヒップの張りを確認する程に。正に黄金率の極致だ。

 「マネー…ジャー? 」
 「この格好? 私も研修の時にしてたの。特に問題無いでしょう? 」
 「くるっと回られても…その…」

 その時、来客を告げる電子音のチャイムが言葉に詰まる都築 都(20)を救った。20ウン歳で四捨五入すれば30歳の
年増女がまるで同年代かそれ以下のような反応を返すのはまだ良いとして、店内スタッフからは般若とか鬼とか呼ばれて
畏れられつつも慕われている女性のやって良い事では無いな…と思っていると、思いを寄せる厨房スタッフがデレデレして
いたので、マネージャーの言葉に甘え、都は奥に厳然たる制裁を加えに行くことにした。駆け寄るようにしてマネージャーが
訪れた客に接客に向かう様がチラリと見えた。マニュアル通りの応対なのだが…何かが違う。厨房スタッフを予備メニューの
束でブン殴りながら、都は耳を澄ませつつ、そっと覗き見て店内の様子を伺うことにした。
115319 ◆lHiWUhvoBo :2007/10/25(木) 17:53:46 ID:x3AATHV5

 「いらっしゃいませ、一名様ですか? 」
 「ええ、申し訳ありませんが僕独りです」
 「謝る必要は有りません。むしろお独りで安心…失礼を致しました、こちらへどうぞ」

 幼い頃の、スプラッター映画を覗き見た感覚に都は襲われた。あの、氷を削って創られたんだとか言われてた女王様気質の
鉄面皮と冷静ぶりを誇るマネージャーが、頬まで染めて浮かれている。これはもう、店内スタッフ全員に対する犯罪レベルだ。
同人誌を書いていると言うアルバイト仲間にこれを見せたら『あ〜ん、ギャップ萌えの極致ぃ!』とか言ってハァハァして見守るに
違いない。当然の如く、アルバイト仲間は同性だ。しかも少しその「ケ」があると言われている、近郊にある全寮制女子校出の。

 「今日のお勧めは…私…と言って見ますけれど…どうでしょうか? 」
 「…そうですね、今日もお綺麗ですが、僕には少し勿体無さ過ぎます。済みません。…チョコレートパフェをお願いします」
 「畏(かしこ)まりました。残念です…。・・・っ!! 少々、お待ちください」

 ヤバイ! 気付かれた? 都は厨房に注がれた鋭いマネージャーの目に射抜かれた気分にさせられた。己の親の敵を見る
ような目付きだ。マネージャーは客に丁寧に一礼すると、般若の顔をして都の方に向かってくる。もう逃げられない。足が竦む。
そして、固まったままマネージャーに襟を掴まれ持ち上げられる。…スゴイ筋力だった。きっと数々の繁忙期のオーダーの
修羅場を潜り抜けてきたに違いないと都は未知の恐怖に震えながらそう思った。…厨房スタッフは都の乱撃によりノビていた。

 「私は休んでなさいと言ったわね? 都ちゃん? …貴方が今居る事がお客様に知られると、私が非っ常ぉ〜に、困るの」

 コクコクと頷く事しか都には出来なかった。途端にマネージャーの顔がパッと笑顔に戻る。釣られてフロアを見ると客が心を
定めたのか、先程のウェイトレス=マネージャーの姿を捜していた。必要最小限だけ首を動かし、何かこう、ビシュ! ビシィ!
と効果音が入りそうなキビキビとした動きだった。

 「ああ、あのヒトが私を求めてるぅ…

 眉が太く、凛々しい。目も大きく、切れ上がっている。顎はガッシリとしている。首は太く、長い。それでいて、マッチョとは違う。
例えて言うなら…CSでやっている、昭和の日活東映の映画スターを思わせる精悍な顔付きだ。今風のフェミニンな坊やとは
根本的に土台から違う逞しさを持っている。骨付きのチキンの骨まで噛み砕きそうな顎を左手でつまみ、スタッフを呼び出す
ためのチャイムを押そうか押すまいか、右手を上下させ迷う様が、何故か可愛く見えた。

 「都ちゃぁ〜ん? どこを見てるのかなぁ〜っ? 」

 …ふと、都の背筋に戦慄が奔った。都はゴメンなさい、と小さく口の中で呟き、厨房スタッフが用意してくれた『賄い』を持って
スタッフルームへ素直に赴く事にした。これ以上邪魔すると殺すわよ、との言外の響きが込められていることを理解出来たから。
116名無しさん@ピンキー:2007/10/26(金) 02:27:47 ID:X+xzuWSA
男視点がいいな
117319 ◆lHiWUhvoBo :2007/10/26(金) 15:11:04 ID:pt0ZFIRS
 (俺とした事がメシを頼むのを忘れていた。ドリンクバーを頼むか否か…)

 捜すも、ウェイトレスが見当たらない。席は背後から襲撃されないよう何時も壁を背に、店内の全てを見渡せる位置を
確保している。『今日のお勧めは…私…と言って見ますけれど…どうでしょうか?』頭の中にウェイトレスの言葉が反響
していた。それでつい甘いものを連想し、デザートに頼むはずだった「チョコレートパフェ」を連想してしまったのだった。
痛恨のミスだった。目の前のボタンを押して呼び出せば済む事だが、余計な手間を掛けさせたくない。しかし…! 男は
押そうか押すまいか、顎をつまんで悩んでいた。顎をつまむのは男の考えている時の癖だ。

 「御用でしょうか? 『私を』捜していらしたようなので…」

 ふと気付くとウェイトレスが傍に来ていた。鈍ったものだな、と男は苦笑した。戦場だったら既に自分は三回殺されている。
シャバに慣れて行くのが解る。ここはもう、『柵の外』。男の世界の統てだった駐屯地や演習場の外の、日常の世界なのだ。
あの時に嫌と言う程に想定していた危険要素などもう思考する事すら、はばかられるだろう人々の群れの中に居るのだ。

 「どう、されました? 」
 「いえ、何でも無いんです。有難うございます。唐揚げ定食の御飯大盛りと、ドリンクバーをお願いします」
 「承りました。ご注文は以上で宜しいですか? 」
 「ええ、以上でお願いできますか? 」
 「畏まりました。……なんだか、とても寂しそうでしたから…ついお声を掛けてしまいました。ご容赦下さい」
 「有難うございます。…貴女はとても優しい人ですね」
 「そ、そんな…し、失礼…致しました…」

 復唱と配慮を忘れない、非常に優秀な人材だと男は彼女について思う。4日前にふらりと始めてこの店に入った時、偉そうな
初老の男性が彼女に難癖をつけていたのを思い出す。とにかく責任者を呼べ、と仕切りに騒いでいたので、機転を効かせて
自分がそうです、とハッタリと話術と雰囲気で丸め込み、非常に満足してお帰り頂いたのだ。聞けば自分が来るまでの間、
体中を触りまくられたのだと泣いている彼女に、あの感触を忘れさせて下さいと泣いて『求められた』がその時も『至極丁重に』
お断り申し上げたのだ。それからこの時間、渋る上司に頼み込み昼食時間をシフトさせて通うようになった。理由は『誰も居ない
時間に仕事を覚えたいから』だが、実は来て1日で大体の事は把握している。下調べは転職を決断した際に終えている。

 (あのカラダであの服ならば、大抵の男は欲望を抱くさ…)

 遠ざかるウェイトレスの躍動する尻から足のラインをチラリと見て、男は思う。法学を専攻し、元自衛官だと言う枷が効いている
自分でも油断すれば見惚れてしまうだろう。不躾にそれを実行・実践しないのは男の矜持と自分の身体の遺伝情報と言う、特殊な
事情の御蔭である。心臓病因子を持つ男は、多感な少年時にそれを知らされた時、決して異性と性交渉は持つまいと決心したのだ。
性交渉は子供を為す為の行為であり、快楽を求めるための行為では無い。自分がもし女性に子供を生ませれば、9割5分の
確率で心臓に異常を持った子供が生まれる。…男は身体が成長するまでに心臓の痛みに耐え続けていた。自分の子にそんな
思いなどさせたくは無かった。それに第一、自分の選んだ女性にその事で悩ませたくない。だから…少年は他の誰かの幸せのために
生きると星空に誓い、今もこうして生きている。俺はずっと死ぬまで独りでいいのだ、と言い聞かせながら、生きている。
118319 ◆lHiWUhvoBo :2007/10/26(金) 15:35:20 ID:pt0ZFIRS

 (ならば何故、こうして俺はここに居る? )

 理由は簡単だ。自分が居る事で、誰かが守れるならばそれでいい。自分が誰かの為になればそれでいい。
ほんの少しの自分の骨折りで、誰かが幸せならば満足だ。俺の幸せは皆の幸せ。今ここに通うのも…彼女の
支えに少しでも為れれば良いと思ったから。あんな事が有ったのに、それでも彼女は踏み留まって戦っている。
陸上自衛隊では致命的な『男色家』の噂を立てられ、憤慨して退職届を叩き付けた短期な自分とは違うのだ。
そうだ。人間を、己を取り巻いて包囲している現実は…

 「甘くない、か…」

行き場の無いと言う子犬を拾ったツモリが子猫でした。
上司がイロっぽく誘って来て困ってます。
偶然助けてしまったウェイトレスに好意を持たれてます。
魅力的な大家さんが家賃は要りませんからその代わり大家になって…と毎回せがんで来ます。
少年の頃に涙ながらに交際を諦めてしまった幼馴染が子供なんて要らないキミが欲しいのと言って来ます。
昔の女性の部下が駐屯地からの外出の際にいつも自分の部屋に来て他の女の影が無いか目を光らせてます。
調査隊の女性隊員が不審行動が無いかいつも自分をマーク…いた。今日は向かいのビルの喫茶店に居る。
大学時代に知り合った親友だと思ってた良家の子女が私を連れて逃げてと言っています。
高校時代のホームステイで知り合った上品な金髪碧眼のあのやせっぽちな娘がばいんばいんになって消息を
聞いてやってきて、執事になれと今最高級ホテルのロイヤルスイートルームに宿泊中です。

それも全員『触れなば落ちん』雰囲気を纏わせながら。男は目を右手で覆い、思わず天を仰ぐ。

 「需要と供給のバランスって一体どうなってるのかねぇ…」

 鋼鉄の理性で魅力的な誘惑のそのどれもを今だ退ける己に幸あらんことを。そう、願わずには居られなかった。

 「お待たせ致しました。唐揚げ定食ライス大、ドリンクバーのカップをお持ち致しました。先のチョコレートパフェは
 その…あの…大変お時間が掛かりますので失礼ながら後にさせて頂きました。…ご注文は以上で宜しいですか? 」
 「ええ、結構です。ありがとうございます。…あの…チョコレートパフェですが…」
 「ご承知の通り、『容器』が『特別性』ですので…」

 男は先日のプリンアラモードの一件を思い出した。あの時、彼女はなんと直接、自分の豊かな胸の上に盛ってきたのだ。
即座にツッコミを入れたのだが彼女は無視して食べさせてくれた。今度も同じ事をするのだろう。当然、『器もご賞味を』と
言われたが、修辞法の限りを尽くして御辞退申し上げたのだ。店の責任者にこの事が知れたら彼女はどうなるだろうか?
一抹の不安を覚えながら、男は向かいに座ったウェイトレスの暖かい視線を浴びながら、合掌してから箸に手を付けた。
119名無しさん@ピンキー:2007/10/26(金) 16:33:46 ID:GE92Qctn
その気になればハーレムなのになw
120名無しさん@ピンキー:2007/10/26(金) 22:09:04 ID:ArBnCwpO
ここが阻止スレでなかったら!
ここが阻止スレでなかったら!
ここが阻止スレでなかったら!
ここが阻止スレでなかったら!
ここが阻止スレでなかったら!
ここが阻止スレでなかったら!

せっかくツボだったのに残念だ
121名無しさん@ピンキー:2007/10/27(土) 01:23:08 ID:g0ZFDNZf
なんてうらやま・・・ゲフンゲフン
うん超GJ!
122名無しさん@ピンキー:2007/10/27(土) 03:53:58 ID:Uo5q+1dX
GJ!!
阻止シーンをもう幾つか堪能した後で、どっか別の場所で続編でも書いてほしい設定だw
テラハーレムw
123319 ◆lHiWUhvoBo :2007/10/27(土) 21:34:42 ID:uKoZmIWv

 (凄い速さ……まるで旋風(つむじかぜ)のよう……)

 男の食事を微笑みながら見守る、ピアキュロット6号店の偽ウェイトレスであり真マネージャーである越中雪乃(25+X)は
心の中で感嘆していた。きちんと飯椀と汁椀を持ち上げ、掻き込むでも無く適切な分量を口に運ぶ箸捌き。調味料を最初に
やたらに唐揚げに掛けず、まず一口食してから判断する常識も弁えている。…職業柄それらの事項を守れない人間を多く
見て来たが、これは目の前の男がしっかりとした躾を受けて来た証拠である。男が合掌し食事を始め、全ての食物を殲滅し
終え、男が再び合掌するまでの所要時間は僅か10分。…ちなみにベストタイムは昨日の所要時間、3分だ。
 
 「ご馳走様でした」
 「お粗末様でした。食器をお下げ致します」

 男が目を伏せ、何かに祈る姿がある種の求道者や修行者の如く美しかった。ピンと伸びた背筋、折り目正しい挙措、そして
清冽な響きを持つ声。以前からの知己の様に錯覚してしまう親しみ易い雰囲気。それでいて何者にも入らせないだろう聖域を
持つ厳格さ。……4日前の『やけっぱち』な自分の決断を天上に居るだろう『何か』に感謝したくなる越中雪乃(25+X)であった。
さあ、デザートの用意をしなければ。正直、今日はもう『勝負』に出たい。フェロモン増加のために、雪乃は甘い回想に浸るべく
長く綺麗な睫毛が彩る、切れ長の目を伏せた。
124319 ◆lHiWUhvoBo :2007/10/27(土) 21:35:22 ID:uKoZmIWv

 『何ぃ、来れない、ですってぇ?! 昨日シフト確認してOKしてたの貴女でしょう?! …彼が病気? 振っちゃいなさいそんなの! 』

 4日前、出勤して直ぐにアルバイトの一人から『休む』と連絡を受けた雪乃は、まずはアルバイトスタッフ全員に休日出勤の
要請の連絡を取った。主力がパート・アルバイトで回る外食産業では良くある話だ。しかしその日に限って休みのアルバイトが
遠出。パートに連絡するも、小学校やら幼稚園やらの行事で×やら、都合が悪いやらで出勤不可。残るは社員だが…なんと
運悪く店長も含め社員は全員出撃の日。必然的にフロアをやれる人員は限られてくる。フロアは清潔感とある程度のルックスが
無いと務められない。雪乃は当日の勤務シフトを組み直し、配置の調整をしたがどうしてもフロアスタッフの『穴』が埋められない
時間帯があった。それが…あの『15時からの運命の1時間』だった。

 『やるしか…無い、か…。あ〜、もうっ! 』

 1号店から支援を求められ、断る間もなく二つ返事で店長がヘルプを引き受け笑顔で行ってしまったとアルバイトから聞いた時、
あのブラコンめ絶対にブチ殺す何がお兄ちゃんが呼んでるだ畜生この色ボケ戯(たわ)けオンナがと腹立ち紛れにロッカーを
一つ金属粗大ゴミにした後に、雪乃は己が二度と着るまいと思っていた研修時代に『特注:バストとヒップ回りがキツ過ぎるので
一人だけオーダーメイド』したクリーニング済みのフロアの制服に嫌々袖を通したのだ。…今ではその色ボケ女に感謝している。

 『やっ、止めてくださいっ! だから…私がその責任者なんですっ! 』
 『嘘をつけ嘘を! そんなそそる服を来た責任者が居るかっ! 』

 悪い時に悪い事は重なるもので、為れないスタッフが調理済み食品の解凍時間をうっかり間違えたものを客に出してしまったのだ。
クレームを受けたアルバイトに呼ばれ即座に謝罪に向かった雪乃だが、今の己がどんな格好でどんな立場かすっかり忘れていた。
…勿論、忘れてしまっていた己自身に現在は物凄ぉ〜く、感謝している。

 『下手にかばい立てしよってからに! 脳味噌に行くべき栄養が、全部このケシカラン乳や尻に行ったのか? んぅ? 』
 『そんな…あ、ンぅッ! 』 
 『なんと! そのそそるカラダでお詫びとはなんとも効果的な方法じゃのぉ』

 先程ウェイトレス姿で料理を運んだ人間が責任者だと言われても、若い世代ならともかく、老境に至った世代には信じろと言う方が
無理だった。哀しいが人は外見や服装でまず判断を下すものだ。さらにクイモノの恨みは怖ろしい。固い物でもバリバリと噛み砕く
若者なら問題ない固さだったが、入れ歯の老人ではそれも儘(ママ)ならない。…今にして思えば、自分の若さを見せたかったのだろう。

 「痛いっ! 」
 「おお、スマンスマン、乳首コリコリし過ぎたか? 乳の柔らかさが足りんのぉ…揉んでもらっとるか? 」

 他のスタッフが止めに来る宛もない。ブレイクを取らせたから。自分のマネージャーとしての沽券に関わるのでブレイクを取った人間を
呼び戻すわけにも行かない。第一こんなスケベ爺いに良い様にされているこんな醜態を見せられない。腕には覚えが有るが、客商売では
暴力は御法度だ。それでも奮うと…死にそうに無い好色老人だが、多分加減出来ず殺してしまうかも知れない。もう駄目! 雪乃が叫ぼうと
息を呑んだ時…自動ドアが開いた。

 「だれか…たすけて……」

 雪乃の涙で滲む視界の中に、困惑しつつも義憤に燃えた男が一人、立っていた。
125319 ◆lHiWUhvoBo :2007/10/27(土) 21:38:30 ID:uKoZmIWv

 『ホレホレ、責任者を呼べと言うとろうに? ホッホッホッ! 』
 『…済みません、僕がその責任者です。お客様、どうかされましたか? 』

 突然何を言い出すのか理解出来なかった涙目の雪乃に、男は老人に見えないようにウィンクして見せた。あれほどタコの様に雪乃のカラダに
吸い付き、絡み付いて離れなかった老人の腕が、男の手によってアッサリと引き剥がされていく。急所を押さえているのだろう。見ると老人の顔が
先程の情欲からでは無く、痛みから歪んでいる。自然に手近な席に座ったように見えたが、実は男に強制されたに等しいのがその様子で解った。
それからが見事だった。先ずは老人から話を聞きだし状況把握、満足するまで喋らせたあと、謝罪。しかし老人の雪乃に対する行為は威力営業
妨害行為に当たると暗に恫喝。訴えられたく無かったら互いにこのまま黙って笑顔で手打ちと行きましょうと暗喩し、男に見惚れていた雪乃を
振り返った。

 『さてと、それで当事者の貴女はどうしますか? 』

 男に名前で呼んで欲しかったが、生憎ネームプレートは老人の狼藉により制服より取れていた。第一ネームプレートにしっかり責任者である
旨が刻印されていたのだが、相手には歳が歳で見えなかったのだろう。雪乃は飛びっ切りの笑顔を浮かべつつ、今回の件は大事にはしないと
オブラートに包んで老人に伝えた。実は顎の骨を砕いて一足早く流動食を喰う体にしてやりたい位だったが、もう一刻も早く店内から消えて
欲しかった。今は目先の復讐よりも、雪乃は突然現われたこの男の正体が知りたかったのだ。……後日判明した事だが、その老人はなんと
ビジネス街一帯の主要ビルのオーナー会社の会長であり、現在では良いお得意様となっている。来れば必ず雪乃を呼び出して、男との関係の
進展を、『あの本社の兄ちゃんとはどうなっとる? おっぱい揉んでもらっとるかの? 』と聞いて来るのが困り物だが。
126319 ◆lHiWUhvoBo :2007/10/27(土) 21:47:34 ID:uKoZmIWv

 『ワシも大人げ無かったわい。それじゃまた今度、の』

 男は上機嫌で立ち去る老人の背に音の出るほど律儀に会釈し、姿が見えなくなるまで続けていた。その時雪乃は何故男が握り拳のままなのかと
不思議に思っていた。男はスパッとおもむろに頭を上げ、回れ右をした。1で右足を引き、2でクルッと回り、3で右足を引く。最後にカツン! と靴の
踵が合わさる音が店内に高らかに鳴り響く。全ての動作が颯爽としていた。豊かな双乳を己の腕で抱きしめる雪乃の様子を気遣う視線が暖かい。
その男の気遣いに、自然と涙が溢れてくる。

 『怪我は無いようで何より。…よく我慢しましたね』
 『…有難う御座いました。で、貴方はいったい…』
 『え〜と、あの……もう、ランチタイムって…終わってしまったんですよね? 1459(ヒトヨンゴオキュウ)で』
 『…その…、まさか、お客様…ですか? 』
 『ええ、そのまさかの客…なんです。お困りのようでしたので、つい芝居を』

 慌てて涙を拭って男を席に案内した雪乃に、男はドリンクバーをオーダーして、カップを取ってミルクコーヒーを作ってから、雪乃に飲む様に勧めた。
男は雪乃の受けたショックが余りにも強かったのだろうと言い、落ち着くまで休むと良い、と言ってくれたのだ。幸い店内には他の客は存在しなかった。
雪乃は礼を言ってからカップに手を伸ばし、口を付けた。…コーヒーはガムシロップが良く聞いていた。

 『甘いのが…お好きなんですね』
 『ええ、ブラックは飲み過ぎて嫌いになりましたので』

 老人に揉まれ、触られた記憶が雪乃の脳裏を走った。気味の悪い、肌を這い回る指の感蝕が止まらない。雪乃の震えを痛ましげに見守る男が、
太い眉を顰めた。自然とまた涙が溢れてくる。百戦練磨の身体を持ち、そんな雰囲気を纏う雪乃だが、こと色気に関する経験は男女問わず皆無だった。
ポツリポツリと老人にされたこと話す雪乃の話を、男はただ、異を唱える事無く黙って時々気遣いながら聞いてくれた。男って不潔です、皆あんなこと
を私にしたいと思ってるんですか等等、知らず知らずの内に小娘のような事まで口走っていた。それでも老人の手の感触は消えなかった。

 『あの…貴方も、私にあんな事をしたい、と思っているんですか? 』
 『僕は違う。…と信じたい。…と思う。いや…深層心理では思っているのかも…。何せ、僕も男性ですから』
 『あの老人と同じことを…私に…してください! 貴方の手で、この嫌な感触を消してください! 』
 『確かに貴女は魅力的だが、それだけは出来ない! 貴女には悪いが、僕は己の情欲に負けたく無い! ……ずっとそうして生きてきたんだ』

 雪乃の涙が止まった。肺腑を鋭利な刃物で抉られたが如く苦しげに絞り出した男の述懐に、気圧(けお)されてしまっていた。我に還った男が、
含羞の微笑みを浮かべ、ゆっくりと、目を見張る程大きく形の良い胸の上に組み合わされた雪乃の繊手を包んだ。とても冷たい手をしていた。

 『しかし僕は、貴女が辛い記憶を乗り越える手助けは惜しみません。……けれど最後には、自分で乗り越えなければ永久に解決はしないんです。
 …貴女があの出来事を克服出来るように、僕は此処にこの時間、通い続けます。…僕を見てもあの出来事を思い出さなくなるまで、ずっと』

 男の真摯な視線を、雪乃は真正面から受け止めていた。心臓の鼓動が耳の奥から早鐘の如く鳴り響いた。絶対に忘れるものか。この記憶を。
雪乃は男の言葉を心に刻み付けた。『僕は此処にこの時間、通い続けます…ずっと』と言う、自分に都合のいい、フレーズだけを。

 「絶対に逃がさないんだから、あんな…」

 優しく、理想の男を。そして雪乃は回想を打ち切り、勢い良く冷凍庫を開けた。これからは時間だけが勝負だ。アイスキューブを大量にビニール袋に
突っ込み、胸を肌蹴けさせて袋を当てる。火照った肌に心地良い。が、チョコレートパフェのグラスを挟むのに、この身体の火照りをもっと冷やさねば。
雪乃は羞恥に頬を染めながら、男の戸惑いうろたえる様を想像し、妖しく艶やかに微笑んだ。……例え無情に拒まれたとしても、己自身の恋のために。
127名無しさん@ピンキー:2007/10/27(土) 22:05:23 ID:g0ZFDNZf
一番槍GJ!
男かっこいいよ男・・・じいさん自重しろw
128名無しさん@ピンキー:2007/10/27(土) 22:17:39 ID:rPXgWNoO
GJ!
なんという格好よさ
129名無しさん@ピンキー:2007/10/27(土) 22:54:42 ID:PALQGxRZ
越中と聞いてヒップアタックを思い出す俺はオサーン
処女だろう雪乃さんを嫁にください
130名無しさん@ピンキー:2007/10/28(日) 08:54:30 ID:ffdkVTze
エエのう、若いもんは…(´ω`)
131名無しさん@ピンキー:2007/10/28(日) 14:27:00 ID:Tp3UXsyO
押しとどめるスレなのでどんなに展開がエロくても安心していられるが
最後までいかないのがもどかしく思う俺ガイル
132名無しさん@ピンキー:2007/10/29(月) 14:44:32 ID:zsChU1Wv
格好良すぎだろう・・w
何となく脳裏に浮かんだキャラは、超ストイックな冴羽獠
133名無しさん@ピンキー:2007/10/29(月) 16:17:21 ID:bt+LE52f
>>132
>>108のお話の女の子が超特大もっこりを押し付けられている姿を妄想したw
そりゃ怖いわw
134319 ◆lHiWUhvoBo :2007/10/31(水) 02:16:01 ID:3BWj6Sw9

 「大変お待たせ致しました…」

 ドリンクバーのカップの中のミルクコーヒーを口に含んだ男は、自分の視神経全体が淫らな妄想に犯されているのでは
ないかとまず疑った。先日のプリンアラモードの光景は強烈だった。ガラスの器では無く白磁とも形容するべき乳肌の
上に直接盛り付けられていて、『ちょっと衛生的にそれは…』と思い口を開いたが、彼女の恥じらいつつも嬉しげな風情に
強く突っ込む事が出来ずに彼女の手により『あーん』と食べさせられた。その後残さずクリームも舐めて下さいねと言われ、
舐め、彼女の激しくも悩ましい息遣いの中、『器もご賞味を…』なんて言われてそれだけはご辞退申し上げますと修辞法の
限りを尽くし拒否したのだ。そして今度も、男の前に信じられない事態、いや痴態が展開されていた。

 「融(と)けないうちに…どうぞ…」

 視覚からの情報と、彼女の欲情に蕩けた声が男の勃起中枢を刺激する。…美容整形外科医も思わずひれ伏すほどの
天然美巨乳の間に、大きなチョコレートパフェのグラスがぴったりと挟まれていたのだ。当然、男は木石ではない。
哀しい雄の本能を持つ人間であった。下着の下のイチモツが鎌首をもたげて来る。それはスラックスの正面の合わせを
拡げ、閉じたジッパーの目が顕われる程のテントの支柱へと変化して行く。その膨張振りの全ては大きなテーブルの下に
隠されており、彼女には全く見えなかった。…男の剛直は既に下からテーブルをじわじわ押し上げつつあった。

 「失礼…致しますぅ…」
 
 越中雪乃(25+X)が男の隣に座る。そのボリュームに男は生唾を飲む。ふと、男は雪乃の白磁のような胸乳周辺の肌の
色の変色に気が付いた。自衛官時代の北部方面隊勤務時に、冬季に男が何よりも恐れた凍傷の兆候がそこに現われていた。
そして男の頭の中を半ば支配していた桃色の霞の如き情欲が、適切な処置を施さねばならぬと言う義務感に取って代わる。
それが事情を知らぬ他人から見ればどんなに破廉恥で羨ましい事か全く理解しないまま、男は行動に移ってしまっていた。
凍傷に対する、現在の男が出来るだろう緊急の応急処置を開始するために。

 「ァ…んっ!」

 雪乃の乳房の間からチョコレートパフェのグラスを力任せに引き抜きテーブルに置くと、代わりに男は自分の両手をその
開いた谷間に突っ込んだ。男の予想した通り、そこは冷え切っていた。…表皮組織の軽度の損傷であれば良いが、真皮組織
の損傷まで行くと、組織の壊死まで覚悟しなければならない。男の股間の天幕をようやく確認し、目元を赤く染める雪乃に、
男は真剣な顔をして尋ねる。
135319 ◆lHiWUhvoBo :2007/10/31(水) 02:24:47 ID:3BWj6Sw9

 「僕の手の感触が、解りますか」
 「…は、はいっ…」
 「では、これは!? 」
 「わ、わかります…」

 男の声の真摯さに違和感を覚えつつも、雪乃は答えていた。胸をしきりに触られている。なのに全然、嫌では無い。むしろ
もっとこのままでいたい、触られていたいと雪乃の身体は甘美さを訴えていた。思わず切なさから太腿を擦り合わせてしまう。
男にしては重要な質問だった。これで感覚が無い、と言われてしまえば、重度の凍傷の疑いがあり、治療出来たとしても肌に
きっと跡が残ってしまう。男は飽くまでも、奇麗な女性には奇麗なままでいて欲しかった。


「いかんっ…」

己の手の冷たさを自覚する男は、もどかしさを感じ、制服のブラウスのボタンを2つ外して乳房を露出させ、ついに
マッサージを始めてしまう。男の勢いに圧倒され、雪乃はちょうどソファに押し倒された格好になった。徐々にその愉悦から
赤味を帯びてくる雪乃の肌に気付かず、男は患部のみを注目していた。…下着は豪奢な黒のレースの物を着用していたが、
男の興味を惹(ひ)くには至らなかった。

 「ん…ァはぁ…ン! 」
 「ヒリヒリするでしょうが、なるべく我慢して下さい」

 雪乃の噛み締めた紅唇より漏れ出た喘ぎを、男は感覚が戻りつつある皮膚からの苦痛によるものとただ、思っていた。
今や雪乃の着ている制服の、ただでさえ短いスカートが捲くれ上がり、下着が丸見えになっている状態だった。じっくり
観察したならば、徐々にそれが本気汁と俗に呼ばれる白い蜜液で濡れていくのが解るだろう。そしてツンとそそり立った
陰核の状態までも。…その陰核を、男の同じくそそり立ったモノで強いマッサージの副産物としてリズミカルに擦られる
のだ。今の今まで、雪乃は男性に抱かれた事は無い。無論、同性にも。自慰とは違う、コントロールが出来ない刺激に
理性が翻弄され、そして駆逐されて行く。もっと、もっと強い刺激が欲しい…もっと…もっと逞しいものに縋りつきたい!
どこかに意識だけを連れて行かれそうになる雪乃は、女の本能で男の逞しい背に腕を回し、抱き寄せていた。

 「もう駄目ぇ! …貴方が欲しい…ほしいのぉっ! 」
 
 そこで初めて男は自分のしている事の危うさに気がついた。…事情を知らない人間が見ればこれは明らかに…!
己の布地漉しの男根に何が当たっているのもようやく理解し、雪乃の言葉の意味がダイレクトに大脳に突き刺さる。
男が涙ながらに星空に誓った少年のあの日より、どんなに求められたとしても、それだけは、それだけは与えては
ならない!振り解こうするが、雪乃はその誰もが羨む脚線美を誇る長い脚でガッチリと男の腰をロックした。 
136319 ◆lHiWUhvoBo :2007/10/31(水) 03:03:25 ID:3BWj6Sw9

 「だめ、こわい、こわいの、いやっ、いやっ、いやっ、いやぁぁーーーーっ! 」

 焦る男とは裏腹に、雪乃はついに達してしまった。スラックスと下着漉しに、下腹部に熱い物が噴き掛かるのが解る。
尿の臭いでは無い所を考えると、多分「潮吹き」と言う現象だろう。男は雪乃から離れようと、乳房に当てていた手を
腰の後ろに回し、雪乃の脚を外そうとするが、逆にガッチリと力を込められ、首を抱きかかえられて唇を奪われる。
待っていたのは、濃厚な接吻だった。男はどうやら雪乃の官能を叩き起こし、種火を付けて燃え広がらせたらしい。
雪乃は唾液の糸を引かせながら自分から唇を離し、男の耳に囁いた。

 「…今度は…私の中へ…来て…ください…私の初めてを…奪って…」

 男には地獄の責め苦に思えた。体は疾うに準備が出来ている状態だ。しかし、その心は、恐怖に脅え切っている。
いけない。それだけは為してはいけない行為だ。これまで自分は何のために耐え、幾人の求めを涙ながらに振り切った?
男は同じ様に雪乃の耳に口をつけ、静かに吹き込んだ。雪乃がくすぐったさに身をよじり、悶える中でそれを聞き取る。

 「お気持ちは嬉しいのですが、僕には、出来ません」
 「どうして…ですか…? 貴方はもう…こんなに…なってるのに…」
 「なっている、からです。貴女が一所懸命の気持ちで働くこのお店で貴女を抱いたら…二重に貴女を侮辱する事になる」

 男の言葉を受け、雪乃の脳裏に、6号店誕生からの記憶が走馬灯のように蘇った。設計段階から立会い、厨房器具を
選び、スタッフ人選、店長との掛け合い漫才にも似たやりとり、辛かった事、楽しかった事…このピア・キュロット6号店の
中で経験した全ての出来事が、雪乃の心に作用して、熱く滾る雪乃のカラダを冷まして行く。雪乃は何時の間にか泣いていた。

 「済みません…・・・我を忘れてしまって……」
 「いいんですよ。泣いている貴女も奇麗だ」
 「最後に…もう一度…キスしても…いいですか? 」
 「ええ、キスだけ、なら」

 男の耳を舐め、頬に舌を這わせ、そして視線を交差させ、目を閉じる。男の唾液の味は、あの日飲んだミルクコーヒーの
味そっくりだった。諦めはしない。これは始まりなのだ。雪乃は男の口内に舌を這わせ心のままにむさぼりながらそう思っていた。

 「わ、わたしの、わたしのカワイイゆきぽんに、何してるのよこの、この強姦魔ぁぁぁぁぁぁっ! 」

 と言う、あのブラコンめ絶対にブチ殺す何がお兄ちゃんが呼んでるだ畜生この色ボケ戯(たわ)けオンナと散々以前に罵った、
下手な萌え系声優顔負けの営業用ロリ萌え声を怒声に変えてヒステリックに叫ぶ、女子校時代の先輩こと『店長』の声を聞くまでは。 
137319 ◆lHiWUhvoBo :2007/10/31(水) 03:05:10 ID:3BWj6Sw9
ちゃんと阻止、してましたよね? ファミレス編を終了させて頂きます。…また、いつか。
138名無しさん@ピンキー:2007/10/31(水) 07:35:24 ID:7rGcAlDU
GJ!!!すぐるww
でもやっぱりこのスレ以外での展開も見たい作品なんだぜ(涙)
139名無しさん@ピンキー:2007/10/31(水) 18:44:04 ID:ploz5CAS
ズッニューなしでここまでエロくできるあんたに完敗
このスレだけでもいろんな風に書けるのねあんたは
140名無しさん@ピンキー:2007/11/01(木) 12:17:13 ID:3NCK7bf4
3番槍GJです!!!
次回も楽しみにしております
141名無しさん@ピンキー:2007/11/01(木) 21:20:03 ID:y5q+Fc+W
もどかしさにゴロゴロ転げ回ってるが、このスレはこれでいいんだよね…

もちっと転がっときますw
142名無しさん@ピンキー:2007/11/01(木) 23:41:18 ID:h9INtBp0
お題やリク出したら答えてくれそうかなぁ
どうしようかなぁ
143名無しさん@ピンキー:2007/11/02(金) 13:27:29 ID:gfbiRpq8
>>138
いいかい良く聞くんだ
このスレは女性の求めをエロカッコ良く押しとどめろ!なスレだ

ここはコペルニクス的転換をしようじゃないか
女が中田氏を求めてもエロカッコよく男がとめればいい
女が挿入が嫌だと言ってもエロカッコよく男がはめればいい
女が求めて男がそれをエロカッコよく拒否する原則さえ守れば
なんでもやり放題なのだとSS書きさえ気付いてしまえば
何も問題はなくなる
144名無しさん@ピンキー:2007/11/02(金) 13:46:29 ID:PguJsy4M
ちょw マジでコペルニクスすぐるwww
145名無しさん@ピンキー:2007/11/02(金) 15:13:12 ID:k3yIy7K7
つ、つづきはここで!!↓
  
イキたいのに・・・
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1110946747/

イカされすぎて・・・
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1182314033/

女の色仕掛けに嵌められるSS
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1183093965/

クリトリス責めメインのSS〜その2〜
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1177151640/

■ものすごい絶倫キャラが女を次々壊すエロパロ■
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1177471895/
146名無しさん@ピンキー:2007/11/02(金) 15:36:08 ID:NjrMbylv
>>145
言われてみればファミレス編はズこっ!がないだけで上の4つのお題全部をクリアしてるもんなw
最後のは上の短編2つで期待してってことかw パラレルワールドなら続きを許せる俺がいるw
147名無しさん@ピンキー:2007/11/03(土) 18:38:39 ID:SFvQHMCY
女性にこの男のエロかっこ度を判定してもらいたいなw
148名無しさん@ピンキー:2007/11/04(日) 03:23:33 ID:nGA5Qiio
しばらく来ないうちに良作が!!
GJですよ。

優しい大男というとパンプキン・シザーズのオーランド伍長思い出すなあ。
149名無しさん@ピンキー:2007/11/07(水) 18:59:45 ID:8VJU3Aqf
ほしゅ
150名無しさん@ピンキー:2007/11/09(金) 11:47:52 ID:jpq7rURZ
 
151名無しさん@ピンキー:2007/11/09(金) 19:17:39 ID:quOygypk
ええい、書き手はまだか
152名無しさん@ピンキー:2007/11/10(土) 12:46:20 ID:VMMkweVp
319氏の作品の男を、
「子宮の病等で子供が産めなくなった女」
が惚れたらどうなるんだろう

そんなことを考えつつ保守
153319 ◆lHiWUhvoBo :2007/11/12(月) 02:31:40 ID:ot8Mejwi

 (踏んだり蹴ったりとはこの事だな…)

 人の言うマンション、本来荘園を意味する名称から程遠い外観であるだろう集合住宅――アパートメント――の自室の
ドアの前に立ちながら、男は溜息を吐く。その後ファミリーレストランで多分薙刀(ナギナタ)の心得えがあるだろう、モップを
持った少女に襲撃され、急いで両掌で受け止めたのは良いが、水滴でスーツを台無しにされてしまった。下のウェイトレスに
水滴が掛からないよう、完璧を帰して庇(かば)った御蔭であった。そうでなければしっかり避けている。

 (世の中は狭い、と言うが…)

 ウェイトレスを組み敷いていたのは事実だったが、強姦魔と言われるのは心外なので事情を話そうとすると、血相を変えた
ウェイトレスがいきなり少女を平手で殴り、『店長は、先輩は勝手なんですから!』と激怒してしまったため、宥(なだ)めざるを
得なかった。喧嘩を始めた二人を急いで停め、休憩から戻ってきた従業員に聞いて奥の店長室に案内して貰い、事情を聞いて
仲裁し、解決したのが休憩時間が終わる16時。会社の上司に遅れる旨を報告している最中、いきなり笑顔の少女に携帯電話を
ひったくられて『かすみん? ひっさしぶりぃ〜! 』などと会話され、何だかウヤムヤのうちに「外回り」扱いに為ってしまった。

 『ゆきぽんは後輩でぇ、かすみんはタメ。おんなじ女子校なんだ、テヘっ☆』

 と言われても、少女のカタチをしたその女性はどう見ても18より下には見えなかった。横で自分を思い遣るようにウェイトレスが
『…真実です』と言っていたが、これこそ嘘だろうと言いたくも為る。ウェイトレスが実はレストランのマネージャーだったと聞かされ、
スーツ姿で平謝りに謝られても、だ。スーツを即日クリーニングに出すと言われ、目の前で脱いだらやけに驚かれてしまったのは
愉快だった。元の職業は【着せ替え人形】と呼ばれる程に着替えが多く、また周囲もほとんど同性のため、隠す事とは無縁だった。
熱い視線が痛いほど突き刺さっていた気もするが、多分気のせいだろう。…女ならともかく、男の裸など見せ物にもならないはずだ。

 『済みません…着替えがこれしかないんです…』

 マネージャーにおずおずと差し出された男性用ウェイターの制服を渡され、着て見ると溜息を吐かれたのは、きっと板について
居なかったからだろう。その割には店長が『ゆきぽん! これは使える、使えるぞぉ〜!』と熱っぽく語っていたのは不思議だが。
 
 『…笑ってくださいね。はい、いいですよ。あ、お写真ですが…私…ずっと大事にしますから』
 
 取り合えず肖像権云々の店長の質問には構いませんからご自由に、と答えた。クリーニングが20時には終わると聞き、その間は
暇になるので、忙しくなるようだったら手伝いたいとウェイターの真似事をしてみたが、中々面白かった。マネージャーから『貴方は
絶対に女性客のオーダーを取らなくていい、むしろ近づかないで下さい』と厳命されたが、呼び出しが忙しくて守れなかったのを本当に
申し訳なく思ったが、仕方ない。…店長から『いっけぇ〜! 対女性客最終兵器! 常連ゲットだお☆!』と突っ込まされたのだから。

 『あの、よろしければここに…転職…しませんか』

 とマネージャーに言われたのは多分過分なリップサービスだろう。様子を見に来た上司に『ウチの会社、アルバイト禁止でばれたら
クビなんだけどな』とニヤニヤされた時、矢の様に早く傍に来て、自分を上記の言葉で庇ってくれたのは有り難かった。静かに交差する
二人の鋭い視線にうすら寒いものを感じたが、気のせいに違いない。ウェイトレス姿の店長が『あ、かすみん、きてくれたんだぁ☆』と
上司の隣に座ってあんなに親しそうに三人で会話していたのだから。三人の交渉の末、直帰扱いになったのも有り難かった。

 (さて、現在22時…異常は…)

 男は自室ドアの合わせ目に2セロテープで貼って置いた髪の毛の存在を確認する。セロテープに指紋が付いていた。張るときは
ラテックスの手袋をするため、男の指紋では無い。つい最近「拾って」きた「子猫」のものでも無い。外には出ないよう厳命していて、
「子猫」もそれを承諾し、むしろ出たくないと言っていた程だ。可能性は一つ。「招かれざる侵入者」だ。心当たりは二人存在する。
男は深呼吸し、ドアに手を掛け、勢いよく引いた。
154319 ◆lHiWUhvoBo :2007/11/12(月) 02:36:37 ID:ot8Mejwi

 男がドアを開けると、【子猫】が座って待っていた。…【子猫】は、いや、もう【子猫】と呼ぶ事は出来ないだろう女性は
得も言われぬ艶やかな雰囲気を醸し出していた。敢えて形容するならば、大人に為りきれぬ少女だけが持つ、未成熟で
アンバランスな色気だ。男は目を瞬いた。昼間の事がまだ頭に残っていたかと激しく頭も振って見た。…目の前の光景が
完全なる現実だと言う事を、残酷にも認識させられただけだった。

 「お帰りなさい…。御飯にします? それともお風呂? それとも…」

 長い翠の黒髪を蒼いリボンで纏めているのはわかる。リボンは近日中に誕生日を迎える幼馴染みに贈るために買って
置いたものを、また買うので使っても良いと渡したものだ。フリル付きの白いエプロン。これは『いつかわたしの手料理を
小隊長にご馳走するんです』といつも自分の作る料理を食べるだけの『元部下』が嫌がる自分を無視して置いて行ったものだ。
だがそれ以外には…

 「…なさいます? 」

 何も身に着けていない生まれたままの姿の娘が、実りきらない尻を向け、右手の人差し指と中指で薄桃色の陰裂を開き、
誘惑している。健康かつ健全で清純な少女の生硬さを感じさせる肉体美と、全く似つかわしくない淫靡な「お誘い」のインパクト。
男が目を閉じてもしっかりと脳裏に焼き付いてしまった今、吹き付ける強い春風にも似た凄絶な情欲衝動が男を苛(さいな)んでいた。
歯を噛み締め冷静になろうと努力する男の目に、陰裂から滴る透明な粘液が映った。亀頭が痛い。――駄目だ。解放しろ。――駄目だ。
獣欲に従え。――断る! 男の自問自答が続く中、獣性がついに甘言を弄(ろう)した。我慢するな、ほら見ろ…

 「貴方が…欲しいの…」

 何故そこで尻を左右に煽情的に振る! 何故だ! と、男は内心叫び、歯軋りを漏らす。理性が屈するのも、もう限界に近かった。
何故なら彼女は余りにも「男がまだ幸せな結婚を夢見ていた少年の日の幼馴染みの姿」に生き写しだったのだ。医師の残酷な
宣告が無ければ、少年はとっくの昔に父親に為っていただろう相手だ。冷たく燃える光が滲んだ、冬の星空を思う。あの日に
涙ながらに別れを告げて…俺は…! 男は気付かずジッパーを降ろし、少女に圧し掛かっていた。
155319 ◆lHiWUhvoBo :2007/11/12(月) 02:56:26 ID:ot8Mejwi

 「あッ…」

 男がついに少女の身体に触れた時、幽かな震えに気が付いた。…脅えている? 男の理性が復権を訴えた。違う。待て。罠だと。
少女の耳に口を付ける。くすぐったさからか、それとも恐怖からか、少女が体を強張らせる。その初々しい反応から涌き上がる征服欲に
負けまいと、ついに男は口内の肉を噛み切った。鋭い痛みと血の味が、男を「獣」ではなく「理性的な人間」に留めさせる。そして男は
静かに囁いた。

 「誰か、居るんだな」

 こくん、と少女は頷いた。やっぱりだ。「少女」が無断で家捜しする性根を持っていないのは確認済みだ。となると想像される事態は
一つしかない。無断で自分の中学・高校の卒業アルバムを見て『この小隊長といつも一緒に写ってる子、塗り潰したくなりますね』と
言ってのけるくらいにいい根性をしている『元部下』しかいない。エプロンを見て最初に気付くべきだった。あいつだ。間違い無い。

 「…怖かったろう。…こんな真似をさせて、済まなかった」
 「あンッ! 」

 男の心を怒りが支配する。さぞや荒れた事だろう。多分こんな真似を少女にさせたのも、男の理性を試したつもりなのだろう。
少女が否定しても、抱かれていたと決め付け、抱かれてないなら出来るはずだ、と無理矢理に少女に強制したに違いないのだ。
だったらあいつの妄想通り、少女に嬌声を上げさせ、我慢出来ずに姿を表わしたところにキツいお仕置きか灸を据えるしかない。

 「あいつが出てくるまで、悪いがお芝居に付き合ってくれ」

 豊かに実りつつある胸を掬(すく)い上げるようにしてエプロンの上から柔らかく揉みほぐしながら、男は少女の耳にそっと囁く。
含羞の表情を浮かべる少女の心中を思うと痛々しさに胸が張り裂けそうになるが…一瞬少女が嬉しそうに微笑んで見えたのは
きっと気のせいだろうと男は思った。そして奥に聞こえるように声を大きくする。

 「ずっと我慢していたが、もう限界だ! するぞ! もうするぞ! 処女だろうが構うものか! 」

 そして片手を少女の太腿の付け根に伸ばし、触る。…不衛生な手で少女の陰部を触っては、後々感染症の元となるからだ。
だが、少女はその手を自分の秘唇へと導く。素早く少女は身体を入れ替え、男の上に跨り、男が先刻したように耳に可憐な唇を
付け、熱っぽく囁いた。
156319 ◆lHiWUhvoBo :2007/11/12(月) 03:01:11 ID:ot8Mejwi

 「…復讐するは我にあり。遠慮していると、お芝居だとすぐばれちゃいますよ」
 「しかし…」
 
 少女は目尻に浮いた涙を拭きながらも、目元を染めて気丈にも男に微笑んだ。男の勃起した陰茎をおずおずと、しかし愛しげに
さすりながら奥の部屋に聞こえるように喜色に溢れた声を上げる。…きっと本格的に演劇を学んだに違いないと男は思った。
 
 「やっと、やっと抱いてくれるんですね! わたし、わたしずっと待ってたんですよ…? これ…入れちゃいますから」
 「ま、待ってくれ! そこまでしなくていい! ストップ、ストップだって! きっともっと君にふさわしい男が現われるから!」
 「欲しいんです…本当に…。それに…貴方じゃなきゃ…嫌なの…」

 芝居だと思い少女に愛撫を続けたが、亀頭が陰裂を割り拡げるに至ったとき、男は己の間違いにやっと気付いた。どうやら
少女は本気で自分の「モノ」になる気なのだ、と。急いで腰を振り、少女の手から逃れようとするも、ガッチリホールドされていた。
無理に振り解くと、少女に怪我をさせてしまう! 亀頭からの快感に耐えつつ、重力に従おうとする少女の腰を腕で支える男を
救ったのは…!

 「そんなの、そんなの駄目ェェェェェェ! 小隊長は私の、私だけの小隊長なのぉ! 」

 泣きながら少女を力任せに引き剥がし、間髪入れずに武者振りついて唇を奪ってきた『元部下』、音無郁子3等陸曹だった。
我慢し切れずに出てきたのだろう。大きな目を真っ赤に腫らして泣いていたあとが痛々しい。だが甘やかすとこの通りだ。
男は唇を求め続ける『元部下』のショートボブの黒髪を掴んで有無を言わさず引き剥がし、鋭い視線で射抜いた。

 「…わかってます…。ゴメンなさいすればいいんですよね、この子に…」
 「それと俺にも、だ。『音無3曹』。いくら大家さんの妹とは言え、無断で入るなと何回言えば解る? 」
 「わかりたく…ありません…。『小隊長』…」

 それでもしがみ付いてまだ甘えようとする音無3曹を無理矢理引き剥がしたのは、何故か恥ずかしい格好のままでいる
少女だった。それから何故か口喧嘩が始まり、平手の応酬が2度実施された。少女が手刀をかざし、音無3曹が拳を構えて
部屋でキャットファイトの火蓋が切られようとする前に、男は

 「やるのはいいが、やったら俺は即、二人とも縁を切るからな」

と一言、怒りを湛(たた)え静かに言い放ち、ようやく我に還って捨てないでと泣き出した2人を停める事に成功したのだった。
157319 ◆lHiWUhvoBo :2007/11/12(月) 03:03:48 ID:ot8Mejwi
投下終了。撃ち方やめ! 女性の求めはともかく…格好よく阻止出来て…無いかも。 

オヤスミナサイ。
158名無しさん@ピンキー:2007/11/12(月) 08:34:23 ID:vT0zMPSX
GJ。

しかしまるで鉄筋の精神のようだな。……まぁ、あちこちに金属疲労が目立つほどボロボロだが。
がんがれ小隊長
159名無しさん@ピンキー:2007/11/12(月) 11:30:23 ID:t+dVfaxF
GJ!!
しかしどんだけ精神磨耗させられてるのかとw
160名無しさん@ピンキー:2007/11/12(月) 14:09:00 ID:KK1/cjRW
さわやかな修羅場と嫉妬をありがとう
161名無しさん@ピンキー:2007/11/12(月) 15:39:11 ID:y2Dc9/aZ
今回もいい仕事してますねw

クトゥルフTRPGのキャラだったら無敵だな小隊長w
きっとSAN値がものすごく高いんだろうなw
162名無しさん@ピンキー:2007/11/12(月) 16:47:47 ID:vH9aPxXn
GJ、良い仕事だ
小隊長ガンガレ
163名無しさん@ピンキー:2007/11/12(月) 19:18:29 ID:yjNyEyFP
>>161
だけどSAN値を削るイベントが目白押しなのであまり意味がないというw
164名無しさん@ピンキー:2007/11/13(火) 18:38:39 ID:U5F23wNB
小隊長はDTなのかそうでないかが疑問
俺はDTではないに一票
165名無しさん@ピンキー:2007/11/14(水) 00:13:39 ID:VqPqsoqF
>>164
俺もDTではないと思う
DTなら性欲に負けて「ゴムつけたら大丈夫だよな?」
ってな具合に妥協しそうな気がする
166319 ◆lHiWUhvoBo :2007/11/14(水) 03:38:52 ID:y71/+v6H

 「あ〜! 小隊長どこ行くんです? 一緒の部屋で寝てくれるんじゃ無いんですかっ?! 」
 「…ベッドならわたしの横に空きがあるのに…わたしなら…何されても貴方なら構わないのに…」
 「ちょっとぉ、何言ってるの? 本当なら小隊長と私がそこで寝るんだからぁ! この泥棒猫! 」

 帰って来て必死の仲裁、キッチンで孤軍奮闘の夕食作りに配膳、食卓では音無3曹と少女の左右同時「あ〜ん」攻撃。
さらに食器洗いをこなし、ベッドの隣に部隊時代に使っていた簡易ベッド及びクリーニング済みのスリーピングバッグを
展開して現在、午前0時。男の体力的には全く支障は無いのだが、精神的疲労が蓄積し続けて爆発寸前になっていた。

 「注目、命令を下達する! 音無3曹は簡易ベッドで速やかに就寝! お嬢ちゃんはベッドで即時就寝の事! 交戦
 状態に二人が再度至った場合、首根っこ掴んで部屋から放り出して両名の事は以後小官の記憶から完全に抹消する! 
 以上! 何か質問はあるか! 」
 「…もう一度お願いしますぅ…ああんもぉ…小隊長ったら…凛々しいんだからぁ…」
 「か、恰好いいですっ! こっ、こんなの貴女は毎日聞いてたんですかっ?! 」
 「ふぅ〜んだっ、泥棒猫には教えてあげな〜い。…でも聞きたい? う〜ん、どっしよっかなぁ〜? …聞きたい? 」
 「…質問は無し。俺は外で寝る。…仲良くな。…別れ」

 部屋の灯を消し、ドアを閉めてから室内の様子に男は耳を澄ます。音無3曹が少女に部隊時代の自分の事を自慢げに
話すのを聞き、男は苦笑いを漏らす。音無3曹の『小隊長は部隊のみんなに厳しくて、そして優しかったのだ』と嬉々として
話すのが気恥ずかしい。そっと離れ、廊下を歩きドアを開け外に出る。足音を殺す術、音を極力立てずにドアを閉める術は
自主的に部隊時代に身に付けた技術だ。男は蛍光灯が照らす共用通路に座り、目を閉じる。スーツの上にコートを羽織った
だけの姿だが、全く寒さは感じなかった。むしろ、野外の何処でも平気で寝られなければ陸上自衛官として失格だった。

 (屋根があるだけ豪華だ。風もあまり入って来ないしな…)

 風切り音を聞きながら、男は意識だけを眠らせて行く。一般の人間には半覚醒状態の、まどろみの中、と言えば解り易い。
聴覚と皮膚感覚が生きている状態で、目を開けていれば視覚もONの状態だ。歩哨や監視が居ない場合はこうして休憩を
取る事を自然と学ばされるのだ。男が完全に健康な状態ならば、その状態を維持出来たろう。しかし、男の精神的疲労は
転職以来から澱(おり)のように心の奥底に溜まり、身体を蝕んでいた。女性を避け、己を律し続けたツケが、男を徐々に
深い眠りへと誘(いざな)って行く。

 (だめ…だ…。ここは…ニッポンで…ここは…屋外で…不審者…と…して…つうほう…)

 此処は平和な日本だ。あの「戦場」ではないのだ。男の心の弱い部分が子守唄を優しく唄い出し…そして男は眠りに就いた。
最後に男の聴覚と嗅覚が捉えたのは、幽かに鳴るパンプスの靴音と、オードトワレに程よくブレンドされた女性の体臭だった。
167319 ◆lHiWUhvoBo :2007/11/14(水) 03:39:59 ID:y71/+v6H

 「動くかと思ったから急いで来てみたら…馬鹿一人発見、か」

 だが、通路に座り込んで鼾(いびき)を高らかに奏(かな)で始めた監視対象を、すぐ傍で見下ろしているこの私も充分に
馬鹿の資格がある。通常、監視員は己の監視対象に接触など絶対にしないし、直接接触の許可など上から下りる筈も無い。
セオリー以前の問題だ。しかし、馬鹿の相手には馬鹿になるしかない、と私はこの男の真っ直ぐな行動に教えられた気がする。

 「…何にでも為れて、何でも出来る。そして溶け込む。…貴様にこそ向いているのだろうな、この私の今の仕事は」

 私は溜息を吐いた。自然と微笑んでいるのが自分でも解る。…悪い感覚では無い。私はこの男を尾行するように命令され、
反自衛隊活動があれば報告せよと下達されている。だがそんな行動はカケラすら発見出来なかった。上から何かあるはず
と強く報告を迫られた私は、ついに男の部屋に侵入する愚を冒してしまったのだ。当然、男の部屋からは何も見つからない。
部屋を出ようとする私が男に拘束されてしまったのは、正に愚の骨頂とも言えよう。…思い出すだけで、身体の奥が疼く。
168319 ◆lHiWUhvoBo :2007/11/14(水) 03:40:41 ID:y71/+v6H
コレ以後、縛りにスカ描写ありなので、嫌ね! な人は読まないでね。
169スカ注意!:2007/11/14(水) 03:43:33 ID:y71/+v6H

 『…何も話す事が無い? だったら俺が嫌でも話させてやるさ』

 私は武装解除の必要から裸にされた後、両手両足の親指を電工用の結束バンドで固定され、その後浴室に連れて行かれ、
天井に縄で吊るされ拘束された。それだけなら私は耐えられたのだ。…しかし男の方が上手だった。洗面器に、炭酸飲料の
1.5リッターのペットボトル。男の酷薄な笑みは演技だったとしても、その時の私を絶望の縁に叩き込むのには充分だった。

 『な、何をする気だ、こんな事をしてただで済むと…』
 『このまま警察を呼んでも俺は一向に構わんのだがね? 調査隊に身辺を嗅ぎ回られるのはもうコリゴリなんだ』
 『!? 』
 『…尾行はもっと巧くやれ。あと、呼び出されても昼間に堂々と駐屯地に帰還するな。何処で誰が見ているか解らんぞ? 』  
 
 体を捩(よじ)るたびに縄が身体に食い込む捕縛術の見事さを、男が中学・高校生時に古武術道場に出入りしていた事実を
調査した私自身が知る羽目になるとは想像もしなかった。男がペットボトルの栓を開け、炭酸飲料を激しく上下に振り始めた。
何故そんな事をするのか? 当時全く【知識】の無かった私は、ただ見やるしか無かった。…間抜けにも、ペットボトルの飲み口を
排泄器官、肛門に挿入されるまで。
 
 『ひ、ひギャやァァッァァァァあぁぁっぁあっぁぁぁぁぁぁっ! 』
 『そぉら、冷たいだろう? 腹が張ってる所を見たら、お通じもここ数日、余り来てないようだしなぁ? 』

 私が肛門の痛みと直腸を駆け登る液体の冷たさに泣き喚き、身悶える様を、なんと男はデジタルビデオカメラで撮影していた。
全身が総毛立つ思いをしながら、私は涙が滲む視界の中、男の顔を見た。…男が演技派なのを知らない当時、私は本当に男が
『その趣味』を持っている人間に見えた程のいやらしい、酷薄な笑みだった。炭酸飲料による刺激が、私の排便を無慈悲に促す。
男がせせら笑いながら、ペットボトルを私の肛門から引き抜いた。…深刻な状況には場違い過ぎる、軽妙な音がした。
170スカ注意!:2007/11/14(水) 03:45:11 ID:y71/+v6H

 『ざまぁないな、調査隊の敏腕女性隊員が形無しだ』
 『トイレに…トイレに行かせて…。お願い』
 『ここまで準備した俺が【よちよち、よく我慢できまちたね〜】と素直に行かせると思うのか? ほらほらぁ! 』
 『う、ウわああああああああ! 出ちゃう、出ちゃうううううううっ! おトイレに、おトイレに行かせてェッ! 』 
 『い・や・だ・ね』
 
 男が私の下腹部を揉み、肛門周辺を愛撫するのを絶望的な気分で耐えようとした。普段男性的でキリリとしている、と褒められたり、
女の為りをしているが言動や態度や行動は男だと言われたり、おねえさま、と女性隊員宿舎で慕われたりする私が、よもや童女の
如き可愛い叫び声を上げるとは自分でも思っても見なかった事実だった。…そして私の儚き抵抗は…突然終わりを告げた。

 『も、もうだめぇええぇぇえぇぇぇぇぇぇぇっ! でちゃう、でちゃうぅぅぅぅぅう! 』
 『おお、スゲぇ、ブッといのが出てる出てる…アンタみたいな奇麗な女でも、糞はするんだな? 』
 『と、撮らないで…こんな、こんな姿、撮らないでぇ! 嫌ぁぁぁ! こんなの嫌ぁぁぁぁ! 』
 
 ついに堰(せき)を破り決壊した私の粗相を、洗面器が全て受け止めていた。男はその惨めな有様を余す所なく記録に収めた後、
洗面器の中身を私に見せた。顔を背ける私に、それならと克明にその内容を聞かせ続ける男をすぐにでも殺してやりたいと思った。
拘束されている自分を忘れてしまうほどに。

 『殺してやる…絶対に…殺してや…ひぁあああああ! 』
 『ほーら、キレイキレイちまちょうねぇ…水じゃ落ちんか…おいおいまたかよ…臭ェなあ』

 敏感な会陰部にいきなり冷水の刺激を浴び、私はまた粗相をしてしまう。…小水が二股に分かれる様まで映像には残っているだろう。
すぐにシャワーのぬるま湯で洗い流され、臭気も換気扇で飛ばされ、その後に洗面器の中身もトイレに流される。これで終わったのだ。
そんな風に期待した、私の認識はまだまだ甘かった。…現実は、何処までも非情で、そして残酷だった。

 『い?! ギャああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ』
 『…おお、キツいねぇ。…切れて血が出てやがる。云え。何のために俺の部屋に侵入した? 目的は何だ? 云え! 』

 私はこれまでに男性経験など無かった。無いなりに、処女喪失の甘い想像はしていた。そんな私が…後ろの処女を先に喪失してしまう
事など…男の太いもので肛門を引き裂かれて居る事など…! 絶対に認めたくなかった。荒々しく責める男にあられもない痴態と醜態を
晒し続けプライドをズタズタに引き裂かれた私はもう全てを男にぶちまけてしまった。男が命令で秘密裏に『実戦経験』を積んでいた事実を
マスコミにリークする恐れを上が抱き、警戒している事も全て、だ。さんざん精を私の中に放った男に、私は哀願した。

 『全部話したから、話したからぁ! もうやめてよぉ…』
 『よ〜し良い子だ。じゃあ、ご褒美を…やるよっ! ケツの中に小便だ! 有難く光栄に思えよ? 』
 『ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ! ン…』

 炭酸飲料とは違う、熱い液体の感触が私の直腸の壁に染み渡り、つたって行くのが解った。私の心は…男の虜へと堕ちてしまったのだ。
一部始終を再度映像として見せられた私は、もう男に逆らう事など出来るはずも無かった。ワールドワイドウェブで全世界にこの痴態を
流される事を思うと…実は誇らしかったりする。私がこの男のものになる様を誰とも知らぬ全世界の者が閲覧するのだ。これ以上の証明は
あるまい。私はこの男に歪んではいるが『愛された』のだと。コレ以来…私は毎回大の時の排便時に、甘い喘ぎを漏らしてしまうようになった。
この時の事を思い、同時に自慰までしてしまう程に。
171319 ◆lHiWUhvoBo :2007/11/14(水) 04:02:05 ID:y71/+v6H

 「気付かない…な…? 風邪を引くぞ…? 」

 私は男の蹲(うずくま)る股の間に入り、男のコートを引き寄せて、その噎(む)せかえる程の男臭さに酔い痴れた。
きっと風呂にも入らなかったのだろう。日の出ている間に見たウェィトレスへの羨望が、私の胸の奥を劫火の如く焼く。
私はこの男が目覚めている間は、決して傍には近寄れないのだ。こんな温もりも感じる事も無く、暖かい言葉も無く。
ただ、見ているだけ。もう我慢出来ずに男と同じ体勢になり、座る。丁度、男に抱えられた恰好になる。

 「せめて…この時だけでも私を…傍に…居させてくれ」

 寝息をうなじに感じながら、徐々に私は男に身体を預けて行く。…目を覚ます気配は無い。コンクリートに触れている
尻は冷たいが、それ以外は男の体温とコートで暖かい。…私の顔も火照っているのがわかる。…まるで小娘のようだ。
甘い疼きが止まらず、思わず太腿をすり合わせてしまう。…いかん…濡れてる…。

 「もし残り二つの【はじめて】を奪われるのなら…私は貴様を相手にしたい」

 それが叶えられる日は永遠に来ないかもしれない。調査した男の過去や医療データでも明白だ。しかし、信じていれば
いつかは願いは叶うのだ。…こうして、共に眠る事が出来たのだから。

172319 ◆lHiWUhvoBo :2007/11/14(水) 04:15:01 ID:y71/+v6H

 (ん…女臭い…!? )

 男はふと身体の前面にかかる重みに覚醒した。…いつか【お仕置き】した調査隊の女性隊員だった。以後毎回、
男が女性隊員にした行為を忘れないよう中(あ)てつけているようにあからさまに尾行している事を強調するように
なったのだ。『見ているぞ鬼畜野郎! 』と言う熱い視線付きで。しかし今は…険の取れた可愛い寝顔を晒している。

 (まったく…責任取れってか? )

 まだ近づくようならネットに映像を流す、と脅迫して置いたが、実は映像記録はメモリーカードごと破棄してある。
脅迫する時は実物が存在しない方が便利なのだ。大事で肝心なのは相手にその存在を『信じさせること』なのだ。
それに誰かを脅すなど、男の信条では絶対にあってはならない事だ。

 (ま、湯たんぽよりは暖かい、な)

 ムクムクと己の息子が節操なしに元気になるのを感じつつ、男はまた、まどろむ事にした。…朝が来る頃には、
彼女はきっと居なくなっているだろうと思いながら、女性隊員を見遣る。…夢の中にいるのだろう。彼女は嬉しげに
微笑んでいた。月の無い星空と、常夜灯だけが、二人を照らしていた。
173319 ◆lHiWUhvoBo :2007/11/14(水) 04:16:06 ID:y71/+v6H
…阻止…してた…と思いたいです。あと…嫌いな方へゴメンなさい。では、また。
174名無しさん@ピンキー:2007/11/14(水) 06:39:14 ID:2jgZSO8P
いちおうぐ、GJ!
これは予想外だったw
小隊長キレたら怖いのなw
今度のお姉ちゃんもかわいいな
175名無しさん@ピンキー:2007/11/14(水) 08:27:59 ID:NKuSLpDh
まずGJ!これで小隊長の関係者は
少年の頃に涙ながらに交際を諦めてしまった幼馴染
高校時代のホームステイで知り合った上品な金髪碧眼のあのやせっぽちな娘
大学時代に知り合った親友
魅力的な大家さん(昔の女性の部下=大家の妹だし)
の4人ですがどの様な出会いだったのか、今はどう迫ってくるのか今から楽しみに待ってます
もし心臓疾患の治療法が確立された時、小隊長の周りはどうなるんだろうか・・・
176名無しさん@ピンキー:2007/11/14(水) 12:45:11 ID:VqPqsoqF
GJ!
なるほど、確かに子供が出来る行為が駄目なら
後ろを使えばいいんだなw盲点だったwww
177名無しさん@ピンキー:2007/11/14(水) 12:59:50 ID:VAIygjsi
隊長テラ鬼畜www
敵対者には容赦ねぇな。GJ
178名無しさん@ピンキー:2007/11/14(水) 22:19:30 ID:3AW/yCaa
>>176
その事実を知られたら周囲の攻勢がいっそう激しくなるような
179名無しさん@ピンキー:2007/11/15(木) 00:49:21 ID:A45O2AGk
無駄に豪華だなこのスレw
いろんなシチュがふんだんにもりこまれてるw
180名無しさん@ピンキー:2007/11/16(金) 18:05:16 ID:ou7Wa4KH
1>魅力的な大家さんが家賃は要りませんからその代わり大家になって…と毎回せがんで来ます。
2>少年の頃に涙ながらに交際を諦めてしまった幼馴染が子供なんて要らないキミが欲しいのと言って来ます。
3>大学時代に知り合った親友だと思ってた良家の子女が私を連れて逃げてと言っています。
4>高校時代のホームステイで知り合った上品な金髪碧眼のあのやせっぽちな娘がばいんばいんになって消息を
  聞いてやってきて、執事になれと今最高級ホテルのロイヤルスイートルームに宿泊中です。

次は1番か4番でおねがいします



181名無しさん@ピンキー:2007/11/16(金) 20:50:49 ID:L7eOt0w5
3番がいいなー
182名無しさん@ピンキー:2007/11/16(金) 21:25:42 ID:YyYNpCR2
3で男装の麗人(ヅカの男役風でハスキーヴォイス)希望
調査隊の人が思ったよりおんなおんなしてたので今度こそ期待する
183名無しさん@ピンキー:2007/11/16(金) 22:02:08 ID:xsCA/Vv8
そんなこと言ったらきっとフタナリが来る。禁断の浣腸Aシチュが来たからな。
184名無しさん@ピンキー:2007/11/17(土) 21:39:43 ID:ixdFagAX
カンテョウ後に避妊具なしでアナルセクースした隊長の尿道にバイキンが入って
炎症を起こしたりしていないか心配だ
185名無しさん@ピンキー:2007/11/17(土) 22:19:47 ID:Q6RXNMmA
最後に小便したから大丈夫だろ
むしろお姉ちゃんの腸内細菌バランスと
トイレ大のとき毎回の色っぽいあえぎ声が心配だな
186名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 02:38:40 ID:0oQJCBH3
隊長!保守っとくであります!
187319 ◆lHiWUhvoBo :2007/11/21(水) 20:59:49 ID:lvftiy5x

 「おい、風邪引いてないか? 寒くないか? 」
 (夢の中くらい、もっとムードのある事を言ってくれないものか…? )

 尻に何か棒のような熱くて堅いものの感触はあるが、それ以外は暖かくて気持ちいい。まだ、私は夢の中にいるのだ。
この馬鹿がとっくに目覚めていて、しかも骨の髄まで嫌っているだろう私などに暖かい言葉など向ける筈もないのだから。
だから――これは私の夢だ。ならば何をしたって構わないはずだ。だから……

 「お、おい、何考えて――!! 」

 唇にキスぐらいいいだろう…? と…待て。何故…夢の中で感触など有る? 何で匂いがある? そして他の何よりも
何だってこの馬鹿の胸の動悸など感じて…!! もしかして、もしかしてこれは…この事態は…私にとってとんでもなく…!

 「ぷはぁっ! 今更そんな顔してるって事は、寝惚けてたな? おはよう」
 「…うるさい、黙れ、訊くな、離せ、降ろせぇッ!」

 頬の火照りが納まらない。…尻に今も当たっているのは…この馬鹿の…ううう…あああああああああああああああああ!
恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい! 起きる前にそっと退却する気だったのにぃ! やめろ、こっち覗き込むなぁぁぁぁっ! 

 「そんなにまでして顔を全力で背けるな。寝込んだ俺も恥ずかしいんだからな。解った、ならそのまま聞いてろ。現在
 0610(マルロクヒトマル)、もうじき払暁(フツギョウ)、夜が明ける。良ければしばらくこのまま、一緒に居てくれるか? 」
 「何のためにだ? 」
 「頭(かしら)ぁ〜中(ナカ)! 」

 号令を掛けられてしまい、正面を見た私は目を見張った。見事な朝日が丁度、燦然(サンゼン)と輝き出す瞬間だった。

 「な? 奇麗だろう? 今日も見事に日本晴れ、一日が始まるってな? 夜中はなかなか暖かかった。ありがとう」
 「…風呂ぐらい入れ、匂うぞ」
 「悪いな、臭くて」
 「いや…悪い意味じゃなくてだな…。――寒いぞ」

 私は内側からコートを掴んで引き寄せた。…車の中にはブラウスとスーツの代えがある。今着ているこれは男の匂いが
タップリ染み付いているだろう。…解放されたら、着替えて洗わず大事に取って置くとしよう。身体が暖かい。そして私の、心も。

 「…尻…大丈夫か? 」
 「責任を感じているならば、今は黙って人間椅子になっていろ。――本当に奇麗な朝日だな。起こしてくれて助かった」
 「どういたしまして」
 「喋るな、と言った。…排便の際、艶(なまめ)かしい声を上げてしまう。トイレの隣のブースの人間から何故か気遣われて
  ノックをされるようになった。それも毎回だ。――その主たる原因は――当然、解っているな? 貴様にだけは? 」

 男が動揺からか身じろぎして、尻に当たる堅いものがちょうど私の…以前それで裂かれた部分に当たる。もう、夜は明けた。
いつもの追いつ追われつの関係に戻る前に……もう少しだけ、あともう少しだけ、この匂いと温もりを堪能するとしよう。
188名無しさん@ピンキー:2007/11/22(木) 20:15:21 ID:1uXGFyfb
シチュエーションといい、心情の描写の仕方といい
相変わらず格好良いなー
会話は尻だけどw
いつもながらGJですよ

部屋の中の2人はいったいどうなったのかねー
189名無しさん@ピンキー:2007/11/22(木) 21:10:27 ID:vddgS7/A
このスレの趣旨と合わなくなりそうだけど・・・小隊長を治して欲しいぜ!

GJ!!でした。
190名無しさん@ピンキー:2007/11/24(土) 08:04:08 ID:TR8ahSH1
治さなくてもイイんじゃね?
全員後ろでヤって元部下と同じ体にしてやればよくね?
前でヤることを押しとどめればスレ違いじゃないんじゃね?www
191名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 01:19:00 ID:G2gya/9Q
保守
192名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 02:41:19 ID:Qi6bjJyP
だが元部下の音無郁子ちゃんは犯られても掘られてなさそうだ
学生時代に出会った連中とは理由つきで犯ってそうだよな
<小隊長
193319 ◆lHiWUhvoBo :2007/11/29(木) 00:33:30 ID:XW7sixyI

 午前07時30分。黙々と3人分の食事の用意を終え、朝食を前に合掌をした男の左右から具現化されそうな程に鋭利な
視線を浴びせる2対の目があった。右に陣取る音無郁子3等陸曹と左に陣取る少女のものだ。意に介せず早速7分搗きの
米飯を自分の大きめの椀から箸で上げた男に、音無3曹は静かにかつ恨みがましく言葉を浴びせた。

 「……しょ〜たいちょお〜? 」
 「ん? 何だね音無クン? 眉間に皺を寄せると皺の癖が付くぞ? 」

 米飯を口に入れ、咀嚼(そしゃく)してから飲み込んで男は爽(さわ)やかに答えた。自らに恥じるところなど微塵も無い!
と言わんばかりの眩(まぶ)しく、漢(おとこ)らしい笑顔に思わず頬を弛めかけた音無3曹だが、かろうじて魅惑の無効化に
成功する。朝食の匂いに紛れて、男の身体からオードトワレと女臭がミックスされた残り香が漂ってくるのは許せなかった。

 「もう……笑って誤魔化さないで下さいっ! あの女(オンナ)は小隊長の何なんですかぁっ! 」 
 「わたしも聞きたいですっ! 朝トイレを借りて出て行ったあの女(ヒト)……誰なんです? 」
 「面識は無いよ。ただ出勤中に突然その…なんだ、我慢出来なくなったってな? 」
 「ふうん……。ほぉ〜? それで自分に納得しろ、と? しょ〜たいちょう? いやさ、く…ああああああああ! 」

 ネタは上がってるんだぞ、と言わんばかりの音無3曹は、ぱっちりとした大きな目を細めて似合わぬいやらしい目付きを
してみせたが、男の箸が音無3曹の分として取り分けてあった茹でたウィンナーに延びた時、目をまんまるに直して叫ぶ。

 「大事なメシん時にな、くだらん事言う奴は没収! 要らないんだろ? ん? 」
 「だからって小隊長の分がまだあるのに、自分の分を取らないで下さいっ! 」
 「毎回頼んでるんだがな、土曜の朝ぐらい静かにメシを食わせてくれ。とイウワケデ、没収! 」
 「あ〜! ひっどーい! (…グスン) 」

 サニーサイドアップで焼き上げた目玉焼きに付け合せてあった、3本のウィンナーの内の2本が光の速さで男の口の中へ
消えていった。涙目の音無3曹は黙って食事に戻る。少女はそれを横目で見ながら、黙って箸でホウレン草のお浸(ひた)し
の小鉢に箸を向けるが、音無3曹のような目に遭うのを恐れ、ウィンナーの上に箸を彷徨(さまよ)わせた。男が、動く。

 「痛っ! 」
 「行儀が悪いな? 」

 男の持ち替えた箸の尻でピシリ! 箸を持った右手の甲を打ち据えられる。痣は残らない強さだが、打撃は的確に急所に
ヒットしていた。右手の甲を左手でさする様が痛々しいが、向けられる男の微笑みに魅惑されてつい見惚れてしまう。

 「俺に取られるかも、と思ったのだろうが、迷い箸はいかんぞ? 女性がやると殊更(ことさら)、下品に見える」
 「はい…」
 「そこ! 復讐は10年早いぞ郁子クゥん! ……油断はしない主義なんだ」
 「チッ…流石にやるな千石(センゴク)? この燕陣内(ツバクロ・ジンナイ)の早業を見切るとはな」

 僅かな隙をついて男の目玉焼きをさらおうとした音無3曹の箸を皿ごと持って男は回避した。完全に視界の外にあったはず
なのに気が付いていたのか、と少女が目を丸くする。ふと少女は今の今まで男の名を聞いていなかった事にふと思い至った。

 「センゴクさん、ですか? 」
 「ん? 」
 「その……貴方の……名前」
 「…そういやぁ、まだ君には俺の名前を言ってなかったな? 俺は…」
 
 男が照れくさげに微笑み、口を開こうとした時、インターフォンが突然アラーム音を上げ、直後に大音量の男とも女とも判別し
難いハスキーヴォイスを食卓に届けていた。その声は男の、名を名乗った口の動きとシンクロニズムの極致にあった。
 
 『久慈慎之介(クジ・シンノスケ)! 居るか、私だ! キミの一番の親友である、私だ! ……開けてくれ! 話があるっ! 』
194319 ◆lHiWUhvoBo :2007/11/29(木) 00:37:00 ID:XW7sixyI
求めを阻止はしてますがエロが無い…。てなわけで作成中です。…ゴメンなさい。
195名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 07:56:55 ID:Joab61Dx
エロなど無くとも、人の心を引きつけて止まぬ作品……
人それを、GJという
196名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 18:20:11 ID:N2zbGQ8l
GJ!!
親友か・・・小隊長殿、続きを待ち焦がれているであります!
197名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 11:38:07 ID:LInQn0SD
ちょww319氏その名前wwwwwwww
三匹が斬るのファンだったのかw
殿様が出てきたり、音無3曹が忍法や仕込み槍使ったりするのを期待しちまうじゃないか。
198319 ◆lHiWUhvoBo :2007/11/30(金) 20:57:05 ID:eKxRcjrz
 久慈慎之介と名乗った男は自分の名乗りを奪われたのが不服なのか、インターフォンの室内端末のモニタースイッチを
やや乱暴に操作した。仕立ての良いコートとスーツを着た、顎の細い、一見少年にも見える中性的な『男性』の姿だった。
スイッチを押して男はやや意地悪そうにして通話を開始した。音無3曹が背後からモニターを覗き込み、溜息を吐く。

 「【わたし】さんなんざ俺の友人には一人も存在しないんだがなぁ? オタクは、どーなーたーさまぁ?」
 「小隊長ぉ、あんまり意地悪すると平四郎さん、また眉吊り上げて3時間クドクド責めの刑ですよ? いいんですか? 」
 『ああ、郁子ちゃんも居たのか。ならばわ…いや、僕は2番目の来訪者だな? 慎之介、怒ってないから僕を中に入れろ』
 「済まんが矢坂、今、俺はメシの最中だから部屋で待ってもらうがいいか? 」
 『――ああ。それでいい。待ってる』

 スイッチを切り通話を打ち切ると、男は頭をガリガリ頭を掻いてから天を仰ぐと、陸自仕込みの気合の入った『回れ右』を
する。男の予想通りに、少女が箸を下ろしてしょんぼり俯(うつむ)いていた。時折、上目遣(づか)いにチラチラと見ている
のが痛ましい。男は見た者の心に沁み入り融かしてしまうような、爽やかな微笑みを少女に向けた。少女が顔を上げると、
泣いていた。

 「済みません……電話が鳴ってたのでつい…取ってしまって…」
 「心配ないさ。つい、出てしまったんだな? 気にするな。誰だってミスはする」

 コクン、と少女は小さく頷いた。男は少女に歩み寄り、頭にポンと軽く手を置くと、やや乱暴に大きな右手てわしゃわしゃ
撫でた。それから、少女の乱れた髪を優しく梳く。音無3曹はインターホン端末を操作し、カメラを動かして遊んでいた。

 「へ〜、平四郎さんには教えてたんだ、ここの電話番号。さすが親友って……? 」
 「わたし……久慈さんに助けてもらって良かった……」

 少女の感極まった泣き声混じりの鼻声に音無3曹が首だけ振り向き、目にした二人の姿に柳眉を逆立て頬を膨らませた。
 
 「あぁ〜!! 小隊長ぉっ! それ、私だけのご褒美だったのにぃ〜っ! 」
 「…音無クン、キミもメシの最中だろう? 食事に戻れ。俺は鍵を開けて矢坂を迎えに行く」
 「自分が後で皿洗いしますから、終わったら3分間のナデナデを要求します! 」
 「報酬を要求するのはスマートなやり方じゃないな、郁子クン。当分そいつはお預けだ。以上」
 「え〜、そんなぁ! お預け・反対! お預け・反対! 」

 音無3曹の不満げな声を背に男はキッチン兼ダイニングルームを出ると、廊下を歩き玄関へと向かう。鍵は『例の一件』から
オートロックを信用せず『大家さん』に頼んで特別な手動鍵も導入している。だから直接出向かないと開錠が出来ないのだ。
 音無3曹の侵入は…音無3曹がやろうと思えば屋上からでも下からでもベランダの窓から侵入出来る技量を兼ね揃えているの
だが、今回は9割の確率で『大家さん』に預けた鍵を黙って失敬して来たのだろうと男は考えていた。以前それをして無断侵入を
果たしベッドに裸でもぐり込んでいた音無3曹を男が『完全無視の刑』に処したのが、まだかなり良く効いている。

 (響子さん、怒ってるだろうなぁ……)

 男の脳裏には預けられた鍵を胸の前で握り締めて『こうしてわたくしを信用してくださる貴方の思いを…お預かり致します』
と涙を溢れんばかりに溜めて喜んでいた、着物姿の楚々とした純粋培養の、自らこそが日ノ本の誇る大和撫子でございますと
旧家の御当主様然とした姿があった。尋ねて来られて一緒に夕食を作り、御馳走になった後に突然、今日は泊まると言い出して
『今宵こそは夜伽を務めさせて頂きます』との申し出を大変恐縮してお断りしたのを思い出す。そこらへんは―――やはり姉妹だ。
199319 ◆lHiWUhvoBo :2007/11/30(金) 20:59:20 ID:eKxRcjrz
 
 「慎之介慎之介慎之介慎之介慎之介ぇっ! 僕に無断で少女を部屋に連れ込むなんて、どう弁解するんだ! 」

 鍵を開けると、すぐに勢い良くドアが開かれて暖かいものが胸に飛び込んできた。柑橘系のオーデコロンが香った。男性の大半
が好む香りだ。、真実を知る男には痛々しく、そして可愛く見えてしまう。中性的に見える少年が、背伸びしてマニッシュな雰囲気を
目指してみました、と言われてしまうと納得してしまう外見だった。シャツから少し透けて見える下着も男物でU首だ。

 「……電話では伊織って名乗ってないだろうな? 『殿様』? 」

 暖かいものは男の胸に頬を擦り付けたあと、不安そうに見上げていた。男のように太めに眉を整えてはあるが、見ようによれば
少年に間違えられそうなほどに微妙なものだ。聞けば幼少の頃から男装には年期が入っているんだとは言っていたが、ふとした仕草で
解るようになったのは自覚は無いがどうやら矢坂本人曰(いわ)く『慎之介のせいだぞ! 』との事だが、男には全く身に覚えが無かった。
 
 「自分の事務所で仕事をしている時、僕は十四代目平四郎だ。…抜かりは無いよ。それよりあれは誰なんだ! 」
 「やっぱマズイか? 俗に言う淫行条例的に……」
 「ああ、自治体独自の青少年健全育成条例に反する。それに刑法よりも何よりも、僕の法に反する! 慣習法じゃないからな! 」
 「何だぁそりゃあ? まあ、入って待っててくれ。……俺はまだあの娘の行くところが無い理由も聞いてない状態なんだ」
 「……本当にキミらしいな、慎之介。僕が大切に思う、キミの大事な所が変わってなくて安心したよ」

 男から矢坂は離れると、ゴシゴシと拳を作り、勢い良く目を擦って涙をぬぐった。大学時代、模擬裁判やディベートで負かすと
いつも悔し涙を流し『次は負けないからな』と睨まれたのを思い出す。大学のゼミの合宿で旅館に行った時も風呂も海水浴も一緒に
なって平気で上半身裸になっていて、共に男性更衣室や男子トイレに入っていた相手が、まさか『女だったんだ』なんて聞かされて、
『見せられて』もまだ信じられなかったほどだ。

 「…尻には気をつけろよ。それに後ろ姿のクビレのラインが出たらわかる奴にはわかる」
 「誰にモノを言っている? 僕は矢坂 平四郎だぞ? 祖父と両親とキミ以外には男で通ってる。安心し給(たま)え」
 「給え言葉は止(よ)しとけ。むしろ似合いすぎてバレるぞ? 」
 「でも、慎之介は好きなんだろう? 」
 「ああ、好きだ。じゃあ、もう僕で通せよ。……不用意に私なんて言うんじゃない。いつか他人にバレるぞ」

 部隊時代、海外に行って帰って来た時に、我慢出来なくなった矢坂に面会に来られて、駐屯地の警戒をつかさどるその日の警衛隊が
運悪く自分の所属する部隊で、勤務中に呼び出されて迎えに行った時、もろに抱き付かれて矢坂に泣かれた所を見られてしまったのが、
部隊での『男色家』扱いの発端であった。噂を広めたのが防大卒の同僚で、一般大出身の男とは反りが合わない仲だったのも影響した。
退職届を提出した後、音無3曹に聞いたら『ああそいつですか? 駐屯地内のWAC(女性陸上自衛隊員)全員一致でシメときました。
小隊長の退職を認めた中隊長もその上も、官品娘のコネ使ってトバしましたから。……小隊長ってかなり、人気あったんですよぉ? 』
ブサイクなら駄目ですがいいオトコ同士なら許せます! と彼女達が力説するのは絶対に間違っている行為だといつも男は思う。

 「…だからあんな意地悪を言ったんだな? 慎之介? ……有難う」
 「んじゃ、そろそろ、ドア閉めようか伊織? ――済まない、平四郎」
 「戸籍上は伊織だから問題無いが、郁子クンの手前、今日は残念だが通しで平四郎だな……」

 悔しそうに唇を噛み目を伏せる矢坂に、男は大学時代のある月夜の晩を思い出す。あの日伊織は同情ならば抱かないでくれ、と言った――。
200319 ◆lHiWUhvoBo :2007/11/30(金) 21:04:31 ID:eKxRcjrz
 と、出来たところまで。回想にてエロシーンに至る、と言うわけですが…。
貧乳を通り越してもう胸板で、立ちションが出来て、そして性的に興奮すると
おサネがちょっとおっきくなりすぎる娘がストライクな方は…少数派だろうなぁ。
201名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 22:16:06 ID:p85fnPE7
>>200
そんな女を女らしく悶えさせたいと思う俺は異端か
202名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 22:31:00 ID:2NZKXoIV
>>201をむしろ正常で健全な男子と認定
俺はこう来たかと( ̄ー ̄)
本番ありの期待によだれがとまりません
203名無しさん@ピンキー:2007/12/05(水) 21:21:57 ID:Csflxs6U
中々面白いな。
女の誘惑を、男がクールに振り払うか。
全裸の美少女「抱いて…」
剣士「もっと自分を大事にしろ、俺には出来ん」
みたいなの?
204名無しさん@ピンキー:2007/12/05(水) 22:57:05 ID:vqPx4o0p
そうそう。そんな感じ。
205名無しさん@ピンキー:2007/12/07(金) 02:22:42 ID:4SUKjIcz
名前のネタは『三匹が斬る!』と『めぞん一刻』か


俺も歳くったなーw
206名無しさん@ピンキー:2007/12/10(月) 05:49:57 ID:xNIkGJYp
なんだか下がりすぎてたのでage。 ところでここ、保管庫はないの?
207名無しさん@ピンキー:2007/12/10(月) 08:24:07 ID:Pe8BrTlS
残念ながら無い。
前スレも落ちっぱなし。
208名無しさん@ピンキー:2007/12/10(月) 21:10:35 ID:AtqOYv9Z
女性の求めを押しとどめたら何でもいいの?
209名無しさん@ピンキー:2007/12/10(月) 23:41:03 ID:HoP5zoYo
「あなたと合体したい」
「魅力的な誘いだ───だが断る。俺には一万年と二千年前から愛してる奴がいるから」

女の求めを断るとはこういうことか?
210名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 03:37:05 ID:1Nqgb3yG
hosyu
211名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 18:40:45 ID:N30bWSPI
続きがこない・・・。
212名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 18:58:17 ID:KoNDYZgw
>>200

たとえストライクゾーンを外れたとしても、空振りすればストライクだ。
全裸で素振りしながら、お待ち申し上げている。
213名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 14:37:54 ID:IU1fvYFZ
緊急保守
214名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 20:22:35 ID:IU1fvYFZ
緊急保守
215名無しさん@ピンキー:2007/12/28(金) 14:17:30 ID:pCPYHnR9
あぶない落ちるこの一瞬が命取り
このスレは、落とすわけにはいかな
216名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 15:52:44 ID:5BrvBUR6
ほしゅ
217名無しさん@ピンキー:2008/01/01(火) 01:00:07 ID:NVdmbbMJ
あけまして保守
218名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 20:00:06 ID:dAcvHjmL
あげよ
219名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 01:55:10 ID:7DrD1sLO
>>148
ちょいとそこで一緒に飲まないか?奢るぞ。
220名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 02:38:26 ID:7DrD1sLO
221名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 18:09:21 ID:vjMRqSLy
>>219
じゃあお言葉に甘えさせてもらおうかな。
だが、ウェブナーの姐さんは渡さねぇぞ?
222名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 20:38:35 ID:lio0CTr+
こういうシチュって結構男の理想というか憧れだよな
人生で一度はやってみたい
223名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 01:04:34 ID:/e6qgVFS
224従の旅 0/3:2008/01/09(水) 02:39:15 ID:TM17Ejqw
誰もいない、投下するなら今のうち。

たまに無性に書きたくなる、邪気眼設定の悲哀もの。
改行45文字、専ブラ推奨。
NG wordは「従の旅」にて。
225従の旅 1/3:2008/01/09(水) 02:40:40 ID:TM17Ejqw
 月明かりが窓から差し込む、とある宿の一室。
 右肘から先のない男は、金色の髪を靡かせる女性の訪問を受けていた。
「ご主人様……、どうか、私の、淫らな窪みをご賞味下さい」
 膝下まで緩やかに広がるグレーのロングスカートを両手の指先にて掴むと、羞恥に指を、そして
スカートを奮わせながら上に引き上げていく、1人のメイド。
 頬にさす紅をグッと歯を噛むことで耐えるその俯いた顔は、ちっぽけながらも誓った古い決意を
グラグラと揺るがせるかのように刺激し、俺の喉元に妙に大きな唾がしみ出す。
 参ったな――舞い上がりそうな嗜好の片隅でそう嘆いてみせることで、なんとか自身の奥底に残る
ちっぽけな意地を奮い立たせようとする。
 メイドはドアの前で窓からの月光を湯水のように浴びており、指先はすでに膝上を通過し、引き
上げられたスカートの中から、秘所を覆う白い布地が蛍光を放つように浮き上がる。綺麗だ。
 たとえその白生地にじんわりと縦長の染みが彼女の皮膚に張り付いていようと、その輝きは失われ
るはずもない。むしろ、この露出行為へと臨ませた女の芳香が一層増すようで、目を細めてしまう。
この貞淑にして、淫らなメイドの誘惑をはね除けるのは、雄として種なしもいいところ。

 俺は、先ほどなけなしにも奮い立たせた意地っ張りな思考回路で、脳内の嘲りに苦笑する。
――まったくだ。心底同意するよ

「まったく――お前は美しいな」
「あ、……ご、ご主人様……うれしい…………」
「きっと、誰の心をも容易く奪うだろう、人間の――俺からさえも」
 嘘はない。俺の下半身にたぎる血流は、明らかに雄としての本能を促進している。
 すでにメイドの指先は胸下の高さにまで引き上げられ、秘所から熱のこもった上気が1mmにも
満たない下着を湿らせて透けだしている。
 心なき女がやれば、路上の売春婦のソレ。
 だが今、月明かりの中にいるのは、俺を護り、傅き、労り、慈しみ、尊び、慕い、伴侶以上に
尽くしてくれる存在――たとえそれが「与えられた」忠誠からくるものであってもその価値は
不変にして普遍。
 しかし、いや、だからこそ、俺はもう間違いを犯してはならない。
 胸の痛み? そりゃあよくあることだ、凡庸な男には。誰とは言わんが。

「そう。だからこそ――見なかったことにする。寝ろ」
「!?」
 女の紅をさした頬がグシャッと歪む。
「ではなぜ、私を一瞬でも誉めなさったのです。同情でも、哀れみの果てでさえも、この浅ましい
私にはお情けを戴けないのですか!?」
 浅ましい、など。この言葉は実に皮肉。
 なぜならそれが似つかわしいのは紛れもなく俺であり、彼女こそ、その対極に位置する種族なのに。
 俺は、必死の形相にも関わらず未だ美しさを損なわないその顔に手を伸ばすと、抵抗する暇も
与えぬまま――いや、抵抗する筈もないだろうが――胸の内に抱き止めた。

「主として命ずる。眠りにつき、俺への憂鬱な感情など綺麗さっぱり流してくれ」
 俺は卑怯だ、それはとうに自覚している。
 ならば、卑怯なりの意地を曲がりくねって通すだけ。
 メイドは俺の言葉に身体をビクッと震わせるものの、涙を頬に流しながらも小さな唇を「イヤ」と
微かに奮わせると、意識をフッと遠のかせた。
 その瞬間、彼女の肉体から力が抜けてグッと重くのしかかるのを支えると、宿の別室へと運ぶ、
さながら姫のように抱き上げて。
 いや、実際に姫なのかも知れない。彼女は高貴なピクシーの種族。そして罪なことに、美しい。
 涙で腫れたその頬でさえ庇護欲をかき立てており、忠誠を誓わせる種と化してしまうだろう。
 俺はそっと右手を――肘より先のない右手を差しだそうとして苦笑し、左手の頼りない人差し指で
彼女の涙を拭うと、掛け毛布を覆わせた。


 この世界は、人間にとって生きづらい。
 それもそのはず、種の多様性を司る神様が気まぐれに賽を振ったとしか思えないほど、多種多様な
生物が我が物顔で力を振るっている。超能力やドーピングと言った類の強靱な肉体に得意能力を兼ね
揃えた種族であふれかえるこの世界は、俺達人間にとってまさにデストピアとしか言いようがない。
226従の旅 2/3:2008/01/09(水) 02:41:15 ID:TM17Ejqw
 その、種のヒエラルキーでいう最下層の人間達は、生まれてこの方、集団生活で身を集めて存在を
隠すことにより、多種族の機嫌を損なわずに生き残ってきた。
 数百年前から、すでにそうだった。それが人類の歩んだ、迫害と差別の歴史。

 そこに俺が生まれる。
 凡庸な能力しか授けられない人間の赤ちゃんの1人であったはずの俺は、なぜか他種においても
稀な力を持っていた。
 それは、どんな相手でも一定期間、己の従者と化す強制遵守の力。
 気づいたのはほんの偶然からだったが、この奇跡は「世界を旅して人類がもっと自由に生きる術を
探したい」という俺の夢を実現へと移すものだった。人類の希望を託すかのような周囲の期待の
眼差しを身に受けた俺は、一念発起して旅に出た。

 基本的に、人間は一人旅など不可能に近い。
 脆弱な身体は、他種の賊徒に襲われることが多く、また人間と言うことで商売面でも足元を見られ
やすい。そして、人材面でも高等種族からは軽く見られるので、彼らを雇うことさえ叶わない。
さらに経済面で底をついたとき、周囲には同胞以外に頼れる状況にないので、いずれ自滅する。
それが哀れな人間の末路。
 だが、そこで役立つのが珍妙なこの力。よりヒエラルキーの高い高等種族を従者として雇えた
ならば、苦難の旅も格段に楽になるはず――そう、考えた。

 実際、その目論見は予想以上に機能した。
 用心棒から家政婦まであらゆる人材を派遣してくれる登録所にて、人の身分を隠したまま高等
種族のボディーガードを捜索、めぼしい人材には面談を申し入れる。
 テーブルを挟んだ面接にて、相手の能力・人格を気に入った時点で力を行使。
 もちろん相手は腕利きのボディーガードでもあるので、この段階には細心の注意を払ったが、今の
ところ失敗はナシ。
 そうして手に入れた初めての従者は、耳の長く、銀色の美しい髪をしたエルフの末裔だった。
 自らの血を誇り、肉体的にも人の数倍の筋力を有し、1キロ先の林檎の落ちる音さえ逃さない
聴力を始めとする優れた能力を有した女エルフを、俺は従者とした。
 従者にした当初、命令には従うもののどこか尊大だった彼女の態度は、時を経るごとにより親愛の
情を前面に押し出したものへと移ろいで、やがて俺も、彼女を一人の女として愛するようになった。
 そんな二人が、旅をしている過程で、より深い関係をもつのも自然の成り行き。

 こんな時がずっと続く、二人の恋慕は従属の効果などとは関係もない、素晴らしい感情だ!
 そう信じていた。


 だが。
 旅をしてから丁度一年のある朝、鳥のさえずる音で目覚めると、美しいエルフが隣のベッドに
いないことに気づいた。いつもならば肩を揺すって、耳を甘噛む行為でからかいながら起こしてくる
のに、と不思議に思った俺が宿の窓から見たのは、外で仁王立ちしたままじっとこちらを睨む――

――女エルフの赤い瞳。

 その姿は完全武装で、表情から読み取れる感情は複雑で一言に言い表せない。
 だが、俺はその瞳に憤怒の炎を見た。そして悟った――今朝、彼女は力の暗示から冷めたのだと。

 宿の外に待ちかまえているのは、礼節を弁える高貴な種族の誇りが寝首を狙うなどと思われるのを
拒んだからだろう。俺は覚悟を決めて――いや、その時はまだ甘い幻想があったのは認める――荷物
を纏めて彼女の前に出た。
 本当は恥も外聞もなく、顔を出さずにとっとと逃げるべきだったのだろう。だが俺にとって未だ
彼女は一人の愛する女であり、そして、彼女にとってすでに俺は――下劣な技で自らの高貴な身体
さえも陥れた卑劣漢だった。

 それから、どうやって生き延びたかは覚えていない。
 気がついたときには、俺は右手の肘から先を失い、背中には幾本もの矢が突き刺さるも、町外れの
森の繁みに息を潜めてエルフの叫びが遠のくのを待ち続けた。
 彼女の怒りは相当なモノだったのだろう、終始「出てこい! この卑怯者っ!!」「お前が、お前
のような下劣な種族ごときが、私を……許さんっ!!」という怨念に満ちた叫びを放ち続けていた。
227従の旅 3/3:2008/01/09(水) 02:42:01 ID:TM17Ejqw
 俺はようやく思い知った、己の業の深さを。涙を流し、愛と錯覚した自分勝手な愚かさを悔いた。
人を従わせる力とは、こういう事なのだ。
 腕の半分では払いきれない教訓を見に刻んだ俺は、その後、命からがらに逃亡。
 だが、悲しいかな、能力がないと俺のような人間は生きていけないのも事実。
 それにもう旅は半ば、今更引き返せる距離でも、立場でも、なかった。

 それからは、能力の効果が切れる期間より短い契約にて、幾人もの従者を力で得ては別れた。
 あいにく異種民族の多くは、女性がより卓越した能力を有しているため、やむを得ず異性の従者
であることもしばしば。中にはかつてのエルフのように、俺に想いを寄せる女もいた。おそらく、
能力によって植え付けられた従属の感情は、親愛から恋慕へと転じやすいのだろう。
 そしてそれは俺も同じ事。外道の力で得た親愛と分かっているのに、その身を投じて献身的に尽く
してくれる女性に、どうしても心動かされてしまう。自分の犯した邪行を忘れてしまいそうになる事
も少なくなく、愛という名の劣情を押さえ込んだのも数え切れない。

 愚かしい、本当に愚かしい。救いようがないほどに愚かしい。

 俺は自分の部屋のドアを開けると、差し込む月光に目を細める。
 今のメイドと出逢ったのは、三ヶ月前。ピクシーの高貴な一族らしき彼女は素晴らしい相棒だった。
 ボディーガードとしての優秀さもさることながら、常にメイド然としながらも貞淑な佇まいを
崩さぬ横顔に、旅で行き詰まる俺の心は幾度となく癒された。
 そうだ、正直に言おう。従者の存在はまたしても、俺の中で大きく、重くなってしまっていた。

 いつもなら力の効果が切れる一年より少し短い期間まで、契約を延長するのが常だったが。俺は
荷物を纏めると、メイド宛の残りの手当金と書き置きを残す。そして、再びメイドの寝室へと向かう
と、左手で彼女の泣きはらした頬をそっと撫でながら、何事か呟く。
 その瞬間、ぼんやりとした光が俺の手を経てその頬に灯り――表情が幾分、穏やかになる。
「ん……、ご――しゅじ――ま――……」
「……元気に、な」
 これは力の解除の儀式。これにて雇用契約は破棄された。
 明日には、おそらく彼女は目覚めるとすぐ、これまで操られていた自分の従者たる所作に愕然とし、
図らずも持ってしまった親愛がまやかしであった事実に怒り狂うだろう。

 今、逃げる俺は、実に愚かだ。まるで敗走兵のように。
 だが、偽善じみた贖罪に身を投じられるほど純真でもなく、こんな俺にも捨てきれない切実な夢が
肩に乗っかかっている、託されている。ああ、分かっている。俺は死ねない、簡単には死にやしない、
感傷に浸るがまま、自暴自棄を体現するほど自己陶酔的でもない。
 宿のフロントに金を払って外に出ると月光が青白く輝く夜の道を、音を立てずに歩き出した。


 数日後、人材派遣登録所の待合いがてらに、隣人のワニ型巨人から噂話を聞いた。
 なんでもメイド服を着たピクシーが血眼になって元雇用主を捜しているという。
「だがよ、可笑しいのはどうも人間に雇われていたらしいって話だ。穏やかな種族にあわねえ怖い顔
して探してるから、よっぽど酷え事されたんに違いねえってもっぱらの噂だ」
 ワニ肌とでも言うべき凸凹した肌を愛おしそうに撫でながら、さも面白そうに男は笑う。
 フードで覆われた俺の姿では、人間であることを気づいていないに違いない。

 俺の右肘の付け根が、ジジッと疼いた。
「しかし、だいたいなんで下等種族に雇われる気になったのかも疑問だなぁ」
「さあな。……きっと」
「あっ?」
「夢でも見ていたんだろう」
「はっ、違えねえ!」
 俺は、左手で付け根をさすった。

The Journey to be continued...
228従の旅 END:2008/01/09(水) 02:42:46 ID:TM17Ejqw
以上。
229名無しさん@ピンキー:2008/01/09(水) 02:51:04 ID:ZPvpt7FG
せつねぇ……
230名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 00:42:38 ID:LiixCIrM
GJ!
良い話だ。
231名無しさん@ピンキー:2008/01/10(木) 15:10:51 ID:Lbf+oItC
そのピクシーの子は、操られてたことにじゃなく、捨てられたことに怒ってるって、俺、信じてる。
だってでなきゃ、メイド服を着たままで居るはずがないだろ?
そう信じるのは、自由の筈さ
232名無しさん@ピンキー:2008/01/11(金) 07:22:03 ID:xpP7r2MG
>>224-228
GJ
久々に来て、辛いがいい話を読ませて貰った


>>231
そうだな、そうだといいよな…
233名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 03:15:39 ID:IzbXFCrO
二人が再会する続きの話は読めるのだろうか
234名無しさん@ピンキー:2008/01/12(土) 19:54:17 ID:4B82GAhP
319氏の物語の主人公ってスネークに似ているような気がする。
条件が、
元軍人(元自衛官)
極秘任務に従事
ストイック
これだけ一致してるんだもの。

>>224-228
GJ
いい話でしたよ。
235名無しさん@ピンキー:2008/01/13(日) 00:38:33 ID:x3CPI7dv
>234
自分の遺伝子を残すつもりがない
も一緒だね。

・・・・・・ああ、はやく愛国者の銃やりたい・・・。
236名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 14:55:58 ID:0IQHpl+E
>>235
スネークの場合は残せないんじゃなかったか?
237名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 01:37:48 ID:3wKGwgrN
スネークは性欲を持て余してるぞ。
おれ的にはジェド・豪士のイメージだな。

それにしても、久々にグッとくるSS見たよ。
また投下してくれ。>>224
238従の旅2 00/10:2008/01/17(木) 18:58:11 ID:i+OJgfNp
誰もいない、投下するなら今のうち。

>>224-228の続編。あれから数ヶ月後。
改行45文字、専ブラ推奨。
NG wordは「従の旅2」にて。
小隊長ご帰還までの保守代わりに。
239従の旅2 01/10:2008/01/17(木) 18:59:05 ID:i+OJgfNp
「マスタァーッ!! 地べたに伏せろ!!」
 反射的に身体が反応したのだろう。返事をする間も惜しんで黄土色の土に接吻する。

 ガッ! ガッ!

 その刹那、鼓膜を痺れさせる鋭い風圧が頭上を通過し、後方の大木より鈍く木皮の割れる音がまば
らに響いた。
 伏せたまま振り返ると、並のそれよりやや長い矢が樹に突き刺さった衝動でしなって揺れている。
 その特徴的な矢には、見覚えがある。
 ああ、間違いない。
 俺が数年前、苦楽を共にして、これからもそのように生きていこうなどと思い上がった夢――その
傍に、常に添えられていた形状だからだ。だがもしその予想通りならば、襲撃者は俺達の息づかい
さえ察知している距離にいる可能性が高い。なにせ向こうの聴覚は、このような薄暗い森の中に潜む
獲物を逃さない為に適応進化を遂げた賜物。かつての自己申告を信じるならば、半径百メートル圏内
は彼女の領域と思って良い。

「無事ですか、マスター」
 先ほど俺に警告を発した声が傍に駆け寄ってきた。
 普段の冷静沈着な様子が影を潜め、殺気だった警戒心を解かぬまま俺の横にしゃがみ込むその
女剣士は、数ヶ月前に「従の契約」を結んだ獣人。
 犬の血統を身に宿す優秀な獣人種族であるらしく、驚異的な身体能力を武器に数本の刀を自在に
操り、雇用主に忠実で手堅く仕事をこなす事で評判の若き戦乙女である。
 顔は犬耳と小さくも鋭い牙を別にすればさほど人と変わらないためか、顔の表情も読みやすいはず
なのだが、必要以上に己を律して表情を崩さないのは種族の特性以上に本人の性格が関係しているに
違いない。

 だが、今はその顔も緊張で引きつっている。俺は頭を伏せたまま、腰の袋から雑記用紙を取り出す。
「ああ、大丈夫だ。だが、ここを見ろ」
「紙? ……なるほど。さすがです、マスター」
 俺は走り書きで小さな紙上に文字を叩き付ける。すぐに彼女は、この筆談が相手の驚異的な聴覚を
警戒してのことであると察したらしく、周囲の警戒を解かぬままながらも俺の筆談に付き合う。

 書いた内容は三つ。
 相手はエルフの優秀な弓使いであり狙いは俺自身であること、今から任務としてエルフの注意を
引きつけつつ俺の逃走を助けること、落ち合い場所は今朝泊まった川辺のキャンプ地点にすること。
 飲み込みの早い獣人剣士は、堅い性格に不釣り合いな可愛らしい犬耳をヒクッと奮わせて了承の意
を俺に伝える。

 だが、よし、と紙を仕舞おうとした俺の手を彼女は掴んだ。
「どうした」
 彼女はその横長に切れた瞼を意図的に二度動かす。俺に紙を貸せと言うのか。
 今は悩む暇も惜しい。
 無言で渡す。
 そこに彼女はこう記した――

 ――殺してもいいですか、と。

 背筋に冷たい汗が流れ落ちる。
 だがそれも一瞬。
 俺はゆっくりと、首を横に振った。冷静な護衛役はじっと俺を見つめ、再び犬耳を奮わせる。
 そして聞き耳を立てているであろう相手を威嚇するかのような地蹴り音を立てて、俺の右手の方へ
走り出すと、チラッとこちらへ視線を投げかけた。
 その仕草が少し悲しげに見えたのは、俺の中で歳に不相応の青い動揺が走ったからだろう……
 ……そうに違いない。
 感傷を急いで吐き捨てると、囮となってくれた護衛の反対方向へと移動を開始した。


 俺が集合予定地点に着いたのは逃走より数時間後。
 距離から換算すれば円滑に辿り着いたのだろう。
240従の旅2 02/10:2008/01/17(木) 18:59:47 ID:i+OJgfNp
 しかし、俺を守護するために走っていった勇敢なる獣乙女はなかなか場所に現れない。気がつくと
太陽が沈み、普段ならば野宿用のキャンプを用意すべき時間に迫られた。

 ――遅いな……探しに行くか。しかし、下手に彷徨(うろつ)く方がむしろ落ち合いにくい…………

 苦渋に決断を迫られ出した時、ガサッと物音がしたので思わず身構えると
「……マスター、お待たせして申し訳ありませんでした」
「いや、無事ならなによ……おいっ!」
 その肩を覆う布地が赤く染まっていることに気づいて駆け寄る。
 俺は「いえ、これぐらい唾をつけておけば……ま、マスターッ」と愚図る控えめな獣人の腕を捕ま
えると無理矢理川辺に引っ張って座らせ、急いで荷物より救急消毒液と綿棒を取り出した。
 上着を脱ぐように命じると少々顔が強張ったが、辛うじて冷静さを保ったのかあっさりと従って
くれた。剣士ならではの薄くて固い装甲を外して下着の首口から負傷した肩を出させると、傷口が
ぱくりと割れて赤い血がじわりと噴き出す。
 俺は右手のないハンデをものともせず、消毒液を右肘(ひじ)と脇に挟んで固定して綿棒を浸し、
血を拭き取りながらえぐれるように走る矢傷を丹念になぞる。
「くっ」
「痛いだろうが、我慢しろ。普通の矢と違い、手当てしないと後に響くぞ」
「りょ、了解」
 唇を噛んで消毒の痛みに耐える姿は意外と可愛らしい。俺はこのとき、彼女がまだ二十歳を超えた
ばかりの駆け出しの女であると、ようやく実感できた。それぐらい、普段の仕事姿はすでに完成され
ているからとも言える。もっとも、獣人といいエルフといい、高等種族の寿命は人間とは比較になら
ないほど長いので、年齢にそれほど意味はないが。

 仕上げにガーゼを貼って包帯を巻いてやると、ようやく落ち着いたように女の表情は緩んだ。
 が、それもつかの間、安心したように頬を緩ます俺をじっと見ると、
「ところでマスター、お聞きしたいことが」
「なんだ」
「あのエルフのことです」
 俺の表情が無意識に硬くなる。こればっかりは条件反射で抑えようがない。

「なぜ、殺さないのですか」
「相変わらずの、直球勝負だな」
「至極当然です」
 俺の茶々にもピクリとも動揺せず、優秀なる護衛は続ける。
「今までのように、身に降りかかる追っ手より逃げるのも一つの手ですが、彼女の場合は」
 そこで一瞬、獣人の茶色い瞳は揺れた。
「決して諦めないでしょう。任務ではなく、明らかに私怨で動いています。おそらく彼女は優秀な
弓使いなのでしょうが、どうも冷静さを欠いています。まともに戦うと勝てるか未知数でも、今の
彼女なら確実に殺せるでしょう」
「……ああ、かもな」
 俺は出来るだけ感情を表に出さぬように努めたつもりだが、失敗したようだ。喉がザラッと渇く。
逆に俺の様子を見てか、獣人剣士の勢いがまるで静かな清流が滝壺に流れるが如く増してしまう。

「12回」
「なにがだ」
「12回、あのエルフを殺す隙がありました。冷静さを欠いた武人は感情も直情的になり、動きも予想
しやすいためです。殺さなかったのは、マスターの命令があったからですが、追っ手を殺さずに生か
す任務は、よほどの技量の開きがなければ不可能なもの。今回うまくいったのは、相手が感情的で
ある以上に幸運であったからに他なりません」

 そこで言葉を切ると、逡巡してから
「マスター……、あの女との間に何があったのですか」
「……プロの行動を重んじるお前にしては、珍しい質問だな」
「――っ!」
 俺の指摘に、彼女の犬耳はくしゃりと斜めに折れ曲がる。
 だが無理もない、彼女は護衛のプロとして、これまで俺の過去どころか、旅の目的についてさえ
一切聞いてこなかったのだ。彼女としても、その事に職業意識を以て努めていたのだろうし、それを
思わず破ってしまったことに軽くショックを受けているらしく固まっている。
241従の旅2 03/10:2008/01/17(木) 19:00:29 ID:i+OJgfNp
 まあ、犬耳の折れ曲がりが元に戻らぬまま頬を赤く染めて「それは……その」と戸惑う彼女は、
年相応に可愛いので、俺にとっては問題もないが。

「とりあえず、今は野宿の用意が先だ。急がないと闇に埋もれてしまうぞ」
「あ、マスター……、りょ、了解」
 大人のずる賢さで話を煙に巻くと、珍しく不満そうな表情を前面に出している護衛役を放置し、
テントの骨組みを袋から取り出した。


 夜、焚き火を利用して作った野菜粥を二人で食した後、俺は床につくためにテントに潜る。
 獣人はと言うと、夜の護衛の為にテントの入り口にて待機しながら時々仮眠を取るのが野宿におけ
る護衛業務の一つなので、外で毛布にくるまっている。ここら辺は夜それほど冷え込まないのが、
彼女にとって救いだろう。

 横になって薄い毛布で腹部を覆い、身体中の力を抜き、まどろみながら目を閉じる。
 頭で思うのは、無駄なことと分かりつつも昼間の襲撃について。

 かつての俺の女――いやそう信じたかった若き日の驕(おご)りの象徴、か。

 あれから、指折り数えて片手が塞がるほどになる年月が経った。
 俺は当時、成人した前後だったろうか。能力ゆえに人類の希望を託されて、俺も若さゆえに期待に
応えるべく旅立ち、初めてこの特異能力を行使して従の契約を結んだのが、誇り高いエルフの女だっ
た。
 武芸と学術を共に備えて、おまけに由緒正しき血統であるという彼女は、旅に不慣れな俺に呆れな
がらも、従者として、時に旅の先輩として俺を力強く導いてくれた。

 俺も当時は必死だった。契約の力で手に余る能力者を得たものの、主人としての威厳が一切ない
自分を恥じ、彼女の主人足りうる器へと育たんとがむしゃらに足掻いた。その様子を彼女は長い銀髪
を細かく揺らせて、からかいながらも嬉しそうに笑ったものだ。
「……――タ…………マ――」
 それより半年ほどして、お互いを意識し出してからは若い二人、あっという間だった。
 告白は俺からだった。情けないことにそれが初恋でどうしようもなくあたふたした俺を、彼女は
クスクス笑いながら、ふふ、私も初めてだ、と手を握りかえしてくれた。それからは、これ以上ない
ほどに情熱的にエルフを――女を愛し、女もまた応えてくれた――そう錯覚していた、契約の切れる
あの日までは。

 あの朝の、隣にあるはずの存在が消えたベッド。その空虚な風景は、俺を今でも――
「――ター……、マスターっ!」
「!? どうした、何かあったのか?」
「いえその……、先ほどからずっと呼んでいました」

 気がつくと、横になって寝ていた背中に獣人の凹凸ある身体を感じ……、身体?
「何、している」
「……」
 いつの間に潜り込んだのだろうか。どうも彼女は、俺がウトウトしている間に毛布に身を割り込ま
せるとぴたっと俺の背中に張り付いていた。顔も見えない獣人の息づかいのみを首筋に感じるのが、
少々くすぐったい。
 だが、なぜ黙っているのか、常に単刀直入で、その生き方を「至極当然です」と言い切る彼女らし
くない。そもそも、生真面目な彼女が任務の一環である夜営監視を中断させる事などこれまでなかっ
たのに。

「……マスターは」
 訝しげに振り返ろうとした時、首筋の息に音がついたので耳を澄ましたが、
「夜伽を……の、望みはしないのですか」
「………………………………なんだと?」

 あまりにも彼女に不似合いな呟きに、硬直より復帰するのに長い時間を要してしまった。
 何を言い出すんだ、全く。
「どこでそんな気配りを覚えた……お前は一流の武人だが、それ以外はからっきしか」
「私にも、意味ぐらい把握できています。それに従者の役目として、そういうのも必要かと」
242従の旅2 04/10:2008/01/17(木) 19:01:08 ID:i+OJgfNp
 らしくない物言いに、こちらもいい加減煩わしくなってきたので、俺は強めに吐き捨てる。
「俺が高い給金でお前を雇った際に頼んだのは、護衛と世話だけだ。決して慰み者の相手じゃない。
それともお前は、俺が今にもお前に襲い掛かりそうな顔をしていたとでも言うのか!?」
「い、いえ。決してそうでは……」
「なら、この話は終わりだ。警護に戻れ!」
 不機嫌さを隠さず、強めに打ち切る。だが、返事がない。そして背中に伝わる獣人の高い体温は
相変わらず伝わって来るまま。
「……しかし、あの女にはしたのでしょう」

 ――あの女

 その単語を俺が理解する前に、背中の服を、獣人の手がギュッと掴んできた。
 だが考えずとも、今日を振り返れば指し示す相手は一人しかいない。
「あいつと、話をしたのか」
 俺の問いに、獣人は俺の首筋の後ろに鼻を擦りつける仕草で、頷きを俺に伝える。

「昼間、追い詰めた時に。相手は私の肩に負傷を追わせましたが、私は逆に脇腹と右膝に傷を負わせ
て身体の自由を奪ったので、接近戦に持ち込んでからは、完全に私が有利でした。程なく、私があの
女の首筋に剣をあてました」
 言葉を交わしたのは、その時か。俺がそう聞くと、はいと頷いた。
 俺の命令がなければあっさり殺したのだがそれも叶わず、護衛役としてどう対処すべきか考えあぐ
ねていたときに、エルフが「おい、犬っころ」と話しかけてきたらしい。


『もう少し、まともな名で呼びなさい。エルフの戦士』
『名など、どうでも良い。それよりも、犬っころ。お前、人間に操られておるな……私には分かる。
いずれ良いように言いくるめられて、下郎風情に股を開かされては穴という穴を凌辱されるぞ』
『……マスターを侮辱する気ですか。彼は私にそんな命令を強いた事などありません』
『ふん、マスターだって? その物言いこそが、操られておる証拠だっ! 曲がりなりにも誇りある
獣人の一員が素面で下劣な人間などに雇われるものか。なぜ、お前があいつをそれほどまでに信頼し
ているのか、自分でも分かっておるまいっ!』

『私は一目でマスターを信頼できました。そして現にマスターに値する方だと、マスターは私に証明
し続けている、それ故に今日の信頼があるのです。お前にどうこう言われる筋合いはありません!』
『その降って沸いた信頼こそ、疑うべき紛い物だとなぜ分からんっ! いや、……今言っても無駄か。
しかし、いずれお前はあの人間に言いくるめられて、気がつけば汚れた身へと墜ちていようぞっ!!
この、私のようになっ!!』

『――っ!? お前が、マスターの……?』

『まさか、知らなかったのか? ……くっくっく、お前はやはり、見せかけの信頼を見ているだけに
過ぎぬ』
『そんなことはありません。私の信条として、過度な情報詮索をしないだけです』
『ふん、まあいい、知らぬなら教えてやろう』
『……聞かせたいのなら構いません』
『あいつは昔、この私を雇って護衛の任に就かせた……ちょうど、今のお前のようにな。今から考え
ると、奴と出会ったときに、私はすでに奴の術に墜ちておったのだ。方法は分からぬが、あいつは
私が無条件に信頼するよう、術を仕掛けた』
『根拠もない事を……』
『嘘ではないっ! その証拠に出会いよりきっちり1年後の朝、奴の術がおそらく解けたのだろうが、
私の頭には湧き上がってきたぞ、何故か忘れていた人間への侮蔑が。誰かさんが強制的に抑圧して
いたどす黒い感情がなっ! そして気づいたときには、我が肉体は凌辱され果てた後だった。
卑劣な外道の手によってな』
『マスターを何度も侮辱するとは……黙りなさい』
『いいか、奴を殺せ。いずれ、お前に夜の相手を強いるようになり、気がつかぬままに汚れた肉体に
堕とされても知らぬぞっ』
『黙りなさい』
『……それとも犬っころ。もしやすでに、奴に惚れたか。ふん、だがその感情もまやかしだ。奴の
怪しげな術が消えると同時に、その感情がどうなるか見物だな』
『黙りなさい!』
243従の旅2 05/10:2008/01/17(木) 19:01:58 ID:i+OJgfNp
『何度でも言おう、犬っころ。殺せないなら、あの人間の傍から離れるが良い、お前のような若造は
遊ばれていずれボロ雑巾のように捨てられるのがオチだ。そう、とっとと逃げるのがお前のためだ』
『黙れっ!!』
『ぐふっ!』


「――その後、頸部に挟撃を加えて気を失わせて、弓の弦を切っておきました。なので、今晩はきっ
と、ここまで嗅ぎつけてこないでしょう。あの怪我では気配も消せはしません」
 彼女はつまり、警護の任務は緩くても大丈夫、と言いたいのだろうが……、今の俺にはそれに答え
る余裕はなかった。

 彼女の生の罵声を、伝言とはいえ身に浴びるのはおそらく二年ぶり、か。
 その呪詛のような言霊はむしろ増幅されているかに聞こえる。いや、実際そうなのだろう。
 彼女も俺を何年も追い続けている内に、知らず知らず感情を制御できなくなってきたのかもしれな
い。まあ、俺にはそんな事を言われたくないだろうが。

 だが、分からない。俺はそのままの感想を呟いた。
「それだけ聞いておいて、なぜ夜伽などと言う。お前は対人関係の機微に疎いところはあっても、
馬鹿ではないだろう」
「……」
「おい、聞いているのか」
 反応がない。訝しんだ俺が痺れを切らして振り返ると、
「ま、マスター……はぁはぁ……」
 頬を上気させて、上着をはだけて小ぶりの胸を歪ませて晒しながら、股を擦りつけて苦渋に満ちた
瞳を潤ませる。その様子は普段の自らを律する獣人からすれば、どう考えても尋常じゃない。

 苦しそうに短い呼吸を繰り返し、切なそうにテントのシーツを掴んで得体の知れない何かを堪え
忍ぶ様子に、俺はハッと気づく。
「まさか、発情期か?」
「す、すみません、はぁ……はぁ、う……」
 彼女の耳がカクリと折れ曲がる。発情期、聞いたことがある。かつて繁殖期になると雄を求める為
に、強制的に発情して雄を求める習慣のことだ。しかし、犬型獣人は進化の過程で自らその欲求を
抑圧できるようになったと聞いていたが……。

「はぅ……普段は理性で私の制御下にあるのですが……、実は戦闘の後からずっと……ぅ……」
「たがが外れてしまった、と。それは眠ると治まるのか?」
 幸い、従の契約を結んでいるので、眠りへと誘導することは容易い。この特異能力の、数少ない
有益な副産物だが。しかし、彼女は瞳を潤ませたまま、首を横に振る。
「ね……眠りについても変わりません。この苦しみは発情日よりおよそ一週間、……はぁはぁ、続く
と、き、聞いています」
「解決にならない、か。くっ……」
 獣人から咽せるような若い色香が漂う。俺の理性がぐらっと揺れた。

 ――静まれっ! 別のことを考えろ、慌てるな!
 己に言い聞かせると、この辺りの地理に関する情報を脳内で収集する――、ここから森を抜けて
次の町に着くまで、一日。とりあえず今晩は力で無理矢理眠らせて、明日急げば夕刻までには間に
合うか。
「明日、急げば町に着く。そこで抑制剤を買うまでの辛抱だ」
「はぁはぁ、抑制剤は稀少品できっと、手に入りません、マスター」
「ならば男娼を買え。金は出す」
「マスターは、私に粗悪な一物でこの疼きを鎮めろとっ!?」
「抵抗があるのは始めだけだ。そのうち慣れる」
 俺の物言いに、獣人は歯をグッと食いしばった。

 とその次の瞬間、俺の左の手のひらを捕まえると、ぐっと引っ張って小ぶりな胸を掴ませた。痛々
しげに反り返った桃色の乳首が手の中でコリコリと存在を主張する。

「なぜ、はぁ……はぅ、言ってくれないのですか」
「…………」
244従の旅2 06/10:2008/01/17(木) 19:02:41 ID:i+OJgfNp
 何を、などと野暮な事は聞かない。なおも彼女は手の平を動かして、可愛らしく膨らんだ丸みを
撫でさせることで俺に切望する。さすがに相手は身体能力に優れた獣人、人間の非力な抵抗すらもの
ともせず、されるがままに柔らかな感触を左手全体で感じてしまう。
 その感触は柔らかく、指が張りのある乳房にのめり込む。もう久しく女を抱いていない俺には苦悶
の拷問。
 だが駄目だ。ああ、分かっている。駄目なのだ。
「言ってください、マスター……はぅ。その……魅力がないのは分かっていますが」
 堪え忍ぶ俺の様子に何を勘違いしたのか、剣士は伏し目がちに呟きだした。ここで妙な精神的外傷
を形成されても困るんだがな。俺は内心溜息をつく。
「……お前は女だよ、間違いなく。色香だけでも俺には毒だ」
「はぁ、はぁ……それでも、マスターを誘惑することの叶わない程度の、女です……あぅ」
 どうやら発情具合が進行しているのだろう、熱の帯びた喘ぎも多くなってきている。
 たとえ今、力で眠らせても、解決を引き延ばしにするばかりか、症状の深刻化もありうるだろう。

 ――どうする。しかし、同じ過ちをするのか、俺は……

 苦渋の汗が滲む。漂う色香の誘惑に、心に打ち込んだ楔がグラリと揺れだす。
 と、獣人の顔を見るとその茶色い瞳の中に、「いつか」の日の晴れ姿で――

『まったく……お前は足掻いているときが一番、可愛いな。私の、愛しい主(あるじ)……』

 くそっ! 俺はいつまで経っても、救えない。
「発情期は、」
「はぁ、はぅ、ま、マスター……?」
「イクことで、多少は治まるのか?」
「え……はい、教育課程でそう教わりました」
「そうか……」
「ま、マスター……、きゃ、ひぅ」
 俺は獣人の股の間で、すでに湿気でぐっしょりと質量を増したくしゃくしゃの下着を掴むと、乱暴
に足の先へと引きずり下ろす。

 期待と不安混じりにこちらを窺う獣人の柔らかな髪をクシャッと撫でて、耳許で囁く。
「お前にこれから、自慰を教える。汚い手を突っ込むが、許せ」
「じ、じい、爺とは?」
「……全く、教わるなら全部教わってこいよ」
「すみません」
 頬を染めて羞恥を隠そうともしない彼女を快く想いながらも、左手を足の太ももからすっと爪先を
なぞり、股関節へと迫る。
「ぁひ、ま、マスター……、こ、こそばいです」
「始めはそうでも、そのうち変わってくる。辛ければ、俺につかまれ」
「はぃ、ま、マスター、あ、ぁ、ぁ、ひぃっ」
 指先を軽く折り曲げて刺激を変える度、敏感に喉を奮わせて反応する。もはや生娘であることは
疑いようがないのだが、身体の開花はすでに始まっており、ふくよかな蕾がはち切れんばかりという
ところだろう。
 太腿の裏側にうっすらと浮かび上がる骨をなぞると、獣人の耳は折り曲がったり震えたりと忙しな
く動き出し、両手は俺の背中に回されて上着をギュッと握りしめる。

「マス、ター、ぁ、ぁ、せつ、ないです。股の、間が……んんっっ!」

 望み通りに、もはや洪水状態の緩やかに蛇行した割れ目の肉びらをなぞってやる。経験が皆無であ
ろうとも、これが待ち望んでいた刺激であると本能的に察知したのか、俺の手に下半身が押しつけら
れる。
「は、はした、なくて、はぅ、すみませ……ん、あぁ」
「……お前は知らないだろうが、そういう仕草を好む男は多い。謝るな」
「ま、マスターも、その、好きですか」
 切なげに長い睫毛を揺らしながらこちらを窺う獣人。否、と言える空気じゃない。
「それなりに、な」
「そぅ、ですか……はぅ、んふ」
245従の旅2 07/10:2008/01/17(木) 19:03:26 ID:i+OJgfNp
 そう言ったかと思えば、割れ目を積極的に手の平へと押しつけて擦り始めだした。淫靡な貝を取り
囲む陰毛が溢れだした液に濡れている。そのため、互いに擦られる度に俺の手の甲には愛液が、じっ
とりと濡れた陰毛によって塗りたくられた。

 動きは乱雑で、まるで遊戯が上手くできずに喘ぐ幼児のようだ。
 しかし、男の手のひらを使って淫靡な息を吐き出しては、無我夢中でマスターと連呼する姿に俺の
雄の部分も痛々しく反応する。
 それを察知するや否やそっと腰を引こうとしたが、獣人の両手が相変わらず俺の背中を捉えてきつ
く抱きしめているため、動けない。

 むしろ、その動きに異変を感じたのか、息も絶え絶えなまま発情した女は俺の下半身を一瞥する。
「マスター、……下腹部が膨らんでいます」
「気にしないでやってくれ」
「しかし……」
「頼む」
「……」
 獣人はジッと俺を見つめる。その顔は今まで見たことがないほど複雑な様相を浮かべており、感情
を読み取ることができない。

 だが、超能力者でなくとも、今の俺には彼女の考えていることが手に取るように分かる。
 そう、きっと昼間にエルフの弓乙女がぶちまけた俺の過去について、思い返しているのだろう。
 俺の卑劣な過去の告発を聞いても逃げ出さないばかりか、全く耳にも入れずにはね除けたのは、
ひとえに強制遵守の力が彼女に全幅の信頼を植え付けているからに他ならない。

 しかし、エルフ女の話を歯牙にもかけずとも、彼女は俺とエルフの乙女の間に何らかの過去がある
ことを感じ取っている。
 それが俺の行動の規範の根本に絡みついていることも。
 彼女の瞳は、真珠のような深遠な輝きを放っている。感情は依然、読み取れない。
 蔑んでいるのか、
 同情しているのか、
 それとも――
 哀れんでいるのか。

 やがて、彼女はポツリと漏らした。
「命令、してください。それならば、この心はいつでも貴方に従います」
「……主として命ずる。我が衝動を関知せず、ただ、己の慰みのみに心を砕け」
「了解。……マスター」

 そう言って、彼女は目を閉じる。
 目尻から、涙がうっすらと流れ落ち……、俺は見ないふりをした。

 俺は愛撫を再開する。
 赤々に腫れ上がったクリトリスの輪郭をなぞり出しながら、小指で肛門の傍の皺を何度もさすり、
女体の感度を全体的に敏感な状態へと導いていく。
 獣人もまた、稚拙な動きながらも腰を使って俺の左手に奉仕するが如く擦りつけ、汗をちらして
耳許で何度もマスターと繰り返す。
 女の感度が充分に高まってきたと見えたので、いよいよ指を入れる。挿入されるという未知の感触
に、ブルッと女体が獣耳の先まで震えた。
「始めだけだ。気持ち悪くても、少し我慢しろ」
「はいっ、ひぅ、んん――っ! ぁ、熱い、です……」
 俺の中指がむっちりとした肉感をかき分けていくに従い、獣人は背中に回していた両手を上にずら
し、俺の頭を包み込むように抱きしめる。中の肉壺は、未踏の穴とは思えないほどに潤っており、
俺が指を折り曲げずとも、それを促すようにギュウギュウと締め付けてくる。

 おもむろに、指の関節を折り曲げて、内壁の表面を掻き出す動きを反復させる。その一挙一動に
獣人は呼吸を荒げたり悶えるように呻いたり、肩をビクビク動かしたりして膣から淫らな汁を飛ばす。
 その濃厚な匂いは、俺の中枢をも熱くする。
 膣の中でヒクヒク収縮する柔突起の表面を引っ掻いてみる。獣人は敏感に身体を震わせた。
「分かるか、俺の指が」
「は、はい! マスターのゆ、指が、よく、んん、あ、わかりま、す……ひぃ」
246従の旅2 08/10:2008/01/17(木) 19:04:03 ID:i+OJgfNp
「どこを弄れば気持ちよくなるのか、しっかり覚えておけ」
「はひ、ずっと、ずっと覚えておき、ます、マスターの指……ぅんっ」
 獣人の両手に一層力が込められる。俺の顔は必然的に、彼女の胸へと押しつけられて、痛々しく
勃起した乳首が頬を擦った。小豆程度の大きさではあるが、桃色に染まった突起は感度が高められて
いるのか、常にピクピクと動いて俺の視覚を惑わせる。
 俺はその動きを止めるべく、ぱくりと口に乳首を含むと付け根を中心に舌を何度も這わせる。
 桃色の突起を俺の口の中で飴玉のように転がし、時に優しく咬んで緩急をつける。すると、俺の頭
の上で獣人がフフッと恥ずかしそうに笑いを漏らした。
「ま、マスター、んぅ……それではまるで、赤ん坊です。私はしっかりと成獣して、んん、くすぐっ
たいっ」
 俺は抗議を受け付けず、予告無しに強く吸う。
 それまで甘く、優しく刺激されていた乳首は面白いほどにビクッと震えると、逆にもう一度とせが
むように俺の口に押しつけられた。

「んぅうぅ、もっと。一杯吸ってください……それと、ちょっと咬んでくれたら、その」
「そういうのが、好きか」
「はい、ひぅっ、それ、好きです、マスターの舌がざらっと絡んできて、一杯感じられて」
「恥ずかしい奴だな、お前は……」
「うぅ、んう、すみません……んんうっ!」
 直接的な表現に俺の頬も紅潮してしまう。10代の思春期でもないのに。
 年甲斐もない照れを誤魔化すように、今は切なさを全身から放っている護衛の望み通りに舌の動き
を再開した。おそらく、誰にも触れられたことのない肌を、乳首を中心に強弱つけてついばみ、蹂躙
する。獣乙女もまた、俺の愛撫一つ一つに意識を集中させているのか、指の一折りにまで音にならな
い微細な喘ぎ音で応えてくる。
 俺の一挙一動全てを受け止める貪欲な牝を前に、忘れかけていた牡(おす)の自尊心が蘇る。

 たとえ、自慰を教えるという体裁でも。この刹那だけは、俺はこの獣乙女に全てを注いでやりたい。

 左の乳首と右の乳首を交互に舌先表面のざらついた部分で転がし、快感に喘ぐ乳頭の皺を丹念にな
ぞる。それと同時に、左手で膣の内壁を舐めるように刺激することも忘れない。
「ん、んんっ、マスター、その下半身の奥が、熱くなって」
「奥? ここか?」
 そう言いながら、膣に埋没した中指を更に突き入れて、より内壁のプチプチとした内壁が指に絡み
つくスペースで第一関節を折り曲げる。それと同時に、しなやかな筋肉で彩られた腹筋がびくんと浮
き上がった。
「そ、そこですっ! マスターの指が、良すぎて、わ、私、うぅ」
 すると、それまでずっと俺の頭に巻き付いていた両手が離れた、と思えば、俺の胸や腕を無我夢中
でさすり出す。
「あの、アソコ以外なら、さ、触ってもいいですよね……マスターの身体……」
「……別にいいが、面白くもないぞ。人間の身体なんて」
「いいえ、マスターだからいいんです。んちゅ、マスターので……んんにゅ……ないと……ぬぷ」
「んんっ、こら、耳を吸うな」
「拒否、します、んんっ、じゅる……」
 性的興奮に夢中になりすぎたのか、クスクスと笑うとさらに俺の耳たぶを甘咬みしつつ、その左手
はシャツをめくって胸板の広さを確かめるようになで回し、右手は俺の背中から尻の間の皮膚を掴ん
だり揉んだりする。
 その行為は荒々しくて稚拙だが、ぶつけられる感情は直接的で強烈。
 久しく縁のなかった愛撫に、危機感が膨れ出す。
 やばいな、洒落にならない。

 俺は指先に神経を集中すると、子宮の入り口でくねる肉壺の快感地帯を探し出す。細やかに押し
返してくる女肉をひっかき、それに対する獣人の変化をつぶさに観察する。
 しばらくは変わらぬ喘ぎを漏らしながらも俺への愛撫に夢中になっていた獣人の声色が、突然
半オクターブ上昇する。どうやら、掘り当てたようだ。
「い、いやです、そこっ! ま、マスター!?」
「気持ちいいなら、我慢するな」
 でないと、俺が耐えられないからな。
247従の旅2 09/10:2008/01/17(木) 19:04:48 ID:i+OJgfNp
「し、しかし、こんな急激にクるなんて、うう、熱い、頬が熱くて燃えてしまい、んん、んっ!!」
「絶頂が近いんだろう。感覚に身を任せればいい」
「ぜ、絶頂? 性的満足、を、んぁっ、得られる意ですか……こ、こんな激しいなんて、んぅ」
「大丈夫だ、俺に掴まってろ。ほら」
 俺はあるはずのない右手を伸ばすように、右の肘をその怯える腰に添える。
 不細工な肘の断面に一瞬躊躇するものの、すぐにすがりつくように掴んできた。
「は、はひ、…あ、あぅ、マスターっ……マスター!!」

 一度掴まるとむしろ気に入ったのか、まるで断面の皺を愛おしむかのように撫で回しだし、徐々に
荒々しくなる。淫らに広がって隆起したクリトリスを俺の手の平に押しつけ、焦れったそうに腰を
振って擦りつける。
 まさに快感に溺れた一匹の牝。きっと、今の姿を見てこの獣人が生娘であるなどと誰も信じない
だろう。
 膣の中に、さらに挿入する指を増やして、さらに上下前後分からないほどの反復刺激を与えると、
ますます嬉しそうに膣全体が収縮してくる。くちゅくちゅと粘度の高い愛液が泡を立てて吹き出して、
テントの生地からは熱さと湿気で湯気立つほど。

 高等種族の獣人を指でとはいえイかせている。そんな屈折した充足感に、俺の思考回路も焼け切れ
そうなほど熱くなり、何も考えられなくなってきた。今はただ、ひたすらに指を動かして収縮する
膣をかき回す以外に考えられない。

 俺は最後とばかりに、愛撫する指の動きを上げた。
「あっ、あん! それ駄目、熱い、熱いんですっマ、スターぁ……傍に、傍にいて、ぅうん」
「ああ、ここにいる、だからイけ」
「りょ、了解、ひぅ、あ、あんん、んんんんんっ」

 ビクッ、ビクッ!!

 その瞬間、獣人は俺の肘と胸をギュッと掴みながら足をピンとつま先まで伸びきって声にならない
声を上げた。まるで雛鳥が初めて餌を食べたかのように、苦痛よりも驚きの勝るような表情を浮かべ
て、俺の耳許で荒く呼吸を繰り返す。
 顔をじっと見つめる。額に汗を浮かべ、必死に身に走る快感と折り合いをつけようとしているのだ
ろう、目を閉じて睫毛を奮わせている。

 やがて、呼吸も収まりだしてくるのを見計らって、未だに挿入されていたままの左手を膣から引き
抜く。ヌルリと淫液も滴り、日に焼けた内股を伝って流れ落ちる。
 すると、んんっと声を漏らした獣人の目が開き、俺の目を見つめた。
「ありがとうございました。マスター」
 こういうときでも律儀な姿勢を崩さない護衛に、俺は好感を覚えてしまう。
 自然と頬が緩んだ。
「気にするな。発情期の波は治まったか?」
「はい……、今は驚くほどに。あとは理性で抑制できる程度です」
「そうか……良かった」
「あ、あの……」
 急に恥ずかしそうに俯く。
「マスターの顔、近くで拝見すると思った以上に格好良いです」
「……元々どう思っていたかは、追求しないでおく」
「い、いえ! そんなつもりで言ったのではありません!」
「馬鹿、冗談だ。お世辞は言われ慣れてないから、うまく反応しようがないんだよ」
「私はお世辞を言いません」
「はいはい」

 ――全く、こいつは俺を年甲斐もなく恥ずかしくさせてくれる天才かもな
 照れ隠しに獣人の頬を撫でると、ちょっと不満そうだった顔がすぐ気持ちよさそうに目を細めて、
犬耳がピンと張ってピクピクと応える。と思えば、口から漏れ出る呼吸音の間隔が開き、穏やかに
なり始めた。
 きっと全力で絶頂したので眠くなったのだろう。
248従の旅2 10/10:2008/01/17(木) 19:05:59 ID:i+OJgfNp
「いいぞ、寝てくれても」
「はぅ……しかし、私には夜警の任務が」
「今日ぐらいは俺が代わる。そんな状態では無理だ」
「すみません、マスター……すぅ」
 俺の言葉に従い、目を閉じる獣乙女。
 初めての快感はやはり負荷が大きかったのか、あっさりと眠りにつく。すぐに穏やかな寝息が聞こ
えてきた。乱れた衣服のまま眠る姿に微笑ましさを感じながら、若く瑞瑞しい裸体に俺の毛布をかけ
てやる。
 毛皮の感触に、んんっとくすぐったそうに鼻息を漏らした。その仕草は、普段の凛とした彼女から
は想像も出来ないほど幼く見える。それはさっきの戯れの時もそうだった。
 きっと、この若さで色々と名が売れるまでには、相当年不相応の無理をしたに違いない。
 俺は改めて、己の能力の罪を認識する。

 人間に雇われる事など、名声の足場作りにもなりはしない。
 現に、彼女は自らが護衛に値する雇用主を捜していた。きっと、名君の下で名を上げようと考えて
いたのだろう。
 だが、たまたま人材登録所にて俺の目にとまったのが切っ掛けで、彼女の運命はねじ曲げられた。
 出逢った当初を思い出す。面接室に来た時、右手を失い、顔のフードを外さない俺を怪訝そうに
見つめると、こう言い放った。

『失礼だが、あなたに名君の輝きはありません。面接にて顔を隠しているのも気に入りません』

 だが俺はその、若さに似合わぬ度胸を気に入った。そして力を行使した。
 彼女は見込みに違わぬ働きを見せるばかりか、溢れんばかりの魅力を放っていた。それは雄の本能
に刺激するもので、俺が5年若ければ、かつての間違いを犯していたと思わせるほど。

 しかし、それを別にしても、この護衛との旅は何より楽しかった。
 若さ故の無知を導く快感と、若さ故の可能性を見つめる愉しみ。二十代も半ばにしては、些か年寄
りじみた趣味ではあるが。
 契約期間はまだ半年以上。可能なら、この輝きはしばらく傍に置いておきたい。
 そのためにも――……、眠る獣人から目を離す。過度で、不適切な感情への未練を断ち切るために。


 俺はテントの外へ出た。
 夜営監視の為、と言うより不覚にも滾(たぎ)ってしまった下半身を冷やすため、なのが情けないが。
 そして、空を見上げる。満月か、道理で明るい訳だ。
 そう言えば前の護衛と別れた夜も、こんな月だった。
 あの美しいピクシーのメイドは元気だろうか。いや、俺に気を遣われるのを嫌う程に憎んでいる
のがオチか――あの、初恋の女のように。いくら考えても偽善の足しにもならない。

「誰を想って月など見つめている? 外道が」

 ゾクッ

 背筋に悪寒が走る。いるはずのない音が響いた。
 二年ぶりの声。
 俺は思わず後方へ振り返り、川辺に面した森の中に目を凝らす。
 そこには、草の繁みから足を引きずる黒影がいた。なぜ、気づかなかったのか……

 銀髪が、月光を反射して美しく靡く。
 美しかった、背中に走る冷たい汗を一瞬でも忘れさせるほどに。


「会いたかったぞ……殺したいほどにな」


The Journey to be continued...
249従の旅2 END:2008/01/17(木) 19:06:51 ID:i+OJgfNp
以上。
250名無しさん@ピンキー:2008/01/17(木) 20:15:10 ID:2JEV7BuL
うわお……急展開!?
251名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 01:10:50 ID:VC8rNi9c
GJ!!
なんという急展開、続きに期待してます。
252名無しさん@ピンキー:2008/01/18(金) 23:26:15 ID:ZNasAO1b
今のエルフねーちゃんはどんな気持ちで主人公を追いかけ回してん
だろね

強制力が解けた瞬間は頭に血が上ってソッコー『ぶち殺す!』って
なったんだろうけど、何だかんだいっても初めての相手だし、ただ
憎いってだけで何年も追いかけ続けられるもんなのかねぇ?



てな訳で>>238-248GJ
続きtktkしながら待ってまっせ
253名無しさん@ピンキー:2008/01/20(日) 09:05:04 ID:SeE6clQF
続きが気になる引きだー!
GJ!!
254名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 03:03:35 ID:/j456WSk
失礼なことだとは思うが一言……
このスレ、まだあったのか!

前スレの女王と従者のやつとか好きだった。
255名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 03:42:58 ID:9P0JPoua
保守
256名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 15:31:40 ID:0bI554W9
ほす
257名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 21:58:27 ID:tXSnfsoI
>>249
亀だがGJ!
続きが気になる―!
258名無しさん@ピンキー:2008/01/30(水) 23:01:08 ID:V0jep8QA
319 ◆lHiWUhvoBo師、やはりひんぬーずきではなかったか
きょぬーむすめやふつーちちむすめをノリノリにかいてたのにな
259名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 00:17:42 ID:ZMBeIC4f
260名無しさん@ピンキー:2008/01/31(木) 08:24:54 ID:z6xELtne
やっとアク禁解けたー!

>>248
すげーGJ!
261名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 13:10:21 ID:R3zXNeJK
262名無しさん@ピンキー:2008/02/03(日) 04:27:35 ID:XqnRpIpY
保守
263名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 11:32:09 ID:vve6wc6k
保守
264名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 09:45:44 ID:pOfdoo1s
アンサイクロペディアのA-10攻撃機の記事がなんかカッコ良かった。

ttp://ja.uncyclopedia.info/wiki/A-10_(%E6%94%BB%E6%92%83%E6%A9%9F)
(下の方参照)
265名無しさん@ピンキー:2008/02/08(金) 13:45:19 ID:9ltuSYrJ
成る程、これは格好いい。
266名無しさん@ピンキー:2008/02/11(月) 23:31:56 ID:VVc2UGmN
故に、保守
267名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 22:52:20 ID:ou0QYb2h
これは?携帯だけだけど
ttp://courseagain.com
268名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 21:03:26 ID:y71VmVR/
ワンクリ業者乙
269名無しさん@ピンキー:2008/02/14(木) 01:40:20 ID:3tAceMUl
ハッピーバレンタインさえエロ格好良く押しとどめそうな皆様へ
代わりにこちらをどうぞ。
ttp://www40.atwiki.jp/oshitodomero/pages/1.html
270名無しさん@ピンキー:2008/02/14(木) 02:08:54 ID:bFCCcGNd
>>269
とうとうこのサイトにも保管庫が!
GJ!
271名無しさん@ピンキー:2008/02/14(木) 02:09:46 ID:bFCCcGNd
>>270
サイトじゃねーよスレだったorz
272名無しさん@ピンキー:2008/02/14(木) 07:22:11 ID:JT0wsX9r
>>269
うっわー! あれやらこれやら懐かしー!
GJGJ! ありがd!!
273名無しさん@ピンキー:2008/02/14(木) 08:28:16 ID:ozRfkVea
>>269
GJとしか言いようがない。
274名無しさん@ピンキー:2008/02/16(土) 14:35:59 ID:USwvhmzj
hosyu
275名無しさん@ピンキー:2008/02/16(土) 16:04:28 ID:0ziM7P32
>264
20才以上年下の少女の求めをエロカッコ良く押しとどめるのに失敗したルーデル大佐と申したか。
276名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 00:00:47 ID:4mRcXjTm
hosyu
277名無しさん@ピンキー:2008/02/20(水) 08:24:19 ID:/3mUasw3
hosyu
278名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 00:32:44 ID:gm90n4Np
hosyu
279名無しさん@ピンキー:2008/02/24(日) 07:01:26 ID:OnoloL95
保管庫から来ましたが従の旅が面白すぎるw次の展開にワクテカ
280名無しさん@ピンキー:2008/02/27(水) 03:28:32 ID:2Bvuefyj
落ちすぎ上げ
281名無しさん@ピンキー:2008/02/27(水) 13:11:34 ID:DQDG4VjG
女とヤってお金が貰える♪
まさに男の夢の仕事!
出張ホストっておいしくない?
ttp://hostconfig.org/2ch/01_info.html
282名無しさん@ピンキー:2008/02/27(水) 21:59:00 ID:M6xa8QMa
人少なすぎてフイタw 
俺は好きだがあんまし需要がないシチュなのかね・・・・。
283名無しさん@ピンキー:2008/02/27(水) 22:39:48 ID:RtuUimgm
また規制でもかかってんじゃないの
管理が2chとおんなじになったし
284名無しさん@ピンキー:2008/02/28(木) 23:22:52 ID:YXdJfBh4
そして保守
285名無しさん@ピンキー:2008/03/01(土) 09:02:44 ID:S19+rE73
故に保守
286名無しさん@ピンキー:2008/03/01(土) 12:51:24 ID:HIACxnOP
スレのDAT落ちをエロカッコよく押しとどめろ!
287名無しさん@ピンキー:2008/03/01(土) 19:29:46 ID:Qv9JpEU7
age
288名無しさん@ピンキー:2008/03/02(日) 17:15:38 ID:gQ0AkT0g
age
289名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 14:32:02 ID:siCYdI1s
あげる
290名無しさん@ピンキー:2008/03/03(月) 17:47:10 ID:ViF8gyqq
hosyu
291名無しさん@ピンキー:2008/03/06(木) 07:31:33 ID:WKLOcG0O
だから保守
292名無しさん@ピンキー:2008/03/06(木) 20:09:21 ID:OU2HArNk
保守
293名無しさん@ピンキー:2008/03/06(木) 20:37:08 ID:9uUehtpU
なんで上がってるんだと思ったらエロカッコ良く保守してんのか。
294名無しさん@ピンキー:2008/03/08(土) 01:34:11 ID:586rSW7J
保守
295名無しさん@ピンキー:2008/03/08(土) 01:35:29 ID:rglHg710
【中国】スター三人、無修正写真流出「セックス?スキャンダル」

02-09?冠希裸照事件2月7号最新?[?思慧]-37P-
http://av.idol-photo.org/page97.php?tid=13/2008-2-9/63187_2.shtml
http://av.idol-photo.org/page97.php?tid=13/2008-2-9/63187_1.shtml
http://av.idol-photo.org/page97.php?tid=/13/2008-2-9/63187.shtml

02-09?冠希裸照事件2月7号最新?[梁雨恩]-40P-
http://av.idol-photo.org/page97.php?tid=13/2008-2-9/63186_2.shtml

02-09?冠希裸照事件2月7号最新?[??思]-10P-
http://av.idol-photo.org/page97.php?tid=/13/2008-2-9/63185.shtml
296名無しさん@ピンキー:2008/03/08(土) 22:17:50 ID:4oCm0yuh
約50日か…辛いぜ
297名無しさん@ピンキー:2008/03/09(日) 18:18:54 ID:v7TBPmEP
もうそんなに経つのか
298名無しさん@ピンキー:2008/03/11(火) 15:57:08 ID:HtvuIvNP
保守なんだってば
299名無しさん@ピンキー:2008/03/12(水) 20:27:14 ID:D0ZSuyYg
1レス2レスのSSで最後のオチがエロカッコイイなのが読みたい保守
300名無しさん@ピンキー:2008/03/13(木) 23:26:17 ID:MtqQHnnt
保守
301名無しさん@ピンキー:2008/03/14(金) 14:44:27 ID:JNhFP3fk
319氏の項羽のヤツがすごい好き

次は曹操でやってほしい
302319 ◆lHiWUhvoBo :2008/03/15(土) 06:16:38 ID:a4Cbsiju
 
 「誰だ!? ……女、か」

 望月が煌々と闇夜を照らす中、髪を振り乱し、眦を決して必死に逃げて来た男は、ふと何者かの気配を感じ振り向いた。
男が普段の状態であるならば、溢れんばかりの詩想を用いて、詩を幾編でも詠み上げるであろう『佳人』が微笑んでいた。
唯、男にとって不幸だったのは、追われている身で有る事と、つい先頃に親友とも呼べる男と別れたばかりであったことだ。
『曹孟徳よ、汝(なれ)はなんと言う事をしてくれたのだ! この冷血漢め! 恥を知れ!』その男、姓は陳、名は宮、字は
公台の怒声が耳に残り離れない。

 「冷血漢の孟徳とやら、主に礼をせねばならぬ。主の御蔭で夕餉に在り付けたわ」

 月光に映える麗貌の口元が、黒く汚れて見えた。風に乗って薫るは、鉄錆の臭い。男の両手にも残る、血の臭いだった。
男は暴虐に逸る餓狼にも劣る輩を諫戮(ちゅうりく)せんとし、事破れて親友と逃げ込んだ先の一家を誤解から皆殺しにした。
供応の宴に屠る家畜の屠殺法を、猜疑心から自分達の処置と誤解し、男が『殺られる前に殺れ』と行動した結果の、臭い。
それを夕餉と言うからには…? 死体を貪り喰ったか? いや、血を飲んだに違いない。男は『佳人』優雅な風情から、貪り
喰う姿など想像出来なかった。

 「冷血漢…だと! 」

 男は激昂した。錯誤の上でも結果的に、始めて無辜の民を手に掛けてしまったのだ。疚(やま)しさもある。そして何よりも、
純粋な怒りだ。親友の陳宮なら…いや公台なら、男の行為も『むべなるかな』と認めてくれると信じていた。共に大事を成せる男。
己の目に狂いなど無かった筈だった。しかし…公台は男の元から去ってしまった。袂を分(わか)ってしまった。親友の優しさを
過信し過ぎたのか? 何故だ? ここまで一緒に逃げて来て、何故独りで行くと言う! 何故だ、公台! 何故俺を…曹孟徳を…!

 「共に謀りもせずに主が独りだけでやるから、そう言われるのだ、曹孟徳とやら」
 「黙れ、何も知らぬ癖に! 」

 優しい宮の、公台の手を血に染めさせたくなかったのだ。一家の年端も行かぬ息子に字を教え、覚えの良さに相好を崩していた
あの笑顔を、苦渋に染めさせたくは無かった。だから…! ふと『佳人』が袂で血に汚れた口元を拭う。望月がもう一つ地上に
生まれたと錯覚する程に輝く白皙の微笑みが男の目の前に現れる。だが、それは無念にも、男の我知らず流す涙で滲んで見えた。

 「人の身には言葉の乗せて語らねば分らぬ事があろう? 年端も行かぬ童でもあるまい? 」

 一家を殺してしまった後でも、公台は男を慰めてくれると思っていた。赦(ゆる)してくれるだろうと思っていた。しかし結果は…
待っていたのは親友の侮蔑と誹り、そして……『汝(なれ)は汝の信ずる道を往け! 某(それがし)の行く道は汝とは金輪際違う!』
と吐き捨て、停める手も振り払い、『見下げ果てた奴め、恥を知れ! 目が腐るわ!』とずんずん肩を怒らせ歩いて行ったのだ。
303319 ◆lHiWUhvoBo :2008/03/15(土) 06:17:20 ID:a4Cbsiju
 
 俺は公台に捨てられたのか? 共に大事を成す資格無し、と! 行き場の無い羞恥にと激情に駆られ、男は『佳人』の手首を掴み、
羽林の軍籍に在った時に習い覚えた白兵の技を極めて組み伏せ、衣を剥ぐ。……皇(すべら)かなシミ一つ無い肌が目を焼いた。
朱鷺色の乳首を含み、舌を使い舐め転がし、歯を立て甘噛みすると、『佳人』は幽かな喘ぎ声を漏らす。

 「ほう…赤子のようにしゃぶり、甘えて見せるか。…乳は出ぬがそれでも良いか? んぅ? 」
 「俺は赤子では無いわ! 女め! 女め! 女め! 」

 男は逸(はや)る逸物(いちもつ)をまろび出させ、艶然と笑う『佳人』の太腿に擦り付ける。都の妓女や迫る女どもを散々
啼かせてきた自慢の逸品(いっぴん)だった。ぶち込みさえすれば女は黙る。ふと、猛り狂う分身を掴まれ、扱(しご)かれた。

 「……さてもさても、主の矜持はほんに小さき事よの……? 考えても見よ? まだ挽回は出来るでは無いか」
 「?! 」
 
 その一言で男の心の怜悧な部分が復活した。『佳人』の手より逸物を引き抜き仕舞うと、剥いだ『佳人』の衣を自らの手で
整え、頭を下げ謝罪する。そうだ。ここで女を抱き、脱力して追手に捕縛されては元も子も無い。失態に失態を重ねるのみ。
そして何よりも……!

 「…貴女に礼を言わねばならぬ。俺の目を見事に醒まさせてくれた。…俺を捨てた公台に、俺の凄さと志を見せ附ける。
  奴以上の人材を見つけ、未だ見ぬ、そ奴らとともに奴以上の事を成せる俺を見せるためにも…留まっては居れぬのだ」
 「フム……主、なかなか見所が在る男(おのこ)のようじゃな」

 どうやら許してくれたらしい。快活に笑う『佳人』に男、孟徳は含羞の笑みで答えた。しかし、女の背後に追手を見た男は
恐怖に顔を引き攣らせる。土煙から見るに、追手は騎馬で10騎。男が幾ら鍛えたとは言え、馬の速さに勝てる脚は持たない。

 「逃げよ。妾の事なら考慮などするな。夕餉の礼に主に抱かれてやらんでも無いと思うたが、気が変わった」
 「な……! 恩を受けた女性を置いて、おめおめと士大夫を名乗るこの俺、曹氏の操が逃げられるか! 」
 「安心せい。妾の肌に傷を付けられた勇おし者は、後にも先にも未だ項氏の籍しか居らぬわ。往け、曹孟徳とやら! 」

 項氏の、籍? 聞き返す間も無く『佳人』は衣を翻し天高く跳び、宙を舞った。そして、奔(はし)る騎馬の前鞍に立ち、
兵の首を捉え造作も無く捻(ひね)る。騎兵の、頚骨を折られる高く澄んだ音が満月の夜に響く。『佳人』が男に向かって
艶やかに微笑んだ。

 「妾の手にかかればこの通りよ。疾く往け、曹操! 主は赤子では無いのであろう! 大事を成し遂げて見よ! 」

 男は自らが、鬼神に逢った事を知った。一顧だにせず男は逃げた。……やがて身を立て世に出でて、大事を成し遂げるために。
304319 ◆lHiWUhvoBo :2008/03/15(土) 06:22:22 ID:a4Cbsiju
出来はともかく投下終了。

他の続きを差し置いて リクに答える  我が馬鹿さ
興が乗ったら 留め置かれぬ

曹操と陳宮ってマブだよね? ねっ?!

…スミマセンでした。どっかの続きを鋭意製作中。 
305名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 11:28:20 ID:pNQX9JYc
>>304
三国志の知らない俺が一番槍でごめんな、でもGJだ。鮮明に情景が浮かんだわ
306名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 22:58:51 ID:ra/qspgK
Gj
小隊長
従者
帰って来い
307名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 08:46:18 ID:5vjVwjG/
いまだに『従の旅』の続きを待ってる俺ガイル…(´・ω・`)
308301:2008/03/17(月) 12:52:02 ID:9WvXvwTH
まさかリクに答えてくれるとは・・・GJ!

この曹操は人間臭くていいな〜。前作の項羽とは違う魅力がある。
やっぱ彼女は項羽に抱かれなかったのかな・・・
曹操と陳宮?そりゃマブでしょwwそしてこの曹操を北方風の惇兄ィが支えるわけですねw

次回作も烈しく期待!!
309名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 14:48:38 ID:KtG/roNw
>>307
よう兄弟
310名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 22:47:28 ID:vaAGPEQ8
久しぶりに見た超良スレ。
作者様方ガンガレ!
311名無しさん@ピンキー:2008/03/17(月) 23:42:23 ID:VPcUgNH8
保守

312名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 02:28:38 ID:HUk6V7bK
センセイ! 
319氏の古代中国モノ・SFモノと現代モノの小隊長シリーズでは
あきらかに前者のほうが文体がノリノリなのは錯覚でしょうか!
313名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 21:04:40 ID:yWfuBMTY
錯覚だろjk
続き欲しいぞ色々と
314名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 05:32:58 ID:hDUcDFy3
アレイズを唱えた
315名無しさん@ピンキー:2008/03/19(水) 14:42:28 ID:pS+mntU2
>>312
愚か者!
ノリノリなら大いにノリノリになってもらおうとは思わんのかぁ!
316名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 16:59:48 ID:1ZWfjIHl
小隊長は媚薬を使われてもとどめられると思うやつは、いかほどか?
317名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 21:55:45 ID:MsMy50hy
>>316
点呼ー、いちー
318名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 09:25:57 ID:l/hMmXUC
>>316
にー

ただ、このスレの標榜と個人的な嗜好でもって、それでも必死に理性を保とうと葛藤する隊長を見てみたく……
319名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 10:19:38 ID:+rfepF5N
>>318
さん

媚薬使った女の子の心を洞察して涙する小隊長
だけどやっぱり抱きしめるだけw
320名無しさん@ピンキー:2008/03/22(土) 15:17:42 ID:u1SSXdql
スー!
前にロボスレに誘導してごめんなさい
描写重めで住人受けしなかったし
321名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 09:54:42 ID:YWHAROKX
4人か、
私を入れて5人1個小隊にしてはび妙なり
322名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 14:35:34 ID:eCTpNSFu
では怪人役でいれてもらおうかのロクデナシで6人目
323名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 01:02:51 ID:UfuAtshF
じゃあ7人目に村人A
324名無しさん@ピンキー:2008/03/25(火) 01:13:16 ID:Zz5LBLnG
今更ながら8人目。やった、やっと一個分隊だ。目指せ一個中隊!(米軍式で60人から250人)
325名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 00:57:54 ID:7T+YWtjN
今更だが、永久規制を言い渡された未だ冬の地から、9人目へ名乗り。
まさか規制人に押しとどめられるとは思わなんだ…
326名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 08:01:45 ID:Xh9f9joq
何週間ぶりに覗いたんだけども10
327名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 15:00:29 ID:Ky+lAClv
普段はROM専の俺が11人目を頂きますよ。
328名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 22:43:05 ID:X1N66Ud7
そして俺が12人目の使徒だ
前にリクに応えてくれたからリクエストしてみるぜ
死神スレに置いてあるアレを押しとどめるスレの続き風にリライトしてくれ
329名無しさん@ピンキー:2008/03/29(土) 01:15:55 ID:I8c7QpZ6
>>328
アレって何? スレの存在自体知らんので分からん
330名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 22:12:14 ID:4x4Nncsb
では13人目の名乗りは俺だ
ちょwやべぇww死神っぽいwww俺に書けといわんばかりwwww
331名無しさん@ピンキー:2008/03/30(日) 23:01:29 ID:u0bZcdcI
ではぜひ書くのだ!支援は随時補給する
332名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 01:20:31 ID:SiNw1Tcp
死神萌えスレでおk?
>330にエール送りつつ14人目
333名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 02:04:34 ID:PfY54+Yo
>>332
死神で検索かけた15人目の俺がおkと言う

結構みんな見てるのなこのスレ
項羽の台詞が古語調になってこのスレのルールを導入すればイケる
>>330にも期待
334名無しさん@ピンキー:2008/04/03(木) 00:09:59 ID:CHdc1N+Y
保守
335名無しさん@ピンキー:2008/04/05(土) 22:09:03 ID:uF3mlzsg
あげますかあげませんか
336名無しさん@ピンキー:2008/04/07(月) 13:37:28 ID:loI4vzp4
そういやこのスレ的には、『GS美神極楽大作戦』でルシオラがヤると死ぬからしなかった(おしとどめた)横島はあてはまるのかな?
337名無しさん@ピンキー:2008/04/09(水) 20:56:17 ID:Tmkxr1tC
旅の作者帰ってこい
338名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 15:31:45 ID:WPYbHjD0
age
339名無しさん@ピンキー:2008/04/11(金) 21:17:58 ID:JhiayO82
wikiが地味に二万人押しとどめを達成しました。
ご愛顧、感謝。
340名無しさん@ピンキー:2008/04/15(火) 23:22:41 ID:qvBnzCOr
あげ
341名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 03:10:46 ID:XMq/OC5u
保守
342名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 19:14:44 ID:QPu9+BNX
保守あげ
343名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 19:34:34 ID:Vsnr20w3
作者が来なくなって3ヶ月誰か従の旅の補完頼む!

344名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 21:09:04 ID:9Lgpxdp4
保守さげ
345名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 03:53:04 ID:kJnZOur3
信じてる。
自衛官の人も、旅の人も、帰ってくるって…
346名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 22:00:04 ID:WDmvsSxc
テスト
347名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 11:29:15 ID:CRNbUgbP
補完してもいいんじゃ?
俺にはこんなむずいの無理だが
348名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 12:20:23 ID:GAtwfwoF
全然難しくはない誰でもやれる
むしろファンタジーだからなんでもありで簡単
問題はそんなことしたら作者への侮辱ととられて続きなんて永久に投下されなくなること
349名無しさん@ピンキー:2008/04/28(月) 00:32:52 ID:72d7b4FA
350名無しさん@ピンキー:2008/04/29(火) 20:08:09 ID:GsX2xhuq
あげ
351名無しさん@ピンキー:2008/05/02(金) 09:50:24 ID:3FR4iDE2
とりあえず待とうか、あと1年くらい
352名無しさん@ピンキー:2008/05/06(火) 15:57:16 ID:JN9t6zVX
書かぬなら 書くまで待とう 俺たちは
353319 ◆lHiWUhvoBo :2008/05/08(木) 22:43:40 ID:M88inmEE
規制が恨めしい…。時間が欲しい…。投下開始。
354319 ◆lHiWUhvoBo :2008/05/08(木) 22:44:26 ID:M88inmEE
 
 轟く雷鳴と降りしきる雨の中、部屋で荷造りをする青年が耳にしたのは、遠慮がちにドアを叩く音だった。

 「はいはいはい……? どうした、矢坂? ……ズブ濡れのまんまじゃ、風邪引くぞ」

 大学三回生の夏。帰郷の準備をしている久慈慎之介の下宿に、矢坂平四郎がズブ濡れになって尋ねて来た。
ゼミでは口角泡を飛ばして法解釈で議論し合う良き好敵手であり、古武道同好会に措いては良き相棒だった。
少年の体の様にしなやかで、少女の美貌を持つ矢坂と、鋼の鞭を思わせる鍛え上げられた体躯を持つ久慈の
取り合わせは、妖しい妄想を見る者に抱かせるには充分であり、文化系サークルから「久慈×矢坂」本なる
シロモノが出回るぐらいに、関西地方にある大学のキャンパス内では二人一組で有名だった。

 「バカ……そんなに……優しく…するな……! ……しんのすけぇっ! 」

 いつも矢坂が突っかかり、久慈がいなす。矢坂が突っかかるのは久慈が嫌いだからでは無いことは当の久慈
以外、誰にでも理解出来るほどだった。二人で居ない場合はいつも矢坂がキョロキョロと久慈を捜し、久慈を
見つけると顔を喜びの微笑みに綻ばせるも、すぐに無理矢理にしかめっ面をしてみせるのがカワイイ、と傍から
二人を見ている者達(主に男性)の弁であり、他愛の無い矢坂のワガママに「仕様が無い奴だな」と微苦笑して
従う久慈の笑顔が爽やかだと言う者達(主に女性)もいる。要は「美少年の若君と執事」な関係と捉えられえていた。
 そして現在…矢坂は久慈に抱き付き、久慈の腕の中で震えている。久慈は首に掛けていたタオルを手に取った。

 「……男が簡単に泣いてどうするって、俺は何時も言ってるだろうが。なっ? 」
 「だって…だって…だって……! 」
 「わかったわかった、まず頭を拭け。頭から冷えてくるんだ。…今、着替え用意するから待ってろよ」

 久慈はハンドタオルを矢坂の頭にすっぽり被せてゴシゴシ擦ると、バッグの中からキチンと畳んだ着替えのうち、
真っ白な厚手の生地のTシャツと、灰色のニット地のトランクスを取り出した。それから俯いたままでいる矢坂を
置いて、電気ポットと緑茶のティーバッグと湯呑みを手早く探し、茶を入れ、差し出す。その後は手近にあった
洗濯済みの畳んだバスタオルを投げ与える。両手で湯呑みをそっと抱えて緑茶を啜っていた矢坂が、即座に片手で
バスタオルをキャッチした。緑茶が無くなるのを確認した久慈がハンドタオルを奪おうとすると、矢坂は抵抗する。

 「汗臭いだろう、それ? 」
 「慎之介の匂いだから、平気だよ…」
 「い、い、か、ら、か、え、せ! 」

 内心の動悸と動揺を押し隠し、久慈はハンドタオルを取り返す事に成功する。髪に掛けたタオルの右端を鼻と口に
当てて匂いを嗅ぐ仕草が妙に少女っぽく見えてしまい、戸惑ってしまった久慈は、まるで己が『男色』のケにでも
目覚めてしまった背徳感のようなものに襲われていた。時折、矢坂のなにげない仕草のひとつひとつにそう言う名状
し難い違和感を感じる久慈であったが、矢坂本人に直接に問い質そうと言う気が起こらない。何故なら、漂う体臭が
完全に『男性』のものであるからだ。田舎育ちの人間は、臭気に実に敏感だ。そして久慈もその例外には漏れない。
形容はしないが、漂う体臭で性差などは簡単に区別がつく。完全に『男性の体臭』だ。しかし感じる気配が違う。
気配は女性のものなのだ。これも余人は説明し難いが、人間は各個人固有の『気配』を持っている。男性と女性の
『気配』はまたそれぞれ異なるのだが、矢坂の持つ気配は『女性』のものだ、と久慈は当初、首を捻って何日も何日も
いぶかしんだものだ。
355319 ◆lHiWUhvoBo :2008/05/08(木) 22:45:40 ID:M88inmEE

 「…凪の湯があと10分で開くから、一緒に行くぞ」
 「内湯は……? 」
 「明日、田舎に帰るから掃除したばっかなんだがな? ……そんな顔するなよ。一体何があったんだ? 」

 久慈の目の前で濡れた上衣を脱ぎ、上半身裸になって体を拭いたあと、Tシャツを被り、それから腰にバスタオルを
巻いてカーゴパンツと下着を一緒に脱いで、渡したトランクスを穿き、最後にバスタオルを取る。見慣れた着替え風景だ。
トランクスのウエストが緩いのか、縛って調節する矢坂の姿と腰つきに何故か『女性』を感じ久慈はドギマギしてしまう。
一度『本当はお前、女だろ?』と真顔で訊き、思いきり額や鼻を白魚のような細い指で弾かれて散々に痛い思いをした
覚えがあるので久慈はそれ以来、茶化さず黙っている。

 「ちょっと理由があって、家に居られなくなってさ…」
 「どんな理由だ? 泣きながら『3年来の仇敵』に頼る程の理由なのか? 」
 「…ひどいよ慎之介ぇ、友達なら理由も聞かずにこう言うときは…」
 「『久慈は友達なんかじゃない!』と休みに入る前にその口で面と向かって啖呵を切られたんだが。で、理由は? 」

 むぅ〜、と不貞腐れて見せる矢坂の顔や仕草がますます少女染みて可愛く見えてしまう久慈は、強く頭を左右に振る。

 「どうしても言わなきゃ……駄目か? 」

 おずおずと、上目遣いをして訊いて来る矢坂に、久慈は頷いて見せるほど意地悪でも無かった。心底矢坂が困っていると
その表情で読み取れたからだ。だが、ここでまた甘い顔は見せたく無かったので、無愛想な顔をして見詰めてやる事にした。

 「僕が友達なんかじゃない、と言ったの怒ってるのなら、謝る。馴れ合ってるなんて他の人間に見られたく無かったし、
  それに……僕の中では久慈は……その…友達以上の大切な存在で……。なんて言うかその…言い難いんだけど…」
 「わかった。もう理由は言わなくていい。俺のデニムパンツを貸してやるから、風呂行くぞ風呂」

 ドギマギと何故か頬を赤らめて言う矢坂に、またぞろ久慈は妖しい感覚に囚われてしまう。…本当に少女っぽい仕草だ。

 「なんだよ! 言えって言ったり言わなくていいって言ったり! 僕がどんな思いでここに来たと……! 」
 「…追われてるんだろう? なんとパンツのポケッツに、財布や学生証、定期すら入ってないんだからな」

 矢坂は久慈の手からカーゴパンツを引っ手繰り、顔を何故か赤らめて睨む。その矢坂の勢いと表情に気圧された久慈は、
思わず峻厳な表情を崩し、破顔した。パンパンと矢坂の線の細い背中を叩き、自分に悪意や悪気が無いことをアピールした。
カーゴパンツを取り返した矢坂は口元にそれをあてて久慈を睨んでいたが、久慈の笑顔につられて徐々に微笑みを受かべる。
そしてひとしきり笑いあったあと、久慈は矢坂にデニムパンツと風呂セット一式を用意して、傘を持って一緒に外に出た。
356319 ◆lHiWUhvoBo :2008/05/08(木) 22:46:23 ID:M88inmEE

 「慎之介の…故郷に? 」
 「……ああ。あそこなら安全だ。余所者はまず入り込めないしな」

 銭湯、凪の湯に行く間の道程で、何者かの襲撃を2回も受けた二人は、部屋に戻っていた。1回目はワンボックスカーに
矢坂が引きずり込まれそうになり、2回目は矢坂を庇う久慈が狙われた。矢坂がしつこく尾行されていた事に久慈は困惑を
隠せなかった。襲撃を退けたあと、一旦部屋に戻ると、涙ぐむ矢坂が謝罪しながらポツリ、ポツリと事情を話し始めたのだ。

 『僕の家は、香道の宗家で、つい最近、当主のお爺様が倒れた。病床で十四代目の後継者に指名されたのが、僕だ。
  当主になったら、宗家・分家も含めて当主の管理する総資産は全て僕のものになる。…早い話が、お家騒動さ。 
  父や母は海外支部に出かけていて不在。お爺様は入院中。今、孤立無援で一人ぼっちの僕の頼れる者はもうキミ…
 『3年来の仇敵』の慎之介しかいないんだ……』

 フッ、と寂しげな笑みをこぼした矢坂の肩を久慈は抱き、無言で二の腕を叩く。矢坂は限界だったのか、堰を切ったように
すすり泣きを漏らし、それから久慈に縋(すが)り付き、久慈の胸に顔を伏せてさめざめと泣き始めた。『僕は…僕は…!』
と声にならない声を上げて無く矢坂の背を、久慈はさすり続けた。矢坂が乱暴に目を擦って泣き止んだあと、久慈は意を決して
「俺の田舎に来ないか」と提案したのだった。

 「迷惑……だろう?」
 「本当にそう思ってたら最初から俺の所に来ないだろうが。違うか、矢坂ぁ? 」
 「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜いじわる……」

 内湯のボイラーのスイッチを入れて、「折角掃除したのにな」と口の中で呟いた久慈は、矢坂にニヤニヤ笑いで振り返った。 

 「仇敵に貸しを作るんだ。面白くないだろうが、嫌味くらい我慢しろ」
 「絶対すぐに返してやるからな! もちろん倍返しだ! 」
 「へ〜へ〜、それじゃあ期待しないで待ってますよ、お嬢様」

 「お嬢様」と呼ばれた矢坂はすぐにむくれて立ち上がると、久慈の形の良い高い鼻梁を素早く抓(つま)んでヒネリ上げた。
矢坂の動きは久慈が身構える隙も無い程に俊敏だった。…何故あの時ワンボックスカーに引きずり込まれそうになったのか
不思議なくらいだ。確か、あの時矢坂は胸と尻を掴まれて…? 久慈がそこまで思い至ったとき、鼻がやっと自由になる。

 「僕は男だ! 僕を女扱いする奴は、いくら慎之介でも許さないんだからな! ……二度と言うなよ? 」
 「わかったよお嬢様、まずはシャワーでも浴びろ」
 「この〜〜〜〜〜〜〜〜っ! まだ言うか! 」

 今度は両頬を抓まれ、上下に揺さぶられた。多分本気で矢坂は怒っているのだろうが、怒った顔が微笑ましいほど可愛いので
ついつい怒らせてしまう。久慈の微笑みに気付いたのか、矢坂は頬を抓む手に力を込めてさらに引っ張り、勢い良く手を離す。
ふくれっつらで睨む矢坂の表情がさらに久慈の笑いどころの琴線に触れ、久慈は大爆笑してしまう。…からかい甲斐のある奴。
久慈は矢坂を「やんちゃな弟」のように思っていた。…あの決定的事件が起こるまでは。
357319 ◆lHiWUhvoBo :2008/05/08(木) 22:49:04 ID:M88inmEE
男装した女を実は女だと思わないで微エロとお題を満たしました。エロは次で。…男の夢だ幼馴染み…。
358名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 00:27:11 ID:U7VCfXgH
>>357
き、きたあああ。規制は辛い、未だ規制されてる俺は感想をレスするためだけにレス代行してもらいました。
しかし小隊長(ではまだないのか、この頃は)、上半身見ても本当に気づかないんだな。
洗濯板属性持ちの俺には無問題。というか最後、そこで切るなんて殺生な
359名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 00:59:42 ID:IlrHKlev
小隊長の過去キター!
いやもうホント楽しみに待ってました、次回も待ってます。
360名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 19:35:02 ID:22+M+3q8
においの描写が多いと思ったら香道をネタにしたのかw
幼なじみの武道娘との激しいエロにあてられて貧乳エロと予想w
361名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 01:05:43 ID:qmAskCZ2
小隊長!小隊長!
362名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 01:42:58 ID:K26k8975
阻止や寸止めがメインのスレなのに無駄に豪華だなこの小隊長シリーズ
なにげにファミレスやら裸エプロンやら浣腸やらアナルやらいろんなシチュが展開されてる
今度は正統派の本番に期待
363名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 03:31:57 ID:1S+ix6hD
しょうたいちょおおおおおおおおおおお
364名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 20:03:01 ID:iBz2VnDW
少隊長は帰ってきたぞ
次は旅の人頼む
365319 ◆lHiWUhvoBo :2008/05/12(月) 22:03:57 ID:ljyr3zOW
少し…ダークな気分で行って見ましょう。そんだけ。短編投下。
366319 ◆lHiWUhvoBo :2008/05/12(月) 22:05:26 ID:ljyr3zOW
 
 敵の包囲網が狭まり支援砲撃が続く中、守るべき街の住人達は人口の1/100までに落ち込んでいた。
陥落も近い。撤退命令が出ていたが、こんな状況下で撤退を敢行すれば待っているのは全滅だった。
何よりもこれまで支援してくれた街の住人に申し訳が立たない。各地でいくつもの師団が各個撃破され、
仕舞いにはゲリラと成り果てた正規軍崩れの集団を迎え入れてくれた街の最後を看取るのも、悪くは
無い気分にさせられる。荒れ果てた高層ビルの屋上に陣取ると、市街に侵入した敵の様子がよく見える。


 「曹長さん…。これが最後の弾薬です」

 たった紙箱一つ分の7.62o弾。全部命中させても40人「しか」殺せない。どう足掻いても敗北は必須だ。
だが、逃げる所など何処にも無い。あるとすれば…? 「地上には存在しない楽園」にしか行き先は無い。
ふと見ると、紙箱を差し出す手が震えていた。手の主は知っている。今年で17に為る、世間が平和なら
ちょうど高校2年生の年頃だ。紺のリボンで纏めた長い黒髪が強風に吹かれ、その風下に居た私の鼻を
かすかに残ったボディソープの香りと、強烈なフェロモン臭がくすぐってくれる。狙撃に従事する人間には
優先的に入浴の機会が与えられてはいたが、最後に入ったのは3日前だ。

 「ありがとう。もう…」

 声が上擦るのが自分でも判る。伏射姿勢を取り続けていた私のの男根が励起して、涌き上がる性欲を
脳味噌に伝えてくる。化粧っ気の全く無い、五月の爽快な空を思わせるこの娘の屈託の無い明るさに、
延々と果ての無い狙撃を続ける私の心は確実に癒されていた。もう…逃げろ。心からそう言いたかった。
しかしもう、逃げる所など何処にも無い。またどこかで放たれた砲声が遠雷の如く響き渡る。ごく付近に
着弾したのか、衝撃でビルが震え、娘が脅える。

 「きゃあっ! 」

 紙箱を掴むはずの手元が狂ってしまい、娘の手首を掴んでしまう。…どうせこのままでは全員死ぬのだ。
逃げ果せた娘も、捕まってしまえば「尋問」と称して敵にボロ雑巾のように扱われるに違いない。現に街の
彼方此方の物陰で、女の悲痛な叫びが聞こえて来ない時は無い。だったら…いっその事…この私が…!
ついに劣情に陥落した私は、掴んだ娘の手首を強く引き寄せた。呆気なくバランスを失い娘が倒れ込む。
即座に私は娘の着ていた制服のブラウスの襟に手を掛け、ボタンを弾け飛ばさせながら一気に引き裂いた。

 「や、やめてくださいっ! なにするんですか、曹長さんっ! 」

 娘は血の気が引いた顔を恐怖で引き攣らせ、腕や足で迫る私の身体を押しのけようと必死に抵抗するが、
狡猾かつ強靭な男にはただの気の効いたスパイスにしか感じなかった。娘の細い両手首を一まとめにして
片手で娘の頭の上で押さえ込み、口と残った右腕で服を剥いで行く。薄い青色のブラジャーはフロントホック。
ぷるん、と目の前で揺れる。たまらず胸に吸い付き、口一杯に肉を頬張り、舌で舐め転がす。

 「いや、いや、嫌ぁぁぁぁぁっ! 」

 娘の抵抗は止まない。…今の私には「だが、それがいい」。兵士たる己が、死んでも守る筈の者を汚す背徳。
娘の抵抗が続く事で生まれた征服欲。娘は今も肌を焼く私の荒い鼻息に身をよじらせ、清らかな涙を流して、
乱暴する私に哀願している。私の脳裏にこれまでの出来事が去来する。二人で星空を見上げた事、娘と二人で
大雑把な砲撃を食らい続ける狙撃ポイントを脱出した事、戻りたくないと駄々を捏ねる娘とともに毛布にくるまり
眠った事…。そのどれもが大切な思い出だった。スカートのホックを外して、口に吸い込んだ乳房に歯を立てる。
367319 ◆lHiWUhvoBo :2008/05/12(月) 22:13:45 ID:ljyr3zOW
 
 「痛っ!! 」

 娘が痛みに腰を浮かせた隙に、一気に引き下ろした。私は乳房から口を離し、娘の着衣の状況を確認する。
娘の白磁のようなすべらかな太腿が、獣欲に狂った私の目を眩しく焼いた。体勢を変えた私は、まだ両足を
ばたつかせ抵抗する娘の太腿の上に跨って、軽く体重を掛ける。泣き顔が美しい女は美人の証明だと聞くが、
この娘も例外では無かった。下唇を噛み、首を左右に振って痛みを堪える様が痛々しいが、「だがそれがいい」。

 「やめて…やめてよぉ…曹長さぁん…」

 私は娘の呼びかけに敢えて答えなかった。答えてしまえばそこで「終わり」だ。娘は二度と私に近寄る事はあるまい。
娘の手首を一まとめにして握った左手に力を軽く込め、それを返事の代わりにする。娘のブラジャーと同色である青い
ショーツ越しに、私の、狙撃銃のトリガーを絞るだけの筈だった右手が娘の秘所を乱雑ににもてあそぶ。…当然、湿り気など無い。
私が与えている、純然たる貞操を失う恐怖のためだ。性器が正常位に適した「上付き」だった事が、娘にとってはさらなる不幸だった。

 「お願い…やめて…っ!? 」

 私は無言で迷彩服の下衣のボタンを外し、下着の合わせから勃起した男根をまろび出させる。亀頭が赤黒く沈色した
肉塊が、娘に息を呑ませ、目を見張らせ、その外観のおぞましさにすぐに目を背けさせた。やや場違いな娘の含羞の
表情が、私の心に幾許(いくばく)かの可笑しみをもたらした。…身体のバネを使った反動で、私を跳ね除けようとする
娘の抵抗はまだ止まない。私の熱くたぎった欲棒を、娘の引き締まった下腹に擦り付けてやる。
368319 ◆lHiWUhvoBo :2008/05/12(月) 22:23:56 ID:ljyr3zOW

 「…何?! なんなのこの熱くて堅いの…? まさか…曹長さんの…×ン×…?! いやっ、いや、嫌ぁーっ!」

 胴体をのたうたせ、離れようとする娘にさらに押し付けてやる。嫌がる女の顔を見て喜ぶのは、中学生以来の事だ。
全く、いい啼き声を上げる娘だ。こんな可愛い声を出せば、男がさらに興奮の度を強め、昂ぶるのは想像の外なのだ。
ふと、娘と目が合ってしまう。涙に濡れた大きな目。頬をつたう大粒の涙。私は心を揺さぶる衝動に耐え切れず、目尻に
溜まった涙に口を付け、吸った。娘の抵抗が一瞬だけ、止んだ。これは好機! 腰浮かせ、ショーツずらし、肉棒固定!
目標良し、突撃にぃ…突撃っ!

 「い…あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ! 」

 ううっ、この痛いくらいの喰い締め…! …これまで経験した事の無い強烈な膣の締め付けが、私の分身を襲った。
心地良いとか感じる間も無く、私は腰をスラストさせる。娘がどう感じるかなど心の余裕は無かった。私はひたすら己の
射精欲求を満たさんがため、本能の命じるまま無慈悲に娘を突き続けた。

 「っ! っ! っ! っ! 抜いて、抜いて、抜いてぇぇぇぇぇ! 」

 目をぎゅっと閉じ、涙を流し、娘は私の肉棒を受け止めていた。声に為らない叫びとはこの事だろう。呻(うめ)き声より
高く、叫びと言うにはボリュームが無い。だが、その表情が私の唾棄すべき劣情をさらに加速させる。もっと…もっと泣かせて見たい。
私は右手を結合部に差し入れ、触れて見る。指に纏わりつく液体を嗅ぐ。もうとっくに嗅ぎ慣れた臭いが鼻についた。血の臭いだ。
私は指を娘の鼻先に突き出してやる。目を開いた娘は肉槍が自らを容赦なく裂く痛みの中でも、処女の喪失に悲しげに眉をひそめた。

 「やめて…こんなの…ひどいです…! アぐッ、あああああッ、いた、あっ! 」

 背ける顔を右手で正面に戻す。破瓜の血が娘の頬を汚した。背筋がぞくぞくするような背徳感が私の腰の運動を加速させる。
喰い締めがかなりきついが、娘の本能が無慈悲な侵入者を扱う術をようやく心得て来たのか、膣内の締め付けに微妙な緩急が
生まれていた。自己処理で抜いたのは3日前とは言え、久し振りの女のカラダはやはり、いい。・・・娘の嫌がる顔が、見たくなった。

 「中に出してやる、俺の子を…孕め! 」
 「やあ、やだっそんな、そんなのっ、いや、抜いて、抜いてェ! 」
 「抜いて…やるさぁっ! たっぷり…なぁッ! 」
 「あ、あついいいいいいいいいいいい! いやああああああああああああああああああああ! 」

 娘の拒否する反応を肴にして、私は娘の最奥に精をぶちまけた。ニ撃、三撃、四撃と、肉槍の中を液弾が通過するたびに
快感が脊椎を通り、大脳を焼いて行く。身体を起こすと、娘のなめらかな下腹が私の肉棒の形に盛り上がっていた。悪戯心が
生まれ、私は腹筋を使い挿入した肉塊を痙攣させてやると、下腹もそれにつれて動き、娘も痙攣する。まだだ、まだ足りない。
放出を終えてもまだ硬度を保ち続ける我が愚息に休息を与えまいと、さらに私は娘の膣内を擦る作業に戻る。私が動くにつれて
娘の破瓜の血と精液が交じり合った液体が漏れ出て来る。肉棒のカリは元来、他の男の精液を掻き出すためについているのだ。

 「君には悪いが……死ぬ前に、俺が生きて、ここに居たことを誰かに覚えていて欲しかったんだ……」

 若干動きやすくなった娘の膣内を、私は今度はゆっくりと楽しんだ。嗚咽をこらえる娘の唇を塞ぎ、無理に舌を捻(ね)じ込んでやる。
私は今度は娘に肉棒の「カタチ」をじっくりと覚えさせてやるつもりでいた。食い縛る娘の前歯をゆっくりと舌でねぶる。…最高だ!

 「ん…ふぅん…。 今度はもっと…ちゃんとやさしくしてくださいね……? …曹長さん」
 「……聞く耳持たんね。…何せお互い、時間に余裕が無い者同士だ」

         この世にもう行く所など無いのなら、せめて生きている今だけは、この地上の楽園を楽しむとしよう。
369319 ◆lHiWUhvoBo :2008/05/12(月) 22:26:26 ID:ljyr3zOW
投下終了。拒否してる、けどやっちゃう。…やっちゃったらマズいスレなのに。
ちなみにコレ、実験作です。(ホンバンやっちゃっていいの? の問い掛けです)
370名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 23:01:12 ID:pMdu9M//
>>369
スレには会わんだろ。ほかのスレで読みたかった。
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1184343584/l50とか
371名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 23:08:54 ID:m2mPpUnB
そこで読んだ事がある希ガス…。
372名無しさん@ピンキー:2008/05/12(月) 23:14:08 ID:+wWqE5pN
ラスト数行がまだ救いのある奴になってるだけだろコレ
もう少し軽いエロなノリでたのむよ
あと寸止め守れ!
373名無しさん@ピンキー:2008/05/14(水) 21:25:09 ID:sYuv4ex2
うーん、エロカッコ良く押しとどめた後に応えるな、とは書いてないわけで……。
つか>>1テンプレも固まってないことだし、ここらで議論するのもありかなと
思いはする。

個人的には、本番ありは前書きに注意書きつけて、もちろん押しとどめは
果たした上でならアリでもいい。
あくまで寸止めで悶えるのもオツだがなー。
374名無しさん@ピンキー:2008/05/14(水) 22:39:26 ID:5eQLNytn
ただひねってあるだけで女「やめて」男「やだね」のやりとりは>>366-388にはあるな
375名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 00:08:55 ID:h322nt9x
。。。誰もこれを盗作って言わないんだね
文体一緒だからかな
376名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 02:30:36 ID:mgTVb6Rk
>>375
別人と思うほうが頭がおかしいか悪いと思うぞ。
377名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 11:12:13 ID:2gLyM1wv
>>375が何を言ってるか分からない
378名無しさん@ピンキー:2008/05/15(木) 15:45:43 ID:FRLBDNWO
>>373
固まってないもなにもスレタイが全てだと思うけどなあ
押しとどめた上で本番ならまだしも押しとどめてないのはちょっとね
それに押しとどめるっていうなら本番しちゃったら押しとどめてないと思う

作中の時間が流れて状況が変わった上での後日談って形なら本番もありだと思うけど
379名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 00:28:23 ID:aCyybkB3
どうでもいいが文句があるなら手本を見せれば?
380名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 00:53:38 ID:QIzu3t7D
しかし、どこをどう読んでも
「女性の求め」なんてなく、あるのは許しへの懇願であり、
「カッコ良く押しとどめろ!」どころか、カッコ良くもなく、押しとどめるどころか押し倒してるわけで…。

作品そのものはかつての投下作(うろ覚えだが戦火スレだったと思う)だが、出来は悪いとは思わない。
単なるスレ違いw

>>366は文体やクセが同じだから書いた本人と思うけど、うっかりさんなのかな?
>>1がテンプレだし、スレタイ無視や他所のスレで出したのをまた出すのは荒れる元になりかねないので、
慎重になって欲しいと切におながいします。

>>379
取り違えてる、作品への文句への返しならその言い分でいいけど、
スレ違いへの突っ込みなんだから、お手本もへったくれもなくwwww
381名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 01:12:55 ID:zxCalAxG
女が迫って男が拒否するパターンを踏襲してないといけないのが前提
その後は任意でいいんじゃね?あと>>366-368はダウトだから次は無いと思えよ>>369
382名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 14:04:21 ID:i+mTFxit
ながーい前フリと見た(`・ω・´)
最初はあんなに嫌がってたのに・・・という展開
たぶんこれから曹長さんは娘さんの求愛をさくさく押しとどめるのでしょう(;´Д`)ハァハァ
383名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 22:25:10 ID:wJ4VUuOe
>>382
身も心も曹長さんしか受け付けなくなってしまって、だがそんな娘に曹長は……
うわ、読みたい
384名無しさん@ピンキー:2008/05/16(金) 22:28:22 ID:3QkRQstD
一度は受け入れておきながら次は押しとどめるっていいな、萌える
385319 ◆lHiWUhvoBo :2008/05/17(土) 01:45:05 ID:zvfyazO8
どうもスンマセンでした。確かにこのままだとスレ違い! 
だから>>366-368の続き短編投下!
…責任は果たさないと。
386319 ◆lHiWUhvoBo :2008/05/17(土) 01:52:51 ID:zvfyazO8
 
 「今日は…はいてないんですよ? ねぇ…」
 「駄目だ。ここは風上、臭いで気付かれるんだぞ」

 喉下過ぎれば熱さを忘れる、と言う言葉がある。柿を食べて渋く感じるのは最初の実ってない柿だけで後は美味い、と言う句もある。
あの日、私は娘を丸一日掛けて抱いた。散々拒否の声を上げていた娘が、最後に私が満足して肉棒を抜去する際、名残り惜しげに鼻に
かかった声を上げるまでに、犯し抜き、押し開き、蹂躙し尽くしたのだ。私の出した、白濁した汚液に塗れた女陰がぽっかりと私の
モノの形に鋳られていたことに興奮し、またきたならしい欲棒を勃起させて飛び掛ってしまった事は今でも恥じるべき鬼畜の所業である。
……泉下の戦友たちに心より、謝罪したい。いや、もう逢わせる顔が無い。守るべき者を守ること無く…この私ときたら…クッ!

 「こら、勝手に…くぉっ! 」
 「あっ…堅ぁ〜い…。曹長さんったら、もうこんなにしてるぅ…」
 「駄目だ、って言ってるだろう」

 何故か敵は「あの」後、早急に撤退し、私と娘は九死に一生を得た。何故か娘は、私の強姦行為を周囲の人間や部隊には一言も喋らなかった。
敵を押し返しつつある味方部隊とともに、娘が観的手、私が狙撃手の二人一組の狙撃チームは各地に転戦を繰り返し、現在では多大なる戦果を
挙げている。…正直に言おう。『わたしを連れていかないと、ぜぇ〜んぶ、上級部隊のひとに話しちゃいますよ?』とニッコリ、笑顔で脅迫されたのだ。
娘のその笑顔は男を知る女の妖しい色香を漂わせていた。そう、迷彩服の下衣から私の愚息を取り出して頬擦りする今現在のように、だ。

 「もぉっ、曹長さんが『いけない』んですよ……?」
 「確かに俺は嫌がる君を抱いたよ。何度も何度も犯したさ。だがね……!」
 「わたしをこんな風にしたの……曹長さんなんですよっ?」
 「それについては許しは請わない。……だからくぱぁって開けない! 誘わない! 」

 ああ、偵察の偽装のために娘の在校していた高校の制服のスカート穿かせるのでは無かった…! 男の前でスカートを持ち上げ、だだ濡れの
陰部を自分から開いて見せるような行為など、娘の父親が見てしまったならば迷わずこの私を殴り殺すに違いない。父親の最初の恋人は『娘』だ。
責任を取れと言われたら取らざるを得ないだろう。しかし、私のような中年男には、10代の娘の示す旺盛な性欲に応え『続ける』が無い。
 しっかりした若い部下の隊員を紹介し、彼と交際するよう促しても、『曹長さんじゃなきゃ、わたし…駄目なんです…!』と皆の前で盛大に泣かれ
その晩、娘にこってり『搾り取られて』しまい、出発時刻に寝坊して危うく残置を喰らうところだった。…百戦錬磨の曹士の長たるこの私が、だ。

 「一回抜いたら、ちゃんと落ち着いて引金を絞れると思うんです! だからぁ…」
 「……君が俺を、ご褒美が欲しいのなら、しっかり風速と距離を測定するんだ。…いいね?」
 「は…はいっ! 約束ですよ、約束ですからね曹長さんっ!」

 やっと誘いかけるのをやめ、喜色満面の様子で慌ててモノキュラー(単眼鏡)を掴み、彼方を覗き込む娘の耳に、私は背後からそっと囁く。
すぐに尻を擦り付けて来る娘に、ゴリゴリと私の勃起したナニを当ててやると、甘い鼻にかかった声を上げるのが可愛い。…万事が万事、
この調子でアメとムチだ。……もっとも、ムチと言っても『お預け』宣言だけが私に出来る唯一の罰なのだが、寝込みを襲われてしまうと
抵抗出来なかったこともある。兎角、このように、若い娘の扱いは難しい。

 「距離、300、風速は南から北へ5メータ…ぁん… …! 我慢できなぁい! 今すぐ、今すぐほしいのぉ!」
 「よしよし、だが今は駄目だ。狙撃が成功して、逃げて…味方陣地まで辿り着けたら、な」

 今、私の攻撃意欲を減退させては意味が無い。生き残るためにも、欲望を達しては意味が無い。、もしこの戦争が終わり幸運にも互いに
生き残ることが出来れば……不肖、この私は『幼な妻』を迎えることになるかも知れない。……精々今は、『昼夜問わず』仕事に励むとしよう。
387319 ◆lHiWUhvoBo :2008/05/17(土) 01:55:36 ID:zvfyazO8
投下終了。なんかカッコ良く…無いかも。
今後も、ここで、このスレで頑張らせてください。
重ね重ね、済みませんでした。おやすみなさい。
388319 ◆lHiWUhvoBo :2008/05/17(土) 01:58:58 ID:zvfyazO8
脱字発見! 上から24行目の最後!

>応え『続ける』【精力】が無い、

です。やっちまいました。済みません。では、これで。
389名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 08:29:50 ID:l/LcrRMc
判断しにくいな
一時的押し止め
390名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 10:09:06 ID:nJ9CvW1X
しかし、投下されて嬉しく思ふ
391名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 11:33:02 ID:lqe05ia2
ごめん。
おれはいやだわ。こーゆーだらしないの。
392名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 11:42:04 ID:DqF6kgES
これはこれでいいかも…
393名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 19:51:56 ID:von6pfeF
旅の人は今いづこ
394名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 23:11:53 ID:dAjoS7/c
>>393
ギター片手に渡り鳥じゃないの

カックン〜♪ショックだァ♪ダムの月ィ〜〜♪
395名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 23:29:53 ID:u/TgrEEz
>>394さんは昭和の人ですね。
396名無しさん@ピンキー:2008/05/18(日) 00:33:51 ID:kzliKKhI
>>394
それ渡り鳥じゃなくて二連銃だろwww
397名無しさん@ピンキー:2008/05/20(火) 17:28:24 ID:9mGBEg4x
意味不明
398319 ◆lHiWUhvoBo :2008/05/21(水) 03:35:08 ID:ermBycHh
>>22-24を踏まえて、覇王別姫、投下します。
やっぱり徹頭徹尾押し止めでないと受けないよね…。
以後、なぁなぁにイイカゲンはだめだよねと肝に命じます。
399319 ◆lHiWUhvoBo :2008/05/21(水) 03:36:12 ID:ermBycHh
 
 「ようやく――逢えた――」

 その男は微笑んでいた。後背は濁流が氾濫する大河、前面は10万を越す敵の大軍。それでも男は、微笑んでいた。
男はただしっかりと前を見て、笑っていた。だがその対象は土煙を上げ迫る騎兵では無い。抜けるような蒼空でも無い。
眼前に広がる荒野でもない。その曇り無き黒瞳はただ――堪え切れず眼前に顕現した――『私』の姿だけを写していた。

 「相変わらず――奇麗なまま――だな」

 あの時と変わらぬ、少年のような無垢な笑みが『私』を迎える。二人きりで過ごした刻は逢瀬と呼ぶには短すぎ、
邂逅と呼ぶには長過ぎた。亡国の将軍の家系に連なるこの男は、成人した後に幾多の戦場を駆け巡り、無敗を誇る
勲しを打ち立てた。この男の向かう所に、敵う者など居なかった。なのに――今、こうして一人で死のうとしている。

 「何故、河を渡らなかったのだ、籍! まだ…刻はある。生き延びたければ…!」
 「もう、ここで良い。俺がそう、決めた」

 幼き頃のこの男の言葉を思い出す。『字なぞ己が名を書ければそれでいい! 剣など一人しか相手が出来ない!
僕は大軍を相手にする方法を学びたい! 』私はその大言壮語に腹を立てて――今思えばそれが間違いの元だ――
顕現したのだ。顕現した私に驚かなかったこの男の器は大きかった。今と同じく、怪力乱神の類と看做すでも無く、
ただ真直ぐに私の姿だけを見ていた。私の持つ剣を眼前に突き付けられて『自身の死を宣告されて』も、だ。

 「……河を渡れ、籍。生き延びて、捲土重来を目指すのだ。……ただ一度きりのこの敗北は恥では無い! 」
 「15年前に、項氏と共に滅秦の志を立て出陣した、故郷の江南の子弟を八千人も失って、か? 御免被る」
 「何故だ? 何故、頑(かたく)なに美しくあろうとする?! 戦人(いくさびと)には潔さなど薬にもなら…ンぅッ! 」

 男は音も立てず近寄り、剣を構えた私を抱き締め、私の唇を…奪った。抵抗しようと思えば出来る筈、と言う声が頭の
どこかで小さく訴えていたが無視を決め込んだ。カチカチと互いの歯が打ち鳴らされる音が、互いのその手の行為の
経験の無さを物語っていた。それでも互いの舌を貪り、甘美な唾液を味わう。 剣を持っていた腕から力が抜け、落として
しまう。まだ抱え込まれたままの空いた手を、男の背に回す。そう…私は望んでいたのだろう。男の想いを受け取る事を。
どちらともなく唇を離してしまう。透明な唾液が糸を引いてしまうのが恥ずかしい。それでも、言葉として確かめねば。

 「…皇帝の三千人の後宮に手を付けず…童貞を貫いたのは…こう言う事だった、のか…? 」
 「勇おし者よ、と自然に称えられるようになれば逢えると聞いた。その果てに『覇王』などと綽名を貰ったに過ぎん…」

 そんなものは基(もと)より要らなかった、と、どこか拗ねた子供っぽい顔が堪らない。乱戦の中、冑が脱げたのであろう。
短く刈り込まれた黒髪の頭が露出していたのでつい、撫でてしまう。…もう、手を伸ばさねば届かなくなってしまったが。 

 「もう俺は、あの時の孺子(じゅし)の籍では無い。羽と言う字(あざな)を持つ、齢三十一の大人だ。だから…」

 ガシャ、と私の腰当の留金が外され、地に堕ちた。下穿きに太く武骨な指がそっと添えられる。指が…震えていた。
無理をしおってからに…。いいだろう。未だ女を知らぬ『覇王』よ。貴様の最初にして最後の女になるのも悪くは無い。
せめて…優しくしてくれ。
400319 ◆lHiWUhvoBo :2008/05/21(水) 03:36:54 ID:ermBycHh
 
 「で、だから何だと言う…の…ムぅん! 」」

 女の甲冑を外すのは男には簡単だった。各部に装飾を尽くした豪華かつ華美な物だが、実用性に富んでいる。
留金に、皮帯を外せば双乳の形に膨らんだ胸甲が外れ、背甲も同時に落ちる。先程外した腰当に当たり、澄んだ
金属音が 荒野に響く。一枚の金属板で出来た鎧など、男は見た事など無かった。男の知っている鎧と言えば、
自らが着ている、鋼や鉄、青銅の小片に穴を空け、紐を通して編んだ板を組み合わせた、至極簡素なものだ。

 「ン…んふぅ…ン…っ」

 左手で女の柔らかな尻の感触を衣服越しに愉しみながら、今度は肩甲をそっと外して行く。抵抗は…無い。
羽飾りの付いた冑を外そうとして、男は漸(ようや)く気付いた。…外すには接吻を止めなければならない事に。
 止めたくなどは無かった。あの少年の日より恋焦がれ、『いずれは戦場にて見(まみ)える事もあろう』と
言う言葉を信じ、ただひたすら駆け抜けて来た。その言葉通り戦場で逢えた時に、言葉を交わした事もある。
しかしこうして両の腕(かいな)に抱く事は一度とて無かった。男は潔(いさぎよ)く決心して、名残惜しげに
唇を離した。 とうとう女の顎の皮紐の留金を外し、冑に手を掛けようすると、女が拒み、自身で脱いで見せた。

 「……されるがままと言うのも存外に風情が無い。どうした? どこか面妖な所でも見つけたか? 」

 艶やかな黒髪に新緑の碧眼、透き通るような白い肌が、男の目を焼いた。幼きあの日に、しっかと心に刻んだ
その姿に比すれば、世俗の女性など、どうして相手が出来ようか? ……出来るわけがない。格が違い過ぎる。
女の気高さに己の萎える心を無理矢理に押さえ、男はもう一度女を抱き寄せる。愚かなる幼き日の男は女の正体を
残酷にも尋ねていたのだ。

           女は静かに言った。「自分は『喪門神(しにがみ)』である」と。

 戦場にて勇名を馳せ、果敢無(はかな)く散りし勇者を連れて行くのが己の役目だ、と女の口より直に聞いた。
その日より以前に増して熱烈に戦場に出る事を望み、己に出来る限りの手段を尽くし、不平を金輪際漏らさず、
一の敵も万の敵も殺し尽くせる術を学んだ。その上で男は戦場を同志たちと駆け、斬撃、打撃の限りを尽くし
敵と戦い、『殺される』事を望んだ。もう一度…己の蒙昧を戒めた『喪門神』に逢い、その手に抱く事を夢見た。
 無知蒙昧を克服した己を見て欲しいが余りに、大敵、秦を打ち倒した後に故郷に帰ると言う愚行をやらかしたのも…
全てはこの時のためだ。勿論、共に戦い抜いた江南の同志達の晴れ姿を、故郷の父兄に見せると言う目的も在ったが。

 「この後は如何するのだ、籍よ? ただ抱いている…だけか? 」

 男は我に還った。己に残された刻は僅か。ならば…! 秦の邯鄲の都にて入手し、顔を赤らめながら閲覧した房中術の
限りを 尽くさなければならぬと一人合点する。男は女の下裳を捲(まく)り上げ右手指で股座のあたりにそっと、触れる。
…粘つく感触が男を驚かせる。なんと秘所が…濡れていた。男の知識の外にある現象に動転し、そのまま匂いを嗅いで
しまう。脳髄の奥が痺れ、獣欲が沸き上がる。急に抗いだした『喪門神』の勢いに押され、女を抱えていた左手の力をふと
弛めると、 勢い良く頬を張られてしまった。

 「匂いなど嗅ぐな! 想う漢に抱かれていれば、こうもなろう…! …どこまで辱めれば気が済む? 」

 涙を零しながら恥じ入る『喪門神』の目尻に男は唇を付け、溜まる涙を吸った。急に『喪門神』の抵抗が止む。
男の悪戯を責める心と愛しく思う心がない交ぜになったその視線と表情が、雷光の如く鮮烈に、男の心を鋭く射抜く。
401319 ◆lHiWUhvoBo :2008/05/21(水) 03:37:35 ID:ermBycHh
 
 「…己の非を認める気に為ったか? 」

 己の今迄見て来た、女の凛々しい姿など何処の借りてきた猫だ、と男は胸の奥が痛む程切なく思う。可憐だった。
何も辱めた訳では無い。男は実技の経験などさらさら無く、記録でしか『房事』の遣り方を弁えては居なかった。
 初めて恋焦がれた女性(にょしょう)――人では無いのだが――を胸に抱き、心の赴くままに接吻を交わした。
その先の事など思慮の外だ。つい男の覇業の原動力とも言える『好奇心から生ずる探究心』が軽く頭(こうべ)を
擡(もた)げたとしても、誰がそれを責める事が出来ようか? いや、男自身にしかそれは責められまい。

 「女性の涙とは、存外に塩辛く無いものなのだな…」

 高鳴る胸の動悸が、耳の奥から聞こえて来る。息が荒く為って来る。『喪門神』の抵抗が男の征服欲を程良く
刺激する。もっと、困惑する顔が見たい。相手は人では無い者。遙かに気高く『喪門神』と名乗る、女の形を
しただけの者、人を超えし者なのだ。人の身では手を触れる事さえ許されぬと言う者なのに、今、男の腕の中で
なすがままに弄ばれている。

 「…抜かせ…! 孺子(じゅし)の癖に…ッ?!」

 急に顔を赤らめた『喪門神』の見ている先を釣られて見ると、己の分身である猛り狂った陽物が鋼の小片を
編んで作られた鎧を軽々と盛り上げ、『喪門神』の下腹を突付いていた。男は素早く己が鎧の直垂の部分を捲り上げ、
襟に差し込む。男の下袴はすでに大天幕を形(かたち)作っていた。大天幕の高さは『喪門神』の肩をすっぽりと
覆い尽す、金属製の肩当の長さに等しい。

 「此処はもう子供では無いぞ? 『喪門神』よ」
 「そ、その…ようだな? 」
 「ぅおっ…! 」

 下袴の上から軽く握られただけだが、男は疼痛を感じてしまう。いや、余り痛くは無いのだが、そのむず痒さに
身悶えする。まだ握られて居たいと思ったが、『喪門神』は動転して右手を離してしまおうとする。男はその手を
捉え、グリグリと己の陽物を下袴越しに押し付ける。恥らいで叫び出したいのを堪えている『喪門神』の、唇を噛み
叫びを押し止めている様は、男の持前の悪戯心を刺激する。もっともっと、困らせて遣りたく為るのだ。

 「……堅くて……熱いな……」

 熱っぽい息が、男の耳に吹き込まれた。男はこれここに至るまで、天下万民のために木石たらんと努めて来た。
今、人に戻り、そして獣と成り果てても、滅秦からの男の行いの全てを知る部下達は、鬼籍に居る者を含めても
誰も責めはしないだろう。男は『喪門神』の体から薫る香りを胸一杯に吸い込んだ。脳髄の芯まで痺れるような
甘い体臭に酔い痴れると、意を決して下袴の紐に手を掛け『喪門神』の右手を離させると、ついに己の大天幕の
太い肉支柱を露出させた。臍(へそ)まで届きそうなそれを一目見て、超大さに目を丸くした『喪門神』はさらに
頬を赤らめて勢い良く顔を背けるが、ちらちらと横目で見遣っている。…男の逸物の天辺、亀頭粘膜の綺麗な桃色は
自慰の経験すら皆無である事を自ずから示していた。

 「そのような大きな肉塊を……私の小さなここに…容れると言うか? 羽よ?」

 掠(かす)れた熱情を帯びた声で、『喪門神』は男の眼を己が女陰に向けさせる。そして、右手の指二本で、薄桃色の
扉に縁取られた門を開いて見せた。蜜液がねっとり糸を引く様が生々しい。男の小指の先ほどの長さを持つ、薄紅色の
突起の皮が剥け、ふるふると震えている。男が見惚れ、固唾を飲み込む様を愉快げに哂う『喪門神』の両脚は、露出の
興奮に震えていた。そして、『喪門神』の『門』と男の『鍵』が触れ合おうとした時――男はそっと、女の身体から離れた。
402319 ◆lHiWUhvoBo :2008/05/21(水) 03:38:58 ID:ermBycHh
  
 「――ああ、我が本懐、ここに遂げたり――」
 「籍――何故、止める」

 潔(いさぎよ)く男は逸物を下袴に仕舞い、捲り上げた鎧を直し『喪門神』に微笑んだ。興奮冷めやらぬ顔の『喪門神』の
体を強く抱き締め、耳に息を吹き込むように囁いた。くすぐったさに身を固くした『喪門神』が、男の言葉にはっ、と形の良い
眼を見開いた。それから、生まれた鋭い眼光は何故か堪えきれぬ欲情に蕩けてしまう。なんと嬉し涙まで流す始末だった。

 「ふと――思った。ここまで守った男の操(みさお)だ。このまま守り通し、死んで見せるのも悪く無い、とな」
 「――籍――そなた――」
 「穢れなき我が魂と志――想い――を、貴女に捧げよう。これぞ我が最後なり! 俺の死、とくと見届けィ、『喪門神』よ!」 

 長大な鋼の剣を素振りし、哄笑する男の姿を見て、身繕いを済ませた『喪門神』が目蓋を腫らしながらも微笑んでいた――が、
男の背後に現れた人影に顔を引き攣らせる。ふと振り向いた男の逞しい首筋に、白く、鋭く光る2本の牙が深く突き刺さっていた。
男の首より溢れ出る血潮を喉を鳴らし、飲み込み、すすり続けるその者に、『喪門神』は神速を以って、憤怒の形相で斬りかかる。

 「なんと――何という事をする、呪われし不死者風情がッ!」
 「羽は、羽は渡さぬ! 神々の享楽の玩具になどさせるものか! ならば妾の眷属にして、永遠の生をともに生きさせる! 」
 「虞姫…か…? 」
 「そうよ……主(ぬし)が毎晩毎夜、妾が夜行をせぬように、民に犠牲が出ぬようにと宿直(とのい)をしておった、虞ぞ…? 」

 しゃにむに斬りかかる『喪門神』をせせら哂い、男の首から牙を抜き、男を横抱きにして女妖は跳び離れる。血の気を徐々に
失いつつある男の頬を、皇(すべら)かな繊手がいとおしげに撫でさする。あと半刻待てば、男は完全に女妖の眷属と成り果てる。
生血を求める、人では無い、鬼の眷属に。永遠に齢を取らぬ、時の罪人に。――誰もが憧れて已(や)まぬ不死者へ転生するのだ。

 「羽よ、妾と共に行こうぞ…。楚人…いや、世の諸人(もろびと)が主の志を知らず、主に背いても…妾だけは…主を…」
 「籍を……離せィ! この女怪(にょかい)! 籍は…籍は…」

 男の血は、女妖がこれまでに終ぞ喰らった無い芳醇さだった。男の首筋から流れ出る血潮にねっとりと優しく舌を這わせる様は、
それを見ているものが『人』であったならば、妖艶さや歎美さよりも、一種の神々しさや畏敬を、見るものに与える光景だった。
我が子を慈しむ母の姿が、そこにあった。

 「主を篭絡しようとして、見事に篭絡されたわ…。夜毎、妾が房事を迫っても…主は頑として一度も応えてもくれなんだ…」
 「『私』だけの、ものだぁっ!」
 「ぐ、ヌぅっ! 」

 追う『喪門神』から跳び回り、回避し続ける虞姫はついに『喪門神』の剣に右肩を割られ、男の身体を思わず取り落としてしまう。
その機を逃さず『喪門神』は男の身体を奪い返す。迷わずその場で膝枕をすると、首筋を検(あらた)め、呻く男の頬に気付(きつ)けの
ために数回、平手打ちをする。男の首筋の傷跡は醜い傷を残して塞がり、幾多の戦場を往来し、日に焼けた肌が総じて透き通るが如く
蒼白くなりつつある。……不死者へと変ずる兆候が漸(ようや)く現れたのだ。
403319 ◆lHiWUhvoBo :2008/05/21(水) 03:40:04 ID:ermBycHh
  
 『喪門神』の眼に、男を守れなかった無念さと、男を奪われた嫉妬からの悔しさによる涙が生まれ、幾粒も幾粒も男の顔に零れ落ちた。
男が弱々しげに手を伸ばし、もう泣くな、とばかりに『喪門神』の涙を拭く。

 「籍……籍…! 気を確かに持て! 籍、私が解るか、籍」
 「ああ、俺が恋焦がれた『喪門神』だ。嗚呼――泣き顔も綺麗なのだな、貴女は」
 「……羽! 立(た)つるならば疾(と)く立て! 呆(ほう)けて居るな! もうじき主の追手『人ども』の軍勢が来…る? 」
 「せ…き…? 」

 よろよろと男は身を起こし、鋼の剣を大地に突き立て杖として、立ち上がった。その顔は晴れやかに二人の『女』に向かい微笑んでいた。
男の聴覚がまだ確かであるならば、あと百を数えぬうちに軍勢の先頭は男の姿を捉える。その前に、言って置かなければならぬ事がある――。

 「虞姫よ……悪いが、俺は、人のままで、ここで死にたい。…お前が知っていてくれる、俺のままでな…」
 「何を抜かすか! あれ位の軍勢、妾が一度(ひとたび)舞を舞(も)うたならば…」
 「そして眷属をただ増やせば……人の世に寄り沿うて生きる事が出来なくなり、やがてお前は死ぬ。……それでは俺が困るのだ」
 「諸人などもう要らぬ! 妾は、主さえ居れば良い! 歩けぬのなら抱き抱えて逃げてやるぞ、羽! 」

 首を大きく左右に振って、男は虞姫に近づき、その撫肩に手を置き、細い背に手を回して優しく抱いた。まるで慈父のような、抱擁だった。
虞姫は男を見上げた。あの日の、輝く陽光に弱った自分を飽くまで気遣い、戦車に乗せた漢の中の漢、理想の大丈夫が、そこに微笑んで居た。

 「…俺が何を望み、何を志し、そして何を守ろうとして、何を成そうとしたか…お前にずっと覚えて置いて欲しい。…漢の『あ奴』は
  きっと俺を後世の笑い者に貶めるだろう。それは死んだ人間には抗弁出来ぬ事よ。しかし、永久(とわ)に生きるお前ならば…」
 「妾の眷属となった不死の主(ぬし)自らが、奴らを妾とともに闇で誅戮(ちゅうりく)すれば済む話であろうが! だから往くぞ! 」
 「そのような女々しい真似が武人に出来るか。――追手に呂馬童がいた。あいつに幼少の借りを返さないとな――だから、往けない」
 「羽ぅ…」
 「生きろ。もし後に人間の王朝が思い上がっていたら、思うがままに引っ掻き回してやるといい。…人の進歩には『脅威』が必要だからな」

 男はうなだれる虞姫を離し、屈みこんで微笑みかけてから、重々しくわざと咳払いをしてみせる『喪門神』に向かい男は顔を引き締める。
その様子に『喪門神』は見惚れてしまう。澄んだ水面を思わせる落ち着きと、冴え冴えとした刃の輝きを思わせる男の中の男、『覇王』の
名が相応しい威容を誇っていた。――彼は人の身でありながら、修養をすれば数年もせずに仙境に至れる素養を持った『逸材』だ。古の聖帝、
堯・舜と同じ眼を持つ者と民に語られた男は、不死者に堕ちようとする今にあっても雄雄しく、凛々しくあった。

 「貴女に一つ、聞きたい事がある」
 「……申してみよ、籍」
 「自裁――自決でも、貴女は俺の魂を、勇おし者として迎え入れてくれるか? 」
 「愚問だな。自らの所業を思い出せ。……この女怪を、これまで封じていただけでも釣りが来る」
 「そうか。ならば悔いは無い。……『覇王』と呼ばれた俺の死に様、とくと見届けよ」

 それだけ言うと、男は二人に背を向けて、鋼の剣を片手に、一歩一歩踏みしめるようにして土煙へと歩いていった。堂々と、万余の軍勢など
何ぞ敵するものぞ、と。その後…男は追手の前で自ら首を刎(は)ね、首に掛けられていた万戸侯の褒賞のために五体を裂かれた。されど不思議に、
その首は満足げに笑い、何故かその身体は妙に軽かったと言う。――その後、『覇王』を滅した陣営に属した軍師の一人は急に仙人を目指すと言い、
致仕し、世を捨てた。その時、暇乞いをした、少女と見紛うばかりの彼の白皙の美貌を見たものは、何故か嫉妬と怒りに彩られていたと言う。
404319 ◆lHiWUhvoBo :2008/05/21(水) 03:43:29 ID:ermBycHh
投下終了しました。軍師って、漢に行く前に出会ってて阻止済みだったりしたり。
いつか許されれば書いて見たいです…。おやすみなさい。

PS:うう…やっちゃイケナイってやっぱ難しいよぉ小隊長…。でもチャレンジ中。
405名無しさん@ピンキー:2008/05/21(水) 18:16:42 ID:NrLRxoAo
投下乙です、前作好きだったから続き読めて嬉しい
406名無しさん@ピンキー:2008/05/21(水) 19:39:41 ID:WLvzmQKv
いいねいいね
明らかにノリノリで書いてるのがわかるわw
407名無しさん@ピンキー:2008/05/21(水) 20:48:58 ID:QlQHl8KC
>>397
小林旭って俳優がいてな?

>>404
gj
だが脳内作画が原哲夫でまずった
408名無しさん@ピンキー:2008/05/21(水) 21:06:25 ID:VEIo2KFH
>>407 マイトガイ!マイトガイじゃないか!あと脳内作画候補に横山光輝か本宮ひろ志も追加しれw
>>404 元ネタの人物について解説しないとなw 項羽について→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A0%85%E7%BE%BD
409名無しさん@ピンキー:2008/05/21(水) 22:11:59 ID:rGW81ehg
>>408
すごく・・・無粋です
410名無しさん@ピンキー:2008/05/21(水) 22:32:53 ID:WLvzmQKv
レスが進んでると思ったらw
>>409
逆に考えるんだ
史書でボロクソに書かれてるから引き立つんだ
秘話とか異聞の類と思うともっと萌える
411名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 16:31:47 ID:y1loWZtl
>>404
GJ!!項羽大好きなんや〜!まえに曹操でやってほしいとリクった者です。
そうですか張良が…三国時代にゃ我が子房か?まさかな…むしろ三顧の礼?

次の中国モノは誰だろうか…覇王っぽいのだと李世民かな〜講談とか全然無いけどね…
中国じゃないけど青い狼に期待しようか…
もちろん日本や西洋でもいいですがw
412名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 17:06:44 ID:lCH9BgFt
次リクエストするのなら私は・・・
張良は実は女で過去に女の姿で抱いてとせまって項羽が阻止して逆切れキイイイイイッ!!話だな。
名前を伏せて少女の美貌なんてわざわざ書いてるところが誘い受けでしょう(笑)。
413名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 20:05:26 ID:RFRR8xtv
>>404
そろそろ書くの飽きたんじゃないか?
しばらくゆっくり休んだほうがいい
投下ペースが早いと住人飽きられるのも早いからな
414名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 01:09:30 ID:GAXJCiGi
後漢光武帝こと劉秀と陰麗華の話もいけるかも

唐の太宗に敬われ、実在した中国の帝王の中で、唯一、古の三皇五帝に比肩された劉秀の話がおもしろくないはずがない
415名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 06:04:38 ID:2pryPH7i
別にリク募集してるわけじゃないんだし自重しろよ。しつこいし鬱陶しい
ここは職人の専スレじゃない
416名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 15:35:16 ID:3cygxY2I
>>414
劉秀は完璧すぎてサーガとしては面白くないんだよなあ。
とくに目立ったライバルがいたわけでもないから一人勝ちすぎてロマンがない
それで作ったら多分横山劉備みたいなコテコテのヒーローが順当にワルモノ倒して天下取っちゃう感じになるよ
>>411
三国時代だったら連環の計にきまってんだろ!!飛将も戦い大好きだし

まあそろそろ中国談義は自重しましょうか
417名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 16:54:19 ID:Spp/6DOT
中国モノのおもしろさは書き手次第だからなぁ
書ける人みつけたら嬉しくなる気持ちはよくわかるけど自重する

>>415さん職人募集のスレで募集かけようよそれしかない
418名無しさん@ピンキー:2008/05/24(土) 00:27:48 ID:s33XRgOP
なんかこのスレ・・・読み手は女性の方が多い気がする
>>404もSSの男の書き方が綺麗すぐるから最初女性かと思ったしな
419名無しさん@ピンキー:2008/05/24(土) 05:53:55 ID:NK+OiDmV
性別決めつけは荒れる元だからヤメレ
420名無しさん@ピンキー:2008/05/24(土) 12:06:20 ID:P0LN0v5G
(´・ω・`)従の……
421名無しさん@ピンキー:2008/05/26(月) 22:03:15 ID:Dncb9yIc
初めまして。
私はここに来て初めてSSというものを知りました。
従の旅を読んで感動しました。
なんだか大切な趣味が一つ増えたような気がします。
こんなこと言うのもおかしいかもしれませんが、ありがとうございました。
突然変なこと書き込んでしまって済みません。
422注意書き ◆AO.z.DwhC. :2008/05/29(木) 00:53:06 ID:1bz51qFo
長いです。
精一杯頑張りましたが、エロかっこいいかは微妙です。
よろしければお付き合いください。
423伯爵の古い恋の話:2008/05/29(木) 00:54:05 ID:1bz51qFo

豪奢な内装の部屋に置かれた寝椅子では、美女と男がもみ合っていた。
そういったもみ合いでは、常ならば男が女の抵抗を押し止めるはずだが、何故かこの部屋ではそれが逆転している。
撫で付けた黒髪をほつれさせながら、自分を押し倒す美女を懸命に押し止めて男は彼女を宥めるようにその華奢な腕を叩いた。
「マリア、年頃の娘がこんな真似をしてはいけないよ」
「ジュードおじさまはいつもそう! どうして私を抱いてくれないんですの!」
男は整った顔立ちをしていたが、微かにみえる皺が彼の年齢をものがたっている。
三十台も半ばを過ぎの男に圧し掛かる美女は、鳶色の瞳をうっとりと蕩けさせて、苦悩している男を責め立てた。
「いけないよ、マリア。君はとても魅力的だから、きっと素敵な人に出会えるだろう。私なんかで躓いていてはもったいない」
「私が好きなのはジュードおじさまですわ! あなた以外の方など考えられません!」
「……マリア……こら、やめなさい」
困ったように美女を見つめていた男――ジュードは、下半身に手を伸ばしはじめるマリアを嗜めて苦笑いを浮かべる。
美女――マリアは、不満げに唇を尖らせていたが、やがておさえられた手を逆に掴んで、自分の豊かな胸に押し当てた。
豪奢な刺繍の施された繊細なつくりのドレスの上からでもわかる、見事なバストはマリアご自慢の武器である。
熱烈なアピールに困り果てたかのように、男はその柔らかなふくらみから手を離し、額に手を当てて呻いた。
「どうして君は、そんなに慎みがないのだろう。心配になってきたよ、マリア。よその男にこんな真似をしたら、どうなるか分ったものではないよ?」
「おじさま以外にこんなことは致しません。おじさまが私を抱いてくださらないから、はしたないと思ってもやめられないのですわ」
ジュードの言葉につんと頤をそらして言ってのけたマリアは、猫科の猛獣のようにしなやかな動きで彼のタイを剥いでいく。
シャツに手を掛けはじめたマリアの両手を自分の両手で拘束したジュードは、寝椅子からなんとか起き上がって彼女と見詰め合う。
「私はね、女性を抱くことはできないんだよ」
「嘘つき。知ってますわ、おじさまが昔社交界で”花狩人”って仇名されていたことくらい。花から花へ、ずいぶん派手に渡り歩いていたそうじゃありませんの?」
胡乱な眼差しを向けるマリアに、ジュードは目を伏せてかすかに唇を歪めた。
「それは……昔の話だよ」
「社交界の花はよくて、どうして私ではいけませんの? 私だっていまや立派な花の一人ですわよ」
「知っているさ。美しくなったね、マリア」
もみあいでほつれたマリアの髪を撫でながら、ジュードはかつての残り香を感じさせる手管で彼女に囁いた。
頬を染めたマリアは、しかし誤魔化されてなるものか、とジュードを再び問い詰める。
「どうして、いけませんの?」
「……長い話になるよ」
「構いませんわ、ぜひ聞かせてくださいまし」
呟くように漏れたジュードの言葉を拾い上げ、マリアは彼の膝の上に座りなおして頷いた。
ジュードの首に手を回しながら、彼の顔を覗き込むようにして答えたマリアに苦笑しながら、彼は古ぼけた恋の記憶を探り出す。
ぽつりぽつりと語りはじめたジュードの、低くよく通る声に聞きほれながら、マリアは彼の長く古い恋の話に耳を傾けた。
424伯爵の古い恋の話:2008/05/29(木) 00:55:34 ID:1bz51qFo

***

とある夜会が、幼馴染のリリー嬢の邸宅で盛大に催されると聞いて、ジュードはらしくなくどこか緊張した面持ちでそこへ赴いた。
リリーはジュードが社交界で派手なロマンスを繰り広げるずっと以前からの幼友達である。
彼女の実家はビスコンティ侯爵家、王家にも連なるといわれる名門中の名門のお嬢様だ。
伯爵といえど、リリーとの家格の開きは埋めがたいジュードが彼の幼馴染になりえたのは、偏に顔の広い彼の実父のおかげである。
若き日にさんざん浮名を流したらしいジュードの父は、その付き合いからか今でも無駄に交友関係が広い。

どういったやり取りがあったのかは分らないが、丁度同じ年頃だった二人はなんだかんだで引き合わされることになった。
リリーと初めて会った日のことを、ジュードは今でも忘れられない。
薄桃色のドレスを身に纏った、うつくしい少女はこの世のものとは思えなかった。
透けてしまいそうな白い顔立ちはあくまで可愛らしく、きらきら輝くプラチナブロンドの髪は優雅に波打ち、深い緑色の瞳は睫毛に煙って神秘的だった。
歯の浮くような文句が並ぶ自分の脳内に、ジュードは内心で悪態をつきながら彼女と戸惑いがちに挨拶を交わす。
「はじめまして。リリー・ビスコンティ侯爵令嬢。ジュード・エバンスと申します」
「わたくしの事はリリーとおよびになって。わたくしもジュードとおよびするわ」
口を開くとどこか幼い風情のリリーは、ジュードの堅苦しい挨拶を途中で遮って、春風のように微笑んだ。
花が咲くように笑うリリーがこちらを見つめたとき。
ジュードはそのときから、恋に落ちていたのだ。

幼い日の思い出を感傷的に振り返っていると、馬車はいつのまにかリリーの邸宅に着いたようだった。
夜会服の襟をたて、髪の撫でつけを確認し、一通り身支度を終えると、ジュードは馬車から優雅に降り立った。
子供の頃は父に聞かされていた社交界と夜会のきらきらしい話に、さんざん憧れていたものだが、実際に大人になってこういった場に足を運ぶようになると、あのころのような感動は既にない。
パーティーの会場についたジュードに、熱いまなざしを送るご婦人方にウィンクをおくりながらも、どこか冷めて面持ちで彼は幼馴染を探して彷徨った。
425伯爵の古い恋の話:2008/05/29(木) 00:56:19 ID:1bz51qFo

***

若き日の父に倣うように、ジュードは社交界を花から花へと渡り歩くように浮名を流している。
着飾るご婦人方はみな目に美しく、彼女らとの恋の遊びはジュードをたいそう楽しませた。
ゲームのように愛を囁き、身体を重ね、時には喧嘩もしてみる。
もともと飽き性の彼はころころと相手を変え、その度に楽しく恋のゲームに興じていたのだが、それにもそろそろ飽きがきていた。
というよりも、何百という遊びの果てに、彼はようやく気付いたのだ。
リリーという素晴らしい遊び相手に、ずっと片思いを続けていたことに。
そう気付いてからは、遊ぶのを控えてらしくなく真面目に仕事なんかもこなしていたため、こうして夜会に赴くのは実に一月ぶりである。


ジュードの行く先では、女性のお誘いが引きもきらずに降りかかる。
藤色の優美なデザインのドレスに、金がかった赤毛を垂らしたご婦人が、ジュードの腕を掴んだ。
扇をつかって口元を隠しながら、彼女はジュードの耳元へ囁く。
しなだれかかるようにして凭れ掛かる彼女の胸元は、目のやり場に困るほど豊満で魅力的だ。
「エバンス伯爵、ずいぶんおひさしぶりですわ。私の顔などお忘れになっておしまいではなくて?」
「まさか。あなたのような美しい方を忘れる不届き者がいるのなら、私はどこへなりと赴いて、その輩に決闘を申し込むことも辞さない想いですよ。相変わらずお美しいですね、サリア」
後半の言葉を、藤色のドレスの女――サリアの耳元へ囁いて、ジュードは扇の陰で彼女の頬に唇を寄せた。
ぱっと顔を朱に染めたサリアから腕の力が抜けたのを見計らうように、ジュードはその手からするりと抜け出す。
「夜は長いですよ、ぞんぶんに楽しみましょう。今夜は月が美しい」
「…………ずるい方。そんな風に言われては、私があなたを一人占めできなくなってしまうわ」
「それは私の台詞ですよ。あなたのような美しい月を私が闇へと連れ去れば、たちまち嫉妬に狂った男たちに八つ裂きにされてしまいます」
拗ねたように背を向けるサリアの後ろからそう囁くと、ジュードは彼女の顔を覗き込んでにこりと微笑んだ。
すこし冷たい印象のある、整った顔立ちが崩れ、ひどく魅力的な笑みを形作る。
ますます頬を染めたサリアに手を振って、ジュードはまた会場を彷徨い始めた。
426伯爵の古い恋の話:2008/05/29(木) 00:57:37 ID:1bz51qFo

***


侯爵家の夜会はさすがに盛況で、久方ぶりの人酔いをさますため、ジュードは一旦ベランダにでる。
以前までは誰か相手を伴って、そこでアバンチュールと洒落込むこともあったが、リリーのいる会場でそんなことをする気は起きなかった。
しばらく会っていない麗しの幼馴染は、一体どんな成長を遂げたのだろう、と想像しつつ、ジュードは美しい月にグラスを掲げる。
と、背後から華やかな気配がふわりと浮かび上がり、しっとりとした絹のような耳触りの声が彼の耳に届いた。
「こんなところで、どなたに乾杯ですの?」
「…………リリー」
咄嗟に振り向いたあと、ジュードはたっぷり一分ほど言葉につまり、ようやく搾り出すように言葉を紡ぐ。
白い羽の扇を口元に当てたリリーは、揃いのつくりのドレスの裾を翻し、美しく編み上げた金の髪を揺らして佇んでいた。
月の精が舞い降りたかのようなリリーの美しさに、ジュードはそれ以上の言葉を口にすることができずにただ見惚れた。
「わたくしの名前を思い出すのに、随分お時間がかかるのね。ジュード、すこし酷くてよ」
「いや、見惚れて言葉にならなかっただけさ。笑ってくれ、リリー。今宵の君は月の女神のようだ」
くすくすと笑いながら詰るリリーの言葉に、ジュードは慌てて口説き文句をまくし立てる。
そのどれもが上滑りしているような危機感にかられて、ジュードは歯がゆく唇を噛んだ。
「ありがとう。お噂は聞いていてよ。ずいぶんと、華やかなご活躍のようね」
「……そんなことはないさ」
内心で冷や汗をかきながら、ジュードはリリーのからかいに答えた。
白い月明かりに、リリーの緑色の瞳は深い森のようにきらめいて揺れている。
目の前に好きな相手がいるというのに、どうしたらいいのか分からずジュードはただただリリーの美しさに見惚れた。
しかし、次の瞬間、ジュードのささやかな幸せは無残にも打ち砕かれる。
「聞いてちょうだいな、ジュード。わたくし、今度お城にあがるのよ」
「……それは、おめでとう」
妙齢の美しい女性が城にあがる、ということはすなわち王家に仕えるということだ。
聞えはいいが、実際は王の後宮で夜な夜な侍る、ハーレムの一員として迎えられる。
しかし、王の子を産めば、その子は王子になるかもしれない。
そうすれば次期国王の母として、当人は勿論親戚までもが権力を握る事ができる。
侯爵家もそれを視野にいれてリリーを後宮へと送り込むのだろう。
心にもない祝辞を述べながら、ジュードは俯いて顔を悲痛に歪めた。
後宮に入った女性は、死ぬまでそこから出られない、そして会うことすら許されない。
心ひそかに思う相手と、今日が今生の別れとなりそうだ、とジュードは嘆息する。
「うれしくは、ないわ。わたくしは、国王陛下はもちろん敬愛申し上げているけれど、好きな方と結ばれたいのよ」
「リリーに、そんな相手がいたとは初耳だ。その幸せものは一体どこの誰だい?」
扇の羽を毟り取るように弄りながら、リリーは低い声でぽつりと呟く。
その言葉に、ジュードは二重の意味での失恋を感じ取って、半ば自棄のように笑って問いかけた。
427伯爵の古い恋の話:2008/05/29(木) 00:58:27 ID:1bz51qFo

「目の前の、ロクデナシよ」
「…………………え?」
耳を疑って聞き返すジュードに、リリーは照れたように頬を染めて扇で彼の頭を叩いた。
「レディに二度も言わせる気? ジュード・エバンス侯爵。社交界の花狩人の名が泣いてよ」
「……いや、ちょっと待ってくれリリー。すこし頭が混乱してきた」
美麗な顔を歪めてこちらに詰め寄るリリーをなんとか引き剥がし、ジュードは額に手をあてて熱を測る。
何か自分に都合のいい幻覚でも見てしまったのではないだろうか、と慄きながらも、どうも現実らしい現在の状況に、顔が赤らむのが分った。
口元に手を当てながら、リリーの言葉を反芻する。
「もうよろしい? ジュード。わたくし十分待ったわよ」
「あ、ああ、大丈夫だ。ありがとう」
呆れたようにこちらを見つめるリリーの姿に、にやけそうになる口元を押さえてジュードは慌てて頷いた。
「では、抱いてくださいな」
「…………リリー、君は昔から突拍子もない人だと思っていたけど、それは流石に…………」
「わたくし、思い出が欲しいのよ。後宮に上がったらもう二度とジュードと会えなくなってしまうわ。
あなたがわたくしに何の感情も抱いてないことは知っているけれど、たった一つの恋を抱いて後宮に沈むわたくしを哀れだと思うなら、情けをかけてちょうだい」
昔から、とんでもない発言をして周囲を驚かせていたリリーの発言に、昔と同じように固まったジュードは、続いた彼女の言葉に開きかけた唇を閉じる。
伏せられた瞼を縁取る長い睫毛がふるりと揺れて、白いドレスの肩はかすかに震えていた。
抱きしめてしまいたい衝動をおさえて、ジュードは無理に笑顔を作る。
「いけないよ、リリー。君は既に国王陛下のものだ。花狩人といえど、手は出せない」
「花が望んでいるのに摘まない花狩人なんて、聞いたことがないわ」
「僕には君は摘めないさ。摘むことなどできやしない。何しろ花狩人は君を愛しているからね。一度きりなんて耐えられないさ」
切なげに眉を寄せてにじりよるリリーの、白い胸元は月明かりに照らされて柔らかそうな陰影が映し出される。
その細い首筋を味わいたい。皺のよる眉間にキスを落としたい。白いドレスに包まれた清純な身体をめちゃくちゃに汚してしまいたい。
薄汚い欲望と戦いながら、ジュードはリリーから目をそらす。
「リリー、愛しているよ。君だけをずっと、ずっと、愛していた」
「わたくしも愛しているわ、ジュード。なぜいけないの」
華奢な身体をジュードに押し付けるようにしてリリーは囁き、口づけを強請るように目を閉じた。
薄桃色の唇はかすかに開かれ、まるでジュードの蹂躙を待っているかのようだ。
弾け飛びそうになる理性の鎖を必死につなぎとめ、ジュードは自嘲するように笑う。
「我ながら、自分の愚かさに吐き気がするよ。リリー、ごめん。僕には君を抱きしめる権利すらない」
「ジュード」
言い募るリリーの顎をつかみ、親指を唇に押し当ててジュードは彼女を黙らせる。
「それ以上、言ってはいけない。僕の理性は知っての通り脆いんだよ」
押し当てられた親指を、リリーは無言で挑発するように舐め上げた。
猫のように光る瞳が、ジュードを捉えて離さない。
そんな彼女を苦しげに見つめて、ジュードは白い額に一度だけ口づけを落とし、リリーを残して歩き去る。
「リリー、愛しているよ。どうか幸せに」
顎から手を離したジュードは、彼女の舌の感触の残る親指に、自らの舌を這わせた。
428伯爵の古い恋の話:2008/05/29(木) 00:59:29 ID:1bz51qFo


***


「だからね、マリア。私はもう、どんな女性を愛することもできそうにないんだよ」
語り終えたジュードは、寂しげにアイスブルーの瞳を曇らせて呟く。
端正な白皙の顔立ちが歪み、どこか自嘲するように唇だけが薄く吊りあがっている。
そんな愛する人の顔を覗き込みながら、マリアは小さく囁いた。
「おじさまは、その方が忘れられないのね」
「ああ。あんなに身の張り裂けそうな恋は、もう二度とできないだろう。そして私は、もう愛していない女性を抱くことはできないんだ」
「私を愛してはくださらないんですの?」
弱々しく笑うジュードの、乱れた髪を撫でながら、マリアはからかうように問いかけた。
それに、かすかに笑いながらそうじゃないよ、と首をふるジュードは、マリアが大好きな笑みを浮かべて彼女の頭に手を乗せる。

小さなころから大好きだったジュードは、ずっとマリアの憧れの人だった。
年を経れば、またはジュードが誰かと結ばれることになれば、この思いもいつかは冷めていくのだろうと思っていたが、彼は結婚せず、またマリアの想いも年を追うごとに募るばかりだった。
耐え切れずに、18になった夜にジュードの部屋へと夜這いをかけたが、彼に実に紳士的に諭されてしまい、それは失敗に終わった。
以来、隙を見てはこうしてジュードにアタックをかけているマリアだったが、一向になびいてくれる様子がない。
何か理由があるのだろう、と問い詰めたジュードの過去には、一人の女性が居座っていた。
会ったことすらない女性に、言い知れぬ嫉妬を覚えながらマリアは小さく咳払いをする。
「ともかく、私は諦めませんわ。ずっとおじさまを愛しているんですもの。
私はそのリリーとかいう女性のように、あなたの前からいなくなったりはしませんから、覚悟しておいてくださいまし」
「…………マリア」
きっぱりとした宣戦布告に、ジュードは頭痛を覚えたようにこめかみに指を当てた。
そんな彼の頬に口づけを落とし、マリアは当然のように再び彼を押し倒す。
どこかしんみりとした雰囲気が漂っていた室内には、再び喧騒が訪れた。
429終わり ◆AO.z.DwhC. :2008/05/29(木) 01:00:40 ID:1bz51qFo
キリがいいので一旦ここで区切らせていただきます。
お付き合いありがとうございました。
430名無しさん@ピンキー:2008/05/29(木) 01:22:13 ID:n90R42UG
>>429
GodJob!
ジュードさんカッコいいよハァハァ
じゃなくて。
脆い理性だと言いつつ耐えられる理性が素晴らしい
431名無しさん@ピンキー:2008/05/29(木) 21:09:34 ID:rlR6d6+2
>>429
このスレ巡回してて良かったと思えるエロかっこ良さ!

GJでした
432名無しさん@ピンキー:2008/05/30(金) 23:41:09 ID:UyiYoOvl
ついに本流の西洋モノキター! 
433名無しさん@ピンキー:2008/05/31(土) 00:03:57 ID:C6IIv+Ko
久しぶりに来たら良作ktkr
本格的かつ伯爵のエロかっこ良さがナイス!
434名無しさん@ピンキー:2008/05/31(土) 19:35:12 ID:A2pqiHUM
ここで反則の小隊長マダーを言ってみる
435名無しさん@ピンキー:2008/05/31(土) 21:59:57 ID:0o6tvZlN
反則だと思うならやめとこうぜ。
そんなんじゃ小隊長の人だって書きにくいだろうよ。

あと伯爵かっこよかった。西洋モノって新鮮だわ。
続き待ってます。
436名無しさん@ピンキー:2008/06/01(日) 15:33:40 ID:tQ0zcaNi
いや俺も覇王マダーとか言いたかったんだが…これは伯爵カッコイイな

本当に好きだから…ってのが余計にカッコイイ
437名無しさん@ピンキー:2008/06/02(月) 20:39:54 ID:6w5sDPfs
「今日はもう帰って寝なよ」

「いや、なんつーか、その、酔った勢いとか…さぁ、そういうの俺やだからさ」

「だから、今日は帰って休んでさ、酔いがさめても俺のコトが好きだったら、また合おうよ」

「そん時はさ、俺も覚悟見せるから」
438名無しさん@ピンキー:2008/06/03(火) 08:16:33 ID:xewjB9z2
あ、短いけどこれいいな。
439名無しさん@ピンキー:2008/06/03(火) 20:08:22 ID:RNL+tkBD
覇王マダー!? (><)
440名無しさん@ピンキー:2008/06/03(火) 20:18:16 ID:oUug1hA5
>>437
萌えた。ただ断るだけじゃなくて最後に覚悟宣言するのがかっこいい
441名無しさん@ピンキー:2008/06/05(木) 21:56:03 ID:L/ktK+L7
ありがとう
442名無しさん@ピンキー:2008/06/09(月) 02:06:48 ID:vbqqCaaN
>>429
超GJ!続編などあったら読みたい!
443名無しさん@ピンキー:2008/06/10(火) 21:29:02 ID:jS0r/tFU
あげ
444名無しさん@ピンキー:2008/06/13(金) 16:08:15 ID:SzR3tARl
ttp://www40.atwiki.jp/oshitodomero/pages/1.html
↑の保管庫を訪れた人数が3万人と880人だった
意外と見てる人おおいのね
445名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 12:28:02 ID:ToybJNzX
446名無しさん@ピンキー:2008/06/18(水) 22:51:16 ID:iHoZvekW
芥川龍之介こんなのも書いてたんだな

芥川は注意して読まないと誰が喋ってるか見失う時がある…
447319 ◆lHiWUhvoBo :2008/06/19(木) 03:03:44 ID:GLM7rZo/
……しつこいかも。でも投下。
448319 ◆lHiWUhvoBo :2008/06/19(木) 03:04:42 ID:GLM7rZo/
  
 未来永劫忘れられない姿がある。凛々しく、雄雄しく月光の中にすっくと立ち、長剣を片手に下げた。虎体狼腰を持つ理想の戦人の姿を。
未来永劫忘れられない笑顔がある。爽やかで、健やかな微笑みを。朋友、朋輩とともに高らかに詩を謳い上げる歌声の中、一際響く『羽声』を。 
 彼の字(あざな)の通り、その羽声は他の誰にも比する事の出来ぬ見事な響きだった。激する感情に豊かな人間のみが放つ、天に選ばれし声。
それが、羽声だ。五つある音階の中で一番高い音階で、とりわけ発声が難しい。――そして彼の羽声を一度耳にして、聞き惚れぬ者など居ない。
亡楚の名将、項燕の孫である項籍、字は羽。彼が一人、武装したまま望月を讃え、夜に謳う様を私はただ、愕然として呆けながら見惚れていた。

 「……隠れて聞くな。興が削がれる。――詩想の赴くまま、ともに謳い、ともに吟じようではないか」

 この男の縁戚の、殺人を犯した『項伯』を匿ったのち、私は秦王の巡幸の際の暗殺に失敗し、過去の伝手(つて)を頼ってやっと流れて来た
江南の地で、私は……ついに待ち望んだ人傑に出会ってしまったのだ。この私が全身全霊、全力を以って仕えるべき、補佐に値する『王』に。 

 「誰かと思えば、子房では無いか。やはりその風体の方が似合うな」

 詩を吟ずる彼の歌声に惹(ひ)かれ、つい衣服を換えずに部屋を出てしまったのに気付いたのは、彼に姿を認められ、微笑まれた後だ。
韓の宰相の家に産まれた私は、待望された男児の跡継ぎでは無かった。…この男に出会うまで、己が女性であることを何度呪ったろうか。
挙句の果てにはあの秦王の建てた後宮、阿房宮などと言う所に差し出されそうになった私は、男の為りをして故国を出て諸国を放浪した。
その際、高価な装身具を身に付けるだけ身に付けて来たので、叩き売って銭にして、資金として運用すれば、生活に困ることは無かった。

 「私は男だ。出来得る限りに秦の官吏の追手を撹乱するためには、このような女の為りなど厭うて居られぬわ」
 「だとしたら世の男は間抜け揃いだな。もう、体臭からして女臭が薫る。鼻が利く人間ならすぐに露見するぞ」
 「…必要以上に他人と接触しなければ良い。そんな理屈も解らぬのか、孺子(じゅし)よ? 」

 私には『才』があった。女の身では金輪際要らぬ類の才能、知略に長けていた。『もしお前が男であったなら』と父や一族は嘆いたものだ。
しかし、私が男であったならとても秦の官吏の綿密な包囲からは逃げられなかったろう。三皇五帝の名を剽窃して新たに『皇帝』と言う位を
創設し『始皇帝』と名乗った男、秦王・政。噂では秦の王族の血すら引いていないと聞く。奴が作った管理機構は、祖国韓の公子・非の著した
書に忠実に則(のっと)った厳罰主義によって動く。彼奴等は猟犬のように幾度と無く『男:張良』を冷徹に追い詰めていた。その都度に私は
『女装』することで逃げ果(おお)せて来たのだ。男では恥と感ずる女装でも、元々は女なのだから抵抗が無い。いや、私自身、実はかなりの
葛藤が有るのだが、元の性が女なので外見の違和感が全く無く、露見しないのだ。嗚呼、孺子と呼ばれた羽が唇を噛み、私を睨み殺さんばかりに
見詰めて来る。だが――歳より幼く見える童顔が堪らなく――可愛い。もっともっと、玩弄したくなる。

 「そんな顔をするから内心が素直に解る。もっと巧く己の感情を殺す術を学ばぬと、長生など、とても出来ぬ相談ぞ」
 「泣きたい時に笑い、怒るときに喜び、侮辱されればさらに謙(へりくだ)れ。……そんな下らぬ事を続けるならば、即座に俺は死を撰ぶ」
 「…そんなに夭折がしたいのか? 」
 「ああ、したい。雄雄しく己の持てる力の限り闘い、敢え無く敗れたとしても、民の言の端に乗って永劫に語り継がれる死を…迎えたい」
 「愚にも付かぬ事を抜かす…。ただの孺子風情が、人生を全て理解した風な口を訊くな」

 私はその時、羽の言葉をただの抱負とばかり思っていた。全てを知っていたならば、間違い無くこの呪うべき我が身体…女体を以って羽の
童貞を奪っていただろう。真剣に、書物から得た手練手管を使って篭絡を試みただろう。若し、若し、若し! ……悔恨の種は尽きない。
当時の私は、最悪の選択を成したのだ。この孺子を揶揄しようと試み――羽の歌声に酔っていたのか――服の袷(あわせ)を紐解くと、月光の
下、己の裸身を曝した。
449319 ◆lHiWUhvoBo :2008/06/19(木) 03:05:22 ID:GLM7rZo/
 
 「ふん、孺子よ。死なば、このような物も拝めぬのだぞ? 女の身体も知らぬ癖に、大きな口を叩くな」
 
 羽の事を孺子と呼ぶ私も、実は歳はそう変わらない。…ただ、月のものがある御蔭で、間近に血を見ている回数が私の方が多いに過ぎない。
生意気にも一端の口を訊く彼を、少しばかり狼狽させるのも悪くない――そんな軽い心持ちで起こした行動だった。…するべきでは無かった。

 「どうした? 私は丸裸だぞ? それとも男の為りをする女は抱けぬと言うか? 」
 「!! ……早く服を着ろ、子房。 誰かに見られると折角の遁走の切札が使えなくなる」
 「他の誰が見ていると言うのだ。誰かが見ていれば、月を讃える詩など金輪際、吟じようともせぬ癖に」
 「俺は色香に迷う愚かな獣には成り果てぬ! 俺は……俺は……誓ったのだ!」

 ふひゅん、と羽の長剣が空を斬り、宙を薙いだ。そして3撃、4撃、5撃――。仮想の敵、裸体の私が次々に斬り殺されて行く幻が見えた。
息も切らさずその行為は続いて行く。羽は首を激しく振り、目に焼きついた私の姿を振り払おうと躍起になっているのが手に取るように解る。
終には固く目を閉じて、詩を高らかに吟じながら、激しく剣舞を舞い続ける。だが、羽の眉根を寄せる狂おしげな貌が、ますます私の悪戯心を
妖しく昂ぶらせてしまう。――頑なに過ぎる求道者への、堕落を促す誘惑者の気分は…実際にその役割を演じて見なければ到底、解るまい。
そして――拒絶された時の空しさに――狂おしい程の、求道者への愛情と憎悪も。

 「誰に誓った? 天帝にか? 地祇にか? それとも祖先の霊か? 私と孺子以外――知る由も無い。黙っていれば、解らぬ」
 
 私は衣服の袂を貫かせて長剣を?ぎ取り、さらに足払いを掛け、地に伏した羽に跨った。柔和な布であってこそ剛剣は、刃を包まれるのだ。
艶然と微笑んで見せ、頬を撫でてやる。しかし羽は……哀しげな目をして、私を跳ね除け、横抱きにして立った。その羽の視線の先には……
羽飾りを付けた兜を被った、この世の者とも思えぬ美しさを持つ、女武者が一人立っていた。羽の詩吟の内容は、望月を讃えていた。だが、
私はその対象が月では無い事を漸く悟っていた。私の見ている前で、女武者の視線と、羽の視線が交差した。――胸が、鋭く鈍く嫉妬に痛む。
私の存在の入る隙間など、もう眼中にも、心の何処にも無いのだと嫌が応にも解る。

 「天が知り、地が知り、人が知り――そして俺も子房も、あの『喪門神(しにがみ)』も知っている。だから――」
 「解った。少し、酔っていたようだ。それにもう疲れた。――私の床まで、このまま運んでくれないか、羽よ」
 「―――解った。もう無理せずに大人しく眠れ。……しっかり眠りに就くまで、傍を離れんからな」

 女として完全に敗北を認めたくは無かったが、ここは引き下がるほか無かった。まだ、次の機会がある。その時はそう、頑なに信じていた。
しかしその機会は終ぞ訪れず、私は流浪を余儀無くされ、羽への愛憎は募り、増すばかりとなった。そう、愛する羽を殺し、滅ぼし、悪評に
塗れさせ、私の知る、羽の真の姿を、私の記憶の中で独り占めするために。鮮烈で清冽なる若武者を、私の想像の中で思いのままに抱くために。
だから私は彼の――『覇王』と呼ばれる男の敵と成り果て、熱狂的に献策した。そして高潔な彼を陥れ、裏切り――自栽に追い込んだのだ。

 「嗚呼、やっと、やっと――私のものに――! 私のものだけになったのだな…羽よ…! 嗚呼――! 」

 強い酒精に漬けられ保存された、羽の五つに分かたれし身体を全て要望通りに下げ渡された私は即座に役宅に引き篭もり、それを愛でた。
やっと、やっと自らのものに出来たのだ、と言う安堵と嬉しさの余りに狂ったように涙を流して笑い続けた。男で有る事を強調するために
娶った妻も、養子も遠ざけた一室で、水晶を削って作った大瓶に入った羽の首を眺め、語り掛けながら、暫くの間、至福の時を過ごした。
どこからともなく現われた一人の女が、「そこに羽の魂魄など、ひとかけらも居らぬぞ」と冷ややかに、唾でも吐き懸けん軽蔑の様子で
吐き捨てるまで。その女から全てを聞き、真の羽の、魂魄の姿を見せられた私は――仙道を極めることにした。…彼と、永遠を生きるために。
450319 ◆lHiWUhvoBo :2008/06/19(木) 03:07:40 ID:GLM7rZo/
投下終了。お休みなさい。
451名無しさん@ピンキー:2008/06/19(木) 23:12:27 ID:sITg3nl1
うわぁ気が付かなかった乙!
やはり「婦人好女の如し」の張良でしたか。
452名無しさん@ピンキー:2008/06/19(木) 23:26:28 ID:bdGWFpJH
投下キテター!
覇王カッコイイよ覇王
あとヤンデレデラコワスw
453名無しさん@ピンキー:2008/06/20(金) 20:25:34 ID:oVdnAjks
このスレにくると荒んだ心と目がいやされる。
454名無しさん@ピンキー:2008/06/20(金) 23:58:26 ID:cEVTzbW0
子房タン下野したのはそういうわけかいw


GJ!
455名無しさん@ピンキー:2008/06/21(土) 16:55:17 ID:p325rXhY
GJ! あとで子房が呂后をおしとどめシーンが目に浮かぶw
そりゃ女好きで遊び好きの劉邦サマに冷たくもなるわ張子房w
子房はきっと劉邦陣営の男どもにすごくでモテてたろうなと色々妄想する
456名無しさん@ピンキー:2008/06/24(火) 18:59:04 ID:ht8KaIsJ
新規住人呼び込みのためにage
やるばっかのエロに飽きた読み手も書き手もいらっさいな〜
457名無しさん@ピンキー:2008/06/28(土) 21:35:22 ID:Z5ocUmOo
そしてだれもいなくなった
458名無しさん@ピンキー:2008/06/29(日) 02:05:45 ID:wvNfYZKx
従の旅の続きを俺は待ち続けるさ
459名無しさん@ピンキー:2008/07/06(日) 20:49:21 ID:BOXsLz8n
AGE
460名無しさん@ピンキー:2008/07/14(月) 22:25:48 ID:OHJ8Dwz6
保守
461名無しさん@ピンキー:2008/07/18(金) 00:43:52 ID:EKjg1hQA
保守
462名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 20:24:02 ID:gcLmNzdR
あげます
463名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 20:50:12 ID:u1jEmt4W
さげます
464名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 22:18:53 ID:SqPf9wfx
あげます!!!!
465名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 00:18:42 ID:tMd7WYEn
だが断る!!!!
466名無しさん@ピンキー:2008/07/26(土) 23:39:37 ID:jBsUFAFm
あげるんだ!!!!
467319 ◆lHiWUhvoBo :2008/07/28(月) 16:16:54 ID:3sw2OOJr
 
 「慎之介ぇ〜、マダぁ? まだ着かないのか? 」
 「もう少しだ。ここの終点に着いたら、歩いて15分だ」
 「もう朝から出て、7時間だよ7時間! もう疲れた!」
 
 私鉄・JR特急・JR在来線を乗り継ぎ、久慈の故郷までの二人旅は、珍道中とも形容されるに充分に値した。
何しろ今までどうやって通学して来たんだお前は? 電車通学なんだろ、と久慈が言葉を何度も飲み込むほど、
矢坂のはしゃぎ振りと物珍しさに目を輝かせている様は異様だった。私鉄の乗車券の販売機を目の前にして、
料金を入れずにタッチパネルをおずおずとツンツンしていて、久慈がそっと現金を入れるとすぐにモニターの
表示が変わって飛び上がる様などとても微笑ましかったが、この追われている状況ではただの余事に過ぎない。

 「嘘付け。疲れている奴がソースカツ丼弁当や鱒之寿司の二段重ねを喜々として平らげるのか? ん?」
 「……だっておいしかったんだもんっ」
 「俺の分までモノ欲しそうにじぃっと穴が空くまで涎垂らして見詰めて、奪いやがって。食いモノの…」
 「あ、そろそろ終点だってさ! 行こ、慎之介!」
 「テメェ、露骨に話を終わらせるな! 聞け! ひとの肩を枕にしてくーくー寝てて、疲れたも糞も…」

 終点に着く直前に、一車両で走る、ディーゼルエンジン稼動車の降り口に二人は移動する。レール上を走る
バスと言っても過言ではない状態だが、通学、通勤時には連結され『列車』の態を成す。……都市部では到底
考えられない貧相で異様な状態であるが、利益の出ない田舎の路線の扱いはこんなものであることを、久慈は
熟知していた。何せ現在の乗客は何度か停車したが終始、久慈と矢坂しか居ない貸切状態であったのだから。

 「途中で見た海、綺麗だったね慎之介。本当に崖の上を走ってるから、海に堕ちちゃうかと思ったよ」

 だんだん駅の施設も列車も格が落ちていくさまを矢坂は思いっきり(悪意は全く無く)笑い飛ばしていたが、
久慈にはやはり故郷を笑われているようで余り面白くなかった。田舎には田舎のいい所はあるんだ、と静かに
言った途端、ゴメン、と謝ってくれたが、乗り換えの度にプ、やらクスッ、やらと聞こえて来たのでどこまで
本気かわからない。見慣れた風景が、窓の外を流れて行く。流れる速度が、落ちていく。そして……。

 『終点〜、氷海〜、氷海〜、お降りの方は手でドアをお開けください』
 「プ、自動じゃないんだねっ、よいしょ、っと。……慎之…介? 」
 
 列車が止まり、矢坂はアナウンスに従いドアを開けて降りたが、肝心の久慈が付いて来ないので、振り向いた。
久慈は荷物を持ったまま、目を見開いて、信じられないモノを見た、と言う表情で石化したように固まっていた。
その視線を追い、矢坂が前を向くと、武道の稽古着を着た女性が前に立っていた。傍には教え子なのか、稽古着を
着た子供達がわいわいわらわらと30人余りもいる。その中から数人の元気の良い少年が、飛び出て左右に走る。
そして勢い良く、横断幕が拡げられた。急遽書かれたのか墨痕も鮮やかに、ところどころ墨跳ねもある。

        『おかえりなさい! 久慈慎之介 師範代! 記・板倉無尽流 初等部一同』
468319 ◆lHiWUhvoBo :2008/07/28(月) 16:17:54 ID:3sw2OOJr


 「おかえり、慎君。多岐岡の駅で見た教え子がね、師範代が帰って来たよっ、って知らせてくれたの」
 「イっちゃん、だからって…こんな不意打ち…」
 「来るのは私一人のつもりだったんだけど……みんな……聞かなくて…」
 「君一人でも驚いたさ。何せ俺は…」

 ん゛、ぅンん゛っと、わざとらしい咳払いを上げて抗議した矢坂を、女性の視線は鋭く射抜いた。明確な敵意が
注がれる怨嗟に満ちた視線をマトモに受け止めた矢坂は、勇気と負けん気を振り絞って対抗して女性を睨み返した。
女性の吊り気味の大きな眼と澄んだ黒瞳と濃い眉に、高く形の良い鼻梁は意志の頑なさと強さを想像させるに余りあった。

 「イっちゃん? 」
 「慎君、この娘(子)は誰?」

 女性にこのコ、と言われて久慈は矢坂の反応を見るが、矢坂はいつものように『僕はもう成人してるんだぞ』とか
『男に向かって何て事言うんだよ! 』と怒り出さず、何故か訂正もせずに睨み合っている。背後に吠える竜虎が
描かれそうな雰囲気だが、何故か久慈だけは察知出来ずにいた。廻りの子供達は固唾を呑んで女性を見つめていた。

 「ああ、コイツは矢坂平四郎。家の事情で追われているらしいんで一緒に連れてきた。しばらく居るよ」
 「慎君の、家に?」
 「……最初の掃除や雑事が大変だろうけど、なんとかなるさ。市役所や電力会社に停めた水道や電気を…」
 「しなくていいの。私が維持してるから。それより、子供達を連れて、先に道場へ行ってくれるかな?」
 「お、おい、俺は矢坂を…」
 「私はこの娘(子)に話があるの。先に行ってて。いいわね?『久慈師範代』」

 それでも俺は、と渋る久慈を、教え子である子供達が手や服、デニムパンツを引っ張って改札へと歩いて行かせた。
途中で振り向き、二人の様子を窺おうとする久慈の尻や膝を押してさらに歩かせる子供達の徹底振りは異様だった。
 この場から離れないと命が無くなるぞ、とばかりに放射される殺意めいた雰囲気が女性から放射されているのを、
当の久慈だけが感知できずにいたのだ。誰も乗らない列車が再発車する騒音の中、二人は駅のホームのベンチに座る。

 「僕に、何か用でもあるんですか? ええと…」
 「板倉巌。君が代の『細石(サザレイシ)の巌(イワオ)となりて』の、巌よ。…十四代目の平四郎さん」
 「!! 」
 「貴女の使ってる体内香の一種、蛇堂香はね、製法はウチの皆伝の口伝(くでん)から来てるのよ? 知ってた? 」
 
 矢坂の家は香道の家元、そして蛇堂香は製法・存在ともに門外不出・秘事口伝の香であった。丸薬にした香を呑み、
体内で分泌物に作用させて香らせる体内香の一種、それが蛇堂香の正体である。名の蛇堂は邪道の意を重ねてある。
つまり…正体を隠さねばならない変装時に使用する、正道の香道では金輪際使わない類の香の隠し名であった。

 「もうその匂いでわかったわ。知らない慎君をまんまと騙せても、板倉無尽流の後継の私は騙せないの。……ここに」
 「ひギぃ!」
 「痛いのね? という事は…まだ慎君に抱かれてない、か。…経緯を正直に話してくれる? 正直に、ね」

 巌は矢坂の股座に右手を置き、カーゴパンツ漉しに指を強くめり込ませた。本来ならば男の逸物がある場所には、
想像通り、やはり女陰が穿たれていた。矢坂が挿入の痛みに悶えるさまを、唇だけを微笑ませながら冷酷に見やる巌の
その表情は、内心に湛(たた)えた怒りと嫉妬がどれほど深く、大きい物なのかを矢坂に悟らせるには充分だった。
469319 ◆lHiWUhvoBo :2008/07/28(月) 16:20:24 ID:3sw2OOJr
投下終了! エロシーンが少ないなぁ…ズブ! だけかよオイオイ…。
このコを『済み』にするか『まだ』にするか! それで悩んで書けなくなったは内緒! んでは失敬!
470名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 18:26:24 ID:tFKt/SjP
・・・ツマンね
471名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 10:37:24 ID:9ouzB0Wo
久々に!
やってきました、
小隊長!
472名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 15:14:52 ID:L/PgoAkA
ツマランなら自分でかいてみるということもできるのが2chのいいところだ
473名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 08:17:33 ID:9y+r4DIc
久々の小隊長おつだります
474名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 21:18:53 ID:XVWjLxbl
圧縮回避保守
475名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 21:23:40 ID:I8Z2ybED
タヌキ系女剣士よりもキリリ系女剣士求む
476名無しさん@ピンキー:2008/08/11(月) 01:38:05 ID:QsbSyOjw
あげ
477名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 00:54:43 ID:4AjpH61M
ほっしゅ
478名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 06:37:22 ID:SajO3Usv
479名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 13:35:03 ID:JDkBCals
480名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 00:10:06 ID:ZhkS++vV
あげ
481名無しさん@ピンキー:2008/08/22(金) 11:38:20 ID:xUShsWKZ
従の旅の続きを読めるのはいつの日か…
482名無しさん@ピンキー:2008/08/22(金) 12:15:57 ID:ZLtf8LXB
>>481
俺たちが保守し続ける限り・・・
483名無しさん@ピンキー:2008/08/25(月) 01:12:32 ID:/row+mOD
そうだ。このスレは、落ちない……!
484名無しさん@ピンキー:2008/08/25(月) 10:36:11 ID:DkidnhMa
否、落とさせない!
485名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 23:21:25 ID:sUBwx1qM
落とさせはせんぞぉぉぉぉ!
486名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 02:28:38 ID:Sh7XE8QJ
このスレを・・・落とすな!
487名無しさん@ピンキー:2008/08/29(金) 11:28:47 ID:sa1iqhFe

この香水つけて…
このまま君のほんとの香りを感じていると
君を食べてしまいそうで耐えられない


エッチはしないよ
体をつなげないほうが心を強くつなげてるのがわかるだろ?
けど唇はちょうだい


人前でいちゃいちゃしてるほうがセックスより気持ちいい


次におまえはスルーする
488名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 23:11:41 ID:e3Ff76Lw
押しとどめたのはいいが女の子が嫌われてると勘違いしちゃうようなのが好きだ
489名無しさん@ピンキー:2008/09/03(水) 23:52:21 ID:01FB0slI
落さないためには覇王と言う名の救世主を待つばかりしかできんのか…
490名無しさん@ピンキー:2008/09/09(火) 23:30:05 ID:51CswE/D
おとさせないぜ
491携帯から保守:2008/09/12(金) 23:01:45 ID:aIV7AAIJ
女「前から男君が好きだったの!私と付き合って!」
男「女ちゃんの気持ちは嬉しいよ。だけど俺にはこのスレを保守するという大事な仕事があるんだ。だからごめん付き合えないよ。」
女「保守ですって!?なぜあなたがそんな仕事をやらなきゃいけないの!?他の人にやらせればいいじゃない!」
男「・・・この仕事は俺がやらなきゃいけないんだ。みんなを守る為に、俺がやらなきゃいけないんだ。」
女「そんな・・・」
男「もう時間だ。仕事に行かないと。」
女「帰ってきて!絶対生きて帰ってこないと許さないんだから!」
男「ありがとう、いつかきっと帰ってくるよ」

途中で飽きた
492名無しさん@ピンキー:2008/09/13(土) 00:15:11 ID:9VfzisjR
>>491
飽きるんじゃない!がんばるんだ!
493319 ◆lHiWUhvoBo :2008/09/18(木) 18:50:07 ID:/j2OU32r
落ち防止のために何にも考えずに書いた、小隊長・極秘任務にて阻止短編投下。
494319 ◆lHiWUhvoBo :2008/09/18(木) 18:51:27 ID:/j2OU32r
 
 「お願い…まだ…理性が残っているうちに…」

 久慈慎之介。陸上自衛隊・第十三旅団・第35普通科連隊・第二大隊・第一偵察中隊・第二小隊長・二等陸尉。
しかし現在は…中国系米人・大手英国系PMC登録者の『シン・クズィ』と偽り、実戦経験を積んでいる最中だった。
今頃、陸上自衛官の久慈慎之介は東京は小平の、陸上自衛隊調査学校で、20週間に亘る長い期間、特殊諜報訓練を
受けていることになっている。こんな中東の産油小国家を統べている王族の内紛になど、関わっているはずの無い人物だ。
今の久慈慎之介は、簡単に言えば【傭兵の『シン・クズィ』】。日本人ではない。そのはず、だった。

 「どうして…日本語が解らない振りをするの? 」

 予想外だった。PMCに所属し、ただ前線に出て撃ち合うだけだと思ったら、なんと隊は要人の護衛を任されると言う。
首長の第四夫人のエスコートだ。遙か中世の、ムスリムのウンマ共同体を維持するためだけに制定された一夫多妻制。
それを現在を生きる男のエゴの、都合良い法解釈だと捉える久慈には、この任務にはとても好意的には為れなかった。

 「貴方の英語の訛りは、母国語が日本語を離す人間と同じ…。私と同じね」

 チームのオフィサーもオフィサーで、『シン、同じアジア人だ、言葉は解るだろう?』と自分が女性で一番、傍で護衛が
容易なくせに、仏頂面をしながら『第四夫人』の喜色満面の顔を睨み、護衛に久慈を就けたのだ。カレン・ロドフスカヤ。
軍歴は喋らないが、噂では『狙撃で祖国のオリンピックチームに入るつもりが優秀過ぎて道を外れて堕ちて来た』らしい。

 「お願い! 今なら…今なら…打たれた薬のせいに出来るから…」

 オフィサーとしての能力は優秀なのだが、典型的な孤高の狙撃屋気質と言うか、漂う雰囲気が超然・慄然としていて、何かと
人当たりがトゲトゲしい。久慈が配属してからすぐ、瞬く間にチーム内の調整役、つまりは【オペレーター=久慈を含む
その他一般隊員】と【オフィサー=士官・隊長】との潤滑剤にされてしまったのだ。他の隊員(オペレーター、略してオプ)は
新入りの久慈を矢面に立たせてカレンに文句を言い、カレンはカレンでそんな久慈をオプの代表者だと看做し、久慈に命令をする。
 何のことはない。原隊でやっている、中隊の調整役の縮小版だ。ただ違うのは…全て英語を遣う事だけだ。久慈はきつく
目を閉じ、回想に没頭する。一旦目を開いてしまえば、拙(まず)い状態なのだ。股間の屹立が漲っている。勃起が充血し過ぎて、
根元が痛い状態だった。薬、おそらく興奮剤か催淫剤を打たれて、ご丁寧に鉄格子の檻の中に二人でぶち込まれた状態だった。

 「貴方だってもう…こんなに…なってるのに…」
 「触らないで頂きたい! 貴女の推察通り、自分は日本人です! だが貴方は首長の第四夫人、断じて不貞は働けない! 」

 状況は最悪だった。あれほどカレンに『気を配れ』と言っていた運転手のオプを買収され、車ごと拉致された。それから頭に
布袋を被せられて薬、おそらく興奮剤か催淫剤を打たれて、ご丁寧に下着だけにされたあと、袋を外されて鉄格子の檻の中に
第四夫人と二人きりでぶち込まれた状態だった。日本人特有の白い、滑らかな餅肌に、黒一色のランジェリーは目に毒だった。
495319 ◆lHiWUhvoBo :2008/09/18(木) 18:57:39 ID:/j2OU32r
 
 「どうせ殺されるのだったら、最後の思い出に…ね? …お嫌かしら? 」

 …犯人の目星はついている。首長には子が居ない。第一・第二・第三夫人はもう、老齢。運転手のオプは元嘉手納ベースの
海兵隊員で、久慈の訛りを聞き、偽装した身分を聞いて『ジャパンアーミーもタイヘンだなぁ?』と日本語で語りかけた【ブラザー】だ。
つまり、ノリがいい。いや、良過ぎたのだ。それに犯人の手際は妙に【手馴れて】いた。そのうち一人の体臭は、ジパンシーのコロン。
イタリア人のオプ、ピエトロが自慢げに普段から付けていたシロモノだ。……久慈の脳内で導かれた結論は……!

 『トム! ピエトロ! ンバルナ! ツィタ! ガルシア! 見てるんだろうが! カレンも一味か!? 』
 「なんのことだかなぁ〜? あ、カレンの姐さんは『カヤのソト』だぜ? 本気で撃って来たのには流石に肝が冷えたna」
 「やはりトムか! こんなことをして……」
 「クライアントには逆らえまへん。「お客様は神様どす」。ささ、シン、遠慮なく楽しめや! な? 」

 ……日本の商社は利益のためなら人身売買のようなエグイ裏工作を平気でやる。40年前のインドネシアがそうだった。
久慈の鋼線の束を選り集めたような絞られた筋肉質の腕に、第四夫人の豊かな双乳が当たって、潰れている状態であることが
容易にその感触から想像出来た。成熟した、女の薫り。フェロモン臭が容赦無く、久慈の脳髄の奥の方をかなり揺さぶってくる。
目を閉じても浮かぶのは、プールでの護衛で見た、女王蜂のような、見事な括(くび)れたボディライン。顔も一級品だった。
歳は、漂う色気から20代後半から30代前半と推察される。小娘には逆立ちして無理な危険で妖しい雰囲気が吹き付けてくるのだ。

 「兵士たるもの、与えられた任務にこそ忠実で無ければならぬ! それが俺を俺足らしめる一事! 誘惑になど負けられない!」
 「だけどオンナの本能はね……そんな一途なオトコを心の底から蕩(とろ)かせて、服従させるのが生き甲斐なの…」
 
 必死に理性を働かせ、丁寧に押しのけようとする久慈に、第四夫人は獲物を捕らえた女郎蜘蛛さながらに手足を使い絡みつく。
数分の攻防の後、ついに久慈は眉根を寄せた後、第四夫人を強く抱き締めた。思わず喘ぎ声を漏らす夫人の耳に、久慈は囁いた。

 「今の自分には、こうする事が精一杯です。何卒、自分に貴女の護衛任務を全(まっと)うさせて頂きたい」
 「頑(かたく)なな人……。どうしてそう……耐えられるの? 私がそんなに、嫌い? どうして? 」
 「クズィが『私の』優秀な部下だからです、夫人。…部下への買収と、この誘惑と火遊びと引き抜きは即刻、お止め頂きたい」

 訛りの無い女声の日本語に、久慈が驚いて目を開けると、カレンが5人の部下のオプを叩きのめして積み上げて、その上に腰掛け、
こちらを睨んでいた。その声には『激怒』と大書した爆発物の起爆装置の信管がいつ作動しても不思議では無い切迫感が渦巻いていた。
 一瞬だけ、互いの目が合った途端、一時カレンの顔が泣きそうに歪んだのを、久慈は不思議に思った。……これが任務でなければ。
そう、目が言っていたように見えた。すぐにカレンの大きな瞳は怒りの色を浮かべ、第四夫人をその鋭い視線で刺殺しかねない位に
激昂していた。……護衛任務はまだ、30日を残している。久慈は解放されたら真っ先に、チームの皆の弁護をしようと心に誓い、
そっと第四夫人を押しのけ、すぐに己の体でカレンの殺人視線から庇った。…この護衛任務はクライアントとの相互信用が第一なのだ。
たとえそれが危険な誘惑者であり、魅惑者であっても、だ。

                 久慈のPMCでの『極秘研修』、実戦経験の学習はまだ始まったばかりだ。
496319 ◆lHiWUhvoBo :2008/09/18(木) 18:59:24 ID:/j2OU32r
投下終了。さびしからずや道を説く君。んじゃまたいつか。
497名無しさん@ピンキー:2008/09/20(土) 13:42:55 ID:evxPNTKF
話ぶっ飛び、だがそれがいい!
これからも我々は支援つづける
番号!!!!!
498名無しさん@ピンキー:2008/09/20(土) 14:44:07 ID:X+ahet8H
1!
499名無しさん@ピンキー:2008/09/20(土) 15:12:13 ID:Ou5yqvo8
2!
500名無しさん@ピンキー:2008/09/20(土) 19:06:19 ID:1N/BcRA/
(^p^)サァン!!
501名無しさん@ピンキー:2008/09/20(土) 19:35:39 ID:SdKbaWlS
>。< スー!
502名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 03:22:25 ID:kMmcPAJq
小隊長が女性に
「コンドームつけたら大丈夫だよ。だから……しよ。」
って感じで誘惑されて遂に誘惑に負けてしまったら
コンドームの妊娠を防ぐ確率が100%じゃないために奇跡のような確率で妊娠しちゃうとかありそう


小隊長の理性が負けるようなことがあったらもう奇跡の一つや二つ起こっても不思議じゃない気がする
503名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 21:16:09 ID:97ofho+B
たぶん小隊長になる前に生中出ししてる娘が何人かいると思うw
504名無しさん@ピンキー:2008/09/22(月) 01:28:08 ID:uEkgWsaJ
>>503
お前……読んでないな?
505名無しさん@ピンキー:2008/09/22(月) 23:41:28 ID:Yd0GNLsQ
ドドドという効果音をバックにJoJo立ちをした>>504の幻影を見た。
506名無しさん@ピンキー:2008/09/23(火) 00:21:47 ID:D9dJVU4y
一人いるだろ、後ろだが
507名無しさん@ピンキー:2008/09/24(水) 22:26:59 ID:arPQzdHr
えーと、整理すると

・小隊長と通称はされているが久慈慎之介は現在(>>198-199)は自衛隊所属ではない
>>354-356>>467-468は通称小隊長の大学生時代の話である
>>494-495は自衛隊調査隊ねーちゃんが必死に隠蔽しようとしてケツを掘られた小隊長の自衛隊時代のことである

通して読んでみると伏線はちゃんと張ってたのねw 果たして大学生時代にどんな阻止を見せてくれるのかw
508名無しさん@ピンキー:2008/09/27(土) 00:59:39 ID:5MO49ArR
「いやっ!やめてっ!抜いてっ!」
「フフフ、望み通りあなたの体で抜いてあげましょう」


うん、エロカッコイイ
509名無しさん@ピンキー:2008/09/27(土) 23:10:04 ID:Xux8OHbB
>>508
潔いな。
510名無しさん@ピンキー:2008/10/01(水) 12:18:48 ID:b3RAO62F
最近コンビニで立ち読みした漫画「サンケンロック」は
6巻までで3人、抱いてと言い寄ってきた
女を押しとどめていたな
511名無しさん@ピンキー:2008/10/04(土) 22:09:57 ID:wjWbLEep
概略おくれ
512名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 01:34:35 ID:9dwLGuhB
確か朝鮮人が描いてるマンファだっけか?
513名無しさん@ピンキー:2008/10/11(土) 23:20:16 ID:X84Y9wAj
韓国人だよ
514名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 02:33:22 ID:sN7fH8ok
コードギアス終わったし従の旅帰ってくるかな
515名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 23:28:22 ID:4DeWPg2+
以前読んだものから一言で


         「恋は一度で十分だ」
516名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 22:13:55 ID:IeazfDKx
新聞小説の「下天を謀る」がこのスレ向きな点について。

主人公は安土桃山の頃の武将、藤堂高虎。その余りにも立派な逸物故に正室の膣を破壊した過去を持っている。
ある時出会った姫武将、水野照葉。
徳川家康の親戚筋に当たる彼女とちょっぴり良い雰囲気になるものの、もともと彼女にあった縁談が壊れたとか色々あった挙句、加藤清正が空気を読まず仕舞いで嫁にしてしまった。
その後、高虎の恩人が死にそうだと聞いて見舞いに出向くと、その御仁が預かっている娘を側室にと紹介された。
高虎はもとより断る構えだが、前田利家が死んだのでそれ処で無い状況になっている。

うん、このまま彼女の事も忘れられる可能性も否定出来ないなぁ。
517名無しさん@ピンキー:2008/10/24(金) 00:59:46 ID:aiHRjqNn
518名無しさん@ピンキー:2008/10/25(土) 06:59:22 ID:TOq2+20g
519名無しさん@ピンキー:2008/10/26(日) 00:44:38 ID:QkMvtlLP
520名無しさん@ピンキー:2008/10/27(月) 00:39:01 ID:h1pyKgeC
521名無しさん@ピンキー:2008/10/27(月) 18:36:40 ID:T/unUU2o
522名無しさん@ピンキー:2008/10/27(月) 23:57:15 ID:YjQstnes
523名無しさん@ピンキー:2008/10/28(火) 11:07:43 ID:MlAP0LuJ
「下天を謀る」ですが、加藤清正が空気読みやがりました。
524名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 23:09:22 ID:tj/Bf2X5
危ない!保守を!
525名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 23:39:02 ID:06lwjmg1
ほす
526名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 03:04:16 ID:jnUbEzNM
あげるか
527名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 21:07:18 ID:3D2XrjPo
つい先ごろなのはエロ小説スレに掲載された作品がまさにこのスレのテーマな件について。
528名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 06:12:59 ID:u7g21qHM
あいつが帰ってくるまで!俺は!保守を!止めない!
529名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 00:47:14 ID:XnMgwvW+
(´・ω・`)
530名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 22:08:32 ID:mk1ZbKd7
('∀`)
531名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 02:03:25 ID:p2f4xAi4
とりあえず保守
532名無しさん@ピンキー:2008/12/01(月) 19:15:32 ID:ULIg0qvE
ほおおおおおおおおおおおおおおおおおっしゅ
533名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 23:56:00 ID:OvcukNSE
age
534名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 23:44:59 ID:O1aR3kxH
さげ
535名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 10:15:24 ID:sS1z+5bF
させん
536名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 22:36:29 ID:I2EGWJRt
あげ
537名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 23:43:05 ID:LTL/PdVB
もいっちょ
538名無しさん@ピンキー:2008/12/22(月) 23:49:25 ID:sKOTh9+5
全力で保守
539名無しさん@ピンキー:2008/12/29(月) 03:19:43 ID:3erW63KI
(・∀・)
540319 ◆lHiWUhvoBo :2008/12/31(水) 11:59:41 ID:qPor3nwd
エロ無し、嫉妬あり、投下開始。次でエロ! エロエロ! ……入れちゃあ、駄目だけど。
541319 ◆lHiWUhvoBo :2008/12/31(水) 12:00:17 ID:qPor3nwd
 

 「本名は? 戸籍名は何? 」
 「矢坂平し……」
 「慎君に貴女の『はぢめて』を、あげられなくなっても構わないの? 」
 「矢坂、矢坂伊織…」
 「よく出来ました。伊織さん、ね。私も教えてあげる。昔々……」

 巌が話したのは三人の侍の話だった。『殿様』『千石』『たこ』。殿様の正体、千石の正体、そして、たこの正体…。
矢坂、久慈、燕こと板倉の苗字の出自に思い至った。特に板倉は忍者の流れも汲むのだ、と言う話を聞くに従って、
体内香の伝来の繋がりもストン、と矢坂「十四代目」平四郎こと伊織も腑に落ちた。しかしまだ納得が出来無いのが……!

 「……巌さんは、慎之介の何なんですか?」
 「私も貴女にそれが聞きたいの。貴女は慎君の何なの? ……男のフリをしてまで…! 」

 矢坂が唇を噛んだ。何も持ち出せないままで出発したせいで、体内香の効果がもう少しで切れる。その時、鼻の効く
久慈はどう反応するのだろうか? このまま傍に置いてくれるのだろうか? それとも…拒絶し、目の前の女の所に…!?

 「勉学上の…ライバルです。彼に勝つには彼を知らねばならない、そう思って…」
 「下手で粗雑な嘘」
 「な…」
 「明らかに私を見るとき、敵意を隠さなかった。貴女は「女」の顔をしてたの。気付かなかった? 」
 
 矢坂は自分の行動を振り返り、頭を抱えたい気分になった。何故普通に『行くぞ慎之介!』と普段のように、さらりと流して
終われなかったのか? 久慈の顔に、憧憬、哀惜、悔恨、懐古…様々な、自分の浮かべさせた事の無いその表情を見て、思わず
嫉妬してしまったのだ。感情を抑制する術は幼児の時より教育をさんざん受けて来たはずだった。しかし、久慈の前では冷徹な
仮面を付けることをつい、忘れてしまう。久慈のそばにいるだけで「君はそのままでいいんだ」と言うような、暖かく、優しい
雰囲気にさせられてしまうのだ。離れたくなかった。離したくなかった。誰よりも、他の誰よりも傍にいたかった。だから…!

 「……いつも、彼の隣に居ましたから。仲の良い――男の――親友として…」
 「頭のいいやり方。慎くんに他の女がくっついてきても、それならどうとでも出来るものね。でも…」
 「でも…何です? 」

 フン、と鼻で笑い飛ばした巌に、矢坂は気色ばんで問い質した。まだ、この女性と久慈との『関係』を聞いては居なかったのだ。
一抹の不安を胸に秘めながら、矢坂は精一杯の虚勢を張って強くあろうとした。矢坂の直感と想像通りなら、この女と慎之介は…!

 「まあいいわ。今日の22時、道場に来たら解るでしょう。こっそりと、ね? そろそろ行きましょう。慎くん一人じゃ危ないし」

 矢坂がその言葉に気付き、慌てて久慈を探すと、子供達にまとわりつかれたり、服を引っ張られたり、道路に飛び出そうとする子を
襟を引っ張って停めたりと散々な目に遭っていた。だが、その横顔が何故か愉しげに微笑んでいたのを見た矢坂は、捲き起こる嫉妬に
胸が締め付けられる苦しさを覚えていない。――自分の知らない久慈を、ここに居る久慈の故郷の人間が知っている――! 
 
 「僕も手伝うよ! いいよね、慎之介?! 」

 ベンチから勢い良く立ち上がり駆け寄る矢坂に久慈はニッコリ笑って見せ、次にひらひら、と手を振った。――助けは要らない。
父性愛に満ち足りた笑顔だった。――ああ、これだ、求めていたのはこの安らぎだった――! 矢坂はついに、己の中の想いを
自覚し、そして戦慄した。……この笑顔を他の誰かに奪われ、己の前から永遠に失なわれてしまうことの恐怖に。
542名無しさん@ピンキー:2008/12/31(水) 12:01:51 ID:qPor3nwd
投下終了。……挿入無しのレギュレーションはキツイが…やってみる。またいつか。
543名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 18:06:45 ID:4d37jmZD
おや、小隊長さん。あけおめです
544名無しさん@ピンキー:2009/01/08(木) 13:05:15 ID:g8buIP6m
上げ保守
545名無しさん@ピンキー:2009/01/08(木) 23:48:55 ID:0J+VYZaa
伊織たん(;´Д`)ハァハァ
546名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 00:23:33 ID:wMyTUzzl
おおおきてた、油断してた
547名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 11:54:06 ID:20DWo1U9
とりあえずAGE
548名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 01:42:58 ID:UynsqUt+
あげ
549名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 03:12:22 ID:1CmQWg+Y
( ・д・)
550名無しさん@ピンキー:2009/01/28(水) 20:41:17 ID:8Fs12Pdz
( ^ω^)
551名無しさん@ピンキー:2009/02/04(水) 00:55:41 ID:g//DbBIZ
止める
552名無しさん@ピンキー:2009/02/04(水) 23:24:47 ID:S7DMMp/j
ho
553名無しさん@ピンキー:2009/02/08(日) 01:59:17 ID:9CE1RawI
一日一age
554名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 23:44:08 ID:YuDPhGZ5
従の旅の作者を待ち続けて1年と3週間
まだまだ待ってやるわ!
555名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 01:33:47 ID:3R0oQoLL

556名無しさん@ピンキー:2009/02/17(火) 19:27:44 ID:go83YvX6
押しあげ
557名無しさん@ピンキー:2009/02/21(土) 06:32:35 ID:H/KkpeAR
age
558名無しさん@ピンキー:2009/02/23(月) 00:11:38 ID:0i9vT3eO
SSを投下しようかと思ってるんだが、
このスレ的に拒絶前はどこまでいってOK?
本番以外で男が射精する、女がイクのはNG?
559名無しさん@ピンキー:2009/02/23(月) 01:16:13 ID:F5tbtOVl
個人的には肉体的でも精神的でも押し止めてたらおk
まあ本番前までなら大丈夫かと
560名無しさん@ピンキー:2009/02/23(月) 19:42:01 ID:5a6LuhAM
アナルに挿入は灰色らしい
561名無しさん@ピンキー:2009/02/28(土) 22:01:30 ID:QYKHMhFy
保守
562名無しさん@ピンキー:2009/03/02(月) 22:57:38 ID:5GwJYAKI
ほっしゅほっしゅ
563名無しさん@ピンキー:2009/03/03(火) 16:12:25 ID:dnXB5Zoi
SSマダー?
564名無しさん@ピンキー:2009/03/04(水) 02:19:16 ID:xBSiGEvt
従・・の・・・・・
565名無しさん@ピンキー:2009/03/05(木) 01:41:08 ID:u8UD9h4a
過疎なのに投下されている文章のレベルが総じて高いのは何でなの………
566名無しさん@ピンキー:2009/03/08(日) 00:46:23 ID:TZbZb7iz
ho
567名無しさん@ピンキー:2009/03/08(日) 00:59:07 ID:a3lbhBZA
>565
エロの表現に力を注がなくていいからじゃ…
568名無しさん@ピンキー:2009/03/08(日) 01:32:30 ID:ZbojvvrS
>>567
このスレのSS
そこらへんの挿入ありの二次スレや一次スレのよりかなりシチュエーションが豪華でエロい
569名無しさん@ピンキー:2009/03/08(日) 21:00:19 ID:PVSeRjtP
初めてこのスレ見たが、最高じゃまいか…
過疎なのが惜しまれるな
570名無しさん@ピンキー:2009/03/11(水) 22:28:52 ID:fW1DzZmN
ho
571名無しさん@ピンキー:2009/03/14(土) 17:32:43 ID:jEs5Qcc5
ho
572名無しさん@ピンキー:2009/03/15(日) 02:55:05 ID:sZAQoF5p
ぬるぽ
573名無しさん@ピンキー:2009/03/15(日) 03:40:20 ID:xsmVgJyn
>>572
ガッ
574名無しさん@ピンキー:2009/03/18(水) 16:58:31 ID:CoN78LxL
はぁ、文才があればなぁ…
575名無しさん@ピンキー:2009/03/22(日) 23:05:42 ID:kWPDl9E+
保守
576名無しさん@ピンキー:2009/03/26(木) 12:43:14 ID:em6xuvZy
従の旅の続きはいつまで待てばいいんだ
577名無しさん@ピンキー:2009/03/28(土) 22:00:40 ID:d6JslFp0
いつまでも待ーつーわ♪
578名無しさん@ピンキー:2009/03/29(日) 01:32:45 ID:9mXsfr5W
二年ぐらい放置されててもひょっこり戻ってくる職人さんもいたりするから油断できない
俺もいつまでも待つ
579名無しさん@ピンキー:2009/04/09(木) 03:01:17 ID:DNpEiWmo
まだ終わらせないよ。
いつまでも待ってます!
580名無しさん@ピンキー:2009/04/09(木) 16:39:59 ID:QvYG49xe
読者の投下してくれという求めを押しとどめるスレになってるね
581名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 13:20:24 ID:qn/9025C
うおおたまらんシチュだほしゅ
582名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 16:32:01 ID:dScUN0lk
じらしプレイか・・・・
583名無しさん@ピンキー:2009/04/14(火) 17:18:38 ID:DrHjnCKZ
319氏マダー?  
584名無しさん@ピンキー:2009/04/16(木) 12:31:57 ID:H753x/7o
保守
585名無しさん@ピンキー:2009/04/17(金) 19:05:27 ID:2PAnxsFi
保守
586名無しさん@ピンキー:2009/04/17(金) 21:21:12 ID:1MD4O6SC
保守がてらに人気投票でもやるか

覇王の連作に一票
587名無しさん@ピンキー:2009/04/21(火) 01:36:43 ID:Oo/YX4YG
全力で保守
588名無しさん@ピンキー:2009/04/25(土) 00:49:41 ID:nscxnTp9
保守
589名無しさん@ピンキー:2009/04/29(水) 22:33:34 ID:AxIFwxCX
590名無しさん@ピンキー:2009/04/29(水) 22:33:40 ID:T7ZSNAGi
圧縮回避
591名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 00:28:13 ID:qwVRB9Rd
ho
592名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 07:37:23 ID:VDE0GO5d
ho
593名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 23:06:42 ID:XRoVRXYd
あげ
594名無しさん@ピンキー:2009/05/23(土) 22:22:21 ID:QGpyAZe/
落としたくねぇよっ!
595名無しさん@ピンキー:2009/05/30(土) 01:22:51 ID:FF7I87IN
カッコイイぜ
596名無しさん@ピンキー:2009/06/04(木) 23:44:56 ID:KHCzEBiP
ここは俺がエロカッコ良い保守ageを
597名無しさん@ピンキー:2009/06/06(土) 01:44:49 ID:rzeBnA71
まだかなまだかな〜♪

職人の、おじさんまだかな〜♪
598名無しさん@ピンキー:2009/06/06(土) 04:19:24 ID:NL+WfAyf
文体がそっくりの職人を某スレで発見したがなー
599名無しさん@ピンキー:2009/06/06(土) 08:50:59 ID:s2hMnc6o
へぇ
600名無しさん@ピンキー:2009/06/07(日) 01:18:17 ID:5LSDzy4H
もう600かぁ
601名無しさん@ピンキー:2009/06/07(日) 06:14:22 ID:N4/FPn5Z
しかし正月から保守ばかりっつーのは・・・

ま、今に始まったこっちゃないか保守
602名無しさん@ピンキー:2009/06/12(金) 01:42:20 ID:6LtvJ3bW
ああ、未練がましいと思いつつも従の旅を待たずにはいられない
ハッピーエンドでもバッドエンドでも物言いはつくだろうが
603名無しさん@ピンキー:2009/06/13(土) 23:00:14 ID:rN22G1ST
age
604名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:51:47 ID:cyEKDxIb
俺にも保守させてくれ!
605名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 06:53:32 ID:QUJvKl7k
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!

従の旅ぃぃぃ〜〜〜!!!!!!!!!!!
606名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 00:41:06 ID:xEdaEepZ
保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守保守
保守ーッ!
607名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 01:25:11 ID:ei62PI1k
誰か新作を・・・
608名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 22:40:04 ID:LIeBVsqM
>>607
>>605に見られる一連のアレに引いてるんだろうな
俺はそれほどイイ話とは思えんがなぁ
609名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 07:57:26 ID:PD/X2K6E
自分はあの話好きだけど
何が投下されても無視して従の旅従の旅連呼する人が居る限り
こんなスレに投下してくれる職人さんなんて来ないだろうなとは思ってる
610名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 23:38:21 ID:qiQHvfaI
たいちょー・・・
611名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 02:14:44 ID:54dffgOO
>>609
一番凹んでるのは319氏だろ
あんなにSFから古典モノから現代モノまで手広く書けてやってくれても毎回それだもの
もういいやとばかりにもっと住人ウケのいいとこで書くわなそりゃ
612名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 20:45:40 ID:W0n2FmYB
続編とか新作とかなんでもいいから投下!投下!
613名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 20:55:26 ID:ek5uBY/K
で、投下があったらそれを無視して
また乞食が従の旅を連呼するわけですね
614名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 09:25:50 ID:ssEWCrUX
ならば試してみようじゃないか?
頼んだぞ>>613
615名無しさん@ピンキー:2009/07/01(水) 03:04:44 ID:zNWrTHlM
楽しみ
616名無しさん@ピンキー:2009/07/08(水) 10:02:04 ID:wclperEE
617名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 21:51:06 ID:33kDzcaT
きょ
618名無しさん@ピンキー:2009/07/20(月) 12:55:20 ID:i2GF9sBy
保守
619名無しさん@ピンキー:2009/07/22(水) 22:40:37 ID:6pSDJkXQ
age
620名無しさん@ピンキー:2009/07/23(木) 23:51:15 ID:B6NMDd7P
ほしゅ
6211/2:2009/07/24(金) 01:00:37 ID:cPGyFJxe
このスレレベル高過ぎるww
保守代りに投下。昭和の時代小説チック。細かい設定とかはスルーで。

−−−−−


「主命じゃ、私を抱け」

夜具の中で、乾いた女の声が男の心を貫いた。
旅の夫婦という態で、二人は宿をとったが、随分不釣り合いな組合せだということは重々承知している。
まだ少女にも見える女は見目麗しく、年の離れた男はいかにも醜かった。
道中で、不可思議そうな人々の好奇の目を向けられる度に男は、
「なぁに、ちょいとこいつの親がやらかしちまいましてね」
と、下卑た笑みを浮かべた。途端に人々は、軽蔑の眼差しで男を睨みつけ、離れて行ってくれた。
有体に言えば、女は男が仕える姫であった。
祝言を間近に控えた姫が、あろうことか毛唐の商人に懸想してしまった。
その姫の必死の懇願にほだされ、城から連れ出して今に至るというわけである。
男は天涯孤独の身の上だった。
剣の師も昨年世を去った。
城では実直で寡黙な男を同輩達が侮り、男の醜さを嘲った。
姫が男を逃避行の守護者に選んだのは、剣の腕だけではなく、男の孤独さゆえだったのかも知れない。
明日には、姫の想い人が待つ港町に着き、追っ手から逃れ続ける日々が終わる。
「――聞こえなかったのか、私を抱け」
再び、姫が囁いた。
押し殺された声には静かな怒りが込められている。
隣の部屋に潜んでいる者に気付いたのは男だった。
不釣り合いな夫婦に疑惑を抱き、然るべき所に駆け込めば、いくばくかの恩賞に預かれると
踏んだ宿の者だろう。
姫は、逡巡の後に、夫婦の睦事を見せつけて、間者を欺くことを決めた。
愛する人に会うために、むくつけき男の手で純潔の花を散らすことを選んだのだ。
「……出来ませぬ」
女がまなじりを上げる。
「何故じゃ。この期に及んで、おめおめと捕まる気か?」
「捕まる気は毛頭ございません。最後の一人まで斬ってでも、お逃がし致します」
「だが、そちは傷を……」
そう、男は浅からぬ傷を負っていた。
せめて今夜一晩は追っ手から身を隠して体を癒しておきたい。
女は唇を噛みしめた。
「……すまぬ。そちの傷も私のせいであったな」
疲れが滲む女の乾いた唇すらも、男には眩しく美しく思えた。
男は女というものを知らない。
一度、遊び女を買おうと思ったことがあったが、客引きをしていた女達がすっと視線を落とした時に、
冷たいもので心臓を握られたような気がして、逃げるようにその場を去った。
「……この私の身体を報酬代りにするとは思えぬか?」
女が着物の袷を広げ、自身の白い乳房を曝け出した。
わずかな灯りに女の乳房の見事な陰影が映し出される。
綾織りの絹を思わせるような肌理の細かい肌に青い血管が浮き上がっている。
紅珊瑚の乳首は夜気にあたり、ツンと尖っていた。
男の喉が鳴った。
622名無しさん@ピンキー:2009/07/24(金) 01:01:31 ID:cPGyFJxe
「――報酬など望んでおりません」
男の言葉に嘘はなかった。
主君を裏切り、同輩を敵に回すことを決意したのは、恋に狂った女があまりにも美しかったからだ。
己の知らない恋情というもののために全てを擲とうとした女に、男は夢を見たのだ。
女の瞳が翳り、絶望の色が浮かんでくる。
「では、手前がこれから申し上げますとおりにして頂けますか?」
男が耳打ちすると、女の頬に朱が走った。
「先ほどの決意に比べますれば、何と言うこともございますまい」
女が小さく頷き、白い手を自らの胸へと差し入れた。
「……あっ、あっ、ああっ」
男が女に覆い被さり、自身の固くなった陽根を女に触れさせないように注意しながら、腰を動かす。
女は、まるで本当に男に犯されているかのように、自らの手で秘唇を開き、指を出しいれさせる。
手淫する姫はそれでも気高く美しかった。
狂おしいほど淫らな声を上げて、女は絶頂を迎え、ことんと眠りに落ちた。
隣に潜む者の気配はもうない。
男は女を組み敷いたまま、声を殺して泣いた。


翌日、商船に向かう女を男は黙って見送った。
「そちも……」
黙って深々と頭を下げる男に、女は哀しげに目を伏せ、背を向けた。
空は抜けるように青かった。
街道で追手に出会った時に、死んでもいいと思ったのはそのためだろう。
だが、追手にあの男がいるのに気づいた時に唐突に負けるのが悔しくなった。
眉目秀麗な偉丈夫は姫の許婚であり、男を責め苛み続けた同輩であった。
「貴様――ッ! 姫君を何処に隠したッ!!」
男は無言で刀を抜いた。
地摺り下段の切っ先をやや下げ、膝を極限にまで曲げて腰を落とす構えに偉丈夫は嗤った。
「何と卑しい構えだ! まさにお前に似合いの構えではないか」
正眼の構えから大上段に振り下ろされた刀を男の刀が弾き、返す刀で斬りつける。
白刃のきらめきの下に血飛沫と切り落とされた指が散った。
偉丈夫がくずおれ、同輩たちが青ざめた顔をしながら男を囲む。
男はニイッと歯を剥き出して笑った。

―終―
623名無しさん@ピンキー:2009/07/25(土) 03:26:34 ID:bzP73bnX
GJ
624名無しさん@ピンキー:2009/07/25(土) 07:41:49 ID:bXqzCUpN
良いな、これは
625名無しさん@ピンキー:2009/07/25(土) 11:40:02 ID:/QLkS18X
ぶらぼう
626名無しさん@ピンキー:2009/07/30(木) 03:23:15 ID:6WrJpvav
ご馳走様
627名無しさん@ピンキー:2009/08/07(金) 23:23:30 ID:FWuEPc2n
保守
628319 ◆lHiWUhvoBo :2009/08/11(火) 19:01:40 ID:7x0DvRYu
…迷ったが途中だが投下。
629319 ◆lHiWUhvoBo :2009/08/11(火) 19:04:10 ID:7x0DvRYu
 22時きっかりに、板倉家をこっそりと訪れた『十四代目・矢坂平四郎』こと矢坂伊織は、広い屋敷の奥の道場へと
辿り着いていた。久慈慎之介の手料理の、地物の魚介類を捌いた夕食を堪能し、眠りこけた振りをするのは骨が折れた。
 正確には『こんな生活が続けばいいな』と、夢見が良すぎて、余りにも幸せ過ぎて起きるのが辛かっただけなのだが。

 『なに……これ……』

 矢坂の眼前で武道の稽古着に身を包んだ若い男女が対峙していた。一人は愛しい『久慈慎之介』。もう一人は『板倉巌』。
よく磨かれた道場の床板には、神棚に上げられた灯明の光が反射している。……道場の光源はそれしかない。月は新月。
星明かりと風にゆらめく灯明が織り成す陰影が、二人をこの世ならぬ幽玄の世界の住人めいたものに見せている。

 「腕はまだ、鈍(なま)ってないようね、慎くん」
 「イっちゃんこそ……」

 声に揶揄する程の余裕があるのは、女の『板倉巌』のほうだ。微笑みすら浮かべて、摺り足で距離を詰めて行く。対する男
『久慈慎之介』の顔からは、だらだらと汗が滴り落ちている。技を仕掛けようにも仕掛けられない。組み付けば必ず、負ける。
 傍で共に武道の研鑽を積んできた伊織だから解かる。自分よりも腕が立つ慎之介がこうも畏れる相手は、かなりの化物だと。
板倉巌の、息を吸う高い音が聞こえた。目を閉じ、うっとりと香りを嗜む風情が……緊迫した場の空気には不釣合いだった。
巌の頬が上気しているのが、隠れて見ている伊織の目にも明らかに解る。

 「これ……これなのぉん……! 慎くんの、慎くんのこの匂い……! たまらなぁい……」
 「僕はもう……あのときの無力な、僕じゃないんだよ、イっちゃんっ! 」
 『ぼ、ぼくぅ?! 』
 
 久慈慎之介が『僕』と言う一人称を使うのを始めて聞いた伊織は一瞬虚を衝かれた後に、その相応さに深く頷いてしまう。
『俺』と言う一人称はどこか野卑ていて、どことなく上品な雰囲気を持っている久慈には似合わないと日頃思っていただけに
実際にこうして聞いてしまうと、新鮮な驚きと感動すら覚えてしまう。呼び掛けが契機になったのか、久慈が巌の右袖を取り、
仕掛けた。

 「そう……? でもね、私にはあの頃と同じ慎くんなんだよ? 」

 しかし、いとも容易く巌に両手首を取られ、返されて床に久慈は転がされてしまう。伊織にはその光景が悪夢のように思えた。
自分が何を仕掛けても微動だにせず、また簡単に往なしてしまう慎之介が、巌のたった一挙動で、哀れにも無力化されている。
それを誇るでも無く、耽耽と目を悦びに輝かせ、表情を欲情に蕩かせながら、久慈の関節を極(き)めて、胸板に頬擦りする巌。
気配を殺すことに留意していなければ、きっと自分は制止の声を上げていただろうと伊織は思った。

 「欲しい……欲しいよぉ……慎くぅん……! 」
 「イっ……ちゃんっ! 駄目だっ! 」
 「おまたが……せつないのっ……! 慎くんの堅くてふとくておっきいのが欲しいって、泣いてるのぉ……! ほら……!」

 巌が袴を解き、下半身を久慈に見せ付けた。巌の、てらてらと秘蜜に光る太腿に、無毛で、昂奮に綻んでいる薄桃色の女性器を
伊織は見た。淫靡であるが、幼女の清楚さすら感じさせる佇まいは、男と生まれたからには見惚れても可笑しくはない光景だった。
 だが、久慈は目を堅く瞑り、眉根を寄せ、顔まで背けて拒絶している。体をのたうたせて逃げようとした久慈の必死の抵抗を、
上の胴着も脱いでしまった巌は、魅力的なフォルムを誇る肢体を久慈に擦りつけながら往なし、さらに久慈の胴着を剥いでいく。

 「ほら慎くん、こんなにおっきくしてる……」
 「お願いだ、イっちゃん……僕は……」
 「私のナカにいっぱいくれたあの日の慎くんは、どこに行ったの……? 好きじゃなくなった、って嘘ついて、逃げてっ……!
  でも、私のことが好きじゃなくなったのなら、こんなにならないよね……? ねえ……そんなに、病気が怖いの……? 」
 
 病気、と聞いた瞬間、久慈は目を驚きに見開き、巌を見た。男の性欲は視覚により励起されることを、久慈は理解していたが故に
目を閉じ抵抗していたのだ。だが、その『病気』と言う言葉にどんな意味があったのかは伊織にはわからないが、かなりの衝撃を
久慈に与えたのだろう。抵抗することすら止めて、巌を呆けたように見据えていた。

 「慎くんの病気は、絶対遺伝するってこと、ないんだよ……? 」
 
 巌は魅惑的に頬を赤らめ微笑みつつ、久慈の『男』をいとおしげに擦り、体を擦り付けて楽しむ事を止めないでいた。
630319 ◆lHiWUhvoBo :2009/08/11(火) 19:05:02 ID:7x0DvRYu
投下終了。この後で迷っているわけで。失礼しました。
631名無しさん@ピンキー:2009/08/11(火) 20:58:00 ID:tbZfFNsy
oooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooo!
きたきたきたあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!

GJ!
632名無しさん@ピンキー:2009/08/11(火) 21:49:57 ID:FsUHBh2l
すげえ劣化どころかエロさも文章もさらにレベルアップしてる
ばけものだ
633名無しさん@ピンキー:2009/08/12(水) 23:29:18 ID:ku49Tqg7
うおおおおおおおおお久々に覗いたら奇跡の遭遇ktkr!!!
毎度毎度のクオリティすげえよあんた!
急展開の続き全裸で待ってるからなー!!!!!
634名無しさん@ピンキー:2009/08/13(木) 00:37:11 ID:llC6U7eC
GJ
待ってるぜ
635319 ◆lHiWUhvoBo :2009/08/13(木) 03:41:03 ID:ZeDwWq2Y
本当は書き溜めてからの方がいいのは解っているのですが。
前にスレ的な【NG】をやらかしてますんで……審議待ちということで、この時刻に投下します。
636319 ◆lHiWUhvoBo :2009/08/13(木) 03:43:07 ID:ZeDwWq2Y
 
 「誰から、それをっ……! 」
 「子供にもし遺伝病が出たとしても、ある程度まで心臓が成長すれば痛みもなくなって、慎くんのように治るかも知れないし。
  ね……。慎くん……早くぅ……慎くんのを欲しがって、はしたない涎を垂らしてるぅ、巌のおまたにぃ……ね? 」

 久慈の顔からは血の気が引いていた。ひた隠しに隠していた事実を目の前につきつけられ、かなりの葛藤が久慈の心に去来している
のが遠目にも伊織に見えた。それでいて、久慈の股間の極太の帆柱が萎えていないのは【女として】悔しい。衝撃にも勝る性的昂奮を
目の前の女らしい女、巌が視覚的にも触覚的にも久慈に与え続けて、それが確実に功を奏しているのが解かるだけに尚更、思いは募る。

 「あんな呼吸が止まる苦しい思いを、君は、君は僕との、自分の子供に平気でさせようと言うのかっ、イっちゃんっ! 」
 「そうよ……? だって、私の欲しいのは――」

 絡み付く巌の左腕をようやく振りほどき、体を押しのけようとした久慈の右肩を無造作に掴んだ巌の繊手から、コクン、と高い
音がした。途端に、久慈のの右手から力が抜けて垂れ下がる。――肩の関節を外されたのだ。久慈の顔には苦痛の色は無かった。
静かな怒りと、巌の行為を飽くまで咎める決意に溢れた眼差しが見て取れた。……流石は【僕の】慎之介だ。伊織は久慈への感嘆と
ともに、妖しい昂奮にも囚われる。あの顔を、もし、もし情欲だけに蕩かせられたら、どんなに【女性として】誇らしいだろうか?

 「――板倉無尽流の後継ぎの子供なんかじゃなくて、慎くんだけだもの――っ!? 」

 体を使って押さえ込み、久慈の左肩・肘・手首の関節の全てを極めて接吻を強請る巌の蕩けた顔に、緊張が走った。なんと久慈が
左腕が壊れてしまうのも構わずに、いや、わざと破壊させて逃れたのだ。確実に一部の腕の靱帯の千切れる音が、伊織の隠れている
所にも聞こえて来たくらいだ。相当の痛みが走ったろう。肘の辺りで変に捩(ねじ)れているのがその証拠だ。その腕で、外された
自分の右肩を掴み、床板に打ち付けると、音を立てて嵌め込んだ。――苦痛の声すら、上げずに。右膝をつき、立ち上がろうとする。
飽くまで自分は、闘って見せる! そんな悲愴な決意が、久慈の澄んだ瞳と決した眦(まなじり)から静かに、伝わって来た。

 「どうして――どうして逃げるのっ、慎くんっ! 私、私っ、ずっと、ずっと――待ってたんだよ! 慎くんだけをっ! 」
 「寂しい思いをさせているのは、解っているんだ、巌――。13の時から、あの日まで5年間ずっと、修練に励んできたから――」
 
 巌を久慈がイっちゃん、では無く、巌と呼んだことに伊織の胸の奥がきゅん、と痛んだ。嫉妬だ。これは明らかに嫉妬だ。恋する
乙女は「修練」の内容を推理するまでも無く解ってしまった。――私のナカにあの日までいっぱいくれた――! 古武道の武技だけ
ではなく、きっと何か淫靡な「秘事・口伝」を共に修練していたに違い無い。そして目の前のこの女は、明らかに久慈の想いや体を、
今だに独占しているのだと。
637319 ◆lHiWUhvoBo :2009/08/13(木) 03:47:24 ID:ZeDwWq2Y

 「そうよ! 私は慎くんだけの鞘で、慎くんは私だけの刃! 表技も、影技も、一緒に鍛え上げて来た! だから、だからぁ!」
 「だから――出来ないんだ! 君が――君が、好きだから! 大切だから! 僕が磨き上げ、守り抜いた、大事で完璧な君を、
  僕の、僕の欠陥のために、その綺麗さを、可憐さを、清冽さを、この僕のせいで、損なうわけには――いかないんだっ! 」
 「――――っ、慎くんのぉっ、この――大莫迦垂れぇぇっ! 」

 胴着が諸肌脱ぎになり、袴を穿いただけになった逞しい上半身裸の久慈の姿は、壮絶なまでに凛々しかった。その久慈に、豊かな
黒髪と双乳を振り乱しながら白い暴風となって巌が驚異的な脚力で跳躍すると、久慈の顔を陰部に押しつけ太腿で挟み込み、容赦無く
道場の床板へと後頭部を叩き付けた。もがき、逃れようとする久慈の抵抗を腰を振って押さえつける巌のその姿は、同性の伊織ですら
淫靡さに目を剥くものだった。久慈が逃れようと女陰に歯を立てたり、舐めたりするのを明らかに「善がって」いるそぶりまでをも
見せていたのだ。

 「そう。慎くんが私を、巌を守って来たように、巌も慎くんを悪い悪い虫どもから、守って来た! なのに何で、平気でっ――! 」
 『っ!! 』

 巌の視線と伊織の目が、始めて交差した。殺意・憎悪・呪詛・悔恨・非難・悲嘆・哀惜――負の感情の全てが込められた、視線だけで
睨み殺せそうなそれをもろに伊織は受けてしまう。心の壱法――瞬間催眠! 気付いた時にはもう遅かった。伊織は身じろぎひとつも
出来なくなっていた。

 「慎くんは、私の、巌だけのものなの。それをね、よく理解してもらわないといけないの。慎くん自身にも……他の誰かさんにも、ね」

 身じろぎどころか瞬(まばた)きひとつすら、己の意のままにならない苦痛がどう言うものなのかを、伊織はその身で味わうこととなった。
眼前で繰り広げられようとしている行為が、未だ処女を守る貞操観念が高い伊織には、とても正視に堪えるものではない行為だと、しても。
638319 ◆lHiWUhvoBo :2009/08/13(木) 03:48:59 ID:ZeDwWq2Y
投下終了。あとはスレ的審議待ちです。毎回ぶつ切り投下、ごめんなさい。では、良い夢を。
639名無しさん@ピンキー:2009/08/13(木) 12:49:27 ID:ajezw8Dg
小隊長キタ━━(゚∀゚)⌒Y⌒(。A。)⌒Y⌒(゚∀゚)⌒Y⌒(。A。)⌒Y⌒(゚∀゚)━━!!
待ってたぜGJ!
続きもwktk

ところで従の旅続きはまだかのう・・・
640名無しさん@ピンキー:2009/08/13(木) 13:04:47 ID:lBJQOnGl
>>638
真面目なバトルものだと思っていたら最後におっぴろげジャンプが展開されてて麦茶吹いたわw
641名無しさん@ピンキー:2009/08/13(木) 13:14:23 ID:NJJuoqQN
連日投下乙! 毎回手を変え品を変え凝ってるねぇ。
今回エロよりもバトル描写に萌えた。 
642名無しさん@ピンキー:2009/08/13(木) 15:12:04 ID:gCa1cbpN
エロカッコイイな
643名無しさん@ピンキー:2009/08/13(木) 15:46:47 ID:YRf4fRZz
なるほどこうきたかw
ここで小隊長があとのいおりんとの阻止のためにここで巌ちゃんに犯される展開がいいのか
それともスレ原則に沿って全員徹頭徹尾阻止がいいかでスレで審議って話を持ち出したのか

話が面白くなるのはやられてしまうほうだなw
644名無しさん@ピンキー:2009/08/14(金) 13:04:48 ID:LBHSnew9
>>638
好きにしてくれとしかいいようがないしw
他のひとなら誘い受けウザいよもう書くなで終わりだけど
貴方の場合はスレ見ればわかるけど何でも出来るんだから始末が悪いw
645名無しさん@ピンキー:2009/08/15(土) 09:03:07 ID:gmuhLOvy
スレタイで吹いてばかにしてすいませんでした
贔屓にします
646名無しさん@ピンキー:2009/08/15(土) 17:17:47 ID:HJ9QKN+i
リクとかやんなくていいからはやく続きくれよ
647名無しさん@ピンキー:2009/08/16(日) 00:31:10 ID:CmKR44of
俺はもう319氏のSSのためならスレ主旨とかどうでもよくなりつつあるw
アイデアとイマジネーションの赴くままに書いてくれ!そして読ませてくれ!!
648名無しさん@ピンキー:2009/08/16(日) 13:21:35 ID:04LT7W30
男と女の考え方の違いがなんだか切ない。
649名無しさん@ピンキー:2009/08/17(月) 01:13:57 ID:JFHbUqc+
続きが待ち遠しいな。
無理を承知で是非ともエロ格好良く阻止の方向でw
650名無しさん@ピンキー:2009/08/17(月) 17:32:56 ID:6l50vj46
阻止スレだから阻止だろ阻止。オスの俺は逆襲の小隊長突きまくりが読みたいがナー!
651319 ◆lHiWUhvoBo :2009/08/18(火) 00:29:58 ID:mVFNlYw0
それでは……投下します。汚いのが嫌なひとは、今回はNGでお願いします。
652319 ◆lHiWUhvoBo :2009/08/18(火) 00:30:51 ID:mVFNlYw0

 「ぉねあぃっ、ぉねぁいぃぃぃぃっ! ほぉ、もぉ、ゆうぅひぇれぇっ、ひんぅぅんっ! まら……まらきひゃううううんっ! 」

 自慰すらしたこともない伊織は、生まれて始めてナマの「何度も快楽の絶頂を迎える女性」の姿を見た。これまでは同好会の男子勢に
混じって、AV女優やら素人隠し撮りと銘打った映像記録でしか見たことが無かった。それですら信じられずに「こんなの、嘘で演技に
決まってる!」と久慈慎之介や他の男子学生に食って掛かって「餓鬼んちょ」呼ばわりされてきた。久慈からは「静かに唸るだけのひと
もいるらしいって聞くし、平四郎の言う事ももっともだよ」との優しい答えを得てはいたが、それでも納得が出来ずにむくれたものだ。

 「いわほ、いやぁ! ひんふんのれ、ひんふんのほ、うわれぇぁいのぉ! ひんふんのまら、まらら、ほほにほひぃのにぃぃぃぃっ! 」

 あんなに綺麗で訛りの無い日本語を話していた、凛々しい武道を嗜む女性が、呂律どころか撥音便もガ行もタ行も発音出来なくなるとは
実際にこの目で見ないと、伊織にはとても信じられなかった。瞬間催眠を掛けられたままで目も閉じられず身体も動かせないままの伊織の、
唯一自由になる思考が、頭の中で勝手に恋敵でもある【板倉巌】の、恥ずべき断末魔の絶叫と悲鳴にも似た嬌声を翻訳してしまう。

 【お願い、お願いっっ! もう、もぉ許してぇぇ、慎くん、また……また来ちゃうぅぅぅんっ! 】
 【巌、嫌ぁ! 慎くんので、慎くんのを、くわえたいのぉ! 慎くんの魔羅、魔羅が、女陰(ホト)に欲しぃのにぃぃぃぃっ! 】

 女陰丸出しで飛び掛かり、慎之介を床に浴びせ倒し顔面に騎乗して抑え込み勝利を確信したはずの巌は、逆にガッチリと下から両太腿と
両手首を慎之介の腕と大きな手に固定され、かれこれもう一時間も女陰を責め続けられていた。最初は得意になって押し付けていたのだが
慎之介が腕を回して太腿を固定したときに勝利を確信したのか、為すがままにさせた。……それが決定的な敗北の遠因となるとも知らずに。

 『ふふふ……慎くんったら……。ようやく巌に降参したのね? まったく、照れ屋で強情さんなんだからぁ♪ 』
 『えっ!? ちょ、ちょっと慎くんっ……?!』

 巌は身体を必死で揺らし、反動をつけて転がって脱出しようと必死になってもがいたが、哀れにも蜘蛛の巣に囚われた可憐な蝶の如く、
それは無駄な足掻きだった。それまでは得意になって頭の後ろで手を組んで、伊織に見せ付けるように慎之介の顔の上でその大きな胸を
揺らしていたのだが、脱出のために必要な反動をつけようとして腕を外して後ろに振ったときに、ガッシと久慈に捕まえられてしまった。
そして久慈の無慈悲かつ執拗な、復讐にも似た淫靡な【反撃】が始まったのだ。
 
 『そこ、そこダメぇ! そこ弱いの、そんなオシッコの出るとこ啄(つい)ばんじゃあ……ひぁうん! 』
 『舌、舌で、女陰(ホト)の入口、ちょんちょんらめぇ! そこは巌、巌、慎くんので掻き回されたいの…にゃあああああん!! 』
 『鼻で、鼻でお核(さね)らめぇ! ふぅんっ……え……口で……そんなきゃひぃぃぃぃぃぃん! ひゃぶらなぃでぇぇぇぇぇっ! 』

 それからと言うもの、伊織の目の前であの怜悧かつ整った板倉巌の得意げな容貌が、快楽の嵐に熔けて行く様が展開されていったのだ。
吊っていた眉が八の字に垂れ下がり、目の焦点はとっくにどこか遠くに飛び、目尻からは滂沱の涙が湧きっぱなし。目元どころか首から
上全体が茹で蛸(ゆでだこ)のように上気したままになり、引き締まっていた口元からは、だらしなく舌が垂れ下がり、涎がダダ漏れに。
 身体はと言えば顔ほどではないが上気しっぱなしで、巌が快楽の極を上り詰める度に痙攣し、汗と香気と、股間からは蜜汁を撒き散らす
醜態を演じていた。この巌の我を忘れた善がりっぷりからすると……もしかしたら小水や糞まで久慈に引っ掛けているのかも知れない。

 (この香気……蛇堂香の切れたときの匂いっ?! )

 巌の放つ香気を嗅いだとき、伊織の敏感な鼻は瞬時に嗅ぎ慣れた匂いを判別していた。蛇堂香は女性特有の香気を抑える、一種の制御材。
それが切れたときに女体はそれまでの抑制から解き放たれ、雄の誘引効果を持った物質を多量に分泌する。その御蔭で、伊織が肉親にすら
『嫌らしい目』で見られ、言い寄られたり触られたり押し倒されたりされたことは、枚挙に暇は無い。……久慈の前では慎重に、蛇堂香の
効果期間を計算し、服用することで『男性』で徹してきた。が、その蛇堂香は今は無い。伊織のそれの、蛇堂香の効果は切れかけているのだ。
653319 ◆lHiWUhvoBo :2009/08/18(火) 00:33:29 ID:mVFNlYw0

 「ひんくんひろいよぉ、ひゃなひれひょぉぉ! いわほ、ほんなお、ほんあおいあなおおおおおおにぃ! 」

 強烈な催淫効果を持つ蛇堂香の派生物質は、やはり久慈が男性であることを高らかに証明していた。隆々と重い生地で出来た袴を下から
持ち上げるのは、久慈の男性自身だった。もの凄い大きさの天幕を作っている。下手をすれば拳を作った伊織の右腕の肘ぐらいまでの高さ
はあるだろう。巌が逃れようとして身体をのたうたせて逃げる間、激しい寝技の冴えを見せつつも、そのまま移動していたときに見えた。
 
 「まらぁ! まらいくぅ! いわほっ、もうらめ、もうらめ、もうらめ、もうらメえええええええええええぇぇぇぇぇぇェッ! 」

 巌を乗せたままで、仰向けにずるずると板の間を激しく這い動き、抵抗を殺していく慎之介の巧みさは、『武道家』として見事だった。
そしてついに、久慈の責めに耐え切れず、最高の快楽の今際の際を迎えた巌に白目をグリン、と向かせ、絶叫と泡を吹かせ、失神させた
『男』としても。尿を漏らしたのではないかと思われるほどの大量の激しい潮が久慈の顔面を叩き、巌は久慈の腕に引かれるまま仰向けに
久慈の男性自身を目掛けて倒れ込んでいく。なんと、久慈の股間の天幕の肉支柱は、巌の背中で潰れることなく、巌の身体を支えたままで
そびえたっていた。その柔らかさと感触に、ようやく巌の太腿の締め付けから解放された久慈の真摯な顔が苦しげに歪んでいた。

 (あれは痛みからじゃ……ない……。きっとキモチイイのを……)

 快楽を、我慢している顔だ。強烈な催淫効果と、愛していた、いや、今も深く想い続けている女性の壮絶な痴態を目にして、未だ正気を
保っていること自体が奇蹟なのだ。普通の男なら屈服して、構わず圧し掛かって思いの丈を存分に遂げて、巌を、溜めに溜めた、白濁を
通り越して黄色く濁ったゼリー状の精汁(同好会の男子生徒の猥談で聞いた耳学問)で汚しつくすだろう。だが、久慈慎之介は違った。

 「イっちゃん……。済まない……。僕のせいでこんな目に……」

 上体を起こし、並みの男ならば必ずたじろぐだろう、呆けた顔のままの巌の唇に接吻してのけて、それから巌の顔を胴着で綺麗に拭いて、
すっくと立ち上がり、痛めた両腕で優しく支えながら、抱き上げた。その衝撃が契機となったのか、巌の尿道口や肛門から大小便が盛大に
漏れる。が、久慈はまったく気にせずそのまま巌を『お姫様抱っこ』して道場を出て行ってしまった。途中にそう言えば大きな湯殿があり
風呂の湯が沸いていたな、と伊織は濃密な糞便と蛇堂香分泌物と汗の臭いの漂ってくるのを感じつつ、ふと気がついた。

 「あ……やっと……解けた……? っ!! 」

 巌の失神で【心の壱法】こと瞬間催眠が解けたのだろう、矢坂伊織は身体の自由と感覚を取り戻した。そしてすぐに凄い発汗と、股間の
濡れ具合を自覚する。見ていたとき、昂奮してしまったのだろう。女蜜となんと恥ずかしくも、小便まで漏らしていたのだ。巌が盛大に
粗相をしていなければ、きっと久慈慎之介に、その敏感な嗅覚で存在を気付かれていただろう。正直、ものすごく気持ちがわるい。

 「うう……きもちわるいっ……。だけど……今は」

 湯殿に、風呂に行った久慈慎之介と板倉巌だ。もしかするともしかして、裸で組んず解れずの男女のアノ行為の真っ最中かも知れない。
想像した伊織は慌てて首を振って否定した。【僕の】慎之介に限って、そんなこと無い。絶対に、無い。あの蛇堂香の衝動を耐えたのだから、
と信じようと努めたが――健気な乙女心の前に、失敗した。足音と気配を殺しつつ、伊織は二人を追って湯殿に急ぐことにした。
654319 ◆lHiWUhvoBo :2009/08/18(火) 00:34:52 ID:mVFNlYw0
 
 (あ……いた……よかったぁ……慎之介ぇ……) 

 伊織の想像は半ば当たり、半ば外れていた。確かに二人は湯殿で裸だった。だが、絡み合ってはいなかった。丁寧に優しく湯と手で巌の
汚れをぬぐい去る久慈の手付きには、厭らしさは全く無かったが……股間の肉の鑓(やり)が雄雄しく存在を主張し天を衝いているのが
忌々しかった。もしかすると、もしかするかもしれない。伊織は手に汗を握り締めながら覗きを止められずにいた。

 「イッちゃん、気がついたかい」
 「あ……慎くん……。巌、また……しちゃったの……? 」

 また、と言うことはどう言うことだよ! と伊織は聞いた瞬間怒鳴りたくなるが、言葉を飲み込み気を落ち着ける。何せ相手は熟練の
一流の武道家なのだ。ささいな周囲の氣の乱れから自分以外の、異分子の存在を察知する可能性があるのだ。……何よりも誰よりも伊織は、
久慈に今の嫉妬の念が溢れた顔を、金輪際、見られたくは無かった。

 「いや、大丈夫だったよ」
 「慎くんのウソツキ……。まだ私のウンチの臭い、残ってるのに……」

 まだ四肢に力が入らないのか、覚醒した巌は仰臥したままになっていた。久慈に首だけ向け、その股間の猛りを確認し、優しく微笑む。
その様子にぐっと歯噛みして耐える伊織に気付いたのか、巌は目を見開き、表情に羞恥の色を浮かべ、急いで顔を背けた。久慈はまだ、
伊織の気配に気がついていないのか、巌の身体を手拭いで綺麗に清め拭きしている。……風呂で伊織の、いや、平四郎の背中を流すときの
ような、コワレモノを扱う手付きだった。手馴れた手付きが、伊織には妙に腹立たしい。

 「負けちゃった、か……」
 「いや、僕の負けだよ。左腕損傷、右肩損傷、あのままイっちゃんが、本気で表技で僕を責めてきたなら……」
 「慢心した時点で、私の、巌の負け! あーあ、格好悪いなぁ! 二十歳過ぎたオンナが、お漏らしだよ? お漏らしっ……! 」

 腕が動くようになったのか、巌は慌てて目を右腕で隠す。その下から頬に、涙が筋を作る。――泣き顔を見せたくないのだろう。特に、
覗いている恋敵、矢坂伊織には。見ていろ、と言って、見せたのは己の醜態だけだったなど、あの自信に溢れた巌の様子では、耐え難い
失策だったのだろう。ざまあみろ、とせせら笑おうとしたら、二人の間に存在する久慈が済まなさそうな顔で、巌に謝っていた。

 「ごめん……」
 「どうせ漏らすのなら……前のように……慎くんの魔羅でずんずん………巌を啼かせてっ……突き殺されてからが良かったのにぃ」

 きゅ、といきなり起き上がった巌が、久慈の男の昂ぶりを掴み口に咥えようとしたのを、慎之介は急いで押しとどめた。今度は素直に
従ったと思いきや、胸と乳首を使って愛撫しようとする。抵抗するも数擦りされた時点で、久慈は飛び退いた。噛み締めた下唇からは、
血が溢れ出て来ていた。迷わず巌はその血を舐め取り、接吻にエスカレートする。久慈の血の味を味わい、そして飲み込む。吐き気が
するだろうに、と伊織は冷静に思ったが、自分でもきっと飲み込んでしまうに違いない。……同好会のチラシ作りで、久慈が指を紙で
切ったときに慌てて伊織自身が口に含んで血を舐め取ったときにチュウチュウ吸ってしまった記憶がある。それを見た男子・女子学生が
ぽわん、と色っぽい目付きをしていたのが、今ではわかる気がする。きっと今の巌と同じ、蕩けた顔をしていたからだろう。

 「くおっ! イっちゃんっ! こらっ、めっ! 」

 たっぷりと体を押し付けたままの接吻を止めた巌に、久慈は子供を叱るような要領で叱ると、今度は巌は自分にボディソープを塗り
つけ、二へらっ、と悪い顔付きで笑って見せる。と、すぐにシュンと竦み、すまなさそうに湯を浴びてボディーソープを流し落とす。

 「そんな辛そうな顔……しないで……。慎くん……」
 「子を成すこと以外の房事は、其れ只の淫事にて、かつ忌事である……! そう君は教えられたろう…? イっちゃん……! 」

 伊織は久慈の喉の奥から無理矢理絞り出したような苦しげな声を背に、思わず駆け出していた。久慈慎之介の心を少しでも疑った、
嫉妬に狂った己自身を許せずに。急いで久慈の家まで戻って入浴し、この心と身体の気持ち悪さを、洗いざらい綺麗に消したかった。
655319 ◆lHiWUhvoBo :2009/08/18(火) 00:36:33 ID:mVFNlYw0
投下終了。……やっと、やっと次で……洗濯板編がやれる…! おやすみなさい。
656名無しさん@ピンキー:2009/08/18(火) 00:42:26 ID:m0bKxoz9
>>655
GJ! やっぱエロカッコええなw
657名無しさん@ピンキー:2009/08/18(火) 01:11:16 ID:d+kEKbo8
エロカッコよくて今回の武道娘がうらやましくなった
毎回思うんだけど文体がガチガチに堅いくせにエロくて読みやすいのはどうして?
658名無しさん@ピンキー:2009/08/18(火) 07:54:41 ID:xV3fTAuK
せ……洗濯板!?
659名無しさん@ピンキー:2009/08/18(火) 17:40:59 ID:Cts4i59a
>>200を見ると胸板だがレベルアップしてるなw
660名無しさん@ピンキー:2009/08/22(土) 16:15:57 ID:iWAumTyI
ここで貧乳男装っ娘のおあずけはつらいです
661名無しさん@ピンキー:2009/08/28(金) 20:42:59 ID:Gc+m3JTU
チャレンジャーや住人希望者募集age
662名無しさん@ピンキー:2009/08/29(土) 17:43:56 ID:i39cxjPk
ここもう実質、一部住人と職人の個人スレじゃん
上手いからいいけどさ
663名無しさん@ピンキー:2009/08/29(土) 21:09:46 ID:mjoc8h/f
どういう真意を持ってそのレスをしようと決意したのか是非とも聞いてみたい
664名無しさん@ピンキー:2009/08/29(土) 21:56:28 ID:ykprqYPG
煽りか牽制か
はたまた書き手の召喚か
シチュエーションが特殊だから人選ぶスレなことは確かだよね
665名無しさん@ピンキー:2009/08/31(月) 16:07:56 ID:foqGDr0h
エロカッコイイ!!
666名無しさん@ピンキー:2009/08/31(月) 19:29:11 ID:QPvoU/oW
続編が8ヶ月ぶりに来るようなスレを個人スレと呼ぶのでしょうか
書き手ならいつでもウェルカムなのにさw
667名無しさん@ピンキー:2009/09/01(火) 13:12:15 ID:b6b6f3RP
投下歓迎
668名無しさん@ピンキー:2009/09/04(金) 20:13:22 ID:iUvCJFWM
今回のどこがエロカッコ良いのだろうと思って再読すると

・各種の汁ダラダラ垂れ流したアヘ顔で失神したのを引きもせずに拭いて介抱
・抱き上げた拍子に失神してオチて緩んでた穴から垂れ流した大小便に怯むことなくスルーしてお姫様だっこ
・普通ならやらないだろう当人への後始末を進んでやる
・裸のままで珍子咥えられたりカラダ擦り付けられたりしたのに耐久
・しかも罵らず「めっ」と言う幼児語で親しみを込めて拒否

ぐらいか
669名無しさん@ピンキー:2009/09/05(土) 20:31:21 ID:QZfErhNz
貧乳僕っ娘の誘惑シーンマダー?
670名無しさん@ピンキー:2009/09/05(土) 20:58:20 ID:nf4RXBgv
が・ま・ん・で・き・な・い
671名無しさん@ピンキー:2009/09/09(水) 00:08:09 ID:rARly4sv
正座待機に飽きたんで小ネタ書いてみたが、エロカッコ良くって難しい。




「どぉぉおりゃああぁっ!!」

怒号と共に繰り出された拳で男が吹っ飛ぶ。
「これですべて解決しました」
ボロ雑巾のようになった男――私を殺そうとした元婚約者にして、私の異母兄――を踏みつけながら、
探偵さんは、さわやかな笑顔を浮かべた。

「これが、報告書と請求書で、明細はこちらです」
数日後、私達は彼の事務所でテーブルを挟んで向かい合っていた。
「……やっぱり、相当恨まれていたんですね」
「逆恨みですけどね。たしかに、あなたのお父上が、彼ら母子を捨てたことは道義上許されたことでは
 ありませんが、復讐のためにあなたに近づいた手口とその後は卑劣極まりない」
 ――だから、負い目を感じるな、と言うのだろうか。
知らないうちに、腹違いとは言え、実の兄と身体を重ねてしまったことも含めて。
「色々と有難うございました。残りのお金は口座に入金しておきますね」
 私の言葉に探偵さんが顔を輝かせてから、深々と頭を下げた。
 やっぱり、相当お金に困っているというのは事実らしい。
 聞いたところではこの事務所の家賃も数カ月分滞納しているということだ。
「……追加の依頼をしてもいいですか?」
 私はハンドバッグから帯封のついた一万円札の束をテーブルに置いた。
 指先が震えそうになるのを必死でこらえ、すっと息を吸った。
 彼の目が困惑したようにテーブルと私の顔を行き来する。

「これで、私を抱いてくれませんか?」
 言った後で、ふうっと長い息を吐いた。
 汚い女だってことは自分でもわかってる。
「えーと、ご冗談で……」
「本気です」
 彼の笑顔が凍りつく。
「私、本気です。あんなことがあったから、私、もう二度と男の人のことを好きになれないと思うんです。
 もうこのまま尼にでもなりたいくらいです。でも、あの男が私の最後の男になるなんて嫌なんです」
 勢いに任せて喋りながら、私はブラウスのボタンに手をかけた。
「私が生涯最後に抱かれたのはあなただって、思い出したいんです」
 呆然と立ち尽くす彼を尻目に、むしり取るようにボタンを外していく。
「あなたが好きです。でも、心まで欲しいなんて言いません。これはただの依頼なんです」
 長い指が私の頬に触れた。
 興奮のあまりに涙が流れていたことに気付き、恥ずかしくて頬が熱くなった。
「吊り橋効果というものをごぞんじですか?」
 黙っている私に彼が諭すように続ける。
「吊り橋を渡るときに歩調をとると共振で橋が落ちるということで……」
「ちょ、ちょっと違いません? 緊張状態と恋を錯覚する、あれですよね?」
 中途半端なボケに突っ込んでから私は、彼が何を意図しているのか気付いた。
「――これは、頂けません。私はあくまでも探偵ですから」
 恥ずかしさに俯いた私の肩が抱かれる。
「胸を貸すくらいなら、サービスです」
 静かで穏やかな声に涙が溢れてきた。
 大声を上げて泣く私の肩を彼は黙って抱いていた。 

   終
672名無しさん@ピンキー:2009/09/09(水) 09:36:25 ID:uXO16tKk
うん!良いですよ〜良いですよ〜。
673名無しさん@ピンキー:2009/09/09(水) 20:17:07 ID:kQPelq70
これはいい押しとどめ。
すごく好きです。
674名無しさん@ピンキー:2009/09/13(日) 00:59:09 ID:e1Hn5pmm
保守
675名無しさん@ピンキー:2009/09/21(月) 18:38:01 ID:0jXB0ExM
保守
676名無しさん@ピンキー:2009/10/01(木) 19:51:17 ID:iEYccd4k
ボギーボギー
あんたの時代は良かった
オトコがぴかぴかの気障でいられたー

なスレですね解ります
677名無しさん@ピンキー:2009/10/16(金) 00:32:15 ID:sSzj/PCE
ジュリィ〜〜〜ッ!!!
678名無しさん@ピンキー:2009/10/19(月) 19:10:06 ID:CqVXtKYw
項羽とかの中国古典モノの続きマダー?!
679名無しさん@ピンキー:2009/11/02(月) 04:54:03 ID:xsN7RXHU
保守
680名無しさん@ピンキー:2009/11/09(月) 22:48:56 ID:8XB8gxgn
保守
681名無しさん@ピンキー:2009/11/13(金) 13:37:02 ID:JFyq5YtX
趣味のハードルが高いスレだなここ
682名無しさん@ピンキー:2009/11/25(水) 22:37:04 ID:i5CGHDDL
今私はデートの真っ最中だ。相手は苦笑がデフォな冴えない男。今はファミレスでお昼である。

前回のデートで誘ったんだけどやんわりと拒否られてしまったので今日は埋め合わせ兼リベンジである。

「経済力の無い奴(←彼自身のこと)がそういうことしちゃいかんと思うんだ。それにお前の想いが一時の気の迷いだっ」

言い訳の途中でムカつくことをほざいたので右ストレートをぶちかました感触はまだ残ってる…全力全壊だったけど後悔はしていない。

今日の目標はいたって簡単だ。

『一緒に寝る。(性的な意味で)』

無論彼の逃げ道を塞ぐために色々と準備もしてある。縄とか手錠とか薬とか…

「なぁ、なんか目が怖いんだが…仕事でなんかやなことでもあったのか?」

気遣ってくれるのは嬉しいけどなんで一歩引くかなぁ…もうちょっと積極的に、というか

「別にいつものことじゃない。そ・れ・よ・り…先週の件、忘れてないでしょうね?」

「うわ、まだ拘ってるのか;困ったもんだな;」

「困る位なら押し倒しなさいよ!?」

「んなこといわれても、経済力の無い身で女性を抱くって選択肢は無いって先週言ったじゃない」

ループで堂々巡りに持ち込もうって魂胆は丸分かりなの、残念ね

「あら、それなら解決策あるじゃない。あたしが養ってあg」

「対等になれないから駄目。」

「あんたも頑固ねぇ…」

やはり説得ではダメっぽいので薬を使うことにする。丁度トイレに行った隙に注文したドリンクn…あれ?なんで空っぽ?

「なんか怪しいと思ったら、やっぱりか…」

後ろに彼が居た。ってかなんでばれたの!?

「いや、先週のこととお前の性格から考えて薬位は使うんじゃないかと思ってね…」

なんでそんな察しがいいのよ!しかもこっちがして欲しいこと以外で!

「……はぁ、部屋帰るぞ。」

彼がため息混じりに伝票を持って席を立つよう促す。やっとあきらめてくれるの!?wktk

「薬の入手ルートについて洗いざらい言ってもらうぞ?あと説教な。」

……その後部屋で三時間正座させられました(´・ω・`)

今度こそはモノにしてやるんだからね!?



「まったく、定期的に保守しねーとこっちが危ないっつうのに…」

っていう詰まんない保守
683名無しさん@ピンキー:2009/12/05(土) 18:35:34 ID:/zg68K1/
エロかっこよく押しとどめるというか、策略物になってないかw

ていうか保守かよ!



GJ
684名無しさん@ピンキー:2009/12/08(火) 00:13:38 ID:q4kEaE9r
対等になれないからとは語り手はお嬢様?

つづきkぼn
685名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 17:33:41 ID:0uqViWIm
保守
686名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 22:01:39 ID:Qet6fjDH
保守
687名無しさん@ピンキー:2009/12/29(火) 17:36:20 ID:oKpCJOyT
保守
688名無しさん@ピンキー:2010/01/18(月) 18:57:06 ID:WLE2cmCN
保守
689319 ◆lHiWUhvoBo :2010/01/22(金) 14:13:33 ID:LtlBunSb
一応生存報告。
残り137Kb……悩むところだなぁ。
690名無しさん@ピンキー:2010/01/31(日) 19:32:10 ID:3zeqR0Y1
hosyu
691名無しさん@ピンキー:2010/02/08(月) 23:17:41 ID:AJ+eAbN4
hosyu
692名無しさん@ピンキー:2010/02/21(日) 01:32:13 ID:rDsXeLUJ
hosyu
693名無しさん@ピンキー
ho