【MH】モンスターハンターでエロパロ 3匹目【モンハン】
これで全部かね。
ついでに聞いておく
今ロクにSSかけてもいないのに「cloud9なんて題名つけたんだからあと七個SS書いて最後にオールスター登場で締めるか」などという有害電波を受信
やってみようと思うのだがいかんせんネタがない。
という訳でネタ募集中
現在
・DQNハンター×擬人化ガルルガの子育てレイープ
・擬人化ナナ×人食い族の禁じられた遊び
・ショタナズチ×飛竜観測員(♀)のえっちな研究日誌
のプロットがあるからあと四つの職業に就いてる人間と古龍だ。
みんなオラに元気を分けてくれーーーーーっ!!!!!!!!
あ……ラージャンどうしよう……
>>3 ・アイルー100匹×擬人化ラージャンの超絶リンカーン
・擬人化ふたなりフルフル×女ハンターの百合?生活
フルフルは古竜じゃないけど
♀擬人化古龍×毒男ハンター
今「MH」でスレ検索してたんだが、まだ1スレ目落ちてない事に驚いた。
それはそれとして、ギルドナイト×擬人化ナナ希望
7 :
2-332:2007/03/16(金) 19:20:50 ID:PD4gsIR2
>>1 GJです。
一番槍が自分ってのもどうだって話ですが前スレの続きを投下します。
8 :
2-332:2007/03/16(金) 19:21:22 ID:PD4gsIR2
「ほら、あそこが狩場だよ」
言われて崖下に眼を向けると、開けた雪原にぱらぱらとポポが散っているのが解った。
見つかりやすいんじゃないかと思ったが、彼らはギアノス。考えてみれば見つかりにくいのはむしろ、こういう雪原なのだろう。
「あそこで皆あのポポを狙ってる」
数匹のギアノスが一匹のポポを回り込むように包囲している。ポポぐらい楽勝で狩れる俺としては下らないことにも見えるのだが。
さて、どうしよう?ここは彼らの名誉のために見守るべきだろうか?
このまま乱入して面子を潰すのも問題か。彼女と話して時間を稼ごう。
「そういえばさ」
「何?」とこちらを振り返る彼女。ほほ辺りまで真っ直ぐ伸びた茶色の髪がさらっと揺れる。
「俺が猪を狩ったとき、何で居たんだ?狩りには参加しないんじゃないのか?」
「ああ、そんなこと?アレは狩りのためにあそこに居たわけじゃないの」
「え?」
そういえば、あそこはこの狩場より人里に近い。狩場としては適切では無い、のだろう。
「父親と母親と弟と祖父と彼氏を亡くした娘が居なくなっちゃって、探してたの。…結局見つからなかったから、帰ろうとしたところで」
「…俺に会った訳か」
うう、狙ったわけじゃないんだが、誰か一人をとんでもなく傷つけたみたいだ、俺。
「そう。あ、でも大丈夫だと思う。あの娘は強い娘だから、きっと帰ってくるよ」
「その娘とは、仲良かったのか?」…そう訊こうとしたとき、絶望的な鳴き声が響いた。
「轟ォォォォォォオオオオオ!!」
瞬時に崖下を見下ろす。いや、違う。この音は下からじゃない!
「上っ…!」
9 :
2-332:2007/03/16(金) 19:21:53 ID:PD4gsIR2
見上げた先には。
短い翼、四本の脚、極彩色の鱗、巨大な口――。
「り、竜!?」
彼女の絶望した声。当然だ、あんな怪物――何かで読んだ、確かティガレックス――が真上から降ってくるのだ。
あんなの相手じゃギアノスバルーンじゃ歯が立たない!
幸い轟竜は崖の下まで飛んでいった。
「逃げよう!」
彼女の手を掴む。彼女は頷きかけて、後ろを振り返った。…忘れてた、あのギアノスたちが居るんだ!
「…先に逃げていろ!」
彼女はきっと安全だ。あそこに居ればまず大丈夫なはず。
なぜなら崖の下まで十メートルはある。飛び降りるには厄介だが、彼女が襲われることは無いだろう。
――飛び降りるには厄介、か。崖ぎりぎりまで来て下を覗き込む。超高い。超恐い。
ティガレックスはポポを喰っていた。良かった。これなら飛び降りることも無いかな。あのギアノスたちが素直に逃げてくれれば。
だが、目論見は外れた。まあ、攻撃性の高い肉食獣だし、攻撃するというのも見えていたのだが。
「勝てる訳無いじゃないかっ!」
辺りを見渡しても滑り降りられる場所は無い。こうしてる内にもギアノスが一匹食い殺されたというのに!
何か…何か出来ることは――あった!
笛を構え、肺に力を。これでティガレックスがこちらに興味を移してくれればしめたものだが――
『ギャアアアッ!』
――やった!ティガレックスがこちらに視線を向ける。
これでギアノスたちは助かる。彼らに視線を向け、声を張り上げる。
「早く逃げろ!」
…その言葉が届いたのかどうか、確認はできなかった。俺の体が数瞬後には宙に投げ出されていたから。
ティガレックスから眼を離していたのが拙かった。轟竜は崖に体当たりし、その衝撃で俺は崖から落ちてしまったのだ。
ごろごろと転がり落ち、視界は白一偏に染まる。手に握る笛が派手に音を立てる。
そして落ちた先はティガレックスの目の前だ。
10 :
2-332:2007/03/16(金) 19:22:24 ID:PD4gsIR2
「く…そぉ」
どうする?この武器じゃ、いや、その前にギアノスたちは?
良かった。彼らは遠巻きに見守っているぐらいだから襲われはしないだろう。
後は何とか自分の身を守らないと。
「大丈夫!?」
見上げると彼女が居た。逃げてろって言ったのに!
「早く逃げろって――」
言葉途中に彼女もまた転げ落ちてくるのが見えた。――一瞬だけ。
またしても轟竜から眼を逸らしてしまっていた。ハンター成りたての頃に一度だけやった失敗だ。
この戦場で敵から眼を逸らすことの危険くらい、分かっていたはずなのだが。
「きゃあああ!」
「ぐぁああっ!」
一瞬遅れて聴覚が回復する。次いで視覚、触覚も戻ってくる。
まず眼に飛び込んできたのはティガレックスの前で呆然としりもちをついている彼女。
白さで良く分からなかったが、彼女の立っている位置で雪原が消え、崖になっているようだった。――逃げるのは難しいか。
左肩もひどく痛む。どうやら脱臼しているらしい。正に絶体絶命というやつ。
――いや、俺一人なら逃げられるか?考えてみればあの娘もただのギアノスじゃないか。
俺が俺の命を懸けてまでして助けるべき相手だろうか?たかがギアノスに。今まであれだけ殺してきた。今回も同じようなものじゃないか――
そっと彼女を見る。まだ幼さが残るような美しい顔に、恐怖が刻み込まれている。あえいでいるのは兄の名だろうか?
「…――…‥――!」
いや、これは――
「…―‥…――!」
――彼女が呼んでいるのは、俺の名だ…!
「お願い、助けて――――!!」
彼女の絶叫にティガレックスが一瞬だけ驚いた。その隙に、俺はもう考えを決めていた。
11 :
2-332:2007/03/16(金) 19:24:13 ID:PD4gsIR2
彼女に走りよって、掴み、雪原へダイヴ。例え人型だろうと俺たちが着ているのはギアノスの装備。白に溶け込んでしまえばそうそう気付かれまい。
狙い通り、轟竜は突然消えた俺たちを探しきょろきょろしている。それだけの時間があれば次の行動の決定には十分だ。
「うりゃああ!」
轟竜の視線が向こうを向いた瞬間、ギアノスバルーンを崖から投げ落とす。そう、狩猟笛は崖から落ちれば派手な音を立てる。
さっき落ちた時に学習したことだ。
「グゥァァァァァァ!!」
轟竜はそれを追って崖から飛び降りる。これもまた狙い通り。
ティガレックスは一瞬にして視界から見えなくなった。――ひとまずこの場は助かったと言えるだろう。
いつまでもしがみついて震える彼女を抱いたまま、俺は安堵の溜息を漏らした。
(以上です。間が開いたこと、話が長いこと、すいません。感想、批判などありましたら聞かせていただければ嬉しいです)
12 :
513:2007/03/16(金) 20:14:18 ID:kLt3td3T
唐突に出てきたネタを書いてみる。
毎度ながら携帯からの投稿で申し訳ない。
13 :
513:2007/03/16(金) 20:44:55 ID:kLt3td3T
カーラとクーが家に居着いて約一月。最近妙な噂を聞くようになった。
「最近塔で炎妃龍の鳴き声が聞こえるのが炎妃龍はどこにもいない。気味が悪いので原因を突き止めてほしい。」
カーラが依頼書を読んだ。
何故依頼書を読んでいるのかというと、カーラはギルドの受付のバイトをしている。
「…それで俺が行けと?」
「ああ、頼むよ。最近は古龍に立ち向かう者が減っているからな。」
「はいはい、行きゃあ良いんだろ?」
「ああ、よろしく頼むよカル。」
数字コテばっかだなここ
15 :
513:2007/03/16(金) 21:04:13 ID:kLt3td3T
俺はナナ=ロアを盾も持たずに担いだ。盾を使わずにガンランスを操るのが俺の戦い方だ。
「行ってらっしゃい。今日は私が…」
カーラが何を言うのか聞かずに俺は塔へ向かった。
塔内部
俺はガンランスを装填し、何時でも襲撃に備えた。
「なんで炎妃龍が…それにしても…」
俺は辺りを見回した。
大雷光虫さえいなければギアノスもいない。ガブラスは一ヶ月前に全滅したばかりだ。
その時何処かから咆哮が響いた。
「おでましか!?何処にいやがる…?」
16 :
513:2007/03/16(金) 21:21:40 ID:kLt3td3T
これで炎妃龍を見つけて討伐出来ればなんと楽な事か。しかし目当ての炎妃龍は声は聞こえど、姿を表さなかった。
「ここじゃ部が悪い…戦うなら最上階だな。」
俺はガンランスを仕舞うと駆け足で最上階に向かった。
塔・最上階
俺は最上階に昇ると先ず自分の目を疑った。
最上階には青い髪の少女がチャチャブーに囲まれていた。
「ええい、下がれ!下がらぬか!」
少女はチャチャブーに向かって怒鳴るが彼等はにじり寄る一方だった。
(これは…助けないと!)
俺はガンランスを取り出し、チャチャブーの群に向かって走り出した。
17 :
513:2007/03/16(金) 21:44:31 ID:kLt3td3T
「うぉぉぉ!!」
俺はチャチャブーを砲撃で蹴散らしながら少女の所へと駆け寄った。
「大丈夫か!?」
「な、なんだそなたは…キャ!?」
「一旦逃げるぞ!」
俺は少女を担ぐと階段を下った。途中でチャチャブーがしつこく追い掛けて来たたが、竜撃砲で怯んだ所で撒く事ができた。
塔・小部屋
「武器も持たずにどうしてこんなところに?」
「そなたには関係ない。」
「最近は炎妃龍まで出てるのに…」
「炎妃龍…だと?」
「ああ、最近声だけ聞こえるらしくてな、どうもどこに行ったのやら…」
「それは私の事だが?」
18 :
513:2007/03/16(金) 21:46:08 ID:kLt3td3T
ここで一旦中断
感想、苦情等あればどうぞ
20 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/17(土) 01:05:25 ID:jTU8HAeQ
>>14 かと言って、変なコテに来られても困るワケだが。
そもそも、書き手にコテ付ける必要無いだろ? 内容読めばどの続きとか分かるし。
伝説の黒龍
実はお年頃の彼女は人間の生活が見たくて来たのだが、何かと誤解されて討伐されそうになり、一人寂しく泣きじゃくていた
そんな中、ソロでこの依頼を請けたハンター。
必ず倒すと誓っていたものの、いざ着いてみると何故か戦意喪失している黒龍がおり、恐れながらも近づいてみると…
すまん、俺にはこれが精一杯…
なんかネタが浮かんできたから書いてみようかな…
携帯から&初投下で稚拙な文になるかもしれないけど挑戦してみていいかな?
>>22 おk
いい感じになる度に不意落ちしやがるツンデレ気質なPSPで紅蓮石集めながら待ってる
<<23ありがとう。がんばってやってみるよ。
年上のお姉さんでエロも入れてみようと無謀な挑戦をやっております。
レスアンカーの付け方はこうな→>> ×→<<23
>>1乙。
とりあいず前スレで書いてた続き投下する。
なんか今回は勢いで書いたら物凄く
CHAOS
な話になってしまった。深くお詫び申し上げます。
29 :
ことごとくsage忘れる人:2007/03/18(日) 04:13:01 ID:0VHUztu5
朝。
ポッケ村のハンターであるジュリオが管理しているポッケ農場に一隻の小船が近づいてくる。
「ニャニャー、大漁だニャー!」
そう言いながら小船を漕いでいる猫の名はトレニャー。
ジュリオがスポンサーになって、ポッケ農場を拠点に様々なアイテムを集めてくるアイルーだ。
どうやら今回は収穫が多かったらしく、船に荷物が山積みになっている。
「ニャー、陸地が見えてきたニャ! もうすぐ上り…ニャニャ!?」
ポッケ農場のトレニャーが小船をとめている地点が見えてきたと思うと、突然大きく小船が揺れた。
「な…何が起こったニャ!?」
トレニャーが慌てて水面を覗き込んだその時。
突如、何かが飛び出してきた。
「!?」
何とか避ける事は出来たものの、その何かはまだ水中を泳ぎまわっている。
そして、再び何かが水中から飛び出し…
ギニャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!
トレニャーの悲鳴が農場に響き渡った…。
朝食を済ませて家を出、農場前のトレジィの弟子と話していたジュリオの耳にも、その悲鳴は届いた。
あの少年との戦闘から1週間が経過し、傷もほとんど治っている。
「…!?」
「な…何スか、今のは!?」
「ええ…作者がものすごく楽をしていました!」
「明らかにコピペじゃないッスか! 作者ズルいっす! …じゃなくて、またトレニャーが!?」
「はい、ちょっと様子を見てきます!」
まさかついて来るとも思えないが、念のためジュリオは弟子を手でけん制すると、農場に入って行った。
「またコピペ…!? 作者はどれだけ楽をすれば気が済むんだ……」
MENGO by作者
農場に入ると、いつもトレニャーの小船が停泊している場所に他のアイルーが集まっていた。
駆け寄ってみると、トレニャーが倒れている。体のところどころに傷がある。
「どうしたんだ!? 大丈夫!?」
もうこの際作者が楽をしていることは無視することにした。
「う、うう…。アイテムは…無事ニャ…」
何と見上げた精神。
船の荷物を見ると、アイテムには傷一つついていないようだ。
…じゃなく
「一体何があったの?」
「そ、それが…」
「水中からいきなりじいさんが、ニャ……」
…じいさん?
予想通り、トレニャーはそのまま気絶して他のアイルー達に運ばれていったが…
てっきり、またエメラの仕業かと思っていたジュリオにとっては予想外だった。
トレニャーの見間違いだろうか?
だがそれが間違いでない事はそれからものの数秒でわかった。
じいさんが、物凄いスピードで水を泳ぎまわっている姿が目に入ってしまったのだから。
「いやあ、ビックリしましたよ。信号弾が上がったから急いで駆けつけたらハンターさんとあなたが
血まみれで倒れてたんですから!」
そう話しているのは馬車の御者だ。
丁度ポッケ村に立ち寄っていたので、エメラは彼からあの時の話を聞いていた。
「…そういえば、ハンターさんはどうしてますか?」
「傷はかなり良くなってきたようだ。…これで遠慮なく殺…」
「え?」
「いや、何でもない」
一応エメラも誰かに自分がジュリオを殺そうとしていることがバレるのは避けたいらしい。
彼女の観察の結果、この村の人々が彼を非常に慕っている事がわかっているからだ。
が、エメラには気になることが一つあった。
あの時…エメラが雪山でジュリオを攻撃し、失敗した時。
彼女が来た事で彼は異様なまでに焦っていた。
その事がどうしても頭から離れないのだ。
村の人々に聞いても全員だんまりのため、何なのかまるで見当がつかない。
かといって、それをいつまでも考えているわけにもいかない。
「…腹が減ったな。農場に行くか……」
「それで、貴方はどちら様でしょうか?」
泳ぎ回っている老人を捕まえるのは簡単だった。
人間があのスピードで泳ぎまわるという事はエメラと同じ人種という事が容易に想像できた。
そして無事釣りカエルで釣り上げたのだが……
「んん? よく聞こえんワイ。最近耳が遠くてのぉ……」
この老人、山菜ジジイ並にわけのわからない挙動を取るのだ。
このように、耳が遠いなどと言う事もあれば
「いや、だから貴方は」
「ワシャうるさいモンが嫌いじゃ! 向こうへ行けぃ!!」
こうやって逆ギレする事もある。
これにはさすがのジュリオも参ってしまった。
「…どうすればいいんだ……」
「ところで晩飯はまだかの? ワシャ腹が減ってもう…」
「……………………」
そこで、ジュリオはふと思った。
エメラのように水中を泳ぎまわっていた事から、もしかしてエメラならこの老人についてわかるのではないか? と。
「…そうと決まったら、早速……」
早速、エメラを探しに行く必要はなかった。
ジュリオの真後ろで、ぽかん、と口を開けて立っていたのだから。
そして、エメラがはっ、としたような顔をすると、老人に向かって言った。
「じじい……何でここに!?」
衝撃の事実が発覚した。
なんとこの大ボケたじじいが、エメラの実の祖父らしいのだ。
何とも唐突な話らしいが、よく見るとじじいのヒゲはうっすら翠色をしており、それが本当だとわかった。
いや、亜種はいくらでもいるのだが。ジュリオの勘である。
「…エメラさん、おじいさんも転生してたんですか?」
「ああ…。…だが、なぜこんなところに……」
「いや、実は久々に里帰りしたらエメラが人間との勝負に負けて嫁いだと聞いての、
その婿殿を一目見るため、急いで馳せ参じたのじゃ」
じじいは普通に喋っていた。
「……あの……普通に…喋ってますね?」
「うむ。最近は物騒じゃからな。初対面の相手にはボケているフリをするようにしているのじゃ」
そんな事をしたらどう考えても逆効果だ。
などという事をジュリオが考える暇もなく、エメラのボディブローがじじいに炸裂した。
「エンッ!!」
じじいが不可思議な悲鳴を上げて仰け反る。
「エ…エメラさん! 駄目ですよ老人はいたわらないと! それに仮にもエメラさんのおじい」
「うるさい! 私は負けなど認めていない! それに誰がこんな奴に嫁ぐものかっ!!」
無意識にジュリオを指差して言い、エメラはしまった! という感じの顔になった。
じじいはにやりと下品な笑いを浮かべると、言った。
「…つまり、その人が婿殿か?」
「エンッ!!!!」
再び炸裂、ヴォディヴロウ。
これにはさすがのじじいもたまらない。
「いやはや、驚きじゃ。まさか貴方が…先ほどの無礼、心よりお詫び申し上げる…」
「いえ、そんな急に改まらなくても…。というか血出てますよ…」
じじいが口から血を流している。それでも普通に喋っているとは、とてつもないタフさである。
エメラはいつでも攻撃ができるように身構えている。
「我が孫よ、そんなにピンピンするな…。女らしくないぞ…」
「うるさい、黙れ!」
よほどこのじじいが苦手なのだろうか。エメラの目にはある種の恐怖のような色も伺えた。
…実の祖父(らしい)なのに。
「…それで、むこど……貴方の名前は?」
「はい、ジュリオと申します」
「ふむ、いい名前じゃ。…どうやらうちの孫が世話になっているようじゃ。
…ハンターに役立つ情報など色々あるが、何か知りたい事などはあるかの?」
知りたいこと……。…正直、このじじいがなぜ普通にモンスターであるはずの仲間達の元へ
里帰りできたのかだの知りたいことは色々あるのだが……
やはり、一番気にかかっている事を聞くことにした。
33 :
らんくあ〜っぷ:2007/03/18(日) 04:17:54 ID:0VHUztu5
「…なんと…【黒狼鳥】の翼や爪を生やした少年…とな?」
「ええ…。エメラさんのように人になったモンスターだとしても、翼があったりするのは
普通ではない…ですよね?」
「うむ、その通りじゃ」
ジュリオが質問したのは、あの少年の事だった。
人の姿をしていながら、モンスターの体の一部を持った少年。
あの異様な姿をジュリオは忘れることが出来なかった(もっとも、肝心の戦闘は殆ど覚えていないのだが)。
その質問については、エメラも気になるらしく聞き耳を立てている。
「…通常、そんな者はおらん。…じゃが、もしかするなら…その少年は
『成り損ない』かもしれん」
「『成り損ない』?」
「うむ。我々モンスターが人の姿に転生できるのはご存知であろう。
じゃが、極稀にその転生に失敗して、モンスターの時の体の一部が残ってしまう場合があるのじゃ。
それが『成り損ない』じゃ。…じゃが普通、『成り損ない』は人間としての体とモンスターとしての体の
調和が成り立たず、細胞が崩れてすぐ死に至るもの…。…すまぬが、これ以上はワシにもわからん…」
『成り損ない』…そのどこか嫌な響きのする言葉一つで、あの少年が表せるとは、ジュリオやエメラは思わなかった。
無論、じじいもそれを理解はしているのだが。
だが、あの少年の奇怪さは実際に彼を間近で見た二人にしかわからない。
…謎は深まるばかりである。
「ほっほっほっ、そう難しい顔をするでない。…真実というのは、いずれ明らかになるものじゃよ」
じじいはそう言うと、くるりと振り返った。
「さて、孫とむこど…エヘンエヘン! も拝めたし、ワシはそろそろ帰るとするぞ」
「あ…色々とありがとうございました!」
「いやいや。これからも、孫をよろしく頼むぞい。ああ見えても根はとてもいい子じゃ」
その言葉に反応して、エメラが戦闘モードを発動しようとしているのが見えると、
ジュリオは慌ててそれをなだめた。
「…昔っからよく照れ隠しをするのう…。…いちいち天邪鬼な孫じゃ…。
そこがまた可愛いがの…。…どうやらあのジュリオ殿にもそれなりに心を許しとるようじゃし…
ワシも一安心じゃな。」
じじいはジュリオがエメラをなだめているのを微笑ましそうな目で見ると、水に飛び込もうとした。
…が
「おお、危うく忘れるところじゃった!」
何かを思い出したらしく、エメラに歩み寄っていった。
「…何だ?」
「……実はどうしても聞いておかなくてはならない事があっての…」
いきなりじじいが真剣な顔つきになる。
その顔を見て、エメラはそれを聞く気になった。
ジュリオもじじいが何を話そうとしているのか気になったが、しっしっ、と追い払われてしまった。
何でも、秘密の話らしい。
「…それで? どうした、そんないつになく真剣な顔で」
「うむ、一つだけ知っておきたいのじゃ」
「おぬし、婿殿とはABCどこまで行ったのじゃ?」
「ニャ?」
ふとそう言ったのは、ジュリオの家で料理を作っているアイルー、アップルだ。
今は料理長のリュウと一緒に買出しに来ている。
「どうしたニャ?」
「いや、今じいさんが空を飛んでたような…」
「まっさか〜、そんな事あるわけないニャ!」
「…そうニャね。見間違いかニャ?」
「そうニャ。そうに決まってるニャ」
『ニャッハッハッハッハッ!』
ポッケ村の、平和な昼下がり(朝だけど)の話であった。
申し訳ございませんでした。
深々とお詫びを申し上げます。
何この唐突な展開。何この意味不明な話。勢いで書いちゃったけどホント何コレ。
ジュリオの雪山での挙動不審(?)とかについては次回あたりで伏線回収しようと思ってるけど…
本当に反省してます。ごめんなさい。次回からはちゃんと真面目に書きます。
だから今回は許してください。
………ダメ?
とりあえず苦情をどうぞ。
36 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 05:23:26 ID:fOMUcsiT
とりあえず保守
>>35かわいいやつめ(^-^)⊃))35ナデナデ
そしてGJ!続きにwktk
うあ、いつのまにやら容量超えてたようで見失っておりましたー。
ええと、前スレで>いろいろやってる人 さんに相棒ガンナーに救いを
とのことでちょっと考えていたのですが、続けても良いですかね?
オリキャラを出すべきかゲーム版の主人公と絡ませるべきか……
ちょっとまだ時間がかかりそうです。
sage忘れのヒト、GJ
>>38 つ【元がネトゲだからゲーム版主人公=オリキャラ】
いつの間にか新スレに!?
前スレで誘導がなかったからちょっと人が少なめかな
今更だが保管庫はないのか?ぜひ一から読みたい名作がたくさんあるし作品の数も申し分無いと思うんだが
前スレで作成中だとは言われてたけど
まあ気長に待とうやー。
>>1 のおかげで前スレのtxt化はされてるから、今はそいつで我慢。
>>35 コテがウザい。
言い訳が長い。
でも愛してる。
>>43 このツンデレめ
ちょっとときめいたじゃないか。
46 :
ハート:2007/03/20(火) 17:27:15 ID:uSrv9kYs
『ん〜・・・どうするかな・・・』
依頼書とにらめっこをしながらルイスは考え込んでいた。
『やっぱり儲かるのはリオレイアだよな〜・・・』
今ある依頼は、リオレイア討伐、バサルモス捕獲、ドスランポス二頭の討伐。そしてキノコ。
「ベッキーさん、やっぱりリオレイアを受けることにするよ」
「はい、頑張ってね」
酒場のカウンターで依頼を取り扱っているのはベッキーと呼ばれる女性だ。人気者である。
「さて、フレイアは・・・部屋か?」
基本、二人で依頼を取りに来るのだが今日はフレイアを見かけていない。ルイスは部屋に向かうことにした。
パーティーを組み始めてもう一年が経とうとしているが、相変わらずルイスはフレイアの足元にも及ばない。そして、
『なんか、妙に気になるんだよな・・・最近』
彼女は、大人である。可愛いや愛らしいよりは、綺麗、カッコイイなどの部類に入るとルイスは思っている。
コンコン・・・
「フレイア〜。依頼なんだけど・・・」
いつもの様に軽くノックをして、返事が無くとも部屋に入るとフレイアは見当たらなかった。
『あれ?入れ違いにでもなったか?鍵くらい閉めろよな〜・・・』
そんなことを思いながら出ようとすると、奥から扉が開く音が聞こえたので振り向くとそこにはフレイアが居た。
「ルイスか?どうした」
「お、居たのか。依頼なんだけど・・!?」
ルイスは慌てて背を向ける。その理由は、と言えば
「ん、どうかしたか?」
「な、なんで何も着てないんだよ!」
彼女は裸だった。見られたはずなのに動揺もしていない。ルイスの方が混乱している始末だ。
「風呂に入っていたからだ。別に見られても減るもんじゃないだろう・・・」
「と、とりあえず何か着てくれって!」
ルイスは自分でも顔が赤いのが分かった。これではまともに話もできない。
「なんだ?照れているのか?可愛いところもあるじゃないか」
「別に照れてなんて・・・」
フレイアの声は笑っていたが、ルイスはそれどころではない。そうしていると、肩を掴まれた。
47 :
ハート:2007/03/20(火) 17:28:20 ID:uSrv9kYs
「いいからこっちを向いたらどうだ?依頼の話だろう?」
「ちょ、ちょっと待てって!」
フレイアは力が強い。細い体のどこに蓄えているのか、凄まじいほどの筋力である。
「何故目を逸らす?私を見たらどうだ」
見たらどうだ、と言われてもルイスは目を逸らす。身長はフレイアのほうが少し高いので、斜め下を向くような感じだ。
「なんでって、それは、、あれだよ、その・・・」
フレイアはおそらくわけが分からないといった顔をしているだろう。このへんの感覚が少しずれているのかもしれない。
「ルイス、ちょっと顔を貸せ」
フレイアはルイスの頭を掴み、自分のほうに向けさせると口をつけた。
「!?・・ちょ、なに!?」
突然の出来事に、理解できずにいるとフレイアは
「どうだ、少しは落ち着いただろう?何をそんなに慌てている」
「え?あぁ、落ち着きはしたけど・・・」
いきなりキスするのはどうなのだろう?ってのはさておき、ルイスは今度は違う意味で慌てている。
「ちょ、近くないか・・・な?」
フレイアの顔が目の前にあるほど二人の距離は近い。キスをしたのだから体が近いのは当然なのだが。
「これなら顔意外見えないだろう。まだ何かあるのか?」
「いや、だから服を着て少し離れて・・・」
「じれったい奴だな。女の裸もまともに見れないのか?」
馬鹿にされているのかは分からないが、そこまで言われるとルイスも我慢できなかった。
「わかったよ!見ればいいんだろ!」
そう言って離れるが、今度は目を離せなくなる。
鞣革のように艶やかで光沢のある褐色の肌、絹糸のような腰まである黒髪が風に揺れ、
ハンターとして鍛えられた体でも女性らしさを失ってはいない。所謂、肉体美に近いものがある。
「今度は固まっているが、大丈夫か?お前」
「その、傷は・・・?」
彼女の体の中で目立つ傷が一つだけあった。左肩から首筋にかけての大きな傷跡。
「これか?レウスに喰いちぎられたものだ。初めての狩りでな」
そんなことを言いながらフレイアは近づいてくる。目の前まで来て立ち止まると、もう一度唇を重ねる。
「フレイア・・・今日、変じゃないか?」
「お前の男の部分は拒んではいない様だが・・・」
フレイアの身体を見てから収まらなくなっていたそれは、ばれていた様だ。
「それとも、初めてが私なのは不満か?」
「そんなことは!いや、むしろ嬉しいけど・・・」
「そうか、それなら構わないな」
そういうと口付けを交わし、今度は互いの舌を絡ませる。
48 :
ハート:2007/03/20(火) 17:28:52 ID:uSrv9kYs
「ちゅ、、んん、、ぷは・・・」
初めての感覚。体がふわふわして、そこに居るのかさえ疑いたくなるような・・・
「初めてなら、私からしてやろうか?」
すると、フレイアはルイスの上に逆向きで乗り、体を密着させる。
体全体でフレイアを感じ、体全体で応える。すると、フレイアはルイスの下着を脱がした。
「なかなかのモノを持ってるじゃないか」
それだけいうとフレイアは亀頭のさらに先端をゆっくりと舐める。
「うっく、、ああ、、、」
それだけで上ずった声が出る。痺れるような快感に体から力が抜ける。
「んん・・・んむ・・・あふ・・・ちゅっ・・・」
今度は咥え込み、頭を上下させながら舌を絡ませ刺激していく。
「んぐ・・・ぢゅ・・・ぷあ・・・うふ・・・」
「ちょ、何か出そう・・・うぐ!」
「ん、そうか?ならそろそろ本番と行こうか」
フレイアは体制を変え、床に膝をついて馬乗りになる形になる。
「じゃあ、挿入れるぞ?」
「あ、うん。大丈夫だ・・・」
フレイアは腰を沈め、自分の中へ導く。
「んっ・・・くああ・・・あ!」
「うああ!ダメ、、だ!」
愛撫も何もしていないのにフレイアはあっさりとルイスの男根を受け入れた。瞬間、ルイスは出してしまった。
「動いても無いのに、出すんじゃない・・・馬鹿」
「わ、悪い。我慢できなかった・・・」
「すでに硬くなってるな・・・動くぞ」
ルイスは出したばかりにもかかわらずすでに硬さを取り戻していたので、フレイアは自ら上下に動き始めた。
「んっんぁ・・・ふ、なかなか・・・いいぞ・・うん」
「うっく!・・・少し待て・・・」
出たばかり、敏感になっている状態で激しく動き始めるフレイア。大きくは無いが程よい大きさの胸が揺れる。
「ふっん・・・あぁ・・待てるか・・・うん!」
「ちょ・・また出そう・・・!」
「もう、出しているだろっう!・・・そのまま・・んぁ、出して構わ、ん!」
そういってフレイアはルイスの上に寝そべり体を擦り合わせながら動く。
「出るぞ!うっ・・・」
「んん!・・・ふあぁぁ・・・」
49 :
ハート:2007/03/20(火) 17:32:01 ID:uSrv9kYs
「どうだった?初体験は」
口元に笑みを浮かべ、フレイアはルイスに聞いた。
「気持ちよかった・・・って何言わせてんだよ!」
「ふふ。素直でいいじゃないか。照れるな」
すっかりフレイアのペースである。狩りにおいても会話においてもやはり敵わない。
「ところで、依頼は決めたのか?」
「リオレイアの討伐があるんだけど、いいか?」
依頼書を見せ、サインさせる。これでパーティー成立だ。
「出発は明日でいいだろう。今日は寝ておけ」
フレイアは立ち上がり、服を着ていつものコートに見を隠し部屋から出て行った。
『どこ行くか教えてくれないんだもんな〜・・・』
後をつけては見失い、聞けばかわされ、探しても見つからない。
そんなことを考えていると、前にもらった銀火竜の鱗に通してあるフレイアの髪が一本切れた。
お久しぶり。三匹目探すのにやけに手間取った・・・
なんかこの作品内の展開苦しいと思うが気にしなくていいかな。
つづく
>>49 そんなこと気にすることはない!
GJだ!!!!!!
>>50に同じく、いつもどおりGJですぜハートさん!
あと、遅ればせながら色々と感想くれた人ありがとう。
完全に見失って途方にくれてたよ…新スレか。遅ればせながら
>>1さん乙。
38さんは664センセかな?個人的な要望でしたのでご無理言ってすいません。
もし、書いて頂けるなら是非読みたいです。
あと、コテがウザイという指摘もあるようなので私も名無しに戻ります。
またノベゲが出来たときにでもコテ付けますわ。ではノシ
ぬふぅ まだ書きあがっていないぜBOY
でも忘れられそうだと思うと明日仕事でも手につかない
なのでリアルタイム投下
いやホンママジスンマセンマジスンマセン
夜の雪山は寒い。
耐寒性に優れるよう加工されたはずのキリンコートが水分を含み、凍り、体温を奪っていく。
目出し帽をつけていなければ眉毛や髪の毛が凍り、狙撃に支障をきたしていたであろう。
その寒さの中で、ジョージは目を瞑る。
自分の身体を頭の中でイメージする、凛とした雪山独特の空気が自らの体温と混ざり合い、層を形成していく。
コートを雪が撫でる。ファーが空気を切り刻む。空気の流れが見える。感じる。聞こえる。
狙うはギアノス。対象との距離約5km 風向きはX=7 Y=-4 かなり強い。
照準は電光エキスの塗られた簡易照準のみ。
間に障害物はないが、この距離から固定倍率スコープの破損したボウガンで狙うには無茶が過ぎる。
それでも静かに、手ブレやリコイルを計算し、狙いを定めていく。
簡易照準の先には最早何も捕らえてはいない。
トリガーガードにかかっていた人差し指が、素早く引かれる。
炸薬に押し出されたハリの実は、一刻も早く獲物を喰いちぎらんと空を翔る。
風切り音に気が付いて顔を上げれば目の前には風に吹かれて軌道が狙い済ましたように逸れた小粒な破壊者。
それが眼球を抉り、頭蓋の内部で破裂する。
ハリの実の由来であろう小さい棘が内側から筋肉を、脳髄を、引き摺り回す。
ナイス・ショット
発射と同時に咲いた、血のように赤い華を見て呟く。
ギアノスは倒れたまま動かない。
一撃で、なにが起きたのか解らぬまま死んでいるのだから当然と言えばそうかもしれない。
ジョージはストラップを持って右肩の後ろにボウガンを回す。
地面に置いていたランタンを掴み。
素早くギアノスの死体の近く、より正確にはその近くの洞窟へと足を運ぶ
「やっぱり」
ジョージは呟く。
風化した謎の骨、頭骨。
ポポのものと思われる巨大な角。
身体の大半を食われたままミイラ化したフルフルの幼体。
異臭を発する大きな布袋。
湿気た爆薬、炸薬、ニトロダケ、空薬莢。
ガウシカの角を削って作られた簡素な銛。
そして未だに現役で使えそうな肉焼きセットと鍋。
1目でわかる、人が住んでいた証の数々。
それが眼の前で散乱し、整理され、食料以外殆ど手付かずのまま残っていた。
「ははっ」
ジョージは笑う。懐かしそうに、失くしたお気に入りの玩具をみつけたかのように。
「まだ残ってらぁ」
嬉しそうに、悲しそうに、懐かしそうに、それでもやっぱり、哀しそうに、笑う。
ジョージは洞窟の入り口の壁面に向かってしゃがみこむ。
ランタンをかざして見てみれば、まるで幼稚園児のような下手な絵と共にこう書いてある
アダーニャの隠れ家。
「懐かしいな」
そういえばあの頃、ジョージという字がかけなくて、間違えながら書いたっけ?
「あぁ、懐かしい」
「あの頃はまだ、私の爪ほどもなかったなぁ」
ジョージは立ち上がる。
同年代にしては比較的高いその身長で、後ろを振り向きながら。
「今だってそんなに無いよ『姉さん』」
背後にいたその少女に、まるで長年会ってなかった姉弟の声をかけた。
ぬふう、投下終了。
これ以上の投下はマジ勘弁してください。
眠くて死にそうです。
では
やっとヒロイン登場。
本来ここまでが2回目で投下する量だったのに……
携帯で確認して間違い発見
× アダーニャの隠れ家
○ あばるにのかくしや
に脳内変換よろ
眼前の竜が頭部を地面に叩きつけ、大音声とともに砂塵を盛大に巻き上げる。
空中を乱舞する砂が俺の目を襲撃し、いくらかが眼球に直撃する。
痛い。反射的に目を閉じそうになるのを必死に堪えた。
視界が狭くなるからという理由でフルフェイスの兜を避けたことを後悔しつつも、
俺は砂に吸い込まれていく飛竜の尾を涙でぼやけた視界の端に入れつつ反転。
手に嵌めていた氷双剣ギアノスクロウズ改を背中の掛け金に戻し、脱兎の如く駆け出した。
長時間の砂漠での戦闘で砂をしっかりと噛んでしまったらしいバトルグリーヴから、ガリガリと嫌な音がする。
踵関節部分の動作が鈍っていて走り辛かったが、んなことに構ってはいられない!円を描くように曲がりながらひたすらに走って距離を稼ぐ。
上方には見惚れるような夜の星空が広がっていたが、当然無視だ。
背後から地響き。走りつつ視線を向けると、そこには予想通りの光景。砂に潜って耳を澄まし、こちらの動静を探っていた竜が動き出したのだ。
そいつはその図体からは考えられないスピードで砂を掻き分け、地底を進むことが出来るらしかった。
本来ならばモンスターの内臓器官を利用して超高音を発生させる「音爆弾」を使用し、聴覚を刺激して怯ませてやりたいところだが、
生憎今までの戦闘でその全てを使いきってしまっていた―――と、考えている間にもどんどん音源が接近してくる。
音量を増して轟音にまでなった地響きが一瞬だけ鳴り止む。それを脳が認識した瞬間に、俺は地面を思い切り蹴って真横にダイブした。
次の瞬間、轟という咆哮と共にそいつが砂中から一気に飛び出し、顔面から生えた一本角を一秒前まで俺の胴体があった空間に突き立てていた。
その光景を見つつ、そして己の身体が串刺しにならなかったことに安堵しつつ、俺は即座に立ち上がった。
そして眼前の飛竜―――即ち一角竜モノブロスを見据える。
>>58 モノブロス、と聞けば真っ先に思い浮かべるのは頭部にある真紅の角だろう。
そしてその硬度からダイミョウザザミのヤドにもされる特徴的な形状の頭殻、
後頭部の襟飾り、それを含めて身体を覆う赤銅色の甲殻と鱗・・・とまぁこんな感じなんだろうが、
眼前の一角竜は見事なまでにそれらを全て裏切っていた。
角竜の誇りとされる角をはじめ、頭殻、甲殻、背甲、翼膜、尾に至るまで全てが美しい白銀色に染められていたのだ。
通常種と体色が違うモンスター、すなわち「亜種モンスター」の存在は俺も知っていた。
実際に青いイャンクックや紫色のゲリョスなんかは狩猟経験があったし、
他のハンターから黒いグラビモスや翠色のガノトトス、
果てには信じていいかもわからないが蒼いラオシャンロンや金色のリオレイア、銀色のリオレウスなど、
とにかくそういった類の話は耳にしたことがあったわけだ。
そしてそれらの話に共通するのは、亜種は総じて通常種よりも強力な固体である、ということだった。
体力は通常種のそれよりも明らかに多く、甲殻はより強固に、動作はより速く。
今現在俺と対峙している白モノブロスも残念ながらその例にしっかり倣っているようで、
それなりに攻撃を重ねてはいるのだが、その体力が衰える気配は未だに感じ取れなかった。
>>59 モノブロスそのもの狩猟は初めてではなかった。だが過去に俺が相手にしたのは通常種ただ一頭で、
しかもさんざん手こずった挙句に制限期間ギリギリで捕獲という体たらくだった。
そんな経験をしておいて何故俺がまたモノブロスと戦っているのか、と問われれば正直に答えよう。再挑戦したかった。ただそれだけだ。
結果的にはクエスト成功に漕ぎつけたのだが、本当は討伐という形でクエストを成功させたいと思っていたんだろうな。
文字通り生け捕りにする捕獲よりも、相手の生命を断ち切って討伐した方が完全な勝利を収めた気分になれる性分なのだ、俺は。
そういう俺の意思はどうでもいいわけで、
問題は俺がこのクエストを受注した時にはターゲットたるモノブロスが亜種だという話は全く聞いていなかったということだ。
原種より希少な存在ではあるが同時に手強い存在でもある亜種ではなく、まず先に通常種と戦って実力と経験を積もうと思い、
俺が拠点にしているポッケ村の村長から斡旋された、とある商隊と問題を起こしたらしいモノブロスの狩猟クエストを受注したのだ。
誓ってもいい。その依頼文にはモノブロスが亜種であることを想起させるようなことは全く書かれていなかった、と。
大体想像はつく。モンスターに対抗する手段を自分自身が持たない商隊の連中にとって、奴らはまさに畏怖の対象だ。
きっと逃げるのに必死になって、シルエットや咆哮からモノブロスだということは判断できても、
身体の色なんか見てる余裕なんかなかったんだろう。おそらく。たぶん。
いや、有り得ないとは思うけど、報告忘れとかだったら恨みますよ?依頼主さん。
ほっぺたから横隔膜までお前を呪ってやるって気持ちを膨らませてやる。ついでに追加料金もふんだくってやるから覚悟してやがれ。
>>60 そんな俺の下賎な思考を断ち切るように、モノブロスが唸り声と共に身体を低く構えた。
最大の武器である一角の照準をしっかりと俺に合わせ、発達した両足で砂塵を蹴り上げつつ突進を開始する。
まともに食らえば当然命はない。加速された白銀の角は、
俺の装備しているバトルシリーズ程度の防具など薄紙のように貫通するだろう。
そうして哀れに串刺しにされた俺を頭の一振りで地面に叩きつければ、
反吐が出るほどに豪華な一品、血まみれハンターの内臓和えの出来上がりだ。
きっとゲネポスかガレオスあたりが喜んで食いつくに違いない。料金もタダなことだしな。
しかしながら当然俺はこの世にまだ未練があるので、そうなるのは御免だった。
一直線に接近してくるモノブロスを回避すべく、真横に疾走する。
モノブロスに限らず、モンスターの突進は躱してしまうのが一番楽だし手っ取り早い。
威力のあるハンマーや大剣ならば、突進してくるモンスターの頭部に絶妙のタイミングで強打を叩き込むことで、
その動きを強制停止させることも可能かもしれないが、生憎俺が装備しているのは非力だが手数で勝負する双剣であり、
そもそも俺の何十倍もの質量を持つ飛竜の突進を真正面から止めようと思えるほどの手練でも馬鹿でもない。
俺とモノブロスの身体が交錯する寸前に飛び込み前転し、撃竜槍の一撃を思わせる突進をなんとか回避する。
奴の後ろ足で巻き上げられた砂塵を掲げた腕で弾きつつ、再度疾走。後方に過ぎ去っていくモノブロスを追う。攻撃の機会は奴が背を向けた今しかない!
だが突進から停止したモノブロスは俺の気配を感じ取ったらしく、その長大な尾を鞭のようにしならせ、棘を生やした鉄槌の如き先端部分の瘤を地面に叩きつけてくる。
突進には劣るがそれでも十分すぎる殺傷力を持つ攻撃を食らう寸前で急停止。その動作の終了とともに、俺は今度こそ無防備になったモノブロスの足元に潜り込んだ。
間髪を入れずに背中に収納していたギアノスクロウズ改を両手に装着し、一閃。
雪山の肉食獣ギアノスの爪と皮を加工し、その低温に対する強力な耐性を利用して「溶けることのない氷」たる氷結晶の冷気を宿らせた刃が、
甲殻に覆われておらず、かつ比較的柔らかい部位である右脚膝関節の裏側の皮を断ち切って肉を裂き、その冷気で凍結させる!
本来ギアノスクロウズ改程度の斬れ味では一撃で斬れる部位ではなかった。だがこれまでの戦闘で俺もただ逃げ続けていたわけではない。
打点の低い武器である双剣があらゆる部位を自由に狙える機会、即ち転倒を狙うべくこの部位を集中攻撃していたのだ。
斬撃の痛みと弱点である氷属性の浸食を受け、その質量を支えきれなくなったモノブロスの右脚がくずおれた。
一拍の間をおいて轟音が響き渡る。猛き角竜がついに地に伏したのだ。
この好機を逃す手は無い!
俺は転倒時の大音声に耳を貸すことなく既に疾駆し、モノブロスの頭部を目指していた。狙うは敵の最大の武器たる角の破壊。
攻撃地点に到達した瞬間、モノブロスと俺の視線が交錯した。
そして見てしまった。その鋼の色彩を帯びた瞳を。
>>61 瞬間、形容しがたい感覚が俺を襲った。
―――なんだこれは?殺意や憎悪とは明らかに違う。だが決して安心できるものではない。気を抜けば精神を乱されるような感覚は一体?
今まで対峙したどのモンスターも、過去に苦戦の末に捕獲したモノブロスさえもこんな感覚を覚えるような視線は向けてこなかっ―――
逡巡したのは一瞬。今は余計な事を考えている暇なんて存在しないと思い至る程度に俺は賢明だった。
邪念を捨て去り、神経を両腕の双剣に集中させる。その刃を頭上で交差させ、全身の筋力を最大限に発揮させる!
「がああああああああああああぁっ!!!」
口腔から吐き出されたのは獣の咆哮。
双剣使いの奥の手たる、筋力消費を代償に一時的に爆発的攻撃力を得る<鬼人化>を果たした俺は、眼前の敵に対してその力を解放する。
次の瞬間、青い残像だけを残し、二振りの刃が超高速で一本角に襲い掛かっていた。
双剣の攻撃術の中で最大の威力を誇るそれは、動作が斬撃というよりは優雅な舞踊のように見えることから<乱舞>と呼称されていた。
俺が渾身の力を込めて振るう一対の青い死神が幾度となく強襲し、高硬度を誇る一本角を「斬る」というよりは乱暴に「削り取って」いく。
高硬度部位への連続攻撃が刃の斬れ味を激しく消費していくが、そんなことは気にもならない。気にしていられない。
そして遂に、舞の終焉を告げるべく大上段から振り下ろされた双剣が、角竜の誇りたるその白銀の角を叩き斬った!
モノブロスが悲鳴とも取れる鳴き声を上げる。
それを聞きつつ俺は止めていた呼吸を再開。荒い息を吐き、双剣を下方に振り払って<鬼人化>を解除した。
途端に全身が忘却していた疲労を思い出し、耐え難い不快感に俺は顔を歪めて耐える。
休息が必要だった。
俺自身のスタミナがそろそろ限界だというのもあるし、酷使してこぼれた刃を再び研ぎ澄ます時間がなにより欲しかった。
今撤退すれば、それは即ちモノブロスにも休息の時間を与えてしまう事を意味する。
だが右脚に与えた傷はそう簡単には癒えないだろうし、幸いな事に制限期間が切れるまでまだ暫くあった。
そしてなにより、近接武器を扱うハンターの常識として常に砥石を携帯してはいるが、
かといって眼前でのうのうと刃を研ぐような隙をくれるほど眼前の竜は甘くはない。
その思考を肯定するかのように、地に伏してもがいていたモノブロスがついに再び立ち上がった。
その鋼色の双眸に、今度こそはっきりとした耐え難いほどの憤怒を宿して。
それを象徴するかのように、後頭部の襟飾りに鮮血を思わせる赤い模様が浮き出していた。
自身の怒りに呼応して血流が活発になり、血管が体表近くを通っている部分からそれが見えるという仕組みらしい、と聞いてはいたが、
原理が分かったところで相手が手加減してくれるわけでもなんでもない。
ハンター達の格言で「黒龍と古龍と怒った飛竜とまともに戦うくらいならクエストリタイアしろ」とあるくらいに、怒り狂った飛竜は危険な存在なのだ。
通常種であっても攻撃力と俊敏性がかなり上昇するというのに、基本能力が底上げされた亜種が怒ったらどうなるかなんて考えたくもない。
俺はギアノスクロウズ改を背に戻し、腰のアイテムポーチから手の平サイズの緑色をした球体を取り出した。
これはモドリ玉と呼ばれるアイテムで、思い切り地面に叩きつけると緑の煙を噴出させて使用者を包み、
そのフィールドのベースキャンプまで瞬時に移動させるという不思議な代物だ。
仕組みは全くもって分からないのだが…効果は確実なので問題は無い。
それを地面に叩きつけようとした刹那、この世のものとは思えないほどの大音声が夜の砂漠に響き渡った!
「―――――――――ッ!!」
モドリ玉を取り落として反射的に両手で耳を塞いだものの、その程度では防げないほどの超音量が炸裂していた。
不協和音が俺の鼓膜を激しく揺さぶり、思考を塗りつぶしていく。
意識を失わないようにするのがやっとという状況の中で必死に音源を探ると、そこにはやはり白銀の一角竜。
灼熱の火球を発射する火竜や、圧縮された水を超速度で噴射する水竜などと違い、
そのような特殊なブレスを吐くことが出来ない角竜がそれらの飛竜と同程度、むしろそれ以上に危険視される理由のひとつがこれだ。
その喉から発せられる大音量の咆哮は「バインドボイス」と呼ばれ、歴戦のハンターでさえ足をすくませてしまうという。
盾を備える片手剣やランス系、刀身の巨大さから剣そのものを盾として使用できる大剣などの武器ならば、防御体勢をとることである程度の音量を遮断できただろう。
だが防御を捨てて攻撃にのみ特化した双剣ではそんな芸当が出来るはずもなく、俺は情けなく両目を瞑ってしまい、身をすくめて耐えることしか出来なかった。
咆哮が過ぎ去っても耳から離れないほどの大音量になんとか耐え切った俺が、真っ先に感じたのは連続する振動だった。
俺が目を開き、その振動の発生源がモノブロスの両脚であることに気付いた瞬間には、
紅化粧を施した襟飾りを覆う鱗の一枚一枚まで見て取れるほどにモノブロスが接近してきていた。避ける術は無い!
咄嗟にモドリ玉を叩きつけようとして握り締めた掌は空気を掴んだ。先の咆哮で思わず取り落としてしまった過去の自分を呪い、
それでも最後の賭けでギアノスクロウズ改を構える。刃を交差させるように構え、その頭部を受け流そうとして―――――そして当然の如く失敗した。
眼前の青い刃が衝撃に耐えかねて砕けた次の瞬間、痛いとか耐え難いとかそんなチャチなもんじゃないほどに凄まじい衝撃が俺を襲った。
宙を舞ったらしく視界一面に星空が広がったかと思うと、すぐに真紅に染まる。
勝鬨を上げる白い悪魔の咆哮を少しだけ聞き、その足元でモドリ玉が踏み潰されたらしく緑色の煙が上がるのを見たところで、俺の意識が勝手に休暇申請を提出。
その要求はあっさりと受理され、俺は死ぬのかなと思ったのを最後に―――――何も感じられなくなった。
64 :
58-63:2007/03/22(木) 16:45:34 ID:3suXUglj
ええと…とりあえず前フリ部分だけでものっそい長くなってしまってすみません。
そんでもってこんだけ長いのにエロ部分に入れなくて更にすみませんです…。改行制限を気にしつつの投稿でした。
とりあえず構想は練ってあるので、次回で必ずエロ入れます!
・・・と言いたいところですが、見苦しいという感想が多ければ素直に撤退いたしますです。
とりあえず読んでくれた方には感謝を。そんでもって感想もいただければ幸い至極ですお。
65 :
2-332:2007/03/22(木) 17:40:17 ID:bwqZPt7O
自分がなんか言うのもあれなのでとりあえずGJと言っておきます…
昨日の分投下します。
66 :
2-332:2007/03/22(木) 17:41:47 ID:bwqZPt7O
目覚めた時には、既に村に居た。おそらく生き残った男たちが連れて来てくれたのだろう。
やわらかい藁のようなものに寝かされているが、一応上に織った布のようなものがかぶせてあるところを見ると医療施設なのだろうか?
ゆっくりと起き上がる。テントの中には数個のベッドがあったが、埋まっているのはここだけ。
「怪我人が居ない」ということは、無傷の者と喰われた者しか居ないということになる。
俺に責任があるだろうか。助けようと思えば、助けられたのではないか?俺は彼女が窮地に追いやられた時見捨てようとまでした位だ。
って、彼女は無事だったのだろうか?
「もう眼が覚めた?」
視線を上げると優しそうなお姉さんが居た。おそらくここに勤めているのだろう。ちょうど良いので皆がどうしているか聞いてみることにする。
「あの後どうなりました?」
「えっと…確か三人死んで、他のものは無傷のはずよ。君と一緒に居た娘も助かったわ」
三人が喰われた、か。あんなでかいのを相手に被害が三人で済んだ――と、考えるべきなのだろうが、俺はハンターだ。
強い武器があれば勝てただろうに。そういえば、ギアノスバルーンも失ってしまったな。武器が無くては俺はギアノスにも劣る。
回復したら武器を買いに行こう。そうしないと、この群れを助けることは出来ない。
「ちょっと、散歩に出ていいですか?」
腕を吊っていても歩くことは出来る。外の空気が吸いたくなった。
「えぇー?良いけど、気をつけてよ?ひどい怪我だったんだから」
「ひどい怪我って、そんなに痛くないですけど?」
「三日も寝てればちょっとは治ります」
三日間寝っぱなしか。そこまで怪我した覚えないけど、脱臼した腕は吊ってあるし体中のあちこちが少し痛い。
まあ下手に騒いで怪我増やすこと無いな。
「大丈夫です。ちょっと歩いてくるだけですから」
「なら良いけど。…あぁ、そうそう」
「なんですか?」
急にお姉さんがニヤニヤと意地悪そうな笑いを浮かべる。
67 :
2-332:2007/03/22(木) 17:42:38 ID:bwqZPt7O
「あなたを治療したのはね、私じゃないの」
「…あの娘がやってくれたんですか?」
そこまで慕われていたっけ?
「ううん。ここで休んでた女の子よ。あなたを見るなり飛び起きて自分が治療する、って言い張ってね」
「はあ?」
「一目惚れって奴かしらね?いいわねえ、若い子は」
「…馬鹿いわないで下さい」
くすくすという笑い声を背に外に出た。ひゅう、と冷たい風が吹き抜ける。肺に深く吸い込むと一度に清々しい気分になった。
何でその娘は俺の治療なんて買って出たんだろう?ギアノスに好かれやすいとか変な属性付いてるのかな、俺。
雪に覆われていない草原を歩いていると、座ってぼうっとしている彼女――最初に知り合った娘――を見つけた。ちょっとからかってやろうか。
こっそり背中に近づいていって耳に息を吹きかけてやろう。変態みたいなスキンシップだが、彼女はそのくらいではびびらない。
「ふっ」
「ひゃあぁ!?」
予想外な反応だ。その娘は体を硬直させるとばたんと倒れてしまった。おかしいな、彼女はこれくらいでは…って、アレ?
「君は…」
声を掛けたが、まだ硬直していて返事は無い。だが見るだけで分かった。
彼女と同じ栗色――いや、それも少し薄いか――の髪は肩辺りまで伸びて外側にハネているし、顔つきも少々大人びている。可愛い。
ってそうじゃないな。早いとこ助け起こして謝らなければ。
「大丈夫?ゴメン、人違いだった」
「うう…」
左耳を押さえながら、涙を溜めた目をこちらへ向ける彼女。睨みつけるわけではなく、困った、という表情だ。
彼女くらいの年の娘なんて村では見かけなかったのにな。…あ、そういうことか。治療中だったんだな。
「俺の治療をしてくれたのは君?」
68 :
2-332:2007/03/22(木) 17:43:35 ID:bwqZPt7O
「あ、はい。私です。…どうして解ったんですか?」
「あそこのお姉さんが教えてくれたよ」
「そうですか。お喋りだな、もう」
「なんでそんなことを?」
その質問には彼女は答えなかった。赤くなるでもなかったので、色恋沙汰ではないのだろう。…ちょっと残念、かな?
「ところで、あなたはなぜこの村に居るんですか?」
「え?」…予想外の質問だ。経緯を聞けば抱かない疑問だと思ったが。
「あなたほど力があれば、一人で生きていくことも出来るでしょう?なぜ、私達という重荷を背負うのですか?」
「それは」
「私たちは雄を、『戦力』を失いました。…ある一人のハンターによって、です」
気付いて、いるのか?
「あなたの助けが無ければ全滅するでしょう。それはあなたにとって枷となるはずですよ」
なおも畳み掛ける。少し厳しい目を俺に向けながら。
「なぜあなたは私たちを助けるんですか?私は納得できない。何か、やましいことでもあるのですか?」
「…そうやりたいと、俺がそうやりたいと思ったからだよ」
口から出任せ。負い目を晒すわけにはいかない。しかし、恐い娘だ。
「なら、良いです」
にこっ、と笑った顔は、とても可愛らしいのに。
(以上です。感想、苦情、ありましたらぜひ聞かせてください)
>>64 GJです。戦闘描写が
ただ一点。地中から来るモノブロスの角は、突き立てられはしないかと。突き上げられますね。
>>56>>64>>68 乙&続きwktk
…もう、みなさん気になるところで止めすぎw
>>49 GJ!!
続きが待ち遠しい…
唐突だけど、こんな擬人化フラグが頭をよぎったんでひとつ。
討伐することで何故か擬人化してきたモンスターたちだけど、こんなパターンはどうだろうか?
捕獲した跡で"ポケモソバトル"出場のため、名前をつけ、なつかせようと奮闘する主人公…
そんな折、どんなモンスターもたちどころに主人になつくという"○○フード"レシピなるものを入手。
さっそくこさえて食べさせた"○○フード"が失敗したのか、何かの副作用でモンスターはヒト化。
主人公は…
( ゚д゚) …!?
(*゚д゚) ……
(*゚д゚)))
でも、これだと捕獲可能なモンスター限定になりそうだな。
自分で書いてみたいけど、今一つ、物語を書き上げる文才に恵まれていない…。
というワケで、各SS職人様、"気が向いたら"ひとつよろしく。
>>64 GJ。戦闘描写うまいな。面白かった
ところで…お前さんされ竜読んでるな?w
>>68 新キャラktkr
この手の綱渡りはハラハラして見てらんねぇw
無名のハンター×擬人化キリンが読みたいこの頃
>>64GJです。
ところで黒龍も古龍なんじゃ(ry
74 :
豆:2007/03/24(土) 16:10:43 ID:qLYHPsel
忘れカイザーさん。エメラ×ジュリオ期待しています。
>>63 静寂。
聞き取れる音といえば僅かに吹く風と、それに煽られて擦れる草の音くらいだった。
視界一面が暗闇に包まれているのは、俺が瞼を閉じているせいだろう。
さて、ここは天国だろうか地獄だろうか。
そう考えてから一秒後に答えが提出された。聴覚と視覚に続いて復活したらしい痛覚が、俺の全身にから激痛の大合奏を響かせてきやがったからだ。
それはつまり俺がまだ生きている事を示唆しており、喜ばしいことじゃないかと思って痛みに耐えようとしたが無理だった。
角竜の一撃を受けたらしい胸板からの痛みが凄まじい。喉元にせり上がってきた情けない悲鳴を噛み殺せず、弱々しく呻いてしまう。
なんとか手探りで身体を調べてみたが、どうやら胸部の皮が破れてしまっているようだ。
身体のあちこちが痛むのは無数の打撲や切り傷と擦り傷のせいらしく、幸いな事に骨折や内臓損傷の類はないようだ。
もしモノブロスの白銀の角を折っていなかったらこうはいかなかっただろう。俺は自らの悪運の強さに内心で苦笑した。
「お、気がついた?」
唐突に声がした。
反射的に目を開けると、満天の星空を塞ぐように至近距離から俺を覗き込んでいる顔があった。
白銀色の髪に、鋼の色彩を帯びた瞳。蠱誘的な唇、月光を受けて白く輝く首筋、
そして豊かな曲線を描く二つの果実のような球体、そしてその頂点にある突起…
と、ここまで視線を移動させたところでとある結論が脳内で発生。あまりに予想外な展開に思考が停止し、
俺は思わず痛みを忘れて両腕両脚を最大限に動かし、カンタロスよろしくガサガサと仰向けのまま後退。
そして壁に背を打ちつけたところで、無理な動きで倍加した激痛に襲われて悶絶するというあまりに無様な状況に追い込まれた。
「なんだ、それだけ動けるなら安心ね」
そう言いつつ眼前の女性が四つん這いの姿勢から立ち上がった。―――文字通り一糸も身に纏わぬ、つまるところ正真正銘の―――全裸で。
体つきや顔から推測するに、年齢は二十台前半といったところだろうか?容姿は間違いなく美人の部類に入っている、とか判断してしまう自分に呆れる。
目覚めたら近くに全裸の美女が!なんて展開は妄想内だけのものだと思っていたが、まさか実現するなんて嬉し、いや、誰が予想できただろう。
おまけに時期が時期だ。死線を彷徨った後にこんな非現実的な事態に遭遇するとは、ひょっとしてここは死後の世界なんだろうか。
羞恥心から視線を手で塞ぎつつ、しかし微妙に開けた指の隙間からその肢体をちゃっかり拝みつつ、俺は声を上擦らせながらも言葉を紡いだ。
「あー、その、なんだ。えーと、見てしまったものは仕方ないから謝る。謝るから教えてくれ。ここはどこなんだ?ついでに君はな、んで全裸なんだ?!」
出来る限り冷静に発言したかったのだが、この状況じゃ無理だろ。常識的に考えて。
疑問をぶつけられた女性はというと、どこか呆れたような表情をその整った顔に浮かべた。
「ここ?ここは砂漠の秘境よ。ねぇ、さっきまで平気そうな目で私のこと見てたのに、なんでそんな慌ててるの?」
「秘境?」
俺は最大級の疑問符を頭上に浮かべていたことだろう。
答えの前半部分を確認すべく周囲を見回すと、どうやらここは砂漠地帯の一角らしく、周囲には花を咲かせたサボテンと萎れ気味の植物があった。
奥のほうに細道がひとつだけ見えるということは、袋小路になっているらしい。
そういえば砂漠には過去にも何回か仕事で足を運んでいて、支給されるマップに載っているエリアは全て踏破していたのだが、こんなところがあるとは知らなかった。
後半部分は全く分からない。俺が部分的に記憶を喪失しているわけでもない限り、眼前の女性は見覚えがない。
というか、見ず知らずの人前で軽々しく全裸になるような、ある意味で神に近い変人は俺の知り合いにいないし人伝に聞いたこともない。断じてないったらない。
第一俺が意識を失う前まで見据えていたのは白いモノブロスであり…そういえば奴はどこに消えた?そして広大な砂漠地帯で倒れたはずの俺が何故ここにいるのだ?
>>75 「ひょっとして…君が俺を助けてくれたのか?」
「そうよ。気絶したあなたを運ぶのは骨が折れたわー」
「よくあの白いモノブロスから逃げ切れたな。どんな手品を使ったんだ?」
「え?」
今度は彼女の頭上に疑問符が浮かんだ。
おかしい。モノブロスは草食性の飛竜であり、勿論人間を捕食したりはしない。
だが自己防衛本能や好戦性から、一度対峙して敵と認めた相手の命を断ち切るまでは攻撃を止めたりしない筈なのだ。
それに加えて怒りに我を忘れた状態だったあの一角竜が、自らに傷を与えた上に角をへし折った俺を気絶させただけで満足するとは到底思えないのだが。
その疑問を口にする前に、女の口からは答えが紡がれていた。これまた予想出来なかったというか、誰が予想できただろう。
「逃げ切る?何言ってるの?私がそのモノブロスよ」
どうやらこの女は頭のネジどころか脳味噌そのものが吹っ飛んでいるらしい。全裸でいる理由もそれなら納得できる。
モノブロスはその何倍もの巨躯を誇る飛竜であり、
頭部にある真紅あるいは白銀の角、その硬度からダイミョウザザミ(以下略)をもつ角竜に分類される。
そして、俺の目の前にいる生物はどう見ても人間です。本当にありがとうございました。
俺は無意識のうちに哀れむような表情をしていたらしい。それを見咎めたらしい女が眉をひそめて眉間に不機嫌そうな皺を刻んだかと思うと、
形のいい乳房を揺らしつつ胸をそらし、思い切り息を吸い込んだ。
何の真似だと思った次の瞬間、もう二度と聞きたくはないと思っていた超音量の咆哮が夜の砂漠に響き渡った!
「――――――――――――ッ!!!?」
何度目かも分からない予想外の出来事に反応が遅れたが、なんとか意識を失う前に両手で耳を塞ぐことが出来た。
こんなタイミングであの白モノブロスが再来したのかと思い、相手の位置を探るべく反射的に瞑ってしまった瞼を開けつつ音の発生源を探ると、
そこにはやはり白銀の一角竜―――ではなく一人の女がいた。
眼前の光景よりも自分の正気を真っ先に疑い、瞼を数回開閉させてみたが現実は何も変化しなかった。
夜気を震わせる咆哮の発生源は、間違いなく眼前の女性だったのだ。あの細い体の何処にそんな力があるというのか。
そんな俺の呆気にとられた表情を見てようやく満足したのか、女は満面の笑みとともにその口を閉じた。それに連動して咆哮もピタリと止む。
「これで信じてくれる?」
俺は絶句していた。飛竜が人に変化したなんて、眼前に証拠を提出されてもハイそうですかと納得できることではない。
ではこれは俺が見ている夢かとも思ったが、それも違う。俺の胸と両耳の痛みは、間違いなく本物だったからだ。
「なに、まだ信じられないの?じゃあもう一度」
「ちょ、まて、分かった!信じる。信じるから叫ぶのはやめてくれ!」
「そ。わかればよろしい」
言葉と共に再び胸をそらして大気を吸い込もうとした女、もとい自称モノブロスを慌てて制止する。これ以上は俺の耳が耐えられそうもなかったからだ。
突拍子もない展開に俺の脆弱な脳が追いつかなくなってきていたが、それでもなんとかばらけた思考を纏め、俺は疑問を口にした。
「百歩譲ってお前がモノブロスだとして、なんで人の姿になっているんだ?」
「何言ってるのよ、あんたのせいじゃない!」
「俺の?!」
>>76 「そうよ!あなたが落とした球を踏んづけたら訳の分からない緑色の煙が出てきて、なんだろうと思って顔を向けたらそれを吸い込んじゃって、
変な気分になったと思ったら気を失っちゃって!それで気付いたらこんな姿に…あぁもう、どうしてくれるのよ!」
一気にまくしたてた女の顔がみるみる赤くなっていく。心なしか額の部分に見覚えのある赤い模様が出てきたような。
そんなことよりも、驚くべきはどうやらモドリ玉の効果によってモノブロスが人になったらしいということだ。
俺がモドリ玉を購入した行商ばあちゃんの話によると、モドリ玉の調合には多種の手投げ玉の元となる素材玉と、
「食べるまで何が起こるか分からないキノコ」として知られているドキドキノコから取れる特殊な成分を使用しているとのことだった。
戦闘はともかく調合にあまり長けていない俺は詳しい精製方は知らないのだが、
人に対して使用するとベースキャンプへの即時帰還効果が得られるのは身を以って経験済みだし、
他のハンターからも移動に失敗したとか体がおかしくなったとかいう報告は聞いたことがなかった。
そしてなにより、飛竜がその煙を吸引したなんて話は聞いたことがある筈も無かった。
恐らくそんな馬鹿をやらかしたのは、ハンターの長い歴史の中でも俺が初めてなんじゃないだろうか?
だからといって、まさか飛竜が人になるとは。
原材料が奇天烈なキノコだとしても、眼前に証拠が提出されていなければどう足掻いても信じることなんて出来なかっただろう。
そういった疑念を抱えつつも、俺は勤めて真面目な表情を浮かべるように努力していた。また叫ばれては冗談抜きで俺の聴覚が危うい。
「で、私が目覚めた時にあなたはまだ気絶してたから、仕方なく他のモンスターが来ないこの秘境まで引き摺ってきたってわけ!分かった?!」
怒りか悔しさからか、目尻にかすかに涙を浮かべつつ喋る自称モノブロス。こんな状況でなければ正直に可愛いと思えるのだが。
しかしまだ疑問は残っていた。最大の疑問が。これだけはハッキリさせねば気が済まない。
「じゃあ、何故モノブロスであったお前は俺を殺さずに、しかも安全な場所に運んだりしたんだ。気絶してる俺を殺すくらいの力はある筈だろう」
俺の心底からの疑問をぶつけられた元飛竜現人間は、出来の悪い訓練生を見る狩人道場教官のような視線を俺に向けてきた。
「決まってるじゃない。責任とってもらう為よ」
「責任?」
「そ。私がこんな姿になったのはあなたの責任だし、こんなナリじゃ砂漠で生きていけないじゃない。
というわけで、あなたが私の今後一切の面倒を見ること!そうすれば私の角を折った件は水に流してあげるわ!」
語尾を跳ね上げ、清々しい笑みを浮かべながら、女は宣言しやがった。
確かに俺にも責任があるのかもしれないが、だからといって厄介事を好んで抱え込みたくはない。
「今後一切って…なんで俺が」
「断れると思ってる?」
なんで俺がそんなことせにゃならんのだ、と言おうとした俺の口は、瞬時に間合いを詰めて俺に馬乗りになった女の右手で塞がれた。
ついでに鼻まで塞がれ、当然俺は呼吸が出来なくなる。抵抗しようと腕を動かそうとしたが、既に奴の左手と右脚で封じられていた。
力を込めてみたが跳ね除けることが出来ない。そして駄目押しの如く、収まりかけていた胸の痛みが甦ってきやがった。
そして俺が抵抗出来ない事を確認した眼前の白い悪魔は、先程から一転してこの上ないほどに意地の悪い笑みを浮かべて言葉を紡いだ。
>>77 「怒ってた時は殺しちゃえって思ってたんだけどね、冷静になってよく考えたら、生かしといて世話してもらった方がずぅっと得するって気付いたの」
恐ろしく嫌な考え方をする奴だった。
本当に元飛竜なのかと再び疑いたくなってきたが、俺はその双眸と肌色が先刻まで戦っていたモノブロスと酷似していることに気付いてしまった。
「状況は把握できた?この期に及んでまだ聞き分けのないこと言うなら、また暫く気絶してもらうけど?」
わざとだろうが、女の双眸に微かな殺意のようなものが浮かんできていた。段々苦しくなってきた俺は首を縦に振るしかない。
それを確認した女は、満足げな表情を浮かべるとその右手を離した。俺は大気を貪るように呼吸する。
とんでもない事になってしまったが、今この場で死ぬよりはマシだろうと思いたい。おそらく。たぶん。きっと。
「それと、もうひとつ」
「まだあるのかっ!」
俺は悲鳴に近い声を出してていた。終身保障に続いて一体何を要求しようというのか。
うんざりしつつ視線を上げた瞬間、女と俺の視線が交錯した。そして再び見てしまった。その鋼の色彩を帯びた瞳を。
瞬間、再びあの妙な感覚が俺を襲った。―――一体なんなのだこれは?心を見透かされているようで、そわそわと落ち着かなくなる。
元凶たる女は俺を見下ろし、その目を細めつつ妖艶に微笑んでいた。そして艶っぽい吐息と共に言葉を紡ぐ。
「問題です。今はなんの季節でしょう?」
意外な出題に戸惑い、しかし俺は記憶を探る。
砂漠でのクエストが受注可能だったということは温暖期ではない。
それに加え、視界の端に花を咲かせたサボテンがあるということは寒冷期でもない。つまり…
「繁殖期、だろ?」
「そ。よくできました。」
「季節がなんだってんだ。まさかアプケロスの卵でも取っ…」
アプケロスの卵でも取って来いって言うんじゃないだろうな、と言おうとした俺の口は再び塞がれた。
ただし今回は右手ではなく、女の薄桃色をした可愛らしい唇で。
「――――――!!!」
前触れも断りもない突然のキスに声なき悲鳴を上げ、しかし俺は抵抗することが出来なかった。
思考が塗りつぶされ、文字通り頭の中が真っ白になる。その柔らかな口唇が離れていっても、何も考えられないままだった。
そんな俺を見てクスクスと笑いつつ、女はその艶かしい右足を伸ばすと膝関節部分を見せ付けてきた。そこにあったのはケロイド状の傷跡。
「実は私、まだ相手を見つけられてなくて最近ムラムラしてたのよねぇ。そんな時に人間の身体にされちゃったんだから、こっちも責任取りなさいよね。
そしたらこの傷の件も水に流してあげる♪あ、当然この身体になってからは初めてだから色々教えてね?」
「な、何言ってやが、る。今後の面倒見るだけでその傷の分もじゅうぶ…」
続く言葉が喉から出る前に封殺された。原因は頭上の鋼色の双眸から向けられる、獲物を狩るハンターの目。
なんという視線…見ただけで俺が狩られる側だということが分かってしまった。この場の主導権は間違いなくこの女が握っている。
今まで俺がモンスターに対して向けていた視線を受け、なんとなくだが狩られゆくモンスターの気持ちの片鱗を味わったような気がした。
「さてと…めんどくさい問答はここまでにするとして。 や・ら・な・い・か・?」
―――砂漠の夜空に、男の悲鳴が長く長く木霊した。
以上でひとまずの終了となります。相変わらず無駄に長くて申しわけないです…。
とりあえず読んでくださった方には再びの感謝を。
そんでもって前回の分をGJと言って下さった方々にも感謝です。おかげさまで続きが書けましたですよ。
構想を練っていた部分がここまでなので、続きがどうなるかは自分もわかりませんw
アイディアが浮かんだらまた書くかも知れませんが。
>>69 アッー!!!!
確かにそうでした…地中から突き立てる、じゃおかしかったですね。俺日本語でおk。
書いた文章は何回も読み直して推敲したつもりでいたのですが、まだまだ粗かったようで。指摘どうもでした。
>>71 され竜は読んでますよ〜。大好きです。
相手が竜だったり主人公達の仕事がハンターと似てる部分もあったりで影響受けてしまいますね。
ちなみに「黒龍と古龍と〜」のくだりはここにも読者さんがいるかな?と思って狙って入れてみましたですよ。
>>73 そういえばミラボレアスも古龍種に分類されてましたね。
しかし他の古龍とは一線を画す存在であると個人的に思っているので、あえて分けてみました。
以上、本当に長々と失礼しました。
貴重なレスを消費してしまったので、暫くはまた読み手に回りたいと思いますですノシ
>>79 乙です
ぐぁーーーーー!何も思いつかん!
前スレで擬人化SS投下したはいいが狼をだしてからが全然思いつかねぇぇぇぇぇ
そもそも覚えている人がいない気がする………
81 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 22:58:02 ID:V0naqaYI
はじめまして
初カキコです。
>>72さん
ケータイから&初めて書いたので駄文ですが、それでもよければ少し投下しますが。
>>79 GJ。文すげぇうまいな。
俺も見習わなければ…。あ、ちなみに俺sage忘れカイザー。
これからは投稿する時だけコテ使うことにした。
>>79GJGJGJGJGJィ!!!!!!
で、もちろん続きとエロシ-ンはあるよな?
揚げ足取りすまんが
や ら な い か(←ここに?は要らない)
男の悲鳴はアッー!
あの…
まだ書き上げてないんですが、無名ハンター×擬人化キリンの冒頭を投下していいでしょうか?
>>86 書き上げてからならおk
改行気をつけろよ
わかりますた
エロは自信ありませんが、頑張りますっ!
改行はどんなところに気を付ければいいんですか?
無知ですいません。教えて下さい。
下手ながら俺がアドバイス。
一つの文が長すぎるのはNGだから大体こんぐらいかな?と思うところで改行。
あと、演出として改行するのもアリ。例えば突然飛竜が飛んできたシーンだとして
突然に現われた影に驚き、彼は慌てて上を向いた。
そして次の瞬間、彼の視界に写ったものは…
巨大な、竜だった。
…みたいな。下手糞ですまん。
>>89さん
ありがとうございます。参考になりました。頑張ります!
あと前に40文字目安で改行すると見やすいってどっかで見た記憶がある
ありがとうございます。もうすぐでとりあえず終わりそうです。
質問ばかりですいませんが、省略ってどうするんですか?
あと、キリンの目って何色でしたっけ?
>>79 GJ。やっぱりされ竜読んでたかw
続きを全裸で待ってるぜ
このスレされ竜読んでる人多いのな。
俺 も だ
古龍はアルター
97 :
2-332:2007/03/25(日) 23:22:14 ID:g3qc4yxe
され竜読んでないけど投下させてください。
量・内容共に微妙ですが、違う話ではないです。
あと「鹿角」は「かづの」と読むとごろが良いかと。
98 :
2-332:2007/03/25(日) 23:23:10 ID:g3qc4yxe
「今だッ!」
私の号令に従い、ガンランスを構えた彼女が竜撃砲を放つ。竜の火炎にも似た出力の炎がリオレイアの脚を焼いた。
真上からそれを見ていた私は、飛竜の転倒と同時に翼の羽ばたきを止め一気に降下する。
右腕を引き、その腕を半ば覆っている甲殻から爪を引き出す。爪は鋭く尖る先端をきらめかせ、二の腕の二倍ほどの長さへ。
遂には指先を超え武器としての体裁が整った。そして私は息を止め集中する。狙うは、首。
「はああっ!!」
衝撃と火花、突き刺さる感触と血飛沫、そして――
「ギャァァアアアァァァ!」
飛竜の悲鳴。聞き流し間髪入れず左爪を突き刺す。更に両腕を交差させるように力を込める。
ばきっ、と音がして、リオレイアの背甲がはじけ飛んだ。桁違いの血液が迸る。
痛みに悶え、ぶんぶんと頭を振る雌火竜。多少振り回されながらも態勢を整える。
私は血に塗れながら露出した肉に爪を向けた。力を込め、突き刺す。突き刺す。突き刺す。
抉るように爪を振るう。血と肉片が舞いとび、確実に穴が掘られていく。
「グギャァアアア!!」
やっと起き上がったリオレイアが抵抗を始めたようだ。尻尾の一振りを脚で、翼爪を翼爪で受け止める。
大きさは小さくとも、私の翼は強度、力の両方に置いて他の飛竜を圧倒している。
「抵抗には意味は無い。この戦場で生き残るのは、力を持つ者だけなのだから」
そう、この戦場では力在る者が生き残る。彼女には私を殺すだけの力は、無い。
そう宣言し、長い翼爪で飛竜の翼の動きを封じる。脚で尾を封じれば、もうこいつに私を攻撃する術は無い。
ただ、動き回られると厄介だ。
99 :
2-332:2007/03/25(日) 23:25:58 ID:g3qc4yxe
「こいつの足を壊して!」
鹿角を生やした白髪の少女に令を下す。彼女は命令通り、飛竜の脚にガンランスを突き立てた。
がしがしと突き刺し、弱ったところで砲撃。リオレイアの脚の組織は破壊され、もう使い物にはならないだろう。
これで邪魔は無くなった。無様にも膝をついたレイアの背中を掘り進める。彼女は悲鳴を上げることすら出来ないようだ。
それはそうだろう。もはや気管まで、穴は到達しているのだから。
「…そろそろ、良いか」
私は跳んだ。翼を広げ、羽ばたき、滞空する。血塗れの体を引き絞り、傷口を狙う。放ったのは、リオレイアのそれとは比にならない炎。
炎の道は真っ直ぐ、私が掘った穴に着弾した。激しい爆発と燃焼。あたりの草木はざわめき、空気までもが振動する。
火の粉と血、更に肉片や燐片が舞い、あたりに焦げ臭い匂いが満ちていく。
ごとん、と重い音を立て、彼女の頭は地に落ちた。焼け焦げた首は既に千切れ、胴体から切り離されている。
つまり、討伐は完了。私は両手を振って血振りをすると、爪を収めた。
この爪――この腕、この翼、この脚、そしてこの炎、私の体は明らかに人間のそれとは違う。
体のあちこちに『生えている』蒼い甲殻や、青色の髪。何よりもその翼と炎から、ヒトと炎妃龍、ナナ・テスカトリとの混血種ではないかというのが私の世間での見られ方だ。
同じように私と共に戦っている彼女はガウシカから育てられているのを発見されたため、ヒトとガウシカの混血種といわれている。
だが、それは私自身信じられないことだ。幼少期の記憶――そこには確かに、ヒトである父と母が居たのだから。
「大丈夫ー?」
彼女の声でふと我に返った。鹿角の少女は下で手を振っていた。
「ああ、怪我も何もしてないよ。大丈夫」
私は手を振り替えし、地面に飛び降りた。その衝撃で体中に付着した血が飛び散った。
「きゃあ!」
100 :
2-332:2007/03/25(日) 23:29:46 ID:g3qc4yxe
鹿角の少女は大げさに飛び退けた。自分が汚れてないからって、その反応はないでしょうに。
いや、それにしても血の量が多い。生臭いし、早いところ洗ってしまおう。
私は鹿角の少女の首根っこを掴むと(もちろん彼女も血に濡れた)、近くを流れていた川に飛び込んだ。
「何をするのよ!」…と言おうとしたのだろう、彼女は。しかしその台詞は「を」から悲鳴に変わってしまった。
私が当たり一面を爆破して一気に血を洗い流したためだ。どっぱーん、と荒れた水に身を任せるのは気持ち良い。
「何するのよ!」
水に揉まれながら、今度こそ彼女が叫んだ。
「良いじゃない、もう仕事終わったんだから」
「そういう問題じゃないわよ!」
まあ、鉄の装甲を背負って水に飛び込む馬鹿は居ないか。彼女は今にも沈みそうだ。
私は鹿角の少女を持って水から飛び出し、ベースキャンプまで飛んだ。
「むぅ…まだ手が生臭いよ?」
鹿角の少女がこちらを見上げてぼやいた。まあ、本当に綺麗にするならあんなところで水浴びするより戻って風呂に入るほうが早い。
だから適当に洗っただけなので、体のあちこちに血糊が残っている。
「ごめんごめん。このまま街戻っちゃうから、すぐ洗うよ」
方向を変え、人里のほうへ。次第にぽつぽつと民家が見えるようになる。
町まで行くと、ハンターたちが私たちへ手を振って叫ぶ――私の二つ名を。
ヒトとして育ちきってもいない。ましてや龍にしては幼すぎる。しかしその手に有り余るほどの炎を。
故に私は、炎姫とよばれていた。炎妃龍、ナナ・テスカトリの娘としての名で――。
(以上です。次の話は前の主人公のままで、途中まで書き進めてるのでそのうち投下するはずです…)
101 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 00:39:18 ID:ZGH4UPFR
され竜てなんすか?
>>100 GJ。続き気になるっつーのw
>>101 浅井ラボ著の暗黒ライトノベル「されど罪人は竜と踊る」のコト。
詳しくはWikipediaでも見てみ。
104 :
ハート:2007/03/26(月) 13:23:27 ID:LBujmcDd
>>49 の続き。
ここは沼地。常に濃霧がかかり、湿気が高い狩猟の地だ。
今回はリオレイアの討伐でルイスとフレイアはここを訪れた。
「ルイス、いつも通りに行くぞ?」
リオレイアを見つけ、フレイアが戦闘体勢に入る。ルイスは大剣の柄を確かめるように握り頷く。
「さあ、行くぞ!」
フレイアが飛び出し、リオレイアが気付く。その瞬間、強烈な光が発せられた。
リオレイアは悲鳴を上げ、尾を振り回している。
「喰らえ!」
ルイスは二年かけて完成した斬破刀を翼目掛けて振り下ろす。青白い光と共に翼に裂傷が生まれる。
フレイアはレイアの目の前、槍で目を潰す。頭の中から炎が噴き出し、リオレイアが怒りに吼える。
大きく首を持ち上げ、リオレイアが息を吸い込む。
「腹が空いたぞ!切り裂け!」
「言われなくても、そうするさ!」
ルイスは腹の下から斬破刀を大上段に振り下ろす。腹が裂け、血が顔にかかり、独特の獣臭につつまれた。
発せられた火球はフレイアが蒼火竜の甲殻でできた盾で弾く。
爆煙にまぎれてフレイアの目に飛び込んだのは身を低くし、少し後退するリオレイアと、体勢を戻せていないルイスだった。
「ルイス!避けろ!!」
あの動きはリオレイアの最大の攻撃の予兆で、一回転し毒針のついた尾を叩きつけるというものだ。
遠心力、鋼のような棘、小動物なら一滴で殺せる毒の直撃を受ければ、防具など関係なしに致命傷、又は死だ。
ルイスは横に転がろうとしたが泥濘に足が取られ、転んでしまった。
「しまっ・・・」
フレイアが槍と盾を捨てて走る。レイアの尾とルイスの間に飛び込んだ。
「フレイアッッ!!!」
べキッ!!
何かが折れる音がしてフレイアが吹き飛ぶ。だが、何かおかしい。全てがゆっくりだ。
フレイアが血を吐き出しながら跳び、血の一滴までも見える。リオレイアはそれを嘲笑うかのように咆哮し、飛んでいった。
105 :
ハート:2007/03/26(月) 13:24:54 ID:LBujmcDd
フレイアは10mほど吹き飛び、ピクリともしない。足がおかしな具合に曲がっている。
「フレイア!・・・フレイア!!」
駆け寄り、抱き起こすと微かだがまだ生きている。傷口は、酷かった。脇腹の鎧の上からでも血が見える。
「とにかく回復薬を・・・」
フレイアの胴鎧をはずし、直に傷口を見て、愕然とした。肉が抉れ、紫色に変色を始めている。
「くそっ!頼む、効いてくれ!!」
祈るように手持ちの回復薬と解毒剤を全てぶっ掛けた。するとフレイアが目を開き、何か呟いている。
「す、まな・・・い。回復・・・は無理だ・・・」
耳を口元まで近づけて聞こえてきたのは、悪夢のような言葉だった。
「な、何いってんだよ!大丈夫さ!絶対・・・絶対回復させるから!」
口ではそう言っているが、涙が溢れる。まだ生きてるのに、激しい悲しみに耐えることができない。
「な・・・くな。お前の・・・せ・・・ぃじゃない・・・」
『俺の・・・俺のせいに決まってるだろ!!畜生・・・・』
自分の未熟から招かれたフレイアの様態。自分を守ろうとした為にこうなった。そんな重いがルイスにのしかかる。
「ごめん・・・ごめんよ・・・」
謝っても、気持ちの整理はつかない。謝っても何も変わらないのは事実だ。
「私も・・・お前に謝らないと・・・いけな・・・ぃ。村のこと、を・・・」
フレイアの村は数年前、ラオシャンロンによって潰された、とフレイアに聞いた。そいつを倒すためにハンターをやっていると。
「そうだ!老山龍を倒すんだろ!がんばって生きないとだめだ!!」
「そいつは・・・もう、死んで・・・いるんだ・・・私の村の・・・人間全員・・・で打ち倒した・・・村と命を賭けて・・」
『そんな・・・』
生きる理由もあれば、気力もわくかもしれないと思ったが現実は違った。本当に駄目かもしれない。
「もう・・・限界かもしれん・・・お前を、途中で放り出す・・・ことになって・・本当に、すまない・・・」
フレイアの目から涙がつたう。こんな怪我でも泣かない彼女が、自分の事で涙を流した。
「いやだ!待ってくれ!!俺は、まだ伝えてないことがあるんだ!」
「・・・・」
フレイアの呼吸が止まる。心臓はまだ動いているが、その音色は弱く、細い。やがて、それは終わった。
「フレイア・・・ごめん・・・ほんとに、、、ごめ・・・」
横たわる、元、命を抱きしめ、泣く。苦しく、悲しく、そして何よりも切ない。
「うっく、、うあ、ぁぁ・・・ぐぅ・・・」
ピチョン・・・
背後から、音が立ち、ルイスは振り返った。小型のモンスターかと思ったが、そこに居たのは今まで見たことも無い、
【獣】だった。青白い鱗に、白い鬣と尾。燃える様な赤い瞳に、額には蒼い角がはえている。不思議と、敵意は感じられない。
その獣は、こちらへと近づいてくる。ルイスの目の前まで来ると、その獣は、ビー玉くらいの大きさで、黒い何かを落とした。
「これ、は・・・?」
ルイスはしゃがみ、それを拾った。
(その娘に飲ませなさい。まだ、助かるかもしれません)
そして、聞こえたのは柔らかい声。顔を上げるとさっきの獣は消えていた。しかし「助かる」と言っていた。
106 :
ハート:2007/03/26(月) 13:26:47 ID:LBujmcDd
藁にも縋る思いで飲ませようとするが大きすぎる。ルイスはそれを口にいれ、躊躇無く、噛み砕いた。
『うぐっ・・!?』
途轍もなく、苦い。一瞬で吐き気が込み上げてくるが、僅かな希望を吐き出すわけにはいかない。
そして、フレイアに口移しで飲ませた。鉄の味がする・・・しかしフレイアの唇に触れたせいで、また現実を突きつけられる。
冷たく、固くなった唇は、もう生気を感じられなかった。が、少しするとフレイアの胸が上下している。
「これは・・・もしかして」
胸に耳を当てると聞こえる、力強く、彼女そのものを模ったように揺るがない心音が聞こえた。
「ル・・・イス?」
「フレイア!!よかった・・・さっきの玉が効いたんだ!」
フレイアは目を覚まし、完全に回復している。傷も無い。折れた足も元に戻っている。
「さっきの玉?これはいったいどういうことだ?」
「それは・・・」
ルイスはさっきの獣のことを話したが、フレイアにも分からないそうだ。だが、今はそんなことどうでも良かった。
「フレイア・・・ほんと、良かった・・・」
また、涙が溢れる。今度のは喜びの、涙だ。フレイアはそんなルイスを見て、優しい微笑を浮かべていた。
「ルイス、座ったままでいいからもう少し近くに来い」
「どうかしたのか?」
そういって近づくと、フレイアはルイスを抱き寄せた。
「ちょ、フレイア?」
抱きしめられ、ルイスは少し戸惑っているがフレイアは、相変わらず笑っている。
そこには、しっかりとフレイアを感じられた。暖かく、軟らかいいつものフレイアがここにいる。ただ、それで十分だった。
「なぁ、狩りに行く前、いつも何処に行ってるんだ?」
キャンプに戻る途中、ルイスは聞いてみた。
「そうだな・・・みてみたいか?」
「フレイアがいいのなら、見てみたい気がする」
「そうか、では今度は一緒に行こう。私のお気に入りの場所だ」
「ああ、頼むよ!」
今度、がある事がこんなにも嬉しいことだとルイスは知らなかった。
永遠なんて事は何処にも無いけれど、せめて最後までを出来るだけ共有したい。
彼女は多くのことを教えてくれる。今までも、そして、これからもそうだろう。そして、二人は街へと帰っていった。
続く
107 :
ハート:2007/03/26(月) 13:31:52 ID:LBujmcDd
第4話目。
気付くと思うが「獣」の正体は幻獣・キリン。
飲ませたものはいにしえの秘薬って設定。(勝手に効果を少し変えたが気にせず)
最初はルイスが死んでその後のフレイア、に続くってのを書く予定だったけど、なんだかドロドロしそうだからやめた。
ではでは・・・
108 :
雲9の人:2007/03/26(月) 19:32:40 ID:/n5yOz5+
>>107 GJ
流石幻の獣、いにしえの秘薬まで持ってるとはwww
しかしキャラ死亡でドロドロするとなるとヤバいな……
拷問とかキャラ虐待とか人vs人とかどうするべ…………
あと前にギルドナイト×擬人化ナナ提案した人、別に性別の指定ありませんよね?
>>107 ハートさんGJ!
モンスターハンターの世界観は結構ハードですから
ちょっときつい展開でもいけますよね。
反応は悪そうですが・・・
>>38 664さんですよね?
続きをwktkしてます。
いろいろしてる人さんのティガさんも待ってますよー
――迂闊だった。
間違いというものは、過剰な自信と共に起こる。
俺は五日前、大空の王「リオレウス」の討伐に成功した。苦しい戦いではあったが、猛る火竜を地に沈めたのである。
そのせいで、自分の実力というものを過大評価しすぎていたようだ。
…つまり俺は調子に乗って、古竜のクエストを請けてしまったわけだ。軽はずみな行動はすべきじゃない。
俺は妙な自信に包まれ、雪山を目指した。
ベースキャンプで準備を整え、目撃情報のあった山頂に行く事にした。辺りを探るが、それらしき影は見当たらない。
一瞬動くものを見つけたが、ガウシカだった。
「此処にゃいねーのか」
と呟き、そこを去ろうとした時、背後に蹄が雪を蹴る音が聞こえた。
ガウシカを怒らしたか?
とも思ったが、そうではないようだ。ガウシカ達は一様に畏怖を宿した瞳で群れをなして逃げていく。
「…おでましか」
そう呟きながら愛銃を構えた。
なるほど、吹雪の向こうからでもその存在を感じる事ができた。
生物としてのカンが警鐘を鳴らした。だが自惚れた俺の意識は逃走を拒んだ。
雪風の向こうに銀白色にたなびくたてがみと、純白の角が見えた。
そして俺は雪の様に白く輝く幻獣「キリン」と出会った。
「…………」
時間にすれば数秒だろうが、永遠のようにも感じた。
言葉が出なかった。雪と氷の至宝の様な存在に俺は魅入られてしまい、視覚が俺の全てを支配していた。
[キリンは古竜種に属するが外見は小さく、竜とは呼びがたい。
姿はユニコーンとでもいえば想像にかたくないだろう。
彼はクエストに出発する前に、「キリンは電撃を使う」とのことを聞いていたので、何匹か討伐経験のある飛竜「フルフル」の様な体から電撃を発する攻撃を予想していた。
だがその予想は対峙してすぐに裏切られる事になった。]
奴は額の純白の角をいななきと共に天へかざした。
はっと我に帰り、銃を構え直す。俺はそれを威嚇行動だと読み、攻撃はまだだと踏んでいた。しかしその刹那、青白いイナズマが俺の身体を穿った。
完璧に油断していた俺にそれを回避する術はなかった。いや、恐らく万全の態勢で臨んでもも避ける事は敵わなかっただろう。
そして俺は雪原の上に崩れ落ちた。奴の深い紅色の瞳と俺の視線が交差したところで、俺の意識は闇に落ちた――。
……俺はキリンの雷撃をくらって死んだはずだった。 だが二度と戻るはずのなかった意識は戻ってきた。
まだ眼は開かない。だが全身の痛みが俺の意識がまだ身体を手放していない事を嫌と言う程に教えてくれた。
「……うっ…」
かすれた呻き声が洩れる。喋るのは無理そうだった。
キリンは気絶し動かなくなった俺に興味を失ったのか、周りに音はなかった。
しばらくして視界が少しずつ戻ってくると同時に、ふたつの疑問が生まれた。
確かに身体は痛い。痛いが、あの轟雷をくらったにしては怪我が軽すぎる。
すでに俺は半身を起こす事ができるまでに回復していた。
それでも大怪我には違いないが。
……おかしい
今この雪山で、他のハンターは居るはずは無い。依頼が重なる事は滅多にないし、流れのハンターだとしても、ベースキャンプに人の気配はなかった。
それに流れのハンターに他人をわざわざ助けるような奴は滅多にいない。
それともうひとつ、俺はこの場所に見覚えが無い。
俺が倒れたのは雪原のはずだった。だが目覚めたのは見覚えの無い洞窟の中。
洞窟は「氷結晶」でできているようで、天井の穴から射す光でキラキラと神秘的に輝いている。
「これは一体……」
と辺りを見渡す。
その時ふと背後に生物の気配を感じた。
「あ、目 覚めた?ゴメンね!ほんっと悪いことした!!」
俺の背後から鈴の音のような透き通った声の謝罪が飛んできた。
…何でこんな所で少女の声が聞こえるんだろうか
「君のコト、あのバカチンと間違えちゃって…!」
まだ俺の頭は予想外な状況に混乱しているなか、少女は言葉を続ける。
確かなのは俺は雪山で人に謝られるような事をされた覚えは無いという事だ。
ましてや、少女などには。
「ホントにごめんね、薬草採ってきたから」
と言いながら、トトトッと小走りに駆け寄ってくる。俺の前方へきたので、声の主の姿が俺の視界に現れた。俺は半身を起こしてやや俯いている状態だったので、彼女は脚から現れることになった。
――――……!?
―――……!!??
………!?
裸足である。
――混乱が悪化した。声が出ないのでツッコミは入れられない。
視線を上に移す。
積もりたての新雪より白く、細い脚が眩しい。自分の目を疑う。
更に上へ
銀白色の淡い草原があらわれた。もはや俺の頭はありえない状況に煙をあげそうになっている。
訳がわからないまま視線がさらに上に向かう。
美しい雪山が二つ揺れている。しかも、大きい。
――まぁつまり…全裸です。本当にありがとうございました。
――――アナタハー神ヲーシンジマースカー?
妙な外国人布教者の声が脳内に響いたた所で思考回路がオーバードライヴした。――これまでの間約4秒。
テンパっているハンターをよそに、彼女は薬草を噛み始めた。
無論、彼は彼女の肢体に目がくぎづけになりながら、瞬間冷凍でもされたかのように固まっているので、そんな事には全く気付いていない。
少し口の中で噛んだ後、少女は顔を近づけてくる。その事で彼の意識は少しだけ解凍された。
身体に固定されていた視線が少女の紅い目を捕える。その事で彼は我に帰った。
……これは…
少女の紅い目に彼は既視感を覚えた。
だが次の瞬間、少女の唇が重ねられ、思考を遮られた。あまりの出来事に半開きな俺の口に、薬草と彼女の唾液とのブレンドが流し込まれる。
俺はその味に近いものを知っていた。確か…そう「秘薬」だ。全身が心地よい感覚に包まれる。しばらくすると、俺の傷はほとんど癒えた。
「こうすると何でか知らないケドよく効くんだよー。も、大丈夫だと思うよ ハイッ」
そう言って彼女は水を渡した。
声も出せるようになったようなので、とりあえず水より先にこの訳のわからない状況を理解するため、少女に質問を投じる。
もちろん、いきなり少女にキスをされて彼はまた混乱しているのでメチャクチャだが。
「あ、ありがとう。それより君は一体?ってゆうか何でハダカ…な、!?
あぁっわりぃ!!悪気があって見てた訳じゃ…」
急いで視線を上げた。ここでやっと彼は少女の顔をはっきりと見た。
新雪のような白い肌にクリクリとした紅色の大きな目、スッと通った小さめの鼻、小さい顔のなかで唯一の薄桃色である形のいい唇が白い雪原に映えている。
少女は銀灰色の細い髪をポニーテールにまとめ、無邪気に微笑んでいる。紅い目と白い肌のせいで、彼女は何となくウサギに似ていると思った。
……可愛い。
だが彼は少女の少し広めのおでこの上部から生えている不可解な物をまだ見つけてはいなかった。
少女があまりにも可愛すぎたので頭は沸騰していたが、彼はすぐに残りの質問を吐き出した。
「それより此処は……何処?あなたは誰?…角?――…角!?」
さっきよりグダグダである。しかし彼は質問の途中で彼女のおでこから生えている物を見つけてしまったのだからそれも仕方がないのかもしれない。
――彼女の純白の角を
「エヘヘー、よかったよかった、喋れるようになったんだね。死んじゃうかと思ったよ」
(…何だか何言ってるかよくわかんない所もあるけど、まぁいっか!)
「ここはアタシん家だよ。…間違えて君を撃っちゃって何だかヤバい事になっちゃったから連れてきたの」
とりあえず呼吸と意識を整え、彼女に尋ねる。コレに比べれば他の事など極めて些細な事に思えた。
「いや、それよりその、コ…コレは?」彼女の白い角を指差し言う。
この辺りで俺は何となく気づいていたが、人間の姿になったモンスターなど見たことが無かったので言葉は自然と口から言葉が出た。
彼女の瞳を見てから、もしかしてと思ってはいたが、あの角を見たことでそれが確信に変わった。
――この少女は…キリンだ
これなら、彼女の言動にも説明がつく。
「え?そんなの君にもあるで……しょ?」
少女は男の額を見て絶句した。
「…無い!?」
さわさわと額を細い指が撫でる。
「ちょっ、ちょっと…」
少女の顔が近い。近すぎる。恥ずかしくなって少し後ずさる。
「も、もしかしてアタシのせいで…折れちゃったの?」
潤んだ瞳で見つめられ、ひどく困惑した。
「えーっと…、いや、心配しなくても俺には最初から角なんか無…」
と言いかけると、彼女の声に遮られた。
「え?え?どーゆーこと?」
逆に質問される形になってしまったが、俺は自分の事をできる限りで彼女に説明した。
…もちろんキリンを討伐しにきたということは彼女には伏せておいた。
すいません。エロには入れませんでしたが、とりあえず区切りです。
続きはみなさんの反応を見てから後ほど。
駄文失礼しました。
GJではないか
というか皆の反応なぞ待つ必要は無い!
自分が書きたいと思ったのを書けばいいんだ!
>>114 上に同意
貴方を待ち望む人間はここにもいる!
>>114 Gj。
駄文どころか続きがめちゃくちゃ気になる切り方まで心得ていらっしゃる…www
118 :
513:2007/03/27(火) 04:46:35 ID:80pD2s23
他の作者を見習って指摘を受けたところを正して久しぶりに投稿。携帯で
決して指摘されてへこんで今まで投稿しなかった訳では(ry
119 :
513:2007/03/27(火) 05:02:05 ID:80pD2s23
「…すまん、幻聴が聞こえたようだ。今君が炎妃龍と聞こえ」
「だから私が炎妃龍だと言っている。」
…信じて良いのか?コレ。ガブラス親子がちゃっかり人間になって他人の家に住み着いているご時世だ、どこぞの妖怪人間はさぞかし羨んだろうに。いやしかし…
「君が炎妃龍である証拠は何処にある?ましてや人の形をしてるはずがない。」
「ふむ…こうすれば分かって貰えるか?」
少女が何かを念じる様に目を閉じると回りは異常に暑くなり、何処からか粉塵が舞い上がった。
「まじかよ…」
120 :
513:2007/03/27(火) 05:21:20 ID:80pD2s23
「これで私が指を鳴らせば…判らなくもないだろう?」
炎妃龍は体内から発火性の高い粉塵をばらまき、発火させて爆発を起こすと言うがその少女は今それを実行しようとしていた。笑顔で
「スイマセン、信じます。だから鳴らさないで。」
あんな爆発に巻き込まれたら命が危ない。恐らくいずこの国の大佐のように指を鳴らして爆発を起こすだろう。
「そうか、それはよかった。」
少女はウンウンと頷くと手を下げた、それと同時に粉塵が消えた。
「つーかなんで人の形をしてるんだ?」
「長生きした私にとって人の姿に化けるのは造作もない事よ。」
「その服とかは?」
121 :
513:2007/03/27(火) 05:47:30 ID:80pD2s23
ガブラスが人になった時は(見てないけど)服を着ていなかったはずなのにこの少女は服を着ている。
「化けた時のおまけのような物よ。」
そう言いながら少女は見せるようにくるりと一回転した。
「何がともあれ、炎妃龍の鳴き声の正体は君か。」
「人の村とかに行こうとしても道は知らないし連れてって貰おうとしても誰も来ないし。鳴けば誰か来ると思ったから鳴いた。」
お嬢さん、それは違う。探せば人はいる。鳴いたら皆逃げますよ?いきなり炎妃龍が近くで鳴いたらさ。
「疲れた、帰るか…」
「それじゃあ道案内よろしく。」
ポッケ村へ後ろ向きに出発
122 :
513:2007/03/27(火) 06:05:48 ID:80pD2s23
自宅
「ただいまー、今帰った。」
「あ、お兄ちゃんおかえり。お客さん?」
自宅に戻ると銀髪の少女のクーがアイルーと戯れていた。あれから大分言葉を覚え、話せる迄に成長した。
「お邪魔します。」
炎妃龍の少女が軽く会釈をする
「あ、どうも。」
クーも真似るように会釈する。
「カーラは?誤解される前に…」
それを言い切る前に後から腕が現れる。
「誘拐と見ていいのかな?これは?」
腕がそのまま首を締め、後から声が聞こえる。
「君も節操が無ないな。こんな可愛い少女を誘拐するとは」
後ろを向けないがカーラだと判断できる。
123 :
513:2007/03/27(火) 06:23:11 ID:80pD2s23
この満足な呼吸を許さない締め方に後頭部に感じる豊満な胸の感触。ジワジワと苦痛と快楽を与える、なんともガブラスらしいやり方だ
「お母さん。喋れないって」
「まだその程度か。」
この母親はギブアップと容赦を知らない。そして更に締める。
「お母さん、そろそろお兄ちゃんがイっちゃう」
うん。[逝]っちゃうの。間違ってもカタカナで言わんでいい。
「そうか、仕方ない。」
そう言い腕の縛りを解く。この時だけ呼吸を出来る事に喜びを覚える。
「ゲホッゲホッ…誘拐したんじゃねぇぞ。付いてきたんだよ。」
「自己紹介が遅れたな。私はカーラ。こっちは娘のクーだ。」
124 :
513:2007/03/27(火) 06:39:53 ID:80pD2s23
「はじめまして、ナナと申します。」
「それじゃあもう一人分夕食を作らないとな。少し待っていてくれ。」
しばらくしてテーブルにこんがり肉の乗った皿が配られる。そして俺の前には木炭の様に黒くなったコゲ肉が置かれた。
「いただきます」
「待て、何で俺のだけ」
「失敗した、それだけだ。」
その失敗作を食べられる所がないか開いてみる。
「食える場所が無いんですが。」
「文句があるなら食べない。」
今度からカーラが飯を作る日にはカーラを怒らせない様にしよう…
125 :
513:2007/03/27(火) 06:41:20 ID:80pD2s23
とりあえずここまで。続きはまた今度
>>125 G J ! !
べにるー出すためにNaNaを虐殺する気合が湧いて来た。
さーてIDの数字分だけNaNaヤってくるか!
127 :
664:2007/03/27(火) 16:48:47 ID:MErdZj3C
>>114 >>125 GJ!
ハートさんも雲9さんも筆が早いようでうらやましいですー。
GJな作品群が増えてきましたね。
と、いうわけで自分もガンナー外伝が何とか形になったので夜くらいに書き込めるかと。
暫く名無しでいましたが、
とりあえずはガンナー話が終わるまでは664を使い続けることにします。
128 :
2-332:2007/03/27(火) 18:11:19 ID:hRMtj42k
取り合えず書けたから投下するけど、長いので途中でぶった切ってしまいました。
ドロドロしてきそうなのでほのぼのしてる方が好きという方はこれから読まないほうが良いかもしれません。
他に素晴らしい作品いっぱいありますしね。
知らない単語は恐らく捏造したもので、いつか拾う伏線かもしれません。
129 :
2-332:2007/03/27(火) 18:14:38 ID:hRMtj42k
荷車を引く。がしゃがしゃと金属がこすれあう音がする。ぎしぎしと車輪が雪を踏む音がする。
積まれているのは武器だ。そんなに強くないものが殆どだが、刀剣類や弓など、弾の補充等が無い物を選んだ。
砥石は掘り出して使えるし、矢は作れる。彼らに持たせる武器ならば人と関わらずに運営できるものが一番である。
俺が村を離れてからもう一週間ほど。体力の回復を待ってあの恐い娘から逃げるように武器を買いに村を出たのだ。
本当は武器を買ってすぐ戻るつもりだったが、大量の武器を買うには金も材料も足りず、補充するのに時間がかかった。
おまけに国付きの騎士隊のほうから武力団でも作る気だろうとあらぬ疑いを――まあ、これは仕方ないか。
それに武力を持った団体を作るという意味においてはあながち間違ってもいない。いやしかし、それにしてもだ。
龍忌に狩らせるなんていう脅しをかけること無いだろうに。思わず本当の事を言いそうになった。
「まあ、無事武器も手に入ったし、これで――」
「ギャァァアァッ!」
遠くでギアノスの声が響いた。聞き覚えがある。
これは狩りのときに『危険』を表す鳴き声だ。この辺りにはあの一群以外のギアノスの群れは存在しない。と、いうことは。
「糞ッ!」
俺は荷車から太刀を引き抜くと、急いで声のした方角へ向かった。ざっしゅざっしゅと雪を漕いで進む。
いったい何が起こったんだ?彼らは、そしてあの少女は無事なのだろうか――?
「わぁっ!」
崖を回りこむと、女の子とぶつかった。あの恐い娘だ。しかしそんなことに構ってもいられない。
「何があった!?」
「あなたは…!戻ってきてくれたんですか!?」
「ああ!だから何があったんだと…」
その娘はひどくあせった様子で手短に説明した。
「私たちの群れが“敵”に襲われているんです!手段は講じたんですが、私が力不足で…!」
彼女が、俺が殺したドスギアノスの代わりの立場を勤めていたらしい。
少女をそっと抱きしめて安心させると、俺は群れの方向へ向かって走り出した。
どんな奴が相手だろうが、必ず狩ってやる!
自信はあった。前回とは違い武器も得手な太刀だ。狩れない敵なんて――
130 :
2-332:2007/03/27(火) 18:16:19 ID:hRMtj42k
「…え?」
――居た。体がぴくりとも動かない。俺の目の前にいる、ギアノスたちを襲っていた“敵”。
だからあの娘はぼかしたんだろうか。俺が人間だと知っていたからか?
俺の目の前にいるのは龍だった。
いや、見た目だけを言えば美しい女性ハンターだ。けれど解る。彼女が迸らせている殺気、そして怒り。
これは人間のそれではない。
「…あら?良いところに来てくれたわね☆」
直感。師匠の教えで、いつも俺はそれを大切にしてきた。
今回も俺は直感に従い、真横に跳んだ。瞬間、俺が居た空間を切り裂いて女の腕が飛ぶ。
瞬発力を最大限発揮し、獲物との距離を縮めると同時にその勢いで攻撃する。その動きには覚えがあった。
「お前は…あの時のティガレックスか…!」
ギアノスの血に汚れた右手を嘗めながら嬉しそうに目を細める女。
緑色の目、極彩色の鱗。そして角をあしらったように立った二筋の髪。オレンジ色の短髪は短気そうな“彼女”の特徴をよく表している。
「フン、この間はよくもまあ虚仮にしてくれたわねぇ?」
装備は見たことの無いデザインだ。全身を覆った鱗が体のラインをきっちりと描いている。恐らくはティガレックスにおける「スーツ装備」なのだろう。
ひじには尖った装甲も見える。あれもまた武器だろうか?下半身は材質は鱗ながらもスカート状になっていて、時折覗くむき出しの太ももが艶かしい。
…これが竜か?
「何故俺たちを襲う」
「腹が立ったから、よ。虚仮にしてくれた御礼ってわけ☆」
場に不釣合いなほど明るい口調で話すその轟竜はなおも右手の血を啜る。
プライドの高さや残忍さは間違いなく飛竜だ。しかし――。
女は、いや轟竜は姿勢を低くして右腕を構えた。攻撃態勢らしい。
俺も背負った太刀を抜き放ち、切っ先を敵に向ける。人間相手の戦闘は師匠から教わってはいるが、まさかあの教えを使う羽目になるとは。
「トカゲまがいがハンターの真似事?そんなモン持ったって何も変わりはしないのにね」
疑問点が一つ。あのティガレックスは何故人の姿をしているんだ?ここのギアノスが異常なんじゃないのか?
人型をした飛竜なんて聞いたことも無い。
131 :
2-332:2007/03/27(火) 18:17:41 ID:hRMtj42k
「ぼんやりしてたらすぐに死んじゃうわよ」
敵の攻撃、右手の掌底をかわす。攻撃目標を失って轟竜の体が流れた。俺の右脇を通過し、視線が交差する。
今の瞬間にもカウンターは入れられる。攻撃を避け、すれ違いざまに袈裟懸けに斬り倒す。それが元々東国で対人武器として作られた太刀の真髄だと、師匠は言っていた。
或いはここだ。敵が右フックを放ち、俺がしゃがみ込んでかわす。がら空きの胴に突きを一閃してやることが出来る。
避けざまに腕を斬り落とす。後ろを取った瞬間に肩口から斬る。或いは首を撥ねる。
この瞬間にも、その一撃にも、余り人の姿で戦ったことの無いだろう彼女の隙が見て取れる。
だが、太刀を握ったその手が動かない。「相手は竜だ」と自分に思い切り言い聞かせても、どうしても人の姿の彼女を斬ることが出来ない。
人間を、同種を殺すようで、どうしても決心がつかない。
「ちぇッ。戦う気ないのぉ?」
俺の気も知らず軽く述べる轟竜の女。つまらなそうに緑色の目で俺を射抜く。左目の光彩が著しく収縮し、威嚇する光を放つ。
途端に俺の体に痺れが走る。懐かしい感覚だ。竜の眼――生き物を威嚇する際に竜が使う常套手段だ。
対峙の瞬間に最も気を付けなければならないことで、気を抜いているとこの竜の眼からの連撃で殺されかねない。
しかし、これについての訓練は十分積めている。
女が思っているよりずっと早く筋肉の収縮を解いた俺は、掌底を一歩横に踏み出してかわす。
状況から訓練による条件反射になってしまって、体が考えるより先に動いた。
掌底をかわした数瞬の後、ざしゅっ、と手に斬った感触が伝わる。すれ違いざま、カウンターという形をとって彼女を、斬った。
「な…っ!」
足の力を失った女は雪を紅く染めながら、自らの攻撃の勢いで転がっていく。
生命力は強いようで、起き上がりはしたが、かなり弱っているようだった。
「かはッ…」
血を吐いた後も気丈にこちらを睨みつける。
がたがたと体が震える。頭に声が鳴り響いた――『人を斬ったな』、と。
手の中でかちゃかちゃと太刀が音を立てた。刃の返り血がどこまでも紅い。
飛竜だって血は紅い。頭でいくらそう考えても、その血から眼が離せない。
『人を、同種を斬ったな』
そんな、声が。
「あああぁぁぁあああああ!!」
彼女は隙を見逃すほど優しい敵ではなかった。血を振りまきながらも俺の肩に掌底を打ち込む。
132 :
2-332:2007/03/27(火) 18:18:31 ID:hRMtj42k
「ぐぅッ!」
今度は俺が吹き飛んだ。雪に埋もれながらも何とか態勢を整える。
「はぁっ、はぁっ……おかしいな、どうして私の“眼”が効かないのよ?」
女は当然ともいえる質問を口にした。通常、“眼”は絶対に有効な武器である。
それは他の者と隔絶されるべき竜たちの威嚇手段であり、通常は避けられるものではない。
「…生憎と、眼に対する訓練は何度もやっているからね」
面白くない、という表情をした彼女は静かに腰を落とす。俺は未だにショックが抜けない。未だに太刀を持つ手は震えているのだ。
しかし、彼女が飛び込んできてくれれば、或いは斬ることが出来るだろう。
静かに太刀を構えた。
白い雪原に、静寂の時間が過ぎてゆく。ひょっとしたら数瞬かもしれない、その時間の末に。
女の血が、ぽたっ、と雪原に落ちた。
「はぁぁああっ!」
女が動いた。一気に間合いを詰め、右手をこちらに突き出さんとする。この攻撃なら避けられる。そう思った。
右足を大きく突き出し、地面を強く蹴る。強い瞬発力が更なるスピードを生み出して、右腕を思い切り前に突き出すその瞬間、俺は左に身を引いた。
これで彼女の攻撃は外れ、後は眼を瞑って先程の動きを反芻してやればよかった。
こいつは敵だ。殺さなくては。
だが、太刀を構える腕に先程のような感触は伝わらない。代わりに全身を覆う痛み。
「ぐぁああっ!」
思わず口から悲鳴が漏れた。何でだ?確実に彼女を斬れた筈だったのに!
眼を開くと、回転する視界の中に先程まで無かったものが見える。…竜だ。
一目でそれとわかる巨大な体躯。紛れも無く先日戦ったティガレックスだった。
彼女はインパクトの瞬間に体を竜のそれに戻していたのだ。避けられよう筈も無かった、か。
「だ、大丈夫!?」
聞き覚えのある懐かしい声がした。最初に会ったギアノスの女の子だ。そういえば、レックスとのあの一戦以来あっていなかった。
あの時、俺が攻撃を受けたのを自分のせいだと思っていると、そう誰かから聞いていた。
ここでまた心配させるわけにもいかないだろう。取り合えず起き上がるだけ起き上がり、少女の頭を撫でてやる。
しかし不味い。さっきの攻撃を無防備のまま受けてしまった。
人間状態の掌底ならまだ大丈夫だが、竜の攻撃はやはり強力だ。
こんな状態で、勝てるのだろうか。
133 :
2-332:2007/03/27(火) 18:23:16 ID:hRMtj42k
以上です。
素敵なSSが増えてきて肩身が狭くなってきました。
まだ投稿しても大丈夫ですか?自分は。
135 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 19:58:32 ID:OulKBr46
136 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 20:13:36 ID:HQKtdr8L
良い小説がどんどん増えてきましたね。次のが楽しみです。
137 :
ハート:2007/03/27(火) 21:04:34 ID:A01bUStr
>>134 続きますよw
話の最後に続くと書きましたw
暇なときに書き上げて投稿します。
(世間は春休みだと言うのに仕事減らない・・・)
138 :
664:2007/03/27(火) 23:52:40 ID:QKr+m14X
『ロリババアな岩山龍・外伝― とあるガンナーの伝説』
ジクジクと、足が痛む――――――
「せん……せっ!……先生っ!!……っああ!!」
――――――女の喘ぎ声が聞こえる。
松明の炎が照らす中、情事で熱を持ち汗に濡れた身体が、赤銅色に輝いている。
結合部より流れ出た血よりも、女が流す涙の方が、酷く心を締め上げた。
その痛みは少なくはないはずだろうに、一心に腰をくねらせている。
女が、己の体の上で跳ね上がる度に、また――――――
ジクジクと、足が痛んだ――――――
139 :
664:2007/03/27(火) 23:53:15 ID:QKr+m14X
―――【ココット村英雄伝 第六章 決戦 一角竜モノブロス】より抜粋―――
『――――よおハンター、邪魔するぜ。依頼を頼めるか?
獲物は白銀の角を持つ一角竜なんだがな……』
『ああ?何だその面ァ?俺はいつも飲んだくれてるわけじゃねぇんだよ』
『俺に代わって、奴を討ってほしい』
『気を付けろよ。俺の脚を御釈迦にしやがった奴だからな』
『ああ、もう報酬は村長に渡してある。 ……まあ、がんばってくれや。
その腰の剣は飾りじゃないんだろう?』
『……ところで、だ。
この家に、お前の前にもハンターが住んでいたってこと、知ってるか?
ふん、知らなかったのか。……何だ?聞きたいのか?』
『……そうだな、野郎はお前に似て、すっ呆けた面構えをしていてなぁ――――――』
140 :
664:2007/03/27(火) 23:54:11 ID:QKr+m14X
「よい……しょっ、と!
うん。これで荷物は全部かな?」
「婿殿っと『でぇと』っ♪
婿殿っと『でぇと』っ、なのじゃ〜♪」
「はは、どっちかっていうと新婚旅行かも」
はしゃぎ声を上げる若夫婦を横目に見つつ、荷造りを手伝う。
旦那の方、どうにもぱっとしない顔をした優男は、俺の相棒だ。
相棒には名前は無かった。名前が無いってのは、寂しいだろう?
だから俺は“ナナシ”と呼んでやっている。
「おーうい!ナナシよー!荷物はこれで全部かー!?」
「おー!ありがとさん。それで全部だよー!」
コイツはこれで中々腕の立つハンターであり、
ガンナーである俺が、安心して後方から弾をばら撒けるのは
相棒が前衛を一手に引き受けてくれているからだった。
本人を前にしては一度も言ったことはないが、心から信頼するに足る男だと、
そう認めている。
「炊事洗濯、果てはネコタクまで……ご主人様達はネコ使いが荒いニャー……」
「お前も大変だな……まあコレでも飲めや」
先日の黒龍との一戦以来、所々がメラルー色になってしまった給仕ネコと桃色空間を脱出する。
比喩ではなく本当に背中が煤けているネコに、ねぎらいの言葉と栄養剤をくれたやった。
ありがとうございますニャーと薬を飲み干すネコを……薬?
あー……渡したビンに強走薬って書いてあるな……しかも“グレート”な方。
……よし、見なかったことにしよう。
「にゅふふふー、むぎゅ〜なのじゃ。婿殿〜」
「ははは、シャロ。ちょっと重くなったね……ってあだだだだだ!!」
それにしてもまったく、あいつ等は人目もはばからずイチャイチャと……
傍からみるとロリコンにしか見えないのだから、微塵も羨ましさを感じないのが救いか。
独り身には空風が身に染みる。俺も女でもつくろうかね?
141 :
664:2007/03/27(火) 23:55:35 ID:QKr+m14X
「じゃあ、暫くは帰って来れないと思うから。村のことはよろしく頼むよ」
「暫く……ねぇ……」
積み込んだ荷物は、旅装、というよりも引越し荷物のようだ。
どう考えても日用雑貨、趣向品はともかく、狩りの装備一式など旅には必要ないだろう。
自覚はしてないのだろうが、親父さんの故郷に腰を据えるつもりだな。
「む、婿殿?何やらネコの様子が……」
「どうしたシャロ?っと……あー、それじゃあ行ってくるよ。相棒」
「ああ、アバヨ。達者でな。相棒」
途端、キョトンとした顔をしやがった。
らしいといっちゃあらしいが、こいつは最後まで締まらない野郎だな。
そう、きっと最後だ。
こいつ等の顔を忘れないよう、脳みそに焼き付けておこう。
何かを感じたのか、相棒が、じっと眼を合わせている俺を訝しげに除きこんでくる。
「え?……それってどういう意味……」
「フォォォオオオオ!!マタタビを齧っても居ないのにこの湧き上がる力は一体何ですニャ!?
世界を縮めよと兄貴が叫んでいるニャアァアア!!猫撃のぉ!初弾ォォォオオ!!」
「ちょ、ま、それ何て猫スキルーー!?」
「ひゃああ!!お、落ち、婿殿ぉぉぉぉぉ……――――――」
シャロの譲ちゃんの叫び声が、糸を引くように流れていった。
これが最後の別れってやつになるんだろうか?
……なんだかなぁ。
呆れたというか、脱力したというか。
ともかく、これからは一人で村を守らなければならないだろう。
相棒はもういないのだ。
しかし、不思議と寂寥感は感じなかった。
友の門出だ。祝福してやろうじゃないか。
あいつ等に届くよう声を張り上げる。
いつもの、お決まりのセリフを――――――
「はぁーぁあ!ったく!面倒くさい相棒を持っちまったもんだぜ!!」
――――――旅立つハンターに幸あれ、だ。
142 :
664:2007/03/28(水) 00:00:05 ID:0QgLpZNR
またもやハートさんGJ!
今回は此処までですー。
ちと短いですが、ガンナーさんの救済記を始めてみました。
なにやら蛇足チックな気もしますが……
ちょっと変則的な始り方をしたので時系列がばらばらで読み難いかもしれません。
すみませんー
続きは出来るだけ早めに投下したいと思っていますが、遅れてしまいそうです。
それではまた。
ネコがカズマにwww
待ってました、ロリババアシリーズ! GJです!
ネコがカズマ化してるー!?
ネコスキル【ネコのファストブリット】
ネコタクが赤くなり、三倍早くなる。特に意味は無い。
僕の名前はリオレウス。
獰猛な飛竜として人間から恐れられている。
僕の仲間はみんな体も大きいし、強い。
人間のハンターにも臆さず向かっていく。
けど、僕はとても背が小さくて、その上臆病だから空を飛んでばかりいる。
たまに地上で休んだり、水を飲みに地面に降りたりした瞬間に、ハンター達は蟻のようにワラワラと群がってくる。
………とてもじゃないけど、ハンターなんかとは戦いたくない。
だから僕は慌てて空へ逃げるんだ。
変な光る玉もハンターは投げてくるけれど、僕はいつも怖くて目を瞑ってるから当たった試しがない。
僕は仲間と違って肉を食べない。
小さい頃にモスに体当たりされて以来、動物が怖くてたまらない。
………狩れないんだ。
だからランポス達にはよくいじめられる。
この間、いつものように草原で草を食べてると、一匹のアプトノスがやってきた。
草食な僕と彼はすぐに仲良くなった。
でも次の瞬間、彼は僕の目の前で僕の仲間にさらわれていった。
でも、仲間は憎めない。
基本的に仲間は肉食だから………
………彼は美味しかったらしい。
仲間のその言葉に、草しか食べない僕もいずれ食べられるのではないのだろうかと………
最近、怯えている。
リオレウスがあまりにも飛び回るので、ついカッとなってやった。
今は反省はしている。
つシビレ罠
つ閃光玉
>>148 罠はともかくとして、こいつは目を瞑ってるそうなんだぜ?
>>114の続きを少し投下したいと思います。ちなみに彼女の妹がでてきます。
…キリン少女の性格のせいで、またエロに入れませんでした。
ってゆうか本当はエロへのもってき方がわかんないんです(泣)
誰か…アドバイスを下さい。お願いします。
「へぇー、君って人間だったんだねぇ……
昔、お母さんに聞いた事はあったんだけど、見たことはなかったんだ!じゃあ君がアタシの初めての人だねっ!」
ひと通り俺の話(といっても、俺が人間である事を説明する事にその全てを費やしてしまったが)を聞き終わった彼女は目を輝かせながらありえない事を言い放った。
「……っ!!ゲホッゲホッ!ゴホッ!!ガフッ!!………ゴファッ!!!!」
激しく言葉遣いを間違っていたせいで、彼女にもらって飲んでいた水はいつもと違う道を選択した。
肺に水が流れこみ、過去に類がない程むせこんでしまって大変な事になった。
彼女の言葉は、もちろん初めて「見た」ヒトという意味だろうが、雪の妖精のような美少女(しかも全裸)に笑顔でそんなことを言われた日にゃあ生命が危なくなる時もあるだろう。
[この後彼は数分間にわたって、去年死んだはずのジーチャンが見知らぬ川の対岸で手を振っている夢を見ることになった]
「ぶはっ!!」
本日二度目、俺は息を吹き返した。目を開けると至近距離にくりくりした紅い目が映った。
「よかったー、いきなり気絶しちゃうんだもん、びっくりしたよ!大丈夫?」
と彼女は尋ねた。
心の中で あんたのせいだよ! と叫んだが口には出さなかった。
「角以外はあんまり変わんないんだねー」
特に心配するような重体ではなかったので(何故か夢の中でジーチャンとの再会を果たしてしまったが)彼女は再び興味深そうにあちこち眺めはじめる。
…どうやらこのキリン少女は好奇心の塊らしい。
…正直かなり恥ずかしいので止めて欲しい。
「…あぁ、そうだな」
さっきから俺はずっと氷結晶の壁を見ていた。話している時は夢中で忘れていたが…途中で彼女が裸なのを思い出したからだ。
それと、もう一つ気付いた事があった。あまりに色々あったのと、意外に洞窟が暖かかったので気付かなかったが、俺もほぼ裸に近い格好だったのだ。
唯一腰の防具はゲリョスの素材を使っていたので無事だった。(それでもボロボロになっていたが)
[もし彼が装備していたのが、ただの「グリーンジャージ」だったとしても、アソコだけは絶対に無事だっただろう。
何故なら…
どんなに激しく戦おうが
金色の戦士に地球を破壊する威力の かめ〇め波 を喰らおうが
胸に北斗の傷を持つ世紀末戦士が筋肉を膨脹させて衣服を弾け飛ばそうが…
アソコの衣服だけは破れなかったからだ!!
…それはもう、ほとんど真理に近いほど絶対なのである]
そんなこんなで、俺は半裸で氷の壁と睨めっこする形になっている。
(だけど彼はガンナーなので視力はいい上、視界が広い。彼女の姿は八割は見えていた)
「あれ?でもよく見ると君、アタシとだいぶ体つき違うんだね?」
そう言うと彼女は右手で俺の胸をペタペタ触ってきた。…左手で自分の胸をフニフニしながら。
……頼む、止めてくれ。いや、止めてくださいお願いします。
鼻腔の奥がツンとして、毛細血管血管が切れそうになる。それに、股間のガンランスが大変な事になりそうだった。
「そりゃ…俺、男だから」
壁に向かって呟くように言った。
あの、服着て下さい。
「オトコ?オトコって何?君の名前?」
彼女は疑問を顔一面に浮かべながら尋ねてきた。
しかし、そのことでまだ自分の名前を言っていないのに気付いたのか
「あ、ゴメン。そういえばまだアタシの名前言って無かったっけ。…アタシはリンっていうの、よろしくねっ!君は?」
と言って彼女は名乗った。
「ゼルっていう。…あの、何で服着てないんだ?」
やっと聞いた。相変わらず彼の首は氷結晶の壁の方を向いているので、壁に話しかけているような状態になっているが。
「…服なんかお家の外に行く時しか着ないよ?家んなかは暖かいし。……アタシは何でゼル君がずっと壁を見てるのかって方が気になるんだけど?」
彼女は心底不思議そうな顔で言った。
…君が素っ裸だからなんですけど。
「と、とにかく服を着てくれないと、そっち向けないんだ」
「…? よくわかんないケドそれで君がこっち向いてくれるんなら、着るよ」
といってペトペト足音を鳴らしながら歩いていった。
数分後、水色の綺麗な薄布を胸と腰に巻いた彼女が戻ってきた。
…防寒目的のはずなのに、何故そこまで露出が高いのだろう。
「暑いからコレだけでいい?」
よく見ると透けてる。
あー、やっぱソレ、下着なのね。
「あ、あぁ」
これ以上何か言うのも野暮ったいのでやめた。
とりあえず何とか彼女を直視できるようになった俺は、気になっていた事を彼女に尋ねた。
(彼女はまだ色々聞きたそうだったが、放っておけば一日ぐらい質問責めにあいそうなので俺が先手をとった)
「なぁ、間違えて俺を撃ったっていってたけど…誰と間違えたんだ?」
「えーっと、いつものことなんだけど…妹なの。……あのバカチン、まだどっかに隠れてると思うけど、帰ったら…」
そのことで彼女は妹のことを思い出したのか俯いて目をつむり、拳を握りしめてプルプルしている。
……それより、彼女の妹はいつもあんな雷を喰らって平気だとは…
まぁ妹もキリンならそれも当然なのかもしれないが。
パキッ
背後から乾いた枝が折れる音が聞こえた。
振り向くと サッ と何かが壁に隠れた。…が白いオシリが隠れきれずにフルフルと震えている。
――あぁこの人も素っ裸ですか。何てベタな見つかりかたを…
はっ としてリンの方を見たが、すでにそこにはいなかった。
すぐにオシリ(彼女の妹だろうけど)に視線を戻した。すると、すでに物陰から引きずり出され、リンが馬乗りになっている。
…二人ともほとんど裸なので、何だか怪しい光景に見えた。
「シャル」
静かだが確実に怒りを含んだ声。顔は笑顔、引きつっているが。
「あなたのせいで大変だったのよ…?」
バカチン改めオシリ改めシャルは恐怖に声も出せないのか、フルフルと震えているだけだった。
「お、おい…」
リンの額の辺りで青白い光がパチパチとしだした。…かなり危ない気がしたので声をかけた。
「ゆ、ゆ、許してぇー!お姉ちゃーん!!」
その一瞬の隙を見逃さずに彼女は跳びはね、逃げ出した。
「まぁーちぃーなぁーさあーーぁぁぁいいぃ!!」
――スゲェ速い。流石キリン。
だがオシリの人(名前はシャルらしいが、とりあえずこう呼ぶ)も必死なのか、とても速かった。
入口の辺りまで到達すると、オシリの人(シャル)は ダンッ! と地面を蹴って、跳んだ。
(その時リンの手は彼女の3センチ後ろまで迫っていた)
バサァッ
…いや、飛んだ。小さめの蒼いクシャルダオラが。
とりあえず以上です。
…決して妹の登場シーンを書きたかったわけでは。
あぁ、いつになればエロに到達するんだろうか。
意見、感想よろしくお願いします。
155 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 23:27:12 ID:X3WuubbD
156 :
雲9の人:2007/03/28(水) 23:38:22 ID:scSQpV80
>>150 GJ!!
ただむやみに()使うのはやめた方が良いと思う
現に途中からクセになってるし
だけど彼はガンナーなので視力はいい上〜〜のくだりは()無くても最初の接続を「しかし」にして、「〜見えているのだが」と変えればそのまま通じる
これ以外も全部文を少しいじるだけで()取れるし、その方が読みやすい
以前某スレにてGJよりも的確な批評の方が職人が喜ぶと聞いたので実践
>>154 グリーンジャージーだぜ。まあ別にかまやしないんだが。ともあれGJ
もうほとんどエロじゃねぇかと思う俺はウブなんでしょうか
>>156 具体的なアドバイスありがとうございます。とてもうれしいです。
ホントですね…
よく見るとミスもいっぱいorz
…精進します。
>>154 GJ!
エロはあれだ、繁殖期ネタで良いんじゃね?
二番煎じ? パクリ? 何の(ry
エロパロ的には面白ければそれがジャスティス。
>>157 あらあらうふふの腹黒ナナ姉様に壁際で犯されて来い。
ウブじゃなくなれるぜ?
161 :
2-332:2007/03/29(木) 18:29:22 ID:aOwQOCh/
二話分書けたけどどうしましょ?
取り合えず一話分投下します…
162 :
2-332:2007/03/29(木) 18:30:30 ID:aOwQOCh/
轟竜は俺の傍の少女をじっと見た。緑色の眼球からは何の表情も読み取れないが、どうやら威嚇ではない。
…チャンスか。
俺はそっと背中に手を伸ばす。背負ったポーチには回復薬が入っている。
まだ竜は少女を見ている。ポーチに手が、届く。
「…なるほど。アンタはあの時の娘かぁ」
突如竜はヒトの形に戻って少女に話しかけた。『あの時』…?何の話だ?
まあ良い、この機に乗じよう。後ろ手に瓶の蓋を開く。ぽすっ、と僅かな音を立てて瓶の蓋が雪に落ちた。
そっと中身を掌にこぼす。こぽこぽこぽ、と水音がした。
掌の薬を出来る限りこぼさないようにしながら、ポーチの上に瓶を置く。コン、と乾いた音がした。
まだばれていない、まだ気付かれていない。頭で唱え、眼で女を見据える。
傷は腹、それから肩だ。特に腹は未だ出血している。
「あの時…ッ」
少女が切迫した声を出した。共通した過去があるのか?
良く見ればティガレックスの方も「女」と認識するにはまだ幼い。
俺がそう思ったのは――そう、汚いからだ。
竜と退治する時、ハンターは常に畏怖を心に刻み付けられる。
人間から遠いような、格の違いとでもいうようなものを、竜からは常に感じるのだ。
神々しいまでの存在。それを“狩る”度に、俺たちは罪悪感に駆られる。
彼らの誇り高く強いプライドが“自分たちとは違うもの”だという意識を抱かせるのだろう。
しかし、このティガレックスにそれは感じない。
中途半端なプライド、ふざけたような物言い。すべて竜のそれには似合わない。
人の姿ではそれが顕著に感じられる。
幼い体には似合わないその汚さが、だれた大人に近しいのだ。
「そう♪私の母親が殺された時、私がお前の父親を食んだんだったね」
「…うぅ…あ…」
少女は話す言葉を捜すかのようにうなり声を上げた。
比べて、轟竜の方は不自然なほど明るい口調で語りだした。
俺はそっと手を腹に伸ばす。
「あの後大変だったのよぉ?何しろ餓鬼だからね。獲物も狩れやしない」
それでも女は嬉しそうに眼を細める。
腹の痛みが消えた。
163 :
2-332:2007/03/29(木) 18:31:10 ID:aOwQOCh/
「それに、あんたたちのせいで右腕はボロボロ。一年間は食うや食わずよ」
「それはっ…それはあなたたちが私たちを食べたから…」
「竜が獲物を食べて何が悪いってぇのよ☆」
女はますます嬉しそうにしている。饒舌になってきたようだ。
もう一度背中の瓶に手を伸ばした。次は肩。女の様子を見る限り、手当ては簡単だ。
「そもそもアンタたちみたいなトカゲが私たちに敵対心なんか抱いて良いものじゃないわ」
「……」
「それをたまたま通りがかったハンターに助けられたからといって偉そうに報復なんかしたから」
「…それは――」
「だから、こういう眼にあっているんじゃない?」
それは――そうかもしれない。竜は竜に生まれたと言うだけで絶大なる力を有する。
人間のように武装でもしない限り、倒したり殺したり出来るものではないのだ。
そのハンターは人助けのつもりなのだろうか。正義のつもりなのだろうか。
いや、師匠のような人もいる。悪ふざけの可能性まであるのだ。
だが、どんな思いであろうが竜を殺すという行為は大きな影響を残すことが多い。
竜は賢く、また生息地に及ぼす影響と言うものもまた大きいのである。
彼らほどの巨体を養うには膨大な量の動物を喰わねばならない。
そして彼らがその生命を絶たれたとき、喰われる筈だった生命が生き延び、種の大発生をおこすこともある。
閑話休題、現在のような異常な状況を作ったのは間違いなくそのハンターだ。
「まあ良いわ、どうだって。どっちみち殺すんだから☆」
「なっ…!?」
164 :
2-332:2007/03/29(木) 18:31:48 ID:aOwQOCh/
女は再び竜になって、大きな声で吼えた。
振動で瓶が落ちる。取り合えず掌に乗った分を肩に塗りつけ、太刀を構える。
ギアノスーツシリーズを作るようなアホもしていたが、元々はそれと知られたハンターだ。
人間としては駄目だったが、腕は確かな師匠に刻まれた腕は鈍らせちゃ居ない。
竜の人間の姿を振り払って、少女を引っつかんだ俺はまず横へ跳んだ。
読みどおり、寸前のところを竜の爪が切り裂く。
少女をその辺に放り投げ、尻尾に一太刀。流石に切れはしないが、鮮血の量からすれば結構深い傷がついたはず。
「グワァアァアア!!」
竜が嘶く。興奮状態の俺にはゾクゾクするような悦びが感じられた。
手を真っ赤に染めたティガレックスが二撃目の用意をする。怒っているようだが、恐くは無い。
いつもの畏怖が感じられない。俺の中で動物に等しい存在となった竜など。
何が恐いものか!
「ガワァァアア!!」
巨体に似合わぬ軽い動きで竜が跳ねる。俺は姿勢を低くしながら跳んでくる竜の真下に潜り込む。
「ギャワァアァァアア!!」
柔らかい腹を斬られたティガレックスは空中で態勢を崩し、地面に叩きつけられた。
揺れが収まった頃合を見て再度攻撃。倒れている竜の尾を切り落とす。
流石に太く、中々切れなかったが、幾度目かの斬撃でザシュッ、と血を吹き散らしながらもげた。
「うああああ!!」
そして狙いを眉間に定め、竜の頭部に飛び乗り突き刺そうとした瞬間。
彼女はヒトに戻った。
切っ先の下の美しい顔は痛みに歪み、絹のような腹にはぱっくりと口を開けた太刀傷。
ごぽごぽ、と血が滴っていた。
「何で、お前は…げほっ!」
口から血が飛び散って、顔を汚した。
「あのハンターと…同じ動きをするんだ…」
腹の傷から内臓が見える。ここにも深く傷が入っていた。
165 :
2-332:2007/03/29(木) 18:35:36 ID:aOwQOCh/
「あたしは竜なのに…なんで…」
そこで動きを止めてしまったのは、俺の方だった。
彼女はそれだけの傷を負いながら、跨っている俺の腹を思い切り突いた!
「ぐぁあっ!」
2、3メートルは吹き飛ばされただろうか。太刀も取り落としてしまった。
完全に勝っていたところを、甘い心構えが負けを導いたのか。
起き上がる前に、女に圧し掛かられた。口から腹から血を漏らしながら、それでも俺を殺そうとしている。
右腕を引いて、渾身の力を込めて顔に掌底を振り落とさんとする。
あの勢いなら首の骨も折れる。俺は思わず眼を瞑った。
次の瞬間、びしゃ、と暖かい液体が俺の顔を覆った。首にも、腹にも降りかかる。
独特の鉄臭さが混じったにおい。嗅ぎ慣れた血の匂いだ。
目を上げると。
「な…」
女の顔から、刃が突き出ていた。脳を突き破り、最早竜は絶命している。
刃先から零れ落ちた女の血がどぼどぼと顔に落ちる。
腹の傷から女の血がどぼどぼと腹に降りかかる。
太刀を突きたてたのは、あの少女だった。
「あ…ああ…ああああぁぁ」
目を見開き、手を震わせながらも未だ太刀から手を離さない。
それでも、俺と目が合った次の瞬間には気を失っていた。
俺の上の女の目は、閉じることは無かったけれど。
(以上です。段々グロに傾倒してきたような…
エロも無いので、そっちが嫌いな方はスルーして下さい。
感想・批評など頂ければ幸いです。今までに感想くれた人ありがとう。あと他の職人様方、GJです…)
>>165 面白かったですが、グロ注意とかは最初投下する前に入れた方がいいですよ?
168 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 21:21:28 ID:mo1e+Aqw
でも、面白かったですよ〜(^-^)/
>>165上手に書けました〜!
グロはまぁこんくらいならいいんじゃないか?
心配なら最初にグロ注意って書けばいいんだし
とりあえず二話をwktkしながら待っている
>>169 いえそうでなく、最後に書くくらいなら最初に書いた方がいいと言いたいのです
すいません
見直したらワケわからんこと書いてました。
172 :
2332:2007/03/30(金) 00:24:43 ID:jT1fwdYI
面白かったとかwktkとか言われるととても恥ずかしい気分になれますね。
でもすごく嬉しいです。ありがとう!
あともう一話はちょっと手を入れてからまた明日投下します。
さて、今回も十分グロい話だった訳ですが、最初にすべき注意を怠ってしまいました。
そのため読みたくないグロテスクな表現を読んでしまった方もいらっしゃるかと思います。
大変申し訳ありませんでした。
今後は十分注意します。ごめんなさい。
指摘してくれた方々、どうもありがとう。
173 :
2-332:2007/03/30(金) 00:27:22 ID:jT1fwdYI
名前ミス…
すいません。
174 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 00:44:50 ID:wKY/YJvT
>>172 とても『恥ずかしい』のかい!w
だが毎回GJ。
ぶっ潰れてたパソコンがようやく復活した…。
しかし、皆さん上手いなぁ…。俺も精進せねば。職人方、GJ!
ワロタwwwwww
まぁ俺はコテぐらいでgdgdなんてさせる気は無いんだぜ!
好きにすれば良いと思う
や、投稿の時だけとは言ったがいきなりあんなこと言い出してもわけわからんだろうと思って
コテ付けたんだが…。まあ要するにアレだ。ミスった。スマソ
『依頼者・胃痛持ちの執事』
「ハンターに憧れる坊ちゃまが、沼地へ狩に出かけたいと。ケルビなら狩れる坊ちゃまも、飛竜には勝てんのだ。
先に亜種モンスターを狩ってもらおう。」
一人の青年ーいや、少年と言ったほうがいいだろう、まだ10代前半と見れるーが、とある酒場でこのクエストを受注した。
「まったく、じい(と、言ってもまだそんな年ではないけれど)は心配性なんだよな・・・・この依頼、受注します」
彼の名はレン・ダーニング。まだ11歳の少年である。とある貴族の一人息子である彼は、その地位に似合わずハンターと言う物に憧れをもっていた。
本当はこんな年の少年にクエストを受注させるなど、してはいけないことなのだが―なにぶん貴族の息子の願いを無下に断わることもできずー
事前にモンスターの討伐依頼が済まされている地区に限って許可がされた(もちろん、父親がかなりの出費をしたことも言うまでもない)
−それに加えて、今日のギルドの受付嬢がうっかり者だったこともあいまって―
彼、レンはフルフル亜種のクエストに出発してしまった。
馬車の中で彼は思い出し、噴き出した。今日の朝のじいの態度といったら・・・・・
「坊ちゃま、強力な飛竜はいないと情報はありますが、念のためにモドリ玉と素材玉じm、ドキドキノコをお持ちくだされ!それだけでは足りませぬ。
回復薬や解毒薬、それに付近では怪鳥の目撃情報もあります、音爆弾もお持ちなさい。怪鳥に出くわしたら、音爆弾をつかって逃げるのですぞ!」
まったく持っていい迷惑、自分が飛竜を駆除したんじゃないかーまあこれだけ備えがあれば死の危険もあるまい。
備えあれば憂いなしってね。装備だって、火山を探索した時に遭遇したドスイーオスから取れた素材で作ったデッドリィポイズンだし(じいが知ったら胃袋に風穴が空くことだろう)、装備だってそのとき見つけた岩竜の死骸
・・・・きっとこれは他のハンターが倒したものだろう・・・から取れた素材を使ったグリーヴ、フォールド・アームを身につけているわけだし。英才教育のおかげで手先は器用だから、剥ぎ残しからだって十分過ぎる恩恵を受けられたのだ。
何より暇を見つけては勉強した飛竜、古龍達の生態や調合の知識だってあるのだから。・・・・・と、数々の事柄が彼の自信を裏付けしていた。
欲を出せば、同時に出ていたオオナズチの討伐以来を受注したかったが、それは流石に咎められるし第一こなせる自信がない。
そんな事を考えているうちに沼地に到着した。さあ、狩の始まりだ。
奴は洞窟に居るはずだ。そう考えて洞窟に直行する。道中一目散に洞窟から逃げてくるケルビ達に出会った。間違いない。この先に奴は居る
・・・・・・どう見てもいきなりの遭遇です、本当にありがとうございました。
視界の隅にコンガが居るが、問題はそこではなくー真上に赤いBODYの奴が居た。帯電飛竜、フルフル・・・・・の、亜種。
なんという威圧感・・・・一目見ただけで分かってしまった。間違いなくこの亜種は今の自分がかなう相手ではない^o^
(でも、それでも)
「敵に挑むのがハンターって物だよね!」 ・・・・どうみても厨2病です、本当にありがとうございました
確かフルフルの弱点は首。つまり奴が首を伸ばした瞬間に切りつける!それの繰り返しで対処ができる!と、考えたその瞬間。
「ポャァァァァーァァァグゥィィィッィィア!!!!」
その瞬間、レンの耳を物凄い大音響が襲う。彼はまともにそれを食らってしまい、耳を押さえて座り込む。
(な、何だこれ・・・・・あ、ありえな・・・・・)
次の瞬間、レンが目にしたものは・・・・・首を持ち上げ、口に電撃を溜め込み−それをこちらに発射した、フルフルの姿だった。
「 」
(何だこれ−痛い、痛い、体中が痛い―それに、体が動かない・・・・・いや、動かそうとしても痛みで動かせない・・・・・)
だが、敵は無情だ。当然だけど。体を動かさなきゃーフルフルはもうすでに体を屈めて・・・・・・・・屈めて?
レンが回避行動を取ろうとしたその瞬間、赤い巨体が彼に飛び掛ってきた。
刹那の間に盾を構えることはできたが、少年の体にフルフルの突進は荷が重すぎた。少年は弾き飛ばされる。
その攻撃でレンを仕留めたと思ったのか、フルフルは攻撃の手を止めた。
「 」
(よ、予想GUYだよ・・・・こんなに強いなんて・・・モドリ玉を使って、体勢を立て直そう・・・・・じい、感謝するよ!)
彼が立ち上がり、フルフルが気づく前にモドリ玉を地面に投げつけたその瞬間!コンガが彼にすばらしいタックルを食らわせて来た。
その当時の心境を振り返って、レンはこう語る。
レン「何よりも、コンガに対する怒りを抑えることが先決だと考えました」
(こんの野郎!!あとでコンガの毛皮大量に輸入してやる!」
思わず声が出てしまっていた。フルフルがこっちを向く。
「し、しまった!僕としたことが・・・・・」
悔いてもいられない。さあドキドキノコと素材玉を調合する作業に戻るんだ!僕!・・・・っと、ドキドキノコがポロリと落ちて・・・・フルフルの方に転がって・・・それをフルフルがパクッと・・・・
,, ,,,
゙'lliiiiiiiiiiiiilllllllllllllllll|||li,, l||||l
゙゙゙゙゙ 、,,,,,,,ii!!"゙゙゙゙゙ 、,,,,,, 、,,,, ||||
,l||||" ゙゙'llli,, ゙l||! ,,l|||゙ ill,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,iiilllll,,, |||
,,l|||! ゙゙゙゙゙ ,,,l||" ゙゙'゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙ ||
,il|l゙゙ ,,rlll" ,,,,
,,ill"゙ ,,,ril"゙ il||||l
゙゙゙"
すいません冗談ですフヒヒ 緑色の煙がフルフルの居た場所から立ち昇り・・・けむりが収まった後には一人、褐色の肌をした美しい女性が立っていた。全裸で。
まあ女の人の裸なんぞ父上とその愛人が裸で抱き合っているところを何度mゲフンゲフン
(・・・・・・?)
?「・・・・・・・・・?」
レン「・・・・・斬って見るか」
とたんに慌てた様子になる女性。
?「ちょ、ちょっとソラ恐ろしいこと言い出すんじゃないわよ!あたしよ、あたし!さっきまで貴方をフルボッコにしてた赤フルフルのお姉さんじゃない!」
レン「こりゃ失礼・・・・・待て待て待て待て」
フル「どうしたの?何か質問でも?」
質問でもじゃないだろ・・・・常識的に考えて・・・・・
レン「いろいろあるけどさ、何で人間になったんだ?てか♀だったの?何で全裸?」
フル「?あたしはもともと♀よ?二つ目に対しては、貴方が落としたドキドキノコ、きっと野生のものじゃないでしょ?」
レン「ああ・・・(まあじいが育てた奴だしな)そうだけど?」
フル「あのキノコは育った環境によって色んな効果があってねー、あたしはドキドキノコの効果に興味があったんで貴方の落とした物をパクリ。そしたらこうなったってわけ。3つ目に対しては、あんたね、自然界で暮らす者はあんたたちみたいに服なんて着ないの」
レン「つまり、特殊な環境でそだったドキドキキノコ(じい・・・どんな育て方を・・・)を食うと人間になると?てかさっきまで僕をフルボッコにしてたのに、襲わなくていいの?」
フル「そ。細胞とかがやばい勢いで組み変っていくのが自分でも実感できたわ。二つ目の質問に対しては・・・そうねー・・・・飛竜の姿だったころは殺そうと思ってたんだけどさー・・・人間になったらそんな気、無くなっちゃった♪」
レン「(助かったぁ・・・・・)」
安堵する少年。
レン「次に・・・元飛竜が何で人間の言葉をこんなすぐに理解できるの?」
フル「多分、脳の構造が人間になったからじゃないの?しかも、飛竜の中でもフルフル種は目が見えない分脳や感覚が発達してるからかなり頭はいい方なのよ?」
レン「むちゃくちゃだろ・・・・・・」
フル「それはそうとして・・・・人間になっちゃって、電撃使えなくなっちゃったし何より感覚が退化しちゃって・・・・しかも私、目が見えないし」
レン「・・・・・?」
フル「町まで、連れてってくれないかしら♪」
レン「別に、構わないよ!でもさ、僕は君を討伐しに来たわけでね、討伐したって証拠がないと・・・それに、君の住処は沼地じゃないの?」
フル「そんなの討伐できませんでしたって言えばいいじゃない?それに、この体で沼地で生きていけるとでも?」
レン「おまwwww失敗じゃねぇかwwwwうーん・・・何かお礼をしてくれるなら、僕の家に住まわせてあげてもいいよ?」
フル「お礼ねぇ・・・・じゃあ、とぉ〜ってもいいコトしてあげるわぁ♪まず、ズボンとその暑苦しい鎧を脱いじゃってくれない?」
なんでこいつは感覚が退化してるのに僕が鎧を着けてることが分かるんだとか僕は少し素材を剥ぎ取らせて欲しかっただけなんだよなとか疑問はあったが、興味と好奇心から、僕は鎧を脱ぎ捨てた。
パクリ。
,, ,,,
゙'lliiiiiiiiiiiiilllllllllllllllll|||li,, l||||l
゙゙゙゙゙ 、,,,,,,,ii!!"゙゙゙゙゙ 、,,,,,, 、,,,, ||||
,l||||" ゙゙'llli,, ゙l||! ,,l|||゙ ill,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,iiilllll,,, |||
,,l|||! ゙゙゙゙゙ ,,,l||" ゙゙'゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙ ||
,il|l゙゙ ,,rlll" ,,,,
,,ill"゙ ,,,ril"゙ il||||l
゙゙゙"
「ん・・・・・ふぅ・・はむ・・チュプ」
何をトチ狂ったかいきなりこの美女は(しかも、全裸の)レンのグングニルを舐め始めた。口の中でレンのナイトランスを包み込み、舌で連続して先端部分に刺激を与えてくる。舐められるという事はこんなにいい物だったのか・・・・・・
唾液とランスが擦れあう際に生じる音も一層興奮を掻き立てる。
「ほーほ?ひほひいい?」流石は元フルフル・・・・・しかも上目遣いでレンを恍惚とした表情で見つめてくる。その妖艶な視線に見つめられながら、
「あおおーーーーっ!!」
ものの数十秒でレンは果てた。
レン(こりゃねーわ・・・・・・・・)
フル「ん?もうかい?意外に早いんだな・・・・冗談よ。これでいいかしら?町に連れてってくれる?」
レン「分かったよ・・・じゃあBCに行こうか?・・・・・ってギャアアアアーーー!!!」
フル「!?」
いきなり苦悶の叫び声を挙げるレン。おお神よ仏よ。彼のナイトランスは見るも無残に変色していた。
フル「あー・・・・どうやら、一部人間になりきれなかった部分が有ったみたいね。皮膚の色とか唾液の酸性とか」
レン「〇〆℃◆○°◎◎℃☆★*@」
数分後。
レン「イデデ・・・・・ちょっと苦虫をとってくる。傷によく効くらしいから・・・・君はどうする?」
フル「そのまま帰れば?君、貴族の御曹司なんでしょ?家で手当てを受ければいいじゃないの」
レン「(フルフルにしゃぶられて怪我したなんて言えね−よ!)応急手当しとくべきだしね、回復薬だけじゃ足りそうにもないから。先にBC行って待っててくれないか?」
沼地・エリア8
レン「ふう・・・・虫の体液を刷り込んだらまあ良くなったか・・・グロいからあんまりやりたくないけど。さ、帰るか」
その瞬間。レンの背後で女性の悲鳴と男性の叫び声が聞こえてきた。
そーっと忍び足で近づいてみる。間違いない、彼らが相手にしているのは・・・霞龍、「オオナズチ」だ。サムライスタイルの男性(自分とそう遠くはない年だろう)が振る大剣が空を切ったーいや、切ってない。いや、切っている。何もないところから血が噴き出す。
こんな芸当ができるのは世界にただ1種ー霞龍。
見たところ4人パーティのようだ。ディアブロ防具を身につけた巨体のハンター・・・顔は見えないが・・・と、レウス装備だろうか?イーオス装備だろうか?赤い防具を身にまとった金髪のハンマーを振るっている女性、
胸以外はゲリョスシリーズを身にまとい、胸には何も着けずータンクメイジを構えるガンナー。体格からして男だろう。それに・・・侍スタイルの大剣の男性。
朝の出来事をレンは思い出した−霞龍「オオナズチ」の討伐を受けたがっていた自分の姿を。
(あの4人組、あの依頼を受けたのか・・・・!)
かすかな憧れが胸に生じる。と同時に彼は気づいた。彼らの攻撃がまるで標的に通ってないことを。
(音爆弾を持っていないのか・・・・!?)
と−その瞬間、レンは叫び、音爆弾を霞龍に投げつけていた。金髪の女性の後ろに回ったオオナズチが、毒気を彼女に拭きかけようと姿を現しているのを目の当たりにしてしまったから。
ガギィン!!
凄まじい音が辺りに響き渡る。当の本人たちは、何が起こったのか分からずに狐につままれたような顔をしている。当然だろう。いきなり草むらから少年が音爆弾を仲間に投げつけ(霞龍に投げたのだが)
オオナズチに切りかかっていったのだから。何より、霞龍がその姿を現し、地面をのた打ち回っていたのだから。
レン「早く!今のうちにコイツの角と尻尾を!!」
?「!?だ、誰だ!何でここに居る!?今何をしたんだ!」
レン「いいから!早くしないとまたコイツは消えてしまう!!」
その一言で、その場の全員が目を覚ます。全員が一斉にオオナズチに攻撃を加える!バキッ、と言う音がして角が折れー霞龍が立ち上がった!
どう見ても怒っててその標的は僕です。本当にありがとうございました・・・・そんなことを考えた瞬間、霞龍の突進をまともに食らい、少年は気を失った。
「 」
気付くと、目の前に先ほどの元フルフルが立っていた。ちゃんとした服(下着だけど)をつけて。
フル「おはよ♪」
レン「おはよう・・・で、どうして僕はここに居るのかな?」
フル「ネコタクが運んできたんだよっ。アイルーの声がしたもの。」
レン「誰か人が来なかった?4人ぐらい」
フル「来たよ。この布だってその人たちに進められてつけてるんだもん。置手紙していったみたいよ?」
レン「どれどれ・・・?」
ベッドの上に紙がおいてある。こう書いてあった。
「お嬢様の危地を救った頂いたことと、霞龍の弱点を突いて攻撃していった足下の類まれなる勇気に敬意を表し、霞龍の尻尾は剥がずに残してある。どうか受け取って欲しい。G,D」
と有った。
フル「なんて書いてあったの?」
レン「うん、プレゼントを用意してくれたみたいだよ・・・君も来る?」
フル「ううん。待ってるよ。目が見えないからいろいろ不便だし。」
先ほどのエリアに行ってみると、確かにあった。オオナズチの尻尾が。それを丸ごと頂くことにした。ついでに死体も確認してみた。やはりほんの少しではあるがー剥ぎ取れそうだった。上手く手先の器用を発揮して、
霞龍の皮を4枚、翼膜を3枚、爪を5本とまあまあの成果が上がった。ついでに体の中から出てきた綺麗な宝石・・・きっと龍秘宝だろうなとその時は思った・・・を道具袋に収め、レンは元フルフルの美女と一緒に、町へ帰還した。
ダーニング家
レン「ただいま、じい。一人、厄介者が増えたよ?」
じい「お帰りなさいませ坊ちゃま!私はもう心配で心配で・・・・胃袋に穴が開きそうでした。どうでした、狩は。その厄介者とやらはどこですかな?」
フル「こら!誰が厄介者だ!」
じい「!?こ、これ!坊ちゃまの前でなんじゃそのはしたない格好は!」
レン「あはは・・・ごめんよ。じい、いろいろ話すこともあるけれどさ・・・飛竜と、古龍に出くわしたよ?安全なはずじゃなかったの?・・・・それに、この人は盲目だから・・・・しばらく、僕と一緒に生活することになるよ。僕もこの人を気に入ったよ。」
じい「!?!?!?!?そ、、そんなに危険な目に!?しかもこのようなはしたない女を気に入ったですと!?・・・・・・バタリ」
フル「ずいぶんカタいんだね?この人。しかし、大きくて明るい洞窟だね!君はここに住んでるの?君のお父さんお母さんが許してくれるかな?あたしと暮らすなんて」
レン「そうだよ!母上はもとより父上もきっと君と一緒に僕が暮らすことを賛成なさるだろう・・・・反対したら母上に言いつけてやるさ・・・・・・・そう言えば、君何歳?」
フル「え?数えたことないなぁ・・・見た目で判断して!あなたが落としたドキドキノコ、食べて良かったわぁ♪」
レン「じいに感謝して貰わないとね・・・・フフッ・・・・・お姉さんが出来たみたいだよ・・・」
フル「お姉さんなの?結構なとこまで行ったのに?」
レン「恋人やラマンは普通相手のランスを壊したりしないよ?」
フル「うぐぅ・・・・・・・」
取り合えず、以上で終了です。元ネタとなった作品に関しては(もっとも原型を留めて降りませんが)、タイトルと最後から2番目の行を読んで貰えれば分かるかと。
ひたすらお坊ちゃまの身を案じる「胃痛持ちの執事」がツボだったんで、書いてみました。
まさか一日中使ってしまうなんて、予想GUYでした。せっかくの休みがorz
最終的にはみんなキャラ変わっちゃいましたね(特にフルフル)^^;
次はレン×キリン辺りを書きたいと思っています。
最後に、設定をお借りしたハンター×モノデビル氏に感謝したいです。
フル「そうそう、人間はいいけどもうモンスターにドキドキノコを食べさせたりしたら駄目だよ?」
レン「何で」
フル「環境によって効果が変わるから〜、もし最悪の環境で育った奴を食べさせたりしたら」
レン「黒竜見たいなのが出来る?」
フル「メテオガイトスできちゃうかもね〜」
一言忘れましたorz
長い前置きの割りに、エロ部分がかなり少ない+半分ギャグ
になっちゃってすいませんでした
( ^ω^)…
焼きそばに牛乳をかけた感じがする
いろいろぶち込みすぎたってことでしょうか?
設定作り過ぎたって事でしょうか?
単に話がごちゃごちゃし過ぎたってことでしょうか?
どれにせよ、精進します・・・・orz
191 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 20:33:36 ID:wKY/YJvT
192 :
2-332:2007/03/30(金) 22:22:25 ID:A8UGcF4V
>>186 GJです。ギャグがある位のほうが良いのかも知れませんよ?
と言うわけでギャグも(多分)無いのを投下します。
ちょっと長いですが、今回も多少グロイですよ。要注意。
193 :
2-332:2007/03/30(金) 22:22:58 ID:A8UGcF4V
もう数年も前のことだ。
お兄ちゃんもまだ居たし、丁寧な話し方をする、あの博学な友達だってこの村に居なかった頃。
勿論いつもヒトの姿をしている、あの青年だって村に来ていない頃。
私は毎日、長髪の女の子と遊んでいた。
その頃に初めて、私は竜を見たのだ。
あの竜はある日突然私たちに襲い掛かってきた。オレンジ色の鱗を全身に纏い、緑色の瞳を持った四つん這いの竜だ。
私達は先代――いや、お兄ちゃんの前だから先々代か、そのリーダーに率いられ逃げた。
そして――追い詰められたのだ。
「グワァァアアア!!」
巨大な声に身が竦んだのを覚えている。
まるで神々しいばかりの巨体。
見上げることしか出来ぬような有様の私たちにとっては“戦う”等という意思を放棄させるには十分すぎるほどだった。
天空から降ってきたものと勘違いさせられるような前脚の一撃で、前衛だった、その時のリーダーや男たちの半数近くがやられた。
あたり一面に飛び散った血を生々しく今も覚えている。
「ギャァアッ」
威嚇の声を上げたものは「うるさい」と言わんばかりに叩き伏せられる。
私達は家族が、或いは知り合いが、恋人が、彼女の娘に喰われる様をただ見ていることしか出来なかったのである。
幸いにも長髪の友達は家族を失うことは無かったが、私は父を失った。目の前で喰われたのだ。
理不尽だ。あの時、確かに私は理不尽さを感じていた。
彼らは力を有している。ただその種に生まれたと言うだけで、他を絶する超然たる力を持っているのだ。
彼らの眼はいとも容易く私たちの脚を駄目にする。彼らの腕はいとも容易く私たちを死に差し向ける。
彼らの歯はいとも容易く、私たちの肉を餌に変えるのだ。
「グワァァアアア!!」
先程と同じ調子で、竜が嘶いた。肌がびりびりと震えるほどの揺れ。
緑色の眼が――私を――見た。吸い込まれるような浮遊感。恐怖が強すぎて吐き気がした。
竜が脚を持ち上げる。その動作が異常にゆっくりに見えた。
鋭く尖った私の頭ほどもある爪が、真っ直ぐ私の元へ――
「ギャァァアアァア!!」
194 :
2-332:2007/03/30(金) 22:23:47 ID:A8UGcF4V
皆が悲鳴をもらした瞬間、私はもう死んだのだと思った。
潰され、私の血が雪に混ざり、喰われ、私の肉が竜に混ざるのだと。
そんな絶望は鋭い金属音によって阻まれた。
「…何グロイことしてんだよ、全く」
その人間は竜の爪を細い棒のようなもので薙ぎ払っていた。
右爪が完膚なきまでに破壊され、血が噴き出している。
「グワァアァアア!!」
竜の悲鳴、なのだろう。
また、私たちはその時皆人の姿をしていなかった為、男が何を言ったのかは解らなかった。
「『戦場では、力あるものが生き残る』。まあ言ってもそのなりじゃあ分からんだろうが、お前と同じ、竜の言葉だ」
次の一太刀。後に知る事になるが、彼があの時使っていた武器は太刀と呼ばれるものだったのだろう。
このときの男の戦い方はその後とても役に立った。
敵の攻撃をかわし、すれ違いざまに斬る。敵の勢いすらも利用する型だ。
…村に来たあの彼も、同じことをしていた気がする。
「グワァアァ!!グワァアア!!」
あれだけ大きかった存在が、ただ一人の男によって傷を受けている。
そのことにただ唖然とした。
数分も過ぎれば、あたりは血だらけ、竜は傷だらけになっていた。
「じゃあ、そろそろサヨナラかな」
男が何か口にして、竜の額に刃を突き立てようとした時、突然竜の様子が変わった。
前脚が紅く染まり、今までに無いほどに大きな声で鳴いたのだ。
「グワァァアアアアアアアアアアア!!」
竜の目の前の雪が抉れた。竜を中心とする同心円が雪原に描かれる。
それでも男はおびえることも無く、
「うるせえんだよ!」
何かを叫んだ後、竜を“見た”。
195 :
2-332:2007/03/30(金) 22:24:45 ID:A8UGcF4V
ただそれだけのことで、竜は動けなくなった。
眼を驚愕に引きつらせて、自分に突き刺さる刃をただ見ている以外のことが、出来なくなったのである。
額から夥しい量の血を流し、一つ二つ、大きな痙攣をして竜は死んだ。
絶大なる力を持ったものは唐突に消え去った。張り詰めていた竜の存在が、場から消え去ったのだ。
生臭い匂いが更に強く立ち込めた。
竜を殺す。ただそれだけのことを、そして恐ろしいことをして、その男は消えてしまった。
「助かった…の?」
長髪の少女に話しかけられた。私は失念した何かを思い出そうとしていた。
竜の死。その大きすぎる事柄に隠れてしまった何か。
それは――
「お父さん!!」
言うなり私は駆け出した。次いで、同じように放心していた彼ら――兄や、その他ヒトを失った人たちが動き出した。
死体に駆け寄る。父はもう、頭しか残っていなかった。全身に冷や汗が出た。
そっと手を伸ばしたけれど、どうしても触れることが出来ない。
凄惨すぎたのだ。その者の死を認め、悲しみ、そして乗り越えるには。
その屍体は余りにも酷かった。
怒りの矛先は、当然竜と、そして竜の娘に向かった。異常な行動だった。止めるべきだった。
超然たる力を持つと、そう定められた竜なのだから。
竜の娘は痛めつけられ逃げ出した。私たちへの恨みだけを持って――。
196 :
2-332:2007/03/30(金) 22:25:24 ID:A8UGcF4V
ベッドに横たわった少女はその思い出だけを語り、後はもう何も食べずに寝込んでしまった。
村ではギアノスたちがヒトの姿でヒトの姿の女を切り分け、焼き、喰らおうとしていた。
軽く吐き気がする。とても食べられたものではない。
彼らにとっては「獲物」でも、俺の中ではまだ整理が付いていないのだ。
そうだ。まだ決着のついていない問題だってある。何故彼女はヒトの姿を有していたのか。
俺はこの群れだけが特別だとずっと考えてきていたのだが、ヒト型の竜を見ても驚くことなく対応していたようだ。
ヒト型になれる動物はまだいるのだろうか?俺はヒトの姿をした動物なんて見たこと無かったがな。
いや、竜忌はどうだ?彼女は人ながらに竜の力を有していると言うふれこみだったが――。
もやもやした考えを必死にまとめようとしていると、かたん、と真後ろで足音がした。
「…誰?」
振り向いた先に、敬語で話すあの娘が居た。
「…君は」
「こんにちは。私もその娘の見舞いに来たんです。よろしいですか?」
「…あ、ああ…」
少女は良かった、とにっこり笑うと、ベッドの近くにあつらえられた椅子の片方に座った。
「あなたも、お見舞いですか?」
「え…ええ、まあ」
「…そうですか」
何か含みがあるような彼女の言葉。…不味いことでも言ったか?
「あなたは、行かないんですか?」
少女は村の真ん中の広場、女が調理されている方を指した。
「ああ」
「あなたが功労賞でしょう。行ったらきっと大歓迎ですよ?」
197 :
2-332:2007/03/30(金) 22:27:04 ID:A8UGcF4V
俺は顔を曇らせてしまった。こういう場合、無表情を繕わないとばれてしまうのではないかと思うのだが。
少女は気にも留めぬ様子で言葉を紡ぐ。
「そうですか。…あれが食べられないと言うのなら」
なんだろう。軽い調子で言っているが、ばれたか?
「…夕食は私の家に食べに来ませんか?」
「は?」
「ですから、今夜は私の家に来てくださいと言っています」
何を言い出しているのだこの娘は。
というか何で?
「…駄目ですか?」
「いや、駄目ってことは無いけど…どうして?」
「ふふ…レディーにそんなこと聞くのは失礼ではないのですか?」
軽やかに笑った少女は「レディー」なんて言葉が似合うほど妖艶ではないけれど、あの女よりはずっと綺麗だった。
倦み疲れた俺の精神にそれがとても眩しく映ったのも、そのせいなのだろうか。
(以上です。
視点転換のため中途半端な長さのレスがあります。ごめんなさい。
次回はまた間が空くかもしれませんが見捨てずに居てくれたら幸いです)
198 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 00:09:43 ID:jwO6rCJ7
199 :
明石家:2007/03/31(土) 01:17:54 ID:ongErTmn
神スレ…
酔ってドSに豹変したジュリオがエメラをムフフと云う電波を受信した
・・・・が、作者さんの事を考えて受信中断
ネタノモトニデモシテクダサレバコレサイワイ
エメラがジュリオに酒を飲まして酔ったところを殺そうと考えて酒を飲ます→ジュリオが酔っぱらったはいいけど酒癖が悪く、逆に襲われる。
こうですか?わかりません><
205 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 00:09:34 ID:I14r49PG
そんな感じじゃね?まぁ作者に任せようや
でもあの作品は微エロの純愛とかでもいいと思われ
あ、それの逆のシチュなら考えたことあるわw
ただし阻止されるけどなw
207 :
2-332:2007/04/01(日) 11:27:22 ID:nAwxj8Ud
GJとか言ってくれてありがとう。
オリジナルの設定ってアリですかね?
下手すると一時的にモンスターハンターから離れそうなんですが。
あと余り間をおかずに自分のを投下するのもどうかなと思ってます。
モンハンの世界観を完全に崩さない程度ならいいと思うぞ。
ってかそもそも擬人化事態オリジナル設定ジャマイカ
209 :
雲9の人:2007/04/01(日) 14:00:31 ID:4wBJzhAk
オリジナル設定も世界観にあってるならいいと思う
だけど似た機関が既にあったり、公式小説で説明済なものをいじると絶対突っ込む輩が出てくる
特に俺みたいな文章遅い設定厨とかorz
とりあえず今日明日に投下…………といいつつ嘘になる可能性あり
ある程度は。エターナルフォースブリザードとか登場しなきゃいいんじゃね
211 :
2-332:2007/04/01(日) 15:43:49 ID:nAwxj8Ud
返答ありがとう。参考にします。って小説読んだこと無いですが。
やたら暇だったので書き上げてしまったけど余り占領するのも考え物ですよね?
ということでちょっと待機します。
…女の子が口から氷吐き出して「エターナルフォースブリザード!」とか言うのも楽しそうじゃね?
ギアノスなら実現可能です。
>>211 いやいや、もう待たなくて良いぞ。そこまで考えられる人なら、そこまで崩しはしない筈だ。
激しくwktkしてる俺が居るから早く投下してくださいおながいします。
取り敢えず期待する。
214 :
2-332:2007/04/01(日) 18:25:00 ID:nAwxj8Ud
そうですか?
では、暇のあるうちに…
今回はグロ表現はありません。
215 :
2-332:2007/04/01(日) 18:26:17 ID:nAwxj8Ud
ちょっと警戒しながらも、敬語の少女宅へ。村の外れにぽつんと立つ家を見つけ、教えてもらった情報と比べてみる。
うん、ここだな。
良い匂いが漂っている。夕食と言うのは間違いないようだが…。
「お邪魔します」
「あ、どうぞ」
カーテン状の布を持ち上げて中に足を踏み入れる。
テーブルに並んでいたのはカットされて焼かれ、ミントソースで味付けされた肉やサラダ、コンソメを取って作られたスープなど。
つまりは、人間の食事だ。この村で今まで出た食事と言えば精々焼いた肉程度だったのだが。
「これは…」
「お口に合うと良いのですけど。…自分以外の人のために料理を作るのはかなり久しぶりでして」
「何故、人間の御飯を…?」
少女は眼を覗き込むように俺を見た。何かを計っているような――。
「あなたが人間だからですよ。そうでしょう?」
…!
やはり、ばれていたのか。どうする?この娘を殺して――いやいや、そんなことしてまでこの村に居続ける必要は――。
「あはは、そんなにかしこまらなくても良いですよ。別に他のギアノスに教えようとも、思っていませんから」
多少怯えた表情で少女は手を振った。そんなに凶悪な顔をしていただろうか。
すまない、と慌てて謝った。
「良いですよ。むしろその位警戒していた方が」
少女は屈託無く笑う。昨日、ティガレックスと戦っていた時はとても緊迫した様子だったのにな。
著しく二面性がある、と言うことか?
「…どうして分かったんだ?俺が人間だと」
216 :
2-332:2007/04/01(日) 18:27:18 ID:nAwxj8Ud
「獣は見舞いなんかしませんし。それに、私は幼い頃人間の世界で暮らしていたんですよ。だから人間のことも、料理も分かるんです。でも」
ある事情があって、と少女は目を伏せた。
「この村に逃げてきました。よく本を読んでたので、戦略とかは良く知っています。それでリーダー役を仰せ付かったんですが…」
まあ、とにかく食べてください、と少女は俺を椅子へ案内した。
確かに腹は減っているのだ。それに暫く人間の食事と言うものを食べていない。素直に食べることにした。
「美味しい!」
「本当ですか?良かったぁ」
少女は安心したように自分の料理に手をつける。
町に居た頃も村に居た頃も、こんなに美味しい料理は食べたことが無い。
いや、ここでの食事との相対的な物かも知れないが。
ナイフとフォークでの食事も随分久しぶりだ。…防具をつけていては食べにくいな。
かちゃ、かちゃと静かな音がする。会話は無いが、気まずい訳ではない。しっとりとした気持ちの良い空気だ。
肉の最後の一片を口に運ぶ。…少女が話しかけてきた。
「最近この辺りのギアノスを狩っていたのは、あなたですよね?」
食べ終わった食器を片付けながらの少女の問いは、飲み込んだ食べ物が気管に流れ込む位俺を動揺させた。
み、水なら分かるが…ッ!
当然のことながら激しく咳き込んだ。
「ガハッ!ゲェホゲホゲホッ!」
「あっ!?ちょ、ちょっと大丈夫ですか!?」
手を上げて大丈夫だ、と伝える。少女は困ったように笑った。
「でも、これじゃばればれですねぇ…」
何もいえない。まずこの少女はそれを知ってどうしようと言うのだろう。
「あ、大丈夫です。誰にも言いませんよ。ただ聞きたかっただけなんです」
「…何を?」
217 :
2-332:2007/04/01(日) 18:27:49 ID:nAwxj8Ud
「あなたの意思を、です。…あなたは昨日、ヒトの形になった竜を斬り殺しました」
少女の俺を見る目は責めるような光を灯していない。
「その時はとても悲しがる、と言うかショックを受けていたようでしたが」
「まあ、人間の形したものが目の前で死んだんだから…」
少女は更に問う。
「人間…ヒトの形はあなたにとって特別なものなのですね?」
「まあ、同族だし」
「じゃああなたは何も殺せなくなってしまいますよ」
「どうして?」
少女は多少表情を曇らせた。
「…この世界に、ヒトの形を有していない動物など居ないからです」
「…え?」
竜が人間になれた理由――その可能性は考えなかった。しかし、事実であるとすれば。俺が殺してきたあの竜にあの猪に。
「最も、人間と共に暮らす動物――アイルーたちやペットなどは、ヒトの姿を忘れてしまったようですが」
ヒトとしての顔が。知恵が。感情が。家族が。
「通常はヒトの姿なんて、他の種族に見せるものではないのです。…昨日の竜はそういう知識に欠けていたのでしょう」
そんな――そんなことが。
「そんなことを信じられると思うか?」
「あなたは人間ですからね――でも、私達やあの竜を見ている。だから」
「なぜそんな――」
218 :
2-332:2007/04/01(日) 18:28:29 ID:nAwxj8Ud
「世界に『何故』はありません。『そうなっている』のです。ただ、そう。ひとつ、昔話があります。人間には伝わっていない昔話が」
少女は人懐っこそうな笑みを浮かべた。全ての動物にこんな笑顔ができると言うのか。
「世界には元々、人の姿を持つ獣だけが存在し、『人間』と言う種は無かったそうです」
彼女は「昔話」を俺に話してくれた――
はるか昔の話。
人になれば互いに語り合い、獣になれば互いに殺しあう。
日々殺し、或いは慈しむ。矛盾しているようだが、それがその時代の生物の姿。
その時代の動物は人と獣を行き来する、そういう存在だったのだと言う。
――ある日、一匹の竜が言う。
「僕はもっと清潔なところに住みたい」
彼は家を作り始める。賢い人の頭で考え、器用な人の手で造る。
そうして出来た家は誰も見たことの無いような清潔な場所となった。
やがて一部の獣たちが彼に習い家を作る。
――ある日、一匹の竜が言う。
「僕の家に虫なんて要らない」
彼は虫を殺し始める。食べる以外の目的で。
そうして彼の家から虫は居なくなった。
やがて皆もそれに習う。
――ある日、一匹の竜が言う。
「あの竜どもは僕の家を壊そうとしている」
彼と仲間は狩りを始める。仲間とともに武器をその手に。
そうして彼らの村から竜は遠のいた。
やがてみなの体から鱗がはがれ、服を纏うようになった。
彼らは獣の姿を捨てて、新たにこの地に息づいたのだ。
「人間」として――。
――聞いたことも無い話だった。
「これが人間の発生とされています」
219 :
2-332:2007/04/01(日) 18:29:31 ID:nAwxj8Ud
水を手渡しながら少女は言った。受け取って一口飲んでから問う。
「事実だとでも?」
「いえ、そうは思ってません。ですが、これは面白い話だと思うんですよ」
面白い?反芻すると、少女は自分の水をごくごくと飲んでから、こっちに向いて頷いた。
「私たちは人間と同程度に賢いのです。しかし、自分が食べる以上の狩りを行ったりすることはまずありません」
かたん、とテーブルにコップを置く。
「それに武器も持たない。まあ、これはあなたが持ってきた武器で変わるでしょうけれど」
そういえば雪原に放り出していたな。今村にあるのは、きっとこの少女が運んできてくれたのだろう。
「その差が、人間なのではないかと思ったんです。身勝手に振舞う、更なる力を欲しがる、要らぬ親切をする」
それがむしろ人間であると言う定義にも等しいのではないかと思ったんです。
少女はそう言った。
「定義?」
「はい、人間が昔話の通りに生まれたのだとしたら、身勝手な獣が選り分けられるかのように人になったと言うことでしょう?」
だから、と少女は続ける。
「人間と言うものは身勝手なのだ、と考えるのが自然です」
ひどい言われようだな。まあ、間違っては居ないのだろう、多分。
「だから私はあなたを咎めたり、皆にばらしたりはしません」
急に俺に話が振られて間誤付いた。少女がくす、と笑う。
「心の傷はいつか癒えます。私はそんなことよりも、あなたと言う存在が、生きるためには必要だと思ったんです」
「必要って?」
220 :
2-332:2007/04/01(日) 18:32:01 ID:nAwxj8Ud
「私が怪我してて寝込んでたので、狩りは彼らに勝手にやらせるしかなかったんです。
そうしてるうちにあなたが次々とオスを狩っていった。
このままでは狩りが出来なくなって飢え死にしてしまう、というところまで行ったのですが」
あの娘があなたを連れてきてくれた。
少女はそういうとちょっと暗い様子になって、話を続ける。
「もしあなたが人間だと知れたら、皆はあなたを殺そうとするはずです。でもあなたを殺すと、私達は飢え死にです」
「ははは…分かったよ。本当はずっと悩んでいたんだ。
この群れの男を殺したのは自分なのに、かわいそうだから助けるなんてことが許されるのか、って」
少女を見る。少し期待したような目。
「でも、そうだ。俺は力を持っていたんだ。使い方は自由だし、誰かに規制されるものでもない。
どこに加担しようと、町に戻ってハンターを続けようと、殺すことに違いは無い。なら、俺はこの村を守るために狩りをしたい」
人の形をしていようと、人の心を持っていようと、そのものが自分にとって大事かどうかには余り関係は無い。
そう考えれば、昨日の戦いもずっと楽に考えられる。俺はこの娘や、太刀を突き立てたあの娘を守ることが出来たのだ。
守りたいものを守る、邪魔なものを狩る。横暴かも知れない。けれど、それが彼らの――獣たちの思考なのだろう。
気付かせてくれた彼女に礼を言った。これで俺は後ろめたいことも無くこの村を守れる。
少女は満面の笑みを浮かべ、どういたしまして、と言った。
(以上です。余り連続するのもどうかと思ったんですが、もし不快に思った方がいればすいません)
221 :
ハート:2007/04/01(日) 21:43:52 ID:f8XcjnhL
久しぶりかな?投下以外はあんま顔出さないけど他の人たちのも見てます。GJですw
で、顔を出したと言うことは投下です。今日中か明日にでも・・・
222 :
雪見:2007/04/01(日) 22:08:15 ID:55fUXk19
お初です。
皆さんGJですね。。。
私の書き溜めた飛龍(主に紅龍 擬人化絵にチャンスを・・・
誰か紅龍ネタを書いてくれれば(ry
ちょくちょく見に来ます コンゴトモヨロシク。
駄文失礼しました。
オリジナル設定…『僕の考えた飛竜』とかw
>>209 エンターブレインから出てる小説に公式って謳い文句はついてなかったと思うよ
それ自体が世界観にあわせたオリジナル設定ではないかと
226 :
ハート:2007/04/02(月) 08:37:18 ID:ncyCLyB1
「お、おい。フレイア・・・?ちょっと待って・・・」
「何だ?もう疲れたのか?情けない・・・」
情けない声を上げたルイスは、なぜか汗だくで、息を荒くしている。
それとは対照的に涼しい顔をしているフレイアが居て、また妙な具合だった。
「もうって・・・5時間は経ってるぞ?」
「街道を使った回り道では馬を借りても1日じゃ着かん。それに、私だけならもう着いてる時間だ」
『どんな体してんだよ・・・』
そもそも事の発端は先日、フレイアの思い出の場所に行こうということになったのが原因だった。
そこから、人が通れる様な道ではないジャングルや、イーオスなどに出くわしたりと、一つの狩場を通ったようなものだ。
『ヘルムはまだしも武器を持って来いってのはそういうことか・・・』
そんなこんなでもう5〜6時間は経過していた。まぁ、体力的にはまっすぐな道なら30時間は歩けるだろう。
「もう密林は終わる。ここを越えれば到着だ。・・・ほら頑張れ」
フレイアに手を借り、太く、外に露出した木の根を登る。すると、急に密林が消え、とても高い岩壁が見える。
それは見上げると首が痛くなるような高さで、とても登れるような崖ではなかった。
「何だよ・・・これ・・・まさか登る、のか?」
「はは、まさか。いくら私でもこれは無理だ。そこの洞窟になっている所が向こう側まで通じているんだ」
フレイアが無理なら当然ルイスも無理だ。フレイアについていくと確かに、人が通れるくらいの穴があった。
「やっとか〜・・・。でも、この穴、なんかおかしくないか?」
そう。ものすごい急だ。登れないわけではないが、滑ったらノンストップだろう。
「贅沢をいうな。そこまで長くない。出口も見えるだろう?」
言われ、上を見ると小さな光が見える。上っていくうちにその光は大きくなり、やがて洞窟は終わった。
「うわ・・・すげぇ・・・」
洞窟の出口はさっきの崖の反対側で、高さは半分といったところに人が三人並べる程度の穴だった。
見えた景色は、全て海で、島一つ無い。水平線から夕日が覗き、空と海を紅く染めている。やわらか風は汗ばんだ体を冷まし、
空はもう夜が近づいていて、空を見上げれば紅い空と青い空の境目が見える。
『これって・・・』
「私の瞳の色に、似ていると思わないか?」
そう、フレイアの瞳にそっくりだった。気付いて、横を見ると同じようにフレイアが空を見上げている。その瞳は、どこか悲しげだった。
「なんだ?それがお気に入りの理由か?単純だな〜」
ルイスが茶化すと、フレイアは崖の外に足をなげて座り、首を横に振った。
「この崖はな、もっと横幅が広くて、密林の途中ほどまであった。そして、この崖の上には私の村があった」
「えっ・・・てことは・・・」
ここはフレイアの故郷であり、ラオシャンロンが通過した場所。老山龍はこの崖を破壊しながら進んだと言うことだ。
「私はお前に最後の隠し事を話す。殺されてもいいようにここを選んだ」
太陽を見つめ、零れるギリギリまで涙をためてフレイアは言った。言った、というより独り言かもしれない。
「殺されて?どういうことだよ!?」
フレイアは間違ってもこんな冗談を言う様なことはしない。本気で言っている。驚きについ声を荒げてしまう。
「私は・・・私は5年前お前の両親をこの槍で殺した・・・」
227 :
ハート:2007/04/02(月) 08:40:12 ID:ncyCLyB1
「えっ・・・いや、父さんと母さんはリオレウスに焼かれて戻ってきた・・・戻ってきた・・・?」
そう、ルイスの両親は五年前、リオレウス討伐に行って黒焦げになり帰ってきた。狩場で死んだら普通は地に帰る。
「お前の両親は・・・レクサ、ネリー・ハーベントはリオレウスの狩猟中に組んだんだ。そして、火球の直撃を喰らった。助からないと判断した私は心臓を貫き、近くの村まで運んだ」
気付くと、フレイアは真直ぐルイスを見つめていた。その瞳には覚悟の光が宿っている。
「お前の名前を聞いたときは驚いたよ。二人への謝罪の変わりとしてお前に狩りの基本を叩き込んだ。だから、もう悔いは無い」
腰から剥ぎ取り用のナイフを取り出し柄の方をルイスに向ける。優しい微笑を浮かべながら。
「さぁ。お前が決めてくれ・・・私は抗う気は無い」
「・・・・・」
ルイスはフレイアの瞳を見つめ、考えを巡らせていた。両親を殺した奴が目の前にいる、大好きな人が目の前にいる。二つの思いは渦巻き、鬩ぎ合う。
「決めたよ。フレイア・・・」
そう言って、ルイスはナイフを握り、フレイアの喉に当てる。
「そうか・・・そうしてもらえると嬉しい・・・・」
このまま、前に一歩でも踏み出せばナイフはフレイアを貫くだろう。ただ、一歩。
「本当に、ごめん・・・」
そういって、ナイフを海に放り投げる。そして、フレイアの手を握る。
「なんのつもりだ?両親の敵なんだぞ?」
「いいんだ・・・死んだ人より生きてる人のほうが大事だって気付いたから・・・」
フレイアは目を大きく見開いた。ルイスは本当に嬉しそうに笑っている。
「それに、フレイアの判断なら、本当に助からなかったと思うし・・・」
「お前は、本当にバカな奴だ・・・」
もうフレイアは泣いていいか笑っていかわからないといった様子で涙と微笑を同時に浮かべていた。
「帰ろうか?寒くなってきたし」
「あぁ・・・そうだな・・・」
「帰りは、時間あるから街道で行こうか」
フレイアは無言で頷き、頬を伝う涙を気にすることなく歩き出した。
228 :
ハート:2007/04/02(月) 08:44:29 ID:ncyCLyB1
街に辿り着き、煙草と酒の臭いが充満する酒場へと二人は入った。すると、体格のいい筋肉質の男としなやかな長身の男が後ろから声をかけてきた。
「あれぇ〜?ルイスちゃんじゃないの?」
最初に口を開いたのは長身のほう。筋肉質な奴はカウンターへと向かっていた。
「知り合いか?」
「前に話した俺を馬鹿にしてた連中。けっこう凄腕の・・・」
「ほぅ・・・」
そんなことを小声で話していると筋肉質のほうも戻ってきた。
「なぁ、ヨヒ?こいつルイスちゃんだよなぁ?」
「ん?・・・ああそうだ!あのひよっこルイスだなぁ!ソリッド」
二人でそんな会話をしているので、行こうとしたらヨヒと呼ばれた筋肉質なほうがフレイアの存在に気付いた。
「ん?おいソリッド。あのルイスが女を連れてるぜ?」
「へぇ、偉くなったもんだな、おちびちゃ〜ん・・・?」
会話を聞いているフレイアのコートの下から出てくる嫌なオーラが感じられる。
チビ、と言われればルイスの身長は確かに低い。フレイアと比べて拳ひとつ分くらい違うだろうか?
「なあ、姉ちゃん。そんな雑魚より俺らとくまねえか?」
ヨヒが言うと、フレイアは二人に向き直った。
「そうだな・・・確かにこいつは雑魚だが・・・私にはお前等の方がよっぽど雑魚に見えるぞ?」
「んだと・・・このクソ野郎!!」
フレイアが言った言葉が癇に障ったのか、ヨヒが右手を上げ、フレイアの顔を殴ろうとした。
が、その拳はフレイアの左手につかまれ顔まで届いていない。すると、
「うぎゃあああぁぁああ!?!!」
ヨヒが叫び声を上げる。その理由は、フレイアが拳の骨を握りつぶしているから。しかも、フレイアは腕相撲から見て右利きだ。
「どうした?降参か?」
フレイアは涼しい顔をしたまま聞くと、男は叫びながら顔を激しく立てに振った。
「そうか・・・なら、眠っておけ・・・」
そういって、フレイアは両手でヨヒの頭を掴み、膝蹴りを顔面にぶち込む。男はそのまま床に崩れてしまった。
「こ、この化けモンが!!」
ソリッドが足を地面と平行に振り、フレイアの脇腹にヒットさせた。
「どうだ!?悶絶モンだろ!!それとも声も出ないか?」
フレイアはそのまま口を開いて、聞こえるか聞こえないかの声で言った。
「軽いな・・・」
「は?なんだって?」
ソリッドは聞こえなかったようで、耳に手を当て聞き取ろうがするが、その瞬間体はひっくり返っていた。フレイアが足を持って逆さにしているだけだが・・・
「軽いと言ったんだ!!」
そのまま腹にボディーブロウを入れる。ソリッドの体は「く」の字に曲がり、口からは唾液か黄水かが出ていた。
「それと・・・蹴りってのはこうやって打つんだ・・・」
フレイアはソリッドを真上に放り投げて、腰を低くし、力をためる。
「や・・・やめ・・・ぶぐっええぇ!!」
ソリッドは言葉の途中で腹への追い討ちを喰らい、数メートル後ろの空き樽の中へ飛んでいった。痙攣しているのが見える。
「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」」
「ちょっと!フレイアさん!本気でやらないでくださいってあれほど言ったのに」
酒場中ボーゼンとしていると、フレイアに声をかけたのはベッキーだった。止めるつもりだったのか胸にはオヤスミベアを抱いている。
「いや、半分くらいなのだが・・・」
「それでも普通の人には十分です!気をつけてくださいね?」
「すまないな。仕事を増やしてしまって」
フレイアは素直に頭を下げ、ルイスに振り向いた。
「さぁ、飲もうか!」
「あ・・・あぁ・・・そうだな・・・」
「どうした?顔が青いが・・・」
「なんでもないって・・・」
『あんなのを見せられたら誰だって青くなるだろ・・・』
現に、いつも騒がしい酒場がまだ静まり返っている。
『絶対に喧嘩はしないようにしよう・・・死ぬは、これは・・・』
そして、あの話のことを忘れるようにルイスとフレイアは朝まで酒場ですごした。
229 :
ハート:2007/04/02(月) 08:46:46 ID:ncyCLyB1
第五話です。次回は久しぶりにエロもいれようかな・・?
てか、仕事へらね・・・書き上げるのにこんなにかかるか・・・普通・・・
ではまた・・・
230 :
雪見:2007/04/02(月) 08:54:25 ID:aVBkbzQo
乙&GJです!
さて私もそろそろUpさせて頂きませうか・・・
231 :
雪見:2007/04/02(月) 09:17:58 ID:aVBkbzQo
232 :
雪見:2007/04/02(月) 09:22:35 ID:aVBkbzQo
同じくbomber39218_d5.jpg
紅龍絵です。
はい、時を止めてしまいましたね。
連レス誠に失礼しました。
JOJOーーー!!
GJ!エロイよ
235 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 19:04:24 ID:DGvu/+Rr
236 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 19:13:35 ID:sqig8+TL
ここの小説はGJ!見つけてからぶっ通しで見ました。
ところでここのまとめサイトなる物はないんですか?無ければ誰か作ってくれないでしょうか?
>>231 作者だが、見れん。
携帯厨は駄目だな…。イメピタとかでくれないか?
238 :
雪見:2007/04/02(月) 20:57:25 ID:aVBkbzQo
方法調べながら貼ってみます
下手なので期待しないでくださいね^^;
239 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 21:00:40 ID:jNK0xqeT
頼んだ!
240 :
雪見:2007/04/02(月) 21:09:05 ID:aVBkbzQo
sageくらい覚えようぜ
242 :
雪見:2007/04/02(月) 21:22:52 ID:aVBkbzQo
了解。申し訳ありませんでした。
243 :
513:2007/04/02(月) 22:38:21 ID:lXrEaCWl
久々に投稿。出来れば勇気と根性でエロに挑戦。
毎度ながら携帯での(ry
244 :
513:2007/04/02(月) 22:55:57 ID:lXrEaCWl
「なぁ、所ででさ」
「ん?どうしました?」
酒を飲もうとしてアイルーキッチンに行こうとした時、ナナが付いてきた。
「…なんで付いてくる?」
「お酒でも飲もうと思いまして。」
成る程、考える事は一緒か。
「子供が飲むもんじゃないぞ?」
「少なくとも貴方よりは長生きしてますよ。」
どうみても子供にしか見えないが…
「まぁいいか、確か黄金芋酒があった筈だ。」
アイルーキッチン
「おや、どうした二人とも?」
「なんでお前がここにいる?」
アイルーキッチンに入るとカーラが一人、酒を飲んでいた。
「私は酒を飲んでるだけだが?」
245 :
513:2007/04/02(月) 23:06:26 ID:lXrEaCWl
「俺もこいつも酒を飲もうと思ってた。」
「そうか、ならグラスを持ってくるからそこで待っててくれ。」
10分後
「…だからあやつに不満を持っていた!あやつの態度と言ったらもう腹が立つばかりで…」
酔いが回ったのか今までの愚痴を吐き出しながらナナが熱弁している。物凄い豹変振りだ。それでカーラはうんうんと頷きながら話を聞いている。そんでもって俺はテーブルの端で酒を飲んでいる。
「よくわかる!その気持ち!」
カーラも酔ったのか、少し顔が赤い。
「カル、私の言いたい事が分かるか?」
「知らない。」
246 :
513:2007/04/02(月) 23:20:42 ID:lXrEaCWl
「要するに私は欲求不満なのだ!」
「大声で言うな。」
現在午前1時。クーや猫達は寝ているので聞こえる事は無いとは思うが。
「まだわからないのかお前は!」
そして俺を軽々と押し倒すナナ。人になっても古龍は古龍か…
「欲求不満の解消したい。」
…とりあえず思考の整理をしなければ。
「なら私も協力しよう。」
そして俺の股間を摩るカーラ。
「それじゃあ下準備をしなければな。」
ナナが俺のズボンを下ろす。すでに俺のアレは直立していた。
ん…ちゅむ…チュプ…
そしてアレの先端を愛撫しつつ手でしごき始める。
「じゃあ私はこうするか。」
247 :
513:2007/04/02(月) 23:31:29 ID:lXrEaCWl
カーラが胸を露出させ、豊満な胸の谷間にアレを挟んだ。
結論:
俺は男の人だからえっちな女の人には弱いんだからねっ!
俺の思考、ますます混乱。
「くっ…二人掛かりかよ…」
漸く喋る頃にはアレは胸で包まれ、はみ出した先端を二人でチロチロと嘗められていた。
「うっ…出る!」
ビュクビュクッ!!
白い液体が放出され、二人の顔や髪にかかる。
「いっぱい出たな…」
「それじゃあ下準備は出来たな。」
そしてナナは服を脱ぎ、アレを自分のアソコに付ける。
ズ…ズブブブ…
「んああっ!おっきい!」
根元まで入れてはしたない声をあげるナナ。
249 :
513:2007/04/02(月) 23:49:26 ID:lXrEaCWl
「じゃあ私はこっちからにしよう」
カーラは後ろからナナの乳首を左手で弄くり、右手で自分のアソコを弄くった。
「あっあっ!いっいい!ひぃん!」
ズッ ズッ ズッ
動かしていた腰が更に激しさを増す。
「ん…んんっ!…もっと…」
乳首を弄くる度にナナが、アソコを弄くる度にカーラがビクッと痙攣する。
「くっ…また…出る!」
「あっ!いっイク!イっちゃう!!」
それと同時に膣が締まり、射精感が一気に押し寄せた。
ビュク!ビュクッ!
ナナの子宮に大量の精液が流れ込む。ナナは虚ろな瞳で余韻に浸っている。
「出た…中に…いっぱい…」
250 :
513:2007/04/02(月) 23:59:45 ID:lXrEaCWl
「も…もう無理…」
カーラはナナを俺から引き抜くと服を脱いで全裸になった。
「二人だけで楽しんだら私が不公平で欲求不満だ。君には悪いがもう一回ヤらせてもらうよ。」
微笑みながらカーラはそう言った。恐らくどのようにして快楽を味わうのか考えているのだろう。
結果:
第2Round、OK?
251 :
513:2007/04/03(火) 00:02:08 ID:lXrEaCWl
ここで勇気と根性尽きたorzやっぱり下手だな…俺
スマソ、修行し直します
252 :
2-157:2007/04/03(火) 00:24:26 ID:agXdJez6
全く更新が追いついてませんが、保管庫作りました
http://ss.ares-ac.com/mh/ PC、携帯両対応です
一部機能が未実装ですが、順次追加します
動作確認は次の環境で行ってます
・PC版
Windows XP SP2 上の IE6 と Opera9.10
PSP FW3.10
・携帯端末版
WX310K, WX320K, W41S
テスト出来る環境が限られてるので、
見られた、見られなかった等報告して貰えると嬉しいです
では
>>251 そんなご謙遜を…
貴方は貴方の書きたいものを書けば良いんですよ。
と、いうわけで、これからも期待しています。
>>252 お疲れ様です。
そして、連レスすみませんでした…orz
>>252ありがとう。本当にありがとう。
さて作品漬けになってくる
256 :
雲9の人:2007/04/03(火) 03:15:59 ID:VGJyqBqs
だめだ……
どうしても文にふいんき(何故かry がでない
すまんが投下は先送りになります
>>252 お疲れさんb
よく作れたな…俺には到底無理だw
っちゅーわけで久々に続きを投下。苦情は(ry
ポッケ村の、朝だぞ〜い。
…とまあ、冗談はさておき、今日もポッケ村に朝が来た。
そしていつものようにポッケ農場に向かう青年が一人。ジュリオである。
「いやあ、今日もいい天気だなぁ…」
などと彼が空を見上げながら言った、次の瞬間。
「隙あり! 死ねぇ!!」
「うわぁ!?」
突如にして後ろからジュリオに飛び掛ったこの翠色の髪の女の名はエメラ。
元ガノトトス亜種の女である。
このように彼女は毎日のようにジュリオを殺そうとしているが、これももはや日常茶飯事である。
「フフフ…隙を見せたな! 死ね!」
と、いきなり本日二回目の「死ね」を口にしてエメラが高圧の水を吐き出そうとしたが…
ぴしゃっ
「うわ、冷た!」
「…へ?」
驚いたことにエメラの口から吐き出されたのは子供のおもちゃの水鉄砲程度の威力の水だった。
「な……
何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」
「どういうことだ…なぜ急に……!?」
あれから何度も試してみたが、エメラの口から出てくるのはやはり水鉄砲ぐらいの勢いの水である。
本当に勢いのない水だ。何せ「うわ、冷た!」で済んでいるのだから。
「具合でも悪いんですか?」
危うく殺されかけたというのにエメラの心配をするジュリオ。
「いや、健全だ。…だが、これは一体…」
と、その時。
「ジュリオさんのお宅かニャ〜? エメラさん宛にお手紙だニャ〜!」
大声で外から叫んでいるのは、各地へ手紙を届けて回るアイルーこと、手紙ネコである。
※オリジナルキャラクターです
「エメラさん宛に手紙…?」
「私に……? 誰からだ?」
「さあ…? とりあえず受け取りに行きます」
そう言って、ジュリオは家の外に出た。
家の前には赤い帽子を被ったアイルーが立っている。
「アンタがジュリオさんかニャ? 印鑑をお願いするニャ」
「はい、どうぞ」
「…確かに。それじゃ、これが手紙だニャ! それじゃあニャ〜!」
手紙ネコが去っていくのを見届けると、ジュリオは手紙の便箋に目をやった。
そして、一瞬で誰が手紙を送ってきたのかを悟る事となる。
便箋には、こう書かれていた。
『by 愛しのおじいちゃま』
『可愛い孫娘エメラへ
こないだはいきなりわしを空の彼方へ吹っ飛ばすなんてひどいぢゃないか!
でもそんなとこも可愛い孫娘。許しちゃう。
そういうことされるとつくづく成長を感じるよ。
そうそうそれはそうとこないだ隣のガッさんが
中略
というわけでとてつもなくなんぽぽだったんじゃよ。
…そういえばエメラはまだ人間になったさほど経っておらんかったの。
人間になると時間が経つにつれて変化が起きるからいきなり起きたときにあせらないように
わしが説明しよう。
人間になってからしばらく経つと、モンスターとしての能力の一部が徐々に失われていくのじゃ。
例えば超高圧の水の勢いが弱まったり、泳ぐのが遅くなったり…などなどじゃ。
しかし、残る能力ももちろんある。
何が消えて何が残るかは人(?)によるみたいじゃ。
大体のものはモンスターと話せるという能力は残るみたいじゃがの。(※モンスターと話せる事自体初耳)
そうゆうわけじゃから、健康に気をつけて暮らすんじゃぞ。
by 翁
追伸
婿殿とはうまくやっ
ここまで読んだところでエメラが手紙を真っ二つに引き裂いた。
「…それで水の勢いが弱まってたんですね。というか中略した部分だけでも軽く1000文字はありましたね…」
「まともな手紙も書けんのかあのジジイは……」
「まあ、エメラさんの異変の原因もわかったことだし…僕はクエストにでも行ってきますか」
ジュリオは立ち上がると、クエストに行く支度を始めた。
「……その『くえすと』とかいうのは一体何なのだ?」
「ああ、クエストっていうのはですね…まあ簡単に言えば誰かから依頼を受けて狩りに行ったり採集に行ったりする事ですよ」
「ふむ…というと、この間のように雪山へ行ったりするのか?」
「まあ、そうですね」
支度が終わると、ジュリオは鎧と武器を装備し、村長のところへ行くために家を出ようとした、
その時。エメラが一言、こう行った。
「その『くえすと』とやら…私も同行させてもらおう」
「…………!!??」
ジュリオは相当驚いたのか、その場でこけそうになってしまった。
慌ててとどまると、そのままエメラにこう言った。
「クエストについてくるって…この間も危険な目に会ったじゃないですか! 絶対に駄目です!」
「黙れ。これは私が決めることだ」
「何だったそんな急に…」
「……あの時のガキに、一発ぶちかましてやりたい」
そう言うエメラのバックには何やらとてつもなく黒いオーラが見えた。
おそらく少年に対する憎しみと殺気の表れだろう。
「…で…でも、駄目なものは駄目です!」
「うるさい。お前が断っても私は勝手についていくぞ。お前を殺すために使えそうなものも見つかるかもしれんしな」
「………」
「それとも他に何かまずいことでもあるのか?」
「…………僕と一緒にクエストになんか参加したら…」
ジュリオはそのまま押し黙ってしまった。
…そして、しばらくの間考え込むと、エメラの方を見て、言った。
「約束して下さい。絶対に無茶はしないと。僕から離れないと」
「何を…」
「約束して下さい」
こうなるとジュリオに逆らえないのはわかっていたが、この時のジュリオの目はいつになく真剣だった。
「……わかった」
「…それじゃあ、ついて来て下さい」
太陽の光に照らされ、二人は家を出た。
そして、太陽の光だけが、部屋に取り残された。
※ブタヒレは散歩中なので部屋の中にいない
ふぅ、久しぶりに書けた。
例のごとく展開が唐突なのと短いのは勘弁してくれ。じじいはまた登場させたいなぁ
wktk! イイヨーイイヨー
264 :
雪見:2007/04/03(火) 10:10:28 ID:s1KEUwYC
>>251&262 乙+GJ!
期待しつつ応援してます!
>>252 お疲れ様です。ありがたく使わせていただきます。
265 :
ハート:2007/04/03(火) 11:27:49 ID:1aVJIw4p
266 :
ハート:2007/04/03(火) 15:00:25 ID:1aVJIw4p
「・・・ん?・・・寒っ!!・・・」
ルイスはベットから飛び起きた。今日の朝は妙に寒い。最近、夜は冷えるようにはなったが朝から寒いのは初めてだ。
「にしても・・・いきなり・・・」
吐く息を白くしながら、ブルファンゴの毛皮で作った安価のコートを羽織、外に出る。雪は降っていないが、鳥肌がたった。
体を丸めながら歩いていると、見慣れないおじさんに声をかけられた。
「やあ、兄さん。寒そうだねぇ?」
「みりゃ分かるだろ・・・」
「そこで、だ。これ買わないか?上物のポチーンだ」
見たところ商人のようだが、酒を売っているらしい。値段を見てみると、
「一、十、百・・・25万!?!!この酒が!?」
「十分安いほうだよ〜。これ飲めば一気に暖まるしね。最後の一本だから兄さんには特別に20万でいいよ?」
ルイスは少し考えると、残高を確認する。残高は、65万z。買っても生活には支障は出ない。
『フレイアは酒が好きだったな・・・』
「わかった。それをくれ。ハンターズギルドに請求してくれな?」
「毎度!あぁ、それと、それ飲むときはさっさと飲み込むことを進めるぜ?」
右手を上げて、返事をし、ゲストハウスのフレイアの部屋に向かう。
KNOCK。と書かれた板がぶら下がっていた。前回のように入浴中とかには掛けろとルイスが渡したものだ。
「フレイア?俺だけど。酒でも飲まないか?」
「ああ、入ってくれ」
軽くノックをして、声をかけると返事はすぐに返ってきた。
「・・・・・」
「ん?どうした?」
部屋に入って固まったルイスを見て、フレイアが声をかけてきた。
「お前・・・なんつーかっこしてるの・・・?」
「おかしいか?」
「今日は凄く寒いぞ?風邪引くから何か羽織れよ」
フレイアの格好はタンクトップに厚手の動物の皮で出来た短パンといった、夏が似合う格好だった。
「トレーニングの途中だったんだが・・・そこまで言うのなら何か着よう。少し持っててくれ」
そういって手渡されたのは二つのダンベルで、見た目的には20k位のものだろうか?
「あ、うん。わかっ・・た!!」
見た目と違って、ものすごく重く、油断してた膝が少し折れる。これを涼しい顔で持っているフレイアはいったい。
「これ・・・何キロあんだよ・・・?」
「そうだな・・・一個60と言ったところだ。マカライト鉱石の特注品だ」
着替えているため、カーテンの向こう側から声が帰ってくる。彼女は細い体の何処にこんな筋肉が付いているのか不明だった。
腕や足から筋肉が見えるわけではないのに、腕相撲で男の腕を圧し折り、握力で手の骨を砕き、蹴りで人を吹き飛ばせる。しかも本気じゃなくとも。
『敵にしたくは無いな・・・絶対・・・』
そんなことを考えながらテーブルにつき、さっきの酒を二人分のグラスに注いでフレイアを待つ。
「待たせたな。どうしたんだその酒は?」
フレイアは下はさっきの短パンを長くしたズボンをはいていて、上は薄い長袖のシャツにYシャツを着ていた。普段とは違い、より線の細さが見てとれる。
「商人から買ったんだよ。・・・髪、縛ってんの?」
「あぁ。トレーニングのとき顔について邪魔だからな。乾ききってもいないし」
そういいながらフレイアは席に着いた。彼女の長い髪は、うなじのあたりで縛られており、長いポニーテルになっている。二、三本は額に架かっているが。
「じゃ、戴くぞ?」
フレイアはコップ一杯を一気に飲み干し、コップをテーブルに置く。すると、少し様子が変だった。
「おい、随分と・・・強くないか?これじゃ一日持たないかもしれないな・・・」
「珍しいな?顔赤いぞ?」
フレイアは頬が少し赤くなっているが、普段の彼女が酔うことは滅多に無い。どれほどの物かと、ルイスも一気に飲み込む。
「・・・あ、れ・・・」
どさっ・・・
「おい、ルイス?!ど・・・した・・・しっかり・・・ろ』
フレイアが二重に見え、声が消え始める。ルイスは一杯で撃沈した。自分が倒れたのだ、と理解したのは意識が絶える直前だった。
267 :
ハート:2007/04/03(火) 15:02:09 ID:1aVJIw4p
「んっっつ!!いってぇ・・・」
「お、目が覚めたか?気分は、最悪だろうな。水飲むか?」
「貰う・・・すげぇ頭痛いんだけど・・・」
目は覚めたが、自力では上体を起こすことすら出来ない。フレイアに手を借りて、上半身だけ起こしてもらった。
「頭痛がするのは当然だな。あれはポチーンといって、ついこの間までは密造酒として取り締まっていたものだ・・・ほら」
ポットから水を注ぎ、コップが手渡される。スッと爽やかな香りがして、気分は少し回復する。柑橘類でも入っているのか、ほのかな酸味も感じる。
「どのくらい寝てた?」
「もう夕方だ・・・どうせ立つことも出来ないだろう?ベッドを貸してやるから今は休んでおけ」
「はは・・ばれてた?実はまだまだ吐き気はするし膝は哂うしで・・・」
喋っていると目がフレイアの手で隠された。
「いいから・・・今は寝て、回復させろ。いいな?」
「あ、あぁ。分かってるよ・・・」
言われた通り、ルイスは横になり目を閉じた。すぐに意識は消え、暗闇の世界へと足を踏み入れて行った。
目を覚ましても、辺りは暗かった。自分以外の呼吸が聞こえることから、フレイアは近くにいるのだろう。
「よ・・・っと」
ようやく体のほうも回復し、立てるようになった。電気をつけようと、スイッチの方へ向かうと、何か軟らかいものを踏んだ。
「痛っ・・・ん?なんだ目が覚めたのか。どうだ、直ったか?」
「えっ?あ、ごめん!何も見えなくて・・・」
どうやらフレイアの足を踏んだようだ。フレイアはベッドに寄りかかるように、足を伸ばして眠っていた。
「別にいいさ・・・本当にもう大丈夫なのか?また倒れられても困る」
「だいじょぶだよ。もう歩けてるし。なんとなく目も慣れてきたから」
うっすらとだが、月明かりのおかげで物の配置などは見える。目も慣れてきて少しくらいなら色も分かるようになった。
「そうか・・・なら、久しぶりに・・・な、」
そう言ってフレイアはルイスとの距離を詰める。ギリギリまで近くに来て、手をルイスの胸に当てた。
「ちょ、フレイア?!どうしたんだ?」
「ベッドの貸出料ってことでいいだろう?それに、私はお前にとって大事な人みたいだしな・・・」
「な!あ、あれはだな・・・その・・・」
「私に伝えてないこともあると言っていたな・・・なんだ?」
顔を真っ赤にするルイスの反応を楽しむようにフレイアは続ける。観念したのはルイスのほうだった。まぁある意味嬉しいのだろうが。
「可愛い奴だな・・・お前は。ただ、この前のようにマグロは駄目だからな?お前からするんだ」
「わ、わかったよ・・・行くぞ・・?」
ゆっくりと顔を近づけ、唇同士が触れ合う。沼地でのあれとは違い、やわらかく、温かかった。
「ベッドの上のほうが、やりやすいか?」
「そ、そうだな・・・」
ベッドの真ん中辺りにフレイアを座らせ、後ろから抱きつくような形でYシャツのボタンを外し、下に着ているシャツをたくし上げる。
「なんだ、意外と大胆じゃないか?」
「う、うるさいな、いいだろ別に・・・」
胸を揉みながら、少しずつ大きくなりつつある乳首を人差し指と親指の爪で左右同時に挟み、刺すような刺激を与える。
「ふ、ぅん・・あんまり、胸ばかり弄るんじゃない・・ん、珍しいのかも知れんが・・・あく、」
珍しいわけではないが、自分の指にあわせて形を変えるソレがルイスはなんとも心地よかった。
「お、おい。聞いてるのか?あ!」
「お前からしてくれって言ったんだろ?」
そして、左手を胸に残し、右手をズボンと体の間から入れ、下着の上から秘所を弄る。
「そんなこと言ってるけど、濡れてるんじゃないか?」
「そりゃあ、胸は性感帯だからな。弄られれば気持ちいいさ・・・」
フレイアはしおらしく頬を染め、すこし視線をずらした。あまり声は出ていないが、しっかり感じているようだ。
「あぅ・・く、しつこいな・・・お前は・・やぅ!」
何度か止めろと言われているが胸への愛撫はまだ続けていた。フレイアは何処と無く不満そうだった。
「うわっ!ちょっと、話しちがく無いか?」
「うるさい。弄られるのが性に合わなかっただけだ・・・最後は私がしてやる・・・」
268 :
ハート:2007/04/03(火) 15:03:19 ID:1aVJIw4p
フレイアはルイスを押し倒していた。自らズボンと下着を脱ぎ捨て、ルイスの上にまたがる。
そしてフレイアはルイスの男根を取り出し、入り口で焦らし始める。秘所から出てくる愛液で亀頭がいやらしい光を纏う。
「どうだ?こういうのもいいだろう。先に一発抜いておこうか?」
「うく・・いい加減に、しろって!」
そう叫び、ルイスはフレイアの太ももの辺りを掴み、一気に一番奥まで貫ぬく。
「え?はふああぁぁぁ!あぁぁああぁ・・・」
滅多に無い大きな声を出し、フレイアはルイスの上に寝そべるように崩れた。
「お、おい・・・?大丈夫・が!?!??」
「貴様・・・このまま食い千切ってくれようか・・・?」
フレイアはルイスの胸に噛み付いていた。言葉通り、食い千切られそうな痛みと殺気を感じる。
「ごご、ごめん!!やりすぎたよ!!深く反省するからやめてくれ!」
傍から聞いたらなんとも情けない台詞だ。自分からしておいて・・・
「次やったら親の後を追わせてやるから覚悟しておけよ・・・?」
「は、はぃ・・・」
『目、目がやばい・・・』
ひしひしと、フレイアの瞳からは殺気が漏れているが、段々と治まってきた。
「それじゃあ、続きと行こうか・・・自分からも腰動かせよ?マグロじゃつまらん・・・」
「わかってるよ・・・」
そして、殺気が消えてから続きをはじめた。フレイアの上下の動きにあわせてルイスのほうからも腰を突き出す。
「くっ・・うん。はぁぁ・・もう少し・・・速くするぞ・・・ひぅ!」
さらに動かす速度をフレイアが上げ、ルイスも何とか着いて行ける様に全力で腰を動かす。
「あぁあ・・・はふ、ひん!・・・あ!や・・・」
激しく動いていると、フレイアの髪を縛っていた紐が解け、髪がルイスの顔に触れる。
「フレイア・・・?俺もう限界かも・・・」
「判った・・・あふ・・・私も、もう少しで・・・ふぅ、ん!」
元からきついフレイアの膣がさらに小刻みに締め付け、射精感を高ぶらせる。そして、それはフレイアも近いと言うことでもあった。
「出すぞ!!」
「ふう・・・くあ、ぁああぁ・・・・」
「今度は、腰痛ぇよ・・・」
「軟弱な。これしきでへばってるんじゃない・・・」
ベッドに並んで寝転びながら、叱咤の声がかかる。すると、フレイアがさっき噛み付いたところを舐めてきた。
「な、何!どうかした?!」
「血が滲んでいたんだ・・・そんなに恐がること無いだろう?すまなかった・・・」
そして、フレイアは立ち上がり、ルイスの顔を覗きこんできた。
「ところで、私に伝えたいことってのは?なんだ?」
憶えていたようだ。子供のようにからかいの笑みを浮かべながらフレイアは聞いた。
「そ、それはだな・・・」
「それは・・・?」
絶対判っていて聞いてるとは思う。思うからこそ正直に言いにくい。そして、口に出た言葉が、
「お前に守られなくてもいいようになって、守れるようになったら言うことにする・・・」
「もったいぶらずに行ったらどうだ?そんなふうになれるとも限らんのだし・・・」
「うるさい!!」
確かにそうだが、それでも何時か越してみせると、心に誓い、眠りにつくルイスだった。
「ふふっ・・・可愛い奴だ・・・」
フレイアはそう言い残して、シャワールームへと向かった。
269 :
ハート:2007/04/03(火) 15:04:15 ID:1aVJIw4p
第六話。久しぶりにエロ書いたが我ながら微妙なのでは・・・
他の職人さん見習って精進していくことにします・・・
それと、保管庫には非エロも入るんですかね?もう一度読みたい作品もあるのですが・・:
ポチーンとは実際にある酒で、アイルランドのジャガイモから作った蒸留酒(芋焼酎ですね)。
アルコール度数は90度の物がモデルです。因みに本当に法律で規制されていたお酒です。(今は普通にネットでも買えます。一万前後?)
コップ一杯を割らずに飲んだら・・・まぁ普通の人は撃沈します。下手に口にとどめると焼けるので注意。
>>240 おお! 亀ですまんがサンクス!GJ!
ジョジョ好きな俺は上の絵もGJと言いたいがwwww
273 :
雪見:2007/04/03(火) 18:10:31 ID:s1KEUwYC
>>269 乙&GJです。
さてbleach弐拾七巻とfate参巻限定版で霊力補給した所で
次の絵でも描くか・・・
・・皆さんの素晴らしい小説の挿し絵でもさせてもらいませうか・・
274 :
雪見:2007/04/03(火) 20:03:21 ID:s1KEUwYC
bomber39322_d5.jpg
どぞ。。。相変わらずヘタレ絵師ですが。。。
私もJOJOオタなんで
これからも混ぜ込むかも。。。
275 :
ハート:2007/04/03(火) 22:12:04 ID:1aVJIw4p
皆さんどうもです〜
>>274 見れないのですがw携帯用ですかね?
276 :
雪見:2007/04/03(火) 22:50:24 ID:s1KEUwYC
PC用のはずですが・・・・
PCの方でしょうか携帯の方でしょうか
PCから見れないのならUPし直します
PC&携帯共通のはないもんかねぇ・・・
278 :
2-332:2007/04/03(火) 23:57:15 ID:3Zl6aumK
久しぶりに絵師さんだ。GJです。
他の皆さんのSSも相変わらず素晴らしいです。
じゃ、投下します。グロは無いです。
あと片手剣を右手に持ってるのがいますが、彼女は左利きということにでもしといてください。
279 :
2-332:2007/04/03(火) 23:58:15 ID:3Zl6aumK
「やあぁああっ!」
少女の掛け声と共に太刀の切っ先が真っ直ぐにもう一方の少女に突き出される。
彼女の太刀は紅く染まっている。今付いた血ではなく、竜の血がそのままこびりついたようだ。
洗おうと砥ごうと落ちるものでは無く、違う武器を進めたのだが、彼女はそれを使いたいと強く主張した。
元々俺はもう太刀等の近接武器は使う気が無かったので了承した。切れ味等には影響が無いので問題は無いだろう。
彼女たちとの武器の訓練。午前中最後はいつもこのような試合が行われる。
「くうぅっ!」
真っ直ぐ自らに向かってくる刃を盾で受け流し、右手の剣で反撃に入った少女。
血刃の少女の首元に狙いを付け、切っ先で弧を描きながら的確な攻撃を行う。
かわされた後は片手剣を右手の中でくるくると器用に回し、逆手に持ち替えて鞘に収める。
器用な反面、彼女は力が強くない。それを補うためのフットワークをこまめな納刀で生み出しているのだ。
振り下ろされる太刀の刃を避け、瞬時に血刃の少女の後ろに回りこむ。
再び剣を抜き放つ。手の中で二回転、順手に持ち替えた後にそっと唇に刃を寄せる。
ギアノス独特の冷却液が口から漏れ出る。刃を伝って、剣全体を冷気が覆い包む。
特異体質――と本人は述べていたが、彼女は自らの体を部分的にギアノスに戻せるらしい。
爪を生やしたりすることも出来る、と妙に遠い目で語っていた。
「あぁっ!それアリ!?」
片手剣を握る少女は、血刃の少女の問いには答えなかった。
唇の端を上げながら、大きく剣を振る。冷気が白い霧を纏って血刃の少女に襲い掛かる。
吹雪の後には凍りついた鱗。雪ダルマのようになるわけではないが、完全に身動きが取れない状態だ。
人が持ち得ない、絶対の冷気――絶冷の少女は更に刃を相手の開いた胸元に差し向ける。
多少反則かな…?
「きゃぁああ!?」
腰の矢筒から矢を一本取り出す。
覚悟は出来ても、人の顔と意思と感情と、その他もろもろを持つと知れた動物たちを殺すのは気が引ける。
そうして選んだ武器が弓だった。流石に一週間も練習すれば――
「…っとと!」
カン、と小気味良い音を立てて絶冷の少女の刃がぶれる。不可解な顔をこちらに向けているうちに、血刃の少女は動き出す。
「ありがとう!」
280 :
2-332:2007/04/03(火) 23:58:48 ID:3Zl6aumK
それだけ言うと、紅い刃を裏に返し、太刀の峰で対峙する少女の足を払った。
転んだ彼女に切っ先を突き付ける。
「ふふふふふ…私の勝ちーっ!」
無邪気な血刃の少女を無視し、彼女は俺を睨んだ。
「今じゃましたれしょう?あれが無ければわたひがかってましたよ」
堅い敬語も口が回らないと愛嬌にしかならない。いつもの冷静さはどこへやら、絶冷少女はぶーっとほっぺを膨らませた。
照れ隠しのつもりかな?
「あっははは、君口調ヘンになってる!」
多少ハイになった血刃の少女が追求した。
毎回のことながら、一度冷却液を吐くと暫く彼女は口が回らなくなる。口はヒトのものなので冷たさに弱いのだ。
「うるさいです。今の試合、彼がいなきゃわたひの勝ちでした」
「むうぅ…。でもでも、あなただってアレつかったじゃない」
不毛になるな…。早いうちに止めよう。
「ただの訓練なんだから勝ち負けにこだわる必要ないだろう?」
「む…」
「ううぅ…」
ヒートアップしていた自分に恥ずかしくなったか、絶冷の少女がお昼にしませうと提案した。顔が紅潮している。
「お弁当です…って、肉ですが」
何を焦ったか、彼女は取り出した弁当の中身を落としてしまった。ころころと肉が転がっていく。
「うあー、ごめんなさい。飛竜が来るかも分かりませんし、とって来まふ」
…まだちょっとおかしいな。ざくざくと雪を踏んで斜面を降り始めた絶冷の少女の背中を見送り、血刃の少女と話をする。
281 :
2-332:2007/04/03(火) 23:59:59 ID:3Zl6aumK
「それ、重くなかった?」
「へっ?…ああ、この武器?大丈夫だよ」
「なら良いけど。最初はふらふらして見てられなかったけど、上達するもんだね」
「…師匠が良いからね?」
師匠て…。ニコニコわらう少女の顔を見ていると、そんな師弟関係は感じないけどなあ。
「…あれ?」
彼女の向こう側に、こっちに向けて手を振る絶冷の少女を見つけた。
「何かあったかな?」
「え?」
斜面は途中で崖になっていて、そこの下は川になっていた。そこに何かあるらしい。
「どうかしたのー!?」
血刃の少女が大声で叫ぶ。絶冷の少女は何か名前のようなものを叫んだ。
「…えぇ!?」
この娘はそれで分かったのだろう。行きましょう、と俺を立たせてその場所へ急がせた。
覗き込んだ川底には。
「女の…子?」
腰まであるウェイブのかかった金髪を川の水に泳がせる、美しい少女が眠っていた。
血刃の少女の友人で、俺がギアノスたちを殺したせいで失踪していた、長髪の少女が。
(以上です。感想・批判などありましたら是非お聞かせ下さい。では、失礼しました)
284 :
雪見:2007/04/04(水) 20:13:46 ID:i7OMiL9J
285 :
雪見:2007/04/04(水) 20:18:02 ID:i7OMiL9J
ずっとガブラスだと思ってた
287 :
トリガー:2007/04/04(水) 21:49:53 ID:Wlwm/4St
>>252 遅くなったが保管庫設立ありがとう!!
感動した!!そしてお疲れ!!!
>>78 沸き上がる熱。どうしようもなく熱い。身体が内部から溶け出しているようだ。
夜の砂漠の冷え冷えとした夜気に晒されてなお熱を持ち続ける身体が、
自身と同等、あるいはそれ以上の熱を帯びた裸体と交わっていた。
響く水音。結合部から流れ出した粘液が、女の腰の動きに合わせて淫らな音を立てる。
俺に跨って自ら腰を振る女は、苦痛と快楽が等分に存在する表情を浮かべつつ動きを早める。
その運動に合わせて、形のいい乳房が柔らかに揺れていた。
その口から噛み殺せなかったらしい嬌声が少しだけ漏れ、その声までもが俺自身を否応無しに昂らせていく。
いつまでも「狩られて」いるのは性に合わないしなにより気に食わないので、
胸の痛みに耐えつつも俺からも腰を叩きつけてやる。
途端に女の体が正直に反応し、その表情は快楽一色に塗りつぶされた。
嬌声を噛み殺そうとする気力も羞恥心も消失したらしく、その口からは艶やかな声が溢れ出す。
女の目は、既に虚ろになっていた。
尾てい骨から何かが駆け上がる感覚。それが何かは分かりきっていた。
腰の動きを早め、腕を伸ばして女の乳房を鷲掴みにして揉みしだく。
女が悲鳴とも取れる絶叫を上げ、次の瞬間に体が激しく痙攣する。
それと同時に俺自身が柔肉に甘く、そしてきつく締め付けられ、
その刺激にあっさりと白旗を揚げた俺は白濁した激情を解き放った。
その余韻に浸っていると、体に衝撃。
体力を失ったらしい女が俺に倒れこんできたのだ。その肌に浮かんだ汗の芳香すら甘い。
目を瞑って肩を上下させている白い女の横顔を少しだけ見たところで、
僅かに残っていた俺の体力と気力も仲良く枯渇。
再び休暇申請を提出してきた怠慢な意識に、俺はしかし太鼓判を押してやった。
それと同時に視界が白く塗りつぶされていく――――
>>288 「………はっ!!」
そこで意識が覚醒した。
視界一面に広がるのは薄暗い荷台。
そこに置かれているのは、胸部が損傷しているバトルメイルに、
刃が砕けて篭手部分のみとなったギアノスクロウズ改、そして、根元から断ち切られた白銀の角。
それら全てが微弱な振動に揺られており、前方から一定のリズムで響いてくる蹄の音を確認したところで、
ようやくここがポッケ村に帰還する馬車の内部だということを思い出した。
胸部に回復薬を染み込ませた包帯が巻かれており、周囲に医療用具が散乱しているところを見ると、
どうやら胸の傷の手当てを終えたところで気を失ってしまったようだ。
そして夢を見ていたらしい。
…記憶の追体験であると分かっていても、全て夢であって欲しいと、この上なく切実に願いたい夢を。
いや待て、人間の記憶なんぞ頼りになるものではない。
脳に衝撃を与えれば一部あるいは全てを喪失する場合もあるし、
なにより人というのは自分の都合のいいように記憶を取捨選択して、時には改変するというじゃないか。
つまりこの記憶はあれだ、性欲をもてあました俺が作り出した幻想であり、現実は別の結末を迎えているはずだ。
そうに違いない。そうであって欲しい。むしろそうでありやがって下さいお願いします。
自らでも無茶苦茶だと思う程の駄目思考を展開してみたが、やっぱり現実は素晴らしく非情だった。
右肩に重みを感じ、恐る恐る視線を平行移動させると、そこにはやはり最悪の予想通りの光景。
白銀の短髪を揺らし、その体には大きすぎる俺の予備インナーを纏った女が、
俺にもたれかかってすやすやと穏やかな寝息をたてていた。
その姿は夢の中に出てきた女と寸分違わぬものであり、記憶の中にある女とも完全に一致する。
それはつまり、分かりきっていたことだか先刻まで見ていた夢が全て現実で起こったことであることを示唆していた。
>>289 ギアノスクロウズ改の刃が砕けていたことに感謝すべきかもしれない。
目の前に一振りでも刃があったなら、俺は思わずこの女の喉笛を掻き切っていたかもしれないからだ。
元飛竜であるというのなら、今この場で殺しても何も咎められることなどないだろう。
むしろ晴れてクエストクリアになると言える。
…あれ?なんだかやっぱり殺した方がいいような気がしてきたぞ?
腰に剥ぎ取り用の小型ナイフがあったことを思い出し、俺はなんの躊躇いもなくそれを鞘から抜き放った。
陽光を反射して美しく輝く銀嶺の刃が、殺意を満載して目を血走らせている茶髪の男、つまるところ俺を映し出していた。
生命の危機が迫っているとも知らず、呑気に眠りこけている女の首筋に刃を接近させる。
体内構造が人間と同じになっているのなら、頚動脈あるいは気管をサクッと切断すればいいかな。
むしろ両方でよさそうだ。
明確な殺意とともに振るわれた刃はしかし、女の首を傷つけることなく再び鞘に帰還した。
いくら元飛竜であるとはいえ、現在は何故か人間となっている女を殺すと後々面倒な事になりそうだったからだ。
死体が飛竜に戻るというならまだしも、もし人間のままだったら処理に困る。
というか馬車を運転しているギルドの人間に即発見され、俺が殺人犯にされてしまうだろう。
そうなれば、以後再びハンターとして生活することはおろか、
殺人罪に問われて今度は俺自身の首が吹っ飛ぶという笑えない展開が待っている。
そこに気付く程度に俺は賢明だった。
そんな俺をよそに、女はまだ眠りこけている。どことなく幸せそうな顔をしているように見えるのは俺の思い違いだろうか?
その口から垂れている涎を拭ってやろうとしてやめた。代わりに重い溜息をつく。
紆余曲折を経てこいつの世話をする事になってしまったが、はてさてどうしてくれたものやら。
荷台の窓から外の景色を見ると、遠方に白雪の衣を纏った山々―――フラヒヤ山脈を拝むことが出来た。
高地に存在するポッケ村まではまだ暫くかかるだろう。
一時でも長く現実を忘れていたいと思った俺は、手近にあったもう一枚の毛布に包まって再び眠ることにした。
ちょろっと続きが書けたので投下してみましたー。
が、正直なところこの後のストーリーが全く浮かばないのでありますorz
そもそもP2からモンハンをはじめた友人の「双剣でモノブロスに勝てねぇー!咆哮厄介杉!」という言葉から
怪電波を受信して書き始めた話なので、後に続くものが全くなかったのがいけなかったみたいです…。
次はしっかり話の骨組みを考えてから書き始めようと思いますです。もしくは別の怪電波を受(ry
ちょっとアンテナ張り巡らせてきますね。 λ.......
>>291 まずはGJだ。話はそれからだ。
繰り返す。まずはGJだ。話はそれからだ。
>>291 乙!そしてGJ!
続きはのんびり考えてくれ。
294 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 23:45:35 ID:HCvo3Gm1
>>291自分的に2人目の神降臨したよGJ。
この後の続きなら王道で村でのハンター生活くらいしか思いつかないが・・・・。
こんな意見でも役にたつかもしれないから記憶の端にでも留めておいてくれ
>>291 GJ!何でそんなに上手く書けるんだ…。見習いたいぜ。
双剣でモノブロス…初めてやったときは苦労したわ(キイテネーヨ
298 :
ハート:2007/04/05(木) 17:49:00 ID:FPIOR/0r
続き投下。また新キャラ登場。
「え?プレゼント?フレイアが?」
ルイスの部屋に素っ頓狂な声が響く。
「そうだ。正確には私からではなく、お前の両親が死ぬ前に私に渡したものだ。もし、ハンターに息子がなっていたら渡してくれと言われていた」
そう言ったフレイアの右手には、小さな、少し黒ずんでいる木箱があった。
「父さん達から・・・中身は?」
「知らん。勝手に見るのは失礼だろう?」
「まぁ、それはそうだけど・・・何でもっと前に教えてくれなかったんだ?」
「何かと忙しくて渡せなかったんだが・・・とりあえず、中身の確認はしておけ」
右手を前に出し、ルイスの手のひらに木箱を置く。そして、フレイアはコートを着て部屋を出て行った。
「なんだろうな・・・父さん達から・・・」
ルイスに両親の記憶はあまり無かった。狩りで留守が多かったし、まだ子供の頃に死んでしまったから。
「ま、開けてみれば判ることか・・・ん?・・・あれ?」
と、開けようとしたが、外せる蓋があるわけでもないし、回せるような感じもしなかった。
中身も壊れるかもしれないから壊すのは気が引ける。
小さな木箱との格闘が小一時間ほど経った頃、フレイアが戻ってきた。
「何だった、中身は?」
「それが・・・開かないんだけど・・・」
「開かない?はぁ・・・。ちょっと貸してみろ」
何をやってるんだ、と言う表情を浮かべながらルイスから箱を取り上げる。箱の全体を見た後、フレイアは眉をひそめた。
「繋ぎ目のようなものは無いな・・・壊してみるか?」
「中身に何かあったらどうするんだよ?」
「大丈夫だ。ナイフで木だけ切ればいいのだから」
そう言って、腰に下げていたナイフを取り出し、上から突き刺す。すると、金属音が響いた。
「なんだ・・・中にもう一個箱があるじゃないか・・・これなら燃やしても問題ないな」
今度は爆薬を取り出し、着火する。勢い良く燃え上がったそれは、木をあっというまに燃やし尽くした。
「今度のは開けられそうだな。ほら、最初はお前が見ろ。見られたくなければ見せなくていい」
鉄の箱を渡し、気を利かせたのかフレイアは部屋から出て行った。
蓋になっている部分を外しすと、そこに入っていたのは黄色い珠と青い珠が付いた二つのイヤリングと、一枚の手紙だった。
「手紙・・・か」
最初に手紙を手にとり、封を開いてルイスは読み始めた。
299 :
ハート:2007/04/05(木) 17:49:48 ID:FPIOR/0r
我が息子、ルイス・ハーペントへ綴る。
最初に、今まで寂しい思いをさせてしまったこと、すまなかった。
このイヤリングはお前に何もしてやれなかった父からの最初で最後の贈り物だ。
と言っても、価値のあるものじゃない。説明は・・・後にしよう。最後に書く。
ハンターは辛いだろうが、続けてくれると信じている。自慢の息子だからな。
正直、俺達はお前をハンターにさせたくなかった。悲しいことも多い、いつ死んでもおかしくない職業だから。
それでもなってしまったのだから何も言わない。同じ道を歩んだものとして、贈る。
最後まで続けろ、後悔するな、そして、愛する人ができたら死んでも守り通すこと。それが俺と、母さんの願いだ。
そして、このイヤリングは俺たちの村に古くから伝わるもので、契約を交わすための物だ。
お前に死んでも守りたい人が出来たとき、黄色い方をその人に渡せ。青い方はお前がつけるんだ。反対のほうにな。
最後だが・・・こんな父親を父さんと呼んでくれて、ありがとう。
その手紙は、短いものだった。もともと多弁ではなかった父親らしいといえばらしいのだが。
「守りたい人・・・か」
イヤリングを見つめ、考えているとフレイアが入ってきた。
「どうだ・・・った?」
ルイスは無言で手紙を突き出す。読んでくれと理解したのか、フレイアは黙って受け取り読み始めた。
「契約のイヤリングか・・・誰かに渡すのか?」
「あぁ・・・もう決めてる」
天井を見上げながらルイスは言った。涙がこぼれるのを防いでいるのかもしれない。
「フレイア・・・お前に付けてほしい。俺はフレイアが好きだ・・・」
「嫌だ・・・と、言ったら?」
フレイアはルイスを見つめている。ルイスもそれに応える様に正面から見つめ返す。
「他の誰にも渡す気は無い・・・」
長い間。・・・いや、数秒かもしれない。フレイアはルイスの決意を探るように瞳をのぞいていた。
「わかった・・・正直に言おう。私もお前が好きだよ・・・ルイス」
「本当に?」
「あぁ。だが、私より先に死なないこと。私が死んでも後を追わないことが私の頼みだ。守れるか?」
「大丈夫・・・。守ってみせる」
周りの人が死んで、自分だけ生き残る辛さを二度と味わいたくないと言う気持ちからの条件だろう。ルイスはそれを承諾した。
「じゃあ、イヤリングを」
黄色い方を渡し、二人同時に、耳につける。一瞬だが、イヤリングについてる珠が同時に光った。
「よろしく・・・」
「こちらこそ、宜しくな・・・」
その夜、二人は空が白むまで交わり続けた。互いに求め、互いに与える心。
いつの間にか、眠っていた二人に太陽が朝を告げる。フレイアはまだ眠っていた。
300 :
ハート:2007/04/05(木) 17:51:30 ID:FPIOR/0r
ドンドンドン!!
まだ目が覚めきっていない時、部屋にノック・・・殴るような音が響いた。
「ルイス・ハーペントの部屋はここですか〜?」
『誰だよ・・・』
ドンドンドン!
「今出るから少し待っててくれ・・・」
身形を簡単に整え、ドアを開けると、そこに居たのは薄い金色の髪を肩でそろえた色白の青年だった。
「・・・誰?」
ルイスにはまったく覚えが無かった。と言うより、この街で知り合いなんてフレイアとエルメリア、ガノンくらいだ。
「おいおい、いきなりご挨拶だなお前は・・・ジャンだよ」
「ジャン・・・!ジャン・クラインか!?久しぶりだな!」
「大親友を忘れてんじゃねえよ・・・久しぶり。今日はちょっと話があって来たんだが」
ジャン・クライン。ルイスがまだ村にいた頃の親友で、いわゆる腐れ縁というやつだ。もう五年ぶりくらいだろう。
「話?まぁ、中に・・・あ・・・」
中に入れよ、と言おうとしたとき中にフレイアがいることを思い出した。しかも、裸で。
「おっじゃましま〜っす♪」
「ちょ、ちょっと待て!!少し片付けて・・・」
「誰だ・・・?」
入り口でジャンを止めていると、後ろから声がした。騒ぎで起きたのか、コートを羽織り、フードを下ろしたフレイアが立っている。
「あ、フレイア・・・」
「どうかしたか?」
短い沈黙が流れた。最初に口を開いたのはジャン。
「ルイス・・・誰だ?この姉さん?」
「えっと、だな・・・その・・・」
「フレイア・エフリートだ。この姉さんとは、失礼な坊やだ・・・」
ルイスがしどろもどろしていると、フレイアが先に名乗った。寝起きのせいか、声に軽い苛立ちを感じられる。
「坊やじゃなくて、ジャン・クラインだ。失礼なのはお互い様なんじゃないのか?」
「ほう・・・言うな、坊や・・・」
やはり機嫌が悪いのか、普段の彼女とは違い殺気を隠すことをしていない。軽く、ヤバイ感じがする。
「フ、フレイア?こいつは俺の幼馴染で・・・」
「なんだ、お前の知り合いか。もっと早く紹介しろ」
ルイスが相槌を入れると、フレイアは普段の彼女に戻った。ジャンは、一瞬でも殺気を感じたのか、少し固まっている。
「で、ルイス。この・・フレイアさんも紹介してくれないか?」
なんとなく口調が変わったジャンが会話に加わる。
「えっと、なんていったらいいのかな・・・その」
頬を紅く染め始めるルイスに対し、まったく訳がわからないといった様子のジャンを見かねてフレイアが口を開く。
「何を恥ずかしがっているんだお前は・・・私はルイスの婚約者だ」
「婚約者!?!おい、ルイス!!それはいったいどういうことだ!!」
「どど、どういうことって・・・こ言葉のままで、でで・・・」
肩を揺さぶられて、舌をかみながら話した。すると、理解し、落ち着いたのか肩を放した。
「はあ・・・はあ・・・で、話があってきたんだろ?中入れよ」
「ああ・・・そうだった。お前があんまり驚かすもんだから・・・」
301 :
ハート:2007/04/05(木) 17:52:01 ID:FPIOR/0r
「おい、ジャンといったな。その狩り、私も連れて行け」
突然フレイアが口を開いた。ジャンは視線をフレイアに向け、眉をひそめる。
「あんたは関係ない。命を捨てるだけだ・・・」
「関係あるさ。私の夫となる奴の村だからな。それに、久しぶりに会いたい人もいる」
「お前らは考え方が甘いって言ってんだよ!!殺されるかもしれない、いや、そっちの方が可能性は高いんだぞ!」
激情に身を任せ、ジャンは唾を飛ばしながら言う。その姿に、フレイアもいくらかの苛立ちを覚え始めていた。
「覚悟ならハンター始めたときから決めている。殺していいのは、殺される覚悟のある奴だけだ、と」
「・・・死ぬかもしれないんだぞ・・・」
「くどい。私たちも参加させてもらう。いいだろう?」
「わかった・・・それと、ルイス」
もう一度ルイスに視線を戻し、席に座ってから話し出した。
「もし、村が無事だったらそこで式を挙げよう。構わないだろ?」
「ああ、構わないけど。もう出発するのか?」
「そうだ。・・・村に着いたらすぐ始める。誰かに挨拶する時間は無いと思ってくれ。準備できたら入り口に来てくれ」
「分かった」
フレイアとルイスは立ち上がり、装備の確認へ向かう。ジャンはどこか不安そうだった。
「待たせたか?」
最後に来たのはルイスだった。フレイアは愛用のブループロミネンスを背負っている。
ジャンの装備はルイスと同じ大剣だった。しかし、ボーン系から作られる炎剣リオレウスだったが。
「遅ぇよ。ほら、早く乗れ。出発だ」
三人が馬車に乗り込み、街から離れた頃、ジャンはルイスに小声で話しかけた。
『なぁ、ルイス』
『ん?』
『あの姉ちゃん、ほんとに大丈夫なのか?防具も何きてっかわかんねーし』
『大丈夫だって。フレイアは俺の何倍も強いから・・・』
『マジ?』
『ああ・・・だってな・・・』
ルイスはフレイアが仕出かした事を話した。ジャンの顔は強張っていたが。
『お前・・・とんでもねぇ奴を好きになったな・・・』
『本当は凄く優しいんだよ。普段厳しいだけで』
『ふぅん・・・まぁいいさ。村長が聞いたら驚くだろうな〜お前に嫁が出来たなんて』
どこか茶化すような声でジャンは言ったが、ルイスは否定しなかった。そして、村までの間浅い眠りに付くことにした。
「酷い有様だな・・・」
村に着いたときの第一声はフレイアのこれだった。言葉の通り、嵐の風で木は折れ、雨のおかげで視界は最悪。村には人っ子一人いない。
「で、今何処にいるか分かるか?」
ルイスはジャンに聞くとジャンは自身ありげに応えた。
「風上だ。奴を中心にこの嵐は起きてる」
「もしかして・・・あれか?」
フレイアは二人の背後、上空を指差した。
黒い甲殻、四足で嵐の中平気で飛んでいる。奴は口に人を咥えていた。おそらく先に向かった村のハンターだろう。謎の竜はそのまま森へ下りた。
「あぁ、あいつだ・・・」
「なるほど・・・行こうか。ここで戦うわけにも行かないしな」
フレイアを先頭に、三人は謎の竜が下りた辺りを目指し、走り出した。
302 :
ハート:2007/04/05(木) 17:53:13 ID:FPIOR/0r
長くなったので一旦きります。
次回はまぁ・・・いろいろです。
では、またきます〜
クシャキタコレ
クシャルに炎剣か…
勇ましくて涙が出てくるよ。
取り敢えず、GJ。
GJ
しかし「この戦いが終ったら―」は死亡フラグなんだ。
親友のな
306 :
ハート:2007/04/05(木) 20:37:22 ID:FPIOR/0r
なんか一部抜けてた・・・なんでだろ・・・
>>300,
>>301の間・・・
三人がテーブルに座ると、ジャンは深刻そうな顔をしている。陽気な彼にしてはめずらしいことだ。
「で、なんなんだよ話って?村のことか?」
「ああ、実はな・・・村はずれの密林に最近嵐が続いているんだ」
「それで?嵐なら普通に来るだろ?自然現象なんだから」
「問題はそこじゃないんだ!そこで今まで見たことも無い竜が発見された・・・」
テーブルを叩き、身を乗り出して話すジャンを抑えながら、話を聞く。
「見たことも無い?どんなだ?」
「黒い甲殻を持った奴で、レウスとかと違って四足・・・嵐の中でも構わず飛ぶことが出来る」
「随分凄いやつだな?で、村はずれなら大丈夫なんじゃないか?」
村はずれと言っても馬車で二日かかる場所だ。そこまで問題があるわけでもない、とルイスは思っている。
「それが、だ。だんだんと村に近づいてきてる。それで、村長が村のハンター全員を集めろ、と言ったから呼びに来た」
「なるほど・・・久しぶりに帰りたいし、見てみたい気もする。いいぜ、行こう」
「いや、そう言ってくれるとは思ってたけどな・・・結婚するんだったら来ないほうがいいんじゃないか?」
横目でフレイアを見ながらジャンは言う。フレイアは一言も言わずに話を只聞いていた。
「どういうことだよ?」
「街からも10人くらい雇ったんだが、全員やられた。一人帰ってきたが竜のことを話してそのまま死んだ」
「だから、どういうことだって?」
理解してくれない友人に痺れを切らしたのか、テーブルを挟んでジャンは胸座を掴んだ。
「わかんねえのかよ!!死ぬかもしれないって言ってんだ!婚約者残して死んでいいのかよ!!」
「そ、それは・・・でも村がもしも消えたりなんかしたら・・・」
308 :
2-332:2007/04/06(金) 00:30:07 ID:gxJtAcyL
何かどう足掻いてもつまらなくなりそうなので、この間まで書いてた分を放棄して新しく何か書きたいなとか思っています。
無責任なのは分かってるんですが、もう見たくないならそう言ってくれれば七氏読者に戻りますので。
>>308 無責任なんてとんでもない。
貴方は貴方の書きたいものを書けばいい。
私なんて、書きたくても文才無いですからね。
だから、気にしないでください。
ここは長編というか連載モノを書く人が多いみたいだけど
そういうのって最初から全体の構想とか出来上がってから書き始めてるの?
それともその場その場で次の展開考えるの?
俺も何か書こうと思って始めたんだけど途中でgdgdになっちゃうんだよ…
にゃーにゃー
にゃーあ
にゃー
にゃー
なー
にゃあー
ふにゃー
にゃーお
いにぁー
うにゃーお
なぁーお!
まーお!!
まーーお!!
まーーお!!
ふぎゃーぁ!!!
ふぅーー!!!
…………ぶぎぁふがあごごぐるあああぅあぅいがぁがぐげぐあるぐうああ!!!
ぐるぁげぶかあるぐぎゃげるああぐぶぶげぁ!!!
ちゅどぉおおおおーーーーーーん!!!!
アイルーとメラルーがケンカしたら、こんな感じだろうか
家のまわりの猫があまりにもウザかったので、ついカッとなってやった。今は反省している。
メラルー×アイルーを書けば許し(ry
>>313 も・・・もしや貴方はくっくj(ryさんではゲフンゲフン
ともかく指が折れるまで保存した。
315 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 20:17:33 ID:qn2BGteR
誰かアカムトルムで一発書いてくれ
なんでこのスレって読み手がやたらヘコヘコしてるんだ?
戦場で妻や愛人の名を呼ぶって言うのはなぁ!
瀕死の兵士がすることなんだよぉ!!
byギム・ギンガナム
>>317 ロラン「貴方は少し引っ込んでいてくださいよ!ここはエロパロスレなんですよ!」
321 :
ハート:2007/04/06(金) 22:33:06 ID:VLiI5mMG
>>316 このスレはそんな人たちが集まって三作目まで続いているのでね。そんなこと気にする必要は無いと思われる。
>>321が本人かは知らんが、書き手が「気にするな」なんて言うのはどうかと思うんだが
あんまり書き手に媚びてると荒れやすくもなる
簡単に言うと
>>308-309みたいなやり取りが日常茶飯事になるのが怖い
変なのが湧いてきたよ
皆さんGJ。幾度となく潰れる俺のパソコン。
続き書くたびに消えるのは何かの呪いか? しかも大体次の日には直るし…。
ちゅーわけで皆さん頑張ってくだせェ。押忍
自虐はやめて欲しいな☆
あと作品投下するとき以外はコテハン外した方がいいと思うよ☆ミ
アカルトルムってグラビームみたいなのを出すのかな?
エロくない物はどこに投下すればいいんだろ
328 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 19:15:44 ID:eJHkvzS5
出さないよ。 でも、一撃一撃が重い。
329 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 19:16:18 ID:eJHkvzS5
出さないよ。 でも、一撃一撃が重い。
アカムはビームだすだろ
333 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 20:50:30 ID:S+YsttrF
竜巻ブレスと咆哮上げたとき火柱が上がったりする
あとは突進とかそんな感じ
ちなみに上の画像見たグラビモス愛好家がブチ切れてた
漏れはアカムのがいい
さっきフレに初アカム連れてって貰ったが、離れて木笛ぴぴるぴるぴるしてるしか出来なかった。
デスギアSに笛名人という唯一龍耐性がある装備だったが、立ち回りが分からないので仕方無いと思う。
ちなみにそのフレはアカム一式にはきゅん☆で来ていたのに、二乙していた。
仕方無いから回復薬を渡しておいた。
アカムとかまだ見たことないが
勝てる気は正直しない
アレか、ゴジラみたいな鎧着てるけど中の人は純粋無垢な女の子なのか
うぐぅ!
とまっしぐらに飛びついてくるおにゃの子さ。
まともにくらうとあっという間に三死……orz
338 :
煉獄の地へ:2007/04/08(日) 22:29:23 ID:+2YXkpTA
熱い…そして道程は遠い。
着くかわからないその目的地を目指しひたすら走る。
「シル…まだいけるか?」
「大丈夫…早くいきましょう」
※
「これは…もうだめかもしれんのぅ」
村一の医者が俺を呼び出し耳打ちをする。
「だめ…とは…」
首を横に振る。
俺たちはいつも3人で過ごしていた。シルリア、メルベル、そして俺。
飯を食うときも、遊ぶときも、狩りの練習をするのも、喧嘩をするのも。
親は3人ともいなかった。だからこそその絆は壊れることは決してない。
だがメルは昔から体が弱く、呼吸が乱れ倒れることも少なくなかった。
「メルベルはこれまで良くがんばってきた…わしもここまでとは
驚きだ…だが今回はもう無理かもしれん」
「そんなこと…うけいれられるわけないだろうっ!!!」
声があたりに響く。通りを歩いている者がこちらを振り向く。
「お前の気持ちは良くわかる…だが無理なものは…」
「俺はあきらめない。絶対にあきらめない。」
俺は急いで家に帰り、
部屋で伝記を漁る。これまでも色々探してきた。
なにか…なにか方法はあるはずだ。
目が疲れるのも忘れひたすら探す。そのなかで一つだけ目に付く一説があった。
〜天空より爆ぜる獄炎の玉よりすべての病焼き尽くし消え去るだろう
その名…〜
「メテオ…テスカトル…」
伝記は伝記。だからこそ信じるものはあまりいない。
だが俺はこの名前をどこかで聞いたことがあった。
そうこの村より遠く外れた街 グレルガンの都、
そこで隻眼のハンターが俺に教えてくれたその名前。
「ごくごく稀にな…獄炎石の中心に紅く光る石があるそうだ…
それは真っ赤に燃えそして決してその光は衰えないらしい…それをメテオ
テスカトルというそうだ。まぁ獄炎石自体そうそうお目にかかれるものじゃないからな
俺もまだ見たことはないが…」
どうしてそんなことを俺に教えてくれたのか覚えてはいない。
だがこれで活路は見出せたかもしれない。
339 :
煉獄の地へ:2007/04/08(日) 22:30:49 ID:+2YXkpTA
俺はその夜メルの寝る部屋へと向かった。
そこではすぅすぅと寝息を立てる姿が目に入る。
とても病気だとは思えない…少し安心して苦笑をした。
「メル…俺絶対見つけるから…」
聞こえるはずもないその言葉を口にする。
そうメルに心配をさせることは出来ない。
「ありがとう…でもねもういいんだよ」
俺は下を向いていた顔をメルの方にやる。
「起きてたのか…」
「ううん…さっきまで寝てたんだけど気配がしたから」
少し気が抜けていたのかもしれない。メルだって俺達と同じハンターの稽古
をしてきた。だから気配を読むことぐらい容易だ。
「ねぇガロ…何を見つけるの?」
「気にするな…薬草を見つけてくるだけだよ…少しでもお前がよくなるように」
「いいの…ガロ…自分のことは自分で良くわかる。あなたがお医者様に聞いた通りよ」
「おまえ…」
聞こえて…いたのか。それとも…
「ねぇ…ガロ、私幸せよ?シルもガロもいつも私と一緒にいて、いつも笑いが絶えなかった。
なんの悔いもないわ」
やめろ。
「一緒に勉強するときも、狩をするときもいつもドキドキで一杯だった」
やめろ。
「でもいつも安心できたわ、だってあなたたち…」
やめろっ…
「やめろっ!!!」
メルの言葉が止む。俺は抑えられないぐらい憤怒していた。
「全部過去のことになんかするなっ、お前は元気になるんだっ、そして
まだまだお前は思い出を作っていくんだよ!!!」
無理なものは無理、俺の言葉に突き刺さる現実。それに耐えられなくなり
俺はメルを怒鳴ってしまった。
「ガロは…やさしいね…」
それでもメルは怒らなかった。本当はメルが一番つらいはずなのに
ガキのように怒る俺をなだめるように。
メルの手が俺の頬に触れる。
その手は思ったよりも冷たくて驚いた。
「あったかい…」
俺はその笑顔を見て、衝動を抑えられなかった。
340 :
煉獄の地へ:2007/04/08(日) 22:39:29 ID:+2YXkpTA
駄文すんません。
なんかありきたり?でしょうか
まだ続きはあるんですが、最後までは終わっていません
ただみなさんが読みたくなるようなものでしたら
続きのせようと思います。
バトルとしてはあいつを出そうと思っています。
運が悪いと獄炎石しか剥ぎ取れないという…新モンス…
もし機会がありましたらまたよろしくおねがいします。
アカムを説明してくれるならとりあえずあの軽快なBGMの理由を教えてくれ
緊張感なさすぎるだろww
>>335 そのフレ弱すぎだろ…
フルアカム的に考えて…
主が戦ったほうが良かったのではないか?
狩猟の大地を聞きながら次の投下を待つ俺がいる。
>>335 はきゅんてなに?
レラカムトルムか?
弓でアカムなら高級耳栓付きのソウルUが普通じゃね?
>>342 >>344 “はきゅん☆”か“はきゅー☆”のどっちも同じ武器さしてるんだけどさ。レラカムトルムだよ。
フルアカムなのは多分、見せたかっただけちゃうか?
本職は耳栓ムロフシだって言ってたし。
とりあえず一回は倒したから良し。
大牙出る前に寝ちまったがなorz
346 :
2-332:2007/04/09(月) 23:34:52 ID:YhcTnDz2
取り合えず書けた分を投下します。
何か発言が問題になったようですね。以後気を付けます。
あとは…なんかモンスターハンターから遠いですが、今後擦り寄らせるつもりです。
347 :
2-332:2007/04/09(月) 23:38:25 ID:YhcTnDz2
青年は粗末なドアを叩いた。その向こうには“竜忌”が居る。
王都。国の中で最も大きく、また繁栄を極めるこの地に、国付けの騎士隊の本隊が置かれている。
甲冑を身に付け、武器を背負った姿はハンターのそれに近い。
だが彼らはあくまでも軍隊だ。必要に応じ竜と戦うことこそあれど、基本的には対人用である。
国境整備、或いは隣国との戦争に備え、訓練を続ける。
それが彼らの基本姿勢だ。
だが、この部屋の主は違う。この隊の中で唯一、竜を狩ることを専門とする部隊。
まあ部隊といっても一人しか居なかったのだが、それが“竜忌”の役職である。
部屋の戸を叩いた青年は元ハンターで騎士隊を志願すると言う、一般的には普通無い行動の末この部隊に入隊が決まった。
やることは余り変わっては居ないが、青年が面白そうだと受諾したためにこの部隊への入隊と相成ったわけである。
“竜忌”の隊に人が入る――、と本隊の中ではかなり騒がれたのだが。
「失礼します」
青年は足を踏み入れる。ぎし、と足元の床が嫌な音を立てた。隊舎の中でも随分質素、と言うかボロい部屋だった。
そして部屋の真ん中に座っているのが部屋の主であり、青年の同僚となった“竜忌”である。
青年は“竜忌”、という通り名とそれが成し遂げたとされる様々な手柄話を聞くたびに屈強な男を想像していた。
何しろ「人でありながら竜の力を持つ」とまで言われる存在である。
畏怖のこもった話を聞くたびに、或いは顔が黒く塗りつぶされたような長髪の男とかもアリかな、とも考えていた。
だが、そこに居たのは女の子だった。17歳位か、まだ少女と言う代名詞が通用する年代である。
艶々とした黒髪が背中まで伸び、端麗な顔と真っ白い肌は間違いなく美人だ。
戦いの場に似つかわしくない芸術品のような存在でありながら、着用している黒い鎧は妙に似合っている。
不思議そうな目と目が合って、漸く青年は自分がぼんやりと彼女を見つめていることに気が付いた。
少し焦り、また赤面して青年は名乗る。
「えー…と。ウィリアム・タリアフェローです。今日よりあなたの後方支援として作戦活動に参加することになります」
じっ、とこちらを睨むように見つめる“竜忌”に青年は多少妙なものを感じる。
目の光が暗い。明るい蒼の目に気だるさがにじみ出てくるような陰湿な光を湛え、“竜忌”はゆっくりと立ち上がった。
緩慢な動作で書机へたどり着くと、上に置いてあった紙を手に取る。目を通し、そして青年に視線を向けた。
「…よろしく、お願い…します」
透き通った綺麗な声なのだが、発する本人に覇気が無い。
「こちらこそ、よろしく。僕のことはウィルと呼んでください。…あなたの名はなんと言うのですか?」
「“竜忌”…としか、呼ばれていませんが…?」
348 :
2-332:2007/04/09(月) 23:39:43 ID:YhcTnDz2
敵意は感じられないが、友好的とは程遠い彼女の口調。タッグを組んで狩りをする以上信頼関係は重要だ。
少なくとも、仲良くなる必要性は青年も感じていた。
「じゃあ、無いんですか?名前は」
青年の言葉に、“竜忌”は首を傾げた。まるで幼児のそれのような身振りである。
まるで強い印象は抱けない。
「…じゃあ、“竜忌”で良いですね?」
「ええ」
「新しく隊舎に部屋を用意したとのことでしたから、移動しましょう。荷物をまとめてください」
彼女はこくん、と頷くと床をぎしぎし言わせながら部屋の壁に立て掛けてあった大剣、そして頭用の防具を取ってきた。
荷物をまとめろと言ったのに…、と青年はちょっと頭が痛くなる。
こんな知恵遅れのようなのがあの“竜忌”とは、全く世話が焼けそうだ――と、顔を顰める。
瞬間。空気が一気に張り詰めた。彼女の蒼い目が打って変わって爛々と光を宿す。
瞳孔が窄まった目が青年を見つめ、彼はその場に凍りつく。
「私の私物はこれだけだから、早く移動しましょう」
声も自己主張の激しい良く通る発声になっていたが、それでいて耳にやさしく響く魅力ある声だった。
「え…っ?」
青年が付いていけずに彼女を見る。部屋に満ちているのは間違いなく生々しい竜の気配だ。
体が直感する。“竜忌”と言う名と存在の意味を。彼女の異常さを。
“竜忌”はそっと歩き出し、そして部屋を一歩出て立ち止まった。振り返る。
「ほら、早く行きましょう」
「あ…は、はい」
彼女を先導する形で歩き始めた青年。
がしゃがしゃという鱗が擦れるような彼女の動作音を聞きながら、“竜忌”について考える。
会った時には温厚そうな様子だったが、急にはっきりとした自己主張を持つようになった。
別人のように、と言う形容が良く合う。例えるなら飛竜が怒った時の様子に近いかもしれない。
二重人格とかそんな感じかな?
青年はそう考えて、後ろを歩く“竜忌”に問いかけた。
349 :
2-332:2007/04/09(月) 23:40:58 ID:YhcTnDz2
「何か急に印象が変わりましたね。どうしたんですか?」
振り返った青年の視界は淀んだ目を捉えた。…戻っている。
彼女はちょっと戸惑った。そしてその挙句。
「え…と、私、何かしませんでした?」
「何か、って?」
「噛み付いたり、切りかかったり、です。…私、偶にそういう行動をとる…らしい、ので」
「…そんなことはしませんでしたよ?急に凛々しくはなりましたが」
“竜忌”は安心したように肩を下ろし、私にはどうしようもないので、気を付けていて下さいと言った。
思っていたより更に危なっかしい。こうしている分にはちょっと暗いだけでただの美少女だと青年には見えるのだが。
それにしても、と青年は思考する。急に噛み付くような人格なのかアレは。
「…あ、ここみたいですね」
二階のある一部屋が“竜忌”の部隊として新しく貸し出されている。元の彼女の部屋よりはマシな感じだった。
何よりも広そうだし、と青年は独り言ちて部屋を開けた。
さあっ、と風が流れる。窓が開いているらしかった。日の光がさんさんと射しこむ部屋は明るく開放的だ。
中々上等な部屋である。いや、隊舎としてはかなり良いほうだろう。
だが。
「あれ、ベッド二つありますね…?」
何か嫌な予感を覚えながら机の上の書類を抓み上げ目を通す青年。予想通り、“竜忌”と相部屋で過ごせとの旨が記されてあった。
「どうも同じ部屋で寝起きしろとのことらしいです。どうしましょう?」
「…上からの令ですし…あなたさえ良ければ、私は構いません」
350 :
2-332:2007/04/09(月) 23:43:05 ID:YhcTnDz2
心なしか赤面して“竜忌”は言う。青年的にもこんな可愛い女の子と一緒に生活するなんて嬉しい限りだが。
寝てるうちに切りかかってきたらどうしよう、と不安要素はある。
女の子がいきなり噛み付いてくるなどというのはとんでもなく恐いが、大丈夫だろうか?
ちょっと色々な汗をかきながら、青年も了承した。手を差し出す。
「じゃあ、よろしくリューキ」
“竜忌”は青年の変わったイントネーションに疑問を抱きつつも、青年の差し出す手を握った。
自分より高い体温を感じて、なんだか気恥ずかしい。
「よろしく…お願いします、ウィル」
(以上です。
感想・批判など聞かせて貰えると凄く嬉しいです)
>>350GJ!この後の展開が予想できない。wktk
353 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 10:53:34 ID:7hJRggML
>>350 文句ないですね〜Gj!
シチュエーションが最高すぎるw
真面目に続きが気になるわ
356 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 17:33:53 ID:vgIUhPH7
>>350 GJ!
これは面白い。
続きに激しく期待
357 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 19:29:13 ID:qtlOZAgH
>>350
同じくGJ!!
358 :
ハート:2007/04/11(水) 17:37:53 ID:FdIvJ8Qr
>>302 続
「確か・・・この辺りだったよな?」
「あぁ、風が強くなってきてるから・・・近いぞ」
太い木々が生い茂る密林、強い向かい風、狩りの条件としてはあまり良いとはいえない。しかし、奴は確実に近くにいる。
べキッ・・・
一瞬だが、雨の音とは違う音が響いた。三人が気付き、向かったところにいたのは傷だらけのハンターだった。
「おい、どうした!あいつにやられたのか!」
ジャンが揺さぶりながら声をかける。すると微かに呻き声を上げ、空を指差そうとしている。
「・・・?どうしたんだ?」
ジャンに何を伝えたいのか理解していない。異変に最初に気がついたのは少し離れて回りを警戒していたルイスだった。
「ジャン!下がれ!!何か来る!」
本能的に、素直に従うことを決めたのか、ジャンは後ろに跳んだ。その時、
ヴォンッッ!!
辺りに空を切る音が轟き、瀕死のハンターに見えない何かが直撃した。砂煙と血飛沫を撒き散らし、ハンターは動かなくなった。
「な、何がおきたんだ・・・?それにこの傷跡は・・・」
ジャンとルイスは死体の傷跡に愕然とする。それは鋭い刃で幾重にも切り刻まれたような傷だった。辺りには防具の破片が散らばっている。
「そんなことに気をとられてる場合じゃないな。来たぞ・・・」
フレイアが盾を構えて見据えた先には、聞いた通りの龍がいた。
大きさはそれほどでもないが、異形なそれは、どこか神秘的な雰囲気を醸し出していた。なぜか、奴の周りだけで雨が弾けている。
「確かに・・・見たことも無いな・・・」
ルイスは斬破刀の柄を握り、足の幅を広げる。ジャンはルイスから少し離れた。同時に攻撃を喰らわないようにするためだろう。
[汝等・・・何故我に仇なすか?答えよ]
奴が着地し、口が動くと、微かな声が頭に響いた。
「喋った・・・馬鹿な・・・」
ジャンは驚いているが、ルイスには身に覚えがある。沼地でであった【獣】。あれからも同様に声が聞こえた。
「村を壊されては困るからだ。この嵐を治めてほしい」
ルイスが一歩前に出て言う。もし、交渉で何とかなれば無駄な血も流さないで済む。
[笑止。人間ごときが何を戯けた事を。これは摂理だ。破壊と言うな・・・]
「止めてくれないと言うのなら、俺等がお前を殺す」
ルイスがそう言い放つと、奴は黙り込み、微かに震えている。少しだが、怒りの感情を感じられた。
[嘗めるなよ小僧!我が名は風昇龍!貴様らがクシャルダオラと呼ぶ者よ!!]
359 :
ハート:2007/04/11(水) 17:38:35 ID:FdIvJ8Qr
一つ叫び声を上げ、クシャルダオラが突進を開始する。三人は左右にかわし、最初にルイスが大上段から仕掛ける。
「一番槍!!」
[ふん、甘いわ!]
「はっ!?」
周囲の雨が弾け、龍を中心に強い風が押し寄せる。一瞬からだが浮き、2mほど後ろに飛ばされてしまう。
「どうなってんだよ・・・」
フレイアとジャンに合流し、敵の攻撃を掻い潜りつつ作戦を考える。風で近づけないのはフレイアも一緒だった。
「いつもみたいにいい作戦無いのか?フレイア」
「未知の相手にどんな作戦を立てろと言うんだ!あの風についての情報が少なすぎる・・・」
胸をそらし、力をためるクシャルダオラ。おそらくさっきのハンターを切り裂いたブレスだろう。
その時、頭にある角に風が渦巻くのをフレイアは見た。
「いったい何を飛ばしてるんだ!!」
草が掻き分けられるところから弾道を読み取り、間一髪で交わす。しかし、逃げ続けるのは明らかに不利だ。
「きっと風だろう。風を操れるのだろうな・・・纏ったり飛ばしたりと」
「どうやってだよ・・・」
「予想だが・・・角だ。風を纏い、飛ばす時、頭の角に風が集束する」
「じゃあ、角を叩き折れば・・・」
「そうだな、それが最優先だ!」
頭の角、と言う一つの目的に狙いを絞り、三人は散り散りに接近する。直線的ではなく、円を描くように。
しかし、相変わらず風に邪魔され攻撃に移ることが出来ない。風のせいで正面に回ったフレイア目掛けて、ブレスを飛ばそうとする。
「止めろっ!!」
何とか阻止しようと、ルイスが翼目掛けて剣を振り下ろした。火花が散り、同時に風がフレイアに向かう。
『当たった・・・?』
ジャンはそれを見た。ルイスは夢中で気付いていないかもしれないが、奴が風を放つ瞬間、剣は確かにとどいた。
「くっ・・・!」
フレイアはコートの端をかすめ、なんとか避けるが、当たった部分はボロボロだった。かなり強力なようだ。
「気付いたんだけど、今の当たったよな?」
「あぁ。どうやら同時には出来ないようだ」
「だったら・・・」
次のブレスの瞬間、一人が囮になり、二人で同時に角を狙うことに決まった。囮は盾を持っているフレイアが最適だろう。
二人が左右から回り、フレイアは一人離れる。
[逃がさん!!]
胸をそらし、纏う風が消えた一瞬、雷と爆煙が同時に迸る。角は、見事に折れていた。
[があ、ぁあぁあああぁぁ!!!]
しかし、風は吐き出された。制御しきれなくなり、今までで一番巨大な風が。
「フレイアッ!」
その風は太い木々すらも圧し折り、一直線にフレイアへ向かっている。かわせないと判断したフレイアは膝を付き、受け止める体制をとる。
ズゴンッッッ!!ガガ・・・
轟音が轟き、土煙でフレイアの姿は見えなくなる。蒼い鱗、おそらくブループロミネンスの盾の一部が空に舞い上がっていた。
360 :
ハート:2007/04/11(水) 17:39:37 ID:FdIvJ8Qr
[よくもやってくれたな、人間ごときが!!]
「くそっ!まだやる気かよ!」
ジャンが向き直り、剣を構える。
クシャルダオラが咆哮した。予想外のことに体が硬直し、動けなくなる。クシャルダオラはルイスに牙を向け口を開ける。
『動け!避けないと・・・』
念が通じたのか、足は動いた。いや、動いたと言うより転んだだけだ。奴の牙は顎をかすめ、空を切る。
[運が良いな・・・だが次は外さんぞ]
地を這ってでも逃げるべきだった。奴と目が合わなかったら間違いなくそうしていただろう。しかし、合ってしまった。
クシャルダオラの青い瞳は、銀火竜やフレイアの瞳と同じものを讃えていた。それは極限まで高められた【殺気】。
飲み込まれるような、そんな錯覚を巻き起こし、視界以外の全ての感覚を麻痺させる。
「ルイス!何や・・・んだ!おい・・・」
微かに聞こえたのは友の声。それもすぐに途絶えた。白と黒の世界に変わり、クシャルダオラがゆっくりと迫る。
瞬間、細長い何かが視界に飛び込む。無音の世界に音が戻った。
[ぐああ!?あがぁああぁ!!]
横に倒れ、クシャルダオラはのた打ち回っている。未だにルイスは何が起こったか理解し出来ていない。
唖然としていると、クシャルダオラの頭を何かが貫通している。それは目から飛び込み、後頭部に抜けていた。
「ブループロミネンス・・・!フレイアは!?」
振り向くと、フレイアは盾で風を受け止めた場所に立っていた。甲殻が吹き飛び、骨組みがあらわになった盾を持ったまま。
どさっ・・・
だが、フレイアはそのまま倒れた。盾で防いだといってもやはりダメージは大きいようだ。
ローブはもはやボロボロで形を成していない。いつも美しい銀の鱗は血で紅く染まっている。
361 :
ハート:2007/04/11(水) 17:40:11 ID:FdIvJ8Qr
「ルイス!!こいつ倒すのが先だ!!じゃないと姉さんも殺されるぞ!」
ジャンの言うとおりである。おそらくクシャルダオラは虫の息であるフレイアを狙う。そうなったらもう助ける術は無い。
[まさかここまで深手を負わせられるとは思わなかったぞ・・・だがもう終わりだ]
首を振り、ブループロミネンスを振り捨て、クシャルダオラが言った。ルイスは立ち尽くしている。
「まだだ・・・」
斬破刀を再び構え、クシャルダオラと対峙する。ジャンは後ろから機会をうかがっている。
[がああああ!!]
叫びながらクシャルダオラは腕を振り上げる。鋭い三本の爪が光り、振り下ろされた。
「今、っだ!!」
クシャルダオラが攻撃に転じた瞬間、ジャンが炎剣で左後ろ足の腱を断ち切る。クシャルダオラの膝が折れて、足が震える。
「止めだ・・・」
そう言ってルイスは、大剣の柄を両手で握り、ブループロミネンスが開けた穴に切っ先を当てる。
クシャルダオラは足に力が入らず、動けない状態だった。
[我が・・・人間ごときに?ま、待て・・・ぐっああぁ!]
突き刺し、下あごの方向へ引き裂く。そして、クシャルダオラは息絶え、嵐のような風は止んだ。
「ルイス!姉さんは大丈夫、気絶してるだけだ。お前が運んでくれ。村で手当てをしよう」
「あ、ああ。そ、そうだな!」
フレイアを担ぎ、ジャンの元へ戻るとジャンは剥ぎ取りをしようとしていた。
「おい、止めとけって」
「なんでだ?角だけじゃ勿体無いだろ?」
そう言って、ジャンはナイフを振り下ろした。
ペキンッ・・・
「「・・・・・・・・・・」」
情けない音をたてて、ナイフは折れてしまった。しつこく粘るジャンを宥め、ブループロミネンスも拾い、馬車へと向かった。
「クシャルダオラ・・・か」
「どうしたんだ?急に」
馬車の中、フレイアの応急処置を終えて休息をとっていると、ルイスがそう呟いた。
「いや、人間達がクシャルダオラと呼ぶ者、って言ったけど聞いたことないなって・・・」
「確かにそうだよなぁ・・・この角を村長に見せれば何かわかるかもしれないぜ?」
「そうだな〜・・・。まぁ、俺たちじゃどうしようもないか・・・」
木箱に寄りかかり、足を組んで目を閉じ、今日の戦いを思い返す。しかし、クシャルダオラに止めを刺すところだけ、何も出てこなかった。
『いったい、どうしたんだろうな〜・・・』
「なぁ、ジャン。最後の奴なんだけど・・・」
目を向けると、ジャンはすでに眠っていた。想定外の敵との戦いで疲れたのだろう。
フレイアも死に繋がる怪我は無かったようだし、ルイスも眠ることにした。せめて、村まで何も起こらないように、と。
362 :
ハート:2007/04/11(水) 17:47:48 ID:FdIvJ8Qr
「あっち〜・・・」
二日後、村へと付いた時には、空は雲ひとつ無い晴天だった。村に着くと、村人達全員に迎えられた。
「ありがとう!」や「でっかくなったなぁ、ルイス!」など、さまざまな声をかけられながら、フレイアを家に運んだ。
「自分の家も久しぶりだな〜。綺麗だけど、誰か掃除してくれてたの?」
「ん?あぁ。村長がな、誰か住むときに困らないようにってやってたと思うぞ?」
「じゃあ、医者呼んでくるからな」
「ああ、よろしく!」
フレイアをベッドに寝かせ、傷に触れてみる。
傷は、様々なところにあった。そのどれもが切り傷。回復薬や薬草で大体は直り始めているが、骨も折れている箇所があるようだ。
「連れて来たぞ〜」
ジャンが戻ってきた。狭い村だから人を呼びに行くのに10分とかからない。ルイスはその間に洗濯を済ます事にした。
医者が帰ると、フレイアは上体だけ起こし、ベッドに寄りかかっていた。右腕は首からさげた布に通している。
「フレイア・・・大丈夫か?」
「あぁ。心配かけたな。怪我は多いが、命に別状はないそうだ」
「そっか、良かった・・・」
一安心すると、部屋の奥からティーポットを持ってきたジャンが出てきた。
「まぁ、命に別状はないんだけどな・・・」
「どうかしたのか?」
「右腕、肋骨二本、左手の指三本、その上さらに左足まで折れてる。どうやって槍投げたか聞きたいよ・・・」
あきれたような顔をしながら、ジャンは二人分の紅茶を注ぎ、溜息をついた。
「治るんだからいいんだよ。それに時間はあるしな」
「そっか、お熱いこったなぁ・・・じゃ、邪魔になりそうだから俺はもう帰るわ」
「あぁ、ありがとな」
手を振りながらジャンは出て行った。紅茶を手に取り、飲んでみると心地よい香りが口の中に広がる。
フレイアは紅茶を飲むルイスを見つめていた。
「ん?あ、折れてたら飲めないもんな。ごめん気付かなくて・・・」
フレイアの前におかれたカップを取り、口に近づけると、フレイアは一口飲んだ。
「悪いな、そんなつもりで見てたわけじゃないんだが・・・」
「あれ?じゃあ何か気になることでもあるのか?」
「墓参りに行くのが遅くなってしまうからな・・・お前だけでも行ってきたらどうだ?」
確かに、フレイアも一緒に、と言うわけには行かないだろう。せめて足が治らないと。
「いいよ、治ったら二人で行こう。そのほうが父さん達も喜びそうだし」
「そうか・・・なぁ、ルイス」
「ん?」
「紅茶・・・飲ませてくれないか?」
「あぁ、わかった」
どこか恥ずかしそうな声でフレイアは行った。ルイスは気にしていないようだが、フレイアは頬を赤くしている。
「どうかした?」
「なんでも・・・二人に会いに行くために、早く治さないとな」
「ジャンは式を挙げるって張り切ってるぞ?そっちも忘れずにな?」
「ふふ、そうだな」
二人で笑い、今度はルイスがフレイアを見ていた。何か、真剣そうに。
「何だ?なにか付いてるか?」
「フレイア・・・」
そういって、顔を近づけ、唇を合わせる。
「んっ、、ぷ・・・どうしたんだ?お前からなんて珍しいな」
「いや、なんとなく、な・・・治ったらよろしくな」
真っ赤になりながらそういって、外を見る。フレイアは照れ笑いを浮かべていた。
また、二人で笑い合い、平和な時間をすごした。先日の騒ぎがまるで嘘だったように。
363 :
ハート:2007/04/11(水) 17:49:55 ID:FdIvJ8Qr
ちょっと長くなった・・・途中できるのが嫌いな性分なもんで・・
あんまり続けるのもどうかと思い始めたのでオチを考えようかと思うんだが、どうなんだろう?
続けていいなら続けられるんだけども・・・
さっき女のミラルーツ一式を見てきたが…
何だあのミニスカ具合は。キリンの足と組み合わせたら反則だ
>367
画像うp
女レウス装備と同じくらいの丈だよあんまり期待すると損するぞ
まぁレウス装備でも十分短いけど
372 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/14(土) 23:43:28 ID:F6Jpdrp3
>>371 腰・アイアンベルト
足・レックスS
の方がヤバイぞ
過疎ってるな
374 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 12:16:26 ID:C7uAKHTf
職人募集中です
誰もいない…
ミラ子投下するなら書いたのち…
僕が書くとエロになりそうにないですけど…
それでもよろしいでしょうか?
377 :
ハート:2007/04/15(日) 18:23:01 ID:dPhhtrZj
>>376 私とかは長編と言うか物語的で書いてるのでエロ入らない部分もありますがエロでも全く問題ないと思います。
(もともとエロパロですしね)
私もオリジナルの前は小説キャラ使ってエロを4〜6話ほど書かせていただきました。
微妙に話かみ合ってないよ
ようするに
>>376さんはエロが書けないと言っていてそれをハートさんは読み間違えてエロしか書けないと思ったわけだね。
SSにエロ要素が無くても大丈夫です
381 :
2-332:2007/04/15(日) 22:13:21 ID:dX5RPHQM
投下です。ちょっとグロイかも知れません。
382 :
2-332:2007/04/15(日) 22:14:19 ID:dX5RPHQM
どこか暖かいところだった。ふわふわとしていて、ぬくぬくしている。
“竜忌”はくるくると回っては、その海を泳いだり、埋まったりする。
とても気持ちが良い。いつまでも離れたくないような素敵な感覚だった。
「起きたんですか?」
遠くから声がする。
離れたくないのに、否応なしに明るく、冷たく、そして堅いところへ引きずり出されて、彼女は目を開けた。
「うう、う…うーん…」
青年は“竜忌”の頭をぐらぐら揺らした。“竜忌”は形の良い眉を僅かに歪ませて青年を見る。
一秒位した後、やっと“竜忌”は覚醒した。
「…えっ?」
「やっと起きましたか。随分幸せそうでしたけど、もう昼時ですよ?」
「え…あの…あ、あれ?私は」
むくっ、と起き上がり、辺りを見渡す“竜忌”。いつもより広く、綺麗な部屋にいつもより明るい日の光が差していた。
自分がいつもよりふわふわで、ぬくぬくしているベッドに寝ていたと理解する。
次第に白磁のような彼女の頬に朱が差していく。真っ赤になってベッドに突っ伏す“竜忌”とは対照的に青年の顔はどこか青白い。
目の下の隈からも分かるとおり、完全に寝不足である。
隣のベッドの可愛い少女の寝息や匂い、そしていつ襲われるか分からない恐怖がない交ぜになった良く分からない興奮でまるで眠る所ではなかったのだ。
青年が大きくあくびをした次の瞬間、ガンガン、と大きく扉が叩かれた。
「失礼します!“竜忌”、及びタリアフェロー殿はこちらに居られますか?」
「はい、なんでしょう?」
“竜忌”がまだ忘我状態だったので青年が答えると、20歳くらいの男が部屋に入ってきた。
事務・連絡を任務とする者らしく、鎧ではなく服を着込んでいる。
「任務です。国境沿いの渓谷で蛇竜が異常発生しているそうで、現地の騎士隊支部より討伐依頼が来ています」
青年は男から詳しい説明書きが書かれた紙を受け取る。“クエスト”と違うのは「討伐数」や「制限時間」、「報酬」が無いこと。
勿論力尽きたらそこで死ぬことになる。
「了解しました。準備が整い次第出発しますので、車の用意を」
383 :
2-332:2007/04/15(日) 22:15:14 ID:dX5RPHQM
男を送り出すと、青年は後ろを振り返った。
シーツを引きずりながら、ベッドの向こう側に“竜忌”が落っこちている。隠れているつもりらしい。
溜息を一つ吐いて、青年は呼びかける。
「リューキ。仕事です!」
かくして青年と“竜忌”の、最初の仕事が始まる。
青年は鎧を着込み、所持しているボウガン、弓の中から一つの弓を選び出した。
何匹倒せば終わると言う訳ではないのだから、弾が必要なボウガンでは戦い抜けないだろう。
そうして青年は武器を選んだ。一方の“竜忌”はいつも通りの黒い鎧で身を包み、小柄な体躯に似合わない、巨大な剣を手に取る。
「相手はガプラスですよ、リューキ。そんな重たい剣でどうするんです」
「いえ…私はコレしか、持ってません…ので」
背負った剣は鋭く尖っている。青年は頷き、そして歩き出した。
門を抜けたところに馬車が停まっている。重装備の兵士も通れるように入り口が広く作られた騎士隊用の馬車だ。
現地までは大体五時間ほどかかるだろう、との車掌の言葉に顔を顰めながら青年が乗り込み、無表情の“竜忌”が乗り込む。
向かい合うように座ったが、会話も無く時が過ぎ、いつしか青年は眠ってしまった。
夜の分を取り戻すかのごとく、それはもう熟睡した。
「いい加減に起きなさい!」
聞き慣れない女性の声で青年が目を覚ますと、周りには灰色の岩壁が反り立っていた。
空の色を見るに、もう夕暮れと言ったところか。
「…あれ?」
「『あれ?』じゃありません。…何ですかその緊張感の無さは」
竜の気配を迸らせながら腕を組んだ“竜忌”に怒鳴られる青年。
張り詰めた空気に急速に目が覚めて行く。馬車から引き摺り下ろされてから、彼は地べたに寝かせられていた。
睡眠不足も高じれば馬車から投げ捨てられても起きないものらしい。
「全く…ほら、行きますよ!」
ぐいっ、と青年の腕を引き、先陣を切って歩き出す“竜忌”。
昨日思った通り、二重人格か何かなのだろう。部屋に居た頃とはまるで別人である。
歩きながら状況を再確認。
384 :
2-332:2007/04/15(日) 22:16:51 ID:dX5RPHQM
「ここの支部はこの先、1時間ほど歩いていけるところ。補給・交代のためのルートが大量のガプラスのため使用不可、と」
「その通り。だから私たちの仕事は単純。敵を倒せばそれで終わりです」
着いたみたいです、と崖の向こう側にたどり着いた少女は青年に振り返った。長く黒い髪がさらっと流れる。
その“竜忌”越しに青年は見た。
切り立った崖に左右を挟まれた、一本道が真っ直ぐに続いている。
その上空を、数え切れないほどのガプラスが飛んでいた。個体を眼で追うことすら不可能な、圧倒的な数である。
空一面を細長い体と蝙蝠のような羽根が覆っていて、日の光をも遮っている。
絶えることのない羽音、自分を見据える眼球、そして何よりも、竜の気配。
「こんな…っ?」
青年が呆然としている内に、“竜忌”は既に戦闘を開始していた。
常人ならば両手にも余る重量を持つその大剣を片手で持ち、硬い岩を蹴って走り出す。
彼女に気付き、急降下して来たガプラスを横一閃に斬る。
胴体と羽を二分され地に落ちたガプラスの血を浴びながら、“竜忌”は次の獲物を狙う。
大きな岩を利用して跳び、上がり際に二匹、そして落下中に三匹を仕留める。
大剣をまるで片手剣のように軽々と操り、累々と死体の山を築き上げて行く。
その数が二十を超えたところで、やっと青年も我に返った。
腰の矢筒から数本矢を引き出し、弓に番える。
血をびちゃびちゃと跳ね飛ばしながら走り、手近な蛇竜に狙いを付けた。
「うりゃあ!」
ほぼゼロ距離での頭部射撃。頭に数個の風穴を開けられ、その一匹は絶命する。
青年が参加してから、地に落ちていくガプラスは更に多くなり、遂には歩くスペースが無くなるほどになる。
そんな状況でもまだ蛇竜は絶えず、“竜忌”は死体の山を駆け上がって足場とし、青年は地面に留まり精密射撃を行う。
やがて完全に日が暮れ、真っ暗になる頃にはガプラスはほぼ狩られ、その姿を見つけることさえ難しくなった。
「…そろそろですかね?」
「ええ。この位なら騎士たちでも狩れるでしょう」
「もう遅いですし、それに血塗れです。支部に泊めて貰いますか」
“竜忌”が頷いたのを微かに見て取り、青年は支部のある方へ歩き出した。
一本道なので迷う心配だけは無い。
それにしても、と蛇竜の死体を踏まないように気を付けながら青年は“竜忌”に語りかけた。
385 :
2-332:2007/04/15(日) 22:18:07 ID:dX5RPHQM
「強いですね、リューキは。これだけの数の竜を見ても怯えもしない」
「慣れていますから。それに――」
彼女は多少言い淀む。そもそも他者と話すこと自体稀である上、人を評価することなど初めてだった。
物心ついた時から“竜忌”が在籍していた騎士隊では、事務的な会話だけでも生きていけるのである。
“竜忌”は顔が紅潮するのを感じて、きっと暗くて見えることも無いだろう、と希望に近い思いを持った。
「それに、あなただって強かったです。今まで見た誰よりも」
青年は弾んだ声でありがとう、と礼を述べる。
そんな言葉も生まれて初めてで、嬉しいのか恥ずかしいのか彼女にはよく分からない。
“もう一人の自分”なら素直に喜べたのだろうか、と考えた。
しかし次の瞬間にはそんなことは頭から掻き消えてしまう。
足が止まり、上空を見据える。見えはしないが、確かに感じる。…竜だ。
“もう一人”、とは別の自分を“竜忌”は何とか押さえ込もうとする。
だが彼女の血は騒ぎたて、逆巻き、駆り立てる。確実に体に流れているであろう、竜の血が。
やがて彼女はぽつりと言葉を発した。最後の理性を振り絞る。
「…離れて…居て、下さい…」
「えっ?」
青年は聞き返したが、既に彼女は自らが“竜忌”たる所以を解放していた。…竜はもう近い。闇に紛れて、すぐ、そこに。
羽音、風、その他の要因によって青年がその存在に気付いたその時である。
「グギャアァアアアアア!!」
“竜忌”と竜、二頭の歓喜の鳴き声が、暗闇の渓谷に反響した。
(以上です。感想・批判などあれば是非お聞かせ下さい)
>>385 GJ!表現が上手くて感服致した。
続きも期待!
そ
いえばここは擬人化はおKだが、主人公が竜とのハーフという設定でミラボレ子ものは大丈夫かい?
>>386 問題ないです。前にもそういうのがあったハズ・
390 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 00:15:05 ID:eU1CEw40
>>385 GJ!
内容はいいんだが『ガプラス』ではなく『ガブラス』では?
それ以外は完璧!
391 :
2-332:2007/04/16(月) 00:27:35 ID:tR8F1M3k
ポケモンと混同してましたね?
ご指摘どうも。次に使うことが有れば訂正しときます。
それからみなさんうれしい感想をどうも。
励みになります。
平和な流れだ…この流れであえて俺は言う!
アトムにレイープされるグラビマダー?もちろん擬人化無しd
グラビ:へへ、火山で俺様に刃向かう愚か者はいねが〜?
俺様はグラビモス、火山地帯をねぐらとする竜、即ち生態系の頂点だ。
あの憎きハンターも一対一なら勝てるぜ、厨房に限るがな。
火山で俺様に刃向かう野郎は御自慢のゲッタービー……熱線で影しか残らないようにしてやろう。
アカム:あんたがここのボスかい?随分とちっこくて可愛い坊やじゃあないかい。今日からここはあちしの縄張りだよ、覚悟しな。
グラビ:(な、なんだコイツは、デカいデカすぎる。こんなデカい奴は少なくとも無印から2まではいなかったぞ。はっ、潜った!?どこに消えた!)
アカム:後ろだよ、坊や。
グラビ:な、何〜!き、気づかなかった。だが、喰らえ!ゲッタ……熱線!!
アカム:無駄無駄無駄、無駄なんだよ、グラビ〜。これでも喰らいな!
ピン(ATBバーの溜まる音)
《エアロガ》
グラビ:ぶ、ぶるあぁぁぁぁぁぁ!!!
そうして俺は気を失った…
無理だ、書けん。
>>393続きを書いてみた
「はっ!ここは!?」
「ようやく気づいたね・・・・。もう4日も経ったんだよ。」
そうか・・・・俺はあの空気の塊を受けてやられてたんだ。
「しょうがねえ。今日からあんたがここの主だ」
「は?当たり前だろ。ま、そんな事は置いといてさあ、あんたに頼みがあるんだよねぇ。まぁ嫌といっても犯るけどさ」
おいおい・・・・なにされんだよと彼が思っていると、「安心しな痛い事じゃないさ」と彼の不安をかき消すように言った。
「どうせ拒否権は無いんだろ。だったら早く言いな」内心ヤケで彼はそう言った。
「へぇ、なかなか物分かりがいいじゃないか。じゃあ早速頼むよ。」
まったく、何やらされんだ?と思っていると
「交尾・・・・いや、セックスしな。」
は?何言ってんのこいつ?頭おかしいのか?普通初対面の男にそんな事いうか?と考えてると
「言ったはずだよ、拒否権は無いってね。」と言い馬乗りになってくる
「ちょっ、やめろぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!俺は初めてはバサ子ちゃんとヤリたいんだぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ごめん、反省してる。携帯からじゃ荷が重いし、何より下手だ。
ラオシャンロンにチンコ踏まれてくる。
396 :
チャチャは見た:2007/04/16(月) 04:23:47 ID:pmcAa0Tr
「はぁ〜♪ポッケポイントも、ンっ…はぁ、貯まるし…ぁっンン!厳選キノコ取り最高っ!はぁんっンぁ…」
上級クエストを受注出来るようになったこの頃、私はトレニャーさんに渡すポイント不足に悩んでいた。
採取クエはいつも面倒臭くてスルー。上級はボス級の飛竜種も出現することもあるし。しかも今更クックとかやる気起きなくて。
だけど末期的にポイントが不足してきた今、久しぶりに採取に出掛けたの。
そしたら厳選キノコの傍に…見た事もない不自然にでかいキノコが…。
「ンっ!あっもうダメ!!イクぅぅぅっ!!」
大きなキノコを一気に引き抜くと、ぷしゅぅぅぅっと豪快に尿を解き放った。
ビクンビクンと暫く全身に快感の波が押し寄せ、そして鎮まる。
青空を瞳に映しながら私は何度もクエを受注してイった。
そんなある日…。
いつもの様に森丘に出掛けた私。
何故だか解らないけど時々動く大きなキノコにいつもの様に跨がり、一気に貫く。
ブルっと背筋に快感が走り軽く一度イッた。
片手剣を傍らに置き、装備も脚だけの姿。
両手で胸を揉み乳首をクリクリ弄って…。
また、アソコがキュンキュンし始めて腰を浮かせて沈めて。
行為に夢中になっていると突然影に覆われた。
(敵?!)
慌てて片手剣に手を伸ばすも風圧に軽く私は転がった。
ピンク色の小さな竜?クックだった。
クックごとき今更な敵だったけど、裸に武器も無し。
出来る事と云えば蹴るか、アクションの挑発?!
私は流石にヤバイと思い額から汗を滲ませる。
エリアチェンジをしようと走った時躊躇してしまった。
そう、私の大切な装備、鍛え上げた武器。そこに在る。
着替え、装備を整えればこんな奴簡単なのだ。そうしたらまたアソコに挿れて突いて突いて…。
フトモモに透明な汁が垂れて、疼く。
その躊躇いが敵の攻撃を許してしまい…
啄む攻撃に転がった。
起き上がる間もなく啄まれて私は「アァン!!」
変な声をあげてしまった。
クックの立派なクチバシが裸で転がったまま起き上がれない私のアソコに刺激を与える。
「あっちょっ…待っ…ぃや!ぁん!」
さっきまでシテいた行為のせいでかなり敏感になっているのに、容赦なくクックはクチバシをがつがつ当ててくる。
「待ってってばぁ、あっ!ンっ!起き上がれないよぉっはぁん!アッアッ…」
ああ〜〜〜〜ン!
クエーー!!
一人と一匹の叫びは重なり合い、女はイカされ逝ってキャンプに転がったそうな。
こんな馬鹿な話を一人静かに見ていたチャチャブー。
彼だけ満足げに女の体思い出しては「キキャーっ!」と自慰に耽った。
くだらないモノにスレ消費スマン。
最初sage忘れたし…
イッてくる(´・ω・`)
>>393 GJ!
エアロガ吹いたww
>>397 いやいやGJGJ
そうかチャチャブーはだから隠れて(ry
400 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 07:01:56 ID:eU1CEw40
今からクック行ってきます。楽しみだ…
(´艸`)
本当に書かれたw
バサ子とやるとかグラビはロリコンかよw
>>393 アクム姐さんが自分のことを「あちし」っていってますね
んで俺が
>>394の続きを勝手に。
じゅぶっぷちゃじゅぷっ
「…んっ…ふぅ…なかなか…イイモノ…っ…してるじゃない」
「っく…う…」
淫らな水音と共に目の前で繰り返される挿入。
「んふっ…そういえば…さっき初めてとか言ってたわね。どう初めての体験は?」
いったん動きを止めて奴が聞いてくる。
だが、俺のモノには変らず刺激が与えられる。
まるで何かを搾り出すようなその刺激に俺は朦朧としていた。
「ふふっ、答える余裕もないみたいね」
「うぁっ!」
妖艶に笑って奴は動きを再開する。
今度は上下運動だけではなく、円を書くような動きも加えられさっきまでとは違った刺激が加えられる。
「ぁぁっ、イ、イイ…」
「っ…どう?きもちいい?」
「……ぃぃ」
「んっ…聞こえっ…ないわよ…ちゃんとっ…言わないと…っあぁ…やめるわよ?」
そういって奴は再び動きを止める。
あの搾り上げるような刺激も今度はない。
俺は気持ちよくなりたい一身で叫んでいた。
「気持ちいいです!も、もっとして下さい!」
「うふっ、素直でよろしい。ちゃーンとおねだりも出来てるから続き、シテあげる」
再び送られてくる快感に俺は身を任せる。
「あはっ…さっきより…大きくっ…なったみたい…こすれるっ…あぁっ」
「っ…俺…もう…」
「んっ…あ、あちしも…そろそろ」
初めての快感で一度おあずけを食らったにもかかわらず俺は限界を迎えようとしていた。
だが、まさにその時という所で声がした。
「グラくん…?何…してるの?」
「バサ子ちゃん!?」
「あら…やっと目が覚めたのね」
「なっどうして!?」
俺たちから少し離れた所にバサ子が立っていた。
混乱する俺とバサ子に、三度動きを止めた奴は、
「あのあと、その娘がやってきてねー。気を失ったあんた見て、いろいろうるさかったから眠らせといたの」
と、説明しまた動き始めた。
俺は体を起こそうとしたが、奴に与えられる快感で力が抜けてしまう。
「もう限界でしょ?好きな娘の目の前で犯されながらイっちゃいなさい」
「うぁぁっ!」
さっきまでより激しい動きに、俺はあっさり限界を向かえ、物凄い快感を伴って奴の中に放出し、
薄れてゆく意識の中で妖艶に笑う奴の声を聞きながら、そのまま意識を失った。
「ふふっ…あっつぅい……でも、お楽しみはまだこれからよ」
続かない、かもしれない
GJ 意外と純情っぽいグラくんに萌えた
GJ!
リレーでもうまいこと話しの流れがなってるのは
ここの住人の向いている方向が一緒なんだなあと感動。
このあとばさ子たんがまけじと怒涛の攻m(電波が途切れました。
>>377-378 分かりました♪
ついでにもう一つ…ややグロやヤンデレってありでしょうか?
>>408 別にありだろ。
グロは書いてる人いるし。
SS保管庫って更新されないんですか?
>>405の続き。
「ちょっと!!あなたグラくんに何してるの!?」
「何してるのとはご挨拶だねぇ。見てわかんないかい?犯してんのさ。」
「なっ・・・・!」許せない・・・こいつは絶対許せない!!!グラくんは私の物だっ!他の誰にも渡さない!!!!!!!!
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
「死ねぇ―――――!!!!」こいつは絶対に殺す!!!!渾身の力で激突する
「無駄だよ。」
「なっ!?」クソ女に全力でぶつかる。しかし全く動じた様子が無い。
「あたいは龍の中でも最高位の存在。あんたなんかに傷つけられやしないよ。」
「だまれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」
グラ君を・・・グラ君を返せぇ!!!!!!!
「あーあーうざったいねぇ。」まったく・・・しょうがないか。
「少し寝てな。」そう言い魔法を解き放つ。
「マダンテ!!!!」
「なっ!?きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」強烈な衝撃が私を襲う。
「ふー。二人とも気絶したのはいいけどどうするかねぇ」そう言う彼女の前にはグラビモスとバサルモスの体が横たわっていた。
ツマンネ
エアロガはネタとして見られたけど
今回のマダンテは流石にちょっと…
もうモンハンでもなんでもないじゃんってならない?
マダンテ→マグマ?
きびしーかいしゃくですぅ(><;)
真DANTEより赤いハイドロポンプって感じだな。
>>411 上位ページはモンハン追加されたりしてるから更新はしてるんじゃね?
保管庫の中の人は元々忙がしそうだったから、遅いのかもね
保管庫の掲示板は画像うpできるようにしてほしいな
絵師の投下が流れるのはもったいないし
>>413 まぁなんていうかな・・・世界観無視したり、他社のアイデアをぱくるのはどうかと思う。
420 :
2-332:2007/04/19(木) 19:28:17 ID:Vz6ejAN7
投下するけど、急いでたからどっか間違ったり読みにくいところあるかも知れないです。
グロイかも知れないので苦手な人はスルーしてね。
では、乱文乱筆ご容赦。
421 :
2-332:2007/04/19(木) 19:29:44 ID:Vz6ejAN7
咆哮が終わり、そして戦いが始まる。冷え切った戦場に、再び戦火が訪れる。
「り、リューキ!いったい何を――」
青年の声は届かない。“竜忌”は暗闇の一転を見据える。口角が吊り上がり、尖った犬歯を覗かせる。
まだ状況が読み込めていない青年も、暗闇で何も見えない状況で竜に対していつまでも無防備でいることはしない。
弓に手を伸ばしながらバックステップ。
反対に、“竜忌”は空高く跳んだ。
「えぇっ!?」
重い大剣を手に持ったまま、二十メートル近く上まで一息に。青年が驚くのも無理はない。常軌を逸している。
そしてまた“竜忌”も暗闇の中に掻き消えてしまった。暫しの静寂――。
「グギャアァァアアア!!」
それが、竜の悲鳴で破られる。暗闇の中で断続的に響く金属音。とめどなく落ちてくる火の粉と血液。
そして、“竜忌”の嗤い声。
「ふふ…あはは、あははははははははは!!」
「…リュー、キ?」
眼には映らないが、降って来る血の量からしても戦いは相当に激しい。…そして、“竜忌”が嗤っているということは。
「君は…そうか、その“人格”――、それでいきなり斬りかかるとか言っていたのか…」
ドシャ、と血溜りに大きなものが落ちてきた。竜の尻尾である。
「うわっ!?」
そう、“竜忌”の嗤いは間違いなく彼女の優勢を示していた。
飛び立ってからもう一分以上経過している。しかし彼女は降りて来ない。
岩山や、時には竜を足場にしながら滞空しているのだ。
正面から飛び込んでいき、竜が噛み付いてきたところを頭を斬り付けた反動で上へ逃げる。
背中に着地した“竜忌”は首筋に大剣を突き刺し、また後ろに飛ぶ。片手で岩を掴んで斜面に停止する。
竜は飛びながら火炎を吐き出した。ここで初めて、青年にも竜が見えた。
「リオレウスか!!…なんだあのサイズは!?」
422 :
2-332:2007/04/19(木) 19:30:21 ID:Vz6ejAN7
狩りの対象としては余りにも大きい。人里近い狩場には出てこない、所謂山の“王”とでも呼ぶべき存在である。
とても勝てるサイズではない、と青年は思った。吐き出された火球はイャンクック程度なら二、三匹飲み込めそうなサイズである。
事もあろうに、“竜忌”は真っ直ぐ火球へ飛び込んでいった。
「何してるんだリューキ!!」
青年の声も届かず――届いたとしても止めはしないし、またここまで来て止められるものでもないのだが――、彼女は火に飲み込まれた。
あれでは助からない。青年は“竜忌”の生を諦めた。しかし、大きかった火球は次の瞬間霧消する。
内側から爆発したかのように、爆散してしまったのだ。
煙を引いて、無傷の“竜忌”が飛び出した。黒い髪に赤い炎が反射し、闇に美しい軌跡を残す。
「ああああああああ!!」
「ギャアァァアアアア!!」
暗闇に響く、“竜忌”の勝ち鬨と竜の断末魔。やがて最初に落ちてきたのは、血と竜の頭だった。
青年の目の前に落ちてきた人の体ほどもある竜の頭が、未だ生を手放さず苦しげに顎を振るわせる。
「…あ、あぁ…」
青年の戸惑いをよそに、次に落ちてきたのは“竜忌”だった。竜に最後の一撃を。脳天を貫いて大剣を地面に突き立てる。
脳漿と血が噴出した。
「ふーっ…ふーっ…」
荒い息を抑えながら、青年を睨む。剣から手を離し青年に殴りかかろうとするものの、たどり着く前に力尽き倒れた。
辺りにはまだ、狂気が満ちている。
「リューキ…」
青年はそっと、彼女を抱き起こした。
あの人格、そして異常な身体能力。この娘がただの人間でないことだけは確かだ、と青年は思う。
でも、気を付けてさえいれば害は防げる。あれだけで隔離して、恐れて、遠ざけるのは理不尽だ。
青年の後ろには、山一つあるようなリオレウスの骸が転がっている。
また竜の力の過負荷が彼女を止めなければ、彼女は青年を殴って居ただろう。
青年は“竜忌”の乱れた髪を梳いてやった。
柔らかい髪にも血はべっとりと付いていたが、彼女の美しさを微塵も損なわせるものではない。
423 :
2-332:2007/04/19(木) 19:31:12 ID:Vz6ejAN7
暖かい所だった。ふかふかして、ぬくぬくしている――。
「はっ!」
前回の失敗を思い出して、“竜忌”は飛び起きた。また明るい部屋。いつもより柔らかいベッド。そして――。
「…ウィル」
枕元にはやわらかな笑みを浮かべて、青年が座っていた。“竜忌”は何も覚えていなかった。
「やあ、起きた?」
直感する。こんな風に記憶がないのは、大概暴れた後なのだ。きっと彼はもう私には優しくしてくれない。
今までそんなことを望んだ事はない。なのに、“竜忌”はそれを失いたくなかった。
皆が皆、彼女に会う人間は彼女を恐れ、軽蔑し、見下していた。でも彼だけは違う。いや、違っていた。
今浮かべている笑みは、虚構だろうか。仮面なのだろうか。“竜忌”は空恐ろしくなった。
「あの…わ、私っ…」
言葉が詰まる。“もう一人”の自分はこんなときでもきびきびと話せるのだろうか。
“もう一人”が表に出ている時でも、外の様子や自分の行動は見えている。
そして彼女に人並みの言葉を掛けてくれた青年の優しさも覚えている。
…私はどんな狂態を晒したのだろう。“アレ”が出てきた時のことはまるで分からない。
「私…あの、また…また暴れて…?」
びくびくしながら“竜忌”は訊いた。青年は一瞬その怯えを奇異に取ったが、一秒の後には笑みを見せた。
「凄かったよ。あんな大きな竜を狩ってさ。…やっぱり強いよ。リューキは」
青年の口調はもう敬語ではない。“竜忌”が眠っていた三日の間、彼女についての情報を聞いた彼は彼女の境遇に愕然とした。
せめて自分が親しくなろうとして――元々上司でもないので敬語を使う必要はないのだが――、敬語を止めることにしたのだ。
そして“竜忌”は青年がまだ笑顔を見せてくれたことに驚き、そしてとても喜んだ。
「…ありがとう、ウィル…」
彼女が口にする生まれて初めての謝礼は、涙に震えていた。
424 :
2-332:2007/04/19(木) 19:32:10 ID:Vz6ejAN7
以上です。
感想・批判ありましたら是非お聞かせください。
>>419 擬人化だってある意味世界観無視と言えるし、
ここでやってるのがそもそもパロだから、パクるって言い方もちょっと違うと思うよ
…流石に魔法はどうかと思ったけど
>>424 GJ!
クオリティ高いです…かなり惚れ惚れします
さて、前に紅黒龍のハーフと黒龍を書くと言いましたが、途中まで書けたので様子を見て投下します。
>>424 GJ。続ききたいっす。
ところで余談だが最近ハートさんを見ないが、忙しい?
続き書こうか迷っているようだけど俺は書いてほしい。個人的に好きな作品(者)だし。
と言うわけで、ハートさん、続きを待っておりまする!
430 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/21(土) 12:45:47 ID:K0VClgDN
432 :
ハート:2007/04/21(土) 22:39:50 ID:KOBMi5bl
「だいぶ、涼しくなってきたな〜」
ルイスは村の横に流れている川の畔で、寝そべりながら昼寝をしていた。
クシャルダオラ討伐から四ヶ月ほど経ち、木々の葉は赤や黄色に染まり、空気は乾燥し始める。ルイスはこの季節が密かに好きだった。
「そろそろ・・・帰るか。フレイアの包帯も替えないといけないしな」
立ち上がり、振り返るとこちらに向かう人影があった。遠目からでも分かる。フレイアだ。
「フレイア?どうしたんだこんなところに」
「ちょっとした気分転換だ。ずっと家に居ては気が滅入るからな」
「体のほうは?あまり無茶するなよ?」
足の骨折は思ったほど早くよくなったが、まだ右腕が治りきっていない。腕や太ももなどにはまだ包帯を巻いている。
「大丈夫だ。切り傷はほとんど治っているだろう?」
「そうだけどなぁ・・・?ブループロミネンスはどうしたんだ?いつも持ち歩いてたのに」
「あれは鍛冶屋に出した。盾は使い物にならないし、槍に付いた血は砥石じゃ取れなかった」
槍に付いた血、クシャルダオラの血は砥石では落ちず、強度を落とさないよう鍛冶屋に任せたそうだ。
「もう帰るところだったんだけど、一緒に帰るか?」
「いや、私はもう少し・・・ここに居る」
「そっか。気をつけろよな?」
「あぁ」
ルイスが家に着いて一時間ほどした頃、フレイアは帰ってきた。右手のギブスが外れている。
「おい、まだ治ってないんだからちゃんとつけとけよ」
「医者がいいといったんだ。ちゃんと動くだろう?」
そういってフレイアは手を動かして見せた。確かに骨は治っているようだ。顔を見てみるとなにやら嬉しそうな顔をしている。
「これで、墓参りに行ってもいいだろう?約束だからな」
「あぁ、そうだな。でも、それは明日だ。もう夜になるしな」
「分かった。私としてはすぐに行きたいのだが・・・」
不満そうではあったが、夜になると村の周辺は何も見えなくなる。出歩くにはあまりにも危険だった。
「ところで、夕食はまだか?」
「え?あぁ、作ろうかなって思ってたところだけど?」
「たまには私が作ろう。これでもなかなか上手いつもりだ」
そういってフレイアは台所へ向かった。ルイスはフレイアが何かを作るところは見たことがあるのはせいぜいこんがり肉程度だった。
「何作るんだ?変なもんつくんなよ?」
「嘗められたものだな・・・。まぁいい。座って待ってろ」
ピシャリとそう言われ、ルイスは素直にテーブルにつくことにした。台所から結構離れているので、調理の音はあまり聞こえない。
二、三十分すると、だんだんといい香りが漂ってくる。それはルイスの鼻をくすぐり、腹の虫を鳴かせた。
「まだか〜?」
「気の早い奴だな・・・もう少し待て」
さらに十分。もう一度声をかけようとしたとき、フレイアが料理を持って台所から出てきた。
「待たせたな。とりあえず全部運んでくる」
最初テーブルに置かれたのは底が少し深めの皿と、トマトやバジルで彩られたステーキ。
しかし、その肉は今までに嗅いだ事の無い匂いだった。アプトノスやブルファンゴにしては獣臭が無く、ケルビにしては肉が大きい。
「どうしたんだ?そんなに見て」
今度テーブルに置かれたのはマッシュポテトに細かく刻んだ野菜が入っているサラダ。ステーキばかり見ているルイスにフレイアが声をかける。
「これ、何の肉だ?見たこと無いんだけど」
「何を言っているんだ、アプトノスだぞ?珍しくもなんとも無い」
「嘘だろ?アプトノスならもっと・・・ほら、獣臭とかが」
フレイアは顎に手を当て、なにやら考えているようだった。
「まぁ、食べてから話そうか」
一言だけ言ってまた台所へ戻る。最後に出てきたのは最初の皿に盛るシチューだった。
「さあ、食べてみろ」
反対側の席に座り、ナイフとフォークを差し出してくる。ルイスはそれを受け取り、ステーキを一口大に切る。
ナイフはいたって簡単に通る。そして、それを口に運んだ。
「あっ・・・美味い・・・」
「そうだろう?」
自慢げに微笑み、フレイアも自分のステーキを食べる。二口、三口と食べているとルイスはおかしなことに気付いた。
「何か・・・少し・・・気にならないくらいなんだけどなんだけど酸っぱくないか?」
「それは柑橘類と一緒に焼いたからだ。そうすると肉は軟らかくなって臭みも消える。常識だ」
「え・・・そうなの・・・?」
フレイアは無言で頷き、食事を進める。
それを見てルイスも食べることを再開した。全ての品が上品な味付けで、十分過ぎるほど満足することが出来た。
433 :
ハート:2007/04/21(土) 22:40:34 ID:KOBMi5bl
「ご馳走様。とっても美味かったよ」
「そうか。それはよかった」
完食して、そんなことを言うとフレイアは嬉しそうに声を弾ませ、片付けを始めた。
正直、ルイスは驚いている。今までもフレイアは何でも一人前にこなせる女性だったが、ハンターの料理としては妙に繊細だ。
もしかしたら、誰かから教えてもらっていたのかもしれない。それとも産まれ持っての才能だろうか。ならばこんな不公平なことは無い。
そんなことを考えているとすでに皿を洗い終えたフレイアがテーブルに戻ってくる。カップを置き、いい香りがする紅茶を淹れていた。
「明日、行けるだろうか?」
「墓?もう歩けるみたいだし、行けるんじゃないか」
「そうか。楽しみだ」
あまり嬉しそうには見えない。だが、フレイアの目は確かに微笑んでいた。およそ8年から9年ぶりの再会だろう。
「ところで・・・ルイス」
「んっ?」
紅茶をすすりながら応える。口に含むと、それは先日のものとは違い、ハーブの香りがした。
「今夜はするのか?」
「・・・・・・は?」
沈黙。危うく口に含んだ紅茶で火傷するところだった。フレイアは両肘を突き、その上に顎を乗せている。
「治ったら、約束していただろう?今夜はしたいか?」
また、唐突なことを言い出したな・・・とルイスは思っていたが、そういえばもう2,3ヶ月していないだろうか。と思い、頷いた。
「そうか。私は風呂に入るとしよう。先に横になっててくれ」
「あぁ、わかった。」
フレイアはタオルを一枚取り、風呂へ向かった。ルイスは言われたとおり、先にベットに寝そべる。
「ふあ・・・かあぁあ〜・・・はぁ」
生欠伸。フレイアは長風呂だった。かれこれ、二時間ほど。さすがに眠くなってきたが目を擦り、なんとか意識を保つ。
「待たせたか?」
「そりゃもう・・・」
後ろから声がかかり、振り向く。風呂上り、生まれた姿のソレはほんのりと上気し、乾ききっていない髪の毛が顔に何本かついていた。
「うん、まぁいいんだけどな・・・何か来てこようって思わなかったのか?」
そんな質問をするルイスにフレイアは当然と知ったように、
「どうせ脱ぐだろう?」
と応えた。いかにも彼女らしい。
「ま、いいさ。気にする俺のほうが駄目だったかもな」
ベッドに腰掛けたフレイアをルイスが横に押し倒した。フレイアは抵抗することなく紙のように軽く倒れる。
「ん……くふ……ちゅ、ぱは……」
病み上がりなので負担をかけないように、と気をつけながら口付けをかわす。そのまま舌を這わせ、首筋を伝って行く。
「あ……そこは……」
あるところに達した時、フレイアの口からなんとも弱弱しい声がこぼれた。その場所は鎖骨の溝の部分。
「弱いのか?初めて知ったな」
そんなことを言いながら折角見つけた弱点と言うことで重点的に攻める。舐める度に身をよじり、赤くなっていく。
「そこばかり…弄るな……んあっ・・・はふ、ぁ」
指を噛みながら何とか声を殺しているようだ。そんな仕草がまたかわいい。もっと見ていたいから、移動はしない。
「き、聞いてるのか?……ふぁ!・・・んっ、くぅぅ!」
だんだんと目の端に涙が浮かび、声も出てくる。彼女の腕力なら人一人くらい簡単に投げられるだろうが、彼女は抵抗を見せなかった。
「わかったよ。たまにはいいだろ、こういうのも」
渋々、攻める場所を変える。フレイアの反応をもう少し見ていたいと言うのが本音だったが泣かせるのも悪い。
「じゃ、胸な。涙出てるぞ」
言うと、フレイアはそれに気付いていなかったのか指で擦る。見れば、すでに胸の頂にある突起は大きくなっていた。
よほどの弱点だったのだろうか。顔もすでにどこと無く緩んでいるようだった。
434 :
ハート:2007/04/21(土) 22:41:12 ID:KOBMi5bl
今度は胸に口をつけ、思いきり吸ってみたり、甘噛みをして引っ張ってみる。フレイアの体が少しだが跳ねた。
「あ……あんまり強く・・・吸うな、んぁ!ひ・・・ぱるなあ!ぁぁあ・・・くぅう、ん」
歯を食いしばって声を出さない様にしているようだが、ルイスにはその理由がわからなかった。今更喘ぎ声を隠すほどの仲でもない。
「なんで我慢してるんだ?恥ずかしいか?」
それはないだろう、ってのは置いといてルイスは聞く。フレイアの答えはこうだった。
『なんだか悔しいから』
この答えを聞いたとき、ルイスは3秒ほどフリーズした。そして、フリーズが解けると今度は無性に声を出させてやりたくなる。
そして、今度は同時に攻めることにした。上に乗るような形で、左手で胸、右手で秘所、そして見つけた弱点である鎖骨を舌で弄る。
「ふ、?あ!や、何を!ふくっ!・・・ん、はぁぁ・・・ひう、あ!」
顔を左右に振りながらフレイアは悶えた。秘所もすでに濡れていて、陰核、所謂クリトリスも固くなっていた。
「いい加減に・・・っく!して・・・んあぁ!ひうぅあぁ・・・」
そろそろ絶頂が近いのか、抵抗の声が弱くなる。ルイスはクリトリスの皮を引っ張り、直接親指と人差し指で摘み上げた。
「ひっ!だ、だめだ!ん、あああ!はぁああぁっく・・・うん・・・」
透明な愛液が勢い良く噴き出し、シーツに染みを作った。思えば優勢なのは初めてかもしれないから、愛撫でイカせることが出来なかっただけかも知れない。
「はふ・・・はぁ・・・意外と、嫌な奴だなお前は・・・」
珍しくフレイアが皮肉を口にする。しかし、顔を見れば本音ではないことなどすぐにわかる。
まだ脱力状態なので、優勢のうちに自分のモノを入り口にあてがう。このまま腰を前に出せば入る状態である。一応、そう念のため許可をとることにした。
「いいか?入れるぞ」
「ああ、大丈夫だ。来い」
ゆっくりと、キツク絞まるフレイアの中に沈めていく。フレイアは微かに震えながらそれを受け入れた。
そして、できるだけ早く腰を前後させる。久しぶりなのと、フレイアの感じてる姿を見て興奮し、長くもたない判断した。
「んあ!あ、う・・・ひうぁ・・・」
両腕を投げ出し、ほんのり顔を赤くしてフレイアが喘ぐ。淫らな水音と二人の息遣いだけが木霊する。
顔についた髪をルイスはどかし、キスをする。舌を絡め呼吸のタイミングを重ねる。
「んっむ・・・んんっぅ!んっんん・・・」
くぐもった声で喘ぎ、いっそう強く締め付けてくる。限界が来た。唇を離し、フレイアの中に溜まっていたものを出し切る。
「ん、あああぁ・・・―――」
その瞬間、ガチャリと玄関の扉が開いた。出てきたのはジャン。なんともタイミングが悪い。
「お〜い、ルイス〜、フレイア姉さ〜ん・・・おう!!?」
「……………」
この場に居る三人の沈黙。まだ繋がっているフレイアとルイス。それを見たジャン。
キィ―、、と小さな音をたててゆっくりと扉が閉まる。
「お邪魔しました〜……」
閉まりきる直前のジャンの台詞。未だに部屋は沈黙。長い沈黙のように思えたが本来は瞬き数回分くらいだろうか。
「どうしたもんかな〜・・・」
「別に婚約者なんだから問題ないだろう」
隣に仰向けになりながらそんな会話を交わす。ふと横を見ると以前リオレウスに受けたのだと言う傷跡が目に付いた。そこに触れてみる。
「なんだ?どうかしたか?」
驚いたのか、フレイアは体を振るわせた。その傷跡はほかの肌の色とは異なり、熱したナイフで焼いたような色をしている。
いや、もしかしたら本当に焼いたのかもしれない。首にまでかけてあるのだとしたら頚動脈まで達していてもおかしくないのだ。
「他の傷は消えてるのに何でこんなに残ってるんだろうなって」
「あの風は奇麗に切り裂いてくれたからな。これは抉り取られたからだろう」
「痛くないのか?」
「たまに違和感を感じるが、もう慣れたさ。傷くらいハンターにならあって当然だろう」
段々と暗くなる部屋で、ルイスは両親の事を聞いた。狩りの腕、どんな話を聞かされたか、など。
そんなことを聞いていると、ルイスはいつの間にか意識を手放していた。
435 :
ハート:2007/04/21(土) 22:57:50 ID:KOBMi5bl
>>362 続き。
次回は墓参りから入る予定。重傷者も出現予定。
ながながと失礼しました〜
GJです。
この場所にいらっしゃる神様達の続きはやく読みたいです。
GJです。
この場所にいらっしゃる神様達の続きはやく読みたいです。
(;^ω^)
GJ!
続きが楽しみだ。
…Myパソさえ…Myパソさえ潰れなければ俺も続きを投稿したいんだが…
>>435GJ!ルイスが攻めナノモイイ
>>439パソコンにぶっかけろ。もしかしたら擬人化するかもしれん
さて、そんなわけで仕方なく別パソ(俺のじゃない)を使って投稿。
あ、例によって展開が相当アレなのは勘弁してちょ。
「…着きましたよ」
そう言ったのは、ジュリオだ。
あれから、クエストに出発するために馬車に乗ったのだが、
馬車で目的地の沼地に向かう途中、エメラが寝てしまったため、こうしてジュリオが起こしているのだ。
「……む? ………着いたのか?」
「はい、ですからもう降りますよ」
「…わかった」
エメラは重い体を持ち上げ、立ち上がった。
…重い体。エメラは、鎧を装備していた。
クエストに同行するのに、何も装備がなくてはさすがに危険だと思ったジュリオが、
出発する前に加工屋に自分のお古の防具を使ってもらい、即席で武器と防具を作ってもらったのだ。
が、お古とはいえなかなか強力な装備だ。
無論、ジュリオが現在装備しているレウスSシリーズと比べれば、少し劣る。
…が、あくまでも少しだ。
なぜならエメラの装備している防具は、かなりの強化が施されているものを元にしたからだ。
…そう、エメラがまだモンスターだった頃、ジュリオが装備していたレウスシリーズを元にしているのだ。
あの少年との戦いの後、ジュリオは一から防具を作り直した。蒼火竜の素材を使った。
なので、前に装備していたレウスシリーズがちょうど残っていたのだ。
しかし、ジュリオの装備故に、当然ながら男性用のものだったので、加工屋に頼んで女性用に加工してもらったのだ。
鍛え上げた強度をほぼそのままに保って作り直してくれたので、部位によってはジュリオのレウスSシリーズよりも強力だ。
ちなみに、加工屋が無駄に気を利かせて、ペアの装備になるようにレイアシリーズ風に緑色にペイントしたのだが、ジュリオもエメラもその加工屋の粋(?)な計らいに気づいていない。
エメラはそもそも防具がどんなものか知らないし、ジュリオはレウスシリーズの女性用など見たことがないため、緑色なのが普通だと思ったからだ。
武器は軽く、防御に優れているポイズンタバルジンだ。
初級ハンターから中級ハンターにまで愛用されている、非常に使いやすい武器なので、これならエメラも
上手く扱う事が出来るだろうし、何より守りに優れていることからジュリオがこれにした。
「…今回のクエストは少々急がなければならないのは、出発前に説明しましたよね?」
「ああ…」
「ですので、このまま標的を探しに行きます」
「……わかった」
なぜか先ほどからエメラがやけに素直なのには、理由がある。
それについては、時間を少し前まで遡る必要がある。
「おや、クエストかい?」
「ええ、何かいいクエストはありませんか? できれば、なるべく危険度の低いクエストを受けたいのですが…」
ジュリオとエメラは、二人で村長の所へ来ていた。
受注するクエストを決めるためだ。
「…ん? そのお嬢ちゃんも一緒にクエストに行くのかい?」
「…『お嬢ちゃん』ではない。エメラだ」
「そうかい。…複数人でクエストを受けるなら、集会所に行くべきじゃないのかい?」
村長が『集会所』という言葉を発した途端、ジュリオは黙り込んでしまった。
…明らかに、何かを抱え込んでいるようだ。
「……そうさね。誰かを連れてクエストに行けるようになっただけで、大きな進歩さね…」
(…何があったんだ?)
それについてエメラは気になったが、ジュリオの表情からそれが楽しく語れる話ではないことは
容易に想像できる。
「……今受注できるクエストはだね……ランポス10頭の討伐と、バサルモスの狩猟、それと…」
「何ですか?」
「…いや、実はもう一つのクエストがかなり珍しい内容でねぇ…。…気になる点もあるんだよ」
そんなことを言われては、どういうことか聞かないわけにはいかなかった。
「…気になる点……とは?」
「……クエスト内容は、フルフル亜種の『捕獲』だよ」
モンスターの捕獲。
それは昔では珍しくはないクエストだった。
しかし、何年か前に捕獲したモンスターが暴れだしたなどの例が報告されてからは、
よほど重要なことでない限り、『狩猟』することとなっている。
この『狩猟』でも捕獲はして良いのだが、その場合も捕獲されたモンスターはすぐに処分…
即ち、殺される。
『狩猟』に『捕獲』という選択肢があるのは、ハンターも飛竜もボロボロの状況で、
不利なのは体の小さなハンターだというのは火を見るより明らかだ。
その不利な状況でもクエストを無事に達成できるようにするために設けられたのが、『捕獲』という選択肢だ。
が、捕獲するとモンスターはギルドが回収するため、報酬が少なくなるというのも事実だ。
それでも、命を落とすよりかははるかにましであろう。
…だがそのクエストは『捕獲』が目的のクエストだと言うのだ。
「フルフルの亜種、か…。…すみませんが、やはり危険すぎますから…」
「そうかい…。…残念だけど、まあ仕方ないね」
「…でも、なぜ『捕獲』なんですか?」
「……沼地に、現れたらしいんだよ。…雪山から姿を消した、あいつが…」
「…まさか……【黒狼鳥】……!?」
【黒狼鳥】という単語にエメラがぴくりと反応する。
「…ああ、そうだよ。…今まであいつに殺されたモンスター達の傷跡は…確かに【黒狼鳥】のものだったけど、
傷跡が妙に小さかった…。それに小さい傷跡を重ねられて死体がボロボロなもんだから、
ろくに調べることもできない…。
…でも、居たんだよ。あの【黒狼鳥】に傷を負わされて、生きていたモンスターが…」
「…それが、そのフルフルですか?」
「ああ…。ついこの前、沼地で調査をしていたギルドの連中が見つけたらしくてね…。
詳しく調べるために、捕獲してこい…というわけさ」
「なるほど…」
「…別に今こなさなければいけないわけじゃない。
でも、なるべく早い方がいいのも事実。…近いうちに、頼んでいいかい?」
「ええ、勿論…」
「今すぐ受ける」
そう言ったのはエメラだった。
「え…エメラさん…?」
「そのクエストを受けると言ったのだ」
「でも、さすがに危険…」
「言ったろう? …あいつを、思いっきり殴らなければ気が済まない、と」
そう言うエメラの目には硬い意志が感じられた。
…まあ、あまり良い意志とも言えないが。
「………絶対に、無理はしないと約束できますか?」
「……ああ」
…こうして、エメラの希望をわざわざジュリオが聞き、装備まで用意してもらい、
その上エメラを守ると言うのだから、これでジュリオを攻撃するのは
さすがに非道だとエメラも思ったのだ。
…最も、理由はそれだけではなくなってきていたが。
「…どうやら、ターゲットはすぐ側のエリアに居るみたいです」
千里眼の薬を飲み、辺りの地形をその目に写したジュリオが言う。
「…出来ることなら、ここで待っていてもらいたいですが…」
「断る」
「……危険な事だけは、しないで下さいね」
「ああ…」
少し歩いて、ベースキャンプから隣のエリアへ移動するとそれはすぐに確認できた。
真っ赤な体に、不気味に伸びた大きな首。
そして、背中に刻まれた大きな傷跡。
…間違いなく、依頼の亜種だ。
「…行きますよ!」
ジュリオが速攻でフルフルに斬りかかる。
ジュリオの攻撃で初めてその存在を知ったフルフルが、とっさに帯電を始める。
「その手は食わない!」
さすがに戦い慣れているらしく、素早く横に飛びのいて電撃を避ける。
エメラは正直、驚いていた。
自分と戦っていた時は倒す事に必死だったが、改めて見ると、ジュリオは実に強い。
自分の身の丈の数倍はある飛竜相手に圧倒的な力の差を見せ付けている。
エメラは、何も手助けできないことを内心煩わしく思っていた。
…ジュリオを手助けできないことを煩わしく思うようになったことに、本人はまだ気づいていない様子だが。
「…そろそろ、かな…」
戦いが始まってから10分ほど経とうという頃になると、フルフルも目に見えて弱ってきていた。
「隙を見て、罠を仕掛けないと…」
が、瀕死の状態の飛竜というのは実に手強いものだ。
生きるために必死なのだ。そうそう簡単に隙を見せてくれるはずもない。
…戦いを眺めているエメラは、少し辛かった。
元モンスターである彼女は、モンスターの言葉がわかるのだ。
…つまり、モンスターの悲鳴を理解できる。それは、かなりの精神的な苦痛になる。
「…今だ!」
フルフルの飛び掛りを避け、確かな隙を確認したジュリオは、そのままシビレ罠を仕掛けだした。
(………!!)
それに気づいていたのはエメラとフルフルだけだった。
…ほんの、一瞬。
何かの影がフルフルの真上を通り過ぎた。
…それが何なのか、エメラにははっきりと確認できた。
「今のは……黒狼鳥……!?」
そう、あの不気味な形を見間違えるはずもなかった。
…一瞬、通り過ぎただけだった。
が、フルフルはそれを確認した途端、急に悲鳴を上げ、暴れだした。
やはり、あの傷をつけた【黒狼鳥】が近くを通った事で恐怖心を覚えたのだろう。
…それだけで済めば良かった。
恐怖で我を失ったフルフルは、猛スピードでジュリオに向かって突進し出したのだ。
「………!?」
それにジュリオが気づいたときは、もうフルフルはジュリオの目前まで迫っていた。
「しまった……!」
「だあああああああああああ!!!」
次の瞬間に聞こえたのは、自分が吹き飛ばされる音ではなく、エメラの叫び声だった。
目を開けると、そこには剣を背中に突き刺されてもがいているフルフルだ。
無論、フルフルの背中に乗って剣を突き刺しているのは……
「……エメラさん!?」
「ごたくは後だ! こいつをその罠にはめるのだろう!?」
…そうだ。
突然の出来事にそれを忘れていた。
罠はほぼ完成していたため、最後の仕上げはものの数秒で終わった。
「…出来た!」
「よし…行けぇぇ!!」
エメラはフルフルの背から剣を抜くと、罠の方へ思い切り蹴飛ばした。
流石は元モンスター、とでも言ったところか。
フルフルはその蹴りで大きく前方へ仰け反り、そのままシビレ罠を踏んづけた。
「…さあ、これで終わりだ!」
…クエストは、成功した。
あの後、数発の麻酔玉を当てて、無事にフルフルの捕獲に成功した。
フルフルの体はギルドに回収され、二人はようやくポッケ村に帰ってきた。
「……エメラさん」
「何だ?」
「…エメラさんでは危険だから僕が守るとか言ってしまいましたが、逆に僕が守られてしまいましたね…。
…すみません。そして、ありがとうございます」
「…き…気にするな。貴様があそこで死んでは私がお前を殺せなくなるのでな」
ジュリオはクスッ、と笑うと、大きく深呼吸をした。
「さぁて…ようやく帰って来れたし、ゆっくり休みましょうか…」
…クエストの後の休息は、そう長くは続かなかった。
その日の夜の事だ。
「ジュリオさん! ジュリオさん、居るッスか!?」
トレジィの弟子がジュリオの家のドアを激しく叩いている。
「!? ど、どうしたんですか、こんな時間に…」
「大変ッス! 今、ギルドから報告が入ったんスが…ジュリオさんの捕獲したフルフルが
逃げ出したらしいッス!」
「…ええっ!?」
「しかもそれだけじゃないッス…。フルフルが向かってる先が、このポッケ村らしいんス!
今、ギルドからの連絡が届いたとこッスから、もういつ現れてもおかしくないッス!」
「…本当ですか!?」
「嘘をつく意味がないッス!!」
ジュリオは大慌てで狩りの装備に着替えると、外へ飛び出した。
「…いつ来てもおかしくないんですね?」
「そうッス。今、近くの集会所にいるハンター達に応援を頼んでるッス!」
「……もし、この村に攻め込まれたら、大変な事になる……!」
結果から言うと、フルフルは現れなかった。
いや、姿はほんの一瞬、遠くに確認できたのだ。
…が、すぐに忽然と姿を消してしまった。
こうして、フルフルのポッケ村襲撃(未遂)事件は不可解な謎を残し、あっけなく幕を閉じた。
「…何だったんだろう」
数時間の間外で立ち尽くしていたおかげで、クエストの疲れもどっと蘇り、
ジュリオはくたくたになって帰宅した。
…帰宅すると、そこにはなぜかエメラがいた。
「…どうしたんですか?」
「……!! …どうしたんですか、ではない!」
エメラはジュリオの姿を確認すると、突然に叫んだ。
「はい…?」
「どうやら、モンスターが襲撃してきそうだったらしいな…」
「ええ、そうですけど…」
「なぜ私を呼ばなかった!」
ジュリオは、状況がうまく飲み込めなかった。
疲れて帰宅したら、なぜかエメラが居て、なぜかエメラに怒鳴られている。
「…危険ですから」
「関係ない! それにあの時も貴様を助けただろう! もし貴様が死んだりしたら…」
エメラはそこまで言って、言葉を止めた。
「……? どうかしましたか…?」
「い、いや、なんでもない…」
…なぜか、エメラの顔が赤い。
「熱でもあるんですか?」
「なんでもないと言って」
「はいはいお邪魔するでぇー!」
突如、何者かがジュリオの家に入り込んできた。
それはもう、堂々と正面口から。
「…どちら様、ですか?」
初めて見る人だ。
赤いショートの髪に、銀色の瞳をした少女…
「あ! 見ぃ〜っけ!!」
少女はそう言うと、いきなりジュリオに抱きついた。
『!!??』
ジュリオのみならず、エメラまでもが声を上げる。
「いやあ〜、やっぱりポッケ村で正解やったか〜♪」
「あ、あの…どちら様、ですか…? それと、離れてほしいんですが…」
いきなり見知らぬ少女に抱きつかれ、ジュリオはかなりまごついている。
声もかなり途切れ途切れだ。
「ウチか? ああ、そうやな、わからんのも無理ないわ。でも、そちらさんと同じって言えばわかる?」
少女はエメラを指差して言った。
「え…?」
「もぉ〜、鈍感やなぁ! こないだ戦ったフルフルやよ!」
フルフル…
この間戦った…
ジュリオはしばらく、頭の中が混乱していたが、すぐにどういうことか理解できた。
エメラと同じ…すなわち、この少女も元モンスター…あのフルフルなのだ。
「え、えっと…でも、それで何でここに来ていきなりこんな抱きついてくるのか…
というかいい加減離れて…」
「ああ、説明せなアカンな! 手っ取り早く言うとな、あんさんの戦いぶりに惚れた!
そんで、あんさんはウチらモンスターの間じゃ有名なハンターやったからポッケ村に住んでたってのも
すぐわかったわ! で、近くまで飛んで来たんや!」
成程。これで先ほどのフルフル消失の謎が解けた。
つまり、ポッケ村のすぐ側で人に転生した、と言うわけだ。
それならば、あの一瞬の間の喪失にも(おそらく)説明がつく。
「ちゅーわけで嫁入りに来たんや! ウチはルヴィ言うねん!
これからよろしく頼むで、ダーリン♪」
なんとも唐突な話だ。つまりは、ジュリオの強さに惚れ、押しかけ女房に来たというわけだ。
というか、それよりもジュリオはそろそろ限界だった。先ほどから抱きつかれ、完全に沸騰してきている。
「あ、の、いい加減、離れて…」
「うおおおおおおお!!」
その時、なぜエメラが顔を赤くして叫んでいたのかは、ジュリオはさっぱりわからなかった…。
こうして、フラグクラッシャー・ルヴィが新たにジュリオの仲間に加わったのだった……
唐突なのは例のごとく。
展開早いのも例のごとく。
でも感想とかもらえると嬉しい。
ってか無駄に長ぇな、今回…。
>>449 相変わらず面白いです。続きに期待してます。
451 :
ハート:2007/04/22(日) 19:09:05 ID:xaF2em/u
>>449 GJですよ。
このさいなぜ目があるかは無視しましょうw
蒼火竜の素材ならリオソウルに・・ゴホゴホ・・・
452 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 22:46:34 ID:wkYA1VXt
>>449 フラグクラッシャーw
ひさびさココ来てよかった。GJです。
>>449ExcellentGJ!
なんというクオリティー。まさに名作。
エメラ(エメラルド)にルビィ(ルビー)ときたら次は・・・( ̄口 ̄)マジで期待してます!
455 :
ハート:2007/04/24(火) 17:28:51 ID:P/2idWtP
墓参りに行くのも、何年ぶりだろうな・・・
両親の墓に行く途中、ルイスがふと思ったことである。
『ハンターになりたくて村飛び出して、フレイアと出会って、修行して、婚約して、え〜と・・・それから・・・』
指折り数えてみる。沢山のことがありすぎて短時間では思い出しきれない。
『まぁ、七年ってところか?』
ただし今回は一人ではない。隣を見れば、ブループロミネンスの槍だけ背負ったフレイアが居る。
血は落とせたが、盾の修復が終わっておらず、もしもの時のために持って来たそうだ。
フレイアは両親のことをだいぶ尊敬しているようで、この日の朝はやけに張り切っていた。
「あとどれ位だ?もうそろそろ二時間だが」
「そこの峠の辺りだ」
言って、正面の峠を指差す。思えば、ここに来るまで大変だった。
昨日のことをジャンに見られ、村全体に電気の如く一瞬で広がり散々茶化され、質問の嵐だった。
とりあえずジャンを磔にしてきたのはフレイアには内緒だ。怒鳴られるから。
そんなことまで思い出していれば峠を越えるところまで来ていた。広い草原の入り口にそれはあった。その草原に二つの人影があるのは無視した。
「これか・・・」
年月が経ち、やや黒くなってきてはいるが壊された形跡は無い。雨風に晒されていればこうなるのは当然だ。
「久しぶり。父さん、母さん」
膝をつき、墓の近くで囁く。隣に居たフレイアは少し離れて、背を向けていた。彼女なりに気を利かせているのだろう。
ルイスとしても恥ずかしくてあまり聞かれたくは無かった。
耳につけたイヤリングを髪をどかして見えるようにする。蒼い珠は光を反射して水のように揺らいでいた。
「守りたい人が・・・できた。それは父さんたちも良く知ってると思う」
両親の最後に居合わせたフレイアだ、と言葉は続かなかった。意識しなくとも涙が頬を伝ってくる。
「情けないかな・・・墓を見に来ただけで、こんな・・・」
ここに来ると思い出される記憶が一つだけある。それはぼんやりとだが、父と母、そして自分は間違いなく存在する。
「また、しばらく来ないかもしれない。もし・・・もしも見ていたら応援してほしい。俺のハンターとしての毎日を」
立ち上がり、フレイアと交代すべく後ろを向く。
「大好きだった・・・」
「もういいのか?」
「ああ・・・」
「もう、来れないかも知れないぞ」
「あぁ・・・」
「そうか。お前が決めたなら、それでいい」
ブループロミネンスを預け、入れ違いにフレイアが墓へ向かう。ルイスを見て、おそらく察していただろうが、一応ということだ。
何を話すか、聞いてみたいところだがそれは野暮ってものだろう。
紺碧の空を見上げ、すぐに視線を戻す。草原の人影は少しだが、こちらに近づいてきていた。服装からして貴族だろう。
その瞬間、視界の端にうつったのは頭を下げたフレイア。
なにか謝罪をしているのかもしれないが、ここからでは、「私が」「でしょうか」「ただ」
と、途切れ途切れにしか聞こえない。やがて、フレイアは立ち上がっって、こちらに戻ってくる。
「もう、いいのか?」
真似をしてみる。
「私が、お前に最初に教えたことを覚えているか?」
「後悔だけはするな、だったか」
「正解だ」
それで、もう話す必要は無い。フレイアは顔を上げて笑った。
『強いな・・・』
そんなとき、第三者の足音が加わる。見れば、草原に居た貴族とその執事らしき人物だった。
まぁ、何とも例え難い模様の赤いドレスに、赤い口紅、大きな宝石のついた指輪・・・一言で言えば決していい趣味ではない。
「何か臭うと思ったら・・・ハンターが居たんですのね」
キツイ目つきで二人を睨む貴族。ハンターは金持ちから、いや、王国側から嫌われる存在だった。嫌味を言いに来ただけだろう。
456 :
ハート:2007/04/24(火) 17:30:57 ID:P/2idWtP
「ここで何をしているんですの」
「何って・?・・・」
答えようとしたところ、フレイアが左手で制した。そして小声で呟く。
「答えるな。無視だ」
無視をしていると、その貴族は益々目を眇めて続ける。
「まったく汚らしい・・・おかげで折角の休日が台無しだわ」
『そりゃどういたしまして・・・』
心の中で呟く。だが、ルイスにはハンターとしての誇りを馬鹿にされているような気がしてならない。
そんな気持ちが目に表れたのか、貴族が目敏く反応する。執事のほうは我関せず、といったかんじだ。あまり忠誠は誓っていないのか・・・
「なんですの、その目は。殺戮者のくせに!」
その瞬間、ルイスの衝動は理性と言う壁を破壊した。その衝動は叫ぶ。ぶち壊せ、と。
「てめぇ・・・」
ゆらり、と左足を一歩前に出すが、右手をフレイアに掴まれた。
『離せ、こういう奴は人間だろうが動物だろうが殴ってでも躾けねぇといけないんだ・・・』
「いいから・・・腕を下ろせ。・・・下ろすんだ・・・」
『何でだ?フレイアは何も感じないって言うのか?ここまで言われて、誇りを捨てられるって言うのか・・・』
気持ちが高ぶる。衝動を理性の壁で包み、再び押さえ込むにはその衝動をどうにかする必要がある。
「フレイア・・・お前は・・・」
振り向く。一目見た瞬間、フレイアの気持ちはわかった。
見れば、眉間に深い皺をつくり、下唇を噛み締め、振るえるほど強く手を握っている。唇と手からは血が流れ始めていた。
フレイアはルイスよりも長くハンターをやっている。四年ほど行動を共にしているが、フレイアは誇りも高かった。
ルイスよりも大きな怒りを抱えているのは火を見るより明らかだ。掴まれている腕も、今気付けば痛い。
「な、何をしようとしたんですの!!この、この・・・」
ルイスの行動と、フレイアの只ならぬ雰囲気に気圧されたのか、後退する貴族。やがて、ルイスの両親の墓に躓き、尻餅を着いた。
「痛・・・なんです!この小汚い棒切れは!」
「!!」
その貴族は、墓を蹴り飛ばし、地面から引っこ抜いてしまった。その瞬間、ルイスは腕を千切る覚悟をしたが、手は自由になった。
「えっ・・・が!??」
フレイアは全速力で距離を詰め、形のいい鼻にショートアッパーを叩き込む。吹き飛びきる前に胸倉を掴み引き寄せ、更にもう一発放つ。
鮮血が飛ぶが、執事は止めようとはせず、ルイスには止める理由も無かった。参加するのは恐ろしくてできない。それほど、フレイアは怒りに燃えている。
だが、そんな悠長な事は言っていられない。止めなければフレイアは鍛えていない貴族など赤子の手をひねるが如く、簡単に殺してしまうだろう。
そうなると厄介だった。いつ騎士が攻め込んできてもおかしくない。大事に至らない内に、ルイスは羽交い絞めにする形でフレイアを抑えた。
「おい、やめるんだ!フレイア、これ以上はまずい!」
「はぁ・・・はっは・・・ルイ、ス・・」
息を荒くしていたが、怒りは収まりつつあるようだ。貴族は、と言えば歪んだ顔で執事に怒鳴っている。聞けば騎士という単語が飛び込んだ。
「まずいな・・・さすがに騎士を相手にするのは厳しいよな・・・」
が、執事はこちらを一瞥して首を横に振った。貴族は怒鳴り、両手を振り上げながら騒いでいるがそれでも執事は首を縦に振らない。それどころか、
「大変な失礼を・・・お許しください」
謝罪の言葉と共に頭まで下げた。貴族は目を白黒させている。執事は貴族の元に戻ると一見無理やりに貴族を連れて返った。
「離してくれ・・・」
「えっ・・・あ、ああ」
「すま・・・い」
何か聞こえた気がする。だが、聞き返してもフレイアは答えなかった。
457 :
ハート:2007/04/24(火) 17:31:53 ID:P/2idWtP
それから、村まで二人は無言だった。下手に触れれば、また燃え上がる危険もあったが、それ以上にフレイアの瞳が「何も言わないでくれ」とルイスに切実と語った。
「ルイス・・・」
「ん?」
「もう一度、行ってもいいか?」
「ああ、俺は構わない」
そして、戻ってきた墓の前。変わりになるような木も無く、ただ盛り上がった地面となったそこにいた。何をするのかと思っていたが、何もせずまま三十分ほど経過する。
やがて、フレイアはブループロミネンスを持ち、切っ先を天から地へ向け両手で握った。それを地面に深々と突き刺す。
「おい、いいのか?置いてって」
「もう一度作ればいいさ・・・それと、迷惑をかけた・・・」
振り返り、ルイスを正面からフレイアは見つめる。フレイアは手を耳へと伸ばした。
「やはり、私にはこのイヤリングをする資格は無い、と思っている・・・お前には迷惑をかけるばかりだ・・・」
「え、何言ってるんだ?」
状況を上手くつかむことができない。いや、掴みたくない。頭の中ではわかっているが、精神の部分が事実を拒絶する。
「私は、もうこれ以上お前に迷惑をかけたくないんだ・・・だから・・・」
「だから、もう止めたいって事・・・か?」
ゆっくり、少しだがフレイアは頷く。ルイスにはフレイアが迷惑だったことなんて無い。だがフレイアは一人で不安になっていたのかもしれない。
そうだとしたら、ルイスはもっとフレイア自身の事を聞くべきだっただろう。些細な変化を見逃さずに。
「フレイア、俺はお前を迷惑に思ったことは一回だってない。そんなこと考えなくていい」
「ルイス・・・だが、そう感じてしまうんだ。だから、これも外すべきだと・・・思う」
そして、フレイアは黄色い珠の付いたイヤリングを握り締めた。なぜか、手を伸ばさなくても触れられる距離なのに、遠く感じる。
『違う・・・そんなの納得できない。できるはずが無い・・・俺は、どうしてほしい・・・?答えろよ!』
そんなことで自問自答する。本心の答えを導き出す。それは、こんな数分でできる事ではない。いくら冷静なときでも自分の本心を見つけるのには時間が要る。
『フレイアは何だ?好きな人?そんな軽いもんじゃないだろ!もっと、もっと・・・大事なはず、いや大事なんだ!なんで出てこない!』
フレイアの目が、微かに翳った気がした。目を瞑り、歯を食いしばる様子がわかる。
『くそっ!!役にたたねぇ!!』
体が独りでに動いた。役に立たない頭に痺れを切らしたのか、反射的行動をとる。
「!ルイス・・・?なんだ・・・」
「あ・・・いや、その・・・」
ルイスはフレイアを抱きしめていた。地形のおかげで、フレイアと同じくらいの高さに頭があり、首に乗せるような形になる。結局、言葉は詰まる。
「離してくれ・・・辛くなる・・・私に、そんなことをされる資格なんて無いんだ」
『何をいえばいい・・・いったい何を・・・資格・・・資格?』
思いついた瞬間、口が動く。考えがまとまらないうちに出たが、本心は考えるものではない。咄嗟に出るのは正直な気持ちか、根っからの嘘かどちらかしかない。
「資格なんて、無くていい・・・俺は・・・ただフレイアに居て欲しい!」
フレイアの体が一瞬反応する。ルイスからは、なぜか涙が出る。居なくなると言う虞か、それとも懇願か、はたまたそれ以外か。
「だが、私はお前に迷惑を・・・」
「だから、迷惑なんてかかってない!一緒にいたい、それだけでいいから・・・」
こんなことしか出てこない。自分の不器用さを恨みたくなるほどだった。しかしフレイアは、そんなルイスに応えてくれた。
「・・・・・・本当に、いいのか?」
「後悔するなって教えてくれたのはフレイアだぜ。俺はまだ一緒にいたい!これだけしか言えないのは情けないけど・・・本当の気持ちだから・・・」
数秒、固まっていた。フレイアは少し体を離す。やはり、だめだっただろうか?
458 :
ハート:2007/04/24(火) 17:34:35 ID:P/2idWtP
コツン・・・
ルイスの胸に、フレイアが頭を当てる。肩を震わせて、嗚咽を漏らしながら。
「だ、大丈夫か?」
「くっ……ふ……大丈夫だ・・・ただ、ただな・・・」
「ただ・・・?」
「少し・・・胸を貸して欲しい・・・」
「フレイア・・・お安い御用だ」
ちょっと笑いながら返事をする。声を抑え、涙を止めようとしてるようだがなかなかとまらない様だった。
「私が馬鹿だったな・・・あんなこと考えるなんて・・・」
「そうでもないさ」
「嘘つきだな・・・」
「そうでもない」
ルイスの袖を強く握りながら、涙を流すフレイア。泣くところを見るのも、四回目だ。けれど、
『全部、俺が原因だったよな・・・しっかりしない……いや、フレイアと二人でどうにかしよう』
「うっく……あ、あぁぁ……ふ……」
フレイアの人間としての弱い部分をルイスは見た。その姿は消えそうなくらい希薄な存在だか、ちゃんと存在する。
ずっと・・・共に歩みたい。命に代えて守りたいと思えたのは、彼方が初めてだから。
そろそろ帰ろう。村人達が式のために盛大な宴の準備をしてくれているはずだ。
だが・・・もう少しこうしているのも、悪くないだろう。
続きです。まず最初に、読みにくい部分が多々あることをお詫びしたいと思います。
ごめんなさい・・・
まぁ、またちょこっとシリアスムードですが気にしないでください。
続きます。でわでわ・・・!
ハート氏GJ!男らしい執事に惚れたよ。
この後にどんな展開がまってるのか楽しみ
ハートさん、もうあなたの作品には文句のつけようがないです。これからも期待してます。
おなじみにGJ!
>>459と同じく、男らしい執事に惚れた
擬人化するとなると・・・
弱ったところを罠にはめられ、麻酔玉ぶつけられて眠らされ捕われてしまう
モンスターにエロスを感じる。
例:密林6(泉がある洞窟)で捕獲されるクック
「眠っちゃダメ・・・眠っちゃ・・・。でも、体が重い・・・泉が暖かい。
気持ちいいよ・・・。眠っちゃ・・あ・・・。」
てな感じで。あの泉は温泉だと勝手に思い込んでます。
>>462 「?」
俺は目を疑った。捕まえたはずのクックがいない。
それどころか、淡い赤色ショートカットの可愛らしいおんにゃのこが全裸で罠に嵌まっているではないか。しかもプリンとしたお尻をつきだすように
「ううっ…酷いよ…ただ君を追っかけてただけなのにぃ…」
「お、俺?」
頭の螺が吹っ飛んでんじゃねえか?
そう思った俺だが、既に行動は終了しており、俺はその桃尻にレウスフォールドから抜き出した龍刀をあてがった。
「ひゃっ…!そんな…まだ心の準備ができてないよぉ」
「で、でも俺…こんな悩ましげなお尻を見たら」
むにゅっとした感触が手に伝わる。なんて柔らかい尻なんだ。
「う〜…仕方ないんだからね。はぢめてなんだから優しくして」
「あ、ああ…優しくするよ」
頬を膨らませて、口元を緩ませる女の子
俺はそんな彼女に心奪われて、渾身の一撃を
「んなわきゃねーだろーがぁ!」
「アッーー!」
龍刀に込めてクックの穴を突き刺した。
>>463ワロスw
そしてモンハンの同人誌が出ていた事にようやく気付く俺orz
30日からメロンととらで委託するらしいから通販や店頭で買えばいいと思うんだ。
携帯ゲー板あたりでうpろだのアドレスを無差別爆撃した阿呆もいたみたいだけど。
467 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/27(金) 01:13:37 ID:znazFQCZ
30日にでるらしいな
>>463 プチワロスw
男は皆老いも若きも皆ガンランスを持っている。
ただ性能が良いからと言って多用されるとは限らないが・・・
《切れ味が落ちてきたようだ》
構えから発射までが異様に速いくせして
冷却時間長すぎて連続使用できないワケだな?
人によっては獲物の長さが
片手剣成
長さ:双剣並み。
冷却時間:並
発射速度:非常に速い
こうですか?わかりません><
まさに乱舞の如し
なにこの流れ
何かエロパロというより下ネタスレになってきてるなw
何かエロパロというより下ネタスレになってきてるなw
何かエロパロというより下ネタスレになってきてるなw
何かエロパロというより下ネタスレになってきてるなww
何回同じ事書き込みすんの?
480 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 21:18:07 ID:i+c8EHAi
何故か全員違うやつらだし
ただの荒らしだ。気にしなくて言いと思う。それより職人さんの作品を待ちます。
最近の子はがつんも知らんのか…
【そこをガツンだ】(そこをがつんだ)
週刊少年チャンピオンで連載された「TWO突風」のライバルグループの連携会話。
「突っ込んでくる」
「突っ込んでくる」
「突っ込んでくる」
「そう、突っ込んでくる」
「そこをガツンだ!!」
この連携会話が読者に受けたのかネタとして使われるのだが、
いかんせん元ネタの漫画がマイナーなためかあまり知られていない。
黒龍マダー?
おくるー様のはいずりならぬパイズリ希望
凄い乳圧で一撃で逝っちゃうわけだな?
488 :
ハート:2007/04/29(日) 20:28:57 ID:aOJk72ZM
今日のフレイアは妙に忙しそうだった。村と家を何度と無く往復して、荷物を運んでいる。
方やルイスは二日酔いで活発に動く気に離れなかった。その説明には昨日のことを話す必要もある。
「お、やっと帰ってきやがったな。こっちはもう準備万端だぜ?」
「いろいろあったんだよ。それにしても、また豪華だな・・・」
辺りを見回せば、村人全員で出迎えてくれていた。村の中心にはキャンプファイヤーでもするのか組み上げられた木々。
右を向けば人一人分ほどもある高さの大ダルに入った大量の酒。各家のテーブルも外に出し、鼻をくすぐる匂いが立ち込めていた。
「そうだろ〜!これも一重に俺様のおかげってわけだ!」
胸をそらし、威張ったようなポーズをするジャンは放って置いて、ルイスはフレイアに目を向ける。
「これは、凄いな・・・」
フレイアも驚いているようだ。二人してキョロキョロしていると数人の女性達が両手にビールジョッキを持って手渡して回っている。
「あ、どうも」
「すまないな」
頭を下げるルイスと微笑むフレイア。噛み合っていない二人ではあるが誰も気にしなかった。
「さぁ、全員そろってるな?乾杯と行こう!せ〜の・・・」
「かんぱ〜いっ」 「乾杯っ!!」 「乾杯」
同時に、木々に灯がともり、辺りを明るくする。黄金に輝く酒をフレイアは一気に飲み干し、早速おかわりをもらっていた。
「ルイス、おめでとさん」
「悔しいけど嬉しいぜ。がんばってな」
「嫁さん泣かすなよ!」
フレイアと料理や、酒を飲みながら回っていると様々な声をかけられる。フレイアは大して気にすることも無く食事を楽しんでいた。
『悪いなおっちゃん、もう泣かせた後だ・・・』
そんなことをルイスは思う。よくよく見れば、すでに頬を赤くして歌を歌ってる者もいた。
明るいテンポの曲で、歌にしては歌詞も無く、単調な言葉をリズムに乗せているだけだったが。
「なかなかいい感じの宴だな。料理も旨い」
左手に持った骨付きリブを食べながらフレイアは言う。そう、これはどちらかと言えば「宴」だ。
「式って言ってるのはあいつくらいだろ?俺たちは俺たちで勝手に楽しんで回ればいいさ」
「ふふ、そうだな」
食べ終えた骨を別の皿に置いてまた歩き出す。今度は余興として腕相撲をしているのもいた。
「どうだい姉ちゃん?やってみないか?」
「ん、私は強いぞ。何か賭けるか?」
「そうだな・・・ノーレートでいいだろ。祝いの席だしな」
『命知らずな・・・』
ルイスは止めることをせず、観戦する側に回った。思ったとおり、連戦連勝。手加減したのか負傷者は出なかった。
「こりゃ敵わねぇな・・・たまげたぜ」
おっちゃん達に軽く手を振りながら次を目指す。こんな感じで六時間ほど過ぎた。
489 :
ハート:2007/04/29(日) 20:30:43 ID:aOJk72ZM
で、目覚めたのが今から数分前。忙しそうなフレイアが何をしているかといえば、ルイスにはわからない。
フレイアに聞くため外に出てみると太陽の光が目に沁みる。目が覚めて一番最初に目についたのは黒い煙を上げる工房だった。
「珍しいな?客でも来たのか?」
金属音が響く中、店員に聞いてみる。すると見慣れた女性が奥から出てきた。
「やっと起きたのか。残念だが食事を作ってやる時間は無いんだ」
「煤にまみれて何やってんだ?顔に付いてるぞ」
「ブループロミネンスを作り直しているんだ。工房に協力してもらってな」
ぐい、と袖で顔を拭いたが結果としては広がっただけだった。
見学させてもらうと、ほとんど完成していた。後は発火能力を持たせるだけだそうだ。
「後二時間くらいで終わるが・・・街に戻る準備でもしていればいいんじゃないか?」
「そうだな。荷物の整理でもするか・・・」
そしてルイスは工房を後にする。木枯らしが吹く季節、工房は暑いくらいだった。家に戻り、自分の荷物を取り出す。
「って、言ってもたいしたもん無いけど・・・着替えくらいなんじゃないか?」
独り言を言いながらも一応進める。出発は明日と話し合った決め、村の全員にも挨拶は済ませた。
クローゼットをあさっていると、妙に小さい服を見つけた。それはルイスの子供の頃の服だった。
「嫌なもん見つけちまったな・・・」
そのままクローゼットを閉じ、違うところに目を転じれば、窓辺で光るものがある。
「これだけは忘れるわけにいかないし、最初から掛けておくかな」
銀色に輝く一枚の鱗。フレイアに出会った後、金、銀火竜の討伐後フレイアがくれた物だ。
過去の記憶を本の様に読み返す、こんなことをしているうちにフレイアが帰ってきた。ブループロミネンスを背負って。
「おかえり。結構かかったんだな?」
「あぁ、火力を上げるのに手間取ってな。荷物の整理はできたか?」
「服くらいだけどな。お前はいいのか?」
そんなことを聞くと、フレイアは呆れた様子で、
「私が武器と鎧以外持ってきたか?」
といった。
「そういえば、そうだったな」
「私は一足先に風呂を使わせてもらうぞ。汗もかいたしな」
その間、暇になったルイスはブループロミネンスを手に取り、刀身を延ばしてみた。
鉄を擦り合わせる音と、火が吹き出る音が響き、火の回りの空気が揺らぐ。
ブループロミネンスは思ったより軽く、背負っても負担になる重さでもなかった。
槍と盾を元の場所に戻し、今度は自分の武器を手に取る。フレイアに大剣を勧められ二年使ってきた鬼斬破。
ずしり、と重く、それは安心するところでもあり、回避や移動には不便なところだった。
『俺も、何か自分専用って感じにしてみたい気もするよな・・・』
ルイスとしては、もっと軽く、握ったときしっくり来るものが望みだった。前者は無理といわれ、後者は時間がかかる。
フレイアが風呂から上がったので、入れ違いにルイスが入る。体と頭を一通り洗って風呂から出る。フレイアはすでにベッドで寝ていた。
『少し、悪戯でもしてやるか・・・』
妙に子供っぽいことが頭をよぎり、ルイスは顔をゆっくりとフレイアの顔へ近づける。
もう少しで触れるというとき、フレイアがうっすらと目を開けた。驚く様子もなく、フレイアは目を細める。
「何をしているんだ?」
「うわっ!な、なんでも、なんでもない!」
逆に驚かされる始末だった。フレイアは起き上がり、顎に指を当ててなにやら考えているようだった。
「したいならしたいと言えばいいだろう?態々回りくどい事しなくてもいい」
「いや、疲れてるかなと思って・・・」
悪戯したかったなんていったら何されるかわからないので誤魔化す。フレイアは別に気にした様子もなく、
「少しならいいさ。明日に響かない程度なら、な」
「じゃ、じゃあお願いしようかな・・・」
最初の目的とは違うが、別に悪い気はしないのでそういうことにする。
490 :
ハート:2007/04/29(日) 20:31:23 ID:aOJk72ZM
服を脱いで、ベッドの上に乗る。普段なら一度キスをするのだが、フレイアはいきなりルイスのものを掴み、頭を沈めた。
「何して、うあ。何してるんだ・・・」
「見れば分かるだろう?舐めているんだ。痛いか?」
言いながら下を這わせ、亀頭の回りを舐める。繰り返し、鈴口を狙い舌を左右に動かす。ルイスの腰はすでに軽く浮いていた。
「い、いや、気持ちいいけど・・・ん、もう出そう・・・」
「わかった・・・なら最後に」
フレイアはルイスの男根を深くまで咥え、強く吸い付く。ルイスはそのままフレイアの口の中に射精した。
「ん・・・ちゅ・・・ふふ、結構出たな」
口の端から少量垂らしながら飲み込んだ。フレイアはそのまま座ったルイスの足の上に乗るような形で自分から入れようとする。
「出したばっかなんだけど・・・休憩も無しか・・・あっく、、」
「まだまだ若いだろう・・・くぅ、、十分硬いじゃないか。ん、ふぅ・・・」
首に手を回して、フレイアが上下に動き始める。
フレイアの胸が当たり、柔らかい感触が伝わる。首筋にはフレイアの吐息がかかり、何とも官能的だった。
「ん、はぁ・・・く・・んん、、」
激しく上下に動けない分、フレイアは横にも動いたり、円を書くように動いたりと、様々な動きをした。
そのたびにルイスは呻き声を上げる。フレイアはそれを聞くと嬉しそうに笑う。
「そろそろ・・・出るぞ、」
「そのままで、いい・・・あぅ、ふ・・・出せ」
「出すぞ!」
「ん、ああぁ!は、ふぅ・・・」
二人同時に軽く痙攣し、果てた。ルイスの記憶は、また途切れる。目を覚ましたときは裸で、フレイアはもう準備万端といった感じだった。
「なんで起こさなかったんだ・・・?」
「気持ちよさそうに寝てたんでな。もうすぐ馬車が来るぞ、急げ」
「あぁ・・・あれ、そのコートどうしたんだ?」
フレイアのコートはクシャルダオラのブレスの直撃を受けてボロボロになった。
よく見ればそのコートの袖口や、裾には金色の糸で小さな修飾がしてあり、別のものとわかった。
「クローゼットの中にあったんだが・・・もらっていいだろうか?」
「ああ、全然問題ない。多分母さんのだろ」
身支度を整え、外に出るとジャンが腕を組んで立っていた。顔には複雑な表情を浮かべている。
「もう行くんだな?」
「あぁ。もうすぐ馬車が来る」
「また帰ってこいよ、お前の・・・ん、二人の家はここだからな!」
「もちろんだ!また馬鹿な話でもしよう」
「色々と世話になったな」
満面の笑みを浮かべ、送り出してくれた親友だった。フレイアが目だけをこちらに向けて言った。
「いい友人を持っているな・・・」
「そうかもな」
馬車が到着して二人で乗り込む。どうやら二人先客がいるようだ。しかも、二人ともハンターだった。
一人は・・・ランポス装備の形状的に男だ。やけにビクついているが、ハンターに向いてないんじゃないだろうか。
もう一人は、といえばどうやら睡眠中のようだ。スレンダーだが顔を見た限り女性だ。
装備はカンタロスの素材から成るタロスシリーズだ。武器はこちらから確認することはできない。
491 :
ハート:2007/04/29(日) 20:33:42 ID:aOJk72ZM
「ギャアァァァアア!!」
「うわぁあ!!」
出発して数時間、ルイスがうとうとし始めたとき、一つの叫び声が上がった。その後に聞こえたのはおそらく運転手の悲鳴。
「なんだ!?」
転寝気分から一気に頭を覚醒させる。フレイアは既にブループロミネンスを背負い、外の様子を確認していた。雨が降っているようだ。
「ドスランポスとランポスの群れだな・・・数は20、いや30といったところか」
「結構な数だな・・・同時に来られるとやばいかもな・・・」
ふと目をやれば少年ハンターのほうは何が起きたかわからない様子で挙動不審に首を振っている。女のほうは動く気配が無い。寝ている。
「俺等でやるしかないな・・・どうする、せーのでいいか?」
「互いにカバーできる距離を保とう。離れすぎるな」
「オッケー。せーの!!」
同時に馬車を飛び出す。即座に大量のランポスが鳴く。
ドスランポスが来る前に多くを片付けるのが得策だ。長いリーチを利用して薙ぎ払う。首が離れたもの、胸が裂けたのもいる。
フレイアのほうは一気に2,3匹を貫き、一瞬で炭素の塊に変えていく。数はドンドン減っていった。
「うわあぁ!」
「はっ?!」
いつの間にか少年のほうは逃げようとしたのか外に出ていた。生憎、ドスランポスと二頭のランポスに囲まれている。
「まずいんじゃないか・・・?」
「奴もハンターだろ。自分の身も守れないようなら駄目って事だ」
武器も抜かず、尻餅をついて這って逃げるだけという情けない姿を晒していた。
好機と見た三匹のランポスが跳びかかる。
瞬間、空を切る甲高い音が響く。音の発生源は三匹のランポスを一気に貫通し、射落とす。
「えっ・・?う、うわあぁ!・・・」
少年はパニック状態で、逃げていった。フレイアとルイスはリーダーを失った残党を片付ける。陣形の乱れた敵はあっという間に消えた。
「ところで・・・さっきのはなんだ?」
「そうだな・・・ん、これか・・・?」
ルイスが辺りを警戒していると、フレイアが木にめり込んだ何かを見つけた。
「飛んで来たにしても・・・ボウガンの弾じゃないよな・・・見たこと無いぜ」
「そうだな・・・遠距離武器なのは間違いないが。おそらく女のほうの武器だろう。居なくなっているしな」
フレイアが持っているそれは木の棒の先に鉄の刃を着けた細長いものだった。ランポスを殺した証拠に血がベットリと付いている。
「ここからなら、街のほうが近いな。歩こう」
「わかった」
フレイアが返事をして、棒のような武器を圧し折る。ランポスを貫通したそれは、驚くほど簡単に折れた。
馬も運転手も死んでいたので歩くしかない。二人は雨の中細心の注意をはらい、街へと向かった。
途中、女のハンターを発見することは無かった。
>>458 の続き。まぁ、新キャラ登場の前フリみたいなもんです。
長くなりましたね、失礼しました〜
492 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/29(日) 23:52:34 ID:f1/C5gbT
>>491 GJ!!新キャラ・・・+新武器の登場、続きがめっちゃ気になります。
493 :
葵:2007/04/30(月) 00:17:54 ID:wZC7wVA9
とりあえずGJ!!
俺的に擬人キリン♀&擬人赤フル♀に
迷い込んだ新米ハンターが色々教わるのキボン。。。
スルーしてくれても結構
GJ!
新キャラじゃとぅ!?
次回が実に楽しみですなぁ…。
495 :
ミラっち:2007/04/30(月) 22:44:38 ID:10GF6KyK
えー。前に紅ハーフと黒書くと言ったものですが、気がつけば祖ハーフと黒になってました。
では序盤を投下。
496 :
ミラっち:2007/04/30(月) 22:46:19 ID:10GF6KyK
【押しかけ黒龍】
何故、こんな分の悪すぎる依頼について来てしまったのだろう。
幾度とない飛竜と古龍を葬ってきた青年の龍刀【朧火】でさえ、致命傷を与える事が出来ない。
「ミ、ミラルさん…こんなのって…」
本当にこの世の者なの?夢なら早く覚めて欲しいと思いながら、毛先に緩やかなウェーブのかかった栗毛色の少女が、小刻みに震えながら青年の名を呼ぶ。
「はぁ…もうシルバーソルメイルも使えないな」
ミラルと呼ばれた青年は、特徴的な白と黒が綯い交ぜになった長髪を掻き上げ、汗でずれそうになる独特な眼鏡の位置を直す。
山と見間違えるほどの巨龍、老山龍を討伐したことがある。あれはあれで脅威であったが、対峙している龍の存在はそれ以上のものであった。
龍の名は、黒龍ミラボレアス。
硬質な鋼すら凌駕する鱗と甲殻、悪魔を連想させる翼、天に鋭く生える4本の角、そして、亜竜には無い誇り高き純粋な竜の顔。
伝説とまで称された古龍は、黄金の双眸でミラルを凝視する。
冷たいものが背筋を通る感じが襲ってくる。小さい頃から祖父のように慕ってきた村長に聞かされた、黒龍の伝承はまんざらでもないようだ。
龍への恐怖心を克服できぬ者は、ミラボレアスの邪眼の力の前に狂死する。疑っていた村長の言葉が確信へと変わる。
「リーシェ」
「?」
「奴の眼はまだ見ていないよな?もう一度言うが、絶対に眼を合わせるな」
忠告だった。 小さい頃からの幼馴染にして、少し生活にだらしない村長の孫娘である彼女は、祖父を反面教師とした、しっかりとした娘である。
だが、まだ17歳である。肉体的にも精神的にも幼い部分が残っている。
それに彼女は決してタフではない。寧ろ、ハンターの体格とは程遠い可憐な容姿と身体つきの彼女である。黒龍の眼光に耐えられはしないだろう。
「分かったか?」
「う、うん!大丈夫です!」
少しでも不安を和らげてやりたい気持ちからか、ミラルは横顔で微笑を浮かべると、強張ってるリーシェも小さな唇を緩めて頷く。
497 :
ミラっち:2007/04/30(月) 22:47:01 ID:10GF6KyK
「でも、どうするんですか?私達の武器じゃ決定的な攻撃は…」
「分かってる。だが、攻撃が効いていないわけではない…そこでだ」
単に決定的なダメージが与えられないだけであって、黒龍自体には傷をつけることは出来る。
その証拠に、黒龍のあちこちでは鱗が剥げていたり、少量ではあるが血がポタポタと垂れている。
ならば、傷口に塩を塗るように、急所近くの傷を集中して攻撃するしか手はない。
「リーシェ。俺が囮になる」
「え?」
「ミラボレアスは何とか引きつけておく、だから、君はギルドに援護要請を申し込みに行ってほしい」
それしかないとリーシェに言う。とてもじゃないが、二人では歯が立たないと判断した結果であった。
「そ、そんな!それじゃあ、ミラルさんは!」
「俺は気にしなくていい!それよりも村長に伝えるんだ!ギルドの援護が必要になったと!」
ミラルが強めに言う。だが、ミラルが心配で仕方ないリーシェは、迷いの表情でチラチラとミラルを見ていた。
「なに、何とかなるさ」
リーシェの小さなお尻を、手でポンと叩くと、構えている龍刀【朧火】の剣先を黒龍に向けて走るミラル。
「ちょ!ちょっと!どこ触ってるんですか!…もうっ!」
一応女性なのにと、ミラルのデリカリーのない行動に、頬をぷくっと膨らませて不満を表すリーシェだが、一分一秒を争う今はそれを我慢し、踵を返すとベースキャンプへと走っていく。
ミラルは、その様子を走りながら横目で確認すると、直ぐに視点を黒龍へと向けた。
「これで一安心だ…」
顔を引き締め、龍刀【朧火】の柄を強く握り、黒龍の懐を目指す。とにかく黒龍の気をリーシェから逸らす事が第一の目的である。
その為には生半可な囮では意味が無い。自分が全てを投げ出して、死ぬ覚悟で黒龍を引きつけなければならないが、ミラルにはそれが大して重要ではなかった。
元々、自分の命など黒龍を目にしてから無いものと感じていた。覇竜、老山龍…人の尺度では計り知れない竜を討伐したが、黒龍はその中でも群を抜いている。
実の所、ギルドに援護要請を頼んでも、ここに来ることはないとミラルは知っていた。
黒龍の出現により、各地での古龍の活動は激しさを増した為、熟練ハンターや達人ハンターは討伐へと出払っているからだ。
だからといって、新人ハンターを黒龍討伐に向かわせるのは、いたずらに死者を出すだけである。
「多分、身体は残らないが、一応墓だけは作ってくれな」
誰に言う訳でもないが、ポツリと言葉を漏らす。
自分は死ぬ、捨て駒だ。だが、今まで兄妹のように育ったリーシェだけは、捨て駒にはしたくはない、巻き込みたくない。
叫びを上げた。身体が止まらなかった。強敵相手に心が躍っているのだろう。死に逝くようなものなのに、嬉しさだけが込みあがってくる。
498 :
ミラっち:2007/04/30(月) 22:49:29 ID:10GF6KyK
黒龍は動かない。長い首の先にある顔をこちらに向ける以外は。
「そうだ。それでいい!」
光栄だった。黒龍が面と向かって、こちらの覚悟を受け止めてくれるように首を伸ばしてくれたことが。
握っていた刀が振り上げられる。黒龍は顎を地面につけて、こちらを一向に見つめ続ける。
一撃。それだけを考えた。回避などいらない。どうせ死ぬからだ。
ただ、黒龍に龍刀を突き刺す事だけを。ここで刺し違えて終わりにする。ハンターとしての自分を、黒龍の命を。
距離はもうない。相変わらずこちらを見つめたまま動かない黒龍だが、酷悪な口がミラルに向けて開かれた。
ブレスか…。鉄すらも一瞬で溶解させる黒龍弾の威力を受ければ、ミラルは塵となって消えるだろう。
しかし、ミラルは動きを止めず、黒龍の目の前まで駈けると、逆手に龍刀を持ち替えて剣先を下に向ける。
黒龍を捉えた。ミラルは口元を吊り上げ、ニヤリと不敵な笑みを浮かべると、一気に龍刀の先を黒龍の鼻先に突き立てた。
「殺った!」
「ふふ…何もお変わりありませんね。ミラル様」
「何…!?」
不意に聞こえた声に、刃の先が黒龍の鼻先の数センチ前で、空気を振動させる音を立てながら止まった。
いる筈の無い人の声がした。ミラルは耳を疑った。今確かに自分の名を誰かが呼んだ。
「誰だ!?」
目の前に黒龍がいるのにも関わらず、ミラルは辺りを見回すが、人どころか影すらない。
「どうかしましたか?ミラル様」
「!?」
また聞こえる。それも近くからだ。
「いい加減にするんだ!どこにいる!出て来い!」
すっかり黒龍との戦いを忘れ、声の主が気になって仕方ないミラル。怒張しながら叫ぶが、その姿を確認する事は出来ない。
「もしかすると、さきほどからわたくしに向かって怒鳴っているのですか?」
「そうだ!どこにいる!」
「どこにいるって…あの…最初からここにいるのですが…」
「さ、最初から?」
「はい。わたくしが飛んできて、ミラル様が武器を構えてからですが?」
飛んできた?武器を構えてから?何を言っているんだ?ミラルは思った。それではまるで今まで殺し合いをしていた。
「黒龍じゃないか…」
499 :
ミラっち:2007/04/30(月) 22:50:12 ID:10GF6KyK
「嫌です。そんな呼び方。昔みたいにラミって呼んでくださいませんか?」
「う…うわぁあぁあああぁー!」
ミラルの左眼がはっきりと、黒龍の口がパクパクしているのを焼き付けた。
あまりにも信じられない出来事に、ミラルは今までにない情けない絶叫を上げながら、黒龍を背に猛ダッシュで逃げていく。
「あ、ミラル様!何処へ!」
「ぎにゃああー!こっちに来るんじゃない!」
「そう言われましても!」
「五月蝿い!追っかけてくるな!」
異様な光景だった。まるで、じゃれつく大きな犬とそれに怖がっている近所の子供のスケールを大きくしたような。
「はぁ、はぁ…!」
息が切れた。全力疾走をしたのだ。もうスタミナも残ってはいない。ミラルは膝に手をついて肩で息をしている。
死が怖いんじゃなかった。黒龍が喋ったことに気が動転してしまい、思わず逃げ出したくなったのだ。
「ミラル様」
ふと、今度は真上から名前を呼ばれた気がした。瞬間、もの凄い突風がミラルの背後を押すように吹き荒れた。
「お、おいおい…冗談じゃないぞ…」
上空を見上げる。すると、城門よりも遥か高い位置に、黒龍は陣取っていた。
「わたくしには翼があります。逃げられるとでも思いましたか?」
「ああ…だが、もう終わりだな」
禍々しい空が視界から消える。左眼に映るのは次第に大きくなっていく黒龍の腹部だけ。
舞い降りる黒龍から視線を背け俯く。もう抵抗する力もなく、最後くらいは潔く死のうと、ミラルは大の字になって倒れ込んだ。
「さぁ、落ちて来い。そのまま踏み潰してくれ」
「ええ、そうさせて頂きます」
黒龍はそう言うと、股の間にミラルを置くようにして、浮いていた脚を地面につける。
踏み殺されるのか?それとも腹部で圧死させられるのか?今となってはそんなこと、ミラルにはどうでも良かった。
「準備は出来ましたか?」
「ああ…」
「分かりました。では…」
眼を瞑った。何かが落ちてくる威圧を感じる。さよなら…リーシェ。とミラルは小さく呟いた。
500 :
ミラっち:2007/04/30(月) 22:50:51 ID:10GF6KyK
黒龍討伐の翌朝。小さな村の一角にある小さな家では、青年が何かにうなされながら眼を開けた。
「うぅ…」
ミラルであった。だが、その寝起きの顔はとても穏やかではなく、疲れが最高潮から抜けきってない様子である。
「う?」
「おはようございます。ミラル様」
「うぉっ!」
昨日は散々な目に遭った。討伐は果たせなかったわ、黒龍は喋るわ、死にそうになったわで。
更には、人間の娘の姿になった黒龍が、ミラルの家に住み着くことになったりと、とにかくやたら大変な一日だった。
「ば、馬鹿!添い寝なんかするんじゃない!ベッド貸しただろ!」
「…夫となる貴方様を床で寝せるなど、わたくしには出来ません」
「夫ってなぁ…。いつ?誰が?そんなことを決めた!つか!服を着ろ!服を!」
「え?あ!」
「全く…!」
「そうは申されましても…リーシェさんの服はわたくしには小さすぎて…」
おまけに勝手に許婚の間柄と言い、ミラルから決して離れようとはしない。
「はぁ…最悪だ」
昨日の事を思い出すと寒気がする。
踏み潰されそうになった瞬間、黒龍が咆哮を上げ、半壊したシルバーソルメイルを砕かれたと思ったら、シャツ越しに柔らかい何かを感じた。
死んだはずなのにと、不思議に思ったミラルが、閉じていた目を開けると、そこには全裸でこちらを見つめている女性がいるではないか。
腰まで伸びた漆黒の髪をポニーテールで纏め、顔は美しい成熟した大人の顔。見る限りでは身体も立派に育っており、リーシェとは比べ物にならないくらいグラマーであった。
そして、何よりも彼女を印象付けるのが、ミラルを見つめて放さない黄金の双眸だった。
それはまさしく黒龍のものと瓜二つであり、一瞬でこの女性が黒龍だと認識させるほどであった。
「ミラル様、お元気がないようですが…」
「君の所為だろ!君の!」
「も、申し訳ありません」
「うっ…はぁ」
ミラルに怒鳴られると、正座をしてちょこんと頭を下げる黒龍の女性。その姿が愛らしく思ってしまったミラルは、顔をしかめてまた大きな溜息をつく。
501 :
ミラっち:2007/04/30(月) 22:51:48 ID:10GF6KyK
「と、とにかく、君は黒龍なんだ。早く仲間の所に帰ったほうがいい」
「え?何故ですか?」
「何故ですかって…俺は人間だぞ?黒龍と添い遂げるどころか、普通の暮らしが出来るわけがないだろ?」
もっともな答えである。いくら彼女が人間の姿になっているとしても、中身はあの恐ろしい黒龍だ。
ましてや、あれほどの力を持った龍が、ちっぽけな人間である自分に、娶って欲しいというのはどう考えてもおかしかった。
「で、ですが…わたくしは」
「俺に惚れたか?冗談は止してくれ。第一、人間の俺の何所が良いんだ?そりゃあ、まぁ、顔は美形な方だと思うけど…」
「い、いえ。顔とかではなく、ミラル様の全てに好意を持っておりまして…」
合わせた両手の人差し指を、ツンツンとしながら、顔を赤く染める黒龍。
黒龍だと分かっていても、またもそのいじらしい姿に、ミラルも顔が赤くなっていく。
「(ば、馬鹿か俺!相手は黒龍だぞ!伝説の、災厄の象徴だぞ!)」
変な気持ちがミラルを翻弄し、余計に顔を熱くさせる。
「(し、しかし、美人だな…。まだ会って間もないけど、性格も悪くないし、何よりも美しさの中に、隠れた可愛さがあるっていうのが、男の中の獣の嗜虐心をくすぐって…)」
「あ、あの…ミラル様?」
「(それにスタイルが良すぎ…と、特に胸と尻が凄すぎる…反則的だ)」
貸したシャツの上からでも、巨乳と分かってしまう程の大きな膨らみと、リーシェが嫌々貸したスパッツが、、ピチピチになるほどに、大きな白桃を思わせる程の美しいラインを描いたお尻が、ミラルの両目を捉えて離さなかった。
村にいる数少ない若い女性でも、これほどまでに男を喜ばせそうな身体をしている人はいない。
「ミラル様?さきほどからわたくしを見て、何を考えておられるのですか?」
「はっ!」
キョトンとした顔でこちらを覗き込む黒龍に気づき、悶々とした我から自我を取り戻したミラル。
顔はより一層赤くなっており、心臓の鼓動が速くなっていた。
「(だ、駄目だ!この黒龍といると頭がおかしくなる!)」
自分が毒されてしまうと危機感を感じたミラルは、天井から吊るしてあった洗濯物の中から、乾いたタオルを取ると、キッチンの方へと足を運んだ。
「…ちょ、ちょっと、顔洗ってくる」
「そうですか。それでは、わたくしは洗濯物を畳んでおきますね」
「あ、ああ…」
ミラルは、思わず了承の言葉を口にしてしまった。動揺していたこともあるが、それよりも献身的な黒龍の行為を断れなかった。
502 :
ミラっち:2007/04/30(月) 22:52:18 ID:10GF6KyK
「おはようございますニャ!ご主人」
「ああ、おはよう」
キッチンへ入るなり、せっせと掃除をしている給仕アイルーのリンリンと、朝の挨拶を交わす。
「あれ?ご主人。今日は眼鏡をかけないのですかニャ?」
「ん?あれ、俺、いつ外したんだ?」
いつもは寝る時も外さない、右眼を塞ぐ特殊な眼鏡が無いことを、リンリンに指摘される。
「久しぶりに見るけど、ご主人の右眼はやっぱり綺麗なのニャ!」
「そうかぁ?真っ赤で気持ち悪くないか?」
「そんなことないニャ!宝石みたいにキラキラしてて吸い込まれそうニャ!」
リンリンは掃除の手を止めて、ミラルの右眼をジーッと見つめてきた。そんなリンリンの頭をクシャクシャと撫でると、嬉しそうにじゃれてくる。
「それにしてもご主人も罪な男ニャ。リンリンがいるのに女性を連れ込んで」
「お前は獣人だ」
「ニャ!?偏見ニャ!差別ニャ!リンリンほどご主人を心配してる雌はいないニャ!」
「はいはい。それは凄く嬉しいな」
リンリンの言葉を流すようにして、洗面所に向かうミラル。それが気に入らなかったのか、地団駄を踏んで怒りを表すリンリン。
「ニャニャニャ!聞き流さないで聞いてほしいニャ!それにリンリンとご主人の出会いは運命なのニャ!赤い糸で結ばれてるのニャ!そう、あれは3年前ニャ…まだ雄を知らなかったリンリンがリオレウスに…」
「間違って樽爆ぶっつけて追っかけられてた。もう何回も聞いたし、未だに雄なんか知ってないだろ」
両手に汲んだ水を顔に浸して、思い出し笑いをするミラル。あの時のリンリンの慌てっぷりは、今になっても鮮明に覚えている。
「ニャー!あれは若さゆえの過ちニャ!」
「分かった分かった。だから、ゴミをばら撒くな」
折角、ホウキで一箇所に集めたゴミが、パラパラとキッチンの中を舞っていく。
リンリンは、慌ててホウキを掃いて、散り散りになったゴミを集めようとするが、後の祭りであった。
「ニャァ…また最初からニャ」
「まぁ、頑張れ」
「うニャ〜…ご主人はいじわるニャ…」
しょぼくれて掃除を再会するリンリンを尻目に、ミラルは顔をタオルで拭いては鏡で自分の顔を見る。
宝石のような瞳とリンリンは称したが、ミラルは、この眼があまり好きにはなれなかった。
503 :
ミラっち:2007/04/30(月) 22:53:40 ID:10GF6KyK
「母さんの目の色は青だからな…父親がそうだったのか?」
父は自分が生まれる前に死んだと、母に聞かされていた。だが、どんな人だったのか?と聞いても、母は教えてはくれなかった。
今は遠い街に住んでいる母。若き頃は、腕の経つハンターであったらしく、ギルド内では【殲滅者レヴィーナ】と呼ばれていた。
しかし、天然の塊でおっとりした性格の母しか知らないミラルは、その二つ名と相違ない凶暴な母など、想像出来なかった。
「どうでもいいか」
考えても仕方ない。現にどっちの遺伝だとしても、この眼が別のものになるなんてことはないのだから。
「それよりも、あの黒龍のこれからをどうにかしないとな」
昨日はドタバタしていて、村長に詳しい事が話せなかった。今日はそれについて、色々と話し合うことになっていた。
顔を拭いたタオルをその場に置くと、まだホウキを掃いているリンリンを無視して、黒龍が洗濯物を畳んでいる寝室へと足を運ぶ。
「そういえば、あの黒龍。洗濯物を畳むなんて出来るのか?」
そう疑問に感じていたが、それは一瞬で感嘆へと変わった。
「…うそーん」
「あ、ミラル様。早めに洗濯物が片付いてしまったので、お部屋も掃除させていただきました」
ミラルは唖然とする。吊るしてあった洗濯物が、綺麗に畳まれているどころか、部屋中が朝日の光で煌くほどピカピカに掃除されていた。
「(俺が顔洗ってる短時間で、どうやったんだよ…)」
「…ご迷惑…でしたか?」
「いや、感謝するよ」
「恐れ入ります」
微笑を浮かべて小さく一礼する黒龍。どこか可愛らしい黒龍の姿に、ミラルは照れくさくなった。
「じゃあ、村長の家に行くか。これから君の処遇を話さなくちゃならないからな。用意はいいか?」
「わたくしはいつでも」
「そうか、じゃあ行くか」
「はい」
黒龍が畳んでくれた洗濯物の中から防寒用の上着を取ると、ミラルはそれを羽織う。
そして、もう一度、同じサイズの同じ上着を取ると、黒龍のシャツの上に被せてやる。
「(名前は呼んでくれませんが…やはり貴方の優しさは、何もお変わりありませんね)」
ミラルの優しさに頬が微かに赤くなる黒龍は、言葉ではなく顔でいっぱいの笑顔をミラルに送った…。
>>497 GJ!!なんとも続きが気になる展開です・・・
505 :
ミラっち:2007/04/30(月) 22:56:48 ID:10GF6KyK
読みにくい上、ダラダラと長文申し訳ない。
本当はもうちょっと簡素にまとめて、上手く表現したかったけど、仕事の山が減らないのでこれで勘弁くだせぇ。
では。
506 :
2-332:2007/04/30(月) 23:02:44 ID:ZZ7me8u7
>>505 GJです。
時間無いので投下させていただきます。
507 :
2-332:2007/04/30(月) 23:04:08 ID:ZZ7me8u7
あれから一週間。生活を共にするうち、青年にも“竜忌”の実態が見えてきた。
“竜忌”は普段、ただの二重人格の美少女である。
ころころスイッチが変わることも無いが、互いの行動の記憶を持っていて、どちらであっても昨日の話が通じない、ということにはならない。
普段は大人しい人格で居ることが多いが、戦闘時などは殆どきりっとした人格になる。
そして、見に危険が迫った時、強大な竜との対峙、そして平常時においてもたまに、彼女は人間とはかけ離れた行動をとる。
第三の人格――、と言えるだろうか?いや、“人”格とは呼べないだろう。
青年が見ただけでも、竜の惨殺、調度品の破壊、青年やその他の人間への暴行などがあった。
それでも青年が彼女を人間だ、と思うのは騒ぎを起こした後の“竜忌”の表情である。
申し訳無さそうな切ない表情は、彼女が常識を持った一個の人間であると、青年に確信させるものがあった。
三度目の任務――物資の警護だった――を終えて二人が帰ってくる道すがら、青年は出来る限り“竜忌”と会話を交わす。
勿論今この時間だけでなく、常に親しく接するようにしている。
騎士隊には「竜忌が人に懐いた」などと揶揄するものも居たが、事実“竜忌”は青年に心を開き始めているのかもしれない。
「城下町に着いたみたいだ。リューキ、ここからは歩いて行かない?」
青年のイントネーションは災厄たる“竜忌”という言葉に出来る限り名の響きを与えたい、という思いに因るものだった。
「うん、いま降りるよ」
青年に続き、がしゃ、と“竜忌”も馬車を降りる。蒼い目と白い肌と、黒い髪と鎧。彼女はたった三色で絵に書けてしまう。
なんとなく、今度服を買いに行こう、と青年は決心した。
「ふう…思ったより早く終わったね。どこかでお昼御飯を食べて行こうか。…リューキは何が食べたい?」
この国ではハンター稼業がとても盛んだ。鎧姿の人間は珍しくも無い。
血の汚れも無い今の格好なら、食事くらいは普通に出来るのだ。
「え?…えーっと、うー……ウィルが決めて良いよ」
「全く、決断力無いんだから…じゃあ、パスタにしようか」
508 :
2-332:2007/04/30(月) 23:04:47 ID:ZZ7me8u7
“竜忌”の了承を得て、青年が歩き出した。――しかし、“竜忌”はその場に立ち尽くす。
「リューキ?」
人ごみの中ではぐれるのは厄介だ、と考えたウィルは戻って“竜忌”に声を掛けた。
“竜忌”はちょっとふら付いた後、膝を付いた。
「り、リューキっ!?」
右手を覆った指の隙間から、真っ赤な血が流れ落ちる。
「あ、あれ…?す、すみませ――、ゴホッ!ゲホッ!」
咳き込むのに合わせて血がびちゃびちゃと飛び散る。往来する人々も足を止め、様子を見るようになった。
「これは…毒か! ちぃっ、解毒剤なんて持ち合わせてないぞ!?」
その時。緑色に塗られた爪を持つ手が、青年の目の前に伸びてきた。
“竜忌”の頭部の装備に指を引っ掛け、ぐっ、と引っ張って彼女の頭から外してしまう。
「誰だっ!?」
青年がその手の持ち主に視線を移す。そして見えたのは、緑色の髪を長く伸ばした女性だった。
頭から足まで、緑色の防具で身を包んでいる。見た目はハンターだ。
その人間離れした美しさは、ある種“竜忌”と通じるものがある。
「こうして鎧を一つでも取ってしまえば、“戻る”事は出来ない…」
「どういう意味だ…?」
509 :
2-332:2007/04/30(月) 23:05:21 ID:ZZ7me8u7
「分かっていないの? まあ、その方が好都合かしらね」
女はひゅん、と“竜忌”の防具を投げ上げた。
「夫の仇――、取らせて貰う」
一瞬で、場に竜の気配が満ちた。殺気、怒り、憎しみがその圧倒的な存在感を底上げしている。
辺りにざわざわ、と波紋が広がる。一般市民でも、ここまでおおっぴらな殺気は感じ取れるらしい。
毒に倒れる“竜忌”と、それに手を貸す青年の前で、女は叫んだ。
「うあぁぁぁああああああァアアアアアアアアアアア!!」
女の声に人々は驚き、そして竜の声に人々は慄いた。
女の身を包んでいた防具が侵食するかのように女の体を包み込んで行き、そして膨らむ。
口が裂け、鋭い歯が覗く。叫び声が鳴き声へ。頬を鱗が覆う。防具からは強靭な爪が生え、尻からは尾が伸びた。
広げた腕が羽根に変わり、竜が口から煙を吐き出すようになって漸く、青年は思考能力を取り戻した。
「…な、…っ!?」
山のような巨体は、恐らくリオレイア。大きすぎて別種に見える。
尾は既に建物を破壊しているし、足元には数人の人々が踏み潰されている。
「グワァアアアアアアアア!!」
巨大な一声。そして、一瞬の静寂。
510 :
2-332:2007/04/30(月) 23:06:17 ID:ZZ7me8u7
「い、いやああああああああ!」
女性の悲鳴を皮切りに、一気に街はパニック状態に陥った。
リオレイアは逃げようとする群衆に向かって炎を吐き出す。家数軒と十数人の人々が爆発の中に消失した。
「え…? そんな、人が…竜、に…? そんな…そんなこと…」
青年と呆然と眼を見開く“竜忌に向き直り、竜は前傾姿勢でのダッシュを掛けてきた。青年は“竜忌”を抱え、必死に走ってダイブ。
何とか当たることだけは避けられたが、ひき殺された人間の血でべとべとになってしまった。
青年の腕の中で、“竜忌”はただ恐がっている。
「わ、私も――私も、ああなるのかな? こんな風に、人を殺すように――なるの…ゲホッ!…か、な…?」
もう自分の血かどうか分からないくらいに真っ赤になった右手を握り締める。
「恐い…私は何より…自分が怖いよ…」
(以上です。感想・批判などありましたらぜひお聞かせ下さい)
511 :
葵:2007/05/01(火) 00:30:26 ID:b2THumPa
いかん、展開気になってゲームどころかじゃなぃw
現実では有りえない話だから
少し自分が虚しくなったけど素晴らしいです!(
513 :
ハート:2007/05/01(火) 18:01:01 ID:QZwk4htM
>>510 GJです。さて、世の中がGWで騒いでいるというのに、毎日机に向かって石膏を削らざるを得ない今の忙しさはどうにかならないものか・・・
>>511 ど忘れかもしれませんがここは基本サゲスレですよ。
514 :
ハート:2007/05/01(火) 18:13:29 ID:QZwk4htM
二人は以前拠点としていた街、ミナガルデに辿り着いた。まず最初に向かった場所といえば、
「久しぶりだな。ベッキー」
「あ、フレイアさんにルイス君。お久しぶりです」
酒場だった。強い酒のにおいと煙草が交じり合った空気の中、ベッキーとギルドマスターに挨拶に来たのだ。
ぺこりと頭を下げたベッキーはさっきまで眠っていたのか目が赤い。
「相変わらずですね。ベッキーさん」
苦笑しながらルイスが言うと、ベッキーは同じように苦笑いしながら「そうですか?」と答えた。
バタン・・・
入り口が開く音。普段は気にするほどのことではないが、入ってきたのは見たことがある顔だった。
「あいつは・・・」
ヘルムを小脇に抱え、こちらに向かってくる深い緑色の光沢を持ち、肩の細長い角が目立つタロスシリーズ。
どうやらベッキーに用があるようだ。二人がさりげなく道を明けると、二枚の書類を手にこういった。
「この街のギルドに登録したいんだけど」
「初めてではないですね。履歴書はありますか?」
「これです」
いつもの営業用スマイルを湛えながら対応するベッキー。ルイスとフレイアはそのハンターの武器を凝視していた。
「見たこと無い武器だな・・・」
「あぁ」
へビィボウガンのように二つに折りたたまれていて、緑の甲殻、リオレイアのものだ。
登録の手続きを終えた女ハンターが振り向いて目が合う。そのハンターは考え込むような顔をした後、何かに気付いたようだ。
「もしかして馬車に乗ってた二人?ランポスに襲われた時の」
「そうだが・・・それがどうかしたか?」
こういうとき、ルイスは会話をフレイアに任せることにしている。フレイアのほうが円滑に進む場合が多い。
「あのときはごめんね。手を貸せなくて。あいにく矢が一本しかなかったもんだからさ」
「矢?・・・あの棒のことか?」
「うん、こっちではほとんど知られていないみたいだね。これは僕の村で古くからある弓矢という武器なんだ」
『僕・・・?女だよな・・・』
改めて顔を見る。白い肌に淡い紫…アメジストのような瞳。瞳と同じ色の髪。前髪がやや不揃いな、うなじ辺りまでのショートカット。
やはり女……だとルイスは思う。僕という一人称は癖だろうか?
「名前を聞いてもいいだろうか?」
「そっちから名乗るのが礼儀じゃないかな?そっちが教えてくれるなら僕も答えるよ」
やや説明的な口調が目立つその女性は言った。左手を眉間の辺りまで上げるが、何か思い出したようにすぐに下げる。
「フレイア・エフリートだ。確かにこっちから名乗るのが礼儀だったかもな」
『眼鏡でもかけてたのか?』
そんなことを考えているとそのハンターにルイスは見つめられていた。
「君は?なんて言うんだい?」
「ん、ルイス・ハーペントだ。初対面に君はどうなんだ?」
「はは、これは失礼だったね。年下かと思ったもんだから」
フレイアとは違うタイプの男っぽい仕草が目立つが、ハンターとして嘗められないようにそうしているのかも知れない。
「それじゃ、僕の名前はリース・ウェルズ。リースでいいよ」
515 :
ハート:2007/05/01(火) 18:14:57 ID:QZwk4htM
その後、三人でいろいろと話した。どうでもいい話しも多かったが、リース曰く、「どうでもいい時間は大事」らしい。
年齢を聞いてみれば21と答えた。ルイスと同年齢で、フレイアより年下。
「フレイアさんは、もう何年くらいハンターをやっているんだい?」
相変わらず男っぽい口調が続く。定型文の様な発言だが不思議と違和感は無かった。
「さん、付けはこそばゆいな、フレイアでいい。私はもう12,3年くらいはやっているな。10代からハンターだった」
「すごいな、僕はまだ6年くらい。ルイス君は?」
「7年だ。それと、なんで俺は君付けなんだ?」
同い年から君と呼ばれるのはなんだか抵抗があった。下に見られているような気がするし、それが女なら尚更だ。
「イメージ的に、かな。フレイアさ……フレイアと一緒にいるとどうしてもね」
「別に呼び捨てでいいぜ。君とか慣れてないし……?」
騒ぎを耳が拾い横のテーブルに目が行く。そこには4人のハンターが座っていた。その内二人をルイスとフレイアは知っている。
しかし今日は様子がおかしかった。大剣を背負った男のハンターが立ち上がってなにやら怒鳴っている。他の三人は気にしている様子はない。
酒場全体に響く声だった。いつもはフレイアが何か言うかするのだが、パーティー同士の内輪もめなら手を出す必要は無いそうだ。
そんな時、リースが弓を構えた。矢の変わりに近くにあった骨を手に取り、弓を引く。三日月状の弓が撓り、リースは標準を固定した。
そして、男のハンターがテーブルを叩こうとした瞬間、放った。すごいスピードで飛ぶそれは、ハンターの鼻先をかすめる。
「な、なにすんだ!!」
「君、うるさいんだよ。もう少し静かにやってくれないか?僕にとって耳障りなんだ」
説明口調で話す。その男は我慢できないといった様子でこっちに向かってきた。
が、いい加減痺れを切らしたのか隣にいたゲリョス装備に身を包んだハンターが手で制する。その時、顔を知っている二人と目があった。
「あれ、あなた達は・・・たしか」
「久しぶり。えっと、エルメリアとガノンだったよな」
記憶の奥から二人の名前を引っ張り出す。フレイアは体を向けて右手を上げる軽い挨拶だけだった。
「フレイアとルイスであってたわよね?最近見なかったけどどうしたの?」
「ああ、それは・・・」
ルイスが話そうとしたとき、髪を後手に縛った男が入ってくる。心なしか鼻先が赤い。
「んなことはどうでもいいんだよ!人に武器向けるなんて何考えて・・?」
未だに騒ぐ男に今度はフレイアが近づく。殺気を宿してるわけでもなく、普通の状態で。さっきのリースと同じようなことを言う。
「な、何だよ?」
「少し、黙っててくれないか?」
それだけ。男のほうは何かに押されたようにストンと椅子に座り込んだ。
「お嬢さん達の知り合いでしたか。初めまして、フラディオです」
「フレイアだ。こっちがルイス、その奥にいるのがリースだ」
フレイアは出された手を握り返す。後にエルメリアから聞いた話によると顔を見たことがある人はいないらしい。
「で、最近は何してたの?街で見かけなかったけど」
「それはだな………」
適当にテーブルにつくとフレイアが話し出した。ただし、ルイスの両親の話しとフレイアの村の話しは省いていたが。
「へ〜、結婚したの。おめでと」
「おや、そうだったのか?おめでとう」
「おめでとうございます」
エルメリアとリース、フラディオから祝いの言葉をもらいルイスは照れたように頭をかいた。
それから、すこし増えた人数で他愛も無い話が続いた。やがて、男が立ち上がって何処かへ立ち去る。
「なにかあったのか?」
「多分呆れるわよ?あれはジーグ。狩りの作戦が自分が思ったようにいかなかったから騒いでたの。前にもおんなじ様なことあったけどね」
ルイスが聞くとエルメリアはそう答えた。確かに、ルイスは呆れ、フレイアは肩を落とした。
リースは、といえばどうやらフラディオと意気投合したようで、なにやら小難しい話で盛り上がっている。
「ところで、フレイア」
「なんだ?」
「随分時間が経ったけど、前の決着つけない?」
「腕相撲か?私は構わないぞ」
そういって二人が立ち上がり、ベッキーからタルを徴収して右手を合わせ、腕相撲を始めた。結果は…フレイアが持久戦の後に勝利。
「お嬢さんより強いなんて、凄い人ですね〜」
「ああ、俺から見れば二人ともやばいくらい強いけどな」
耳元で囁いてきたフラディオに言葉を返す。今回、タルは壊れなかった。フレイアとエルメリアが再びテーブルにつき、会話が再開される。
516 :
ハート:2007/05/01(火) 18:15:42 ID:QZwk4htM
「リースもやってみない?」
「僕は遠慮するよ。腕力には自信が無いんだ」
「そう?」
そういってリースは回りの二人と会話を続ける。ガノンとフラディオは興味深そうに弓矢の話を聴き、所々相槌を打っていた。
「ゲリョスのは無いのですか?」
「ん〜、僕の村ではゲリョスのは無かったな〜。ゴム質だからこういう素材だけで形作る武器には向いてないんだよ。きっと」
「そうですか・・・・・・」
そんな答えを聞くと残念そうに肩を落とした。それを見たリースはくすくすと笑っている。
それから、一時間ほど経つと、エルメリア達は狩りで疲れたと帰っていった。また三人になったときに、リースはこんな話を持ち出した。
「物は相談だけど、僕も君達のパーティーに入れてくれないか?」
「・・・」
「私は構わないが、なぜだ?」
ルイスが返答に困っているとフレイアが答えた。
「なんとなく一緒にいると退屈しないから。君達となら狩りも上手くいきそうだしね」
氷を指で突付きながらリースは言う。フレイアは少し考え込んでルイスを見た。
「俺は別に構わないぜ?フレイアが良ければ」
フレイアがもう一度リースを見る。リースは一度だけ瞬きをして、紫水晶のような目をフレイアのオッド・アイに向ける。
「わかった。一緒に組もう。抜けたくなったらいつ抜けてもいいぞ」
「ありがとう。でも当分抜ける気は無いよ。こっちから頼んでおいてやっぱやめる、なんて失礼極まりないからね」
そういって、氷水が混ざって薄くなったミルクをリースは飲み干した。説明口調が目立つ彼女は立ち上がり、振り返って、
「僕はルーム・クイーンにいるから、またね」
「わかった」
軽く手を振りながらルイスは見送った。フレイアを見ると、なんだか眠そうな目をしている。
「もう寝ようか?」
「そうだな・・・結構夜も更けて来たしな」
そういって二人も酒場を出た。部屋まで送ると、フレイアはベッドに座り、微笑み、言った。
「おやすみ」
「あぁ、おやすみ」
微笑み返し、ルイスは部屋を出た。時計を見てみると、深夜・・・いや朝四時。
『雨の中一日歩いてこの時間まで酒飲んでればそりゃ眠くなるよな』
実のところ、ルイスも睡魔がもうそこまで迫っているのだった。気を緩めればこの場で寝てしまいそうだ。
ドアの前で、もう一度言う、「おやすみ」
窓から外を見ると、穏やかに白い粒が降っていた。雨よりも冷たく、寂しい粒。
517 :
ハート:2007/05/01(火) 18:17:19 ID:QZwk4htM
>>458 の続き。盛り上がりに欠けましたがその辺はご勘弁ください・・・
ではまた。
518 :
ハート:2007/05/01(火) 18:19:26 ID:QZwk4htM
いや、
>>491 でしたね。無駄レスごめんなさい・・:
いやーGJだねぇ。
ま さ か修羅場フラグたった?
520 :
葵:2007/05/01(火) 23:23:58 ID:tWQ0m99l
>>513 スイマセンorz
新参者ですから分からなかったです。。。言い訳ですけど。。。orz
とにかくGJです!!以後気をつけま。
コレで下げられてなかったらスマソ。
とりあえず、雑談はコテ外したほうがいいと思うんだ
ナズチネタで一個妄想中
前に見た人のネタがちょっとくっついてきてるような予感
523 :
ミラっち:2007/05/03(木) 00:10:07 ID:kBaUbSKL
続編少し出来ました。では投下。
524 :
ミラっち:2007/05/03(木) 00:11:54 ID:kBaUbSKL
「外出する時は、いつも眼鏡を付けていらっしゃるのですか?」
「いや、風呂入る時以外は外さないな」
外に出るや否や、ミラルは、眼鏡を取った犯人の黒龍から返してもらうと、右眼にスッと掛ける。
どうやら黒龍が、ミラルのありのままの寝顔を見たかったらしく、外してしまったそうだ。
「どうして右眼を伏せるのですか?お美しいのに」
「嫌いだからさ…この眼が」
「……」
質問に冷たい口調で答えると、黒龍は暗い影を落として俯いてしまった。
「悪い…なんか冷たく当たっちまったみたいで」
「謝らないで下さい。寧ろ、ミラル様のお気持ちを知らずに、聞いたわたくしがいけないのですから」
暗い雰囲気が漂う。どうもこういうのは苦手だ。話題を変えなければ。
「まぁ、眼のことなんてどうでもいいさ。それより、君のことを教えてくれ」
「わ、わたくしのことですか?」
「ああ、例えば。俺と君がどうして許婚なんだ?」
「わたくしもあまり存じませんが、どうやら、わたくし達が産まれる前に決まっていたらしいのです」
「は?産まれる前?」
「はい。ミラル様のお父様と父上の約束で。産まれた子供が異性だった場合、夫婦としよう。と…」
「無茶苦茶な…」
頭がこんがらがった。彼女は黒龍である。なら、父親も黒龍に違いはないだろう。
ならば、自分の父親は彼女の父親と、どういう風にそんな約束をしたのだ?
「…なぁ、やっぱり君の父親も人間の姿になれるのか?」
「はい」
人間の姿になれるのならば、父親とどこかで会って、気があったのだろうか。
酒でも飲んで酔っ払った勢いから何かで決め付けたに違いない。ミラルは常識から一脱した話を、これ以上複雑に考えたくなかった。
「飛竜や古龍って全部がそうなのか?」
「いいえ。はっきりとしたことは分かりませんが、全部の飛竜、古龍が人の姿になれるわけではありません」
「じゃあ、人の姿になれるのは限られてるのか?」
「そう考えても良いと思います。実際、人の姿になれない黒龍も多くおります」
「多くって…黒龍ってそんなにいるのか!」
「はい。わたくしの地域でも30はいるかと」
「さ、30!?」
強大な力を持った黒龍が、彼女の地域だけで30も生息する。どれだけの頭数がいるのかなど、考えたくもなかった。
「お、襲ってこないよな…」
「それについては心配ありません。人や動物を襲うのは、悪い黒龍だけです。普通に暮らしている黒龍達は、人の世界には干渉しません」
「そうか…」
安心はしたが、あくまで一安心だ。犯罪を犯す人が多くいるように、邪悪な黒龍が一匹だけなはずがない。
525 :
ミラっち:2007/05/03(木) 00:13:18 ID:kBaUbSKL
「でも、君は悪い黒龍じゃないだろ?何で人が住む土地に来たんだ?」
「そ、それは…家出みたいなものです。20歳になるまで、ミラル様に会えないなんて…わたくしには苦痛でしたから…」
「え…20?20歳?」
「はい。わたくしはまだ17歳なので、本当はミラル様の下へは来られないのですが」
「!?」
17歳。リーシェと同い年。開いた口が塞がらなかった。ミラルには、彼女の容姿からして、自分より年上だと思っていた。
だが、いざ蓋を開けてみれば、自分よりも四歳年下とは。
彼女には驚かされてばかりだったが、その中でもこれは抜群の驚きだった。
「どうかなされたのですか?」
「あ、ああ…とても17歳には見えないから、驚いてるんだ」
「も、もしかして、ミラル様は年上が好みでしたか?」
寂しそうな顔と上目遣いのダブルアタック。ミラルは、ゴクリと唾を飲む。
「べ、別に年上だけが好みなわけじゃない。どちらかと言えば、年下の方がいいような…」
「ほ、本当ですか?」
「要らぬ嘘はつかない」
心を揺さぶられないよう、黒龍から眼を逸らして答えるミラル。
黒龍はミラルの言葉を聞き、ホッと胸を撫で下ろしている。
「しかし、なんだ…視線が痛いな」
否に村人達の目線が集中してくる。雑貨屋の親父なんかは、ニヤニヤとしながら、買い物に来ている仲良しロートルハンターと談笑をしていた。
「皆さん、ミラル様を見ていますね」
それはそうだろう。母とこの村に引っ越してきてから、ハンター一筋だったミラルが、裸の、しかも美人の女性を担いで帰ってきたのだから。
一部には、世界の終わりだー!とか、明日はレウスとレイアの編隊がダブルでだ!とか失礼極まりないことを言う者もいた。
「よう!色男!」
「…この声は…」
浴びせられる視線の中、二人の間に割って入るように、声を掛けてきた人物。
その人は、ニコニコしながらミラルの横に立つと、ポンと肩を叩いてきた。
「やっぱり、マークスか…」
「つれないなぁ。そのいかにも、嫌な奴が来た。みたいな顔すんなよ」
マークスと呼ばれた青年は、不機嫌そうにミラルに言葉を返した。
彼は、この村にいる数少ない若者で、鍛冶屋を経営するマークスという名の青年である。
「ミラル様。こちらの方は?」
「こいつか?こいつは…」
「初めましてお嬢さん!私の名はマークス!しがない鍛冶屋を経営している者で、ミラルの親友でございます!」
「親友と言うよりは、悪友じゃないか?」
「世迷言を!ミラル君!私たちは苦難を共にしてきた仲じゃないか!」
女垂らしで、調子の良いマークスと長い付き合いだが、美人に対しての性格の豹変と、テンションの高さには、いつになってもついていけない。
526 :
ミラっち:2007/05/03(木) 00:14:31 ID:kBaUbSKL
「初めまして、マークスさん。わたくしは、ラミアと申します」
「おおっ…なんとお美しいお名前…」
「マークス…気品あふれる演技をしているようだが、鼻の下が伸びてるぞ」
無理もない。黒龍の姿は、上半身にシャツ一枚と上着のハーフコート。下半身はゲリョスの皮で作った、ピチピチのスパッツだけなのだ。
もちろん下着など借りられる筈もなく、シャツとスパッツの下は未知の領域である。
童貞のマークスには、刺激が強過ぎた。こいつは威力が強過ぎる!とマークスの心は叫んでるに違いない。
「なにをぉ!この私の何処が伸びているだって?」
「だから…ここだ」
ミラルは人差し指を水平にして、ヒュン!と素早い指先で、マークスの鼻の下を突いた。
「ぶっ!」
綺麗に急所を直撃したマークスは、白目を剥いて後ろに倒れると、痙攣しながら鼻の下を両手で押さえた。
「うごぉっ!うごぉぉぉ!」
「マ、マークスさん!」
もがき苦しんで、地面をジタバタするマークス。黒龍はオロオロしながら、視線をミラルとマークスの間に走らせた。
「大丈夫だ。ディアブロスに突き上げられてもピンピンしてた奴だから」
悲鳴に近い声が村中に響くが、村人にとってはいつもの光景なので、誰も見向きはしない。
働き、食事をし、寝るのように、当たり前のことなのだ。
「さ、行こう。あまり村長を待たせるのも悪いしな」
「も、申し訳ございません。マークスさん」
マークスに、養豚所の豚を見るような眼を向けると、ミラルはその場を後にする。
続いて、黒龍も一礼をすると、ミラルの後を追うように、小走りで行ってしまった。
「ふふ…おかずゲーット…」
白目を向いていた筈なのに、もう回復して、黒龍の後姿を眺めるマークス。
視線は、美しい桃尻を凝視しており、先ほどの紳士の顔はどこにもなかった。
「へへ…ぶぉっ!」
「一生やってろ」
あまりにも失礼な悪友に、痺れを切らせずにはいられない。
ミラルは、そこら辺に落ちていた小石を投げると、マークスの額に直撃させた。
「ミ、ミラル様…やりすぎではないのですか」
「いいんだ」
再び踵を返して、村長の家がある方向に歩き出すと、後ろでマークスの呻き声が消えていく。小さく。儚く。
527 :
ミラっち:2007/05/03(木) 00:16:41 ID:kBaUbSKL
一応ここまで。書いてるとダラダラ長くなるので少しづつ。
あと、白目を向いていた、が間違ってます。
○剥いていた
×向いていた
では、エロはもうちょっと先になります。
一番槍GJ!!
いいねぇ。一時期少し過疎ってたけど最近は大分潤ってきたなー。
後は最近きてないエメラ×ジュリオも来てくれるといい。
>>527 GJ!
いや、黒龍さんは数が多いですなぁw
ギアノスの人も来てくれないかな〜
ラージャンとティガレックスとか見たいがな
>>527 GJ!レウスとレイアの編隊がダブルでだってどこの軍人さんですかwww
それにゲリョス皮スパッツって、鍛冶屋いい仕事しすぎwww
ナナ擬人化執筆中
少し待ってて
俺のにゃんにゃんぼうの攻撃力がグングンあがるスレだな
見てるうちに書きたくなったんで書いてみたんだけど、投下するの初めてなんで基本的な注意事項を教えて欲しいんだ。
よろしく頼むよエロい先輩方。
>>536 それは直立したまま麻痺するメラルーガジェットではないのか?
>>536 それは直立したまま麻痺するメラルーガジェットではないのか?
二回もやってしまった。深く陳謝
>>537 グロとかホモとか、人によって受け付けないと思われる描写があるなら、投下前にそれを報告してスルーを推奨する。
その際、コテ付けるとさらに回避しやすくなるからお勧め。
今回は関係なさそうだけど書きながらの投下はせず、一旦まとめてから投下する。
投下前に他の人が投下してないかの確認。割り込む形になったらいろいろと迷惑になる。
と、いうところだと思う。
個人的には、他の人が投下した後はしばらく間を空けてから投下するとかしてるけども。
あとは、まぁ、仮に受けが悪かったとしても軽く流せる平常心、かなぁ。
542 :
いやんくっく:2007/05/04(金) 01:51:36 ID:wFWQrDHN
>>541 ありがとうです。
初めてなので生暖かい目で色々厳しい評価もらえると嬉しいかな。
では投下します。
かなり長編になり、少々グロが入る上に視点変更が所々入ります。
素人のダラダラ長いの読めるかよって方はスルーでお願いします。
543 :
いやんくっく:2007/05/04(金) 01:54:23 ID:wFWQrDHN
その日はいつもと変わらない日となるはずだった。
私はいつも通り縄張りの見回りをしていた。
私が唯一気を許すアイルー達が挨拶をしてくる。
それに応え、辺りを見回し次のエリアに移動しようとした時だった。
突然向こうのエリアから不快な匂いがしてきた。
今までに嗅いだ事のない【モノ】の匂い。
だがこの匂いの意味する事は只一つ、侵入者が現れたという事だ。
ならば叩き潰さねばならないだろう。
何故ならここの支配者は、この『金獅子』たる私只一人なのだから。
544 :
いやんくっく:2007/05/04(金) 01:56:42 ID:wFWQrDHN
氷の洞窟内を2人の女ハンターが駆け抜けていた。
2人ともまだ若く20歳そこそこといった感じで、装備もギアノスシリーズでいかにも新人といった雰囲気だった。
だがその顔は真剣そのもので焦りの色が伺えていた。
ハンターボウVを背負ったハンターが呟いた。
「なんで必要な時には手に入りにくいんだろ…」
「そんな事言ったって始まらないわ。サッサと採取して帰らなきゃ。」
呟きに答えるようにナイトランス改を背負ったハンターが相棒を急かして先を急ぐ。
545 :
いやんくっく:2007/05/04(金) 02:01:30 ID:wFWQrDHN
その日は2人にとって休日のはずだった…
ランス使いのキリア・レイノークと弓使いのカルセア・ロンフォードはミミア村のハンターだ。
ミミア村はポッケ村を西に10日程の所にある新しい村で、2人は村のハンターの募集に応じて来たのだった。
キリアはドンドルマ出身で21歳になる。
長い金髪を後ろで束ねていて背は高い。
スタイルは良く酒場ではからかいの対象となるが性格は少しきつめの為、容赦ない制裁を下すので『鉄拳のキーリ』と呼ばれていた。
カルセアはミナガルデの出身で19歳になるが見た目が幼く、性格も子供っぽいので『お子様カル』と呼ばれていた。
髪はシルバーのショートカットにドスビスカスの飾りを付けている。
スタイルは見た目に相応しく幼児体型なので出る所は出ているキリアが羨ましいらしく、日々努力してはいるらしい。
雰囲気も性格もまるで違う2人だが妙に気が合いパーティーを組んでいるが、端から見るとまるで親子のようだった。
2人共になかなか腕は良く、新人だが村に集まったハンターの中では中級レベルだった。
ただ、村周辺の依頼ばかり受けるので装備は未だに初心者に毛が生えた程度であった。
546 :
いやんくっく:2007/05/04(金) 02:05:29 ID:wFWQrDHN
時間は1日ほどさかのぼる。
「雪山草60に蜂蜜30!?」
カルセアが大声を上げた。
昼食を取ろうと酒場に入った2人にギルドの受付嬢が声を掛けてきたのだ。
キリアがカルセアに注意してから受付嬢に聞いた。
「かなりの量だけど何かあったの?」
「近くの牧場にギアノスの大群が現れたのよ。幸い撃退したんだけど、負傷者がかなり出てね。今ギルドにある分だけじゃ到底足りないのよ。重傷者もいるから出来るだけ急いで欲しいの。だから報酬は4000ゼニーだすわ。」
「キーリ、4000だってよ!」
採取依頼で4000とは破格の報酬だった。
興奮したカルセアがキリアの手を引っ張る。
キリアはカルセアを見て苦笑してから言った。
「怪我人がいるなら仕方ないわ。今日は休もうと思ってたのだけど。その依頼、私とカルが受けましょう。」
547 :
いやんくっく:2007/05/04(金) 02:09:02 ID:wFWQrDHN
2人は洞窟を抜けて山の中腹にでた。
すでに蜂蜜は集まっていて、後は雪山草10本を納品するだけなのだが…
「む〜、いつもはすぐに集まるのになんで今日に限って…」カルセアがブツブツ言いながら氷の柱の裏を探す。
「愚痴ばっかり言ってないでさっさと手を動かしなさい。」
キリアは崖の下を探しながら少しばかりウンザリした声を掛ける。
必要ない時はいくらでも見つかるのに探すとなかなか見つからないのはかなりストレスを感じる。
「4本あったよ〜」
「こっちは6本、どうやら揃ったみたいね。キャンプに戻りましょ。」
ようやく雪山草が集まって、2人が立ち上がり洞窟へと足を向けたその時。
『ウォォォォォォォォォォォンンン!』
雄叫びと共に漆黒の巨体が崖の上から飛び出し、2人の前に地響きを上げて降り立った!
548 :
いやんくっく:2007/05/04(金) 02:13:08 ID:wFWQrDHN
着地の時に起きた風圧で尻餅をついた2人が目にしたのは
漆黒の毛皮
金色に輝く2本の角
紅く光る鋭い目
凄まじい威圧感
「ラ……ラー……」
端麗な顔を恐怖に歪めてキリアが何かを言おうとするが声が出てこない。
カルセアは真っ青な顔で震えていた。
『グゥオォォォォォォンン!』
身動き出来ない2人を見下ろしたソレは雄叫びを上げる。
「ひ、ひいゃゃあぁぁぁ!」
「ああぁぁぁぁぁああ!」
途端、弾かれるように悲鳴と共に2人は逃げ出そうとした。
「キ、キリアぁ!」カルセアの声にキリアが振り向くと、這いずるように尻餅をついたまま後ずさるカルセアが目に飛び込んできた。
腰が抜けたらしく、立てないカルセアにゆっくりと近づいて来る【金獅子】。
キリアは震えていうことをきかない足を殴りつけ、カルセアの後ろに走り込むと腰に付けていた玉を【金獅子】の前に投げつける。
刹那
カッッッッッッ!
『ギォォォォッ!』
凄まじい光が辺りを包み【金獅子】の悲鳴が響いた。
549 :
いやんくっく:2007/05/04(金) 02:18:44 ID:wFWQrDHN
とりあえず今回はここまでです
グロ描写部分まで行かなかった…
何よりエロエロがなくて申し訳ないです orz
さあバシバシ叩いて厳しい評価を…
550 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/04(金) 02:21:01 ID:aytYWdMf
作品はさておき作者がなんかキモい
551 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/04(金) 02:32:39 ID:W026532q
この作者マゾですか?
552 :
いやんくっく:2007/05/04(金) 02:42:15 ID:wFWQrDHN
とりあえずそっちの趣味はない。
ただ、書くなら少しでもマシな文章書いてみたい。
思い付くままに書いてると独りよがりになりがちだから。
それには人の批判は率直だから反省し易いんだ。
批判を求めるならまず最後まで書き上げてから。
あと投下の前後にくだくだ喋る作者は好かん。
> 雰囲気も性格もまるで違う2人だが妙に気が合いパーティーを組んでいるが、端から見るとまるで親子のようだった。
>2人共になかなか腕は良く、新人だが村に集まったハンターの中では中級レベルだった。
>ただ、村周辺の依頼ばかり受けるので装備は未だに初心者に毛が生えた程度であった。
ここがひどい。
文末がだっただったあったと続いてて美しくないし、
だが、〜が、だがと逆接ばかり並ぶのがよろしくない。
中級レベルという用語が全体から見て浮いてる上、誰が評価してるのかもよくわからん。
「村周辺の依頼」ばっか受けてて装備もその程度だと、周りもそのくらいにしか見ないんじゃないか?
この手前のふたりの容姿の描写も、文章がねじれてて落ち着かない。
555 :
いやんくっく:2007/05/04(金) 10:33:05 ID:wFWQrDHN
>>553 先生添削ありがとうございます。
書きたいだけじゃ落書き以下だと痛感。
このまま落書き以下で続けるのもあれなので、時間かけて書き直してみます。
ではでは
556 :
ハート:2007/05/04(金) 19:07:49 ID:SMZ3NK47
今日は大雨から雪まで降った昨日とは違い雲ひとつ無い快晴。フレイアとルイス、リーサは酒場の一角で初めて聞く名前を耳にする。
「ババ・・・なに?」
「ババコンガ、よ」
ルイスが聞き返した直後にベッキーが答える。何やら、新しく獲得した狩場を縄張りにしているそうなので討伐して欲しいそうだ。
「どんな奴なんです?その・・・ババコンガは」
「ピンクの体毛を持った、巨大な猿の様な獣って情報が入ってるの」
ルイスは頭の中で想像してみる。それは御世辞にも強そうには見えず、むしろ笑えた。リースも同じような顔をしている。
「で、何で私たちなんだ?情報が少ない敵ならパーティーとして慣れてるエルメリアたちのほうがいいんじゃないか?」
フレイアが聞く。確かに、フレイアとルイスは長く組んでいるがリースはまだ一回も共に狩りをしていない。
どのような戦い方ができるのか、攻撃メインなのか援護メインなのか、狩りの中でしかわからないことは多い。
「それが、エルメリアちゃん達は違う依頼に回ってもらってるの。それに、最近ジーグ君が荒れてるでしょう?任せるのはちょっと・・・」
「どうする?私は構わないが」
「僕もいいよ。なんだか面白そうだ」
一瞬フレイアが眉をひそめるが、すぐに元に戻る。これがリースの性格だと理解しているのだろう。
「ルイスは?無理にとは言わない。お前が行かないなら受ける気も無いしな」
「ん、いんじゃね?ギルドからの依頼を無碍にするのも悪いし」
「そういってくれると思ったわ。じゃ、これに其々サインをお願いね」
ハンターになって手馴れた作業である。ギルド直々の依頼の紙は他のものより上等で、書きやすい。
「期間はどのくらいだ?」
フレイアがサインを書きながら聞く。ベッキーはこう答えた。
「一週間以内に向かってくれる?結構急ぎの依頼なの」
「わかった。ほら、書いたぞ」
「はい確かに。じゃあよろしくね」
優しい微笑を浮かべて仕事に戻る。すると、フレイアが唐突なことを言い出した。
「よし、行こうか」
「もうか?準備は?」
「情報が無いんだったら意味ないさ。それに、この季節は光蟲なんて手に入らないから閃光玉も作れないぞ」
「僕は大丈夫だよ。早く見てみたい気もする」
右手を差し出すような形でリースが言う。多数決的に従うしかない。
「わかった。じゃあ武器持ってくる」
「ああ」
「いってらっしゃい」
ゲストハウスに向かい、武器に刃こぼれが無いかチェックをする。念のため砥石を掛け直す。そして馬車の元へ向かった。
「待たせた?」
「大丈夫だ。私も用があったからな」
「あれ、コートは?いつもは着ているのに」
見ればフレイアはコートを着ていなかった。
装備を見せると騒ぎになるからと、出会った時から街では常に来ていたのに、今は防具を露出している。
「あれを汚すわけには行かないだろう。この前のようにボロボロになったら困る」
「なるほど・・・」
きっとルイスの母の形見だからと気を利かせてくれているのだ。リースはフレイアの防具を見ても大した驚きは見せず、微笑を湛えている。
三人で馬車に乗り込み、目的地へ向かう。普段とは違い、今回の狩場は孤島で、馬車で港に言った後、船に乗るとの事だった。
そして、船旅の最中ルイスは・・・・・・船に酔った。
557 :
ハート:2007/05/04(金) 19:08:28 ID:SMZ3NK47
「気持ち悪い・・・」
「だいじょぶかい?結構ゆれるからね。顔、青いよ」
ルイスの顔は蒼白に近づいている。冷たいタオルを頭に乗せて横になっているとリースが声をかけてきた。
「あんまり……大丈夫じゃない……フレイアは居ないのか?冷たい奴だな……」
「冷たくて悪かったな」
「あっ……ごめん」
目を開けると、フレイアが見下ろしていた。蒼と赤の瞳と目が合い、苦笑いをする。が、上手くできていないかもしれない。
「別に本気で言ったわけじゃないと思うよ。ちょっとした皮肉みたいなものさ」
リースは酔うことも無く、いつもの口調で話している。なぜかフレイアはルイスの腕を肩にかけた。
「そんなこと分かっているさ。ほら、外に出てみれば気分も変わるぞ」
「あ、あぁ……」
フレイアと共に甲板へ出る。外は夜で、着くころには朝だそうだ。
冷たく、心地よい潮風が頬をくすぐり、海の香りが鼻を通る。確かに、室内に居た時よりは気が晴れる。
「気持ちいいな……」
「それは良かった」
船のマストに並んで寄りかかり空を見上げる。そこには多くの星達が瞬いていた。周りに何かが居るわけでも小さな島があるわけでもない。
つまらなく、素っ気無い風景が今は逆に心地よかった。心なしか、視界の揺れも治まってくる。
「大丈夫か?」
「だいぶよくなってきたよ」
「そうか」
短い会話。まぁ、長く話す体力はまだ無いのだ。肩が触れ合う距離で、二人で同じ風景を見る。潮の香りにまぎれてフレイアの髪の香りもする。甘い感じのする香りだった。
「中に戻るか?」
フレイアが聞いてくる。ルイスは考えるまでも無く、反射的に言った。
「もう少しここに居たいかな・・・」
「そうか・・・実は私もだ」
二人して笑う。リースは一人で何しているか気にならないわけではないが、楽しめる時間を棒に振るのは勿体無い気がする。
一瞬だが、流れ星が夜空を駆けた。
「なあ」
「ん?」
「なんでも一つだけ願いが叶うとしたら、何を願う?」
「そうだな………もしも、は嫌いだが・・・」
フレイアは顔の向きを変えて、ルイスを見てからまた夜空に視線を戻す。
「お前と出来る限り共に歩み、共に立ち止まること。でも願おうか」
聞いた瞬間、ルイスは自分の顔が赤くなるのを感じた。潮風に熱を持っていかれることを考えながら「そっか」と応えた。
「お前は?何を願うというんだ?」
「そんなの決まってるだろ。フレイアを守れるようになりたい、だ」
これはずっと前に決めた決意。自分のために三度も死にそうになったフレイアを自分が守れるようになると、ずっと心に決めていた。
「なら、叶うさ」
「なんでだ?」
「志と、それに向かう努力と、十分な時間さえあれば叶わない願いは無いんだ。勿論、私たちにはまだまだ時間はあるだろう」
口元に優しい微笑を浮かべ、遠くを見るような目でフレイアは言った。大人っぽく見えて仕方が無い。
実質大人なのだが、リースが言ったイメージ的に、とはこういうことかもしれない。ルイスには子供っぽさが目立つところもまだある。
『これは、出て行かなくて正解だったね』
第三者、リースは甲板の入り口で二人の様子を見ていた。アメジストを埋め込んだ様な目が羨ましそうに見つめている。
『本当に夫婦なのか気になったけど、大丈夫そうだ。僕が口を出す必要はないな』
そして、リーサはそのまま寝床へ戻っていった。
コテとか前口上から予想したまんまの反応でワロタ
559 :
ハート:2007/05/04(金) 19:09:07 ID:SMZ3NK47
翌日、予定通りに孤島へ到着する。
大きく伸びをして、三人が一枚の地図を囲む。どうやらほとんどは密林になっていて、中心辺りに洞穴があるようだ。
「とりあえず、周りの森から探していこう。桃色なら目立つし、居ればすぐにわかるだろう」
「散って探すかい?」
「相手の強さもよく分からないからな……まとまって行くべきだろう」
ルイスとリーサが頷き、キャンプの右に広がる密林へと進んだ。
居るのはよく世話になるアプトノス。しかし、今回は用が無かったので素通りする。
次のエリア、ピンク色のソレは大きな木の根元辺りで何かを食べている。どうやらキノコのようだ。
こちらに気付いたのか、吼えて威嚇。明らかに異様な・・・いやユニークな見た目のモンスターである。
「ピンクの体毛に巨大な猿みたいな外見・・・どうやらあれだな」
「思ったとおり、面白そうなモンスターだね」
「にしても・・・見たこと無い種族だな・・・」
三者三様の反応をさせた「ババコンガ」は、頭に様々な色の毛で出来た角のようなものがあり、土色の皮膚、長い尻尾。
尻尾の先にはなぜかキノコを巻いていた。御世辞にも強そうな感じはしない。むしろ手懐けられそうだ。
「僕が様子を見よう。遠くから攻撃できるぶん、特殊攻撃を探るのは僕のほうが向いているだろう」
「わかった」
弓を一度に三本番え、一気に放つ。キレイな放物線を描く矢をババコンガは見た目とは裏腹な機敏な動きで横に跳び、かわした。
「ん、ちょっとショックだな。だけど、これならどうかな」
今度は弓を地面と平衡にして、横に広がる形で矢を撃つ。ババコンガもこれはかわせず、右足や左肩に矢が刺さっている。
何度か繰り返したが、ババコンガは特別な動きは見せなかった。弓の連射のせいでこちらに近づくのもままならない様子だ。
特別毛が固いわけでもなく、見た感じ火などを吐くことも出来なさそうである。
「じゃあ、そろそろ私たちも行くぞ」
「わかった!」
フレイアとルイスが前に出る。しかし、ババコンガは大きく息を吸い込み、ルイスの攻撃を跳ね返した。そして押しつぶすように倒れてくる。
「お、っと・・・」
緩慢な動きの攻撃をかわし、もう一度仕掛ける。ババコンガは何やら体制を低くして、口を開いた。そこから黄色い気体が放出される。
「な!・・・に?・・・」
神経性の麻痺毒のようだった。体が言うことをきかず、膝が折れる。視界の端にうつるのは右腕を高々と上げるババコンガ。
バゴン!!
鈍い音をたててフレイアがルイスとババコンガの間に入り、盾で止める。フレイアの足が沈んだところから相当な力を持っているようだ。
襟首を掴まれ、引きずられる形でルイスはババコンガから離れる。その間、リースは弓矢による牽制を続け、敵の追撃を阻んだ。
「ルイス、動けるか?」
「まだ・・・痺れてる」
軽い痙攣のような動きはできるものの、立ち上がり走ることはまだできそうにない。回復にはもう少しかかりそうだ。
「ならここでじっとしていろ。私が前で止める」
「なら、僕は離れるわけには行かないね。いざっていう時は引きずって逃げるから」
「あぁ、よろしく頼む」
それだけ言ってフレイアはババコンガの元へ走る。リースの弓矢、数は刺さっているが致命傷に至らしめるには距離がありすぎる。
560 :
ハート:2007/05/04(金) 19:09:47 ID:SMZ3NK47
『ぶおおぉぉおお!!』
豚のような鳴き声を揚げたババコンガはフレイアに狙いを定めたのか、突進を始める。土を蹴り上げ、フレイアは横にかわした。
猪突猛進、ババコンガはそのままリースの元まで走り抜ける気だった。リースは弓を畳み、ルイスへ視線を送る。
「早速かい?悪いけどルイス、ちょっと我慢して欲しい」
ルイスの体は跳ねていた。蹴られたのか、頬が痛む。見れば、リースは既に隣に居た。また、弓を構える。
ゴンッ!…大きな音をたててババコンガは岩に突っ込んだ。全速力で体当たりをしたせいか、足をふらつかせている。
「もらった!!」
走りながら、フレイアは槍を掴む。そして、ババコンガの左肩にブループロミネンスを突き出す。槍は、完全に腕を貫通していた。
『ぶるおおぉぉぉ!!あぅおぉおおあぁ!!』
奇声を上げながらのた打ち回るババコンガ。毛が燃え上がり、炎は時間と共に大きくなる。その時、ルイスは体が動くことに気付いた。
「よし、治ってる。止めを刺しに行こう!」
「わかった。フレイアにだけ任せるのも悪いしね」
そういって、リースはルイスに続いて走り出した。瞬間、ルイスはあっさりと追い抜かれ、リースはあっという間にババコンガの元に居た。
「どうしたんだい?まだ痺れが残っているんじゃ・・・」
「い、いや・・・うん、そうかもな……」
そんなはずは無かった。自分の体のことくらい理解できる。今は万全のコンディション、リースが速いだけだ。
『もしかしたら・・・フレイアより速いかもしれない・・・』
息一つ乱していない横顔を見てからルイスは視線をババコンガに向けた。毛はほとんど燃え尽き、皮膚が爛れ始めている。
止めを刺す必要も無いくらいに、ババコンガは弱っていた。しかし止めを刺すまで安心はできない。
死ぬ直前、動物は想像出来ないほど強い力を出すことがある。生き残るために。
「これじゃ素材は期待できないね。まぁ、硬いわけでもなかったから装飾用にしかならないと思うけど」
そう言ってリースは矢をつがえる。フレイアは槍を刺したまま、こちらに戻ってきた。
「抜かないのか?」
「反撃されては堪らないからな。止めを刺した後のほうが安全だ」
言って、リースと目を合わせる。リースは止めを刺せ、と理解したのか、躊躇無く・・・矢を放った。
「あ、おかえりなさい。どうだった?」
「大したことは無かった。飛竜で言えばゲリョス…いや、イャンクック程度だ」
フレイアはビールを受け取って答えた。麻痺の効果を持ったブレス、力などを適当に説明してから飲み始める。
「あは、相変わらず辛口ね。ルイス君とリースちゃんもお疲れ様。今日はおごりにしてあげる」
「ありがとうございます」
笑いながら答え、遠慮なくビールを流し込む。今日、一番驚かされた奴の事を横目で見ながら。
「ん・・・なんだい?」
視線に気付いたのか、リースが声をかけてきた。誤魔化すより、聞いたほうがいいだろう。
「お前、足速いな。本当はフレイアくらい力があるんじゃないのか?」
「はは、そんなはずは無い。きっと装備のハンデのおかげさ」
相変わらずの口調で微笑をしながらリースもビールを飲んだ。ジョッキを空にして、御代わりを待つ間に手渡されたのは、リースの弓。
「う、わぁ・・・軽いな」
「だろう?そんな大剣を背負ってたら嫌でも遅くなってしまう。僕は狙われても避けれるように軽い武器を選んだんだ」
フレイアとは真逆の考え方だ。フレイアは攻撃を受け流し、弾きながらでも懐に入り、できるだけ早く勝負を決める狩りをする。
「その考え方は正しいよ。時間がかかれば不利になるのは僕等だ。でも僕にはそんな剣を振る力は無い」
「だったら片手剣でもいいだろう」
フレイアが会話に入る。すると、リースは紫の瞳に冷たい色を湛えた。フレイアはそれを繁々と見つめた後、軽い溜息をつく。
「そうか、言わなくていい。言いたくないことなんだろう?」
「うん・・・ごめんね、隠し事みたいで」
「別にいいさ。誰でも言いたくないことぐらいある。私にもあった」
何かを理解したような感じでフレイアは話した。ルイスには何なのかわからない。二人が同じような境遇なのかも知れない。
その夜は、今までと変わらず、賑やかな夜となった。別れ際、リースにフレイアがこんな言葉をかける。
「言いたくなったら話してくれればいい」
リースは返事さえしなかったものの、瞳には、明らかに喜びと安心の色が宿っていた。
561 :
ハート:2007/05/04(金) 19:11:47 ID:SMZ3NK47
>>516 の続きです。段々DOSの世界観に入ってきてますが、まぁメインステージはGのままで行く予定です。
では失礼しました。
GJ
ただDOS密林は「狩りに生きる」には確か湖と書かれていたぞ
うん、設定厨ですまない
ハート氏ベリーGJ!
リースがどんな隠し事をしてるのかめがっさ気になる。
できれば修羅場らない事を祈る。
ぁ、GJぃぃぃ!!
相変わらずのクオリティ。
今後もひたすら期待。
「もらった!」
龍壊棍の一撃。
勘、経験。相手は希少種とは言えレイア。これだけ接近しても反撃を食らう筈は無いとタカを括っていた。
私は確かに確認した。武器に込められた龍属性の閃きと、骨を砕く鈍い音を。この一撃で怯んでいる隙に側転。次の攻撃に備えて武器を握り直す。
でも。
「なっ!」
ー怯んでいない!?
金色の体の片足を引き下げ、筋肉を張る。このモーション、向き。経験しているからこそ恐怖だった。
一瞬、眼前に見えたレイアの目が光って見えた。
画面が切り替わる様に、光景は変わる。
次は跳ねたレイア。迫ってくる雌火龍の証、尻尾の毒針。
そして私の体は地上を離れた。
「うっ…」
明らかな異常を感じる。早い呼吸、暗転を繰り返す視界、一番まずいのは朦朧とする頭だった。飛龍を前にした意識の明滅は、死を意味する。
レイアの目標はまだ私の様だった。奴の口から漏れる火炎の吐息は…ブレスだ。
…さすがに、まずいわね…
ガノンは懸命に駆けて来ているが、盾になるのは間に合わない。フラディオは生憎リロード中。ジーグは今…視界にさえ入っていなかった。
ー来ないで、ガノン。
口は開かない。
それでも、ガノンが安全圏の内に私は灰になるだろう。問題は無い。
そうだ、後は皆がどうにかする。そう…
「お嬢様ー!」
「エルメリアさん!」
覚悟して私は、目を閉じた。
ジーグ…
「させるかあぁっ!」
ジーグ…?
ーレイアの悲鳴だ。
はっとして目を開ける。私から見えない所。正面からは死角になる、尻尾側で、赤い刀身となった大剣が振り下ろされていた。のた打ち回るレイアと、吹き飛ぶ金色の尻尾。
「お嬢様!」
「ガノン…」
ガノンは白く輝く粉を取り出し、私の方に投げつけた。
ー粉塵!
風に乗り他の皆にも恵みをもたらす。
続く低音の響き。レイアの注意がガノンに変わる。
「カッコつけんな!オッサン!」
注意のそれたレイアに、ジーグが大剣の数発を叩き込むと、フラディオはここぞとばかりに装填の終わったボウガンを連射する。爆音の衝撃が連続し、斬撃とも打撃とも取れるような大剣の切り裂いた音が頭に響いた。
レイアの断末魔と、私の意識が消えたのはほぼ同時だった。
誰かわかるかな…
|=サッ
566 :
ハート:2007/05/05(土) 15:06:52 ID:sfsuI6Xj
ちょっときになっただけなのだが、フラディオはエルメリアを「お嬢さん」と呼びます。
武器の成長はまぁ年月がたったって設定で、ラオも討伐済みとして。
一番気になったのは、
「カッコつけんな!オッサン!」
この台詞。角笛を吹くのはジーグがであったときからしている、よってこんな台詞は出ないと思うのだが?
そしてオッサンとは呼ば無かったと思う。「ガノン」で呼び捨て。
なんかうざくてすいません。。。
たまにコテ外せといわれますが別に外す気は無い。
記憶が曖昧なまま書いたのが悪かった…
すまない。
またROMだけに戻ろう。
バルバトスの目標はまだ私の様だった。奴の斧から漏れる紫の波動は…ジェノサイドブレイバァァァァ!!だ。
つかあれだ
逆にコテつけてくれてんだから、ウザいと感じたならあぼーんすりゃいいんじゃね?
まぁまぁ、険悪なスレにしない為にも平和に行きましょう。
以後、何もなかったようにスレ再開↓
さすがに
>>566は、釣りじゃね?
>>567 文庫の記憶が曖昧なら、別なハンタの話を書けばいいと思うよ。
文庫読んでない人もいるだろうし。結構カコイイ文章だったとオモ
SS保管庫更新マダー?
結構人いなくなったな…。あの頃が懐かしいぜ。
576 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/07(月) 01:09:58 ID:IgjskSwq
やぁ。久しぶりだね?
なに? 僕が誰かって? ははは、完全に忘れられてるようだね。
僕の名前は、ドリトノレ。ドリトノレ・クラウディー。
元ハンターで、今じゃモンスターたち相手の医者さ。
ん。まぁなんでそんな事してるのか? って質問は
過去ロ(パティに殴られ一瞬ブラックアウト
痛いなぁ……個々最近パティったら手加減なしさ。酷いとおも(再度ブラックアウト
OK。もう何も言わない。だから、もう拳握り締めないでくれパティ。
さて、今回の患者の事なんだけど……
彼女は、恥ずかしがり屋でね。診断に行ったんだけど一行に姿を現さないんだ。
小一時間ばかり待ってたんだけどね?
こないから、帰ろうとしたら……
隣にいつの間にか居たんだよね〜。
え? 誰かって? そうだね。古龍……だったかな? そう
オオナズチ
後で話聞いたら僕が到着した当初から横に居たらしんだよ。
話しかけてくれればよかったのにね?
なんでも恥ずかしくて話しかけられなかったらしい。
せめてその姿でも見えてれば、直ぐ対応できたんだけど……
オオナズチの彼女は、姿を完全に消せるって言う能力持ちだからしょうがないよね。
さてと、診断内容を話したかったんだけど急患。
え? 誰かって?
リオの夫婦。まーた喧嘩だと思うよ。
パティ! 回復薬と回復薬グレード頼むよ! あと、一応秘薬!
え!? 秘薬この前切れたって!?
んー……じゃぁ硬化薬グレードお願い。
あ、君の事をないがしろにしすまないね。
オオナズチの話はまた今度で! いや、本当にすまないね。
じゃ! また!
うわぁー!? ちょww!? レイアさん?! 興奮しないで!
何!? レウスさんハンターに重傷負わされた!? だから興奮し ウボァー
>>575 「ここって擬人化とか長編が多いみたいだけど
普通にハンター同士で短編書くと嫌がられるのかな…」
と思って二の足踏む人もいるんじゃないだろうか。
最近の擬人化+押し掛け女房連発の流れは
さすがにマンネリ化してきたような気がしないでもない。
まあ以前恩返しネタで一本書いちゃった俺が言うのもどうかとは思うが。
578 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/07(月) 01:24:50 ID:IgjskSwq
エロなしで押しかけ女房ネタ。しかも無駄に長いの書いた私はなんなんだか。
んーまぁ。アレじゃない?
擬人化と長編とかにこだわらんで短編でもなんでもドパドパ妄想書き殴ればいいよ。
まぁ投下しなくていいか。じゃなくて、まぁ投下してみるか。って感じでもいいんじゃね?
私が言えた事でもなさす。
そしてsage忘れるorz
長編は、人の名前が多くて追いつけなくなった…ファミ通の小説も読んでないし
>>575 >あの頃
岩山龍が流行ってた頃? 今でも流れは速い方だと思うよ
保管庫誰が更新してるの?
>>577 でも職人さん個人個人の個性があるからあまり気にはしない。
583 :
ハート:2007/05/07(月) 18:03:36 ID:RA8QgMAj
「ん……はぁ・・・ん、くぅ……」
「はぁ・・・フ、フレイア・・・」
暗い部屋の中、二人の呼吸音と水音が響く。今日は生憎の大雨。しかし空からは太陽の光が射す。このような雨は数分で止むのだが、今日は一日中続いていた。外に出るのも儘ならず、暇をもてあましているとフレイアが来たのだった。
クシャルダオラの嵐の時は何とも無かったが、今回は少し、肩を震わせていた。なにかしらのトラウマがあるのかもしれない。
互いに肩を貸し合って座っていると、いつの間にか唇を奪っていた。震えているフレイアを、少しでも慰めることができれば、と。
「んあ!ふ、、ぁあ……ルイス・・・」
「く・・・もう出る!」
「くふ、、は!あぁぁ…」
「で、どうしたんだよ?今日は」
「……晴れた雨は嫌いだ」
「昔……そうだったから?」
「あぁ。迷惑だったか?」
昔、と言うのはフレイアの村が消えた日。このような雨が降ったのだろう。そして、思い出してしまった。
「全然。むしろ頼ってくれたのは嬉しかった」
「そうか・・・ありがとう」
いつものフレイアの顔に戻っていた。揺るがない瞳に、真直ぐ見つめられる。フレイアの顔が晴れたと同じ頃、雨も止んでいた。
立ち上がり、出口へフレイアが歩き出す。後に続いたのは、見送るためだっただろうか。
「邪魔した。おやすみ」
「あぁ。また、来てもいいぞ」
「バカ。それじゃあな」
フレイアは軽い微笑を携えて戻っていった。
今日はもう、やることが無い。時間も時間だし、たまには暇な日があってもいいだろう。そして、眠りに着いた。
まだ空が白み始めたばっかりで、肌を切り裂くような冷たい空気が立ち込める中、フレイアとルイスはリースの部屋に呼ばれていた。
「何か用か?こんな時間から」
「うん……ちょっと、聞いて欲しいことがあるんだ」
これが、すでに五分ほど前の会話だ。それっきりリースは黙っている。彼女にしては珍しく、決心しては躊躇することを繰り返し、黙り込む形だ。
フレイアも急かす事をせず、ルイスにいたっては何も言えることが浮かばなかった。そして、時は刻まれる。
「実は・・・僕には無いんだ」
「何がだ?」
唐突にそんなことを言われた。フレイアは少しも驚く様子を見せず、いつもの声の調子で切り替えした。
「えっと・・・その、記憶が・・・」
沈黙が流れる。記憶が無いにしてはリースは普通に会話できているし、弓だって巧みに操っている。はっきり言って信憑性にかける話だ。
「信じてくれなくてもいい。聞いて欲しかったんだ」
やや俯き加減で、口の端から漏れる程度の声が聞こえる。信じて欲しい、と表情が語っていた。
フレイアは考える時の癖、腕を組んで目を閉じる。短い間だった。
「それなら、その弓や防具はどうしたんだ?気付いた時どこに居た?」
矢継ぎ早な質問。リースは記憶の本の中から一枚のページを探すまでの時間を開け、ゆっくりと口を開いた。
「目が覚めたのは砂漠のど真ん中…防具は最初から身につけていたんだ」
「て、ことは前からハンターだったって事か?」
ルイスは聞いた。今までは黙っていたが反射的に声が出る。リースの記憶には答えが無い質問だと、気付く時間はかからなかった。
「わからない・・・ただ近くに一人、死んでる…いや、確認はしてないけど倒れてる人がいて、この弓はその人が持っていて・・・」
「村に古くからあるって話は嘘か?名前は?」
「ごめん・・・名前は近くに転がっていた折れたボウガンのトリガーに彫られてたんだ。多分、名前はあってる……」
また、黙ってしまう。フレイアはどちらかと言うと物事を率直に聞いてくるタイプだ。そのほうが、正しい情報を得られる。
が、それは相手に厳しい態度をとることにもなる。相談に来たのなら隠す必要も無いのも事実だが。
584 :
ハート:2007/05/07(月) 18:04:32 ID:RA8QgMAj
「それで、砂漠の中、迷ってたら馬車が来て、お願いして乗せて貰ったんだ」
「そして、私たちに出会った、と?」
「うん・・・」
ルイスは既に蚊帳の外だ。話しは聞いているが記憶がなくなるなんて聞いたこともないし、ましてやそれを信じろと言う。
「信じてもらえない……よね?今まで、嘘ついてたわけだし・・・」
「いや、私は信じてもいい。ルイス、お前は?」
フレイアに問われる。正直、半信半疑だ。ただ、俯いたリースの瞳には嘘を感じられず、零れんばかりの涙がそこにあった。
「俺も、信じるよ。仲間だしな」
「と、いうわけだ。気にすることは無いぞ、リース」
フレイアがリースの名前を呼んだ瞬間、リースの目から涙が落ちた。そして、続けざまにソレは落ちる。
自分達の部屋に戻る途中、フレイアはこんなことを言い出した。
「次に会ったら絶対に変な顔をするな。普通に、今まで通りに接してやるのが一番いい」
「そうだな・・・がんばるよ」
そう言うと、フレイアは向き直って厳しい目で見てきた。
「頑張る必要は無い。そんなことをすれば逆に傷つけることになる。普通でいいんだ」
「あ、そっか。そうだな・・・」
また、並んで歩き出す。フレイアは厳しい面が目立つものの、思いやる事や人の気持ちを考えることは疎かにしない。
自分との違い、自分との差はこのようなところにも現れる。ただ、フレイアは気にすることなんか無いといってくれる。上ばかり見てると足元が壊れるから、と。
『いや、俺が子供なだけかもな・・・変わらないと』
「おい、どうしたんだ?」
いつの間にか立ち止まっていたようだ。少し離れた所からフレイアの声がかかる。慌ててフレイアの隣まで走った。
横顔をじっと見つめられる。なんだか、今まで考えていたことを読み取られる気がする。
「お前は、変わる必要なんか無いさ。今のままで、優しくていいやつだ」
「何言ってんだよ。それに、変わりたいなんて誰が言ったんだ?」
「そうか?また何かを考える顔になっていたが……まぁ、何かあったら話せ」
「あぁ、遠慮せずに話させてもらうさ」
鋭い切り込みに、少しあせったが後半の台詞が妙に照れくさかった。そして、相談相手としては心強い。
自分よりも強く、大人で、何よりも信頼し、愛している人の少し後ろを、ルイスは歩いた。
585 :
ハート:2007/05/07(月) 18:09:27 ID:RA8QgMAj
翌日、リースは酒場で朝食を食べていた。相変わらず不揃いな前髪が揺れ、ルイスとフレイアを見る。
「やあ、おはよう。昨日はすまなかったね」
「別にいいさ。話してくれたってことは信用してくれているんだろう?」
「うん、そうかもしれない」
二人でリースの反対側に座り、自分達の朝食を頼む。前を見れば、相変わらず口元に微笑を湛え、説明口調が目立つリースがいる。
今、自分は普通に接しているだろうか、という考えがよぎるがリースの様子を見ていると心配なさそうだ。
「記憶、戻るといいな」
そんなことを、なんとなく、ポツリと口にすると、リースは意外な答えを返してきた。
「いや、これはこれですべてが新鮮で楽しかったりするんだ」
「ならなんで相談したんだよ?」
「仲間って言ってくれただろ?それならもう寂しくない。本当のことを知ってくれている君達がいればもう心配は無いよ」
そういって満面の笑みを浮かべる。いつもの会話だ。
説明口調のリースと、所々で微笑するフレイア、そしてそんな光景を見て、ルイスは安心した。
『普通でいいんだよな。俺たちも、世界でさえも』
今日は、どこに行くことになるだろうか?
砂漠は気が引ける。リースに嫌なことを思い出させてしまいそうだ。
砂漠に行くならもう少し時間を空けたい。
できれば、クシャルダオラとかではなく、普通のモンスターがいい。ゲリョスやイャンクックなどはどうだろうか?
>>560 の続き。因みに俺は長編書いてる一人・・;
最初(二匹目?)は小説のキャラで読みきり的なの書かせてもらってた。
擬人化が多い流れは気にする必要ないと思うけど・・・
ハート氏GJ!修羅場はないようで安心ですな!
自分も擬人化はいいと思う。
気にしてたらまだいる職人さんが遠ざかるしさ…
ふと思いついたネタ投下
主人公はクシャル討伐に向かうヘタレハンター
ヘタレの由縁はこれまでに十回以上クシャル討伐クエストを受け、撃退すらできていないから
そんな日々も今日こそ終わらせるとクシャに戦いを挑むも、あっさりと返り討ち
いつものようにネコタクが迫り来る
しかし、そこから先は普段とは違った。そばにいた古龍が翼を打ち震わせ、ネコタクを吹き飛ばす
クシャルは彼に向き直り、ゆっくりと顔を近づける
ああ、俺の悪運もここまでか…希望を失った彼の意識はあっという間に闇に飲まれる
しばらくして目が覚めた
そこは天国でも地獄でもベースキャンプでもない、どこかで見たような洞窟の中
そう、そこはまさしく飛竜の巣
そして隣にいたのは飛竜の卵ではなく、絶世の美少女だった…
もう俺書いちゃおうかな
>>587 是が非でも書きなさい。
それが運命です。天命です。宿縁です。義務です。責務です。
いまは昔、卵盗りの太郎といふ狩人有りけり。森丘にまじりて卵とりつつ、よろづのことに使ひけり。
その卵の中に、もと光る卵なむ一玉ありける。あやしがりて寄りて見るに、殻の中光たり。それを見れば、三寸ばかりなる人いとうつくしうてゐたり。
太郎いふやう、「我昼ごと夜ごとに見る卵の中におはするにて、知りぬ。子となり給うべき人なめり」とて、手にうち入れて村へ持ちて来ぬ。給仕の猫にあづけて養わす。うつくしき事かぎりなし。
飽きたのでここから現代語訳
さて、卵の中から見つけた子供を育てることにした太郎でしたが、その日から金でできた卵ばかり見つける日が続き、太郎は豊かになっていきました。
太郎が見つけた子供はどんどん大きくなり、三ヶ月ほどで年頃の娘になりました。この世のものとは思えないほど美しくなった娘は「たまご姫」と呼ばれるようになりました。
その後のたまご姫、街の狩人や王侯貴族なんかに求婚されつつも、無理難題をふっかけて断ってまいりました。
そうしているうちに、繁殖期が近づき、姫は夜な夜な泣くようになりました。太郎が訊ねると「私は別世界のものであり、まもなく迎えが来るのです。その別れがつらくて泣いておりました。」
と答えたそうな。それを聞いた太郎は狩人組合に応援を要請し、姫を守る狩人の軍勢をそろえました。
そして当日、空から竜の大群が降りてきました。狩人も太郎も抵抗できないまま姫は連れ去られました。
別れの時、姫は太郎に不死の薬を送りました。しかし太郎は姫のいない不死に意味などないとして、世界で一番高い山で焼きました。それ以来、山は常に噴煙を上げる火山となりました。
>>590 バカスww GJww
全体的に大真面目に馬鹿なのが素敵だが、「もと光る卵」はねえw
卵が光ってんのか置いてある巣が光ってんのかはっきりしろw
>>590それはねぇだろwww 吹いたwww
その無理難題についてkwsk
今から家に帰って小説書こうと思うんだができたら投下していいかな?
>>592 ミラバルカンを10匹、一分以内に狩れ!とか?
そして現れるチート勇者様
597 :
593:2007/05/08(火) 21:09:22 ID:BLWMTERD
どうも。とりあえず前半書いて来た。まず前半投下しちゃうよ。
こんなんは初めてだからうまくないけど資料はハンター大全2や
ゆうきりんの小説を使わせてもらいました。
女ハンター×擬人化バサルたん。
お気にめしたら幸いなので我慢して見てやって文句ください。
あ、ちなみに前半はノンエロなんで。すまん。
598 :
593:2007/05/08(火) 21:11:00 ID:BLWMTERD
(あーあ、また逃がしちゃったよ・・・。)
ザザミヘルムを脱いで頭をかく。ぱらぱらとフケが落ちる。
(でも、足を引きずってた。これなら時間内も余裕だね。)
後20時間はある。ペイントの臭いもかなり残ってる。
そう思いながら彼女は双剣・インセクトオーダー改を背中にしまう。
彼女の名はリン・グロウ。ポッケ村専属のハンターだ。
双剣使いとしての腕はそこそこあり全身を砂漠の盾蟹と呼ばれる
ダイミョウザザミの素材から作るザザミシリーズで固めている。
顔立ちは綺麗、というより良くカワイイと呼ばれる。
(あちゃ〜、クーラードリンク後一本しかないよ。)
バッグの中を見て、ため息をつく。今いるエリアはエリア7と呼ばれ
常にマグマが流れている熱いエリアだ。汗が噴き出すほどの。
(短期決戦だね、こりゃ。できればこれは使いたくないし。)
彼女は今ドンドルマからほど近いラティオ活火山に来ている。
村の村長に依頼された岩竜−バサルモス−を狩猟をするために。
今は静かな場所だが先ほどまでこのエリアでそのバサルモスと戦っていた。
毒ガスによく注意を促しながらうまく腹に得意の乱舞をたたき込み
腹の甲殻を一部破壊することができた。
リンがそれを拾ってバッグの中に入れると、体に重さがずしりと響く。
周りにはバサルモスのものと思われる血が地面を真っ赤に染めている。
ペイントの臭いを探る。エリア6からか臭いがする。
ひとまず安心し砥石をかけようとしゃがもうとした、その時。
−・・・ォオオオオオオオオオオオオオオーン・・・−
599 :
593:2007/05/08(火) 21:11:32 ID:BLWMTERD
リンはとっさに双剣を持ち態勢を整える。聞いたことのない咆哮だ。
「な、何?!何なの、今のは!」
辺りを見渡す。しかしバサルモスはいないし
うっとうしいランゴスタもいない。このエリアにはリンしかいない。
ハンターとしての直感が、山の上の火口に気配があると感じて
バッと振り向くと見たことのないような黒雲が火口の上で渦巻いている。
ゾッと寒気がして地面に膝をつく。恐怖そのものに襲われるような感覚。
「な・・・何?なんで震えてるの私!?・・・動いてよ!」
体が命令を聞かず震えて、その場に座り込む。
その時リンは突然あることを思い出した。
−ミラボレアス−
昔見た、ギュスターヴ・ロンの著書に書かれてあった名前だ。
古シュレイド王国が東西に別れたのがこの黒龍の存在のせいらしい。
その名は運命の戦いの意味し、とてつもなく強く人々は恐怖した。
土を焼き、鉄を溶かし、水を煮立たす者。
風を起こし、木を薙ぎ、炎を生み出す者。
畏怖の存在。避けられぬ死。宿命の戦い。伝説・・・。
「あはは・・・、伝説に、き、決まってる・・・!」
信じたくなかった。伝説と言われる龍など。
まだ両親を殺した角竜も倒してない!それなのに!死んでたまるか!
必死に体を動かしてバッグから双眼鏡を掴み取り火口付近を見る。
自分の目を疑った。見たことのない体長が長い龍がいる。
白く、神々しく光り、周りには電気のようなのを纏っていて
火口付近を飛行している。ところどころには髭のような体毛もある。
「黒く・・・ない?・・・何なの?」と、口に出した瞬間。
目の前がすさまじく光りドォォォォオォーン・・・と地面が揺れた。
落雷だ・・・!火口に近いエリア6付近に雷が落ちたらしい。
体の震えが止まり、気分が戻る。ハッと気づき火口を見る。
「いない・・・?!」
空は晴れ渡り、ミラボレアスらしい龍もいなくなった。恐怖の感覚もない。
やっと立ち上がると、あることに気付く。
バサルモスに付けたペイントの臭いがなくなっている。
とりあえずミラボレアスらしき龍は後で考えようと思い
ぱさぱさする携帯食料を食べ終わった後、エリア6に走った。
600 :
593:2007/05/08(火) 21:13:40 ID:BLWMTERD
トリアーエズ前半はこんな感じで。
後編のエロシーン描写は・・・期待しないでください。
めっさ気になる・・・続き楽しみ。
602 :
593:2007/05/08(火) 23:16:54 ID:wZuGYMb7
す、すまん。エロに入りなさそうになかった。
とりあえずエロ手前まで投下する。中編で。
後編は近日ってことで許してくださいな。
では、おやすみ。
603 :
593:2007/05/08(火) 23:17:37 ID:wZuGYMb7
エリア6に入り小さな坂を登るとイーオスの群れが見えた。3,4頭か?
と、思うと彼らは威嚇している。・・・私ではない何かに。体を伏せてそーっと群れの中央を見る。
(え・・・?子供?なんでこんなところに!?)
うつぶせになりぴくりとも動かない小さい子供が倒れている。灰色の、岩の色をした布を着ている。
(・・・あー!もう!何でこんなところにいるのよ!まったく!)
このままでは危ないと思い走り出しながら閃光玉の留め金を外す。1頭のイーオスが気付き叫ぶ。
それに呼応するかのように一斉に叫ぶ。この程度、危険とまではいかないがさすがに人を守りながら倒すのは厳しい。
その刹那、閃光玉を投げイーオスの目を潰す。全員ふらふらとしている。
その間に子供にかけよると周りに血が流れている。子供の者かと思い仰向けにして腹を見る。
この子の腹に傷がある。・・・いくつも。しかし致命傷にはなってないようで息をしている。
まだ助かると思って瞬時にベースキャンプに戻るアイテム−モドリ玉−を使う。なんで戻るかは不思議でたまらない。
ベースキャンプに戻り、ベッドに寝かせる。すぐさま解毒薬、回復薬をむりやり口に入れて飲ませ、
薬草を5枚ほど傷の上に乗せてそこから包帯を巻く。アイテムボックスから純水を取り出してタオルに染みこませて
体を拭こうとして布をゆっくり剥ぎ取る。小さな男性器が見えた。
(男の子か・・・。まさか狩り場で男の人に会うとは・・・ねぇ。)
よく全身を拭いて、おいてある毛布を掛けてベッドに寝かせる。すーすーといびきをかいている。
顔を見ると10歳〜12歳か?かなり幼く、可愛く見える。身長は150もなくさっき担いだときは飛竜の卵より軽かった。
とりあえずこの子が起きるまで側から離れられない。ベースキャンプの船の上で背伸びをする。
日はまだ上にある。のんびりとしようじゃないか、と思って床に座る。
「ふわあああ・・・。疲れちゃったなぁ・・・。あの子・・・なんな・・・んだ・・・ろ・・・?」
今までの疲れ、暖かい日差しと心地よい潮の香りが眠気を誘いリンは意識を失い床にドサっと崩れ落ちた。
604 :
593:2007/05/08(火) 23:19:02 ID:wZuGYMb7
「ふえ・・・?・・・ん・・・あ・・・わ!もう真っ暗だよー!早くあの子の薬草変えないとぉ!」
辺りは薄暗く火山の火が回りを照らす。目をさすり意識をぼっーとさせながら移動するために立ち上がり移動する。
子供のところに駆け寄り包帯をほどくと、さっきより傷がかなり回復している。人間ではあり得ない・・・人間では。
「傷が・・・?まさかこんな短時間で!?すごい・・・。けっこう深かったのに・・・。」
と言うと、それに反応したかのように子供がパチリと目を覚ます。
「大丈・・・」と言いかけた瞬間子供が一気に後ずさる。かなり怯えてるような感じだ。
「おお?おお、お姉ちゃん・・・誰?ここは・・・?あれ?僕、体が、変だよ?」布団にくるまりながらリンに話しかける。
「落ち着いてね?お姉ちゃんはリン、っていうの。ここはベースキャンプ。あなたは?」
「確か、ぼ、僕の名前はバル。16歳で。・・・あれ?他に何にも思いだせないよぉ・・・?」
「記憶喪失、ってやつかぁ(さっきの雷かなぁ?)。親は?住んでるところは?思い出せる?」
「うぅ〜、わからない。何も思い出せないよぉ。どうしよう、リンさん?」
バルは涙目でリンを見る。(かっ可愛い・・・!じゃなくてぇ!)
「うーん。とりあえずお腹へったでしょ?ご飯作るからちょっと待ってね。あ、それと呼ぶときはお姉ちゃんでいいよ!」
「う、うんっ。リンお姉ちゃん!」
顔を明るくして返事をする。弟も良いかも・・・と思いつつリンは肉焼きセットを組み立て始める。
剥ぎ取りナイフを洗い、できたこんがり肉を細かく、食べやすいように切る。それをお皿に盛ってバルの前に出す。
「はいっ、どーぞ!上手に焼けましたー!」
おいしそうに湯気を出して肉汁が皿の底にすこし溜まる。バルを見るときょとんとした顔でこちらを見る。
「これ・・・何?」「何ってアプケロスのステーキだよ?」「へぇ〜、お肉なんて初めて見たよ。」
「はあ?・・・バル、もしかして、食べたことないの?」「うんっ、いつも鉄鉱石とか円盤石とか・・・。」
「・・・・・え?」「後、ごちそうはマカライトとかかなぁ。あれかりかりでおいしいんだよ!」「・・・・・ん?」
「どうしたの?リンお姉ちゃん?」「・・・ちょっと待ってね・・・。」リンはうつむく。
まさか、いや、そんなはずは、だって、物理的に・・・、それに・・・、鉱石食べる・・・、
あの傷の治りの早さは・・・、あれは飛竜並の早さ・・・、でも・・・、飛竜が・・・、人間に・・・、黒龍・・・?
あ、落雷。
リンは急いで鞄から千里眼の薬を取り出す。第6感が研ぎ澄まされて飛竜の場所が一時的にどこにいるかが良くわかる薬だ。
それを一気に飲み干す。わずか・・・。ほんのわずか・・・。ごくわずかだが自分の近く・・・すぐ側から気配を感じる。
リンはバルにバッと振り向く。バルは?な感じでこちらを見返す。
「まっまさか・・・。バルってさ?もしかして・・・。その。・・・バサルモス?」
「え・・・うん。そうだけど?」害がないような笑顔で笑う。当然だ、と言われてるような顔で。
「・・・ええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!??????」
605 :
593:2007/05/08(火) 23:39:41 ID:wZuGYMb7
は、ね、寝てた・・・。
とりあえず、また今度投下します・・・。では・・・。
バーババ、バーババ、バーバーバー、バルバトス・ゲーティアだ。
略してバルだ。
というのが頭に浮かんだ。
>>606 活字で書かれても元ネタ知らんから分かんねーよww
>>606 んじゃバルはハンターがアイテムで回復しようとすると「アイテムなんぞ使ってんじゃねぇ!」って若本ボイスでカウンターかましてくるんだな?
609 :
雲9の人:2007/05/09(水) 04:44:10 ID:bLr76Ze6
どうも、こっちのスレではほとんど書いてない超筆が遅い人です
ハンター大全持ってないので設定作らなきゃいけない部分が出てきたから持ってる人に質問
・ポッケ村やココット村、ミナガルデの生活水準から西暦200〜500年代の地中海〜スウェーデンのあたりと予測できるが開発はどこらへんの時代を想定しているのか?
・ドスで追加された土地に何か設定はあったか?
・太刀とかの説明で出てくる東の国とはどれ程の交流を持っているのか?
・古龍観測所は地上に研究所を持っているのか?
・禁猟区はどのような管理体制が敷かれているのか?
・アプノトスとポポ以外に人が使役するモンスターはいるか?
・ハンターズギルドの本部から各支部への連絡手段
うん、ダメだったらスルー推奨
>>609 >人が使役するモンスター
これって闘技場の事は禁句なん?
闘技場も考えたがあれはポポやアプノトスみたく日常生活での使役じゃないと思う
言い忘れてたけど、日常生活に導入されているモンスターの使役について聞きたかった
足りない部分あってスマソ
ミニクックは伝書クックとしてもおかしくない
人魚ガノトトスを考えてるけど、難しい…
>>609 大全2は持ってないけど大全とゲーム中と小説で分る範囲などで。
・太刀とかの説明で出てくる東の国とはどれ程の交流を持っているのか?
道中が険しいようで、人が行き来しているようではあるけど、交流って程の物はない様子。
・古龍観測所は地上に研究所を持っているのか?
ドスで確認できるけど、ドンドルマの街に古龍予報所が設けられていて、そこで古龍の研究と街への襲撃予測が行われてる。
まぁ、古龍に対する観測・研究を行う組織を纏めて古龍観測局と呼んでる感じがする。
・禁猟区はどのような管理体制が敷かれているのか?
そもそも禁猟区というのが存在しないかと。
ただ、ギルド間で狩場に関する所有権などで協定中の際は、トラブルを避けるためその狩場に立入禁止とされる模様。
・ハンターズギルドの本部から各支部への連絡手段
小説では馬車があるんでそれを使った連絡要員がいるか、観測局と同じく伝書鳩による連絡網があるのでは。
・アプノトスとポポ以外に人が使役するモンスターはいるか?
アイルー。
鉄鉱石作の皇子→クシャルダオラの御石の鉢
ネコタク持ちの皇子→秘境の玉の枝
アイルーの御主人→ミラバルカンの裘
ココットの御行→ミラボレアスの首の珠
ポッケの麻呂→ナナテスカトリの子安貝
>>592 それぞれの竜の宝玉紅玉を 生 き た ま ま 剥ぎ取って来い
繁殖期レウスレイアの尻尾にしがみついて逆鱗抜いて来い
というのを今更思いついた
以下無理難題について考えるスレ?
逆に考えるんだ、飛竜は古代文明が遺伝子操作の末に生み出したものというのなら…
そのキーになっている逆鱗や宝玉紅玉を抜くことによって
古代文明の呪いから開放され、おにゃのこに戻るのだと
もっとシンプルに考えろ
着ぐるみ
ラオとかの中身がすっからかんなのは
死んだときにみんな逃げ出してるからか
動力鎧竜メカグラビモスVS液体鋼龍クシャルダオラMk-2
おーけー。つまりラオの内部ではこうなってるんだな?
「ちょっと誰!?上から岩なんて落としてるの!!穴開いたらどうすんのよ!!」
「わ〜♪ねぇ、らーしゃおねぇちゃん。あのはんたーさんすごいよ〜。ずーっとおんなじところにばん!ばん!ってしてる〜」
「あらあら、ほんとねー。あそこはこのコの背中を支えてる、重要な支柱の1つだから壊されると困るのだけれど」
「姉さん!そんな暢気なこと言ってる場合じゃって、きゃぁ!」
「ん〜。今のは揺れは腹部への攻撃によるものかしらね。あそこも重要な機関が配置されてるけど…」
「そ、それって大丈夫なの!?ラーシャ姉さん!?」
「大丈夫よシャラちゃん。…多分。むしろ腹部を攻撃してたハンターさん、潰れてないかしら」
「た、多分って…。それにハンターの奴らはどうでも…!」
「はんたーさん、ぺたんこされちゃった?だいじょーぶ?」
「ええ、きっと大丈夫よ。ハンターさんだもの。それにしてもシャロは他の人の心配が出来るなんてえらいわ。お姉さん嬉しい♪」
「えへへ〜わたしいいこだもん♪」
「シャラちゃんも、少しはシャロの素直さを見習いなさいね」
「みならいなさ〜い♪」
「……お願い、誰か私をこのゆるい2人の傍から連れ出して…」
以上、ラオの内部における三姉妹の会話をお送りしました。
蛇足
この後、老山龍は見事に討伐されたが、討伐したハンター2人の所にある三姉妹が住むところを求めてやってきた、という話があったりなかったり。
>>619-621の流れでネタ電波を受信したので、会話のみの手抜きだけれども。
名前は…まぁ、つっこまないで。
にしても何故だろう。ラオはネタ電波の受信度が高いのか…。
ランポスの生殖器は雌の体内深くに差し込み精子を流し込むために先は細長く、中間から根元までは太く、逆立った突起物が生えている
突起物は固めのゴムのような質感でできている
雌には精子を蓄めておく器官があり、雄の生殖器はそこに差し込まれると先端が膨れ、逆流しないようになる
また、完全に膨らむと雄は生殖器を引き密着させる
相手が他の生物の場合、奥まで入り込むが、雌のように納まる器官がないので中を探りながら精子を撒き散らすとともに、抜けなくなるところまで引かれまた根元まで突き込まれる
射精が終わると雄の生殖器は引き抜かれるが、膨らみは切り離され雌の体内に残る
精子は強い粘性を持っているため、逆流せずに雌の体内に留まるが、器官の収縮で排出されないよう栓をする
この栓は一月ほど残り、精子は受精だけでなく雌の栄養分としても吸収される
モンハンエロを考えたらこんなものが出来上がった
対人戦を誰かが書いてくれることを願う
625 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/10(木) 16:19:20 ID:fJMeu0Y3
>>624 どうしてくれるんだ
妄想が爆発しちまった
>>624 これはイィ…ってかランポス超危険生物じゃないかw
>>625が爆発した妄想をブチ撒けるのに期待
ランポスの群れに囲まれる女性ハンタァ
どうしよう!今まで真・竜ノ顎で吹っ飛ばしてた光景がとてつもなくエロくみえてきた…
次作ではランポスの飛び掛りに押し倒し追加キヴォンヌ
18禁確定w
そこでディノクライシスですよ
>>627 妄想を固めてみてなんとかなりそうなら文章にしてみる。
ウホ、いい反応
追記
膨らみと書いたが、厳密には花の蕾みたいな形で開くと4枚の皮膚がひろがる
この器官は外れにくく、雄は外すために小刻みに力強く引く
刺は根元が長く太く疎らに生えていて、先端に行くほど細く短くなるが密度は増す
>>631 ガンガレ!
ID:gUHOUYyXの性能に嫉妬
ランポス最強説。
もし擬人化したら・・・・・
>>632 展開した皮膚が止め具の役割を果たすってのより
銛みたいな「かえし」が付いてる方が生物学的にリアルかも。
栓の役割を果たすならこっちの方が簡潔で効果的だし。
なによりその「かえし」がゴリゴリ内側を刺激して
イキっぱなし状態を維持できるのが大きい。
ネコ…
アイルー?
>>635 反しも考えたんだがありきたりな気もしてね
本体から離れてもしっかりと内側に張りつくようにするならこんな感じかなと
まぁ、反しの付いた固いの(ホースの先端を裏返したような)が出し終わったら反しが広がって栓をする感じでもよさげ
子宮の中での異物感を、固いのに探られるか軟らかいヒダみたいなものに探られるかの違いもちょっと考えた
638 :
2-332:2007/05/11(金) 20:25:33 ID:9P6YVsH2
>>624 これはエロい!
>>631に期待。
かなり遅くなってしまいましたが、続きを投下させてもらいます。
ちょっとグロイかもしれません。
苦手な人はスルーしてください。
639 :
2-332:2007/05/11(金) 20:26:12 ID:9P6YVsH2
火球が街を焼き尽くした。自分が動きやすくするためか、逃げ回る人間が煩かったのか。
いずれにせよ、それらが竜の目的だったならば彼女の目的は果たされたも同然だ。
あたり一面焼け野原、その上に転がる人々の死骸。地獄の中に佇む竜は、一つ大きな咆哮を上げた。
「グァアアアアアア!!」
遠くに見える街の中心部で人が逃げ惑っているのが見える。
ちいっ、と舌打ちをして青年は状況を確認する。
人ごみに紛れないように調節されたのか、二人とも無傷だ。
もう一度火を吹くために、竜が大きく息を吸い込んだ。青年は毒でぐったりとしている“竜忌”を抱え、避ける準備をする。
赤々と燃える炎が竜の口から溢れ出し、青年が居たところを焼き尽くす。
離れていても伝わる熱と衝撃。そろそろ避けるのも限界か。青年は煙に紛れて家の瓦礫に身を隠した。
腕に抱かれた“竜忌”が切れ切れな声で青年に耳打ちする。
「ウィル…あの…竜、は…夫の…仇を、取る…と、言って…い…た、よね…?」
「あ、ああ。そんなことを言っていたね」
「彼女…の、夫…って…」
「…一週間前、僕らが殺したリオレウスのことだろうな」
地響き。竜の足音だ。青年と“竜忌”を見つけ出し、殺そうと探しているのだ。
「…やっぱり……私の…私の、せい…なんだ、よね…」
「いや、そんなことは――」
青年の言葉を遮って、竜の炎が瓦礫を吹き飛ばした。
炎は直撃こそしなかったが、衝撃で二人の体は転がった。青年がすばやく跳ね起き、“竜忌”を抱えて走り出す。
走りながら、青年は精一杯叫んだ。
「そんなことはない!!あの時殺さなければ僕たちが死んでいた! あのリオレウスが弱かったのであって、復讐なんて!!」
炎を跳んでかわす。地面に転がり、“竜忌”に馬乗りになって青年は続けた。
「復讐なんて、される云われは無い!!」
青年の必死の叫び。だが、“竜忌”の眼は既に青年を向いてはいない。
640 :
2-332:2007/05/11(金) 20:26:52 ID:9P6YVsH2
「ごめん…ね、ウィル…もう…」
瞳孔の収縮、そして竜の気配。それははっきりと示していた。
彼女の中の、竜の覚醒を――
「ま、待って!こんな状態で暴れたら――」
「でも…もう駄目…さっきから…我慢…して、た…んだけど…ね…」
青年は“竜忌”の肩を揺さぶった。
「駄目だ!しっかりしろリューキ!」
打って変わって力のこもった腕が、青年の手を振り払った。
青年がその腕を掴もうと手を伸ばしても、彼女はもう手の届かないところまで跳んで行ってしまった。
背後からの気配で竜の攻撃を察し飛び退くと、ついさっきまで二人が居たところに竜の爪が突き立てられた。
人一人の大きさを優に超えるその凶器は、直撃なら間違いなく殺されるだろう。
「リューキっ!!」
その爪の向こうに青年が見たのは、落としていた大剣を拾い上げ、毒に眉をしかめながらも戦おうとしている“竜忌”の姿だった。
その瞳に映っているのは殺意と――憤り。
「グァアアアアアア!!」
明らかに人のものでない声。その“竜忌”の声を発端に、戦いが始まった。
いつもなら楽に勝てる相手かもしれないが、少女の体では毒の影響も大きい。
青年が見てきた“竜忌”の暴走より、動きは緩慢だった。
攻撃を避けるのも間一髪といった様子で、偶に血を吐き出す。大剣の斬撃はことごとく避けられた。
「グゥゥウウウウウ…」
竜の姿ならば避けられただろうか。竜の姿なら斬れただろうか。殆ど思考することの無い竜としての本能に、憤りが溜まって行く。
そして、苛立ちが大きな隙を生んだ。竜の目の前へ跳躍し、右手に持った大剣を左から右へ振る。
頭部を狙った一閃は、八つ当たりにも等しい力任せの攻撃だった。当然避けられ、反撃される。
竜の頭部が瞬時に目の前から消え失せ、首が、体が、後ろ足が、“竜忌”の正面に現れる。
どこかで青年が叫んでいる。
「リューキ!!」
641 :
2-332:2007/05/11(金) 20:28:48 ID:9P6YVsH2
気が付いた時には、左から右へ、竜の尻尾に薙ぎ払われていた。左手が折れ、大剣がどこかへ飛んでいった。首にもひどい衝撃が走る。
がほっ、と口から大量に血が漏れる。視界が左へ流れていく。
地面に叩きつけられて二転、三転、停まった時にはもう体が動かない。
「ガ、はっ…」
細かく咳き込むたびに、血が口から零れ落ちた。体中が痛くて仕方が無い。
激しい憤りを抱きながら、彼女の竜は意識を手放した。
「…リューキ!!」
青年が“竜忌”を抱き起こすが、最初から戦える状態でなかった彼女は、もう心音も弱くなっている。
介抱するにも、病院へ連れて行くにも、目の前のリオレイアが全ての邪魔をするだろう。
青年がある種の諦めを感じたとき、妙にやる気の無い声がした。
「助けてあげましょうか?」
声の主は少年だった。左手の煙草と何か悟りきったような表情が大人びた印象を作っている。
銀髪と銀色の防具に身を包んでいて気障な格好だが、少年の持つ雰囲気には不思議に合っていた。
防具をつけているにも関わらず丸腰なのも不自然だった。
「…君は?」
少年は煙草を投げ捨て、地面に突き刺さった“竜忌”の剣を手に取る。軽々と引き抜き、竜に対峙する。
「“彼女”の息子です。…多分、ね」
(以上です。感想・批判などありましたら是非お聞かせください。
ちょっと短いかもしれませんが、最近時間無いのでこれくらいが限界です。)
642 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/11(金) 22:16:19 ID:uVIZFUXU
>>641 GJ!!あんな所で切られちゃ寝れないよ(;´д`)
>>641 GJ!!
・・・寝れないじゃんw
そしていつ頃からエロになるのかなと思う今日この頃
足を引き摺りレウスが逃げ出した。
時間はギリギリだが、尻尾は切ったし、顔も爪も砕いた。武器の残りが少ないが、ミンシュは勝利を確信した。
飛び去ろうとするレウスに向かって、雄たけびを上げつつ得物を投げつける!
うおおおおおおおおおおお!!
ブーメランがっ!
ブーメランがっ!
ブーメランがっ!
ミンシュの手を離れたブーメランたちは、空を舞い、その手に戻ってくることは無かった。天高く消えたブーメランと飛竜を見上げながら、ミンシュは大地に手をついた……。
ブーメラン使いのミンシュ。これまで怪鳥種や牙獣種のモンスターをブーメランだけで倒してきたハンターだ。今回の火竜狩りも、持てる限りのブーメランとその材料を用意して臨んでいたのだが……。
「あなたが無くしたのは、この金のブーメランですか? それとも銀のブーメランですか?」
うなだれるミンシュの前に女が立っていた。両手に金と銀でできたブーメランを持って。
「いや、俺がなくしたのは普通のブーメランさ。ってかあんた誰?」
「私はブーメランの精です。正直者のあなたには、この金と銀のブーメランをあげましょう」
「いや、そんな変なブーメランはいらないから、普通のくれよ」
「ふ、普通のですか・・・」
「無くならないブーメランとかならともかく、消耗品だから金とか銀もらってもしかたないし」
「……わかりました。あなたはとても正直者です。そしてブーメランを理解している人です。あなたに無くならないブーメランを差し上げましょう」
「まじで!?」
「受け取っていただけますか?」
「そりゃ、無くならないブーメランなんてあるなら、ぜひ」
「それでは、不束者ですが、よろしくお願いいたします」
こうして、ブーメランの精はミンシュの妻となり、二人は幸せに暮らしましたとさ。
646 :
645:2007/05/12(土) 05:32:42 ID:ZvHplcLG
最後の一行修正。
誤)こうして、ブーメランの精はミンシュの妻となり、二人は幸せに暮らしましたとさ。
正)こうして、ミンシュはブーメランの精を手に入れた。
>>644 それは貴方の思いのままに書けば良いと思うさ
生殖器にびっしりと吸盤がついていて、射精がはじまると吸盤で中に張り付き精子を作る器官ごと切り離される
切り離された器官はそのままの状態で精子を作り送り続ける
切り離した雄は死亡orまた生えてくる
やっぱり全力で引き抜こうとするわけで…
描写としては切り離された全部の器官が膣内に納まって、抜こうと藻掻くほうがいいかな
それか麻痺とかした状態で抵抗できずにとか…
どの種類に装着させるかも悩み
648 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/12(土) 13:49:15 ID:kHj9zrb5
エメラまだかなー
ランポス=おっきいよう・・・
ギアノス=つ・・つめたぁい・・・
ゲネポス=しびれて反撃できない・・ビクッビクッ
イーオス=体が(毒で)火照って(ry
と妄想する俺であった
イーオスに体を熱くさせられ、ゲネポスに焦らされ、ランポスに貫かれる
ハァ…ハァ…!妄想が!
>>647 つ「ランゴスタ」 雄のナニじゃなくて女王蜂の尻尾だけど
>>651 ・モンスターの生態 - ランゴスタの繁殖について
ランゴスタの繁殖において他の生物の存在は不可欠である。
ランゴスタにはその針で麻痺させた他の生物に卵を産み付けて幼虫を寄生させるという寄生動物のような習性がある。
餌としての寄生対象となるのは主に胎生生物の雄および卵生生物だけであり、
胎生生物の雌に対しては少々特殊な寄生方法をとる。
中型から大型の胎生生物(すなわち哺乳類)の雌の生殖器内部に女王蜂の腹部を挿入して卵を産みつけ、
胎内で孵化した幼虫は雌の子宮内部で養分を得るのである。
ここまで妄想したけど俺自身が異種姦はイケても出産系がダメなのを思い出した。
えー、
>>612で言ってたのが出来たので、投下させていただきます
投下は初代スレ以来ゆえ、流れにちっとも乗ってませんが、申し訳ない(汗)
注意事項
・激甘
・前フリ長い
・ネタが寒い
・エロくない
ご寛恕願います(汗)
「…ここもずいぶんヒトが少なくなっちまったな」
集会所に入ってきた男が、赤いメイド服のギルドのお姉さん、ベッキーに
つぶやいた。彼女の居眠りがおおっぴらにとがめられなくなってからもう久しい、らしい。
それも、何か月か前までこのココット村に居たハンターたちは、
ほとんどが新たに開拓された山岳地帯の「ポッケ村」に河岸を変えてしまった
からだそうだ。以前は仕事の奪い合いで活気があったこの集会所も、今はほの暗い
闇にろうそくのちりちりという音が虚しく響くのみだった。
「ウワサじゃあ、伝説の黒竜も狩られちまったんだって?やれやれ、ヤツは
俺が仕留めようと思ってたのにな」
「ええ、ノルスさんが出て行ってる間に…
ノルスさんもけっこう長いのに、残念でしたねえ。ところで、今日は…」
「仕事のハナシは後で。どうせろくな依頼が残ってねえだろうけど、受けなきゃ
おまんまのなんとやらってやつだからな。とりあえずブレスワイン」
「いつものヤツですね。わかりました。まだちゃんととってありますよ」
ベッキーが奥に行って仕度を済ましているあいだに、奥にある掲示板に目を走らせてみる。
案の定、ろくな依頼が残ってない。ここに来るまでに外を歩いていて、空を横切る飛竜の姿
一匹見かけなかった。狩りつくされてしまったのか、それともこの村を警戒して生存域を
移したか…奴らはバカじゃないから、多分後者だろうが、それにしてもある意味寂しい。
「あっ、リリィさん!いらっしゃいませ」
冷えたワインを運んできたベッキーが、俺の座っていたテーブル越しに、集会所に入ってきた
女性に呼びかけた。狩りで何度もバディを組んだことのあるリリィだ。出会った当初は頼りなかったが、
あろうことかいつのまにか彼女は「あの」フルフルを味方につけ、更に、眉唾だが彼女の言によれば、
そのフルフルが生まれ変わったという(!)若いのと一緒になったそうだ。
ま、無論信じちゃいないが、最後に共に狩りに出たときについて来たヤツが、
ひ弱そうに見えて意外とガッツがあったのは認めている。
だが、それもけっこう前のことだ。
「久しぶり、ノルス。しばらく見なかったじゃない」
「ああ。ちょっと静養に出ててな。金がなくなったんでまた稼ぎに来たのさ。例の元フルフルの
旦那さんは達者かい?元フルフルってんなら、あっちのほーもスゴそーだよな。ハハ」
まぁ、こういう下世話な軽口くらいは叩ける間柄だったということさ。
だが、期待に反して彼女の口から出たのは、やや寂しげな答えだった。
「お生憎様。彼は今は居ないわ」
「へぇ?あれだけイチャイチャしといて、今更そりゃないだろ。やっぱり、
…あっちのほうの不一致かい?」
「違うったら! 彼は今、ポッケ村に先に行ってもらってるの」
「…ふーん」
その言葉に含むものを知覚して、俺も自然と声が低くなった。そうか、彼女も…
「思い出がたくさんあるここから離れたくないってはもちろんあるけど、正直、もう仕事がね。
やっぱり子供がいると、いろいろとね…」
ま、そりゃそうだよな。どんなとこでも結局は食っていかにゃならんしな。それも自分だけじゃない。
「それに、子供達には、もっといろいろな世界を見せてあげたいんだ。あそこなら、
ここよりはドンドルマに近いし」
「ふーん… すっかりいいお母さんになっちゃったもんだなあ。
このテーブルで一杯ビール喰らっただけで突っ伏して寝てた嬢ちゃんが」
ややぎこちなくなった雰囲気をごまかすように、茶化して見せたが。
「いいお母さんかどうかは、わからないけど… そうね、変わっちゃったのは、わかるわ」
やべ。逆効果だったか。だがまぁ、逆という意味で考えれば、彼女にとっては新しい旅立ちだ。
まぁ同期のようなモンなら、なんとかカッコつけなきゃな。
「ほれ」
「えっ… あっ」
俺が腰から出した耐熱袋を放ってやると、リリィはそれを落としかけて、
あわててその手に握り締めた。やれやれ、こういうとこは変わってないな。
「帰りがけにポーチを漁ってたら出てきた紅蓮石さ。
俺はアチィのが趣味じゃないのは知ってるだろ?餞別だ、持ってけよ」
「…ありがとう、貰っとくわ」
やれやれ。石っころ一つでそんな顔されちゃ、今までのオレはなんだってんだ。
「ところで、貴方はどうするの?もう皆、出払っちゃったんでしょう?貴方は行かないの?」
「あ〜… 今はな。あっちに行くには武器をギルドにくれてやらなきゃならんのだろ?
この鬼斬破はオレのお気に入りでね。手放すのは忍びなくてな。
ま、こいつが擦り切れる頃になったら考える、さ」
「おか〜さ〜ん、早く行こうよ〜!」
「行こうよ〜!」
外からおチビさんたちの声がする。ふぅん、大きくなったもんだ。ま、俺の目から見たら、
リリィは十分にいいお母さんだと思うが、ね。
「いけない、もうすぐアプノ車の時間…」
「お、そうか… すまんな、引き止めちまって」
「ううん… ベッキー、これ私のハンターライセンス。今までありがとう。
またきっと遊びに来るから」
「それじゃ… ノルス、ベッキー、またね」
「んじゃ、またな。あんま張り切りすぎて旦那やガキに心配かけんなよ?」
「リリィさん、またいらしてくださいね。きっとですよ」
「…やれやれ、行っちまったか。ポッケ村までは遠いだろうに、女ってのは強えーよなー」
「そうですね… これでこの集会所にいるハンターは、ノルスさん一人」
「え゛!? そうなの?」
「これ名簿。確かめてみます?」
「…… 仕事、ある?」
「伝書クックも最近来ませんし… まぁ、探してみます」
「……」
「ノルスさんもポッケ村に行ってくれれば、私も配置換えできるんですけど」
「お?つれないねぇ〜?俺と一緒じゃ、不満かい?」
軽口をたたきつつベッキーのお尻にタッチ。
途端に、今だに見切れないベッキーのビンタが頬を襲った。
「じょ、冗談だよ… …それになぁ」
「それに?」
「もう女にゃあ、こりごりさ」
前置きが長くなったが、オレはノルス。ここココット村の、いまや最後の一人となってしまった
ハンターだ。久しく村には帰ってなかったが、ほうほうの体で逃げ帰ってきたってわけさ。
誰からだって? いままで入れあげてた女からさ。
自慢じゃないがオレはハンターとしてはそこそこ腕がいいほうだ。ツラもまぁ、そこそこイケてる
ほうだと思う。ただ、女を見る目はなかったっぽい。武器防具まで質に入れてさんざ貢がせた
あげく、「やっぱドン大出のカレのほうが将来性あるし〜」だと。ひでぇ。イヤな世の中だ。
今まで「ワイルドなあなたがスキ♥」って言ってた君はどこへ行ったんだ。ジーザス。
ま、そんな女だってのを見抜けなかったあげく、えらいクソまじめに働きアリを演じてたオレも
アレだったんだけどな。なんとかこの鬼斬破だけは取り返して来たよ。ん?じゃそのレウス
メイルその他はなんだって?ぁあ、これは段ボールだ(泣) オレマメな性格なんだよ…
いいトシしてなにやってんだろとは思うけどさ。まじめにスキだったんだから仕方ないだろ。
「性根がウブなんですよ」と、いつかベッキーは言っていたけどさ。ああ、こうやって人は
汚れていくんだねママン。
ともあれ、ハンターは喰わねどなんとやら、というわけにはいかん。
実際帰りの道で所持金ほとんど使い果たした。鼻毛まで抜かれたわけじゃないが、さっき
リリィにあげた紅蓮石は今夜のメシ代だったことを思い出した。…ヘヴィだぜ…
そんなわけで、ポッケ村に行こうにもライセンス更新料も無いときた。
手持ちの素材は換金してくれるっつーけど、今はクックすらみかけねーらしいこの村で
素材が云々じゃなし。リリィたちも辛かったろうな。
まぁそれ以前にオレは全部貢いだわけだがorz
「ああ、ありました、ありました… 翠ガノトトス討伐ハンター募集… まだ期限は切れてない
みたいですね」
「へぇ?そんな仕事がまだあったんだ。意外だなあ」
「なんでもメチャメチャ強いガノトトスらしいですよ。ちょうど産卵期ですし… どうします?」
「どうせオレしかいないんだろ?日干しになってノドから手が出る前に、受けておくよ」
「ふにゃ〜…zzz ェイダ〜! ニャ…! 痛っ!なにするニャ〜! …あ!旦那!久しぶり!」
「ジャンルが違うジャンルが。…よぉ、レオン元気だったか」
「見ればわかるニャ」
久方ぶりに帰った借家は意外なことに綺麗に掃除されていて、
俺が居たときよりもピカピカなくらいだ。俺が出るときに雇っていたアイルーたちには
退職金を渡してヒマを取ってもらったわけだが、なぜだかコイツだけは最後まで出て行こうと
しなかった。アイルーは家に付くって言う言葉はこいつのためにあるのかもな。
「俺が居ない間、どーやって食ってたんだ?もー狩場でおこぼれ漁る仕事もねーだろーに」
「旦那からもらった退職金を、ポッケ村の開発事業に投資したニャ。
月々の歩合でボク一人なら十分食べていけるニャ」
「ほんっと、そーいうとこマメだよな〜。世話女房ってカンジ。まぁだヨメさんもらってねーのか?」
「旦那に言われたくないニャ。『もう帰ってこないぜ〜』なんて言っておいて、今更どのツラニャ」
「…それを言うなよ… 過ぎたことさ…iiiorziii」
「ごめんごめんニャ。そーだ、ちょうど今から夕飯作るとこだったニャ。久しぶりにボクの腕を見せるニャ」
「そーもいってられねーんだよコレが。今から仕事なんだ。多分今日は帰れないと思う」
「ふにゃ〜。そーかニャ。なら… コレを着ていくニャ!」
「コレって… お、お前!?」
レオンが道具箱のスミから出したのは、使い込まれているようだが整備が行き届いた、
ガレオスSグリーヴ等の装備一式だった。胴系統倍加で激運付きだよ、スゲェ。
「どーしたんだ、コレ?」
「開発事業は裏でイロイロとあるらしいニャ〜。
ま、ハンターにしろアイルーにしろ結局はココだニャ、ココ!」
自慢そうに肉球で自分の額を指してみせる。アイルーの額は狭くとも取引のセンスは抜群だそーだ。
どーやら利権がなんとかで、だれかのお古だったのをパク… 横流ししてもらったらしい。
「そんなヨレヨレの段ボールメイルじゃ被弾即死がオチだニャ。ボクはどーせ着れないし、旦那にあげるニャ」
「ほほ〜。随分と根回しがいいじゃねーか。でも一歩誤ったら無駄足になってたところだぜ?」
「旦那が村を出て行くとき…」
「ん?」
「こいつは絶対打ちひしがれて帰ってくる、と思ってたニャ」
「ど〜なってるの〜この村は ココット!(かすれ声)」
ややヤケになってここ、密林までやってきたはいいが、ベースキャンプはボロボロだし、
ハチの巣はハチが移住してカラだし、いつもなら真っ先に取り囲んでくるイーオスども
もいないと言うアリサマだ。回復薬を使ってるときに飛び掛られたりすると
「こいつらコロス!ぜってーコロス!」などと思うもんだが、いなくなると妙に落ち着かないもんだ。
川沿いのエリアにはいちおうファンゴ様が居たよ、ウリ坊だけどな。取っても肉無さそーだし
必死にドスドス膝カックンしてくるのを無視して、手持ちの携帯食料を齧る。
前はいろんなモンスターがいたもんだが、人間って、けっこー罪深い生き物かもしんねーな。
まぁ、ハンターの俺がそんなこと言える立場に無いってことだけは確かだな。
「さて… ほんとーに居るのかな。ガセじゃねーだろーな」
こんな様子では本命のガノトトスの存在も危ぶまれる…と、思ったら… イター。
確かにご立派な背びれ!今まで見た中でも一番の大きさだ。この距離から見ても
どうどうのキングサイズだってことがわかる。まだこんな大物が残ってたのか。
背中の鬼斬破の柄に触れる。ぴりっとした感覚が指先に走り、俺の意識を集中させる。
まずは音爆弾で地上に引きずり出して、おもむろに大タル爆弾テロだ。
ガノトトスはそうとう狩って来てる、呼吸は飲み込み済みだぜ。
なんといつも邪魔してくるウゼーランゴスタどももいねーよーだし、
コイツはいい!オレはツイてる!いままでの投資分が帰ってきたようだな。
よし、行くぜ。三枚におろしてやる!
…慢心でした、スイマセン。
なんだよコイツ、スゲーつえー。音爆弾で上がってきてくれたのはいいが、
もうなんというか、全ての動作が倍速になってるみたいだ。
水圧カッターは絶え間なく俺を刻もうと襲ってくるし、かといって近づけば
斬りかかるヒマも無くショルダー(?)タックルだ。オレの自慢の鬼斬破は
いまやディフェンダー的な扱いを余儀なくされている。
刀身から漏電した電流でバチバチ来てるぜ。
だがオレには切り札がある… もうちょい右… そこそこ… 落ちたぁ!
言い忘れたが俺の二つ名は「ダイビング落とし穴のノルス」だ。
カッコ悪いが得意分野を表すには最適な名前だろう。
ぶっ飛び回避ついでに仕掛けておいた落とし穴にはまったガノトトスがもがいている。
でか過ぎて左足しかはまってないが、動きを止める分には十分だ。
ともかく、流れをこちらに引き寄せることが第一だ。
「いまだ!大タル爆弾… ぁ」
しまった、タル爆は最初のときに水圧カッターで誤爆させられたんだった。
水で爆発するってどういうことだクソックソッ!ともあれ、急いでかわりのタルに火薬を詰める…
度重なる水圧カッターで火薬がシケってたみたいだ。「もえないゴミを入手した」
…ぇえいこのダイオキシンの発生源がっ!とか言ってる間にガノトトスは体勢を立て直してる…
しかたねー、こーなったらゴーフォアブロークだ。持ってくれよ、俺の鬼斬破!
「喰らえ!愛と怒りと哀しみのぉ… ぶべらっ!!!」
ガノトトスの顎に切り上げをヒットさせた俺を、
ベッキーのビンタよりも早いガノトトスのしっぽビンタが襲った。
視界の端に、攻撃を受け止めきれずまっぷたつに折れた鬼斬破が見えた。
ああちくしょう、アレ作るのにどれだけ苦労したと思ってるんだ。
そんな思いとともに、走馬灯のようにベッキーの顔が浮かんできた。
『なんでもメチャメチャ強いガノトトスらしいですよ。ちょうど産卵期ですし… どうします?』
そーだ、そーいや翠ガノトトスってメスだったな、俺も相当女運が悪いな…
それが俺がこの世で考えた最後の思考だった…
…と思ったんだが。
俺はまだなんとか生きてるらしい。やれやれ、どーやら地獄も満員のようだな。
しかし生きてるには生きてるが、体中きしんで目も開けられねえ。あたりから、
ぴちょん… ぴちょんと音がするところを見ると、どうやら水辺の近くらしいな。
「…う」
俺の額に、誰かが手を触れた。ひんやりとしていて、とてもすべすべな手だ。
ナゼか触れられているうちに、そこから鈍痛が消えていくようだった。
「……」
なんとか、必死に瞳をこじ開けてみる。かすんだ視界が、砂漠地帯の中にある
地底湖の光景を映し出す。そういや、密林の川はここに注いでるというウワサを聞いた
ことがあったな…
「…!」
目を開けた瞬間、やっぱり俺は死んでたんじゃないかと思った。目の前に女の子がいる。
しかも、う、生まれたままの姿で… 俺ってそんなに善行積んでたっけ?
と、ともあれ、俺は年甲斐も無く必死に両手で顔を覆い、素っ頓狂な声を上げていた。
「うわああ!」
「ッ…!?」
ぴゅー。俺の顔に冷たい水流がヒットした。そのショックで、曖昧だった意識がはっきりしたようだ。
「…っ… き、君…は…?」
「よかった、き、ついた」
彼女の声はとても綺麗で、その内面にある心の無垢さが伝わってくる。洞窟の広い空間に響いて、
いっそ神々しいほどだ。やっぱ、天使サマ?
「き… 君が助けてくれたのか… ありがとう」
「…たすけた…? ちがう」
へ?と思わず聞き返した俺に、彼女はいっそ淡々と応えた。
「わたし、あなた、つれてきた。いきなり、けんか、ダメ」
「…?」
「ここ、いたい…」
そういうと、彼女はしなやかな手で自らの顎を指差した。白い肌に縦に一つ、細い切れ目が走っている。
かすかに、血がにじんでいるようだ。
「いきなり、けんか、ダメ」
彼女はちょっと眉をそばだたせ、俺の目をまっすぐみつめて、再び同じ言葉を繰り返した。
ポク ポク ポク ポク ポク
\ | /
(Ω)
チーン! 目
「え!? 君… 君って… まさか、ガノトトス!? さっきまで戦ってた!?」
彼女は俺の問いかけにこくんと、頷いて応えた。きれいに耳を覆った髪が、しなやかに揺れた。
「…オーケーオーケー、ちょっと待った。ちょっと待ってくれ」
俺は手で額を押さえてつぶやく。いったいどういうことだろう。まさかなぁ… 俺も結構これでいろいろと
経験してきたけど、ぶっちゃけ生まれて初めてだって、こんなこと。
「いや… だって… 君は どうみて…も…」
改めて、彼女に視線を移す。綺麗な緑色の瞳に、端正な顔立ち。すべらかな肌。
身長は俺と同じか少し上くらい?俺も結構背が高いほうだけど、そんなことは微塵も気にならない。
組んだ両腕で申し訳程度に隠された胸はけっこう大きくて、Bちょい上くらいは…
ど、どこに目をつけてるんだ俺は!と思いつつ、
嘗め回すようにみつめてしまう。水の抵抗をまったく受けないであろう流線型にくびれた腰、そしてそこから
伸びるつややかなおみ足… しかし、よくよく見れば、耳を隠している髪からはちょこんとヒレ?のようなものが
飛び出しているし、腰やくるぶしも同様だ。手の指の間には薄い水かきのようなものもついている。
俺は再び両手を使って、目をこすろうとした。そのとき…
ぴゅー。
彼女が口から水を吹きかけてきた。今度はさっきよりも強めだ。
は、はは、やっぱ現実なんだ、これって…
しばし無言のまま、みつめあう俺と彼女。ついちらちらと胸とかゴニョゴニョみつめてしまうが、
その視線にも彼女はまったく恥らっていないようだ。反応に困るな、これ…
(ああ… リリィが言ってたこと、本当だったんだ)
ほうけたように彼女をみつめていたとき、唐突にずきんと痛みが来た。
どうやら足が折れてるらしい。まったく、少しは空気読めよな!
「いっつ…」
足を押さえてうずくまる俺を見て、彼女は唐突に立ち上がった。
当然いろんなとこが見えてしまうわけで…
なんだこのヘルアンドヘヴン。
俺が見ている前で、彼女は地底湖の淵に立つと、惚れ惚れするほど流麗な飛込みで、水の中へと消えた。
息継ぎが必要じゃなさそうなのは、さすがガノトトスというべきか…
しばらくして、彼女は両手に、なにやら緑色のものを抱えて上がってきた。
そして口にはついでにサシミウオ。シュールだなあ…
彼女は再び俺のそばに来ると、取ってきた藻のようなものを、手でこねてやわらかくしていった。
やがて、それを俺の折れた足に… ガレオスSグリーヴ越しに塗ろうとした。
「あ、いや、その」
なぜかはわからないが、俺は痛む両手で手早く装備を外していた。
…まぁ、そんなに酷くはないようだな。ただヒビが入ってるだけかもしれない。
さらけ出された俺の脚に、彼女が丁寧に藻を塗っていく。
気のせいか、さっきまで疼くように痛んでいた痛みがすぅっと、消えていったような気がした。
「あ、あとはいいよ、自分でやるから」
「…」
彼女がまたそっけなく、こくんと頷いた。その時、彼女の視線に止まったもの、それは…
「…? ここも、 いたい?」
「い、いやそこは違あqwせhj」
やぁ、こんなときでも元気だな。いやそうでなく。俺はなぜか真っ赤になってあたふたした。と、まぁその時…
ぴょん
藻の中から現れたのは、いつも俺たちハンターがガノトトスを釣るときに使う、釣りカエル。
それを見た途端、彼女の目の色が変わった。
「☆♥!」
いきなり口を開けて飛び掛るのかと思ったら、彼女はその両手で、
なにやら慣れない様子でカエルに掴みかかった。
でも知ってのとおりアレって意外とすべるからさぁ、手からすぽっと逃げ出したんだな、これが。
そのカエルを必死に捕まえようとしている一糸まとわぬ少女… シュールだ…
「んふふ♥〜」
やっと捕まえたと思ったら、もう見えなくなった。速えぇ。口をもごもごさせて味わっている彼女の顔は、
まるで天使の微笑みのようで、俺は改めて彼女を「かわいい」と認識しなおした。
…あ、足はみ出てる…
「う…」
彼女の繊細な眉が曇った。どうやら思い切り噛んだ時に、顎の傷口が開いたらしい。
見る間に、彼女の瞳に涙が浮かぶ。
「…ちょっと見せて」
「ん… (ごっくん)」
どうやら最後に斬り上げたときについた傷のようだ。リキ入れて斬ったからなぁ…
一瞬、でもあれだけやってコレかと、チクチクつっついてくるランゴスタの気持ちを
理解したような不謹慎な気持ちになったが。
俺は鎧の裏側に縫い付けてあった正真正銘最後の切り札、
いにしえの秘薬を取り出して、彼女の傷に塗ってあげた。
すぅ…と、傷が消えていく。流石だ。いにしえの人々GJ!
「……!」
驚いている様子の彼女は、傷に手を触れて、しばらくなでなでしていたけど。
その後、俺のほうを向いて、口を小さく動かしていた。なにか、思い出そうとするような…
そして、ようやく確信を得たみたいで、
さっきの笑顔をおとなしめにしたような微笑で、こう言った。
「あい… あち… … あ…
あり、が、とー」
「!」
ビリっと来たァー!
多分、顔真っ赤になってんだろうな、と思いつつ、俺はなんとか自我を保とうと努力した。
やっぱ、俺ってベッキーが言うとおりウブなんだろうなぁー…
「そ、そういえば、さ… 名前、まだ、聞いてなかったね。俺の名前はノルス。君は?」
「な、まえ?」
「そう、君の、名前」
「な、まえ… しらない、 らない、 …ない」
「!…」
「わたし、ずっと、ひとり」
返答に窮して口ごもる俺に、彼女はぽつりぽつりと語り始めた。
ヒトのコトバをしゃべるのは苦手みたいだったけど、その言葉に包まれた感情は、十分に伝わってきた。
…どうやら、彼女は生まれてすぐの子供(稚魚?)のときに、群れのみんなとはぐれてしまったらしい。
激流にでも流されたのか… 本来、群れとはぐれた稚魚はすぐに他の生き物のエサになってしまうけど、
彼女は違ったらしい。どうやら、底なしの滝つぼに落ち込んだ。
そして、そこでずっと、ひとりで、迷い込んだカエルなどを糧にしながら、大きくなってきたという。
「ずっと、ずっと、まえ、やっと、あな、みつけた。そと、みえる。でも、もうだめ。わたし、おおきい。でられない」
彼女はずっとその穴から、ずっと外を見てきたんだそうだ。見晴らしはよかったみたいで、
外で生きているいろいろなモンスターたちの生き様を、ずっと、見てきた。モンスターたちと、
ハンターとの戦い(彼女いわく、「けんか」)も、たくさん見てきた。
ヒトのコトバも、それで「ヒアリング」を覚えたらしい。俺はモンスターの知られざる一面を垣間見た気がした。
でも、彼女のところには、だれも来ない。来ることができない。
密林の底無しの滝つぼと言えば、俺たちハンターの間でも有名だ。
そして、ずっと、ひとり…
気のせいだろうか、彼女の顎の傷は治ったはずなのに、彼女の瞳が、再び潤んだような気がした。
「まえ… ひと、ふたりきた。こんなひとと、こんなひと」
そういうと彼女は頭の後ろに手を回して、ツンツンとしてみせた。そして、
口の両端に手を当てて、あっかんべーのようなしぐさも。ぁあ、たぶん、リリィとあのフルフル(?)だ。
「ふたり、ずっと、いっしょ。わたし、… いいな、おもった」
「いいな、おもった」
「そしたら。ふたり、ひかった。あかい。まぶしい。とても、びっくり。め、とじた」
彼女には、それ以上はむつかしくて説明できなかったみたいだ。
どうやら、その光に驚いて、ねぐらに帰ったら…
こうなってた、らしい。夕日が沈んだ、夜の間だけ、この姿になれるんだそうだ。
そういや周りの発光苔がいつも以上に発光してる。あれから数時間は経ったようだな。
「わたし、びっくり。でも、うれしい。でられる。でも、はじめ、こわい。でない。でれない」
まぁ、そりゃそーだろうな… んで、ようやく意を決して、出てきて… 俺に会った訳だ。
…そりゃあ、ファーストコンタクトで斬りかかられりゃ、ああもなるさ。
「なんで、あなた、わたし、いたい…?」
…どうやら、この子は、モンスターが成長の過程で知るはずの
「オキテ」というのを知らずに育ったみたいだ。
穴の中から見ているだけでは、実感しづらかったのかもしれない。
俺も初めてモンスターをとったときから、ずっとこの身に刻み続けてきたことだったけど。
…でも、そもそも、「オキテ」ってなんだ?
「いや… その… 何だ」
…むつかしいことはニガテだ。
「…だから、俺を助けたのか?」
「……」
しばし無言で見つめあう俺と彼女。こんなとこでもなきゃ、お茶でもご一緒したいとこだが、
あいにく今は手元不如意でな…
ぴゅー。
硬直している俺に、三度彼女が水を吹きかけた。いっそすがすがしくなって来るな、うん。
「わかる。もうすぐ、わたし、タマゴ、うむ」
「へ」
「だから、あなた、ひつよう」
「…はぁ」
「だから、わたし、あなた、たべる」
「……え?」
………
な、ななな何ですとぉぉー! 食われちゃう、食われちゃうのか俺!
そりゃそーゆーときにはエーヨーが大切だよな、うん。
なんだかんだ言ってわかってるじゃんこのコ!うひゃー、どーすべ。
「うっく…」
まさかこんなコ相手に斬りかかるわけにはいかんし、それ以前に俺の鬼斬破はorz
しかたがないので立ち上がろうとしたが、やっぱり足が言うことをきかん。
ええい、この恩知らずが!今まで養ってやってたのは誰だと思ってる!
「うごく、ダメ」
彼女が俺に向かってその小さな唇を近づけてくる、ノルスはじめてだから痛くしないでね… って、違う!
俺は覚悟して目をつぶった、そして…
「ん…」
…?
暗闇の中で感じる、やわらかい感触… 彼女の唇が、俺のそれと重なっていた。
「んむ…」
彼女の舌が俺の口の中に入り込んでくる。滑らかに、俺の口の中をなぞる。やば、このコ積極的… じゃなくて。
しばらくそうしていたあとで、彼女が顔を離した。その後、その唇で俺の首筋をたどってくる。ていうか、これって…
「あのー、なんか勘違いしてません?」
「…?」
彼女が不思議そうな顔で俺を見上げた。また顔赤くなってんだろうなー…
「つんつんのひと、こうしてた。たべちゃうぞ、いってた。 …ちがう?」
………そーいうことか。
だぁー!近頃のハンターの風紀はどーなってんだァー!ていうかあいつら仮にも狩り中に(…)
そのような秘め事を!くっそー、いいなぁ… じゃなく、て。まさに壁に耳あり狩り中にガノの目ありだ。
「わたし……だめ?」
彼女の端正な眉が、再び儚げに下がった。俺によりかかって、不安そうに見上げてくる。
ズキューンと来たァー!!!
いかん、パニくってきた。こーいうことの経験はなきしにもあらずだが、
これほど胸が高鳴ったのは初めてだ。
だが俺は過去の経験からこういうときの対処法を学んでいた。
ともあれ、まずは行動ありきだ。
…若さって何だ? 振り返らないことさ!
「いや、多分、違わない、と、思うよ…多分ね」
「…目、閉じて」
「…?」
「…いいから」
そう言うとノルスは、困惑げに瞳を伏せた彼女に、そっとキスを返した。
ついばみあうような、軽いフレンチキス。
そして、さっきのお返しとばかりに、今度はこちらから舌を絡ませていく。
(やっぱ、こういうのは気持ちの問題だからな…)
「ん、む、はむ…」
彼女の口の中はさっき吹いた水でひんやりと冷たくて、
それでも、唇を重ねていくうちに、お互いの体温で温もっていくのがわかる。
吸いあうたびに、彼女の端正な小ばなが、ノルスのそれと睦みあった。
ノルスには見えなかったが、いつのまにか、
彼女が薄目を開けて、頬をほんのりと上気させていた。
「ぷは…」
先ほどとは違う、今度はお互いに求めあう感覚に、
彼女は、自分の体の芯から湧き出してくる感覚を覚えていた。
「こらしょっ、と」
「…!」
ノルスは右手で、彼女をぐいと抱き寄せた。
怪我をした足とは逆の足に、彼女を乗せる。彼女のお尻が、ぺたんとノルスの左足に乗っかった。
「触って… いい?」
「あ…」
一応は同意を求めるが、その返事を聞かぬうちにノルスの手は、
彼女の胸のふくらみへと伸びている。
片手で包み込むようにおさえた彼女の乳房が、まるで吸い付くように掌に収まった。
「…… は… ぁ」
最初はやわやわと、全体を撫で回すように。時折、押し付けるように、彼女の胸を弄ぶ。
「んく… んんっ!」
敏感に立ち上がってきた先端を、二本の指で挟んでみる。
無論、残りの指でパイ生地のようなぬくもりをこね回すのも忘れずに。
交互に、両方の双丘を攻め立てていく。
(何故だろう… こんなにも心が素直になっているのは…)
心の隅でそんなことを考えながら、彼女の背中の線をたどって、指でなでおろしていくと…
「…!っひゃんっ」
指先が、彼女の背中で可愛く自己主張している小さな背びれに触れた。
そのとたんに、彼女の体がぴくん、と震える。
(ははぁ… ここが弱いのか…)
もう一方の手も後ろに廻し、彼女のなだらかなお尻を撫で。胸は口での愛撫に切り替える。
「ぅう… わたし… なにか… へんっ んぁふ!」
「別に変じゃないさ」
そういって、彼女の肩に自分の顎を乗せ、先ほどからぷるぷると震えている耳のひれをくわえた。
「んあっ!!」
先ほどよりも大きく震えたはずみに、ノルスの腿に乗っていた彼女の両足が開く。ここぞとばかり
に、お尻を撫でていた手が、彼女の秘所に滑り込んだ。
「…ん…」
彼女は一瞬身を硬くしたが、別に拒絶の意志は見られなかったので、ノルスは躊躇せず、いま
まで誰にも触られたことのないだろう、イノセンスな無毛の場所の奥にある、き裂に指を這わせ
た。すでにそこは、ノルスが顔に浴びた水とは違う湿り気で濡れ始めている。
「きゃ… … ああっ」
ノルスの背中に両手を回して、必死にしがみついている彼女の反応は、どう見てもヒトそのものだ。
(御伽ばなしで聞いた人魚って… もしかしたら彼女のようなヒトたちだったのかもしれないな)
そんなことを思いつつ、愛撫を続けていると。
「あぅっ…」
ノルスを抱きしめている腕に力が入り、少し彼女が苦しげな声をあげたので、ノルスはふと手の
動きを止め、彼女の肩から顔を離して言った。
「ごめん、辛かった?」
「……あぅ」
彼女はそのエメラルドのように透き通った翠色の瞳で、ノルスの目をまっすぐみつめ。自分の
感情を整理するようにもじもじしていたが、やがて、水かきの付いた両手で口を覆って、言った。
「…やめな、いで」
その恥じらいのコトバに、ノルスは否が応にも高まった。きつく彼女を抱きしめ、彼女が感じる
トコロと、彼女の秘所を、少し乱暴に攻め立てる。
「ん…ぁっ… あ、あ… あぅ!」
最早十分に濡れそぼったそこに、慎重に、指を差し込んでみる。その新しい刺激に、
彼女はまた震えた。そろそろと探っていくと、
少し進んだところにある指に当たるもの。
(ああ、初めてなのか)
わかりきっていたことのようであったが、今再びそれを確認して、ノルスのハートが一つ大きく鳴った。
「はあっ… ん、きゃぅ… ん、んぁああっ… んん〜……っ …!」
強く攻められて、彼女の中が、差し込まれた人差し指を挟み込むように締め上げ、彼女は達した。
瞳を閉じてノルスの肩を強く抱きしめ、のど元まで出かかったあえぎを飲み込むようにして、
大きく震える。秘所から、控えめに飛沫が飛び、ノルスの左腿を濡らしていった。
「…はぁ… はぁ…ぁ」
力が抜けたようにノルスに寄りかかる彼女の髪を、いつしかノルスは自然に撫でていた。
「すご… かった… わたし、はじめて」
「……そ、そう」
なぜかノルスのほうが顔を桃色に染めて、瞳があらぬ方に泳ぐ。
自分がウブな男だということを、改めてわきまえざるを得なかった。
…ごそごそ
「ん?」
なにやら彼女がノルスの腰のあたりを探っている。
視線を戻すと、そこには早くも外気に晒された己が。
「つぎ、わたし」
「え!?」
否やもない。なにより己自身は期待でいっぱいのように元気だ。ノルスはなにか言いかけたが、
それを口に出す前に、彼女がそれに舌を這わせていた。
「んふ… しってる。 みんな、…あむ… こう、してる。おぼえた」
改めてハンター間の風紀を考えさせられる発言だったが、次の瞬間にはもう考える余裕などなかった。
「ちゅる… ん… す… ちゅ」
彼女のいたいけな唇が、舌が、ノルス自身のうらすじをたどって上下し、
白い肌に冴える赤い舌がカリの下をつついた。
諸手は竿の部分をやさしく扱く。火照ったとはいえ、
冷ややかとした彼女の手が、指が、熱くたぎったノルスのそれを、
先ほど彼にしてもらったように、愛撫した。
「んむ… あつ、い… ふ、ちゅ、ちゅう」
彼女の唇がノルスのものをくわえた。唾液がからんだ舌で、全体をまんべんなく撫で回す。
その様子を見て、ノルスのそれが彼女の口の中で更に立ち上がる。
口に収まりきらなくなった部分の隙間から、彼女の唾液と先走りが混じったものが垂れ、
そのぬるみがしたたった玉に、彼女が逆手で刺激を与えた。
「んちゅっ… ちゅる… ぢゅ」
吸い付くのと同期して、彼女の水気を帯びた髪がさらさらと上下に揺れた。ノルスは計らずも、
動かす痛みすら気にせずに、彼女のやりやすいように足を移動させていた。
「…ちゅる、ん、むちゅ… ん、む、んんっ…!」
彼女が奉仕してくれているという事実と、その手と口と舌から与えられる愉悦に、
ノルスは割りとあっさり堰を切ってしまった。
止め処なく出る白い液体が、まだそれをくわえていた彼女の口の中を白く染めあげる。
なんとか、咽喉の奥に出さないように努力したのがきいたのか、
彼女がむせ返るようなことはなかった。もっとも、だいぶビックリしてはいたようだったけど。
「ん… ぷ… 」
ちゅ、と音をたてて、口を離した彼女だったが、口の中に含んでいるものが
どういうものかは理解しているらしく、大事そうに口を閉めていたが…
「ぷ、はぁ…」
彼女の中にもまた湧き上がっていた感覚と、酸素を求める肺が、彼女に薄く口を開けさせた。
恍惚とした彼女の唇の端から、白い糸が垂れる。なんとも艶かしい、そして、罪のない光景だった。
「ぅ、あ…! む」
それに気付いた彼女は目を見開き、あわてて口を閉じて、顎にまで流れたそれを手ですくった。
しばしそれをみつめていたが、やがて思い切ったように口を開くと、口中にあったそれを両手
に受けて、大事そうに、それを己の秘所へと持っていった。こぼさないように丁寧に自分のなか
に塗りこもうとするけれど、その動作の感覚すら、甘美な刺激となって彼女を襲う。
「んはっ… う… ぁ、ああ…」
瞳を伏せて、ふるふると震える彼女の体にあわせてぴくぴくと動く耳のヒレ。半開きになったちい
さな口からは、自分自身がもたらしている快感に反応してつむがれる小さな喘ぎと、新たに糸を
引いた透明な流れ。
それを見て、ノルスの中で最後の一本が「キレ」た。
足に力が入らないので、上体を伸ばして、彼女をやや強引に抱き寄せた。
お互いに頬が染まっている中、
ノルスがややどもりがちに言った。
「そ、それじゃ… ダメだと思う… よ?」
「………ん」
彼女もそれを察して、ノルスの膝の上で位置を変えると、再び手を、ノルスのそれに添わせた。
「最初は、きっと、痛いと、思うけど…」
「……」
なんとか残っていた最後の理性の一片で、彼女に問いかける。「痛い」というコトバに、
彼女がぴくり、と反応したが…
ノルスの瞳の奥にあるものを感じて、こくん、と、頷いた。
「……して?」
「ん… んうぅ〜……!」
彼女の腰を支えているノルスの手に導かれながら、彼女が腰を落としていく。
まぎれもない純潔である彼女の入り口はきつくて、
最初はどうなることかと思ったノルスも、もう後戻りはできなかった。
「んぁっ… う…」
彼女の最奥を守っている最後の膜に先端が当たったとき、
ノルスは腕に力を込めて彼女を支えた。彼女の呼吸が落ち着くまで、
その姿勢で支えていてあげる。
「ノルス…」
彼女が、その翠色の瞳から透き通った涙の粒をこぼしながら、
ノルスの名前を呼んだ。気丈に微笑み、再び、こくんと頷いた。
「うあっ! … ぃ… ぁ…」
重力と彼の手の押し付ける動作で、ノルスのそれが彼女を貫いた。
彼女は目をつぶってノルスにしがみつき、破瓜の代償をこらえていた。
重なった部分から赤い雫が流れ、
ノルスも、そんな彼女の痛みを慰めるかのように、彼女をきつく抱き返した。
お互いに、自分の一番深いところで繋がって、相手の体温を、鼓動を感じていた。
「力を抜いて…」
そう言って、ノルスが彼女の首筋にキスをした。背中を抱きしめていた手が、
垂れてしまった彼女の背びれを優しくさすってやると、
ノルスのそれを受け入れているそこが、だんだんとやわらかくなっていった。
「…動くよ」
再び、しばらくの刻をはさんだ後、ノルスが彼女の耳にそっと、ささやいた。
「ぃ… ん、はぁっ… っく、ぁ…」
ゆっくりと動かしていても、彼女は辛そうだったけれど、ノルスが優しく彼女の体重を受け止め、
無理なく沈み込むようにしていったためか、だんだんと、彼女のもらす喘ぎが変わっていった。
「んんっ…んく、ぁ… ん、ん、ぁ… ぁん…」
新たに染み出してきた彼女の想いが、互いの抽出をなめらかにしていく。それにつれて、
彼女の表情もだんだんとほころんでいくようだった。
「んっ… まだ、痛い?」
「ぅ…すこ、し… でも…」
「でも…?」
「きもち… いいっ… あぁっ!」
ノルスが腰を突き上げるたびに、上下にたおやかに揺れる胸。いつしか、
彼女もノルスの胸に手を付いて、繋がっているこの一瞬を永遠にまで引き上げようとする。