2 :
神姫ハンター:2006/10/10(火) 05:11:48 ID:jZfhD6A9
前スレを潰してしまったので新しく建てました。
では続きを。途中でこういう形になってしまったりして色々と失礼。
3 :
神姫ハンター:2006/10/10(火) 05:13:18 ID:jZfhD6A9
「甘いな」
「予測範囲内です」
男が笑う。ブラッドバニーが冷静に告げる。
「何っ!?」
そう、それはすでに計算された勝利への解法。弾幕に閉ざされた路を切り開くため、危険を冒して突っ込んでくる事。
そしてその弾幕を抜けることも計算されていた。
勝利を確信した、その一瞬の隙を。
アームがうなり、マルコの脚部スラスターアーマーを掴む。
「ぐっ…! なんてパワーだっ!?」
規格を容易に超える出力を持つブラッドバニーのアームである。それに捉えられて脱出できた神姫はいない。
「終わりだ。なんともまあ、あっけないものだったが――」
一際巨大な主砲が動き、マルコの頭に狙いをつける。
「終わりですね」
エネルギーが充填される。
その主砲が光を放てば、マルコの頭――いや上半身は跡形もなく粉砕されるだろう。
そう、もとより力が違った。
格が違った。
勝てるはずなど、なかったのだ。
砲口に光が満ち、吐き出される。
それは、マルコの体を灼き――――
彼女を破壊した、
はずだった。
「何――――!?」
ボルトがパージされ、マルコの脚と脚部スラスターが分離される。
「バカな!?」
有り得ない。アーンヴァル型の脚部スラスターは、完全な差し替えによる接続である。
だが目の前のアーンヴァルは――スラスター装甲の中から素体のままの脚線美を現していた。
――――囮。
「そう、罠にかかったのはあなたです。
スラスターなんて飾りです、バカな人にはわからんとですよ、ってね」
「ブラッドバニーが掴むことを予測していたというのか――!」
そう。まさしくその通り。
そのままマルコは囮であるスラスターをアームの掌に残したまま、翼を広げて飛ぶ。
「ちなみに言うと、私はあのスラスター好きじゃないんですよね。やっぱり脚線美は大切ですよ」
心底どうでもいい。
4 :
神姫ハンター:2006/10/10(火) 05:13:48 ID:jZfhD6A9
「その主砲、一度撃てばエネルギーの再充填に時間がかかる――ならば今こそ好機!」
「くそ――再計算開始、行動補足――」
「遅い!」
ビームソードが閃く。マルコを再び捕らえようとした四本のアームは、そのことごとくが灼き斬られた。
「早い!?」
「邪魔なものがなくなったんでね! 今のボクをさっきまでと同じにするな!」
旋廻し、マルコは飛ぶ。そして、ビームソードに全エネルギーを流し込む。
柄から迸る光の刃が渦を巻く。
「光の氷柱!」
シャイニング・アイシクル。
螺旋状に輝き、天より直下に貫くその光の渦は、まるで光を受けて輝く「つらら」の如し。
「な――――」
その輝きを受け、ブラッドバニーのゴーグルが割れる。
――初めて。
ブラッドバニーは、今までは獲物に過ぎなかった武装神姫を、
美しいと感じた。
「悪いですが、勝たせてもらいますね、この……神姫ハンター、明日香と、マルコが!」
ハンター。
狩人? 今、確かにそう言ったか。
ああ、そうか。獲物なのは、はたしてどちらだったのか。
考えるまでもない。
敗者である自分こそが、獲物に過ぎなかったということだ――――
そして、ブラッドバニーの意識は灼き切れた。
勝者、天使型MMS『マルコ・ソロネス』。
このバトルは非公式試合である。
そのため、戦闘結果によるポイントの付加・ランキングの変動は行われない。
賭け試合のため、勝者には――――
相手の武装神姫が与えられる。
追記:以降、兎型MMS『フォートレス・ブラッドバニー』は公式戦より登録を抹消される。詳細は不明。
5 :
神姫ハンター:2006/10/10(火) 05:14:41 ID:jZfhD6A9
「はい、報酬」
「ありがと! ひーふーみー、うん確かに」
明日香が幸せそうに渡された紙幣を数える。
「明日香。いつも思うんだが、何故ポイントにしないんだ? 変換に手数料はかからないしそっちの方が楽だと思うんだが」
明日香の肩でマルコが問う。
「バカね、現金のほうが、なんか儲けたー、ってカンジがするじゃない!」
「アナログだね、明日香は」
「まったくだ」
つられて、窓口で親父が笑う。
「俺も同感だ。紙幣や硬貨の方が風情があっていいやね」
「さっすが、おじさん話がわかりますねっ。
あ、そういえばあのコはどうなりました?」
「ああ、あの違法改造の兎か。
神姫に罪はないからな、記憶データを消して規格適応に改造した後に中古品として市場に出るってさ」
「そうか、殺されるわけじゃないんだな、よかった」
マルコが胸をなでおろす。
戦った相手とはいえ、処分されると聞くことはつらい。死なないですむのならそれが一番だ。
「そりゃそうでしょ。そのためにAIを破壊せずに倒す、あんたの技なんだから。
今まで私たちが回収した違法神姫の中で機能停止したコはゼロ、どうですこの偉業!」
「ああ、たいしたもんだよお前さんたちは。ついでにその強欲ぶりもたいしたもんだが」
「…またか、明日香」
「さて、何のことですか?」
そっぽを向く明日香。
彼女たちの仕事は、武装神姫バトルサービスの本部より依頼される、違法MMSの摘発である。
そしてそれは、その違法改造された、あるいは違法行為を行ったMMSの「本体」の回収だ。
「…ガメたな。ああ、確かに実際に戦った彼女のデータと、提出した武装に違いが…」
「いいでしょ、危険手当よ。やることはやったんだからいいんですっ」
「……まったく。なんでこうキミは強欲なんだか……」
「強欲じゃありませんよーだ」
ギャアギャアとケンカをはじめる二人を、親父は制止する。
「はいはいそこまで。それよりもだ、お前さんたちにまたやって欲しい仕事があるんだがな」
「えー? さっき仕事終わらせたばかりなのにー。労働基準法さんせー、働きすぎはよくないですー」
明日香が愚痴る。
「簡単な仕事だよ。報酬に色つけるから」
「労働は尊いものです! 清く正しく働きましょうっ!!」
「明日香……なんて判りやすいんだ、キミは……」
今度はマルコが頭を抱える番だった。
「いいんです。さて、神姫ハンター、出動ですよっ!!」
親父から依頼の詳細データを受け取り、明日香はマントを翻す。
武装神姫バトルサービス。
輝かしい舞台の裏では、常に様々な問題を抱えるのはいつの時代でも同じこと。
光あるところに、闇がある。
このお話は、そんな闇とか光とかなんてそんなことはどーでもいいとばかりに、ひたすら突っ走る少女と神姫のそんなお話。
「さあ、れっつごー!」
「明日香、その前にちょっとはボクを休ませてくれよーっ」
「終わったら存分に休ませてあげますからっ!」
END……?
ブラッドバニーがちょっとザコっぽい印象を受けたなぁ
マルコはかなりかっこいいと思ったw
ボクっこもポイント高し
>>1 スレ立て乙です。
おまけに朝からいいもん読ませていただきました。
裏稼業でも、色んなタイプの人がいるんですね。次の活躍も楽しみにしています。
おもいっきり水挿すようで悪いんだけど、コラボとか相関図ってのは、それぞれのSS作者が
同じ世界観を共有することを了承してる、という大前提があって成り立つということを忘れないでね?
神姫の公式設定なんて、たかだか10行程度の定型文で、あとはユーザーが勝手に設定を考えているわけだから、
本来はユーザーの数だけ世界観があるはず。
それを、本人の了承もなく、一方的にほかの作者さんのキャラクターを取り込むのは、その作者さんに、
自分の世界観を一方的に押し付けてる可能性もあるので、コラボの際には慎重に。
当然、その共有した世界観で、独りよがりな設定やシチュエーションをダウトだということも。
もちろん、それを踏まえたうえでのコラボは楽しいので、いいと思います。
これからSSを作成する職人さんも、必ずしもコラボが前提のスレではないので、
自由な発想のSSを投下してもいいと思います。
>8
君がSS書いてる本人なら嫌なら嫌って言えば良いのではないでしょうか
関係ないなら代弁者気取られるときっと書いてる人も気持ち悪いよ
昨晩、本スレで著作権で騒いでた人に似てる
神姫の設定は人それぞれだから自由に楽しめば良いと思うよ
ただし残酷描写等の場合、好まない人もいるから、その時はSSの最初に「ダーク注意」等と書くべきだと思う
>>9 匿名掲示板で勝手に本人認定して暴れた人間と同じ事しない方がいいよ?
12 :
相関図:2006/10/10(火) 12:12:13 ID:ad8mEJt+
>>8 相関図作者です。気分を悪くさせてしまったようで申し訳ありません。
うちの静香&ココまわりの関連が出て来たので個人的に作っていた相関図に、
そういや他のコラボ話もあったなと(黒子取り違え話や地下バトルみたいに)
手を加えただけです。
設定を共通化させようとか、関連前提でスレ投降の敷居を高くしようとか、
そういうつもりは一切ありません。
もちろん、作者様からの依頼があれば相関図から外させていただきます。
神姫関連企業や裏バトルランカーでも色々あるなぁとか、あえてバトルに参加しない
DDD氏のスタイルもあるなぁとか(何でもない日常話が大好きな自分としては、
あの手の話を書けるのがマジ羨ましいです)、白子黒子あたりと一緒にぼーっと眺めて
ニヤニヤしていただければそれで十分かと。
でも景山麻衣子嬢のおかーさんは静香の裁縫の師匠じゃないかとか妄想しながら
相関図調整してる自分がいてばかだなぁと思ってみたり。
白子にバカな考えを修正してもらいに行ってきます。
>>9 それは申し訳ない。代弁者を気取ったつもりはなかったですけど、そんな書き方になってしまったみたいで悪かったと思います。
ただ、新規の投稿の方が、コラボを枷に感じるかもしれない、と思っただけです。
余計なことだったようで、すいません。
あと、似てるかも知らんけど、別人だからね。
あなたも、不用意に書き込みしてる人を特定しようとしないでください。
違ってたら失礼でしょ?
俺はその騒いでた人とは別人なんで、むかつきました。
つうわけで、ごめん>>皆様
以下、何事もなかったかのようにどうぞ。
引き続き 神姫SSをお楽しみ下さい ……
16 :
前スレ208:2006/10/10(火) 12:32:30 ID:+177qdUo
>>前スレ488様
相関図ありがとうございます。私のところは意外に繋がってないなあ。
今度うちのカタブツマスターをドキドキハウリンと対戦させてみようかしらん。
彼の名前ですが、最初から固有名を付けるつもりは無いので「マイティのマスター」や「マスター」と呼んであげてください。
うちのマイティ以下キャラクター達に関してですが、もともとが脊髄反射的に不良品シリーズとのコラボで生まれてきたキャラ
と言うこともありますので、ほぼ自由に使っていただいてかまいません。
修復不可能なまでに壊れるとか決定的なこと意外ならば、どれくらい使っていただけるかは各作者様のご采配にほぼお任せいたします。
相関図は世界観を深めて広げやすさを出すと同時に
狭めてしまい新規参入への壁をつくるという矛盾した二律背反をはらんでいますからね。
みんながよく考えてしっかりと作っていけばまあ問題ないかと思います。
うん、確かにブラッドバニーは雑魚くさい。
一度普通の雑魚神姫をボコボコに破壊するシーンとかを書けば強いって説得力も出せたんでしょうがなあ、マルコのかませになったしまった。
こういう裏家業みたいなのはやってて楽しいです。
神姫探偵業とかも考えたり。
突発に妄想がダダもれてしまったので次回予告。
少女は神姫と出会った。
それは奇跡のような出会い。心を閉ざした少女は、神姫との触れ合いにって、その心を開く。
――――それが。
闇へと続く扉とも知らずに。
否。たとえ知っていても、彼女はそれを止められない。
なぜなら。
少女にとって、武装神姫だけが、世界の全てとなってしまったから。
天使は笑う。
わたしはあなたのみかただよ、だから――――――
邪魔なものは、何もかも壊そうよ。
次回、神姫ハンターアスカ 第二話
『悪魔のような天使の笑顔』
18 :
441こと十兵衛:2006/10/10(火) 12:50:51 ID:4GYZpSOl
スレ立て乙です。
マルコカッコイイですね〜続きが気になりますよ!
コラボの際は戦闘がリアルなのかヴァーチャルかという疑問がありますが、
自分はコラボ先のSS作者様の世界観に合わせます。
個人的な世界観としてはどちらもありな設定にしていますので。
せっかく皆様の魅力的なSSがあるので絡ませてみたいなと思いますし。
確実に世界に広がりが出てきて面白いと感じました。
と、個人的な見解は以上です。
なので自分は相関図に関しては参加でお願いします。
19 :
前441こと十兵衛:2006/10/10(火) 13:00:33 ID:4GYZpSOl
連投になっちゃったらすいません。
あぁ第二話!次回が気になります!
ここのSS読んでいると自然と書きたい衝動にかられてしまいます。
色んな人が書いているからこそどんどん色んな世界が広がりますし、
発見もあります。そう来たか!と感心させられることも多々あります。
だから…皆SS書こうぜ!
すいません取り乱しました。十兵衛に撃たれてきますorz
なんか感化されたので。
武装神姫…巷では大人気の自立型ロボット。
俺も興味がないわけじゃなかったが、貧乏学生のこの身ではとても神姫を購入することはできない。
高嶺の花というやつだ。
というのも昨日までの話。
ふと立ち寄った武装神姫イベントで、変なメガネ男に天使型素体「アーンヴァル」のセットを貰ったのだ。
なんでもそのメガネ男は神姫の開発グループの一人だったが、プライベートで製作した新型の性格プログラムのモニターを探していたというのだ。
性格プログラムをクリアしないことと、月1のデータ送信を条件に、俺はこの神姫のマスターになった。
部屋を片付け、我が家の中古PCを起動する。
「えーと、マスター変更…と。」
新たなマスター名に俺の名前を入力し、いくつかの手順を経て、いよいよ起動画面に入った。
「よし、いよいよ起動だ…」
起動アイコンをクリックする。
神姫の目に生気が宿り、おもむろに立ち上がる。
「お、おはよ…」
「貧乏臭い部屋だな。掃除してるのか?」
俺の神姫から発せられた第一声は、俺の脳を真っ白にした…
つづくかも
>11>13
似てるってのはコナミ(著作権者)の代弁者みたいな感じで語ってたって主張のやり方が似てる
っていいたかったのですよ、同類と。
>>20続き
いきなり俺の部屋をバッサリ切り捨てたアーンヴァルは、俺の顔をマジマジと見つめる。
「ふーん、まぁギリギリ合格点ってとこか。」
「えーと、何を言って…」
「はいはい、無駄口叩かない!次は装備のセットアップだよ!」
マスターに従順であるはずの神姫に命令され、仕方なくセットアップを開始する。
作業中も「あーそこ違う」「おまえ馬鹿だなー」などとけなされ続け、終わる頃にはいい加減心が折れていた。
『俺の思ってた神姫はこんなんじゃない、こんなんじゃない…』
セットアップ終了の表示が涙で霞む。
「何泣いてんだ?アタシと会えた嬉し泣きか?」
この期におよんでまだ不遜な態度をとる神姫に、俺は恨み言のひとつでもぶつけようとした。
その時、アーンヴァルが手を差し出した。
「これから、よろしくな…」
のどから出かけていた言葉を飲み込み、俺は人差し指を差し出した。
アーンヴァルはその指を握り、「これ、握手な」と照れ臭そうに言った。
その夜、メガネ男からメールが来た。
この神姫は「先輩お姉型」という性格プログラムで、次世代神姫に搭載予定の性格パターンのひとつだそうだ。
俺は文句を返信しつつ、横で転寝しているわがままな姫と出会えたことに感謝した。
「あ、名前考えなきゃな…」
うっわ〜い、いつの間にか新スレになってて、ちょっぴり殺伐としてるよ〜。
>>3-5,17
神姫ハンター、楽しませて貰いましたぽ。
血兎、見かけ倒しスギスw
次回はサイコキャラだ!たのしみだ〜(*゚∀゚)=3ムッハァ-
>>20,22
(*゚∀゚)彡ツンデレ!ツンデレ!
さて今、新作を書いている訳だが、書いてる自分が鬱になるくらい、
すっげーダークな内容になっちゃった…。
さーて、こっからどうやって上方修正するか…?
>>22 どんな性格してようと、彼女達はオーナーと仲良くなりたいんだよ、それが神姫なんだ!!
>>21 そんなこと言い出すと
>>9だって充分、代弁者気取りなんだって気付け。
相関図作者どの、乙!
少し間を空けるとスレの状況がわからなくなって、連作、コラボの類いがわからなくなってたんで有り難い。
まとめて読めるよ、サンキュー!
>>8のいうことも一理あるけど、むしろ『はじめて読む人へ』としてはいいかもしれん。
今後とも宜しく。
個人的な話だけど。
俺は何日かぶりにこのスレに来て、盛況なんで嬉しかった。
んで、投下するつもりだったSSを再構成してるとこ。
それは、コラボに合わせた改変とかじゃなく、みんながいろいろ趣向を凝らしたSS書いてるのに、
ただ神姫にチンコこすってもらうだけじゃ芸がないと発奮したから。
もちろんコラボもアリだと思う。
だから
>>8も杞憂だと信じたい。
まぁ、えらそうなことは投下してから言わないとイカンね。
コラボありでまとめサイトを作るのなら、いっそキャラ紹介ページとかもあれば
もっと世界観も広がるんじゃないかなと思った。
キャラと設定のわかりやすいまとめがあれば、新規で入ってきた人にもどういう世界が広がっているか
わかりやすくていいのではないかな、とか。
追記として明記するのがあくまでも「オーナーごとに世界はあり、これが唯一無二のこのスレ公式設定ではありません」
と書いた上でやっていくといいんじゃないかな、とか。
しかし全体的に見ても悪意がここまでないすれの雰囲気は大好き。
今のほんの少しの殺伐も、みんな真剣に考えていることからきてるわけだし。
27 :
前441こと十兵衛:2006/10/10(火) 17:03:41 ID:4GYZpSOl
>>27 保存した
しかしあれですかね、十兵衛っていうぐらいだからそのうち
侍のパーツをつけたりしそうな予感がしてきた
>>27 百万回保存した、GJ!
(*(∴))彡サイトーさん!鷹の目!
触発されて、軽くチラシの裏に書いてみたが、
自分の絵心の無さに絶望する…orz
あの日、あれ以来白子はやたらと俺に甘えてくるようになった
それに対抗するように、黒子も…
「マスター、こっちへ来てください!」
「マスターはボクと遊ぶの!」
「俺は仕事中だっちゅーにゃや」
「だっちゅーにゃ?」
「どこの方言ですか?」
「ほっとけ」
前までは仕事中なんかは、白子が黒子を止めていたんだが、最近はもう、白子まで一緒に俺を誘う
俺は誘惑に弱いんだ。やめてくれ…
「…でてっておくれ…」
「はい?」
「なに? マスター」
「邪魔しないでくれって言ってるに」
「てるに?」
「どこの方言?」
「ほっとけ」
ああ、仕事が進まない…
まあいいや、あさってまでの仕事だし。ちょっとお仕置きしよう
ガタッ…
「ちょっと待ってろ」
「うん!」
「やった!」
俺が遊んでくれると思い、なにやら喜んでいる二人を置いて、ジャンクヤード(物置)から発泡スチロールの板と、割り箸、そして輪ゴムを幾つか手に取り、部屋に戻る
「ちょっとこっち来なさい」
「なんですか?」
「どうしたの?」
ノコノコ近づいてきた二人をすばやく捕まえ、割り箸と輪ゴムを使って発泡スチロールの板に大の字に拘束する
「きゃ?」
「あわ? ど、どうするつもりですか?」
「…ちょっとお仕置きでもしようかなぁと思ってね…」
地獄の底から響くような声が俺の喉から漏れる。我ながらこんな声が出せるとは意外だ
「え、え…っと…」
「マスター…ご、ご冗談を?」
「ご冗談じゃないよ?」
にっこり微笑みかけると、そこいらを回って「拷問器具」として使えるものを集める
もちろんそんなもの、独身男の部屋にそうそう転がっているわけが無いが、まあ、満足いくものが集められたと思う
31 :
105:2006/10/10(火) 17:33:54 ID:PVk1gHZO
「さあ、お仕置きの時間だ」
「いやー、ごめんなさい! もうわがまま言わないから!」
「マスター、責任は私にあります。だから黒ちゃんは…」
「あ、白ちゃんそんなこといわないで! ボクがわがまま言ってるんだから!」
「でも、止めずに煽った私の…」
「しゃらっぷ! 二人そろってお仕置きだぎゃ!」
「「どこの方言ですか〜!?」」
「知らん」
コントはこの辺にしておいて、そろそろお仕置きを開始しようかな
そして取り出したるは大自然が生んだ最強の拷問器具
「そ、それは!?」
「もしかして…」
「そう、これぞイネ科エノコログサ属の植物でエノコログサ。名前の由来は犬の尾に形が良く似ているから。俗称は…ねこじゃらし」
家の前の空き地に群生していたのを摘んできたのだ
「いやぁぁーー!」
「ひぃやぁーー!」
二人が引きつった悲鳴を上げる。自らの身に降りかかるお仕置きの恐ろしさが想像できるのだろう
「ほれほれほれ」
「あひゃひゃひ〜ぃや〜〜」
「にゃひゃははひぃやめてぇ〜」
ねこじゃらし二刀流で全身をくすぐる。二人は必死で抵抗しようとするが、拘束は解けない
二人がもだえる様子を愉しみながら、そのお仕置きはたっぷり十五分ほど続いた
「まだまだいくよー」
続いて取り出したるや、人類文明の英知のひとつ、「毛筆」
もう終わりだと思っていたらしい二人の顔に絶望が浮かぶ
「あぁ〜」
「にゃ〜」
すでに精根尽き果てていた二人は足の裏を筆でくすぐられる感触に身をこわばらせることも出来ない様子だ
「ふふふ、次で止めを刺してやる…」
「ま、まだつづくのぉ?」
「ぼ、ボクはもうだめぇ…」
二人とも音を上げるが、それで許されるほど世間も俺も甘くは無い
最後のお仕置きは、手に何も持たぬことを極意とする、空手で行こう
「さて、いくぞぉ…」
「ひぃゃ、は、はぁぁ〜〜」
「にゃうぅ、ふやぁぁ〜〜」
緊張した二人の全身を優しく撫で回す。自分で言うのもなんだが、なかなか器用だぞ俺の指
親指が腿の内側をなぞり、人差し指がわき腹から肩を優しくくすぐる。中指と薬指が首筋と胸元を撫で回し、小指がおなかをすりすりと擦る
「はっ、あぁ…はぁ、ますたぁ…」
「あっ、ふにゅ、ふゃぁ…」
二人の吐息が熱を帯びたころ、指の動きを加速させる
「ふあ、はっはっ、も、もう……」
「はぁ、はぁ、ますたぁ、ボクもう…」
ぐぐっと力を込める
「ふああぁぁ………ッ!!」
「あ、ああぁぁ……!!」
二人は身を仰け反らせると、がくん、とそのまま意識を失った
「うむ、これで静かになるな」
満足した俺はぐったりとした二人の拘束を解くと、抱き合わせるような姿勢で神姫用ベッドに放り込んでおいた
その後、二人がやけに仲良くなり、さらに甘えてくるようになったのは言うまでもない
ついでに、仕事を終わらせるために徹夜したのも言うまでもないと思うが言っておく
言わせてくれ
32 :
100:2006/10/10(火) 17:34:56 ID:PVk1gHZO
330,31は前スレ105、402の続きです
新スレ祝いです
>>22続き
「ぶはは!何やってんだよお前!」
久々に俺の部屋に来た友人が最初に見たのは、神姫に肘を蹴飛ばされながら勉強している俺の姿だった。
「お前のアーンヴァル、えーと…「アネゴ」だっけ?」
「ああ…俺の出した名前は全部却下されちまって…」
「うははは!お前本当にマスターかよ!」
笑う友人の傍らには猫型素体マオチャオの「もんぺ」が座っている。
ああ、本来武装神姫とはああいう風に従順なはずなのに、こっちの姫ときたら…
一時間ほど話をしていたら神姫バトルをやってみようということになったので、近くの公園に向かった。
「もんぺ」は両腕にクローを装備した近接特化型だ。
対する俺のアネゴは…
「おい、なんでアタシはレーザーライフル1本なんだ?」
「いやぁ、装備の接続ジョイント忘れてきちゃって…」
「……ふーん、そう」
なんだ、その可哀相なものを見るような目は!
神姫たるものマスターのことを尊敬し、付き従ってくれるものじゃないのか?
ふと気が付くと友人も同じような目で俺を見ていた。
バトルが始まった。
「いくぞ、もんぺ!」
「了解。」
すさまじいスピードで間合いを詰めてくるマオチャオ。
アネゴは最初の一撃をライフルで受け流したが、相手は両腕で攻撃してくる。
ライフル一本では受け切れるわけもなく、数度の応酬で瞬く間に防戦一方になる。
「くっ…飛行ユニットさえあれば…あうっ!」
アネゴの愚痴を中断させるマオチャオのタックルが炸裂し、白い躯体が宙に舞う。
俺の足元でうずくまるアネゴ。
マオチャオが口を開く。
「降参することを推奨しますが。」
友人も「もうやめようぜ」なんて言っている。
俺は膝を付いた。
「アネゴ、あいつらムカつくな…」
「ああ…ムカつくな、マスター」
よろよろと立ち上がるアネゴ。
友人はやれやれといった顔で、マオチャオに命令を下す。
アネゴに止めをささんと凄まじい加速で迫ってきた。
「ア、アネゴ!無理するなよ!」
しかしアネゴは俺の言うことなど全く聞こえていないようだ。
「てめえら既製品とプロトタイプの違い、見せてやるよ!」
アネゴはレーザーライフルを大きく振りかぶった。
「どっせぇぇぇぇい!」
アネゴの振るったレーザーライフルはマオチャオに直撃し、放物線を描きながら彼方へと飛んでいった。
「おお!ホームラン!」
俺が拍手すると、アネゴはへたりこみ、レーザーライフルにもたれかかった。
「やったね、マスター…」
親指を立てるアネゴに、こっちも親指を立てて返す俺。
その後ろでは、泣きながらマオチャオを探す友人の声が響いていた。
それから俺、友人、アネゴの三人でお空の星になったマオチャオを探し、木に引っ掛かっている無残な姿のマオチャオをようやく発見したときには、すでに日が落ちていた。
友人は泣きながらその場を後にし、俺とアネゴだけが残った。
「全く…装備が完璧だったならここまで苦戦しなかったのに…」
アネゴは俺の肩にチョコンと座り、延々と愚痴をこぼしている。
俺は愚痴るアネゴを手に取った。
「うわっ、何をする!」
狼狽するアネゴに、俺はハンカチをそっと当てた。
「汚れちゃったからな、拭いてやるよ…」
「そ、それくらい自分でできるって…おい!」
少し抵抗を見せていたアネゴだったが、そのうち言葉を発しなくなった。
『なんだ、おとなしくできるじゃないか…』
感傷にひたる俺を見て、アネゴが口を開いた。
「なんだ?次は股を開いたり閉じたりしたいのか?」
ああ、やっぱりアネゴはアネゴだ。
つづく、かも。
28氏、でこちゅ〜氏
見れるレベルで良かったです。
ほんとはペン入れしたかったんですが…キャラ確認用だからいいか…とorz
>100氏
な、なんかくすぐったい!!
とおもいきやエロイ!GJ!
37 :
リンのマスター:2006/10/10(火) 18:05:20 ID:3Ye5tP9m
ども、リンのマスターです。
現在まとめサイト制作中です。
ログを見てまとめるだけでもかなり大変だったり・・・・・
前スレ449氏がかなりまとめてくださっているのでかなり助かってますので今夜中には何とか完成しそうです。
で前スレの646(488)氏、貴方の描かれた相関図を掲載したいのですがよろしいでしょうか?
お返事ください。
38 :
相関図:2006/10/10(火) 18:14:18 ID:ad8mEJt+
>>37 こちらとしては全く問題ありませんので、ぜひ載せてやってください。
39 :
リンのマスター:2006/10/10(火) 18:18:23 ID:3Ye5tP9m
>>38 分かりました、承諾ありがとうございます。
40 :
変身!・一:2006/10/10(火) 18:55:48 ID:+177qdUo
前スレ208です。
今回は488氏の静香嬢とココちゃんをお借りいたします。
マイティの意外な一面をご覧ください。それでは、はじまりはじまり……。
「愛ある限り戦いましょう! 魔女っ子神姫ドキドキハウリン! ここに、はいぱー☆降臨っ!!」
そこには制服を着た犬型MMSハウリンではなく、魔法のステッキを模した長射程砲を振りかざした、
魔法少女が立っていた。
気がつけばオーナーの女性も同じ格好をしている。
「な、な、なんだあれは?」
天使型MMSアーンヴァル『マイティ』のマスターは我が目を疑った。
「素敵よココー! 初めてばっちり言えたわね♪」
魔女っ子神姫ドキドキハウリンことココのオーナー、戸田静香が手を振った。魔女っ子神姫ドキドキ
ハウリンことココは顔を真っ赤にして俯いてしまう。
「地の文! 連呼しないでください!」
いやはや、失礼。
当のマイティはココを見つめたまま固まっている。
「そ、それ……」
「あ、あなたも言う気か!」
ココは長射程砲を振りかざした。
しかし、マイティはココを指差し、あろうことかこう叫んだ。
「かっわいい〜〜〜〜〜♪」
「わぁっぷ!」
マイティはココに抱きついた。ココは何が起きたのか分からず、長射程砲を振り上げたまま動けなかった。
「ねねねね、それどうしたの? 変身ってどうやったの!?」
ココの頭をなでたり背中をなでたりしながら質問攻めである。
「あ、あのちょっと、ひゃん!? 離してぇ……」
マスターは呆然として立体モニターを見つめ、静香は、
「きゃー、新展開よ!? 百合百合よー!」
とはしゃいでいる。
本日の試合、両者戦意喪失により、ドロー。
41 :
変身!・二:2006/10/10(火) 18:57:02 ID:+177qdUo
「一体今日はどうしたんだ」
帰り道、マスターは前を向いたまま言った。感情をあまり表に出さないマスターであったが、機嫌を悪く
していることはマイティにはよく見て取れた。
「すみません、つい……」
胸ポケットの中で、マイティはうずくまっていた。
「あんな……、マイティは初めて見た」
頭を掻きつつ、マスターは渋い顔をする。叱ってよいものかどうか迷っているのだ。
「それにまたどうして、再戦を希望したんだ」
試合後、マイティが戸田静香嬢と話しこんでいるのをマスターは思い出した。
「あの、マスター」
「なんだ」
「そのことなんですけれど、私に任せていただけませんか」
「??」
その日から、マイティはクローゼットの隅っこでカチャカチャと何かするようになった。マスターが
何度様子を見ようとしても、
「覗かないでくださいっ!」
と一括された。
時折「うふふふふふふ」と奇妙な笑い声が聞こえて、料理中のマスターは指を切ってしまいそうになったりした。
(……一体あいつは何をやっているんだ?)
一週間が経った。
「健闘をお祈りいたしますわ」
「君もな」
あの時と同じように、二人のオーナーは握手する。
ハウリンのココも恥ずかしそうにしている。
だが、マイティだけは違った。妙に落ち着かないのだ。まるで早く戦いたいとでも言いたそうに。
「ココちゃん、私、がんばるからね」
「は、はい?」
ココはきょとんとした。対戦相手にかける言葉ではない。
彼らはそれぞれの持ち場へついた。
「マスター、打ち合わせの通りに、お願いしますね」
「あ、ああ。本当にやるのか?」
「もちろんです!」
マイティはポッドに入る。
マスターは気圧されて、マイティに言われたものをインプットした。
「バイクを欲しがったときからおかしいとは思っていたが……」
マスターは大きなため息を吐いた。
『バトルスタート:フィールド・化学工場22』
42 :
変身!・三:2006/10/10(火) 18:58:56 ID:+177qdUo
大小さまざまのタンクが林立し、金属パイプが幾重にもうねり繋がった化学工場の内部だった。破れた
屋根の隙間や窓から、オレンジ色の夕日が差し込んでいる。
ココはいつもの制服で、瓦礫が転がる地面に立っていた。
「埃くさいな……」
服が汚れる、と心配になり、すぐにそんなことを思った自分が恥ずかしくなった。ここがバーチャル空間
であると言うことにではなくて、すっかり衣服のことに気が行くコスプレイヤーになりつつあることに。
『ココ、前方より反応。高速ではないわ』
「アーンヴァルなのに?」
『徒歩よりは速いのだけれど。もうすぐ見えるわよ』
倉庫の正面口の向こうに土煙が立った。
「あれは……バイク?」
愛車V-MAXに乗って、マイティがやってきた。
「とう!」
掛け声一発、マイティが飛び降りる。V-MAXは自動的にブレーキをかけ停止。
マイティは何も武装していなかった。いや、ただ一つ、腰に大きめのベルトのようなものを巻いている以外は。
「マイティ……?」
『ココ、気をつけて。あの子変身するわよ』
「ええっ!?」
バッ、バッ!
マイティは片手に持った何かを、顔の横へ鋭く構える。ポリゴンが発生し、羽を閉じた鳥のような
かたまりが出現した。
「変身!」
そのかたまり、エンジェルゼクターを、ベルトのバックルへ横向きにガシャンと差し込んだ。
『HEN・SHIN』
エンジェルゼクターが無機的な音声を発し、真っ白な光がマイティを包み込む。
果たして立っていたのはマイティではなかった。
上半身を閉じた翼のような装甲で覆い、特徴的なヘルメット型バイザーをかぶった神姫がそこにいた。
「仮面ライダー、エンジェル!」
右手をぐぐっと握り、決めポーズ。
「そんなぁ……」
ココは呆気にとられてマイティを見ていた。
『ココ、何をしているの!?』
静香の声にハッ、と我に返ったココは、防弾版の仕込まれたカバンで体のセンターをかばいつつ、
近くのタンクの陰へと走る。
案の定彼女を追うように青白いビーム弾が次々と飛来、斜線上にあったパイプを破壊する。廃棄された
化学工場という設定であるから有毒化学物質は吹き出したりしないが、ビームが強力であることをココは
分析した。カバンでは一、二発しか防げない。
マイティ、いや、仮面ライダーエンジェルの手には、散弾銃の形をした武器が握られている。
「あんな小さな武器から強力なビームを撃つなんて……」
タンクの陰からココは相手を確認する。制服の上に着ているコートから、カロッテP12拳銃を抜き、撃つ。
だが、仮面ライダーエンジェルのアーマーは拳銃弾を簡単にはじき返した。そのままのしのしとタンクの
ほうへ歩いてくる。
「だめだ、この装備じゃ倒しきれない……!」
仮面ライダーエンジェルが散弾銃をくるりと回転させる。その銃はストックの部分が鋭利な斧になっていた。
ぶんと回転させ、タンクごと切り上げる。巨大なタンクは下から真っ二つに切り裂かれ、左右に倒れた。
43 :
変身!・四:2006/10/10(火) 19:00:35 ID:+177qdUo
「やった!」
仮面ライダーエンジェルは勝利を確信。
『まだだマイティ、判定は出ていないぞ』
「!?」
倒れたタンクの奥からまばゆい光がマイティの視界を奪った。
続けて衝撃。二度、三度。マイティは防御体制をとる。ダメージはそれほどない。が、アーマーにひびが入る。
ココが飛び出す。
『ほらココ、名乗って!』
「こ、こんな時でも言うんですか!?」
『当たり前でしょう!』
「うぅ……。あ、愛ある限り戦いましょう! 魔女っ子神姫ドキドキハウリン、ここに、はいぱー☆光臨!!」
ふわふわのスカートにひらひらのドレスを着た魔法少女が、高い足場の上に立っていた。
説明しよう! 魔女っ子神姫ドキドキハウリンは、ノーマルの制服スタイルと比べて、攻撃力10倍、防御力3倍、
スピード21倍、可憐さ100倍、愛らしさ70倍、特定のファンへの破壊力1000倍となるのだ! すごいぞ
魔女っ子神姫ドキドキハウリン! 萌えるぞ魔女っ子神姫ドキドキハウリン!
「地の文黙れ!」
ぼがっ。私のほうへ向けて魔法のステッキが火を噴いた。ごめんなさい。ぐふっ。
「出たわね魔女っ子ドキリン!」
「ドキリンだって!?」
初めて名前を略され、魔女っ子神姫(ぼがっ)……ココは憤慨してしまった。いくら恥ずかしいとはいえ、
オーナーから名づけられた名前を省略されるのはココにとっては嫌だった。
「その変身を待っていたのよ。私も本気を出させてもらいます!」
バッ、バッ!
仮面ライダーエンジェルは、ベルトのエンジェルゼクターを掴む。
「キャスト、オフッ!!」
ガキン! エンジェルゼクターを90度回転させる。頭の部分が上になり、手を離すと閉じられていた羽が
シャキンと開く!
『CAST,OFF!』
エンジェルゼクターが叫んだかと思うと、仮面ライダーエンジェルの上半身を覆っていたアーマーが
四方八方に弾けとんだ。
破片の一部は魔女っ(ぼがっ)ココの方にも飛んでくる。
「くうっ」
ココは間一髪のところで破片を避けきった。
ブワッ
「!?」
自分と同じ高さに、マイティがいた。
天子のような翼を広げ、飛んでいる。顔はヘッドセンサー・アネーロに付けられたバイザーで覆われていた。
『CHANGE,ANGEL』
エンジェルゼクターが音声を発した。
「やあーっ!」
右手首に取り付けられたライトセイバーが伸び、襲い掛かる。
ココは何とかこれを回避。魔法のステッキが犠牲になる。
「速い!」
可能な限り間合いを取り、態勢を立て直す。
44 :
変身!・五:2006/10/10(火) 19:02:03 ID:+177qdUo
『すごいすごい! マイティちゃんも変身を使いこなせているわ!』
静香はきゃーきゃー言いながらはしゃいでいる。
「静香、はしゃいでないでなにか手を考えてください! このままでは負けてしまいます!」
『大丈夫よココ。奥の手を使うわ』
「え?」
その瞬間、ココの左手首にリストバンドが出現した。何かをはめる基部がついている。
「まさか……」
ココはもう静かが何をさせようとしているのか、予想がついていた。
『さあ、もう一度変身しなさい!』
「ううーっ」
嫌々、右手を天高く掲げる。ポリゴンの波が重なり、犬の形をしたかたまり、ドッグゼクターが現れた。
「へ、変身!」
ガシャン! リストバンドにドッグゼクターを差し込む。
『HENSHIN』
ドッグゼクターが音声を発し、緑色の光がココを包み込む。
「うそ!?」
マイティは宙に浮いたまま、その光景を見つめた。
だが、現れたのは、普通に完全武装したハウリンだった。いや、バイザーにより顔は隠されているが。
「かっ、仮面ライダーハウリン!」
ポーズをとり、叫ぶココ。
『そのままキャストオフ!』
「き、キャストオフ!」
ドッグゼクターの尻尾を引っ張る。ガキン。ゼクターは口を大きく開けた。
『CASTOFF!』
エンジェルのときと同じく、アーマーが四方八方に飛び散る。
だから、誰もが中から現れるのは素体状態のハウリンだと思っていた。
だが。
『CHANGE,WEREDOG』
現れたのは全身をヴァッフェバニーのプロテクターで覆った、犬の頭の形をしたフェイスプロテクターをかぶったワードッグだった。
「なんだろう、体がすごく軽い。それに」
ココにとって、これが初めて「まともな」コスチュームだったのだ。
『さあ、ココ。やっておしまいなさい』
「は、はい!」
ドッグゼクターの頭を叩く。
『CLOCK,UP』
ふっ。ココの姿が消えた。
『マイティ避けろ!』
「避けろって!?」
ドゴッ!
「あうっ!」
左肩に衝撃。マイティは吹き飛ばされ、タンクの一つに激突。タンクは大きくへこんだ。水タンクだったらしく、
ひびの入った部分や外れたパイプから水が勢い良く噴き出しはじめる。
『スピードが速すぎる。マイティ?』
「だ、大丈夫です」
地面に落ちたマイティは、再び立ち上がる。
「私だって教えられたんだから! クロックアップ!」
45 :
変身!・六:2006/10/10(火) 19:03:17 ID:+177qdUo
エンジェルゼクターのお腹の部分を押す。
『CLOCK,UP!』
ヴュウン。
世界が止まった。水しぶきは水滴一つ一つが空中に留まり、弾けたタンクの部品も宙に浮いたままになった。
水しぶきを弾き飛ばしながら、ココが走ってくる。走った後にはココの頭の形に水が形を作っている。
「見える」
マイティは相手が動かないと思い切っているココに渾身の回し蹴りを叩き込んだ。
「なにいっ!?」
ココは防御する間もなくけりを受け、転がる。
「クロックアップまで教えているなんて!?」
「静香さんは、公平な試合を望んでいます」
翼をはためかせ、マイティは突撃。ココはバック転で起き上がり、ライトセイバーを避ける。ライトセイバーは
刃の発生が遅れ、ムチのようにしなっているため避けられたのだった。
ココは落としていたカロッテP12拳銃を乱射する。しかし発射された銃弾は目に見えるほど遅かった。マイティは
難なく回避する。
少しでもタイムラグのある武器は、クロックアップ中は使えない。二人はほぼ同時に理解した。
マイティが間合いを取り始める。エンジェルゼクターの羽をたたみ、もう一度開かせる。
反応して背中の翼が分離する。しなやかに羽ばたいていた翼はまっすぐに固定され、マイティの左腕に装着され、弓の形をとる。
「レーザーならタイムラグはありません。これで決めます!」
右手で弦を引く動作を取ると、光の矢が出現した。
「させるかあ!」
ココが追ってダッシュ。ドッグゼクターの尻尾をもう一度引く。
今度はフェイスプロテクターの口がバカンと大きく開き、鋭い犬歯が現れる。
二人の距離が狭まる。ほとんどゼロ距離。
「ライダーシューティング!」
「ライダァァファング!!」
二人は同時に叫んだ。
閃光がフィールドを覆った。巨大なエネルギーが衝突したのだ。
「マイティ!」「ココ!」
オーナーはそれぞれパートナーを呼ぶ。
光が収まる。
ワードッグが立っていた。
右肩をレーザーの矢に貫かれたまま。
フェイスプロテクターの口には、白い神姫を銜えている。
『試合終了。Winner,ココ』
ジャッジAIが勝者を告げた。
46 :
変身!・七:2006/10/10(火) 19:04:12 ID:+177qdUo
「良い試合だった。完敗だ」
「マイティちゃんもお見事でしたわ。たった一週間で、変身システムを使いこなせていましたもの」
二人のオーナーは固く握手した。いつもどおりの握手に見えたが、健闘を称えあったオーナー同士の
友情が芽生え始めていた。
「マイティ……」静香に隠れながら、ココは申し訳なさそうにマイティの方を見ている。
マイティは笑ってこう言った。
「次は負けないからね。ココちゃん」
「……うん!」
神姫同士の親愛も深まりあった試合であった。
後日……。
「だめだ」
「そんなぁ」
マイティが何度懇願しても、マスターは首を縦に振らなかった。
「あの変身システムはだめだ。非効率すぎるし、お前の戦い方には合わない」
「でも!」
マスターはしばらく黙った。
「……まあ、戸田静香嬢との試合のみなら、いいだろう」
「マスター……」
マイティは潤んだまなざしでマスターを見上げた。
そっぽを向いているマスターの頬に、おもむろにキスをする。
「お、おい!」
「えへへ。ありがとうございます」
背筋を正して、マイティはお辞儀をした。
その後も、たまにクローゼットの隅で何かをカチャカチャいじっているマイティの姿があった。
「このハイパーゼクターがあれば、うふふふふふふふふ……」
心配の種がまた一つ増えたような気がしたマスターであった。
了
【材料】鬱、ダーク、バトル、バイオレンス、最後にほのぼのを少々
※暴力・破壊描写が通常より多めに入っているので、嫌悪感を抱かれる方は、読むことを避けて下さい。
「知らなかった闇・本当の光」(1/12)
まずは自己紹介。アタシの名前はコニー、兎型MMSだ。
今日はファーストリーグの第4戦、ローテーションではリーダー格であるヴェルの出番となる。
そもそも、ファーストリーグの大会規約上、神姫の複数参加登録者について、リーグ中、同一神姫を
連続して試合に出場させる事は禁止されてて、必ずローテーションを組まなきゃならないんだとさ。
うちのマスターの所有している神姫はアタシを含めて4人。そのうちファーストリーグの
参加登録をしているのは、犬型のヴェル、悪魔型のノワル、そして馬鹿ネコのジャロだ。
アタシ?…アタシはまだまだ駆け出しのペーペーで、現在格下のセカンドリーグに登録中。
戦績はと言うと…3勝2敗で辛うじて勝ち越しているってな状態だ…ハハハ…情けねぇ…;
つーか!あのコスプレ魔法少女の『ココ』に不覚を取ってなければ〜〜〜!!
…まぁ、ココのオーナーの静香の姐さんには、コスチュームとかで色々お世話になってるから、
あまり悪い事は言えなかったりするんだけど。
とまぁ…簡単な説明はこれぐらいにしておいて、今アタシ達が居るのは闘技場の控え室。
いつもだったら、「がんばろ〜!お〜!」ってな感じの試合前のノー天気なブリーフィングがある
ハズなんだけど…今日は何か変だ。
マスターもヴェルも、そしていつもテンションの高いノワルまでも、何時になく神妙な面持ちで
全くしゃべらない。
一方馬鹿ネコは相変わらずグースカ寝ている。全くコイツは…。
「知らなかった闇・本当の光」(2/12)
と、
コンコン…
ドアのノック音と共に、タキシードを纏った白髪頭の、いかにも執事でございな爺さんが入ってきた。
「お久しぶりでございます、3年ぶりでございますかな。ご機嫌麗しゅうございます。」
「ご機嫌…?アンタのおかげで最悪だよ。何しに来た…!!」
「本日の対戦相手は、ご存じでございますな。」
「ああ…あのクソ坊ちゃんの弟だろ。」
「左様で、ご存じならば話が早い。我が主の次男 鶴畑大紀(つるはた ひろのり)様は、
デビューから現在において全戦無敗、僅か3ヶ月でリーグの中位まで上り詰めましてございます。
そして、今日の御相手が岡島様とヴェル様…でございます。」
鶴畑…って、あの鶴畑コンツェルンの事か!?確か1stの上の中辺りに同じ名字で興紀ってのが…。
そういや、こないだマスターが仕事に行ってる最中にテレビの中継で見たけど…どうやって集めたか知らねぇが、
限定パーツゴテゴテ付けて悦に浸ってた、いけ好かねぇ白豚野郎だったなぁ…。
そうそう、その直後にいきなりヴェルが怒ってテレビを消しやがって、大ゲンカになったっけ。
「…何が言いたい。3年前と同じく『負けてくれ』とでも言いに来たか?」
な…!?負けてくれ…だと!?
「どういう事だジジィ!事と次第じゃタダじゃ…」
「コニー! …黙ってろ。」
「…………っ!!」
「お察しの通りでございます。但し、棄権ではポイントもランキング変動も起こりませぬ故、適当に戦って頂き
負けていただければ結構でございます。…無論、ただでとは申しません、こちらをお納め下さい。」
そう言うと爺さんは、懐に入れていた紫の布の分厚い包みを出した。そこには…札束が。
「現金(キャッシュ)で500万。岡島様が5年間、それぞれ年2回の計10回のリーグ参加でランキング100位以内に
在位された場合、手にいれられる通算賞金でございます。岡島様は現在152位。十分な金額と思われますが…。」
「知らなかった闇・本当の光」(3/12)
こいつ…!!マスターを買収しに来たってのか!しかも八百長をしろだと!?
「ンの野郎!さっきから聞いてりゃふざけた事抜かしやがって!手前ェのドタマ…」
「コニー!!黙っていろと言ったはずだ!!」
ぞくっ!!
アタシの背中に、今まで感じた事のない悪寒が走る。この時ばかりは、マスターに噛み殺されるかと思ったよ。
マスターは爺さんの襟首を掴むと、こう言い放った。
「執事、答えは3年前と同じ、ノーだ。その歳で即席の顔面整形手術をしたくなかったら、20秒以内に
この部屋から出ていけ…!!」
「やれやれ…交渉決裂ですか。では、失礼いたします、御武運を…。」
バタン
マスターの手を軽く振り払い、そう言い残すと、執事の爺さんは部屋を後にした。
その直後、
「クソっ…たれがぁ!!!!!」
ガゴンッ!!
マスターは吠えるようにそう言い放つと、ロッカーに拳を打ち付けた。
無惨にへこむロッカーの扉。
「うにゃっ!?な、なんなのだ!?なんなのだ!?」
その音に驚き飛び起き、辺りを見回す馬鹿ネコ。…全く、暢気な野郎だぜ…。
そんな中、ヴェルとノワルは押し黙ったままだ。
アタシは、居ても立っても居られず、マスターに問いかけた。
「…なぁマスター、一体何がどうなってんだ!?3年前って何だよ!?」
「…すまん。今は話したくない。」
そう言うと、マスターは近くのパイプ椅子に力無く座ったまま、一言もしゃべらなくなってしまった。
打ち付けた右の拳からは…赤い血が流れたまま。
いくら馬鹿でも、アタシにだって分かる、間違いない。3年前、この3人に何かがあった。
その「何かは」あの爺さんの主人、鶴畑のボンボン、興紀と関わりがあること。
なぁ…一体…何があったんだよ…マスター…!!
「知らなかった闇・本当の光」(4/12)
ワァァァァァァァァァァァ…
「さぁ!今日もやってまいりました、武装神姫ファーストリーグ第4回戦!本日のファイナルバウトはァ、
デビューから僅か3ヶ月、全戦無敗で駆け上がってきた期待の新星、現在ランキング167位、鶴畑大紀選手と!
デビュー5年、ベテランの実力は伊達じゃない!ランキング152位、岡島士郎選手の対戦だァ!!
なお、鶴畑選手のお兄さまである興紀(おきのり)選手は、パートナーのMMS、ルシフェルと共に現在54位という
高位ランクに位置しております!大紀選手はそれに追いつくことが出来るのか、はたまた岡島選手が
全戦無敗の記録に待ったをかけることが出来るのか!注目であぁぁぁります!」
実況アナのムダに軽快なアナウンスが流れる。いつもだったら右から左に聞き流せるんだが、今日に限っては
変に耳に残って仕方がない。
しかも、いつもだったら会場の6ステージで同時に行われる試合が、今回だけはマスターとクソ坊ちゃん2号の
対戦だけ、しかも会場のど真ん中の特設円形ステージで行われると来たもんだ。これも鶴畑コンツェルンの
財力のなせる技なんだろうかね。
「まずは…白虎の方角!美しき武装を身に纏う、白亜の天使!ミカエルの登場だァ!!」
アナウンスと共に、上空から舞い降りる白いMMS。天使型のミカエル様のご登場…ときたもんだ。
兄貴と同様、レア物の装備をこれぞとばかりに体中に付けてやがる…いけ好かねぇ…全くもっていけ好かねぇ…!
「続きまして…玄武の方角!5年のキャリアを見せつけることが出来るか!?深緑の猟犬、ヴェルの登場ぉう!」
…こっちは普通にスポットライトかよ…って!?何だあの装備は!?
通常の犬型アーマーと、両腕に吠莱壱式、ヴェルの得意とするアウトレンジでの戦闘の為の装備だ。
そこまでは良しとして…なんで両足に近接戦闘用のサバーカなんて装備してんだよ!?しかもそれ以外何も
装備してねぇじゃねぇか!!
「知らなかった闇・本当の光」(5/12)
「おいおい…あのMMS、遠距離と近距離って…何がしたいんだよ…(pgr」
「相手の破竹の勢いに負けて、ネタに走ってんじゃねーよ!!バロスwwwwwwww」
あっちゃ〜…思いっきり笑われてら…しょうがねぇなぁ…。
「マスター!装備が変だぜ!一旦変更した方が…」
「いいえ…あれで良いのよ。」
おいおい…「あれで良いのよ」…って、ノワル!?お前、いつもの「ボク〜」はどうしたんだよ!!??
「そう…あの時と…3年前と同じだわ。」
「ノ…ノワルちゃん…どうしたのだ?お腹でも痛いの?…なのだ?」
「そ…そうだぜ?お前らしくもない…。」
「そうだったわね、マスターからは何も聞けなかったんだっけ。いいわ、私から話しましょう。3年前の出来事を…。」
「では…バトル…スタ――――――――――トゥ!」
カァン!
おいおい!そんなこと言ってる間にバトル始まっちまったよ!
そんなことはお構いなしに、ノワルは淡々と言葉を紡ぎ出した。
「3年前のあの日、私は…ヴェルに殺されたの。」
おいお〜い…全然動かねぇぞヴェルの野郎…って!
殺された―――――――――――――だと!!??
「知らなかった闇・本当の光」(6/12)
「あの時、私はまだマスター、士郎さんの元には居なかった。私が居たのは、鶴畑興紀の所だった。
その時の私の名は…ルシフェル。」
何だと…!?ノワルの元のマスターがあのクソ坊ちゃん1号で、昔の名前が、今そいつの元にいるMMSの名前だって!?
「さぁどうしたことか、両者全く動かない!何を待っているのか!一体何を狙っているのか!?」
うあぁぁぁ…まだ動かねぇよ〜…!!ノワルの話も聞かなきゃいけないし、試合の動きも気になるし…
あああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!どうしたらいいんだよ〜〜〜〜〜〜〜!!!
(くくく…ボクのミカエルに恐れを成したか、このロートルめ!確か予定では勝つことになってるんだから、
動かないのか…?まぁいい…)
「ミカエル!GFモデルLX−9ビームキャノン、フルパワーで発射!あの木偶の棒を消し炭にしてやれ!」
「イエス・マスター!」
コォォォォォォ…
ガォン!!
マズい!レーザーライフルの比じゃねぇ!あんなもん喰らったら消し炭どころか消えて無くなっちまうぞ!
その時だ、まるで狼が獲物を狙うように、ヴェルが前屈みになった瞬間…。
消えた…ヴェルが消えた。
ビームは空しく空を切り、円形ステージの防御壁に当たり、散った。
そして、隙だらけのミカエルの前に突如として現れた6機の犬猫プチマスィーンズ!
後ろには、2機の防御タイプ。光学迷彩(ステルス)とジャマーをMMS本体じゃなく、プチどもに使うだと!?
今まで動かなかったのは、アイツ等を気づかれぬように近づけさせるためだったってのか?
そんな戦法今まで見たことも聞いたことねぇぞ!
「知らなかった闇・本当の光」(7/12)
ズガガガガガガガガガガ!!
6機のマスィーンズによる一斉射撃。1体の攻撃力は低いアイツ等も、6機まとめて喰らい続ければひとたまりもねぇ!
すげぇぜヴェル!
と、
いきなり射撃が止んだ。その刹那、ミカエルの前に現れるヴェル。
まさか!吠莱壱式を至近距離でぶっ放す気か!ぃ良し!勝った!
だが、アタシの予想は大きく外れた。
ごがっ!!
ヴェルは、吠莱壱式本体で、ミカエルの横っ面をぶっ飛ばした!
「何て事だ――――――――――!長距離砲の吠莱壱式を、まるでトンファーの如く使ってミカエルを
殴り飛ばした――――――――!!ミカエル、たまらずダ――――――ウン!!」
な…何つー力業だ…。
呆気にとられるアタシとジャロ。
「あの頃の私は…何も知らなかった…いいえ、何も知らされてなかった…。」
うわわ!ノワルの独白がまた始まったぞ!
「数少ないハズのパーツに包まれ、恵まれた武装を与えられ、圧倒的な力で勝利し続けた。私は、常に『光』に照らされ
続けていた…いえ、そう思っていた。でも、それは私欲とお金にまみれた偽りの『光』だった。」
「く…なんて戦いをするんだ…この野蛮人め…って!?」
立ち上がろうとするミカエルに対して、間髪入れず再び壱式で殴りつけるヴェル。吹っ飛ぶミカエルを、サバーカの
機動力で追いかけ、また殴る!まるでボールの遊びの様に弾かれ続けるミカエル。
「そんな私の前に敵として現れたのが、士郎さんと…ヴェルだった。」
「知らなかった闇・本当の光」(8/12)
「み…ミカエル!何をしている!お前の羽とブースターは飾りじゃないだろう!相手は地上戦しか出来ない犬型だ!
空中からビームを撃ちまくって、奴をハチの巣にしてしまえ!」
「イ…イエス…マスター!」
ぎゃん!
「おおっとぉ!何とか空に逃げたミカエル!ここから得意の空中戦に持ち込むかぁ!?」
だが、ヴェルは全く動じない…そして、
「マスィーンズ…フォーメーション"S"…!」
「了解(ヤー)。」
ヴェルがそう言うと、マスィーンズは空中に散らばる。何をするつもりだ…!
と、
だだだだだだん!!
と…飛びやがった…!散らばったプチマスィーンズを足場にして蹴り、空中へ飛び上がるヴェル、そして、
ビームを発射せんと下に構えていたたミカエルの上を取った。そして、
ばぎぃん!!
振り下ろされた両手の吠莱は、ミカエルのブースターと羽を破壊した。翼ををもがれ、落下するミカエル。
「知らなかった闇・本当の光」(9/12)
ずぅん…!
地に落ちた天使。地に降り立ち、ゆっくりと近づいて来る猟犬。もはやこれまでだろう…大事を取ってギブアップだな。
アタシは思った。そして案の定、ミカエルは…
「ギ…ギブア…」
「ふざけるな!!!」
ミカエルの言葉を遮ったのは、彼女のマスターである大興だった。
「ギブアップなどさせるか!お前にいくらかかったと思ってるんだ!お前のそのアーマーや翼を作り上げるのに買った
限定版は合わせて100個を超えるんだぞ!それにここで負けたらお父様や兄様に合わせる顔がないだろう!さぁ戦え!
戦うんだ!」
「イ…イエス…マス…」
ガギィ!
再び殴り飛ばされるミカエル、ゆっくりとその後を追い、再び殴り飛ばす、追う、殴る、追う、殴る また追う…
もう既に試合…まともな戦いではない。ステージで行われているのは「私刑(リンチ)」だった。
「あの時も同じだった。本来なら武装で圧倒的に勝っていた私を、ヴェルは卓越した技術で圧倒した。
ボロボロにされた私は、ギブアップを叫ぼうとした。だが、あの男はそれを許さなかった。己と己の父の面子のために。
そして、身動きの取れない私を、ヴェルは殴り続けた、ある言葉を呟きながら…。」
ヴェル…やめろ…もういいじゃねぇか…!
『その美しい姿のために 何人の仲間が犠牲になったか しっているの?』
そいつはもう動けねぇ…お前の勝ちだよ…!
『あなたの勝利は 本物の勝利だと おもっているの?』
もう見たくねぇよ…もう…十分だろう!?
『あなたが今まで照らされてきた光は 本当の光だと おもってたの?』
こんな戦い方…お前らしくねぇよ…!
「知らなかった闇・本当の光」(10/12)
「そして…最後に耳元でこう言ったの。」
ごすっ!
吠莱壱式で、満身創痍のミカエルをステージの防御壁に押しつけながら、彼女の耳元でヴェルが何かを囁いた。
「『私たちは
マスターを選ぶことは出来ない
あなたの不幸は
偽りの光に選ばれてしまったこと
そして
私 た ち と 出 会 っ て し ま っ た こ と』」
やてくれ…ヴェル…ヴェル…っ!!
「やめろおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
ドゴォォォォォォン…!!
至近距離で放った吠莱の弾丸は、ミカエルの胸に風穴を開けた。
まるで涙のように目からオイルを流し、ミカエルは倒れた。
「………ヴェ…ヴェル…選手の…勝利です!!」
ワァァァァァァァァァ……。
歓声とも、悲鳴ともつかない声が、会場から上がった。
「…戻るぞ、ノワル、ジャロ、コニー」
マスターは、アタシ達にそれだけ言うと、ヴェルと一緒に先に控え室へ向かっていった。
ジャロは…大粒の涙を流しながら、何も喋ることも出来ずに…ガクガク震えていた。
「知らなかった闇・本当の光」(11/12)
控え室の前、アタシ達は中に入らずにいた。…いや、入れなかった。
中にいるヴェルが、外からも聞こえる位でっかい声で、マスターにすがり泣く声が聞こえていたからだ。
「多分…ボクの時もこんな風に泣いてくれたんだと思う。」
お♪ノワルの口調がボクに戻った。
「その後…あの男ってば『不良品などいらん!代わりなど幾らでも居る!そんな出来損ない、捨ててしまえ!』
…って言ったんだ。ボクも殆ど意識は無かったし、うろ覚えだけど。」
カツ…カツ…カツ…。
「それでね、爺やさんがボクを捨てに行こうとした時、たまたまマスターが控え室のドアを開けたんだ。」
ギィ…。
「それで…。」
「爺さん、又会ったな、そいつをどうするんだ?」
「はい、坊ちゃまの御命により、処分を…」
「そうか…だったら丁度良い。パーツ取りに使いたいんだ、譲っては貰えないか?」
「はい…どうせ処分される物ですので。どうか…その子を宜しく、その子の未来に幸多からん事を。」
「爺やさんは、そう言ってボクをマスターに託したんだ。そして…」
「あ〜あ…まだコニーのボディ買った時の請求がカード会社から来てないってのに、また余計なもん引き取っちまったよ。
あ!いっけね!ここのロッカーも壊しちゃったんだ〜…!!勢いでやったとは言え弁償モンだよ〜。
あ〜、どうすっか〜…、将来設計の貯金削るか?いや待てよ!?妹が天使型欲しがってたからアイツに…」
おお!戻ってきた…!!いつものマスターだ!
「うわ〜い!またかぞくがふえるのだ〜?」
「ふふふ…やっと舎弟ができるぜ!思いっきりコキ使ってやる!」
「アンタねぇ…一応妹よ…妹;」
(ボクは、やっと本当の光(マスター)を見つけることができたんだ。)
「知らなかった闇・本当の光」(12/12)
あれから数日後。
あの敗北から奇跡的復活を果たし、再び連勝街道を進むクソ坊ちゃん2号と、致命的な怪我を克服したとされている、実際は
まっさらの新品の「ミカエル」ちゃんが、勝利者インタビューに答えていた。
「あの敗北は、僕にとっても非常に良い経験になりました!あの敗北があったからこそ、こうして今再び栄光の道を
歩むことが出来ているのです!そうだな!ミカエル!」
「イエス!マスター!」
へっ…あんだけ無様な負け方しといて何抜かしてやがる。どうせ今までと同じで、金に釣られる格下を八百長試合で
狩り続けているんだろうぜ…。あの爺さんも、また金配りさせられてるんだろうな。あ〜あ、ご愁傷様なこって…。
今日は、こないだマスターが行きつけのセンターに、元「ミカエル」ちゃんを修理に出して、どうやら無事治ったらしいんで、
アタシを除く全員で迎えに行っている。アタシはテレビを独占し、大好きなニンニク煎餅をバリバリ喰いながらの優雅なお留守番だ。
話によると、どうやら今回はノワルの時と違って、ミカエルは今までの全ての記憶を「消させて」しまうらしい。無論、本人の了承はない。
ノワル曰く、図らずも自分が命を奪ってしまった、命を吹き込まれず捨てられた神姫達への贖罪のために、アイツは自ら望んで
記憶を残したそうなんだが、「ミカエル」には、そんな十字架は背負って欲しくない、新しい人生を歩んで欲しいんだと…さ。
全く…AIってのは便利なもんだ、嫌な記憶を簡単に消し去れるんだから。意外と楽しい記憶ってのは、簡単に忘れがちで、
嫌な記憶ってのは、何時まで経っても脳味噌の隅にへばりついて残るもんなんだよなぁ…。まぁそれが人の良い所だったりするんだが。
って…ありゃ?何人間様になったつもりで物考えてんだアタシゃ?第一、そんな哲学的な事考えるタマじゃねぇだろ!…ったく。
でも…もしアタシがノワルの立場だったらどうしてただろう。やはり記憶を残して貰ったんだろうか、それとも…。
ガチャ…
…おっと、帰ってきた帰ってきた。辛気くさい話はこれで終了っと!
「たっだいま〜なのだ〜!」
「お留守番ご苦労様〜!おみやげ買ってきたよ〜!」
「こら!上がる前に足はちゃんと拭きなさいって言ってるでしょ!」
「さぁ、今日からここが君の家だぞ。お姉さんに挨拶して!」
「は…初めまして!私の名前は…」
「知らなかった闇・本当の光」〜fin〜
「うわ、やっぱ点かない……」
沈黙したままの電源ランプを凝視しながら、オーナーが呻いた。
二日がかりの大掃除の時、オーナーのゲーム機が殉職したのだ。
うっかり手を滑らせる、なんてことは、『私』こと『黒子』にだって起こりうること。
人間であるオーナーにとっては、当然のことだ。
「にゃー! 猫子のロボがーっ!!」
精密機器は物理衝撃に弱い。この分だとセーブデータを保存していたHDDも無事ではないだろう。
「騒ぐな猫子。……俺も騒ぎたい」
オーナー、それでは解決になりません。
放っておくと騒ぎ出しそうなオーナーの前へ、しかたないですね、とでも言いたげに犬子が歩いていった。
「落ち着いてください。ネット上のバックアップは生きていると思いますよ」
犬子の言葉に生気を取り戻したのは猫子だけ。
オーナーが変わらずうなだれているのは、ゲーム機本体の値段を考えてのことだろう。きっと。
「すぐに買ってくるのだ! 確認するのだ! 猫子の『ダイマオー』が無事かどうか確かめるのだ!」
SFチックなビジュアルのロボットに大魔王と名付ける猫子のセンスを、私はそれなりに気に入っている。
これで今みたいに大騒ぎしなければもっと良いのだけれど。
――今日は白子が家にいない。定期的にメンテナンスへ出しているのだという。
オーナーが直接連れて行ってメンテを受させる、という神姫が多い近頃の風潮を考えれば、郵送で済ませてしまう私のオーナーは割と薄情ということになる。
四六時中付きっきりで側に居続けることだけが情の深さを証明する、なんてつまらないことは言わないけれど。
「……黒子〜」
「あ、はい、オーナー!」
慌てて走り寄る。オーナーは体表温度が二、三度下がっていそうな顔色で、
「……買い物行くから。ついて来てくれ」
方向音痴の救世主――モード・ナビゲーション。
やっていることは旧世代のカーナビと変わらない。GPS、衛星通信。
アウトプットがディスプレイではなく、私の言動というところにだけ、違いがある。
「次、右折です」
「らーじゃ」
自転車の前カゴでよろよろしながら、身振り手振りで行き先を示す私。
通信販売が発展した今日にあっても即日配送即日入手というのは難しい。
故に。
猫子の騒音から身を守るためには、自らの足でそれを手に入れる必要があるわけで。
犬子に猫子の押さえをお願いして(マスィーンズはマスィーンズで対抗するのが効率的)、私はオーナーとお買い物というわけで。
……あれ、自転車が止まった。
「あ、まだ真っ直ぐですよ、オーナー」
「信号変わったらな」
「……もちろんそのつもりです、オーナー」
進行方向に背を向けているから信号が見えなかっただけです、オーナー。
くるりと逆に向き直り、私は前を見た。
街が、見える。
走り抜けていく車の列。排気ガスと人の匂いが混ざり合う。
立ち止まる自転車の隣には電気店。アナウンサーが雄弁にニュースを語っている。
陽に熱せられたアスファルトのひび割れが見えた。
この情景を雑踏としか言い表せない貧弱な言語機能を、私は少しだけ恨んだ。
「……裏バトルか」
オーナーが呟く。彼の視線の先を見る。
テレビのニュース番組、そのテロップ。
――『また一人公式戦から削除。増加する裏バトル』
「……それも戦いのひとつの形です、オーナー」
顔をしかめているであろうオーナーの表情を想像し、私は気を遣ったつもりで言葉を発した。
「バトルであるならいいけどな」
思わせぶりなことを言う。
オーナーは自転車を降り、通行人の邪魔にならぬよう、電気店の正面まで押していった。
信号は青に変わっていたのに。
「なぁ黒子」
「なんでしょう」
「なくしてしまったゲームのデータは、一体どこに行っちゃうんだろうな」
オーナーの言葉が、亡くしてしまった、と聞こえた。
「……どこにも行きません。消えただけです」
「うん。たとえばRPGがあるとしてだ」
オーナーは語る。
たとえばRPGがあるとして。
魔王を倒すために頑張っていた勇者とその仲間達は、セーブデータがなくなってしまったら、どうなってしまうんだろう。
プレイヤーという第三者の介入手段を失ったデータは、その世界は、停止してしまうのだろうか。
「……妙なことを考えますね、オーナー。ゲームの本質はそのプログラム側にあります。新しくスタートすればいいだけじゃないですか」
「まぁ、娯楽商品だからな」
オーナーは手を伸ばし、私の頭に指で触れた。
「ゼロとイチで埋め尽くされたセーブデータに、世界なんてない」
私は頷けなかった。
世界があるということを、知っているから。
オーナーが語っているのは、ゲームの話ではないということに、気づいたから。
「……ま、世界があるのは俺だとか、猫子だとかの中にだけだな」
細い溜息。
オーナーが笑いかけてくれる。
「あいつの『ダイマオー』を再び家のディスプレイに映すため、さっさと買って帰ろうか」
話はここまで。
それでもいい。
「私の『ストラーフ』も忘れないでください」
「そうそう、一度聞きたかったんだけどな」
オーナーが自転車にまたがりながら問うた。
「黒子って、ナルシストなのか?」
あはは。
「モード・ナビゲーションにおいてブルースクリーンが発生しました。致命的なエラーです。以後システムの継続は不可能となります」
「ごめんなさい」
――翌日、昼。メンテナンスから帰ってきた白子はとても生き生きとしていた。
不要なデータの削除はデータを亡くすことではない。ダイエットと言うべきだ――と黒子がぼやいた。
D・D・D――END.
(どこにでもいるオーナーと・どこにでもいる神姫の・どうってことない日常風景)
投下ラッシュは止まらない。みなさんGJです!
モチベーションがぐいぐい上がります。ぐいぐい。
>>3 とても真っ直ぐな裏バトル、楽しませていただきました。GJです。
で……。
少しだけ設定を、拝借させていただきました。公式戦から削除のくだりを。
事後ではありますが、了解していただければ幸いです。
コラボは、あれですね。
真正面から分かるようにするのも有りですし、匂わせる程度なのもニヤリとして有りですし。
みんながみんな配慮すれば問題ない、と思うのは理想的過ぎますかね。
バトルなしのDDDは後者を選択するので精一杯です。はい。
jhgjg
全く読むのが追いつかないぜ!
そして創作意欲がどんどん刺激されてくる。
こんなにプラスになるスレは久しぶりだ。
>>63 了解です、こんなのでよければどんどん使ってやってくださいな。
ども、441です。
うが、書いているうちに増えてる!
今回は戦闘を書いてみました…が…!
ぶっちゃけ戦闘描写は期待しないで下さい。
速攻で終わります。
書いたのを4つに分割します。
ではいきます。バイオレンスなしエロなし戦闘ありです。
<銃兵衛、推参>
ついに来た、この時が…。
そう、今日は
「う、初陣だな…」
「う、初陣ですね…」
はっきり言おう、俺たちはガッチガチに固まっていた。
「お、おおおい、どうした十兵衛さん。貴女ともあろうお方が緊張などと…」
「い、いいいいえいえ、マスター。その言葉そっくり返しますよ…」
『さぁ!本日の新人戦!次の試合だぁぁぁ!』
『ワ〜!!!』
す、すごい熱気だ。
「だ、大丈夫さ、練習どおりにやれば勝てるはずだ…」
「は、はい!」
ジャッジのアナウンスが相手の紹介を始める。
相手はマオチャオタイプ。装備はほとんど初期装備だ。
そして
『さて!対するこちらは!タイプストラーフ!「十兵衛!!」その眼帯の奥に潜む闘志を見せてくれぇぇ!』
「見せてくれぇ…らしいぞ十兵衛さん」
「は、はい…がんばります」
対するこちらは当初の予定通り、レーザーライフルを背負った狙撃仕様だ。
『ステージは超広大!新都心が選択されたぞぉ!さあ!出場者の神姫とマスターは所定の位置へ!』
お、これはラッキーだ。ステージが広ければ広いほどこちらには有利だ。
そして俺達は言われるがまま所定の位置へ。
十兵衛はポッドに乗りこんだ。
「よし、がんばれよ!十兵衛!」
「はい!」
しかし俺は十兵衛を甘く見ていた。
まさかあんな戦いを見るなんて…。
『さぁ!両者準備は万端かぁ!』
「いくぞ!十兵衛!」
「はい!マスター!」
一方相手も
「あの眼帯を引っぺがしてやんな!」
「わかったにゃ!!容赦しないにゃ!」
と気合たっぷりだ。
そしてその時十兵衛が
「ごめんなさい、それ無理…」
と言ったのを俺は聞き取れなかった。
「いきます!」
と十兵衛は気合一閃。
『それでは皆さんお待ちかねぇ!神姫ファイト!レディー!!』
『ゴォォォォォォォ!!』
ついに俺と十兵衛の初戦が始まった。その瞬間
『試合終了。Winner,十兵衛』
とジャッジAIが結果を告げる。
言っておくが、別に戦闘場面を端折ったわけじゃない。
間違いなくこの速さで試合が決したのだ。
「う、うそ…」
「うにゃぁぁぁ」
相手は唖然…いや、俺も会場の観客も唖然。落ち着いているのは十兵衛のみ。
「勝ちました!マスター!」
「あ、あぁ…す、すげぇな…」
「マスター?」
「え、あぁ…あまりにもあっけなかったんでつい…」
『い、一体何が起こったんだぁぁぁ!試合時間はたったの2秒!スローで見てみるぞ!』
これは気になる!と会場内が大型モニターに釘付けになる。
俺も釘付け。
『スロー!スタート!』
試合が開始された。さまざまな角度から二体の神姫が映し出されている。それとともにステージ内の全景が映し出される。
マオチャオはまだ動いていない。
十兵衛は…
「な…」
なんと既にレーザーライフルを構え、射撃姿勢をとっていた。
そしてレーザーの光が発射される。
ビルの合間をかする事無く、正確に真っ直ぐ進むレーザー。
その先にはやっと動き出したマオチャオの姿があった。
「うにゃ!?」
驚きの表情に変わりつつあるマオチャオのデッドポイントをレーザーが貫く。
その場に倒れこむマオチャオ。
その驚愕の結果を目の当たりにして、会場内が静まる。
ジャッジが思い出したかのように
『い、以上がこの試合の内容だぁぁぁ!!なんて正確無比な射撃!タイプストラーフとは思えない落ち着いた攻撃法だぁぁぁ!』
その瞬間
『お、おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!』
と会場全体から歓声が上がる。
「お、おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
俺も歓声を上げていた。
「えへ、何か照れちゃいますね」
「十兵衛、お前やっぱすごいわ!」
『さぁ!どこまでいくのかこの二人!凪選手と十兵衛選手に期待だぁ!!!』
『わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
・
・
・
そうして帰路、自転車のかごにはトロフィーがあった。
結果はなんと優勝。試合時間は平均4秒だった。
さすがに読まれやすい攻撃パターンだったので、試合開始直後に一気に動き出す相手が多かった。
しかし新人戦のためか、十兵衛にとってその直線的な動きは敵ではなく次々と撃ち落されていった。
「勝ったな…」
「はい!練習どおりです!」
いや、練習以上だって。ありえないってばこのスコア。
おかげで協会からの通達によりサードを飛び越えてセカンドに昇格してしまった。
どうやらその協会の調査によると戦闘スキルは最低B以上
(ほとんど戦闘らしい戦闘をしていないため、それ以上は調査不能だったそうな)
だったらしく、スキルC以下までしか入れないサードにはいてはいけないらしい。
「いきなりやばい事になったなぁ…」
と心配になる俺。しかし十兵衛は
「大丈夫ですよ!がんばりましょう!」
とやる気満々。
「ま、とにかく優勝おめでとう!」
「はい!有難うございます!」
「よし!かわいい服を買ってやる!」
「はい!有難うございます!…ってえぇ!?」
一気に顔が赤くなる十兵衛。
「ふふふ、何を着せてやろうかなぁ〜?」
「そ、そんな…似合いませんってばぁ」
ええい、遠慮はいらぬぞ十兵衛殿!
「いや!似合う!間違いない!いくぞ買いに!!」
「え、今からですかぁぁぁ!」
「お〜う!」
「え、えぇぇぇぇぇぇぇぇ」
・
・
・
結果
着物(さくら○戦的な)とデニム、ダウンジャケット等可愛いというよりカッコイイ感じの服を中心に買ってしまった。
今度こそかわいい服を買ってやろう。そうしよう。
以上です。ほら短いですよ…(泣)
狙撃描写は難しいですね…。
やはり精進しますorz
十兵衛強ええええええ(;´∀`)
>>20氏
アネゴ良い!すごいカッコイイです!是非続けてください!
>>40(208氏)
変身!!すごいわ、こちらもかっこよすぎる…熱い展開大好物ですよ!
>>47(でこちゅー氏)
おぉ!なんで皆かっこいい系なんだ!!いいですねヴェル!かっこよすぎです!
>>59(D.D.D氏)
きた!ほのぼの系!しかしうまいです…切なさのさじ加減が。続きも期待してます。
>>72氏
いやはやすいません。
やはり元々地下出身の設定なんでこれくらいはやってもらわねばと思ったんですが
予想以上に強くなりすぎた感が…。
でも新人戦ですからね、飛び級でこれから苦難の道が待っているわけです。
…たぶん。
新スレおめ&SSラッシュの波に乗るぜー!
俺がルーシーの存在をちょっと意識してからさらに数日後、お待ちかねの補助シリンダーが到着。
口には出さないが、コイツもワクワクしているようだった。
さっそくバリバリとダンボールを開いてみると、梱包材に埋もれるようにして不透明プラの箱が
入っている。 …そういやネットにもシリンダーそのものの画像はアップされていなかったな…
公式のライセンス商品なんで疑う事もなく買ったんだけど、現物を見るのはこれが初めてだ。
さて何が出るやらと開けてみると…
やたらリアルなバッタの足みたいなのが入ってた。
「うぁキモチ悪っ」
反射的に箱ごと投げ捨ててしまったが、フローリングの床にぶつかる寸前にルーシーが
ダイビングキャッチ。
「何してるんですか何やってるんですかまったくもー!」
「いや何って」
「ちゃんと注意書きがあるんですから、ちゃんと目を通してくださいね!」
プンスカ怒りながら彼女が差し出したのは、「非常に小さなパーツですが精密機械です
のでお取り扱いには注意を云々」みたいな事が書いてある小さな紙切れだった。
…が、俺はこういうのに注意を払わない性格なので無視。
「だってお前ナニソレ」
見れば見るほどリアルすぎる。
ガキの頃によくイタズラして遊んだゴムのおもちゃみたいなチャチなのじゃなく、まるで
本物からむしって来たみたいな感じだ…「武装神姫」のイメージと全然違う気がする。
ルーシー自身も一瞬動揺したようだったが、何とか平静を保つ。
「…外見はともかく、性能はちゃんとしてるはずです」
…ネットショップに画像がなかったのも分かる。こんなキモグロデザインじゃ買うヤツぁいない。
グズっててもしょうがないんで、イヤイヤながらバッタの足をレッグアタッチメントに装着してやる。
…細かいチューニングなんかはルーシー本人が自分でやると決まってたんで、俺の仕事はこれでおしまい。
ヒマなのでちょいとお茶の準備でもしようかと立ち上がった所に、本日2度目のインターホン。カメラ
モニタを見ると、さっきのとは別の運送屋だった。
ハンコを押して受け取った小さな箱には「武装神姫初回登録記念之粗品」とある…あぁ、そーいえば何だか
パーツ1個サービスしてくれるんだっけ。
部屋に戻ると、既に調整が終わったらしいルーシーが笑顔で出迎えてくれた…なんかいいな、こういうの。
「何ですかそれ?」
「ん、登録した時のサービスアイテムだとさ。開けてみ」
テーブルに置いた箱を嬉しげに眺め、俺とは逆で静かに開封していく。
こういう所も女の子って感じなのかねぇ…と顔がニヤケそうになる反面、またイヤガラセみたい
なデザインのアイテムだったら速攻で送り返してやろうと思っていると、「あっ」という声と
共にルーシーの顔が綻んだ。
続いて嬉しげな旋律で言葉が流れ出す。
「見てください、サブマシンガンの「カロッテTMP」です。 基本装備のリボルバータイプ・
ヴズルイフの弾数には前々から不安があったのでこれは幸運だったというべきでしょうね。
あまり高価な品ではないですがコンシールド性に優れたスタイルに加え小型ながらも赤外線
スコープにスライドストックが付いてますから、ライフルほどではなくともある程度の精密
射撃が可能です。 もちろん弾数は通常のハンドガンとは比べ物になりませんから牽制にも
充分使えますよ」
…いくら綺麗な声で歌みたいに滑らかだって、まさしくマシンガンさながらに喋られちゃ聞いてる
だけで疲労が溜まる。
しょうがないのでこっちは「へーそーなんだーすごいねー」とかテキトーに相槌。
だからマニアトークは苦手なんだってば…くそ、俺の淡いトキメキを返せ。
そんなこんなで一応カタチは揃った。
装備はほとんど基本のまんまだが、最初持ってたリボルバーは今回手に入ったサブマシンガンに変更。
そして左足は予定通り、素体のままで右のレッグアタッチメントに添えている。
角度によっちゃ足が1本しかないようにも見えて、妹の「古今(中略)辞典」に載ってた「カラカサ
オバケ」とか「イッポンなんとか」みたいな感じだ。
リアルなバッタの足がくっついてる事もあって、ヨソのサイトで見るカスタムタイプに比べると正直
言って不恰好かなとも思ったが…本人に気にした様子はない。
ま、コイツが気に入ってくれるのが一番だ…ホント、今の俺って骨抜きだ。
…続く。
やーっと装備が整いましたわー…長かったなぁ自分。 これでようやくバトルモノに
参加できるッ!
記念って事でルーシーをうpしてみたよ!
ttp://shinkiup.daa.jp/upl/imgs-box/img20061010222355.jpg …キックホッパーとかいうひときらいですー…バトルホッパーだもん!(つД`)
というワケでSIC匠魂のバトルホッパー(ノーマルカラー)をバラして両面テープで
くっつけてみました。接着したいんだけど黒子って品薄だから思い切れないんだ…
バッタの足は干渉しない位置にしつつ、曲げた時に繋がって見える感じでやってみた。
…さて、マスターの名前何にしよう?(相関図大歓迎)
なんかね
オンラインバトルサービスが始まったら
このスレの神姫たちが実際にオンラインで戦ったりしたら
そう考えると
ワクワクドキドキが止まらないんですが
なんだこれ。なんだこれ。
そして隻脚の悪魔来た。
80 :
前スレ208:2006/10/10(火) 22:41:33 ID:+177qdUo
つ、ついに、ついに片足の悪魔が光臨してしまったアワワワ((((゜Д゜;))))
ホント、バトルサービスでぜひともお手合わせ願いたいですよ。
ねえマイティ?
マイティ→ ((((;Д;))))ガタガタガタガタ
……まあ置いといて。バトルサービスでもジオラマスタジオ並に
自由なカスタマイズができれば言うことないですね。
81 :
『不良品』作者:2006/10/10(火) 22:55:34 ID:9XoVpFO4
>>79 「貴女はいいわね…五体満足で。 でも、オーナーと同じ視線になってこそ見える
光もあるのよ… さぁ、私の妹になりなさい。 私と一緒に地獄へ堕ちましょう?」
ルーシーやさぐれちゃだめー!・゚・(ノ□`)・゚・
…でもお姉様口調ってのもちょっとえっちっぽくてイイねw
>>80 どもですー。 思えば208氏の「強敵」を見てからルーシーのイメージがぶわーっと
膨らんだ感じです。 マイティちゃん、また遊んでくれ!
>>77氏
キタァァ!最強の悪魔が!カッコイイ!
いや、自分のもうpりたいところですが…
携帯のカメラしかないのでorz
最近、SS書き込みばかりでレスしていなくてすみません。
なにやら、一騒動あったようで・・・
私自身もコラボは賛成ですし、相関図にも参加させて欲しいと思います。
さて、今回はエルの戦う姿が出ます。お楽しみ下さい
ついに来た。俺は、目前の多目的ホールの収まる建物を見上げていた。
今日、これからここで行われるのは”武装神姫ショウ”というイベントだ。
企業による次世代モデルの発表や会場限定品販売、個人ディーラーの自作品販売、新規ユーザー獲得の為の催しも充実している。
もちろんバトル大会も行われる。
バーチャルバトルで強くなったエルを公式戦に出すことを決意し、出場を申し込んだ。
会場前には、一般参加者の列が伸びており、今現在も伸び続けている。
俺はその列を横目で見ながら、メインゲートとは違う入り口へと向かう。
そこで大会招待状をみせ、入場証をもらい控え室へと案内された。
控え室はかなり広く、すでに数人の参加者が自分の神姫のチェックをしていた。
俺も与えられた一角に荷物を置き、持ってきたパソコンを起動させる。
「よし、出ていいぞ」
ペンケースのような箱を開けると、二人の神姫が起き上がる。
「マスター、いよいよですね」
「ああ」
アールの頭を撫でてから立たせてやる。
「あ、あたい……」
「緊張してるのか?」
無理も無い、この大会の模様はTVはもちろん、ネットにも配信される。
エルも同じように頭を撫でて立たせてやる。
「エル、ちょっとじっとしてて」
俺は、パソコンから伸びたコードをエルにつなぐ。
パソコンにさまざなな情報が表示されるが、異常個所は見られない。
「よし! OKだ」
コードを抜き、エルに答える。
それから俺たちは、パソコンに入れておいた簡易型ヴァーチャルバトルの対CPU戦用モードにてエルのウォーミングアップをした。
開始時間が近づいて、次々と参加者が入ってくるが、人数が少ない気がする。
「別にも控え室があるのでしょうね」
「だろうな」
アールに答える。
確かに、ここが広いといっても個人個人が持ち込む荷物がかなりあり、入れる人数が少なめみたいだ。
会場側もそのことを分かっているようで、個人に割り当てられたスペースがかなり広くなってる。
もちろん、俺のスペースも同様でパソコンとエルに使う武装一式と、メンテナンス用具しか持ってきていない俺にはかなり広い。
他の参加者を見回すと、およそ実戦向きでないようなドレスを着せている人、俺の用に2,3人の神姫を連れて来ている人などが居る。
「この全てがあたいのライバルなんですね」
俺が他の参加者を見ているのに気が付いたのだろう、エルがそう言ってきた。
「ああそうだ。こわいか?」
エルの頭を撫でると、ふるふると首を横に振る。
「ううん、マスターと姉さんがついてるから平気」
エルはニッコリと笑った。
控え室にスタッフが入ってきた。
「これより、武装神姫バトル大会が始まります。参加者の皆さんは、バトルに参加させる神姫を素体状態で持ち、順に廊下へ並んでください」
それを聞いた参加者が立ち上がり、神姫を連れて出て行く。
「じゃあ、行ってくるよ」
「はい」
アールにそう言って、エルを持ち廊下に出た。
スタッフに連れられて廊下を歩いていると、向こう側からも同じように歩いてくる集団があった。
二つの集団の合流地点で右に曲がり会場へと目指す。
ステージに全員が並ぶと、スポットライトが当たると同時に大歓声が巻き起こった。
『ここに集まった戦士たち。目指すは優勝という栄光。このステージに立てばルーキーもランキング一位も関係ない』
『あるのは、そう、今現在の能力の優劣のみ。さあ! 始めよう! 栄光を目指す挑戦者達の競演を!』
『注目せよ! これが栄光への階段だ!!』
大音量のナレーションと共に、俺たちの背後にある大スクリーンにトーナメント表が表示された。
バトル参加者に見えるように、ステージに置かれたモニターには同じ様子が表示されている。
『エントリーNo1』
ナレーションと共に個人にスポットライトが当たる。それと同時にトーナメント表に名前が入る。
名前が入るたび、ギャラリーから大歓声が上がる。そして、俺は一回戦最終組となった。
その後、俺たちは控え室に戻ってきた。
「まだドキドキしてるよ」
エルが胸を押えて興奮を隠しきれない様子だ。
「じゃあ、調べてやろうか?」
「やん」
俺がいやらしい指の動きでエルに迫ると、身を翻しエルが逃げる。
「あははは」
「うふふふ」
「くすくす」
俺たち三人は一斉に笑い出す。エルもリラックス出来たようだ。
しかし、異変は突然やって来た。
そろそろ準備をしようとしていたときだった。
「マスター!」
アールが叫ぶ。
アールの方を向くと、そこにはぐったりとしたエル。
「どうした! 大丈夫か?!」
エルの反応は無い。
急いでエルにコードを挿し、機能チャックする。
「原因不明の動力停止、それによりAIがスリープ状態か」
パソコンからエルに再起動指令を与える。
「反応なし。再起動できない……」
「マスター……」
心配そうなアールに説明する。
「エルは機能停止して、復帰出来なくなってる。AIはスリープしただけだから、起動さえ出来れば……」
「マスター、動く動力……ボディがあればいいんですよね」
「そうだが、そんなもの持ってきてないぞ」
最低限の物しか持ってこなかったことを悔やんだ。
「あります」
「え?」
俺はそういうエールに驚く。
「………ここに」
そういって自分の胸を押えるエール。
「使ってください」
「いいのか?」
コクンとうなずくエール。
「ごめんなエール」
俺はそういって、メンテナンスベッドにアールを寝かせ、機能停止させた。
それから、アールのヘッドを外し、エルのヘッドと交換した。
「たのむ、起動してくれよ」
俺は祈るように起動指令を与えた。
「ん…んん」
エルが起き上がる。
「あれ? あたい、いったい」
「機能停止したんだ」
「そっか……え! どうして!」
自分の身体をみておどろくエル。
「起動できなくなったボディの変わりに使ってって言ってな」
エルに説明すると、泣きそうになった。
「エル、泣くな。エルは戦って勝つことだけ考えろ」
「うん……」
そういってエルは、頭だけのアールを抱きしめた。
「いくぞ」
「うん」
エルに武装をしていく。足にストラーフのレッグパーツ、太ももにアーンヴァルのシールドパーツ。
背中にサブアームユニットとアーンヴァルの翼にレッグパーツのブースター、肩にアーンヴァルのシールドパーツ。
頭にアーンヴァルのヘッドギアを付けた。
胸にストラーフのアーマーをつけたときエルが言ってきた。
「マスター、胸の名前のとこ、アール姉の名前も書いてくれよ」
「わかった」
そういって、胸に書かれた”L”の文字に重ねるように”R”を書いた。
背中にフルストゥ・グフロートゥとフルストゥ・クレインを取り付け、レッグパーツにアングルブレード。
手首にアーンヴァルのサーベルを取り付けて武装完了。
俺は、不正パーツのないことを審査してもらう為、エルを提出した。
そして俺は戦いの舞台へと向かった。
ステージに上がると、再び大歓声に迎えられる。
バトル用のブースにつくとすでにエルが準備されている。
俺は、備え付けのインカムをつけて、エルとの交信状態を確認する。
「エル、聞こえるか?」
「おう、マスター聞こえるぞ」
「いいか、お前は一人じゃない。アールと一緒に二人で戦うんだ」
「マスター、その計算、間違ってるぞ」
「え?」
「あたいにはマスターの気持ちが注がれている。アール姉にもマスターの気持ち……いや、愛だな。アール姉の場合は」
「お、おい」
「あはは、気づいてないと思ったか? 相思相愛、熱いねぇ。とにかく、あたいとアール姉と、あたい達に対するマスターの気持ち。合わせて四人だ」
「……そうだな。だから絶対負けないさ」
「おうよ」
「いくぞ!」
「おう!」
バトル開始の合図が鳴った。
開始と同時にエルはヴァーチャルステージへと移る。
ゴーストタウンステージに光の柱が現れ、光が消えると同時にエルが現れた。
こちらのモニターでは確認できないが、相手もどこかに現れたはずだ。
エルは出現地点からまだ一歩も動いていない。
いや、動いていないわけではない。
その場で左右の踵を交互に上げ下げをしてリズムを取っている。
どこからともなく、猫型ぷちマスィーンズが襲い掛かる。
エルは尚も足踏み状態だ。
猫ぷちの砲撃がはじまるがエルには当たらない。
いつのまにかサブアームにフルストゥ・グフロートゥを持ち、くるくる回転させることにより弾をはじく。
猫ぷちが突撃してくると、エルは優雅に足を振り、足先の刃で突き刺し、地面に叩き落す。
しかし、身体の軸はぶれずに、サブアームのフルストゥ・グフロートゥを回転させたままだ。
「さて、そろそろ公演開始しようか」
「OKマスター」
にやっと笑いそういうと、エルは目を開き、アングルブレートを自分の両手に持ち、前方へ大きく飛び出した。
そして、身体を回転させると同時にアンブルブレードを振り、猫ぷちを斬ると光となって消えて、退場扱いになった。
「まず、2機」
身体の回転を止めると同時に、サブアームのグフロートゥを左右別方向に投げる。
刃の飛ぶ先に猫ぷちがそれぞれ位置して、貫通する。
「はい、4機」
猫ぷちの倒されたことによる退場を確認すると、アングルブレートをサブアームに持たせゆっくりと飛ばしたグフロートゥの方へ歩いていく。
辿り着くなり足先で思い切り蹴り上げると、そのまま回転し後方に回し蹴りを放つ。
足先の刃に今度は犬ぷちが突き刺さっていた。足を下ろすと同時に退場する犬ぷち。
エルはすっと腕を伸ばすと先ほど蹴り上げたグフロートゥが落ちてきて手に収まる。
驚いたことにグフロートゥには犬ぷちが刺さっていて退場していった。
「6機か、あと2機くらいいるだろう」
サブアームの手首を回転させアングルブレードを地面に突き刺した。
「7機目」
エルが呟くと、地面から退場の合図の光が漏れた。
突然エルが上を向き、身体を回転させてその場所から離れると、さっきまで居た場所に犬ぷちの乱射が降って来た。
サブアームのアングルブレードを軽く放り投げ、自分の腕で持つと、跳び上がり下から犬ぷちを薙ぎ払う。
「8機、これで打ち止めだろう」
エルは一旦全ての武器を収めた。
ここまでの戦いを見ていたギャラリーは静まりかえっていて、エルが武器を収めると同時に轟音と化した感性が沸き起こる。
見ていた誰もが同じ感想をもったことであろう。
それは戦いというより、”剣の舞い”だったと。
「エル、レーダーに反応は?」
「いまんとこ無しだぜ、マスター」
「そうか、こっちから動くか」
「OK! 恥ずかしがり屋さんを迎えに行きますか」
エルが探索の為に歩いていると、弾が落ちてきて煙幕を吐き出す。
「エル!」
「大丈夫だ! たぶんここから出たところを狙い撃ちっていうことだろうが、そうはいくか!」
エルはブースターを全開にして飛び上がる。
するとエルを追うようにマシンガンの乱射が迫ってくるが追いつかない。
エルが上空から確認した相手の神姫は忍者素体にハウリンのアーマー、両肩に吠莱壱式、背中からストラーフのサブアームを二対ついている
サブアームには、STR6ミニガンを2門、シュラム・リボルビリンググレネードランチャーが2門装備されていた。
足はマオチャオのアーマーで、エルとは対照的な射撃に特化しているようだ。
轟音と共に両肩の吠莱壱式が火を噴く。
エルは上空に停止しフルストゥ・クレインを自分の腕で、サブアームにフルストゥ・グフロートゥを持つ。
四枚の刃を蝶の羽の用に合わせて防ぐ。
さらに、グレネードランチャーやミニガンをも合わせて撃ってくるが、四枚のグフロートゥとクレインで全て防いだ。
銃は効かないと思ったのか、忍者が飛び上がりハウリンの腕が下から襲い掛かる。
「気をつけろ! 射撃戦用が接近してくるのは、何か隠してるぞ」
俺はエルに注意を促す。
「分かってるって」
エルは上体を反らせてかわし、そこから地面へと急降下。
その一瞬後、エルの居た位置に相手の背中から伸びた、マオチャオの腕に取り付けたドリル空を切る。
エルより遅れて着地した忍者がマオチャオの腕を出すと、両腕にドリルがついていた。
ハウリンとマオチャオの腕、サブアームが二対、合計八本の腕が出揃った。
「まるで蜘蛛だな…」
正直な感想をもらす俺。
「マスター、作戦は?」
「んじゃ、蜘蛛の足から落としていくか」
「OK! 派手にいくぜ」
エルは相手に向かって飛び込み、発射間近だった吠莱壱式にアングルブレードを刺しこみ、バク転で逃げる。
大爆発と共に吠莱壱式とマオチャオの腕が吹き飛ぶ。
「まず二本!」
エルが叫ぶ。
爆発でうろたえる相手の頭を優雅に飛び越えの背後に回り、フルストゥ・クレインとフルストゥ・グフロートゥをサブアーム基部に突き刺す。
そして、ジャンプして足で押し込むとそのままジャンプして飛び越える。
「これで六本!」
倒れた忍者が起き上がると同時に、ビームサーベルを両手に持ち懐に飛び込んで相手を貫いた。
相手は、ヴァーチャルフィールドから消えてエルの勝利が決定した。
エルはビームサーベルを収めて左手を腰に当て、右手は頭上に高く掲げる。
そして、タンタンと大きく二回足踏みをして音を鳴らすと、キッとポーズをとった。
この日最大であろう、大歓声がエルと俺を祝福する。
控え室に戻った俺たちは、結果をアールに報告した。
「アール姉、勝ったぞ」
エルは武装をつけたままで、アールの頭を抱きしめる。
「よくがんばったな」
俺はエルの頭を撫でる。
「この調子で二回戦もがんばるぞ」
「おう!」
エルは勝ち進み、ベスト8まで行ったが、そこで負けてしまった。
そのときの相手が今回の優勝者だった。
俺の部屋の本棚の最上部に二つ目のアクリルケースが置かれることになった。
一つ目には、壊れたストラーフの素体。
二つ目にはストラーフの胸アーマーをつけたアーンヴァルの素体がストラーフの素体を抱きしめている姿になっている。
頭がない分ちょっとシュールになってしまっているが。
結局、エルの素体は起動しなくなったので新しいのを買った。
エルの使ったアールの身体をアールに戻すと、記念だから残して欲しいと言われ、アールの素体も新品にした。
それからもアールとエルは仲良くダンスをして俺はそれを眺め、エルをバトルさせるといういつもの生活が続いている。
大会を見ていた誰かが付けた、エルの二つ名”剣の舞姫(ソードダンサー)”が日本中に広まるには、あと少し時間が必要だった。
―― Mission 6 ――
午後になり、そろそろマイコが帰ってくる時間です。
今日は彼女は塾やスポーツ教室がないため私と行動を共にする事になります。
こういう時にとる行動にはいくつかバリエーションがあります。
採寸した私の身体データを元に衣服を縫ってみたり、
玩具店や百円均一ショップに材料の収集に出向いたり、
ダンスやパフォーマンスの特訓がその主な行動内容です。
ですが今日はいつき様達もいらっしゃると言う事で、
恐らく素材収集を名目としたショッピングになると思われます。
「お母さーん! フェアリー! たっだいまー!」
「お帰りなさい、麻衣子。今日はいつきちゃんとショッピングに行くんだって?」
「お帰りをお待ちしていました、マイコ。ところでいつき様達は?」
「カバン置いてから来るって。それより聞いてよお母さん! あのね……」
マイコとお母様がお話なさっている間に私は準備を整えます。
まず先日のようにバトルに巻き込まれた時のことを想定し、
最低限の護身用にアルヴォMP4ハンドガンとサーベルを装着、
外出用の衣服の下に隠し持っておきます。もっとも、あくまで最低限なので
実戦でどれだけ効果のほどがあるのかは知れたものですが。
マオチャオやハウリンのような小型サポートメカでもあれば飛行ユニットに搭載し、
戦闘中に召喚して分解装着と言う離れ業も可能ですけれど、無い物をねだっても仕方ありません。
そうしているうち、マイコが部屋に戻ってきました。
最低でも宿題を終わらせてからでないと外出は禁止というお触れが出されたようです。
今日は算数の宿題ですので私が手伝う事は出来ません。
これでもコンピュータの一種である私が手を出すと勉強にならないためと、
私ではまだヒントと回答の間のちょうどいい手助けが出来ないためです。
計算の問題に対する苦しみは機械の頭脳を持つ私達には無縁の苦しみで、
困っているマスターを前に手助けを出来ない自分の身がもどかしくなる事もあります。
……と言っても、マイコは算数が特に苦手という訳でもないので頭を抱えながらも
ドリルの解答欄を埋めていきます。
この分だと予定通りに行動を進めることが出来そうです。
―― Mission 6 Result ――
外出準備完了。マイコの宿題も終わりそうです
「ふぃ〜……やっと終わったよ〜」
「お疲れ様です。それではマイコも外出準備を整えてください」
「おー」
「大丈夫ですか? お疲れのようですが」
「へ? だいじょぶだいじょぶ! この位へいき、へっちゃらッ!」
―― Mission 7 ――
しばらくして、鏡いつき様と悪魔型MMS・ストラーフの「シュナイデ」がいらっしゃいました。
彼女も宿題を終えてから来たようで見るからに疲れておいででした。
「こんちわっす」
「やぁ、ウェンディ、ティンク! 一緒にネバーランドへ出発だ!」
……一瞬言葉に詰まりましたが、これがシュナイデの特技
「変装したキャラクターになりきる」事です。
とは言っても私やマイコには何に変装しているのか分からない事がほとんどですが、
今日は分かります。世界的にも有名なキャラクターですから。
緑色の服に短剣、服と同じ色で染められた帽子にワンポイントとして刺さっている飾り羽。
同じく緑色に塗装された私の物と同型の飛行用脚部ブースター。これは……
「あ、わかった! 今日の格好はピーター・パンでしょ?」
「大正解! さすがだね、ウェンディ」
……ふと疑問が浮かんだのですが、マイコがウェンディで私がティンカー・ベルだとすると
彼女のマスターであるいつき様は一体どういう扱いを……?
「さぁ、皆も準備が出来た事だし、きりきり歩け! フック船長!」
「よーそろー」
「フ、フック船長……マイコ、どうやら私の聴覚センサーに異常が発生したようです。
ショッピングの前にステーションでメンテナンスを受けさせていただきたいのですが」
「大丈夫だよ、フェアリ。私にもそう聞こえた」
―― Mission 7 Result ――
ネバーランド(ショッピングモール)に向けて出発
なお、聴覚センサーに重大なエラー発生の可能性有り。注意を要する
「……せめてタイガーリリーとかあるじゃないの、ねぇ!? 二人ともどう思う!?」
「「ご愁傷様です」」
―― Mission 8 ――
「だ・か・ら! こっちのジーンズ地のバッグの方がかわいいってばー」
「まだまだね麻衣子、通ならマディソン・スクエアよ」
「えー、でも古めだし普通過ぎない?」
「信頼のあるブランドって言ってほしいわね」
先程から約二十分、ずっとマイコといつき様はああやって言い争っておられます。
ですがお互い喧嘩していると言うよりそのやり取りを楽しんでいるご様子です。
私達の家にももう一人神姫がいればこういうやり取りが出来たのでしょうか?
シュナイデは会うたびに性格が違うのでどうしても取っ付きにくい所があって……
そのシュナイデは楽しそうに辺りを飛び回っています。
脚のブースターだけであそこまでは私でもなかなか出来ません。
ピーター・パンは伊達じゃない、と言ったところでしょうか。
シュナイデに目を奪われているうちにお二人が買い物を済ませて戻ってこられたので、
そこで私は思い切っていつき様に質問をぶつけてみました。
「シュナイデの素の性格……ねぇ」
「あ、それ私も気になるかも」
「そうね、そういえば最近着替えさせてばっかりでどノーマルの状態には戻してないなぁ。
……見てみたい?」
「「すごく」」
「おk、まかせて……シュナイデー?」
「なんだ、フック船長!? また懲りずに勝負を挑んできたか!」
それはマスターにかける言葉ではないような気がしますが、シュナイデですし。
いつき様はリュックの中から音楽プレーヤーを取り出し、ある音を再生なさりました。
「……(黒板を爪で引っかく音)」
「おふゥッ」
それを聞いた途端、一瞬でシュナイデが足元に落ちてきます。
マイコが白い目で私を見ているような気がしますが見なかったことにしましょう。
早速ショッピングモール内のゲームコーナーにあるステーションに彼女を輸送し、
全ての装備を解除させ、本来の青い髪をかぶらせます。
さて、鬼が出るか蛇が出るか……
「ふぇ?」
あ、目を覚ましました。
シュナイデは寝ぼけ眼で辺りを見渡し、ただ一言こう言いました。
「……おはよーごじゃいましゅ……おやしゅみなしゃい……」
……あの、いつき様? 私はこれほどやる気のないシュナイデ……それどころか
ストラーフ全部でもこのようなタイプを見るのは初めてなのですが、これは一体?
「……あー。そうだそうだ、思い出した。
シュナイデってばあんまりにもやる気がない三年寝太郎さんだったから
それを見た兄さんが睡眠学習だとか言ってガンガンいろんな情報を入力したんだ。
そしたらAI内部で整理しようとデフラグか何かしたのかしら?
本来一つの性格がそのデータを元にいっぱい発生したみたいで。
コスプレするとそういう……男っぽいとか、おしとやか……みたいな、おおまかな性格と
キャラクターのデータを掛け合わせてどんな人物にもなれちゃうの。
まぁ、これはこれで楽しいからいいかってことで」
ビリー・ミリガンもびっくりですね。
AIに負荷がかかりすぎてるのではないか等、いろいろ心配な面はありますが
性格に問題ありと言えどもSランカーのお兄様も付いておられる事ですし、
しばらくは振り回されるのも楽しそうですね。疲れますけれども。
―― Mission 8 Result ――
怪人二十面相の正体見たり
「あれ? ここは……ステーションじゃないか
一体僕はどうしていたんだい、みんな?」
「私達は何も見ませんでした」
「そういう事にしといてくれる、シュナイデ?」
―― Mission 9 ――
買い物を済ませ、私にもスパンコールなどの光物素材を買って下さったので、
次はいよいよドレスに挑戦するとマイコは意気込んでおられました。
はたしてどのようなものが仕上がるのでしょうか。楽しみです。
やがて公園の辺りでいつき様達と別れ、家路に着きます。
今日の夕食はサンマと言う話をしたらマイコは困った顔をなされました。
「お魚はお嫌いですか? 秋刀魚の様な青魚はDHAが豊富で……」
「わかってるけどさあ、内蔵は苦いし骨は多いし……焼き魚ってなんか苦手」
一理あります。特に子供の場合は苦味に対して敏感であると聞いた事もあります。
ですが私の目の黒いうちはマイコには健康的な生活を送っていただかねばなりません。
結局私とお母様がじっと睨み付けてようやく全部食べていただきました。
一方、後に帰ってきたお父様は大喜びで頬張っておられました。
同じ家庭に住んでいてもこれほど違いが出るとは。日常は興味深い事で一杯です。
食後、マイコがお風呂から上がられた後で部屋のテレビの映画を見ました。
ホラー映画のようで、次々と迫りくるゾンビたちの迫力に圧倒されます。
今レーザーライフルを持っていれば確実にモニターを撃ち抜いていた事でしょう。
「あーっ、あーっ!」
「あーっダメダメ! 後ろから来てるー!」
「キャー! もう駄目ー!」
「まだだって、まだそっちに行っちゃ危ないって!」
「あー……だから行っちゃダメって言ったのに」
「もうやだぁ……」
画面上で次々巻き起こる惨劇にマイコは目を覆いながらも
その言葉とは裏腹に指の隙間からじっと見つめておいででした。
気が付くと私も全く同じ行動をとっていました。
見たくないけれども見たい。好奇心という物は私達にも存在します。
その時私達二人は確実に同じ一つの感情を共有していました。
そして映画の終了後、マイコは震えながらも眠りにつき、
私も片付けとベッドの充電器の準備をしたところで台所に忘れ物をした事に気付き、
飛行ユニットを背負い部屋を飛び立っていきました。
すると、お父様とお母様の部屋からなにやら声が聞こえてきます。
「あぁん……あぁん…」
「ダメよ、後ろからなんて……」
「はぁー……ん……もう、ダメ……」
「まだだ、まだイかせない」
「あぁん……だからイっちゃダメって言ったのに……」
「うぅっ、もう限界だ……」
「あぁ……」
この展開は……一体なんでしょう。
「後ろ」や「まだ行ってはいけない」という言葉から類推すると
どうやら先程の映画を鑑賞しておられるようです。
そういえばお二人ともずっと台所で各々食器洗いやインターネットをしておられたので
この映画を御覧になっていません。恐らく録画しておられたのでしょう。
臨場感を出すためなのかご丁寧に照明まで落とされて。
視力の低下につながりますので朝お会いしたら注意しなければ。
ともかく、忘れ物も回収したことですし今日はもうスリープモードに移行しましょう。
人間で言うところの就寝。おやすみなさい、皆様。おやすみなさい、世界。
また明日……
―― Mission 9 Result ――
一日の全てのミッションを終了
概ね毎日がこのような調子で過ぎていきます
―― After Mission ――
「あら、フェアリ? 何を送信したの?」
「これはお母様。先日お話した私の活動報告レポートです」
「あぁ、あれね。そんなのいつの間にとってたの? フフ、面白そうだから見せて!」
お母様が全てのドキュメントを照会し終えた後、ただならぬ気配を察した私がそちらの方を向くと、
そこにはまさに「鬼神」というべき形相をした何者かがいました。
なぜかその時、私のセンサーはその人物をお母様と認識できなかったのです。
やはり一度ステーションで精密検査してもらった方が良いのかもしれません。
私がその「鬼神」に囚われたのはその直後で、
後にマイコと私には手痛い試練が待ち構えていましたが、
これ以降はアウト・オブ・ドキュメントとなりますのでどうかご理解いただきたく存じます。
―― After Mission Result ――
レポートの送信完了
ただし後日送付された限定パーツはしばらくお母様の手により没収され、
ようやく手元に渡った頃には一般販売が成されていて希少価値が喪失
「私の限定パーツゥ〜……」
「人生山あり谷ありといいます、落ち込まないでくださいマイコ」
「誰のせいよ!」
######
改行数が多すぎで次々レス数が変ってorz
まとめや自キャラは使っていただいてかまいませんよ
正直SSが凄い速度で増えすぎて読む速度が追いつかなかったり('A`)
作者別にまとめられたSSまとめサイトが欲しいよーぅ。
確かに恐ろしい速度で大量投下
嬉しい絶叫がおさまらねぇ
自分のSSが進まねぇ
助けて武装神姫!
今更の感じだけど、>1スレたて乙
&新スレ オメでd
スレの進行もみんながSS書くのも早すぎ。
>97に禿同。追いつけないぽ。
といいつつ直近の>83の人と>90の人、GJ。 >95の場面に苦笑。
それはそうと、前スレ646氏、相関図?乙!
と言おうと思ったですが、リンク先見ようとしたら…404 あぅあぅ。
>37で宣言されたまとめサイトに載るのかーしら?
待ってます。
@wikiを借りて、それぞれの作者が自分のページを更新していく形にしたらいいんじゃないかなと思った、項目ごとに。
なんなら借りてみましょうか?
>>100氏(リンのマスター氏)
激しく乙です!
しかし皆さんのSSすごいわぁ…。
gj。改めて見直すと確かにすごいなあ・・・
ぐは・・・皆さんのを読むついでに自分のを読み直すと
名前間違いが3箇所('A`)
エールって・・・orz
アールに脳内変換お願いします
まだいくつか誤字がありそうでこわい
皆さんのSSまとめて読みましたがすばらしいです。
でこちゅーさん
登場した坊ちゃま2号のお兄さん、坊ちゃま1号がエルを捨てた
という判断でいいんですよね?
読んでてニヤリとしました。
リンのマスターさん
まとめサイト、乙です
106 :
前スレ208:2006/10/11(水) 00:39:10 ID:G059OemP
>リンのマスター様
まとめサイトお疲れ様でした。気がつけばこんなにSSが生まれていたんですね……。
108 :
アネゴ書き:2006/10/11(水) 00:50:02 ID:9Q+flGkB
アネゴもデビューさせるかなぁ…
まとめの人、乙でした。
みなさま、今後ともよろしく。
>100
おおっ!乙です。
こうして見るとやっぱり相当な量が、かなり短期間に投入されてるのね。
それはそうと…相関図…見てびびった。すーっと見てて途中まできたら
なんか見たことある名称が?
まさか、俺の書いた奴まで扱ってくれるとは。というより、そう繋がったか。
レス読んでて他の人のSSがコラボ多めとあったんで、それなら今、読めずに
たまってる分を読む前に相関図で把握しとくかくらいに思ってて見ようとしてたのと、
こっちには繋がってると思ってなかったんで、素で驚きました。前スレ646氏、改めて乙。
なんとか、好評をいただいているようで安心しています。
とりあえず今後は投下された絵なども載せようかと考えています。
あと今日中には現行ログも全てまとめに載せるつもりですので、安心してSSを投下しちゃってください。
実は自分も続編を完成させていますが、今日は疲れたので投下は今日の夜以降ということにします。
では。
111 :
相関図:2006/10/11(水) 01:18:02 ID:/+zXp/5l
小さな冷たい鉄の塊を、ドアノブに差し込む。
がちゃり、と軋んだ音がする。
家の中は、暗い。
広さが重く押しかかる。
誰もいない家。わたし以外、誰もいない。
お父さんもお母さんも仕事でいない。帰ってくるのは夜遅く。
だから、私はひとりぼっち。
小学校でも、家でも、どこでも。世界でひとりぼっち。
テレビをつける。
テレビの光が、部屋を照らす。
流れてくる番組は、小さなロボットが戦うおはなし。武装神姫、といっただろうか。
クラスの子が自慢していたのを覚えている。
私には到底買えそうにない、高価なおもちゃだった。
テレビの中で、女の子とロボットが笑顔で話をしている。
――――無性に、腹が立って。
わたしは、テーブルの上においてあった花瓶をテレビに投げつけた。
くだらない。
つまらない。
なにが、ともだちだ。ロボットのともだち? ふざけてる。
そんなもの――――どうやったって、わたしにはこないのに。てにいれられないのに。
「そんなことないさ」
「!?」
わたしは驚いて振り向く。誰もいないはずなのに。
そこには、黒い服をきた男の人がいた。
泥棒? いそいで警察に――――
「おっと、怪しいものじゃない――といっても説得力がないかな。
でも、君に危害を加えるつもりはないよ。
君にお友達をプレゼントしにきただけのお兄さんさ。
そう、僕が何者かなんてそれこそ無価値だ。大切なのは――――」
その人は、手に持った箱をテーブルに置く。
武装神姫のバッケージ。
「君のために、ここに君の友達を連れてきたということだけ」
箱が開く。
その中にいた小さな天使が目を開ける。
かわいらしく、美しく、可憐な、天使。
「おはよう。あなたが、私のマスター?」
天使が私を見る。
違う。
マスターなんかじゃない。
わたしは――――
「いいえ…ともだち。わたしの、ともだちになって」
わたしは。
この天使に魅入られたかのように近づく。
そう、そうなんだ。天使が来てくれた。
わたしはもう――――ひとりじゃない。
少女と天使の出会いを、男は祝福する。
おめでとう、と。もうきみはひとりじゃない、と。
亀裂のような笑みをその顔に軋ませ、男はふたりを祝福する。
その天使は、口元に笑みを浮かべていた。
酷薄な、悪魔のような微笑を。
武装神姫バトルサービス、小学生の部。
子供たちの「友達」である武装神姫を傷つけて悲しませないために、小学生の部はその大半が電脳仮想空間によるオン
ラインバトルで行われることが多い。
明日香が今回見物に来ているバトルステージも、その例に漏れずにオンラインバトルであった。
「つまんない」
明日香がデパートの特設巨大モニターを見ながら、頬づえをついてつぶやく。
「そうか? それなりに面白いとは思うが」
「でもねー。いくらリアルに迫っていても所詮は仮想データですよ。
なんというかこう、ぶつかり軋む鉄やプラスチックの音とか、そういう臨場感がっ」
「子供たちの戦いにそんなモノを求めるな頼むから」
「求めてませんよーだ。だからつまらないって言ってるんじゃないですか。
仕事じゃなきゃ、とっとと帰ってます」
「仕事…ね。この子供たちの戦いに、ボクらの仕事があるっていうのか?」
「ええ。次のカード、よく見ててください」
そう明日香が視線でモニターを指す。
天使型MMS『サマエル』
VS
犬型MMS『フェンリルβ』
「ボクと同じアーンヴァルタイプと…ハウリンタイプか。どちらを見ればいい?」
「見てればわかります」
そういっている間に、戦いが開始される。
子供の神姫だけあって、どちらも武装はほぼデフォルトである。基本セットの範囲内、そしてなんとか子供のお年玉や
貯金で買える範囲の追加武装。
明日香たちが参加する一般の部の公式戦は、密かに行われる裏の非公式バトルでは間違いなく勝ち進むことは出来ない
だろう。
そのはずである。だが――――
「……明日香、これは」
「ええ、やはりマルコにはわかりますね」
マルコは目を見張る。
確かに武装やスペックは特筆すべきものはない。
あくまで、その単体のみでは。
「あのアーンヴァル…サマエル、といったか……あのチューンナップは」
「ええ。可能範囲内で、機体のシステムを最大限に行かせるチューンですね。
長く神姫にかかわり、よく識らないとあの絶妙な動きはできません。
ほら、あまりの出来のよさに、CGで追いきれてません。まあこれは主催側のミスでしょうが」
そう、確かにフェンリルβよりもその動きは明らかに格上だった。
ヒットアンドウェイの高機動で確実に相手の戦力を削いでいく戦い。
だが――――
「それがどうしたんだ? 確かに強いが、ボクらが動く理由があるのか」
「ええ。経歴にそぐわぬ強さ。まあこれは、父親が金持ちでカネにあかして、なんていう場合もあるんでしょうけど、彼
女の場合は両親共働きのごく一般の家庭。
加えて、家族親戚や交友関係にも、表だった神姫関連企業の影はありません」
「あきらかに不自然すぎる、と…?」
「ええ。そして……彼女と対戦した神姫たちに共通して、不審な行動が後に見られるようになってるんです」
「不審な行動?」
「簡単に言うと、言うことを聞かなくなる。動作不良が激しくなっている傾向が見られているようです」
「ふむ……それは確かに怪しいな。
つまり、その調査、そして調査結果いかんによっては非公式戦による撃破・回収が今回の仕事、か」
「ええ。子供相手ですから、気が進まないんですけどねー」
「確かにな。で、明日香。その彼女の名前は……」
明日香が答えるまでもなく、オペレーターがその名前を読み上げた。
『勝者、サマエルと…「氷雪恋(ひゆき・れん)」!』
「ここが、その子の家か」
夜。明日香の肩でマルコがいう。しかし……
「さすがに不法侵入は拙いんじゃないのか、その法的とか色々と。正当性というものが」
「仕事という大義名分がありますから」
「だからといって、忍び込んでというのはちょっと」
「ああもう、だったらどうするっていうんですか」
「しっ」
マルコが明日香の口を押さえる。
そして恋の家の扉を指す。すると、ガチャガチャとノブが回り、恋がその姿を現す。肩には、サマエルの姿も見て取れ
た。
「これは…スシがネタしょってやってきた、ってやつですね」
「かなり違う」
「似たよーなもんです。何はともあれ好都合だとは思いませんかマルコ」
「油断しないように、明日香」
二人は、恋の後を尾ける。もし仮に、この行動がサマエルの秘密に関係あるのなら、何としてでも尻尾を掴まねばなら
ない。
……まあ、つかめなくてもやることは同じなのかもしれないが。
「デパート…?」
「昼間の、ですね。うーん…このパターンだと、ここの協会支部が丸ごと関わっている…ベタですけどね」
「結論を出すには早いだろう。ともあれ追おう」
「わかってますよ」
二人は恋とサマエルの後を追った。
「しかし……」
夜の無人のデパートというのは、とにかく、
「不気味ですね…なにか出そうです」
「とくに玩具売り場は、昼間と顔が違うな」
人形やぬいぐるみたちが、うつろな瞳で自分たちを見ているような感覚。
「……こんなところ早く出ましょうマルコ。私こういうの苦手なんですよ」
「キミにも苦手なものがあったなんてね。」
「失敬なことを言いますね、まったく。
さて……彼女はどこへ」
「武装神姫ブースの方、か……」
足を進める二人。
棚に並んでいる数々の武装神姫がそこにはある。
まだ起動していない彼女たちは、今はただの人形にすぎず、いや、彼女たちが「生きて」いることを知っている明日香
たちから見たら、それはまるで死体が陳列されているかのような不気味さがあった。
「本当に…不気味ですね。早いところあの二人を探して…」
「誰を探してどうするって?」
明日香のつぶやきに、答える声があった。
「誰ですか!?」
「私? 私はサマエル。ずっと私たちを尾けていたのは、あなたたちね?」
その声は、特設モニターの上に腰掛けた神姫から。
くすくすと、鈴のような笑い声を響かせるその天使の姿に、明日香は言いようのない吐き気を覚えた。
「――見破られていましたか。
ええ、でもある意味手っ取り早いですね。
あなた達には不審な点が数多く見られます。おとなしく全てを吐いてくれれば悪いようにはしませんが」
「へぇ。じゃあ、吐かないって言ったら?」
「力づくで」
明日香の言葉に、マルコが翼を展開して宙に舞う。
「へぇ、やる気なんだ。
ねぇ、ならやっちゃってもいいよね、恋!?」
サマエルが笑う。その声に、モニターの下に立つ少女が、虚ろな笑顔で答える。
「うん。好きにしていいよ、サマエル…」
「ふふ、ありがとう、マイマスター」
サマエルもプロペラントタンクに火をつけ、飛翔する。
――――おかしい。
違和感。明日香は恋の表情になにか、言いようのないものを感じる。
違和感はそれだけではない。
先ほどの吐き気。厭な空気。軋む空気。このデパート、玩具売り場に足を踏み入れてからの言いようのない視線。
何かが――おかしい。
「はあああっ!!」
その違和感をよそに、マルコはビームソードを抜き、斬りかかる。
サマエルもまた、ビームソードでその剣戟を受ける。
同型の天使同士の戦い。
確かに、サマエルは強い。しかしその強さは、あくまでもデフォルト装備に毛の生えた程度の武装、その機能を最大限
に活かすチューンナップによって得られたものだ。
マルコのように、レギュレーションの範囲内とはいえ改造に改造を加えた武装神姫とは違う。
現に、サマエルはマルコの高速の剣を受け流すのが精一杯だ。
では、何だ。
何なのだ、この違和感、焦燥感、危機感は。
「マルコ! 早く決着を!」
長引かせては拙い。明日香の勘がそう告げる。
「何を焦っているの、お姉さん?」
恋が明日香に声をかける。
「せっかくなんだもん、もっと楽しみましょう。時間をかけて、ゆっくり、たっぷり、みんなで、楽しく」
歌うような語りかけ。
いけない。何かが――――拙い。
「あなた、自分が何をしているか、わかってるの…!?」
「うん。お友達が出来たから。サマエルが、つれてきてくれるの、お友達を。
私はもう一人じゃない。一人なんかじゃないの」
「? 何、を……」
つれてくる? 何の話だ。
明日香はふいに思い当たる。
サマエルの対戦相手のMMSの動作不良。
オーナーの言うことを聞かなくなる。命令無視。命令無視? 違う。まさか。
聞かなくなるのじゃない、もし、仮に。
『他の誰かの命令を聞く』のだとしたら――――――
「だから。私はもう、ひとりじゃない。こんなに、友達がいるの」
瞬間、明日香は理解した。
先ほどからの違和感。視線、気配の正体を。
恋とサマエルを見守り、明日香とマルコを監視していた――――
無数の武装神姫。
「マルコ! 逃げなさいっ!!」
明日香が叫ぶ。だが、間に合わない。
マルコの背をハウリンタイプの砲撃が襲う。フェンリルβ。昼間、サマエルと戦った神姫だ。
「ぐあっ!」
続いて、何体ものアーンヴァルが襲い掛かる。砲撃で体勢を崩したマルコは避けることができず、手足をアーンヴァル
たちに捕らえられる。
くすくす。
くすくす。
くすくす。
くすくす。
笑い声が木霊する。
「な、なんだ、これは……っ!?」
マルコが叫ぶ。何体もの同型MMSに羽交い絞めにされ、動けない。
「マルコっ!」
明日香が走る。もうこんなのはバトルではない。非公式バトルとはいえど、これは明らかに武装神姫の戦いより逸脱し
ている。
なんとかマルコを助けようとし――――
「うあっ!?」
足に激痛。明日香はそのまま勢いを殺せずに倒れる。
そこには、ストラーフタイプが明日香の足に剣を突き立てていた。
「痛っ…! こ、このぉっ!」
力任せに振り払う。だが、MMSはその数を増やすばかり。
「どう? 私の友達。サマエルがつれてきてくれた、わたしのおともだち」
「あなた……!」
「そして、お姉さん、あなたも、お友達になろう?」
恋が笑う。明日香は気づいた、そう、とっくにこの少女は正気を失っている。
おそらくは、操られているこの武装神姫たちと、同じように。
「くすくすくすくす。そうよ、ご名答。でもね勘違いしないで。恋が自分で望んだの」
サマエルが、明日香を見下ろして笑う。
「……あなたはっ! この子たちに、何をしたっ!!」
「ねぇ、知ってる? AIの共鳴現象って」
聞いたことはある。
先日、とある神姫が感情を暴走させた。そしてそのバグは、周囲の神姫の感情回路にも影響を及ぼしたという。
――――まさか。
「そう、そのまさか。
私はね、大して強くもないわ。だけど、AIの電気信号を増幅して共鳴させて、ほかの子たちを操ることが出来るの。
共鳴現象を自動的に引き起こして操作する。
そしてね、人間にも応用できるの。だってそうでしょう? 人間の思考や感情も、つきつめていけば脳内で複雑にあま
れた電気信号なんですから。
だから、私の声で、私の歌で、干渉できる」
「さっきからの吐き気や違和感の正体は――っ」
「ええ、私からの電波干渉。
あなたみたいに鈍くて意地汚い人間には効き目なんてあまりないけど、それでも恋みたいな素直な子には、よく効くの
」
「サマエル…っ! あなた、自分が何をしてるかっ!」
「ええ、わかっているわ。だから何? 私はね、そのために生まれた武装神姫。
だから、やらなきゃいけない事を自分の意思でやるだけよ。
そしてね、もうすぐあなたの神姫も、私の友達になるわ」
「…! マルコっ!」
明日香がマルコへと叫ぶ。
マルコは、たくさんの神姫に囲まれ、押さえつけながら、必死に耐えていた。
洗脳。干渉。侵食されるAI。共鳴するココロ。増幅される憧憬。消されていく想い。
サマエルの声が。マルコに浸透していく。
「私の名前は、サマエル。神の毒と呼ばれる天使の名前。
私の毒は甘美でしょう? 一度味わえば、抗いたくなくなるほどに。
そうしてあなたも私たちの友達になるの。恋が、新しいマスターがあなたをかわいがってくれるわ。
そう、だから考えることはやめましょう? そして何もかもを投げ出して、楽になるの」
――――――――――――――い。
――――――――――――さ、い。
「さあ、私の声を聞いて、そして――」
うるさい。
黙れ。
これ以上、ボクを汚すな。ボクを踏み躙るな。
痛い。苦しい。消えてしまう。ボクの今までがなくなっていく。
掴むから苦しい。なら手放せば楽になれる――?
それこそ、ふざけるな!
「黙れぇぇぇっ!」
マルコが絶叫する。
「何もかも忘れて楽になる? ふざけるな。
明日香のことを忘れて、楽になるぐらいなら――――!!」
手に力が入る。ビームソードに再び光が灯る。
「煉獄の苦痛の方が、億倍もマシだっ!!」
光の氷柱。シャイニングアイシクル。神姫ハンター用の装備として用意された、回収対象のAIを強制シャットダウさ
せるための電磁兵器。
それを、マルコは、自らに突き立てた。
「ぐああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!!」
放電。紫電が疾しる。
「マルコーっ!!」
その電撃に、周囲を囲っていた神姫が弾き飛ばされる。
「馬鹿な、自殺を選んだっていうの!?」
サマエルが空中で体勢を立て直す。
だが、マルコは――肩で息をしながら、全身をバチバチと放電させながら、それでも立っていた。
「何――!?」
そう。
サマエルが電気信号によってAIを狂わせ、支配下に置くのなら。
それ以上の電気によって、その電気の毒を洗い流せばいい。簡単なことだ。
「マルコ、あなた…!」
明日香が叫ぶ。そう、言葉では簡単なことだ。だがそれを実行に移すとなると――――
「…まったく、本当に痛いな…ああ、すごく痛い。ボクとしたことが、今にも泣き出したくなるぐらいに……
でも。
とても、いい気分だ」
シャイニングアイシクルの出力を調整。
AIをシャットダウンさせるかさせないかのギリギリのパワーの、超圧電流。
それを自分に叩き込み、気付けにする。言うは簡単だ。だが、その苦痛はいかほどのものか。
「――――狂ってる。あなた、正気!?」
「…お前には言われたくないな。
ああ、確かに狂ってるかもしれないさ。何故ならばね、教えてやるよ」
わき腹に突き立ったビームソードを引き抜く。オイルの血が流れ出る。それをものともせずにマルコは剣を構えた。
「神の毒、と言ったな、お前は。天使の名からとったのか。
ああ、ボクの名前も天使から由来している。
だからね、狂っているのは当然かもしれないさ。何故なら、ボクの名の由来は――――」
飛ぶ。剣を振るう。サマエルは反応できない。サマエルの右腕が薙がれ、落ちる。
「第七座天使(ソロウンズ)にして、堕天使、マルコシアス。それがボクの名の由来さ。
堕天使、つまり悪魔といっても同じだ。ほら、ならば確かに狂っていると言われても仕方がない!」
返す刃で、サマエルの片翼を切り落とす。
「きゃああっ!!」
「――だがな。それでもなお、捨てられぬ正義がある。
天より堕とされ狂気に沈もうとも、決して穢れないものがある。
――――お前は、それに踏み入った。
ああ、初めてだよ、サマエル。
初めてボクは、明確な殺意を抱いている」
そう、許せない。
自分たちだけではない。
子供たちとの、オーナーと神姫の心の繋がりを、この敵は踏み躙ってきた。
毒で心を殺し、操り人形にしてきた。
怒りだ。
その怒りが、激痛に耐えさせた。最後のところで自らを保たせた。
「武装神姫は、人と共に在る。そのためにボクらは生まれた――」
「ひ、ひいっ…!?」
地に落ち這い蹲りながら、サマエルは怯える。
なんだこれは。
今まで感じたことのない感情があふれてくる。
これは――――恐怖。そして絶望。
「お前は。けっして汚してはいけない聖域を。土足で踏み躙った――――!!!!!」
「れ、恋っ! 助けなさい、私の盾にっ!!」
サマエルが絶叫する。
その叫びに恋は、自らの体を盾にする。
だが。
「っ、くそぉっ――――!!」
痛む足に鞭を打ち、明日香が跳んだ。恋の体を突き飛ばすように抱きかかえ、そのまま転がる。
万策尽きた。
サマエルは絶望する。何故だ。何故こうなった。
こんなはずじゃなかったのに。
こんなはずじゃ――――――
「サァマエェェエエエエル!!!!」
マルコが叫ぶ。
最後の全身全霊のエネルギー。
リミッターをカットし、最大最強出力のシャイニングアイシクルを展開する。
「貴様の罪! 地獄で――――神姫たちに詫び続けろぉっ!!!!!」
飛翔。
流星のようなその輝く一撃。サマエルによけるすべはなく、ましてや、よける意思ももはやない。
何故ならば、ここにきてサマエルはようやく悟ったから。
自分は――――決して、侵してはならない領域に触れてしまったのだと。
そして。
悔恨と恐怖の中、サマエルは砕け散った。
「あれで、よかったのか?」
デパートを後に、マルコは言う。すでに自分で飛ぶ力も何も残っていないので、明日香の肩に腰掛けて体を預けている。
「いいんですよ、これで」
明日香は言う。
サマエルが破壊された後、恋の取り乱しようはなかった。
砕けた破片に泣きすがる恋。
「なんで…どうしてっ、ともだちだったのに…私には、もう、この子しか…っ!」
それを、明日香は平然と、
「自業自得です。言っておくけど、謝ったりはしませんから。悪いのはそっちですからねー」
と言い放った。
「明日香…っ!」
「なんですかマルコ。事実でしょうがー。さて、いいことを教えてあげましょうか、恋ちゃん。
私たちは、公式のバトルにも参加してます。
悔しかったら、お金を稼いで、神姫を新しく買って、自分の実力で私たちを倒してみせなさい。
ま、できたらの話ですけどねー」
ほほほ、と笑う明日香。そして振り返らずにその場を去る。
「…せない…」
その背中に、恋が怒りの言葉を投げかける。
「絶対に、許せない! 私は、必ず…っ! 必ずっ!!」
「ま、こんな商売してたら嫌われるのは日常茶飯事。どってことないですよー、ほほほ」
「……下手な慰めの言葉は、相手を傷つけ貶める」
マルコのつぶやきに、明日香は笑いを止める。
「怒りであれ憎しみであれ、前向きに歩くための活力は必要、か」
「…何か、言いたそーですね、マルコ」
「別に。ボクのマスターはとことんまで捻くれているへそ曲がりだな、と思っただけさ」
そう、自分が憎まれることで、あの少女が立ち上がれるのならそれでいい。
すでにあのMSSによる洗脳と思考操作は解けている、ならば……あとは、自分の足で立ち上がり、進めるだろう。
その原動力が、自分への怒りだとしても、それでも、何もせずに後悔と絶望に沈んだままよりはよほどいい。
しかし、それでも……
「癪ですね」
「何が」
「そーいう、見透かしたツラがです。いかにもお見通しですよー、みたいな」
「明日香、キミは判りやすいからね。ポーカーだって弱いし」
「関係ないでしょう!」
「さてね、どうだか。まあいいよ、今日はボクは疲れた。そろそろエネルギーが本気でカラになるから、寝る」
「…寝ている間に油性ペンで落書きしてやりましょうかね、こいつは……」
拳を振るわせる明日香。しかしマルコからの返答はない。
見ると。
「くー…すー…」
マルコは、明日香の肩で安らかな寝息を立てていた。
「――まったく。寝顔だけは、かわいい女の子なんですけどね」
指で、マルコの頬をなでる。
「……お疲れ様でした、マルコ」
「そう、本当にお疲れ様。いいデータがとれたよ」
デパートの監視カメラを眺めていた男が笑う。
亀裂のような笑みを顔に軋ませながら。
少女にサマエルを与えた男。彼は歌うように、慈しむように、賛辞の言葉を投げかける。
「だけど、まだまだ始まったばかりさ。いや、まだ始まってすらいないのかもしれないね。
なにはともあれ、今はただ一時の幕間を休むがいいさ。
神姫たちのワルツは、これから開幕するのだから――――」
男は笑う。男は哂う。男は哄う。
これから繰り広げられる姫たちの戦いに思いを馳せ、ただ滑稽に、道化は笑う。
その悪意もまた、彼女たちの輝きの前では「無価値」なればこそ。
男は演出する。
戦いの舞台を。
全ては――――未だ鳴らぬ、開幕のベルを待つばかり。
続く
ていうわけで神姫狩りシリーズ第二話でした。あー疲れた。
皆さんのSS読んだりしてたらもう妄想がダタ漏れで止まらない。
第三話はどんなのにしようか……
別視点で男のオーナーの話を出すか、それとも……
冷静に考えたら神姫が砕けて壊れるなんて展開、神姫を愛するみなさまからしたらちょっとつらかったかも…反省。
122 :
アネゴ書き:2006/10/11(水) 02:36:06 ID:9Q+flGkB
ゴンッ!
「ひとーつ、人の世生き血をすすり…」
ゴンッ!
「ふたーつ、不埒な悪業三昧…」
ゴンッ!
「みーっつ、醜い浮世の鬼を…」
「退治てくれ…」
『バトル強制終了。「アネゴ」の勝利です』
マシンボイスが勝敗を宣言すると、目の前のモニターが試合のリプレイを開始した。
PCに接続されたままのアネゴがディスプレイを睨んでいる。
「なによ、決め台詞は最後まで言わせてよ!」
どこであんな数え歌覚えたんだか。
俺は戦闘データをダウンロードしながら、アネゴを睨んだ。
「アネゴ、その手に装備されてるのは何?」
「レーザーライフルに決まってるじゃない」
アネゴは不思議そうに答えた。
「……アネゴ、これがレーザーライフルを使った戦い方とでもいうのか?」
リプレイに表示されているのは天使型素体が悪魔型素体をレーザーライフルで殴打している姿だ。
「おらぁ!」「こんちくしょう!」などと、おおよそ神姫らしくない言葉遣いで天使型素体はレーザーライフルを振っている。
そんなトリッキーな攻撃に対応できない相手神姫は、長大な長物を数度食らうと、倒れたまま動かなくなった。
「アタシってスゴーイ!」
俺の手のそばでディスプレイに見入っているアネゴは俺の説教などまるで耳に入っていない。
123 :
アネゴ書き:2006/10/11(水) 02:36:57 ID:9Q+flGkB
家に着くと、早速神姫バトルの交流掲示板を覗く。
「あちゃー、やっぱり…」
案の定、アネゴの話題が出ていた。
神姫バトルに参戦以来、アーンヴァルがベースとは思えない野蛮な戦いっぷりに賛否両論だ。
『それにしても「悪鬼(オーガ)」とはまたヒドイなぁ』
デビューして3戦。
勝つには勝っているが、すべてがレーザーライフルの殴打による勝利。
アネゴはあらゆる状況でもなぜかインファイトに持っていくのだ。
「なぁ、なんで格闘戦しかしないわけ?」
レーザーライフルをうれしそうに磨いているアネゴに聞いてみたら、彼女はニヤニヤ笑いながらこう答えた。
「知らないの?マスクデータなんだけど、実はレーザーライフルの近接打撃力って最高クラスなのよ。」
「知らねーよ!ビームソード使えよ!」
「……アタシに指図できるほどマスター経験豊富だっけ?」
「ゴメンナサイ」
レーザーライフル磨きを再開するアネゴに、俺はぽつりとつぶやいた。
「せめて、せめてもう少し可愛いところをアピールしてくれよ。アネゴの笑顔は最高なんだから……」
アネゴは一瞬手を止め、そしてまた手を動かしはじめた。
124 :
アネゴ書き:2006/10/11(水) 02:38:03 ID:9Q+flGkB
翌日。
「お願いだ。もう、やめてくれ…」
俺は泣きながら懇願した。
バーチャルフィールド内のアネゴは、相手ストラーフからもぎ取った機械腕を使って倒れた相手をひたすら殴打していた。
「あはははははは!あはははは!」
アネゴは無邪気に笑いながら、何度も何度も機械腕を振り下ろしている。
「笑顔が最高とは言ったよ。だけどこの状況じゃマイナス要素にしかならないよ、アネゴ…」
ああ…今のアネゴの姿、どこかで見たことがあるよ。
紫の巨大人造人間が主人公の意志に反して同型機を倒してしまうって昔のアニメだ。
相手マスターの悲鳴と、アネゴの勝利を告げる機械音が虚しく響いた。
その晩の交流掲示板を見て俺は絶句するしかなかった。
話題はアネゴの性格設定の話題にまでおよび、マスターである俺は完全に極M扱いされている。
「ま、まぁ、気を落すなよ」
アネゴは所在なさげにそう言った。
つづく、かも。
125 :
アネゴ書き:2006/10/11(水) 02:44:00 ID:9Q+flGkB
駄文投下完了。
アネゴは通常の素体よりパワーが高いのですが、興奮度が上がらないとリミッターが解除されません。
神姫バトルにおける「ハイパーモード」の実験素体として、性格まで細かに設定されたテスト体…
みたいなー。
こんな時間に失礼します。
リンのマスターです。
2スレ目の分のログも全て掲載しました。
また相関図も昨夜アップされた改訂版に変更してあります。
後は十兵衛ちゃんなどの絵のアップ、また片足の悪魔の写真等の掲載を考えていますが
各作者様、よろしいでしょうか??
お返事よろしくおねがいします。
時は2036年。
「やっちゃるぜ!」
「アロンジー!」
巷ではEDEN-PLASTICSが主導する超小型ロボットトイ『MMS』がブームを巻き起こしていた。
「タフト、バリアントアックスでトドメだ!」
「ア〜ックスッ!ドックンドックンドックンドックンドックン!」
その凄まじいまでの加熱ぶりが呼び寄せたのか、ヒット商品には付き物の類似品が出回るようになった。
「うりうりうりうりうりうりぃ〜っ!」
一見ただのコピー商品に思えたそれらは、本家本元に劣らぬ商品ラインナップと
微妙なお年頃の男の子にも購入できる男性的とも女性的ともとれる絶妙なプロポーションの素体を有していた。
そして何より、その製品はMMSの共通ジョイントとまったく同じ規格のジョイントを採用していたのである。
EDENと事前に打ち合わせていたのか、それとも勝手に規格を合わせたのかはわからない。
さらには商品仕様の発表時にMMS未参入の企業および既存のMMS参入メーカー数社が
シリーズ専用、またはMMSへ転用可能なオプションパーツ開発に乗り出していることが明かされた。
人々はすわ訴訟沙汰かと噂したが、最終的にEDENはこれらの行動を黙認、
そして類似品と自社製品のコミュニケーション用インターフェイス統一という決断を下した。
これによりEDENとフラグシップモデルを有す島田重工が中心となったMMS陣営と
類似品を生んだ企業が主導する陣営が友好的とも険悪とも言えない奇妙な対峙を続けることとなる。
EDEN-楽園-で生まれた機械仕掛けの少女は『武装神姫』、
もう一つのEDENで生まれた鋼鉄の戦士は『アムドライバー』と呼ばれた。
『第○回×△区ロボGP:君の武装神姫やアムドライバーの実力を試してみよう!』
夏のある日、小学生とおぼしき少年は相棒タフトと参加用紙を交互に見つめながらにやついていた。
その背後では今や過去の遺物と化した扇風機がフルパワーで稼動している。
すでに参加申し込みを済ませているらしく、その右端が切り取り線にそって丁寧に切り取られていた。
「タフトも楽しみ?」
相棒が犬のようなポーズを取りながらワンワン吠える。
扇風機の稼動音しか聞こえない和風家屋の縁側が一気にやかましくなった。
「この日のために2人でがんばってきたんだもんね」
タフトを手にしたまま寝転ぶ。相棒は右手の中で手足をばたつかせていた。
しつこいようだが背後の扇風機はフル稼働中。仰向けに寝転んだ少年の頭を冷却していた。
「日頃の練習の成果をみんなに見せよう!」
寝転んだままの体勢で腕を振り上げる。その勢いでタフトが右手から離れた。
背後には扇風機。
「あ」
背後には扇風機。
「ワン?」
バリバリバリバリバリ。
「あ゛――――」
相棒がキャインキャインと断末魔の声をあげていた。
「バカねーあんた。カバーの間隔が広めだから気をつけときなさいって言ったでしょ?」
少年の姉らしき少女が少年に苦言を呈している。
その傍らには不慮の事故で天寿をまっとうできずにお亡くなりになった扇風機が安置されていた。
さらにその横には、コア破壊は免れたものの全身ズタズタのタフトが転がっていた。
修理しようにも今月分のお小遣いは扇風機の露と消えたパーツ群に注ぎ込んでしまっている。
心底落胆している弟を見かねたのか、姉が立ち上がった。
「仕方ないわね、今回だけよ?」
弟を連れて自分の部屋に戻る。プラスチック製のボックスから何かを選び出しているようだ。
「はいこれ」
「ナニコレ」
「懸賞のオマケで付いてきた予備のヘッドと、近い内に組もうと思って買っておいた素体。
あと色々パーツを貸したげるから急いで組み上げなさい」
組み上げなさい、と言われても。少年の眼前に突き出された頭部パーツは
EDEN寄り中立の頭部専門メーカー『MAX工房』の代表作『ひぐらし』シリーズの『RENA』。
素体は悪魔型。頭髪の赤毛と素体の黒がはっきりいってミスマッチである。
「でも、これ女の子…みんなに笑われちゃうよぉ」
「あんたが悪いんでしょ。つべこべ言わずにやりなさいって」
顔を上げると、いつのまにか姉の肩に4体のMMSが立っている。
『MION』型クルト『SATOKO』型キルト『RIKA』型コルトそしてもう一体の『RENA』型カルト。
「その子はこの子たちの妹になるんだからね、カッコ良く組みなさいよ?」
タフトと共に自室に篭った少年は、勝手のわからないMMSカスタマイズに四苦八苦していた。
まずヘッドの性格設定。タフト同様デフォルトの性格設定のままでも大体満足のいくものになるだろう。
しかし気がかりは同型ヘッドを持つ姉のMMS・カルトのことだった。
強い衝撃または心理的ダメージを与えられると人格が豹変する仕様なのだ。
不気味な笑顔を見せたかと思えば突然凶暴化し攻撃的になる。相棒も幾度となくボロボロにされた。
姉は一体どうやって彼女をコントロールしているのか。それはさておき目の前の問題に意識を向ける。
相棒が復帰するまでの短い付き合いと考えている以上、特に凝った性格にする必要は無い。
というわけで、感情値のパラメータ設定においてははできうる限り『怒』の感情を抑え込み
表情はほぼ笑顔のみ表に出すようにする。そして起動。
特に何か物を言うことはなく、少年に対しスマイルを見せる。
手足を失っているタフトが歓喜の声を上げた。
「うひょうひょうひょうひょっ!俺タフト〜。以後お見知り置きを、ってな」
「………」
「ひょーほっほー、ひょーほっほー!」
相棒は満足げのようだ。そのせいか、少し前まで感じていた違和感がわずかに取れた気がする。
「名前考えようぜ!名前名前!」
そうだった。名前をつける必要性に気づいた少年はしばらく考え込む。
その結果考えついた名前は姉のMMSたちに倣いカ行の文字を先頭に持ってくるものだった。
次は武装のカスタマイズだ。姉から借り受けたパーツボックスを開く。
大会までの数日間はカスタムと各種テストに費やされた。
時は流れロボGP当日。MMS1体、アムドラ2体、その他1体による準決勝を終えいよいよ決勝戦に移る。
ここまで勝ち残った強者の一方がリングインする。青い戦士がポーズを取りつつ叫ぶ。
「小さな栄冠つかむため、磨いた剣(つるぎ)で魔を弾く!リュウケンドー・ライジン!」
アムドラ陣営寄りのメーカーが試験的に売り出したアクションヒーロープロと呼ばれる素体だ。
背後の大型モニターには準決勝にてアムドラ素体の『進藤さん』を撃破した様子が映し出されている。
そしてもう一方は。進行役の男性が声を張り上げる。
「今大会初出場にしていきなり決勝戦に勝ち残った新鋭だ!武装神姫・ケルト!」
その姿は件の素体にストラーフの腕を転用した大砲とヴェッフェバニー、そしてアムドラ系統の
高出力型バックパックを装備したものだ。白いベレー帽が全身黒づくめの中で異彩を放っている。
「READY…GO!」
試合開始。互いに距離を詰める。ケルトのビームマシンガンとリュウケンドーのナックルスパークが
中距離で火を噴く。敵の唯一の通常火器は、威力はそこそこだが移動しながらの射撃においては
命中率が極端に下がる。しかし懐に入られてしまうと対抗する術は無い。気は抜けない。
現に少しづつではあるが確実に距離を詰められている。斜め前、斜め前へと回避運動を続けている。
両肩のビームキャノンも併用して撃ち込み続ける。手応えが無い。背後の逃げ道を確保しつつ土煙に
巻き込まれないようにする。リュウケンドー型の各個体共通パラメータと相手マスターの
今大会での戦いぶりからこの状況でどのように動くか、一応は予測がついている。
しかし自分自身もガチガチの理尽くめというわけではない。あくまでカンである。
やがて煙の中から何かが上空に飛び出していくのが見えた。リュウケンドーだ。
通常のMMSがスラスターを使って大ジャンプしても届きそうにない高度にまで到達している。
リュウケンドーの売りは例え倍以上の身長差があろうが脳天から叩き切ることができるジャンプ力だ。
空戦仕様の機体も恐れる龍の剣士。だが、この状況なら比較的楽に迎え撃てるはずだ。
高く跳んだ敵がようやく自由落下に入る。ほんのわずかな間に敵は体勢を整えこちらはトリガーを引く。
「ゲキリュウケン・魔弾斬り!」
「フルパワーで連射だ!」
弾幕と言うにはいささか頼りないが多数の光弾と光の帯が敵に殺到する。
剣の刀身に当たった光弾は消滅していくが大多数の攻撃は本体に命中している…はずだ。
射撃を続行しつつ後退と軸線ずらしを行う。かわしても地面がえぐれるほどの余波でかなりの
ダメージを喰らうしその身が刀身の延長線上にあろうものなら特殊技の魔弾斬りエネルギー波を
キャンセル入力され真っ二つだ。そうこうしているうちに敵は相棒の眼前にまで迫ってきている。
まだ倒れないのか。それともすでにフリーズしているのか。とにかく撃つんだ、相棒。
ビームキャノンを撃った。当たったか。いや、ダメだ。剣で防がれた。
素体を傷つけようものなら姉に殺される。いや、そうでなくとも色々とカスタムを試していくうちに
それなりに愛着が湧いたんだ。何が何でも生き延びろ、ケルト!――――
「がんばったじゃない。これでMMS派の面目も立ったわ」
「いや、僕はアムドラ派なんだけど…」
大会は少年の優勝で幕を閉じた。左の砲身で剣を受け止め、その衝撃で吹き飛ばされる寸前に
ビームマシンガンで剣の持ち手を撃ち剣を遠くに弾き飛ばした。あとは隙だらけの本体に
トドメの一撃を撃ち込み決着をつけた。もっとも、そういった細かい戦術はMMSまかせが基本であるが。
「やっぱりフィジカルっていうか、タフさじゃアクションヒーローの独壇場よね、ガタイ大きいし」
「姉ちゃん」
「ん?」
「この子のこと、ありがとう」
カバンからケルトを取り出す。ついでにタフトもだ。
「今さら礼なんていいわよ。次回はあたしも久しぶりに出てみるわ。色々といいパーツが手に入ったし」
「そう。僕もタフトを修理して出るよ」
「…なんだったら、この子あげるわよ」
「えっ?」
「もう一人追加してチーム戦にエントリーするのも悪くないわね」
苦笑いをしつつ2人目の相棒に目をやる。少年自身がそう設定したから、というのもあるが
少女はその笑顔を絶やすことなく少年を見つめていた。いつまでも、いつまでも。
終
新スレに今朝気づきました OTZ
まとめサイト、相関図ともどもお疲れ様です。
皆さんすごい量ですね!
私もこれから書きます〜
>>126 まずはまとめサイトの製作おめでとうございます&ありがとうございます!
隻脚の悪魔画像のうPは望むところです!というか是非是非よろしくお願いいたします。
さてさて今日はいよいよ初バトル。 他の方々のカッチョいいバトルシーンに追いつけ
追い越せとばかりに頑張るですよ! ふぁいと、おーなのです!
「なーっはっはっはっはァ! ぅワガハイの最高傑作! バイオレント・ブラック・バニー、
略してB3(ビー・キューブ)よ! 今日も最高の成果を期待しておるぞォ!」
「サー、コマンダー」
「…なぁ、神姫のオーナーってのは皆あんなテンションなのか?」
「…私は今まで以上に遼平の事が好きになれそうです」
武装が揃ってから更に3日…ネットで行える簡易バーチャルトレーニングで大体の動き方を
マスターした俺とルーシーは、いよいよ初の実戦に参加する事にした。
…と言ってもそう大げさな話じゃない。
今や武装神姫を扱った店は街のそこかしこにあり、神姫オーナーであればいつでも参加できる
システムを設置している店もあるのだ。
休日にはちょっとした大会が開かれる事も多いようだが、普段行われるのは公式トーナメント
やリーグ戦みたいなモノじゃなく、個人同士の草バトルって所だろう。
で…そんな俺たちの初陣の相手が、さっきからハイテンションで大騒ぎしてる兄ちゃんってワケだ。
なんだかヘンなシミだらけのズボンにベスト、ご丁寧に頭には同じ模様のハチマキをしてる。
「アレはシミではなくて都市迷彩です。それにハチマキじゃなくてバンダナですよ」
ルーシーが小声で注釈を入れてくるが、俺はそういうのに詳しくないんだって。
ま、そういう事に疎い俺でも分かるくらいにあからさまなファッションの軍隊フェチさんだ。
「退くな媚びるな省みるな! 敵前逃亡は軍法会議、命を惜しむ事は許さん! そう、お前の前に
道はなく、お前の後ろにこそ道は」
「そろそろ選手のご登録をお願いしたいのですが宜しいですか」
「あ、ハイ」
天井知らずに上がる彼のテンションだったが、店員さんの必要以上に事務的な口調に大人しくなった。
っと、こっちにも来た。
「それでは、こちらにオーナー名と神姫のパーソナルデータ入力をお願いしますね」
キツめな感じの美人さんだけど、さっきと違ってにこやかだ。 どうやら店員さんもアレはやかましい
と思ってたらしい。 えーっと、そんじゃ…
オーナー名:藤丘 遼平
武装神姫:TYPE DEVIL「STRARF」
ニックネーム:ルーシー
武装
シュラム・リボルビング・グレネード・ランチャー×1
カロッテTMP×1
フルストゥ・グフロートゥ×2
フルストゥ・クレイン×2
アングルブレード×2
チップトゥダガー×1
アームデバイス・デストラクションクロー×2
レッグアタッチメント×1
補助シリンダー×3
と、こんなトコかね。 …しっかしどれも舌噛みそうな名前だよな。
『それでは両者、スタンバイ!』
さっきの店員さんによるアナウンスが入る。
「ビィィィ!キュウゥブッ! GoGoGoGoォオゥ!!!」
「サー、コマンダー」
「んじゃ行くか、ルーシー?」
「ハイ…あなたとなら、何処までも」
…何処で憶えてくるんだろうな、そういうセリフ。
崩れたビルの立ち並ぶ廃虚をステージに、バトルはスタートした。
「相手のバッフェバニーは遠距離戦闘重視の『ガンナー』…それも重火器装備型の『ブラスター』
です。 早めに接近しないと厄介ですよ」
「初陣が真逆のタイプってのは嫌なもんだな」
「負ける気はありませんよ…前方に反応!」
緊張した言葉とほぼ同時、ビルとビルの隙間を縫うようにして何かが迫ってくるのが目に入った。
一瞬息を飲んだ俺が命じるより早く、ルーシーは大きく跳んで回避行動を取っていた。
着弾。
閃光。
爆発。
「…ミサイル?」
「誘導式でなくて助かりました…来ますよ」
崩れたビルの残骸を乗り越えて敵が姿を現す。
左肩にはバズーカ砲、ミサイルポッドを右肩に。
ガトリングガンと大ぶりのコンバットナイフを両手に携え、のっしのっしと歩みを進めてくる…
赤いスコープにガスマスクのせいで表情が読めない。
『んなーっはっはっはァ! こそこそ隠れて様子見とは戦士の風上にも置けぬ奴! このB3と
ワガハイが、貴様らに戦いのルールというものを叩き込んでくれるわっ!』
あーうるせぇ。
「戦いのルールブックにゃ不意打ち上等って書いてあんのか?」
『フフン、モノを知らぬ奴め。この世には『勝てば官軍』という言葉があるのだ! 即ち
勝った者 が勝つ! ルールを決めるのもまた勝者! 勝利は勝ぁぁぁぁぁつッ!』
「サー、コマンダー」
本格的にワケ分からんなお前ら。
ただいま第五話執筆中の前441こと十兵衛です。
今度からはチアキで入ります。これからもよろしくです。
今度の五話は割りと長いかもです、大変です。
挿絵も出来たらつけようかと思います。
>>126(リンのマスター氏)
管理お疲れ様です。
絵は載せて構いません。どんどん載せてやってください。
「ま、向こうさんから来てくれたんなら、探す手間が省けたな」
「そういう事を言ってる場合ですか」
すいっ、と持ち上げられたガトリングガンが狙いを定める前に、再び跳躍。
弾丸の雨が虚しくビルの壁を穿つのを尻目に、着地したルーシーがこちらに尋ねる。
「どうします?」
「せっかくの実戦なんだしな…お前のやりたいようにやってみな」
「…了解」
『敵の眼前で悠長に作戦会議とは…ここは戦場だぞォ!』
相手オーナーの怒声を無視し、前傾姿勢になったルーシーは距離を詰め始めた。
ミサイルポッドが迎撃を始めるが、最初の攻撃で誘導式でないと判っている。
最初から当たらない位置のモノは完全無視、被弾する位置にあるモノはサブマシンガン
で撃ち落としていく。 …その間、視線は相手に固定したまま。
『「なにー!?」』
くそ、向こうと俺の声がカブった。 …つかルーシー、お前ちょっとスゴい?
距離が縮む事を嫌ったB3は後退を始めるが、なにしろ「一歩」の長さが違う…あれよあれよ
と言う間に戦闘は至近距離でのそれに移った。
向こうもこの距離では大きなガトリングガンの取り回しは不可能だと悟り、もう1本コンバット
ナイフを取り出しての2刀流に切り替えた。
こっちもアームデバイス2刀流で斬り結ぶが、ルーシー自身の両手は空いているワケで…
相手のナイフを押さえつけている間に、ひょいと掲げたサブマシンガンを相手の顔面に向けて
ブッ放しやがった。
ががががががっとか派手な音がして頭が何度も揺れた後、B3はぱったりと仰向けに倒れてしまった。
『んNoおぉぉぉおおぉぉうッ!? B3! 応答せよびぃきゅうぶぅぅぅぅぅう!』
「ルーシー…お前それちょっとエグい」
「勝てば官軍…勝負の世界は非情なのですよ」
『衛生兵! えーせーへえぇぇぇぇぇ!!!!』
しれっと言ってのける15センチ足らずのオモチャ。コイツはやっぱり悪魔かなぁと
思って嘆息した俺の視界で、動くものがあった。
「ッ…」
どごおぉぉんっ!
突然起こった爆発に、俺の口から出かけた言葉が止まった。
スコープとガスマスクがダメージを防いだのか…大の字になったB3の肩にマウント
されたバズーカ砲から煙が昇り、射撃直後を物語る。
そして今、濛々と爆煙に包まれているのは…ルーシーの頭部付近。
「ルーシーッ!」
背筋の凍るような思いが俺の口を再び動かす。
「返事しろおい!」
「無事です」
冷静な声が響き、風に吹き散らされた爆煙の中からススけたルーシーの顔が見えた。
顔周辺のダメージはそんなものだが、片方のアームデバイスがヒジの辺りから吹き
飛んでいる。 どうやらそれを盾にしたらしい。
それを見てもB3は追撃しないし立ち上がらない。 どうやらバズーカは1発きりで、
頭部への衝撃はオートバランサーか何かに影響を与えたらしい。
…実質、勝負はここで決着ってワケだ。
ほっとした俺、ぽかんとしている相手オーナー、悔しげな表情のB3、無表情のルーシー。
なんだか妙な沈黙の後、ルーシーはおもむろにしゃがみ込んでB3のそばに膝を着くと、
残ったアームデバイスを動かし始めた。
デバイスに握られているのは、ほとんど使う事もなく無傷に近いアングルブレード。
「はいはいストップストップ、もう終わっただろ。 俺たちの勝ちだよ」
俺の言ってる事を聞いているのかいないのか、ルーシーは見せつけるようにブレード
を振り翳したまま動かない。
「おい…いい加減にしろって」
刃に照り返る陽光を受けたB3の顔に、はっきりと恐怖の色が映る。
「ルーシー」
ぐっ、とアームデバイスのシリンダーが動く。
「やめろバカ!」
制止の声と風を一度に裂いたブレードが、鋭い音を立ててコンクリートの床に突き立った。
…丸く湾曲した刃と床の隙間に、B3の白い首筋が挟まっている。
顔を上げれば、相手オーナーが白いハンカチを必死に振る姿があった。
「んバカモノおぉぉっ! 勲章ではなく命ひとつを持ち帰れば良いと教えただろう!」
「サー、コマンダー!」
「試合前と言ってる事が違うんだが…」
「アレがあの人たちの絆の形なのでしょう」
ひしと抱き合う(?)2人を眺めて、にこにこ笑顔のルーシー。 …ホント、あの氷
みたいな目ェしてた奴とは思えんね。
「…ちょっと、興奮しました」
俺の視線に気づいてか、ちょっと肩を落とした。
人間で言えば「カッとなった」んだろうが…あんまりコイツは怒らせない方がいい。
「今、何か失礼な事を考えましたね?」
「いぃえぇメッソーもない」
「怪しいです」
「最愛のパートナーに信じてもらえないとはツラいなぁ」
ちゃかしたセリフに、テレたように小さく微笑む。
「最愛、ですか…嫌わないで下さいね」
「つまんない心配すんな」
あっちほど熱烈じゃないが、こっちもちょっとイイ雰囲気だったりな。
ひとしきり泣いたり感動したりして気が済んだのか、向こうのオーナーが握手を求めてやってきた。
胸ポケットからはB3が覗いている…ちょっと微笑ましいな。
「諸君! 今回は良い勉強をさせてもらった!」
「いんや、こっちも楽しかったよ。 ちょっとヒヤヒヤしたけどな」
「うむ! 記念すべき初陣を勝利で飾れなかったのはヒッジョーォに無念ではあるが、今日の戦いは
ワガハイとB3の輝ける第1歩として生涯この胸に刻もうぞ!」
「お前あんだけ偉そうな事言っといて自分も初心者かコラ」
バカ笑いするミリタリーマニアから視線をそらすと、ルーシーがB3の頬をそっと撫でている所だった。
「さっきは怖がらせてごめんなさい…貴女の心優しいオーナーに、最大限の感謝を忘れずにね」
「サー、イエス、サー…」
ルーシーの柔らかい微笑みと、風にかき消されそうなB3の声を幕に、俺たちの初陣は終わった。
「ついでにそちらのオーナー、『バイオレント』は『Violent』で、頭文字は『B』ではありま
せんので、可能ならば改名することをお奨めします」
「ンなんとぉっ!? ワガハイ一生の不覚ッ!」
その後、彼の神姫は『バーニング・ブラック・バニー』に改名したとかしないとか…
ちゃんちゃん。
初バトル終〜了〜。 いやしんどいですねバトルシーンて。
相関図を書いて頂いてるので、オーナー名は「藤丘 遼平(ふじおか・りょうへい)」
に決定したしました。 次回更新の際にはよろしくお願いいたします。
過熱しっぱなしで止まる所を知らない神姫熱ですが、やっぱ楽しいですよねっ!
それではまた〜。
>>144氏
流れを切ってしまい申し訳ないです。
すいません。
>>145@チアキ氏
いえいえ、お気になさらず〜。
ホントはタイトル横に「2/5」とかいう感じで表記できればいいのですけど、どれくらいに
分かれるか自分でもちょっと判んないもので…こちらこそ申し訳なし。
…さて、本スレとか見てから一眠りしますです〜 ノシ
うーむ、角二にもスレ立ちそうな勢いだ・・。
81 名前:ぼくらはトイ名無しキッズ[sage] 投稿日:2006/10/11(水) 20:09:01 ID:mfevLUIc0
向こうで絵うpしたらスルーされちゃったな……
「鶴畑の末姫、登場!」(1/6)
初めまして!
私は天使型MMSのビアンカと申します。
マスターの持つMMSの中では一番新しく入った、5番目の神姫です!
今日は、マスターが私の服を買ってくださるそうです。とても嬉しいです!
「あ〜あ、かったりいかったりい…かったりいなぁ!何でアタイがたかだか服選びなんざに一緒に
付き合わなきゃなんねーんだよ!」
コニーお姉さまは、煙草(偽物です。自分で作ったんですって)を銜えながら文句を言ってます。
「コニー!文句言わないの!お姉さんになったんでしょ!」
「へいへい…。」
ヴェルお姉さまに怒られちゃってます…。
12月、もうすぐ来年がやって来ます。街もクリスマスの装飾で一杯です。
お姉さま達も、冬の装いです。
ヴェルお姉さまは、デニムのジーンズに白のダッフルコート、コニーお姉さまは黒のニット帽に
黒のタートルネックの上にミトンの付いたコート、ニーソックスとチェックのプリーツスカート、それと
ウェスタンブーツ。すっごくオシャレです。お金かかってるんだろうなぁ。でもコニーお姉さまの格好って、
どこかで見たような…?
それに対してマスターは、総ユ○クロルックに安売り2980円のシューズ…何か可哀想です…。
「鶴畑の末姫、登場!」(2/6)
服選びも終わって、お家に帰る途中、神姫センターに人だかりが出来ていました。
最近では、ほとんど毎日と言っていいほどMMS同士のバトルが出来るそうです。
私も、現在ヴェルお姉さま達と一緒に訓練を行ってます。
私はまだまだ未熟者で、いつもお姉さま達の疑似データにやられてばっかりです…
早く強くなって、お姉さま達に追いつきたいです!
「でも…もう年末だし、今年分のサードリーグの大会は終わったばっかりだよな…なんで?」
「マスター、エキシビジョンマッチみたいです。」
「それでもこの人だかりは異常だぜマスター…何か黒服着てるオッサンも居るし。」
すると、
「うわ〜!ボクもまけた〜;」
「すっごーい!これで14連勝だ!」
と、小さいマスターさん達の声がしました。
「当たり前ですわ!このワタクシ、鶴畑和美(つるはた かずみ)」はあの鶴畑兄弟の妹なんですから!」
「え〜!あのファーストリーグの!?」
「そうよ!ワタクシも来年、サードリーグにデビューしますの!兄様達にもすぐ追いついてさしあげてよ!」
いいな〜。私も早くサードリーグに出られるくらいの実力を持ちた…あれ?何か心の中でもやもやしたものが…。
「つ・る・は・た・だとぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?」
あれ?コニーお姉さまがワナワナ震えています。
「マスター!試合に出るぞ試合!此処であったが百年目!あのガキの天狗っ鼻、未開封の箱ぶん殴った
プ○ッツーみてぇにベッキベキにへし折ってやる!」
「…許可するわ、コニー。憎悪を込めてぶちのめしてらっしゃい。」
ヴェルお姉さまも…何か怖いです…。
「おいおい…;出たいのは分かるけど、今日は買い物に来ただけだし何も武装は…」
「これがあるぜ…!」
コニーお姉さまが、自分のコートの中に手を入れて取り出したのは…二丁の拳銃「ソード・カトラス」。
銀色のカロッテP12のカスタムタイプで、レーザーサイトを外してあって、更にバレルとスライドが通常よりも長く、
白いグリップに刀を交差したドクロのマークがあしらってあります。
「お前…持ってきたのか…。」
「おうよ、これが無ぇとおちおち外も歩けやしねぇさ。」
お外って、そんなに危険だったんですね…私も、コニーお姉さまを見習おうと思いました。
「ステキよコニー…撃鉄を起こせ。」
ヴェルお姉さま…やっぱり怖い…。
「やれやれ…子供相手なんだから、あんまり無茶するなよ…?」
そう言うと、私たちは人だかりをかき分けて、声の主の所へ行きました。
まだ小学生さんらしいのですが、高級そうなドレスにデ…恰幅の良い体…どうやらお金持ちのお子さんのようです。
「あの〜…俺たちも参加したいんだけど…良いかな?」
「フン!誰かと思ったら神姫ヲタクのオジンですの?よろしくてよ!遊んでさしあげますわ!まぁ、お持ちの神姫が
そんなみみっちいのでは、ワタクシの勝利は確実ですわ!おほほほほほほ!」
「おっさ…ヲタ…みみっち…! …コニー、許可する。豚野郎に地獄をみせてやれ。」
「了解!」
マスターまで怖い顔になっちゃいました…何で?
「鶴畑の末姫、登場!」(3/6)
ともあれお互いのMMSの登場…あれれ?疑似空間なのに、コニーお姉さまが着てる服のまま登場です!
「あはははははは!拳銃2丁とまさかその格好でワタクシと戦おうとおっしゃいますの!?」
「そうだよ…これで十分だぜ。」
「フフフ…ワタクシも舐められたものですわね!まぁいいわ!出でませ!美しき我が騎士、ジャンヌ!」
「イエス・マスター!」
そう言って現れたのは、金色の髪に蒼い瞳…そして、
青 い 騎 士 鎧。
「マスター…アレって…;」
「ああ…そうだね…;」
「ちょ…;
ち ょ っ と 待 て ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
突然叫びだしたコニーお姉さま。
「『サイフォス』って、確か来年発売の新型MMSのハズだろ!なんでもうバトルに出てんだよ!
しかも初回販売限定のパーツ満載じゃねぇか!」
「あら!よく知っておいでね愚民の神姫!この程度、わが鶴畑家の財力を持ってすればたやすいことですのよ!
オホホホホ!良くてよ!美しくてよ!」
そう言って高らかに笑うお嬢様。 …やっぱり何か心に引っかかります。
「鶴畑のガキってのは…どいつもこいつも…!」
「コニー…。」
そう言ってヴェルお姉さまは、親指を立てて、首を切るポーズを取りました。目が怖いです…。
「あたぼうよ!」
「鶴畑の末姫、登場!」(4/6)
ともあれ試合開始です、場所は闘技場(コロッセオ)。普通は中央の闘技場で戦うのですが、観客席や通路に隠れて
戦うことも可能です。
コニーお姉さまはお出かけ着と2丁の『ソード・カトラス』、対するジャンヌは全身をほぼ覆い尽くす騎士鎧と、
やっぱりナイトらしい…
両手にヘビーマシンガンと対神姫大型ライフル、背中にはサブアームを装備して、その手にバズーカと3連ロケットランチャー。
さらにその肩にはミサイルランチャーと長距離砲という装備です。
「テメェ!全然騎士の装備じゃねぇぞ!なんだその重火器満載のナイト様は!」
「フフフ!王者とは常に玉座に座ってるもの!動かずして相手を倒す、これこそ戦いの美ですわ!!さぁ!やっておしまい!
ジャンヌ!」
「イエス!マスター!」
そう言うと、一斉射撃を開始するジャンヌ。コロッセオが爆炎に包まれました。
「「コニー!」」
「お姉さま!」
爆炎で上がった砂煙の中…コニーお姉さまは…
立っていました、しかも殆ど無傷で。
「「コニー!!」」
「な…何ですってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?あれだけの砲撃の中、避けたにしても服にキズ一つ付いていないって…
どーいうことですの!!??」
「当ったりめぇだ!この服はは静香の姉御の特製だぜ!チンケな花火じゃキズも付かねぇよ!」
「ぬ…ぬわんですってぇぇぇぇぇぇ!ジャンヌ!ガンガン撃ちまくりなさい!あのミニスカ女に目に物見せてやるのよ!」
「イエス・マスター!」
「おう!かかってきやがれ!(ホントにすげぇな姉御の技術力は…。とは言えいつまで持つか…。)」
「鶴畑の末姫、登場!」(5/6)
「ジャンヌ」の止む事なき砲撃。回廊に隠れながら撃つお姉さまの銃弾は、彼女を包む蒼い鎧に空しく弾かれます。
このままじゃ…。
と、
突然コロッセオに舞い戻り、ジャンヌの前に立つお姉さま。そして、
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
そのままジャンヌに向かって走るお姉さま!
「ホホホホ!勝てないと分かってトチ狂っておいでですの!?ジャンヌ!止めを刺してあげなさい!」
「イエス!マスター!」
どががががががががががががあがががが!
巻き上がる爆炎の中、突っ込むお姉さま、そして…。
ガチッ!ガチッ!
「し…しまった…弾切…。」
そして
「ばぁ!」
ジャンヌの目前に現れた、服がボロボロになったコニーお姉さま、そして、
バン!バンバンバン!
ジャンヌの鎧の隙間に、至近距離で銃弾を放つ。関節を打たれ、大の字に倒れるジャンヌ。その上にまたがり、
額に銃口を当てるお姉さま。そして…
「あのなぁ小娘…一つ良い事おせぇてやるよ。幾らでっけぇイチモツ持ってても…
的 に 当 た ら な き ゃ 意 味 ね ぇ ん だ よ。」
「く…くそっ…!」
「良い勉強になったなぁクソ嬢ちゃんとクソ騎士ちゃん…じゃ、『クソ坊ちゃん共』によろしく。」
バァン!
「鶴畑の末姫、登場!」(6/6)
「「いや〜、スッキリした!良くやったぞ(わ)コニー!」」
帰り道、マスターとヴェルお姉さまは満面の笑みを浮かべてコニーお姉さまに言いました。
「へへ!アタシの腕も捨てたもんじゃねぇだろ?」
「ええ!流石『トリガーハッピー』のコニ…あ;」
「ヴェル…てめぇ今なんつった………!」
「ご…御免なさいヴェル…ちょっと口がすべ…」
「ンの野郎ぉぉぉぉぉぉぉ!スクラップにしてやっからそこに直れぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
「ひぃっ!三十六計逃げるが勝ち〜〜〜〜〜〜!!!」
マスターの肩から飛び降りてダッシュで逃げるヴェルお姉さま。
「逃げんなぁぁぁぁぁ!!テメェにも地獄見せてやるぅぅぅぅぅっぅ!!」
「ははは…元気なことは良いことだ……; …おっ、雪だ。」
苦笑するマスター。 …あ、本当です、雪が降って来ました、すごく綺麗です…。
「めでたしめでたし〜なのだぁ〜…むにゃむにゃ…。」
「めでたくねぇよ! …あれ?馬鹿ネコの声が聞こえたような…っと、コラ待てぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「鶴畑の末姫、登場!」(あとがき)
さてさて、ついに勢揃いしました鶴畑三兄妹。
名前の元ネタは勿論「○田三兄弟」、キャラ設定は、
>>105「アールとエル」さんの言うとおり、エルの敵である
「金の力でパーツを買い占め、付いてた神姫をゴミのように捨てる最低ぼっちゃま」から引用させて頂きました。
やっぱり、みんなに恨まれる敵役は必要だよね〜、と思って作ったキャラ、いいやられ役として機能してくれます。
皆さんも、ガンガンこの三兄妹を虐めてやってください!
三兄妹「「「畜生!覚えてやがれ(なさい)〜〜!!」」」
>>155でこちゅーさん
やはりですかw
ということは、ノワルとエルは時期的な違いで実際に会ってないと思いますが
同じマスターの元で、同じ目的の為、同じ運命を辿った姉妹ということになりますね。
その姉妹が戦うコラボができるかもしれませんね
157 :
前スレ208:2006/10/11(水) 22:38:29 ID:G059OemP
でこちゅーさんのご提案を受けて、私も三兄弟の次男坊を敵役に執筆中であります。
ヴェルちゃんに叩きのめされた次男坊鶴畑大紀は、その後何をやっていたのか?
お楽しみに。
皆買った神姫たちの中でお気に入りができてしまって一人だけ贔屓気味に可愛がったりしてない?
>>158 実際に十兵衛を作ってから…
いままでメインはぬこだったのにいつの間にか…orz
ま、しょうがないですね!
はじめまして
本来は漫画描きなのですが武装神姫の良さと、ここのスレのみなさんの作品に感化されて初めて書いてみました。
なんか武装神姫っぽくなくなってますが・・・|||orz
ねここ主役のSSがあまりないので、読みたいからないなら書いちゃえ!見たいな感じになってきまして(苦笑
本文が増えてきて名前とか付けてあげれませんでした、出来ればそれは次回に・・・っ
内容は基本的にちょっと悲しいトラウマ持ちな内容ですが、ダーク路線とかではないです。
こねこの飼い方
もう飼わない、そう決めてたんだけどな……
その日はふと思い立って、何時もの帰り道とは違う道を選んでみたんだけれども、
その見慣れぬ通りにあった何かのお店はとても賑やかで活気に溢れてて。
少し寂しかったんだと、だからなんだと思う、気づくと中に入って店内の一際大きなスクリーンを眺めていたのは。
そこに映し出されていたその娘達は、機械とは思えないほどに、とても輝いて見えて……
家路に着く私の手には1つの大きな箱
そのお店からそう遠くない我が家に帰り着く、玄関を開けると……ううん、いるわけない。
出迎えてくれるあのコはもういないんだから・・・・・・・
居間に落ち着いてから、箱をテーブルに置いて、説明書とにらめっこしつつ開封していく。
衝動買いのコレのことはさっぱりわからないから、説明書の専門用語みたいなのを拾うだけでも手一杯。
……へぇ、武装神姫って言うんだ。
ふむふむ……バトルやドレスアップなんかも……、
「あ……この娘猫型なんだ……」
いけないいけない、もう結構経ってるのにこの位で思い出してちゃね。
ええと開封したら自動的に起動するってあるから、早速起動させて
「あれ、いない……?」
そこにはもぬけの殻になった箱が。
箱開けた時は間違いなくあったのに。説明書読みながら開けてたし、説明書に気を取られてるうちに勝手に起動しちゃったのかな、
でも説明書にはまずマスター登録が必須だって書いてあるのに、なんでだろう……?
・ ・ ・ ・ ・ ・
ねむいの……ねむいの……でも起きなきゃって、誰かが呼んでる気がするの……
「……んぅ」
目を覚ますとそこは知らない天井、しらない部屋、眠る前にみた無機質なとことはみんな違う感じで、
目の前にいる女の人はなにかブツブツ言ってて……
「武装神姫って言うんだ……ふぅん、へぇぇ……」目がなんかマジで、
(こ、こわいのっ!)
その武装神姫はバッ、と起きあがると、まるで本物の猫のようにテーブルから飛び降り、一目散に駆け出してく。
(うぅ、何処でもいいから隠れなきゃ。なんか怖いの!)
・ ・ ・ ・ ・ ・
軽く居間を探してみたけれども、みあたらない、ドアはちょっと改造しちゃってあるのでこの部屋にはもういないかな。
玄関も窓も鍵は閉まってるから、外に出ちゃったって事はなさそう。
でもおもちゃの考えなんて……ネコ型おもちゃ……猫
「あ」
ふと気づいて、ドアを乱暴に開け飛び出し、あの部屋に向かって一目散にパタパタと駆けていく。
「そうよね、あのコだったら……」
「ひっく……ひっく……」
「ふふ、ここにいたんだ、怖がらないで出てきて、ね?」
やっぱりここにいた。あのコとおんなじ私の部屋ベッドの下、怖がったりするといつもここに……
そっと手を差し伸べる 「あ、痛っ……。ごめんね、びっくりしちゃったかな?」
ちょっと指先を噛まれちゃったけど、髪を優しく撫でてあげるとちょっとづつだけど、泣いてる顔を上げてくれて。
「怒ら……ない……?」
「どうして?」
「だって……逃げちゃったし、それに傷……」
「んーん、全然。それより私はキミが泣いてることの方が嫌かな?」
指先でそぉっと涙を拭ってあげると、にぱぁと笑いかけてくれた気がして。
「うん、泣かないように……・するの。……あ、血が出てきてる、の」
私の指先にキスをするように、チロリと傷を舐めてくれた。
それが私たちの始まりの鐘、だったのかな。
「あ、そうだ……コレ、あげるね」
ポケットから取り出したのは、可愛いリボンと大きな鈴のついた首輪。
それはとても大切な(だった)私の(あのコの)
「うにゃ?……わぁ、おっきな鈴だぁ♪ありがと〜!」
大切な誓いの印。
「よろしくね、私の新しい同居人さん。私の名前は―」
*数日後
「にゃはははは!ここまでおいでー♪」
「こらー!待ちなさーい!」
部屋中元気に(物を散乱、破壊しつつ)飛び回っているあの娘と、それを止めようとして追いかけるももうヘロヘロな私。
あの娘はすっかり元気になったみたい。あとでそれとなく聞いたら、どうも説明書を読む時にかけていた瓶底眼鏡が怖かったらしい。
……ちょっと気にしてるのに、ぐすん
END
少しレス割の数ミスったかも・・・ごめんなさいorz
おおっと、新作がありますね〜。
ねここかわいいよねここ!
続編期待しています。
さて、では十兵衛第五話を投下いたします。
挿絵も一枚描きましたが…めちゃくちゃ雑なので、
脳内で十分に美化してからお楽しみくださいorz
今回の話はダークな内容を含むかかもれません。
破壊描写もあるので…。
いきます。
闇、漆黒の空に木霊するは、妖しき姫の歌声。
今日もまた、歌に魅了され己を無くした者達が、残酷な舞踏を披露する。
光、漆黒の空を貫くは、地獄から来た悪魔の咆哮。
それは不幸の鎖を食いちぎる者、その左目に輝くは、紅き決意の灯火。
<凪さんちの十兵衛さん第五話『隻眼の悪魔、降臨』>・
・
・
「第一、第二小隊は第三小隊の活路を開け!第四、第五小隊は第三小隊の援護!なんとしても奴を倒すんだ!」
『ラジャー!!』
薄暗いワゴン車の中、モニターの光だけが車内を照らす。画面には無数の神姫の姿が映し出されている。
「今日で終わりにしてやる…」
そうつぶやき、眼鏡を光らせたのは、あの男。
ある日友人が持ってきた無残な神姫を、神姫への愛と己の技術を総動員して直し、後に伝説なる証、
左目の眼帯を与えた男。黒淵 創(くろふち はじめ)だ。
痩せ型の長身、だが適度に整った筋肉と顔立ちによりひ弱さはまったく感じられない。
「当たり前だ、創。今日で終わらせる!」
とその仲間が言う。
「あぁ、そうだね。…ミーシャ!他の奴には構うな!今は目の前の元凶を倒すことだけを考えるんだ!」
「了解マスター!行くよ!皆!」
マスター、私はいつも「ご主人様」と呼んでいる。
しかし戦闘時だけはマスターと呼ぶことにしている。
『ラジャー!』
と勢いを増した第三小隊の面々は一目散に目標へ向かう。
中央に位置するは創の武装神姫、天使型のミーシャ。その左右に控えているのはヴァッフェバニーだ。
これは本部より貸し出された神姫である。よって、決まった名前は無い。
今回の場合はツヴァイ3、ドライ3と呼ばれている。第三小隊の二番、三番機の意だ。
「マスター!目標を確認!情報通り天使タイプです!」
「よし!敵は手ごわいぞ…!慎重にな」
「了解!」
「おい!大丈夫か!シン!!おい!…くそ…第一小隊…全滅を確認…」
「くっ!」
「なんだ!?」
「敵の勢いが増しています!このままでは!」
予想をはるかに超えた軍勢がこちら側の神姫達に迫る。
「ミーシャ!!」
・
・
・
「了解マスター!」
私は今回の作戦の最優先目標にロックを合わせる。
今回の戦闘で、破壊許可が下りているのはあの大元の神姫のみ。
他の神姫は操られている神姫だ。中には非戦闘用の神姫もいる。
そう、神姫といっても大きく二つに分けることが出来る。
神姫と「武装」神姫だ。元々神姫と呼ばれる十五センチサイズのフィギュアロボは戦闘用ではなかった。
ただ純粋に人間のサポートをするために生み出された存在。
しかしある時…神姫に武装を施し、競技として戦闘行為を行うマスターが出てきた。
他の神姫のマスターもその競技と称した戦闘行為に賛同し、参加した。
そうして拡大を続けた戦いは、バトルサービスという公式に認められしものとなり。正式にバトルサービス本部が設立されたのだ。
そしてその集大成となるのが、最初から戦闘行為を考えられて開発、誕生した私達「武装神姫」シリーズである。
そんな二種類の神姫達がたった一体の神姫に操られ、暴走している。しかしあくまで操られているだけの彼女らに非は無い。
よってなるべく無傷で元のマスターの元へ戻す必要がある。
それが本部からの通達だ。はっきりいってかなり難易度の高いミッションである。
敵となってしまった友人達は容赦無くこちらに攻撃を加えてくるのに、
こちらはそうするわけにはいかないのだ。
私達はそんな容赦無い攻撃を受け流し、耐え続けなければならない。
しかし時間が長引けば長引くほど私達が不利になる。よって迅速な行動が勝利の鍵。
「いけぇぇぇ!ミーシャぁぁぁ!」
仲間達の想いと供に私は空を翔ける。
・
・
・
「はぁ、はぁ…」
そうして私は対峙した…白き天使に。
「いえ、悪魔ね…」
その敵はにやりと微笑み
「あら、悪魔だなんてひどいわ…フフ…貴女と同じじゃ無いの…」
「形が同じでもその心は違う!絶対に!」
「そう…じゃあ身を心も同じにしてあげる…」
その笑顔が歪んだ。
「!?」
強烈な精神波が私を襲う。これが例の…ぐ…心が侵食されていく、頭の中が取り替えられるような感覚。
ぐちゃぐちゃにかき回されていく…今までの思い出…それがどんどん遠くへ行ってしまう…
ぐ、そんなの…あぁ…い、だ…めぇ…。
「ミーシャ!!!しっかりするんだ!!」
マスターの声が聞こえる。
「マ、スタ…」
「ほら、ほらほら…早く楽におなりなさい…」
あ、あぁぁぁぁぁ!一層精神波が強くなる。
「ぐ…、うぅぐ」
「ふふふ、がんばるわね?でも貴女のお仲間さんはもう私の友達になってくれたみたいよ?」
「え、まさか…ツヴァ、イさん…ドライちゃ、ん…」
抵抗を続けていたヴァッフェの二体は無残な姿になっていた。
装備を剥がされ、目を刳り貫かれ、腕はもぎ取られ…しかしそんな外見になっても立ち上がり、そしてこちらに銃を…
「そ、そんな…ぁが!」
パァン…パァン…
銃声が無数に響く。さっきまでともに戦ってきた仲間の銃弾が私に牙を向く。
「ぐ!あぁ、ぐぅあ!」
「ふふふふふふ…」
天使の象徴である翼には穴が開き。装甲がはじけ飛ぶ。
「く、ぬぅ…」
「あら、まだ動けるの?強情な子…じゃあもっと痛い思いなさい」
そう言うとその白き悪魔はそっとミーシャに近づく。
「ぐ!?あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
途端、腹部に激痛が走る。そして背中から青白い閃光がはみ出し、貫いた。
「がは、ぐぅあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「ほらほらほらぁ…どんどん深く刺さっていくわ…ふふふ」
「ふぁ、ぁが…ぐ…」
意識が遠のく…も、もう駄目…ま、ますた…ぁ。
「さて、そろそろお遊びは終わ…?…ちっ…もうそんな時間?」
と、急に攻撃の手が止まる。腹部に突き刺されたライトセーバーはその凶刃の展開をやめ、セイバー発生部まで体内に入っていた状態から一気に引き抜かれる。
「ぐはぁっっっ!!がは…うぐ…」
私はその痛みに耐え切れず崩れ落ちる。そして
「ぐぁっ!?」
ttp://www.uploda.org/uporg545267.jpg.html 頭部に衝撃。白い悪魔が私の頭を踏みつけていた。
「ふん、運が良かったわね…でも次は…それとももう怖くて外に出られないかしら?」
「ぐ、う…うぅ」
私は涙を流していた。恐ろしいほどの恐怖、そしてその恐怖に負けた悔しさでだ。
「まぁいいわ…覚えておきなさい…私の名前はセイレーン…無垢な神姫を幸せの世界へと誘う女神…」
「がはっ!…セ、セイレーン…」
そう言うとセイレーンと名乗った神姫は私の頭部を踏み台に高々と飛び上がり、消えていった。
動かない体、目の可動範囲のみで辺りを見渡す。残ったのは装甲や武器の残骸だけ…神姫と呼ばれていた者達は一体として残されてはいなかった。くっ…連れ去られたんだ…。
「み、み…んな…」
私のせいだ、私がちゃんと出来なかったから皆が…。
「う、うぅ…う…」
私は泣いた…泣き続けた。遠のく意識の中で最後に見たのは走ってくるマスターの姿。
私を抱きかかえるマスター。
「…っかりするん…!みー…ゃ!!…―しゃぁぁ…ぁぁ!!」
私の意識はそこで途絶えた。
復帰したのは二十三時間後になる。
・
・
・
キュウン…センサー起動、視覚正常、全システムオンライン。
「う、うん…」
私は重いまぶたを開けた。
「ミ、ミーシャァァ!!!!」
「やったな!!」
「ミーシャさん!!」
目の前にはマスターいえ、ご主人様…それに凪 千晶様とその神姫、十兵衛ちゃんがこちらを覗いて
文字通り三者三様の反応を見せていた。
「ご、ご主人様…凪様…十兵衛ちゃん」
「「「ミーシャァァァ!」」」
「ふえっ」
ご主人様が私を抱き寄せる。
「良かった…本当に良かった…」
「ご主人様…」
「良かったです!ミーシャさん!!」
「おう、ひやひやしたぜ」
「ご、ご心配かけて申し訳ありませんでした…」
「良いんだよ!ミーシャさえ無事でいてくれたら!」
ご主人様はさらに私をすりすりする。
「あ、有難うございます…で、でも…」
そう言うとご主人様の表情が暗くなる。
「ミーシャ…うん、そうだね…」
「皆は、皆はどうなったんですか!!」
「…残ったのは…ミーシャ…君だけだ…」
「そ…そう…ですか」
信じたくなかった。でもそれが事実…。
「ミーシャさん…」
「………」
そうしてご主人様は私を机の上にそっと降ろす。
「なぁ…凪…」
凪様の方を向くご主人様。
「ん?…なんだ?」
「…僕は、なんとしてもあの違法神姫を食い止めたい」
「あ、あぁ…そうだな…危険だなぁ…」
「頼む!!十兵衛ちゃんの力を貸して欲しい!!」
と頭を下げるご主人様。
「…」
無言の凪様
「え…」
驚き、口に手を当てる十兵衛ちゃん。
「ご、ご主人様…?」
「分かってる!自分が何を言ってるかは重々承知だ!でも頼れるのは十兵衛ちゃんしかいない!
あの神姫に対抗できるのは遠距離攻撃、それも超遠距離攻撃法を持った十兵衛ちゃんだけなんだ!!
頼む!!僕の友人達の神姫を救いたいんだ!!」
部屋の中に静寂…音で表すなら、まさしく「シーン」が相応しい。
「言いたい事はそれだけか?」
「…」
凪様の言葉は重く冷たい。
「確かにお前には感謝してる…。十兵衛の恩人だし、他の事だったら快く受けただろう
。でもこれは違う。十兵衛が今まで体験してきた地獄…それをしろと言ってるのと同じだ…」
「…」
そう、話によれば十兵衛ちゃんの前身は地下の違法バトル出身の神姫だという。そこで培ったスキルと眼帯に内蔵された超高性能カメラを駆使し、
この前の新人戦では新人の名に相応しくない圧倒的な強さを見せて優勝していた。
しかし十兵衛ちゃんはいつしかその地下での戦いを拒むようになり、ついに逃げ出したのだ。
「それに…」
「…」
「頼む相手が違うぞ」
「え…」
「戦うのは俺じゃない、十兵衛なんだろ?確かに俺はどちらかと言えば反対だ。
でも俺は十兵衛になら出来るんじゃないかと心のどこかでそう思っている」
「マスター…」
「だから…頼むなら十兵衛に頼め!俺は十兵衛の意見に合わせる…」
と背を向かれてしまった。
「凪…」
「マスター…」
「十兵衛ちゃん…」
「はい…」
「君の答えを聞かせてくれ…もちろん無理をする必要は無いし、君一人を戦場へ向かわせるつもりも無い…」
「黒淵さん…」
「…」
しばし静寂…。そして十兵衛ちゃんが口を開いた。
「良いですよ、やりましょう」
「じ、十兵衛ちゃん…」
「マスター!私やります!私もこれ以上皆が…ミーシャさんがこんな目にあうのは見たくありません!
それに私にしか出来ないなら!私がやるべきなんです!
私はこれまで地下で何体もの神姫を文字通り葬ってきました。
その罪を償うわけじゃありません…でも…せめて
…せめてこれ以上!神姫達やマスターの方々に悲しい気持ちになるのを黙って見ていたく無いんです!
お願いします!マスター!私に戦わせてください!」
十兵衛ちゃん…なんて勇敢な…その表情からは揺ぎ無い圧倒的な決意が見て取れる。
「…」
凪様は静かに振り向き
「よし、やっちまえ十兵衛」
とにやりと笑った。
「はびこる悪を正義の業火で焼いてやれ!」
「はい!マスター!!」
「凪…十兵衛ちゃん…」
「そういうことだ創。協力してやるよ」
「凶大な悪を打ち倒しましょう!!」
あ、あれ…なんでノリノリ?
「で、でも!」
思わず口が動く。だってもし失敗したら十兵衛ちゃんが!
「大丈夫ですよ…ミーシャさん」
「じ、十兵衛…ちゃん」
「大丈夫です」
にっこりと微笑んだ。悪魔型で、左目に眼帯をつけたその神姫の姿は
今までのどの神姫よりも天使に見えた。
・
・
・
さて、やっと俺達の出番か…まったく主役を蔑ろにするとは何事だ。
「まぁまぁマスター、良いじゃないですか」
「うぅむ…しかし…」
それにしても…まさか非公式なバトルをする羽目になるとは。しかもリアルバトルだ。
いや、バトルと言えるものなのかすら怪しい。
「大丈夫か?十兵衛?」
俺は不安になった。
「はい、怖くないわけではないですが…でも大丈夫です。もう私は一人ではありませんから」
「十兵衛…そうだな!」
とはいえいくら十兵衛でもファーストリーグランカーのミーシャでも敵わない相手を倒すことが出来るのだろうか。
確かにこの前の試合、
連勝街道まっしぐらなどこぞの金持ち坊ちゃんのやたらごちゃごちゃ武装したそいつの神姫を十兵衛は何食わぬ顔
(いや、実際はかなり怒っていたのだが)で撃ち抜いた。
その試合時間はわずか一秒。
この話は今思えばあまり思い出したくも無い、あぁなんか腹立ってきた…ま、まぁそのうち話すとしよう。
それはそれとして、とにかく十兵衛の戦闘スキルは特筆すべきものがある。だが…。
いや、待てよ…今回十兵衛がすることは簡単だ。
創達の神姫が囮となって引きつけている間に、十兵衛が超遠距離から目標を撃ち向く。
よく考えれば一番安全なのは十兵衛だ。十兵衛はひたすらチャンスを狙えば良い。
十兵衛に限ってチャンスを逃す…なんて真似はしないだろう。確実に初弾必中だ。
「うん、大丈夫だな…」
「はい!!」
「じゃあ行くよ。凪、十兵衛ちゃん」
創の準備が整ったようだ。
「おう」
「はい!行きましょう」
・
・
・
そして薄暗いワゴンの中。俺と創、その他のメンバーは数台に別れて車内に、十兵衛やミーシャ達は初期位置についていた。
「気分はどうだ、十兵衛」
「はい、大丈夫です」
・
・
・
ごぉぉぉぉぉぉっという音が相応しい風の音。
私は目標到達地点から程よく離れた6階の屋上に来ていた。
後ろには護衛としてヴァッフェバニーがいる。
「え、えと、本当にX2、X3さんで良いんですか?」
私は二人に話しかけた。
「ええ、構わないわ」
「大丈夫よ。X1…いえ、十兵衛さん」
なんでX2、X3なんだろうか。
「それはこの小隊が第X小隊。本来は存在しない小隊だからよ」
と、さっきX2さんが教えてくれた。
「でも、本当の名前とかは…」
「もちろんあるわ、でもそれは私達自身が分かっていれば良いこと」
「今回はX2、彼女はX3と呼んで頂戴」
「は、はぁ」
「そうね、この戦いが終わったら教えてあげる」
「わ、分かりました」
「ザ…気分はどうだ、十兵衛」
マスターの声だ。
「はい、大丈夫です」
「もうじき始まる。気を抜くなよ」
「はい!」
「絶対無事に帰って来い!」
「もちろんです!マスター」
・
・
・
漆黒の闇が訪れる…。
闇ととも現われるは、悪魔の歌声を持つ天使。
無数の操り人形を従えて、今日も舞踏会が幕を開ける。
殺戮と言う名の歌にのせて…。
闇、それを見つめる紅き眼差し、その目に映る悪を撃て。
「3・2・1・0!!作戦開始!!」
『ラジャー!!!』
「よし、X小隊展開開始!頼んだぞ十兵衛!X2!X3!」
「X1!十兵衛!いきます!!」
「X2了解!」
「X3了解!」
次回<凪さん家の十兵衛さん第6話『朝靄の紅眼』>ご期待下さい。
というわけであとがきです。
いやぁあまりにも長くなりそうなため、二つに分けまして5、6話となりましたorz
次回からが十兵衛の本領発揮です。
狙撃だけではない十兵衛の能力を御覧あれ!
ちなみに言わずもがな、金持ち坊ちゃんはあの兄弟妹の一人です。
しかし…試合時間が…い、一秒て…やりすぎ?
この話を書くときは戦闘以外を頑張りますorz
では。
友人に薦められたので「武装神姫」とやらを買うことにした。
既にその友人に代理で買ってもらっていたので今日受け取りにきた。
すぐさま自宅に直行する。
久々にワクワクが止まらなかった。
家のちょっとしたことでも手伝ってもらおう。
暇なときのコミュニケーション相手にもなるだろうし。
天使型って言うくらいなら家の空気を癒してくれるよな。楽しみだ。
そんな事を思いつつ箱を開けると、可愛らしいロボットが飛び出してきた。
「おっ。動いたな。」
目を閉じたまま天使が喋りだした。
「この度は、武装神姫天使型MMS、アーンヴァルをお買い上げ頂き、まことにありが…」
味も素っ気もないガイド音声が部屋に響く。
俺は全て読み上げられるまで何も聞かずに座って待った。
「それでは、ユーザー名と機体名の登録です。ユーザー名を入力してください」
よし来た。すぐさま入力する。
ユーザー名はミズキ、と。機体名…天使だからエンジェでいいや。
「登録完了いたしました。 それでは天使型MMS、アーンヴァル。起動いたします。」
ゆっくりと目蓋を開ける天使。今度は自分の意志で喋った。
「おはようございます、マスターミズキ」
「ん、ああ。おはよう。これから宜しくな。」
「これから宜しくお願いいたします。後、特別な事が無い限りマスターと呼ばせていただきます」
「うん、ok」
「それと言っておきますけど私すんごく落ち込んでるんです。」
何言ってるんだこの子。とりあえずロボットだし仕事でもさせるか。
「ん〜。えーと、それじゃあ気分転換に机の掃除でもしてくれるかな?」
「まあいいですけど。ハァー、何で私が起動してから早々こんなこと…」
エンジェがグチを言いながら机の上の片付けをしている間PCで登録情報を確認する。
何だコレ。ぜーんぜん天使って感じでは無いのだが。
「天使型… 型番0042356。エンジェ、と。性格は…」
性格 ネガティブ思考
「…これからコイツとうまくやっていけるのかな」
「終わりました。お礼は結構です」
机の上を見るとキレーに整理整頓されてる。ロボットだからこんなのはさっさと終わらせるんだな。
「あ、そう。ありがとう」
「他に用があるのなら言ってください。マスターのために適当に終わらしてあげますよ」
「いや、その辺で遊んでいなさい。」
「そうですか、じゃあ家の探索でもしてきます」
机の上からぴょんと跳んで俺の部屋から出た。トタトタと可愛い足音が聞こえる。
仕草が可愛くてもマイナス思考な性格じゃ。 そんな事を思いつつ自分の用事を済ませた。自分で。
用事を済ませて読書をしていると台所辺りから騒がしい音がした。
なんだなんだ? あいつ、台所からナベでも落としたか?
急いで台所に行ってみるとフライパンやら包丁やらが散乱していた。
「うわ。ヒデーな」
隅っこには震えているエンジェが。俺に気付くと俺にしがみついた。
「おいおい、何やってんだ」
「だって」 「だってじゃないよ」
「でも、うー。アレ。アレ。」
アレ? エンジェの指の先にはまな板の下敷きになったゴキブリが。
「なあエンジェ。ゴキ一匹殺すのに物を大量に投げる必要ないだろ」
「だって怖かった…もん」
へぇ、以外に可愛い所あるじゃないか。
目からビームでも出して害虫駆除してもらおうと思っていたけど、これは俺の仕事になるな。
「あー、わかった。後片付けは俺がしとくから。部屋でゆっくりしときなさい。」
「どうせ私のやる事なんて所詮こんなモンなんですね…ダメな奴だな私は」
また始まったよこの鬱気味トーク。
「はいはいさっさと部屋に戻ってろ」
「わかりました」
177 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/12(木) 03:31:29 ID:OF+h9rGU
無残にちらかった台所を黙々と片付ける。
仕事を増やすロボットなんて聞いたことない。あんなのだから許せるが。
あんなのだから許せる?そういえば俺ロボットのこと可愛いって思った?
この時神姫の事を愛してやまないオーナーの気持ちがほんのすこしわかった気がした。
ええ、でもほんのチョイです。
後始末を終えて部屋に戻る。まあ部屋じゃ何もしてないだろ。
ドアを開け部屋に入る。うん、何もしてない。
それどころか暴れ疲れたのか幸せそうに寝息を立てて寝ているではないか。
あーもう。あと少しだけ手伝ってもらいたかったのに。
「全く…ホラ」
ハンドタオルを布団代わりにしてくるんでやる。
「おやすみエンジェ」
ロボットにおやすみなんて言ったの初めてだな…
まあいっか。
以上です。
陳腐な文章に付き合ってくれてありがとうございました。
つうかSS書くなんて初めてです。
他の方よりもバンバン続けていく自信はありませんけど、これから宜しくお願いいたします。
途中でageてしまってすみません
179 :
主義 ・一:2006/10/12(木) 03:34:39 ID:PW99y1xp
やっと書き終わったわー。前スレ208です。
書いてる途中になぜかワードパットが消えてしまい、かなりの量を書き直すことになってしまいました。
まあ、書き直す前より良い文章になった(と思う)ので結果オーライとしましょう。
それでは、はじまりはじまり……。
「なんだこの人だかりは?」
行きつけのセカンドリーグ対戦スペースおよびオンラインアクセスポイントがある、自宅から二駅も
またいだセンター。
到着したマスターは、対戦スペースを囲む異常な数のギャラリーを目の当たりにした。
「試合が行われているようですよ」
マイティがコートの胸ポケットからひょっこりと顔を出す。
「マスター、スコアボードを見てください」
「ん?」
バーチャルフィールドの立体映像が表示されるドームスクリーンの天辺に、勝ち抜き数とその神姫の
総戦闘時間を表示する大きなスコアボードがついている。
対戦車は青コーナーと赤コーナーに分けられるが、ボードは今真っ赤に染まっており、数値がセカンドの
試合にしては異常だった。
「四十八人抜きか」
「おそらく再戦も含まれていますけど、それでも驚異的な勝ち抜き数です。時間も平均最低ライン以下を
キープしています」
「一人あたり一分弱だな」
セカンドでそんなことが起こる理由は……。と、マスターは見当をつけた。
「ファーストのオーナーが来ているのか」
ファーストリーグ、通称リアルリーグのオーナーたちは、千戦練磨、百戦常勝の達人がゴロゴロいる
と言っても過言ではない。武装神姫のオーナーをやっている人間なら頑張っていれば普通にセカンドへ
進出できるが、ファーストへはかなり特殊な場合を除いてそう簡単に上がることができなかった。
ちなみにリアルリーグと呼ばれるゆえんは、その試合のすべてがバーチャルではなく実際の戦場で
実際の神姫同士が(広義での)実弾を駆使して文字通りの死闘を繰り広げるからに他ならない。彼らは
総じて誇り高いが、その理由の一つが「実戦」である。
今また一人の敗者が天にそびえる赤い数字を増やした。
『試合終了。Winner,アラエル』
そしてまた、誇り高いはずのファーストリーグのオーナーがわざわざセカンド以下のセンターへ来る理由は、
一つしかない。
「弱いものいじめですね」
「反吐が出る」
マイティは思わずマスターの顔を見た。相変わらずの仏頂面だったが、マスターが悪態をつくのを聞いたのは
マイティにとってこれが初めてであった。
「マスター……」
「戦ってみるか」
「えっ?」
「別に叩きのめしてやろうってわけじゃない。まがいなりにも相手はファーストだ。彼らの強さを知っておくの
も良い勉強になるだろう」
「……」
「嫌か?」
「……いえ」
マイティはふぅ、とこっそり気合を入れて、言った。
「勉強させていただきます」
『バトルスタート,フィールド・山脈地帯04』
180 :
主義 ・二:2006/10/12(木) 03:35:32 ID:PW99y1xp
* * *
途方もなく広大なフィールドであった。四角い戦闘エリアの一辺が神姫スケール換算数十キロもあった。ヒマラヤ山脈もしくはアンデス山脈のような、地平線の先まで数千メートル級の鋭い雪山がそびえ立ち並ぶ
その戦場は、雲ひとつない青空が山々を壮大に際立たせる見ごたえたっぷりのヴィジュアルに反して、
かなり不人気な場所であった。
もしも地上戦用神姫同士でこのフィールドが選ばれたなら、戦闘の大半が互いの索敵に終始してしまう。
そして勝負は一瞬。出会い頭に撃ち合いが始まり、例外なく移動に著しく不便な地形であるから回避行動
ができない。動かない相手に先に致命判定の攻撃を送り込めるかどうかのみが勝負を分ける。
片方が飛行タイプの神姫なら、その時点で彼女の勝利が決定する。相手が山岳移動にあくせくしている
間に、上空から銃弾や砲弾や爆弾やレーザービームの雨あられを降らせてやるだけで良いのだ。もちろん
プライドにかけてギブアップするオーナーなどほとんどいないから、だいたい一方的な爆撃が始まり、そして
すぐに終わる。
このフィールドが自動選択された瞬間、ギャラリーはもちろんオーナーや神姫たちまでも、一様にブーイン
グを起こすかため息をつくことは間違いなかった。
ある一つの場合を除いて。
もしもこのフィールドが自動選択されたとき、対戦する神姫が、完全な飛行タイプ同士であったならば。
そして特に、お互いがまるで戦闘機のような高速巡航飛行機動を得意とする武装であったならば。
ポリゴンがマイティのバーチャルモデルを現出させる。
彼女の武装は一見特別なカスタマイズがしてあるように見える。
が、それらはすべからくノーマルなオフィシャルパーツで構成されていた。
マイティ自身はヘッドセンサー・アネーロと胸部アーマー、手首部分を除いてカサハラ製鉄製ヴァッフェ
シリーズのプロテクターやブーツを身にまとっている。左手首にはガードシールドを装備し、右手には主武装
としてSTR6ミニガンを携えていた。
特筆すべきは推進装置がすべてリアウイングに集約されていることだった。エクステンドブースターはもちろん
のこと、副推進器が内蔵されている本来は脚部を換装すべきランディングギアもウイングに取り付け
られている。ヴァッフェシリーズのすらすたーも貪欲に追加されている。
それはまさに推進装置のカタマリと言っても差し支えなかった。副武装に各種ミサイルも搭載されていた。
『今すぐアフタバーナーで巡航しろ。同時に最大出力で索敵開始』
「は、はい」
すべての推進器を一方向に向け、加速。同スケールで生身の人間ならば失神してしまうGが襲う。マイティ
はものともしない。アネーロと足裏に付けたヴァッフェシリーズのセンサーをめいっぱい稼動させ、索敵を始めた。
『センサーに集中しろ。この広さでは視覚は役に立たん。』
「了解」
マイティは目をつぶり、レーダーらの情報に頼り切る。
敵はすぐには見つからない。こう広大とあってはたとえレーダー、センサーを体中に付けても全域をカバー
することは不可能だった。
「まだ反応しない……」
高速で飛びながら、マイティは敵が見つからない不安が募るのを感じた。
思い返してみれば、いままではいつも対面した状態で戦闘が始まっていたのだ。「索敵する」といっても、
周囲のどこかに必ずいる相手を探すだけだった。
「どこにいるか分からない」敵を探すことは、マイティは初めてなのだ。
『うろたえるな。自分の装備を信じろ』
「はい、マスター」
今はマスターの声がありがたかった。
マイティは落ち着けと自分に言い聞かせ、索敵を続行する。
直後。
ビビーッ!
被ロックオン、いや、攻撃アラート!!
181 :
主義 ・三:2006/10/12(木) 03:36:49 ID:PW99y1xp
空の向こうの一点から、まばゆいレーザーが伸び、マイティの至近を撫で回した。
『低高度へ回避しろ!』
「くうっ!」
瞬時に体を反転させ、高速のままスプリットターン。みるみる山の斜面が接近する。激突の危険をはらみ
つつ、マイティは回避機動をとった。
しかし、レーザーは正確無比にマイティを追撃する。
「このままでは当たってしまう!」
マイティは一瞬の判断で、レーザー発射予測地点との対角線上に山を配する。つまり山頂より低高度を
飛び、山脈を盾にしたのだ。
『こそこそ隠れるつもりか、どノーマルめ!』
敵のオーナー、鶴畑大紀が嘲笑する。
彼の言うところの「野蛮」で「地上戦しかできない犬型」の神姫に屈辱的な惨敗を喫し、さらに眼帯を付けた
見た目ただのストラーフに戦闘開始たったの一秒で超長距離狙撃されこれも敗北した彼は、憂さ晴らしの
ためにここセカンドリーグのセンターへ来ていた。
そして並み居る挑戦者たちをなでるように撃破し続け、半ば公然と対戦スペースを一時間近くも占拠していたのだった。
『お前を倒せば五十人抜き達成で記念パーツが頂けるんだ。おとなしくやられろ!』
「誰がやられるもんですか!」
山の陰からマイティはミサイルを三発発射。
だが、ミサイルは山から飛び出た瞬間すべて爆発してしまう。
またレーザーの仕業!
マイティは山の陰からちらりと敵を確認する。
それは正に異形としか形容しようのない神姫だった。すべてのパーツがマイティの見たこともないもので
構成されていた。
一見鳥のようにも見えるが、小さな本体に比べ翼が異常に大きく、表面にはいくつもの眼球状のパーツが
配されていた。
非常に洗練された武装だった。まるでゴテゴテ装備で大失敗をやらかし教訓にしたような。
「て、敵を肉眼で確認しました」
『ドールアイを改造したセンサー兼用のレーザー発振装置だ』
あんなにいくつもある目玉から全部レーザーが出るなんて! あれじゃ死角なんてないし、「見られる」だけで
やられてしまうじゃないか。マイティはおののいた。
「マスター! あ、あんなの勝てません!」
『弱音を吐くんじゃない』
「でも、あれじゃあ山から飛び出した途端に撃たれます!」
『飛び出さなければいい。ひとまず山の陰に隠れながら可能な限り接近するんだ』
「うう……」
『マイティ!』
「……わかりました。やってみます」
マイティはそろそろとバーニアをふかし、敵の位置を確認しながら、山脈に隠れて移動しはじめた。
『あれがファーストの強さだ。装備の強さであれ戦術の強さであれ、強さには変わりない。』
「……はい」
『おれたちセカンド風情には一見完全無欠に見える。隙がまったく無い』
『いつまで隠れてるつもりだ!』
痺れを切らした鶴畑大紀は自分の神姫に命令する。
『ならば隠れるところをなくすまでだ。アラエル! 山を全部取っ払ってしまえ!』
「イエス、マスター」
まったく抑揚の無い声で、マイティと同じアーンヴァルタイプの神姫アラエルは答えた。
翼のすべての眼球がぎょろぎょろと動き始め、四方八方に次々と大出力レーザーを照射しだした。強力な
レーザーが山肌を切りつけると、瞬時に雪が溶け洪水が発生し、そこから上が崩れ落ちた。
『だが強さというのはレベルじゃない。カテゴリーなんだ。』
「どういうことですか?」
マイティの目の前をレーザーが横切る。面食らいそうになりながら、姿勢を整え、落ち着いて回避に専念する。
『弱点の無い強さはありえない。相手がどのように強いのかを判断し、弱点を探して攻めるんだ』
182 :
主義 ・四:2006/10/12(木) 03:37:57 ID:PW99y1xp
レーザーが止まる。アラエルの翼の目玉が役目を終えてぼろぼろとこぼれ落ちる。開いた穴の中から
代わりにいくつものミサイルがせり出してくる。
『さら地にしてしまえ!』
「イエスマスター」
そのミサイルを全方向へ射出。残った山のかけらを粉砕してゆく。
アラエルの周囲から勇壮な山々が消えうせ、代わりに雪解け水で構成された巨大な湖が出来上がった。
「武器がなくなった、吶喊します!」
マイティはアフターバーナー全開で突撃。撃てる限りのミサイルを発射する。
『待て、マイティ! 油断するな!』
『かかったな! アラエル、EMPバラージだ!』
「イエスマスター」
ミサイルがなくなった発射口からスピーカーのようなものがせり出す。
アラエルは大きく口を開け、
「キァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
金切り声を張り上げた。
「うああAアああアa亞あ!」
マイティに強烈な頭痛が襲いかかった。目の前に火花が飛びちる。ミサイルはすべてあさっての方向へと
飛びさり、自爆した。
『距離をとれマイティ!』
「ぐううう」
ハンマーで叩かれるような激痛にのたうちながら、マイティはバックブーストをかけ、ミニガンで牽制しながら後退。
だが、姿勢制御が上手くいかず、そのまま湖中へとダイブしてしまう。
湖の中は静かだった。
ここまではあの叫びも届かなかった。
「やっぱりだめだ。ノーマルの装備じゃ、あんなのには勝てない。どうしたって勝てない」
マイティは沈み続ける。浸水はしなかったが、このまま沈み続ければこのフィールドでは本来ありえない
エリアオーバーで負けてしまう。
だが、マイティはなかば諦めかけていた。圧倒的な戦力差であった。こちらの武装が一切通用しない、
強大な相手。
あれがファーストなのか。お金に物を言わせて強力な装備をしているからといって、それは言い訳でしか
ない。あいつは強い。強いからファーストにいるのだ。
エリアオーバーの警告が鳴り始める。
「私にあの装備があれば……」
マイティの口から気泡が漏れる、それは主人の代わりに力なく、水面へと浮き上がってゆく。
『聞こえるかマイティ』
マスターの声がする。警告にかき消されて、よく聞こえない。
「マスター」
絶望的な声で、応答する。
「だめです。勝てません」
それだけ言えばもう十分だった。ファーストとの決定的な差。十分勉強いたしました。
今回は、負けてもいいよね。
マスターは黙っていた。長い間沈黙していたような、マイティはそんな気がした。
『おれの好きな言葉がある』
うるさい警告をかきわけて、マスターの声がマイティに届く。
『装備の性能差は、戦力の決定的差ではない』
「……?」
『たしかに特殊装備は強力だ。が、そのぶん、構造がえらくピーキーなんだ。オレはそういうのは嫌いでね』
いつもは聞かない、マスターのフランクな口調。
マスターは言った。
『ノーマルな装備はな、絶対に主を裏切らない。』
「そのとおりでっせ、マイティ様」
唐突に別の声が聞こえた。
頭のすぐ後ろから。
「え?」
183 :
主義 ・五:2006/10/12(木) 03:39:21 ID:PW99y1xp
『おい、まだかよ! 見たろ!? 落ちたまんま上がってこないじゃないか』
『まだデッド判定はでておりません』
ジャッジAIは鶴畑の主張を一蹴する。
『くそ、こうなったらこの湖を干上がらせてやろうか……』
その時。
湖から相手のアーンヴァルが勢い良く飛び出してくるのが見えた。あの白い翼、間違いない。
『ハハハハッ! 進退窮まって単純に突撃してきたかあ? アラエル!』
「キァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
アラエルはもう一度EMPバラージを発する。
しかし、眼下のアーンヴァルは何事も無いように上昇し続ける。
『な、なんだと!? 一体どうしたんだ!』
アラエルは鳴き続けるが、一向に効果がある気配が無い。
ついにアーンヴァルがアラエルの高度に到達する。
しかし。
そこにあったのはアーンヴァルではなく、リアウイングのみであった。
『ばかな! アーンヴァルのリアウイングは単体で飛べないはず!? ……ん? なんだあれは?』
ユニットの中心に何か丸いものがあるのを見つける。
『…………んが!?』
鶴畑大紀は我が目を疑った。
「にゃにゃー」
シロにゃんがそこにいた。マオチャオのプチマスィーンズであるはずの
アラエルはごく自然に、リアウイングを飛ばすシロにゃんを目で追い続ける。
『バ、バカ、アラエル! そいつは囮(デコイ)だ!!』
アラエルははっとして視線を湖へと戻そうとする。
眼前に、副推進器を内蔵してあるランディングギアを履いたマイティがいた。
「プチマスィーンズの簡易AIに、EMPは効果がないようですね」
体当たり。
不意を突かれたアラエルは吹き飛ばされるが、すぐに態勢を整える。
『のこのこ出てきやがって。 アラエル! EMPバラージをお見舞いしてやれ』
アラエルは三度巨大な翼ををピンと伸ばし、口を大きく開ける。
しかし。
「キ」
と発した瞬間、翼のスピーカーが、というより、翼そのものが火花を散らしてバラバラに弾けてしまった。
『な、何ぃー!?』
「思った通り、脆すぎる。」
マイティはニッ、と笑った。
『な、なぜ分かった!?』
「そんな大きな翼を持っているくせに、発見位置からほとんど動いていないんですもの。強力な攻撃に
惑わされていたけれど、ついに弱点見たりです」
『よくやった、マイティ』
「えへへ」
『くっそぉおお!!』
鶴畑大紀は地団太を踏んだ。
『まだ勝負は終わってない!』
アラエルがなけなしのライトセイバーを構える。
「!」
マイティも右手首に装着してあったライトセイバーをそのまま作動。
『叩き潰せえぇ!!』
アラエルが残ったブースターで突進する。
「やあーっ!!」
マイティもリアウイングの再装着を待たず突撃。
二つの切っ先が交差する!
184 :
主義 ・六:2006/10/12(木) 03:40:10 ID:PW99y1xp
…………
同タイプであるため、一見どちらが雌雄を決したのか、誰も分からなかった。
左腕のガードシールドで防がれているライトセイバーがあった。刃の部分ではなく、柄を直接押さえている。
もう一方のライトセイバーは、見事に相手方の胸部を貫いていた。
貫かれた方のアーンヴァルが、ポリゴンの光と化して消える。
ジャッジAIが報告する。
「試合終了。Winner,マイティ」
歓声。いつまでもかれることの無い歓声が、センターを包み込む。
* * *
「マスター」
「……ん?」
帰路。いつの間にか雪が降り始めており、道路はもう真っ白になっている。胸ポケットに入ってコンビニで
買った肉まんをほおばりながら、マイティは言った。
「今日は、ありがとうございました」
「何が」
「相手がどのように強いのかを判断し、弱点を探す。そして、装備の性能差は、戦力の決定的差じゃない」
「そんなこと、言ったかな」
マスターは目を閉じ、微笑する。
雪は一晩中降り積もり、明日には銀世界が広がるだろう。
了
185 :
前スレ208:2006/10/12(木) 03:43:58 ID:PW99y1xp
以上です。今回は妙に張り切って書くことができました。
ちなみにこの戦いに勝ってもマイティはファーストに上がってません。
あくまでファーストレベルに勝ったという分のランカーポイント加算という按配です。
>>175 ネガティブ志向な神姫……。あなた新風を巻き起こしましたね。
え〜もうすでに容量が200kbを超えてるので驚いてます、
現在のログ分まで更新しました。
あと画像等も掲載。
(SS本文にくっ付いてるのはその位置にちゃんと新しいリンクを張っています)
なお、うちのSS投下が遠のいているのが現実です。
もうすでに2話分ほどのボリュームに・・・・・
とりあえず今日の夜に一気に投下しちゃいます。
いつもどおりの帰り道。
「静香……」
私はトートバッグのポケットから顔を出し、斜め上に見える主へと声を掛けた。
「なぁに? ココ」
戸田静香。
この私。武装神姫『ハウリン』タイプ、個体名ココのマスターだ。
いつも通りの帰り道。
いつも通りの静香の笑顔。
いつも通りじゃないのは、多分、私だけ。
「何か言いたそうね?」
どうやら、静香は全てお見通しらしい。
「どうして、マイティにライダーシステムを?」
多段変身装甲『キャストオフシステム』
超高速化駆動プログラム『クロックアップ』
ぷちマスィーン専用オプション『ゼクター』
そして全てを統括する『ライダーシステム』
どれもデータだけの代物ではない。バーチャルファイトの時にはポッドの中に
追加装備として一緒に設置する、紛う事なき現物だ。
マスクドフォームの追加装甲には制御用のぷちマスィーンが付き、裏にちゃんと
キャストオフ後の衣服が仮止めしてあるし、ゼクターには装甲とは別に専属の
ぷちマスィーンがわざわざ装着されている。
やろうと思えば、この現実世界でもゼクターを翔ばし、マスクドフォームをまとい、
キャストオフしてクロックアップまでできてしまうのだ。
それを作ったのは……そしてそんな暇なコトに手を出すのは……当然ながら我が主、
戸田静香しかいない。
「どうしてって……」
長く綺麗な黒髪をゆらりと揺らし、少しでも悩む素振りを見せるのかと思いきや。
「その方が楽しいから」
悩むどころか、静香は即答した。
「…………」
まったくもう、この人は……。
「っていうか、こんなもの独り占めしててもしょうがないでしょ。どうせ役に立たない
んだし」
「まあ、それはそうですが……」
私のいつもの変身もだが、一見強そうに見えるライダーシステムも欠点だらけの
システムだ。
クロックアップはAIやモーターに多大な負荷を掛けるし、キャストオフは普通の
装甲解除と何ら変わりない。むしろ二段目の装甲を付けている分、普通の装備よりも
はるかに重い。
ゼクターを担当するぷちマスィーンに至っては、武装どころか装甲板さえ付いて
いないのだ。その割には、ぷちマスィーンズの制御には私のAIの一部がしっかり
使われているわけで………これをリソースの無駄遣いといわずして、何と言おう。
マイティの戦闘スタイルに合わないと、マイティのマスターが渋るのも当然だ。
そもそも、アレに合った戦闘スタイルの持ち主というのが想像できない……って、
あれ?
「マスター。今、ライダーシステムを役に立たないって言いませんでした?」
しかも即答で。
「言ったけど?」
どうやら聴覚回路に異常はないらしい。
「それは、無駄という意味ですか?」
「まあ、そうなるわねぇ」
言語解析プログラムにも問題はないようだ。
「じゃ、何であんな物を?」
「だって、カッコイイじゃない。マイティちゃんも喜んでたし。それだけじゃ、ダメ?」
…………。
「そういうもんですか」
「当然でしょ?」
呆れ顔の私に、静香は極上の笑みを寄越してくれた。
市街の少し外れにある閑静な住宅地。
築二十三年の一戸建て。ローンがあと何年残っているのかは極秘事項なのでここでは
伏せておく。
ともかく、ごくごく普通の二階建て一軒家が、我が主の本拠地だ。
「ただいまー」
スニーカーを脱ぎ捨て、静香はひょいと玄関へ上がる。代わりに私がバッグから飛び
降りて、脱ぎ散らかされたスニーカーを揃えておく。
たんたんと軽い足取りで階段を上がり、そのまま二階の自分の部屋へ。私には階段は
少し大きいので、一段一段跳躍しながら後を追う。
静香は自室のドアを開け、そのまま中へと。開けっ放しのドアを閉めるのは、当然
ながら私の役目だ。
「……はぁ」
背中にバタンという音を聞いて、いつも通りのため息をつく。
目の前にあるのは、大きさが極端にまちまちな作りかけの服と、材料らしい布きれの
山。その隣にはプラスチックと工具がちょっとしたオブジェを作っていて、それに
埋もれるように手品やプログラミングの専門書が投げ出されている。
どこからか伸びてきて足元をウネウネと這い回る無数のコードの類は、部屋の隅に
あるテレビやパソコン、出しっぱなしの神姫のシミュレーターに繋がっていた。
畳敷きの床が見えるのは、着替え中の静香の足元だけ。
「やっぱ、家が一番だわ」
正直、ここからあの精巧な衣装が生まれるなんて、誰も信じないだろう。常に目の
当たりにしている私でさえ、いまだに信じていないのだから。
「ココも疲れた?」
履いていた細身のデニムを無造作に放り投げ、静香はTシャツとショーツだけの姿で
ベッドに腰を下ろす。
「私も疲れちゃった」
力なく、ばたんと横に。
「……疲れたのは良いですから、ズボンくらい穿いてください、静香」
「やぁよ。疲れたー。自分の部屋でくらい、リラックスさせてー」
リラックスし過ぎです、静香。
ゼクター二つと私の衣装の調整、突貫工事でしばらく夜更かしが続いてたのは知って
ますけど、仮にも女の子でしょうに……。
「ココがはかせてくれたら、はくー」
「神姫に着替えさせてもらうマスターがどこにいるんですかっ!」
ほら、こっちにお尻向けたって何にも出来ませんから。
「ここに一人……」
……いや、本気で勘弁してください。
「部屋を片付けろとは言いませんから……」
何というか、もう少し、ねぇ?
「えー? 部屋なら十分片付いてるじゃない」
「これで!?」
どう見ても、たまにテレビに出てくるゴミ屋敷と同じなんですが。
私が静香と出会ってからもう随分経つけれど、この部屋が一般論で言う『片付いた』
という状態になったのを見たことがない。
「ココぉ。片付けの定義は?」
静香の問いに、反射的に辞書ファイルを展開。回答を呼び出すまでに、一ミリ秒と
掛からなかった。
「乱れているものを揃えて、あるべき場所に整えること。整理とほぼ同義です」
私が一瞬で辞書を開けるのも、ひとえに内部のデータベースをこまめにデフラグしている
からだ。
「じゃあ、十分片付いてるじゃない」
「……乱れまくってるように見えるんですが」
布の山など、端切れなのか完成品なのか途中経過なのかそもそも材料の段階なのか
さえ分からない。
「あなたにはね」
「静香には分かるんですか?」
「あったりまえじゃない」
ベッドに寝ころんだまま自信満々の静香に、私は神姫用の服(らしきもの)を拾い
上げてみた。
「では、これは?」
「作りかけのあなたの新コスチューム」
「そんなもの作ってたんですか……」
後でこっそり捨てておこう。そう思いながら、今度は人間の服の袖らしき物を拾って
みる。
「では、これは?」
「あー。コニーちゃんに頼まれてた、防弾ジャケットだったかなぁ?」
「どう見ても人間サイズなんですが……」
ジャケットの格好をしていないというか、そもそも静香、こっち見てないし。
「いいじゃない。そんな細かいこと」
本当に整理されてるんですか、静香。
「要はあれよ。手の届くところに、ちょうどいいモンがあればいーのよー」
「そんなもんですか……」
「そうよ」
静香は足で毛布を器用に手繰り寄せ(足繰り寄せ?)、もぞもぞとその中へもぐり込む。
やれやれ。今のうちに……。
「あ。掃除するのは勝手だけど、ちゃんとエプロン付けてやりなさいよー?」
うわ見抜かれてる。
「でも、何故にエプロンを……?」
静香の部屋を掃除する場合、私のプラスチック製のボディに落ちない汚れが付く可能性は
限りなく低い。むしろ、布製のエプロンを付けて掃除すれば、エプロンが汚れてしまう
はずだ。
「ココは女の子なんだから、ちゃんとした格好しなきゃ」
……それ、今の静香にまるまるお返ししたいんですが。
「……却下」
また見抜かれた。
「じゃ、あたしちょっと寝るから、おかーさんがご飯って呼んだら起こしてね」
「……はいはい」
くうくうと寝息を立て始めた静香にもう一度ため息をつき。
「……お尻が丸見えじゃないですか、静香」
私は掃除と毛布の位置を正すため、エプロンとサブアームを取りに自分の部屋に戻るの
だった。
眠っていた私が目を覚ましたのは、あるはずのない明かりを感じたから。
「ん? 起こしちゃった? ココ」
夕方のだらしない声ではない。覚醒した静香の、柔らかく、優しい声が、私をふわりと
包み込む。
「いえ……」
時刻は深夜二時。静香はデスクの明かりだけを点け、何かの作業をしているらしい。
「何をしているんですか、静香」
こんな夜中にまで彼女が学校の課題に取り組むはずがないから、恐らくは趣味の何か
なのだろうけれど……。
手品から電子工作、裁縫からプログラミングまで、静香の趣味は広すぎて、何をして
いるのか見当もつかない。
さすがに気になったので、机の上に登ってみる。
「まさか、私の新コスチュームですか?」
布を私の指先ほどのサイズに折り、極小の裁縫コテで折り癖を付けていた。何事もない
ようにこなしているが、本来なら桁外れの集中と熟練が要される作業らしい。
らしいというのは、こんな作業を静香以外の人間がやっているのを見たことがないから、
なのだが。
「ゆかり先生に言われてた課題、忘れててね」
景山ゆかり女史。
服の作り方などを個人的に習っている、いわば静香の裁縫の師匠と言える人物だったはず。
「そうですか」
神姫サイズの服に、早着替えなどの恐ろしく込み入った仕掛けを施す静香が、師匠と
呼ぶ人物。
私は実際に会ったことがないが、静香以上に凄い人物なのだろう。
「夜更かしは体に毒ですよ、静香」
あと相変わらずのその格好も何とかしてください。
せめてパジャマくらい着ないと、風邪ひきますよ。
「んー。適当に切り上げるよ」
こちらを見ることもなく、ぽそぽそと呟く静香。これは、徹夜する気満々なポーズだ。
これで高校では品行方正、成績も上位に入っているというのだから、人間というものは
(というか、戸田静香という人物が)良く分からない。
「それでは、私は先に休ませてもらいますね」
このモードに入った静香を止めることは、私には不可能だ。
なら、私に出来ることはただ一つ。
明日静香がちゃんと起きられるよう、先に寝てしまうことだけだ。
「ん。お休み、ココ」
さしあたり、静香が風邪をひかないよう、エアコンのスイッチを点けると……。
「お休みなさい。静香」
私は、再び眠りに就くのだった。
おわりです。
静香は『強い』よりも『面白いor可愛い』に賭けてる人なので、クロックアップや
キャストオフもかっこいいだけで実用性は皆無だと思われます(ひでえ)。
ちなみにドキドキハウリンの変身ですが、セッティングに異様に時間がかかる割に、
こっちも見た目だけです(武装が変わるので、戦闘スタイルは若干変わります)。
恥ずかしがったココが手加減しなくなるので、攻撃力は格段に上がるようですが……。
三兄弟参戦やら何やらで相関図が大変なことになりつつあるので、こちらも近日中に
修正してアップします。
193 :
前スレ208:2006/10/12(木) 04:29:37 ID:PW99y1xp
>>186(リンのマスター氏)
更新お疲れ様です。確認いたしました。
新作二話分とは!うれしい悲鳴を上げられそうです。
>>192氏(ドキドキハウリンの中の人氏)
相関図の修正、お疲れ様です。
お二人とも凄いですわ…
またちょこっとだけお邪魔します、といいますかみなさん凄いです!
自分の作品がしょっぱくなるほどに|||orz
それにリアルのマイティと十兵衛、共にカッコイイです(*ノェノ)
うちのねこはまだ標準装備で(汗
えっと、今回のは前回の続き・・・というより補足みたいなものなので軽く読んでいただければ幸いです
本当は後でまとめて上げる予定だったけど、それだとここだけ浮きそうなので(汗
最後にチアキ氏、感想ありがとうございました。その感想内容で名前が決定致しました(何
こねこの飼い方・2
「んぅー、名前?」
「そそ、キミの名前何にしようかと思って、ね」
その娘は涙の跡を手でくしくしと擦りながら。
今は寝室から居間へと戻って、向かい合いながら座って改めて自己紹介の最中で
「あ、でも名前を名乗る時はまず自分からだよね、さっきはバタバタしてたしもう一度、
私は風見美砂、17の学生。呼び名は好きに呼んでいいよ。あ、ちなみに両親は海外出張中でこの家には私一人だけだから、
自由にくつろいでいいからね」
「はぁい、よろしくなの〜みさにゃん☆」
「にゃん……ま、まぁいいか、あはははは…」
ううぅ、その愛くるしい顔でにぱぁと笑われながら言われたら何も言い返せないよっ。
「で。本題なんだけどキミの名前は何にしようか、それとも自分で考えてみる?」
「うん、考えてみるっ♪」
目をくりくりさせながら元気よくバンザーイをして答える姿は、「おっ持ち帰りぃ〜♪」とか叫びだしたくなりそうで…何考えてるの私はっ!
なんて思ってると、う〜んう〜んと唸り出して考え始めたみたい。
ふふ、やっぱり可愛らしいなあ。口をツンと尖らして、顔まで真っ赤にしちゃって、そうそう頭から蒸気が・・・・・・え、蒸気!?
…バタ
「はぅぅぅ〜〜〜」
「ちょ、大丈夫!? あちっ!?」
この娘は目をくるくるさせながら大の字にひっくり返ってしまい、思わず抱き上げようと触れた途端その熱さにびっくりしてしまう。
うぅん、可愛いやら大変やら…、結局その後は氷のうで冷やしてあげて、
気がついたら壊れてないか調べたりとドタバタのうちに夜になってしまいました。
「みさにゃん…ごめんね」
「うぅん。謝らなくていいから、明日には元気になろうね」
ハンドタオルやレースのハンカチでとりあえず作ってあげたベッドに寝かせてあげると、多少落ち着いてきたようで、指で撫でてあげると
ゴロゴロと甘えた表情で指にじゃれてきて、こちらまで嬉しくなるような表情を見せてくれる。
「ね、やっぱり名前は私が…」
「あ、そうなの名前!名前ちゃんと考えたのっ。 …あのね、笑ったりしないで聞いてくれる?」
天使の笑顔を見せてくれるかと思えば、すぐにしょんぼりした顔になっちゃって、でもそんなこの娘が。
「絶対、キミが自分でつけた名前だもの」
そう、名前は自分の存在を示すもの。他の誰でもない1人だけの自分自身として。
「あたしの名前は〜<ねここ>、なのっ!」
こねこの飼い方はこれにておしまい。
ねここの飼い方になるのですから
壁|ω・) コソーリ
自力推進弾頭の総称がロケットで、その中でも「なんらかの手段で目標に向かって誘導されるもの」をミサイルと呼びます。
ドイツのV2がミサイルでなくロケットだったりとかね。
壁|三3 サッ
>>197 わざわざパスなんてかけないでくれ
見るのが面倒だ
アダルトだからしょうがない。
まぁ、別のあぷろだを使うのが最良だろうけど。
いやぁ〜ん!すげーえっちぃw
>197 GJ!
マイティちゃんや十兵衛ちゃんのリアルモードが見れて嬉しいですのだ♪
まとめサイトや相関図の中の人もお疲れ様です〜。 性格も鬱タイプやら無邪気系やら、
武装神姫の世界はどんどん広がりますねぃ。 皆様GJ。
…ところで…
>>198 マジでっ!? ぅあ〜、初バトルシーンで大チョンボですよ私。 コソーリ教えてくれてありがとう!
コンゴトモヨロシク!
>>197 この(スレの)速さなら言える…実は神姫の中でわんこが一番好みだったりする。
203 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/12(木) 15:01:52 ID:Lmzip4Il
うわ〜い、またSS大量投下だ!
>>160-163,196
(*゚∀゚)彡女子高生!めがね!
ねここ可愛すぎだ…♪
コニー「よかったな馬鹿ネコ、同類が増えたぞ。」
ジャロ「?? どうるいってなんなのだ?」
コニー「…友達って意味だよ。」
ジャロ「ともだち!?うっわーい!ともだちなのだ〜!!」
ヴェル「そこ!変なこと教えない!」
>>164-174(チアキさん)
十兵衛ちゃん、ハンターへの道へ?
続きがきになりますぞ!
あと、坊ちゃん2号秒殺ワロスwwwwwwwwwwwwwwwwwww
大紀「笑うなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
。・゚・(ノД`)・゚・。」
>>175-178 ダウナー系神姫登場ですか。
はっ…!矢車さん…矢車さんなのか!?(しつこい)
>>179-185 ここでも坊ちゃん2号が大人気ですねw
よかったな!
大紀「良くねぇよ!」
>>188-192 花も実もある女子高生が何てはしたない!はしたなすぎです静香さん!
も っ と お ね が い し ま す。
206 :
相関図:2006/10/12(木) 16:22:50 ID:6ZmHDReG
>>160 ほのぼのキター!
ああもう、ねここかわいいなぁ。このまんまお持ち帰りしたいですよ。
>>179 鶴畑三兄弟の超絶人気に全米が嫉妬した。
ttp://www.uploda.org/uporg545620.png.html あの三人を入れると相関図が大変なことになったので、全面刷新してみたり。
>>160氏、
>>175氏の名前も追加してありますが、私用の神姫名リストを兼ねて入れて
あるだけですので、深く考えずにいただけると幸いです。
ひとこといただければ、相関図から除外させていただきます。
あと相関図とは全然関係ないんですが……。
昨晩上げたドキドキハウリンのエロ差分があるんですが、うpしてもいいでしょうか?
エロパロスレでエロ出して良いか聞くというのも変な話ですが、今の雰囲気には
微妙に合わないかなぁと思ってみたり。
「ウチの娘とそんな18禁キャラをおつき合いさせるなんてけしからん!」
とかな意見があれば、出すのを自粛しようかと。
ちなみに男は出て来ませんので、補足までに。
やっと全部読めたー!
皆さん凄すぎで、神姫世界が自分の中でも構築されていくのが楽しいですね。
触発されて書けもしないのに書いちゃおうかなどと思っちゃうじゃないですか。
遅筆が祟って、ふと気が付けば第一弾が潰れている事にすら気付かない体たらく。
しかも無駄に長くなってしまって、もう何て言って謝ったらいいのか…。
興味の無い方は遠慮なく読み飛ばしてください。
バトルサービスA
「チッ、ピンチになるとは思っていたが…」
オーナーボックスで俺は呟く。
こんな事ならもっとバトルサービスを利用して、神姫に経験値を積ませて上げれば良かった……。
あの後ゲームセンターに着いた俺は、主催者に駆け寄って家の神姫を飛び入り参加させる事をどうにか取り付けた。
説得に梃子摺るかと思ったのだが、実は殆ど即決で時間が掛かっていない。
それと言うのも、例の神姫が暴れ続けている所為でその後の参加者の辞退が続出し、既にトーナメントとしての体裁が保てなくなってきていたからと、“誰でも良いからあの神姫を倒して欲しい”と言う周囲の期待が俺の白子と黒子に向けられたから。
準備が出来た二人は各種登録の後バトルジオラマへと入って行ったのだが、俺はこの後直ぐ、二人を連れてくるべきではなかったと後悔する事になる。
「黒k…じゃなかった。ストラ、ガードだ!」
俺の支持を受け、相手の攻撃に対してガードを固める黒子。しかしそのガードごと吹き飛ばされてしまう。
戦闘開始からおよそ1分。
既に白子も黒子も傷だらけになっていた。
「強い…です」
白子の呟きが聞こえる。
そう。相手は強かった。いいや、強過ぎだ。多分、強さとしての次元が違う。
相手のストラーフタイプは、武装にかなり激しい改造が施されていた。
一番に眼を惹くのは背部のアームマニュピレーターで、家の黒子と比べて太さが三倍以上ある。
只でさえアームマニュピレーターとの連携による戦闘力に定評があるストラーフだが、流石にここまでくるとその腕力は想像出来ない。
しかも、相手は改造した事で重量が増した筈の両腕を、家のストラーフに劣らないだけの速度と正確さで操ってくるのだ。
これでは実力的にも経験的にも、黒子が圧倒的に分が悪かった。
だが、残念ながら相手の強さの原因はそこだけではない。
素体が手に持つ巨大で長大な大鎌。ある意味ではそちらの方が脅威度が高いと言えた。
ブゥゥゥゥンッ!!
大鎌を一振り。
それと同時に、大鎌に内蔵されていたミサイルが一斉にばら撒かれる。
黒子はアームマニュピレーターで防御しながら廃墟に逃げ込み、白子は高度を取って避ける。
まただ。
また二人の距離を離された。
相手の持つ大鎌は、全長が優に30cmを超える化け物のような大きさを誇る上に、あらゆる部分に機能が仕込まれた万能武装でもあるらしい。
素体がそれだけの大きさの武器を振るえるのは、その為だけにスラスターが組み込まれているからで、それによって攻撃力までも上げている。
これの所為で黒子は接近出来ず、白子は内蔵された各種武装で迎撃されて回避を強制されていた。
本当なら2対1の戦闘のはずが、実質的には1体ずつ相手と戦っている事になっているのだ。
更に経験値の問題も大きい。
基本的に神姫はオーナーの指示を受けて動くが、一部の戦闘熟練者は長い間神姫と戦い続けた結果、指示を与えずに神姫自身の判断で行動させている場合もある。
これは指示と行動のタイムラグが無くなると言う点において非常に有効であったし、オーナーと神姫の実力を測る上での目安にもなっていた。
つまり、戦闘が始まってからまったく指示を受けていない相手の神姫は、オーナーの考えを正確に理解し、的確に行動に移せるだけの経験を積んで来たという事になる。
俺たちにしてみればそれだけでも致命的だし、しかも俺の神姫はバトルサービスを殆ど利用した事が無い所為で行動がかなり遅い。
俺の指示を受けてからでないと、どう行動していいのか分からないのだ。
歯を食いしばる俺は、向かいのオーナーボックスにいたオーナーと目が合った……気がした。
帽子を目深に被った小柄な少年…だと思う。見るからに余裕溢れる表情を浮かべ、あまつさえ悠然と腕を組んでいた。
チッ、と悔し紛れに心の中で舌打ち。
当然だが、流れは完全に相手に掌握されきっていた。
―続く
バトルサービスB
「せめて…せめて二人が同時に接近出来れば……」
無意識のうちの言葉が漏れる。
今の天地ほどにもある実力差では黒子だけを迂闊に近付かせる訳には行かないし、白子は回避に専念させられて援護が殆ど機能していない。
なら、せめて二人で肉薄して、遠距離兵装だけでも封じなければお話にならない。
それに近距離戦闘なら、相手も自らの豪腕を持て余すかもしれないのだ。
何よりこちらの“切り札”は、近距離でこそ、その真価を発揮する。
「ストラ、グレネード!アン、突撃!」
弾幕を盾にして白子を敵に近づけさせようとするも、よりによってグレネード弾が着弾する前に相手が大鎌に内蔵されたバルカンで迎撃。
白子と黒子の間に煙が舞い上がる。
しまった!白子はもう突撃を始めているのだ。
「白子!やっぱり止めr…」
俺の制止は間に合わず、煙に突っ込む白子。それを確認した相手は、大鎌を構えて白子を待ち構えている。
煙から出てきた白子を襲う死神の大鎌。
だが、幸か不幸か相手の攻撃が届く瞬間、低く飛び過ぎていた白子の脚部が地面に当たってバランスを崩す。そのお陰で結果として相手の攻撃をかわす事が出来た。
無理な体勢から強引にハンドガンとマシンガンの引き金を引く白子だったが、勿論、相手の影にすら当たる事は無い。
そのまま相手を通り過ぎ、丁度黒子と挟み合うような形になる。
しかし上手くフォーメーションが組めない以上、これは単に戦力が分散されただけだ。
ピンチな状況は全く変わっていない。
俺は次の一手をどうすれば良いのか、分からなくなっていた。
私のマシンガンを避けた相手は、腕を振り回す遠心力でその後の黒子ちゃんのグレネードまで避けて見せた。
凄い。
純粋にそう思ってしまう。
そんな考えに現を抜かしていた私は、相手の放ったミサイルに気付くのに遅れてしまった。
避けられない…。
硬直する身体を動かそうとするけれど、まるで凍ったかのように身体は動いてくれない。
ご主人様が何かを叫んでいる。
でも、混乱していた私はご主人様の声が良く聞こえなかった。
ゴメンなさい、ご主人様。
ミサイルが目前まで迫った時、横から衝撃が来た。
ビックリして見ると、黒子ちゃんが私を抱えてまま落ちている。ビルの壁を駆け上って、私を助けてくれたんだ。
ブースターを使って姿勢制御。けれど勢いを完全に殺し切れず、倒れこむように着地した。
「あ…ゴメンなさい、黒子ちゃん」
「それはいいから!ッ、来る!!」
黒子ちゃんにそう言われて、分かった。
相手が大鎌を振り上げて、私たちに向かって突撃してくる。
黒子ちゃんは急いで立ち上がると、私の前に出た。
空中戦用の私の脚部は、飛行に関係の無い機能は必要最低限の物しか備わっていない。
敵の前に立つ事で、黒子ちゃんは私が立ち上がるまでの時間を稼ごうとしてくれているのだ。
相手の攻撃に防戦一方の黒子ちゃん。私も急がなきゃ。
接地面の狭い脚部に加えて、重量の大半を取っているフライトユニット。“立ち上がる”のに時間が掛かるのなら……。
ブースターを使って、立ち上がるのではなく一気に飛び上がる。
改めて地上を見ると、黒子ちゃんがさっきと比べて少しだけ相手に攻めるようになっていた。
敵の攻撃の隙間から、マニュピレーターを強引に捻じ込むように突き立てる。
私も頑張ろう。
ハンドガンとマシンガンのマガジンを取替えて、黒子ちゃんの援護に入る。
相手から近付いてくれたこのチャンス、活かさなきゃ!
ご主人様も黒子ちゃんを助けるよう、私に指示をくれた。
始めからそのつもりです、ご主人様。
何より、私にとって姉妹も同然な存在を、たった独りで戦わせない!
―続く
バトルサービスC
相手が強いのは最初の一撃で分かった。
けれど、まさかここまで実力差があるとは思わなかった。
相手は私と同じストラーフ型。けれどあのアームマニュピレーターは異質過ぎる。
その腕力は文字通り化け物じみていると言って良い。
私の渾身の一撃を受けても怯む事はなく、逆に不利な体勢を気にする素振りすらせず押し返された時はあるはずも無い肝を冷やした。
そして現在、偶然とは言え近接格闘戦へと突入した私は少しずつではあるが、確実に相手の攻撃を見切り始めている。
豪腕が揮われ、同時に大鎌が迫る。
私のアームマニュピレーターではどちらも止める事は出来ないし、防御した所で無駄だ。かと言って飛び退く事は出来ない。この距離、相手の遠距離武装を封じ込める距離を死守しなければ!
遠くにマスターの声が聞こえる。
私を心配してくれている声。
慌てて、必死になって、まるで小さな子供を想う親のような声。
でもスミマセン、マスター。
今は退く事は出来ません。
一歩踏み込んで、更に相手との間合いをつめる。
触れ合いそうになる距離。
私自身攻撃出来ない代わりに、相手の攻撃も空を斬る。
相手のアクションよりも先に行動を開始。後ろに回りこむ。
だが、相手のアームマニュピレーターが迎え撃ち、後ろにいるとは言え私に攻撃をさせてくれる気は無さそうだ。
間合いの内側にいる事で何とか捌く事は出来るが、これでは先程と状況が殆ど代わっていない。
しかも悪い事に、私が後ろに回りこんだ事で素体自身の束縛が無くなり、空中の白ちゃんに向かって迎撃の再開を許してしまった。
判断ミス。
そう思った瞬間、相手のアームマニュピレーターの拳が私の腹部を捉える。
充分に伸ばしきれていない攻撃の為、戦闘不能にされる程のダメージは無いが、景気良く吹き飛ばされてしまい折角詰めた相手との距離が離されてしまった。
見ると、白ちゃんも避け切れない攻撃があったらしく、私と反対方向で地面に膝を着いている。
状況は全て振り出しに戻った……否、酷くなってしまった。
どうする…?いいえ、どうできる?
自分に向かって問うが、今の私たちに取り得る術は、あまりにも少な過ぎた…。
―続く
バトルサービスD
分の悪い賭けは嫌いじゃない。
何処かの誰かがそう言ってたが、俺としても同感だ。
だが、その賭けに家の可愛い神姫を巻き込むつもりは無かった。
けれど既に四の五の言っていられる状況ではなくなり、分の悪い賭けに縋るしかなくなっている。
ヤバイ。
気付くと頬の内側の肉を噛んでいた。
改めて現在状況確認。
白子は相手のミサイルの爆風に巻き込まれて地に膝を着いている。ステータスを確認したが、幸い大したダメージではない。
黒子の方はそれよりも被害が大きく、蓄積ダメージが60%を突破してしまった。特に背部のアームマニュピレーター基部に負担が掛かり過ぎている。
無理な機動の繰り返しと、今受けた攻撃の衝撃を少しでも吸収する為に、地面に倒れる際の衝撃吸収に用いたのが効いたみたいだ。
これ以上時間を掛けていられないが、相手に有効な攻撃を与えられないのではどうしようもない。
一旦相手との距離をとるよう二人に指示を出す。
八方塞も良い所だ…。
その場凌ぎの指示を出して耐えるのも、限界に達しようとしている。
突破口を…何か突破口を……。
焦っている所為か、思考がループし続けている。
糞、白子も黒子も懸命に戦ってるのに、俺は何て体たらくだ!
発作的にオーナーボックスの壁を叩く。畜生。痛いっつーの。
つい苛々を相手ではなく、物にぶつけてしまった。見れば、少し罅が入って破片が落ちている。
と、ふと考えが浮かぶ。
これは……もしかすると、直接相手にダメージは与えられなくても、不意を衝く位は出来るんじゃないだろうか?
決して頭の良い考えではないが、やって見る価値はあるし、もう俺達には選択する権利が無い。
出来る事なら、何でも良いからやらなければならないのだ。
即座に俺は、インカムに向かって今思いついた『考え』を神姫に伝える。
紙一重で相手の攻撃をかわし続けていた神姫たちは、それでも精一杯の元気な声で俺の考えに賛同してくれた。
分の悪い賭け……今はそれに頼らなければならない自分が歯痒い。
―続く
バトルサービスE
ご主人様の考えは、確かに今までの闘い方とは違うものだった。
何より、イキナリそんな攻め方をされれば誰だって最初は驚くはず。
ご主人様は、その『最初の驚きに賭ける』と言っていた。
なら、私達はご主人様の期待に応えるだけ。ううん、応えてあげたい。
黒子ちゃんと目線だけでタイミングを合わせて、一気にゴーストタウンの路地裏に入る。
入り組んだ建物の所為で高度が制限されるけれど、そのお陰で近づけた黒子ちゃんと大まかな作戦を決める事が出来たのは嬉しい誤算。
相手はこちらの思惑通り、後ろから猛烈な勢いで追跡してくる。
今度こそ、確実に相手に近づかなくちゃ。
ロックオン。ただし、目標は敵じゃなくその上の建物に向かって。
ハンドガンとマシンガンの残弾は完璧。あとは私たち次第。
黒子ちゃんと肯きあった後、私は引き金を引いた。
ハンドガンとグレネードの弾を全て吐き出した刹那、瓦礫と煙が狭い路地に充満する。
煙に紛れての突撃。けれど、先程の白ちゃんとは違い、上空から敵に向かって舞い降りる。
マスターの考えは単純明快で、『瓦礫と弾着の煙に紛れて接近』と言うもの。
実力的にも状況的にも私たちだけでの接近が無理なのだから、周囲にある物を利用しようというのだ。
私たちはより高い確率でそれを成功させる為、狭い路地に入る事で回避を防ぎ、瓦礫を降らせる事で相手のアームマニュピレーターと大鎌の動きを妨害。
そうした上で煙に紛れて上空から一気に敵の間合いの内側に飛び込む。
幸いにしてこちらの予想通りに事が運び、煙が晴れた時、私と白ちゃんは相手を挟み込むようにして立ってられた。
相手の驚いた顔が見える。
これを最後にしなければならない。
あともう少しだけもって。私のアームマニュピレーター。
―続く
バトルサービスF
ようやく………ようやく二人揃っての近接格闘戦に突入出来た。
何時の間にか溜め込んでいた息を、ゆっくりと吐き出す。
目の前で繰り広げられている戦闘は、既に白子と黒子が主導権を奪っていた。
今まで出来なかった鬱憤を晴らすかのように、怒涛のコンビネーションで相手を攻め立てる二人。
互いの隙を補い合って、相手の攻撃から互いを護り合って、相手の動きを封じている。
これなら“あの機能”を使わなくても済むかも知れない。
そう思わせるほど二人は完璧だった。
「ん?……完璧?」
さっきまでの劣勢を逆転出来たお陰で余裕が出たのか、ちょっとした事に疑問が湧く。
どうしてバトルサービスを殆ど利用した事の無い白子と黒子が、何の打ち合わせも無くあそこまで淀みの無い連携が取れるのだろう?
別段二人は戦闘に慣れてる訳でもないし…。
「あ、そっか」
ポン、と手を叩く。
多分アレだ。“ごっこ遊び”だ。
二人はバトルサービスでの戦闘経験が少ない代わりに、家で散々ごっこ遊びに興じていた。
その間に通常の神姫が本来なら戦闘で蓄積する筈の経験値を、遊びの中で幾許か得たのではないのだろうか?
「もしそうだとしたら、その幸運に感謝しなくちゃな」
但し、勝った場合に限るけど。
ジオラマ内では、白子と黒子の激しい攻撃が続いている。
私のライトセイバーをかわされたけど、黒子ちゃんが持つアングルブレードが敵のアームマニュピレーターを強かに叩く。
素体には全くと言って良いほどダメージを与えていない代わりに、少しずつ相手の武装にダメージを与え続けていた。
それが、私と黒子ちゃんが戦闘開始前に決めたルール。
行動不能にするのではなく、戦闘不能にする事。
きっと素体を狙えば何の気兼ねもなく攻撃出来るだろうし、そうすれば今までしてきたような苦労の何分の一かで済むのかも知れない。
でも、そうしたら…幾ら構造自体に深刻な損傷は与えなくとも、メンテナンスセンターに行かなければならないほどのダメージになってしまう事は容易に想像出来る。
そうなれば、私達は相手と同じになってしまう。
それだけは嫌だった。
ご主人様が嫌悪に顔を歪めるような相手と、同じになるのだけは避けたかった。
これは別に博愛の精神ではない。慈愛の心からではない。
ただご主人様に嫌われるのが、それだけがたまらなく嫌だった。考えただけで、涙が出るほど怖くなった。
それに、私も黒子ちゃんも相手が許せなかった事も理由にある。本当は、ここに来るまで説得出来れば良いなと思っていた。黒子ちゃんもそうだったみたい。
でも、相手を実際に見た瞬間、解ってしまった。
相手はただ、命令を遂行していただけなのだと。
そこには何の理由も無く、ただ命じられたから傷付けたと言う事実しかなかった。
許せなかった。許したくなかった。
私達神姫は、皆同じはず。倒しても良い神姫も、倒されても良い神姫もいないはず。
絶対にそんな事は無いけれど、仮にご主人様がそう命令しても、私はそんな事はしない。したくない。
痛いのは与えるのも受けるのも嫌だから。
だから私達は相手を許したくなかった、解っていて傷付ける相手を、何が何でも絶対に攻撃不能にしなければならないと思った。
戦闘不能にはするけれど、絶対に破壊なんてするもんか。
それが私と黒子ちゃんが決めたルール。
心の中で改めて決意を固める。まだ敵の武装は健在だ。
―続く
バトルサービスG
違和感を覚える。
これだけ攻め続けているのに、相手からは感じる焦りがあまりにも少な過ぎだ。
このまま行けば相手の敗北は確実な筈なのに、それからくる焦燥や重圧が殆ど感じられない。
むしろ、何かを狙っているようにも見える。
私の中の何か…本能……否、カンに近いものが囁いている気がして仕様が無い。
一刻も早く止めを刺したいが、生憎未だ敵の武装は健在。どうやったとしても押し切るにはもう少し時間が掛かる。
今は白ちゃんと連携を組んで相手を圧倒出来ているが、悪い事に、どうやら相手はこちらの動きを見切り始めたらしい。
さっきの私がそうだった様に、同じ神姫同士、見切りの速さも同じという事か。
ここが切り札の切り所かも…。
そんな考えが頭に浮かび始めた時、相手の様子が一変した。
今まで防御に専念していたアームマニュピレーターの動きが活発化。こちらに攻め込み始める。
狭い路地だがそれらを考慮に入れて、加速度的に動きが様になってきた。
今の状況に適応した?
短い時間で私はそう結論付けたが、それは誤り。
後になってマスターに教えてもらうが、この考えは正確には大部分が正解で、極一部分だけがまったくの見当違いであった。
更に相手の動きが速くなる。幾ら状況に適応したとは言え、一体この速さは何?
気付けば私達の行動は、攻撃よりも防御が多くなっていた。
逆転に次ぐ逆転。
主導権が相手奪われる。
路地裏から徐々に表通りへと戦場が移っていく。
驚いた事に相手が二人と戦いながら、表通りに向かうよう仕向けていた。
何て奴だ。
二人揃っての近接格闘戦に突入出来た事で、少なからず勝ったと思った自分が恥ずかしい。
相手は大鎌で防御しながらアームマニュピレーターで攻撃。ただ、どちらかと言えば腕を大振りする事で、二人が体勢を崩さざるを得なくしていると言った方が正しいか。
道理であっと言う間に表通りに誘導出来た訳だ。
今や戦場は、完全に元の表通りに戻っている。
それにしても相手のアームマニュピレーターの攻撃速度は何だ?異常過ぎるぞ。
敵に必死に喰らい付く二人だが、ここに至って状況がより悪くなろうとしていた。
こちらにも未だ隠した切り札があるように、相手にも奥の手があったのだ。
一瞬、相手が攻撃の手を緩める。
大鎌から眼晦ましの煙幕が噴出。同時に距離を取られるのを嫌った二人がそこに突入する。
まずい!
こちらの制止を無視して煙幕に消えた二人。
少しは言う事を聞いてくれ……。
間も無く、凄まじい金属音が聞こえてきた。煙の中で戦闘が続いている。
何処からともなく吹いてきた風が煙を徐々に消していく。
最初に見えたのは白子の顔。何かに驚いたような顔をしている。
次に見えたのは黒子の顔。眉根に皺を寄せ、歯を喰い縛っていた。
二人とも、相手のアームマニュピレーターと鍔迫り合いの状態だ。でも、何かおかしい。
煙が完全に晴れる。
「?!」
声を出す事も忘れてしまうほどの衝撃を受けた。
二人と切り結んでいる相手の様子が変わっている。
問題は相手の一番目を惹いていた武装、極太のアームマニュピレーター。事もあろうにそれが展開し、片側で三本、計六本の腕となっているではないか。
良く見ると白子と黒子一人ずつが、各三本のアームマニュピレーターと鍔迫り合いをしている。
「3対6腕……だと…」
まるで阿修羅像のようなシルエットに変わった相手。
何時の間にか大鎌を手放しているのは、多分自身のアームマニュピレーターとの干渉を防ぐためだ。
敵の猛攻が再開される…。
―続く
バトルサービスH
ストラーフタイプの常識を否定するかのような攻撃速度と攻撃精度。
身体の向きそのものを変えながら、舞うように、まるで優雅なステップを踏むかのように廻りながら攻め立てる相手。
可動肢が増えたにも拘わらず、その勢いは今までの比ではない。6本のアームマニュピレーターがそれこそ一部の隙もなくただただ正確無比に動く様は、流石に恐れを喚起させる。
否、それはダメだ。白子と黒子が闘い続けている以上、俺が恐怖に縛られてどうする。
頭を振る。
役に立たない俺だが、それでも何とかしなくちゃいけない。
見つけ出せ……気付け……何か、何か対抗手段がある筈だ。
厳密に言うと、対抗する為の切り札は……ある。だが、幾つかの問題がある上、止め用にと温存している為迂闊に出す事は出来ない。
それに、“あの機能”は使用するのにどうしても一拍の間が必要になる。
今の状況では、天地がひっくり返っても使用する事は出来なかった。
白子のライトセイバーと黒子のアングルブレードを、6本の内4本の腕を回転させる事で払い、逸らし、そして防ぐ。
残り2本の腕が二人を襲うが、運の良い事にあまり勢いが乗ってない事もあって、どうにか回避出来た。
アームマニュピレーターが増えた事で、特に防御能力が図抜けて高くなっている。
幸運だったのは防御能力と比べて攻撃能力は目立って上昇してはおらず、そのお陰と言うのも変だが、何とか二人は相手の攻撃を掻い潜りながら近接格闘を続けていられた。
しかし完全に相手ペースであったし、こちらの攻撃1発に付き相手からの反撃が3倍となって帰ってきている。
勝敗が決するのは時間の問題かもしれない。
―続く
バトルサービスI
決定的な突破口を発見したのは、単純に偶然と言ってもいいだろう。
相手の動作の基本が独楽の様に廻、身体の向きを変える事だと知ったのは白子と黒子が同時に突き出した攻撃を、激しく回転する事で防いだ事で分かった。
注意して見ていると、あらゆる行動に円回転が見られる。
少し前に二人の攻撃がアームマニュピレーターを回転させる事で防がれたが、それはあの時だけそうしたのではなく、どうやらそうする事が防御動作として予め定められていた可能性が高い。
そう思ってみると、相手のアームマニュピレーターの挙動のどれもが一定の法則に従って動いているように見えてきた。
振り下ろされた攻撃に対する動作、横薙ぎに振るわれる攻撃に対する動作、敵の攻撃前の隙を突く動作、敵の攻撃を防いだ後の隙を突く動作。
色々とあるが、その全てが必ず同じ動作をしているように見える。否、していた。
速度と精度はあるが、あまりにも機械的な動き。
「そうか…そうだったのか……そうだったんだ」
敵が6腕になる前、狭い路地で急に動きが活発化した事を思い出す。
“あれは自分の意志じゃなかったんだ”。
多分、あの時と今とは、素体自身の意志でアームマニュピレーターを動かしているわけではないと思う。
確かストラーフタイプは他の神姫と違って武装の制御系の内、アームマニュピレーターの制御関係だけが独立していると何かの雑誌で読んだ事がある。
流石にあのサイズに搭載できるコンピューターに、複雑で柔軟な動きが可能なアームマニュピレーターの制御を一緒くたには出来なかったとか。
その為、頭部の別スペースに専用の制御領域を設けてあるらしい。
つまり、相手はアームマニュピレーターを増設する事までは出来たのだが、それを素体の意志で操らせる事は出来なかったのではないか?
そこで、必要最低限の指示と『状況・条件に合わせた自動行動』を取らせる事で、6本の腕を実用レベルにまで持っていったのではなかろうか?
確認する暇は無い。俺は推察である事を強く強調した上で、自分の考えを二人に教えた。
考えを伝えた瞬間、ストラーフのバイザーに付いている板状のパーツ―放熱板―が一気に展開する。
あれは大容量の情報分析を行う時に効果的な頭部冷却を可能にする為に俺が追加した機能であり、恐らく白子は敵の状況に合わせた各種行動分析を開始したのだろう。
なら……
「白子…じゃなかった、アン、回避優先!ストラ、攻めまくれ!!」
分析の為とは言え距離を取る訳にはいかないので、白子には徹底した回避を指示。それによって生じるであろう隙を敵に突かせないために、また、黒子に攻撃させる事でより多く敵の行動データを得るために、黒子には遮二無二攻撃するよう指示する。
敵の攻撃を回避しながらその一挙手一投足を用心深く観察し、リアルタイムで統計を取って分析する白子と、そんな白子から少しでも自分に注意を向けさせようと多少なりとも強引な攻撃を繰り出す黒子。
白子も黒子も既に蓄積ダメージがレッドゾーンに突入している。
厄介な事に白子は推進剤が心許無くなっているし、黒子は先程も問題になったアームマニュピレーター基部の負荷が無視出来ないレベルになっていた。
チャンスは一度。それを逃せば、待っているのは敗北だけ。
まるで台風の目の中で抗い続けているような、そんな果ての見えない戦闘。
それでも二人の目には諦めのあの字も映っていなかった。
白子は攻撃を紙一重、間一髪で避け続け、黒子は相手の攻撃を半ば無視し、強引に攻撃を続ける。
この状況で一進一退の拮抗状態が形成され、お互いに後が無くなっている。
どちらも切羽詰った状態なのに変わりないが、残された戦闘可能時間が少ない分、こちらの方が危険だと言えた。
無理を承知で急いでくれと、心の中で二人に願う。
―続く
バトルサービスJ
・分析
状況分析・・・終了
分析結果・・・処理完了
分析結果転送対象設定・・・MMS TYPE-DEVIL "STRARF" 『黒子』
分析結果転送方法設定・・・有線転送
・機能選択
○通常
○戦闘
●例外―カウント120 承認確認済み 起動準備良し 起動開始まで60秒
・警告事項
※現在選択中の機能は戦闘用ではありません※
本体蓄積損害84% 即時戦闘停止の必要性あり 整備の必要性あり
推進剤残量30% 例外時全力飛行可能時間1分11秒
ここに至るまでの時間が無限にも感じられた。
あの嵐のような攻撃の中、やっとの思いで分析を終える。
分析結果を組み込んだ瞬間、私の見る世界が変わった。
見える。
敵の攻撃が解る。
素体自身が操作していたのなら話は別だが、状況に合わせた行動しか取れない自動行動なら読み切れる。
私が私自身にコマンドを入力。これで準備は整った。
黒子ちゃんの後ろに回り込んで、互いの項を有線で接続。情報転送を開始。
その間は私が黒子ちゃんに指示を出しながら、相手の攻撃を全て避けきって見せた。
ご主人様の驚く顔が視界に入る。
違いますよ、ご主人様。私の力なんかじゃありません。幸運なんかじゃありません。ご主人様が必死に見つけて、手繰り寄せてくれた勝利の鍵です。
この瞬間まで私達を信じてくれてたんだから、今からの勝利はきっと『当然』になります。
僅かの間黒子ちゃんの瞳が虚ろになる。分析情報を組み込んでいるからだ。
そして瞳に輝きが戻った時、黒子ちゃんは私と同じ世界を得た。
私に向かって、素体とアームマニュピレーターで同時にサムズアップ。黒子ちゃん、格好良いよ。
肯き返して有線接続を解除すると、黒子ちゃんは凄い勢いで敵に向かって行った。
私も敵に攻撃を再開する。
例外起動まで残り30秒。
―続く
バトルサービスK
・受信
情報受信・・・許可
情報送信元・・・MMS TYPE-ANGEL "ARNVAL" 『白子』
情報送信方法・・・有線
情報受信完了・・・情報更新・・・完了
簡易再起動・・・完了
・機能選択
○通常
○戦闘
●例外―カウント120 承認確認済み 起動準備良し 同調起動開始まで30秒
・警告事項
※現在選択中の機能は戦闘用ではありません※
本体蓄積損害93% 即時戦闘停止の後情報保存の必要性あり 整備の必要性あり
サブアーム基部負荷許容値残り14.58% 例外戦闘時耐久可能攻撃回数右-1 左-2
マスターが見つけてくれた光明が、白ちゃんの手によって確実になる。
今度は私達の切り札を相手に見せる番。
マスターからの承認を確認し、起動開始まで待つ。
その間も相手の攻撃に晒される事になるが、白ちゃんからの情報のお陰で最早それは脅威足り得てはいない。
自動行動であるが故の隙間が判る。
こちらからは攻撃を仕掛けず、敵の攻撃を回避する事で自分の立ち位置をより優位になる場所に運び、相手に何時どの瞬間でも攻撃を当てられる事を示した。
今度こそ相手の顔に、動揺と狼狽が綯い交ぜになった表情が浮かぶ。
こちらの一連の行動から、自分の行動が分析された事を悟ったようだ。
だが、時既に遅い。
この状態では豪腕に戻そうした瞬間にその隙を突けるし、このままでも相手の攻撃は当たらない。
一度言ってみたかった台詞で言うと、『王手詰み』と言うやつだ。
相手が放った攻撃の全てを上体を反らす事でかわしたのと同時に、私と白ちゃんの戦闘機能が切り換わった。
これが私達の、引いてはマスターの切り札だ。
見ていて下さい、マスター。これで終わりにして見せます。
私のアームマニュピレーターが凄まじい唸りを発し始めた。
戦闘終了まで残り120秒。
―続く
バトルサービスL
家の白子と黒子は凄い。
オーナーである筈の俺が、実の所一番驚いているかもしれなかった。
あれだけの苦境の連続を乗り切って、遂に敵を凌駕した二人。
バトルサービスの超ド素人で右も左も分かっていない二人が、オーナーからの指示を一切必要としないくらいの実力を持つ神姫を相手を一方的に攻めている。
しかも素体には一切手を付けず、敢えて武装だけにダメージを集中させていた。
確かにそういう能力を付加したが、まさかここまでになるとは思うはずもない。
何より、それらは元々『バトルサービスに使用する事を微塵も前提としていない能力』だったからだ。
二人の雰囲気が、同時に一変する。
切り札は切られた。
遂にその姿を見せる事になった二人の例外機能。
白子のバイザーと胸部装甲が、先の分析時よりも広い範囲で展開。その羽と脚部からは夥しい数のスラスターが迫り出す。
超加速機能と精密姿勢制御機能。
推進剤をドカ喰いする代わりにスピードと精度を得る形態で、同時に制御系自体をこの形態を使用するのに最適なモノに切り替える。頭部と腹部で冷却するのは、安定性を保つため。
黒子は今は外見上の変化は無し。攻撃の直前だけに姿を変えるのだ。
白子が爆音を上げて相手の周囲を掻き回すかのように飛び始める。
当然相手は黙ってはいないが、只でさえ行動パターンが分析されている上に速度の跳ね上がった白子が相手では攻撃は掠りもしない。
急加速と急停止を織り交ぜながら、尚且つ強烈なスラスターの噴射で強制的に姿勢制御を行う。
敵の武装をあらゆる角度から強襲。まるで質量のある残像を纏えるかのような速度で攻撃を与え続ける。
少しずつ敵の防御時間が長くなっている。
白子の攻撃タイミングに合わせて、敵の間合いに突撃する黒子。相手は反撃しようにも白子の攻撃を防ぐのに手一杯で、自動行動も防御を優先させているのか殆ど迎撃してこない。
敵の目の前まで黒子が近付くと、白子は攻撃の一切を止めて一旦距離を開けた。当然、相手の6腕による自動迎撃が開始されるが、この瞬間こそ黒子の切り札を見せる時。
腰溜めに構えていた左のアームマニュピレーターの下腕部装甲が展開。内部に秘められていた機関が目を醒ます。
相手の攻撃に合わせて放たれる抜き手。但し、ただの抜き手ではないし、それは一撃だけではなかった。
敵の攻撃速度を上回る速さでの抜き手の連打。手首部分から先が強力なピストン運動で押し出され、相手の6腕以上の攻撃を可能にする。
これが黒子の第一の切り札。黒子自身、何処かで読んだ事があろう漫画から名前を取って『炎の矢』と呼んでいる、抜き手による高速連打だ。
完全に想定外の反撃を受けた相手は、直ぐに6腕を全て重ねたピーカーブスタイルで防御する。
直後、次に相手を叩いたのは黒子の攻撃ではなかった。
大型の“GEモデルLC3レーザーライフル”。
ついさっき黒子と入れ替わりに引いた白子はすぐさま武装を換装し、私が敵の武装を一箇所に集めるのを待っていたのだ。
あくまでも素体にダメージを与えないように注意するのと、エネルギーチャージの時間が無かったので威力は大分落ちているが、それでも相手の6本の腕の内、3本は使用不能に出来た。今まで少しずつ与えてきた攻撃の成果でもある。
続け様に黒子の右の抜き手が、防御体制のまま反応できない相手の残り4本の腕に突き刺さる。
最後の攻撃。
左同様、右のアームマニュピレーターの下腕部が展開。同時に、内部から一本の長い杭が飛び出した。
抜き手自体は敵の一番外側にあったアームマニュピレーターに突き刺さって止まっていた。だが、この攻撃はそれだけでは終わらない。
これが黒子の最強の威力を誇る“キャノン・ストライク”。
黒子が更に抜き手を深く押し込むように踏み込むのと同時に、右腕から飛び出していた杭が、今度は元に戻るように、だが怖ろしい勢いで叩き込まれる。
その衝撃を受けた抜き手は更に深く突き刺さり、それだけでは止まらず4本の腕諸共貫通した。
黒子の攻撃と武装を破壊された衝撃で、相手があり得ない勢いで吹き飛ぶ。
地面に何度も叩きつけられながら、ジオラマの端近く、奇しくも相手オーナーの目の前で止まる。
ようやく、ようやく長かった戦いが終わった瞬間だった…。
―続く
バトルサービスM
「アーシェラ!?」
相手オーナーの叫び声。そうか、相手の神姫の名前は“アーシェラ”って言うのか。
帽子の所為で確信は持ててなかったが、やはり相手オーナーは男…と言うよりも少年だったみたいだ。
慌てて自らの神姫に近付き、損害の確認をしている。自業自得とは言え、いざそれを実行すると後味が悪い。
でも、謝る気は無かったし、多少の罪悪感は感じても後悔はしていない。
そっちがしてきた事が、自分に帰ってきただけなのだ。因果応報というやつである。
むしろ素体には全くと言っていいほどダメージを与えなかった家の白子と黒子に感謝して欲しい。
最後の攻撃はその気になれば、素体を武装毎完膚なきまでに叩きのめせる能力を持っていたのだから。
俺は相手に背を向けて、例外能力の起動限界を迎えてへたり込んでいた二人の元に向かう。
「良くやってくれたな。有難う」
傷だらけでボロボロになった二人を極めて優しく、そっと抱き上げる。すると二人は満足そうに笑って俺のシャツに顔を埋めてきた。
さて、ギャラリーの視線も痛いし、そろそろトンズラするか。
相手を止めると言う目的を果たした今、俺がゲームセンターにいる理由は無い。
何か言いたげな全員を無視し、呼び止めるトーナメント主催者側を振り切って自転車に飛び乗る。
「待てっ!!」
そのまま全力で自転車を漕ぎ出そうとした時、不意に後ろから叫ぶように呼び止められた。これには驚いて振り向く。
見れば、例の神姫のオーナーである少年が、こちらを睨みつけていた。
自分はああしていたのに、やられたからって文句でも言う気だろうか?
「こ…これで勝ったと思うな!今日は僕だからその神姫たちが勝てたんだ!!」
負け惜しみかい…。
しかも随分と基本に忠実な。
「アーシェラは姉さんと一緒に戦ってこそ、本当の力を発揮するんだ!こんかいがこうだったからって、勘違いするなよ!!」
何?
じゃあ、アレか?
今回神姫に命令を与えていなかったのは、『命令を必要としない位実力のある神姫』だったのではなく、ただ『正式なマスターでは無い為オーナーボックス内での発言権が無かった』だけなのか?!
すると、あの“アーシェラ”とか言う神姫は本当に一人だけで闘っていたと?
それであれだけの強さなら、本来のマスターと共に戦った場合、一体どれ程の強さになるのか……。
背筋に冷たいものが流れる。
そうか、今回の試合は俺にとって『勝った』のではなく、『勝てた』だけと言う事か。
驚いたままの俺を一瞥すると、フンと一つ鼻を鳴らして少年は去っていく。
混乱したままの俺は、暫く相手の背中を見続けるしかなかった。
―続く
バトルサービスS その後
「良かったなぁ、二人とも」
夕飯のハンバーグを頬張る白子と黒子を見ながら、俺は言う。
あの後我に帰った俺は、急いでメンテナンスセンターに直行。
顔馴染みのスタッフに散々文句を言われながら白子と黒子を修理してもらった。
因みに武装は破損が酷く、そのままメンテナンスセンターに預けてある。
最後に使用した例外機能が原因で、自壊してしまったのだ。
あれは元々二人のゴッコ遊びの延長で取り付けてあげたもので、本来敵に対して使用する事が前提になっていないのである。
あくまで敵と見立てた人形やヌイグルミに対して使用する為の機能だったから、威力に構造が耐えられなかったのだ。
お陰でスタッフに『絶対にバトルで使うなとアレほど(略』だとか、『お前は本当はただ例外機能って言いたいんだけちゃう(略』とか、更には『遊び用の能力を遊び用として使えない人間は、(バトルサービスを利用するのは)難しi(略』などと好き勝手言われまくった。
そんな訳で暫くは武装はお預けだ、二人とも。
人差し指で優しく頭を撫でてやると、口にデミグラスソースをつけたままの二人は真っ赤になって笑顔を見せる。
そんな神姫の顔を見て、勝てて本当に良かったと改めて実感した。
今日は無事だから良かったものの、負けていたらと思うと背筋が寒くなる。
もう絶対にバトルサービスは利用しないぞ、と固く誓った俺だった。
―?
何処かのマンションの一室。
そこでストラーフタイプのカスタム神姫“アーシェラ”は修理を受けていた。
全体的に殆どダメージは無かったが、唯一武装装着用のコネクター周りだけは装備を無理矢理引き千切られた為に破損が大きく、しかもそれが背骨に影響を及ぼしていたのだ。
それが最後に受けた黒子の“キャノン・ストライク”によるものだと聞いた時、彼女は激怒すると同時に同じだけ狂喜した。
あくまでテストのつもりで出たイベントで、こちらの予想を超えた相手に出会えたのはこれ異常ない幸運だ。
今回の敗北は自分の神姫にとって可哀想ではあったが、同時に欠点を洗い出す事が出来た貴重な経験でもある。
それに、一番の問題だった3対6腕アームマニュピレーターの制御問題が解決できたのは、何よりも喜ぶべき事だった。
その目に何か滾るものが映る。
次にあった時、その時はこんな事にはならない。
次にあった時、その時は自分の神姫を痛め付けてくれた神姫がズタズタに引き千切られる時だ。
無意識の内に口の端が吊りあがる。酷薄な微笑みだ。
「申し訳御座いません。ナミコさま」
本当に済まなそうに呟いたアーシェラの口にそっと指が添えられる。
今度はただひたすら優しいだけの微笑を浮かべながら、少しだけ首を横に振る。
悪いのはアーシェラではなく、己に過信してテストを無理矢理弟に任せてしまった自分だと理解していた。
その所為でこれだけの大怪我を負わせて締まった自分は、本来ならアーシェラから責められるべきだと考える。
「今は、ゆっくり休みなさい」
囁くように語り掛け、修理を再開する。
修理を続ける彼女の頭の中には、アーシェラによって引き千切られる白子と黒子のイメージしか映っていなかった。
バトルサービス END
時たま変な切れ方をしているのは、前スレが潰れている事が理解出来ず、
『あれ、自分の書き込みが多過ぎるのかな?』
と勘違いしてアイコチに手を加えた後、こちらに気付いて戻そうとするも直しきれなかったからです。
本当にスイマセン。
しかもこちらで
>>206の相関図を見たら、図々しくも名前を連ねている始末…。
何だか自分が恥ずかしい…orz
「外伝〜鶴畑家の食卓〜」(1/2)
さて、ここは都内某高級住宅地の一角にある鶴畑家の豪邸。
鶴畑コンツェルンと言えば、各種産業で名を馳せる、国内有数の大財閥だったりする。
また、日本国内のみならず、世界的な人気を博す「武装神姫」の販売、開発支援もおこなっており、
俗に「鶴畑三兄妹」と呼ばれる会長、鶴畑千代(せんだい)の子供、長兄興紀、次男大紀は、武装神姫バトルの
ランカーであり、末娘の長女和美も来年から正式にデビューする予定となっている。
PM7:00、200畳はあろうかという和室での夕食、居るのは三兄妹のみ。会長である父と母は、要人との会食のため
不在である。
いつもであれば、バトルの結果の自慢をしあうのだが…、今日は至って静かである。
それのそのはず、昨今、次男大紀、長女和美が一般人相手に敗北を喫し、和美は草バトルにおいて二丁拳銃使いに、大紀に至っては
俗にリアルリーグと呼ばれるファーストリーグに於いて初の敗北、下位のセカンド、サードリーグに於いても各一敗、うち一試合は僅か
2秒で敗北したのだ。
「全く…何という体たらくだ。」
最初に口を開いたのは、痩身且つ長身の美男子、長男大紀であった。
「リアルリーグでの敗北はもとより、下っ端風情のセカンドとサードで2敗、うち1敗はデビューしたての新人に秒殺とは…。」
「兄様!あれは事故です!よもやあれほどの実力を持った輩が下位リーグに存在するとは思いも…」
反論するピザ…もとい、恰幅の良い少年、次男大紀。
「五月蠅しい…!本来ならばリアルリーグ上位到達までは一切の敗北は許されないはず…貴様は栄光ある鶴畑の名に泥を塗ったのだぞ…
恥を知れ…!!」
「おほほほほほほ!情けないですわね、大紀お兄さま!」
次男を笑う女ピザ、末娘和美、と、
「貴様もだ和美…!発売一ヶ月前より武装強化・トレーニングを行わせて、発売直後のデビューを予定していたサイフォスを勝手に
持ち出し、挙げ句の果て、たった2丁の銃しか装備していないバッフェバニーに敗北するなど言語道断だ…!!」
「ご…御免なさいお兄さま………お…お許しを……」
涙目で謝罪をする和美。
「外伝〜鶴畑家の食卓〜」(2/2)
「…まぁいい、元々貴様等には期待をしていない。そもそも貴様等は、武装神姫バトルでは『鶴畑3兄妹』と言う名前のために存在するだけの
人間、いわゆる看板のような存在でしかないのだからな。
だが…俺は違う。俺は実力でリアルリーグ上位に立っている、大紀、貴様のように金を積んで八百長試合を組んでもらっている貴様と違ってな。」
「くっ…!」
「無論、上位に立つための努力は惜しまん…犠牲もな。こいつは俺があらゆるデータを元に作り上げている、いわば磨き上げたダイヤのような
存在だ…こいつはこれからも輝き続ける、たとえ削り落とされるダイヤの粉…数百、数千体の同型MMSの犠牲があっても…だ。
そうだな、ルシフェル。」
そう言うと、興紀は自分の肩に座るMMSを優しくなでる。
「おっしゃるとおりです、マスター。」
答えるストラーフタイプのMMS、ルシフェル。
「貴様等も強くなりたければ、負けた相手のMMSの名を忘れるな。そして再び相まみえることがあれば…必ず"殺せ"。」
氷のような冷たい瞳で二人を見る興紀。
「は…はい…!」
2人はそう答えた…いや、そう答えるしかなかったのだ。
すると、興紀は突如として穏やかな笑顔…リアルリーグで見せる好青年の顔に戻った。
「いい返事です、さ、食事を続けましょう、せっかくの美味しい食事が冷めてしまいます。」
「はい…。」
こうして、再び兄妹の夕餉は始まった。
次に十兵衛とマイティ、そしてコニー達が復讐心を燃やす彼らと相まみえるのはいつの日か…!!
と、言う訳で鶴畑三兄妹のお話でした。
長兄興紀の設定を変えたのは、「3人ピザのヘタレじゃやっぱつまんないでしょ!」という中の人の
ツッコミから。
んで性格設定。
長兄 興紀:表では好青年を演じているが、実は冷酷かつ残虐な性格を持つ。神姫バトルでの実力は本物。20歳の大学生。
所有MMSはストラーフタイプの「ルシフェル」他。
現在リアルランキング54位
次男 大紀:兄の威を狩る狐…もといピザ。実力は大したことはないが、金を積んでの八百長試合で上位に上がる。15歳高校生。
所有MMSはアーンヴァルタイプの「ミカエル」他
現在リアルランキング144位
長女 和美:神姫バトルデビュー前の新人、ピザ小学生。
所有MMSはサイフォスタイプの「ジャンヌ」。
>>206 YOU晒しちゃいなYO!
つーか出しちゃってくださいお願いします。
>>201-221 ナミコ様こえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ……(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
226 :
アネゴ書き:2006/10/12(木) 19:22:49 ID:TCZ+ctbF
今日は大学の講義が終わった後、アネゴの定期チェックのためにあのメガネ男と待ち合わせしている。
一度家に帰るのも手間なので、俺はアネゴを大学に連れていくことにしたのだ。
昼休み、俺の周りには「悪鬼」見たさの野次馬に囲まれていた。
皆が言うには、これほどの感情プログラムを組めるマスターは全国にもそういないのだそうだ。
武装神姫は基本的にマスターに従順であるように設定されており、アネゴのようにマスター(俺)に接するような神姫は稀なのだという。
『そりゃあ試作型だからなぁ』
かくいう俺も、アネゴの性格プログラムはよく分からない。
なにしろ通常の神姫の倍のデータ量なのだ。かじった知識しかない俺では触れることもできない。
矢継ぎ早に出される質問に「ああ」とか「そうだな」などとあいまいな返事で返すのがやっとだった。
『ああ、疲れるなぁ…』
そして、そんな俺とアネゴの様子を見ている一人の男と付き従う神姫にも気付くことはなかったのだ。
227 :
アネゴ書き:2006/10/12(木) 19:23:35 ID:TCZ+ctbF
「あー、肩こった…」
「若いくせにそんなジジむさい事言うな!」
いつもの問答を繰り返しながら改装中の別館の横を歩く。
待ち合わせ場所には裏門から出たほうが近いのだ。
「まったく、アネゴはどうして……」
「ちょっと静かに!」
会話を中断させるアネゴのするどい声。
アネゴは俺の肩の上に立ち、辺りを見回す。
「ふーん、やっぱすごいや。僕の存在に気付いたんだね」
校舎の影からひとりの男が現れる。
なんつーか、漫画でよく見る悪のメガネ学生のまんまだ。
『ん?悪?なんで悪だと思ったんだろ……っと、そんな場合じゃなさそうだな』
アネゴのただならない様子に、俺も意識を集中する。
「アネゴ、あの悪メガネは一体何なんだ?」
「あんなやつは知らん!」
「はぁ?」
冗談でも言っているのかと思ったが、アネゴは奴をにらみ続けている。
「奴に気付いたんじゃない…奴の神姫…あれは……」
「へぇー、ノーマルのアーンヴァルタイプだと思ったけど、なかなか高性能なセンサー積んでるね」
悪メガネの足元から現れたのはストラーフのソードを複数搭載した犬型神姫「ハウリン」だ。
「ふふふ…その神姫、僕に下さいよ」
「な、何を…痛っ!」
その瞬間、俺の足に激痛が走った。
視線を下ろすと、太ももにソードが刺さっていた。
「ううっ…どうなってんだ…こりゃ…」
「マスター、その神姫はおそらく違法な改造をされちまってる!」
「違法…だって…」
228 :
アネゴ書き:2006/10/12(木) 19:24:18 ID:TCZ+ctbF
聞いたことがある。
非公式のリアルバトルで神姫を賭けて戦うってアレだ。
黒メガネはニヤニヤと笑いながらハウリンと共に近づいてくる。
「ほう…そんなことも分かるのか。」
「アタシのセンサーはデータ収集のためにいいもの積んでるからね。そのハウリンの動作音が異常なことくらい分かるさ」
「あ、アネゴ!そんな機能が付いてたのか…まさか俺のあんなことやそんなことまで筒抜けに…」
「マスター、あんた状況分かってる?」
確かにそんな心配をしている余裕はない。
違法ユーザーの悪い噂は聞いたこともあるし、あのハウリンは人間を攻撃できるように設定を書き替えられている。
俺はとっさにアネゴを掴み、来た道を逆に走りだした。
「お、おいっ!」
「あんなのとやってられっか!逃げるぞアネゴ!」
しかし俺は足を踏みだすことができなかった。
ハウリンが投げた2本のソードがふくらはぎに刺さり、激痛で足がもつれてしまったのだ。
地面に倒れた俺にアネゴが叫びかける。
「お、おい、大丈夫か!」
「イタタ…俺ってかっこわりいなぁ…」
アネゴは俺の手から抜け出し、倒れた俺の鼻先に手を添える。
「アネゴ……?」
「……トサカにきたぞオラァ!」
アネゴは怒りの眼差しを相手に叩きつけた。
229 :
アネゴ書き:2006/10/12(木) 19:25:05 ID:TCZ+ctbF
そんなアネゴを見て黒メガネは笑みを浮かべる。
「すごい、やっぱすごいよ!こんなに感情をむき出しにする神姫がいるなんて!」
アネゴはゆっくりと歩を進める。
「ああーっ!ほしい!やっぱコイツ欲しいよっ!ハウリィィィーンッッ!」
奴のハウリンが両手にソードを構えつつ、にじり寄ってくる。
俺はなんとか体を起こしたが、この足じゃ満足に動けない。
「あ、アネゴ!今は武器もないんだ!勝てっこないって!」
「……黙って見てな。すぐ終わらせるから」
その瞬間、ハウリンが大きく跳躍した。
「アネゴッ!」
降下しながらソードを振り下ろすハウリン。
ガキィッ!
ハウリンの2本のソードがガードしたアネゴの左腕に食い込む。
一瞬、ハウリンの動きが止まった。
「……弱ぇな、クソが」
アネゴのフルパワーの右拳がハウリンにヒットし、その躯体を弾き飛ばす。
ハウリンは不様な格好で転がり、そのまま動かなくなった。
「僕の、僕のハウリンが……嘘だ!嘘だぁ!」
黒メガネの男は悶えるように頭をかきむしっている。
ここで騒動は終わり、俺たちに襲い掛かった違法ユーザーはバトルセンターから派遣されてきたという少女に連行されていった。
「あんたのアーンヴァルもイレギュラーだけど、許可は出てるから安心しな」と少女は言った。
ついでにメガネ男との待ち合わせ場所に送ってもらったが、「タクシー代わりに使ったんだから」とちゃっかり手数料をふんだくられてしまった。
230 :
アネゴ書き:2006/10/12(木) 19:25:52 ID:TCZ+ctbF
データ取りと修理のために、アネゴはメガネ男が一日預かることになった。
アネゴは各関節にダメージを受けたらしく、リミッターがない影響だとか言っていたが、俺にはそんな技術肌の話題は分からない。
一人で家に帰ると、その部屋はいつもより広く感じた。
「……足、痛いな」
誰が聞くわけでもないのに、ひとり言をもらしてしまう。
俺は疲労でそのまま眠りに落ちた。
翌日。
「よう、三郎!」
アネゴはいつものように俺を迎えてくれ……ん?三郎?
アネゴを持ってきたメガネ男に聞く。
「あのー、俺を名前で呼んでるんだけど。」
「ああ、より親近感を高めるためにマスターを名前で呼ぶように設定変更したんだ。」
「はぁ…」
困惑する俺をアネゴが蹴りとばす。
「三郎、新品ボディだぞ!ほらほら、最新版だから股を開いたり閉じたりしても全然ヘタらないんだぞ。やったなサブロー!」
「ほう…君は私の作品の股を開いたり閉じたりしているのかね?興味深い…」
「トイレで淋しく一人でしなくてもアタシがオカズになってやるよ!ほーらほら…」
「やっぱり全部聞かれてたのねーーーっ!」
傷も痛いが、心はもっと痛いぜ…
231 :
アネゴ書き:2006/10/12(木) 19:28:21 ID:TCZ+ctbF
投下完了。
一部「神姫ハンター」の設定を流用させていただきました(できたのか?)。
気分を害されたならすみません。
サイト管理は結構大変です。
とりあえず先日言っていた続編です。
「武装神姫のリン」第6話
リンがウチに来てから遂に半年が経過した。
コレまでの燐の戦績は16勝4敗。
今では俺のランクもサードリーグの最上位レベルに達している、次の大会で入賞(もちろん一番良いのは優勝だが)すればセカンドリーグへの参加が認められるはずだ。
リンは今でも普段は可愛いもの好きでとても可愛いヤツなのだが、ひとたびバトルとなると表情が変わる。
敵を見つめる紅い瞳。そこから発せられ、敵を鋭く射抜く視線は敵をそれだけで戦意喪失に追い込むほどだ。
サードリーグのランカーではもうリンの二つ名を知らない者は少ない。
ソレは「黒衣の戦乙女」
なんとも大層なネーミングだ。
もちろんこれは俺たち自身で考えたわけじゃない、ネットの掲示板で"どこかの誰か"が勝手につけたものだ。
それでもネットの力によりこの名は数日の内に広がった。
今ではバトルの入場時に司会が「黒衣の戦乙女の登場だっぁぁぁぁぁ!!」などとコメントするほどだ。
確かに全国規模で通用する二つ名を持つ神姫も存在する。
「隻脚の悪魔」や「ソードダンサー」、初めての大会での優勝で一気にセカンドに飛び級した「銃兵衛」なんてのも聞く。
ストラーフタイプが多いのは俺が参考にストラーフタイプでの高位ランカーを調べるとこういった二つ名にたどり着くことが多いだけだ。
今や「隻脚の悪魔」はファーストの中でも相当の強者であり、その特異なシルエットも相まって知名度は多分日本一だろう。
どうしたらこれほど強くなれるのか、俺たちには想像もつかない苦労や訓練があったかもしれない。
それは置いといて、明日は遂にセカンド昇進か否かという大事な公式大会だ。
俺は試合前日になると決まってリンを1日自由にさせている、訓練をしたとしても1日分でどうにかなるレベルでななくリンに余計な疲労感を与えるだけだ。
なので今リンが何をしているかというと・・・・・・
『ディバイン・・・・バスタァーーーーーーーーーー』
少女の叫びと共に桜色の極太ビーム、いや魔力砲が空を翔ける。
これは「魔法少女リ○カルなのは」だ、先日俺が家を空けたときに偶然TVで放送しているを見てその題名とかけ離れた熱いバトルが気に入ったらしい。
コレを食い入るように見つめているリン。
シーンが変わる。
さきほどの少女とは違う、金髪のツインテールに黒い衣装を身にまとい、斧のような武器を構える少女。
彼女が画面に現れた瞬間、リンの目つきが変わり・・・・
「キャーーーフェイト様ぁ☆」
バトル時の彼女しか知らない人がこの様子を見ればそれまでのイメージが確実に崩壊するであろう黄色い歓声を上げるリン。
何でもフェイトの境遇等を知って大ファンになったらしい、リンの戦闘モーションにも確実に彼女の影響が現れている。
リン曰く、フェイトは己の師匠だそうだ。
今は戦闘モーションを気にせずに、フェイトの戦いを鑑賞するだけらしいが・・・
「後ろ、避けてぇ!!」
「特撮ヒーローモノの野外ショーで歓声をあげる子供か」と突っ込みたいほど童心に返っている(この表現が正しいかは分からない)
まあリンがリラックスできるなら問題は無い。
とりあえず歓声を上げ続けるリンをほっといてオレは最後の情報収集を行う。
PCを立ち上げて、ネットにアクセス。
あの『オタ』友人、倉本が教えてくれた非公式サイト「真夜中の舞踏会」
公式ランカーの細かな戦績や、時には裏バトルの結果さえも掲載される。
その情報の正確さは目を見張るものがある、ここで俺は今のリンの最大の障害となっている神姫の情報を集める。
その名は「ルクレツィア」。
アーンヴァルタイプでありながら基本的に白兵戦で勝負する神姫だ。
装備は様々、ライトセイバーはもちろん、エクスカリバー、アロンダイト、参式斬艦刀などと言った大剣を扱う。
大きなエモノの重量のため、普通の神姫ならばリンにその刃が届くことは無い。
だがアレの上腕部にはセカンドアームのパーツから制作したと思われる強化フレームが装備されている。
胸部も通常とは違った大きめのアーマーが覆い、その肩に強化フレームが接続されている。
このフレームの力は絶大で、燐はそのフレームの前に2回の敗北を喫している。
1回目はほぼ瞬殺、2回目は結構なダメージを与えられたが、1瞬の隙を突かれジエンド。
もちろんルクレツィアにも2つ名がある。「バスターソード」。
今回燐はコイツに勝たなければ、たとえ許可されてもセカンド昇格はしないと言っている。
それだけの強敵だった。
しかも今回の大会の決勝リーグはリアルバトルだ、場合によってはパーツを完全に破壊される可能性さえある。
もちろん頭部への攻撃はプログラムによって規制されているがそれ以外ははっきり言ってバーチャルバトルと変わりが無い。
正に死闘になることは分かりきっていた。
なんとか弱点を見つけるべく、膨大な記事に目を通す。
直接関係はないが、あるニュースを発見する。
「裏バイヤーの違法フレーム。」
見た目は公式のフレームと同じで重さも変わらない、しかし新しく開発された軍用の合金を使用し強度は比較にならない。
バトルでなんとしても勝ちたいランカーは結構な額のするパーツでも即決で買い取る場合が多いためか、そういったランカーをターゲットにこういった違法パーツがアジアルート経由で日本に入って来ているらしい。
コレはすこし気になるので詳細を表示した。
「このフレームを切断するにはフルストゥ・グフロートゥ等の実剣ではほぼ不可能、ライトセイバー以上の出力を持った非実体剣のみ」
これは良い情報を入手した。と思ったところに倉本からメールが届く。
「ルクレツィアには注意しろ。今回はいつもと違うぞとブログで公言してやがる」だそうだ。
OK、こっちは今まで2回もズタボロにされてるんだ、1度ぐらいはお返ししてやらないと俺も燐も気がすまない。
そうしてパーツの整備に入る。
いつもお世話になっているレッグパーツ、アームユニットは特に入念に手入れをする。
明日は決戦だ、そのため油圧シリンダーを特製のモノに交換する。
既製品だとどうしても精度が信用できないので友人の働いている工場(もちろん神姫様用パーツ製造の下請け、専門家だ)で職人と呼ばれる人が調整したモノだ。
これを卸売り価格で譲ってもらう。やはり持つべきものは友人なのかもしれない。
シリンダーに指す油の量も今までの経験を鑑み、燐のポテンシャルを最大限に引き出せるように調整してある。
1m?の狂いでさえ許されない。いや自分が許さない。
そうして特に消耗の多い2つのパーツの次は刃物類だ、特製の研磨機(ウチの会社の工場で廃棄処分になるはずだったものを貰ってレストア、改造をした)にフルストゥ・グフロートゥとフルストゥ・クレイン、アングルブレードをセット。3分ほどで研磨は終わる。
ソレまでは所々に細かな傷があったが、今は新品同様、いやそれ以上の鋭さを誇る。
以前測ってみたら医療用メス並みの切れ味を示した。
それからというもの、俺は移動中は自作のケース(付属の樹脂製だと不安だったのでカバー内部にワイヤーの網をつけている。
さらに刃を覆う特殊なフィルムを被せて圧着。本物のメスさながらの状態にしているうえにカバーを被せる)に刀剣類をしまうことにしている。
また、敵との間合いを計る重要なファクターである銃火器も手入れをする。がソレは燐に一任している。
さすがにあのサイズのコルト・パイソンをバラして組み立てるのは不安だった。
SRGRも同様だが、弾の判断は当日に俺自身が決定する(銃弾は基本的にペイント弾や樹脂製であり、大会のバトル前にのみ実弾が貸し出される)
今回は燃焼力を重視した弾を選択する。特定のランカー以外は眼中に無い。 早めに勝負を決めるべきだったからだ。
そうしてメンテナンスをすべて終え、部屋から出てくるとリンが言った。
「マスター、ひとつだけお願いできますか?」
「なんだ??」
俺は訳がわからず首をかしげる。
「あの・・・キスしてくれませんか?」
「っ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
魂消た。
「どうして?」冷静な思考を取り戻そうとしつつ聞き返した。
「いや、あの…そういうことをすれば勝てるってジンクスを耳にしまして/////」
リンの顔がほんのり桜色に染まる。
「いや、あの。 その…だな」
とても恥ずかしい。
家には2人だけとは言え、そういった行為はまったく予想していなかったため反応ができない。
なんとか切り抜ける手立てはないかと模索するが、すでにリンの表情には艶が宿っている。
これは逃げられない。そう核心した。
そうして俺はリンを手に乗せ、目線を合わせるようにリンを近づける。
「リンの方からやれよ」苦し紛れに言った。
次の瞬間リンの唇が重なる。触れている面積自体はとても小さい、でも熱が伝わってくる。
これでリンの想いを俺は理解した。
体感時間で1分後、リンのの唇がはなれた。
「これで明日は優勝まちがいなしですね」
いともと同じ屈託の無い笑顔。でもその顔はいつもと違うきがした。
「ああ、 お休み。」
俺は恥ずかしくてたまらなかったのですぐに電気を切る。そして布団にもぐりこんだ。
『やべえ、こりゃもしかしたら俺、普通の結婚できないかも……』と俺は思いつつ、その夜は更けていった。
そうして大会当日。
予選は……話すまでも無い。
基本的に30秒でKOを奪い、決勝トーナメントへ。
決勝トーナメントも基本1分以内で勝ち進んで現在は準決勝だ。
勝利は目前。
敵のマオチャオはもうプチマスィーンをすべて叩き落され、右腕のシールドもSRGRの直撃で吹き飛んでいる。
苦し紛れに唯一残されたドリルで特攻してくるが、宙返りでドリルを裁くこともなく回避。
着地してすぐに回し蹴りを食らわす。敵が体勢を崩した所をフルストゥ・グフロートゥで四肢を切り落として勝利。
そうして決勝まではすんなりとコマを進めることができた。
決勝の相手は・・・・・やはり「ルクレツィア」。
今日は予告どおりいつもと違う装備だった。
肩のフレームなどはそのままだが、強度・もしくはパワーが上がったのか、アロンダイトと参式斬艦刀を両手に持ち、背のバックパックにシュゲルトゲベールを2本マウントしている。
今までは両手持ちだったのでその辺が「違う」みたいだ。
多分燐に対してはこの装備に加え、ビームブーメランを1対ほど、そしてアーンヴァルのデフォルト装備の翼とブースターを追加してくるだろう。
あちら側としてはなんとしても燐を分解するつもりらしい。
だがこっちも対策が無いわけではない。
今の燐の装備がソレを表している。
歓声が聞こえる。
西ゲートからルクレッィアが入場したのだろう。
決戦の時が来た。
燐が瞑っていた瞳を開くと同時にゲートが開いた。
決勝のステージへ入場すると、大きな歓声が上がる。
『東ゲートから入場するは「黒衣の戦乙女」燐!!!!今までのリベンジに燃える彼女の瞳は何を見ているのか!!』
会場のボルテージは今最高潮だ。
燐はその歓声を物ともせず、まっすぐにルクレッィアを見ている。
ふいにルクレッィアの顔が歪む、「今回もズタボロに刻んであげる」そう言いたいらしい。
燐が不意に右手を上げた、かと思うと親指を立てた拳を水平に首の位置に。そして横にゆっくりと動かした。
まさか燐が挑発するとは思っていなかったのだろう。
敵は顔をさらに歪ませている。
「燐、思う存分にやってこい!!」
「はい、マスター!!」
バトルフィールドに2体の神姫が脚を踏み入れる。
フィールドは観客席と透明な特殊樹脂製の壁に阻まれた1つのリング。デティールは正に闘技場だ。
障害物など無い。
「それでは、決勝戦。神姫ファイト、レディ……ゴウ!!」
審判が大きな声を張り上げると同時に白と黒のシルエットが動き出した。
先制はルクレツィア、まずはマシンガンを乱射してくる。
いくら接近専用とはいっても間合いの調整には火器を使う。
一方燐は背負っていた巨大なシールドを構え、ソレをやり過ごす。
そして向こうの火器が弾切れを起こす---即ち敵の間合いだ。
燐はシールドを正面に蹴飛ばすと同時にその反動で高く飛ぶ、そのまま宙返りをして敵のアロンダイトによる突撃を回避した。
がそのアロンダイトには先ほど蹴り飛ばしたシールドが刃の根元まで食い込んでいる。
ルクレツィアはそのままアロンダイトでシールドを真っ二つにした。
「姑息な手を使ってくれるじゃないの」
ルクレツィアが挑発してくるが燐は気にせずフルストゥ・グフロートゥとフルストゥ・クレインを連結して投擲した。
「こんなモノで私は捉えられないわよ」
そのバックパックの重武装からは考えられないほど軽やかなステップを踏んで回避された、はずだった。
急に連結刃が飛翔する方向を変え、ルクレツィアの翼の端を切り裂いていた。
ルクレツィアは激怒した。
「……ご主人様にいただいた大事な翼に傷を……許さない!!!」
そうしてアロンダイト、参式斬艦刀を両手に突進してきた。
「お望みどおりに切り刻んであげる」
今燐の手元にその2本の大剣に対抗できるエモノは存在しない。
しかしルクレツィアの剣が燐に届くことは無かった。
ルクレツィアが急に見えない腕に引っ張られるように静止したのだ。
「なっ」
次の瞬間、ルクレツィアの自慢の翼は無残にも切り落とされる。
そうしてやっとルクレツィアの目に宙を舞う銀色の糸が映る。
そう、燐は超極細のダイヤモンドコーティングされたワイヤーを使って連結刃の飛翔方向を変え、またそのまま唯一フィールドに在った大きな2本の石柱に連結刃を引っ掛けてバツの字の見えない刃を展開していたのだ。
それに引っかかったルクレツィアのボディで、ワイヤーの強度に負けたのが翼のみだったということだ。
だがここで疑問が残る。
アーンヴァルの翼は規制に準じつつも相当な硬度を持った材質で作られている、ソレを切り裂けるということはそのワイヤーは翼よりも先にルクレツィアの本体を切断しているはずだ、しかし決着は付いていない。
「……やはり違法パーツでしたか」
燐は会場には聞こえない小さな声で告げた。
「私の秘密をどうやって知った!!」
ルクレツィアは半狂乱といった感じで己の秘密を暴いた神姫をにらむ。
「確証なんてありません、ただ、ネットで噂されていた違法フレームおよび装甲版。
いくら外部フレームが追加されているとは言え、方腕であの大剣を振り回すような尋常ならざるパワーに内部フレームが耐えられるはずが無いので、
もしやと思ってちょっと実験しただけです。」
ルクレツィアの雰囲気が変わった。
「……殺す、コロシテヤル。頭部ユニットをバラバラにしてコロシテヤル!!!」
即ち、禁止されている頭部への攻撃で燐を倒し、『不運な事故だった』ということで幕をおろす。という宣言だろう。
ルクレツィアが1度後退する。ソレを確認した燐はワイヤーを引き戻す。
そうして燐の両手には再び連結刃が握られた。
ルクレツィアは無駄なパーツをイジェクトして大剣2刀のみで向かってくる。
一方燐は連結刃を構えたまま微動だにしない。
重武装を解除し、驚異的なスピードで距離を詰めたルクレツィアのアロンダイトが振り下ろされた。
セカンドアームが握っていたアングルブレードでソレを何とか受け止める。
がすぐに横薙ぎの斬艦刀が襲ってくる、ソレは連結刃2対で受け止める。
敵の攻撃を受け止めた、はずだった燐に戦慄が走る。
3本目の剣が襲ってきたのだ。
燐は身体のバランスをわざと崩して転倒、したかに思えたがそのままバックパックに唯一装備しているブースターを噴かせ、3本目の剣をやり過ごす。
ツインテールの片方を持っていかれたが本体は傷ひとつ無い。
「あら、しぶとい事。あのまま頭を真っ二つにしてあげようとおもったのに。」
背中から3本円の剣、シュゲルトゲベールをのぞかせたルクレツィアが歪んだ笑顔を作る。
この様子だともう1本隠し腕と同じ対艦刀が隠されているのだろう。
「まだ、負けてません!」
燐は再び連結刃を投擲。だがソレは2つの大剣によって防がれた、さらに今度は隠し腕が大腿部にあったブームブーメランを投擲してくる。
いつものように回避を選択しようした燐だが脳裏に前回の戦いの記憶が甦る。
左右に避ければソコを狙って大剣が飛んでくる。そしてそれに気を取られたうちにライトセイバーで腕を切り落とされたのだ。
その後の記憶は無い。
燐は思い切って隼を使う。そうしてビームブーメランを蹴り返し、そしてその回転力を使って地面に強烈な回し蹴りを見舞った。
その衝撃でフィールドを土煙が覆い、燐の姿を隠す。
土煙の中でルクレツィアは笑いながら、燐を探す。
「かくれんぼ?? 私は追うのはとっても得意よ。絶対に逃がさない!」
ルクレツィアはあるプログラムを起動する。
コレは今回のバトルでは使ってはいけない熱感知式のセンサーを起動させても気付かれないためのジャマープログラムだ。
しかもその精度はまたしても軍用に近い精度。
燐の居場所は簡単に割り出されてしまう。
その時点でセンサーは役目を終え、ジャマープログラムも停止する。
余計なリソースを割り振っている余裕が無いのだ。
「ふふ、そこね!!!」
腕のアーマーからアンカーが射出される。アンカーの先は変形し、とても大きな『返し』が出現した、コレにつかまれば一巻の終わりだ。
ルクレツィアの腕に鉄のフレームを貫く小気味良い手ごたえが返って来た。
「つ・か・ま・え・た」
一気にアンカーを引っ張るルクレツィアだったがその腕に多大な装備をした神姫1体分の重量を引く感覚はなかった。
そして砂煙の中からアンカーに引っ張られて姿を現したのは燐のレッグユニットである。
しかもその脚にはSRGRがワイヤーで括りつけられている。
ルクレツィアがしまったと確信する前に砂煙の中から銃撃。
ばら撒かれた弾丸の1つがSRGRの弾層に着弾し、大爆発を引き起こす。
大きな爆発音が会場に響き、赤い炎がフィールドを蹂躙する。
そして炎の中からアームユニットをはずし、配線がむき出しの左ももを晒しながら右足1本でバランスを取る。
さながら「隻脚の悪魔」といった風体の燐が姿を現す。
反対側から、背の隠し腕を含めた全てのバックパックを失い、炎でラバースキンが焼かれて所処に銀色のフレームを露出したルクレツィアが出てくる。
そう、燐はアンカーにが食い込む痛みに耐え、かつ貫かれた左足を自ら切断してSRGRを括りつけたのだ。
その後は見ての通り。
両者満身創痍で迎えるは、お互い最後になるであろう1撃。
燐が1本脚で大地を蹴る。
同時にルクレツィアが残されたバーニアを吹かせ、飛んだ。
両者の距離が詰まる。
ルクレツィアは大剣を十字に構えている。
燐は連結刃を両手に構えていた。
「死んじゃえ!!」
「私は……負けない!!」
2体の神姫が、交差する。
ルクレツィアはアロンダイトと斬艦刀を振り下ろす。
燐は連結刃でそれを迎え撃つ。
もちろん、アロンダイトのレーザー刃は連結刃で受け止められない。
なので燐は必ず連結刃で斬艦刀を狙う。
それをルクレツィアは分かりきっていた。斬艦刀を目前で手放してもう1本のアンカーを突き刺し、そうして身体の自由を奪ったら両手で握ったアロンダイトで頭から1直線に両断する。
これでこの戦いはルクレツィアの勝利で終わるはずだった、でもそれは成し得なかった。
なぜだ?それを考える時間も余裕もルクレツィアには与えられないまま彼女の意識は途切れる。
観衆からは土煙がまだ壁のすぐそばを漂っていたため、結果が分からない。
なので高精度カメラの写した決定的瞬間が巨大スクリーンにスロー再生で投影される。
ルクレツィアがアンカーを射出した、その瞬間はまだ燐の左手に連結刃があった。だがそれは斬艦刀を狙わずアンカーからその身を護る盾となって砕け散った。
それでも勢いは止まらずに、アンカーは燐のわき腹に刺さる。
なりふり構わずアロンダイトを振りかぶるルクレツィア。
脚をなくす痛み、そして腹に大きなくいを打ち付けられた痛みに顔を歪ませながら燐は腰裏から何かを取り出す。
ソレは刃の無い剣。黒い基部に銀色の持ち手で基部の中央に金色の宝石が装飾されていた。
燐がソレを振りかぶると瞬時に金色の光の刃が出現、燐はその金色の刃を振り下ろす。
アロンダイトは綺麗に両断され、そのままルクレツィアの身体へと向かう。
1瞬光の刃を止めたかに見えたルクレツィアのフレームはすぐさま溶解し、次の瞬間に光の刃が袈裟切りにルクレツィアの身体を両断していた。
その映像の端に表示されるカウンターは2体が交差する瞬間からルクレツィアの首が飛ばされるまでの時間経過を教えてくれる。
その間0,5秒。
正に刹那の決着だった。
それを見た観客が今までで1番大きな歓声を上げた。
「……勝者、黒衣の戦乙女、燐!!!!!!!」
俺は硬質プラスチックの壁が開くと、なりふりかまわずフィールドに入って倒れそうな燐を支えてやった。
「燐、大丈夫か!!! 燐! 燐!!」
「マ…スター 私、勝てたんですよね?」
「……あぁ、 勝ったぞ、俺たちの勝ちだぞ。」
「良かった、 ご褒美くださいね。」
「ああ、お前は休んでろ。」
係員が燐をタンカに乗せていく。
そうして戦闘中の会話から、違法行為を知られたと分かっていたであろう、ルクレツィアのマスターが彼女をほって逃げようとするのをおれは捕まえた。
胸倉を掴んで俺は叫んでいた。
「おい、そんなことして勝って面白いのかよ!!」
「な、な、なんのことだ?」
あくまでシラをきるつもりらしい。
俺はフリーズしているルクレツィアを持ち上げるとそいつの前に突き出す。
「コイツはな、お前のためにあんな改造も承諾したんだ!
どうせ違法フレームの移植はユニットの擬似神経の接続も切らなかったんだろう。そのときのコイツの痛みが分からなかったって言うのか!!」
「そ、それは、移植は勝手にやってくれるからって」
試合前の威嚇するような声とは全く違う、弱弱しい声を吐く。
「くそ!」
思わず俺はそいつの顔を殴ってしまった。
そいつはうずくまって涙を浮かべて
「ごめんなさい、ごめんさいさい.....」
と壊れたラジオのように叫び続ける
「君!! せっかくの昇格を取り消されたいのかね!!」
警備員に止められた俺はそいつを見る。
ルクレツィアのためにもコイツには更生してもらわないと、と思った俺は冷酷かもしれないが、警備員にルクレツィアの違法改造の件を話した。
とりあえず表彰式を済ませ、トロフィーと賞金。そしてセカンドリーグへの参加許可証でもある新しいIDカードを貰った俺はステージの裏口に脚を運ぶ。
なんとか間に合ったみたいだ。
警察によって連行されて行くルクレツィアのマスターは俺を見ると立ち止まってこう言った。
「いまさらだけど…君の神姫に対する気持ちが良くわかったよ、僕みたいなのがマスターじゃルクレツィアは幸せになれない。
もし許されるなら、ルクレツィアを君の家族に加えてやってくれないか? そして彼女の笑顔を取り戻してやってほしいんだ」
「良いのか?それで。」
「かまわない、ボクみたいなマスターのことは忘れて、君みたいなマスターの元にいたほうが喜ぶだろう。」
「…わかった。この子は俺が引き取ってやる。だからお前はちゃんと罪を償って帰ってこい。
んで、そのときは友達になろうぜ」
「…ありがとう。」
警察官がそろそろっといったジェスチャーをするので彼、名も知らないルクレツィアのマスターはパトカー乗った。
そうして彼を見送った後、破損したパーツを交換された(もちろん神姫専門の医療(?)スタッフなので神経接続等もちゃんと麻酔をかけてくれる。)リンと素体を丸ごと交換され、スリープ状態のルクレツィアを受け取る。
そしてその場でまず彼女の復帰作業をおこなう。
「う…ん ご主人様? じゃない」
彼女は再起動したが目の前の人間が誰か認識していない。
俺は彼女にマスターが違法行為を行った結果捕まったこと、そして彼女のことをマスターから頼まれたことを説明する。
いつも戦闘時は自己暗示でもかけていたのか、あの残忍な気性がウソの様に素のルクレツィアは素直に話を聞いてくれた。
「そうですか、ご主人様が…」
やっぱり寂しそうだ。
俺がどう説得するか悩んでいると、突然ルクレツィアが立ち上がって俺に目を向ける。
「お願いがあります。 私のメモリーをフォーマットしてほしいんです」
「なんでだ? マスターのことを忘れたいのか?」
「いえ、私が自分自身を許せまないのです。
私はご主人様の命令で今までに何体もの神姫を葬ってきました。そんな私がいまさらぬくぬくと生活するわけには行きません。」
「本当に、良いのか?」
「はい。悔いはありません。」
「…手続きをするためにスリープ状態にするぞ」
ルクレツィアをスリープ状態に移行させ、俺はマスター変更の手続きを行った。
そして神姫「ルクレツィア」は存在を抹消された。
スリープ状態から復帰し、ルクレツィアだった神姫が目を開ける。
「藤堂 亮輔だ。今後は俺が君のマスターになる。」
目を開けた瞬間に俺は名乗る。
「えっ、貴方は。」
「お前の名前は、ティアだ」
ルクレツィアだった神姫−ティアは目をぱちくりとさせている。
ティアという名は「ルクレツィア」のスペルから文字を抜き出し、考えた名前だ。
「もう君はルクレツィアじゃない。登録番号も全て彼女とは違う。"俺の神姫"だ」
ようやく、どういうことかを理解したティアは目に涙を浮かべながら
「ありがとう…ございます。 ご主人様」
そう呟いた。 そう、ご主人様、、、、、、、ってご主人様!?
俺は慌てて彼女に聞いてみる。
「あのさ、そのご主人様っての直せないか?」
「うーん、こればかりは治しようがありません。プリセットされたものですので」
「そうか、しかたないな。
改めて紹介する、リンだ。ティアの姉になるのかな?」
「よろしくね」
リンはやわらかく、綺麗な笑顔で手を差し出す。
「…よろしくおねがいしますわ、お姉様」
「お、お姉様!?」
「そう、お姉様と呼ばせてください」
予期せぬ事態に混乱するリンにティアが抱き付いてそのままリンの寝床だったバスケットに転がりこんだ。
そうして初めてのスキンシップを交わす(一方的に見えないわけでもないが気にしない)二人を見る俺はティアの部屋も確保しないといけないことを思い出して作業に入った。
こうして、突然だったが俺の家族が一人増えた。
〜つづく〜
え〜やっと投下できました。
本当はもう少し短く、セカンド昇格万歳で終わるはずが
いつの間にやらこんなことに・・・・・
出来れば新規SS作者さんや上に投下されたSSに感想を述べたいのですが時間が切迫しております。
深夜にもう1度ログ確保のために来ると思うのでその際にまとめて感想を述べさせていただきます。
では。
リアルでは先日やっとのことで猫子を買い、全種そろえてしまいましたリンのマスターでした。
そんなわけで、ドキドキハウリン前回の差分です。
神姫×人間のエロシーンということでマニアックなプレイが多めになりますし、
単なるシーン追加なので本編だけでも普通に読んでいただけます。
お好きでない方はスルーしていただければと。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「やれやれ……」
身に付けたのは、淡いフリルの付いた真っ白いエプロン。
背負ったのは、ストラーフのサブアーム。もちろん我が家にストラーフタイプは
いないから、静香が別売りのパーツを買ってきたものだ。
部屋に置いてある鏡を見れば……真白と漆黒の対比があまりにミスマッチで、笑いを
通り越して呆れそうになる。
「とりあえず、静香かな……」
ベッドの上に飛び上がり、お腹のあたりから下がっている毛布の端をサブアームで
ホールド。
「ほら静香。風邪ひきますよ」
そう言いながら、思い切り引き下げようとして。
「ひぁっ!」
どうやら静香も毛布の反対側をしっかり掴んでいたらしい。
引き合う両者の間に圧倒的なウェイト差とパワー差がある場合。負けた方が
どうなるかと言えば、答えは火を見るよりも明らかなわけで。
「んぷっ!」
ぽふ。
バランスを崩した私は、綿百パーセントの薄布に包まれた柔らかな丸まりに顔を
埋めてしまう。
「んぅ…………」
起こしてしまったかな? とも思ったが、静香の眠りは思ったよりも深いらしい。
わずかに身じろぎしただけで、それ以上の動きはないようだ。
ふぅ、と胸をなで下ろし、静香に気取られぬよう、そのままの体勢でこれから
どうするか考える。
一度起こして毛布を掛け直させるのが一番確実なのだろうが、無理に起こすのも
気が引ける。そもそも静香の寝起きは良くないから、作戦の成功率は三割強といった
ところか。
だとすれば、適度に刺激を与えて寝返りを打たせるのが、次に確実な手段という
ことになる。ただ、こちらも寝返りを打って逆に毛布がはだけてしまう可能性がある
から、成功率は二割もないだろう。
助けを呼ぶにも、帰ったときの反応からして家には誰もいないようだ。応援は期待
できない。
「それにしても……」
頬に伝わってくる静香のお尻の感触は柔らかくて、ほんのりと暖かった。かすかな
香水の香りと、汗の匂いが健康的な色気を……って、何を考えてるんだ私は!
「ん……っ」
慌てた私の動きに反応したのか、毛布を被ったままの静香から、小さな声が聞こえて
きた。
危ない危ない。もう少しで起こしてしまう所だった。
……まてよ?
私はもう一度、静香のお尻に頬を寄せてみる。
シンプルな淡いピンクのコットンが、さらりとした肌触りを……いや、そこじゃあ
なくて。
「ン……」
ほんの少し、身をよじる静香。
反応はそこで止まり、再び毛布の中から穏やかな寝息が聞こえてきた。
「これだ」
この程度の刺激なら静香も起きずに済むし、上手く身をよじってくれれば毛布も
ちゃんと掛かる。何より私も気持ちい……いやいや、このさい私の事はどうでも良いんだ。
どうでも。
「静香……」
そっと声を掛け、お尻に三度、頬を寄せる。
「んぁ……」
失敗。
「静香ったら……」
今度はサブアームで軽く撫でてみた。
「ひ………ン………っ」
おっと。爪先が痛かったのか、反応がちょっと大きくなりすぎた気がする。
起こしてしまっては本末転倒だ。気をつけないと。
「風邪ひきますよ……静香」
サブアームを後ろに回し、今度は自分の手で触れてみた。
「んん………」
少し動かして、静香の反応を確かめる。
まだ、大丈夫。
「ん……っ」
足の付け根から背中に向けて、やや大きな動きで滑らせていく。
「んふ…………」
やはり軽い身じろぎだけで、こちらの期待する動きにはなかなか至らない。
両手を触れさせ、今度は円を描くように静香のお尻を責め……いやいや、刺激を
与えていく。
「ん……は………っ」
鼻に掛かった静香の声に、私のAIが熱くなっていくのが分かった。
戦闘の時や、クロックアップの時のような直線的な熱さではない。もっと躯の奥底
からじわりと来る、愛しさを伴った甘い熱。
「静香……静香ぁ……」
いつしか私は静香のお尻を揉みながら、自分の頬を寄せていた。舌を伸ばし、コットンに
覆われた柔肉をそっと舐め上げる。
全身を静香にお尻にすり寄せ、体中で彼女の熱を感じようとしていた。エプロンが
ずり落ちたようだが、それさえも気にならないほどに。
この柔らかい感触を、汗の匂いと暖かさを、いつまでも楽しんでいたい。そんな想いが
ウィルスのように私のAIを侵食し、冒していく。
壊れてしまったのかな。
でも、それでもいい、とさえ思ってしまう。
「ココ……?」
その声が、掛かるまでは。
「ココ?」
柔らかな声に、私の昂ぶったAIが一気に冷えていくのが分かった。
「……ひっ」
呆然と数歩後ずさればそこに、先程まで愛でていた薄桃のお尻が覆いかぶさってくる。
「静……香……?」
こちらを見下ろす少女の名は……戸田静香。
私の、ご主人様。
「何だかお尻を触られてると思ったら、犯人はあなただったのね?」
「あの……いつから、起きて?」
「あなたがそのサブアームで触れたくらい……かな?」
「ひ……っ!」
それ、本当に最初の最初じゃないですか!
「思ったより気持ち良かったから、そのままにしてたんだけど……ダメじゃない」
「すいません……」
私のAIが、暴走してしまったみたいで……。
いや、そんなことは理由にならないはずだ。主に従うはずの神姫が、こともあろうに
主の体に悪戯するなんて……。
静香はどうするのだろう。
バックアップを上書きするのだろうか。
それとも、この狂ったAIを初期化するのだろうか。
まさか、このまま廃棄……
「女の子を触るときは、もっと丁寧に扱ってくれないと……」
「……はひ?」
呆然とする私の小さな手を執り、静香はそっと私を導いた。
前に掛かった重心にバランサーが勝手に働き、足は私の意志に反して前へ前へと
進んでいく。
「ほら、ココ。こっち、触ってみて」
「え……?」
触れたのは、ショーツの股間を覆う、少しだけ厚い布の部分。
くちゅ……。
さして力を入れてもいないのに、そこから溢れるのは、濡れそぼった水の音。
「濡れて……?」
「うん。ココが気持ち良くしてくれたから、濡れちゃったんだよ」
そのまま手を離さずにいると、そこを中心に黒い染みが少しずつ広がってきた。
「私が……?」
「あなた、さっきどうやってたの?」
「どうやってたって……」
起きていたなら、知っていたはずだけれど……。
「いくら私の体が柔らかくても、あなたがお尻で何やってたかなんて見えるわけない
でしょう?」
その割には、さっきサブアームが触れたのは知ってたじゃないですか。
「だから、こっちで……」
背中をとん、と押されれば、私の前には黒い染みの広がった静香の股間がある。
「……はい」
もう、逆らう気はなかった。
主に言われるがまま、そっと頬を寄せる。
「まず、こうしました……」
二重になったコットンは少しだけゴワゴワしていて、お尻を触ったときほど気持ち良く
なかった。
それでも、布一枚隔てた静香の中から立ち上る匂いに、私の思考は麻痺しそうになる。
「それから?」
静香の言葉に、名残惜しげに頬を離し、
「サブアームは静香が痛がったから、指で、こうやって……」
今度は手のひらをショーツの中央に触れさせた。
五本の指を使いながら、ゆっくりと撫で上げていく。
「あ、それ、気持ちいいかも……」
静香の望むまま、手のひらを往復させる。黒い染みはもう股間全体に広がっていて、
ショーツの元の色など分からないほどだ。
「静香、指がビショビショに……」
手を離すと、何やら粘っこい液体が私の指に絡み付いていた。何となく握ってみれば、
ぐちゅり、という音と共に透明な液体が指の隙間から溢れ出す。
「あら、ごめんなさい」
静香は私の体を優しく持ち上げると、ドロドロに汚れた私の手をそっと口に含んで
くれた。
私の腕に、お尻よりももっと柔らかく、もっと暖かい感触が伝わってくる。
「あ……静香、それ……きたな……」
手に付いた粘液が静香自身の愛液ということくらい、私にも分かっていた。
「ココが気持ち良くしてくれたのに、汚いわけないでしょ?」
けれど、それを知っていてなお、静香は私に微笑みかけてくれる。
ちゅぱちゅぱと音を立てて、濁液に濡れた私の手を清めてくれている。
「静香……」
愛しい。
この人を、もっと気持ち良くしたい。
その感情が、私のAIを再び覆い尽くしていく。
「静香ぁ……」
ベッドに降りた私は、再び静香の股間に両手を触れさせた。
「ひゃっ! コ、ココっ!?」
しかも今度は、サブアームも使ってだ。
湿ったショーツを力あるサブアームで掴み、横へとずらしてやる。
くちゅ……という水っぽい音と共に、静香の大切な場所が私のカメラアイに
映し出される。
「本当ですね。こんなに濡らして……」
サブアームでショーツを固定したまま、私の両手はぴったりと閉じた大切な
場所を掴み……。
「や、やだ……そんな……開いちゃ……」
くぱぁ……という音が聞こえた気がした。
「静香、とっても綺麗……」
とろりとぬめったその場所は、柔らかく暖かく、何かを待つようにその艶めかしい
姿を見せている。
「恥ずかしいよぅ……ココぉ……」
「だって、静香が誘ってくれたんでしょう? それに、嫌なら私の体をつまみ上げたら
済むことでしょうに」
「そ、それは、そうなんだけど……」
けれど、静香がそうする気配はない。
どうせ処分されるなら、静香の可愛いところを全て見ておきたい。可愛い声を全て
聞いておきたい。
私達が死んだ後、どうなるのかは分からないが……もし魂があるならば、その想いを
抱いて死ねるという希望だけは得ることが出来る。
「静香の中、とっても暖かそうですよ」
拳を握り、半開きになった秘裂にそっと埋めさせた。
「ひゃっ! ちょ、ちょっとっ!」
静香の唾液とこぼれる愛液で、私の腕もドロドロだ。
さっき舐めてもらった意味なんてなかったな、と思いながら、そのままゆっくりと
腕を押し込んでいく。
「ひぁぁっ!?」
ぎゅぶ、という音と共に、私の腕は二の腕まで静香の中へと呑み込まれていた。
「どうです? 静香。気持ちいいですか?」
「ん……っ……。細いけど、すご……っ」
それは、私の腕なんかペンほどの太さもないけれど……。
「じゃあ、これは?」
少しだけ腕を曲げ、静香の膣壁を軽く擦ってやる。
「やあぁぁっ!? な、中で動かしちゃ……っ!」
静香の嬌声が心地いい。腕と手首を様々な方向に曲げながら、私は少しずつ静香の胎内を
征服していく。
「静香の膣内、すごく暖かいです……」
「だ、だから……ってぇ……ひゃあぁぁんっ!」
膣内で腕をぐるりと廻したのが効いたらしい。Tシャツに覆われた少し小さめの胸元が、
息荒く上下しているのが見えた。
もう少し力を込め、肩口まで挿入する。
「コ、ココぉ……そ、それ、以上はぁ……」
一杯まで押し込んだそこで触れたのは、すぼまった硬い感触だった。
「処女……膜?」
「そ、そう……よ……。それ以上は、流石に……」
「残念です。これ以上は、私の腕も入りませんから」
もう肩口まで押し込んでいて、私の腕もこれ以上は入りそうにない。
仕方なく、静香の中から腕を引き抜いた。
「ひぅっ!」
私の腕から、静香の愛液がぽたぽたとこぼれ落ちている。その滴りすらも愛おしくて、
私はそれにそっと舌を這わせていく。
「でも……」
そして、自分の指を舐めながら。
「へ……?」
私の背中から響いたのは、ばしゅ、という装備のパージ音。
「これなら、入りますよ?」
ぐちゅ……。
「え? あ、ちょっと、やめ……ひゃああっ!」
私の細腕にはない力と太さに、静香の口から悲鳴がこぼれ出す。
「ひぁ……ぁぅ……んん……っ……!」
関節部が呑み込まれるよりも先に、ストラーフのサブアームは静香の大事な処に辿り
着いたらしい。
そう。さすがに指先は外したが、私が背負うこのサブアームなら、静香をもっと悦ばせる
ことが出来るはず。
「静香……。私に、思い出を下さい」
「ひぁ……ぁう……」
ぐ、と力を込めれば。
「っっっ!!」
静香の口から、悲鳴は聞こえなかった。
何かを破り貫く感触と共に、私の腕よりはるかに長いサブアームが根本まで呑み込まれて
いく。
「どうですか? 静香」
サブアームが拾う触覚をリンクさせれば、先程とは比べものにならない熱さと潤みが
伝わってきた。
「痛……ぁ……。もぅ、ココのばかぁ……」
機械の腕を咥えた静香の秘所から、赤い液体がとろりとこぼれ落ちる。
「だって、静香があんまり可愛いから……」
それを指先ですくい上げ、ぺろりとひと舐め。
金気を帯びた潮の味が、口の中一杯に広がっていく。
「ン……もぅ。私みたいな事言ってんじゃないの」
静香は疲れたように笑うと、汗に濡れた指先で私の頭をそっと撫でてくれた。
「責任取って、気持ち良くしなさいよ?」
「はい。静香」
主に言われるがまま、私は静香の膣内のサブアームをゆっくりと動かし始める。
最初は単純な抽挿から。
「静香。この辺りは気持ちいいですか?」
「うんっ。いい、いい……っ!」
そして、膣内で腕を曲げたり、廻したりといった動きを付け加えていく。
「ひぁ……っ! それ、ごりごりって……!」
「では、これは?」
サブアームの挿入に載せて突き込まれたのは、私の腕だ。
補助腕の大きな動きで気持ち良くできないところを、主腕の細かな動きが擦り立てていく。
「こ、ぁぁっ! そ、それぇ……っ、すごっ!」
膣壁を押し広げるように動かしてやれば、静香の甘い鳴き声が私の耳を快く揺さぶった。
「静香……静香ぁ……」
「ココ…っ、ココ、ココぉぉっ!」
ぷしゃぁぁぁっ!
一際高らかな鳴き声と共に吹き出した透明な液体が、私の躯をびしゃびしゃに汚していく……。
半裸の静香の手のひらで、私は全力でうなだれていた。
「静香……すみません」
「全くだわ」
流石の静香も頬を膨らませている。
「どうやら、AIが暴走してしまったようで……」
あまつさえ、静香にあんなことまで……。
こんな私、さっさと廃棄処分してください。
愛らしく乱れる静香を見られただけで、私は満足です。
「初めてが神姫なんて女の子、きっと私くらいよ?」
「はい……」
静香の言葉が、私の心に突き刺さる。
「……ちょっと自慢になるかな?」
……いやいやいや。
そんなこと自慢しないでいいですから。
「それよりあの、私のAIが暴走……」
「暴走、ねぇ」
私を手のひらに載せたまま、静香は私をじっと見つめている。
「ね。ココは、私が嫌い?」
「そ、そんなことあるはずないじゃないですか!」
コスプレ好きで、ワガママで、家ではだらしなくて、外面ばっかりよくて、部屋を
全然片付けなくて、私に恥ずかしい格好ばっかりさせて喜んでても……。
私はこの人が、好きだ。
「そうねぇ。好きで好きでたまらなくてしちゃったことなら、許してあげる」
「静香……」
「そこんとこ、どうなの?」
そんなことを正面から聞かれるのは恥ずかしくてたまらなかったけど、私は絞り出す
ように答える。
「……好きで好きでたまらなくて、しちゃいました」
「声が小さいな。きこえなーい」
つまらなそうに呟く、静香。
「好きで好きでたまらなくて、しちゃいました!」
「ついでにもう一回言ってくれると、お姉さん嬉しいなぁ」
ああもう、この人は。
もうヤケだ。
「静香のことが好きで好きでたまらなくて、しちゃいましたっ! 静香の初めてが貰えて、
正直ラッキーとか思っちゃってますっ!」
叫んだ私の唇に、柔らかい感触が来た。
静香の、唇だ。
「ふふっ。なら、あげた甲斐もあるってもんね」
そっと唇を離せば、愛液に濡れた私の顔と静香の唇の間に、とろりと濡れた橋が出来る。
「静香……」
「んー?」
「私を捨てたり、しないんですか?」
「なんで?」
「なんでって……んんっ!」
言いかけた私の唇を、再び静香の唇が塞ぐ。
「あなたも意外としつこいわね。あなたも気持ち良かったし、あたしも気持ち良かったん
だから。それでおあいこでしょ?」
「……はい」
ようやく答えた私に、静香はいつもの極上な笑みを見せてくれた。
「じゃ、シャワー浴びに行きましょっか。そのままのココもすごくエッチでいいんだけど、
さすがに洗わないと錆びちゃうしねー」
「…………」
まったくもう、この人は……。
「返事は?」
「はいっ!」
まあ、なんだ。そこで私は静香の手痛い反撃に遭うのだけれど……。
それはまた、別の話。
……いや、語るのは勘弁してください。
というわけで、差分終了です。
自分は良いんですがウチの連中に石投げないでくださいorz
いちおう書き込みの確認に更新してみたら・・・・・・
「ドキドキハウリンの人」さん。
GJです。
そうとしか言いようがありません。
石なんてとんでもない。
祝福を送りますよ。
ではでは。
前スレ512KBを超えてたのか
ナミコ…ナミコ……?
Σハッ アナグラムかっ
257 :
67:2006/10/12(木) 21:17:58 ID:62tOJsyh
>>256 その通り。
アナグラム好きです。
簡単な事とは言え、気付いてくれるのは嬉しかったり…。
258 :
前スレ208:2006/10/12(木) 21:21:56 ID:PW99y1xp
>>246 きゃー! こ、ココちゃん、静香さん、なななななんてはしたないことをε=ε=(゜∀゜*)
今だから告白します。
前スレ142と173のぇちいのは私が書きました。
いやあ、つい……
この調子ではここもすぐ越えそうだな
まったくですな
しかし感想レスのタイミングが難しい上に次々と投下されるから書き込みがしづらいのなんのって。
無茶言うかもしれないけど感想用のスレとかすら欲しいかもしれない。
そしてそれが他のスレに迷惑かけるのならいっそ別掲示板とか。したらばやwikiみたいな
(あぁ…今月の出費が(涙) ご両親様勝手に預金使いこんでごめんなさいっ)
そう贖罪する目の前には大量の武装神姫のパーツ、本格的な訓練用端末やら、ねここ用の洋服、壁には大穴……
ねここの飼い方、そのいち(1/3)
「みさにゃんみさにゃんドコいくの〜?」
「ん、きっとねここが喜ぶ場所よ」
道を歩きながら会話をしてく私とねここ。
会話してるねここは私の頭の上、ポニーテールの結び目にまたがって、まるでたれ猫のように乗っていて。
前から見ると顔と腕だけ見えなくて、まるで鏡餅みたい。
ねここを買ってきて数日後、その日は休日だったので私はねここを連れてねここを買った場所、センターへと出向いていた。
ねここを買った時に標準セットも付属はしていたのだけれど、それだけじゃなくねここの好きなものを選ばせてあげようと思ったのだ。
武装神姫たちには個々人の好みもあるそうなので、ねここがどんなのを選ぶのか非常に楽しみだったりする。
「さ、着いたわよ」
「うにゃ♪」
自動ドアをくぐって店内へと入っていく。そこは休日という事もあって前着たときよりもさらに人が多いみたい。
これだけ多くの人がいるとこは初めてのねここは少し緊張してるようで、頭の上からごく僅かにふるふると震えが伝わってくる気がして。
「別に怖がらなくても平気だからね、私が一緒にいるから、ね?」
そう言いながら顎のあたりをくしくししてあげると
「うん〜☆」
と安心して元気を取り戻したような声になってくれる。
(2/3)
「さてさて、まずは何処から回りましょうかね〜、ねここ行きたい場所ある?」
「う〜ん……全部っ☆」
聞くだけ野暮だったかな。とりあえず適当に見て歩こうと歩き出した私の前に、1つのスクリーンが目に付いた。
それは私がねここを買うきっかけになったあのスクリーンだった。
今も試合らしき映像が流れている。
映し出されている神姫は、えぇとあれは天使型というやつかな。
でも各部に付けてるパーツが黒いし、足もブースターではなくて黒いブーツみたいなのになっているから
改造してあるみたい。
それは物凄いスピードで華麗に飛翔していて、見るものを引き付けるような…
ねここも目を輝かせてその光景に魅入ってるようだ。
それから直ぐに接敵したようで、相手の武装神姫もカメラに映し出される、けど
「あっちキモいのです…なんか怖いよぉ」
「そ…そうね」
翼に目玉みたいなのが沢山付いてて、うん、あれはちょっと私もダメ。
そこから私もねここも一心不乱に魅入っていた。ねここは、
「あー、ダメなの! 逃げてー! 負けないでー!」
白い方を気に入ったらしく必死で応援してるのだけど、
頭の上でバタバタ暴れるとちょっと痛いし落ちたら怖いんですけどぉ(汗
「キァーーーーーーーーーーーーーー」
と相手の方がみてるこっちまで頭が痛くなるような金切り声を上げ、白い神姫の方は湖へと落下していく。
「だめだめぇ!頑張ってなのー!いーやーぁー!!!」
あぅぅ、ねここさんお願いだから頭を全力で叩かないでとっても痛いです……
と、湖から飛び出してくる物体、そこから先は鮮やかでした。
華麗な逆転劇をみたねここは余程感動したのか、何時までも飽きることなく歓声を送っていました。
「ねーねー、ねここもあんな風に空飛んでみた〜い!」
「え?」
スクリーンから少し離れた休憩ブースで飲み物を飲んでいたら、頭の上のねここがそう言い出して。
「さっきの人みたいに、ねここもぴゅーん!って飛びたいの、空を自由に飛んでみたいの〜♪」
ネコ型なのに空をって……ドラ○もん?
まぁ、いいかな。それだけ言ってる事だし折角なので買ってあげないと。
ついでに他のも買っておいて色々試させてみようかな。
と、ダメ親モードに突入して他にも一揃え買い与えてみたのでした。
(3/3)
そして、その夜
「ねーねー、これでどうー?」
「うーん。それだとなんか違わない? ほらこっちのほうが」
「えー、ねここそれキラーイ(>△<)」
我が家の居間のテーブルの上には大量のパーツが置かれていて、
私とねここは片っ端から着けたり外したりしてあーでもない
こーでもないと2人だけの改造大会(?)を繰り広げているのでありました。
「うーん…あ、これならどうかな?」
それは今日見たアーンヴァル(基礎知識は何とか一通り覚えました)の飛行ユニットをモデルに、
さらに円柱型ブースターを翼下に取り付けて、更に翼そのものを水平に近い感じにして推力をTMAみたいに
全部後方に集中させて…うふふふ
「ほらほら、ミー○ィア♪」
「みさにゃんそれもう30年以上前のなの…」
むしろなんでねここが知っていますか……私の秘蔵のDVDコッソリみたのかしら。
「まぁまぁ、でもこれならすっごく早く飛べると思うよ。 でも念のためにマオチャオアーマー着けようね」
と手早く換装させてっと、ついでに両手にドリルなんかつけたら…あら結構いいかも。
「おお、なんか凄いかもしれないのだ、なんかぱわ〜が出てきた気分なの♪
両手のドリドリもごっつくて勇者ロボみたいでカッコいい〜☆」
ごめん、ちょっと敵役っぽかったかもしれないです。
でもねここはそんな私に気づいた風もなく、喜び勇んでて
「じゃ、飛んでみるっ」
むん、と力を入れた表情になるねここ。
「とぁ―――――!!!」
その直後ブースターに火が入ったかと思うと、ズバァァーシュ!!! って音とドガァン!って変な音が。思わず一瞬目を閉じてしまって、
次に目を開けたらねここの姿は何処にも…
と、ねここが飛ぼうとしていた方向の壁を見ると、そこにはぽっかりと大きな穴が出来ていて外の風景が丸見え……
「ねここ―――!?」
私は慌てて靴も履かずにねここを探しに駆け出して、燃料切れ(どうやらリミッターかけないで全燃料を一瞬で吹かしちゃったみたい)
で裏山に不時着して目を回しダウンしていたねここを発見回収して、うちに帰りついた頃にはもう朝になってしまっていたのでした……
それ以来我が家のルールに室内でのミーティ○ごっこ禁止の項目が出来たのでありました、おしまい。
「えー、またあれ乗りたいのー!ぶーぶー!」
「ダメ。ねここがまた行方不明になったら心配だから、ね?」
「うぅ、みさにゃんがそういうなら…はぁい」
(でもこっそり乗っちゃおうかな、にゅふふ)
封印解除の日まであと○日(くるのかっ
後書き(?
どうもまたおじゃま致しました、今回もそれほど長くないですが、
目指せねここ可愛いよねここです。
まず初めに前スレ208氏さん、少しだけマイティ嬢をお借りいたしました。
傍目からみてるだけではあるのですが(汗
皆さんへの作品の感想とかはそのうち、というかみなさま素晴らし過ぎます
ドキドキハウリンの人氏のは別の意味で特に・・・鼻血が_orz
>>でこちゅー氏
どうぞうちのねここと仲良くしてあげてください
人見知りしますが、慣れると鼻先ペロっと舐めてくれたり(ぇー
ちなみにねここは今後表バトルに挑戦していく予定ですので、皆様お手柔らかにお願いします
追記
モロに段落や行変換間違えたみたいで、文章が見づらくてゴメンナサイorz
次からは気をつけます(大汗
※機体破損描写あり
その日、マスターは大きな紙袋を持って帰ってきた。
「おかえりなさいマスター。どうしたんですか? これ」
姉ちゃんが袋のことを聞く。
「研究用の資料だ、友達にコピーしてもらった」
「おかえりマスター」
あたいも挨拶する。
「おう、エルもいいこにしてたか?」
やさしく、あたいの頭を撫でるマスター。心がほわっと温かくなる。
でも、あたいはこの気持ちを大きくしちゃいけないんだ。
姉ちゃんの為に……。
マスターはTVの前に座ると、持ってきたディスクをセットする。
すると、TVにはあの顔が映し出された。
さっきの温かい気持ちをも一気に凍らせる瞳。
あたいの前のマスター「鶴畑興紀」の姿が。
「あぁぁ……ぁぁぁぁ」
あたいは立っていられなくなり、がくっと膝をつく。
姉ちゃんがすかさずあたいを抱きかかえてくれた。
「マスター! なんですか! それ!」
姉ちゃんがマスターに怒鳴る。今までにそんな姉ちゃん見たこと無かった。
「うるさい!! ちょっとだまってろ!! 気になるんならアールもエル連れて出ていけ!」
マスターもTVから目を離さず怒鳴ってきた。あんなマスターも初めてだった。
「いこう…エル」
あたい達が部屋を出ようとしたらマスターが声をかけてきた
「いいと言うまで入ってくるな」
そして、姉ちゃんがやさしくあたいをリビングまで連れて行ってくれた。
いつもマスターが寝る時間になっても寝る様子が無いので、あたい達はそのままリビングで寝た。
あたいはマスターの肩に乗り、イベント会場の人ごみの中を進んでます。
バトルエリアに来た時に、後ろからマスターに声をかける人が居ました。
「やぁ、鶴畑君。君も来ると思ってたよ」
声をかけてきたのは、マスターの通っている学校の一つ上の先輩でした。
「ああ、聖さん。お久しぶりです」
聖 星人(ひじり せいと)さん、マスターより早くから武装神姫を始めていて、ランキングもマスターより上です。
「それより、またランキング上がったそうだね。おめでとう」
二人が握手します。
「ありがとうございます。早く聖さんに追いついてみせますよ」
「ああ、期待してるよ。あ、そうだ! せっかくだから一勝負しないかい?」
「いいですね。お願いします」
マスターがバトルブースに入り、あたいをセットしました。
「ヴァーチャルモードでいいかな?」
「かまいませんよ」
マスターは聖さんの申し出を了承し、あたいはヴァーチャルステージに降り立ちました。
聖さんの神姫「アルテミス」はとても強く、気を抜けばやられてしまいそうでした。
ですが、マスターに貰ったこの装備があたいに力をくれます。
あたいとアルテミスは互角の勝負を繰り広げていましたが、あたいのミスでアルテミスが攻勢に出て、あたいは負けました。
「いやぁ、鶴畑君とルシフェルもつよいね」
「いえいえ、まだまだです」
「僕のほうが負けると思ったくらいだよ」
「聖さん、ありがとうございました。この勝負をこれからに活かしたいと思います」
「うん、がんばってね」
「おっと、いけない。ちょっと予定が詰まっていましてこれにて失礼します」
「そうか……もっとバトルしたかったけど、仕方が無いね」
マスターがその場を後にすると、後ろの方で控えていた爺やさんが来ました。
「奴の神姫を破壊しろ。破片を集めて復活させるという変な気を起こさせないくらい徹底的にな」
「仰せのままに」
カチャ、カチャ……
マスターのリムジンの中で、マスターは無言のままあたいの装備を片付けています。
バタン!
大きなアタッシュケースにパーツを大事そうに収めると蓋を閉めてロックしました。
この装備の付け外しの際が、マスターと触れ合える貴重な時間です。
「マスター、ごめんなさい……あたい…」
「いや、俺こそ悪かった、無理をさせたようだ、許して欲しい」
あたいは、マスターのその言葉で落ち込んでいた気持ちがほぐれました。
「マスター、今度は……今度は負けないように……」
ドン!!
言い終わるまでに、あたいは背中に強い衝撃を感じました。
マスターの座る窓際から反対がわの窓際まで飛ばされたようです。
えっ?とマスターの方を見ると、手から青い糸くずがはらはらと落ちていました。
それが、あたいの髪だということに気がつくまで少しかかりました。
「次? 次だと? そういったのか?」
マスターがあたいに近寄ってきました。
太陽すらもその視線で凍りつくような冷たい目を、汚く醜いものを蔑む表情で。
「あ……ああ…ご、ごめんなさい! ゆるしてください!」
「俺が、許してくれといったのは、貴様に『ルシフェル』の名を与えたことだ!」
マスターがあたいを思い切り掴みました。それこそ、そのまま握り潰しそうな勢いで。
「性能の悪い奴は必要ない。貴様にはルシフェルはつとまらない」
「ああ………」
「貴様に与えた、特別製の腕、返してもらうぞ!」
マスターがあたいの腕を持ち、肩から引き抜こうとしました。
ビギッ! バチッ!
体内でスパークと機械が軋む感じがしたかと思うと、激しい衝撃がAIを襲い、頭の中でアラームが鳴り響きました。
“右腕部欠損! 右腕部欠損! 右腕部欠損!………”
「…う…ぐ…」
右腕を引き抜かれる時のショートで。あたいの発声回路が壊れ、呻き声しか出なくなりました。
続いてマスターは手を持ち替え、今度は左腕を引き抜きました。
再び激しい衝撃がAIを襲います。
“両腕部欠損! 危険度レベル8 両腕部欠損! 危険度レベル8 ”
あたいの頭の中でアラームが激しく鳴ります。
「ふん! ちょっとは使えると思ったんだがな」
それがあたいの聞いたマスターの最後の言葉でした。
その後、リムジンの窓が開き、マスターは地面に叩きつけるようにあたいを投げ捨てました。
地面に激突し、足が折れてどこかへ飛んでいくのを感じました。
地面に落ちてもあたいはマスターのリムジンのテールランプを見続けました。
“両腕部及び両脚部欠損! AIを緊急スリープモードに切り替えます”
頭の中でこのアラームが鳴った時でも、マスターに謝り続けました。
そして、スリープモードに入る直前に誰かが近づいてくるのを感じました。
たしかめようとしても、カメラの目はスリープ移行中のため反応しません。
― 誰? ―
「……ん……あ」
呻き声しかもれません。
その誰かが、あたいを持ち上げました。
「今、何時だ!」
「9時43分です」
その言葉を聞いたと同時にあたいのAIはスリープモードに入り眠りにつきました。
俺が部屋を出て、リビングに行くとすでにアールが起きていた。
「おはようございますマスター」
「ん、おはよう」
「ねむれましたか?」
「いや、寝てない」
「くすっ わたしもです」
「昨日は悪かった。謝る」
「マスターの考えてることわかってますから」
「エルは?」
「まだ寝てます」
「そうか」
「収穫はありましたか?」
俺は冷蔵庫から水を出してコップに注ぎ一気に飲み干して、アールの横に座った。
「俺たちが相手にしようとしている鶴畑興紀っていうやつは、天才だ」
出来るだけ声のトーンを落とし話し始めた。
「大して指示することもなく神姫は戦う。ここまでは普通の奴でも出来る」
「はい」
「しかし、あいつは違う。一度指示を出すと完璧な戦術が出される」
「はい」
「あいつの負けた試合の原因を分析して驚いた」
おれは背もたれにもたれかかり、天上を見る。
「原因は、なんだったのですか?」
「神姫だ」
「神姫?」
「そう、神姫だ。あいつの指示に神姫が着いていけないと負けている」
「それじゃあ……」
「ああ、そうだ。あいつ自身は完璧な戦術を組み立てるのに神姫が実行できないんだ」
「そんな…」
「しかも、次の試合では着実に前回を上回る性能の神姫を用意してくるんだ」
「…マスター」
「今、あいつは自分の指示を完璧にこなせる神姫を探している。もし、みつかればあいつは……」
アールが息を飲む音が聞こえたような気がした。
「無敵だ」
俺は、今だ眠り続けるエルを見た。
「俺は、無理なことをエルにさせているのだろうか」
「大丈夫ですよ」
俺の手にアールがそっと手を乗せる。
「エルを捨てるという冷たい心では、神姫と心を通じ合わせるなんて出来ません。それが出来るマスターとエルは負けませんよ」
「しかし……」
「元気の出るおまじない、してあげます。顔をこっちに近づけてください」
「ん」
顔を持っていく。
アールからちゅっとキスをしてきた。
「どうですか?」
真っ赤な顔で俯くアール。俺も照れて顔を背けるとそこには、寝そべって両手で頬杖をついてこっちを見ているエル。
「み ちゃ った」
声を出さずにいうエル。
「うわぁ!」
「きゃ!」
俺とアールは二人してバタバタと距離をとる。
なんだかその日一日は気まずかった。
でこちゅーさん、鶴畑三兄妹の詳細な設定ありがとうございます。
それを読んで、こんなのを書いてみました。
しかし、主人公であるマスターの名前を決めていないorz
早く決めないと・・・
>>271 仕事速いな!! ていうか仕事はやくて情熱ある奴しかおらんのかここには!!
あとそれぞれのシリーズごとにスレがあったりしたらわかりやすいかと思った。
やたらと消防車のサイレンがうるさい日の翌日だった。
なんでも国立の研究施設だか何だかが火災になったとかで、
隣の地区どころかその向こうの地区からも消防車が来ていたらしい。
幸いにも俺の済むアパートからは離れているので危険は無かったのだが、
かなりの規模の火災だったらしく、朝方まで五月蝿くて眠れなかった。
おかげで寝不足です母さん。
仕事中も問い合わせの電話が山程山程。
地区違うっちゅーねん、部署違うっちゅーねん。
しかしどんなに忙しくても定時上がりなのが公務員のいい所。
ちゃっちゃと寝ちまうぜー…と目論んでいたが、
そうも行かない理由が俺に申し訳なさそーな視線を送っていた。
「すると何? キミの面倒を見ろ、という訳ですか親父殿は。」
正座したそいつの前には親父からの手紙。
内容は『マオを頼む』。
こんだけ。
あーーーーーーもーーーーーーー。
思えば母さんの葬式にも来なかった親父が、だ。
あげく、仕事に専念する余り家に帰ってこなくなった親父が。
今になって『マオを頼む』ですと?
いやいやいや。
親父のことは軽蔑しているし、やっとこさ縁がきれたかなーとか思っていましたよ?
それでも『マオを頼む』と言われりゃあ何某(なにがし)かの切迫した事情があるのかもしれないと
思うじゃあないですか。
でもねぇ…多分このコがマオなんだろうけどさ。
俺、このコの事見下ろしてるんだよね。
それはもう物凄く。
「あうぅ、スミマセン; ですが私、他に行く当ても無くて…」
泣くな。
泣かれると多分、すっげぇ困る。
こんなんでも女の子の涙は強力ですね、母さん。
親父からの手紙を持ってきた彼女は…
神姫でした。 orz
2
俺は柏木浩之、20歳のしがない公務員でございます。
親父は失踪して音信不通だわ母に先立たれるはと、程々に波乱万丈な学生時代を歩んでまいりましたが、
めでたく就職浪人にもならず安アパートながら質素ながら、それなりに平穏に暮らしてまいりました。
1時間ほど前までは。
労働を終え、愛しの我が家のノブを回したところで呼び止められた。
「ヒロユキ様ですね?」
透き通った、それでいて少し甘さのある少女の声。
おいおい、これって『貴方の事ずっと前から見てましたv』か?
いやさ、気が早いぞ俺。
キャッチセールスな可能性もあるし、ここは当たり障り無く…
「どなたですか…って、あれ?」
いない。
だーれもいない。
前も後ろも、見渡す限り360度。
空耳だったのかも。
がちゃり
扉を開け、部屋に入ろうとする俺のズボンの裾を何かが引っ張った。
「ああ〜、待ってくださいぃ〜」
んな?! さっきの声!
足元から聞こえるし、ズボンの裾わ引っ張られてるし、いったい何が……
「あ」
見ればそこには、緑色の髪と瞳の人形が泣き出しそうな顔で俺を見上げていた。
3
柏木家 居間兼寝室兼色々
「泣くな。 泣かないでお願いだからっ。 君をウチに置くのは構わないんだけど…」
そう。
犬猫人間に妖怪の類であれば、安月給の身ではとてもじゃないが支えられる筈も無い。
だがこの子は武装神姫とかいう玩具だ。
たぶん。
かかったとしても精々充電の電気代程度で経済面での問題はないし、
ちっこいので狭い我が家でも面積を圧迫する事も無いだろう。
問題はそんな事じゃないんだ。
構わないと言われてぱぁ…っと花が咲いたような笑顔に。
可愛いなー。
なるほど、これでは子供ばかりでなく、いい年した大人が熱を上げてもしかたない。
「もう一度確認させてくれ。 君が親父が俺に面倒を見るように頼んでいるマオなんだね?」
ここだ。
身勝手にも程がある。
自分の妻の葬式にすら顔も出さないで、今になって頼みごとを…しかも人形の世話ですよ?!
「はい、私は開発コード ”Maxwell−X01”通称マオ。 貴方のお父様によって作られた武装神姫です。」
くぁ、確定かよ…
俺ら家族をほっぽいといてまでしてた仕事がコレ?
なまじ目の前のこのコ…マオが可愛いだけに、余計にムカツク。
…あれ?
でもこの外見はたしか…
俺はPCをスリープモードから復帰させるとブラウザを起動し、
ホームページに設定してある検索サイトに[武装神姫 猫]と入力した。
…武装神姫 猫 の検索結果 約 58,000,000 件中 1 - 10 件目
とりあえず公式らしき所をクリックする…
あった、これだ。
「なぁ。」
「は、はい?」
画面には猫型MMS[マオチャオ]のデモンストレーションムービーが映されている。
そっくりだ。
なのにコイツは確かに…言ったよな?
「君を作ったのは俺の親父で、しかもコードナンバーにX?」
「え、ええ。」
ちょっとうろたえてる。
あきらかに「余計な事言っちゃたよ〜」な顔だ。
感情は豊かな様です。
置くのはいいだろう。
作り物であろうとも、ヒトの形をしてヒトの様に振舞う存在を寒空に放り出すのも気が引ける。
けどな、ひとつ納得できねぇんだよな。
「君はコレとは別の”何か”なんだな?」
「う、あ、ぅ〜、はぃ…」
「置いてやる。 だがその代わり、親父が俺達をほっといてまで作った君が何なのか、
なんで俺に所に来なきゃならなかったのか、話せ。」
4
朝。
とりあえず。
マオの事は「父親が同じなんだから俺達は兄妹じゃね?」で落ち着きました。
落ち着いたという事にしておいて下さい、いやマジで。
マオから聞いた話はヘビーすぎてなんと言うか。
「兄妹じゃん!」とマオを暖かく受け入れた俺ですが、
内心はぐっちゃぐっちゃな訳で…
しかし個人の事情で仕事を休んでいては(除、冠婚葬祭)
お給料の元を収めていただいてる国民の皆様に顔向けできないというものです。
真面目だな、俺。
でもなー、コイツを一人にするのはなー…
うん、連れて行こう。
内ポケットに入ってりゃなんとかなるだろう。
「マオ、仕事いくけど…一緒にくるか? 見つかるとまずいから
ポケットの中で大人しくしてもらわなきゃならないだろうけど…」
彼女は振り向くと、苦笑いしながら「隠れてるのは得意ですから」と答えた。
278 :
273:2006/10/12(木) 23:36:04 ID:70Aomwrg
初めて書いてみましたが…改行の加減がわからなひ;
>>264(ねここのマスター氏)
え、名前が!すいませんすいませんorz
しかしマオチャオで表バトル参戦と聞いて
十兵衛の初戦の相手って…と一瞬思ってしまいましたが
すいませんすいませんそんなことあるわけありませんorz
朝起きたら、雨が降ってた日曜日。
窓越しに見える風景は割と綺麗で、『私』こと『黒子』は雨降りの日が嫌いではない。
「テレビを眺めるしかない天気だなぁ」
既にテレビを眺めているオーナーが呟く。白子がテレビ画面からオーナーへと視線を移した。
「オーナーも車を買えばいいんです」
「無茶言うな。そんな余裕、ないよ」
複雑な表情で白子を見るオーナー。視線が白子からゲーム機へと移る。
まさかそれのせいにはしませんよね、オーナー。
「ゲーム機を買い直したから」
「ゲーム機と言う名の何を買ってきたんですか」
空港の手荷物検査で引っかかりそうな物だと思うよ。犬に吠えられる類の。
そういえば……。
「犬子はどこに?」
「猫子と一緒に散歩中」
「散歩ですか?」
そんな趣味があったとは知らなかった。さすがに獣をモチーフにしているだけのことはある。
「ああ。マスィーンズの散歩に付き添ってるよ」
「そっちのですか」
マスィーンズもモチーフは同じだから不思議ではない。
でも猫子のマスィーンズはともかく、犬子のマスィーンズのモチーフは狐に見えるんだよね。
「探してきます」
「迷子になるなよ」
「マスィーンズじゃあるまいし、平気ですよ」
「平気だよね」
……うん、白子。その目はなあに?
猫子を見つけるのは簡単だった。
板張りの廊下にキャタピラ痕をつけて進むマスィーンズがいたからだ。
「怒られるんじゃない?」
「にゃ?」
不思議そうな顔で私を見る猫子と五体のマスィーンズ。
物凄く注目されている気がする。
「これ」
キャタピラ痕を指さす私。ただでさえを大きな目を見開く猫子。
「にゃーっ! しまったのだ、またやってしまったのだ……」
「ゴムに履き替えさせればいいのに」
「ついつい忘れてしまうのだ……」
「『ダイマオー』を分解される前に謝りに行った方が良いと思うけど」
「そうするのだ!」
全然反省してない顔で走り出す猫子。再び刻まれるキャタピラ痕。
「ちょっ……だからキャタピラだってば!」
「にゃーっ!!」
板張りを細かな傷だらけにする一体を拾い上げた猫子は、さすがに少し落ち込んだ様子で歩き始めた。
「ところで、犬子知らない?」
立ち止まって振り向いた時には、もう猫子は笑顔になっていたけれど。
「マクツに行ったのだ。犬子のマスィーンズはあそこがお気に入りなのだ」
魔窟、ね。
>>271 板立てお疲れさまです。GJ!
>>272 シリーズごとにスレ作ると分散して過疎る&職人さんにもプレッシャーかかるので、
今の混沌とした流れを引き継ぎたいに一票。
投降スレ、感想+雑談スレだけで十分かと。
大掃除の甲斐あって、かつて(主に私に)魔窟と呼ばれていたオーナーの私室は、割と普通の部屋になっていた。
壊れた電化製品は捨てたし、自転車のタイヤもまとめて捨てた。
どうしてあんなのがあったのかは知らないけれど……なくなってしまった以上、散策はしないでおこう。
今やこの部屋は、物が多いだけのただの部屋だった。
「……犬子?」
犬子は、じっと立ちつくしていた。
マスィーンズが辺りに散らばっている。好き勝手に動き回っている所を見ると、猫子の言ってた「お気に入り」というのはホントのことらしい。
けれど犬子はマスィーンズに目をやることもなく、ただただじっと立ちつくしていた。
「……あぁ、黒子」
吼凛の名前通り、凛とした声音が響く。
現在販売されているどの神姫よりも美しい声の持ち主だとして、彼女に魅了されるオーナーも少なくないという。
「どうしたの、ぼうっとして」
「ちょっとね……」
言って、犬子は視線を外した。
その先を追って――私は彼女が、ただ動かずにいたわけではないことに気づいた。
「私たちのパッケージだね」
犬子の視線の先には、武装神姫のパッケージが収められている棚があった。
タイプ・アーンヴァル。
タイプ・ストラーフ。
タイプ・猫爪。
タイプ――
「……あれ?」
ない……?
アーンヴァル。ストラーフ。猫爪。
私たち三人分のパッケージは同じ所に収められているのだけれど、犬子――吼凛のパッケージだけ、見あたらない。
……別の場所に保管してるんだろうか。
「私が見のがしているわけじゃあ、ない、か」
私の表情を見たのだろうか。犬子が不思議そうな声音で言った。
「一度くらいアーマーを装備させて欲しくてね。掃除の時に猫子のパッケージを見かけたものだから、きっと全員分あるのだろうと思って今日見に来てみたのだけれど」
「なかったんだ」
「うん。……まぁオーナーのことだから、なくしてしまったのかもしれないけどね」
亡くしてしまった、と聞こえたのは、きっと気のせいだ。
「そんなことない……とは、言えないかなぁ……」
「そうだな。あのオーナーのことだから」
犬子はうつむき、
「まぁ、いいさ」
ぐいっと両手を上げて伸びをした。
「ないならないで、アーマーが装備できない諦めもつくよ。KT36D1――ドッグテイルが残っているだけ、マシってものだから」
そう言って犬子は、お尻から伸びる尻尾を嬉しそうに震わせた。
凛とした声は最初から最後まで変わっていなかった。
その日の夜。犬子の話が少しだけ気になった私は、魔窟に行った。
オーナーと鉢合わせたのは、魔窟のドアの前のことだ。
丁度良い。
「オーナー、ちょっと聞きたいことがあるのですが」
「ん……なんだ?」
「犬子のパッケージはなくしてしまったのですか?」
オーナーの眉が少し動いた。
口から出てきたのは、予想外な言葉。
「……いや、捨てたんだ」
「捨てた!?」
「声が大きい」
辺りに視線を巡らせるオーナー。犬子に聞かれないかと心配しているんだろう。
「……捨てたのですか」
「雨に濡れてね。ぐしゃぐしゃになっちゃったから」
「あぁ……そういうことですか。もしかしてアーマーは……」
「いや。そっちはいつの間にか無くなってた」
「……あぁ、そんなことじゃないかと思っていました」
「細かい装備はなくなるんだよ。パッケージに収められないとなおさらさ」
「はいはい」
「犬子には言うなよ? 白子にも猫子にもだぞ?」
「分かりました」
その代わり。
「神姫用のゲーム・コントローラに軽量改良型が発売されたそうですね」
「……りょーかい」
――二日後、オーナーの家に最新型のコントローラと、新しいロボットゲームが到着した。
興味津々で目を輝かせる神姫たちよりも、彼女たちを見るオーナーの方が嬉しそうだったという。
D・D・D――END.
(どこにでもいるオーナーと・どこにでもいる神姫の・どうってことない日常風景)
※注意書き
グロテスク注意。
動物、特に犬好きの方注意。
これはD・D・Dではありません、D.D.Dです。
月夜の晩に狗吼える。
獣の声は喉から出ない。合成音声は耳に優しい音ばかり紡ぐ。
磁石を貼りつけても喉笛を切りつけても、先に根をあげるのはコアや素体の方だった。
その名の通りに凛とした声で、月夜の晩に私は吼える。
もっと低く。
もっと荒く。
もっと遠く。
貴方の耳まで届きますように。
マスィーンズ伍号を接続した胸甲・心守。
脚甲・狗駆。
KT36D1ドッグテイル。
十手がひとつ、棘輪がひとつ、吠莱壱式がひとつ。
私の装備は、それで全て。
これだけで良かった、と私は思っている。
これ以上の装備を持ち歩くことは不可能ではないかと感じているから。
私一人で。
他の何者の助けも借りずに。
保健所というものがある。
実に様々な活動をしている機関ではあるが、単純にその単語のみを言われた場合、誰もがこう思うことだろう。
犬猫の虐殺機関、と。
事象の一面のみを取り出した言葉であり、極論であり、実に幼稚な連想ではあるが……間違っている、とは言えない。
警察や自治体が行っていた野良ペットの捕獲にも協力することになってからは、そのイメージはより一層市井に刻み込まれることになった。
だが今、虐殺機関という単語だけを取り出したとき、連想される機関名は保健所ではない。
一年ほど前から、変わってしまった。
それは警察。
――野良神姫の捕獲と、その処分。
ここ最近、不要になった神姫を起動した状態のまま捨ててしまうオーナーが後を絶たないのだ。
それはサディスティックな理由の時もあるし、なんとかして生きていって欲しいという思いやりが理由の時もあるが、導かれる結果は同じ。
捨てられた神姫が、街をさまようことになる。
このご時世、神姫程度の知能があれば自身のバッテリーを充電することくらいはわけもない。エネルギーが枯渇することなどまず有り得ない。
とはいえ、素体が劣化して動けなくなるまで放置しておくわけにはいかない。
彼女らの知能は野良犬など比較にならぬほど高く、彼女らの武装もまた同じ。
往々にしてオーナーへの、人間への恨みを抱いている彼女らを放置しておくわけにはいかない。
直接的に襲いかかる時もあれば、間接的に被害を与える時もある。
神姫の販売店やメンテナンスの下請け店へと侵入し、どこから見つけてきたのか、コアへとウィルスを仕込む事件も増えている。
放置しておくわけにはいかないのだ、絶対に。
それ故に――
犬が、吼えている。
首輪をし、鎖で繋がれている。
赤い屋根の小屋と、その前に置かれた空の餌皿には、TAROとローマ字で描かれていた。
この夜を抜け、また朝を迎えた暁には、主人の足下にすり寄って思う存分甘えた声で吠えるのだろう。
そんな小さな、可愛らしい犬だった。
TAROの遠吠えが終わる。
断末魔が潰える。
もう動かない。
ざまあみろ。
「……何匹目だっけ」
胸甲・心守に接続したマスィーンズに声をかける。
「九匹目だね」
「次で大台か」
『タイプ・吼凛』――つまり『私』は、犬の中からずるりと十手を引き抜いた。べたつく液体でぬらりと光っている。
鼓膜を破ったときのものか、奥に達したときのものか……まぁ、どっちでもいい。
野草の葉で糊を拭い、十手をスタン・モードで起動。
わずかにこびりついていた残りが焼けて剥がれる。
「臭いな」
「臭うね」
今夜中に大台に乗せてしまおう――そう考えた私は足早にその場を後にした。
「……うっかりしたな」
「失敗だね」
少しだけ気分が高揚していたせいだろうか。周囲の確認を怠ったせいだろうか。
ふと気がつけば、背後に足音。
「追われてるな」
「追われているし、囲まれているね」
私の視界にレーダーが重なる。笑い出しそうなくらい光点が見えた。
周辺三十メートル圏内に、二十体ほどの神姫反応。
そのうちの一体はパターンに登録されている見知った物だ。
立ち止まり、私は『彼女』に声をかける。
「また来たの?」
「……また来たよ」
「囲まれていること、知っているの?」
問われた彼女は少しうつむき――こちらを睨んだ。
「……知ってるさ」
「そう」
棘輪を右手に、十手を左手に。
スタン・モード起動。
「貴方が壊してきた犬達と、同じようにしてあげるから」
彼女は棘輪を左手に、十手を右手に装備する。
スタン・モード起動時の、空気が焼ける匂いがする。
タイプ・吼凛は、真っ直ぐ私に突っ込んできた。
『彼女』が膝を曲げて腰を落とし、左手の十手を構えた。迎え撃つつもりだろう。
お粗末だ。
『私』は走り出した勢いのまま膝を曲げて跳ね、脚甲・狗駆の装甲を盾にして十手にぶつかる。
「うっ……!?」
同じタイプ、同じ武装の神姫なのだ。勢いを持って突っ込んだ方が力強いに決まっている。
彼女は十手を振るって押し戻そうとする。だがパワーで負けている上に、スタン・モードといえども装甲越しには満足な効果など望めない。
左手の棘輪を装甲の隙間に押し込む。彼女の腹を蹴りつけ、距離を開けた。
マスィーンズの遠隔操作で棘輪のスタン・モードを起動する。
「あ゛……!!」
彼女はびくりと体を震わせる。ゼンマイの切れた人形のような動きで棘輪を掴み、その場に落とすが――手遅れだ。
既に私は彼女の眼前にいるのだから。
「……私は……」
彼女は鈍い動作で背にマウントした吠莱壱式を手にしようとする。
この距離で何をしようというのか。
「……犬を殺さなくては……」
私は右手の十手を首のコネクタ部分に押しつけた。
「殺さなくては……」
風船が弾けるような音が響く。
回路の焼け溶ける臭いがただよう。
「……臭いな」
棘輪を回収しながら顔をしかめて呟く私に、
「臭うね」
胸甲・心守に接続したマスィーンズ伍号が応える。
それと、もう一人。
「あぁあぁ……壊さなくてもいいじゃないか」
人間だ。
私は彼を知っている。
野良神姫の捕獲、処分を担当する者。
「飼い犬の連続殺害犯をどうにかしてくれた、っていうのは、ありがたいんだけどさ」
面倒くさそうな表情で彼は言う。
「回路焼いちゃったら、ウィルスに冒されていたかどうかも分からないでしょ。だいたい器物破損の罪になる」
AIを殺しても、殺人罪にはならない。
当たり前だ。
「もっとも僕をオーナーとして登録して、仲間になってくれるっていうなら、その辺の細々した問題はなくなるんだけどねぇ」
身を潜めていた神姫達がそこかしこの暗がりから姿を見せる。
「構わないはずでしょ? キミは野良神姫を狩って回ってるんだから、僕らと目的は同じはずだ」
「――目的が同じだからといって、手を組むとは限らない」
「そりゃそーだ」
彼は頷く。きっと飽きているのだろう――このやりとりも、幾度繰り返したことか。
「んじゃ最終通牒。僕、でなくてもまあいいんだけど、オーナーに迎えるつもりはないんだね?」
「私のオーナーはひとりだけだ」
「捨てられたのに殊勝なことだね」
彼は腕時計を確認した。
「午前三時二十三分――No.1867の捕獲に移る」
二十体あまりの神姫が私めがけて突っ込んでくる。
神姫のタイプは全て同じ――忍者タイプのフブキである。
ただしその装備は千差万別。流れ弾を警戒してか、近接武器ばかりであるが、パッと見ただけでもアーンヴァルのM4ライトセーバー、ストラーフのフルストゥ・クレインが見える。
一際長大なサイズ・オブ・ザ・グリムリーパーを両手で握るフブキもいた。
もちろん、だからどうしたということはない。
彼女たちの動きは既にパターン化されているのだから。
「バトル・モード。あ、電圧抑えるんだよ」
「分かってます」
スタン・モードの調整を伍号に任せると同時に世界から音が消え、視界がワイヤーフレームに変化する。
聴力デバイスを一時的に殺し、画像処理に割いていた処理能力をレーダーと駆動系に回したためだ。
グリムリーパーが視界に入るよりも早く、私は体を動かした。
一歩退き、髪一重で避ける。脚甲・狗駆で蹴り飛ばす。残した脚を基点にして体をひねり、背後のフブキに回し蹴り。
その反動でもって跳ね上がり、左右から襲ってきたフブキ二体を同士討ちさせる。
彼女らを踏みつけ、バランスを取るため両手を横に伸ばした。握った十手と棘輪が別のフブキに触れる。手を離す。伍号の遠隔操作。スタン・モード。
塗装の焦げる匂いがする。十手と棘輪を回収し、踏みつけたフブキを蹴って空へと跳ねる。棘輪を投擲。遠隔・スタン・モード。また一人その場にくずおれる。
私を見上げるフブキ、残りは十三人。
自然落下に身を任せる。槍襖よろしいの刃先が私を睨む。両足より先に十手を下ろし、彼女らのスタン・モードと干渉させる。
弾かれる衝撃に身を任せながら十手を投擲。脇腹を串刺しにされたフブキが他のフブキ達をまきこんで倒れる。
オートバランスで立ち直るよりも早く、背負った吠莱壱式を接地させ、照準も定めずトリガーを引く。
おそらくは、轟音。
コア保護のために強制シャットダウンしたフブキがその場に倒れる。迂闊にも棘輪を踏みつけていたフブキが一人いた。一手遅れて彼女も倒れる。
吠莱壱式をその場に残し、突っ込む。二刀流のフブキが真正面に来る。最も装甲の厚い胸甲・心守で攻撃を受ける。彼女の右手が振るわれるより先に胸部装甲の隙間を殴打。
倒れた彼女の腕を蹴りつけてライトセーバーを跳ね上げ、手にする。フィギュア・スケートの様にその場で回り、隙を窺っていた者を横薙ぎにする。
慌てて距離を取ろうとしたフブキへライトセーバーを投擲。
転がるフブキの一人から十手を引き抜き、後ずさりを始めた一人に突っ込む。彼女は背を向け、走り出し、何も気づかず棘輪を踏んだ。
スタン・モード。
彼女が倒れる様子を見届ける前に、肩越しに十手を真っ直ぐ背後へと突き刺す。
仲間の倒れる瞬間にこそ隙が出来ると考えたのだろうか――背後に忍び寄っていたフブキがその場に倒れる。
私は棘輪へと歩み寄り、悠々とそれを拾い上げた。
この隙を狙っていたフブキが、襲いかかってくる。
けれど彼女らの武器は私に到達することもなく、遠隔操作で起動した吠莱壱式の射撃に巻き込まれ、弾け飛んだ。
「解除」
「バトル・モード、解除します」
音が蘇り、視界に色と形が戻る。
「……あいかわらず無茶苦茶だ。昔見た映画を思い出すよ」
人間の彼は最後の神姫を拾い上げた。
「カンフーの達人が群がる敵をばったばったと叩きのめす映画があったんだ」
「今でもあるよ」
「はは、そりゃそうか」
私の言葉の何が面白いのか……彼は小さく笑って、ポケットに手を入れた。
どこかおっくうそうに、彼は懐中電灯にも似た装備を取り出した。
捕獲者の特殊装備、EMPバラージ――
――要するに電磁波攻撃、パルス・アタックの意だ。
素体の表皮やコネクタから神姫内部に侵入し、強力な電圧を発生。その電圧がコアに接触すると、神姫の電源が一瞬停止して自動的に再起動してしまう。
それが強制終了と同義である以上、エラーチェックに時間をとられている神姫は隙だらけになっている。その間に捕縛する――という寸法である。
もっともコアに触れた途端に回路が焼け溶ける場合もあるし、至近距離で使用した場合は素体自体が焼き付く場合もあるのだが。
「知ってるよね、これ。EMPバラージ。動かない方が良いと思うよ」
私は、
あきれ果てた。
「最後の最後にハッタリを持ってこないで」
彼の口元が歪む。
「……割と、本気」
「貴方は嘘が下手だね」
私は、私の周囲に散らばる神姫達を睥睨した。
電圧を調整しておいたし、コアに傷はつけなかった。シャットダウンしているだけで、彼女らのAIに問題はないだろう。
「……ハッタリのし甲斐がないね、まったく」
「分かりやすいから」
そう、分かりやすすぎる。
他の神姫を巻き込まないように、使わずに済ませていた装備なのだ。
こんな状態でスイッチを入れられるはずがない。
「……キミのいうとおり、僕は使わないけどさ」
EMPバラージがポケットに戻る。
「遠慮しない人だって、僕らの仲間にはいるんだからね」
「忠告感謝」
仕方ないなぁ、という表情を浮かべ、彼は言った。
「また遭おう」
私は応えた。
「二度と御免よ」
背を向け、歩き出す。
吠莱壱式を背中にマウントし、そのまま真っ直ぐ。
「……なぁ」
「なに」
「どうしてこの子達の装備を持っていかないんだ?」
何言ってるんだ、この人は。
「オーナーからもらった装備以外を使って、どうするの」
彼は何も応えなかった。
だから私も振り向かなかった。
不意打ちなんてしない紳士な彼に少しだけ感謝して、私はその場を後にした。
「……もったいないなぁ」
二十二体のフブキを回収しながら、彼は呟く。
「彼女が仲間になってくれたらどれだけ仕事がはかどることか」
酷い損傷はないか、一体一体じっくりと確認しながら、彼は呟く。
「ていうか、ほんと、もったいないなぁ」
キャリー・ボックスに収納しながら、彼は呟く。
「どうしてあんな子捨てたんだろう」
収納を終えた彼は、ふわりとあくびをした。
――遠くから狗の遠吠えが聞こえる。
涼やかで、伸びやかで、凛とした、遠吠え。
合成音声に精一杯ノイズを重ねた、その吼え方は。
――泣くなよ、と、彼は言った。
D.D.D ―― END.
(Dish-licker.Disability.Distress/狗は上手に嘆けない)
みんなGJ!
特に
>>127さんと
>>197さんには心からのGJ! を。
イラストって良いなぁ、と思ってしまう私ですよ。
ていうか読むのが追いつきません。どうしたものか。
>>271 お疲れさまです。
個人的には
>>282さんの意見に賛成でございます。
投下はここでやればいいと思いますけれど。
>>279(チアキ氏)
名前は仮決定段階だったので、ねここときいたらキュピーンときたのでそれにしちゃいました
それとえーと……緒戦の相手は、きっとねここです(何
今それで妄想爆発してきましたので執筆中ですっ、十兵衛ちゃんは多分殆どでないですが(汗
>>DDD氏
ほのぼのだけでなく裏シリーズまでかける貴方のその力が羨ましいですorz
299 :
前スレ208:2006/10/13(金) 00:47:24 ID:h9FCNPHZ
リンのマスター様が立てられましたSS総合掲示板の方に
ごくごく一部ですが感想を書きました。
ttp://yy46.60.kg/shinki6968/ さすがに全ての作品の感想は書けません(汗)
でも全部読ませていただいてます。私のSSの原動力です。
みなさん本当にありがとうございます。
300 :
前スレ208:2006/10/13(金) 00:52:31 ID:h9FCNPHZ
最後の方まるで感想を読んでいるような書き方になってしまったorz
jj
人の居ない今のうちにコッソリと初投稿だ。
書きなれていない為に読み辛いかもしれませんが、見逃してくれると嬉しいです。
「これ以上戦えぬ者に手を出す気はありません、再戦を楽しみにしています。」
また今日もいつものように戦闘停止を申告し、結果的にはドローになる。
8戦やって0勝0敗8分、デビューしてから毎回この調子なのだ。
どうやら自分の趣味が彼女に変な価値観を植えつけてしまったらしい。
そもそも巷で大流行の武装神姫を購入する予定は一切無かった。
仕事で散々扱ってきたのに、病気で休職中の時まで見たくなかったのが正直な感想だ。
「リハビリ兼ねて、お前のボーナスは現物支給でコレだから。」
とは上司の台詞である。
本来は開発に携わった人物がバトルサービスに関わるのは好ましくないのだが、
神姫本体では無くバトルサービスのシステム開発部である事と、
ある種の市場調査を兼ねての特例との事らしい。
その際に都合良く休職中の自分に白羽の矢が立った訳だ。
こうして、我が家にフルチューンされたストラーフがやって来たのである。
正直、戦闘用フィールドばかりを手がけた為か、何から手をつけるのかすら知らない。
名称は事前に”エスト”として登録してもらっているので、とりあえず起動?
「はじめまして、今日からよろしくお願いします師匠。」
「おう、よろしく・・・って師匠!?」
「そのように呼称設定がなされておりますが、何か問題でも?」
「いえ、面倒なのでそのままで結構でございますです。」
面倒だからと初期設定を友人に任せるのは、余計に面倒な事態を引き起こすようだ。
起動から数時間、すっかりウ○ザードやト○ーズ閣下に感化されたようだ。
闘いの美学がどうとか、エレガントにとかブツブツ言いながら武装を選定している。
上司に渡されたカタログでスペックを確認してみるが、どうやらサード程度なら武装無しでも問題無いらしい。
某シューティングの1面で上上下下左右左右BAを使うようなものだろうか。
などと馬鹿な事を考えているうちに気に入った武装を発見したようだ。
自分の2倍弱程の長槍を満足気に振り回している。
「それって懐に入られると邪魔になりそうだな。」
「甘いですね師匠、ちゃんと中心で分割されて2本の槍になります。」
「それはそれは、無知で申し訳御座いませんねー。」
「だからお前は阿呆なのだ!」
いや、それ師匠と弟子の立場が逆だから。
「で、火器の類は見当たりませんがどうすんのさ?」
「そんなエレガントじゃない武器は必要ありません。」
言っても無駄なのを理解したので、残りのパーツで飛行ユニットをでっちあげて
勝手に護身用の銃器を仕込んでおいたのは別の話だ。
こんな調子でこれからやっていけるのだろうか。
書き逃げ成功だー。
このまま続けても問題無さそうなら、悪役目指して育てていこうかと思っております。
それでは、お目汚し失礼いたしました。
「うにゃ!?」
バッタリとその場に倒れこむ、ねここ。
『試合終了。Winner,十兵衛』
無慈悲に流れるジャッジAIの合成音アナウンス
『い、以上がこの試合の内容だぁぁぁ!!なんて正確無比な射撃!タイプストラーフとは思えない落ち着いた攻撃法だぁぁぁ!』
「え……」
私は呆然としてスクリーンを眺めるしかなかった。全身真っ白になって崩れそうだったかも……
ねここの飼い方、そのに(1/4)
「ねここ頑張って優勝する〜☆」
「よぉし、応援いっぱいしちゃうよ♪優勝したらねここの好きなご飯作ってあげるー」
「わぁい♪じゃあじゃぁみさにゃんお手製の杏仁豆腐がいいの☆」
などと今日は2人とも妙なハイテンションになってます、その理由はねここの公式戦デビューの日だから。
この前センターに行って買い物をした時、新人戦のチラシを貰いそれをみたねここは、
「バトルしてみたーい!いっぱいフィールドかけまわるのっ」
と何時になくハイテンションになってて、見てるこっちまで影響される始末。
その日以来、毎日どんな装備にしようかあれやこれやと悩んだのだけれど、
まずはねここの素質を見ようということでほぼノーマルのまま出場することに。
きっと過剰装備させてもこの前のミーティ○の時みたいに使いこなせないのがオチだろうし、ね
…家の修理代高かったよぅ、ぐすん
ねここは反射神経はいいと思うのだけれど、集中力があるようでないのでそこが心配よね。
開始直後なんか空回りしそうだし。
やっぱり自主性に任せきらないで、少しは手伝ってあげた方がいいかしら。
まぁでもなんとかなるよね、多分〜
と思いながらも受付にて各種参加登録を済ませていく、
ねここはまず一番下のサードリーグに登録されるらしい。
さぁて、精一杯ねここの晴れ姿を応援してあげますか!
(2/4)
そして現在魂の抜け掛けた、真っ白な彫刻状態のワタシ
ねここが飛びかかろうと身を縮めるよりも早く、レーザーの閃光がデッドポイントを貫いていた。
開始わずか2秒。
しかも相手は開始地点から一歩も移動せずに、超遠距離からの一撃で。
相手はLC3レーザーライフルを装備したストラーフ。片目には一見可愛い眼帯に見える
特殊カメラ(だと思う)を装着してるから、それで狙撃が出来たのだろうと思う、けど。
やがて片目を眼帯で覆ったストラーフは、LC3レーザーライフルを下ろして射撃態勢を解いた。
マスターの方に向き直り、小さく頷いている。……不覚にも、ちょっと可愛い。
スクリーンの方ではスロー映像が先ほどから何度も流れていて、それを見ても一瞬、まさに瞬殺だった。
鮮やかすぎというのだろうか、サードリーグとはいえここまでレベルが高いとは予想外も激しくて。
「……あ、ねここはっ!?」
はっと我に返り、慌ててアクセスポッド、ねここの元へと駆けてゆく。
急いでポッドを開けてもらうと、そこには隅にしょんぼりと座り込んだねここがいて
「大丈夫なのねここ!?」
「……みさにゃん、ねここ負けちゃった……」
「よかったぁ、何処にも怪我とかしてないみたいね?」
「うん…ねっとわーく対戦だからへいきなの。でもねここ……」
それだけ聞くと、周りの目なんか気にせず私はねここを思いっきりぎゅぅっ、と抱きしめて。
「さ、おうち帰ろ?」
「…うん」
そのまま私は胸の中にねここを抱いて、帰路に着いたのでした。
(3/4)
「あれ、ねここドコなの〜? 杏仁豆腐作ってあげたよ〜?」
帰宅するまで一言も喋らずにずっと泣いていたねここ。
なので少しでも元気を出して貰おうと思い、台所で杏仁豆腐を作っていたのだけれども、
いざ出来上がるとねここの姿が見当らなくなってしまっていた。
やっぱりあそこ、かな。
「ぐす…ひっく…うぅ…」
「こんばんわ、こねこさん。やっぱりここにいたんだね」
「あぅ…みさにゃん」
やっぱりねここは私のベッドの下で一人泣いていた、こんな時はもっと甘えてくれてもいいのにな。
「今日は何で泣いてるのかな。試合怖かったの?」
ふるふると首を横に振るねここ、ぐしぐしとまだちょっと泣きながらも答えようとしてくれて。
私は出来るだけ優しく、でもしっかりと
「じゃあ、なんで?」
「…いの」
「…悔しいの、負けたことが… みさにゃんと約束したのに… 優勝するって… 勝ってほめてもらおうって
でもねここ負けちゃった… 約束破っちゃったの みさにゃんとの大事な約束…っ
こんなのじゃみさにゃんに嫌われちゃうの! 凄いとこみせてあげたかったの!!
なにもできなかったねここが嫌なのぉ!!!」
そう言うと,ねここはベッドの下から飛び出し大泣きになりながら、
しゃがみ込んだ私の顔へしがみついてくる。
悔しいの、約束したのに、と何度も嗚咽しながら繰り返して
(4/4)
「じゃあ、勝とうよ」
「……ふぇ」
ねここはキョトンとした顔になって
「また戦って、今度は勝って、見返してあげるんだよ。ねここはこれだけ強くなったんだぞっ、って」
「でも…」
「2人で一緒に頑張ろう、ね?」
「…いいの?」
「私はねここのマスターなんだよ。
それ以前に泣いてるねここなんて、放っておけるわけないじゃない大切なねここなんだから。
それにどんな事になっても、私はねここを嫌いになんかならないから、
安心していいんだよ、ねここ」
私はねここを柔らかに抱きしめ、あやすようにゆっくりと優しく、でも力強く
「ねここ、あの人に、勝ちたい?」
「うんっ!ねここ……あの人に勝ちたいっ!」
「じゃあ、勝ちに行こ、頑張ろっ」
ねここはまだ目に涙を残しながらも、精一杯の笑顔で 力強く
「うんっ!!!」
そのあとは、2人で一緒に杏仁豆腐を食べました。
ねここには私が、ちっちゃなねここ専用スプーンで食べさせてあげると、ねここはにぱっと微笑むと
「とぉってもおいしいの〜 でもちょっとしょっぱいかな、てへへ」
と、ちょっと恥ずかしそうに笑ったねここの顔は、何時もより輝いて見えて。
一緒に、強くなっていこうね、ねここ。
あとがき?
>>279 というわけでチアキ氏の一言で妄想爆発致しましての、ねここ初戦を書いてみました。
実はそんなことあったわけです( ̄ー ̄)ニヤリ
と、勝手ながら十兵衛ちゃんを使わせていただいちゃいました。
出来るだけ頑張ってみたつもりですのでご容赦のほどをorz・・・
そしてねここは容赦なく吹っ飛ばされてます(*ノェノ)
……それとえぇと、ライバル宣言しちゃってますが当分実力的には追いつかないと思いますので、
あまり気にしないでくださいませ(汗
一応必殺技は考えてありますが……っ
>>303氏
鶴畑兄弟のような(存在感って意味です。念のため)悪役目指してGOですよっ
310 :
67:2006/10/13(金) 14:01:05 ID:pLIoxsYd
バトル関係はもう懲り懲りなので、初心に帰ってただ神姫と過ごす日常を…
運が無い時と言うのは、トコトンついてなかったりする。
今日の俺は何が悪いのか最低最悪で、やる事なす事全て裏目に出ていた。
仕事中に凡ミスを重ね、コンビニに行けば陳列されていた商品を派手に落とし、
挙句、交通手段でもある自転車がパンクしてしまった。
疲れた身体を引き摺って家に帰り、倒れ込むようにして部屋に入る。
苛々が全く取れない。普段なら時間が経つと忘れてしまうが、今回はあまりにも酷過ぎて時間が掛かっているらしい。
この状態では流石に神姫にも愛想の良い顔が出来ず、意図しない内に殺伐としたオーラを纏ってしまっていた。
嗚呼、白子も黒子も心配そうな顔で俺を見つめてくれているが、何のフォローもする気になれない。
申し訳ない、二人とも。
暫くすると、テーブルに突っ伏している俺の目の前に白子と黒子が立っていた。
どうしたのだろうか?
ちょこんと俺の目と鼻の先に体育座りをする二人。
白子と黒子は互いに顔を見合わせ、意を決したかのように肯き合う。
二人が次にした行動を見た瞬間、俺は恐らく人生で一番大きく目を見開いた。
「ぱ…パカ、パカ……」
「……パカ…パカ…」
なんと言う事でしょう(ナレーション:加藤みどり)。
白子も黒子も顔を真っ赤にして、自らの股を開いたり閉じたりし始めたではありませんか!
「なッ?!ななななななななな!!!」
“何をしてるんだ?”と聞きたかったが、実際は狂ったように“な”しか出てこない。
そりゃあそうだろう。唐突に目の前で、神姫とは言え女の子が自分の股を開いたり閉じたりし始めれば誰だって動揺する。
「あ…」
興奮し過ぎて鼻血が……。
白子も黒子も心配そうに、ティッシュ箱へと手を伸ばす俺を見ていた。
―続く
311 :
67:2006/10/13(金) 14:03:50 ID:pLIoxsYd
>>310続き
「で、一体どうしたんだ?あ、あ、あ……あんな事…して」
両方の鼻の穴にティッシュを詰め込んでいる俺。
先程の二人を思い出すだけで恥ずかしくなる。否、眼福と言えばこれ以上ない眼福だったけど…。
それに、あの鼻血のお陰で頭に上った血が出て行ってくれたので、ようやく苛々から解放された。
とは言えオーナーとして、どう言った意図であんな行動を取ったのかは聞かなければならない。
机の上で正座している二人は、小声で何かを囁き合った後、恥ずかしげに話し始めた。
「あの、ご主人様が怒ってらしたので、え…と、インターネットで見た方法を試してみたんです」
上目遣いで、モジモジと手の平を弄る白子。
うう、やっぱり心配掛けさせてたか……。
でも“ネットで見た方法”って、何の事だ?
「掲示板に、私達…“神姫の股を開いたり閉じたりすれば落ち着ける”って書いてあったんです…」
同じく上目遣いで、上体を落ち着き無く揺らす黒子。
ぐぁ、掲示板って多分…と言うか、絶対にアソコしかねぇ……。
「はぁ……。二人とも……“2ちゃんねる”の書き込みは、良く吟味して信じなきゃダメだ」
ようやく全てを理解した俺は、二人に意識して優しく説く。
そう。白子と黒子はいつ覗いたのか、武装神姫スレを閲覧していたのだ。
しかも書き込みのうち、何処かの誰かが考えた有名な『神姫の股を開いたり閉じたりして落ち着け』のネタを、事もあろうに信じてしまっていた。
その為、苛々していた俺を落ち着けようと、目の前でそれを実行してくれたのだ。
普通ならネタだと解る書き込みでも、疑う事を知らない二人なら信じてしまうのも何となく解る気がする。
そうなると、これでは小言を言う気にも注意をする気にもならない。
今回は確かにそんな二人の恥ずかしい行動が俺を救ってくれたので、改めて書き込みの内容は慎重に考えるよう念を押すだけで止めておく。
俺が良いと言うと、何処か申し訳無さそうに自分達の専用スペースに戻る神姫。
「あ、そうだ。一寸待ってくれ」
そんな二人を背後から呼び止める。
振り向いた白子と黒子は、元気の無さそうな、肩身の狭そうな顔をしていた。
まったく、勘違い位でそんなに落ち込む必要も無いのに。
それはさて置き。
「さっきは有難う。ネタはネタでも、白子と黒子がああしてくれたのは別みたいだ。お陰で元気になったよ」
これはだけは疑いようの無い事実。きっと家の神姫だけは、実際にそうなんだと思ってしまう。
気分は親バカ。
俺が笑顔でそう言うと、二人は少しだけ間を空けた後、笑いながら俺の脚に抱きついてきたのだった。
・オマケ・
―?
「ナミコさま。パカパカ……です…」
「ちょ…、アーシェラ?!」
ここにも勘違いした神姫が一人…。
312 :
前スレ208:2006/10/13(金) 19:44:15 ID:h9FCNPHZ
インターバトル2「誤情報」
「…………」
ぱかぱか。
「ま、マスター、どうですか……?」
ぱかぱか。
マスターは一瞬頭の中が真っ暗になり、立ちくらみを起こして倒れそうになった。
「まったく……」
「ご、ごめんなさい」
椅子に座り腕を組んで渋い顔をしているマスターの前の机の上で、アーンヴァル「マイティ」は恥ずかしさと
申し訳なさと自分のバカさ加減に顔を真っ赤にして小さくなっていた。いや、もとから小さいのだが。
「シエンちゃんが、こうすればマスターが喜ぶって」
「奴の仕業か……」
マスターの言う「奴」とはハウリン「シエン」のことではなく、そのオーナーのことである。
「ココちゃんも、言ってましたよ」
「…………」
かの魔女っ子神姫ドキドキハウリンのことである。
マスターは大きなため息をついた。
シエンのオーナーは確信犯だろうが、ココのほうはおそらく実践する前に教えたのだろう。今頃どうなっているだろうか。
「ともかく、情報の真偽を見極めるのは試合でだけでなく、日常生活でも大事なことだ」
「はい……」
「まあ、今回は状況的に実践しなければ分からなかったからいい。実践して取り返しがつかない場合は大変だぞ」
「すみません……」
「……もういい。顔を上げろ」
「はい?」
なでなで。
いつのまにか頭をなでられていて、マイティは面食らった。
「あ、あの、マスター?」
「今回は俺の監督責任もある。もう落ち込むな」
「……はい」
マイティはマスターの指を抱きしめる。温もり。
* * *
ぱかぱか。
「ご、ご主人様。こうですか?」
「そう! そうだ! いいぞシエン! できればもうちょっと開脚しろ!」
「は、はい」
ぱっかぱっか。
「す、凄まじい破壊力だぜぇ……」
ケンは鼻血を素手でぬぐいながら、シエンの太ももを見つめていた。
「あの、ご主人様。そ、そんなに見つめられると恥ずかしい……」
ガチャ。
「ケン、次の試合の段取りが決まったよ」
控え室に舎幕が入ってくる。
「……二人とも、何してるの?」
「おゥ……」
「はうっ!?」
気まずい雰囲気がまたたくまに部屋内に広がった。
了
流れをぶった切るようで恐縮ですが投下させてください(汗
後今回軽めですがバトル有、びみょーなグロ(とまではいかないかも)有
そして、ホイホイさん好きな人は見ない方がいいかも(大汗
ゴメンナサイ|||orz
「みてみてみさにゃん〜、こんなおっきいの捕ったの☆」
「……ぁぅ、朝からなによぅ……て、きぃ〜〜〜〜ぃ〜ゃ〜〜〜〜〜〜ぁ〜〜〜〜〜!?」
嬉しそうにはしゃいで自慢げに報告してくるねこのの腕には、でっかいネズミが一匹。
「捕るのは構わないけど、見せないでいいからっ!外にポィしなさいって何度も言ってるでしょー!」
「はぁ〜ぃ、ちぇ〜」
うぅぅ、毎日のようにゴキ○リやネズミを見せ付けないで欲しいです、今日はよりにもよってわざわざ叩き起されたし(涙
「それと、すぐにお風呂入ること!専用スーツ着ないで捕っちゃダメって言ってるでしょう。全身よーく洗うこと!」
「はぁい♪ねここおふろすきすきー☆」
(珍しいヤツよね、猫なのにお風呂好きって)
ねここの飼い方、そのさん (1/5)
あの日以来ねここは特訓と称して、我が家の害虫退治を一手に引き受けるようになった。
元々その辺りはホ○イホイさんを何体か導入していたのだけれども、わざわざねここにやらせてるのは
生物相手ならいい反射神経の強化になるかなと思ったのと、やっぱり猫型なのだろう、なんかねここが
ちょっとうらやましそーな目でホイ○イさんを見て(ちょっと睨んでたかも)いたのだ。
ねここに尋ねてみた所、
「ねここ、あれやってみたい?」
「うん!」
と目をキラキラ輝かせて即答したのでした。
(2/5)
……しかし、毎日毎日そう何匹も出てくる訳がなく、最近ねここはヒマになってきてるようだったので
今日はちょっと趣向を変えてあげようと思う。
「みさにゃ〜ん、何してるのぉ?」
「ん、ねここのための特訓用道具、かな〜」
「ふぅ〜ん」
今日もねここは私の頭の上にちょこんと寝そべるように座っていて、ねここは私が構ってくれないのでちょっぴり
スネてる感じもしなくもないけど、ねここのためなんだからね。
そう考えてる中でも、私は手早く数体のホイホ○さんを分解、各部のパーツを普通は使わないような
チューン品に変えていって、更にパソコンからAIの処理速度と行動プログラムを若干改変したものをインストールしていく。
「よっし、できた♪」
「おぉー☆」
と声を上げるねここ。何が出来たかわかってないんだろうけど……
「で、なになにー?」
はぁ、やっぱり(汗
「これはねー、ねここの特訓のお相手だよ。勝手に室内を動き回るから、ねここがそれを捕まえるの。
でもとってもすばしっこいから、ねここに捕まえられるかな〜?」
と、ちょっと挑発するように言ってみると、効果絶大。
「できるもんっ!そんなのあっという間に捕まえちゃうんだから☆」
と、ファイトーのポーズを取るねここ。
「じゃ、猫爪つけようね。その方が実戦的でしょ…うふふ」
「おー♪」
(3/5)
そして居間で向かい合うねここと4体のホイ○イさん。
「準備はいい?じゃあスタート」
「いっくぞぉー!」
うりゃー、っとばかりにダッシュして突進してくねここ。
するとホイホ○さんのうちの一体が、手に持ったガトリングガンをねここに向けて、ヴィーンという機械音と共に乱射し始めた。
「に”ゃああああああああっ」
慌ててブレーキをかけ、次の一歩で上空にジャンプするねここに私は、
「あ、そのコたちある程度攻撃してくるからね〜、
柔軟ゴム弾だから当たっても痛くないけど、中ったらオシオキしちゃうぞ〜☆」
と、眼鏡をキラーンと光らせ、フレームを指でくぃっと上げながら言ってみる。
「はぅぅぅ、なにするのぉ」
「ヒ・ミ・ツ☆ 頑張れねここ〜」
「あぅ〜」
うふふ、素直に信じちゃって可愛い。でも飴もあげないとね。
「その代わり全部捕まえられたら杏仁豆腐作ってあげるから、ね」
「にゃぁ♪」
その瞬間ねここの表情がぱぁぁ、っと後ろに花が咲きそうな勢いで喜びに溢れて。
「よぉっし、やっちゃうのー!」
天井を蹴り、反動でホイホイさん達に向かって急降下していく。
そのまま一体の背後にしゅたっと着地。さすがに強化した反応速度でも一瞬対応が遅れたみたいで、
次の瞬間そのホイホイさんは、ねここの研爪の餌食に。
ドサっと倒れるホイホイさん1号(勝手に1号と命名)、他のホイホイさんは不利と悟ったのか、
一斉にバラバラの方向へと散らばっていった。
(ちなみにホイホイさんたちは軽いショックを受けるだけで停止モードになるように設定済)
「…えぇと、見えなくなっちゃったので晩御飯でも作ろっかな〜」
と、私はメガネを置いてエプロンを身につけ、パタパタと台所へと歩いていきました。
(4/5)
「にゅふふ、どこかなどこかなー」
わくわく感を隠し切れない表情でホイホイさんの気配を探すねここ。
ねここたちは専用出入り口を使って他の部屋へと移動していた。
既に別の部屋でホイホイさん1体を仕留め、すっかり狩りをしてる気分である。
しかし野生の感は衰えておらず注意深く身を屈めて歩きつつ、視界に気を配りつつ探索を続けていく。
その時後方の机の足の影からパシュン!と発射音。
「そっこかー☆」
集音センサーでそれに気づいたねここは、そのまま豪快に床を蹴り上げ背面跳びの要領でジャンプ。
ゴム弾は発射速度も抑えられているので、ねここの反射神経ならば発射から着弾までの間に十分回避可能だった。
そのまま背後にくるりと着地し、研爪を横一閃!
「ちゃらら〜、ちゃらららっ、ちゃらら〜〜〜☆」
何処で覚えたのか必殺仕○人のテーマまで口ずさんで上機嫌のようである。
「あと1体〜、このままやっつけちゃうのっ。わっと」
いきなり背後からブースターを吹かし突進してくるホイホイさん。手には薙刀を装備しており、それを一閃。
「うぅー、危ないのっ」
くるりとターンして回避したねここだったが、その後も相手の薙刀の前になかなか攻撃のチャンスが掴めずにいる。
何せリーチの差が倍以上あり、先程のように後ろに回り込もうにも着地の直前そのままバッサリ、なんてことになりかねない。
「う゛〜、どうしよう…」
ジリジリと近づいてはみるものの、相手の間合いに入った瞬間の威嚇攻撃を受け流すか回避するかで一杯一杯。
「……あっ、そうか☆」
今度は一転して、ギリギリまで身を屈め、そのまま思いっきり跳躍するようにダッシュするねここ。
ホイホイさんは当然薙刀をねここをバッサリしようと薙刀を突き出す。
と、ねここは柄の部分を左手の研爪の間で受け止め持ち上げ、
「くっらぇー!」
と腰のねじりを加えつつ、下から抉り上げるようなボディブローをお見舞いする。
「ごぉっど!ふぃんがー!!!」
そこにはニヤリとした表情の、普段のねここからは想像も出来ない鬼神のようなねここが……
そして右手をぶち込んだままホイホイさんを片手で持ち上げ頭上に……
「ひぃぃぃと、えんどぉ!!!」
ドゴォン!!、とホイホイさんのお腹からいやな爆発音が轟き、続いて全身の隙間からブシュー!と爆煙が噴出す。
(5/5)
「あら……地震、かな?」
むしろ上で音がしたような、ねここがまだ捕まえられずに暴れているのかな。
「まぁ、それならいいでしょ」
それで部屋が大惨事になるのももう慣れた、まぁちょっとだけ……
ホイホ○さんはちょっと強めにプログラムしたけど、抜け道はあるし、ねここなら捕まえられるとおもうから
今のうちに大好きな杏仁豆腐も作っておいてあげないとねっ。
そうこうしてるとパタパタとねここが足元に駆け寄る音がして。
「みさにゃんみさにゃん、全部やっつけたの〜☆ほめてほめてっ」
「おー、よく頑張ったね。ねここは偉…」
くるりと振り返った私の目の前には、大破して一部フレームが剥き出しになってて原形の可愛らしさが限りなく消滅した
ホイホ○さんの頭部を大事そうに抱えて、なにやら真っ黒になっているねここがいたのでした。
「あ、これ〜?全部やっつけたって証拠なの。くびじっけーん☆」
にぱぁ、と嬉しそうに笑って頭部を私に見せつけるねここ。
どこでそういう知識を、やっぱり隠れてDVD観てるんだろうな……、と、いや、それじゃなくてだからね。
「一々見せなくていいって言ってるでしょもぅー!」
「えー、みせないとつまんなーい。ぶー」
それにいくら使ってないからって破壊までしないでください、しくしく……結構気に入ってたのにな。
(……あとで聞いたら焼きもち焼いて、つい破壊しちゃったらしい。愛いやつめっ)
ちなみにその後ねここによく言い付けて、ホイホイさんを壊さない程度に練習はさせています。
ねここの動きが日に日にぐんぐん良くなってくので、プログラム改造が追いつかないかも……(汗
あとがき(?
えぇと、勢いで思いつくままにやっちゃいました(大汗
ゴッドフィンガーはやりすぎだったかも……ハハハ
ねここの知られざる一面、ということでお願い致します。
320 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/13(金) 21:33:35 ID:dci9w4J+
日時: 2006/08/08 12:18
名前: アバあき◆nsy0DcmY
膨大なログをざっと目を通しました。
前回は近場のログだけ目を通していただけなので全貌をつかめ切れていませんでしたが、私の言動がここまで皆さんを怒らせていたとは思いませんでした。
あまりにも浅慮にて軽率な行い、深く謝罪を申し上げます。
今回のことを省みて、今後は本スレには一切顔を出さず、画像の投下はwikiだけに自粛しようと思います。
私もやはり厨設定スレが大好きなので、私のせいで荒れてしまうのは心苦しいので、それには本スレに顔を出さないのが一番だと思いました。
謝って許されるようなことではないとは思いますが、申し訳ありませんでした。
それでは失礼いたします。
テメェのせいでSS大会もスレも大荒れした。シカトしてればすむと思うな。とっととどうにかしろ
…ゼンテックスマーズが武装神姫に参入してくるのも時間の問題ということなのか?(w
っつーかねここかわいいよかわいいよねここ
コレより上のログまでまとめサイトに更新完了。
全開のSSの評判が全く分からないので今回はエロネタです。
もうちょっと遅い時間になったら投下します。
エロネタは初めてなので出来れば感想お願いします。
323 :
302:2006/10/13(金) 22:55:32 ID:Dsk3Xknw
まとめサイトの更新お疲れ様です。
エロ万歳、エロは人類の文化の極みですよ?
と後に素敵なSSが控えているようなので安心して書いてみました。
では、お目汚し第二段ですがお借りします。
(1/2)
ビュンッ、ビュンッ
自分の部屋の中なのに風を切る音がする。
「せいっ!」
「たあっ!」
夢にしてはえらくリアルな声が聞こえるなー。
「素振り終了、朝ですよ師匠。」
いやー、ついに見ちゃいけない類の幻覚見えるかー、ヤバイな俺。
「ちゃんと起きないと一撃かましますよ?」
「ゴメンナサイ起きます、今すぐに起きます・・・ってあれ?」
「何処を見ているのですか、私はここです。」
ご丁寧に窓の外の電柱に登ったのか、わかりやすい奴め。
「馬鹿と煙は高いところがsウグゥ」
その距離を跳び蹴りとは、人間様に対する攻撃リミッターとかどうなってやがるんだ。
「これも親愛表現の一つですから、どうぞお気になさらずに。」
残念な事に、やはり神姫を入手したのは夢ではなかったらしい。
「さて、朝飯も食ったし寝るか。」
「わかりました師匠、早速バトルしに行きましょう。」
笑顔で得物をフィギュアやらプラモの棚に向けるのは勘弁して下さい。
しかも既に何個か破壊した後じゃねーか!?
「決闘をお願いしたところ無視されたので、優雅さに欠けると思い破壊しました。」
「エストさん?あれは神姫みたいに自立駆動しませんよ?」
「はい、不審に思いネットで調査したところ、その事実を確認しました。」
これ以上の損害を抑えるためにも、早々にセンターに行くしかないか。
「よし、どうも釈然としないが装備詰めて出かけるぞー。」
「はい、師匠!」
殴りたい、心の底からそう思った。
324 :
302:2006/10/13(金) 22:57:03 ID:Dsk3Xknw
(2/2)
面倒な登録も終了し、センター内を見回すと代休か何かかと思われる学生や子供とスタッフしか見当たらない。
かたや平日の朝から神姫を肩に乗せた成人男性が1人で来店、ダメ人間を身体全体からアピールしてる気がする。
「で、あの子が相手な訳ね。」
「見た目で判断してはいけません、闘いとはお互いが全力を出し合うから美しいのです。」
なんて言われても目の前に居るのは小学生の男の子だし、手にしているハウリンだってさっきそこで開封してたじゃないか。
「まあバーチャルだし、やりたいようにやってこい。」
所定の位置に最低限のアーマーを装着したエストと長槍だけを入れ、フィールドへ送り出した。
試合が始まったものの俗に言う野良試合でバーチャルだし、相手の神姫を壊す事もないし早々に決着が付くだろう。
帰ったらもう一眠りするかなー、なんて思っていると
『師匠、お願いがあります。』
「どうした、何か忘れ物か?」
『マント持ってませんか?』
無視した。
何やら相手そっちのけでウロチョロしているが、したい事があるらしい。
あーあー、わざわざ逆光になる電柱探しちゃってるよ。
お、見つけたか?
『貴女の実力、この私に見せてみなさい。』
腕まで組んじゃってそれなりに満足そうだが、やっぱり馬鹿だな。
「ハウリン、撃てー!」
『了解しました。』
言うなり吠莱壱式の引き鉄を引いた。
普通はそうなるよなー。
襲い来る銃弾を手にした長槍で弾いたかと思えば、ハウリンを指差し
『この卑怯者が、喋ってる最中に攻撃するなんてそれでも誇りある神姫ですか!!』
言うなり槍の穂先を展開し、さすまた状にして全力投擲。
一瞬にして壁に磔にしたかと思うと、もう相手の方は見ていなかった。
『師匠、これ以上は無駄です。』
「いやいや、ちゃんと相手を倒して終わらせろよ。」
『私の技は強者を相手にする為に存在し、あのような者を斬っては錆びてしまいます。』
これ以上言っても無駄だろうと判断したので申告すると、相手も続行不能との事でドローとなった。
とりあえず相手の少年とハウリンには謝っておいた。
これが記念すべきデビュー戦であるが、こいつが勝てる日が来るのかと不安になった瞬間でもある。
長い付き合いになりそうだし、マントぐらい調達してやるか。
325 :
302:2006/10/13(金) 22:59:36 ID:Dsk3Xknw
こんな感じで馬鹿っぷりを前面に押し出して行こうと思っていますので、
倒す神姫に困ったら使ってやって下さい。
では、エロいのをワクテカしながら待っております。
ここの住人さん達はあれだ、ぱかぱか祭りとねここ嬢の可愛らしさで私を萌え殺す気なのですね?
思わず長短編を書いてしまいましたよ…製作時間3分程度で会話だけのギャグモードなので外伝って事で。
「遼平、風の噂に聞きましたが…巷では『ぱかぱか』というコミュニケーションが流行っているそうですね」
「…あんまりロクでもない情報集めるのはどうかと思うんだが」
「してみたいですか?」
「俺はそういう事がしたくてお前を受け入れたわけじゃないぞ」
「そうですか。 私はちょっと興味があったのですが」
「お前そういうキャラだっけ!?」
「いえ、先日タンスの下から2番目、二重底に秘匿してある映像ディスク『心の回復魔法 〜インリン・
オブ・ジョイトイ〜』をこっそり拝見したもので」
「…神姫の初期化ってどうやんだっけかなぁ…」
「…はっ!? …ゆ、夢か…? 夢オチはやってはならぬ禁忌の手段とはいえ、今日ばっかり
は神の配慮に感謝をしないと…」
「さて、そろそろ肌寒くなってきたので本格的に秋冬物を出そうと思うのですが、タンスの中を」
「寄るな触るな火を噴くぞ!見るな探るな吹き飛ぶぞ!!キシャー!!! ヽ(`□´)ノ」
「…遼平、キャラクターイメージというものは大事にした方がいいですよ?」
>>322 毎度お疲れ様でごわす。 ぇちーももちろん大事だと思いますよ! 期待期待。
こっちのペースも早いが本スレも早いね
んで、ネタになりそうなものを引っ張ってきてみた
>677 ぼくらはトイ名無しキッズ sage New! 2006/10/13(金) 20:58:26 ID:UI8/xhGn0
>とりあえず彼女が観たがってるホラーを観に行って機嫌とってくるよw
>2036年には神姫に入れ込む彼氏に腹を立てて自分の神姫を買って勝負を挑んでくる彼女とかいるかもしれんね。
>ミクロマンはギリギリオッケーだけど、神姫はもろギャルフィグだからなぁ……隠し場所に困る大きさだし。
神姫オーナー同士のラブロマンスとかこのスレではありですか?
>>327 もうすでにこのスレの誰かが書き出してそう。
というか今回はエロネタなのでちょっと違った角度でそういう演出使ってみましょうかね。
>>328 もちろんアリでしょう。このスレはカオスッぷりが売りともいえそうなので。
神姫が恋のキューピッドなるのかな??とwktkです。
とりあえず予告したエロネタ。
レズです。エロです。 ぐちょぐちょのべちょべちょです(爆)
では行きます!
ちなみに時間軸で言うと前回の話、セカンド昇進を決めた公式大会のちょうど1ヶ月後になります。
「リンの某日の記録」
私の名前はリン。武装神姫「TYPE DEVIL STRARF」です。
今日は休日でしたがマスターは臨時のお仕事で朝早くから出かけてしまいました。
しかもティアは定期点検(違法ドーピングの後遺症の検査で昨夜からセンターにいます)
なので私は今日一人で過ごさなければなりません、しかも今日は公式大会の日でサーバーがメンテナンス(マスター曰く公式大会は有名ランカー目当てでユーザー以外の観客も含め、
会場に人があつまるため、アクセス数が激減するらしくメンテナンスには絶好のタイミングだそうです)されるので訓練用のデータの配信が行われません。
現存のデータで訓練を行うことも出来ますが私はすでにPCに保存されている全てのパターンをコンプリートしてしまい、物足りないのです。
かと言って私一人ではゴーストのデータも接近戦に偏ってしまうため、課題の遠距離戦の練習にはならないのです。
ということで私は今日1日をのんびりと過ごす事に決めました。
まず私はTVの電源を入れました。そして最新作品から過去の名作まで、アニメーションを随時放送しているチャンネルに切り替えます。
するとそこには以前のイベントの時に貰ったマントを羽織り、あの可変式の武器を持った金髪の少女が戦っている映像が映し出されました。
私がこよなく愛するアニメの2つ。「魔法少女リリカ○なのはA's」で。
その少女は武器を変形させます。
すると黒い突起から金色の光の刃が出現しました。
その武器はまるで死神の鎌の様です。
そして彼女は瞬時に加速、相手の剣士(こちらも女性でした)の裏を取り、切りつけます。でも相手は剣の鞘でソレを受けて反撃しています。
何回見ても『魔法少女』というタイトルからは想像できない激しい肉弾戦に私は目を奪われ、結局最後の最後まで見続けてしまいました。
最後のエンディングにそって成長した彼女たちが歩く映像を見ているうちに私はあの武器とマントを付けてみたいと思いました。
クローゼットからマントを引っ張り出し、可変式の武器(完全変形の上、あの光の刃までもが再現されています。リアルバトルにも対応と説明書には書かれていました。)
しかもパッケージをよく見るとあの少女の衣装までセットになってました。
マスターは見落としていたみたいです。
あの様な露出の激しい衣装は恥ずかしいのですが、今は私一人なので勇気を出してみました。
サイズはぴったりで仮に私の髪が金なら彼女にかなり近づいているはずです。
黒を基本にベルトと白いフリルでアクセントを加えられた、とても動きやすいものでした。
鎌形態の武器を構え、私は見よう見まねで鎌を振り下ろしてみました。
シュンという風切り音が静かな部屋に響き、私の目の前にあったアルミ缶は真っ二つになりました。
切れ味はすばらしく、これならアーンヴァルのライトセイバーにも引けを取らないと感じました。マスターが帰宅したら真っ先に進言したいと思います。
次に私が試したのはあの、マスターが私に隠していた小説のキャラクターのドレス。
話の内容はともかく、ドレスは気にいってたので袖を通してみました。
とても豪奢なドレスは着るだけでどこかのお姫様になった様に感じさせてくれます。
しかし、一緒に入っているのは三つ叉の鞭のみ。物語の主人公の魔界のプリンセスが持ち主というだけあって過激な武器です。
さっきの空き缶に向かって鞭を振ります。
缶の表面にはくっきりと鞭の先端の形のへこみができました。
こんなにも痛そうな武器(実際のダメージの度合いというよりは私の心の問題です。)は使いたくありません。
でも、時々この部屋に出没する黒色の侵入者を狩るための有効な手だてとなりそうだったので保管しておくことに決めました。
そうして試着を終えた私は、あの小説を読んでみることにしました。
俗に言う官能小説の一種ですがドレスを来ているうちになんとなく気になってしまいました。
そして自分とほぼ同じ大きさの文庫をセカンドアームで棚から引き出し、読んでみました。
最初はふつうのファンタジーでしたが途中から雰囲気が変わります。
胸やお尻といった身体のさまざま場所を触られ、艶のある声をあげる主人公。
ふと私は自らの胸を触ってみました。
確かに私たち武装神姫は人とほぼ同じ触覚を持っていますが、私たちからすれば女性が身体を触られるだけなのに何故これほどの反応をするのか理解できなかったのです。
でも小説に書かれているように胸に手を這わすうちに、身体の中心が熱くなるような感覚を覚えました。
しだいに心地よい感覚が体中に広がっていきます。
そして私は遂に神姫には倫理上再現されない秘部に手を伸ばし、あるはずのない亀裂に指を這わせ、少し強く擦ってみました。
その瞬間頭部の回路にとても強い信号が流れ、私はある種の幸福感に満たされました。
「マスター、ハァ…ハァ。マス…っ………タァ」
そうして、気がつくと私は激しく身体をくねらせながら自慰(小説内で説明されていました)に浸っていたのです。
自分が自分でなくなるような不思議な感覚に包まれ、最後にはマスターの顔を思い浮かべながら意識を失ってしまいました。
目を覚ましたのはもう空が茜色にそまる夕暮れ時。
こんな時間にまで意識を失うとは・・・・と思っていたところに。
「お・姉・さ・ま?」
私が背後に目を向けるとソコにはセンターにいるはずのティアが立っていました。
「お姉さま一人で・・・・ズルぃ」
そうし熱の篭った瞳で私を見つめるといきなり私に覆いかぶさって、まだ敏感になっている私の乳房を舐め始めました。
「ひゃ…うぅ」
「あら、お姉さまって敏感なのですね。 カワイイ☆」
そうして次は私の耳にやさしく噛み付くと、右手でお尻、左手で乳房を愛撫し始めました。
「ああ…テ…ィア。 ダメ…だっ……ぅて」
「まだまだですわ、ここからが本番ですわよ。お姉さま」
そうしてどんどん愛撫する手の動きが激しくなり私の頭の中は星で埋め尽くされていきます。
がくがくと手足が震えだし、焦点が定まりません。
そして、あの幸福感が迫ってくるのが分かります。
「コレで、、、、、終わりですわ!!!」
ティアの右手が私の秘部に手を伸ばし、秘芽を指でピンと弾いた瞬間、私はまた気を失ってしまいました。
再び目を覚ました私の目の前にあったのはティアの秘部。そうして私が覚醒したことを確認するとすぐにティアは私の顔に秘部を押し付け、
私の秘部をその桃色の舌でもてあそびます。
「ふぅ…お姉さま、今度は私を攻めてください」
そうして私にも同じことを要求します。
もう私はなにがなんだか分からなくなって、言われるがままティアの秘部に舌を当てます。
「はァァァ 、そうお姉さま。もっともっと私を弄ってください。」
一心不乱にティアの秘部を舌で蹂躙します。
そうするとティアも仕返しとばかりに私の秘部を優しく甘噛みしてきます。
それから数分が経ち、こういった刺激にやっと身体が慣れたのか、頭が少し冷静になりました。
そして先ほどのリベンジを開始します。
小説にあった手法でゆっくりと内股を指でなでてやり、またお尻にも舌を這わせます。
だんだんとティアの反応が大きくなってきました。
「あれ…お姉さま。 急にお上手に・・ぅんあ!!」
いきなりティアの身体が反り返りました。どうやら私の攻めが効いてきたみたいです。
ここぞとばかりに股間に頭をうずめて秘芽を攻め立てます。
指でこねくり、舌でゆっくりと刺激を加えて仕返しに弾いてやります。
「ソレ、ソレですお姉さま。 もっとください。」
ティアは全身に汗(実質は冷却液)と涙、そして大きく開けた口からよだれをたらしたまま私に懇願します。
「ティアももっとして。貴女が始めたんだから」
知らない間に私は人が代わったかのような命令口調で言います。やっぱり私は今興奮したままで、AIが熱暴走してるみたいです。
そうしてそのまま身体を反転。
ティアに正面から抱きつくような姿勢で互いの唇、乳房、股間を押し付け、こすり付けます。
ティアも脚を絡めて私に応えます。
「お姉さま!お姉さまぁん! イッちゃう、イッチャいますぅ!!!」
「まだよ、我慢して。そうじゃないとやめちゃうんだから」
「え、ダメダメダメ!! 我慢しますからお願い!!」
私も体液を全身に噴出させながらティアと絡み合います。
秘芽がこすれるごとに私もさっきの幸福感-絶頂へと近づきます。
「ティア、もう少し。もう少しよ、私も…イきそう」
「もうだめ、もうだめダメ、もうだへでふ、おねへさまぁう!!!」
「ティア、私もだ……ふゅうん」
もう2人は言葉を交しません。
もうお互い後がありませんでした。
私はさっきまで背負っていたのをわすれていた、セカンドアームの鋭い指先で自分と、ティアの秘部に触れました。
「うぁぁはぁぁあぁ!!」
「く、きゅぅぅうう!!」
そうして私達はまどろみに沈んでいきました。
覚醒したのは私が先。
でもさっきまでの自分の言動や行動が自分でも理解不能です。
あんなに「攻め」ちゃうなんて。
自分自身でもソレを思い出すと身体が疼くためそれはやめました。その後はシャワーを浴びて、まだ眠っているティアの身体を蒸しタオルでふいてあげて、ベッドに寝かせた後は片付けをしなければいけませんでした。
なんと、いろんな物的証拠をすべて処理し終わった1分後にマスターが帰宅したのです、後少し対処が遅れれば危なかったです。
あんあはしたない行為の跡をマスターに目撃されなくて良かったという安堵も束の間。
知らない間に起き上がったティアがマスターに耳打ちしようとしているではありませんか。
私は恥をしのんでアームユニットで壁を押し、そのまま「隼」を華麗にティアに決めていました。
もちろんそのあとマスターに質問されましたが、なんとか真相は解明されずにすみました。
でもティアには以前よりもっと私になついた(マスターによればたまに、服従してるように見えるとか……)みたいです。
とりあえずこんな感じで私とティア、2人だけの秘密が出来ました。
マスターにこれが知られれば、絶対に嫌われてしまう。
「この秘密だけはなんとしても死守しないと」
そう誓ったあの夜、でもそれが私の思い違いと分かったのはもっと後のことでした。
遂にやってしまった感漂いますが、こんばんは。
いちおう補足ですが、ティアはいままで家族がいなったためか、「お姉さま」が大好きでおねだりするタイプです。
でも時には攻めに転じつるタイプなんですが、今回は結局リンに負けてますね。
なおリンも興奮すると悪魔型ゆえか性格に変化が出ます。
これからはこういったネタを挿入しつつ展開予定です。
ティアにもイロイロ期待していただけると喜びます。
では。
だらしなくベッドに寝ころんだ静香の顔は、今までに見たことがないほど険しい物だった。
「うー……」
目の前のノートが真っ白なのだ。
もちろん学校の宿題などではなかった。
傍らに私の写真が何枚か置いてある所を見ると、どうやら新しい衣装のアイデアを
考えているらしい。
「思いつかない……」
静香が悩むなんて、珍しい。
眉間には見たこともないほど深いしわが寄っている。
これが、いわゆるスランプというやつだろうか。
(そうだ)
私はふと、前にネットで見た情報を思いだした。
感情がトゲトゲしくなったときに、落ち着くための方法を、だ。きっと、悩んでいる
静香にも効果があるだろう。
「あの……静香」
おずおずと静香の傍らに腰を下ろし、そのままころりと寝ころんだ。
「んー?」
澱んだ瞳で、こちらをぼんやりと見遣る静香。
「えっと……」
足を伸ばし、腰でバランスを取りながら、そっと両足を開いてみた。
「…………」
足と足の間……股間からは、静香の瞳がこちらを見つめている。
続く動作で、ゆっくりと両足を閉じる。
再び開けば、そこにあるのはじっと見つめる静香の瞳。
開く。閉じる。
開く。閉じる。
繰り返すたび、静香の瞳がこちらを捕らえて……。
「ぁう……」
恥ずかしさに、顔が火照るのが分かった。
でも静香のためだ。
閉じる。開く。
閉じる。開く。
「……ココ」
ぱかぱかを繰り返す私に、静香の手がゆっくりと伸びて……。
「……静香?」
「あたし、それよりこっちの方が好みなんだけどなぁ……」
整った細い指が、私のお腹にすっと触れた。
「ひ……っ」
恥ずかしさにセンサーの感度が狂っていた私は、思わず甘い声を上げてしまう。
「ふふっ。ココのお腹、すべすべしてる……」
「ひ……ぅ……っ」
センサーを調整するより早く、静香の指が私の触覚を制圧した。
「ぁ……しず……かぁ……」
「ん? ココ、こっちとか弱いのかなぁ?」
過剰な情報に調整中のセンサーがさらに狂わされ、私の心は静香の指先に侵されていく。
「ひぁ……っ!」
「ココ、さっきより、こっちの方が可愛いよ?」
耳に届くのは、静香の甘い声。
「ぁふ……ぁ……ぁぁっ!」
柔らかな指が、私の躯を優しく蹂躙する。
「ほら、鳴いてごらん?」
「は…あぁ……ぁぁあっ!」
そして静香の指先が、私の胸をふにゃりと押し潰し……。
「ぁあああーーーーっ!」
私の意識は、あっさりと闇の中に沈んでいった。
「ありがとね、ココ。おかげで良い服が作れそう」
オーバーフローした意識が戻ったとき、静香はノートにペンを走らせていた。
いつもの軽快なテンポだ。どうやら、何か良いアイデアが浮かんだらしい。
「そう……ですか」
AIは復帰したものの機体側は安全装置が働いているらしく、まだ体に力は入らなかった。
でも。
「良かったです」
笑顔の静香を疲れ切った体で眺めながら、こういうのも悪くないな……と、思った。
「でも、どこで読んだのか知らないけど……ああいうはしたないこと、止めた方が良いよ?」
ちょっ!
「ひどっ!」
下着姿のあなたに言われたくないんですが!
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
>>312氏に振られてしまったので、何となく書いてしまいました。
今日は神姫ネタ書く予定じゃなかったのに、何て恐ろしいスレ……。
>>319 癒し系ねここ大暴れキター!
その可愛さを少しウチの子にも少し分けてやってください……。
>>302 最高のバカ(スタンディングオベーション級の絶賛)ですね! こんな悪役を私(主に静香)は
待っていた!
恐らく近いうちにお借りさせていただくと思いますので、少々相手してやってください。
>>329 ああ、ついに燐ちゃんまでもエロの毒牙に……。
きっと『家に残してきた神姫の様子が手に取るように分かる!』なーんて売り文句の
隠しカメラが、どっかそのあたりにセッt(ココに撲殺)
黙って見ているだけでインスピレーションが刺激される非常に居心地の良いスレと
いうことで、そのネタ作りの一助になればと相関図アップ。例によってひとこと戴ければ、
リストから外す等の調整は可能ですので、お気軽にお申し付け下さい。
ttp://www.uploda.org/uporg547190.png.html リアルタイムのアムドラサポーター(アニメ版)として、
>>128氏のネタは絶対に
外せなかった。
今は反省している。
338 :
アネゴ書き:2006/10/14(土) 03:10:32 ID:bvr3h4Zq
ちょうどオーナー同士のラブコメ書いてる最中だw
339 :
アネゴ書き:2006/10/14(土) 04:40:04 ID:bvr3h4Zq
朝。
そう、ちょうど飯を食い終わって食器を片付けていたときだ。
珍客が妖精を連れてきたのは…
「あー、この方は我が社の会長の孫娘の奈緒様だ。」
メガネ男が一人の少女を紹介する。
長い黒髪の少女はにっこりと笑い会釈をする。
『会長の娘…いわゆるお嬢様って奴か』
メガネ男はいろいろとまくしたてながら許可もなく少女を俺の部屋に上げる。
少女はきょろきょろと辺りを見回し、ある一点で目を止め、満面の笑みを浮かべた。
「本物のアネゴ様ですわ!」
とたとたと駆け寄り、アネゴを抱えると頬摺りを始める奈緒。
「なななんだコイツ、やめ、やめろって!」
アネゴは必死でもがくが、奈緒は頬摺りをやめようとしない。
「こ…のっ、うぜぇんだよ!」
ズビシ!
奈緒の手から抜け出したアネゴは間近にある奈緒の額に渾身のチョップを繰り出し、奈緒は気を失った。
「はぁ、はぁ、なんだよコイツ…」
アネゴはギラリと俺たちのほうを睨んだ。いや、俺も何が何やら……
「どういうことなんでしょう…ねぇ?」
340 :
アネゴ書き:2006/10/14(土) 04:40:56 ID:bvr3h4Zq
「奈緒様はアネゴの大ファンでね、ぜひとも直に会ってみたいと言いだしたんだ」
「はぁ…」
「実は開発費が足りなくてねぇ。ここで奈緒様のご機嫌とりをすれば予算も増えるかなーなんてね、ハハハハ!」
「はぁ…」
「で、一晩奈緒様を預かってほしいわけだ。こんな可愛い娘と一晩すごせるなんてラッキーだね君!」
「はぁ……って、ええええええ!」
「大丈夫大丈夫、奈緒様はお嬢様で世間慣れしてないから何も起こらないって!」
「いや、そういう問題じゃなくて…あ、アネゴ〜」
思わずアネゴに助けを求めるが、なぜかアネゴの目はキラキラ輝いている。
「三郎、男になるチャンスだ!この女抱いちまえ!ほら抱け!すぐ抱け!」
「なんですかその発言…神姫が吐く言葉じゃねえよ!」
「据え膳食わぬはなんとやら、というだろ!」
「こういう場合据え膳じゃなく強姦というんだ!」
アネゴの爆弾発言にメガネ男も同意する。
「三郎君と奈緒様が結婚すれば予算は思いのまま…思いのまま……ふふふ」
風向きが悪い。ここは逃げるが勝ちだ。
「だ、大学行ってくる!」
俺は取るものもとりあえず、部屋を駆け出していた。
残された二人と一体。
気絶している奈緒を尻目に、アネゴとメガネ男の密談が始まった。
341 :
アネゴ書き:2006/10/14(土) 04:41:49 ID:bvr3h4Zq
「ん…」
目を覚ました奈緒。
ここはどこだろう?そうだ、私は今日、憧れのアネゴ様と会うことが…
「よう!」
奈緒の後ろから声がする。
振り向くと、そこには天使型素体が立っていた。
「あ、アネゴ様!」
「おっと、頬摺りは勘弁な!」
「あ…申し訳ございません…私ったらはしたない真似をして…」
モニター越しでしか見たことのない雄々しい姿を前にして、奈緒は思わず体が動いてしまったのだ。
「では改めまして。奈緒と申します。よろしくお願いしますね」
「アネゴだ、よろしくな!」
こうした挨拶の後、奈緒は目の前のアネゴに思いをぶつけた。
女性から見ても見惚れるようなその性格。そして強さとやさしさ。
アネゴは奈緒の憧れなのだ。
ひとしきり話し終わった後、奈緒はアネゴに詰め寄った。
「アネゴ様、いえアネゴお姉様!私、アネゴお姉様みたいになりたいんです!!」
奈緒は黒髪を振り乱しながら熱弁する。
「お願いします!お姉様みたいになれる方法を教えてください!」
その言葉を聞いたアネゴはゆっくりと立ち上がって、奈緒の手に自分の手を置いた。
「アタシは三郎が好きなの。この性格も強さも、三郎を愛しているからこそ得たものなのよ」
奈緒の目が輝く。
「お姉様、私はどうすればいいのですか?」
アネゴは怪しく微笑む。
「私と同じ事をすればいいのよ…ふふふ」
奈緒はアネゴにふらふらと近づいていく…
342 :
アネゴ書き:2006/10/14(土) 04:43:28 ID:bvr3h4Zq
大学に来たものの、三郎は勉強が手に付かない。
『まったく、何考えてるんだか』
そりゃあ奈緒はとびきりの美少女だし、お嬢様だ。
そんな女性と付き合うことができるなら大歓迎だが…
『いくらなんでも、そりゃ無理だろ』
三郎はため息を吐いた。
その夜。
帰宅する最中も悩みは尽きない。
おそらく家にいるだろうお嬢様の扱いをどうしようか必死で悩む。
『とりあえず管理人さんに空き部屋を開けてもらってそこで寝るか』と思いついたときにはすでに部屋の前。
「ただいまーっ、と」
帰ってきた俺の眼前で展開されていた光景は…
「さ、三郎様…私、私…」
赤面した奈緒が全裸で股を開いたり閉じたりしている。
俺は頭が真っ白になり、そこに吸い込まれるように歩を進めた…
ベランダで星空を見上げるアネゴ。
「今日は星がきれいだ。」
雲一つない夜空とは対象に、アネゴの気分は晴れなかった。
「三郎……何でアタシは神姫なんだろ……」
つづく、かも
343 :
アネゴ書き:2006/10/14(土) 04:46:42 ID:bvr3h4Zq
うわ、最後のでシリアスになっちまった。
どっち路線でいけばいいんだろう…
『さて今宵始まります!本センター大晦日年越し企画、特別リーグトーナメントぉ!サードリーグの部ぅ、開幕だぁ! 』
「…ぅーん」
『初戦はなんとぉ!あの鶴畑3兄弟の末娘、鶴畑和美嬢がなんと〜っ、特別参戦!
同じく特別参戦、来期発売の当社新製品でもある騎士型MSSのジャンヌと共に、
その華麗な血筋の力を一体どこまでみせつけてくれるのかぁっ!』
「…ぅにゅう、なんかうるさいの」
軽快なアナウンサーの実況が無理やりにでも場を盛り立てようとしているようで。
『その対戦相手はぁ!今年デビューしたての新人、風見美砂嬢〜!
そして猫型は標準装備が一番愛らしい!ねここのポテンシャルはどこまで発揮されるのか!』
「そうねぇ、年末の思い出作りのつもりが何でこんな事になっちゃったのかしら……」
何故か私たちは広い会場のど真ん中にある特設ステージの舞台に立つ羽目になっていたり。
ねここの飼い方、そのよん (1/7)
「特別り〜ぐぅ?」
「そそ、特別リーグトーナメント」
あれから毎日私とねここは練習をしているのだけれど、肝心のサードリーグの試合には日程が合わずに
結局出れずじまいのまま、今年の日程は終了となってしまっていた。
そんな折、センターへ消耗パーツを買いに出かけた私の目に入ってきたのがその特別リーグのチラシだった。
なんでも開発元でもある鶴畑コンツェルンが新製品の御目見えも兼ねて開催するみたいで、
1センター規模のイベントながら、事前登録制のセカンドとサードのトーナメント、及びファーストリーグランカーを招いての
プレマッチが行われるらしい。
そして帰宅して、居間の炬燵の上に置かれたねここ専用炬燵に入って、ゴロゴロしているねここにそれを伝えたのが今。
「ね、せっかくだから出てみようか。ちょうどいい機会だし大晦日なんて結構いい記念になるよ」
と、私は蜜柑を頬張りつつねここを説得してみる。
「はふぅ〜、う〜にゅ……どうしようかなぁ……ふぁぅぅ…」
……ダメだ、すっかり炬燵の魔力にやられてとろ〜んとしちゃってるぅ。
しょうがない。
「ねここ、セカンドリーグもあるらしいからあの人も出てくるかもよ」
「にゃ!?」
キュピンとねここが反応する、炬燵の魔力に侵されていてもあの日の思いは早々忘れてはいないみたい。
あの眼帯のストラーフの十兵衛ちゃんは特例として一気にセカンドリーグへ上がったらしく、ねここのいる
サードリーグではもう対戦することは出来ないみたいなのだ。
「ねーねー、それホントホント!?」
「そうねぇ、当日行けば会えると思うけどね〜(多分)それにねここが勝つとこみせてあげれば、戦ってくれるかも」
「わかったぁ、じゃあねここ行く〜☆ 勝って強くなったって認めてもらうのっ」
「よしっ、じゃあ当日に向けて特訓しましょうか!」
「えー、ねここ炬燵がー、いーいーの〜」
ぶーたれ顔になり、みかんの粒をもきゅもきゅと食べるねここ、前言撤回しようかしら……
もしくは炬燵のまま傘と扇風機持たせて、大○版デンドロビ○ムにしちゃおっかな……うふふふふ。
「……な、なんか炬燵に入ってるのに寒いの……あーぅー」
(2/9)
と、ねここを連れてきたわけなのだけれど、
当日のセンターは物凄い人で溢れていて、普段は使わない大ホールまで使っているみたい。
会場の販売ブースでは新型MMSの先行販売もしてるみたいで、そこにはもう大量の人の列が。まるでコ○ケみたい。
そんな中私は人込みの中をすいすいと通り抜けながら、出場者専用の控え室出入り口へと足を向けていた。
「ぅー、何か前よりすっごい多いの」
「ん、怖い? ねここ」
「んーん、みさにゃんと一緒なら怖くないよっ☆」
今日は珍しく私の肩に座っていたねここは、私のほっぺにすりすりと甘えてくる。
「そっかそっか、じゃあ思い出作ろっ。サードリーグは一番下位リーグなんだしお客さんもそう多くないと思うしね」
「うんっ!」
そう喋りつつ、サードリーグ用控え室の前に着いた時。
「ちょっとアナタ、そうそこのアナタですわよ」
「あ、はい。何でしょう?」
随分とタカビーそうな声に振り向くと、そこには女ピザ……
失礼、高級そうなドレスを身に纏ったかなり恰幅の良い少女がいました。
後ろにはセバス○ャンが画面から抜け出してきたとでも言うような、執事以外の何者にも見えない人がいるので
きっとお金持ちのお嬢様か何かなのでしょう。
「ふぅん、アナタがワタクシの記念すべき公式戦最初の犠牲者ですの?。随分とまぁ貧相な格好ですこと」
「はぁ……そうですか」
私は普段から中性的で動きやすい格好を好むので、別に煌びやかには興味ないんですけど。
私が適当に返事をすると彼女は急に
「……ちょっと貴方」
私が適当に返事をすると彼女は何か急に剣幕が怪しくなってきてるみたいで。
「はい?」
「はい? じゃありませんのよ! このワタクシが誰だか気づかないだなんて、庶民はなんとまぁ可哀想な存在なのでありましょう!」
「だって、初対面ですよ?」
「初対面ですって!? なんとまぁ嘆かわしい。このワタクシの高貴な顔をただの1回もご覧になったことがありませんの!?
庶民の家には立体テレビすらありませんのかしら。そこまで貧乏だと罪ですわね、セバスチャン」
「は、和美お嬢様」
別にあるけど、旧式の平面テレビの方ばっかり見てるしねぇ、秘蔵DVDはそっちでしか見れないし。
というかやっぱりセバスチャンなんだ……と思いつつ、
彼女がパチンを指を鳴らすと後ろの執事が何やら小切手らしいものを差し出してくる。
「受け取りなさい、
好きな額を書いていいのよ。これでその貧相で無様でみすぼらしい貴方の生活にも潤いが生まれるでしょ」
「ふぅん…」
手にとって一応見てみる。本物の○×銀行の小切手みたい。
「ねここ、いる?」
「いらにゃい」
「そうよね、じゃコレ。はい」
と言ってそのまま執事に返す。
(3/9)
「む、むきぃいいいいいッ、何てことなのっ。このワタクシの庶民に対するせっかくの好意を無視するつもりですのぉ!?」
「別に使いませんし」
何なんだろうこの人……
癇癪起こして騒ぎまくってたので、さすがにぜーはー言ってきたみたいだけど。
「ふん、いいですわ。特別に名乗って差し上げましょう!ワタクシは鶴畑和美、あの泣く子も恐れる鶴畑兄妹の妹でしてよ!」
「泣く子も黙る、の間違いじゃにゃいかな」
「鶴畑……どっかで聞いたような……」
「ねここたち作ってるトコじゃなかった、みさにゃん?」
「あー、そう言えばそう書いてあったっけ。ねここが人に教えるなんて成長したもんだねぇ。お姉ちゃん嬉しいよ〜」
あははははと2人で笑いあってると、なんだろう前方からワナワナと物凄い負のオーラが。
「…貴方たち無視しやがりましたわね。この高貴なワタクシをぉ!こ……こんな屈辱初めてですわ!
いいですことよ!このワタクシの華麗なデビュー戦でその哀れな子猫ちゃんをギッタギッタのメッタメッタの再起不能にまで
ノしてさしあげますから、覚悟しておくのでございますことね!!!」
と言うと、くるりと(どっしりと)身を翻して去っていく女ピz……もとい少女。
最後に顔だけ振り向くと、
「嗚呼、そうですわね!どうせなら貴方たちの無様な敗北シーンをTVで全国生中継してあげましてよ。オーホッホッホッ…」
んー……あのコなんであそこまで怒ってるんだろうね、ねここ?
「わかんなぁーい」
何か無駄に疲れた気がしなくはないけども、控え室に入って自分達への割り当てスペースで
ねここの最終チェックを行う事にする。
「さてさて、どの装備にしようかな」
「うんとぉ、ねここはアレがいいのー」
「アレ? でもいきなり使うのはどうかなぁ……ま、いっか。初戦から全力全開で行こうかねここっ!」
「うんっ!」
「あの、すみませーん。風見さんですよね、スタッフなんですが…」
と、いつの間にか横にフタッフの男性が立っていた。
「はい、何でしょう?」
「実は会場が変更になりましてその……」
(4/9)
と、言う訳で私たちは分不相応なメインステージに上がる事になってしまったわけで。
「オーホッホッホッホッ、最高の舞台が整いましたわね! ええ役者は揃ってよ!
この大観衆の前で、このワタクシとジャンヌが、アナタを二度と表舞台に立てないほど華麗に葬ってさしあげてよ。
そして、アナタの無様な負け戦は、全国生中継されるのですわ! 感謝なさい!」
と、対戦台の反対側で何やら騒ぎ立ててるみたいだけど、観客の声で殆ど聞こえないよね。
「むきぃー!何でそんなに平然としてるんですのそこのしっぽ庶民はっ!?」
むしろねここがどれだけ成長したのか、そっちが楽しみで仕方ないんだけどな。
今回のねここの装備は猫爪アーマーを着て研爪を両手に装着。それに背中には例のミーティア
(アーンヴァルの翼に脚部用スラスター、プロペラント兼用のブースターを4つ装着して、翼ごと水平設置したもの)
を装着、これはねここの希望。
ピーキーだから、初めての本番で使用するのは不安だけど、ねここなら、ね。
それ以外は本体の見た目はほぼ一緒、ただし研爪と脚部パーツは私お手製の軽くて丈夫なチタン合金製
(ルール違反じゃないよ)にしてあるから、かなりの負荷にも耐えれるはず。
選ばれたバトルフィールドは障害物の少ない荒野。
相手は……始まってみないとわからないかな。
まぁ騎士型だとは言ってるけど、どんなのか知らないしね。
私はアクセスポッドに入るねここに、ぐっと親指を立ててガンバレってサインを出してあげて、
ねここはそれに答えるように、いつもとはちょっと違うちょっとだけ精悍な微笑をくれて。
『それではぁ!特別リーグトーナメントぉ!!サードリーグ一回戦第一試合ぃぃぃ!』
「レディ!」
「ゴーですのよっ!」
(5/9)
「オーホッホッホッホ、貴方の子猫ちゃんは逃げるしか能がないようですわね!」
戦闘はまずは一方的に始まった。
相手のジャンヌは超重装備とでも言うべき機体で、重厚な騎士鎧の他、両手にパルスレーザー式ショットガンと
対神姫大型ライフル、背中にはサブアームを2対装備、その手にはそれぞれ6連装式ミサイルランチャーと
多弾頭式ロケット弾システム、ガトリングランチャーと長距離用滑空砲を装備。全身火器の塊ね。
肩には…あれは多分誘導弾用の高性能誘導装置と射撃システム用の各種追加センサー及び火器管制装置だと思う。
……なんというかあそこまでつけると、装備している側が重すぎて可哀想に見えてくる。
一方、ねここの射撃用装備は皆無、今回ミーティアにも何も装備していない。
という訳で、ブースターを噴かして逃げるねここを、ジャンヌの発射したミサイルや砲弾が雨あられに襲うというのが現状。
ねここは基本的に空中飛翔をしないで、地面を駆けるように飛行している。
実際足で微妙な方向調整を行っていて、この猛加速だと普通の脚部ならその加重に耐え切れず折れてしまうと思う。
「しかし妙ですわね……開発中の最新型誘導装置を取り付けましたのに、何で当たりませんの!?
高貴なワタクシは屈辱をも糧として、あれだけ大量のミサイルと優秀な火器管制装置を積みましたのに……」
「ジャンヌ! お前のその頭脳で動きを計算して、あの真っ直ぐ飛ぶしか脳の無い馬鹿猫を撃ち落しておやりっ!」
「イエス。マスター」
少女とは思えない禍々しい笑みを浮かべつつ
「ふっふっふ……散々コケにしてくれましたわね。でもそれももう終わりにして差し上げますのよっ!
貴方はワタクシの栄えある公式戦初勝利の相手になるのですからね! 撃てぇっ!!!」
「イェス。マイマスター!」
ドドドドドドド!とジャンヌの全身からミサイルの爆炎が噴出する。どうやらあの重鎧は装甲としてだけじゃなく、
火薬庫の蓋も兼ねていたみたい。
そしてそれを急加速や急減速、ブースターを可動させてAMBAC機動も行いつつ回避行動を行っていくねここ。
(いいよねここ。作戦通り)
ミサイルが何本も接触寸前まで辿り着く、だがしかし何故か一発も当たらない。
「むっきぃぃぃぃ! ちょっとジャンヌ! アナタの頭おかしくなったんじゃなくて! 何で一発も当たらないのよー!」
「先ほどから照準及び誘導装置に…エラーらしき…も…ザザ…のが」
「ちょっと何やってるのよ!真面目にやりなさいこの出来損ない!」
と、それまで回避行動を行い続けていたねここであったが、不意に大地を鋭く踏みしめ、その足を軸に急ターン
更に加速をかけ、一直線にジャンヌ目掛けて突進する!
それは一瞬で遠距離から接近戦へ持ち込めるほどの加速、だかしかし如何せん直線的すぎた。
「馬鹿猫が向こうから突っ込んできたワよぉ!全弾ぶち込んでグッチャグチャのスクラップにしておやりなさい!!!」
口の端から泡を飛ばしながら捲くし立てる鶴畑の末娘。
「イェス! マスタァ!」
ブシャアアアアアア!!!
ジャンヌ自身が爆煙で見えなくなるほどの大量のミサイルを発射、それは直線機動のねここに確実に向かって……
(6/9)
会場のスクリーンには、閃光と大爆発が映し出されていた。
ねここは煙に包まれて見えない、爆発煙の中から時々部品がパラパラと落ちてきている。
「オーッホッホッホ、見やがりましたか。これがワタクシに楯突いたモノの運命ですのよ。今更泣いて謝っても後の祭りですわね」
「マスター、まだジャッジAIが判定を下していません」
明らかに狼狽する和美。
「だ、だって間違いなく今吹き飛んだはずでしょう!?マ、マシンの 故障ですのね?!そうですわよね、 ちゃんと修理なさいな!!」
「修理するのはアナタの神姫かな」
「な、なんですってぇええええ!」
それまで喋らなかった私が始めて口にしたセリフ。さすがに私もねここをここまで馬鹿にされるとちょっとキちゃうかな?。
「ねここ!おもいっきりやっちゃいなさいっ!」
「了解なのだっ!!!」
瞬間、ジャンヌの眼前に出現するねここ。
屈んだ体制からニヤリとジャンヌを見上げて。
「ど、どうして!?」
「そんなのいいから撃って撃って撃ちまくって、ぶちのめしやがりますのよ!」
「ラ、ラジャ!」
まだ残っていたミサイルを発射するジャンヌ。しかし目の前のねここはふっ、と一瞬で掻き消えて。
「うわぁああああっ!?」
ジャンヌの全身に爆風で吹き飛ばされてたミサイルの破片が食い込む。
彼女は至近距離でミサイルを発射したツケを、自身の身体に刻み付けることになった。
「何やってるの! その程度じゃアンタの鎧は壊れないでしょ!すぐ探すっ!!!」
ジャンヌはすぐさまセンサー群を確認する。
幸いセンサーはどれも無事なようだ、すぐに索敵を……そんないない!?
(7/9)
はっとなって着弾地点をみる。
そこには確かに破壊されたパーツが転がっているが、良く見るとどれもアーンヴァル型パーツ、
つまりはねここの背中に取り付けられていたブースター一式という事だ。
「にゅふふ、ほらほらこっちだよっ☆」
「!?」
ジャンヌは急反応して、一瞬見えた方向へショットガンを叩き込む。ミス。また消えた!?
『ほらほらこっちこっちー♪』
「!?!?…なっ、2体!? 分身!?」
「な……何やってるのジャンヌ。そんな馬鹿ネコさっさと仕留めなさいぃ!」
センサーがあてにならず、ねここが複数に見える、その異様な状況下にマスターも神姫も完全に混乱状態に陥っていた。
こうなるともう、フィールドを縦横無尽、変幻自在に舞うねここの敵ではなかった。
『どこみてるのカナー? そんなんじゃ当たらないよー、にゃはは☆』
「ひっ!?また増えて見えた!3…4…そんなありえないっ!」
殆ど正気を失い全ての銃器を乱射するジャンヌ、しかしねここには一発もかすりもしない。
その無邪気な声が今や彼女らには、悪魔の囁きに聞こえているであろう。
「ちょ、ちょっと審判!あんな複数の神姫使うなんて反則じゃないの!?失格にしなさいよ失格にっ」
「不正監視プログラム、正常稼働中。バトルフィールドに於いて、一切の不正行為は未確認。必要を認めません」
半泣きでジャッジAIに食って掛かる末娘、しかし全く聞き入れられない。
「ねここ、フィニッシュっ!」
「りょーかいっ☆」
再び一瞬でジャンヌの懐深くに潜り込むねここ。その姿は大きく身を屈め、深く力を溜めているようで。
(8/9)
「ひぃぃっ!?」
「ひっさぁつ! ねここぉ・フィンガー!!!」
ギシャアアアアアァ゛!と爪と装甲が激しくぶつかり合い、強烈な金属音が辺りに響き渡る。
相手の下から全身のバネを使い、飛翔する勢いで繰り出す強烈なアッパー、いやガゼルパンチだろうか。
次の瞬間ねここの研爪は易々とジャンヌの鎧を打ち砕き、深々とその腹に抉るように突き刺さっていた。
そのまま、その可愛らしい外見からは想像も出来ない力で、ゆっくりと相手を片手で持ち上げ頭上へと……
「ごめんね……でもみさにゃんを馬鹿にするひとは、絶対にゆるさないっ!」
一瞬だけ悲しそうな目をしたねここだったが、すぐに凛とした表情に戻り
「すぱぁぁぁぁく、えんどぉ!!!」
叫びと共に、とても肉眼では直視出来ないほどの閃光がスクリーン画面から迸る。
それはねここの前腕部分が展開。内部に仕込まれた高圧電流発生機関及び、
それを相手に叩き込むための大型ニードル2本が出現し相手へと突き刺さる。
そして機関が唸りを上げ強大な電撃を生み出し、その高圧電流を相手の神姫の全身へと流すことにより、
フラッシュオーバー現象で行動不能にする!
やがてスクリーンは完全に閃光に埋め尽くされ、会場内は静寂に包まれた。
そしてその閃光が収まった時、その場には呆っとした表情で立ち尽くすねここと、
その目の前に倒れたままピクリとも動かないジャンヌがいた。
『試合終了。Winner,ねここ』
ジャッジAIが試合終了の合図を行う。と同時に観客席から一転して大歓声が沸き上がるのだった。
「やったねねここ、大勝利っ」
「うんっ☆」
アクセスポッドを開けながらねここと勝利の喜びを分かち合う。ねここは久しぶりの実戦で少し疲れたようだけど、
よっぽど嬉しいのだろう、狭いポッド内だというのにぴょんぴょんと飛び回っている。
「……ん?」
「……こ」
ふと脇を見るとピz……じゃなくて鶴畑の末娘がいて
「これで勝ったと思わないことねーーーーーーー!!!!!!?…ぶぎゅ」
と言い残しながらドシドシと音を立てて(多分走ってるのかな)退場して……あ、コケてる。
「うえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん」
(9/9)
その後ですが、実は参加辞退しちゃいました。
放電システムにはまだ改良の余地があって、調子に乗って使ってしまったら案の定、
猫爪腕部に動作不良の不具合が発生してしまいました。
ねここへの負担も心配だったからそのまま帰宅、ということに相成りました。
もう定位置とも言える、私の頭の上にいるねこことお話しながら帰路を歩く私。
「みさにゃんみさにゃん、あれ使っちゃってゴメンね?使わない約束だったんだけど……」
「いいのよ、私もついやっちゃえって言っちゃったし。
それよりねここが私の為に怒ってくれたんだもの。そっちの方が嬉しい」
「にゃぁ、みさにゃんが喜んでくれるとねここも嬉しいの〜☆」
私は優しく髪を撫でたり、ほっぺをぷにぷにしたりしてお礼に代えて。
「さてさて、おうち帰ったら一緒に年越しそば食べて除夜の鐘聞こうねっ」
「はぁい♪ ねここてんぷらの具は帆立のかきあげがいいの〜」
「結構まにあっくね……」
あとは2人でおこたに入りながらまったりとした年末のひと時を過ごしました。
年始早々ネットで騒ぎになる
『鶴畑3兄妹敗北・特別リーグ会場にケット・シー現る!』
『鶴畑破るも、わずか1回戦でトーナメント辞退。何が目的なのか、謎の幻惑の子猫』
『TV映像及び試合内容永久封印、その真相は!?』
『幻の幻惑の子猫、画像大公開!その正体とは!?』
『電気ネコ現る!? ピ○チューの再来か!?』
などと言う話に今の私たちが気づく事なんてできるはずもなく……
2036年の暮れは、私たちには平穏に過ぎていくのでありました。
後書き 初めにバトル絵写注意と書くの忘れてすみません(大汗
や、やっと終わった・・・・朝になった(屍
という訳でねここのバトル第2戦、如何だったでしょうか。
今回もバトルだったので普段の癒し系ねこことは違う一面がみれると思います。
そして、でこちゅー氏、鶴畑3兄妹の末妹お借りいたしました。
彼女は自分から勝手に動いて喋り捲ってくれたので大助かり(+分量大幅増量で死)でした♪
という訳で、もう寝ます…。他の皆さんの作品への感想等は起きてから感想スレに…ガクリ
「Paka-Paka RISING」(1/2)
最近、とある怪現象が世をにぎわせていた。その名も「神姫ぱかぱか症候群」。
通常、神姫に対してただならぬ妄想を抱いてしまい、興奮してしまったオーナーが、己が脳内で渦巻く煩悩を
鎮める為に行う行為、それが神姫の股を開いたり閉じたりする「ぱかぱか」と呼ばれる行為である。
しかし、昨今その「ぱかぱか」を神姫自身が行うというらしい…いや、するのだ。
現に、俺の所有する神姫達にもその現象は伝播し、
ジャロ「マスタ〜、ぱかぱか〜ぱかぱかなのだ〜」
ノワル「わ〜い!ぱかぱか〜!」
ヴェル「マ…マスターがこういうのがお好きなら…ぱか…ぱか…」
コニー「お前ら…アホだろう…?」
ビアンカ「お姉さま…私もやはりしたほうが…ぱか…ぱか」
コニー「やらんでい…! …ぱか…あれ…あ…アタシまで…?ぱか…ぱか…い…いやだ…や…やめろぉぉぉぉぉぉぉ!!」
既に全員が発症していた。
更に恐ろしいことに、この現象はオーナー達にも感染を始めた。
静香「岡島さん……ぱ…ぱかぱか…」
麻衣子「お兄ちゃん…ぱかぱか…です…」
凪&藤堂「お…岡島君…ぱかぱかだ…見てくれ…」
鶴畑三兄妹「「「見ろ!岡島! そうら…ぱかぱか…」」」
俺はこの奇怪な現象の元凶を追求すべく、某大型ショッピングモールへと足を運んだ。
しかし、そこも既に「ぱかぱか」に狂うオーナーと神姫の坩堝と化していた。
俺は、ぱかぱかと股を広げ襲い来るオーナーと神姫達を払いのけ、生存者を救出しつつ、この怪事件の発端となる
蜂を介して感染する寄生虫『PAKA-X2』を発見、それを除去するワクチンを作り上げた。
しかし、時既に遅く、俺の体にも侵入した『PAKA−X2』が精神に影響を及ぼし…
「あはは…ぱか…ぱか…………ぱかぱか……………。」
「Paka-Paka RISING」(1/2)
「をわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
俺はベッドから飛び起きた。
「はぁ…はぁ…何つー夢だ……!」
「マ…マスター…大丈夫ですか…?すごい汗ですよ…?」
「あ…ああ…ヴェル…何でもない。すごく嫌な夢を見たんだ…。」
「ああ…夢だ…只のね…。」
「マスター…」
「ん?」
「その夢って…こんな夢じゃありませんでしたか…?」
「ぱかぱか…」
「ぱかぱかなのだぁ…」
「そうら…ぱかぱか…」
「う…」
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
「Paka-Paka RISING」〜END〜?
「Paka-Paka RISING」あとがき
はい、と言う訳で遅ればせ&やっつけ仕事ながらもぱかぱか祭り便乗ッス
って、「DEAD RISING」のやりすぎだ俺。
>>344-353(ねここのマスターさん)
わ〜い女ピザ登場だ〜、使われる毎にキャラもパワーアップしていくよ〜(良い意味で)。
ここ見てるとメダロット思い出すのは俺だけか?
職人さん達の傑作が続く中こっそり駄文投下
「なあ、お前どれにする?」
目の前に広げられたのは巷で話題の「武装神姫」のカタログ
今日は金曜日、仕事を終えて明日から2日間の休日を前に
喫茶店で会社の同僚4人が顔を突き合わせて何を相談しているかといえば
誰がどのタイプの神姫を購入するかの相談だ
俺は既にジャンケンで最初に選択する権利を勝ち取っていた
残りの3人は心に決めている神姫が選ばれないか気が気でないようだ
パラパラとカタログをめくっていくと
一体の神姫が目に止まる(なんかアイツに似てるな・・・)
「よし俺はハウリンにするよ」
俺が購入神姫を決定すると待ってましたとばかりに
「私はストラーフにします」
と選択権2番の山崎
「俺もストラーフが良かったが第二候補のマオチャオにするわ、ドリルは漢のロマンだしな」
と選択権3番の森尾
「アーンヴァルが残ってて良かった〜、皆決まったとこで早速行きましょう」
と最後の中路
喫茶店を後にして大型家電販売店にやって来た俺達
最近は需要に供給が追いついてきたようで無事に各々希望の神姫を購入することができた
「それでは明日の午後、神姫のお披露目と参りましょう」
山崎の言葉で明日の再会を約束し各々家路につく
マンションの鍵を開け真っ暗な部屋に灯りを点ける
「ただいま」
一人暮らしだから当然返事は返って来ない
はやる気持ちを抑え部屋着に着替えコーヒーを用意し机に向かう
神姫の箱を開けると黒いボディースーツに身を包んだ15cm程の少女がゆっくりと起き上がる
「この度は、武装神姫TYPE-DOG HOWLINGをお買い上げ頂き…」
事務的な口調で説明が始まり、全てを聞き終えると
「それでは起動いたします」と締めくくられ少女の瞳に光が灯る
少女はキョロキョロと辺り見回すと正面に向き直り、ニッコリと微笑んで言葉を紡ぐ
「初めましてマスター」
「ああ、初めまして。」
「早速で申し訳ありませんが初期設定をお願い致します」
初期設定、固体識別名やマスターの呼称、神姫の一人称とかか
「まず何から決めようか?」
「まずはお互いの呼称から始めるのがよろしいと思われます」
「それじゃキミの名前からにしようか・・・」
机の上の写真立てに目が止まる、名前はもう決まっていた
「サクラというのはどうだい?」
「サクラ・・・由来をうかがってよろしいでしょうか?」
「気に入らないかい?」
「いえ、マスターの嗜好を理解するのに有効な情報となりますので」
「なるほど、ならば後ろの写真立てを見てごらん」
少女は振り返ると写真立ての写真をマジマジと見つめる
「黒い・・・柴犬ですね、これがなにか?」
キョトンとした顔で俺に問い掛ける
「その犬の名前はサクラ」
「今はもう他界したがサクラは俺が物心ついた頃から何をするにもずっと一緒のパートナーだった」
「だからこれから共に歩むパートナーとしてキミをサクラと呼びたいんだ、どうかな?」
「サクラという名前にはそのような想いが込められているのですね・・・」
「私の名前はサクラ、その名に恥じぬよう努力いたします」
サクラは真剣な眼差しで俺を見て決意を語る
「いや気負う必要は無いよ、同じ名前でもサクラは犬のサクラとは違うんだから」
俺は真剣な顔つきを崩さないサクラに笑って言った
「それよりも初期設定の続きをしないとね」
「そうでした、それでは次にマスターの呼称を設定いたします」
「その前にその堅苦しい口調はどうにかならないかい?」
「設定項目に会話の口調設定もございますのでそれまでは辛抱していただけるようお願い致します」
やれやれ、まあもう少しの辛抱か
「マスターの呼称ですがマスター、ご主人様、ダーリン、旦那様、お兄様・・・」
サクラは呼称候補を延々と挙げ続ける
一緒に買ったあいつらはどんな呼称にするのかなと考えていると
「呼称候補は以上になりますが、候補に無い呼称を設定する場合は音声にて直接入力をお願い致します」
呼称候補の読み上げが終わったらしい
「ご主人様とか呼ばれるのは気恥ずかしいからマスターで頼むよ」
「かしこまりました」
「では続いて私の一人称を・・・」
永遠に続くとも思われた初期設定が終わる頃には東の空がほのかに明るくなっていた
「やっと終わった・・・」
「ご苦労さま、マスター」
ヘロヘロになった俺にサクラが微笑みかける
「さすがに疲れたから少し寝るよ、とその前に」
俺は机の上にハンカチを折りたたんで敷きその上にもう一枚ハンカチを被せる、即席の寝床の完成だ
「今日のところはこれで我慢してくれ、起きたら友人達と買い物に行くから一緒に色々揃えような」
俺はベッドに潜り込みながらサクラに伝える
「はい、楽しみです。それではおやすみなさいマスター良い夢を」
つづく?
_n
( l _、_
\ \ ( <_,` ) おまいら
ヽ___ ̄ ̄ ) グッジョブ!!
/ /
明日香「大進撃のこの私っ! 明日香ヴァレンシアの次なる戦いはッ! さっマルコ、予告読み上げてっ!」
マルコ「非公式バトルを一方的に仕掛けられ神姫を破壊され全てを失った少女、恋。
非合法の悪鬼、殺戮の狩人明日香への怒り。だが立ち向かうには少女はあまりにも弱く、そして孤独だった。
失意の中生きる恋に、新たなる出会いが訪れる。
悪魔型MMSと共に戦う高校生。彼との出会いが恋にもたらすものは……
次回、神姫狩り第三話。
『捨て犬のワルツ』」
明日香「よろしく……って、なんっじゃぁあ、こりゃああああっ! 私出てないじゃないですかっ!?
ていうか非合法の悪鬼って!? 殺戮の狩人って何!?」
マルコ「キミが出すぎると殺伐に成りすぎると作者が言ってる。ていうかボクも同意。
裏のバトルばかりじゃ読者も飽きるしね。
そうなればとりあえずボクらは出番なし、と」
明日香「表の公式バトルにだって出てるじゃないですか!?」
マルコ「裏での異名が轟き過ぎてほとんど不戦勝だけどね……ボクだって公式の場で普通に戦いたいよ」
明日香「納得いかねぇです。…ちょっと作者のバカを狩って来ますね(ジャキ)」
マルコ「あ、行ったか……では、作者が死んでなければいずれ」
357と362で捨て犬のブルース思い出した俺はメダロット好き(旧アニメ版限定
燃えも萌えも無いし、ついでに文才も無いけど一応投下。
あなたが学校や会社に行っている間、神姫達は何をしているのでしょう?
ここは静岡県にある小さな田舎町。
神姫たちのオーナーが暮らしている家があります。
今は仕事に行っているみたいですね。ちょうどいいですから、ちょっと覗いてみましょう。
まずはアーンヴァルの「ユキ」ちゃん。白いから「雪」ですか。安直ですね。
本を読んでいるみたいですが…これは何の本ですか?
「ポケット六法です。なかなか面白いですよ。それと、活字に触れている時が一番落ち着くんです。あなたもいかがですか?」
…遠慮しておきます。頭痛くなるし。
本が大好きみたいですね。官能小説を読んだらどうなるかちょっと見てみたい気がします。
続いてはストラーフの「ルリ」ちゃん。ベタな名前ですねー。
なにかPCのモニタに釘付けです。何をそんなに熱心に見てるんですか?
「…検索サイトで『僧衣』で検索して、一番上に出てきたサイトを見てます。漫画をアップしたページですが…ご覧になりますか?」
どれどれ、ちょっと拝見。
…
……
………
ぉぇ。こっちの趣味は無いです。
続きまして、ハウリンの「桜花」ちゃん。何でここから漢字名なんでしょうか。
さっきから部屋の中をぐるぐる走り回っていますが…
「いつでもバトルに出られるように特訓中なんだ。戦ってみたい相手もいるからね。」
体育会系ですね。元気ハツラツってとこでしょうか。
ま、バトルに出さないオーナーってのも多いみたいですが。
最後に、マオチャオの「菊花」ちゃん。桜に対抗して菊。安直ですね。
えーと、どこにいるんでしょうk…いました。出窓のところで寝ているようです。
もしもーし。菊花さーん。…返事が無いですね。
「ああ、菊花なら昨日の昼頃からずっと寝てて反応無いんだよね。ピクリとも動かないんだ」
ちょっと桜花さん。それはヤバいんじゃないんですか!?
…えー、と。
ついでなので皆さんに抱負を聞いてみました。
ユキ「いずれは神姫初の弁護士になりたいです!」
…無理だと思いますよ。
ルリ「…あの漫画みたいなシーン満載の映画を撮りたいです」
…やめてください。
桜花「いずれは『隻脚の悪魔』とか『十兵衛』とかと戦ってみたいな」
…瞬殺されること必至ですね。
菊花「……………」
…ホ、ホントに寝てるんでしょうか。凄く不安なんですが。
と、いうことでしたが…もうメチャクチャですね。
みなさんも、自分のいない間の神姫の行動、知っておいたほうがいいかもしれませんよ?
end
end が一瞬 orz に見えた。ついでに猫子を誰か起こせw
>あなたが学校や会社に行っている間、神姫達は何をしているのでしょう?
では神姫狩りシリーズの登場人物にインタビューしてみましょう。
恋「……いません。前回壊されたし。そして私……不登校中………」
暗っ。えー、質問する相手が悪かったようです。
では次に…
マルコ「他人のプライバシーを覗き見するなっ! 帰れっ!!!」
思いっきり攻撃されました。ロボット三原則って何。痛たた……
どうせ今夜はSS投下できない可能性が高く。
またスレの容量が450kちかいので今回は予告のみ。
なおこの予告は今唐突に考え付きました。
所要時間は……5分?
武装神姫のリン 第7話予告。
公式大会を控え、改良ブースターの飛行練習をしていたティアと亮輔の前に敵が現れた。
それはあの鶴畑和美とその騎士型神姫「ジャンヌ」。
果たしてティアは突然現れた強敵に打ち勝つことは出来るのか?
また、ソレを影から見つめる1人の少女の正体は?
乞うご期待!!
ティア「あんなメス豚の神姫ごとき私の敵ではありませんわ。縛り上げてヒィヒィ言わせてあげるんだから(はーと)」
リン&亮輔「ティア…初めての予告だから言葉を選んでってアレほど言ったのに……orz」
すみません、またやってしまいました。
神姫のマタを開(ry
もう450以上?
半分も行かずにか?
ぐ、投下すると途切れてしまいそうですよ。
次スレで投下ですね…6話は…。
微妙な容量ですね……
間に合わせ短編でねここ26の秘密でも書こうかなっ(ぇー
上の書き込みのお三方および各SS作者様。
どうしましょうか?
残りは約70kb(?)です。
雑談と言うか、今までのSSで各自設定されたキャラ設定等の発表回みたいな感じにしてしまいますか?
で500k超えたところで次スレでどうでしょう?
私はそれで別に構いませんよ〜
ねここの設定は本編で書きそびれた物も多いですので、ちょうどいい機会かも
とも思ってます。
キャラ雑談かー
面白いかもしれませんな
とりあえずまずこれだけ投下
改変しただけなので本編とは関係が(それなりに)ありませんっ(ぇー
1. ねここハート みさにゃん大好きな心がパワーの源だ
2. 超触耳アンテナ 頭の耳飾りは色んな電波を受信したり、戦闘時にみさにゃんと通信したりするんだ
3. プチマスィーンホッパー 上空へ打ち上げ、回りを偵察するぞ
4. ねここ遠心キック 空中回転で生み出す遠心力を使った凄いキックだ
5. 特殊強化筋肉 腕に仕込まれた人工筋肉は、弾丸も跳ね返す強いものだ
6. ねここスクリューキック 体をスクリュー状に回転させながら放つキックだ
7. 特殊スプリング装甲 肩に仕込まれた、どんな衝撃も吸収する凄い装甲だ
8. ねここドリルアタック 体を回転させて体当たりするぞ
9. Oシグナル 額の神姫探知器が2km先の神姫も見つけ出すぞ
10. ねここランプパワー 猫爪に付いているランプで、体内のパワーを2倍に上げるぞ
11. ねここばりあー 回りにバリヤーを張って、神姫の攻撃を防ぐことができるんだ
12. ねここ反転キック 一度キックした後、反転してもう一度キックする凄い技だ
13. 逆ねここタイフーン ねここハートを逆回転させ全エネルギーを放出する、凄いけど危険な技だ
14. レッドボーンパワー 胸のレッドボーンにエネルギーを集中すると凄い力が出るんだ
15. プラスティック強化装置 腕をクロスすると腕の装甲が強くなって、刃物でも受け止められるぞ
16. 空気ボンベ 胸に付いていて、これで水中でも3時間は平気だ
17. グライディングにゃんこ プチマスィーンズに無理やり持ち上げて貰って空を飛ぶぞ
18. マトリックスアイ レントゲン装置で敵を透視するんだ
19. ぐるぐるねここあたっく 両手を回しながら出すチョップは、普段の5倍の力が出るぞ
20. エレクトロアイ 目から光線を出し、怪人の足跡を探知するんだ
21. エナジーコンバーター おしりについているしっぽ型のエネルギー貯蔵装置だ
22. フリーザーショット 全身から冷気を出し、怪人を凍らせるぞ
23. スクランブルホッパー ホッパーで運ぶ特殊リングで、音波を出して怪人の機能を狂わせるぞ
24. ねここサンダー アンテナからは100万ボルトの稲妻が出るんだ
25. ねここあたっく いきなり神姫に体当たりするぞ
26. ねここふぁいあーキック 足の原子炉で熱を放ち、炎のキックを放つ凄い技だ
>あなたが学校や会社に行っている間、神姫達は何をしているのでしょう?
では神姫狩りシリーズの登場人物にインタビューしてみましょう。
では今から凪さんの十兵衛さんの家に…
ズキュン!!
「ひぇ!?」
振り向けば弾痕…
ズキュキュキュキュキュキュン!!
「ひぃぃぃ!!」
たちいりきんし
と弾痕で刻まれる。
「す、すいませんでしたぁぁぁ!!」
なんだこれorz
>>371 そうですね、それが良いかもですっ!
とはいえ…実は6話のは十兵衛のキャラ設定が大量に追加されていたり…
>あなたが学校や会社に行っている間、神姫達は何をしているのでしょう?
では神姫狩りシリーズの登場人物にインタビューしてみましょう。
では風見さんとこのねここちゃんのお家へ突撃してみたいと思います。
ぴゅー(脱兎のごとく逃げ出す)
あ、あのねここちゃん……?
コソコソ…「どちらさまなの……?」
お話聞いてませんか、インタビュアーなんですけど
「んー……あー、きいてるのきいてるの☆」
(ほ、よかった話せるみたい)
それでね、美砂さんが学校へ行ってる間貴方は何をしてるのかなーって
「寝てるの☆」
……ぇえと他には?
「お昼になったら、みさにゃんの作ってくれたお弁当食べるの〜♪」
それはいいですね(汗 えぇとほかに…(後頭部にゴム弾の雨あられ)あいたたたたたたたたたたたたっ!?
「にゅふふ……食後の運動のお時間なの。ホイホ○さんが動き始めたの……☆」
ねここちゃん目が完全に野生になってる……(大汗
「に゛ゃー!!!」
わ、私は獲物じゃありませぇーーーーーん!?
……これもなんなんでしょう(汗
たぶん次回第7話は冬の大会を中心になるか、金持ち坊ちゃん編になるかとおも。
では少しだけ設定を…
十兵衛初戦闘の回でチラッとみせましたが、十兵衛は多重人格です。
ちなみに狙撃時を一応「銃兵衛」
冷静なお姉さんになります。
そして6話で登場するの人格を「真・十兵衛」と呼称しています。
こちらはほぼ無言です。
なので書きにくいですorz
>あなたが学校や会社に行っている間、神姫達は何をしているのでしょう?
では神姫狩りシリーズの登場人物にインタビューしてみましょう。
では、鶴畑家の皆さんに突撃したいと思いまーす!
数分後…
「身分と目的を名乗れ!」
「…い…一応インタビュアーです…(何…?この重武装した警備さん…?)。」
「だ、そうですが、如何しますか興紀様!?」
「排除(にこ☆)。」
「…だ、そうだ。祈る時間は与えてやる。」
「い…いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
インタビュアーが一番かわいそうな気がしてきた
設定かー
明日香・ヴァレンシアは15歳の女子高生
語尾がですます調なので初見は勘違いする人も多いが性格は傍若無人にて強欲。
神姫狩り家業で金を稼ぐ日々。
マルコはぶっちゃけゼロカスのウィング装備。
後に騎士子のアーマー装着予定。
一人称ボクっ娘で性格はボーイッシュで生真面目。
明日香のツッコミ役の凸凹コンビって感じですな。
380 :
アネゴ書き:2006/10/14(土) 21:04:13 ID:bvr3h4Zq
>あなたが学校や会社に行っている間、神姫達は何をしているのでしょう?
では神姫狩りシリーズの登場人物にインタビューしてみましょう。
では三郎君とこのアネゴさんのボロアパートへ突撃してみたいと思います。
(本当にボロだな…)アネゴさんはいつもは何をされてるんですか?
「大体はテレビ見てるよ。みのもんたやら昼メロやら時代劇の再放送やら」
……
ほら、マスターのために何かをするとか…そういうのありませんか?
「ん〜…ああ、三郎の隠してるエロ本やらDVDやらの探索とかするわよ。ほら、赤い人も言ってるじゃない。果てなき冒険スピリッツ!なーんて。」
(このまま喋らせてはマズイかも…)あ、ありがとうございました!
「そうそう、この前三郎がめでたく筆おろししてさぁ。その時の隠し撮り画像がもう笑えるのなんのって!見ていく?見ていく?」
ひいいいいいいいっ!
>あなたが学校や会社に行っている間、神姫達は何をしているのでしょう?
死ぬかと思った……で、では……
名前も出てない神姫関連企業社員さんの弟さんの所に。
場所が場所だけに特ダネとかあるかもしれませんね!
ベル「…あら、貴女誰? まあいいわ。丁度退屈していたの」
え? えーと、妹さんですか…?
ベル「あら、私も立派な神姫だけど。サイズの違いなんて些細なことよね」
え? 神姫!? でかっ!! ていうか人間そっくり…って、なんで脱がされてるんですか私!?
ベル「退屈しのぎに、ちょっと遊んでいきましょう? 遠慮しないでいいわ。すぐに気持ちよくなるわよ」
いーーーーーやーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!?!??!?
○ねここ
ねここの飼い方シリーズのメインヒロイン
みさにゃんに一目惚れされて買われる。
今ではねここもみさにゃんらヴ。
本編では元気一杯の姿で描かれることが多いが、本当は出会いの時の
シーンのように繊細で人見知りする性格である。
喜怒哀楽の波が激しく、調子による能力変動が激しいため常に能力をフルに発揮できていない。
ちなみに市販品だが製造段階で微妙なミスがあったらしく、AIのクロック数と
処理速度が通常の神姫よりも多少高い。
(考えすぎるとオーバーヒートするのは廃熱システムがそれに見合うレベルまで強化されていないため)
ちなみにマシンでの訓練は基本的にブースター使用時など、屋内で出来ないシチュエーション時でしか行わない。
もっぱらホイ○イさんや他に美砂が作った訓練用仮想敵機との対戦が主になっている。
……というより殆ど遊びと狩りの延長上とも言える。
戦闘では格闘戦主義、というか今のとこそれしか知らない。
ミーティアブースターで開始直後にどんな遠距離からでも一瞬で間合いを詰め、一気に接近戦へと持ち込むのが
戦闘パターン。一回ショートレンジに持ち込むとブースターは切り離して身軽な形態になる。
相手(ジャンヌ)が見えない、分身と言っていたのは、ジャマーをかけた上に更に色々してたからなんだけど
まだ本編でネタバレさせてないので割合させてください(汗
ねここフィンガー+スパークエンドは、本来相手の神姫のボディーに出来るだけダメージを与えず、
電撃による速やかな機能停止だけを目的とした武装……のはずだけどジャンヌ戦ではそうは見えませんね(大汗
ちなみに公式ランクはサードリーグのペーペーです
で、何故か杏仁豆腐が大好き (作者の知り合いの猫が好きらしく、なんとなくキュピーンと採用)
○風見 美砂
ねここのご主人様
見た目は長身でスラリと均一のとれたプロポーションを持つ17歳の女子高生
腰まであるポニーテールと中性的な格好が特徴
両親はともに長期海外転勤中、なので二階建て一軒家で1人暮らしを満喫中。ちなみに預金通帳も置いてったので
使い放d(ゲフンゲフン
……そして重度のガン○ム&スパロボヲタク。部屋のDVDラックには種〜1st、その他モロモロがズラリ。
その影響で模型製作から始まり、ねここの武装チューンも含めて製作能力が結構高くなっている。
人に対しては基本的に優しくほや〜んとした態度で接する。実はねここ以上のどマイペース人間。
>あなたが学校や会社に行っている間、神姫達は何をしているのでしょう?
今度はコスプレ神姫使いと評判の、戸田静香さんのお宅にお邪魔してみました。
えーっと、ココさんですね。
「はい。タイプハウリン、個体名はココと申します。今日は宜しくお願いします」
良かった。まともな対応だ。やっと普通のインタビューになりそう。
では、さっそく静香さんのお宅拝見ということで……。
「すいませんが、立ち入り禁止です」
……。
ダメですか?
「はい。男のかたは、ちょっと……」
……。
そうですね。やっぱり、年頃の女子高生のお部屋ですしね……。
「すいません」
では、ここでインタビューさせてもらいましょう。
静香さんが学校に行っている間、ココさんは何を?
「静香の部屋の片……いえ、静香の部屋でトレーニングなどを」
トレーニング? 試合用の衣装合わせなどですか?
「…………(何か嫌なことを思いだしたらしい)」
うわ、地雷踏んじゃったかな……。
「す……すみませんが、企業秘密です」
(以下、あらゆる問答に対して企業秘密の回答が続く)
……今日はありがとうございました。
「はい。ありがとうございました」
結局何も聞けなかったな……インタビューする意味、あったのか?
「静香のこんな部屋、見せられないよなぁ……」
「ココー! 次の試合の衣装合わせ、するわよーっ♪」
「こんな恥ずかしいこと、言えるわけ無いし……」
「ほらほら、早くー♪」
「だから静香、もうちょっと家でもまともな格好して下さいってばっ!」
なんかやたら長くなってしまったので別レスに(汗
で、インタビュー話で出だしコピペしたた一部変えなきゃいけない部分がそのままに(大汗
ゴメンナサイゴメンナサイ|||orz
そしてインタビュー祭りだワァ(*ノェノ)
>>チアキ氏
クールな十兵衛ちゃん素敵すぎますっ!
そしてここからレポーターの悲劇が…
>>でこちゅー氏
あそこ行っちゃダメです…南無
>>アネゴ書き氏
美砂「あ、それ私みてみたいなー?」
ねここ「にゃー☆なんだかわかんないけどみるのー♪」
>>神姫狩りシリーズ氏
…ついに食べられちゃいましたね。GJ(ぇー
>>ドキドキハウリンの人氏
美砂「女の子の部屋には秘密がいっぱいなのですよね☆ミ」
ねここ「同じ部屋のにおいがするようにゃ……」
美砂「杏仁豆腐あげない」
ねここ「あーぅー」
>あなたが学校や会社に行っている間、神姫達は何をしているのでしょう?
では神姫狩りシリーズの登場人物にインタビューしてみましょう。
はぁ、はぁ、はぁ…ま、まったく…
ん、ってここは凪さんの家の前!?
「あ、もしかしてインタビューさんですかぁ〜!!」
え?あれは…間違いない…十兵衛ちゃん?
はい!そうですよ〜!!
「どうぞどうぞ〜!!」
え、なんか態度が全然違うんですが…。
「さっきは銃兵衛さんがご迷惑をかけました」
え?どういう…。
「あ、あの、私…銃を持つと性格が変わってしまうので…」
あ、あぁなるほど…。
でもこれでやっと話せる…
ええと、では質問に…って!?ひぃ!
「…待て…」
な、ななな!!どうしたんですかいきなりライトセーバーなんか構えてぇ!?
「…殺気…」
え、え??
「…!…(バシュン!!)」
え、えぇぇぇ!!十兵衛さん!?
ええと…どこかへ行ってしまいました…。
それにしてもあの目…すんごく怖かったぁぁぁ…
以上 真・十兵衛版でした…あは。
386 :
景山さん:2006/10/14(土) 21:52:48 ID:HFEH+j2D
景山麻衣子 (かげやま まいこ)
年齢11歳、女子。職業小学五年生
あれ、でも神姫の対象年齢って(ry
容姿はワイルドアームズ2ndのリルカを想像していただければ大体そんな感じ。
戦闘を好まないドレスアップ系のユーザー。
誰にでも明るく接する社交的なムードメーカーだが、
まだまだ未熟で失敗も多く、落ち込むときはひどく落ち込みやすい。
好きな食べ物は中華まんで苦手な食べ物は魚。
各種手芸一般の達人である母親を尊敬していて、また自分もそうなりたいと願っている。
某ディスカビル家との関係は不明w
フェアリ
天使型MMSアーンヴァル
英吾の妖精(フェアリー)にちなんで命名された。
最初はコナミつながりでZ.O.E.ANUBISのエイダをイメージしてたけど(後にそういうネタもやった)
気が付くと突っ込み魔だったりどんなネタにも食いついてきたり情け容赦なかったり
エロ方面の知識が無かったり牡牛座のアルデバランが好きだったり。
戦闘は得意でない(というよりマスターの麻衣子にその気が無い)が、
各種センサーの性能や分析能力がずば抜けて高い。
>あなたが学校や会社に行っている間、神姫達は何をしているのでしょう?
この間フェアリは丸々一話それやりましたねw
基本的に小さな体と飛行能力、そして計算能力を生かした家事手伝い。
また世の中の森羅万象(ありとあらゆるもの)への関心が高く、
暇さえあれば書物やテレビ、インターネットから情報を得ている。
387 :
鏡さん:2006/10/14(土) 21:53:59 ID:HFEH+j2D
鏡いつき (かがみ いつき)
年齢11歳、女子。職業小学五年生兼腐女子
あれ、でも神(ry
低めの身長と大きな眼鏡、ポニーテールが目印のそばかす少女。
ドレスアップ系ユーザーの中でもコスプレに情熱を燃やす。
結構きつい性格だが自分のオタク趣味に対するコンプレックスから、
周囲の人間に対しては地味な人物を演じている。
親友のシュナイデや麻衣子に対しては心を開き、本音をぶつけ合う。
高位ランカー(ぶっちゃけ鶴畑長男より上位)であり、情緒不安定気味で
自分を修羅(オタ)の道に導いた兄、悟(さとる)に対しては複雑な感情を持っている。
ちなみに彼女達の戦闘での実力はまだまだやっと中の下に届こうかと言うところ。
これからの活躍に期待がかかる。
シュナイデ
悪魔型MMSストラーフ
名前は独語で「刃」の意。当然初期装備の数々が刃物だらけだった事に起因する。
モデラーでもあるいつきの手によって全身に微細な改造が施されている。
普段はつかみどころの無いぽやっとした性格だが、
コスチュームを身につけることで身も心もそのキャラクターになりきる特技? を持つ。
そのため戦闘スタイルは良く言えば変幻自在悪く言えば不安定。
こんな性格だがいつきに対して全幅の信頼を寄せており、
彼女のためなら例え火の中水の中といった無二の親友でもある。
>あなたが学校や会社に行っている間、神姫達は何をしているのでしょう?
「鏡家への潜入に成功……ん?兄上の悟氏の部屋から声がします
どうやら二体のストラーフが何やら映画を鑑賞しているようです!」
「もしかして、あなたは!?」
「ウルトラマン……地球での名前は、ハヤタだ」
「どうやらウルトラマンの映画を鑑賞しているようですね。
毎日こうしてキャラクターになりきるため、研究を重ねているようです。
それでは気付かれないうちに次のお宅に参りま……殺気!」
「ストリウム光線!!」
「M87光線!!」
「ちょっと待ってそれ光線じゃないしアーンヴァルのレーザーライフルだしギャー!!」
388 :
134:2006/10/14(土) 22:12:49 ID:8zb4LTMW
続きを書く決心が付いたので、設定を作ってみた
134
とある研究所に勤める研究員
何の研究所かは守秘義務により秘密
二人の神姫をこよなく愛しているが、名前のつけ方はおざなり
バトルに興味が無いわけではないが、二人がそういったものを嫌がっているので参加させるつもりは無い
黒子
明るく活発。マスターにちょっとしたイタズラやわがままを言い、それを許してもらえるのがうれしくて仕方が無い子。
要求のレベルは非常に低く、確実に実現できるものをチョイスしている
自分のわがままや生意気さを自覚していて、それを許してもらうことに愛を感じている
裏闘技場での経験がトラウマになっており、最近夜中うなされている
白子
生真面目で大人しい。黒子のお姉さん的存在。口数が少なく、何を考えているか分かりづらいが、たいしたことは考えていない。
自分の要求を口に出せないが、マスターが黒子にしてあげたことをすぐに自分にもしてくれることに幸福感を持っている
脱走騒動で武装ユニットを粉砕されてしまった不幸な子
>あなたが学校や会社に行っている間、神姫達は何をしているのでしょう?
「黒ちゃんがご主人様を探しに行かないように黒ちゃんを見張ってる」
「も〜、ボクだってさすがにもうあんなことしないよぉ」
「前科があるでしょ?」
「う〜…」
389 :
SOS:2006/10/14(土) 22:15:28 ID:8zb4LTMW
134じゃなくって、132だった…
何か毎度毎度名前の番号を間違えるな…
名前を変えることにします
他のキャラはある意味で読んだとおりですので、最近出した新顔の設定をば…。
・コナミ
傲岸不遜で偏執狂。一度こうと決めたら、狂気を持って遣り遂げる変人。
黒髪の長髪が美しく、見た目は美人の部類に入るらしい。
が、上記の人間性により他人には『怖い』としか印象を与えられない。
自分の神姫にだけは優しく、他の存在はどうでもいいと考えている節があり、バトルサービスでの反則常習犯。
口癖は『引き千切る』で、高笑いを上げながら神姫に命じる姿から『哄笑の狂主』の二つ名で怖れられている。
頭が良く、驚くべき事に自分独りで神姫の全てを管理しているが、勿論それ自体がレギュレーション違反。
現在は神姫の他に、弟と三人でマンション暮らし。
尚、自分の神姫に初めて“正確な意味での敗北”を与えた白子と黒子(+そのオーナー)に並々ならぬ憎悪を抱く。
・アーシェラ
コナミによって改造を施された、ストラーフモデルのカスタム神姫。
改造後の最大の特徴は、通常モデルの3倍の太さを誇るハイパワーマニュピレーター。
これは展開する事で3対6腕のアームマニュピレーターとして使用出来る。
また、素体が持つ大鎌は、あらゆる武装が内蔵されたマルチプルウェポン。
主人に対して絶対忠実で、命じられた事を躊躇い無く実行する。
その為、オーナー命令により常にルールを無視した戦いをするので、現在に於いて勝利数は0。
但し、その全てが相手神姫を行動不能になるまで破壊したが故の反則負けで、実質的には全戦勝利と言って良い。
『悪魔の6(デモン・シックス)アーシェラ』、『完全破壊者』、『狂主の下僕』等、オーナー以上に好き勝手言われている。
性格は一見クールだが、その実世間知らずで天然。コナミの言った事なら何であろうと信じてしまう。
彼女もナミコと同じく、白子と黒子から屈辱を与えられた事を恨んでおり、再戦を渇望している。
―と、一応ながらここまで設定を創っていますが、自分自身としてもうバトルサービスがメインな話は書きたくないので
これ以後白子と黒子とは直接絡ませる気は無かったりして…。
リンのマスターですが、容量の詳細を宣言するのがちょっと早すぎましたかね・・・・
まだ長文SS1回分は確保できるのと思われるので投下してしまいたいと言う方がいらっしゃるなら、先に宣言されてからどうぞ。
さすがに雑談で50kb以上の消費は相当なレス数を必要としますから・・・・・・
なお、設定の書き込みをされたレスは今後別ページでSS紹介を作りたいとおもっていますのでその際に活用させていただきます。
では雑談段および設定公開レスもまだまだどうぞ。
今回は別の方のレスで分割されようが自分が責任を持って編集しますので長文投下もどうぞ。
>>390 グハァッ(吐血)!!?
スイマセン。自分のキャラなのに、つい『ナミコ』を『コナミ』と書き間違えました…。
本当は最後に一気に置換するつもりが、スッキリサッパリ度忘れかまして恥晒し……。
嗚呼、穴があったら入りたい…。
こちらが修正版となっております。
・ナミコ
傲岸不遜で偏執狂。一度こうと決めたら、狂気を持って遣り遂げる変人。
黒髪の長髪が美しく、見た目は美人の部類に入るらしい。
が、上記の人間性により他人には『怖い』としか印象を与えられない。
自分の神姫にだけは優しく、他の存在はどうでもいいと考えている節があり、バトルサービスでの反則常習犯。
口癖は『引き千切る』で、高笑いを上げながら神姫に命じる姿から『哄笑の狂主』の二つ名で怖れられている。
頭が良く、驚くべき事に自分独りで神姫の全てを管理しているが、勿論それ自体がレギュレーション違反。
現在は神姫の他に、弟と三人でマンション暮らし。
尚、自分の神姫に初めて“正確な意味での敗北”を与えた白子と黒子(+そのオーナー)に並々ならぬ憎悪を抱く。
・アーシェラ
ナミコによって改造を施された、ストラーフモデルのカスタム神姫。
改造後の最大の特徴は、通常モデルの3倍の太さを誇るハイパワーマニュピレーター。
これは展開する事で3対6腕のアームマニュピレーターとして使用出来る。
また、素体が持つ大鎌は、あらゆる武装が内蔵されたマルチプルウェポン。
主人に対して絶対忠実で、命じられた事を躊躇い無く実行する。
その為、オーナー命令により常にルールを無視した戦いをするので、現在に於いて勝利数は0。
但し、その全てが相手神姫を行動不能になるまで破壊したが故の反則負けで、実質的には全戦勝利と言って良い。
『悪魔の6(デモン・シックス)アーシェラ』、『完全破壊者』、『狂主の下僕』等、オーナー以上に好き勝手言われている。
性格は一見クールだが、その実世間知らずで天然。ナミコの言った事なら何であろうと信じてしまう。
彼女もナミコと同じく、白子と黒子から屈辱を与えられた事を恨んでおり、再戦を渇望している。
393 :
DDD:2006/10/14(土) 22:26:14 ID:gvIX/E7V
>あなたが学校や会社に行っている間、神姫達は何をしているのでしょう?
「オーナーが出かけているとき?」
ええ、そうです。黒子さんは何を?
「掃除をしながらテレビを見たり、片づけしながら本を読んだり」
白子さんは?
「バーチャル・タウンでウィンドウショッピングでしょうか」
猫子さんは?
「運動してみたり、窓辺で眠ってみたりなのだ」
犬子さんは?
「他の三人と一緒にいたり、窓辺で眠ってみたりですね」
なるほどなるほど。
話を聞いてみると、なんだか普通な感じですね。
まるで普通の人みたいな……。
……あれ? どうしてくすくす笑ってるんですか?
私、変な事言いました?
394 :
DDD:2006/10/14(土) 22:26:53 ID:gvIX/E7V
・黒子
ストラーフです。悪魔です。
感受性豊かな子です。
オーナーのことを知りたいと考えています。
・白子
アーンヴァルです。天使です。
含み笑いがよく似合う子です。
オーナーの方針を実に気に入っています。
・猫子
猫爪です。猫です。
最も多くの物を見ている子です。
落ち着きがないのは抑圧された野生の血のためだと理解しています。
・犬子
吼凛です。犬です。
色々と不憫な子です。
ありのままの世界を受け入れたいと思っています。
・吼凛(No.1867)
吼凛です。犬です。
色々と不憫な子です。
受け入れられない世界を作り替えるために行動しています。
・オーナー
マスターとも言います。人です。
昼行灯しています。
神姫が自分と共に生きることを望んでいます。
>あなたが学校や会社に行っている間、神姫達は何をしているのでしょう?
たまにプログラムの最適化をしていますが、普段はセーフモードで待機です。
メンテナンスベットに電源オフにされて寝かされたまま数日放置も珍しくありません……
オーナーは私の事を嫌っているのでしょうか?
ちょ。どんな豪華な埋め立てかたですか皆の衆。
>>391 既に470kに届こうとしていますし、設定だけで埋まってしまう気がしないでもなく。
いや、冗談抜きで。
というわけで、ウチの子の設定も少々アップ。
女の子の半分は秘密で出来ているので、あまり設定らしい設定ではありませんが。
戸田静香
神姫に処女を捧げた(比喩でなく)のがちょぴり自慢な17歳。女子校の手芸部部長。
天才でスポーツ万能でなおかつ美人という完璧超人。一を聞いて十を知る程度の
能力を持つが、超越した思考は常人には理解できない事の方が多い。
結果よりも過程を重視するタイプで、神姫のバトルでも勝負の結果にはあまりこだわら
ない。バトルに勝つより、その試合をどれだけ盛り上げるかにこだわる方が好み。
その桁外れのスペックをどうでも良いことに惜しげもなく注ぎ込むのがものすごく得意。
Sっ気があり、ココがイヤイヤながらドキドキハウリンをやっているのが可愛くて
たまらない。
ココ(孤哮)
犬型MMSハウリン。
バリバリの戦闘系で、性格設定は生真面目な武人タイプ。
何の因果か静香の神姫となり、魔女っ子神姫ドキドキハウリンに変身することになる。
マスター自身の能力は評価しているし、他の神姫同様大切に思っているが、
変身ヒロインに限っては自分以外の誰かがやればいいのにと思っている。
でもそのイヤイヤ加減が静香のツボを突いている事に気付いていない。
ドキドキハウリン
ココが静香特製の多段変身コスチュームを身につけたときの最終形態。
ディテールの詳細はその時の静香の気分によって異なる。
ただの衣装替えなのでスペックに差はないはずだが、この時のココは恥ずかしさで
攻撃力が三倍(当社比)になる……らしいぞ。
長銃身のライフルで相手をぶん殴る撲殺魔女っ子。
ちなみに魔法は使えない。
397 :
アネゴ書き:2006/10/14(土) 23:02:42 ID:bvr3h4Zq
他人とからませたいけど、バトルサービスのランクとかの設定がいまいち分かりません、えへへ。
大木三郎(おおき さぶろう)
一浪して二流大学に通っている貧乏学生。
上京して仕送りでつつましく生活している(バイトはリストラされてしまった)
物欲も性欲も人並みなただの男。UFOキャッチャーが得意。
トイレの一人プレイが習慣だったが、ついに次の階段を登ることができた。
アネゴ
天使型素体。
お姉系の性格で、試作型の大容量メモリと新型のCPUを搭載しているため、まるで人間のようなそぶりを見せる。
感情が高ぶると出力リミッターが外れて限界以上の性能を発揮できるが、各部にダメージを及ぼす諸刃の刃である(これも実験中の仕様)。
その他にもいろいろ設定が改変されているので、本来ありえない行動(マスターへの暴力、命令無視)なども朝飯前。
試作型なのでランキング戦に出ることはできない。
>>ドキドキハウリン氏
そうですね、書き込んで風呂に入ってるうちにやっぱ容量が足りないと確信しまして、帰ってきました。
埋め立てということでウチも設定を。
藤堂 亮輔
24歳のごく普通の会社員。いちおう神姫関連の下請け会社勤務、やっと生活に余裕が出てきた。
部屋は1LDKはあるが、駅からとても遠いので家賃は安め。
この家賃に惹かれ、駅までの4kmを毎日歩いている。高校時代はサッカー部だったので足腰は意外と強い。
最初は神姫に興味が無かったが友人をはじめ、周りの人間がほとんど神姫を所有していたので、
「流行に遅れるわけにはいかない」と再販日に人ごみに突撃して「リン」を購入。
小さい頃からロボットが好きでプラモデルやキットを弄ったりしてたのでいがいと手先は器用。
友人には多種多様な人間が多く、その人脈を使って試作パーツのモニターをさせてもらったり、
職人芸のパーツを卸売り価格で譲ってもらったりと、意外と神姫にかんしてはいろいろ都合の良い環境にいるらしい。
最初の3ヶ月はリンに服やおもちゃを与えてばかりだったがその後バトルを主軸にした生活を送る。
そしてリンが家に着てちょうど半年の日、事情によって2体目の神姫「ティア」を所有することになる。
ランクはやっとセカンドに挑戦できるレベルになったばかりでまだまだ全国ランクでは中の中以下。
リン (悪魔型 ストラーフ)
亮輔の始めての神姫であり、良きパートナー。
亮輔に尋常で無い想いを寄せているがそれを隠して普段は生活している。
普段は礼儀正しい中、たまに亮輔に甘えたりと公私の分別が付ける様子。
なおマスターである亮輔を侮辱するヤツは絶対に許さない。
バトルスタイルは変幻自在の動きとエアリエル技。
エアリエル技には漢字の名称が与えられている。
先頭で敵をだましたりといった行為が全く無く、正々堂々とした戦いゆえかいつのまにか「黒衣の戦乙女」といった二つ名をもって(もらって)いる。
また予想外の事態により感情が高ぶると悪魔型ゆえか「小悪魔的思考および口調」になる。
こうなったリンを知っているのは今の所ティアだけである。
ティア (天使型 アーンヴァル)
リンより半年遅れて亮輔の家族になった神姫。
彼女は以前ルクレツィアという名でサードリーグ中のトップランカーの神姫として名をはせた。
がマスターの違法行為により改造され、プログラムで思考さえも変化させられていた模様。
リンに倒された後は元の素直(とうよりは典型的なお嬢様的思考、言動)な性格に戻る。
マスターがつかまる際に彼の意志で亮輔に託される。
なおプリセットの都合上亮輔を「ご主人様」と呼ぶ。
リンが大好きでたまらない、リンを「お姉さま」と呼ぶほどである。
なお、リンとは『百合』な肉体関係を持ってしまっている。
そして子悪魔なリンの第1の被害者(?)であるがこれは亮輔もしらない。
>>397アネゴ書きさんへ
えぇと、前スレより引用ですが
465 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2006/10/07(土) 22:47:53 ID:x3Uspcs/
自分的には
草リーグ(雑多)
サードリーグ(電脳)
セカンドリーグ(電脳)
ファーストリーグ(リアル)
見たいな感じ
公式リーグでない草リーグでは、その場の設備しだいで、電脳でやったり、リアルで戦わせたり
サード、セカンドでは世界中のランカーがしのぎを削り、それゆえにあらゆる地域から参加可能なネット対戦で行う
ファーストは専用のアリーナみたいな場所で、世界各所に中継されながら試合
私の場合もほぼこれに近い感じで書いています。あとは他の作者の皆さんの作品の世界観に似せる感じで。
他の作者の皆様がどうなのかはわかりませんが、あまりガチガチに考えなくてもいいとは思います。
例えばセンターごとのマイナールール(このセンターはセカンドの場合でも、特別な場合はリアルで行うとか)
とか存在してもアリでしょうし
『低レベル&趣味 サード<セカンド<ファースト 高レベル&収入が期待可能』
と個人的には思ってるのですがどうでしょうか。ちなみに自分への資料としての書き込み分も入ってます(汗
追記、引用元では世界中とありますが個人的には展開は全国区程度だと思ってます。
以上追記でしたっ!
401 :
アネゴ書き:2006/10/14(土) 23:23:30 ID:bvr3h4Zq
>ねここのマスター様
ああ、助かります!
こういうのってテンプレみたいなのにはならないんでしょうかね?
「使わなくてもいいけど、使うと楽な共有の基本設定」みたいな。
>>399(ねここのマスター氏)
おぉ、実は私もそれを元にしていますよ〜。
アネゴ書きさん
ケータイで失礼します。
たしかに目安となるバトルサービスの設定(強制力はありません)があれば分かりやすくなりそうですね。
今は上に書かれたモノを目安にしておこうと思います。
各SS作者様の投稿してくださつた設定とこれらを統合して設定ページを後日作成しますのでお楽しみに(?)
チアキ氏も同じだったのですかー
今ふと思いついて共通設定可能に出来そうな項目を書き出してます
このスレが終了するまでにはUPさせたいと思います(汗
リンのマスターさん、設定ページ編集の時はよければそれも使ってやってください。
405 :
前スレ208:2006/10/14(土) 23:37:36 ID:bRb/dNBr
私のを書き上げるころに要領は残っているのでしょうか。
只今鋭意設定執筆中。
今までずっと頭の中にあったものを書いていたので、実は設定そのものは書き起こしていないのです。
私のバトルサービス概念も、
465 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2006/10/07(土) 22:47:53 ID:x3Uspcs/
自分的には
草リーグ(雑多)
サードリーグ(電脳)
セカンドリーグ(電脳)
ファーストリーグ(リアル)
見たいな感じ
公式リーグでない草リーグでは、その場の設備しだいで、電脳でやったり、リアルで戦わせたり
サード、セカンドでは世界中のランカーがしのぎを削り、それゆえにあらゆる地域から参加可能なネット対戦で行う
ファーストは専用のアリーナみたいな場所で、世界各所に中継されながら試合
をたたき台にしております。ただし若干の解釈変更は加えてあります。ランキングが勝ち負けや戦った相手とのランク差などで変動するポイントで決まったり、セカンドのセンターに来館者が直接バーチャル対戦できるスペースがあるのはそのためです。
406 :
302:2006/10/14(土) 23:49:53 ID:DnNZTAuu
うを、帰ってきたら何やら豪華な事になっているではありませぬか。
調子に乗って混ざってみます。
・師匠
実はまだ名前決めてないのです orz
バトルサービスシステム開発部のフィールド部門で下っ端してたものの、過度のストレスにより休職中。
座右の銘(?)は
「俺は2番目で良いよ。」
基本的に面倒が嫌いなので、戦闘時に指示を出すのは稀。
・エスト
都合の良い時だけ師匠呼ばわりする、計算高い馬鹿。
名前は、ゲーム等でプレイヤーの意思で受けるかどうか決められるクエストからク(苦)を抜いたもの。
新スレになったら遅まきながらパカパカさせてみるかもしれません。
407 :
SOS:2006/10/14(土) 23:56:54 ID:8zb4LTMW
ちょっと、よくある話ですが、
こういった設定は時間をかけて「固まっていくもの」であって、
「人の手で固める」を行うと「拘束感」が発生する原因となると思うのですが
せめてバトルサービスが正式に開始されるまで程度の期間は、そういった事を行わないほうが好ましいと思います
では私も設定をくわしく。
凪 千晶
19の専門学生。冷凍海老ピラフご好物。
後に神姫センターのショップでバイトを始める。
あまりやる気は感じられないが、いざというときの行動力は目を見張る。
典型的な主人公体質
十兵衛
チアキが拾ってきた地下バトル出身の悪魔型神姫。
性格はしっかり者の幼馴染っぽいとっつきやすい性格。
左目には超高性能複合カメラアイシステム「神眼」を装備し、
見た目の問題から眼帯をしてカモフラージュしている。
ちなみにこの「神眼」の影響かh不明だが、性格設定にバグが発生しており、
状況に応じて人格が変わってしまう。
銃兵衛
十兵衛の人格の一人
おもに狙撃時に発現する。
性格は冷静なお姉さんタイプ。真・十兵衛とは違い、
割と任意で発現させることができる人格。
真・十兵衛
「神眼」のリミッターが完全に外れたときに発動する十兵衛最強形態。
霧(強制冷却の際の煙である)とともに現われる。
その動きは神速、その攻撃は神の裁き。完全無欠、文字通り最強の人格。
険しい表情を崩さず、性格はひたすらに無口。敵とみなしたものには容赦無い攻撃を加える。
一旦強制冷却を行うため、真・十兵衛の形態では素体であることが多い。
めったに現われることの無いレアな人格。
発動条件は不明。
ちょっと同意。
例えばマーキングシールを「ご自由にお貼りください」と書いてあっても
結局は見本通りに張ってしまう人が多いのと同じ事。
うお、タイプミスが
十兵衛
千晶が拾ってきた地下バトル出身の悪魔型神姫。
性格はしっかり者の幼馴染っぽいとっつきやすい性格。
左目には超高性能複合カメラアイシステム「神眼」を装備し、
見た目の問題から眼帯をしてカモフラージュしている。
ちなみにこの「神眼」の影響かは不明だが、性格設定にバグが発生しており、
状況に応じて人格が変わってしまう。
です。
次スレ立ててよ
バトルサービスについては私も
>>465氏発言をベースにしています。
バトルサービスはSOS氏や
>>409氏と同じく、あまり詰めなくてもいい気がしますが、
神姫世界にある小道具のまとめ(トレーニングマシンとか)はあると雰囲気が出て
楽しいかも。
えぇと、なんかいっぱい書くとまずそうなのでかなり絞って書いてみました(汗
○サポートセンター
神姫の各種サポートを行う部署
電話サポートの他にも各種メンテナンスを引き受ける街中のサポートセンターも存在する
○鶴畑3兄妹
このスレの有名敵役
長兄 興紀:表では好青年を演じているが、実は冷酷かつ残虐な性格を持つ
。神姫バトルでの実力は本物。20歳の大学生。
所有MMSはストラーフタイプの「ルシフェル」他。
現在リアルランキング54位
次男 大紀:兄の威を狩る狐…もといピザ。実力は大したことはないが、金を
積んでの八百長試合で上位に上がる。15歳高校生。
所有MMSはアーンヴァルタイプの「ミカエル」他
現在リアルランキング144位
長女 和美:神姫バトルデビュー前の新人、ピザ小学生。
所有MMSはサイフォスタイプの「ジャンヌ」。
(以上。でこちゅー氏の設定を抜粋)
○鶴畑コンツェルン
武装神姫の開発元(協賛?)の1つ。鶴畑3兄妹のご実家
○リーグ
草リーグ(雑多)
サードリーグ(電脳)
セカンドリーグ(電脳)
ファーストリーグ(リアル)別名リアルリーグ
が存在
別ランクであっても公式戦は可能
また電脳とリアルはあくまでも、そのランク戦では主にこの形式で行われる、と
いう程度のもので例外は多々存在する
○センター
バトルを行うための施設。規模はまちまち、小さいセンターだと大量に存在
○トレーニングマシン
家庭で手軽に電脳式バトルや練習が可能なマシーン、機能値段千差万別。
○マスター設定
神姫は基本的にマスターと呼ばれる登録認定した人間に従う(例外いっぱい
あり)
○個体差
同型でも初期の時点でさまざまな個体差(主に性格)がある
せっかく書き出したので|||orz
まずければスルーで(汗
流れにのって、自分も設定披露。
やっとマスターの名前決まりました
陽元 治虫(ひのもと おさむ)
23歳 会社員
一応、普通の男子が興味を持つおもちゃ、プラモデルなどを
順当に手を付けていくが、年齢を重ねるごとに興味を無くしていく。
武装神姫を買うまでは、そんな物があるなんて知らなかった。
ちなみに、自分の名前の由来を両親に聞いて「好きな漫画家から」
と言われたときは、すこしへこんだ。
アール (アーンヴァル)
治虫の初めて購入した武装神姫。
音楽が好きで、聞きながら自作ダンスをすることが趣味になっている。
アール自身がバトルすることはなく、武装はバトル担当のエルに貸すか
治虫とのおでかけに使うのみ。
治虫とは主従関係以上の関係になりつつある。
エル (ストラーフ)
元は鶴畑興紀の所持していた武装神姫。
捨てられて落ちているのを発見し、修理依頼をするが修理不能で
AIのデータのみ別の素体に移された。
バトル参加動悸は、元マスターである鶴畑興紀を倒すこと。
独特のバトルスタイルから“剣の舞姫(ソードダンサー)”と呼ばれている
415 :
DDD:2006/10/15(日) 00:22:26 ID:X/t5odbM
私からは一言。
「それはそれ! これはこれ!」
割り切ってると楽ですぜ、奥さん。
何しろ自分の都合のいいように共通認識のつまみ食いが出来ますからね。
416 :
前スレ208:2006/10/15(日) 00:22:46 ID:hKLRlhau
うちの主役たち二組の設定です。
・マイティ
天使型MMSアーンヴァルタイプ。オーナー行き着けのホビーショップで普通に売られているところを、
普通に買われた。
特に際立った特長も無く、性格もアーンヴァルのデフォルトの域を出切ることのない真面目で献身的な性格。
ただ、この度の鶴畑次男坊との戦いで主人の戦術論を教えられ、どんなに戦力差のある相手にも断じて
ギブアップしないあきらめの悪さを獲得した模様。
かわいいもの好き。ココのオーナー戸田静香嬢の作った服を着るのをひそかに楽しみにしている。
実はバイクに惚れてしまい、その流れでこっそり仮面ライダーに入れ込みつつあるようだ。
・マイティのマスター
都心部から少し離れたところで暮らしている三十代の男。独身。職業は不明だが、在宅勤務なので
どうやらモノ書き系の職業と思われる。口数の少ない仏頂面。料理をするなど意外に家庭的。
趣味で武装神姫を買い、バトルサービスをメインとしている。
鶴畑兄弟(特に次男と長女)が良く使うような特殊で限定で以下略……というようなパーツを嫌い、
同梱パーツや正規パーツを軸としたオフィシャル装備でのみ神姫を武装させるノーマルパーツ主義者(大多数の
オーナーが改造に手を出さず普通に遊んでいる場合とは違い、確固たる考えを持ってそうしている)。
素体の改造も一切行わないが、「ノーマルなパーツは主(神姫)を絶対に裏切らない」という信念のもと、
日夜戦術の開発に余念が無い。
その甲斐あってか、偶然セカンドのセンターに居合わせた鶴畑家次男坊鶴畑大紀のアラエルとの試合に
おいて、圧倒的な性能差であるにもかかわらず、それにより弱気になったマイティを指揮し、ノーマル装備を駆使した
地道な戦術で対ファーストランカー戦初勝利をもぎ取った。
現在セカンドランカー。目立たないため二つ名は無い。が、行きつけのセンターで「あの」鶴畑を倒したことから、
本人の知らないところでひそかな人気がつきつつある。
・シエン
犬型MMSハウリンタイプ。
オーナーのケンに従う。マイティと同じく犬に準じたハウリンタイプの性格を踏襲している。
どうやらストイックなロボットが好きらしく、1/12ボトムズの写真をネットで見ていたところを主人に見つかる。
その後願い叶ってフルモータライズ・フルメタル化されたスコープドッグをプレゼントされ、その流れで
武装神姫によるボトムズバトリングに参加する。ちなみにこのバトルは非公式であるが、シエンは自分の意志で
参加したようだ。
搭乗ATは装甲を限りなくそぎ落としたライトスコープドッグ。参加のごく初期に頭部を破壊され巻けることが
多かったため、頭部を赤く塗っている。赤い頭と何度負けても立ち直って来るところから、昔のゲームに
登場するゾンビの名前を取って「クリムゾンヘッド」と通称されている。
・ケン
シエンのオーナー。大柄で髯面で、耳と鼻と唇にピアスをしているどこかの社会不適合者のような男。
職業不詳。たぶん無職。マイティのマスターを武装神姫の世界へと誘った張本人。彼とは神姫以前から
親しいが、住む世界がまったく違う二人がどのようにして仲良くなったのかは分からない。
実はマイティのマスター以上に自分の神姫を溺愛しており、ウン十万もした1/12フルモータライズ
スコープドッグをシエンにポンと買い与えるほど。
収入は現在ボトムズバトリングのファイトマネーから得ているようだ。
リングネームは「屍ケン」。
ま、自由ですからね、好きな設定を好きにチョイスして使うのが良いかと。
もう既にアム○ラやらホイ○イさんやらざまざまな作品の武具も出ていますしね〜。
>あなたが学校や会社に行っている間、神姫達は何をしているのでしょう?
おじゃましま……
ヒュン (マイクにフルストゥ・グフロートゥが刺さる)
「不審者発見です」
えっと、インタビューを…
「あたいはかまわないです。姉ちゃんは聞かないとわかりませんが」
では、えっと、エルさんは普段なにを?
「バトルの練習とイメージトレーニングとダンスですね」
ダンス? えっと、それでアールさんは?
「姉ちゃんはあそこ」
……踊ってますね
「趣味ですから。お〜い姉ちゃ〜ん」
「なに〜?」
「インタビューきてるよ」
「え……」
固まりましたね
「見られた?……」
ばっちりと
「いやぁぁぁぁ!!」
うわぁ! 撃ってきました!
に、逃げます
以上、おわります
続きがどーもはかどらないのでマオの設定的な外伝書いてたら、
なんスかのこの楽しい流れはっ
とりあえず親子二人。
柏木浩之 20歳
どこかの区役所だか市役所勤務。 部署不明。
薄給のため控えてはいるが、本来はごっつオタク。
2036年では絶滅危惧種に匹敵する木造2階建ての安アパートの
2階に住んでいる。
柏木一 ??歳
元々はどこか大企業に勤務する研究員だったらしい。
その頭脳は異彩をはなつ、というかぶっちゃけ変人。
だがそこに目をつけた組織(正体不明)の幹部に目をつけられ、
引き抜かれて監禁される。
そろそろ次スレを立てたほうが
421 :
前スレ208:2006/10/15(日) 01:07:05 ID:hKLRlhau
落ち着いてきたようなので、次スレを立ててきます。
テンプレは無しで行きますね。
>あなたが学校や会社に行っている間、神姫達は何をしているのでしょう?
うっわー、ふっるいアパートですね。
まだこんなの残ってたんですねー…ちょっと感動。 住みたくは無いですが;
おじゃましまーす。
「どなたでしょうか」ちゃきっ<リボルバー構える
わ、わ、下ろしてくださいよっ インタビューを…
「はぁ、兄の居ないときですか。
そうですね、出来る範囲のお掃除と、本を読んだり
TV見たりPCで無料配信のアニメ見たり…ですね。
フライトパックがあれば高い所のお掃除とか、アームユニットがあれば
本棚から本を引き出せたり出来るのですけど。」
なるほどなるほど。
マオチャオ型には珍しい口調ですね。
どっちかというとアーンヴェル型みたいです。
あれ? ところでなんでマスターとかでなく兄なんですか?
「……ぅ;」
あのー
ボン!
わぁ! いきなりマイクの上半分が粉々にっ?!
「あらー、残念です。 マイクがその有様じゃあインタビューは無理ですね」(にこー
そそそそそそ、そうですねっ(今何されたのっ?!)
以上現場からでしたっ
「いや、マイク無いですから」
423 :
前スレ208:2006/10/15(日) 01:21:38 ID:hKLRlhau
おつ
お疲れ様です。
427 :
前スレ208:2006/10/15(日) 01:29:39 ID:hKLRlhau
>>424 柏木な人様
ありがとうございます。
はやくレオパレスから引っ越したい……。
428 :
SOS:2006/10/15(日) 01:30:43 ID:FaVnaOhD
お疲れ様です
ところで、未だに前スレが落ちていないことに狂気を感じる
429 :
302:2006/10/15(日) 01:35:45 ID:Dq3CRzVK
スレ立てお疲れ様です。
スレ立てお疲れさまです。
というか、たった5日で1スレ消化って……。
この製作速度…同人誌にしたら恐ろしいことになる気がしてきましたよ。
そんな今日この頃。
機を見て神姫狩りシリーズをマンガにしてみてぇと思っていますわたくし。
この文章まとめあげて小説同人にしたらほんますごいページになりそげ。
>あなたが学校や会社に行っている間、神姫達は何をしているのでしょう?
遼平「…や、俺仕事してないし」
ルー「遼平の環境は色々フクザツなものがありますから…とりあえず自宅は新築ですし
お金もありますから、20代で悠悠自適の生活…という感じです(^^;」
遼平「俺が望んだ生活じゃないんだがな。 …ま、とはいえ食い潰すだけじゃアレなんで、
最近はネットトレードとかの勉強してるよ」
ルー「私は簡易型バトルシステムでのトレーニングなどを行う事が多いですね。あとは…
あ、最近は読書が趣味になりつつあります」
遼平「ディズニー系の絵本見て泣いてたりするんだ」
ルー「遼平ッ! それは秘密だと言ったじゃないですか!」
あと、完全に私的な設定をちょっとだけ。
いわゆる神姫の戦闘スタイルによる区分、みたいなものです。
「ファイター」
一番多いタイプの神姫で、格闘用武器と射撃用武器の両方を装備しているものを指す。
大雑把に分けて格闘寄りのものは「ファイトグラップラー」、射撃寄りのものは
「ファイトガンナー」と呼ばれる。
「ガンナー」
主に射撃用武器を使用し、遠距離戦闘に重点を置いたタイプ。
ハンドガンやマシンガンといった軽火器を使用する「シューター」と、バズーカやビーム砲
のような重火器を使用する「ブラスター」に分類される。
「グラップラー」
格闘用武器を専門に使い、超至近距離での戦いを得意とするタイプ。
軽装甲でのスピードと手数で攻める「アタッカー」と、重装甲による防御力を駆使して
一撃必殺を狙う「ディフェンダー」に分かれる。
「ヴァイパー」
違法改造を施された神姫の蔑称。
規定値を超える破壊力の武器、身体各種のリミッター強制解除、感情値の異常高揚などは
全てが違法改造によるものであり、レギュレーション違反としてこれらの公式リーグ参戦
は一切認められていない。
一時期はヴァイパーである事を隠して野良試合を行う悪質なオーナーが増えていたが、最近
ではヴァイパー同士による賭博試合を企画する者が現れ、そちらが大きな問題になっている。
また「何者かによって無償提供された謎の神姫」という存在も実しやかに囁かれている。
これは戦闘データ等の獲得が目的と思われるが詳細は不明。
ちなみにルーシーは「グラップラー・アタッカー」という感じでございます。
あ、ついでにトンチキミリオタ君のプロフでも追加しましょう。
大佐和 軍治(おおさわ・ぐんじ) 年齢:22歳 通称:大佐(たいさ)
子供の頃から銃に憧れを持ち、サバイバルゲームに傾倒し続けてきた。2流大学に進学後、
同士を集めてミリタリー研究会を設立した初代会長(会員6名)。
しかし銃火器を使って戦う武装神姫のCMを見たのが運の尽き、以後すっかりハマる。
…最近ではミリ研そのものが神姫研究会になりつつあるとか。
バーニング・ブラック・バニー Type:ヴァッフェバニー 通称B3(ビー・キューブ)
大佐和の所有する武装神姫で、分類は「ガンナー@ブラスター」。
マスターである大佐和を「コマンダー」と呼び、絶対服従を貫く軍人気質な性格。
…とはいえ、派手好きで大鑑巨砲主義な大佐和の戦略のためにあまり勝率は高くなく、
もっぱら草リーグやら3rdリーグやらをウロチョロしている。
…こんな感じでしょうか?
では皆さん、また次のスレで〜♪
435 :
前スレ208:2006/10/15(日) 05:37:25 ID:hKLRlhau
容量を埋めちゃうためにこっそり。
・鶴畑大紀の神姫、アラエル
鶴畑大紀が度重なる敗北の憂さ晴らしに、マスターの最寄のセカンドリーグセンターで使用していたアーンヴァルタイプの神姫。
大量のケチャップをかけたようなゴテゴテ装備にやっと懲りたらしく、彼にしてはある種の洗練さが見て取れる。
素体が点に見えてしまうほど巨大な反重力翼をもち、翼の表面にはドールアイを改良したセンサー兼大出力レーザービーム発振装置をいくつも
備えている。レーザーの照準追尾性能は特筆モノ。
レーザーのエネルギーが切れた後は目玉を排除、セカンダリウェポンの全方位ミサイルを眼窩から生やして攻撃する。
さらにミサイルが尽きた後は眼窩がスピーカーに変形し、音響波に乗せて相手神姫コアの量子運動を阻害させるEMPバラージを放つ(実際の
電磁波ではないもよう)。現在のところこのEMPバラージが最終装備。
三段がまえの強力武装で対戦相手を圧倒させるが、多数の武装を内蔵した翼は構造上非常にもろく、一定以上の衝撃を与えただけで瓦解して
しまうほど。同様の理由で飛行タイプのくせに高速移動が出来ない。要するにただの大きな的であるが、遠距離攻撃はレーザーやミサイルで
絶対的に防がれ、切れた後に接近してもEMPバラージが待っているため、彼の従来の神姫と比べて隙がほとんど無い。
あとは無駄撃ちを抑えさえすれば間違いなく最強クラスの神姫である。
鼬の最後っ屁よろしく書き逃げを。
必要ないかなと思ったものの、一応書くだけ書いてみようと思い直しまして…
・俺
白子と黒子のオーナー。最近の心境は思春期の娘を持つ父親。
神姫には無条件に甘い上に優しいが、根がヲタクで他人嫌い。
部屋には玩具、本(漫画・小説・エロ)、その他諸々が溢れかえっていたが、神姫によって整頓された。
最近、買い物に出た時の判断基準が『神姫に似合うか否か』となってきた事に自分の事ながら呆れている。
・白子
アーンヴァルモデルの武装神姫。性格は明るく、好奇心旺盛で活動的。
オーナーの趣味に影響を受けて、そっち系の知識に造詣が深くなっている。
ごっこ遊びが好きで、普段から姉妹同然の黒子ともに様々なごっこ遊びに興じている。
それ以外では良く部屋の中を探検と称して歩き回り、隙間に入り込んでは出て来れなくなって泣いてしまう事が多い。
尚、白子と黒子に搭載されている例外機能は、元々ごっこ遊びの演出の幅を広げようと付加されたもの。
・例外機能
超加速・精密姿勢制御機能。全身から迫り出した夥しい数のスラスターで、限定的な超機動力を得る。
機能起動中は凄まじい熱が発生するので、頭部と胸部の装甲が展開して冷却を行い続ける。
・黒子
ストラーフモデルの武装神姫。大人しく、未だに怖がりな性格。
白子と同じくヲタク的な知識を多く持ち、遂には2ch語翻訳機能なる怪しげな機能を獲得するに至った。
ごっこ遊びに夢中だが、それ以外ではオーナーの所有する音楽を聴くのが好き。
また、エロ系の本を読んで危険な知識を得ては、(悪意無く)それを披露してオーナーを不安にさせている。
黒子にも例外機能が搭載されているが、二人のこの機能はあくまでもごっこ遊び用のものであり、バトルサービスでの使用はルール違反。
・例外機能
左腕に組み込まれた腕部高速伸縮機能から繰り出される抜き手の嵐『炎の矢』。
右腕に組み込まれた杭打ち器を使用して、抜き手を極めた相手に更に衝撃を与える『キャノン・ストライク』。
また、作中未使用であるが脚部にはマイクロミサイルランチャーを搭載している。
437 :
302:2006/10/15(日) 16:43:11 ID:Dq3CRzVK
まだ大丈夫そうなので、埋めついでに今更感なパカパカ(?)をこっちへー。
「ふむ。」
某巨大掲示板にて情報を収集していると、気になる事象を発見した。
内容自体に興味がある訳では無いが、暇潰しには丁度良いだろう。
などと思っていると例によってエストの馬鹿が何かしている。
恐らくはまた人のDVDを勝手に見たのであろう、剣を引き摺りながら歩いてくる。
って畳に傷、傷ー!
「一応聞いておいてやるが、今日は一体どうした?」
「イライラするんですよ。」
「コラ、そんな勝手な理屈で部屋を傷付けるんじゃない。」
「英雄になりたいんです。」
あー、ライダーがバトルロワイアルな作品を見たのか。
「イライラするんですよぉ〜!!」
「こぉの、馬鹿弟子がぁ!!」
これは先ほどの事象を試すチャンスと瞬時に判断した俺は、声を飛ばす。
想像だにしていなかった反応が返ってきた為か、エストは目を点にしてこちらを見てる。
「そんな自分の感情をコントロール出来ずに英雄になろうなどと愚の骨頂、修行が足りんわ。」
「では師匠、どのようにすればよろしいのでしょうか?」
よし、予定通りに食い付いてきたな。
「曇りのない鏡と澄みきった水の様に心に何のわだかまりもない状態、これこそが明鏡止水の境地。」
「つまりそれを会得せよと申すのですね、御教授よろしくお願いします。」
「うむ、まずは仰向けになり、その後ゆっくりと足を閉じたり開いたりするのだ。」
パカパカ
「こ、こうですか?中々に足腰の鍛錬も兼ねている理に適った修行方法です。」
「違う!もっと流水の如く緩やかに、エレガントにだ。」
パカ、パカ
「その動きをする事により、(主に神姫オーナーの)心が研ぎ澄まされるらしい。」
パカ、パカ、パカ、パカ・・・
真剣な表情で足をパカパカさせている様子がとても面白い。
「そうですか、って『らしい』ってどういう事ですか師匠。」
「あ、いや、そのー、ネットの情報でな、うん。」
その後即座にパカパカを終了し、ネットでの検索を終えたエストに30分正座で説教された。
それにしても個体差とはいえ、ここまで影響を受けやすいヤツとは思わなかった。
『パピ・ヨン』とか言い出す前に、自分の手で男前な悪の英才教育を施した方が良さそうだ。
まずはお詫びも兼ねてマントを探すところから始めよう。
438 :
302:2006/10/15(日) 16:46:05 ID:Dq3CRzVK
ちょっとノリでやりすぎて、当初の予定であったエレガントな敵役からずれてきた感じがするので、
師匠の教育という形で軌道修正させようと思います。
エロスな文章が自分には書けそうに無いので、これぐらの馬鹿さで勘弁して下さい。 orz
どもども、設定が満載で自分の提案が功を奏したらしくれうれしいです。
容量埋め埋め〜〜ということでインタビューシリーズ!!
>あなたが学校や会社に行っている間、神姫達は何をしているのでしょう?
では武装神姫のリンシリーズの登場人物にインタビューしてみましょう。
ここが藤堂亮輔氏のお宅ですね。
駅からは遠いですが結構広そうなマンションです。
ではベルを鳴らしてみましょう。
反応がありませんね、耳をすませてみましょう。
「……お姉さま、もっと強くぅ〜」
「うん、わかった。」
「そう、ソコォ」
ややや、これはもしかしちゃったりしますか、百合百合な感じでしょうか??ではカメラさん。
突撃ですよ。
と、カメラさん?
えカメラが壊れた? 何、連結刃ってそんな物騒なってカメラさんが倒れてるし!
いままでの教訓です、即撤退ですよ!!
え、振り返った先には天使型。
レーザーライフル向けないでくださいよ。
やだなあ「ライフルがいやなら鞭が好み?」だなんて……そんな、痛そうな鞭をしならせないでください。
や、止me、gyaああああああああああああああああああ