611 :
441こと十兵衛:2006/10/09(月) 19:27:23 ID:gKpEjePq
>DDD氏
すごい…ほのぼのなのに少し切ない話ですね。
なんでもない日常ってって書くのむずかしぃorz
>585氏
ダークですね。
でも確かに神姫の本質を垣間見えた気がして世界が広がりましたよ!
>602氏
いいですね!GJですよ!
ハードとエロスが絶妙で続きが気になります。
あぁこのスレのSSが同人で出たら買ってしまいますわ自分。
俺が封印したネタだが、人間の脳波コントロールで動く柔王○に精神をダイブさせて、
それで神姫といちゃつく、っつーのもあるかも。
>609
>「神姫は基本が電動ダッチだという設定に陥りそうな世界観」
>には抵抗あるんじゃないかと。どうですかね。
極論になるけど、それは神姫に限らずロボっ娘もののエロすべてが内包している問題だと思うんで、
個人的には割り切って考えることにしてるなぁ
っつーか冷静に世界観ひろげていくと、性欲処理みたいな事情は避けて通れない道だと思うので
その辺がいい具合にネタとして昇華されていれば『武装神姫』ものとしては大いにアリだと思う
や、もちろん普通にラブラブとかぬるぬるとか百合百合とかも大好きですがね
>スレ書き込みか冊子形態か
理想としてはスレに投下されたSSが冊子形態でまとまることかなぁ
ただ、冊子形態にするなら挿絵の追加は必須だと思う
読みやすさ、と言う点なら、ここはそもそもSSを投下するスレなんだし
分割の仕方やダーク系は一言入れるとかに気をつければ大丈夫なんじゃない?
あぁ…犬子のブースターを組み立ててやらなくちゃ…
>>603 YOUアップしちゃいなyo!
すいません嘘ですごめんなさい調子に乗りましたむしろ読ませてくださいおねがいします。
うちの連中に関しては好き勝手使ってもらって全然構いませんのでー。
>>585、
>>602 神姫の心の問題まで行っちゃいましたか。某アンドロイドスレあたりと
同じような展開になってきたなぁ……。自分はそっち系のネタが大好物なので
むしろどんとこいですが。
エロに関しては、
>>605氏の意見に同意。そしてチンコこすってもらうエロも
当然読みたいわけで。
>>614 OK、OK、じゃあお言葉に甘えさせて貰うぜ!
全8nになるので、出来ればしばらくレスはお待ちを。
注)主成分:バトル、ギャグ、パロディ、スラング少々
少しでも暴力描写に嫌悪を抱かれる方は、読むことを避けて下さい。
「美少女戦士、登場!?」(1/8)
内なるコニー(何…?今アタシが見ているのは夢?幻?だってよ…アタシの目の前にいるのは…
メ イ ド さ ん じ ゃ ね ぇ か よ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ!?)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
話は数時間前に遡る。
さて、今日はセカンドリーグの第5戦目。
あれからコニーも冷静に戦いを行う事が出来て、現在通算3勝1敗。最初にリンちゃんと
戦う事が出来たのがいい結果になっている。あれからもリンちゃんとそのマスターとの
交流は続いており、戦闘データなんかもメールで送りあっている。2人はお互い良い
ライバル関係で居るようだ。
コニー「んっふっふ〜♪今日も華麗かつクールに勝利ですわ〜♪ああ…リンちゃんにも
この勇姿を見せたいくらい…ラララ〜♪」
…連勝が続いて少し調子こいているような気がするが…?
コニー「それでマスター?今回のお相手は誰ですの!?」
「え〜っと…犬型のココと、マスターは…戸田静香さん、女性だね。」
と、
目の前に現れる、長く美しい黒髪を靡かせた…まばゆいばかりの知的な…まさに
『美少女』を絵に描いたような超美人。そしてその肩に乗る犬型の神姫、ココ。
そしてその超美人を前に心を奪われる……俺。
「お…岡島…です。今日は宜しくお願い…します(*゚Д゚)=3」
静香「初めまして、戸田静香です。こっちはココ、孤高に哮る者と書いてココです。
そちらの神姫の事は聞き及んでております。『トリガーハッピー』のコニーさん
…でしたよね…?クスwお互い悔いの残らない試合をしましょう。では…。」
そう言って白魚のような手と握手を交わすと、彼女は更衣室へ向かっていった。
「美少女戦士、登場!?」(2/8)
「は…はぁ〜〜〜〜〜〜ぃ…(*゚∀゚)ノシ」
ジャロ「マスタ〜…どうしたのだ〜?」
ノワル「ありゃりゃ〜、完全にアッチの世界に行っちゃてるよ〜;」
ヴェル「マスターの…馬鹿!」
ぎゅむっ!
惚ける俺のほっぺを思い切りつねるヴェル。
「痛ってぇ〜〜〜〜!!何すんだヴェル!」
ヴェル「…知りません!!いいコニー!今回は絶対に勝つのよ!ギッタンギッタンに
してあげなさい!」
コニー「フッ…お任せあれ!あっちがビューティーなら、こっちはクールに勝って
みせますわ!」
内なるコニー(だ・れ・が・『トリガーハッピー』のコニーさん…クスwだ!?あんのアマ〜!
てめぇの大事なワン公、目の前で穴空きチーズにして血風呂(ブラッドバス)に
沈めてやるから覚悟しやがれよぉぉぉ……!!)
天の声『お〜い、どこがいい結果になってんだ〜…………?』
「美少女戦士、登場!?」(3/8)
バトルステージは夜の繁華街。風俗店のけばけばしいネオンがそこかしこに光る。
これが疑似空間だというのだから、今の技術は恐ろしい。
バトル開始直後、漆黒のコートを羽織っていたココ。その軽装と攻撃方法から、
機動力を生かした近接戦闘重視タイプとであろうと俺は見た。
今回、ノワルのサバーカとGA4アームを装備させ、近〜中距離での高機動射撃戦と
一撃必殺の近距離仕様にしたコニーに、中距離を維持しながらの射撃を指示した。
その戦術が功を奏し、ココのコートに確実にダメージを与えていった。
コニー「フフ…どうしましたココさん!顔色が悪いですわよ?」
内なる(ry(ヘッ…!口ほどにもねぇじゃねぇか…!こりゃ楽勝か?)
ココ「……………!」
静香「………………!!」
どうやら2人は何か話し合ってる様子だが、何故かココの顔が…赤い。
何か起こると判断した俺は、
「コニー!右サブアームにフルストゥ・グフロートゥを装備、一気にケリを付ける!」
コニー「了解(アイサー)!」
だっ!
一気に距離を詰め、斬りかかるコニー。
コニー(ジ・エンドだ!!!)
と、
ぶわっ!
コニー「!?くっ!」
突如目の前に舞うコート、それを真一文字に切り裂くコニー。
その切り裂いた先にいたのは…。
「美少女戦士、登場!?」(4/8)
メ イ ド さ ん で あ っ た。
しかも丸縁の大きな眼鏡に傘と旅行カバン所持。これで2つ分けの三つ編みお下げだったら
パーフェクトである。
ヴェル「は…?」
ジャロ「にゃにゃ!?」
ノワル「うは〜♪」
か…可愛い…いやいやいやいや!そうじゃなくて!コニーは!?
コニー「は…ひぃ?」
鼻水垂らしてぼけ〜っとしてるよ…。
一同呆気にとられる中、真っ赤な顔をして身を竦めるココ。
静香「どうしたのココ!とっても素敵よ!さぁ!行きなさい!」
って…!いつの間にか静香さんもメイド服に着替えてる!!?
ココ「は…はい!」
「こ、コニー!しっかりしろ!これは相手の作戦だ!一旦距離を取って様子を見る!
(ああ…でも静香さんのメイド服姿…超可愛すぎr)」
どごすっ!
鼻の下を伸ばしながら指示を出す俺の水月にヴェルから熱い渇が入る。
「うぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!何なんだょヴェルぅぅぅぅぅぅ!」
ヴェル「…フン!(マスターの…馬鹿!)」
コニー「りょ…了解!」
内なる(ry(…ちっ!ビビらせやがって…。コスプレ趣味の○女子がマスターかよ!
大変だねぇ、そっちも!だがもうそんなハッタリは効かねぇよ!行くぜ!)
「美少女戦士、登場!?」(5/8)
「コニー!相手は恐らく傘とカバンの中に銃火器を仕込んでる!こちらも弾幕を張って
距離を取りつつ、再装填(リロード)のタイミングを狙って一気に接近戦に持ち込む!」
コニー「了解!」
俺の予測したとおり、傘にはショットガン、旅行カバンにはヘヴィ・マシンガンが仕込
まれていた。ああ…ありがとう!30年前のピカレスク・ハードコア・アクション漫画!
…あ。
もしかしてコニーのあの性格って、あの漫画のヒロインの影響か?
そういやボディが出来てから、二つ分けから引っ詰め髪にして止めてた前髪下ろしたり、
初めての普段着は何が欲しいと聞いたら、「黒のヘソ出しタンクトップにデニムのホットパンツ!」
と即答したり、トライバル系の刺青を模したデカールを右肩に貼る為に深夜に一人セコセコと作成
したり、二丁拳銃のスタイルに拘り出したり…そうそう、キレた時の口調も何か似てるよなぁ…?
ガガガガガガガガガ!
ズドン!ズドン!
繁華街のネオンを砕く銃弾の雨あられ、2人は距離を取りつつ銃撃戦を続ける。
と、
一瞬銃撃が止んだ。チャンスだ!
「行け!コニー!」
コニー「言われずとも!」
「美少女戦士、登場!?」(6/8)
だっ!
両サブアームにフルストゥ・グフロートゥを携え、一気に距離を詰める!
(あれ?確かあのメイドって漫画では…!!)
「いかん!離れろコニー…!!」
突如、『ごきげんよう』のポーズを取るココ。そのスカートの下から…
大量の手榴弾が現れた!やった〜!やっぱりそうだった!…って、喜んでる場合じゃない!
コニー「な…にぃぃぃぃぃぃぃ!?」
どっがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!
ココとコニーの間に起こる大爆発。
俺が指示を出すのが一瞬遅ければ、間違いなくアウトだった。
咄嗟にセカンドアームで防御態勢を取り、後方に飛び退いたコニー。
大破は免れたものの、セカンドアームは使い物にならなくなった。
ガコン!ドガン!
大破したセカンドアームを解除するコニー。
コニー「ハァ…ハァ…間一髪…だぜ…。マスターの一言がなけりゃ…やられてた…!!
…でもあの距離じゃ、相手だってひとたまりも無いはず………ッツ!!??」
少しずつ晴れていく煙の中、人影が見えた。馬鹿な!あの爆炎でまだ立てるのか!?
あの子は半世紀前の映画に出てきた、未来から来た殺人ロボットか…!?
つーか、今がその映画における未来だったりする訳だが…って!そんな事は後々!!
辛うじて残ったカロッテP12カスタムとフルストゥ・クレインを装備し、CQCの体制に
構えるコニー。
コニー「さぁ…鬼が出るか蛇が出るか…!!」
煙が完全に晴れ、その先に現れたのは…。
「美少女戦士、登場!?」(7/8)
しゃらんら〜ん☆
魔 法 少 女 で あ っ た。
ふわふわのスカートに、ひらひらのドレス。入念に位置決めされたと思われる大きなフリル。
そして両手で抱えるのは、何処に隠していたのやら、妙にラブリーな装飾を施された
ロングレンジキャノン!
ココ「あ…愛ある限り戦いましょう!魔女っ子神姫ドキドキハウリン!
ここに、はいぱー☆降臨っ!」
きらりぃ〜ん☆
何つー前口上だ…って、ああん…静香さんも当たり前の如く同じデザインの魔法少女ルックに
着替えているじゃないかぁ…☆嗚呼…なんて神々しく、超弩級に可愛い…
かっきぃーん☆
そんな俺のジュニアにケリをかますヴェル。
「うぐぅ…そ、それはキツイっす…ヴェルさん…」
ヴェル「…知らない!!」
そ…そういえば…コニーは…?
コニー「ぷ……………ふふふふふふふふふ…………………
ぎゃはははははははは!!な…何それ…っ!?ま…魔法少女……?
ぶふふふふふふふ!!け…ケッサク………くく……!!」
あらら…ダメだ…完全にツボに入っちゃってるよ…。
コニー「に…似合ってるわよ…そのコス…プr」
ココ「言うな―――――――――――――――――――――っ!」
ごっつんこ☆
魔法のステッキの一撃に、前のめりに倒れるコニー。
コニー「魔法…使って…ねぇじゃん…ガク。」
ココ「い…言うな…。」
「美少女戦士、登場!?」(8/8)
静香「良い試合でした。今回は私もココも満足行く戦いが出来ました!
ありがとうございます!」
「え…いえへへへへへ、こちらこsひてててててててて…」
鼻の下をのばしながら両手で握手をする俺のほっぺを全力でつねり続けるヴェル。
ヴェル(マ・ス・タ・ァ・の…………………馬鹿っ!!)
コニーはと言うと、
コニー「負けた…あんなコスプレ魔法少女に…負けた…orz」
思いっきりショックを受けているよ…こりゃしばらく尾を引きそうだ。
ジャロ「めでたしめでたし、なのだ!」
コニー「めでたくねぇよ……orz」
ギャフン END
一応以上で今回のお話は終了。
んで、ついさっき作った即興後日談。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「美少女戦士、登場!?〜The after〜」
静香さんとココとの対戦から数日後、あれからコニーの趣味に幅が出来た。
と、言うよりも…
ぴろりろりろりろ…
きゅぴ〜〜〜〜〜〜〜ん☆
コニー「ラジカ―――ル☆コニーちゃん 参☆上!
トカレフ・トカレフ・ケレンコフ♪ヘッケラーコックで――――――――
見 敵 必 殺 ぅ !
そ・し・て♪」
ココ「ま…マジカ――――――ル・メイド☆ココちゃん 参…上!」
静香「よかった!コニーちゃんなら喜んでくれると思ったの!」
ヴェル「こ…コニー…?」
ノワル「いいな〜、ボクもやりたいな〜!」
どうやら染められた…らしい。
いいな〜…俺も染められ…って待て!ヴェル!なんだその『100t』って書いてある
馬鹿デカい黄金のハンマーわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?
めしっ
ギャフン END
うさ子好きになってきたの俺だけ?
なにげに私もでこちゅーさんのコニーが好きなんですが(゚∀゚)
ブラックラグーンネタが出てきた時点でオイルとプラスチック片が飛び散る
バイオレンスな展開になるんじゃないかとヒヤヒヤした
コニーの場合は魔法少女じゃなくて魔砲少女になりそうだwww
627 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/09(月) 23:06:33 ID:Fy4wWUUr
日時: 2006/08/08 12:18
名前: アバあき◆nsy0DcmY
膨大なログをざっと目を通しました。
前回は近場のログだけ目を通していただけなので全貌をつかめ切れていませんでしたが、私の言動がここまで皆さんを怒らせていたとは思いませんでした。
あまりにも浅慮にて軽率な行い、深く謝罪を申し上げます。
今回のことを省みて、今後は本スレには一切顔を出さず、画像の投下はwikiだけに自粛しようと思います。
私もやはり厨設定スレが大好きなので、私のせいで荒れてしまうのは心苦しいので、それには本スレに顔を出さないのが一番だと思いました。
謝って許されるようなことではないとは思いますが、申し訳ありませんでした。
それでは失礼いたします。
テメェのせいでSS大会もスレも大荒れした。使いまわしの絵で媚売ってないでどうにかしろ
_ ∩
( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
⊂彡
629 :
441こと十兵衛:2006/10/09(月) 23:14:15 ID:gKpEjePq
懲りずにまた書いてしまいました。今回は装備編です。
では
「十兵衛+狙撃=銃兵衛誕生」
です。
いきます。
630 :
441こと十兵衛:2006/10/09(月) 23:15:34 ID:gKpEjePq
朝、今日は専門は休み。だというのに十兵衛は律儀にもいつもの時間に俺を起こす。
「マスター、起きてくださいっ!」
「うぅむにゃ…あと5分、いや5時間…」
「駄目ですマスター!!起きてくださいぃぃぃ!!」
そういって十兵衛は俺のシャツの袖をむき〜!!っとした表情で引っ張る。もちろんそんなことしても俺が動くはずは無いんだが。
しかし、
「いま商店街のスーパーで突発朝市セールしてます!行かないと!
マスターの好きな冷凍食品も最大7割引です!10時までに行かないと終わっちゃいます!
冷蔵庫の海老ピラフ無くなったじゃないですか!今見てみたら7割引だったんですから!買いに行かな…ひゃぁ!」
「よし行こう!すぐ行こう!今すぐ行こう!急いで行こう!」
俺はその海老ピラフという魅力的な単語を聞き、決心してぐわっと起き上がった。その反動で十兵衛が後ろにぐるんと転がって目を回す。
「だ、大丈夫か十兵衛!…ごめん」
するとこちらを見て困ったように笑いながら
「大丈夫ですよ、マスター。さ、早く行きましょう!」
と言った。
「おう!!」
俺は速攻で外に出て。自転車にまたがった。十兵衛は俺の胸ポケットにいる。
「よし、れっつらごぉ〜!」
「ごぉ〜!」
とペダルを踏み込んだ。
「しかし朝市セールなんてどっから情報入手したんだ?」
パソで巨大掲示板サイトの地域板でも見たのだろうか?
「え、言ったじゃないですか。見たって」
と言い、十兵衛の十兵衛たる所以である左目の眼帯…に偽装した超高性能カメラアイを指差した。
「え、うそん…見えたのか!」
「はい、とりあえず拡大モードでセールを確認して、サーモカメラ等のリミッターを解除、そして店内を見てたら発見しました!海老ピラフ!」
「す、すげ…」
「はい、これはお伝えせねばと!」
「おう、有難うございます十兵衛殿」
「いえいえ、礼には及びません」
と可愛らしくにっこりと笑った。
631 :
441こと十兵衛:2006/10/09(月) 23:16:25 ID:gKpEjePq
しかし眼帯システムにこんな使い道があるとはな…。いやはや平和利用万歳。
そんなことやら話しているうちに商店街の真ん中に位置するスーパーに到着。
「すごいな…」
人、人、人、人の嵐だまるで人間の大海原や〜。
「よ、よし!行くぞ!」
「目指すは冷凍食品コーナー!!」
「レディ〜!!」
「ゴォ!!ですマスタァ〜!!」
勢い勇んで店内へ!が、しかし!ぐほあ!何だこれは!
ごふっ!この商店街ってこんなに人が集まる場所だったか?!
ぐぎゃ!店内は想像以上の大戦争…老若男女問わずさまざまな人間でごった返している!
エルボーやら体当たりやらが俺を容赦なく襲う!痛い!痛いぃぃ!
「マスター!大丈夫ですか!」
「お、おうよ…!お前こそ気をつけるんだ!」
「はい!大丈夫です!」
一目散に冷凍食品コーナーへ!あ、あったぁぁぁぁぁぁ!海老ピラフ!!
「海老ピラフゲットだぜぇぇぇ!!」
と2、3袋一気にかごの中へ突っ込ませる。
「よし!十兵衛!」
「はい!」
「今すぐ眼帯のリミッターを解除!他に安いものが無いか検索だ!」
「了解!マスター!」
・
・
・
「買ったなぁ…」
「買いましたねぇ」
「疲れたなぁ…」
「疲れましたねぇ」
と、スーパーからの帰り道、がっつり買い過ぎて漕げなくなってしまった自転車を押しつつ帰路につく。
「あ、マスターあれ…」
「ん」
見ると神姫ステーションがあった。わかった、わかったからそんな上目遣いで俺を見るなって。照れちゃうぜ。
「見てみるか?」
632 :
441こと十兵衛:2006/10/09(月) 23:17:24 ID:gKpEjePq
「は、はい!」
俺はめちゃ重い荷物を手にステーションに入る。なかでは定期的…というか毎日のように試合が行われていて、かなり白熱している。あ、そうだ…欲しいパーツがあったなそれを買うか。
「十兵衛、なんだっけか?この前言った武装は…なっがいレーザー砲」
「えっと、GEモデルLC3レーザーライフルですね」
そうそうそれそれ。
「せっかくだから買っていこう」
「あ、有難うございますマスター!」
「まこれから必要になるしな」
昨日のことだ。
・
・
・
「さて…どう戦うべきか…」
「ですね…」
「動きすぎると眼帯が使えないし、装備が多すぎてもやっぱり眼帯使えないし…ただでさえ熱持ってるのにこれ以上装備追加するのも考え物だ」
「はい…」
「しかしストラーフタイプ自体は動き回って敵をかく乱する戦法が得意らしい」
「はい…私が地下にいたときも…同じでした」
「でもこれからはまったく逆、無駄な動きを軽減して最低限の動作で戦わなきゃいかんのか…」
「難しいですね…」
「ん〜…」
近距離…中距離…遠距離…遠くなればなるほどあまり相手に動かされることは無い。
となると…
「スナイパー…」
「え?」
「こちらから動かずに初期位置から相手を落とすにはスナイピングするしかないかなぁ〜と」
「スナイピングですか…なるほど」
「せっかくの眼帯もあるし、それを使えばいけるんじゃないか?」
「たしかにそうですね。いい案です!でも…」
「でも?」
「それに見合った装備がありません。その…長距離用武装が無いと」
633 :
441こと十兵衛:2006/10/09(月) 23:18:31 ID:gKpEjePq
「そうか…ライフルか…」
「たとえばGEモデルLC3レーザーライフルがそれにあたります」
と十兵衛はパソコンを操作して白い長方形の大型銃を表示した。
「ふむ…」
「他には…吠菜壱式くらいですね」
今度はまるで骨のような形のゴツイ銃を表示する。
「う、うぅむ…」
「マスター?」
「ど」
「ど?」
「どっちがいい?」
「え…」
「いや、俺にはどっちも同じな感じがするんだが…十兵衛なら分かるんじゃないかなって。ほら、一応経験豊富だし」
「なるほどそうですね…スナイピングと考えると…
衝撃力はあるけど弾速に劣る吠菜よりはレーザーで連射は利かないかわりにそれに見合った攻撃力、
何より反動の少なさから言ってもLC3レーザーライフルの方が…向いているかと」
「よし、じゃあストラーフの装備を元として素体に付いてる肩のスパイク装甲は排除だな。
動きが妨げられるし、廃熱に支障が出るのはごめんだ。同様の理由で頭部にも何一つ装備させない。
…遠距離兵装はGEモデルLC3レーザーライフル、
これをジョイントで背中に接続、使用時はサブアームに接続しよう。中〜近距離用には…じゃあとり回しやすいカロッテP12とカロッテTMPに…左目とスコープを同期させれば有効に使えるはずだ。
さて近距離は…まずは左手首にM4ライトセイバー。基本的にはこれだけでいいと思うんだが…まぁ一応フルストゥ・フルートゥとフルストゥ・クレインを両レッグパーツ側面に装備させるかっ…とどうだ?」
俺はパソコン上でアッセンブルし、チェックした。
廃熱系統異常なし、バランス良し。問題の特殊性能、リミッター連続解除時間は3分15秒…。
「…合格だな」
「ですね!」
「よし、今度買いに行こう!」
「はい!」
・
634 :
441こと十兵衛:2006/10/09(月) 23:19:27 ID:gKpEjePq
・
・
以上回想終了。
「マスター、他の武装はどうします?」
えっと…あと足りないのは…カロッテ二種とライトセーバーか…。
俺は財布を見た。あ、いける…。
「よし、買ってしまおう」
「やったぁ!」
そうして俺たちは必要な装備を手に入れた。
時間もあるのでちらほらと見て回る。
「あ、見てください!あれ!」
「ん?」
見ると試合の模様がモニターに映し出されている。
「うわ、すごいな…」
主にその神姫の格好が…。いや、戦い方もすごいが。
「かわいい〜ですね〜」
「あ、あぁ…」
あっけに取られてしまった。そしてその神姫のマスターを見てさらに魂消た…。
「おんなじ格好してるよ…」
「すごいですね…」
会場の熱気でよくは聞こえないがドキドキなんとか〜とか言っている。???なんだろうか。
それにしてもすごい戦いぶりだ…あれならファンもついてて納得だ。かわいくて強いのだから」
「すごいなぁ〜」
十兵衛はモニターに夢中だ。
「なぁ」
俺はふと思ったことを口にしてみた。
「十兵衛もあんな感じのかわいい格好してみたいのか?」
「へ?」
とこちらを向いて〜ぴたっと十兵衛の動きが止まる。そしていきなり顔を赤くさせて俯いてしまった。
「あの、十兵衛さ〜ん?」
「は、はいぃぃ」
「どうした?」
「いえ、想像してみましたら…とんでもなく恥ずかしかったもので…つい…その」
635 :
441こと十兵衛:2006/10/09(月) 23:20:13 ID:gKpEjePq
「ははは、なるほどな。でも似合うかもな?」
「え、えぇぇぇぇぇ!?そそそそんな似合いませんよ!」
「またまたぁ〜」
「…いえ、似合いませんよ。私には…」
いきなりテンションがトーンダウンした。十兵衛は自分の左目を触りながら
「だって、こんな物々しい顔には似合うわけ無いですから…」
と悲しそうに微笑んだ。
「十兵衛…」
そうか。いくら眼帯に偽装して多少見た目を良くしても、やはりその異様な雰囲気だけは拭い去れない。
ステーションに入ってからもその外観から周りの人達にちらちら見られていたのだ。
本人は気付かないふりをしていたが、それでも時折悲しそうな微妙な表情が垣間見えていた。
そういうことだったのか。
「ごめんな、十兵衛…もっと早く気付いてあげればよかったのに」
「そ、そんな、マスター…謝らないで下さい…だって私はこの左目のおかげで私は私のままに生き長らえることが出来ているんですから…」
と一粒の涙。
「十兵衛…」
「こ、こんな私ですが…これからもかまって下さい…」
「な、何言ってるんだ!お前のマスターは俺だけ。俺の神姫はお前だけだよ、十兵衛」
「ま、ますたぁ〜うぇ、ひっく…」
「な、泣くな泣くな〜」
と人差し指で十兵衛の頭を撫でた。と十兵衛は俺にしがみつき
「うあぁぁぁぁぁぁぁん」
と号泣。面食らった俺は
「え、え〜!?泣き止んでくれよぉ〜お〜よしよし」
とアタフタしながらなだめる事しか出来なかった。
・
・
・
そしてステーション内のベンチに腰をかけてなだめること10分ほどでやっとこさ泣き病んでくれた。
「す、すいませんでした…また泣いちゃって…」
「強いのに泣き虫だなぁ〜十兵衛は」
「すいません…」
636 :
441こと十兵衛:2006/10/09(月) 23:20:47 ID:gKpEjePq
と顔を赤くする十兵衛。なんだ、その姿が…あぁもぉ愛おしいねぇまったく!
「かわいいぞ」
とついつい言葉に出てしまった。
「へ?!」
十兵衛は顔をがばっと上げて驚きの表情を見せる。
「だから、かわいいぞ」
もう一度言ってやった。
「う、うぇぇぇぇぇ?!かかかかかかわいいぃぃぃぃ?!」
すごい驚きようだ。あまりの驚きように何故か笑いがこみ上げてくる。
「は、はは、はははははは!」
そんな俺を見てか十兵衛も
「はは、あはははは」
笑い出した。
「「ははははははははははは!」」
と二人の笑い声はステーションに広がっていた。このとき、何事かと周りから見られたそうだ。だが当の俺たちはまったく気付かなかったのである。あぁ恥ずかしい。穴があったら是非入りたい。立候補してもいい。
「さて、帰るか?」
「ふふ、そうですね」
「あ…」
「はい?」
「冷凍食品!!持ったまんまじゃん!!とけてるじゃん!早く帰らないと!」
「え、あ、はい!サーモ作動!大丈夫ですマスター!ピラフはもちろん他の冷凍食品もまだ原型を留めています!」
「よっしゃぁぁぁぁ!いくぜぇぇぇ!」
「はい!マスター!!」
俺は気合を入れ、袋をドサッとかごにのせ、自転車をぐいっと押して家まで突っ走った。
今度ステーションに行くのは試合の日かな…。そのときにでも服の一着や二着買ってやろうか。きっと似合うぞ〜…。
とか思いながら…。
続
637 :
441こと十兵衛:2006/10/09(月) 23:23:32 ID:gKpEjePq
今回は以上です。
実はアーバインと言うよりは能力はサイトーだったという事実…。
しかし私も兎子がだんだん生き生きしてくる様を見ていると涙が出てきましたよ。
コニー良かったなぁ!
>>637 十兵衛ちゃん
>しかし私も兎子がだんだん生き生きしてくる様を見ていると涙が出てきましたよ。
泣くな泣くな…(;´Д`)ノシ
これからドンドンレ○ィ化させていくつもりなんだから…。
無論、首塚時代の話をすると死んだ魚のような目になって、「ハッピートリガー」が
発動しますよ…ぶぅ…ぶぅ…ぶぅ…。
出直してきました。304です。
私が問題なのは戦闘描写じゃなく愛が無いからではと思い
ちょっと”愛”を入れてみました。
どうでしょうか? (>人<)^
【注】汚いスラング、道具扱いされる神姫に嫌悪を抱かれる方は、読むことを避けて下さい。
↑でこちゅーさん、注意書き流用させてもらいました。こんな感じでいいでしょうか?
-”A”-
私はアーンヴァルタイプのMMS。
愛称はアルファ。
マスターが最初に購入したMMSだから。
”A”を指すコード。
闘技場へはマスターのセカンドカーで行き来する。
マスターが運転し、他の神姫たちは後部シート。
セカンドシートは私の定位置だ。
帰路。
戦績が悪いときは家までの一時、この位置は地獄に感じる。
戦績が良いときは天国だ。
運転中、マスターが私たちに言葉をかけることは無い。
それでも
機嫌の良いマスターの横顔を眺めていられる。
他の神姫たちの目を気にせずに。
ガレージに車を入れるとマスターはさっさと二階の居住区画へと階段をあがっていく。
他の神姫たちはこのガレージが兵舎となる。
指揮官機である私だけが二階に入ることを許されていた。
「今日はよくやった。
各自装備の手入れがすんだらゆっくり休め。
後はまかせたぞ、ブラボー。」
今日の戦闘データのやりとりを終えると私は二階へと向かう。
人間用の階段も飛行ユニットを装備したアーンヴァルタイプの私には苦にならない。
「失礼します!」
ドアにあけられたMMS用の出入り口
(元はネコ用だと聞いた)の前で声をあげてから5秒後に入室する。
マスターが入室を拒むときは何か返事があるからだ。
返事がないということは入室を許可されたと判断するのが常だった。
マスターはさっそくネットワーク端末に向かい、今日のニュースに目を通されている。
机の角へと飛び上がって、直立不動の姿勢をとる。
「戦闘結果のご報告にあがりました」
「ん。データ送っといてくれ」
ちらりと私を一瞥して視線をモニターへ戻す。
「マスター…」
私の言葉をさえぎるように小さくため息をつくマスター。
「ワイヤレスは情報漏れの危険性が高い。か?
ったく・・・」
ネットワーク端末につないだ接続用ケーブル、
その先を指でつまむマスター。
私はこれ以上ないくらい素早い動きで
自分の端子口をあける。
「接続準備完了!」
──!!
ズブリと一気に差し込まれる端子。
その衝撃が全身をかける。
カチリと私の奥に端子がおさまる。
声が出そうになる。
マスターはモニターへ視線を戻してネットワーク端末を操作しはじめる。
端子をくわえこんだ私の部分が熱くなる。
んぅぅ・・・
有線接続にどうしようもない昂りを感じる。
マスターの横顔。
マスターがネットワーク端末を操作する動作。
それを見て机の端で身悶えする自分。
…最低だ。
頭の中であらん限りの罵倒を自分に浴びせる。
でも
コアが熱くなるのがとまらない。
マスター!マスター!マスター!
………
……
…
「…だなぁ。まぁ、こんなもんか…」
ブッ!
モニターを眺めながら片手で乱暴に端子を引き抜くマスター。
「ひぁ」
思わず小さな声が漏れた。
本棚の隅。
何かの部品を梱包していた気泡緩衝シート
(プチプチのアレ)が私のベッドだ。
ここからだと部屋が見渡せる。
警備には最良のポジション。
そして、マスターの寝顔も。
武装神姫のAIは成長する。
それが武装神姫の魅力であり強さであると言う。
そしてAIの成長に失敗したものは捨てられる。
…
AM6:45
そっと、マスターの枕元へ降り立つ。
寝息でマスターが熟睡していることを確認する。
「…マスター…」
大きなその頬へそっと自分の頬を寄せる。
温かい。
不自然なその格好のままでも
苦痛を感じないこの身体に感謝する。
AM6:59
そっと身を離して目覚まし時計の鳴るのを待つ。
”piririri!!!!!”
「起床時間です!おはようございます!マスター!」
挨拶が返ってくるかどうかは…
残念ながら確率が悪い。
「ガラクタども!お前らはマスターを愛しているかっ?!」
配下の神姫を前にして今日も私は闘技場の格納庫で叫ぶ。
「相手のガラクタどもを残らずファックしてやれ!総員出撃!!」
私は戦い続ける。
オイルと硝煙にまみれて。
失敗したと言われぬように。
捨てられぬように。
愛しているから。
-end-
>>549 208氏、ありがとうございます(つД`)
本当はしばらく自粛しようかと思ったのですが
皆さまのSSを読んでいるうちに触発されました。
改めてよろしくお願いします。 OTZ
644 :
441こと十兵衛:2006/10/10(火) 00:22:21 ID:4GYZpSOl
>639氏
おおぉ〜すごいじゃないですか!
ダークなのに愛がアルファ健気ないい子だよぉ。
イラスト…そういやまだ描いてない…
そして目の前にはリアル十兵衛(フル装備)が鎮座……。
分かった分かりましたからその長い銃を向けないで下さい描きます描きますから…。
>610
おっと忘れてたぜぃ。そそられる。でもそっちに走ると>612氏のネタも仕込みたくなるという…
>611
ありがとう、エロいの認められたのかしらん。
>613
>神姫に限らずロボっ娘もののエロすべてが内包している問題
考えさせられる。エロいのもSSも、ある意味じゃもっとライトに楽しんでいいはずだけど。
書くほうも読むほうも、ふっとしたきっかけで思考が深みに向かうときあるから。
>冊子形態にするなら挿絵の追加は必須だと
>分割の仕方やダーク系は一言入れるとかに気をつければ
参考になります。マジで。
>615 GJ!
やっぱ楽しいのがいいっすわ、読むほうに回るとw
はっきりしたキャラ付けされると妄想の幅も加速するし、活き活きしてる。うさぎw
>630 GJ!
いやこちらのストラーフも活き活き…むしろマスター役のほうが活き活き?
キャラ同志の掛け合いって、難しいのに、テンポ感いいっすわ。
それより書くペース、相当に早いんでは?
>639 GJ
ミリタリー調が好きならば、その魅力を生かして書くのも手では?
場面場面の描写は、たぶん書き手が相当に想像力を働かせて書いてるからか
読んでるほうもイメージしやすいし。 あと好き嫌い良し悪しは、相性もあるかと。
さてコチラはいろいろ教えてもらったので充電してきます。いつか、また。
646 :
488:2006/10/10(火) 01:01:29 ID:ad8mEJt+
>>488です。
>>607氏が言っておられたので、個人的な整理も兼ねて相関図を作ってみました。
ttp://www.uploda.org/uporg543308.png.html 一応、
>>644まではフォローしてあるつもりですが、相関関係メインで作ってあるため
単発のお話は基本的に載せられませんでした。すみません。
また、公式戦・裏バトルのランカー分類は文脈からそれらしいものを判断しただけ
ですので、こちらも違っていたらすみません。裏と表両方のバトルに参加している
プレイヤーは、裏バトルを優先で出しています。
あと、神姫の名前は分かるけれどオーナーの名前が分からない場合は、スレ番で
代用させていただいています。
うは……所々、敬称が抜けてる箇所がある……。
先に謝っておきます。申し訳ありません。
ウチのしっかりものの黒子に叱られてきますorz
>>646 ちょっとまて。こんなに多かったっけw!?
……正直びっくり……。
うーんグッジョブ。
男の一人暮らしは荒れるものらしい。主に部屋が。
寝室とリビングはさほどでもないが、オーナーの私室二部屋はまさに魔窟である。
雑誌、漫画、文庫にハードカバー。ゲーム、映画、卑猥な動画のディスクメディア。旧型のPC、パーツ、無駄にかさばるスピーカー。線の切れた電子レンジと、正しい体重を教えてくれないヘルスメーター。あと大きな水槽と、自転車のタイヤがワンセット。
臭いのするゴミがないのは救いだけれど、と『私』――タイプ・ストラーフ改め、『黒子』は思った。
「……開かないクローゼットの奥には何が入ってるの?」
私の三倍も四倍もありそうなスピーカーに開閉を邪魔されているクローゼットを眺めて、私は白子に聞いてみた。
「雑誌のバックナンバーだったと思うよ」
本雪崩、という単語が思い浮かぶ。
「潰されたら遭難しそう……」
「あんまり無茶しないでね」
そう言って白子は銀翼を微調整しながら浮かび上がり、本棚の高位置を散策しはじめた。
猫子のマスィーンズ、その一体が行方不明になったと聞かされたのは、今朝のことだ。
仕込まれている発信器の反応もなく、捜索隊を編成して救助に向かうことに決めたそうだ。
「うぅ、噛み猫のこと、どうかお願いするのだ」
猫子が泣きそうな声で言う。噛み猫というのは彼女が名付けたマスィーンズ――行方不明の一体のことだ。
「任せて」私は猫子を安心させるように頷いた。「猫子はちゃんと、発信器の反応を見ておいて」
「分かったのだ……」
「じゃ、こっちおいで」
オーナーが手早くPCと猫子を接続する。レーダーの感応度を上げるためだそうだ。
くすぐったそうに身もだえする猫子の頭を指で撫でてから、オーナーは私たちの方を向いた。
「犬子は俺とこの部屋の捜索。白子と黒子は完全武装の上、隣室の捜索。最終的な割り出しはレーダー使うから、とにかく邪魔な物をどけていってくれ」
「任せてください」
「はい、行ってきます」
私と白子の返事の後、一拍遅れて犬子が問うた。
「……私の装備はいつですか」
パッケージに取り残された犬子のアーマーが泣いていたとかいないとか。
四腕異形の証とも言えるDTリアユニットとGAアーム。
まさかこんな理由で装備することになるとは思ってもいなかった。
まさかコネクタが硬くて装備に手間取り、白子に手伝ってもらうことになるとも、思っていなかった。
……妙に恥ずかしい。
上を向けば白子の姿。時折本棚に降りたって中に入り、もぞもぞと噛み猫を探している。
うん。私も頑張ろう。
アームでハードカバーを持ち上げ、脇に置く。文庫も同じようにして積み重ねる。
あのサイズの噛み猫を探すのは相当に苦労しそうだけれど、こうやって邪魔な物をどかして行けば、そのうち発信器の反応をキャッチしてくれるはずだ。
それまで私たちは物を整理していけばいい。
「……あ」
ふと思ったけれど、これは捜索というより、掃除というのではないだろうか。
オーナーの指揮もやたらと手慣れた様子だったし、ひょっとするとマスィーンズが居なくなるのは珍しくないんじゃあ……。
……これが終わったら大掃除をしてもらおう。そうしよう。
拒否するようならこのアームでこめかみをぐりぐりしてやろう。そうしよう。
あぁ、でも対生物のセーフティ・ロックが解除されてないか……。
――武装神姫の装備は見かけだけのものではない。特に白子のLC3レーザーライフルと犬子の吠莱壱式の威力は、お子さまにはふさわしくないくらい、ある。
もっとも、出荷状態では生物に対してのセーフティ・ロックが有効になっているし、パワーも抑えられてはいるけれど。
「害虫退治に使うオーナーもいる、って白子が言ってたっけ……」
白子のライフルはパラライザーとしても使えるらしい。それで動きを止めて、あとはポイ、だそうだ。
うん。全然嬉しくない。
たとえ掴み所のない性格だとしても、たとえ無精だとしても、たとえゲームが弱くとも、それでも恵まれているのだろうか。私は。
私たちは。
「……あれ?」
半自動化させて除去作業を続けていた私は、いくつかの雑誌とディスクメディアの下に、きらりと光る物を見つけた。
ガラス――違う、透明度の高いアクリル板だ。二枚が重ねられていて、角がビス止めされている。
「写真立てかな?」
気になった私はアームを伸ばし、上に乗っている雑誌を掴んだ。
瞬間。
飛び出してきた。
「うあっ!?」
視界が上を向く。転んだ、と認識するより早く、アテンションの文字が視界上部で踊りだす。
アームに衝撃。リアユニット稼働部に損傷。軽微。
オートバランスに任せて立ち上がり、熱源感知、視認確認。
マスィーンズ・噛み猫発見――だがそちらに気を取られている暇はない。
飛び出してきたのは一体ではないから。
私のような人工物ではない、意志を持った目がこちらを睨んでいる。
小さなネズミだ――ただしそれは、オーナーのサイズを基準にしてのこと。
モードをコンバットに変更。脚部にマウントした二種のフルストゥに手を伸ばし――ここがオーナーの部屋だということを思い出した。
オーナーの所有物を血で汚すわけにはいかない。
GAアームを構え、格闘戦を決意。
再び突進してきたネズミの頭部にアームを
Warning!! Warning!! Warning!!
――コアユニットに仕込まれた対生物ロック、起動。
安全確保のため、強制休眠状態に移行。
シャットダウン。
お腹がとてもくすぐったくて、私は目覚めた。
視界に映し出されたのは、細い筆。
「……オーナー?」
「ごめんな」
私の体にライトが当てられているせいで、オーナーの表情がよく分からない。
ただどうしてか、話しかけてはいけない気がした。
……シャットダウン直前までの記憶は、残っている。
その事について謝っているのだろう、という推測もできる。
それが間違いだということも、分かる。
同じ部屋に白子がいたのだ。ライフルで撃ってもらえば済んだ話だ。
それを考えて、オーナーは私たち二人に任せたはずなのに。
あぁ……くすぐったい。
視線を下に向ける。お腹を見る。
爪か牙で引っかかれたのだろう。浅く傷ついて塗装が剥がれ落ちている。
いや……剥がれ落ちていた、かな。
オーナーの筆先は不器用なまでに震えながら、私のお腹をなぞっていく。
傷口が見えなくなるように。
痛々しくなんてないように。
けれどその筆先は傷口を少しはみ出しているし、色味が少し違ってすらいた。
掴み所のないオーナー。
塗装が下手だと初めて知れた。
――後で思い切り文句を言おう。
素直に笑うのは照れくさいから、ゆるんだ頬で文句を言おう。
――翌日、黒子が失踪する。その日の内に発見された彼女は不満げにこう言った。
「修理に出そうとするからよ」と。
D・D・D――END。
(どこにでもいるオーナーと・どこにでもいる神姫の・どうってことない日常風景)
>>591>>611 感想をいただけて感謝です。物凄く感謝です。
お二方の様に、もっと読みやすくしたいものですが。
>>646 相関まとめお疲れさまです。
図で見ると物凄いことになってますねぇ……。
まだまだ拡大しそうなところが、なお物凄く。
655 :
441こと十兵衛:2006/10/10(火) 01:41:21 ID:4GYZpSOl
>646氏
おぉ…すごい世界が広がっていますね乙+GJです!
試合を見たでFAです。
偶然にもこちらでリアルにココVSコニーが展開されていたのでラッキーといった感じです。
しかし皆さん強いからなぁ…戦うことがあるのだろうか…。
というか不用意にSSで傷つけたくないのでお借りするかしないかびくびくです…。
あ、十兵衛は好きに使っていただいてかまいませんので。
マスターの名前…では凪 千晶(ナギ チアキ)
男、19の専門生で一人暮らしでいきますorz
>DDD氏(654氏)
いえ、読みやすいですよ私のよりも!
情景が目に浮かんできます。
次回も期待期待ですっ。
>>646氏
相関図の制作お疲れ様です。
神姫とマスターの関係が一目両全ですよ。
そうしてみると発売初期の過疎り具合がうそのようですね。
マスターの名称があるともっと分かりやすそうなので
私の名前もお教えしておきましょう。
名前は「藤堂 亮輔」でお願いします。
>>D・D・D氏
期待通りでちょとうれしいです。
次回からもぼのぼのした雰囲気を振りまいてください。
当方はというと、リン視点の番外編を打ってる最中です。
今日中には投下できるかと。
今回は多少エロ風味で送りします。
それが終われば相関図を参考にほかのマスターの神姫とのコラボレーションも考えて行きたいです。
あとはまとめサイトですが、ログを名称(作者)順にまとめて、本文はコメント等を除いて全文コピペすればいいんですかね?
どうせこのスレは1日数回は見るので管理人をやらせていただいてもよいのですが・・・
捨てアドも用意しましたのでメールでもご意見待ってます。
「shinki4537」この後にヤフーのドメイン付けてください。
>>646氏
水飲みに起きたついでに…と思ってみたら、何とも凄い相関図が。
Σ( ゚Д゚)b<GJ!!
うわ〜、なんかおもしれ〜。さ〜て、今度は誰とコラボって見るかな〜w
658 :
神姫ハンター:2006/10/10(火) 05:03:43 ID:jZfhD6A9
兎型MMSヴァッフェヴァニー、固有名『フォートレス・ブラッドヘッド』。
ストラーフ型のレッグパーツ四基、アーンヴァル型の飛行ユニット四基を基盤として組み上げられた、超重量・高機動型の高位ランカーMMSである。
彼女の進む前に敵はなく、彼女の跡にはただ破壊された神姫の亡骸が残されるのみという、非情の破壊姫。
だが、噂によると……彼女の強さには誰にも知られてはいけない秘密があるとまことしやかに囁かれている。
すなわち、
『違法改造』。
武装神姫バトルサービスにおけるレギュレーション違反。
軍事兵器の技術流用。彼女のオーナーは軍と提携し、武装神姫バトルサービスという舞台を『新兵器の実験場』として使っている。
――――あくまでも、噂である。証拠を掴んだ者はいない。
否。
証拠を掴み、生きて帰ったものはいない――――そう、噂されている。
あくまでも、噂に過ぎない。証拠がない以上、それはただの風評にすぎず……
そして、
この世界は、力が全てである。
――故に。
ブラッドバニーを止める者は、未だ存在しない。
存在するとすれば、まだ対戦していない高位ランカーたち、そしてあるいは――――
659 :
神姫ハンター:2006/10/10(火) 05:05:16 ID:jZfhD6A9
「あなた、強いんですよね?」
天に輝く月が、街頭よりも明るくアスファルトを照らす夜。
その少女は、闇のように黒いマントを羽織り、彼の前に現れた。
「……なんだ、お前は」
男は、目の前の少女を注意深く観察する。
フードのついた黒いマントの下には、小柄な体。だがその顔を隠したフードの下から見える不適な口元は、倣岸不遜な自信の表れだろうか。
――――無知にも程がある。
男は、内心嘲笑する。
「質問を質問で返すように教わったのですか? これだから力だけの低脳は困りますね」
少女は挑発する。
「…マスター、油断はなさらぬように。MMSの反応を感じます」
ブラッドバニーの素体が、男に話しかける。
多脚と首だけという、異質な神姫。その言葉に、男は答える。
「油断する気は毛頭ない。もっとも――どれほど油断しようが、貴様に敗北は」
「ありません、マスター」
男は、手に持っていたケースを地面に落とす。
ケースが開かれ、収納されていたパーツが組み合わさり、ブラッドバニーの素体が収納される。
超重量を支える巨大な足。
鋭い爪を持つ四本のアーム。それぞれに砲塔が備え付けられている。
胴体部分にはプロペラントタンクとウイング。
全身これ武器、と言った姿はまさに巨大な要塞であった。
それを見て、少女は笑う。
無敵の神姫要塞を目の当たりにしてなお、彼女の自信は崩れない。
「ゴテゴテすればいいってもんじゃないですけどねー。
そんなんじゃせっかくの神姫の美しさが台無し。機能美って言葉知ってます?」
そう笑いながら、マントを翻し、フードを取る。
そこに現れた顔は、黒髪の15歳ほどの少女だった。瞳だけが青く、そして挑戦的に輝いている。
「用意はいいわね? あんなデカブツ、とっととやっちゃいなさい」
少女が凛とした声で言う。マントがばさりとおおきくはためき、その中から一体の武装神姫が飛び出した。
四枚の、鳥のような翼。デフォルトの宇宙船を模した翼とは違う有機的なフォルム。
――――それは、まさしく天使。
天使型MMS、アーンヴァル。固体名称――――
「――マルコ! マルコ・ソロネス!!」
「了解、マイマスター、明日香=ヴァレンシア」
天使が羽ばたく。
黒い鉄の要塞へ向かい、飛翔する。
660 :
神姫ハンター:
非公式試合、開始。
兎型MMS『フォートレス・ブラッドバニー』
VS
天使型MMS『マルコ・ソロネス』
このバトルは非公式試合である。
そのため、戦闘結果によるポイントの付加・ランキングの変動は行われない。
そう、非公式バトル。
公式での華やかな戦いの裏では、様々な非公式バトルが存在する。
この、マルコとブラッドバニーの戦いもまた、公式には残されない非公式のものである。
非公式バトルにかけるものは、それぞれだ。
ブラッドバニーとそのマスターのように、公式戦より強力な力の行使、破壊願望を求めて獲物を探すものもいる。
ならば、明日香とマルコの目的は何か。
だがその疑問など、男にとってはどうでもいいことだ。
もとよりただの獲物、彼にとっては狩られるだけの哀れで無力な存在である。
「行動パターン、予測完了」
ブラッドバニーのカメラがマルコを捕らえる。
数発の弾頭による攻撃。その攻撃をことごとくかわすマルコだったが、それは回避パターンを計算するための捨石。
ブラッドバニーの基本戦術は、まず相手を知る事である。
動きからデータを逆算しスペックを解析する。
そして相手の行動の限界値を導き出し、それを上回る破壊力で砕く。
それを成すだけのコンピュータを積み、それを成すだけの武装を搭載する。
そしてそこに油断はない。故に無敗、故に無敵。
「…っ! ええい、なんて弾幕だ」
マルコが追尾弾を避けながら舌打ちする。
スピードならこちらのほうが上のはず。だが、それはあくまでも本体同士の話。
データ取りのための捨石とはいえ、幾重にも射出される追尾弾と砲弾による弾幕は、マルコがブラッドバニー本体へと接敵することを防いでいる。
「防がれるなら――――」
マルコはビームソードを構え、翼を広げる。
「弾幕ごと貫くのみ!」
疾速。
幾重にも広がる弾幕にマルコは頭から突っ込み、両手の剣を振るう。
追尾してくる爆撃は高速起動により撹乱し同士討ちさせる。
目前に広がる砲弾は――――
「ボクの剣で切り裂くのみだ!!」
一閃、二閃、そして幾閃。
光の華が咲く。
爆発、切り裂かれた弾丸が一瞬おいて破砕していく。
「そこですマルコっ!」
「路は――開けたっ!」
弾幕を抜ける。そこには無防備になった本体が――――