前スレが一気に埋まってしまったようなので、僭越ながらスレ立てしました。
誘導が無かったので、少しの間は時々上げたほうが前の住人が見つけやすいかと。
気位の高い姫への強姦・陵辱SS、囚われの姫への調教SSなど以外にも、
エロ姫が権力のまま他者を蹂躙するSS、民衆の為に剣振るう英雄姫の敗北SS、
姫と身分違いの男とが愛を貫くような和姦・純愛SSも可。基本的に何でもあり。
ただし幅広く同居する為に、ハードグロほか荒れかねない極端な属性は
SS投下時にスルー用警告よろ。スカ程度なら大丈夫っぽい。逆に住人も、
警告があり姫さえ出れば、他スレで放逐されがちな属性も受け入れヨロ。
姫のタイプも、高貴で繊細な姫、武闘派姫から、親近感ある庶民派お姫様。
中世西洋風な姫、和風な姫から、砂漠や辺境や南海の国の姫。王女、皇女、
貴族令嬢、または王妃や女王まで、姫っぽいなら何でもあり。
ライトファンタジー、重厚ファンタジー、歴史モノと、背景も職人の自由で。
前スレ最後の方で、容量を考えないで潰してしまったバカ者です。
何度かスレッドを立てようとしたのですが、エラーが出てできませんでした。
ご迷惑お掛けして、申しわけありませんでした。
深窓の姫「1よ。乙であったわね。お前にGJを授けましょう。
しかし、もう4スレ目とは……月日の流れとは、早いものね」
高貴な姫「
>>1、汝を褒めてつかわそう……GJ!」
10 :
愛姫:2006/09/05(火) 21:32:48 ID:4O/UBKxM
※U※ 前スレ499続き
ものものしい隊列が後宮奥をめざして歩き、耳障りな鎧の音が赤の回廊に
響き渡っていた。
窓のアーチからは、覇王軍の鬨の声が風に乗って流れ込んでくる。覇王のあとを
従い歩く星姫らは扉の前で立ち止まった。
「ごめん」
緊張に覆われる空気をいち早く裂き、星姫は覇王に一礼をしてから、進み出て
右手を上げ後方に合図を送った。
隊列は素早く一の陣形を築いて覇王を取り囲み、輪はすべて中心の一点を向いた。
更に囲む二の陣形のは突如の襲撃に備る輪になり、外を睨め付けながら警戒に入る。
「わたくしたちが、お共いたします」
一人扉に向かおうとした星姫に、副長と十人の有志の者たちが一歩前に出た。
「おまえは、残れ。万が一のとき、貴公が指揮を執って覇王さまを守らねばならん」
「ならば、わたしが行きます。星姫さまは、我が軍にとって、大事な将であらせられます」
「キアラ、わたしは女だ」
覇王は二人のやり取りを聞き、星姫の斥候に徹しようとする言葉に苦笑していた。
11 :
愛姫:2006/09/05(火) 21:34:43 ID:4O/UBKxM
星姫とは覇王後宮の寵姫の呼称。戦場では褐色の女将軍、ラウラ・エレノア。
返り血を纏う美貌の将軍から氷の女神という異名もあったが、軍の親しい
仲間内では星姫としても通っていた。
「わたしが赦す。星姫を守れ」
「なにを申されます」
星姫は覇王を振り返りたい衝動を抑えつつ応えた。
「星姫、よいではないか。キアラの忠誠も汲んではやらぬか」
「覇王さま……」
「ありがたき倖せにございます」
背後から覇王は声を掛けていたが、副長も礼を尽くして振り返る、
というわけにはいかなかった。
星姫も周囲を警戒しつつ身構えたままで、じっと扉を注視していた。
「無鉄砲にもほどがあるぞ」
副長は星姫の左に立って、にやりと笑って見せた。八人の兵士は両翼二手に別れ
配置についた。残った二人が星姫の合図を待って、後宮の扉を開く。
12 :
愛姫:2006/09/05(火) 21:39:46 ID:4O/UBKxM
「心酔といっていただければ」
「なにをたわけたことを」
「わたくしは、男として星姫さまを、お守りいたします」
「女か。ふっ、気に入った。守られてみるか。ならばついてくるがよい」
「御意」
星姫の従えた斥候の部隊が部屋に飛び込んで行った。すかさず、二人の兵士は
急ぎ扉を閉ざした。
「うっ、なんということだ……」
地獄を目の当たりにし、悲嘆の声を洩らしていた。戦場では、生きたものが
肉塊と化す光景に慣れてはいたが、歓喜の生きた証しを打ち付けて、
流れて逝ったすさまじさに竦む。
王と王妃の肉交の臭いに、毒を煽って口から噴いた、どす黒い血臭が混じり合っていた。
「キアラ、どういう意味か」
「は……」
星姫は剣を下し玉座に向かった。玉座には王妃が裾をたくし上げ、臀を出しながら
白い両太腿を拡げ、座る王に跨って、二人しがみ付きながら死んでいた。
毒を呑んで交媾しながら死をもって添い遂げる。だからといって、たいそう美しい
というけではなかった。むしろ――醜くて。
13 :
愛姫:2006/09/05(火) 21:41:50 ID:4O/UBKxM
「どういう意味か、といった」
噴いた血は苦悶の刻印を与え、王と王妃の相を無慈悲に変えている。血は顔を穢し
二人の吐瀉した血反吐は床に血溜まりをつくり、最期は苦しみから逃れる為にだけ、
互いの躰を抱きしめ合っているだけだった。
「と、申されますと」
あとに続いた副長には、星姫の質問の意味が計りかねていた。
「キアラの素直な気持ちを訊きたい」
「秘め事を我が軍に見せ付けて、嗤っているのかと存じます……」
「貴公は死を前にして、好いた女とまぐわいの時を持ちたくはないのか」
キアラはまじまじと星姫の顔を見ていた。星姫のいわれは褐色の肌に黒髪。
燃える星とおなじ瞳の色から、そう名付けられていた。
「わ、わたくしは星姫さまとなら」
「貴公、首が跳ぶぞ」
星姫の握る剣は燭灯りに鈍く光っていた。斬る。
「……」
否、斬られるのではない。兜ごと頭を叩き割られるのだ。
「冗談だよ」
「もとより、覚悟していましたが」
「ふふっ。よくいう。肝を冷やしたのではないか」
寵姫は覇王の所有物に変わりないのは、ことわり。
14 :
愛姫:2006/09/05(火) 21:44:43 ID:4O/UBKxM
「はい。縮こまっていて、星姫さまを抱くこと叶いません」
冗談を言い合っていても、ものものしい警戒が尚も続き、息苦しさが募った。
星姫と副長は仕掛けを確かめながら玉座に静かに上がった、そのうしろの
タペストリーを副長が剣で突いていた。
なにも起こらなかった。緊張を僅かばかり緩め、副長は星姫の背を守り、
星姫は籠手を脱いで玉座の王と妃の頸の脈を診て、自害の確認を得た。
「手を貸せ」
「なにをされますか」
「王の躰から王妃を剥す。転ぶなよ」
周囲を警戒していた数名の兵士も呼ばれ玉座に上がってきた。
「は、はい……」
副長は、またも星姫の言葉にとまどっていたが、考える間もなく王妃の躰は
床に降ろされ、硬直を解いて伸ばされ、顔の血を拭われた。
星姫はマントを脱いで王妃の躰に掛けようとして、手を止めて。
「持つがよい」
脱いだマントを副長に差し出した。
15 :
愛姫:2006/09/05(火) 21:46:39 ID:4O/UBKxM
「はい」
星姫は小刀を取り出して、王妃リアノンの直した裾をふたたびたくし上げる。
「背を向けていろ」
「遺体の損壊は……異端なのでは……」
「案ずるな。わたしは異端の者だ。責はわたしが負う」
「ご、ご無礼をいたしました」
「否、怒ってなどいない。王妃の陰部を裂いて確かめてみる」
「し、しかし、星姫さま……」
星姫は切っ先を王妃の女陰の亀裂に入れ、裂いてからやおら指を挿入した。
星姫の指に手ごたえがあって、それを引き出すと少量の血が入り混じる
白濁に塗された指輪が出てきた。
「キアラ、これを王妃の指に嵌めてやれ」
拡げた掌からひとつを摘んで、副長に渡した。
「は、はい。わかりました」
「清めてだぞ」
「……御意」
星姫の掌には王妃リアノンの秘所から取り出した、もうひとつの物があった。
16 :
愛姫:2006/09/05(火) 21:49:18 ID:4O/UBKxM
「星姫さま。後宮には誰も居りません。既に昨夜の内に、地下通路から逃亡したもようです」
探索していた兵士が、星姫たちのいた入り口の部屋に戻ってきた。
副長は王妃に指輪を嵌めてから、星姫から渡されたマントを掛け、それに倣い
王の躰に自分のマントを掛けてやった。
「王と妃の躰、玉座より降ろす。そちたちも手伝え」
「はっ」
星姫と兵士たちはマントの掛けられた二人の遺骸を降ろしてから、玉座も降ろして
血塗られた床の敷物を捲った。隠し扉があった。
「おやめください」
なんの警戒もなしに星姫は扉を開けようとした。副長の声に周りの兵士たちも
にわかに色めき立つ。
「鍵だよ。ほら」
「どういうことですか」
星姫は握っていた掌を副長にひらいて見せた。
「王妃が呼んでいるのさ」
「不吉なことを申されないでください」
17 :
愛姫:2006/09/05(火) 21:51:37 ID:4O/UBKxM
「ちがうよ。女の隠し場所にあった、ということだ」
副長は星姫に複雑な貌を向けていた。星姫はあえて意味を説かずに、さっさと
隠し扉を開けると、中に降りていった。
「我々もゆくぞ」
「はっ」
もっと酷い臭いが下から立ち昇ってきていた。降りていくと、二十人の寵姫が
折り重なって死んでいた。
「お前たち、ここの者たちも上げてやれ」
降りてきた部下を見て、星姫が声を掛ける。
「はっ」
「キアラは、わたしと探索を続ける。いいな」
星姫は壁に沿って歩き、手で叩いていた。
「探索とは」
「わからぬか。もうひとつの扉をだ」
九人の寵姫が上に揚げられた頃、星姫と副長は隠し扉を見つけ出していた。
開いて中に入ると、躰を抱きしめあっている少女二人がいて、近づく敵影に怯えていた。
18 :
愛姫:2006/09/05(火) 21:53:32 ID:4O/UBKxM
※V※
「あ、あなたが、覇王さまなのですか……」
「わたしらは違う」
少女ふたりは互いの顔を見合っていた。それに気づいて副長は剣を抜こうとした。
「よせ、キアラ」
右の掌を上げてみせ、星姫は副長を制止する。
「しかし」
「わたしとこの子を、……側女として、あなたさまのお傍に置いてください」
星姫は割って入ってきた、少女の言葉に耳を疑った。
「なんだと」
「ですから……」
「わたしに女を愛せというか」
「あなたさまには、そういった嗜好はないのですか」
星姫は更に耳を疑った。
「女、なにをいっている」
「なにをと申されましても」
「貴様、わたしを愚弄しているのか」
「いいえ、とんでもございません。わたしたち、奴隷として囚われることは
受け入れます。
できるならあなたさまのお傍に置いていただきたく存じます。
それが叶わぬのでしたなら、この場で殺してください」
19 :
愛姫:2006/09/05(火) 21:54:47 ID:4O/UBKxM
「殺生与奪の権は王族であろうとも、覇者のものという理を心得ているだろう」
「後生です」
星姫は目の前の少女が、生と死との、どちらを願って言ったことなのかが
混乱してわからなくなっていた。
「女、殺せというのか」
「いいえ、ともに生きとう存じます」
「王妃リアノンはなにがあっても生きよと申されました」
「娘、わたしの物になるというか」
「はい」
「なら、名乗ってみせよ。姫、わかるな」
名乗り、言い名づけは誓約(ちかい)を意味した。
「わたしはカトリシアです。そして妹の……」
指を立て、星姫はカトリシアの可憐なくちびるに指をそっとあて、慄いている
妹をみつめた。
カトリシアは星姫の指に微かに残った性臭を吸っていた。
「さあ、もうひとりの姫。名乗ってみよ」
「わ、わたしはマリアンナ……です」
愛らしい声音が星姫の耳をくすぐった。
「カトリシアにマリアンナ。わたしの名はラウラ・エレノア。星姫だ」
20 :
愛姫:2006/09/05(火) 22:00:18 ID:4O/UBKxM
「星姫さま……」
姉妹の声がきれいに揃った。星姫には、ふたりのじぶんに抱く春情が
ありありとわかった。表情は憧憬に満ちていて。
「ほんとうに、わたしたちをラウラさまの物にしていただけるのですか」
「物になるのもいとわぬか」
「はい。王妃リアノンが願ったのです」
「なら、お前たち。母のあとを追うがよい」
星姫は剣を颯と抜き、柄でふたりの少女の腹を突いていった。
「殺したのですか……」
副長が星姫に声を掛けた。
「わたしをなんだと思っていた。地獄絵を見せるわけにはいかぬだろう」
「あ、ああ」
「情けない声を出すな」
「すみません。しかし、そこまでしなくとも……」
「真偽も確かめたいのさ」
「……」
「どうした」
「い、いえ、なにもありません」
氷の女神さまが、と溜め口をキアラは吐きそうになったが、さすがに呑んでよかった
と思っていた。
「暫らく娘らを此処に置いておく。さあ、皆の手伝いをしょう」
「は、はい」
21 :
愛姫:2006/09/05(火) 22:03:34 ID:4O/UBKxM
「陽が昇る僅かな時に、部屋は黄金色に変わります」
帰陣して、褥で覇王に星姫は姫たちを可愛がってあげて、と告げた。
じっくり時を掛けて、カトリシアとマリアンナの躰を慣らしていたが、処女である
姫たちを戮(りく)するようで、星姫の心に翳りがあった。あのまま、扉を見つけなければ。
姫たちの素地はすでにあって、すぐに濡れてきて、先にカトリシアが覇王に呼ばれ
肉を結ばれ叫んだ。
覇王に掴まれ、掲げた両足の指は内側に縮こまって、星姫と時を持った愛らしい
濡れた吐息は消失して、やがて永遠かと思われるようなくらいの鋭い声で叫んで、
腰を振られ鞭打たれる切れ切れな喘ぎになった。
星姫は両太腿を閉じて擦り合わせ、疼く女芯を隠そうとした。カトリシアの言葉が
リフレインされ、そんな女であったことに驚くのだった。
星姫を慕うと誓約したカトリシアは、痛みを与える覇王の躰にはまったく触れず、
下した両手でしっかりとシーツを握りしめたままでいた。
ことを終え星姫がカトリシアを抱きしめ、月姫と言い名づけた。
22 :
愛姫:2006/09/05(火) 22:06:31 ID:4O/UBKxM
一部始終を見ていたマリアンナは、交媾の恐怖から秘所の潤みは止んでいた。
乾ききっていた。カトリシアが秘所をぬらっと紅くしながら、覇王に抱かれようとしていた
マリアンナににじり寄る。
「名が欲しくはないの、マリアンナ」
「ほ、ほしい……お姉さま……わたしもなりたい……」
「覇王さまに躰をひらきなさい」
月姫を背から抱きしめていた星姫がマリアンナをみつめる。
「待っていてくれる」
「ああ、二人して待っていよう」
「う、うれしい」
マリアンナが星姫に応えるのを待って、覇王がマリアンナの無毛の秘所に
顔をそっと埋めていった。白地に深紅の内臓が裂け、星姫と月姫の環に加わりたい
一心の願いが、おんなの下の口に唾液を溢れ返らせていた。
やがて燭灯りがふっと消え、陽が取って替わる。黄金色の時がはじまっていった。
23 :
愛姫:2006/09/05(火) 22:10:28 ID:4O/UBKxM
「んっ、んんっ、んあっ、あっ」
カトリシアの手がマリアンナの髪を梳く。時を待っていられなくなった覇王は、
油を星姫に取らせ肉棒に塗し、マリアンナを破っていった。
星姫が覇王に助力したことで、マリアンナの気持ちに多少の変化をもたらしていた。
必死になってマリアンナは激痛と闘っていた。母リアノンがした折檻の比ではなかった。
覇王に貫かれる破瓜のもたらした痛みで、躰は擦り上がり掛けたが、掲げた両手で
枕を抱きしめたばかりに、枕が躰の抑えとなってしまって、マリアンナの細っこい頸は折れ、
頤を胸元に着け、発しようとした叫びを無理やりに呑みこまされていた。
マリアンナの脾腹には、女の脂がのっていないタナトスの刻印がつけられた。
肋骨がくっきりとあらわれ、顔を振ろうにも、どうすることもできず、ただ肉を固くして、
さらした腋窩にも深い窪みをこさえた。
くぐもっていた叫びが爆発し、喉を突っ張って仰け反り、頭で突きながら絶望の声を鋭く放って、
覇王に突き落とされる。マリアンナの躰を、覇王の怒張した肉棒が蹂躙をはじめた。
真っ赤になって泣き喚くマリアンナを、星姫と月姫の手が代わる代わる撫でて
慰めはしたが止みはしなかった。
24 :
愛姫:2006/09/05(火) 22:16:10 ID:4O/UBKxM
カトリシアの時には思わなかったが、稚いマリアンナの痛がりようから、
覇王の肉棒がトールハンマーの直撃を受けた盾のように、衝撃がズン、ズン、
と重く処女の躰に降りかかって、頭に突き抜けていたことを昨日のことのように
星姫は思いだしていた。
いまでも、烈しさを増せば、同等、もしくはそれ以上の苦悶は女陰にはあるが、
おおきな快美感でもって、星姫は覇王に責められ、極みを感じていた。
気絶していたマリアンナが覚醒したとき、その顔を星姫が撫でていた。
「雪姫。雪姫」
「起きなさい。まだ、終わってはいないのよ」
「星姫さまああぁぁぁ……」
「だいじょうぶか、雪姫」
瞼を開けたマリアンナに、星姫の雫が雪姫の頬を濡らす。
「星姫さま、ありがとう」
「ありがとう……」
「いいのだな。ほんとうに、これで」
「はい」
雪姫は応えずに、星姫の顔をみつめ続けていた。
25 :
愛姫:2006/09/05(火) 22:17:52 ID:4O/UBKxM
「月姫に雪姫、覇王さまが待っておられる。よいな」
星姫に促がされ、重たい躰を引き摺るようにして、覇王のいる洗い場に
姉妹は連れて行かれた。
覇王は浅黒い逞しい肉体を誇示するかのように椅子に座って待っていて、
股間にある男根は勃起し、ほぼ力を取り戻していた。
それを見てしまった雪姫は思わず、わあっ、と泣き出していた。
「さあ、来い。雪姫。わたしが洗ってやろう」
手甲で瞳をぬぐっている雪姫の華奢な両肩を持って、そっと覇王のほうに
押し出してやる。
「や、やだぁ」
「どうした。わたしが怖いのか」
「お姉さまああっ」
振り返ると、月姫の裸身に星姫が湯を掛けてやり、背中から抱きしめられていた。
星姫の喘ぎ声もきこえてくる。マリアンナはカトリシアの喘ぎ声は知っていたが、
星姫の声を聞くのは初めてだった。
26 :
愛姫:2006/09/05(火) 22:20:06 ID:4O/UBKxM
星姫のふだんの発話は、ほのかに擦れ、震えるような感じだった。戦場では
気を張っているからなのか、高らかに歌うような艶が生まれていた。
いまの声は、そのいずれとも違っていて、雪姫の慄いてた秘所を濡らしだす。
覇王の指弄も誘っていて、雪姫のおんなをひらきかける。
「わたしも星姫のあんな声ははじめてだ」
「はじめて……なの」
しゃくり泣きながら、雪姫は覇王の顔と躰を観た。
「ああ。月姫が星姫の扉を開いたのだ。さあ、雪姫。わたしを跨げ。仲良くなろう」
雪姫はほっそりとした太腿をひらいて、覇王の屹立があてがわれるのを待った。
「ここの真下に降りてくるのだ」
細っこい腰を押えられて、顔を振ったが拒みきれなかった。月姫と星姫の
淡いをさわりあっている、みだらな声が届いてくるから。
27 :
愛姫:2006/09/05(火) 22:22:11 ID:4O/UBKxM
「は、はい……。いたします、覇王さま……」
ふたりのそれが、はっきりと、耳にこびりついて、雪姫は淋しい思いをした。
「置いていかれるぞ」
「こ、こうでいいの……」
「そうだ。そのままだ」
雪姫は覇王の屹立に腰を落としていって、じぶんの躰でなくなった
交媾の慄きを絶叫とともに、膣内にいる肉棒と細腰を掴んでいる両手に
少女は覇王にひれ伏す姿を伝えるのだった。
覇王は仰け反る雪姫の背を抱き寄せて耳元に囁いた。
「星姫はわたしに抱かれて変わる。よいか、あとで見せてやる。
雪姫、しっかりと見ておくのだ」
言葉は意味を成さず嵐のなかの花になって、雪姫はぐらぐらと躰をゆすられていった。
28 :
愛姫:2006/09/05(火) 22:26:48 ID:4O/UBKxM
※W※
城に覇王軍が帰還して、五年が経とうとしていた。
星姫は褐色の肌に、誰もが羨む濃やかな黒髪を持っていたが、自分の美をあまり
意識しないで生きてきたために、髪を下して裸身を隠そうとした。周りの寵姫たちと違う、
肌の色をことさら気にしてのことだった。
侍女に梳いてもらった黒髪を垂らし、耳元に瞳とおなじ色の紅い花一輪を飾るのを好んだ。
だからといって、化粧を否定したり、施すことをおざなりにしてきたわけではない。
戦場に居れば自分でもする。
しかし、消せないものが異端の肌色で、星姫にとっての苦痛だった。
覇王が複数の女をはべらして、ことに及ぶこともあったし、月姫と雪姫と
いっしょに覇王と肉交の時を持ったことも何度とあった。
心引き裂かれる想いに、小娘のように泣くことまではしないが、女の体つきに
貌があることをまざまざと知らされたのだった。乳房、肩、背中、臀、脚、膝蓋、
足、太腿の淡い、恥毛のかたち。交接の場所。
29 :
愛姫:2006/09/05(火) 22:27:33 ID:4O/UBKxM
「いかがされましたか」
月姫が尋ねる。
「いや、なんでもない」
「星姫さま……」
「心配しなくともよい、雪姫。たいしたことではないから」
「星姫さまはおきれいなのです。戦場に立つ自分のお姿を思い出しなされませ」
「月姫、ここは戦場ではない」
覇王の軍に破れ、虜囚となった際の星姫の鎧姿を月姫と雪姫は忘れたことはない。
ふたりがなにかをしゃべろうとした時、星姫が先に口をひらいた。
「す、すまない」
「もしや、あの時のことを。それは違います。わたしたちは、今が倖せなのです」
「そ、そんなことは、そんなことはないだろう。国を滅ぼされて、なぜ倖せだと――」
「でしたなら、今ここでわたくしどもを殺めてください」
「……」
「赦して、お姉さまを」
雪姫が星姫に赦しを請う。
30 :
愛姫:2006/09/05(火) 22:30:06 ID:4O/UBKxM
「赦すもなにも……」
「そうお思いでしたら、星姫さまは耀くことを心してください。それが、わたくしたちの
倖せに繋がるのですから」
月姫と雪姫は、星姫の気弱な心の行動を咎め、暫らく沈黙が化粧部屋を支配したあとで、
ふたりの姫は持てる女の術を使って、繊細な化粧と髪一糸のみだれぬほど綺麗に
結い上げていった。
黒髪は自他共に認める、閨にあっての唯一の武器と星姫は信じていた。褐色の肌に
細かなウェーブの掛かったシルエットは戦場の星姫ではなかった。
姿は野性的な少女を思わせ、月姫と雪姫をたまらなく魅了した。それはふだんの
星姫の凛とした生き方と容姿に裏づけされた魔術ともいえた。
宿営地でも、戦場にても、星姫は髪上げをしていた。合理的な考えから出たもので、
王宮に戻って鎧を脱いでも、それは変わらなかった。変わるのは月姫と雪姫と過す時か、
覇王の褥に赴く、仕える女になる時だけ。
美貌の戦士でありながら、血で塗られる美女を女としては認めない風潮が軍の
男たちの間にはあった。仲間として認めさせることに、星姫は人一倍の努力を
惜しまなかったことと、それは誰もが星姫を仲間の男として認めていたということ。
31 :
愛姫:2006/09/05(火) 22:31:48 ID:4O/UBKxM
冷たさを湛えた美貌と仲間を思いやる姿のギャップに、戦士の中には祖国や覇王を
差し置いてまで、密かな忠誠を誓う者たちは多かった。それでも秘めた恋情を
直接星姫に伝えようという奇特者はいなかった。
星姫が覇王の所有物である、という理由からではない。戦場での異名である
氷の女神が男たちを跳ね除けていた。一見矛盾するようで軍の結束にあっては
いたしかたない事実だった。
命をやり取りする暮らしで、星姫の盾となり剣の露と散る覚悟はあっても、
我を通した恋情をどうこうする気持ちはなかった。
「星姫さまは、わたしたちの命を救ってくれました」
月姫の白い手が星姫の褐色の頬をやさしく包み込んだ。雪姫はうしろで、両膝を突いて
星姫の小尻に頬擦りをしている。
「だからといって、侍女に身を落とすことはないであろう。あっ、よ、よさないか、雪姫」
「身分など関係ありません。星姫さまは、雪がお嫌いなのですね」
「そのようなことをいっているのではない。わからぬか」
32 :
愛姫:2006/09/05(火) 22:32:26 ID:4O/UBKxM
「わからないのは星姫さま」
月姫の包んだ掌から逃れて、顔を捻って尻の雪姫を見下ろしていた。縋るような
緑色の眼差しに呑み込まれてしまいそうで、星姫のおんなが怖気づく。
「隷姫となるくらいなら、わたしは星姫さまのお傍に居たかったの」
雪姫の哀訴に星姫の心は揺らいだ。
「撫でてあげてくださいまし。わたしの妹、雪姫を」
月姫は雪姫に聞こえないように囁いていた。ここで撫でてしまえば、星姫は欲情し
女芯は充血して、痛いほどに尖ってしまいそうな気がした。
「だ、だから、そうしているではないか、雪姫。しかし、その物言いは良くない」
ともすれば、くしゃっ、と歳下の雪姫の頭を撫でて、逃げてしまうことを星姫は嫌った。
自分の持てるすべての情愛と性愛を込め、掌で雪姫の頭を愛撫した。
「ふふっ」
見ていた月姫が笑っていた。
「なぜ笑っていらっしゃるの、お姉さま」
雪姫が月姫に尋ねた。星姫は紡ぐ言葉を失っていた。
33 :
愛姫:2006/09/05(火) 22:34:16 ID:4O/UBKxM
「さあ、どうしてかしら」
月姫が雪姫を挑発し。
「覇王さまのところに星姫さまがいらっしゃるからなのね」
雪姫が星姫の臀に頬を圧しつけて、下から言った
「よ、よして、雪姫……」
「雪姫はまだまだ稚いわ」
「どうしてですか。わたしだって、覇王さまのお相手は一人でもちゃんとできます」
星姫は月姫を見ると、潤んだ碧眼が目の前にあった。燃える紅珠は蒼から生まれた異端。
これが石のいわれ。
星姫を愛しむ、月姫の掌が後頭部を押さえつけ、唇を掠め取った。
月姫の瞳の色の妖しさが増して細く微笑んだ。甘露な唾液が流れ込んで、
舌と舌がもつれ合って、星姫は紅珠を闇に沈めた。
「はっ、はあっ。も、もう赦して。よして、おねがい……」
痺れがあって、星姫は怖れた。それでも異端の星姫の瞳が赦されて、月姫に
ゆるりと呑み込まれ、蕩けてゆく。昂ぶりに抑制が効かなくなりそうだった。
34 :
愛姫:2006/09/05(火) 22:35:33 ID:4O/UBKxM
「あっ、ずるいわ。お姉さまだけだなんて」
雪姫は稚い残酷さで自分の欲望を叶えようと、犯すように星姫の褐色の
臀肉の片側を拇で突いて、ぐいっ、と淡いを拡げた。
「や、やめてぇ、雪姫ッ」
星姫の褐色の顔。こめかみにはぷつぷつと煌く珠の汗が噴いていた。
それを月姫は乳房を圧しつけ、ひと舐めする。
「ああっ、覇王さまの猛りを、月と雪の環を退けてまでも、この愛しい泉で、
覇王さまを慰めになられるのですね」
下腹では星姫の恥毛を人差し指と中指で挟んで引っ張るのだった。
月姫が臀肉を鷲掴み、雪姫が窄まりの狭穴を尖らせた舌先でこじ開ける。
月姫とふたりだけで相対するときは、片方の太腿を星姫の淡いを割って、
秘所を擦り上げてくれる。これが星姫の望み。
月姫はいつもの責めをしてこなくて、じぶんの秘所を逢わせようとはせず、
くいっと愛らしく突き出して、ここに居るような観覧者の覇王にでも、
星姫をものにしたことを誇示するように振って見せていた。
雪姫が代わりにしてくれているが、月姫ほどの繊細さは足りない。
しかし、雪姫の恥戯に月姫の意志は感じる。
35 :
愛姫:2006/09/05(火) 22:36:30 ID:4O/UBKxM
星姫は、欲しい、と思わず叫びそうになって、唇を真一文字に薄く引き伸ばした。
それを見た月姫はうれしそうな貌で愛を囀りながら、褐色の肌に掛かった掌を遣って、
羽根ででも刷くように、顫え蜜をしたたりはじめた星姫の亀裂にむかって滑り落ちた。
「んああっ、つ、月姫まで、もっ、もうよしてっ。わ、わたしは……」
「濡れれば、この雪がいっぱい、いっぱい、啜って、お清めいたします」
雪姫の小鼻と頤が、ぐぐっと肉溝に押し込んでくるのがわかった。
「たっ、頼むからぁぁぁ、月も雪も……。もっ、もうッ、わたしを赦してぇ……。
そ、それに、覇王さまは、そなたたちを……隷姫などにはしないわッ」
「ああ、妬けますわ」
「ああっ、妬けます」
甘美でありながら残酷なハーモニーが星姫を襲った。
「だ、だめッ、んあっ、あ、あ、あっ、うああっ」
雪姫は姉の月姫に星姫の熱を孕んで絖るヴァギナを譲り、自分はアヌスの窄まりを
尖らしたツンツンと舌で突いて、ねぶりだした。ぴちゃぴちゃとミルクを飲む
愛玩動物のように、主人に仕えている月姫。
36 :
愛姫:2006/09/05(火) 22:37:33 ID:4O/UBKxM
二人掛りの恥辱責めに、爆ぜて天上に逝きそうになるのを堪えに堪えた。
星姫は眉根を寄せ、せつなそうな歔き貌をこさえて。
「わたしどもは、星姫さまの凛々しいお姿を想うたび、ここをおなじように
濡らしてしまうのです。覇王さまより、好いております。ああ、変われるものならば、
覇王さまになりたい」
「覇王さま……に、そのことを言ってしまったのか……」
「存じておりますわ。でも、申してなどおりません」
「ああ、よかった……。戯れでも言葉にするのとはちがうからな」
「星姫さまの言い方、聞き捨てなりません」
妖しい蛇のように星姫の下腹に降りていった月姫が、鋭い爪を剥き出しにして、
鷹のように一気に昇って星姫の頸を掴んでいた。僅かではあったが、確実に月姫の爪が
星姫の首筋に食い込んでいた。
「そのようなことを申されるのでしたなら……」
「つ、月姫……」
「星姫さまを殺して、月と雪はいっしょにあとを追います」
「お姉さまっ」
37 :
愛姫:2006/09/05(火) 22:38:34 ID:4O/UBKxM
「わ、わるかった…。月姫に雪姫……」
二人掛りで力と策を謀っても、星姫には叶わなかっただろう。あっさりと
制圧されたはず。
星姫が月姫に謝罪の言葉を言わせた力は、命乞いなどでなく、女の命を掛けた
告白に気圧されたからだった。
「赦してくれるのか、わたしを……」
「はい。その代わり」
「好きにしてくれていい……。覇王さまのところから戻ればだが……」
星姫は投げやりな気持ちで言ったのではなかった。むしろ、月姫、雪姫の
二人掛りでいいようにされることを欲していた。
「ダメ。ダメです」
月姫の言葉を雪姫が継いでいた。
「ど、どうしてなのだ、雪姫……」
「いっしょに添い寝してくれるだけでいいのです。それじゃないとダメ。
なぜなら、覇王さまとの疲れを月と雪で癒してさしあげるのが、わたくしたちの
今日の務めなのです」
「あ、ありがとう。月姫、雪姫……」
38 :
愛姫:2006/09/05(火) 22:40:09 ID:4O/UBKxM
※X※
覇王の待つ大きな扉に、先導してきた月姫と雪姫が開いて、覇王の居る褥に
星姫をいざなった。王妃リアノンの幻視が星姫の躰に舞い降りてくる。
扉とおなじ朱を基調としたメダリオンが中央に、枠も朱が取って、黄金の唐草地へ
素足を一歩踏み込むのを待ってから、慇懃に一礼をして下がって扉を閉ざした。
瞬間、この世が終わってしまうのでは、という貌をして星姫は先刻までいた
世界を振り返っていた。
「なにを突っ立っているのだ。さあ、来ぬか。待ちかねていたぞ」
待たされたといっても、覇王の発話に怒気は感じられないが、星姫は違っていた。
湯浴みをしてきたものの、女と交わっていたことを悟られはしないか。
覇王より、月姫と雪姫を愛していると思われては困ると真剣に思っていた。
三連のパールネックレスが褐色の肌の胸元で波うっていた。臍に留まった、
ゆらめく灯に、煌く銀蝶も羽を動かしていた。
『星姫さま。なされるがままに髪がみだれるのをお待ちになされませ。
それでも御髪がみだれないときには、あなたさまが覇王さまに跨っていって、
髪結いを解き放つのですよ』、月と雪は星姫に知恵を与えた。
39 :
愛姫:2006/09/05(火) 22:42:48 ID:4O/UBKxM
「いいのか、わたしなどで。なんなら、月姫と雪姫を呼び戻すがいい」
星姫は冷静であれと思うほどに言葉は顫えてしまって、下腹も烈しくなっていた。
戦場では賞をゆずるほど殊勝ではなく、男勝りであるというのに、閨に立つ星姫は
初心な小娘に見えた。
「わたしは、星姫を呼んだのだよ」
「す、すまぬ。どうしても、慣れぬことでな」
いくら覇王との約束とはいえ、おんな言葉を禁じられ、かつてのままでいることを
誓約して輿入れしたのだった。星姫はおんなに成り切れないじぶんを恥じて、
俯いてしまっていた。
無論、よがりにおいては女を解放はできるが、そのギャップのジレンマに陥っていた。
女が子を持って守りに着く本能は、戦場ではラウラ・エレノアを狂わせる。
「よいよ、そんなことは」
出会ったときのなつかしい男の声が星姫の心に響いた。星姫の赤に刷かれた、
薄い濡れた唇は笑みを浮かばせ、豹の足取りで覇王へとつづく一本に張られた
綱を渡りはじめた。
覇王が星姫というかたちの中に何を求めているのか、迷い思うことがある。
戦士。おんなとして解放されるじぶん。おんなになって慣れてしまうことの
ジレンマに怯える心。
40 :
愛姫:2006/09/05(火) 22:44:32 ID:4O/UBKxM
交互に一直線を踏みしめる褐色の素足は絨毯に沈んだ。心は辿りつくまで、
沼に引き摺り込まれて消え入りそうだったが、ゆっくりと確実に天蓋のある
大きな寝台をめざし星姫は近づいていった。
白い霧の天幕の向こう側で、うしろに両手を突いて、白雪の上に両脚を
投げ出して覇王はいた。
順手にして頸を竦めていたのを、星姫の艶やかな褐色の裸身を見て、
ゆっくりと逆手にして、頸を伸ばしていった。
今生の際、また逢えると不思議な遺言を残して覇王の母は死んでいった。
まだ覇王とも呼ばれていない、なんの力もなかった遠い昔の少年だった頃。
天涯孤独となる身の息子を案じての母のやさしい偽り。信じる教えの流転生死。
いつかはきっと逢えるだろう、と信じて母の面影を覇王は持ち続けた。
国がようやく軌道に乗り始めていた。戯れに身分を隠して街を訪れた折り、
たまたま占い師だった頃のリアノンに診てもらっていた。その言葉が覇王を
射たのだった。
41 :
愛姫:2006/09/05(火) 22:46:31 ID:4O/UBKxM
光りと闇が交わる時、鳥はそなたの頭上へと舞い降りるだろう。このことは
誰にも話してはいならない。もし、ひとことでも話せは、夢は潰えてしまう。
絶えず覇王の背を守ってきた星姫にさえも言ったことはない。その女、もしくは
少女だろうか。めぐり逢えたなら、名を愛姫と決めていた。
覇王は誓いを守り通した。なぜなら、話せば、覇王が星姫の肉体を利用して
道具として弄んだだけなのか、と苦しませることになると思ったからだ。
闇(異端)であり、光り(寵姫)でもあった女を。
星姫は呼ばれて手を突いて褐色の女豹となった。鍛えられた戦士といっても、
華奢な躰。乳房は球形に順じ肉体からあふれるようで柔らかい。
臀は引きしまっていて、女でありながら青さの落ちた少女とも見えた。
四つん這いになった星姫は肩と腰をゆらし、覇王の太腿の淡いに跪く。細い腕は
両脇をしめて畳んで、掌は覇王の胴と太腿の付け根に添えられ、乳房を褥に圧して
拉げさせていた。
42 :
愛姫:2006/09/05(火) 22:53:43 ID:4O/UBKxM
覇王の眼に褐色の繊麗な繭ができあがっていた。かがんでいる星姫の浮き出た背骨。
星姫が出した舌に肉茎の尖りを載せると、蜉蝣のように脾腹には肋骨が浮いては沈む
といった所作をさざ波のようにしていた。
闇とは、光りとは。覇王の中で、答えの求めは逡巡を重ね、煩悶を繰り返した。
星姫の肌のことか。己が行なう事象のことか。
「星姫、女豹になれっ」
後頭部に置かれた手は、口腔性交の旋律と同調するだけなのに、
星姫には万力のように感じ、眩暈をともなっていた。
「んはあっ、はあ、はあ……、あ、あ、ああ……」
覇王は考えるのをやめ、星姫の口腔から怒張を抜いて、臀を向かせて突いた。
「あっ、あおおっ、おおっ、うおッ!」
抉り立てられ、星姫は天上に向かって咆え、がくっ、と頭を垂れる。すかさず、
覇王の手が伸びて来て、髪結いを解く。
「おおっ、呑まれるッ、呑まれるぞ」
「おっ、おおっ」
ザクザクと覇王は星姫のぬかるんだ秘所を捏ね回した。湿潤の園が覇王の怒張した
ペニスで淫の旋律を刻み、乾いた肉の打ち合いの音が徹底的に星姫の女を追いつめた。
43 :
愛姫:2006/09/05(火) 22:59:46 ID:4O/UBKxM
「うあああぁぁぁッ」
覇王はしぶくのを抑制して、正常位で交媾に及ぼうと、堕ちた星姫の裸身を
繋がりのまま返した。
星姫は覇王に右脚のふくら脛だけを肩に載せられ、太腿を抱かれて突きまくられた。
仰臥した星姫の肉体は、覇王に向かって乳房を跳ね揚げ、ふたたび絶頂の道を昇り始めた。
黒髪は荒れる白地を裂き捲くって蛇のようにのたうち揺れた。両肘を覇王に
突き出して星姫は頭髪を掻き毟って獣の声を上げていた。
それでも救われなくて、シーツに突いていた覇王の左腕を鷲掴んで爪を烈しく立てて、
主人が降りてくるのを嵐に揉まれながら待っていた。
肉の量感は頤をぐんと突き上げ、喉をいっぱいに伸ばした星姫は白目を剥いて、
随喜の涙を流した。
覇王は降りてきたが、右脚を担いだ屈曲のままだったので、星姫は抱きしめることは
かなわないまでも、ストロークが狭まって、距離が密になった。その息苦しさは
加速していった。
44 :
愛姫:2006/09/05(火) 23:01:09 ID:4O/UBKxM
「あ、ああ……」
「どうした」
「い、いきたい。はっ、覇王さまッ」
「女豹よ。また、わたしの背に爪を立てるのか」
「い、いたしません。だ、だから、ああ……」
「言葉を紡ぐがよい」
「あ、愛されたい。愛される、おま×こがいいッ」
「よくいった。獣神を解放せよ」
覇王は担いだ褐色の脚を雪に捨て覆いかぶさった。
星姫の両脚は覇王の穿たれる臀で鍵を掛け、幅広い背に両手を廻していた。
「もっと、もっと」
「もっと、なんだ。いわないかッ」
「お、おま×こおおッ」
星姫の濡れ顫える喘ぎ。男にも勝るとも衰えない、野太さは極まって、
覇王と星姫は迷いのなかで、歓びの獣声を閨内で比べ競うかのように放ち合っていた。
戦士としての女は、覇王の持つ男根の烈しい攪拌。 夥しくしぶいた精液の結果により、
男女(おめ)の原初より、あるべき蜜月を星姫は迎えた。
45 :
愛姫:2006/09/05(火) 23:02:17 ID:4O/UBKxM
※※終章※※
砂漠の山から数名の兵士が近づいてくる。監視兵及び処刑人は交代要員かと思って、
さほどの警戒はしてはいなかった。
瞬時に決着はついた。剣を抜かれ、相手は構える間を与えず喉笛を突かれていた。
星姫を戮(りく)しようとしていた者たちが噴出した血糊は、いままさに
吸い取られようとしていた星姫の灯火よりも先に、魔物の砂漠が啜っていった。
「星姫さま。水でございます」
星姫の顔からは異臭がしていた。
「い、いらぬ……」
猿轡を解いて、与えようとした水を星姫はゆるく顔を振って拒絶したが、
キアラは水筒をぐっと煽って、這いつくばって星姫のカサカサの口に寄せ、
舌に載せた少量の水を口腔にそっと分け与えた。星姫の喉が微かに鳴って安堵する。
かさかさになった唇も含め、舐めて潤わせてやりたがったが、口を離した。
「すぐに助け出しますから、お待ちください」
「や、やろめ……。わたしは、もう助かりはしない。ならない、キアラ。すぐここから、逃げよ」
星姫の頸廻りに、すこし離れて杭が打ち込まれていた。埋める前に、全裸に剥いた
四肢を拘束し、照りつく陽に焼いていたのだった。
46 :
愛姫:2006/09/05(火) 23:03:40 ID:4O/UBKxM
星姫の頭だけが砂地の上にあるが、兵士たちには隠された躰の容態も想像できた。
たぶん、脾腹を蹴られ裏返しにされて、全身を焼かれている。
星姫を埋めた穴も、自分の手で掘らされたものだ。何度も失敗しながら、
一昼夜掛けて深い穴を掘らされ、力尽きて穴に崩れる。
自慢だった黒髪を切られ、乾き切った口腔に処刑人の小便を浴びせ溜められて、
無理やりに嚥下された。
覚悟していたとはいえ、あまりもの惨たらしさに、星姫を救出に来た忠誠を誓った
男たちは嗚咽を洩らした。
「キ、キアラ……。もう、耐えられない。せめて、殺していってくれないか……」
皺枯れて、気道の洩れる声が憐れさを煽っていた。
「星姫さま……。なぜ、なにゆえに、このようなことになってしまわれたのですか」
「わたしを死なせてくれ……。まだ意識のあるうちに……お願いだから」
兵士たちからはすすり泣く声が続く。中には崩れ、砂を拳で叩いている者もいた。
濃やかだった黒髪も跡形もなく剃られて、顔は醜く火脹れに美貌は完膚無きまで
やられてしまっていた。
47 :
愛姫:2006/09/05(火) 23:05:13 ID:4O/UBKxM
耀いていた熱情の瞳も焼け爛れ、愛がなんなのかもおぼろになって、
星姫は暗闇に落ちていた。
キアラはやっと逢えた最愛の人をいたわるように、頬をそっと撫でたが、
星姫の上げた呻きがキアラの手を曳かせ、憤怒に戦慄かせていた。
星姫、ラウラ・エレノアにとって、愛撫はすでに針を刺す痛みでしかなかった。
「いつまでも愛しています、ラウラ・エレノアさま」
涙の向こうに、褐色の美貌の恋人をキアラはみつめていた。
「あ、ありがとう……。キアラ……キ、キアラ……」
「なんでござりますか」
キアラは星姫の口元に耳を寄せた。
「ま、まだ……ほんとうに、こんなわたしを愛してくれているなら……、
48 :
愛姫:2006/09/05(火) 23:11:15 ID:4O/UBKxM
キアラはマントを脱いで星姫の頭を包んで抱きしめて、頸を捻った。
命の炎が尽きようとした刹那、覇王が母の姿に変化してくれて、娘のように
抱きしめてくれたことを思い出していた。
それが、星姫のほんとうの母だったのか、愛姫に似かよった覇王の母の姿だったのか、
もうわからなかった。
キアラは星姫のマントに包まれた頭を掻き抱きながら、愛しい女の名を
天上に向かって、声が潰れてしまう位に大声で叫んでいた。
――復讐は誓ってはならない。よいな、キアラ……さらばだ」
「愛姫」 おわり
ご迷惑も掛けたうえに、
長々と書いてすみませんでした。
もし読んでいただけたなら幸いです。
ありがとうございました。
誰かいる?
もしかして、新スレ立ったのみんな知らないとか?
50 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 00:51:51 ID:kqbbvJD6
んじゃ、ちょいと上げてみるか
ここにも、います。ノシ
ロウィーナ姫の続きが読みたくて、待ってます。
カッサンドラの完結編と
天女と貴族令嬢の将校とロウィーナの続きが読みたいです。
次の日、兄のくれたリボンを誇らしげに揺らしながら、ロウィーナは現れた。
「あのね、おにいさま、皆がよく似合うってほめてくれたわ」
「そうか」妹の満面の笑顔に、つい、つられてしまう。考え事をしていた兄は微笑んだ。「よかったね」
「それでね、おにいさま、わたしね、おれいに何ができるかかんがえたの」
「礼なんか要らないよ。お前が喜んでくれればそれでいいんだ」
「エリスもそう言ったわ。でも」ロウィーナは興奮した様子で言った。
「おにいさまにも、よろこんでいただきたいの。だから、剣のおけいこをしたいって言ったら、エリスがだめですって」
ロウィーナは、時々突拍子もないことを言い出す。兄は、驚きもせずに尋ねた。
「どうしてまた剣なんか習おうと思ったんだ?」
ロウィーナは、重大な決断をしたのだといわんばかりに、精一杯おごそかな表情を作った。
「わたしね、大きくなったら、おにいさまをお守りする騎士になるの」
「お前は私の妃になるんだろう?」
「それがね、おにいさまのお嫁さんになるのって言ったら、エリスが、兄弟ではけっこんできませんっていうから――」
「エリスに言ったのか!?」
兄の剣幕にロウィーナはひるんだ。
「おまじないのことも言ったのか!?」
「言ってない。だって秘密でしょう?……いたい!」
知らないうちに妹の肩を掴んでいた手を、兄はあわてて離した。「ごめん、それで?」
「エリスがそういうから、わたし考えたの。国王をお守りする騎士になったら、ずっとおそばにいられるでしょう?
だから、おにいさまからもお願いしてほしいの。わたし、剣士になって近衛隊に入りたいわ」
兄は思わずふきだした。「お前は近衛隊に守ってもらう方だろう。第一、女の子は入れてもらえないよ」
「どうして?」「そういう決まりだ」
「じゃあ、近衛隊には入らなくてもいいわ、おにいさま、わたしに剣を教えて」
「だめだ、危険なんだぞ。怪我したらどうするんだ」
この肌に傷がつくと想像しただけで、兄は耐え難い恐怖に襲われた。
「絶対にだめだ」
ロウィーナはため息をついた。「じゃあ、わたし、もっとお勉強して、詩人さんになるわ。
国王をほめたたえる詩をいっぱい書くの。それならいい?」
ほっとした兄は、妹の他愛もない夢をかなえてやることにした。「いいよ。お抱えの詩人にしてあげる」
「ほんとう?」
「本当だよ。いいかいロウィーナ、結婚のことは二人だけの秘密だ。もうエリスに言ったらだめだよ」
「わかったわ、もういわない。あのね、おにいさま、もうひとつあるの……」
「なんだい?」
ロウィーナは大きく息を吸い込んだ。
小さな手がゆっくりと伸びて、布越しに兄に触れる。
「ロウィーナが触るといつもぴくぴくってする」
ロウィーナは兄を見上げた。
「きもちいい?」
「ロウィーナ……」
ああ、そんな目で見ないでくれ。頼むから私をその気にさせないでくれ。
体中の血が流れに逆らって、一箇所に集中しようと、激しく沸き立つ。
ロウィーナは視線を戻すと、なれない手つきで、ゆっくりとさすり始める。
「おにいさま、これでいい?」熱っぽい声でささやく。「こうすると、きもちいいの?」
いけない、ロウィーナ。
兄が呼吸を乱すのを、ロウィーナは不安そうに見上げる。「いたい?」
だめだ、ロウィーナ、お前はそんなことをしてはだめなんだ。
ロウィーナはおそるおそる触れる。「これでいい?いたくない?」
弱まる刺激がもどかしい。
「キスしてもいい?」
だめだ、ロウィーナ、お前は王の娘だ。誇り高い王女は、自分からこんなことしてはいけない。
水色のリボンが近づいて、熱い唇が触れる。
兄が反応すると、ロウィーナはおどろいて唇を離した。
「また、ぴくぴくってしたわ」
不思議そうに、ロウィーナは指で感触を確かめる。
上から下、下から上へと指が這う。
だめだ、そんなことをしたらもう――。
「おにいさま、わたし、じかに、キスしたいの、だめ?」
上目遣いに、ロウィーナは兄におねだりした。
むき出しになった先端に、妹の唇がそっと触れる。
妹の舌が、液体を舐め取る。予期していなかった兄はうめいた。
ロウィーナは、あわてて身を引いた。「ごめんなさい、おにいさま。いたかった?」
「違う、違うんだ」兄はロウィーナの身体を抱きしめる。
柔らかな唇も、ぎこちない手も、何もかもが、たまらなくいとおしい。
「おにいさま、いたくなかった?きもちよかった?」
「ああ、すごくよかったよ。ロウィーナは上手だ」
「よかった」安堵したようにロウィーナは言った。「もっとしていい?」
兄が何も言わないのを、承諾と受け取り、ロウィーナは小さな手で陰茎を包み込む。
「これでいい?おにいさまは、いつもこうしていらっしゃるでしょう?」
握った手を懸命に動かす、そのへたくそな動きが、かえって興奮を呼び覚ます。
ロウィーナは、兄を見上げて問いかけた。
「おにいさま、ぴゅつ、ぴゅっ、ってする?ロウィーナのお口にする?」
「もういい」耐え切れなくなった兄は、ロウィーナの手を掴んだ。
「今度は兄さんの番だ。さ、ロウィーナ脱いで」
レースのリボンだけを身につけたロウィーナを抱きかかえ、兄はベッドに運んで、全身にキスの雨を降らせる。
「ロウィーナはどこにキスしたら気持ちいのか言ってごらん」
「ここ……」
兄の舌が滑り込むと、妹は待ちかねたように声を漏らした。
「あのね……、おにいさま……、ほんとはね……」
ロウィーナは、昨日、兄がなんだか悲しい顔をしているように見えたので、元気づけたかったのだと告げた。
「おにいさまは、ずっと笑ってらしたのに。へんよね」
そして、ずっとおまじないをしてほしいと思っていたのだと、告白した。
「でも、おにいさま、わたし……、すごく、きもちがいいのよ。どうしよう……」
「それでいいんだよ。ロウィーナが気持ちよくなるようにしているんだから」
「でも、でも……。あ、や、やん」ロウィーナは顔を赤らめた。「へんてこりんな声がでるんだもん……、……はずかしい」
見られることよりも、触れられることよりも、声を気にするとは――。
「こっちは?」
「あん……、よく、わかんない……、でも、あ、や、やっ、……、なんか、へんっ……はぁ、あんっ……」
口を押さえようとする手を、兄は掴んだ。
「ロウィーナのそのへんてこりんな声が、たまらなく好きなんだ」
ロウィーナ、私はもう逆らわない。
私はお前を求めている。お前の、女の身体を愛している。
お前は私に抱かれるために生まれてきたのだ。
無垢なロウィーナ、これから少しずつお前を導いてあげる。
もっと、声を上げさせてあげる。お前の身体を未知の喜びで満たしてあげる。
お前を押しとどめる、硬いたがをはずして、
私の腕の中に無限に広がる至上の楽園へと、お前を解き放ってあげる。
ロウィーナ、だから本能のままに、私の性をむさぼってくれ。
「あ、だめ……、おに……さま、や、もうだ……、あぁっ……」
「ロウィーナ、がまんしないで」
ロウィーナは、至福の表情を浮かべ、年に似合わない妖艶な声を上げて、身体を痙攣させた。
「よし、今度は二人一緒に気持ちよくなろうな」
兄は余韻で震える妹を四つんばいにして、背後に回る。
「足を閉じて。ほら、こうすると、こすれて気持ちがいいだろう?」
痛みを感じさせないように、だが快感は残るよう、慎重に動く。
ロウィーナは、もう口を押さえることも忘れていた。
「ロウィーナ手を貸して。いくよ」
水色のリボンに飾られた、愛する王女の柔らかな肌に包みこまれて、兄は果てた。
終
ロウィーナいじらしいいいぃぃぃぃ!
ロ、ロウィーナたん(´Д`;)ハァハァ
これからどうなるんだろう…。楽しみだー
皇太子の部屋には、張り詰めた空気が漂っていた。
客の中年女性は、そんな気配を感じているのかいないのか、普段と変わらない落ち着き払った様子で言った。
「なかなか会いに来てくださらないので私のほうから参上しました。お変わりはございませんか」
「このとおりだ。エリス、お前も元気そうだな」
かつての乳母、今は妹の乳母であるが、に向けた言葉には、表面上の愛想よさからはうかがい知れない棘があったが、
バーンズ夫人はまったく意に介さず、いつもの穏やかな笑顔で答えた。
「はい、おかげさまで。ヘンリー様、たまにはお顔を拝見しとう存じます」
「好きなときに会いに来てくれて構わんと言っておいただろう」
言葉とは裏腹に、迷惑そうな表情を浮かべて皇太子は言った。
「そうでしたね。ところで、ヘンリー様はサラのことをお聞きになりました?」
「ロウィーナの侍女か。どうかしたのか」「今度結婚することになりましたの」
「結婚?」
「ええ、急に決まって。今は実家に戻っていますわ。
ずいぶん晩婚になってしまったけれど、よいお相手が見つかって、ご両親のお喜びもひとしおで――」
「そんな話をしに来たのか。人払いを申し付ける程の話ではないが」
「おめでたい話ですもの、先に殿下にもお知らせしなくてはと思って」夫人はにっこりと微笑んだ。
「それに殿下はサラをよくご存知でしょう?」
二人の視線がぶつかり、居心地の悪い間が場を包む。
「回りくどい言い方はよせ。さっさと本題を済ませよう」
「私はロウィーナ様のお世話を仰せつかっています」
「だから何なんだ」
「あなたがロウィーナ様になさったことを、私の口から言わせたいのですか」あくまでも穏やかに夫人は言った。
「そろそろ来る頃だとは思っていた。サラがしゃべったのか?」
「サラには固く口止めをしてあります」
「縁談の相手が口止め料というわけだな」
「今後、殿下がロウィーナ様に御用の折には、私がお供いたします」
バーンズ夫人は屈託のない笑顔を浮かべた。「そうすれば、私もしょっちゅうヘンリー様にお会いできますわ」
「邪魔する気か」
バーンズ夫人の顔から笑顔が消えた。
「当然です。ヘンリー様、あなたのなさっていることは間違っています」
「私はロウィーナを愛している」
「そんなことは理由になりません。
愛しているのなら、なおさらロウィーナ様のことを大切にしようと思わないのですか」
「大切にしている。ロウィーナはまだ処女のままだ」
夫人はあきれ果てたという顔をした。「私の前で、よくもまあそんなことを」
「ロウィーナも喜んでいる。ロウィーナは私との結婚を承諾した」
「近親婚は禁じられています」
「ご先祖様は、兄弟どころか親子でも、当たり前のように結婚していたぞ」
「それは大昔の話でしょう。
ロウィーナ様はまだ子供です。事の善悪が判断できるお年ではありません。
兄であるあなたが規範を示さないでどうするのです」
「お前の説教は聞きたくない。それ以上言うと、お前を城から追い出すぞ」
「そうなれば、すべてが明るみに出ます。ロウィーナ様とは二度とお会いになれなくてもいいのから構いませんが」
ヘンリーは夫人を睨み返した。「おもしろい、私を脅迫する気か」
「ロウィーナ様をお守りするのが私の役目です。それにヘンリー様、あなたもです。
あなたが誤った道を進みそうになっているのを、黙って見過ごすわけには参りません」
「お前はもう私の乳母ではない。私のすることにいちいち口出しするな」
「いいえ、私は一生あなたの乳母です。あなた様をお守りするとお約束したのです。亡くなられた王妃様は――」
ヘンリーは話をさえぎった。「母上の話はするな!帰れ!」
「ヘンリー様、お願いです。私の話を聞いてください。王妃様はあなたを愛し――」「やめろ!」
「私はお二人の身を案じているだけなのです」夫人はため息をついた。「何故わかっていただけないのですか――」
ヘンリーは急に思いついたように言った。
「そうだ、エリス、死んだバーンズ男爵の面白い噂を耳にしたんだ、聞かせてやろう」
ヘンリーは、夫人の耳元で何事かをささやいた。
一瞬、夫人は瞬きしたが、表情は何一つ変えることなく言った。
「そのような根も葉もない噂を、簡単に信用されるとは。殿下も、まだ子供でいらっしゃるのですね」
「私が信じる信じないは関係ない。世間がどう思うかだ」
「夫はとうに亡くなりました。今更そんな噂を立てられても、証の立てようがないではありませんか」
「証拠を掴んでいると言ったら?」
「何をおっしゃりたいのです?」
「お互いに、秘密を探りあっても得することは何もないということだ」
「私には秘密などありませんわ」
バーンズ夫人はにっこり微笑んだ。
「何をおっしゃっても無駄ですよ。アルフレッド、そこにいるのでしょう。
今の話を聞きましたね。今後ロウィーナ様の侍女に手を出すことは私が許しません。
たとえ、ヘンリー様のご命令であってもです。
今度同じことがあったら、ヘンリー様にはもう一度外遊していただくことになりますよ」
「お前にそんな権限はないぞ」
「さあ、どうでしょうかしら」
夫人の言葉が、ただのはったりではないことを、ヘンリーはよく理解していた。
ヘンリーを相手に、対等にものが言える人間は少ない。
侍従長ですら、バーンズ夫人には一目も二目も置いていた。
ただの乳母にしては身分も教養もありすぎるこの女性は、ヘンリーにもわからない一面を、隠し持っているように見えた。
ヘンリーは少し考えて言った。
「よくわかった、お前が頑固なのは昔から変わらない」
「では、ご承知いただけたのですね」
「いや」ヘンリーは、夫人の腕を掴んだ。「お前にもうひとつ秘密を持ってもらうことにする」
「何を……」「年増は好みじゃないが、この際仕方ない」
ヘンリーの頬を、バーンズ夫人の平手が打った。「恥を知りなさい!」
「貴様!下手に出れば」ヘンリーは、エリスを床に押し倒す。
「離しなさい!」
「騒ぎたければ騒げ、この姿を人に見られても構わないというのならな」
ヘンリーは、夫人の服に手をかけた。衣の裂ける音がして、黒衣の下に隠されていた豊満な胸があらわになる。
「こんなことをして!母上様に申し訳ないと思わないのですか!」
「母上のことは言うな!」
「私は乳母ですよ!」
エリスは自分の胸を叩いた。「あなたはこの乳を飲んで育ったのですよ!」
エリスに襲い掛かろうと、身を乗り出していたヘンリーは、急に動きを止めると、部屋の奥に向かって叫んだ。
「アル!お前がやれ」
姿を現したアルは答えた。「できません」
「命令だ、やれ!」
「無理です、この方は私にとっても母のような方です。できません」
「くそっ!」
二人の顔を見比べていたヘンリーは、自分が孤立していることを知って、そのまま部屋を飛び出していった。
「大丈夫ですか」
アルに声をかけられたバーンズ夫人は、手で胸を隠し、ゆっくりと身を起こした。
視線をはずしたままアルは立ち上がった。「今何か羽織るものをお持ちします。少々お待ちを」
部屋の奥に向かうアルの背中に、夫人が声をかける。
「ヘンリー様はお寂しいのです。あなただけは、わかってあげてください。
アルフレッド、あなただけは味方してあげてくださいね」
アルは立ち止まった。
「必要なときに、お傍にいられるのはあなただけです。アル、あなただけがたよりです。
あなたはヘンリー様のことを、一番理解している」
アルは何も持たずに引き返してくると、夫人に言った。
「お許しください。殿下のためです」「アル……?」
アルは、夫人のみぞおちを一発殴った。
アルは、床に崩れ落ちたバーンズ夫人を抱え上げ、ベッドに横たえた。
引き裂かれた黒い服からこぼれ落ちる白い乳房に、アルの手が伸びる。
掌からあふれた乳房は、やわらかく、そして暖かかった。
「母上、許してください……」
アルは、母と慕う女性の両の乳房に顔をうずめた。
意識が戻ったとき、バーンズ夫人は全裸で寝台に横たわっていた。
寝台の横には、アルフレッドが用意したと思われる、着替えの服が置かれている。
部屋の主と、従者の姿はどこにもなかった。
夫人は服を着、乱れた髪を整えると、皇太子の部屋を出た。
終
gj
ヘンリーがドツボにはまっていく…(゚Д゚;≡;゚Д゚)
翌日、興奮気味のロウィーナを伴って、バーンズ夫人は平然と姿を見せた。
「おにいさま、今日はエリスも一緒よ。
あのね、おにいさま、すごいの。サラは結婚するんですって」
「聞いたよ」ロウィーナの頭上でヘンリーと夫人の視線が交差する。
「なあんだ、ご存知だったのね」ロウィーナはがっかりしたように言った。
「私がお話したのです。申し訳ありません、ロウィーナ様」
「もういいわ、エリス。
あのね、おにいさま、サラがおにいさまに、お世話になりましたってお礼を言ってくださいって」
「そうか」
「それから、アルフレッドにさようならって」
「わかった、伝えておくよ」
「サラは、じゅ……、じゅん……、エリス、なんだったっけ?」
「『純白』です」
「そう、じゅんぱくのウェディングドレスを着るのよ。白は清らかな乙女のしるしなのですって。きっときれいでしょうね」
「そうだね」
「わたしも見たいなあ。ねえ、おにいさま、お嫁に行くってどんな気分だとおもう?」
「兄さんは男だからよくわからないな。
ロウィーナ、セバスチャンのところに行って、みんなの分のお茶を持ってくるように伝えてくれないか」
「いいわ、おにいさま」兄に用事を言いつけられて、ロウィーナは嬉々としてドアに向かった。
「どこまで図太い女なんだ」ロウィーナがいなくなると、あきれたようにヘンリーは言った。
「私に脅しは通用しません。これでおわかりになったでしょう」
エリスは毅然とした態度を崩さなかった。
「アルフレッド、あなたの忠誠心も、徒労に終わったということです」
部屋のどこかにいるはずのアルに声をかけると、エリスは再びヘンリーの顔を見た。
「昨日はお話の途中で、終わってしまいましたね」
「もう話すことはない。どうせ反対するんだろう。お前の説教は聞き飽きた」
「人の話は最後まで聞くものです。
ヘンリー様、姫様がもう少し大人になられるまでお待ちなさい」
今日も非難されるとばかり思っていたヘンリーは、驚いてエリスを見た。
「私は、あなたの乳母ですよ。あなたのお覚悟がわかった以上、味方につくしかないでしょう」
ヘンリーは眉を上げた。「ようやく協力する気になったのか」
「初めからそのつもりです」
「まあいいだろう。お前にはサラの代わりを務めてもらう。ロウィーナは私のものだ。わかったな」
「ヘンリー様、今はだめです。まだ早すぎます」
「父上に結婚の話をしようとしたが、とりあってもくれなかった。
私が王になる日はいつ来るかわからない。それまで待てというのか」
「何事にも順序というものがあります。
ほんの少しの辛抱ではありませんか。一生に比べたらあっという間の時間です。
待てないことはないはずです」
「エリス、だめだ、私は待てない」
「今、事が明らかになったら、ロウィーナ様には一生会えなくなりますよ。それでもいいのですか」
「私には時間がない。ロウィーナには、もう縁談がいくつか持ち上がっているじゃないか。
うかうかしていては、誰かが連れ去っていってしまう」
「そのことなら、私におまかせください。ですから、今は――」
ロウィーナが戻ってきたので、エリスは話題を変えた。
一見なごやかなお茶の時間を過ごすと、エリスは席を立った。
「ロウィーナ様、お部屋に戻りますよ」
ロウィーナは不満を漏らしたが、夫人はきっぱりと言った。
「殿下はご公務でお忙しいのです。あまりお邪魔をしてはなりません」
部屋を出たエリスは、忘れ物をしたから先に帰るようロウィーナに告げると、後ろを振り返った。
声をかけるのをためらっていたアルに、夫人のほうから近づく。
「バーンズ夫人……」
「サラのことを気にしているのですか?」何も言い出せないアルに、夫人から話を振った。
「あの子のことなら心配いりません。すぐに新しい生活を受け入れるでしょう。そういう子です」
「申し訳ありません。私は……」
「アルフレッド、心配なのはあなたの方です。
あの子はあなたたちが思っているよりずっとしたたかなのよ。あなたが気に病む必要はないの」
アルは再び口を閉ざした。
「昨日のこともそうです。
アルフレッド、あなたも私の息子のひとり。
息子に裸を見られたからといって、どうということはありませんよ」
エリスはやさしく微笑んだ。「あんな子供だましに私が引っかかるとでも思いましたか」
アルは珍しく赤面した。「殿下は、私の言葉を鵜呑みにしておいでです」
「しばらくは誤解しておいていただきましょう。あなたがお叱りを受けるでしょう?それに――」
エリスはおかしそうに言った。「ヘンリー様は、弱みを握られてしかたなく私が折れた、と思っていらっしゃるようですし」
「しかし。それではあなた様が――」「こんなおばさんのことは誰も気にしませんよ」
「そんなことはありません。昔も今もかわらずお美しい――」
アルはうつむいた。
「あなたは昔から思いやりのある、やさしい子だった」エリスの指がアルの前髪に触れる。
「私の自慢の息子――」
夫人は急に心配そうな表情を浮かべると言った。
「アルフレッド、何でも一人で抱え込んでいては、いずれ行き詰まります。
耐え切れなくなる前に、私のところにいらっしゃい。いいですね」
バーンズ夫人の後姿を見送りながら、アルは額に手を当てた。
思い出の中の夫人は、いつも優しい目をしている。
『アルフレッド、待って』
夫人の呼び止める声に、少年のアルは立ち止まった。
しなやかな腕が伸びて、アルを抱きとめる。頬に触れる柔らかい胸の感触に、アルはどぎまぎした。
『ああ、もうこんなに伸びて。目に入りそうだわ』
夫人の手がアルの前髪をかき上げた。
夫人はいつもいい匂いがする。
その匂いを嗅ぐと、アルはいつも安心するような、気恥ずかしいような不思議な気持ちになるのだった。
『本当にあなたは髪の伸びるのが早いわね』
夫人はいつも襟の詰まった黒い服を着ている。
明るい色の服を着たらきっと似合うのにと、子供心にアルは思っていた。
それが喪服だと知ったのは、ずっと後のことだった。
『アル!早く来いよ!置いていくぞ』ヘンリーが呼ぶ声がする。
アルが振り返って困った顔をすると、夫人はアルの髪にもう一度触れて微笑んだ。
『いいわ、行ってらっしゃい。髪は後で切ってあげます』
無理に引き止めてもらえないことが、何故だか悲しかった。
あの腕に、一日中抱きしめられたらどんなにいいだろう、あの人が本当の母だったらどんなにか幸せだろう。
少年時代のアルは、顔も知らない母の姿を、バーンズ夫人に重ねて見ていたのだった。
アルは孤児だった。
城の裏門に捨てられていた身元のわからない赤ん坊は、城の住人達の善意の手で育てられた。
幼いながらも、下働きとして雑用をこなしていたアルは、ひょんなきっかけで皇太子の世話係に出世した。
右も左もわからないアルに、読み書きと礼儀作法を教えてくれたのはバーンズ夫人だった。
それだけではない。わが子同様に、あれこれ世話を焼き、無償の愛情を注いでくれた。
皇太子と共に、さまざまな教育を受けられるよう、侍従長と交渉してくれたのも夫人だった。
本来ならば望むべくも無い、分不相応な待遇は、すべて夫人の采配によるものだった。
夫人は昔と同じ匂いがした。額に触れた指の感触も変わらない。
今の自分があるのはあの人のおかげだ。
どれほど感謝してもしつくせない恩人、母と呼ぶのもおこがましい人。それなのに自分は――。
「アル!どこだ」
ヘンリーの呼ぶ声で、アルの思考は中断された。返事を返すと、アルは主の部屋に急いだ。
終
GJ!バーンズ夫人かっけえ。
展開がこってて面白いです。続きが本当に気になるよ。
いや、ほんとお話として読んですごい面白い。
ロウィーナたんとのエロも見たいがエロシーンがなくても
すごい読ませるもんなぁ。
投下します。
注意♀×♀あり
苦手な方はスルーをお願いします。
かつて一人の美しいお妃様がおりました。
長らく、お妃様には、子供ができませんでした。
しかし、やがて可愛らしい王女が誕生しました。
雪のように白い肌、艶やかな黒髪…そして薔薇色の頬。
王女は「白雪」という名前を与えられました。
彼女が、物心のつく前に母であるお妃様は不幸にも亡くなられてしまいましたが、
周囲の惜しみない愛情を注がれてすくすくと育ちました。
ある年のことです。
白雪はすっかりと美しい王女に成長しました。
「白雪、こちらへきなさい。彼女が新しく妃になる女性だ」
王様は彼女に、新しいお妃様を紹介しました。
新しいお妃様、美しい微笑みを白雪によこしました。
彼女の妖艶な笑みに、思わず白雪は目を惹かれてしまいました。
「まぁ…可愛らしい!こんな可愛らしい姫の母だなんて、身に余る光栄ですわ」
ほぉ…と新しいお妃様は、白雪をみてため息を付きました。
「…わたくしも、母ができて嬉しく思います」
白雪は頬を染め、笑みを返しました。
やがて、幾日の過ぎたことです。
王女の寝室で、白雪が眠っている時のことでございました。
「…!」
微かに、自分のものではない息遣いを感じ、彼女は目を覚ましました。
静かに、身を起こし、闇の中で目を凝らしました。
「……何者ですか?」
白雪は内心の恐怖を押し隠し、落ち着いた声音で問いました。
長い沈黙に、張りつめた空気が、重くのし掛かりました。
かさ、と音がして、彼女は息を飲み込みました。
侵入者は王女に近づきます。
互いの呼吸の音だけが、不気味に聞こえてきます。
闇の中で、二つの目が妖しく光りました。
後ろに身をひいた白雪は、侵入者に声を張り上げました。
「…人を呼びます!誰か…んんっ!!?」
非力な王女は、あっけなく侵入者に押さえつけられて、口を塞がれてしまいました。
侵入者の強引な手で肌触りのよい絹の寝間着が乱されてしまいました。
侵入者が、乱れた白雪の寝間着に指を引っかけ、白雪の白い首筋、胸元が露わにさせました。
白雪が、隠そうとするよりも早く、鎖骨に侵入者の唇が吸いつきます。
「…やぁ!」
白雪は恐怖に哀れな悲鳴を上げました。
柔らかな腿の間を、侵入者の手が差し込まれ、白雪は驚き、目を開きます。
「お…お止めなさい!私を誰だと思っているのです!?」
白雪は侵入者を制止しようとします。
しかし侵入者は尚も、彼女の身体をなで回していました。
おぞましさが背中をかけめぐり、白雪は身を捩ります。
「…このようなこと…!許されるとお思いですか?!」
すると侵入者は、ふふ、と笑いました。
首筋に、甘い息がかかります。
「…え」
聞き覚えのある声に、まさかとは思い侵入者の顔をまじまじと見つめました。
「…――お、お妃様」
それは、紛れもなく、父の妃、彼女の新しき母でありました。
「…あぁん。気づいてしまわれたのね」
愕然とする白雪の横で、お妃様は悪びれもなく乱れた髪をかき上げました。
「…な、…なぜ、お母様が?!…こ、ここに?」
白雪は、同様を隠す術を知りませんでした。
「おはよう、白雪。…でも、まだ朝は早くてよ?」
「何故ここにいるかを、聞いているのです!…ここは――」
お妃様はふっと笑いました。
「そうね、貴女の寝室よねぇ…」
お妃様は白雪の身体にのし掛かりました。
「…きゃぁー!」
白雪はお妃様から逃れようと、必死で身体をひねりました。
すかさず、お妃様が押さえつけますが、白雪も、我が身の危険とばかりに
応戦します。
二人はどたばた、と寝台の上で暴れました。
やがて、白雪がお妃様を突き飛ばします。
「な、な、な、なに…何を…」
白雪の混乱激しく、唇が思うように回りません。
「ふふ、…可愛らしい白雪。何を、そんなに動揺しているの?」
お妃様の寝間着も、乱れに乱れ、熟れた肢体が艶めかしく覗いています。
「おいでなさい。…女同士でしょう、仲良くしましょう?」
「い…いやですわ。ご冗談を!」
「冗談なんて…つれない姫ね。……無理強いはしたくはなかったけれど」
お妃様の声音が、低くなり、何事かをぶつぶつと呟いています。
彼女はどこからか、杖を取り出し、白雪に向かって差し向けます。
杖に、くるくると光が集まり、回り始めます。
その杖から、キラリと光りが弾け、白雪の身体を打ちました。
「…あああっっっ!!」
白雪は、思わず我が身を両腕で抱きました。
光りは、瞬く間に白雪の身体の中に吸い込まれていくようでした。
「…どう白雪、何か変化はない?」
訪ねる声に、ようやく白雪は顔をあげました。
「…え…、…何も…」
「…そう?」
「…あっ…?」
何が起こったかは、分からないけれど白雪の身体は奇妙に熱を帯びていました。
頭の中が靄のかかったように、痺れています。
「…何を、…したの、ですか?……」
「ほほほ…。これで白雪は、わたくしのもの。貴女には呪いを掛けてあげました」
お妃様の指が、白雪の肌をなぞります。
「あ…っ!…だめ…」
「…くす、素直でない子。こうされると、気持ちの良いのでしょう?貴女には、
そういう呪いをかけたのですもの。…一度、鎮めてあげない限り、貴女はどんどんと、
その、いかがわしい情欲に悩まされることになるでしょうね…」
「な…ん、ですっ…て?…はぅっ」
お妃様の指が白雪の薄紅色の乳首を、弾きました。
「…ほら、…いい子にして、身体を楽にしなさい」
耳元に、熱っぽい息が吹きかけられると、白雪は力が抜けていくようでした。
そしてついに、あらがえず、その身をお妃様にゆだねてしまいました。
お妃様の細く長い指が、白雪の腿の内側に、潜り込みました。
「…はぁ…、…っ…」
「……うふふ…いい声よ、もっと聞かせて…」
白雪の花弁は既に湿り気を帯びていました。
お妃様にそこを丹念に指で嬲られて白雪は、もだえて身を震わせました。
「……あぁ…わたくしの白雪…、…はぁん…ハァ、ハァ」
お妃様は自らも、一糸纏わぬ姿になると、白雪の胸に顔を埋めました。
足を絡められて、身動きも叶わず白雪はお妃様から顔を背けました。
「…感じているのね、大丈夫…悪いようにはしないわ…」
ちゅぷ、ちゅぷと淫靡な音が、白雪の耳に届き彼女は羞恥に顔を赤らめました。
「…お母様…やめて、…ぁっ…何故こんな…」
「…貴女が、可愛らしいからに決まってるでしょう?…はじめから貴女が目的で嫁いだのだから」
「…!!…お父様に、報告します!」
「…どうお話するの?…こんな事されましたって?」
「ひぃぁああっっ!!」
お妃様の指が白雪の膣壁に爪をたて、引っ掻きました。
「…やっ、…っ…、ぅんん…」
お妃様の唇が首筋を這い、耳、そして乳房にたどって行きました。
「だ…め、…ぁ…やぁん…だめ…、…あ…ぁあん…」
「…ここがいいのね、…白雪…」
その下肢では、卑猥に身体が重なり合い、また指が白雪のそれを敏感に刺激させ…
「…ぁあん…もぅっ…だめぇっ……、…ぅあああんん!!」
とうとう、白雪は背中をのけ反らせ、快楽の絶頂に達してしまいました。
けだるい余韻に、身を震わせていると、お妃様はようやく白雪からその身を離しました。
「…いいこと、白雪。貴女は私の呪いから、逃れることは
できない。いずれまた貴女は情欲の炎に身を焼かれ、私に身体を許すことになるわ…」
お妃様は緩やかに、扉を開けて出ていきます。一度ふりかえり、そして言い放ちます。
「…では、明日の夜に、また…」
お妃様の妖しい笑みとその言葉に、白雪は、ぞっと血の気を下がらせました。
「………」
しばらく、そのまま寝台の上でへたりこんでいると、やがて立ち上がり
クローゼットからお忍びの衣装を取り出し、急いで着替え始めました。
そして、部屋を出る前に、思い出したように机から何かを取り出し、城門へと駆け出しました。
「そこの兵士!今すぐ、馬を出しなさい!」
突然、夜中に現れた王女に、裏門の見張りをしていた兵士は、大層驚きました。
「…姫!?お部屋にお戻りください!」
「そう言い訳には、行かないのです!…城を一刻も早く、抜け出さなければわたくしは…」
白雪は青ざめました。兵士はよろけた彼女の身体を支え、訳を聞こうとしました。
「…わ…訳は、その…」
ぐっと咽をつまらせ、白雪は我が身に起こった悲劇を口にするのを躊躇いました。
「言えないのなら、今すぐお帰りくださいませ!…何も言わず、出ていかれても困ります!」
「…いいえ、いいえ。わたくしは出ていきます!ここにはもう居られません。あの方がいる限り…」
兵士は首を傾げました。
白雪は余計なことを口走ったとばかりに頬の内側を噛みました。
「どうしても、わたくしを引き留めるというのですか?」
「当たり前です!」
「…そう。…でしたら、わたくしにも考えがあります」
いつになく、白雪は低い声を兵士に向けました。
うつむけた顔の下で、するどく彼を睨み付けます。
彼女はごそごそ、と何か紙の束のような物を取り出します。それを兵士に突きつけました。
「…これは、貴方がいままでわたくしに贈った、それは世にも恥ずかしい恋文です。
全部で軽く、百枚はあるでしょう。これを城中、…いえ国中に晒されたくなかったら、
つべこべ言わず、わたくしの命令に従いなさい!」
「はじめから、素直にそうしていれば良いのです」
「そんな、無茶な…」
兵士はうなだれながら、馬をひいてきました。
白雪は、兵士の手をかり、馬に跨ります。
「…あ、姫!まさか、一人でですか!?」
「ええ、当然です。他の者に迷惑を掛けるわけには参りません。
心配は要りません、乗馬の訓練はひととおり受けています」
「…え?…姫がいなくなるだけで、それは十分に…めいわ…」
「…何?」
王女が低い声で睨み付けてき、兵士は慌てて口をつぐみました。
一応は、理解しているのだ。忽然と一刻の王女が消えれば
おそらくは、前代未聞の大騒動になるかもしれないことを…しかし…!!
「…しかし、森は危険です、万が一姫の身に何かあろうものなら…」
先の一件を思い出し、白雪が唇を噛みしめていいると、兵士が困惑したように口を割りました。
「では、お前がわたくしの護衛を務めなさい」
「な…!?」
次から次へと来る、突然の要求に兵士は、なす言葉もなく王女の顔を見つめます。
「国の治安を守る兵ならば、一応は剣は扱えるのでしょう?」
「…しかし」
「いざとなったら、貴方を囮にし、わたくし一人で逃げますから、ご心配には及びません」
そう言った彼女の手には、ひらひらと彼の直筆の『恥ずかしい恋文』が握られていました。
がっくりと兵士は膝をつき、「わかりました」と返事を返しました。
やがて兵士は、彼女の後ろに回り、手綱を取りました。
「…さぁ、ぐずぐずしていては、城の者に気が付かれてしまいます!…早く!!」
「いっ…!痛いですよ、姫!蹴るのは私ではなく、馬にしてください!」
こうして王女は、夜が明ける前に城を抜け出したのでした。
「…白雪」
鏡を見つめていた王妃は、静かに呟きました。
「……何故わたくしから逃げたの?」
王妃の鏡には、馬に跨った姫が城から逃げる様が、映し出されていました。
しかし、その顔に動揺も陰りもありませんでした。
「…ふ…、いいわ。どんなに逃げようと、わたくしの呪いからは、逃れることはできないわ!」
彼女は高らかにそう言うと、鏡に向かって笑い出しました。
「ふふふふふ…貴女はわたくしの物よ!…ほほほほほ」
王妃の笑い声は、誰にも聞かれることなく暗い室内に響いていました。
「ほほほほほほほほほほほほほほほ………」
第一話・終
GJ!
第二話にも期待
白雪ってことはもしや小人さんと8Pとか・・・いやスマンちょっと妄想しただけだ
GJ!
白雪姫が意外にしっかりしてて楽しめそう。
続き期待してます。
GJ.
…王子様が付け入る隙が無さそうなんですけどw
数日後、バーンズ夫人は、珍しく終日の休みをとり、日の出と共に馬車に乗って出かけていった。
その少し後、もう一台の馬車が、人目を避けて城を出発した。
後から出た馬車は、小一時間ほど走り、深い森を抜け、古い館の門の前で止まった。
警備していた兵士は、御者台のアルを一瞥すると、誰何もせず門を開放した。
無人の館の広間を抜け、通路の一番奥にある部屋に入ったとたん、ロウィーナは興奮して叫んだ。
「すごいわ!」
厚いカーテンで外光を遮断された室内を、ほの暗い照明が怪しく照らす。
焚き染められた強い香。部屋中に張り巡らされた鏡。
棚には色とりどりのガラス瓶とともに、実験器具のようにも、前衛的なオブジェのようにも見える種々の性具が飾られている。
壁に掛けられた絵画のなかで、裸の男女が睦みあう。
部屋の片隅には、大人ふたりでも十分に休めるほどの大きな寝椅子があった。
どんな用途で作られたのか、一目瞭然のこの部屋に、ロウィーナはまったく違った印象を持った。
「すてき。まるで、魔法使いのお部屋みたい」
「鏡の間というんだ。気に入った?」
ロウィーナは、大きくうなずいた。興味津々といった様子で、さっそく道具を点検しに行く。
「あっ」棚の中をのぞいていたロウィーナは、見覚えのある紫色の小瓶を見つけて声を上げた。
そして、そのすぐそばにあったディルドーに目が行くと、ロウィーナは兄を振り返った。
「おにいさま、これ」
「それはお前にはまだ無理だよ」ヘンリーは笑って言った。
「ふうん、じゃあこれは何?」ロウィーナは、拘束具を手に取った。
「それも知らないほうがいいと思うな。痛い思いはしたくないだろう?」
読書好きのロウィーナの興味は書棚に移っていった。
ロウィーナは、棚を端から順に眺めて、中でも目立つ赤い表紙の本を手に取り表題を読み上げた。
「聖マドレーヌのひ……、これなんて読むの?なんて意味?」
「秘儀、秘密の儀式のことだよ」「魔法の本?」「うーん、ちょっと違うかな」
「読みたい」ロウィーナは目を輝かせた。
「お前には難しすぎると思うが」「でも読みたいわ、おねがい、おにいさま」
「仕方ないな、じゃあ、いいよ」ヘンリーは妹の手を取った。
「ロウィーナ、寝室はもっとすごいんだ。見に行こう」
「きれい……」
八角形をした狭い部屋の、壁と天井には、随所に鏡が張られて、中央には寝台がある。
微妙に角度を変えて配置された複雑な合わせ鏡は、万華鏡のような効果をもたらし、あらゆる角度からロウィーナを映しだす。
ロウィーナは、広大な迷宮にまよい込んだような気分になった。
どこまでも続く出口の無い迷宮。
言葉を失ったロウィーナは、鏡に近寄り、そっと手を触れた。
鏡の向こう側に閉じ込められた少女は、禁書を胸に抱え、冷たい手をして、問いかけるようにロウィーナを見た。
いっせいに、周りにいる少女たちがロウィーナに問いかける。
「きれいだ、ロウィーナ――」
背後から抱きしめられると、迷宮にとらわれた少女たちは、大人びた表情になった。
朝一番で、夫の墓参りを済ませたバーンズ夫人が、次に向かったのは、王家の墓所だった。
王族と、その関係者以外は立ち入ることのできない墓所を迷いなく進むと、夫人は立ち止まり、手向けられた花に目を留めた。
故人の好きだった白い花は、まだ枯れずにみずみずしさを残している。
誰かが昨日ここに来たのだ。
夫人には心当たりがいくつかあった。
その脇に自分の持ってきた花を供えると、夫人は真新しい墓碑銘に刻まれた王妃の名を呼んだ。
「シンシア様――」
そして、すぐ隣にあるもうひとつの墓碑銘に目をやった。
「クレア様――」
クレアの墓を訪ねる者はいない。
夫人は前王妃のために用意した赤い花の束をそっと置いた。
ロウィーナの母シンシアと、ヘンリーの母クレア。
二人の王妃は、生前の確執など嘘のように、今は静かに並んで眠っている。
もう一人の母バーンズ夫人は、目を閉じ祈りを捧げた。
そして、決意を表すように踵を返すと、一度も死者を振り返ることなく、その場を去った。
赤い表紙の本を開くと、いきなり挿絵があった。
「おにいさま、これはなあに」変形した魔方陣のような図をロウィーナはしげしげと見た。
ロウィーナの服を脱がしにかかっていたヘンリーは、本を見もしないで答えた。
「すぐにわかるよ」
「ふうん、だい……、これなんて読むの?」「陰唇」「だいいんしん、しょういんしん、くり……」「クリトリス、ああ、じっとして、脱げないだろう」「くりとりす……」「膣、肛門」
「ちつ、こうもん、おにいさま、これ何かの呪文?」「違うよ、ほら手を上げて。ロウィーナ、それは、他で言っちゃだめだよ」
「ふうん。どうして?」「人前で言う言葉じゃない」
どこかに魔法の呪文が書かれているかもしれないとロウィーナはページをめくった。
「これは、先日亡くなった、私のおやあ……」
「私の親愛なる友人にして高潔なる修道院長、聖マドレーヌから直接伝聞したものである。
彼女のたどった数奇なる運命は、書物として記録に残すに値すると、私は考えた。
私は聖職者ではないし、これは懺悔ではない。
私に黙秘の義務はないが、修道院の名誉のため、登場する人物、地名などはすべて架空のものに置き換えた」
ヘンリーは、すらすらと暗誦した。
本はロウィーナの知らない単語であふれていたが、所々挿絵が挟まれていた。
挿絵にはどれも、裸の男女が複雑に絡み合うところが描かれている。
挿絵の隣のページをロウィーナは読み上げた。
「そのころ私がが最も好んだ、たい……」「体位」「たいいは、うしろ……」「後背位と騎上位」
「……で、これは当時、悪魔のしょ……」「所業」「しょぎょうとよばれ、けだものの……、ああ、だめ、ぜんぜんよめないわ」
ロウィーナはあきらめてページをめくった。
「だから難しいって言ったのに」
ようやく読めそうな箇所を見つけるとロウィーナは再び音読し始めた。
「私は裸のまま股を開いた格好で、全身をしばりあげられ、首輪でつながれて、男たちの前に引きずり出されました。
お尻には、太い棒が差し込まれたままです。
『本日最後の商品です。お集まりの紳士の皆様、どうぞごゆっくりお確かめください』
男たちが私をとりかこんで、熱心に観察し始めました。
ついにこのときがやってきたのです。
男たちが、私のいやらしいヴァギナを――、おにいさま、ヴァギナって何?」
「……まったく、お前はしょうがないな。後で教えてあげるからこっちにおいで」
「続きが読みたい」
「じゃあ読みなさい。四つんばいになって」
「私のいやらしい、やん……」背後からヘンリーの愛撫が始まる。
「ヴァギナを……、念入りに……、あああ、おにいさま、そこは、なめちゃだめ」
「いいんだ、ここも気持ちいいだろう?ロウィーナはお尻の穴も感じるようになった」
「うん」ロウィーナは素直に認めた。「……しらべはじめました。そのとき、遠くで見ていた一人の紳士が……急に近づいて……」
持っていたステッキを……私のヴァギナに……つっこんだのです。
『名前は?』『マドレーヌ』その瞬間……、私はこの人が……う、運命の人だと知ったのでした。
私のことを……分かってくれる……わかって……――うぉおおおおああああああ」
指が進入すると、ロウィーナは獣のような叫びを上げた。
ヘンリーは背後からロウィーナの両腿を抱えあげると、ベッドを降り、壁の鏡の前に陣取った。
「ヴァギナは――」股を大きく開き、さらに指で陰部を押し広げる。「ここだ」
初めて見たその場所は、想像を絶する色と形をしていて、ロウィーナはうろたえた。
「わかったわ、もういい」逃げようとするロウィーナをがっちりと掴んでヘンリーは言った。
「さっきの絵はここだよ、ほら、大陰唇、小陰唇……」
「やだ」「クリトリス、ロウィーナが一番好きなのはここだ」そういうと被った皮をめくりあげる。
「ちゃんと見なさい」
「うわっ、やだ、あ、あっ、あっ……だめっ、そこはだめっ」
「だめじゃないだろう」「だめ、だめ、だめっ」
「どうして」「だって……、おしっこがでちゃう」
「いいよ、だしなさい」「いや、だめ、ここじゃだめ、みちゃだめ。いやいや」
「そしてここがお尻の穴。兄さんの指が入っているのがわかるか」
「いや、おにいさま、でちゃう、だめ、ああん」「ほら、こんなに奥まで入っている」「いや、ほんとにでちゃう」
「がまんしないで」「やだ、はずかしい、やだああ。みないで」
「ロウィーナの恥ずかしいところが見たいんだ。兄さんだけに見せて」
「いやあん、いやあああああああ」
ロウィーナの体から力が抜け、小気味のよい音と共に放物線を描いて液体がほとばしり、
磨きこまれた鏡に降りかかった。
ぐったりしたロウィーナをベッドに戻すと、兄は額に口付けた。
「ロウィーナ、すごく可愛かった」
快感と恥辱で涙を浮かべたロウィーナの目じりにキスを与える。
「もっとよくしてあげるからね」
長い時間を掛けた愛撫が終わる頃には、ロウィーナはもう一本指を受け入れ、動きを楽しんでいた。
「ああつ、おに……さま、どうしよう、へんな……きぶん……」
桜色に染まった肌がさらに上気する。開いた瞳孔の奥がきらりと光る。
「きもち……いいの……かも……、ど……しよ…………う、うあっ、あああああ……」
その声を確認すると、ヘンリーは叫んだ。「アル!もういいぞ、持って来い」
アルが道具を捧げ持って現れても、ロウィーナはこれから起こることを、まったく予想していなかった。
しかし、鏡の中のアルが白い手袋をはめているのに気づいて、急に恐怖に襲われ、兄を振り返った。
「おにいさま!あの人は何をしにきたの!」
「ロウィーナ、ちょっとだけ辛抱してくれ」
「いやっ、はなしてっ!、いや、あの人はいや、いやあああああ」
合わせ鏡に映る、大勢の無表情なアルフレッドが、ロウィーナを凍りつかせる。
身体を押さえつけられ身動きの取れないまま、冷たい液体が身体に進入し、内部を満たしていく。
ゆっくりと。
ロウィーナの喉から絶望にも似た長い悲鳴がもれた。
終
浴槽から出たロウィーナの濡れた裸体を、アルは丹念に拭き上げる。
表情一つ崩さず、ロウィーナと視線を合わせることがないように目を伏せ、アルは作業を続けた。
いつの間にか、アルは自分の指の感触が伝わらないようにする術を心得ていた。
まるで精緻なガラス細工を手入れする時のように、
ロウィーナの裸身に直に触れて、指紋を残すことがないよう、アルはたくみに布を操った。
アルの持った布が、生き物のようにロウィーナの身体を這う。
布が股の間に伸びるとロウィーナは顔をしかめた。
アルは、より慎重な手つきになった。
ロウィーナは以前からこの男が苦手だった。
決して感情を表に出さず、何を考えているかさっぱりわからない。
いつもどこからともなく現れ、影のように兄に寄り添う。
気味の悪い男、それがアルへ下した評価だった。
それがいつしか変化して、今ではこの男を心底嫌っていた。
妙に卑屈な態度も、男のくせに器用すぎる指も、何もかもがロウィーナに嫌悪感をいだかせた。
アルの作業が終わると、シャツの腕をまくったまま傍で見ていた兄は、ロウィーナに近寄った。
「ちゃんときれいになったかな」
指を添え念入りに検査すると兄はロウィーナを抱き寄せて頬にキスした。
「いい子だ。よく我慢したね」
「おにいさま、わたし、もうこんなこといや」
つい先ほど行われた屈辱的な儀式を思い出して、ロウィーナは泣きそうになった。
こことはまるで違う無機質で殺風景な部屋。床にしたたる水音。
肌に触れる金属の冷たい感触。どこまでもつきまとうアルフレッドの影。
「わたし、この人きらいよ。どこかにやって」
「よしよし」兄は妹の頭を撫で、アルに目線で指示した。
アルは心得たように部屋を出て行った。
「もういない。これでご機嫌は直ったかな」
「おにいさま、どうしてこんなことしなくちゃいけないの。どうしてあの人がいるの」
アルがいなくなったとたん、ロウィーナの目から我慢していた涙がこぼれ落ちた。
「もういや」ロウィーナは泣きじゃくった。「こんなのいや。いやいや」
「初めてで驚いたかもしれないけど、泣くようなことじゃないんだよ。
ロウィーナ、お前のためなんだ。お前を傷つけたくないんだ」
ロウィーナがひとしきり泣いて、落ち着くのを待って、ヘンリーは言った。
「疲れただろう、お茶でも飲んで少し休もう」
「おにいさま!」
「わかっている、アルは呼ばない。お茶は私が運んできてあげるよ。お前はベッドで少し休みなさい」
ロウィーナをベッドに座らせると兄は行動を開始した。
「ロウィーナ、指を組んで。お祈りするみたいに」
「こう?」ロウィーナは、小さな乳首の間で指を組んだ。
「そう、そのまま、じっとしているんだよ」
髪から解いた水色のリボンで、ロウィーナの手首を手際よく縛る。火照った肌に涼やかな色がよく映える。
「ようし、いい子だ。お茶の前にご褒美をあげるよ」
そっとロウィーナを寝かせる。首筋をなでると、水色のリボンはちょうど臍の辺りで大きく波打った。
固くなった乳首の先端にわずかに触れる。ロウィーナは声を上げ背筋をそらして兄の期待に応える。
水色の、レースのリボンで飾られた感じやすい小さな身体は、天が自分だけに与えた特別な贈り物のように見えた。
組まれた指の少し下に続くなだらかなふくらみが、贈り物の真の価値を物語る。
「お前は本当に水色が良く似合う」
くっきりとした線に沿って軽く指を這わすと、ロウィーナは息を漏らし、身体を固くした。
弾力のある滑らかな肉を押し広げ、天賦の宝物をじっくりと鑑賞する。
初め、存在すら分からなかった小さな芽は、この数ヶ月の間に少しずつ主張を始めていた。
そして、いまだ閉じたままの最愛の場所から薄くにじむ透明な蜜。
自分の指と舌がここまで導いたのだとヘンリーは誇らしい気持ちでそれを眺めた。
その脇に小さなほくろがあるのを、最初の日にヘンリーは見つけていた。
自分以外は世界中の誰も知らない、小さな秘密。
「や……」ほくろに触れた唇が、すぐに離れるとロウィーナはじれったそうな声を上げた。
涙の後が乾いていない熱っぽい目で懇願される。次はどんな表情を見せてくれるかと、尚更じらしてみたくなる。
「どうした?」
ロウィーナは、想像しているのだ。次に来る快感を。
それが証拠に、ロウィーナは頬を紅潮させ、肩で息をし始めた。
愛液は増え、ほぐされ洗浄された場所は生き物のようにうごめいている。
まだ、肝心な場所には触れてもいないというのに。
「おまじないして」
ヘンリーの予想をはるかに超えて、成長し続けるロウィーナは、覚えたての言葉で兄に要求した。
「なめて……ロウィーナのクリトリスをなめて」
墓所を出たバーンズ夫人は、レシンガム卿の屋敷を訪ねた。
屋敷の主人は驚きと歓喜で客人を出迎えた。
「突然お邪魔して、ご迷惑ではありませんでしたか」
「レディ・エリス、迷惑どころか、私を忘れずにいてくれて実に光栄だよ」
独身時代の呼び名を聞き、エリスは困惑した。「私はもう公爵家の人間ではありませんのに」
「私にとっては、いつまでもあなたはレディ・エリスのままだ」「まあ……」
「あなたを射止めるために、皆で、さやあてを繰り広げた日々が、昨日のことのように思えるよ」
同じ時間を過ごした者だけが共有できる過去の記憶が、二人の距離を急速に縮める。
「私は、自分が勝利者だと信じて疑わなかった。我ながらたいした自信家だ」
「ウィンストン、あなたが一番ハンサムだった。それにダンスがお上手だったわ」
「だが、みごとに振られてしまった。男がダンスなど出来ても何の役にもたたんという良い見本だ」レシンガム卿は磊落に笑った。
「レディ・エリス、あなたが男爵を選んだと知った時には、人生に失望して、
本気で身を投げようかと思ったが、思い留まってよかったよ。こうしてまたあなたに会える」
卿は、エリスの手をとり、キスをした。「私と、踊っていただけますか」
「奥様に言いつけましてよ」バーンズ夫人の目は笑っている。
「おいおい、よしてくれ。あれを怒らせたら、今度こそ身投げする羽目になる」
「相変わらず皮肉屋ね」「あなたはあれの怖さを知らんのだ」
夫人は軽やかに笑った。「奥様を愛してらっしゃるのね」
「まあな」レシンガム卿は、はにかんだような笑みを浮かべた。
「あなたに捨てられたおかげで、どうやら違う幸せを見つけてしまったようだ」
「ウィンストン――」
夫人は話を切り出していいものか、迷っているようだった。
「レディ・エリス、忙しいあなたが、わざわざ休みを取ってまで、こんなくたびれた中年男と昔話をしに来るはず無かろう。
私を愛してはくれなくとも、友人として信頼はしてくれていると自惚れていたのだが、また私の勘違いかね」
少しためらった後、バーンズ夫人は、ヘンリーとロウィーナの結婚の話をした。
レシンガム卿はたいそう驚いたが、すぐに難しい顔になった。
「困ったものだ。さんざ遊び歩いた挙句、妹に行き着くとは。
兄弟間の結婚が禁忌だということは、殿下もよくご承知のはずだ。あきらめてもらうしかないな」
「それができれば、ここには来ませんわ」
レシンガム卿は首を振った。「たとえ、陛下がお許しになっても、議会の承認は降りんだろう」
「なぜです」
「いずれ公表されるだろうが、それまでは口外しないでくれよ、
実はな、今、水面下で殿下のご結婚の話が進んでおるのだ。お相手は、イスキアの第一皇女、クラリサ姫」
「イスキアの……。ウィンストン、あなたのお力で、なんとか止めることは出来ませんの」
「難しいだろうな。さきほど進んでいると言ったが、実際は、決まったも同然だ。
この婚姻は政治的な意味合いが強い。国民には知らされていないが、国境線はかなりの緊張状態にあるのだ。
婚姻が成立すれば和平は保たれるとあって、両国とも大いに乗り気でな」
バーンズ夫人は、考え込んだ。
「しかし、なぜあなたは反対しないのだね」「殿下は私の意見など聞いてくださいませんわ」
「あなたのことだ、他に何かあるのでは?」
「勘繰りすぎよ」夫人は自分の考え事に戻った。
レシンガム卿は、しばらく夫人の顔を眺めた後こう言った。
「報酬しだいでは考えなくもない」
「報酬――、何ですの?」
レシンガム卿は茶目っ気たっぷりに片目をつぶってみせた。
「妻の唯一の欠点は、ダンスが苦手なことだ。それ以外は完璧な女なんだが」
そして、元の厳しい表情に戻ると言った。
「出来るだけのことはしよう。だが、あまり期待しないでくれよ」
「今日はだめだよ」兄の声は冷たく響いた。
替わりにぬるっとした感触が肛門の内外を這い回る。
続けて、何かがつるんと進入した。そしてもうひとつ。さらにもうひとつ。
ずべて入れ終わると、ヘンリーはお茶を淹れてくるからじっとしているようにと言い残して、部屋を出て行った。
お尻に違和感を覚えながらも、ロウィーナは言いつけを守り、兄を待った。
兄はなかなか戻ってこなかった。
待ちくたびれて、うとうとし始めていたロウィーナが、寝返りを打とうとした瞬間、
内臓を内側からかき回されるような激しい力を感じて、眠気は一気に吹き飛んだ。
何とかしようと身をよじると、さらに動きは激しくなる。
ロウィーナはのた打ち回った。
お尻に入れられたものを取り出したいのだが、手を拘束されているので届かない。
無理に手を抜けば、大切なリボンがちぎれてしまうかもしれないと考えたロウィーナは、
抵抗するのをあきらめ、兄の帰りを待つことにした。
まんじりともせずに横たわっていると、息苦しいぐらいの気持ち悪さが、ふいに気持ちよさにすりかわる瞬間が訪れる。
ロウィーナは、たまらなく切なくて、うわごとのように兄を呼び続けた。
終
え、エロい…(´Д`;)ゴクリ
作者さん超乙! この先が超楽しみ。続きもよろしゅう〜。
アルが嫌いなロウィーナたん激しく萌えだよ。
感想の直後に再書き込みで申し訳ないんだけど
ちょっとスレ住人に聞いてみたいことがある。
陵辱調教ものってさ、ラストに救いがある方がいい?(救出されるとか)
それとも完璧に堕ちちゃう方がいい?
それくらい自分で考えろ!(・∀・)アホタレ!
って気もするんだけどちょっと聞いてみたかった。
>>89 流れにもよるけど、基本、堕ちきる展開が好きだ
救出されたとしても、後遺症ばっちりで普通で満足できなくなってたりするなら良い
で、助け出した男が苦悩しつつそのプレイに付き合うとか
特殊な趣味かね、すまん
>>79-87 作者神、乙!
これが楽しみで毎日の巡回をしてますよ
日々に潤いをありがとう
>>89 救いがあるほうがいいなあ。
基本和姦が好きなもんで…
堕ちきるのもいいけど、読み終わったら辛いんだよね
お邪魔します。
こちらのスレに該当しそうな話が書けたので投下します。
苦手な感じのする方は、なにとぞスルーでお願いします。
それでは、「落日の女王」です。
93 :
落日の女王:2006/09/22(金) 15:04:34 ID:7hxLyCvw
本格的な冬の到来を前に、
長く歴史の続いた伝統あるその国はついに終息の時を迎えた。
雲の低く垂れ込める初冬の空に立ち昇っていたきな臭い黒煙の筋は細くなり、
ようやく収まる気配を見せている。
一ヶ月に及ぶ激しい戦闘が続いたが、城塞に家臣と共に立て篭り、自らも血刀を
振り回して抵抗を続けていた女王が捕らえられると、ようやくその戦いに決着が付いた。
バルクルド王国最後の要塞であったバグール城が陥落して、二日が経つ。
攻め入った新興国ダーミリアの兵士はよく管理され、略奪などによる混乱も起きず、
国内は表面上早くも落ち着きを取り戻しつつあった。
*
臨時の執務室で、男は征服地の治政者として、入れ替わりやってくる部下達に
指示を与えていた。
星が瞬く頃にようやく人の流れが途絶えると、
彼は部屋に一人残った灰色の髪の痩せた男に声をかけた。
「『あの件』はどうなった」
痩せた男は、それが今朝方祖国から届いたばかりの報告の事だと瞬時に判断し、
短く伝えた。
「男は何者かに襲われ、ブエルク川で死体が上がったそうでございます」
「そうか」
低くそう応えると、彼は椅子の背もたれに深く身を預け、独り言のように呟いた。
「これで彼女も心残り無く嫁ぐことが出来るだろう……」
痩せた男は何の感慨も無く、醒めた縹色の瞳で目の前の主人を見つめる。
彼女──彼の腹違いの妹、クレア王女は同盟を結んだ隣国の跡継ぎとの結婚を
頑なに拒んでいた。
その理由が、大して利用価値の無いある領主の息子の為だと知ると、
彼は躊躇う事無く、その障害を排除する為の計画を秘密裏に進めた。
恋に溺れ、日増しに痩せていく王女に対し同情の声を寄せる者も出始めていたが、
彼のこの冷徹さは、今に始まったことではない。
彼は顎に手をやり、壁の一点を見つめていた。
否、何処も見ていないかのような鉛色の空虚な瞳。
考え事をする時の、彼の癖なのだろう。
痩せた男は、目の前の王が次の行動を起すまで、影の様にその場で待った。
ダーミリア王の座に付いてからの、彼の精力的な行動には目を見張るものがあった。
とりあえずは、祖国に多大な利益をもたらすことになる今回の戦争の勝利で
この王を指して「あの若造が」などと陰口を叩く者の数が格段に減るのは確かだ。
94 :
落日の女王:2006/09/22(金) 15:05:49 ID:7hxLyCvw
「今日の仕事はとりあえず終わったな」
突然、小さな声で呟いたので、思わず聞き逃しそうになる。
「……?」
「今のところ、与えるべき者に与えるべき指示を出した」
「……」
「よし」
常に的確な助言をする側近が何も異を唱えないのを見やると、
彼はおもむろに立ち上がり、上着を羽織った。
「後はお前に任せる。邪魔するなよ」
「アストル様。どちらへ」
扉に向かう主に対して、男は訝しげに声をかける。
「…………野暮なことを聞くな」
彼の表情に薄い笑みが浮かんだ。
深々と頭を下げて見送る男の前を通り過ぎ、
寒気と静寂に包まれた暗い廊下に彼は姿を消していった。
*
以前は貴族が使用していた部屋の一室に監禁されてから二日目。
エルーザは女王の地位を失ってからは初めて相対する事になるダーミリアの王を
改めて凝視した。
一ヶ月に渡り戦った相手ではあるが、甲冑を脱いでこうしてじっくりと向き合うのは、
これが二度目になる。
一ヶ月前に初めて会った時程の違和感は無い。
だが、夜更けに突然一人で姿を現した彼を前にして、やはり彼女はこう思わずには
いられなかった。
────若い
耳を隠す長さの艶やかな黒髪に、強い力を宿す鉛色の瞳。
いくつもの戦場を駆け抜けた証であろう日に焼けた肌と、
服の上からでもわかる無駄な肉の無い引き締まった体。
その落ち着き振りからは、自分より年下と言う感は無い。
おそらくは、さほど自分と変わらない年の頃であろう。
95 :
落日の女王:2006/09/22(金) 15:06:49 ID:7hxLyCvw
バルクルド王国では、長らく、政治・軍事の主要な役職は全て老齢な者が
担うようになっていた。
そのため彼女は后の座に納まって以来、娯楽の場での吟遊詩人や役者などは別として
自分と年の近い男と間近で接する機会など、皆無に等しかったのである。
身近にいる一番若い男である彼女の夫でさえ、彼女より二回り以上年上であった。
故に、自分と大して違わない年であろう、このアストルと言う名の青年と、
彼を取り巻く側近達を初めて目にした時は、そのなじみのない光景に衝撃を感じたのだ。
アストルは椅子に腰を下ろすと、立ったまま自分を見続けるエルーザ女王に気が付き、
奥方様、と慇懃に声をかけた。
「お座り下さい」
「………結構ですわ」
涼やかで、しかし険しい口調の答え。
彼は少し困ったような表情を無防備に顔に浮かべたが、
すぐに気を取り直した様だった。
「喪服なのですね」
「夫の喪が、まだ明けておりませぬゆえ」
「お亡くなりになられた理由が、確か……心臓の発作、だったとか。
開戦前の話し合いでお目にかかった時には血色も良く、お元気そうでしたのに。
運命とは残酷なものだ」
「…………」
墨色のドレスを纏い、豊かな金色の髪を緩やかに結い上げた姿の女王は
アストルに鋭い視線を定めたまま、何も答えなかった。
再びの沈黙。
彼が来ると同時に、辺りは人払いがされ、
部屋には冷気と共に重い沈黙が沼底の泥のように広がっていた。
時折、暖炉で煌々と燃える薪が、ばちり、と爆ぜる。
暖炉の横に立つ女王の満開の花のような美貌は憂いを含み、皮肉な事にそれがより一層
彼女の輝きを際立たせていた。
目の前の若く美しい女王をゆったりと鑑賞しながら、重苦しい空気など
意にも介さずにアストルは口を開いた。
「何かご不自由はありませんか?」
その言葉を聞き、エルーザは反射的に両手首に意識を向けた。彼女の手は、先程
アストルが此処に来ると伝えられたと同時に縄できつく拘束されている。
しかし、言いかけて、一度言葉を飲み込むと、再び鮮やかな紅色の唇を開いた。
「……しらじらしい。こちらには何も言う権限などありません、今更」
96 :
落日の女王:2006/09/22(金) 15:08:05 ID:7hxLyCvw
「まあ、そう頑なに成らずに」
アストルは整った顔に品の良い柔らかな微笑を浮かべた。
「今日はね、私的に奥方様に聞きたい事があったから参ったのです。どうしても」
「………」
何も反応は無い。
だが、蒼く澄んだ瞳が僅かに揺らぎを見せた。聞いてはいるのだろう。
「聞くところによると、貴女と私は同い年だそうだ」
気さくな雰囲気を纏ったままで彼は話し続けた。
「初めて聞いた時には、驚いたのですよ。おまけに生まれ月が……」
相手の発言を促すようにアストルはそこで口を閉じ、暗い色の瞳で女王を窺った。
「……………10月」
沈黙に耐え切れず、誘導されるようにエルーザは自分の生まれ月を口にする。
「そう、生まれ月も同じ。侵略する側と、される側、こういう偶然もあるのか、
と面白く感じましてね」
国を動かした一大事の話なのに、まるで、天気の話でもするかのような口調だった。
「ご存知ですか?生まれ月が同じという事は、同じ星から力を受けているのだそうです。
その力によって、性格や、考え方が支配され、運命までもが影響を受ける。
いえ、占い師からの受け売りなのですがね…………貴女と私は、もしかしたら
似た者同士かもしれない、と。ならば一度、じっくりお話をする機会が欲しいと
思っていたのです」
「そんな話など、聞きたくも無い!」
エルーザは苛立ち、遮る様に言葉を放った。
「後の災いを防ぐ為に、禍根となるようなものは全て消すのがお前のやり方であろう。
今更世間話などして何になる。さっさと殺すがいいわ!」
「────お望みなら……いつでも殺して差し上げよう」
今までよりも僅かに低い声でアストルが言葉を発した。
「貴女を殺すことに、何か価値を見出した時には、ね」
自分を睨みつける女に対し、あくまでも丁寧に彼は言うが、
その瞳に冷酷な色が浮かぶのを隠す事はしなかった。
アストルが立ち上がると、女王はじり、と身を引いた。
「女王よ。貴女は立派なお方だ」
「………」
「バルクルド王の死後も逃げる事をせず、この国の為に自ら甲冑に身を固め
剣を抜き、先頭に立って最後の砦を守った」
起伏の少ない彼の発音を聞きながら、エルーザは後ずさった。
それに歩調をあわせるかのように、しかし距離を縮めながら
アストルはゆっくりと女王へ向かう。
97 :
落日の女王:2006/09/22(金) 15:09:19 ID:7hxLyCvw
ひやりとした空気が首筋を覆ったかと思うと、背中に硬く冷たい壁が当たった。
いつの間にか壁際まで追いやられ、しまったと思う間も無く、
体の両側の壁に手を付かれ、退路を絶たれる。
真近に寄られ、男の匂いを感じると共に、この男が見た目以上に背が高く体躯が良いと
いう事実を思い知らされてエルーザは息を呑んだ。
「怖いか?俺が」
女王を追い詰め、それを楽しんでいるかのように彼が尋ねる。
「…………若造が」
同い年、という理解は頭の中では出来ていたが、普段年老いた男ばかり見慣れている
王女の口から出た侮辱の言葉はそれであった。
エルーザがそう吐き捨てた瞬間、アストルは素早く彼女の腕をつかみ、乱暴に
自分に引き寄せた。
「一番嫌な言葉だ。挑発が上手いな」
そう言うと余裕の表情を浮かべたまま、アストルはせせら笑った。
「その言葉にいつも俺は苦労させられる。知っているか。その言葉の後にはこう続くんだ。
『何も持たないお前に何が出来るか』、と」
鉛色の瞳が、腕の中に収まりながらも、なおも勝気に睨み返す女王の顔を見下ろしていた。
蝋燭と暖炉の明かりに照らされ、赤みを帯びた滑らかな頬。
良く見れば僅かに紫がかった蒼い瞳には、怒りと恐れが滲み、
劣情を煽るように煌いていた。
硬く閉じられた紅い唇に、白くて柔らかそうな胸元。
濃い無彩色の喪服は、滴るように瑞々しい彼女の色艶を引き立たせるに
ふさわしい衣装だった。
美しい。
三年間の婚姻生活でも、この国の王に子は出来なかった。
三年間も、この女はあの無能な王に飼い殺しにされていたのか。
「来い。誇り高き、落日の女王よ」
エルーザの両手首を縛めた縄を掴みそれを掲げると、
冷暗な目の男は口の端を僅かに吊り上げ、笑った。
「お前は陥落したのだ。この国と共にな」
アストルは王女を引き摺るようにしながら隣の間へ向かった。
抵抗を試みたが、力の差は歴然であった。
天蓋の付いた寝台に荒々しく放り込まれる。
力任せに寝台に打ち付けられるように投げ出され、その衝撃に一瞬視界がぶれ、
焦点を失った。
98 :
落日の女王:2006/09/22(金) 15:10:26 ID:7hxLyCvw
目の前の男をその瞳が再び鮮明に捕らえた時には、
男が短剣を掲げ、こちらの喉元へと突きつけるところだった。
殺される、と覚悟を決め目を瞑る。
だが、訪れたのは痛みではなかった。
体ごと服が引っ張られる感覚と共に、何かを切り裂く音がエルーザの耳を襲った。
ビィィィ───ッ!
短剣の刃先が女王の喪服を胸元から腹までを一気に引き裂いた。
「嫌!」
愕然としてエルーザは叫んだ。
「何をするの! お止めなさいっ」
短剣を握るアストルの右手を縛められた両手で掴み、ぎりぎりと爪を立てる。
掌の肉に爪が食い込み、血が滲みはじめた。
「───暴れるな。肌まで切られたいか」
その抵抗に少しも怯む様子も無く、アストルは低い声で告げると
彼女の手を振り払った。
「無礼者め!」
エルーザの死に物狂いの抵抗が続いた。
だが、アストルを押し止めようとする手はその度に払い除けられ、
その隙を突く様に喪服が切り刻まれていく。
話によれば、アストルは先代の皇帝の庶子という事だった。
正式に認知されてはいるものの、彼は遺言によって皇帝の死後もなお
5年はその存在を公にされることは無かった。
彼が皇帝の血を引く者、と言う認識の下に表舞台に立ってからまだ日は浅い。
加えて、生まれた場所も母親の名さえも曖昧で、
何処の馬の骨かわからないに等しかった。
白いシーツの上に、墨色のドレスの切れ端が幾重にも散った。
ズダズダになった喪服の下から、滑らかな曲線で形作られた体が曝け出されていく。
それが済むと、アストルは短剣を寝台の柱に深々と突き立てた。
エルーザの手首を頭上に押さえつけると、
暗がりの中で白く浮かび上がる彼女の裸体を見下ろした。
「いい眺めだ」
豊満な胸に片手が伸び、乱暴に揉みしだく。
「い、いや……っ」
「せっかくだ。ここは素直に貴女も楽しんだらどうです」
「誰がお前などと……くっ」
生暖かい舌の感触を胸に感じ、エルーザは歯を食いしばった。
「なら、精々堪えるんだな」
舌が螺旋を描くように乳房を舐めあげ、桃色の乳輪をなぞるように触れた。
99 :
落日の女王:2006/09/22(金) 15:11:48 ID:7hxLyCvw
硬くなった先端をゆっくりとねぶり、舌先でそれを転がし口に含むと、
ちゅ、ちゅく、と吸い付いた。
「……………っ!」
おぞましい感覚に身震いし、必死で腕を振り解こうとしたが、
男の片手はびくりとも動かない。
執拗に弄ばれる胸の刺激を振り払うようにエルーザは何度も頭を横に振る。
胸の上で動いていた手が、首筋を撫で、体のラインをなぞるようにもう一度胸を通り、
下へと伸びていった。
「離して! お止めなさいっ!」
脚を閉じたが、そこをこじ開けるようにして男の手が入り込み、脚の間を探る。
「……くっ………」
王女は必死に声を出すまいとしていた。
アストルの指がぬるぬると太腿の間で行き来する。
エルーザの口から漏れる息に乱れが混じった。
「濡れてきたぞ───感じているのか」
興奮の入り混じった声で、アストルが囁いた。
彼女は顔が火照るのを感じながら、悔しさに唇を噛み締めた。
恥辱に歪む王女の顔を眺めながら、男は指でゆっくりと秘裂をなぞり上げた。
繰り返し、何度も。
指の当たる所からくちゅ、くちゅと湿った音が立つ。
「ふっ……あぁ………はぁ……」
綻んだ唇から、いつしか小さい喘ぎが漏れていた。
嫌悪感と共に湧き上ったもう一つの何かが、体の中でうごめき始める。
「気持ちいいんだな?」
「いや…違うわ。……止めて」
紅潮した顔でエルーザは弱々しく頭を振った。
痺れるような感覚が細波の様に体の中で湧き上り、快楽に炙られていく。
男の体の重みを、嫌と言うほど思い知らされながら
甘美な快感に流されぬよう、自尊心の端に縋りついた。
「男は久しぶりか」
「…………下衆めが」
女王は羞恥に震え、息を殺した。
駄目だ……感じてはいけなのだ。
──この男に屈してなど…
100 :
落日の女王:2006/09/22(金) 15:14:05 ID:7hxLyCvw
はじめて彼を目にした時、その存在感に圧倒された。
女王に発言権は与えられず、エルーザは交渉の席のうしろに控えてアストルの姿を見た。
知性と気品に溢れる態度を取るかと思えば、時に獅子のように恫喝し、
意のままに相手を追い詰めていく。
一瞬のうちに相手の腹の底を探り、巧みな話術で周囲を自分のペースに巻き込む、
冷静で、粘り強さをもつ権謀家。
威厳、若さ、揺らぐことの無い攻めの姿勢。
敵でありながら、王たるべき器を持つ男の姿に目を奪われた自分自身に
戸惑いを覚えながらも、その気持ちをどうする事も出来なかった。
この男と、別の形で出会えていたら──
だが、それは何と不毛な考えであろう。
*
乱れる女王の心を弄ぶかのように秘部を探る指の動きが一旦止り、
エルーザは安堵の息をついた。
だが、それも束の間。
骨ばった指が中まで入り込み、思わず声が上がった。
「──あああっ!」
ゆっくりと、指は抜き差しを繰り返した。
それと同時に、敏感な肉の芽を捕らえられ、擦るように刺激される。
「い……嫌。………やめ…て………」
抗いがたい快感が全身を襲った。
拒絶を示そうとする声に甘やかなものが滲み出る。
「はあっ……ん……やぁ…………ああ…」
熱い蜜が零れんばかりに溢れるそこを、男の指がかき乱していった。
屈辱の行為でありながら、その愛撫は決して身勝手で粗雑なものではなかった。
頑なな体と共に、心さえも解す様に。
絶え間なく与えられる淫らな刺激に、いくら堪えようとしても洩れる喘ぎを
止めることが出来ない。
一目見て魅入られた男に抱かれているという悦楽と、
敵の男に肌を許してしまったという背徳。
それらが入り混じり、淫靡な炎となってエルーザを襲った。
理性を保とうとする心の中が、しだいに緩み、溶かされていく。
女王の心が崩れる寸前に、アストルは体を離した。
力が抜け、短く荒い呼吸を繰り返すエルーザの体をうつ伏せにする。
虚ろな表情を浮かべ、女王はもはや抵抗も無くそれに従った。
101 :
落日の女王:2006/09/22(金) 15:15:27 ID:7hxLyCvw
滑らかな腹に腕を回し、持ち上げ、腰を突き出すようにさせる。
女王に四つんばいの体勢を取らせ、アストルは背後からゆっくりと
自身の猛りきったものを、充分に蕩けたぬかるみの中に押し込んでいった。
「ああ………」
もはや女王としての威厳の感じられない、唯の女の甘い鳴き声が口から零れた。
「気高くて、美しい女王よ」
アストルは後ろから彼女を抱きかかえ、柔らかな耳朶の側で囁いた。
腰に回していた腕を、撫で上げるように胸に伸ばしていく。
次には男の荒々しい動きがくるであろう、エルーザはそう思った。
しかし、彼はその固く熱いものを埋め込んだまま、動こうとはしなかった。
エルーザの雌の部分が、切なげに疼いた。
アストルはそれを無視しながら、「可愛いエルーザ……」とその耳元に甘く囁いた。
「………バルクルド王を殺したのは、お前だな?」
エルーザの体が強張った。
快楽に霞んだ意識の中でかろうじて我を取り戻し、口を動かす。
「馬鹿な………」
アストルはそのまま、豊かな胸を弄ぐりはじめた。
下から持ち上げるように撫でまわし、乳首を指の間に挟み、擦る。
「あの王は、俺が申し入れた講和を無条件で受け入れるつもりだった。
お前はそれを阻むために王を殺し、開戦したんだ。そうだろう」
「………証拠が無いわ」
「証拠は無いがな、俺がお前の立場なら、そうした。
その後戦うかどうかは、別としてだが」
「馬鹿馬鹿しい」
体に篭った熱を持て余しながら、エルーザはシーツに顔を埋め
気だるげに吐息を漏らした。
「私は貴方とは違うわ……」
「いいや、同じだ」
「……何を根拠に」
埋め込まれた幹に肉が絡みつき、本能の部分が彼の律動を求めひくついている。
「あの時──、俺が講和の交渉に来た時だ。
お前は王の後ろに控えていたろう。
お前の夫が明確な考えがある訳でも無しに『とりあえず返事を何日か待って欲しい』
などと生ぬるい事をぬかした時に彼に向けた、あの射るような眼差し。
あれで確信したんだ。お前は俺と同じ種類の人間だと」
「何を……」
愛撫は与えられるものの、いつまでも動き出さない男にじれて、女は呻いた。
「勝手な憶測だわ」
102 :
落日の女王:2006/09/22(金) 15:17:55 ID:7hxLyCvw
堪えきれずに自ら体を揺らそうとするエルーザのくびれた腰を掴み、
彼女が快楽を手繰り寄せようとするのを阻む。
「なあ、教えてくれ」
じりじりと甘い苦痛で絞め上げながら、蛇のようにアストルは後ろから耳元で囁いた。
「お前はどういう理由で王を殺した?……いや、違うな。なぜ夫より、国を選んだ」
「う……」
「答えろ」
低い声が響いた。
「言えば、続きをくれてやろう。───言っている意味が、わかるな?」
自らの体の渇望に、もはや堪えることは出来なかった。
もう、どうなろうとも構わないというある種の吹っ切れた気持ちと共に、
今は目の前にある快楽にただ身を委ねたい、という欲求が女王を飲み込んだ。
「あの男は、……腰抜けだ」
じっとりと汗の滲んだ体で、王女は吐き捨てた。
「二つに分裂しかけたこの国を再び一つにまとめる為に……私はあの男と結婚したのよ。
それなのに、あの男はたいした抵抗も示さずに、あっさりとこの国を手放そうとした」
「それで、殺したんだな」
アストルがゆっくりと前後に動き出した。その息遣いが荒くなっている。
「………そうよ」
女は呻く。
だが、それは、この国の者でさえも知らない事だ。
古くから自分に仕える、僅かな理解者を除いて。
葡萄酒に混ぜた毒を口にして死んだ王は、誰からも心臓の発作で亡くなったと
思われながら葬られた。
寄せては返す熱い波にエルーザはついに官能の息を吐いた。
ゆっくりと腰が引かれ、そのままの速さで疼きの中に押し込まれていく。
「残忍な女だ」
楽しげな囁き声が耳を擽る。
「………そうよ」
「血も涙も無い」
「仕方ないもの…………あ、はぁ……ん…」
「思った通りだ」
再び腰を引かれ、今度は最奥まで激しく貫かれると、女王は高い声を上げた。
「───ああっ!」
103 :
落日の女王:2006/09/22(金) 15:19:38 ID:7hxLyCvw
荒々しい揺さぶりに、エルーザは耐え切れずに喘ぎ続けた。
「あっ…あっ……あ……あぁっ…んっ………ああ……」
絡みつく硬く柔らかな肉の壁を押し分けて、猛りきった男のものが奥へと進む。
腰が引かれると、引き戻そうとするかのように、ずるっと肉の襞がそれを扱いた。
繰り返される往復の摩擦に、蕩けるような熱さが生み出されていく。
快楽に呑み込まれ、激しく腰を打ち付けられる度に女王は淫らな声を上げた。
手首を縛める麻縄が、今までの抵抗で皮膚に食い込み、血を滲ませていた。
だが、目の前にありながら、最早エルーザの瞳にはそれは映っていなかった。
容赦の無い攻めが、犬の様な姿の美しい王女を恍惚へと陥れていた。
「ああっ…ああん………あぁんっ……」
「すごい……良いな」
アストルは熱の篭った声で呟いた。
「締め付けて、離さないじゃないか──こういうのが、好きなんだな?」
「いや……いやあぁ………」
痺れるような甘い刺激が背中を昇り、エルーザはすすり泣き、喘いだ。
「こういうのが、欲しかったんだろう? ほらっ!」
腰を掴んだ掌に力を篭め、奥深くを抉るようにアストルは激しく腰を動かし続けた。
「ああっ!…やっ………やぁん…ああんっ…」
もはやその声は、誇り高い女王のものではなかった。
男に貫かれ、悦びの声を上げる雌の声。
最奥まで幾度も突かれ、夢中で喘ぎながらエルーザは絶頂へと追いやられた。
膣壁が男のものをくわえ込み、擦り上げるように蠢き、収縮する。
アストルは息を詰めて動きを早め、欲望の塊を女王の体内に吐き出した。
*
暗闇と共に部屋に入り込んできた男と迎える、2度目の夜明けが近づいていた。
「行くの?」
「──ああ」
蝋燭の明かりの元で服を身に着けたアストルが短くそう答えると、
寝台に横たわったまま、エルーザは腕を伸ばした。
手首にうっすらと紅い跡を残した手で彼の腕を掴む。
「殺してくれればよかったのに……」
感情の篭らない声で女王は静かに呟いた。
「貴方に殺して欲しかった。……勝利か死か、それ以外なんて欲しくは無かったもの」
蒼い瞳に無言で自分を見つめる若い王を映しながら、女王の言葉は続いた。
「誰かに跪き、その陰に生きるくらいなら、いっそ潔く散りたかった。
誇り高いバルクルドの女王のままでありたかった……」
アストルは、力無く横たわるエルーザの頬を撫でた。
104 :
落日の女王:2006/09/22(金) 15:21:20 ID:7hxLyCvw
「残念だがそのどちらもお前に与えることは出来ない。お前は生きるんだ。
俺の様に地をはいつくばってでもな」
「………」
「敗因はお前にあるのではない。この国はもうとっくに腐りきっていた。
指導者達は老いてもなおその地位にしがみつき、私服を肥やすばかりで国政を
省みなかった。……円滑な世代の交代が行われずに、もはやお前一人の力では
どうにも成らないほど、この国は腐り、正常には機能しなかった」
エルーザは瞳を潤ませ、彼を見詰めた。
「もし非があるとすれば、強いて言えばこの時代に、この国に生まれた、という事
くらいか…………。悔いるのは無駄なことだ」
頬を撫でていた指が離れた。
アストルは来た時と同じように、静かに独りで部屋から出て行った。
鉄の装飾の施された重厚な扉が重く開き、ゆっくりと閉じられていく。
もう二度と彼はこの部屋には来ない、そんな気がした。
そして自分も近々此処では無い何処かに行くのだろう。
別の形で出会えていたら──
…………その様な事を考えて、何になる。
エルーザは瞼を閉じた。
体は水を含んだ毛布の様に重く、疲労している。
濁流に呑まれる一枚の落ち葉のような己が身だが、今は何も考えまい。
先の事など何も見い出せぬまま、女王は一糸纏わぬ姿でシーツに包まり、
深い眠りに付いた。
*
アストルが湯浴みを終え、湯気の立ち込める部屋で小姓に髪を梳かせていると、
痩せた男が苦い顔をしてその場に姿を表した。
「なんだ……まだ夜明け前だというのに。お前がわざわざ此処まで来ることは無かろう」
袖のボタンを留めながら、アストルは男に声をかけた。
「今から執務室へ行こうと思っていた」
「今後このような真似はお控えなさいませ。他の者への示しが付きませぬゆえ」
「丸一日閉じ篭ったのは悪かったが、緊急の用の指示はその都度出しただろう。
少し羽目を外しただけだ」
黙り込み目で咎める男の前で、アストルは皮肉気な笑みを口元に浮かべた。
「どうせ俺は『若造』だからな。この位はご愛嬌だ」
「………王」
「わかっている。もうこんな事は無いから安心しろ」
「御早く。昨日から各国の使節を待たせております」
「ああ」
105 :
落日の女王:2006/09/22(金) 15:23:00 ID:7hxLyCvw
アストルは身なりを整え歩き出すと、後ろに従う男に尋ねた。
「客の中にパラドバからの使節は来ているか」
「はい。女王の身柄の引渡しを要求しております」
「やはりな」
パラドバの皇太子妃はエルーザの実姉であった。
エルーザとは異なる気質の、肉親を大事にする人情家。
その夫である皇太子は妻に甘いと聞く。
「せいぜい高く売りつけてやれ。交渉はツェドとボルワースの2名がいい。
つめの段階まで来たら俺も顔を出そう」
腹心の部下は後を追いながら一瞬怪訝な表情を浮かべ、主の横顔を見た。
「それでよろしいのですか?」
「ああ。これからも金はいくらでも必要だろ」
「しかし、あの女……生かしておけばいつか再び牙を剥くかも」
「それは面白いな」
乾ききらぬ前髪の奥で、鉛色の瞳がいつもと変わらぬ冷たい光を放っていた。
彼らしくない。
自分の前に立ち塞がる者へは容赦が無い。それがアストルという男であった。
外国からの釈放の要求を蹴って、おそらくは処刑か、
良くても自害させると思ってその心算をしていたのに。
男は眉を顰めた。
情に流されたか?
否。この若い王がそのような者ではないという事を、男は良く知っていた。
──だが、あの部屋で、女とどんな交渉があったのかは知りようが無い。
多くの者はまだ眠りの中にいた。
白み始めた空の気配は未だ城の奥深くには届かず、
身を切るような冷気が、湯に馴染ませたばかりの体を芯まで冷やしていく。
険阻な顔つきの男を従えながら、若い王は女の事を考えていた。
由緒正しきバルクルドの末裔。正当な血統か──
「そんなもの……」
彼の微かな呟きは、暗い廊下に響く乾いた足音に紛れ、従者の耳に届いてはいなかった。
(落日の女王 END)
106 :
落日の女王:2006/09/22(金) 15:23:44 ID:7hxLyCvw
以上です。
読んでくれた方、どうもありがとう。
GJ!話の展開が良くて思わず引きこまれたよ。
続編はあるの?あるならぜひお願いします。
GJ!
面白かった。自分も続編キボンです
前スレ、前々スレに投下しました「テオドルとアーデルハイト」の続きを投下します。
前回から時が流れ、結婚1年後くらいのお話です。
110 :
ふたりは:2006/09/23(土) 21:52:39 ID:47rqCGO6
国王テオドルは久々に妻の寝室へと急いでいた。
この廊下を歩くのは三月ぶりだ。
彼は今日まで北に隣接する公国征服の遠征に出かけていたのだ。
三月前、北の公国の正規軍がこの国に侵攻した。
テオドルは数年前から数々の陰謀の種を周辺諸国にばら撒いている。
国王となりアーデルハイトを手に入れたときに、種は役目を終えたのだが、彼はそれらを
回収することなく放置しておいたのだ。国家が正常に機能していれば自然にしおれる類の
ものであったが、そのいくつかは今でも順調に育ちつつある。
公国の侵攻はそのうちの一つが実った結果だった。
テオドルは既に公国征服の手筈を整えていた。
彼は最初の一月で電撃的に公国を征服し、残りの二月で支配の基盤を固め、急いで本国
へと帰還した。
まだ内政に不安が残っているためでもあるが、この寝室へと足を踏み入れることが最大の
理由であった――
勢いよく開いた扉を目にして、アーデルハイトは手にしていた書物を閉じた。
山羊革に精緻な金の箔押しが施された重厚な装丁の聖書だ。所々に手ずれができ、鈍く
色あせている。
テオドルがずかずかと歩み寄ってきた。アーデルハイトの手元を一瞥する。
――そこまで読み込む価値のあるものだろうか。
腹が膨れるわけでもなし、随所にまぎれる矛盾点に神経をすり減らすのが関の山だ。
その数分の一でも良いから夫に目を向ければ良かろうに。
彼はそう思ったが、口には出さなかった。
信心深いアーデルハイトに頭の固い聖職者たちを任せるおかげで、彼は随分と楽をさせて
もらっていたのだから。
111 :
ふたりは:2006/09/23(土) 21:53:15 ID:47rqCGO6
お帰りなさいませ。ご無事で何よりでございました」
アーデルハイトは立ち上がり、優雅に頭を下げた。日中に行われた凱旋式で既に公の
挨拶は済ませていたのだが、まだ近しく言葉を交わしていなかったのだ。
感情を廃した儀礼的な声を不満に感じつつ、テオドルはその肢体をふんわりと抱くと、
挨拶のための軽い口付けを交わす。
時間が彼女の抵抗を少しずつ削いでいった結果、今ではよほど意に沿わぬことをしない
限り、抵抗されることもない。
「この通り無事帰ってきた。お前の期待に添えぬのは残念だが」
彼の腕の中で、アーデルハイトは憮然とした表情を浮かべ、ふてぶてしい笑みを浮かべる
夫を上目遣いに睨んだ。
親の敵であってもその不幸を祈るほど堕ちてはいないということだろうか。胸板に両手を
当て、彼を押しのけようとか細い腕を突っ張っている。
テオドルは身体をずらしてそれをやり過ごし、するりと背後にまわって妻の肢体を抱え
なおした。
片方の腕で腰を抱き、もう片方の掌は乳房へと伸ばす。豊かな髪に顔を埋めて妻の馨りを
確かめ、軟らかい夜着の上からそっと感触を確かめる。
張りと弾力のある椀型のそれは、ぴったりと彼の手になじむようになっていた。
テオドルは自らの無事を少しだけ神に感謝し、あわてて先ほどの侮辱への謝罪のことばを
胸中で付け加えた。
112 :
ふたりは:2006/09/23(土) 21:53:52 ID:47rqCGO6
「そのように命を軽んじていらっしゃるから、戦などという恐ろしいことができるのですね」
テオドルの感動とは裏腹にアーデルハイトの声は冷たかった。
出征前に最小限の戦闘で済ませるようにと何度も彼に懇願していたのだが、それが
聞き届けられなかったのだ。
「今度の戦は避けられるものではなかった。それに南の異教徒の脅威を考えれば、
後顧の憂いを断ち、国力を充実させておくにこしたことはない」
「神の御名のもと、帝国を中心に各国が協力すればよろしいではありませぬか」
「はっ!」
テオドルは笑い飛ばした。
「何を寝ぼけた事を。奴らが信用に足ると思うのか。互いに足を引っ張り合ってもたもたして
いる間に異教徒はなだれ込んでこの都を焼き払い、お前をハレムの女にするために攫って
行くだろうよ」
たとえ話とはいえ、舌に乗せるだけではらわたが煮えくり返る。乳房を握る手に力がこもり、
アーデルハイトは苦しげに顔をゆがめた。
「俺には国とお前を守る義務がある。俺が国王になってから、この国に何か不幸があったか?」
アーデルハイトは瞳を背けた。テオドルを王としてから、この国は良いことずくめである。
租税は減免されて民は潤い、工業や農業、交易が奨励されて国が豊かになりつつある。
福祉の充実と文化の発展はアーデルハイトの努力によるところも大きいが、思想の自由と
王家の援助を求めて各国から学者や芸術家がなだれ込み、都は華やぎを増した。
人が金を呼び、金が人を呼んで西の帝国の都に勝るとも劣らない賑わいを見せている。
「いずれ帝国に成り代わり、異教徒どもを故郷の砂漠へと追い払う。そしてこの大陸の隅々
までもお前の掌に載せてやろう。お前は大陸一幸せな女になるんだ」
テオドルは妻の艶やかな髪を掻きあげ、白く透ける皮膚に唇を這わせながらささやきかけた。
「そのようなもの、わたくしにとっては幸せでも何でもありませぬ」
久々の刺激に身を震わせつつも、アーデルハイトは拒絶した。
「愛嬌のない女だ。欲しい物があれば素直にねだり、くれる物は礼を言って受け取れば良い
ものを――」
アーデルハイトが黙り込んだため、不毛な問答は中断された。
テオドルはそれ以上何も言わなかった。三月ぶりに抱く妻の身体に集中したかった。
113 :
ふたりは:2006/09/23(土) 21:54:24 ID:47rqCGO6
「ああ、少しお待ちになって」
アーデルハイトは寝台へと引いて行こうとするテオドルの手を振り払った。
机へと駆け戻ると、聖書を脇に除けてその下から分厚い羊皮紙の束を取り上げる。
「そんなものは後でいい。読んでおくからそこに置いといてくれ」
テオドルの表情がたちまち不機嫌なものに変化したが、アーデルハイトは意に介さ
なかった。
「そうはいきませぬ。明日は朝から御前会議がありましょう?今のうちにお伝えしておき
たいのです」
「わかった。聞こう。ただし、こっちでな」
彼は寝台に上がって胡坐を組むと、その膝を叩いてアーデルハイトを促した。
書類を持ったアーデルハイトがおそるおそる歩み寄る。テオドルはその身を素早く絡め
取ると自分の膝の上に乗せた。
妻の躯ごしに書類を手にしたテオドルは、素早く繰りながら目を通していく。
アーデルハイトはその手と目の動きに合わせていくつかの注意を言い足していった。
留守中、彼女には国政のすべてを委任していた。
主だった案件はすでに重臣から報告を受けていたが、為政者としての見解はまた
別のものである。
案の定、いくつかの食い違いが見つかり、彼はその情報を整理して再び施策の案を
練り直した。
アーデルハイトの対処と報告は的確であり、テオドルは彼女に国政を任せたことは
正しかったと確信した。
元々聡明である上に、女王となるための教育も受けてきただけはある。物事を俯瞰して
本質を見抜く力があり、考え方も柔軟だ。
潔癖すぎるきらいがあるため外交や軍事には向かないが、もう少し彼の仕事を分担
してもよいかもしれない。
アーデルハイトには今少し時間の余裕がある。骨惜しみをしない真面目な性格だから、
仕事を任せれば喜んで引受けて貰えるだろう。
テオドルの負担が軽くなれば、こうして二人で過ごす時間も増えるというものだ。
――そろそろ子ができても良い頃だ。
腕の中の軟らかい肢体を撫でさすり、時おり耳元や首筋に唇を押し当てながら、彼は
そのように思いを廻らせた。
114 :
ふたりは:2006/09/23(土) 21:55:13 ID:47rqCGO6
「聞いていらっしゃるのですか?」
うわずった声を押し殺すようにアーデルハイトがたずねた。耳の輪郭をテオドルの舌が
なぞっている。
「ああ、聞いているとも」
テオドルは耳孔に熱い息を吹き込むように、低い声で自分の見解を述べた。
手元の書類は最後の一枚まで辿り着いていた。
「良くやってくれたな。感謝している」
彼は素直に謝意をあらわした。
「褒美をやらねばな。存分に可愛がってやろう」
「そのようなも……あっ!!」
テオドルが肩を強く抱いたため、書類が舞い上がって床へと散らばる。
「放っておけ。朝にゆっくり拾えば良いさ」
書類の後を追って寝台から落ちそうになったアーデルハイトを抱えなおすと、その細い
肩を寝台に押し付けた。
テオドルは妻の夜着に手をかけた。
軟らかく結ばれた薄絹の帯を解き、前をはだける。
あの夜以来、アーデルハイトは衣服で武装することをやめていた。
その代わりなのだろう。鈍く光る銀の十字架を常に首から下げている。
王家に古くから伝わる由緒のある品らしい。
不必要なほど精緻な細工で磔刑に処された神の子が浮き彫りにされており、その虚ろな
瞳が情事のたびに彼を見上げるのだった。
テオドルは胸元からそれを払い除けた。
鎖を引きちぎって投げ捨てることは簡単だが、あえてそうはしない。
すべての誇りを奪ってしまえば、人は自分を見失ってしまうことを彼は知っていた――
115 :
ふたりは:2006/09/23(土) 21:56:09 ID:47rqCGO6
指と舌を駆使した丹念な愛撫がアーデルハイトに与えられた。
弱点を知り尽くした指が複雑な曲線を描いて滑らかに滑り、それを追うように舌が
きめ細やかな肌を征服していく。
アーデルハイトは相変わらず一言も発しない。しかし時おり唇を突いて出る吐息は
かぎりなく熱かった。
――そろそろ先に進んでも良さそうだ。
与えられる快楽と闘うかのような悩ましげな表情を横目で眺めながら、テオドルは
妻の躯に蒔いた種も成長しつつあることを実感していた。
「な、何をするのですか!!」
テオドルの頭が股を割ってその間に潜り込もうとしたため、アーデルハイトは驚いて
声をあげた。
褐色の頭に右手をかけ、力の限りに押しやろうとする。
「良いことだ」
新鮮な反応に内心喜びつつ、テオドルはその手を易々と引き剥がしてシーツに押し
付けた。
あらためて頭を股の間にねじ込もうとする。
「そのようなこと、子を成すためには必要ないではありませぬか!」
今度は左手が彼の侵入を阻む。
「夫婦が分かり合うためには必要だ」
左手も引き剥がしてシーツに押し付けつつ、三たび侵入をはかる。
しかし、アーデルハイトはその腿をきつく擦り合わせてあくまでも彼を拒んだ。
テオドルは肩から割り入ろうとしたが、両手が使えないため思うように力が入らない。
「開け」
「嫌です」
アーデルハイトはきっぱりと即答した。
テオドルは顔を上げてため息をつく。
黒暗色の瞳に、二人の身体の下でもみくちゃにされている薄絹の帯が映った。
テオドルはにやりと笑った。帯の端を掴んでひっぱり出す。
意図を察し身構えた妻を、彼は易々とひっくり返し、肩のあたりに絡み付いて残って
いた夜着を剥ぎ取った。
絹地がするすると爽やかな音を立てて滑る。
アーデルハイトはいとも簡単に後手に縛り上げられてしまった。
116 :
ふたりは:2006/09/23(土) 21:57:08 ID:47rqCGO6
テオドルは自分の夜着を手早く脱ぎ捨てた。
「さて」
準備は整った。アーデルハイトを引き起こしてその表情を確認する。
怒りと羞恥で真っ赤になっているが、彼を睨みつける深い青い瞳に怯えの色はない。
「解きなさい!」
「嫌だ」
今度はテオドルが即答した。先ほどと逆の問答になっているのが妙に可笑しい。
彼は口の端に笑みを浮かべ、後ずさりする妻をじわりじわりと追い詰めた。
アーデルハイトの背が寝台の框組に当たった。
テオドルは手早くその腰の後ろに枕を押し込んで上体を安定させる。
もがく腿を捕らえてしっかりと両脇に抱え込むと、躊躇なく頭をその間にもぐりこませた。
両手が使えないため鼻先で柔らかな茂みを押し上げると、舌をとがらせて包皮をめくる
ようにほじくり出し、桜色の小さな核に吸い付く。
「……!!」
アーデルハイトはびくびくと身体を反らせた。
仰け反る白い喉に筋が浮かぶ。精一杯食いしばられた奥歯がきりりと小さな音を立てた。
指先よりも繊細で、しかしねっとりと執拗な愛撫が与えられていた。
強く吸い上げ、放して舌先で混ぜ返す。歯列に口唇を被せて甘噛みし、こりこりと強い
刺激を与える。
やがて、彼の愛撫を拒むかのようにぴったりと閉じていた花弁がゆるやかに開き、透明な
露を浮かべては滴らせた。
テオドルはそれを舌で受けてはすくい上げ、肉芽に塗りつけて舌の腹で捏ね回した。
アーデルハイトはそのたびに息をのみ、深く吐き出し、抱えられた脚を強く硬直させては
脱力させた。
テオドルはひくつく花芽を舌先で転がしながら、上目遣いに妻の表情を観察した。
白くなめらかな腹の向こうにふたつの椀形の双丘が見える。下からながめるそれは
たっぷりとした量感をもって彼の目に迫っていた。
その谷間の奥に、耳まで真っ赤に上気したアーデルハイトの顔が半分だけ覗いている。
固く瞳を閉じており、寄せられた眉根が妙に婀娜めいていた。
彼はもういちど肉芽に吸い付いた。アーデルハイトがふたたびのけぞり、白い乳房が
ぐん、と突き出され、朱に染まった顔が視界から消えた。
117 :
ふたりは:2006/09/23(土) 21:57:42 ID:47rqCGO6
テオドルがようやく頭を上げた。
アーデルハイトは全身を朱に染めてぐったりと横たわっていた。
彼の舌にさんざん弄られた肉芽は充血してぷっくりと突き立っている。秘裂からは蜜が
とめどなく滴り落ち、寝室の灯火を反映してきらきらと輝いていた。
――綺麗だ。本当に。
内心でテオドルは賞賛した。
あでやかに開花した妻の姿にうっとりと目を細め、その内腿に頬を寄せる。
「――!!」
突然、頭部に鈍い衝撃を受け、視界に火花が散った。
テオドルは無言で突っ伏し、シーツに顔を埋めた。
妻は弛緩しきったものと油断していたところを、アーデルハイトが踵で蹴りつけたのだ。
テオドルは蹴られたところに手を当て、眉間に皺を寄せて彼女を睨んだ。
アーデルハイトは身をすくめたが、その視線を正面から受け止め、はね返した。
殴り返されるくらいのことは覚悟していた。
だが、テオドルは高らかに声をあげて笑い出した。
アーデルハイトが怪訝そうに眉をしかめる。
テオドルははしたない脚を捕まえると、白い脛を愛しげに唇でなぞった。
「とんだじゃじゃ馬ぶりだな。ずいぶんとしとやかになったかと思っていたが、変わっていな
いようだ。――ああ、お前は覚えていないかも知れんが、俺が初めてお前に拝謁した日の
ことだ。お前は馬を走らせたがって、俺や侍従たちを困らせていた――」
118 :
ふたりは:2006/09/23(土) 21:58:33 ID:47rqCGO6
アーデルハイトは覚えていた。
微笑と困惑を同時に顔に浮かべ、馬上ではしゃぐ王女をまぶしそうに見上げる少年の
姿を。
意思の強そうなきりりとした眉と、誠実そうな光をたたえた黒暗色の瞳が印象的だった。
彼のように一目で恋に落ちるようなことはなかったが、姉妹だけで育った彼女は、彼の
ような兄がいたらよいのにと憧れの気持ちを抱いたものだった。
そう思い出しているうちに、彼女は一つの可能性に気が付いた。
彼女が変わったように見えて、その本質は変わっていないように、彼の本質も変わって
いないのではないだろうか、ということに――
しかし、彼女はすぐにその考えを追いやった。追いやらざるを得なかった。
テオドルが帯を解いた彼女の躯をうつ伏せに返すと、その尻に熱く硬いものを押し付け
たのだ。
アーデルハイトは這いつくばって逃れようとしたが、がっちりと腰を押さえられており、敵う
ものではなかった。
テオドルは熱い坩堝に侵入を開始した。
ゆっくりと奥まで差し入れ、ずるりと入り口まで引き戻す。蜜の海に漂う感覚を愉しみつつ、
じわりじわりとその動きを速めていく。
前側から指を伸ばすと、先ほど舌で苛んだ肉芽を今度は指先で玩びはじめた。
愛情のすべてを傾けて、頑なな妻の心を快楽の海へといざなっていく――
アーデルハイトは内心狼狽していた。
いつもならば湧き上がろうとする快感を無視し、不快感のみを意識することで自分を保つ
ことができていたのだ。
しかし今宵は、感覚自体は変わらぬものであるのに、いつもの不快感ではなく甘美な痺れ
が身体じゅうを駆け巡るのだ。
淫猥な蜜壷と化した下半身からはくぐもった水音が常にひびき、テオドルの指先が肉芽を
つまむたびにより鋭い快感が背筋を駆け抜けて手足の末端が痺れてしまう。
彼女はきつく歯を食いしばった。それでも歯の隙間からこぼれようとする喘ぎを消すため、
顔をシーツに押し付ける。
のたうつたびに鎖が首元で揺れ胸を打ち、彼女の罪悪感をいや増した。
悔し涙が瞳の端ににじみ、慌ててシーツで拭い去った。
119 :
ふたりは:2006/09/23(土) 21:59:31 ID:47rqCGO6
一方、テオドルは内心狂喜していた。
始めて目にする艶姿だ。
全身が朱に染まり、彼の責めに敏感に反応してのたうっている。秘裂はしとどに濡れ
そぼり、彼のものをより深いところへいざなってくる。
痴態を晒さぬようにと必死で耐えるその姿は今までにないほどに愛らしく見え、思わず
その顎に手をかけて表情を確認した。
深い青い瞳が動揺を孕んで大きく見開かれている。
今にも泣き出しそうな子供のような不安げな瞳。
彼はたまらなくなって身を乗り出し、唇を重ねた。
テオドルは舌をさしこんだ。口腔の奥で縮こまるアーデルハイトのそれにまとわり付か
せる。いたわるように優しく絡みつけ、滑らかに引き出して吸い上げる。
アーデルハイトは瞳を閉じ、大人しく受け入れていた。
時おり鼻から抜ける悩ましげなかすかなため息がテオドルの耳をくすぐった。
彼は腰を強く押し付けた。
アーデルハイトの尻に密着させて揺すり上げ、一体感を愉しむ。
頃合を見計らい、彼は再び指を下へ伸ばした。
それは薄い脂肪ののった柔らかな下腹部を滑り、汗と蜜でしっとりと湿る茂みを抜け、
快感で充血してぷっくりと膨らんだ肉芽をつまむと、優しく、しかし容赦なくひねりあげた。
アーデルハイトの背筋がびくりと跳ね上がった。
「……ぅんっ!!」
鼻に抜けるようなかすかな、それでいてくっきりと艶やかな媚声。
それはテオドルの耳に確かに捕らえられた。
喜びの声をあげたいのを我慢し、テオドルは指先で転がすように、敏感な芽を優しく
愛撫し続けた。
媚声はもうそれ以上漏れることがなかったが、アーデルハイトはそのたびにのけぞり、
テオドルのものを強く締め付けた。
テオドルは両手で妻の丸い尻を抱えなおすと、叩きつけるように抽送をはやめる。
「アーデルハイト……ッ!!」
彼は喉の奥から搾り出すように愛しい女の名を呼んだ。
汗が玉となってにじむ滑らかな肢体に覆いかぶさると、鍛え上げた腕を細くくびれた
胴に絡ませ、強く抱き締める。
そして勢いに任せて最奥へと自らを解放した。
120 :
ふたりは:2006/09/23(土) 22:00:41 ID:47rqCGO6
アーデルハイトがけだるげに身を起こした。
確かめるように口元に手を当てて、なにやら考え込んでいる。
どうやら声をあげたかどうか、自覚がないらしい。
「良かったぞ」
テオドルも身を起こすと、夜着に手を伸ばそうとする彼女を遮って抱き寄せ、その耳元
にささやきかけた。
媚声を漏れ聞いたことには触れないことにした。
アーデルハイトは白く端正な顔を背けた。
すぐに表情を消してしまったが、実に悔しそうないきいきとした顔をしていた。
テオドルは無言で破顔すると、愛する妻の肢体を一層強く抱き寄せた――
続く
121 :
ふたりは:2006/09/23(土) 22:02:13 ID:47rqCGO6
以上です。
コピペミスで
>>111の文頭の 「 が抜けました。すみません。
お付き合いくださった方、ありがとうございました。
続きが書けたらまた来ます。
とっても素敵です。続きも期待しています。
>>106 ありがちなパターンかと思ったけど、夫殺しのダーティーな女王ってのが目新しくて気に入った。
続きが楽しめそうなんで期待してます。
>>121 待ってたよ!さらに筆がのってる感じでいいね。
濃厚なSSにどっぷり浸からせてもらった感じ。
続き期待してます。
投下者さん超乙〜
続き書けたら読みたいので投下ヨロ。
なあこのスレの兄弟達よ。
神な投下をwktkして待ってるのもいいんだが
なんか姫様に関する萌エロ話でもやらないか?
前にもちょっとやってたよな。
好きなシチュエーションとかさ。
とりあえず自分はオーソドックスなんだけど
高貴な美人お姫様(19〜22歳くらい)が捕まって
凌辱調教を受けるてパターンが一番好き。
ただそれをやる相手が「ウホッいい男」な奴じゃなくて
とんでもないゲス野郎がやる、てのが好きなんだけど
特殊趣味なのかなかなか見ない。
西洋版団鬼六みたいなのが見てみたいんだー。
てな訳で今回はあげ。
>>121 素晴らしい!文章も重厚感と読み易さが両立してる!
二人とも相変わらず憎まれ口を叩いているのに、態度やらエロの部分で
結びつきが強くなってて面白い。そういう所は御上手ですな〜
過去の回想もあって作者殿が設定をよーく考えている事が分かりました。
この二人の関係が好きでたまらない。続きをいつまでも待ってます^^
>>124 民衆を愛し、民衆からも慕われている聡明な皇女が、国を滅ぼされる。
↓
「こいつを犯せば命は助けてやる。」と征服者に促され、
皇女の懇願も耳に入らず、一見嫌々、内心では喜んで皇女を犯す民衆達。
ロウィーナがもうこれ以上は耐えられないと、決死の覚悟で寝台を降りようとした丁度そのとき、
ヘンリーが茶器の乗った大きな盆を抱えて戻ってきた。
「待たせたね。慣れないから時間がかかってしまった」
部屋の向こうから待ち焦がれた声がする。
「おいで、お茶にしよう」「だめ、おにいさまが、来て、早く来て」
「せっかくのお茶が冷めちゃうよ。早くこっちにおいで」
ヘンリーは、ロウィーナが動けないことも、お茶がすでにぬるくなっていることも、重々承知の上で言った。
「おねがい、これとって。たすけて、おにいさま、お願いよ」
「わかった。今行くよ」
ヘンリーは悠然とカップにお茶を注ぎ、それを持ってロウィーナの横に座った。
「とって……、おねがい……」息も絶え絶えにロウィーナは訴えた。
「あとでね。ほらお茶だよ」
「いらない、おにいさま、これ解いて」ロウィーナは両手を差し出した。
「だめだよ。よく似合っているんだから。それに解いたら自分で抜くだろう。
ほら、お前のために淹れたんだ。飲んで」
「もうだめ……、おねがい。はやくぬいて、しんじゃう」
ヘンリーは、サイドテーブルにカップを置いた。「しょうがないな、お尻を出して」
じらされ続けたロウィーナは安堵の息を漏らした。
異物が引き抜かれると、とてつもない開放感がロウィーナを包む。
ほっとしたのも束の間、今出たばかりの異物が再び挿入された。「いやっ、だめ」
「大丈夫、ロウィーナはすぐにこれが好きになる」
「や、やっ、ぬいてっ」
「じゃあ、抜くよ。ほら」
「ああっ」今度は開放感だけではない、別の感覚がした。
「どう?」また、挿入され、抜かれると、確実に快感が走る。
何度も出し入れされるうちに、大声を張り上げていたことにロウィーナはまったく気づいていなかった。
「大丈夫、ここでは誰にも聞かれる心配は無い」
自分が何か言ったらしい。それに応える兄の言葉も耳に入らない。
喉がかれるほど絶叫してしまうと、全身から力が抜け、ロウィーナは意識を失うように倒れこんだ。
気がつくと、いつの間にか兄は裸になっていた。
喉が痛い。「おにいさま、わたし……、うおおおあああああああああ」
指で、お尻の穴の中をかき回されているのだと気づいたときには、また声は止められなくなっていた。
仰向けに寝かされたまま、腰を持ち上げられる。
天井の鏡の中で、自分のお尻の穴に入っているのは、兄の三本の指だ。
それがゆっくりと引き抜かれる。
「じゃあ、そろそろいれるよ。ロウィーナ、深呼吸して、吸って、ゆっくり、吐いて」
広がったままの空洞に兄の陰茎が、めりめりと押し込まれる。
先ほどとは違う圧倒的な存在感に、ロウィーナは恐慌をきたした。
予想以上の激しい締め付けに兄は眉間にしわを寄せ、うめく。「ロウィーナ、頼む、力を抜いて」
ヘンリーは妹が落ち着くのを待った。
少し進んでは、休み、長い時間を掛けて、ゆっくりと侵入する。
半分ほど埋まったところで動きを止めた。
がくがくと震える小さな腰をいとおしそうに撫でる。
「ロウィーナ、私たちは今繋がっているんだよ。ようやくひとつになったんだ」
ロウィーナは、それに答えたかったが、出てくるのは自分のものとは思えない奇妙な叫び声だけだった。
ヘンリーは妹のために一番感じやすい場所を刺激した。
「あうあうあう……」
「ここがいいんだね?」
「あう……、や、うああああああああああああ」
違う、いやじゃないの。やめないでって言いたいのに、お兄さまがすきって言いたいのに――。
うんうんと、うなずく優しい兄の顔。その奥の鏡に映る自分が、知らない人のように見える。
「ロウィーナ、動くよ」
兄の指がもたらす、慣れ親しんだ快感、そして激しい痛み、全身が総毛立つほどの圧倒的な異物感と、
果たして快感と読んでいいのかすらわからない、初めて味わう劇的なうねり。
どれに身を任せればいいのかわからず、このまま体も心も、ばらばらに壊れてしまうかもしれないと思った次の瞬間、
自分の名を呼び、愛を誓う兄の声が耳に入った。
わたしも、と答えようとしたロウィーナは、目の前が真っ白になって、もう何がなんだかわからなくなった。
ロウィーナの手から、ようやくリボンがはずされる。
傷つけないよう、ヘンリーが細心の注意を払ったにもかかわらず、
ロウィーナに与えた衝撃を思い知らせるかのように、手首にはうっすらとあざが残った。
その手に、カップを握らせる。
震える手は、うまくカップを握ることが出来ず、ヘンリーはその手を支えてお茶を飲ませた。
すっかり冷めてしまったお茶は、異国風の甘い香りがして、ロウィーナの傷ついた喉を潤す。
「痛かった?」
ロウィーナは首を振った。しかし、その目からは涙が止まらない。
「ごめん、まだ早かったんだね」
ヘンリーは、ロウィーナの手を取り、手首のあざに唇を寄せた。「無理をしてごめん」
ロウィーナはまた首を振った。しかし耐え切れなくなって兄にしがみついた。
「怖かったの」かすれた声でロウィーナは泣きじゃくった。
「どうしたらいいか分からなくて、いたくて、でも気持ちよくて、わたし、壊れちゃうかと思って、
でも、やめてほしくなくて、でもやっぱり怖くて。おにいさま、わたしどうなってしまうの?」
「どうもならないよ。ロウィーナはロウィーナのままだ」
「でも――」
「もうこんな無茶はしない。今回だけだ。ロウィーナ、大事な話があるんだ」
ヘンリーは向き直った。
「これからしばらくは、お前を抱いてやれない」
「いや、そんなのいや。おにいさま、また、ロウィーナを置いてどこかへ行ってしまうの?」
「どこにも行かないよ。会えなくなるわけじゃない。
エリスに知られてしまったんだ。もう二人きりにはなれないだろう。
おまじないも、当分してあげられないと思う」
「いけないことだから?」
「知っていたの?」
「だって、エリスに言えないようなことだもの。これって本当はいけないことなのでしょう、おにいさま」
「そうだよ」
「どうして?わたしが子供だから?それともわたしがおにいさまの妹だから?」
「両方だ。本当は結婚するまではしちゃいけないんだ。でも待てなかった。
お前を、誰にも奪われたくなかった。一秒でも早く、自分だけのものにしたかった」
「おにいさま、もっとして。わたし、いけないことでもかまわない」
ロウィーナは兄の眼をまっすぐ見た。「もっと、おにいさまだけのものにして」
ヘンリーは持てる限りの自制心を動員しなければならなかった。
「だめだよ、さっき、いけないことだって言ったばかりじゃないか。ロウィーナはいい子だろう?」
「わたし、悪い子でいい」だって呪われているんだもの、とロウィーナは心の中で自分に言い訳した。
「そんな事を言ってはいけない。ロウィーナ、いつかきっとお前を私の妻にする。約束する。
そうしたら、お前の望む通り何でもしてあげる。
もっともっと気持ちのいいことを教えてあげる。少しだけ待ってくれ」
「少しって、どのくらい?」
「わからない。でもそんなに待たせるつもりはない。
だから、ロウィーナも、私以外の男にはけっして触れさせないと約束してくれ」
「約束する。だって、おにいさまだから、気持ちいいの。他の人はいや。いやいや。
おにいさまじゃなくちゃいや。おにいさまがしてくれなくちゃ、いや――」
その言葉とまなざしだけで、ヘンリーは、自分の体が勝手に反応してしまい、
気を紛らわそうとしても、どうにも抑えられなくなっているのに気づいた。
身体は正確に記憶している。
しっとりとなじむ肌。自分を受け入れ、まとわりつき、締め上げる粘膜。
腕の中で、女の喜びにうち震える小さな身体。
あれほど満ち足りた射精は味わったことが無かった。
ヘンリーは、どんな女を目の前にしても、最低限の理性は保てると自負していた。
その気になれば、女などいつでも抱ける。自分を制御できないほど飢えてはいない。
今朝までは確かだった自信が、脆くも崩れ去ろうとしている事を知って、ヘンリーは少なからずうろたえた。
「のどか乾いた。ロウィーナも、もう一杯飲む?」ヘンリーは、慌ててお茶を取りに立った。
手をつなぎ合い、束の間の幸せな夢を紡ぐ恋人たちの眠りを妨げるのは、心の痛む辛い役目だった。
アルは裸の二人に背を向けた。
せめてあと五分、いや、あと十分、馬車をとばせばそのくらいの時は稼げるだろう――。
「時間か?」
アルの気配に気づいてヘンリーが瞼を開く。
「はい、そろそろ御戻りにならないと日が暮れます」
ヘンリーは静かに身を起こした。
すぐ隣で、規則正しい健やかな寝息を立てて熟睡する妹を、見おろしたまま返答する。
「わかった、後は私がやる。お前は下がれ」
「では、広間でお待ちしております」
垂れた頭を戻すと、ヘンリーがロウィーナの頭上に覆いかぶさる姿が目に入った。
「目を覚ましてくれ、私の眠り姫」
王子のキスで、姫が深い眠りから戻ったときには、従者の姿は早くも消えていた。
バーンズ夫人を乗せた馬車は、一日中城下を走り回った後、町を離れた。
そして、日もとっぷり暮れた頃、広大な敷地の中に建つ一軒の館にたどり着いた。
館というよりは城と呼んだほうがよさそうな古い石造りの堅牢な建物を、夫人が訪れるのは、数年ぶりのことだ。
夫人は、案内を断ると、自ら当主の部屋の扉を叩いた。
「誰だ」扉の奥から、穏やかだが威厳のある声が響く。
「お兄様、私です」
机で書類に目を通していた公爵は、驚いた様子で立ち上がり、自分から扉を開けた。
「エリス、一体どうしたのだ。こんな時間に。ひとりか?」
公爵の目に、疲れた顔で立ちつくすエリスの姿が映る。
「そんなところで突っ立っていないで中に入りなさい」
公爵は、エリスの肩を抱き、部屋に迎え入れた。
「何かあったのか?」
「お兄様――」重い扉が閉まると、エリスは公爵の胸に顔をうずめた。「お願いだから、お前は間違っていないと言って」
終
>>127-130 素晴らしいです。
エロの部分ももちろんですが、先の読めないストーリー展開に脱帽です。
続き、期待しています。
快楽に流されながらも羞恥心を常に持つ
姫様ってのが俺はけっこう好きで萌える。
やっぱ女性は羞恥心と清潔感…。
高貴な女性には羞恥心がない場合もあるというが、それもまた。
何で羞恥心ないの?
正確には羞恥の対象が違うってことじゃないかなあ。
日本だと想像しにくいだろうけど
身分差がある社会だと、下の身分の人間は
同じ強要や感性や常識を共有してないわけで、
極端に言えば人間だと認識してない
人に見られて恥かしい事でも
動物に見られたくらいでは恥じないという感覚。
それとは別に、貴族だと身の回りの世話とかをさせるわけで
肌を見られることには慣れてて
恥じる意識を持ってないとか。
かといって羞恥新が無いわけじゃなくて、
ダンスのステップがどうの声をかけられる順番がどうのと
畑から見てどうでも良さそうな事で死にたいほどの羞恥を感じたりもする。
羞恥心のあり方のギャップだね。
おフランスでは王妃の出産を公開してたんだっけ。
出産公開てとマリー様だな。
ただ、おフランス王妃様の出産公開は羞恥心うんぬんというより
確実に「王子(or姫)じゃ!」ていえるように、お子さまの
すり替え防止だったらしいよ。
羞恥心関係なら、それまで同じ人間とも思っていなかった下男(男)に
下克上でやられちゃうお姫さまなんてのが良いな。
「このケダモノ! お前などに……ああっ」みたいな。
>>126 鬼畜だがなかなかイイ!(・∀・)
>>127-130 投下者さん乙〜! ロウィーナたんエロくて大満足な上に
相変わらず話が超面白いな!
つか最初の方の投下分読み直したらロウィーナたん、将来的に
(時間軸的に未来だよね)アルとえちぃ関係になってるんだよな。
おまけにリチャードとかいう思わせぶりな奴が話にでてる。
続きすげー気になるよ〜〜。
二話
「あっ…そこ…、あっ、あっ…」
鬱蒼とした森には不釣り合いな乙女の声。
「姫…、静かに」
男の顎に汗が光った。
「だって…あっ…、あん…もっと、おくぅっ…」
「……っ」「あっ…や…だめぇ」
「くそっ」「…ぁああぁーーー!!!」
バシャッ!
「…――もうっ!!!」
「すみません…」
水面の下を、すぃ〜と魚が泳いでいく。
兵士は、川面から槍を引き抜く。
「ああもう、お前が鈍いから…!いいわ、わたくしがやります。貸しなさい!」
「ちょ…危ないですから!」
彼らの足下では、さらさらと透明な水が流れている。
時々、光りを弾いているのは、川に棲む魚達だ。
槍を銛がわりにして、魚を捕ろうとしていたのだが…
「こんなの一撃で……」
バシャッ
魚は器用に槍をすり抜けていってしまう。
「残念でしたね」
「……。ええ本当に『残念ね』」
わざとらしく、白雪は言った。上目遣いで彼を睨み付ける。
「だいたいお前が悪いのです。ここはどこです?なぜ、このような場所で、道に迷ったりするのですか?」
「…だから、最初に言ったでしょう?俺、方向音痴なんですってば。せめて地図さえあれば良かったんですけど、姫、取りに行く暇などないっって…」
「ぅぅ…、この役立たず〜」
白雪は手を揉んで、震えてみせる。
「だいたい、魚を槍で捕ろうとするのが間違いなのだわ!」
「姫が言いだしたんじゃないですかぁ」
兵士は、彼女の怒りの形相を見ないように、天を仰ぐ。
はぁ…と白雪は息をついた。
「だれか、通らないないのかしら、例えばどこかの国の王子とか」
「いや、それは…ずいぶんと都合のいい展開ですね」
「じゃぁ、せめてそこら辺に、お菓子の家でもあれば…」
「いや、…さすがに、それはあり得ないでしょう」
遭難状態にあるというのに呑気な会話に白雪は内心、自分自身を含めて呆れる。
昨夜から何も口にしていない。腹が空腹を訴えていた。
今まで、不自由したことのない生活を送っていたから、初めての体験と感覚である。
腹がすくと、無性に自分が情けなくなり泣けてきそうだ。しかし、人前故こらえる。
「ふぅ…、でも、仕方ないわ。魚は諦めましょう、その代わり、何か口に出来る木の実や山菜を探しましょう」
白雪は兵士に、槍を返し立ち上がった。
それに続いて、兵士も立ち上がる。
「野宿を考えて、暗くなる前にどうにかしないとなりませんね。では貴方は薪となるような木を探してきてくださいね」
わたくしは食べられるようなものを探しきます、というと白雪は木々を潜っていった。
「…うん…」
ねがいりを打つと何かが聞こえてくる。
「……、…は、……?」
「…わしが知るわけないじゃろぅ…、…ん?」
「…誰か、……、この者…?…」
耳元に話し声がする。白雪は五月蠅そうに上掛けを被った。
数人の男が周りで何か談義を醸しているようだ。
そこまで、状況がわかったところで、はっと白雪は目を開け飛び起きる。
「…ここは?!…あ、貴方達は何者です?!」
「おやおや、ようやくお目覚めかい?」
一人のひげを生やした男が振り向く。見知らぬ背の低い老人だ。
白雪は、彼らの寝台に寝かされていたらしい。
「何者かはこっちが聞くことじゃろうて」「そうじゃ…、どこの者だ?」
「おお、目覚めたか。腹は減っておらぬか?」「…そういえば、先ほど――」
数人の男達が、目覚めた乙女に興味を引かれ、一斉に彼女に話しかけてくる。
「あの…」
白雪は何から、話せばよいやらで戸惑う。
「おお、お前さんの連れが来ておるぞ。家の外におる。入って貰っても良かったんじゃが…
なにせ、ここは男7人もいるわりには狭い家でのぉ…。客一人入れるだけで、精一杯なんじゃあ」
男は白いひげを撫でながら白雪に言った。
白雪は、寝台を降りて玄関先に向かう。
「あ、姫!」
兵士が開いた扉から顔を出した。
*
「ほ〜う、お前さんは要するに、姫様で義理の母が嫌で逃げ出してきたというわけかいの?」
「ええ…、深い事情は申し上げられないのですけれど…」
一人のリーダー格の老人がテーブルを間に挟んで白雪に事情を聞いていたところだ。
周りの皆背の低い男達が彼女を興味深そうに見ている。
彼らは、ドワーフと呼ばれる者たちである。大抵は深い森を住処としている。
「可哀想にのう…。こんな可愛らしいお嬢さんが、城にいられないように仕向けたお妃とやらは酷い女じゃ」
ドワーフ達は勝手に推論をならべ始め談義を始めた。
リーダー格の男が、白雪に人の良さそうな笑みを浮かべる。
「すまんのう…。今まで滅多に客の訪れなかったせいで、しかもその客がこんな別嬪さんで
奴らも浮かれておるのじゃ、許しておくれ…ところで今夜の宿はどうする気かの?」
「…あの、できれば泊めていただきたいのですが…」
老人は満面の笑みを浮かべた。
「おお、おお、そうかそうか。泊まっていきなされ、そうしなされ。おい、そこベッド空けろ」
俺のかよー、と不満気な声が聞こえた。白雪は、空けてくれた男に申し訳なさそうに頭をさげる。
すると、男は頬を紅潮させ顔の筋肉を緩ませた。
「今日はさぞ、疲れたことじゃろうて。ゆっくり休みなされ…」
白雪は頷き、彼らに感謝をした。無骨そうである人たちだが実に気のいい人達のようだ。
白雪は安心したように目を瞑った。
*
「今夜もかわいいわね、白雪」
その頃、お妃は鏡をみて呟いた。
愛でるように冷たい鏡の表面を撫でる。
「…さぁ、貴女に贈るリボンはどれにしましょうか」
お妃は幾つかの結い紐を取り出す。
品定めするように一本一本触っていき、ある一本のそれに指をとめる。
「これなんかは、綺麗ね。白雪にも似合うでしょう」
ふふ、と彼女は笑う。その顔は愛おしい恋人に再会したかのようであった。
「もう少し、眺めていたいわね…それに呪いの効果も…」
もう少しで表れるわ。さぁ、どうするの?
ひとりどうすることもできず乱れ狂う白雪を想像して、お妃は妖しく笑みを浮かべた。
*
目を閉じてから、何時間たっただろうか。
白雪は眠れずにいた。疲れていたから、難なく眠れると思っていたが一度、日暮れ前に眠ってしまったからだろうか。
「…ん…」
もぞ、と身体を動かす。
近いところから複数の寝息が聞こえる。こんな経験は今までで初めてだ。
白雪は身を起こす。なんだか落ち着かなくて空気を吸いに外にでる。
「あら?…お前、まだ外にいたのですか」
外に兵士が立っていた。
「ええ、入れさせてもらえなかったじゃないですか。酷いと思いません、こんな毛布一枚きりで」
「仕方ないわ。毛布一枚借りられただけでも感謝すべきです。」
まだぶつぶつと、文句を垂れている彼に苦笑をもらす。
「……貴方には巻き込んで悪いことをしたと思っています」
白雪は頭を垂れる。兵士は慌てて手を振る。
「い、いえ!王家の人間を守るのが私たち兵士の務めでもありますから…」
「…そう」
白雪は壁にもたれ掛ける。息を吐き出す。
なにかに気づいたように兵士は白雪の顔を覗き込む。
「…姫…?どうかされましたか…?顔が赤いようですか…」
「何でも…な…」
言葉を途中に、白雪の身体が崩れ落ちる。
(…何…?身体が…変…)
兵士が白雪の身体に腕をのばす。「姫…!」と呼ばれる声が耳元で聞こえる。
だが、頭に靄がかかったように思考が回らない。
身体の奥が熱を持って燻っているような気がする。
「…っは…ぁ…」
熱い息が零れた。
(わたくし…、一体どうなってしまったの?)
『…いいこと、白雪。貴女は私の呪いから、逃れることはできない。
いずれまた貴女は情欲の炎に身を焼かれ、私に身体を許すことになるわ…』
「まさか…」
このことかと白雪は呻く。酷く何かを求めるように身体の奥が熱い。
堪らなくなり、兵士にしがみつく。何度も唾を飲む。
顔をあげると心配そうな兵士の顔。白雪は首を振る。
(いや…何を…考えてるの、わたくし)
だが、白雪の身体は彼女の意志に反して慰めを欲していた。
「……っはぁっ」
背中に手があてられ、撫でられる。酷く刺激に敏感になっていた身体はそれだけでも熱く痺れた。
白雪は身体を硬直させる。背中をさすっていた兵士が固まっていた。
(やっ…、今の声…まるで)
お妃に翻弄されたあの夜のような、声…
白雪は、兵士の視線がいたたまれなくて顔を背ける。顔も全身も熱くてたまらない。
「…手を…放して…、身体が……、はぁ…」
兵士の身体を弱々しい力で押す。
熱に浮かされたような声で、彼にさわってくれるなと訴える。
熱い肌は汗ばんだで、艶めかしく光っている。
しかし、逆にその艶めいた姿に兵士は生唾を飲んだ。
「ひゃ…!?」
ドレスの裾を捲られ、白い大腿を撫でられる。
彼の手は、外にいたせいか冷たかった。火照った肌に直に触れた冷たさに白雪は驚きの声を上げる。
「…無礼者!わたくしを誰だと思っていますか!?……あっ」
喉元に男の唇が吸いつく。首筋を舌が這う。
「すみません。どうかお許しを…!」
「やぁ…っ」
胸元が、開かされてそこから手が乳房を掴む。
加減なく握られたせいで、痛みを感じた。
白雪はそれでも気丈に眉をつり上げ、非難の声をあげる。
「止めなさい!こんなことをして許され…っ…あンッ…」
内股を撫でていた手が、いつのまにやら更にきわどい場所をなぞっていた。
もう、少しでもっとも恥ずかしい部分に、他人の指がそれも男の指先がふれてしまう。
「…そ…そこは、…んんっ」
ついに、指先が布越しではあったが敏感な所に触れてしまう。
不器用な手つきで執拗に嬲られる。しかし震える白雪はその手を止めることができない。
腰が砕け彼に身体を預けるような格好になってしまうのに時間がかからなかった。。
兵士の手が下着を、外しに懸かる。
「な…な…何を!?」
「もう、我慢の限界です!姫!」
「やっ…!だめっ」
兵士は、装備を解き服の前をくつろげていきり立ったモノを取り出す。
白雪は慌てて目をそらす。動揺して心臓がばくばくと波打っている。
彼を見ないように不自然に壁の方を向く。
「!?」
腰を掴まれた。白雪はバランスを崩し手を壁につける。
むき出しにされた尻に何かがあたる。
思い当たる事に、白雪はぎょっと目を剥いた。
「な…、お待ちなさい!早まってはだめです!」
必死に抵抗をしめすが、腰をがっちりと捕まえられて思うようにならない。
「わたくしを、誰だと思っているの!?自国の王女にこのようなこと許されるとでも……っっあああ!!??」
喚き、更なる罵倒を繰り広げようとしていた半ば、激しい痛みと強烈な異物感が襲ってきた。
「…ぁあ…いやぁあああ!!」
*
「やっ…ああっ…いたっ…あぁ…」
白雪の身体が、打ち付けられる衝撃になすすべなく揺れていた。
がくがくと足が、震えて今にも地面に突っ伏してしまいそうなのに、それを壁に押しつけられ、阻まれる。
「いっ…ぁ…」
えぐられるように内壁を擦られ、涙が溢れる。
白雪の白い内股を血が濡らしていく。
「ぅくうっ…けだものぉっ…!…いやぁっっ…!」
乱れた胸元から丸い二つの双丘が零れて、腰がぶつかるたびに揺れていた。
「…っ」
それにも、手が伸ばされいいように揉まれしまう。形のよい乳房が指に押されて歪む。
「…あ…はぁ…、っっ…!!」
時折、なんとも言えない感覚が身体の内側にはしる。
「んんっ…あっ…ああっ…」
(や…なんで…?気持ちいい…これは何?)
痛みに混じった、甘い刺激に白雪は困惑する。
恥ずかしくて誰でもいいから、この感覚を消してほしいと思った。
「やぁ…もう…、どうにかして…あぁン…」
自らの妖しい声に、動揺も激しい。
そして、それが先ほどから白雪を蹂躙していた彼にも火をつけた。
「…ぁああっ…!…あっ、…だめっ…っあ…あ…激しっ…くぅぅンン…」
その瞬間、頭の中が真っ白になって意識がとんだ。
*
「ひぃぃいいいいいいい!!!」
王城に悲鳴が木霊する。
お妃が、鏡に向かって叫んでいるのだ。
「この外道ぅおお!!!けだもの!!畜生!!変態!!」
お妃は狂ったように鏡の前で喚き散らした。
ドン!!ドン!!
「どうかなされましたか!?」
扉の近くにいた者が慌てた様子で扉を叩いていた。お妃は、はっとして取り繕った。
「なんでもありません。下がりなさい」「はっ」
お妃はその場に崩れ落ちる。
「…なんてこと、私の白雪…!ああ…」
鏡を見つめて、わななく。そこには男に蹂躙された白雪の姿があった。
こうなるはずでは、なかったのに…
獣のように発情して、どうしようもなく身もだえる白雪を見たかったのに
それから堪えきれず自らを慰める白雪を覗き見たかっ…
間違ってもこんな…こんな…
「許すとでも思わぬ事ね!……兵士!」
お妃は兵士の名前を知らなかった…。
彼女は手にした結い紐にぎりっと力をこめた。
*
意識を取り戻した白雪はまず、兵士の背中を容赦なく蹴りとばした。
ふらつく身体を叱咤し、手近な薪を何本も彼に投げつける。
「…汚らわしい!この痴れ者ぉ!」
がっと薪が兵士の頭にぶつかる。額が傷つきそこから血が流れた。
「……」
黙ったままの兵士は、過ちを悔いているようだった。
白雪はやり場なく息をはく。
「はぁ…もう、いいわ…」
兵士が目を開き、驚いたように白雪をみる。
「…仕方がないわ。お前のせいだけではないでしょう。おそらくお妃に掛けられた呪いが係わっているのだわ」
事情を知らぬ彼は、不思議そうな顔をしていた。
「あの…すみませんでした」
「だから、もういいわ。もしかしたらまた今のようになるかもしれないし…」
欲情に狂った自分自身を思い出す。
まるで自分でなくなったかのような痴態
あれは、呪いの効果によるものだったのではないだろうか。
本来なら、破瓜の痛みと恐怖で感じたりしなかったと思う。
ではまた、時がたてば堪えられず、あんな風になるのか…
白雪はどっと疲れたように目を閉じたのだった。
白雪は気づいていなかった。
壁が薄かったことに、そして壁一枚隔てたところが『彼ら』の寝床だったことに…
終
おお、話が進展してる!
GJ! GJ!
壁一枚を隔てて…。
次も楽しみだのう!
超GJ!ホント面白いよ。
おとぎ話のパロでもこんなにオリジナルあふれるエロになるとは!
続き期待してます。
お妃様がすんげー面白いw
違ったらごめん。あのさ、白雪書いてる人って前に人魚姫書いてた人?
今回も面白いよ〜。兵士と白雪の関係がデラ萌える(*´Д`*)
GJ!
白雪といえば、レディコミだけど
佐々木みすずの『白雪姫』(同じ題で現代ものもあるけど)
実の母の嫉妬で陥れられた姫が、奴隷相手の娼婦にされる。
全裸で後ろ手に縛られて狩人に調教される姿最高。
同じ作者の『カエルの王様』、
巨大化したカエルに、裸で嬲り者にされる姫。
胸もまれて前身舐めまわされて脚を広げられて処女を奪われて。
もし機会があったら読んで。
七人の小人ならぬ七人の巨人がいるに違いない
小人だけどあそこはデカいとふんだ
バーンズ夫人は、明け方近くに帰って来たあと、そのまま一睡もせずに普段の仕事に戻った。
無断でロウィーナを連れ出したヘンリーは、バーンズ夫人の叱責を覚悟していた。
しかし、彼女は、何も言ってこなかった。
ロウィーナが風邪をひいて休んでいると聞き及び、珍しく自分からロウィーナの部屋を訪ねたヘンリーは
その場に居合わせた女官長に手ひどい門前払いを食らって、仕方なく部屋に戻った。
ロウィーナの風邪は長引いた。
その間、クラリサ姫との縁談はとんとん拍子に進み、ついにヘンリーの知るところとなった。
ヘンリーは烈火のごとく怒り狂い、王に食って掛かったが、時すでに遅かった。
皇太子の気持ちなど、国家の安泰に比べれば二の次だったのだ。ヘンリーの味方をしてくれる者はいないと思われた。
ところが、絶体絶命の窮地に立たされたヘンリーには、思わぬところから助け舟が出た。
神殿の使者が、皇太子の縁談は国に凶事をもたらすであろう、という巫女の神託を持ち込んだのである。
まだ決まってもおらず、当然公表もされていない皇太子の縁談話が、俗世から遠く離れた巫女の耳に入るはずも無い。
占った当人も首をかしげながらの予言であるから、皆一様にこれを信じた。
イスキアとの交渉に当たっていた外交官たちは、話がまとまる寸前で、正反対に切り替わった国の方針に面食らったが、
結局、予言には逆らえず、穏便に済ませるため、思いつく限りのあらゆる方策をとった。
イスキアの面目をつぶさないよう、相手から断らせる方法は無いものかと、知恵を絞った挙句、
彼らは、噴飯ものの噂まで流した。
すなわちこうである。皇太子は身体的な事情により、結婚し、後継者をもうけるにふさわしい能力をまだ身につけていない。
はたして相手が、こんな突拍子も無い話を信じたのかどうかは定かではないが、
クラリサ姫との結婚話はいつの間にか立ち消えとなった。
政治家たちが恐れていた最悪の事態もなんとか回避し、両国間の緊張は続いているものの、
表面上の友好関係は保たれることとなった。
その後、王に呼ばれたヘンリーは、唐突に地獄から天国に昇る気分を味わった。
国王は、イスキアに配慮して数年待つことという条件付きで、ロウィーナとの結婚を内諾したのである。
「お前がやったのか、エリス」
「何のことでしょう?」バーンズ夫人はとんと見当がつかないという顔をした。
「予言のことだ。お前が言わせたんだろう」
「まさか、巫女殿に指図できるものなどこの国にはいません」
「まあいい。それより、どんな手を使って父上を説得した?」
「ご報告して、お願いはしました。あとは陛下がご決断になったことです」
「父上はずっと反対していた。急に意見を変えたのは何故だ。私の出生について話したのか」
「意味が分かりません。何を言っておられるのです?」
少しの沈黙の後、ヘンリーは言った。
「私の本当の父親は誰だ?」
「国王陛下に決まっているではありませんか」
「お前は知っているんだろう?私はアストラット王家の血は一滴も引いていない」
「ヘンリー様、あなたは正式な婚姻で生まれたこの国のお世継ぎです」
「母上の浮気相手は誰だ?」
「まあ」エリスは一笑に付した。「クレア様に限ってそんなこと。一体誰がそのような冗談を」
「では何故、母上は私を殺そうとした?」
ヘンリーは無意識に自分の喉を抑えた。
『誰が来て良いと言った?』王妃はヘンリーを一目見るなり、手の先で追い払った。
『母上――』母はまた、泣いていたようだ。傍には酒とグラスが散乱していた。『お願い、お酒はもうやめて』
『飲んでなどおらぬ。お前の顔など見とうない。出てお行き』
『母上、どうしてそんなに僕を嫌うの?僕が何か悪い事をした?』
『悪い事?』王妃は、ふらふらと立ち上がりヘンリーに近づいた。
『お前など――』以前のように抱いてくれると思った母の手は、ヘンリーの喉を掴んだ。『死ねば良いのだわ』
『は、はうえ……』
『私が馬鹿だった。お前など、産むのではなかった。お前がいる限り、わたくしの罪は消えない
――』
母の手に力がこもる。ヘンリーは激しくあえいだ。
『これで、何もかも終わり。そう、もっと早くに、こうすればよかった』
狂気にとらわれ、死に魅入られた母は、戦慄するほど美しかった。
抵抗するのも忘れ、助けを請うのもやめ、ヘンリーは冷たい手を受け入れた。
『お前はだんだんあの人に似てくる。そんな目で見ないで。わたくしを責めないで』
ヘンリーは目を閉じた。
『ヘンリー、わたくしの息子。許して。先に行って愚かな母を待っていておくれ――』
女官が気づいて止めなければ、あのまま窒息し、絶命していただろう。
翌朝、血を吐き、硬直した身体で発見された母は、結局ヘンリーの父親が誰かを、
最後まで明かしてくれなかった。
「王妃様はご病気だったのです。心を病んでおられた。
それでも、あなたの事を愛しておられたのです。ひとりで残すのが不憫で――」
「奇麗事はいい。私は事実を知りたいだけだ。母上は浮気の証拠を消すために私の首を絞めた。自分でそう言ったぞ」
「お気の毒に、病で錯乱されて妄想に取り付かれておられたのですわ」
「母上は感情の起伏が激しい人だった、酒も浴びるほど飲んでいた。
だが、正気を失ってはいない。私はもうお前には騙されない。知っている事を話せ」
「私は何も存じません」
「王家の直系はロウィーナしかいない。だから賛成し協力した。そうだろう。
いまさら昔の醜聞を晒して、私を皇太子の座から引き摺り下ろすわけにはいかない。
かといって、私が王座に就き、自分の子に王位を譲れば――、
真っ当に行けば当然そうなるのだが、王家の血は途絶えてしまう。
お前は考えた。
私とロウィーナを一緒にさせ、その子供に王位を継がせれば、問題はすべて解決する。
父上はこの事を知っているのか?」
「いいえ、ヘンリー様、何か勘違いされているのですわ。あなたは間違いなく陛下のお子。
王妃様が愛されたのは陛下だけです」
「さっさと私を暗殺して、ロウィーナを女王に立てたほうが早いとは思わなかったのか」、
「こんなお話はやめましょう。誰かに聞かれて邪推されても困ります。
それより、ロウィーナ様の事を」
ヘンリーはエリスの私室を訪ねた本来の目的を思い出した。
「そうだ、ロウィーナはどうしている、風邪は大丈夫なのか。ずいぶん長びいているじゃないか」
「あれは方便ですわ。むろん風邪などひいておられません」
「では何故会わせてもらえない。あの死に損ないの婆さんは、あそこで何をしていたんだ
お前たちは一体何を企んでいる」
「失礼ですよ」ヘンリーの祖母の代から勤め上げた女官長は、齢八十を超え、
普段は城内に与えられた部屋から一歩も出ず、隠居のような生活を送っていた。
「女官長殿は未来の王妃様に会いにこられたのですわ」
「引きこもっている割にはずいぶんと耳が早いな。私は今日聞いたばかりだぞ。
それに、この件はまだ数人しか知らないはずだ。
やはりお前たちが一枚噛んでいるのか――。
いや待て、なるほど、あの年寄りなら、母上のことも間違いなく知っているな」
「おやめなさい。あの方が長年、女官長の大任を務めてこられたのには、それなりの理由があります。
あなたに太刀打ちできる相手ではありません。
ご自分で言われたではありませんか。秘密を探っても何も得することはないと。
ましてや、ありもしない秘密を――、どこへ行かれるのです?」
「心配するな、さしあたって私たちの利害は一致しているようだし、年寄りの顔を見てもつまらん。
ロウィーナに会いに行く」
エリスは、ヘンリーの前に立ちふさがった。
「お待ちください。私の目を盗んで無茶をさせるのであれば、会わせるわけには参りません」
「ロウィーナの夫になるのは私だ。何でいちいちお前の許可を得なければならないんだ」
「何もわかっていませんね。ロウィーナ様はあなたに死ねと言われれば、迷わずその場で命を絶つでしょう。
そのくらいあなたを慕い、あなたを信じているのです。
ロウィーナ様は、あなたのために無理をして、我慢して、秘密を守るために、嘘をつくことまで覚えてしまった。
それが、ロウィーナ様にはどれだけ辛いことか、嘘をつき慣れたあなたには想像も出来ないことでしょう。
相談相手を失って、姫様は今もひとりで苦しんでおられます。
お願いです。ロウィーナ様のためと思って私に話してください。あの日、何があったのです?」
ヘンリーは少し考えてから言った。
「一角獣の館に連れて行った。ロウィーナはまだ処女だ。後は好きに想像してくれ」
「一角獣の館……」エリスは、口にするのも汚らわしいといった様子でようやく言った。「あなたという人は!」
「御先祖様も、粋な名前をつけたものだ。名前に反して、あまり趣味のいい場所ではないがな」
「話をはぐらかさないでください。ロウィーナ様に何をしたのです?
あの手のあざは何です?それにもう一箇所傷が、あれは――」エリスは言いよどんだ。
「御婦人に話すようなことではないと思うが」
「こんなときだけ女性扱いしていただかなくても結構です。あの館がどういうところかは良く存じ上げております」
「なんだ、お前も隅に置けないな。どの部屋を使った?誰と行った?
父上か、それとも亡くなった叔父上か?まさか祖父では――」
「ヘンリー様!!」「冗談に決まっているだろう。そう目くじら立てるな」
バーンズ夫人はため息をついた。
「ロウィーナ様に会えば、冗談など言っている場合ではないとすぐにお分かりになります。
あなたの責任は重大ですよ」
ヘンリーの顔色が変わった。「ロウィーナは……、どうかしたのか!無事なのか!?」
「心配するくらいなら、初めからやめておけばいいものを。
さあ、これ以上責めませんから、私に全部話して、そして二度としないと誓ってください」
終
うおー、これからどうなっていくんだ!先が読めないYO!
ロウィーナはどうなったんだ。続き、正座して待っておりGJ!!!!!
うおー、これから(以下153と同じ)
全裸でwktkしながら待ってます!!!
ヘンリーを案内すると、バーンズ夫人は侍女を全員部屋から出した。
薬を飲んでぐっすり眠っているはずのロウィーナは、ひどくうなされ、額には玉の汗が浮いていて、
エリスの言ったことが嘘でないと、ヘンリーには一目でわかった。
「ずっとこうなのか」「ええ。起きているときは気丈に振舞っておられますが」
「医者はなんと言っているんだ」
「異常は見つからない。気の病ではと」エリスは、にこりともせずに言った。
「あまり詳しく調べさせるわけにはいかなかったのです」
「ロウィーナ……」ヘンリーは、かがみこんだ。「そんなに嫌なら何故言ってくれない」
ヘンリーは、ロウィーナが見せた嬌態を思い出し、信じられない思いで言った。
「今までのあれは、全部演技だったとでもいうのか」
「やはりあなたは女性のことが何もわかっていませんね。本当に嫌ならこれほど悩まない。
おかわいそうに、ロウィーナ様は幼すぎて、自分を責めることしかできないのです。
自分を苦しめているのが罪の意識だということすら、まだ理解できていないのですわ」
ヘンリーは、無言でロウィーナの額の汗を拭った。
「おにいさま!」
気配で目を覚ましたロウィーナは、泣きはらした後のように目のふちを赤くしている。
「ああ、すまない、起こすつもりじゃなかったんだ。そのまま寝ていなさい」
「大丈夫。ちょっとお熱が出ただけなの。でも、もうなんともないわ」
ロウィーナは弱々しく、はにかんだ笑顔を見せた。
ロウィーナの手首のあざは薄くなり、黄色く消えかかっていた。
「まだ下がってないじゃないか……」
燃えるように熱い手を小さな手を握ったまま、ヘンリーはなんと話を続けたものかと思案した。
「ロウィーナ様、殿下は大切なお話をしに来られたのですよ」エリスは優しくヘンリーを促した。「さあ、ヘンリー様」
「ああ。ロウィーナ、父上に結婚のお許しをもらった」
「ほんと!?」
「本当だ。もう少しだけ、待たなくてはならないが。
ロウィーナ、私の妃になってくれるだろう?」
「もちろんよ、おにいさま。これって夢じゃないのね」
「夢じゃないさ。だから、もうひとりで悩まなくていい。何が嫌だったのか、怒らないから正直に言ってごらん」
「ちがうの、いやなことなんてない。そうじゃなくて、わたし――」
ロウィーナはエリスを横目で見て、ためらった。「ごめんなさい、おにいさま」
「すまない、お前をそんなに苦しめているとは思わなかったんだ」
「わたし、ちっとも苦しくなんかないわ。ほんとよ」
「無理をしないで。エリスは全部知っている。何も隠す必要はなくなったんだ。
もう嘘をつかなくていいんだよ」
「でも」ロウィーナはにわかには信じられないといった様子で言った。
「いいんだ。私に言えないときはエリスに相談に乗ってもらいなさい」
「ほんと?ほんとにいいの、おにいさま?」
ロウィーナは兄とバーンズ夫人の顔を交互に見て、それからはらはらと大粒の涙をこぼした。
「おにいさま、あれはいけないことじゃないの?ほんとにエリスに言ってもいいのね?」
「いいんだよ。エリスはちゃんとわかってくれる」
「じゃあ、おまじないして」
「おまじない?何です?」「わたし、呪われた悪い子だから、おまじないしないといけないの」
怪訝な顔をするエリスに、ロウィーナは説明した。エリスの視線を受け、ヘンリーは狼狽した。
「あ、いや、ロウィーナ、今はだめだよ、熱が下がって体調が戻ってからにしよう」
「今じゃなきゃ。わたし、間違ったことをしていないかどうか、エリスに確かめてもらうの。
ねえ、いいでしょう、エリス」
「ええ」ロウィーナの意図を察したエリスは、ヘンリーを見てうなずいた。
「まいったな。エリス、お前がいいては、やりにくくて――」
「ヘンリー様」エリスの目は真剣だった。「私には構わず、どうか」
ヘンリーが、ベッドに上がりロウィーナの夜着に手をかけると、エリスは物も言わずに手伝った。
「エリス、頼むから腰を抜かさないでくれよ」耳元でヘンリーが囁くと、エリスはやはり無言でうなずいた。
「始めるぞ」覚悟を決めたヘンリーが言った。
「エリス、そばに来て、手を握って」ロウィーナは緊張し顔をこわばらせた。
「ここにおります。ロウィーナ様」エリスはロウィーナを安心させるように、手を握って顔を近づけた。「何も心配いりません。楽にしてください」、
「あ……」行為の開始を告げるように、ロウィーナは小さな声を上げた。
「エリス、これはいけないことなんでしょう?」
「そうですね」エリスの声は限りなく優しかった。「はしたないことですわ」
「わたし、なんだか頭がぼうってしてしまうの。それで、ずっとこのままでいたいと思うの。いけないことなのに」
「それで合っていますよ」
「ほんと……?だんだん、変な気分になってきて……」
「身体が熱くなって、息が苦しくなる……」
「そうよ……、エリスも、おまじないしてもらったことがあるの?」
「ええ」
ヘンリーは、仰天して思わず顔を上げた。
「おにいさま、やめちゃいや。ねえ、エリスはどんな気分だった?」
「そうですね。初めは死ぬほど恥ずかしかった。それに恐ろしくてたまらなかった。
でも、愛されているのだとわかったら、とても幸せな気持ちになりました」
「そう……、すごく幸せなの……、きもちよくて、ふわふわして……」
「暖かくて、柔らかくて、そのまま眠ってしまいたいような気分になります」
「そうよ、でも……、だんだん、わからなくなって……、変な声が、ああん……、今みたいな声が、や、あん……」
「勝手に声が出て、じっとしていられなくなる……」
「はぁっ、はぁっ……、そうなの……、エリス、わたし……どうしよう、どう…しよう」
「だんだんと快感が増して、頭の芯が麻痺したようになる。
どうしたらいいのかわからなくて、心の中で、もう止めて、やはり続けてと正反対の事を叫んでしまう」
「はぁはぁはぁっ、あんっ……、んあっ、やっ……、やああああ、うああ」
「突然、身体の中を稲妻が走ったような感覚がして、怖くなって、逃げ出したくなる」
「うわ、たす……、エリ……、やあっ、ああああああああああっ」
身体をばたつかせ、助けを求めて懇親の力をこめるロウィーナの手を、エリスは両手で強く握り返した。
「ここにいます。おそばにいます。大丈夫、何も怖くありません」
「はぁっ、はぁっ……、はぁっ」
「稲妻はすぐに去るのです」
「おに……さま、だめ、もう、だめ、や、あああ。そこは……」
「からだはけだるくなり、逆に、感覚だけは研ぎ澄まされて、これ以上触れて欲しくない、
しばらくそっとしておいて欲しいと思う」
「やぁ、やぁああっ……、も……、だ…め、う、ひあぅっ、そこっ……、はあああっ……」
痛みが走ってこの先に進んではいけないと警告しているような気もする。
でも、もう止められない。別の場所がうずいて、このまま死んでしまっても構わないような気持ちになる。すると波が押し寄せるように、次の快感が全身を包むのです」
「やっ、やっ、だめっ、あああっ、うわっ、うわっ、うあああああああああああああっ」
「ヘンリー様、もうそのくらいでいいでしょう」
「あ、ああ」エリスの声で、ヘンリーは我に返った。「エリス、お前……」
「はあっ、はあっ、おにい……さま……、わたし、はあっ」ロウィーナは濡れたうつろな目をして兄を呼んだ。
「エリスが……、、エリスが言った通りなの。わたし……、こわい」
「ロウィーナ!」ヘンリーはロウィーナを抱きしめた。「ごめん、病気なのに。やりすぎた」
「ちがうの、ちがうの」ロウィーナはまた泣き出してしまった。
「たくさん汗をかかれましたね。お召しかえを致しましょう。殿方は席をはずしてください」
「いまさら、別にいいだろう」半裸のロウィーナを腕に抱いたまま、ヘンリーは反論した。
「それとこれは別です。さっさと出て。あなたはご自分の始末をつけて来てください」
やはりエリスの方が一枚も二枚も上手だった。
伊達に年は食ってないと、後は任すことにして、ヘンリーはいったん部屋を出た。
「エリス、わたし……」着替えを済ませ、少し落ち着いたロウィーナは、改めてエリスに尋ねた。
「あれは、いけないことなんでしょう?」
「そうですよ。人前でするようなことでも、話題にしたりするようなことでもありません
本来、嫁入り前の女性は知ってはならないことなのです。
子を成す為の大切な場所なのですから、常に清潔にして、誰にも触れされてはなりません」
「でも、わたし、おにいさまがしたいって言ったら、いやって言えない」
「ロウィーナ様は、お嫌なのですか?」
「わからない。たぶん、いやじゃない。ううん、ほんとは、すき。エリス、どうしよう。
最初は、おにいさまによろこんでほしかったから、がまんしたの。
でも、いまは、すき。もっとしてほしいっておもう。
でも、こんなこと考えちゃいけないんでしょう?どうしよう、わたし……」
「そうですね。どのような時でも、女性は慎みを失ってはなりません」
ロウィーナは、しょげて頭をうなだれた。「どうしよう。わたし……」
「ロウィーナ様、ご自分を責めてはなりませんよ。
先ほど、いけないことと言いましたが、愛し合う夫婦の間でだけは、あれは正しいことになるのです。
心から人を愛すると、その人のすべてを求めて止まなくなる。自然なことですわ」
「ほんと?わたし、まちがってないの?あんなことがすきでいいの?」
「もしも、お相手がヘンリー様じゃなかったら?」
「まさか!おにいさましか考えられない。ほかの人は、絶対いや」
ロウィーナはおぞましげに身体を震わせた。
「でしたら何の問題もありません。順番が逆になってしまいましたが、ヘンリー様は将来夫になる方ですもの」
「よかった……」ロウィーナは、心からほっとしたようだった。
「お疲れになったでしょう?少しお休みになってください」
寝台に横になると、ロウィーナは尋ねた。
「エリス、前に兄弟では結婚できませんて言ったでしょう?」
「ええ。でも、私が間違っていました。陛下の許可が下りたのですから、ちゃんと結婚できますよ」
「兄弟で愛し合うのは、人間ではなく、けだもののすることだって、サラが言っていたわ。神をも恐れぬ、おぞましい行為だから、いずれ地獄に落ちるって。ほんと?」
「いいえ、そんなことありませんよ。サラは、ロウィーナ様を困らせるために、嘘を言ったのです」
「ほんと?わたしはけだものじゃないのね。お兄さまを好きでいいのね?」
「ええ、もちろん。愛した人が、たまたま兄だった。それだけのことです」
バーンズ夫人は、ロウィーナの額を撫でた。「そう、たったそれだけのこと――」
「よかった」ロウィーナは、すっかり安心したように目を閉じた。「ねえ、エリスは、おまじないが好き?」
「ええ、好きですとも」
「気持ちよかった?」「ええ、とても」
「エリスも呪われていたの?」「呪われる?何のことです?」
「だって、そのためのおまじないだもの。ねえ、エリス、怖くなかった?悩んだりしなかったの?」
「悩みましたよ。ずいぶんとね。私には相談する相手もいなかった――」
バーンズ夫人が一瞬の追想から現実に戻ったときには、ロウィーナは長い間見失っていた安息を得て、
すやすやと穏やかな寝息を立てていた。
夫人は、ようやく戻った無邪気な寝顔に胸をなでおろした。
子供たちは成長を急かされ、次々に自分の手を離れていく。
せめてロウィーナ様だけは、あと数年、何も知らない子供のまま自分の手元に置いておきたかった。
だが、それももう叶いそうにない。
この分では、乳母の職を離れる日もそう遠くないのではと思うと、夫人は寂しさと共に、
一抹の不安を感じずにはいられなかった。
終
諸般の事情により、来週はお休みします。お待たせしてすみません。
GJ。
幸せになれそうな、まだ波乱がありそうな。
こっちまで不安になってくる。
早く読みたいけど大人しく待ってます。
言葉責めエロス。二人、幸せになって欲しいものだ。
作者さん、ゆっくり休んできてくださいね!
三話
さんさんと朝日が降り注ぎ、早起きな小鳥達が愛らしくさえずっている。
「姫さん、早いねぇ…」
寝ぼけ眼をごしごしと擦ったドワーフが白雪に近づいてくる。
「おはようございます。…そうですね、朝食はもうできていますので、どうぞ召し上がって?」
白雪はさわやかな笑みを浮かべて、朝食の席に案内する。
「悪いね、本当に助かるよぉ。わしらの家事を面倒までみてくれるなんてありがたや、ありがたや」
「本当、男所帯に華が咲いたみたいだ」
がははと笑い声がおこる。
ドワーフ達はいつも、こぞって白雪を褒め称えた。
白雪に笑みを返されると、たちまち鼻の下を伸ばす輩も多いことだ。
そんな彼らを、品はなくとも親切で気のいい人達だと白雪は思った。
「このくらいの家事は、毎晩の宿を貸してくれる恩を思えば当然のことです。気になさらないで」
森の幸が盛られた料理皿を並べていく。
ちなみに白雪の料理はというと、彼女自身はあまり上等とは言えない出来と話す。
城付きの料理人の作った料理を食べ馴れていたせいか、
それが基準としているせいなのか、彼女の納得のいく料理はまだまだなのだとか…。
「…いい匂いですね」
やや疲れ気味の男の声がして、卵焼きを焼いていた白雪は振り向く。白雪に同行した兵士(名前:キコリ)である。
「あら、おはようございます。あなたもどうぞ席について」
城を抜け出し、彼らドワーフ達と出会ってから数週間の時がたった。
ドワーフは人間達よりも背が低く、鉱山で力仕事を生業にしているせいかがっちりとした体格をしていた。
ドワーフ達は皆、白雪に対してとても親切であった。
最初の晩せまいからという理由で、追い出されていた兵士も次の日から入れてもらえるようになり、カーテン一枚しきって
白雪と同じ部屋で眠ることになった。
ちなみに、となりはドワーフ達の寝室である。
*
「いってらっしゃい♪」
出かけていくドワーフ達を白雪は、笑顔で送り出す。
「さて、部屋の掃除を……」
(ここは、確かドワーフの方々に入るなと言われた…)
それはドワーフ達、彼らの寝室である。
身の回りの洗濯も自分たちものは自分達でやると言いはった。
(…女性に下着とかを見られるのが恥ずかしいのかしら)
キコリ(注:兵士の名前)の物だって、わたくしが洗ってやっているのだから気にしなくてもよろしいのに……と、そこまで考えてふと思う。
「………」
まさか自分の方が嗜みを忘れているのではないだろうか?
(いいえ!まさか!そんなわけは!)
白雪は激しく首をふる。
(…そうだわ!自分で洗わないあの男がそもそもいけないのだわ!このていたらく!)
ちらりと白雪は彼女自身の下した命令で皿を洗っている兵士を見る。
その時、家の中に戻った白雪に異変が起こった。
「呪いが…」
息を熱っぽく吐きながらなんとか、居間にたどり着く。
しかし、ついにへたりこむ。内股をもじつかせて、様子があきらかにおかしい。
お妃にうけた呪いが白雪を苛んでいた。
「んん…キコリ」
きゅっとスカートを掴み、堪える。
「ええ!?姫、またですか?」
台所で皿を洗っていた兵士がでてくる。
また、というのは時を選ばず頻繁にこの状況がおこるからだ。
「…はやく、…助けて…お願い」
「わかりました。ではドワーフさん達もいないことだし…」
命令をうけ兵士は姫を横抱きに抱えて、さきほどまで皆と朝食をしていたテーブルのうえに
姫を寝転がす。
目を剥いたのは、白雪だった。
「ちょっっと、冗談は止して!こんなところで、そんな!?」
「いい加減、ベットは厭きませんか?今朝も…ごふッ」
顎に白雪の拳が直撃する。たしなみ程度(?)の護身術だ。
「ななな、何が厭きたですか!?ここは食卓です!このような淫らな真似するような所では…ありません!」
身体が、熱を帯びて苦しいながら必死で怒りを露わにする。
「だいたいわたくしの悩みなど貴方には関係ないでしょうけど、でも!
わたくしが、どれほど恥ずかしい思いであなたに頼んでいるか少しは酌んでくれてもいいでしょう!?」
すでに、何が最初の原因だったかも忘れているかのようだ。
持て余したように、肩をすくめ兵士は視線をあらぬ方にむける。
「…では、やめますか?」
白雪は、目を丸くして首をふる。
「だめ!…それは、だめ。やめないで」
「でも、恥ずかしいんですよね?」
「はっ、恥ずかしいけれど…だめ」
「では、ここでも構いませんね?」
「………」
大人しくなったすきに、兵士の手が白雪の服に潜り込む。
「…っ…、ここでは…だめ…て、いってるでしょう…」
はだけた胸元から乳房が溢れる。その頂点をくすぐるとたちまち硬く尖る。
「…んっ」
「気持ち良くなってきました?」
兵士の指は、手慣れていた。始めご機嫌をうかがうように乳首を撫でていたと思ったら
今度は指の間に摘んで擦りはじめる。
ここ数週間の間に白雪の身体を知り尽くした指だ。
「…ぁっ…」
「感じているのなら、どうかお声を聞かせてください」
彼は摘んだ乳首を口に含み、舌で転がす。
「やぁ…ん」
白雪は甘く痺れて吐息を漏らした。
*
同時刻
「今、貴女の元へ行くわ」
お妃は白雪のいる森の中へと足を踏み出した。
「待っていて、白雪…」
そういうと天に彼女は祈るように胸元で手を組んだ。
*
「ああぁん!やぁっ…もう、舌だけじゃ…おかしくなちゃうぅ!…ひゃぁん」
白雪は与えられる快感に狂おしく悶えた。
白雪の秘部は濡れて、いやらしく滴っている。
秘肉がひくひくと、物欲しそうにねだっている。
「…お願いっ、こんなの、いつまでも…堪えられないぃ」
テーブルのクロスに恥ずかしい染みが出来ている。
兵士は面白そうに目を光らせた。
「では、命令を」
「ばかっ…意地悪してないで!…ぃ…れて…っ」
「なんですか?もう一度」
「っ…っ…私の…ここに…」
あまりのはしたなさに恥ずかしくて白雪は目に一杯に涙をつくる。
「『アレ』を挿れて…欲しいのぉっ…」
してやったりと兵士は白雪の細い腰を掴む。
大きく広げた脚の間に兵士が腰をよせる。
白雪は顔を上気させ、目を瞑った。
「…ぅ、くぅうんっっっ」
*
「白雪、貴女は今どこにいるの…?」
深い森をお妃が彷徨う。
「貴女は今、何をしているの…?」
森は答えない。
*
「あっ、あっ、あっっ、…あんっ、あんっ、あんっ!」
ぎしぎしと木造りのテーブルが軋む音がする。
「…あぁん…、はぁぁんん…」
兵士は深く挿入したまま、腰を白雪の胎内でねっとりと掻き回すように動かす。
「姫…、姫の声…すごい、やらしい」
どくんと、白雪の中に埋もれた肉棒が硬さを増す。
唇を寄せようとする彼に、白雪はぷいっと横を向く。
「くっ…!…好きにされてると思って、調子にのらないで…っ」
白雪は兵士の身体の下で藻掻いた。
「相変わらずじゃじゃ馬っぷりで…」
「あぁっ」
白雪の脚を掴む。
火をつけたように激しくなる腰の動きに白雪は濡れた悲鳴を上げる。
「やぁっ…激しいっ…ぁっ、ああっ…」
「暴れる馬には、仕付けをしないといけません」
兵士は痙攣する白雪の脚を引き、腰を白雪の濡れそぼった局部に叩き付ける。
「…ひゃぁっ…熱いの…身体とけそう…」
…ずちゅっ、ずちゅ、じゅぷ、じゅぷっ
粘り気のある水音すら、卑猥で心地良い。
二人の側には花瓶が倒れている。テーブルクロスを掴んだ白雪が倒したせいだ。
花瓶の中に入っていた水が、ぽたぽたと床を濡らしていた。
*
「はぁ、はぁ、白雪…わたくし…」
お妃は森の中で立ちつくす。
「迷ってしまったわ…」
ぺたりと彼女はその場に座り込んでしまった。
*
「…あぁっ、ひぁっ、…ああっ…キコリ…っ」
白雪は突き上げてくる兵士にあわせて腰を揺らす。
「……ッ」
余裕がなくなったのか兵士も黙したまま彼女の深い場所を責める。
「あぁあんっ…やぁぁっ…もう…もう…はぁぁっ…」
眉をきつく寄せ、絶頂が近いのを訴える。
白雪の中で肉棒が激しく暴れ回る。
白雪はつま先をピンとつっぱらせる。
「…イクぅっ…イッちゃぅぅっ…ぁああんっっ」
兵士の首に腕を巻きつける。
白雪は快楽に身を浸し狂ったように泣き叫ぶ。
深い場所を一際強い快感が押し寄せ、一気に弾ける。
「…ぁぁあぁあああッッ!!」
強烈に過ぎた感覚に白雪は身体をふるわせ、意識を飛ばした。
*
「おや、あそこに誰かおる」
ドワーフの一人が人影に気づき指をさす。
「どうなさった、迷い人かね?」
振り向いた女は美しかった。
「わたくしの白雪は…どこ?」
彼女はそういうと森の奥へと消えていった。
*
ようやく正気に返った白雪は身を整えると、寝室に向かった。
「……これを、お城に届けてほしいのです」
そして寝室の机から手紙を取り出した。
「これは…?」
「お父様…国王に…渡してほしいのです」
白雪は手紙を兵士に渡した。
彼は、困惑して白雪の顔をうかがった。
「わたくしの心配ならいりません。ここは深い森のなかですし、お妃は今も城にいるはずですから…」
父が心配していると思うから、私の無事を知らせてほしいのです、お願いします」
「…わかりました。…でも、姫にはお妃の『呪い』が…」
「それは…」
白雪は口ごもる。
「まさか自分でお慰め――」
かっと白雪は顔を赤らめた。白雪は無言で兵士のすねを蹴る。
「〜〜っ!……なるべく、はやく帰ってきます」
「ええ。わかったらさっさと行ってくださいな」
白雪はほうきで兵士を家のそとに追い払った。
兵士は馬に跨り、森の緑に消えた。
部屋をでるとドワーフが隣りの部屋からでてくる。
「あら、忘れ物ですか?」
「あっ…ああ。あっそうじゃ!儂等の部屋は掃除せんでいいから」
「そうですか…。でも、…どうせなら」
「ち、散らかっておるから見んでくれっ」
そそくさとドワーフは去っていった。
「???」
白雪は首を傾げていた。
*
兵士がお妃の姿を見つけたのはそれから、それほど時間が経っていない頃だった。
「お妃様!?なぜここに!」
「おっお前は、このけだものがぁっ」
「うわぁっ!」
お妃はおどろしげに兵士の足につかまり、彼を馬から地面にたたき落とした。
「白雪は〜どこに〜?」
目を血ばらせたお妃に兵士はひるんだ。
「おっしゃいっ!白雪を何処に隠したの?!素直に言いなさい!!」
言葉に含まれる威圧を含んだ強引さは白雪のそれを上回っている。
気圧されながら首をふる。
「!」
お妃はふと何かに気づいたように、兵士の首もとを嗅いだ。
「フン…フン…」
「お妃…様?」
「この香り!…白雪の!……この男は〜!!」
兵士の首に、なにかが巻き付く。
「…ぅぐっ!」
「…この雄豚がぁ!!!」
「ヒ…ぃぃ」
お妃の形相に兵士の口からか細い悲鳴が漏れた。
*
「おい…!皆の者、聞いてくれ」
一人の呼びかけにざわざわとドワーフが集まり出す。
「そんなに慌ててどうした?ボーフラ(ドワーフの名前)」
「白雪姫にくっついてた邪魔な男がいなくなった!城に帰ってしばらく帰らんだと!」
「なんと…!!ほぉ」
ドワーフ達は長い眉毛の奥から瞳を輝かせた。
「それは、いいのぉ…」
彼らはにやり…と薄気味の悪い笑みを浮かべる。
「さすがに、毎晩あの艶声を盗み聞いたりするだけというのも…」
「…じゃのぉ。あれを覗き見するのも十分堪能したし…」
「もう既に厭き厭きしていた頃だしのぉ…、ふぉっふぉっふぉっ」
彼らは好色な顔を見合わせた。。
暗い森にドワーフ達の陰気な笑い声が木霊した。
*
「今、何か悲鳴が…」
白雪は、窓から顔をだす。しかし鳥が羽ばたいていくのが見えただけだった。
森の奥から誰かが近づいてきた。
フードを目深くかぶって顔はよく見えないがどうやら女のようだ…。
「…どなたですか?」
「………」
女は微かに笑ったようだ。
薄気味悪く感じた白雪は窓を閉めようとした。
「…待って――」
女が口を開いた。
聞き覚えのある声に白雪は悪寒がした。
女はフードから顔を覗かせた。そして言った。
「会いたかったのよ…白雪」
「お母様……」
それは紛れようもなく彼女の義理母、お妃であった。
白雪は信じられない物をみるように、目を見張った。
「ふふふ…」
愛おしむような響きの含み笑いに悪夢のように白雪は気が遠くなる思いだった…。
終
>>145 察しの通りです。
>>146 佐々木みすずの白雪姫は見たことないのでいつか機会があったら見たいと思います。
御伽話のエロいパロはよくよく見かけますね。「残酷な童話」とか「本当は怖い童話」(両方とも漫画)とかで。
姫がよくまたいたぶられてエロいこと
待ってたよ!今回も素晴らしい!
これだけ役者が揃えば王子様は必要ないな。
くんずほぐれつの次回を心から楽しみにしてます。
GJでした!
キコリ(注:兵士の名)に爆笑www
「すまんのう。」とか言いながら、ドワーフの責めが始まると思ったら……。
次回もwktkで待ってます!
姫の受難が楽しみでたまらん。兵士、死なないでな。
唐突だけど、耽美作家ヤマアイシキコの『冬の星座』の
1エピが忘れられない。
主人公が悪役に、催淫効果のある芋を前後の穴に押し込まれてこう言われる、
「昔、蛮族の王が、征服した国の姫君に服従を誓わせるために
使ったといいます。
これを前後の穴に入れて両腕をつるした格好で街の広場にさらしておくと、
どんな気位の高い奥方も姫君も
淫らに踊り狂うように悶えたそうです。
そうして散々見世物にしたあと、野蛮な下郎どもに犯させる。
何人目で姫の息が絶えるか賭けが行われ、
生き残ったとしても共有の奴隷」
全体の話よりもこれに萌えた。さらされる時はもちろん全裸だよな。
>全裸でさらされ
モチロン(・∀・)!
シキコいいじゃねぇか! と思ってググったらボーイズラブなのかよ!
や、野郎の絡みは勘弁……(つД`)・゚・。ワァァアアン
と言いながら、あらすじを読破してしまった。
すげぇ世界だボーイズラブ。(ある意味)感動した。
モロチン(・∀・)!
に見えたので凄いノリ突っ込みかとオモタ
>>171 「虹の麗人」のイリスはふたなりで胸はない。
だが男というよりもつるぺた少女だと思うと萌える。
126 :名無しさん@ピンキー:2006/09/26(火) 23:28:24 ID:bEZhnI9J
>>124 民衆を愛し、民衆からも慕われている聡明な皇女が、国を滅ぼされる。
↓
「こいつを犯せば命は助けてやる。」と征服者に促され、
皇女の懇願も耳に入らず、一見嫌々、内心では喜んで皇女を犯す民衆。
ーーええのう。
「お姫様」なら、たとえどんな屈辱的な状況でも、
民の命を助ける代わりに・・・という条件をつけられれば耐えるしかない、
という大義名分があるので美味しい。
逃げたり逆らったりしたら人質を殺すとか、
自害などしたら皆殺しとか言われて嬲りもの、
犯りたいほうだい。
175 :
171:2006/10/11(水) 20:34:14 ID:DYCuNW5T
モチロンモロチン(・∀・)!
>>172 どんなノリ突っ込みだYO
つるぺた少女なお姫さま良いな。
ロリロリな姫というとこのスレではロウィーナたんという
超素敵姫さまがいらっさるわけだが、素敵姫さまは
何人いらさってもいい。
誰かつるぺた少女姫のSS 書 か な い か?
俺は和風な姫様も見てみたい。島流しじゃー!みたいな。
そして神投下wktk待ち。
+ +
∧_∧ +
(0゚-∀-) ワクワクテカテカ
(0゚∪ ∪ + ロウィタンモ シラユキタンモ モエェ
と__)__) +
176 :
緑の姫の血:2006/10/13(金) 05:44:36 ID:mKQ8DEp6
あいにくつるぺたでなくてすまんが
戦に負けた姫がさらしものという設定で二ついきます。
ここまでのあらすじ
古代ふうのイメージの世界。
大国に侵略された小国が戦争に負ける。王は既に討ち死にし、
残された姫が女王として、民を滅ぼさないために降伏の道を選ぶ。
敵国の使者は告げる、
「わが国では、負かした国の高貴な女人の血を、我らの神への生贄として
捧げるしきたりがございます。姫がその身をゆだねると誓うのならば、
我が王はこの国の民の血は一切流さないことと仰せです」
将兵はどよめくが、姫は少しばかり身をぴくりとさせただけで、即答した、
「承知した」
「姫・・・」
「この身ひとつで民が救えるならば当然のことではないか」
「では、さらに我が王のお言葉をお伝えします:
姫は我らの神殿まで、荷車で運ばれること。その身につけるのは、
王族の印の宝石のみ」
さすがに蒼ざめる姫だが、「それはあまりに・・・」と激昂する家臣たち
をなだめて、
「かまわぬ。よいか、私の行為を無にしてはならん。
心して生き延びるのだ、いいな」
177 :
緑の姫の血:2006/10/13(金) 05:49:05 ID:mKQ8DEp6
敵国の使者について陣営の外に出ると、既に荷車の用意があった。
従順にそれに乗り込んだ姫の体から、武装が剥ぎ取られる。
まだ少女といってもよいほどの年でありながら、武勇すぐれた父王の跡をついで
戦場にあれば、兵士たちは姫を戦女神のように崇め、
士気はふるいたったものだ。しかしいまやその武運も敗れた。
敵兵たちの目が取り囲む中で、姫の鎧が外されて、
さらにはその下の短衣が音をたてて切り裂かれた。
額を飾る、瞳と同じ色の緑の石だけしか身につけていない姫を、
兵士たちは両腕を背後できつく縛り、両足首にも鎖をつけ、
細い白い首にも家畜のように首輪をはめた。
罪人のように荷車で運ばれる姫の裸身は、無遠慮な視線にさらされている。
恥辱に耐え切れずうつむいてしまう姫の髪を、背後に立った兵士は無慈悲に
つかんで引き、顔をあげさせる。せめて長い黒髪で少しでも体を隠すことさえも許されない。
思わず目を閉じてしまえば、「目を開けろ」と命令の声が飛び、
自分に向けられる無数の視線が嫌でも目にはいってしまう。
群衆の中には、姫を慕う民、善良な女たちもいる。
すらりとした長身の姫のまばゆいばかりの体に見惚れながら、
その白い首筋を見れば、あの喉が掻き切られるのだろうか、
豊かな美しい胸を見れば、あそこに刃が立てられて心臓を抉り出されるのだろうか、と泣く。
おいたわしい姫さま、あの美しいお体を、殿方に愛撫される幸せも知らずに
お命を散らされるなんて。
しかしそのような同情のまなざしも、いまの姫に届くものではなかった。
屈辱と羞恥の涙が頬をつたい、白い体はかすかに震える姫を乗せた荷車は、
王の待つ神殿へと近づいていった。
178 :
緑の姫の血:2006/10/13(金) 05:51:26 ID:mKQ8DEp6
神殿で待っていた王は、仮面のゆえに姫は表情を読むことができなかった。
「よく来た、姫よ。おまえの勇気に敬意を払おう」
その声は、若いようでもあり老いたようでもあった。
「私のこの身を捧げれば、我が民は護られるのだな」
「約束しよう、これまでとなにも変わらない。ただ、崇める王が交代するだけだ」
「ならばなにも不満はない。逃げも抵抗もしない、好きにするがいい」
「見事な覚悟だ。・・・儀式のまえに身を浄めよ」
神殿の片隅には浴室がしつらえてあり、そこは儀式を司る者たちの、
そして生贄のためのものだった。控えていた巫女たちが姫の体から
縛めをはずし、ふんだんに水や湯をかける。まだ子供のような娘も、
老女もその中にはいた。彼女たちの視線には、憐れみも悪意も浮かんでいた。
179 :
緑の姫の血:2006/10/13(金) 05:54:55 ID:mKQ8DEp6
やがて姫はひきずられるように、王と神官たちの待つ祭壇へと
連れていかれる。目隠しをされ、再び後ろ手に縛られて祭壇へと横たえられた。
肌の上に、冷やりとした感触が落ちたと思うと、芳香が漂った。 巫女たちの手で姫の
体に香油が刷りこまれる。多くの手で撫でられて、
じきに命を絶たれることをしばし忘れさせられる。
その心地よさから少し我にかえると、手の中に感触の違うもの、
−−男の手が混じり始めたことに姫は気づいた。やがて男の手ばかりになり、
その手が姫の弾力のある乳房を握り締める。「うっ・・・」
両脚を広げられて下腹部の穴にも指が入れられ、香油が塗りこまれる。
腰が持ち上げられ、後ろの穴にもまた。
乳首にも改めて香油がたらされて、摘まみあげられて声が漏れる。
「あっ、・・・はぁっ・・・」 朦朧となった姫の耳に、
「王よ、そろそろ剣のご用意を」という声がかすかにきこえた。
180 :
緑の姫の血:2006/10/13(金) 05:59:54 ID:mKQ8DEp6
あぁ、やっとこれで終わるのか・・・という安堵の思いに捕らわれた姫の頬に、
冷たい刃があてられた。姫が覚悟を決めたその瞬間、
その刃は目隠しを断ち切り、神官たちの腕が上半身を起こさせた。
いきなり開けた視界に映ったものは、衣の裾をからげた王が
その股間で隆起させた男根だった。
「・・・・・・」生まれて初めてといっていい恐怖に息が止まる。
その表情を愉しむように王の口の端があがり、姫の足首をつかんだ王は、
姫の下腹部の初々しい蘭の中に、己の充分に猛ったものを一気に押し込んだ。
「あああああああ」 予期できなかった痛みに絶叫がほとばしる。
がくがくと揺すられるたびに、痛みに悶えて身をよじる姫の体で
豊かな乳房が揺れる。ぞんぶんに突き上げ、処女の締め付けを味わってから、
中に放出し、男根を引き抜く。
一瞬ほっとしたかのように見えた姫の身は、裏返されて、
今度は後ろの穴に指が突き入れられた。その意味を悟り、
反射的に身を強張らせる姫。取り囲む神官たちはその体をしっかりと
押さえつけ、逃げることはかなわない。
指をふやし、かきまぜ、香油の媚薬の効き目を多少なりと促したが、
それでも、初めての痛みはじゅうぶんに耐えがたく、
後ろの穴に容赦なく挿入された姫は、さきほどよりもなお
激しい叫びをあげて意識が遠のいていった。
181 :
緑の姫の血:2006/10/13(金) 06:04:46 ID:mKQ8DEp6
次に意識がもどった時、姫の目にまずはいったのは、
祭壇の周囲で交わっている神官と巫女たちの姿だった。
そして己は、王の膝に乗せられて背後から抱かれている格好になっていた。
「気がついたか」 姫の胸を揉みながら王がつぶやいた。
「儀式はどうなった」「じきに終わる」「私の血を捧げるのだろう、この手は
私の体を撫でるためのものではなかろう」
「ふっ、とことん気丈なことだ。よかろう」
王は祭壇にしいてあった白い布を剥ぎ、それを神官の一人に渡した。
赤い染みのついたそれを広げてみせると、神官はそれを、
祭壇のそばで燃えている炎の中にくべた。
「これで終わりだ」
呆然とした姫は、ようやく知ったーー捧げられる血とは、破瓜の血だと。
では、この身を好きにさせるということはーー。
「おまえの体には素質がある」 再び姫の体に手をまわした王は囁いた。
「これからいくらでも淫らになれる。たっぷりと仕込んでやろう。
逆らえばーーわかっているな」 そう、民の命は王の手にある。
「おまえの民は、もうおまえは死んだものと思っている。
聖女のようにあがめていくことだろう」
王の片手は姫の乳房をこねまわし、もう片方は、前の穴を突いている。
「もし、私の機嫌を損ねるようなことをしたら」
乳首をつねりあげる。「うううっ」
「こうやって、おまえの民の目の前で嬲り者にしてやろう。
淫らにあえぐ姿を見せつけてやる」
哀願するような表情を浮かべた姫の目を見て、冷酷に言葉を続ける。
「私の気がすむまで、おまえは私の奴隷だ。
・・・この腹に子をしこんでやるのも悪くない。女児ならば、
年頃になったら父自ら処女を奪ってやる。もし男児なら・・・」
姫はそれ以上きいていなかった。私は虜なのだ。慰みものなのだ。
征服者に突き上げられる痛みの中に、早くも快感が混じり始めたことを
自覚しながら、王の言うとおり、
いずれ自分が淫らな奴隷に調教されることを予感していた。
気を失うことは一時の逃避にすぎないとわかっていても、
いまはもう目の前の絶望から逃れずにはいられなかった。
姫は、体の中に熱い迸りを感じながら意識を手放していった。
終わり
このあとの展開は書く予定なし。
姫は淫らな体にされるけど心は許さないまま、王もとことん鬼畜で、
生まれた女児を幽閉して育て、
十数年後に自ら処女を奪ってこれも慰みものにする、という大筋だけあります。
182 :
ルイゼ:2006/10/13(金) 06:17:11 ID:mKQ8DEp6
もう1本、敗れた姫のさらしもの投下。
ルイゼ姫は、火刑台の上で、同じように隣の台にくくりつけられている妹
リーザ姫を哀れみをこめて見つめた。14歳のいたいけなリーザは、
恐怖でもう気を失っている。しかし妹がぐったりしている原因は
そればかりでもないことをルイゼは知っている。
かわいそうに・・・でももう私たちの苦しみももう終わるのよ・・・
ルイゼ姫は19歳。数年前に隣国の王子に嫁いだが、すぐに王子は病死し、
子も授からずまだ若かったルイゼは実家に戻されたのだった。
その後、その隣国は王つまりルイゼのかつての舅が、突然失踪してしまい、
宰相たちにまかされた国は動揺した。
その隙に、ルイゼ姫の国は東の大国の侵略にあった。隣国の助けが
求められれば事情は違っていたかもしれないが、混乱の続く隣国を
頼りにはできなかった。父王は早くに討ち死に、軍は崩れ、
国民を死なせないためには降伏しかなかった。
東の侵略国の王は、降した国の王族を処刑してきたときいていたので、
姫たちも覚悟はしていた。しかし、姫たちの美貌は、王にかえって嗜虐心を
おこさせ、いっそう残酷な辱めが与えられたのである。
処刑の日。ルイゼ姫は全裸で馬に乗せられ市中をひきまわされた。
一度嫁いだとはいえ、まだ娘のような初々しさを保ったほっそりとした体には、
形よく豊満な乳房が揺れている。隣をいく監視兵が、時折杖でその乳房を
嬲るようにつつき、うつむいてしまいがちな顔を無理矢理上げさせる。
杖で弄ばれて形を変える乳房に、その上で立ち上がる乳首の様に、
監視兵の息が荒くなり、群衆の野卑などよめきも高まった。
蒼ざめて震える姫の心中は、一刻も早くこの辱めから逃れたいという思いしか
なかった。そして、愛しい妹の苦しみを思うと、いっそう心が痛むのだった。
処刑場に着くと、妹もちょうどつれてこられたところだった。
昨夜姉のもとから引き裂かれて連れて行かれたリーザ姫は、
奴隷たちに下げ渡され一晩中犯されたのだ。東の王の国では、
未婚の娘は処刑前に犯す慣わしがあるという。
破瓜の血が脚を伝わっている。その痛みがまだ残っているリーザは、
姉の顔を見ると、弱弱しく微笑んでみせて、気を失った。
姫君の白い裸身が鎖で縛りつけられた火刑台が二つ立てられ、
処刑人が合図の手をふるのを見たあたりから、ルイゼ姫の意識も遠のいていった。
183 :
ルイゼ:2006/10/13(金) 06:19:49 ID:mKQ8DEp6
ルイゼ姫の意識が戻ったとき、とっさにわけがわからなかった。目隠しがされている。手は背後で縛られているが、鎖ではなく荒縄のようだった。そして裸なのは変わりないが、土の上に寝かされている。
「姫、気がつかれましたか」
既に若くはなさそうな男の声がきこえた。聞き覚えがあるようだがわからない。
「ここは」
「業病の隠れ里でございます」
「なんですって」
姫たちの火刑台の薪に火がつけられようとしていたそのとき、
「お待ちください」
見物の群衆の中から、マントで全身を覆った一団が進み出た。
人々に忌み嫌われる病のため、普段は隔離されていて、
めったに人前には出てこない集団である。
「高貴なる姫君にとって、慰み者にされることは死以上の苦しみでしょう。
我ら哀れな病人のために、せめて陛下にとっての罪人の体をお下げ渡し下さい」
184 :
ルイゼ:2006/10/13(金) 06:23:20 ID:mKQ8DEp6
この提案は受け入れられ、姫たちの体は処刑台から下ろされ、代わりに、
忌まれる病人たちに与えられたのだった。
「では姫、ご無礼を」と、彼らが姫たちの体を抑えつけてなでまわす。
「あっ、なにを、・・・ううっ」 あまりのことに意味のある言葉の出ない
ルイゼ姫の耳に、いつのまにか目覚めた妹の悲鳴がきこえてきた。
「いやあっ、放して、さわらないで、・・・お姉さま、助けて」
途中から話をきいていたのだろうか、
それとも目覚めてわけのわからないままに、
またも多くの手に撫で回されていたのだろうか。
目隠しのために相手の人数さえもわからないままに、
爛れた皮膚の感触を押し当てられて慄く。やがて脚を広げられて、
かつて知っていた、そしてこの数年味わっていなかったものが
花びらの奥へと突き入れられた。男の、少し苦しげな、
そして満足そうな荒い吐息がはずむのが聞こえた。
腰をうちつけ、姫の内部も潤むことを確かめて、
名残惜しそうに男根が引き抜かれた。
そしてまたほかの体が覆いかぶさってくる。
下からの突き、胸や腹を撫で回す手、乳首に吸い付く舌、
蹂躙されながらルイゼ姫は、
忘れていた感覚が再び目覚めてくることを感じていた・・・。
185 :
ルイゼ:2006/10/13(金) 06:28:05 ID:mKQ8DEp6
気がついたら、目隠しは外されていた。そして周囲では、
10数人の男たちが跪いていた。ここは病人たちの隠れ里のはず。しかし・・・彼らはぜんぜん業病の持ち主には見えない。
「ここはどこ。あなたたちは誰」
「昨日と同じ場所、同じ、しかしもう病人ではない者たちです」
その声、そしてその顔にルイゼは見覚えがあった。
「あなたは・・・」
それはルイゼの死んだ夫の父、かつての隣国の王だった。
彼は語った:息子の妃であるルイゼに懸想していたが、
それは許されないことだった。ルイゼが実家に戻ってからますます
その気持ちは募り、その罪のせいか、あの病に取りつかれた。
王の資格など無くしたと思い、宰相に任せるだけで慌しく出奔して
この里に隠れた。なんとか病を癒す道はないかと占い師に頼ると、
「罪人にして罪なく、気高くかつ汚された身の美しい女人を犯す」ことが
薬だと告げられた。
「そこで、姫たちの身をもらいうけた。そしてあのような・・・」
と口をつぐんだ。
「姫たちのおかげで我らは病から救われた、そのためにどれほど忌まわしい
思いをさせたかは承知しておる、許しを求めることもおこがましい、
せめて、侵略者の王からは護らせてもらいたい、とりあえず我が国へ
避難してはいかがだろうか」
・・・尻切れトンボすまん、このあとの話はあまり考えてません。
処女だったのに輪姦されまくったリーザたんは半分心が壊れたように
なってしまったので、とりあえず元舅の世話する田舎で姉の介護を受けて暮らす。
ルイゼたんは、「奇蹟の聖女」として、その後も、
あの病の人に体を与えて奉仕することにします。
元ネタはいくつか。「カエルの王様」が一つ。
某ライトノベルの1エピ。古代バビロニアが舞台の話で、
「逆賊が妻○○、裸形にて市中をひきまわしのうえ斬首。
逆賊が娘○○、乙女の処刑は女神の心に叶わず、
七人の奴隷に下げ渡したのち母同様処刑」が、
エロな話じゃぜんぜんないからこそ興奮した。
なんか、ルイゼ姫とリーザ姫のキャラの描き分けなんかが
あまりできてない感じだけど、上記ラノベでの
人妻と処女で辱め方が違うってあたりが萌えポイントだったもので
姫を二人にしました。
なお、『トリスタンとイゾルデ』では、不貞のお妃を処刑の替わりに
ライ病患者たちに下げ渡している。
『哀れなハインリヒ』では、
騎士ハインリヒのライ病は自発的に捧げられた処女の生き血で治るとされている。
なにげに古典もエグイ。
186 :
ルイゼ:2006/10/13(金) 10:42:19 ID:mKQ8DEp6
リーザたんのその後追加。
医者には望みがなさそうなので呪い師に相談した姉ルイゼ、
答は、正気に戻すことはできるが、そうなると今度は色情狂になるという。
悩んだ末、このまま気がふれていたら、自分にもしものことがあったとき
どうしようもない、売られたりしたら娼婦にされるしかない、
では普段正気なほうがまだ救いがあると考え、その術を選ぶ。
リーザは、地方の領主が妻として連れていく。
可憐な心優しい妻をたいへん愛し、夜の営みも激しい。
リーザも夫に感謝して尽くすが、発作が起きると止めようもない。
夫だけでは足りず、しかも、奴隷・罪人といった卑しい男ほど
快楽が強い。だから屋敷にはそういう男たちが飼われており、
発作が始まると獣のように激しく悶えるリーザに猿轡がかまされる。
そして、欲望が満たされ発作が過ぎ去ると、
また、天使のように清らかな風情をたたえるのだった。
妻の愛らしさを愛でる一方、淫らな姿にも魅惑を感じる夫、
それゆえに罪悪感と悦びが続く・・・。
>>185 > 某ライトノベルの1エピ。古代バビロニアが舞台の話で、「逆賊が妻○○、裸形にて
> 市中をひきまわしのうえ斬首。逆賊が娘○○、乙女の処刑は女神の心に叶わず、
> 七人の奴隷に下げ渡したのち母同様処刑」
某じゃ分からないから、題名をきぼんぬ
ほんとに覚えてないんだゴメン、
数年前に小説ウイングスに載ってた読みきり。
処女は死刑に出来ないからって理由で幼女を処刑前に輪姦するってのは、
実際にローマがやってるな。
スエトニウスのローマ皇帝伝に載ってる。
うーん、せっかくだけど違うような。
問題のは、国を捨てて父とともに亡命した少年が主人公で、
あとから母と姉も来るはずだったけど
捕まって処刑、家来が手にいれたのか二人の首が送られてきた、
そこで例のフレーズが。
もしアタリだとしてもぜんぜんエロくない話なので念のため。
> 処女は死刑に出来ないからって理由で
なんで?
>>192 もともとは、まだまだ若い幼い子なのに処刑は不憫だから助けてあげようねって意図で決められたものらしい。
見事に逆効果だったが。
昔むかしあるところに、きれいなお姫様のいる小さな王国がありました。
そこに、お姫様が15才のある日、魔術師が仕立て屋を伴ってやってきました。
もう長いこと、この王家の信任厚い魔術師は、不思議な布地で織ったという
ドレスを贈り物としてたずさえています。
「まあ、なんて美しいドレス」
かすかな光沢を放つドレスを見てお姫様の目が輝きます。
「はい、この純白の衣装は、お姫様の清らかさにお似合いでしょう」
と、まだ少年の仕立て屋はうやうやしく応じます。
「ほんとうに、こんなきれいなのは初めて見ましたわ」
と、姫とさほど年のかわらないまだ少女の小間使いたちも口々にほめそやします。
しかし、女官長を始め、多くの人々はその様子を困惑して見ていました。
その人々の目には、ドレスも布も見えなかったのです。
「その布地には、私の魔法がかかっております。
心清く行いの正しい者のみに見えるのです。
人に言えない罪を犯した者には見えません。
姫様にお仕えしているほどの方々、
この宮廷の皆様方にはもちろん、この衣装のすばらしさが
おわかりでございましょう」
その魔術師の言葉に、人々は密かに蒼ざめました。
確かに、女官長は、しっかり者として姫の信頼を得る婦人です、
しかし、夫以外の殿方に心が揺れたことくらいはありました。
料理長は腕の良い働き者です、
しかし、高貴なお客様のための材料を、
つい過剰に味見したことはありました。
そんなささいな罪が今報いを受けているのかと冷やりとします。
「そうね、宮廷に仕えるのにふさわしいかどうか、
それですぐにわかってしまうわね」
と無邪気に応える姫様の言葉で、焦った人々は口々に、
焦ってお世辞をつむぎ出しました。
その様子を魔術師は、心の中でほくそえんでいました。
実はこの者は、良い魔術師の偽者だったのです。
かつてここのお姫様との結婚を父王に申し込んで
断られた他国の王が、それを恨んで、姫に、
死ぬほどの恥ずかしい思いを味あわせて欲しいと依頼してきたので、
悪い魔術師は、「ユニコーンの魔法」を織り込んだ布を作り出したのでした。
この布が見えるのは処女・童貞だけ。だから、正しい人でも、
結婚しているならばもちろん見えないのです。
たくさんの褒美を下された魔術師は、その同じ布地をたくさんと、
仕立て屋を残して辞去しました。
お姫様に、「この布で作ったドレスをお召しになるときには、
下着をつけてはなりません、見事な輝きをなくしてしまいます」と
悪魔のような忠告をして。
お姫様は、それからしばらくそのドレスに夢中でした。
同じ布地でいくつものドレスを仕立てさせ、毎日のようにお召しになります。
宮廷の人々の困惑はいかばかりだったことか。
魔術師の忠告を守って、下着はなにもつけていません。
まばゆい白い肌、華奢な肢体が屈託なげに動き回っているのです。
目の毒というか、目の保養というか、
しかしそれを悟られては、罪のある者と思われて宮廷を
クビになってしまうと思うと沈黙してしまうのでした。
お姫様は、教会に懺悔に行きました。質素な馬車を降りた姫を見た
僧侶たちには小さなどよめきが走ります。
「ほぅ、見事なお衣装でございますな」
「司祭様、だから懺悔に参りましたの。
虚栄の罪で心がいっぱいになってしまって」
そんな無邪気な姫の言葉に、優しく微笑む、
身も心も清らかな司祭の目には、本当に姫の衣装が
見えていました。しかし、僧侶でも清い者ばかりでは
もちろんないのです。
司祭相手に懺悔を済ませたあと、まだ姫はしばらく、
一人で祭壇の前で跪いて祈っていました、そして背後に
人の気配を感じて振り返ると、数人の僧侶がただならぬ様子で
お姫様を取り囲むように立っていました。
「なんの御用かしら」
少しばかり怯えを感じながら、それでも何気なく姫は問いました。
一人が無言のまま、姫の両腕をつかみ、背後にまわします。
そして、姫の髪を飾っていたリボンを抜き取り、それで後ろ手に
かたく縛りました。叫びをあげようとした口に猿轡をかませて、
彼らは姫の体を聖具室へと運びました。
そこで下ろされたお姫様の体を、破戒僧たちは布越しにまさぐります。
「う、うぅ・・・」
予期もできなかった無礼に、首をふって拒絶の意思を伝えることしか
できないお姫様。
「お姫様が悪いのですよ、我々を挑発なさるから」
意味がわからないといった表情の姫に、さらに投げつけられる言葉、
「僧侶だから罪がないなどと信じていらしたとは、
その純真さには心うたれるような腹がたつような。
我々の多くには、姫のドレスなど見えてはいなかったのですよ」
表情を凍りつかせた姫の耳に、ドレスの切り裂かれる音がきこえました。
お姫様の、瑞々しさと清らかさをたたえた白い体が露わにされます。
多くの手が、肌の上を這い回ります。
「このきれいな胸も、細い腰も、残らず、
人目にさらされていたのですよ・・・」
と、息をはずませているのは、特に荒々しく姫の乳房を鷲づかみにして
柔らかなその感触を堪能している男でした。
「あぁ、やはり直に触るのはたまらない・・・。
そしてこここそは」
と、姫の腰を持ち上げて、彼の目には見えない
ドレスの裾をからげて、姫の両脚を広げます。
うっすらと毛に覆われたそこを指でこじあけて、
ぐりぐりと刺激を加えると、姫の羞恥はいや増します。
「あっ、いやっ、そんなとこ・・・」と、もしも猿轡がなければ
哀願していたでしょう。やがてピチャピチャと音がして、
そこを男の舌が舐めていることを、姫はすぐに理解さえ
できませんでした。乳房も刺激され、乳首も摘まみ上げられて、
体中が責められて、お姫様の意識が朦朧となってきたその時、
穴の中へと男の太いものが押し込まれてきたのです。
「あああああああああ」
心の中で絶叫が響き、抑えつけられていながらも姫は
体を捩って抵抗せずにはいられませんでした。
男は腰をゆすって姫の体をますます深く穿ち、
姫の痛みもまた頂点に達します。
がっくりと頭をのけぞらせたところで、猿轡がはずされました。
「もう大声をあげる力はないでしょう。
少しは声をきかせて頂かなくては」
体の中になにか熱いものが放出されるのを感じました。
何人目かの男に突き刺されて、揺すぶられて、お姫様の吐息に
甘い喘ぎが混じるようになったころ、その意識は
遠くなっていきました。
意識を取り戻したとき、お姫様は一人で横たわっていました。
肌に残る痕跡。あちこちに痣があり、乳房には摑まれた指の痕、
乳首のまわりには歯形さえ残っています。
腿の間には赤いものと白く濁ったどろりとした液体。
信じられない光景でした。
そして、奇妙な違和感の最大のものはーー
無残に切り裂かれたとはいえ、わずかに腰のまわりに
ひっかかっていたはずのドレスが見当たりません。
自分はまったくの裸をさらしています。
わけがわからぬまま、とにかく宮廷に帰らなければならないので、
姫は聖具室を出て、よろよろと馬車へと歩きました。
するとそこへ、小汚い男の子が通りかかりました、
「あー、お姫様のドレスズタズタだぁ」
「こら、待てこのかっぱらいめっ」という怒号がしたので
その男の子は逃げ去りました。
「どうなさったのです姫様、お召し物をそんなにして」、と、まだ親の跡を継いだばかりの
まだ少年の御者はいぶかしそうに尋ねましたが、
姫は答えず、一刻も早く宮廷へと急がせました。
考えなければなりませんでした。
私は確かに、あのドレスを着て教会へ行った。
そしてあの狼藉にあった。
あの者たちにはドレスが見えていなかったという。
そのあと私の目にも見えなくなっていた。
・・・私の身が汚されたからだというのか。
奪われたことが私の罪だと。そんな馬鹿な。
そして、通りすがりのあの男の子には見えていた。
盗みをするような者だというのに。
ここで、お姫様の心に、魔術師の言葉への疑いが生じました。
そこでまず、女官長を呼びます。
「あなたは、品行方正な女官長であり、良い妻であり、
私の忠実な友であるはずよね。
それを信頼して尋ねます:
私のドレスがあなたの目には見えているの。
大切なことなので隠さずに言いなさい」
と、これまでになく深刻な真摯な目で問い詰められて、
ついに「お許し下さい、実は始めからなにも見えては
おりませんでした」と告白したのです。
それを皮切りに、お姫様は宮廷中の人々に、
本当のことを白状させました。
そして、それらの答と、自分自身の体験から、
ある仮説にたどり着きました、
すなわち、肉体の交わりーー一方的なものも含めて
ーーを持った者には見えない、という。
直ちに、魔術師のもとに使いが出されて、
こんどは本物の良き魔術師が問われて、
姫の推測のとおり、これが「ユニコーンの魔法」の布であったことが
判明しました。
お姫様は、自分がこれまで少なからぬ人々の目に
裸をさらしていたことを知ってしまったのです。
気の狂いそうな恥辱でした。死にたいとさえ思いました。
しかし、ここで死んだからといってなんになるのでしょう。
せめて、悪い魔術師への報復や、犯した破戒僧たちへの処罰くらい
してやらなければ気がすみません。
それらの考えをめぐらすうちに、復讐は復讐としても、
ドレスの一件はきれいになかったことにしてしまうのが
もっとも賢明ではないかという気になってきました。
宮廷の外で姫の裸を見た人には、自分の隠れた罪のせいだと
思わせておけばいい。仕える人々には、互いに忘れることを
誓わせるのがいい。美しいドレスにのぼせた軽率な自分と、
正直さを曇らせた人々で許し合おう。
そしてお姫様は、ユニコーンのドレスを残らず焼却させたのでした。
しかし、あまりの見事さを惜しんだ若い侍女が、一着だけとっておき、
王宮の衣装部屋の奥に、顛末の書付とともに隠しました。
それが後の世にまた騒ぎをもたらすかどうかは別のお話です。
終わり
元ネタは、少女マンガ『カレンのファスナー』収録の
『お姫様ははだか』。
「心のきれいな者にしか見えない」というドレスを売られたお姫様、
しかしお姫様を始めとして、ドレス屋を含めてほとんどの
人々には見えない。見栄をはって見えると言い続ける人々の目に
お姫様のきれいなヌードはさらされ続けたのだった、
うっかりドレスが燃やされてしまうまで。
という話。エロじゃないけどお勧め。すごく面白い1冊。
ルイゼ姫と似たパターンでまえにも考えた話があったので、
あらすじだけ書いてみる。
小国から遠国の王子に嫁がされた姫。
しかし夫とはほとんど顔も合わせないような状態で
床入りもしないまま彼はすぐに出陣してしまい、じきに戦死の知らせが届く。
若くして処女のまま寡婦となった姫に、舅である王が襲いかかる。
拒絶されて逆恨みした王は、姫に姦通の濡れ衣を着せて
処刑しようとするが、替わりに業病患者の集団に下げ渡す。
病人たちの頭になっているまだ若い男は真っ先に姫を犯すが、
処女であったことから、姦通が濡れ衣であったことを察し、
姫から事情をききだす。実はこの男は、出征した姫の夫王子だった。
忌まわしい病を負ったことから、不名誉を恐れて死んだことにしていた。
姫が彼らのもとで過ごし、体を供しているうちに、姫と彼らの間には、
社会の最底辺に追いやられた者同士としての憐れみが沸いてくる。
そして、姫の肌に触れて体を貫いた者たちは、病が癒えていく。
完全に元の体にもどった王子は、正体を姫に明かす。
姫は女神のように崇められ、癒しのための行脚に出てゆく。
リーザたんの夫はサドに目覚めたりして。
領内の死刑囚たちに愛妻の体を投げ与える。
罪人たちに犯されて最高に乱れまくる元姫君。
そしてその晩、「穢れた体にはおしおきだ」
なんて言っていたぶりまくる夫。
・・・けっこう幸せな夫婦だったりして。
>>200 乙!
でも「お姫様ははだか」が元ネタっていうか、その話がそもそも「はだかの王様」のパロではないのか?
>>203 >その話がそもそも「はだかの王様」のパロではないのか?
それはわざわざ問うまでもない常識でしょ。
はだかの王様っつーとあれか、大きな穴の中に叫ぶやつだっけ?
そりゃミダス王の驢馬の耳だ
この王様は触れた物が黄金になる呪いをかけられたりもしてる。
>>200 まさかこのスレでTONO作品の名前を見るとは思わなかった。
デビューしたころの作品で、大変美しいが大変素行の悪いお姫様が居て
いろんな男とやった挙句に妊娠。男達の中で避妊も知らないような少年に
産まれた子供を押し付けて城から追い出すという話があったような…。
あんなとんでもないお姫様見たの初めてで強烈な印象を覚えているんだが。
>>207 以前に男装少女スレでエキューのことを複数人で語っているのを見たことがある。
ライアンが嫌いなんで原作を読まなくなったが。
トノは乳描くの好きだよね。
本人は長身の美人らしいが。
80dだそうだが。
注意:♀×♀ エロ老人7人衆
4話
「会いたかったわ…白雪」
「お母様……?」
「突然に城から消えてしまうんですもの。とても心配し――」
うっすらと微笑みを浮かべたお妃はわずかに頬を上気させているようだった。
バタン!!!
目を見開き驚いていた白雪は、はっと気づくと次の瞬間には窓を乱暴に閉じていた。
「きゃっ?!白雪、何をするの?」
外ではお妃の声がしている。
窓一枚を盾として、白雪は我が身を守った。
「ねぇ…?お願い、白雪。ここをあけてちょうだいな」
宥めるような猫撫で声でお妃が白雪を説得する。
「白雪、聞いて。貴女は誤解しているのよ…。わたくし、ちゃんと貴女を娘だと思っているわ」
優しげな声はまるで初めてあった時のことを思い出させる。
「…わたくしね、子供を産んだことはなかったし娘なんてどう扱ったらいいかわからなかったらのよ…。
だから、貴女のことを知りたくて…いつも、貴女を見ていたわ…。あの夜も…貴女のことをもっと知りたくて…つい、いきすぎてしまったのよ」
「お母様のお話など聞きたくありません」
「……。…あんな馬鹿なことをしてしまったのは…悪かったと思っているわ…」
お妃が窓に手をつく。
窓を抑えていた白雪は緊張に手が強張る。
「………」
「白雪…。もう二度とあんな真似はしないと約束するから…仲直りしましょう?」
「……――」
お妃の声音は酷く優しげで、どんな極悪な人間でも心を溶かすような響きをしていた。
動揺する白雪。少しだけ、窓を開いて顔を覗かせようとした。
「!…お母様!」
…その時、わずかに開いた窓の隙間からお妃の手が伸びてきた。
慌てて手を引っ込めようとする白雪。逆に引き寄せようとするお妃。
「白雪…!嬉しい!ようやくわたくしを許してくれるのね!」
満面の笑みでお妃は白雪の手を自らの手の中に押しいだく。
困惑を深める白雪に尚もお妃は笑いかける。
「今日は、仲直りの印に貴女に贈り物があるのよ。見て」
風を受けて、お妃の手にした何かが揺れる。
飾り紐。胸で結わえる紐のようだ…。
光沢があり紅い色をしたそれは白雪の白い肌によく映える。
「綺麗な色でしょう?」
*
お妃はおっとりとした雰囲気をくずさぬまま、強引に家の中まで入ってきた。
「…まぁ…。小さくて可愛らしい家ね。まるで犬小屋みたい!」
「……」
「ここが、貴女の部屋ね?」
にこにこと笑うお妃の顔は、悪気はないがその分だけ質が悪いような気がする。
しかし、城で過ごしてきた白雪も(口にこそしないとしても)最初の時に同じことを思ってしまったためあえて咎めようとはしなかった。
「ね、ここに来て白雪」
お妃が手招きする方に白雪は躊躇いがちにすすむ。
「髪をすいてあげるわね」
「……ええ」
白雪は躊躇いながらも素直にイスに腰を降ろした。
さらさらと櫛を艶やかな髪が滑っていく。髪を撫でる丁寧な扱いが心地よい。
白雪は髪を梳くのをお妃に任せ目を閉じた。
温かい日差しが気持ちよくてつい白雪はうとうととしてしまう。
「…綺麗な黒髪ね」
ほお…お妃がうっとりとした声をだした。
お妃の指が白雪のうなじをかすめる。
「…ッ」
ぴくんと白雪が反応をしめす。くす、とお妃がひそめた笑いを零す。
「お母様!もう、いいです!」
「あら?」
お妃は、残念そうに首を傾げた。白雪は立ち上がろうとしたのだが…
「きゃぁ!?」
彼女はバランスを崩し床に転んでしまった。床に手をつこうとしたがそれができない。
「ふふ…白雪ったら、何をしているの?」
白雪は自分の両手首を見る。するとそこにはお妃の贈り物の紐がきっちり結ばれていた。
「!!?い、いつのまに…」
「貴女がうたた寝なんかしているからよ…」
見下ろすお妃の顔は妖しく色っぽい。
寝台に寝かされる格好になった白雪は、自由にならない身体をよじりお妃から離れようとする。
「無駄よ」
無情にも白雪は衣服をお妃に剥がされる。白雪は甲高い悲鳴をあげた。
「だっ、誰か!…あぅ」
お妃は白雪の胸を手で鷲掴む。そして紅く色づく乳首に吸いつく。
…ちゅ…ちゅっ
お妃は音を立てて白雪の肌に吸いつく。白雪はいやいやと頭をふる。
やがて、顔を上げたお妃は紐をもう一本取り出す。
そして、何を思ったかそれだ白雪の身体を縛り始めた。
「…ぐっ」
紐が身体にくい込み苦しい。柔らかい胸が紐に圧迫されて悲鳴を上げている。
これほど窮屈に縛られたことはない。
「痛いの…白雪?でも、我慢してね。あの男にだけおいしい思いをさせるのなんて許さなくてよ」
一見優しげな声はその分、残酷だった。
「…甘い砂糖菓子のような、白雪姫。肌は雪。髪は黒壇、唇は血…」
そういうとお妃は自らも服を脱ぎ、白雪の身体に覆い被さる。
お妃は白雪の身体を舐めていく。
「…生まれ持った魅力ね。貴女のその美しい肢体に、心揺れない者はいない…」
夢見るようにお妃は肌をあわせる。
「肌がとても熱いわ…」
「…ッ…ぁ…」
「…貴女の身体は甘く焼き付くような快楽を知っている…。ほら、ここに『男』を受け入れたのでしょう?」
白雪の秘裂を指がなぞる。
くちゅ…と粘着質な音をたてる。
「ほんのさっきまでここに『男』を銜えさせていたのね?」
「や…だめ…、…ん…っ」
「…雄の匂いがするわ…いやらしい姫君だこと…」
「やっ…ぃや!……ぁあぁっ…」
「…そんな甘い声で鳴いていたのね。…もっと聞かせて?」
お妃の指がぐちゅぐちゅと白雪の秘部に指を突きいれる。白雪は声をだすまいと息をつめて堪えるのみ。
「…あらあら、いけない子ね。こんなにいやらしい蜜をだして…ねぇ?」
口を意地悪そうに曲げたお妃は白雪の愛液にまみれた指をおいしそうに舐める。
「また敏感になったこと、白雪。わたくしがここに来るまでどれほど交わってたの?この身体で」
お妃は楽しげにくすくすと笑い白雪の肌に愛撫を重ねる。
(感じては、駄目…。気持ちよくなんてない!)
ぐっと白雪は目を瞑る。
ここでお妃の手で堕ちたら負けだと自分の心に言い聞かせる。
「…っ…!…私はあなたなどに屈したりはしません!!」
「どこまで、そう言ってられるのかしら…」
「ひぁ…ぁぁ…っ」
お妃の指が白雪の濡れた秘部を掻きまわす。きつく胸の頂を吸う。
白雪はたまらずに細く掠れた声をあげた。
*
その頃、ドワーフ達はすぐ彼らの住処の家の前まで来ていた。
「わしゃぁ、ああいった娘と寝所を共にするのが長年の夢じゃったんじゃぁ…」
おいおいと泣く動作をするドワーフ。
「ほうほう、お前さんの気持ちはわしはよくよぅく知っておるぞい。あの娘っこ、なんともエロい身体つきしとるからのぉ」
「わしもじゃ!わしもあの娘の柔らかそうな胸を見ているとどうにもどうにも顔をあそこにつっこみたくなるんじゃっ!」
「ほっほっ。お前は乳好きか!じゃぁ、乳はお前にゆずってやろう、じゃが、娘の股ぐらはワシのもんじゃあ!!」
「馬鹿を言うでない。何が『ワシのもんじゃあ!!』じゃ。なにを勝手に決めておる」「そうじゃそうじゃ」
「あの身体はわしらみんなで骨の髄までしゃぶりあうと言っておったばかりじゃろう」
ドワーフ達七人はやかましいほどに口々にああじゃ、こうじゃと白雪について語り合う。
その顔は白雪に今まで見せてきた親切で善良な老人達の者ではなく、赤らんだ好色助平な顔でしかなかった。
「はやく、会いたいのぉぉ…」
気色悪くひとりのドワーフが身もだえた。
「だからもう少しじゃて…ほらもう見えて…――んん?」
あるドワーフが何かを発見する。馬だ。乗り手はいない。
「これは…あの兵士の馬か?」
「そうじゃの。この馬の毛色といい鞍といいあの兵士が乗ってきたもんじゃ」
「なっ!おいっまだここらに奴はいるのか!!」
どよめくドワーフ達。
「やや、しかし肝心の奴はおらんぞ…馬に放り出されたか?」
「いや、ここは家のすぐそばじゃ。中におるのかも…」
「……そうかもしれん。…ぬか喜びじゃったか…ボーフラめ」
そうこうしている間に彼らは玄関先にまで来ていた。
なにやら声がする。一人は白雪のもの。もう一人はおそらく兵士かと思われたがそうではなかった。
どうやら女性のものである。「だれじゃ…?」一人が言う。
『…ぁぁ……助けて…誰か…』
白雪の悲哀に満ちた声を聞きドワーフ達はぎょっと肩をすくめた。
*
「……ぁぁん…」
お妃はその口から絶えず甘い息が零した。白雪は相変わらず縛られて身動きができない。
白雪も動揺であったがなんとか正気だけは失うまいと唇を噛む。
ねっとりと絡みつく身体に白雪は気持ち悪さで涙を浮かべる。
「もう、やめて…」
「では、わたくしの言うことを聞くのね」
「いや!!」
「素直にわたくしのものになりなさい。白雪……」
お妃は白雪の唇に自分の唇を重ねる。がりッと音がしてお妃の口から血が滲んだ。
「噛んだわね…」
その時、ばたばたと複数の足音が近づいてくる。
「…!」
「姫さん、大丈夫かの!?」
「…ぬぁおっ!!なんということじゃ!!!」
ドワーフ達が扉をやぶって駆け込んでくる。そして彼らは白雪のその哀れな姿に視線を釘付けにする。
「きゃぁっ!」
白雪は自分の置かれた状況に気づくと短い悲鳴を上げた。
お妃はそんな白雪を一瞥すると、血の滲む唇をぺろりと舐めた。
(あら…。帰っていらしたのね。無粋な方々、おまけに品のなさそうな人達ね)
ドワーフ達はお妃の侮蔑的な視線を感じたのか、怒りに顔を赤くした。
(おまけに怒るとよけいに猿みたいで醜いこと…)
お妃は彼らに嫌悪を感じた。おもわず眉をしかめる。
…しかも白雪にまざまざと拒絶の意志を感じ取りよけいに機嫌が悪いというのに。
そう、問題なのは白雪なのだ。すべて白雪さえ手に入ればこんな奴らのことなど。
白雪をどうしても手に入れたいという欲求に駆られていた。
そのためなら、たとえ白雪自身に傷が付こうとも…
「!」
(そうだわ…わたくしったらいいことを思い付いたわ)
「ねぇ?白雪。そんなにわたくしが嫌なの?――でも、そうは言わさせないわ」
お妃は白雪にだけ聞こえるようにそう囁くとドワーフ達に向き直った。
「あなた方がわたくしの白雪の面倒を見て下さったのですね。感謝いたします」
お妃は優美な仕草で頭をさげると感謝を述べた。
「なにか褒美を差し上げなくてはいけませんね…何がいいかしら?」
ちらりと白雪をみる。猫のように細められた目に白雪は肌を粟立たせる。
「そうだわ♪一晩、白雪姫の身体をお貸しします。どうぞお好きになさって!」
「…………え」
白雪は今なにかとんでもないことを言われたような気がして、しかしそれを頭が拒絶して酷く混乱した。
「淫乱な娘ですもの。白雪もあなた方に愛でられることならとても悦んでくれるでしょう」
「……お母様…?」
白雪は掠れた声でお妃を呼ぶのが精一杯だった。
お妃はそんな彼女に妖しい笑みを浮かべる。
「何を…。お母様、何を考えていらっしゃるの!?私は――きゃああ」
一人のドワーフが白雪の言葉をさえぎり彼女に飛びついてきた。
それに続きわらわらと他の者達も彼女のまわりを囲み始める。
「どうやらドワーフの皆様方には、喜んでいただけたようね。ではわたくしはこれで…」
「待って!…いやっ、やめて!」
「いやいや…せっかくのお妃のご厚意じゃ、受け取らねばなるまいて」
のし掛かってきたドワーフに白雪は信じられないとばかりに目を剥く。
これがこれまで親切だった彼らの真実の顔なのだろうか…?
「いやっいやぁ…たすけて…」
「もう既に用意よく裸じゃし、こりゃ手間がはぶけてよいのぉ」
彼らは歌い出しそうなほど上機嫌だ。すっかりその気らしい。
白雪は自分から血の気が引いていくのがわかった。
「おまけに縛られてて暴れることもできんのか。可哀想にのぉ」
愉快そうな口振りはちっとも台詞と一致していない。
白雪はもがき力の限り叫ぶ。
「お母様!!止めさせて!まだ近くにいるのでしょう!?」
「無理じゃて、あきらめんしゃい。ほれほれ、さっさと足ひらいてくれんかの?」
「はなしてぇ!」
ドワーフ達はそれぞれに白雪の身体に手を伸ばしてくる。
顔に、乳房に、尻、脚、それからその付け根にまで……
白雪はざわつく肌に身震いする。
その時だった。
『白雪』
頭の中にお妃の声が響いた。
*
「ふふ…白雪…。どう、その汚らしいドワーフに犯されてしまう気分は?」
お妃は噛まれたときの傷をもう一度舐めた。これはあの時の報復でもあるようだ。
お妃は実は隣りの部屋。つまりドワーフ達の寝室にいた。
かなり汚い部屋で逃げ出したくなったが、目的のためにとなんとかこらえる。
彼らの寝室と白雪の寝室を隔てる壁。その壁は不自然なくらい薄くできている。
そして彼らの寝室には7つ分の小さな穴が空けられていた。
指の太さくらいの穴ではあったがご丁寧に目印のごとく丸で囲ってある。おそらくはこれは覗き穴。お妃はその一つから隣りを覗き込む。
『…いやぁっ…っああ…』
白雪はドワーフ達に肌をいいように触られている。
お妃は櫛に唇をよせると囁きかけた。
「白雪」
お妃の魔法が宿った櫛は、先ほどまでその櫛で梳いていた者、すなわち白雪の頭に直接声を響かせている。
*
白雪はお妃の声がしてあたりを見回す。
どこにいるのか見あたらない。ドワーフ達も聞こえていないのか無心で白雪の身体をまさぐっている。
「姫さんはいい匂いがするんじゃのお」
胸の谷間に頭を埋めるドワーフがすりすりと胸にひげ面を押して擦りつける。
ひげがちくちくとして痛い…。
「…どれ、ちと銜えてくれんかの?」
ずいとドワーフの太い男根が顔の前にさしだされる。これを…?
白雪は顔を背けると頭を別のドワーフに掴まれる。そして向き直された顔、その口に先ほどのドワーフの愚物が押し込まれる。
「…ぅぐっ…」
白雪は息苦しさときつい匂いで意識が遠くなった。
その意識をつなぎ止めたのはまたしても、お妃の声であった。
『白雪、わたくしなら貴女を助けてさしあげてもよいのよ?』
「…っんん!?」
『た・だ・し、条件しだいで』
「……どんな条件ですか?」
『それはね…、貴女がわたくしのものになると誓約を結んでくれることよ』
頭の中に響くお妃の声は勝ち誇らんばかりであった。
白雪は言葉をなくす。この人はどうしてこれほどまでに私に執着するのか…
「ああ…もう、いや…」
お妃の声が響く。頭の中をぐるぐると巡る…
吐息まで聞こえてきそうだった…
『さぁ、白雪姫、選びなさい。たとえその身が汚されようとも自由を望む?それともわたくしとの愛を誓う日々を選ぶ?』
そして白雪は…
終
つ白雪がドワーフに犯されるのキボンヌ 1票
つ白雪がお妃さまにレズプレイされるのをキボンヌ 1票。
つ 兵士が帰ってきてドワーフと協力して妃と姫をリンカーン
つ兵士が帰ってきてドワーフとアッー!
未出アイテム
[りんご] [ガラスの棺桶] [王子様]
ええと、棺桶プレイでおながいします。
つ 白雪がお妃とドワーフにリンカーンされるのを指をくわえて見ているキコリ
緊縛サイコー
時代不詳、エセ和風で、国を滅ぼされた元お姫様と雇われ護衛
ってのを何となく書いてるんだが需要ある?
てか元お姫様ってここでもいいかな?
主従スレとどっちにするか迷ってんだけど
どっちでもおk。
待ってるよ。
スマソ・・・・言ってる傍から間違ってファイル消してもた・・・orz
予告して待ってもらっといてナシって最悪だろ。
美女のお妃に責められるのも絵になるけど、
醜いドワーフたちに犯されるほうがハァハァ度は高いかも。
両方やっちゃってくれ。
ロウィーナは長い夢を見ていた。
夢の中で、全裸のロウィーナは、暗闇に囲まれ途方に暮れていた。
無限に広がる暗闇。光も無く音も無く、深遠の中にはただ絶望だけ。
何かに追われるように、ロウィーナはひたすら歩いていた。
疲れて立ち止まると、絶望の深遠に飲み込まれ、
自分がその暗闇とひとつになってしまいそうな不安が全身を包む。
迫り来る恐怖から逃れるために、ロウィーナはよろよろと歩き続けるしかなかった。
どこから来てどこへ行くのかもわからないまま、くたびれ果てた身体で、ロウィーナは歩きつづけていた。
どのくらい歩いたのかも覚えていない。それすらも思いつかない。ただ暗闇だけ。
突然腕を掴まれる。
「こんなところにいたのか」
暗闇の中から見えない手が伸びて、身体をまさぐる。「いやっ、やめてっ」
「やめて欲しくないくせに」
「ああっ」耳たぶを甘噛みされて、ロウィーナは思わず声を上げた。
「あっ、はうぁっ……」今度はうなじをやさしく嘗め回される。
「はぁっ……私は……こんなこと……やっ、あっ、望んでいないわ」
「嘘をつくな」
「あああっ」乳首をきつく、つままれるとロウィーナはのけぞった。
「こうして欲しかったんだろう」
「誰が……お前など……はぁっ、ああん、お前など……いやあああん……あああん」
「正直に欲しいと言え」
「いやっ……欲しくない……いやよ、こんなの、あっ、だめっ、触らないで、
あんっ、あん、あああああっ、そこはだめっ、あああっ、……ああんんんっ」
だめだ、もう逆らえない、と思った瞬間に、見えない手は掻き消えた。
何故?ロウィーナは荒い息をして、身もだえした。
今のは誰?一体何なの?どうしてやめてしまったの?
そして落ち着いてくると、ロウィーナは自分を責めた。
まただわ。私はまた、誘惑に負けてしまった。
その場から逃げ出すように、ふらふらと立ち上がり早足で歩き出す。
再び暗闇の中をさまよう、疲れたロウィーナの歩みは、すぐに遅くなった。
「きゃあっ」
足を這う手の感触にロウィーナは悲鳴を上げる。
その手が、足首を捉える。ロウィーナはバランスを崩して、しりもちをついた。
「見せろ」
両膝をつかまれ、思いっきり広げられる。
「金色か」
あたりは真っ暗闇で見えるはずも無いのに、男はそう言い、ロウィーナは屈辱で唇を噛んだ。
「これがお姫様の――」男が舌なめずりする音が聞こえた。
「やっ……」
男が顔を近づけたのか、荒い息がかかり、ロウィーナの敏感な部分をくすぐった。
「いやっ、見ないで」
「驚いたな。もう濡れているぜ」「ひぁ」指がひと撫でする。「ほらこの通り」
男の指が頬を這い、ねっとりとした感触が残る。「やめて……」
「ぬらぬら光って、俺を誘ってやがる。もっと奥まで見て欲しいんだろ。どら」
がさつく男の指は、繊細なひだを無遠慮に押し広げた。「あああ、もうやめて」
「さすがお姫様だ。中までいやらしく良く動く。
見られているだけなのに、汁もたっぷり噴き出してやがる」
「ああっ、お願い、もう――」
「もう、何だ?もう入れて欲しいのか。淫売みたいじゃねぇか」
「このっ……離し……、はぁっ、はぁっ、だめっ……」
「あせるなって」
男は、ロウィーナの背後に回り、耳元で言った。
「あいつらは何を見ていると思う?」
暗闇の向こうに、大勢の男たちが固唾を呑んで見守っている。
その視線が、広げられた自分の股の中心に注がれているのがわかって、身体がかあっと熱くなる。
もっと間近で見ようと、男たちがじりじりと寄ってくる。
「いやあっ」
「さらし者になって、下々の者に視姦されるのはどんな気分だ?え?お姫さんよ」
「やめてっ」
「感じてんだろ?え?どうなんだ」
「はあっ、感じてなんか……はあっ、はぁっ」
「よだれが垂れているぞ。そら、私の、恥ずかしい姿を見てくださいと言ってみろ」
「やっ、いやっ、いやですっ」
「言え。自分で広げて、奥まで見てくださいと頼め」
「だめっ、はぁ、はぁっ……いや……、そんなこと、はあっ、はぁっ、はあああん」
「自分の指でこすってもいいですか、膣の中をいやらしくかき回してもいいですかと、お願いしてみろ」
「はぁ、はぁ、はぁっ……あああん、ああああん、いやっ、あああん、だめっ、見ないで、
お願い、いやっ、見ないでっ、いやあ、あんんっ、だめっ、だめっ、いやあああああ」
背中に当たっていた固い感触はなくなり、かぶりつくようにして見ていた男たちの気配も消え、
ロウィーナは、またしてもたった一人、暗闇の中にとり残された。
目に見えぬ男たちは、繰り返し現れてはロウィーナを辱めた。
しかし、ロウィーナは一度も泣かなかった。
『ロウィーナ様。あなたは誇り高き王家の人間。人前で涙を見せてはなりませんよ』
誰が言ったかよく覚えていないその言葉は、常にロウィーナの頭から離れなかった。
ロウィーナは、無駄だとわかっていながらぎりぎりまで抵抗をし、耐え切れずに声を漏らす。
理性を捨て、感覚だけに身を任そうとした瞬間、まるで決まり事のように男たちは消えた。
闇はロウィーナの心に重くのしかかる。ロウィーナの足は、止まりがちになっていた。
「僕の姫」と呼ぶ声が聞こえたような気がした。「ロウィーナ、僕の大切な妹」
そんな風に私を呼ぶ人は誰だったかしら。
たしか二人、いいえ三人だった。いえ、やっぱり二人だったかしら。
どうして思い出せないの。大切なことなのに。大切なこと?どうしてわかるのかしら。
疲れたわ。ロウィーナは考えるのが億劫になってきた。大切なことって何。
なんだか頭がぼうっとしてきたわ。私は何を思い出そうとしていたのかしら。
ついに疲れ果てたロウィーナの足は動かなくなった。
暗黒が迫ってくる。このまま、この闇に溶け込み永遠の絶望を生きるのだ。
ロウィーナの足がくず折れ、膝が、がくりと落ちた。
その腰をがっちりと掴む者がいる。
「いやあああああああああああ」いきなり下から挿入されて、ロウィーナは絶叫した。
腰を抑えられたまま、激しく突き上げられロウィーナの身体が、びくんと反応する。
「お兄様。いや、だめっ」
さらに尻を撫で回す手が加わった。
「やっ、やめてっ、お兄様。いやああああああ、うわっ、うあああああああああああああ」
準備もなくいきなり尻の穴が蹂躙される。
そして今度は、別の手が頭を掴み、叫ぶ喉の奥まで、肉の棒が突っ込まれた。
「ううっ」三つの穴を同時に犯され、痛みと恥辱で、とうとうロウィーナの頬に涙が伝った。
男たちは、無言のまま激しく動いてロウィーナを攻め立てる。
気の遠くなるような苦しみがまた始まった。
しかし、ロウィーナは、兄が助けに来てくれたのだと、そしてようやく
求めていた快感が得られるのだと、心のどこかで安堵していた。
心の中で、兄の名を叫びながら、ロウィーナは与えられる刺激に集中した。
しかし、絶頂を迎える直前、男たちは空しく消えてしまった。
どうして――。
大粒の涙がぽたぽたと落ちて、地べたに這いつくばったままの、ロウィーナの手を濡らした。
どうして、あれが兄だなどと信じてしまったのだろう。
私は、こんなにも穢れている。
肉欲に支配され、ふしだらな姿を晒しながら、潔く死ぬことも許されていない。
これが、私の望んだことだというの?
私はどうすればよかったの?
闇は答えを返すはずもなく、ロウィーナの叫びを一瞬にして飲み込んだ。
それでも、ロウィーナは立ち止まることが出来なかった。
動かない足を引きずるようにして、ひたすら前へ進む。
果たしてそれが前なのかどうかもわからないのだが、ロウィーナにはもうどうでも良かった。
ただ、ただ、闇が自分を取り込んでしまうのではないかと、そればかり恐れていたのだ。
やがて、前方に小さな光の点が見えた。
暗闇だけを見続けた瞳は、わずかな刺激も痛みと捉える。ロウィーナは思わず目を細めた。
小さな点は、次第に大きくなり、あたり一面に広がって、中心に竜の姿が現れた。
「私の迷宮へようこそ、姫」竜はロウィーナに言った。
「またお前に会えるとは思っていなかった。まさか自分から乗り込んでくるとはな」
「迷宮?自分から?私は前にもここに来たことがあるの?」
痺れたような頭で、一生懸命思い出そうとするが、ここに来るまでの記憶はあいまいで、
何も思い浮かばなかった。
「覚えていないのか?まあいい、良くぞここまでたどり着いたと褒めてやろう。
そうだ、褒美に、お前の願い事をひとつだけ叶えてやるとしよう、何がいいか」
「願い事?」訳がわからずロウィーナは訊ねた。
「言え、お前は何を望む。富か、栄誉か、それとも権力か」
「いいえ」
「男か?さっきから楽しみを中断されて、さぞやご不満だろう。
その身体を慰めてもらいたいのではないか」
ロウィーナは顔を真っ赤にして叫んだ。「いいえ!」
「何かひとつくらいあるだろう。知恵か、美貌か、永遠の若さか」
「いいえ、見損なわないで」
「では、お前の美しさを引き立てる、大粒の宝石を贈ろう」
「いりません。そんなもの私にはふさわしくない」
「お前の身を包む豪華な絹の衣装はどうだ。お前は裸で、靴も履いていないではないか」
「いいえ。ここでは何の役にも立たない」
「ここから出たくないのか。ここを出れば苦しみから解放されるぞ」
「ここから……。ここから出られたら……、そうしたら……、いえ、待って。ひとつだけあったわ……」
ロウィーナは、ずっと抱き続けていた願い事を口にした。
「よかろう、お前の願いは聞き届けた。そのかわり、わかっているな」
この願いと引き換えならどんなことでも耐えられるはず。
ロウィーナは背筋を伸ばして竜をまっすぐに見た。「ええ」
「殊勝な心がけだな。では、じっくりと楽しませてもらうぞ」竜はロウィーナをかき抱いた。
終
竜のイチモツでかそうです!
ロウィーナタンピンチ!
先の読めない展開でとても気になります。
ところで最初のほうのロウィーナ×アルは今投下されているSSの未来の話なのですか?
え、違うの?
和風姫君でも良いようなので、初投稿です。
時は平安。いずれの帝の御世であったか。
都の中心、華やかな御所に帝の寵愛深き尚侍がおられた。
帝の愛を受け皇子を産み、中宮へと上り詰めた妃はさらに美しき皇女にも恵まれ、
女としての栄華を極められた。しかし天は美しきものをすぐに側にお召しになる。
妃は若くして亡くなり、その死を深く嘆かれた帝は、妃の忘れ形見でもある
まだ少年の東宮に御位を譲られると、もう一方の忘れ形見でもある姫宮とともに、
院として隠遁生活に入られた。
「くすん…ひっく…」
「姫宮はまだ泣いているのか」
「父上…」
まだ少女の姫宮は、頼りとされていた母君に先立たれ、
慣れ親しんだ御所を離れ、心細く思われていた。
十二単の袖も、涙でしおれるかというほどである。
「いつまでも泣いていては身体にも障ろう。さ、おいで」
「ちちうえぇ…」
御所にいた時は、帝として高御位につかれ、どこか遠い人であった父帝が、
御位を降りられたことでそば近くに感じられるようになったのは、
母を亡くし心弱くなっていた姫宮の何よりの慰めでもあった。
院は姫宮の小さな身体を包み込むようにして抱き寄せると、
そのまま御帳台へと誘った。
不思議そうに首を傾げる姫宮に優しく告げる。
「今宵は一緒に休むとしよう」
「あ…はい」
もう子供でもないのに、父とはいえ男性と共寝することに少し恥じらいを覚えたが、
それよりも今は人のぬくもりが嬉しくて、素直にそれに従った。
唐衣を脱ぎ、白い単ひとつの姿となった姫宮を帝はそっと抱き寄せ、帳の中で臥所を共にする。
母亡き今、身近で頼りとする人は父院だけとなった姫宮はその温もりに安堵し、眠りの園へと
そろそろと誘われていった。
父院の様子がおかしくなったのはその時だった。
優しく自分の背を撫ぜていた父院の手が、じょじょに性急なものに変わっていき、
父の唇が気のせいか、髪や額を掠めていく。荒い息が顔にかかるのを感じて、
姫宮はハッと目を開けた。
そこにあったのは優しい父の顔ではなく、情欲にまみれた男の顔だった。
「ひっ…」
ありえざる事態に、姫宮の身体が竦んだ。
この国で最も高貴な人のありえざる振るまい、人倫に悖る行為が今まさに
行なわれようとしていることが信じられなくて、姫宮の頭の中は混乱の極みであった。
「いやっ…やめて…!」
必死に寝所の上をいざり、逃れようとするが、両肩をがっしりと掴まれ、
それもままならない。
自分の身を薄く纏っているのは衣ひとつ。それをわずかに留めている腰紐に、
父院の手がかかるに至って、姫宮は魂から拒絶した。
「いやぁ…! やめて、やめて下さい、父上! あなた様はわたくしの父ではありませんか!」
倫理を盾にした必死の抵抗に、院は軽く笑った。
「大丈夫だ。そなたの父は別の人だから」
「……え……」
重大な秘事を、まるでなんでもないかのように告げた院は、そのまま姫宮の夜着を
荒々しく剥ぎ取った。
宵闇に姫の白い裸身が浮かび上がる。形の良い乳房をいとおしむように、院の手が
差し伸べられる。
無遠慮な愛撫とともに、院の身体が覆い被さっていく。今だ壮年の院の身体は逞しく
精気に満ち、若く美しい姫の身体を前に興奮を隠しきれなかった。
しかし、姫の心はそこにあらず、ただ先ほどの院の言葉の意味するところを察し、
そのありえざる事実に恐れおののいていた。
(そんな…わたくしが院の御子ではないなんて…母后が不義を働いていたなどと…)
記憶の中の母は、帝の寵愛厚き妃として後宮で一番ときめいていた。
帝もこよなく母を愛していたではないか。そこには不義を働いている様子も、
不義を疑っている様子もなく、一対の夫婦として比翼の鳥とも連理の枝とも称され、
人々の羨みの的ではなかったか。
姫にはとても信じられなかった。なにより自分が皇家の血を引く姫などではなく、
今この瞬間、院御所にいる資格すらないと悟り、今まで内親王として人々の尊崇を
集めてきたことも、姫としてかしずかれてきたことも、何もかも自分がそれに
価しないことを知って絶望した。
姫が放心している間にも、院の蹂躙は止まらなかった。
乳房を揉みしだき、形のよい乳首に唇を寄せ、きつく吸い上げる。
「あ…あうっ!」
雷に撃たれたかのように姫の身体がびくりと竦んだ。
その反応に気を良くした院はさらに愛撫を深くする。片方の手で乳首を摘み上げ、
捏ね回した。そしてもう片方の手はそろそろと姫の下肢へと伸びていく。
「あ…あ…いやぁ…あふぅ…」
徐々に姫の身体が院の手により高みへと押し上げられていく。息があがり、
胸が激しく上下した。
「あ…ああ…だめ! そこはだめです!」
院の手が姫の秘所に触れる。そこは既に潤み、愛液が伝っていた。
自分の身体が知らず知らず反応してしまうことに、姫は混乱し羞恥した。
「可愛らしいことだ。私の姫よ…」
「ああ嫌…! 違う、違うの…!」
いやいやをするように、姫の頭が左右に激しく打ち振られ、
それにつられるように長い黒髪が褥の上を舞う。
「じっとしておいで。すぐに済む」
「や…何を…やめて、やめて父上…!」
ぐちゅり、と音を立てて、院の指が姫の秘所に潜り込んだ。
自身ですら深く触れたことのない場所に、他人のそれも異性の手を触れさせるなど、
考えたこともなかった。内親王ならば慣例では男を通わせることなく、
処女のまま一生を終えるはずだったのに。
(でも、わたくしは内親王ではなかった。こうなるのももはや運命なの?
ああ…今更何を考えているのかしら? もうどうでもいい…何も考えたくない!)
形ばかりだった抵抗ももはや無く、知りたくもなかった出生の秘事と、
血は繋がらぬとはいえ、父と呼び慕った人に今犯されようとしている裏切りによって、
姫は完全に打ちひしがれていた。
院の指が姫の秘所を出入りするたびに、ぐちゅりぐちゅりと嫌な音が辺りに響く。
姫の身体からは愛液がしとどに零れ、その反応の良さに院はご満悦の様子だった。
「姫…」
「あ…あああ…嫌嫌嫌嫌…! 痛い、痛い! 父上、父上ぇ!!」
院の身体が姫に覆い被さるように密着し、互いの下肢が絡みあう。
院のそそり立つ陽物が、姫の秘部めがけて突き刺さった。
いまだ幼さの残る姫に、破瓜の激痛は気が狂わんほどの衝撃だった。
「あっ…あっ…あっ…あうぅ…あん…ああん…」
姫の身体を貪るかのように、院の身体が激しく打ち付けられる。
衝撃に身を竦ませていた姫も、何度も身体が行き来するうちに慣れてきたのか、
その声に艶をにじませるようになった。
「さあ…私の子種を受け取るといい」
「え…」
子種、という妙に生々しい言葉に、今まで意識が薄れかけていた姫が正気を取り戻し、
そして今から行なわれようとする背徳に戦慄した。
例え血の繋がりはないとはいえ、自分たちは表向きは父子ではないか。
そして目の前のこの人は、先の帝として人々の尊崇の対象であり、
人倫の範となるべき人ではなかったか。
なのにこのような淫蕩の極み、人の道にもとる振るまいが許されるのか。
そしてその踏み外した道の果てに、子供まで宿せば、この不行状が世に隠れなく知れてしまう。
父子相姦の禁忌を犯したものとしてさらし者になり、淫奔な姫として人々に後ろ指さされる
ことを想像するだけで、若い姫としての羞恥心は限界だった。
「やめて…! やめて下さい、父上! 子供は嫌! 子供は嫌ぁ!」
「姫…姫よ…」
「いやあぁぁぁぁ!!」
激しく抵抗する姫を押さえつけ、その下肢を深く打ちつけると、院はそのまま達した。
「あ…あああああ…うわあああ!!」
処女を奪われ、その身に父の精を受け、汚れきってしまった己が身の上を悟り、
姫は慟哭した。
院は彼女の激情にもなんら頓着することなく、ただ優しげにその身を撫ぜ、
満足そうにしていた。
「これでもう私のものだ…姫」
その言葉が聞こえているのかいないのか、ただ姫は激しく泣きじゃくるばかりであった。
そして翌朝。
院のお付きの女房たちが、型通りの挨拶をしながら現れる。
昨夜の情交の名残も残る御帳台の中で、姫は恐れおののいた。
この恥ずべき関係を、慣れ親しんだ女房たちに知られることをなにより恐れた。
だが世事に疎い姫に、隠しとおすためのどんな名案も浮かぶわけもなく、
ただとばりの中で震えていることしかできなかった。
御帳台と外を隔てる薄い衣が女房達によって上げられ、自分の姿が隠れなく現れた時、
姫は絶望のただなかにあった。
しかし、破瓜の血が足元に生々しく伝う姫の様子を見ても、女房たちは慌てず騒がず、
何も言わず何も問うことなく、淡々と姫と院の身支度を整えさせた。
彼女らのあまりに胡乱な行動に、呆然としていた姫だったが、唐突に理解した。
(皆、知っていたのだ…! 私が皇女などと呼ぶに価しないものであることを!
それでいて皆がかしずいてくれたのは、いずれ院の思し召し深い女性となるから、
ただそれだけだったのだ…)
いつからそう決められていたのだろう。母が亡くなった時から? 帝が御位を降りられた時から?
それとも、自分が不義の子としてこの世に生を受けた時から決まっていたことなのだろうか…。
ああ、と姫は深くため息をついた。
昨夜、自分は院の御子ではないと知って、もうこの院御所に姫宮として住まうことなど
許されないと思っていた。
しかし、今日より自分は別の資格でこの院御所に住まうことを許されたのだ。
院の隠れた愛人として、その身を玩弄され生きていくしか術がないことを悟ったのだった。
終わり
以上です。
ちなみに帝は奥さんに間男された腹いせで姫にあれこれしているわけではなく、
「罪悪感に打ちひしがれた美人」萌えのただの変態サディズムです。
だから、奥さんの第二子が別の男の子供と気付いても(第一子の皇子は帝の子です)
それはそれで楽しんでました。時々言葉責めしていたぶってました。
だから奥さん早死にしたんですね。お楽しみがなくなってがっかりしたところに、
姫宮が目についたのでターゲットを変更した、という設定です。
GJGJGJ!!!
和風も良いな、最高だ!
ついでに続編キボンと言ってみる
>時々言葉責めしていたぶってました。
SS化を激しく希望したい。
慰み者の姫萌え。
引き続き、エロ老人7人衆
五話
「…やめてくださいっ…もうっ…っ」
幾つもの手が白雪の身体に伸びる。
『わたくしなら、なんとか助けてあげてもよろしくてよ?白雪』
ドワーフ達の手に身体を弄ばれて思考を妨害されながる。
白雪はなんとかお妃に問いかけることができた。
「……条件?」
『それはね…、貴女がわたくしのものになると誓約を結んでくれることよ』
頭の中に響くお妃の声は勝ち誇らんばかりであった。
白雪は言葉をなくす。この人はどうしてこれほどまでに私に執着するのか…
「ああ…もう、いや…」
お妃の声が響く。頭の中をぐるぐると巡る…
『さぁ、白雪姫、選びなさい。たとえその身が汚されようとも自由を望む?それともわたくしとの愛を誓う日々を選ぶ?』
お妃の声が吐息のように優しく聞こえる。
白雪は…、この場にいないお妃を睨むように天井を見据えた。
「いやです。わたくしは、どちらも選びたくはありません!」
はっきりとそうお妃に述べ、のし掛かっていたドワーフの股間を蹴り上げた。
「ぐふぉお!!」
準備万端とばかりにいきり立っていたモノを蹴り上げられてドワーフの男は足元でゴロゴロとのたうち回った。
が、やがて白目を向いて地にひれ伏した。
白雪はとびおきて、逃げようとする。
白雪は裸であろうと構わず、扉の前まで走った。
だが…
「…う、嘘でしょう!!」
扉に手を掛けようとした白雪は、しかしつんのめったまま堅い扉にぶちあたることになる。
「あぅっ!!」
鼻をぶつけた白雪はその場にうずくまる。
ノブに手が届かない。…というか腕が動かない。
白雪は忘れていた。自分の両手はお妃の紐できつく縛られていたことに…。
「おやおや、残念じゃったのぉ…!」
転んだ白雪をドワーフ達が、これまた嬉しそうに寄ってきて寝台まで引きずっていく。
背中を誰かに押されて、前に倒れる。
尻を突き出すような格好になり、白雪は羞恥と悔しさで顔を赤くさせた。
「…ふぉ、ふぉ、ほぅら、ほぅら。姫さん、銜えてもらおうかのぉ」
「むぐっ」
口にドワーフのおぞましい愚物が奥まで突き入れられる。
口を蹂躙するそれに白雪は吐き気がするほど嫌悪する。
「わしの自慢の一品はおいしかろう?よぅく可愛がってくれんかのぅ」
(…いっそ、かみ切ってやれば!)
白雪はドワーフのそれに歯をたてようとした…が、
「…!?……ふぁあぁっ」
白雪はその時、後方で与えられたくすぐったい奇妙な感触にくぐもった悲鳴をあげた。
ドワーフの一人が、白雪の尻の前に跪き口を白雪のその部分につけているのだ。
ドワーフは舌でぺろぺろと執拗に舐めてくる。時に唇を思い切りつけてぶちゅぶちゅと吸い上げるように接吻してくる。
「…い、ぃやぁあっ!…やぁ!…あぁ!やめてっっ!!」
口を犯していたドワーフが引くと白雪は一気に喚き散らした。
いままで親切にしてくれた人々がこんなおぞましい真似をするだなんて…!
白雪は気が遠くなりそうだった。…しかしそんなことはしていられない。
止めなくては!
「いけません!こんなこと!あなた達なにをしているかわかってらっしゃるの?!」
「ほうほう。わかっておりまする。わしらはこうして姫さんの悪い呪いとやらを鎮めてさしあげておるのじゃ」
「…な!!何故それを!?」
白雪は目を見開いた。呪いのことを彼らに知られていたのか。
「それに、お前さんも聞いておったろうに。お妃様から直に姫さんに手をつけて良いとお許しがでたばかりじゃろう?」
『そうよ…白雪、彼らを止められるのはわたくしだけ…。素直にわたくしの物におなりなさい』
ドワーフの声にお妃の声が被さってくる。
白雪は再度、拒絶して激しく頭を振った。
「いや!…いやです!…っ、…あぁあん!」
ドワーフ達が白雪の濡れた秘穴に骨張った指を突きいれてくる。内壁を擦られて白雪は声をあげて身体を揺らす。
擦られた肉襞がさらなる刺激を求めてねだるようにひくつく。
「…だめぇっ!」
その言葉は彼らを制止したいがために吐き出された言葉か、それとも淫らな己の身体を叱咤するためのものか。
「…ぁふっ…あ…、だめ…」
だんだん言葉に力がなくなってくる。白雪の頬を一筋の涙が走る。
「すまんのぉ…」
言葉とは反対にちっとも悪びれた様子もなく、背後のドワーフが白雪の尻に自分の腰を持っていく。
震える白雪の肩をドワーフが押さえつける。
「…やっっ…っっ!…―――ぁああ!!!」
深いところまで一気に硬く太い物をねじ込まれる。
びくんっ!と身体が跳ね上がる。
「…あぁあっ!、…あぁっ…ひ…は…ぁ…、あくっ…ぁん…」
ドワーフが身体を白雪にぶつけてくるたびに白雪は苦しそうに声を立てた。
『白雪!いいの?そのような目にあってもまだわたくしを拒むというの!?』
だんだんお妃の声が苛立たしいものにかわっていく。
「…や…ですっ…!…っん…は…、ぁぅっ…」
後ろから突き上げられ、全身に愛撫を繰り返されながらも頭を強く振った。
艶やかな黒髪が揺れて白雪の肩に流れる。
「…ぁあぅっ…、はぁっ…あぁあっ…」
玩具のように扱われ、哀れに揺さぶられている姿に回りのドワーフ達も興奮していた。
肉のぶつかりあう音が激しくなる。
しかし、涙を矯めた白雪の目は強い光りを帯びる。
「…っ…、私…、は、…ッ…あなたを愛さない!」
『な――!!白雪!』
お妃の強い一声。きつく紐が身体にくい込む。
一層、激しくなった突き上げに白雪は身体を痙攣させた。
「…っっああぁあぁ!!!」
「…ぅぬっっ!!」
身体の奥でドワーフの肉棒が跳ね上がった。
どく、どく、と熱が白雪の最奥部に注がれる。
ドワーフが役目を果たしたそれを引き抜くとどさっと白雪は横向きに倒れた。
「…はぁ、…はぁ」
さっきまでドワーフと繋がっていた所から白濁が溢れた。
白雪が安らぎを求めるように目を閉じたのも束の間、
「さて、次はわしの番じゃな」
張り切った様子でドワーフが白雪の片足を持ち上げ開かせた。
秘部が再度彼らの視線に晒される。先のドワーフが放った白濁液がぬちゃりと音をたてて滴る。
「…え?…ちょ…っ、や…まって…、」
「待たんわい」
「きゃぁぁっ!…ぃあぁあっ!!」
再び、異物が白雪の狭い部分を圧迫しはじめる。
「…ほっ、ほっ、こりゃ、よぅ、締まりおるわい!」
「やっ、やっ、やっ」
ドワーフが動くたびに、白雪の膣内は窮屈に彼の肉棒を締め付けてしまうのだ。
息も絶え絶えに、喘ぐばかりでなんと不甲斐ないことか。
「…ひっ…はぅっ…ぁっ…」
「ほれ!もっとじゃっ、もっと鳴いてくれっ」
「あひぃっ…ひ…あっ、あっ、あっ」
赤く色づく唇から、可憐な声が絶えず放たれる。
開いたまま唇の端から唾液が透明な糸のように流れる。
『白雪…、信じられないわ…』
「はぁっ…あっ、あっ、あぅっっ」
『本当に、?こんなことをされていても、貴方はわたくしを選ばないというの?』
響いてくるお妃の声は酷く動揺しているように聞こえる。
「くぅっっっ…!!」
白雪はドワーフをきつく締め付けて絶頂へ導く。
引き抜かれた後にはどぷっと白濁が溢れる。
「…あぁあっ!!!」
白濁が零れるのを遮るようにまた、違うドワーフがそこを埋める。
痙攣した白雪は甲高い声を上げて涙と汗を宙に散らした。
「うぬぅ…、きついのぉ、たまらんわい…」
「…あっ…、あぅっ、あん…、ぁぁっ…」
白雪は白い咽をさらして呻く。
『…うそ…うそよ』
呆然と紡がれる自身の名を白雪はずいぶん遠くに聞こえる。
「…ぁあんっ…ぁぅっ…ぁぁっ…」
「…ほぅれ…ほぅれ…よいか、よいか?わしのもんはどうじゃ?」
(こんなの、気持ち良くなんか…!)
「…ぁあぁんっ」
心とは反対に身体は素直に反応をしめす。
「そうかぁっ!よいのか、よいのか!」
嬉しそうに言ったドワーフの逞しい剛直が、白雪を乱暴に責め立てる。
『…うそ…でしょう、白雪!わたくしを拒むですって!?』
「…っぐ!!お…母、様…」
先ほどからお妃の声に反応したように身体を縛る紐がきつく締まる。
内部を突き上げられながら、その間も違うドワーフが白雪の身体に愛撫をするのだ。
絶え間ない刺激にいくら己を制そうとしても、嬌声ばかりがでてしまう。
また散々、擦られてひくついた肉襞はドワーフの吐精を促す。
「おぅぉぉっ…でるぞい、でるぞ!」
「…ぃやぁああぁっ」
密着させられた腰の奥でドワーフが脈打ちながら弾ける。
「…はぁ…っ…はぁ…」
(……後、4人も)
かすんでいく意識の中で、うっすらと残りの人数を数える。
「ふ…、ふふっ」
白雪は自嘲のような笑みを浮かべる。
何という有様か…。
このような所では姫という立場も、尊厳も役に立たない。
清いままで汚されていない所など、とうにない。
どこかで、何かがプツリと音を立てた気がした。
「…誰か、この紐を解いて」
響きに乱れたようすもなくごく自然に声が出た。
ドワーフ達が視線を白雪に向ける
彼らはお互いの顔を見回す。
紐を切ったが最後、逃げられてあまつさえ何をされるかわからない…と言ったところだろうか。
「大丈夫…。暴れたりしませんから」
彼らは白雪の言葉にしぶしぶ紐を緩めにかかる。その際も白雪の身体はがっちりと
他のドワーフ達の逞しい腕に押さえつけられていた。
『白雪…何をする気なの?』
「見ていて、お母様…。これが貴女の欲する人間の本性よ」
白雪は自らドワーフの肉棒を口に含んだ。
「……ぬっ」
己の分身を白雪の温かい口に包まれたドワーフはくぐもった呻きを漏らす。
「…あぅっ…」
突きだした尻を太い指に奪われて、強引にドワーフが侵入してきた。
「…あ…、ぁん…、はぁ…、ん…ちゅ、」
今までと、うって変わって甘い声を出す白雪…。
舌を突きだして、とろけたような顔をしてドワーフの肉棒を舐める。
他のドワーフ達もそのなまめかしい姿にごくりと生唾を飲む。
今、白雪を責めているドワーフも興奮しきった様子で、彼女の腰に己を叩き付けていた。
『…ぁあ…、やめて、…わたくしの白雪が…こんな…自ら…汚れた行為を…』
程なく、白雪の身体に盛大に彼らの精液がぶちまけられた。
口から溢れたなんともいいようのない臭い白濁が顔を汚す。
品の良さからくる整った顔が、今はその見る影もなく淫らな艶を帯びている。
「…わ、わしのも頼む!できれば乳に挟んでくれ!」
白雪はドワーフの要求に声に出さず、応えてやる。
柔らかい二つの丸みに包まれたドワーフの肉棒は、それだけで頂点に達しそうなほど張りつめた。
「…このような浅ましい姿を見ても、まだ私を欲しいと言いますか?お母様」
何度か乳房の間を行き来するとドワーフは白雪の顔を盛大に汚し果てた。
(……後、一人。)
そう思った時だった。
ピシィーン!!
一瞬、空気が鋭く動いて、弾けるような音がした。
白雪を縛っていた紐がまるで鞭のように唸り、ドワーフ達を打ちのめした。
驚いて見ていると、本当にすぐ近くで声がした。
「もう、やめてちょうだい!!」
青い顔をしたお妃はわなわなと震えている。
自分でこのような目にあわしておきながら、いざ白雪が快楽に狂ってしまうと
どうしたらいいかわからない、そんな風情だった。
おまけにお妃の望むものは手に入らなかったのだ。
相当のショックだったのだろう。
「白雪、わたくしもう、帰りますわ!!」
彼女はいち早く身をひるがえすと、どこかへ消えてしまった。
残された白雪は、精も根も切れたというように気を失った。
「…わしは?わしは、どうしたらいいんじゃ!?」
遠くにそんなドワーフの声を聞きながら……。
*
気が付いたら、寝台に寝かされていた。
「きゃぁ、なに!?」
身体に何かが巻き付いている。
ヘビ…!
「やっ…!」
白雪は必死で振り払う。一体どこから…。
ヘビはそのままするすると床を滑ると、部屋の隅へと移動した。
できるだけ離れた所に窓があった。
窓を開けると心地の良い風が頬を洗っていった。
もう、この家の中にはいたくはなかった。
覚悟を決めると白雪は窓枠に手を掛けた。
ドワーフ、彼らと顔をあわさずに出るために玄関からではなく、そのまま窓からでる。
「ふぅ…」
深呼吸をする。
黒い空には星が幾つも瞬いていた。
兵士のキコリを城に返すのではなかったと今更ながら後悔する。
ふと城の者達はどうしているだろうと思う。
いろんな顔が浮かぶと、急に寂しさに襲われる。
「…やっぱり、…あそこに帰ろう」
白雪は息を落とし独白する。
戻るとしたら王城しかない。
でもそれはお妃の所へ帰るのではない。自分の居場所に戻るのだ。
*
城へ戻る道中、馬が放し飼いにされていた。それは兵士の連れていたものであった。
“なぜ、こんなとこに?”と思いながらも白雪は自分の都合のよさを優先させて、
それは意識の片隅に置いておくことにした。
やがて白雪が城に戻ると、城中は大騒動になった。
城内はこれまで行方不明になった王女を捜索にあけくれ、
大変な混乱状態が続いていたのだという。
そこへ白雪が帰ってきたというのだ。
そして帰ってしばらくの間、白雪は自室からでないように王から命じられた。
王の絶対の命令に白雪は仕方なしに肩を落としたのだった。
ただ、噂だけはかしこに聞こえてきていた。
お妃が妖しい魔法を使うのを見たことがあるだとか、
また、兵士が森で恐ろしい魔女に会ってしまいそのまま行方をくらましたとか――。
気がかりではあったが、それに関しては今いない人間の事なので確かな詳細を得ることはできない。
彼女はそう判断しあえて調査しようとはしなかった。(単に面倒なだけの可能性もあるが)
白雪は、暇を持て余しながら日々を過ごしていた。
それから白雪がお妃が行方不明だと聞いたのは、謹慎を解かれてすぐのことだった…。
終
兵士をほったらかしにしたり、白雪はさりげなく酷い人なのです。
いいんじゃね?キコリだし。
面白かったよ。
城に帰っちゃって続きがどうなるのかすごく気になる。
GJ!!
キコリ、カワイソス!
そして白雪は、まごうかたなき処女として
プリンス・チャーミングに嫁ぐのか…。
王子の名前、変更キボンヌ
一人残されたドワーフがちょい気の毒・・・
長い夢から覚めたロウィーナを抱いていたのは、アルフレッドの腕だった。
毛布にくるまれ、大切な荷物のように、両腕で抱きかかえられて運ばれている。
アルが肌身離さず身につけている小さな青い石が、むき出しの厚い胸の筋肉の上で揺れるのが目に入った。
そうだった。私はまた……。屈辱と後悔と共に、ロウィーナの記憶が蘇った。
「どうかこの哀れな男の穢れた身体をご存分にお使いください。どうか姫のいっときの慰み物に」
腕をつかまれ、強引に引き寄せられる。
「これは、ロウィーナ姫、あなた様のものです」
求めていた感触に、ロウィーナの意思に反して抵抗する気力がなくなり、体の力が抜ける。
「終わったら、忘れてしまえばいいのです。これはただの夢。目が覚めたら消えてしまう夢です」
「夢……、私は……」思考が停止しそうになる。
「目の前にいるのは、ただの道具。人ではありません」
「誰が、お前のような者に……」言葉とは裏腹に、呪縛にかかったように手を動かすことができない。
「これは偽りの出来事。あなたは本当はそんな方ではない。わかっています」
わかっている、その言葉が、わずかに残った自制心を奮い立たせた。
激しい音を立てロウィーナの手がアルの頬を打つ。
「お前は!思い上がりもはなはだしい!」「そんなつもりは毛頭」
「許さない!この身がどれだけ地に落ちようと、お前だけは、許さない!」
アルは黙って首を振った。「私を打ち据えて、お気が済むのであればご存分に。
ですが、このままではあなたが辛い思いをされるだけです」
「この私を愚弄するとは!」ロウィーナは再度手を上げた。
アルはその手首を掴み、手のひらの中心に唇を押し当てる。
「お願いです、これ以上ご自分を責めないでください」
生暖かく濡れた舌が、手のひらのくぼんだ場所をねっとりと這い回る。
「ああっ……」
「あなたが求めているのはこれだ」
子宮を直接刺激されているかのように、それだけでロウィーナの身体の奥深くがじんじんと疼く。
「あっ、あっ、あっ、いやっ」
残った手が、アルのもう一方の頬を打つ。「離しなさい!このっ……、ああっ」
一瞬目を閉じただけで、アルはそのままロウィーナの手だけを愛撫し続ける。
「知っています。あなたがどうすれば感じるのか」
指と指の間を嘗め回す。指の股を這う舌は、違う場所に直接触れているかのようだ。
「いや……、ああああ」
「知っています。あなたが何を想像しているかも」
濡れた指の股に、息がかかる。「やめ……ああっ……、ぁんん」
もう一方の手がのびて、親指が、ロウィーナの唇をなぞった。
「あなたのことならすべて存じ上げています。
私はあなたの僕。あなたにご奉仕するためだけに、ここにいるのです」
この男は私の事を知り過ぎている。この男には何も隠せない。
初めて兄に触れられた日から、いいえ、おそらくそれ以前から、この男は私を見てきたのだ。
私が、すべてをさらけ出し、王女の恥じらいを捨て、快楽に溺れるところを、つぶさに見続けたのだ。
もとより抵抗できるはずもない。
肌に心地いい川を渡る風。
間断なく続く水音に混じって、ぱちぱちと焚き火にくべた小枝のはぜる音がする。
「ご自分に逆らわないでください」
アルが力を緩めると、ロウィーナの手は力なく落ちた。
川原のひんやりとした砂利の上で、アルはもう一度ロウィーナの唇に触れた。
「何もかも忘れて、ただ、感じるのです」
指が、半開きになったロウィーナの唇を撫で回すと、
唾液であふれそうな口の中から桃色の舌がのぞき、先端を舐めた。
「そうです。昨日のように素直になれば楽になになります」
粘膜をなぞりながら口の中に侵入してくる指に、ロウィーナの舌が絡みつく。
ロウィーナを蹂躙する太い指。
音を立て、その指に夢中で吸い付く濡れた赤い唇。
濡れて悩ましく光る指が、唾液にまみれた唇に包まれて出入りするたび、
ロウィーナの舌が逃すまいと、まとわりつく。
親指の腹で口腔の柔らかな壁をなぞると、ロウィーナは嗚咽を漏らし、
服従したように身を乗り出して、退こうとする指を奥へと誘導する。
アルのもう一方の手の指は、もっと柔らかいものに包まれ、もっと濡れ、もっと淫靡な音を立て、
ロウィーナの無言の要求に応えて、自在に動き回っていた。
独立して動く、五本の指の動きに連動して、瞬時に変わるロウィーナの表情。
屈辱で頬を染め、驚いたように目を見開き、何かに耐えるように眉間にしわを寄せ、
安堵で緊張を緩め、恍惚と瞳孔を開く。
時折、正気に戻ったように、間近で見下ろす男の目を避けようとして、ロウィーナは横を向く。
しかし、指の動きが止まると、はっとしてまた正面を睨む、
ロウィーナは、せつない瞳をして、アルの親指を甘く噛んだ。
そして、表情と連鎖して変わってゆく充血したロウィーナの陰部。
待ち受けたように奥へと誘い込み、膨らんで執拗にまとわりつき、これでもかと締め上げ、
規則的に振動するかと思えば、うねうねと揺らぐように伸縮する。
素直に出せない言葉の代わりに、ロウィーナは全身で訴えた。
もうだめ、もう待てないの、お願い、来て――。
突然、アルの手が止まり、ロウィーナの口を押さえた。「しっ、静かに」
遠くから足音が聞こえる。それも複数。時折、低い話し声も混じって、早足で徐々に近づいてきた。
アルは、隠れ場所を求めて、辺りを見回した、
そして、ロウィーナを毛布ごと抱え上げ、濡れるのも構わず川の中に入っていった。
「何を!」「静かにしてください。追っ手かもしれません。ここで見つかる訳には行かない」
対岸に渡ると、アルはロウィーナを森の茂みに隠した。
程なく、三人の男が現れ、火のついた薪を見つけて、立ち止まった。
兵士ではなさそうだ。服装からみて、このあたりを縄張りにする山賊のようだった。
だが、相手は三人、しかもロウィーナを守りながらでは分が悪すぎる。
このまま、男たちが気づかずに去るのを、待ったほうがいいとアルは判断した。
アルはいつでも抜けるよう剣に手をかけたまま、木立の合間から対岸の様子を見守った。
「旅の者だろうか?」つながれた馬を調べながら、男のひとりが言った。
「火はついたままだ」別の男は焚き火を調べている。「どこに行ったんだろう」
「おい」もうひとりが声をかけた。「あれを見ろよ」
「ヒュー」男たちの視線の先には、木の枝に干されたロウィーナの服があった。
「女か。そういやここんとこご無沙汰だな」
「この馬は頂いていこう」最初の男が馬を引く。「こいつは戦利品だ」
「ついでにこれも」三番目の男はまだ乾いていないロウィーナの服を手に取った。
「上物だぜ。金持ちか貴族の娘かもしんねぇ」
「貴族ならとびきり高い値で売れるぞ」「おい、すっ裸でその辺に隠れてるんじゃないか」
「売っ払う前に味見といくか」男たちは下卑た笑い声を上げた。
「遠くには行けないはずだ。手分けして探せ」
そうだった、その後、アルに背負われてその場を逃げ出した。そして……。
「ここまで来れば、大丈夫でしょう」
森の奥深くに逃げ込むとアルはロウィーナを降ろし、毛布一枚をまとっただけのロウィーナのために、
自分のシャツを脱いだ。
「私にこんなものを着させる気?」
「申し訳ありません。代わりの服を手に入れるまで、どうかご辛抱を」
大きく肩を揺らし、乱れた息を整えながらアルは言った。
汗に濡れたシャツは男の匂いがした。
「この先に小さな農村があったはず」
アルは木立の合間からわずかにのぞく周りの景色を見、方角を確かめた。「そこへ行けば何か手に――」
「アル……」
アルは、振り返った。
「目を閉じなさい」
そして、ロウィーナは、アルのものを銜えて勃たせ、自分からアルの上にまたがったのだ。
これは道具。心を持たない、土塊で出来た、ただのひとがた。
雲ひとつなく晴れ上がった空を見上げ、腰をくねらせながら、
ロウィーナは何とかしてそう自分に言い聞かせようとした。
時折、下から激しい突き上げが来る。
下を見てはだめ。
ロウィーナの下腹部がうねるように波打ち、金色の毛が日の光を受けてきらめく。
はだけたシャツから覗く、白い乳房を振り乱して、ロウィーナは腰を振った。
「あああっ」くずおれるように倒れこむロウィーナをアルが受け止める。
「誰が目を開けていいと!あっ」
体勢を変え、アルがロウィーナを押さえつけ、その手を掴み、ねじ伏せる。
「どうか、お静かに」
穏やかな口調とは正反対の激しい動きがロウィーナを翻弄する。
口をふさがれたまま、まるで犯されるような屈辱的な格好で、ロウィーナは幾度となく絶頂を迎えた。
ロウィーナが目を覚ましても、アルはぐっすりと寝込んだままだった。
こんなことは初めてだ。
いつもなら、ロウィーナが寝返りを打っただけでも、起き上がって確かめに来る。
こうしてすぐ間近で身を起こしているというのに、目を開けるどころか身動きひとつしないなんて。
あたりはすっかり日が暮れ、満天の星が輝いていた。
どのくらい眠っていたのかしら。
ロウィーナはアルに声をかけようとしてやめた。
連日ほとんど熟睡できないまま、長い距離を移動し、おまけに、私の相手までさせられたのだ。
疲れていない訳がない。
そういえば、アルの寝顔を見るのも初めてだわ。
相手が目を閉じているので、ロウィーナは安心して寝顔に見入った。
城にいた頃より陽焼けして精悍さを増した顔は、濃い無精ひげに覆われていた。
この数日で、こけてしまった頬。眉間に刻まれた深いしわ。
それが、緊張が解けた穏やかな表情を浮かべている。
子供のように無防備な寝顔の裏で、どんな夢を見ているのだろう――。
ロウィーナはそっとひげに触れてみたが、アルはぴくりとも反応しない。
本当に疲れているのね。きっと夢も見ずに眠っているのだわ――。
規則的に上下する厚い胸。
アルはいつ襲ってくるかわからない敵に備え、その胸に剣を抱いたまま眠りについていた。
「アル……」
声をかけても、アルは正体なく横たわったままだ。
ロウィーナは、自分がひどく落ち着いていることに今さらながら驚いた。
そっと手を伸ばす。
アルの手元に鞘だけを残し、眠りを妨げないよう慎重に剣を抜いた。
ロウィーナの手には重過ぎる刀身が、月明かりを浴びて鈍く光る。
『これは人を殺す道具だ。その覚悟がないなら、今すぐ帰れ』
私に罵声を浴びせたあの人は、こんな日が来る事を知っていたのかもしれない。
刃を見つめ、ロウィーナは心の中で、その声に答えた。
――覚悟ならあるわ。
終
保守をかねて連載中のロウィーナ姫の物語は、
前スレの391さん、392さん、393さんにお応えするつもりで、
新たにプロットを起こし書き下ろしたもので、
時間は前後しますが、順につながっています。
ただ、予告したとおり、ご期待を大幅に裏切る展開になっていると思われますので、
好きなシチュエーションだけを、独立した別の話として読めるよう、
あえて、投下の度に表題を変えています。
感想をお寄せいただき、続きを待ってくださる皆様に感謝いたします。
引き続き、『あの男』の謎でお楽しみいただければ幸いです。
グググ、GJ!!
待ってた!ロウィーナとアル、もうこの二人の組み合わせ大好きです!
続きwktk
…で、でも裏切る展開…怖いな。
258 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/28(土) 14:52:04 ID:0wEzvqkh
ageますよ
突然だけど白雪たんの話。
小学校の学級文庫で初めてノーカットに近いのを読んだとき、
紐で体を締めて殺すのになんかエロさを感じたことを思い出す。
たいてい毒リンゴだけですますのに、クシと紐の小道具を
取り入れてる作者に拍手。
260 :
233:2006/10/30(月) 00:39:38 ID:H6WiEKC7
>>256 丁寧にお教えいただいてありがとうございます。
場面ががらっと変わったので気になってまして。
話がつながるのを楽しみに待ってます。
今回も大好きな主従シチュで嬉しかったです。
ロウィーナが少しずつなびいていく様子に萌え萌えです。
覚悟などとうに出来ている。
堕ちるところまで堕ち、召使と同衾するまでに成り果てたこの身に何の未練があろう。
アル、あの時お前が邪魔立てしなければ、ここまで惨めな思いをすることもなかった。
お前さえいなければ。
お前を殺す。
そして今度こそ私も。
ロウィーナは剣を持ったまま立ち上がり、眠るアルフレッドの胸に狙いをつけた。
そして、ふと、亡骸を埋葬する役が必要なことに思い至った。
アル、お前にその役を与えましょう。
卑しい手で私を抱いた、お前にこそ似つかわしい仕事だわ。
この身体が下々の者の目に触れて、死後も恥を晒すことがないよう、深い穴を掘るのです。
ロウィーナは剣を逆手に持ちかえ、自らの胸に突きつけた。
お父様、お母様、王家の誇りを失ってしまった私をどうかお許しください。
さようなら、ごめんなさい、グレアム。
ロウィーナは目を閉じ、深く息を吐いた。
これで、何もかも終わる――。
その時、どこからか清冽な飛沫の音がロウィーナの耳に入った。
水?さっきまでは何も聞こえなかったのに。水はすぐ近くで湧き出ているように聞こえた。
そうだ、こんなに穢れたままでは、せめて、この身を清めてから――。
ロウィーナはアルのシャツを脱ぎ捨て、情事の跡の残る体に毛布を羽織った。
そして、水音に引き寄せられるように、深い森の奥へと入っていった。
手探りをしながら進むロウィーナの手には、たくさんの擦り傷がついた。
裸足の足を、小石が傷つけ、枯れ枝が刺し、下草が切る。
傷だらけになって血を滲ます白い足は、一歩踏み出すごとに無言の悲鳴をあげるが、
肉体の傷は、もはやロウィーナの心の痛みを紛らわせてはくれない。
ロウィーナは見えない水を求めて暗い森をさまよった。
水音は、近づきも遠ざかりもしない。
昔、兄にねだって馬に乗せてもらい、雨上がりの丘陵で虹を追った。
どれだけ馬を走らせても虹は遠く、少しでも近づこうとしてロウィーナは小さな手をのばす。
丘の先端でそれ以上進めなくなった兄は馬を止め、
ロウィーナは、鮮やかだった色彩が徐々に薄れて、明るい色の空に同化して消えるまで、
馬上で兄に抱かれたまま、目を凝らして見守ったのだった。
空耳なのかもしれない。
あのときの虹のように、手の届かないまま消えてしまう美しい幻なのかも。
そうロウィーナが、あきらめかけた頃、ふいに人影が現れた。
「ずいぶん手こずらせてくれたな。おかげで夜になっちまった」
先ほどの三人組のひとりだ。
後ずさりするロウィーナを、男はじりじりと追い詰める。
男は薄汚れた顔に、好色な笑みを浮かべた。「逃げられないぜ。観念しな」
目を覚ましたアルはすぐに異変に気づいた。
抱き締めていた空の鞘を見て、アルの顔から一気に血の気が引く。
隣で寝ていたはずのロウィーナの姿がない。「ロウィーナ様!」
返事がない。立ち上がりもう一度呼びかけたとき、遠くから闇を切り裂く悲鳴が上がった。
自責の念に駆られる間もなく、アルは走り出した。
「お止め!」ロウィーナは男に向かって叫んだ。「私に近づいてはなりません!」
「さすが、いいとこのお嬢さんは言うことが違うね。あんた、貴族かい?」
「愚か者!来てはならぬ!」
「お姫様みてぇな言い草じゃねぇか。こりゃたいした拾いもんかもしれねぇ」
「いけない!」
「殺しゃしないから心配すんなって。その下は裸なんだろ」男の手が毛布にかかる。「手間が省けて――」
『迷うな!』ロウィーナの頭の中で、警鐘のように同じ言葉が鳴り響く。
『剣を持ったら迷うんじゃない!迷ったら終わりだと思え!』
次の瞬間、濁った悲鳴が夜のしじまを破って森中に響き、男は驚愕で顔をゆがめ、
腹を押さえてうずくまった。
男の腹から血が噴き出し、見る間に地面を染めていく。
「ですから、来るなといったのです」
返り血で濡れた両手に剣を握り、全裸で立ちつくすロウィーナの足首をつかみ、男は命乞いした。
傷だらけの白い下肢に、べっとりと指の跡がつく。
『敵に情けは無用。情に流されれば、思わぬしっぺ返しにあう。とどめを刺すまで気を抜くな』
青ざめていく男の顔を見下ろし、ロウィーナは剣を振り上げたが、背後にただならぬ殺気を感じて、
振り返りざま剣をふるった。
男はすんでのところで剣をかわした。「このアマ、何てことしやがる」
「それ以上近寄れば、お前も斬ります!」ロウィーナは、剣を構えなおした。
「わ、悪かった。まあ、落ち着けって。俺は、何もしねぇ」男は両手を挙げた。
「ほら、この通りだ。だから、その物騒なもんは、しまってくれよ、な、な」
目の前の敵に気を取られていたロウィーナの死角から、もうひとりの男が近づき、
腕を掴んで剣をもぎ取った。
アルが走り出してしばらくすると、先ほど男の叫び声が聞こえたのと同じ方角から、甲高い悲鳴が上がった。
間違いない。姫の声だ。短い悲鳴がもう一度上がり、その後ぱたりと止んだ。
声ははるか遠くから聞こえたように思われた。
「ロウィーナ様!どこです!返事をしてください!」
静まり返った森をひた走るアルの耳に、狼の遠吠えだけが不吉に響く。
頼む、間に合ってくれ。アルの心臓は早鐘のように打った。
ロウィーナが斬った男は、うめき声すら上げなくなった。
仲間が倒れているというのに、男達は見向きもしない。
男二人に力ずくでねじ伏せられたロウィーナは、激しく抵抗した。
「さっさと殺しなさい!」
抗っても無駄なのに。こんな状況でも、私はまた淫らに感じてしまうに違いない。
「おい、この女俺たちの前に、誰かにやられてるみたいだぞ」
ロウィーナの顔がかっと熱くなる。
「それでか、道理で急におとなしくなりやがった訳だ。本当は好き者なんじゃないか」
「この肌。こんな色の白い女見たことないぜ。たまんねぇな」男の手が太ももを撫で回す。「すべすべだ」
「無駄口叩いてないで。早くしろよ」
「わかってるって。そっち、ちゃんと押さえてろよ。ほらおとなしく足開け、気の強ええお嬢さんよ」
入ってくる――。ロウィーナは拳を固く握り締め、目を閉じた。
「うわっ、こいつ、すげえぞ、中でなんか這い回っているみたいだ」
違う。違うわ、嫌、こんなの嫌――。
ロウィーナは自分でもわからないうちに叫び声を上げていた。
「いやあああああああああっ!」
「うおお、良く締まりやがる」
男が腰を打ちつける。
肌があわ立ち、吐き気をもよおす。ロウィーナの全身が拒絶していた。
ロウィーナは無意識に助けを求めた。
「アルーーー!」
口には舌を噛まないようにと布切れが詰め込まれた。
その手があったのだと、今頃気づいても遅い。
感じるはずだった快感はやってこない。
よりにもよって、あんな男の名を呼んでしまうなんて。
ロウィーナは目を閉じたまま、醒めた気持ちで行為が終わるのを待った。
やがて、うめき声と共に、男の動きが止まった。
ようやく一人目が終わると思ったとたん、顔に生暖かい液体が降り注いだ。
「次は貴様だ!」
喉から空気の漏れるような奇妙な声がして、ロウィーナの上に重い物がのしかかった。
「ロウィーナ様!」
顔を汚したのが自分を押さえつけていた男の血で、
重いものの正体が自分を犯していた男の死体だと感づいても、
ロウィーナは目を開けることが出来なかった。
男の身体が引き剥がされる。
「ロウィーナ様!しっかりしてください!」口を塞いでいた布が取り除かれた。
今だ。しかし、ロウィーナが噛んだのはアルの指だった。
「いけません!」
「どうしていつも私の邪魔をするの!」
「では何故私の名を呼んだのです?」
目を開けたロウィーナの前に、苦しげなアルフレッドの顔があった。
「お前の聞き間違いです。その手をどけて頂戴」
「思い出してください。あなたお一人の命ではないのです」
アルは何かに気を取られているように、あたりを見回した。
遠くから狼の遠吠えが聞こえる。別の方角から、返事を返すように次々と咆哮があがった。
「まずい、狼が血の匂いを嗅ぎつけたらしい。一刻も早くここを離れなければ」
ロウィーナの手を死体からもぎ取ったベルトで縛る。
「何を――!」
「話は後です」アルは、抵抗するロウィーナの口に布を押し込んだ。
そして毛布でぐるぐる巻きにすると、抱え上げ、急いでその場を去った。
終
ロ、ロウィーナタソ…!
いつも続きが気になってたまらん
今回もGJ。
文章は淡々としてるのにとても切なくっていい。
>>146 それ読んでみたくなったけどどこで手に入るの?
いま入手はできないでしょう。
前者は、「一番怖くて美しいグリム童話 背徳の童話編」に再録されてた。
後者は、隔月くらいで出ている「甘美で残酷なグリム童話」2号。
いずれもコンビニにあるような小さめのアンソロ。
前者はb6サイズで後者は新書サイズ?
もし再録を発見したら報告します。
>>268 コミック文庫になってない?
ブクオフでその手のアンソロの文庫版見た気がする
そのテのアンソロの文庫は多いけど、
件の作品が載ってるのは見たことないな。
なお、同じ佐々木みすずで別の『白雪姫』もあって、
こちらは現代もの、継母に売りとばされてしまう令嬢。
エロさいまひとつ。
こんなスレがあったのか。
王女で検索してたから気付かなかった。
離れ離れだった狼達の声は、徐々に集まり、一箇所にまとまって、最後には消えた。
立ち止まってロウィーナの耳を塞いでいたアルは、
静かになった森で自分達が迷子になっていることに気づいていた。
アルは夜が明けるまで動かないほうが懸命だと判断した。
それよりも先にロウィーナ様を何とかしなければ。
腕の中のロウィーナはひどい錯乱状態にあった。
極度の緊張から解放された後の、放心したような目は、空を見つめて動かない。
赤黒く変色しかかった血糊で汚された肌は、じっとりと汗ばんで青ざめ、小刻みに震えている。
地面に横たえ、戒めを解いても動こうとはしない。
感情が麻痺したまま、声も出せずにいるロウィーナの身体を調べて、アルは男が射精していない事を確かめた。
股の間を這う指の感触に、ロウィーナは忌まわしい記憶が再現したのか、
無表情なまま声にならない声をあげた。
「ロウィーナ様!しっかりしてください!私です!アルフレッドです」
アルの声はロウィーナの耳には届いていない。
肩をゆすり、頬を張っても正気に戻らないロウィーナを抱きしめて、アルは自分を責めた。
「ロウィーナ様……」
私のせいだ。お守りできなかった。
ようやく回復の兆しが見えていたというのに、また最初に逆戻りだ――。
ロウィーナは赤ん坊が、いやいやをするときのように、弱々しく手足をばたつかせた。
「大丈夫です。怖くない。大丈夫」
背中をさすり、あやすように声をかけると、ロウィーナはぐったりとして動かなくなった。
夜も更け、月は高く、時折、森のしじまに梟の鳴き声が響いた。
夜風に触れ、ロウィーナの体温はどんどん下がっていく。
もはや一刻の猶予も許されない。
毛布の上にロウィーナを横たえ、アルは裸になった。
反応のない身体を抱くのは、死姦するようなものだ。
アルは、細かい裂傷が痛々しい足の指に唇を押し当て、服従を誓った。
「ロウィーナ様、お許しください……」
そして、両手でロウィーナの頬に触れた。
頬から首へ、そして肩から胸へと、ぬくもりの消えた肌に両手を這わす。
月の光に照らされた人形のような顔。血にまみれた青白い肌の、美しい死体。
不穏な連想と共に、後ろめたさと背徳の甘い幻惑がアルを誘う。
誰にも触れさせない、大切な自分だけの宝物にして、このままガラスの棺に収め、一日中眺めていたい。
いや、思うが侭に、汚し、辱め、汚辱の限りを尽くしてやりたい。
血に濡れた乳房を撫でて、指の跡をつけると、透き通って張りのある造詣が際立った。
穢されれば穢されるほど、逆に清らかに輝く稀有の存在。
今ならどんなことをしても拒絶されない。
高貴な、私の姫――。
腕を取り、手の甲に唇を押し当てても、ロウィーナは身じろぎひとつしない。
目を見開いたまま、茫然自失となり、紫に変色した唇を誘うように半開きにして、
ロウィーナは浅い呼吸を繰り返している。
その唇を乱暴に奪おうとして、アルは直前で我に返った。
私は何を考えていたのだ――。
確実にロウィーナが感じる場所だけを選んで刺激する。
陰核を弄ぶと、ロウィーナは濡れた。
やがて、頬にうっすら紅が差す。胸が上下して、呼吸が深くなる。
心は閉ざしたままのロウィーナの身体は、少しずつほぐされていった。
身体全体に血色が戻り、細い血管が浮き上がる。
瞳の奥に小さな光が宿る。アルの指先にはたっぷりの蜜が絡みついた。
「う、う……」
びくんと身体を震わせ、ようやく、ロウィーナは苦しげなうめき声を上げた。
表情はこわばったままだが、間違いなく逝った。
そう確信したアルは、ロウィーナの足を開き、
萎えてしまった自分の陰茎を擦りつけて勃たせ、一気に挿入した。
「う……、あ……、あ、あ、あ……」
息を吹き返すように、ロウィーナの瞳に光が戻ってくる。同時に顔が恐怖でゆがんだ。
「いやああああああああああああっ!」
アルは黙々と往復を繰り返す。ロウィーナは逃れようと必死にもがいた。
「いやっ、いやっ、やあああああ」
深い場所にこすり付けるような動きをすると、叫び声は次第に変化して、甘い響きを含み始めた。
「いやっ、やめて、ああん……、あん、あん、や、やっ……はああああっ」
大きく息を吸い込んで、ロウィーナは覚醒し、すぐに相手が誰か気づいた。
「ア、アル!あなた、何をしているの!あっ、やっ、やめっ、やめてっ、おどきなさいっ」
アルは、その声を無視し、ロウィーナが、抵抗できなくなるほどの快感に包まれるまで、責め続けた。
「も、だめ、あ、あ、あ……いきそう……」
その声を聞くと、アルはすうっと退いた。
「アル……?」
「止めろとおっしゃいました。気が付かれたようですね」
アルの冷静な声を聞いて、ロウィーナは頬を真っ赤にした。「私に何をしたの!」
「その……、蘇生術とでも申しましょうか」
「卑怯な!」振り上げたロウィーナの腕をアルは掴んだ。「無駄です」
「どうして、死なせてくれないの。どうして……」
「まだ、終わっていません」アルはロウィーナを強引に立たせた。
「解きなさい!」後ろ手に、木に縛り付けられたロウィーナは、怒りと屈辱で身を震わす。
「どこまで私を侮辱すれば気が済むの!」
「死にたいと言ったのはあなたではありませんか。
そのまま待っていれば、いずれ腹をすかせた狼達が見つけてくれるでしょう。
あいにく今、奴等は満腹だ。二・三日待たなくてはならないかもしれない。
その間に、運悪く誰かが通りかからなければいいが」
「誰かが……」ロウィーナの顔がかっと赤くなる。「このような辱めはもうごめんです。ひと思いに殺して頂戴」
アルは、剣を抜いた。「本気ですか?」
「私は本気よ」喉元に剣を突きつけられてもロウィーナはひるまなかった。「さあ、早くその剣で――」
「これでも?」
「ああっ」乳房を這う、ひんやりとした鋼の感触にロウィーナは思わず声を漏らした。
「これでもか?」アルは剣で太腿を撫でた。「あっ、あっ、いや、やめて」
ぞくぞくするような快感がロウィーナの全身を走る。
「おねがい、やめて」
「足を開け」剣は股の間でぴたりと止まった。「これで、ひと突きにしてやる」
「いや、あ、あ、あ、あ、ああああああっ!」
一度火のついた身体は、容易に燃え上がった。
ロウィーナは、瞳孔を開き、激しく身体を波打たせ、それからがっくりと顎を落とした。
想像しただけで、逝ったか――。
だが、まだだ。アルは剣を収めると、ロウィーナの顎を掴み、平手で頬を張った。
「起きろ!」
ロウィーナはぼんやりと目を開いた。
「まだ、死にたいか?」
「アル……」
アルはロウィーナの片足を高く持ち上げた。「死にたいなら、舌を噛め」
「あ……」「どうした、死ぬんじゃなかったのか」「あ、あ……」
「挿れて欲しいか?ならば、もう馬鹿なまねはしないと誓え」
「いや……」「誓え!」
ロウィーナはいとも簡単に落ちた。「誓うわ……」
「もう死にたいなどと口にしないな」「しないわ……アル……だから……」
「だから?」「ひどい人……、それも私に言わせたいの?」
「罪人のように木に繋がれたまま、卑しい召使に犯されたい、言えますか?」
「無理よ……」ロウィーナは唇を噛んだ。
アルは安堵したように言った。「もう十分です」
激痛に襲われ、ふと指を見る。ロウィーナの残した深い歯型から血が滲む。
自分のしでかした失態の代償か、それとも忠節への報奨なのか。
木の幹にもたれて座り、毛布にくるんだロウィーナを固く抱いたまま、アルは一睡もせずに夜を明かした。
長い夢から醒めたロウィーナは、アルに抱かれて運ばれながら、ぼんやりとあたりの景色を眺めた。
そうだった、私は、またしても生きながらえてしまった……。
とうとう人殺しまで。私はどこまで堕ちていけばいいのだろう。
朝もやのかかる森の新鮮な香りは、全身を包む乾いた血の匂いにかき消され、
ロウィーナは自分だけがこの森でひとり異質な存在のような気がした。
健やかな朝の森が私を責める。身を隠す場所は、アルの腕の中しかなかった。
夜の生き物達は、ずいぶん前にねぐらに帰り、
森は、その日の餌場を探しに行く早起きの小鳥達の声でにわかに活気づき、
太古の昔から続いてきた平穏な日々の営みが、変わらず始まった事を告げていた。
ロウィーナははっとして顔を上げた。「水の音が――」
「水?何も聞こえませんが」アルは、疲れた顔で耳を済ませた。
「いいえ、確かにしたわ。降ろして頂戴」
「しかし、その足では――」「早く!」
ロウィーナは、アルの存在など忘れたかのようにふらふらと歩き出し、アルは黙ってその後に従った。
そして二人の目の前に、奇跡のように、その泉は出現した。
清らかな音を立て、泉は透き通った水をこんこんと湧き出している。
昇り始めた太陽の光を浴びて、水は水晶のようにきらきらと光った。
ロウィーナは泉の前に跪き、流れ落ちる水に手を浸し、感触を確かめた。
血にまみれた顔を洗い流すと、身を切るような冷たさが、朦朧としていた意識を覚醒させる。
急に喉の渇きを覚えたロウィーナは、流れ落ちる水を両手ですくって喉を潤した。
冷たい水が、体中に染み渡って、細胞の一つ一つが再生してゆくような瑞々しい歓びが湧き上がる。
「幻ではなかった。泉はあったの。あったのよ!」ロウィーナは振り返った。
「ロウィーナ様――?」
突如自分に向けられたロウィーナの笑顔があまりにも眩しくて、直視できなかったアルは、
泉の水に反射した朝日が目に入ったせいだと見せかけ、横を向いた。
逃げた視線の先に、生い茂った草に隠れて小さな石碑がある。
アルは近づいて確かめた。
ロウィーナも興味を引かれたのか寄ってくる。
「何か書いてあります」
「昔の字だわ。待って――」
ロウィーナは、風雨にさらされ消えかけた古の文字を、指でなぞりながら読み上げた。
『一掬の水を求め、この地に辿り着きし幸運な旅人よ、汝の望みは叶えられてあり』
ロウィーナは天を仰いだ。
終
相変わらず上手いなあ。
いつも楽しみにしてます。
ほしゅ
古代文字(なんだよね)が読めるロウィタン萌え
次は竜登場ですかな
つか幼ロウィタンが魔法とかに興味あったの色々伏線だったわけだ。
投下者さんあんたすげーよ!
続き楽しみにしてる
六話
「…ああ、白雪」
闇の中でぽっかりと浮かぶ青ざめた横顔。
長い髪は束ねることなく無造作に背中に流れている。
生気が抜け落ち、深く憔悴した様子のお妃がそこにいた。
「…ねぇ、鏡よ、鏡。この世で美しいのは誰?」
「それは、お妃様でございます」
お妃はキッと鏡を睨むともう一度、口を問うた。
「では、一番は?一番美しいのは誰!?」
「それは、白雪姫でございます」
その言葉を受け、お妃の瞳に小さな煌めきが宿る。
「そうよ。白雪よ。私は美しい物が好き。白雪に会うまでは精巧に磨かれた宝石も好きだったし
意匠の凝らした美しい装飾も心をときめかせたわ。でも、あの娘に出会った瞬間それまでの私の宝物達は
一気に色あせてしまったわ。価値がなくなってしまったの」
一度開かれた唇は、はじめ訥々と、そして紡がれるたびに言葉が溢れ出してゆく。
「何を見ても、私の心はもう華やがない。他の物に心を揺り動かされない。
あの娘は私の心を奪ってしまった…。」
誰に語るでもなく、お妃は白雪に対する想いを言葉にして並べてゆく。
その表情は恋を夢見る少女のようでもある。
「だったら、私があの娘を頂いたって構わないでしょう?」
くるりとお妃は鏡の方を振り返る。
「……」
同意を求められたようだが、鏡は何も語らない。
「ふん…なのに…」
これまでは、魔法や策を凝らしてはありとあらゆるものを自分の手にしてきたとういうのに――
どうして白雪は我が手の中に納まってくれぬのか…!
「なのにあの娘は私の物にはならないと言うのよ」
やすやすと手に入らなければ、余計に欲しくなるというものだ。
「…そうよ。そうしてしまえばいいのだわ。私はあの娘を手にいれたい。白雪が欲しいの」
そう言いながら、彼女は開いた手を何かをむしり取るような仕草で握りしめる。
お妃は生き生きと表情を輝かせ、白雪の映った鏡の表面を撫でた。
「ええ。そのためなら…手段を選ばないわ…」
彼女は行動に移した。
火が踊っている。
その上では鍋が掲げられていて、くつくつと中身が煮えたっている。
スープ状の液体の中に、黒い物質が投げ込まれる。
「まずは、黒とかげ…」
入れるものもそうだが、たちこめる湯気はどんよりとしていて色からして人が食べるような物ではない。
「次に、双頭のヘビ…。これは手に入れるのに苦労したわね…」
次々と妖しい物を投入しているが、それを止める者はいない。
最後に、取り出したのは例の櫛だ。それには細く黒い髪の毛が絡まっている。
白雪のものである。
それを指で摘みあげ、口づける。
「後は、乙女の髪…」
一筋の黒髪を鍋の中に落とす。
しばらく浮かんでいたが、やがてゆっくりと泡になって熔けていく。
そして最後に、林檎。
お妃は林檎に口付けをする。
「白雪…。貴女はわたくしのもの…ふふ…」
そういったお妃の顔は、憔悴とは違ったものだった。
*
一方、王城に戻った白雪はようやく謹慎を解かれ、自室に使いを呼んでいた。
「…遅かったわね。で、お妃の行方はわかったのですか?」
「お妃の行方は依然つかめません。ですが、彼女についてよく知るという人間の情報をつかみました」
「それは?」
白雪は身を乗り出す。
「隣国の魔法士でございます」
「魔法…を生業とする者なの…?お妃が魔女であるという噂と何か関係があるのかしら?」
「ええ。そのようです。今は隣国の王宮で宮廷魔法士をしているそうですが、近々こちらに
隣国の使者としてよこされるとか…」
「使者…?隣国と言えばつい最近、隣国から私に対する書簡が届いていたわね」
たしか…隣国にはまだ若い王子がいて、妃となる姫を探していると聞く。
隣りの国であったし、年も近いということもあって白雪にも、
たびたびと求婚が求められていた。
もっとも白雪は興味なしとそのたびにつっぱねていたが…。
「求婚の相手。『彼』とは、私どうにも合いそうにない気がするのよ」
頬杖をついて、はぁ…とため息をつく白雪。
彼女は、かの王子の容姿や仕草を思い出す。
「私より身体が細いうえに、肌が白すぎて白タイツと同化してるし…。しかもやたらと大げさで…」
白雪は憂鬱そうに目を伏せる。
「あちらの方では流行なのかもしれないけど、金髪、くるんって巻かれてて…ああ、やっぱり駄目」
「姫…、人を外見で判断してはなりません。大事なのは中身でございます」
使いの男は白雪を静かに窘める。
「そうね、わかっているわ。どんなに頼りな…いえ、貧弱…、いえ華奢な王子であろうと
問題はいかに中身が優れているかなのよね」
喉元まで出かかった、『それでも、ごめんだわ』という言葉は無理矢理のみこんだ。
この場に誰もいなければ舌を出していたところだ。
「…話がそれたわね。で、その魔法士とは会えるの?」
「はい。姫」
「そう」
腰を椅子に深く沈めた白雪は、大きく息を吐いた。
*
その男が白雪の元に到着するまで、思ったより月日はかからなかった。
「お初にお目にかかれて光栄にございます」
男は恭しく白雪の前に跪いてみせた。
彼は白雪の手をとると甲に接吻した。
「あなたが、お妃をよく知るという者ですね?」
白雪は目の前に跪いた男に、声をかける。
男は顔をあげた。その顔はまだ若い。
彼は白雪に頷いて見せた。
「はい、存じております。かつて彼女は私の師匠でありましたから…」
「お妃が…?」
白雪が意外そうに目を開く。
この青年はお妃よりは幾分年若い顔をしているが、お妃だとてまだ十分に若い。
師と弟子の関係は、必要なのは才能で年齢に関係あらず、といったところか…。
「あなたに、いろいろとお妃について聞きたいことがあるのです。あと相談も…」
白雪は彼に自分がお妃に、ねらわれているのだということを話し始めた。
話を聞いていた青年は難しい顔をする。
「……元々、彼女は美しい物が好きでしたが、しかしながら、特にまして貴女に対して執着しているようです。
貴女に対する彼女の気を逸らすにはどうしたら良いのか、私にはまだ検討がつきません」
青年は肩を落とした。
白雪も息をつく。
「そうね、私もあの人がこのまま諦めてくれるとはなかなか思えないのです…」
…感ではあったがあの彼女はまだやすやすとは引き下がってくれないような気がするのだ。
白雪は他にもうち明けなければならないことがあり、膝の上で拳をつくった。
ここからが本題だ。
おそらく弟子であったという彼にしか相談できない。
「…それに、…これはここだけの話です。私には呪いが掛けられているのです…」
白雪は歯がみした。
時に、どうしようもなく、苦しいようなもどかしい衝動に駆られてしまう瞬間がある。
しかも、それは時も場所も選ばないものだから、すでに城内で不信がられたことも
少なくない。正直、お妃が見つからないことには呪いを解く術すら思いつかず
焦っていたのだ。
しかし、お妃の弟子という彼ならもしかしたらなんらかの解決法を与えてくれるかもしれない。
「失礼ながら…それは、どのようなものなのですか?」
「そ、それは…」
白雪が口ごもっていると、彼は近づいて「…失礼」というと白雪の身体を触診しはじめた。
思いがけないことに、白雪は驚いて声をあげる。
「な…、無礼です。いきなり何をするのです!」
「…なるほど、これは。師の魔法の気配がします」
「やっ…、あん…」
青年の指が白雪のドレスの中に潜り込む。
「それが身体に巡っておられるようです…」
「…あっ!」
ドレスの中の手は器用に動き、下着にまで入り込もうとする。
直に触れられた肌は繊細で、それだけで痺れたように、身体の力が抜けてしまう。
「ご辛抱を。今、殿下が我が師に掛けられた魔法を調べているのです」
「あっ…だめ、そのように触れては…やっ…あん…」
これは、そんな意味で身体に触れられているわけではないとわかっていても
触れられた所から熱が生まれ、しだいに白雪の身体に甘美な刺激となって背筋を駆け昇る。
白雪は甘い快楽に、背中をしならせた。
「…ここに、我が師の魔法の気を感じます」
下腹部を撫でられて、白雪は身もだえる。
尚も指は白雪の肌を撫で、さらには彼女のもっとも恥ずかしい部分を触られてしまう。
「…どうです?…やはり、ここが感じるのでしょう?」
「は…ぁぁんん」
白雪の奥に、指が沈められる。
「もっと、さわってほしいのではないですか?」
「…ぅうんん」
椅子からずり落ちてしまわぬように、必死で白雪は肘掛けをつかむ。
埋め込まれた指が、微かに動くたびに卑わいな水音をだす。
「…やぁっ、あん」
「お辛いでしょうが、もう少しご辛抱を…」
「ぁっ…だめ…」
「ふむ。これは、なかなか頑丈な呪いを掛けられているようですね」
「きゃぁぁんっ」
指を内部で強く深く押し込まれて、白雪は身体が跳ね上がる。
「しかし、これほどの魔法は……」
魔法師の青年は渋い顔をする。
思案顔の様子で白雪は不安を掻き立てられる。
「どうしたというの?」
「…出直した方が良さそうですね」
「え?」
白雪はいきなり引き抜かれてしまった指と彼の言葉にわずかに驚いた声をあげた。
だが、まさかこのまま続けてほしいとも言えず、すっかり乱れてしまった服の袂を直す。
「いえ、ご心配にはおよびません。方法はあるのです。ただ今はそれを行えるための物を
持ってきていないのです。ですから、日を改めようと思いまして…」
魔法師の青年は白雪に安心するように、にっこりと笑ってみせた。
(…?…何かしら、まだ何か聞かなければならないことがあったような…)
白雪はふとした疑問に首を傾げる。
「では、また…」
退出した魔法師の背中を見送って白雪は身体の力を抜いた。
一人残った白雪は息を吐き出す。
(やだ…身体が…まだ…)
「…んっ」
疼きが収まらない。
きっと、触れられただけで感じてしまったけれど、
あくまでそれだけで…達してしまったわけではないからだ。
「…だめ…、私…」
――こんなこと。
細い指が濡れたそこに向かう。
いけない、と心に言い聞かすのに、これまで呪いに負けず
堪えてきたのに。こんな…。
今回はいつになく強い衝動であった。
しかも一度、呼び起こされた衝動は簡単に静まってくれない…。
「…ぁぁん…、…んん…」
熱っぽい息が吐かれる。
視界が潤む。もし、この時に誰かが扉を開けてしまったら…?
恐ろしいはずなのに、止めることができない。
「……ああぁっ…!」
びくんっ!と痙攣した白雪は、その後くったりと椅子に背中を預けた。
それと同時に力を失ったように腕が落ちる。
「…はぁ…」
早く、元の正常な身体に戻りたい。
上気した頬を透明な雫が流れて落ちた。
白雪のいる部屋の扉の向こうには、まだ魔法師がいた。
彼は、目蓋を閉じて余韻を味わっていた白雪を見ていた。
白雪は気づいていない。
「…ふ、…ふふ」
彼は、妖しい微笑を作るとその場を去っていった。
それから数日後、魔法師から手紙が届いた。
終
白雪姫キタコレ!待ってたよ!今回も筆が乗ってますなあ。
お妃の切ない思いも白雪の自慰も怪しい魔法使いの青年も良かった。
次の展開を楽しみにしてるよ。
287 :
名無しさん@ピンキー:2006/11/09(木) 17:41:11 ID:1l5cEP8J
気づいたら保管庫、更新されてたようです。
管理人さん忙しい中、本当に乙です。
288 :
sage:2006/11/11(土) 03:07:29 ID:CYm5wEtm
作者各氏、すばらしいです。続きを期待しながら待ちます。
ところで、保管庫ってあるのですか?あるのでしたら教えてほしいのですが。
何分、このスレからの新参者なのでURLがわからなくて。
「ようこそ、私の迷宮へ。これはこれは――」竜は目の前の小さな女の子に目をやった。
白い寝巻き姿の少女は、不思議そうに竜を見上げている。
「まだ子供ではないか。どうやって紛れ込んだ。ここは子供の来るようなところではないぞ」
少女は目をぱちくりさせた。「あなた、お話にでてくる竜?」
「いかにも、私は竜だが」
少女の目が輝いた。「やっぱり、お話はほんとうだったのね。ねえ、うろこにさわってもいい?」
「ああ?構わないが――」
竜の固い肌を少女はそうっと撫でた。「かわいそう」
「可哀想?私が?これは異な事を」
「だって、大好きだったお姫さまはいなくなってしまったのでしょう?
ひとりぼっちでさびしくないの?」
「いや、お前はどうなのだ。子供の身でありながら、ひとりでこんなところへ来るとは」
「わたしね、きっと悪い子だからだとおもうの」「悪い子?」
「わたし、呪われているの」
「見たところお前は呪われてなどいないようだが」竜は鼻を膨らませた。
「ふむ、お前は男の匂いがするな。なるほど、私の元へ来るわけだ。いや、だがお前はまだ――」
「ねえ、あなたはとても長生きしているのでしょう?だからとっても賢いって、ご本に書いてあったわ」
「確かに、私は長く生きた。長すぎるほどにな」
「何かお話して」「話?何の話が聞きたいのだ」
「ええとね、魔法のお話がいいわ」
「魔法か――」
竜が宙に向けて息を放つと、七色の火花が弾けて広がり、砂金のようにきらきらと輝いて、少女の頭上に降り注いだ。
「すごいわ!あなたも魔法が使えるのね!ご本には書いてなかったから、ちっとも知らなかったわ」
「お前がこれを魔法と呼ぶのなら、そうだ」
光の点は小さな手のひらに触れる直前に、初めから存在しなかったかのようになくなってしまう。
少女は光を掴もうとして躍起になった。
「すてき!わたし魔法ってだいすきよ。だってとっても不思議なんですもの。
グレアムは魔法が使えるの。それに、おにいさまも」
ひとつも捉えることが出来ないまま、光がすべて消えてしまうと、少女はため息をついて言った。
「でも、わたしはだめ。きっと才能がないのね」
「そうは思わんが」
「ほんとう?」少女は真剣なまなざしを向けた。
「真実かどうかは、お前次第だ。お前の正体が何かによる。
物事のあり方は一通りではない。常に向き変えて我々の眼をくらます。
だのに人は皆、自分の見たいようにしか物事を見ない。
人間とはつくづく愚かな生き物だ。
ある瞬間のある一面だけを捉えて、これが真実のすべてだと信じ込んで満足する。
そもそもお前は、私の言うことが全部正しいと思って、疑ってもいないだろう」
少女は考え込んだ。
「お前の目に私が竜の姿に映るのは、お前がそう信じようとしているからだよ」
「あなたは、ほんものの竜じゃないの?わるい魔法使いに姿をかえられてしまったの?
あなた、ほんとうは、どこかの国の王子さま?」
「面白い事を言う娘だ。私が恐ろしくないのか」
「どうして?あなたはいい竜でしょう?」
「何故そう思う?」
「だって、あなたはやさしい、きれいな目をしているし、お話に出てくる、わるものだって、
はじめからわるい人はいない、ちゃんと理由があるんだよって、グレアムが言っていたもの」
「善悪の基準など、それこそ、その日の天気、その時の気分でがらりと変わってしまう、
いい加減なものではないか」
「そうかしら?わたしは、あなたがすきよ。これは真実だとおもうわ。それではだめ?
あなた、ほんとうは強くって魔法も使えるのに、
お姫さまのために、わざと、騎士に負けてあげたのでしょう?」
竜は少女をしげしげと見下ろした。
「変わっているな。だが、気に入った。
どうだ、私の花嫁にならないか。お前の望みは何でも叶えてやるぞ」
「わたし、おにいさまとけっこんするの。だから、あなたのお嫁さんにはなれないわ」
その時遠くから声が聞こえた。「エリスが呼んでる。わたし、かえらなくちゃ」
「エリス?」
「知ってるの?」
「昔、エリスという名前の少女に会ったことがある。美しく聡明な娘だった」
「ふうん。その人はどうなったの?」
「私の申し出を蹴って、平凡な暮らしを選んだ」
「その人が騎士に助けだされたお姫さま?」
「助け出された?いや、違う。彼女は結局迷宮をさまようことになった。彼女は――」
また別の声がした。
「呼んでるわ。もういかなくちゃ」少女は後ろを振り返った。
「帰り道はわかるか」
「ええ。だってほら、まっすぐな道だもの」
「まっすぐな……、そうか。今なら、まだ間に合う。お前はもう二度とここに来てはいけない」
「そうなの?残念だわ。でも、お話できて楽しかった。
はやくあなたのお嫁さんが見つかるといいわね。そうしたらきっとさびしくなくなるわ」
少女は背伸びして竜の鼻にキスした。
「ごきげんよう、いい竜さん」
そして、夜着の裾をつまんでお辞儀すると、竜に背を向け、駆け出した。
バーンズ夫人の荒療治が効を奏したのか、ロウィーナは翌朝にはすっかり元気を取り戻していた。
じっとしていられなくなったロウィーナは、さっそくベッドから抜け出し、兄に会いに行こうとした。
夫人は、今日一日部屋から出るのはまかりならないと宣言したが、ロウィーナは食い下がった。
「もうへいき。ねえ、エリス、おねがい、少しだけでいいの」
輝きの蘇ったロウィーナの笑顔につられるように、バーンズ夫人も微笑んだ。
「本当に少しだけですよ。では、殿下のご都合を伺ってまいりましょう」
ヘンリーは伝令を待ち構えていたかのように、すぐに自ら足を運んできた。
晩秋のその日は、特に冷え込んでいて、夫人の指示で、二人は暖かい暖炉の前に陣取った。
ロウィーナは、兄を見上げ、いつになく真剣な様子で言った。
「おにいさま、わたし、これからもずっと、かわらずに、おにいさまをあいしているわ。
なにがあってもよ。わすれないでね」
「私もだよ。でも、どうしたんだ、急にあらたまって」
「なんとなく、いま言っておかなくちゃいけない気がしたの」
赤々と燃える暖炉の炎に照らされて、ロウィーナの頬が上気した。
「わたし、いいお嫁さんになれるかなあ」
「なれるとも。寒くないかい?もっと火の傍においで」
膝の上に抱きかかえようとするヘンリーの腕をすり抜け、ロウィーナは窓に向かって走り出した。
「おにいさま、雪!雪だわ」
「ロウィーナ!だめだよ、戻りなさい」
ヘンリーも後を追う。
ロウィーナはそのままバルコニーへ飛び出すと、鈍色の暗い空に向かって大きく手を伸ばした。
「つかまえたわ!はつ雪よ!」
ロウィーナは、握り締めた拳を大事そうにヘンリーに差し出し、ゆっくりと開いた。
「おにいさまにあげる」
中身は空っぽだった。
「溶けてしまったんだね」ヘンリーは、ロウィーナの手のひらに接吻した。
「でもちゃんと受け取ったよ。さあ、部屋に戻ろう」
ヘンリーはロウィーナを抱え上げた。
「おにいさま、お願いごとした?」
ロウィーナは、大好きな兄のために年に一度の権利を譲ったのだった。
まっすぐ、ひたむきに、全身で愛を伝えようとするロウィーナ。
不安になるのは何故だろう。
さっき、自分の腕が空虚を掴んだとき、悪い夢を見ているような気持ちになった。
ヘンリーは身震いした。
木枯らしに吹かれた冷たい雪のかけらが、首筋に触れたからだ。
「願い事?そうだな、お前が早く元気になるように祈っておこう」
ヘンリーは、ロウィーナの柔らかな頬にキスした。
「おにいさま、それでいいの?」
「いいんだ」
半分は嘘だ――。
お前が欲しくて、欲しくて、たまらない。今すぐ、お前を裸にしたい。
お前の、こんもりとしたふくらみを押し開き、お前の隠された熱いくちばしに触れたい。
お前の目が、驚愕で見開かれ、震える声が私の名を呼び、熱っぽくせがむのを聞きたい。
そして、私の怒号した欲望を、狭く苦しいお前の中に深くうずめて、
苦痛と喜びでお前が我を忘れ、声も枯れんばかりに泣きわめくのを見たい。
どこにも逃げられないように、お前の神聖な身体の中心めがけて太い楔を打ち込み、
お前が、永遠に私だけのものである印としたい――。
「おにいさま?」
「何でもないよ。ここは寒いね」
二人は暖かな部屋に戻った。
例年より早い冬の訪れを告げる雪は、すぐに降り止み、空はやがて明るくなった。
終
竜の話気に入った。
重厚な雰囲気をいつも楽しませてもらってます。
今日もありがとう。
厭きさせない展開スゴイです。
いつも続きが気になってますよ。作者さん頑張ってください。
ヘンリーとロウィーナ、二人の婚約は伏せられたまま、数度、季節が巡り、
再び城には春の風が吹き始めた。
平和な王国にも、この間、いくつかの出来事が起こった。
ヘンリーには再び、イスキアの皇女との縁談が持ち上がった。
お相手として、すでに別の国に嫁に行ってしまったクラリサ姫に代わって、
第二皇女アンジェラ姫の名前があがった。
不思議なことに、話が持ち上がったとたん、巫女はまた同じ占いをよこし、
前回と同じように話は流れた。
昨年の秋から、国王は病を患い、ここ数ヶ月は床に伏せっている時間が増えた。
その分ヘンリーは、王の名代として公務をこなさねばならず、自由な時間は激減した。
ロウィーナも同じように、少し増え始めた自身の公務と稽古事で何かと忙しくなり、
二人きりで会う時間も限られるようになった。
その不満を解消するかのように、ヘンリーは派手な女遊びを繰り返していた。
そしてある日、寝室に連れ込んだ女がヘンリーに斬りつけるという椿事が起こった。
「どこの馬とも知れない女を、私に内緒で、無分別に招き入れたりされるから、
このようなことになるのです。かすり傷で済んだから良かったものの、
もしも御身に何事かあっては――」
皇太子付きの侍従たちを取り仕切る、年老いた世話係は、気が気でない様子で言った。
「ああ、もうわかった。シンプソン、わかったから、お前も下がれ」
ヘンリーは面倒くさそうに手を振った。
「いいえ、殿下がアルフレッドを気に入っておられるのは存じております。
が、あやつひとりには任せて置けません」
「アルはちゃんと警護の役も務めてくれただろう。おかげで私はこの通りぴんぴんしている。
このあと、ちょっとした来客があるのだ。お前がいては、相手が嫌がる」
ヘンリーの言う、ちょっとした来客なるものが何を指すか、
いやというほど知っているシンプソンは、つい声を荒げた。
「まだ懲りておられないのですか!」
「今日の客は身元も確かだ」
「そのような事を申し上げているのではありません。
殿下、私は殿下がお生まれになったときから、ずっとお仕えしてまいりました。
これまで、その……」初老の男は気難しい顔では咳払いをした。
「いろいろとございましたが、多少の放蕩は紳士のたしなみと心得ております。
しかしあまりにも度が過ぎます。しばらくは、身を慎んでください」
「お前の孫娘が代わりを務めてくれるとでも?」
「孫はまだ二歳です。殿下のお相手が務まるとは到底――」
「冗談に決まっているだろう。お前は相変わらず頭が固いな。
若い愛人でも作ってはどうだ。世界が広がるぞ」
「無茶をおっしゃらないでください。それでなくとも、私は陛下にずいぶんお叱りをうけて――」
「おお、良く来てくれた!」話を勝手に中断し、ヘンリーは客に向かって両手を広げた。
相手を見て、シンプソンは愕然とした。
アルに連れられ到着した女は、帽子につけられた濃いヴェールで顔を隠していたが、
間違いなく某侯爵の令嬢だった。
先日婚約したばかりだと聞いていたが……。また厄介な相手を選んだものだ。
「あの、私、やはり……」娘はヴェールを一段と深く下げ、顔を隠すように横を向いた。
父親である侯爵とシンプソンは旧知の仲なのだ。
「私が怖くなった?」「いえ、そんな……」
「ここは、落ち着かないな。あちらの部屋でゆっくり話でもしよう」
ヘンリーは娘の肩を抱いて奥の部屋へと促し、
娘の頭越しに、仏頂面のシンプソンへ大げさなウィンクを投げた。「お前達はもう下がれ」
そして娘に話しかけた。「その帽子は――」
「え?」娘は帽子に手をやった。
「この前の方がよかった。それはあなたにはあまり似合っていないようだ」
「あの赤い帽子ですかしら」
「そうそう。赤だった。あなたの顔によく映える。その帽子では台無しだ。取ったほうがいい」
部屋を移り二人きりになると、娘は素直に帽子を取った。「これでよろしいでしょうか、殿下」
「いいね。服は、先日の園遊会の時のあれが素晴らしかった。肩が大きく開いて、
女らしいラインが強調されて。
あなたの一番の魅力を、その服は台無しにしてしまっている。非常に残念だ」
「おっしゃっていただければ、あれを着て参りましたのに」
「その服でも構わない。肩を少しだけずらせば、もっと良くなる。こんな風に」
「殿下、あの……」
「もう少し下げた方かいいかな」
「殿下、私には婚約者が……」
「だが、まだ結婚したわけではなかろう?あなたの胸は想像以上に素晴らしい。
ああ、隠さないで。この胸を独占できるとは、婚約者殿がうらやましい限りだ」
「殿下、私たちはまだ……あっ……おたわむれは……」
「彼はこんなことはしてくれないか?」
「はあっ、あっ……、そんなことしません、まだ結婚前なのに……」
「誰にも触らせたことがない」「も、もちろんですわ……」
「私が一番乗りか。婚約者殿に悪いな」「え、ええ……あ、そんなに強く噛んだら……痛!」
「嘘をついた罰だ」「殿下に嘘なんて……ああっ、お許しください」
「ああ、少し血が出てしまった。だが、あなたが悪いのだ」
「そんな……あっ、あっ」
「園遊会の日、あなたの髪は乱れて、たいそう色っぽい風情だった」
「それは、風が……、あっ、そこはっ……」
「あの日は、風は穏やかだった。それに確か婚約者殿は欠席だったと思ったが」
「あっ、あっ、あああああっ!!」
「すんなり指が入った。初めてにしては変だと思わないか」
「ああっ、そんなこと……」「嘘はよくない」
「お許しください。ど……ああっ、そのままではドレスが……」
「こういうのが好きだと思った。確かに背徳的な感じではあるな」
「違います、こんな……、恥ずかしい格好……、はあ、はああっ……せめて、ベッドで……」
「あなたを見かけたときは、こんな姿だった。ドアが開けてあったのは、あなたの趣味かな」
「ちが……、……あ、あ、あ、あ、すごいわっ、ああっ」
「おかげで、私はひどい目にあった。あの時、一緒にいたのは確か――」
「ああ、それだけは……はぁっ、すごい、ああ、やめないで……」
「妻子ある男は、テクニックもすごいだろうな。私とどちらが上手だ?正直に言っていいぞ」
「はあっ、んんん……、で、殿下ですわ……」
「世辞はいらん」「ほ、本当ですわ……あの人のは、こんなに……あっ、あっ、あああっ、」
「こういうのはどうだ。試してみたことはあるか」
「ああっ、こんなのって……、あああん、すごいっ……んはあっ、はあっ、奥がっ……
あ゛、あ、あ、あ゛ああああああっ――!!!」
寝室から漏れ聞こえるよがり声には、およそ侯爵令嬢には似つかわしくない下品な単語が混じり始めた。
何も聞こえないふりをして耐えていたシンプソンは、苦い顔で首を振った。
そして、アルフレッドに何事か厳しく申しつけると、部屋を出た。
事が済むと、ヘンリーはすぐに身を起こした。
「殿下――?」
「身支度を済ませなさい。家まで送らせよう」ヘンリーは娘の手を取り接吻した。
「あなたのおかげで有意義な時間を過ごせた。結婚式には花輪をお贈りする。婚約者殿とお幸せに」
ヘンリーは呆然とする娘を置き去りにして寝室を出た。
はじめから覚悟していたのか、未遂に終わるとヘンリーを襲った女はその場で自害した。
女の目的については、さまざまな憶測が流れた。
世継ぎの命を狙い、国を混乱させるための、外国の刺客ではないか、
あるいは国内の不穏分子の仕業ではないか。事件を知った者は次々に不安を口にした。
宮廷内には王妃の生前から続く派閥があって、ロウィーナの母シンシアについていた一部の貴族は、
シンシア亡き後、再び勢力を盛り返したヘンリー派の陰で、急速に力を失っていた。
不遇をかこっている一部の急進派は、昔の勢力を取り戻すために、
何とかしてロウィーナを女王に擁立しようと画策しているのではないか、
以前からあったそんな噂が、急に信憑性のあるものとして伝えられた。
いや、そんな大げさな話ではなく、無理やり手篭めにされた娘が逆上しただけだ、
そうじゃない、たぶん昔捨てられた女が恨みをはらしにきたのだ、何しろ皇太子の女癖は……、
と、したり顔で耳打ちし合う者もいた。
ヘンリーが狙われる理由はあまりにも多すぎ、偽名を使っていた女の身元はわからずじまいで、
事件の真相はうやむやのまま、いつしか人々の話題から消えた。
ヘンリーは、短い情事の後、時間が許せば、アルを連れて馬車に乗り込み城下を一周させる。
今日もヘンリーは腕を組み、片方の拳を口元にあてて、馬車の窓から外の景色を眺めていた。
動かない瞳でひとり考え事にふけっている様は、街を彩る新緑を愛でているという風情ではない。
ましてや、とても情事の余韻を楽しんでいるという雰囲気ではなかった。
「私は、ひどい男だ。そう思わないか」視線は外に向けたままヘンリーは言った。
「いいえ」アルはそう答えたが、これはヘンリーの独白のようなもので、
答えを期待されている訳ではないのだ。
「ロウィーナが私のしている事を知ったら、不実な恋人に失望するだろうな。私は見捨てられるかもしれない」
「いいえ。ロウィーナ様は決してそのような――」
「わかっている、ロウィーナはどんな過ちも許してくれるだろう。
だからなおさら自分が嫌になる。
男の習性とはいえ、わかっていて止められない、自分の性癖が嘆かわしい」
理由はそれだけではないのでは、とアルは思ったが口には出さず、代わりに言った。
「ご結婚されれば、きっと落ち着かれます」
「どいつもこいつも、寄ってくるのはつまらない女ばかりだ。ロウィーナの足元にも及ばん」
「殿下――」
「ロウィーナの身体をどう思う?今日の女とどこが違う?」
「私にはわかりません」答えられるはずがない。知っていてヘンリーはわざと訊く。
狭い馬車の中で、逃げ場がないことを承知しているのだ。
「お前はずっと見ていただろう」
「私はご命令に従っただけです」
ずっと外の景色を眺めていたヘンリーは、初めてアルと向き合った。「知りたいか?」
「ロウィーナ様は私を嫌がっておいでです。どうかもうご勘弁ください」
「ロウィーナは――」ヘンリーは急に、視線を落とした。
「ロウィーナは特別だ。誰もロウィーナの代わりを務めることは出来ない。わかっているのだ」
そして王妃様の代わりもです。殿下、早くお気付きになってください、
これまで何度も口に出掛かった言葉を、アルは飲み込んだ。
ヘンリーは、目を閉じ、それきり黙り込んでしまった。
無言の二人をのせたまま、馬車はいつもの道のりを辿って、城へ続く大通りに入った。
「殿下、まもなく城に到着します」
「そうか」ヘンリーは目を開けた。「この後の予定は?」
「軍と議会の定例報告をお聞きになった後、マーヴェル伯爵夫人とお茶のお約束が。
それから、謁見の間に陳情団を待たせてあります。
夜は、カスティーユの大使夫妻をお招きしての晩餐会――」
「わかった、そこまででいい」
そこにはいつもの自信に満ち溢れた皇太子の姿があった。
しかしアルには、傷に覆われたヘンリーの全身から、血が流れ続けているように見えてならなかった。
ロウィーナ様を泣かせ、女性達を蔑み、私を苦しめているつもりでも
苦痛を与える刃は、実はあなたご自信に向けられているのではないのですか?
こうして二人きりで向かい合うたびに去来する思いは、
今回もアルの胸の奥深くにしまわれたまま終わった。
終
素敵です。
ため息が出ちゃうw
GJ。
ヘンリーとアルの微妙な関係がまたいいね。
「う〜、出る出る」
今、女を犯して
全身運動している僕は
予備校に通う
ごく一般的な男の子
強いて違うところを
あげるとすれば
ピーチ姫に興味があるって
とこかナ――
名前は道下正樹
そんなわけで
帰り道で会った
公園のピーチ姫と
やって居たのだ
ふと見ると
ベンチに一人の若い男が座っていた
ウホッ!
いい男・・・
そう思っていると
突然その男は
僕の見ている目の前で
ツナギのホックを
はずしはじめたのだ・・・!
ジジ!
「やらないか」
そういえば
この公園は
ピーチ姫とヤるためのトイレが
あることで
有名なところだった
輪姦に興味のあった僕は
言われるまま
ホイホイとトイレに
ついて行っちゃったのだ♪
彼――
ちょっとワルっぽい
自動車修理工で
阿部高和と名乗った
プリンセス・セックスも
やりなれてるらしく
トイレにはいるなり
彼女は素裸に
むかれてしまった
「よかったのか ホイホイついてきて」
「俺は3Pだってかまわないでヤっちまう人間なんだぜ」
「こんなこと初めてだけど いいんです・・・」
「僕・・・3Pでも10Pでも好きですから・・・」
「うれしいこと言ってくれるじゃないの」
「それじゃあ とことん悦ばせてやるからな」
言葉どおりに
彼はすばらしい
テクニシャンだった
僕はというと
性器に与えられる
快感の波に
身をふるわせて
もだえていた
しかし その時
予期せぬ
でき事が・・・
ブル
ブルッ
「うっ…!」
「で 出そう・・・」
「ん?もうかい?意外に早いんだな」
「ち、ちがう・・・」
「実はさっきから小便がしたかったんです」
「公園に来たのもそのためで・・・」
「そうか・・・」
「いいこと思いついた」
「お前、姫の膣の中でションベンしろ」
「えーっ!?」
「マンコの中へですかァ?」
「男は度胸!何でもためしてみるのさ」
「きっといい気持ちだぜ」
「ほら 遠慮しないで入れてみろよ」
彼はそういうと
姫につきまくった
精液を拭き取り
美しい尻を
僕の前につきだした
他人の膣の中に
小便をさせるなんて
なんて人なんだろう・・・
しかし
彼女の大きくしなやかな
ヒップを見ているうちに
そんな変態じみたことを
ためしてみたい
欲望が・・・
「それじゃ・・・やります・・・」
クン・・
ズ!
ズズ!
ニュグ!
「は・・・はいりました・・・」
「ああ・・・つぎはションベンだ」
「それじゃ出します・・・」
シャーーッ
チュチューーーッ
「いいぞ」
「腹の中にどんどんはいっていくのがわかるよ」
「しっかりケツの穴をしめさせとかないとな」
チュー・・
「くうっ!気持ちいい・・・!」
この初めての体験は
膣出しでは知ることの
なかった絶頂感を
僕にもたらした
あまりに激しい快感に
小便を出しきると同時に
僕のペニスは
膣内の尿の海の中で
あっけなく果ててしまった
「ああーっ!!」
ドピュッ
チャッ
シャーーッ
「このぶんだとそうとうがまんしてたみたいだな」
「膣ン中がパンパンだぜ」
はっ・・・はっ・・・
「どうしたい」
「あんまり気持ちよくて・・・」
はあ-・・・
「こんなことしたの初めてだから・・・」
「だろうな 俺も初めてみたよ」
「ところで俺のキンタマを見てくれ」
「こいつをどう思う?」
「すごく・・・大きいです・・・」
「でかいのはいいからさ」
「見てるだけじゃおさまりがつかないんだよな」
ヒョイ!
「あっ・・・」
ドウッ
「こんどは俺の番だろ?」
「ああっ!!」
「いいぞ・・・」
「よくしまって吸いついてきやがる・・・!」
「出・・・出る・・・」
「なんだァ?今出したばかりなのにまた出すってのか?精力絶倫なんだな」
「ちっ ちがう・・・!!」
「なにイ?こんどはウンコォ?」
「お前 こいつをバキュームカーとまちがえてんじゃねえのか!?」
「しーましェーン!!」
「しょうがねえなあ いいよ、いいよ」
「俺が空けてやるからこのまま口に出しちまえ」
「クソまみれでやりまくるのもいいかもしれないしな!」
「えーーーっ!?」
――と
こんなわけで
僕の初めての
輪姦体験は
クソミソな結果に
終わったのでした・・・
面白くない
・スカトロネタは読み手を選ぶので最初に注意書きが欲しい
・姫萌がない
・台詞と地の文を元ネタ漫画(ヤマジュン作品)から抜き出して
ピーチ姫をぶち込んだだけ
誰がどの台詞を言っているか分かるように加工しきれていない
・↓はお前か
426 :名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 11:42:54 ID:CT4tNlMD
とある成年漫画にインスパイアされたおバカなお話。
完全にネタもので、見る人が見れば多分元ネタはたぶん一発でバレてしまう。
でも、ちょっとは自信があるのでやっぱり誰かに見せたい。
そんな感じの作品を投下するのにどこかいい場所は無いだろうか。
>310
その人はスレから追い出されたスレに行ったようです。
スカ注意は同意orz
まぁ発想は奇抜だったよ。たぶんw
荒らしなんじゃね?
タイトルでスルーした自分は勝ち組?
>◆YxrCMAImAU氏
遅ればせながらGJです。
>>296ですごく興奮した。
>>157といい、言葉責めが素敵すぎる。
あまり人の訪れることのない城の書庫に、最近足繁く通う者がいる。
新旧の書物で埋め尽くされた書架が立ち並ぶ薄暗い部屋の、重くよどんだ空気の中には、
かすかに華やいだ香りが混じっていた。
しんと静まり返った室内で、時々ページを繰る音がする。
明かりの差し込む窓際の机に腰掛け、ロウィーナは分厚い本を開いて熱心に読みふけっていた。
「こんなところで何をしている」
急に声をかけられ、本に集中していたロウィーナは椅子から飛び上がらんばかりに驚いた。
「お兄さま!」
「何を読んでいるのだ。何だ、法律書じゃないか。こっちは――」
背後から覗き込むようにして、ヘンリーは積み上げられた本の背表紙を確かめた。
「経済に土木、それに兵法まで。女の読むような本じゃないぞ」
「でも、とても面白いのよ。それに為になるわ」
「あきれた。こんなものを読んでどうする」
「私、お兄さまのお傍で働けるようになりたいの。そうすればずっと一緒にいられるでしょう。
それに、エリスも言っていたわ。王がご不在の折に、国を守るのは王妃の勤めだって。だから――」
「頼もしいな。だが、お前は、そのままでいいのだ。
美しく着飾って、私の目を楽しませてくれればそれでいい」
「でも――」
「少し待っていなさい」
ヘンリーは、書庫の奥から一冊の本を持ってきた。
「お前にはこの方が似合っている」
端の折れたページを開き、ヘンリーはある行を指差した。ご丁寧に誰かの手で下線まで引いてある。
「読み上げて」
活字に目を走らせたロウィーナの頬がみるみる朱に染まった。「お兄さま!」
「どうした、昔は自分から進んで読んで聞かせてくれたではないか」
「だって、あの頃はまだほんの子供で、何にも知らなかったんですもの」
ロウィーナは真っ赤な顔で訴えた。
「仕方ないな、では特別に私が読んであげよう。
『夫とは違う逞しい存在が目の前につきつけられると、私はまるでそれが自然の摂理で
あるかのように、畏敬の念を持って両手を差し出しました。
中空の抜け殻のようだった私を充足してくれるものが、こんなに身近にあったのです。
確かな証拠に触れ、私の胸は震えました。
彼は、私の口を喜びで満たしたがりました。しかしそれは彼の本意ではなく、
私には、今すぐ埋めて欲しい、深遠で空虚な場所があるのだと申し出るのを、
彼は厳かに待っているのです。
その一言が言霊となって響くまでには、私を私であらしめた数多くの物を、
更に捨てなければなりませんでした。
私は自分の身分を表す窮屈な衣をすべて捨て去りました。代わりに彼の手が――』」
「お兄さま!!」「まあ待て、ここからがいいところだ」「やめてったら」
「わが国が誇る文学作品だぞ。教養も大事だ」「お兄さま、ひどいわ、あっ」
椅子の後ろからヘンリーは左手を回した。
ヘンリーの腕がロウィーナの胸をまさぐる。
「大人になったのかどうか確かめている。うーん、これじゃまだ大人とはいえないな」
「やっ……痛い」
「こら、逃げるな」腕をすり抜けようとするロウィーナをがっちりと捕まえる。
「お前は女だ」「お兄さま……や……」
「この身体で、私を慰め、私の子供を産んでくれればそれでいい」
「だめ、キャシーが……」
「お前のお気に入りの侍女なら、今頃、厨房でアルと一緒にお茶でも飲んでいるよ」
ヘンリーはロウィーナの髪の香りを嗅いだ。「いい匂いだ」
金髪に隠された白いうなじに唇を這わすと、幼い頃から全く変わらない、柔らかで、
きめの細かい肌が、ふるふるとかすかに震えた。
「お兄さま。だめ……人が来ます」
「こんなほこり臭いところ誰も来ない。それに、入り口の鍵はアルが持っている」
「遅くなるとエリスが心配するわ」「すぐ済む」
ヘンリーの手が下腹部に伸びると、ロウィーナはあわてふためいた。
「やだ。やめて、お兄さま」「やめたら怒るくせに。今日は素直じゃないな」
「今日はだめっ、本当にだめなのっっ!」
ロウィーナはむきになって抵抗し、察したヘンリーは手を引いた。
「なるほど、確かに大人になったな」
ロウィーナは、耳まで赤く染めて目を伏せた。
「悪かった、大事にしなさい。ほら、こっちが本物だ」ヘンリーは後ろ手に隠していた薄い本を差し出した。
「古謡だよ。私がいない間これでも読んでいなさい」
受け取った本を胸に抱え下を向いたままロウィーナは尋ねた。「今度は、どのくらい?」
「長くなりそうだ。十日、いや二週間かな。父上の代理も楽じゃない」
「そう……」ヘンリーはうつむいたロウィーナの顎を持ちあげた。
「当分、お前に会えないのだ。キスくらいなら許してくれるだろう?」
優しく、しかし力強い唇は、名残惜しそうにロウィーナから離れた。
「帰ってきたらたっぷり可愛がってやる。妙な気を起こさずに待っていなさい」
「妙な気って?」「その顔なら大丈夫だな」「何のこと?」
「綺麗な指だ」ヘンリーは笑ってロウィーナの白くしなやかな右腕をとり、
桜色に染まった指先にキスした。「お前はまだ知らなくていい」
「また子ども扱いするのね……」
「してないよ。そうだ、ロウィーナ、この指でちょっとだけ私を喜ばせてくれないか?」
ヘンリーはロウィーナの指を導いた。「ほら、これじゃ、ニ週間も我慢できな――」
「いや!」ロウィーナはその腕を払いのけ、自分のしたことに気づくと青ざめた。「わたし……」
「どうしたのだ。先週の事をまだ怒っているのか?」
ロウィーナはひどく動揺した。「あんなことするお兄さまなんか、きらいよ」
「でも、よかっただろう?お前があんなに声を張り上げて喜ぶとは――」
「お兄さまのばか!もう、知らない!」
ちょうど一週間前、ロウィーナは絵の宿題を抱え、兄の部屋を訪れた。
ヘンリーは絵のモデルを頼まれると、いやいやながら引き受けたが、
ロウィーナがデッサンを始めてしばらくすると、早速飽きてしまった。
「何もせずにじっとしているのは苦手だ」「モデルさんは動いてはだめよ」
「もういいだろう。せっかく二人きりになったのだ。
こんな機会はめったにない。もっと楽しい事をしよう」
バーンズ夫人は先ほど公爵家の使いに呼び出され、あわただしく出かけたばかりだった。
ヘンリーは、絵筆を取ると、ロウィーナにちょっかいを出し始めた。
「やだ、おにいさま、くすぐったい」
耳たぶを筆で撫でられて、ロウィーナは肩をすくめて笑った。
「うふふ、やだ、おにいさま、もう、邪魔しないで」
ヘンリーはこの行為がすっかり気に入ったのか、もう一本筆を取ると、両手で頬や首筋をなで始めた。
「くすぐったいってば。やだ、ふふ、あははは、やめて、うふふふふ、ああ、だめ」
「私の言う事を聞くか?」「うふふ、わかった、ふふ、もう絵はおしまいにする、ふふふ」
ヘンリーは手を止めた、「おいで、ロウィーナ」
全裸にされ寝台に寝かされると、ロウィーナは手で隠そうとした。
以前にはなかったことだ。
「だって、恥ずかしいもの」ロウィーナは消え入りそうな声で言った。
「大人になりかけた証拠だから、隠すなと言っただろう。
私を焦らすとどうなるかわかっているか」
ヘンリーは両手首を掴んで、頭の上に持ち上げた。「こうだ」
筆先で脇を撫でると、ロウィーナは身をよじって笑い転げた。
「くすぐったいわ、やめて、あははは、ごめんなさい」
「ここはどうだ?」「ふふ、くすぐったい」「ここは?」「あは、やだもう……」
ロウィーナは、だんだん無口になり、やがて息を切らし始めた。
「やん」
成長期独特のとがった乳房を筆で撫でると、ロウィーナは乳首を固くした。
「動くな」
「だって、あんっ」筆の先端が乳首に触れるたびにロウィーナは身体を震わせた。
胸や腹を撫でていた筆は、徐々に下がり、じらすように太ももの内側を行き来する。
一番敏感な場所を、毛先がわずかに掠めた。
「ひゃうっ……」
「どうだ、気持ちいいだろう」
「ん……」ロウィーナはとろんとした目で兄を見上げた。
舌とも指とも違う、さわさわとした動きは、魔力のように働いて、
ロウィーナから抵抗する気力を奪っていた。
「どんな気分だ?」
「あのね……とけちゃいそう……おに……さま……これ……なに……あっ、あっ」
毛先がちくちく当たると、別の快感が走る。
「もっとして欲しいか?」
「も……だめ……しんじゃうかも……」ロウィーナは切ない目をして、訴えた。
「わかった」
ヘンリーは叫んだ。「アル、お前もこっちに来て手伝え」
「お兄さま!」ロウィーナは飛び起きた。「冗談はやめて」
「冗談じゃないよ。ほら、じっとして」
アルは右手を白い布で吊った姿で現れ、利き腕が使えない事を理由に固辞した。
「左手があるだろう」「ですが……」「やれ」
「いや、やめて、おにいさま、離して」
「いい子だから、ほら、こうやって兄さんが抱いていてやる」
ヘンリーは片手をロウィーナの膝の裏に手を回し、足ごと羽交い絞めにするようにして
後ろから抱きかかえた。
その結果、生え始めたばかりの数本の金色の毛も、その下に覗くばら色の粘膜も、
ベッドの脇に跪いたアルの目前にいやおうなく晒されることになった。
「いや!アル!やめなさい!おにいさま、お願い、やめさせて!」
「アル、私がいいと言うまで絶対に手を止めるなよ」
二本の筆が、同時に蕾を攻める。
「いやあああ、いやああ」
「ロウィーナ、こっちを向いて。ああ、いい子だから。泣かないで。すぐに気持ちよくなるから」
ヘンリーは、横からロウィーナの涙を舐め取った。
「いやっ、この人はいや。ああん……、あっ、あっ、いやああ」
「この前教えただろう。逝くときは、逝くってちゃんと言うんだよ」
「お願い、もう、はぁ、はぁ、やめて、苦しい、おにいさま、お願い」
「まだだよ。ロウィーナ。我慢しないでもっと声を上げて感じてごらん」
「いやあ、ああああ、絶対にいや!ああああ、あっ、あっ、あっ、あああ」
ロウィーナは、がくがくと身体を痙攣させた。
「うっ、うっ……」押し寄せる快感の波を悟られまいと唇を噛み、
時々こらえきれずに、喉の奥からくうくうと子犬のような甘い声を漏らす。
ロウィーナは、瞳いっぱいに涙を浮かべてヘンリーを見た。
羞恥と屈辱と憤怒、
愛と献身と哀願、
そして、失われるどころか際立つ王女の品格。
ヘンリーの眼が賞賛で輝いた。
「その顔だ。そんな顔をするのはお前だけだ。ああ、ロウィーナ、お前はなんて素晴らしいんだ」
ヘンリーは足を持ったままロウィーナを横たえて、アルにはそのまま続けるように命令した。
「もっとよく顔を見せてくれ」
ヘンリーは筆を投げ捨て、ロウィーナに口づけを与えた。「綺麗だ」
「はうっ……おに……さま…許して……も……だめ…………」
「ロウィーナ、お前は私の腕の中にいる。だから安心して逝っていいんだよ」
「お兄さま……、ううっ、そんなの……だめ」
「いいんだ。私のキスで逝きなさい」
ロウィーナは、何度も声を上げ、激しく痙攣して、最後にはぐったりと動かなくなった。
「アルの筆はぐっしょり濡れて――、あああ、わかった、あれは確かに行き過ぎだった。
謝るから機嫌を直してくれ。頼むよ、ロウィーナ、お前の手で――」
「いやよ。私じゃなくて……大人の……女の人に頼めばばいいんだわ」
ヘンリーはため息をついた。
「ご機嫌斜めなのはそっちせいか。心配するな、お前は特別だ。他の女とは違う」
「でも……」
「男とはそういう生き物なのだ。お前にわかってくれと言うのは無理なのかもしれないが」
「ちがう……」
「では、どうしたのだ。怒らないから、言ってごらん」、
これまでもロウィーナは兄のする事を許容してきたし、頭では十分理解していたつもりだった。
しかし、思春期に差し掛かった少女らしい潔癖さが首をもたげ、触れるのをためらってしまう。
自分の知らない誰かが触れた場所。それはひどく汚らわしいもののように思えた。
そして一瞬でもそんな事を考えてしまった自分を恥じた。
嫉妬とは違う、説明できない感情に振り回され、ロウィーナは困惑していた。
「今日は嫌なの」結局ロウィーナが言えたことはそれだけだった。
「そうだったね。私が悪かった。もう言わないから」
「ぎゅってして」
ヘンリーは言われるがまま、小さな身体を固く抱きしめた。
「愛しているのはお前だけだよ、ロウィーナ」
「何も言わなくていいから、このままでいて」「わかった」
過去の記憶で埋め尽くされた書庫の片隅で、二人きりの沈黙の時間が流れる。
兄の長い腕にすっぽりと包まれていると、ようやくロウィーナは落ち着いた気分になった。
「ごめんなさい、お兄さま、わたし、早く大人になる。
お兄さまにふさわしい女性になれるよう努力する。だから、ぎゅって捕まえていて」
身動きできないほど抑えつけられていないと、自分でもわからない衝動にかられて、
何か突拍子もない事をしでかしてしまいそうで、怖かった。
「また泣いているのか。やはりお前は、まだまだ赤ん坊みたいだな」
「泣いてなんかないわ。お兄さまと少しでも長く一緒にいたいの」
ロウィーナは兄を見上げて言った。「それだけなの――」
聞きなれた、強弱をつけた独特のノック音に続いて、開錠する音がする。
ヘンリーの出立時刻が近づいた事を、アルが告げているのだ。
「お願い、まだ行かないで」
「わがままを言ってはいけないよ。私が帰るまで、いい子で待っていなさい」
皇太子の顔に戻ったヘンリーは、ロウィーナの額にキスをすると、部屋を出て行った。
入れ替わりに現れたキャシーは、焼きたての菓子の甘い香りを運んできた。
「まあ、キャシーったら、うふふ」
口の周りに焼き菓子のくずをつけ、神妙な顔でかしこまっているキャシーを見て、
ロウィーナの沈んでいた気分は、一気に吹き飛んだ。
よく見ると、キャシーの手には食べさしのお菓子が握られている。
「そんなに食いしん坊さんだと、ぶくぶくに太ってしまうわよ。いらっしゃい」
ロウィーナより二つ年下で、成長の遅いキャシーは、実際の年齢よりずっと幼く見えた。
キャシーは、行儀見習いのために城へ奉公に出された地方の豪商の娘で、本来ならば、
王女の侍女になれるような身分ではなかった。
少し前に、裏方で働く召使達の間で、ちょこまかと動き回る姿を見かけたロウィーナが、
自分の傍付きに、と王に直接ねだったのだ。
年々死んだ母親に似てくる娘を、目の中に入れても痛くないほどかわいがっていた王は、
周囲の反対には耳を貸さず、これを聞き入れた。
貴族に見初められて玉の輿にでも乗ってくれればと考えていたキャシーの父親は、
娘の出世に大喜びで、早速大量の献上品を持って参上した。
キャシーには、特例として侍女見習いという身分が与えられることになった。
「ここに腰掛けて、ゆっくりお食べなさい。あわてなくていいから」
「すみません、わたし」「いいの、エリスには内緒にしてあげる」
ロウィーナは隣に腰掛け、キャシーが至福の表情を浮かべてお菓子の残りを頬張るのを、
笑顔で見守った。
ずっと大人に囲まれて育ったロウィーナは、初めて出来た年下の存在がうれしくて、
キャシーを妹のようにかわいがって連れまわし、あれこれ世話を焼いた。
「少しずつお行儀も覚えなくてはね、女の子なんですもの、こんなにお口を汚してしまってはだめよ」
菓子くずを払ってやると、ロウィーナは立ち上がった。
「これでいいわ。さあ、そこの本をお部屋に運んでね」
「これぜんぶですか?」キャシーはうず高く詰まれた本の山を前に不安げに言った。
「半分はわたしが持つわ」
そう言ってロウィーナが三分の二ほどを抱えると、キャシーはほっとして残りを持った。
「行きましょう。足元に気をつけるのよ」
「はい、あっ」キャシーは言う傍から躓きそうになった。
「ほら、あわてないの」ロウィーナはくすくす笑って言った。
ロウィーナは、何度も振り返りながらゆっくりと歩いた。
本を抱えて危なっかしく後をついてくるキャシーの姿を見ていると、
早く大人になることばかり考えていたロウィーナは、
少しだけその願いがかなったような気がするのだった。
終
ちょっと成長したロウィーナタンキター(゚∀゚)!
可愛いよ、禿かわいいよ!
にしても相変わらずエロくて続き気になる展開に脱帽。
毎回楽しみにしてる。
筆プレイキター!
とってもエロいよGJ!!
次回もwktk
今週も白雪姫は来てくれないのかなぁ
あと和風の人も。wktkして待ってるんだが……
遅くなってゴメンナサイ;今投下しに来たところです。
7話
真夜中の城内は静かで暗く、昼間のにぎやかさを見ているとまるで
違う世界に紛れ込んだような錯覚を覚える。
月明かりすら差し込まない闇の世界。
回廊を照らすのは、手に掲げた小さな蝋燭ひとつきり。
「この先をいけば…」
蝋燭がちらちらと燃え上がる。
壁に手をつけて歩いていると、腕までひんやりとした冷たさが伝わってくる。
「…あっ…」
誰もいないはずの回廊に人声が聞こえたような気がする。
白雪は寒さを覚えて己の身体を抱く。
「気のせいよ…」
白雪は頭をふる。そして怖る怖る頭上を振り仰ぐ。
先の見えない深い闇。それは、白雪を奥へと手招くようにも見えて…
「見なければ、良かったわ…」
背筋にぞくぞくとした悪寒が走って身震いする。
実は、こういった所はあまり得意ではないのだ。
ここは、城の東塔。
普段もあまり人が訪れるようなところではない。
おそらくお妃以外は…。
しかし
「よく、こんなところにあの人は上ったものね…」
塔の頂上に続く、暗くて長い階段…。
必要がなければ、こんなところに通いたいとは思わない。
「ふぅ…」
ようやく、階段を上りきった。
唾をのみこんで、扉に手をかける。
「………」
きぃ…
風が紛れ込んでいるのか、どこかの(おそらく)扉の金具が擦れ合うような音がした。
白雪は手紙の内容を思い出す。
あの手紙は、魔法師から届いた手紙であった。
そこに書かれていた内容をもう一度、思い出す。
手紙の内容は魔女に関する事柄だった。
…魔女という魔女は、魔女の隠し部屋を持っている。
それは、秘密の薬を作ったり、新たな魔法を生み出すために…
もしかしたらこの部屋のどこかにお妃はいるのかもしれない。
魔女は離れた場所にいても、見たいと思ったものを見ることができたりするらしい。
静かな部屋には魔女や占い師がつかうような水晶のたぐいは見つからなかった。
それはとりあえずいいとして。
お妃はいるのだろうか?
本棚にはぎっしりと厚い本が並べられている。
もしいないとしてもこの中に、呪いを解く手がかりはないだろうか…。
魔法士ばかりに頼ってばかりではいけないと思ったのだが。
白雪は幾つか本をとりだすと机に並べてみる。
机は、埃をかぶっていない。
そこに置かれた蝋燭も使われた痕跡があるが、まだ新しいものだ。
…ぼそ、ぼそ…
「…!!」
人声!
心臓が跳ね上がる。
「誰も、いないのよね…?」
それは、自分自身をなだめるように呟いた言葉だった。
だが、やはり人の声のようなものはまたも聞こえてきた。
「それとも、やっぱり…」
叫びそうになる口元をおさえて、その声の方に勇気をふりしぼり近づく。
「…いるの?――誰」
その声は白雪のものではない。
問われた声は白雪に向けられたものだ。
小さいがはっきりと聞こえた声に、少しだけ安堵する。
人がいたのだ。
「あの…私…」
そこまで言って、立ち止まる。
(誰がいるというの?)
お妃以外は、立ち寄らぬ場所。しかしお妃自身の声ではない。
「…――我が主、ではないのですか?…」
「…主?それはお妃のことですか?」
つい声に誘われるように、そこまで来てしまった。
「!」
その場には誰もいない…。
「…あなたは何処にいるの?」
ざわざわと二の腕が粟立つ。寒い。
「…――ここです」
「いないわ!誰も!」
「――いえ…あなたにも見えているはずなのですが」
人影らしきものは見あたらない。
恐慌状態に陥る白雪。
「いいえ!私には何も見えないわ!?あるのは…鏡しか……」
鏡に映った自分。…それが、ぐにゃりと歪む。
「…き、きゃぁぁぁぁっっっっ!!!!」
蝋燭が消えたのか目の前が真っ暗になり…
白雪は、
意識を失った。
*
せせらぎの音が聞こえる…
…ここは、もしかして森…?
ああ、ドワーフ達の家も見える。
これは…、なぜ私はこんなものを見ているのだろう…。
「……は」
白雪は意識を取り戻す。
目を覚ました場所は森ではなく、やはりあの暗い部屋の中だった。
目の前にはあの鏡。
しかし、その鏡が映しているのは、白雪ではない。
「これは、あの森?」
見覚えのある風景が次々と鏡に映し出される。
なぜ、このような風景が映し出されているのだろうか…?
「これは…何?どうしてこんな物が見えるの?」
それに応えるように鏡が、音を発する。
『――私は、鏡。魔法の鏡』
口のなどないはずの鏡が言葉を…
白雪はぽかんと口を開けて仰天する。
「…ええ。そのようね…」
なんとか白雪は内心の驚きを隠して落ち着いた声をだす。
鏡は、喋ったり、ここにはない光景を映したり、とんでもなく非常識ではあるが
中から手が伸びてきたりとか、なにか攻撃されるようなことはないようだったので
白雪はそのことにわずかに安堵したのだ。
「でも、何故私にこんなものを見せるの?」
鏡は何も言わず、次の光景を映す。
「あ…」
緑の上をくねくねとしたものがのたうっている。
――蛇だ。
白雪は、唐突にドワーフ達の家で見つけをヘビを思い出す。
よくみれば、何となくあの時のヘビに似ている。
「???」
白雪は顔に疑問符を浮かべ、顔を傾げる。
鏡はこんな物を私に見せて、どうしたいというのだろう。
『私は、魔法の鏡。私は〈人〉の望む物を映します。私があなたの目にそれを映すのなら
それは、あなたが今見たいと思った物。そして、あなたが知りたいと思ったこと』
どうして、私がこのなにもない森を見たいと思うのか。私の知りたいことって?
「わからないわ。それより、鏡よ。お妃はどこ?お前はお妃の所有物でしょう?
ならば、お妃のゆくえも知っているのではなくて?」
『………』
鏡は黙したまま。しかし、鏡に映った映像は揺らぎ震えはじめる。
「あ!」
ぽぅ、と灯りがひとつ生まれ鏡の中にここではない空間がみえる。
そこに女が一人、鍋を掻き回している。
それは紛れもなくお妃、その人である。ブツブツと何か呟いている。
尋常ならざる光景に白雪は身震いした。
「…。あの人は一体、何をやっているの?」
白雪は鏡に尋ねるが、今度は鏡に何の変化もなかった。
お妃は依然、鍋を掻き回している。
白雪はため息をつく。
「あなたは、私に掛けられた呪いのことを知っている?」
『――はい』
「では、解き方は?」
『――――』
鏡は、お妃の姿をかき消した。
今、鏡には白雪自身が映っている。
それはまるで、普通の鏡のように。
「…わからないの?」
鏡は、白雪の姿を映しながら水の波紋のように揺れている。
困っている風にも見える。
もしかしたら訊き方が悪かったのだろうか…?もしくはお妃の命令でこたえることができないとか。
白雪は悩むように胸を押さえた。やがて顔をあげた。
「…もういいわ。今、あなたが見せてくれた光景は私へのなんらかのヒントなのよね?」
何にも得られなかったわけではない。
とりあえず、これから自分が何をするべきか決まった。
なんとなくだが、白雪は最初に鏡が映した森が気になっていた。
「…森か」
思い出すと、嫌な気持ちだ。あそこにはあのドワーフ達がいるのだ。
さんざん、白雪を慰み物にした。
…でも
「…行くわ。とにかくお母様に会わないといけないし…それに、」
ちらりと鏡を見る。
(…望む物を映す鏡。私の今、知りたいことは、それは…)
「………。それに私、あそこに忘れ物をしてしまったし、ね」
と、白雪は小さく付け加えた。
*
*
*
一晩、明けてまた夜が来る。
白雪は身軽に寝台を降りた。満月が地上の夜を照らしている。
バルコニーから月を眺めると、決意を固めたように彼女は身をひるがえした。
寝間着を脱ぐと、着替えを始める。
そしてあらかじめ用意していた外套に袖をとおす。
寝台の底から、鏡を取り出す。
あそこから、取り外してきたのだ。
人言を解する魔法の鏡だから何か役に立つかも知れないと思って持ってきた。
白雪は二度目の脱出をするつもりなのだ。
前回は馬で脱出した。今回もできることなら馬を使いたかったが、現状からそういうわけにもいかなかった。
馬小屋には見張りがついているのだ。ただでさえ白雪の失踪した事件のせいで城内全体が神経質になっている感じがつたわってくる。
だから、今回は誰にも見つかるわけには行かないのだ。
しかし幸い、抜け道を知っていた。
王家の者しか、知らない秘密の道。あれは森に繋がっているはずだ。
白雪は一度中庭にでる。その入り口は簡単に見つかった。
月の光もさしこまない暗い通路も、鏡がほんのり光り進むべき道を照らしてくれていた。
ようやく長い通路を抜けると、すぐに森にでた。
道のようなものも見あたらない。
「ここは、どこなのかしら?」
それに答えるように鏡は光る。「うそ」と短く白雪は漏らす。
鏡の中には上空からみた城内が見えた。
よく目をこらしてみると城の城壁から少し離れたところに鏡を抱えた自分が見える。
「今更だけど本当に『魔法の鏡』なのね。今、私が知りたいと思ったことに答えてくれたわ」
白雪は驚きそして呻った。
はっと気づく。これでお妃はいつも、私を見ていた?森にいた時さえも?
想像してみると改めて気分が悪くなった。
「……あの人は…!」
白雪は指でこめかみを押さえた。
*
白雪は暗い森を、長い時間歩いた。
普段、そんなに歩き馴れてるわけではないせいか、足がまるで棒のようだ。
「…たしか、この辺に馬が置き去りにされてたのよね」
あの時のことを思い出す。
ドワーフの家で別れて以来、彼は姿を消したままだ。
馬の乗り手は一体どこに行ってしまったのだろう…?
森を歩いていると、また見覚えのあるところまでやってきたようだ。
ただ、そこは白雪が実際歩いてみた所ではなかった。
「ここは鏡が映した風景によく似ているわ」
白雪はあたりを見回す。
とくになんの変哲もない森だ。白雪は大きなため息をつく。
「本当に、どこに行ったの…?」
ふと、吐きだれた言葉は思った以上に寂しげに聞こえて、白雪は慌てて首をふる。
「…はっ!違うわよ、私は、別にあの男を探しにきたわけじゃなくてお妃がどこに行ったかを知りたいのよ!」
一体に誰に弁明しているのか。
…なんだか一人でわめいて虚しくなってしまった。
白雪は膝が汚れるのも構わず、土の地面に座り込んでしまう。
立てた膝の中に顔を埋めてしまった白雪。
かさかさと揺れる茂み。
「………」
ふと、顔をあげるといきなり何かに顔をくすぐられた。
「…!!…いけない、うっかり寝てしまったわ!…て――」
いつもならこの時間は熟睡しているはずなのだ、と思い出しながら
目の前の物体の視線をそそぐ。
二股にわかれた細長い舌だ。冷たそうな鱗の張り付いた細くて長い長い身体。
「…ひゃっ!?なに??」
ヘビは、また白雪の顔を舐めた。
噛みつくわけでもなく、つつくような感じで舌が触れてくる。
不思議なのだが、恐怖心を感じない。
むしろなんだか、からかわれているような気がしないでもない。
「もうっ!一体なんなの!?」
つい、癇癪をおこしたように大きな声をあげる。
ヘビはそして彼女の足を這い上ってきた。
白雪は驚き、振り払うことを忘れていた。
身体を張ってくるその感触に、肌が粟立つ。
「…え?…や、やだっ」
ハッと慌ててヘビを掴む。というか掴んでしまった。
白雪が悲鳴を上げてる間にヘビが腕を這い、
するすると彼女の服、胸元に潜り込んできた。
「やぁっ…ぁっ、…ぁ…気持ちわるい…、くすぐったい…」
ヘビが身体を這う感触に、白雪は身を捩る。
「…ちょっ、だめぇっっ…、どこかに行って、はぁ…ぁん…」
身体に巻き付いたヘビは白雪の乳房の尖端に噛みついた。
「…いたっ…!…やぁっ、や、」
白雪の衣服の中でヘビは尚も蠢く。
乳房にプツリと小さな歯型を残すと、腹へと巻き付くように下っていく。
白雪の身体は乳房に残った痛みも、快感として受け取っていた。
いつしか、白雪は自分の力で立っていることもできず、
緑の下に横たわってしまった。
「…あ、はぁ…ぁん、ぁ、そこは…」
白雪は顔の前に拳をあてて身に襲う快感に堪える。
「やっ!?…うそ、ゃぁあ…!!」
そしてヘビは、いつしか白雪の二本の脚の間に…
汗が額をつたう。
(ま待って、わ、私、流石に…)
「……じ…人外とは、イヤァァーーーーー!!!」
むんずと白雪はヘビの胴体を掴むと、一気に振り投げた。
ベしィン!
渾身の力で投げられたヘビは木の幹に叩き付けられた。
「…はぁ、はぁ…」
涙目になりながら、顔をあげる。
潤みがかった瞳が、大きく開かれて揺れた。
「………どうして、あなたがここに?」
まだ、大きく肩で息を吐きながら、白雪は尋ねる。
「あ、あなた!今までどこにいたのよ!?」
木の根の下で横たわっていたのはヘビではなかった。
それは、以前彼女が城から抜け出た際、白雪に同行していた兵士であった。
「…ぅぅ?あ、あの。自分は一体、今まで何を――?」
「それは、こちらが聞きたいわ!これはどういうことなのよ!?」
ヘビがキコリに変身した?いや、それは逆でキコリがヘビに…
白雪はひどく混乱した。
「あのぅ。俺…、お妃殿下に森でお会いしたんですけど…」
その言葉にようやく白雪は気づいた。お妃は魔女であった。
そうだわ!あの女が魔法で彼をヘビの姿に…。
そしてもしかして今の衝撃で戻った?
(そういえば、どこかの国の王女が壁にカエルを投げつけたら
人間に戻ったという話を聞いたことがあるわ)
なんとか納得できた気がする。
「そう」
「ひ、姫!あれから、俺はどうなっていたんですか?今日はあれから何日が…」
「あなたに説明することなどありません!この役立たず!!」
もの凄い剣幕で怒鳴られた兵士は、叱られた子犬のように小さくなってしまった。
が、はたと気づいたように白雪の顔をみた。
「…ところで、姫。その格好はもしや城にお戻りになったんですか?」
「ええ。お前を置いてね」
白雪は胸を反らした。
「そんな…。いや、でも、もしかして、もしかしてですけど俺を捜しにここまで?」
白雪の滑らかな頬にわずかに朱が灯った。
「な、ばかね!そんなことあるわけないでしょう?」
「そうですか……。あ、それでも嬉しいです」
「私はお妃を捜していたのよ!?」
「あ、…なんか結構ムキになってませんか?」
どうして、そういう都合の悪いところばかり気づくのか!
憎々しげに唇を噛む。
白雪は兵士に背を向け、歩きだした。
「私、帰ります!あなたもいつまでそうしている気?」
「あっ!待って下さい!」
「何?」
「…血が…」
「あ、さっき噛まれたところが…―」
丸い二つの谷間に、赤い物がじんわりと滲んでいた。
「…あっ」
兵士は白雪の胸元をくつろげ顔を埋める。
皮膚に濡れた舌の感触を感じた。
傷の痛みよりも、むしろ血を舐めとられる感覚のほうが気になってしまう。
ぐらついた背中をしっかりと男の手が支えている。
「…っもう、いいでしょう?」
実際よりも長く感じた時間を意識して、兵士の胸をおした。
兵士は肩をすくめると、「そうですね、もうすぐ日があけますからね」と言い
白雪から離れた。
「……待って」「はい?」
へたりこんだままの白雪。
「立てないわ。お前のせいですっかり疲れてしまったじゃない」「……すみません」
「おぶって」
「はい」
素直に返事を返す彼の背中に白雪は身体を預けた。
「…さぁ、ぐずぐずしていては、日が明けて城の者が私のいないことに気がついてしまいます。…早く!」
「いっ…!痛いですよ、姫!馬の手綱でないんですから髪を引っ張らないで下さい!」
こうして兵士もようやく、城に帰ることができたのだった。
終
え、エロが…
キ、キコリ!
見つかってよかったス
GJっス
エ、エロは?
キコリ報われてるよキコリ
探しまくる姫がかなり不意打ちでときめいた…。超GJ
>なんとか納得できた気がする。
この適当さがたまらない。
キコリも無事でよかった。次が楽しみ。
おお、数時間の差で……
今回も待った甲斐があった。GJ!
>「……じ…人外とは、イヤァァーーーーー!!!」
初回のお妃の笑い声とか、こうゆうの密かにツボです
書庫からの帰り道、手に余るほど大量の本を抱えてしまったロウィーナは、
見栄を張らずに、人を呼んで運ばせれば良かったと、徐々に後悔し始めていた。
しかしキャシーの手前、今さらそんなことも言い出せず、痺れる腕で必死に持ちこたえようとして、
城の回廊に差し掛かったところで、ついに、バランスを崩して転んでしまった。
近くで歩哨に立っていた兵が、キャシーの悲鳴を聞きつけ駆け寄り、手を差し伸べた。
「お怪我はありませんか?」
乱れたスカートの裾を慌てて直し、ロウィーナは返事もしないで、そそくさと立ち上がった。
「行くわよ、キャシー」
逃げるように去っていった姫の後ろで、兵は散乱した本を拾い集めた、
そのうちの一冊の表紙を見て、兵は興味深げなまなざしをロウィーナの背中に向けた。
その夜、ロウィーナは、兄から渡された詩集を前に頬づえをついて、
ぼんやりと考え事をしていたが、結局、一度も表紙を開くことはなく、
替わりに、積み上げられた本の山から別の書物を抜き出した。
『剣の心得』と書かれたその本を、ロウィーナは真剣な表情で読みふけった。
それから数日後、ロウィーナはキャシーを伴い、衛兵の控え所に姿を見せた。
「姫様、やっぱり帰りましょう……」キャシーは、大声でがなり合う、がさつな大男達に怯えて言った。
「黙っていて」
ロウィーナは、大きく息を吸い込むと、緊張した面持ちで一気にまくしたてた。
「荒野を埋め尽くす万騎の軍勢にも怯まぬ、勇猛果敢な王の兵達よ。
汝らの真の勇気が試される時が来た。腕に覚えのある者は名乗りをあげよ」
あどけない声に似合わない古風な言いまわしと、男くさい部屋に突如現れた場違いな人物に、
衛兵達は当惑し、次に色めきたち、我先にと詰め掛けた。
ロウィーナは満足そうな笑顔を浮かべて、居並ぶ兵を見回した。
「この中に、わたくしの騎士になりたい者はいて?」
兵達は、口々に申し出た。
「一番剣の腕が立つのはだれ?」
兵達たちは顔を見合わせ、やがて視線は部屋の片隅にいた若い男に集中した。
男はこの騒ぎには目もくれず、黙々と武具の手入れをしている。
「名前は?」ロウィーナが問いかけると、ようやく男は頭を上げた。
「アルバート・ヘイゼル」男の返事はそっけなかった。
「ヘイゼル、お前はなぜ名乗り出ないの?」
山積みになった武具を見下ろしてヘイゼルは言った。「私には与えられた仕事があります」
「それはもういいわ。お前をわたくしの騎士にしてあげます」
「ご辞退申し上げます。他の者をご登用ください」ヘイゼルはぶっきらぼうに言い、
周りにいた男達からはどよめきが起こった。
「もう決めたのよ。お前の剣をわたしに捧げて宣誓しなさい」
「上官の命令がなければ――」
「ついて来なさい」ロウィーナは返事も待たずに、踵を返した。
ヘイゼルは憂鬱そうな顔で、仲間の羨望と好機の目に晒されながらロウィーナの後に従った。
ロウィーナはそのまま国王の私室を訪れ、ヘイゼルを自分専属の兵として使う許可を願い出た。
理由を尋ねられたロウィーナは、身辺警護の為だと答えた。
「お兄さまにあんなことがあったのですもの。わたしもだれか傍にいてくれないと不安だわ」
「姫様の警備には、既に特別の部隊があたっています」
急遽呼びだされた近衛隊長は、訳もわからずに言った。「何か不備でもあったのでしょうか」
「わたしはこの人が気に入ったの。ねえ、いいでしょう、お父さま。
わたし、お話に出てくるような本物の騎士がほしいの」
ロウィーナはまんまと二人を説き伏せ、ついでに今では行われていない昔風の騎士の任命式をねだった。
病床の国王の面前、略式ではあるものの古式ゆかしい儀式が執り行われ、
ヘイゼルは歯が浮くような仰々しい台詞で、ロウィーナ姫への永遠の忠誠と服従を誓わされた。
「すてきな式だったわね」ロウィーナは、いまだ興奮を抑え切れない様子で言った。
「うふふ、こんなことなら、もっと早くお父さまにお願いすればよかった。
あなたもなかなか堂に入っていてよ、ヘイゼル」
「次は何をすれば」不機嫌な顔でヘイゼルは尋ねた。
「お前はこれから毎日、わたくしに剣の使い方を手ほどきするの」
ロウィーナの瞳がきらりと光る。「わたくしを剣豪にしてね」
「やはり……」ヘイゼルは眉間にしわを寄せた。「悪いことは言わない。おやめになった方がいい」
「どうして?」
「剣を持つのは我らの仕事。剣術はお嬢さんのお遊びではない。
女だてらに剣など振り回すと、碌なことにはならない」
「失礼ね」ロウィーナは憤慨した。「わたしは真剣なのよ。それを遊びだなんて」
「子供は騎士ごっこだけで、満足することですね。
本もまともに持てない人が、剣の重みに耐えられるはずがない」
「まあ!お前、あの時の!まあ!」「さもないとまた痛い目にあう」
ロウィーナは真っ赤な顔で反論した。「あれは、たまたま――」
「私はただ単に重量のことを言っているのではない。
剣を持つということは、すなわち人を斬るということを意味します。
剣術とは、ありていに言えば、殺し合いだ。
殺人者として生き残る、あなたにその覚悟はおありですか」
言われてみれば確かにそうだ。そこまで深く考えていなかったロウィーナは言葉に詰まった。
「少しでも迷いがあるなら、今すぐあきらめたほうがいい。
剣をはさんでその両側には、常に人を引きずり込もうとする死の淵が広がっている。
殺すか殺されるか。生半可な気持ちで剣を持てば、待っているのは自分の死だけです」
「わたし、自分が誰かを傷つけるなんて、今まで考えたこともなかったわ。
相手に怪我をさせずに、負かす方法もあるってご本には――」
「実戦では、そんな奇麗事は通用しませんよ」
ヘイゼルはいきなり自分の剣を抜くとロウィーナに持たせた。
「持ち方はこうです。重いですから両手でしっかり握って。
そう、それでいい。では私を斬ってみてください」
ロウィーナは眼を丸くした。
「馬鹿なこと言わないで。お前はわたしの騎士でしょう。
お前が死んだら、誰が私に剣の使い方を教えてくれるの」
ヘイゼルは傍にいたキャシーを引き寄せた。「ではこの子を斬ってもらおう」
「ひ、ひ、姫様……」首に腕を回され逃げ出せなくなったキャシーは、
泣きながらロウィーナに助けを求めた。
「何してるの!怖がっているじゃないの。キャシーを離しなさい」
「死体のひとつも見てからでないと、実感も沸かないだろう。
可哀想だがこの子には犠牲になってもらう。狙いは……、そうだな、腹がいい、この辺だ」
「や、やめ……、やめて……、ひーっ!」
「やめなさい」ロウィーナはヘイゼルの顔面に剣を突きつけた。「その手をどけないと、本当に斬るわよ」
「あなたには無理だ」ヘイゼルは悲しげにロウィーナを見た。「あきらめろ」
ロウィーナはまっすぐ視線を返した。
「大切な人を守るためなら、わたしは何でもするわ。たとえお前を殺すことになっても、
後悔しないと思う。わかったら三つ数えるうちに、手を離しなさい」
「断る。私とこの子、どっちを斬る」
「ひとつ……、ふたつ……」
「ひ、ひーーーーーーっ!」キャシーは長い悲鳴をあげて眼を閉じた。
「みっつ!」
振り降ろされたロウィーナの剣を、いとも簡単にヘイゼルはかわした。
「いいでしょう」
腰を抜かしてその場にへたり込んだロウィーナから剣を取り上げながら、ヘイゼルは言った。
「準備があるので、練習は明日からです。今日はもう失礼します」
「待ちなさい!騎士なら助け起こすくらいしたらどうなの!」
「相手がご婦人ならばね。あなたはもう今日から、女性ではなく剣士だ」
そう言うと、ヘイゼルは振り返りもせずに立ち去った。
翌日、ヘイゼルは、近衛兵たちが使っている稽古場にロウィーナを案内した。
「この時間なら皆出払っている。誰も来ません」
キャシーは前日のショックからか、ヘイゼルの顔を見たとたん怖気づいてしまった。
稽古の間、厨房へ行ってお茶を飲んでいるよう命じられると、キャシーはすぐに泣き止んだ。
人気のない、がらんとした稽古場で、ヘイゼルはロウィーナに、装飾の施された小ぶりの剣を渡した。
「小さいのに、けっこう重いのね」
剣はロウィーナの両手に、冷たく、ずしりとした感触を与えた。
「気を抜くと怪我をする。これは人を殺す道具だ。くれぐれも扱いは慎重に」
人を殺す――。剣の重みが、その言葉に現実味を与える。
「抜いてください」
ゆっくりとロウィーナは剣を抜き、目の前に掲げた。
手入れのいい刀身が、窓の少ない部屋に灯された明かりを反射して、怪しくきらめいた。
「きれいね。これで、人を斬ったりするなんて考えられない」
「剣は人の血を吸って美しさを増すと言われています」
「まあ、じゃあお前もこの剣で誰かを斬ったことがあるの?」
「いいえ、この剣は婦人用です」
ヘイゼルはロウィーナの背後に回り、次の指示を出した。
「では振ってみてください。はじめはゆっくりです」
「こう?」ロウィーナは剣を振った。
「力を入れすぎてはいけない。剣の重みを利用するのです」
ヘイゼルはロウィーナの手を掴んだ。「こうです」
数回繰り返すと、手を離した。「では、おひとりで」
ロウィーナは、額にうっすらと汗を浮かべ、夢中になって素振りを繰り返した。
「だいぶ良くなった。では、これを斬ってみてください」
ヘイゼルはわらの束を指し示した。
深呼吸して集中すると、ロウィーナは渾身の力で剣を振り下ろした。
しかし、ロウィーナの剣は、一筋も切ることなく、はじかれた。
その反動で持ち主の制御を離れた剣は、音を立てて床に転げ落ちた。
「こんなの無理だわ」痺れた手をさすりながらロウィーナは言った。
「無駄な力が入るとそうなる」ヘイゼルは剣を拾うと、ロウィーナに持たせた。
「もう一度やってみましょう」
ヘイゼルは背後からロウィーナに手を添えた。「いいですか、力の加減をよく覚えてください」
そしてロウィーナの手ごと剣を持ち上げると、一気に振り下ろした。
「すてき。魔法みたい」
ロウィーナは切り裂かれたわらの束を、目を輝かせて見た。
「すごいわ、わたしにもできるようになる?」
「もちろんです。今の感触を忘れないように。今日はここまでにしましょう」
ヘイゼルは手を離した。
「お前を選んで正解だったわ」ロウィーナはにっこり笑って言った。「明日もよろしくね」
ロウィーナは、剣の稽古にすっかり夢中になった。
はじめおっかなびっくり、言われるがまま剣に振り回されるように動いていたロウィーナも、
一週間もたったころには、構え方もさまになり、師匠を観察するだけの余裕が出ていた。
ヘイゼルは若いのに教え方がとても上手だった。
言葉少なく、しかし的確に指示を出す。
一見、ロウィーナをぞんざいに扱っているようで、
実は怪我をさせないよう、細心の注意を払っているらしかった。
しろうとのロウィーナには、ヘイゼルの腕前がどのくらいなのか判別できなかったが、
きっとかなりのものなのだろうと推測できた。
「ヘイゼルは、いつから剣を始めたの?」
「物ごころついたときには、もう剣をおもちゃ代わりにしていました。
私の一族は代々、剣で国にお仕えしてきました。親の意向です」
ヘイゼルはめったに見せない笑顔を向けた。「私はこれしか、とりえがないのです」
ヘイゼルは笑うと、急に感じが変わる。
普段の険しい表情からは想像できない愛嬌のある顔になった。
不思議な人――。
ロウィーナは、ヘイゼルに近よられても、いやな感じがしないのはなぜだろうと考えていた。
初日からそうだった。
礼儀をわきまえない乱暴な物言いも、下手なおべっかを使われるより、むしろ率直で好感が持てた。
長い指で腕をつかまれても、腰に腕を回されても、動きはとても自然で、
まったく抵抗なく受け入れることができた。
アルフレッドとは大違いだわ。
あの人は同じ部屋にいるだけで、怖気が走る。どうしてこうも違うのかしら。
「姫様こそどうして剣など?」
「笑わない?」ロウィーナは恥ずかしそうにヘイゼルを見上げて尋ねた。
「ええ」「わたしね、将来国王をお守りする騎士になりたいの」
ヘイゼルはさすがに笑わなかったものの、目をぱちくりさせた。
「しかし、あなたはこの国の王女様ですよ。
いずれはどこかの王族とご結婚されて、この国を出られることになるのでは?」
兄と結婚の約束をしているとは言えず、ロウィーナはこう説明した。
「わたし、結婚はしないわ。ずっとここで暮らすの。そしてお兄さまにお仕えすると決めているの」
一瞬ロウィーナの顔に暗い影がよぎった。
「わたしは悪い子なのよ。いつもお兄さまを困らせてばかりいる。
だから、剣を覚えて、たくさん勉強をして、すこしでもお兄さまのお役に立つ人間になりたいの」
「殿下は幸せ者だ。あなたのような方にそんなに思われて」
明るいヘイゼルの口調に皮肉めいた響きが混じったのには、ロウィーナは全く気づかなかった。
「ヘイゼルには兄弟はいないの?」
ヘイゼルの顔から笑顔が消えた。「姉がいました。だが、ずいぶん前に亡くなりました」
「ごめんなさい、変なことを聞いてしまったわね」
「いいえ、これも姉の運命だったのです。お気になさらないでください」
「お前は運命を信じているの?」
ロウィーナはヘイゼルの瞳を覗き込んだ。
名前と同じ、はしばみ色の瞳は、問い返すようにロウィーナを見た。
「いいえ」短く答えるとヘイゼルは立ち上がった。「もう充分休憩しました。そろそろ練習を再開しましょう」
二人の手が同時にロウィーナの剣に伸びて、指先が触れ合った。
あわてて引っ込めようとしたロウィーナの手をヘイゼルが握る。
「ヘイゼル?」
ゆっくりとヘイゼルの顔が近づく。
ようやくわかった。
香水をつけているわけでもないのに、この人はいいにおいがする。
ヘイゼルの汗のにおいが好き。
だから、そばにいると安心するのだわ。
唇を重ねたまま、ロウィーナは漠然とそんなことを考えていた。
終
(*ノωノ) イヤン
素晴らしい。
ロウィーナたんの幸せなエロにつながるといいなあ。
ヘイゼル格好いいなぁ。
にしてもこのヘイゼルはヘンリーお兄たまの逆鱗に触れそうですなw
そして怒ったお兄たまにロウィたんがどんなエロひどい目にあわされるのか禿しく期待。
愛よりも先に性を教えられた少女が、初めて恋をしたわけですか
(・∀・)イイ!!
でもそれが最終的に嫌いなアルと逃亡?
リチャードとグレアムってのもいるんだよな…?
複雑かつ壮大な展開にwktkが止まりません。
ワクワクするなぁw
349 :
投下準備:2006/12/01(金) 21:54:30 ID:8OzcTo3s
お姫様スレの皆様はじめまして
普段女兵士スレでSSを書いているものですが、
前回向こうのスレに投下した作品の続きが女兵士系ではなく
お姫様スレに該当するモノになってしまいました。
つきましては、続き物ではありますがこちらのスレに投下させて頂きたいと思います。
◆◆ファンタジー世界の女兵士総合スレpart3◆◆
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1163919665/ ↑の6〜20に投下した物の続きです。
先にそちらを読んで頂けると、今回の話が分かりやすくなると思います。
一応それも魔王と姫将軍の話なので、お姫様スレでも的外れでは無いと考えてますが…
では、よろしければ『ヘタレな魔王の物語2』をご鑑賞下さい。
「 びぃ え ー ん っ!!! 」
僕の膝の上で女の子が泣いている。
世界を制する魔力を秘めた指輪を手に入れ、数ヶ月前この国に突如として現れて王位を奪い、
いまや世間から魔王と呼ばれる元羊飼いのこの僕。
そして先王の娘であり、隣国まで名の知れた名将でもある美少女、
なおかつ今や僕の軍師かつ愛人であるクローディア姫との間に出来た子供……… ではもちろん無い。
(そういう関係になって一年にもならないのに、こんな大きな子は生まれないよ)
いま彼女は大軍を率いて西の国へ遠征中、僕は留守番。
北の国については、既に北方蛮族へ武器と資金を援助し蜂起を促して牽制ずみ。
僕たちの国にちょっかいを出す余力は無い筈だ。
南の小国家連合については、『余計な手出し口出しをすれば、お前たちの国々を次の標的にするぞ!』
ってな具合に説得しておいたから大丈夫。
で、残った東の国についてだけど、ここには裏工作をするよりもっと効果的な手段をとる事にした。
(まあクローディアが全て考えてくれたんだけどね… はっきり言って僕より世界征服の才能があるなぁ)
つまり彼の国の主権者である女王様を誘拐して、自家薬籠中の物にしてしまおうというのだ。
普通はそう簡単に攫ってこれる物じゃないけれど、僕には指輪から手に入れた魔力と叡智がある。
王様だろうと女王様だろうと、厳しい警備をかいくぐって連れてくるなんぞ朝飯前だ。
(なんか人攫いまがいの事ばっかりやってる気がする… ひょっとして世界征服の基本は誘拐にあるのかな?)
そうして周辺の国々が手出しできない状況を作り上げた上で、クローディアは西国に遠征した。
戦上手な彼女のことだし、まず勝利は疑いないと思うけど。
………問題はこの子だ。
「 え ー ん っ 、お 城 に 帰 し て ー !?、お 母 様 ぁ ー!! 」
そう、この子こそ僕が攫ってきた王女… もとい女王様。
つい先年父王君の死によって即位した東国の統治者、フローリア女王なのだ。
(びっくりしたけど、東の国では『開祖の直系の血族でなければ王位継承権が無い』とのことで、
王朝最後の生き残りである、このあどけない幼児が即位したらしいのだ)
攫ってきてから、母親に会いたくて毎日必ず泣き出してしまう。
親離れをさせた牧場の子馬よりも大きな声で泣かれるのは、本当に辟易だ。
泣き声に我慢できなくなった僕は、魔王らしい威厳を込めてこの子に語りかける。
「こらこら、今の君は僕らの国の人質になってるんだぞっ、もっと大人しくしてなさい!」
「うっ、びぇーん! お兄ちゃーん、私お母さまに会いたいのぉ」
…無駄だった。
この子は女王様の癖に聞き分けが無いなぁ。
うちで飼ってた子山羊の方がまだ聞き分けが良かったぞ?
………仕方ない。物で釣ってみようか。
「はいはい、お菓子をあげるから泣かないで」
「うっ、もぐもぐ………」
(おっ、泣き止んでくれたかな?)
「うぇ〜んっ! お母様〜!!」
ただ食いされた…
これまでは芸人を呼んだり、おもちゃを与えたり、僕の魔法を見せたりして機嫌を取ってたんだけど、
ついにそれも効かなくなってしまったようだ。
「お兄ちゃんは魔法使いでしょ! お母様に会わせてぇ」
機嫌を取るために魔法で花火を打ち上げ、おもちゃや菓子を取り出してあげてるうちに、
どうもこの子の中で僕は『魔法使いのお兄ちゃん』という位置付けになっているらしい。
『大切な人質だから丁重に扱うように』とクローディアが言うので、僕なりに気を使っていた積りなのだが…
いつの間にか、何かあると僕のところに泣きついて来るようになってしまった。
まあ大声で泣くのも無理ないか。この歳でいきなり親元から引き離されてしまったんだから、
そう思うとこの子が可哀想になってくるけど、世界征服に情けは禁物。
幾ら母親に会いたがっても、返す訳にはいかないの………
「えーん、えーんっ、お母様〜!!」
うぐっ、やっぱり可哀想だ。
「しょうがないなぁ、お母さんに会わせて上げるよ」
「ぐすん、本当!?」
「ああ、こっちにおいで」
僕はフローリアを連れて中庭に出る。
そして呪文とともに指輪を嵌めた手で印を組み、異世界から魔法のチャリオットを召還した。
一見唯の戦車に見えるが、コイツを引くのは八本脚の天馬の二頭立て。
おまけにフツーの馬みたいに地面を走るような真似はしない。
「これに乗っていくの?」
「そうだよー。しっかり掴まってな……… それぇっ」
掛け声と共に馬に鞭を入れると、嘶きと共に二頭は走り出す。
だが走り出した十六本の脚は大地を蹴らず、風を踏みしめて空を翔るのだ。
「わあぃ!」
「へ、陛下? いずこに参られますか!」
生まれて初めて天空に飛び上がったフローリアは、楽しそうに声をあげる。
近習たちが地表でなにやら叫んでるけど、心配しなくても夜食までには帰るって。
とまあこんな感じで、僕は東の国の王宮へ出向くことになったのだ。
そして約束どおり、フローリアと母親… 東の国の王太后を再会させた。
フローリアが嬉し泣きしながら母親の胸に飛び込んでゆく様は、僕もホロリと来たね。
で、母親に会うことも出来た訳だし、またフローリアを連れて帰ろうかと思ったんだけど、
彼女は『お母様と離れるのは嫌ぁー!』って言ったんだ。
それにフローリアの母君… グロリア王太后も『この不埒者を成敗せよ!』って衛兵達をけしかけるものだから、
本当に僕は困ってしまった。
(まあ王宮勤めの衛兵如きにやられる僕じゃないけどね)
それからちょっと悩んだ結果、やっぱり親子を引き離すのは良くないという結論に達した。
クローディアには叱られるかもしれないが、ここで母子を引き裂く事は出来なかった。
我ながら甘いなあと思いながら、僕は東の国を後にした訳だ。
・・・・・・・・・
そんなこんなで、僕は自分の城に戻ってきた。
「すぴ〜、すぴ〜、zzz」
その僕の膝の上で、女の子が眠っている。
誰かといえば、もちろんフローリアだ。
それから僕の目の前に、目も眩むほどの気品と輝く美貌を備えた女性が座っている。
もちろんこの方はグロリア殿だ。
フローリアは昼間はしゃぎすぎたからか、それとも母親と一緒にいられる安心感からか、
城に帰ってくる頃には僕の服にしがみついたまま眠っていた。
(泣き顔はうるさいけど、寝顔は可愛いなぁ… クローディアに女の子が出来たらこんな感じなのかな?)
僕は自分に懐いてくれている女の子に、自然と慈しみの心を抱いていた。
そんな僕を不安げに見つめているのは、この子の母親だ。
グロリア殿はかなり若い。
先王の後添いとして輿入れしたのは、まだ十代前半だったらしい。
(別に庶民の間でもそれ位で結婚する者がいるから、早過ぎって訳じゃないけどね)
それからフローリアが生まれ、暫く幸せに暮らしていたらしいけど…
先王の病死で一人娘が即位、自分は摂政として国を治めなければならなくなったそうだ。
つまり、僕にはたった二人の母娘を引き離すことは出来なかった。
だから二人とも連れてきた。
『娘を連れ去って、残った母親を従わせる』という計画からは外れてしまうが、まあ仕方ないよね。
「そんな目で見ないでくださいよ、グロリア殿」
「うう… 」
「心配しなくても、この子に危害を加える積りはありませんって」
僕はフローリアを撫でてあげながら言ったけど『人攫いの言葉なんて信用できるもんですか』ってな目で
見られてしまった(ちょっとショックだ)。
「この子も僕に懐いているのは判るでしょう?」
「………私たちを拐わして、どうするつもりなのです?」
「えーっと、とりあえずこの子を攫ったのは、我が国が西方に遠征している間、
介入されないようにする為だったんですがね…」
「それはクローディア姫からの信書で知っております。
あの御方がこんな手段を取るなんて信じられませんけれども」
僕のためならば、結構すごい事もやってくれちゃうんだけどねー。
(いえ、夜の営みの話じゃないですよ?)
恋の力って凄いよ。
「この子が『お母さんに会わせて』と泣くので、貴女にもご足労頂いた次第ですが…」
「私が貴方の行動を黙認すると約束したら、私とフローリアを開放して貰えるのですか?」
「むー、それはどうでしょうかね… 口や紙の上の約束では保証がありませんから」
(そんな重要なことは、誰かと相談しないと)
それにしても…… 憂いを含んだ顔も綺麗だなぁ。
グロリア殿に対して、僕はそんな感想を抱いた。
クローディアは若くて凛々しくて活動的なのが魅力なんだけど、
大人のしっとり艶っぽい色気というのだろうか、また違った趣があると思う。
でも僕がフローリアを撫で撫でするたびに苦しそうな顔をするのは何でだろ?
「っ…」
(まずい、あまりじろじろ見てたら失礼かな)
「私はどうなっても構いません! なっ何でもいたしますから…
どうかその子にだけは手をかけないで下さいませっ」
「『どうなっても』とか『何でもする』って言うのはどういう意味ですか?」
「そっ、それは…」
断っておくが、別に言葉尻を捕らえようとしていた訳じゃなかった。
僕が二人をどうこうしようとする気はまるっきり無いのに、
変に気を揉むのはの止めて欲しかっただけだ。
「………わ、判りました!」
(おっ、僕に悪気は無いって事が判って貰えたみたいだ)
「言葉だけでなく、態度で示せということですね」
「へっ?」
話の辻褄がいまいち繋がらなかったけど、グロリア殿は立ち上がって服の帯を解き始めてしまった。
(わわわっ!)
心の中であわてた僕は、かろうじてうろたえた素振りを見せるのだけは免れた。
『なにかびっくりする事が起こっても、王様たるもの動揺してる姿を人に見せちゃだめよ!』って
クローディアに言われてるからね。
「ど…どうぞ、私の体はご存分になさって頂いて結構です。
でもこの子は、フローリアだけはお助け下さい」
ぬぅ、なんか根本的に勘違いされてる。
そりゃあ巷では『高潔な姫将軍を堕落させた魔王』とか『夜な夜な生娘の純潔を弄ぶ色魔』とか
根も葉もないことを言われてるけど、そんな事僕はしてないぞ。
………ひょっとして僕がフローリアの頭を撫でてあげたり、
二人そろって城に連れてきた(拉致してきた)理由をはっきり言わなかったことを、
『この子の命が惜しければ… んっ? 判ってんだろう奥方様、げへへっ!
いいじゃねぇか、別に減るもんじゃねえしよぉ(古参兵のおじさんの体験談より抜粋)』
ってな具合に誤解されてしまったんだろうか?
ここは一つ誤解を解かねばならぬ… と思ったら、
ドレスを脱いだグロリア殿の肉体に目を奪われてしまい、言葉が出せなくなってしまった。
(うわわ、すっごい綺麗だ)
抜けるように白いというのはこの事だろうか?
見ただけでも柔らかそうな胸や腰の肉付き、そして羞恥で赤く染まった頬に、伏し目がちな瞳。
(………)
おっと、すごい物を見せられてちょっとだけ我を忘れていたが、
今更ながら『娘をダシにして母親を頂いてしまう』というのは、人として駄目なような気がする。
でも、人として駄目でも魔王としてなら話は違うよね。
それに、ここまできて『貴女の体は要りません』って断るのも、女性に恥をかかせる行為といえる。
「じゃ、じゃあ、奥の間へ行きましょう…」
さすがにフローリアが寝てる部屋で色々するのはどうかと思うので、
僕はフローリアを長椅子に寝かせると、グロリア殿を誘って寝室へ向かった。
・・・・・・・・・
「さあ、では始めましょうか?」
「うう… はっ、はい」
寝台の上に二人で座って、まずは軽くキスをして… ってな感じで、いつもの僕はコトを進めるんだけど…
ス カ ッ
(あれっ?)
優しく抱きしめようとした僕の手は、むなしく空を切った。
ちょうど手を伸ばしたのと同時に、グロリア殿は身を屈めて僕の股間に顔を寄せてくれちゃったのだ。
いきなりな行動に驚く僕だったけど、相手は気にせずに僕の竿を取り出してくれる。
「その…舐めさせて頂いてよろしいでしょうか?」
「どっ… どうぞ」
自分で出しておいて『舐めて良いですか?』って聞いてくるのも変だと思うけど、
うろたえてる僕は考える暇も無くオッケーしてしまった。
「では失礼いたします… ちゅっ」
(うほっ)
グロリア殿の形の良い唇が僕のモノに口付けしてれると思うと、
ただでさえ強張ってるモノがさらに硬くなりそうな気がする。
(それにしてもいきなり舐めてくれるとは、
………ひょっとして東の国ではキスより先に舐めるのが作法なのかなあ?)
そんなことを思いながらも、僕はグロリア殿の舌捌きに感心する。
さすが元人妻、唇と舌と歯から与えられる絶妙な刺激は大胆かつ絶妙… かなりの熟練を感じさせる。
クローディアには悪いが、ここまで達するのにはまだまだ経験が足りないと思う。
(僕が指導が稚拙なのも原因だろうけど)
横咥えにして軸を責めたと思えば、変化を加えて根元から。
おまけに口だけでなく、手で珠を弄んでくれたり喉の奥まで使ってしゃぶってくれるんだから、
僕は気持よさを我慢しなければすぐ出してしまいそうだった。
(うがが、気持よすぎだよ)
でも『気持よすぎるから加減してください』とも言い出せず、歯を食いしばって耐える僕…
それを上目遣いにみて、気に入らない事でもあるのかしらとさらに力いっぱい啜り上げてくれるグロリア殿…
まったくなんて嬉しい悪循環なんだ、これは。
「ううっ」
そんな気持良い真似を続けられて、健康な青少年がいつまでも我慢できるわけが無いので、
とうとう僕は、グロリア殿の喉に盛大にぶちまけてしまった。
(ぐうっ、気持よかった…)
相手に完全に主導権を取られてしまった観があるけど、射精してたおかげで一息つけた。
さて、今度はこっちから良い所を見せないと… と思ったら、グロリア殿は何か言いたげにこちらを見ている。
「何か」
「の…飲んでも、よろしいでしょうか?」
「へっ?」
口の中に僕の出した精を蓄えたまま、上目遣いに僕に許可を求めてくる。
そうか、東国では交媾の際にまず女性から男性器を咥え、一度射精させた後は飲んで良いか許可を貰うのか。
………ちょっと待て、いくら何でもそんなことは無いだろ!?
「あの… いつもおしゃぶりの後は飲んで良いか聞くの?」
(こく こく)
他人の房事についてあれこれ聞くのはいい趣味じゃないだろうけど、
さすがに不思議に思うので、僕は聞いてみた。
あまり口を開くと零れてしまうため、グロリア殿は肯く事で質問に答える。
こういう状況には、神代以来の偉大な叡智を秘めた黄金の指輪も正しい答えをもたらしてはくれない。
(これは、ひょっとして………)
僕の脳裏に浮かぶのは、子供の頃故郷の物知り爺さんが酒に酔った勢いで語ってくれた話だ。
『貴族様とか坊様とか… 普段偉そうに取り澄ましてる奴らは、決まってひどい変態だったりするだぞ。
俺たちが鼻をつまんで嫌がる様なモノを好んだり、鞭で打ったり打たれたりして悦んだりなぁ…』
グロリア殿の亡夫は王様、つまりとっても偉い人。
物知り爺さんの言に従うなら、当然ひどい変態。
「あのぅ」
「ああ、済みませんね… 飲んでも良いですよ」
「はい、頂きます… ごくり、ごくり」
先程放った大量に精液を喉を鳴らして飲んでくれる様子を見るうちに、
僕の中でむくむくとある疑問が湧いてきた。
それは『一体この夫婦は閨でどんな行為をしてたのか?』という物だ。
「いつもそうやって夫の精を飲んでいたのですか?」
「えっ? はい、そうですが 」
(やっぱり…)
「でも男女が情けを交わす時は、必ずこのようにするのでしょう?」
(そうなの? 僕は知らなかったぞ!?)
「なかには口での奉仕を怠る横着な妻がいたり、
男の許しなく精を飲む意地汚い女性がいたりするとも聞きますが…」
その目には、別に僕を騙そうとしている雰囲気は見られない。
むしろ『なんでそんな当然の事を聞くの?』って感じだ。
(むうー、東の国の先王は自分の后にナニを事を仕込んでたんだ?)
おそらく彼女の夫は、輿入れしてきたグロリア殿が性的な知識をほとんど持ってないことを良いことに、
自分の趣味をさも世間の常識であるかのように教育したのだろう。
無論ここで僕が正しい夫婦生活について教えることも出来た。
でも、僕だって人に御教授できるほど性経験が豊富なわけじゃない。
かえってグロリア殿夫婦の方がそっちの知識も経験も上な筈だ。
だから、僕は余計なことは言わないでおこうという気になった。
僕のモノは一度出したにも関わらず、すでに次の行為に移れる準備が整っている。
他人の夫婦生活について根掘り葉掘り聞くのは好きじゃないけど、ここで怯んでちゃいられない。
「では、貴女たちはおしゃぶりの後にどんな事をしていたのかな?」
「はい…」
グロリア殿は寝台に乗ると、四つん這いになってその丸く艶やかなお尻を僕に向けた。
この格好だと、当然お尻が丸見えだ。
しかし驚くのはこれからだった。
グロリア殿はその白くて綺麗な手で自分の臀部のふくらみを開いて、
その間にある股間の全てを僕にさらけ出してくれたのだ。
「そっ…そうやってお尻を向けてからするんだ?」
「はい、だってこんな恥ずかしい事をするのに、お互いの顔が見えるようでは、はしたないでしょう?」
(うーん、一理あるような無いような…)
「どうぞ、私の卑しい下の口に… 貴方の男根を突き入れて下さいませ」
「いいの?」
「前でも後ろでも、ご存分にお使いください。
お出しになられた後は、また私の舌で清めさせて頂きますから…」
(うっ、そうやっておねだりする様に教えられているんだな…)
僕は確信する。
物知り爺さんはやっぱり正しい。
東国の先王は確実に変態だったのだ。
しかし、ちょっと待って欲しい。
僕はいずれ世界を征服する予定だ。
つまりグロリア殿の亡夫よりも、もっともっと偉くなる身だ。
でも今の僕はたかだか一国の主であった東国の先王に負けている(性的な意味で)。
僕には経験が足りない、足りていない。
そこで、僕には自分をより成長させる必要がある。
僕の目指すのは『王の中の王』、この世で一番偉い存在なのだから。
よって、僕は彼らよりも変た… もとい、性的な経験で劣ってしまうことは許されない。
だから今、経験豊富な王室の女性と交媾うことは、自分にとって大切なことだ… うん、きっとそうだ。
僕の中で気持がまとまるのに若干時間がかかったが、もう迷いは無い。
じろじろ股間を眺められて、さぞグロリア殿は恥ずかしかっただろう。
「では、頂きます」
「はい……… 来て下さい、私の中に」
僕はグロリア殿の尻を掴むと、硬くなったモノを狙い済ましてその秘所に差し込んでいった………
・・・・・・・・・
まあこんな感じで、僕は(なりゆきで)グロリア殿と懇ろになってしまった。
でも僕は魔王なんだから、たまには女性を手篭めにする位じゃないと名前負けしちゃうよね。
ただ、楽しい日々はそんなに長く続くもんじゃない。
東の国の宮廷では、王室の生き残りが全て不在という異常事態に対し、
軍を催してこちらの国に二人の返還を求めてきた。
『お二人を返さねば、一戦も辞さず』として国境線に集結し、
今にもこちらに攻め込んできそうな状態になってしまった。
この事態に僕は大慌て、さすがに人質がいるから手荒な真似はしないだろうけど、
下手したら『人質を返す気になるまで痛めつけてやるぞ』って風に事態が進むかも。
仕方ないから、僕は西国に遠征しているクローディアに相談しに行き……… 思いっきり叱られた。
(そりゃそうだよね。僕が変に東国にちょっかいを出さなければ、全てうまく行ってたんだもの)
怒りながらも、クローディアは対策を考えてくれて、すぐさま東の国の代表と交渉してくれた。
結局二人を帰国させる代わりに、五年間の不可侵条約に調印するという条件で折り合いをつけた。
期限を区切ったのは、失効後に侵攻する含みを持たせておくためだ。
『五年後までにはこっちと向こうの国力差が歴然となって、あちら側から頭を下げてくるだろうさ』
そうクローディアは言っていた。
で、二人の帰国の日…
「 びぃ え ー ん っ! い や ぁ ー ん ! 」
相変わらずフローリアは泣いている。
でも母親と一緒に国に帰るのが嫌なのではない。
「お兄ちゃんとお別れするのはヤダヤダヤダぁ! 一緒に来て〜」
(今度は僕と離れ離れになるのが嫌で泣いているよ… まったく良く泣く子だなあ)
「私、お兄ちゃんが大好きなの! 私の国に来て、ずっと一緒に居てぇ!!」
「………ずいぶんと好かれたものだね! ん?」
「そ、そんな目で見ないでくれよ。お菓子やおもちゃをあげたから懐いてただけだよ」
すっごい目でクローディアに睨まれてしまった。
「お母さまもお兄ちゃんの事大好きでしょ? 三人で一緒に暮らしましょお!」
「ほほぅ… 王太后殿も?」
「あわわ、子供の言う事を真に受けないでよっ! グロリア殿も頬を染めたりしないで否定して下さい!!」
うっ、クローディアの雰囲気はまさに怒髪冠を衝くって感じだ。
今晩はかなり荒れるかも………
やっぱり一筋縄ではいかないのが世界制服。
でも僕は逃げたりしない。
物知り爺さんも言っていた。
『人生は山あり谷あり、快楽あれば苦痛あり。それを乗り越えてこそ男だぞ』
その言葉に従って、僕はどんな困難でも克服していこうと思うのだ。
(うーん、白を切り通すべきか… 大人しく謝るべきか… とりあえずそれが問題だ)
終
362 :
投下完了:2006/12/01(金) 22:08:38 ID:8OzcTo3s
如何でしたでしょうか?
スレを跨って続編を投下してしまいましたが、
同じ保管庫のよしみでお許し頂きたいと思います。
今回もとても面白かったよ。
物知り爺さんは便利なアイテムだなあ。
GJ!
いつも楽しく読んでいます。
暗い…。
まだ昼間過ぎだというのにこの暗さは一体何だというのだろうか…。
白雪は例の塔に再度、足を踏み入れた。
カツン、カツンとやけに自分の足の音が冷たく聞こえる。
(今度こそ上を見ながら、歩くものですか!)
前回はそれで後悔した。
この長い螺旋階段はなんとも不気味すぎるのだ。
この塔の設計者の神経を疑う、と白雪はひとり憤っていたがふと足をとめる。
あたりはシーンと静まりかえっている。
「……(上は絶対に見ないわよ)」
白雪は再び段差のみに目を向けて、昇り始めた。
「…!」
ふと、背中側から何かが忍び寄るような気配を感じた。
寒さを感じ白雪は腕を抱いた。
白雪は気にしないようにしながら、上へと目指す。
…が、後ろから迫ってくる足音はだんだん近くなり、
そして、白雪の肩に衝撃が走った。
「姫。気のせいでしょうか?自分、なんか城に帰ってから周りから
白い目で見られている気がするんですけど…」
「イャァアアア!!私に近づかないでぇ!!」
ドン!!!
肩に手を置かれた白雪は、たまらず振り返り後ろの存在に両手を突きだした。
「「……え??」」
声が重なって気づいた時には、遅かった。
バランスを崩した影は、段差を転がっていく。
慌てて白雪が、階段を降りていくと伸びた兵士が転がっていた…。
*
「まったく、酷いですよ」
「…さすがにさっきのは悪かったとは、思っているわ」
白雪は兵士の顔に己の手布をあてる。
幸いかすり傷だ。…幸運な男め。
「薄気味悪いところがお嫌いなのでしたら、お会いするのは別にここでなくても…」
「だめよ。二人でいるところを他の者に見られたらどう説明するの?
だから人気のないここが最適なの。……もう、仕方ないじゃない。この部屋しか思い付かなかったのだもの」
白雪は嘆息する。
「他に怪我はない?」
なさそうだが一応は聞いてみる。
「特には…。ああ、そうですね。ここに…、」
兵士が指をさした先に白雪は目をすわらせる。
「……そこは、私の胸よ」
「そうそう、姫。ここに以前、噛み傷が…」
「おかげさまで心配しなくてもお前に噛まれた傷は今はうっすら残っている程度よ」
「ええっと。よく覚えてなくてすみません」
ヘビになってたあたりは彼にとって記憶が曖昧らしい。
白雪は憮然とした表情をつくる。
傷をわざとみせるように服を開く。
「跡でも、残ったらどうするのよ」
口でさんざんと悪態をついておきあがら、反対に艶めかしい曲線をあらわにする。
彼の手を引き、自分の胸に押しあてる。すると指が柔らかく皮膚に沈む。
「………ん」
揉みし抱かれる乳房から得る刺激に、白雪は目を瞑った。
白雪の細い首に兵士の唇が寄せられる。
「…っ」
きつく吸われて白雪は眉をよせた。
唇が鎖骨を滑り、乳房に到達する。
舌が優しく、胸の蕾を愛撫する。
「――はぁ…」
白雪は湿った熱い息を、冷えた室内に吐き出した。
「…姫」
兵士が白雪に小さく声をかけ、わずかに肩を押し床に寝るように促される。
白雪はそれに対し、首を振った。
「ばかね。この埃だらけの床に寝転がったら、汚れてしまうでしょう?」
白雪は床に手をついて、身を起こす。
「今日は、特別にしてあげるわ」
身を乗り出し、首に腕を巻き付かせて耳元に囁く。するとその耳が赤くなった。
ちょっとからかって見たのだが、思った以上に反応が面白く含み笑いをする。
調子にのった白雪は彼の耳を舐め、甘噛みした。その間にも彼女の手は兵士の
下半身を彷徨っている。
「…姫…」
「黙っていて」
白雪は頭を下げ、露わにさせた性器に舌を這わす。
下から上へと舌先でなぞるように肉幹を舐める。
やがて唇が移動し、尖端にくるとそれを口の中に含んだ。
彼のそれは張りつめて、熱かった。
白雪は大胆な自分な行動に心臓がドキドキと波打った。
「…どう?」
「どうと言われましても…」
白雪は頬を膨らます。
「気持ちよくないの?」
「い、いえ。や、ただ…こういうのもし誰かに見られたらと…
姫として、こういうのってどうなんでしょう?」
「もう!だからこんな部屋に呼び出したんでしょう!」
「ええ!?そうなんですか?姫、『お妃のことで』とかって…」
「〜だから、黙っていて!」
白雪は再び顔を伏せた。
部屋の中に沈黙と息遣い、それに唇と舌が動く艶めかしい音が混じる。
白雪はこっそりと上目で反応をうかがう。
「…姫、もう勘弁してください」
「ふふ、どうしようかしら?」
言ってきつく吸いつく。兵士の足がビクッと揺れる。
いつもは、白雪の方が奉仕されていて、こういう機会が滅多になかった。
だからつい彼の反応が面白くて仕方がない。
正直、自分ばかりが相手に翻弄されるのは悔しい。
(もう少し焦らしてもよいのだけれど…)
「いいわ。…このぐらいにしてあげる」
白雪はわざとらしく余裕の表情を浮かべてみせ、兵士の腿の上に跨る。
「…っん」
腰をゆっくり沈めて、硬く強張ったそれを受け入れる。
全部がおさまると、白雪は「ほぅ…」と息を吐いた。
やがて、白雪は身体を兵士の上で腰を弾ませた。
「…ああっ、…んっ、…はぁ…ん、っ」
日常で交わされる会話の声とは、違う甘い声音。
白い肌は、わずかに赤く色づいて汗で濡れている。
「あふっ、はぁぁん…」
白雪は兵士の頭を抱き込む。
顎をそらし、全身を震わせている。
一度、達してからもさらにそこで兵士が追い打ちをかけるように
白雪の腰を掴み、突き上げ始める。
「…やぁっ、…だめっ!…いいのっ、…あぁっ!」
「今、なんて?」
「…あっ、…やん、なんでも…」
「『いい』って聞こえましたが?」
「ち、ちが…っ、そんな…言って、な…ぁあああっっ」
乱れる白雪にさらに追い打ちをかけて責めたてる。
顎をそらし、白い喉元をみせつける。
のけ反った白雪の首に兵士が唇をよせ吸いつく。
背中に艶やかな黒髪が踊った。
「…は…ん、ぁぁああっっっ…」
白雪はがくがくと身体を震わせて、達する。
荒々しいほどの快感が抜けていき、意識が白くかすむ。
やがてせわしない呼吸をしながら兵士の胸にもたれて目を瞑った。
「明日は、会えないわ」
白雪は目を瞑ったまま口を開いた。
「は…?」
「明日、人と会うのよ」
白雪は汗で首に張り付いた黒髪をかき上げる。
その首には、朱。
情交の跡も生々しいなんともいえない色気に、兵士は身体が熱くなった。
そんな様子の彼に白雪はため息をつく。
「前に話したでしょう?お妃の弟子だったとかいう魔法士よ。
明日は彼と会わなければならないの。二人だけでという約束で」
「ああ、なんでも隣国の…とかいう」
「そうよ」
兵士は首を傾げる。「どうかしたの?」と尋ねると彼は口ごもりながら答えた。
「え、ええ。その魔法士は男の方なんでしたよね?
で…お二人だけでお会いするんですか…?」
「…ええ、なにか問題でも?」
「や、別に。ただ…なんとなくその魔法士のことが気になるような…」
「そういう趣味?」
何気なく吐かれた、しかし思わぬ台詞に兵士は目を剥き、凍った。
「…ちっ、ちが…!そうじゃなくて…心配してるんですけど」
それを聞いて白雪は微笑む。
「そうねぇ。私、彼のこと嫌いでなくてよ?顔は男のわりには綺麗だったし」
にこにこと語る白雪に兵士は、慌てふためいた表情をする。
「だいたい、何かされたとしても…、お前にはその人を責める資格などないでしょう。
…前科があるのだから」
最後の方の台詞は、地の底から聞こえるように低かった…。
兵士はうなだれた。が、はっと顔を上げる。立ち直りが早い奴だ。
「『なにか?』って、…まさか既に何かされているわけじゃないですよね?」
兵士は白雪につめよる。白雪は数歩後ずさる。
いらぬことまで、口にしてしまったか?…この男の感が良すぎるのか?
しかたなく、白雪は彼に魔法士とはじめて対面したときのことを話し始めた。
*
「……なんか、怪しいじゃないですか。だいたい普通、こんな都合よくそんな人見つかるんですか?」
「都合のよい登場といえば、お前もそう変わらないわ」
森での再会とか。
「…そ、そんなこと、言われても…」
まぁ、白雪とて彼に言われるまでもなくあの魔法士については
怪しいと思っていたわけだが。
なんだか、うさんくさい。お妃の弟子というのは本当だろうか?
そもそも隣国の魔法士というのだって怪しいのかもしれない。前回、彼は『魔法の気配を感じる』
とは言ったが、目の前でなにか魔術めいたことをしてはいない。
ただ、それは必要なかったといえばそれまでだけれど。
「お前に心配されなくとも、大丈夫よ。とりあえず彼に会わなくては始まらないわ」
「…ですが」
「一応は、あなたの忠告も胸にとどめておきますから。…ではごきげんよう」
ふわりとドレスを翻し階段を下りていく白雪。
兵士は心配そうにため息をはいた。
*
翌日、城に魔法士は訪れた。
城の者に彼を白雪の人払いをさせた自室に案内させる。
「…王女殿下におかれましては、ご機嫌麗しく――」
「挨拶は結構よ」
白雪はゆったりと椅子に腰掛けた。
魔法士は頷いて、本題を切り出す。
「…今日訪れましたのは、理由がごさいます」
「それは…?」
魔法士は妖しい笑みを浮かべて白雪の手をとる。
「おそばに寄ってもよろしいですか?」
「……」
白雪は一旦躊躇したが、素直に了承する。
「呪いを解く方法が、見つかったのでございます」
魔法士は白雪の耳に息を吹きかけるように囁いた。
「なんですって?」
白雪は息を飲む。
その様子に魔法士は笑みを深めた。
「呪いを解くには私の魔術が必要でございますが、なに簡単でございます。
姫は、私に身をまかせてくださればそれで良いのでございますから」
「…身をまかせる?…きゃあっ」
警戒した白雪は、身を離そうとしたが、一歩遅く魔法士の強い力に身体を
寝台に投げ出された。白雪の身体に魔法士がのし掛かってくる。
「な、何をするの!…私はこんな仕打ち、いくら呪いを解くためとはいえ許した覚えはありません!」
強く言い放つ白雪に魔法士は余裕でかわす。
白雪の身体の線を愛おしそうに撫でていく。
「美しい…。…ああ、どうか身体を楽にしてください」
なんだろう、この既視感。以前、これに似た言葉を聞いた気が。
「…っ…あっ」
胸の膨らみが手の中に包まれる。
その頂点を服越しからくすぐられて白雪は、声を上げた。
「…くっ」
「この肢体、なんと柔らかい…」
魔法士の顔が降りてくる。白雪は顔を横に向けて、唇を噛む。
背けた顔の近く、首筋に彼は顔を埋めた。
…白雪は覚悟して息を止める。
「…………………………………………………………」
「?」
魔法士は白雪の首筋に目を留めたまま固まっている。
「あの…?」
白雪は躊躇いがちに声をかける。
「…………………………………………………………」
どうしたのだろう…?
まるでその様子は魔法かなにかで凍りづけにされたようにも見える。
「……………これは、どうしたのかしら?」
妙に裏声ったような声が魔法士の青年から漏れた。
白雪は首に手を宛てる。
彼はわなわなと震えている。
「…………………………………………………………ハッッ!!」
突然我に返ったように、魔法士は白雪から身を離した。
「わ、わ、」
「いかがなされたの?」
尋常ならざる様子に白雪を恐ろしげに尋ねる。
「わ、わたくし、…い、いいえっ…!あ…あ、あああ!私は、貴女になんという
ことを…どうか私のした恥ずべき行為をお許しください…!」
魔法士は膝をつき、白雪にわびた。
(『わたくし』…?)
白雪はふと誰かを思いだした。
「このような真似をするつもりはなかったのです。どうか…お許しを」
妖しげな雰囲気はどこへやら、すっかり身を低くした彼に白雪はただ呆然とした。
「私は大丈夫です。ですから顔をあげて…」
「ああ、なんと慈悲深い…」
魔法士は眩しいものでも見るように白雪を見上げる。
「実は、今日はこれをお渡しするつもりだったのでございます」
魔法士は懐から何かを取り出す。
白雪はそれを静かに見つめた。これは、
――林檎だ。
「あの、これは林檎ですか?」
訝しげに白雪は魔法士に尋ねる。
「…ええ、そうです。しかしただの林檎ではございません。
これは我ら魔法をあやつる者が時間そして知恵をこらし完成した秘術で
特別な製法で造られた特別の林檎なのでございます」
魔法士は赤い林檎を白雪の手の中に置いた。
「これはどんな強い呪いもたちまちに追い払います。
貴女が、これを口に含めばたちまちに貴女の中の悪い呪いはすぐにでも解けるでしょう」
自信たっぷりに彼は語った。白雪は半信半疑でそれを眺めた。
「信用できませぬか?」
「そんなことはないけれど…、口にしてもいいものかしら」
それは一見光沢があり美味しそうにも見えるが、しかし毒々しいほどに赤い。
毒林檎といわれれば信じてしまいそうだ。
「ふむ。では私が食べても安心だということを証明するために
一口お毒味させていただきましょう」
しゃり…と音がして林檎の表面に穴ができる。
「………」
ふたたびそれを差し戻され、白雪は顔を曇らせる。
「私に食べかけをよこすの?…それにあなた、今わざと白い方食べたわよね?どうして?」
「いえ、決してそんなつもりは!…しかし、困りました。いえ、実のところこの林檎は
貴重で一つきりしか今ないのです」
「…そうなの?」
「何度も不快な思いをさせて申し訳なく思っております。ですが、どうかこの林檎は受け取って頂きたい…」
魔法士の青年は真摯な瞳で白雪を見つめた。
白雪はしぶしぶ受け取る。
「…今すぐ食べろというわけではございません。いつでも良いのです。決心が付いたとき……て姫ぇ?!」
白雪は窓辺にいた。そして寄ってきた小鳥に林檎を差し出していた。
突進するがごとく勢いで魔法士は白雪の手から林檎を奪い取る。
「…申し訳ないけれど、今日は帰ってもらえないかしら」
呆然と立ちつくす魔法士に白雪は背を向けた。
*
白雪の部屋を出た魔法士はぶつぶつと呟いていた。
「なんてこと、なんてこと。あの娘…」
手には食いかけの林檎がある。
「わたくしの林檎を受け取らなかった…、とんだ誤算だわ」
まさかと思うが、悟られてしまったというのか?!
彼(?)は床に手をついた。林檎がころころと転がる。
「ああっ!!しかも、しかも…誰なの!?あの娘の柔肌にあんな汚らわしい痕をつけた者は!!」
あの下劣な男はヘビに変えてやったというのに…!
苛立ちながら魔法士(?)は髪を掻きむしる。そして…床にたたきつけた。
『かつら』が落ちた頭には怒りのほどを顕わすように乱れた髪が踊っている。
ややあってから、ようやく転がっていった林檎を追いかける。
林檎はある部屋の前にあった。
顔をあげる。
「この部屋は……」
林檎を手にしながら、その顔に笑みを刻む。
終
毒リンゴキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
てか食わないのかよ、白雪タソ…
>>372 お妃「いいえ、食わせます。意地でも、食わせます」
強いなあ。白雪たん。
ちょっと抜けてるお妃もカワユス。
騎乗位も堪能できて幸せっす。
白雪はもちろんだが、むしろキコリ萌え
お姫様の話、投下します。
甘々なので、苦手な方はなにとぞスルーでお願いします。
では、「王女様の薬」です
377 :
王女様の薬:2006/12/07(木) 14:04:24 ID:a6jUku/b
「支度は出来て?お姉さま」
バルクルト国の長女、アマンダは、その声に振り返った。
見れば、これから始まる晩餐会のために既に美しく着飾った末の妹、マルゴットが
一人でこちらに近づいて来るところだった。
いつも彼女に付き従えている、規律と礼節が制服を着て歩いている様な、
亜麻色の髪の女騎士の姿は今日は見当たらないようだ。
「ふう……ん」
マルゴットは身支度を整えた姉の姿を上から下まで汲まなく舐めるように眺めた後、
「まずますね」と呟いた。
「でも、これ、少し胸が開きすぎじゃないかしら」
アマンダは心細げに、菫色のドレスの大きく開いた胸元を隠すように押さえた。
「まあ。そんなことはないわ。それでも控えめなくらいよ」
そう答えると、マルゴットは優美な笑顔と共に言葉を足した。
「お姉さまは地味すぎるのよ、何事も」
ひらひらと手にした扇を振り、さりげなく人払いをする。
着つけを終えた女官や侍女が全て部屋から出て行くのを確認すると、
彼女は姉の手を引いて寝台に座らせ、自分もその横に腰を下ろした。
「で、心の準備のほうは出来まして?お姉さま」
「………マルゴット」
アマンダは妹に弱々しい視線を向けると、早速泣き言を漏らした。
「やっぱり、私には出来ないわ」
「まだそんな事を言っているの?呆れたわねぇ」
マルゴットは目を丸くした。
「今夜が最後のチャンスなのに」
「だって……」
「今日の晩餐会が終わったら、明日には国に帰ってしまうのよ」
「…………」
唇をかみ締めて俯いてしまった姉ににじり寄り、マルゴットはいつもより少し
声を低くして念を押した。
「フェルデナンド様を、愛しているのでしょう?」
俯いた顔が、瞬時に耳まで赤くなる。
ここ一年間、この国に滞在をしているフェルデナンド王子は、山間に位置する
スランバル公国の跡継ぎである。スランバル公国は小国でありながら、代々に渡り
その巧みな外交術で、居並ぶ大国の中で独立し続ける伝統のある国であった。
バルクルト王国とは先祖を同じくした遠い親戚関係であり、古くからその関係は良好で、
今も尚、同盟が結ばれ交流の盛な間柄である。
彼は、この国の建築技術と軍隊の育成技術を自国に取り入れるために、
職人と軍人を引き連れ、自らも留学生としてアマンダ達の住むこの王宮に滞在をしていた。
そして、その約束の期間が終わり、明日には帰国の途に着く事になっていた。
378 :
王女様の薬:2006/12/07(木) 14:05:19 ID:a6jUku/b
「今夜、思いを伝えなければ、もうお姉さまには自分を売り込むチャンスは無いのよ」
「売り込むだなんて、そんな……」
アマンダは顔を赤らめたまま、消え入りそうな声で言葉を続けた。
「フェルデナンド様にとっては、ご迷惑な話だわ」
「なぜ」
「だって、私なんて……」
「私なんて、何?」
「地味だし、話も面白くないし、愛嬌もないし……」
「お姉さまの悪い所はそんなのではなくて、極度の恥ずかしがり屋な所よ」
マルゴットは、ため息を付いた。
「他の人の前では、そこそこ堂々と振舞えるのに、どうして彼の前だと駄目なのかしら」
『深窓の美姫』と称されるこの姉は、性格的には全く逆だが、自分と血を分けた姉妹だけ
あって美しい容姿の持ち主だとマルゴットが思うのは、決してうぬぼれでは無かった。
絹糸の束のように艶やかで豊かな金色の髪に、勿忘草の花のような青い瞳。
部屋に居ることが多く、日に焼ける機会の無い肌は、透けるように白い。
顔立ちもバランスが取れていて、まだ何処となく少女の面影を残すマルゴットとは違い、
華やかさの中にも落ち着きがあり、見るものが思わず姿勢を正すような気品のある
清涼な美貌である。
もっと自信を持っていいはずなのに、どうしてこうも内気なのか。
「よろしくて?お姉さま」
マルゴットは手にした扇を姉の色白な胸元に突きつけ、さらに詰め寄った。
「憎からず思っているのなら、知らん顔して待っているだけじゃ駄目な事もあるのよ。
フェルデナンド様は女性に対しては積極的では無い方だから、尚更だわ。
その気があるなら、殿方が行動を起こし易いようにそれとなく促してさし上げるのも
淑女の役割なの。世の女は、澄ました顔をしていても、皆それとなくきちんと
自分の周囲に餌をまいているものなのよ」
「そ……そうかしら」
「そうよ」
「わ…私は」
五つも年下でありながらそちら方面には手練手管の妹を前に、アマンダは
泣きそうな声になった。
「そういう事は、駄目なのよ。どうやっていいのか、全くわからないんですもの」
「仕方ないわねぇ」
マルゴットは失望のため息を付くと、手提げの中から、掌に収まる程度の大きさの
ガラスの瓶を取り出した。
「これを差し上げるわ」
覗き込むアマンダの背中に手を添え、身を寄せると、マルゴットは声を潜めた。
「トリスタンとイゾルテの秘薬よ」
379 :
王女様の薬:2006/12/07(木) 14:06:11 ID:a6jUku/b
「秘薬……?」
「ええ、トリスタンとイゾルテのお話はご存知でしょ」
アマンダは頷いた。
「魔法の薬を飲んだ二人は、その瞬間から激しい恋に落ちるの。
要するに、これは『一目惚れの薬』よ」
「でも、あの話は悲恋で終わるけど……」
「結果なんて、当人のやり方次第でどうにでもなるものだわ」
穢れ無き人間に罪の味を教えようと企む悪魔のごとく、マルゴットは妖艶に
姉の耳元で囁いた。
「お姉さま。貴女はこれを利用して愛を勝ち取るのよ」
「でも……薬の力を頼るなんて、いけない事じゃないかしら」
「もう。いつまでも煮え切らないわねぇ」
マルゴットは立ち上がると、優雅な仕草はそのままで、有無を言わさぬ力強さで
姉の腕を掴んで引張り上げると、そのまま歩き出した。
「あの、マルゴット?」
寝室を出て、次の部屋の長いすにどすん、と姉を強引に座らせる。
「ここでお待ちになって。もうすぐ来るから」
「誰が──」
「フェルデナンド様よ」
「ええっ」
悲鳴に近い声をあげ立ち上がりかけた姉を再び椅子に押さえつける。
「先程、晩餐会の時間が来たら、お姉さまを呼びに来てくださるように頼んでおいたのよ。
彼が来たら、何なりと理由を付けて二人でこれを飲んで。いいわね」
にこりと優雅に笑うマルゴットの有無を言わさぬ気迫に負けて、アマンダは言葉を失った。
いつもならばこんな時は、彼女のお目付け役の女騎士が毅然とした態度で、
『馬鹿なことはお止め下さい、アマンダ様がお困りでいらっしゃいます』などと
歯に衣着せぬ物言いで諌めてくれるのに。
彼女は今日はどうしてしまったのだろう。マルゴットを止める事が出来るのは
彼女だけなのだ。アリューシア、助けて。
どうしよう。
もうすぐ、彼がここへ来てしまう。
彼がここに来る。彼がここに来る。彼がここに、彼が、彼が彼が彼が彼が彼が……
ああ、もう恥ずかしくて死んでしまいそう。
アマンダが神経を衰弱させているうちに、地獄の門の扉がノックされた。
その音に、彼女は竦み上がった。
「どうぞ。入っていらして」
硬直して口のきけなくなったこの部屋の主の代わりにマルゴットが返事をした。
380 :
王女様の薬:2006/12/07(木) 14:07:36 ID:a6jUku/b
「御機嫌良う。アマンダ姫。お迎えに上がりました」
柔らかな微笑を浮かべて、フェルデナンドが現れた。
「こんばんは。フェルデナンド様。明日でお別れだなんて本当に残念だけど、
今夜の晩餐会は存分に楽しんでくださいね」
マルゴットがそう言うと、黒髪の王子は品の良い表情で穏やかに応える。
「ええ、本当にお名残惜しい。機会があれば、ぜひわが国にも遊びにいらしてください。
歓迎いたします」
見るからに温和そうな笑顔を絶やさないフェルデナンドは、
全く持って見掛け通りの好青年であった。
宮廷作法を叩き込まれている紳士であるだけに女性の扱いは上手いが、かといって女を
手だまに取るというタイプではない。むしろ誠実で、誰に対しても公平であった。
意思表示のはっきりしたそこそこ男らしい性格ではあるが、
基本的には柔軟で、来るもの拒まず、去るもの追わず。
故に、何度かフェルデナンドと乗馬や読書会などで接した機会があるだけのアマンダより、
人懐っこいマルゴットのほうが、よほど常日頃彼と親しげにしているような感がある。
固まったまま全く当てにならない姉を他所に、マルゴットはにっこりと微笑むと、
二つのワイングラスに小瓶の中身をそそぎ、テーブルに置いた。
「これは?」
フェルデナンドが興味深そうに尋ねる。
「貴重な葡萄酒が手に入ったので、ぜひご馳走したくて」
「いい香りですね」
「でしょう?私はもう飲んだから……」
マルゴットは言いながらゆっくりと歩き出し、扉へと向かった。
「お二人で、楽しんで。では、私は先に行きますので、フェルデナンド様、
姉をよろしくお願いしますわ」
「わかりました」
「あっ、マルゴット、待って。一人にしないで」
悲痛な面持ちで立ち上がりかけた姉を、マルゴットは素早く目で制した。
その美しい顔には華やかな微笑を張り付かせているが、目の奥は決して笑ってはいない。
「お姉さまったら。私も約束した相手を待たせているんですのよ。いつまでも
引き止めてもらっては困るわ。では、ごゆっくりね。ほほほほほ…………」
朗らかな悪魔の笑い声を残して、無常にも扉は閉まった。
381 :
王女様の薬:2006/12/07(木) 14:08:44 ID:a6jUku/b
*
扉を閉めたマルゴットは、さて、これで上手くいくかしら、と一人廊下を歩き始めた。
あの二人、似たもの同士で互いに慎み深いのは結構だが
引いてばかりで押すという事を知らない。
互いに憎からず思っているのは明白なのに、相手のことを思いやり過ぎて
自己主張を忘れるとああなるという典型のような、何処までも平行線の関係の二人。
あの二人を何とかしようと思ったら、なにかしらの外力が必要だ。
何かきっかけさえあれば、愛し合う者同士、あとは雪崩のように進んでいくはず。
とりあえず、自分が出来ることはここまでた。後は、あの二人次第。
実はあれは「一目惚れの薬」などとかわいいことを言ったが、要は「媚薬」だ。
しかも兄に仕える腕のいい薬師に作ってもらった特製の。
しかし、おそらく本当のことを言ったら、堅物の彼女は決して飲もうとしないだろう。
まあ、本当のことを言わなくても罪にはならないわよね。
薬の説明書きには、なんて書いてあったかしら、と彼女は松明の灯る廊下を進みながら
考えを巡らせた。
『精神を壊すような事はなく、良心も残る。
もともと本人が持っている欲望を開放する効果がある。そして切望感を刺激する。』
──確か、薬の効果が出るのは2時間後。
「どうなることかしらね。ふふっ」
マルゴットは、楽しそうに小さく笑うと、上機嫌で広間へと向かった。
*
マルゴットが扉を閉めたあと、アマンダにとっては気まずい沈黙が部屋を支配した。
ちらり、と公国の王子の方を窺うと、彼はその沈黙が全く苦になっていない様な顔で、
自分に視線を向けた彼女に気が付いて、青みがかかった灰色の目を細め、優し気に
微笑みを返してきた。
「………」
赤くなりすぎて、ゆで蛸の様になった姫君の横で、何も事情を知らない彼は
グラスに手を伸ばした。
「では、これを頂いてから、広間にいきましょうか」
「えっ。ええ───」
「美しい姫君がこれからも健康と、幸運に恵まれますように」
そう言いながら、グラスを掲げた。
382 :
王女様の薬:2006/12/07(木) 14:10:02 ID:a6jUku/b
「………」
「そして、いつかまた再会出来ることを祈って……乾杯」
「待って!」
今まさにフェルデナンドがグラスに唇を付けようとした時、アマンダは彼の手から
ひったくる様にそれを奪い取った。
「───え?」
驚く彼の目の前で、奪い取ったグラスを両掌で抱え込み、
ぐぐっと中の液体を一気に飲み干す。
「………ひ、姫?」
彼があっけに取られている間に、続けざまにテーブルに残ったもう一つにも
手を伸ばし、それも瞬く間に空にしてしまった。
「………はあっ…はあっ」
いつもは物静かな姫の尋常ではない素早い動きと剣幕に唖然とする彼に視線を向けると、
アマンダは真剣な表情で口を開いた。
「これは貴方が飲んでは駄目なの」
「何故………」
そこまできて、はっと我を取り戻したアマンダは再び赤面し、
うろたえたように必死で取り繕った。
「あ…あの、これ、二日酔いがひどいお酒なの。……その、明日出立の時に
酔いが残ってしまっていては、大変でしょう?」
「そんな事を貴女が気を使ってくださる事など無かったのに」
合点がいったという様子の彼は申し訳なさそうに言うと、労わる様な目でアマンダを見た。
「随分慌てて飲んでしまいましたけど、貴女こそ大丈夫ですか」
「ええ……私は、大丈夫ですわ」
「よかった」
心底ほっとした表情を浮かべて、王子はアマンダに手を差し出した。
「では、参りましょうか」
アマンダは少し切ない気持ちになりながら、彼の掌に自分の手を重ねた。
*
(あれで良かったんだわ)
豪華な食事の並べられたテーブルを前に、アマンダは浮かない気分のままそう思った。
確かに、彼が私の事を好きになってくれたら、どんなにいいか。
でも、だからといって、あんな薬を彼に飲ませてはいけないのだ。
彼もいずれ、誰かを好きになって、その人と結婚して、幸せな家庭を築くのだろう。
彼の人生を自分のエゴで奪ってはいけない。
好きだからこそ、どうして彼の心を操ることが出来よう。
383 :
王女様の薬:2006/12/07(木) 14:11:36 ID:a6jUku/b
それに薬を飲んで私の事を好きになってくれたとしても、それは、薬の力で
そうなっただけで、私自身を気に入ってくれた訳ではないのだ。
そんなのは、虚しいだけだ。
主賓のフェルデナンドに目をやると、彼は国王と第一王子の間の席で、
屈託の無い笑顔を浮かべて楽しげに語らっていた。
礼儀正しく、誠実で、次期国王として申し分の無い政治能力も持ち合わせた彼は、
この国を統べる親子とも実に良好な関係を築いている。
アマンダは、ぼんやりと葡萄酒のグラスに口を付けた。
余り食欲は無いが、それは、憂鬱なこの気分のせいだ。
一目惚れの薬と聞いていたから、薬を飲んだ直後はどんな変化が起こるかと
心配であったが、何も起こりはしなかった。
(私ならいくら飲んでも、どうってこと無いという事なのね。
もう、既に惚れているんだから……。)
そこまで思い至って、アマンダはそんな事を考える自分に情けないような、
悲しいような気持ちになった。
バルクルトの国王の長女として、それにふさわしい最高の教育を受けてきた。
いずれは国の利益となる結婚をして、夫の血を継ぐ健康な跡継ぎを生む。
それが大国の姫に生まれた自分の義務だ。何も異論は無い。
どんな男であれ、夫となった相手を敬い、支えていくつもりである。それが自分の
役目なのだ。そこに恋などという『感情』は必要無い。
物心付いたときからそう教え込まれ、そう言うものだと思ってきた。
だから、まさか、自分が恋をしてしまうなどと、思っても見なかったのだ。
こんなにも、誰かに恋焦がれてしまう事なんて。
彼を好きだと感じるようになったのはいつからだろう。
マルゴットと三人でお芝居を見に行ったのに、途中で彼女が抜け出して恋人に会いに
行ってしまい、二人で取り残されたとき?
図書室で一人で本を読んでいて、偶然会ったとき?
中庭の東屋で昼寝をしていた彼を見つけて、離れがたくて暫くその横で
小鳥の声を聞いていたとき?
きっと全部だ。これだという大きな出来事などは何も無い。
ただ、二人で居ると、静かで暖かでとても穏やかな時間が流れ、それが何より幸せだった。
食事が終わるころを見計らって、今まで奏でられていた音楽に代わり、
軽快な曲が奏でられ始めた。
その頃になると、場はすっかり砕けた雰囲気になっており、曲に合わせてダンスを
楽しむ者、道化師の曲芸の周りに輪を作る者、そのまま飲酒を楽しむ者など、
皆が思い思いに今日の集まりを楽しんでいた。
384 :
王女様の薬:2006/12/07(木) 14:13:07 ID:a6jUku/b
「アマンダ姫」
唐突にフェルデナンドに背後から声をかけられ、アマンダは慌てて振り向いた。
「よろしかったら、一曲お相手願えませんか」
「あ、でも」
優しく、しかし素早く手を取られて、答える間も無く踊りの輪の中にと誘導される。
そのやり方は決して強引ではなく、小さいながらも伝統のある国の王族らしい、
非の打ち所の無い作法である。
彼がダンスを踊るのを見たことが無かったし、こうして二人で踊るもの初めてだった。
(きっと、マルゴットが気を利かせて何か言ったのね)
そう思いながらも、リズムにあわせ、足を滑らせる様なステップで旋回し、
波の様になめらかな動きでリードされていく。
「お上手ですね」
踊りながら、フェルデナンドが微笑んだ。
「フェルデナンド様のリードがお上手だからですわ」
「こんな事を言っていただけるなんて光栄です」
彼の言う事は、社交辞令だろうか。
いや、彼は誠実で、見え透いたお世辞を言うような人間ではない。
そんな事を、そんな顔で言われると、期待してしまう。
でも、やはりこれは社交辞令だ。
世話になっている国の姫だから、私に優しくしてくださるのだ。ただ、それだけ。
思いを告げたりしたら、断りたくても断れずに、かえってこの方を困らせるだけ。
明日にはもうお別れで、国に戻ったら、たいした思い出がある訳でもない私の事など
きっとすぐに忘れてしまう事だろう。
ずっと貴方の御側にいたい、なんて、どうして言えるだろう。
「…………」
顔が熱くなり、目が潤んできているのが、自分でわかった。
「ごめんなさい」
どうすることも出来ずに、アマンダは踊りの輪の中で立ち止まった。
「……どうかしたのですか?」
「なんでもありませんわ」
心配そうに顔を覗き込もうとする彼から逃げるようにアマンダは顔を背けた。
これ以上踊ることなんて出来ない。
堪えきれずに、涙がこぼれてしまいそうだ。
「ちょっと気分が優れなくて……失礼します」
フェルデナンドが何か言葉を発した。しかし、その言葉はもうアマンダの頭の中には
入ってこなかった。
アマンダは、流れてくる涙を覆い隠しながら、慌しく広間を後にした。
385 :
王女様の薬:2006/12/07(木) 14:14:40 ID:a6jUku/b
*
寝室に一目散で駆け込むと、アマンダはそのまま寝台に身を投げ出した。
幸い、今は晩餐会の為に女官や侍女も全て出計らっている。
誰も居ない部屋で、誰にも気兼ねせず、アマンダは泣き声を上げ続けた。
どれくらい時間のたった頃か。
暫くすると、扉がノックされた。
「アマンダ姫」
フェルデナンドの声であった。
「返事をしてください。一体どうしたのですか?」
「いいえ、何も……」
アマンダは何とかしゃくりあげるのを押さえて答えた。
「………マルゴットに頼まれて、来てくださったの?」
「いいえ。……なぜ、マルゴット姫に言われたと?」
扉越しに、心底意外そうなフェルデナンドの声が聞こえる。
「先程一気にお酒を飲んでいたので、もしかしたらそれが原因で体調を悪くされたのでは
ないかと、気になったのです。それに、泣き出してしまいそうな顔をしていたので……」
「………」
「無理にとは言いませんが、此処を開けてお顔を見せていただけませんか」
「……お待ちになって」
慌てて綿布に水を浸したもので目の辺りを押さえて涙を拭き、深呼吸をして無理やりに
気持ちを落ち着かせる。
のろのろと扉を開けると、不安げに自分を見つめる真っ直ぐな視線があった。
「よかった、顔色は良さそうだ」
フェルデナンドは安堵の表情を浮かべたが、すぐに心配そうにアマンダを窺った。
「泣いていらしたのですか?」
「少しだけですの……何でもありませんわ」
「何があったのです」
「………」
言える訳が無い。
気のきいた嘘が咄嗟には思い浮かばず、アマンダは黙り込んでしまった。
しばらく沈黙があったが、その沈黙を嫌うように退けたのはアマンダのほうであった。
「大丈夫ですの。ご心配なさらないで。あの、私のことは構わずに広間の方でお楽しみに
なって。今夜の主賓が、いつまでもこんな所に居てはいけませんわ」
いかにも彼女らしい、しかし、優等生的な隙の無い答えに彼は少し寂しそうな顔をした。
「そうですか……では、僕は先に行きますが、気分が落ち着いたら、
ぜひ貴女も戻って来てください。待っていますから」
386 :
王女様の薬:2006/12/07(木) 14:16:07 ID:a6jUku/b
「ありがとうございます」
「では……」
「…………」
広間に向かおうと、一歩脚を進めた彼の動きが、そこで止まった。
アマンダが彼の上着の裾を掴んでいた。
「───────────────行かないで」
「え?」
「あっ」
アマンダははっとしてシャツを手放し、次の瞬間、火がついたように頬を赤く染めた。
フェルデアンドは、一瞬きょとん、と目を丸くしたが、真っ赤になった彼女を前に、
頬に柔らかい微笑を浮かべて言った。
「では、もう少し、ここに居ましょう」
*
私ったら、何故あんなことを────。
頭で考えるよりも、無意識に言葉が先に出てしまった。
どうして。
こんな事、今まで無かったのに。
二人以外は誰もいない部屋の中。
目の前ではフェルデナンドが礼儀正しく椅子に座っている。
どうしよう。
彼は私の事を変に思っていないかしら。
戻れと言った側から、行かないでと頼んだり……。彼はきっと呆れているわ。
おまけに、ここに居てくれ、と言ったものの、これからどうしたらいいか、
何も思いつかない。あああああ。どうしよう…………
アマンダはパニックを起しかけていた。
心を落ち着かせようと、自分が何故、瞬発的とも言えるあんな行動を取って
しまったのかを必死に探ろうと試みる。
だが、彼女にはその答えがどうしてもわからなかった。
しかし、実は理由はしごく明確であった。
そろそろ薬の効いてくる時間になったのである。
「…………あの」
既に混沌の世界を呈した姫の心中など知らないフェルデナンドは、相変わらず穏やかに
口を開いた。
387 :
王女様の薬:2006/12/07(木) 14:17:23 ID:a6jUku/b
「二人で黙り込んでいても何ですし、何かお話でもしましょうか」
「え……ははは、はい」
「これは僕の国での話なんですが……」
社交上手な王子の話は、確かに人を楽しませる気配りがいたる所にちりばめられ、
面白いものであった。
しかし、アマンダの頭の中にはそれはほとんど入り込まなかった。
彼の話す姿をぼんやりと眺め、こんな事を考える。
────何故この人は、いつもこんなに朗らかなのかしら。
私はこの人のおかげで悲しんだり、喜んだり、苦しんだり、ほわほわとした気持ちに
なったり、ぐちゃぐちゃになってよれよれになっているのに、その原因である当の本人は
どうしてこんな穏やかで、のほほんとしたお坊ちゃま顔をしているの。
(でも、それでいいの。自分のこんな気持ちなど、閉じ込めてしまっておけばいい)
普段の彼女なら、考えはそこに到ったであろう。
しかし、『薬』が効き始めた彼女の思考は、そこから先に一歩踏み込み、
否、一つ突き抜けてしまったのである。
─────なんだか、無性に腹が立ってきた。
無意識のうちにアマンダの形のいい眉の間に力が篭められ、微かだが確かに皺が刻まれる。
それは、彼女自身さえ知らない、心の奥底で抑圧されていた『攻撃性』が
解放された瞬間であった。
人の気も知らないで、こんなに穏やかな顔をして。
なんだかとっても憎らしくて、そして、腹立たしい気持ちが治まらない。
私と同じように、この人も、めちゃくちゃにしてやりたい。
──────堕としてやる。
堕として、めちゃくちゃにしてやる。
可愛さ余って憎さ百倍。
そして、いつもなら考えも付かない一つの結論へとアマンダは飛躍した。
この人の童貞を奪って、お婿に行けない体にしてやるわ──────
388 :
王女様の薬:2006/12/07(木) 14:18:45 ID:a6jUku/b
*
童貞を奪われたからといって、お婿にいけなくて困る、などという風潮は
この近辺の国には無い。
むしろこの時代、処女は財産と言われる女子とは異なり、男子は年頃になると
童貞を捨てる為に、周囲の大人に色々と世話を焼かれるくらいである。
しかし、名実共に深窓の姫君であるアマンダは、そんな俗世の事情など知りもしなかった。
暫く話を続けていたフェルデナンドであったが、アマンダが話に反応を示さないどころか、
まんじりと座って、なにやら殺気めいたものまで周囲の空気に放ち始めたのに
気が付いたようであった。
彼はおそるおそる彼女に声をかける。
「あの……、退屈でしたか、アマンダ姫?ならば、そろそろ広間のほうへ行きましょうか。
………侍女が同席しているならともかく、誰も居ない部屋にいつまでも二人きりでは、
良からぬことを勘ぐる輩も出てきましょうし──」
「黙って」
いつもより低めの声が静かな部屋に鋭く響いた。
素直な王子が口を閉じるのを見ると、アマンダはその腕を掴み、寝台に向かって
歩き出した。
「あ……あの、アマンダ姫?」
「お黙り」
「はぁ」
麗しの高貴な姫君は、いつもと様子がおかしい。
どう見ても、目が据わっている。
「フェルデナンド様」
アマンダは王子を寝台の端に座らせると、その肩に手を置き、熱に冒されたような目で
彼を見下ろした。
そして、普段の彼女からして、にわかには信じがたい言葉を放った。
「貴方はこれから私に奪われるのよ。覚悟なさい」
「えっ」
驚きの声が上がるのと、アマンダが彼を押し倒して、その唇を塞ぐのとは同時であった。
「………………」
一方的に唇を押し付けるだけのアマンダに対し、フェルデナンドは拒むこともなく、
じっと成すがままにされている。
それで少し余裕の出来た彼女は、唇を押し付けたまま、
さて、童貞を奪うにはどうしたらよかったかしらと頭を猛回転させた。
389 :
王女様の薬:2006/12/07(木) 14:20:02 ID:a6jUku/b
確か、花嫁修業の勉強の際に教わった『結婚を遂行する行為』を行えばいいのだ。
そして、『結婚』をする為の準備では、主導権を握る男が、
寝ている女の体の至る所にキスをするのだそうだ。
とりあえず、今の状況を冷静に分析すると───
主導権を握っているのが自分で、フェルデナンドが寝ている。
つまり、自分が、教わったところでいう『男の役』をやり、
彼が『女の役』をすればいい訳だ。
男女が逆転していても、特に何も問題は無いだろう。
そう結論づけてから、アマンダはフェルデナンドの唇から離れた。
「……………姫」
組み敷かれた彼は、困ったような、驚いたような顔で、小さく呟いた。
(体中にキス……)
彼に構わず、アマンダはその目的の事だけに頭の中を一杯にして、
彼の額や頬や耳、首にと至る所に口付けを落とし始めた。
礼服を脱がせ、シャツのボタンを躊躇いのない手つきで外す。
鍛え上げられて、引き締まったフェルデナンドの上半身が露になった。
殿方の裸を見るのは初めてではないが、その体に触れるのは初めてだ。
女の体に比べて、硬くて、厚みがある。これなら、慣れない自分が多少乱雑に扱っても
大丈夫そうだ。
そう思いながらズボンに手をかけたところで、フェルデナンドは心配そうに声を上げた。
「あの、アマンダ姫」
「なに?」
「ほ、本気なのですか?」
「当たり前だわ。戯れで私がこんな事をする女だと、お思い?」
「いいえ、それは……」
迷いの無い声できっぱりと答えられ、フェルデナンドは圧倒されるように言葉を呑んだ。
「じゃあ、言う通りにして。──腰をすこし上げて。脱がせにくいわ」
「……はい」
最早目的に向かって突き進むだけになったアマンダがズボンを脱がし、下穿きを脱がせる。
すると、股間の茂みの所に、はじめて見る変なものがぷらん、と付いているのが、
アマンダの目に飛び込んだ。
それは、やや大きく反応し始めた男性器であった。
「………………」
アマンダは見慣れないそれに眉を顰めた。
(何かしら、これ)
肌色とは違う色のそれは、不恰好でくったりとして、体に縫い付けてあるようだ。
(まあ、いいわ)
この際、このあまり重要ではなさそうなものの存在は無視することに決めて、
胸板、肩、へその辺りへと口付けを落としていった。
390 :
王女様の薬:2006/12/07(木) 14:21:28 ID:a6jUku/b
そこでふと、アマンダは女官の言葉を思い出した。
「興奮した殿方が、脚の間の割れ目を撫でたり、キスをしたりする事がありますが
それも結婚の為には大切な行為なのですから、決して驚いたり叫んだりしないように」
脚の間の割れ目……どれかしら。
アマンダの指は男根と袋を通り過ぎ、さらに下へ、下へと探った。
……これかしら。
「ぉうわっ」
いきなり尻の穴を撫でられたフェルデナンドが叫んで腰を引いた。
「姫っ、そこは止めてください!」
この人は、決して驚いたり叫んだりしないように、と言う心得を教わっていないのかしら。
そう思いながらアマンダは、顔を赤くして焦るフェルデナンドを見上げた。
このまま姫に任せていたらとんでもない弄ばれ方をされると危機感を持ったのか、
王子はうろたえながらも、観念したかのように、アマンダの手を取った。
「あの………触るのでしたら、できたらこっちのほうを……」
そう言うと、彼は体に縫い付けてある、あの変な物にアマンダの手を誘導した。
手に触れるとそれは焼きたてのパンのようにほわほわと暖かく、不思議な質感があった。
「……あら」
アマンダは怪訝そうに声を上げた。
驚いたことに、それは指を動かすごとに大きく、硬く、異様な形に伸びていく。
「これ、生きてるみたいね」
「………………………生きてますから」
ばつが悪そうにぽつりとフェルデナンドから返答があった。
フェルデナンドに手を添えられ、指を動かしていると、やがて
すっかり猛りきった男根が、ぴくん、と跳ねた。その体には、血管も浮いている。
やはり、生きているようだ。
(じゃあ、これにもキスをしたほうが良いのかしら)
アマンダはいきり立つ幹に手を添え、唇を押し付けた。
「あ……」
フェルデナンドが、弱々しい声を上げた。
見ると、彼の顔は上気し、灰色の瞳は潤み、困惑と躊躇いの中にも
快楽に蕩ける表情を浮かべていた。
この表情だ。
そうだ。
私はいつも礼儀正しく、上品で、でも隙のない彼の、この顔が見たかったのだ。
アマンダは嬉しくなって、小さく舌を出し、悪戯の様に今度はそれをつつ、と舐めてみた。
フェルデナンドが甘い吐息を漏らした。
きっと、これは気持ちがいいのね。
391 :
王女様の薬:2006/12/07(木) 14:23:55 ID:a6jUku/b
先端に舌で触れていると、ふいに、優しくであるがフェルデナンドの掌に
頭を押さえられた。先端を押し付け、唇を割って中に入りたがっている様な仕草。
アマンダはそれまでの行為から、それが当たり前であるかの様にごく自然に唇を開けた。
大きくて、熱くて、ひどく生々しいものが口の中に入り込む。
汗…とも違う、変な味が舌の上に乗る。
でも、嫌な感じはしなかった。
いつも穏やかな彼が静かに息を乱す、その反応が無性に楽しくて、嬉しい。
「あの、歯を立てないで……」
「ごめんなさい。…………………。こう?」
フェルデナンドが頭を押さえる力の強弱にあわせて、アマンダはそれを口で扱き始めた。
「そう、上手」
「ん……んん…ん………」
普段は閉じられていることの多い色艶のいい唇が、限界にまで怒張した男根を
いっぱいに咥え込んだ。
上下の動きのたびに口内でたどたどしく舌が幹に触れ、擦る。
先端からこぼれ出た液体と唾液の交じり合ったものに、彼の幹とアマンダの唇は濡れ、
いつしか、ぺちゃ……ちゅぷ……と水音が立ち始めた。
脚の間に蹲り、うっとりとした表情を浮かべて幹を咥え込み、時々口を離しては、溢れて
口の周りに零れた唾液を、白くて細い指で無言でぬぐう。
その仕草さえ、フェルデナンドを煽るには充分に魅惑的であった。
「あの、アマンダ姫……もう……」
暫くおとなしかったフェルデナンドが上ずった声を出し、何かの合図のようにアマンダの頭を
ぽんぽんと軽く叩いた。
(そろそろ、『結婚』ができる準備が出来た、という事かしら)
彼女は体を起し、ずりずりとフェルデナンドの体をずり上がった。
結婚のやり方は、わかっている。
男と女が腰をくっつけたら、そこで結婚が成立するのだ。
ドレスを捲り上げ、フェルデナンドの腰に立てひざで跨り、彼の腰の上に自分の腰を
落としていく。
……なんかこの棒が邪魔ね。
アマンダは『棒』を手で彼の腹の側に固定し、邪魔の無くなったフェルデナンドの腰に
どすん、と乗った。
静寂
392 :
王女様の薬:2006/12/07(木) 14:25:08 ID:a6jUku/b
「………あの」
暫く後、フェルデナンドがおずおずと口を開く。
「なにかしら」
「これは何を……」
「今、『結婚』をしているの」
「…………これでは『結婚』になっていないと思いますけど」
二人の重なった腰の間から、アマンダの下腹に寄り添うように在所無さげにそそり立った
男根が姿を現しているのが、捲り上げたドレスの裾から見えていた。
フェルデナンドはそれを見ながら、なぜか申し訳なさそうに言葉を発する。
「これを、その、女性の体の中に納めて初めて結婚が成立する訳でして……」
「そう…。これを体の中に…」
アマンダは難しい顔をして考え込んだ。彼の言う事がどうにも見当がつかない。
「……って、どうやるの」
「それは、あの……」
口を開いたものの、言いにくそうに口をもごもごさせた後、
彼は意を決したように、静かに言った。
「もし貴女がよければ、その、………代わりましょうか」
「そうね」
アマンダは彼の体から離れた。
「そうして頂けると、助かるわ」
互いの位置を交代し、今度はフェルデナンドがアマンダの上に身を屈めた。
彼はアマンダに口付けを施しながら、背中に手を回し、ドレスの留め具を外していった。
アマンダの驚くような速さで全ての留め具が外され、胸元を引き下ろされ、
ほっそりとした肩とふるんと揺れる豊かな胸が露になる。
城の奥で大切に育てられた姫の滑らかできめ細やかな肌の至る所に、
獣が餌を貪るようにフェルデナンドは唇を這わせた。
女神のような豊満な胸に顔を埋め、柔らかでたっぷりとした質感を楽しむかのように
掌で揉んだり、薄紅色の尖りを口に含んだりする。
いつのまにか、顔を上げる時々に垣間見える彼はひどく深刻な表情を浮かべている。
少し、怒っているみたいにも見える。
でも、アマンダは少しも不安には感じずに、むしろ、(私と同じことをしている)と、
微笑ましかった。
結婚の準備の話を聞いた時には、ただ単に腰を重ねるという行為だけのために、
何故そんな事をしなくてはならないのだろうと憂鬱に思ったのだが、
今では、その理由が何となくわかる。
くすぐったくて、食べられちゃっているみたいで、変な感じがして、幸せ。
私がキスをしたとき、彼は同じ気持ちでいてくれたのだろうか。
393 :
王女様の薬:2006/12/07(木) 14:26:35 ID:a6jUku/b
指が脚の間の割れ目を動き、アマンダはそれまでとは違う
初めての感覚に思わず声を漏らした。
ぬめりを伴う怪しげで濃密な感触に動揺しながらも、変な声を出して彼を困らせては
いけないわ、と思い、口を手で覆う。
フェルデナンドの指が、不慣れな彼女に対して壊れ物を扱うように優しく、
しかし同時に女性の快感を巧みに呼び覚ますように動いた。
「…あ……んっ……ぁあ………」
「不快ではありませんか?」
「ええ………大丈夫」
再び口付けが交わされる。
アマンダの口腔に、フェルデナンドは舌を差し入れた。
初めての深い口付けに彼女は一瞬身を硬くしたが、すぐにフェルデナンドを受け入れ、
絡みつく舌に自らのそれを委ねる。
「ん……ふぅ………ううん…うふぅ……」
自分の体に、こんなにも敏感な場所があるとは知らなかった。
唇と脚の間を弄ばれて、鼻にかかったような甘ったるい声が思わず口から出てしまい、
アマンダは自分のはしたなさに体を熱くさせた。
彼がドレスの裾をアマンダの腹の上に載せるように捲り上げた。
色白で柔らかな肉の付いた脚を持ち上げて開き、その間に腰を下ろしていく。
硬い尖ったものが、アマンダの脚の間を押す感覚があった。
腰が重なり、今度はゆっくりと乗り上げるように体がずらされる。
「あっ!…んっ……っ!」
先程とは違う、腰を重ねたという証を確かに感じる痛みがアマンダを襲った。
「……アマンダ姫」
フェルデナンドは、受け入れられた感覚に息を吐いた。
初めての痛みに困惑の視線を送りしがみ付く彼女を宥める様に、肩や頭を撫でる。
「力を抜いて下さい。………どうか気を楽に」
「う…うっ……ぁ…やぁ………」
「……姫」
大きな掌がアマンダの頬を撫でた。
アマンダは少しずつ落ち着きを取り戻し、彼の体の熱さと、自分を抱きしめる腕の
力強さを改めて感じ取った。
「……これで…結婚が、成立……したの?」
「いいえ」
真剣な顔のフェルデナンドは息を乱しながらも丁寧な口調で言った。
「まだ途中です」
「じゃあ、続けて……最後まで」
「…………」
394 :
王女様の薬:2006/12/07(木) 14:27:28 ID:a6jUku/b
アマンダの言葉に促されるようにフェルデナンドはゆっくりと動き出した。
腰を引いては、再び重ねるような動きを幾度となく繰り返す。
痛みと同時に、息の詰まりそうな、鈍い、強烈な圧迫感に頭の芯が朦朧となり始めた。
はじめは遠慮がちだった動きが、徐々に激しいものになっていった。
アマンダの脚を掴み上げ、打ち付けるように体を動かす。
いつのまにか、アマンダの体も、彼の体も、驚くほど汗ばんでいた。
突き上げられるたびに、形容しがたい感覚が沸きあがり、意味の成さない声が
薄く開いた口からこぼれ出た。
繰り返し深く入り込まれ、アマンダの体は揺れた。
白い肌は薔薇色に上気し、欲情に潤んだ瞳で、行為を続けるフェルデナンドを切なげに
見上げる。
彼が滑らかな肌を撫で、弾力のある豊かな乳房を掴んで揉みしだくと、アマンダは
彼の掌の上に自分の白い手を重ねた。
「フェルデナンド様。……あ…ああっ…フェルデナンド様ぁ」
アマンダは朦朧とした意識の中で、彼の背中に腕を回し、体に縋りついた。
「……愛してる……んっ…あんっ……愛してるの………フェルデナンド様……」
「アマンダ」
淫らな鳴き声を上げるアマンダに腰を打ちつけながら、荒い息遣いのフェルデナンドが
彼女の耳元で囁いた。
「望みどおり、これで僕はもう貴女のものだ」
フェルデナンドが彼女の体を抱きしめ、動きを緩めた。
数回打ち付けるように体を揺らし、その後、ゆっくりと弛緩させていく。
自分に覆いかぶさり、肩に顔を埋めて荒い息を吐き続ける彼を抱きしめると
アマンダの心は満ち足りた気持ちに溢れた。
体を横にずらしたフェルデナンドの髪をなでて、アマンダは口を開いた。
「終わったのね」
「ええ、そうです」
「うれしいわ」
アマンダは口元をほころばせた。
「貴方の童貞が奪えたのね」
「え?あの……」
「幸せよ」
アマンダはにこっとフェルデナンドに微笑みかける。
その可憐な花のような笑顔を見て、誤解を訂正しようと口を開きかけた
フェルデナンドは、それが無粋であると悟った。
395 :
王女様の薬:2006/12/07(木) 14:28:49 ID:a6jUku/b
もちろんフェルデナンドには、その年頃のほとんどの王侯貴族の青年がそうであるように、
既に童貞ではなく、それなりの経験もあった。
だが、それを言うのは黙っていよう。
何やらわからぬが、そうする事で、彼女が喜んでくれるのなら。
満ち足りた表情で瞳を閉じ、いつしか小さな寝息を立て始めた無鉄砲でどこか的外れな
姫君を面白そうに暫く眺めたあと、フェルデナンドもその隣で、穏やかな眠りに付いた。
*
翌日、天蓋越しに朝日の降り注ぐ寝台の上で、さわやかな気持ちで
フェルデナンドは目覚めた。
昨晩を共に過ごした姫君におはようの挨拶を告げようとしたが、
彼の横にアマンダの姿は無かった。
「…………姫?」
訝しげに思いながら体を起こした王子は、足元にあるものに気が付いて、ぎょっとした。
ベッドの一番端に、シーツと天蓋の布に蓑虫のようにくるまる姫君が
うずくまって居たからである。
フェルデナンドは、少し照れくさそうな表情を浮かべながらも、
穏やかな笑顔をアマンダに向けた。
「アマンダ姫、おはようございます」
そう挨拶すると、アマンダは目に見えてわかる程、びくっと飛び上がった。
「お願い。見ないで」
「え?」
「………………………………あ、あなたに合わせる顔がないもの」
すっかり薬の効果が切れ、いつも通りに戻ったアマンダの声は、
蚊の羽音の様に小さいものだった。
「あんな事をしてしまうなんて、私、どうかしていたの。
いくら貴方の事を思い余っていたからって、貴方にあんな事を、あんなひどい事を………。
もう、消えて無くなってしまいたいわ」
「姫……」
「ごめんなさい。あなたを傷ものにしてしまって。わ、私、尼寺に行って、
尼になりますわ。だから……ご安心なさって」
「…………」
「そうすれば、私との事は、……無かったことに出来るでしょう?
貴方には迷惑はかけないわ」
傷もの、と言うのが自分の事だと思うと、思わず笑いがこみ上げてきたが、
フェルデナンドは慌ててそれを抑えた。
行儀悪く寝台の上を四つんばいで移動し、アマンダに近づく。
396 :
王女様の薬:2006/12/07(木) 14:30:16 ID:a6jUku/b
アマンダは真っ赤になったままで彼から顔をそむけて、目を瞑った。
「思い余って……とおっしゃいましたか?」
フェルデナンドが尋ねた。
「ええ。思いを抑えることが出来なくて、あんな事を………でも、だからって
許される訳じゃないのはわかっているわ」
「普段こんなに貞淑な貴女に、あんな事をされるなんて……」
アマンダは耳を塞ぎたい気分だった。きっと彼は私を見損なったと言うのだ。
「……僕はきっと世界一の幸せ者だ」
でも今はどんな言葉でののしられたって、何の申し開きもできない。
「……………」
アマンダは目を開け、おそるおそる彼を見た。
「今、なんておっしゃったの?」
「僕は幸せ者だ。貴女は自分には手の届かない方だと思っていました。
貴女のような大国の姫が僕などを相手にする訳が無いと思っていたのです」
「そんな、そんな……」
今にも泣きそうな顔で、アマンダは懸命に頭を横に振る。
「僕は、昨日のことを、一晩限りの過ちであったなどと貴女に言って欲しくないのですが、
いかかでしょう」
「フェルデナンド様」
アマンダは未だ信じられないといった面持ちで、彼の顔を覗きこんだ。
「………貴方は、本当にそれでいいの?」
「もちろんです。アマンダ」
フェルデナンドはアマンダの波打つ豊かな金色の髪を撫で、形のいい額に口付けた。
「だから僕を残して尼寺になど、行かないで下さいね」
そう言うと、その背中に腕を回し、しっかりと抱きしめた。
「…………ありがとう」
アマンダは小さく答えると、フェルデナンドの肩に額を乗せ、彼の匂いを胸いっぱいに
吸い込んだ。
*
日当たりの良い暖かな部屋で妹と午後のお茶を楽しんでいるところに、
侍女が包みを持ってやってきた。
「アマンダ様にお届け物でございます」
アマンダがそれを受け取ると、マルゴットが目を輝かせて身を乗り出してきた。
「今回は何が入っているのかしら。開けてみて、お姉さま」
「ああ、そう言えば、今日は婚約記念日でございましたね」
マルゴットの横に同席した亜麻色の髪の女騎士が口を挟む。
「アマンダ様とお茶会をするのはどうしても今日がいいと言い張るから、
何があるかと思っていましたが、この事だったのですか」
397 :
王女様の薬:2006/12/07(木) 14:32:06 ID:a6jUku/b
「だって、楽しみなんですもの」
呆れた顔の従者に対して、屈託の無い妹姫は、朗らかに笑った。
毎月決まった日──あの忘れられない出来事のあった日──に、アマンダの元には
決まってフェルデナンドからの贈り物が届けられている。
あの朝、アマンダは出立の前の彼と共に慌しく父親の元にいき、結婚の許しを願い出た。
寝耳に水の国王は、たいそう驚いた様子だったが、結婚の許可はすんなりと下りた。
もともと娘には甘い王であったし、普段めったな事では自己主張をしない彼女の
初めてとも言える前向きな意思表示に、王も側近もよほどの事、と思ったのか、
何も異論は無かったようである。
すでに親密な関係の国同士の結婚であり、政治的には新たな利益を生むことは無いが、
だからこそ、アマンダは平穏で幸せな人生を歩むことになるだろう。
来年の春に行なわれる結婚式の準備も着々と進んでいる。
彼が帰国して以来会う機会は無く、次に会うのは結婚式の前日という事になるが
二人の間では頻繁に手紙のやり取りが行われ、毎月の『記念日』には忘れずに何かが届く。
それは、小さなペンダントであったり、小さな焼き菓子であったり。
ささやかなものであるが、もともと派手なものを好まないアマンダには
そのほうが良かったし、何よりも彼のその気持ちが嬉しかった。
アマンダが包みを開けると、そこには柔らかい手触りのショールが入っていた。
「まあ、素敵」とマルゴットが感嘆の声を上げる。
ショールの手触りを楽しみながら話を弾ませる妹姫達の横で、アマンダは
中に入っていた手紙を広げた。
『親愛なる姫へ
先日は手紙をありがとう。
こちらでは早くも雪が降り始めました。
この雪雲がこれから貴女の国にまで行くのだと思うと、
雪雲さえもがうらやましく思えてきます。
お体を冷やさぬよう、ささやかな品を送ります。
気に入っていただけたら幸いです。
貴女のフェルデナンドより』
昼下がりの穏やかなお茶会。
恥ずかしがり屋のアマンダは、二人の話を微笑みを浮かべて聞きながら、
気が付かれないようにそっと彼の手紙を撫でた。
バルクルトの王宮に今年初めての雪が降るのも、もうすぐである。
(王女様の薬 END)
398 :
王女様の薬:2006/12/07(木) 14:32:51 ID:a6jUku/b
以上です。
読んでくれた方、どうもありがとう。
あまーーーーい!!GJ!
誰ですかー?
アマンダに色々教えたのはー?
フェルデナンド様が、またアマンダにされたくなるでしょー!
GJでしたー!
これ本当は妹もフェルナンドが好きなんだよね
でもアマンダの事を思って自分の感情ださないようにしてるんだよね
蓑虫アマンダ姫可愛いwww
もう微笑ましいやら可愛らしいやらエロイやらで、
大変萌えさせていただきました。
GJ!!
アマンダが可愛いすぎて萌え死にそうだw
俺の童貞ももらってください><
゚・*:.。..。.:*・゜(*´∀`)。. .。.:*・゜゚・*ポワワワァァン
王女様の薬シリーズ?楽しみにしています。
内気な姉姫が出てきたとき、あの薬を使うんだろうなと察しはついたけど
アマンダが全部飲むとは想像つかなかったので面白かった。
幸せいっぱいの二人にこっちまで幸せになります。ありがとう。
398です。
感想くれた方、ありがとうございます。励みになります。
自分の設定では、妹姫はフェルデナンドには恋愛感情は持ってないです。
彼がお義兄さんになってくれたらいいわね、程度の感情です。
このスレにはまるきっかけとなった、ラダメスやローランみたいに冷酷な将軍や王が囚われの姫を愛してしまう話が読みたいです。
409 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/11(月) 08:55:50 ID:cN0EuuEo
>>408さんへ
自分の希望を言う前に、
投下してくれた方への感謝もしようね。
職人さんいつもGJ〜!
>409
まぁ餅ついて。感謝も餅大事だけど『こういうの読みたい』雑談は
新たなSSのネタにもなるだろうし。
>408
オーソドックスだがそれがイイ
て感じだよな。
…俺はSM板にいた初代スレん時やってた囚われのお姫様の続きを
今だに待ってるんだけど作者さんこのスレにまだいるのかなぁ…orz
「今日のお散歩はいかがでしたか?」
ロウィーナの帰りを、バーンズ夫人は、にこやかに迎えた。
剣を教わっている事は夫人にも秘密だった。
言えば、すぐに止められる。ロウィーナは散歩に行くのだと嘘をつかなければならなかった。
慣れない剣の重さで水ぶくれの出来てしまった右手を、隠すように握り締め、
ロウィーナはつとめて明るく返事をした。
「ええ、楽しかったわ」自分の声が別人のもののように空々しく響く。
「さっき小雨が降ったようですが」「ちゃんと雨宿りしていたから」
エリスの問いかけに上の空で返事をすると、
ロウィーナは誰にも見られずに考え事のできる場所を求めて、寝台に駆け込んだ。
「少し疲れたの。お昼寝するからひとりにして」
「じきに、歴史の先生がお見えになりますよ」「今日はお休みする」
「ではお召し替えを」「このままでいいわ」「熱でも――」
夫人の手を払いのけ、ロウィーナは頭から布団を被った。「出て行って!」
ロウィーナは、夫人が天蓋を閉じ、扉を閉めて出て行くのを、布団の中でじっと待った。
ヘイゼルの唇が離れた瞬間、ロウィーナはわれに返った。
今のは何。ヘイゼルは私に何をしたの――。
お兄さま、わたし――。
動転していたロウィーナは身動きもできないまま、ヘイゼルの瞳を見上げた。
ヘイゼルは何事もなかったかのように剣を拾い上げると、ロウィーナの手に握らせた。
そして、剣を抱えたまま、わけもわからず立ちつくすロウィーナに言った。
「始めましょう、構えて」
二人はいつもどおりに稽古を済ませ、いつもどおりに別れた。
お兄さまのキスとは違う。
もっと、やさしい、そう、お父さまが頬にしてくださるように、
なんだかほっとするキスだった。
あれは、恋人同士のキスじゃない。ただの挨拶よ。でなければただの偶然の事故。
きっと何かの間違いよ。だって、ヘイゼルは何も言わなかったわ。
それに、わたしも、ちっともどきどきしなかった。
なのに、今になってなぜ――。ロウィーナは、布団の中で高鳴る心臓を押さえた。
わたし、どうして拒まなかったのかしら。どうして逃げ出さなかったのかしら。
あんな無礼を、一介の近衛兵ごときに許してしまうなんて。
お兄さま以外の人に触れさせてしまうなんて――。
なぜか、白い手袋をはめたアルフレッドの顔が思い浮かんで、ロウィーナは自分に激しい憤りを覚えた。
やはり、わたしは呪われているのだわ。
お兄さま、早く帰ってきて。
お兄さま、悪い子のロウィーナに、はやくおまじないして。
そうでないと、わたし――。
固く張った乳房に、鈍い痛みが走る。
心臓を押さえていた左手でこすれ、勃起してしまった乳首が服の上からでもはっきりわかる。
『お兄さま、くすぐったいわ……、あ、あ、いやん。だめ……、もう、やめて』
『嘘をつくな。これは何だ』
本心を隠そうとしても無駄だといわんばかりに、
ほんのちょっぴり触れられただけで形を変えてしまう、わたしのわがままな乳首。
『いたい!つねっちゃやだ』『じゃあ、どうして欲しい?』
以前は何の疑問も抱かずに口にしていた言葉が、この頃、急に言えなくなった。
あのね、お兄さま、先っぽにそうっと触れて、そうっとよ。
それから、ちゅってして。
お兄さま。わたし、それ、好き――。
あのね、なんだかぞわぞわするの。それでね、ここが、きゅんてなるの――。
息苦しい布団の中で、ウィーナは身体を固くした。
「あ……」
たらり、と濡れた感触が股の間を伝い、ロウィーナは思わず小さな声を上げた。
確かめるように、おずおずとロウィーナの指がスカートの中にもぐりこむ。
いつの間にか下着を濡らしてしまっていたらしい。
その場所に触れると、湿って暖かかった。
下着の上から、手を置いたままロウィーナは、眼を閉じた。
『ロウィーナ、自分で広げてみせなさい』『いや……』
『ここをこうやって』『いや、いやっ、おにいさま、手を離して』
自分で開いた場所を、ただ見つめられるだけの時間は永遠のようだった。
いろんなことが恥ずかしくなったのは、なぜかしら
これが、大人になるってこと――?
下着のスリットに指がもぐりこんで、生え始めたばかりの柔らかい毛に触れた。
最初の一本を見つけたのは、ヘンリーだった。
あの日のお兄さまは特別に優しかった。
あと少ししたら、本物の大人になれるんだよって、
ここにお兄さまが祝福のキスをしてくださって、それから――。
柔らかな舌が与えてくれた感触を思い出して、頬が、かあっと熱くなる。
柔らかな肉の隙間に、そっと指を忍ばせると
身体が、びくん、と反応し、驚いたロウィーナはとっさに手を引っ込め、
大きく肩で息をしながら、思わぬ刺激の余韻に浸った。
そして、心臓をどきどきいわせながら、もういちど触れた。
ここを、こんなふうに、舌で――。
「はぅ……」
ひと撫でした瞬間、出てしまった声は、かすかなため息だったのだが、
布団の中でロウィーナの耳に大きく響き、
隣の部屋にいるエリスに、今の声を聞かれてしまったのではないかと怯えたロウィーナは、
もう一方の手で、自分の口を押さえ、身体を固くしてあたりの気配をうかがった。
部屋はしんとしたままだ。
ロウィーナは、おそるおそる、指でさぐってみた。
やだ、たれてる――。
ぬるぬるした粘液が、ぎこちない指の動きを滑らかにする。
お兄さまの指がこうやって、くるくるって動くと、わたし、身体がびくんってなって、
頭がぼうっとしてしまうの――。
指先でくちゅっ、と音がすると、ロウィーナはますます顔を赤らめた。
『卑猥な音がするな』
『いや、いや、いわないで』
そう言うと、お兄さまはわざと前より大きな音を立てて、
わたしが困って何も言えなくなるってわかっているのに言うの。
『何の音だ』
わたし、きっとすごく変な顔をしてる。
すごく恥ずかしいのに、顔を隠しちゃだめだって、目を閉じちゃだめだって、
お兄さまがそれでいいって、ロウィーナはそれでいいって、その顔が好きだって、
それで、だんだん気持ちよくなって……、よくわからなくなって……、
わたし……、言ってしまったの…………。
ロウィーナの指の動きはだんだん速く、的確になってきた。
お兄さま、や……、ごめんさない……、もう、言えない……、あ……、
やっ……だめ……、そんなにこすったら、だめ……、
わたし……がまんできない……、
また、へんな声がでちゃうわ……、
お兄さま、あ、あ、どうしよう、どうしよう、きもちいいの、すごくいいの……、
わたし……、わたし…………。
『ロウィーナ、逝くって言ってごらん』
『や……』
押さえた口の下から、くぐもった甘くせつない声が漏れた。
息を切らし、汗を滲ませ、胸の鼓動を響かせながら、
ロウィーナは自分のしてしまった事を、早くも後悔していた。
わたし、なんてことを――。
目の前にかざした手の指は透明な液で濡れそぼり、
その下で、皮膚が破れて体液の染み出した水泡が、心臓の鼓動にあわせてずきずきと痛む。
自分を駆り立てた衝動が何なのかを、ロウィーナは理解できずにいた。
引き寄せた枕のひんやりした場所に顔をうずめても、頬の火照りはなかなか収まらない。
けだるい身体をもてあますように、熱い息を吐きながら、
ロウィーナは何度も何度も寝返りを打ち、ここにはいない兄の姿を請い求めた。
お兄さま、早く帰ってきて。
息が止まって苦しくなるまで、強く抱きしめて。
お前はいけない子だって言って。
おねがい、おねがい、わたしをきつく叱って――。
終
ロウィーナの背徳感がひしひしと伝わってきました。
今日も大変GJでした。ありがとう。
>410
初代スレのSSはどれも好きだ
あのスレの住人はもういなくなってしまったんだろうか…
一口に姫萌えと言っても、陵辱派からハーレクイン系までいろいろあると思う
ここはそういう間口の広いところが好きだ
418 :
408:2006/12/13(水) 09:27:25 ID:lg8txCzz
言葉が足りずにすみませんでした。もちろん甘いラブストーリーやコメディータッチの作品も大好きです。暁の風の未完が惜しい。ラダメス将軍最高だったから続編期待してたのに。
暁の風はホントにいいところで終わってるねえ。
未完が惜しいね。
トリップ付きでの雑談お許しください。
もしかして保守の意味を誤解されているのではないかと不安にかられてしまいました。
あれは、作品待ちの暇つぶしの意であって、書き込みがなければということではありません。
多少なりともネタフリになればと思ったのですが、
他の書き手の方と被らないよう、暗めの話を選択したのであまり盛り上がりませんでしたね。
(出だしがあれなので、さすがにギャグには走れなかった……)
雑談の妨げになるようなら、投稿の間隔をあけようかと考えています。
よければご意見をお聞かせください。
いや、自分はああいうシリアスな話大好きですよ!
いつも楽しみにしてるし、そんな謙遜とかしないでください。
一瞬、ネタフリがフタナリに見えて………いや、なんでもないです。ゴメンナサイ。
?
>>420はどのあたりのレスの話題についていっているの?
話が見えないので教えて。
>>420 間隔あいちゃうなんてヤダヤダ!
早く続きが読みたいよ!
いつもありがとう。
とりあえず投下させてもらっていいですか?
9話
塔の窓から魔法士が城を出ていくのが見えた。
白雪はそれを見送っている。
「帰されたのですか?」
兵士の方に振り返る白雪、眉をひそめる。
今日は会わないと言ったのに。白雪はため息をつく。
「あの人、なんだかお母様に似ている気がしたの…」
「本人…だったんでは?」
「ええ、でもどうかしらね?以前魔法士から手紙が届いたのよ。あれからは下心のあるような
感じは読みとれなかったわ…」
しかし、妖しいことには変わりない。
なぜだかやたらと白雪があの林檎を受け取ることに執念を燃やしていたように見えた。
「それにしても、…あれから数時間経っているのに今頃でてくるなんて…一体今まで
何をしていたのかしら…」
「ああっ!!」
いきなり、兵士が大きな声をあげるものだから白雪はひどく驚いた。
「どうかしたの?」
「鏡がありません…!ここに掛けたはずなのに…」
鏡とはあの『魔法の鏡』のことだ。あれは白雪が一度とりはずし
また再びこの壁に掛け戻したはずであるが。
「…どうして?…ではやっぱり…」
白雪は窓辺に駆け寄る。
「!」
窓の外では先ほどの場所とかわらないところで魔法士が立っていた。
こちらを見上げて笑っている!
「キコリ…!あの人を……っ」
追って…と言おうとしたところで白雪は床に手をつく。
貧血をおこしたように目眩がする…。
驚いた様子で兵士が白雪に手を貸す。
「大丈夫ですか!?」
「…な、なんでもないわ…。それよりも早く!」
ふらつく身体を兵士に支えられなんとか立ち上がる。
まだ身体のどこかが痺れているような気がする。
「では、姫はここで休んでいて下さい」
「いえ!冗談でしょう?私も行きます。後から行きますから早く」
「しかし…」
「いいからさっさと行きなさい!」
兵士は何度か心配そうに振り返りながらも、白雪の命令に渋々従った。
*
身体の変調はだいぶ良くなった。
「追わなくては…」
白雪は階段を駆け下りる。
回廊を抜けて、偶然厨房の前を通った時のことだった。
人だかりができている。
「何の騒ぎですか?」
「姫様!料理長が!」
白雪に気づいた人々は、彼女に道をあける。
厨房の奥の方には食材などを入れていると思われる樽があった。
なぜか床に転がされている。
「…はじめ料理長がいなくなっていることに気づいたのは、昼過ぎのことで
ございました。不信に思い、我々が探しておりましたところ…」
ゴロゴロゴロ…
誰かが樽を転がし、白雪にその中身を見せる。
「な……なんてことを…!!」
白雪は口に手をあてて驚愕する。
そこにびっちりと詰め込まれていたのはこの城の料理長であった。
大きな体を狭い樽に窮屈な体勢で押し込められていたのだ。
一体誰がこんな酷いことを…。誰かがそう呟いた。
しかし、すぐに白雪には検討がついた。
こんな尋常じゃないような真似を一人しか考えられない
「あっ!姫様どこへ!?」
白雪は答える余裕もない様子でその場を走り去っていった。
誰かがぽつんと言った。
「ところで、生きてるのかしら?この人」
「…ぅう…いいから出してくれ…」
生きてたようである。
*
白雪は城門の前まで来た。しかし魔法士もお妃の姿もなかった。
だが白雪はすぐにドレスの裾を翻し、別の場所へ急ぐ。
前に城から森へ一人で抜けた時のあの秘密の通路を使うのだ。
案の定、城からはすぐに抜けることができた。だが…問題はそこからだ。
「鏡を盗まれてさえいなければ…」
すぐにでも居場所を突き止めることができたかもしれないのに…。
「あら?盗むですって。人聞きの悪い娘ねぇ…」
聞き覚えのある女の声がして、白雪は肩を揺らした。
振り返らずともわかるその気配は…。
「あれはもともとわたくしのではなかったかしら?白雪…?」
「お母様…」
「呪いを解く方法を知りたいのでしょう?だったら素直にわたくしにお願いすればよろしいのに…」
「お願いして簡単に解いてくださるつもりだとでも?」
「ふふふふふっ」
お妃はいかにも可笑しいというように白雪をみた。
白雪はお妃の様子に、柳眉を上げた。
「何が可笑しいのですか?」
「ふふふ…。無理よ…本当にお馬鹿さんな白雪…ほほほほ」
お妃は口に手を宛て、笑い声を立てた。
「あれはね…、ふふ」
意味ありげにお妃は、白雪に視線を投げる。
「何がおかし……、いの…?…?」
(また、目眩が…それに身体が痺れて…)
頭がぼぅっとする。よろけた白雪は近くの木にすがりつく。
「ふふっ、林檎の効果が効いてきたみたいねぇ」
お妃が口にした言葉に白雪は目を剥く。
「うそです。私はあの林檎を食べなかったのもの…」
「いいえ。食べたわ」
お妃は勝ち誇ったように言った。
彼女は足元のおぼつかない白雪に近づいてくる。
なのに頭の中が霞みがかったようにぼやける。
力の入らない白雪の手首を掴み、地面に引き倒した。
「一刻前の事も忘れてしまったのかしら?」
「まさか…」
お妃の言った一刻前で思い出した。
その時、白雪はちょうど昼食を摂っていた。そして最後にデザートを…。
「わたくしの作った林檎のタルトは美味しかったかしら?」
お妃は白雪を地面に組み敷きながら、実に魅惑的な笑みを浮かべた。
「料理長を樽に詰めたのはあなただったんですね…」
「ほほほほ…だってなかなか厨房に入れてくれないんですもの。だからああして片づけて差し上げたの。
……わたくしの邪魔をするものなど皆いなくなってしまえばいいのよ!」
あの不憫な料理長はさぞ驚いたはずであろう。
なにせ行方不明になっていたはずのお妃が、突然厨房にあらわれたのだから。
白雪が城に帰ってきた時大騒ぎになったように、お妃が帰ったとなれば同じように大騒ぎになったはずである。
お妃はそんな騒ぎになるのを防ぐために(この場合、城の者に動揺させぬためではなく、自分の行動の邪魔を省く意味)
あのような行動を取ったと思われる。
「キコリをヘビの姿に変えたのもお母様ですね?」
「………誰だったかしら?その者は」
「城門の番をしていた兵士です。ドワーフの森では私の共をしてくれていました」
お妃が顔色を変えたのはすぐであった。
「はっ…あの男…!せっかく命までは捕らないであげたのに…!恩知らずな…っ」
「やっぱり…」
「まさか白雪、あなたあの男を助けたのね?!」
彼女は美しい顔を一変、邪悪に顔を歪めた。
「ほほほ。いいのよ、白雪。そんな心配そうな顔をしなくても、今度あったら豚か鶏にして焼いて食べてあげるわ」
「…なっ、お母様!!」
お妃は白雪のドレスの裾をはだけさせた。雪のように白い足が露わになる。
「…綺麗な足ね。真っ白で雪のよう。触れていると滑らかでそれでいて瑞々しい
…そしてこう舌で撫でると、さぞかし甘いのでしょうね…」
お妃は指を白雪の肌に滑らせた。白雪はその指がお妃の舌のように感じて、
肌をざわつかせた。
「お母様…やめて…、お願いです…」
「あの男には簡単に肌を許すのに…本当に貴女って娘は…」
お妃は嫉妬に狂ったように、白雪の服をはぎ取った。
林檎の影響なのか、身体に力の入らない白雪は簡単に裸に剥かれた。
白雪はお妃の恐慌におそれを感じ、悲鳴を上げた。
「…わたくしに従って大人しくしていれば、わたくしだって貴女に優しく扱って
さしあげたのに…、ここまでさせたのも皆、貴女のせいなのよ?白雪」
「お母様…、それは…。その手にしているのは何ですか?」
「ああ…これはね?」
お妃はその手に装飾のされた小箱を持っていた。楽しげな顔をしてお妃は箱の蓋をあけてみせた。
白雪はそれに目をやった次の瞬間、血の気が一気に引いた。
「わたくしも男達のように貴女を悦ばしてさしあげたいと思っているのにね、
わたくし男共とちがってアレを持ち合わせていないでしょう?だから今までとても悔しかったのよ」
箱に丁寧に保管されていたのは、男性器をかたどったもの。しかも双頭だ!
顔をひきつらせ白雪は戦慄した。
「これを使って、貴女がわたくしのものになるって誓うまで犯してさしあげるってものいいわねぇ」
「や…、待って…。止めてお母様…いやっ」
白雪はいやいやと首を振った。だがお妃が覆い被さってきてまるで地面に縫いつけられたように動けない。
悔しさのあまり手のひらに爪がくい込むほど拳を握り込む。
「…でも、残念。貴女は林檎に含まれた『毒』の影響できっとわたくしに愛を誓う前に
意識を失ってしまうわね」
お妃は祈るように両手をあわせた。うっすらと開けた目は陶酔して潤んでいる。
が、白雪はお妃の口にした言葉に耳を疑った。
「な…んですっ…て……、この私に…『毒』…を仕込んだのですか…?」
「ええ、そうよ。貴女が母であるわたくしのいうことを聞かない淫乱な悪い娘だから」
お妃は閉じられないように白雪の腿に自分の片足を挟んだ。
彼女は面白そうに指で下着の上から白雪をなぞる。
「…や…っ、あっ…、んん…」
執拗に弄られて白雪は身を捩った。
首にお妃の吐息がかかる。
「可愛い白雪。もうここが湿っていてよ?」
お妃は満足そうに白雪の下着を取り外した。
「あぁ…白雪。こんなことをする私を許して。でも、どうしても貴女が欲しいの!」
次にお妃は、持っていた張り型で白雪の胎内を突いた。
「…あぁあああーーっっっ!!!」
下腹部を襲う衝撃。
白雪は異物の入ってくる苦痛で絶叫を上げた。
「素敵…!素敵よ!白雪ったら王女でありながらこんなイヤらしいモノを
生やして!こんなにはしたない声をあげて!」
興奮したお妃の声が聞こえる。
あまりのことに、自分でこのようにしておきながら、と白雪は言えなかった。
白雪はこの時以上に彼女に恐怖を抱いたのは今までなかったと思う。
お妃は逃がさんとばかりに白雪の肩を掴んだ。
「…いやぁ…っ、お母様…抜いて…、これを抜いて…っっまって、いやっ
来ないで、こないで!!いやぁぁぁーーーっっっ!!」
「ほほほほほ…、ほーほほほほほ、おほほほほほーー…」
お妃の高笑いは永遠のように響く。
お妃の手はぐいぐいと白雪の最奥を責める。
内部をえぐられるような強い感覚。
「…きゃぁぁっ…ああっ、あああーーーっ!」
そのたびに白雪は快感とも苦痛とも知れぬ鳴き声をあげた。
しばらくしてぐったりとなった白雪。
白い裸身は、人形のように生気がない。
臥せられた目蓋は閉ざされていて、ぴくりとも動く気配すらなかった。
お妃は彼女から張り型をようやく抜き取った。
「白雪…」
お妃は愛おしそうに白雪の頭をその胸に抱いた。
そして、白雪の粘膜で濡れた張り型を自分の中に埋めた。
「…これで、ひとつになりましょう。白雪…」
終
このままお妃に突っ走らせる?
>>427 できればいっちゃって欲しいw
いやわりと本気でお妃×白雪プッシュなのだが
「男に体許すなんていやらしい!」
とかお妃と一緒に叫びたいのだが
でも白雪がなびかないからこそ面白いのかなぁ…。
とりあえず変態百合お妃最高。
>>420 お姫様が好きで純愛が好きで近親が好きで
中でも兄妹が大好物な自分はどうしたらいいのですか!
作者さんにはつなぎ以上の意図がないようだが
自分は金払ってでも読みたいくらいロウィーナを楽しみにしているよ。
ひとつひとつの話も好きだし結末も気になって仕方ない。
後生だからペースを落とすなんて言わないでくれ。
リアルが理由ならいくらでも待つが
スレを気遣いすぎるあまりってのは悲しい。
そもそも雑談こそが投下待ちの暇つぶし・ネタフリなのに
雑談のために投下を控えるなんて本末転倒にすぎる。
日本はどうなってしまうのか。
>>427 好きな方向に突っ走っちゃってください!どこまでもついていきます!
料理長がちゃんと生きてるからこの話好き。
>427
いっちゃえいっちゃえ
突っ走っちゃえ!
相変わらずサイコー。
合間の()での補足とか微妙に突っ込み入ってる地の文とかもう大好きだよ。
>428
エロパロから日本の将来にまで思いをはせるおまいに乾杯w
ワロタ
読んできた。はまりそうだw
>>427 突っ走るに一票!
>>420 確かに感想以外の話題を振りにくい雰囲気はあるかも。ノリも悪いし
いや、好きにしてくれていいとは思うんだけど
>>421 モロチンの人?
>>427 意地でもお妃の思い通りにはさせないのに一票。
でもキコリが助けてくれるとかドワーフが助けてくれるじゃなくて…だめだ思いつかない。
強い白雪たんが自力でなんとかするのがいいね。
ラストは妃と白雪とキコリの3Pとか
436 :
421:2006/12/17(日) 00:08:32 ID:AaBDQC59
ご意見ありがとうございました。
感想レスの後、ぱったり話題が途切れてしまうのが、ずっと気になっていました。
たまには単なる萌え話に花を咲かせるだけの時間があったほうがいいのかなと、
間隔をあけてその分一回の投下量を増やすのも悪くないかなと、そう考えた次第です。
ひょんなことから書く側に回ってしまったけれど、SSや姫萌え話が読みたいから、
ここにいることをご理解いただければと思います。
当分は今のペースで続けることにします。お騒がせして申し訳ありませんでした。
気にせずにどんどん投下しておくれ。
雑談になるときはなるし、ならないときはならないもんだよ。
ロウィーナの話は好きだからぜひ続けてほしい。
思ったんだがssとssの間にスレの動きが止まるの嫌なら全部一度に投下してしまえばいいのでは?
自分はラストまで書き上げてからしか投下したことないからよくわからんがもしかして書きながら投下してるのかな。
書きながら、です。。。
各職人さんによってやり方は様々だろうがある程度書け次第投下してくれたほうが自分(全裸で正座して待っている)はうれしいな
>>439>>441 >>256のような意図で細切れ連載してるようだから、
まとめて投下じゃ意味がなくなってしまうんじゃないかな?
>>437 自分はむしろペースをあげてほしいw
けど、もし萌え談義を切るのが気になるなら
話が盛り上がってる時は控えつつ
話題がなさそうな時は一日おきくらいのハイペースと
緩急つけてみるのもありかもしれない。
…色々言うとかえってややこしいかな。
まあ、あれだ。どこまでもついてくんで
負担にならない範囲で好きにしちゃってください。
今気づいたけどここもう500KB近いな…
翌日、ロウィーナは悩んだ末、稽古場に足を運ぶことにした。
ヘイゼルはいつものように、部屋の前で待機していた。
「ヘイゼル……」「行きましょう」
ヘイゼルは相変わらずそっけなくて、取り付く島がない。
キャシーは、さっさと厨房へ逃げ出してしまったものの、
ロウィーナはどうしても話を切り出せず、二人は押し黙ったまま稽古場に到着した。
前日のあれはなんだったのか、ロウィーナはヘイゼルの真意を確かめに来たつもりだった。
しかし、ヘイゼルはそのことにはまったく触れず、厳しい表情で練習の開始を告げた。
有無を言わさないヘイゼルの態度に、ロウィーナは仕方なく剣を抜いた。
どうして何も言ってくれないの。どうして説明してくれないの。
いったいなぜあんなことをしたの。
キスをされたことよりも、ヘイゼルがそのことを気にも留めていないことのほうが、
ロウィーナにはショックだった。
「ぼんやりするな。かかってこい」
ロウィーナの剣は空を切った。
「どうした、そんなへっぴり腰では、かすりもしないぞ」
よろよろと構えなおすロウィーナに、容赦なくヘイゼルの罵声が飛ぶ。
「へたくそ。やる気がないなら帰れ」
何度やっても同じだった。ヘイゼルは剣を下げた。「今日は、止めだ」
「待って」ロウィーナはヘイゼルの腕を掴んだ。
「これ以上やっても無駄だ。帰れ」ヘイゼルはその腕を冷たく払った。
「今度はちゃんとするから、もう一度お願い」
「だったら、もっと集中しろ。剣を持ったら、余計なことを考えるな」
今は、忘れなければ。お兄様のためにもっと強くなると誓ったのだもの。
雑念を払おうとロウィーナは頭を振った。「いいわ、始めましょう」
ヘイゼルは黙って剣を構え、ロウィーナはヘイゼルに斬りかかった。
しかし、最後の瞬間、ロウィーナの視線はヘイゼルの唇にたどり着いてしまった。
「この馬鹿!死にたいのか!」
戦意をすっかりなくしたロウィーナの手から剣が滑り落ちる。
もともと今日は練習などするつもりはなかったのだ。
「いわんこっちゃない。じっとしてろよ」
ロウィーナは、自らヘイゼルの剣に触れてしまったらしい。
前腕についた細い傷から血がたらりと流れ落ちるのを、ロウィーナはひとごとのように眺めた。
「どうして――」
「あなたが油断するからだ。あれほど言ったのに」
ヘイゼルは不機嫌そうに言った。傷口にヘイゼルの唇があてられる。
「どうして――」
「小さな傷が元で亡くなる人もいる。刀傷を侮ってはいけない」
応急処置を施し、ヘイゼルは薬を取りに立った。
治療を済ますと、ヘイゼルは言った。「痛みますか」
「いいえ」「血が止まるまで、動かないほうがいいでしょう。そっちの手も出して」
「え?」「皮がむけているだろう。隠してもわかる」
渋るロウィーナの右手を強引に取って、手当てを施し、
ヘイゼルはロウィーナの青ざめた顔を心配そうに覗き込んだ。
「許してください。私のせいです。それにひどいことを言ってしまった」
「稽古中に考え事していたわたくしが悪いのよ。自業自得だわ」
「何を考えておられたのです」
「……昨日のこと。お前が……、その……」ロウィーナは口ごもった。
「やはりその事だったのですね」
「どうしてあんなことをしたの」
「あなたが」ヘイゼルは目線をそらした。「誘っているのだと思った」
「まあ!」想像もしていなかった返事に、ロウィーナはうろたえた。
「わかっています。あなたにそんなつもりがないことぐらい。
でも、あなたはあまりにも無防備で――」
ヘイゼルはロウィーナを見た。「今もそうだ。自分でお気づきではないようですが」
「ヘイゼル、わたしそんなつもりでは――」
「ロウィーナ姫」ヘイゼルは吸い込まれるようにロウィーナに体を寄せた。
「そうやって、またわたしを迷わせるおつもりですか」
ロウィーナの唇にヘイゼルの熱い吐息がかかる。
「私はまた誤解してしまいそうになる」
ヘイゼルは目を閉じた。
そして、再び眼を開けると言った。
「練習は当分中止です。傷がふさがるまで、安静にしてください」
そして、姫に貞節を誓い、孤独な戦いに明け暮れる高邁な騎士もかくやとばかりに、
傷ついたロウィーナを、うやうやしく抱え上げた。
「部屋までお送りします。姫」
部屋に戻ったロウィーナは、さっそくバーンズ夫人に腕の包帯を見咎められた。
「ロウィーナ様、その手はどうなさったのです」
「エリス……」ロウィーナは夫人に抱きついた。
「姫様?」
ロウィーナの目になぜか涙があふれた。
いつまでも泣き止まないロウィーナを、エリスは何も聞かずに抱きしめてくれた。
エリスの胸は昔と変わらずやわらかくて温かい。背中をさする手の、規則的な動きが心地よい。
なのに、どうして泣けてしまうのだろう。
どうしてこんなに悲しいのか、どうして涙が止まらないのか、
その時のロウィーナには、自分を納得させられるだけの明確な理由など、思いつけるはずもなかった。
「人前で涙を見せてはならないと申し上げたはずですよ」
ロウィーナが落ち着くまで待って、バーンズ夫人は静かに言った。
「だって、エリスは特別でしょう、わたし……」
「いつまでも子供ではないのですから、泣き虫は卒業してください。よろしいですか、
召使の前でも決して気を緩めてはなりません。誇り高き王家の一員である事を常にお忘れなく。
それに『わたし』ではなく、『わたくし』です。いい加減に慣れてください」
「これからは気をつけるわ」
「当分、お散歩はお止めになったほうがいいでしょうね」
夫人は、泣き濡れたロウィーナの顔を拭いながら言った。
「剣のお稽古も」
予定していた原稿が入りきらないようなので、続きは次スレが立ってからにします。
すみません。立てられませんでしたorz
どなたかよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
埋め用に萌えネタ提供してみよう
このスレでは定番の囚われの姫だがお前らが萌えるのはどれよ
1.徹底陵辱→姫壊れる(ラノベ的展開、エロまっしぐら)
2.姫調教(初代スレ的発想)
3.陵辱→やがて二人に純愛がっ!(王道か?)
4.姫救出→助けた男とエロ(ロウィーナタソ?)
5.姫自力で逃げ出す(白雪タソ?)
6.意外な展開(例:王子には携帯チェックを欠かさない婚約者がいて姫には近寄ることも出来ず…合掌)
7.その他
実は誘拐した方が味方でそれに気付いた姫と純愛
調教かな。
高貴でツンツンな姫がだんだん快楽の虜になっていくていうパターンが好き。
相手は心の奥底に愛を秘めた美形でもいいけど
どっちかつーとゲスな野郎な方がモアベター。
…特殊趣味なのかなぁ、ゲス野郎×姫様。あんま見ない。
愛のある関係なら素直クールな姫様と
身分違いの方からの求愛に困る(けど嬉しい)兵士とかそんなんがモユル。
>>452 それいいな。SS化希望。
世継ぎ問題の事情で男装を強いられている王女と
幼馴染の従者の秘められたエロなんてどうだろう。
お姫様・男装少女・女兵士・主従要素すべててんこ盛りで。
>>451 とある国の
姫A陵辱→壊れははしないが名誉も地位も失い、国を去る
→魔女か敵国の女将軍として登場し、魔法や手下で姫Bを陵辱
Aはもともと王族なので、人間関係や王家のしきたりなど
内部事情に精通した者にしかできない責めが可能
なお、同じ国の姫なので、姫Bは姫Aの親戚(姪あたりが自然だが、
妹、親友、またはAが陵辱去れたときに産み落とし引き取られてた実の娘なども可)
なりゆきによっては陵辱者Aが祖国の騎士に逆陵辱されることも
>3.陵辱→やがて二人に純愛がっ!(王道か?)
出版物で姫系の物語とかあまり知らんし、少女漫画(?)なんかも
詳しくないんだが、
陵辱された奴と恋に落ちて純愛になるのがスタンダードなの?
「美女と野獣」みたいな感じか?
自分的には、自分を陵辱した男を好きになるってすごい
荒唐無稽な話なんだけど・・
(てか最近の少女漫画雑誌はそんな方向ばかりという話だが)
陵辱→純愛って、このスレでも結構あるような……
ローランとアグレイシアとか、テオドルとアーデルハイドとか、
イヴァンとナタリーとか、マチルドも!?
アグレイアだったorz
作者様スマン
他スレでもそれなりに見るよ。
自分では受け入れられないシチュも結構需要があったりするから
「人の好みなんてそんなもんだ」くらいに思っといたほうがいいんでないの。
461 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/26(火) 22:14:18 ID:Z6yTvcMq
武田信玄と諏訪御寮人とか、テムジンとクランとか、豊臣秀吉と淀君とか・・・?
>>457 >自分を陵辱した男を好きになるってすごい荒唐無稽な話
昔は選択の自由が少なかったり、受け入れるしかないことが多かったりしたわけだし
あと精神的なダメージを癒すために無意識のうちにあとづけで「好き」ということに転化されるのかもしれんし
ストックホルム症候群みたいなこともあるし
…ていうかエロパロ板に投下された作品群に対して荒唐無稽とかいわれても…
全部妄想ファンタジーの産物なんだからそんな突っ込みは野暮というものよ。
この流れをみてたら誤爆のスレで
>「愛辱」とやらのシチュのスレを作って、そっちでやれば誰にも文句言われまいよ。
というレス見たのを思い出した。
「陵辱」に「愛」が混ざると気持ち悪いっていうのが特定の人達にはあるのかな。
個人的に、「愛憎」という言葉は大好物なんだがね。姫と愛憎!これが堪らない!