2ゲト
乙。
6 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/08(火) 00:30:08 ID:M1NQvUlK
ないす
7 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/10(木) 23:41:18 ID:79CnUuwd
乙
8 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/12(土) 23:37:11 ID:nv5Jo3tQ
スレ立て乙です
これからも盛り立てていきましょう
9 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/16(水) 01:59:39 ID:WFQ5n98m
ほ
書きたいのにネタがないときた
リクエストとか受けつけてみてもいいだろうか
エロは相変わらず無理ぽい
澪繭極上甘々とか澪セメってのがソソル
確かに澪攻めみたい、最近なかったよね?
おまいらよくぞ言った。俺も澪繭みてー。
だってパンツ撮影してんだよ?普通それより先に進むって!!
澪繭みたいな。まぁ気長に待つしかないのかね…
このスレってエロパロなの?w
前スレにエロいSSってあったか?
16 :
クスリ(4):2006/08/20(日) 23:04:04 ID:DYsm3R2W
すいません。
全スレあふれたので、そこからの続きです。
=======================================================
がこん!(じゃりっ)
(いっ……。)
いやというほど勢いよく、壁に側頭部を打ちつけた。
髪の毛と壁紙がこすれる音も聞こえた。
一瞬、意識が飛ぶ。
リバウンドした頭は、ベッドの上に落ちた。
ずりりっ。
散らばった意識の中で、体を引き寄せられる感覚。
気がつくと、ベッドの上に、仰向けに澪に組み敷かれていた。
「いった、頭いた……。」
打ち付けたところをさすろうと手を伸ばしかけたが、右腕はのしかかる
澪の体の下に入ってしまっていて、動かせない。
起き上がろうとしたが、それも難しい。
「澪、ちょっと、まって……。」
もがいたが、しっかりと組み敷かれていて動けない。
左手、左足は澪の体の下から外れていたが、
それでも、体勢を入れ替えるのは難しそうだ。
はーっ。はーっ。はーっ。
首筋に押し当てられた澪の口から、いやに熱い吐息が繰り返し噴出す。
それが繭の肌を刺激する。
ぞくぞくするような痺れが、繭の体を斜めに走った。
同時に気がつく。
澪の体の下に入ってしまった、右足の太もも。
そこにちょうど、澪の腰が、またがるように乗っている。
その腰の滑らかな動きに。
17 :
クスリ(5):2006/08/20(日) 23:04:35 ID:DYsm3R2W
(え……? え……?)
ありえないと思った。でも事実。
澪がゆっくりとその場所を、繭の体に押し付け、体を上下させている……。
はーっ。はーっ。
続いている、荒い呼吸。
先月の初め。七夕の夜に、自室に飾られた短冊に、こっそりと書いた願いことを思い出した。
『澪が私を必要としてくれますように』
願いがかなったのだろうか?
薬は使った。確かに。家の屋根裏から出てきた。
小さな木製の丸い筒に入った、漢方薬のようなもの。
掠れて見えない薬の名前。なんとか丸。
一粒飲んでみると、夏の暑さに疲れた体に、みるみる力が戻ってきた。
思ったのだ。これってもしかして、精力剤みたいなもの?
じゃあ、澪に飲ませたら、どうなるのかな? たとえば、今の10倍くらい。
その結果がこれだった。
邪道だと自分でも思う。でも、今はやってよかったと思う。
澪が私をほしがっている。それがわかって、うれしかった。
「澪……? どうしたの? 重いよ、どいて……?」
心にもないことを言ってみる。果たして、澪の返事は。
「ごめん、お姉ちゃん……。」
相変わらず熱い吐息。
「無理。」
その言葉と同時に、唇を吸われた。呼吸が合わずに息が詰まる。
でもうれしい。自分の体に回された腕に力が込められるのを感じた。
うれしい。幸せだ。
澪の唇が首筋をとおり、体に降りていくのを感じながら、
繭は体の力を抜いた。
18 :
クスリ(6):2006/08/20(日) 23:06:07 ID:DYsm3R2W
それから、一週間。
部屋の中はエアコンが効いて涼しかったが、
絡み合う少女の体は汗ばんで、互いの肌をすり合わせるたびに、
湿った音を立てた。
白い蛍光灯の光に照らされる、細いからだ、二人分。
「ごめんなさい……。ごめんなさい……。」
泣きながら誤り続ける澪。でも行為はやめられず、体を動かし続ける。
「大丈夫、澪。気持ちいいよ。」
ベッドに体を横たえ、自分の体を求め続ける妹の髪をなでながら、
繭は明日は薬を増やしてみようとぼんやり思った。
薬はまだ、たくさんあった。
おわり
===============================
というわけで、前スレ終了しました。
「ごめん、お姉ちゃん。無理」
の台詞にハァハァしますた
ゴチ!
澪エロすぎるwwwwwGJ!
澪の「あ、だめ、ほんとあっつい。やーもー」がリアル!
繭の「気持ちいいよ」が可愛すぎ!
GJすぎ!
>>18 乙!前スレ埋めも乙!
ところで・・どうも飲んでるのが万葉丸みたいだしコレ、実は繭が薬のせいと思って
るだけで実は澪マジだったりしてw
俺は個人SSサイト群で澪繭に目覚めた口だけど本当いいもんだよなハァハァ(;´Д`)
>>10 ギャグも待ってるから!
23 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/22(火) 00:22:28 ID:l7G9IS9M
gj
24 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/23(水) 01:29:00 ID:zevKHqRF
>>18 GJ!
ホント 皆神村は神だらけだぜ!フゥハハハーハァー
25 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/23(水) 10:55:15 ID:k6ULjQS1
皆、神
久し振りに紅い蝶のプロローグを見たのだが
「お姉ちゃん、イッちゃ駄目ぇ」
の声に無駄な妄想力が掻き立てられた
>>521 >HNが取り扱いジャンルの好きなキャラ名っぽい。
ここが既にイタイ管理人の代名詞だからなあ。でも
>>523も言ってるけどあんまり
馴れ合い杉ると同類扱いされる事あるって。色々付き合いとかもあるから難しい
だろうけど上手くカンガレ。
うわココか!誤爆スマ疎
イクのも一緒だよね約束だよね
一緒にイこう・・・もっと深くもっと、もっと・・
ギャグの人動きないな
じゃあ俺が…ww
暖めてる話はあるのだが、技量が付いてこない
35 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/28(月) 19:06:53 ID:w9gCQnXF
36 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/29(火) 21:53:00 ID:YCIs3Igx
そうだ!自信を持て!
37 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 01:25:17 ID:kXs0E3hb
さて、そろそろ保守が必要か。
いつか読んだ人がひっくり返るくらいすんごいエロを書いて
神様と崇められたいと半年前から思っている今日この頃。
何か投稿しようと考えてはいるのだが・・・なかなか
上手く書けないものだねえ・・・。
40 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/09(土) 21:01:47 ID:Qf/C26qe
保守
澪・・・どこなの・・・
42 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/14(木) 09:02:10 ID:11ix0OHx
ここに…いるよお姉ちゃん
43 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/14(木) 22:13:09 ID:WP6sih9e
儀式を…続けろ
絡み合う儀式を…
45 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/15(金) 21:22:13 ID:MeZOuYSP
さもないと…
螢の命はないものと知れ
怜・深紅・澪・繭「そこはまぁどうでもいいです」
怜・深紅・澪・繭「だってヘタレだし…」
怜「じゃあ、みんなで『絡み合う儀式』をしよっか」
深紅「パーティですか?」
澪「え…えぇっ? 怜さん何を言っ……んっ」
繭に唇を塞がれる澪
繭「パーティじゃなくていいんじゃない?
上手くカップリングができてるし★」
怜「カップリングって…w 深紅は相違ない?」
深紅「あ…えと…、ありません(赤面)」
49 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/16(土) 20:24:40 ID:UXSDQs8p
螢「お、俺も・・・」
優雨「やらないか」
真壁「うほっ」
優雨「こいつをどう思う?」
螢「すごく・・・イカ臭いです・・・」
なんだこいつらwwww
パシャ・・・ボワァーン
掘り続ける男たち
-1000000000point
パシャ…ボワァ〜ン
絡み合う女たち
100000000point
怜「優雨・・・やだ恥ずかしい・・・。ああん、そんなところを
触らないで。・・・・・・あ、どうして螢さんがここにいるの?!
深紅のお兄さんまで・・・!!」
4Pも5Pもいらっしゃい。
真冬兄さんはあっちで霧絵さんとソフトSN中なので参加できません
あしからず
微妙に間違った、SNってなんだよSMだよ信号雑音比ってなんだよ
縄で吊ってくる
ケイ「イカシテ」
優雨「イカシテイイノ?」
62 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/24(日) 19:38:04 ID:7Hy6vTwv
澪「叔父さんキモい…」
繭「失せろ・・・」
63 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/24(日) 20:10:15 ID:NCBwBppf
鏡華「秋人さまにはわたくしがいるじゃありませんか」
65 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/28(木) 05:15:10 ID:hYADXQBf
ケイ「俺はゥホられたいんだ」
樹月「確かにウホッぽい体格をしていらっしゃる」
禊になりそこねた男「俺の方がウホっぽいぞ」
「どうしよ…おねえちゃんとこんなことになっちうなんて…」
「ん?澪はイヤ?」
「そうじゃないけど…」
「けど…?」
「これからどうしよ…でも、みんなの前に出れないよ…今までおはようのキスとか、ありがとのキスとかしてたけど、もうできない…」
「何で?」
「こ、こいびとのキス、になっちゃう…し…」
「私と恋人じゃ澪はイヤ?」
「そんなことない…けど、みんなにばれちゃったらどうしよ…」
「私は全然かまわないけど」
「ダメ!ダメだよ!」
「どうして?」
「どうしてって…おかしいから…」
「どこが?」
「おねえちゃんと恋人なんて、やっぱり変だし」
「私は澪が大好きだよ。澪も私のことが好きでしょ?だったらどこも変じゃないよ」
「そ…かな…でも、お母さんが知ったら…」
「うーん。そうだね。お母さんは厄介かな」
「でしょー?」
「なら、いつもと変わらないようにすれば大丈夫」
「うう、できるかな…おねえちゃんのことすごく意識しちゃいそ…」
「私はいつもと同じにできるよ。だから、澪もきっとできる」
「そーかなー」
「そーだよー」
「でも……」
「でも?」
「でも…」
「でも、何?」
「でも、でも…」
「だから、何なの?」
「でも…いきそ…」
「あ、そう」
「い、いくよぅ…」
「そーなんだ」
「いくっ!いくっ!」
(びくっ、びくっ、びくっ、びくっ…)
「(ププ。かわいー)」
「あっ、あっ、あっ…………」
(がくん、がくん、がくん…)
「……………」
「……………」
「…で?」
「………ふぇ?」
「…で、何?」
「……あれ、なんの話だっけ…」
「いつも通りしてればばれない、ってとこまで。それで、澪がでも、って言ったの」
「そっか…でも…なんだっけ…あ、でも私、顔に出やすいから、すぐバレるかも」
「私はもう絶対に絶対に澪を失いたくない。だから、完璧にできる。澪は別れたい?」
「そんなことは…」
「だったら、完璧にできる。みんなの前ではいつもどおり、二人でいるときは恋人。それでいいでしょ?」
「うーん、自信ないなあ」
「大丈夫、大丈夫だから」
「でも…」
「ん?」
「でも…」
「でも、何?」
「でも…いきそ…」
GJ!!
澪カワユスハァハァ
72 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/01(日) 15:39:30 ID:XM3GPTNl
・・・やっぱり・・・やっぱり、きてくれた・・・
GJ!
GJ。いきそ…。
ここも寂れちまったなあ。
誰か良作があるサイト教えてくれないか。探してもホモばかりでつまらん。
>>70 ああ、この二人はいいねぇ〜
GJ!
>>73 やっぱ新作が出ないと駄目かな・・・・・
青発売の頃が一番盛り上がってたよね・・・
と、久しぶりに見たので記念カキコっすw
>73
俺様のところへ来い!一日10人しかこないので、
団子とお茶を用意して待ってやる。
今は全く動いていないサイトにある「真冬・螢×深紅」の話が
すごかったなぁ・・・・・・(興奮)。
>>73 零サーチは行ったか? 良質な姉妹ものとか結構あるぞ。
俺はとてもお世話になっています。
>>75 見てみたいな。URL晒す勇気ある?
>>76 行った。ざっと見たけどどれもぱっとしないというか(なら自分で書けという話だが)
なんかもう「殺して……」みたいなポエムっぽいのは飽き飽きしてる
いやいや、ポエム系(あと夢)なんて厨房サイトにしかないぞWw
人気ランキング見るだけとか探し方悪いんでね?
>77
すまん。URLを晒す勇気はない・・・。見せてみて、自分の作品が
面白いかどうか本音を聞いてみたい気はするのだが。
(ヒント・当然人気ランキングには入っていない)
ポエムや夢やホモやオチがない話は書いてないぞvv
零サーチで一つ一つしらみつぶしに探すと、中々いいサイトが
「更新お知らせ」をせずに細々やってるとこがあるよね。
日記すら放置しているところが多いが・・・。休止も・・・。
しょっちゅう更新するようなサイトはカテゴリ上位にきてランキングに入って
くる仕様だからなYOMI系サーチは。逆にSS一本で更新とか更新早い良サイト
なんかはそういう事やらない。
だからこそ人気ランキングは当てにしすぎちゃいかんのだ。
>>79 放置や休止してるサイトはもう情熱とかあんまないんだろうから
触れないでやれ。
>>79 なんかその書き方だとポエム・夢・ホモ・オチ無し→全部有り、って意味にも読めるぞw
>>81 うわっ本当だ!文章表現がまだまだ未熟やなー。出直してくるよ・・・。
しらみつぶしに探してみたが大変だ。一本読んだくらいじゃわからない
かといってオススメサイトを教えてもらうわけにもいかないし、根気よく探すしかないか
(ここは・・・・・・・・?)
ゆっくりと瞼を開かれた目に刺激が強すぎる程の光が飛び込んでくる。
久しぶりに目に映る現実世界の光景。
澪は少しの間部屋の天井を見つめていた・・・・・・
そして、視界がまだぼやける瞳を擦りながら澪は自分が横になっていることを認識する。
(病院・・・・・・?)
部屋全体を覆う白一色の景色と、隣に置かれた人の居ないベッドが澪にそう思わせた。
(何で病院に居るんだろう・・・・・?)
澪は白い天井をまだ慣れぬ目でぼんやり見つめながら経緯を思い起こそうとする。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(・・・・・・分からない・・・・・・・・・・)
記憶の糸口を見つけようと必死になるものの、
考えれば考えるほど掴めそうな何かは遠ざかっていく・・・・・
最後に見た物は何だったのか・・・・・?
とてもおぞましい光だった気がする・・・・・
頭が重く、鈍い痛みのような物が澪を苦しめる。
(今、何時だろう?・・・・・)
外に映る景色は闇に覆われてはいなかったので、早朝か夕暮れであろう。
自分の頭の横に置かれた棚の上の時計は7時40分を表示している。
午前か午後か分からないデジタル時計。
おそらく朝であろう・・・・・
注意深く耳を澄ませば窓ガラスごしにも聞こえる鳥の囀りがそう思わせる。
(どうしてここに・・・・・・・)
先程浮かび上がった疑問が再び澪の思考を巡り出す。
・・・・・・・・・・・・・・・
やはり何も分からない・・・・・・
頭の中には記憶が浮かぶことはなく、代わりに鈍い痛みのような物に支配されるだけ・・・・・
(駄目だ・・・・・・・・)
澪は諦めると自分にかけられているシーツを被り直し、
また目を閉じようとする。
自分がどこに居るかも分からない。
なぜ病院に寝かされているのかも分からない。
何も分からない。
今分かる事は自分の名前だけ・・・・・・
ふいに静寂を破るドアの開く音。
部屋に入ってきた人影が澪のすぐ側まで来る。
「澪!・・・・・・気が付いたの?」
自分の名前を呼ぶその声に澪はゆっくりと窓を見ていた視界をそちらに移す。
目に涙を溜めて今にも泣きそうな顔で自分の名を呼ぶ女性・・・・・・
なぜ自分が起きたことが分かったのか不思議にも思った。
だが、自分の腕に医療機器から伸びたチューブが何本か繋がっていることに気づくと、
澪はそれ以上考えることをやめた。
「良かった・・・・・・・・このまま目が覚めないのかと思って心配したよ。
お医者さんも原因が分からないって言ってたから・・・・・・
でも、悪い箇所は無いから意識が戻ればすぐ退院できるんだって。」
女性は嬉しそうな声で澪の手を取り喜んでいる。
目を合わせた澪が気まずそうに何かを言おうと口を動かす。
「ん?・・・・澪、どうしたの?どこか痛い?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「その・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・誰なんでしょうか?・・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
二人とも少しの間、時が止まったようにピクリとも動かなかった。
特に相手の女性はその第一声に相当な衝撃を受けているようであった。
「・・・・・・・え?・・・・・・・・澪、どうしたの?・・・・・私よ!」
先程までとはうって変わって喜びの表情は消え、代わりにその顔色は戸惑いを含んだ険しい物に変わる。
澪は耐えられなくなったのか、目を逸らしてしまう。
「あの・・・・・・・・・・・・ごめんなさい・・・・・・・・・・・思い出せないんです・・・・・・・
何でここに居るのか・・・・・・・・・・あなたが誰なのか・・・・・・・・・・・・・・・
自分の名前は分かるのに・・・・・・・・・・・・・・ごめんなさい・・・・・・・・・・・・」
澪は辛そうに目を閉じ、握られた手から逃れようと手を離す。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・そんな・・・・・・・・・澪!・・・・・・・私よ!
繭だよ!・・・・・・・あなたの双子の姉!」
繭は澪に向かって鋭い声をあげ、必至に訴える。
しかし、それを聞いても澪は更に硬く目を閉じるだけであった。
「ごめんなさい・・・・・・・・・ごめんなさい・・・・・・・・
何があったのかも分からない・・・・・・・・・・・・・・・
どこに居るのかも・・・・・・・・・・・・・・・・
あなたのことも・・・・・・・・・・・・・・ごめんなさい。」
澪はただひたすらに懺悔を繰り返すだけであった。
「・・・・・澪・・・・・・・・ほんとに思い出せないの?・・・・・・・・・
記憶が無いの?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私のことも・・・・・・・・・・・覚えてないの?・・・・・・・・」
繭は哀願するような眼差しを澪に向ける。
「・・・・ごめんなさい・・・・・・・」
澪はその目を見ることが出来ず謝るだけであった。
「謝らなくていいから・・・・・・・仕方ないよね・・・・・・・・・
でも、澪、きっと思い出せると思うから、大丈夫だからね・・・・・・・
私、ちょっと先生の所へ行って来るね。」
繭はそう言うと先程入ってきた扉から出て行こうとする。
「あっ・・・澪。
悪いところはないから目が覚めればすぐに退院出来るって先生が言ってるから、
今日落ち着いたら私と一緒に家に帰ろうね。
家に戻ればきっとすぐに思い出すと思うし。」
そこまで言うと繭は部屋を出て行く。
再び病室が静寂に包まれ、一人になる澪・・・・・・
(姉・・・・・・・・・)
繭の言っている事が嘘ではないのは分かる。
それを疑うには自分とあまりにも顔が似すぎていた。
(思い出せない・・・・・)
しかし、それをどう受け止めて良いのかが記憶の失われた澪にはなす術が無かった。
仕方の無い事であるが・・・・・・・
いったい何があってこうなってしまったんだろう。
何か酷く気分の悪くなる事があった気がする・・・・・
もしかしたら思い出さない方が良いのかもしれない。
だが、思い出せないのはもっと怖いと澪は思った。
(また来た時、あの人に聞いてみよう・・・・・・・何か知ってそうな感じだったし・・・・・・)
(姉さん・・・・・・か・・・・・・・・)
何も分からない危機に陥っている時に自分を知っている人が居てくれる。
自分を気遣い心配してくれる人が居る。
今の澪にとってこれがどれほど心強かった事か・・・・・
思い出と言う絆に頼れない今は、自分と同じ顔をしている外見での繋がりも嬉しく思えた。
(繭・・・・・・・・・綺麗な人だったな・・・・・・・)
自分と同じ顔をしているといのうに変な話であるが澪は素直にそう思えた。
(姉さん・・・・・・・・あの人とどんな生活を私はしていたのかな・・・・・・)
体の具合はどこも悪くないと聞いて安心したせいなのか、
今現在、記憶が無い澪にとって唯一の拠り所たる所以か・・・・・
澪は繭との絆にふつふつと興味が湧いてきた。
しばらくすると、繭は一人の医者を連れて戻ってきた。
医師は形式的に簡単な検査、問診を済ます。
何も異常が無い事を確認すると、澪の腕を拘束しているチューブやらをすべて取り外した。
「記憶があやふやな事以外は特に異常が無い様だし、後は我々が面倒を見るより、
家族や友人と一緒に居た方が改善する見込みがあるだろう。」
医師は退院許可を出すと、眠そうに欠伸を一つして病室から出て行った。
繭は頭を下げてお礼を言い、部屋を出て行くのを見届ける。
「澪、大丈夫?今すぐ帰る?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
澪は少し考える。
「はい・・・・・・一時間くらいで用意出来ると思うので、待ってて貰っていいですか?」
着替えて、出かける用意をして自分の物と思われる荷物をまとめるのにそれくらいはかかるだろう。
「澪・・・・・・・・・そんな喋り方はやめて欲しいな・・・・・・
しょうがないことだけど・・・・・・・・お願いね。」
澪は物悲しげな繭の顔を見ると申し訳なさそうに俯く。
「あ、ごめんなさい・・・・・・・・
でも、すぐにはちょっと無理かもしれない・・・・・ごめん。」
澪はゆっくりと体を起こす。
「まあ、しょうがないか・・・・・・・じゃ、澪、着替えここに置いておくから、
荷物は服くらいだし、私、外の待合室で待ってるから、用意出来たら来てね。
退院手続きも済ませておくから。」
そこまで言うと繭は笑顔を返して出て行った。
また病室を静寂が包む・・・・・
澪は拳を握り、力を入れてみる。
寝起からそんなに経ってはいないので完全には力が入らないが、体が何ともないことは確認できる。
「よし!」
澪は勢い良くベッドから降りると、歯ブラシとタオルを持ち部屋を出て洗面所を探す。
着替えも手早く済ませると、そそくさ荷物をまとめて部屋を再び出た。
件の待合室に向かうため階段を降りると、繭が受付で手続きをしている最中であった。
繭は澪に気付くと、手招きをする。
「早かったね。今手続き終わったとこだよ。」
「うん・・・・・荷物もほとんど無かったし・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「それじゃ、帰ろう澪・・・・・・・・私達の家に。」
二人は病院を出てバスに乗り、家の近くのバス亭で降りた。
乗車中、繭は車内から見える外の景色をあれこれと澪に説明した。
あの公園は昔良く遊んだ場所だとか、今はアパートが見えるその土地は
私達が幼い頃は本屋であったことなど・・・・・
しかし、そのどれを聞いても澪の記憶を呼び覚ます物にはなり得なかった・・・・
澪の反応が薄いのを見た繭は少し悲しそうな顔をしていた・・・・・
それを見ていると澪も悲しくなった・・・・・
「ここが私達の家だよ・・・・」
そう言って繭が足を止めた先には、表札に『天倉』と書かれた家が建っている。
玄関を開けて、ただいまと言う繭。
澪は何と言おうか迷った・・・・・
が、繭の事を思い、澪もただいまと言った。
繭はおかえりと笑顔で出迎えた。
「今、親は居るんですか?・・・・・・他に住んでいる人は?・・・・・・」
澪が靴を脱ぎながら繭に尋ねる。
少しの沈黙の後、繭は答える。
「ただいまって言ったけど、今は家には誰も居ないの。
お母さんは体が悪くて、澪が居た病院じゃない他の施設が良い病院に入院してるの。
まだ当分退院は出来なさそう・・・・・・・・・・・・
兄弟は私達だけよ。
それで・・・・・・・・・・お父さんは・・・・・・・その・・・・・・・・
居ないわ・・・・・・・」
言いにくそうに繭は最後の言葉を切る。
「そうなんだ・・・・・・ごめん・・・・・・・・忘れてて・・・・・・」
繭の醸す空気で即座に理解をした澪。
仕方の無いことだが謝らずにはいられなかった・・・・・
「気にすることないよ・・・・・・・・それより澪、二階の手前の部屋が澪の部屋だから、荷物を置いてゆっくり
してていいよ。お昼は私が作るから、それまで自分の部屋で休んでて・・・・・・何か思い出せるかもしれないし。
でも、無理して思い出そうとしなくてもいいからね。」
そこまで言うと繭は笑顔を向ける。
繭の気遣いが嬉しかった。
澪は素直に甘える事にした。
早く自分が住まいとしていた部屋を見てみたい。記憶を取り戻したいというのもあったのだが・・・・・
「姉さん・・・・・」
「何?・・・・・・」
「ありがとう。」
そう言うと、澪は二階の部屋に向かった。
部屋のドアを開ける。
中の光景には・・・・・・
見覚えは無い。
足を踏み入れ大きく息を吸い込む・・・・・
違和感を覚える臭いなどはしない・・・・・
ここは間違いなく自分の部屋なのだろう。
ベッドの上に荷物を置き、そのまま隣に腰をかける。
部屋の中をゆっくりと見渡す・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
が、何も思い出すことは出来ない。
ただ無機質なカラスの鳴き声だけが窓越しに聞こえてきた。
枕元に置いてある少し汚れた白いうさぎの人形に目が留まる。
何を思うわけでもなくそれを手に取る澪。
『みおとわたしの8さいのたんじょうび』
人形の背中には黒いマジックでそう書いてあった。
字が書きやすい場所ではないので仕方ないが、それでも子供が書いた物であることはすぐに分かった。
「姉さん・・・・・・・」
その人形を胸に抱きしめる澪。
人形を抱えたまま自分の物であろう机に向かう。
机の上に立てかけられている写真に目が留まる。
幼い二人の写真。
片方が後ろからもう片方を抱き、満面の笑みで・・・・・
抱かれている方は少し困っている感じだが嬉しそうである。
(私達だよね・・・・・・後ろが私だろうな・・・・・・きっと・・・・・・
撮ったのは誰だろう?・・・・・・・・・お母さんかな・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ほんとに同じ顔だ・・・・・・・・・・・・・・・・・)
昔から仲が良かったのだと言う事を認識させられて澪は酷く安心した。
そして、一刻も早く姉のことを全部思い出したい、
思い出して絆を取り戻したいと願った。
だが、それらを見てもほとんど記憶の回復に進展は無さそうであった・・・・・
澪は一つ深い溜息をついた・・・・・
棚の参考書や本に目を流して、机の引き出しに手をかける。
・・・・・・・・・・・・・・・
開かない・・・・・・・
鍵がかけられている。
鍵の場所など知らないので、澪はすぐに諦めると、ベッドに寝そべった。
(何で忘れてるんだろう・・・・・・お昼の時に姉さんに聞いてみよう・・・・)
澪は久しぶりに動いて疲れたのか、そのまま眠りに落ちていった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「澪!お昼出来たよ!」
ドアの外から自分を呼ぶ声で目を覚ます。
寝てしまっていたことに気付くと澪はすぐに返事を返す。
「今行きます。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
二人だけの食事・・・・・
「良かった。澪が戻ってきてくれて。
一人で食べるの寂しかったから・・・・・・
どう?・・・・何か思い出せそう?」
澪はその問いに申し訳無さそうにゆっくりと首を横に振る。
「そっか・・・・・・・・・・・気にしなくて良いよ。
ゆっくり思い出していけばいいんだから・・・・・」
繭は優しく澪をなだめる。
「あの・・・・・・・私何で記憶がないのかな?
何か原因があると思うのですけど、姉さん知ってるよね?」
箸を置き、気になっていた疑問を繭に向ける。
「それは・・・・・・・・・・・」
繭は知っていた。
確証があるわけではないが、確信していた・・・・・・その原因を・・・・・・
あの村で、あの場所を見て、それで・・・・・・・・・・
それを澪に告げて良いものか・・・・・・・
あんな怖い思いをした辛い出来事を今の澪に語るには酷な気がしてならなかった。
「一週間前くらいにね、私と一緒に昔良く遊んだある場所に遊びに行って・・・・・・・
澪はそこで頭を打って・・・・・・・・・・それが原因だと思う。」
繭は気まずそうに澪の目から逃れる。
それを見た澪は腑に落ちない思いを抱きながらもそれ以上追求はしなかった。
もしかしたら問い詰めてはいけないことかもしれない。
記憶の無い澪にはそれを判断する術が無かったので無難な選択をするしかなかった・・・・・
「そう・・・・・・・」
澪はそう答えると無言で箸を進める。
「澪の記憶が戻らないうちは私の口から言うことじゃない気がするの・・・・・・
詳しい話は澪の記憶が少しでも戻ってからにしたいな。」
「分かりました。」
澪はこれも素直に従うことにした。
「みお!もういい加減その時々出る丁寧な口調やめてよ。」
繭は少し可笑しそうな顔で抗議する。
「え?・・・・・・・でも、何か不自然な感じがして・・・・・・ごめん・・・・・・」
「ぷっ・・・・・・・・部屋で色々と見たと思うけど、私達はすっごい仲の良い姉妹だって評判なんだからね。
何をするにもずっと一緒に居たんだから。私の自慢の妹だよ。」
繭は照れもせず言う。
「そうなんだ。ありがとう・・・・姉さん。」
少し気恥ずかしそうに澪は答える。
確かに歳の近い兄弟で余所余所しいのは酷く可笑しい。
ましてや同じ歳なら尚更だろう。
澪は言葉に気をつけることにした。
しかし一番の理由は他人行儀な言葉を使ってしまった時に繭が浮かべる寂しそうな顔を見たくなかったからである。
その後、家事の手伝いをしながら、澪はずっと繭と一緒に居た。
色々な事を聞いたし、話してくれた。
仲の良い姉妹なのだということが本当に実感できた。
そして、今までの思い出が無くても、たった半日一緒に居るだけでどんどん繭の事が好きになった。
晩御飯が終わる頃にはすっかり打ち解け妙なぎこちなさも解消してしまった。
「姉さん、私今日はもう部屋に戻って、もう少し頑張ってみる。
きっと何か思い出せると思うし、色々姉さんのこと思い出したいから・・・・・・」
澪は笑顔を作り繭にそう言った。
「澪・・・・・・・・
分かった。今日はもうそのままゆっくり休んでて良いから。
明日からはちゃんと家事やってもらうけどね。」
「は〜い」
澪は叱られた子供のように返事を返すと、二人、目を合わせクスクス笑う。
「澪・・・・・・・・私がついてるから・・・・・・ずっと一緒に居るから
大丈夫だからね。」
繭が真剣な顔つきに戻る。
「うん、ありがとう姉さん。おやすみなさい・・・・・・」
挨拶を交わし階段を上がり部屋に戻ると、澪はすぐに手当たり次第に棚にあった本を漁った。
特に自分が過去に書いた日記を見つけると、それを最初から食い入るように読んでいった・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(駄目だ・・・・・・・・・何か出て来そうな感じはするけど、決定的な何かが足りない気がする・・・・・)
姉さんは頭を打って、と言ったがおかしい・・・・・・
医者も言っていたが、特に悪いところは無いと言っていた。
姉さんも最初はそう言っていた。
頭を打って記憶が無いのとは違う。
(それにしても・・・・・・私の日記・・・・・・・姉さんのことばかり書いてある。)
澪は昔の自分の日記を読んで可笑しくなった。
自分の日記のはずなのに書かれているのは繭の事ばかりであった。
(私も本当に姉さんの事が好きだったんだろうな・・・・・・)
先程まで一緒に居た繭の顔を思い浮かべる。
それは記憶が無い澪の脳裏に新しく焼き付いた新鮮な物であった。
澪は今日は取り合えず寝ることにした。
記憶を失くした原因については腑に落ちないことがあったが、
それよりも今は思い出す方が先決である。
家に帰ってきてすぐは緊張していたせいもあってか澪は体が疲れていた。
すぐにでも眠れそうである。
ベッドに入ると部屋の明かりを消して目を閉じる・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
眠ろうとするが、どうしても記憶を戻そうと頭を使ってしまい眠る事が出来ない。
体は疲れているのだが・・・・・
繭はゆっくり思い出せば良いと言った。
しかし、澪は不安だった。
自分が一番親しい人と過ごしていても、
一番落ち着く場所に居ても一向に状況が改善する兆しが見えてこない。
忘れていて思い出せないのではなく、消え去ってしまったのではないだろうか・・・・・・
思い出すも何も頭の中に無い物はどう足掻こうが取り戻せない。
それを思うと澪は酷く不安に駆られた。
自分が酷く不安定な場所をふらふら宙に浮いているようだった。
「姉さん・・・・・・もう寝たかな・・・・・・」
澪は急に無性に繭の顔が見たくなった。
ゆっくり体を起こすと暗闇に慣れた目で明かりを点けることなく部屋を出て階段を降りて行く。
繭は既に寝巻きに着替えて寝る準備を済ませたとこであった。
「姉さん・・・・・・」
繭は澪の不安気な表情をすぐに汲み取る。
「澪・・・・・眠れないのね・・・・・・・・・」
「うん・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「今日は私と一緒に寝ようか?」
その言葉に澪は少し驚いて目を大きくするが、
「うん・・・・・・・そうして貰えると嬉しい・・・・・
一人だと色々考え込んじゃって・・・・・」
「しょうがないよね・・・・・・・・・・じゃ、今日は澪の部屋で一緒に寝よう。」
一階の明かりをすべて消し、二階に上がり二人で同じベッドに入る。
少し暑い・・・・・・が、一人でいるよりは全然マシである。
「ごめんね、一緒に寝たいなんて、子供みたいなこと言って・・・・」
澪が舌を出して可愛く謝る。
「ふふ、澪が入院する前は毎日一緒に寝てたよ。」
「え!?・・・・・・それ本当?」
「ふふ・・・・さあ・・・・・・・」
「姉さん、私の記憶が無いから適当な事言ってない?」
「言ってないよ、だから明日からも一緒に寝ましょうね。」
繭の目は明らかにからかいの色を含んでいる。
「嘘付きはこうしてやる!」
澪は寝ている繭のわき腹を擽り始める。
「あはははは!澪!やめて!・・・・・・嘘よ!冗談だから!
私が悪かったわ!・・・・・」
思いがけぬ攻撃にすぐ白旗を振る繭。
「よろしい・・・・・・」
「はあ、はあ。」
擽り地獄から逃れる事の出来た繭の吐息は荒い・・・・
「死ぬかと思った・・・・・」
「ごめん、ごめん。
でも、ほんとに暫く一緒に寝てくれると嬉しいな・・・・・」
「澪がそうしたいなら私は良いよ。
だって毎日一緒に寝てたしね!」
「まだ言うか〜!」
澪は再び繭に襲い掛かろうとする。
「ストップ!!はい、すいませんでした!
もう寝ましょう!・・・・おやすみ澪。」
捲くし立てる様に言うと繭はそっぽ向いて逃げてしまった。
「うん・・・・おやすみ」
その様子を見届け澪もまた目を瞑り眠ろうとする。
一緒に居るだけで、先程までの不安が嘘のようである。
澪は静かに体の向きを変えて繭の背中を見つめる。
(姉さん・・・・・・・・・・・・姉さんが居てくれて良かったよ・・・・・・
すぐに思い出せなくてごめんね・・・・・私だけ忘れてるなんて酷いよね・・・・・
でも、きっとそのうち思い出せるだろうし・・・・
それに・・・・・・・もし思い出せなくてもまた新しい絆を作っていけば良いんだよね・・・・・)
澪には確信があった。
この人だったら・・・・・・
繭とだったらまた絆を作っていけると。
今度は絶対に切れることなどない強い二人だけの絆を築いていけると・・・・・
(おやすみ・・・・・姉さん。)
繭の背中を愛しそうに見つめ、心の中でおやすみと・・・・・
そして、今度は先程とは違いすぐに澪は眠りに落ちていくことが出来た。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ここは?・・・・・・・・・・・」
澪は気が付くと真っ暗な闇の中を一人彷徨っていた・・・・・
「どこ?・・・・・姉さん・・・・・・・夢?」
訳の分からない場所に急に放り出された澪はどうして良いのか分からずオロオロしている。
まるで、今の自分を象徴するかのように何も無い世界。
夢にしてはやたら現実感がある周囲を埋めている闇の質感。
後ろも前も分からぬ空間で澪は途方に暮れていた・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
周りに纏わり付くように出ていた白い霧が突然目の前の上空で集まり始める。
突然の変化に驚き恐怖の色を映し出す澪の表情。
目の前で起こっている現象を澪は目を離すことなくに見つめていた。
やがてそれは大きな髑髏のような顔に姿を変え澪を見据えているようだった。
「何?・・・・・・これ・・・・・・・・・」
得体の知れぬ物を目の当たりにして澪の表情が更に恐怖の色に染まる。
『みお・・・・・・』
突如恨めしい声が聞こえてくる。
目の前の髑髏が喋っているのだろうか・・・・
声は周囲全体から届いてくるように感じられた。
『みお、我々はお前を絶対に許さん!!』
怒りに震えるその声は続ける。
『お前だけが運命の呪縛から逃れ幸せになるなど絶対に許さん!!』
「誰!?・・・・・運命??いったい何なのよ!!」
声を荒げる澪。
突然の糾弾の声に状況が全く把握出来ずにいる・・・・・
そんな澪にお構い無しに闇は話し続ける。
『ある者は何も分からず切り刻まれ深い闇に放り込まれた・・・・・・愛する者に最後の言葉も残せずに・・・・・
またある者は掟に従い、愛するものを殺し、発狂して自分もその身を奈落へと投げ落とした・・・・・
課せられた運命に順じていったのだ・・・・・
お前だけが運命から逃れることなど決してさせはせん!!』
「だから何だって言うの!!?」
『故に我々はあの最後の時に我々の怨嗟の声を聞きそして覗いたお前に呪いをかけた!!』
「呪い・・・・・・?」
『そうだ!!お前の命の灯火は次の新月の刻限を迎えた時に消え去る!!』
澪は何が起こっているのか理解できなかった。
「嘘!・・・・そんな!!」
現実では無いと言い聞かせても、あまりにも残酷な宣告に軽い眩暈を覚える。
『嘘ではない!!
だが案ずる事は無い!!
良いか!心して聞くが良い!!
我々はお前にその呪縛から逃れる術を用意してやったのだ!』
「な、何?」
『我々は儀式の呪縛から逃れたお前が恨めしい!!
故にお前には掟通り儀式に従い姉を殺してもらう!!!
これを遂行せねば先刻告げた通りお前の命は尽き果てる!!』
次々に受け入れがたい事を澪に浴びせかける闇からの声。
「姉さんを殺す?・・・・・・・そんな馬鹿なことできるわけないじゃない!!」
澪は金きり声に近い声をあげていた。
『出来なければ貴様は死ぬ!!!!
まあ、我々はどちらでも良いがな!
運命という呪縛の苦渋をお前に散々味わせたいだけだ!!
我々と同じようにな!!!!
故に刻限を設けた!!!
せいぜい苦しむことだ!!!!』
「そんなこと誰が信じるもんか!!私がいったい何をしたのよ!!!」
『ククク、分からぬか!!!お前のその記憶を封じ込めたのも我々よ!!
姉を殺しやすいように敢えて一切の記憶を封印してやったのだ!!!
感謝するが良い!!!』
それを聞いて澪は体を支配していた恐怖がすぐさま怒りに変じる・・・・・・
「ふざけないで!!!!!!早く元に戻しなさい!!!」
『だまれ!!貴様はせいぜい苦しむんだな!!!
お前のもがき苦しむ様楽しませて貰うぞ!!!!』
そこまで言うと、目の前の髑髏は四散し始める。
「待ちなさい!!!待て!!!!」
澪は懸命に足を進めるが全く進むことが出来ない。
やがて、完全に見えなくなると周りの闇も白く染まり始め何も見えなくなる・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「はっ!・・・・・・・・・・」
澪が目を覚ますと先程の光景は無く、自室のベッドの上に座っていた。
「夢?・・・・・・・・・・いや・・・・・・・・・あんなに現実的なのは・・・・・・・・・」
澪は先程の事を思い出す。
私は死ぬ・・・・・・
姉さんを殺さないと死んでしまう・・・・・・
「ほんとに私が今記憶が無いのがさっきの奴の仕業だとすれば・・・・・・
夢じゃないの?・・・・・・・・・・それじゃ・・・・・・
まさかほんとに・・・・・・・私・・・・・・・・・わたし・・・・・・・・・・」
澪は知らずしてポロポロと涙が零れていた。
外に目をやると、月明かりが差し込んでいる・・・・・・
(三日月・・・・・あれは・・・・・・・・・後・・・・・二日!)
澪に絶望の刻限を告げる右半身が欠けた三日月・・・・・・
月はただ静かに冷たい光を放っている。
泣き止まない瞳で隣で寝ている繭の寝顔を見る。
(姉さんを・・・・・殺せば・・・・・・)
澪は即座に考えを振り払い首を振る。
(そんなことは出来ない・・・・出来るはずない・・・・・
姉さん・・・・・私・・・・・どうしよう?・・・・・・うぅ・・・・・・
死にたくないよ・・・・・姉さんと一緒に生きて居たい・・・・・・
どうすれば・・・・・・・・)
声を押し殺して澪はただ泣いていた・・・・・・
「・・・・・澪・・・・・・」
澪の異変に気付いてか繭は目を覚ましていた・・・・・・・・
澪は体を起こした繭に磁石のように吸い寄せられると、その胸で泣いた。
「姉さん・・・・・姉さん・・・・・私・・・・・・」
「澪、落ち着くまでこうしてるから・・・・・・
無理に思い出さなくてもいいから・・・・・・・
私が付いてる。
澪の側にずっと居るから・・・・・・」
(違う!!・・・・・・・・違うの!!)
澪は先程見た夢の内容を言葉にしようと口元まで出掛かる。
が、それを言う事が出来なかった・・・・・
「ずっと一緒に居てくれる?・・・・・・何があっても私のこと見捨てないよね?・・・・・」
澪は縋る様な目で繭を見る。
「澪・・・・・・・約束するよ。
何があっても澪と私はずっと一緒だよ・・・・・絶対に・・・・
記憶なんて関係ない。澪は澪だよ・・・・・」
繭の迷いの無い言葉が今の澪には嬉しかった。
自分の記憶が戻らなくても繭から伝わってくるその溢れる優しさと想いだけで、
自分も愛することが出来た・・・・・
故に澪は決意を固めた。
姉には告げず、明日自分の記憶が失なわれた時の事を聞き出し、呪いを解く手ががりを見つけに行く。
鍵は必ず記憶が失われた場所にあるはずなのだから・・・・
「姉さん・・・・・ありがとう。
大好き・・・・・」
「澪・・・・・・・私も澪のことが世界で一番好きよ・・・・・」
過疎が進行しているようなので、
職人様の降臨を切望しつつ、お供え物をば・・・・・
と思ったが長いよ・・・・・・・・orz
ダラダラ申し訳ないです。
やっぱり新作出ないとですね・・・・
100 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/07(土) 11:55:20 ID:uAIrHmhN
澪は「姉さん」なんて呼ばないだろ
まだ読んでないけどすげぇ大作が投下されたよかん
今読めないから帰ってから読むぞ!
>>99乙!!
とか言いながら読んでしまった(;´Д`)
この話、続く・・んだよね?
この姉妹というより同級生同士って感じの新鮮さ、良い!
>>100 記憶をなくしてよそよそしくなってるからだと思われ。
他人と思える人にいきなり「お姉ちゃん」とは言えないしなw
>>99 職人様キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
読みごたえがあっていいっす!
続きが待ちきれない〜!
>>99GJ!
このままエロも是非!
俺的には虚の中の人のテンションに笑ってしまったw
えらいハイだなW
>>99 GJ!
偽の記憶(とは限らないかw)を刷り込もうとする繭にワロス
繭ならやりかねないけどね
ギャグなら『毎日セクース三昧だったの!』とか言って
襲いかかってそうだ
106 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/11(水) 22:08:18 ID:Eu1PFzOm
107 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/17(火) 22:29:11 ID:kz7NUkbB
双子保守!
職人様来てない・・・・・(´・ω・`)
読んでくれてる方々どうもです。
>>98の続き
↓
目が覚める・・・・・・・
昨日必死になって何かを思い起こそうとしていた部屋とは別の部屋・・・・・
(そっか・・・・・姉さんの部屋に押しかけたんだっけ・・・・)
先刻目を覚ました病院とは違う風景に安堵の溜息を一つ吐く澪。
この部屋に入った時は寝る前で電気を付けなかったので、今の澪には初めての風景である。
(昨日は・・・・・・・)
眠りの中で見た悪夢。
受け入れ難い事実を告知された事が澪の脳裏に呼び覚まされた。
目にヒリヒリと腫れぼったいような痛みを感じる・・・・・・
涙を流し尽くして繭に抱かれていたことを思い出す澪。
(姉さん・・・・・・)
澪はすぐに体を起こして隣に目をやる、が、そこには繭の姿は無い。
沈みかけた気持ちを払拭しようと繭の姿を求めたが既にこの部屋には居ないようだ・・・・
今も記憶の回復に進展は無いように感じる。
それはあの悪夢での宣告が真実である事を澪に実感させて止まない物であった。
それでも澪は涙を流す事はなかった。
夜中に繭の胸の中で決意した事、その事に迷いは無かった。
記憶が無くても芯の強さは以前と変わってはいなかった・・・・・
それは記憶を失くす前、あの村で繭を守りたい一心で突き進んだ澪と同じであった。
今の澪にはそれが分からなくても・・・・・・
(姉さん・・・・・・今日で最後・・・・・・・・おもいっきり甘えても良いよね?)
澪はもう今日はずっと繭の側に居ようと思った。
ほんとはずっと・・・・・一日中抱きしめていたい程であった。
不安?
愛しさ?
両方か?・・・・・
今の澪にはそれもどうでも良かった。
一階に向かおうとベッドを降りる澪。
繭はキッチンで朝食を作っている最中であった。
フライパンの音に紛れた澪の気配を背後に感じ取ると振り返って挨拶をする繭。
「澪・・・・・・おはよう。あの後・・・・眠れた?」
繭の笑顔が澪には何だか眩しかった。
「うん・・・・・・姉さんのおかげで・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・
「そっか・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あっ、ご飯、澪の好きなスクランブルエッグにしたから、食べて元気出して!」
繭が努めたように明るい声で澪に話しかける。
「私の好きな・・・・・・・そう・・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「もうちょっとで出来るから顔洗ってきなよ。」
無言で頷くと、澪は洗面所に向かう。
繭が出来上がった物をテーブルに並べていると、やがて澪が戻ってくる。
「姉さん、ごめんね。今日から家事手伝うって言ったのに、一人で作らせちゃって・・・・・」
「澪・・・・・あれは半分冗談で言ったようなものだから気にしなくて良いよ。
記憶が戻ったら手伝ってくれれば良いから・・・・・・」
少し慌てたように繭がフォローを入れる。
「私は・・・・・・・・・・・・・・私の記憶は・・・・・・・・・・・・」
澪の声は少しだけ震えているようだ。
「え?・・・・・何?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「な、何でもない!ごめん姉さん!・・・・・・・・それより食べて良いかな?
昨日泣き疲れたせいかお腹空いちゃった・・・・・」
「うん。澪のご飯大盛りにしといたから。」
「いや・・・・・・・そこまではお腹空いてはないんだけどなぁ・・・・・・・」
テーブルに置かれた茶碗にてんこ盛りのご飯を見て不安になる澪。
「あれ?澪はいつも朝はこれくらい食べてたのになぁ。」
昨日寝る前に澪をからかってきた時と同じ目。
「姉さん!」
「な、何?・・・・・」
澪は繭を鋭い視線で睨む。
「そんなわけないでしょ〜!!!」
しゃもじ片手の繭に襲い掛かる澪。
「きゃ!」
繭はすぐに捕まってしまい小さな悲鳴をあげる。
また擽られるかと体を強張らせたがそうではないようだ・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「姉さん・・・・・・・・」
後ろから繭を抱きしめたまま澪は呟く。
その体は僅かに震えてるようだ・・・・・・・・・
「澪・・・・・・・・・・」
繭は自分の体の前に回された澪の右手にそっと自分の左手を添える。
感触を右手の甲に感じた澪が少し体を跳ねさせる・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
やがて小さな震えも治まる。
このまま・・・・・・・昨日の事を打ち明けてしまったら自分は楽になるかもしれない。
でも、絶対に言えない。
それを知ったら姉さんは・・・・・・・・・・
そんなのは絶対駄目。
繭の温もりを感じ取りながら澪は思考を巡らす。
ふっと表情を緩める澪。
キッチン台に置かれている鏡に二人の姿が映っている。
「ふふ・・・・・姉さんのそのエプロン姿。
私達何か新婚夫婦みたいだね?」
「え?・・・・・・何言い出すのよ澪・・・・・・・」
笑いながらも少しだけ頬を染めてしまう繭。
その表情が鏡のせいで澪に隠すことも出来ず余すことなく見られてしまう・・・・・
「そのエプロン可愛いね。」
繭が身に付けている物は、薄いピンクの下地に小さな苺が散りばめられたエプロン。
「澪が私達の誕生日にくれたんだよ・・・・・・・12歳になる時に・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「そうなんだ・・・・・・・」
忘れている事にまた寂しさが少しだけ込み上げてくる澪。
(違う!・・・・・・・・・あいつらのせいで!・・・・・・あいつらが・・・・・)
また小刻みに震えだす澪の体。
「澪?・・・・・・・・」
その異変に繭は気付く。
「ごめん・・・・ご飯冷めちゃうよね・・・・・・食べよう、姉さん。」
澪は少しだけ名残惜しそうに繭を開放してやるとテーブルに着く。
するとすぐさま、自分の前に盛られたご飯の上半分を箸で掴むと繭の茶碗に付け足す。
「ちょっと!澪!」
「私達は双子。同じ量食べられるはずだよ、ね〜えさん。」
してやったりと澪が意地悪い笑みを浮かべる。
「うぅ・・・・・・・」
目の前に盛られたご飯に何も言えなくなる繭。
「いいわよ!食べてやろうじゃない!」
やけくそになっている繭に思わず笑ってしまう。
「前の澪はこんな意地悪じゃなかったのに・・・・・・」
「それじゃ、きっと姉さんが悪いんだね、うふふ・・・・・」
(楽しい・・・・・・・・・・・・・・・・・・
一人じゃない食事がこんなに楽しいなんて・・・・・・・)
澪と同じ事を繭も思っていた。
普段の1.5倍の量に楽しい食事の時間は長かった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「う、動けない・・・・・・」
繭が辛そうにお腹を押さえて訴える。
「だ、大丈夫?」
苦笑いを浮かべて訊ねる澪。
「だ、駄目・・・・・・・」
澪もお腹が少し苦しいが繭ほどではなかった。
なので後片付けはすべて澪一人で行った。
片付けが終わると澪は昨日の様に自室に篭り記憶を呼び覚まそうと努力はしなかった。
その代わりソファーで休憩している繭の隣に座って寄り添っていった・・・・・・
正午までとりわけ会話は無かった・・・・・・
そしてまだ全くお腹の空かない二人は昼食はパスすることで意見が一致した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
同じ感覚で時を刻んでいく時計を見ていると澪は切なくなった。
(一日って短いな・・・・・・・もう午後になっちゃった・・・・・・・・・・
さっき起きたばっかりなのに・・・・・・・・・・)
その後も午前と同じように二人は肩を寄せ合っていた。
天気の良い午後であった。
エアコンが無ければ汗だくになっているだろう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「姉さん・・・・・・・・」
澪がポツリと呟く。
「ん?・・・・・・」
自分の肩に頭を預けている澪の方に顔を向ける繭。
「わたし・・・・・・・・・・・
私、思い出さないと駄目かな?・・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「澪・・・・・・・・・・・」
「何かね・・・・・・・・・・・・思い出せないと姉さんにほんとの妹だと思って貰えない
んじゃないかって・・・・・・・・・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「澪・・・・・・・・・・・・・昨日も言ったよ。
記憶が無くったって、澪が私の事忘れたって・・・・・・・
澪は澪だよ・・・・・・・私のたった一人の妹だよ・・・・・・」
「姉さん・・・・・・・・」
込み上げてくる目頭を熱くする物を見られまいと澪は繭の胸に顔を埋める。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「もうすぐ夏休みも終わりだね・・・・・・・」
澪の頭を撫でながら繭が言う。
「そうだね・・・・・・・・・・・」
「澪の記憶が無いって知ったら皆びっくりするかな・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「そう・・・・・・かもね・・・・・・・・」
明日で死ぬかもしれない澪にはどうでも良いことであったかもしれない・・・・・
何も考えることなく澪は返事を返した。
「澪はクラスの人気者だったから、またすぐに慣れるよ。きっと・・・・・・
私も付いてるし、大丈夫だからね。」
繭の気遣いが嬉しかった。
そして自分の不安のせいで繭まで暗い気持ちにさせたくないと澪は思った。
「うん・・・・・怖いから、学校でも姉さんの側にずっと居るね・・・・・私・・・・・・・・・ずっと・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ふふ・・・・・良いよ・・・・・・澪」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(これで良いんだ・・・・・・・・・最後くらい私も楽しく過ごしていたい・・・・・・・
姉さんの悲しむ顔なんて見たくないから・・・・・・・・・)
間が空いた割に短くてすいません・・・・orz
次はもう少し書いてから投下しようかと・・・・・・
では出来た時にまたですノシ
(いつになるやら・・・・・)
うおおGJ!
続きくるまで待ち続けます
いやはやGJ。黒百合って素晴らしい
ところで、ここは絵の投下はアリ?
自作なんだが…
>>119 以前のスレでは結構あったはず・・・・
お好きにやって盛り上げてくだされ。
新婚さんみたいだねって軽く言っちゃう澪が女ったらしに見えるww
>>117GJ!!
続きは気長に待ってまつ。
>>119 ぜひ。
>>123 うおー超乙!
もっとないのー?(Д゚(○=(゚∀゚)=○)Д゚)
>>123 すげー!!!
画像がもうちょい小さければもっといい!!!
127 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/21(土) 17:26:56 ID:VAwWLZou
ウヒャーみんなGJ!!!!!!!
>>126 イイヨイイヨー
澪達が来る前はこんな事をしていたんだな
131 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/27(金) 18:08:58 ID:takLTwbc
>>126 すげえ!!GJ!!
好みの絵です!ノートPC横にして見ましたともwええw
エロイの書きたくなるw
>>131 いや・・・・・・ほんと申し訳ないです・・・・
遅くて・・・・・・
>>116の続き
↓
楽しい時間は短く感じる。
澪は今日ほどこの言葉を憎いと思ったことは無かったように思う。
明日で終わりが訪れるかもしれないからだろうか・・・・・
(違う・・・・・・・・この時間がずっと続くと分かっていたって・・・・・
私は・・・・・・姉さんと居られる事をきっと幸せに思う・・・・・・・・・)
既に太陽は沈み、外は薄い闇が支配する刻限であった。
二人は夕飯の準備をしていた。
夕飯がいつもより遅くなった原因は、夕方前にお腹が空き軽食を簡単に取ってしまったためである。
澪はこの夕飯の時にどうしても繭に聞かねばならない事があった。
「やっぱり甘口は物足りなくない?」
ちっとも辛くないカレーに少し不満を漏らす澪。
「私辛いの駄目なの・・・・・・・舌がヒリヒリする感じが・・・・・」
「あ・・・・そう・・・・・」
それならしょうがないか、と澪は食事を進める。
「・・・・・お姉ちゃん、真面目な話しても良い?
どうしても答えて欲しい事なの・・・・・・・」
澪の言葉に繭は頷きスプーンを置く。
それを見て澪は自分の聞きたい事が繭にも知れていることを確信する。
「私はどこへ行ったせいで、記憶が失くなったのかな?・・・・・・
理由は別に良いの・・・・・・・・・頭を打ったわけではないだろうし・・・・・・
だけど、場所だけは教えて欲しい。それで何か思い出せるかもしれないし・・・・・」
繭は予想していたことながら直接澪の口からそれを聞くと、少し辛そうな表情を浮かべる。
少しの間押し黙っていたが、やがて重たい口を開く繭。
「うん・・・・・・・・昨日バスで通ったけど、アパートがあった右の道から入った○○山
のふもとの所・・・・・・・川があって、昔そこで良く遊んだのよ・・・・・私達。」
話す間も繭の悲しそうな表情は変わらない。
澪は繭の返答に想像以上の収穫を得ることができた。
場所だけでなく、そこへの行き方も聞く事が出来たのは今の澪にとって重要な事であった。
「結構近い場所だったんだね・・・・・・・・・・
記憶を取り戻せるかもしれないしそのうち行ってみないとなぁ・・・・・・」
無論明日に出発するつもりであったが澪は曖昧に返事を返しておく。
「その時は私も一緒に付いて行くからね。」
思わぬ繭の返答にギョッとする澪。
「駄目!、駄目!・・・・・・いや・・・・・・・・・
良いよ、近いし私一人で行けるから・・・・・・・・」
不自然な程に反応を示してしまった事に後悔しつつも、
澪は繭の同行の申し出を拒絶する。
「でも・・・・・・・澪は記憶が戻ってないし・・・・・・
あそこには・・・・・・・ほんとはもうあまり行って欲しくないの・・・・・」
心底自分を心配してくれている繭の眼差し。
澪は罪悪感に駆られ始めた・・・・・・・・・が、絶対に一緒に行くわけにはいかない・・・・・・・
(だって・・・・・・・・・・)
もし、駄目だったら私は死ぬ時を姉さんの側で・・・・・・・・・・・・
それに姉さんを危ない目に合わせるわけにはいかない。
尋常ならざる者が待ち受けていることはあの日見た夢からも容易に想像することができる。
「分かった・・・・・・・・・・行く時は姉さんに一緒に来てもらうから・・・・・・・
心配しないで。」
嘘を吐くのが少し辛いが、仕方の無いことだと澪は自分に言い聞かせる。
「良かった・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(ごめんね・・・・・姉さん・・・・・・)
21:03を時計の針は指していた。
二人は食事を終えると、一緒に片付けをした。
澪は食器を流しに運ぶ繭を見て、病院で再会した時から気になっていたことを尋ねる事にした。
今まで聞かなかったのは何でだろう?・・・・・・・・聞いちゃいけない気がしたから?・・・・・・・
「姉さん・・・・・・・」
「ん?・・・・・・・・」
作業を休めることなく繭は返事を返す。
「その・・・・・・・・足怪我してるの?・・・・・・・」
歩く時に常に片足をかばっているのは気にせずとも目に付いてしまう。
繭の表情はみるみる曇り始める・・・・・・・
「うん・・・・・・・・・・・・小さい時にね・・・・・・・・・・・・・その・・・・・・・・・・」
繭は言葉を喉に詰まらせ、洗い物をしていた手を止める。
返事を待っていた澪は驚いた。
繭はそこまで言うと言葉を続けることはなく、代わりに大粒の涙を溢し始めたのである。
「ね、姉さん・・・・・・・・・・」
「ごめん・・・・・・ごめんね、澪・・・・・・・・」
澪は自分の手が濡れているのも構わず、すぐに繭を抱きしめた。
やはり良い予感はしていなかった・・・・・・・
聞いてはいけないことだったのだろう・・・・・・
「姉さん・・・・・・・ごめん、変な事聞いちゃって・・・・・・・・・・・・・」
澪は泣き続ける繭を強く抱き締めていた。
「違うの!・・・・・・澪は悪くないの!・・・・・・・・・・・・・
記憶が無いんだから気にしないで・・・・・・・・ごめんね、急に泣いたりして・・・・・・・・」
澪はゆっくりと屈むと怪我をしている繭の足を優しく包む・・・・・・
「これも・・・・・・・私のせいで怪我したんだよね・・・・・・・きっと・・・・・・・
早く治るように・・・・・・・・・」
眼下で優しく自分の足を撫で続けてくれる澪が更に滲んで見えてしまう。
繭は口に手を当て、声をあげてしまうのを必死に堪えていた。
そして、この怪我の理由を澪には絶対に思いだして欲しくなかった。
これ以上澪を縛り続けて苦しめたくはなかった・・・・・・・
泣き続ける繭を澪は優しく包んでいた。
昨日、今日と繭に幾度と無く慰めてもらっていた澪であったが、今は不思議な感じである。
全く逆の立場になっている事を思うと、やはり双子であることを認識させられる。
足が不自由な姉を連れて行くわけにはいかない・・・・・・・
そして、繭のためにも絶対に帰ってこなくてはならない・・・・・・・
澪は自分の腕の中で泣き続ける繭を肌で感じながらより一層決心を固める。
自分が守ってあげなくては、という慈愛の念に駆られる。
繭が落ち着くと、
澪は少し躊躇うところがあったが、
お風呂に一緒に入ろうと誘う。
少しでも長く一緒に居られる時間が欲しかったのだ。
今回は繭も特にからかう事も無く返事を返す・・・・・・・
二人は一緒に風呂につかると寝る準備を整える。
澪の予定通り、今日二人はトイレ以外はほとんど同じ場所に共に居た。
到底満足には程遠いものであったが、それでも一日の間で出来る限りの最善を尽くしたつもりであった。
今日は澪の部屋で二人は寝ることにした・・・・・・・
新月の前日・・・・・・・・
曇ってはいないのだが、
月明かりはほとんど感じられず、外は暗かった。
夜は時として人の心を不安に陥らせる・・・・・・・・・
今の澪ももし一人であったら震えだしていたかもしれない。
布団の中で繭の手を探し当てると澪はその手をしっかりと握った。
「姉さん・・・・・・・・・・おやすみなさい・・・・・・・・」
「おやすみ・・・・・・・・・・澪・・・・・・」
澪の体温が繭に流れ込んでいく・・・・・・・
繭の温もりが澪の手に伝わってくる・・・・・
お互いの存在を相手がしっかりと感じている。
(神様・・・・・・・・・・私達を離さないで・・・・・・・・・・)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
30分くらいたったであろうか・・・・・
日付は変わっていた。
遂に新月の0時まで一日をきってしまった。
もはや、澪には迷いは無かった。
心残りがあるとすれば・・・・・・・・・・・・・・
思い出せなかったこと・・・・・・・・・・・・・・
繭とのかけがえの無い思い出を共有できなかった事・・・・・・・・・・
そこまで考えると澪は頭を振る。
(これで・・・・・・・・私が呪いを解いて、また帰ってくれば・・・・・・・
その時はまた前と同じになっているはず!・・・・・・そうだよね?、姉さん・・・・)
布団の中の温もりは心底心地良かった。
澪の固い決心を揺るがす程に・・・・・・・・
澪も深い眠りに落ちていくのに時間はかからなかった・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そのまま朝日が再び顔を出す。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
目を閉じていただけだったように、澪は目を覚ますとすぐに脳まで覚醒させる。
時刻はまだ朝の6時半・・・・・・・
音を立てずに横を向くと、眠っている繭の姿を確認する。
「姉さん・・・・・・・」
囁くように澪は呼びかけてみる。
繭から返事は無い。
まだ眠っているようだ・・・・・・・
それを確認すると、澪はそっとベッドを抜け出す。
繭を起こさない様注意を払いながら、少ない持ち物を抱え自分の部屋を出て行く・・・・・・・
細心の注意を払いドアを閉めると、その顔は決意に彩られた表情に変わる。
そのまま、階段を降りようとするがふいに足が止まった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
繭が寝ていると思われる自分の部屋のドアを見つめる。
何かを思いついたようにドアの前に立つ澪・・・・・・
「姉さん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私ね・・・・・・・今日の夜中に死んじゃうかもしれないんだ・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「でも、きっと帰ってくる・・・・・・・・・・・・・・・また姉さんと一緒に居たいから・・・・・・
今度会う時は・・・・・・・・・・・・・・姉さんの知ってる澪だよ・・・・・・・
そしたら・・・・・・今度こそずっと一緒だよ・・・・・・・・私達・・・・・・・・」
「ありがとう、姉さん・・・・・・・・・・・
さ、・・・・・・・・さよなら・・・・・・・・・」
言いたくは無かった別れの挨拶・・・・・・
なのになぜか口から出てしまった・・・・・・・・
澪は聞えるはずのない程囁くようにそれらを言うと静かに階段を降りて行った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
だが、この時澪は知る由も無かった・・・・・
あの悪夢を
絶望の宣告をされたあの夢を
呪いの内容を
あの髑髏はあの時、繭の夢にも現れていたことを・・・・・・・
悪魔は澪と同じく運命の呪縛から逃れた姉も許しはしなかったことを・・・・・・
繭をも絶望の葛藤に追い詰めていたことを・・・・・・・・
昨日ベッドに入ってから繭は一睡もしていなかった。
澪の呼び掛けにも眠ったふりをしてやり過ごしていた。
澪が階段を降りていくのを確認すると繭はパチリと目を開ける。
澪は洗面所で支度を整え、ダイニングに戻るとソファーに座っている人影に飛び上がりそうなほど驚く。
「ね、姉さん!!・・・・」
座ったまま澪の目を真っ直ぐ見つめる繭・・・・・
「こんなことだろうと思ってたよ・・・・・・・・・
私が分からないとでも思った?・・・・・・・・・・
生まれた時からずっと一緒に居るのに。」
決して責め立てるような口調ではない・・・・・
「うん・・・・・・・何か・・・・・・・隠し事は出来ない気がしてた・・・・・・
でも・・・・・・・・姉さんにはやっぱり来て欲しくない・・・・・・・・」
澪は呪いの事は繭は知らないと思っている。
が、内容まで知っている繭は当然その申し出を了承するはずが無かった・・・・・
「大丈夫よ・・・・・・・
それに、今度は私が澪を助ける番だよ・・・・・・」
俯きながら繭が小声で言う。
「今度?・・・・・・・」
意味深な言葉に疑問の念を抱く澪。
「ううん・・・・・何でも無い・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
無言で見つめ合う二人・・・・・・・・・・・
「危ない目に合うかもしれないよ?」
「構わないわ・・・・・・・・・・・
記憶の無い澪を一人では行かせられない。」
澪が表情を緩める。
「分かった・・・・・・・・・・
ほんとはそう言って貰ってすごく嬉しい・・・・・・」
その言葉に誘われるように繭も表情を緩める。
明かりを点けてはいないが表情は見えずともお互い相手の緊張が解けているのが分かる。
しかし、二人にはもう一つ迷うことがあった。
姉に呪いの内容を告白すべきなのかどうか?・・・・・・・
妹に自分は呪いの内容を知っていることを告白すべきかどうか?・・・・・・
二人とも少しだけ考えると取り敢えずは保留することにした。
姉が呪いを解く術を知れば最悪の結末を迎えてしまうかもしれない・・・・・・
澪にはそれが怖かった。
妹が知れば私を絶対に付き添わせてはくれまい・・・・・・
繭にはそれが怖かった。
何も食べずに行っても結局お腹が空いて食事を取るハメになるので、
二人は食事を簡単に済ますと、残ったご飯を丸めていくつか持って出かける事にした。
10年以上も離れずに一緒に居た報いなのか・・・・・・・
運命は再会を果たした双子を何事も無く再び共に居させる事を許さなかった。
あの日、あの村に関わってから、ピタリと合っていた二人の歯車が大きく狂い始めていた。
二人は先の見えぬ運命に怯えるも未来に淡い期待を抱き、最愛の相手と共に再びその場所へと向かった。
前と同じくらいしか書いてない・・・・・orz
読んでくれてる方ほんますいません・・・・・
何でこんなに長くなったんだろう・・・・?
そして、この先はまだ1行も書いてませんw・・・・orz
続きが出来たらまたですノシ
>>142 ちょっと長いせいか所々微妙にちぐはぐな流れになってたり、
思い出の場所は澪繭の家からは遠い事等ツッコミどころはあるけど・・・
GJGJTJGJGJ!足の傷を撫ぜる描写、澪繭の特権だな。えろくて大好きだ。
しかも珍しくアクション要素が絡みそうなSSで先が楽しみ。
俺敵には長いもむしろ嬉しいし、wktkしながら続き待ってるノ
>>142 続きキテター!GJです!
長いの大歓迎っすよ。是非是非。
私も小ネタを投下させていただきます。
『お姉ちゃん(と紗重)の18番』
夏。いつものごとくおねえちゃんに異変が起こっている。
小刻みに震えてるし、目は虚ろ。ヤク中みたいで怖い。
この季節にはいつもこーなのよねーと、
春の陽気にやられてしまった愉快な人間に対して抱くような感想を一人ごちる。
とりあえず心配しておこう。
「お姉ちゃん、どうしたの!?お姉ちゃん!」
まあ大体わかってるんだけどね。ほら、くるよいつものセリフ。3,2,1,
「マタワタシヲオイテイクノ」
はいきたー。紗重おりてきたー。
「!!!お姉ちゃん!?お姉ちゃん!!?」
いや、ぜんぜん驚いてないんだけどね。いつものことだし。
「澪・・・ずっと一緒だよね(八重・・・ずっと一緒だよね)」
今更そんなに激しく求めなくても毎晩(自主規制
「うん、ずっと一緒だよ。でもね、あの、今は用があるの。ごめんねお姉ちゃん!また後で!」
「澪・・・(八重・・・じゃあ私も一緒に)」
さみしげな目でこちらを見るお姉ちゃん。しかし狂気入った笑顔しててこわい;
そういえば私の中に八重はまだ居るのかな。
もし居るんなら早く出てってほしい。さっさと引越し〜。ぱんぱん。
と、お姉ちゃんから例の瘴気が出始めているのが見える。
「・・・澪・・・足が痛いよ・・・おいてかないで(八重・・・ドウシテオイテイッタノ)」
零の刻じゃブースターついてんじゃないかって位の健脚ぶりだった気がするんだけど、気のせい?;
・・・って、いけない。オオツグナイおきそうな位瘴気でまくってるし。とりあえずなだめなきゃ;
「・・・わかったよお姉ちゃん。私だってほんとは一人で用事に行くより、お姉ちゃんと一緒に行きたい」
「本当・・・?(嘘だ!!!!!!!!!)」
こわい。こわすぎるよお姉ちゃん;いや、紗重;
「本当だって!・・・お姉ちゃん、私達の愛の深さを考えてみて・・・二人が離れるなんてありえないと思わない!?☆」
「・・・うぅ・・・澪ぉ!!!大好きぃ!・・・ぐすっ・・・そうだよね!・・・ありないよね!」
「ありえないよ!☆だって・・・」
・・・だってお姉ちゃん・・・・・・ワープしてくるもの;;;;;;;;;;;;
おわり
(^ω^;)ウーン
続きキテター!
酒入り過ぎて、読めるような状況じゃないから
後でゆっくりと両者とも読ませていただきまする☆
147 :
名無しさん@ピンキー:2006/11/06(月) 22:54:05 ID:ZhqykQp1
待つ身はつらいな
保守age
続きを・・早くつづきヲク..レ...
期待
>>143 すいません・・・・・としか言い様が無いです・・・・orz
ただ、設定は全く一緒にしようとは思っては無いです。
ってかゲームが今手元に無いので確認したくてもできないです・・・・orz
>>141の続き
↓
今にも雨が降り出しそうな空の下を無言のまま目的の場所へ向かい歩き進める二人。
家を出てから数十分は歩いているが、まだ会話は一つも交わされていなかった。
夏の終わりの湿った空気が纏わりつきじっとりと汗が滲み出てくる。
「姉さん・・・・・・・」
蝉の鳴き声に紛れて先に口を開いたのは澪の方であった。
家を出てからの空気を悟っていた故か、話しかけられる事が無いと思っていた繭は
不意の呼びかけに少しだけ過剰に反応してしまう。
「え?何?・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
しかし、澪の口から続く言葉は無く・・・・・
「・・・・・何でも無い・・・・・・」
ボソリと呟くように言うと澪はすぐに視線を前に戻して再び歩き始める。
繭も何も言う事なく横に並んで歩くだけであった・・・・・
何を話しかけて良いのかが分からなかった。
澪に降りかかった現実をもし知っていなければ躊躇する理由は無かったのだろうが、
今日で死ぬかもしれないと自覚しているであろう澪に対して、
かけるべき言葉がすぐに思いつかなかった・・・・・
そんな自分の無力さを切に実感してしまうが、それでも澪の側に居られるだけで嬉しかった。
(・・・・澪を助けられるのは私だけ・・・・・・)
隣を歩く澪に気付かれないように薄い笑みを浮かべる繭・・・・・
自分でも笑いが込み上げる理由ははっきりとは分からなかった・・・・・・
「この道を入ってずっと真っ直ぐ行って登った所だよ。」
繭は整備されていない道の前に立つと前方を指差す。
繭が指差す先には木で覆われた小高い山がある。
木が生い茂り、日の光がほとんど届かないような場所であった。
少しの間足を進めることなく先を見つめ立ち竦む澪。
「なんか怖そうだね・・・・・」
そうは言うものの澪の目には恐怖の色は窺えない。
現在の境遇を思えば・・・・・・・
これから先に自分の身に起きる事を考えれば当たり前の事かもしれないのだが・・・・・
しかし今の澪が気になるのは自分の事では無かった。
体を繭の方に向け真っ直ぐに姉の顔を見据える澪。
「姉さん、ほんとに付いてきてくれるの?
危ない目に合うかもしれないんだよ?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その問いに短い溜息を付く繭。
「出かける前にも言ったよ・・・・・
立場が逆だったら澪はどうするの?
私一人で勝手に行かせてくれるの?」
「そ、それは・・・・・・・」
痛いところを突かれて何も言えなくなる澪。
「ね・・・・それはもう良いから・・・・・・
それにね!この際はっきりさせておくけど、
私は澪の姉なのよ!・・・・・・・・・・
それなら可愛い妹を危ない所へ一人でなんて行かせるわけにいかないでしょう!?」
「姉って・・・・・・・・・・・・・・
双子なんだから生きてる時間は変わらないでしょ?」
膨れている繭を少しだけからかう様に澪はそう言い放つ。
「駄目駄目!妹が年上の姉の言う事聞くのは当たり前なんだから、
私が付いて行くって言ったら、もう澪には逆らう権利は無いわ!」
「ふ〜ん・・・・・・そういう事言うんだ?」
意地悪そうな顔で繭の顔を覗き込む澪。
「姉さん知ってる?
双子は先に生まれた方が妹になるしきたりも世の中にはあるんだよ。」
「え?・・・・・・・」
「つ〜ま〜り〜、私が姉さんの姉さんかもしれなかったって事。」
「いや・・・それは・・・・でも・・・・・・」
「まゆちゃん、危ないから姉さんが帰るまでお家で大人しくしてなさい!」
いきなり名前で呼ばれ顔を赤らめてしまう繭。
「な、何よ〜!
い、今は私が澪の姉なのよ!!それは絶対だから!」
照れ隠しに声を大にして抗議を返す繭。
その対応が可愛くて、澪は口に片手をあてクスクスと笑い出す。
「あはは!はいはい。ごめん姉さん。
でも双子なのに何か不公平じゃない?」
「な。何がよ?・・・・・」
繭は疑心を抱いて澪の言葉を待つ。
「だって、お母さんのお腹に居た時から考えれば生きている時間は一秒たりとも変わらないわけだから、
一日交代で私の方が姉になっても良くないかな?なんて・・・・・・」
「良くないです!!!」
即座に大声で否定する繭。
「いや・・・冗談、冗談」
「もう駄目!私の言う事は絶対聞かなきゃ許さないから!」
「絶対って・・・・う〜ん・・・・・でも姉さんが私の事想ってくれてる限りは
全然構わないけど。」
屈託の無い微笑で繭を見つめる澪。
「え?・・・・・・」
そんな澪の表情をまともに見ていると繭はまた赤面してしまう・・・・・
「あ?でも、ご飯毎日作れとか洗い物一人で全部やれ!とかはちょっと・・・・・・」
「わ、私がそんなこと言うわけないでしょ!」
さっきからからかわれっぱなしの繭は即座に切り上げようと会話を強引に断ち切る。
「良かった。今日も帰ったら一緒にご飯作ろうね・・・・・・」
澪のその言葉に繭は言葉なくコクリと頷く。
「姉さん・・・・・私から離れないでね・・・・・・・」
「うん・・・・・」
先程の澪の言葉が繭の頭の中で再生される。
・・・・・・・お腹の中に居た時からずっと一緒・・・・・・
(そう・・・・私たちはずっと一緒・・・・・二人で一つ。
これからも・・・・・ずっと。
絶対に・・・・・)
先程よりも二人の間の距離が縮まる。
馬鹿話をしながら山のふもとへ辿り着く。
顔を見合わせ、何かを確認するように頷いた。
二人は木が生い茂っている空間へと足を踏み入れる・・・・
木々によって太陽の光が遮られた瞬間に妙な違和感を感じる澪・・・・・
日の光だけではなく、何か・・・・・何か空気が変わった・・・・・・
周囲から聞こえる音も先程までのすずめや小鳥の高い鳴き声とは異なり、
梟やらカラスのものと思われる声が支配する。
「涼しいね・・・・・・・」
澪は少し前まで汗をかいていた肌から既にそれが引いている事に気付く。
それは日陰に入ったせいだけでは無かった・・・・・
「うん・・・・・・・・」
繭は知らないうちに澪の手を握っていた。
歩いている地面はなぜか湿り気を帯びている。
ここ最近雨など降っていないはずなのに・・・・・・
空気が肌に纏わり付く・・・・・
木々が微かな風に揺れ不気味な音を奏でる・・・・・
「うぅ・・・・・や、やっぱり姉さんに付いてきて貰って良かった・・・・・
でも、ここほんとに昔良く遊んだ場所なの?」
周囲の雰囲気を肌で感じた澪が不思議に思い尋ねる。
「うん、昔はこんなに木は無かったし、もっと明るくて気持ち良い感じだったんだけど・・・・」
今の感じる風景からは繭の言っている事はとても信じ難い。
「今日は天気もあまり良くな・・・!!!ひゃっ!!!」
会話の途中で突然繭が悲鳴をあげる。
「姉さん!どうしたの!?」
その声に驚いた澪が強張った表情で尋ねる。
「ご、ごめん・・・・水滴が頭に落ちてきただけ・・・・・・
ちょっとびっくりしただけだから・・・・・・」
自分の頭に手をやりながら少し申し訳ない顔をする繭。
「なんだ〜・・・・何か居たのかと思ったよ〜・・・・・」
ホッと胸を撫で下ろす澪。
しかし、安心したような言動とは裏腹に二人の握り合った手はより一層力を増していた。
二人は注意深く奥へと侵入していく。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「もうすぐ川があると思うから・・・・・
そこを越えたとこが・・・・・・・」
繭はそこまで言うと言葉を切る。
やがて水の流れる音がどこからとも無く聞こえてくる・・・・・・
前方に聳え立つ大木を通り過ぎ、視界が開けた目の前に繭の言うとおり小さな川があり、
緩やかに水が流れている。
これが子供の頃に遊んだという川であろう・・・・・
「水が綺麗だね・・・・・」
澪の言う通り川の水は澄んでいて、浅い底が余裕で見える程であった。
「昔は二人で中に入って遊んだりもしたからね・・・・・・」
風が音をたてて通り過ぎる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
………………………………………………………………
・・・良く、ここで・・・・だよね・・・・・・・
………………………………………………………………
「え!?」
澪が驚いたように後ろに居た繭の方を振り返る。
「どうしたの?」
不思議そうに尋ねる繭。
(確かに声が聞こえたと思ったんだけど・・・・・)
………………………………………………………………
足、大丈夫?痛くない?・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
少しね・・・・・・・でも平気・・・・・・・・
………………………………………………………………
聞こえる・・・・・・・・
少し先にある石の上からだろうか?
人影は全く見当たらないが、女性二人の会話が耳に入ってくる。
幻聴だろうか・・・・・・・
澪は再び繭の方を振り返る。
しかし、繭は相変わらず不思議そうな表情を澪に返してくるだけである・・・・
(私にだけ聞こえてるの・・・・・・)
………………………………………………………………
お姉ちゃん?・・・・・・・・
………………………………………………………………
やがて声は遠くなっていくと、先へと続く道へと消えていったように感じる・・・・・・
(何?・・・・・・・・それに・・・・・・この声は・・・・・・・・・・・)
自分達以外には誰も居るはずはないのに耳に届く声・・・・・
それも聞き覚えのあるその声・・・・・・・・
「澪?・・・・・・・どうしたの?・・・・・・・」
心配そうに繭が顔を覗き込んでくる。
繭の呼びかけに現実に引き戻される澪。
「ごめん・・・・・・大丈夫・・・・・・・先に行こうか・・・・・・・」
返事を返さず足を進める澪を不安に思う繭であったが、黙って付いていくことにする・・・・・
奥へと進むにつれ、周囲は暗さを増していく。
そして、同じ歩幅で澪に合わせて歩いていた繭が足を止めてしまう・・・・・・
すぐにそれに気づいた澪は自分も足を止め振り返る。
「姉さん・・・・・・どうしたの?」
怪訝そうな顔で繭を気遣う。
「この先は・・・・・・澪、やっぱり行かない方が良いかもしれない。」
今更引き返すことなど澪には出来ない。
出来るはずが無い・・・・・・
「姉さん・・・・・・でも・・・・・私は・・・・・・・」
「澪にはほんとに行って欲しくないの・・・・・・・
でも・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
澪は行くんだよね・・・・・・・・・
だから一緒に・・・・・・私も付いて行くから・・・・・・」
澪は表情を緩めると、優しい顔を浮かべて繭に近づく。
震えるその手をそっと握る。
「うん・・・・・・・行かなきゃならないの・・・・・・
姉さんの事もきっと私が守ってみせる。それに私も・・・・・・
姉さんが付いてるから大丈夫!」
安心させるように最後の言葉を力強く言い放ち、澪はニッコリと微笑んだ。
「うん・・・・・・」
ぎこちないものではあったが繭もその顔に笑顔を作る。
お互いの意思を再確認すると、二人は更に歩を進めて行く。
上り坂を注意深く踏みしめ登っていく。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「こんな所に鳥居が・・・・・」
(この先に神社でもあるのだろうか・・・・・・・)
澪は少しだけ繭の方を見ると、目の前に佇む所々黒ずんでいる赤い鳥居をくぐる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ザアアアアァ・・・・・・・・
はっきりと感じた。
今まで感じていた肌に微かに纏わり付いていた嫌な空気が急に重たくなったのを・・・・・・
偉く実体感を持った生温い風。
澪は思わず身震いしてしまった。
背後から繭の声が聞こえる。
「やっぱり・・・・・・・まだ・・・・・・・・・」
繭がポツリと漏らす・・・・・・
「え?・・・・・・・・」
澪が聞き返すが繭はまるで言っては無かったかのように反応を示さない。
無言のまま更に奥へと進む姉妹。
やがて小高い丘の上に出る。
そこで澪は信じられないといった表情を浮かべる。
まだ正午になるかならないかくらいの時間のはずなのだが、
空が暗いのだ。
「嘘・・・・・・・・・」
木々で光が完全に遮られていたせいか、澪はいつの間に空が闇に変わったのか
が分からなかった。
………………………………………………………………
地図から・・・た村・・・・・・
………………………………………………………………
(また・・・・・・・・)
澪の耳にまたも誰も居ないはずの場所から声が届く。
「ここは、ずっと前に無くなった村。」
澪に話しかけるわけでもなく繭がポツリと漏らす。
「ね、姉さん・・・・・・・・これは?・・・・・・・
どうして空があんなに暗いの・・・・・?」
繭の背後の方に見える怪しい光を放つ松明の炎がユラユラと揺れている。
「分からない・・・・・・・・けど、この間澪と来た時も・・・・・・・
同じだった。」
繭が言うその以前の記憶が無い澪は不安に駆られ始めた。
(私は・・・・・・ここでいったい・・・・・・・・・)
やはり姉を連れてくるべきではなかったのではないか?
と後悔の念が再び沸き起こってくる。
それ程周囲の光景は異様であり、空間を支配している空気は異質な物に感じられる。
しかし、もうどうしようもない・・・・・・・
ここまで来てしまったからには共に進むしか道はないだろう。
二人は坂を慎重に下っていく。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「姉さん、足大丈夫?」
下り坂は足にも相当負担がかかることを知っている澪が怪我を負った繭の足を気遣う。
「うん・・・・・大丈夫・・・・」
ここに来るまで澪は自分の焦る気持ちを抑え、繭のために比較的ゆっくり歩くように配慮していた。
坂を下りると、木造の建物が並んでいる。
「姉さん・・・・どこへ行ったら良いか分かる?
何か手ががりになりそうな場所とか?・・・・」
澪は左手にある家を見つめながら、繭に意見を求める。
「ごめん・・・・・前来たときは色々あって・・・・・どこをどう歩いたのか全然覚えて無いの・・・・
でも、最初はこの家に入って・・・・・その・・・・・・・」
それ以上は言葉が続かない繭。
「分かった。それじゃ取り敢えずここに入ってみよう・・・・・
人は居なさそうだけどね・・・・・」
自分でそう言いつつも廃屋を見ながら引きつった笑みを澪は浮かべる。
中は明かりがありそうな気配も無い。
「ごめんください・・・・・・・・」
一応澪は形式的な挨拶をしてドアを開ける。
中はカビた匂いなのか埃っぽい匂いが鼻につく・・・・・・
澪は持ってきた荷物の中からライトを取り出し室内を一通り照らす。
家の中は予想以上に廃れており、やはり明かりも無く、遠くは良く確認することが出来ない。
「姉さん、離れないでね・・・・」
繭の腕を確認するように一度しっかりと握る澪。
声を出すことなくコクリと頷く繭。
ペンライトの照らす先に向かって二人は足を進める。
「その・・・・・・」
自分のすぐ後ろを歩く繭からの声。
「なに?」
一度足を止め、振り向く澪。
「その・・・・・・ここは、もしかしたらあり得ない物に遭遇するかもしれないの・・・・・」
「え?」
意味深な言葉に目を大きくする澪だが、それ程驚いたわけではない。
先程から何度か耳に入ってきた聞こえるはずのない声・・・・・
それにこの家に入ってから、強烈な視線を先程からずっと感じている。
得体の知れない何かが居ることは間違いないとは澪も確信していた。
「気をつけないとね・・・・・」
そう言って澪は廊下のような所を進んでいく。
風も感じられないのに微かに揺れている暖簾を掻い潜り、奥の部屋の前に立つ。
目の前にある薄汚れた扉。
「ふぅ〜・・・・・」
澪は扉に手をかけると重い溜息を一つ吐く。
自分の手を握る繭の手に力が込められていることからも、この扉の向こうには何かが
待ち受けている予感を強く感じる。
「開けるよ。」
返事を待たずに澪は扉を開ける。
開けた途端風を感じたわけではないが、生暖かい何かが自分のすぐ横を通り過ぎていく感覚に襲われた。
慎重に、ゆっくりと部屋の中をライトで照らしつつ足を踏み入れていく。
廊下より静まり返った感じがするのが逆に気味が悪い・・・・・・
下は畳であったが、靴を脱ぐ必要も無いであろう・・・・・
というよりとても脱いで歩く気になれない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『・・・・なぜ?・・・・・・』
左手の方から女性の声が聞こえてくる。
また幻聴かと思いそちらにライトを向け澪は驚愕する。
「・・・・・・ひっ!」
ライトの先には薄っすらと髪の長い女性の人影が映っている・・・・・
白い服にスカートのような物を履いているだろうか・・・・・
服の種類までは把握できない。
『・・・・・なぜ?・・・・・・・・なぜ?戻ってきたの?・・・・・・・・』
女性の姿は動くことなく二人に話しかけてくるようだ・・・・・・・
「姉さん・・・・」
繭の方に目をやると、固く目を閉じ震えていた。
『・・・・・・早く・・・・・・・出て行きなさい・・・・・・・・・・・
ここは・・・・・・来てはいけない・・・・・・・・・・・・・・・・・』
敵意のような物は女性からは感じられない。
近づいてくる気配も無い。
澪は少し安心したのか、こちらから話しかけようと試みる。
「何か危険なんでしょうか?・・・・・・」
言ってはみたものの自分の声が相手に通じるのかは分からない。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・危ない・・・・・すぐに逃げなさい・・・・・・・
ここは・・・・・・・もう・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
女の声はどこか苦しそうでくぐもっていて聞き取りにくい。
「もう?・・・・・・」
『すぐそこに!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
早く!逃げなさい!!・・・・・・・・・』
突然の危機迫る声。
「え?・・・・」
何かを背後に感じて澪は恐る恐る後ろを振り向く・・・・・・
「!!!」
そこには真っ白な髪を蓄え、身に髑髏のような瘴気を纏った怨霊のような姿があった。
「姉さん!!」
その存在に気付くことなく未だ目を閉じている繭を澪はすぐさま自分の後ろへ強引に引っ張る。
次の瞬間、前方の怨霊は腹の底まで響き渡るような怨めしい声を発しながら襲い掛かってくる。
「くっ・・・・・」
自分の背後に座り込んでしまった繭が居るため澪にはなす術がなかった・・・・・・
突然澪に引き倒された繭には事態が把握できない。
「みお!!・・・・・・・みお〜!!!・・・・」
繭の叫びが澪の耳に届く。
(駄目・・・・・・何も見えない・・・・・・・・・・・)
体の力が一気に外へ逃げていくのを感じると、視界すらも塞がれて何も分からなくなる澪。
そのままなす術も無く瞼が閉じられていく・・・・・
(ねえ・・・・・さん・・・・・・・逃げて・・・・・・・)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(ここは?・・・・・・・・・)
澪はあの日見た悪夢と同じような場所に立っていた・・・・・
(また・・・・・・・あの夢・・・・・・・・)
先日見た悪夢の中に再び迷い込んだのだと澪は認識する。
周囲には何も無く、ただ闇がどこまでも続いているような空間。
『澪・・・・・・・・どうした!?
姉を殺める決心はついたか!?・・・・・ククク』
耳に聞こえてきたのはあの時と同じ声・・・・・
しかし、今度は姿はどこにもなく、周囲の暗闇から聞こえてくるだけである。
「姉さん・・・・・・姉さんをどうしたのよ!!!?」
先程までの事を思い出し、姉の安否が猛烈に気がかりになる。
『安心するが良い、お前が殺せるように無論まだ生きておるわ!』
「ふざけるな!!そんな事私は絶対にしない!!!」
どこに向かって叫べば良いのかは分からないが、あらぬ限りの声を澪は振り絞った。
『は〜はっは!!!いつまでそう言っているつもりだ!?
気付いてないかもしれんが、もうそれ程時間は無いぞ!!』
「え?・・・・・・」
『まあ良い!!貴様が悶え死ぬのを見届けるも、
貴様が喜々として姉を殺すでもどちらでも構わんがな!!』
澪は歯が欠けそうな程に体に力が込められ怒りに震える。
しかし、何かを思いついたように力が抜ける。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「私が・・・・・・私が死ねば、姉さんは助かるの?
姉さんは無事にここから出られるのね!?」
『ほう?・・・・・・最早諦め自ら死を選ぶと言うのか!?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ククク・・・・・・さあな?・・・・・・・・・・・
潔く死を迎えられてはつまらんからな!!
せいぜい悩んで絶望を背負って死ぬが良い!!!』
そこまで言うと気配は薄くなりやがてその存在は感じられなくなる・・・・・・
澪は腸が煮えくり返る思いであった。
握った拳は痛いほど爪が食い込んでいる。
(絶対に姉さんには手出しさせない!!)
周りの闇が徐々に白んでいく・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ゆっくりと目を開ける・・・・・
木の床が目の前に見える。
すぐに澪は自分がどこかで横たわっている事を認識する。
目の焦点を合わせると体をゆっくりと起こす・・・・・
「生きてる・・・・・・・・・・・・・・」
辺りを見回す。
「姉さん・・・・・・姉さん!!」
自身の安否よりも姉のそれが気になる・・・・・
返事は返ってはこない・・・・・
木製の格子が行く手を塞いでいる。
誰かを閉じ込めるために作られた場所なのだろうか?
とにかく姉さんを探さなくては・・・・・・
(時間が無い・・・・・・?)
先程の夢の中で告げられた言葉が澪の脳裏に蘇る。
導かれるように左腕に身につけた時計に目をやる・・・・・・・
(9時・・・・・・・・9時30分!!!!)
信じられなかった。
ここに着いたのは遅くとも正午くらいであったはず・・・・・
そんなに気を失っていたというのか?・・・・・
それとも時計が狂ったのだろうか?・・・・・
しかし、とにかく今はそんな事を一々考えている場合ではなかった。
繭を探そうと急ぎ足で半開きになっている格子の小さな扉から出ようとする。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
………………………………………………………………
行かないで!・・・・・・・・・・・・・・・・
………………………………………………………………
不意に背後で姉の叫び声を聞いた気がした・・・・・・
「え!?」
振り返ったそこには何も無い。
先程あれだけ確認したので誰も居ないのは当たり前である。
(また幻聴かな・・・・・・)
澪は急いで外に出る。
この建物は最初に繭と入った家とは規模が違っていた・・・・・
いや・・・・家というより屋敷だろうか?・・・・・
玄関を出ると、大層立派な庭に門まで付いており、
先を流れる川の上には長い橋がかけられている。
一々観賞してる場合ではないので、やたらと音を発する橋を駆け足で渡っていく澪。
「ねえさ〜ん!!」
怨霊が近くに潜んでいるかもしれないと思うと、声を出すのは少し躊躇われたが、
はぐれてしまった繭がどこに居るのか検討もつかないので大声で呼ぶ。
澪は取り敢えず、はぐれてしまった先程の家の中を探してみようと考えていた。
橋を渡り、門を出て階段を登るまでは一本道で迷わなかったのだが、その先は二手に道が分かれている。
澪は何かを思いついたように近くの家の少し高い所へよじ登ると、遠くを見渡す。
建物を背にし、正面の少し左におそらく最初に来た丘であろう風景が薄く見渡せる。
(左ね・・・・)
その場所から飛び降りると、再び走り出す。
少し行くとまた二手に分かれているが、正面は行き止まりのようなので、間違いなく右であろう。
走ったまま右へ曲がろうとしたが不意に足を止める。
誰も居ないと思ったが、前の方に明かりが見える。
目的の家はどうやら右に曲がってすぐの所に見えるし、
これだけ人の気配が感じられない場所なのだから、
もしかしたら繭があそこにいるかもしれない。
何も手掛かりが無ければ、すぐに戻れば良い。
澪はそう思って明かりが漏れている場所を確認することにした。
突き当たりまで走ると、蔵のような建物が右手にある。
明かりはこの奥にあったような感じだ。
小さな木の扉を開けると、体を小さくたたんで細い隙間を通り抜ける。
明かりが灯っている灯篭が目に入る・・・・・
(なんだ・・・・・・)
おそらくこれが明かりの元であろう・・・・・
落胆している暇も無いので、すぐにそのまま来た道を引き返そうとする。
「八重!」
唐突に聞こえた険しい声に腰を抜かしそうになる澪。
「うわ!・・・・・・」
反射的にそちらを見ると白髪の少年が蔵から顔を覗かせている。
歳は自分と同じくらいであろうか・・・・・
「なぜ戻ってきたんだ!?早く逃げるんだ!」
髪の白い少年は険しい表情で訴えてくる。
先刻襲い掛かってきた怨霊とは違い、嫌な感じは全くしない。
もしかしたら本当に生きた人間かもしれない・・・・・
しかし、一々相手の事を詮索している場合ではない。
「私は姉さんを探しているの!」
澪の声にも鬼気迫る物が込められている。
「姉さん?・・・・・・混乱してるのか?・・・八重・・・・
紗重の事だね?・・・・・・」
聞いたことの無い名前が発せられ自分以外の誰かに話しているのかと思ったが、
どう考えても自分以外にはここには居ない。
「二人でここに来たの!それが・・・・はぐれてしまって・・・・・」
「いや・・・・・君は・・・・・?あの時に来た女の子・・・・・・?
澪?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
自分の名前を呼ばれて目を大きく見開く澪。
こちらには全く面識のない相手が自分の事を知っているのはあまり良い気はしない。
記憶が無いのだからそれもありえる事ではあるのだろうが・・・・
「逃げたんじゃなかったのか?・・・・・・どうして?・・・・・・」
少年は辛そうな表情を浮かべる。
「説明している時間が無いの!姉さんの居そうな場所・・・・・・
もし知ってたら教えて欲しいの!・・・・・・時間が無いの!!
お願い!!」
澪は少しでも手掛かりが得られるなら悪魔にでも縋りたい心境であった。
「まだこの村に居るなら、神社か・・・・・・大木の中の仕掛けの所か・・・・・・
儀式の・・・・・・・・・・・・・・・・・・
澪!・・・君は黒澤家に?・・・・・・・・大きな屋敷には入ったかい?」
その問いにすぐに先程居た場所を思い出す。
「さっきまでそこに居たわ!」
「そうか、落ち着いて聞くんだ、澪。
君の姉さんはおそらく、丘を登った先の大木の根元の空洞の中か、出口のある神社、
どちらにも居なかったらおそらく屋敷の中だと思う。
あの屋敷には地下に広大な空洞があるんだ。そこの最奥に居るかもしれない。」
「神社はどこにあるの?」
相槌を打つことなく澪は必要な情報を聞き出そうとする。
「丘を登って橋を渡るとお墓がある、その近くに大木があって中に入れるようになってるんだ。
その中にもう一つ出口があるから、そこから出て今度は坂を下りていくんだ。
途中の階段を登った所に神社はある。その階段を通り過ぎればまたこの場所に戻ってこられる。」
一言も漏らさないよう言われた事を即座に頭に叩き込む澪。
「分かった!ありがとう!」
澪は大きな声で少年に感謝の意を表すとすぐに向かおうとする。
「澪!」
走り出そうとする澪を少年の声が遮る・・・・・・・
「君は・・・・・・記憶が無いんだね?・・・・・・・」
そちらを向くことなく澪は小さく頷く。
「絶対に無事にここから出るんだよ。大好きな姉さんと一緒に・・・・・・
約束だよ・・・・・・・」
ゆっくりと澪は少年の方を振り向く。
「うん・・・・・ありがとう。」
こんな場所で受けた思わぬ気遣いが嬉しかった・・・・
澪は少年に微笑みを返す。
「ここから出る時は来た道はおそらく使えないと思う。
姉さんを見つけたら神社から逃げるんだ!
また、分からなくなったら来ると良いよ。」
「うん!」
澪は返事を残して足早にそこを立ち去る。
また、走り出す。
少年の言う事を信じてみようと澪は思った。
澪にそう思わせるような不思議な雰囲気が少年にはあったのだ。
なので当初目的だった家には入らず、最初に下りてきた坂を今度は逆に一気に駆け上がる。
流石に丘の上まで登ると息が切れてくる。
つり橋を走って渡るのは怖かったので、歩いて通りつつ体力の回復を図る。
少年の言葉通り墓が見えてくる。
薄気味悪い感じが漂い怖かったので、そちらを見ないようにして走る速度を上げる。
「はあ・・・はあ・・・・ここね・・・・・・」
乱れた呼吸を整え、前方に目的の巨木を見つける。
根元の辺りに人が入れるくらいの空洞がぽっかりと空いている。
起きた時に荷物は無くなっていたので今はライトも無いが、
中は少し明るいようなので全く見えない程ではない。
入り口を潜ると、辺りを見渡す。
「姉さん!」
空間の中心まで足を進めながら繭を呼ぶ。
「・・・!!」
繭は居た。
横たわっていたせいで入ってすぐには気付かなかった。
すぐさま駆け寄りその体を抱き起こす澪。
どうやらさっきまでの自分と同じく気を失っているようであった・・・・・
「姉さん!・・・・姉さん!」
体を揺すりながら必死に呼び戻そうと試みる澪・・・・・・
その声に反応したのか少しだけ瞼を開いた様だが、焦点が全く合ってないように思える。
「姉さん!」
耳元近くで叫ぶ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・・何があっても・・・・・・澪の事・・・・・・許すから・・・・・・」
「え?」
うわ言のように放たれる繭の言葉に驚く澪。
夢でも見ているのだろうか?・・・
「姉さん、私が分かる!?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・みお・・・・・」
ようやく覚醒したのか、澪の目を見つめてその名前を呼んだ。
「大丈夫だった?痛む所は無い?」
「みお〜!」
体を起こして繭は澪に抱きつく。
「心配したよ、澪!あの化け物に連れて行かれたと思ったら、私も気が遠くなって・・・・・・
それで・・・・・・・」
澪の胸に抱かれながら言葉を続ける繭・・・・
「うん、私も心配した・・・・・・・良かったよ。
姉さん、足、大丈夫?立てるかな?・・・・・」
繭の体を起こして立ち上がろうとする澪。
「この先の神社から出られるみたいなんだけど・・・・・
その前に私は行かなきゃならない場所があって・・・・・・
儀式をする場所・・・・・・そこが行かなきゃいけない所だよね?・・・・
姉さん・・・・・・・」
澪に促されて繭は痛む方の足をかばいながらゆっくり立ち上がる。
「・・・・・・分かった・・・・・澪に付いて行くから・・・・・
一緒に行くし・・・・・・・・一緒に帰るの・・・・・・・・」
儚く笑って見せる繭。
「うん・・・・・・・・
姉さんはきっと私が守るから・・・・・・・」
再会を喜びあっている時間も無いので澪は繭を連れて再び来た道を引き返す。
繭と一緒なので先程よりはかなり速度は遅い。
時計を見ると、刻限まで後1時間半とその時は差し迫っていた。
坂を下り、二人は先程澪が気を失っていた屋敷を目指す。
門を開き橋を渡り庭へと侵入すると、玄関から再び大きな屋敷に足を踏み入れる。
しかし、この中のどこに地下へと通じる道があるのだろうか?
かなり広そうな屋敷である。
あれこれ探索しているうちに1時間くらいあっという間に過ぎてしまいそうである。
澪は酷い焦燥感に駆られ始める。
先程居た格子のある部屋に行けば良いのか?
それとも別の方へ・・・・左の扉から入って探すか・・・・・・
(どっち・・・・・)
先刻の少年に道を聞きに戻るか・・・・・・
しかし、時間が惜しい。
澪の頭の中で思考が繰り返される。
(駄目だ・・・・・・時間はかかるが、やっぱりきちんと道を聞いた方が良いだろう・・・・・
でも・・・・・・・・・・今度はあの男の子が居なかったら・・・・・・・・・・)
少し悩んだ挙句、澪はやはり再び少年の所へ行き助けを借りる決断をした。
「澪・・・・・・・あれ!」
玄関の扉から再び出ようとした澪を繭が呼び止める。
繭が指差す先にはぼんやりとした紅い球が浮いていた。
いや、球ではない。
良く見るとそれは蝶の形をしていた。
ヒラヒラと二人から遠ざかると、右の扉の前で止まっている。
「あれ・・・・・・ついて来いってことかな?・・・・・」
繭は何も答えない。
「今は迷ってる場合じゃない・・・・・あれに付いて行こう、姉さん。」
無言で頷く繭。
二人は扉の前まで歩くと蝶の止まっている扉をゆっくりと開く。
すると蝶はまた飛び立ち、開かれた扉から中へと入っていく。
飛んで行く速度は非常にゆっくりで、歩くのと同じくらいであったが焦ってもどうにもなるものではない。
左手にある階段を登って行くことはないらしく、近くの扉を開いてやると、
先程澪が居た格子の部屋の方へ向かい廊下をヒラヒラ飛んで行く紅い蝶。
そのまま進み先程の部屋の方に向かうのかと思ったが、
そうではなく途中の大きめの扉に蝶は止まる。
顔を見合わせる二人。
澪が一つ頷くと、両手でその扉を開く。
開かれた扉の先には仏壇のような物が置かれており、何とも奇妙な部屋であった。
部屋の雰囲気に澪があっけに取られている間も、蝶は待つことなくおかまいなしに階段を降りていく。
二人は慌ててそれを再び追っていく。
階段を降りて進むと、扉の前で蝶は止まる。
躊躇いもなく澪はその扉を開けると、外に出たようだ・・・・・
先には道は二つある、が、同じ場所に向かっているようだ。
道の間には同じ様な紅い蝶が数体飛んでいた。
澪達を導いてくれた紅い蝶もそれに加わるとその場で飛び続ける。
「ここは、二人で別々に行って仕掛けを同時に作動させないと中に入れないの。」
そう言い繭は掴んでいた澪の手を離すと右の道へ向かう。
「分かった。」
仕方ないことではあるが、少しでも離れる事が心配なのか、
澪はもう一つ道を進みながらも、先を歩く繭から目を離すことはない。
「床についてる仕掛けの上に立って。」
繭に言われた通りに仕掛けの上に立つと、目の前の扉から鍵が外れたような音が聞こえる。
「姉さん・・・・」
繭に心配そうな眼差しを向ける澪。
「大丈夫だよ。この中で繋がってるから。」
「あ・・・・・そうなの・・・・」
それならば何でこんな造りになっているのか意味が分からない澪であったが、
それを聞いて取り敢えずは安心する。
扉を潜りお堂に入る。
その更に先にまた扉がある。
鍵がかけられていないか心配になったが、何の事は無く開ける事が出来た。
澪は時間が気になり時計に目をやると、0時まで後30分と少しである。
焦り出す澪。
繭の方も気が気ではない。
「姉さん、私が記憶を失った場所まで後どれくらいかな?
少し急いでも良い?」
言うや否や早足で歩き始める澪。
「ごめん・・・良く覚えてないけど、もうすぐだと思う。」
狭い一本道の通路をどんどん下へと下っていく。
洞窟の中のような岩場に囲まれた地下道・・・・・・
「寒い・・・・・・」
繭が自分の体を抱き締めている。
洞窟の中で水も溜まっているせいなのか屋敷の中よりは気温が低い。
地上に居た時よりも静かな静寂が逆に二人の恐怖心を掻き立てる・・・・・
しかし、幸いにも澪達を足止めしようと邪魔する存在は無かった。
「姉さん・・・・・・・」
「何?・・・・・・・・」
奥へと進みながら澪は繭を呼んだが、すぐに言葉が続かない・・・・・
「その・・・・・・・・・・・・・・・
絶対に生きて帰ってね・・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「うん・・・・・二人で一緒にね・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
澪はその返事に更に言葉を返す事が出来なかった・・・・・・
それは無理かもしれないから・・・・・
でも今はこう言う方が良いはず。
「うん」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
階段を降りるとすぐに広大な空間が開ける。
地下にこれ程広大な空間があることに澪は驚くが、それよりも前に広がった光景
に澪の目は釘付けになった。
そこは無数の蝋燭で地面が埋め尽くされていた。
「ここは・・・・・」
あっけにとられた澪であったが、その足は歩くことを止めずに先に向かう。
「おそらくこの村に伝わっていた儀式をするための場所だと思う・・・・」
「儀式・・・・・・」
うん、と繭は頷く。
「この階段を降りれば目的の場所だから・・・・・」
村の入り口と思われる場所で見た紅い鳥居と同じものが階段の先に幾つか並んでいる。
気は焦るものの、繭が付いてこれるよう・・・・自分も転ばないように澪は一段ずつ階段を降りていく。
最後の鳥居を潜ると上よりも更に広い空間が開ける。
「ここがその場所・・・・・」
繭が指差すその方向には地面に大きな穴が開いていた・・・・・・
時計に目をやる澪。
23時25分。
(間に合った・・・・)
短く息を吐くものの、時間に間に合わせる事が目的では無い・・・・・・
記憶の復活・・・・・・それに呪いを解くのが目的である。
「姉さん・・・・・・一緒に来てくれてありがとう。」
澪は横を向き隣の繭を見つめる。
「最後まで一緒に行くよ・・・・・・・澪。」
その決意に澪は苦い表情を浮かべる。
「ここに私の失くした記憶の鍵があるのね?」
はっきりと頷く繭。
「その穴を覗いて澪は記憶が失くなったの・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「姉さん・・・・・・・・・」
差し出されたその手を繭はしっかりと握り返す。
そして、ゆっくりと二人は中心の大穴へと向かって行った・・・・・・
次で…次で終わらせます。
読んでくださってる方、中々投下できずすいませんでした。
もう少しお付き合いください。
ラストは二パターン頭の中にあるのですが、一つだけ書くことにします。
続きが出来たらまたです・・・・・ノシ
GJ!
サイト持ちの方?他の作品も見てみたい希ガス
蝶GJっ姉さん呼びに萌える体質になった
>>181 いえ、持ってませんw
四スレ目の最後の方からこのスレには
ちょこちょこと投下させていただいてます。
最後まで書きましたので投下します。
>>179の続き
↓
地面が微かに震えている。
地鳴りが聞こえてくる・・・・・・
次第にそれらは荒さを増していく。
目の前の穴から白い煙の様な物が浮かんでくる・・・・・・
かと思うと、やがて噴出す程に勢いを増した。
『良くここまで来たな!』
夢の中の声と同じ声・・・・・
目の前の煙が髑髏の姿に変じる。
それは夢の中で見たものよりも遥かに実体感を持った存在であり、圧倒的な瘴気の塊であった。
「私の記憶を元に戻しなさい!!!」
臆する事なく澪は目の前の怨霊に向かって叫ぶ。
『馬鹿が!!
今の貴様はそれどころではあるまい!!
即刻儀式を実行するのだ!!運命に従え!!!』
「五月蝿い!!だまれ!!儀式なんて知らないわ!!」
怨霊の声に負けないくらいの声を張り上げる澪。
『ククク・・・・そうであったな、ではこれではどうだ!!』
怪しく蠢く怨霊。
澪の頭に重い痛みが走り出し、その苦しみに耐えるように目を固く閉じてしまう・・・・
「みお!・・・」
繭の声も遠くなる。
何かの光景が澪の脳裏に浮かび上がってくる・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「儀式を続けろ!!・・・・・
なぜ逃げた!?・・・・・」
松明を握り締め鬼のような形相で向かってくる男達・・・・・
「僕は睦月を蝶にしてあげられなかった・・・・・・・」
目の前に吊られた輪を結んだロープを見上げる白髪の少年・・・・・
(さっきの男の子?・・・・・)
「お前は贄となるために生まれたのだ!」
何かにとりつかれた様にその言葉を繰り返す男・・・・・・
「ごめん・・・・・・ごめんね・・・・・・・紗重・・・・・・」
白い着物を身に纏い泣きながら走り去っていく女・・・・・
(私?・・・・・・・・いや・・・・・八重・・・・・・・・)
「あははははははははははは!!!
あ〜はっはっはっはっはっはっは!!!!!」
笑い声・・・・・・
女の・・・・・・狂ったのような笑い声。
戦慄を覚えるような、発狂した女の笑い声・・・・・・・
(紗重・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ここは・・・・・・双子の・・・・・・儀式をする村・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「くっ・・・・・」
澪の頭の中に浮かんできた不快な光景の数々。
『この村に貴様が訪れた時の記憶だけ戻してやったわ!!
どうだ!!?思い出したか!?
貴様がここを訪れ何をすべきなのか!!?』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
澪の目が虚ろになる・・・・・
(わ、私は・・・・・・・姉さんと・・・・・・・・・・・儀式を・・・・・・・)
澪は頭の中が掻き混ぜられたように曖昧になる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「みお!」
その声に意識が覚醒する。
繭の声に澪の意識が呼び戻される。
「澪・・・・・・・・」
繭の手から手渡される物・・・・・・
それは射映機であった。
「姉さん・・・・・・・・・これ・・・・・・・・」
いつの間に持っていたのかと澪は驚く。
が、そんな事を気にかけている場合では無い。
刃を向けるべき相手の方を向き直すと、手にした唯一武器を構える澪。
『そ、それは!!馬鹿な!!!
どこで手に入れた!!!!!?』
射映機を構える澪の姿を見た瞬間に怨霊の口調が明らかに変化した。
澪はファインダーに正確に怨霊の姿を捕らえる。
『させるかああ!!!!!!!』
攻撃を阻止しようと怨霊が手を振り上げ二人に襲い掛かろうとする。
「喰らえ!!!」
ガシュ!!!!
凄まじい炸裂音と共に、怨霊に強烈な光が襲い掛かる。
『ぐはあああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!
おのれ!!!!!!!!おのれえ!!!!!!!!!!!!!!
貴様ら!!!!!!』
悶え苦しむ怨霊・・・・・・
憎しみに満ちた台詞とは裏腹に力無く穴の中に消え去っていく。
先程から続いていた地鳴りも弱くなっていくと辺りは静寂が支配する。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「倒したの・・・・・・?」
澪は震える手でまだカメラを構えたままであった・・・・・
「気配は感じられない・・・・・・」
繭のその言葉を聞いて、澪は震える手をゆっくりと下ろす。
「澪・・・・・・・・良かった・・・・・・・」
「姉さん・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
これで、0時の時を迎えれば自分の記憶も還ってくるだろうと予感を抱く澪。
「ほんとに諦めなくて良かったよ・・・・・・
姉さんのおかげ。」
パッと明るい表情に変わると澪は繭に微笑みかける。
「澪・・・・・・・」
その笑顔を見てクスクスと笑い出す繭。
だがその繭の笑顔も束の間であった・・・・・・・・・・・・
その顔がみるみるうちに曇ってゆく・・・・・・
『は〜はっはっはっは!!!!!!!』
澪の耳に届いたのは先程倒したはずの忌まわしい怨霊の声。
先程よりも一層強い揺れが起き、立っていられない程である。
「そんな・・・・・・・」
再び穴の中から這い出た怨霊の姿を見て驚愕する澪。
先程より禍々しい姿を映した怨霊は、穴から完全に離れ澪達を空から見下ろしていた。
『我を消すことなど絶対にできんわ!!!!
無駄な足掻きはやめろ!!!!!
もう後数分で約束の時間だ!!!!!
運命に従え!!!!!』
絶望の先刻を告げる怨霊の怒声・・・・・
「だめ・・・・・なの・・・・・・・」
泣きそうな顔で空を見上げる澪・・・・・
万策尽きたか、身動き一つすることなく二人は怨霊の姿を見ていた・・・・・・
ガチャリ・・・・・・
澪の手にしていた射映機が地面に落ちて音を立てる。
澪の両の膝も力無く崩れる。
絶望の色が澪を支配し、両の目から涙が零れた・・・・・
(駄目・・・・・・・だった・・・・・・・・
何のためにここまで来たのよ・・・・・・・・・
姉さんを危ない目にまであわせて・・・・・・)
地面が滲んで見える・・・・・・
自分の必死になって行った事が無駄だと思うと悔しくて堪らなかった。
体を支えている両手が震えだす。
絶望と言う名の闇に澪の心は覆われ始める・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「みお・・・・・・・・」
繭の声を聞いて澪はゆっくりと頭を上げる。
目の前に自分と同じように座り込んだ繭の顔があった・・・・・・
「ねえ・・・・・さん・・・・・」
しっかりとその姿を焼き付けようと澪は必死になって涙で濡れた目を擦る。
しかし、後から後から沸き出てくる涙がそれを邪魔するのだ・・・・・
「みお・・・・・・・・儀式をしよう・・・・・・・・
あの時の・・・・・・・・・・・続きを・・・・・・・・・・」
そう言った繭の顔には儚い笑みが浮かんでいた・・・・・
「え?・・・・・・・・・・」
「知ってたよ・・・・・・・・・・・・
澪にかけられた呪いの事・・・・・・・」
「ねえさん・・・・・・・」
「それに・・・・・・・・・・・・・
それを解く方法も・・・・・・・・・」
澪の体がビクンと跳ねた。
「私言ったよね・・・・・・・・・・
澪の事は私が守るって・・・・・・・」
繭が優しく澪に微笑む。
「ねえさん・・・・・・・・・」
つられてなのか、涙を流し続ける澪の表情も笑っているようだった・・・・・・
「だから・・・・・・・・・・・・いいよ・・・・・・・・
澪・・・・・・・私の一番大切な妹・・・・・・・・誰よりも愛してる・・・・・・・
これからもずっと・・・・・ずっと一緒だよ・・・・・・・・・」
繭は瞳を閉じると澪の顔に近づく。
引き寄せられるように澪も顔を上げると瞳を閉じた・・・・・・
二人の唇が重なる。
これが最後の触れ合いだろうか?・・・・・
澪の頭にそんな思いが過ぎる。
「!!」
繭の柔らかい感触を澪の唇が実感した時であった。
澪の頭の中で光の様に何かが高速で逆戻りしていく。
頭の中の抜け落ちた空間にそれらが収まっていく・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ああ・・・・・・・・・・・・お姉ちゃん・・・・・・・・・・」
すべて・・・・・・・・・・・・全部を思い出す。
目の前の唇を重ねた女性が誰であって、
自分にとってどういう人であって、
共に過ごした時間も、共有してきた思い出も・・・・・
そして、どれだけ愛していたかも・・・・・・
どれほど必要な人だったのかも・・・・・・
「澪・・・・・・戻ったのね・・・・・・・」
繭も目を開けると澪の顔を見つめる。
目が合うとそのまま澪を抱き締める・・・・・
「最後に・・・・・・思い出してくれてありがとう・・・・・・・澪・・・・・
愛してるから・・・・・・・・・・」
繭の目からも涙が溢れ出す。
「澪・・・・・・・・・・もう時間が無い・・・・・・・・・・・・
さあ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
抱擁を名残惜しそうに解いてやると繭は力の無い澪の両の手を自分の首に誘う・・・・・
「いいよ・・・・・・・」
そっと目を閉じる繭・・・・・
(お姉ちゃん・・・・・・お姉ちゃん・・・・・・・・
お姉ちゃん・・・・・・・ありがとう・・・・・・・
ありがとう・・・・・・・・・さよなら・・・・・・・・ずっと一緒だからね・・・・・
お姉ちゃんの事絶対に忘れないから・・・・・・・さよなら・・・・・・)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「お姉ちゃん・・・・・・ごめん・・・・・・」
繭の耳元に口を近づけ嗚咽に塗れた謝罪の言葉を囁く澪・・・・・・
繭はゆっくりと首を横に振る・・・・・・
恐怖など微塵も無かった・・・・・
こうすれば澪が助かるのだ。
迷う事など何も無かった。
澪が死んで私だけが生きてるなんて考えられない、あり得ない。
澪が居ない世界なんかに居ても何も無い。
澪は私のすべてだから。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ドン!
「きゃっ!」
繭が驚き悲鳴を上げる。
突き飛ばされたのか!?
目を閉じていたせいで事態が飲み込めない。
気付けば目の前に居たはずの澪は居ない・・・・・・・
繭を突き飛ばした澪はすぐさま立ち上がると走り出していた。
その先に待ち構える穴に向かって・・・・・・
その姿を見た繭は蒼白になった。
「みぃおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」
繭の悲痛な絶叫が轟く。
(お姉ちゃん・・・・・・ごめん・・・・・・ごめんね・・・・・・
もうこうするしかないの・・・・・・・私にはそんな勇気は無いの・・・・・・
お姉ちゃんを殺す事なんて・・・・・・・できない・・・・・・・・
死ぬ時までおねえちゃんの側に居る事もできないの・・・・・・・・・
さよなら・・・・・・・・・・・・・・お姉ちゃん・・・・・・・・)
繭は背を向け走り去って行く澪を見つめても立ち上がる事すら出来なかった。
「みいぃおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!お願いよ!!!!!!
やめてええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!」
繭はあらん限りの声で澪の背中に向かって叫んだ。
けれども澪は止まってはくれなかった・・・・・・
叫び声を聞いてはくれなかった・・・・・・
けれど、最後に振り向いてくれた・・・・・
その顔はどこか寂しそうだけど笑っていた・・・・・・
そして・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(か、体が動かない・・・・・!)
澪は最後に繭の方を振り向くと、躊躇うことなく飛び込もうとした・・・・
が、足が全く進まないのだ。
行く手を阻む物など何も無いはずなのに、目の前に壁が存在しているような感覚。
いや、後ろにも下がることが出来ない・・・・・
金縛りにでもかかっているようであった。
恐怖心がそう感じさせるだけなのであろうか・・・・・
今更怖い物など無い・・・・・失くした物も取り戻した・・・・・・なぜ?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「みお・・・・・」
自分の名を呼ぶその声は穴から聞こえてくる。
(この声・・・・・・・・)
澪の目の前に女の姿が浮かんでくる。
穴の上に立っているのでもちろん生きた者ではないその姿・・・・・
その顔を見た澪の胃から酸っぱい物が込み上げてくる。
以前来た時にされた仕打ちの数々を思えば、澪のその反応も仕方ない事であるが・・・・
「紗重・・・・・」
(なぜ今になってこの女が出てきたのだろう。
またお姉ちゃんの体を乗っ取る気だろうか・・・)
白い着物。
そして付着した血痕。
しかし紗重の表情は以前澪を追い回した時のような冷笑は見て取れない。
「みお・・・・・・・・愛する人に置いていかれるのはとても辛い事。
悲しさに・・・・・・・・寂しさに耐え切れず、心が砕けて狂ってしまう・・・・・・
私のように・・・・・・・・・・だから駄目・・・・・・・」
澪は悲しそうな表情で言う紗重の言葉を聞いて思い出す。
紗重が行った所業を・・・・・・
愛する姉に置き去りにされ、一人残され絶望の中で死んだ・・・・・・・
そして、すべてを憎み、この村の人間を次々と血で染めていった。
しかし、今聞いた紗重の言葉。
この金縛りは彼女の仕業なのだろうか・・・・・・・・
澪の体は未だにピンで貼り付けられたように動かない。
「澪・・・・・・・・・
私が繭と同調できたのは、繭の中のあなたに対する想いが私のそれと近い物だったから・・・・・・・
あなたを失えば繭の精神は私と同じように崩壊してしまうかもしれない・・・・・
すべてを憎み心は深い闇へと堕ちてしまう・・・・・・」
紗重に言われた事は澪も薄々感づいてはいた・・・・・・
幼い時に崖から自ら足を滑らせた行き過ぎた自傷行為。
澪に依存している事を否めない眼差し。
お姉ちゃんは私が居なければ生きてはいけないかもしれない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「澪・・・・・・・・繭の事を鬱陶しいと思う?
居なくなれば・・・・って思った事は・・・・・・・・ある?・・・・・・」
まるで自分の事を聞くかのように紗重の声はか細い。
答えを聞く事を怯えてるかのように・・・
「そんな事あるわけない!!ふざけないで!!!
私とお姉ちゃんは!!・・・・・」
紗重の問いに澪の血液が熱くなり、その怒りに任せて澪は叫ぶ。
が最後の言葉が出なかった・・・・・・・いや、出せなかった・・・・・・
(何があっても一緒!)
そう続けようとしたのだ。
しかし、この大穴に向かい走り、繭に別れを告げしようとしたことは・・・・・・
強い想いと自分が迎えようとした結末・・・・・
その矛盾が澪の胸に突き刺さる。
澪はボロボロと大量の涙を零した。
「五月蝿い!!私だってお姉ちゃんと離れるなんて絶対に嫌!!!!
考えるだけで怖くて心が壊れそうよ!!!!!!
ずっと!!・・・・・ずっと!!・・・・・いつまでも一緒に居たい!!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
だけど・・・・・私は・・・・・!!
もうお姉ちゃんの側には居れない!!!どうしようもない!!!
あんたが・・・・・・・・
あんた達が私達を・・・・・・関係ない私達を巻き込んだんじゃない!!!!」
叫びながら澪の目から伝う涙が勢いを増す。
「澪・・・・・・」
「許さない・・・・・・・・許さないから!
私からお姉ちゃんを奪ったあんた達を・・・・・
お姉ちゃんから私を奪おうとしているあんた達を!!!!
死んだら、きっと・・・・・きっと!!呪ってやる!!!!!!」
澪は目の前の紗重と遥か上空を浮かんだ怨霊に気が触れたように叫ぶ。
「・・・・・・・・・」
紗重は少し考えたような表情をするとゆっくりと澪に近づいてくる。
地面がある所まで来ると、地に降り立ち澪の目の前まで来る。
抵抗しようにも澪の体は全く動かない。
「澪・・・・・・・・」
体は動かないものの澪は目の前の女を今は怖いとは思わない。
燃える様な眼差しでその顔を睨めつける澪。
紗重の顔が近づく・・・・・
冷たい冷気のような物が澪の頬に感じられる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
澪は驚いた。
自分の唇に紗重の唇が重なっている。
目の前にある閉じられた美しい瞳・・・・・・
それは実体感があった・・・・・唇の柔らかい感触が・・・・・・
突然の思わぬ出来事に澪の怒りは毒気を抜かれてしまった。
なぜこんな事をされているのか全く分からない。
感じるのは霊とは思えない程の暖かい温もり・・・・・・
紗重の想いが澪の中に入ってくる・・・・・
それは・・・・・暖かかった、
八重の事を想う純粋と言った表現が相応しい想いであった。
愛する人に愛されたいと願う想いと、瞳を閉じたその顔。
こんな時であるのに澪は紗重の事を可愛いと思ってしまった。
ゆっくりと名残惜しそうに紗重が唇を離す。
間近で見つめ合う二人・・・・・
「あなたの・・・・・・・あなたの想いは本物・・・・・・
少し妬けたわ・・・・・・・・・・」
紗重はそう言うと柔らかく微笑む。
「さ、紗重・・・・・・」
その顔に思わず見惚れる澪。
「澪・・・・・・もう大丈夫だよ・・・・・
あなたにかけられた呪いは今ので解いたわ・・・・・・」
「え!・・・・・・・・」
驚き目を丸くする澪。
「あなたの繭への気持ちが知りたかったの・・・・・・・・
それは本物だった・・・・・・・だからもう大丈夫よ。」
澪の頬を再び涙が伝う。
(本当だろうか?ほんとにこのまま生きていられるのだろうか・・・・)
しかし、澪には今の紗重が嘘を付くように思えなかった。
紗重の顔を見るとその顔は柔らかく微笑んでいた。
(ほんとに・・・・・・・・・・・
わたし・・・・・・死なずに済むの・・・・・・
お姉ちゃんとまた一緒に・・・・・・・)
自分の命が助かった事はもちろん嬉しかったが、
それよりも繭とまた一緒に生きていける事が何より嬉しかったのだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『紗重えええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!
貴様ああああああああ!!!!!!!!!!我らを裏切るのかあああああ!!!!!
許さん!!!!!絶対に!!!!!!!!!!』
それまで沈黙していた怨霊が腹の底をえぐる様な怨めしい声で怒声をあげる。
地鳴りが再び鳴動を開始する。
禍々しい瘴気が辺りに充満する。
澪は顔を見上げる。
そこには、赤く染まり怒りに震えた怨霊の姿があった。
人知を超えたその怒れる存在に澪の体が震える。
足が竦んだ・・・・・
「え!!」
しかし、次の瞬間、自分の前に更なる強力な力を刹那感じる!
全身の細胞が沸き立つほどの圧倒的な力を。
「だまりなさい!」
一瞬であった。
怨霊に向けられた紗重の右手が何かを潰すような手応えと共に握られたのだ。
『ぐはあああああ!!!おのれ!おのれ!!おのれ!!!おのれええええええええええ!!!!』
怨霊はすぐに霧となり四散してしまった・・・・・
地鳴りもすぐに止むと再び静寂に包まれる。
ゆっくりと紗重が澪の方を見る。
「これで・・・・・・これでもう大丈夫だから・・・・・・・・
こんな・・・・・・・・こんな馬鹿げた儀式の犠牲になるのは私達で・・・・・・私で最後だから・・・・・・・
もうそれでたくさんだから・・・・・・・・」
先程の圧倒的な霊力を放った者とは思えないほど、切ない表情を浮かべる紗重。
「私も・・・・・・・私達も、あなた達のように強い絆で結ばれていたら・・・・・・」
俯く紗重。
「紗重・・・・・・・・私には八重の事は分からない・・・・・・
でも・・・・・でも、八重もきっと紗重の事を愛していたよ・・・・・
きっと今でも愛してるよ・・・・・・・・・・・・
だって・・・・・姉妹だもの・・・・・双子の姉妹だもの!
姉が妹を愛してないわけがないもの!!」
どうしてこんな事を言ったのか澪には分からなかった。
だけど、紗重の言葉を聞いたら悲しくなった・・・・・
涙がまた溢れて言わずにはいられなかった・・・・・
「澪・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そう・・・・・・そうだよね・・・・・・・・・・
私達は双子の姉妹。私は八重の事を愛しているから・・・・・・」
紗重は微笑むと、その体は徐々に穴の方へ向かって離れていく。
「澪・・・・・・・・またあなたに・・・・・・あなた達に会えて良かった・・・・・・
ありがとう・・・・・・・・・・」
「紗重・・・・・・・・」
澪は消えていく紗重の姿をずっと見つめていた。
消える寸前に紗重はもう一度笑ってくれた・・・・・・
澪も涙を拭いて笑顔を返した・・・・・
そしてそのまま紗重の姿は見えなくなった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
静かになると澪は指先をゆっくり動かす。
体も思い通りに動く・・・・・・
「ふぅ・・・・・・・・・・・・・私・・・・・・・生きてる・・・・・・
死なずに済んだんだ!」
生きてる実感がふつふつ沸いてきて嬉しくなる。
(お姉ちゃん、私生きてるよ!)
また繭の顔が見れると思うと澪は嬉しくて堪らなかった。
「お姉ちゃん!」
繭の居るであろう後ろを振り向いた瞬間に大きな塊がぶつかってくる。
「わ!・・・」
確認しなくてもそれが何であるかは分かる。
「みお!・・・・みお〜!!!大丈夫だったんだね!!
私達、二人とも助かったんだね!!!
ほんとに・・・・ほんとに良かったよ、みお〜!」
繭は抱きつき澪の存在を確かめるようにその胸で大声で泣きじゃくる。
澪も強く抱き返す。
「お姉ちゃん・・・・・良かった・・・・
これでまたお姉ちゃんと一緒に居られるね。」
震えるその体を抱き締める澪。
「澪の馬鹿!・・・・・・・どうしてあんな事したのよ!
澪が居なくなったら・・・・・わたし・・・・・わたしは・・・・」
澪の胸がズキリと痛む。
「うん・・・・・・・ごめんね・・・・・・・お姉ちゃん。
でもやっぱりお姉ちゃんのこと殺せるわけないしさ・・・・・・
あの時はああすることしか思い浮かばなくて・・・・・・
でも、馬鹿なことした。
死ぬと分かっていても私はお姉ちゃんの側に居ないとね・・・・・」
繭の体がまだ震えているのが澪の手に伝わってくる。
「二度とあんなことしないでね!しないよね!?
澪、約束して・・・・・私を一人にしないって!」
相変わらず澪の胸に縋りついたまま繭が訴える。
「お姉ちゃん・・・・・・
うん、もうしないよ・・・・・絶対に・・・・・・
私はお姉ちゃんと一緒だから・・・・もう離れないから・・・・・
ずっと一緒だよ・・・・・」
一言一言に想いを込めて澪は言葉を紡ぐ。
その言葉を聞いてか繭の震えが収まった。
「ありがとう澪・・・・・・約束だよ。
ずっと一緒だからね・・・・・」
泣き腫らしたその目でようやく澪の顔を見つめる繭。
「ふふ・・・お姉ちゃん目が真っ赤だよ。」
繭の目は澪の言うとおり涙で赤くなっていた。
「でも、澪の目も真っ赤だよ。」
澪も散々泣いていたのでその目は繭のと同じくらい赤くなっていた。
「え・・・・・そっか・・・・・・私も泣いたから・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ねえ澪・・・・・・・・・・・・・・・・・
さっきまでの紗重だよね?・・・・・・・・・・」
繭のその問いに、うん、と澪は頷く。
「元気って言うのも変だけど・・・・・・・
その・・・・・大丈夫だった?」
偉く漠然とした繭の質問。
しかし、澪は繭の聞きたい事がなんとなく分かった。
「うん。私達を助けてくれたのも紗重だしね・・・・・・
きっと大丈夫だよ・・・・・・・
感謝しないとね・・・・・・」
繭の表情が明るくなり笑顔で頷く。
久しぶりに見たその笑顔にニッコリと微笑む澪。
「さっき紗重と何してたの?」
その質問は笑顔を崩さない繭の口からであった。
「え?・・・・・・・・・・何って、話しをして、
呪いを解いて貰ったんだけど・・・・・・」
腕を組む繭。
「ふ〜ん・・・・・・・呪いを解くのにキスまでするんだ?
へ〜え・・・・・・」
顔を茹タコのように真っ赤に染める澪。
いまにも煙が出てきそうな程赤い・・・・・
(み、見えてたのね・・・・・・・お姉ちゃん。)
「さ、さあ・・・・・・・・・・・・・・・・・
私に言われても・・・・・・・・・・・・・・
あの時は体が動かなかったし・・・・・・・」
(って何で私焦ってるんだろう。)
「きっと紗重は私の心に触れたかったんだと思う・・・・・・・
私のお姉ちゃんに対する想いを確かめたかったんだと思う。」
紗重が消えた大穴の方を見つめる澪・・・・・・・
「澪の・・・・・私に対する想い・・・・・」
澪の隣に来て同じ所を見つめる繭。
「うん・・・・・・・・・それはね・・・・・・・・・
こういう事・・・・・・・・・・・・」
澪はそう言うと隣に居る繭の唇に短くキスをする・・・・・
「な!・・・・・・・」
先程とは打って変わって繭が顔を茹タコにする番であった。
「えへへ・・・・・・・」
してやったりと言った表情を浮かべる澪。
「き、姉妹なのにこんな事!」
繭は澪の顔をまともに見ることが出来ず、俯き声を少し大きくする。
「お姉ちゃんの事好きだからね・・・・・・・・それにさっきもしたじゃない?
嫌だったの?」
「い、嫌じゃないし・・・・・・・あ、あの時は澪とお別れだと思ってて、
澪を助けようと夢中だったから・・・・・その・・・・・」
まだ澪の顔を見れない繭。
「あっ・・・・そう・・・・・・
あ〜、それならもっと紗重とキスしとけば良かったかな〜・・・なんて・・・」
「な!・・・・・駄目!!!そんなの絶対に駄目よ!!!」
澪を射抜くような繭の視線。
(ああもう、お姉ちゃん可愛いな〜・・・・・・
真っ赤になって・・・・・・・・大好きだよ・・・・・)
澪はもう一度繭の体を抱き寄せる。
繭の頭を抱き、自分の肩の上に引き寄せる。
「お姉ちゃん、ありがとう・・・・・・・・
お姉ちゃんのおかげで私は大切な物を取り戻せたし、
こうして今でも生きていられる。
ほんとにありがとう・・・・・・」
澪は繭の耳の側で小声で感謝の言葉を囁く。
「私は何もしてないよ・・・・・・
でも、ありがとう。
澪が居なくならないで・・・・・
こうして帰って来てくれたから・・・・
ありがとう。
私は大切な人を失くさずに済んだ。」
繭は愛する人の温もりを全身で感じようと体を澪に強く押し付ける。
「はあ〜・・・・・・・記憶って取り戻しても、記憶が無かった時の記憶は無くならないんだね・・・・・」
「え?・・・・・どういう事?・・・・・」
複雑な澪の言葉がすぐには分からなかった。
「私、お姉ちゃんの事、姉さんって呼んでた・・・・・・・
今思うと、すごい違和感して何か気持ち悪いの・・・・・・」
「ふふ・・・・・私は何だか新鮮な感じがして嫌いじゃなかったけど・・・・・
でもやっぱりそっちの方がしっくり来るね・・・・・
それに何か少し余所余所しい感じがするのも少し寂しかったかな。」
「ふ〜ん・・・・・それじゃ、これからは繭さんって呼ぼうか?」
顔を見合わせる二人。
同時に吹き出してしまう。
「ぷっ・・・・・あははは!やめてよ、それは。
今言われただけでもすごい痒くなったよ・・・」
「あははは・・・・ごめんごめん、冗談だよ。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それから少し時間が経ち、
二人は人が寝そべれるくらいの大きな石の上に並んで腰掛けていた。
「神社に行けば出られるんだって・・・・・・」
「そう言ってたね・・・・・・
でも・・・・・・・澪。」
繭が澪の肩に寄り添ってくる。
「お姉ちゃん・・・・・・」
「もう少しこのまま二人で居よ・・・・・・・・」
澪は返事を返す代わりに繭の肩を抱き寄せた・・・・・・・・・・・・・・・
目の前の大穴からは淡い光を放った紅い蝶が無数に舞い上がり空へと昇っていった。
-----------------------------------END----------------------------------
これで終わりです。
長々付き合って頂いてありがとうございました。
特に長い間が空いてしまって申し訳なかったです。
自分のが終われば新たな職人さんも来て下さると信じてノシ
ちょっと苦労話を・・・・・・w
姉さんを何度もお姉ちゃんと書きそうになり、
最後の方はお姉ちゃんを姉さんと書きそうになりました・・・・orz
間違っていたら脳内で補完して頂ければ幸いです。
>>206 乙でした! 俺の見たかった「本妻に繭。でも余所でスケコマす澪の図」が見れて嬉しい!
出来れば紗重補完EDなども・・
そんな感じでこれで終わりなんて言わずもっと下され!
いま読破したあああ
すげえええ
乙です
ここまで気合いの入ったものを読ませてもらったのは久しぶりだわ
もう一つのエンディングも読みたいけどそれは書かないほうがいいのかもしれんね
次回作、楽しみにしております
あ、一応紗重補完EDは八重が出てきて救われる形で〜って思ってたんだけど
確かにそれは約束エンディングがあるからいらないやね。
とにかくSSくれー!
澪と繭ってば、かーわいぃー
乙です!!
途中、泣きそうになったよ
212 :
名無しさん@ピンキー:2006/11/29(水) 17:36:44 ID:mDAQFp3t
GJ!!
紗重の心情としては本当にただ八重を信じてただけなんですよね。
純粋でありすぎた故に闇に身を染め上げた紗重の心情・・コレイイ!
繭「澪!好きすき!!!愛してる結婚して!!」
澪「・・・ごめんなさい・・・」
繭「楔、召喚!!!」
澪「武力行使じゃねええか!!!」
ワラエンな
―3点
妙にスキンシップをとりたがる繭は鉄板
っつーか、虚エンド最後の繭の口元の笑いは怖すぎる
ひょっとしなくても「これでもう私を置いていけないよね」とか思ってないか?(汗
あれ一回目の書き込み書き込めてるじゃないか!
二重書き込みの俺―20点
>>217 でも箱エンド見るかぎり澪もお姉ちゃん子だぞ。
間もなくXmasな訳だが…
去年のクリスマスは盛り上がったな。また神乱立しないかな。
ずっと、一緒だよね・・・?
約束だから…ずっと一緒だよ…、お姉ちゃん
224 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/11(月) 15:24:00 ID:U/h1ZMRa
澪タン繭タン(*´д`*)ハァハァ
225 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/11(月) 15:24:32 ID:U/h1ZMRa
ageてしまってすまん
紗重タン八重タン(*´д`*)ハァハァ
真壁タンハァハァ
うっかり楔にされちゃうとことか萌え要素たっぷりだ。
うっかり?真壁はノリノリで楔になった男だぞ
怜×深紅、投下します。
少し長めですが、ご容赦を。
開け放した窓から、早朝の空気が流れ込む。
鼻の奥をツンと刺す冷たさと、吐く息の白さが、
訪れの遅かった冬を実感させる。
いつのまにか師走も既に半ば。
かすかに聞こえてくる幹線道路の車の音や、
目覚め始めた住宅地の気配さえ、
皆どことなくせわしない。
しかしそう感じるのも、
きっと自分の周りが慌ただしいからなんだろうな、
と思い深紅は少し微笑んだ。
「怜さん、ちゃんと起きたかな」
仕事の出張で昨日から泊りがけの、
家主兼雇い主である黒澤怜の顔を思い浮かべる。
普段は凛々しい同居人のの数少ないウィークポイントである、
人並み外れた寝起きの悪さを知っているのは、
今では深紅だけである。
雲一つ無く晴れ渡った、高くて深い空の色が、
まるで怜のお気に入りのマフラーのそれのように思えて、
深紅はなんだか嬉しくなってしまった。
「よし、っと私も働こう」
セーターの袖をぐいっと捲り上げると、
パタパタとスリッパの音も高らかに、
家中の窓を開けて回る。
(ちょっと気が早いけど、時間のあるうちに少しずつでもやっちゃおう)
澄んだ風が家の中を吹き抜ける。
今日はおあつらえ向きの、大掃除日和だ。
無造作に押し込まれた諸々のカメラ機材、現像用具の上に、
見知らぬ包みが置かれている。
(なんだろう……?)
せっかく早めに取り掛かったのだからと、
毎年手付かずにしてしまう暗室を掃除していた深紅は、
普段ほとんど開くことのない棚の中で、それを見つけてしまった。
自分に覚えはないから、おそらく怜の物であるには違いない。
(だよ……ね?)
しかし、怜の物であるにしても、置かれている場所からも、
なんともそれはそぐわない物に思えた。
キラキラとした包装紙と赤いリボンでの可愛らしいラッピング。
どうみてもそれは何かのプレゼントだ。
(誰かにもらった……のかな……)
掃除機をかけていても、流しを磨いていても、
目の端にうつるそれが気になって、
深紅はどうにも手元に集中することができなかった。
(誰だろう……)
職業柄、公私ともども顔の広い怜ではあるが、
現在特に思い当たるほど親しくしている男性を、深紅は知らない。
が、もちろん深紅は怜の人脈のすべてを把握しているわけではない。
(螢さん……?)
けれど彼の場合は、
もっぱらこの黒澤家で妹のように可愛がっている天倉姉妹の、
"保護者"という扱いなのだ。
わざわざこんなところへ隠す意味があるとも思えない。
(怜さんは私があまりこの辺りを触らないことを知っているから、
ここにわざわざ置くってことは、やっぱり見られたくないってことなのかな)
どちらかと言えばマイナス方向の思考が、頭を巡り始める。
まずいな、という一瞬の自覚も、手遅れだったようだ。
(私の知らない男の人、とか……)
顔がこわばる。
(私にも言えないんだ……)
さき程から深紅は、流しのまったく同じ所を拭いている、
というより手の動きすらほとんど止まってしまっていた。
けれど、そんな自分に気付くこともない。
(もしかしたら優雨さんみたいに、その人とまたここで一緒に暮らしたりするのかな)
(そしたらやっぱり私は出てったほうがいいんだよね……)
次から次へとあふれだす負の感情は、
そんなことはない、と否定する理性をいとも簡単に流し去ってしまう。
心の暗闇を覗き込んでしまう。
(だから言い出しにくくて、こんなとこに隠したんだ)
ああそうか、
(私また、一人になっちゃうんだ)
深紅の目から涙がこぼれた。
(一人は、やだな……)
身体が震え、
涙をこらえようとしても、
歯はカチカチと鳴るだけで、
食いしばることが出来ない。
(もう一人はやだよ……)
また暗闇が待っているのだと、深紅は思った。
真っ暗な思考に頭を押さえつけられて、
深紅はその場にヘタリ込みそうになった。
けれど腕に精一杯の力を込めて、
なんとか寸前で踏みとどまる。
(ここで折れてしまったら、きっと怜さんを恨んでしまう)
(それだけはいやだ)
そこは、絶対に譲れない深紅の最後の矜持でもあるのだ。
ぐっと眉間に力をこめる。
そして顔を上げて前をみつめた。
その視線の先に、あの場違いに華やかな包みがあった。
ふと、その赤いリボンに、
何かカードが挟まっていることに、深紅は気が付いた。
(……あ)
あれがプレゼントだとするならば、
それはたぶんメッセージカード、ということになるのだろう。
(誰なんだろう)
抑えきれない好奇心が頭をもたげた。
プライベートに踏み込んではいけない、と頭のどこかで諭す声が聞こえる。
それは十分わかっている。
それが、同居という関係を円滑に運営する基本であることは、
これまでの生活の経験から理解しているつもりなのだ。
(怜さんが好きになる人はどんな人なんだろう)
けれど、怜への想いが強くなればなるほど、
その誘惑は抗いがたいほどに膨らんでゆく。
深紅は手を伸ばし、カードを抜き取った。
バクバクと跳ね回る心臓をなんとかなだめながら、
深紅は手元のカードに目を落とす。
複雑な曲線でデザインされた紅いポインセチアのイラストと、
ワンポイントの金色のベルに縁取られた、淡いピンクのカードだった。
(可愛い……)
普段和柄を好む深紅であっても、それはとても可愛らしいものに思えた。
そしてやはり、どうみても女性へのプレゼントなのだと確信した。
ほとんど息を止めるようにして、深紅はカードを開いた。
《深紅へ メリークリスマス》
思わぬ言葉が、目に飛び込んだ。
《なんだかあっという間にこんな時期になっちゃったけど、
今年もほんとに色々ありがとう。
ささやかだけど、クリスマスプレゼントです。
この前一緒に買い物に行った時に見たネックレスと手袋、
気に入ってもらえればいいな。
来年もたぶん忙しくなると思うけど、
(私の力不足ってのは言いっこなしよ)
仲良く、そして出来ればずっと二人で一緒に、
いられればいいね。
怜》
今度こそ深紅はヘタヘタと座り込んでしまった。
強張っていた体中の力が一瞬にして抜けて、
まるで糸の切れた操り人形のようだった。
「あは……あはは……」
大きく息を吐いた口からは、同時に弱い笑い声がこぼれ出た。
極限の不安から脱したことによる安堵の笑いと、
先ほどまでのひとり相撲の滑稽さや、自分の心の弱さに対する、
自嘲の笑いであった。
「あはは……はは……ははは……」
自分の感情を上手く整理出来ないまま、
深紅は泣きながら、低く弱く笑い続けた。
「ねえ深紅。今日のご飯、何かちょっと豪華過ぎない?」
食卓に座った怜は、目の前のテーブルいっぱいに並べられた色とりどりの皿に、
文字通り目を丸くした。
3泊の出張から怜が帰宅したのは、つい先ほどのことだった。
しかし、玄関をくぐってから自室までに、まずそのピカピカに磨き上げられ、
きっちりと整頓され尽くされている我が家に驚かされた。
そして、抱きつかんばかりに歓迎する同居人のテンションの高さに面くらい、
なぜか可愛らしい服を着せられているルリに、心から同情した。
いったい自分のいない間にこの家に何がおこったのか、
と訝しむのも無理はなかった。
居心地が悪いというわけではないのだが、
どうにも置いてけぼりをくらっている気がしてしまうのだ。
そして挙句にこの食卓だ。
さすがに一言、口を挟んでしまった。
「そうですか? 確かにちょっとかんばりましたけど……、
少しはりきり過ぎちゃったかな」
量だけではなく、一品一品の調理から盛り付けまでもが、えらく手が込んでいる。
しかもそのほとんどが、怜の好物ばかりだ。
「あ、ううん、ありがとう。ただ、食べきれるかな、と」
自分のためにしてくれたことであるのだと十分わかっているだけに、
怜は深紅の好意に水を差したくはなかった。
「もちろん食べきれなきゃ明日に取って置けばいいんです。
ただ今日は私が作りたくて作ったんですから」
まだいささかハイテンション気味の深紅は、満面の笑みで答えた。
「ただ、お願いがひとつあるんですけど、聞いてくれます?」
深紅の渾身の夕食に舌鼓を打ち、
二人ともにアルコールがほのかに回ってきたころ、
テーブルから身を乗り出すようにして、深紅が怜に顔を近づけた。
「なあに、深紅」
薄っすらとピンク色に染まった顔で悠然と微笑みながら、
怜が深紅をみつめる。
「あ、いえ、ただ」
お互いの体臭さえわかるほどの距離に、深紅の鼓動が高まっていく。
「今日、一緒に寝てほしいな……と」
その深紅のお願いに、怜は再度目を丸くした。
他人の生活への干渉を必要以上に避けたがる深紅は、
今までその手のことを、冗談で口にすることはあっても、
実際要求したことはなかったのだ。
「ええ、いいわよ、もちろん。今日だけ、なんて言わなくても」
押しかけたり連れ込んだり、それはもっぱら怜の十八番なのだ。
「よかった」
そして深紅が屈託無く笑う。
「今夜は思う存分、襲ってあげますからね」
吹っ切れたように言い放つ。
「あらま、襲うのは私の役割だと思ってたんだけどな」
「たまにはいいじゃないですか」
「ネコ?」
「嫌ですか?」
「ん? 大歓迎」
「もう、素直にそう言って下さいよ」
「うふふ」
アルコールのせいだけではない潤みを瞳に湛えて、
二人は顔を見合わせて、笑った。
激しく求め合った二人の情欲の名残が、
まだ部屋のそこかしこを漂っているように感じられた。
深紅は火照った身体を冷ますため、掛けていたシーツを胸元まで下ろすと、
そっと傍らに目を向けた。
カーテン越しの月明かりに、怜の裸体が浮かびあがっている。
豊満と言えるほどのボリュームをもったその乳房は、
しかし仰向けになってもほとんどその形を崩さないでいた。
先ほどまでの余韻のせいか、登頂のいまだ硬く突起した乳首が、
深紅のつけた唾液によって艶かしく光っている。
その潤んだ様子が、たとえようもなく淫らに、
また一変限りなく神々しくも見えて、
深紅は目を離すことが出来なかった。
「深紅、あなた今いやらしいこと考えてたでしょう」
薄く目をあけた怜が、ぐにゃりと身体をひねり、
横向きなって深紅を見つめた。
「か、考えてません」
「嘘。私の胸、ずっと見てたくせに」
「別に私はただ……怜さんの裸が綺麗だなあって……」
「……可愛い顔して平然とそういうこと言うのって、ある意味犯罪よ」
「犯罪って……じゃあ私、何か罰を受けなきゃいけなかったりします?」
「もちろん。まあ、終身刑は確実ね」
「終身刑……?」
「そう、ずっと私のもの。とりあえず今からの時間はペット。
今度は私の番だからね、覚悟しなさい、深紅」
フッと間髪いれず怜の影が深紅へと覆いかぶさってきた。
その柔らかく濡れた唇が、
こちらも快感の名残をあからさまにしたままの、
隆起した深紅の乳首に触れる。
「ん、んんっ」
過敏になった感覚が、脊髄を貫いて、
頭から下半身までをのたうつように痺れさせた。
深紅の腰は無意識に浮き上がり、
何かを求めるように、激しく虚空へと突き出される。
怜の唇と生暖かい舌と、細かく動く指先は、
絶え間なく丹念に深紅の身体を愛撫していく。
その動きに導かれるようにしてうねる深紅の全身からは、
先ほどまでに流れ尽くしたかと思われた汗が再び滴る。
そのクリトリスは既に大きく勃起して、露わな姿を晒したまま細かく震え、
充血してピンク色に肥大しきった襞の底で、
パクパクと喘ぐ穴からは、粘り気を帯びた透明な蜜が、
既に止め処もなくあふれ出している。
「れ、怜さん、怜さん……お、お願い」
たまらずに深紅は叫んだ。
「なあに、深紅」
とぼけるように、怜は小首をかしげる。
「さ、触って、お願い、あ、あそこ、触って欲しい……」
突き出した腰をクネクネと揺らしながら、
涙さえ浮かべて懇願する深紅の顔は、
紅潮してあどけなささえ感じるほどだ。
怜は思わず、深紅のその表情に見惚れた。
けれど、今や太ももにまで垂れている愛液から漂う香りは、
濃密な女のそれに違いない。
「触るだけでいいの? 深紅。それで満足出来る?」
「え、え? だ、だめ。それだけじゃ…だめ」
「じゃあ、どうして欲しいの?」
怜の言葉は執拗だ。
「ゆ、指を……お、お願い、指、入れて。奥まで、ちゃんと入れて!」
下半身がほとんどブリッジするような格好で腰を突き出しながら、深紅は泣いた。
はしたないだとか、恥じらいだとか考えている余裕はなかった。
我慢出来ないほどの性器の疼きに、頭がおかしくなりそうだった。
「いいわよ、深紅。本当に可愛い……」
耳元でのささやくような声と甘い怜の吐息に、
深紅は全身の毛穴の開くような感覚を覚えた。
「……ぁ…ふ…」
そして思わず小さく息を吐いた次の瞬間、
「ぁッひィィッッッ……!!!」
想像を遙かに超える快感が深紅の全身を貫いた。
背中からつま先が限界まで反り返り、
どこかが壊れたんじゃないかと思えるほどに、
腰がガクガクと跳ねた。
尻がぶるぶると痙攣し、
搾り出すかのように愛液を噴出した。
ベトベトと顔を濡らすものが、
涙なのか唾液なのかもわからない。
理性が最後の欠片まで蕩け落ちていくのを、
頭の片隅でぼんやりと感じながら、
深紅は果てのない快楽に身を委ねた。
いつのまにか、深紅はぼうっと天井見上げていた。
上半身を起き上がらせるのさえ億劫に感じるほど、
身体がだるかった。
わずかに身をひねり横を向くと、
肩から上だけを露わにした怜の寝顔が見えた。
窓の外は薄っすらと明るかったが、
今が何時なのか、朝か夕方かさえわからなかった。
深紅は再び目を閉じた。
(……)
(年末)
(大掃除)
(マフラー)
とりとめのない単語が、
フィルターの掛かったような頭の中にぼんやりと浮かんだ。
(暗室)
(赤いリボン)
ぐるぐる回る。
(プレゼント)
(クリスマス……)
ああ、そうだ。クリスマス。
今年はクリスマスをやるんだ。
そのことを思い出して、深紅の心は踊った。
そして真っ暗な部屋の片隅で、今はひっそりと佇んでいる、
キラキラと輝く包みを思い浮かべて、
小さくフフッと笑った。
メリークリスマスです、怜さん。
メリーメリークリスマス。
ちょっと早いかもしれないけれど、
でもいいんです。
だってそれだけで楽しくなるでしょう。
私は今すごく楽しくて、幸せなんです。
だから怜さん、メリークリスマス…………
「って……ちょっと怜さん」
そのままゆっくりとまどろんでいこうとした深紅は、
眼下でうごめく影の気配で目を覚ました。
「あら深紅、おはよう。もう夕方だけど」
深紅の胸のあたりに覆いかぶさって、
指先で乳首を転がしていた怜が、にっこりと微笑んだ。
いつのまにか、外はすっかり暗くなっている。
「起きてたんですね」
「ええ、ずっと深紅の寝顔を見ていたの。
突然ウフフとか笑い出したりして、なかなか面白かったわよ」
「なっ…べ、別に、あれはそういうんじゃなくて……」
パッと顔が紅くなる。
「照れなくてもいいのに」
「もう、ああん、ちょっと、そんなにしたら減る、減る」
「えっ、深紅のおっぱいは減っちゃうの?」
「減りますよ。だって怜さん、思いっきり吸うから」
「そんなこと言ったって、深紅の乳首可愛くて。ほら、ぷっくりしててやらし過ぎ」
「ちょっと、やあん」
そんなこんなで、黒澤家の師走の夜長は更けていくのだった。
<おわり>
以上です。長々と失礼しました。
ネタとしてはベタですが、
SS投下の呼び水にでもなればいいなと。
年末に向けて、職人さんの降臨をお待ちしてます。
おおお丁度怜×深紅に飢えてた所に素晴らしいSSが!! 乙です!!
前半のほのラブだけで結構お腹一杯でしたが
二人が既にそうゆう関係だと判明してからもうさらに悶えまくりですよ
キタコレ!
怜×深紅見れて嬉しいっす!
意外に少ないんですよね・・・
GJ!
>>244 待ってましたっ
そして、おいしく頂きました!
怜×深紅ってほのぼのしてていいよなぁ〜
248 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/13(水) 21:50:29 ID:1ERZCTvv
澪タンと繭タンのもキボン
澪タン・・・
繭タン・・・
(*´д`*)ハァハァ
鎮女〜ズのもいぃなぁ
雨音ってば、総受けっぽいしw
雨音はヘタレ攻めがいいなあ俺。んで氷雨は受け。
クリスマスには甘々な澪と繭がここやサイトさまで見られますように・・
>>251 雨『氷雨ちゃん…ここ、どうしたらいいのか判らない…』
氷『そんなのッ…自分で考えなさいよっ』
雨『…こうかな…どう?』
氷『知らないっ知らないよぉ……あぁッッ』
雨『(氷雨ちゃん、感じてくれてる)』
って感じか?
>>252 ななななななによそんなツンデレなんて(*´Д`)ハァハァ/lァ/lァ/ヽァ/ヽァ ノ \ア ノ \ア / \ ア / \ ア
>>252 (*´д`*)ハァハァハァハァハァハァハァハァ
原点に戻って千歳ちゃん誰か。
むしろ鎮女×千歳誰か。
だがしかし刺される・・・
千歳「嫌だ、帰りたい、帰りたいよぉ!・・・お兄ちゃん・・・お兄ちゃん・・・!」
鎮女「クスクス・・・まだそんなこと言ってるの・・・?もっと痛い目、あいたいの?」
カツーーーン!!!
千歳「ひぎゃあああああ!!!!痛い!!!痛いいいい!」
鎮女「ふふふっ、ね、今度はここにこれ、入れてみようか?痛いだろうなぁ」
真冬×霧絵キボン
259 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/23(土) 20:32:51 ID:4iSib9CP
誰もこないからアゲテミル…
24日と日曜日が重なったこともあって、年末の国道は行き交う車の群れで混雑していた。
「どうしよう……間に合うかな」
渋滞ってレベルじゃねーぞ!とは言わないが、ハンドルを握った深紅さんも少し焦っている。
「別に少しくらい遅れたっていいんでしょ?」
助手席に座った氷雨ちゃんがニットの中に顔を埋めながら言った。夕方頃から降り始めた雨のせい
もあって、今日はいつもに増して寒い。四人の中では一番寒がりの氷雨ちゃんは亀みたいに手足を縮
めて小さくなっていた。
「でも澪ちゃんたちを待たせちゃ悪いし……」
今日はこれから天倉家で、深紅さんと澪さんが私たちには内緒で企画していたという、クリスマス
パーティーが開かれることになっている。そのままみんなで一泊していく予定だ。残念ながら、怜さ
んは他に用事があるだとかで参加できないらしい。
後部座席に座っているのは私、時雨ちゃん、水面ちゃんの三人だ。水面ちゃんは退屈そうに肘をつ
いて黙ったまま、流れる街の風景を眺めている。
「へへ、雨音ちゃんもやるねー。デートの約束取り付けるなんてさ」
私は携帯を開いて、幾度となく読み返したメールにまた目を通していたが、時雨ちゃんが携帯を覗
き込んできたのに気付いて、プライバシーの尊重および個人情報保護の観点からさっと携帯を隠した。
「うん……」
初めてのクリスマスパーティーも楽しみだったけれど、私には他にもうひとつ、楽しみにしている
ことがあった。
『今度のクリスマス、私とデートしてください』
数日前、私が螢さんに送ったメールの文面だ。送信する手が震えたのを今でも覚えている。
もっとも螢さんは怜さんと付き合っていたから、ダメ元というか、断られて当然のつもりで送った
メールだったのだけれど、返ってきた返事は自分の目を疑ってしまうくらいに、良い方向に予想を裏
切ってくれたのだった。
「私もまさか、OKしてもらえるとは思わなかったよ……」
だから今日は出来る限りのオシャレをして出てきた。白のセーターにタータンチェックのミニスカー
ト、コートは時雨ちゃんからの借りものだったけど、螢さんが好きそうな格好をしていこうと、私なり
に頑張ってみたつもりだ。
「よっぽどひまだったんだろーな、けいのやつ」
水面ちゃんが顔も向けずに言う。そうだったとしても私は構わない。
パーティーをひとしきり楽しんだ後、雨が夜更け過ぎに雪へと変わる頃に、私と螢さんは夜の街へ
しけこんで、朝が来るまで二人っきりで甘いひとときを過ごす――そう考えただけでロマンチックが
止まらなかった。
「後で怜が知ったら怒るんじゃない? いいの?」
氷雨ちゃんが鼻をすすりながら振り返る。
「大丈夫、お母さんが言ってたもん……どんな手を使おうが、最終的に勝てばよかろうなのだって」
「……鏡華さんの恋愛観はあんまり鵜呑みにしない方がいいと思うけど」
そう言って、氷雨ちゃんはまた鼻をずずっと鳴らしながら前に向き直った。
国道から道をひとつ外れただけで、途端、車の量が減ってきた。
やがて住宅街に入る。天倉家は杏マナーにも似た緩やかな傾斜を上った先、公園の角を曲がったと
ころにあった。
「車停めてくるから、先にお邪魔しててね」
ぞろぞろと車を降りる。未だ雨が止む様子はなかった。
「あれ、螢さんの車ないね、出掛けてるのかな」
シャッターが開きっ放しになった車庫を覗きながら、パーカーのポケットに手を突っ込んだ時雨ちゃ
んが首を傾げた。
「みたいだね、すぐ帰ってくるといいんだけど……」
早く会いたかったのに、少し残念だ。
氷雨ちゃんがインターホンを押すと、すぐに澪さんが迎えに出てきてくれた。
「メリークリスマス! さあ、上がって」
口々に「お邪魔します」を言いながら中に入る。
通された居間は、黒澤家のリビングよりも少し広かった。窓にはクリスマスらしく、パウダースプ
レーで描かれた雪の結晶と「Merry Xmas」の文字が吹き付けられている。部屋の隅の方では、繭さん
と千歳ちゃんがツリーの飾りつけをしているところだった。
「おっす、めりくり!」
水面ちゃんが手をあげながら二人の方に近づいていく。時雨ちゃんもその後に続いたが、繭さんと
目が合うなり、早速バチバチと火花を散らし始めていた。この二人は仲がいいのか悪いのか、未だに
よくわからない。
「いらっしゃい」と台所から顔を覗かせたのは私たちとは初対面になる、澪さんたちのお母さん、静
さんだった。
「初めまして、今日はお呼び頂いてありがとうございます」
氷雨ちゃんと私は頭を下げた。
静さんは体が弱いと聞いていたが、一見しただけではそうは見えない。歳も怜さんとそう変わらな
いくらいに見え、澪さんたちのお姉さんだと紹介されてもそのまま信じてしまいそうだ。
「怜ちゃん今日は来れないんだってね。残念だわ」
怜さんを「ちゃん」付けする人を見るのは初めてだ。外づらのいい怜さんのことだから、いずれ義
姉になるだろう(認めたくはないけど)静さんとも仲良くやっているのだろう。
「かんせー!」
水面ちゃんに肩車してもらい、ツリーのてっぺんに星の飾りを乗せ終えた千歳ちゃんが手を叩いた。
繭さんがスイッチを入れると、赤、青、黄、緑――色とりどりの電球が明滅を始める。ツリーに内
臓されたオルゴールが聞き覚えのあるクリスマスソングを奏でている。
「こんばんわー。わあ、綺麗ですねー」
澪さんに連れられてやってきた深紅さんがツリーを見て顔をほころばせた。
夕食の準備が整うまでの間、私たちは思い思いの過ごし方をすることにした。
本当は静さんの手伝いでもして、怜さんより私の方ができる女であることをアピールしておきたかっ
たのだが、台所には静さんに加え、黒澤家が誇る家事のスペシャリスト・深紅さんがいる。私や氷雨
ちゃんが手伝う余地はなさそうだった。
「ロンですそれ、時雨無双」
澪さん、繭さん、時雨ちゃん、水面ちゃんの四人は例によって麻雀だ。
今年の夏に始まった繭さんと時雨ちゃんの対決は、半年近く経った今でも決着がつかず、最近では
妙なローカルルールを取り入れて続けられていた。
「うわ……役満だっけそれ」
澪さんが絶望に満ちた顔で点棒を支払う。先の『時雨無双』というのもローカル役のひとつで、文
字通り時雨ちゃんが作った適当な役だ。他に繭さんの『繭一色』などが確認されている。
「歌うのは恥ずかしいから、弾くだけだよ」
螢さんが高校生の時に買って以来、押入れに仕舞い込んでいたというギターを弾かせてもらってい
るのは氷雨ちゃんだ。私と千歳ちゃんは並んでその演奏に耳を傾けている。
そういえば、螢さんはどこにいるんだろう。まだ帰ってこないのだろうか――。
夕食を終えて、ケーキを食べて、プレゼントを交換して。
クリスマスならではのイベントをひとつひとつ消化していくたび、みんなが楽しそうにしているの
とは対象的に、私の心を不安が覆っていくようになった。どれだけ待っても螢さんが戻ってくる気配
はなかった。
(螢さん、どうしたんだろう……)
約束を忘れてしまったのだろうか。それとも、事故か何かに巻き込まれたとか――。
嫌な想像ばかりが膨らんでいく。いてもたってもいられなくなって、螢さんに電話をかけてみたが、
コール音こそ鳴るものの、すぐに留守番電話に切り替わってしまう。何度試しても結果は同じだった。
「どうした? つぎ、あまねのばんだぞ」
隣に座った水面ちゃんがひじで私を小突いた。
「あ……ごめん……」
適当に選んだカードを場に捨てる。もはやゲームに集中できるような精神状態ではなかった。
「あの、雨音ちゃん……」
そんな私を見かねたように、膝の上にカードを伏せながら、深紅さんが言いにくそうに切り出した。
「雨音ちゃん、すごく楽しみにしてたみたいだから、傷つけちゃいけないと思ってなかなか言い出せ
なかったんだけど……螢さんね、今日は怜さんと出掛けてるの……だから今日はもう――」
「えっ……」
手から滑り落ちたカードがカーペットの上に散らばった。
「それ、本当……ですか……?」
「……うん、黙っててごめんね」
深紅さんは申し訳なさそうに小さく頷いて答えた。
怜さんは用事で来られない。螢さんは出掛けたまま帰ってこない。
考えてみれば当然のことだ。恋人同士の二人がクリスマスを一緒に過ごさないはずがない。
「……ちょっといい?」
気まずい空気を断ち切るように、繭さんが立ち上がって私の肩を叩いた。
誘われるまま連れ出された先は廊下だった。
繭さんはポケットから取り出した携帯を何やら操作していたかと思うと、すぐにそれを私に差し出
して言った。
「これ、持って行っていいから」
「なんですか……これ?」
ぼうっと光る液晶画面。そこにはこの辺り一帯の地図が表示されていた。
そして地図上には×印がひとつ付けられている。
「叔父さんの居場所。今ならまだ間に合うんじゃないかしら」
「……螢さんが、ここに?」
口元を歪める繭さんを見て、私は彼女が何を言おうとしているのかすぐに理解することができた。
駆け足で居間に戻り、コートを引っ掴む。
「雨音……? ちょっと、待ちなって!」
氷雨ちゃんの呼び止める声がしたが、私は立ち止まらず、すぐに反転して玄関の外へ飛び出した。
雨足は先ほどよりも強くなっていた。しかし、躊躇している暇などない。
飛び上がって、黒い空の下へ体を躍らせる。こうして飛ぶのも久しぶりのような気がした。
高度と速度の上昇に伴って、体感温度がみるみる下がっていく。激しく顔に吹き付ける雨粒に、満
足に目を開くことさえできない。
腕で顔を覆うようにしながら、繭さんの携帯――その地図に記されたその一点のみを目指して、私
は滑空体制に入った。
やがて辿りついたのは、東京都心の偉そうな名前のついた高級ホテルの前だった。
この雨にも関わらず、街路樹の輪郭をなぞる白いイルミネーションと、傘を差して歩くカップルた
ちが、これでもかとばかりに聖夜を演出している。ずぶ濡れの私にはひどく場違いな気がした。
寒さのあまり感覚のなくなった手で、張り付いた前髪を横に流すと、私はホテルの中へと駆け込み、
そのままロビーを突っ切ってフロントへ走る。受付の女の人が全身水浸しの私を見て目を丸くした。
「天倉螢さんの部屋を教えてください……!」
彼女が口を開くより早く、私は拳でカウンターを叩きつけながら螢さんのいる部屋を尋ねた。
私の勢いに圧倒されたのか、「しょ、少々お待ちください……」受付の女性はすぐにパソコンに向
かって宿泊者名簿を調べてくれた。
「確かにチェックインされております、天倉螢様……xxxx号室の方に――」
聞き終わらないうちに、私は駆け出していた。
目的の部屋はそのフロアの一番奥にあった。ノックする時間さえ惜しい。
ドアをすり抜けて部屋の中に入ると、すぐにベッドの上でうつ伏せに寝そべっている螢さんが目に
入った。物珍しげに枕元のパネルをいじっては、照明を調節したり、有線のボリュームを上げたり下
げたりしている。
怜さんは入浴中のようだ。バスルームからシャワーの音が漏れている。どうやらぎりぎり間に合っ
たようだった。
「螢さん……!」
険しい顔をして螢さんの詰め寄ると、
「あ、えっ、あ、雨音ちゃん……!?」
私の姿を見つけ、狼狽した螢さんがベッドの向こう側に転がり落ちた。
「ひどいです螢さん……!」
雨を吸って重くなった三つ編みをびたびた揺らしながらベッドに飛び乗り、螢さんの胸倉を掴む。
「どういうことですか!? ちゃんと説明してください……!」
「え……? あ、雨音ちゃんこそ……一体どうして……?」
困惑の表情を浮かべる螢さん。まるで悪びれる様子がない。
「……っ!」
その横っ面をぶん殴ってやろうと手を振り上げたその時、思いもしない人物の声が私の後ろから聞
こえた。しかしそれはよく知った声だった。
「探しましたわ、螢様……!」
螢さんを「様」付けで呼ぶのは一人しかいない。
まさかと疑うのと、やはりと納得するのがほぼ同時だった。
「お母さん……」
今度は私がうろたえる番だった。
開いたドアの隙間から、お母さんが映画「シャイニング」みたいに顔を覗かせていた。
「きょ、鏡華……!」
螢さんはあたふたと目を回しながら、私たち親子の顔を交互に見比べている。私のことは「ちゃん」
を付けて呼ぶくせに、お母さんのことを呼び捨てにしているのがなんだか気に食わない。
「あら……奇遇ね。雨音」
お母さんは言葉とは裏腹に、顔色ひとつ変えずに言った。
「どうしたのその格好? びしょ濡れじゃない」
「お母さんこそ人のこと言えないよ……そんなの着て、はしたないよ……」
胸元の大きく開いた派手な着物。どうせまた螢さんをたぶらかしに来たのだろう。
私は螢さんにがばっと抱きつくと、お母さんの目を見据えて言った。
「先に言っておくけど……今日は絶対、お母さんの好きにさせないからね」
今日は、と付け加えるのも、以前にも一度似たようなことがあったからだ。
その時のことはもう思い出したくないし、済んだことだから文句を言うつもりもない。だが今回は
私が先に螢さんと約束をしていたのだ。お母さんにはもちろん、怜さんにだって渡す気はない。
「勇ましいわね。でも……あなたにそれが出来るかしら」
そう言ってお母さんは不敵に笑ってみせたかと思うと、自慢のロングヘアーを一束手に取り、こち
らに向かってビュッと投げつけた。
「うわっ……!」
慌てて避けようとした螢さんが、またもやベッドから転げ落ちた。足に引っ掛かった電気スタンド
が派手な音を立てて倒れる。
なおも直進する毛束は空中で八つに分かれると、それぞれ私と螢さんの四肢に絡みついて体の自由
を奪った。そして螢さんに絡みついた毛束たちはまるで意思を持っているかのように、そのまま螢さ
んを持ち上げてベッドの上に運ばせる。
「くっ……離せっ……!」
抵抗しながらも、螢さんはどこか気持ち良さそうだった。
「さぁ螢様、今夜はたっぷり楽しみましょう」
妖艶な笑みを浮かべ、ベッドに近づくと、お母さんは仰向けに縛られた螢さんの上に跨った。
「お母さんやめて……!」
体を締め付ける髪を力任せに振りほどいて、目の前で繰り広げられようとしている蛮行を止めよう
とお母さんの背中に飛びつくが、
「お黙りなさい、色を知る歳ですか!」
ぐんと振られた頭から再び毛束が飛び出してきて、私の体は3ヤードくらい後方に突き飛ばされた。
そして壁に叩きつけられた私を一瞥すると、お母さんはぺろりと舌なめずりをして、螢さんの服を
脱がしにかかる。経験豊富なお母さんの手によって、あれよあれよといううちに螢さんは裸にひんむ
かれてしまった。
「や、優しくしてください……」
螢さんはまんざらでもなさそうだった。
(くっ……こうなったら……)
不本意だが、怜さんの力を借りるしかない。私は立ち上がってバスルームへ走った。
「怜さん事件です……!」
「きゃっ、螢! もう、気が早すぎよ!」
白く立ち込めた湯煙の向こう側で、すらいむのようなおっぱいを手で隠した怜さんが恥ずかしそう
に身をよじらせた。しかし、入ってきたのが螢さんではなく私だと知るや一転、
「どうしてあんたがここに……!?」と、ストIIベガステージのおばちゃんみたいに両手を振り上げ、
おっぱいをゆっさゆっさ揺らしながら鬼の形相でこちらに迫ってきた。
「お、落ち着いてください……! 螢さんが、螢さんが……!」
「……? 螢が……どうしたの!?」
私の様子にただならぬものを感じたのか、怜さんはシャワーも止めないまま、バスルームを飛び出
していった。慌てて私もその後を追う。
しかし――。
「うっく……うっく……」
ベッドの上では、肩まで布団を被った螢さんがこちらに背を向け、両手で顔を覆って乙女泣きして
いるところだった。その隣では、ベッドの縁に腰掛けたお母さんがすっぱーと紫煙をくゆらせている。
「な……! ちょっとあんた! 螢に何したの!?」
怜さんが怒鳴った。
「何って、そりゃナニでしょ」
勝ち誇った笑みを浮かべたお母さんは何事もないかのように言った。
早くも第一ラウンドが終了していたのだった。
「27年間も守り通してきた操を……許さない!」
瞬間、怜さんが飛び掛った。全裸で。
「ふ、面白い……来なさい!」
吸いかけの煙草を指先でもみ消してみせると、お母さんはやはり自らの髪を手に取って、それを武
器として構えた。
抜いても抜いても無限に伸びてくるお母さんの髪ミサイルが幾度となく体を叩いていたが、恋人の
貞操を奪われた怒りからか、怜さんはそれを腕で遮ると、お母さんの一瞬の隙をつき、見事接近戦へ
と持ち込んだ。
「こんの泥棒猫……! 殺してやる……!」
マウントポジションをとった怜さんがお母さんの首を絞める。
「くっ……嫉妬? ふん、見苦しいわよ……!」
お母さんの伸ばした両腕が怜さんの顔をぎりぎりと掴む。
(もう嫌……)
次第に床を埋め尽くしていく髪の毛と、その上で繰り広げられる目を背けたくなるようなキャット
ファイトに、私は「女の争いとはかくも醜いものか……」と自分のことを棚にあげながら、溜め息を
つくばかりだった。
そんなわけで、私の初めてのホテル体験はモジャモジャな結果に終わったのでした……。
庭の木を濡らした雨の雫が陽の光をきらきらと反射させている。いつの間にか夜は明けていた。
あの後、私は誰もいない黒澤家に戻ると、濡れた服を着替え、リビングのソファでずっと膝を抱え
ていた。何時間も泣き続けているうちに気持ちの整理もついてきた。
結局――全部、私が悪かったのだ。
螢さんが怜さんと付き合っていると知った上でデートなんか申し込んだりして、都合のいいときだ
け怜さんに頼ろうとして、きっとそのバチがあたったんだろう。
一人で浮かれていた自分が急に馬鹿らしくなってきた。
(でも……螢さんも螢さんだ)
最初から怜さんと過ごすつもりだったのなら、私の申し出など断ってくれれば良かったのに。
冗談だと思ったのか。それとも私が子供だから相手にしてくれなかったのか――。
その時、テーブルの上に置いていた携帯が、鈍い音をたてながら振動を始めた。
氷雨ちゃんか、深紅さんだろうか。せっかくのパーティーを台無しにしまって、みんなには合わせ
る顔がない。一言だけでも謝っておこうと手を伸ばす。
ところが、背面のディスプレイに浮かんでいた名前は、氷雨ちゃんのものでも、深紅さんのもので
もなかった。
「螢……さん……」
しばらくその名前を見つめた後で、私は電話を取った。
『あ……雨音ちゃん……かな』
螢さんの声を聞いた途端、自分の中に押し込めようとしていた感情が堰をきったように溢れ出した。
「どうして……約束守ってくれなかったんですか……?」
どこに残っていたのだろう、枯れ尽きたはずの涙がまたこぼれ、腫れた瞼にしみていた。
「ずっと楽しみにしてたのに……私はまだ子供だし、螢さんと釣り合わないのはわかってます……で
も、約束してくれたじゃないですか……」
『………………』
螢さんは黙ったままだった。
返答次第では螢さんへの想いを断ち切る覚悟までしていた。
所詮は叶わぬ恋だったのだ。もう二度とこの家にも来ないつもりだ。
『あの……』
それから何秒か、十数秒か。少しの沈黙の後、螢さんは言った。
『俺の勘違いだったかな……約束、てっきり今日だとばかり思っていたんだが……』
自信のなさそうな声。何を言っているのかわからない。
『メールには「クリスマス」って書いてあったから、ちゃんと今日は雨音ちゃんのために、丸一日予
定を空けておいたんだけど……』
壁のカレンダーに目を向ける。
昨日、24日がクリスマスイブ。今日、25日がクリスマス――?
“今度の『クリスマス』、私とデートしてください”
螢さんに送ったメールを思い出す。
『本当に済まなかった……俺のせいで、あんなことになってしまって……』
「違うんです……螢さん……」
今日、25日という日を指定していたのは他の誰でもない、この私だったのだ。
勘違いしていたのは私の方だ。一人で浮かれて、挙句に螢さんと怜さんの邪魔までして。
螢さんは最初から私のために予定を空けておいてくれたんだ。約束を守ってくれていたんだ。
「螢……さん……」
情けないのと嬉しいのが一緒になって、思ったように声が出せない。泣いているのか、笑っている
のか、自分でもよくわからない。
『あの……』
私が落ち着くのを待った後で、螢さんはいつもの優しい声で言った。
『雨音ちゃんさえ良かったら、その……これから二人で出かけないか』
断る理由などもちろんない。
『実はもう、外で待ってるんだ。準備が済むまで待ってるから、出ておいでよ。昨日の埋め合わせっ
てわけじゃないけど、どこか雨音ちゃんの好きなところに遊びに行こう。それから食事に行って、プ
レゼントでも買って――』
準備なんて必要なかった。
どこにも行かなくていいし、食事だってプレゼントだってなくていい。
「螢さん……!」
私は携帯を投げ出すと玄関を飛び出し、そして、最愛の人の胸に飛び込んだ。
「メリークリスマス、雨音ちゃん」
私の体を抱きとめた腕のぬくもりと、照れくさそうにはにかむ螢さんの笑顔こそが、私にとって最
高のクリスマスプレゼントだった。
乙!!
ワロタ,乙!
271 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 10:37:54 ID:geXIuuZq
超イイ!!螢好きじゃー!すらいむのようなおっぱいも
好きじゃー!
神乙!!シャイニングにワロタ
前スレで書いてた人だよね?
いいものを見せてもらいました、超乙です!
ちょうワロタ!神
オチも螢が優しくてGJ
「メリークリスマス!みお〜」
パーーーーン
「おね…だめーーーーっ(びくん、びくん)」
「あれ、澪…どうしたの?」
「ちょっ…(びくん、びくん)と待っ(びくん)…てっ(びくん)」
--------------------------------------------
「えーっ!?朝からいくのが止まらない!?」
「お、大きい声出さないでっ! それだけでいきそ…」
「もしかして触るだけでも…」
「だめだめーーーーっ(びくん、びくん)」
「うーん。ちょっとした刺激でもいくなんて…」
「はぁ(ぴくっ)、はぁ(ぴくっ)…どうしよう…」」
「明日クリスマスだし、みんな家に来ちゃうし…ちょっとネットで調べてみるね…」
「うん…」
「えーっと、これかな」
これはもはや、快感というより拷問。私は"イクイク病"の女
http://www.lovebonita.jp/real/?no=051006 「イクイク病…」
「そ、そんな名前恥ずかしすぎ…て……いくっ(びくん、びくん)」
「私だって恥ずかしいわよ!妹がイクイク病なんて」
「それは言わないで…また…いくっ(びくん、びくん)」
「なんでこんな風になっちゃったんだろ…」
(おねえちゃんがえっちしすぎだからでしょ!)
「なんか言った?」
「いえ、何でも…」
「私だって同じくらいえっちしてるんだからね。澪だけこうなるってことは、澪の体がえっちだからに決まってるでしょ!」
「い、今さわらな…ひああああああ。ごめんなさいいいい。そううですううう、私の体がえっちだからですううう」
「はん、わかればよろしい」
「はぁ、はぁ…(ぴくっ、ぴくっ)」
「とにかく明日までに治さないと大変なことになるよね。みんな来ちゃうし」
「うん」
「なにしろビンゴ大会で優勝者には"天倉澪にキスし放題"」
「いやあああああ」
(まあ、私が優勝することになってるけど)
「そのあと、天倉家冬のパーティ恒例のおしくらまんじゅう大会…」
「死んじゃう…ぜったい死んじゃう…」
「あ、いいこと考えた」
「なに?」
「すこーしずつ刺激を増やしていって体を慣らしていくの。そのうち日常生活ができるようになるんじゃないかな」
「うーん」
「じゃ、いくね」
「う、うん。お手やわらかに…ダメ!ギブ、ギブ!」
「え、頭なでてるだけだよ。じゃ、このくらいは?」
「うん、これなら…でも、らめえええ……でも…大丈夫かも……でも、やっぱりらめええええ」
「んもう、どっちなの!? このままでいいの? 少しくらい我慢するの!」
「う、うん(がくがく)、我慢する…(がくがく)」
「すこしずつ強くしてくからねー」
「(がくがく)お願いだから…(がくがく)ゆっくり…」
「はーい」
「(がくがく)だめっ、強くしないで。(がくがく)我慢できないから!」
「わかった。わ・か・り・ま・し・た。じゃ、ゆっくり、ゆっくり」
「ゆ、ゆっくり(がくがく)、ゆ、ゆっくり(がくがく)」
「ゆっくり、ゆっくり…」
「ゆっく…」
「澪、繭!メリークリスマス!」
パーーーーーン!!
「あーーーーーーーーーーーーーっ!(びくびくびくびく!)」
「お、おかあさん!」
「あれ、どうしたの?」
「はぐ…はぐ…はぐ…(びくっびっくびくっ)」
「あはは…澪ったら、足がしびれてる上にぃ、足つっちゃったりして。今刺激したら、きっとあとでカンカン。ははは」
「もう…変な子ねぇ。はやく下にきて飾りつけ手伝ってね」
「あはは…すぐにうかがいますわよ、おかあさま」
バタン
「あはは…み、みお、生きてる!?」
「いっぱい…(びくっ)…がまんしたから…(びくっ)…すごすぎ…(びくっ)…心臓とまっちゃうかと…(びくっ)…おもった…(びくっ)」
「たいへん、汗、びっしょり。一緒にお風呂はいろうか。きれいにしたげる」
「……」
「どうしたの?変な顔して」
「はは(ぴくっ)、いや、何でおねえちゃん(ぴくっ)、ちょっと笑ってるのかなーって思ったり(ぴくっ)…」
「何言ってるの。澪が大変なのに笑うわけないでしょ」
(そーよね。そーだよね)
わけわからん
gomen…
281 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/30(土) 05:04:10 ID:CxV9Jk7m
元旦期待あげ
282 :
【大吉】 【1807円】 :2007/01/01(月) 13:10:17 ID:B0GoXWR5
おとそで立場が逆転、一転繭攻めに転じる澪とか!
ずっと怜といられる様に初詣で真剣にお願いしたところ、
男がらみかと疑われて隣にいた怜にからかわれまくっちゃう深紅とか!
みんな・・・生きてるか?
あけおめ。
言っている意味がよくわからないが
>>260単体としては完結してる
そういう意味じゃなかったらスマン
286 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 14:38:49 ID:qQBqHY/A
なにがあっても、澪の事犯すから…
>>286 そして虎視眈々と澪の貞操を狙う繭……
高笑いしながら追い掛けてくるなんて、まさにレイプ魔ww
288 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 20:54:29 ID:Gm1xJ1DC
神よ…SSを…
289 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 02:17:24 ID:TvWsGtJG
書きたいけどボキャブラリーがないんだよなぁ
この際だから、一行リレー小説でもどうかww
290 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 13:25:06 ID:7qNIcCmy
でも2ちゃんもう無くなるんだよね。もう素晴らしいSSはみれないんだよな…
〜雛咲深紅SS〜part3
暗い屋敷の中を歩く美しい女性。
彼女の名前は雛咲深紅。自他共に認める射影機の使い手というだけではない。
家事もこなし容姿も端麗と才色兼備、向かうところ敵なしのはずであるが、
家主の怜には頭が上がらない・・・・・そして自他共に認めるブラコン・・・
大好きな兄を探して今日も行く。
目の前の扉を見つめ険しい表情を浮かべる深紅。
「兄さん・・・・」
(この先に行ったらもう戻ってはこれないかも・・・・)
「えっと・・・・ど・ち・ら・に・し・よ・う・か・な・・・・・・」
深紅の指が目の前の扉と後方の入り口に向かう扉を行き来する。
最後は目の前の扉でその指が止まる。
「え〜・・・・・・」
がっくり項垂れる深紅。
「まあ、いっか・・・・・・
また家に戻ってあの女にこき使われるのもうんざりだし・・・・・」
「よいしょっと・・・・」
特に迷いも無く扉を勢い良く開け放つ。
「あ・・・・・・」
遠くに懐かしい姿を捉え、深紅の瞳が大きく見開かれる。
「兄さん・・・・・」
か細い声でその姿に向かって呼びかける。
が、真冬の視線はこちらを捉えて最奥へと姿を消していった。
「あ・・・・・」
すぐに追いかけようと思ったが足が前に進んでくれない。
戻ってはこれないかもしれないという恐怖のせいだろうか・・・・・
(・・・・・・どうしよう・・・・・・・
でも、ここで行かないときっと私は後悔する・・・・・
もう、そんなのは嫌だ・・・・・・・・・・けど・・・・)
「ど・ち・ら・に・し・よ・う・か・な・・・・」
再び深紅の人差し指が前後行き来する。
止まった先は真冬の消えた方を指していた。
「え〜・・・・・・」
また項垂れる深紅。
同じ結果にならないように、怜の悪口を思いつくままに言いながら選択しているのだが・・・
「行ってやろうじゃないの・・・・」
目の前の道を凛々しい表情で見据える深紅。
「兄さん!!!!!」
叫ぶや否や深紅は駆け出していた。
『深紅!行っちゃ駄目!!!』
駆け出す深紅の姿を捉えて怜が叫ぶ。
「怜さん・・・・・皆いつか死ぬんです・・・・・
私はもうあなたの面倒は見れません・・・・・・
もう疲れました・・・・・・
意味の分からない実在したかもどうかも怪しい祭り事について調べろだとか、
材料も無いのに鱧の天麩羅食べたいからすぐ作れとか、
温泉旅行行く暇が無いから草津の温泉の元買って来いとか、
嫌がるのに睡眠薬服用して無理矢理ゴスロリ着せられた挙句、
散々弄んだ上にあられもない姿を写真に収めて後で強請られたり・・・・・
自分の最後の時が近いと分かった時・・・・・・
やっと自分の本当の気持ちに気付いたんです・・・・・
・・・・
も う こ の 家 に は 居 た く な い !!」
『そっちは駄目ええええ!!!』
怜は一人のたまう深紅を必死に追いかけるも追いつくことが出来ない。
「ふっ・・・・ついてこれまい!
ザクとは違うのだよ!ザクとは!!」
更にギアを一段階あげ、みるみる怜から遠ざかって行く深紅の姿。
『私を置いていかないで!!』
遠くなる背後の怜から意外な台詞を聞いて足が遅くなる深紅。
「え?・・・・・・れ、怜さん、今置いていかないでって?・・・・
それが怜さんの素直な気持ちなの?
嘘・・・・・信じられない・・・・・」
今になって怜の心の底の自分に対する想いを告げられ戸惑う深紅・・・・
『深紅!あなたまで居なくなったら・・・・・
私・・・・・・わたしは!!』
「怜さん・・・・」
走り去る速度は緩まり、深紅の瞳にはうっすらと涙が浮かんでいる。
『ルリの世話は誰がするの!?
私、糞掃除とかしたくないのよ!!
料理だって深紅が作らないでどうするのよ!!!?』
「!!」
『それに!まだ!今月の家賃納めてないのよ!!深紅は!!!』
ピタリと足が止まる深紅。
「兄さん・・・・・・ごめんなさい・・・・・・
私あの女を殺るまでそちらには行けそうもないです。
だってこのまま野放しにしたままだときっと後悔するから・・・・・・
でも大丈夫です・・・・3日・・・・いや、2日の猶予さえ頂ければ・・・・・」
立ち止まると深紅はゆっくりと怜の方を振り向き、天使のような微笑みを返すのであった。
〜終わり〜
キターーー!
待ってたよ!
睡眠薬飲ませてまでゴスロリをきて欲しかったのか怜…
笑わせて貰いましたっGJ!!!
どなたか職人様、霧絵ネタを…
296 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 23:31:14 ID:1iKBLsOz
こりゃ職人も書きたくなるわな
投下した直後に「霧絵ネタを…」なんて…
297 :
295:2007/01/17(水) 00:51:22 ID:UiBowJ0t
ごめん…
私はあの人を追い掛けている。
私はあの人を追い掛けている。
宮司様に隠された、私と関わってしまったばかりに隠されたあの人を。
何故、逃げるのか。
あの人の顔には、恐怖と困惑が浮かんでいる。
追い掛ける、追い掛ける、追い掛ける。
廊下を曲がり、襖を開け、あの人は走る。
捕まえないと、捕まえないといけない。
あの人が再び宮司様か屋敷の人達に捕まえる前に私が捕まえないといけない。
もう一度、あの人がこちらを振り返る。
何故、そんな顔をするのですか。
あの桜の木の下で外の世界の話を、貴方の故郷の話をした時はあんなに優しい顔をされたのに。
さぁ、私と共に参りましょう。誰にも貴方を傷付けさせない。
例え、当主様や宮司様が何を言おうとも、私は貴方を守る。
だから、だから、私とずっと一緒に居てください。
貴方に与えられたものを、貴方を想った心を永遠にしたいから。
あの人の背中が迫る。その先は行き止まり。
あの人が振り返った。唇が動く。
「君は一体……!?」
私は静かに、あの人を抱擁した。
これで、ずっと一緒。もう、離さない。
―――これから、ゆっくりお話しましょうね。
私が貴方をどれだけ想い続けたかを。そして、貴方の故郷のお話をまた聞かせてください。
あの、桜の木の下で。
チリーン。
彼を抱き締める私の耳元で鈴の音が鳴り響き、意識が一瞬揺らぐ。
気が付くと、あの人の姿は何処にも居なかった。
「何処に居るの……私を、一人にしないで」
私は、再び屋敷の中を歩き始める。
あの人と逢う為に。今度こそ、一つになる為に―――。
了
乙です!!
GJ!!!!
朝のテレビ番組を見ながら出勤前の身支度を済ませていると、セーラー服に着替えた
妹が声をかけてきた。
「真冬兄さん・・・。それじゃ行ってきます・・・・・・」
おどおどとした消え入りそうな声でそう言うと、真冬に顔も合わせず脇をすり抜けて
玄関のほうへ走り出した。
真冬は間一髪そんな妹を背後から抱きしめると、リビングのソファところまで引き戻した。
そのままソファに座り、膝の上に妹を乗せた。
「いやっ・・・兄さん!今日はもう時間がないの!学校に遅れちゃう」
だが抗う妹の首筋に軽く唇を当てると、「んっ」という息の漏れる音がして少し
おとなしくなった。
「深紅、もう少し遊ぼうよ」
妹と一緒にいるときが一番落ち着くのだ。真冬は最近仕事が忙しく、このチャンスは
いつも朝しかなかった。
真冬はきれいに束ねられた妹の髪を乱れさせないように、丁寧に首に吸い付く場所を
探した。
そのときにはもう、セーラー服の上から妹の乳房を揉みほぐしていた。
妹は真冬の両手を引き剥がそうとするが、それに構わずさらに手をセーラー服の中に
入れた。柔らかい乳房を包んだブラジャーを上にずり上げて、直接乳首を弄りだす。
妹の体がビクビクと反応しだすのを、真冬は膝の上で堪能していた。
「こんなことしてたらまた遅刻しちゃう・・・。あぁ!!・・・・・・くぅ・・・。
真冬兄さん・・・・・・するなら・・・・・・早くして・・・」
真冬は顔を真っ赤にした妹の体から手を離した。すると妹は立ち上がり、自らスカートを
巻くってショーツに手をかけた。一瞬躊躇したものの、恥じらいに震える腕でショーツを
静かに下ろしはじめた。
小さな白く可愛い妹の尻が、ソファに座る真冬の顔の前に現れた。
膝の下まで下ろしたショーツをそのままに、スカートを腰のところまで上げた妹の華奢な
体は倒れそうなくらい小刻みに震えている。
「深紅、もう濡れているんだろう?」
恥辱を感じているだろう妹に容赦なく真冬は問いかけた。
妹は何も答えなかった。
「あうっ!!」
途端に短い悲鳴が2,3回、妹の口から漏れた。真冬が妹の尻を平手打ちしたのだった。
かなり痛いとみえて、妹の足元はふらついていた。
「返事をちゃんとするように。もう慣れなきゃね」
「・・・・・・はい・・・・・・」
許しを請うような目つきで真冬を振り返った。その瞳が真冬の興奮を増大させた。
もう泣くことはしなくなったんだな。最初の頃からすると、深紅もずいぶんと
従順になった。真冬は感心した面持ちで、妹に笑いかけた。
「深紅は自慢の妹だよ。さあテーブルに手を付いて」
妹は何の抵抗もなく上半身をテーブルに乗せた。手のひらをしっかりとテーブルに
付けそこに身を隠すように縮こまったが、裸のままの尻は真冬の方へ突き上げる
格好をとった。
真冬が足に絡むショーツを脱がせると、妹はすぐに股を広げた。いつもはぐずついて
なかなか自分から股を広げないのに、今日は本当に遅刻したらやばいのかもしれない。
そういえばテストがあると言っていたような気がする。
すぐに済ませるからね、と言いながら妹の尻の割れ目の向こうに見える黒い茂みの
中に指を這わせた。案の定、肉の入口はドロドロに潤っていた。
指2本を一気に膣の中に突き入れると、尻をひくつかせて動こうとする妹に
覆いかぶさった。
「ああぁ!ううん・・・はあっ・・・」
指で掻き混ぜるたびに、妹は熱がこもった吐息を吐いた。敏感なあの肉の突起を
撫ぜると、一層猫のような声で喘ぎだした。
本当の深紅はこの膣の中で待っている。いつもそんな錯覚が真冬の心を躍らせた。
このおとなしい妹と肉体を繋ぎ合わせると、ようやく心を開いてくれる。
本心に触れられた妹はやめてと懇願するが、真冬をさらに奥へと奥へと誘う
この中では「真冬兄さんのことを愛している」という言葉が聞えるのだった。
「俺も愛しているよ・・・。いくよ」
真冬は熱い肉棒をズボンの中から解放してあげた。じっと尻を突き出して待つ
妹のつま先に変に力が入っているのをおかしく思いながら、肉棒を膣の中に突き入れた。
「はぅ!!!あぁ、兄さん・・・!・・・あんっ・・・ああっ・・・。あんまり激しくしないでぇ・・・」
十分に濡れた妹の中は真冬の太い肉棒をしっかりと咥え込んだ。腰を振るたびに
妹の肉壁が擦れ、弾けるよな快感が真冬を獣にさせた。
初めて妹を陵辱した日には、泣いて痛がるために半分も入らなかった。
それが今では膣の奥まで挿入できるようになり、妹も気持ちよく喘ぐようになっていった。
今日もまた妹は兄の愛情を小さな穴で受け止めていた。
そんな妹は背後から犯されながら、精液でスカートが汚れないようしっかりと
捲り上げ続けていた。
「はぁ、はぁ、はぁ、・・・・・・うぁ!ああ・・・ん・・・。ああん!いやぁん!」
「あ・・・すごくいいよ。深紅の中。気持ちいい。気持ちいいよ。あぁ・・・深紅は
もうすぐいっちゃうんじゃないか?」
深くぐっと肉棒を押し込んだまま、快感に顔を歪ませる妹を観賞した。
一気に腰を引いて、また力いっぱい突っ込んだ。
「ひぃ!」
甲高い声と肉がぶつかり合う卑猥な音が、朝のリビングに響き渡った。
それは止むことはなく、真冬は劣情の思いのまま妹を犯した。
もうそろそろ出勤しないとやばい時間になった。真冬はまだ硬く勃っている肉棒を
妹から引き抜いた。
妹は2回ほど絶頂を迎えたとみえて、上の口からは唾液を、下の汚された口からは
愛液を滴らせていた。喘ぐ体をテーブルにもたれかけ、心臓の動悸を落ち着かせていた。
妹の体を抱きかかえると床の上に座り直させ、真冬はソファに座った。
その股間にはまだ、興奮しているモノがそそり立っていた。
まだ絶頂の余韻が残る体をのろのろと動かし真冬と対面した妹は、小さな手で
その肉棒を支えた。そしてぬるぬるとした表面を手の中で何回かしごいた。
ビクッと弾く真冬の体に呼応して、妹の手も止まった。真冬は続けるようにと、
妹の頭に軽く手を置いた。その妹の表情には何が浮かんでいるだろう。
あれほど教えてきたのに、困惑、屈辱、恥辱といった感情はまだ捨てきれないようだった。
「深紅・・・・・・早く。時間がないんだろう?」
妹は泣きそうに顔を歪めながら、口を広げた。
そんな小さな口じゃ入らないよと、指でぐっと妹のアゴを掴み大きく口を広げさせた。
滲み出た涙で濡れた目をきつく閉じ、妹は今まで自分の膣の中にいた肉棒を
口で咥えた。やり方は分かっている。口の中で優しく愛撫するように頭を前後に
振り動かし、ときには舌で亀頭を舐めまわした。
「んぐ・・・。・・・うっぐっ・・・・・・。んぁんん・・・」
口の中を突く肉棒の先を頬に浮き出させ、愛しい妹が自分の股間にしゃぶり
ついている。喉が詰まって咳がでても、またすぐに快楽の奉仕に精を出す健気な妹。
額に汗の玉を浮かばせて、兄の肉棒を一心不乱に咥えるセーラー服の妹。
喘ぎ声は猫のようなのに、今は美味しく餌を食べる犬ようだ。
なんて淫らな妹なんだろう。早くこの行為を終わらせるために絶頂を与えようと
しているのだろうか。
「そんなに学校に遅刻したくないのかい?」
妹からの返事はなく、代わりに歯で甘噛みをしてきた。
「あ、こら!ふぅ・・・うあぁ」
真冬は低く呻いた。もう少し我慢できそうだったが、妹の口の動きがだんだんと
早くなっていった。
「ああ深紅ぅ!」
真冬の変化を口の中で感じ取っていた妹は覚悟ができていたようだ。
直後に喉の奥に飛び散った精液を、苦渋の表情で受け止めた。
ゴクンと白濁した兄の精液を呑み込んだ妹は、呆然としながら自分の唇の周りに
付いた唾液を舌で舐め取っていた。激しく息をしながら、いつも終わったあとに
見せる妹の仕草だった。
その仕草を満足そうに見つめながら、真冬はご苦労様とにっこり微笑んだ。
「それじゃ兄さん・・・・・行ってきます」
虚ろな目で妹はいつものように家をでていった。
今日一日は体も心の中も肉体を貫いた兄のことでいっぱいだろうと、真冬は嬉しく思った。
たった2人だけの家族なんだ。お互いのことを感じながら暮らして行こう、深紅・・・。
今夜も残業になるだろうなと憂いながら、真冬も家をでていった。
(終)
謹慎送還GJ
「もう逃がさない……。」
そう言って、あの人を追い回して、結局逃げられ続けている。
(あたしって惨めだな。)
鏡華は唐突にそう思った。
髪をとかす手をとめて、鏡の中の自分と向かい合う。
自分で言うのもなんだが、白く整った顔立ちだ。
でも、なぜか男には縁がない。
女って想われてなんぼでしょう、と言うようなことを他の女の口から聞くたびに、
ちょっと頬が引きつるのを感じる。
(なんでこのブスが生意気言ってくれてんの? たまたま相手が見つかっただけのくせに。)
自慢ではないが、鏡華はこれでももてた方だ。
適齢期になってから出会いがあんまりないので、今は一人だけど。
昔から、同じ年の子供で集まると、
男の子はみんな他の女の子よりも鏡華に目を奪われたものだ。
負け組みの遠吠え(?)だと笑いたければ笑えばいいと思う。
でも、事実そうだったし、今でこそ彼氏はいないけど、
それでも自分は十分魅力的だと思う。
本当なら、男の方から言い寄ってくるのが筋というものだ。
そしてその男の中から、鏡華が一人を選ぶ。
選ばれた男はその幸運に歓喜し、あぶれた男は肩を落とす。
これが本来あるべき姿なのだ。
――なのに今は。
あの人はあたしの姿を見ると、たちまち逃げ出す。
それこそダッシュで逃げていく。
そこまで必死に逃げなくてもいいじゃん。
いや、追ってるあたしも相当必死だけどさ。
そこまで考えたところで、気配を感じた。
来た。あの人だ!
とたんに落ち着かなくなる。
鏡の中の自分にもう一度目をやる。
髪は……。完璧だ。かわいいぞ、あたし。
それから数瞬の迷いが頭を掠める。
また追いかける? いやいや、どうせまた逃げられるだけ。
でも、ほっといたって、どうせ無視されるに決まってるんだよね。
うーん。どっちにしてもへこみそう。
いや、結局、あたしが魅力的かどうかなんて関係ない。
現実問題、今、あたしは男に飢えている。認めよう。
へんなプライドで今、あの人を素通りさせてもなんの得にもならない。
年齢的にも切羽詰ってるのは事実だし、あの人を意地でも捕まえたいと思ってる。
じゃあ、迷うことなんかない。
「今日こそやってやる。」
声に出して言うと、鏡華はすくっと立ち上がった。
扉が開くの待ち構える。
いつもは相手の気を引こうとすすり泣きの真似なんかしてるから、
逃げられちゃうのだ。
今日はすごいぞ。いきなりタックル。そのままテイクダウン。
やってやる。やってやる。
すごくテンションがあがるのを感じた。
体の中に力が満ちてくる。
さあ、来い!
扉が開く。鏡華は全力で飛び掛った。
「もう逃がさない……。」といういつものセリフもなしだ。
無言で、勢いよく、相手の胸に飛び込んだ。
果たして。
「って、うわ、あぶっ……。」
がつん!
鏡華はしこたま鼻を打って、もんどりうった。
予想外にも、相手がこっちに向かって駆け寄ってきたから。
宙に弾き飛ばされる細い体。
しかし、その体を、たくましい腕が抱きとめた。
「???」
鏡華は鼻を押さえて、体を丸めた。
ぎゅっと抱きしめられる感触。
なんだなんだ、どうなってるの、あたし。
恐る恐る顔を上げると、ずっと手に入れたかった男の顔が間近にあった。
「……。あ、え?」
状況が飲み込めない。真剣な眼差しが彼女を静かに見返している。
「……。」
「……。」
「……逃げないの?」
少しの沈黙の後、相手が黙っているので、鏡華の方から恐る恐る声をかけた。
「逃げない。」
相手は決然とした口調で言った。
「どうして? あたしのこと、うっとおしいと思ってるんでしょ?」
「なんでだよ。そんなこと思ってないよ。」
「だっていつも逃げるじゃん。」
「すごい顔で追いかけてくるからだよ。」
そんなすごい顔だったろうか。
「もしかして。何気にひどいことを言われてる?」
「ごめん。でも、最初はほんとびっくりしたから。」
「……今日はいつもと違うんだね。」
「そうだね。」
「何かあったの?」
こうやって会話していること自体が不思議な感じがする。
鏡華はことばを交わしながら、ぼんやり思った。
(そういや、ろくに話もしたことなかったっけ……。)
「今日はね。」鏡華の言葉を受けて、相手の男が言った。
「君を抱きに来た。」
「……。」
「……。」
「……あ、え?」
鏡華は口ごもった。
「いや、よくわかんない。もう一回言って。」
とたんに男はぱっと顔を紅くした。
「うん。いや、ぜんぜん勘違いしてるかも知れないんだけど。」
「なに?」
「君も俺のこと、ちょっと意識してくれてるのかな、みたいに思ったのね。」
どき。鏡華の心臓がちょっと変なリズムを刻んだ。
いや、意識してるよ。そうだけどさ。改めて言われると、なんか恥ずかしい。
「最初はあせってたから気づかなかったんだけど。」
鏡華が黙っていると、相手の男はそのまま先を続けた。
「すごいかわいいな、って思い始めたんだよな、だんだん。」
え。まじで? まじで?
「つかさ、最近、ほんと君のことが頭はなれない感じで。」
うそだあ。こんなおいしい話あるわけない。
「もう、なんかまじめに欲しいんだよね、君のこと。」
不覚にもその一言で涙ぐみそうになった。
……そうだよね! あたしかわいいもんね!
この反応が普通だよ! 跪け、世の男ども! はっはっは……。ぐす。
「え、何どうしたの?」
男の声が、顔を伏せた鏡華の頭の上から降ってくる。
……。やばい、うれしいよ。まじでうれしいよー。
じっと顔を伏せていると、体に回された腕に、力が込められた。
「体細いね。」
「……そ、そう、かな?」
「ずっとこうしたかったんだ。」
頭に手が回され、ぎゅっと引き寄せられる。
男の胸に顔を埋める格好になった。
(あ……。)
気持ちいい。こんな風に強く抱きしめられるのなんて、初めてだ。
厚い胸板に、鼻先を擦り付けた。男の匂いがする。
汗とタバコの匂い。
「あたしも。」男の体に顔を押し付けていたので、くぐもった声になった。
「ずっとこうして欲しかったんだと思う。」
プライドの高い彼女としてはものすごく素直な言葉だった。
男の腕から力が抜ける。
(……?)鏡華は顔を上げた。
すると、その唇に、男の唇が重なった。
「……ん。」
ちゅっ。
下唇を吸われる。
その後一瞬唇が離れたかと思うと、次の瞬間には相手の舌が鏡華の唇を割って、
差し込まれた。
うひゃああああああああ。ぞくっという震えが、鏡華の全身を硬直させる。そして。
カチン!
「あいて!」
男が声を上げた。思わず前歯を閉じてしまったのだ。
「あ、ごめん! つ、つい。」
鏡華は慌てて相手を気遣った。
「いってー。」
「だいじょぶ? ほんとごめんね。いたい? 血とか出てない?」
「わかんない。」
「ちょっと、べろ、出してみて? べーって。」
言われるままに男は舌を少し差し出した。
舌先が少し赤くなっていたが、血は出ていなかった。
鏡華は。唇を近づけると、その舌先をちょっと口に含み、自分の舌先を合わせた。
ちゅっ。
「ごめんね。あたしこういうのなれてなくて。」
「ん……。こういうのって?」
「いや、だからさ。男のヒトとちゅーとかすんの?」
男は意外そうな顔をした。
「え? 初めて?」
「いや、初めてって言うか。」
鏡華はもごもごと言葉を濁した。
いや、まあ初めてなのだが。それを言うのはなんだか悔しい気がした。
「まあ、あんまりしたことないんだ?」
男が取り繕うように言った。やさしいな、と鏡華は思った。
================================
眠くなりました。続きが書きあがったら、またあげさせてください。
わっふるわっふる
ういういしくて(・∀・)イイ!!
わっふるわっふる
ワッフルワッフル
保守
第一章〜絵六綯い〜
お前「こ、ここが噂の氷室邸か・・・・なかなかなとこじゃないか・・・・・と、とりあえず入りますか、約束だし・・・・」
ガタンッ!
「・・・・やっぱ怖いから帰るか・・・友達には扉が開かなくて入れなかったって言えばいいし!俺頭いい!じゃさようなら!」
・・・・・
「開かねぇ!!!!!!!!!!ふざけんなこの糞デブオタニート!」(タッタッタッ
「誰だ!?・・・・おいおい・・・・冗談よせよ・・・・・なんだよ・・・・・」
すると、目の前に白い着物を着たなぞの少女が現れ、縄の廊下のほうを指差す。
あ、幼女「びっくりさせるなよ!・・・・え?あっちへ行けって?っておい消えるなよ!、・・・・とりあえず行くか・・・・・」
「もうチビリソウダ・・・・!!!なんだあれは!・・・・・ん?なんかバスの出入り口の折りたたみドアについてるやつみたいだな?なんでこんなとこに?」
「あれ?レンズがあるぞ?そうかカメラか、これで敵を倒すのか、わざわざメモ置いといてくれてるよ、ありがたや〜って敵ってなんですか?」
そ し て か が み に ・ ・ ・
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」パシャパシャパシャパシャパシャパシャ!
「お!倒した!俺強いwwwwすげーwwww」
フィルム残り5枚
「うん、フィルム枚数あるとわ書いてなかったね。」
第二章〜法螺望み乃展開雫〜
お前「なんだこのテープは?鳴らしてみるか」
テープ「ゴホン、え〜この屋敷には昔いろいろな儀式が行われていたと言う、しかし、ひとつ謎の多い儀式がある、それは裂き縄の儀式と言われるものだ」
「その儀式は、残酷なもので、なんと手、足、首、に縄を結んで、そのまま引っ張ると言うものである。ガチャ!」ピー
「帰りたいよう・・・・」
霧絵「こんにちは」
お前「・・・・・こ、こんにちは・・・・・とっと見せかけてパシャ!」
霧絵「なにしてるんですか?・・・・・・」
お前「(きかねぇぇぇぇぇぇ)え〜とうんとその・・・・・帰りたいんですけど・・・・・俺まだ学生だし・・・・警察動いてるかも。」
霧絵「もう帰れませんよ・・・・」
お前「え・・・・」
霧絵「こっちへ来なさい・・・・・」
第三章〜個個唐雅本気豫〜
お前「な、なんですか!やめてくれ!」
霧絵「私はここにずっと閉じ込められてたの・・・・凄く辛かった・・・・・・」
お前「だ、だ、だから俺に仕返しをするの?・・・・お願いだから帰らして・・・・(てか話聞いてよ・・・・」
霧絵「そんなことしないよ・・・・・でも帰れないよ・・・・・・」
お前「ガクガクブルブル・・・近づくなぁ!!」
霧絵「きれいな顔してますね・・・・・」
お前「・・・・・・え?」
霧絵「・・・・この服どうやって脱がすんですか?」
・・・・・・・・・
お前「え、普通にこうやってこうやるんです・・・」
霧絵「なるほど、でわ脱がしてあげます・・・・・」
お前「そ、そんな!なんですか!」
霧絵「男の方の肌を見るのは初めてです・・・・・書とかでなら見たことありますけど・・・・・」
お前「は、はい・・・・(人の話聞かないのかよ・・・・)」
霧絵「口付けもしたこのないんです・・・・だから」
チュっ!
お前「ふごごごごごご亜wせdrftgyふじこlp;@:「」
こうして熱いキスは3分続いた・・・・お前は初めての体験だった・・・・
お前「な、な、な、なにするんですか!」
霧絵「すみません・・・・・嫌でしたか?・・・・・」
お前「べ、別に嫌じゃないですよ(お、お、お、お、柔らかい)」
霧絵「なら・・・・もう一度・・・・」
ブチュチュンパブチュチュンパ
ageage
わけわからん
>>321 良くはわからないけどジョア吹いたww
え?
ん?
328 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 02:19:57 ID:21o8qJs4
ピョウ(゜∀゜)
霧絵ネタを酔った勢いで書いたんだけどやっぱ駄作だったかな?
続き書きたいのだけど(・ω・`)
てか自分で見て意味不明だとオモタ。
こうなったら最後まで見たい
続きよろ
>>こげた
いや、面白かったよ
アホっぽくて訳分からんって感じ
一応褒め言葉のつもりだったんだ
基礎を学んで来た方がいい気がする
最後まで見てみたいんでよろしく
〜雛咲深紅SS〜part4
台所に立つエプロン姿の美しい女性。
彼女の名前は雛咲深紅。自他共に認める射影機の使い手というだけではない。
家事もこなし容姿も端麗と才色兼備、向かうところ敵なしである。
だが、家主の怜には頭が上がらない・・・・・
屈辱感を味わいながら深紅は家主のために今日も働く。
「ふぅ・・・・」
浅い溜息を一つ吐くと、エプロンの染みを気にして爪で引っ掻いてみる。
時間は午前4時・・・・朝食の準備にしては早すぎる時間。
深紅はリビングの明かりも点けずに台所で作業を続ける。
台所には甘い香りが漂い、その香りに誘われてか飼い猫が目を覚ましてしまう。
「あ、ルリ・・・・・内緒だからね。」
背後の方で気配を感じた深紅がルリに気付いて口に人差し指をあてる。
なぜこんな時間に料理をしているのかというと・・・・・・
そう、世はもうすぐバレンタインデーである。
日ごろお世話になっている人、好意を寄せている人相手に
その気持ちと共にチョコをプレゼントする日である。
深紅は一人身だった自分をここに置いてくれた怜に、
危なくなった自分を助けてくれた怜に、
普段お世話になっている怜にプレゼントをしたかったのである。
だから、怜に悟られないようわざわざ
彼女が寝ている時間を狙ってお菓子作りを行っているのである。
手作りプレゼントからは深紅が如何に彼女を大切に想っているかがうかがえr
「んなわけない!」
なぜか突然突っ込みを叫ぶ深紅・・・・
「あの女が寝ている時間を狙ったのは確かに悟られないため・・・・
手作りにしたのも愛情を込め・・・・・じゃなく悟られないため・・・
クスクス・・・・・愛情は一欠けらも込めませんけど、このスペシャルな
下剤はたっぷり込めてあげますよ、怜さん♪」
怪しげな笑みと共に怪しげな薬を湯煎したチョコに溶かしていく。
「3日間は何も食え無い動けない状態にして、私はゆっくり羽根でも伸ばすわ♪
フフフ・・・・アハハハハ!」
不気味に笑う深紅にルリも気味悪がりその場を離れていった・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「おはようございます。怜さん。」
リビングに下りてきた怜に挨拶する深紅。
その後食事を終え、二人でお茶を飲んでいると怜が話かけてくる。
「なあに?深紅。ニヤニヤして気持ち悪いわよ・・・・」
冷めた視線でグサリと一言・・・・
すぐさま顔が引きつる深紅。
(うがああああああ!!!落ち着け・・・・・落ち着け私。
ハアハア・・・・クールダウン・・・・・)
「その・・・・・・」
深紅は急にもじもじして顔を赤らめると上目遣いで怜を見つめる。
「あの・・・・・怜さん。今日が何の日だか分かります?」
見たことの無い深紅の姿に?マークが頭に浮かぶ怜・・・・
「その態度は何なのよ?
今日?・・・・・・さあ・・・・・・・・・・
深紅の頭のネジが飛んじゃう日かしら?」
(やっぱり今すぐ直で殺るか?( ゚∀゚))
物騒な考えが頭を過るも早起きした苦労を無駄にしたくない思いからか、
深紅は何とか堪えると、
「怜さん、今日はバレンタインですよ。
それで、私怜さんのために日ごろのお礼の気持ちなんですけど
チョコレートを用意したんです。」
そう言って隣の椅子の上に置いてある可愛くラッピングされた袋を怜の
目の前に差し出す。
「え?・・・・私に・・・・」
怜は少し動揺したようだ。
「はい、怜さんにです。こういう日くらいしか私・・・・・・
その・・・・・・・・・怜さんに素直になれないし・・・・・
いつも・・・・・その・・・・・ほんとに感謝してます・・・・」
深紅は真っ赤になって俯いてしまう。
「深紅・・・・・・・確かに深紅はもっと素直になった方が良いと思うけど、
でも今の深紅はとっても可愛いわよ。私も深紅にはほんとに感謝してる。」
「怜さん・・・・・・」
その言葉を聞き、スゥーっと涙が深紅の頬を伝う。
「あらら、どうしたのよ深紅?
急に泣き出して・・・・・・」
怜はゆっくり立ち上がり深紅に近づくと泣いている深紅をそっと抱きしめてやる。
「えへ・・・・・怜さん暖かいです。」
怜の温もりに顔を埋め心地良さそうに目を閉じる深紅。
「私も深紅にプレゼントしようと思って午後からお店に行く予定だったのよ。
残念だけど手作りは流石に勘弁してね。」
「え、いや、そんなこと気にしないでください。」
深紅は慌てて首を横に振る。
「じゃ、私は仕事あるから。これ後で頂いておくわね。」
そう言って怜は包みを持ち二階の自室へと戻っていく。
一人リビングに残される深紅。
「怜さんの胸・・・・・暖かかったな・・・・・・・」
深紅はあのプレゼントを純粋に贈り物として受け取った怜の表情を
思い出すと心が痛んだ。
まさか、あんなに素直に返してくるとは思いもよらなかったのだ。
てっきり『何これ?私を太らせようっての?その手は食わないわ』
とか言われて突っ返されると思っていたのだ。
それでも食い下がって一つくらい食べて貰おうと画策していた深紅は、
急に罪悪感に鋭い胸の痛みを感じt
「これっぽっちも無いってのそんなの!」
深紅は声を殺して笑った。
まさかこうも上手く行くとは思っていなかった。
「クスクス・・・・私後2,3年経ったら立派な悪女になれそうだな。
女優顔負けの名演技♪」
思い出して笑いが止まらなくなる深紅。
「さ〜てと、それじゃトイレの紙を全部処分しておきましょうかねぇ・・・・クスクス
それともトイレに入れないようドアに細工して・・・・・」
流石に自分が行きたくなった時困るので取り合えず紙を全部捨てる事に留めた。
部屋に戻ると、怜がトイレに駆け込むのを今か今かと待っている深紅。
だが、一向にそんな気配無い。
「今日は食わないつもりか・・・・・」
待っているのに飽きたのか早起きしたせいもあって深紅はそのまま眠ってしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・
「いけない、こんな時間・・・・・夕飯の支度を・・・・」
深紅は体を起こすと時計を見て慌てて部屋を出て行く。
「そういえばあの女どうなったんだろう・・・・・・」
「あの女って?」
背後からの声に体を跳ねさせる深紅。
ゆっくり振り向くとそこには怜の姿が・・・・・
「あれ、怜さん、私そんなこと言ってませんよ・・・・・」
真っ直ぐに怜を見据える深紅。
「ふ〜ん・・・・・・・・まっいいけど・・・・・・」
「はぁ・・・・・・」
怪訝そうに相槌を返す深紅。
「それよりね深紅、あそこのソファーの上にあるの見えるかしら?」
「え?」
怜に言われ1階のソファーを見るとその上にはルリと・・・・・大量の糞が・・・・
「!!」
「な〜んか知らないけど、下痢したみたいよルリ。
飼い始めてから下痢なんか一度もしたことないのにねぇ・・・・
どうしてだろうねぇ・・・・・・
何か変な物でも口にしたのかしら・・・・・
まあ、そんな事はどうでも良いけど、とっとと片付けといてね。
後がちっとも残らないよう今日中にやっといてね」
そこまで言い切るとゆっくり怜は階段を下りていく。
(・・・・・・orz
クソ・・・・・・わざわざ作ったのに、ルリに食わせるなんて・・・・・・
しかも、糞掃除・・・・・・・あ、涙が・・・・・・)
今日も目的を果たせず家主にやり込められ地団駄を踏む深紅であったが、
すぐさま掃除に取り掛かると
下剤は猫にも効くのだという新発見を
少し嬉しく思いながら次の復讐を誓うのであった。
お終い
バレンタインSS、ktk…r…?
しかしワロタ
一触即発な二人の微妙な関係がモエスww
お前はこう心に誓った。
お前「(もうどうにでもして〜)」
そして霧絵は容赦なくちんこをシゴク。
霧絵「はぁはぁ・・・・どうですか?」
お前「うぅ、すごく・・・・きもちいです・・・・」
霧絵「こんどはしゃぶってあげます・・・・」
ちゅぱちゅぱ 不二家キャンディー
お前「うぉぉおお凄いですお姉さん!もういっちゃいそうです。」
霧絵「どうぞ、いって下さい。」
お前「でも、口の中に!うおっ、ゥあぁぁぁぁぁぁぁぁsぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
霧絵「ん!?ゲホッゲホッ」
お前「はぁはぁ・・・だ、大丈夫ですか?・・・・・うわっ!眩しいやめろ!」
深紅「・・・・・。」
お前&霧絵「!!!!!!!!!!!!!!!!」
深紅「テクモはなにやってんの・・・・・」
お前「え〜とじゃぁそろそろ僕帰ります!でわでわ」
霧絵「無理、え〜とあの、とりあえず裂き縄の呪いかけちゃえ!」
お前「そんな!酷い!このゲームに俺は関係ないからって!しかも霧絵罪を俺に擦り付けるし!」
霧絵「なんかさぁ、氷室邸に入り込んで私にしゃぶれって言うんだよね、しゃぶらなかったら殺すぞ!って」
深紅「うわ、サイテー裂いてーホント勘弁〜」
お前「うそだ!お前が勝手にしゃぶったんだろ!てかお前俺より強いくせに!」
霧絵「うわぁ、またなんか言ってるよ。」
深紅「カメラで撮って晒してやろうかな?」
霧絵「やめとき、カメラが壊れるよ、どっかの霊みたいに。」
お前「お前やろ!」
深紅「あ、そうだねぇ、カメラが呪われちゃうよ。」
どっかの綺麗なお姉さん「そうそう、ここでストーリおかしくなると私も大変だし、それより深紅、家の掃除終わった?」
深紅「はい、ばっちりです。」
お姉さん「ありがと、ホント深紅がいるとたすかる。」
深紅「えへへ・・・」
お前「あのー・・・・」
お姉さん「それよりこいつどっからこの世界に入ってきたの?」
霧絵「さぁ〜、わかんない」
どっかの姉妹「なんか悪いことしてこっちに来たとしか考えられない。死ね死ね!」
お前「ちがい(ry」
深紅「お前しゃべんなよ。」
霧絵「そうよそうよ、吐き気がずるぜ。」
お姉さん「いや、感染しちゃうよ。」
姉妹「きも〜い」
お前「あ」
お姉さん「それよりコンビニでも行かない?こんなやつほっといて。」
霧絵「そんなことしなくてもお弁当ありますよ〜」
お姉さん「あ、じゃぁあいつ虐める?」
姉妹&霧絵&深紅&血塗れの着物の女&刺青の巫女「サンセイ〜〜〜〜!」
俺「なんでxboxじゃないと水着見れないのさ(´・ω・`)」
>>335 GJwwwww
面白い。
>>こげた
やばい、笑った。
内容よくわからないけど。
このノリで続きなり次作なりを期待してる。
保守
儀式を・・・
続けろ!!
何故逃げた・・・
贄の定めに従え・・・
ナニをされても、澪の事許すから…
おねえちゃん・・・
おねえちゃん・・・
352 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/20(火) 18:38:29 ID:slDOeXtT
このスレって過疎るとこういう流れになるよなw
>>352 それで書いてw
354 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/20(火) 23:31:14 ID:WM7GY0f/
睦月「八重、俺と樹月どっちが好きだ?」
八重「睦月くんが受けならどうでもいい。睦月くん受けヅラだし」
睦月「…」
355 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/20(火) 23:47:06 ID:WM7GY0f/
ミーンミンミン。ジージジー。
けたたましく鳴き立てる蝉。
突然八重と紗重のオヤジに呼び出されたのはそんな夏の日だった。
「ったく…あのオヤジ説教なげえからめんどくさいよな」
「睦月、当主様をそんな言い方したら失礼だよ」
「だってよー…」
俺と樹月は黒澤の家に行く橋の上を歩いていた。
今日はせっかく5人で遊べるのに。
「さっさと聞き流して、遊ぶか」
「もう…絶対にそういうの態度にでるからやめときなよ」
「はいはい」
樹月も俺もこの呼び出しが何なのか薄々は知っている。
―もう、この夏が最期なんだろ?
―俺が死ぬんだろ?
真っ青な空を見上げながら、心の中で言った。
「今年の祭は立花樹月・睦月で行う」
黒澤のただっぴろい大広間に通されて正座させられたかと思うと、いきなり八重のオヤジが言い出した。
「・・・ぼくらが」
樹月が呟く。カタカタと震えているのが分かる。
「そんだけのために呼んだんですか?祭主様?」
「睦月…!?」
「…そうだが」
「じゃ、俺帰ります」
ぺこりと頭を下げただけで、すたすたと廊下に出た。
「待てよ睦月!」
樹月がどたばたと追いかけてくるのが分かる。
玄関の前に来たところで、肩を強くつかまれた。
「…樹月、いてえよ」
「どうして…」
泣き出しそうな樹月の顔。
言葉が見つからなくてうーうー喉の奥で唸っている。
「どうして、って。お前だって分かってるだろう?」
草履を履き、外へ出る。
「そうじゃなくて…」
「じゃあなんだよ?俺八重のとこ行きたいんだけど」
「…」
お前が泣いたって変わらないだろう?
どうせ、俺は死ぬんだろう?
>>355 睦月視点の話って珍しいな。
続きを期待。
357 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/21(水) 11:41:18 ID:GtySvCwt
355
樹月は頭を冷やしたいと家に帰っていった。
無駄だといいたくなったがやめた。
考えてみれば樹月の反応が正常なのだから。
「仕方ない、一人でいくか」
独りごちて待ち合わせ場所の御薗に向かった。
御薗への坂を登る途中で、千歳と八重と紗重の笑い声が聞こえた。
「八重!紗重!千歳!」
呼んでみる。
「あ、むつきお兄ちゃん」
「睦月くん」
「睦月くん」
甲高い声と、同じ声二つ。
坂を登りきると三人の姿が見えた。
「あれ・・・樹月くんは?」
紗重がすぐに気づいた。
「樹月おにいちゃんがいない・・・」
千歳も。
八重は黙っていた。
「樹月ならお前の親父に説教されて落ち込んでるよ」
「樹月くんがお説教?睦月くんじゃなくて?」
「それはどういう意味だ紗重」
「だって・・・」
まあいつも怒られているのは俺だけど。
「樹月おにいちゃん、かわいそう・・・」
何も知らない千歳。それでいいんだ。
「紗重、千歳ちゃん。樹月くん励ましに行ってあげて」
ずっと黙っていた八重が口を開いた。
「え・・・でも八重」
「いいから」
その言葉には突き放すものが含まれていた。
澪繭が螢を「叔父さん」と呼ぶのに違和感感じるのは俺だけか?
たしかに螢は二人の叔父だけどまだ20代だし、昔から二人の面倒見てたらしいから
もっと若い頃、へたすりゃ子供の頃からの知り合いな訳だろ?
だとしたら、澪繭は螢のこと「螢にいさん」もしくは「おにいちゃん」とか
呼んでたんじゃね?と思った今日この頃。
15歳の姪が26(?)歳の叔父のこと「おじさん」とは言わんでしょ。
>>357 いいよいいよー、続きwktk
>>358 俺も最初は違和感あったけど慣れてきた。
1.静が「螢も『叔父さん』になっちゃったわねー」とからかってるうちに定着してしまった
2.澪「『螢お兄ちゃん』って呼ぶの子供っぽくて恥ずかしいから、これからは『叔父さん』で……」
3.繭「つーかオメー『お兄ちゃん』って器じゃねーだろ」
360 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/21(水) 15:39:23 ID:GtySvCwt
355続き
完全に2人が見えなくなってから俺は口を開いた。
「黒澤紗重が見舞うのに、黒澤八重が見舞わない。これはいかに?」
「立花樹月が生きて立花睦月が死ぬと言うが如し」
その答えに5秒もかからなかった。まるで用意していたかのように。
「・・・」
分かってるじゃないか。流石次期当主候補。
「とうとう・・・ね?」
八重の声は恐ろしく冷静だった。さっきの樹月に見習わせたいくらいに。
ざあ。不意に強い風が吹いて、森が鳴きだす。
八重の黒髪がぶわっと広がった。
「祭は来月だってよ」
「そうなんだ。じゃあ来月は忙しくなるわね」
次期当主候補だけあって、八重は祭に参加する役目が担わされているようだ。
「でもたまには千歳とも遊んでやってくれ」
「うん」
無表情の八重。
でもそれは怒りとも、哀しみとも、とれる。
「・・・ひどく冷静だな」
「・・・お父様も、人の子ね」
八重の親父が自分の娘を差し出すのを嫌がるのは、まあ親としちゃあ当然の理屈だ。
「俺にとっちゃ怖いけどな」
「ふふ・・・睦月くんがお父様の癪に障る行動ばっかりしてるからよ」
「俺は悪くないって」
「ほら、そういうとこが」
来月。
来月になればこの他愛ないおしゃべりも永遠にできなくなる。
「そんじゃ来月まではいい子にしてるよ」
「ふうん」
「去り行くなら良い印象で去りたいだろ?」
「別にどっちだって構わないけどね。去り行く事実だけが残るのよ」
「・・・えらく冷酷なこった」
黒澤八重。
幼馴染であり、村を憎む当主候補。
口うるさい。面倒見がいい。わりかし美人。ちょっと変わってる。
それから、それから―?
「私は止めないわ。どうしようもないから」
「・・・俺より紗重を選ぶのか?」
まあ当然だが。
「行かないでとでも言ってあげたほうが嬉しかった?」
「いいや・・・」
別に恋人でもないんだから、甘い悲恋はごめんだな。
「けど最後の瞬間まで見ていてあげるわ」
「・・・ありがとう」
そのほうが一緒に駆け落ちしようなんていわれるよか嬉しい。
361 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/21(水) 15:57:28 ID:GtySvCwt
「後は」
「ん?」
「祭までにやりたいことがあるなら、手伝ってあげるわ」
「したいことね・・・」
俺のしたいこと。
何だろう?もともと体が弱いからあまり外で遊びたいとも思わないし。
・・・あとやるなら。
つくづく男というのは哀しい性だな。
「八重、お前俺のこと好きか?」
「それは意味合いによって変わるわね」
「恋愛として好きか?」
「・・・教えない」
「・・・」
「けど、別に、いいよ?」
不意に微笑んで八重は首を傾げた。
「・・・いい、って?」
「手伝うっていったじゃない。いいよ。お願い聞いたげる」
「・・・お前、結構大胆だよな」
「当主候補なら肝っ玉据わってなきゃできないわよ」
これは愛とは呼べない。恋愛なんてもってのほか。
慰め。そう、これが一番妥当。
「今夜、暮羽神社、階段」
八重の耳元で囁く。
「了解」
八重の瞳が妖しく揺らめいたのを、俺は見逃さなかった。
やっぱり、死ぬのは惜しいもんだな。
皆が寝静まったのを確認して、こそこそと窓から抜け出す。
俺は走り出した。
月が大きく昇っていた。
森のどこかで梟がほうほう、と鳴いた。
「八重」
神社の前で八重は大きな布をたたんで座っていた。神社の鍵を持って。
「こんばんは」
にっと八重は笑った。別の女みたいだった。
「中で、するのか?」
「外だとちょっとね」
そう言って鍵を開けると、中へ入っていった。
かび臭い臭いが漂う神社の中。
「罰当たりだぜ」
「罰当たりはこの村でしょ」
床の埃を払って、布を引く。ちょうど二人分ってとこか?
八重と俺はそこにどっかりと腰掛けた。
「で、どっちがどうするの?睦月くん」
「どうって?」
「私上でも下でも構わないけど」
「俺上がいい」
「じゃ私下ね。着物は脱ぐ?着たまま?」
「始めてから決めたいんだけど」「わかった。そうしよっか」
362 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/21(水) 16:05:55 ID:GtySvCwt
「灯は?」
八重は蝋燭も一応持ってきていたようだ。準備がいい。
「んー・・・別に月の光が差し込んでいるから大丈夫じゃねえ?」
「まあ人間の体だしだいたいわかるよね」
「じゃ始めますか」
八重を押し倒し、じっと見つめる。
口元にうっすらと微笑を浮かべ八重は俺を見ていた。
そっと唇に指で触れる。湿った生暖かい空気が触れた。
「ん・・・」
自分の唇を押し当てる。女の唇ってのは結構柔らかい。
八重の手が首に回され、より深く深く求めることができた。
こいつ・・・手馴れてないか?
舌を入れてみる。返される。しゃぶられる、しゃぶり返す。
ちゅ・・・はぁ・・・ちゅ・・・
唾液が絡まったり、息が漏れたり。お互い初めてとは思えないくらい激しい。
「やえ・・・おまえ・・・もう」
「いや、初めてだよ?当主候補たるもの幅広い分野の勉強が必要だからねー」
「・・・・」
久々の投下だな。続きワクテカしながら待ってる。
>>358 別に若くてもおじさんおばさん呼ばわりは普通だぞ。特に零はちょっと昔
の話だし、今でも田舎なんかでは若くして叔父叔母はいくらでもいる。
ってか螢なんて別になんて呼ばれてたってどうでもいい。
「その若い叔父叔母をおじさんおばさんって呼んでるヤツも結構いる」
っての付け足すの忘れてた。
>>359 刺青見てるとむしろ繭の方が螢には気を使ってたろうに。
365 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/21(水) 23:13:19 ID:/zHUywh3
355の続き
その幅広い分野の勉強というのがどの範囲まで示すのか…。
いいや、聞くと恐ろしい。
やっぱりこういうときは男の俺が先導するもんだし。
「…博識なこった」
「ありがとう」
もう一度口付ける。
今度は顔全体に。瞼に、頬に、鼻に、頤に。
「くすぐったい」
八重がふ、と笑った。
「大人しいね、睦月くんは」
お礼なのか。
耳たぶをかり、と軽く噛まれた。
全身の力が一瞬抜ける。
「う…」
肘をついて持ちなおす。が…今の、本気で下半身に来たぞ。
「あ、弱かった?」
「この…ぶッ!?」
首筋に軽く噛み付く。同時に頭に思いっきり拳が入った。
「見えるとこに跡残したら1発。甘い言葉囁いたら5発。いい?」
「な、なんだよそれ…」
後頭部に残る鈍い痛みに耐えながら言う。
「私達恋人同士じゃないんだし、そんなくだらないことしたくないから」
「はあ?それじゃなんだ、お前は好きでもない男とするのか」
「手伝うっていったじゃない。幼馴染として」
「…わからねえなその理屈」
「この世にはわからない理屈だっていくらでも存在するわよ。村の儀式なんていい例だわ」
こりゃあ、なかなか考えてしないと傷だらけになっちまう。
…あと一つ聞いておこうか。
「八重」
「ん?」
「中に…出すのはいいのか?」
「ん…別にいいよ?」
どうぞご自由に。だって。
わからないな、この女は。
「うん…あ…」
小さめな乳房を手で包んでゆっくりと愛撫してやると甘い声を出す。
つまり、この行為は嫌ではないと。
俺自身も初めて触れる女の体に興味津々だった。
すげー柔らかい…
先端を指で弄る。興奮しきったそれはぴんと固くなって。
「あ…ああん…」
顔を両手で覆って快感に耐えている八重。
「八重…次どうする?」
「…もっとしてほしいかも」
胸を揉むとでかくなる、とどっかで聞いたが。
「あー!お前もしかして、胸でっかくしたいから俺に頼んだのか?」
そーかそーか。
「…」
「俺あんまり胸でっかいのもどうかと思うけど」
そう励ましたら覆っていた右手だけが俺の頬に突き刺さった。
>>364 >むしろ繭の方が螢には気を使ってたろうに。
なんで?蝶になって螢を助けてたから?
367 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/24(土) 21:26:13 ID:xKR/wQ5o
355>
「痛えっつうの!」
「分からず屋!」
「どうすりゃいいんだよ…」
あまりにも痛かったので、八重の胸に顔を埋めてみた。
ふにゅっと輪郭にそって形を変えて気持ちいいと思った。
「ほんとうにどうすればいいのかなぁ…」
八重の声がした。
耳をぴったりと体にくっつけていたので、その声が余計に響く。
ぽん、ぽんと頭を撫でられた。
「どうもしない。俺がもうすぐ死ぬ。それだけだろう?」
「…死んだら抱きしめられないのね」
「他の男に抱いてもらえよ」
「…ばか」
「馬鹿で結構」
顔を上げて、八重の着物をもっとはだける。
八重は特に抵抗することもなく全ての布を脱がすことができた。
「…」
俺も自分の着物を上だけ脱いで見せた。
「全部は脱がないんだ?」
「…なんとなく」
「自信ないの?」
「な…」
見くびられた。腹が立って、睨み付ける。
「大丈夫」
八重は微笑んだ。
何が『大丈夫』なのだろうか。
けど、何だか―
>>367 淡々とすすむところが逆にえろくていいな。
このシリーズはもう続編は出ないのだろうか
いきなりだけどうんいきなりだけど。
深紅「ミーンミーンミーン・・・・・」
深紅「暖冬ですね、あつくてたまらんわぁ」
深紅「こんな時にはね、零イイヨー、寒くなるよぉ」
深紅「ミーンミーンミーン・・・・」
372 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/02(金) 23:07:56 ID:E6Ul43pn
ミーンミーン言ってるのも深紅かよ!www
蝉の怨霊に憑かれたか
この人の頭何考えてるのかサッパリわからんわwwww
シチューふいたw
こーゆーのも好きだ
こげ氏いいよ
慣れてきたらすんげおもろいわwww
377 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/03(土) 22:30:38 ID:9CbEZi4F
355>続き
「・・・って、おい!?」
体を起こした八重は平然とした顔で俺の下半身に手を伸ばした。
「大丈夫だよ、睦月くんが自分でできなくても私がちゃんと持っていくから」
するりと指が触れた。
「あ・・・」
あ、あー・・・ちょっとそこ・・・触られると・・・
八重の指先が俺に触れているのが嫌でも目に入る。
「んー・・・その必要はなかったかな?ちゃんと元気みたいだし」
おもしろがって指でちょんちょんとつつく。
「いっ!?やめろって・・・」
「あははは、すごいなあ男の子って」
畜生、なんでこっちは正直なんだよ?!
「歯は立てないようにするから、しっかりね」
「歯って・・・おい!?」
そう言って―ゆっくちと包まれた。
「あー・・・うう・・・」
人の口ってこんなに暖かかったけ?
俺のものは八重の唾液と舌で玩具にされていた。
「ん・・・ちゅ・・・は・・・硬いなあ…よくこんなになるわね」
舌先が先っぽに当たる。
「ん・・・やべ・・・やめろ・・・」
「やだ」
先端に舌で蓋をしながら横を指で弄る。多方面からの刺激に震えが止まらなかった。
出したい・・・けど顔にかけたら悪い・・・
そうこう葛藤しているうちにどんどん俺のものは膨らみを増していった。
爆発寸前。
「や、えっ、かおはなせ!」
「いいって」
最後のとどめのように、軽く歯を当てられた。
「・・・・っ!!!」
どくん どくん どくん
「んぐ・・・」
思ったより大量に出してしまったらしい。
八重は口で受け止めきれず、顔に俺のを撒き散らしていた。
「・・・えへへ、やっぱりうまくいかないんだね」
>>377 乙!
顔射はえろいな。
コッソリではなく普通に待ってるぜよw
続き待ち
381 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/12(月) 12:55:48 ID:BmOB/GFb
355
「・・・変な味。もっと言えば不味い」
ぺろりと俺のを一舐めして八重が感想を述べた。
「はあ・・・ふ・・・おいしいなんて言われたら俺はお前の神経を疑う」
「でもこれ、初めて見たから」
顔にまだ沢山張り付いているのを指でちょっと落とす。
まじまじと八重は俺のを見つめていた。
「これが睦月くんのなんだ」
上目遣いでにやりと俺を見る。妙に妖しかった。
ぺろぺろと俺に見せ付けるように右手を舌で舐める。
唾液が糸を引いて俺のと混ざり、いやらしい粘着性の伸びを見せていた。
「沢山出すから、落とすの大変じゃない」
「悪かったよ・・・」
「・・・ふふ」
完全に八重の手順で事が進んでやがる。畜生・・・
「きゃっ?!」
八重を押し倒す。そのまま八重の両足をぐっと抱え、下腹に舌を這わせた。
「ああ・・・」
八重が一気に力を抜いた。弱いところだったのだろうか。
「今度は俺がする」
下腹に沿って、次は太腿の内側。つーっと舌を這わせ、指でなぞる。
「ん・・・あ・・・だめえ・・・」
「お前、自分がされるのには弱いのな・・・」
甘い声で鳴かれると、また元気になっちまうが・・・
保守
繭「一つになる儀式をしなぃ?」
「でもね、お姉ちゃん。」
「なあに? 澪。」
「あたし達、こうやって毎晩一緒に寝てるけど、でも絶対に一つにはなれないの。」
「こんなに深く愛し合っていても?」
「どんなに深く愛し合っていても。だってあたし達は、女同士だから。」
「おちんちんがないと、繋がれないのかな?」
「穴と、穴だからね。塞がらないよ。永遠に。」
「あたし、おちんちん欲しいな。」
「あたしもお姉ちゃんのおちんちんが欲しい。」
「澪にしゃぶってもらいたいな。」
「お姉ちゃんのおちんちんがしゃぶりたい。」
「硬くなったおちんちんを、澪の中にゆっくり入れるの。」
「硬くなったお姉ちゃんのおちんちんがあたしの中に入ってくる……。」
「ゆっくり、ゆっくり差し込んでいくの。」
「初めはちょっと痛いかもしれないけど、でもその痛みも含めて愛しいの。」
「あたしのおちんちんが澪の中に沈みこんで、そのまま暫く抱き合っている。」
「少しして、あたしは動いていいよって囁く。」
「あたしはそっと腰を動かし始める。」
「お姉ちゃんのがゆっくりと出たり入ったりし始める。」
「澪の中は暖かくて、あたしはすごく気持ちよくなる。」
「お姉ちゃんのおちんちんは熱くて、あたしはすごく気持ちよくなる。」
「ああ、すごいよ澪、気持ちいい、すごく気持ちいいっ……。」
「あん、あ、お姉ちゃん、もっと、もっと深くっ……。」
「はっ、はあっ。」
「ん、ん、あっ。やああ……。」
「澪、愛してるよ? すごく好きだよ?」
「あたしも大好き、世界で一番、愛してる……。」
「そしてあたしはキスをする。」
「お姉ちゃんの唇が、あたしの唇に重なって、二人はキスをする。」
「あたしは澪の唇の隙間に舌を差し入れる。」
「お姉ちゃんの舌が、口の中に滑り込んでくる。」
「……。」
「……。」
くちゅ。くちゅっ……。ぴちゃ。
「ん、はあっ……。あたしは澪の頭を抱き寄せて、もっと激しく腰を動かし始める。」
「あたしも抱き返す。きつく抱き合いながら、あたしは激しく突き上げられる。」
「あたしの中で、高まってくる。」
「それを感じて、あたしも登りつめていく。」
「ん、ん、ん……。」
「あ、あん、あ……。」
「ああ、いいっ。あん、澪、いっちゃうよ!」
「いっていいよ! 一緒にいこ?」
「いっていい!? いっていい!? あ、あ、あ。」
「いいよ! 来て! あん、ああ、はああ……!」
「んっ……。」
「あ。」
どくん。
「んあ。」
どくっ。どくん、どくっ。
「あう。」
「うく……。」
びく、ぴくん。ぴく。
「ふああ。」
「……。」
「……。」
「二人は暫く抱き合ったまま、荒い呼吸をついている。」
「呼吸が整うのを待ちながら、二人は快楽の余韻に浸る。」
「澪、すごく気持ちよかった。」
「あたしも。お姉ちゃん。」
「大好きだよ。あたしはキスをする。」
「大好きだよ。二人はキスをする。」
「それから、あたしはまだ熱を残しているおちんちんを、ゆっくりと澪の中から引き抜く。」
「深い余韻を残して、お姉ちゃんのおちんちんがあたしの中から抜き出される。」
「ごめんね、中で出しちゃった……。」
「大丈夫、今日は。」
シュッ。シュッ。
「ティッシュ。」
「ありがと。」
「ねえ、お姉ちゃん。」
「ん?」
「あたしの中に入れたの、あれ、何?」
ふふ、と繭は笑いながら、澪に背を向けて、ベッドを出る。
薄暗がりの中で、足元に落ちていた下着を拾い上げ、足を通す。
下着を引き上げながら、囁いた。
「澪。あたしたちは一つになるんだよ。」
台詞だけなのにエロイ。素晴らしいバカップルぶりGJ
乙。地の文をセリフでやってるのはそういう手法なのかな?
388 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 12:56:25 ID:S6ig7u8x
gj
一つになるってのは
子供ができるって解釈していいんだよね?
ずっと待ってるから……
澪に抱かれる日を…
お姉ちゃん・・(*'∀`)ハァハァ
繭「なんだか急に寒くなったね。 雪とか降ってきそう」
澪「…暖めあう?」
繭「ムッハー! いいよいいよお姉ちゃん興奮しちゃう!!」
澪「何言ってるの…暖め合わないと死んじゃうよ」
繭「そ…そうねドキドキ。 じゃあ澪…いっただっきまぁ〜っす!!」
澪「アホ姉が! 今プレイ中のゲーム『絶対絶命都市2』での話だっつの死ね!」
ツマンネ
ふと考えたんですが…
螢くんが屋敷を探索中、鏡華さんに旦那と勘違いされ、抵抗空しく…
ってのは、このスレ的に有りなんでしょうか?
と言うか、誰かがとっくにやってますかね?
エロだろうがギャグだろうが既出だろうがなんでもあり
wktkしながら待ってる
三作全部貸して1年以上返ってこないから全部買いなおした。
やっぱ零シリーズおもろいよ。
>>394 無問題
>>26 似たような事だが、久しぶりにやって
怜の
「イかないで!!
今度は!!……今度は私も一緒にイくから!!!!」
の台詞に無駄な妄想力が掻き立てられた
何か知らんが風呂に入ると
「ね〜いりな〜さ〜っよ〜は〜た〜て」
と口ずさんでしまうんだよ
Nail in a sir your heart at tail.
Nail in a sir your heart at tail.
Me core sun, a wine in oh key too care bar.
She say Iggy you gotten, eat me no gear.
cool man he lighted. yes, colors.
旦那で心臓をテールに打ち付けてください。
旦那で心臓をテールに打ち付けてください。
私、太陽、ワインの中に芯を取ってください、おお、また、注意バーを合わせてください。
彼女はIggyを言います。あなたは、得て、私にギヤを全く食べません。
彼が火をつけた男性を冷やしてください。はい、色。
ハゲワロス!
こういうの大好き
紅のプロモでのナレーションを直訳したものがあった気がするけど
誰か貼ってはくれまいか?
>>399は訳すんじゃなく、声に出して読むんだろ・・・・
まぁ取りあえず口ずさんどこうじゃないか
もっと練ってから書き込めば良かったと反省している399です
絵になるとは夢にも思わなかった サンクスサンクスよー
あー……一時期日本のホラーが米国で映画化されるのが流行ったが
あの感じを思い出した
ってか零って映画化の話無かったっけか?
>>405 ワロタww
可愛くねええええwwwwww
今SS書いているんですけどそれまでここ残ってますよね?w
書き終わるのが5年後とかじゃなければ……
儀式をryとかずっとまryとか言って待ってるよノ
413 :
螢×雨音:2007/04/19(木) 05:28:22 ID:m2IzcNPy
Nail in a sir your heart at tail...Nail in a sir your heart at tail....
奥からか細い歌声が流れてくる。俺は、声のする方へゆっくり近づいていった。
衝立の裏から聞こえているらしい。
cool man he lighted. yes, colors...
そっと回り込んだ、俺の目の前に顕れたのは・・・付け鼻をした少女だった。
おそらく鎮女の一人、雨音だ。
「立派なお鼻だねえ。でも、お兄ちゃんのはもっと大きいです」
「Oh! Rarely?」
泣きそうな貌をしていた、雨音の貌が耀いたので俺は、気をよくして鼻を取り出した。
「ぱお〜ん」
雨音は目を丸くして俺の鼻を見ている。俺は得意になって、もっと鼻を膨らませた。
「BIG!!!!」
「英語の勉強を、してるのかい?」
訊ねると、雨音はこくん、と頷いた。
「よ〜し。お兄ちゃんが、手伝ってあげるぞ〜」
心優しい俺は、雨音の兄になった気持ちで、英語の家庭教師を始めた。
俺の鼻を教材にして、単語を教え込んで行く。
「いいかい、ここがhead優しく撫でてやるんだよ・・・こっちがpole強くしごいても大丈夫だ・・・
一番下の二つがgolden-ball・・・」
柔らかい少女の手が、俺の鼻をくすぐるから、俺は堪らなくなってきて。
「ハアハア。火がついてきたぞ。雨音ちゃんに、coolにしてもらいたいな。いいかい?」
「cool? ワ、ワッカリマセン」
途惑う雨音に、彼女の着物を剥きながら、俺は訊いた。
「Don't you mind if I inserts?」
「NO!NO!ノォーーーーー〜ッ!」
(中略)
雨音のcoreは、太陽のように熱かった。今や俺のbarは中の液体を出し終えて、萎れている。
気持ちよく、紫煙を燻らせる俺に、雨音が恨みがましい目を、投げかけた。
「ひ、酷いよぅ・・・ノーって言ったのにぃ・・・」
「あの場合にNOと言うのは、肯定だからね。テストに出るから、覚えておくといい」
414 :
睦月八重:2007/04/22(日) 00:27:19 ID:Qa4w7r0O
続きおくれてスマソ
355>
この女は昔からよく分からない女だった。
真面目で責任感の強い所謂長女の性格だったが、かといってカッチカチに固められた石頭でもない。
やろうと思えばどんな風にも振舞える。本質が見えにくい。
多分そんなとこに惹かれてたんだと思う、ずっと。
性別が俺たちの間に存在する前から。
どうしてもっと早くこうなれなかったんだろう。
「こんなに濡らしちまうってことはよ・・・お前もいいってことだろ?」
粘着質の半透明な液体を唾液と混ぜて舐め、太腿を甘噛みする。
「ひっ・・・あ・・・あ」
啜り泣くような声。さっきの余裕はどこいった?
八重は太腿の内側が弱いってのが分かった。
今度するときはもっと苛めてやろう。
まだまだ時間はあるんだろう?お前は俺の願い聞いてくれるって約束したよな?
八重は昔から約束は守る子だったもんな。
「・・・行くぜ」
「え・・・」
先に射精させられた恨みも少しあった。
八重より先に限界を迎えるのは俺の描いてたのと反するから。
「さっきのお前がしたことだよ」
「・・・あっ!?」
咄嗟に八重が腰をひっこめようとする。だがそれを逃がすまいと片手で腰を固定する。
何だ、簡単じゃねーか・・・八重を抱くなんて。
「うああっ!」
舌が割れ目にちょっと触れただけで八重は喘いだ。激しく。
それがもっと聞きたくて舌の力を少し強めた。
失禁したような叢の中。初めてにしちゃあ結構・・・淫乱じゃねえか?
「ひっ・・・かはぁ・・・んあ・・・」
微妙な進展だな・・・。
続きに期待したい。
417 :
睦月八重:2007/04/25(水) 21:27:28 ID:PYp0rmtL
「おい・・・こんなに濡らしてたら着物着たときにくっつくんじゃねえか?」
いくら舌で舐めとっても、新しく愛液を垂れ流す。
「どうするんだよ?紗重にばれたりしたら」
「・・・」
「紗重はお前がこんな淫乱だって知らないだろうな」
「・・・じゃあ・・・やめ・・・」
「やめるかよ・・・」
暗くてよく分からないが小さい突起みたいなとこを刺激してみる。
これって男でいうとこのあれみたいなもんなのか?
「いっ・・・あ・・・だめ!・・・ああ」
大成功。ここも弱点か。思わずほくそ笑む。
何度も啄ばむ。そのたびに八重は喘いだ。
「い・・・じわ・・・る・・・・」
はあはあはあと喘ぎながら必死の抵抗をする八重。喉の奥から甘ったるい声で鳴く。
それが俺の劣情を刺激してるのが分からないのだろうか。
あれだけ知識がある癖に。
それとも女というのは初めての時皆こうなのだろうか。
啄ばむのに飽きてきた俺は思いっきりその突起を吸ってみた。
「あ・・・!?だめ、あっ、あ・・・!」
がくがくと体を震わせたかと思うと、どろっとした液が俺の鼻先にかかった。
「・・・なんだこりゃ?まさか・・・これ・・・げほっ!?」
俺の推測が口から出る前に八重の蹴りが俺の顔面に炸裂した。
「・・・言っておくけどそれ違うから」
「いってぇ・・・じゃあこれなんなんだよ」
「何って・・・睦月くんだって似たようなもの出すでしょ」
「・・・女も出すのか。ってことは良かったのか?」
「・・・・意地悪!」
「意地悪してるんじゃない・・・暗くてよく見えねえからさ」
「・・・蝋燭、あるけど」
「火つけたらえらいことになるんじゃないか?」
手探りで重ね合うのも、好きだ。
「・・・・睦月くんにしてはまともなこと言うわね」
「次するときは明るいとこでやろうぜ」
「・・・わかった」
その声は嬉しそうでいてどこか寂しげな声だった。
零の萌えるエロ小説があるサイトってないのか?
零サーチで探せばあるんじゃね?
初期のスレで書いてた職人様方も今はサイト持って書いてんのかなぁ・・・
420 :
古いSS書き:2007/05/04(金) 09:16:12 ID:HdtJeHLk
サイトは持ってないけど創作意欲はまだあったりする。
久し振りに来たんでついでに投下して行きますね十八番の鏡華×螢(受
あの忌まわしい事件から数ヶ月が経った。
もう、夢間にあの巨大な家が現れる事は無くなった。
体に激痛と共に刺青が浮かび上がる事も、見えざる者達に怯える事も。
姪の澪も順調に回復し、俺の知り合いの家に招待出来る程に立ち直っている。
俺は今、『眠りの家』の廃屋の前に来ている。
かつて、「眠り巫女」を封じる為に過剰なまでな増築を重ねられた屋敷は見る影も無い。
あれ程の恐怖を受け、危うく呪い殺されかけたにも関わらず、俺が此処に来てしまったのは。
「どうか、安らかに……」
あそこに渦巻く情念に、手を合わせたかったのかもしれない。
悲哀、憎悪、絶望。あらゆる負の情念。
それに囚われて永劫に苦しみ続ける久世家の人々。
呪いが解かれた今、自分に出来る事はこうして手を合わせる事だろう。
「そう、俺が生き残れた意味が『秋人様ぁぁぁぁぁ!!』」
そんな『聲』が流れてそうなエンドチック雰囲気をぶち壊す声が廃屋の前に響き渡る。
「な、な、なぁ……お、お前なんで」
『なんで、と仰られても私は秋人様のいらっしゃる場所に現れる。これ常識です!』
自分を組み敷いている長い黒髪の美女。
散々自分を追いかけ回し、果てには自宅のマンションで怪奇現象を多発させた怨霊だった。
おかげで、自分のフロアからお隣さんが総員退去されて凄く寂しい思いをしたのは、結構鮮明な記憶であった。
「成仏したんじゃなかったのかよ! つーか、今更出て来ても……おい、何で服を脱がす!?」
『何でと申されても……ふふ、愛し合う男と女がする事はただ一つではありませんか』
「ちょ、だから俺は秋人じゃないってパンツずらすな息子握るな着物脱ぐな! ……お、おお、」
そして、清々しい青空に
「アッ――――――!!」
螢の悲鳴が朗らかに響き渡ったとさ。
〜やおい〜
俺の薊×茜に対する愛は誰にも負けないッ!
零映画化しないねもう。
まぁどうでもいいけどな。
茜と薊でちょっと描いてみようかな
スレは過疎だけどね
>>420 いつも鏡華が痴女だなw
前スレ見たいのだが、保管庫はもう更新されないんだな・・・
427 :
古いSS書き:2007/05/08(火) 22:33:03 ID:w27dYHQO
痴女じゃない鏡華は一体なんだって言うのかと皆さんに問いたい。
死んでまで男を追い掛ける執念は伊達じゃないのだと言いたい。
ともあれ、感想どうも。また湧いてきたら書くね。
ホラーゲームだと思って三作とも買ってきたら開始二分で萌えゲーだとわかった
妹が姉に×する口にするのもおぞましい儀式ハァハァ
>>427 あなた古いのか?
死んでも男を追い掛けるってもキリエさんも痴女かよw
>>428 んで、開始何分でここに来たんだ?
>>428 新鮮な感覚うらやましいな。
そのハァハァを是非SSに昇華させてくれ!
431 :
428:2007/05/12(土) 22:36:57 ID:6sO2P3Iv
窓から晴れた朝の陽光が差し込み、部屋に柔らかな光を満たした。
戸をノックする音に、澪はシーツの中で身をよじった。
「澪…もう朝だよ」
ドア越しに聞こえる姉の声に、澪は返事をしない。
急に悪戯な心持ちになった澪は、とっくに目覚めているくせに狸寝入りを決め込んだ。
繭はどうするだろうか?自然と口元が綻ぶ。
「澪ってば…」
姉は部屋に入って来た。ベッドの傍らまで近づいてくる気配。
「みお…あ、さ、だ、よ」
姉が囁いて、耳元にくすぐったい息が吹きかかる。
続いて、澪は肩に手がかかるのを感じた。そのまま揺さ振るつもりかと思ったが、
予想に反して、繭は、澪の唇に口付けした。
咥内に広がる姉の匂い。冷たい唇の感触。
(微かに線香のような香りがした)
驚いた澪は目を開いた。目の前には誰もいない空間と部屋の天井。
窓の外では雀がさえずっている。
…そうか…そうだった…。
お姉ちゃんは死んだんだった。
私が縊り殺したんだった。
目からぽろりと涙が零れて、頬を伝っていく。
ずっと、一緒だよ。澪の耳元で、誰かが囁いた。
432 :
428:2007/05/12(土) 22:41:51 ID:6sO2P3Iv
今さっきクリアしたので保守代わりに書いてみた。
小説(という程のもんでもないがw)書いたのも初めてだし、
携帯で打ち込んだのでさぞ読み難いだろうと思うが許してくれ…
つーかひどい結末でワロタ
EDがまだあるだろうから頑張るよ
おま!乙!乙!線香のにおいちょっとワロてしもうたぞwww
全部終わったらツベかニコニコ行って追加EDみるが吉。全部終わってからだぞ。
>>432 携帯で書く職人ってすごいと思う・・・・
ホロリときた。
435 :
428:2007/05/13(日) 18:48:55 ID:zYJB0REW
書いてる途中で気付いたけどこのスレレイプはあり?
何でもありでそw
虚状態だし
姉妹と霧絵は使うなよ
>>435 何でも来いやw
ただ、
>>437みたいに嫌がる人もいるから、
書く前に断ってNGワード入れておけば良いと思う。
過去スレにはそういうのもあったしな
俺も
>>437(+深紅)にどうい・・・
それより誰か千歳ものを・・千歳ものを・・
風邪ひいて熱ある頭で書いたから、きわめて朦朧とした出来栄えw
誤字脱字あったらごめん
トリ付けたから、嫌いな人はスルーしてくれ…
ちなみに繭・澪(・薊・茜・千歳)な
しかも相変わらず携帯。一家に一台のノーパソを姉に持ち逃げされたんだ
正直変換がクソでしんどかった
屋敷の中はかび臭く、懐中電灯の光輪の中に埃が舞っているのが見える。
澪はムズムズする鼻を擦って、ギシギシ鳴る床を歩く足を速めた。
空気は淀み、澪が一つ息をする度に、何十年も昔から停滞した人々の念を
空気と一緒に吸い込んだような気がするのだった。
「澪…歩くの早過ぎるよ。ちょっと待って…」
澪は立ち止まって振り返り、繭がぎこちない歩調で追って来るのを待った。
姉の様子が村に入った時からおかしい。
元々情緒不安定気味な所はあった。澪が話しているのに繭は上の空、という事もしばしばあった。
しかし今回はそれらとは違う。
操られたようにふらふらと何処かへ消えたかと思うと、意味不明な事を口走る。
澪は姉の考えると、いてもたってもいられなかった。
当の姉は上目使いで澪を見ている。蝋燭のせいか熱があるかのように顔が赤く見える。
「どうしたの?」澪の気遣わし気な視線に気付き、繭が尋ねた。「うん…、足の具合、どう?」
「いつもとおんなじだよ」「そう…」それならよかった、と続けようとするのを、
「ねえ、そのカメラ貸してみて?」繭は思いがけない言葉で遮った。
その指は澪の持つ射影機を示している。「これ?」繭は頷いた。
唯一の武器を手放す事に澪は一瞬抗い難い抵抗を感じたが、結局は手渡した。
「はい…大事にしてね」繭は受け取った射影機を嬉しそうに眺めている。
澪はそんな繭を尻目に襖障子を引き開け、途端にひっ、と息を飲んだ。
襖の向こうには恨めしげな目付きの亡霊、千歳が立っていた。
「お姉ちゃん!」振り向くと、繭の姿は無い。「お姉ちゃん!?」
繭は射影機と共に消えていた。「お姉ちゃん!」絶望的な無力感が澪を襲う。
両手を突き出し迫る千歳から逃れようと駆け出す…が、すぐに彼女の進路を二つの影が遮った。
桐生姉妹、人形を従えた茜がそこに立っていた。「ひっ…」
後退りした澪の腰に後ろから手が回った。千歳がぞっとするような昏い顔をして、澪に抱き着いている。
「あ…」触れられた箇所から力が抜けていき、澪はぺたりと尻餅を付いた。
そのまま少女達にぐい、と座敷に引っ張り込まれる。
(どうして…)(お兄ちゃんを…)取り囲む死者の顔、顔、顔…。一斉に口を開く。
澪は恐ろしさに耐えられなくなって顔を覆って泣き始めた。
「私、何も知らない、そんな事言われてもわからない…。お姉ちゃん、助けて…」
一切の声が止んだ。
「助けて欲しい?」
顔を上げると、座敷の入口に繭が立っていた。霊は皆姿を消している。
繭は呆然とする澪に射影機を構えておどけてみせた。
「はい、チーズ」パシャリ。「澪、泣き顔も可愛いよ」
「お、姉ちゃ、ん…」
「澪、助けて欲しいんでしょ?怖い目に合いたくないでしょ?どうなの?助けてあげよっか?」
「な、なんで…?」それ以上言葉を紡ぐ事が出来ない。
繭が膝を折って澪の顔を覗きこんだ。「ねえ、私の事好き?」
「好きだよね?今まで守ってくれたものね…頭を抱えてるだけの私の盾になって…」
「お姉ちゃん、正気に戻って…幽霊なんかの言いなりになっちゃ駄目…」
一瞬、繭が動揺を見せた。しかし、結局紗重が繭を迷いを説き伏せた。
「澪…私の事嫌い?」「好きだよ!…好きだけど、こんな事言うお姉ちゃんは、嫌い…」
「あっそ」繭があっさりと立ち上がって、部屋を出る。「好きにしたら」
部屋の片隅に下がっていた亡者が、入れ代わるように這い出した。
「ご、ごめんなさい!戻って来て!お姉ちゃん!行かないで!」
振り返った繭は、双子の片割れとは対照的な、満面の笑みを浮かべていた。
姉が妹の顎を両の手でくいと引き寄せた。目に大粒の涙を浮かべたまま、されるがままになっている澪。
唇と唇が重なり、澪は不快感に「んん」と呻き声を漏らした。そのままゆっくりと片を掴まれ押し倒される。
繭の手は後頭部に回され、澪の咥内に舌が侵入するのがわかった。
(嫌だっ)
澪は乗っかった柔らかな体を押し退けようと抵抗するが、何故か手が畳に張り付いて動かない。
見ると、それぞれの手を死んだ少女達が押さえ付けている。
舌は生き物のように澪の歯の裏を舐めるように縦横に動き、澪のそれと絡まる。
実の姉妹との行為のおぞましさにぎゅっと握り締めた拳を、霊がゆっくりと開かせた。
驚いた事に、彼女らは指を口に運びしゃぶりつく。「ぁわ…」
全身を強張らせた澪を解すように、繭は体全体を使ってうねるように愛撫していく。
唇を離した後は、首筋をツーッと舌先が這い、耳に行き着いてゆっくりねぶる。
澪は切なげな吐息を思わず漏らした。
痛くない程度に乳房を撫でていた白い手は、段々と下がり股間に行き着く。
「……えちゃん……もう、駄目…それ以上は…許して…」
繭は聞こうともせず服に手を掛けた。澪も、まるで人形のようにされるがまま裸に剥かれていく。
いくつもの白い裸体が連なり、塊の中心の澪を犯した。
いつの間にか増えた幽霊達が、無表情に絡み合ったいむこの群れを見つめている。
その中には、手を取り合った須堂と槙村の姿もあった。
澪はもはや、考える力を失いつつあり、視界は曇ったままだ。
あらゆる方向から手、舌が澪の心と体の純潔を穢した。
性器はそれ自体生きているように蠢いて誰かの指を銜え、快楽を貪り
身体が悦びに跳ねて発汗 する度に無垢が死んでいった。
(これが、夢だったらどんなにいいだろう…
昔読んだ童話のように、姉の話を聞きながら寝入った白昼のいやらしい夢…
目が覚めて、河原で背中合わせになった姉が私を笑って、
それでそれで…こんな村はダムに沈んでしまって…)
「澪…」(八重…)
誰かが澪の唇を塞いだ。
澪の思考はそこで弾け、柔らかな体を抱きしめて思いきりそれに応えた。
永い夜はまだ始まったばかりだった。
おしまい。
最初は上の方の怜と美紅ネタを目指してギャグタッチの軽いノリだったんだけど
結局同じ筋書きでギャグ消しました。冗長すぎるんで
読んで嫌な気分になった人、つまんなかった人、ごめんなさい
なんせ中学の読者感想文以来の長文なもんで…
くどくどとした言い訳だけど重ね重ねごめん
>>444 かなりGJ!
茜たちまで出してくれて嬉しい
447 :
儀式(1):2007/05/16(水) 00:39:45 ID:W6esbVJV
双子の儀式を始めよう……
2つの杯が並び連なる伝説の神器、"対の杯"。
注いだ神酒を共に飲み干せば、ふたりの絆は永劫固く結ばれる。
時間も場所も遠く離れたこの場所で、
斯様な物によもやまみえることが出来ようとは。
「樹月……」
「睦月……」
さあ、儀式を始めよう……
「ねえお姉ちゃん、樹月さんと睦月さん知らない? 」
「あれ、さっきまで台所にいたよ」
「いないんだよね、どこ行ったんだろ」
「澪、千歳ちゃんはどうしたの?」
「ん、何かテレビゲームにハマっちゃったみたい。話し掛けたら怒られた」
「ふふ、物珍しいんでしょうね。あの村と此処じゃ何もかもが違い過ぎるもの。
あの二人も気疲れでもして休んでるんじゃない?」
「そっか、じゃあ二階かな。ちょっと様子みてくる」
448 :
儀式(2):2007/05/16(水) 00:43:07 ID:W6esbVJV
トントン
「寝てる……のかな? 樹月さん睦月さん入るよー」
カチャ
「って、うわっ酒くさっ! 」
「んあ……ああ八重」 「八重か」
「澪です。って二人で何やってんですか、こんな昼間っからお酒飲んで」
「儀式だよ」 「そう、儀式」
「儀式って……ちょ、ちょ、ちょっと、な、何持ってんですか! 樹月さん! 」
「ん? これか」 「神器だ」
「じ、神器って! そ、それ、ブラジャー!! お姉ちゃんのブラジャー!!」
「ブラジャー……?」 「これは神聖な"対の杯"だよ」
「ああっ! ちょ、ちょっと何お酒注いでるんですか!」
「儀式をしなければいけないんだ」 「そうそう」
「ブラジャーでお酒を飲む儀式なんて絶対ないです!」
「立ち昇るこの芳醇な香り」 「安酒とは思えないね」
「ちょっと、私のブラまで! 」
「ああ、それは器が小さくてね」 「使えなかったよ」
「失礼な!!!」
さあ、儀式を続けよう……
ふたりの絆を強く強く……
この儀式によって、血の繋がりを超えて魂が結びつく……
そんな僕らを人々はいつしかこう呼んだ……
ブラザー
<おしまい>
失礼いたしました。
>>449 やりすぎww
だかあえて言おうGJであると。
お姉ちゃんの神器すげーwwwwww
対の杯ww
ワラタ! GJっ
度々ごめん
刺青ネタで書こうと思ったんだけど、各キャラの年齢がいまいち把握出来ない…
誰かエロイ人教えてくれ
23と18じゃなかったか?・・・
怜23、深紅19、螢26
ところで真冬っていくつだっけ?ゲーム版と小説版と年齢が違うと聞いたけど
大分下がってるね・・・w
保守age
頑張って書くか・・・・
次いつになるか分からないのですが、
書きかけになってるものを保守を兼ねて近々投下しても良いですかね?
保守
守るよ
まだ守るよ
「初めまして・・・・・・天倉澪です・・・・」
目の前に立つ少女が挨拶をする。
久方ぶりに太陽が顔を出し、青空を拝める気持ちのよい午後に
黒澤邸は二人の来客を迎えていた。
こうして来客を迎えた経緯は一週間ほど前に遡る。
夜の遅い時間に家に鳴り響くコール音。
深紅は入浴中であったので、
テレビを見ながら湯上りのビールを楽しんでいた怜が重い腰を上げ受話器を取る。
相手は自分に挨拶をした少女の叔父、今少女の隣に立っている天倉螢からのものであった。
家族を一人残らず失くしてしまった姪御をしばらくの間預かって欲しい。
と、
優雨と無二の友人であった螢とは何かと縁もあったし、
優雨の生前は良くこの家にも足を運んでいた。
そして仕事をする上で情報を提供して貰ったりとお世話になったのもあり、
怜はその申し出を引き受けても良いと考えた。
しかし怜は電話口ですぐに返事をしたわけでは無い。
幾つかの条件を問題なくクリアできたために引き受けたのだが・・・・
一つ目は優雨が使っていた部屋が空き部屋になっており部屋に余裕があったこと。
流石に年頃の女の子に部屋無しで暮らせとは言えない。
最も男なら確実に断っていただろうが・・・・
そして金銭面は全面的に螢が援助してくれるとのことだった。
今回の話は螢が出張のため海外に長期滞在を余儀なくされ出た話なのである。
それまでは澪と一緒に暮らしていた螢だが、
流石に海外に一緒に連れて行く事はできないと判断したのであろう。
澪の家事の腕なら一人でも大丈夫だろうと考えもしたが、
今の状態の澪を一人にすることを螢は危惧したのである。
最後の条件は決定打とも言えるもので、
同居人の深紅が快く引き受けてくれたこと。
彼女の性格からいって怜が頼めば間違いなく首を横には振らないだろう。
しかし怜もそれを分かっていたので、最初にこの話を深紅に振った時は、
自分はあまり気が乗らないと添えて話をした。
だが深紅は家事は今まで通り出来るし、自分が面倒見るので是非に、
と怜に逆にお願いしてきたのである。
それを受けて怜は安心して引き受けることにした。
もちろん、深紅にカマをかけたことも白状して・・・・
そんな経緯があり、今日から澪は怜の家でお世話になることになる。
「こんにちは、初めまして澪ちゃん。私は怜、黒澤怜よ、よろしくね。」
怜が努めてか、普段より明るい口調で挨拶を返す。
「は、はい。よろしくお願いします。」
いきなりフレンドリーに挨拶をされて少し不意を突かれたのか澪は慌てて返事を返す。
「それで、こっちが深紅。私の同居人、で仕事のパートナー・・・・・兼メイドかな。」
お茶らけて深紅を紹介する怜。
「怜さん・・・・・・何時から私はメイドになったんですか?」
怜に紹介され自分も挨拶をしようと思っていた矢先、完全に出鼻を挫かれてしまった深紅。
「あら?メイドは嫌かしら?」
「結構です!」
深紅はきっぱり断り視線を澪に戻す。
「ごめんなさいね、いきなりこんなの。私は雛咲深紅です。怜さんの紹介した通りです。
メイドではないですけど・・・・・・・・
でも、家事なんかの類は全部私がやってるからそれも本当の事かもしれないですけど・・・・」
クスクスと深紅は笑ってみせる。
「はぁ・・・・・・相変わらず深紅君にすべて任せてるのか?」
それまで口を挟まなかった螢が呆れるようにため息を吐きながら口を開いた。
「深紅がやりたいって言うし、料理だって掃除だって私がやるより深紅がやった方が
断然上手く出来るのよ。やるだけ時間の無駄ですから。」
澪に挨拶をした第一声の時より明らかに尖った口調の怜。
「まあ、そう言うなら何も言わないが・・・・・・・
俺が言ったところで無駄だろうしな・・・・・・
そんなわけで澪、ここでの生活はすべて“深紅君”を頼ると良い。」
螢は敢えて強調して深紅の名を言う。
「あんた・・・・・・さっさと出張に行きなさいよ!」
怜のキツい口調が飛ぶ。
「おっと、こんな時間か、飛行機に乗り遅れるな。
それじゃ、澪。しばらくの間この二人に面倒見て貰うんだぞ。
帰る前には連絡するからな。」
「うん、叔父さんも気をつけて行ってきてね。」
「ああ・・・・・・・・・
それじゃ怜、済まないがよろしく頼むよ。」
「はいはい、分かったから、ほら、さっさと行った、行った。」
手で面倒くさそうに払う仕草をする怜。
螢はそれを見て苦笑いをする。
「それじゃ、深紅君も済まないがよろしく頼む。」
「はい、気をつけて行ってきてください、螢さん。」
「それじゃ!」
荷物を引っ張り、螢は玄関のドアを振り返る事無く出て行った。
三人は同じ玄関のドアを見つめる。
「じゃあ、澪ちゃん改めてよろしく。
こんなとこに立っててもしょうがないから、上がってよ。」
沈黙を切り出す怜。
「はい、よろしくお願いします。お邪魔します。」
澪は玄関の隅の方に靴を脱ぎ、遠慮がちに足を進めた。
「あ、それじゃ私何か飲み物用意しますね。
怜さんはコーヒーで・・・・澪ちゃんは紅茶が良い?
それともコーヒー?」
「あ、じゃあ紅茶をお願いします。」
「コーヒーは苦手?」
「はい・・・・・」
簡単に読まれてしまい澪は少し顔を赤くする。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
深紅がキッチンでお湯を沸かし、怜と澪はリビングのソファーに腰を下ろす。
「荷物は後で部屋に行った時にね。」
「はい・・・・・」
澪は顔を上げ怜の顔を見る。
怜の背後の方でキッチンにてお湯を注いでいる深紅と見比べる。
それを見て思わず笑ってしまった澪。
「あれ?何が可笑しいの?」
「あ、いえ・・・・・ほんとに深紅さんが家事全般やってるのかなって思って・・・・・」
「馬鹿にしたわね?・・・・・さてはあの嘘吐き叔父に色々あること無いこと吹き込まれたわね?」
「あ、いえ・・・・・す、すいません!」
怜の言う事は当たっていた。
澪は二人に実際に会うのは初めてであったが、話は螢から何度か聞かされていた。
「まあ、半分当たってるから何も言い返せないんだけど・・・・・
それは良いとして、ここに居る間にすべて話して貰うからね。
何を吹き込まれたのかを。」
台詞とは不釣合いに笑顔の怜。
「えっ・・・・・っと・・・・・・その・・・・・」
「はいはい、怜さん、会って早々苛めるのはそれくらいにしてください。」
深紅はティーセットとコーヒーの入ったカップを運びながら、怜に釘を刺す。
「人聞き悪いこと言うわね。大体深紅が完璧にこなし過ぎるから私が何も出来ないんじゃないの。」
「怜さん、それ言い訳になってませんから。」
そのやり取りを見てまたクスクス笑ってしまう澪。
「また笑ったわね。」
「あっ・・・・・いえ・・・・・・」
「ふふ、そんなに緊張しなくて良いから、
今みたいに笑ってた方がとっても可愛いわよ、澪ちゃんは。」
顔が火を噴いたように赤くなる澪。
「いえ・・・ありがとうございます。」
「これくらいで赤くなるとは・・・・ほんとに可愛いわね。
深紅とは大違い。」
「何か言いましたか?怜さん。」
「いや、深紅の入れてくれたコーヒーはやっぱり美味しいなって言ったのよ・・・・・」
わざとらしく音を立ててコーヒーを啜る怜。
少しも狼狽する事無く即座に切り替えす所業は流石といったところだろうか。
「そうですか、それはありがとうございます。
でも、澪ちゃん確かに可愛いですね。」
深紅にも言われまた顔を赤くする澪。
「いえ・・・・・二人の方が凄く綺麗で・・・・・・ほんとに、びっくりしました。」
「ありがと。」
「そんなことないですよ。」
澪の反撃にそれぞれ対応を返すが怜は更に何かを閃いた様で追い討ちをかける。
「どっちが澪ちゃんの好み?」
目を輝かせる怜。
「また・・・・・・もう、怜さん!」
「良いじゃないの?これくらい。」
一瞬二人を見比べた澪であったが、
「あの・・・・二人とも綺麗なので、分からないです。
決められません・・・・・」
俯いてしまう澪。
「ああ、澪ちゃん男に生まれてたら優柔不断のプレイボーイになってたわ、こりゃ・・・」
「えっ?・・・えっ?・・・・・」
「はぁ〜・・・・何の話ですか?一体。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ティータイムは怜のからかい半分と深紅の典型的な初対面時になされる一般的な会話で過ぎていった。
「澪ちゃん、あなたの部屋なんだけど、実は以前まで住んでた人が亡くなってるの・・・・・
今は全部片付けて何も無いのだけど、その部屋じゃ嫌かな?」
「もし、嫌なら私が替わりますよ。」
亡くなったという言葉に少し驚いた澪であったが、経緯は螢から聞いていた。
「いえ、特にそういうの気になりませんし、部屋をわざわざ替えてもらうわけにいかないです。
私は叔父さんが帰ってくるまでしか居ませんので大丈夫です。」
「あら、澪ちゃんはもううちの子よ。螢なんかに渡さないわよ。」
真顔で言う怜。
「えっ!?・・・・・いや・・・・・それは・・・・・」
「もうそれは良いですから怜さん。
気になるようだったら遠慮せずに言って下さいね。」
「はい、ありがとうございます。」
「あ〜!もう!、その言葉遣いやめ!丁寧語一切禁止!
仮にも同居人なんだからさ。ねっ」
「あ、はい、分かりました。」
怜に言いつけられ少し口調を明るくして遠慮がちな雰囲気を取り去る澪。
「そうそう、どうせ大して歳も変わらないんだし。」
「怜さん、それはどうなんですか?澪ちゃんは15歳、怜さんは」
「シャラップ!深紅!
深紅と澪ちゃんは私にとってそんなに変わらないし、
私と深紅は澪ちゃんにとってあまり変わらないはずよ、
そしたら澪ちゃんと私も変わらないでしょ!」
(何なんですか?その論法・・・・)
二人が同じ事を心の中で突っ込む。
「それじゃ、深紅、部屋に案内してあげて、
澪ちゃん、夕飯まで荷物の整理して休んでて良いからね。」
「分かりました。」
澪は怜に軽く頭を下げ立ち上がると深紅の案内に着いて階段を上っていく。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ここです。」
深紅が案内してくれた二階の一室は綺麗に片付いていた。
「ありがとうございます。」
深紅に頭を下げる。
「それじゃ、夕飯までゆっくりしててね。」
深紅はドアを閉めると階段を下りていく。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(誰も使っていないのに埃もないな・・・・・・・きっと深紅さんが掃除してくれたんだろうな。)
新築のように綺麗な部屋に少し感心してしまう澪。
怜は亡くなった人の部屋と言っていた。
螢から聞いた事がある。
螢の友人でもあった怜の婚約者が事故で亡くなったのだと・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
分からない・・・・・
大切な人を亡くしているのに、あの人からはそんな影は感じられなかった。
時間が心の傷を塞いだのだろうか・・・・・
それとも乗り越えたのだろうか・・・・・
私は・・・・・
私の心は・・・・・
あれから月日が経った今、螢の懸命の世話があってか、直後の錯乱状態からは脱したものの、
心に・・・・脳裏に残された爪痕は少しも薄れる事は無かった。
自分の居場所はもうどこにも無いのだ・・・・
澪はあの時からずっとそれを感じさせられていた。
螢と一緒に暮らして少しはそれを紛らわすことが出来たもののそれを忘れ去ることは
到底無理であった。
(どうせ居場所が無いならどこに居ても同じか・・・・・・)
持ってきた荷物を整理する事無くベッドに腰をかけると、ぼんやりと窓の外を見つめる。
「二人とも良い人だったな・・・・・・・」
(私の事情もきっと大体は知っているんだろうな・・・・)
それを思うと澪は自分の振る舞いで余計な心配をかけてしまうのではと考える。
いきなり押し付けられた上に家の中の雰囲気を暗くされたら堪らないだろう・・・・・
二人の機嫌を損ねたら螢にも不利益が及ぶ事は明らかである。
「そうだよね・・・・・・お姉ちゃん・・・・・」
立ち上がると、澪はせっせと活動を始める。
生活に必要な物の半分以上は後から届くので一時間足らずで片付けは終わってしまう。
一旦クローゼットに仕舞い込んだエプロンを取り出すと、澪は部屋を出る。
一階のキッチンでは深紅が料理をしている最中であった。
「あれ?澪ちゃん、どうしたの?」
手を止めキッチンカウンターから笑顔で澪を見る深紅。
「はい、荷物が少なかったからすぐに片付け終わったので、
何か手伝おうと思って・・・・・」
エプロン片手に澪が答える。
「部屋でゆっくりしてて良いんですよ。来たばかりで疲れてるでしょうし。」
「いえ、何かしないと何だか落ち着かないですし・・・・・
それに少しは深紅さんの負担を軽くできればと思って。」
「ふふ・・・・ありがとう。確かに知らない家で時間潰せといきなり言われても困りますよね。
それじゃ、少し手伝って貰って良いですか?
あ、澪ちゃん料理は出来る?」
「はい、叔父さんと住むようになってから毎日やってますので基本的な事でしたら大丈夫だと思います。」
エプロンを身に着けながら答える澪。
「それは頼もしいなぁ。じゃ、お願いしますね。」
メニューを深紅に確認すると澪は慣れた手付きでサポートを開始する。
手を休めることなく、澪は気になっていた事を深紅に尋ねる。
「あの・・・・・深紅さん。
どうして私にまで敬語みたいな話し方するんですか?」
その問いに野菜を切る手を止める深紅。
「う〜ん・・・・・ごめんなさいね。私の癖というか、こういう喋り方になってしまうの。
別に変に距離置こうとかしてるわけじゃないので心配しないでくださいね。
気を付けるから。」
入り混じった喋り方に少し違和感を覚える澪。
「そうなんですか・・・・・・・・分かりました。」
「それはそうと、ごめんなさいね。
怜さんに随分絡まれたみたいで・・・・
ふふ・・・・気をつけた方が良いよ澪ちゃん。
あの人面白いネタあるとすぐに食いついてくるから。」
先ほどの怜とのやり取りを思い浮かべる澪。
確かに人を弄るのが好きそうな感じがする。
「怜さんって家事は全然しないんですか?それともほんとに出来ないんですか?」
「ふふ・・・・まさか。
一通りは出来ますよ。私が好きでやってるからやらないだけで。
最初の頃は私が手伝う感じだったんだけど、何時の間にやら立場が逆転、
で今は私一人になったの。」
「そうだったんですか・・・・」
ふぅっと息を吐く澪。
「あれ?何かほっとしました?」
「あっ、あんなに綺麗な人なのに家事が全く出来ないのだったら何か勿体無い気がして。」
「そうですね・・・・・ふふ。
でも家事全般はやってないとほんとに出来なくなる事もあるそうだから、
今は無理かも。」
深紅のその言葉に顔を見合わせると二人は笑い出す。
「何が可笑しいのかしら?」
ふいに視界の外から届く怜の声。
階段を降りてきた怜がキッチンカウンターの前に姿を現す。
「あっ、いえ・・・・得意料理は何かって話してたんですよ。」
「はぁ・・・・・何でそれで笑うとこがあるのよ。
深紅は相変わらず嘘が下手ねぇ。
どうせ私の事噂してたんじゃないの?」
的確な推測に無言になる二人。
「う〜ん、澪ちゃんも嘘を吐くのが・・・・・
というよりは素直すぎるのかな。
それより来て早々料理なんてしてもらって悪いわね。」
「毎日やっていたので、全然問題ないです。
料理するのは好きなんで・・・・」
「あら、言ってくれるわね澪ちゃん。私への当て付けかしら?」
また始まる怜の意地悪攻撃。
「そ、そんな事ないですよ!ほんとに・・・・・・・・」
「あ〜澪ちゃんその反応は駄目、助長させるだけだから。」
「シャラップ!深紅。でも澪ちゃんまで家事するのなら
いよいよ私はやる事が無いわね・・・・・困ったわ・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
無言の二人。
「もう良いですから、そろそろ出来ますのでテレビでも見てるかルリと遊んできてください。」
「え〜、そんな事よりあなた達見てる方がよっぽど面白いんだけど。」
「良いですから、ルリと遊んでください。飼い猫の世話も家の仕事ですから手伝ってください!」
強い口調で言われ可愛く舌打ちしてみせるとすごすご背を向ける怜であった。
遅くなってすまんです・・・・
エロ有りの書くつもりなんですが、
難しくて早くも挫折気味です・・・orz
んで↓はちょっと頭に浮かんだ姉妹ネタ・・・
多少痛い話なんで嫌な方スルーお願い。
タイトル付けますんでNG指定してください
472 :
絆:2007/06/09(土) 04:24:38 ID:mt2ESPHo
今度はどこへ向かったというのだ・・・・・
この村に迷い込んで一体何度目だ・・・・・
気付くと傍らに居たはずの姉が私の側から姿を消しているのだ。
それまで決して離れないよう、離されないよう振舞っていたにもかかわらず、
何故故にして忽然と姿を消すのであろう。
自分の意思ではないのかも分からない。
澪は村を走り回って姉の姿を探索する。
片手に持った射映機が汗で滑り落ちそうになる。
必ず私が探しに来るとでも思っての行動なのか・・・・・・
確かにそうだ。
私は必ず探しに行く。
現に今もそうしている。
だが・・・・・
だからこそ頭にくる。
心配させる事にでは無い。
私の行動を予測して・・・・
私の気持ちを察してそうしているならばと考えると・・・・
いつの時でも私に着いて回った姉がこの村に入ってから初めて私から離れようとしている。
おかしい・・・・
ありえないことだ。
姉は常に私の傍らに控えているはずだ。
私を束縛し自分だけの物にと考える独占欲に満ち溢れた眼差しで私を見ていたはずだ。
・・・・幼き頃からこれまで私を映していたその眼差しで・・・・
幼少の頃より常に寄り添っていた私達は、
中学生を迎え取り巻く世界が格段に広がった今でも
その関係は変わることは無かった。
私は姉に追われる妹。
姉は常に妹を追い求める存在。
それは姉が足を痛めた事により決定的なものとなっていた。
あの怪我は私のせい・・・・・
私が犯した罪・・・・
私が姉に対して未来永劫背負い続けなければならない贖罪。
姉はあの事故を喜んだことだろう。
473 :
絆:2007/06/09(土) 04:25:23 ID:mt2ESPHo
そう・・・・・
私は姉から離れることが出来なくなったのだ。
私はいつでも姉の側に居て姉の面倒を見続けなければならなくなったのだ。
だから私はあれからいつも一緒に居た。
四六時中着いてくる姉を容認した。
そして、姉が私に対して姉妹の絆を超えた願望を抱いている事も
私は知っていた。
でなければ普通の人間は後遺症が残るほどの怪我を喜んだりはしない。
何をするにも一緒に居たいなどとは思わない。
いつの日からか私は姉のその感情を知ってしまった。
だから常に側には居たものの、私の心は姉ほど直線的には姉に向かわないように構えた。
交友関係も姉よりは広いものを構築してきた。
姉はそれを知る度に悲しげな表情を浮かべ私を見つめていた。
独占欲に塗れた眼差しで・・・・・・
私が同級生と仲良く会話をしている時でも・・・・
部活の友人を誘い昼食を一緒に食べている時でも、
常に一つ引いた距離から姉は私から目を離す事は無かった・・・・
あまりにも執着の色をうかがわせたその瞳は幾人かの生徒を気味悪がらせるには十分であった。
故に私に同情の言葉をくれる輩も居た。
私は妹離れすることのない姉の面倒を見なければならない哀れな妹・・・・・
そんな風に映っていたのかもしれない。
だから誰も気付かないのだ。
いや、姉さえももしかしたら知らないのかもしれない。
姉のその眼差しが、
独占欲に満ち溢れた瞳の色が、
私への束縛の欲望を垣間見せる言動が、
私の気を引こうと必死の行動が、
どれほど私の脳髄を喜びに打ち震わせているかを、
どれほど私の細胞の一粒一粒を沸き立たせているかを。
私しか知らないのだ・・・・・
474 :
絆:2007/06/09(土) 04:26:05 ID:mt2ESPHo
日に日に膨張肥大を加速的に続ける私の中の姉への想い。
それに気付いた初めはその変化が心地良く、止めようとは思わなかった。
姉が常に私を追い求めるのが嬉しくて、
姉が私に、より重い絆を求めるのが嬉しくて、
姉が二人の世界をより堅固な物にしようとしているのが嬉しくて。
だから、私は気付かないでしまったのだ。
いつしか膨張を続ける想いが自分では制御する事のできない速度で加速し始めていたことを・・・・
決して後戻りの出来ない領域にまで踏み込んでしまっていたことを・・・・・
私はそれでも姉に対する応対を変える事は無かった。
表面上は何も変わりはしなかった。
だが・・・・・・後戻りすることはできないと気付いてから私の精神は確実に蝕まれ、腐り始めていた。
苦しさ故に向けられた想いに応えようかと幾度葛藤を繰り返したことか・・・・
姉のそれとは比にならない想いの丈を何時ぶちまけようと考えたことか・・・・
だが、それをしてしまえば終わってしまう。
今度は私が追わなくてはならなくなる。
鬼に捕まってしまえば今度は私が鬼になる番なのだ。
そうなれば姉を今までの姉以上に執着に彩られた眼差しで見つめなくてはならなくなる。
絶対に逃げられぬよう縛り付けなくてはならなくなる。
そうしなければ私が消えてしまうから・・・・・
私がそれを求めた刹那から私の運命は定まる。
姉の思うよりも遥かに重い枷を姉にかけても
私の心は壊れてしまうに違いない。
どんなに厚い殻に二人だけで閉じこもっても
今度は失う恐怖が始まる。
深く落ちれば落ちるほど這い上がられる不安と戦わなければいけなくなる。
絶対などは存在しないのだ。
足の悪い姉のことだから私から離れはしないだろうが、
想いが少しでも薄れるのは耐えられない。
それはあってはいけないことなのだ。
だから私は姉のその想いよりも遥かに強力なものだと認識している想い
を外に漏らす事はなかった。
ただ、ただ、私を壊さないために。
だから、私は肥大し続けるそれを感じながらも、
姉から与えられる私への想いを最大限に受ける事で我慢をし続けていた。
私を求めてすすり泣く姉の姿が私を癒してくれた。
優しい言葉をかけた時の姉の心底救われたような笑顔が
私を救ってくれた。
他の生徒を圧倒するほどの嫉妬に満ち溢れたその行動が
私を心の底から落ち着かせた。
そして、私は日に日にそれらをより強く求めるようになっていった。
475 :
絆:2007/06/09(土) 04:26:56 ID:mt2ESPHo
だから、私は姉の誘いに応じた。
昔二人で良く遊んだこの場所に二人きりで行こうと言われたその誘いに。
姉が私を更に強く縛ろうと画策しているのでは無いかと期待して・・・・
姉が外界と隔絶した世界を築こうとしている事を期待して・・・・
そして迷い込んだこの村で、姉は私を更に強く求めた。
姉には私しか居なかった。
どれほど嬉しかった事だろう。
自分には私がすべてだということを私に感じさせる事が
どれほど私を喜ばせた事だろう・・・・・
だからおかしいのだ。
今の状況が、
私が姉を追っているこの状況が、
なぜ私が追わなくてはいけないのだ・・・・
追うのは当然なのだ。
だが、何故私が追わなくてはいけなくなっているのだろう。
姉が恋しいのではないのかもしれない・・・・
姉が私を恋しいと思う想いが恋しいのだ。
だから姉は私の側にいつでも居なくてはならないのだ。
私の視界から姉が映らなくなる度に私の想いは飛ぶように重く肥大する。
何かの限界が近い・・・・・・
何をもって限界となるのかが自分でも分からない。
しかし、何かが差し迫っているような圧迫感は感じていた。
私は狂ったように姉を探し回った。
堅い鎖で束縛されるために・・・・・
私が呵責という鎖で痛いほどにがんじがらめにされていることを
実感させて欲しいがために・・・・
私はそれから逃れようともせず、より捕らわれようと意識する事もせず
振舞っていれば良いはずだった。
今までしてきたように・・・・・
だからおかしいのだ。
私を強く欲しているその眼差しが私に向けられていないことが・・・・・
私の罪の意識を最大限に引き出し、束縛をより強固にしようと画策する姉が
傍らに居ない事が・・・・
おかしい事だ。
どうすればよいのか・・・・
更なる痛みが必要だというのか?
この関係を続けるためにはまだ犠牲が必要だというのか?
全速力で走り続ける澪の頭にそんな物騒な考えが浮かんでは消える。
そして、壊れる時は訪れる・・・・
476 :
絆:2007/06/09(土) 04:27:40 ID:mt2ESPHo
すべての意識が今居ぬ姉に向けられていた故に私は気付かなかったのだ。
私の前に血に染まった白い着物を纏った霊が居たことを。
唯一武器を構える余裕も無く、霊の存在が私に覆いかぶさる。
ありえない者との接触に意識が白い彼方へ消え入りそうになる。
そしてそれは私の心に入ってくる。
「やめて!それに触るな!!」
私は必死になって叫んだ!
針で触れられただけでも爆発してしまうであろうそれに触れようとしている霊に対して・・・
だが・・・・・
グシャリ!
私の言葉に聞く耳を貸さなかった霊はそれに迷う事無く触れてしまった。
かろうじて覆う役目を果たしていた薄い殻ははっきりと聞こえた嫌な音と共に破壊されてしまった。
「うあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
絶叫が辺りに轟いた。
視界が極端に狭くなる。
私はのろのろと夢遊病者のように歩いた。
なんで?????
どうして?????
どうして側に居ないの????
どうして私を見てないの????
分からない・・・・・・
わけが分からない・・・・・・
意識が暗く混濁してゆく・・・・・
目の前に何かが映った。
「みお!・・・・・みお!」
みお?
その影は私の名を呼んでいた。
「もう置いていかないで!一人にしないで!」
その人影は私の胸に飛び込むと震える手で私を抱きしめた。
477 :
絆:2007/06/09(土) 04:29:46 ID:mt2ESPHo
置いていく??
私が??
お姉ちゃんを??
何を言ってるのだ???
・・・・・・・・・・・・・・
置いていく????
理解が出来ない・・・・・・
殻を破り行き場を失い燻っていた物は突如吹き荒れ始める。
「澪・・・い、痛い!」
私は姉を抱き締めた、
骨が砕けるのではないかという程の抱擁をした。
「もう、置いていかない・・・・・」
「み・・・みお?」
笑みを浮かべていた姉は呪いのような私の声を聞きすぐに戸惑いの表情に変わる。
「置いていかないよ・・・・・絶対に・・・・」
私は戸惑いを続ける姉の唇に唇を押し付けた。
私の口から吐き出された激しすぎる吐息が姉の口の中から跳ね返ってくる。
「うぅ・・・・・」
舌を口の中に差し入れられ声すら上げることのできない姉。
私は姉の味に夢中になった。
隅から隅まで味わいたくなった。
私には姉に未来永劫薄れることのない私という刻印を刻み付けなければならないのだ。
誰でもない私のために・・・・・・・
未だ戸惑いの表情で唇を重ねる姉。
何も言わない姉に苛立ちを覚え、
私は強引に躊躇することなくその場に姉を押し倒す。
「っつ!・・・」
姉が声にならない小さな悲鳴を上げる。
唇を塞いだまま、姉の身に着けている物をたくし上げると、
蝋石に見紛う程の素肌が露になる。
汗ばんだ手でそれを撫で回し、感触を貪り獣のように舌を這いずりまわす。
「くっ・・・・」
喘ぎ声とも苦痛ともとれる音が姉の口から漏らされる。
478 :
絆:2007/06/09(土) 04:30:43 ID:mt2ESPHo
男女の営みであれば、この後、胸や耳を、手で、口を使って愛撫するのかもしれない。
だが、これは愛を確かめ合うなどという行為では無いのだから・・・・
刻印を穿つ儀式なのだから・・・・
私は、姉の履いている下着をずり下ろし、すぐさま指を秘所に宛がうと一気に突き入れた。
「あああああああああああああ!!!!!!」
恐ろしい程の悲鳴が聞こえてくる。
僅かな湿り気を帯びていただけのそこは突然の異物の侵入に肉とは思えないほどに硬く
強張る。
すぐに澪の指が朱に染まり、地面に純血が滴り落ちる。
痛い?
お姉ちゃん??
堪らなく痛いでしょ??
嬉しいんでしょ??
私から与えられる痛みが???
私が新たな罪を背負うことが???
もっと深くなる。
もっと強くなる。
もっと濃くなるんだよ。
・・・・・・・・・・・・・・・
「大丈夫?お姉ちゃん?」
優しく声をかける・・・・・いつものように・・・・・
そう、今までしてきたのと全く同じように姉を気遣う。
止め処なく涙を溢れさせている姉の瞳は硬く閉じられ、
その顔は小刻みに震えている。
「・・・・・み・・・・お・・・・・」
今にも息絶えそうな姉の声。
そう、これでまた戻れるのだ。
姉が傷を追ったあの直後に・・・・・
またやり直せるのだ。
姉はこれで私を新しい鎖で縛り付けなければならなくなるのだ。
私を縛り付ける新たな鎖を私は姉に与えたのだ・・・・
そう思うと澪は嬉しくて仕方がなかった。
苦痛に歪む姉の顔をみると愛しくて堪らなくなった。
479 :
絆:2007/06/09(土) 04:31:29 ID:mt2ESPHo
・・・・・・・・・・
でも・・・・・・・・・
それでは今までと一緒。
結局変わらないのだ。
私は死人のように力を失い地面に横たわっている姉の手を取る。
自分の身に着けている物を脱ぎ捨てると、姉の手を己の秘所に誘導し、
勢いに任せ、内部に姉の指を突き刺した。
「うああああああああああああああ!!!!!!!!」
激痛などと表現するのも生易しい程のあまりにも鋭すぎる痛みに
急速に気が遠のいていく。
私の絶叫に驚いた姉が体を一瞬跳ねさせる。
その振動が自分の中に侵入した指を伝い更に傷を押し広げる・・・
すぐに自分のそこが熱くなり、何かが滴り落ちるのが分かる。
自分を突き刺した姉の指に付着していた姉の血が
私の中で混ざり合う。
痛みが・・・・・私を支配する。
姉から与えられた痛みが私を支配する。
この痛みの鋭さは姉が私に対して背負わなければいけない罪の重さ。
姉はこの先ずっと私に償い続けなければいけないのだ。
私が姉に償いをし続けなければならないのと同じように。
未来永劫何時でもこの痛みを忘れる事無く罪を償わなければいけないのだ・・・・・・
片側にしか向かっていなかった絆は両方から固く結ばれた。
隔絶された世界を築いていた私達を閉じ込める外殻は更に厚く硬さを増し、
世界には私達以外の存在を決して許さないのだ。
時の経過も許されない世界・・・・・
泥濘の淀みに身を窶し、紅き鎖で縛られ身動きの取れなくなった澪と繭。
『ふふ・・・・・ふふふ』
意識まで生暖かいそれに委ね揺られていた澪は彼方から先ほどの霊の笑い声を聞いた気がした・・・・・・・
-------------------------END-------------------------------
二作続けて連投になってしまたんですが、
言い訳すると、あまりここに来る機会が最近取れないんですw
続きor小ネタ出来たらまたです。
いつになるか分かりませんがw
お疲れさま〜
なかなか、イイ感じだと思うよ。個人的にエロなしでも有りでもいける、保守した甲斐があったよ。
482 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 00:25:55 ID:4t4BSgFx
>>480 あ な た は 神 か
どっちもいいけど特に絆ウマー
「実は澪の方が執着してる」って話は裏の裏をかいてくる感じで大好きだ。
鬼畜澪さまハァハァ
また、守るよ
485 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/15(金) 07:08:32 ID:Gv4PKvce
保守age
486 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/16(土) 11:32:27 ID:XpMZd5Oe
ほしゅ
487 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 21:14:57 ID:zlZ8s3oQ
神よ…澪繭SSを切実に求…
488 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/19(火) 20:49:52 ID:sCb4iv6B
怜澪か深紅澪も見てみたい…
怜と優雨、深紅と真冬、澪と繭・・・やっぱ想い人同士が見たい。
澪繭はよくあるけど公式なのにあとの二組はあんま見ないのが寂しい。
真冬兄さんは違う女に走ったので……
それは置いといて三人仲良く荒縄プレイをしているところを見てみたい
>>492 パシャ!ボワーン
「萌え死んだ男」
非常にGJ!
もちろん俺も百合姉妹が一番好きだw
SSも見たいなぁ
494 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 23:07:16 ID:lpoyGw9l
495 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/21(木) 02:33:47 ID:7WqNl666
>>492 茜薊姉妹か。ゲーム中では戦い辛いことこの上ない怨霊だが
こうなるととんでもなくかわいいな
零無印の坊主に比べたら可愛いのもだ
ヤツはウザ過ぎる
お経好きだけど確かにウザいな
498 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/22(金) 07:59:31 ID:i20rmlrP
澪繭とプリティフェイスの由奈里奈が被る人ーノシ
そんなことより桐生家姉妹テラモエス
超久しぶりに覗いたら桐生姉妹キテターGJ!
茜薊スキーもしかして多い!?
SSも読みたいね
ハードディスクおかしくなって起動できなくなったんで、
フォーマットしちゃいますた・・・
書いてたのも消えました・・・orz
それは、きつい…
まぁ、まだやる気があるなら是非とも頑張ってほしい。
茜薊SSは脳内で激しく妄想してるんだが、文章にするとなるとなぁ…
確かに頭で構成はできるが文章にすることはなかなかできないよね。
深紅に怨霊たちが集団でとかさ。
ただ書けばいいってもんでもないしな……
ちゃんとした文章書ける人尊敬する
>>502 励ましありがとうです。
途中になっちゃってるんで何とか頑張りますよw
今度は小まめにメモリースティックにでも保存を…
んで
>>504の妄想を是非文章にw
>>506それはありがたい。SS書けるなんて尊敬さ…
シチュはどうであれ頑張って。
夜中に妙なテンションで書きなぐって、寝て起きて読み返したらとても貼れる物じゃなかったりとか……
守り神
生きているヤシはいないのか・・・
今は耐え忍ぶ時だ……
1人寂しく短文ラリーでもするか
茜「薊ちゃん…。私、薊ちゃんを殺したくない。ずっと一緒にいたいよぉ……」
薊「茜お姉ちゃん……」
ぎゅっ
さいごの「ぎゅっ」って効果音が首を絞める音に聞こえてしまった俺は
もう真っ黒なんだろうなぁ……
儀式さえ無ければ、茜薊姉妹はハートフルでゆりんゆりんなょぅι゛ょ姉妹でいられたんだがなぁ…
>>514 人形師の「儀式さえ無ければ」
の後にはその文が隠れてるんだな…
大好きな妹そっくりの人形で、毎晩虚ろな体と心を慰める茜たん…
そのおかげで命をもって、毎晩茜たんと寂しさを紛らわせる躯たん…
そしてその光景に嫉妬して、躯たんを殺すようにお父さんに頼み込む薊たん…
ハァハァ
女の子はあっという間に大人びる。
先日、編集との打ち合わせの際そんなことが話題に上ったが、テラスで
洗濯物を干す姪の後姿を眺めていると、俺は「確かに」と胸中で納得する。
ついこの間まではほんの小さな子供だったのに、何気ない横顔や、会話の
中で見せるはっきりとした意思に、はっとさせられることがままある。
まだまだ「可愛い」という表現が当てはまる時期を抜け出すことはないだ
ろうが、あっという間に「綺麗」が当てはまるほどに成長するんだろう。
「なに、ぼーっとしてるの?」
考えに耽っていた俺は、その声に意識を現実へと戻した。
いつの間にか澪がソファーに座る俺の隣に来て、顔を覗き込んでいる。
「いや……若いことは素晴らしいことだと、な」
「な〜に言ってんだか。叔父さんだってまだまだ若いのに……心はすっか
りおじいちゃんになってしまったんだね……」
「うっうっ」と泣き真似をしてみせる澪。
心はおじいちゃん、か……確かに、学生時代も周りの友達とは発想も悩み
も違っていたことを思い出す。ゲームや流行の知識をやり取りする仲間の
中で、俺の持つ知識といえばどこのスーパーの肉が安いとか、調味料の入
れる順番等だった。幼い頃から病弱の姉に代わり、澪と繭の面倒を見てい
た俺には、必要不可欠な知識だった。大学に入ってからは、爺臭いという
よりは主婦染みた俺の性格を、優雨と真冬によくからかわれたものだ。
「だがな」
「きゃっ」
俺は隣で泣いてはチラッと横目で見る、をやり続けている澪の腰に腕を回
して、ひょいと自分の膝の上に乗せた。
「ほら、こんな姿が似合うお前もまだまだお子様だよ」
「むっ」
俺がぽんぽんと頭を撫でてやると、澪は口をへの字にして目を三角にした。
しかしそれも束の間、すぐに照れ笑いに似た表情を浮かべて、俺の首に手
を回してきた。
「えへへ……でも、なんかこういうの久しぶりだね」
「そう、だな……小さい頃は、よく二人とも膝に乗ってきてたな」
「お姉ちゃんと取り合いっこしてたっけ」
「飯作ってるときも、洗濯してるときも乗りたがってな……大変だったよ」
「えぇ……? それは、憶えてなーい」
話しながら、軽く揺すってやると澪は機嫌よさそうに揺られた。
無邪気なその笑みだけは、昔のままみたいだ。
「あまり、急に大人になるなよ」
「え?」
俺は我知らず、そんなことを口走っていた。この歳になってみて、初めて
十代の成長の目覚しさを思い知る。その変化の早さに、らしくもなく俺は
不安になっていたのかもしれない。
「やだよ」
だが、そんな俺の不安を澪は一蹴した。
目を丸くする俺に、澪は得意げな顔を向ける。
それから目を細めて、少し傾けたその表情に俺ははっとさせられた。
「だって、早く叔父さんと肩並べて歩きたいもん……」
幼さを潜めて、切なげな表情を向ける澪に、俺は思わず魅入ってしまう。
「私、決めたんだ。私がいつまでも子供っぽいから叔父さんは、叔父さん
気分が抜けないんだよ。大人になって……そう、玲さんみたいなイイ女に
なれば、叔父さんもその気になってくれるんじゃないかな〜ってね」
そう言って、悪戯っぽくウィンクして見せる澪。
ペースを奪われていた俺は、なんと言っていいかわからず。
「やだ、叔父さん紅くなってる〜? 可愛いなぁ」
「……」
普段やられっぱなしだからだろう、澪は自分も恥ずかしいのを我慢して、
ここぞとばかりに意地悪を言ってきた。
しかし、少しばかり調子に乗り過ぎのようだ。ここは保護者としても、大
人代表としても、しっかり教育してやらねばならないだろう。
俺は、顔から表情を消す。澪は、何かを感じ取ったように笑うのをやめた。
が、もう遅い。澪の身体を抱えて、その身をソファーの上へと横たえ、覆
い被さる。澪は小さく悲鳴を漏らして、気付けばすぐ上に迫った俺の顔を、
真っ黒で大きな瞳で見つめた。気弱なその目は、まるで食べられる寸前の
子ウサギのようで、俺の隠した嗜虐心を刺激する。
俺は、互いの吐息が感じられるほどの距離に顔を近づけて囁いた。
「大人をからかうと、どうなるかわかってるのか?」
「どう、なっちゃうの……?」
澪の呼吸が僅かに乱れ始める。
俺は、口端を吊り上げてシニカルな笑みを浮かべた。
「こうなるんだよ」
そう言って、澪の無防備な脇腹を思い切りくすぐり始めてやる。
「ひやぁっ!? あはっ、ちょっ……あははははっ!! やっ!!」
「ほ〜ら〜、愚かなお子様よ、大人の力を思い知れ」
「きゃははっ、やっ、ごめ、ごめんなさ……あはははっ!!」
必死で身を捩る澪を、体重をかけて押さえ付けて、俺はいつもより長めに
責めてやった。容易く動きを封じられて、笑い死にするしかない澪。
「も、も、もっ……あははっ、やぁ〜〜……!」
散々に責めてやり、そろそろ澪が呼吸困難に陥る際になって俺はその身を
開放してやった。
そして、身体を退ける際にその唇にキスを一つ落とす。
「ふぁ……」
呼吸を整えるのに必死らしい澪は、間抜けな声を出した後、数拍を置いて
から律儀に顔を赤らめた。
そもそも仕事の合間の休憩だった俺は、そろそろ書斎へと踵を返す。
だが、一つ大事なことを思い出して振り向いた。
「ああ、一つだけ言っておくがな……アレを目指すのはやめとけ」
「え……アレって?」
「玲だよ。目指すなら、そう……深紅君みたいなしとやかで礼儀正しく、
家事のできる女性を目指せ」
「今の聞いたら、玲さんなんて言うかな……」
「言うなっ。いいか、少なくとも玲みたいな女になったらお前は俺の敵だ
ぞ。わかったな?」
「は〜い……」
本当に、あんな手合いがもう一人増えたら俺の身がもたない。
しっかりと釘を刺しつつ、書斎へ向かった俺だが、内心、さっきのやり取
りを思い返すと、澪はやはり深紅君路線よりは玲路線寄りかと思い至り、
俺は深く息を吐いた。
>>519 久しぶりですね!
激しく長編の予感がしますが頑張ってください。
×玲→○怜
気づいてたらあれですが気になったもんで
秋人の場合
鏡華「すごく…大きいです」
螢の場合
鏡華「すごく……微妙です…」
何かスマン。
>>520 ;y=ー( ゜д゜)・∵.
⊂⌒⌒ヽ⊃
`ヽ ヽ ドサッ
⊂( _, ,_)⊃
⊂⌒⌒ヽ⊃
`ヽ ヽ ……。
⊂( _, ,_)⊃
∩ _, ,_
⊂⌒( ゚∀゚) ムクッ
`ヽ_つ ⊂ノ
全国八千万人の零ファンと怜さんに謝罪致します。
ということで、謝罪怜メインSSです(優雨×怜ベース+深紅)↓
ふと、眠りの淵から意識が浮上した。
夢の中で写真の現像作業に四苦八苦していた私は、はっとして作
業の手を止めた。朝の気配が傍らに生まれ始めているのを感じる。
なんだ、よかった……これ、夢なの?
じゃあ、頑張らなくてもよかったんだ……。
私は手にしていた薬品の瓶を捨てて、暗室から外へと出た。
その時になって、なんとなく自分の髪に触れる何かを感じ取る。
そっと、ゆっくりと、誰かが頭を撫でている。
夢の中の情景が掠れて、代わりにほの明るい部屋の光景が視界を
埋めていく。
「ん……」
重い瞼を持ち上げて、姿勢はそのまま瞳だけを動かして傍らを見
上げてみる。そこにあったのは、いつでも私が欲しくて止まない
大好きな人の笑顔。寝起きでまったく回らない頭は、今の状況把
握なんて出来るわけがなく、でも彼がそこに居るという事実だけ
分かれば十分で、他には何も必要なかった。
私は気だるさが染み渡る身体を酷使して、腕を彼に伸ばし、脚を
彼の身体に絡めた。
「……今、何時ィ……?」
「さあ……昼前だとは思うけど」
普段とは違う曖昧な彼のその答えに、私の寝ぼけた頭は「?」マ
ークを浮かべた。
気付けば、私……はいつもだけれど、シーツの中で触れ合わせて
いる彼の身体もまた、何も纏ってはいなかった。珍しいことである。
いつもなら着替えを済ませて、コーヒー片手に私を起こしに来るのに。
私は、彼の素肌の胸に頬擦りしながら、
「優雨……? 今、起きたのー……?」
「さあ……結構前からかな」
「……え……何してたの……?」
「怜の顔見てた」
その答えに、私は眠い頭の中でも羞恥を覚える。
「もう、やだ……淑女の寝顔は見るものではなくてよ」
「そうだね。でも、僕は見てもいいだろ?」
「やだ……絶対変な顔して寝てるから……」
「可愛かったよ」
「〜〜っ」
彼の台詞を聞いて、私は込み上げてきた気恥ずかしさに身悶えした。
それを隠すように、彼の首筋に頭を擦り付ける。
頭上で、ふっと彼が笑う気配。反射的に悔しさが込み上げて、け
れど同時に切ないほどの愛しさも生まれて私の胸中を満たす。
まだ何も纏わない無防備な朝は、私をひたすら弱く、素直にする
ようで、溢れ出す感情を押さえ切れない。押さえなくても、すべ
て彼は受け止めてくれると、私は知っている。
私は彼の首筋に口づけ、それからぺろっと一舐めする。
彼は、相変わらず私の頭を優しく撫でたまま。
首筋に軽く歯を立ててみた。微かに漏れる彼の吐息。
聞こえた途端に、私はそれがもっと欲しくなる。
彼の横から身体を起こして、その上に覆い被さって、唇で彼の身
体を辿る。首筋から滑らせた唇は、胸板を通るときに舌が顔を出
して、唾液が軌跡を描く。
「昨日、あんなにしたのに……まだ足りないのかい?」
「ん、足りない……」
ほとんど反射的に答え、彼の苦笑を誘った。
……昨日? 彼の肌にキスを落としながら、寝ぼけた頭で回想す
る。確か……ここのところ二人ともずっと忙しくて、一緒に居る
時間もまともに取れていなくて、けれど昨日やっとそれが一段落
して、夜からだったけれど久しぶりのデートをして、夕食を食べ
て、ドライブして、ベイエリアのあのお気に入りのお店で飲んで
……ん? その辺からよく思い出せない。お店で飲んで……ああ、
私が飲んでしまったものだから、彼の運転でここまで帰ってきた、
のかしら。家に着いて……着いて……。
ふと、私はベッドサイドに置かれたグラスに気付いた。
どうやら、家で飲み直したらしい。居間で飲んで、それから……。
――いつ、この彼のベッドまで来たのかは本当に思い出せなかった。
「昨日、あんなに……って?」
「昨日あんなに、だよ」
言葉遊びのように、彼が繰り返す。
私は彼の腹筋に唇を滑らせてから、上目遣いに彼を見た。
優雨は私の髪を撫でながら、優しく小首を傾げた。
「憶えてない?」
「憶えて……うん」
「言っていいの?」
「え?」
彼は少し逡巡するかのように、口元に手を当てて。
意味の分からない私は、黙って彼の次の言葉を待った。
「割と大変だったんだよ。下からここまで抱っこして運ぶのは」
「へ……?」
思わぬ台詞に、私は目を丸くした。
「落としたら危ないからって言ったんだけど……まあ、なんとか
なったからいいけどさ」
「え、抱っこって?」
「だから、風邪ひくからベッドでちゃんと寝ようって言ったんだ
けど、『抱っこして連れてってくれなきゃやだ』って聞いてくれ
なくてね」
……そんなこと、言ったんだっけ。
「でも、それはまだマシで……最初は、『シたまま連れてって』
って。さすがに僕も、そこまでの力は……」
「わあああっ!!」
私は、シーツを被ってその場にうずくまった。
そこまで言われて、なんとなく断片的に昨日のことが脳裏を掠め
る。朝の寝ぼけてる間もそうだけれど、そんなのとは比較になら
ないくらい、お酒の入った私は素直であるらしい。
「怜?」
「いいっ、もう何も言わなくていいから!」
私は相変わらず彼の上で、シーツを被ったままうずくまっていた。
酔っていた間のことを素面で聞かされるのは、私にとっては酷い
拷問になるらしい。でも、昨日はやっとゆっくり二人きりの時間
が過ごせたものだから、嬉しくて、つい量もペースもはめを外し
てしまったのだ。
私の嘆願を聞き入れて、彼はシーツの上から私の頭を撫でて、そ
れ以上は何も言わなかった。静かな部屋、耳元には私の早くなっ
た鼓動だけが聞こえている。
なんとか時間を掛けて気を落ち着けていると、違う音が耳に忍び
込んできた。
雨音だ。
「雨……?」
「みたいだね」
そっとシーツの下から、顔を出してみる。
優雨は、レースカーテンだけが下がった窓のほうをぼんやりと眺めていた。
仄明るい部屋の中、彼の顔を見ながら私は耳を澄ます。
雨は激しいものではなく、雨音は静かに、そっと耳に染み入るように。
「優しい雨……」
私の呟きに、彼が振り向く。
「名は体を現すって言うけれど……優雨はそのままね」
「僕が?」
私は、彼の素肌に指先を這わせて、
「優しい、雨みたいな人……全部許して、包み込んでくれるような」
指先を滑らせて、そのまま肩へ。
私は彼に身を任せるようにして、抱きついた。
「雨の日、好きよ。あなたに会ってから、好きになったの」
「……どうしたの? 今日はやけに素直なんだね」
「優雨、好き……抱き締めて」
「うん」
意外と男らしい優雨の腕が、私の身体をそっと、そしてしっかり
と抱き締めてくれる。
素直……言われてみれば、自分でもそう思う。どうしてなのだろ
う。昨日のお酒がまだ残っているのか。雨音が耳に心地いいから
なのか。身体と同じ、今は心も裸みたい。
ふと、思う。
よく恋愛を主題にした歌の歌詞などに使われる一節だけれど、今
はとてもそれを切に願いたかった。
「今が、ずっと続けばいいのに……」
自然と漏れ出るように、言葉が唇から滑り出す。
それを聞いて優雨は、そっと私の髪に口づけた。
「続くよ」
「ずっと……?」
「ずっと」
「ずっと傍に居てくれる?」
「居るよ。もっとも……」
「なに?」
「怜が癇癪起こして、僕を追い出したりしなければね?」
「も、もうっ!」
口調は優しいままなのに、時々そんな意地悪言うんだから。
私が顔を上げて睨んでみても、優雨は穏やかに微笑むだけ。
でも、いつもこの微笑みを見ると気が抜けてしまうのも事実。
イライラしているときに見れば気を殺がれて、不安なときには
ほっとして。
惚れた弱み、なんていう言葉が過ぎる。
この人にかなうことなんか、ないんだろうなと。
でも、やっぱりそれは悔しいから……悔しいから、その顔を両手
で挟み込んで、口づけた。
そっと受け止めるだけの優雨の唇を啄ばんで、舐めて開かせると、
舌を差し入れて、深く絡ませる。息の続く限り、深く。
長めのキスの後、彼は深くベッドへ沈み込み、吐息を一つ。
私は彼の上に覆い被さって、額同士を触れ合わせた。
「ねぇ……しよ?」
「多分、もうお昼過ぎてると思うけどなぁ……」
「いいじゃない。久しぶりの休みだもん……しよ? するから」
私は返事を待たずに、唇を彼の耳元へ寄せた。
けれど、不意に彼の腕が私の身体に回って、流れるような動きで、
気付けば上下逆転。横たわる私を、静かな瞳で見下ろして。
「いいよ。でも、そろそろ僕の番……」
静かな中にも、微かな熱が彼の瞳に宿る。
求めてくれてるのが、分かる。
私は、全身が火照り始めるのを感じながら、腕を彼の首に巻きつ
け、そして身を委ねた。
「……怜?」
肌にいくつもの口づけを受けて、大きな手に何度も撫でられて、
すっかり火照った私の身体は、彼の猛りを難なく受け入れて。
熱に翻弄される私に、彼はそっと呼びかけた。
瞼を持ち上げると、優雨の心配そうな顔が覗き込んでいる。
その顔はぼやけていて、私は指先で目元を拭った。
「怜……大丈夫? 痛いの?」
「違う……違うの」
私は首を振って、まなじりを拭う彼の指先を手に取った。
そして、その指先に口づける。
「愛しいって、泣きたくなるのね……」
大きな手に頬をあてて、私は目を閉じた。
優雨は、逆の手で私の髪を撫でてくれた。
「愛してるよ、怜」
少し掠れた彼の声音が、すぅっと私の胸に落ちて。
私は、また泣きたくなる。
すごく愛しいのに切なくて、すごく切ないけれど愛しい。
私は、強く彼を抱き締めた。
あなたは、雨。
なら、晴れの日なんて要らない。
ずっと、あなたの腕に抱かれていたい。身体が濡れそぼっても、
寒くなんてないから。だって、こんなに温かいもの。
「――ですから、そんなこと急に言われても困ります!」
久しぶりの休日は、その一本の電話で台無しにされた。
私はネグリジェ姿のまま、電話口に向かって怒鳴る。
寝起きに、というところが更に気分を最悪にしてくれている。
「だから、あの時はそういう方向で話は決まったじゃ……それは、
だから念入りに確かめたのにっ……」
無責任な企画の変更を告げる相手に、そしてはっきりしないその
口調に、私は苛立ちを募らせる。部屋の戸口では、様子を見に来
た深紅が、心配そうな面持ちで立っていた。
「わかりました。やっておきますから、枠はちゃんと押さえてい
て下さい。じゃ!」
私は通話を切り、携帯をベッドの上へ投げ捨てた。
「……あ、あの……怜さん、何か?」
「ああ、ごめん……はぁ」
深紅が気遣わしげな表情で、部屋へ入る。
私は、乱暴に髪をかきむしった。
「昨日上げた仕事、クライアントが急に企画を変更したみたいで、
写真使えなくなったって。しかも、明日までに代わりの撮って来
いとか、もう……っ」
説明する内に、また私は苛立ってきた。
しかし、困った顔をした深紅を見てはっとした。
深紅にあたっても仕方ないのに。
「……ごめん。とりあえず、コーヒー飲みたい」
「はい、淹れてきますね。あと、お風呂も用意できてますから。
少し浸かってからでも……それから、考えましょう?」
深紅の優しい気遣いに、私は頷き、部屋を出て行くその背に小さ
くお礼を言った。
明日までってことは、コピーも入れるわけだし、つまり今日中に
なんとかしろって……そんなの無理に決まってるでしょうに。
私はぶつぶつ文句を言いつつ、気だるい身体を引きずって深紅の
後を追った。
廊下に出たときに、ふと奥の扉のほうを振り返る。
優雨の部屋――。
私は、一階へ降りる前にふらふらとそちらへと向かった。
扉を開けて、部屋に入る。
時計を見れば、昼を回る頃だった。
溜息を一つ吐いて、カーテンの開け放たれた窓辺へ歩み寄る。
「雨……」
静かな雨が、窓から見える住宅街を優しく濡らしていた。
郷愁にかられる。
雨の日は、憂鬱だった。
けれど、優雨に会ってからは好きになった。
優雨がいなくなってからは、辛かった。
でも、今は……
怜――
願えば今でも記憶の中から呼びかけてくる、優しく低い声音。
私は振り返って、ベッドを見つめた。
優雨だったら、こんなときなんて言うのかな。
きっと、苛立っている私を見てもいつもの穏やかなあの顔で見守
って「怜なら大丈夫だよ」って。私の焦燥なんて知らぬげに、の
んびりと言ってくれるんだろうな。
イメージしてみると、それは自然なほど簡単に頭に浮かんだ。
一瞬、本当に彼が傍に居て、そう言ってくれる気さえした。
気付けば、私の頭はすっきりしていた。
理不尽に対するわだかまりは、もうない。
「よしっ!」
私は気合を入れて、部屋を出た。
思いのほか、軽やかに階段を下りてきた私に深紅はきょとんとし
ている。
「撮り溜めていた中から使えそうなのが無いか、見てみましょう。
最悪、見つからなくてもコピー入れ延ばして貰って、明日までに
は上がるわよね。手伝ってくれる?」
私がお願いすると、深紅は何度か目をぱちくりさせた後、
「あ、はい! 勿論です!」
「ありがとう深紅〜っ! 愛してるぜ!」
「きゃっ……怜さんっ、コーヒーこぼれますからっ」
ぱっと顔を輝かせて引き受けてくれる深紅が可愛くて、つい力い
っぱい抱きついてしまう私。慌てる彼女からカップを受け取り、
一口味わって。
「さ〜て、その前にひとっ風呂浴びてくるかぁ」
「じゃあ、その間に昼食作ってますね」
「そんなのいいわよ。それより一緒に入ろうぜハニ〜♪」
「な、何言ってるんですか! 駄目ですっ。お仕事間に合いません」
「それもそうね。って、冗談よ〜」
顔を赤らめて言う深紅に、ウィンク一つ残して、私はひらひらと
手を振り、浴室へと向かった。
廊下への扉を開いたところで振り返り、
「ありがとうね、深紅。せっかくの休みだけど、頼むわ」
「構いません。頑張って間に合わせましょう。怜さんなら大丈夫です」
両手に拳を作って言う彼女のその台詞に、私ははっとする。
彼女の後ろには庭が見える窓が。そして、そこには優しい雨が。
「……ありがとう」
私は深紅に、そして窓外へともう一度お礼を言って扉を閉めた。
そう、私ならもう大丈夫。
一人じゃないから……ね?
お疲れ様です。
今回もなかなか面白い、見ててニヤニヤした。
乙!
消えたと思ったのに
螢澪なんて腐女子の妄想単語みるだけで吐き気がするわ
せっかくの家族愛ぶちこわすなよ
>>532 中学二年生がこんなところに来ちゃいけないよ
帰りなさい
つーか螢澪が腐女子の妄想?
螢優雨辺りまで突き抜けてるならともかく
>腐女子の妄想?
腐女子は妄想を妄想と分からないんだよな。十分突き抜けとるわ。
どっちも全然そういう気がないのに
勝手に恋とか何とかにされるのは傍からみりゃBLとなんら変わりない。
やりたいなら別ゲーでやれよ
腐女子とかどうでもいいから
百合SSを書いてくれ
>>534 いいから君はもう帰りなさいと。
だったら澪繭のエロはいいのかと。
それも言ってみれば妄想の一つで、公式にはそんな描写一つもないわけだが。
君の言う「どっちも全然そういう気がないのに」って言葉が当てはまるわけだが。
他のカップリングすべてにあてはまることだよ。
エロなしの原作に忠実な作品だけしか読みたくないと?
だったら来る場所間違えてるから、とにかく君は帰りなさい。
>>536みたいなのは開き直ってそうやって全部いっしょくたに
するのが嫌なんだよ
「アレがダメならコレもダメだろ〜」
全然違うだろ。直接的な描写があるかないかじゃない。
蝶の百合やホモ・・と言えないかもしれないけど肉親を超える愛情は
作品の根幹に関わってくる程重要で、そもそも狙われてる事だけど、
青の二人はそういう事一切ないだろ。
青の澪なんておま、うわ言以外何も喋らないんだぞ??どんだけ妄想だよ。
過去ログ読もうぜ
そういう論争はもういいから
それより零SSならどれでも読みたい
今年は新作も出るって話聞かないしな・・・
>>538の言う通り
カプ論は絶対に荒れるから、基本しない方が良い。
スルーで良い。
職人もいちいち気にせず書いて良い。
>>537 正論。
つか捏造カプなんて興味無いから大分スルーしてたけど一年以上延々投下してたら流石に突っ込みたくもなる。
>>539 過去ログもくそも俺は「繭&澪&千歳でハァハァ」の1スレ1レス
から見てるわ。
>>539 そもそもカプ論って考えが腐女子なんだよ。なんだよ論って。
論じる程同じキャラに”カップリング”とやらが複数存在する
ゲームなんてギャルゲかエロゲくらいだ。尻軽女じゃあるまいに。
百合だろうが、ありえなさそうなカプは許せないわけ?
俺は深紅×澪とか怜×澪とかは全然アリなんだが…
>>542俺も別に構わないと思うけどね
ここはそういう場だし
中学二年生には難しいかもしれないがコテハン付けてくれ
NG登録するから
中二としか言えないやつ涙目www
ぶっちゃけ百合SS以外いらない
何か久々に来たら荒れてんなぁ
オフィシャルカップルだろうが何だろうが二次の時点で全部妄想だろ
オフィシャルで出来てる二人を取り扱ってるから〜とかそう言う問題じゃねぇw
喪舞ら
今のこの過疎状況で荒れると
ほんとに終了するぞw
>>542 俺は零以外だと百合やホモは基本苦手だから【ありえなくても百合なら良い】
って事はないな。でもそういう風に「ありえないと分かってる上での
エロやギャグ」はエロパロなんだし普通だろ。
>>547 そりゃ捏造側からすりゃオフィシャルも捏造も同じじゃねぇwってずうずう
しく考えられるだろうけどオフィシャル好きにはたまったもんじゃない。
せめて区別して考えろ。優雨と怜が好きな人に優雨と螢も同じ妄想
じゃねぇwって言えるのかよ。
なんでもありの懐の広いスレだと思っていたんだが……
投下控えるか
待ってくれ
俺はなんでもアリだぜ
いやw
俺も何でもアリかと思って見てたし、
そう思って投下もしてきたw
今も思ってるから書いたら今後も気にせず投下するw
だから
>>550も構わず投下して・・・いや、してくれ…ください…
強いて言えば、このスレの初代が「澪繭千歳でハアハア」と女性キャラにハアハアする
スレの延長だと思ってるんで女性キャラを出せばまあ良いかなと思ってる。
百 合 し か 書 い て こ な か っ た け ど w
オフィシャルにない関係は全部ダメ、だったら
そもそも何故「エロパロ」板に来るんだろうか
カレー屋のメニューにハヤシがあると
「ハヤシはオフィシャルなカレーじゃない、捏造品とカレーを一緒にするな」とか
力説するタイプなんだろうか?
何でもありでいいならもういっそカップリングとか特定されてない
別作品のスレに行けばいいんじゃ?そういう所は皆同じ考えだと思う。
キャラの名前だけ同じで、本編と関係ないならパロですらない気が・・
>>554 それは極論ジャマイカw
本編に関係ない話でも、思い入れあるキャラが
何かしてるのは読んでて楽しいけど…
俺は澪繭が一番好きだが、
本編とは全く関係なく、エロなしで普段の生活みたいな描写を書いてるのとか好きだが…
それはあくまで俺がキャラを知ってて思い入れがあってこそ面白いと思えるわけ。
そういう物すらスレ違いと言うとかなり窮屈になってしまわないか?
>>554 オフィシャルにあるカップリング以外を書くヤツは別作品のスレに行けばいい、って何様だよお前
えーと、このスレではオフィシャルにあるカップリング以外はやるべきではないって
思ってるやつ、手ぇ上げ
っつかそもそもオフィシャルにあるカップリングというのが良く分からない件について…
零「総合」なんだから総合的に受け入れていこうじゃないか
贅沢言えるほど賑わってるわけでもないし
スルーできない馬鹿、自分の意見だけ押し付けるガキの言うことなど無視していいだろ。
タイトルでも付けて貰えりゃ読み手はあぼーんできるんだからな。
スレのことを考えるなら希望や賛辞は書き込んでも否定や非難は書き込むべきではない。
ま、分かってる人も多そうだが。
>>550 ずっと…待ってるから…
スルーしろと言いながらスルーせず、
押し付けるなと言いながら押し付け、
もう書かないと言えば書いてと言って欲しい。
何なんだここ
もういちいち荒れるのやだし、百合以外禁止にしない?
>>561 気持ちは分かるがそもそも百合なら良いって話じゃないみたいだぞWW
つまりこれまでの意見を纏めると、
百合限定、公式カプのみってわけかw
公式カプの組み合わせがイマイチ分からんが、
察するにメインキャラだと、澪繭、怜深紅
意外は却下になるってこと?w
このスレで終わるぞw
茜薊にしか萌えない自分は勝ち組
でも百合限定にすれば腐女子の排除はできるだろ
公式以外がどうのとか言ってる奴らも
結局は螢だの男キャラが出てくるのに文句言ってるみたいだし
公式カプのみってのはわけわからんけど
腐女子と一緒に百合以外の職人まで排除する気か
こんな過疎ジャンルでSS書いてくれる人がいるだけマシだろ
別に男キャラ出て来ても良いじゃないか。
嫌いなキャラが出てる作品ならスルーすれば良いだけの話なのに何でこうも規制したがりちゃんが湧いてくる?
今までで男キャラが出てくるのに文句言ってるヤツなんていないだろ。
出てくるのに→出てくること自体には
いや結構いた
限定とか排除とかもうね・・・
>>558も言ってるけどここは「零総合」だよ
書き手は名前欄にカップリングなり傾向なり書いて
読みたくないやつはスルーすればいい
腐女子の皆さん、ここはあなた方が普段いる腐女子わんさかスレと違います。
「嫌ならスルーしろ」はありえないカップリング同士でいがみ合ってる貴婦人には効果テキメンかもしれませんが、
ここはそうじゃないんです。
青以前はこんな荒れ方しなかったもんだよ・・
もうカプとかどうでもいいから
茜薊SS書いておくれよ
要は作品じゃなく、腐女子が嫌いなんじゃ?
正確には腐女子臭い作品やコメントだと思う。
2ちゃんのエロパロだし。
ガタガタ言ってるやつは自分でSS書いて投下してみりゃいいんじゃね
読んでるだけの人間が偉そうに文句つけるなよ
投下してくれる人が貴方みたいな思考の人じゃありませんように
っつか、
お前等、そろそろこの書き込みは下手したら荒れるなってレス
控えろwww
いつまで経っても投下されないぞw
でも腐女子の投下はお断り
>>580 だからそんな風に言ってたら百合書いてる職人だって
投下し難いと思うぞ
文句つけてるのは一部の百合至上主義者だけだろ
ホモでもレズでもエロでもギャグでも日常ものでもいいから職人は構わず投下して欲しい
ただでさえ人の少ないジャンルなんだから盛り上げていこうぜ
二次創作の時点で全部腐女子(腐男子)臭すると思うんだけどなぁ…
繭澪メインだけど蛍怜とか真冬深紅とかも書いたりするからレズ限定とか公式カプ限定と言われるとしんどい
このスレって百合限定だったのか。
普通のエロパロスレだと思ってた。
次スレからは
>>1にでも書いといてくれないだろうか。
久しぶりにスレ覗いたらナニこの流れ
なんでもアリだったあの頃が懐かしい
なんだって良いから萌えさせりゃ勝ちだ、それが二次創作の肝じゃねえか
まぁとにかく、霧絵さんでエロいの一つ頼むよ
埒が明かなくなってきた。とにかく腐女子って言ってる人も百合限定とか
真に受けて反発しまくってる人も少し落ち着け。
色々難しい事言ってるけど要は蝶の百合キャラに適当に男くっつけたり
しなけりゃ文句無いって事だと思う。
昔から1や刺青の主要キャラ、紅の百合以外のキャラには何しても文句来ない。
百合キャラなんて物凄く狭い範囲じゃないか。天倉姉妹と桐生姉妹くらい。
(黒澤姉妹は片方結婚してるから除外)
零には他にも深紅や千歳やMEGAさまや零華や鎮女や
いくらでも萌えキャラがいる。このくらい折り合っていけばいい。
下手に他スレのルールや持論で自治る方が余程荒れる。現状がそれ。
別に荒れるキャラ使って無理矢理なカプ作らなくても良い。
とりあえず今のところ真冬深紅とか螢怜とか霧絵エロとか茜薊とか
出てるけどどれも全然大丈夫だと思う。安心して投下してください。
587 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 02:15:37 ID:9UevEb21
从川川川川川川川川川川川|
从川川川川川川川川川川川川
从川川川川川川川川川川川川川
从川川川川川川川川川川川川川川
从川川川川川川リ .::: ヾ川川
从川川川川ルリ :::... .:: ヾ川
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从川川川、:. . /ハヽ :|
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ヾ|川川从:.:. ヽv:/ .:厶|
ハ,r‐一ヽ:.:.:.:. . .: .:./三|
. /:|ニ三三≧x、:丶.___ノ .:/::三:!
/::/三三三三ニミ、:. :/三三|
. /::/三三三三三三ミ、:. . . . . :/::三三:|
蝶の天倉姉妹でも蛍澪とか好きなんで困るわ
>>587 それ、面白いんだけど、2回3回って見るもんじゃないんだよな。
見てなけりゃ買ってもいいけど、それでも正規の単行本で買うのは無駄な気がする。
螢澪(笑)螢と
>>588のセックスなんて脳内で妄想してろよ。
違うソフトのキャラが登場しない限り、百合でも何でもほぼ問題ない気がするが。
じゃあ、そこで俺が霞と綾音のユリものを。
螢の寝言「優雨・・真冬置いていかないでくれ」
ホモって言われた方がまだ違和感無い。
>>592 DOAスレにカエレWW
テクモの兄姉キャラは放浪しすぎで困るw
まあ、女キャラが出てくれば何でも良いよ…
とにかくエロイのキボンヌ
何時の間に偉そうな仕切り厨が湧いて出たんだ?
まだ夏休み入ってなかったのに
夏だな厨のご降臨
仕切り厨か・・・
自分の思った事しか認められず相手にもそれを強要する
受け入れられなければ、泣き喚く
全くもって子供なんだよね
それはそうと真冬兄さんと霧絵姉さんの新婚家庭に居候する
どことなく居心地の悪そうな深紅
で、書いてくれ神よ
仕切り厨の自覚の無い仕切り厨のご降臨
え、俺?なんでそうなる?
てか何でそんなに必死に即レス返してくんの?
やめて迷惑だから
「仕切り厨だなんだ言う奴も仕切りたい厨」なのは基本だろ。
下三行だけ書けば良いものを。
伶『夏だねえ、深紅』
深紅『夏ですね、澪さん』
澪『夏と言ったら花…』
繭『スクミズ』
伶『夏だねえ、深紅』
深紅『夏ですね、澪さん』
澪『夏といったらお祭…』
繭『スクミズ』
螢『ぃやっはっはー!! 夏はフンドシじゃあぁ〜っっ』
真冬『フンドシじゃのう!!』
ネタ変換はえーw
深紅のパレオ・・澪繭のスクール水着・・怜さんの競泳水着・・
ビーチバレーへの布石か
>>601 素敵な理論ありがとう
理解したよ、人の振り見て我が振り直せって事なんだねw
澪ならスクミズよりも競泳用の方が似合いそうだ
言われてみれば確かに。
深紅パレオ 繭スク水 澪競泳 怜紐ビキニ
こうだな。
優雨怜書こうと思ったら
このカプ音読したら「幽霊」になる事に今更ながら気付いて哀しくなった
海に来た女性陣
繭『ちょっ…なんで競泳用着てんの?!』
澪『だってほら…スクール水着って恥ずかし…』
繭『お姉ちゃんは着てるんだから、澪もほら、着なさい!!』
おもむろに肩紐を下ろされる澪
澪『こんな所(浜辺)で止めてよ、お姉ちゃぁんっ』
繭『澪のスクミズ見たくて海に来たの! だから早く脱いでっっ』
深紅『綺麗な水ですねぇ』
伶『綺麗な水着よ、深紅。似合ってる』
深紅『水着じゃなくて…』
伶『お願い、深紅!! パレオ外して』
深紅『嫌です』
伶『深紅のお御脚を拝みたいのよぅっ。 我慢できないっっっ』
螢『ふぅっはははー!! 海はやっぱりフンドシじゃのう』
真冬『じゃのう、螢!!』螢『ウホッ、フンドシだらけの水泳大会じゃのう!!』
真冬『ポロリも有りかのう、螢!!』
って感じでしょうか
改行失敗しとるorz
ってか何で最後の二人は男塾のノリなんだよw
>>610繭と怜があぶねぇw
男性陣よ女性陣を見ないのかw
女性キャラまで男塾顔で想像してしまったwww
>>601 お前、冷静過ぎて逆にうざいんだよ!うら!
正論禁止!
うわぁ・・・イタイ
折角、流れを変えられたと思ったのに…
ここはまた、男塾ネタを降るしかないのだろうか…
>>617昔のような雰囲気に戻りつつ、と思ったら…残念
どうかめげずに、頑張っていただきたい。
昔のような雰囲気・・・過疎か。
荒れてるより過疎ってる方が良い
じゃあ、俺がここらで螢×澪(+怨霊繭)の紅後、蒼直前のハードなエロシーンばかりのSSを一発。
すごいぞー。
いい雰囲気全くなし。ひたすら得ろ。ひたすらsex。
また荒れるからイラネ
ってかどうせやるなら宣言無しでやれ
えっ?
とうとう有里以外禁止は公式るーる!???
どうしても言いたくなる
夏だなぁw
ゆりをうpろうと思うのだが
全裸で待機します
>>621 がんばれ、がんばれっ!
俺は全裸で待ってるぞ!
629 :
名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 05:36:18 ID:OjYCkCT7
>>629 神認定!
すばらしくGJ!
深紅タンカワユス
>>629 これは、素晴らしい。確かに裂き縄のエロさは異常w
霧絵と深紅いいな。
保守
636 :
古いSS書き:2007/08/06(月) 04:32:18 ID:uk9j9dDp
今年はあっつい夏ですな。納涼にはならないけど久し振りに投下しますね。
俺はアミューズメントのバイト。
今日はとある区の区民祭に出張中。
何やってるかって言うと、幽霊役だ。
グロなメイクをして、ボロボロの服を着てやって来た客を脅す。
今日日、機械じゃなくて人間様が脅すなんてなぁ、古くさいよなぁ?
「祟ってやるぅ〜!!」
「きゃああああ!!」
「知美、大丈夫か。俺が付いている、安心しろ」
……何でカップルが多いんだよ。
おまけに女は必要以上に怯え、男はそれに答えまくってるし。
そこのオメー、鼻で笑ってるの態度で解るぞ。
「ち、面白くねぇなぁ……暑いしよぉ」
単に区民館の一室を仕切って作ってあるだけの安普請なんで、冷房なんて贅沢なものはない。
おまけに厚着なんで汗がだーらだら。ああ、マジでやってらんねぇ。
「ん、何だか涼しくなって来たな……?」
何だか周りがヒンヤリしてきたのと同時に、向こうからカップルがやって来た。
俺はささっと墓石(発泡スチロール製)の影に隠れて相手を窺う。
女の方は……黒い和服を着た長い髪の女だ。
少々歳を食ってるが、それでも充分に美人だと言える。
何やら怯えてるらしく、男の方に盛んに声をかけてはキャアキャア言っている。
そして野郎の方は……あれ、どっかで見た顔だな。
あ、大学の雑誌で見た覚えがある。ノンフィクションだかの期待の若手だった……名前は思い出せないけど。
んで、そいつは全然怯えてない。と言うか、幽霊よりも女の扱いに持て余してるみたいだ。
ふん、俺みたいな貧乏大学生は汗水流して働いてるってのに、若手作家様は年上の女連れて奉り見物ですかそうですか。
丁度、女が良い具合に怖がってる……精々、盛り上げてやるとしますかぁ。
……しかし、何だかドンドン寒くなってるぞ。今じゃ寒いぐらいだぜ。
「んばぁぁぁぁ!!!」
予定の位置を通りかかった2人に向かって、墓石から身を乗り出して大声で叫ぶ。
男は少しギョっとした程度。てんで驚いちゃいない。
そして女の方は……。
「きゃあああああああああああああああああ、怖い! 怖い!!助けて、秋人様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
半泣き状態の女がブンブン両手を振り回した事だけは覚えている。
「ぐはっ!?」
黒い物が胸ぐらに突き刺さり、視界がグルングルンと廻っていく。
飛んできた『黒い何か』は、俺の意識を約12時間刈り取ったのだった……。
完
「れ、怜さんやめてください… そこはおしっこするとこですよ。そんなとこ舐めたら汚いです……… 」
深紅は頬を赤く染め、泣きながら言ったが、
私は構わず便器を舐め続けた 。
刺青のベスト版って何か得点とか追加要素あるの?
零2馬鹿話 第七刻 紗重 がベースの時間軸だと思って下さい
『皆神村らんなうぇい』
色無く、視界は霞み。モノクロの不気味な世界の中。
逃げ惑う少女が、一人。 息を切らせて、後ろを顧みることもなく走り続ける。
…否、顧みることなく。では語弊がある。正確には振り返ることが出来ない。
その背を追う、怨霊。血染めの着物を纏う少女、紗重の姿を直視することは、生身の人間にとって、恐怖と苦痛。
頼みの射影機を取り落とし、ただ、ひたすらに逃げ続ける。
しかし、実はこの逃走劇、少し妙。
息も絶え絶えの、澪が速度をペースを落としていくのに合わせ
紗重のペースも落ちている。
猫が、ネズミをすぐ殺さないソレか―
どうやら、少し違うようだ。 もしも、紗重の顔を今直視出来るモノが居るとしたら
妙なやる気のなさというものを感じ取れるだろう。
―…捕まえるな。って、キツーく言われたもんなぁ…
澪の背中を見ながら、そんなことを思う紗重だった。
……時間は少し遡る、それは紗重が繭に協力を受諾させた後のこと。
「紗重!私、いい事思いついちゃった」
さっきまでの何処か、憂いを秘めた顔は何処へやら
紗重の目論見を全て知るや否や、自分から協力を申し出、挙句顔をキラキラと輝かせている。
「…なによ?」
とりあえず、彼女の勘にピリピリと危険信号が灯る。
それこそ、振り向かない人生を歩むことこの上ない八重に巻き込まれ、人生が終わってしまうくらい大変な目に遭った彼女の勘。
多分、相当アテになる。
「私、貴方に体を貸してあげて、澪を追い詰めるじゃない?」
「…そうね、生かさず殺さず…」
「だから、鬼ごっこをしようと思うの!」
「……は?」
あまりにも唐突、あまりにも馬鹿げた一言に、紗重、思わず目が点。
「絶対に捕まえない鬼ごっこをするのよ♪」
一方、繭本人は紗重のリアクションに興味はないらしく、ハイテンションに飛ばしている。
「別に、そんなことしなくても…」
そう、彼女が手を下さずとも、この村の怨霊どもが自然と彼女を追い詰める。
だから、早々焦ることはない。機が熟するのを待てばいいのだ、彼女は。
「ダメよ、念願果たそうって貴方がそんな消極的じゃ!」
ピシャリと、紗重の発言を断ち切る繭。
「それに…怯えた澪って凄くイイ顔するのよ…じっくり見てみたいと思わない…?」
「……」
そう言っている本人も、色んな意味で相当イイ顔で恍惚としている。 確実に後者が本音だ。
まず間違いなく、この世で関わり合いになりたくない人ランキング上位に入れるだろう表情。
対して、紗重の表情は…まぁ、間違いなく「ドン引き」のソレである。
「でね、鬼ごっこの手順なんだけど…」
そんな繭の表情を意にも介さず
嬉々として、妹を恐怖のどん底に叩き込む作戦の説明を始める繭であった
「で、ココで澪が戸を閉めたら、私が替わりに出て声をかけてあげるわ
澪は優しい娘だから、きっと迷うハズよ♪」
「…はぁ」
―本当にコイツ、あの娘を大事に思ってるの…?
そんなことを考えながら説明を適当に聞き流しているそのとき
「あぁー… 言い忘れてたけど」
そんな紗重の様子に気づいたのか、そうでないのか、繭はずいっと距離を詰める
ガシッ
繭に着物の襟を思い切り掴まれて、引き寄せられる。
この細い腕の何処にこんな力が?というほどの力。
紗重は、思わず繭の顔を見、戦慄する。
繭の表情は、この世のモノとは思えないほど、凶悪な笑顔だったからである
「もしも、私の澪に傷の一つでも付けたら…」
そのまま、繭は紗重の耳元へ口を寄せる
「貴方が今の今まで、この世にはびこっていた事、後悔させてア・ゲ・ル♪」
このとき、紗重はやっと自分がとんでもない人選ミスをしたということに気が付くが、時すでに遅し。
―…間違いなくこの女は私にソレを実行出来る…
彼女のこの手の勘は、悲しいかな嫌というほどアテになる。
それゆえ、彼女は渋々と繭の立案
『ドキッ 繭紗重だらけの鬼ごっこ作戦』
に乗ることにした。
…後、正直そのネーミングセンスもどうかとは思う。
そして、時間は今に戻る。
―それにしても、あの変態シスコン女〜…
澪の逃げる背中をある程度速度を合わせて追いかける紗重
ちなみに、変態シスコンという枠組みで考えれば、彼女も十分それの類だということは言ってはいけない。
―最初見たときは八重と同じ、物憂げで線が細くて… と、思ってたら何なのよ アレは!!
何なのかと問われれば 人間第一印象だけが全てではないという好例である。
…詐欺といえなくもない。
―こっちの澪って娘は、とっても素直な感じのいい娘なのに…
澪のペースが段々上がってきた、どうやら引き離すつもりらしい
だが、残念ながら全ては紗重の手の内。紗重が同じだけペースを上げ、距離は変わらない。
澪が、こちらの様子をチラリと横目で見る
紗重との距離がまるで変わっておらず、尚も追いかけてくる紗重の姿に恐怖の色を瞳に灯して再加速する。
―あ〜…本当にイイ顔するわねェ…。あんな妙な服着てないで、和服着たらきっと似合うのに…
うっとりと、そんなことを考える紗重。
ぼーっとし過ぎたのか、それとも見惚れていた為か、距離が縮まり過ぎている。
あわや、澪が捕まる。という距離で紗重の脳裏に突然声が響く
『紗重…私の言ったこと忘れてないわよね…?』
WARNING!!WARNING!!(わーにんぐ!わーにんぐ!!)
紗重の脳内に過去最大級のアラートが鳴り響く
殺されて×の中に放り込まれたときも、これほどの警報は鳴らなかったであろう大音量である
『…ハッ!? わ、忘れてないわよ!?』
慌ててその場で急停止する紗重。
流石に命は惜しい。 死んでるケド。
『そう…ならいいわ。それにしても、怯える澪。とっても萌えるわ〜』
紗重には、あまり理解出来ない単語を口走りながら、脳裏で悶える繭。
正直うるさいので黙って欲しいが、迂闊なことを口走ると明日がないので黙っておくことにした紗重。
大人の判断である。
しばらく鬼ごっこが続くと、一度澪を追うのを止めて、要所要所で驚かす作戦に移行した。
それこそ、戸から呼びかけるや、曲がり角にスタンバイ等等。
よくぞここまで思いつくものだと、紗重も関心を通り越して、もはや呆れている
『ちょっと作戦の変更よ、紗重』
さて、次の驚かしポイントで移動…と紗重が移動を試みようとして
いきなり作戦変更を言渡される紗重。かなり不承不承という顔をしている。
『今度は、一度体を私に返してくれない?』
『…返して…どうするの?』
『そのまま、角に走って、隠れて。貴方と交代!
私の姿を見て、追いかけてきた澪はきっとびっくりするわ』
うっとりしているのが言葉だけでたっぷり感じ取れた。
本当は、お前妹に何か恨みでもあるんじゃないかと問いたくなってくる素敵なお姉さんである。
『はぁ…もうなんでもいいから、好きにして』
疲れ果てた顔で、投げやり返事を寄越すのが、今の紗重の精一杯である。
――――
「…あ! お姉ちゃん!」
『フィッシュ!!』
『…なんでそんなに嬉しそうなのよ、アンタ』
『うふふ♪いいからいいから♪ じゃ、お願いね』
素早く身を翻して角に身を隠し、体を紗重に渡す。
―はぁ…な〜んで、こんな目に…
ため息を一つ大きく吐いて、今の自分の情けなさを呪う紗重。呪うことだらけの人生である
…だから、これは必然というべきか。待機予定の場所よりも随分前の位置に自分が立っていること気づかない
勢いよく向こう側から走りこんでくる澪。
目の前に居たのは姉でなく、紗重。慌てて止まろうとして、地面を強く踏ん張ろうとする。
その音を聞いて「やれやれ」と顔をあげる紗重。
ボコッ!
嫌な破壊音が辺りに響く。老朽化した廊下がその力に耐え切れずに床が抜けたのだ。
そうなると、どうなるか
片足を穴に突っ込んで、体の勢いのまだ死んでいない体が、紗重に突っ込んでいく澪。
まだ、自分の置かれている状況をまったく理解していない紗重。そして、紗重の体には実体がある。
ベチィッ!!
つまり、澪が紗重に激突するのである
「痛っ!?」
「きゃっ!?」
それも、お約束というべきか。澪が紗重を押し倒すようなカタチで…
そして、更にお約束がもう一つ…
―痛たたた…何なのよ… …ちょっと重い… ん?唇になにか柔らかいモノが当たって…!?
そう、つまりはその…
―ん、これ、この娘の顔…?え?これもしかして… …!!!??!?!?
いい具合にキスが炸裂していた。 それも唇同士の。
お互い、意識がハッキリしたのか目が合う。
顔がこれ以上ないくらい二人とも真っ赤になると
「「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!??」」
二人の悲鳴が同時に響き渡る…
二人とも、素早く起き上がると唇を押さえてお互い顔を真っ赤にして動かなくなった。否、動けなくなった。
かたや、姉のそっくりさんの怨霊にキスしちゃったノンケな澪。
―幽霊さんとキスしちゃった!?え、今のファーストキッスに入るのかな!? いや、違う、そうじゃなくて、相手は幽霊で…挙句女の人だよ!?
ぷるぷる震えながら片足を穴から外しながら紗重に背中を向けているのが、彼女らしい乙女な反応であろう。
かたや、自分の妹のそっくりさんにキスしちゃった、わりとノンケじゃない紗重。
―唇柔らかかったなぁ、顔も八重そっくりで…
何処かうっとりとしている紗重、彼女も変態シスコンの資質はバッチリである。
お互い、顔を真っ赤にする理由が微妙にズレている。
さっきまで命の懸かった鬼ごっこをしていた身だが、乙女としてはこの事態はそれ以上に非常事態らしい。
だが、まぁ、この空気もいつまでも続くわけがなく。
「え…?あれ?」
突然聞こえたまぬけた感じの声にパッと振り向く澪。口は押さえたままである。
そこには半透明の紗重が浮いていた。さっきまでしっかりと実体の存在した紗重とは違うふわふわした存在である
で、さっきまで紗重が座り込んでいた場所に目を運ぶ。と
修(ま)羅(ゆ)が
一人
立っていた しかも、仁王立ち
「ふふふ…うふふふふふ…随分と仲良しねぇ、二人とも?」
いつの間にか、白黒の世界は消えていたが、それ以上の恐怖が辺りを包む。
繭は今まで見たこともないほどに、とてもにこやかに笑っていた。
ただ、残念ながら、目は微塵も笑っていなかった。
怒っている、明らかに激怒している。殺気が肌に刺さるほど。
「お、お姉ちゃん!?」
「澪ぉ…オイタは…オシオキだよ… ウフふフふ 澪がイケないんだからァ…
澪が、澪が、あんなのと…あんなのとぉ…!!」
キている、相当キている。何がキているか具体的に言うのもイヤになるほど、キている。
心霊的な要素に関して疎い澪でも、流石に今自分の身が色んな意味でピンチだということには気づいた
「お姉ちゃん、また誰かに取り付かれて…!?」
…残念、肝心なところで鈍いのは変わってない。
―地よ、地!それがソイツの本性よ!!
と、心で必死にツッコミを入れる紗重。声に出せないのは、無論命の惜しさとか、諸々の事情である。
「腑不負布腐腐腐ふふふ…紗重ぇぇ…分かってるでしょうねぇ…澪にオイタした罪…万死よ」
殺意漲る眼差しをギロンと紗重に向けてイイ笑顔の繭。
残念なことに、すでに命が危ないようだ。
「ちょ、ちょっと、事故でしょ 事故!?」
「そうね、事故ね…でも、キスしたわね?」
「しょ、しょうがないでしょ!不可抗力よ…」
「じゃあ、今から私は、紗重をイ・ロ・イ・ロ可愛がっちゃうのも不可抗力よね☆」
間違いなく、可愛がる=エライことをされる。という方程式が成り立つ黒いオーラをバラ撒きながら明るい口調の繭。余計怖いことこの上ない。
「お、お姉ちゃん…?」
状況がまるで飲み込めず、きょとんと問う澪。
空気が読めれば、この機に乗じて逃走をはかるのだが、残念ながら彼女のエアリード機能がぶっ壊れているのは、繭の転落事故を防げない辺りで証明済み。
「ああ、澪。心配しないで、澪はもっともぉっと可愛がってア・ゲ・ル★」
★が黒いのが、彼女の滲み出る恐怖の一端と思っていただきたい。
あまりの姉の変貌に唖然としている澪。
これから起こるであろう惨劇にガクガクブルブルと震えの止まらない紗重。
その二人を見つめて、一歩一歩踏み込んでくる繭。恐怖が音を立てて近寄ってくる。
腰の抜けている紗重は動けないし、澪は逃げるという動作を失念している。
もはや、進退窮まった…という、その刹那である。
「きゃんっ!?」
ガコッ!! ビターンッ!!
さっき澪の開けた床の穴に思い切り足を取られ、大股で踏み込んで来ていた繭が、やけに可愛らしい悲鳴とセットで勢いよく顔面から床に着陸を敢行した。
―チャンス!!
今のショックで抜けた腰の治った紗重は、唖然としっぱなしの澪の手を取る
「逃げるのよ、全力で!!」
「え…で、で、でもお姉ちゃんが…!!」
「五月蝿い!まずは、身の安全よ!死にたいの!?色んな意味でッ!?」
叫ぶ紗重、特に最後の言葉の辺り、声が必死である。
「…う、うん」
紗重の気迫に押されたのか、澪はコクコクと首を縦に振る
澪の手を引っ張るように、走り出す紗重。それを後ろを振り返りながら恐る恐るという様子で付いていく澪。
「にぃぃぃがぁぁぁぁすかぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
床に片足を突っ込んだ状態からのクラウチングスタートという脅威のダッシュを見せる繭。
無論、繭の片足突っ込んでいた付近の床は粉微塵である。
というか、さっきからお前は足のケガの秘密を隠す気はないな。
「お姉ちゃん…」
「うっさい!命が惜しければ走るのよ!!」
ここに、澪+紗重 VS 繭 という意外性抜群のカードが組まれたのである。
皆神村を舞台にした、命を懸けた熱い鬼ごっこが今、始まる…
『…続く、かも?』
649 :
642:2007/08/08(水) 01:37:01 ID:2GX//dyb
無駄に長くてすいません
なんで幽霊なのに澪に触れるんだとか、細かいツッコミはスルーでお願いします…
>>649 GJ!!
大変美味しくいただきましたよ!!
やっぱ繭って、こういう役が似合うよなwww
澪と紗重の絡みが(・∀・)イイ!!
鬼畜な俺は繭たんが大好きだ
黒いぞ怖いぞ繭w
そして怯える紗重に萌え
『ふぁ…』
「お姉ちゃんどうしたの、眠たそうな顔して」
『ふふ、昨日ね、インターネットしてたら、面白い漫画見つけちゃって』
「で、夜更かし?
お姉ちゃん、そんなことばっかりしてると、身体に悪いよ。 肌だって荒れるんだから」
『大丈夫、大丈b…』
「ああもう、ほら、言ってるそばからキュウリ切りつつ寝ないでよっ! 指減っちゃう!」
『ふふふ…凄くいい作品だったの。憧れちゃって』
「わかった、わかったから…もう、今日の御飯私が作るよ。当番明日と交代。座ってて」
『憧れるわぁ…やはり想いには素直なのが一番よねぇ』
学校
【ガガッ ――えー、2−3、天倉澪。至急職員室まで来なさい。繰り返します。2−3、天倉…】
「?」
職員室
「おお、来たか。呼んだのは…お姉さんがな」
「! お、お姉ちゃん倒れたんですか! もしかして!」
「いや…いま奥で話してるから、ちょっと聞き耳立ててみろ」
「?」
『たった今私は、澪とアナルセックスしたくなったから帰るって言ってンだよ!』
「ま、まあ落ち着け天倉君」
『たかが校長の分際で私たちの性生活に干渉するとは良い度胸だ!』
ガッ! どがっしゃーん!
「ひいいいい!(|||´Д`)」
「まあ、そういう訳なんだ。そこで天倉…とりあえず家に帰って、その、することをしてから学校に来なさい」
「えええっ」
「その間の授業はちゃんと出席扱いにするから」
「え、いやそうじゃなくて、先生達、先生なんだから、もっとガツンと
お姉ちゃん叱り倒してくださいよぉ! あんなこと、あんなこと言ってるんですよ!」
「だってほら、繭はお前のことになると、怖いじゃないか。。。
たまになんか飛ぶし。壁透き通ったり…」
「そ、そんなことまで学校で…信じらんないorz」
「まあ、そんなわけで、さあ、ヤることヤってきてくれ」
「ええええぇぇ」
『感じる! 感じるぞ! 私の澪はすぐ近くに…! 肛門括約筋を緩めながら…』
「もう、あんな姉、やだ…」
http://www.kajisoku.org/img2-02/img865_k[02-04].jpg
ノ L____
⌒ \ / \
/ (●) (●)\
/ (__人__) \ たったいま俺は無性に
| |::::::| | アナルセックスが
\ l;;;;;;l /l!| ! したくなったから
/ `ー' \ |i 帰るって言ってンだよ!
/ ヽ !l ヽi
( 丶- 、 しE |そ ドンッ!!
`ー、_ノ 煤@l、E ノ <
レY^V^ヽl
>>654 元ネタがあるのね?
見つからないってゆーから、探してくる
>>657 うはっ
サンクス
元ネタが判ったら、さらに凄いことにw
なんだか空気がすごいことになってて吹いた
とりあえず澪ちゃん宣言しときますね
「ねえ、最近澪がつめたいの…」
「へぇ」
「へぇってなによ、ぞんざいな」
「またしつこく迫ったんじゃあないのぉ? あんた時々やりすぎるでしょ」
「姉恋しさで村1つ消した人に言われたって…」
「その私から見ても、たまにあんたは度が過ぎんのよ」
「うーん…」
「ま、こんなとこで愚痴ってないで、帰って謝んなさいよ。
どうせいつもみたいに、来週ぐらいにはベタベタしてるんだろうし」
「そうかなあ…」
「そうそう。大体ね、喧嘩なんて一種のノロケみたいなもんでしょうよ。あーやだやだ」
「うーん…」
「ちょっとの喧嘩で別れる仲じゃないんだからさ。
とっとと帰る帰る。で、素直に謝んな」
「うん…」
「最近、澪が冷たいんです…」
「あらら。そういえば今日は1人ね。喧嘩でもしたの?」
「わからない…けど…怒らせちゃった…の、かな…」
「ありきたりなアドバイスになっちゃうけどさ。
まずは話してみるしかないんじゃない?
怒ってて聞いてくれなくてもさ。頑張って話しかけてさ」
「でも、本当に、全然、話、きいてくれなくて…」
「大丈夫大丈夫。そういうのって、本当は聴いてるから。
喧嘩で無視なんて、むしろ普段以上に聴き耳たててるんだから。
引っ込みつかなくて、仲直りのきっかけ探したりしてさ」
「うーん…そう、かな…。かも…」
「でしょう? ま、ともかく話すのは大事。
私みたいに、話せなくなってからじゃ遅いんだし」
「……」
「あ、あ、ごめ、こういう冗談駄目だっけ?
ごめんごめん、ま、まあとにかく話せば大丈夫だって。
2人の仲だもの。ね?」
「はぁ…」
「怜さん…繭さん、もう帰りましたか?」
「え? あ、まだ間に合うと思うけど、どしたの? 呼び止めよっか?」
「あ、いえ…」
「?」
「怜さんだけに見てもらいたいものがあるんです」
「ほほう、繭ちゃんには秘密ってわけ。
ok、お見せなさい。私は深紅のどんな恥ずかしい所だって受け止めてあげる」
「あの、この、写真で…」
「なにつまんない、仕事の話? こんなのどうでもいいのに…って、あれ?」
「現像してたら、写りこんだんです。
…似て、ませんか?」
「まあそりゃあ…似てるけど…?」
「? なにしてるの、私の家の前で」
「お、天倉…いま帰ってきたのか」
「うん。それで、何してるの?」
「あのさ、天倉…ああ、2組の天倉な、なんかもう、一週間学校休んでるだって?
その、見舞いって言うか、心配になって」
「どうして? 澪のことしってたっけ?」
「え、いや、俺のこととか、なんか言ってなかったか?」
「……」
「言ってなかったならいいんだ! 言ってなかったなら…変なこと言って悪い」
「聴いたよ。澪に告白したんでしょう?」
「あ…言ってたのか…で、な、なんて言ってた!?」
「…それは私から伝えていいことじゃないよね。澪から聞いて。
で? 用はそれだけ?」
「あ、いや、あっと…その、見舞いとか、しようと思ってたんだが…」
「ごめんねぇ、澪いま本当に体調悪くて、人と会うの無理だと思う」
「そんな酷いのか」
「うん。だからお見舞いは諦めて」
「その、あのさ天倉、変なこというけど、ほんとに病気…かな? もしかして俺が――」
「あのね、まあそのあたりにしとこう、ね?」
「え?」
「部活一直線な直情キャラもいいけど、
空気くらい読めないと、彼女とか一生無理じゃないかな」
「……」
「そういうことだから、ごめんね。また元気になったら会ってあげて。じゃ」
「ただいまー。澪、澪〜?」
「…またそうやってフテ寝して…寝てばっかりいたら太るよ〜?」
「いまさ、外に来てたよ、あいつ。長いことピンポンしてたみたいだけど、出なかったの?」
「まあ、私がオススメできないって言ったんだけどさあ、なにも居留守しなくたって」
「晩御飯ちょっと遅れるけどいーい? 今日体育きつくて。ちょっと一休みしてからにする」
「…ねえ、ねえ…ええと、そういえば今日、学校でね?」
「……」
「澪ぉ…」
「まあ、澪がそうして寝てくれてなら、ずっと一緒にいられるんだもの、
私としては嬉しいけどね〜」
「…なんて☆」
「……」
「ご、ごめんごめん、冗談」
「……」
「はぁ…」
「ねぇ、澪ぉ、ちょっとくらいお話してよぉ…ごめんってば、私が悪かったかもしれないけど…」
「もう…」
「わかった、澪がそうするなら、私も隣で寝ちゃおうかな! 添い寝しちゃうもんね!」
「その上抱きしめちゃったりして♪」
「うひゃっ」
「み、澪〜、やっぱ風邪とかこじらせたのかもしれないよ〜?
嘘からでた真って言うか…」
「ねえ澪ってば…こんなに冷たいってちょっと変、かも、だよ…?」
「…大丈夫だって言うなら良いけどさぁ…澪のためなら、私が全力で看病しちゃうし?」
「…あーもう、ホントに断固無視…?
いいもん、離れないから。澪が話してくれるまで、ずっとずっと一緒にいるから」
「ふふ」
冷たい←→冷たいの駄洒落のためだけに何も考えず勢いで書き推敲もせず送信したいまは猛省している繭好きごめんでもこんな繭好きです幸せになってね
状況理解にしばらくかかったw
正直にいうと、意味がわからない。
666 :
名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 23:46:20 ID:WfEAgcoY
>>666 いいよいいよ〜〜
なすがままの澪が可愛いよ〜
ってコレ、携帯で撮ったの??
ここまで画像が綺麗にみえるなら、俺もウプろうかなぁ
『なすがまま』じゃねぇ…『されるがまま』だな
>>665 澪が多分死んでる 無くとも、冷たくなってピクりとも出来なくなる目に遭っている。
死んで冷たくなっている。と、態度が冷たい。と引っ掛けてんだと思うヨ
七ノ刻で捕まったりラスボス戦で負けたりしたら
こうなるのだろうかw
萌えだなこりゃ
>>666 ハァハァしてる紗重に萌えた。
もしかしてその紗重には繭の変態要素が混じっているのかwww
前回(
>>642 )の続き行きます〜
『皆神村らんなうぇい 第二刻 桐生さん家 編』
前回の逃亡劇から数十分、澪と紗重は、繭の追撃を掻い潜り、なんとか渡り廊下まで逃げることに成功した。
この間、繭の見せた表情に澪が卒倒しかける、紗重が軽く泣きそうになる、雛壇の仕掛けを力づくで紗重が怨霊パゥワーこじ開けるなどの事柄があったが、今回はあえてスルーとする。
今頃、繭は何処かを彷徨っているハズだが、あの修羅の域までイッしまっている繭のこと グズグズしていれば、また鬼ごっこが再開するのは想像に難くない。
「とりあえず…今後のことなんだけど」
紗重は、腕を組みながら澪を見る。
「ちょ、ちょっ…と、待って…ハァハァ…紗重さん…」
ぜぇぜぇと呼吸を整えながら、澪が紗重の言葉を遮る。 数十分に及ぶ全力疾走フルマラソン、生身の乙女には堪える。
対して、紗重は怨霊ゆえに楽そうにふわふわ浮いている。心肺機能も関係ないし、こういうときに怨霊は強い。
…こういう時に怨霊だというのは、普通はすでに手遅れだとか突っ込んだら負けだ。
「大丈夫…?」
「ん、うん…なんとか」
肩で呼吸しながらも、顔をあげて笑顔を浮かべて見せる澪。
この異常事態を乗り越えた為か、この百合怨霊+ノンケド鈍チンのトンデモコンビに友情というか、信頼関係と一応呼んでも差し支えないモノは芽生えていた。
澪の笑顔に思わずつられて、微笑を浮かべる紗重。狂笑以外の笑顔をするなど、どれほどぶりだろう。
そんな感慨に少し耽っている紗重に
「紗重…さん…教えてください」
「なに?」
「どうして、姉さんはあんな風に? それに、どうして紗重さんは私を助けてくれるんですか?」
と、極めて根本的な、尚且つ、もっとも答えづらい質問をくれる澪である。
―…どうしようどうしよう、どう説明しよう。事実のまま教えて信じてくれるかな。この娘?
貴方のお姉さんは、とんでもないヤンデレ百合娘で、
私は貴方に死なれちゃうと、とっても困るし、私の姉さんによく似た貴方が、あんなことや、こんなことをされると思うとそれはそれで色々辛抱たまらないし…
とか、そういう説明で納得してくれるだろうか、やはりココは適当に事実をぼかしつつ的確な表現を…
いや、待って。そもそも『私の計画の途中で貴方のお姉さんがブチキレちゃった♪』とか言おうモノなら、この素直な娘のこと、世を儚んで、この渡り廊下から投身自殺しかねないわ…
こんな可愛い娘が首の折れた女になったら嫌過ぎる。 いや違う、論点はソコじゃないわ 私! …これじゃ、あの変態シスコンよ
などと、頭を抑えて苦悩している紗重をじーっと真っ直ぐな瞳で見ている澪。
―ああ、なんて子犬ちっくな瞳。今更ながら罪悪感… というか、汗で濡れたうなじが結構セクシーね。
色々今更感の溢れる罪悪感に苛まれる紗重、後、お前は何処を見ているのか
忘れられがちだが、今の紗重の格好いつも通りの血塗れの着物姿で渡り廊下の壁を背に頭を抱えて座り込んでいる、そんな紗重に子犬ちっくな視線を向ける澪。
恐ろしくカオスな光景だが、あえてツッコミは入れまい。
「ああ…え〜と、その…ね。じ、実は…」
「はい」
「……(言えないよぅ」
とりあえず、悶える紗重。良心の叱咤と、保身と、計画倒れも甚だしい計画をなんとか軌道修正出来ないかと3つの心が激しくぶつかり合う。
結局身動きの取れない、紗重。人、それをグズと呼ぶ。
「…分かりました」
そういうと紗重に背中を向ける澪
「え?あれ? あ、いや…」
「理由は、今はいいです。今は紗重さんが私を助けてくれるってだけで、十分ですから」
振り向いていい笑顔で笑いかけてくれる澪に、紗重は心底癒されたという。
―嗚呼、やっぱ八重はイイ…
…訂正、紗重は心底萌えていたという。
「それで…今後のこと…ですよね?」
「そうね、とりあえず、今は少しでも、あの女から離れることが重要だわ」
「…お姉ちゃん」
少し辛そうに顔を伏せる澪、なんのかんの言っても繭が大事な澪である。
「辛いかもしれないけど、今のあの女に会話なんて期待しちゃ…」
ズ ガ ガ ガ ガ …
紗重の言葉を遮るように
少し遠くから聞こえる建物の色んな場所の軋む音…そして
「みぃ〜おぉ〜何処〜…お姉ちゃんとイイコトしましょぉ〜…」
修羅の声。
「…時間切れね…行くわよ」
「はい…とりあえず、何処へ行きましょう?」
「場所なんて何処でも良いわ!」
澪の手を取って、再び走り出す紗重。
渡り廊下を渡り、長い廊下を越えて次の部屋に飛び込んだ瞬間
「!? 止まって!!」
「え、あ、はい」
紗重の鋭い声に、体をビクりとさせながら、急停止する澪。
…キリキリキリキリキリキリ
辺りに不気味に響き渡る無機質な音が耳に入り込んできた
「…忘れてたわ…ここは桐生の家だったもんね」
「この気配…この音は…」
やけに落ち着いている紗重。
そして、慌てふためいて辺りをキョロキョロ見回す澪。
部屋の闇の中から小さい二つの影が見えてくる
「どうしてころすの?」
「ドウシテコロスノ?」
「やっぱり貴方達ね、茜ちゃん、薊ちゃん」
茜、そして骸の薊の登場である。
澪は思わず腰が引ける。それもそのはず、未だ射影機は地下に放置されたままである。
つまり、今の澪の能力は一般人並み。その澪を守るように茜と薊の前に立ちはだかる紗重。
―これくらいは…やってあげないとね。
「悪いわね、茜ちゃん、薊ちゃん。今は構っている暇はないの どいてくれない?」
「どうしてころすの」
「ドウシテコロスノ」
「やっぱり…聞く耳…持ってくれないよね」
何処か、自嘲気味な笑顔を浮かべる紗重。
彼女たちがこうなってしまった原因は直接的ではないとはいえ、自分が原因なのだ。そんな顔の一つもしたくなる。
…キリキリキリキリキリキリ…
ゆっくりと茜と薊が動き出す…
その姿を見て紗重が大きく声をあげる
「…扉を開けて次の部屋へ逃げて!早く!」
その声に弾かれるように扉まで駆け出す澪。
ガコッ
「…あ、開かない…です」
澪は力任せに戸をあけようとすると、ガコガコと衝突音を鳴らすだけびくともしない
「やるしかない…か」
紗重が、諦めたようにため息を付く。
…キリキリキリッ
茜と薊が突然紗重の正面で停止する。無機質なカラクリの音も止んだ。
茜と薊がそのままの姿勢で、左右に分かれる。
そして、その奥からもう一つ影…
長い白髪と、人形を携えたその姿は…
「桐生…善達!」
ご存知、桐生家当主。娘さんと人形よりも弱い弱いと評判の彼である。
クワッと開眼すると、彼はいきなりこう叫んだ
「我が桐生家の技術力はァァァ 世界一ィィィィィィィッ !!!」
…あえて、一言。
時は、止まる
「は?」
紗重の間抜けた声が、たっぷり10秒後にようやく音として、世界に響いた。
よく見ると、桐生善達、JOJO立ちをキメている。もっとも、紗重はおろか、澪でさえ意味が分からないのだから寒いことこの上ない。
幽霊がJOJO立ちして、左右でカラクリ少女sがキリキリキリ言っている。
色んな意味で世も末な光景だ。
「フフフ、八重よ。貴様の手をかけている戸は、この桐生家のカラクリで絶対に動くことはない。諦めるが良い」
唖然として、戸を開けることすら失念していた澪に、このJOJO立ち幽霊はご満悦のご様子だ。
「そして、紗重………地獄から舞い戻ったぜ」
何処かのナチスのロボ軍人のような台詞を口走る桐生家当主、そりゃ根絶されもする。
「やれィィ、薊!! お前のニュゥゥボデェーの威力を見せてやるのだァァァァーッ!!」
「どうして」
「コロスノ」
善達の号令に、薊が右腕をぐいっと紗重に向ける。
―来る! 突き?突進?霊魂弾? どちらしても、ただの攻撃なら…
バシューッ!! ゴガッシャァァァ!!
そのどれでもなかった。
次の瞬間、薊の右腕が回転しながら射出され、紗重の頬をかすめて壁に直撃する
「!?!?」
「ちょ!? え!?今の…」
紗重も澪も驚愕に顔が凍りつく、そうこの世界の人間は多分この武器の名前を知らない。
ロボット三種の神器の一つと謳われる、例のアレ 所謂 ロケットパンチである
「う、嘘ぉ…」
壁に突き刺さる薊の右腕を見ながら愕然とする紗重。
「ブァカ者がァアアアア。桐生家の技術力は世界一イイイイ!!この程度ォォ、造作もないわァァァァアアッ!!」
トバしている、カッ飛ばしているよ善達さん。怨霊になった年齢も換算すれば推定1世紀はゆうに生きているだろうご老体がJOJO立ちキメて、シュトロハイムである。
薊も何処か満足げであるし、茜もなんだか「えっへん」とでも言いたげに胸を張っている。
楽しそうだし、仲良いなお前ら。
儀式が原因で見事なまでに家庭崩壊起こした家庭が、こうしたカタチで円満になっていると思うと色々ツッコミどころは満載だ。
草葉の陰で、本物の薊が泣いてる姿が見えそうだ。 ていうか、泣いてるだろうね、確実に現在進行形で。
―戸は開かない。薊ちゃんは良く分からないけど強くなってる。善達は会話なんて出来なさそうだし…
とりあえず、冷静に状況分析をしてみる紗重。
―面倒だけど、ココは善達をなんとか倒して開けるしか…
ドゴッ!!
そんなことを考えてると、後ろの戸から物凄い衝突音が鳴り響いた。
「きゃっ!?」
その音に驚いて澪が尻餅を付いた。
『今の声…聞こえたわよぉ…澪ぉぉ…そこね、そこに居るのね…』
戸の向こう側から地獄の底から響いてくるような繭の声。
―最悪ッ!?
最恐の存在は、すでにそこまで来ていたらしい。
前門の善達、後門の繭。 最悪の構図がここに完成した。
だが
ドガッ!ズガ!!ベキ!!
壮絶な破壊音がすれども、戸はビクともしない。
「無駄無駄、無駄なのだ。 戸の向こうに誰がおるかは知らんが、その戸は絶対に開きわせんわァッ!」
どうやら桐生の技術力は伊達ではないらしい。戸が幾度となく揺れるも、そのうち打撃音は止み。シーンと辺りを静寂包む。
「邪魔者は去ったようだな。さぁ、続きと行こう。薊!!」
「ドウシテコロスノ」
キリキリと無機質歯車音を立てて、薊が尻餅付いたままの澪のほうを向く、今度は左腕を翳した。 老朽化しているとはいえ、壁突き刺さる拳。生身の澪が受けてはひとたまりもない。
「させるかッ!!」
紗重が叫びながら、間に割ってはいる。 …よりも早く
「みぃおぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」
ズガッシャァァァァァァァァッ!!
繭が部屋に突っ込んできた。 …天井ブチ破って
スーパーイナ○マキックも真っ青な蹴りを放ちながら部屋に降ってきた繭。
全員その繭を見て唖然としている真っ最中。
「甘いわね、この程度の壁で私の澪への愛を阻んだつもり…?」
―アンタのは、狂愛だ。
脊髄反射で心でツッコミを忘れない紗重。口に出せないのはご愛嬌。
この繭の登場には驚いたようで、善達を筆頭に桐生家の皆さんは口をぽかーんと開けて、機能停止中である。
「う…うろたえるんじゃあないッ!桐生家の人間はうろたえないッ!」
我を一番最初に取り戻した善達が叫ぶ。
その昔心が病んでしまった茜の為に作った薊人形が、骸化したときに一番動揺し、早まった処理を行おうとしたため、娘に引導を渡されたことはどう説明する気だろうか
「薊ィッ!やるのだ!!」
その一声に応じて、薊はまだ射出されてない左腕を繭に向ける
「あら、やる気ぃ?」
その様子にウフフフと口元を妖しく歪める繭。そろそろ風格出てきたね、キミも。
バシュッ!! ガシィッ!!
放たれたロケットパンチを事も無げに右腕て掴んで受け止める繭。
「なっ!?」
「!?」
「ふふふ…返すわね♪」
そのまま拳を思い切り投げ返す繭。
ガツゥンッ!!
軽快な破壊音と共に薊の首がふっ飛んでいく。ゼンマイとかバネとか歯車とか色々撒き散らしつつ。 軽いトラウマになれそうな光景だ。
「…バタン、キュー…」
そんな言葉を口走りつつ、ゴロゴロ首が何処かへ転がっていく薊。胴体が慌てて首の回収に向かうが、視点が顔のせいか、まったく上手くいかない。
「…どうしてころすの…」
「あら、昔から言うでしょ?」
茜の言葉に、繭は嬉しそうにウィンクしながら言葉を続ける
「人の恋路を邪魔するヤツは…」
「スキありィッ!! エボニーデビルッ!!」
茜に気をとられている繭の背後から小型人形をけしかける善達。
ていうか、第三部か、第三部なんだな。 もっとも意味の分からない人には本当に意味不明だぞお爺ちゃん。
「馬に蹴られて…」
ゴシャ! グシャ!
人形を振り向くことなく、拳で叩き落す繭。そのままニコニコと笑顔のまま善達の方へ向き直る。
身に纏う殺気と黒いオーラはさながらラスボス。いや、まぁ、ラスボスなんだけど
「地獄へ、落ちろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」
「ニギャアアアアアアアアアアアアッ!?」
…具体的に何が行われたかという説明は、あえてするまい。
ただ、『綿のブチまけられた人形』という言葉が的確な表現だということを、知っておいて頂きたい。
「さぁ、澪!邪魔者は消えたわよ!」
ワクワクテカテカという具合の笑顔で澪の居た方向へ振り返る繭。
「…あら? 澪に紗重は…?」
「ニゲテッタ」
「…ぁぅぁぅ」
とりあえず、取れた首をなんとかして接着しようと悪戦苦闘している骸薊さんと茜が居るだけである。
「二人して、愛の逃避行続行ってわけね…ウフフフふふふフ…澪、紗重ェ…覚悟しなさい…捕まえたら、それこそ穴という穴を… …あ、澪の残り香♪ こっち方ね…!」
危険な単語を口走りつつ、スキップを踏みながら、繭もこの部屋を後にした。
一方、その頃 澪に紗重
二人とも地下道を絶賛全力疾走中
繭が、薊を破壊したときにロックが外れたので、繭が殺戮ショーに夢中になっている隙に逃げ出していた二人である
「お姉ちゃん…大丈夫かな?」
「殺したって、死なないわよ。あの女は!」
殺されても怨霊になって復活したお嬢さんが言うのだ。信頼性抜群のお墨付きである。
「いい?あの女に捕まったが最後。色々奪われるわよ?」
「色々って…なんですか?」
「い、色々は、色々よ!」
少し顔を赤くして、怒鳴る紗重。
具体的に言うと、唇、命、その他色んな意味の『初めて』が高確率で持っていかれます
「あの…紗重さん」
「何、また姉さんが心配だとかいうなら、聞かないわよ?」
「いえ…さっきは、その…ありがとうございます 守ろうとしてくれて…」
「…別に…いいわよ。そんなこと」
素気ない返答しつつも、割と満更ではない紗重。
実は先程から必死に隠しているが、澪をハグしたい衝動に駆られまくりの紗重である。
あれほど帰ってきてくれることを切望していた姉のそっくりさん。性格まで無闇にそっくりで挙句可愛いらしい素直な言動。
そろそろ紗重も理性にちょっと自信がない。 怨霊が理性に自信ってどういう状況かは、聞くな。 こういう状況だ。
―八重の手…柔らかくて暖かい…
実は繋いでる手が、密かに恋人繋ぎになってたりする。
それに一切気づかない、朴念仁の澪。伊達にあの姉と一つ屋根の下で暮らしていないらしい。
「あ!?」
「な、何!?私まだ何もしてないわよっ!?」
唐突にあげた澪の声に両手を上げて、何もしてません!とアピールする紗重。
というか、『まだ』って、なんだ?
「あれは…」
そんな紗重を意に介さず、一点を指差す。そこには
「…射影機」
澪の幽霊に対する唯一にして、絶対の対抗武器。
―さっきからキョロキョロしてると思えば、アレを探してたわけねぇ
「これがあれば、お姉ちゃんを助けられるっ」
―…無理だと思うわ。絶対。
思っても空気を読んで言わないあげるのが、紗重の優しさ。
―…でも、待って…あれはあれで『ありえない存在』だし…これなら効果あるかも…?
そんな僅かな期待を胸に、まじまじと射影機を見つめる紗重。
そんな射影機を、まるで宝物でも拾うように大事そうに拾いあげる澪。
しかし
ぽろっ
「あ」
取れた、射影機の真ん中の辺りから先の方が。ポロッと。
どうやら落っことしたときのぶつけ方がヒッジョーに拙かったらしい。
見事に真っ二つに仕上がった射影機が、そこに完成していた。
「…」
紗重としては、言葉も出ない。
「あう!?」
やっと、とんでもない状況だと理解した澪がなんとかパーツがくっ付かないかと手を加えるが、無情にもパーツはポロポロと取れていく
最終兵器無惨。
「……紗重さん」
泣きそうな声の澪。というか、半泣きの澪。
「…何?」
脱力しきった声の紗重。
「ここ、接着剤ないですか?」
「…無いと思うわ」
「……ですよ…ね」
膝から崩れ落ちる澪。分かりやすく言うと「orz」の状態である。
―そもそも、それは接着剤でどうこうって程度の話じゃないと思うわ
心の底のツッコミは誰相手であろうと忘れない紗重である。
「だ、大丈夫!なんとかなるわよ。きっと!!」
澪の肩に手を乗せて励ます紗重。
一応念のために、言っておくが、ぶっ壊した原因はお前だ。
「そう…ですよね。まだ…手がないって決まったわけじゃないですもんね…」
言葉では、そう言いつつも目尻の涙は隠せない澪。
「ほらほら、あんまり長く落ち込んでると、また追いつかれるわ!行くわよ?」
と、涙を軽く指で拭ってあげると、紗重は澪と手を繋いでまた走り出す。
「あ、はいっ」
―紗重さんって…やっぱり頼りになる人だ…
と、純心な瞳で見ている澪は、手の繋ぎ方がいつの間にかデフォルトで恋人繋ぎになっている事実に気がつけない。
―嗚呼〜 可愛い…やっぱり八重は可愛いよぅ…。
紗重が、ちょろっと鼻血が出そうになってるのも、やっぱり気づけない。
射影機が壊れ、繭は怒り狂い、紗重は澪にちょっと欲情気味。
本格的に詰み状態である、この鬼ごっこ。明日の来ないこの村で、澪と紗重の明日はどっちだっ
『続けっ』
683 :
673:2007/08/14(火) 01:15:33 ID:0HKsdMHr
すいません、やっちゃいました…
「我が桐生家の技術力はァァァ 世界一ィィィィィィィッ !!!」
の、一言を言わせたかっただけかもしれません…
JOJOをご存知ない方 誠に申し訳なひ。
今回も今回で無駄に長くてスイマセン
乙です。
なんというカオスw
だけど、いい壊れ具合w
善達のJOJO立ちも受けたが、
ロケットパンチと天井破り最高w
そして紗重が妙にかっこいいぞw
お疲れ〜
ぶっ壊れ繭もかっこいい…惚れそうだ
続き、JOJO立ちしながら待ってる
>>673のおかげで変態繭たんが描きたくなったんだが、何かいいシチュエーションはないものか
善達なら射影機直せそうだったんだが、惜しい人を亡くしたものだなあw
桐生善達は二度死ぬ、と
しかし、ここにいると変態繭がデフォに思えてくるから不思議だw
ラスボス戦の紗重は、きっと繭に乗っ取られてたんだろう。
バトル前、繭の姿の時に捕まると即死なのもこれで納得w
689 :
673:2007/08/14(火) 22:39:57 ID:0HKsdMHr
ボツネタがいくつか書き途中に出たのですが、とりあえずお茶請けに出しておきますね。
ロケットパンチ発射直後の場面から〜
「!?!?」
「ちょ!? え!?今の…」
紗重も澪も驚愕に顔が凍りついた。
ロボット三種の神器の一つと謳われる、例のアレ 所謂 ロケットパンチである
「これ…ロボだったの!?」
澪が驚きつつも叫ぶ。
うぃーん・・・きりきりきりきりきり
「ロボチガウ ロボチガウ ロボチガウ ロボチガウ ロボチガウ ロボチガウ…」
と、目を発光ダイオードのように輝かせて延々と呟く薊。
「ロボだ これぇぇぇぇ!?」
「ろぼちがう ろぼちがう ろぼちがう ろぼちがう…」
驚きの声を更に発する澪に対抗するように茜がろぼちがうと呟きはじめる
「…ゴメン、ロボって…何?」
一人話題について行けない怨霊。
「どうしよう紗重さん、ロボだよ!?」
驚いているというよりは、むしろワクワクしてる感じになってきた澪。
「次は何が出るのかな!?目からビームかな!? それとも…」
ワクワクしてる、確実にワクワクしている澪さん。
「…だから、ロボって何…?」
やっぱり付いて行けない紗重。
「ブァカ者がァアアアア。自爆兵器は漢の浪漫という言葉を知らんのかァァァァアアアアアア!?」
そんな紗重をほっぽらかして、超危険発言し始めるシュトロハイムなお爺ちゃん。
ていうか、自爆するんかい ソレ。
―嗚呼、誰か助けて…。
窓の外の外へ視線を投げて現実逃避に走ろうとする紗重
何故だか、星ひとつ見えない夜空には黒澤良寛が「HAHAHA」と笑いながらサムズアップしていたという。
はい、収集付かなくなって没になったとです。
お茶ゴチ
澪くらいはまともでないと、本当に収拾つかないねwww
でも、ロボ燃えな澪ワロス
白繭分も希望!
百合だと聞いて買ったんだが……
中身(((;゜д゜)))コワイ
そういうSS見て安心したよ……ありがとう。
夜空に浮かぶ黒澤パパ…
うむ、実にシュールだw
ボツにするには惜しいのう
エロパロスレなんだからエロがみたいわけで…
ハアハア出来ればそれで良いとは思わないか?
前戯も何もあったもんじゃないが…
夏の日の午後。 二つの裸体が絡み合う
パタパタとベッドシーツに落ちる汗の音…それさえも淫靡に聞こえ、更に二人を掻き立てた
『も…ダメ……我慢出来ない…』
一つの影が、苦悶とも恍惚とも取れるなんとも悩ましい表情で訴えてくる
『ねぇ…イってもいい?』
『………イイよ…。』
俺は遠慮なく、螢の中に自分の全てを解放した
アッー!!
ちょwww黒ビール吹いたw
そっちかよ!w
午後になにしてやがるw
ヽ(゚∀゚ )ノ 可愛くてエロイみっくんに萌え☆
そして呆れてる零華さんがさり気にいい隠し味w
>>701 テラ萌えた
ていうか深紅たんまさかシャワー中の怜さんをタシーr(ry
念写だろうね
一枚撮影するのに射影機が一台必要だが
>>701 俺の中で深紅は清純派なのだが
君のお陰でそう思えなくなったよwww
とにもかくにもGJです!!
>>706 深紅は清純だよ!
あの涙を見るんだっ!
っていうか、自分のそのあられもない姿を写真に写して、
そっと例の部屋に置いてくる深紅を想像して起った。
>>701 氏の深紅たんに対する異常なまでの愛を感じた(*´Д`)
ぜひ怜さんや零華さんも描いてくだせぇ
でも好きな割には深紅たんの髪型間違えてるような気がうわ何をするやm
風呂上りだからじゃね?
興奮し過ぎて乱れたんだろw
ってか、深紅たんおっぱいでかいなー。
ちなみに俺はみくと打つと変換できないので、
いつもしんくたんと打っているね。
シンクタン・・・ク?
でも正直刺青のパジャマはいただけない
うむ、深紅タンの趣向はイマイチ分からんな
ニーソ、和柄のバッグ、少女趣味(?)のパジャマ、荒縄
それには同意せざるを得ない…
ちょ、荒縄w
あ、キリエさんの影響か。
・・・。
え。深紅たん、パジャマのしたは荒縄?
お…襲ってます!!
深紅は爽受けでしょうか??
深紅にまったく萌えない(と言うか可愛いと思えない)俺がこんばんは。
怨霊を見てから射影機を作り始める。
そりゃ泥縄
「ほら!
あなたにとって!
大事な人ほど、すぐそばにいるの!」
「わあっすごい! お姉ちゃん、うまい!
かっこいい!」
(めっちゃ気持ち込めたんだけどな。
伝わんないか、やっぱし。)
「もう、惚れ直しちゃうよ!」
(ま、いっか。よろこんでるし。)
刺青の声で深紅たんの荒縄宙吊りプレイが見たくて
わざと攻撃食らいまくった俺だが
その時の敵の名前は思い出せないのだった
水面を穿ちたい
>>720
同じく (・ω・)ノシ
無印零のポリ綺麗じゃなかったからかな。
聲の方の深紅は美人になったと思うけど、顔色悪くて根暗そうな所がイマイチ苦手。
>>724 氷室きずなたん。
きずなたん可愛いよきずなたん。
でも変換しても漢字出ないよきずなたん。
>>728 ばっかやろぅ!
自分の存在自体に疑問を感じおどおどしている様が良いんじゃねぃかよ!
おどおどッ娘は好きじゃないんだからしょーがねぃ!
氷雨たんハァハァ
ノシ
深紅可愛いと思わんので、ここでマンセーされててずっと不思議に思ってた
澪の気の強そうな挑むような表情が一番好きだな
メイン女性キャラ全部に萌えれる俺は勝ち組
怜さんが一番好きです。
でも鏡華さんもかなり好きです。
俺はやっぱり深紅だな。
ファースト零のミニスカの後ろ姿にやられた。
怖いし、なんか薄ら寒い感じすらするのに、
なぜか深紅の白い太ももが気になって気になって。
当時は、
「この馬鹿女、なんつーそそる格好でこんなところいるんだ・・・。
廃屋の中で田舎のヤンキーどもが吹きだまってたら、ほのぼのレイ○は確実だろうに」
と思ってさらに想像を掻き立てられた。
>>735 屋敷の幽霊たちは視姦し放題だっただろうな。
儀式のムービーなんて特にヤバかったしな。
深紅タソのあまりの可愛らしさにびっくらこいた霧絵さんは
深紅タソを襲って縄で縛って緊縛プレ(ry
バイオみたいに(血は出なくていいから)深紅を襲う幽霊が
いてほしかったと思ってる俺
俺は当然澪たんです。
ムービーのちょっと挑発的な顔が好きだ。
常日頃おどおどしてる娘より勝ち気そうな娘が酷い目に遭う方が萌えるw
あと露出が少ないから脱がせ甲斐があるw
深紅も澪も繭も怜も
同じ位、同じ様に愛してます
選ぶ事なんて出来ませんわ
741 :
名無しさん@ピンキー:2007/08/25(土) 22:12:28 ID:4dhfhwI1
1時間レス無かったら澪タンは俺の嫁
おめでとう。
>>741ィ、後ろ〜〜っ!!
繭が斧を振りかぶってうわなにをするやmr
保守
絵師さん職人さん来てくれーorz
最近澪の様子がおかしいんです…
え?どうおかしいのか?ですか…
それは…
「お姉ちゃん!暑いよ〜」
「そうだね。汗が止まらないね〜って、澪!!何て格好してるのよ!!」
漫画のように目が飛び出るかと思いました。
だって私の部屋に入ってきた妹があろうことか下着姿なんですもの…
「大げさだよお姉ちゃん。どうせ女しか居ないんだから平気じゃん」
「いや…そういう問題じゃなくさ…」
っと言いながらも、目の前にある雪のように真っ白で、きめ細やかな肌に釘付けになってしまいます。
「ふぅ〜」
凝視されているにも関わらず全く気にする素振りも見せず澪はパタパタと手を仰いでいます。
「暑いし、お姉ちゃんも脱いじゃえば?気持ち良いよ〜」
「いや…遠慮しとくよ…」
慌てて目を逸らすと、私は机に向き直り夏休みの宿題の続きを再開します。
もうすぐ学校が始まるのにまだ大分残っているので大変なのです。
とはいえ、下着姿の澪の姿が脳裏に焼き付いてしまい全く集中できません。
背後の妹が気になって気になって仕方ありません。
「わっ!」
っといきなり後ろから抱き付かれました!
明らかに素肌の感触です。下着姿のままです。
「ね〜え…お姉ちゃん、暑いから一緒に水風呂にでも入ろ?」
「qあwせdrftgyふじこ!!!」
な、何てこと言いやがるんでしょう?この妹は!?
萌え死ぬ…
言ってる内容もですが、その猫なで声は反則です。卑怯です。
追加機能、「無」と「祭」を併用しるんじゃないかってくらい破滅的です。
ああ、私は何て良い妹を持ったんでしょう…
以前の私ならここで迷う事無く餌に飛びつき、めくるめく官能世界にダイブしt…
いやいや…
そう、近頃の妹はこんな感じでおかしいんです。
前まで幾ら誘っても素っ気無い態度しか返してこなかったのに、あからさまにおかしいんです。
これでは流石の私も理性を総動員させて変に勘ぐってしまいます。
取り敢えず真相を聞き出してみるとしましょう。
「ねぇ、澪。最近変だよ?何かあったの?」
私は耳元で熱っぽく吐息を吐いている妹に尋ねました。
「もう!そんな警戒しないでお姉ちゃんは素直に私の言うこと聞けば良いんだってば!」
「い、いや…そういうわけにも…」
「お姉ちゃんが最近全然襲ってこないから、何もネタが生まれないじゃないの!?
おかげでスレが止まっちゃってるのよ!!
今年の夏も新作出ないし、このままじゃ衰退あるのみ…
ここは一つ住人の皆様のために体を張ってネタを提供しなきゃ!!」
「やっぱ、そういうことかよ〜!!!」
澪&繭「っというわけでどうか職人様方お願いします!」
職人様支援カキコですた…
>>744 書きたいんですが今は時間が無くて無理なんです(ノД`)
>>747 乙です〜
短編ながらハァハァ(*´Д`)しますた
SSは携帯から投下しても大丈夫ですかね?
現在停滞中ですが…
SSなんて書くのはじめてだ…
たぶん文章すごく変です
『こおりとあめのおと』
ああ、打ちつけたい、穿ちたい。
わたし、鎮女こと水面は、終始頭がいっぱいなのだった。
だって、人を穿つ瞬間のあの感触は、どんな言葉で形容するのも難しいほど気持ちいいんだもの。
わたしは固い壁に杭を打ちつける作業があまりにもつまらなくて、
祭壇の部屋のど真ん中にごろりと寝転がった。
「はやく、巫女さまを穿ちたいなぁ…」
最近は、この屋敷にも訪問者が増えた。変な服を着て、四角い箱を手に彷徨いてる連中。
どいつもこいつも穿ってやったけど、たいして気持ちよくもなかったし、面白くもなかった。
やっぱり、本物の巫女さまを穿たないと気持ちよくないのかな…
「ちょっと水面っ!またお仕事サボって何してるのよ!」
急にヒステリックな声と共に、見知れた顔が現れた。
氷雨だ。
「なによ氷雨ぇ…急に大声出されたら驚くじゃない」
何故だか知らないけど、氷雨は『お役目』に関してはうるさい。
今日のわたしはそんな気分じゃないのに、ガミガミとお説教を垂れている。
ああ、うるさいなぁ…。もう誰でもいいから穿たせて―
そう思ったところで、わたしははっとした。そして、変に納得してしまった。
なんだ。相手ならいるじゃない
「だいたいあんたは鎮女としての自覚が―……水面?」
わたしは立ち上がり、目の前の少女を見つめた。
長くて綺麗に切りそろえられた髪、幼げだけど凛とした表情、高飛車で勝ち気な性格を表すツンとした眼差し。
同年代、しかも同性のわたしから見ても『かわいい』と思えるルックス。
いや、わたし自身気づいていないだけで、本当は『愛しい』と感じているのかも。
わたしの想いは、自然と口からこぼれ出た。
「…わたし……氷雨を穿ちたい」
「きゃあ!?」
わたしは氷雨を突き飛ばした。
突然の行動だったので、氷雨は何をする間もなく尻餅をついた。
「いったぁ……何するのよ水面っ!……って、ちょっと水面…!?」
わめく氷雨をよそに、持ち前の穿ちテクニックで彼女の装束を床に打ちつける。
「ちょっ…どういうつもり?外しなさいってば、水面!」
「伊達に鎮女をやってるわけじゃないもの。そう簡単には外れないよ」
わたしは氷雨の後ろにまわり、彼女に抱きつくようにして取り付く。
『穿ちたい』とは言ったものの、本気で彼女を穿つ気は毛頭ない。
彼女は巫女さまとは違うし、たびたびやってくる訪問者とも違う。
ちょっとしたイタズラのつもり。そう、これはただのイタズラなんだから。
「わたしだって、いざとなったらこんなことしちゃうんだから…」
「やっ…やだ……外して…離してってばぁ」
氷雨の吐息を、体温を間近に感じる…
そういえばわたしたちって幽霊なんだっけ?まあ、そんなことはどうでもいいか。
「駄目だよ氷雨……これはわたしたちの儀式なんだから、動いちゃ駄目」
わたしは氷雨の肩を掴んでいた右手で、ゆっくりと彼女の頬をさする。
次第に首から胸元へ伝い、氷のように堅くなった体を少しずつ溶かしていく。
「氷雨のからだ…冷たくって……気持ちい」
きゅっ、と彼女を抱きしめて、顔を覗き込む。
氷雨は眼にうっすらと涙を浮かべながら、こちらの様子をうかがうように見返してきた。
…あれ?氷雨ってこんなに可愛いかったっけ…
捨てられた子猫のような表情とは、まさにこういうことなのだろうか…
これまで見たことのない、氷雨の表情。
ふつふつと、わたしの中になにかが芽生えるのがわかった。
わたしはちょうど『ほんとうの巫女さま』を穿ったときと同じような、
言い知れぬ快感に酔いしれていた。
もっと、もっと氷雨をいじめてみたい…
ここまで書いて妄想がストップしてしまいました…orz
駄文スマソ
>>753 こらっっ
頑張って書きあげなさいっ
つか、書きあげてください…
ぶっちゃけ、ウガツンジャーの顔と名前が一致しない
困った眉毛の二つ縛りが雨音
長髪前髪パッツンが氷雨
ミナモと時雨は適当で
金髪ツインテールがアマネ?
冥土服の巨乳がヒサメ?
トップレスがシグレで履いてないのが、ミナモ?
「澪」
お姉ちゃんがいた。
地下へと続く狭い道を進み、花畑の如く立ち並ぶ燭台の空間から更に下へと
進んだ、その先に。
「私たち、一緒に生まれてきたけど…、やっぱり別々に生きて…、死んでいく…」
(お姉ちゃん…)
お姉ちゃんの声は、どこか虚ろだった。
私に、と言うより自分に言い聞かせているような。
「分かってたのに。……分かってたのに」
「お姉ちゃん…」
思わず、声をかける。
お姉ちゃんの方へ歩み寄る。
「ずっと、一緒だから」
今まで何度も口にした言葉を、今一度言う。
す、とお姉ちゃんは目を閉じる。
「――いつまでも一緒にはいられない」
否定。
酷く断定的な口調で。
お姉ちゃんの前まで来て、私は止まる。
「……でも、『これ』で一つになれる」
「…………」
儀式。
その言葉が頭をよぎる。
――シャンッ
いつから居たのか、周りの祭司達が一斉に錫杖を打ち鳴らす。
お姉ちゃんが、目を開ける。
私を、見る。
「さ…、始めよ…」
「えっと、……こう?」
「違う違う。ここはこうやって、……こう!」
「うーん、と……、こう?」
「そうそう! 上手いじゃない」
「じゃ、いくよ?」
「……うん」
「「フュー、ジョンッ、――ハッ!!」」
カッ!!
――『DB零〜紅い蝶〜』
既出かもとおもったが勢いで書いた
後悔はしていない
なるほど、たしかにそれならずっと一緒だなw
不覚にもワロタぜ
>>759 ワロスwww
これなら皆神村も安泰だな
ワロタwwww
だけど効果は30分しかないじゃないか…
ポタラの方が良かったかな?w
>>758 繭せつない・・とか思ってたらオチアホスWW
>>762 耳飾りのやつだっけ。確かにあれなら確実だW
澪繭「で、合体してみたら、誰よりも自分が好きになっちゃったんだけど、どうしよう?」(鏡を見ながら
紗重「…ただの変態にしか見えないからポタラ外しなさい」
合体したらしたで、大変だと思うんだぜ
ポタラ外したら外したらで
繭『ね、また付けてみない?もう一度だけでいいから自分に会いたいの』
澪『お姉ちゃんも?実は私もなんだ…』
もう一度だけとかいいつつ、毎日付けてるんだぜ
まお「なんか右のおっぱいだけおっきい気がするんだけど、これってどっちの?」
それ以前にポタラ外しても合体は解けんよ
フュージョン失敗でボンキュッボンになる!!
いや、むしろキュッキュッキュッだっ!
違うな
バンボボンだよ!!
幼女化してくれ
772 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/07(金) 09:25:42 ID:T1iTa+pn
深紅が怨霊に襲われるSS書いてるんだけど
ここにうpしていいかな?
774 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/07(金) 14:36:26 ID:vKyvDZXB
ギシ・・・
「!!」
床板の軋む音に深紅は振り返る。
だが、音のした方には誰も居ない。
暗く、湿った空気が満ちている部屋の中には、深紅一人しか居ない。
ギシ・・・
でも、居るのだ。
深紅以外に、この世の者でない何かが。
「怨霊・・・!」
軋む音はかなり近くから聞こえた。
深紅は周囲を確認するが、怨霊の姿は見えず、呻き声も出していない。
「どこにいるの?」
深紅は射影機を構えようと・・・。
バァンッッッ
「きゃあぁ!!」
構える寸前に、強い衝撃が深紅を襲った。
「ん・・・あ・・・」
壁で後頭部を強打したため、意識が朦朧とする。
カシャンッ カラカラ・・・
手から離れてしまった射影機と懐中電灯が音をたて転がっていく。
この暗闇の中では、どこに落ちたのか全く分らない。
「早く・・・拾わなきゃ」
やっと呼吸が整い、冷静に状況を分析できるようになった。
「・・・え?」
そして深紅は気がついた。
足が床についていないこと・・・つまり、自分が宙に浮いていることに。
775 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/07(金) 14:40:05 ID:vKyvDZXB
「動けない!どうして!?」
両手両足が打ちつけられたかのように、壁から離れず、ピクリとも動かせない
「怨霊の仕業・・・」
スゥ・・・
「ひっ!」
深紅の太ももに何かが触れた。
冷たく感じるが、人間の手の感触。
だが、深紅の視界の中に人間の姿はない。
怨霊が深紅の太ももを触っているのだ。
「あっ、いや・・・っ」
執拗に、感触を楽しんでいるかのように、太ももを満遍無く撫でまわしていく。
深紅は怨霊の為すがままに弄ばれていた。
ススゥ・・・
一通り感触を楽しんだ怨霊の手が、太ももから股の方に移動し始める。
「止めて・・・お願い・・・・・・」
涙ぐみながら懇願するも、怨霊の手は深紅の陰部へと近づいていく。
スゥ・・・・・・
「・・・え?」
スカートの中に達しようとした時、怨霊の手の感触が消えた。
もしかして、止めてくれた?
そう思い、深紅は安堵しようとした・・・その時であった
グイッ
突如、スカートが捲り上がりはじめる。
776 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/07(金) 14:43:11 ID:vKyvDZXB
「きゃあ!嫌っ、止めて!!」
深紅のミニスカートは僅かな時間で、完全に捲り上げられる。
白のショーツが露となった。
「いぁっ、んっ・・・!!」
怨霊の指が、割れ目をなぞるように動いている。
「あっ・・・あぁっ・・・!!」
我慢しようとしても、なぞられるたびに漏れ出す喘ぎ声。
そのいやらしい声に助長され、だんだんと愛撫に力が入ってくる。
「ひぐぅっ・・・!!」
一際強く、指が割れ目に押し込まれる。
怨霊の姿かたちは全く見えない。
そのため、ショーツに指の形のへこみが出来ているのが、深紅の目からも確認できた。
「んぁっ、はあぁっ!!」
指が割れ目の中に侵入し、かき回しだす。
不本意な快感が、深紅の呼吸を荒くさせていく。
「い・・・くぅ・・・・・・あ、ああああっ!!!」
恐怖と快感が、深紅の理性をかき消していく。
そして、今まで必死に我慢してきたものが吐き出され始めた。
777 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/07(金) 14:46:14 ID:vKyvDZXB
ピチャピチャピチャッ
深紅の真下から、水の零れ落ちる音がする。
「そんな・・・う、止まらなっ・・・」
膀胱から吐き出される液体が、ショーツを黄色く汚していき、足を伝って床へと流れていく。
なんとか堪えようとするが、液体の放出は止まらず、床の水溜りを大きくしていった。
ピチャピチャッ ポチャ・・・ ポチャ・・・
放出が終わり、尿特有の臭いが周囲に立ち込める。
ショーツの先からたれ落ちる滴の音が暗闇の中で響き渡る。
「うぐ・・・ひくっ・・・」
放尿で得た快楽と、それに比例した羞恥心との板挟みにあう。
その中で、深紅はただ泣くことしかできなかった。
グググ・・・
「ひぃっ!!な・・・!?」
突如、今までピクリとしか動かせなかった両足が持ち上がりだした。
「やっ、もう許してっ!!」
グググググ・・・
ひざが曲がり、両足が大きく開かれる。
深紅は空中でM字開脚をさせられていた。
「やだぁ・・・見ないで・・・・・・」
きっと怨霊は深紅の有られもない姿を、いやらしい目つきで観察している。
いや、まだ怨霊はたくさん居て、深紅が弄ばれていくのを楽しんで眺めているかもしれない。
778 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/07(金) 14:49:12 ID:vKyvDZXB
「いや・・・いやぁ・・・」
ジワ・・・
またショーツが濡れ始める。
だが、今度のは尿ではなかった。
ピチャ・・・
これまでの前戯、そして観られているという羞恥心からなのであろう。
深紅の陰部が潮吹きをしだした。
ピチャ ピチャ・・・
深紅の心情とは裏腹に、どんどん溢れ出す性液。
「なんで、こんな・・・」
クチュ・・・
「ひぁっ!!」
クチュクチュクチュ・・・
「ああんっ、はあぁぁぁっ」
怨霊が愛撫を再開する。
まるでほぐしているかのように、深紅の性器を握りこみ、揉み続ける。
「ああっ、ああっ、んあああぁ!!」
揉みほぐされれば揉みほぐされるほど、性液が股間全体を濡らしていく。
779 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/07(金) 14:51:55 ID:vKyvDZXB
クチュクチュ・・・・・・
しばらくして、怨霊が愛撫を止めた。
準備が終わった、ということなのだろう。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
だが、深紅は意識が朦朧としかけていて、次に何をされるかを考える余裕はなかった。
グイッ ギュゥゥゥゥッ
「いっっ、ああああぁぁぁぁぁ!!!」
ショーツが持ち上げられ、強い力で引っ張り上げられる。
ギュゥゥゥゥゥッ
「あああぁぁぁああっ、やめてええぇぇぇぇえ!!」
生地が食い込むほどに、痛みと快感が増大し、深紅の悲鳴に拍車がかかる。
ビッッ ビリリィッッッ
限界まで伸びきったショーツが破け散る。
「んあぁっ、はぁ・・・はぁ・・・・・・あ、そん・・・な・・・」
床に散らばった布切れを見て、深紅はやっと理解できた。
誰にも見せたことのない彼女の大切な部分が、怨霊達の眼前に晒されていることに・・・。
gj!!!!抜いた
久々に来てみたら…
これはgjそして、乙です。
GJ!!!!
続き期待してまってます
783 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/08(土) 08:47:48 ID:JqpqpP2k
「んんっ、うくっ!!」
せめて、足だけは閉じようともがく。
しかし、いくら力を入れて閉じようとしても、足は動かない。
グググッ
「ひぁ!!嫌ぁぁっ!!!」
閉じるどころか、さらに足を開かれてしまう。
「ひっ・・・、これからどうする気なの・・・」
虚空に向かって問いかける。
だが、それは愚問であることは深紅だって分っていた。
犯されるのだ。 深紅の処女地を。 死者達に。
「う・・・うう・・・・・・・」
深紅の心に、恐怖が沸々と湧き上がってくる。
これまでは、強い霊感により霊の姿を見ることができ、射影機を使って撃退することが出来た。
だが今はどうだろう。
怨霊の姿かたち、気配を感じ取ることすら出来ない。
射影機はどこにあるのかすら分らない。
さらに自分自身は、足を大きく開き、丸出しの股間を晒したまま動けないでいる。
もはや絶望という言葉しか思い浮かばない。
784 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/08(土) 08:52:02 ID:JqpqpP2k
グググッ
「ひゃっ!?」
今度は、ずっと固定されていた両腕が動き出す。
「なに!?今度は何なのよ!!」
両手は、下腹部へと動いていく。
「あっ、それ・・・そんな・・・」
そして、両手は陰部へとたどり着く。
クチャ・・・
「んっ」
クチュクチュ・・・
「ううんっ!」
自由のきかない深紅の細い指先が、陰部の中を蹂躙しだす。
蹂躙されるほどに、陰部で奏でられる音と、性液の感触と、生ぬるい快楽が伝わってくる。
「ひんっ、ううっ、ああぁっ!!」
怨霊に無理矢理陰部を触らせられている深紅。
だがそれは、はたから見れば自慰をしてるようにしか見えなかった。
ヽ(゚∀゚ )ノ いいぞ、いいぞ、やれやれ〜!
こうなっちまえば深紅もただのコムスメだな。
後の事は怜と螢に任せて、安心して『あっちの世界』に行ってらっしゃいw
ぅああぁあん、深紅たんが堕ちちゃうよぉ
あっちの世界w
うまいなw
続きマダー?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
789 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/09(日) 19:23:31 ID:roakXJYG
「いやっ、あうっ、やめぇっ!!」
クチュクチュ・・・
「やめてぇぇっ!!!」
クチュ・・・
深紅の手の動きが止まる。
「あ・・・」
一息つける、と思った。
ググッ
「ひあっ!?」
圧迫感が、陰部から伝わってくる。
そこを見ると、割れ目がどんどん広がってきていた。
「や、あ・・・あっ」
怨霊が・・・挿入・・・しているのだ。
「やあっ、らめっ!やめてぇーーー!!」
ズズズ・・・
挿入は止まることもなく、深紅の穴はさらに直径を増していく。
ズズズズッ
プツッ
「いっっ!!」
ブチンッ
「いああああああぁぁああぁぁぁぁ!!!」
深紅の、純粋である証が散った。
790 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/09(日) 19:26:17 ID:roakXJYG
大きく広がった陰部から鮮血が滴り落ちる。
ズブズブッ ズブズブッ
「ああぁあっ、うああぁぁぁあぁっ!!」
怨霊の見えない一物が、深紅の膣内を掻き乱していく。
抜いては入れ、また抜いては入れる。
何度も 何度も 何度も 何度も 何度も。
強く 激しく 奥深く。
パンッ パンッ パンッ
根元が深紅の筒周りにぶつかり、乾いた音を響かせる。
「あんっ、あんっっ、いあっ、ひあぁっ!!!」
行為が激しさを増すほどに、深紅の体はさらに大きく、上下に揺さぶられる。
「はっ・・・、あっ・・・、あっ・・・・・・」
意識がどんどん遠のいていく。
「あっ・・・、ふあっ・・・・・・」
プツッ プチンッ
ビリィィィッ ビリリッ
上着のボタンが弾け、スカートが引き裂かれ、ブラジャーが外される。
「あ・・・・・・あ・・・・・・・・・」
意識がなくなりかけている深紅には、もはや流れに身を任せることしかできない。
「ああ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
そして深紅の意識は、暗闇へと堕ちていった。
791 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/09(日) 19:29:28 ID:roakXJYG
「・・・・・・ん、んん・・・」
目が覚める。
どのくらい気を失っていたのか・・・。
「・・・・・・あ!!」
とっさに身構える。
もしかしたら、まだ怨霊達が・・・。
・・・・・・・・・・・・・・
何も起こらない。
よく考えたら、あの時と違い体が自由に動いていた。
「はあ・・・・・・」
よかった・・・。終わった・・・。
・・・・・・終わった・・・・・・?
「あっ、いやっ!!」
自分がほとんど全裸であることに気づく。
周囲には、衣服の残骸と深紅の体液が散らばっていた。
ジィィィィ・・・
「ひっ!?」
何かの動く音がした。
怯えながらも、音のする方を確認すると、そこには射影機が落ちていた。
「・・・なに、これ?」
射影機から、写真が出てきていた。
何かが写っている写真を、目を凝らしてよく見てみる。
「・・・えっ、そんな!なんで!?」
写っていたのは、数多くの怨霊と、羽交い絞めにされた深紅。
これは間違いなく、見えない怨霊に弄ばれていた時のものだった。
792 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/09(日) 19:32:25 ID:roakXJYG
ジィィィィ・・・
射影機からは、別の写真が何枚も出続けている。
スカートを捲り上げられている写真・・・
ショーツを引きちぎられている写真・・・
自慰をさせられている写真・・・
一物を挿入させられている写真・・・
「いや・・・こんな・・・」
射影機はさらに、深紅が気を失った後の写真も出し始めた。
怨霊が深紅の服を破り取っている写真・・・
乳房にしゃぶりついている写真・・・
深紅の股間に顔を埋めている写真・・・
深紅の手に一物を握らせている写真・・・
口の中に一物を突っ込んでいる写真・・・
前と後ろから、深紅の二つの穴に同時に挿入している写真・・・
「そんなっ、止まってよっ、こんなっ・・・」
だが射影機は、記録されているもの全てを現像したいのか、何枚も何枚も深紅の弄ばれる写真を出し続ける。
「いや・・・いやっ、いやぁーーーーーーーーーーー!!!」
深紅の悲痛の叫び声が、氷室邸に響き渡る。
最後まで 絶望
〜END〜
うぃやっふぉう!!!
女としては遂に止めを刺されたってところだなw
まさしくずっと怨霊のターン!
しかしまさか射影機に写っているとは思わなかったw
うまいオチだ。射影機GJ!
乙でした。
これはいいオチ!
この話は、無印の話だったのか。
つまり、現実w
良い仕事してるな>射影機www
もしこれが刺青の話だったら
絶望のあまり悪夢に捕われて煤になっていたかもな
深紅の抜けた穴は、祭を装備した螢が充分に埋めてくれるだろうw
GJ!!!!!!
深紅好きな俺としては萌えざるをえない!!
出来る事なら射影機になりたい…
射精機の間違いだろ
むしろ怨霊になりたい
写真取ったの実は兄貴とか
あるいは怜かも知れんぞ。
もっともその場合、なぜ写真をお持ち帰りしなかったのかという疑問が残るがw
そいや、こげたナスは何処へ行ってしまったのか
あの人の阿保過ぎる文面が好きだったのに
今更だが。
>>792 たった。
ちょっとちんちん弄ってくる。
805 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 02:03:51 ID:JuvEucHy
アゲついで
ルリ『にゃぁ〜ん』
深紅『あら?何か面白いものでも見つけてきたの?』
ルリ『にゃぁ〜ん』
深紅『コオロギ?バッタ?それともカマドウマ?』
ルリ『にゃぁ〜ん…フギャーッ』
深紅『あらあらまあまあ、芋虫ね?怜さんのお口に合うかしら』
二時間後
怜『やっ、深紅、この天麩羅すっごく美味しいっ』
深紅『初めて作ってみたんです。気に入ってくれて嬉しいです』
怜『これほんっとおいし。何の天麩羅なの?!!』
深紅&ルリ『にゃぁ〜ん』
酒入れて書いた
今は後悔しているかもしれない
黒いw
深紅は怜になにかされたのか?
ナニされた
深紅たんは実はサディスト
バっきゃろ〜う!!イモムシは栄養価が物凄く高いんダゼ!!勿論、怜のカラダのコトを考えてのチョイスだ(と思いたい)
新作でないかな…
ソフトのか?
零は完結
とか言ってたからねぇ・・・無理でない
Fatal Frame 3が出るだけで十分だと思うんだ……
確かに零は完結って言ってたよな…
ff3が売れたら続いたりしないかな
814 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/30(日) 12:13:52 ID:jiAu28dT
保守
紗重「久しぶりー」
繭「久しぶりー」
紗重「あ、そうそう、謝らなくちゃいけないことがあってさ」
澪「到着早々かよ」
紗重「あのね、こっちに遊びにくるついでに、せっかく来たからさ、
テクモいって、菊池Pに挨拶してきたのよ」
繭「へぇ…そっか、直接あったことなかったっけ」
澪「抜け目ないねー」
紗重「したらさ、零次回作の企画、動いてるんだって!」
澪「おお!」
繭「おー!」
紗重「もう私嬉しくって嬉しくって。で、良ければ私も出してくださいねー、なんていったりw」
澪「抜け目ないなーw」
繭「でも、うちら見たいに出るだけ出ても酷い役って事もあるし…」
紗重「まあ、酷くても出たいからねー…でもさ、菊池Pがどんどん後ずさってくのよ。
私が話してるってのに、逃げるみたいにさ。失礼じゃない?」
繭「うん、それは失礼だと思う」
澪「…オチ読めた気がする」
紗重「やけになっちゃって私、菊池Pの肩つかんで無理矢理握手してきたのー?
『よ・ろ・し・く・お・願・い・し・ま・す・ね☆(#´∀`)』みたいな感じで」
繭「ほー」
澪「私達じゃないんだからさ…」
紗重「そそ、あんた達との感覚で接しちゃってね…そういや普通は死ぬんだっけね。私触ると」
繭「あっ」
澪「この馬鹿…」
紗重「いやあ、びっくりびっくり」
繭「……」
澪「びっくりびっくりて…」
ポストマン「郵便でーす」
澪「あ! これ、テクモからだ…なになに、零次回作について」
繭「?」
紗重「どれどれ」
澪「GHMでwiiからになります、今後はテクモに近寄らず、GHMへどうぞ」
繭「これはひどい」
紗重「なんという身売り」
澪「誰のせいよ、誰の…」
繭「これは…私達もアメコミみたいなシェードかけられちゃうのかな」
紗重「えー、やだなあれー」
澪「多分、呼ばれないんじゃないかなあ…P殺してちゃあ…」
怜『零新作? え…テクモじゃないの??』
深紅『そうみたいですね…機種は…』
怜『シャラップ!!!! テクモじゃない…でもそんなの関係ねぇそry』
深紅『どど、どうしちゃったんですか?!!』
怜『ハイっおっぱっぴ〜〜』
深紅『………で、機種は』
怜『ウィイ〜』
深紅『怜さん、キモい』
澪「おねえちゃん、ごはんつぶ付いてる。」
繭「でもそんなの関係ねぇ。」
澪「おねえちゃん、パンツ見えてる。」
繭「かわいいでしょ、これ。」
澪「お姉ちゃん、それ、あたしの歯ブラシだよ!」
繭「しったことか!」
澪「お姉ちゃん、いたい、踏んでる! 踏んでる!」
繭「ごめん、わざと。」
繭「久しぶりのお出かけだね、澪。」
澪「お姉ちゃん、最近横暴だよ・・・。」
繭「でも、ベッドではかわいいでしょ?」
澪「いやいや、なにを言い出すのよ。」
繭「毎晩、あんなことやこんなことしておいて、ひどいよ、澪。」
澪「すとっぷ、すとっぷ! ここではそういう話やめよう!」
繭「あたしもう、お嫁にいけない・・・くすん」
澪「え、うそ、やだった? やだった? あたし、お姉ちゃんも楽しんでくれてるんだと・・・」
繭「・・・んべっ。」
澪「うそなきかよ! 小学生かよ!」
繭「やじゃないよ。いやなわけないじゃん。」
澪「え。」
繭「だからね、澪」
繭はぐっと体をテーブルの上に乗り出して、澪の耳元に口を寄せた。
繭「何かあたしに不満があったら、体に教えて欲しいな。」
澪の顔がぱっと紅く染まる。ただ、その後、ちょっと口を尖らせて応えた。
澪「えっち。馬鹿。覚えていてよね。今夜はすごいから。」
ぞくっ・・・。
月見バーガーをかじる繭の背筋を心地よい痺れが走った。
夜が待ち遠しくなった。
百合すぎて困る
>>817 コンビ名は『みなかみシスターズ』でつか? GJ bッ!
ただ自分としては
>澪「お姉ちゃん、それ、あたしの歯ブラシだよ!」
>繭「????今更何言ってるの??澪、物心ついた時からお姉ちゃんのハブラシは【天倉家】に存在しないよ??」
がヨカッタでつ(偉そうにカキコしてスマソ)
>>817 ギャグかと思って油断してたから不意打ちにでっかい萌をくらってしまった・・
ベットの上kwsk
>>819 実際ありえそうなのがすごいW
保守
保守するんならsageるなよw
824 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/18(木) 13:53:58 ID:ThoxNeyL
この過疎は異常。あげるぜ
WIIで新作とか言われてるけどほんとかね。
何かもうリモコンをテレビ画面に向けてパシャパシャ写真をとる姿が目に浮かぶな
バイオかこのやろう
我輩は猫である
名前はルリ
今日も変な二人組が遊びに来ている
遊びに来ているというか、餌をくれないご主人様と私に優しいご主人様がしゅざいりょこうとやらをして留守にしている時、こやつらに留守を頼むみたいだ
同じ顔をしていて見分けがつかない…
が、匂いで判る。 今、ソファに座ってる奴がいい奴だ
うむ、こいつの膝は暖かくて落ち着く…それなのに…
『み〜ぉ〜★』
そら来た
こいつは私の落ち着く場所を奪い取る
お返しにワンツーパンチをかましてやったら、頭(というか顔)をすっぽりくわえられた
仕方なく良い奴の膝を譲ってやったら、私と同じ様にべったりしてやがる
その膝返せ!! 私もぬくぬくしたいんだ!!…と
餌あげない主人てw
あぁ……猫って人間には見えない何かを見ている時ってあるよね……
そりゃ、ルリも繭に眼球をつ″ぺrっぺろっされたらカナワんよなw
痛い痛いw
めんたまーあって。
ふしぎぃ!
舐めてみたくなる〜。
ぺろーり・・・。ぺろり!
ちょおっと休んでぺろり!
痛い痛いw
つかお前、こげたナスか?!!
いや…そんなハズは…
836 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/30(火) 19:46:26 ID:lQcwOSA2
確かにこの意味不明ぶりがナスっぽいwwww
837 :
名無しさん@ピンキー:2007/11/03(土) 12:11:25 ID:xyoApdW4
保守
838 :
名無しさん@ピンキー:2007/11/06(火) 19:09:41 ID:GAGbHomk
hosyu
なぁ、x箱の零シリーズに信じられない値が付いてんだけど何で?
レアだから
箱の無印零買ったときは特価価格だったけどなぁ。
すまん
ひょっとすると俺のせいかもしれない
一時期、かなり欲しかった時期があってヤフオクで零シリーズを落とそうと
してたんだが落とそうとするたびに僅差で負けてた
それを続けていたらいつのまにか終値が始値になって倍々ゲームでひどく
高い値段になってた
もはや手が出ないレベルになったんであきらめたんだが今でも高値なのか……
お前のせいかw
よく行く中古ゲーム屋のサイトを覗いてたら二万越えしてて本気で不思議だったのさ
あやうく手持ちを放出しそうになった
それにしても転売を生業にしている人達ってアグレッシブだねぃ
何としても価格を上げたいらしい
蝶に二万円は厳しいね
無印の「パッケ」に一万円は……出せない事もない
攻略総合の方に買いだめしてあるとか言ってるのがいたぞ。
オクなんて転売屋の勝手な値段だからな。(現に売れてない)
845 :
842:2007/11/07(水) 22:03:11 ID:KQo9grz6
>>843 二万越えっ!?( ̄□ ̄;)
今じゃ、そんなになってたのか……
俺がやってた時は一万がせいぜいだったのに……
>>844 8000円までは売れてた
と言うか俺が最後に負けた値段がそれだった
ひょっとすると転売屋の仲間だったのかもしれんが……
俺の中の紅い蝶
階段を下りる繭。カメラ構える澪。何時もの図
パシャッ!
澪「いやっほぅ!お姉ちゃんのパンチラゲット!」
繭(ふふっ…見せてるのよ)
俺の中の紅い蝶
走り出す澪。おもむろに足を引きずる繭。何時もの図
ズリリッズリリッ
澪「ごめん…お姉ちゃん、足大丈夫…?」
繭(ふふっ…本当は痛くないのよ)
俺の中の紅い蝶
駆け寄る澪。「ずっと一緒」と抱きつく繭。何時もの図
ギュッ
澪「うん…ずっと一緒だから…」
繭(ふふっ…零石ラジオに録音したわ。本当は紗重は既に私の支配下にあるのよ)
俺の中の紅い蝶
繭、最後の告白:
いつも約束してたよね。ずっと一緒だって。
でも・・・。わかってたよ。
どんなに強く想ってても、私達は別々の人間で、
別々に生きて・・・、死んでいく。
だから・・・・・・。
いいよ。
して・・・。
私を。
犯して・・・。
心を
犯して・・・。
身体を
犯して・・・。
私の中に入ってきて。
犯して・・・。
犯して・・・。
とろとろに溶けて、
深く深く、絡み合って。
そうして、最後に・・・。
ね、澪。私とひとつになろ・・・?
このスレも容量オーバーで終わるのか、1000まで行って終わるのか…
それともry
新作出ないし潮時なのか…
851 :
名無しさん@ピンキー:2007/11/13(火) 05:25:30 ID:9kwQrq2S
今のテンションだと1000までいっても次は立たないんだろうなぁ。
……どれ、最後のたむけに何か書くか。
>>851 誰かが立てそうな気がするけどねw
SS待ってるよ
そいやそろそろクリスマスだなぁ
…
まだまだか
ん、まぁ投下されなくても俺が立てると思うw
突発的に書きたくなるかもしれんから
あと何となく雑談用?
4月16日 晴れ
大学時代の先輩から依頼されていた仕事が終わった。
四国地方の民俗学には精通しておらず、調査は難航すると思ったが、
螢の助力もあり、3ヶ月という短期間で片付ける事が出来た。
明日は怜が、ささやかながらお祝いをしてくれるらしい。楽しみだ。
4月17日 晴れ
怜が昨日のお祝いにと、苦手ながらも頑張って手料理を作ってくれた。
最近は仕事の関係上、外食が多かったので、とても嬉しかった。
食事中、ふと怜の手を見ると指先が黒ずんでいた。
一瞬、痣かと思い聞いてみたが、仕事中にインクが付いただけらしい。
「最近、とても仕事が忙しくなった」と嘆いていた。
彼女の仕事が終わったら、今度は僕が料理を作ってやろう。
5月2日 晴れ
怜の助手をしている雛咲深紅さんが、今日から住み込みで働く事になった。
最近、僕も仕事が忙しく、怜には寂しい思いをさせてしまっている。
彼女の同居は、きっと良い方向に働くだろう。
「よろしくお願いします」と差し出された彼女の指先は、やはり黒ずんでいた。
彼女を見ていると、失踪した真冬の事を思い出す。
色々と手を尽くしてはいるが、見つかる気配は一向にない。
本当に神隠しにあってしまったのだろうか。
5月20日 曇り
リビングでテレビを見ていると、深紅さんから妙な質問をされた。
「戦国時代には、戦場で信頼できる者同士が女性以上の絆を求め合った
ケースがあるが、現在の男性にもそういった感情はあるのか」というものだった。
否定すると、彼女はどこか寂しげな表情で自室に戻って行った。
僕は質問の解釈を間違えたのだろうか。
5月21日
深紅が『大奥の世界はどうなのか。夜の友にされない者同士、傷を舐めあったりするのか』とかきいてきた
正直、訳が解らなかった
だが、『その時代は色んな意味で寛容ではないのでは?』と返答してみた
やっぱり寂しそうな表情をして部屋に引っ込んだ
何をどうしたいのだろう深紅は…
6月15日 晴れ
夜、風呂から上がると歯を磨いていた怜が、鏡越しに僕の体をチラチラ見ていた。
「夜の営み」の合図だと悟り、疲れていたが久しぶりに体を求めた。
だが、彼女は僕の股間や尻をいじるのには異様な積極性を見せるも、
挿入してからは、何かに考えを巡らせているのか上の空だった。
彼女の手は所々、僕の陰茎よりも黒ずんでいた。
6月18日 雨
最近、夕食が終わると怜は、深紅さんと一緒に自室に篭ってしまう。
写真の選定が忙しいらしく、昨日も朝方まで作業を行っていた様だ。
以前は僕に手伝いを頼んでくる事もあったが、深紅さんが来てからは、それもなくなった。
少し寂しいが、深紅さんは僕よりセンスも良いし、それだけ信頼が置けるという事か。
7月6日 雨
相変わらず、怜たちは夕食が終わると自室に篭ってしまう。
最初は写真の選定が長引いてるのかと思ったが、どうもそうではない様だ。
部屋の前を通ると時折、クスクスと笑い声が聞こえてくるのだ。
仕事に厳格な怜が、談笑しながら作業するとは考えにくい。
仕事と言えば、彼女の手の黒ずみも気にかかる。
インクが付着したと言っていたが、写真の選定とインクでは接点がなさすぎる。
仮にレポート等を添える作業があったとしても、壊れた万年筆でも使わない限り、
あそこまで手がインクで汚れる様な事にはならないだろう。
あれは本当にインクなのだろうか。
彼女たちは、何か隠し事をしている様な気がする。
それとも、僕の考えすぎだろうか…。
7月8日 曇り
どうやら、僕の予感は的中してしまった様だ。
彼女たちの会話内容を知るため、気付かれないようドアの前で聞き耳を立てたのだ。
正直、気が引けたが、今思えば聞かなかった方が良かった。
「ふふ…こんなに濡れてきた」 「そんなに力を込めないで…もっとやさしく…」
「もっと…もっと激しく擦り付けて…」 「ああ…あ…締まる…堕ちる…」
僕はどうしたら良いのだろう。
怜を問いただすのも、このまま黙ってるのも恐ろしい…。
(続く)
GJ!!
シリアスな感じでいいね
これ優雨の立場だったら怖すぎるなw
普通に謀殺されそうw
久々の投下真に乙であります!
しまった…続いてたのに
横槍刺しちゃった…
なにはとめあれGJです!!
そしてゴメン
なぁ…
優が事故死した原因って…
行き過ぎた好奇心は身を滅ぼす
ねーいりゃさーよーはーたーてー……
約一年前に書いた「雨音スクウェア」の続きです
普段はサイトで書いているもので、話の繋がりなどアレな感じですが
クリスマスに向けてスレに活気が戻ればとの願いを込めつつ、投下させてください
はじめは不満に思っていたことでも、しばらく我慢を続けていれば次第に慣れてくるもので、夕食
を済ませた後、ビールを一本か二本空け、我が物顔でリビングを占領している居候たちの話し声を聞
くともなく、子守唄の代わりにしてソファで軽く横になる、そんな生活パターンに、私はすっかり馴
染みつつあった。
どこどこのランチが美味しいだとか、なんとかというブランドのコートが可愛いだとか、現役女子
高生である澪ちゃんたちがするような話をしていたかと思えば、一転、日本経済の先行きの不透明さ
論じてみたりと、話題が尽きないところがすごい。
ところが、この日は少し様子が違った。
眠りの深度と共に曖昧になってゆく雑音が突然、消えたのだ。
私が眠りに落ちてしまったわけではなく、本来、そこにあるべきはずの音が不自然に途切れたこと
によって、私は無意識的に浅いまどろみの淵から呼び起こされることになった。
電池でも切れたか? と、身を起こして目をやると、それまでぎゃーぎゃーと騒いでいたはずの居
候たちは皆、声の出し方を忘れたかのように押し黙っていて、水面はごくりと唾を飲み、雨音はどこ
か張り詰めた表情、時雨は唇を軽く噛んで険しい顔、氷雨だけは興味なさげに頬杖をついているが、
その視線は他の三人と同じように、壁に掛けた時計の方に固定されていた。
「怜さん、しーっ!」
まだ一言も喋っていないのに、私が目を覚ましたのに気付いた時雨が、唇に人差し指を当てて沈黙
を要求してきた。
「あんたたちが時間を気にするなんて珍しいこともあるわね。何が始まるの?」
訊ねてみるも、答えは返ってこなかった。時雨は私を無視すると、向き直って再び時計の方に顔を
戻してしまう。
霊という存在ゆえか、時間に対しては比較的ルーズな四人が、ここまで時計を気にするというのも
珍しいことで、いつもとは違う、どこか不自然な雰囲気がリビングに漂っていた。水面の頭に乗せら
れたルリもそれを敏感に感じ取ったようで、伏せていた顔を持ち上げて、辺りをきょろきょろと見回
している。
(まさか、成仏の時が近いとか――)
いつになく真剣な面持ちの四人に、ふと、そんな予感が走った。
四人の真似をするように時計に目を向けてみると、時刻は23時59分、秒針は30秒を少し過ぎ
た辺りで、もうすぐ日付が変わろうかという頃だった。
(ああ……なんだ)
しばらく考えた後、私はなるほどと納得した。
今朝、深紅が急に大掃除を始めたのも、夕食が妙に手抜きチックな蕎麦だったのも、今、キッチン
でおせちらしきものを作っているのも、今日が12月31日、大晦日だと分かれば説明がつく。新年
がもうすぐそこまでやってきているのだ。
四人が成仏するなんてつまらないことを考えてしまったのは、きっと寝起きの頭のせいだろう。
深紅と二人「今年もいろいろあったわね」などと一年を振り返る余裕はすでになく、秒針は一定の
リズムで時を刻んでゆき、やがて、56秒、57秒、58秒――その時がやってきた。
「とうっ!」
秒針が真上を指した瞬間のことだった。
それまでの静寂を打ち破るような力強い声と共に、ソファに座っていた時雨がぴょんと高く跳躍し
た。時雨はそのまま数秒ほど滞空した後、ドンと大きな音を立てて着地し、
「ねえ、見た? 私、地球にいなかった! 年が変わる瞬間、地球にいなかった!」
新年早々、自身のウザさを周囲に再アピールした。
「子供じゃあるまいし。お正月くらい、静かに迎えられないの?」
そう言って今年一発目の溜め息を漏らしたのは、ヒーターの前に座り込んで温風を独占している氷
雨だった。文明の利器・石油ファンヒーターの温もりを知ってしまった彼女は、よほどのことがない
限りそこから動こうとしない。
「氷雨ちゃんはわかってないねー」
時雨がちっちっと指を振って、氷雨の隣にどすんと腰を下ろす。
「年越しジャンプは日本古来から伝わる伝統行事だよ。一年の変わり目という貴重な瞬間を空中で過
ごすことで去年一年分の穢れを落として、着地と同時に新たな自分に生まれ変わる儀式なの。それだ
けじゃないよ。こうやって一度、地上から離れてみることで、私たちは生きてるんじゃなくて、生か
されてるんだってことを再認識してるの。太古の昔から自然との共存をはかってきた日本人の精神性っ
ていうのかな。大切にしていきたいよね」
「どうせ適当に喋ってるんでしょ」
苦々しげな表情を隠そうともせず、氷雨は蝿でも払うように手を振った。
「深紅さーん、あけおめ!」
謹んで新春のお慶びを申し上げている霊たちの姿に、彼女たちには喪という概念がないのだろうか
と、至極どうでもいいことを考えながら、私は足元に置いていたハンドバッグを指先で引き寄せた。
「お?」
その動きをめざとく見ていた水面が、何かを期待をするような目をしてこちらにやってきた。
「なんだ? おとしだまでもくれるのか?」
「そう言われるとあげたくなくなるんだけど……」
その厚かましさに呆れながらも、私は四人を呼び寄せ、水面が推測した通りのものをそれぞれに差
し出した。
「あけましておめでとう、無駄遣いしちゃだめよ」
「……いいの?」
一人前に遠慮をするのは、困惑の表情を浮かべた氷雨だ。
「こういうのは素直に受け取るものよ。今年もよろしくね」
「う、うん……じゃあお言葉に甘えて。ありがと」
戸惑いながらも受け取ると、氷雨は唇の両端をわずかに持ち上げた。笑顔のつもりらしい。
何やら感慨深い気持ちにさせられる。生意気と生意気を足して生意気で割ったような氷雨がここま
で変わるとは、半年前、彼女がこの家で暮らし始めた頃には想像できなかったことだったからだ。こ
れならもうしばらく家に置いてやってもいいかと、つい私らしくもないことを考えてしまう。
「ありがとーございまーす!」「あざーす!」
一方、馬鹿と馬鹿を足して馬鹿を掛けたような時雨と水面はまったく変わっておらず、叶うなら今
すぐにでもこの家から追い出してやりたいところだ。
強いて言うなら、水面が私に向けていた謎の敵意が消えたことが唯一の変化だろうか。さっそくポ
チ袋の中身を確認しては「すくねー!」などと嘆いている水面は、あの頃に比べるとすっかり丸くなっ
たように見える。
「あの、怜さん……」
最後にやってきたのは、今日は普段に輪を掛けておとなしい雨音だった。
「えっと、昨年中は……いろいろご迷惑をおかけしました」
妙に含みのある言い方をするのは、先日のクリスマスの一件のことを気にしているせいだろう。
あれは12月24日――いや、明けて25日のことだった。
その日の朝、私がホテルで目を覚ましたとき、すでに螢は部屋におらず、代わりに「先に帰る」と
の書き置きだけが残されていた。私はベッドで気絶していた雨音の母親・鏡華を追い払い、ひどく惨
めな気持ちに押し潰されそうになりながら、部屋中に散らばった髪の毛を一人で片付けた。
その間、螢が何をしていたかというと、あろうことか彼は雨音と二人でドライブに出掛けていたと
いう。以前から約束していたという二人の初デートは、しかし、わずか三十分足らずで終わってしまっ
た。雨に濡れ、冷えた体のまま出掛けた雨音が途中で熱を出したのだ。
私が家に戻ってくると、螢は雨音をソファに寝かせ、付きっ切りの看病をしているところだった。
汗を拭い、額に乗せたタオルを交換し――と今まで見たことのないような必死さで雨音の世話をし
ている螢を見ているうちに、言葉では言い表せない、何かもやもやとした感情が沸いてきて、私はす
ぐさま彼を追い出した。以後、連絡も取っていない。
当然、熱が下がり次第、雨音にもきついお灸を据えてやろうと考えていたのだが、うわごとで繰り
返し螢の名を呼ぶ彼女を見ていると、何故だかその気も失せてきてしまい、結局、天倉家に泊まって
いた深紅たちが帰ってくるまでの間、私が雨音の看病をするはめになったのだった(万葉丸を飲ませ
ると一瞬で回復した)。
「本当に螢とは何もなかったんでしょうね?」
じっとりとした視線と共に訊ねると、雨音はこくりと頷いた。
「はい、まだ……何もしてないです」
わざわざ「まだ」を付けて言うところに、雨音の諦めの悪さが感じ取れる。母親のDNAをしっか
りと受け継いでいるようだ
「もう終わったことだからうるさくは言わないけどね。熱が出たくらいで済んだから良かったけれど、
肺炎にでもなったら大変でしょう、あんたまだ子供なんだから、あまり無茶しちゃだめよ」
「はい……以後、気をつけます」
反省しているのかいないのか、雨音は感情のこもっていない声と共に頭を下げ、仲間たちの輪へと
戻っていった。
(まったく……)
螢を巡り、鏡華だけならまだしも、娘の雨音まで参戦してくるとは。私の知らないところで螢との
約束を取り付けていた雨音は、ああ見えて積極的なところがあるらしい。今や時雨や水面に並ぶ問題
児。この半年間で一番変化があったのは雨音なのかもしれない。
やがて四人は、邪魔だとばかりにテーブルを部屋の隅に寄せ、磨いたばかりのフローリングに札を
撒き散らして、かるた遊びに興じ始めた。
「くぜのおみやに ゆきはふりつつー」
「ふるさとさむく かべうがつなりー」
聞いたことのない句ばかりだ。一般的に知られている百人一首とは少し違うらしい。
疲れが溜まっているのだろうか、読み手の氷雨は相変わらずヒーターの前に陣取ったまま、細い目
をさらに細くして眠たそうにしているが、時雨は水面と二人、手に持った羽子板で羽根突きをしなが
ら札を取り、雨音はも書き初めの準備でもしているのか、墨を擦りながら札を取りと、それぞれ生き
急ぐように正月を満喫している。
そんな彼女たちの邪魔をしないようにと気を遣いながらキッチンへ入ると、そこでは深紅が重箱に
おせちを詰めているところだった。食料品の買出しから大掃除、そしておせち作りに至るまで、黒澤
家のお母さんこと深紅の辞書に正月休みの文字はない。
私はポケットに忍ばせていた五枚目のポチ袋を取り出して、こっそりと深紅に差し出した。
「もうそんな年齢じゃないですから」
予想通り深紅は断ってきたが、私は何も言わず、彼女のエプロンにそれを押し込んだ。
そもそも、氷雨たちにお年玉をあげるようにと提案してきたのは深紅だった。その中には深紅から
の出資分も含まれている。子供たちにお年玉を与える気など毛ほどもなかった私としては、せめてプ
ラマイゼロにしておかないと面子が立たなかった。
「これ、深紅が作ったの?」
なおも断り続ける深紅の声を遮るために、私はおせちに目を向けながら分かりきったことを訊ねた。
深紅はふっと諦めの溜め息をついてから説明してくれた。
「ええ、氷雨ちゃんと雨音ちゃんも手伝ってくれました。それから、この昆布巻きは雨音ちゃんが持っ
てきてくれたんです。雨音ちゃんのお母さんから預かってきたみたいで、お裾分けだそうです」
「鏡華が……? 毒でも入ってるんじゃないでしょうね」
私は箸で昆布巻きを摘み上げ、疑いの眼差しで観察した。
「まさか、毒なんて……そんなことするような人じゃないですよ」
「深紅は知らないのね。そんなことするようなやつなの、あの女は」
と言いつつも、寝起きで小腹の空いていた私は舌の根も乾かぬうちに昆布巻きを口の中へと運んだ。
「……ふーん、まあまあね。深紅には負けるけど」
味付けが少し薄い気もするが、悪くはない。毒も入っていないようだ。
「それにしても……なんだか負けた気分だわ」
どうして私の周りには料理上手ばかりが集まるのだろう。深紅といい、静さんといい、ライバルで
あるところの鏡華、雨音といい……。私はといえば、先日、氷雨たちのためにと腕によりをかけて作っ
た肉じゃがが見向きもされず、その後、帰宅した深紅には目の前でゴミ箱に突っ込まれ「怜さんは料
理を冒涜してます」とまで言われ、すっかり自信をなくしている状態だ。
「そうそう、このお魚は水面ちゃんが釣ってきてくれたんですよ」
ヘコむ私を見て、深紅は話題を逸らすように、重箱の隣にある白い大皿を指差した。そこにはダラ
イアスに出てきそうな不気味な色形をした魚の煮付けが盛り付けられていた。
「釣ってきたって、どこで……」
「はたて」
カウンターの向こうから、釣り人・水面がにょんと頭を出して答えた。
涯。久世の宮の地下に広がる、あの重油を垂れ流したようなドス黒い海のことだ。そこで釣ってき
たというこの魚は、深紅の手によって一応、料理として昇華されているようだが、それでもグロテス
クな面影が存分に残っていて、とても食べる気にはなれない。
「大丈夫なの……? 汚染とか……」
口に入れた瞬間、ねいりゃさよするのではないかと、食の安全性を指摘する私に、
「れいのつくったにくじゃがよりはましだろ」
水面はそう言い残して、またにょんと頭を引っ込めた。
「おせちもいいけどロックもね!」
怒りに震える私をよそに、リビングの時雨が、べべん、とベースの弦を叩いていた。
今年一本目のビールを片手にリビングへ戻ってきた私は、遊び終わった札を片付けている氷雨たち
に声をかけた。
「家には帰らなくていいの? 明日、早いんでしょ?」
久世の宮はああ見えて一応、神社であるらしい。明日は朝から忙しくなるだろうからと「帰れ」の
意味をやんわり込めた声で言うと、久世の宮の跡取り娘、雨音が意外な答えを返してきた。
「私たち、三が日はお休みなんです。どうせ参拝客も来ないですし、家の人たちもみんな、暮羽神社
にお参りに行くみたいで……」
雨音の瞳には深い悲しみの色が湛えられていた。
「暮羽神社って、皆神村の?」
いつだったか澪ちゃんが話していたのを覚えている。社の奥から村の外へと続く道に出ることがで
きるとかで「あの時は本当にお姉ちゃんを置いて村を出ようと思いました」と、当時の心境を語る天
倉澪さん(16)の目は結構マジだった。
「ふうん。神社業界も大変なのね。でも、夜ももう遅いんだから、帰るか寝るかしなさい」
母親のような厳格さをもって二階を指差すと、突然、水面と時雨が反抗期を迎えた。
「ばかいってんじゃねーぞ! しょうがつだぞ、ねてられっか!」
「怜さん、それ本気で言ってるんですか? まだ初詣にも行ってないのに!」
羽根突き、百人一首ときて、次は初詣に行きたいらしい。
「今から行く気なの……?」
「初詣なんて朝になってからでもいいでしょ。非常識にもほどがあるよ」
こういう時、良識派の雨音と氷雨は頼りになる。二人の声に乗るように、私も反対意見を表明した。
「あんたと水面はサボってばかりだから分からないでしょうけどね、氷雨も雨音も深紅もみんな疲れ
てるの。明日ちゃんと連れて行ってあげるから、今日はもう帰りなさい」
しかし、この程度の説教で諦めるような時雨ではなかった。
「はー、氷雨ちゃんも雨音ちゃんも怜さんも、まったくわかってないですねー。そんな寝ぼけたこと
言ってたら御利益がなくなっちゃいますよ。そもそも初詣の歴史を紐解いてみるとですね――」
再び講釈モードに入る時雨。何がそこまで彼女を突き動かしているのだろう。
「あはは……私なら大丈夫ですから、少しだけ行ってみましょうか」
見かねた深紅が、濡れた手をエプロンで拭いながら言った。
「さすが深紅さん、わかってますね! 急いては事を仕損じます、さっそく出掛けましょう!」
ことわざの使い方を完全に間違えている時雨の頭を押さえつけながら、私は深紅に言った。
「深紅、甘やかしちゃだめよ。時雨のためにならないでしょ」
「そうそう、怜の言う通り。時雨も少しは我慢ってもんを覚えた方がいいよ」
氷雨は初詣うんぬんよりも、この寒空の下、外に出るのが嫌なだけのように見える。
「だって、お正月にお休みなんて、鎮女になってから初めてのことだもん。私、どうしても初詣に行
きたいんです。お願い、怜さん!」
時雨がおててのしわとしわを合わせながら頼み込んできた。しかし、私は首を横に振って答える。
「……わかりました。それなら、私と水面ちゃんだけで行ってきます。怜さんたちは家でお留守番し
ててください。……私たちが悪い人たちに誘拐されても知りませんからね!」
捨て台詞を吐くと、時雨は「水面ちゃん、行こ!」と、リビングを出て行こうとした。水面は夜更
かしこそしたいものの、初詣に対してはあまり乗り気ではなかったようで「めんどくせー」とぼやき、
頭上のルリをそっと床に下ろしてから時雨の後を追っていった。
「怜さん……私、時雨ちゃんたちについていきますね。やっぱり心配ですし……」
そう言って、深紅はエプロンを外し、ソファの背に掛けていたコートを羽織った。
時雨が言うところの「悪い人たち」に襲われたとしても、時雨と水面だけなら刺青木なりなんなり
で対処できるだろうが、深紅の場合はそうはいかない。時雨のように、新年だからといって浮かれて
いる連中もいるだろう。
「もう! まったく、仕方ないわね……」
年の頭から変な事件に巻き込まれても困る。保護者としての義務は果たさなくてはいけない。
「ほら、あんたたちも準備して。さっと行ってさっと帰るわよ」
二人だけ家に残しておいても仕方がないので、氷雨と雨音も巻き添えにする。二人を急かすように
ヒーターのスイッチを切ると、氷雨は一瞬、絶望的な顔で私を見上げた後、諦めたように立ち上がり、
自室へと上着を取りに行った。
「寒い……行きたくない……」
外に出た途端、ニット帽を深く被り、マフラーを首に巻き、モコモコの白いダウンジャケットを着
て巨大化した氷雨が震え始めた。
無理もない。天気予報によれば、今日は暖冬の続く近頃にしては珍しく、最低気温が0度を下回る、
氷雨でなくとも無駄な外出は控えたい冬日だそうで、厚いコートの上からでも、突き刺すような寒さ
を感じてしまう。
深紅が洗ってくれたのだろう、ガレージの車は静かに月光を反射している。運転席には深紅が座り、
助手席には私が、後部座席には氷雨、時雨、雨音の三人が座り、不運にもジャンケンで負けた水面は
「しんねんそーそーついてねー」
と嘆きながらトランクに入っていった。
「可及的速やかに参りましょー」
時雨が腕を振り上げて発進を促した。
彼女は「初詣の参拝者数日本一」という理由だけで明治神宮へ乗り込むことを強く希望していたが、
そこまで足を伸ばす気力は私たちにはなく、多数決の末、家からそう遠くない場所にある中堅の神社
へ向かうことになった。
それでも、この辺りには時雨と似た思考回路を持つ人間が多いようで、ハンドルを握ると性格が変
わる深紅をイラつかせる程度の人出があり、手頃な駐車場もなかなか見つからない。
「混んでますね……」
深紅の運転は荒くなっていくばかりで、ようやくコインパーキングに空きを見つけて車を停めたと
きには、トランクの中の水面はすでにグロッキー状態になっていたが、やはり万葉丸を飲ませてみる
と一瞬で回復した。
いつもなら街灯だけが寂しく灯るこの通りも、今日ばかりは商店のシャッターも下りておらず、真
夜中であることを忘れそうな光景だ。緩やかな石畳の坂を上っていくうちに体も温まってくる。
「うお、すげー!」
階段を上って境内に入ると、道を挟むように並んだ出店の照明や、木々の枝に通されたライトが煌
々と灯り、そこそこの賑わいを見せていた。
「久世の宮もこれくらい人が来てくれたら……」
「無理でしょ」
久世家の再興を願う雨音に、氷雨が現実を突きつけた。
「あんな山奥、立地条件が悪過ぎるよ。それにあんたも知ってるでしょ、久世の宮が幽霊屋敷呼ばわ
りされてることくらい。ねえ、怜? それでうちの写真、撮りにきたんだもんね」
私が幽霊屋敷の名に惹かれて取材に行ったことが、氷雨にはお見通しのようだった。
「……否定はしないけどね。おかげでひどい目に遭ったわ。本当、興味本位で足を踏み入れちゃいけ
ない世界よね」
螢が今でもぴんぴんしているのは何かの間違いとしか思えないが、古くは柏木秋人、宗方良蔵、そ
れから深紅のお兄さん・真冬さん、そして、優雨。民俗学に関わる者が早死にする法則は、危うく私
や深紅にまで適用されるところだった。
拝殿前の集団に混じり、しばらく待っていると順番が回ってきた。それぞれ思い思いの額を賽銭箱
に放って、手を叩く。この年齢になってまで神頼みするようなことが私にはなかったので、適当に世
界平和などを願って早々に切り上げ、他の参拝客の邪魔にならないように、そこから離れて皆を待つ
ことにした。
「………………」
不機嫌そうに鼻をすすりながら手を合わせている氷雨は、時雨や水面がもう少しおとなしくなるよ
うにとか、早く冬が終わって暖かくなって欲しいとか、そういったことを願っているのだろう。
きゅっと堅く目を閉じた雨音の願いは、合わせた手の力の入り具合から見て、螢絡みのことだと推
測できる。鏡華と雨音が螢から離れますように、と願っておくのを忘れていた。
水面はどうやら賽銭箱を狙っているらしく、境内と拝殿を仕切るロープを乗り越えようとして深紅
に制されていた。
時雨は意外にも、仏みたいに穏やかな顔で、静かに何かを願っている。参拝を終えた面々が列を離
れてこちらにやってきても、彼女だけはじっとそこに留まり、ようやく顔を上げたのは数分ほど経っ
てのことだった。
「へへ、お待たせしました!」
「おせーよ、ばか」
あれだけ初詣に行きたいとごねていた時雨だ。願い事が山のようにあったのだろう。
それから私たちは自由行動をとることにした。
深紅と雨音はおみくじを引きに、水面と氷雨は出店の方へ、私は時雨がふらふらと何か誘われるよ
うに歩き出したので、仕方なくそれを追うことにする。
時雨が向かった先は社務所の隣にある開けた場所で、そこではすでに家でしこたま呑んで来ている
と思われる酔っ払いたちを相手に、お神酒を振舞っている巫女さんの姿があった。お行儀よく列に加
わった時雨の隣に私も並ぶ。
「駄目でしょう、あんた未成年なんだから……」
「大丈夫です。こう見えても私、明治生まれですから」
明治生まれという言葉が嘘でないところが彼女たちの面倒なところだ。氷雨も雨音も水面も千歳ちゃ
んも、見た目が見た目なのでつい忘れがちだが、私や深紅よりずっとずっと年上なのだ。
やがて順番が回ってくると、案の定、巫女さんは子供丸出しの時雨を見てためらっていたが、時雨
の「こう見えても明治生まれです」理論が炸裂し、無事に紙コップ入りのお神酒を入手できた。
待ち合わせの場所にはまだ誰も戻ってきていなかった。目印にした太い樹の幹に背を預けるように
して、時雨と二人、ちびりと紙コップの中身をすする。横目で時雨を眺めながら、近頃ビールの減り
がやけに早いのは時雨が勝手に飲んでるせいだろう、と推理していると、
「怜さん、今日は私のわがままを聞いてくれてありがとうございました」
時雨が急に改まった調子で言うので、私は吹き出しそうになった。
「そう思うなら少しは回りに合わせなさいよ。ずいぶん真剣に祈ってたけど、何か欲しいものでもあ
るの? この神社、あんまりご利益ないことで有名なのよ」
すると、酒が入ったせいか、頬をほんのり赤く染めた時雨は答えた。
「いえ、そういうのはないんですけど。氷雨ちゃんたち、怜さんたち、螢さんたちと、これからもみ
んなで仲良く過ごせたらなーって、いろいろお願いしてたら長くなっちゃいました」
「なんだか時雨らしからぬお願い事ね」
それは氷雨たちの願いでも、深紅の願いでも、螢や澪ちゃんたちの願いでもあるだろうし、面と向
かって言うのは恥ずかしいが、私の願いでもある。
「私たち、まだ子供のうちに死んじゃったでしょう? あの頃も十分楽しかったけど、生きてたらま
だまだたくさん楽しいことがあったんだろうなって。多分、その後悔が大きすぎて、霊なんかになっ
ちゃったんだと思うんです。今はこうして元気に暮らせてますけど、またいつ同じようなことが起こ
るかわからないでしょう? だから、今度は後悔のないように生きようと思って。嬉しいことも悲し
いことも全部、楽しめるうちに楽しんでおきたいんです。いつまで私たちがこっちに留まっていられ
るかもわからないですから、できることはできるうちにやっておきたいんです」
時雨たちが家に入り浸るようになって、それまで辛い出来事が続きすぎていた反動か、こうして皆
と一緒にいられる生活が当たり前のように思えていた私だったが、この平和な日々も、ひょんなこと
から崩れ去ってしまう日が来るのかもしれない。
時雨は誰よりも自分たちの今とこれからのことを考えている。久世の宮の呪いに囚われ、生と死の
淵を彷徨い、他の誰より生きていることの有難さを感じていなければいけない私よりも、ずっと真面
目に、真剣に。
普段、そんな素振りを微塵も見せない時雨は、今の今まで私が思っていたような、ただのバカでは
ないのかもしれない。
「それでですね、怜さん。ひとつお願いがあるんですけど」
「なあに?」
時雨の新たな一面を目にして、子供の成長を実感する母親のように、ほんわかとした暖かい気持ち
になっていた私は、どんな頼みでも聞いてやるつもりで時雨の言葉を待った。
「私、初日の出を見に行きたいんです。ここまで来たんですから、この勢いに乗ってお正月のイベン
トは全部こなしちゃいましょう。文献を紐解いてみますと、そもそも初日の出というものはですね」
満面の笑みで講釈を垂れ始める時雨。さすがに「いい加減にしてくれ」と思った。
おしまい
グッジョブ!!
相変わらず読みやすく、時折ニヤリとさせられますな
俺もこういうのを書いてみたいぜっ
書けないけど…
876 :
名無しさん@ピンキー:2007/11/17(土) 04:42:36 ID:+4ozH+sU
グッジョブ!
うおおおっ、時雨が・・・時雨がかわいいっ!
読んでる途中は氷雨の動向に心惹かれてたけど最後の最後で時雨がかわいいと思った
じゃあ氷雨は俺が貰っていきますね。
879 :
名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 11:50:06 ID:Hn1bS15M
・・・くっ、遅かったか!
ならオレは千歳ちゃんと・・・ルリをさらって逝くか!
厨二病澪
澪「貴様には・・・貴様には負ける訳にはいかないのだ!私は!私はこんなところで倒れはせぬ!!」
紗重「にゃにゃにゃ?体はお化けで出来ている〜」
澪「怒りの右ストレートという名のォォォォォォ!ジャスティスゥゥゥォォォォォォァァァアアアッ!!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・キュウィゥゥ〜ン!ドゥオガォァァァアアアッ―ァァァォォォォォォアアアッ―――ンッッ!!
紗重「グビュンヌゲボァグドゥンジュガハァァァァアアアッ!!」
ベチャッ
澪「貴様程度では役不足だ。出直して来い。姉は返して貰うぜ、お嬢ちゃん。
繭とはCoCo壱番屋行く約束とCLEVER SLEAZOIDを一緒に歌う約束を前世からしてるのでね」
THE END
厨二病あねさおば@方言
繭「ぐぁ・・・なんだここは・・・!落ち着け・・・落ち着けよ、右腕・・・っ!!」
ビキビキ・・・ゴォォォォォォ・・・!
澪「おのれぇ!前世からの因縁か!!繭こと苦しませるのならこんげな村など消えてしまえ!ヌゥォォォォォォァァァアアアッ!!」
ビュゥゥン!ブシュァッ!!ギギギィィイィイィイイイィィィインッッッッ!!
チュゥゥォォオオンッ!ズドグァァァァァァァァァァアアアアアアォォォォォォンッッ!!!!
澪「大丈夫か、繭!?」
繭「っ・・・あぁ、おここかな・・・へっ、俺とした事がこの程度の事で格好わーれぜ」
澪「気にするな。はよ行こうぜ。多分ババア達が待ってるらろうしな」
繭「あぁ、そうだな。心配してるかもしれねれしな」
元ネタが判らんorz
883 :
名無しさん@ピンキー:2007/11/20(火) 21:44:49 ID:pbj5CPC8
オレも一個しか分からぬorz
・・・しかも猫。
元ネタ俺もわからんw厨二病姉妹というより漢前兄弟にみえるwW
7月15日 雨
怜に何も聞けないまま、1週間が過ぎてしまった。
彼女たちの「作業」が終わる気配はなく、僕は夕食後のリビングに取り残される。
ソファーで寝転び、雨音を聞きながらぼんやり天井を眺めていると、
「あの会話は聞き間違いではないか」…そんな都合のいい事ばかり考えてしまう。
実際、その可能性はゼロではないが、今の僕に再びそれを確かめる勇気はない。
築き上げたものが崩れ去るのは、一瞬あれば事足りるのだから。
7月17日 晴れ
今日から数日間、高知に滞在する。
以前調べた四国の民間伝承に地元の取材を加え、研究の整合性をより高めるためだ。
取材は初日から順調。このペースで行けば3〜4日で終わるだろう。
仕事に没頭すれば、彼女たちを忘れる事が出来るかも知れない。
例えそれが、一時の逃げに過ぎないと分かっていても。
7月18日 晴れ
高知取材2日目。
新たな仮説に対し、作家という観点から意見を求めるため、螢に連絡を入れる。
電話での短時間のやりとりにも関わらず、有用なアドバイスを与えてくれた。
細かい資料が見たいと言うので、1週間後に会う約束をした。
螢と久しぶりに会えるのは勿論だが、彼女たちの事を相談出来るのが何より嬉しい。
螢ならきっと力になってくれる。
(7/25 20:00〜 居酒屋『月子』予約)
7月19日 晴れ
高知取材、最終日。
予定より早く仕事が終わり、明日帰ると怜に連絡を入れた。
お祝いに、週末食事に行こうと提案してくれたが、螢との約束があるため断った。
残念そうな彼女に、仕事の話だからと「嘘ならぬ嘘」を付く僕。
写真の選定は順調かとの質問に、当分終わりそうにないと答える怜。
こんな関係こそ、早く終わらせなければ。
7月20日 雨
高知と違い、こちらでは連日の雨続きで、夜はまだ肌寒い。
家では怜と深紅さんが、豪華な夕食と共に僕の帰りを待っており、土産話をせがんだ。
だが、僕が自室に戻ってしばらくすると、やはり彼女たちは部屋に篭った様だ。
「邪魔者」が居なかったこの3日間、彼女たちは気兼ねなく「作業に」勤しめただろう。
そう考えると、取材中は忘れていた「あの感情が」甦り、体が震える。
僕が抱いているのは恐怖?嫉妬?
今は、それすらも分からない…。
7月21日 雨
螢に仕事が入り、週末会えなくなった。
僕の外出中、彼からの電話に出た深紅さんの話では、「後日また連絡する」との事。
おそらく、いつもの様に連絡が来るのは数週間先になるだろう。
この1ヶ月、部屋で何をしているのか聞き続けて来たが、答えは仕事の一点張りだ。
会話を再び確かめようにも、雨音のせいで内容は聞き取れず、親友に相談も出来ない。
限界だ。これ以上、こんな生活は続けられない。
覚悟を決めよう。明日、部屋に踏み込もう。
7月21日 晴れ
意を決して踏み込んだ部屋で行われていたのは、写真の選定ではなかった。
だが、僕が懸念していた様な行為でもない……ただの「漫画製作」だった。
深紅さんが、子供の頃に見ていたテレビ番組「縄っ娘!キリちゃん」を元にした
漫画(同人誌というらしい)の製作活動を趣味としており、
それに興味を持った怜が、文字通り「作業」を手伝わせてもらっていたのだ。
仕事と嘘を付いたのは、偏見視される事が少なくない自分の趣味を、
あまり知られたくないと考えている深紅さんへの配慮だった。
「こんなに(ベタが)塗れてきた」「もっと(ペン入れは)やさしく」
「激しく(トーンを)擦り付けて」「(印刷所が)閉まる、(原稿が)落ちる」
インクで黒ずんだ指を原稿に向け、「このページ、私が描いたんだよ」と
無邪気に笑う怜を前に、「2人が愛し合ってると思った」などと言えるはずもない。
「嘘を付いてごめんなさい」と涙を浮かべながら必死にあやまる深紅さんを見て、
僕は部屋に踏み込んだ事を激しく後悔した。
今思えば、彼女たちを信じて、もう少し様子を見るべきだったのかも知れない。
本当に愛し合ってるなら、写真の撮影を理由に外出した方が、よほど合理的だ。
ここ1ヶ月の自分が、酷く滑稽に見えて仕方がないが、
最悪の事態は免れ、全ての不安は取り除かれたのだ。これで良しとしよう。
今夜からは、ぐっすり眠れそうだ…。
(続く)
最後の日付を間違えました…orz
性格には7月22日です。
おぉぅ
日本語って難しいネー
主語が抜けるだけでエロ小説ヨー!!
こういうのって、日常的でエロくて妄想しやすくて好きだ
続き待ってるぜっ
(続く)って…w
これはまだまだ期待できそうだぜ!
@蔵
「説明は良いからそこから出てよ」
そうゆうと、長々と何ぞこと語っていた多分わってよりかは年上かなぁ〜という白髪の少年はおここ、どうしょば笑顔こと浮かべたて。
「出られねれんがの、八重」
なるほど。そう言えばこの蔵、入口鍵しまってたわね。
何だかなぁ・・・へーれ。ややこしいよね、この村ってさ。
「仕方ないなぁ・・・。ちーとばかし下がっててね」
「え?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・
わっては久しぶりに解放する力にゾクゾクと背中こと快楽が突き抜けるのこと感じたて。
「邪気眼・・・発動ォォォォォォ!破ァァァァァァアアアアアアッッッ――――――!!!」
ゴゴゴゴ・・・キャウゥゥ〜ンピュゥグォオンドゥルルラァアンヌォァイァァァアアァァァアアアォォォォォォン・・・ドゥグォォォォォォォンッッ!!!!
よし、何とか壁こと吹き飛ばせたて。少年は若干固まっていたて。
それはそうよね。わって、邪気眼の使い手のしょ間だもの。
「さぁ、一緒にあねさこと探しに行きましょう」
「ちっとばか見ない間に随分と強くなったね、八重・・・」
苦笑こと浮かべ、少年はゆーたて。
「えへへ♪」
こうしてわっては立花一樹君とあねさこと探すのね。
続く・・・のか?
あげ
@黒澤家・・・の前
「もうやめてくれァァァアアアッ―――!!」
「離して!この奥にお姉ちゃんが消えたのよ!見たでしょ!?私が、私がどれくらいお姉ちゃんを好きか知らないでしょ!?」
「鍵一緒に探すからッ!これ以上村を破壊しないでくれッッ!!」
私と樹月君はとにかく言い争っていた。邪気眼を使って姉が向こうへ消えた門を破壊するしないでの口論だ。
「・・・仕方ないなぁ・・・」
私は必死に頼み込んでくる樹月くんに根負けした。
そして冷静さを欠き、理性を殺してしまった自分にやれやれと呟いた。
ふとその時―――どくんっ―――射影機の探知機(?)が赤く光った。
「っ!?」
振り向くと三人の村人が迫っていた。明らかな殺気を伴って。
「逃げ道がないね」
樹月くんが苦々しく呟く。確かにその通り、だけどSKN(そんなの関係ねぇ)!!
「私はァ・・・お姉ちゃんにLove!Love!!Loveなのォォォォォォッッッ!!だから強行突破ァァァアアアッッッ!!!!」
私は射影機に邪気眼の力を込めた。
「破ァァァァァァアアアアアアッッッ!!!!」
強大で強大な力を放った射影機は破壊の波動を纏った。
ゴァグォブゥォドゥオォォォォァァァォォォォォングウォォォォォァァァォォォァォォォォォッ!!
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!
よし、37564コンボ決めた。
「片付けた事だし、さぁて、鍵探しに行こうか」
「うん!」
・・・・・・続く、のか解らない。
il ー )ヽ)、'´,'´__,ィ,
, -‐゙ ´ "ニ、
, '/ ヽ_`,
i、、_! ン´
ヽ、゙ , , 、 、 、 ヽ
,', - /, ' i ,' ヽ ヾヾ、、`i 'l
、_彡' ' ,'i,'_l、ヾ l、l_l」i, , ミー
_ン ゝ、ilrlモi=、 lr'iモiゥ,イ,イン、´ 乙だぜ
'´,ゝi ー‐' `ヽー‐'l',ィ'、`
, -‐ ´/i,iヽ __ ,イlヽ、` ‐- 、
,<´ /l ' 'l i` 、'/゙`/!l ' lヽ `ヽ,、
/ ヽ /l ヽ "`´ / l、ヽ / ヽ、
/ ヽ /l ヽ / l 、 / l
| , ' ヽ / l /|\ヾ '/ィ'`iヽ、 l 、, / 、 l
/ 、 ヽ l` '、´ | i i`V´i l | _ >' i / , i ヽ
|, l l l > | l l ゚// | \ ヽl l l ヽ
/ 、ヽ l,l/ , '´ | l´゙"7 | \ ヽl l ヽ
/ ー- ヽヽ、l/ \ | ├┤ | / ヽ l,__‐-- `、
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 ̄ , '´ `ヽ ヽ, ィ'-'l l`ー-、/ , '´ ̄ヽ `ー――‐'  ̄
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`ー ニニ-‐'´ ヽ 、`二ニ-'
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と ノ *゚ *゚ ・ 。ヽ、 つ
と、ノ ・゚ ・゚ +゚ * ヽ、 ⊃
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