零 紅い蝶の繭&澪&千歳でハァハァ 弐

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821名無しさん@ピンキー:04/06/23 07:27 ID:DECk/Jo8
あらま、学生さんでしたか
大事な時なんだったら無理しないでください

でも週末を楽しみにしてたり
822名無しさん@ピンキー:04/06/23 09:09 ID:Up2peDQN
>>820
もちろん続きは楽しみですが、資格試験終わってからで結構ですよ。
就職は一生モノですから、そちらに集中なさった方がよいのではないでしょうか。

X-BOX版の零〜紅い蝶、いつ出るんだろうね。EDも増えるらしいし、楽しみだな。
(セットで本体買うこと確定済みw)
823名無しさん@ピンキー:04/06/23 23:41 ID:5Xt+D0Xq
>>818栞かよ
824名無しさん@ピンキー:04/06/24 00:32 ID:JmwricD7
>>818
美墨さんかよ
825名無しさん@ピンキー:04/06/25 23:33 ID:yw3kq+Qi
826避けられぬ運命7:04/06/27 00:51 ID:wXjJH7me
ぴちゃぴちゃ、くちゅっ
静まりかえった縄殿に、清純な巫女の淫蜜を舐め取る音が
響き渡っていた。一切の男を知らぬ体とは思えぬ程とめどなく
蜜は流れ、くすみの無い秘所はしとどに濡れていた。そんな羞恥に
気付かず、霧絵は喘いでいた。先程の陰核への刺激で思考が吹っ飛び
当主の秘所への愛撫がもたらす快感が、さらに意識を遠のけていた。
心ここにあらず。それに気付いた当主が卑猥な問いを口にし、意識を
揺さぶる。
「お前は本当に淫らだ。座敷牢で現世への執着を絶とうとしていた頃の
穢れのない巫女の面影はどこにも見当たらない…尤も、今の状態がお前
の本当の姿なのかもしれないがな。気持ちいいのだろう?」
そう言うと再び、陰唇に舌をはわせた。濃厚な蜜がまた流れ出す。
「そ、そんな事は決して…ああっ!」
はっと我に返り、当主の言を必死に否定しようとするが言い様の無い
快感に、返事すら最後まで言えなくなっている事に霧絵は恐怖すら
覚えた。
827避けられぬ運命8:04/06/27 01:16 ID:wXjJH7me
否、それは自分の心の奥を、自分すらしらぬ感じやすさを
いとも簡単に見すかす当主への恐怖だったのかもしれない。
「これ以上舐められ続けたら、本当におかしくなってしまう―」
霧絵は喘ぎながら必死に懇願した。
「と、当主様、もう、ここを…舐めるのは、ああっ!!じ、十分です。
もう辞めて下さいっ、ん、あふう…」
当主は軽く頷いた。自分の要求が聞き入れられた…安心しきった刹那、
痛痒い刺激が体中を走った。それは舌から繰り出される快感とは全く
異なる、荒々しい快感だった。全身の力を振り絞って、上体を起こして
みると、初々しい割れ目の中に、縄があてがわれ、上下へとこすりつけ
られていた。
「ああっ、ひゃあん!う、ふう…!!」
縄は秘所全体、殊に陰核を容赦なく刺激していく。これでもかと言う程
秘所を濡れそぼらせ、それでもなお潤んだ瞳で止めてくれと懇願する様は、どのような男にも十分なほどサディスティックな気持ちを起こさせる程、扇情的だった。霧絵の無垢で淫らな秘所をまじまじと見つめ、
当主は無慈悲な言葉を言い放った。
「これでもまだ濡らし足りぬ…、神官達よ、そなたたちの出番だ。」
刹那、哀れな生贄に、無数の手が襲って来た。それは、儀式の本番が
近付いたことを告げるものである事を、霧絵は未だ知らなかった。
828避けられぬ運命9:04/06/27 01:47 ID:wXjJH7me
「やああっ!」
神官達の繰り出す淫らな刺激が、霧絵の秘所を更に
湿らせる。そして溢れ出た蜜を当主が舐め取り、当主の
指が陰核を刺激し、また新たな蜜を溢れさせる。ある者は
乳首を指で弾き、ある者はもう一方の胸に舌を這わせ、また
他の者はへそを舐め、もう一人の者が唇を指で責める―
それはまるで、飢えた獣が獲物に群がっている様だった。
霧絵はもう抵抗する事も出来ないでいた。精神はどうしようも
無いくらいに痛めつけられているのに、絶え間なく繰り出される
愛撫に体は嬉しそうに反応し続け、秘所の奥がじゅくじゅくと何かを
求め、疼き始めたのを感じ取っていた。
幾程の時間が流れただろうか、霧絵はようやく解放された。
瑞々しい白い肌を自らの淫蜜とだ液にまみれさせ、はあはあと喘いで
いる霧絵は、此の上なく淫らで美しかった。
しかし、当主は束の間の休息を得たかの様に呼吸を整えている
哀れな巫女の四肢に無慈悲に式縄を掛ける。
その際、霧絵は四つん這いにされ、縄を掛けられ、男を受け入れる
体勢にされた。その羞恥心が、再び彼女の秘所から濃厚な蜜を滴らせ
、見る者を欲情させる。
829避けられぬ運命10:04/06/27 02:19 ID:wXjJH7me
当主は困った、と言わんばかりにまた巫女が分泌した
蜜を舌で舐め取った。くすみの無い、淡い桜色の秘園
から滴り落ちた蜜だというのに、そこからほんのりと
雌の匂いを嗅ぎ取り、当主は舌を尖らせて責める。
「まだ責めたり無いというのか。本当に大した巫女だな」
卑猥な言葉責めを受けて、霧絵はなおも抵抗しようとするが、
手足を縛る縄はからくりによってぴんと張られているので、
殆ど動かず、尻を必死に振って自分を狂わせる刺激から逃れよう
とするが、その思いとは逆に、男の加虐性を増大させる。
「ああっ、いやっ、もう止め……ひゃあっ、んん…あ…はああっ」
「もう限界まで来ている―」
そう判断した当主は愛撫を止め、自らの袴帯を解き始めた。
異変を感じた霧絵が精一杯後ろを振り返ると、ゆうに1尺はあろうか
という大きさの、赤黒い男性器が目に飛び込んで来た。それは猛々しく
上を向き、今にも霧絵に襲い掛からんとしていた。本能的に、それに
恐怖と凶悪さを感じ、思わず息を飲む。
「あの人のもこんなに…いつかは失うものなのなら、初めては
あの人にされたかった…」
突如として忘れた筈の想い人の顔が再び頭をよぎり、涙が零れる。
「役目を果たしたら、貴女の身体は約束の場所に埋めますから、
いますこし、辛抱を…」
霧絵の思考を絶つかのように、神官は巫女の首に縄を掛けた。
いよいよ処女を失う時が来た、と知らせるかの様に。
830避けられぬ運命作者:04/06/27 02:24 ID:wXjJH7me
今日はここまでです。予想以上に時間がかかってしまい、
処女喪失まで行きませんでした。ごめんなさい。近日中に
何とか続きを憂プできると思います。
ちなみにこれを書く前日、夢の中で千歳が松明を持った村人と
歩いてる夢を見ました…早く続きを書けというお告げだったの
でしょうかW
831名無しさん@ピンキー:04/06/27 09:42 ID:/mY6ZMhP
朝からハァハァ
832名無しさん@ピンキー:04/06/27 12:41 ID:0IOExOzE
>>805の続きはまだだろうか?
833名無しさん@ピンキー:04/06/27 15:14 ID:lPaodEKY
>>832
続くの?
あれはああいう終わり方なんだと思ってたけど
834名無しさん@ピンキー:04/06/27 18:33 ID:3ekh/C45
>>833
うっそ漏れも期待してたっすよ?
マジ?
835名無しさん@ピンキー:04/06/27 19:41 ID:lPaodEKY
>>834
いや、漏れも続きを待ってた一人なんだが…
「後はご想像にお任せします」なオチなんかな〜と思ってしまって。

結局どうなんでしょうか作者さん(;´Д`)
836>>799-805:04/06/27 20:22 ID:OQYGbIWc
すいません、あれはあそこまでのものとさせてください・・・。
描き始めの当初からその予定でした。

というか、本当は投稿後に先を促してくださるレスをいただいたので、書きかけたのですが、
「澪が思いついた代わりの儀式」というのの良案が、どうしても出てこなくて・・・。

ご期待に沿えるものを書き上げる自身がなく、頓挫してしまいました。
また、別案でなにか思いついたら、投稿させていただくことがあると思います。
そのときはまた、よろしくお願いします。

レスをいただいた方、本当に申し訳ありません。
続きを期待していただけたことは、とてもうれしかったです。
ありがとうございました。
837名無しさん@ピンキー:04/06/27 20:34 ID:3ekh/C45
>>836
あいや、お気になさらず。
それよりもGJでしたぞ。
ふいんきだけでドキドキさせられました。
838名無しさん@ピンキー:04/06/28 07:06 ID:7wlU/tby
>>830
待ってました乙です!
試験頑張って下さい
839名無しさん@ピンキー:04/07/01 06:55 ID:qHb/F/xv
人でなしの恋的な薊人形のSS誰か書いてくれないかなー
840名無しさん@ピンキー:04/07/01 20:57 ID:SbPhJPQ3
俺は澪&繭の物語書いて欲しい!!
841名無しさん@ピンキー:04/07/01 21:45 ID:cq6Xuefg
開発秘話「ほんとうにあったはなし」の幽霊タンをお願いします!!
842名無しさん@ピンキー:04/07/01 22:06 ID:Tz2CnCgr
>>841 微妙
843名無しさん@ピンキー:04/07/03 22:56 ID:VvfzeSTY
おまいら次回の魔王院選挙どうするよ?
デスピサロはまだまだ若造だし、信頼できそうなゾーマに投票するつもりだけど
844名無しさん@ピンキー:04/07/03 23:10 ID:bSQCGt/w
>>843
米軍並みの誤爆だな
845 ◆2PRZ/2omLc :04/07/04 14:23 ID:oL6rehiE
八重宗方なんですけど結局鬼畜表現は無しです
ヘタレです
それとエロが薄い上にオリジナル度が高いので注意お願いします

それでは以下
846 ◆2PRZ/2omLc :04/07/04 14:25 ID:oL6rehiE
一夜のうちに荒廃した村。その中でたった一人涙にくれている少女の後姿に近づく影。
そっと肩に手をかけると八重は一瞬身体を強張らせ振り返る。
そこに宗方の頼もしい姿を認めるとその胸に崩れ落ちた。

村を抜け出し、宗方の身を寄せている屋敷に着くと八重は疲れてそのまま眠ってしまった。
夜中目を覚ますとしんと静まり返った部屋を出る。
一人ぽっちの不安と心細さで佇んでいると、こちらも起き出していた宗方が側に来た。
「眠れないのか?」
肩を抱き寄せられ、耳元で落ち着いた声を聞くと八重の胸にぽっと小さな灯が点ったようだった。
並んで縁側に座り宗方の肩に頬を乗せた。
枝垂れかかる八重を宗方の大きな胸が支えた。
八重の細い髪の毛がさらさらと夜風に靡く。
「私の所為で…皆死んじゃった?」
悪夢のような村の様子を思い返すと八重の身体は震えが止まらなかった。
取り返しのつかない激しい後悔と喪失感で思考が停止してしまった。
そんな八重を眺めていると宗方の中に何も出来なかった苛立たしさが湧き上がった。
「…皆、死んじゃった…」
自動人形のように繰り返す言葉に歯痒さを覚え宗方は八重を強く抱きしめた。
「もう、思い出すな。忘れてしまえ」
吐き捨てるように言うと八重の唇を吸った。
いきなりの事に抵抗も侭ならず為すがままに流された。
唇が離れると宗方はそっと八重の頬に触れる。
未だ産毛の生えるそこは薄い皮膚に流れる血が透いて見えてほんのり色づいた。
八重は宗方のいきなりの行動に戸惑いしかしその瞳の中の温かさに微笑んだ。
847 ◆2PRZ/2omLc :04/07/04 14:26 ID:oL6rehiE
抱きしめた腕がそっと乳房に触れた時、固く締まった八重の未熟な肉体を感じた。
それでも軽い快感は八重を襲い、甘い吐息が漏れる。
宗方は八重の身体が喜びを感じているのを知りその手を着物の間に差し込んだ。
足袋の中で足の指が強張り、滑々した素肌がしっとり汗ばみ指を動かせば息が荒くなる。
再び唇を重ね合わせ八重の背を支えながら縁側に押し倒した。
八重はこうした行為が決して不快でなかった。
寧ろ心の底で望んでいた事だった、だから
「……い…や」
これ以上の愛撫から逃れようとぐっと宗方を押し返して言った。
「どうして?」
互いの気持ちは言葉にこそ出していないが判っていると思っていたはずなので
この八重の反応は宗方には理解し難かった。
八重は緩んだ襟元を掻き合せると首を振った。
「駄目なの」
村の人たち、友人、家族……そして紗重。
皆を見捨てて逃げた自分だけが惚れた相手と結ばれて幸せになる。
そんな事があって良い筈が無いではないか。
潤んだ八重の眼を見て宗方は察したが、しかし八重の潔癖な心の底までの理解は出来なかった。
「忘れてしまえよ、そんな事」
そう言って強引に寝乱れた着物を剥ぎ取ろうと手をかけた。
「嫌っ、止めて」
子どものような強情さで八重は背を向けた。
宗方には八重の気持ちが全く理解できなかった。
848 ◆2PRZ/2omLc :04/07/04 14:26 ID:oL6rehiE
好意をもっているはずの八重に拒まれた、鬱憤は乱暴な形で噴出した。
「それじゃ、どうするつもり?‥遊郭にでも身を売るか?」
憎々しげに投げつけられた言葉が繊細な心に突き刺さり、今の自分のおかれている状況が
寄る辺も無いただの哀れな小娘に過ぎないことを改めて痛感した。
「そんな!」
宗方は苦々しげに口元を歪めた。
「……好きに、すればいい」
そう言い残し自室へ戻って行った。
「宗方くん…」
去って往く後姿を八重はずっと見つめ続けた。

好きだからこそ結ばれてはいけない。八重の想いは千々に乱れた。

路頭に迷った、何も出来ない娘の行く末など他にあろう筈も無いが
多感な少女にそれを選択させるのは残酷で無情なことだ。
一晩中まんじりともせず朝を迎え、重たい身体を引き摺って部屋へ戻った。
抜け出たままの冷たい蒲団に伏せて枕に口を当てて忍び泣いた。

惜別の涙が枕を濡らした。
忘れてしまおう、何もかも。
この身体から恋心だけ抜き出せたら……それを宗方に投げつけたかった。
いつのまにか眠ってしまっていて目が覚めると昼過ぎだった。
身支度を整え腫れぼったい目蓋を冷やそうと井戸へ向かった。
目の上に冷やした手拭いを乗せ横たわると、ひんやりした温度が心の奥底まで沁み込んでゆく。
「好き…」
しかし冷え切らない恋慕から言葉がぽろりとこぼれ落ちた。
縁板に横たわり吹きぬける風に身を任せていると不意に人の気配を感じた。
手拭いを取ると真っ赤な目の宗方がじっと見下ろしていた。
849 ◆2PRZ/2omLc :04/07/04 14:27 ID:oL6rehiE
視線を交差させながら呻き声のように低く呟く
「これから、どうするんだ?」
目ををそらさずに、八重は身を起こした。
「……お世話になりました」
未だ腫れの引かない目蓋で見つめ合い、搾り出すようにそれだけ言うと唇を噛んだ。
村を捨て、親、紗重、全て見殺しにしてここまで逃げて、今度は自分の心も葬り去る。
しかし、この人の側にいると何故こんなに苦しいのだろうか?
あと一瞬でもこの場にいたら思いの丈を打ち明けてしまう、あの胸に飛び込んでしまいそう。
八重には自制できる自信がまるでなかった。
力を振り絞って目線を落とすと宗方の握り締めた拳も細かく震えていた。
あぁ、宗方くんも苦しんでいる。私が苦しめているのか?
居た堪れなくなって鉛のような脚を動かし背を向けた。

「そんなに、僕の事が嫌いか?」
宗方の声が立ち去ろうとする八重の背中に被さる。
ほんの刹那、身体が固まり顎が震えた。
しかし、きっと口を引き締め無言で立ち去った。
もしも口を開いていたら溢れ出る言葉で許しを請い、切ない思いは宗方を切りつけていた事だろう。
すれ違った想い、誤解を解いてしまったらきっと二人はとても幸せになってしまうと思う。
それでも背負った十字架の重みは決して忘れてはいけない。
幸せになどなってはいけないならば、何故この人に付いてきてしまったのだろう?
唯一この世で頼れる人、恋しい人。
850 ◆2PRZ/2omLc :04/07/04 14:28 ID:oL6rehiE
八重は部屋に戻り一人静かに別れの時を待った。
不信のままの別離は、苦しみが大きくなるばかりだった。
彼を憎んでいる、と思われ続けることが耐えがたかった。
宗方の想いが八重には辛かった、いっそ憎まれれば楽になれるのに。

屋敷を出ることになり、八重が女衒に連れられ去ってゆくと宗方は断ち切れない想いと
取り返しのつかないことをしてしまった後悔とに悩まされた。
何故こんな事になってしまったのかも解からずただ呆然と八重のいない部屋で呆けていた。
どうして離れ離れにならなくてはならないのか?
あの時、もう少し早く皆神村に着いていたならば。
激しい後悔と、苛立たしいほど去ってしまった八重の事ばかりを考えていた。
過ぎ去ってしまった時は決して戻らず、苦い想い出だけを残した。
取り残された宗方にはどうしても八重が自分を嫌っているなどと信じ切れない辛さがあった。
初めて口づけを交わしたときの微笑みも、優しい仕草も愛情に溢れていたではないか?
二人でならば悪夢も忘れられると思った。
師を亡くし、好きな女の気持ちも解からず孤独だった。
見知らぬ人々の慰み者になる八重を想うと胸を掻き毟られるような不快感に襲われた。

何本目かの莨に火を点けるとくゆる紫煙は渦を巻いた。
肺に一杯吸い込んで勢いよく煙を吐き出した。
これからどうしたら良いのだろう?
自分に出来る事は何だろう、何をすれば善いのだろうか?
先生、何も判らない僕に教えて下さい……
宗方は煙草を握りつぶした。
851 ◆2PRZ/2omLc :04/07/04 14:30 ID:oL6rehiE
廓に着き、自分と同じ惨めな境遇の女たちと出会い八重は煉獄に沈んでゆくのを感じた。
村の皆に対する贖罪、苦しめてしまった宗方への贖罪。
あの時、逃げさえしなければこんな事にはならなかったのに。

髪を結い上げられるようになって八重の水揚げの日取りも決まる。
おしろいの甘い匂いも、色町の表面の陽気さも全てが吐き気を催すほどに感じられていたが
自然にその毒は八重は身体に馴染み始め、娼妓の世界へ脚を踏み出していた。
賑やかな座敷に上がり緊張した顔をゆっくり上げても八重の眼には何も映らなかった。
忍ばせた懐剣を着物の上から抑えると荒れ狂ったような鼓動が治まる。
蒼褪めた顔で祈るように紗重に呼びかけた。
独りにしてごめんね。

宴も退けると客に手を取られ蒲団を敷いてある部屋に通された。
紅い褥はべっとりと血糊がついてる様に妖しく行灯の火に照らされ
まるで女たちの怨念が染み込んでいる様だった。
障子の隙間から漏れる他の部屋の嬌声と三味線の音に混じって紗重の呼ぶ声が聞こえるようだった。
八重はその言葉を耳を澄まして必死に聞き取ろうとした。
許してくれる声なのか、断罪する声なのか。
男は立ち尽くす八重に近づくと無遠慮な手で蒲団に引き倒した。
ぽろりと落ちた懐剣を慌てて蒲団の下に隠すが酔った男の眼には留まらずに済んだ。
「…なにするのよっ」
八重は乱暴な男の所作を詰ったがその声は小さく震えていた。
その初々しさに男の情欲は煮え立った。
「皆やってる事さ」
そういうと八重の肩を掴み酒臭い口で薄く紅を引いた唇を塞いだ。
嫌悪感がこみ上げ、抵抗するが少女の力では男の欲望からは逃れられなかった。
852 ◆2PRZ/2omLc :04/07/04 14:31 ID:oL6rehiE
男の手はそのままするりと八重の着物の肩を落とし、剥き出しにした乳房を掌に包んだ。
弾力のある肉が掌で震えた。
八重が身を硬くして、虫唾が走る思いで見知らぬ男の愛撫に耐えているのを気にも留めず
支払った花代分は、とその若い肉体を楽しんだ。
中年の男の生臭い口臭と吐き気を催すような体臭が八重の身体の隅々まで染み込むようだった。
伊達帯を解かれ、緋色に染められた湯文字に手を差し込まれると八重の脚は恐怖と嫌悪に強張った。
男はちらりと八重の顔を覗き込み、
「そんなに堅くなるな、すぐに慣れる」
そう言うと柔らかい陰毛を掻き分け、裂け目に指を這わせた。
男の指に身体の一番秘密の所を触れられる、その厭わしさに八重の身体は粟立つ。
これから何人もの見知らぬ人々が、この身体を貪る事を思うと叫び出したくなるほど恐ろしかった。
「たすけて… たすけて…」
思わず漏れた小さな声は一体誰に向けられていたのか。
「こんな所で、助けてもないだろう?」
男は八重の声を嘲笑うかのように肉に指を埋めた。
「初めてなんだろう?優しくしてやるから安心なさい」
その言葉通り、溢れ出る汁を泡立てるように掻きまわした。
冷笑しながらもその八重の敏感な身体を覗き込んだ。
八重の太腿を広げ、目の前に濡れた肉が赤く充血しているのを男はその指で開いた。
豆粒のような陰核を引っ張り上げ剥き出しにすると膣口から溢れる愛液が肛門まで流れた。
男は八重の太腿を持ち上げ、粘つく舌できめ細かい内腿を撫で下ろした。
しっとりと吸い付くような肌は男の唾液でぬらぬらと照り、扇情的な眺めは女遊びに狎れてさえ刺激的だった。
大きく開かれた膝の間に蜜に濡れた花弁が男を誘うようにひくひくうごく。
花はたとえ傷つけられるとしても、蜂を中心に誘うように出来ているのかもしれない。
こんな卑猥な肉塊を前に手を出さない男などいない。
853 ◆2PRZ/2omLc :04/07/04 14:32 ID:oL6rehiE
頭を八重の股に収めその舌で陰核を突付き、音を立てて溢れ出る愛液を啜った。
「こんなに濡らして、本当に生娘だろうな?」
疑うようにその膣に舌を差し入れると、身体の中に異物が侵入してくる気持ちの悪さに八重は身悶えた。
「ん……うぅ」
両手で男の頭を押し返すように抵抗し、必死に逃れようと身を捩った。
しかし逞しい腕が八重の腰を押さえつけ男の舌は穴の周りを丹念に舐め上げた。
蒲団に磔になりながら、陰核を舌と鼻で刺激される。
執拗な責めに八重は自分の身体がおかしくなりそうで怖かった。
「やめてください… もういや…」
逃げ出す事もできず、唯、懇願するように男に縋った。
男は八重の願いを聞き入れず、寧ろ喜んで舌を動かし続けた。
愛液を吸い上げ、又戻し舌を同時に挿し込むと八重の腰が逃げるように動いた。
「もっと気持ちよくしたやるよ」
男は言うと八重の脚を抱え上げ高く吊り上げた。
肛門まで晒して無防備な体勢を取らされた。
剥き出しの赤く充血したような陰核を舐め回され吸い付きながら軽く噛まれて八重の膝は力も入らなくなった。
愛液を掻き出すように指の腹で膣壁を刺激されて腰もがくがくと震える。

「八重、何故逃げた……」
耳元で村の人々の怒りの声が響き続け夢の続きを見ているようだった。
「ごめんなさい… ごめんなさい…」
八重はうわごとの様にただ繰り返していた。
何度も痙攣に襲われ、もう身体中触れられるだけで電流が流れるようだった。
ようやく指を引き抜かれ、顔を上げた男は満足そうに八重の乱れた髪を撫でた。
そのまま男の体が八重の上に覆い被さり、今度はその乳首を吸い上げた。
両手に収まる八重の小さな身体は熱く熱を帯びていた。
「やっ‥厭っ…」
言葉とは裏腹に八重の乳首が固く尖るのを男はからかう様に舌先で転がした。
854 ◆2PRZ/2omLc :04/07/04 14:32 ID:oL6rehiE
「嫌いじゃないだろう?」
男の言葉は八重に燃えるような怒りと羞恥を流し込んだ。
実際、八重の口からは拒否の言葉と共に、堪え切れない喘ぎ声も漏れてしまっていた。
膣口を指で掻き回されながら男の唾液に濡れた身体で抗いきれない疼きがあるのは否定できない事実だった。
こんなに嫌悪しつつも、挿入されるのをどこか待ちわびていた。
八重の中に湧いた怒りは男に向けられたものなのか、快楽を感じてしまう肉体に向けられたものなのか。
男の顔が、思わず睨み付ける八重の顔に近づき
「もっと教えてやるから素直になりなさい」
耳元で囁く男の言葉を認めたく無く、八重は最後の足掻きに男の腕の中で暴れた。
しかし幾ら暴れても、昂奮した男の情欲は無理にでも犯そうと乱暴に八重を抱え込んだ。
バタバタと男の身体を殴りつける拳は押さえつけられた。
脚の間に男の脚が捻じりこまれると八重の力がふっと抜けた。
幾ら抵抗しようと、こういう事をするためにここに来たのだから。
もういい、たった一度だけ、義理を果たしたら村の皆の待つ処へと逝ってしまおう。
待っていてくれるよね?…紗重、ごめんなさい。私は赦されるのかしら?
横を向いた鼻の上につと涙が伝った。
「さあ、もう観念なさい」
勝ち誇ったように男は言うと狭い穴の周辺を張り切った亀頭で捏ねまわした。
充分すぎるほど滑る穴に男のものが先端を潜らせると、恐怖に思わず八重は叫びかけたが
口に押し付けられた手拭いで喘ぎ声にしかならなかった。
見開いた瞳の中で景色がゆっくりと歪んだ。
別の部屋から漏れる三味線の音と笑いさざめく声が八重を嘲笑するかのように耳に突き刺さる。
男はお金で買った八重の肉体を自分の快楽の為に行使する権利は充分にあった。
そして酷く痛がるのも構わず狭い蕾を抉じ開けた。
押し寄せる痛みに、思わず男の身体を突っぱねようと両腕で押し返すが払いのけられ
僅かな抵抗も出来ずただ恐ろしさに目を見開いた。
痛みと屈辱に耐えながら救いを求めるように宙を見つめた。
助けを求め、追う影に後一歩で触れる事もできず、足許が崩れ落ちるように闇に堕ちてゆく。
タスケテ……
855 ◆2PRZ/2omLc :04/07/04 14:34 ID:oL6rehiE
貫かれながらぼろぼろ泪を流す顔があまりに痛々しくて、男は思わず着物をその顔の上に被せた。
視界をを塞ぐ緋色が八重に痛みと出血とを連想させ、血まみれになって斃れていた村の人々に繋がった。
懐かしい村が壊れた寂しさ、もうあの頃は戻らない。
「ごめんなさい、ごめんなさい…」
くぐもった声で泣きじゃくりながら八重は男根に刺し貫かれ傷を負った。
泡立つ性器と許しを乞う弱々しい声に興奮した男は、狭い通路を切り開いて奥まで突き上げた。
何度も突き上げ狭い八重の中が男のものを根元まで収められるようになると男は満足げに腰を振った。
傷ついた所を責められる痛みの中にも、女性としてこれから訪れる快楽の予感が漂い堪らなく辛かった。
「……もう、赦して下さい……お願い」
快感なんていらない、荊の道を血を流しながら進むのを選びたかった。
しかしそのささやかな望みも断ち切られた。
男は眼の前にふるふると揺れる若い乳房を掴み、先端の突起を口に含むと皮膚の薄い乳輪を舐め回した。
「あっ…」
いきなりの予想していなかった感触に、思わず歓声が漏れてしまい八重は消えてしまいたかった。
どんなに嫌でも、快楽を素直に受け取る肉体が恨めしかった。
男は、その時びくびくっと反応を返した膣に八重の歓びを知り、乳首をねっとりと舐めながら中を捏ね回した。
狭い八重の中が男の愛撫で尚一層窄まり、男根が喰い千切られそうになりながらも
力ずくで突き上げ、そのたび中の襞はぬめぬめと男に絡みついた。
ねっとりと糸を引く結合部の快楽に男も全身を震わせ大きく数回突き上げ果てた。

きっと壊れてしまった、八重は視界を遮られたままで目茶目茶にされた自分の身体を感じた。
痺れるような感覚に全身を襲われ、身動きも出来ずにぐったりと目を瞑っていた。
実際は泡立つ体液にほんの僅かに血が滲むだけだった。
男は八重から引き抜くと顔に被せてあった着物を除けた。
おしろいに筋を残し放心したような顔はとても幼く見えた。
その顔と、生々しい傷口から太腿に溢れる白濁した液が、赤黒い蒲団の上に奇妙な対比を生んだ。
八重は撃ち落とされた白鷺のように血の海に力無く横たわっていた。
856 ◆2PRZ/2omLc :04/07/04 14:36 ID:oL6rehiE
男は少し不安になり、その頬に滲んだ薄紅を指で擦ると軽く叩いた。
「おい、大丈夫か?」
見知らぬ男の労わりと心配が、何故かとても哀しくて気付くと突っ伏して泣いた。
全身を震わせ泣きじゃくる八重を寝かしつけようと男が触れると八重の中で何かが静かに壊れた。
「触らないで、それ以上近寄らないで」
蒲団に隠した懐剣を引き抜き、自分の胸に押し当てて八重は後退った。
「優しくなんてしないで」
「しっかりしなさい、そんなじゃ先が思いやられる」
男は八重の手元が震えているのを見て言った。

八重……早く、来て……
ずっと、ずっと待ってる……

耳にこびり付く紗重の声が甘く、懐かしく響いていた。
この一突きで紗重の元にいける?待っててくれる?
手に力が篭るその時、最後の日の宗方の真っ赤な目を思い出した。
その視線が八重の胸を貫き、紗重の声が遠ざかった。
何故、貴方が出てくるの?
忘れたはずの人を想い出して狼狽してしまった。
一瞬、指の力が抜けて刃先が下を向いた。
男はその隙を突いて刀を奪うと部屋の隅に投げつけた。
「刺せやしないだろう?……眠りなさい」
眠って全て忘れてしまいなさい、男がそう言っているように思えた。
あの頃にはもう戻れない? 忘れられる?
安堵し、酔いが回った所為もあって男はあっさりと眠りに落ちた。
857 ◆2PRZ/2omLc :04/07/04 14:37 ID:oL6rehiE
八重は独り取り残され、力無く刀を拾うと思い切り畳に突き立てた。
自分の胸を刺す代わりに、何度も、何度も。
ボロボロになった畳に汗が降りかかっても、台が剥き出しになっても。
刃が毀れ掌が擦り剥けて血が滲み、ほぐれた い草の中に突っ伏した。

意気地なし、心なんて棄てたはずなのに。
身体なんて要らないのに。
何故この畳が自分でないのだろうか?

溢れ出る紗重たち、皆への想いが消えても尚、宗方の声がもう一度聞きたい
恋しい、とそれだけが最後に八重の中に残っていたのだ。
さもしい心、貪欲な命、苦しい程の想いが八重を焦がす。
心を抉り出して死ねたらどんなにか清々とすることか……

先より静かになった部屋の外は、それでも沢山の人々の気配と衣擦れの音が深夜も明るい色町に溢れていた。
「ごめんなさい」
ぽつりと呟いて初めて八重はやっと偽りのない自分の気持ちに気付き、紗重に心から謝った。
たった2人だけの姉妹なのに、同じに生まれたのに何故妹よりも他の男を選んでしまったのだろう。
恋も何も知らなかった頃に戻れたらもう決して妹と離れはしないのに。
そしてずっと紗重を心の中にしまって生きて行けるのに。
もう今ではその場所は宗方がしっかりと根を張り想いが育ってしまっている。

紗重を棄て宗方を選んだ、それなのに他の男に抱かれる道を選んでしまったなんて。
馬鹿みたい、謝りきれないね……八重は流れに身を任せるように無気力に折れた刀を棄てた。

どす黒く濁った血の海に沈むように男の眠る蒲団に潜り込み眠った。
858 ◆2PRZ/2omLc :04/07/04 14:38 ID:oL6rehiE
けばけばしい着物もしどけない仕草も慣れてきたころ色町にそぐわない書生風の男がやってきた。
紅い提灯の明りと賑わいに翻弄されながら八重の居る場所に辿りついた。
八重が呼ばれ、独りでその座敷に上がると思わず手にした膳を落としそうになった。
宗方が、そこに座っていた。
その眼差しを受け、思わず駆け寄りたくなる衝動を堪え、おずおずと横に座った。

「お酒、召し上がります?」
八重はそう言うと一寸膝を崩した。
宗方の盃を心もち少なめに充たすと指を組んだ。
注がれた酒を黙って一息に空けそのまま盃を掌に握った。
「可笑しいわ、こんな所にいらっしゃるなんて」
首を少し傾げておかしい事も無さそうに言うと八重はじっと自分の指先を眺めた。
宗方は押し黙ったまま。変わらぬ姿で八重は自分だけが変わってゆくのを思い知った。
「他のひと、呼びましょうね」
畳に手を付いて立ち上がろうとした、その手首をさっと押さえた手ははっとするほど熱かった。
「いや、いい」
静かな声音に八重は気圧されるように再び腰をおろす。
未だまともに宗方の顔を見られないで居た。
こんな事で今更もじもじするなんて可笑しいのは私ね。
八重は自嘲するように殊更なんでもない様に少し笑った。
「何か、唄いましょうか」
しかし楽器を手にしても、奏でるでもなくしゃらんしゃらんと音を立てるだけだった。
ぼんやり部屋を眺めながら八重は何故宗方がここに着たのかは考えずに居た。
「ここの暮らしはどうだ?」
重い口を開き宗方は八重をじっと見つめていった。
八重は視線を感じながらも楽器に目を落としたままで弦を爪弾いていた。
「そんなに……わるい事ばかりというわけではないんですよ……」
パチンと弾いた弦の響が消えると三味線を脇に下ろした。
「も少し、如何?」
八重は宗方に勧めると自分も一杯飲み干し、ふぅと軽く一息ついた。
「お喋りはもう沢山ね」
ほんのりと紅く染まった目の周りは酒の所為だろうか、泣いた後のようにも見えた。
859 ◆2PRZ/2omLc :04/07/04 14:39 ID:oL6rehiE
宗方の頭は軽い酔いで痺れたようになって八重の言葉が周り続けた。
「私でよかったら、抱いて下さる?」
どうしてこんな事を言ったんだろうか……八重が僕を嫌っていたはずなのに。
いや、此処での関係でいえばおかしくは無いが、と考えると苦い味が口一杯に広がって行く。

部屋を移りさらりさらりと着けている着物を脱ぎ捨て、八重は宗方の側に腰を下ろした。
肉に血の通った温かな肌と柔らかな曲線を描く身体は仄かな明り艶めかしく浮かぶ。
宗方は思わず凝視するように八重を見詰めた。
滑らかな裸の女性の圧倒的な強さに気圧されてしまった。
宗方が固まったように何時までも手も出さずに居ると、八重はつい居た堪れなくなり
躊躇いがちに宗方の袴の膝にすぅと手を伸ばした。
表情は判らないが、しかし反応もしてくれない宗方に哀しさが募った。
八重の隠れた表情は宗方には見えないが、声は哀しげに
「やっぱり私では、お嫌よね?」
そう言い、膝に軽く触れた手を退いた。
軽い溜息を宗方に隠れて吐き、脱ぎ捨てた着物を拾った。
嫌われてむしろ吹っ切れた、と自分に言い聞かせながら泣き出しそうな気持ちで手早く着付けた。
きっとこの心のしこりもいつかは壊れてくれるはず、時が全て流してくれるはず。
そう考えるが自分の想いとの離別の淋しさが溢れ出しそうになった。
想いが零れ落ちる前に、一刻も早く部屋を出ようとする八重に宗方の手が伸びた。
ぐいっと腕を掴まれ、思わず振り返りやっと宗方の顔を正面から見た。
久しぶりに見るその顔は以前と変わらずそこにあった。
「嫌な奴とだってするんだろう?」
宗方の皮肉にぐっと言葉を呑みこみ目を逸らした。
部屋の明りは風も無いのに揺らいで、宗方には八重の眼に涙が浮かんだように見えた。
「嫌な方ばかりというわけではありませんから……」
震える声でそれだけ言うと壁に凭れた。
860 ◆2PRZ/2omLc :04/07/04 14:40 ID:oL6rehiE
宗方の中に醜い嫉妬、の炎が生まれ心を妬き尽くした。
八重は何人もの男と身体を重ねているんだ。想いを寄せる人も僕でないことだけははっきりしてるし。
心に触れる事が出来ないのであれば、身体だけの関係に僕が混ざって悪い事などあろうか?
こんなに八重のことばかり考えてしまう自分が悔しかった。
報われる事が無い想いに宗方は絞められ続けた。

両手で八重の肩を壁に押し付け俯き加減の顔を覗いた。
八重はぷいっとそっぽを向いて部屋から出ようとするも押し付ける力がそれを阻んだ。
宗方はそのまま八重の髪に手を差し入れ顔を引き寄せると強がる唇を開いた。
口づけをするのかと思いその手を振り解くと、八重は力が抜けたようにへたり込んでしまった。
この人が今、私を抱くとしたら、それは他の男の場合と変わらない。
八重は湧き上がる淋しさと悔しさを噛み締めながら宗方の手を拒否した。
再び拒まれて心はおろか、身体にさえ触れられぬ宗方は理不尽な怒りで八重を懲らしめ強引にものにしようとした。
触れることの出来ない八重を滅茶苦茶に壊してしまいたかった。憎しみさえ湧き上がった。
手を伸ばさば逃げ身を硬くする八重に苛立ち、思わず荒げた口調で
「そんなにほかの男が良いわけ?」
嫉妬の心を叩き付けるように吐き捨てた。
その言葉に八重はきっと上を向き、立ち上がると力一杯宗方の頬を張り飛ばした。
「見損なわないで頂戴、こんな所にいたってね……宗方くんの事忘れちゃ居ないんですから」
怒りに燃える目から涙がぽろりとこぼれ落ちて震える拳に降りかかった。
その滴は宗方の嫉妬の炎を一瞬で消し去った。
八重の怒りが宗方の眼を開いた。
出会い重ねた短い日々。二人で逃げた山道。全て忘れられるはずが無い。
根を張り育ち続けた想いは消し様も無かった。
861 ◆2PRZ/2omLc :04/07/04 14:40 ID:oL6rehiE
宗方は少し驚いて怒りに震える八重を見詰めた。
心は頬よりも痛んだ。
「もう、帰ろう」
沈黙を破り宗方が言う。少しやつれても、哀しい眼をした宗方は前と変わらず
八重をしっかり支えて包みこむような頼もしい姿であった。
怒りが静まり八重は寂しそうに首を振りその愛しい姿を目に焼き付けようと見つめた。
「……無理よ、もう元には戻れないわ」
言いながらも瞳の中の宗方が滲み揺らぐ。
清潔で清々しい宗方は触れてはいけないような気がして自分の馬鹿みたいな着物と化粧が恥かしかった。
もどれたら、今度こそ大切な想いを手放したりはしないのに。
宗方は強い力で八重の手首を掴んだ。その手を離すのが恐ろしかった、八重がどこかに行ってしまいそうで。
この手を放したらもう2度と八重に逢えない、そんな懼れが手に力を込めた。
「元になんて戻らなくて良い、忘れられなくて良い、一緒になろう」
そう言って八重を力強く抱きしめた。
その腕の温もりは八重の心の一番深いところに隠された扉を押し破り、
何度も忘れようとした宗方への想いを噴出させた。
幸せの大きな潮流に流されて行く自分をもう押し留める事は出来なかった。
ごめんなさい、紗重。私、もう……許してね。
八重は宗方に身を委ねた。
宗方の襟をしっかり握り締めてその肩に頬を寄せた。
「宗方くん…もう、私を離さないで。ずっと、ずっとそばに置いて下さいね」
顔を上げそう言うと宗方と唇を重ねた。
宗方の掌はその柔らかさが以前触れた時と変わらず瑞々しく産毛も残す八重の頬を包んだ。
862 ◆2PRZ/2omLc :04/07/04 14:45 ID:oL6rehiE
以上

補足
身請けのお金は真壁のお家乗っ取った宗方がちゃんと払ったって事にして下さい

宗方ぁやってないし
これから鬼畜展開したら鬱過ぎるし
かといって逃げました八重宗方できちゃいました、じゃ安易過ぎるし
難しいなあ
863名無しさん@ピンキー:04/07/04 15:15 ID:zoc9NBt+
宗方八重キタ−−!!!モエーーーー。
864名無しさん@ピンキー:04/07/04 21:38 ID:PNL05YUO
乙です!
865名無しさん@ピンキー:04/07/05 00:49 ID:gmSNjXuP
ぬぅお、後半の展開が純文風でハァハァ
866名無しさん@ピンキー:04/07/05 02:00 ID:+BL4Q2OZ
ひさびさに大作です小津
867名無しさん@ピンキー:04/07/09 22:21 ID:fCFYT1cg
ほしょ
868名無しさん@そうだ選挙に行こう:04/07/11 09:52 ID:dEjr3rho
そろそろMVP作品を決めないか?
俺は ◆2PRZ/2omLc タンに1票。
869名無しさん@ピンキー:04/07/12 06:44 ID:OmPEM2zt
>>868
作品を決めようと言ってるんじゃないのか?
その人は数をこなしてるだけじゃないかしかもメインキャラの澪繭書いて無いし

前スレのSSも読み返しに保管庫いって来る
870名無しさん@ピンキー
>>869
繭澪作品がなきゃ駄目ってなんだよヽ(`Д´)ノプンスカ
その人の桐生家への愛は、愛は・・・最高無比だと思うですよ!
茜薊への想いはすごいことになってるですよ!
桐生家好きにとってはもう。


…というか、MVPなんて決めなくていいと想う。
こん零スレじゃないんだし。