【キノ】時雨沢作品でハァハァしよう8【アリソンリリトレ】

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1名無しさん@ピンキー
立てた直後に落ちた、前前前前前前スレ。前回、前々回、前々々回、前々々々回、前々々々々回は生き残る事ができた。
作品を発表してくれる神キテル━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
神には感謝を忘れずにおながいします。

過去スレ
◆□キノの旅でハァハァしよう□◆
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1035/10353/1035380014.html
◆□キノの旅でハァハァしよう3□◆
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1045648241/
◆□キノの旅でハァハァしよう4□◆
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1057301973/
◆□時雨沢作品でハァハァしよう5□◆
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1085156970/
【キノ】時雨沢作品でハァハァしよう6【アリソン】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1126260007/
【キノ】時雨沢作品でハァハァしよう7【アリソンリリトレ】

関連スレ
時雨沢恵一総合スレ46 アリソンリリアトレイズキノ
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1152727914/

保管庫
http://members.at.infoseek.co.jp/kinohaha/
http://www.asahi-net.or.jp/~sx8a-skym/mono/index.html
http://kujira.s8.x-beat.com/kino/
2名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 18:15:49 ID:wARUlTfY
ミスった・・前スレ
【キノ】時雨沢作品でハァハァしよう7【アリソンリリトレ】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1137574410/

関連スレ
こんな「キノの旅」はいやだ!! その4
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1134482392/
キノの旅Yの後書きを書くスレ
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1092565326/

公式サイト (Flashを鑑賞する時はtop.htmlを省略)
ttp://www.kinonotabi.com/top.html

WOWOW
ttp://www.wowow.co.jp/drama_anime/kino/contents.html

メディアワークス
ttp://www.mediaworks.co.jp/

キノの旅の絵師、黒星紅白のサイト
ttp://ww2.tiki.ne.jp/~kuroboshi/

キノ・アリソン絵板
ttp://fox.oekakist.com/KINO/
3名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 20:00:06 ID:fLzca/NP
3げと
4名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 22:42:23 ID:9smquf6p
>>1
乙です
5名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 23:15:25 ID:jnjAe1Iy
>>1


そして職人様の投下に期待します
6名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 00:03:48 ID:n42pT2ZB
保守
7名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 12:53:53 ID:He+XJkMe
保守age
8名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 02:54:12 ID:7qu88zhu
ほす
9SBI:2006/07/23(日) 14:10:48 ID:XPpxtTvt
>>1
スレ立て乙です。
早速、投下してみたいと思います。
10SBI:2006/07/23(日) 14:11:44 ID:XPpxtTvt
ある休みの日の昼下がり、ヴィルとアリソンは二人してアパートの自分達の部屋にいた。
「知らなかった。知らなかったよ……」
そう呟いたヴィルの顔には、なにやら難しげな表情が浮かんでいた。
「そーね………」
おざなり気味に答えたアリソンの顔にも、なんだか戸惑っているような微妙な表情。まあ、それも二人の今の状況を見れば、納得がいくというものだった。
「知らなかった………僕がこんなにエッチな人間だったなんて」
「ほんとにね……」
真面目くさった表情で呟いたヴィルのほっぺたは、アリソンのズボンを穿いたお尻にぴったりとくっつけられていた。
背中の方から、アリソンの腰に腕を巻きつけて、ぴったりと抱き締めているヴィルの姿はなんとも間抜けなものであった。
全くもってヴィルらしくないその行動。アリソンが参ってしまうのも道理である。
「………ねえ、ヴィル、どうしちゃったの?」
「うう、アリソン〜」
問い掛けても夢見心地の答えが返ってくるばかりで、一向にアリソンを解放してくれる様子は無い。一体全体、どうしてこんな事になってしまったものやら……。
アリソンにも一応、思い当たる節はないでもない。ここ最近の二人はかなり忙しく過ごしていた上、予定が噛み合わずに顔を会わせる機会も少なかった。
当然、恋人同士らしく一緒に色々する事もできなかったわけで、アリソン自身、欲求不満がなかったわけじゃないのだけれど、そもそもヴィルは、こんな事する人間だったろうか?
「とにかく少し落ち着いて、ちゃんとお互いの顔見て話をしましょう」
「う、うん……でも、もう少しだけ……」
「って、…ちょ……ヴィル!?…きゃ!!」
戸惑うばかりのアリソンをよそに、ヴィルはアリソンのお尻でうっとり顔。
11SBI:2006/07/23(日) 14:12:23 ID:XPpxtTvt
自分自身の意外な行動に驚いてはいたものの、その理由についてなら、ヴィルは自分でよくわかっていた。
アリソンが可愛かったから。これに尽きる。
アリソンと会えない欲求不満もいくらかは影響しているのかもしれないが、そんなのはごま粒程度の影響力しか持たない。
久しぶりにゆったりと言葉を交わしたアリソンのその姿が、窓から差し込む陽光を受けてきらきらと輝いた。その微笑に、胸がキュンとするのを感じた。
で、気が付いたらこの通り。自分自身まずいと思いつつもアリソンから離れる気分には一向になれない。
大好きなアリソンを離したくない。それはヴィルにとっては自然な感情の動きだった。
未来の家にやって来た彼女のひとりぼっちの姿、それを見て以来抱き続けた思いは、アリソンが自分に向けてくれる思いにも負けないと、ヴィルは確信していた。
というわけで、まずいまずいと思いながら、ヴィルはアリソンの腰に回した腕を外さない。
「うわあああん!ヴィルが変態になっちゃったよぉ!!!」
まあ、アリソンにしてみれば、堪った物じゃないのだけれど……。
「ううん、もう変態でも構わない。愛してるよ、アリソン〜」
こちらも大概、頭が茹っちゃってるようだし、本当にもう、どうしようもない。
「ヴィルのばかぁ!スケベぇ!×××××っ!!!もう知らないんだからぁ!!」
「ご、ごめん、でももうちょっと……」
「ばかばかばかばかぁ!!私の体が目当てだったのねぇ!!!ひどすぎるわぁ!!!」
「そ、そんなことないよ」
「嘘ばっかりぃ!!私がしわくちゃのお婆さんになったら、ポイって捨てちゃうんだぁ!!」
そこで不意に、ヴィルの腕が緩んだ。アリソンの言葉を受けて、ヴィルの思考がはるか未来へと飛んで行く。数十年後、すっかり年を取った自分達の姿を思い浮かべる。
外から吹き込む風がカーテンを揺らす。窓から覗く青空を背にして、おばあさんになったアリソンが座っていた。
同年代の女性に比べれば若々しいが、過ぎ去った年月はアリソンから、その取り分をしっかりと持ち去っていた。
だけど、ヴィルの瞳には、刻み付けられた皺のひとつひとつも、長い髪に混ざる白髪も、その全てがきらきらと輝いて見えた。
きらきらと輝く彼女が、そっと彼の名前を呼んだ。
『ヴィル……』
ふわりと顔に浮かんだのは、ずっと昔から変わらない、アリソンのとびっきりの笑顔。かけがえのない、大切な笑顔。
…………てな感じで、ヴィルの妄想は終了。
ヴィルはアリソンの腰に回した腕をそっとほどいて、アリソンの正面に立った。
「ヴィル……?」
急に態度が変わったヴィルに、アリソンは不安げな表情。ヴィルはその青い瞳を真っ直ぐ見据えて………
「アリソンっ!!!!」
ガバッと抱き締めた。
「ふえっ!?ヴィルぅ?」
「やっぱり好きだっ!!大好きだよ、アリソンっ!!!」
予想とはまるで反対のヴィルの対応に、もはや完全についていけなくなったアリソン。ヴィルはその体をぎゅうぎゅうと抱き締める。
12SBI:2006/07/23(日) 14:13:07 ID:XPpxtTvt
ここまで来ると、もう色ボケ以前の問題。アリソンの事で頭が一杯のヴィルは、誰にも止められなくなっていた。
「もう離さないっ!!ぜぇえええったい離さないっ!!!!」
しがみついてくるヴィルの勢いに負けて、アリソンは壁際まで押しやられる。自分が思っていた以上の興奮ぶりに圧倒されて、すっかりヴィルのなすがままだ。
実際のところ、戸惑う気持ちの一方で、これほどまでにヴィルが自分を求めてくれる事を喜ぶ気持ちも、アリソンの中には確かにあった。
こんなヴィルは困るのだけど、いつものヴィルが良いのだけれど、でも、こんな風に抱き締められて好きだの何だの言われちゃったら………。
さらに、耳元に響くヴィルの声が、アリソンの迷いに容赦なく追い討ちをかける。
「好きだよ、アリソン。どんなに年を取ったって、お婆さんになったって……」
ヴィルの手の平が、アリソンの肩を、なめらかな金髪を撫でる。
「アリソンの全部が好きなんだ。一緒に暮らして年を取って、ずっとアリソンの横で、アリソンの全部を見ていたいんだ」
「う、うん……」
「ずっと好きだった。未来の家で最初に見たときからずっと……」
面と向かって真顔でそんな事を言われては、ひとたまりもあったものではなかった。アリソンはすっかりヴィルの腕に体を預け、唇を差し出す。
「アリソン……」
重なり合う唇と唇。蕩けるようなキスの味に、アリソンはしばし恍惚とする。高鳴る鼓動、体の奥で渦巻く熱、それを押し止める方法はもう無かった。
「……ヴィル、お願い」
カチャカチャとベルトを外し、ズボンとショーツを膝の位置まで下ろした。露になった大事な部分はじっとりと湿りを帯びて、艶かしく輝いていた。
「びしょびしょだね」
「言わないで。全部ヴィルのせいなんだから………」
ヴィルはズボンのファスナーを下ろして、自らの大きく脈打つモノを取り出し、濡れた入り口にそっとあてがった。
押し当てられたモノの熱に弾かれたように、アリソンはヴィルの体にきゅっと抱きついた。真っ赤に染まった顔に浮かぶ表情は、これから始まる行為への期待と不安で揺れている。
「可愛いな。ちょっと前なら、アリソンのこんな可愛い顔が見られるなんて、思いもしなかった」
「ば、ばかぁ」
「可愛くてえっちなアリソン、たくさん見せてもらうよ」
耳元で囁いて、ヴィルはアリソンの膣内へ進入を開始した。硬く熱い肉の棒が、ずぷずぷと音を立てながら、柔肉の中に吸い込まれていく。
「ひ……あ…ふあ…ああっ……ヴィ…ルぅ……」
自分の中に受け入れたヴィルの感触、ただそれだけでアリソンの体はビクビクと痙攣し、抑えようも無く切ない喘ぎが漏れてしまう。
13SBI:2006/07/23(日) 14:13:59 ID:XPpxtTvt
密着状態の超至近距離から彼女の顔を眺めるヴィルもまた、そこに浮かぶ表情に魅せられて、完全に陶酔し切った表情を浮かべている。
ゆっくりと腰を動かしながらも、目の前の少女に魅了されてしまった少年は無我夢中、みみたぶや首筋、襟元に覗く鎖骨と、彼女の敏感な部分を舌先で責め立てる。
「ひゃうっ!!…ひあっ!…うあ……そこ…だめぇ!!…やあっ!!」
体中のあらゆる場所から押し寄せる快感に、アリソンはただただ翻弄される。
熱いモノが自分の中をかき回す音や、肌の上を滑る舌先が立てる音、くちゅくちゅぴちゃぴちゃといやらしく響くそれらの水音がさらに二人の興奮を高める。
「アリソン、好きだよ。アリソン……」
「はむ……ん…んぅ……ヴィルぅ」
どちらともなく唇を重ね、舌を絡ませ合う。息継ぎをする間も惜しむほどに、深く、長く。我を忘れてキスを続ける。
窓の外から聞こえてくるのは、街を行き交う人々の声や、通り過ぎる車の音、同じアパートの誰かさんが聞いているラジオのアナウンサーの声。
いつもとは違う。真夜中とは全然違う。こんな時間にこんな事して、良い筈が無いのはわかってるのに………。
「…ひあっ……はぁ…誰か…聞いてたらどうしよう……」
「う、うん。僕も…気になってる」
「…こんな事してるの…バレ…たら……」
「それは僕も不安だけど……でも…だけど……」
アリソンの問い掛けに、しばし悩んでから、ヴィルはこう言った。
「今更、やめられる?」
アリソンの答えは
「無理ね」
二人とも、とっくに心は決まっていた。
アリソンの膣内を突き上げ、かき回すヴィルのモノの動きが、さらに激しさを増して行く。
互いを求めれば求めるほどに、ヴィルのモノはさらに硬く熱く、アリソンのアソコも熱量を増して、ヴィルを痛いぐらいに喰い締める。
下半身が熱と快感に塗れて溶けていくような感覚を味わいながら、二人は互いの肉体に溺れて、激しい行為のなかに沈んでいく。
「うあ…ああっ!!…すご…こんな…きもひよすぎるぅ!!!」
「…くぁ…あああっ!!アリソンっ!!!!!」
もっと強く、激しく。止めようとしても止められない。体の奥からとめどなく湧き上がる欲求が二人を突き動かす。
ヴィルの腕は折れそうなくらいに強くアリソンの体を抱き締め、アリソンもそれに必死で答える。抱き合った互いの体は火がついたように熱かった。
激しく交わり続け、二人の体と心は快楽の螺旋階段を上へ上へと昇り詰めていく。限界知らずに高まっていく熱量に押し上げられて、さらに上へと昇っていく。
渦巻く快感の中で、認識できるのはお互いだけ。自分の一番大切な、愛しい人だけ。二人だけの世界の中で、アリソンとヴィルは絶頂に昇り詰めた。
「うあああああっ!!アリソンっ!!!!」
「ふああああああああああっ!!!ヴィルぅうううっ!!!!!」
解き放たれた熱い白濁が、アリソンの中で波を打つ。力の抜けた体を支える事が出来ず、抱き合ったままの二人は壁を背中に床にへたりこんだ。
14SBI:2006/07/23(日) 14:14:40 ID:XPpxtTvt
「……ヴィル…すごかった……」
うっとり顔のアリソンが、ヴィルの顔を見上げながら言った。しかし、なにやらヴィルの様子がおかしい。なんだか微妙に元気が無い。
「……ああ、勢い任せに、僕はなんて事を……」
どうやら今更、正気に戻ったようだ。
「自分の欲望も抑えられないなんて、ああ……」
しょげ返ったヴィルの肩を、アリソンがポンと叩く。
「まあまあ、乗せられちゃった私も悪いんだし、あんまり気にしない方が良いわよ」
「で、でも……」
「抑えられなかったのは、私のことが好きで好きでたまらなかったから、なんでしょ?」
「うん、だけど……」
覇気の無い答えを返すヴィルの肩を、よしよしと撫でてやっていたアリソンだったが、何を思いついたのか、急に顔を赤らめて、ヴィルに話し掛けた。
「……ところで、その……」
「何?」
不思議そうに問い返したヴィルに、アリソンは赤くした顔をうつむけて
「もう一回、してみない?」
恥ずかしそうに、言った。
「え、でも、今したばかりで……?」
「だって、ヴィルがあんなに激しくするから……なんだか体の奥に火がついたみたいで…それに…」
躊躇いがちに、アリソンはヴィルの股間を指差した。
「ヴィルだって、ほら……」
アリソンが指差した先で、だんだんと硬さを取り戻しつつあるヴィルのモノが、ゆっくりと頭をもたげ始めていた。
恥ずかしさのあまり、完全に言葉に詰まったヴィルに、アリソンがもう一度問い掛けた。
「今更、やめられる?」
ヴィルの答えは
「………無理だ」
首都のとある安アパート、その最上階のある部屋で、愛し合う二人はふたたび抱き合って、休日の午後は穏やかに過ぎていきましたとさ。
15SBI:2006/07/23(日) 14:15:28 ID:XPpxtTvt
以上でおしまいです。
それでは、失礼いたしました。
16名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 18:03:36 ID:4/mNHu2d
GJ!
いつもありがとうございます
17名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 18:33:28 ID:6VyL1mxn
GJ!!
18名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 09:13:45 ID:TT18jwdL
GJ
そして保守
19名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 19:21:49 ID:K1CoqXMJ
GJ!!!!!!!!!!!!
20名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 08:32:59 ID:qqt55NIM
GJ
21名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 11:24:27 ID:kdusTg5g
GJ!神よ・・・。
22名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 22:37:47 ID:zVjWn/hV
更にGJ保守
232006ドイツWC記念SS:2006/07/26(水) 17:01:56 ID:InQnm3bn
ワールドカップ記念に書きました。シズ×キノ(これでいいのかな)です。
こういうのを書くのは初めてで、書いているうちに変な汁、いや変な汗が出てきました。

サッカー用語、選手名、監督名、ドイツの地名などがたくさん登場します。
読みにくいので、もしかしたらそちらに興味の無い方には不快かもしれません。
もし読まれるなら、意味不明でもあまり気にせずに雰囲気で読み進めるのがよいと思います。私も雰囲気で書いたので所々自分でも意味不明です。

しかもハァハァ分はたぶん10%くらいで、残りはギャグです。最初の方はまだシリアスですが、どんどんそれを裏切ってカオスに突入していきます。

でもせっかく書いたので載せます。↓↓↓
24ドイツWC記念SS(控え室):2006/07/26(水) 17:02:43 ID:InQnm3bn
もう日が暮れようとしている。霧が出てきて、冷たい風が木々を通り過ぎた。
とある森の中、道の傍の少し開けた場所に、一台のバギーと一台のモトラドが距離を開けて止まっていた。
モトラドの上には白い犬が一匹座っている。
「シズ様大丈夫かな」
犬は心配そうにバギーを見つめる。バギーの窓にはサイドカーテンがかかっていて、モトラドの位置からは中が見えない。ゴツゴウシュギというブランドのカーテンである。
「何じーっと見てんの、エロ犬。」
犬はそう呼ばれてむっとした。
「黙ってろよポンコツ。シズ様が心配なのだ。」
ポンコツとはモトラドの事らしい。ポンコツは構わず続けた。
「まあフルチンで襲いかかってるのは間違いないね。」
「シズ様に限ってそんなことは…」
「いや、なんかヤナギサワがするよ。」
「胸騒ぎ?」
「そう、それ。いちいち聞かないでよ、こういうの後でバンバン出てくるんだからね。」
(誰に言ってんだコイツは…)
「引き返すなら今のうちだからね!」
(だから誰に言ってんだよ…)

エロ犬は落ち葉の上に降り立つと再びバギーを見つめた。
「シズ様…」
25ドイツWC記念SS(前半戦):2006/07/26(水) 17:03:25 ID:InQnm3bn
バギーの中には試合前のような少し緊張した空気が流れていた。
助手席には十代中頃の、精悍な顔立ちをした少女が、運転席には緑色のセーターを着た青年が座っていた。シートは後ろに引いて倒してあった。
前にランプが一つ置いてあり、車内をオランダ代表ユニフォームの如きオレンジ色に染めている。
二人はランプを見つめながらぽつりぽつりと言葉を交わしていた。

「だから、私はあの時、キノさん、君に殺されたかったのかもしれない。」
青年は遠くを見つめながらそう言った。キノと呼ばれた少女はふと青年の方に目を向けた。
「どうして?シズさんがそんなこと言うなんて…。」
疑問を投げかけられ、一度言いかけて止めるような仕草をした青年、シズは、しばらく手を額に当てて考えていた。
そして途切れ途切れに胸の内を明かした。
「私は………本当は嫌いだったんだよ………………。復讐に燃える…………私自身が。」
シズの肩は震えていた。
「だから消して欲しかったんだ。汚れの無い、君の手で。私も、父も。何もかも………。」
シズはそっと自分の手をキノの小さな手に重ね合わせた。
キノは一瞬ビドゥカとしたが、振り払おうとはせず、反対の窓の方へ首を傾けた。そして窓に向かってつぶやいた。
「きっと、醜さを知らないと、美しさは分からないんです。コインの表ばかり見ていては真実は見えない。ボクはそう思っています。」
もう一方の手を胸に当てて間を置いた。
「だから、シズさんがコインの裏を見せてくれて、ボクは、とても、嬉しい、です……。」
フェイドアウトしていくキノの声に、シズが早口でかぶせる、
「君と戦ったあの日からね、私はずっと君のことがスキラッチんだよ。」
突然の告白。キノは何のことだが分からなかったが、その言葉の意味を理解した瞬間胸がキューウェルと締め付けられた。シズは自分の言ったことを気にもとめず続けた。
「私は、過去という監獄から救われたんだ。キノという天使によって。」
重ねられたシズの手に力が込められる。薄暗いせいでよく分からないが、二人の顔は赤らんでいただろう。
「いきなり………そ…そんな……。ボ、ボクは…………。」
キノの視線はおどおどと窓の辺りを彷徨う。シズの方を見ることができない。そうこうしているうちに手を握ったままシズはキノの方へ移動した。
キノが前を向くと、シズが真剣な眼差しでこちらをのぞき込んでいた。その気持ちはもうブッフォンでも止められそうに無かった。キノが何かを言おうと口を開いた瞬間、シズは自らの唇でその口を塞いだ。
「!」
こんなところでキックオフするなんて、キノは思いもしなかった。柔らかい感触、それはまさに人生で最初のファーストタッチだった。急に頭が真っ白になり、全身の力が抜けていく。その瞬間自分がどこにいるのかも分からなくなった。
「む…………はふ……」
シズは今まで抑えていた反動だろうか、激しくキノを求めた。舌を入れてキノの口腔内を駆け巡る。
「は………ん……ぢゅ……くちゅ……。」
舌と舌を絡め合わせているうちに、なぜかキノの目からはナナミが溢れてきた。キノはしばらくしてその理由に気が付いた。
(寂しかった……とっても寂しかったんだ…………シズさんっ)
細い腕がシズの背中に回り、しっかりと抱きしめた。

長いキスが終わると、金色に光る糸を引きながら二つの唇は離れた。シズが袖でキノの口を拭いてあげる。
「ごめん。キノさんの唇が、なんていうか、その、ライプツィヒみたいで、か、可愛いくて…。」
「そんなこと言われても……わかんないですよぅ………」
シズはキノの腕を引いて起こすと今度は自分がシートに座り、足元にキノを導いた。
これは、つまり、そういうことだ。キノはこれから何をするのか考えてパニックになった。こんな状況、師匠は教えてくれなかった。
26ドイツWC記念SS(前半戦):2006/07/26(水) 17:04:48 ID:InQnm3bn
「あの、ボク、こういうの、初めてなので…」
「そんなのカマラない。私に全部任せて。心配しなくていいよ。」
そういうシズも初めてだったが、キノを少しでも安心させるためにリードすることにした。
シズはおもむろに服を脱ぎ捨てた。鍛え上げられた肉体を見て、キノは長いため息をついた。そしてチラベルトを外し、クスチャックを下ろすと、中から大きくなったマラドーナをスルナと取り出した。
(すごい、男の人のってこんなに大きくなるんだ。)
そのソリン立つ異形のモノを見て、キノの身体の奥はうずいた。
「えっと、これを、舐めてもらえるかな。で、その、口に入れるんだ。」
キノは恐る恐るそれを持つと、小さい舌をペロッタ出してカリーニをペレペレ舐め始めた。しばらく握った熱い棒を見つめていたが、意を決してパクチソンと咥え込んだ。
「あむ…かはっ……カフー…」
それは口に入れてみるとやけに大きく感じられた。舌に押し付けられ、フランクフルトの形がじかに伝わってくる。初めての感覚に、キノは急に恥ずかしくなった。
「う…っく!いい。すごくいいフェラーリだよ。」
ねっとりとした舌使いにシズのマラドーナはどんどん大きさと硬さを増していった。キノのもう一方の手は自然と自らの下腹部に伸びていた。ひとしきりシャビアロンソ、キノは顔を上げた。熱いボウマの先から透明なシルビーニョがじわりと漏れ出した。
「気持ち、いい、ですか?」
シズのハートをぶち抜く上目遣い。シズは、キノのその澄んだ瞳の魔力にマケレレ
「そ、そうだね。キノさんにばっかりやらせるわけにはいかない。今度は私ボバンだ。」
「え?え?」
キノを立たせると、上着のボタンに手をかけ、丁寧に脱がしていく。キノはされるがままだった。やがてシズの目の前に、まだ発達していないアルパイがあらわになった。アルパイはアルパイであって、決してナイパイではない。
「きれいな胸だ。」
「恥ずかしいです。ボク、何カップもないし…」
「いや、これはワールドカップだよ。」
「ど、どういう意味?」
「えっと、ワールドクラスの、胸、ってことだようん。」
勝手に納得すると、手でアルパイの全体をなで始めた。ゆっくりともみしだく。そして親指で乳首を刺激した。
「あっ……あふぅぅん……」
「カーンじやすいんだね。ペナルティエリア(性感帯)ってやつかな。」
横からアルパイを掴むと、乳首に吸い付いた。ぴちゃ、ぴちゃ。なにもできずに喘ぐキノ。
「はぁ…はぁ……おかしく…なっちゃうよぉ……」
小さく震えるコリーナした乳首を舌の上で優しくコロッチーニ。何度もコロッチーニ。キノはその度にビリビリとした刺激が全身に広がるのを感じた。
「そろそろ下も、いいかな?」
キノのチラベルトに手をかける。かちゃかちゃ…。キノは何も言わず、素直にズボンを脱がされた。キノは小さな白いパンディアーニを穿いていた。真っ白だが、キブの近くだけじっとりとシミッチができている。
「あっ、いゃっ。」
慌ててその恥ずかしいシミッチを手で覆う。
「大丈夫、隠さなくていいよ。」
27ドイツWC記念SS(前半戦):2006/07/26(水) 17:05:57 ID:InQnm3bn
シズは震える手をどけて、白いパンディアーニを脱がせた。ランプの明かりを受け、艶やかなレーマンがお目見えする。
まだ上も下もつるつるで、卵のようだった。果物を割ったようなみずみずしいレーマンからはネドヴェドしたシルビーニョが溢れており、パンディアーニとの間にキラキラ光る長い糸を引いた。
生まれたままの姿になったキノの身体をシズはカルロスと持ち上げ、自分のひざの上にのせた。緩やかな腰のラインを優しく右手でなぞる。
「あっ…ふぅっ…」
ザザザザンブロッタとキノの左サイドを快感が駆け上がる。
「知らなかった。結構お尻大きいんだね。アンジョンファン(安産型)だ。」
「そんな……自分では…その………ち…小さい方だと思ってたけど…。」
実際キノのお尻は小さかった。アンジョンファン言いたいだけだった。そして大事な大事なクリンスマンに指をあてる。
「ひゃっ…ん!」
力が抜けて、シズのたくましい胸板にジダンと頭を突いた。キノの頭に激しい鼓動が伝わってくる。
(シズさん、こんなにドキドキしてるんだ。)
クリンスマンをいじりながら、シズは空いた手で座席の下をまさぐり、ピンク色の液体が入ったビンを取り出した。
「ちょっとこれを使ってみるよ。」
容器からその液体をキノのレーマンに垂らした。
「ふぁん!?なニステルローイ?」
その冷たさにキノはビクッと身体を引いた。
「ラーションっていうんだ。これでもっと気持ちよくなるはず。」
指でそれを絡めとると、ヒクヒク動くレーマンに指を差し入れた。熱い肉の壁はじゅるりと指の侵入を受け入れた。
「んんんん!!!」
キノの手に力がこもり、シズの身体に強く爪を立てた。シズは構わず2本の指で掻き回した。ネドヴェドしたシルビーニョが指に絡みつく。
「はぁ…はぁ……んっ……はぁ…」
シズの指は知ってか知らずか裏側のクレスポを重点的に刺激する。
「こんな……んっ…快感っ…はんんっ…………アリエエエエエン!(ロッベエエエエエン!)」
直後。小さなツボイはキューウェルと指を締め上げ、プシェ!プシェ!!と勢い良く潮が噴き出した。
「ん……ぅぅぅん………」
しばらくの硬直の後、キノはベッタリーニとシズの身体にもたれかかった。
「イったんだね。」
シズはキノの背中を擦った。顔を上げたキノは潤んだ目でシズの目を覗き込んだ
「シズさん…。」
「キノさん…。」
二人は見つめ合い、もう一度、今度は優しく、ゆっくりと唇を合わせた。
28ドイツWC記念SS(ハーフタイム):2006/07/26(水) 17:07:10 ID:InQnm3bn


「どこ行くのさ」
いそいそとバギーの方へ近付くエロ犬に、ポンコツが声をかけた。
「シズ様が心配だ。見に行く。」
振り返ったエロ犬の顔は妙に濃かった。眉毛が見えた気がした。
「それってただの覗きじゃん?」
「いや、キノさんの事だ、何があるかわからない。油断したロリコ……シズ様から金品だけ奪って逃走ということも考えられる。」
「はいはいバロシュバロシュ。僕はもう寝るよ。」
そういうとポンコツは静かになった。
(後でシズに言っておくカンナ、ヴァーロー。)
そう思ったポンコツの色は心なしかダークだった。不敵な笑みが見えた気がした。

エロ犬は目標を定めると、落ち葉を踏みしめながらシニョーリシニョーリと後ろから近付いた。カーテンは閉めているが、前から光がもれているように見える。
さながらスネークのような動きで速やかにバックミラーの下まで辿り着くと、案の定フロントガラスは覆われてないことが分かった。しかしここからではよく中が見えない。
タイヤの上に後ろ足をかけると、ぐいと身体を持ち上げ、フロントガラスの端からそーっと顔を出す。
(!!!!!!)
なんとそこには…。

そこには何も身に付けていない素っ裸のキノがこちらを向いて座っており、その後ろからキノの中心を一心に突き上げるシズがいた。信じられない、否、心の底から期待していた光景がそこにあった。
(ス、スゴイ……。キノさんがあんな格好で……あんなによがって………。)
中からパパン、パパン、という音がかすかに聞こえる。
丁度その時、こちらを向いているキノと一瞬目が合ったような気がしてドキリとした。恐らく気のせいだろう。充血した目で食い入るように人間の交尾を観察する。
キノの今にもとろけそうな恍惚とした表情。揺れ動く小ぶりの胸。音が聞こえてきそうな結合部。滴る汗や愛液や諸々のシルビーニョ。それらを見ているうちにエロ犬の立派なマラッツィーナがむくむくと起き上がり、そこへ無意識に前足が添えられた。
エロ犬の頭の中では既に妄想がスタートしていた。まず邪魔なシズを脳内消去する。なんて扱いだ。
そしてキノさんの中に自分のマラッツィーナが…。ヌルヌルしていて熱い…そしてきつい…。イン…アウト…イン…アウト…たまにトゥ…。
竿に添えられた前足は、キノの動きと自然とシンクロしてくる。二人の動きが激しくなってきた。
(ぐっ……はぁ…はぁ……キノ……さんっ……でる!………でる!!!)

誰もいない夜の森に、キノの嬌声が響いた。
(わぉーーーーーーーーーーーん!!)
心の叫びと共に、こすっていた竿から大量のセンシーニがぶちまけられる。快感、罪悪感、全てをそこに放出する。
ドクドクと溢れ出すそれは車のボディに、タイヤに、ビチャビチャと卑猥な跡を残した。

静かになったはずのモトラドから眠そうな声が上がった。
「うーん…。キノ、またオナってるんだね。むにゃむにゃ…」

エロ犬は行為を終えると、そのまま地面にへたり込んだ。と、後ろの木にゴン中山と頭を強打して気を失った。
月明かりの下、マラッツィーナをさらけ出したまま…。
29ドイツWC記念SS(後半戦):2006/07/26(水) 17:08:35 ID:InQnm3bn


ほんのり甘酸っぱい香りが充満した車内。ランプの光が艶めかしく動く肢体を照らし出す。
「もう、こんなにグジョンセンだ。」
「そんなこと、言わないでっ、んっ、はぁ…。」
シズに身体を預けた状態のキノは下から指で弄ばれ、息を荒げていた。キノは物欲しそうにシズの方を見やる。
「あの……そろそろ…」
「ああ、そうだね。」
シズはそのグジョンセンレーマンから指を引き抜いた。
「これから何をするかは分かる?」
わざとジラルディーノするシズ。
「………うん。」
「じゃあ、何がしたいか、詳しく説明して。」
男というものは、純情な乙女になぜいやらしい言葉を言わせたがるのか分からないが、シズも例外ではなかった。そしてそれは、キノに対して持っていたある種の劣等感が言わせたに違いない。
「カントナ言ったらどうだい?」
「ええっと………インザーギ…」
今まで口にしたことのない卑猥な言葉がぽつりと漏れる。
「イ、インザーギして下さい!!シズさんの熱いマラドーナで、ボクのおマンチーニをドログバのカバジェロの…ジェンバジェンバにして下さい!!!」
言い終わるとキノは顔を赤らめてシズの胸に飛び込んだ。言わせた本人もなぜか物凄く恥ずかしくなった。
「あ、ああ。そうしよう。」
シズはキノの身体を抱え上げ、後ろを向かせて自分の竿を跨がせるように座らせた。キノの股の間からマラドーナがソリン立つ。
「見て。キノさんが欲しくてこんなにビドゥカビドゥカしてる。」
キノはこれから入るモノを不安そうに見つめた。
「うん……すごい…。」
シズが太ももを抱え上げ、濡れたピンク色のケジュマンにその先を押しあてる。ためらうことはなかった。立ち塞がる膣壁を掻き分けて、後方からバイタルエリアを一気に突いた。
「ひぎぁ!」
太いマラドーナはキノの中央を見事に突破した。痛みと快感の入り混じった感覚が身体を突き抜ける。じわりと血の滲んだ口はすっぽりとイナモトまで飲み込んだ。
二人はインザーギの快感を初めて知った。今、キノと繋がっている。その事実だけでシズは射精できそうな気がした。そして、ゆっくりと動き出す。キノの中はきつく、全方位からしつこくプレッシングする。
「い……ちょっと……痛い…です。」
「うっ……でも……テベスるより…ずっといいだろう?」
何気なく聞かれて、キノは即答しそうになった。シズはキノがジーコを覚えたことを知っていたのだ。
「な、なんのことか、分カラッチ……」
「あの、モトラド君から、聞いたんだ。時々隠れてやってるって。」
「………。」
恥ずかしさと同時に、ポンコツに対する怒りがこみ上げてくる。だがすぐにそれらはかき消された。押し寄せる快感に、そんなことはどうでもよくなった。
「うっ…ふぅ……んっ……」
腰の動きが激しさを増した。パパン!パパン!肉のぶつかる音が響く。キノはまるで夢の中にいるような浮遊感に浸った。
だが次の瞬間、その淡い夢から再び現実へと引き戻される。
30ドイツWC記念SS(後半戦):2006/07/26(水) 17:10:37 ID:InQnm3bn
前方、フロントガラスの端に、なんと見慣れた犬の顔があった。エロ犬が物凄い形相で覗いているではないか。眉毛さえ見えた気がした。
(あ、は、恥ずかしいよぉっ)
キノは咄嗟に手でキブを覆った。と、勢い余ってシズの二つのボールを掴んでしまった。ハンドである。
(ぐわぁ!こ、これは反則的だ!)
シズは一気に持っていかれそうになった。ボールを掴まれた刺激に、その奥で煮えたぎるセンシーニが歓喜の声を上げる。
「うっ…くふぅ……」
更に手を動かしはじめるキノ。もう犬やモトラドに邪魔されたくなかった。だから犬のことは忘れて、そのまま自らのクリンスマンを刺激することに専念した。だが、この刺激はシズのボールにも伝わっていた。
いわばシズはディフェンスラインの一歩手前にいた。ここで早まってキノのオフサイドトラップにかかるわけにはいかない。オフサイド、即ちピューッと笛から線審が噴かれてしまうのである。
「ダ、ダメだ…」
朦朧とする意識の中でなんとかその小刻みに動く子悪魔の手をどけた。代わりに自分の手でクリンスマンを刺激することにした。
「ふぅぅん……みゅんへんになっちゃう……」
それに反応して、キノのレーマンが出し入れされる肉棒をシュキュルシュキュルと締め付ける。
(まだキノさんはイかないのか…まだ…)
ここでシズはあることに気が付いた。よく考えてみれば、キノは既に前半戦でイってん取っているのだ。シズはまだイってんも取っていない。明らかに不利な状況である事実を突き付けられ、愕然とした。
(フェラーリで一回センシーニを抜いておくべきだったのか!)
男シズ、精子の大誤算であった。無論初めての代表監督、采配に誤りが生じたのは仕方の無いことかもしれない。そんなシズの思いを見抜いていたのか、キノが助け舟を出した。
「ねえ…」
「ど、どうかした?」
「ボク、シズさんの顔、もっとミテアたい。正面から………お願い。」
いい提案だ、とシズは思った。少しでもマラドーナを休ませたかった。
「分かった。」
一旦引き抜いてマラドーナをベンチに下がらせると、キノを向かい合うように座らせた。先ほどまでこみ上げていたものが多少下がってくるのを感じる。
キノのお尻を持ち上げて、今度はシェフチェンコを投入する。キノはシズの顔を見上げながら、再び襲ってくるインザーギの快感に震えた。
「んんっ!………はぁ…はぁ。」
肩に手を回したキノは、もう自分から動き始めた。
シズもキノの顔をミテアたかった。愛しいその顔を。そして今では見ているだけで酔ってしまいそうなその乙女の顔を。
だがそんなことをしたら試合終了ですよ?という状態だったので、ここは一転、瞼を閉じ、全ての五感を遮断し、瞑想に入った。目をつぶられたキノは黙ってはおれない。
「な…んで?……もっと……ボクを見てぇ…シズさぁん!!」
キノは更に快感を貪るように腰をグラウンドさせた。たくましい腕の中で小さな身体が絶え間なく上下動する。
強力なDF陣を目の前にしたシェフチェンコは投入されたばかりだというのに、もはやシズの意思とは関係なく縦横無尽にピッチを走り回り、はやく抜きたいと訴えた。熱く躍動する肉に囲まれ、シェフチェンコは溶けかかっていた。
(も、もうダメだ!)
しかしキノはまだ達していないのだ。メッシ奉公。真面目なシズは、私欲を優先させることはできなかった。
キノのペナルティキックは強烈だ。でも自分のためにも、キノのためにもとめるしかないのだ。失点は許されない。まさにそれはクロアチア戦PK時の川口と同じ気持ちであった。
そこでシズは、ある伝説的名シーンを思い出して、これをセービングすることにした。
そう、QBKである。(Q:急に B:ボールが K:来たので)
31ドイツWC記念SS(後半戦):2006/07/26(水) 17:11:12 ID:InQnm3bn

             ヽ(Д´ )ヘ < 絶好のチャンスだ!決めてくれ!
    ___        (┌ ) ≡≡≡≡≡
   /   /|       M \ ;。:;。
   /   / | ( ゚д)    ‖
  /   / | (┘)┘   ‖
  /   /   > >    ‖
 /   /          ‖
 | ̄ ̄|            ○ ヽ(Д´ )ヘ < えっ?
 |   |               (┌ ) ≡≡
 |   |                \  ;。:



             
    ___       ヽ(・ω・)/   ズコー
   /   /|       \(.\ ノ         
   /   / |○
  /   / | ヽ(・ω・)/   ズコー
  /   /  \(.\ ノ    
 /   /      ヽ
 | ̄ ̄|       ヽ (・ω・)  < 急にボールが来たので
 |   |        ヽノ( ノ)
 |   |        ヾ < \

※QBKのガイドラインより
32ドイツWC記念SS(後半戦):2006/07/26(水) 17:11:44 ID:InQnm3bn
(…………よし!回復したぞ!)
このヤナギサワの伝説的プレイがシズを救った。なんとか持ち直すことができたのだ。目をあけると、キノは安心したように笑みを浮かべた。
「あ……はぁ…シズさぁん…………ん!む!」
素早く攻めに転じた。キスをすると、すぐさまネドヴェドと舌を絡めた。
同時にキノの動きに合わせて下からも突き上げ始めた。結合部からはシルビーニョが飛び散り、ドログバに掻き回された。プジョル!プジョル!キノの小さな身体が弾む。
左手でキノの背中を支え、右手は後ろの実況アナを襲った。それまで出ることにしか使われなかったその新人アナを広げながら、ぷちゅりと指が侵入していく。
「ん!んむ!!ふひぃ!!」
口、レーマン、新人アナ。サントス同時に攻め立てられ、キノは全身ペナルティエリア状態になった。シズに触れている、その全ての刺激の奔流がキノの中心になだれ込み、遥かな高みへと導く。
「イっちゃう、イっちゃうよおおおお!!」
「うっ、すごいシメオネだ!もう、デサイーだよ!」
そう言われてキノは両足をシズの身体にマキつけた。
「ボクの!中で!お願いっ!」
すでにロスタイムに入っていた。こうなっては中でデルピエロしかない。中田氏は望むところだ。ここで決める。シズの動きは更に速くなる。もはや表現し難いくらいにキノのナカザワグジョンカバジェロプジョルプジョル。

その瞬間、キノはこれまで感じたこと無いくらいの頂点まで登りつめた。真っ白な世界。そこでシズと身も心も溶け合い、ただ、ひたすらに、嬉しかった。

そして、果てた。

「はあああああああああああぁぁぁぁぁん!!!!」
キノは甲高い嬌声と共にシズを強く抱きしめ、同時にもう一つのシズも締め付けた。
「ぐ!はぁ!」
ドーピングッ、ドーピングッ、シェフチェンコから熱いセンシーニがどんどん溢れ出してくる。それを一滴も逃さないようにとキノのおマンチーニはファウルも厭わず深く喰らいついた。
溢れては押し込まれ、こぼれ球も押し込まれ、熱いものがどんどんキノの中に流れ込んでくる。二人はロープの結び目のように一つになって硬直し、そして融けた。

「「はぁ……はぁ……はぁ……」」
しばらくの沈黙の後、シズはキノの体内から、その感覚をオシムように、ボウマをニュルンベルグと引き抜いた。キノは静かにシズを真正面から見据えた。
「シズさん…………………………大好き。」
キックオフの前に言おうとしたこと。やっと言えた。やっと素直になれた。シズはそんなキノに微笑みかけ、再び抱き寄せた。

これから新たな旅が始まる。二人はそんな予感がした。

33ドイツWC記念SS(インタビュー):2006/07/26(水) 17:12:19 ID:InQnm3bn



「昨日何かあったの?」
ポンコツが尋ねた。

朝、キノはポンコツに乗って走っていた。昨日一緒だったシズや犬の姿はない。
「え?い、いや、なんでそんなこと聞くの?エルメス。」
今更エルメスなんて言われても。もういいやポンコツで。
「だってなんか顔がテカテカしてるよ?」
ポンコツに言われて、キノは手袋をはめた手で頬を擦った。
「それに、股の間もいつもより熱いよ。」
「な…!」
言葉につまるキノ。顔が紅潮してくる。だがこういうときこそ冷静にならなければならない。
「い、いつものトレーニングだよ、それをちょっと長くやっちゃったのさ、だから熱いの、その時はエルメスも寝てたし、それに、え、ええと…」
「どのくらい?」
「きゅ、90分くらい…かな。」
「ふーん」
ポンコツはここぞとばかりに波状攻撃した。
「今朝こっそりあのエロ犬に聞いたんだ。トレーニングの一部始終。」
「!」
「きっと師匠も褒めてくれるよ。90分もやったなんて。シズさんもよくもったね。あはははh」

ドガッ
ポンコツのタンクに殺意のこもった蹴りが入った。



一方シズは…

ゴシゴシゴシゴシ…
川岸で黙々と車体を洗っていた。丁度エロ犬がぶちまけた辺りだ。
無言である。
頭の上にたんこぶを作った犬が傍に座っていた。
無言である。

一人と一匹はうつむき、赤面していた。
それぞれ別の理由からだったが、どちらも似たようなものだった。
342006ドイツWC記念SS:2006/07/26(水) 17:14:57 ID:InQnm3bn
以上です。
長々とスレ汚し失礼しました。
35名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 17:20:56 ID:DHM5RfYg
あいやー!
最高ですよぅ!
362006ドイツWC記念SS:2006/07/26(水) 17:36:29 ID:InQnm3bn
あ、最初の方のコインの話は『コイントス』のつもりです。
…ってどうでもいいですよね。
37名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 18:33:57 ID:IeRTvYYk
とてもGJです。
38名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 19:03:22 ID:LbDHWdfB
伏線まで張ってるのがバロシュwwwwwwww
>>ピューッと笛から線審が噴かれてしまう
バロシュwwwwwwwww
全体的にバロシュwwwwwwww

で、バロシュって何?選手名?
39名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 22:31:15 ID:Wki5N7SW
おもしれーwwwwwしハァハァできた。エロい!
超GJ!!!!!!!!!!!!!
402006ドイツWC記念SS:2006/07/26(水) 23:38:31 ID:InQnm3bn
ウケて下さった方がいて良かったです。
バロシュはチェコのFWです。同じチェコのネドヴェドが好きなので気が付けば登場回数が多い…。

読んで下さった方ありがとうございます。
41名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 01:42:02 ID:p0Zsr1wN
サッカーには詳しくないけど笑わせてもらったw
エロかったしGJ!!!!
42名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 18:11:44 ID:vbopcphe
エロシュw
そしてバロシュw
笑いの神もキテル━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
43名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 08:16:31 ID:VlvNupYZ
ライプツィヒGJ
44名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 14:33:30 ID:kynHXOwN
GJGj!!!
45名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 17:02:18 ID:rpfMdhYd
リリアとトレイズって無いのー
少ないぜよー
46名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 20:37:05 ID:eFEt0iPc
「はー…汗だく。キノさん、お風呂行こっか」
「うん…痛ッ!!」
「あー…腰痛い?」
「立てない…」
「よっし、俺がお姫様だっこしてあげる」
「え…ひゃあッ」
「キノさん軽ーい」

で、風呂ワラ

「キノさん、洗ってあげる」
「ん…?ちょ…さりげなく乳首触らないで」
「ごめん、もう一回シたい」
「あ、やめッ…!!」

こんなトコを想像してみた。リリアとトレイズでもいい。誰かネタにして

47ちょま:2006/07/29(土) 02:35:22 ID:p1k5ir7r
SS改定以下?
返事しだい投稿します。
あんま(ぜんぜん)エロないです。
なんかよくわかんないです。猛省します。
レスお願いします。
48名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 09:09:20 ID:XFzfC3uY
>>47
ドンと来い!
49名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 10:03:57 ID:E79xPgoG
お願いしまーす ワクワク
50名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 11:23:55 ID:iPNZh6Qf
>>46
ワラとかやめようぜ
51CM:2006/07/29(土) 16:54:26 ID:pqw6jVV9
 ガバァ!(襲いかかる魔物)
幼少キノ「ボクは旅人なんだ!!」(パースエイダーを抜くキノ)
[BGM]♪つらい時「つらい」と言えたらいいのにな〜……♪
幼少キノ「ただいまー!」(帰ってくるキノ、師匠に抱きつく)
妙齢師匠「まあ!汗びっしょり!メリットしようね。」
 バッシャ〜(お風呂でお湯をかぶるキノ)
 (微笑むキノ)
[テロップ]メリットはキノの旅を応援しています。
52名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 18:46:13 ID:gzUR3wgp
ちょwCMwww
53名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 21:16:54 ID:+l1ubNWj
マジワロスw
54名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 02:45:03 ID:AEmYrOBx
>>47wktk。期待街。
55政府公報:2006/07/31(月) 22:08:46 ID:ceode+mz
 ぐへへ!(襲いかかる暴漢)
幼少キノ「子供だって人権があるんだ!!」(引き金を引くキノ)
[BGM]♪つらい時「つらい」と言えたらいいのにな〜……♪
幼少キノ「ただいまー!」(帰ってくるキノ、師匠に抱きつく)
妙齢師匠「まあ!返り血びっしょり!よく殺ったわね。」
 ゴーーーー(燃え盛る死体と現場)
 (狂ったように高笑いするキノ)
[テロップ]犯罪の無い明るい社会を目指して。
56名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 23:11:53 ID:HXkc83ra
>>55
続編wwwwwwwww
57名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 13:30:45 ID:R6TuSP0+
キノらしくていいじゃないんでしょうか
でもワラwwww
58名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 19:10:22 ID:qTY2WFl3
ハァハァハァハァ・・・(幼女に襲いかかるシズ)
陸「いい加減にしろ!このロリコン剣士!」(尻に喰らいつく陸)
[BGM]♪つらい時「つらい」と言えたらいいのにな〜……♪
陸「ただいまー!」(帰ってくる陸、シズを投げ捨てる)
ティー「まあ・・・尻血ビッショリ・・・・・・消毒しようね・・・」
 ドバーーーー!(オキシドールをリットル単位でシズにぶちまけるティー)
 (狂ったように暴れまわるシズ)
[テロップ]犯罪の無い明るい社会を目指して。


ここまで考えて「こんな事する暇あるならSS書けや!」という己の声が聞こえたので帰ります
59名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 02:16:00 ID:i1fvMpOU
個人的にアリソンとリリトレが恋愛小説としては好きなのでこれで書いてみるか、と思ったんだが
ちょっと意見を聞かせてくれ。

アリソンはヴィルが初めてとして、ヴィルはアリソン以外の女性経験ってあるかな?
60名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 02:20:51 ID:6bYCK4oa
漏れとしては無しのが良いなぁ
61名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 05:31:28 ID:0mRgNUw8
設定は自由でいいとオモ。フィーとやったとか?
アリソンはけっこうやってそうなんだけどなぁーヴィルは反対に襲わなそうだし…
62名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 06:02:29 ID:xk0quXgn
やっぱお互い初めてじゃない?
63名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 17:59:32 ID:q56r4STn
失礼します。
リリトレ好きな私がリリトレで一本書いてみました。
これが私のSS初挑戦だったのですが、SSって難しいですね…
64名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 18:01:15 ID:q56r4STn

扉を開けると、そこにはトレイズがいた。
「こんにちは―」
「………」
トレイズの挨拶をリリアは無言で返す。
しばらくの静寂の後、トレイズが尋ねる。
「アリソンさんは?」
「仕事」
「……とりあえず、入って良い?」
「………」


時は春休みの昼下がり、リリアは短いながらも与えられた休みを満喫していた。
そしてリリアの母、アリソンは仕事に行っている。
今夜は久しぶりに“英雄さん”とディナーを楽しんでくるそうだ。
今もディナーのおかげで楽しそうに仕事をしていることだろう。
リリアはそんな母の幸せを想像しつつ目の前の男に不満をあらわにしていた。

ダイニングルームに移動した二人、開口一番リリアが、
「大体なんでこんないきなりなのよ!」
と騒ぎ立てるとトレイズは、
「この前、次に合う約束をするのを忘れてたじゃないか」
確かに、昨年の大晦日に二人が会った時はあの中央山脈の横断路という歴史的発見に埋もれた
映画撮影隊によるイクス王室離れの乗っ取りという大事件に巻き込まれたいざこざで
二人とも次回会う約束を忘れてしまっていた。それは事実だ。しかし―、
「手紙くらい出しなさいよ!」
リリアのもっともな反論に、
「リリアを驚かせたかったんだよ、本当にびっくりしてくれて何より」
「なによそれ〜!」
トレイズの言葉とリリアの嘆く声。
「いつまでいるつもりよ」
「五日間程」
「はあ……」
リリアの口から溜息が漏れる。
「家事は手伝うからさ」
「そう、じゃあ買い物行ってきて。後今日の夕ご飯もつくって」
そう言ってリリアは不機嫌そうに買い物のメモをトレイズに渡す。
「仰せのままに」
トレイズは恭しく礼をして買い物に出かけていった。
65名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 18:02:37 ID:q56r4STn

夕刻、二人はトレイズのつくった料理を堪能していた。
やがて二人は目の前の食事を全て平らげた。
「あ〜、うまかった」
食事を終えて満足しているリリア。
「お褒めにあずかり光栄です」
「これならおばさんに手伝ってもらう必要なんてなかったじゃない」
「あのときはちょっと、ね。今はその言葉を聞いて自信が出てきたよ」
料理をほめられたトレイズも心なしか嬉しそうである。
「それじゃ片づけはやっといてね。私はシャワー浴びてくるから」
「承知致しました」

トレイズは食器を洗いながら考えていた。
「今日こそは……あいつにあのことを伝えよう」
“自分はイクストーヴァの王子である”
今までいろいろあって伝えられなかったこの真実を
今日こそリリアに打ち明けよう―
それは今回トレイズが首都まで来た理由の一つであった。
「どうやら最近メリエルがいつまでも真実をあかせられない自分のことを
『ヘタレのトレイズ』とあちこちに吹聴しているらしいからな。
ここらで一つ名誉を挽回しなければ!」
だそうで。頑張れよ、ヘタレ。

トレイズの食後の片づけが終わる頃にリリアがシャワーを浴び終えた。
「さっぱりした〜」
「リリア、話がある」
「却下。私は寝るから、あなたもとっとと浴びてきたら? それじゃ」
そう言ってリリアは自分の部屋に行ってしまった。
「………」
一人台所に取り残されたトレイズは、
「先にシャワーを浴びてからリリアの部屋に行って話をしよう
寝ているのを起こしてでも今日この事を話すんだ」
と決心して浴室に入っていった。
66名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 18:04:40 ID:q56r4STn

トレイズはシャワーを浴び終え、覚悟を決めた表情でリリアの部屋の前に立っていた。
「行くぞ!!」
寝ているかも知れないのであくまで小声で叫んでリリアの部屋に突入するトレイズ。
そこにいたリリアはベッドの上で小さな寝息を立てながら眠っていた。
トレイズはそんなリリアに近づき耳元で、
「リリア……起きてくれ……」
と何度か呼びかけた。
するとリリアは目を開き突然叫びだした。
「私がリリアーヌ・アイカシア・コラソン・ウィッティングトン・シュルツである
話しかけられたとき以外は口を開くな 口でクソたれる前と後に“サー”と言え
分かったか、ウジ虫ども! 」
そう言ってリリアはトレイズをベッドに引きずり込んだ。
そして、トレイズのパジャマの腰に手をかけて一気にずりさげた
「え? え?」
トレイズは動揺してリリアのされるがままになっている。
露出された男根に向かってリリアは叫び続ける
「貴様か、腐れマラは?」
リリアはそう言ってトレイズの男根をシゴき始めた。
「うっ、あっ、……リリア…」
リリアの責めによってすっかり硬くそびえていたトレイズのモノを見てリリアは
「まるで、そびえ立つクソだ!」
と叫んでいた。もはや、寝ぼけている今のリリアは完全に某先任軍曹殿となっていた。
そんなリリア先任軍曹がトレイズのソレを口に含もうとしたそのとき――

バタッ

リリアはベッドの上で仰向けに倒れた。
「へ?」
トレイズは状況が理解できないで呆然としていた。
三十秒ほど後、
「ん……ってトレイズ! 何でこんな所に……というかなんて格好してんのよ!」
こんな格好にしたのはリリアだろう、と思いつつ
「覚えていないのか?」
「何をよ」
やっぱり、さっきのリリアは寝ぼけていたんだな…とトレイズは再確認しつつ、
先刻のリリアの責めでわき上がった性欲を収めようとしていた。
だが、脱ヘタレを目指す男、寸止めを喰らったこの状況で我慢できるはずもなく、
「ごめん、リリア!」
「え? ちょっと―」
67名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 18:05:59 ID:q56r4STn

トレイズはリリアを押し倒し、唇を重ね合わせた。
「ん…ふぅ……」
口腔内が二人の舌で埋められる感覚にリリアは言いしれぬ感覚を覚えていた。
一度唇を解放してトレイズが、
「大丈夫か、リリア」
と襲いかかってしまったという罪悪感にとらわれながら尋ねる。
リリアの方は多少不満げに、しかし楽しそうに
「ん…まあ、こういうのもアリってことでいいんじゃないの」
と返事をし、トレイズは再度リリアにキスをした。

キスをすませるとトレイズはトレイズはリリアの服を脱がせていった。
ブラを剥ぎ取るとリリアのささやかながらも形の整った乳房が露わになった。
トレイズはその双丘を優しく愛撫していく。
「ふっ…んあ……あっ!」
乳房を寄せ上げ、揉みしだき、乳首に舌を這わせるたびにリリアは歓喜の声を上げる。
トレイズはそんなリリアに欲情し、さらに激しくリリアを責めたてる。
「くぅ…はあ……ひゃっ…ひぃん!」
リリアがもう絶頂に達しようかと言うところでトレイズは責めるのを止めた。
「こんなもんか」
「ふぁ……ちょっと、何がこんなもんよ!」
いきなり快楽を止められたリリアの文句を尻目にトレイズはリリアの下の服を脱がした。
一糸纏わぬ姿となったリリアの秘所はもう十分に濡れていた。
「ほら、もうこんなになってる」
「っ…分かってるなら早くしなさいよ!」
頬を赤らめながら催促をするリリア。
トレイズはそれに答えるように何も言わずリリアの秘所に挿入した。
「んあああああああ!」
リリアは処女であったので破瓜の痛みは感じているはずである。
現に二人がつながっている部分からは多量の血が流れている。
だがそれ以上に絶頂ギリギリまで責められていたリリアの身体は快感のみを受け止めて、
結果として挿入のみで達してしまっていた。
トレイズはしばらくリリアを絶頂の余韻に浸らせていたが、
「そろそろ俺も」
とリリアの膣中の剛直を動かし始めた。
「ひぃぁ! ふぅん! ああ!」
先程の絶頂で敏感になっていたリリアは突然の快感にただ悶えるしかなかった。
トレイズはなおも激しくリリアの膣中を責めたてる。
「はぁん! うぁっ! んっ! ダメッ!」
さらにトレイズは空いている両手で再びリリアの双丘を責め始めた。
「またソコッ! うぅん! はぁっ!」
嬌声を上げ続けるリリア。二人にはもう限界が迫っていた。
「うっ! もうっ! リリアァ!!」
「ひぃぁああああああああ!」
トレイズが精を放ち、リリアがそれを受け止める。
その後も二人はしばらく繋がったままその余韻に浸り続けた。
68名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 18:07:11 ID:q56r4STn

「たっだいま〜」
明け方、アリソン・ウィッティングトンは扉を開けて自分の家に帰ってきた。
「リリアちゃんいる〜?」
と娘の部屋をのぞき込むアリソン。
そこには娘がよく知った顔の青年と一緒に幸せそうに眠りこけていた。
「あらあら、こっちもお楽しみだったのかしら」
一目で状況を察知したアリソンは何も言わずに自分の部屋に戻っていった。

結局、トレイズはリリアに真実を打ち明けることは出来なかったが、
(性的な意味で)ヘタレからは脱却できたようである。


めでたしめでたし(?)
69名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 18:08:08 ID:q56r4STn
以上です。
シリアスにもギャグにもなりきれてない話で正直すみませんでした。
70名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 18:59:58 ID:VxyhFRea
いえいえ、乙です!
71名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 20:20:37 ID:mwOhDcGL
可愛い!GJ!!
72名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 20:31:05 ID:0NhcLwSB
GJ!!!!!!!!!
73名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 05:39:26 ID:1pZnWylv
GJ!!
74名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 08:19:40 ID:HaO3Iotl
軍曹ワロタww

GJ!!w
75名無しさん@ピンキー:2006/08/06(日) 00:04:34 ID:uOZ3es+v
口でクソたれる前と後にGJと言え!
76SBI:2006/08/06(日) 14:50:53 ID:X077Nroz
ちょっと見ない間に素敵にエロいお話がこんなにも…。
俺も書いたので、投下したいと思います。
リビドーの赴くままに書いたので、なんだか微妙な出来栄えですが……。
一応、いってみます。
77SBI:2006/08/06(日) 14:51:52 ID:X077Nroz
どことも知れぬ時空の狭間に、地獄があった。
足元に広がるのは大地ではなく、じゅぷじゅぷと粘液を染み出す肉の床。それが天地を袋のように包み込み、巨大な消化器官の内部のような空間を形成していた。
その薄闇の中で、幾人もの男女が交わり合っている。
彼らは囚われ人だった。体に纏わりつく催淫性の粘液に理性を溶かされ、抗う事すら出来ずに快楽の海に沈んでいく。
そんな彼らの悲鳴を、心の叫びを、この空間は喰らっていた。

短めの黒髪を振り乱し、痙攣したように腰を振り続ける少女も、この空間の餌食となった人間の一人だった。
「ふあっ!!やあっ!!シズさ…あああああああんっ!!!!」
「くぁっ…ああっ!キノさんっ!!!」
少女も、その体を抱きしめる青年も、微かに理性の光を残した瞳に涙を浮かべ、しかし湧き上がる淫欲に抗い切れずに腰を動かし続ける。
体が、心が、じわじわと快楽に侵食され、腐って堕ちて行く。それが判っているのに、行為を止める事が出来ない。
「や…はああっ!!イクぅ!!…ボク…また…ああああああ――――っ!!!!」
小さな体を弓なりに反らせて、少女は絶頂に登りつめ、青年は少女の中に白濁を放つ。少女は力の抜けた体をぐったりと青年に預け、青年はその肩をそっと抱いてやった。
だが、彼らには一時の安息も許される事は無い。この空間を隅々まで満たす淫気が、時を待たずして彼らを再び淫欲の地獄に叩き落すだろう。

そんな二人の姿を、少し離れた場所から見つめる白い髪の少女もまた、この空間の虜囚の一人だった。
「………あ……はあ………あんな…に……」
熱に浮かされたような瞳で二人の行為を見つめながら、少女は自分の一番敏感な部分をその幼い指先で一心不乱に掻き回していた。
大好きな青年が浮かべる今までに見たことの無い表情が、少女の心をざわめかせ、まだその意味すら知らない未知の感覚を体の中に呼び起こす。
いつしか見知らぬ場所に囚われた恐怖も忘れ、少女はその感覚を貪る事に夢中になっていた。
「…う…ああっ……シズぅ………シ…ズぅ……っ!!!」
切ない喘ぎを響かせて、少女は初めての絶頂に達した。

また空間の別の一角では、肉床に横たわる少年の硬く張り詰めたモノに、二人の少女が一心不乱に下を這わせていた。
「ひ……ああっ!…リ…リア……カルロ…やめるんだ…も…こんな……」
目の端に涙を滲ませ、必死で訴える少年。しかしその声は、ドクドクと脈打つ怒張に心奪われた少女たちの耳には届かない。
催淫液に侵されて力の入らない体では抵抗もままならず、少年は少女たちのなすがままとなる。
「ぷあ…んぅ……んんっ……ああ…トレイズのビクビクふるえてるぅ…」
小さな頃から想いを寄せてきた女の子。栗色の髪の彼女が、少年のモノに指を絡ませて微笑む。
「…ふあ…ん…くぅ……好…きぃ…トレイズお兄ちゃあん…」
もう一人の少女。幼い彼女の喉から漏れる声は、信じられないような淫靡な響きを帯びていた。
だが、快楽に蕩かされていく少女たちを目の前にして、少年を何より絶望させたのは、今のこの状況に堪らないほどに興奮している自分自身の心だった。
「ダメだっ!!…もうこれ以上っ!!うああああっ!!」
大量の欲望が少女たちにめがけて放たれた。しかし、絶頂に達してもなお、その興奮は少しも収まってくれそうにはなかった。
むしろ白濁に汚された少女たちの姿に、下半身の熱は抑えがたいほどに高まっていく。
「ねえ、トレイズ…もっと…もっといっぱい気持ち良くして……」
「お願い…お兄ちゃん……」
そう言ってすがり付いてくる二人の少女を拒むだけの力は、少年にはもう残されていなかった。
78SBI:2006/08/06(日) 14:52:59 ID:X077Nroz
また別の一角。なかば肉の床に取り込まれ身動きの取れない金髪の男の上で、艶やかな黒髪の女性が激しく腰を振っていた。
「あうっ!…あんっ!!…ああああっ!!!?…だ…め…腰…とまんな……ふああっ!!」
この空間に取り込まれたとき、粘液の沼地に落とされた女性の体はその催淫成分に体を侵されて、完全に欲望の虜となっていた。
いまだ微かに残る理性はそれに抗おうとして抗えず、女性は悲痛な叫びを上げる。
「…師匠っ!!…ぐ…ううっ…しっかりしてくださいっ!!」
快楽の前に壊されていく女性に向けて、男は必死で呼びかけ続ける。彼の目からは、ボロボロ、ボロボロとまるで子供のような大粒の涙がこぼれていた。
この狂気に満たされた世界の中では、男はあまりに無力だった。
「く…あああああっ…も…イっくうううううううっ!!!!」
叫び声を上げて昇り詰めた女性は、男の体の上に崩れ落ちた。なんとか首を動かして、男が覗き込んだ女性の顔に見たのは、諦めの表情。
「もう、無理です。……堕ちましょう、一緒に……」
震える声で放たれた女性の言葉に、男は肯く事しか出来なかった。

そして、催淫粘液の沼では、粘液に体の半分以上を浸しながら、震える肌を寄せ合い、抱き締め合う少年と少女の姿があった。
大きすぎる快楽に晒され続けて、息も絶え絶えの金髪の少女。彼女を胸に抱いて、茶色の髪の少年は、少女の髪を優しく撫で続けていた。
「ごめん……ヴィル…ごめんね……」
切れ切れの息の合間に、少女はか細い声でつぶやいていた。少年はその言葉に答えるかわりに、少女の唇にそっと口づける。
もはやこの空間から抜け出せないのなら、せめてこの少女の、最愛の人の悲しみを取り除いてあげたかった。
「いいよ、アリソン……アリソンと一緒なら、僕は大丈夫だよ」
「あ…はぁ…ヴィルっ……ヴィルぅ…っ」
自分を見つめてくる蒼い瞳からこぼれた涙を、少年はキスで拭ってやった。触れた唇の熱さに、少女の体がビクンと震える。
「ごめん……私もう…気持ちよすぎて…わけがわかんなくて……」
少年の胸に顔を埋めて、少女が震える声で言った。
「お願い…ヴィル……」
小さな肩を震わせて、少女が喉の奥から搾り出した言葉に、少年はこっくりと肯く。少女と繋がったままになっていたモノに熱がこもり、少年は再び腰を動かし始める。
「いやっ!!…ふあぁ!…らめぇっ!!…こんな…すごすぎるぅううっ!!!!」
少年が一度腰を動かすたびに、少女の頭の中に火花が弾け飛んで、小さな絶頂が何度も全身を駆け抜ける。
自分のものとも思えないような淫らな声が喉から漏れるのを聞きながら、少女は少年の背中に必死でしがみつく。
「ふあああっ!!ヴィルぅっ!!好きっ!!好きなのぉおおおっ!!!!」
「アリソンっ!!…好きだっ!!アリソンっ!!!」
互いの名前を、想いを叫ぶ。何度も、何度も……。
快感に塗れて、溶けて消えてしまいそうな心の中で、唯一つ確かなものだけを、二人は叫び続ける。
何度も叫んで、何度もキスを交わして、二人の体は狂おしい程に熱くなっていく。
「アリソンっ!!いくよっ!!!」
「ひあっ!!ああああああっ!!!ヴィルぅううううううっ!!!!!」
絶頂に達した少女の膣奥に、少年のモノから迸った白濁が叩きつけられて、その熱が少女をさらなる高みへと導く。
気の遠くなりそうな絶頂の連鎖の果てに、少女の体は崩れ落ちた。
79SBI:2006/08/06(日) 14:53:44 ID:HL0VEEEb
かつての凛々しい面影を失い、見る影も無くボロボロになった少女。少年は泣き出しそうになるのを堪えながら、少女の体を抱き寄せる。
どのくらいの間、そうしていただろう。少年は自分達の周りを囲む薄闇の向こうから聞こえてくる、微かな声の存在に気が付いた。
「うあっ!…フィーっ!!」
「ベネディクトぉ…私…もう……」
聞き覚えのある声だった。
「ユーミっ…出すぞっ!!!」
「ふあああっ!!お兄さまぁあああっ!!!」
耳に馴染んだ、大好きな人たちの声。大好きな人たちが、この快楽の闇に呑み込まれながら上げた悲鳴。
耳を澄ませば、ここからも、あそこからも、無数の囚われ人たちの声が耳に届いてくる。
少年は確信する。ここからは逃げられない。きっともう、永遠に……。
少女の腕がぎゅっと自分の体を抱きついてくるのを感じた。
「……アリソン?」
「ヴィル……私も…だいじょぶ…だから……ヴィルといっしょだもの…だいじょうぶ…だよ……」
気が付いた時には泣いていた。ボロボロと零れ落ちる涙を止める事が出来ず、少女の肩に顔を埋めて、少年は泣きじゃくった。
80SBI:2006/08/06(日) 14:54:20 ID:X077Nroz
以上でおしまいです。失礼しました。
81名無しさん@ピンキー:2006/08/06(日) 14:55:07 ID:T5lbprnZ
リアルタイムキターーーーーーーーーーーーーーーーーーー
GJ
でもそれまでの描写がもちっと欲しかった
82名無しさん@ピンキー:2006/08/06(日) 16:54:20 ID:sB3ALd0x
エロいよーGJ
やっぱり夏は粘液だねっ
83名無しさん@ピンキー:2006/08/06(日) 19:28:08 ID:T/+zZd2n
SBI乙!久しぶりだねー
84名無しさん@ピンキー:2006/08/07(月) 10:28:49 ID:CNCR5PPW
オールスターでねちっこくてGJ!
にしても、SBIはアリソンとヴィルをいぢめるのが好きだねぇ
85178:2006/08/08(火) 00:10:18 ID:Rb4vzj2d
おひさです。ともかくここまで保管しました

第三保管庫 ttp://kujira.s8.x-beat.com/kino/
86名無しさん@ピンキー:2006/08/08(火) 07:13:54 ID:87LfPQeQ
管理人さん乙です
87名無しさん@ピンキー:2006/08/08(火) 08:22:49 ID:slKhT6mq
GJ!!! 最高!!
88名無しさん@ピンキー:2006/08/08(火) 12:24:21 ID:i9m/vEYu
管理人さんd
89名無しさん@ピンキー:2006/08/10(木) 23:30:45 ID:gN8JqAiC
保守
90名無しさん@ピンキー:2006/08/13(日) 13:53:07 ID:FNOSWmWH
ホセ
91名無しさん@ピンキー:2006/08/14(月) 21:27:08 ID:1dZ22zyW
保守
92名無しさん@ピンキー:2006/08/16(水) 16:18:52 ID:tJ6D2ggV
リリトレが漫画化するってさー
93名無しさん@ピンキー:2006/08/17(木) 20:54:15 ID:ozBuq5cV
まじで!!
94名無しさん@ピンキー:2006/08/18(金) 10:57:22 ID:a6pfnlOt
95名無しさん@ピンキー:2006/08/18(金) 12:19:35 ID:Wfj817CN
>>94
まったく違うー
96名無しさん@ピンキー:2006/08/18(金) 14:43:36 ID:/V1LK8OM
差し出がましいのですが第三保管庫の保存スレ4のリンクおかしくないですか?
3スレに行くのですが…
97名無しさん@ピンキー:2006/08/18(金) 20:09:04 ID:+571kwSg
>>96
他にもおかしいところがあるんだけど直らないね・・・
気長に待とう
98SBI:2006/08/20(日) 15:40:18 ID:pHBcVEhG
また書いてきました。エロパロ2本ほど。
まずは一本目、アリソンパロでいってみます。
99SBI:2006/08/20(日) 15:41:39 ID:pHBcVEhG
アリソンのパパ、アイカシア・クロス大佐は約束を果たした。
大陸横断鉄道の事件での彼の言葉の通り、アリソン達をスー・ベー・イルに招待する旅行を用意してくれたのである。
ちなみに、旅の途上でのホテルの部屋割りは、アリソンとヴィルがそれぞれ別の部屋に宿泊する手筈になっていた。
リリアーヌの町での出来事の後では、それも虚しい努力だとは彼自身十分に承知している事だった。
「それでも、これが父親の心ってものなんですよねぇ」
ともかく、これでひとまずは安心。アイカシア大佐はほっと胸を撫で下ろしたのだけれど、世の中、そう何もかも思い通りに運ぶものじゃあない。
二人に同行する英雄と時期女王が黙っている筈が無かった。

「ふう、いいお湯だなぁ……」
だだっ広いバスルームの中、これまた馬鹿でかいバスタブに浸って、ヴィルはため息をついた。
ヴィルは今、スー・ベー・イル旅行第一日目の夜を、豪華なホテルの中で過ごしていた。
バスルームの外には、豪華ホテルでヴィルと同室というシチュエーションにすっかりテンションの上がったアリソンが待っている筈である。
これらは全て、アイカシア大佐の企みを知ったベネディクトとフィオナの仕業である。英雄の威光と財力を存分に活用して見せたのだ。
今頃アイカシア大佐は、首都スフレストスで顔面蒼白の状態になっている筈である。
まあ、そんな大人たちの策謀をよそに、ヴィルはすっかりお風呂でいい気分。心の底からリラックスしていた。
「それにしても、本当に大きいな。このバスタブ……」
ヴィルがすっかり足を伸ばしても、まだまだ余裕がある。上手くすれば、もう一人ぐらい入れそうなスペースが残されている。
「二人ぐらいなら、なんとか入れそうだな……」
呟いたヴィルの頭に浮かんだのは、今夜も同じ部屋で過ごす筈の、大好きな幼馴染み。心から愛する恋人の顔………。
「………って、な、な、な、な、何を考えてるんだ?僕は?」
ハッと我に返り、ぶるぶると頭を振って、ヴィルは自分の考えを振り払う。
正直なところ、今夜のヴィルは少しドキドキしていた。
以前ならアリソンと一緒の部屋に泊まることで、特に意識する事など無かったのだけれど、やっぱり想いを確かめ合った事はヴィルの心に大きな変化をもたらしているようだった。
「あ、あんまり長湯して、アリソンを待たせちゃったらいけないな。早く出なくちゃ」
なんて、わざとらしく声に出しながら、ヴィルが立ち上がろうとしたその時だった。
ガラガラと音をたてて、バスルームの扉が開いた。
「えっ?……な、何?」
その音に腰を抜かして立ち上がれなくなったヴィルの視線の先、ついさっきまでヴィルの頭の中を一杯にしていた少女の姿があった。
バスタオル一枚を華奢なその体に巻きつけて、アリソンがそこに立っていた。
「わっ!?わわわわわっ!!?アリソン?何?どうしたの!?」
目を白黒させるヴィル。彼に出来たのはせいぜい、タオル掛からタオルを一枚つかんで、自分の恥ずかしい部分を隠す事ぐらいだった。
アリソンはバスタブの脇まで歩み寄って、ヴィルの顔を覗き込んで、にっこりと、まるで天使のように微笑む。そして、甘えるような声でヴィルにこう囁いた。
「一緒に入ろ、ヴィル」
アリソンのバスタオルがふわりと床に落ちた。

ヴィルが、うんともいいえとも答えないうちに、アリソンはバスタブの中に入ってきた。ヴィルの伸ばした足の、股の上の辺りに跨るようにして、アリソンはお湯に浸かった。
「えへへ、やっぱり照れるわね」
照れるも何も、ヴィルの心臓はドックンドックン音を立てて、今にもはち切れてしまいそうだった。
猛烈な恥ずかしさ。さっきまでの自分の考えを見透かされたような後ろめたさ。そして何とも言い表せないモヤモヤした気持ち。
そんな諸々に頭の中を引っ掻き回されて、今のヴィルはぐうの音も出ない。
100SBI:2006/08/20(日) 15:42:43 ID:pHBcVEhG
やっぱりヴィルの常識としては、バスタブに男女が一緒に入るのは、どう考えてもマズかった。
そりゃあ、さっき自分で妄想しちゃったりもしたけれど、やっぱり駄目なものは駄目なのだ。
「…アリソン……やっぱりこういうのはちょっと良くないと」
「あ、ヴィルったら顔真っ赤だぁ」
しかし、抵抗なんて出来るはずも無い。アリソンにぎゅうぎゅう抱きつかれて、ヴィルはあえなく沈黙。
「この部屋に大きなバスタブがあるって聞いた時から狙ってたのよ。やっぱり愛し合う二人にバスタブとくれば、この展開よね」
この展開とやらがどの展開なのかも、今のヴィルには良くわかっていなかった。
ただ、密着したアリソンの肌の柔らかさ、心地良さにすっかり心奪われて、アリソンの言葉にこくこくと肯くばかりである。
まあ、確かに、大好きなアリソンとお湯の中、こんな風にしてるなんて、まるで夢のように幸せな状況なのだけれど………。
「んじゃ、そろそろ本番といきましょうか!」
しかし、アリソンのこの一言が、ヴィルを現実に引き戻した。
「ほ、本番って?……な、何のことなの?」
「それは勿論、ヴィルだってわかってるでしょ?」
アリソンが悪戯っぽく微笑んで、言った。
「えっちな事よ」
完全に想定外だった。
っていうか、お風呂って言うのはそもそも体を洗うためのものであって、こんな風に二人ぴったりくっついてる時点でおかしいのに。ああ、一体僕はどうすれば?
「まあ、私の理想としては、たっぷりベッドで愛し合った後、一緒に入ったバスタブの中で、もう一度ヴィルが私にえっちな事してくるっていう展開がベストなんだけど、
それじゃあ、ヴィルにはハードルが高すぎるし、色々考えてこんな結論になったわけなんだけど……」
さっきは天使に見えたアリソンの微笑が、今は小悪魔のように見える。幼馴染みの彼女の声が、想像もした事がない程いやらしい行為へヴィルを誘う。
「いや、そんな無理だよアリソン。僕には無理だよ」
「あら、そうかしら?」
不敵な表情を浮かべてそう言ったアリソンの視線の先、タオルで隠した自分のモノが今の状況に反応して、だんだんと硬く、大きくなり始めているのがヴィルには見えた。
「うふふ、口では強がってみても、体は正直なものよのう……」
どこかのエロ漫画のような台詞を、アリソンがヴィルの耳元で囁く。もはやヴィルの意思など完全に無視して、体は欲望に押し流されようとしていた。
興奮と、入浴で暖められた血液が相互に作用しあって、ヴィルの心臓はさらにスピードを上げて、早鐘を打ち鳴らす。
すっかり血が上った頭では、マトモに思考を巡らせる事もままならない。湯煙の向こうに霞むアリソンの顔だけを、ヴィルはただぼんやりと見つめる。
「アリソン………」
そして、胸に込み上げる愛しさに任せるまま、吸い込まれるように、ヴィルはアリソンにキスをした。
「ん……んぅ…ぷあ…ヴィルぅ!?」
アリソンにとって、それは不意打ちだった。ヴィルに唇を塞がれた後の一瞬、魂が抜けたように放心した彼女の体を、ヴィルはきゅっと抱きしめた。
「ふあ……あん…ちょ!?……ヴィル、どしたの?」
「アリソンがいけないんだもん……」
「だ、だもんって!?」
「アリソンがこんな事してくるから………。僕がどんなにアリソンにドキドキしてるか、ちっとも考えずにこんな事してくるから……」
どうやらヴィルのスイッチが、かな〜りマズイ方向に入ってしまっているようだった。
戸惑うアリソンをよそに、ヴィルはアリソンの鎖骨に舌を這わせ、そこから一気に首筋までを舐め上げた。
「きゃうううううううっ!!?」
アリソンの口から思わず悲鳴が漏れる。その声、その表情にヴィルはうっとり顔。
「アリソン、可愛いよ……」
101SBI:2006/08/20(日) 15:43:46 ID:pHBcVEhG
「あ…あはあぁ!!…ヴィルぅ…ちょ…待ってよぉ!!」
アリソンの制止も無視して、ヴィルはアリソンの体中を愛撫した。
そもそも、今回のアリソンの行動は、彼女自身にとっても、実はかなりムチャクチャで突拍子も無いものだった。
ヴィルと一緒の旅行、一緒の部屋、そんなこんなで浮かれ気分のアリソンが勢いに任せて行動した結果が、現在のこの事態だった。
そもそも正気じゃ、こんな事できやしなかったのである。
しかし、彼女をこの暴走に駆り立てていた勢いは、同じく暴走したヴィルに呑まれて、押し止められてしまっていた。
「ふああああっ!!や…はあああああっ!!!ヴィルぅううっ!!!!」
清水の舞台から飛び降りるような気持ちでこの場に臨んだアリソンの体は、興奮のためかいつもに増して敏感になっていた。
その敏感になった肌の上をヴィルの舌先が滑り、ピンと張り詰めた可愛らしい乳首を、大事な場所で存在を主張する敏感な突起を、間断なくヴィルの指が刺激する。
声を抑えることなど思いつきもしなかった。ただ与えられ続ける快楽に嬌声を上げ、目の端に涙を浮かべながら、何度もヴィルに口づけを求めた。
「あああっ!!…ヴィルぅ…わたしぃ…へん…なっちゃうぅううっ!!!」
「……ア、アリソン…アリソンっ!!!」
下半身に篭る熱い疼きに、二人はもはや耐える術を持っていなかった。自分の一番敏感な部分が、愛しい人の感触を狂おしい程に求めている事は二人にはよくわかっていた。
二人はどちらともなく、どうしようもない程に疼いてしょうがないその部分を触れ合わせた。接触の瞬間、お互いの体が電気でも流れたようにビクンと震えるのを感じた。
「アリソンのアソコ、すごく熱くなってるよ……」
「ヴィ、ヴィルだって……」
「顔も真っ赤にして、すごく可愛いよ」
語りかけてくるヴィルの声が、自分を見つめるヴィルの視線が恥ずかしくて、それでいて凄く気持ちよくて、どうして良いかわからず、アリソンは赤い顔を俯けていた。
ヴィルはアリソンの体を抱き寄せ、頬に軽くキスをしてから、耳元で囁く。
「アリソン、一緒になろう。もっと気持ち良くなろう」
、恐る恐る顔を上げたアリソンは、ヴィルの言葉にキスで答えた。それを合図に、ヴィルはアリソンの中へ、挿入を開始する。
お湯に温められて、いつも以上に熱くなった互いの敏感な部分の感触だけで、二人は頭がおかしくなりそうなくらい感じてしまう。
のぼせ上がった頭は余計な思考を差し挟む余裕を与えてくれず、二人は身も心も溶けてしまうほどに、熱く深く行為に没入する。
「ふあっ…はああああんっ!!…すご…ヴィルぅ……すごすぎるよぉ!!!」
夢中になって腰を振るアリソン。飛び散る水しぶきがキラキラと照明を反射する。湯煙に霞む彼女の姿が、ヴィルにはとても神秘的で、美しいものに見えた。
霧の向こうで美しい金髪を振り乱す妖精の姿に魅せられて、アリソンを突き上げるヴィルの動きも激しいものとなっていく。
「アリソン…きれい……」
ヴィルは無我夢中で、妖精の唇を味わう。二人は呼吸を忘れそうなほどに長く舌を絡ませ合う。唾液が糸を引く濃厚なキスを何度もくり返し、その間も激しく交わり続ける。
「ひゃううんっ!!…ヴィルっ…そんな…ちくび…そんなにしちゃらめぇえええっ!!」
ヴィルはアリソンの左右の胸に吸い付いては、その硬く屹立する先端部を容赦なく舌先で転がし、何度となく甘噛みした。
ヴィルのモノがアソコをかき回す度に襲い掛かる快感の大波。その間を縫って、ヴィルの全身に渡る濃密な愛撫が小波のように押し寄せてくる。
休む暇もなく快感に晒され続ける事で、アリソンの体はさらに敏感になる。その敏感になった体に、ヴィルの責めが続けられる。
「あ、そこぉ!!そこ…いじっちゃだめぇ!!!…おかしくなっちゃうよぉおおおっ!!」
熱く張り詰めて、壊れそうに疼いてたまらないクリトリスを、ヴィルの指先が弾いて、摘んでこねまわす。
たまらずにヴィルの体にしがみついたアリソンの、ひくつく後の穴に、今度は指を入れてくちゃくちゃにかき回す。
「や…うしろぉ…だめぇ…きたないよおおおおおおおおおっ!!!?」
「アリソンのなら、きたなくない。全然、きたないわけがないよ」
訳も判らずにアリソンが上げた悲鳴。その言葉に、ヴィルが真剣な表情で答える。かなり本気でアリソンに参っちゃってるご様子だ。
「アリソンはきれいで、可愛くて、すごく勇気があって、だから僕は大好きで、とにかくほんとにすごく大好きで……」
言ってる内に自分で恥ずかしくなってきたのか、ヴィルの赤い顔が、さらに赤くなる。それでも、溢れ出した言葉を、気持ちを、ヴィルはとめることが出来ない。
102SBI:2006/08/20(日) 15:44:33 ID:pHBcVEhG
「アリソン、好きだっ!!大好きだよっ!!!好きなんだっ!!!!」
怒涛のごとく、溢れ出て止まらない想いを叫びながら、ヴィルはアリソンの体を激しく突き上げ続ける。
バスルームに響き渡る、その言葉の一つ一つがアリソンの心を、体を震わせ、激しく昂ぶらせる。
「ヴィルうううっ!!!私も好きっ!!!大好きいいいっ!!!!」
こみ上げる衝動に任せて、アリソンはヴィルの頭を胸元に抱きしめた。可愛いおっぱいを顔面にぎゅうぎゅう押し付けられて、ヴィルももはや卒倒寸前だ。
突き上げる。腰を振る。かき混ぜられて、攪拌されて、熱い何かが何度も背中の辺りを駆け抜ける。もはや自分たちが何をやっているのかすらも判らない。
お互いの肉体が溶け合い、快楽の中で一つになって、さらにどうしようもない程に目の前の愛しい人を求めてしまう。
壊れそうに激しく昂ぶる熱は、快感に翻弄され続ける二人を、さらなる快楽の極みへと押し上げる。
「あああああっ!!!ヴィルっ!!!ヴィルうううっ!!!わたし…も…イっちゃうよおおおおっ!!!」
「アリソンっ!!僕もっ!!!」
互いに必死で抱きしめあった体の中を、今までで一番激しい快感の電流が駆け抜けた。真っ白になった頭の中に何度も衝撃が襲い掛かった。
ビクビクと痙攣しながら、昇りつめた二人の体がバスタブの中で崩れ落ちた。
最大の絶頂が過ぎ去っても、まだ体は熱く疼いて、二人は切ない喘ぎ声を漏らしながら、余韻と言うには激しすぎるその感覚を味わった。
ようやく呼吸が落ち着いた頃、アリソンはぐったりとしていた体を起こして、ヴィルの顔を覗き込む。
「あ、その…なんていうか…ごめんね、ヴィル…いきなりこんな事したりして…ほんとにごめんね…」
本当に申し訳無さそうに、アリソンは言った。
正気に戻ってみると、自分がやった事はどれもこれもとてつもなく恥ずかしいものだったという事が、身に染みて感じられたのだ。
その上、勢い任せにあんな事やこんな事まで………。穴があったら入りたい。そんな気持ちで、アリソンは一杯だった。
しかし、そんなアリソンの顔にヴィルはにっこり微笑んで
「次のホテルも、バスタブあるかな?」
「へ?」
ポカンとした顔のアリソンを、胸元に抱き寄せた。
「うん、やっぱり楽しいね。こうやって二人で一緒にお風呂に入るのも……」
すっかりおとなしくなったアリソンは、自分の頭を撫でながら言ったヴィルの言葉に
「うん、たのしい」
きわめて素直に肯いたのだった。

「で、あれは一体、何がどうなって、ああなったんですか?」
首都スフレストスの駅の改札前で、一行を出迎えたアイカシア大佐はうんざりとした様子で呟いた。
視線の先にはヴィルとアリソンの姿。二人は指を絡めあうようにして手を繋ぎ、ぴったり仲良く寄り添っていた。
彼ら以外の誰も近寄れない異空間を形成している二人の周りに、いくつものハートマークが舞い飛ぶのがアイカシア大佐には見えるような気がした。
一体全体あの二人、どうしてあそこまでラブラブになってしまったのか?
「いやあ、宿泊したホテル全部にバスタブが備え付けてありましたからねぇ」
「何ですか、それは?一体どういう意味なんです?」
「それは、二人と同じ立場の人間でないと、なかなか理解できないわ」
混乱するアイカシア大佐をよそに、ベネディクトとフィオナは意味ありげに微笑んでいる。アイカシア大佐は、なんだか一人ぼっち、取り残されてしまったような気分だった。
ともかく、今夜はスフレストス泊。今夜の宿もバスタブ付である。
「あのさ、アリソン。今夜は、やってみようと思うんだ」
「え、何の事?」
「アリソンが言ってた、例の理想のシチュエーション。エッチな事した後、一緒にお風呂に入って、またエッチなことするっていうアレ」
その言葉を聞いたアリソン、顔を赤くしてしばらく沈黙。そして
「う、うん。がんばりましょ!」
「うん、がんばるよ」
握り合った手の平に、二人はきゅっと力をこめたのだった。
103SBI:2006/08/20(日) 15:45:38 ID:pHBcVEhG
これで一本目終了。続いて二本目、キノさんのお話でいってみます。
104SBI:2006/08/20(日) 15:47:28 ID:pHBcVEhG
『時雨沢作品でハァハァしよう』。巨大総合掲示板2ちゃんねる内、エロパロ板に存在するこのスレッドは、現在キノの一番のお気に入りだった。

キノが定期的にインターネットを利用する事が出来るようになったのは、ちょっとした幸運のお陰だった。
旅の途中、キノは盗賊に出くわした。積荷を満載したトラックに襲い掛かっていた彼らは、キノの姿を見るや問答無用で発砲してきた。
もちろん、身の程知らずの彼らに、キノに打ち勝つ術など無かった。
物の数分で彼らを片付けたキノが、大きな岩に突っ込んで大破しているトラックに近付くと、その運転席から一人の男が這い出してきた。
「ありがとうございます。本当にありがとうございます」
男は震える手でキノの手を握り、泣きじゃくりながら何度も何度もお礼を言った。彼はとある国の大手コンピューターメーカーの重役だった。
キノは彼の国に招かれ、彼の会社から豪勢なもてなしを受けることになった。
最高級のホテルで豪華な食事を楽しんで、国内の観光名所を黒光りする高級車で巡った。エルメスもピカピカに整備され、まっさらな下着をタダで手に入れた。
そして、最高の三日間を堪能したキノが滞在最終日の午後に、彼女が助けた例の重役から受け取ったのが、現在キノの所有しているノートパソコンだった。
「これは?」
「わが社が来月に発売を予定している最新型のノートパソコンです。これをあなたに持って行っていただきたいのです」
薄くて軽くて高性能。インターネット等は会社持ちでいくらでも利用可能だという。
「すみません。こんな物を頂いても、旅人のボクにはあまり役に立たないと思います」
キノは丁寧に、しかし正直に断った。
ろくに整備もされていない国と国の間の道の上では、インターネットなど利用のしようがない。しかも、バッテリーが尽きれば完全にただの箱に成り下がる。
エルメスに積む事の出来る荷物にも限界がある。無駄な荷物を持ち運ぶ余裕など無かった。
キノの説明を聞いて、彼はすっかりしょげ返ってしまった。
「旅人のあなたに持ち歩いていただく事で、わが社の商品の素晴らしさを様々な国の人々に知らせたい。そう考えていたのですが、私の考えが足りなかったようですね」
ガックリとうなだれた重役が、ノートパソコンを片付けようとした時だった。さも頼まれたから仕方が無い、と言った様子でキノが声をかけた。
「わかりました。取りあえず、これは受け取っておきましょう」
「本当ですかっ!!」
「ただし、旅の邪魔になったりする時は、ボクの判断で処分させてもらいますよ」
大喜びの重役からパソコンを受け取って、キノはその国を後にした。国を出てしばらく経った頃、キノは嬉しそうに笑って、言った。
「儲かった。あれだけ贅沢できた上に、こんなに儲けてしまった」
「やっぱりキノはワルだねぇ」
「ボクの判断で処分する、そう約束したからね。そうだな、次の国辺りで一度くらいは使ってみよう。それで義理は果たせる。後はなるべく高く売払うだけだ」
ウキウキと、お金の使い道などに頭を巡らせるキノ。しかし、事態はキノの思うようには進まなかった。
キノは見事にハマってしまったのだ。パソコンに、インターネットに、ていうか『時雨沢作品でハァハァしよう!!』に………。

キノが最初に行き着いたのは現行のスレッドではなかった。ホテルの部屋の中、ボンヤリとインターネットを見ていたキノが見つけたもの、それは………。
「保管庫?………なんだろう、これ?」
何気なく、ページを開いた。そこに掲載されていた文章を読んだ。
「な………なんだ?一体なんなんだ?」
そこに見つけたのは自分の名前。いくつもの小説の中で、自分があられもない姿を、見るに忍びない痴態を晒している。
同じ名前の別人、そうも考えたが、小説の中の少女の特徴は明らかにキノ自身のものだった。
複数の男たちに陵辱されるキノ。シズと夢中になって交わるキノ。快楽に頭の芯まで蕩かされて、嬌声を上げ、自ら腰を振るキノ。
考え得る限りの淫らな行為を、小説の中のキノは繰り広げていた。
「ダメだ。こんな……これ以上読んだら…ボクぅ」
105SBI:2006/08/20(日) 15:48:55 ID:pHBcVEhG
言葉とは裏腹に、キノの目は画面に釘付けになって動かない。慣れないマウスを必死に使い、夢中になってエロパロを読みふけった。
「あ………すごい……ボク、こんなことして……ああんっ!」
無意識の内に、股の間の大事な部分に、キノは指を伸ばしていた。触れた指先に、じんわりと湿った温かい感触が伝わってきた。
マウスを持ったままの右手が使えないのがもどかしくて、一番良い場面でマウスから手を離して、右手でアソコを左手で乳首を弄んだ。
「…あっ…くぅ……ひあ……ああああっ!!?」
ビクビクと小さな体を痙攣させて、キノは絶頂に達した。しかし、一度くらいの絶頂では火のついた体を鎮める事は出来なかった。
次のエロパロを開いて、今度はズボンのベルトを外して、ショーツの中に直接手を突っ込んで、くちゃくちゃと淫液で粘つくアソコをいじくった。
「…うあ……止まんないぃ…ボクの手、止まんないよぉ!!!」
随分と大きな声が出始めていたが、キノは気にならなかった。気にする余裕など、すでに無くなっていた。
小説の中の自分の痴態を、自分が受けるさまざまな仕打ちを、自分自身の手で再現し、追体験する。その行為だけに全身全霊を傾けて、キノは幾度もの絶頂を味わった。
「も…だめ……限界……」
そう呟いたキノが、パソコンの前に突っ伏して気を失ったのは、夜が白々と明け始めた頃だった。

キノはノートパソコンを手放さなかった。もう二度と、手放せそうになかった。
その国での滞在時間のほとんどをパソコンの前で過ごしたキノは、既に保管庫内の全部の作品に目を通していた。
さらなる作品を求め、リンクを辿り、キノは現行のスレに行き着いた。他にも保管庫が二つあるのを知って、キノは小躍りした。
「うわあ、こんなにあるんだ……」
「あ〜あ、キノったら完全にエロパロの虜になっちゃってるよ」
ウンザリ呟くエルメスの声も、今のキノには聞こえない。現存する作品は全て読み尽くした後は、新作の投下を首を長くして待つ日々を送った。
もちろん、時雨沢作品のエロパロ全般を扱うスレなので、『アリソン』や『リリアとトレイズ』のエロパロ作品もあった。
キノは立ち寄った国の本屋で、『アリソン』『リリアとトレイズ』の全巻を購入。無論、エロパロをより良く楽しむためである。
また、パソコンを使えない、国と国の間を旅している時に読むために、いくつかのお気に入りのエロパロをメモ帳に書き写していた。
プリンタを買うのは勿体無かったので、手書きで写すしかなかったのだが、これがなかなか困難な作業だった。
「ふあっ…ああんっ……ダメなのにぃ……今夜中に書き写さなきゃいけないのにぃ……」
握っていた鉛筆を手から放して、いつの間にやら股間を弄っていた。
それでも取りあえず一作品、書き写したのは一番のお気に入りである『調教の国』だ。
ヤバイ国にキノが捕まって調教を受ける定番のストーリー。調教の結果キノが、その国の国家を聞くと条件反射で発情してしまう体にされてしまう話である。
エルメスが眠った頃合を見計らい、メモ帳を開く。片手でページを繰りながら、指の腹を何度も何度も股間に擦り付ける。
「や…ああっ……だめぇ…こんなのぉ…ひああああっ!!」
段々と指遣いが激しくなり、キノも行為に没入していく。今、キノは作品中の、調教される自分自身になりきっていた。
『アリソン』、『リリアとトレイズ』のエロパロも悪くないが、やはり自分の出てくる作品が一番良い。
エロパロを読んで、快楽に溺れていく自分と、小説の中でだんだんと調教されていく自分がキノの頭の中で重なり合う。
他の作品のエロパロでは味わえない興奮。そこに描かれているのが自分であるからこそ味わえる最高の快楽。
きっと、他のどの住人より自分はスレを楽しんでいるに違いないと、キノは確信していた。
「はぁあああんっ!!ひゃああんんっ!!や…は…あああんっ!!!!…すご…気持ちいいよぉっ!!!!!!」
はしたない声を夜空に響かせて、キノは自分の濡れそぼった割れ目に差し込んだ指先を、無我夢中でかき混ぜた。
小説の中、のぞまぬ快感に翻弄される自分になりきって、激しく、深く、自分の指で自分のアソコを犯しぬく。
いつしかメモ帳を投げ出して、もう何度となく頭の中に繰り返してきた小説の中の光景に、キノは沈みこんでいく。
「ひああっ!!…イクぅ…イっちゃううううっ!!!!」
『調教の国』の脱出失敗ルートで、調教された自分が無意識的に口にしてしまうようになった言葉を、キノも叫ぶ。
106SBI:2006/08/20(日) 15:49:37 ID:pHBcVEhG
現実には味わえない、調教のもたらす快感地獄に浸りきって、髪を振り乱し、ガクガクと、声を張り上げ、キノは絶頂へと上り詰める。
「ああああああっ!!!!イクっ!!イクっ!!イクぅううううううっ!!!!!」
弓なりに反らせた背中をビクンと大きく震わせた後、キノの体が崩れ落ちた。激しい絶頂に涙さえ浮かべたその顔は、きっと小説の中のキノと寸分たがわないものだったろう。

そして、今日も今日とて新しい国に入国したキノは、真っ先にインターネットを利用可能なホテルを探し出し、スレの状況を確認する。
前の国は中世そのままの生活をしている国で、そもそも電気すら使えなかったので、かなりご無沙汰していたのである。
「この国はインターネット使えるみたいで良かったね、キノ」
なんて、エルメスもなかなか上機嫌。実はエルメス、最近では寝た振りしてキノのエッチな姿を盗み見るのを楽しみにしていた
「新作が投下されていますように」
祈るような気持ちでページを開く。一瞬の沈黙。そして………。
「新作キタ――――――――ッ!!!!!!!!」
キノの歓声が部屋中に響き渡る。
彼女のエロパロ三昧の日々は、まだしばらく終わりそうもない。
107名無しさん@ピンキー:2006/08/20(日) 15:50:34 ID:pHBcVEhG
GJ!!!ハァハァさせていただきま





そこまで打ち込んで、キノはキーボードを打つ指を止めた。
「あれ?これって、もしかして?」
もう一度最初から、今度は心を落ち着けて、そのエロパロの内容を確認した。間違いなかった。
「ボクがこのスレ見てることバレてるぅううううううううううっ!!!!!!!」
悲鳴を上げて、キノはひっくり返った。顔から火が出そうだ。一体、どれほどの数の人間がこれを目にしたのだろうか?
恥ずかしさのあまり、ひっくり返った床の上でじたばたともがくキノ。しかし、急にその動きが止まる。そして、
「ああ、でもこれはこれで………」
ウットリとした様子でそう呟いた。
どうやらまた一つ、登っちゃいけない階段を、キノは登ってしまったようだった。
108SBI:2006/08/20(日) 15:51:25 ID:pHBcVEhG
これで本当におしまい。それでは、失礼いたしました。
109名無しさん@ピンキー:2006/08/20(日) 17:48:47 ID:b4y8wFiP
エロパロのエロパロwwwwwwwwww
110名無しさん@ピンキー:2006/08/20(日) 19:09:20 ID:LBkAUAfG
でもキノは21歳じゃなくね?
ものすっごく笑えたけど
111名無しさん@ピンキー:2006/08/20(日) 19:36:18 ID:Pvp6EFPP
お疲れさまです!
112名無しさん@ピンキー:2006/08/20(日) 20:25:44 ID:V/0hwc05
アリソン側でもありえるw
113名無しさん@ピンキー:2006/08/20(日) 21:44:15 ID:4Wsm4Fwa
おつかれさまです GJ!です!
114名無しさん@ピンキー:2006/08/21(月) 01:39:38 ID:5lxQaoDj
なんと斬新な発想! よかったです。
115名無しさん@ピンキー:2006/08/21(月) 02:20:11 ID:6G+rRo+h
新境地を見た・・・・GJです!!!
116名無しさん@ピンキー:2006/08/21(月) 08:33:51 ID:e/TQoIcd
GJ
117名無しさん@ピンキー:2006/08/22(火) 18:02:02 ID:dctRLd7H
これはGJw
これはほぼ全キャラで使えるなw
118名無しさん@ピンキー:2006/08/23(水) 11:08:21 ID:JvqtLNC1
GJ!!
119名無しさん@ピンキー:2006/08/23(水) 16:08:39 ID:/Zq6sePe
ここは18歳未満の人が見ていても罰則がないのです…。
その旨書き込んだらだめですね。
しかし、せっかく18禁になったのにあっちこっち21禁ばっかりやん、、、
やること遅いよ運営


じゃなくて GJ!!!
そのうちキノがあそこを濡らしながら自作SSを投稿するのですね!!
120名無しさん@ピンキー:2006/08/24(木) 09:29:33 ID:y2JtQqZU
ありうる!
121名無しさん@ピンキー:2006/08/24(木) 11:36:15 ID:VoNaasg4
GJ~
受信は無理だろうけど、そのうちエルメスから電源取るようになったりしてw

「エルメス、今晩もお願い」
「え〜。バッテリーの消耗が…」
と断ろうとするが、もうすっかりその気のキノに擦り寄られて断れる訳も無く。。。

数分後。
<警告:バッテリー容量が不足してます>
「あ、まだイッちゃだめだってば」
<データの保護のため、自動的にシャットダウンします。10・9・8……・0>
「途中で放り出すなんて酷いよ〜」

バッテリ上がりのため翌日は押しがけ(人力でモトラドを押してエンジンを強引に回す起動方法)確定w
122SBI:2006/08/24(木) 12:14:26 ID:KKeobBm6
>>121
うわ〜、キノさんったら、ものの見事に深みにハマっちゃって…。
なんだか、予想以上の反応をいただけたので、もう一本書いてみました。
今度はアリソンがこのスレにハマってしまって、って感じのやつです。
それでは、いきます。
123SBI:2006/08/24(木) 12:15:36 ID:KKeobBm6
カチャカチャカチャカチャ、とキーボードを叩く音が暗い室内に響いている。
ディスプレイの光に顔を照らされながら、一心に画面上に文字を打ち込み続けているのは、年の頃は十代の後半ほどの、金髪と青い瞳が美しい少女だった。
「これで……出来上がりっと!」
出来上がった文章を保存して、少女はくきくきと首を鳴らし、しばらくの休息。彼女が書いていたのは小説、それも結構いやらしい内容のエロ小説だった。
正確には既存の作品を元にした二次創作になるのだが、彼女にはその感覚は無かった。なにしろ、そのエロパロの主人公は他ならぬ彼女自身なのだから。
「まったく、自分でもどうかと思うけど……」
少女は出来上がったエロパロを最初から読み直しながら、一人苦笑する。
エロパロの中の自分は信じられないほどにエッチで、これまでに書き上げた分を数え上げれば、既に相当な回数の経験をしている筈である。
現実の彼女は、まだキスだってした事もないのに。ずっと胸の奥で思い続けている少年の唇に、触れた事すらないのに。
「でも、今更やめられないわよね…」
一人呟いた彼女の頬が、薄っすらと赤みを帯びていく。文章を追う瞳が熱っぽく潤みはじめ、両腕で自分の体を抱きしめて切なげに身震いする。
「………ヴィル」
口元からこぼれる吐息の合間に、大好きな少年の名前を呼んだ。彼女が書き上げたエロパロの中で、彼女と幾度となく交わる少年の名を呟いた。
少女の名は、アリソン・ウィッティングトン。電撃文庫より刊行された小説『アリソン』の主人公。
アリソンは震える指先を、ズボンの中、熱く湿ったショーツの奥へと潜り込ませる。自分の一番大事な部分を撫でる。
「…んくっ……ふあ…ああんっ!」
切なげな声が、暗い部屋の中に響き渡った。

巨大総合掲示板2ちゃんねる。そのエロパロ板に存在するスレッド、『時雨沢作品でハァハァしよう』に新たなエロパロが投下されたのは、その一時間後であった。

ヴィルヘルム・シュルツがそのノートパソコンを手に入れたのは、用事があって出掛けたラプトアの首都での事だった。
広場にいくつも立ち並んだ露店のなかに、彼はその奇妙な箱を見つけた。
持ち上げて、開いて、しばらく眺めて、それでも使い方は良くわからなかったが、彼はその箱に何故か強く惹きつけられた。
「ふふん、どうやらやっと来てくれたようだ。正直待ちくたびれたぞ」
露店の奥から声がして、ヴィルは顔を上げた。いくつものガラクタに埋もれそうになりながら、露店の奥の薄暗がりからヴィルを見つめる二つの瞳が覗いていた。
「えっと、あの、すいません。コレが珍しかったので、つい……」
「謝ってもらう必要などない。ようやく買い手が来てくれたので、わしは喜んでいるんだ」
喜んでいる、と言ってる割には思い切り不機嫌そうな顔をしたおじさんだった。しかもこの男、どうやらヴィルにこの箱を売りつけるつもりらしい。
「えっ?いえ、僕はただ見ていただけで、それに大してお金も持っていないし」
「それを買うのはあんただ。文句は言わせん。それに大した値段でもない。元の値段を考えたら、メーカーが卒倒しそうな安値で売ってやろうというのだ」
慌てて答えたヴィルの言葉にも耳を貸さない。ヴィルの手からひったくった箱を、古新聞でさっさと包み上げてしまう。
あっという間に包装されたソレをヴィルに手渡して、
「さあ、金を払え」
提示された値段はほとんど商売にならないのではないかと思うような小さな金額だったが、それでも訳のわからないまま、訳のわからない物を買う気にはなれる筈がない。
「あの、だから僕は買う気なんてなかったんです。本当に申し訳ないですけれど……。大体、僕には使い方がわかりませんし」
「マニュアルはつけた。アンタほどの頭のいい人間ならすぐ使いこなせる。それにこの破格で、しかもネットは繋ぎ放題。買わない馬鹿はいないぞ!」
ヴィルがお金を支払ったのは、あまりの男の押しの強さに負けたせいもあったが、もう一つこの箱から感じた言い表しがたい魅力のせいでもあった。
「さてと、今度はお嬢ちゃんの方に売ってこなけりゃなあ」
露店からの去り際、男が呟いた言葉も妙に気になったが、ともかくヴィルは手に入れた箱を片手に、学校の寮に戻った。
124SBI:2006/08/24(木) 12:17:20 ID:KKeobBm6
それからヴィルがその箱、ノートパソコンを使いこなせるまでに大した時間は掛からなかった。だが、ノートパソコンがどうして動いているのかは、全くわからなかった。
膨大な量の情報を手に入れる事が出来るインターネットというシロモノも謎だった。
そこから得られる情報は、どうもヴィルの暮らす世界のそれとは大きく異なっているようだった。いくつもの大陸が海に浮かぶ世界地図を見て、ヴィルは度肝を抜かれてしまった。
そして、ヴィルはそれを見つけた。そのスレッドを見つけてしまった。
「あっ、新作が投下されてる」
『時雨沢作品でハァハァしよう』、ヴィルがあんまり得意とは言えないエッチな小説が投下されるスレッド。彼がそれを読むのは勿論、そこに見知った名前があるから。
アリソン、大好きな幼馴染みの名前。作品の中で彼女が交わる相手は、大体の場合においてヴィルヘルム・シュルツ、すなわち彼自身だった。
既に何本も存在するアリソンのエロパロの中でも、ヴィルは特に、ある一人の職人のエロパロを好んだ。
その職人はヴィルがインターネットを見るようになった直後から、このスレに書き込むようになったらしい。ヴィルは何故か、その職人の作品に、強くアリソンを感じた。
ヴィルの知るアリソンと違って、信じられないほどいやらしい事をしているのに、何故か作品の中のアリソンはとてもアリソンらしいと感じられた。
時々、地の文が妙に丁寧な言葉づかいになるその職人の作品に、ヴィルはどっぷりとはまってしまった。
「…くぅ……あっ……アリソンっ!!」
自分の手の平を、べっとりと白いもので汚して、激しい罪悪感に駆られながら、ヴィルはふと気が付いた。
肉体の欲望を出し切ってしまったのに、それでも収まらない胸の奥の熱い疼きの存在に。
「こんなに好きだったなんて………アリソン」
エロパロの中のアリソンが抱く、ひたむきなまでのヴィルへの思い。それが痛いほどに伝わってきて、ヴィルの胸はどうしようもないくらいに苦しくなった。
『好きだって。そう言ったでしょ、ヴィル?』
本当に、アリソンから言われているような気がして、画面の明かりに照らされた顔を真っ赤に染めた。
好きだった。ずっと好きだった。
未来の家で、初めて彼女の姿を見た時に感じた思い。二人一緒に過ごした日々の中で積み重ねていった感情。
エロパロによって剥き出しにされたアリソンへの思いはきっと、作品の中のアリソンがヴィルに向けている思いと同じくらいに深く、熱い。
今のヴィルには、この思いをどうしていいのかわからなかった。手紙でアリソンに伝えるだけの勇気は、まだ無かった。
だから、今ヴィルはキーボードを叩く。エロパロなんて自分に書けるかどうかわからなかったけれど、それでも書き上げる。
せめて今は、自分の気持ちを見失わないでいられるように。

「…うあ…はぁんっ…ひあっ………ヴィルっ!…ヴィルぅ!!!」
指が、手が止まらない。止まってくれない。どうしてこんなに切なくなってしまうのか、自分でもわからない。
それはなんて事のないエロパロの筈だった。ヴィルの視点で書かれたそれは、エロパロと言うには多少大人しすぎるくらいの内容だった。それなのに……。
「…好きっ…ヴィル、好きだよぉ…ふあっ…ああっ……好きぃいいっ!!!」
描かれたヴィルの想いが、あくまで真摯にアリソンを思うその気持ちが、まるで本物のヴィルがそこにいるかのように感じさせる。アリソンを、狂わせる。
体だけではない。このエロパロを読んだだけで、心が、どこまでも強くヴィルを求め始めている。
首筋に、胸元に、熱いしずくを滴らせるアソコに、作中のヴィルの台詞を思い出しながら、何度も指を這わせる。
まるで本当にヴィルに触られているかのように、体中が敏感に反応して、頭の芯が痺れる。
「ああっ…や…ヴィル……もっと…もっとぉおおおっ!!!!!」
可愛らしく存在を主張する乳首を指先で容赦なく転がす。熱い肉壁の割れ目の、その奥へ、奥へと、侵入する指先を止められなくなってしまう。
自分自身の愛撫の中に、ヴィルを感じてしまう。
長い髪を振り乱し、瞳の端から涙を零しながら、アリソンは何度もヴィルの名前を呼ぶ。大好きな人の名前を叫ぶほどに、体はその熱を増していく。そして………。
「ふあっ!!…ひゃあんっ!!?…あ、イクっ!!イっちゃうよぉおおおおっ!!!ヴィルぅううううううっ!!!!」
熱が、弾けた。一切の抵抗を許さず、熱の波がアリソンの体を、心を、高みへと押し上げた。
体中を電気が駆け抜けて、頭の中が真っ白になって、アリソンの体はその場に崩れ落ちた。
125SBI:2006/08/24(木) 12:18:13 ID:KKeobBm6
激しい絶頂に息を切らせながら、ふとアリソンは思い出す。友人である壁画発見の英雄、カー・ベネディクト少佐からの手紙の事を。
大陸横断列車の旅。自分の思いを伝えられる最大最後のチャンスは、もう目の前まで迫っている。
思えばこれまで幾度となくあったチャンスを、時には偶然のために、時には踏ん切りのつかない自分のために、逃す事になってしまった。
「でも、今度こそは……」
何度も、何度も、ディスプレイの上に刻んできた言葉。現実にだって、今の自分なら言えない筈が無い。
「好きだよ、ヴィル。きっと伝えてみせるからね」
今は遠く離れた場所に居る、大好きな笑顔を目の前に思い浮かべて、アリソンは微笑んだ。

と、ここでアリソンはひとつの問題に行き当たった。
「にしても、ヴィルに告白した後もこれ続けるのって、精神的にきついわよね」
満たされない欲求の発散が第一目的だったのだから、ヴィルと想いが通じた後でここに作品を投下するのは、少々アレだ。
「でも、正直エロパロを書く事自体が、最近は楽しくなってきたのよねぇ」
しばし頭を抱えたアリソンだったが、ふっと顔を上げて
「すっかり忘れてたわ。まだまだ題材はあるのよね……」
ニヤリと微笑んだ。
そうだ、まだ『キノの旅』がある。
今まで書いた事は無かったけれど、ここはひとつ新たな一歩を踏み出すとしよう。
ボーイッシュでつるぺたな少女を、思いっきりくちゃくちゃにする。考えただけで背中がゾワリ。なんだかワクワクしてきてしまうではないか。
「よっしゃああああっ!!!まずは試しに一本書くわよっ!!!」
気合一発、アリソンの指がキーボードを叩き始める。彼女の果てしなき道のりは、まだ始まったばかりだった。

126SBI:2006/08/24(木) 12:19:11 ID:KKeobBm6
ま、今日このエロパロが投下された事で、それどころではなくなってしまったのだけれど……。

「えっ!?な?ってことは、私がこんな事してるって、このエロパロでヴィルは全部バレちゃったわけ?」
「アリソンごめんっ!!アリソンごめんっ!!!アリソンごめんっ!!!!アリソンごめんっ!!!!!」
「嫌ああああああああっ!!!どうしよう!?こんな私がこんなにやらしい娘だなんて、ヴィルに知られちゃったら……」
「アリソンごめんっ!!アリソンごめんっ!!!アリソンごめんっ!!!!アリソンごめんっ!!!!!」
「もうお終いよぉ!!!なにもかも台無しよぉ!!!世界の破滅だわっ!!!うわああああああああんっ!!!!!」
「アリソンごめんっ!!アリソンごめんっ!!!アリソンごめんっ!!!!アリソンごめんよおおおおおおっ!!!!!」
アリソンとヴィルの悲鳴はどこまでも遠く響き渡る。一体、次に会う時は、二人ともどんな顔をして会ったらいいのやら。
愛し合う二人には、これからも色々と苦難が絶えない様だった。
127SBI:2006/08/24(木) 12:22:03 ID:KKeobBm6
これでおしまい。
もしかしたら、今頃アリソンはこのエロパロのショックにもめげず、新たな境地、
キノのエロエロなエロパロを完成させるべくキーボードを叩いているのかもしれません。
ってな感じで、それでは、失礼いたしました。
128名無しさん@ピンキー:2006/08/24(木) 18:52:48 ID:YBGunfZC
GJ!
129名無しさん@ピンキー:2006/08/27(日) 08:33:01 ID:ffMjuz2r
GJ リリトレ版も出来そうな気がしてくる
130名無しさん@ピンキー:2006/08/27(日) 12:06:28 ID:BafF3IfL
GJ、続編希望。ていうか続き、続き!!
131名無しさん@ピンキー:2006/08/27(日) 12:59:29 ID:fN+8HeT4
もしやSBI氏がキノタソ・・・・・! GJ!!
132名無しさん@ピンキー:2006/08/29(火) 02:18:53 ID:lIz48OdF
陸キノ描いたので投下します。
色々大穴を狙ってみましたがどうでしょうか。



「・・・ふ、くぅ・・・」

キノさんが下を向いて、声を漏らすまいと顔を紅潮させて耐えている。
彼女の後ろにある樹のすぐ向こう側では、今の私たちのように、月夜の散歩を楽しむ人々が行きかう。

私の名前は陸。犬だ。
目の前に立つ彼女は従順なペットであり、今の私はその主人である。


数時間前。

私とシズ様、そしてキノさんとポンコツは同じ国の同じホテルの部屋にいた。
今、私たちは旅路を同じくしているのだ。
シズ様はキノさんがそうするようになったことを素直に喜んでおられるが、それにはシズ様の知らない特別な理由があった。

夜になると、キノさんは私と散歩に行っても良いかとシズ様に尋ねる。

「陸君とお散歩に行ってもいいですか?」
「いいですよ、どうぞ」

シズ様は笑顔で私たちを送り出す。
シズ様は、キノさんが私を散歩に連れて行くものだと思っているのだ。

しかしそれは違う。
私が、キノさんという犬を散歩に連れて行くのだ。



「ズボンを下げて足を広げるのです」

私たちは噴水と木立のある公園にたどり着き、陰になった樹の裏側に隠れた。
隠れたといっても、すぐそばの道を人が通り過ぎていくすれすれの所に。

「え・・・でも・・・、人が・・・。」

「あなたのような淫乱が、そんなことを気にするというのですか?」

そう言われるとびくんと体をゆらし、しばらく硬直する。
キノさんは恥ずかしさに眼を伏せると、熱い息をはずませながら、おずおずとベルトに手を伸ばした。
やがて金属のかみ合う小さな音を響かせながらチャックが最後まで下りきると、そこにピンクの縦筋があらわになった。

「では、指で開きなさい」

「はい・・・」

震える指が筋の両側にたどり着くと、そこを両側に広げはじめた。
子供を作るための穴からとろりと愛液が湧き出して、その甘酸っぱい匂いがあたりにただよう。
彼女のすぐ後ろを、犬を連れた夫婦が談笑しながら通りかかった。
犬が匂いに気づき興奮したように吠え立てたが、夫婦は気に留めることなく通り過ぎていく。

「もっと足を開きなさい」

133名無しさん@ピンキー:2006/08/29(火) 02:19:50 ID:lIz48OdF

キノさんの太ももがおずおずと左右に開かれると、
私はチャックの間から舌を差し入れ、ミルクを舐めるようにそこをペロペロと舐めはじめた。
奥まで鼻先を突っ込み、後ろの穴まで余すところなく弄ぶ。

「はぁ、はぁ・・・お尻・・・お尻も・・・気持ちいいよぉ・・・」

「あきれましたね。犬である私に舐められて感じているとは」

勃起して無防備になったクリトリスを下から何度も攻め上げると、
彼女の膝がかくかくとふるえ、幼い貝のようなそこがめくれてあがっていった。

「あぁー・・・ごめんなさい・・・ごめんなさいぃ・・・ボク・・・そこ・・・気持ちいい・・・気持ちいのぉ・・・!!」

私のされるがままになり、キノさんはそのまましばらく耐えていたが、
足に力が入らなくなり、ついにその場にしゃがみこんだ。
自分のひとさし指を口に入れてしゃぶり、うつろな眼は恍惚として涙をためている。

「全く哀れなものですね。・・・私が戒めて差し上げましょう」

私はキノさんに覆いかぶさり、いきり立ったモノを一気に挿入した。

「んんんーーー!!!!」

キノさんが貫かれて目を見張る。
ささやかな抵抗として私の腹に手をあてておしのけるような仕草をするが、まるで力が入っていない。

私はかまわず、彼女の中でいいように暴れまわる。

「んあっ、ああぁっーーあん!あん、あんっ!!」

彼女は犬のような声を上げながら、腹を上に向けて足をM字に開く。
こうすることで、ペニスをより奥まで挿入することができると知っているのだ。

「はぁ・・・当たってるぅ・・・!!ボクのいやらしいおまんこにぃ・・・ご主人様のおちんちんで・・・もっとおしおきしてくださいいぃ!!」

「救いようがありませんね。貴方には薬が必要です」

そう言うと、私は痙攣する彼女の粘膜にかまわず大きく円を描きながら突きまくった。
ずっぽりと奥まで入っているので、腹と腹が密着する。キノさんの乳房がこりこりと硬くなっているのがわかった。

「はっあ゛、あ゛ああぁ・・・ボク・・・イかされちゃう・・・イかされちゃうよぉーー・・・!!!」

木立の間ににキノさんの嬌声がすいこまれていく。
私は彼女にのしかかって腰をおしつけると、うっすら汗をかいた腹の中に、大量の精液を流し込んだ。
足をぴんと張り腰を高く持ち上げてしばらく静止し、ぱんぱんと何度か打ち付けてすべて出しきる。


その時通りかかった老人が何かに気づいたようにこちらを伺ったが、
芝の上に倒れているキノさんと私に気づくことはなく、そのままどこかへ歩き去っていった。



「ああ、おかえり2人とも。ずいぶん長かったね。どこまで行っていたんだい?」
134名無しさん@ピンキー:2006/08/29(火) 02:21:04 ID:lIz48OdF
以上です。失礼いたしました。
135名無しさん@ピンキー:2006/08/29(火) 08:16:29 ID:g1qbgYmV
GJ!
136名無しさん@ピンキー:2006/08/29(火) 14:17:46 ID:JTYQ+LgI
うは、新たな境地が
137SBI:2006/08/30(水) 11:53:14 ID:NpsSe1Ts
うあああああっ!!!これはまた凄いのが来ちゃったよ。
GJ!!!ごちそうさまでした。ほんとに。
で、ついでというのもなんですが、俺もまた書いてきました。
このスレを時雨沢キャラも見てるという話の続き。キノ、アリソン、と続いたので、今度はリリアとトレイズです。
それでは、いってみます。
138SBI:2006/08/30(水) 11:54:24 ID:NpsSe1Ts
「ただいま〜っ!!!」
家に帰ってきた私はまず、大声でそう言った。誰かが「おかえり」と言ってくれるのを期待したわけではない。むしろ、その逆だ。
誰もいてはならないのだ。誰かにいられちゃ困るのだ。今日はママの帰りはかなり遅くなるはずだけど、予定が変わる事だってある。念には念を入れなければ。
玄関のドアを閉めて、ママの寝室、シャワールーム、トイレの順に確認する。どこにも人の気配は無い。この家には今この私、リリアーヌ・シュルツがただ一人だ。
「………うん、大丈夫みたい」
そして私は再びママの寝室へ向かう。私の足取りはそわそわと落ち着かない。本当は誰かがかくれて見ているんじゃないかと、ありもしない事を考えて不安になる。
ドアを開け、ママの寝室の中へ。クローゼットの奥にひっそりと、人目を避けるようにしまい込まれたソレを取り出す。
その平べったい箱状を机の上に置き、スイッチを入れ、椅子に座る。信じがたいほどに薄い、テレビの様な画面に灯が点る。得体の知れない機械が立てる、低い音が部屋に響く。
ソレの本体から伸びるコードの、その先に繋がれた小さな機械を手の平に握り、軽く机の上で滑らせる。画面の中の矢印も同じように滑る。
完璧だ。私は素早く手の平の機械を操り、私にはもうすっかりお馴染みとなったそのマークの上に、矢印を滑らせた。
カチリ。
窓が開く。私の知らない世界を見せてくれる窓が、私の目の前に開かれる。
カチ。カチリ。
いつも通り、お決まりの操作で、私はそこに辿り付いた。
『時雨沢作品でハァハァしよう』
ごくりと生唾を飲み込む。心臓がドキドキと音を立てる。太ももの隙間が、大事な所が熱くなってくる。
「……………よし」
そして、私だけの秘密の時間が始まった。

どうして私が、使い方もわからないその機械を動かしてみる気になったのか?何度も操作に行き詰まりながらも、決して機械の前から離れようとしなかったのか?
好奇心だけでは説明がつかない。もしかしたら、私は心のどこかで、この機械がもたらしてくれる幻想と快楽の存在を感じ取っていたのかもしれない。
『時雨沢作品でハァハァしよう』、このスレの保管庫に辿り着いた私が最初に気付いたのは、他ならぬママの名前。
若い頃のママと、今はもういないパパ、ヴィルヘルム・シュルツがそこにいた。夢中で愛し合う若い二人の姿がそこには描かれていた。
他の部分では主に、キノという名前の女の子が同じようにエッチな事をしたり、されたりしていた。
「どうして?ママは、こんな物を見ているっていうの?」
訳がわからず、画面の前で呆然としていた私は、そこにさらに驚くべき物があることに気が付いた。
「これ、私の名前じゃないっ!?」
小説の中で、私がエッチな事をしている。いやらしく体をくねらせ、快感に身悶えている。
しかも、その相手がトレイズなのだ。
イクス王国で暮らす私の幼馴染み。今でも時々一緒に遊んだりしてるのは、別に何か深い意味があるわけじゃない。ただ何となく一緒にいるだけ、それだけの仲なのに……。
「なんなのよっ!!こんな………どうして私がトレイズなんかとっ!!!」
トレイズが私を抱きしめる。キスをする。服を脱ぎ、裸の体を重ね合わせ、そしてあまつさえ…………。
「こ、こんな事、私がするわけないじゃないっ!!何を考えてるのよっ!!!」
現実には有り得ない光景。交わされる筈の無い言葉。どこかの誰かが好き勝手に書き散らした、偽者の私の姿。全くのデタラメだ。
だけど、読み進むほどに私の中の怒りの感情は揺らいでいく。小説の中の私とトレイズから目が離せなくなっていく。感情がシンクロしていく。
全てを読み終えたとき、私に残されたのは、胸の奥がきゅーっと疼く奇妙な感覚。そして、我慢できないほどの体の火照り。
「…あ……や……あはっ……」
慣れないエッチな小説を読んで興奮してしまっただけ、そう自分に言い聞かせて、必死で自分の体を慰めた。少しでも早く熱を鎮めたくて、夢中で指を動かした。
だけど、行為を続ければ続けるほどに、アイツの、小説の中での私のお相手の姿が、声が、笑顔が、頭の中に浮かんで、それ以外何も考えられなくなる。
切れ切れの呼吸の合間に、アイツの名前を呼んでしまう。
139SBI:2006/08/30(水) 11:55:28 ID:NpsSe1Ts
「…ふ……ああっ……ああんっ…トレ…イズぅ……トレイズっ…あああああああっ!!!」
数え切れないほどにその名前を呼んだ。体中を駆け抜ける、痺れるような感覚を何度も味わった。それでも、息も絶え絶えの私の、体の疼きが収まってくれる事は無かった。
時間が経つのも忘れて、私は自分の体を弄くり続けた。あまりの気持ち良さに全身から力が抜けても、指だけは止まる事無く動き続けた。
自分の指先だけでこんなに気持ち良くなってしまうなんて、本当に信じられなかった。頭がおかしくなってしまうんじゃないかと、本当に心配になった。
もう前も後もわからなくなって、体が熱くて仕方が無くて、無我夢中の私は昇り詰めていく感覚の中で、その言葉を叫んだ。
「…っああああぁ!!!トレイズぅ……好きぃいいっ!!!!」
ぜえぜえと息を切らして、ママの机の上、あの機械の前で私の体はくてんと崩れ落ちた。
自分が叫んだ言葉、その意味の重大さを悟ったのは、しばらく後の事だった。

そして、あの日以来、私はこの機械の虜になった。今この瞬間も、灯りを消した薄暗いママの寝室で、私は一人その淫靡な行為に耽っていた。
トレイズが私の頭を占領していく。トレイズに頭の芯まで痺れさせられて、私の体はどんどんエッチになっていく。
おっかなびっくりの手つきで、体中の感じるところに何度も触れる。トレイズにしてもらっているつもりで、何度も、何度も……。
「…やめ…なくちゃ…はぁはぁ……こんなのいけない……いけないのにぃ」
白々しい言葉を口にしながら、画面に映し出された小説を食い入るように見つめ、両手の指で自分のアソコをめちゃくちゃにいじくる。
私が悪いんじゃない。この指が止まってくれないのがいけないんだ。本当はやめたいのに、この指が私の言う事を聞いてくれないのがいけないんだ。
私は本当はこんなエッチな娘じゃないんだ。トレイズの事なんか、別に何とも思ってないんだ。トレイズが小説の中で、あんなにいやらしい事をしてくるのがいけないんだ。
「……トレイズの…せいなんだからぁ…ああんっ!!…トレイズが…ぜんぶぅ…わるいんだからぁ………っ!!!」
認めるわけにはいかない。あの日、絶頂の最中に自分が叫んだあの言葉、あれを認めてしまったら、私は…………。
「ふあああっ!!!トレイズっ……トレイズぅ…トレイズっ!!!!」
いずれ誤魔化し切れなくなるのはわかっている。今だって、本当にギリギリのところで、あの日の記憶に知らん振りを決め込んでいる。
だって、あんな気持ち、どうしたらいいかなんて私にはわからないから。わかるわけがないじゃない、あんなの、私には無理だ。
抱え切れない。壊れてしまう。だから、私は必死で逃げた。逃げ切れなかった。自分自身から逃げ出す方法なんて、最初からあるわけがなかった。
熱い疼きが私の体を捕えて、今日もまた、私をこの機械の前に向かわせる。どんなに言い繕っても、誤魔化せない昂ぶりの前に、私は膝を屈した。
熱の奔流が体を駆け抜ける中で、私はまたあの言葉を叫ぶ。
「…あっ…好きぃ…トレイズッ……好きだよぉ!!!」
その時だった。
ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリッ!!!!!!!!!!
耳をつんざく様な爆音が、部屋に鳴り響いた。
「ふひゃあああんっ!!!!な、な、な、何!!?何なのっ!!?」
心臓が止まるかと思った。転げ落ちるように椅子から逃げ出した私は、この音の音源を探した。
「で、電話!?なによ!!よりによって、こんな時じゃなくたって………」
先ほどまでの行為で乱れていた呼吸を整えて、受話器を手に取る。体はいまだに疼いていたけど、何でもない風を装って電話口に話し掛けた。
「もしもし、どなたですか?」
「俺だよ、リリア」
「へ!?」
聞き覚えのある声。っていうか、思いっきりお馴染みの誰かさんの声。だけど一瞬、それが誰の声であるのか私には理解できなかった。
「久しぶり。お正月以来だね」
「ト、ト、ト、トレイズぅ!!?」
「何だよ変な声出して。お化けに会ったわけでもないだろうに」
私にとってはどっちも同じようなものだ。よりによってこのタイミングだなんて、お化けの方がまだマシかもしれない。
140SBI:2006/08/30(水) 11:58:14 ID:NpsSe1Ts
「な、何の用よ、わざわざ電話をかけてくるなんて。イクス王国からじゃ、電話代だって馬鹿にならないでしょ?」
「いや、その……うん、やっぱりちゃんと話しとかなくちゃって思って…」
「だから何よ?」
「だから、例の大晦日の事件のこと。………あの時はほんとに、リリアにはいっぱい助けてもらったり、迷惑かけたりして」
この冬、イクス王国に遊びに行った私が巻き込まれたとんでもない事件。たしかにあの事件のせいで、私のイクス滞在はめちゃくちゃになった。
「言わなきゃいけないことはたくさんあったのに、あの後いろいろ落ち着かなくて、ちゃんと話もできなかったから……」
しみじみと、落ち着いた調子で話すトレイズ。だけど、私は落ち着かない。いくら何でも間が悪すぎた。
ドキドキ、ドキドキ、あの機械の前で一人遊びに耽っていた時以上のスピードで、心臓が動き始める。
この受話器の向こうにトレイズがいる。夢でも幻でも、私の頭の中だけの都合のいい妄想でもない。本物のトレイズがそこにいる。
「ほんとにごめん。俺に付き合ってもらって、大変な事に巻き込んで、大変な目に合わせてしまった」
「う、ううん…そんな事……あの時は、私の方からついて行ったんじゃない」
トレイズの言葉を聞いているだけで、頭がボンヤリしてきて、鼓動がどんどん速くなっていく。最後の最後で「待った」を出された体が、再び熱を持ち始める。
さっきよりももっと熱く、切なく、体の一番奥から堪え切れないほどの疼きが沸きあがってくる。私は無意識の内に、右手の指先をショーツの中に滑り込ませていた。
「…トレイズだって、私のせいで…死ぬほど心配させられちゃったじゃない……今さら言いっこ…なしよ……」
指が勝手に動き出す。快感の電流が背筋を駆け抜けて、頭の中に火花が飛び散る。もう、我慢なんて出来なかった。出来るわけがなかった。
「ありがとう。ありがとう、リリア……」
「あは、あはははは……いいのよ、そんな…」
トレイズがいるのに、トレイズと話してる最中なのに、私の体はまったく言う事を聞かない。トレイズの一言一句に反応して、指先はより激しく、体はより敏感になっていく。
(左手も…使いたい……)
異常事態を前にしてパニックに陥った私の頭は、溢れ出る欲望に対して何の抵抗もしなかった。肩で受話器を支え、自由になった左手は乳首を弄くり始める。
「何度も助けてくれて、本当に感謝してる」
「……っ!…き、気にしないで…別に…大した事したわけじゃないし………っ!!」
「そんなことないよ。リリアがいなかったら、俺はきっとあそこで死んでたと思う」
絶え間なく襲い掛かる快感と、受話器の向こうから聞こえるトレイズの声が入り混じって、私の頭の中に嵐を巻き起こす。
アソコをかき回す指が立てる、いやらしい水音。服の上から体中を弄る衣擦れの音。そして、どんどん乱れて止まらない呼吸の音。
トレイズに聞こえているかもしれない。だけど、やめられない。やめたくない。もっと熱く、気持ち良くなりたい。
「まあ、本当に色々あったけど、まさかイクスが嫌いになっちゃったなんて事はないよな」
私は変態だ。変態になっちゃったんだ。トレイズはまじめに私の事を話してくれてるのに、それを聞きながらこんなに興奮している。
「今回の埋め合わせもしたいんだ。リリアにイクスの悪い思い出を残したまんまなのも、どうかと思うし……」
でも、他にどうすればいいの?どんな方法があるの?
トレイズの声を聞くほど、私の体は、心は、切なくて堪らなくなってしまう。こんなのを押さえ込んだままにしておくなんて、私には絶対に無理だ。
(………っああ!!!トレイズっ!!トレイズぅ!!!!)
今の私には、これ以外の方法を思いつけない。激しくトレイズを求め続ける体を、心を、こうやってなだめすかして、何とかやり過ごす事しか出来ない。
141SBI:2006/08/30(水) 11:59:12 ID:NpsSe1Ts
ピンと張り詰めた胸の上の突起も、とめどなく雫を溢れ出すアソコも、私の中の全部が、トレイズの声を聞いて騒ぎ出している。
こんなに激しいものが自分の中にあったなんて知らなかった。止めようも無く暴走する感情の前になす術も無く、私は乱れて、おかしくなっていく。
「だから、また会おう。一緒に遊ぼう。電話じゃなくて…その…直接言いたい事もあるんだ……」
少し照れくさそうに言ったその言葉が頭の中に反響して、体はさらに熱くなって、私の頭の中の嵐もさらに激しさを増していく。
気持ちよすぎて、わけがわからなくて、目元から涙さえ零れ落ちた。わけのわからないまま、大事な部分をかき混ぜて、突き上げて、そしてついに、私の中で何かが弾けた。
「……………っ!!!!………っ!!……………ぁっ!!!!!!!!!!」
最後に少しだけ声が漏れてしまったけど、それもどうでも良い事だった。ただ、トレイズの声を聞きながらイってしまったという事実に、呆然と、言葉をなくしていた。
そのまま、どれくらいの時間が経ったのか、放心状態の私は、受話器の向こうから何度も自分に呼びかけてくる声に気付いて、ようやく我に返った。
「……リリア、だいじょうぶ?」
「……えっ!?……あ、あ、…何!?」
「いや……さっきから、様子が変だから……」
背筋が凍った。まさか、気付かれてる?
「えっと、それは、その……な、なんというか……」
「やっぱり、ちょっと息が荒い。もしかして、風邪か何か?」
「…あ、うん…うん、まあ、そんなところ」
まあ、確かにコレもひとつの病気だろう。それも、かなりタチの悪いヤツだ。
「そっか、それならそうと言ってくれれば良かったのに。無理に話しに付き合せちゃったかな」
どうやら、気付いてはいないようだ。まあ、それもそうだ。受話器の向こうでこんな事してるなんて、普通なら考えもしない。
ほっと一息ついて、気が緩んだ。それでつい、口が滑った。思わぬ事を口走ってしまった。
「全然よ。トレイズの声、ずっと聞きたかったから」
言ってから、赤面。受話器の向こうも言葉を無くしている。微妙な沈黙が部屋の中を流れていく。
「…いや……えっと……………まあ、そういうことで…」
「あの…その……リリア?」
「……ご、ご、ご、ご、ごめんっ!!!トレイズ、さよならっ!!!」
「…あっ…ちょ……リリアっ!…リリアっ!!!?」
ガチャンッ!!と思い切り、受話器受けのレバーを手で押し下げて、問答無用で通話を断ち切った。受話器からは、トレイズの声はもう聞こえない。
ようやく一安心といった所だったが、私の胸に残されたのは何とも言えない寂しさだけだった。
「………………トレイズぅ」
一人ぼっちの部屋の中、もはや誰とも繋がっていない受話器を抱きしめて、私は呟いた。
142SBI:2006/08/30(水) 12:00:55 ID:NpsSe1Ts
そんなこんなで、私のトレイズへの思いはより一層複雑化。以前に増してあの機械にのめり込む事になった。
最近では、自分でああいう小説を書こうか、なんて事さえ考えはじめている。トレイズと私を扱った作品は、他の作品に比べて少数派とさえ言ってよかった。
無いのならば作ればいい。必要は発明の母、私がエッチな小説の執筆に手を染めるのも、遠い未来の話では無さそうだった。
「ま、今日はいつも通り、見るだけなんだけどね」
いつも通りの場所から、いつも通りにあの機械を取り出す。いつも通りに機械を開いたその時、ひらりと一枚のメモ用紙が舞い落ちた。
「何これ?なんか書いてある……」
『リリアちゃんへ
  使うのはいいけど、履歴は消しておいた方がいいわよ。
                     リリアちゃんの愛しのママより
追伸 リリアちゃんってば、やっぱりトレイズ君が好きなのね。ママまでドキドキしちゃったわ』
嫌な汗がぶわっと背中に湧き出るのを感じた。急いで機械のスイッチを入れる。今まで使った事の無いその機能を見つけるまでに、そう時間はかからなかった。
カチリ。恐る恐る人差し指に力を込め、履歴とやらを開いた。
「嫌ああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!」
しっかりと残された自分の足跡。悪夢のような光景。ああ、やっぱり悪い事はするものじゃない、なんて事を考えながら、私はゆっくりと気を失ったのだった。
143SBI:2006/08/30(水) 12:03:45 ID:NpsSe1Ts
以上でおしまいです。
一応、時雨沢作品の主人公ぜんぶを出すことができたので、一連のネタはこのへんで打ち止め。
あんまり同一のネタを使い続けても、良い事はないだろうし。
それでは、失礼しました。
144名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 13:20:27 ID:oxX1Llhj
最高!
GJです!
SBI氏は最高です!
145名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 13:46:29 ID:9bpmeVs6
GJ!
ラストで吹いた
146名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 14:18:35 ID:emGxk/yT
GJ
履歴か・・・・それがあったか・・・
147名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 18:38:11 ID:Ahmy89Ad
激しくGJ!

履歴にネスカフェ匠吹いたw
148名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 18:41:47 ID:j5fNdR1U
「学園キノ」だっけ?あれいつ発売だっけ?
149名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 19:23:07 ID:VDDDUkBi
とっくに出てるぜ
150名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 22:25:32 ID:2DnMioio
学園キノできぼんぬ。
151 ◆KdBcwmQ4/6 :2006/09/01(金) 16:28:28 ID:zcM9KnXu
おひさです。
ここまで保管しましたァハァハァ

第三保管庫 ttp://kujira.s8.x-beat.com/kino/
152名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 17:06:35 ID:wyajIorf
乙です
15369:2006/09/01(金) 18:26:40 ID:6KMOk4+K
SBI氏いつもGJ!!&保管庫の管理人さんいつも乙です!!
自分も今回また一本書き上がったので投下します。
>>61-68の続きだけどCPはメグ×リリアだったりします。
15469:2006/09/01(金) 18:27:29 ID:6KMOk4+K

首都のアパート、その一つの部屋でリリアとメグはベゼル語で談笑していた。
「でさー、やっぱりジュースはグレープが良いと思うんだー」
「うん、でもオレンジとかも普通に美味しいよ」
「うんにゃ、それでもグレープが美味いことに替わりはない」
二人はコップに入ったジュースを片手にジュースの味の是非について話していた。
二人が一旦コップをテーブルの上に置いた後、
「そう言えばここの冷蔵庫ほとんど物が入ってなかったけど買い出しとか大丈夫?」
と、メグがリリアの家の食料事情を心配したが
「む……人の家の冷蔵庫を勝手に覗き込むとは無礼千万な奴よのう?」
「わー! ゴメンゴメン!」
メグの些細な質問に冗談交じりに注意をするリリアにメグは謝罪をした。
「まあ別に良いんだけど。買い出しなら下僕に任せてるから大丈夫」
「それって去年も来てたサイドカーの彼?」
「うん、そう。昨日こっちに来てさ、首都観光のついでに頼んどいた」
トレイズは昨夜の一件の罪悪感で居たたまれなくなったのか、
逃げるように首都観光に乗り出して行った。
ただし、リリアの方は昨夜のこと自体はさして気にしてはいないようで、
その様子を見たトレイズは安堵の表情も浮かべていた。
「ふーん。アリソンさんは今日は仕事?」
「いや、ママは今日は休みなんだけど暇だからってトレイズについて行っちゃった」
そしてリリアは一人で留守番をしていたのでメグの訪問には甚だ助けられていた。
15569:2006/09/01(金) 18:28:17 ID:6KMOk4+K

「なるほど、その彼はトレイズさんという方なんですか」
メグはリリアの発言にあったその名を確かめるようにリリアに尋ねた。
「あれ、メグは知らなかったっけ?」
「はじめて聞きました」
「そう言えばそうだったっけか」
メグの返事に納得しているリリアに、
「それで、そのトレイズさんとの関係は何処まで進んだんですか?」
「ぶふぉっ!!」
メグのいきなりの問いに飲みかけたジュースを吹き出すリリア。
昨晩そのトレイズに押し倒されてコトに及んだリリアにこの質問は強烈だったに違いない。
言いよどむリリアにメグは詰問を続ける。
「キスはしたんですか?それとももっと先まで……」
メグに勝手に、それも限りなく正解に近い推測を立てリリアを追いつめていく。
「ちょっと待ってよ!そんな勝手に決めつけないで!」
「そんなこと言われてもリリアのリアクションを見てると……顔、真っ赤だよ?」
「ふぇ!?」
メグの言う通り、リリアの頬は羞恥心によってこれ以上ないほどに紅潮していた。
確かに、この状態で二人の間に何もなかったと言っても説得力に欠ける。
「……何でそんな質問をしたの?」
「今日のリリア、何だかキレイだったから。今までと違って、すごく……」
「そっか……」
理由を聞き、リリアは言葉を止め、静寂が二人を包む。
15669:2006/09/01(金) 18:29:00 ID:6KMOk4+K

「リリア」
「うん?」
「私、リリアに会えて本当に良かった。スー・ベー・イル出身の私を
 簡単に受け入れてくれて、あの時は本当に嬉しかったんだ。
 リリアは……強いな……」
「え?あ……そ、そんなに褒めないでよ。照れちゃうから」
落ち着き始めていたリリアの頬はまたも赤みを帯びかけていた。
そんなリリアを尻目にメグは言葉を続ける。
「ううん、リリアは強いよ。そんなリリアが私は好きだったんだ」
「メグだって強いよ。私もメグの事、大好きだよ」
二人はお互いの感情を確かめ合って満足そうであった。
「私もしたいな、リリア」
メグが誘いをかける。リリアは分かっていながらも一応聞く。
「な……何を…?」
「そのトレイズさんとしたことを、です」
やっぱり、リリアはそう思って怖じ気づく。
「いや、それは……んっ!!」
たじろぐリリアの唇にメグは半ば無理矢理に自らの唇を重ねる。
舌を絡め、クチャクチャといやらしい水音をさせる。
「ん…ふぅ……はぁ…ぷはっ……メグ…?」
自分が何をされたか理解しきれていないリリアは涙混じりにメグを見つめる。
「大丈夫だよ、大丈夫。気分はどう?」
リリアを落ち着かせるメグ。リリアも状況を把握したらしく、
「ん……大丈夫、かな…」
「よかった……じゃあ…」
「うん、続きは私の部屋でしよう」
15769:2006/09/01(金) 18:29:38 ID:6KMOk4+K

二人はリリアの部屋に入りベッドの上に二人で腰掛けた。
「じゃあ、続き、していい?」
「うん、その前にもう一度……ん…」
今度はリリアからメグに口吻をする。恍惚の表情を浮かべて舌を絡ませ合う二人。
キスが終わると、メグが続きをせがむ。
「リリア、脱がしっこしよう」
「うん」
そして、リリアとメグははお互いの衣服を脱がし始めた。
二人は無言で、時折互いの顔を見つめ合いながら楽しそうに作業を進める。
やがて、一糸纏わぬ姿となった二人はお互いの姿に見惚れていた。
「リリアの身体……キレイ…」
「ううん、メグもとってもキレイだよ」
「ありがとう、じゃあ……触るよ…」
そう言ってメグはリリアの乳房に手を伸ばし、愛撫を始める。
大きく開いた親指と人差し指の間に乳房を挟み、突き上げるように揉みしだく。
指先で乳首を刺激することも忘れず、メグは着実にリリアを責め立てる。
「んんっ、あっ、くっ……」
メグの愛撫に悶えるリリア。彼女も負けじとメグの身体に手をつける。
その愛撫はたどたどしいものだったがリリアに触れられるだけメグは悦びを感じていた。
「んはっ、リリア…きもちいぃ……」
「はっ、ふぅ…はぁ……」
メグの言葉を聞く余裕もなく、リリアも一心にメグの乳房を刺激する。
15869:2006/09/01(金) 18:30:20 ID:6KMOk4+K

そんなリリアを見てメグはあることに気付いた。
「リリアのココ…もうこんなになってる……」
メグは愛液でビチョビチョになっていたリリアの秘所に指を這わした。
「ああっ!!メグッ!!そこはっ!!」
秘所を隠すため伸ばそうとしたリリアの腕をメグは身体で止めつつ、
続けてリリアのクリトリスを指で弄り、擦り上げる。
「んんぁああっ!!」
たまらず嬌声を上げたリリアにメグは突然ロクシェ語で話しかける。
「なるほど、ここがリリアの亜寒帯ですね?」
「せぇ…性感帯……?」
「そうそれ、今日のロクシェ語」
そんなロクシェ語、何処で習ったんだとリリアが疑問を挟む間もなく、
快楽で抵抗の意志を失っていたリリアの秘所にメグは舌で愛撫を始めた。
ピチャピチャとそこを舐め続けるとリリアの秘所から愛液があふれ出てくる。
それを舌で掬うと続けてリリアのクリトリスを舌で転がす。
「ひぁ…あぅ……ああ……」
身体を震わせ限界寸前と言った表情で悶え続けているリリア。
そんな彼女にトドメを刺すかのように、
カリッ
メグはリリアのクリトリスを甘噛みした。
「っ……ああぁあああぁああああぁ!!!」
ベッドの上で四肢をピンと伸ばし、ビクビク震えながらリリアは絶頂を迎えた。
そしてすぐに身体の力が抜けすぐに崩れ落ちた。
「リリア……イッちゃったの?」
メグは確かめるようにリリアに問いかける。
「はぁーっ、ん…はぁ……」
リリアはメグの問いに答えられず、その口からは吐息が漏れた。
15969:2006/09/01(金) 18:30:58 ID:6KMOk4+K

リリアが絶頂の余韻を味わった後、
「リリア…私も気持ちよくなりたいな……」
まだ絶頂を迎えていないメグがリリアにおねだりをする。
「うん、分かった。じゃあ私がメグにさっきのように……」
「それじゃリリアが退屈しちゃうからダメ」
「だってさっきはメグが……」
「それはもう良いから、リリアも一緒にしよ?」
メグはベッドの上にリリアを足で挟むように立ち上がり、
「ほら、リリアにしているだけでもうこんなになっちゃった」
と愛液でトロトロになった自分の秘所をリリアに見せる。
「メグのココ…すごいエッチ……」
「うん、じゃあ…いくよ」
メグはそう言うと、ベッドに仰向けになっているリリアの両脚を持ち上げて
露わになったリリアの秘所に自らの秘所を擦りつけた。
「あああっ!!」
「んっ!はぁ……」
二人は動かずにお互いの秘所を感じていたが、すぐにメグが、
「リリア…動くよ……」
そう言って、メグは秘所同士を強く擦りつけ始めた。
「んっ、はぁ……」
リリアが感じているのを確認してメグはその速度を少しずつ上げていく。
それにつれて、重なり合う秘所から出る水音も徐々に大きくなる。
「ふぁ…いぃ……リリア、大好き…」
「あぁん……私も……メグが…大好きぃ……」
メグはリリアの乳房に手を伸ばし愛撫を行う。
リリアもメグの乳房に手を這わせ、お互いに高め合う。
「もう…駄目……リリア…イクゥゥゥ!!!」
「メグ!メグゥ!はぁあぁあああ!!」
二人は身体を震わせ、一緒に絶頂を味わった。
その顔はこれ以上ないほど嬉しそうであった。
16069:2006/09/01(金) 18:31:55 ID:6KMOk4+K

二人は服を着て、リリアの部屋のベッドに座っていた。
「……すごかったね」
素直な感想を述べるメグに、
「うん……すごかった」
リリアは素直な感想で返した。
「また……したいな」
「うん……いいかも」
しばらくして、唐突にメグがリリアに抱きついて言った。
「大好きだよ、リリア」
「……うん、私もだよ」


トレイズとアリソンは首都のとあるホテルにいた。
部屋にあったお茶を飲みながらトレイズがアリソンに問う。
「アリソンさん。話って何ですか?」
「単刀直入に言うとトレイズ君、昨晩はリリアとお楽しみしてたんでしょ」
「ぶふぉっ!!」
アリソンのいきなりの問いに飲みかけたお茶を吹き出すトレイズ。
「隠しても無駄よ〜見ればすぐに分かっちゃうもんだから」
「分かっているって…それじゃあ、今のこれは何の用ですか?」
「実は私も昨日ヴィルとしてきたんだけどヴィルがすぐにへばっちゃって…
 男になったトレイズ君にその穴埋めをしてもらいたいな〜と思って」
そう言って、アリソンはトレイズに迫る。
一瞬戸惑ったトレイズであったが、“脱ヘタレ”のトレイズはここで覚悟を決めた。

家に帰ってきたトレイズはやつれた顔で食事も取らずにすぐに寝入ってしまった。
リリアはそんなトレイズに疑問を持ってアリソンに尋ねてみたが、
「ん〜、今日の首都観光で疲れちゃったんじゃない?」
と、適当に答える艶っぽさを浮かべたアリソンであった。


めでたし、めでたし(約一名除いて)
16169:2006/09/01(金) 18:32:32 ID:6KMOk4+K
以上です。失礼しました。
16269:2006/09/01(金) 18:36:01 ID:6KMOk4+K
安価ミス
×>>61-68
>>64-68
失礼しました。
163名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 19:09:37 ID:0wnqnaHg
百合とは・・・!新境地を見た。GJ。
164名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 11:36:09 ID:0KT3vrKO
師匠キノ以来だな、GJ
165SBI:2006/09/04(月) 14:39:05 ID:Ci0TQxNs
ああ、いいなあ。メグ可愛いよ。百合もいいねえ。GJでした。

俺もまた書いたので投下します。師匠の話です。
それでは、いきます。
166SBI:2006/09/04(月) 14:41:57 ID:Ci0TQxNs
明るい部屋の中、一人の花嫁が立っていた。純白のドレスを身にまとい、薄いベールを頭にかぶったその姿に、なめらかな黒髪が映える。誠に美しい女性だった。
「どうです?」
そう言って、彼女は嬉しそうに微笑んだ。しかし、女性の目の前に座る、花婿の白い衣装に身を包んだ男はなにやら不機嫌な様子。女性の姿を一瞥した男は
「はいはい、似合ってますよ」
憮然とした表情で言って、ぷいと横を向く。しかし、女性は男の不機嫌を大して気にもしない様子で、
「いよいよ明日です。ああ、本当に楽しみですね……」
うっとりと呟いて、明日の予定に心を躍らせる。
そう、明日はこの男女二人の結婚式なのだ。
色んな国々をオンボロ車で巡ってきた旅人の二人組。長い黒髪の妙齢の女性と少し背の低いハンサムな男、二人は明日、この国で式を挙げるのだ。

そもそも、何がどうしてこんな事になったのか?
それは、現在二人が滞在しているこの国の、特別な制度の為だった。

「結婚……ですか?」
「さよう、結婚ですじゃ」
突然出てきた単語を聞いて、女性と男は思わず聞き返した。二人を客人としてもてなしているこの国の代表、しわくちゃの顔の老人が解説する。
現在は周辺の国々の交易の要として栄えているこの国であるが、数百年の歴史の中で幾度となく滅亡に瀕した歴史を持っている。
「まあ、この国はここら一帯の交通の要でしたからな。戦争が起こると、どの国もここを通る。小さな国ですから、そりゃあ何度となく無茶苦茶に踏み荒らされました」
男性も女性も、大勢の人が犠牲になった。今のように力のある国になるまで、それは数え切れないほどに繰り返された。
「で、結婚ですか?」
「その通り!!」
人がいなければ国は成り立たない。人が生まれるには、男女が結ばれなければならない。だから、この国では結婚する男女に対して、多額の援助を行ってきた。
ただ、国が豊かになった現在では、自国民に対する援助は大して必要ではなくなっている。その代わりに援助の対象となったのが
「我々、旅人というわけですね」
「うむ、旅人さんというのは大概、かなりギリギリの生活をしていらっしゃる。この国に来るまで結婚など考えた事も無い、なんて人が大多数じゃ」
結婚を希望する旅人カップルを盛大に祝い、結構な額のお金を与える。国民の誰かさんとの結婚を希望する旅人も、同様に援助される。
そして、国立の式場で盛大な結婚式を催し、国民総出で二人の結婚を祝福するのだ。
「ま、少子化対策の側面も大きかったのじゃが、この制度が確立された頃はまだ戦の時代、結ばれる事無く死んだ恋人たちがあまりに多かったんじゃ。
その時代からまだ50年と経っておらん。愛し合う二人が結ばれる事を、我々は切に願っておる。だからこそ、形を変えてこの制度が残っておる」
見たところ、80代に達していようかというこの老人も、苦難の時代の生き残りなのだろう。旅人二人に語りかける言葉にも、どこか憂いがこもっている。
「勿論、強制ではない。ただ、貴方がたのような若い二人が、将来を考えるきっかけになればと、そう思っておる次第じゃ」
語り終えて一息ついた老人の視線は、強制しないという割にはかなり熱がこもっていた。ハンサムだけど少し背の低い、旅人の男は困ったような表情で老人を見つめている。
なにしろ、彼と相棒の女性は、そういう関係ではなかったのだから。彼は女性のことをいつも『師匠』と呼んでいた。
やんわりと断ろうと、男が口を開きかけたその時だった。
「是非、お願いします!!」
隣の女性が先に口を開いた。驚いて何も言えない男を尻目に、女性は本当に嬉しそうに自分の希望を話した。
「以前から、考えるところはあったんです。ですが、明日はどうなるとも知れない旅の空、どうしても踏み切る事が出来ないでいました」
「おおっ!!それでは……」
「はい。大勢の方々に祝福されて結ばれる事が出来るなんて、この上ない思い出になると思います。もちろん、彼が同意してくれればの話ですが……」
こんな事を言い出すような人だったけ?唖然とする男の方に女性は顔を向け、まるで天使のような笑顔を浮かべて、問い掛けた。
167SBI:2006/09/04(月) 14:43:33 ID:Ci0TQxNs
「ねえ、私と結婚してくれますか?」
絶対の上下関係の前に、逆らう術などありはしない。苦笑いを浮かべた男は
「は、はい。喜んで」
こっくりと肯いた。

そして場面は再び、花嫁花婿姿の二人のところに戻る。
「知ってたんですね。この国のこと」
「はい、勿論」
女性は悪びれもせず、笑顔で答えた。
「お金を騙し取ろうって訳ですか?」
「それだけじゃありません。旅人の結婚式にはお祝いの品がどっさり届きます。この国はお金持ちが多いですから、これだけで相当なものになります」
「結婚詐欺ですね」
「全然違いますよ。実際、式はきちんと挙げますし、別にあなたが騙されるわけじゃありません。人も殺さないし、いつもよりきれいな仕事振りじゃないですか」
最初からこれが女性の狙いだったのだ。タダより安いものは無い。労せずに結構な収入が得られるこの国の話を、女性は以前から聞き知っていたのだ。
「どうして事前に言ってくれなかったんですか?」
男が恨めしそうに尋ねる。
「だって、言ったら嫌がるじゃないですか」
ま、その通りだった。男は何かを言うのをすっかり諦めて、椅子の上にひっくりかえる。
しかし、男の内心は穏やかならぬものだった。どんな形だろうと、どんな目的の上に立っていようと、結婚は結婚である。
縁あって、この女性を師匠と呼び、共に旅を続けてきた。幾度かの夜を、女性と同じベッドの上で過ごす事もあった。それでも、やはり違うのだ。
男は理解していた。どんな修羅場にあっても悠然と微笑む彼女の姿も、流れるような黒髪の美しさも、どんなに焦がれても、それらを自分のものにする事など出来はしないのだと。
それなのに、どうしてこんな仕打ちを受けなければならない?
たとえかりそめでも、結婚なのだ。彼女の伴侶となるのだ。決して手の届かない夢、考えるのも虚しい妄想の類、それを何故今になって見せられねばならないのか?
彼女は師匠で、自分は弟子で、それ以外の関係など有り得ないのに。こんな残酷な事が他にあるだろうか?
自然、男の表情は、普段のへらへらした笑顔と打って変わって、いかにも不機嫌そうな膨れっ面になっている。
しかし、女性はいつも通りのマイペース。男がふてくされているのを気にもしない。それがまた、男を複雑な気持ちにさせるのだが……
「……………」
そんな彼女の笑顔が、美しい事もまた事実だった。っていうか、今の彼女はいつもよりも、心なしかウキウキしているような気がした。
大儲けまで後一歩とはいえ、いつもの彼女から考えると、幾分はしゃぎすぎなようにも見える。
「……………ずいぶん楽しそうですね、師匠」
「そうですか?」
「ウェディングドレス、前から着てみたかったとか?」
「…………そうなのかもしれませんね」
予想外の答えに、男は内心ドキリとさせられる。彼女に限って、そういう憧れみたいなものは一切持っていないと思っていたのに。
「なんですか?妙な顔をして。私がウェディングドレスを着たいなんて言っちゃいけませんか?」
「いえ、その、別に……」
「普段と違う服装をすると少しはウキウキした気分になる。その程度の話ですよ。私たちは旅人ですから、尚更でしょう」
なんて答えて見せた表情が、またしても天使のように輝いて見える。畜生、なんだっていうんだ?なんだって、こんなに楽しそうにしてるんだ。
もしかして、こっちの気持ちなんて当の昔に見透かしてるのか?全部わかってて、俺はからかわれているんだろうか?駄目だ。こんなの、落ち着ける筈が無い。
白いドレスに包まれた彼女は、確かに美しい。ていうか、美しすぎるのだ。大きく開いたドレスの胸元、そこに覗く白い肌、肩のライン、鎖骨、形のいい乳房。
流れるような黒髪と、純白のドレス。見てるだけでおかしくなりそうだ。抱きしめて、キスをして、そしてこの人と本当に一緒になれたのなら………。
168SBI:2006/09/04(月) 14:44:28 ID:Ci0TQxNs
「……………すみません。少し外の空気、吸ってきます」
取り留めの無い夢想を断ち切るには、それ以外の手段は無かった。椅子から立ち上がった男は、ズカズカと大股歩きで部屋のドアに向かおうとして
「そんなに、嫌ですか?」
その言葉で、振り返った。
「私と結婚するのは、そんなに苦痛な事ですか?」
その笑顔が、先ほどまでより少し不安げに見えて、男の心はさらに揺さぶられた。それでも精一杯気を張って、なるべく憮然とした態度で言葉を返す。
「はい。とても、もの凄く、すさまじく、居たたまれない気分です」
「そうですか……」
と、今度は寂しげな表情。だから、やめてくれと言ってるのに……。
「あなたと俺は、師匠と弟子です。それ以上じゃ有り得ません」
「その通りですね」
「だから、こんな事はもう……」
しかし、男の言葉のその先は、女性のピンと立てた右の人差し指に遮られた。
「私だって、相手は選ぶんですよ」
そう言った女性の表情は、まるで悪戯をたくらむ子供のようにきらきらと輝いていた。
「私は自分のやりたい事だけをやっている人間です。知ってますよね」
「………はい」
「これまでも、これからも、私はあなたの師匠で、それはずっと変わりません。ただ、今度のこの仕事だけは、あなたとやりたい。それでいけませんか?」
女性は呆然とする男の前まで歩み寄って、囁いた。
「大の悪党のあなたが、子供みたいに拗ねてみせる。それと同じ程度の気持ちが私の中にあったとして、何か不思議な事がありますか?」
畜生、なんて人なんだ。まさに殺し文句だ。どうやったって敵いっこないじゃないか。さすがは俺の師匠だ。
そっと伸ばしたその腕で、女性を抱きしめる。それでも目を合わせることが出来ず、男は向こうの壁を見ながら、女性の耳元に話し掛けた。
「わざとらしく甘い言葉で囁いて、弟子に色仕掛けですか?」
「まあ、そんな所です」
「そうまでして、俺に悪巧みの片棒を担がせたいんですね?」
「はい」
本当に嬉しそうに、女性は言った。
女性の言葉に導かれるように、そっとキスをした。唇を重ねる直前、女性の頬が恥ずかしげに紅く染まっているように見えたのは、目の錯覚だったのだろうか?
ただ、舌を絡ませ、お互いの唇を味わうその時間は、今まで二人が交わしたどのキスよりも甘く熱かった。
女性は男の腕に身を任せ、男は彼女を部屋に置かれたソファーの上に運ぶ。ふわりと音も無く広がったドレスの布地と、それに包まれた彼女の姿に、男は息を飲む。
「綺麗です、とても………」
「素直なのは、とてもいい事です」
ドレスの上から触れただけでも、彼女の乳房の形の良さ、柔らかさ、温かさは十分に手の平に感じる事が出来た。
薄いドレス越しに抱きしめた女性の体は、いつかの夜に抱きしめた裸の彼女より、儚げなものに感じられた。
胸元の布をどけて、露になったピンクの先端に軽くキスをする。舌先に微妙な力を込めて、そろそろと舐めてやると、女性の体がそれに反応するようにゾクゾクと震える。
「………っあ……くぅ…は……ああんっ…」
甘い吐息。快感に震える体。少なくとも今は全て、自分の腕の中だけのものだ。熱っぽく潤んだ瞳を見つめながら、男は何度も女性にキスをしてやった。
そして、男はドレスの裾から腕を潜り込ませ、その奥に隠された秘めやかな場所に指を差し入れる。背中に絡みついた女性の腕が、一際大きく震えるのを感じる。
「…っあああ……ひ…や……あまり…はげしくかきまわさないで……」
女性はそう言ったが、指に滴る熱い蜜の感触は、男の理性を消し飛ばすには十分すぎるものだった。深く激しくかき混ぜられるその音が、二人の興奮をさらに高める。
169SBI:2006/09/04(月) 14:45:21 ID:Ci0TQxNs
「…っ……はぁ…ああっ…ひはああああっ…」
「師匠の声、エロ過ぎです。こっちをいじったら、今度はどんな声を出してくれますか?」
女性の反応に気を良くした男は、片方の腕を、女性の後ろ側のすぼまりに這い入らせた。それは、男にとっても初めての試みだったのだが………。
「ひあっ…うしろぉ…や…ああああああああああああああっ!!!!!」
一際大きな声をあげ、背中を仰け反らせて叫んだ女性の反応は男の予想を遥かに上回るものだった。男が軽く指を抜き差しするたびに、女性は悲鳴を上げ、体を痙攣させる。
「師匠、アナル弱かったんですね」
「…や…おしり…らめぇ…おしりぃ……っ!!!」
「聞こえてないみたいですね。それじゃあ……」
男は後ろに突き入れた指を、さらにスピードを上げて抜き差ししたかと思うと、くにくにと内側からほぐすように動かした。
女性の悲鳴は後ろの穴の中の、指の動きが変化を見せるたびに色を変え、それにつられる様に前の穴もしとどに蜜を溢れさせ始める。
「あああっ!!!ああんっ!!!やああああああああああっ!!!!!!」
女性は前後から襲い来る快感の波に耐えようと、必死で男の体にしがみついた。なりふり構わず女性が自分に縋ってくるのが、男には愛しくてたまらなかった。
「師匠、可愛いですよ」
「…あっ…そう言うあなたの表情も…ひぅ…真っ赤で…かわいいです」
切れ切れの息の合間に、女性は健気に答えた。
真っ赤。きっと、確かにそうなんだろう。この人と、こんな格好でこんな事をして、俺もこの人と同じような、夢見心地の表情を浮かべているに違いない。
「…そろそろ、くれませんか?」
「……えっ?」
「もっと、気持ちよくしてください。あなたのコレで、前の穴をぐちゃぐちゃにして……」
女性の指が、男の股間のはちきれそうなファスナーの上を撫でた。
「あなたのも、こんなに苦しそうにしてます。だから……」
女性は男につかまっていた腕を離し、ドレスを捲り上げて、熱く湿った花びらを露にする。ファスナーを下げて、解放された自分のモノを、男は女性のアソコに押し当てた。
「師匠……」
相手の耳に呼びかけながら、挿入を開始する。じゅくじゅくと濡れそぼった肉壷は、何の抵抗も無く男のモノを受け入れる。
切ないほどに喰い締めてくるその中で、男のモノはゆっくりと前後運動を始める。
「…ひああっ!!…ああんっ!!!すご…ふああああんっ!!!!」
くちゅくちゅと水音を立てる前の穴と、きゅっとすぼまった後ろの穴、その両方を無茶苦茶にかき混ぜられ、突き上げられ、女性は乱れに乱れた。
自分の口から漏れ出る嬌声が恥ずかしくて仕方がないのに、圧倒的な気持ち良さが、それを止める事を許さない。
苦し紛れに男とキスをして、声を出さないようにしてみても、触れた唇の熱さに茹った頭が、我知らずまた声を上げてしまう。
「ふああっ!!!はあああんっ!!!!すごひっ!!!すごひのぉおおおっ!!!おしりもっ…まえもっ…ああああああっ!!!!」
排泄のための穴をいじられて最初は感じていた羞恥心も、どこかへと消えていってしまった。今この瞬間、体を満たす快感だけが、女性の脳裏を満たしていた。
もっと気持ちよくなりたい。もっとこの感覚を味わいたい。その圧倒的な衝動に突き動かされ、女性は自ら腰を振り、さらなる快楽の高みへと昇り詰めていく。
前の穴を突き上げられる快感に体を震わせ、後ろの穴を蹂躙される恍惚に涙を流す。砂漠で水を求めるように、雨のように降るキスを求めた。
「…うあっ……あはぁっ!!?…やあ…あああああんっ!!!!」
体中に迸り、駆け抜けていく快感は、今まで過ごしたどの夜よりも激しいものだった。頭の中が雷に撃たれたように何度も真っ白になった。
これほどまでに感じて、乱れても、増幅し続ける快感が止まる気配は無い。もはや自分が何をしているのかもわからないまま、腰を振り、喘いで、二人は限界に近付いていく。
「師匠っ!!!俺、もう……っ!!!!」
「あああああああっ!!!!…きてぇ!!!だしてくださいっ!!!!なかにっ!!わたしのなかにぃいいいいいっ!!!!」
どこまでも熱く硬くたぎる男のモノが、後ろを犯し続ける指先が、今までで一番深くまで突き入れられた。その瞬間、巨大な快感の津波が女性の意識を押し流した。
「ひあああああああああああああああああっ!!!!イクぅ!!!イクううううううううっ!!!!!」
先端より解き放たれた熱い濁流が、女性の中で暴れまわった。胎内に波打つその熱さに、女性は背筋を痙攣させ、ビクンビクンと小さな絶頂の連続を味わった。
170SBI:2006/09/04(月) 14:46:18 ID:1/EhjhkD
「師匠………そういう顔も、好きですよ」
男が瞼の上にキスをする。絶頂感に脱力した女性の体の中、男の背中に回された腕だけに、強く強く力が込められていた。

さて、二人がそれなりに落ち着いて、ソファーの上で怠惰な時間を過ごしていたころである。
「婚前交渉、褒められた話ではありませんね」
「ははっ、確かに」
なんて、談笑していた二人の前で、ガチャリとドアが開いた。
「えっ!!?」
「あ、あなたは………」
この国の代表の老人が、なにやらしかめつらしい顔をして立っていた。一方の二人の服装は乱れたまま、行為の後の脱力感が二人を油断させてしまったのだ。
どうあっても、これはマズイ。一儲けの算段が、すっかり雲散霧消してしまう。いつものように暴力で解決できる問題でもないし………。
なんて、青褪めた二人が思考を巡らせていると
「感動いたしましたじゃっ!!!」
「「はいっ!?」」
老人は大声で叫んだ。
「実を申しますと、最近ではこの国の結婚援助制度を悪用して一儲けする輩が増えておって、我ら国民どうにも疑り深くなっておりましたじゃ。
お二人の事も、どうにも恋人同士とは違うように思えて、内心不安で仕方ありませんでしたのじゃが、とんだ考え違いでありましたじゃ!!!!」
老人は大きく腕を広げ歓喜のポーズ。顔に浮かぶは紛れも無い感動の表情と、それを裏付ける大粒の涙。どうやらこの爺さん、本気のようだ。
「誰にはばかる事無く愛の行為にいそしむ姿、お二人の気持ちはまさに本物っ!!!感服いたしましたっ!!!!」
さらにこの爺さん、完全に置いてけぼりの二人に微笑みかけて
「しかし、やはり二人だけの秘めやかな時間も大切ですが、こういう事は大勢でやるのが楽しいものですじゃ!!!」
とんでもない事を言ったのだ。
「あの、それは一体どういう……」
「既に人をやって、参加者を集めておりますじゃ」
言われて、女性と男は耳を澄ました。遠くからドカドカと、大勢の人の波が押し寄せるその足音が聞こえる。それは次第に、二人がいるこの部屋に近付いて来て
「さあ、みなで楽しみましょうぞ!!!!!」
老人の言葉と同時に、部屋になだれ込んだ。
171SBI:2006/09/04(月) 14:47:23 ID:Ci0TQxNs

「うう、最初からあんな国だと知っていれば私だって………」
黄色いオンボロ車の助手席に、黒髪の女性がへたり込んでいた。
「仕方ありませんよ。お国柄ですから」
運転席に座る男の顔にも、憔悴の色が見える。今日であの日からかれこれ10日目、二人はようやくあの国を出国したところである。
全ては苦難の歴史に対する反動ゆえであった。幾千、幾万もの引き裂かれた愛の記憶が、彼らは愛し合う者達に対して寛容な文化を生み出した。
そして、それと同様に、愛し合う者たちが本来こっそりと二人だけの時間にやっているだろう行為についても、異様なほどにオープンな文化を獲得したのであった。
10日間、明けても暮れても、休む事無く繰り広げられた乱交パーティー。老若男女が入り乱れる快楽の園から逃れる事も出来ず、二人は愛の地獄を味わった。
「もうすっかり、お尻でイかされる体にされてしまいました」
「まあ、予定通り贈り物もお金もたくさん貰えましたから、それでいいじゃありませんか」
「全然割に合いませんよ………。それに、あなたさっきからずいぶんと嬉しそうじゃないですか」
「そうですか?」
男はしれっとそう言って見せたが、にへらと緩んだ口元は隠しようが無い。
真っ白なウェディングドレスの上を、白濁の化粧でドロドロに汚され、二つの穴を同時に責められながら恍惚としていた女性の表情。
ちょっとやそっとじゃ見られない彼女のあの顔を思い出すたびに、男はどうしようもなくにやけてしまうのだ。
「やっぱり、あなたはあの国が随分と楽しかったみたいですね」
「いや、ほんと、そんな事ありませんって」
じろりと睨む女性の視線をかわしながら、男は楽しそうに笑って
「可愛い師匠といられれば、俺はどこにいても楽しいですよ」
そう答えた。それを聞いた女性は一瞬、少し驚いたような表情を浮かべてから
「そうですか」
可笑しくて堪らないといった感じに笑って見せた。彼女の横顔を見つめる男の顔にも、同じ笑顔が浮かぶ。
これといって目的も無く、明日がどうなるのかさえわからない。ついでに言うなら、この二人でいつまで旅を続けられるのか?当ての無い旅の空では、何一つ確実な事は言えない。
ただ、こうして笑い合う時間が二人にとって楽しいものである事だけは、確かなようだった。
「では、いきましょう」
「はい」
ガタガタと揺れるオンボロ自動車は二人を乗せて、どこまでも続く道の先へと消えていった。
172SBI:2006/09/04(月) 14:48:14 ID:Ci0TQxNs
以上でおしまいです。失礼しました。
173名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 17:40:40 ID:1aAHjMnv
GJ!!
174名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 20:01:44 ID:sF08uWFZ
GJ!!!!
175名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 01:27:34 ID:lH/SLrJu
GJ!
SBIさんのはハァハァできるだけじゃなくオチがいつも面白くて最高です。よく思いつくなぁ…
176名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 18:45:46 ID:DOIP7Ma4
GJ!!

177名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 19:18:48 ID:TlWPJFY1
保守
178祝! 「キノの旅」劇場版:2006/09/08(金) 20:05:26 ID:g0NuKsfl
どうも良いネタがない今日この頃…
179名無しさん@ピンキー:2006/09/10(日) 16:57:19 ID:ORzfUKt3
180名無しさん@ピンキー:2006/09/13(水) 09:37:18 ID:1c9AhZSo
保守
181SBI:2006/09/13(水) 14:39:35 ID:m4CUoroD
また書いてきました。
ヴィル×アリソンな話なんですが、ヴィルは少年でアリソンは大人、その上教師と生徒であるというトンチキな設定になっています。
果たしてみなさんのお口に合うかどうかはわかりませんが、いってみます。
182SBI:2006/09/13(水) 14:40:59 ID:m4CUoroD
「失礼します」
ガラガラと扉を開いて準備室の中に入った僕、ヴィルヘルム・シュルツを待っていたのは、お馴染みの先生の笑顔だった。
「待ってたわ、シュルツ君」
いかにも上機嫌な声。危険レベルA、気を付けなければ。きっとまた先生は何かを企んでいるに違いない。
アリソン・ウィッティングトン先生。彼女が学校にやって来たのはこの春の事だった。クラスの担任になった彼女に、どういうわけか僕はひどく気に入られてしまった。
アリソン先生は教師としてはあまりに自由奔放だった。ていうか奔放すぎた。彼女の様々な思いつきに、僕はこの数ヶ月間巻き込まれ続けてきたのだ。
彼女の蒼い瞳がきらきらと輝くとき、必ず学校の中を嵐が駆け抜ける。そう、ちょうど今みたいな表情のときに………。
「あら、どしたの?なんだか顔が暗いわよ、シュルツ君?」
「そうですか?」
「そうよ。ほら、こんなに美人なアリソン先生と夜の学校に二人きりなのよ。健康な男子学生としては、もっとこうウキウキソワソワしてもいいんじゃないかしら?」
なんて先生は微笑みながら、部屋に据え付けのオンボロソファーに座らせて、僕にお茶を勧める。
全く以って、教師たる者の発言とは思えない。先生とて、四六時中この調子というわけではなかったけれど、僕と二人でいるときはいつもこんな感じだ。
今日は一体、何を考えて僕を呼び出したのやら。いつのまにやら、クラスの中でアリソン先生のお目付け役となってしまった僕としては、油断のならない状況なのだけど
「美味しいでしょ、そのお茶。私のとっておきたったんだから」
僕と話しながら、本当に楽しそうな先生の顔を見ると、つい気が緩んでしまう。
そうなのだ。これが問題なのだ。
「お茶、少しぬるいですね」
「あら、そうかしら?」
「僕が猫舌だから、前もって用意して冷ましておいてくれたんでしょう?」
「ううん、シュルツ君が約束の時間をきっちり守る良い子だから、そういう事も出来るのよ」
先生といると、とても楽しい。たった数ヶ月で、僕は今まで考えてみたことも無いような経験をいくつもする事が出来た。
こちらが勝手に思い描く枠の中には、絶対にとどまらない圧倒的な行動力。それを持っているのが、よりによって教師というのは多少問題ではあるのだけれど
「で、今回は何ですか?」
「あはは、実はね……」
今の僕にとって、先生と過ごす時間は何よりも大切なものだった。

だけど、アリソン先生の言葉は、急にそこで止まってしまった。
「実は……えっと…あのね……」
どうにも先生らしくない、はっきりとしない物言いだった。先生の暴走振りにもようやく慣れてきた僕だけに、その態度が妙に気になった。
「どうしたんですか?今度は何をやらかしたんですか?」
「えっ!?いや…ううん…やらかしたっていうか、これからやろうっていうか……」
先生は顔を赤くして俯いた。お目付け役としては気が気ではない。僕は前のめりに先生の顔を覗き込む。
その僕の視線から逃れるように顔を背けて、蚊の鳴くような声で先生は言った。
「あの、さっきも言ったけど、今、二人っきりよね?」
「はい」
「うちの学校、警備は無人化してるから、校舎のどこにも誰もいないはずよね?」
「そうですけど……」
「だから、あのね………」
再び先生が口ごもった、その瞬間だった。
「えっ!?うわああっ!!?」
体が、温かくて柔らかい何かに包まれた。それが先生の腕の中だと、そう気付くほどの暇も無かった。
183SBI:2006/09/13(水) 14:42:43 ID:m4CUoroD
「先生?アリソン先生!?」
気が付いた時には、僕はアリソン先生に抱きしめられていた。
先生のしなやかな腕が、僕の背中を強く優しく抱くのを感じた。柔らかな乳房が、僕の胸に押し付けられているのがわかった。
「こんなの初めてでしょ、ヴィル?」
耳に先生の息がかかって、体の奥がカーッと熱くなって、僕は何も考える事が出来なくなってしまった。僕の中だけで、全ての時間が止まってしまったようだった。
役立たずになった頭を抱えた僕は、促されるままに体を起こし、先生の顔と真正面から向き合った。先生の青い瞳に戸惑い切った僕の顔が映るのが見えた。
先生が微笑む。その笑顔に射すくめられたように、僕の体は動かなくなった。知らず知らずの内に高鳴る心臓の音が、僕の耳の奥にやけに大きく響いていた。
「さあ、ヴィル……」
今から起こる事が何なのか、それが一体どんな意味を持つのか、僕には何もわからなかった。ただ、先生のするがままに任せてみようと、そう思った。
ゆっくりと先生の顔が近づき始める。
僕と先生の唇が、触れ合いそうなくらいに接近する。まるでキスみたいだ。でも、それも良いかもしれない。だって、僕は先生のことが………
「アリソン…先生」
だけど次の瞬間、全ては唐突に終わりを告げた。
「………………………………やっぱり駄目ね」
先の部分だけ触れていた先生の唇が、近づいてきたときと同じようにゆっくりと離れていった。呆然とする僕の前で、アリソン先生は二度三度と首を振って、小さく呟いた。
「ごめん、シュルツ君」
先生のその声で、僕にかかった魔法がようやく解けた。
時が再び動き出す。考える力を取り戻した僕の頭が、つい先ほどまでの先生の行動の意味を、先生の気持ちを、徐々に理解し始める。
あまりの事に言葉を失った僕の前で、先生は辛そうに口を開いた。
「……………好きなの」

「あなたのことが、ヴィルの事が好きなの………とっても、すごく……」
いつもなら威風堂々、元気いっぱいに振る舞う先生の腕が、体が、不安に耐えかねたように細かく震えているのが感じ取れた。
「あはは…………うぶな教え子を夜の学校で誘惑しちゃう美人教師、なんて感じでやってみようと思ってたんだけど、やっぱり無理だったわ」
無理に明るい声を出してそう呟いてから、先生は抱きしめる腕の力を緩める。解放された僕の前で先生は、先生は寂しそうに微笑んでいた。
『好きなの』
先生は確かにそう言った。不安に挫けそうになる心を必死に奮い立たせて、その思いを伝えるべく、今日のこの場に臨んだのだろう。
あんな突拍子もない行動に出るほど、悩んで、悩み続けて……。それでも先生は、ありったけの勇気で僕に全てを伝えた。
「ごめんね。それだけ、言っておきたかったの。迷惑だってわかってたけど、どうしても伝えたかったから。ほんとごめん、教師失格ね………」
違う!そうじゃないんだ、先生!!
そう叫びたいのに、言葉にならなかった。
先生の気持ちに応えたい。今の僕の胸に燃える気持ちを、少しでもいいから先生に伝えたい。それなのに、それをどう言葉にしていいのかがわからなかった。
それでも、僕は諦めたくなかった。
「先生………」
考えるより先に体が動いた。熱い胸の疼きに押されるまま、僕は先生の体を抱きしめ
「えっ!?シュルツく……!!?」
僕は先生にキスをした。
時間にして一秒になるかならないか。それでも、一瞬触れた先生の唇は、甘く優しく、僕の心を溶かした。
そして、その感触は、僕の中にもやもやと渦巻いていた気持ちに、一つの形を与えた。
「………好きです」
それは、何の事は無い、先生と同じ言葉だった。
184SBI:2006/09/13(水) 14:44:16 ID:m4CUoroD
「だから先生、『ごめんね』とか、『迷惑』とか言わないでください。勝手に僕の気持ち、決め付けないでください。先生の気持ち、僕は本当に嬉しかったんです」
全部言い終えた僕は、顔を真っ赤にして俯いた。取り返しのつかない事をしたのはわかっていたけど、後悔はしていなかった。
しばらくの沈黙の後、先生の腕が僕の背中を包んだ。顔を上げた僕の目の前には、いつも以上のとびっきりの笑顔で、目元に少しだけ涙を浮かべた先生の顔があった。
「あーっ、もう!ヴィル!それでこそヴィルだわ!!」
背中や頭をぐしぐしと乱暴なぐらいの勢いで撫でられた。僕も先生の背中をぎゅっと抱き返してあげた。
やっと通じ合ったお互いの思い。その喜びだけを噛み締めながら、僕とアリソン先生は言葉も無く、互いの体を抱きしめ続けた。

「ところで、シュルツ君」
「はい?」
「すっかり忘れていたけれど、今私たちはとってもナイスな環境にいるのよね」
「というと?」
「だから、今この学校にいるのは私たちだけってことよ」
「そうですね」
「だったら、やっぱり、する事は一つでしょ」
先生が悪戯っぽく微笑む。瞳がキラキラと輝いている。危険レベルA。嫌な予感が僕の頭をかすめる。
「僕が学生だから自重して、最初のキスを中止したんじゃなかったんですか!?」
「あら、私が気にしてたのはシュルツ君の気持ちも聞かずに無理強いした事よ」
「って、それじゃあ!?」
「さっきは積極的なところも見せてくれた事だし、先生、まだまだシュルツ君とラブラブしたいなあ、なんて……」
「あの、先生?ちょっとそんなに胸を押し付けな……ふぐ、ふがぁ!?」
柔らかなその感触に僕の頭はオーバーヒート。茹蛸の様に真っ赤になった僕に、先生はウキウキするのを抑え切れないといった感じで、こう言った。
「だいじょーぶよ、ヴィル、いざという時は先生がちゃんと責任とっちゃうから」

というわけで、準備室据え付けのオンボロソファーの上で、僕とアリソン先生の最初の夜が始まろうとしていた。
「…んく……んぅ…ぴちゅぴちゃ……うふふ、シュルツ君ったらこんなに固くして、よっぽど気持ち良いのね」
「い、言わないで…ください……ふあぁ!?」
「しかも、そんな可愛い声出しちゃって。ほんとにもう」
先生の舌が、ファスナーを開けて解放された僕のモノにねっとりと絡みつく。先端に裏側、幹全体と、まんべんなく刺激を与えられて、僕は限界ギリギリまで追い詰められていた。
「…んぁ…くぅ…んんっ……ああ、すごい…ビクビクしてるぅ…」
「あぅ…ああっ…せんせ…僕…もう…っ!!!」
「…ん…くちゅくちゅ……んんぅ…ん!?………んうぅっ!!!?」
脈動と共に、体の奥からこみ上げた熱が先生の口腔内に放たれた。喉の奥を白濁に勢い良く打ちつけられて、先生が思わずむせ返った。
「……けほけほ、なるほど、気をつけないとこうなっちゃうのね」
「…って、先生、もしかして……」
「うん、男の人のモノにこういう事してあげたのは初めてなのよ。っていうか、今までエッチな事した回数も、実はそんなに多くないんだけど、
可愛いシュルツ君のためだもの。先生、頑張ってリードしちゃうわよ」
意外な告白に、僕はしばし呆然。
「なんていうか、先生もたいがい可愛すぎです」
受け止め切れなかった白濁で少し汚れた先生の額に、僕は軽くキスをした。そして、僕の言葉に頬を紅く染めた先生を、ぎゅっと抱き寄せて
「それなら今度は、僕が頑張ります」
耳元でそう言ってあげた。
185SBI:2006/09/13(水) 14:45:21 ID:m4CUoroD
先生は驚きながらも、素直に僕に従ってくれた。ソファーに体を横たえた先生の上に、僕が覆い被さる。恐る恐る伸ばした手で、先生のきれいなおっぱいに触れた。
「…ふあっ……あぁ…シュルツ君の指、触ってるぅ……」
ぷつぷつとボタンを外し、ブラをはずして、露になった先生のおっぱいをゆっくりと、優しく揉み、先端に硬く尖るピンクの突起を指先で軽く弾いた。
「……うあっ!?…ああんっ!!…シュル…ツくぅん……っ!!!」
触れられるたびに切なく震える先生の体に、僕は優しく指を滑らせた。鎖骨の辺りからお腹の辺りまでつーっと指先でなぞると、先生の喉からか細い悲鳴が漏れる。
「…ひぅ…や…あああ―――――っ!!?」
先生の甘い声が、指先から伝わる体温が、段々と僕の理性を溶かし去っていった。いつの間にやら無我夢中になった僕は、その指先で先生の体を余す事無く味わった。
あるか無しかの力で乳首を撫でると、先生の体がびくんと震える。首筋に舌を滑らせ、耳たぶを噛んだ。今までの僕では考えられないほど大胆な事を次々と行った。
「ねえ、シュルツ君……こっちにも触ってみない?」
「こっち?」
僕の愛撫に喘ぎながら先生が囁きかけた。下のほうを向いた先生の視線が示すのは、他でもない女性にとって一番大事な部分。
「さっきはシュルツ君の大事なところ見せてもらったから、今度は私の番……」
先生の指に促されて、僕は先生のショーツに指を掛け、ゆっくりと下に降ろした。湿り気を帯びて、キラキラと輝くその部分が露になる。
「うあ………」
僕は恐る恐る舌先で、目の前に現れた先生の一番敏感な部分に触れた。
「きゃうっ!!?…あ…あああんっ!!?」
先ほどまでより、一層敏感な先生の反応。甘く切ないその声をもっと聞きたくて、僕は濡れそぼった花びらに、屹立する豆ほどの突起に、夢中で舌を這わせた。
割れ目から浅く舌を突っ込んで、前後に何度か往復させると、奥の方から濃密な香りを漂わせる、先生の蜜が湧き出てくる。
その全てを舐めとらんばかりに、僕はさらに激しく舌を使い、先生に快感を与え続けた。
「…ああっ…いいっ!いいのっ!!!シュルツくぅんっ!!!わたしぃ……っ!!」
「…ぷあ…せんせ……すご…かわいいです…」
僕の執拗な責めに、先生は涙をこぼすほどに感じて、背中を反らせて幾度も痙攣した。
普段の先生とは全く違うその姿の、あまりの可愛さに心奪われて、僕の舌はさらに激しく動いた。
「ふああんっ!!…や…も…わたしぃ…ひああああああああああっ!!!!」
やがて、無我夢中の責めの連続に耐えかねたかのように、先生の体がビクビクと今までで一番大きな痙攣を起こし、ソファーの上にぐったりと崩れ落ちた。
「…せん…せぇ……」
「ああ…ヴィルぅ……」
二人とも、既に互いの肉体に溺れ切って、前も後ろもわからないような状況だった。うっとりと見つめ合い、ねっとりと濃厚なキスを交わして、僕達は最後の段階へと歩を進めた。
「…んっ……あああっ…熱ぅ…ヴィルのすごい……」
硬くそびえる先端を当てられただけで、先生は堪え切れずに声を漏らした。僕自身も、触れ合った部分から伝わるあまりの熱に、そのまま果ててしまいそうだった。
「……先生…いきます……」
「うん」
ずぷずぷと僕が先生の中に入っていく。僕が先生に飲み込まれていく。熱く狭い肉の壁に上下左右から圧迫され、凄まじい快感が僕に襲い掛かる。
「先生っ……うあ…ああっ!!」
「あああっ……ヴィルの…はいってる…ぜんぶぅ…」
わけもわからないまま、僕は腰を動かし始めた。
一度突くごとに、先生の腕が僕の背中をぎゅっと抱きしめて、喘ぎ声を漏らした。まるで先生の感じている快感が僕にそのまま伝わってくるようだった。
熱く蕩けそうな先生の中を、無我夢中でかき回した。先生と僕は何度も互いの唇を求め合い、相手の名前を叫んで、行為に没入し続けた。
「せんせぇ!!!アリソンせんせいっ!!!好きっ!!!好きですぅ!!!!」
「ふああああっ!!!ヴィルっ!!!私も好きっ!!!ヴィルぅううううううっ!!!!」
今にも達してしまいそうなギリギリの状態で、僕達は腰を動かし続けた。想像した事も無いような快感に襲われ、それでも止まる事が出来ず、必死で交わり続けた。
186SBI:2006/09/13(水) 14:46:05 ID:m4CUoroD
ちぎれそうなぐらいに強く喰い締めてくる先生のアソコを、それ以上の勢いでもって突き上げると、僕の背中に抱きついたまま先生がたまらず声を上げる。
あまりの気持ち良さに、お互い涙をこぼしているのがわかった。その涙の跡を互いの舌でぬぐい、僕と先生の行為はさらに加速していく。
「ヴィルっ!!!ヴィルぅううううっ!!!!すごいの!!!きもちよすぎるのぉ!!!こんなの…わたひ…もう……っ!!!!!!」
先生の腕がひときわ強く僕の体を抱きしめた。僕の中で出口を探し、その勢いを増していく熱の渦が、今までに無い高まりを見せているのがわかった。
クライマックスに向け、僕は腰の動きをさらに激しくしていく。一瞬前より、すこしでも熱く、激しく、さらなる高みを目指して一心に突き上げ続ける。
先生の細い腰をぎゅっと抱きしめて、お互いの顔に浮かぶ切なげな表情だけを瞳に映して、圧倒的な快感の中で、僕とアリソン先生は絶頂に昇り詰めた。
「ふあああああああああっ!!!!……アリ…ソン…っ!!!!」
「ああっ!!!ヴィルっ!!私も……ひああああああああああああああっ!!!!」
堰を切ったように、僕のモノから熱が放たれ、先生の中で暴れまわった。激しい絶頂が通り抜け、僕と先生は重なり合ったまま、力尽きて気を失った。

それからしばらくして、一応服装だけは直した僕と先生は、ぴったりと体をくっつけてソファーに腰掛けていた。
「ふふん、アリソン、かぁ……」
「な、なんですか、先生?」
「いや、最後の最後でシュルツ君、先生じゃなくて、名前の方で呼んでくれたわよね。アリソンって」
「そ、それはアリソン先生って言おうとして……」
嘘だった。無我夢中だったので正確な記憶は無いけど、僕は先生の名前を叫ぼうとしたはずだ。顔がかーっと熱くなるのを感じながら、僕は先生に言い返した。
「だいたい、先生だって途中から僕のことヴィルって……」
「あ、そ、そういえばそうだったっけ……」
「…………それは僕だって、嬉しくなかったとは言いませんけど……」
僕にそう言われて、先生の頬も紅く染まった。
そのまま、郵便ポストのように真っ赤になった二人は、一言も喋れなくなってしまいそうだったけれど、先生と僕は一念発起、なけなしの勇気を奮い立たせる。
「ま、まあ、今更恥ずかしがる事でもないわよね…?」
「……そう…ですね……」
「それじゃあ、改めて………これからもよろしくね、ヴィル……」
「はい、こちらこそ、よろしくお願いします、その……………アリ…ソン」
まあ、言い終わった時には、恥ずかしくてお互いの顔さえまともに見られないという有様だったのだけれど………。
187SBI:2006/09/13(水) 14:47:20 ID:m4CUoroD
これでおしまいです。
なんか少しひねりすぎた気もしますが、やっぱりこの二人の話は書いてて楽しいです。
それでは、失礼しました。
188名無しさん@ピンキー:2006/09/13(水) 14:52:38 ID:siIzpac1
GJ!!、また新たな境地を見た
189名無しさん@ピンキー:2006/09/13(水) 18:20:41 ID:fDXhUD7d
SBI氏GJ!!
しかし今スレは凄い勢いだな。200足らずで160KBオーバーとは…
後、>>188のIDがシズっぽい。
190名無しさん@ピンキー:2006/09/13(水) 20:14:21 ID:YFYJeHDt
GJ!!新境地ですね
191名無しさん@ピンキー:2006/09/14(木) 23:22:20 ID:QARXW5Ee
というか流れをぶった切って、ちゃんと保管庫があるのはキノだけでしたかね?
192名無しさん@ピンキー:2006/09/16(土) 14:19:20 ID:rg9kwn7g
多分そうだったと思うが……。
193名無しさん@ピンキー:2006/09/16(土) 18:51:51 ID:sUSZaG0S
>>191そう言われるとそろそろアリソンとリリトレの保管庫も欲しいな……。
誰かやってくれないものか。
194名無しさん@ピンキー:2006/09/16(土) 20:19:09 ID:gtyHZDs9
>>193
俺が知ってる保管庫にはどちらもしっかり保管されてるんだが……。
195SBI:2006/09/19(火) 10:12:34 ID:ELmoNpGV
また書いてきました。
キノ陵辱話です。長くて、その上バッドエンドですが、読んでいただけると嬉しいです。
それでは、いってみます。
196SBI:2006/09/19(火) 10:14:22 ID:ELmoNpGV
真っ白な部屋があった。
学校の教室ほどの広さのその部屋は、床も壁も天井も全てが白で統一されていた。設置されている家具はベッドがただの一つきり。もちろん、ベッド本体もシーツも真っ白だ。
病的なほどに白い空間の中で、色を持つものはただ二つきり。
その内一つはベッドの上、シーツにくるまった少女。短い黒髪の彼女は、薄い水色のパジャマを身に付けて白い天井をぼんやりと見上げていた。
もう一つは、壁に据え付けられた巨大なモニターである。
高さは2メートル、横幅も4メートルはあろうかというこのモニターに映し出されているのは、他ならぬベッドの上の少女の姿だった。
モニターの中で、少女は陵辱を受けていた。
『…あっ!…ああっ!……あっ!…また……また…きひゃううううっ!!!!』
聞こえるか聞こえないかのごく小さな音量で、画面の中の少女の喘ぎ声が部屋の中に流されていた。
ベッドの上の少女はあくまでもモニターを無視するように、目が痛くなりそうな天井の白に心を集中させる。しかし、他に物音一つないこの部屋で、それは至難の業だった。
『…うあっ…ああ……も…やめ……もう白いの、ボクにかけないでぇ…』
画面の中の自分の声に、少女の体がピクリと反応する。それでも頑なに天井だけを見つめる少女の頬はしかし、ほんのりと上気し始めていた。
『…またイクっ!!またイクぅううううっ!!!!…いやだ…ボク…もう……ふああああああああああああっ!!!!!!!』
一際甲高い声を聞いて、少女は我慢できずに体を起こした。睨みつけた画面の中では、絶頂に達したばかりの少女の体を、数人の男たちが容赦なく嬲っている。
それを見ながら、少女はギリリと歯を食いしばった。悔しかったのだ。この白い部屋から抜け出せない事が、このモニターを無視できない事が。
そして何より、画面の中の自分の被虐に倦み疲れた瞳の奥に、さらなる陵辱を、さらなる快楽を求めるほの暗い炎を見たような気がした事が、悔しかったのだ。
「…駄目だ…はぁはぁ…これ以上こんな所にいたら…ボクは……」
不安感を滲ませた声で呟いた少女の声に、荒い呼吸が混ざり始めていた。シミ一つない清潔な服装の内側で、大切な部分が熱い湿りを帯びているのがわかる。
たまらずに自分自身を抱きしめて、少女は自分の中の衝動をやり過ごそうとした。それでも堪え切れず、ベッドの上に倒れて少女は激しく身悶えする。
「…うあ…このままじゃ…ボク…本当におかしくなって……」
ベッドにしがみつき、必死で欲望を堪える少女。そのはだけた襟元に何か銀色の物が覗いていた。犬がつける首輪のように、金属の輪が少女の首に嵌っていた。
一体どうやって取り付けたものか、彼女の首にぴったり巻きついたそれには、継ぎ目一つ存在しなかった。
その時、銀の首輪のなかで唯一金属に覆われていない部分、透明なプラスチックらしきものに覆われた部分が突然、赤い光を発して点滅を始めた。
「……っ!?……や…またなの!?…うあああああああああああっ!!!?」
首輪の点滅と同時に、少女の体がビクンと痙攣し、全身に言いようのない快感の波が押し寄せた。思考をぶつ切りにする強烈な快感の濁流に、少女は悲鳴を上げる。
それでも、何よりも屈服する事を恐れる少女は、自らの手が自分の敏感な部分に伸びる事を、鉄の意志で遮った。
しかし、容赦のない快感の電流は少女の手の平を借りずして、彼女を絶頂へと押し上げた。
「…やっ…はあああっ!!…あっ!!…ふああああああああああああああっ!!!!!」
ガクンと糸の切れた人形のように、少女の体から力が抜ける。荒く呼吸の切らす少女の目からは、激しすぎる快感のために全ての感情が抜け落ちてしまっている。
その時、ピーッという電子音が部屋に鳴り響いた。ドア一つないと思われた壁の一部が浮き上がり、横にスライドする。
その向こうに現れた部屋と同じく真っ白な廊下から、部屋と同じ白い服に身を包んだ一人の女性が少女の部屋に入ってくる。
「お楽しみの最中だったのね。ごめんなさい」
声に反応して、少女は女性の方に顔を向けた。女性の姿を見つめた途端、放心していた少女の顔に一瞬、戦慄の色が浮かぶ。
クリップボードらしきものを片手に、首からは聴診器を下げたその女性は、少女のベッドの脇まで歩み寄って
「さあ、今日も治療の時間よ。キノさん……」
優しげな笑みを浮かべて、そう言った。
197SBI:2006/09/19(火) 10:15:31 ID:ELmoNpGV
荒野に突然、ぽっかりと現れた白いドーム。小さな国ならまるごと入りそうな巨大なその建造物にキノが足を踏み入れたのは、それなりの理由があっての事だった。
相棒であるモトラドのエルメス、彼のエンジンの調子が優れず、なるべく早く修理が必要だったのだ。
ロビーらしき白い空間に通されたキノは、そこで彼女に出会った。
「どうやらお困りのご様子ね」
「はい。力を貸していただけるでしょうか?」
「ええ、もちろん任せてちょうだい。ここは病院だもの、患者を見捨てるような事はしないわ」
「病院、ですか?」
キノが怪訝な顔をする。こんな荒野の真ん中に、どうして病院などがあるのか?そもそも、ロビーには彼女以外に、患者も他のスタッフも見当たらないではないか?
「そう、病院。あなた達みたいな人や物を直してあげる場所よ」
「ボクは病気も怪我もしていません」
「いいえ。あなたはひどく病んでいるわ。あなたのモトラドだって、単にエンジンの故障だけじゃない。もっと大事なところが病気にかかってる」
何かがおかしい。キノは、イチかバチかでこのドームに入った事を悔やみ始めていた。もしも自分を逃がさないつもりなら仕方がない。
キノは女性に気付かれぬよう、こっそりと腰のホルスターに手を伸ばしたが
「……ふあっ!?…なっ?…うあああっ!!!」
突然体の奥から、言いようのない熱がこみ上げ、電気に痺れたようになった体が床の上に崩れ落ちた。
「な…どうして?…何を…したんです?」
「ごめんなさい、キノさん。既に治療は始まっていたの。もうあなたは装置の影響下にあるの」
「装置?」
「あなたの心と体を縛り付けているものを取り払い、正しい方向に矯正するための装置。言ったでしょ、ここは病院なのよ」
ほとんど身動きの取れなくなったキノに微笑んで、女性は懐から取り出した金属製の輪をキノの首に掛けた。たちまち輪は小さく縮まって、首にぴったりとフィットする。
そして同時に、首輪に取り付けられたランプが凄まじい勢いで点滅を始めた。
「ひああああっ!!!やああああああああああああああああっ!!!!」
異常な量の快感が、キノの意識を呑み潰した。床の上でのたうち、女性が見ている事にも構わず、キノは自分で自分を慰め始めた。
「心配しないで。早くあなたが良くなるように、私も医師として全力を尽くすわ」
女性が言ったその言葉も、キノにはもう聞こえていなかった。

それから幾日が経過したのか。キノは強靭な精神力で毎日休む事無く続けられる『治療』に耐え、自分を見失わぬように欲望と戦い続けた。
しかし、状況はキノにとって、あまりにも絶望的だった。『装置』なるものの影響下にあるこのドームの中では、キノは自分の能力の三分の一も出せなかった。
『装置』が患者に与える快感は、神経に干渉する事で生み出される。当然、正常な体の働きは阻害されるし、集中力も自然と落ちてしまうのだ。
パースエイダーやナイフは全て没収され、病室の中には武器になりそうなものは見当たらない。さらに、『首輪』の存在もあった。
「ふふ、キノさんもだいぶ治療されてきたみたいね。あんなに激しく首輪を作動させるなんて……」
真っ白な廊下をキノと女性が歩いていた。既に『首輪』のランプは消えているが、女性の前を歩くキノの顔は憔悴しきっていた。
女性曰く、『首輪』は快感の増幅装置だった。『首輪』は装着者が一定以上の興奮を覚えた際に作動するという。
『首輪』はキノの興奮を一つとして見逃す事無く作動し、かすかに芽生えた快感のきざしを増幅し、正常な思考さえままならない快楽の境地へとキノを導くのだ。
彼女は言う。初期の段階に比べて、キノの『首輪』の作動頻度は格段に上がってきている。『首輪』によってより快感を引き出されやすい体に変化しているのだと。
「まさに治療の賜物よ。元の快感が大きければ増幅率もぐんとアップするわ。これからもっと感じられるようになるわよ、キノさん……」
「……………」
198SBI:2006/09/19(火) 10:16:23 ID:/XE80iaI
キノは女性の言葉を無視して進む。廊下ははるか向こうへと真っ直ぐに伸び、まるで果てなど無いかのようだ。この異常な広さも、キノの脱出を阻む壁だった。
小さな国ほどの広さ。しかもこれほどの建物ならば、各フロアの床面積も尋常ではあるまい。その上、どこまで行っても同じ廊下が続くため、闇雲に走ればすぐに迷ってしまう。
この白い迷路で迷わずに歩けるのは、恐らくキノの隣にいる彼女だけなのだろう。
「さあ、着いたわ」
ピーッという電子音と共に、壁の一部が音も無くスライドする。女性に続いて部屋に入ったキノを待っていたのは、数人の男たちだった。
「やあ、待ちかねたよ」
「さっさと始めようじゃないか」
男たちの声は穏やかで、これから始まる淫猥な行為を微塵も感じさせない。しかし、キノにはわかっていた。男たちの目の奥に、小さく燃える炎があることを。
飽く事無くひたすらに快感を求める歪んだ欲望の迸り。見間違えるはずが無い。それは、モニターの中に映ったキノ自身の瞳に燃えていた炎なのだから。
恐らくは彼らも患者なのだ。女性によってまともな思考が出来なくなるまで『治療』されてしまった人間なのだ。
「さあ、キノさん……」
女性に背中を押され、男たちに腕を取られ、キノは欲望の渦の真ん中に押しやられる。うすら笑いを浮かべながら、男たちはキノの服をビリビリと破り取る。
「………っ!!…いやぁ……」
キノが漏らした小さな悲鳴に、男たちがニヤリと笑う。何度やられても、この瞬間の恐怖に、キノはどうしても慣れる事ができない。
だが、恐怖にすくんだ体を、一瞬遅れてぞわぞわと、快感の波が覆い被さった。
「……えっ!?…な、何?」
キノの『首輪』が再び赤いランプを点滅させていた。困惑した表情のキノの顔は、彼女の上にのしかかる男たちの体に隠れて、すぐに見えなくなった。
『治療』が始まった。

度重なる陵辱と、『装置』や『首輪』がもたらす凄まじい快感によって、キノは男たちに襲われる恐怖すら、快感のシグナルとなるように改造されてしまっていた。
前の穴も後ろの穴も、ぐちゃぐちゃにかき混ぜられ、数え切れないほど中出しされる。その度にこみ上げる快感は『首輪』によってされに増幅され、キノを粉々にした。
さらなる快感の導入として、段々と陵辱される恐怖を求めるようになった自分に、キノは恐れおののいた。だが、その恐れすら新たな快感に変わる。
「ふあああああああっ!!!やっ!!…またイクぅ!!!イクのぉおおおおおおっ!!!」
弓なりに反らせた体の内側から、外側から、白濁の雨がキノをどろどろに汚していく。膣内で暴れまわり、肌を打ちつける粘液の感触がキノをさらなる絶頂に導く。
絶頂を『首輪』が増幅し、キノの意識はズタズタに引き裂かれる。何も考えることが出来なくなったキノの脳裏は、ただただ快感の白に埋め尽くされる。
病室や廊下と同じ、呪わしい純白。
「らめっ!!らめぇえええっ!!!…も…イクのとまんないのおおおおおおおっ!!!」
絶頂の連鎖の中で、キノは無我夢中で腰を振り、口と両手を使って男たちに奉仕する。余った男たちはキノの柔肌に自分のモノを擦りつけた。
体中が熱くてたまらなかった。先ほど体に受けた白濁だけではまだ足りない。もっと沢山かけられたい、注がれたい、体中を汚されたくて仕方がない。
『首輪』のシグナルはさらに速まり、キノの頭の中の全てが容赦なく、唯一つの白で塗りつぶされていく。
「ひあっ…はあああっ!!…ボクにもっとかけてぇ!!!出してぇええええっ!!!!」
瞬間、再び栓を抜かれた男たちの欲望が、キノの体に降り注いだ。生臭く、ぬるぬると汚らしい白濁液に塗れて、キノの心は間違いなく幸福に満たされていた。

そして、それをまた、真っ白な病室の中でくり返し見せ付けられるのだ。
モニターに大きく映し出された自分の姿は間違いなく、繰り広げられる行為に歓喜していた。
シーツを頭からかぶり、耳を塞いでも、自分のはしたない声を遠ざける事は出来なかった。
「…聞いちゃ駄目だ。聞いちゃ駄目なんだ」
かすかに届く自分の嬌声を聞きながら、キノは泣いていた。ボロボロと切り崩される自分が恐ろしかった。
199SBI:2006/09/19(火) 10:17:30 ID:ELmoNpGV
それでも、その恐怖すらも快感へのスイッチに変えられた事を理解していたキノは、ギリギリの一線で踏みとどまり、感情を抑えるべく努力した。
しかし、その努力を嘲笑うかのように、切り替わったモニターの映像がキノを追い詰める。
『…やめてっ!!…痛っ…や…も…嫌ああああああっ!!!!!!』
それは、キノが最初にここで陵辱を受けた時の映像だった。悲痛な悲鳴がキノの耳を突き刺す。それがしばらく流れて、またもや映像が切り替わる。
『…駄目ぇ…イクぅ…イっちゃうぅうううううっ!!!!!』
今度は二度目の時の映像。一度目の映像より幾分か声が熱を帯び、表情が艶が入り始めている。キノが戸惑っているうちに、さらに次々と映像は切り替わった。
「…嘘だ……こんな……」
キノは気付いた。現在の映像に近付くにつれて、自分がより感じやすく、欲望に従順な体となっている事を、一連の映像の流れによって気付かされた。
映像がさらに現在に近付く。モニターの中のキノの乱れ方はさらに激しくなっていく。『治療』が進んでいるのだ。確実に、自分は改造されている。
その時、キノの胸に湧き上がったのは名状しがたい恐怖と、それ以上の興奮だった。
「ふあああっ!!…駄目…駄目なのにぃいいっ!!!!」
壊れていく自分の姿がたまらなく欲望を煽った。これからもっと壊れて、もっと乱れていくであろう自分の運命に、身震いするほど興奮した。
そして、それを首輪が見逃すはずはなかった。
「…や…また…首輪……ひあああああああああああっ!!!!!!!!!」
ズン、と体の奥底をめがけて、狂おしい快感の衝撃が襲いかかった。一瞬、キノの思考の全てが断ち切られる。
「…らめぇっ!!!…きもひいいっ!!!きもひよすぎるよおおおおおおっ!!!!」
気が付いた時には、両手をショーツの中に突っ込んで一心不乱にアソコをかき回していた。
今まで、どんなに耐えがたい欲望に襲われても、キノが自分の指を使う事はなかった。自らを律して、本物の快楽の奴隷となる事を回避してきたのだ。
しかし、その涙ぐましい抵抗も今この瞬間に水泡に帰した。ギリギリのところで衝動を堪えていたキノの、最後の防衛線が破られたのだ。
「…あっ!!ああんっ!!…くあっ…ひああああああんっ!!!!」
キノは何度も自分の指を止めようとした。しかし、指を動かす事で得られるであろう快感への期待に抗えず、キノの指はひとりでに動いてしまう。
ここを撫でれば、ここに突き入れれば、今よりももっと気持ちよくなれる。そういった予感に流されるまま、キノの支配を離れた指が新たな快感を紡ぎだす。
体はさらに狂おしく燃え上がり、巨大な快感の渦に翻弄されるキノは、自分の口元にだらしなく垂れたよだれにも、瞳からぼろぼろとこぼれる涙にも気づく事ができなかった。
「…うあ…ああああっ…こんなの嫌なのに…ボクのゆび…止まんないよぉ!!!」
この病院で受けた『治療』によって、自分の体がもう引き返す事の出来ない場所にまで追い詰められようとしている事が、キノにはわかった。
今までの自分が死んで、欲望にどこまでも従順な自分へと変わっていく。しかし、それに対する恐怖でさえ、今のキノにとってはさらなる快感の種子に過ぎない。
『首輪』のランプの激しい点滅に導かれるように、キノは狂ったように秘所を弄り続けた。
「…ひあぁ!!…はひぃ!…あっ!…ボク…も…イっちゃ…あああああああああっ!!!!!!」
雷に撃たれたように、キノの体が激しく痙攣した。激しい絶頂が体を貫き、許容量を遥かに超えた快感の前に、キノの体は力なく崩れ落ちた。
「…ごめ…エルメス…ボクはもう……」
薄れてゆく意識の中、キノは悟った。自分がエルメスの背中に跨って走る日は、もう二度と来ない事を………。

それから何時間が経過したのか。目を覚ましたキノが最初に感じたのは、硬く冷たい床の感触だった。ゆっくりとその場に起き上がり、キノは周囲を見渡す。
「……ここは確か……」
そこは、キノが最初に通された病院のロビーとおぼしき部屋だった。ガラスの扉の向こうには、見覚えのある荒野が広がっている。
しばし呆然としていたキノだが、自分の姿を見てさらに驚いた。
「……これ、ボクの…」
キノが今身に付けている服は、まぎれもないキノ自身のもの。ジャケットも、コートも変わらない。腰を探ると、カノンも森の人も吊り下げられていた。
まるで、今までの事全てが夢であったかのような錯覚を、キノは覚えた。
200SBI:2006/09/19(火) 10:18:18 ID:ELmoNpGV
しかし、キノの首には相変わらず、銀色の『首輪』が装着されている。その上、体中に仕込んでいるはずの多数のナイフもない。
『治療』は続いているのだ。だが、キノに再びこんな格好をさせた意図は何なのだろうか?キノは額にじっとりと汗を滲ませながら、周囲の様子を窺う。
「あら、もう起きていたのね。お待たせしてごめんなさい」
その時、ロビーの一角から真っ直ぐ伸びる廊下を歩いて、白衣の女性が現れた。キノは女性をキッと睨みつける。
「うふふ、そう怖い顔をしないで。ようやくリハビリにまで漕ぎ着けたんだから」
「……リハビリ?」
「そう。今までは他の患者さんに協力してもらって『治療』を進めてきたけれど、今度はキノさん自身の力で、自分の体に正しい行動を叩き込むの………」
その瞬間、キノの体に、あのおぞましい衝動が襲い掛かった。
「つまり、キノさんがさっき自分の部屋でやってたみたいな……」
「………っ!!…っああ!!…やあああああああっ!!!!」
キノの体が床に突っ伏した。両膝を立て、両手の指を秘所へと伸ばし、床に倒れた上半身を右肩で支える。お尻だけを突き上げたような姿勢で、キノはアソコを弄る。
しかし、ズボンの布地の上から撫でるだけでは、今のキノにはあまりにもどかしすぎた。キノは直接アソコをかき回そうと、ズボンの中に指をねじ込もうとした。だが……
「や……この服…なんでなの…!?」
「ごめんなさい。これもリハビリの一環なの。あなたの服に少し細工をさせてもらったわ」
服は、本来切り離されているべきところが全て縫い合わされて、一体化されていた。キノがいくら脱ごうとしても、ボタンひとつ外れないように改造されてしまっていたのだ。
「服自体にも特殊なコーティングを施して、今のキノさんには破けないようにしてあるわ」
「……嫌っ!!…助けてっ!!!…あたま…ヘンになっちゃうううううっ!!!!」
「苦しくて仕方がないでしょう?でも、これを使ったらどうかしら?」
キノの乱れ様に満足した女性は、懐をごそごそと探って、鈍く輝く一本のナイフを取り出した。
「……あっ…それは……」
「あなたのナイフ、一本だけお返しするわ」
女性は、キノの目の前にナイフを転がした。震える指先で、キノがそれを掴む。
「裸になってオナニーしたいけど、服は脱げない。目の前には一本のナイフ。簡単な問題でしょう?」
キノは理解した。これは罠なのだ。キノ自身に、これまでの自分の象徴を手に掛けさせる。それによって、『治療』をより完璧なものにしようとしているのだ。
「さあ、リハビリ開始よ」
女性がそう言って、嬉しそうな微笑を浮かべた。しかし、女性の見え透いた意図は、キノを逆に奮い立たせた。このままで終わらせないという気迫が、キノの中に生まれたのだ。
「そう何もかも思い通りにはいきませんよっ!!!」
『治療』を受け続け、『装置』の影響に晒され続けたキノの体では、以前ほどの素早さは発揮できなかった。
だがそれでも、キノの握ったナイフは女性の頚動脈を、寸分違わぬ正確さで切り裂いた。
「…………っが!!!?」
女性の体が、どうと床に倒れ伏す。驚愕に目を見開いたまま、血の海に沈んだ女性の体はしばらく痙攣を続けたあと、ピクリとも動かなくなった。
「…………やった」
女性の横でナイフを固く握り締めたまま、キノが呟いた。本当に危ないところだった。完全に堕ちる一歩手前で、キノはこの女性の張り巡らせた糸を断ち切ることが出来たのだ。
キノの後ろで、ドームの入り口のガラス戸が音もなく開いた。ようやくこの地獄から抜け出せるのだ。だが、自由への一歩を踏み出そうとして、キノはふと立ち止まった。
まだ逃げ出すわけにはいかない。エルメスを、大切な相棒を取り戻さなければならないのだ。彼がいなければそもそも、あの荒野を渡り切る事など出来ない。
ひとまずドームの内部に向かおうと、キノが振り返ったその時だった。
「……………っ!!!!!!」
キノの心と体を幾度も蕩かした、あの凄まじい熱の奔流が再び押し寄せてきたのだ。あまりに突然なその襲撃に、キノは再び床に倒れこむ。
事態を理解できないまま、キノは床の上にのたうち、身悶えた。湧き上がる欲望は、先ほどとは比べ物にならないほど大きい。
「…なんで!?…どうして……ボクはまた!!?」
201SBI:2006/09/19(火) 10:21:20 ID:ELmoNpGV
それは全て、キノが女性を殺したためだった。明確な意思をもって最後の抵抗を試みたキノだったが、その相手である女性が死んだ事で緊張の糸が切れてしまった。
もはや、抗うべき対象を持たないキノには、襲い掛かる快感の中で耐え抜くための心の支えとなるものを無くしてしまったのだ。
「…あっ!!ああっ!!…はぁんっ!!…やああああっ!!!!」
服の布地に阻まれて触ることの出来ない素肌が、さきほどより一層もどかしい。キノは狂ったように、服の上から自分の体を愛撫した。
それでも一向に去らない疼きに、キノはふと、女性が自分にさせようとした事を思い出す。手元に転がったナイフが、照明を反射してギラリと光る。
「駄目だ。そんなことしたら…結局振り出しに戻ってしまうじゃないか……」
ナイフを見据えたまま、キノは激しく葛藤する。少しでも気を抜けば、すぐさま欲望の僕へと変わりそうな自分を、必死で押し止める。
「…………そうだ。絶対駄目だ。ここまで来たんだ。負けるわけにはいかないんだ。………………でも、だけど……」
しかし、これまでの『治療』によって衰弱し切っていたキノに、それはあまりにも酷な仕打ちだった。熱に浮かされたような瞳で、キノはナイフを握り締める。
「……だけど、こんな血塗れの服で脱出したら、次の国でどんな目に遭わされるかわからない。……脱がなくちゃ、このコートだけでも……」
自分自身、嘘とわかりきっている言い訳を呟きながら、キノはビリビリとコートを切り裂いていった。コートがただの布切れに変わると、今度はジャケットが気になった。
「……これも、血の臭いがする。念には念を入れないと……」
キノは一つ間違えば自分の肌すら切りつけてしまいそうな勢いで、ジャケットの胸に縦の切れ目を入れてから、そこから一気に左右に破り裂いた。
その下のシャツには、ほとんど血糊は飛んでいなかったが、キノはもうそんな事を気にしなかった。
シャツを、下着を、次々と切り裂いていくその感触。それだけでもキノにとっては、言い表し難い快感となった。淫欲に堕ちていく自分が、身震いするほど心地良かった。
やがて、キノは足に履いたブーツを除き、何一つ身に付けていない状態になった。歓喜の表情を浮かべながら、キノは念願を果たすべく、自分のアソコに指を差し入れる。
「ふああああっ!!!すご……っ!!!きもひいいのっ!!!ボク…とってもぉ!!!」
まるで百年ぶりに触れたかのような心地だった。めくるめく快感に我を忘れ、キノは夢中になって自分のアソコを蹂躙した。
じゅくじゅくと湿ったアソコから、自分の太ももに雫が滴り落ちる。ピンと張り詰めた乳首に触れると、頭が真っ白になるほど気持ちよかった。
「ああっ!!…やあんっ!!!…や…ひああああっ!!!!」
だが、キノの小さな指先では、体の奥に燃え盛る炎を鎮める事が出来ない。もっと深く、もっと激しく、そうしなければこの圧倒的な欲望に押しつぶされ、おかしくなってしまう。
キノは、自分の体を満足させる事が出来る方法を探した。自分で自分を犯す為の、とっておきの道具が、ここにある様な気がしたのだ。
「……そ…だ……これ……これなら……」
ウットリとした表情でキノが手に取ったのは、キノが片時も手放さず愛用し続けた、キノにとってはほとんど自分の腕同然の存在。
「……カノン…ゴツゴツしてるから、ちょっと痛いかな?」
ぴったりと手に馴染むそれをぎゅっと握り締め、先端を大事な部分にあてがった。重たい金属の塊が、ぬめぬめとした雫で濡れて、淫靡な輝きを放つ。
キノは呼吸を荒くしながら、ズブズブとカノンの銃身を膣内へと挿入した。
「……ああっ!!!すごいっ!!!カノン、きもちいいよぉ!!!!」
ぐちゅぐちゅと派手な音を立てながら、鈍く輝く砲身がキノの内側を滅茶苦茶に嬲った。体の奥を貫く快感に、キノの理性は完全に崩壊した。
尖った部分が膣内に多少の傷をつけたが、キノには全く気にならなかった。そもそも、キノはそんな傷など比較にならない危険に自分が晒されている事を知っていた。
カノンはちゃんと装弾されている。手に取った時、すぐにわかった。もちろん、この状態で暴発すれば命がないであろう事も承知の上だった。
それでもキノは止まらない。止まる事が出来ない。この快感さえあれば、他に何が必要だというのか。
「…ひああっ!!…あふぅ!!…ひ…あはあんっ!!!…や…あああああああっ!!!」
一心不乱に突き上げて、ただ目の前にある快感を貪る事だけに集中した。頭の中にはもはや、病院の外の事も、エルメスの事も、何も無くなってしまっていた。
激しくランプを点滅させる首輪はさらなる快楽を呼び込み、その渦のさなかで、キノの意識は一気に高みへと押し上げられる。
202SBI:2006/09/19(火) 10:22:30 ID:ELmoNpGV
「イクっ!!!!…ボク…イっちゃうのおおおおおっ!!!!ああっ!!!あああああああああああああっ!!!!!!!」
自らがもたらした地獄の快楽によって、キノの心は粉々に砕け散った。荒く息を切らせて、絶頂の余韻に浸る彼女の瞳は、虚ろな光を宿すのみだった。
キノの呼吸音以外、何一つ物音のないロビー。しかし、そこに遠くからカツコツと、誰かの靴音が近付いていた。一人の足音ではない、三人、四人、五人。
「どうやら、リハビリは順調なようですね」
聞き覚えのある声に顔を上げたキノは、そこに立つ人物を見て驚愕の表情を浮かべた。そこにいたのは、確かに自分が殺したはずの人物。
「どうしたんです?お化けでも見たような顔をして」
「……だって、あなたはボクが……」
キノは床の上に転がる女性の死体を確かめた。間違いなく彼女だ。偽者なんかではない。だが、その疑問は次の瞬間に氷解した。
「うふふ」
「そんなに驚いて」
「キノさんたら、本当に可愛いのね」
そこにいたのは、同じ顔の女性たち。四人の女性がキノを取り囲んでいた。完全に絶句したキノを見ながら、女性たちはくすくすと笑った。
「わかったでしょう。つまりはこういう事なの。ほんと、驚かせてごめんなさいね」
廊下の奥から姿を現した五人目が、キノの目の前に立ちはだかる。ぐったりとして力の入らないキノのあごをくいとつかんで、女性はこう言った。
「さあ、キノさん。最後の治療を始めるわよ」

五人の女性によって、キノはロビーから再び病院の奥へと運ばれた。キノ達はエレベーターに乗り込み、凄まじい速度で下へと下った。
いったい何百メートル下ったのか。キノが辿り着いたのは、半径100メートルほどのドーム状の空間だった。
「………こんなところで、ボクに何をするつもりですか?」
「そんなに噛みつかないで。私はただ、キノさんとの約束を果たそうとしてるだけよ」
「約束?」
怪訝な顔をするキノの前で、女性の一人が壁に触れる。すると、女性に触れられた部分が四角く沈み込んで、地下ドーム全体が低く振動し始める。
どうやら何かのスイッチだったらしい。丸い床の中央から、何か円筒状のものがせり上がってくる。
「ほら、約束したでしょ?キノさんのお友達のモトラド、エルメス君を治してあげるって、私最初に言ったじゃない」
女性の言葉に、キノは背中に冷や水を浴びせられたような気分になった。
「……エルメスに、何かしたんですか?」
キノが喉から搾り出すような苦しげな声で、女性たちに尋ねた。女性は相変わらずのやさしげな笑みを浮かべて
「勿論、『治療』をしてあげたのよ」
最悪の答えをキノに言い放ち、ドームの中央にせり上がる円柱を指差した。
円柱の高さは10メートル、直径は3メートルほど、外側はガラスに覆われ、内部にはぎっしりと機械が詰まっている。
訳のわからないままそれを凝視していたキノは、円柱に詰め込まれた雑多な部品の中に、見覚えのあるものを見つけた。
「………エルメスの、メーター……」
それだけではなかった。目を凝らせば、いたる所にエルメスのパーツが組み込まれている。
エンジンが、タンクが、マフラーが、ブレーキが、他の得体の知れない部品と組み合わさって、まるで生物の内臓のような異形を作り上げていた。
バラバラに分解され、正体不明の機械の一部とされてしまったエルメス。あまりの悲惨な光景に、キノは思わず目を逸らした。しかし
「やあ、キノひさしぶりぃ」
懐かしい声に、思わず顔を上げた。声は間違いなく、その円柱から聞こえていた。
「…エ、エルメス……なの?」
「ひどいなあ、キノ。自分の愛車の事も忘れちゃったの?」
「だって、そんなにバラバラになって………」
203SBI:2006/09/19(火) 10:23:47 ID:ELmoNpGV
「バラバラ?違うよ、僕はようやく戻る事が出来たんだ。僕自身の、本来の姿にね」
キノは完全に絶句した。自分の相棒を襲った事態が理解できず、ただただ信じられないというような表情で、円柱に変えられたエルメスを見つめた。
呆然とするキノに、女性たちは優しげな声でこれまでの経緯を説明する。
「ほんと、手のかかる患者さんだったわ。あなたと同じよ」
「最初はあんまり素直にならないから、少し手荒な事もしちゃった」
円筒の中のエルメスのパーツは良く見ると、ドリルで無造作に開けたらしい穴や、大きくえぐれたような傷跡がいくつも残っていた。
「ようやく素直になってから、あなたの『治療』の様子なんかも見せながら、じっくりと治してあげたわ」
「それでも、泣いて叫んで、本当に大変だったんだけどね」
女性たちの『治療』によって、エルメスの精神は一旦崩壊させられた。そして、そのボディを分解され、再度この形に組みなおされたのだ。
「ねえ、キノ……」
エルメスがキノに語りかける。
「僕はやっと気付いたんだ。僕の本当の気持ち、僕のやりたかった事。それを解放してもらったら、ホントに楽になれたんだ」
「エルメス…やめてよ…エルメスっ!!」
「ねえ、キノも同じでしょ?『治療』を受けたのなら、キノにだってわかるよね?心の奥底でグルグル回ってる何か、それを解放しなきゃ、本当の幸せは来ないんだ」
地下ドームの球形の壁面がゆっくりとスライドして、いたる所に暗い穴が開く。その奥から、無骨な金属のフレームがいくつも連なった機械の腕が姿を現す。
「…エルメス、嫌だよっ!!ボクは嫌なんだっ!!!」
「あはは、キノってばほんとに意地っ張りだね。僕が知らないとでも思ってるの?さっきだって、カノンを使って夢中でオナニーするキノの事、ずっと見てたんだから」
誰にも見られていないと思って始めた行為が、実は自分の相棒に筒抜けだった。あまりの恥ずかしさに顔を手で覆ったキノを、エルメスの機械の腕がやさしく抱き上げる。
「キノって本当にエッチな声出すよね。実は前から知ってたんだ。キノがとんでもなくエッチな娘だって。
いつも夜中になるとオナニーを始められて、横で聞いてる僕の身にもなってほしかったなぁ」
「……うそ…そんな…うそだよぉ……」
エルメスのものとは思えないその言葉に、キノの体が震える。そして、その動揺を見逃さず、キノの首輪が再び点滅を始めた。
「ここへ来てからも、知らない人たちに体をいいようにされて、ヒィヒィよがって、数え切れないぐらいイキまくって……。
最初はキノが酷い事されてると思って見てられなかったけど、ようやく気付いたんだ。犯されて、汚されて、キノはとっても喜んでるって……」
「……エルメス……もうやめて……」
エルメスが言葉を重ねるごとに、首輪のランプは点滅を激しくしていく。相棒の声でなじられる羞恥が、快感のレベルまで増幅されていく。
「キノ、認めなよ。キノはいつでもどこでもセックスのことばかり考えている、どうしようもない淫乱なんだって………」
「…うあ……エルメスっ!!エルメスうううううううううううっ!!!!」
エルメスの最後の言葉と同時に、地下ドーム中に響くような大声で、キノが叫びを上げた。ビクビクと体中が震え、一瞬の後、脱力したキノの股間からぽたぽたと雫がこぼれた。
「うわあ、キノったら僕の言葉だけでイっちゃたんだ。すごいなあ」
「ええ、キノさんはこの通り、『治療』の過程をほぼ完了してるわ。最後の仕上げは相棒のあなたがしてあげて」
「うん、わかった。僕、がんばるよ」
壁から伸びたアームが、キノの四肢を固定する。腕を横に広げ、脚をM字開脚の姿勢にさせられたキノの股間に、エルメス本体から伸びたアームが近付く。
「あ、よく見たら今のキノ、裸にブーツだけ履いてるんだ。マニアックだねえ」
「……やめて、エルメス…許して…ボク、エルメスだけには……」
「ううん、燃えてきた。キノ、たっぷり気持ちよくしてあげるからね」
エルメスは、キノの哀願の言葉を無視して、アームの持つ三本の指の基部にあたる部分から、本物よりもかなり大きめに作られた男性のモノの模造品を出現させる。
三つの指がキノの股と、お尻を掴み、機械製の肉棒がキノのぐちゃぐちゃに乱れたアソコにあてがわれる。
「キノ、好きだよ。こうして一つになれて、僕はほんとにうれしいよ」
「……エルメス…だめ…おねがいだから……」
「さあ、いくよ」
人間のモノをはるかに上回る剛直が、キノの体を一気に貫いた。子宮を突き上げてくる凄まじい衝撃に、キノはあられもない叫び声を上げた。
204SBI:2006/09/19(火) 10:25:11 ID:ELmoNpGV
「うああああっ!!!あああっ!!!いやあああああああああああああっ!!!!!」
最初の衝撃だけで意識を全て持っていかれそうになったキノの体を、エルメスは容赦なく、さらに何度も繰り返して突き上げた。
ズン、ズン、衝撃が体を貫くたび、全身を駆け抜ける異常な快感のために、キノの体は激しく痙攣し、全ての思考能力を奪われたキノは、訳もわからず嬌声を上げる。
キノの可愛らしいアソコをめいっぱいに押し広げたエルメスのモノは、とめどなく溢れる愛液に濡れてさえ強烈な摩擦を起こし、キノが味わった事のない快感を生み出す。
「…だめっ…エルメスぅ…こんな、おおきすぎるよぉっ!!!!」
「キノったらよっぽど僕のが気に入ったみたいだね。でも、これぐらいで満足してもらっちゃあ困るよ」
「……えっ!?…な、なに?…や…ああああっ!!!!!」
エルメスの本体付近から、さらに数十本の触手が出現した。ラバー製の表皮を持ち、しなやかに動き回る触手たちはみな一様に、べとべとした粘液に塗れていた。
触手はキノの体にするすると巻きつき、キノの柔らかな肌を余すところなく粘液で汚していく。そして、粘液に含まれた成分がゆっくりとキノの中に浸透し始める。
「……あっ!!…あはぁ!!!…やめ…からだ…へんになるぅ……っ!!!!」
「すごいでしょ。キノの体を分析して、キノの為だけに調合された媚薬だよ。これだけ塗りたくったら、キノだってきっと素直になれるよ」
キノのまわりでのたうつ触手の中の二本の先端が、ぱっくりと花びらのように開いた。内部には繊毛のような細かい触手が、媚薬粘液に濡れて蠢いている。
二つの淫猥な花はゆっくりとキノの乳首に近付き、しゃぶりつくようにキノの可愛らしい二つの突起に吸い付いた。
「ひはあぁっ!!…くぅっ!!…ひゃううううっ!!!…むねがぁ…ボクの…むねがああああっ!!!!!」
何十本もの細い触手が、キノの乳首とその周辺の肌を嬲りまくった。しかも、その一本一本に粘性の媚薬が絡みついているのだ。
きゅっと締め付けられた乳首の上を、何本もの触手が代わる代わるに撫でて、媚薬を塗りつける。正気を失いそうな疼きに、キノは髪を振り乱して泣き叫んだ。
「うんうん、いい反応だね。じゃあ今度は、こんな風にしたらどうなるかな?」
キノのお尻の前に六本の触手が集まった。その内の四本はキノの小さなお尻に左右に分かれて取り付いて、可愛くすぼまった後ろの穴を暴き出す。
そして、残りの二本はロープのように絡み合い、太く逞しい一本の怒張を形成する。それは切なげにひくつくキノのアナルにそっと近付いて
「あひっ!!くううううっ!!!ああああっ!!!おしりぃいいいいいいっ!!!!」
容赦なくそこを刺し貫いた。これまでの『治療』で散々使われてきたキノのお尻は合体触手をいとも簡単に受け入れ、媚薬を吸収して新たな性感を覚醒させる。
後ろ穴を攪拌される狂おしい感覚に加えて、媚薬が生み出した異常な快感がキノのお尻の中を嵐のように渦巻いた。
「くはあっ!!!あひいいいっ!!!ああっ!!!エルメスやめてえええええっ!!!」
「乳首にお尻、腕も脚も背中も、キノの体中全部粘液で汚されちゃったね。こうなったら、最後はここにも注いであげなくちゃ嘘だよね」
「ああっ!!らめっ!!!エルメス…やめてぇ…ボク…も…らめなのおっ!!!!!」
まるでキノの哀願を引き出すかのように、エルメスは自分の次の行動を囁いた。
それからたっぷり数十秒の間を置き、十分に焦らして、怯えさせてから、キノのアソコを突き上げ続けるモノの先端から、薄く濁った特濃の媚薬を発射した。
「うあああっ!!!!イクぅううううっ!!!!エルメスっ!!!!エルメスぅううううううっ!!!!!!!」
思い切り突き上げられ、熱い粘液に膣内を満たされて、キノは絶頂に昇りつめた。しかし、膣内に即座に吸収された媚薬は、キノに休む事を許さない。
一気に敏感にされたキノのアソコは絶頂の余韻を増幅し、さらなる絶頂の連鎖へとキノを押しやる。
エルメスは、ただでさえ感じまくっているキノを前にしても突き上げを休まず、キノの大事な部分を徹底的にかき混ぜまくった。
「ああっ!!!キノっ!!!可愛いよっ!!すごく可愛いっ!!!最高だよっ!!!」
「や…はああああっ!!!こわれるぅっ!!!…ボク…こわれちゃうよおおおおおっ!!!!」
相棒の手によって、ただただ肉欲に溺れるばかりの肉人形に堕ちていくキノ。その様子を満足げに眺めていた女性たちが呟く。
205SBI:2006/09/19(火) 10:26:09 ID:ELmoNpGV
「大詰めね。リミッター外しちゃうけど、いいかしら?」
「ええ、そろそろ頃合だわ。やってちょうだい」
女性の一人が懐から小さな箱を取り出す。真っ白な箱を開くと、無数の白いボタンが並ぶ中に一つだけ、赤いボタンがあった。
「うふふ、キノさん、これで楽におなりなさい」
女性は嬉しそうに微笑んでから、赤いボタンを人差し指で押し込んだ。すると、キノの『首輪』のランプの、左右の金属が突然スライドした。
エルメスに言葉だけでイかされて以来点滅しっぱなしだったランプの横に、さらに二つのランプが出現する。
三つのランプは連動して点滅を始める。一つだった時よりも速く、激しく。そして、『首輪』全体が甲高い機械音を発生させ始めた。リミッターが外れたのだ。
「ああああっ!!!!熱いぃいいっ!!!ボクの…からだ…熱くて…へんにいいいいいいいいっ!!!!!」
その瞬間、今までとは比較にならない熱量がキノの身体を包み込んだ。
本来、『首輪』はキノの興奮状態を監視しながら、快感の増幅をある程度コントロールしていた。しかし、リミッター解除によって、それらの機能は完全に停止した。
もはや『首輪』は、キノを快感に屈服させるための道具ですらなくなっていた。圧倒的な快感でキノを内部から破壊するそれは、キノにとってもはや凶器も同然の代物だった。
「うああっ!!!イクっ!!イクっ!!イクぅうううっ!!!…らめ…イクの…とまらないよおおおおおおっ!!!!!!」
膣内やアナルへの突き上げの一回一回が、体中の感じやすい場所への一撫でずつが、キノの中で絶頂へと変化し、キノの精神を最後の一片まで破壊していく。
絶頂が絶頂を呼び、新たに湧き上がった巨大な絶頂感は、より大きな絶頂の波に飲まれて消えていく。
痺れ切った頭の芯まで、気持ちいいことだけが埋め尽くして、キノの思考はそれ以外の方向に向かおうとする能力を失っていった。
「あはぁ…えるめすぅ……すきぃ…ボク、えるめすのことらいすきなのぉ…ねえ、だからぁ……」
「うん、わかってるよ。僕がこれから、キノの事を、ずうっと気持ちよくしてあげるからね」
エルメスの言葉に、キノの表情は歓喜で満ち溢れた。無数の触手に身体を支えられながら、アームから生えたエルメスのモノを両手でしごき、体中に媚薬粘液を浴びた。
そこには、無法の荒野を越えて度を続けてきた凛々しい少女の面影はない。ただ己の求めるままに快感を貪り、腰を振り続けるだけの哀れな雌の姿がそこにあった。
全てを奪い去られたキノとエルメスは、欲望に抗う事すら忘れ、さらなる快楽の高みを目指して乱れ、狂い、壊れていく。
「うあ…あはああんっ!!!…ああっ…イクっ!!またイクぅ!!!…あ…ボク…またイっひゃうよおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!」
キノの強制がドームの中に響き渡る。
こうして、キノは完全に『治療』されてしまった。

それから10年の歳月が過ぎようとしていた。あの白いドームの地下の、巨大な空間で、キノはいまだに犯され続けていた。
驚く事に、その容姿はほとんど変化をしていない。体格も、髪の長さも、10年前のあの日と同じである。
全ては女性たちがキノに投与した薬の作用だった。この薬のためにキノの身体は時を止め、もはや成長も老化もする事のない存在となっていた。
ただ一つ違う点があるとすれば、ぽっこりと膨らんだそのお腹である。そこに宿るのは紛れもない、キノ自身の子供だった。
「あっ…動いてるぅ…お腹の中から蹴ってるよ、エルメスぅ」
「うん、元気な赤ちゃんだといいね、キノ」
「大丈夫だよ。ボクとエルメスの子供なんだもん。きっと元気な子だよ」
さらなる改造を受けたエルメスはついに、キノの細胞を元にして、精子を合成する事が可能になったのだ。
もっと妊娠しよう。もっと子供を作ろう。快感のせいでほとんど働かない頭の片隅、キノは夢を見ていた。沢山の子供たちに囲まれ、どろどろのぐちゃぐちゃに犯される夢を。
X染色体しか持たない女性の体だけで、男の子が産まれるはずはないが、構う事はない。あの白衣の女性たちに頼めばどうとでもなるはずだ。
フタナリに改造してもらって、自分が娘を犯すのもいいだろう。
「ああ、赤ちゃん……ボクの…ボクの赤ちゃん……」
胎児の脈動が伝わるお腹を撫でながら、永遠に続く快楽の地獄に思いを馳せ、キノはうっとりと呟いたのだった。
206SBI:2006/09/19(火) 10:28:24 ID:ELmoNpGV
思いついたひどい事を全部やったら、こんな風になってしまいました。俺は変態ですね。
ともかく、これでおしまいです。失礼いたしました。
207名無しさん@ピンキー:2006/09/20(水) 01:20:14 ID:+J0kzKE2
こんなエルメス×キノを待っていた・・・!
GJです!
208名無しさん@ピンキー:2006/09/20(水) 07:45:59 ID:TU2ThsxZ
GJ、と言う言葉しか思い浮かばない
209名無しさん@ピンキー:2006/09/20(水) 20:17:09 ID:mjzwFt7V
GJです
210名無しさん@ピンキー:2006/09/21(木) 15:36:12 ID:4BmO+sw2
SBIさんスゴイですね!GJです!
もしかして時雨沢先生本人・・・?
211名無しさん@ピンキー:2006/09/21(木) 16:54:18 ID:3Pmm5pV+
sageろ。あとそれは言わない約束な
212名無しさん@ピンキー:2006/09/24(日) 19:00:31 ID:S++9/8qI
保守
213名無しさん@ピンキー:2006/09/25(月) 17:37:56 ID:fwvn5DfD
ほす
214名無しさん@ピンキー:2006/09/27(水) 18:30:42 ID:dF82YLjV
保守
215SBI:2006/09/28(木) 12:08:31 ID:LbWs5K8F
また書いてきました。アリソンの話です。
216SBI:2006/09/28(木) 12:10:26 ID:LbWs5K8F
ある日の夕方、我が家に帰り着いたヴィルを待っていたのは、鮮やかな蒼の制服を身にまとったベゼル王室親衛隊准尉の姿だった。
目の前に立つ人物の姿が信じられなくて、ごしごしと両目を何度もこすってから、恐る恐るヴィルは問い掛けた。
「…………アリソン、だよね?」
「もちろんよ、ヴィル」
制服の蒼に映える金髪を揺らして、アリソンはヴィルに微笑んだ。

「それで、一体全体、どういう事なの?」
寝室のベッドの端っこに座って、ヴィルはアリソンに質問した。普通、ロクシェの一市民が手に入れられるはずもないその服の存在に、ヴィルはかなり戸惑っているようだった。
「ううん、そんなにややこしい話じゃないんだけどね」
ヴィルの隣に座るアリソン、彼女が身にまとっている蒼い制服、ベゼル王室親衛隊の青年隊の制服は、本来スー・ベー・イルの貴族の子弟しか手に入れられないものである。
ヴィルとアリソンは、ある夏に経験した冒険において一度だけこの服に袖を通した事があった。だがそれも、本来の持ち主であるベゼル貴族の女性の手に戻ったはずなのに……。
尽きる事のない疑問にすっかり頭がこんがらがってしまったヴィル。アリソンはそんなヴィルの様子に、愉快そうにくすくすと笑っている。
「ほんと簡単な話よ。ほら、私たちにはスー・ベー・イルに強力なコネがあったじゃない」
「それって、もしかして……」
「そう、ベネディクトさんよ」
アリソンとヴィルの友人にして、壁画発見の英雄であるカー・ベネディクト、彼の英雄としての立場を利用すれば、なるほど難しい話ではないかもしれない。
「英雄になってから、親衛隊の中に一人気の合う友達が出来たらしいのよ。その友達に頼んで手に入れて、フィオナさんとの結婚でこっちに移った時にこっそりと………」
実はそれは以前から、アリソンがベネディクトに頼んでいた事だった。なんとしてでも、あの親衛隊准尉の蒼い制服が欲しい。どうしてもあの服が必要なのだと……。
「なるほど………でも」
「まだ何か質問?」
「アリソンはどうして、そんなにこの服が欲しかったの?」
言われて、アリソンの頬が少し赤くなった。
「それは…………ヴィルが一番似合うって言ってくれた服だったし………」
確かに、その服はこの上なくアリソンに似合っていたし、アリソンの着こなしもほとんど完璧と言って良いものだった。
今までにアリソンが着た服の中で一番似合っている。以前にアリソンのこの姿を見た時、ヴィルは心の底からそう思ったし、それは今でも変わらない。
「うん、似合ってる。そうだね、こんなに似合うんだもの、もう一度着てみたいってアリソンも思うよね」
「えへへ…」
「きれいだよ、ほんとに。これを着たまま外に出られないのは残念だけど……」
今のアリソンの姿を眺めて、ヴィルは改めてそう実感した。きれいで、かっこよくて、その蒼い制服はこの上ないくらいアリソンに似合っていた。
そして、この制服を手に入れようとしたきっかけが、自分の何気ない言葉だったことに、ヴィルは少し面映いような気持ちを味わった。
アリソンも恥ずかしそうに笑ってから、少し気になる事を言った。
「ありがと。まあ、外に出る必要はそもそもないんだけどね」
「えっ?」
そこでヴィルは気が付いた。アリソンの蒼い瞳が、キラキラと輝いている事に。
子供の頃、さんざん目にした危険のサイン、制服のアリソンに見とれてすっかり見落としていた。彼女は今、何かを企んでいる。
「うふふ。もちろん、ただヴィルに見てもらうためだけに、わざわざ取り寄せたんじゃないのよ………」
「アリソン……ちょ、落ち着いて……」
突如身を乗り出して、自分の方に迫ってくるアリソンの顔。不吉なその微笑に、ヴィルは思わず後ろに下がる。
「帰ってきたばかりのヴィルを寝室まで引っ張ってきた事の意味、わからないヴィルじゃないわよねぇ?」
「うう……」
217SBI:2006/09/28(木) 12:12:45 ID:LbWs5K8F
「一度くらいやってみたいじゃない。コスチューム・プレイ……」
今やベッドの隅っこに追い詰められて、子猫のように怯えるヴィルには、その聞きなれない言葉の意味がわからなかった。
「具体的には親衛隊准尉と一般兵の許されざる恋という感じで、貴族なのをいい事に私がヴィルにあんなプレイやこんなプレイを好き勝手に命令して……」
「な、なんだかそれって、いつもと変わってないような……」
「別に良いじゃない。気分よ、気分。そういう設定があるからこそ燃えるのよ」
今にもヴィルに飛び掛らんばかりのアリソンは、ぺろりと舌なめずりをする。
「ヴィル……じゃなくて、平民。まさか私の相手が嫌だなんて言わないわよね……?」
もはやアリソンは完全にノリノリの状態だった。もちろん、ヴィルが嫌だなどと言えるわけがない。ていうか、こうなったアリソンを止められる人間なんてこの世にはいない。
おっかない。だけど、ヴィルはアリソンから目を離せなかった。ていうか、見蕩れていた。
(やっぱり、きれいだなアリソン……)
きゅっとベルトに締められた細い腰、青い布をまとってすらりと伸びた手足、制服の奥からかすかに感じられる柔らかなボディライン………。
アリソンに触れたい。抱きしめたい。その思いはヴィルの中で、いつしか抑え切れないほどに高まっていった。そして………。
「わかりました。親衛隊准尉殿……」
ヴィルはアリソンの手の甲に、そっとキスをした。
「ヴィ、ヴィル!?」
思いがけないヴィルの行動に、アリソンが固まった。これでも恋人同士なので、キスの経験もそれなりにあったけれど、こんなのは初めてだった。
「ヴィル、どうしちゃったの?」
「貴方こそ、どうかなさいましたか?親衛隊准尉殿?」
ヴィルがのった。それこそもうアリソン以上の勢いで、架空の設定の中の、自分の役に入り込んだ。
気圧されて動けないアリソンを優しく抱きしめて、ヴィルが耳元で囁く。
「ずっとお慕い申し上げていました。こんな風に准尉殿と言葉を交わして、身体に触れることを夢見ていました」
アリソンは思わず赤面した。でっち上げの、アドリブのセリフなのに、なんだか異様に恥ずかしい。ソワソワする。
理由は簡単だ。設定は架空のものでも、ヴィルは今このセリフを心底本気で言っているのだから。
「きれいです。親衛隊准尉殿……」
「…や…ヴィ…ルぅ……」
ヴィルの腕が優しく、親衛隊准尉殿をベッドに仰向けに横たえた。されるがままのアリソンは、次にどうしていいかがわからず、オロオロとヴィルの顔を見上げた。
完全に呑まれている。ヴィルの動作や、言葉の一つ一つにドキドキして頭が上手く回らない。まるでヴィルと初めてした時に戻ったようだ。
「……平民…私…どうしたら……」
「だいじょうぶです。全部僕に任せていただければ……」
「う、うん……」
すっと、ヴィルの指先が鎖骨のあたりから胸元へ、そしてお腹から大事な部分に至るラインを撫でた。布地の上から伝わる感触に、アリソンの身体がぞわりと震えた。
ぷちりぷちりと、制服の上着の前の部分を止めるボタンだけを、ヴィルは外した。シャツの薄い布の下から、アリソンの胸の二つの突起がぷっくりと自己を主張していた。
「……してなかったんですか、ブラジャー?」
「だって…その方がエッチかなって…」
ぴんと張り詰めたそれを、ヴィルの指先が軽く弾く。
「……っあ!!!」
敏感に反応したアリソンの、甘い声。ヴィルはアリソンの胸の可愛らしいふくらみを、シャツの上から存分にこね回した。
「可愛い声、出すんですね。いつもの准尉殿からは、ちょっと想像が出来ないな」
「…や…そんな…言わ…ないでぇ……」
「もっと聞かせてください。ほら……」
218SBI:2006/09/28(木) 12:14:03 ID:LbWs5K8F
「…ふああっ!!!…ああんっ!!…そんなああああっ!!!!!」
さらにシャツのボタンを外して、進入してきたヴィルの指先の感触にアリソンが思わず声を上げた。胸全体がくにくにとこね回され、乳首は好き勝手に弄くられる。
ヴィルは決して焦らず、ゆっくりと丹念に愛撫して、アリソンの性感を解きほぐしていった。後を引くじんわりとした愛撫に、アリソンの体温が上昇していくのを感じた。
「…あっ…あはあんっ!!…ひうぅ!!!…ひゃああああんっ!!!!」
無防備な脇腹に指を這わせ、舌を滑らせた。首筋や頬に残された唾液の軌跡は、ヴィルの舌先が去ってなお、じんじんと疼いてたまらなかった。
飴玉のようにヴィルの口腔内で転がされた乳首は、さらにヴィルの指に摘まれ、押しつぶされ、焦らすように先端を何度も撫でられて、ゾクゾクするその感触の虜になった。
アリソンは快感に痺れてぼんやりする頭を起こし、夢中でヴィルにキスをねだった。
「…んむぅ…んぅく……んっ…んっ……ぷはぁ………キス、上手いのね、平民……」
快楽に流されるままのアリソンの脳は大した思考も出来ず、ただ何となく芝居を続けていた。ヴィルはそんなアリソンに恥ずかしそうに微笑む。
「光栄です、准尉殿」
「…うん、だからもう一度……お願い……」
アリソンに促され、ヴィルが二度目の口づけをする。今度もねっとりと絡み合うように、互いの口腔内を味わい尽くす。
そのまま流れるような舌使いで、ヴィルはアリソンの肌の上に縦横無尽の快楽の軌跡を描いた。増大していく快感に、アリソンの呼吸の感覚は段々と短くなっていく。
「こちらももう、限界のようですね。准尉殿……」
「……あ…そこぉ…だめぇ…」
ヴィルの指がズボンの上から、アリソンの大事な部分を撫でた。そこは既に絶え間なく続く快感に抗えず、しとどに蜜を溢れ出していた。
清潔感溢れる、鮮やかな蒼のズボン。その中でただ一箇所だけ、大事な部分を包んだ布地だけが、アリソンの蜜を吸って濃紺に染まっていた。
「この分だと、中はもっとすごい事になっていますね」
「…や…恥ずかしい……」
止まらない洪水から赤くなった顔を逸らしたアリソン。しかしヴィルは止まらない。ズボンを吊るすサスペンダーを外して、熱く湿った禁断の地へと指を這い入らせた。
「………………っ!!!!」
ヴィルの指がアソコに触れた瞬間。アリソンは声も出せず、背中を反らせ、走り抜ける快感の電流に涙をこぼした。
ヴィルはさやさやと心地良い茂みの感触を楽しんでから、その奥の割れ目へと指を差し入れ、浅い部分で何度も抜き差しを繰り返した。
「とっても熱くて、僕の指をきゅっと締め付けてきて……可愛いです、親衛隊准尉殿のアソコ……」
「…ふあっ…はあああんっ!!!…や…ああああああっ!!!!!」
ヴィルの指が、アリソンの中をかき混ぜる。そのくちゅくちゅという音が耳まで届いて、アリソンとヴィルは否応もなく興奮の度合いを高めていく。
ふるふると震えるピンク色の突起は包皮から解き放たれ、ヴィルの指の先で好き勝手に転がされて、絶え間ない快感の波をアリソンの身体に刻み付けた。
さらにヴィルは、ズボンを完璧に脱がせ、びしょ濡れの肌に張り付いたショーツからアリソンの片足を抜いて、その秘めやかな花びらを露にさせた。
そしてアリソンを責める指を止め、至近距離からそれを眺めた。
「…そんな…見ないで……ほんとに、恥ずかしいんだから……」
恋人同士で、エッチな事だって経験がないわけじゃない。大事な部分をヴィルに見せたのだって、今日が初めてというわけではない。
それなのに、アリソンはこの上なく恥ずかしかった。
大事な部分を見られる恥ずかしさと、自分のみを固めていた親衛隊の制服を、演じていた役柄を切り崩されていく恥ずかしさが一体となった結果だった。
親衛隊准尉になり切っていた自分の恥ずかしいところがさらけ出されていると思うと、たまらなく恥ずかしいのだ。
たまらなく恥ずかしくて、そしてそれがゾクゾクするほど気持ちいいのだ。
「…っああああっ!!!…なめないで…きたないよぉ……っ!!!!」
219SBI:2006/09/28(木) 12:14:51 ID:LbWs5K8F
「汚くなんかないです。…ん…はぁはぁ…准尉殿のアソコ、とっても綺麗で……」
いつもよりも敏感な反応に押されて、ヴィルはアリソンの大事な部分を思う存分舐め回した。奥から溢れ出す蜜を全て舐め取る勢いで、ヴィルはアリソンのアソコを舐め続けた。
もう何も考える事が出来ず、ヴィルの与える快感を受容するままになったアリソンは、ヴィルの舌の動くままに切ない喘ぎ声を漏らした。
舐められて、舐められて、舐められ続けて、ヴィルの舌から解放された頃には、アリソンの身体はあまりの気持ち良さに指一本動かせない状態になっていた。
ヴィルはアリソンの耳元で、そっと囁く。
「本当にきれいです。心からそう思います、准尉殿………」
「…うあ…はうぅ…らめ……恥ずかしい、恥ずかしいよぉ…」
自分の乱れた姿に対する羞恥心が、いつも以上にアリソンの頭の中で膨らんでいた。
全て親衛隊准尉という架空の役回りがもたらしたものだったが、今のアリソンはそこまで考えが及ばない。ただ赤く染めた顔をヴィルから背けて、うわ言のように呟いている。
ヴィルはそんなアリソンの様子にふっと微笑んで、耳元に優しく語り掛ける。
「恥ずかしくなんかないですよ。僕は准尉殿の全部が好きですから……」
「…そんな…うそぉ……」
「嘘じゃないです。僕は、かっこよくて、かわいくて、きれいな親衛隊准尉殿が大好きです。でも、それだけじゃない。僕の准尉殿への気持ちはそれだけじゃ収まりきらない。
怒ったり、笑ったり、いつも元気な准尉殿と一緒にいるだけで、僕はとても楽しいんです。ふとした仕草や、表情、准尉殿が見せてくれる全てが、僕にとって大切なものなんです」
それは、架空の設定に、自分の演じる役にカモフラージュされたヴィルの本当の気持ちだった。
いつもなら恥ずかしくて言えない気持ちを、今この場だけの演技に託した、それは真実の言葉だった。
「だから、何度でも言います。………きれいです、親衛隊准尉殿……」
「…あ……ヴィルぅ…」
「……心から愛しているよ、アリソン」
今夜のこの行為が始まってから、初めて名前で呼ばれて、アリソンが嬉しそうに微笑んだ。ヴィルはその唇に優しくキスをする。
「……きて…」
アリソンの言葉に、ヴィルがこくりと肯く。ズボンの下でぱんぱんに張り詰めていたモノを入り口に当てると、ヤケドしそうな互いの体温に身体がぞくりと震えるのを感じた。
「………いきます」
ヴィルの愛撫にさんざんに蕩かされた柔肉は、ヴィルのモノを受け入れる歓喜に震え、その感触を一欠けらも逃すまいと一心に締め付けた。
熱い肉の杭を受け入れて、アリソンはその身体の奥に火がついたような熱さを感じた。その熱が、ゆっくりと前後に動き始める。
「…っうあ…はあっ!!…きゃうううっ!!!…ひ…はああああああんっ!!!!」
アリソンの中を、熱が暴れる。いつになく感じやすくなったアリソンの身体を駆け抜ける感覚は、もはや快感と形容する事さえ出来ないほど、激しいものだった。
自分の中をかき回すモノをきゅっと食い締め、アリソンは訳もわからぬまま、その感覚に翻弄され続けた。
「…っ…ふあああっ!!!…すご…ヴィルぅ…こんな、はじめてだよぉ……っ!!!!」
ズン、ズン、と突き入れられるたびに、アリソンの頭の中に花火が爆発するようだった。
ヴィルのモノがもたらす快感はアソコだけでは止まらず、全身を駆け抜けてアリソンの思考を徹底的に痺れさせた。
神経の集中する入り口の部分を擦り上げられる快感は形容し難く、アリソンはその快感の津波が押し寄せるたびにはしたない嬌声を上げ、髪を振り乱して叫んだ。
「っああああああっ!!!!ヴィルっ!!!ヴィルぅうううううっ!!!!!!」
どんどん激しくなって止める事の出来ない自らの喘ぎに、このまま呼吸さえ出来なくなってしまうのではと、半ば本気で心配した。
それでも二人は止まらない。ヴィルとアリソンは止まる事が出来ない。圧倒的な快感が二人の頭から、今のこの行為以外の全ての思考を奪い去ってしまうのだ。
そしてそれ以上に、お互いに向け合った愛しさが、胸が張り裂けそうなこの気持ちが、二人をさらに加速させていく。
「好き…ヴィル、好きぃ……だいすきだよぉおおおおおおおおっ!!!!」
「…くぅ…ああっ……僕も好きだっ!!!大好きなんだっ!!!!!」
まるで酸素を求めるように、二人は互いの唇を求めた。折れそうなぐらいに強く互いの背中を抱き締め、キスの合間に何度も相手の名前と、自分の気持ちを叫んだ。
一心不乱に腰を振り、突き上げて、アリソンとヴィルはさらに激しく乱れていく。
220SBI:2006/09/28(木) 12:15:33 ID:LbWs5K8F
触れ合った肌の全てが熱くて、まるで性器に変わってしまったかのように敏感になった肌を、二人は擦り合わせ続けた。
ぬちゃぬちゃと音を立てる粘膜が、体中を濡らした汗に溺れて、溶けて、狂熱のさなかで、二人の体は溶け合い、一つになっていくようだった。
「あああっ!!!…あっ!!…ひああんっ…ヴィルぅ…!!!…も…私ぃ…ひああああああああっ!!!!!!」
「あ、アリソンっ!!!…僕も…もう……っ!!!!」
激しすぎる快感に涙さえ浮かべた二人は、さらに熱を増していく身体に翻弄されて、行為を加速させていく。
もはや二人とも前も後ろもわからない。ただ感じるのは、身体の奥から湧き上がるマグマのような狂おしい欲望と、それをも上回る愛する人の身体の熱さだった。
もう誰にも止められない。暴走するエネルギーに振り回されるまま、二人は一心に互いの熱を求め、熱く激しく腰を振り続けた。そして………
「うああああああああああっ!!!!!わらし…も…イっちゃうよおおおおおっ!!!!ヴィルっ!!!!ヴィルぅうううううううううっ!!!!!!!」
「ああああああっ!!!!アリソンっ!!アリソンっ!!!!!!」
強く強く抱き締めあった二人の心と身体は、荒れ狂う絶頂の津波に押し上げられていった。

それから20分以上が経過しても、強烈な絶頂の余韻が過ぎ去らず、ベッドの上に崩れ落ちた二人は、脱力しきった体で抱き締めあったまま、荒く呼吸を切らしていた。
ようやく落ち着いてきたヴィルが薄っすらと瞼を開けると、同じように薄目を開けて、涙のにじんだ瞳で自分を見つめるアリソンの笑顔が見えた。
「ごくろうさま、平民」
「ありがとうございます、親衛隊准尉殿」
小声で言い合ってから、二人はくすくすと笑った。
「やっぱり似合ってるよ、アリソン。貴族なセリフも堂に入ってたし」
「ちょっと、それってどういう意味よ」
「あはは、ごめんごめん」
ベッドの上、じゃれあう二人。
ヴィルはそこで改めて、アリソンの、蒼い制服をまとった全身を見つめた。行為の結果乱れたその制服姿は、ぴしっと着こなした時とはまた違う趣があった。
「……どしたの、ヴィル?」
「アリソン、こういう事言うのは恥ずかしいんだけど……」
顔を赤くして自分を見つめるヴィルに、アリソンも恥ずかしそうに問い掛けた。ヴィルはバツが悪そうに、頭の後ろをかきながら答える。
「今日のアリソン、ほんとにきれいだった。似合ってた。本当のところ、すごくドキドキした。だから………」
「もちろんよ、ヴィルっ!!!ヴィルのためなら、親衛隊だろうが、メイドさんだろうが、バニーガールだろうが、何だってドンと来いなんだからっ!!!」
「いや、そこまでは言ってな……って、うわあああああっ!?」
アリソンの腕が、有無を言わさずヴィルを抱き締める。もはやぐうの音も出ないヴィルだったけれど、これはこれで、結構幸せなのかもしれなかった。
221SBI:2006/09/28(木) 12:16:13 ID:LbWs5K8F
おまけ

さて、そのころ、スー・ベー・イルの首都スフレストスでは、ベネディクトに親衛隊の制服を提供した貴族の友人が、一人ベッドに寝そべっていた。
「ベネディクトのやつ、今頃一体どうしてるんだか…」
彼はベネディクトに渡した制服がどう使われているのか、まったく予想できていないわけではなかった。ていうか、彼自身その手のプレイは嫌いじゃなかったのだけれど……。
ただ、そんな彼にも一つだけ、腑に落ちないことがあった。
「それにしても何だってあいつは、あの制服を二着も持っていったんだ?」

さらに場面は変わって、同じ時刻のイクス王国、ひっそりと隠された谷の奥の村の、ベネディクト夫妻が暮らす家の一室では……
「ふふ、可愛いですよ。親衛隊准尉殿……」
「…や…ベネディクトぉ…そこ…そんなにされたら、私ぃ…ふああああああっ!!!!」
大きなダブルベッドの上、久しぶりに引っ張り出した空軍の軍服を身にまとったベネディクトと、親衛隊の蒼の制服を着たフィオナの姿があった。
親衛隊の制服はフィオナには少し大きすぎるようで、袖が多少余ったりしていが、実はこれはベネディクトの計算通りなのだった。
もらった制服二着のうち、大き目の方をわざわざ選んだのだ。ぶかぶかの服を無理して着ているフィオナは間違いなく可愛いはずだ。
ベネディクトのその見立ては正しかったらしい。完璧に制服を着こなしたアリソンとはまた違ったその可愛さに、ベネディクトはすっかり虜になっていた。
「さあ、親衛隊准尉殿、いきますよ…」
「あっ…ベネディクトっ……ベネディクトぉおおおおおおおおっ!!!!!!」
すっかりコスプレにはまってしまった二人。いつもと違ったプレイの興奮は格別で、熱に浮かされた瞳で見詰め合う二人は、夢中になってキスをして、肢体を絡ませあった。
夜明けはまだまだ遠い。長い一夜になりそうだった。
222SBI:2006/09/28(木) 12:17:19 ID:LbWs5K8F
これでおしまいです。
相変わらずのバカップルでした。ほんと、もうこの二人大好きです。
それでは、失礼いたしました。
223名無しさん@ピンキー:2006/09/28(木) 14:14:03 ID:SSK6lDLN
 前回といい今回といい、テーマが鬼畜でもラブラブでも一切の妥協なしに全力で
突っ走るあなたが大好きです! GJ!!
224名無しさん@ピンキー:2006/09/28(木) 22:10:49 ID:SepstxTV
これはえろい。
225名無しさん@ピンキー:2006/09/29(金) 00:21:18 ID:dDQ5CVED
いつもいい仕事してますな(´д`*)
今回も楽しみながら読ませて頂きました。GJ!!!
226名無しさん@ピンキー:2006/09/29(金) 18:56:03 ID:0wj7ilpZ
最後にオチがあるってのがホントにいいですね!
GJです!
227名無しさん@ピンキー:2006/09/29(金) 21:08:41 ID:RAQKLyxx
GJ!ベネディクト版もまたGJ
228SBI:2006/10/01(日) 10:54:36 ID:rqzv7HaG
また書いてきました。
また書いてきたのですが、今回は己のリビドーに任せて好き勝手に書いた結果、妙な話になってしまった気がします。
一応、アリソンの話なのですが……。
ともかく、いってみます。
229SBI:2006/10/01(日) 10:56:04 ID:rqzv7HaG
薄暗い洞穴の奥深く、二人の戦士が捕えられていた。装着者に絶大な戦闘力を与える強化服に身を包み、凶悪な異生物と戦う戦士へと変身する少女と少年。
しかし、今の彼らは得体の知れないスライム状の生物に取り込まれて、無抵抗のまま彼らのエネルギー源である精神の力を奪われ続けていた。
装着者を守る堅固なアーマーの隙間から侵入したスライムは強化服の機能を停止させ、さらにインナースーツの内側にまで入り込んで二人の戦士にまとわりついている。
スライム状生物はその粘液に含まれた強烈な媚薬成分と、相手の心に干渉する特殊能力で戦士たちを快楽の虜に変えようとしていた。
絶え間なく襲い掛かる異形の快楽は、彼らの頭の中を幾度となく真っ白にした。そしてその度に、彼らの精神エネルギーが強制的に発散され、スライムに吸収されてしまうのだ。
戦士たちは耐え続けていた。快楽に流されまいと歯を食いしばり続けた。だが、スライムにぐちゃぐちゃにされた強化服の内側がたまらなく熱かった。
頭の芯が痺れる。何も考えられなくなる。このままでは、本当に全てのエネルギーを奪われて、異生物たちの奴隷にされてしまうのに………。
「……っあ…も……らめぇ…私ぃ……こんなのムリぃ…」
「…まけちゃ…だめだ……たえるん…だ……」
アリソンとヴィル、それが戦士たちの名前だった。

アリソンとヴィルは全身スライム塗れで地面に横たわり、抱き締めあったまま必死でスライムの与える快感に耐えていた。
だが既に、強化服の内側も外側もぐちゃぐちゃのどろどろにされ、数時間に渡って快感に晒され続けた神経はもはや限界ギリギリまで追い詰められていた。
アリソンは無意識の内に、火照ってしょうがない自分の体を強化服越しにヴィルに擦りつけ始めていた。そしてその感触は確実にヴィルの心をも蝕んでいた。
「…ああっ!…らめ…なのにぃ……私ぃ…とまんないよぉ……」
「……くあっ…あ…アリソン……」
強化服は各部がアーマーに守られており、その部分を擦り合わせてもヴィルの体の感触は伝わらず、アリソンは地獄のようなもどかしさを味わうばかりである。
「…こんなぁ……おかひくなっちゃうよぉ……っ!!!」
アリソンに残された選択肢は唯一つ。動きやすさを優先するためアーマーを施されていない部分、二人の最も敏感な部分を包んだある部分を擦り合わせる事。
だが、それをやってしまえば最後、敵の思う壺にはまって、肉欲を貪り精神エネルギーを吸収されるだけの肉人形に堕ちてしまう。
それだけは避けなくては。アリソンは最後の理性で、欲望に流されそうな自分を押し止めていた。だが、スライム状生物がそんな事を許すはずもなかった。
「…ふあっ…や……うそ…私の体がぁ…あああんっ!!!」
スライムの持つ能力には催淫効果に加えてもう一つ、相手の心に干渉する力がある。
もちろん、戦士たちの強力な精神エネルギーは、そう易々とそれを許さないのだが、ここまでの責めによって戦士たちは既にかなりの精神エネルギーを失っていた。
ボロボロになった心に侵入し、必死の抵抗を続ける理性に成り代わって体を操る。弱り切った今のアリソンが相手ならば、スライムにとっては簡単な仕事だった。
「…っ!!うああああっ!!!…アリソンっ!!…やめ…っ!!…あああああああっ!!」
「…嫌ぁっ!!!…ああっ!!…こんなの…嘘ぉ…嘘よぉ!!!!」
インナースーツの中でギチギチに張り詰めていたヴィルのモノの感触が、アリソンのアソコを徹底的に苛め抜いた。
スライムに捕われてからどんな事があっても触れないようにしていたアソコは、異常なほど敏感になっていた。必死で守り抜いてきた事が、逆にアダとなったのだ。
熱くなったお互いの秘部を擦り合わせるごとに、脳が焼き切れてしまいそうな快感に襲われる。ついに最終防衛線を突破されて、二人の理性が崩壊し始める。
吸収される精神エネルギーの量はさらに増大し、無防備になったヴィルの心までもが侵蝕され始める。スライムに操られる二人の戦士は延々と痴態を繰り広げる。
「……くぅ!!…あ…なんで………だめだ…僕……も…とまれな……っあああああああっ!!!!」
「…いやぁ…やらのにぃ…とまんなひぃっ!!!とまんないよおおおおおおおおおっ!!!!」
230SBI:2006/10/01(日) 10:58:23 ID:rqzv7HaG
インナースーツ越しにでもわかる互いの大事な部分の熱さ。擦り合わせるごとに聞こえるスライムのぬちゃぬちゃという音。そして、快楽に負けていくお互いの声。
そういった全てが二人の興奮を増幅させていく。体は自らの意思を離れ、狂ったように敏感な所を擦り合わせる。快感に切り崩されて、思考能力が失われていく。
もはや抵抗など何一つ出来ず、与えられる快感に喘ぎ続けるだけの操り人形となったアリソンとヴィル。スライムは仕上げとばかりに、容赦ない絶頂で二人にとどめを刺した。
「…あっ!!…ああっ!!…や…イクぅ…イっちゃうううううううううっ!!!!!」
「…はぁ…あっ…うああっ!!…そんなぁ…射精るぅううううっ!!!!」
ガクガクと痙攣しながら、快感の雷に体を貫かれ、アリソンは力尽きた。戦いの道具である強化服の中に白濁をぶちまけた虚脱感に、ヴィルの心は崩れ落ちた。
激しい絶頂の余韻と、もはや自分達には何も出来ないという絶望感。虚脱し切った心と体から、スライム状生物は徹底的にエネルギーを奪っていった。
そしてそれは、二人をさらなる絶望のステージへと追いやる。それは………。
「…あ……そんな……う…そ……うそよぉ……」
アーマーが消えていく。何匹もの異生物を葬ってきた二人の武器が、跡形もなく溶けていく。
「…うそ……へんしん…とけちゃった……」
呆然とするアリソン。二人の戦士はいまや、ただの無力な少年少女へと成り下がった。精神エネルギーを奪われた事で、ついに変身を維持できなくなったのだ。
アリソンとヴィルに残されたのは、ぐちゃぐちゃのどろどろに汚されてしまった、頼りないインナースーツだけ。もう、どこにも勝ち目などなかった。
「…いや……もうやめて……もうやめてぇ……」
泣きじゃくり、イヤイヤと首を振るアリソン。だが、アリソンとヴィルの精神エネルギーを吸い尽くすまで、スライム状生物が止まる事はない。
虚ろな表情のまま抱き合う二人のに、スライム状生物からの非情な命令が下される。
「…らめ……も…むりらよ…これいじょ…されたら……」
荒く息を切らすアリソン。その目の前で、インナースーツの中でも特にぐちゃぐちゃになったアソコを包部分が溶けていく。
ヴィルのインナースーツも同様に溶けて、いやらしく変化した二人の恥ずかしい部分が露になる。それが意味するところは、誰の目にも明らかだ。
「…アリソン……こんな…僕…いやだ……いやなのに……」
「…たすけてぇ…ヴィルぅ……たすけてぇ………」
スライムの意思に操られ、アリソンの入り口の部分にヴィルのモノが押し当てられる。そして、二人を焦らすかのように、そのままの姿勢で待機させる。
直接触れた秘部の熱は強烈で、アリソンとヴィルの理性はずぐずぐと溶け出していく。
堕ちるのは嫌なはずなのに、したくてしょうがない。そんな気持ちがむくむくと頭をもたげる。
もはや二人には、これから始まる行為が、異生物の命令の元に行われるものなのか、それとも自分たちの淫らな欲望に突き動かされてのものなのか、全くわからなくなっていた。
そして、スライム状生物の命令が、アリソンとヴィルを最後の地獄へと突き落とした。
「…ひあああっ!!!!…はいってくるぅ…ヴィルのが、わたしのなかにぃ……っ!!」
蜜に濡れて貫かれるその瞬間を待ちわびる淫猥な花びら。そこに脈動する熱の塊がゆっくりと差し込まれていく。
下腹部に渦巻いていた二人の狂おしい淫熱が一つに融合する。とろけそうな挿入の感触だけで、アリソンは背筋を反らして絶頂してしまう。
それに背中を押されたように、アリソンの腰がガクガクと動き始める。ヴィルの腰が突き上げのスピードを加速させ始める。
「…ああっ!!…や…ああああああっ!!!…ああんっ!!!…らめっ!!らめえええっ!!!」
否定の言葉をいくら吐こうと、一度快楽に飲み込まれた体は止まる事が出来ない。内壁をヴィルのモノが擦りあげるたびに、アリソンの口から切ない悲鳴が漏れ出た。
アリソンのアソコは、その度に小さく痙攣してヴィルのモノを締め付ける強さを増大させていく。気の狂いそうなその快感に、ヴィルの腰の動きは激しくなっていく。
「…っあぁああっ!!!…ヴィルっ!!!ヴィルっ!!ヴィルぅううううっ!!!!」
「…アリソンっ!!!アリソンっ!!アリソン……………っ!!!!!!」
231SBI:2006/10/01(日) 10:59:11 ID:rqzv7HaG
泣きじゃくり互いの名前を叫ぶ合間に交わすキスも、スライムに汚れた体をこれでもかというほど擦りつける行為も、悔しいほどに気持ち良かった。
ヴィルは思った。たとえ今ここでスライムの精神支配から逃れても、きっと二人は止まる事も出来ず、快楽を貪り続けるだろう、と。
「…きもひいいのぉ!!!!ヴィルの…あつすぎるぅ!!!…もっとしてぇっ!!もっとぉおおおおぉっ!!!!」
もうアリソンには、湧き上がり続ける快楽を否定する事など出来なかった。完全に敗北して、淫欲によって堕とされていく自分自身に最高に欲情した。
もはや戦士としての自分は死んだ。いや、初めから自分は戦士などではなかった。こうして本能を剥き出しにされれば何の事はない、自分はただの色情狂だったのだ。
「…ごめ……アリソン…僕は……アリソンのことを……」
「…いいよ…ヴィル………わたし…ヴィルとなら……」
涙と粘液でぐちゃぐちゃの顔でアリソンとヴィルは見つめ合い、無我夢中でキスを交わす。そして、熱に浮かされた瞳を潤ませ、アリソンはヴィルにこう言った。
「ヴィル、いっしょに堕ちよ……」
目をつぶり、ヴィルはこくりと肯いた。強く強くお互いを抱き締めた二人は、スライム状生物の命令をも越える激しさで、行為を加速させていく。
考える事などやめてしまおう。もはやこの運命から逃れる術が無いのなら、大好きな人と一緒により深くより熱く、誰の手も届かない快楽の底に堕ちてしまおう。
「あはっ!!!やああんっ!!!すごひよぉ!!ヴィルっ…わらひ…こわれちゃうよおおおおおおおっ!!!!」
ヴィルのモノに激しくかき混ぜられる秘裂のその隙間から、くちゅくちゅという水音と共に、決壊したダムの如くアリソンの蜜が溢れ出る。
どんなに激しく突き上げられても、際限なく快楽を求める体は一向に満足せず、アリソンとヴィルの腰の動きは加速していくばかりだった。
狂ったように泣き、叫び、嬌声を上げて無数の絶頂を味わう。獣のように互いの体を貪る二人の瞳からは、感情の色が抜けていった。
「好きぃっ!!!好きなのぉ!!!!ヴィル、らい好きぃいいいいいっ!!!!!!!」
「はうぅあっ!!!アリソンっ!!!好きらよっ!!!僕も…好きぃいいっ!!!!」
神経の、感覚の全てが快楽に塗りつぶされていく。二人を繋ぐ物はもう他に何も無い。一緒に堕ちていく快楽の地獄だけが、今の二人の共有できる唯一のものだった。
もう他には何もいらない。必要ない。この熱の中で溶け合って、一つになって、それだけが二人の幸福なんだ。
もっと熱く!!もっと激しく!!!加速していく行為の中、マグマのように煮えたぎる狂熱に、快楽の津波に呑まれて、二人は最大級の絶頂を迎える。
「ふあああああっ!!!!!アリソンっ!!!!アリソンっ!!!!!!」
「イクっ!!!イっひゃうよぉっ!!!…ヴィルっ!!!…ヴィルぅううううう――――――っ!!!!!!!!!」
脈動と共に吐き出されたヴィルの熱がアリソンの中を満たして、それでも収まらずに接合部から溢れインナースーツを白濁に汚す。
力尽きた二人は激しい絶頂感のため、重なり合ったまま意識を失う。こうして二人の戦士は、アリソンとヴィルは完全敗北した。
だが、スライム状生物はこれで二人を解放したりはしない。彼らにはまだ利用価値がある。精神エネルギーはその生物が息絶えない限り微弱ながらも発生し続ける。
以前ほどではないにしろ、まだまだ彼らからエネルギーを搾り取る事が出来るのだ。彼らの命の火がこの地獄に消えるまで、快楽の狂宴は終わらない。
232SBI:2006/10/01(日) 11:00:33 ID:rqzv7HaG
…………という設定のプレイだった。
「…………ああっ……ヴィルっ…ヴィルぅ……」
「ちょっと、アリソン。正気にもどって」
ここは二人のアパートの物置。二人が着てるのはアリソンが空軍の同僚の女性からもらったコスチュームである。異常な量のローションも彼女から貰った物だ。
ヴィルは寝そべったアリソンをそのままにして起き上がり、ふうっとため息をついた。
「………それにしても、どうして僕はこんな役回りを……」
「………そりゃあ、ヴィルには悪役無理だし。あとは私の好みだけど……」
まあ、その辺は妥当な判断だった。悪の魔王ヴィルヘルム・シュルツなんて、いかにも迫力が無さそうだ。そんなこんなでアリソンが考えたのが、先程のストーリーである。
もちろんアーマーは消えたりしてない。この怪しげなコスチュームの鎧部分は、全体を支えるベルトの留め金を外す事で、全て脱げてしまうのだ。
インナースーツの局部も溶けてはいない。元から目立たぬ程度のファスナーが設けられているのだ。スライムに操られていたのも、当然お芝居である。
しかし、アリソンの演技があまりにもハマっていたため、ヴィルもなんだかそんな気分になって、お芝居なのか本当にそういう目にあっているのか判らなくなってしまった。
思えば恥ずかしい事をたくさんした気がする。
「……ヴィルもノリノリだったし、きっと私と同じ状態だったのね」
「………って、アリソンも?」
「うん、何だか本気で燃えちゃったわ。レイプ願望とかは全く無いけど、ヴィルとならどこまでも堕ちていきたいって感じで……」
赤面するヴィル。アリソンはそんなヴィルを引っ張って抱き寄せる。それはちょうど先程の、プレイが終わった直後の二人と同じ、力尽きた二人が折り重なった状態であった。
「えっ!?な、なに?アリソン!?」
「あはは、もう少し『敗北しちゃった正義のヒロイン』気分を味わいたくて………だから……」
と言いつつ、アリソンはローションでぬるぬるの体を微妙な力加減でヴィルの体に擦りつけてくる。ヴィルの意思と関係なく、再びヴィルのアレが反応し始める。
「ちょ……アリソン!?…やめ……」
「ヴィル、いっしょに堕ちよ……」
というわけで、結局最後の最後まで台本どおり。二人の夜は、まだまだ終わりそうになかった。
233SBI:2006/10/01(日) 11:07:01 ID:rqzv7HaG
これでお終いです。自分の趣味ばっかりに偏っててごめんなさい
いや、なんというかアリソンで陵辱なんて興味ないくせに、アリソンとヴィルが二人そろってやらしい事を強要されるとか大好きなんです。
駄目だと思ってるのに、相手が好きな人であるが故に抗えずに堕ちていく、みたいなのが良いんです。
あと、こういう設定のプレイに以上にノリノリなアリソンも書きたかったんです。
お目汚しして申し訳ありません。ともかく、失礼いたしました。
234名無しさん@ピンキー:2006/10/01(日) 15:13:39 ID:unvMqZBK
GJ!!!!!!! 新境地だ!!!!
235名無しさん@ピンキー:2006/10/03(火) 19:19:00 ID:8FQfncfN
GJ!
236名無しさん@ピンキー:2006/10/05(木) 18:37:55 ID:bYECG7+T
GJです!!


237名無しさん@ピンキー:2006/10/06(金) 21:36:16 ID:iz+QgQ7/
>…………という設定のプレイだった。
ちょww吹いたww
GJ!
238名無しさん@ピンキー:2006/10/08(日) 13:00:10 ID:kZjd5sTc
239名無しさん@ピンキー:2006/10/09(月) 00:25:30 ID:OMwRF0eZ
>>238
まさに俺の事じゃ無いか。
240178:2006/10/10(火) 16:01:08 ID:ccrftJKS
おっひっさっ! えろえろーえろえろー
ここまで保管しました。

第三保管庫 ttp://kujira.s8.x-beat.com/kino/
241名無しさん@ピンキー:2006/10/10(火) 17:46:01 ID:cXShyOLb
乙です
242名無しさん@ピンキー:2006/10/11(水) 00:23:33 ID:3SDOwZM4
hp44号のキノが服を脱ぐシーンで、以前のシズ様セーターふりちん疑惑と同じ事を考えてしまった。

あまりの暖かさに防寒着の上下とジャケットを脱いで、シャツ「だけ」の姿になるキノ。はふぅ。
243白雀 ◆T2r0Kg7rmQ :2006/10/11(水) 01:52:09 ID:p6hTRK/a
おばんです。だいぶ昔に投稿して今回以来二度目の投稿となりました。
10日発売のキノの旅]巻を読んで即効で書いたネタですので、]巻の微妙な(致命的ではないですが)ネタバレを含みます。
あと、ロリですので、]巻のネタバレおよびロリネタが苦手な方はスルーしてください。

タイトル「在るロリコンの旅」
244在るロリコンの旅 1/3:2006/10/11(水) 01:54:06 ID:p6hTRK/a
 昔、キノが師匠と呼ぶ老婆と一緒に暮らしていたころのお話です。
 まだ、キノの髪がとても長かったころのお話です。
 その晴れた日に、森の中のログハウスに、バギーに乗った一人の青年がやってきました。
 腰に刀を差し、緑のセーターを着て、なんだかハァハァ息を荒げている20代くらいの男でした。

 男はキノをじっくりと観察するように眺めます。
 黒くて艶やかな長い髪。
 とても数年後には平気で人を撃ち殺せるまで成長するとは思えないほど清純な光に満ちた大きな瞳。
 突然現れた男を見て、きょとん、と首をかしげる仕草。
 肩についているヒラヒラのフリルが可愛い、ピンクのエプロン。
 まだ発育しきっていない体ゆえの、膨らみのない平らな胸。(数年経ってもあまり成長しないけれど)
 幼さを引き立たせる頭の大きなリボン。 
 まさに幼女から少女へと移り変わりつつある愛らしさにあふれ、それはもう、お人形さんのように可愛らしい姿をしていました。

 キノがどうしたんですか、と尋ねると、男は、人がいて助かった。大変なことになったから助けて欲しい、と熱を帯び興奮したような顔で言いました。
 その怪しさに、キノは当たったら痛いゴム弾を全弾プレゼントしようかと思いましたが、男の発するただならぬ気配を感じて、やめました。
 とりあえず師匠に報告しようかと思いましたが、男は小さなキノの手を取ると、茂みの向こうへと手を引いて強引に連れて行きました。

 実はそこで用を足していたら、蛇に噛まれてしまいまして、と言いながら、男はズボンを下ろし、大きくなった性器をキノの眼前に晒しだしました。
 ズボンの中にどうやってこれを入れていたんだというくらいに大きく膨らみ、赤黒く充血し、ビクンビクンと脈打つ男性のそれを見て、キノは小さく「きゃっ」と声を漏らしました。
 そして、押さえつけていたズボンから開放されたことと、少女の前に自分の性器を晒すという行為への背徳感から、よりいっそう男の性器は大きくなっていきます。
 初めて見るそれに、キノはそれを見ないようにすればいいのか、それともじっくり見たほうがいいのか、初めてのことで戸惑いながら顔を真っ赤にして男の出方を伺います。
「あ、あの、大丈夫なんですか?」
「それが……こんなことになってしまって苦しいのです。こんなことを可愛らしいお嬢さんに頼むのは申し訳ないのですが、お嬢さんの手で毒を抜いていただけませんか?」
 ドキドキしながら上目遣いで尋ねるキノに、男は真剣な口調で頼んできます。
「あ、それだったらわたしの師匠の方が、なんでも知ってますからわたしよりうまく毒を抜けると思います」
「いえ、そんなヴァヴァアに興味は無い……ではなくて、子供の柔らかい手のほうが、男の大事なところを傷つけることが無くて安全なんです。
 どうか、この見知らぬ旅人を助けると思ってお願いします」
 キノは眼前で元気に自己主張する男性器と、苦しそうに、でもどこか嬉しそうに息を荒げる男の顔を何度も見比べ、意を決したように小さく頷きました。
245在るロリコンの旅 2/3:2006/10/11(水) 01:55:42 ID:p6hTRK/a
「こ、こうですか?」
 キノはその白くて細い指を男の性器にあてがうと、そっと指を曲げて握ります。幼いキノの手にははまりきらない大きな男性器を、キノは両手で頑張って包み込みました
「そうですっ。も、もう少し強く握ってもいいですよ。そしたら、搾り出すように前後にしごいてください」
 そう言われて、キノは野菜を洗うときのように手を前後に動かして太い竿をこすります。ただでさえ焼けた鉄のように熱い性器が、キノの手でこすられるたびにさらに温度を上げていくかのようです。
「おっ、そう、そうです。あっ、もっと根元から、全体をお願いします」
 言われるままにキノは性器の付け根、芋のような玉袋があるところまで手を持っていき、根元をぎゅっと押さえては頂点に向けてまた指を滑らせます。
「くぅっ、い、いいですよキノさん」
 わたし自分の名前言ったっけ、とキノはちょっぴり疑問に思いましたが、手の中でさらに大きさを増し、天を目差して反り立つ男性器の姿と、先端からにじみ出てきたねばつく液体が手にからむ感触に気を取られ、その疑問はしぼんでいきました。

 森の中、下半身を露出させ、まだ12歳になったばかりの少女に手コキさせている男の図は、もしここに人が通りかかったら即座にパースエイダーで撃ち殺していたことでしょう。
 しかし残念なことに、いや男にとっては幸運なことに、今彼らの周りに人の気配は無く、性器を幼いキノの小さな手で刺激され快感で喘ぐ男の声と、ひそかに感情が高ぶってきたキノが口から漏らす吐息だけが
 静寂な森の中に発せられては吸い込まれていくのでした。

「あの…やっぱりわたし、ヘタでしょうか?」
 繊細で可憐な指が十本全て男の先走り液でベトベトにしたキノが、いまだに男の性器に変化がないのを見て申し訳なさそうに男を見上げます。
 目の端にうっすらと涙を浮かべ、それでも健気に手を動かし男性器を刺激し続ける仕草にあやうく男は達してしまうところでした。
 しかし、もう少しこの少女の愛撫を楽しみたいと、鉄のような精神力で男は必死に我慢し、平静を装って答えます。

「いいえ、ここまでくればあと少しです。キ……いえお嬢さん、本当に申し訳ないのですが、その、お口で吸い出してくれませんか?」
「え? く、口でですか?」
 さすがのキノも、それは抵抗があるのか手を止めて男の性器をじっと見つめます。
「はい。あ、心配は要りません。蛇の毒と言うのは血管から体内に入るから危険なのであって、口からお腹に入る分には危険は無いのです。
 ですから、万が一飲み込んだりしてしまっても大丈夫ですよ。ただし、キノコやフグなどの毒はもちろん口から入れると危険ですが」
 そういうことじゃないんだけどな、とキノは思いながら、しかしさらに大きさを増した目の前のモノを見て決意したようによし、と頷きます。
(旅人さんをもう死なせたりしない。今度はわたしが旅人さんを助けなくちゃ)
 キノは両手で男の性器を固定し、ちょうど自分の口の位置にセットするとおそるおそる顔を近づけます。
(うわぁ……こうして正面から見ると、すごい)
 怒張した大きな男性器がまるで今にも飛び掛ってきそうな凶暴な動物に見えて、キノは一瞬動きを止めます。しかし勇気を出し、挨拶をするようにその亀頭の先端に口づけをしました。
「っあ……! き、気持ちいいです。そのままもっと……!」
 男のモノなど受け入れたことも無い小さなキノの口の中に、限界まで膨張した卑猥な性器が少しずつ飲み込まれていきます。
 歯を立てないように気をつけながら、キノは息苦しいのを我慢して、液がまとわりついてほのかに変な味のする肉棒を口の奥へと導きます。
 恥ずかしさと苦しさと興奮で、餅のようにぷにぷにと膨らんだキノのほっぺたはリンゴのように真っ赤になっていました。

 男のモノを半分ほど咥えたところで、これ以上は入らなくなりました。やはり大人のものは、まだ幼いキノには大きすぎます。
 男としても強引にやればキノの喉の奥まで性器を突っ込んで口内を全て犯せたのですが、自分のために頑張ってくれている無垢な少女を苦しめないよう、かろうじて残った理性でそれだけは我慢しました。
246在るロリコンの旅 3/4:2006/10/11(水) 01:58:32 ID:p6hTRK/a
 さて、口に咥えたはいいものの、キノはどうしたらいいか分かりません。
 とりあえず口をすぼめ、まだキスもしたことのない清らかな唇を太い棒に吸い付かせ、息を吸うようにして毒を吸い出そうとします。
 キノの小さな口ではどうしても舌が行き場に困り、中でチロチロと所在無さげに動いては、時折性器に触れて強烈な刺激を男に与えます。
「そう、うっ、その、調子で、す。いい……!」
 口を塞がれたキノが鼻で呼吸をするたび、鼻から出る息が唾液で濡れた肉棒にかかり肉棒をかすかにくすぐります。
 ゆっくりとキノが頭を前後に動かすたびに、とても長い髪がさらさらと揺れ、木々の隙間からさす木漏れ日がその綺麗な髪の一本一本までキラキラと光らせます。
 ただ吸いながら頭を動かすだけの単純な動きで、しかもキノの小さな口では完全には咥えられずしょっちゅう可愛らしい歯が当たってしまったりする拙い口内愛撫ですが、
 汚れ無き少女に、しかもあのキノの幼い頃の姿の少女に口でしてもらっているという目の前の光景が何よりも男に興奮を与えます。
 キノは一生懸命、目に涙を浮かべながら男のことを思って口と手を動かし続けます。
「ぐっ……! そ、そろそろいきそうです!!」
 初めてのキノには分かりませんでしたが、男は自分の限界がすぐそこまで来たのを感じました。強烈な射精間が、下半身から沸きあがってくるのが分かります。
 気持ちよくイクために、男はキノの動きに合わせ、自分も腰を振り、幼いキノの中を犯します。
「ん――、ん――――?」
「っ! いっ、いきますっ!!」
 自分のモノを掴んでいたキノの両手に自分の両手を添えると、強く握ってキノの手ごと激しく自分のモノをしごく男。そして、急な責めにどうしていいか分からないキノの口の中で、まるでパースエイダーが暴発したかのように男の性器が激しく脈打ち、暴れました。
 その先端からまず第一波、勢いよく飛び出た濃い精液が一瞬にしてキノの口内を征服します。
「っぷはっ、やぁっ!?」
 突然口中に広がる、濃い塩味と粘っこい感触に驚き、キノは反射的に口を離します。ぶるぶると震える性器はキノの口から離れたとたん、最後に感じたキノの唇の柔らかい感触を引き金として
 第二波をキノの顔めがけて発射しました。
「っあああ!! おおぉぅっ!! キノさんっ……キノさんっ…………!」
 腰をガクガクと震わせながら、本能的に愛する女性の名を呼び、男は無心でキノの手を押さえつけしごかせつづけます。液体火薬のように濃厚で、ニトロのように熱くたぎる精液は、
 愛らしいキノの顔、口、鼻、頬、おでこ、手などに次々と降り注ぎます。
 そしてもちろん、長くて綺麗だった黒い髪の毛にも大量にかかっていきます。頭のてっぺんから前髪まで。師匠も褒めてくれた長い黒髪のあちこちが白濁の液で汚されてしまいました。
 それから、女の子らしいリボンにも。そして、幼さと可愛らしさを引き立たせるフリフリ付きのエプロンにも。
 長い長い放出がようやく収まった頃には、幼いキノの上半身は余すところ無く男が放った精液で彩られていました。
 キノは目の前で起きた出来事にどう対応していいか分からず、口元から精液をこぼしながらぺたんと座り込んで放心したまま、キノの鼻先についた精液とつながって糸を引いている
 男の性器をぼーっとした目でただ眺めているのでした。
247在るロリコンの旅 4/4:2006/10/11(水) 02:01:58 ID:p6hTRK/a



「……というわけで、私は12歳のキノさんに会って悪戯……もといキノさんが幼いうちから旅の極意を教えてあげるために、旅の目的をタイムマシンを探すという目的に変更しようと思うんだ」
 質素なホテルのベッドの上で、ティーを自分の膝の上にちょこんと乗せながら、シズは愛犬の陸と幼女のティー、一人と一匹に言い聞かせるように力強く演説していました。
 シズの横には、シズが今日買ってきたばかりの新刊「キノの旅・]」が置かれています。
 もちろん、ロリキノのイラストが載っているカラーページには、いつでもすぐにロリキノが見られるように栞がはさまれていました。
 座っているティーのお尻には、膨らんだシズの股間の硬い感触がさっきからずっと触れっぱなしです。
 まだ旅立つ前、純粋無垢なキノに悪戯をするというシズの妄想を延々と聞かされ、「もうダメだなこの男」と言う冷ややかな感情を込めた目で陸はシズを見ていますが、
 普段の陸の顔が顔だけにシズには届きませんでした。

「どうだろう陸、ティー。世の中には重力をなくす方法を求めて旅を続けた人もいると聞く。もしかしたら、タイムマシンだってこの世に存在するかもしれない。
 そしてそのタイムマシンで昔に行き、愛らしいキノさん、まだ血の匂いもしない、可愛くて、従順で、清らかで、無知で、健気で、つるぺたで、幼いロリなキノさんに出会って……って……」
 再び妄想の世界に入りかけたシズは、ティーがどこからか細長い円筒状のものを出したのを見て言葉を止めました。
 それは、以前シズが警察のお仕事を手伝った報酬として貰い、ティーにプレゼントした、破壊力の高いグレネードランチャーでした。
 その銃口は、真っ直ぐロリコン侍ことシズの顔面を正確に捉えていました。
「……なんでやねん」
「……ティー。それは人に向けて撃っちゃ……アッ――――!!」
 閑静な裏道に、爆音が鳴り響きました。
 ティーにとって、それはやきもち故の行為なのか、それとも単なるツッコミのつもりだったのか、それはティーではない我々にはわかりません。
 しかし結果として、ツッコミにしては強烈過ぎる手榴弾の一撃は、後一歩で犯罪者になりかけたロリコン侍シズを時空のかなたまで吹き飛ばしたのでした。

 終わり

248白雀 ◆T2r0Kg7rmQ :2006/10/11(水) 02:07:30 ID:p6hTRK/a
以上です。お粗末さまでした。3レスで終わるかと思いきや4レスかかってしまい、見誤りました。不覚です。
]巻は期待通りの面白さでしたが、話より、挿絵のロリキノが最高でした。
あの絵のためだけに]巻を買ってよかったと思えるほどの少女っぷりは正直やばいです。
あの少女が、どうしたら数年で平気で少年少女でも殺そうとできる人間に育つのか不思議でたまりません。
私は○○コンではないはずなのですが、あのロリキノについ悪戯したいという気持ちが沸いて来まして、思わず書いてしまいました。
ここのところずっとSBI様ばかりが投下していたので、たまには他の職人も頑張らないと、という気持ちもありましたし。

こんな話で恐縮でしたが、読んで下さった方々ありがとうございました。
249名無しさん@ピンキー:2006/10/11(水) 08:14:08 ID:ILVle3HW
GJ!次回も頼むぜ
250名無しさん@ピンキー:2006/10/11(水) 08:22:11 ID:k+1oG1/q
熱弁するシズにワロタ、GJ
251名無しさん@ピンキー:2006/10/12(木) 14:47:11 ID:9uKsmPrX
アルェ?エリアス×サラの方が最初にやってくると思ったんだけどなー
ともあれGJ!!
252名無しさん@ピンキー:2006/10/12(木) 19:08:35 ID:1OuSI0Ek
超GJw
盛大に吹いてオッキしたww
253名無しさん@ピンキー:2006/10/12(木) 21:18:28 ID:9nX5OQf6
キノ「んんぁぁあ!ふ、ぁああん…らめぇぇぇぇぇぇ!!」
エルメス「僕のハンドルでオナニーしないでほしいな」
254SBI:2006/10/13(金) 12:42:26 ID:sHXDHTGv
>>240
遅ればせながらGJ!!いつもありがとうございます。

>>244-247
よいですよね、ロリキノ。GJでした。

で、俺もまた書いてきました。ネタとかなしの直球勝負のシズキノが書きたかったんですが、えらく難産になってしまいました。
それでは、いってみます。
255SBI:2006/10/13(金) 12:43:13 ID:sHXDHTGv
ボクがボクでなくなってゆく。薄暗い部屋の中、軋むベッドの上で、そんな不思議な心地を味わいながら、体中を駆け抜ける快感に、ボクは喘いでいた。
「……っ!!…あはぁ!!…あ…や……シズさぁんっ!!!」
ボクより随分大きなシズさんの手の平が、ボクの肌の上を滑り、恐ろしいぐらいに繊細な動きで、ボクの敏感な部分を刺激してくる。
危険な旅の中で、いつ襲い掛かってくるとも知れない危機に対して固く身構えているいつものボクが、シズさんの腕の中でボロボロと崩れていく。
直に触れたシズさんの体はあまりに熱くて、シズさんに触れられた所が死ぬほど疼いて、ボクの頭はそれ以外の何一つとして考える事が出来なくなってしまう。
「…はぅ…あ…ひゃああああんっ!!!…シズさんっ!!…だめぇ…そんなとこぉ…っ!!!」
耳に馴染んでいる筈の自分自身の声が、熱を帯びた甘くいやらしい声音へと変化していく。
誰よりも良く知っているはずの自分の体が、シズさんに触られてどんどん感じやすく、エッチに変えられていく。
変わっていく自分の様子に呑まれて、ボクの中のエッチな気持ちがさらに加速していく。全てをシズさんに委ねて、ただ気持ち良い事だけを追い求める。
「あいかわらず、キノさんの胸は可愛いな………」
「…ひぁ…シズさ……ちくび…そんなされららぁ……」
お世辞にも大きいとは言えない、っていうかほとんど大きくなっていないボクの胸の上、ボクの興奮を体現するように張り詰めたピンク色の突起。
その先端を、シズさんの指先が、触れるか触れないかの微妙な力加減で何度も撫でてくる。
何度も、何度も、ボクがどんなに大きな声を出しても、決してそれ以上の力は込めず、ボクの理性の薄皮を剥ぎ取るように執拗に愛撫を加えてくる。
疼きっぱなしの胸が切なすぎて、本当に頭がどうにかなってしまいそうで、ボクは何度も自分の指で胸を弄繰り回そうと試みた。
だけど、腕が上がらない。責められてるのは胸の筈なのに、背中全体がぞわぞわとした痺れに襲われて、体中から力が抜けていく。
無抵抗のまま、快感ともどかしさの間で身悶え続けるボクを、シズさんは、焦らして、焦らして、もう前も後ろもわからなくなってしまうまで焦らしまくった。
「…あっ…や……シズさん…シズ…さぁん……ボク…もう……」
「どうしたんだい、キノさん?」
この疼きをどうにかしてほしい。ボクはただその一心で、潤んだ瞳でシズさんを見上げ、うわ言のようにその名前を呼んだ。
だけど、ボクの体が今どんな状態にあるのか知っているはずなのに、シズさんはボクに微笑むだけ。ひと時も手を休めず、ボクの乳首を撫で続ける。
「…はぁ…はぁ……シズさん…いじわる…しないでくださ……」
「いじわる?何の事だい?」
「…だからぁ……ボクの…ボクのちくび……も…こんなのムリです……」
「そうか、それじゃあ……」
涙目で訴えたボクの言葉に、シズさんは静かに肯いた。ようやく、この疼きから解放されるのかと、ボクは安堵のため息をついた。しかし……
「…えっ?……なんで……シズさん……」
シズさんはボクの胸の突起からすっと指を離して、疼きっぱなしのその部分にとどめを刺さず、生殺しのままに放置してしまった。
「…そんな……このままじゃ…ボクぅ……」
取り残されたボクの乳首は、延々と続いた責めのクライマックスを待ち構えて、痛いぐらいにきゅっと張り詰めている。
何とかしなければ。気持ち良さに霞んでしまった頭を必死に動かして、ボクは力の抜けてしまった腕を何とか持ち上げて、自分の乳首を摘んだ。
だけど、絶え間なく続いたシズさんの責めのお陰で、ボクの手はすっかり役に立たなくなっていた。
力が入らない。指先が震えて思うように動いてくれない。思い通りにならない体に、ボクの中の疼きはさらに増大していく。
「…あっ……はぁ…ふあ……らめ…シズさん…おねがい……おねがいですからぁ……」
「……今度は何だい、キノさん?キノさんが言うから、俺は指を止めたんじゃないか……」
「…そんな……もう…いじわる…やめてくらさ……ボク…このままじゃ…ほんとにおかしく……」
「だから、何をしてほしいのかはっきり言ってくれなくては、俺にはどうしようも出来ないよ、キノさん」
いつもと変わらない笑顔のまま微笑むシズさん。ボクはシズさんの腕の中、その笑顔を呆然と見上げながら、震えていることしか出来ない。
限界まで追い詰められた疼きは、もはや快感とも他の何かとも判別の出来ない、焼けそうなほどのエネルギーとなってボクを内側から焦がしている。
ボクにはもう、選択肢など無かった。
256SBI:2006/10/13(金) 12:44:25 ID:sHXDHTGv
「…おねがい……シズ…さん…ボクのむね…さわって……」
「そうか。いいんだな、キノさん?」
「はい…シズさんの手で…ゆびでぇ……ボクのむね…めちゃくちゃにしてください……」
ようやく、シズさんの指先がボクの胸の上に添えられた。
実際はどれくらいの時間が経過していたのだろう。何時間も待たされていたような心地で、乳首の先に触れた感触にボクは小さく声を上げた。
再び、シズさんの指がボクの乳首の先端を撫で始める。さっきまでと同じ力加減で、しかし、指先を動かすスピードは確実に速まっている。
「…ああっ!!…ボクの…ボクのむね…焼けるぅ……焼けちゃううううっ!!!!!」
たまらないその摩擦感に、ボクは切ない悲鳴を上げる。ぽろぽろと歓喜の涙をこぼしながら、駆け抜ける甘痒い感覚に叫び続ける。
再開された責めだけで、快感のオーバーヒートを起こしてしまいそうなボクの胸。そこをさらに、シズさんは強すぎも弱すぎもしない絶妙な力加減で掴んだ。
掴むと言っても、ほとんど膨らんでいないボクの胸は、シズさんの指の形にほんの少しへこむのが精一杯。
それでも、シズさんの指先で自分の胸を揉まれる感覚は、信じられないほど気持ちが良かった。
もはや胸全体が快感の震源地に成り果てていた。ボクはシズさんの指先の動くまま、泣いて喘ぐ一つの楽器に変わっていった。
そして、シズさんの責めはついに、迎えるべきときを迎えることになる。
「さあ、キノさん、ずいぶん待たせてしまったなっ!!!」
「ああっ!!?ひゃぅううううううううっ!!!?」
シズさんの指先が、ボクの左右の乳首を摘み上げた。またしても強すぎも弱すぎもしない絶妙の力加減で、ボクの乳首をくちゃくちゃに弄んだ。
もちろん、今のボクにそれが耐えられるはずもない。小さな穴から巨大なダムが決壊するように、ボクの中に蓄積されていた熱の全てがその一転に爆発した。
「ふあああああっ!!!ああっ!!シズさ…すご…こんなの…すごすぎるぅうううっ!!!!」
もはやこの快感の歯止めとなるものは何一つなかった。自分の体で起こっている快感の小爆発の数々に、ボクはただ悲鳴を上げることしか出来ない。
だが、胸を襲う快感だけでこの有様のボクの体は、当然の如く他の刺激に対しても極端に無防備になっていた。
その隙を、シズさんが見逃すはずも無かった。
「ひぅ…あはあああああああっ!!!…ひゃんっ……シズさぁんっ!?」
シズさんの舌先が、ボクの鎖骨から首筋へのラインを、すうっとなぞった。それだけで、いつもなら信じられないような異常な快感がボクを襲った。
自分に何が起こったのかもわからないまま、次々と加えられる全身へ愛撫。長く長く焦らされ続けたボクの体は、胸だけでなく全体が異常に敏感になっていた。
「…キノさんの肌…甘いな……」
「…シズさん…そんな…ボク…恥ずかしい…」
シズさんはボクの左の乳首を口に含み、舌先で丹念に舐めあげた。ねっとりとまとわりついて、しかも指先より巧みなその動きで、ボクの乳首は嬲られまくった。
さらに自由になったシズさんの右腕は、ボクのお腹をなぞって下の方に降りていく。
辿り着く先はただ一つ。しかし、指先の動きは緩慢で、当然予想されるその瞬間は先延ばしにされていく。
じゅわり。既にびしょびしょになっていたボクのアソコのその奥から、今までよりもさらに濃厚な蜜が溢れ出してくる。
果実が十分に熟するのを待つようにたっぷりと時間をかけてから、シズさんの指先はボクの一番大事な部分へと辿り着いた。
「…あっ……ひぁ…シズさぁん……」
入り口を撫でられる、切な過ぎるその感触。今までと同じようにたっぷりと焦らしてから、シズさんの指先はボクのアソコに、ほんの浅く差し込まれた。
上下に何度も、いやらしい水音を立てながら、シズさんの指が動かされる。しとどに溢れ出す愛液が、シズさんの手の平までびしょびしょに濡らしていく。
たまらなく恥ずかしいその感覚が、しかしもう一方で、どうしようもなく気持ちいい。シズさんに全てをさらけ出すことが、ボクの中でそのまま快感へと変わってしまう。
「びしょ濡れで、とっても熱くて、キノさんのアソコはとってもエッチになってるね」
「…シ、シズさんの…せいです…シズさんが……ボクにあんなふうにするから………」
「ああ、そうだね……」
257SBI:2006/10/13(金) 12:45:01 ID:sHXDHTGv
涙目のボクに微笑んでから、シズさんはボクにキスをしてくれた。重ねあわされた唇を、ボクは夢中で味わい、舌を絡ませあった。
息継ぎをする間も惜しんで、ひたすらシズさんの唇を求める。唇から溶けて一つになってしまいそうなぐらいに、何度も、何度も、キスを続けた。
「なるべくキノさんを気持ちよくしてあげたくて、色々とやってみたんだ。……でも、少しやり過ぎたかな?」
「そんなこと、全然無いです」
すまなそうに言ったシズさんに、ボクは微笑んで、そう答えた。
そうだ。そんなこと、全然無い。
だって、今のボクに、シズさんがくれる感覚全てが、愛しくて、切なくて、なによりも大事なものなのだから。
快感に翻弄され続けて、もはやまともに働かないボクの頭。ぼんやりとした意識の中で、ただ一つはっきりとしたものがある。
シズさんが、好きだ。
今、ボクの素肌に触れる指先。それがシズさんのものでなかったら、ボクはきっとこんな気持ちにはなれない。
ボクもシズさんも自分の選んだ生き方を変えない。変えられない。一度別れてしまえば、もう二度と会えるかどうかもわからない関係。
それがわかっていてもなお、消える事無くボクの胸に燃え続けるこの思いが、今のボクを突き動かしている。
ボクはシズさんが大好きだ。
だから………。
「……シズさん」
シズさんの大きな背中に腕を回して、きゅっと抱き締めた。シズさんの肩に顔を埋め、耳元に直接話し掛けた。
「………きて…ください」
「………ああ、わかった」
シズさんの大きな腕がボクを抱き締めた。背中に回したシズさんの腕が余るほど小さなボクの体は、シズさんの腕の中にすっぽりと包まれてしまう。
しばらくそのままで、ボクとシズさんは体中でお互いの体の熱さを感じあった。そして、再びベッドの上に寝かされたボクの大事な部分に、シズさんのモノがあてがわれる。
「いくぞ、キノさん……」
シズさんのモノが、ヤケドしそうなほどの熱を帯びた巨大な質量が、ボクの大事な部分を押し割って、侵入してくる。
体の奥までシズさんに貫かれて、満たされて、シズさんと一つになれた歓喜にボクの体はさらに熱を増大させていく。
「…あっ…シズさん……シズさんのがボクにぃ……」
息も絶え絶えの中つぶやいたボクの頭を、シズさんの手の平がそっと撫でる。貫かれた感触だけでおかしくなりそうなボクの頬に軽くキスして、シズさんは動き始めた。
「…やぁ…ああっ!!…あっ!!……あはぁ!!!…シズさんっ!!!…シズさぁああんっ!!!!」
ボクを気遣うかのようなゆったりとした動き。それでも執拗な愛撫で焦らされ続けたボクの体は、言いようの無い快感の津波を生み出してしまう。
奥の奥までぐっしょりと濡れたボクのアソコ。シズさんが突き上げるごとに、隙間から溢れ出る蜜がシーツの上に水溜りを作る。
ボクの体は無意識の内にシズさんのモノを強く強く食い締めているのに、洪水のような蜜が潤滑油となって、シズさんのペースはむしろ速くなっていく。
「キノさん…すごい……熱くて、気持ちよくて……今にも出してしまいそうだ……」
「ああっ!!…シズさんのも……ふああっ!!…はげしくて…すごくて…ボクぅ……っ!!」
沸騰しそうな血液で膨張したシズさんのモノと、熱く疼いてしょうがないボクのアソコ。お互いの一番熱い部分で繋がったボクとシズさんは、我を忘れて行為に没入した。
何度も何度も、シズさんのモノの先端がボクの一番奥のところをノックした。痺れっぱなしのアソコを無茶苦茶に攪拌されて、ボクの体は幾度となく快感の電流に貫かれる。
許容量いっぱいの快感を味わってるはずなのに、それでも満足できない体が、腰が、ガクガクと痙攣したように動き出す。
「…ひあぅ!!…ああっ!!…きゃああああんっ!!!…ああっ…シズさんもっと……もっとぉおおおおおおっ!!!!!」
ボクの叫びに呼応するかのように、シズさんの突き上げはさらに激しくなっていく。体の中に感じるシズさんの熱がじわりじわりと上昇しているような気さえする。
腰を動かしながら、シズさんはボクの体中のいたるところに何度も何度もキスをした。触れた唇の熱さはボクの興奮を否応なく高め、快感はさらに増大していく。
「あああああっ!!!シズさんっ!!シズさんっ!!!シズさんっ!!!!!!」
258SBI:2006/10/13(金) 12:47:59 ID:sHXDHTGv
突き上げられる感触に喘ぎ、弾けそうな快感に嬌声を上げる。突き上げられる度に聞こえる水音のいやらしさに、さらに興奮してしまう。
快感の海の底へと沈みながら、ボクは強く願っていた。もっとシズさんが欲しい。シズさんと一緒に気持ちよくなりたい。
もっと高い場所に、シズさんと一緒に登りつめよう。もっと熱く激しく溶け合って、シズさんとひとつになろう。
「ふあ…シズさん……好きっ!!…好きですぅうううううううっ!!!!!」
「俺もだ、キノさんっ!!!」
お互いの体をきつく抱き締めあったまま、ボクとシズさんはお互いの体温に溺れて、与え合う快感を貪った。
体中が気持ち良くて、もう訳がわからない。蕩け果ててもう役に立たなくなった頭で、数え切れないほどに交わすキスに夢中になっていく。
快感と、狂ったような熱。それだけが世界の全てになって、ボクとシズさんの全てがそこに溶け出していくようだ。
もっと熱く、もっと激しく、ただそれだけを願い続け、昇り詰めていくボクの体はついに、限界へと達した。
「ふあああああっ!!!!シズさんっ!!!…ボクぅ!!ボクぅううううううううっ!!!!」
「くぅっ!?キノさん、俺もっ!!!」
ビリビリと、雷に撃たれたように背中を痙攣させるボク。絶頂感に意識が真っ白になったその瞬間、遅れて吐き出されたシズさんの白濁の熱が襲った。
突然体の奥で弾けた熱に反応して、ボクの体を否応もなくさらなる絶頂へと押し上げられてしまう。立て続けのその感覚に、ついにボクは意識を手放した。

気が付いた時にまず感じたのはボクを抱き締める腕の、強く温かな感触だった。薄く目を開けると、目の前にはシズさんの穏やかな寝顔があった。
「…………シズさん」
そっと頬を撫で、ほんの小さな声で名前を呼んだ。
自分の胸の内にあるふんわりとした気持ち。いずれはまた別れて行くシズさんへの想い、それを抱き続ける事が、旅人であるボクにとってどれだけ苦しいものになるとしても、
シズさんの腕の中、今のボクはそれでもたしかに幸せだった。
259SBI:2006/10/13(金) 12:49:20 ID:sHXDHTGv
以上でおしまいです。
シンプルにヤってるだけの話にしたら、自分の力不足を痛感する羽目になりました。
精進します!!
それでは、これにて失礼いたします。
260名無しさん@ピンキー:2006/10/13(金) 16:40:05 ID:WOJV7ETh
GJ!初心に返ったようだ
261名無しさん@ピンキー:2006/10/13(金) 20:12:29 ID:MZan9QAX
hjg
262名無しさん@ピンキー:2006/10/14(土) 10:42:02 ID:sb79Y0dS
SBIさんのシンプルなのはこれで目新しいものがあるな、GJ
263白雀 ◆T2r0Kg7rmQ :2006/10/15(日) 17:11:19 ID:12IURj4M
みなさんこんにちは。前回感想レス下さったみなさん本当にありがとうございました。

>>SBI様
ありがとうございます。王道的な話こそ書き手の力が一番見て取れる話だと思います。
少なくとも、私は十分にSBI様はお力があると思いますよ。

また書いてみたので投下します。
キノの旅ネタですが、今回、エロはありません。また、]巻の内容とはいっさい関係ないオリジナルです。
エロなしでもいいという方のみお付き合いください。
タイトル「火花の国」
264名無しさん@ピンキー:2006/10/15(日) 17:12:34 ID:12IURj4M
 真っ直ぐな道の上を、一台のモトラド(二輪車。空を飛ばないものだけを指す)に乗った旅人が走っていく。
「見えてきたよ、エルメス」
「うん。ここからでも見える。大きな国だね」
 綺麗に舗装され、木も岩も山もない平坦な道の先には、山のように高い城壁に囲まれた国が見える。
 平原の中で、唯一高く聳え立つその国は、まだ城門までしばらくはあるにもかかわらずずっと遠くからその姿が見渡すことができた。

「近くで見ると、また凄いね。蟻の子一匹通さないとはこのことだ」
「…………あれ、合ってる」
「失礼な」
 とてもよじ登れそうに無い、頑丈そうな城壁を二人は見上げた。たとえミサイルを撃ち込まれてもびくともしなさそうな城壁が、円を描くように平原を広く囲っていた。
 しかもその城壁のあちこちには窓があり、その窓からは大砲の砲門や機関銃の銃身、レーザーが撃てそうな砲身など、外敵に備えた防備が異常なほどに充実していた。


 火花の国〜Build And Disappear〜


 城壁の下、城壁の中に通された短い通路を通じて外と中を繋ぐ境界線となる城門もすごいものだった。
 銃弾も火も通さないようなシャッターが三重に下ろされていて、番兵の詰め所の窓も強化ガラスで覆ってあった。
「すごい警戒だ」
「パースエイダー(銃器。この場合は拳銃)持ってる旅人を通してくれるかな? キノ、入国審査は覚悟しておいた方がいいかもよ」
 二人が話していると、横の扉が開き番兵が二人姿を現した。

「いやぁ旅人さん、わが国へようこそ! 入国ですか? もちろん大歓迎です! 審査? そんな失礼なことしませんよ」
 予想に反して、出て来た番兵は非常に気さくな態度でキノたちを出迎える。
 キノに話しかけた方、体格のいい番兵の背中には大きなパースエイダー、おそらくはマシンガンやライフルの類の強力そうなものが二丁背負われていた。
「ありがとうございます。僕はキノ。こっちはエルメス。三日間の滞在を希望します。ところで、この国はずいぶんと外敵に備えているように見えますが、素性の分からない旅人の、しかも
 パースエイダーを持っているボクをこんなに簡単に入れてしまっていいんですか?」
 キノがカノンと呼ぶ大口径のパースエイダーを差し出しながら尋ねると、番兵はあはは、と陽気に笑って答える。
「心配は要りません。この国ではパースエイダーの所持は国民全員に義務付けられているので、キノさんだけ持たせない、と言うことはありえません。
 また、キノさんが城壁内に一歩足を踏み入れたときに、実は高性能のスキャンカメラでキノさんが危険なものを持っていないかは調査済みです。
 もしキノさんが、この国を破壊できるような爆弾や細菌兵器、危険生物などを持っていたらすぐに警報がなっているところでした。ですからキノさんは安全と判断されたということです」
「……それはどうも」
 番兵がスイッチを押すと、城壁の中と外を繋ぐ扉が閉まり、代わりに城壁の中と国の中をつなぐ反対側の扉がゆっくりと開いていった。
「ようこそわが国へ。旅人さんの来訪を心より歓迎いたします」
265火花の国 2:2006/10/15(日) 17:14:33 ID:12IURj4M
「旅人さん? ようこそこの国へ。この国の城壁はすごかっただろう?」
「やあ旅人さん。何か要るものはあるかい? うちの店の最新式のパースエイダー、よかったら見てってよ」
「こんにちは旅人さん。モトラドの整備が必要ならぜひうちに。なんなら最新式のモトラド装着型機銃も安く付けてあげるよ」

「意外だ」
「意外だね」
 一通り街の中心部を見て回り、食事とエルメスの整備を終えたキノはカフェのベンチで休むことにした。
 ちなみにこのカフェのテーブル、軽くて丈夫な金属で出来ていて、もしここで撃ち合いが始まってもこのテーブルが十分盾になるほどである。
 さらに各テーブルには必ず、足の部分にパースエイダーを収納するケースが取り付けてあるのが見えた。
 街を歩く間、キノは道行く人々に警戒されるどころか向こうから何度も話しかけられた。
 街の様子も、警官や番兵がそこらじゅうをうろついているかと思いきや平和そのもの。ただ他の国と違うことといえば、パースエイダーやナイフ、ボウガンなど、
 武器を売る店がかなり多かったことくらいのものである。
「あの城壁に門、そして国民全員がパースエイダー所持を義務付けられている国だ。何か近くの国と戦争状態にでもなってるのかと思ったけど」
「ぜんぜんそんな気配は無いね。みんな明るくてのんきに歩いているし、旅人の僕らを警戒したりもしない」
「それとも既に戦争が終わっているのかな。あるいは前に訪れた国みたいに、近隣の別の部族を使って戦争をしてるとか……」
 キノはエルメスと話し合っていたが、まさかその辺の人に「何でこの国はこんなに物騒なのに、国民はみんなのん気なんですか?」
 と聞くわけにも行かず、その日は安く泊まれるところを見つけて休むことにした。
「キノ。パースエイダーの店がそこらじゅうにあるよ。燃料や弾薬、補給しなくていいの?」
「あれだけたくさんの店があるんだ。競争も激しいはず。一番安く買える店をじっくり探すよ」
「……キノらしいね」
 キノは夕食を食べ、シャワーを浴び、ベッドの上でぐっすりと眠った。
 ちなみに、食堂にもシャワー室にもそしてベッドの脇にも、「緊急用」と張り紙のついたパースエイダーがひも付きでかかっていたのをキノは見つけた。
 それらはどれも、キノが持つ「カノン」「森の人」そして「フルート」よりも新しく高性能なものだった。

 翌朝、キノが食堂に下りて朝食を食べていると、キノの座っているテーブルに一人のがっしりとした体格の中年の男が座った。
「失礼します。昨日入国された旅人さんですか?」
 キノがそうです、と答えると、男性はうやうやしく一礼して言う。
「朝早くから失礼しました。私はこの国の軍の大佐です。実は旅人さんにわが国のことをよく知ってもらうため、案内役として派遣されたのですが、
 旅人さんは何か今日の予定はありますでしょうか?」
 キノが首を横に振ると、大佐は整えられたヒゲの似合う無骨な顔を輝かせた。
「では、もしよろしければわが国の誇る兵器工場をごらんになっていただけませんか? もちろん、お時間を取らせてしまうお礼はさせていただきます」
「お願いします。ボクもこの国のことで気になっていることがありました。よろしければ案内していただけると助かります」
 お礼、と聞いて顔を上げたキノがそういうと、大佐はありがとうございます、と言って嬉しそうに左手で敬礼をした。 
266火花の国 3:2006/10/15(日) 17:16:59 ID:12IURj4M
 キノとエルメス、それに大佐は、大きな四輪駆動車に乗って街中を走っていく。中は大人が四人はゆったり座れるような快適な空間になっていて、スピードも思ったより速かった。
「ねぇキノ。さっき見たときちょっと思ったんだけど、この車に似ている車、どこかで見たことない?」
 キノの隣に立てかけられたエルメスがキノだけに聞こえるよう、小声で話しかける。
「エルメスも? うん。ボクもそんな気がしてた。こんな車両はめったに見る機会はないから、どこか別の国で似たようなものを見たのかも」
「ん? 何かおっしゃいましたか?」
 かなりの小声でキノはしゃべったつもりだったが、大佐は鍛えられた軍人らしくその声に反応する。
「いえ、なんでもないです。それより今のうちにお尋ねしたいことがあるのですが、よろしいですか?」
「はい。国家機密に反しない範囲でなら何でもお答えします」
 大佐は深く腰掛けていた居住まいを直し、きちんとした姿勢で座りなおすとヒゲをいじって整えた。

「この国はずいぶんと国防……と言うより、国民の命を守ることに重点を置いているみたいですが、この国はどこかと戦争をしているのでしょうか?」
 想定内の質問だったのか大佐は気を悪くした様子も無く、表情を変えずに答える。
「いいえ。わが国は建国以来一度も戦争をしたことはありません。ですが、キノさんがご指摘したとおりわが国は国民の命を最優先に守ります。そのため防備を厚くし、国民にもいざと言うときのために備えさせているのです」
「じゃあ、この国の近くに、ここに攻めてくるかもしれない国があるの?」
 エルメスが尋ねると、大佐はまた首を横に振り、
「いいえ。少なくともわが国が把握している限り、わが国に侵略しようとしている国も、また強力な軍隊を持っている国も、この辺りにはありません」
 大佐は脇の棚から道や国が書かれている近隣の地図を取り出し、キノとエルメスに見せた。
「すると……単純に、自衛のため、ですか? もし万が一、何かあってもいいように、そのために守りを固めていると?」
「その通りです。今は平和でも、いつよその国の体制が変わり、軍事国家となってわが国にも攻めてくるか分かりません。
 また、我々も知らない遠くの国が、遠くからあちこちを攻め滅ぼして領土を拡大し、この近くにやってこない確率はゼロとは言えません。
 何かあったときに、では今から戦争の準備をしよう、では遅いのです。たとえ今は無意味でも、有事に備え、やれるだけの備えはする。それが国民を守るために必要不可欠なことですから」
「すると、国民全員にパースエイダーの所持を義務付けているのも、ホテルやカフェなどあちこちにパースエイダーが設置されているのも……」
「もちろん、いざと言うときに国民がそれを使って自分の命を守れるようにするためです。有事の際は我々軍が国民を守りますが、例えば潜入したスパイが国の中から戦争を仕掛けたり、こっそり海や地下から敵が侵入したり、
 また考えたくは無いですが国の中で国民がクーデターを起こしたり……このように軍が出動する前に国民の命が脅かされるケースは十にも二十にものぼります。
 ですから、国民の犠牲を一人でも減らせるよう、国民にもまた自分で自分を守るだけの力を持ってもらうのが理想なのです」
 力を入れて話を続けているためか、大佐の声が少しずつ大きくなっていった。運転手はそんなことまるで気にした様子も無く、国の郊外へと続く長く細い道でスピードを出しながら四輪駆動車を走らせる。
267火花の国 4:2006/10/15(日) 17:18:15 ID:12IURj4M
「そこまでしているとは、この国はよほど国を守ることを考えているんですね」
「正確には、国と、そして国民の命を、ですよ」
 キノが言ったことに、大佐は大きな声で、しかしやんわりとした口調で訂正する。
「我が国は長い歴史を誇ります。その中で祖先たちが残してくれた近隣諸国や遠くの国について書かれた歴史書を調べていくと、実にこの世界には消えていった国が多いことが分かったのです。
 例えば外国の侵略。蛮族の侵入。自国の内乱や革命。宗教対立による戦争。大量発生した野生動物の襲撃。残念なことに、こうした理不尽な暴力で滅びた国は数知れません。
 そんな中、我々の先祖は悟りました。自分たちの国は決して滅ぼさせないようにしよう。どんな理不尽な暴力にも負けぬよう、守りを固めよう、と。
 そして同時に、自らが理不尽な暴力を振るうことの無いよう、決して他国には侵略しないようにしよう、と素晴らしい決意もしたのです。
 この立派な考えによって我々は今日まで生きてくることが出来ました。これまでのところ、他国との戦争が起こったことはありません。
 しかし我々には、この歴史ある国を未来まで永遠に残す義務があります。ですから、我々の代に万が一が起こってもいいように、我々は日々国を、そして国を担うべき国民を守っていかなくてはならないのです」
 
 キノは「よく分かりました」と言い、エルメスも「ふーん、なるほど」と言いましたが、大佐の考えには肯定も否定もしなかった。
「さあもうすぐ着きますよキノさん。我が国を守る力、国民の命を守るための力を日々生み出してくれる、我が国の誇りとも言える工場に」

 キノとエルメスは、パースエイダーを作る工場に案内された。
 工場長は大佐とキノたちを愛想よく出迎え、休まずモノを作り続ける工場内を案内していく。

「去年うちの工場では、すばらしいパースエイダーを作りました。そして今年は研究を続けさらに改良を重ね、去年よりすばらしいパースエイダーを作ることが出来ました。
 たとえばこのライフルは、去年までのものより射程が17センチも伸びました。また、あちらのガトリング砲は、去年までのものより一分間に撃てる弾の数が36発増えました。
 いまやこの国で使われているパースエイダーは全て最新式のパースエイダーです」
 キノが、去年まで使われていたパースエイダーはどうなったんですか。最新式の行き渡らない新卒の兵士にでも配給するんですかと尋ねると、
「とんでもない!」
 パースエイダー工場の工場長は飛び上がって叫んだ。
「もしもその旧式の武器を与えられた兵士が、最新式の武器を持つ敵兵と戦ったらどうなりますか。敵の最新式装備に歯が立たず、射程外から狙撃され、全滅してしまうかもしれません。
 国を守るために命がけで戦う兵士をむざむざ死なせていいわけはありません。全ての兵士は最新式の装備で身を固めるのが当然と言うものです」

 キノとエルメスは、お話はよく分かりましたたしかに万が一を考えたらそれが一番正しい選択だと思いますと答え、笑顔を浮かべた工場長と別れた。
268火花の国 5:2006/10/15(日) 17:20:35 ID:12IURj4M
 次にキノとエルメスは、装甲車や戦車を作る工場に案内された。
 工場長は大佐とキノたちを愛想よく出迎え、休まずモノを作り続ける工場内を案内していく。

「去年うちの工場では、すばらしい戦闘車両を作りました。そして今年は更に改良を重ね、どの車両も最大スピードが去年の1%上昇させることができました。
 さらにブレーキの効き具合と装甲の頑丈さも1%上昇することができ、去年までのものとはまるで別物になりました。
 いまやこの国で使われている戦闘車両はすべて最新式の車両です」
 キノが、去年まで使っていた車両はどうなったんですか。最新式の行き渡らない部隊にでも配給するんですかと尋ねると、
「とんでもない!」
 車工場の工場長は飛び上がって叫んだ。
「もしもその旧式の戦車に乗った兵士が、最新式の戦車に乗った敵と戦ったらどうなりますか。敵に機動力で上回られ、死角を取られて敗北してしまうかもしれません。
 国を守るために命がけで戦う兵士をむざむざ死なせていいわけはありません。全ての兵士は最新式の車両に乗り込むのが当然と言うものです」
 
 キノとエルメスは、お話はよく分かりましたたしかに万が一を考えたらそれが一番正しい選択だと思いますと答え、笑顔を浮かべた工場長と別れた。



 次にキノとエルメスは、コンテナを作る工場に案内された。
 工場長は大佐とキノたちを愛想よく出迎え、休まずモノを作り続ける工場内を案内していく。

「去年うちの工場では、大人が100人乗っても壊れないすばらしいコンテナを作りました。そして今年は更に改良を重ね、大人が101人乗っても壊れないコンテナを開発したのです。
 いまやこの国で使われているコンテナは全て大人が101人が乗っても壊れないコンテナです」
 キノが、去年まで使っていたコンテナはどうなったんですか。もったいないからどこかで再利用するんですかと尋ねると、
「とんでもない!」
 コンテナ工場の工場長は飛び上がって叫んだ。
「もしもその旧式のコンテナに向かって、大人が100人乗るのと同じくらいの威力の爆弾が落とされたらどうなりますか。コンテナは壊され、中の物はメチャクチャになってしまうかもしれません。
 大切な国民の財産をむざむざ破壊させていいわけはありません。全ての物資は最新式のコンテナに保管するのが当然と言うものです」
 
 キノとエルメスは、お話はよく分かりましたたしかに万が一を考えたらそれが一番正しい選択だと思いますと答え、笑顔を浮かべた工場長と別れた。


 そんな調子で、大佐とキノたちは製鉄所、製油所、造船所、火薬工場、弾丸工場、ミサイル工場など、一日かけて多くの軍事工場を回っていった。
 どこも休まず働いていて、どこも最新式の軍事物資をフル稼働で作り続けていた。
 日も暮れかけ、大佐はキノとエルメスをホテルまで送るために最新式の四輪駆動車を出させ、来たときと同じ道を走らせる。
「本日はお疲れ様でした。本当はもっと、旅人さん向けの観光スポットなども案内できたらよかったのですが、いかんせん我が国の名物と言えるものはこれしかないもので」
 大佐は少しだけ残念そうに苦笑いを浮かべる。
「キノさんの貴重な一日を下さったことを感謝します。ほんのお礼ではありますが、明日キノさんが出国される際、国の出口で我が国からの贈り物をお受け取りください」
 キノは丁重に例を述べ、とても貴重な体験だったし面白かったから今日一日は無駄ではありませんでしたと答えると、大佐は顔を綻ばせてキノにまた敬礼をした。
269火花の国 6:2006/10/15(日) 17:21:45 ID:12IURj4M
「ところで大佐さん。僕たちに知ってもらいたかったことって結局何? この国は毎年これだけ新しい武器を作ってるんだぞっていう、この国の強大さ?」
「そうです。……と言っても誤解しないでいただきたいのですが、我が国は決して軍事力をひけらかし、他国を侵略したり傘下に収めようなどというつもりはありません。
 我が国は常に万が一の事態に備え、自衛のためだけに戦力を保持しているに過ぎません」
 キノはただ頷いただけだったが、エルメスは一瞬考えた後、理解したと言わんばかりに声のトーンを上げて言った。
「……あーあーあー、そういうことか。だから旅人の僕たちにわざわざ知ってもらってるんだ」
「その通りです。キノさんもそうですが、エルメスさんもまた素晴らしい洞察力の持ち主ですな」
「どういうこと? エルメス」
 つまりね、とエルメスは説明する。
「この国の人たちは、僕たちみたいな旅人に、他の国に行くようなことがあったらこの国のことをそれとなく話して欲しいんだよ。
 この国の人が通告したら、それは軍事力を盾にした脅しに聞こえるかもしれない。けど旅人の話ならよその国の人もすんなり聞き入れてくれる。
 この国はこれだけの防衛力を持ってるぞ。だからこの国を侵略しようとしているなら無駄だ、やめておけ、ってことをよその国の人が旅人から聞けば、よその国の人もそれを信じる。
 無駄な戦いが起こる可能性はさらに減る、かもしれない」
 肯定するように大佐は大きく頷く。

「理解できました。もしボクが他の国に行ったときにこの国のことを尋ねられたら、正直にこの国のことを話してあげたいと思います」
 キノがそう言うと、大佐はよろしくお願いしますといって深々と頭を下げました。
「ところでどうしても気になることがあるんですが、毎年新兵器を開発しているのは分かりました。でもその前の年まで使っていたものはどうするんです?
 かなりの量になりますが、使わないのならどこかに穴を掘って捨てたりするんですか?」
「いや、他国に売りつけるって手もあるよキノ。この国にとっては旧式になったものでも他国にとっては最新式だ。立派な取引材料になる」
 しかし、大佐は首を横に振った。
「どちらも違います。キノさんのおっしゃるとおり、処分するべき兵器は毎年、いえ毎月膨大な量になります。それをゴミとして処理しては場所をとりますし、
 万が一事故が起きたら大惨事になります。また、他国に売るようなこともありません。外国に、我が国が人の命を奪う戦争の道具を売って金儲けをしている国だと思われたくは無いからです。
 また、我が国が武器を売れば当然他国の軍備は充実します。そうなればその国が軍事国家となり、我が国に戦争を仕掛けてこないとも限りません」
 大佐は低く重い真剣な声で、キノとエルメスに理解を求めるように答える。

「ではどうするのかと言いますと、捨ててしまいます。……と言っても穴を掘って埋めたりはしません。先ほど造船所を案内しましたように、我が国の南方は海に面しています。
 その海に、旧式になってしまった船を浮かべ、不要になった武器や車両を詰め込み、無人にして海の向こうに流します」
「…………」
「…………」
 キノとエルメスは、お互いに無言で顔を見合わせた。けど、お互い同時に思い出したことについては何も言わなかった。
「海に、ですか。それは途中で船を破壊し、海の底に沈めるということですか?」
「いいえ、それでは海が汚れてしまいます。漁業も大事な国民の産業ですからね。ですから、我が国も近隣国も手出しできない、大海原を隔てたどこか遠くの国の陸地に辿り着くことを願って船を出します」
「え? でも、それじゃあ船が辿り着いた土地の国の人が武器をタダでたくさん持っちゃうことにならない?」
 エルメスのもっともらしい指摘に、大佐は理解していると言いたげに小さく頷く。
「ごもっともです。しかし、我々はちゃんと潮の流れも計算し、はるか遠く、我々も行ったこともない国、いや国もあるかさえ分からない遠い土地に向かうようにしています。
 万が一そこに国があり、その国が我々の武器で武装しても、この国に攻めてくることは決してありません。そしてまた、本当に万が一その国が我が国に攻めてきたとしても、
 彼らが使う武器は我々の使う武器より古い武器ですから、我が国が負けることは決してありません」
「なるほど、納得」
「分かりました。どうもありがとうございました」
 大佐は満足そうに頷いた。
 そして、車はホテルの前で止まり、キノとエルメスをおろした四輪駆動車は大佐と運転手を乗せたまま走り去っていった。
270火花の国 7:2006/10/15(日) 17:25:32 ID:12IURj4M
 そして翌日、キノが入国して三日目。
 キノはいくつか店を回り、売れるものを売り、ほかより少しでも安い店で携帯食料や弾薬や燃料を必要な分だけ補充すると国の出口へと向かった。
「ねえキノ、その携帯食料も最新式?」
「うん。ラベルに『軍人さんにも旅人さんにもお勧め! さらに美味しさアップ! ビタミン、カルシウム、食物繊維増量でいざと言うときの健康を守ります』って書いてある」
「美味しい携帯食料なんてこの世にあるのかな?」
「……少なくとも、ボクはお目にかかったことは無い」
  
 キノたちが入国した入り口とは国の中央部をはさんでちょうど反対側に在る出口では、入国時とは別の番兵が二名、同じような武装をして愛想よくキノとエルメスを出迎えた。
「キノさんですね。大佐からお話は伺っています。我が国への訪問、まことにありがとうございました」
 背中に大型パースエイダー二丁、腰にも小型のものを二丁と手榴弾を装備したまま、番兵が敬礼する。
「こちらこそ。ボクが見たこともないような乗り物やパースエイダーが見られていい経験になりました。ところで、大佐さんは出国時に何かを渡すと言っていましたが……」
「キノ。素直にお礼の品をくださいって言えばいいのに」
 エルメスがキノにだけ聞こえる声で言うと、キノはエルメスのタンクを拳で叩いた。
「はい、承知しています。こちらをご覧ください」
 そう言って番兵は、分厚いファイルの束を取り出した。キノが覗き込むと、一枚一枚にカラー写真と詳細な数値つきでパースエイダーのデータが載っていた。
 一枚目のデータは小型のパースエイダー。もちろん今年作られた最新式だった。
 キノはパラパラとめくっていく。「カノン」よりさらに一回り大きな大型拳銃タイプやライフルタイプ、それにマシンガンや散弾銃やグレネードランチャー、ロケットランチャーまであった。
 さらにめくると、手榴弾や閃光弾、地雷に機雷に爆雷にミサイル、果ては装甲車から戦車まで、ありとあらゆる兵器が写真と詳細な数値つきで記載されていた。
「すごいな、これだけで本が一冊出せそうだ」
「まるで戦闘兵器のカタログだね」
「その通りです。こちらは我が国で開発した最新の兵器一覧です。キノさんには、この中からどれでもお好きなものを無料でプレゼントいたします」
「…………はい?」
 さすがのキノも、一瞬何を言われたのか分からなくて目が点になる。
「キノさんもすばらしいパースエイダーをお持ちのようですが、いざと言うときのためにわが国で開発した最新式のパースエイダーを一丁持っておくと、万が一のときさらに安全というものです。
 旅と言うものは何が起こるか分からないと聞きますから、例えば万が一山賊の集団に襲われたときのために一分間に数千発の弾を撃てる機関銃をお持ちになるのはどうでしょう?
 もしくは万が一、像よりも大きな凶悪な野生動物に遭遇したときのためにこちらの二階建ての家でも破壊できるロケットランチャーを持ち歩くこともおすすめします。
 もちろん、弾薬もおつけしますし、持ち運びに苦労するようでしたらエルメスさんにお取り付けもいたします。なんでしたらエルメスさんを休ませられるように車を選んでもいいですし、
 万が一キノさんがどこかの国と戦争をしてしまうことになった場合を想定して、一発きりですが破壊力抜群の弾道ミサイルというのはいかがでしょうか? もちろん発射台もお付けします。
 もし万が一どうしても一つに絞れない、というのであれば、万が一のケースはいくらでもあるのですからそれは当然のことです。ですから、一つといわず二つ、いえ三つまでは大サービスで差し上げます」
 カタログを広げた番兵は、昨日キノが出会った工場長たち以上に興奮した様子で熱弁を振るい、まるでセールスのように次から次へとカタログのページをめくって商品の説明をしていく。
271火花の国 8:2006/10/15(日) 17:29:06 ID:12IURj4M
 キノは、どれもすばらしい武器のようだし、旅の安全を願って贈り物をしてくれるのは非常にありがたい話だけれど、
 あまり強力な武器を持ち歩いて旅をしていては他の国の入国審査でスパイか何かと疑われて入国できないかもしれないので、と言って国からの贈り物を丁重に断った。
 番兵の人たちはちょっとがっかりした様子だったが、確かにキノの言い分にも一理あると思ったのか、素直に武器のカタログを引っ込めた。
 キノは、一拍置くとそんな彼らに向かって、けれど弾薬や燃料なら旅人が持っていても不自然ではありません。
 この国の素晴らしい弾薬や燃料を使えばどれだけ遠くまで弾を飛ばせるのか、どれだけ遠くまでエルメスを走らせることができるのか、とても興味があります、と続けると、彼らの顔はみんな一様に明るくなった。


 やがて、門の扉が開き、キノはエルメスのエンジンをかけて国の外へと走らせていく。
 背中に最新式のマシンガンとロケットランチャーを背負い、腰に二丁のパースエイダーと手榴弾を装備した番兵たちはみんな笑顔で手を振りながらキノを見送り続けた。


「うん。残念だ。最新の火薬と弾丸はどれだけ遠くの的を撃てるかを報告できないのが残念だ。最新の燃料がどれだけ長くモトラドを走らせることができるか報告できないのが残念だ」
「キノ。その顔はどう見ても残念がってる顔じゃないよ。まったくもう」
 真っ直ぐな道の上を、一台のモトラドに乗った旅人が走っていく。
 モトラドの荷台には、次の国に辿り着くまでぜんぜん困らないほどの、たくさんの火薬と弾丸、そして燃料が入った缶がしっかりと固定されて乗せられていた。

「ねぇエルメス」
「うん」
 軽快に道を飛ばしながらキノが話しかける。
「あの国、長続きするかな?」
「そうだね。銃器で病気や自然災害を撃ち殺せるなら、これからも続いていくだろうね」

「ねぇキノ」
 しばしの沈黙ののち、今度はエルメスがキノに話しかける。
「うん」
「前に訪れた国で、ちょうど僕たちが訪れたとき、花火大会をやってた国があったよね」
「うん。どこからか贈られた爆弾や機銃やミサイルを派手に撃ちまくってた」
「装甲車も入ってたって言ってたね。たくさんのコンテナの中に」
「うん。それが毎月届くって言ってた」
「謎が解けてよかった?」
「別に。どうせもうあの国に行くことはないだろうし」
「そう。ところでキノ。大量の弾薬と燃料をもらったのは賢い選択だけど、最新式のパースエイダーをもらって、次の国で売るって手もあったんじゃない?」
「…………」
「その顔は、言われてみればその手があったか、って思った顔だね」
「……しまった。その手があった」
「キノももう少し、欲望に忠実になるんじゃなくていろんなケースを想定してから行動してみたら?」
「次からはそうする」
「はいはい、期待しないでおくよ」
 最新の燃料を入れられたエルメスが、それまでに無いくらい快適なスピードを出しながら、キノを乗せて順調に走っていった。


 終わり
272白雀 ◆T2r0Kg7rmQ :2006/10/15(日) 17:35:47 ID:12IURj4M
あとがきです。
ここだけの話、実は、奇抜なあとがきで有名な時雨沢先生の真似をして、あとがきをメール欄に書こうと計画してました。
264 sage あとがきです
265 sage 皆さん読んでくれてありがとう
266 sage 実は、この話は
…みたいに。けど、専用ブラウザを使ってない人にはきっとワケがわからなくなるだろうな、と思いやめました。
時雨沢先生にはこれからも頑張ってあとがきのネタを考えてもらいたいものです。キノの旅がもっと続くように。

さて、この話は単行本Y巻のとある話とリンクさせた話を、二次創作としていつか書きたいと思っていた話です。
]巻はロリキノやエリアス&サラなど魅力的なキャラがいっぱいでよかったのですが、歌姫の国以外の短編がどれも短く、
短編好きな私としてはやや物足りない気がしたので、なら自分で書いてみようかな、と思い挑戦してみました。
時雨沢先生の話には遠く及びませんが、少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。

それでは読んでくださったみなさん、ありがとうございました。
273名無しさん@ピンキー:2006/10/16(月) 01:27:15 ID:nVEmj9KT
内容はなかなか面白かったし確かに本物によく似た展開だとは思うんだが
ここに投下するものでもないような・・・
いや他にどこに投下すればいいのと言われても困るが・・・

まぁ、面白くはあったよ。うん、それは間違いない。
274名無しさん@ピンキー:2006/10/16(月) 01:57:28 ID:W662jrXQ
まぁたまにならいいんじゃないか。素直にGJ
275名無しさん@ピンキー:2006/10/16(月) 07:31:13 ID:ZpObOdcK
ほうほう、なかなかの名作ですな。GJ。
>>273
萌えればエロなんて飾りです、エロい人にはそれがわからんのです。
276名無しさん@ピンキー:2006/10/16(月) 12:52:07 ID:D0EnCkZy
まあ、このスレにもエロ無しは何度も投下されてるが、
上のはエロパロ板に投下するにはもったいないほど本格的なSSだとは俺も思った。
ただ、ラノベ板の本スレは作品投下するとこじゃないし、ネット上にも時雨沢作品のSSを扱うサイトってほとんど見たことないから、
結局ここに投下するのが一番時雨沢のSS好きの目に止まるんじゃないかなと思ったり。
結論としてはとにかくGJでした。
277名無しさん@ピンキー:2006/10/16(月) 13:37:58 ID:Wxg4BMdY
>>272
話自体は面白かった。GJ。

ただ、最後の
「そうだね。銃器で病気や自然災害を撃ち殺せるなら、これからも続いていくだろうね」
というセリフは、火花の国が病気や自然災害を全く想定していない、軽んじてるという描写があればもっと生きると思う。
細菌兵器にも備えているのなら、国の医療レベルは高いんじゃないかな?とも解釈できるから、少し違和感が。

あと、キノだったら最新のパースエイダーを貰って、国の外で分解。
使える部品だけをカノン、フルート、森の人の磨耗した部分と取り替えるとかしそう。
278名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 08:47:27 ID:6JepFQ/n
英雄の国を花火の国の前身に仕立てた話か……
GJ
279SBI:2006/10/18(水) 16:58:39 ID:rBEr8FtM
>>264-271
遅ればせながらGJ!!完成度高くて、かなり素敵なお話でしたよ。

で、俺も書いてきました。
キノの旅]巻から、エリアスとサラのえろい話です。ただ、やたら前振りの長い話になってしまいました。
あたたかい心でお付き合いいただけるとうれしいです。
それでは、いってみます。
280SBI:2006/10/18(水) 16:59:28 ID:rBEr8FtM
どうにもエリアスは気に入らなかった。
キノ、と名乗るあの旅人の事である。
行商人たちに同行する旅の途中、休憩のために停まった馬車の荷台に腰掛けて、エリアスは一人で俯いていた。
ふとしたきっかけで誘拐犯の手伝いをする事になったエリアス。しかし、誘拐した女の子サラの持つ特殊な事情のために、誘拐計画は大きく失敗する事になった。
彼に声をかけて誘拐の手伝いをさせたロブも、その仲間のケインも、リーダー格だったユアンも皆死んだ。爆弾で吹っ飛ばされたのだ。
そして、エリアスの人生も大きく変わった。任された仕事を全うするために、サラを守るために、エリアスは国中を逃げ回った。
しかし、追っ手についた殺し屋は凄腕だった。逃げ続け、抵抗し続けたエリアス達は、サラの暮らしていた屋敷でついに追い詰められてしまう。
しかし、殺し屋がナイフを抜き、サラが殺されてしまうと思ったその時………
「……………」
そこでエリアスは回想をやめ、顔を上げる。少し離れたところで談笑しているサラの方に目を向けた。足はついている。幽霊ではない。
彼女の話の相手はキノという名前の、エリアスとそう年も離れていない若者だ。キノは旅人だった。
そして、キノはサラの世話をしていた大人たちの依頼を受けて、二人を追い詰めたあの殺し屋で、その上、エリアスとサラを国の外に逃がした命の恩人でもあった。
エリアスの視線の先、キノが何かを言ったのを聞いて、サラがクスクスと笑う。本当に楽しそうに、キラキラした笑顔を浮かべる。
見ているエリアスの表情は、わかりやすいほどの膨れっ面だ。
「なんなんだ?一体、どうしてなんだ?」
どうして彼女は、サラはあの旅人と、あんなに楽しそうに話せるのだろう。最後には自分たちの命を救ったとはいえ、アイツは最初はサラの命を狙っていたのに……。
また、サラが笑った。素敵な笑顔だった。彼女が笑うたびに、エリアスは落ち着かない気分になる。ドキドキしてるのか、ハラハラしてるのか、自分でもわからなくなる。
確かに、あのキノという名前の旅人は、顔も悪くない。物腰も丁寧で落ち着いてるし、パースエイダーの腕前を考えれば、エリアスよりよっぽど頼り甲斐がある。
10代半ばだという年齢から考えれば、多少背が低いのが難点だったけれど、総合的に見れば十分に魅力的だ。サラが惹かれるのも無理はない。でも、だけど………。
あの二人の姿を眺めながら、エリアスの悩みは深くなるばかりだ。
「どうすればいいんだ、僕は………」
それは言ってみれば、初恋に揺れる少年の、可愛らしい嫉妬といったところだった。言い知れない感情の乱れに、思い悩む自分自身に、エリアスの心は揺れ動いているのだ。
ただ、実のところを言うと、問題はもう少し複雑だった。エリアスがキノに複雑な感情を抱くのは、何もサラのためだけではない。
ほんの少し前まで恐ろしい敵だった人物に、一体どう接すれば良いのか。ユアン達を殺した相手を前にして、どんな顔をしていればいいのか。
エリアスには解らない事だらけだった。
僅か数日で一変した自分の人生。今はもう遠くに離れてしまった故郷、これまでの生活。思い悩む事には事欠かない。
そのさなかで、エリアスは悩んで、悩んで、空回りを繰り返した思考は、結局目の前の旅人の事に戻ってくる。
「……………はぁ」
小さくため息をついて、もう一度キノとサラの姿を見る。頭の中は一向にまとまらない。ただ、エリアスには目下、懸念している一つの問題があった。
今は、行商人たちと一緒に旅をしている自分たちだが、いずれ目的の国に辿り着く。その時起こり得る問題に、エリアスは断固として対処するつもりでいた。
「これだけは、あいつの思い通りにはさせないぞ……」
サラがまた微笑む。その笑顔に、エリアスは再度決意を固める。彼が密かに懸念している問題、それは………。

目的の国への道中でも、辿り着いてからも、サラは機嫌よく過ごしていた。
今夜宿泊する予定の安ホテルのロビーで、オンボロソファーに腰掛けて、彼女はひとり微笑んでいた。
故郷から逃げ出した今、多くの人が自分のことを必要としてくれたあの生活は、もう戻ってこない。だけど、サラは後悔はしていなかった。
281SBI:2006/10/18(水) 17:00:26 ID:rBEr8FtM
彼女は得難いものを手に入れたのだ。最後の最後まで、命懸けで彼女の事を守ろうとしてくれたあの少年、エリアスが側にいれば、見知らぬ国での生活もきっと恐くない。
サラはしみじみと思い出す。暗い森の中で、自分を必ず守ると誓って、強く抱き締めてくれたエリアスの腕の暖かさを。彼の瞳に宿ったまっすぐな光を。
「…………エリアス」
ウキウキして、飛び跳ねてしまいそうなこの感情。それだけで、サラの胸の中は一杯になってしまうのだ。
そしてもう一人、サラたちを追い詰めた張本人にして、命の恩人であるあの旅人……。キノと名乗るあの若者と、彼女は道中たくさん話をした。
「凄いなぁ、キノさん………」
うっとりと、サラは呟く。キノは彼女に、今までの自分の旅のことを、色々と話して聞かせてくれた。
キノが今まで立ち寄った国の事、言葉の端々から窺える旅に対するキノの姿勢、考え方、それを知れば知るほど、サラの中でキノがより魅力的な人物に思えてくる。
素敵な、本当に素敵な女性だと、素直に思えた。
「まだ私とそんなに年も違わないのに、あんな風に一人で色んな所を旅して、色んなものを見てきたんだ………」
サラはいつのまにか、一度は自分の命を狙いさえした、素直に善人であるとは言い切れないこの旅人の少女の事が、好きになっていた。
ただ、エリアスも一緒に、三人で話が出来ればと思ったのだけど、サラがキノと話しているとき、浮かない表情でこちらを見てくるばかりで、彼は近付いて来ようとしなかった。
残念だけれど、エリアスはキノに対して色々と複雑な感情があるようだし、仕方が無いところだろう。むしろ、キノと仲良く話している自分の方が、変なのかもしれない。
「私も、キノさんみたいになれるかな……」
サラは思う。見知らぬ大地を一人旅する彼女の、あの強さの少しだけでも、自分のものにする事ができたなら………。
今のサラにとって、キノはすっかり、憧れの対象へと変わっていた。
と、その時、フロントで今夜宿泊する部屋について話していたキノが、こちらに戻ってきた。少し浮かない表情だ。なにか問題があったのだろうか?
「う〜ん、困ったな……」
「どうしたんですか?」
「ホテルの部屋がほとんど満杯で、一番小さな部屋を二部屋空いてるだけらしいんだ……」
二人用の部屋に簡易ベッドを入れてもらって三人で使うのが、当初のキノのプランだったのだが、どうやら当てが外れたらしい。
「今から他を当たっても、この時期だと部屋がある見込みはないそうなんだ。だから……」
要するに、部屋割りの問題だった。三人の内二人が、狭い部屋を無理して使う事になる。
サラは迷った。自分はエリアスと一緒の部屋に行くべきだろうか?でも、それは何だか気恥ずかしいし、やっぱりキノと一緒に女の子同士でいた方が……
だがその時、同じように考え込んでいたキノの腕が、ぐいと後ろから引っ張られた。
「キノさんと僕で、一緒の部屋を使おう」
「……えっ!?」
「…エリアス!?」
キノとサラが答える暇も与えずに、部屋の鍵をひったくり、キノの腕を引っ張って、エリアスはエレベーターの方に歩いていく。
「………な、何で?どうして?」
ロビーに一人取り残されて、サラは呆然と呟く事しか出来なかった。

そして、夜になった。
「これで一安心だ……」
ベッドの中で、エリアスが呟く。
ホテルの部屋の状況次第では、キノとサラが同室などという事になりかねない。それがエリアスの抱いていた危惧だった。
どうやらその危険が現実のものになりそうだと知って、エリアスはかねてから決めていた通りに素早く行動した。強引なやり方で、キノと同室になったのだ。
ともかくこれで、一人きりの部屋の中、キノとソラがどんな風に過ごしているのかを想像して、ヤキモキしながら一晩過ごす事にならずにすむ。
282SBI:2006/10/18(水) 17:01:32 ID:rBEr8FtM
ただ、多少の誤算もないではなかった。予想以上に狭かったこの部屋は、キノのモトラドであるエルメスを運び入れると、簡易ベッドを置くスペースさえ無くなってしまった。
お陰でエリアスとキノは一人用のベッドの上に身を縮めて、並んで寝る事になってしまった。
それでも、ソラが無事ならそれで良いと思っていたエリアスだったのだが、何かが変なのだ。どうにも、おかしいのだ。
「なんでだろ?どうして落ち着かないんだろ?」
考えてみると、この部屋割りに決まってから、気になる事が多かった。
自分と同室になる事を、何故だか妙にキノが躊躇っていた事。性別で部屋を分ける事は、別に不自然な話でもないだろうに……。
そういえば、シャワーに入る時も、キノはやけにこちらに注意を向けていた気がする。
そしてなにより、二人で同じベッドに入ってから感じている、この違和感の正体は何なのだろう?
ベッドの中で体を動かした時、軽く触れたキノの体は、妙に柔らかくてぷにぷにしていた。シャワーを浴びた後のキノから、なんだか甘い香りが漂っているような気がした。
こうして並んで寝ていると、なんだか凄くドキドキする。体中の神経が騒ぎ出したようで、どうしても眠る事が出来ない。
「………うう、何なんだよ?本当に……」
真っ暗なベッドの上で、頭の中でグルグル回る疑問を振り払うように、エリアスは勢いをつけて両手を横に広げた。
「ぎゃんっ!?」
突然悲鳴が上がって、エリアスは我に返った。そうだ、今このベッドを使っているのは自分一人ではない。その事をずっと考えていたのに………
「ひどいよ、エリアス……」
「ご、ごめん……」
文字通り叩き起こされ、膨れっ面でエリアスを睨むキノ。困惑の原因の目が覚めて、エリアスの眠れぬ夜はさらに長引きそうだった。

一方、眠れぬ夜はソラも同じだった。
今この時も、壁一つ挟んだ隣の部屋でエリアスとキノが一緒に過ごしているのだ。想像するだけで頭がハラハラしてくる。
あの時、エリアスは明らかに自分の意思で、キノと同室になろうとしていた。それが何を意味するのかは、考えてみればすぐにわかる事だ。
「うう、キノさんって、ほんとに素敵だからなぁ………」
同じ考えに立てば、ここまでの道中でのエリアスの不自然な態度、あの浮かない表情にも説明がつく。
多分、エリアスはキノと仲良くなりたかったのだ。だけど、ソラの方が先に仲良くなって、キノをほとんど独占してしまった。
エリアスはきっと、自分に嫉妬していたのだ。もちろん、女の子であるソラがキノをどうこうする筈はないが、ソラがいた事でエリアスがキノと話す機会を失ったのは確かだ。
だけど今夜、エリアスはついにキノと二人きりになるチャンスを手に入れた。待ちに待った時が、ついに訪れたのだ。
「ああ、どうしよう、どうしよう」
枕元のスタンド一つだけをつけた薄暗い部屋の中、一人きりのベッドの上で、ソラはじたばたともがく。心配で、やきもきして、頭がおかしくなってしまいそうだ。
ソラの胸の内を、エリアスの笑顔と、キノの凛々しい眼差しが交錯する。一体この壁の向こうで、あの二人はどんな夜を過ごしているのだろう。
「ああああああっ!!!もうっ!!!!」
そしてついに、ソラの我慢の限界が訪れた。この悩みを解決する方法は一つだけ、最初っから決まっているのだ。
ベッドから起きて、靴を履く。立ち上がったソラは自分の両頬をパシンと叩いてから
「よし、行こうっ!!!」
部屋のドアを開け、暗い廊下に飛び出す。後の事など考えない。今は一刻も早く、隣の部屋のドアをノックしたかった。

で、再び場面はキノとエリアスの部屋に戻る。
「………そんな感じで、ボクは色んな国を旅してきた。かれこれ、もうどれくらいになるだろう?旅に出てから、もう随分と経ってしまった気がする」
暗闇の中で、エリアスはキノの話を聞いていた。キノを叩き起こしてしまった事を謝っている内に、今まで何となく話しにくかったキノと、言葉を交わせる雰囲気が生まれたのだ。
エリアスの何気ない問いかけに、キノは丁寧に答えてくれた。自分が今まで旅してきた色んな場所のことを、ポツリポツリと話してくれた。
「……辛くない?」
283SBI:2006/10/18(水) 17:02:25 ID:rBEr8FtM
「まあね。確かにこれまで、色んな危ない目にもあったし、辛い事もたくさんあった。だけど、それでもボクは旅を続けたいと思ってる」
「……ふーん」
キノの言葉の一つ一つが、今まで得体の知れなかった殺し屋まがいの旅人に、具体的な輪郭を与えていく。
いつのまにかエリアスは、キノのことを、もっとたくさん知りたいと思うようになっていた。
キノのことをもっと知って、今の自分を困惑させている原因の一つ、それをはっきりさせたいと思った。
だからエリアスは、恐る恐るその問いをキノに投げかけた。
「………ところで、さ……」
「何?」
「………どうして、僕らを助けたの?」
問われて、キノがしばらく沈黙した。今、二人が見知らぬ異国のホテルの一室で、同じベッドに横になっているそもそもの原因、その核心を突く問いだった。
静かになった部屋の中、二人の呼吸音だけが妙に耳につく。沈黙の中、エリアスは辛抱強くキノの答えを待った。
やがて考えがまとまったのか、キノは先ほどまでと変わらぬ何気ない口調で、その答えを語り始めた。
「………そもそも、あまり気持ちのいい仕事じゃなかった。無駄に人を殺したくなんかなかった。
依頼した人たちには切羽詰った事情でも、殺される方はたまったものじゃないからね。殺さずに済むなら、それが一番良かった」
「でも、結局引き受けたじゃないか」
「うん、報酬の品が、ボクにとってどうしても必要なものだったんだ。あの時は気楽に構えていたけど、いずれその事でとても困った事になるのは目に見えていた」
「困った事って?」
「ボクは、旅を出来なくなっていたかもしれない。場合によっては、何もない荒野の真ん中で立ち往生してたかもしれない。それは嫌だった。だから、ボクは依頼を引き受けた」
そこでキノは一息入れた。エリアスも黙ったまま、しばらくの間キノの言葉の意味を考える。
「…………わからないよ、やっぱり」
「だろうね。これは、ボクが自分で考えて決めたことだもの」
「ユアンさん達はあっさり殺しておいて、サラのこともギリギリまで追い詰めて、それがどうして、こんな事になっちゃうんだ?」
「報酬はどうしても必要だった。だけど、殺さないですむならそれが良いとも思っていた。最後の最後、土壇場でボクはあの方法を思いついた。
それで、エリアスとサラを助けた。ボクは自分のやりたいと思ったことを、ボクの出来る順番で、やっていっただけなんだ」
「おかしいよ、それ………」
「そうかもしれない。…………ボクは自分の旅の事も、他の人の命も、どちらも大事なものだと思う。でも、ボクにはその全てをどうにかするだけの力はない。
ボクにできるのは、その時々で必死に考えて、自分が大事だと思うものを大切にする事だけ。ただ、それだけの事なんだ」
再び考え込んだエリアスの横顔を眺めながら、キノはさらに、愉快そうにこう続ける。
「おかしいといえば、エリアスだって同じじゃないか」
「えっ!!?」
「知り合ったばかりの女の子に、普通あそこまでしてあげる人はいない。たとえソラを好きになったのだとしても、あんな風にはできない」
「だって、ソラは僕が守らないと……」
「つまり、大事だと思ったんだよね。他の何を犠牲にしてもいいと思えるぐらいに、ソラを守りたいと思った」
キノに言われて、エリアスは思い出す。ただソラの命を守るためだけに、自分の全てを投げ出して国中を逃げ回ったあの時のことを……。
「ボクたちは同じ事をしてただけだよ。それぞれ自分にとって大事なものが何なのか考えて、それに従って行動した。そうだよね、エリアス?」
「うん……」
しごく素直に、エリアスは肯いた。
まだ全てに納得できたわけではない。これから先、あの出来事の全てに納得できる日が来るとも思えない。
ただ少しだけ、何となくキノの事がわかったような気がしただけ。それでもエリアスの中で、混乱したまま放置されていたものが、ようやく落ち着いたような気がした。
無慈悲に自分たちを追い詰めようとしていたのに、突然手の平を返して自分たちを助けたキノ。
284SBI:2006/10/18(水) 17:03:22 ID:rBEr8FtM
そのあまりに唐突な変化が、エリアスに、キノを何か得体の知れないもののように感じさせていた。
もちろん、今もキノが何を考えているのかはわからない。ただ、まるで脈絡が無いように見えたキノの行動に、キノなりの一貫したものがある事がわかっただけだ。
それだけの事で、今のエリアスには、キノの存在が以前より近しいものに感じられるようになっていた。
ようやく柔らかい表情を向けてくれたエリアスに、キノも少しホッとしたようだった。と、そこでキノは何かを思い出したように、口を開いた。
「………そうだ、ついでだからもう一つの問題も解決しちゃおう」
「えっ、問題って?」
「それはね、エリアス〜」
突然キノが、自分の方にずずいと顔を突き出してきて、エリアスは目を丸くして固まった。
「いい加減、気付いてもいいころだと思うんだけど………ていうか、本当に気付いてないの?」
「だから、一体何の事なのか、言ってくれなきゃわからないよ」
「ううん、本当に気付いてみたいだな、……いいかいエリアス、実はボクは……」
と、その時だった。
「くしゅんっ!」
ドアの向こうから微かに、しかしハッキリと、誰かのくしゃみの音が聞こえた。しかも、聞き覚えのある声だ。
エリアスはキノと顔を見合わせてから、枕元の電気スタンドのスイッチを入れて、部屋の入り口へと向かう。大きな音を立てぬよう、ゆっくりとドアを開ける。
恐る恐る、暗い廊下に顔を出した。
「………ソラなの?」
「……え、え〜と……こんばんは、エリアス」
廊下にひっくり返っていたソラは、何とも気まずそうな表情を浮かべて、エリアスに答えたのだった。

少しだけ、時間をさかのぼる。
勢い込んで部屋を飛び出したサラだったが、今の時間を冷静に考えてみれば、そもそもエリアスたちが起きているとは思えなかった。
ドアの前まで来て、結局自分の部屋に戻ろうとしたサラ。しかしその時、部屋の中から微かに聞こえてくる声に気が付いた。
一人のものではない。聞き覚えのある声が二つ、内容はわからないけれど何かを話している様子が聞き取れた。
「こんな遅くまで話し込んでるなんて……』
どうやらこの一晩だけで、キノとエリアスは随分と仲良くなったらしい。いや、もしかしたら自分が知らなかっただけで、あの二人はもともと………。
ソラはドアをノックする事も出来ず、かといって自分の部屋に戻る事も出来ず、その場にぺたんと座り込んだ。そして、聞こえてくる二人の声に、ただ耳を傾けた。
それからどれだけの時間が経過したのか、夜の廊下の冷たい空気のため、ソラの体は冷え切ってしまっていた。そして……
「くしゅんっ!!」
まずい、と思ったときにはもう遅かった。ドアの向こうからこちらに近付いてくる気配に、ソラは慌てて立ち上がろうとして、結局こけてしまったのである。
「ソラ、だいじょうぶ?」
「うん、平気……」
恥ずかしい気持ちを必死に押さえつけながら、エリアスの手を借りて、ソラは立ち上がった。
「どうしたの?こんな遅くに……」
「あの、えっと、その……」
どう答えて良いかわからず、ソラは口ごもる。エリアスの顔をマトモに見る事が出来ず、彼の視線から目をそらす。何となく、本当に何となく、部屋の中に視線を向けた。
そして、ソラは見てしまった。
「……………キノさん?」
狭い部屋の中は、エルメスとベッド一つでほとんど一杯になっている。一つきりのベッド、その上に座るキノ、彼女の隣には明らかに誰かが寝ていた跡が残っている。
ソラはぽかんとした表情で、その光景の意味するところを考えていた。そして辿り着く。想像したくもない、最悪の解答に……
「ソラ?どうしたの、ソラ?聞こえてる?」
ソラの様子がおかしい事に気が付いて、エリアスはソラの肩を持って、その顔を覗き込んだ。そして………
285SBI:2006/10/18(水) 17:04:37 ID:rBEr8FtM
「えっ!?ソラ!!?」
その表情に、思わず後ろに下がった。
「……………エリアスぅうううううううううううううっ!!!!」
ズン!!ソラがエリアスの方に一歩踏み出す。泣きそうなのか、怒ってるのかわからない凄まじい形相を浮かべたソラの顔が、目の前に近づいてくる。
気圧されたエリアスが部屋の中に後退する。するとそれに合わせて、ズンズンとソラが歩を進めてくる。
狭い部屋ではそもそも大した逃げ場もない。あっという間に、エリアスはベッドの足元まで追い詰められてしまう。
訳がわからず、今にも泣き出しそうなエリアスの前で、ソラはすーっと吸い込んで
「……エリアスのっ……ばかぁああああああああああああああっ!!!!!!」
大きく叫んで、エリアスをベッドの上に押し倒した。そしてエリアスの体の上にのしかかり、小さな拳でポカポカと、エリアスを叩き始めた。
「エリアスのバカっ!!ばかっ!!!ばかっ!!ばかっ!!!」
「ソラ、やめてよっ!!痛いよっ!!僕が何したって言うんだよぉ!!!」
その光景を見て、キノはため息一つ。どうやら全ての事情を悟っているのは、自分だけだと気付いたのだ。
「………エリアス、さっきの話なんだけど……」
「今、それどころじゃないですっ!!!見てないで助けて下さいっ!!!!」
「いいから聞いて、多分、ソラちゃんがこんな風になった事とも関係あるから……」
「だから、なんですかっ!!?」
「実は………………………………ボク、女の子なんだよ」
ソラの下敷きになったまま、エリアスが固まる。
「それって、どういう………」
「聞いたまんまだよ。ボクは女の子だ。エリアスも、何か変だなとは思ってたんじゃないの?」
エリアスが無意識に感じてきた様々な疑問が氷解していく。しかし、それがソラのこの剣幕とどういう関係があるというのか?
「普通、怒るよ。好きな男の子が、自分以外の女の子と同じ部屋にいて、その上同じベッドの上に寝てたりしたら………」
「って!?ええっ!!?」
その意味を理解して、エリアスの顔がゆっくりと、まるで郵便ポストのような赤に染まっていく。そのまま、エリアスは動かなくなってしまった。
「さて………」
エリアスが完全に機能停止したのを見届けてから、キノはもうほとんど泣きじゃくっているソラの顔を覗き込んだ。
「ソラちゃん……」
「何よ、キノさんもエリアスと一緒に二人で仲良くしてたんでしょ!!もう知らないんだからっ!!!」
「いいから聞いて……」
そう言って、キノは抵抗するソラの耳元に口を近づけ、何やらごにょごにょと囁く。
「…………うそ」
「本当だよ。信じられないけど、今の今まで気付いてなかったみたい」
全てを理解して、ソラの動きがピタリと止まる。そして彼女の胸の内に、安堵と、嬉しさと、凄まじい恥ずかしさとが、同時に押し寄せた。
ソラの顔は目の前でつぶれているエリアスと同じように、耳まで真っ赤に染まっていく。
「………ううん……あれ、ソラ?」
その時、ようやくショック状態から、エリアスが正気に返った。彼は目の前のソラに、おずおずと語りかける。
「ごめん、ソラ。僕、キノさんとほとんど話した事もなかったから、それで気がつかなくて…………って、ソラ?何?今度は何して……」
「ごめんなさいっ!!!ごめんなさい、エリアス………」
有無を言わさず、ソラはエリアスを抱き締めた。それはもうギュウギュウと力いっぱいに、骨が折れるんじゃないかと思うぐらいの強さで、エアリスの体にしがみついた。
そしてその勢いに任せて、ソラはさらに大胆な行動に出る。
286SBI:2006/10/18(水) 17:06:00 ID:rBEr8FtM
「ちょ…ソラ?…待って!!落ち着いて!!!」
「エリアスぅ………………………んんっ!」
気が付いた時には、ソラに唇を塞がれていた。息を吐くことも、吸い込む事もできずに、エリアスはむぐむぐと息を止める。
文字通りの息苦しさと、バクバクとうるさい心臓の音、そして何より唇から伝わるソラのぬくもりが、エリアスの頭の中をかき回す。
すっかり混乱してしまったエリアスも、勢いだけで行動してしまったソラも、訳のわからぬまま相手の体を抱き締めて、キスを続けた。
「はぁはぁ……エリアス、好きなの。だから、どうしていいかわからなくて」
「ソラ………僕も…だよ……」
荒く呼吸を切らしながら、キスを終えた二人は真っ赤な顔で見詰め合った。恥ずかしいのに目を逸らす事が出来ず、いまやすっかり二人だけの空間ができあがっている。
「…………………ボクもいるんだけどね」
哀れにも忘れ去られてしまったキノ。二人の誤解を解いた張本人だというのに、完全に蚊帳の外で置いてけぼりにされている。
キノの目の前で、エリアスとソラがもう一度キスをする。おっかなびっくりに唇を重ねた後、お互いの唇の感触に我を忘れ、無我夢中で求め合う。
「仲が良いのは良い事だけど、ちょっとはボクのことも思い出してほしいな………」
キノだって、今夜はドキドキしっぱなしだったのだ。いくら年が離れていると言っても、キノだってうら若き乙女である。男の子と一緒のベッドで落ち着ける筈がない。
その上ソラまでやって来て、ベッドの上は満員状態。抱き合う二人の体が押し付けられて、二人の体温に触れるごとに、キノの顔もだんだん赤くなっていく。
「凄いな、二人とも………」
呟いて、キノはベッドの上に膝立ちで起き上がった。目の前の好きな人以外、何も見えなくなっちゃってる二人、それを見下ろすキノの胸中にむくむくと欲望が湧きあがる。
どうしていいのか当人達にもわからないまま、繰り返されるつたないキス。あたたかくてプニプニな二人の体が、ぎゅうぎゅうと密着している。
「……………うう、可愛い」
ゴクリ、キノが生唾を飲み込む。一人用のベッドに三人が乗っかっているこの奇妙な状況、体を少し動かすだけで、二人の手に、足に触れてしまうのだ。
まるで三人の体温が集まって、このベッドの上だけに滞っているような錯覚を覚える。そしてその熱気は、確実にキノの理性を蕩かしていった。
「もう、限界だ……」
ふらり、キノは抱き締めあう二人の上に覆い被さった。
「ふえっ!?な、何!!?」
「キ、キノさん何して……ふわぁああっ!?」
まだ成長途上のエリアスとサラの体を、キノは思い切り抱き締めた。キノの体重がかかった事で、二人の体の、今まで触れてなかった部分がぎゅうぎゅうと密着させられる。
そんな中、サラは自分のお腹の下あたりに触れる、妙な異物感に気がつく。固いけど、ある程度弾力があって、服の上からでもわかるくらい熱くなっている。
「う、うわああああああっ!!!!サラっ!!!サラ、ごめんっ!!!!」
「えっ!?エリアス、どうしたの?」
いきなり慌て始めたエリアスを見て、サラは考えた。そして、すぐに原因に行き当たる。それは、今サラの体に触れている熱くて固いもの。
キノと同じベッドで過ごしたり、サラに抱きつかれたりしている内に、知らず知らずに大きくなってしまったエリアスの、男の子の証だった。
「ごめんっ!!すぐ離れるからっ!!!今すぐ離れるからっ!!!」
何とか抜け出そうと、エリアスはじたばたともがいた。
しかし、キノはそんなエリアスを逃がさない。その内に、サラの体に擦りつけられて、エリアスのモノはどんどん熱くなっていく。
もがけばもがくほど、エリアスは深みに嵌っていく。股間に触れるサラの体の感触が気持ち良すぎて、いつの間にか抜け出すためにもがいている事を忘れ去っていく。
「ふあぁ……こんな…エリアスぅ……」
一方のサラの声も、徐々に熱を帯び始めていた。
性教育などで話に聞いた事があるだけの、男の子のアレが自分の体に押し付けられている。その感触だけで、サラはだんだんと正気を失っていく。
太ももの隙間が、幼い割れ目の奥が熱く疼き始める。いまだ自分の秘所に触れたこともなかったサラは、その未知の感覚に翻弄される。
耳元にかかるエリアスの吐息が、だんだんと荒くなっていく自分の呼吸が、サラをたまらなく興奮させた。
ウットリとした瞳に恍惚の色を浮かべ、溶けてしまいそうに熱くなった体に、サラは自分の全てを委ねる。
287SBI:2006/10/18(水) 17:06:51 ID:rBEr8FtM
いつしかサラも、無我夢中で自分の体をエリアスに擦りつけ始めていた。
「…………あっ……あん……ひぅ……エリアスぅ、からだがあついよぅ……」
「……ああ、サラぁ…僕も、へんになっちゃうよぉ……」
男女の営みについて無知な二人は、他にどうすればいいかわからず、ただただ体を擦りつけ合った。
お互いの体の感触を感じるごとに、二人の頭を痺れるような快感が襲い、そしてそれ以上のもどかしい疼きが蓄積されていく。
気持ちいいのに、行為を続ければ続けるほど、もんもんとした気持ちが頭の中で膨らんでいくのだ。
それを晴らそうと行為に没入して、さらなる深みに嵌っていく。まるで、一度入れば抜けられない蟻地獄のように、快感のスパイラルが二人を捕えていた。
「うふふ、二人とも結構ほぐれてきたみたい……それじゃあ、そろそろ次に進もうかな……」
二人を腕の中に抱き、どんどん乱れていく二人の様子を楽しんでいたキノが、ニヤリと笑う。そして、悪戯っぽい笑顔を浮かべた彼女は……
「きゃうぅっ!!?」
チロリ、とサラの耳たぶを舐め上げた。突然の刺激に、サラが悲鳴を上げる。さらにキノは、サラの上着のボタンに手をかけ、手早く外していく。
「キノ…さん?…何してるんです?私をどうするんです?……」
「もっと気持ちよくしてあげる。もうエッチな事なしじゃいられなくなるぐらい、とっても気持ち良くしてあげる。……………そう、こんな風にっ!!」
上着のボタンを全て外されシャツをめくられ、露になったソラの可愛らしい胸。その先端で健気に震えるピンクの突起を、キノは容赦なく押しつぶした。
「ひああああっ!!!…キノさ…ひゃめっ……そこ…さわんないでぇっ!!!」
その瞬間、ソラの体は雷に撃たれたように、ビクンと痙攣を起こした。背骨を駆け抜けた衝撃に、ソラは一瞬呼吸さえも忘れてしまった。
そして、聞いた事もないような声で喘ぐソラの様子に、エリアスはすっかり心を奪われてしまっていた。
「うふふ、エリアス。ソラちゃんって、可愛い声出すよね……」
「……ソ、ソラぁ……」
「じゃあ次は、こんなのはどう?」
「……えっ!?」
気が付くと、エリアスの服もキノの手によって、いつの間にかサラの服と同じ状態にされていた。そしてその上……
「それっ、オマケっ!!」
「うわぁっ!!?」
キノが、エリアスのパンツとズボンを一気に下にずらした。同じようにソラのパンツもずらされて、何もない状態でソラとエリアスの肌が触れ合う。
初めて触れた、お互いの裸の体。柔らかくて、熱くて、触っているだけで今にも溶けそうなその感触に、エリアスとサラは声も出せない。
「それじゃあ二人とも、さっきボクがやったみたいにして、お互いに気持ちよくしてあげるんだ。さあ、始めて……」
いつの間にか、シャツを除く全ての服は、キノの手によって完全に脱がされてしまっていた。二人は言われるがままに、おずおずとお互いの体への愛撫を始めた。
エリアスがまず触ったのは、まだ小さなソラの胸だ。さきほどキノがやった事を思い出しながら、恐る恐るその先端に触れる。
「……あっ………あんっ!!」
つたない指先が与える、ほんの僅かな刺激。それだけで、ソラの唇から漏れ出る声は、甘く切ない色を帯びてくる。
ソラの敏感な反応に背中を押されるように、エリアスはソラの乳首をくりくりとこね回し、摘み、思いつく限りの方法で刺激を与えた。
ソラの嬌声だけを道標にして、エリアスは無我夢中のまま、ソラの胸を愛撫し続けた。
「…あっ…だめぇ……エリアスっ!!そんなさらたら……私、もう……っ!!!」
エリアスに触れられる度に蓄積していくジンジンする胸の疼き。ソラの幼い性感は、これ以上それに耐えることが出来なかった。
悲鳴を上げて、彼女はエリアスの体に抱きつく。先程までと同じ体勢だが、ただ一つ違うのは二人の肌を守るものがもう何一つ無い事である。
きつく抱き締めれば抱き締めるほど、エリアスの体温をより強く感じる事が出来た。そのまま彼女は先程までの要領で、再び体を擦りつけ始める。
「ああんっ!!ふあああっ!!!エリアスっ!!エリアスぅうううっ!!!」
「うああっ…くぅっ!!…ソラぁああああっ!!!」
やっている事は何一つ変わらない筈なのに、二人が感じる快感は先程の何倍にも膨れ上がっていた。
じっとりと汗ばんだ肌の感触、苦しげに張り詰めたエリアスのモノの固さ、ソラの内股に溢れ出した蜜の湿り気。
圧倒的なまでのお互いの肉感が、二人の行為を加速させていく。もっと相手の肉体を感じたくて、さらなるスピードで肌を擦りつけ合った。
288SBI:2006/10/18(水) 17:08:00 ID:VXDhoALS
いまや二人の理性は完全に吹き飛んでいた。熱と、快楽と、たまらない愛しさ。それが今のエリアスとソラを動かすものの全てだった。
二人の様子を眺めながら、いかにも満足そうにキノは笑った。
「……うんうん、ここまで来ればあと一息だ」
ソラの背中に体を擦りつけながら、キノは二人に囁きかけた。
「あと……ひといき?」
「そうだよ、エリアス。今でも二人の体は溶け合ってしまいそうだけど、まだ先がある。本当に二人が一つになって、もっと気持ちよくなれるんだ」
そう言って、キノはソラを抱き起こした。大きすぎる快感に晒され続けて、ソラはの体すっかり脱力してしまっている。
キノはされるがままのソラの脚を左右に開き、彼女の一番大事で、一番敏感な部分を、エリアスの目の前に広げる。
ひくひくと切なげに震え、濡れて輝くその部分を、エリアスはうっとしとした瞳で眺めた。
「…やぁ……はずかしいよ……みないで、エリアスぅ……」
「すごい……ソラ…きれいだよ、ソラのここ……」
「さあ、エリアスのソレの先を、ここに当てるんだ」
言われるがまま、エリアスは自分のモノをソラのアソコにあてがった。空の体の他のどこよりも熱い部分に触れて、エリアスのモノがビクンと脈打つ。
「後はきっと、二人にもわかるはずだよ」
囁いたキノの言葉も、二人にはもう届いていなかった。僅かな接触だけでこれほどまでに強烈に、互いの体の中で燃える炎を感じる事が出来る。
ソラと、エリアスと一つになりたい。体中の細胞の一つ一つが、そう叫んでいるのが聞こえるようだ。
自分の内から湧き出る衝動のあまりの激しさに、二人は少し怖気づく。このまま本当に一つになったら、自分たちは一体どうなってしまうのだろう?
「……エリアス」
「ソラ……」
ソラとエリアスはお互いの顔を見交わした。相手の笑顔を見て、沸きあがってくる愛しさ。二人は改めて、自分自身の沸き立つ心を感じた。
一つになりたい。エリアスと、ソラと、一つに溶け合って、お互いの熱を体中で感じたい。
「うん、いくよ……」
こくり、エリアスが深く肯いて挿入を開始する。熱くて狭いソラの柔肉を押し割って、奥へ奥へと進んでいく。
ソラの中に入っていく。
「…………っ!!」
破瓜の痛みに震えたソラの体を、エリアスはきゅーっと抱き締めてくれた。やがて痛みは、ソラの中を満たした熱に飲み込まれて消えていった。
ゆっくりと、二人は腰を動かし始めた。
「……ああっ!!エリアスっ!!!…私たち…ひとつになってるよぉ!!!」
じゅぷん、じゅぷんと音を立てながら、エリアスの固くて熱いモノがソラの中で前後に動く。
ソラの熱にやさしく包まれる感触。自分の中を満たすエリアスの熱の存在感。それだけで、今の二人には神経が焼き切れそうなほどの快感に変わる。
「ソラっ!!好きだよっ!!!大好きだよっ!!!!」
「エリアスっ!!!好きぃいいいっ!!!ひぁあああんっ!!!」
快感と熱が、二人を蕩かしていく。大事な部分で繋がり合い、無我夢中でキスを交わし、手足を絡み合わせて、狂熱の中で二人が溶け合っていく。
激しすぎる快感で潤んだ瞳に映るのは、同じように自分を見つめる愛しい相手の顔ばかり。ひたすら貪欲にお互いを求め合って、二人は快楽の沼の中に沈んでいく。
さらに、そんな二人の体をキノは抱き締め、自らの体を思い切り擦りつけた。
「あああっ!!!ボクも…こんなのすごすぎて……ふああああっ!!!」
キノの動きが加わる事で、エリアスとソラの行為は半ば強引に加速されていく。コントロール不能なその動きが、二人をさらに大きな快楽へと導く。
もはや自分たちが何をしているのかもわからなかった。熱くて、愛しくて、それだけで心も体も満たされてしまう。
「ひあっ!?ふあああんっ!!!エリアスっ!!気持ちいいっ!!!気持ちいいよぉおおおおっ!!!!」
「ソラっ!!ソラの中も熱くてっ…気持ち良くてっ!!!僕はぁあああっ!!!!」
このまま消えてしまってもいいと、本気で思った。このまま高まり続ける熱に身を任せて、どこまでも昇りつめたい、それだけを願った。
「ふあああっ!!!ボク、もうっ!!!ひああああああああんっ!!!!」
289SBI:2006/10/18(水) 17:08:41 ID:VXDhoALS
耐え切れずに、キノは先に達してしまう。くてんと崩れ落ちた彼女を取り残して、エリアスとソラはさらに激しく交わる。
白熱する行為で、頭の芯が痺れる。体中の神経が、快感以外のものを何一つとして受け付けなくなる。
もっと熱く、もっと気持ちよくなりたい。大好きな人と分かち合うこの快感で、全てを塗りつぶしてしまおう。
ぎゅっと抱き締めあった二人に、快感の津波が容赦なく襲い掛かる。それは二人の意識を最後の一片まで押し流して……
「ああっ!!!いくよっ、ソラっ!!!ソラぁああああっ!!!」
「エリアスっ!!!エリアスっ!!!エリアスぅうううううううううううっ!!!!」
そしてついに、エリアスとソラは絶頂へと昇りつめた。

夜が明ける。窓の外に覗く空の色が次第に明るさを増していく。微かに聞こえる小鳥のさえずりの中、いつも通りに目を覚ましたキノが、すし詰めのベッドの上に起き上がる。
「……ふあ〜、やっぱりまだ眠いや」
そう言いながらもシャツに腕を通し、ズボンを穿いて身支度を整える。カノンを用意して、いつも通りに抜き撃ちの練習を始めようとして、キノは気がついた。
「なんだ、早起きだね。おはよう、エリアス」
「おはよう………別に早起きじゃないけどね。あの後一睡も出来なかっただけで……」
ぽりぽりと頭をかきながら、エリアスが体を起こす。そして眠い目をこすりながら、キノの方に視線を向ける。
服を着て、いつもの格好に戻ったキノの姿は、事実を知った今になっても、エリアスには男の子のように見えてしかたがない。
「……本当に女の子だったなんて、今でも信じられない」
「正直、ちょっとショックだったよ、あそこまで気付いてもらえないなんて。ボクも一応女の子だし、なかなか辛いものがある」
「その上、まさか僕とソラがあんな事になるなんて、思っても見なかった」
「………それは、その……なんというか………ごめん」
それを言われるとキノも辛い。昨夜の記憶が蘇ったキノは、恥ずかしさに頬を染めて下にうつむく。
「でも、とにかく話せて良かった。そう思ってる………」
そんなキノを見ながら、そう言ったエリアスの口調は優しかった。
既に故郷は遠く、これからソラと共に過ごす日々はあまりにも果てしない。何もかもがエリアスの手には負えない、気の遠くなるようなものに感じられる。
だけど、キノと話したことで、エリアスは少しだけわかった。
抱き寄せたソラの小さな肩の感触、あたたかさ、それだけを忘れぬように生きてゆきたい。そう思うことができた。
「それから、まだ言ってなかったから、言っとくよ…………………ありがとう、ソラを助けてくれて」
ぎこちない調子でそう付け加えて、エリアスはそっぽを向いた。
「………どういたしまして、エリアス」
微笑んで答えたキノの横顔を、窓から差し込んだ朝日が照らす。新しい一日が始まろうとしていた。
290SBI:2006/10/18(水) 17:11:00 ID:VXDhoALS
以上でおしまいです。
エリアスもソラも可愛いったらありゃしない素敵なキャラなので、本編で再登場しないかな、と思ってしまいます。
それでは、失礼しました。
291名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 17:11:42 ID:L0p0UpvO
うん、GJ

でもソラじゃなくてサラね
292名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 17:19:44 ID:ErDEg/9w
うん…新キャラ使って書いて頂けたのは非常にGJなんですけど、
さすがに最後までサラ→ソラの間違いは…。
でも歌姫の国のアフターとして十分に読めるお話でした。お疲れ様でした。
293SBI:2006/10/18(水) 17:29:58 ID:VXDhoALS
うわああああっ!!!本当だ。
あ、穴があったら入りたい。っていうか、どうにかなかった事にできないものか……。
294名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 18:41:01 ID:0tDf8TWS
新刊も誤字だらけだから気にする必要なし!
GJ!
295名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 19:30:42 ID:No+6/L71
キノ……いくら自分に相手いないからって(つ∀`)
296名無しさん@ピンキー:2006/10/21(土) 09:51:07 ID:EasMHYtu
保守
297SBI:2006/10/22(日) 15:39:36 ID:FpDz/qVs
どうも、SBIです。
前回の大誤植ですが、書き始めた最初のころに一度サラの名前を間違えて、それを意識しすぎたのがいけなかったみたいです。
その事で頭が一杯になったあまり、今度は逆に間違えている事に気づくだけの余裕や注意力を失っていたようです。
キャラの名前が違う違和感は相当なものだったと思います。ご迷惑かけました。あらためて、申し訳ありません。

で、また書いてきました。アリソンの妙な話です。今度はあんな派手な間違いがない事を祈ってます。
それでは、いきます。
298SBI:2006/10/22(日) 15:40:24 ID:FpDz/qVs
その日の夕方、小さな小包が一つ、イクス王国で暮らすベネディクトのもとに届いた。
「これは……?」
小包の内容は『DS電撃文庫 アリソン』、電撃文庫のゲーム向けの新展開、DS電撃文庫の第一弾である。
しかし、小包の表に書かれたそのタイトルを見ても、ベネディクトは半信半疑だった。確かに予約をした記憶はあるのだが、このソフトが届くのが今日の筈はない。
10月を予定していた発売日は二ヶ月延期されて12月へ移り、現在も予約の受付は行われている。ならば、今手元にあるこの小包は一体?
茶色の包装紙に包まれた、一見ごく普通のその小包を、ベネディクトは穴が開くほど睨みつけた。一体全体、何が入っているのか見当も付かない。
もしかしたら、英雄でイクス王国の次期女王の夫である自分を暗殺するための爆弾かもしれない。だが、それを発売延期のゲームソフトに偽装するとも思えないし……
「まあいい。開ければわかるさ」
小包を抱えたまま突っ立っているのにも飽きてきて、ベネディクトはその場でビリビリと封を破り始めた。
乱暴に破いた包装紙に手を突っ込んで、中身を掴む。平べったいプラスチックの箱の感触は、お馴染みのDSソフトの箱のようにも思えたが………。
「よし、出てきた…………って、ええっ!!?」
引っ張り出したソレを見た瞬間、ベネディクトは凍りついた。確かにDSのソフトだ。確かに『アリソン』だ。
だが違う。明らかに違うのだ。突然ベネディクトは辺りをきょろきょろと見回した。
誰もいない事を確かめてから、ベネディクトはソレを懐に入れ、包装紙をくしゃくしゃとポケットに突っ込んで、自分の部屋へと帰っていった。

さて、それから一時間ほど経ったロクシアヌーク連邦の首都特別地域、そのまた一角の安アパートの最上階、そこに借りた自分たちの部屋にアリソンは帰りついた。
「おかえり、アリソン」
「ただいま、ヴィル」
笑顔でヴィルに答えてから、荷物を置きに一旦奥の部屋へと引っ込む。今日も元気に仕事を終えたアリソンは、鼻歌など奏でながらかなりの上機嫌のようである。
ヴィルとの生活にも大分慣れてきたけれど、やはり誰かが家で待っていてくれるというのは何とも幸せなものだ。
「明日は二人とも休みだし、今夜は久しぶりに………むふふ」
怪しげな夢想に耽りながら、鞄を床の上に投げ出す。ちょっと前なら考えられないラブラブな生活を、アリソンは満喫し切っているようである。
「……あれ?」
だが、上着を脱ごうと襟元に手をやったところで、アリソンはピタリと止まった。
「ボタンが外れてる?」
お馴染みの空軍のジャケットのボタンが外れている。それも一つだけではない。上から下まで全てのボタンが外れているのだ。
ここに来るまでに外した覚えはない。かといって、全てのボタンが勝手に外れるとは考えられない。なんとなく、気味が悪かった。
それでも気を取り直して、さっさと脱いでしまおうと思ったその時。
「…えっ!?…ちょ、何で!?」
今度はシャツのボタンが外れ始めた。見えない誰かの手がぷちぷちとボタンを外して、さらにその下の下着にまで手をかけようとしている。
「……いやっ!!…このっ!!…やめなさいってばぁ!!!」
訳のわからないまま、アリソンは脱げそうになる服を片手で押さえて、もう片方の手をブンブンと振り回し、そこにいる筈の誰かを捕えようとした。
だが、何一つ手応えは感じられない。なにしろ可愛いだけあって、今までもアリソンは痴漢やその他の無礼な輩に狙われる事があった。
その度に強烈な反撃をしてきたアリソンだが、今度ばかりはどうにもならない。触れる事も出来ない相手に、一体どうやって抵抗しろと言うのか。
「こらっ!!…こらぁ!!!いーかげんにしろってばぁ!!!……きゃううぅっ!!?」
ベルトが外された。かと思うとブラを上にずらされる。それに気を取られると、今度はショーツの中に指が………。
今のアリソンに出来るのは、これ以上脱がされないように上着を必死で押さえる事だけだった。
ズボンを下にずらされて、アリソンはその場にペタリと座り込む。この見えない痴漢の前では、アリソンはまったくの無力だった。
「やめろぉっ!!!やめっ…うああっ…きゃんっ!!…やめろって言ってるのにぃ!!!」
アリソンの怒声のその端々に、だんだんと弱気が滲み始める。自分の力では今のこの状況をどうにかする事が、不可能であると理解し始めていた。
見えない指がアリソンの胸を揉みしだき、先端のピンクの突起を摘む。先ほどまで強引に服を脱がせてきたのとは反対に、微妙な力加減でアリソンの性感を刺激する。
アリソンも自分で胸を触ってみるが、そこにある筈のもの、男性のものらしい大きな手の平に触れることすらできない。
299SBI:2006/10/22(日) 15:42:25 ID:FpDz/qVs
アリソンの肌の上を無遠慮な手の平が縦横無尽に走り回る。悔しい。怖い。でも、何も出来ない。何も出来ずに、この愛撫を甘受するしかない。
「……っあぁ!!…や…ふあああっ!!!…も…やらぁ……ああああああっ!!!!」
見えない痴漢の指使いは巧みだった。ときにしつこく責められ、ときに散々焦らされて、アリソンの中のもどかしさがじわじわと増大していく。
柔らかな乳房の上で、張り裂けそうな切なさを抱えてピンと起ち上がっている乳首。体中を指でなぞられるて、その度に肌の上をゾクゾクと電気が走る。
息は乱れ始め、服を脱がされるのを押さえていた腕は、もはやへたり込みそうな体を支えているだけで精一杯だ。
もし、こんな状態の自分をヴィルに見られでもしたら……。アリソンは心底怯えた。この部屋に入って大分時間も経過している。そろそろヴィルも不審に思っているはずだ。
「ひああっ!!!…ふぁ……くぅんっ!!!…ああっ…だめっ…だめぇえええっ!!!」
必死で抑えている声が、段々熱を帯びていくのがわかる。押さえつけても、断続的に襲い掛かる快感の波に、防衛線は確実に切り崩されていく。
お尻を撫でられて、そのまま背筋に沿ってつーっと指が這い上がってきた。ぞわり。またも襲い掛かる電流に、ついにアリソンの体が崩れ落ちた。
ごろり、床の上に上半身が転がった音が、まるで雷鳴のように大きな音に聞こえる。快感に身悶えるたびに生じる衣擦れが、ヴィルに筒抜けになっているような気がしてくる。
首筋。乳房。おへそに脇腹。無遠慮な手の平が触っていない場所は、アリソンの体の上にはもうどこにも無いように思えた。
だが、違うのだ。あの指が触れていない場所が、ただ一つだけある。
「……今……今アソコに触られたら……」
愛する人以外に触らせる事など考えた事も無い、アリソンの一番大事で一番敏感なところ。見えない痴漢が、そこを触れるのを避けているのはわかり切っていた。
焦らしているのだ。ショーツの中に入ってきたかと思うと、すぐに手を引っ込める。そんな事が何度あっただろう。
その危機の度に、アリソンの胸には安堵感と共に、何とも言えない物足りなさが湧き上がる。
向こうの狙いはわかっている。そうやってアリソンを限界まで焦らしてから、最高のタイミングでアソコへと侵入しようとしているのだ。
いまや、溢れ出す蜜によってしとどに濡れたアリソンのアソコは、アリソンの意思とは無関係にその瞬間を待望している。
その時、自分は耐え切る事ができるのだろうか。募る不安感が心拍を早めて、アリソンから冷静な思考を奪い去っていく。
今しも、見えない指先がお腹の上を滑り、アリソンのアソコへの距離を縮めようとしている。
身構えるアリソン。指先はショーツを押し上げ、気持ちよく生え揃ったアリソンの茂みに踏み入る。そして、そこでピタリと止まった。
そのまま、アリソンにとっては永遠とも思える数秒が過ぎた。やがて、ゆっくりと後退していく指先にアリソンが安堵の息を漏らした、その瞬間だった。
「………………ああああああああああっ!!!!!」
一気にショーツの奥まで、見えない手が入ってきた。そのまま間を置かず、指先が秘裂へと侵入してくる。
浅いところをくちゅくちゅとかき混ぜ、敏感な花びらをこれでもかと言うほど弄んだ。苦しそうに膨らんだお豆を指先で押しつぶされ、アリソンは背中を痙攣させる。
「……ひああっ!!!や…はぁあああっ!!!…いやっ…いやっ…いやぁああああっ!!!!…こんな…わたしぃいいいいいっ!!!!」
さらに三本ほどの指がまとめて突っ込まれた。アソコを奥の奥まで濡らしていた蜜を掻き出しながら、アリソンの膣内を蹂躙しまくった。
待ちに待ったその感覚に、アリソンの体はいとも簡単に屈服し、圧倒的な快感に耐える事も出来ないアリソンは、床の上でひたすら喘ぎ、身悶えた。
これまでの鬱憤を晴らすかのごとく、アリソンの中で指先は暴れる。陥落は時間の問題だった。
「…ああっ…いや……私…イクぅううっ!!!…イかされちゃうよぉおおおおおおおっ!!!!!!」
はしたない悲鳴を上げ、全身をビクビクと痙攣させながら、アリソンは絶頂に達した。快感で真っ白になった頭の中は、見知らぬ指先にイかされた虚脱感で一杯だった。
「……うあ……ヴィル……たすけて……ヴィルぅ……」
無意識の内に呟いたその名前に、少し正気が戻ってくる。そう言えば、何か大事な事を忘れているような……。
300SBI:2006/10/22(日) 15:43:21 ID:FpDz/qVs
「……そだ…私……大声出しちゃ…いけないのに……」
こちらに近付いてくる足音が聞こえる。だが、見えない痴漢は今もアリソンの体を責め続けている。服を着直すのは不可能だ。
「アリソンっ!!どうしたの、アリソン!?」
ドアの向こうから聞こえた愛しい声に、これ以上ない絶望を感じた。何とか答えて、誤魔化さなければいけないのに、声が出てこない。
部屋の中から応答がない事に、ヴィルが不信感を募らせているのは明らかだ。もう、止める事はできない。
「………仕方ない。アリソン、入るよ……」
ドアに鍵は掛かっていない。ゆっくりとノブが回り、アリソンの目の前で、無情のドアが開いていく。そして………
「…………えっ!?…アリ…ソン?」
驚愕するヴィルの声が、ドアから目を逸らしたアリソンの耳にはあまりに痛かった。

薄暗い部屋の中、DSの画面に顔を照らされながら、ベネディクトはゲームに熱中していた。
例の小包の中身は確かに『DS電撃文庫 アリソン』だった。少なくとも、パッケージにはそう書いてあった。しかし、やっぱり変なのだ。
例えば、パッケージのイラストは、ホームページ等で紹介されている青空をバックにした、アリソンの笑顔が眩しいあの爽やかな絵ではない。
そこに描かれているアリソンは服装は同じ空軍のジャケット姿だが、ボタンは外れ、襟元ははだけて、髪も少し乱れている。
石床の上にへたり込み、頬を上気させ、涙に潤んだ瞳で上目遣いにこちらを見上げているのだ。もうこれ以上ないくらいエロティックなイラストである。
驚きながらも、興味本位でゲームを始めたベネディクトはさらに信じられないものを見た。
『アリソン』本編は確かに収録されているのだが、同時に、聞いた事も無いミニゲームまで入っていたのである。
その名も『アリソンいぢり』である。
「うふふ、じゃあ、次はここをこうして……」
いやらしく笑いながら、ベネディクトがタッチペンを滑らせる。画面の中のアリソンのクリトリスを、滅茶苦茶に責め立てる。
画面の中のアリソンはそれに反応して身悶え、切なげな声を上げる。細かな仕草までリアルに再現されたアリソンの痴態に、ベネディクトの頬が緩む。
「まるで本物のアリソン君をいぢめてるみたいだ………」
ベネディクトは本編そっちのけで、このミニゲームに夢中になっていた。時間を忘れて、タッチペンで画面上のアリソンを責め立てまくった。
一度はプロポーズまでした相手が、脱がされ、愛撫され、乱れていくその様子、その淫靡な喜びに、ベネディクトは完全に虜になっていた。
無論、ベネディクトがこのゲームを始めたのと同時に、首都のアリソンに襲い掛かった異変については、彼は知る由も無いのだけれど………。
「ああ、ほんとに可愛い。ほら、次はこうだっ!!」
またも乳首に攻撃。音量を絞られたスピーカーから、微かに聞こえるアリソンの抑えた喘ぎ声。ベネディクトの興奮は否応無く高まる。
「しかし、本編は声無しなのに、こっちはフルボイスか……。ああ、たまらないなぁ……」
「……ほんと、アリソンさん可愛いわね。こんな声出しちゃうなんて……」
「ええ、それにアリソン君ってば、乳首が特に弱いみたいで……ほらっ!!」
「きゃあっ!!凄い……気持ち良すぎて、もう身動きできないみたい……」
「まだまだ終わらないぞ。次はここっ!!!」
そこで、ベネディクトの手が止まった。背後に感じる気配と、お馴染みの声に、体中がガタガタと震え始める。
「…………見てたんですか、フィー?」
「……えっ?…あっ…うん」
「………いつから?」
「かれこれ30分ぐらい………」
フィオナに見られていた。青褪めたベネディクトの顔を、つーっと一筋の汗が滴り落ちていく。
マズイ。どう考えても、言い逃れはできない。石化したベネディクトはそのまましばらく、天の裁きが下るのを待った。
だが、次にフィオナが口にしたのは、全く意外な言葉だった。
「…………ねえ、私にもやらせてもらえないかしら?」
「へっ!?」
301SBI:2006/10/22(日) 15:44:33 ID:FpDz/qVs
「最初に見つけた時は、それはムッとしたけれど……………でも、そのアリソンさん、エッチだし、可愛いし………ベネディクトが夢中になるのもわかるような気がして……」
振り返ったベネディクトが見たのは、頬を赤らめながらもチラチラと興味ありげに画面を覗くフィオナの顔だった。
そんなフィオナを見ていると、なんだかベネディクトまでドキドキしてきて……。
「………ほんとはいけない事だってわかってるんだけど………ね?いいでしょ?」
「あ、ああ。もちろん……」
気が付いた時には、予備のタッチペンを渡していた。
二人でこんな事をするのは気まずい感じもするけれど、だけどそれはそれで、なんだか別の興奮を味わえそうだった。
そもそも、所詮ゲームの話だし、そんなに深刻になることもない。
「じゃあ、始めましょうか……」
まあ、首都で見えない痴漢に襲われてるアリソンには、堪った話ではないのだけれど……。

呆然と立ち尽くすヴィルの前で、アリソンは見えない手に翻弄され、どうする事も出来ずに快感に耐えていた。
ヴィルに見られているのに、体中の感じる部分を次々に責められて、口から漏れ出る喘ぎ声はどんどん激しく、荒くなっていく。
「……ア、アリソン!?……何だ?何が起こって?」
目の前で起こっている現象が理解できず、ヴィルはただただ呆然とするばかりだった。
誰も触れていないはずなのに、アリソンの乳房が指の形に押しつぶされ、歪む。くちゅくちゅとアソコをかき混ぜる水音が聞こえてくる。
「……ヴィルぅ…嫌ぁ……見ないで…お願い……見ないでぇ…」
アリソンに出来るのは、悲痛な声でヴィルにこう訴える事だけ。今はせめて、この消えてしまいたくなるような恥ずかしさから解放されたかった。
大好きなヴィルの前で、他の誰かに触られていやらしい声を上げ、あまつさえイかされてしまう。そんな事にはもう耐えられない。
「…ごめ……ヴィル…私……もうこれ以上…ヴィルにこんなとこ…みられたら……」
「………アリソン」
アリソンの必死の哀願に、ヴィルの心が揺れる。伏せられたアリソンの瞳から、彼女の感じている耐え難い恥ずかしさが伝わってくるような気がした。
「…お願い……お願い…だからぁ………」
顔を上げ、涙ぐんだ瞳で訴えるアリソン。ヴィルは何も答える事が出来ず、見詰め合った二人の間を数秒間の沈黙が支配した。そして……
「しっかりしてっ!!!アリソンっ!!!!」
ヴィルは駆け寄った。アリソンの元へ………。
たとえ何も出来なくても、こんなアリソンを放って置けるはずが無かった。力無く横たわるアリソンの体を、その胸に抱き寄せた。
「アリソン……僕が……僕がここにいるから……」
「………ヴィ…ルぅ…」
暖かな腕がアリソンの体を包む。ぎゅっと背中を抱き締められる力強さは、アリソンの躊躇いを吹き飛ばすのには十分だった。
ヴィルの胸にしがみついて、その肩に顔を埋める。自分の全てを押し流されてしまいそうな快感の濁流の中、ヴィルの優しさにアリソンは全てを委ねた。
だがその瞬間、予想だにしなかった第二の衝撃が、アリソンに襲い掛かった。
「…ひゃああんっ!!…や…嘘ぉ…手が…増えてるぅ!!!!」
「アリソンっ!!?」
今までの男性を思わせる大きな手の平ではない。細くしなやかな、女性のものらしき指先が、アリソンの乳首を捕え、くにくにとこね回した。
「…ああっ!!…やめ…こんなの……だめぇ…ヴィルが……ヴィルが見てるのにぃ……っ!!!」
触れてくる感触の柔らかさとは裏腹に、新しく増えた女性の指先は、大胆に、そして激しくアリソンの体を責め立てた。
これまで散々触られまくって敏感になった体の中でも、特に一番感じやすい部分をピンポイントで、強烈に責めてくるのだ。
切なくてたまらない両の乳首を責めるその手つきは、今までとは比較にならないほど激しい。きゅっと乳首を摘まれるごとに、アリソンの意識は真っ白に吹き飛ばされる。
しかも、同時にもう一本の男の手によって、絶えずアソコを刺激されるのだ。より大きな快感を引き出そうと念入りに焦らしては、頃合と見るやくちゃくちゃにかき混ぜられる。
302SBI:2006/10/22(日) 15:46:04 ID:FpDz/qVs
二点同時で進行する快感攻撃の中、アリソンは自分の体が一番奥がどうしようもなく加熱させられていくのを感じていた。
「あああっ!!!…あんっ!!あっ!!…やぁ…らめなのにぃ……きもひいいっ!!!きもひいいよぉおおおっ!!!!」
もうまともに思考を繋ぐ事すら出来ない。快感によってズタズタに断ち切られた頭で、目の前にある唯一確かなものに、ヴィルの体温に縋りつく。
アリソンの痴態に激しく動揺しながらも、彼女を抱き締めるヴィルの優しさは何一つ揺らいでいない。
戸惑い、翻弄され続けるアリソンを少しでも安心させようと、ヴィルの手の平が何度も背中を撫でてくれた。
ヴィルだけが、アリソンのただ一つのしるべだった。神経の焼けるような快感地獄の中、その感触だけを頼りにアリソンは耐え続けた。
「……アリソンっ!!!!」
「ふああああああっ!!!ヴィルっ!!!やあんっ!!!ヴィルぅうううううっ!!!!」
だが、見えない痴漢たちに一切の容赦はない。彼らはアリソンの体全体をまんべんなく攻め抜いてから、最後の仕上げに掛かろうとしていた。
「…………えっ?……う…そ!?」
息も絶え絶えのアリソンの体をなぞる様にして、女性の指先がお尻の方に近付いていく。可愛いヒップの割れ目の奥、きゅっとすぼまった後ろの穴にピタリとその先端が当たる。
「…だめぇ……そんな…おしりなんて……いやぁ……」
勿論、そんな哀願が聞き届けられる訳も無い。男の方の指先にならって、女性の指はしばらくアリソンのアナルの入り口だけを、ごく弱い力で撫で続けた。
一撫でされるたびに、ぞわりとした感触がお尻から体全体に広がっていく。それを何度も何度も繰り返される内に、アリソンの後穴はじんじんと疼き始める。
焦らして焦らして、どれだけ待たされた事だろうか。既に撫でられる疼きだけで、アリソンがおかしくなりそうになり始めたその時だった。
「ひぅっ!!?…やぁっ!!…ひあああああああああああああああっ!!!!!!」
ずん!!細長い指が、アリソンの菊門を押し割って、一気に奥まで突き上げてきた。激しいピストン運動が、無防備なアナルを思うさまに蹂躙する。
そして同時に、アリソンの前の穴、敏感な部分を責める男の手の平も、活発に動き始めた。より激しく、より深く、加速する突き上げがアリソンを襲う。
前の穴と後の穴が、まるで違うリズムで責められる。激しすぎて、快感と認識する事さえ出来ないその刺激に、アリソンの理性は溶けて流れていく。
「ああっ!!ヴィルぅ!!!私…も…らめぇえええええええええええっ!!!!!」
ヴィルの上着を握る手に、ぎゅっと力を込めた。より一層強い力で、ヴィルが抱き締めてくれるのを感じた。
ヴィルがいなければ、何もかも吹き飛ばされてしまっていただろう。狂いそうな熱の中、アリソンへの責めはさらに激しさを増していく。
前の穴も、後の穴も、突き入れられる指の数が増やされていく。アリソンの太ももを伝う雫が、床の上に水溜りを作っている。
もう気持ちいい事以外、何も考えられない。このままでは、この見えない痴漢どもによって本当の肉欲の僕に変えられてしまう。
「あああっ!!!またイかされちゃううっ!!!イかされちゃうよぉおおおおおおっ!!!!」
アリソンのアナルを嬲る指は三本にまで増えて、ぐちゃぐちゃとお尻の中を攪拌されるような感覚に、アリソンは何度も悲鳴を上げた。
アソコへの突き上げはさらにスピードを増し、駆け抜ける快感電流が、アリソンの頭の中を白熱の白一色に染め上げていく。
やがて、アリソンの限界を見て取ったかのように、男の指先がクリトリスを摘み上げた。とどめの突き上げと同時、アリソンの意識が絶頂へと押し上げられる。
「やあああああああっ!!!ヴィルっ!!!!ヴィルぅううううううううううううっ!!!!!!!!」
ビクビクと痙攣するアリソン。ヴィルは最後の瞬間まで、その体を抱き締めて離さなかった。
303SBI:2006/10/22(日) 15:46:41 ID:FpDz/qVs
一方、ベネディクトとフィオナはうっとりとした表情で、ゲームの余韻に浸り切っていた。
「ああ、もう、最高だよ……アリソン君のあのイキっぷり……」
「見て、ベネディクト。この気持ち良さそうな顔……」
画面の中、ぐちゃぐちゃにされて、恍惚とした表情で床の上に横たわるアリソンを見て、ベネディクトとフィオナは満足げにため息を漏らす。
ゲームだと思って相当好き放題にやったようだ。まあ、当人たちに悪意は一欠けらもないのだけれど……。
「ところで、このソフト少し貸してくれないかしら?」
「えっ?それは構わないが……」
「別にまたこのゲームをするわけじゃないわ。ただ、あなたとアリソンさんとヴィル君、三人で壁画を見つけた話をちゃんと読んでみたいの」
あの夏の出来事、まだフィオナとベネディクトが出会う前の事件である。フィオナがそれを知りたいという気持ちは、ベネディクトにもなんとなくわかった。
「ああ、構わないよ」
喜んで、ベネディクトはDSごとソフトを貸し出した。受け取ったフィオナは喜んで、早速その場で本編を読み始めたのだった。

最後で最大の絶頂から、どれだけの時間が経過したのか。あれ以来、見えない痴漢たちが再びアリソンに襲い掛かってくる気配はない。
「だいじょうぶ、アリソン?」
「…………ありがと、ヴィル。もう平気よ」
絶頂感に脱力していた体をゆっくりと起こし、目の前のヴィルの顔に微笑んだ。
「……ごめん。僕は結局アリソンのそばにいるだけで、何もしてあげられなかった」
「………ううん、そんなことない。ヴィルがいてくれなかったら私、きっと今頃……」
ヴィルがいたからこそ耐えられた。ヴィルの腕の温かさ、心強さが、快感と羞恥でパンクしてしまいそうだったアリソンの心を、ギリギリの所で支えてくれた。
だけど、ヴィルの心中もアリソンには察して余りあるものだった。
もしも、自分がヴィルの立場だったら。ヴィルに危険が迫る中、何も出来ずに指をくわえて見ている事しかできなかったら………。
「………でも、僕は……僕は……」
「もう、そんな顔しないの。ほら……」
暗い表情を拭い去る事ができないヴィルの体を、アリソンは優しく抱き締めた。ちょうど見えない痴漢に襲われている最中に、ヴィルがアリソンにしてくれたように。
「少しは気分が楽にならない?大丈夫だ、って気分にならない?」
「………う、うん」
「私も同じだった。ヴィルがぎゅってしてくれて、ほんとに頼もしかった……」
アリソンの言葉に、ヴィルは赤い顔でこくこくと肯いた。
「ところで、ヴィル?」
「何?」
「ヴィルの固いのが、脇腹に当たってるんだけど……」
「あっ!?…そ、それは…」
「うんうん、いけない事だとわかっているのに、意思とは裏腹に恋人のエッチな声に反応してしまう体……。やっぱりヴィルも男の子よねぇ……」
アリソン、いじわるな事言わないでよぉ」
「いやいや、ヴィルの事だから私は一向に気にしないけど………でも、やっぱり少しはお仕置きも必要かしら……」
「ちょ…アリソン待って…落ち着いてってばぁ!!」
なんだかんだで、床の上に転がったままじゃれあい始める二人。ようやくいつもの調子が戻ってきたようだ。
さて、気持ちが落ち着いてき始めると、やっぱり苦々しく思い出されるのは、あの見えない痴漢どもの事である。
悔しい。腹が立つ。それに、また今日のような事があったらと考えると、放っておくのは危険だ。
だけど、見えない相手には手も足も出ない。それもまた一つの事実だった。
「……あいつらめぇ、私に手なんか出して、絶対に天罰が下るんだからっ!!!!」
悔し紛れに、アリソンはそう呟いたのだった。
304SBI:2006/10/22(日) 15:47:17 ID:FpDz/qVs
目を覚まして隣を見ると、既にフィオナの姿は無かった。
「もう起きてるのか。昨日はあんなに夜更かししてたのに……」
ごしごしと目を擦りながら、ベッドの上にベネディクトは起き上がった。昨夜、フィオナは夜遅くまで、ベネディクトに借りた『DS電撃文庫 アリソン』を読み耽っていた。
眠るのもベネディクトより遅かったはずなのだが、それにしては随分と早起きをしたらしい。
「ふふふ……今日もあのゲームで、フィーと一緒に……」
ニヤニヤ笑いのベネディクト。どうやら昨日の二人同時プレイが相当気に入った御様子である。
だが、同時に何かが気になって仕方が無い。夜更かししていた筈なのに、何故か隣にいないフィオナ。何かが起こっているような気がする。
「………そうだ、何か大切な事を忘れているような気が……」
何かを忘れている。絶対に忘れてはいけない事を、重大な秘密を、自分は忘れてしまっている………………秘密!?
ベネディクトの顔がみるみる青褪めていく。今の今まで漠然としていた不安感が、明確な形をとってベネディクトの脳裏に描かれ始める。
「………思い出したぞ。あれは……あれはフィーに読ませてはいけなかったんだ……」
フィオナには話していない、あの壁画発見のときに起こった出来事。現在は当事者であるベネディクトとアリソンの胸だけに収められて、他の誰も知らないはずの事件。
あの時、壁画を発見した直後、ヴィルが洞窟の外に空気を吸いに行ったの隙に、ベネディクトは突然、アリソンにプロポーズをした。
だが、まだそれはいい。フィオナに出会う以前の出来事だし、彼女もそれを強く責める事はないだろう。問題はその後だ………。
「……………ああ、俺はあの時、アリソン君にキスをしようとして……」
ベネディクトは、少し強引にアリソンの唇を奪おうとしたのだ。
思いもしない事態に体を竦ませたアリソン。どうして良いかわからず、『ヴィル……』と、小さな声で彼の名を呼んだ。
その後の友人としての付き合いの中でも、あんなに不安そうな彼女の声を聞いた事はなかった………。
「まずい。……絶対的にまずい」
フィオナがあれを最後まで読んだとは限らない。そう思って心を落ち着かせようとするのだが、震えが止まらない。冷や汗がぽたぽたと流れ落ちていく。
と、その時、ぎぃ〜っと音を立てて、寝室のドアが開いた。ビクン、と思わず飛び上がりそうになったベネディクトの耳に、お馴染みの彼女の声が届く。
「あら、ベネディクトも起きたのね。おはよう」
存外やさしげなその声音に、ベネディクトは少し安心して振り返った。そして………。
「ちょっと話があるんだけど、いいかしら………」
フィオナの顔に浮かんだ氷の微笑を見て、その場で固まった。
「……ち、違うんだ、フィー……あれは、あの時の事は……」
「……………少し、長いお話になりそうね……」
バタン。音を立て、寝室のドアは閉じた。
ゲームを楽しんだ代償は、意外と高くつきそうだった。
305SBI:2006/10/22(日) 15:50:14 ID:FpDz/qVs
以上でおしまいです。
もちろん、こんなゲームじゃないですよ。まだ手にとってないけど、きっと違います。
でも、せっかくのタッチスクリーンですから、ちょっとぐらい妄想しちゃいますよ、ええ。
ともかく、失礼いたしました。
306名無しさん@ピンキー:2006/10/22(日) 15:56:38 ID:Lt0xBdUN
ぐじょーぶ
エロ巧かったです。
307名無しさん@ピンキー:2006/10/22(日) 18:41:57 ID:DF3bxQ1p
エロい!GJ!!!
308名無しさん@ピンキー:2006/10/23(月) 06:19:14 ID:do7pDmTe
GJ!
309名無しさん@ピンキー:2006/10/23(月) 20:19:10 ID:a/bE9QRA
DS版キノの旅がでたらシズも「キノいぢり」をプレイするんだろうなと妄想してみる。
310名無しさん@ピンキー:2006/10/24(火) 15:22:36 ID:OcTYDb8Y
「キノいぢり」をプレーする、静よりはるかに厳しい攻めをする師匠とか
311名無しさん@ピンキー:2006/10/24(火) 15:24:40 ID:eU9MYU01
それキノいびり
312名無しさん@ピンキー:2006/10/24(火) 18:05:47 ID:TQS4tKsd
「キノいぢり」をプレイする、師匠より更に激しい攻めをするティーとか。
313名無しさん@ピンキー:2006/10/24(火) 19:22:55 ID:4Yv8/vdx
「キノいぢり」をプレイする、ティーより倍激しい攻めをする陸とか。
314名無しさん@ピンキー:2006/10/24(火) 19:25:13 ID:OcTYDb8Y
そしてそれに対抗するエルメス
315名無しさん@ピンキー:2006/10/24(火) 20:22:49 ID:FbLs1/2n
そんなエルメスの隣で「ティーいぢり」をハアハアしながらプレイするキノ
316名無しさん@ピンキー:2006/10/24(火) 21:49:56 ID:4Yv8/vdx
そんな事を妄想しながら「師匠いぢり」をばれやしまいかとドキドキしながらプレイする相棒
317名無しさん@ピンキー:2006/10/24(火) 23:27:13 ID:OcTYDb8Y
>>310-316等という内容の幻覚が見えるくらい担当さんにいぢめ抜かれる時雨沢。

ツギノアリソンイツー?
318名無しさん@ピンキー:2006/10/24(火) 23:27:50 ID:OcTYDb8Y
アリソン→リリトレ
319名無しさん@ピンキー:2006/10/25(水) 02:17:22 ID:qqe+wPiw
無料携帯アダルトwebゲーム
http://ip.tosp.co.jp/i.asp?I=sexmode
320名無しさん@ピンキー:2006/10/26(木) 20:17:56 ID:XXM687vk
保守
321SBI:2006/10/28(土) 12:19:41 ID:gFuBEdsp
また書いてきました。
またアリソンの話で、ヴィル×アリソンのラブラブでデレデレなやつです。
それでは、いってみます。
322SBI:2006/10/28(土) 12:20:54 ID:gFuBEdsp
軋むベッドの音。間近に聞こえる愛しい人の息遣い。恋人たちは熱く火照った肌を合わせて、迸る感情のまま、心を、体を一つにしていく。
枕元のスタンドの少し頼りない灯りに照らされたその少年と少女。二人の名前はそれぞれ、ヴィルとアリソンといった。

ちろりと先端を舐めて、そのまま脈動する幹の部分に舌を這わせる。口に含んで、歯を立てないように気をつけながらストロークを繰り返す。
舌に、口の中に触れる圧倒的な熱量に我を忘れて、私はその行為に没入していた。
「…んっ……んぅ…ふ…むぅん……くちゅ…ぴちゃ……」
「…うあ……ああっ………アリソン…」
ヴィルのモノへの奉仕を続けながら、私はちらりと、上目遣いに彼の表情を盗み見た。
真っ赤になったヴィルの顔。私の行為に対してどういう風にしていればいいかがわからず、恥ずかしそうに視線を逸らしたその表情。
(………ちょっと、可愛いな……)
なんとなく、そう思った。
ヴィルは格好いい男の子だ。私はそう確信している。顔が優しいし性格はのんびり屋だし、ちょっと傍目からはわかりにくいのだけど……。
ここ一番のときのヴィルの落ち着きぶりは大したものだし、度胸も十分。そこいらの男の人ではこうはいかない。ヴィルは格好いいのだ。
いつも側にいてくれた。離れて暮らしていても、ちゃんと私の事を気遣ってくれた。そんなヴィルのことを、たまらなく好きになっていた。
優しい笑顔。真剣な横顔。俯いた瞳からこぼれ出た涙。きっと誰よりも、私は色んなヴィルの表情を知っている。その事を内心、誇らしく思っていた。
だけど、ヴィルに告白して、こうして二人でエッチな事をするようになって、それが少し変わった。
「…はぁ…すごい……アリソン…」
「…んんっ…んんぅ……はぁはぁ……ヴィルの…熱いよ……」
熱を帯びた声。恥ずかしいながらもチラリとこちらを覗き見て、また赤くなってしまう表情。今まで私が見たことの無かったヴィル……。
私がしてあげればしてあげるほど、ヴィルのモノはさらに熱く、硬くなっていく。私はその感触を追い求めて、ねっとりと唾液の絡みつくような奉仕を続ける。
これまでにも何度かヴィルとエッチな事はしたし、口でしてあげるのだって初めてではない。それでも、ヴィルはまだこの行為に慣れることが出来ないらしい。
まあ、何しろ大層な読書家だし、世事に疎いわけでもないので、具体的な知識を持ってなかったわけじゃないのだろうけど、自分がされるのは想像の範囲外だったみたいだ。
それ以外の時には、むしろ私をリードして気持ち良くしてくれるヴィルが、頬を赤くして戸惑っているのが、なんだかおかしくて、それ以上に愛しかった。
色んなヴィルを見てきた。たくさんのヴィルの表情を知っている。それでも見たことのなかった新しいヴィルに、私は夢中になってしまったのだ。
「くぅっ!!……ア、アリソンっ!!」
「…んっ…うむぅ……ヴィルぅ……ぴちゃ…くちゅ……」
ただヴィルのを舐めているだけなのに、ヴィルの声が、舌先に感じる熱さが、私の体をどんどん熱くしていく。
硬くて、熱くて、愛しいヴィルのモノ。私はほとんど熱に浮かされたような状態で、一心不乱に舌を絡ませ続けた。
先端の部分を舌の先で何度もつつく。堪え切れずに溢れ出た透明な粘液と、私の唾液が口の中で混ざり合って、ヴィルのモノ全体を濡らし輝かせる。
もう爆発寸前まで張り詰めている事が、その感触だけで十分にわかる。だけど私は止まる事が出来ない。
自分の熱さとヴィルの熱さの区別がつかなくなっていく。頭の中を埋め尽くす愛しさに背中を押されて、さらに激しくヴィルのモノを舐め上げた。
口の中が火傷しそうなほどに熱くなる。限界までもういくらもない。私の舌遣いのペースが上がっていく。そして………。
「………アリソンっ!!!…出るよっ!!!」
「…………んぅっ!!!?」
私の口の中で、ヴィルの熱が爆発した。熱い迸りが私の口腔内で暴れまわる。波を打つその濁流を、私は必死の思いで嚥下する。
喉まで焼けてしまいそうなその熱が、私の体の中に流れ落ちるのを感じる。恍惚感と、ちょっとした満足感。苦いのと喉越しが悪いのは何だけど………。
「……どうだった、ヴィル?」
「う、うん…………気持ちよかった」
ぼそぼそと、小さな声で答えたヴィル。やっぱりどうしても照れてしまうらしい。そんなヴィルの表情を眺めながら、私の胸の中は愛しさでいっぱいになる。
(ああ、やっぱりなんだか……可愛いなぁ…)
323SBI:2006/10/28(土) 12:21:58 ID:gFuBEdsp
なんて事を思ったその時だった。突然、ヴィルが私の体を抱き寄せた。
「ふえっ!?」
「今度は……僕が気持ちよくしてあげるよ、アリソン」
さて、次は私が顔を赤くする番だ。

僕が触れるたびにビクンと反応する彼女の体。指先に感じた意外なほどに高い体温に、いつも少し戸惑ってしまう。
「……あっ…ひあっ!……や…ヴィル……そこはぁ…」
「ここ、敏感なんだね。アリソン………」
汗ばんだわき腹に、つーっと指を滑らせる。ピンと張り詰めた可愛らしい乳首を、舌先で何度もつつく。
僕の一挙一動に反応して、アリソンの体が震える。切なげな声を上げ、上気した顔を恍惚に歪めて僕の名前を呼ぶ。
そんなアリソンの全てがただ愛しくて、僕はさらに夢中になってアリソンの体を愛撫し続ける。
「…やぁ…そんな…ちくびばっかりぃ……ひぁああああんっ!!!!」
気持ち良さを堪え切れないといった感じの、たまらなくエッチなアリソンの声。
淡いピンクの胸の突起を転がし、つまみ、つついてあげるたび、彼女の口から漏れる甘美なメロディ。何度聞いても、やっぱりドキドキしてしまう。
(……可愛いな…アリソン…)
心の中で呟いた。
アリソンは格好いい女の子だ。僕はよく知っている。無鉄砲で無軌道で、思いついたら即実行してしまうあの行動力に僕も随分と振り回された。
振り回されて、いろんな大変な目にもあって、それでも最後には一緒に笑っていた。僕一人では出来ない事、見られない物、アリソンのお陰でたくさん見る事が出来た。
アリソンってすごい。いつだってそう思っていた。いつだって、そんなアリソンの事が大好きだった。
だけど、僕は知る事になった。これまで僕が見てきたアリソンが、アリソンの全てじゃない事を………。
「…ふあっ…はぁんっ!!…ヴィルっ!!…ヴィルぅ!!!」
「…ああ…アリソン……んむっ…んっ……んんぅ」
甘い声で僕を呼ぶアリソンに答えて、彼女の唇に僕の唇をそっと重ね、長い長いキスを交わす。切なく甘いその味は、リリアーヌの町で味わったのと同じものだ。
あの時、怒り顔で僕にキスを迫ったアリソンの胸の中には、一体どんな想いが渦巻いていたのか?考えるだけで、僕の胸はたまらない愛しさで満たされる。
なけなしの勇気を振り絞って、僕に思いを伝えたアリソン。震える肩に、赤くなった顔は、これまで見てきたどのアリソンとも違っていた。
そして僕は、僕自身の胸の内に秘められた思いに気がつくことになった。
「…好きだよ…大好きだよ……アリソン………」
「……ああっ……ヴィルぅ…私も……私も大好きだよぉっ!!!」
溢れる思いに任せて、白熱する互いの肌を擦りつけ、絡ませ合う。アリソンの敏感な所、気持ち良くなる所を欠片も漏らさず刺激する。
もっと一緒にアリソンと気持ち良くなりたい。華奢なその体をぎゅっと抱き締めて、何度も何度もキスをしてあげたい。
首筋に鎖骨に、僕は夢中になってキスマークを残した。耳たぶを甘噛みして、堪らずに声を上げたアリソンの乳首を、さらにきゅっと摘んだ。
膝の辺りから上の方に、太ももの内側を何度も撫でて、じっくりと時間を掛けてアリソンの一番大事な部分にまで指を這わせた。
切なげに蜜を滴らせる入り口の部分を、人差し指の腹でゆっくりとなぞった。ぷっくりと勃ち上がった小さなクリトリスを指先でこね回してあげた。
僕の指が動くたびに、アリソンが熱くなっていくのがわかった。
その熱に溶かされるように、僕の理性も溶けて流れて、意識の全てが目の前の大好きな女の子だけに向けられていく。
「……ヴィル…お願い………きて……」
「………うん」
涙目で僕の顔を見上げながら、息も絶え絶えの声で、アリソンは僕に囁きかけた。肯いて答えた僕の胸の中で、心臓が壊れそうなほどに鼓動を早める。
濡れそぼった入り口。アリソンのきれいなアソコに、ドキドキする胸を押さえつけながら、僕は自分のモノをあてがった。
「いくよ………」
324SBI:2006/10/28(土) 12:22:40 ID:gFuBEdsp
ゆっくりと腰を前に突き出す。アリソンの中に入っていく。大好きな女の子と、一つになっていく。
熱くて、全てが蕩けてしまいそうなアリソンの中。僕のモノをアリソンのアソコがきゅっと締め付けて、アリソンの高鳴る鼓動までが伝わってきそうだ。
それだけで出してしまいそうなほどの快感を堪えながら、僕はゆっくりと腰を動かし始める。
「…ふああっ!…ひゃあんっ!!…や…はぁああんっ!!!!」
一突きごとにアリソンの口から漏れ出る切なげな声。僕にぎゅっとしがみつく腕の感触や、気持ち良さにビクンと痙攣するその背中。
そんなアリソンの反応の一つ一つに集中して、アリソンがもっと気持ち良くなるように、もっと感じられるように、僕は手探りの行為を続ける。
どこを愛撫してあげれば、どんな風に動かせば、アリソンに気持ちよくなってもらえるだろう。
アリソンが喘ぎ、体を震わせ、必死に僕の名前を何度も呼ぶ。その姿だけが、僕の頭の中を埋め尽くしていく。
「ああっ!!…アリソンっ!!アリソンっ!!アリソンっ!!!!」
「ふああああああっ!!!!ヴィルっ!!!すごいっ!!すごいよおおおおっ!!!!」
何度もお互いの名前を呼んで、夢中になってキスをして、僕とアリソンの行為はさらに激しく加速していく。
燃えるように熱くなった肌を触れ合わせているだけで、ジンジンと堪らない快感が生み出される。体中がお互いの感触を求めて、どんどん敏感になっていく。
複雑な事はもう何も考えられない。ただ、僕の目の前で、潤んだ瞳で僕を見上げて、僕の名前を呼ぶあの女の子が愛しい。
アリソンと、もっと気持ち良くなりたい。
「うあっ…ああっ……アリソンっ!!!…僕は…もうっ!!!」
「やっ!!…ふあああんっ!!!…あはぁっ!!…ヴィルぅ…私も……っ!!!!」
限界が近付く。まるで部屋中の空気が白熱しているかのように、全てが熱くてたまらない。胸の中までが火傷しそうな熱い思いに満たされていく。
内側も、外側も、触れ合ったところも、繋がりあったところも、汗も、涙も、交わす視線さえも、何もかもが熱くて愛しくて、壊れそうなほどに気持ちいい。
お互いの体を強く抱き締めたまま、熱く激しく行為は加速していく。どこまでも昇りつめていくようなその感覚の中、僕の体の奥から凄まじい熱がこみ上げるのを感じた。
その熱が、僕とアリソンの全てを吹き飛ばす。
「あああああっ!!!!出るぅううううっ!!!!アリソンっ!!!アリソンっ!!!!!」
「ひああああああああああっ!!!ヴィルっ!!ヴィルっ!!!ヴィルぅううううううううううううっ!!!!!」
そして、激しすぎる絶頂感の中、僕とアリソンはそのまま崩れ落ちた。

それからしばらく時間が経過した後、二人の恋人、アリソンとヴィルは激しい絶頂の余韻に浸り、達した時のままの状態で二人折り重なって抱き合っていた。
いまだに荒い呼吸が聞こえていたが、それでもいくらか落ち着いたのか、上にいたヴィルが体を少し体を起こした。
その様子をぼんやりと見上げるアリソン。二人の視線は、自然にお互いの顔へと向けられた。
お互いの赤い顔を、ぽーっとした表情で見つめる二人。二人の頭に浮かんだ言葉は、奇しくも同じものだった。
((…なんだか………可愛いな…))
なんて、そんな事を考えた二人は、そこでようやく自分たちが見詰め合っている事に気がついた。なんだか異様に恥ずかしかった。
ただでさえ真っ赤になっていた二人の顔が、さらにカーッと赤く染まって、まるで茹で上がったタコのような色に変わっていく。
ぷしゅうううっと頭から湯気が噴き出そうな二人は、どうしていいかわからなくなって……
「…ア、アリソンっ」
「……ヴィルぅ…」
仕方ないのでもう一度抱き合い、お互いの肩に顔を埋めた。
窓の外には月が冴え冴えと輝き、まだ夜明けには遠い事を告げている。二人がこうして過ごす時間も、当分長く続きそうだった。
325SBI:2006/10/28(土) 12:23:32 ID:gFuBEdsp
以上でおしまいです。
それでは、失礼いたしました。
326名無しさん@ピンキー:2006/10/28(土) 12:26:28 ID:f2eWQ60N
すげー!初めてリアルタイムで見れた!
GJです!!
327名無しさん@ピンキー:2006/10/31(火) 20:12:06 ID:gpBWJlJ8
保守
328名無しさん@ピンキー:2006/11/03(金) 15:50:26 ID:hxlPNk4v
保守
329名無しさん@ピンキー:2006/11/03(金) 20:48:25 ID:YLI3eKn+
GJ!!
330名無しさん@ピンキー:2006/11/06(月) 15:50:48 ID:95dAFbuU
保守
331名無しさん@ピンキー:2006/11/09(木) 06:17:33 ID:d81ooZrK
保守
人いないな…
332178:2006/11/11(土) 01:08:19 ID:kP6xsFxt
どもです。毎月今頃の俺です。ここまで保管しました。

第三保管庫 ttp://kujira.s8.x-beat.com/kino/
333名無しさん@ピンキー:2006/11/11(土) 06:53:35 ID:XHeGyVLT
乙です
334SBI:2006/11/14(火) 14:38:39 ID:WXk+WY+6
GJ!!
エリアス×サラの作品タイトルでトラウマもちょっと甦りましたが、まあ、自業自得ですから……。
ともかく、毎回ありがとうございます。大感謝です。

久々に俺も書いてきましたよ。
キノの話なんですが、フタナリ要素有りです。
それでは、いってみます。
335SBI:2006/11/14(火) 14:39:31 ID:WXk+WY+6
その日、キノはとある国のレストランにいた。夕方近くにこの国に辿り着いたキノは、旅の最中の貧しい食事の鬱憤を晴らすべく、まずは夕食を取る事にしたのだ。
あっと言う間に夕食を平らげたキノのテーブルの上に、きれいに切り分けられた果物を盛り付けた皿が置かれた。見た事の無いきれいな赤の果実、甘い匂いが食欲を誘う。
「えっと……デザートはもういただいたはずですけど…」
少し驚いて、皿を運んできたウェイトレスの女性に問い返したキノ。女性はそんなキノに微笑んで答える。
「旅人さんへのサービスで、お出しする事になってるんです。どうぞ召し上がってください。お腹が一杯になったのなら、無理にとは言いませんけど……」
「あっ、いえ、ぜひいただきます」
女性に促されるまま、キノは手に取ったフォークで果実の一切れをぷすりと突き刺す。しっとりとした果肉を口元まで運び、ゆっくりと口の中に収めた。
その瞬間、何ともいえない甘味がキノの口の中に広がった。
「おいしい!」
思わず声を上げるキノ。キノの反応をニコニコ顔で見守る女性の横で、キノは夢中になって果実を食べた。
「満足したもらえたみたいで良かったわ」
「はい、とっても甘いのに後口がさっぱりしてて、こんな美味しい果物はどこの国でも食べた事がありません」
「うふふ、これはこの国の特産品で、高級レストラン向けに輸出もされている大人気の品なんですよ」
「そんな高価なもの、食べても良かったんですか?」
「まあ、宣伝の意味もありますし、それに少し自慢もしたかったんです」
「自慢?」
「はい。私、副業でこの果物の栽培の手伝いをしてるんです。だから愛着もあって……」
嬉しそうに語る女性を見ていると、キノも何かほんわかとした気分になってきた。手塩に掛けたこの果物を美味しいと言ってもらうことが、彼女のなによりの楽しみなのだろう。
皿に残った最後の一切れを、キノは名残を惜しむようにじっくりと味わった。
「ごちそうさま。本当に美味しかったです」
「どういたしまして………って、あら?」
礼を述べたキノに答えようとして、女性の表情がふと固まった。覗き込むようにまじまじとキノの顔を見つめてから、一言ポツリ。
「女の子だったの……?」
女性の言葉に、キノは苦笑を浮かべて
「はい。こんな格好してるからあんまり気付かれないんですけど……」
「綺麗な顔はしてるなって思ったけど……大きなパースエイダーを持ってるし、表情も凛々しいし、気付かなかったわ。ごめんなさい」
キノとしては全然慣れっこな事態なのだけれども、女性はすっかり恐縮してしまった。だが、ふと何かを思いついたような表情を浮かべると、その瞳はキラキラと輝き始めた。
そして突然、キノの両手の平をぐいと握り締めた。
「旅人さんっ!!」
「な、何ですか!?」
「さっき食べた果物の世話、手伝ってみませんか?旅人さんにとって、きっと良い経験になると思いますっ!!!」
「は、はい……」
女性の気迫に圧されて、うっかり肯いてしまったキノ。だがこの時の彼女は、後に起こる騒動の事など、まったく知る由も無かった。

翌日の朝早く、キノはエルメスに乗って昨日の女性が働いているという農園へと向かっていた。
「じゃあ、今日の予定はまるまるキャンセルなの?」
「うん。まあ、正直興味が無いわけでもないしね。たまには成り行きに任せて行動するのもいいさ」
「キノはいつもそうしてる気がするけど」
言い合ってるうちに、道の前方に巨大な緑の塊が見えてきた。
「あれが農園?どっちかって言うと森に見えるけど、キノ、道は間違ってないよね?」
「うん。その筈だけど……」
336SBI:2006/11/14(火) 14:40:29 ID:WXk+WY+6
少し不安を感じながら走っていると、さらにその緑の塊の前に、いくつかの建物と農園の看板が見えてきた。
農園の前で待っていた昨日の女性が手を振ってくる。
「おはようございます、キノさん。お待ちしてましたよ」
「おはようございます。えっと、ここで間違いないんですよね?果樹園にしては鬱蒼としてますけど……」
「ああ、見学に来られた方には良く言われます。でも、中に入れば理由はすぐにわかりますよ」
キノはエルメスを駐輪場に停め、女性の案内でいくつかある建物の中の一つに入る。そして、そこで待ち構えていたものを見て絶句した。
「きゃああああああああああああああああっ!!!!」
耳をつんざく黄色い悲鳴。それなりに広いその部屋の中を一杯にしていたのは、年の頃は十代二十代の女性ばかり、しかも全員が素っ裸であった。
「この娘がさっき話してた旅人さんね。ほんと、一見すると男の子みたいね」
「でも見てあの顔、ちょっとドキドキしてるみたいで凄く可愛いわ」
きゃあきゃあと歓声を上げながら押し寄せてくるまぶしいばかりの肌色の群れ。キノはどうして良いかわからず、唯一服を着ている昨日の女性に助けを求めた。
「あの、これは一体どういう………?」
「今日、キノさんには受粉作業を手伝ってもらうわ。大丈夫、心配しなくてもそんなに難しい仕事じゃないわよ」
「いや、そうじゃなくて……」
女性はキノの言葉には全く耳を貸さず、自分も他の女性たちと同じようにするりと服を脱ぎ
「さあ、キノさんも脱いで。貴重品やパースエイダーは責任を持って保管するから安心して」
キノの服に手を伸ばして脱がしに掛かる。思わず抵抗しそうになったキノだが、他の女性たちまでが次々と手を伸ばし、キノは身動きさえ出来なくなってしまった。
なす術も無く、あっと言う間に丸裸にされたキノ。恥ずかしそうに胸と股間を手で隠すと、周りの女性たちはまた、可愛いだのと騒ぎ立てる。
「さあ、これで準備万端。みんな、早速始めるわよっ!!!」
「お―――――――っ!!!!!」
「ちょ……待ってくださいっ!!待ってくださいってば!!!!」
慌てふためくキノの前で、部屋の奥の方に降りていたシャッターが音を立てて開き始める。隙間から吹き込む風と共に、昨日嗅いだあの果実の匂いが押し寄せる。
「さあ、キノさん。頑張りましょうねっ!!!」
どう答えて良いかわからないキノを置いてけぼりにして、果樹園での受粉作業は始まったのだった。

シャッターが上まで上がり切ると同時に、女性たちはそれぞれ思い思いの方向へと、バラバラと分かれて歩いていった。
一人取り残されたキノは、ぽつねんと建物の中に立ちつくす。脱がされた服やパースエイダーがどこへ行ったのかは杳として知れない。
この姿で部屋の外に出るわけにもいかないので、キノは仕方なく果樹園の中に一歩を踏み出す。
「それにしても、本当に大きな木だな……」
太い幹から張り出したがっしりとした枝。鬱蒼と茂る木の葉に遮られて、太陽の光はほとんど届いてこない。
そんな薄暗い木々の間で、目に付くものがあった。木の葉や枝の中で白く浮かび上がるそれは、2メートルはあろうかという巨大な花だった。
「まさか、あそこから花粉を取って来いって言うんじゃ……」
地面から花までは高さはおよそ20メートル。木登りをするには幹は太すぎる上に、花はまだ開きかけの半分つぼみのような状態である。
思案に暮れて花を見上げるキノ。しかし、その時突然にわさわさと花が動き始めた。そして、ゆっくりと花びらが開き始め、微妙に角度を変えてキノの方を向いたかと思うと……
「う、うわぁあああああああっ!!?」
花の根元の太いツルが動き出して、まるで獲物に食いつく獣のように、キノめがけて花が覆い被さってきた。
逃げようとしたキノだったが何故か体に力が入らず、そのまま巨大な花びらのテントに閉じ込められてしまう。
花の中は濃厚な香りで満たされていた。どうやらこの強烈な香りがキノの体から力を奪っているらしい。
自分の体を支える事さえ出来ず、キノは地面にへたり込んだ。そして、何気なく上を見上げて、そこにいたものの姿にさらに驚愕する。
「ははっ、そんな恐がらなくて良いよ」
337SBI:2006/11/14(火) 14:41:48 ID:WXk+WY+6
裸身の男性がキノに話し掛けた。整った顔立ちに色白の肌は、優男と言って良いほどのものだった。
だが、男は人間ではなかった。キノは見た。男の背中から伸びたツルが、そのまま二人を覆う花に繋がっているのを……。
「あ、あなたは……?」
「ん、知らないのかい?ははぁ、さては新入りだね。俺は君が仕事をする対象だよ。この木の雄花だよ」
「えっ?」
「となれば、後は想像がつくだろう。今年もたっぷりと花粉を運んでもらおうかな。可愛いミツバチさん」
雄花はそう言って、指をパチンと鳴らした。すると男の背中の方から、幾本もの細いツルが伸びて、キノの手足に絡みついた。
振りほどこうにも花の香りに侵されたキノの体は、まともに言う事を聞いてくれない。むせ返るような甘い空気を吸うごとに、熱い疼きが湧き出てキノの力を奪い去るのだ。
「ふぁ…こんな……やめ……っ!!」
「そう言わないで。まずは俺の蜜をたっぷりとあげよう」
手足を固めているのとは別のツルが、その先端をキノに向けて固定された。そして、ビクビクと小さく脈動したかと思うと……
「…ひぁああっ!?…うわっぷ…ふぁ…やぁああああっ!!!」
キノの体めがけて、ツルの先端からどろどろとした蜜が発射された。薄く濁るほど濃厚な蜜の集中砲火を受けて、キノは体中をべとべとに汚されてしまう。
手足に巻きついたツルからも発射が始まる。
雄花の背後からはさらに多くのツルが現れ、キノの乳首や脇の下、おヘソや太もも、その上一番敏感な部分にまで先端を擦り付けながら発射を繰り返す。
「…ああっ…何ぃ…これ……体が…熱いよぉ……」
「なかなかのもんだろ、俺の蜜も。たっぷりとほぐしてから、花粉を受け取ってもらおう」
雄花はキノの体に抱きついて、蜜に汚れた体中を揉み解すように愛撫した。蜜の催淫効果ですっかり敏感になった体は、雄花の指先に従順に反応してしまう。
ピンと張り詰めた乳首はおろか、全身がまるで性器に変えられたかのように敏感になってしまっていた。
弾力のある瑞々しい肌の上を指先が滑る度に、キノの口からは抑え切れない甘い喘ぎが漏れ出てしまう。
「…ふぁっ!!…ああっ!!?…あはああっ!!!らめぇ…こんな……やら…やらよぉおおおおっ!!!」
「やっぱり新人さんは初々しいなぁ。そんな可愛い声で鳴くんだもの……その唇、少し味見させてもらうよ」
「ふぇ!?…あ……んんっ……んむぅ…んぅ」
抵抗する間もなく、雄花が唇を重ねてくる。容赦なく差し込まれた雄花の舌が、キノの可愛らしい舌に絡みつき、くちゃくちゃと音を立てて嬲った。
口の中に広がる味は、甘い甘い蜜の味。体にかけられたものと違いさらさらした液状のその蜜は、食道を流れ落ちキノの体の内側に火をつける。
雄花の愛撫はなおも続き、体中を天井知らずの気持ち良さが埋め尽くしていく。
そしてそんな中、一番敏感な部分の疼きは刻一刻と増し、堪え切らないレベルまで高まろうとしていた。
「そろそろ、頃合かな……」
「…えっ?ひ…うああっ…な、なにをして……!?」
まるで人間のものと何一つ変わらない、いきり立つ雄花の怒張がキノの入り口に押し当てられた。
雄花はそのまま先端をキノのアソコに何度も擦りつけた。先走りの溢れ出るソレのたまらない熱さが、キノの脳をさらに欲望へと追い立てる。
そして、焦らされ続けたキノの心と体が今にも崩壊しそうになったその瞬間、雄花はキノのアソコを一気に突き上げた。
「…や…はぁああああああああああああっ!!!!!」
大きく太い雄花のモノが、キノのきゅっとすぼまった可愛らしいアソコを、熱く濡れた柔肉を割り裂いて奥の奥まで貫いた。
さらに一気に腰を引いて、先端が抜けてしまいそうになるところで再び突き上げる。どこまでも激しく勢い任せのピストン運動に、キノは死ぬほど感じてしまう。
「ああっ…ふあぁあんっ!!ひ…あああっ!!!…や…すご……こんな…ボク…おかしくなっちゃうよおおおっ!!!!!」
蜜を吸って変わり果てた体は並みの責めでは満足できない。意思とは関わり無く、キノの体はもっと強く、もっと激しい責めを求めるようになっていた。
それに応えるかのように雄花は突き上げのペースをどんどん速めていく。体中を這い回る何十本というツルは愛撫の手を休める事無く、キノの体を徹底的に快感漬けにした。
「…ひゃうぅ!!…あはぁんっ!!?…らめっ!!らめぇえええっ!!!おっぱいも…おしりのあなも…アソコも…からだじゅう…ぜんぶおかしくなっひゃうううっ!!!!」
三本のツルが先端から絶え間なく蜜を噴き出しながら、キノのクリトリスを摘んで、こね回し、無茶苦茶にいじり倒していた。
338SBI:2006/11/14(火) 14:43:16 ID:WXk+WY+6
本来なら痛みを感じるほどの力でツルに巻きつかれた両乳首も、今はじんじんと津波のように押し寄せる快感しか感じられない。
アナルを穿つツルは時間が経つほどに本数を増やし、最初は一本であったものが既に六本となり、隙間からじゅぷじゅぷと蜜をこぼしながら切なげにひくついている。
体中の神経が圧倒的な快感の濁流の前に、いまやオーバーヒートを起こさんばかりになっていた。
「ひぐぅっ!!…あふぁああっ!!!…も…らめ…やらぁ……これいじょ…ムリらよぉ……」
「まだまだ、最後にとっておきが残ってるぜ」
快感の荒波に翻弄され続けるキノ。だが、雄花は手を緩めない。激しい突き上げに加え、キノを拘束するツルの力でキノの体を揺さぶり始めたのだ。
前後左右、さらに上下にと、キノの体が踊る。二つの動きが合わさる事で、さらに激しく予測不能な快感の嵐がキノの中に発生する。
最後の最後まで持ちこたえていた理性も吹き飛び、ついにキノの頭の中から快楽以外の何もかもが消えてしまう。
ツルの動きを待つまでも鳴く自分で腰を振り、訳のわからぬまま快楽を貪り、ボロボロと涙をこぼした。
圧倒的な快感にその身を焦がされ続け、とっくに限界を越えていたキノの体。雄花は今までの中で最も激しい突き上げによって、キノにとどめをさした。
「ひあああああああああああああっ!!!!イクっ!!!イクッ!!!イクぅううううううううううううっ!!!!!!」
弓なりに反らせた背中をガクガクと痙攣させながら、絶頂の衝撃に悲鳴を上げるキノ。その膣内に今までに感じた事も無いような熱い濁流が溢れ出る。
「……っああぁ…でてる…ボクのなか…でてるよぉ……」
絶頂後の放心した意識の中でその熱に体を震わせるキノ。雄花はキノの体をそっと地面に横たえて
「それじゃあ確かに花粉は渡したから、あとはよろしく頼むぜ、新入りさん」
そう言って花びらの中に収まりながら、するすると木の上へと戻っていく。キノは絶頂の余韻にすっかり虚脱し切っていたのだが、自分の体に起きた奇妙な変化に気がついた。
股間がたまらないほど疼いている。それも、先ほどまでとは違う。まるで何かを堰き止められているような、張り詰めた疼きである。
怪訝に思ったキノは顔を上げ、疼きの中心に目を向けた。そして、ソレを見た。
「うあ……あああああああああっ!!!!…ウソ…こんな…ボクが……」
空へ向け、熱くたぎりその身を屹立させる怒張。つい先ほどまでキノがアソコに受け入れていたのとほとんど変わらないその姿。
「ウソだよ……なんで…どうしてボクに…オチンチンが……」

はぁはぁと切なげに息を切らしながら、キノは果樹園の中を歩いていた。頬を赤く染め、堪えきれない疼きのために瞳には虚ろな色が浮かんでいる。
木の根が張り出してでこぼこになっている道をおぼつかない足取りで進むのは、別に当てがあっての話ではなかった。
少しでも立ち止まって疼きに飲み込まれてしまえば、そこでそのまま行き倒れになってしまいかねない。
重たい足を一歩一歩踏み出す作業に没頭することで、キノは何とか気分を紛らわそうとしているのだ。
とはいえ、今まで味わったことの無い種類の快感にさらされ続けて思考力を失ったキノは、意識してそれをやっているわけではなかったが。
「…ふぁ…ああんっ…や…ひはぁああっ…」
最初の内は何とか抑えようとしていた喘ぎ声にも、今のキノはすっかり無頓着になっている。
とにかく楽になりたかった。欲望の全てを吐き出して、この疼きから開放されたかった。だが、そのための方法がまるでわからない。
朦朧としながら彷徨い続けるキノ。だがその時、キノの頭上の木々がガサガサと揺れ動き始めた。ぼんやりと、キノは視線を上に向ける。
「えっ?」
そこにあったのは例の巨大な花だった。つぼみの先端がキノの方に向けて動いている。どうやら先ほどのようにキノに覆いかぶさるつもりらしい。
「…そんな…も…やぁ…」
これ以上、あの快楽を味わってしまえば自分は本当に壊れてしまう。走って逃げようとしたキノだったが、ふらつく足はそれを許さず、木の根に足を引っ掛け転倒してしまう。
地面に倒れ伏したキノの上に花がゆっくりと下りてくる。地面を這って逃げようとしたキノの行く手を花びらの壁が塞いだ。
「…あっ……いやぁ…」
「大丈夫よ、こわがらないで……」
突然背後から掛けられた優しげな声に、キノは思わず振り返った。そこにいたのは、柔らかな微笑を浮かべた裸の女性だった。
「あなたは……?」
339SBI:2006/11/14(火) 14:44:26 ID:WXk+WY+6
「私はこの木の雌花よ。もしかして、何も知らずにこの果樹園に来たの?……って、まさかあなた旅人さん?」
「は、はい」
「うあちゃ〜、あの娘たち、またやっちゃったのね……」
呆然とするキノの前で、女性は参ったなとでも言うように首を振った。
「去年もこんな事があったのよ。何も知らない旅人の女性を受粉作業に参加させちゃって大騒ぎになったことが……」
雌花の話はこうであった。
この果樹園で働く女性たちが担っているのは、普通の植物がミツバチなどの昆虫に頼っている花粉を運ぶ役目なのだ。
雄花によって膣内にどろどろの花粉精液を注入して雌花の元まで運んでもらう。
そして、花粉精液を受け取ると生えてくる擬似男根によって、女性の姿をした雌花の中に注ぎ込んで、受粉を完了するのだ。
作業の代価は、実った果実と花たちが与えるえもいわれぬ快感である。
「この国の娘たちは受粉作業を当たり前のものだと思ってるから、他の国ではやっていないことだと知っていても、大して気にせずに旅人を誘ってしまうの。
せいぜい、この国ではこんなに気持ちいいことが味わえるのよ、なんてちょっと自慢するぐらいの気持ちでね」
そう言ってから雌花は地面に倒れたキノを抱き起こした。温かな腕に抱かれていると、擦り切れそうな疼きのさなかにいるにも関らず、ほんわかと安心した気持ちになってくる。
「さあ、さっさと済ませてしまいましょう。大丈夫よ、花粉を全部出してしまえば股間に生えてるソレも無くなっちゃうわ」
「は、はい……」
「うんうん。それじゃあ、まずはベッドを用意しましょう」
雌花がパチンと指を鳴らすと巨大な花が一旦持ち上がり、大きく開いてから上を向いて地面に降りた。
そうやって現れた即席のベッドの上に雌花はキノと一緒に横になる。ふと雌花の顔を見やると、雌花の方でも優しげにキノを見守っていてくれた。
改めて見てみると、本当に美しい顔をしている。黄金色の瞳にウェーブのかかった蜜色の髪をなびかせている様は、まさに花の精といった感じである。
「安心して、全部私に任せてちょうだい。優しくしてあげちゃうから……」
キノは促されるままに擬似男根を雌花のアソコにあてがった。その感触だけでふるふると震えてしまうキノの体を、雌花はきゅっと抱きしめる。
温かくて柔らかい胸にきゅうきゅうと押し付けられて、キノは心の底からの安心感を感じる一方で、言いようの無い気恥ずかしさを感じていた。
顔を赤くしたキノの額に、雌花はそっとキスをしてから
「きて、旅人さん……」
そう言った。さらに顔を赤くしたキノは言われるがままに、ゆっくり、ゆっくりと雌花のアソコに挿入を始めた。
「…くぁ…ああっ……すご…熱いぃ…」
柔らかく包み込みきゅっと締め付けてくる雌花のアソコの熱。その感覚だけでキノは擬似男根から自分が溶け出していくような心地を味わった。
今にも出してしまいそうな圧倒的な快感、もちろん今のキノにはそれを我慢する理由など無かったが、それでもキノはしばらく射精を堪える事にした。
少しでも長い間、この熱の中に包まれていたい。そう思ったのだ。
「…さぁ…慌てないで……ゆっくり動かしてみて…」
「はぁはぁ…わかり…ました……」
キノが腰を前後に動かすたびに、絡みつく柔肉が擬似男根の全体を擦り上げる。触れられたわけでも無いのに、なぜだかアソコまでがキュンと切なくなってしまう。
快感のあまりの大きさのためピストン運動のスピードは一向に上がらなかったが、キノはそれでも無我夢中だった。
雌花の体にぎゅっとしがみついたまま、擬似男根から送られてくる快感の電流を思う存分に貪る。雌花はそんなキノの背中を抱き、優しく見守っていた。
「…あっ…ひゃうぅ!!…も…らめ……ボク…出しちゃうぅうううううううっ!!!!」
そしてついに、大きく脈動した擬似男根からキノの膣内に溜め込まれている花粉精液が吐き出された。
射精の衝撃は凄まじく、キノは弓なりに反らせた背中をビクビクと痙攣させながら、絶頂の悲鳴を上げた。そしてそのまま、脱力した体を雌花の上に横たえる。
「…ふぅ…どうかしら、だいぶ楽になったでしょう?」
「…あ、…はい…もう我慢できないほど辛くはないです…」
「このまま続けて四,五回も出せば、股間についてるソレも消えてなくなるわ」
340SBI:2006/11/14(火) 14:45:21 ID:WXk+WY+6
一息ついてから体を起こしたキノに、雌花はそう言って微笑んで見せた。やっぱり素敵なその笑顔に、キノはしばし見入ってしまう。
すると、雌花はクスクスと、少し恥ずかしそうに笑い出した。
「ちょっと…そんなにじっと見つめられると、私も恥ずかしいわ」
「あっ…ごめんなさい……すごく綺麗だったから、つい……」
「うふふ、ありがとう。でも、あなただってとっても可愛いわよ、旅人さん」
なんて言って、雌花は恥ずかしがるキノを胸元にぎゅうぎゅうと抱きしめた。
とにもかくにもキノもようやく一安心。体中に感じる雌花の体の柔らかさ、温かさに、ここに来て良かったとさえ考えるようになっていた。

雌花に身を任せ、幸福感に包まれながら受粉の交わりを続けるキノ。だがしかし、キノに降りかかる災難の全てが出尽くした訳ではなかった。
一回目の射精を終えて落ち着いたキノは、先ほどより幾分激しいペースで前後運動を繰り返していた。
その快感を楽しむ余裕の出来始めたキノは、擬似男根を抜き差しする度に切なげな声を上げて喘ぐ。
快感に震える初々しい少女の声は、それだけで情欲をそそるものがあり、次第に雌花の方も行為に夢中になり始めた。
しかし、その声を聞いていたのは雌花だけではなかったのだ。
「あら?」
「これって……確か今日やって来たあの可愛い旅人さんの…」
「すごい…なんか可愛いなぁ」
木々の狭間を通り抜けたキノの嬌声は、今しも雄花たちから花粉を受け取り欲望ではちきれそうな体を持て余す女性たちの耳に届いた。
初々しく、それでいて何か背徳的な少女の喘ぎは、甘い疼きのために思考力をほとんど無くした女性たちの頭を満たしていった。
一人、また一人と、女性たちはキノと雌花が交わっている場所へと進行方向を変え、ゆっくりと歩き始めた。
近づくほどにより大きく聞こえてくるキノの喘ぎはさらに彼女たちの興奮を高め、やがて頭の中をただ一つの思考だけに染め上げていく。
「…はぁはぁ…旅人さんのなか…出したいよぉ」
やがて、キノが行為に熱中する花のベッドの周りを数十人の女性が取り囲み始めた。

最初に異変に気付いたのは雌花の方だった。
「えっ?…なんであの娘達あんなところに…」
自分たちを取り囲む女性の群れ、その瞳は一様にキノに向けられている。しかし、快感のために感覚が鈍っているのか、キノは一向にその視線に気付かない。
既に花粉精液を三回射精し、切羽詰った疼きは無くなっているが、今度は新たに覚えた射精の喜びがキノを虜にしていたのだ。
それでも、雌花の様子が少しおかしいことに気付き、キノは雌花の視線の先へゆっくりと振り返る。そこにいたのは……
「うふふ。旅人さんが楽しんでくれてるみたいで、私も嬉しいわ」
昨夜、キノをこの受粉作業に誘ったウェイトレスの女性が虚ろな微笑を浮かべて立ち尽くしていた。
ねっとりと欲望の絡みついたその視線に、キノもようやくただ事ではないと気付き始めるが、少しばかり遅きに失した。
「ねえ、私も仲間に入れてちょうだい……」
「そんな…何をして!?…ふぁあああああああっ!!?」
じゅぷり!!振りかけられた蜜と、湧き出る愛液、さらに溢れ出る花粉精液でじゅくじゅくに濡れたキノのアソコを、女性の擬似男根が一気に貫く。
堪らずに漏れ出たキノの悲鳴にさらに欲望を掻き立てられて、女性は一心不乱にキノのアソコに突き入れ、膣内を滅茶苦茶に攪拌した。
「…ひぅううっ…や…あはああああんっ!!!……こんな…いやぁっ!!!」
キノがどんなに拒絶の言葉を発しようと、催淫蜜と花粉精液で発情させられたアソコは女性の狂ったような責めにさえ喜びを感じ、擬似男根をきつく食い締めてしまう。
きゅっと締まるキノの肉穴の熱くぬるぬるした感触は凄まじく、女性の擬似男根はめくるめく快感の前にたちまち限界を迎える。
「ああああっ!!!旅人さんのなかぁっ!!!出るっ!!!出るぅううううううっ!!!!」
「やあああっ!!!!らめえええええええええええっ!!!!!!」
341SBI:2006/11/14(火) 14:46:41 ID:WXk+WY+6
波を打って注ぎ込まれる花粉精液。その熱と衝撃にキノの頭は一瞬、絶頂感のため真っ白に吹き飛ばされてしまう。
だが、その直後、その絶頂すら遥かに越える熱と衝動がキノのアソコからこみ上げてきた。
「うああっ…なんれ……なんれ…またボクのからだ…あつくなるのぉおおおおおっ!!!!!」
それは当然の結果だった。花粉精液を膣内に注がれた女性は、それを全て雌花に注ぎ込んでしまうまで堪らない肉の疼きにさらされる事になる。
雌花と交わり、雄花に注がれた分の花粉精液をかなり吐き出していたキノは、既にその疼きからはかなり解放されていた。
だが、ここに来て、今度は背後の女性から再び花粉精液を注がれてしまったのだ。一気にぶり返した疼きは、キノの理性を奪い取るのに十分な威力を持っていた。
「いやああっ!!!いやっ!!!…ボクのこし…とまんないよぉおおおおおおっ!!!!!」
「…ふぁあっ!!…ああっ……しっかりして…旅人…さ……やぁ…ふあああああああっ!!!!」
一気に乱れていくキノを気遣う雌花の言葉も、再び始まった激しいピストン運動に断ち切られてしまう。
バックからキノを犯す女性はさらに激しく、ガクガクと腰を揺さぶり、キノと雌花の両方へ快感の衝撃を送り込んだ。
疼きが強まった事でキノは簡単に射精してしまうのだが、その度に背後の女性から新たな花粉精液を流し込まれてしまう。
擬似男根全体を包む雌花の熱さと、アソコを乱暴にかき回される快感、さらには出しても出しても終わらない異常な射精感に、キノの意識は蹂躙されていく。
さらに、これまで流し込まれた事の無い異常な量の花粉精液をその身に受けた雌花も、絶え間ない快感の中で次第に理性を失っていく。
「ああぅ…あああああああっ!!!!らめぇ!!!ボク…また出しひゃううううっ!!…またイっひゃぅうううううううっ!!!!!!!」
「ひぅううううっ!!!…たびびとさんのがぁ…わらひのなか…またビクビクってぇええええええっ!!!!!」
互いの背中をぎゅっと抱き締め、キノと雌花は、もはや拷問同然となった快感と絶頂の連続攻撃に必死に耐えた。
やがて女性がキノに突き入れるペースもだんだんと落ちていき、最後の射精をした瞬間、女性の擬似男根はしゅるしゅると萎み、完全に消えてなくなった。
「…くぁ…はぁ……やっと…終わった……」
アソコをかき回す肉棒の感覚がなくなり、キノが少し安心した次の瞬間だった。
「旅人さん、次は私にやらせてちょうだい………」
「えっ!?」
今度は別の女性キノの背後に立ち、アソコにあてがった擬似男根を一気に奥まで突き入れる。花粉精液でぬるぬるの膣壁の感触だけで、まずは一回目の射精をしてしまう。
「あああっ……ああっ…だめぇ…だめらよぉ……も…これいじょ…ボクぅ……」
ボロボロと涙をこぼしながら哀願するキノの言葉を無視して、女性はガクガクと腰を振り、思う存分キノの膣内に花粉精液をぶちまける。
何度射精しても、その度に花粉精液は補充され、今キノの背後に立っている女性が力尽きても、また別の女性がキノの膣内に擬似男根を突き入れる。
しかも、キノを犯す女性たちの射精ペースはキノのそれよりも速い。キノがいくら雌花に向けて射精しようとも、それよりも多くの花粉精液が膣内に貯まっていく。
キノの膣内は一分の隙も許される事なく花粉精液で満たされ、なだらかだった下腹が微かに膨らみ始めさえした。
キノの絶え間ない射精を受け続けた雌花の瞳は既に虚ろで、もはやキノを気遣い、助けてやるだけの余裕は残っていなかった。
「も…やぁ……ボク…もう…しゃせいしたくないよぉ…イキたくないよぉ……ああっ…いやぁ…またぁああああっ!!?」
「ひぐぅううっ!!…まただされてるのぉっ!!!…たびびとさんのあついの……わらひのなかぁ…いっぱひぃいいいいいいっ!!!!!」
拒もうと、抗おうと、あまりの快感に立つ事さえままならない二人は、擬似男根を持て余す女性たちの玩具にされ続けた。
どれだけの絶頂を味わおうと、際限なく欲望の源を注ぎ込まれ、イってもイっても満足する事が出来ない。それはまるで、快楽の餓鬼地獄だった。
「あはぁ…旅人さんも…あの雌花さんもすごく可愛いよぉ……私…もう我慢できないぃ……」
やがて、いまだに順番の回ってこない女性たちが自らの指で擬似男根を慰め始めた。それでは満足できない女性は、キノと雌花の体に擬似男根を擦りつけ始める。
無理矢理握らされた擬似男根を、キノと雌花は泣きじゃくりながら擦り上げ、さらには喘ぎ声を漏らす口にまで擬似男根を突っ込まれた。
342SBI:2006/11/14(火) 14:47:14 ID:WXk+WY+6
次々と女性たちの射精をその身に受けて、二人の体は白濁の汚されていく。足元には二人のアソコに納まりきらなかった花粉精液が水溜りを作っていた。
もはやキノと雌花からは、前後左右の感覚さえ失われ、叩きつけられる花粉精液のむせ返るような臭いと、狂ってしまいそうなほどの快感だけが二人を満たしていた。
「らめええええええっ!!!!ボク…おかひくなるぅううううっ!!!おかひくなっひゃうのぉおおおおっ!!!!!」
「ああああああああああっ!!!!あはああああっ!!!わらひ…こんな……いやあああああああっ!!!!」
快感に弄ばれ、壊されて、キノと雌花の心と体はすでに限界を越えてしまっていた。
だが、キノを犯す肉棒の容赦ない突き上げは、雌花の体さえ巻き込む凄まじい快感の衝撃で、二人の意識の最後の糸を断ち切る。
「ああああああああっ!!!たびびとさぁんっ!!!!わらひ…もうっ!!!!ひあああああああああっ!!!!!!!」
「ふああああああっ!!!!…ボク…またイっひゃうのおおおおおおっ!!!!イクっ!!!イクっ!!!イクぅうううううううううっ!!!!!!」
ガクガクと全身を痙攣させながら絶頂に達したキノと雌花の体は、そのまま糸の切れた操り人形のように崩れ落ちた。

それから5日後、キノは再びあの果樹園の、あの雌花の木の前にいた。
「もう旅立つのね、旅人さん」
「はい、正直名残惜しいですけど……」
するすると地面まで降りてきた雌花に、キノが答えた。
あの受粉作業での大騒ぎはどこへやら、果樹園の木々は静まり返り、キノの性欲を掻き立てたあの甘い香りもほとんどしなくなっている。
あの日の大騒ぎで失敗した受粉作業は後日やり直されて、今はどの花々も実を結ぶための準備期間に入っているのだ。
「何ていうか、ほんとにごめんなさい。あんな事になるなんて思ってもみなかったから……」
申し訳無さそうに、雌花は言った。
あの後、キノが疲労から回復するまでに随分と時間が掛かった。三日間滞在のルールも破らざるを得なくなり、キノの出発は今日まで遅れてしまったのだ。
しかし、俯いた雌花の顔に、キノは優しく微笑みかけてこう言った。
「あなたのせいじゃありませんよ。それに、まあ大変でしたけど、それでもボクはあの日この果樹園に来て良かったと思ってます」
「えっ?」
「会えて嬉しかったです。本当に………」
言ってから、キノは爪先立ちで雌花の頬にキスをした。そして、真っ赤になった顔を恥ずかしそうに俯ける。
雌花は少しの間呆然としてから、
「ありがとう」
そう言って、自分がされたのとは反対の頬にキスを返した。
「さて、私もそろそろ準備を始めるわ。今年はこれでお別れね」
「そうですか………」
「でも心配しないで、私の本体はこっちの木の方だから。また今の季節にこの国に立ち寄ったら、遠慮なく訪ねて来て」
「はい」
そして、互いに微笑を交わしたのを最後に、雌花は再び木の上に、キノは果樹園の出口の方に歩いていった。
その背中に一抹の寂しさを漂わせながら、それでもキノの顔はどこか晴れやかだった。
343SBI:2006/11/14(火) 14:48:21 ID:WXk+WY+6
以上でお終いです。
ちょっと本来のキノの旅と世界観が違ってるんじゃとも思いましたが、勢いでやっていまいました。
それでは、失礼いたします。
344名無しさん@ピンキー:2006/11/14(火) 15:56:02 ID:Xf0FLIMu
GJ!
345名無しさん@ピンキー:2006/11/14(火) 19:15:15 ID:VYLhbSQF
GJです!
最近人少ないからホッとするなあ・・・
346名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 00:14:06 ID:rVU7ctT6
人少ない時に神光臨実にGJ。

時につかぬことをおききしますが学園キノのエロパロってありましたっけ?
サモエド×キノとか見たいな…。
347(´・ω・) ◆tVAx/x9APA :2006/11/17(金) 11:24:22 ID:xB+uXA1k
アク禁中なので携帯から。
エロなし。一切なし。
ttp://wannabee.mine.nu/uploader/files/up0294.txt
携帯でまた書くのは面倒だからここにあげたけど、ごめん……
348名無しさん@ピンキー:2006/11/18(土) 12:05:35 ID:WUv6SPug
>>347
GJ!! なんか泣けてきたよ。
349sage:2006/11/19(日) 02:01:58 ID:jnbXade4
・゜G(ノД`;)J゜・

切ないな(´・ω・`)
350名無しさん@ピンキー:2006/11/20(月) 10:10:30 ID:MFvuhqOW
これは後に師匠を名乗りましたってことですか?
351名無しさん@ピンキー:2006/11/22(水) 18:58:59 ID:FlXUpQ70
多分この後「時を遡る国」に行ってタイムスリップするんだよ。
352名無しさん@ピンキー:2006/11/22(水) 23:08:13 ID:KsWN5hMs
リリトレコミカライズ記念age
353名無しさん@ピンキー:2006/11/24(金) 00:50:11 ID:5M4tsXdV
リリトレってエロにしづらいな……_| ̄|〇
凌辱系はあまり好きではないのだが、そうするとトレイズはヘタレだしリリアはツンツンだし(´・ω・`)
流石にトラヴァスさん達だと熟れすぎだしなぁ。
354名無しさん@ピンキー:2006/11/24(金) 00:52:20 ID:PVCatE7O
ヘタレだからこそ突然ガバッ!っとね
355SBI:2006/11/24(金) 11:31:44 ID:tqmVtsbV
>>347
えらく切ない話でした。しかも上手いし。GJ!!でした。

ところで
>>346
言われてみると、少なくとも俺は学園キノの話を書いたことがなかったので、ひとつ書いてみました。
それでは、いってみます。
356SBI:2006/11/24(金) 11:32:44 ID:tqmVtsbV
一人は学校指定の緑のセーラー服を着た、短い黒髪の少女。もう一人は白ランをまとった長身の男子生徒である。
夕日の差し込む教室で、二人はキスを交わしていた。平均身長よりいくぶん小さい少女が少し背伸びをし、長身の男子生徒も少し腰をかがめて二人の間の身長差を埋めている。
男子生徒がおずおずと少女の肩に手を回すと、少女の小さな手の平が白ランの背中をきゅっと掴む。
甘いキスの味が見慣れた教室の中を二人だけの世界に変えていた。
「先輩……」
「木乃さん……」
唇を離した二人は、うっとりとした視線を交わして微笑み合う。
二人の名前はそれぞれ、木乃と静といった。何気ないきっかけで知り合って以来、互いに惹かれあっていた二人が、ついに今日結ばれようとしていた。
ぎこちない仕草に赤く染まった頬。胸の内に渦巻く期待と不安に揺れながら、木乃は静に体を預け、大きな胸板に顔を埋める。
静は震える腕でおっかなびっくりに木乃を抱き締め、薄暗い教室の中で二人のシルエットが一つに重なる。
そして、木乃の肩の上辺りに置かれていた静の手の平がゆっくりと動き始め、木乃の幼い胸に触れようとしたその刹那………。
「…………あれ!?」
ズンっ!!!校舎が小さく揺れた。木乃が息を飲み、静も気がついて何事かと辺りを見回す。そして、何となく木乃が視線を向けた窓の外で……
「……きゃああああっ!!!」
悲鳴と共に強烈な爆発音が鳴り響いた。木乃の顔にさっと走る緊張の色。原因は一つしか考えられない。
木乃は悔しそうに歯軋りして、じたばたと駄々っ子のように手足を振り回す。それから突然キッと真剣な表情になったかと思うと
「せ、せ、先輩!!!ごめんなさい……っ!!!」
「えっ!?」
床に置いていた鞄の中から、まるで封印でもするかのようにタオルでグルグルまきにされたストラップを取り出し、それを片手に教室の外へと駆け出した。
さっきまでのムードは完全にブチ壊され、一人教室に取り残された静は、ただ呆然と木乃の出て行った扉を見つめる。
「なんなんだ、一体?だが、まあ、この場合は好都合だったかな……」
意味ありげなセリフを呟く静。彼は一瞬窓の外を見やってから、おもむろに教卓の上に登り、天井の戸板の一部を外した。そして天井裏に手を突っ込んで
「ふふふふふふふふ、魔物め待っていろよ……」
そこから取り出した真っ赤なリンゴを頭の上に載せたのだった。

一方、静先輩とのラブラブタイムを壊され怒りに燃える木乃は、全速力で廊下を駆け抜けていた。
「ねえねえ、結局静とはどこまでいったの?」
いかにも興味津々といった感じで尋ねてくるのは、先ほど木乃が鞄から取り出した、実は意志を持ち喋る事も出来る優れものストラップのエルメスである。
「うっさい!!!さっさとアレ、倒しちゃうわよ!!!…“フローム・マーイ・コー……ええい、めんどくさい、変身っ!!!!!」
いつになくおざなりな変身の掛け声と共に、木乃は腰から引き抜いたモデルガンの引き金を引いた。キャップ火薬の弾ける音に続いて、暗い廊下に七色の光が溢れ出す。
その光の中から先ほどまでとは比べ物にならないスピードでセーラー服の少女が飛び出す。そう、木乃はこの瞬間、“謎の美少女ガンファイターライダー・キノ”に変身したのだ。
さらにキノは手の平に握っていたエルメスを、力任せに宙に分投げる。
「頼むわよ、エルメスっ!!!」
「オッケー!!!」
空中で光に包まれたストラップは、一秒も掛からずに滑らかにモーフィングして、大型のバイクに姿を変える。キノは見事に変形したエルメスに跨り、一息にアクセルを入れた。
巨大な車体が無人の廊下に滑り出す。が、そこでエルメスは大変な事に気がついた。
「キノ!!そっちは行き止まり!!!降りるんなら階段を使わないとっ!!!!」
「百も承知よぉおおおおおおおっ!!!!」
キノの絶叫とエルメスの悲鳴を残して、猛スピードで走り出したバイクは廊下の向こうに消えていった。
357SBI:2006/11/24(金) 11:34:02 ID:tqmVtsbV
場所は変わってグラウンドの校舎よりの一角。夕日の中、地面に長い影を落として、ソレは佇んでいた。
優に6メートルは超えようかという巨体、ギラリと邪悪に光る眼、鋭い牙。魔の誘いによって異形へと変わり果てた人間、魔物である。
「い、いやああああああっ!!!誰かぁ…助けてぇ!!!!」
無数の触手を背中から生やした魔物は、数人の少女たちを捕えて宙吊りにし、触手から滲み出る粘液で彼女達の体を汚していた。
恐らく媚薬の成分でも含まれているのだろう。少女達の顔には恐怖と共に、抑え切れない欲情が滲み始めていた。
ここがエロパロ板である事を考慮に入れてのサービスであろう。なかなかどうして、わかってる魔物である。
「ふああっ…いやぁ……こんなバケモノにさわられて…私ぃ……このままじゃ…おかしくなっちゃうよぉ……」
大粒の涙を溜めて、救いを求める少女。熱い疼きに理性を溶かされながら、朦朧とした意識の端で彼女は妙な事に気がついた。
エンジン音が聞こえる。それも、あり得ない場所から。校舎の二階の辺りを、右から左に駆け抜けてエンジン音が近付いてくる。
そして、校舎を見上げる少女の前で、その一角のガラス窓が派手にブチ破られた。
「うりゃあああああああああああああああああっ!!!!!!!」
夕焼け空に浮かんだ黒いシルエット。飛び散るガラス片の雨の中、それはまっしぐらに魔物へと突っ込んできた。
「ギャヒイウウウウウウウウッ!!!?」
加速のついた大型バイクをどてっ腹に喰らって魔物の体が傾く。バイクの乗り手はそこからさらにアクセルを入れて、魔物の体の上からジャンプする。
土煙と共に魔物は倒れ、少女たちは地面に投げ出される。真っ先に体を起こした先ほどの彼女は、バイクの乗り手の姿を認めて叫んだ。
「……あ、あなたは、謎のガンファイターライダー・キノっ!!!!」
キノは少女にコクリと肯いてから、腰に吊り下げた“ビッグカノン〜魔射滅鉄〜”を引き抜く。その行動に、またもエルメスが声を上げる。
「ちょ、キノ!!ビッグカノンは一発しか撃てないんだよ!!!」
「一発で十分!!!さっさと終わらせて静先輩のとこに戻るっ!!!!」
そう叫んだキノは、エルメスをストラップに戻して魔物に向かって駆け出した。真っ直ぐに突っ込んでくるキノに、魔物はエロ触手を飛ばして応戦する。
きわどいタイミングで触手をかわしながら魔物へと接近するキノ。全ての触手をくぐりぬけ、今まさにビッグカノンを撃とうとしたその時だった。
「うははははははははははははっ!!!!魔物よ、覚悟しろ!!!!」
キノの前方に白い影が踊り出た。白いマスクに白いマント、頭の上にピョコンと飛び出た犬耳と真っ赤なリンゴが変態チックなその姿。
「くぉらぁ!!!変態っ!!!!」
「違うぞっ!!!サモエド仮面Xだっ!!!」
毎度お馴染みの変態の出現で、キノは魔物への道を閉ざされてしまった。今から方向転換しようにも、先ほどかわした触手たちが体勢を立て直して迫ってきている。
「ええい、仕方が無いっ!!!」
「おわっ!?謎のキノよ、何をして!!?」
勢いよく宙に舞い跳んだキノ。さらに、前方に立ち塞がるサモエド仮面Xの頭を蹴って、魔物の頭上へとジャンプする。
「私を踏み台にしたっ!?」
驚愕するサモエド仮面Xを、キノを狙っていた触手たちが叩き伏せる。キノは眼下を通り抜ける魔物に狙いを定め
「これでっ!!おしまいよっ!!!!」
た―――――――――――んっ!
その頭部に銃弾を叩き込んだ。

魔物を倒したキノは、息を切らしながら階段を駆け上っていた。
「ちょっと、キノ!!変身を解かなきゃ!!」
「あ、忘れてた!!」
変身解除も忘れるほどキノが慌てているのは、もちろん愛しの静先輩のためである。
今更ラブラブな雰囲気に戻る事も出来ないだろうが、せめて突然抜け出してしまった事を謝りたかった。
「でも、もしかしたら先輩、もういないかも。魔物が出てきてとんでもない騒ぎになったし……」
教室の手前まで辿り着いた木乃だったが、扉を開く勇気が湧いてこない。どんな顔をして静に会っていいかがわからないのだ。
358SBI:2006/11/24(金) 11:35:07 ID:tqmVtsbV
「木乃、だいじょうぶだよ。きっとそんなに怒ってないって」
「だといいけど……」
「さ、いつまでも先延ばしにできないよ」
「………うん、わかった」
エルメスに促され、ようやく扉に手をかけた木乃。ガラガラと開いた扉の先で木乃を待っていたのは……
「はははははははっ、どうしたんだい木乃さん、そんな顔をして」
「な、な、なんでアンタが……」
そこにいたのはさっきの変態でした。触手にぶん殴られたせいで白いコスチュームのそこかしこが汚れていましたが、当人は至って元気です。
完全に絶句している木乃に向かって、サモエド仮面Xはキラリと白い歯を見せて微笑み、さも得意げに話し掛けてきた。
「驚くのも無理はないかな。この華麗な姿とただの一学生とを頭の中で結びつけるのは、いくら聡明な木乃さんとはいえ……って、木乃さん?なんで椅子なんか持ち上げて……」
「くぉの変態っ!!!静先輩をっ!!どこにやったぁああああああっ!!!!!」
力任せに、木乃は変態めがけて椅子を投げつけた。しかし、サモエド仮面は身じろぎもせずに刀を一閃させ、真っ二つに切り裂いてしまう。
だが、それこそが木乃の仕掛けた罠だった。
「とりゃああああああああっ!!!!!」
サモエド仮面Xが椅子に気を取られている隙に、木乃は一気に距離を詰めていた。体勢を低くしたまま変態の足をすくい、地面に押し倒す。
「うむむ、なかなか強引かつ大胆。ドキドキしてきたぞ」
「うーるーさーいーっ!!!」
口の減らないサモエド仮面Xの腕を捻り上げ、逃げられぬようにガッチリとホールドする。仕上げに取り落とした刀を遠くへ蹴飛ばして、木乃はサモエド仮面Xを取り押さえた。
「まさか木乃さんがSだったとは……。でも、それはそれで……」
「ほんとに口が減らないわねっ!!さあ言いなさい、静先輩をどこにやったの?」
「だから、さっきから私がその静先輩だと……」
「またそのウソを言うかっ!!言っていい冗談と悪い冗談があるって、前も言ったでしょーがっ!!!」
取り付く島の無い木乃の剣幕に、サモエド仮面Xはしばし考え込んでから
「誤解は解かなければいけないな……。そうだ、誤解を解くには…」
唐突にくねくねと体を動かし始めた。
「な、な、何やって!!?そんな事したって……っ!?」
自分の体の下で変態が気持ち悪い動きを始めて、木乃は思わず悲鳴を上げた。
サモエド仮面Xはその一瞬の隙をついて、軟体動物チックな動きで固められていた腕を木乃の手の平から引き抜き、あっと言う間に木乃の体の下から逃れる。
そして、木乃の背後に回りこんだかと思うと、ねっとりと絡みつくような声で木乃の耳元に話し掛けてきた。
「誤解を解くにはやはりコレっ!!!肌を合わせ、心を合わせ、裸と裸で語り合うしかない〜っ!!!」
「い、いやあああああああああああっ!!!!先輩助けてぇええええええっ!!!!」
サモエド仮面Xの腕の中でじたばたともがく木乃。
しかし、サモエドの指先がつーっとセーラー服の上をなぞると、体の中を電流が走ったかと思うと、木乃の体から力が抜けてしまった。
「えっ!?なんで…あぅ…からだがぁっ!!?」
「ふふふ、めくるめく快楽の園に招待してあげよう」
躍起になってその感覚を否定しようとする木乃だが、サモエド仮面Xに触れられるたびに、ぞわり、ぞわぞわと走るその感覚に次第に追い詰められていく。
ただ触れられているだけなのに、服の上からピッタリと密着してくる指の感触に、どうしようもなく興奮させられてしまう。
「呼吸が荒くなってきたぞ、木乃さん。とってもエッチだ…はぁはぁ……」
「ひあっ…ふぁああんっ!!そんな…うそよぉっ!!きゃううううううっ!!!!」
セーラー服の布地ごと、木乃の可愛らしい乳首がきゅっと摘ままれる。クリクリとサモエドの指先に乳首を転がされて、木乃の口から悲鳴が漏れ出る。
既に大事な部分から溢れ出した蜜でショーツが濡れてしまっている事を、木乃は自覚していた。スパッツの股間に出来ているであろう、いやらしいシミが目に浮かんでしまう。
(こんな…変態の指で…感じさせられるなんてぇ……)
359SBI:2006/11/24(金) 11:36:00 ID:tqmVtsbV
実際、サモエドの愛撫は巧みだった。木乃の感じやすい部分を的確に責めてくるのだ。しかも、一箇所への愛撫を短めにして、木乃を物足りない気分にさせてしまう。
焦らされて、焦らされて、木乃の頭の中では快感にお預けを喰らったストレスと、言いようの無い欲情ばかりが高まっていく。
(今だって…コイツ…こんなに隙だらけなのに……体がゾクゾクして…逃げられないよぉ…)
サモエド仮面Xの愛撫に翻弄され続けて、木乃の体からは力が抜け切っていた。もはやほとんど自力では動けない有様である。
サモエド仮面Xは自分の胸板にもたれかかり荒い息を切らすだけになった木乃を、いいように弄び続ける。
「ふあっ…やらぁ…そんな…ちくびばっかりぃ……はぁあああんっ!!!」
「ぐふふふふ、何を言う木乃さん。こんなので音を上げるようじゃいけないぞっ!!!ほれっ、今度は直接攻撃だっ!!!」
無遠慮にも服の中に侵入を始めたサモエド仮面Xの指先。しかし今の木乃に抵抗する術は何一つ無い。熱い手の平が自分の体を這い登る感触に、ただただ震えるばかりである。
幼い木乃の胸を、汗ばんでじっとりと湿った肌の上を、サモエド仮面Xの指が滑る。柔らかな肌に吸い付いた指先が、木乃の未発達な胸を思うさまに揉みしだいた。
「あっ…くぅんっ!!…らめっ!らめぇえええっ!!!…あはぁあああんっ!!!!」
先ほどまでとは打って変わって、木乃の小さな胸に集中した執拗な愛撫が開始される。焦らされ続けてほとんど決壊寸前だった木乃の理性が、この時ついに弾けとんだ。
さらに、サモエド仮面Xは隙だらけの木乃の耳たぶを甘噛みし、そのまま首筋へと舌を這わせる。
「ひはああああんっ!!!あっ!!ああっ!!ひああああああんっ!!!!!」
もはや意味のある言葉を発することも出来なくなった木乃。その様子を確かめたサモエド仮面Xはトドメを刺しに掛かる。
そろそろと木乃の下半身に向かって這い降りる指先の動きに、快感漬けにされてしまった木乃は気づく事ができない。
スカートを、スパッツをくぐり抜け、ついにショーツの中に這い入る指先。冷たい外気の侵入に、木乃が気付いた時には手遅れだった。
「…も…やぁ……いやぁっ!!!…ひううっ!!?あああああんっ!!!!」
木乃の敏感な割れ目に差し込まれた指が、情け容赦なく膣内を攪拌してくる。待ちに待って訪れた快感の爆発に、木乃の体は全身をビクビクと痙攣させて歓喜する。
望まぬ相手から与えられる快楽に木乃は必死で抗おうとするが、既に木乃の体は理性や意思が介入できる状態ではなくなっていた。
与えられる快感に、ただただ身悶え、あられもない嬌声を上げる。今の木乃には、それ以外の何一つとして残されていなかった。
「ゆるひて…も…やらよぉ……おねがひ…わらひを…ゆるひてぇ……」
「えっと、物の本によると『イヤよイヤよも好きの内』だったな……。オッケー、木乃さん!!!クライマックスまでまっしぐらだっ!!!」
「ひぃ…いやああああああああっ!!!!!」
木乃の悲痛な哀願を完全無視して、サモエド仮面Xはさらに責めをヒートアップさせる。全身を駆け抜ける快感の連続攻撃に木乃の意識は滅茶苦茶にかき混ぜられる。
そして、体の内で高まり続けた熱の渦が、木乃の嬌声とともに弾けた。
「ふぁああっ!!わらひぃ!!イクぅうううううううううううううっ!!!!!!」
絶頂の衝撃が木乃の全身を貫き、木乃の意識は一瞬の間白い闇の中でストップした。
糸の切れた人形のように崩れ落ちた彼女を、サモエド仮面Xは床に敷いた自分のマントの上に寝かせる。
そして、何やらウキウキとした様子で、ゴソゴソと自分の上着の懐を探り始める。やがて、サモエド仮面Xは懐から取り出した何かを高々と掲げた。
「ふふふふふ、次はいよいよ本番だぁ!!!」
「ふぇ!?ちょ…それってまさか……」
ぼんやりとその様子を見つめていた木乃の表情が、さっと強張った。サモエド仮面Xが誇らしげに掲げるそれは、コンドームに間違いなかった。
貞操の危機に、木乃は一気に正気に戻った。あんなものを取り出して、ヤツはいよいよ本気のようだ。
「イヤぁあああっ!!!そんなのイヤよっ!!イヤだったらぁ!!!」
「何を言ってるんだ木乃さん、避妊はちゃんとしなくちゃあ」
「んな事言ってるんじゃないわよっ!!!寄るなっ!!この変態っ!!!」
「無茶を言わないでくれ。避妊はちゃんとしないと、大変な事になるぞっ!!!例えばこんな風に………」
360SBI:2006/11/24(金) 11:36:51 ID:tqmVtsbV
[ヴィルヘルム・シュルツの場合]
『ヴィル、赤ちゃん出来た―――っ!!!』
『ほ、ほんと?』
『あっ、やっぱりちょっとショックだった?』
『いや、その、なんていうか………』
しばらく下を向いて口ごもっていたヴィルだったが、やがて意を決したように顔を上げると、目の前のアリソンをガバッと抱き締めた。
『なんていうか……………とにかく嬉しくて、どう言っていいかわからないぐらい嬉しくて………ああ、アリソンっ!!アリソン〜っ!!』
『ヴィ、ヴィルぅ〜』
二人の周囲を舞い飛ぶハートマーク。ヴィルとアリソンはその中で熱い口づけを交わしたのだった。

「……………」
「なんか、問題なくラブラブね……」
「まあ、あの二人は例外だ……」
そこでサモエド仮面Xはコホンと一つ咳をして
「とにかく、避妊は大切だ。大切なんだっ!!!まさか木乃さんの方からナマがいいと言ってくれるとは思わなかったが、ここはぐっと我慢だ!!!」
なんて言いながら、床に横たわる木乃に覆い被さってきた。しかし、貞操の危機を前にして、いつまでも黙っている木乃ではない。
イかされて脱力していた体に喝を入れ、木乃は渾身の頭突きを繰り出した。
「おごぉっ!!?」
「だからぁ!!そういう話じゃないってぇ!!!!」
素早く床から立ち上がった木乃は、大きく拳を振りかぶる。
「言ってんでしょぉおおおがぁあああっ!!!!!」
そして、全体重を乗せた拳打を、頭突きでふらつくサモエド仮面Xのみぞおちに叩き込んだ。
木乃の全力パンチを喰らったサモエド仮面Xの体は宙を舞い、教室の入り口の扉をブチ破って廊下に吹っ飛んだ。
「さあ、トドメを刺してあげるわよっ!!!」
崩れ落ちた扉の下敷きになった憎き変態男の下へ、木乃はつかつかと歩み寄る。しかし、反撃を警戒して注意深く持ち上げた扉の下にいたのは、木乃にとって意外な人物だった。
「し、静先輩ぃ!!?」
ズタボロの状態で目を回している静を、木乃は慌てて抱き起こした。
「どうして?まさか、変わり身の術?」
辺りに散らばる砕けたリンゴや白いマスクを見れば、先ほどの変態と静の関係には気付きそうなものだが、木乃の脳は忌まわしい変身グッズの数々を完全に無視する。
まあ、変身前後であれほど人格がかけ離れている事を考えれば、それも無理からぬ事ではあったのだけど……。
「うう、アイツのせいで静先輩まで………」
「う……ううん……木乃さん…なのか?」
「あっ、先輩気がついたんですね!!」
静が目を覚まして、木乃の顔がパーッと明るくなる。しかし、次の瞬間静が口にした言葉を聞いて、その顔が一気に強張った。
「避妊は大切だ。木乃さん……」
「へ!?」
完全に固まった木乃の前で、静はいたって真剣な表情で話を続ける。
「いいかい、木乃さん。避妊を怠るとどんなに困った事になるか。そう、こんなふうに…………」
361SBI:2006/11/24(金) 11:38:05 ID:tqmVtsbV
[ヴィルヘルム・シュルツの場合 その後]

『リリア、随分大きくなったね。アリソン……』
『うん、とっても良い子よ』
『そうか……』
『ヴィル、そんなに暗い顔をしないで』
『でも、僕が自分の道に進んだせいで、アリソンにも随分苦労をさせてしまった……』
『どんな形でも、あの子はあなたの娘よ。胸を張りなさい』
『アリソン………』
『ヴィルがいてくれたから、私はリリアちゃんに出会う事が出来た。ヴィルのお陰なんだから……』
『ありがとう、アリソン……』
『どうって事ないわ、ヴィル……』
二人の周囲を舞い飛ぶハートマーク……以下略っ!!!

「…って、またこの二人か――――っ!!!!」
「き、木乃さん?どうしたんだ、しっかりしてくれ!!」
静の発言で先ほどまでの悪夢がぶり返した木乃は、なぜか再登場したバカップルに追い討ちを掛けられて、完全にブチ切れた。
じたばたと暴れる木乃を、静は必死の思いで取り押さえる。
「静先輩まであの変態と同じ事言うなんてっ!!私をいじめてそんなに楽しいんですかっ!!?」
「木乃さんっ!!落ち着くんだっ!!!木乃さ〜んっ!!!」
「魔物も変態仮面も、みんなして邪魔ばっかりしてっ!!先輩が好きなのに、先輩と一緒になりたいのに、どうして上手くいかないのよ――――っ!!!!!!」
静の腕の中でようやく暴れるのをやめた木乃だったが、静を見上げる瞳に涙を溜めて、必死に睨みつけてくる。
静はそんな木乃の真剣な表情を見て、ふうっと一つ息をする。そして、穏やかな声で自分の気持ちを木乃に語り始めた。
「やはり、なかなか上手くいかないものだな。何事も初めてのときには………。気ばかりが急いて、上手く事を進められない。挙句に木乃さんを怒らせてしまった……」
「先輩……」
「なんとも無様な話だよ。木乃さんだって、不安な気持ちは同じなのに………本当にすまなかったよ」
シュンとした様子の静を見て、昂ぶっていた木乃の神経が次第に落ち着きを取り戻し始める。
激しい怒りの反動なのか、今度はズーンと落ち込み始めた木乃の肩に、静は優しく手を置いてから、こう続けた。
「木乃さん、私は木乃さんとだからこそ、こういう事をしたいと思った。その木乃さんが望まないのなら、私にこれ以上何かする権利はない。
だけど、もし木乃さんが私を望んでくれるなら、もう一度この頼りないパートナーに木乃さんの心と体、預けてみてくれないか?」
なんとも静らしいぎこちのない言い回しだったが、木乃の胸にはしっかりと届いた。木乃は静の白ランの袖をきゅっと握り、静の胸板に顔を埋めた。
静はそんな木乃の体を姫抱きに抱き上げて、教室の中へと運ぶ。サモエド仮面Xのマントの上に木乃を寝かせてから、気休めに壊れた扉を元の位置に立てかけた。
「先輩………」
おそるおそる、震える手でスパッツとショーツを下ろした木乃。サモエド仮面Xにさんざん責められたせいか、可愛らしいアソコは蜜に濡れて輝いている。
かちゃかちゃとぎこちない手つきで、静が大きくなった自分のモノを取り出す。始めてみた男性のモノ、そそり立つその姿に木乃は思わず息を飲む。
「先輩……きて」
「あ、ああ……」
静は腰を落として、アリソンとヴィルの二の舞にならぬようしっかりゴムを装着したモノを、木乃の濡れそぼった入り口にあてがう。
「じゃあ……いくよ」
362SBI:2006/11/24(金) 11:38:43 ID:tqmVtsbV
静が呟いて、木乃は小さく肯いた。数秒の間を置いてから、木乃の中にゆっくりゆっくりと静のモノが挿入され始める。
「ひぅううっ!…あっ…ああっ!!…ああ、先輩の…わたしのなかにぃ……」
まだ誰の手にも汚されていない清らかな割れ目を、柔肉を引き裂くようにして静のモノが埋めていく。つうっと流れた血の赤が、入り口の辺りに浮かんだ水滴に紛れて滲んだ。
静の背中をきゅっと抱き締めて初めての感覚に耐える木乃は、破瓜の痛みとそれをも上回る形容し難い熱に体を震わせていた。
やがて、静のモノは木乃の奥の奥まで侵入し切った。ビクビクと体を振るわせる木乃に、静は心配そうに声を掛ける。
「だいじょうぶか、木乃さん。辛いなら、無理はしない方が……」
「だいじょぶ…です……ただ、先輩のが熱くて…とっても熱くて……わたしぃ…」
そう言って静の背中を抱く腕に、さらに力を込めた木乃。静は木乃の瞳の端からこぼれた涙を唇で拭い、荒く息を切らす口にそっとキスをする。
「うごいて…ください……わたしも先輩みたいに…熱くなりたいです……」
囁くような声で促され、静はゆっくりと腰を動かし始める。焦らしに焦らしたサモエド仮面Xの責めのお陰か、木乃が感じる痛みは幾分柔らかいもののようだった。
痛みとない交ぜになって押し寄せ、こみ上げてくる熱と疼きに、木乃の呼吸は段々と荒く激しいものに変わっていく。
「ふあああっ!!!ああんっ!!!先輩っ!!先輩ぃいいいいっ!!!!」
静が突き上げるごとに、木乃の反応はより激しいものになっていく。快感に漏れ出てしまう声は徐々に大きくなり、背中を駆け上る電流にビクビクと痙攣してしまう。
快感の爆弾が体の中で何度も爆発しているようだった。頭の中が真っ白になってしまうほどの衝撃に、木乃の意識は何度も寸断された。
先ほどまでの責めとは根本的に性質が違う。文字通り体の奥を貫かれるようなその快感に、木乃はいつしか我を忘れ始めていた。
「くぅ…あはぁ!!……あっ!…あぁ…すごい……せんぱいのぉ…すごすぎるよぉ!!!!!」
一方の静も、ちぎれそうなほどに締め付けてくる木乃の中の感触に、すっかり無我夢中になって腰を振っていた。
自分の動きに合わせて、腕の中に抱き締めた木乃の体が切なげに身悶え、ビクビクと体を震わせて、あられもない声を上げる。
快感に翻弄され、華奢な体を痙攣させる少女は、静にとってあまりに愛しすぎた。彼女の声を聞く度に、頭の中で理性の糸がプチプチと音を立てて切れていくようだった。
もっとこの少女の声を、体温を、全身で感じていたい。その思いを糧にして、さらに強く、さらに激しく、静は責めを加速させていく。
「ああっ…木乃さんっ……可愛いっ!!可愛いよっ!!!」
「ひゃうっ!!…ひはぁあああっ!!!…ああっ……先輩っ…好きっ!!好きぃいいいいっ!!!」
無我夢中のまま快感の濁流に溺れる二人は、呼吸をするように互いの唇を求めた。何度と無く繰り返されるキスのその度に、二人の熱は混ざり合い一つになっていく。
ビリビリと痺れるような快感の狭間で、考えられるのは目の前の愛しい人の事ばかりだった。
木乃は弓なりに背中を反らせ、セーラー服を胸まで捲られて、可愛らしいピンクの突起に吸い付かれる快感に声を上げた。
静の理性は木乃の反応を前にして完全に吹き飛び、もはや加速するピストン運動を自分で止めることすら出来ない。
お互いの体から流れ出た汗に濡れ、自らの最も熱く敏感な部分で相手を感じる。愛しい人が熱い。自分が熱い。何もかもが熱くてしょうがない。
「あああああああっ!!!せんぱいっ!!わらひ…も…おかひくなっひゃうよおおおおおおおっ!!!!」
「くぁ…木乃さん……私も…もうっ!!!」
限界が近付く二人。しかし、加速していく熱の渦は、二人に止まる事を許しはしない。次々に弾ける熱と快感が、二人をさらなる高みへと追い立てていく。
体の内側も、外側も、ただただ熱くて、おかしくなりそうで、だけど恐怖さえ感じるほどの激しい快感にさらされてなお、行為をやめる事ができないのだ。
それでも、もっと熱く。愛しい人と共に、もっと熱く、もっと激しく………。その思いが何もかもを凌駕していく。
そして、高まり続ける熱の中、何かが自分の中で切れたような感覚と共に、それは津波のように木乃に襲い掛かった。
「あああっ!!!木乃さんっ!!!木乃さんっ!!!!」
「せんぱいっ!!せんぱいぃ!!!わらひ…わらひぃ……ああっ!!ひあああああああああああああっ!!!!」
全身を貫いた絶頂の雷。それが過ぎ去った後、燃え尽きた木乃の体はその場に崩れ落ちたのだった。
363SBI:2006/11/24(金) 11:39:16 ID:tqmVtsbV
さて、それから30分ほど後。事後の余韻に浸りながら静の肩にもたれかかる木乃は、サモエド仮面Xの事も忘れてすっかり上機嫌である。
「すごくよかったです、先輩」
「ああ、私もだよ」
「それに、やっぱり初めてを先輩と一緒にする事ができたのが、一番嬉しいです」
なんて言いながら、すっかりいい雰囲気の木乃と静。このまま何時間でもこの状態でベタベタしてそうな勢いである。
しかし、幸せな時は長くは続かなかった。
「あれっ?木乃さん、何か変な音がしなかったかい……」
「本当だ。これは、体育館の方から………って、まさか!?」
どーんっ!!どーんっ!!という音ともに校舎に低く響き渡る振動。そして、木乃の頭をよぎった予感の通り、それは訪れた。
『ギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャッ!!!!!』
『うわあああっ!!!バケモノだぁ!!!!』
校舎に響き渡る耳障りな鳴き声と、誰かの悲鳴。木乃はうんざりとした表情を浮かべてから、それでも気を取り直して立ち上がる。
「あの、先輩……私、急な用事を思い出して……」
「あ、ああ、構わないが……しかし」
「すぐに終わらせて戻ってきますからっ!!だから、待っててくださいね!!!約束ですよっ!!!」
一気にまくしたてて、廊下へと飛び出したキノ。取り残された静はしばし呆然と座り込んでいたが、おもむろに立ち上がると教卓に歩み寄り……
「せいやっ!!!」
気合のチョップで教卓を叩き壊したかと思うと、舞い散る破片の中からソレをつかみ取った。
「よしっ!!待っていてくれよ、謎のキノっ!!!!」
薄闇の教室の中で、赤いリンゴがギラリと輝いた。
364SBI:2006/11/24(金) 11:41:34 ID:tqmVtsbV
これでお終いです。
なんだか妙にあわただしい話になりました。まあ、原作がかなり凄まじいので、仕方のないことかもしれません。
それでは、失礼いたしました。
365名無しさん@ピンキー:2006/11/24(金) 20:12:03 ID:fffVeONi
GJ!
サモエド仮面・・・・X!?
366名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 08:35:37 ID:4dwtz1Y7
GJ!!!
367名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 12:06:30 ID:Bt/IuLWy
GJ!!
最高でした!
368名無しさん@ピンキー:2006/11/26(日) 22:05:05 ID:CJPvwsaG
369名無しさん@ピンキー:2006/11/26(日) 22:13:05 ID:95duoiP1
>>368
何のやつか知らんがとりあえず一言
この外道め!
370名無しさん@ピンキー:2006/11/28(火) 21:13:13 ID:Tt7Heuax
>>368
エロパロに貼る必要なくね?
371名無しさん@ピンキー:2006/11/30(木) 03:31:33 ID:FxQjOXVb
SBIさんGJ
サモエドじゃなく静さんとラブラブになれて良かった
372名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 00:36:30 ID:bJ6zlJNI
ほす
373名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 15:40:40 ID:Kz6meVSy
ほしゆ
374名無しさん@ピンキー:2006/12/06(水) 15:56:43 ID:vFoIDiid
保守☆
375名無しさん@ピンキー:2006/12/06(水) 19:25:13 ID:vu7nrmiO
人がいねぇなぁ・・・・
GJ!
376名無しさん@ピンキー:2006/12/09(土) 06:08:53 ID:lJnK9tEP
保守
377178:2006/12/12(火) 03:35:54 ID:4r9R2YZX
もうすぐ保管すっから落ちんな保守
378名無しさん@ピンキー:2006/12/13(水) 00:12:53 ID:NKrsj2Dj
落ちないように保守
379名無しさん@ピンキー:2006/12/13(水) 01:09:10 ID:mWtKzHqn
>>368
それはセブンってとこにつっこめばいいのか?
380名無しさん@ピンキー:2006/12/13(水) 01:36:33 ID:kr0rr38A
保守
381名無しさん@ピンキー:2006/12/15(金) 06:56:47 ID:06O9k6VT
ほす
382名無しさん@ピンキー:2006/12/15(金) 07:41:15 ID:THXUiaxx
マンガが予定外にかあいかったので保守!
383名無しさん@ピンキー:2006/12/19(火) 06:02:47 ID:LKGnB0nf
ほしゆ
384名無しさん@ピンキー:2006/12/22(金) 11:29:24 ID:qniZZ5K8
落ちそう
385名無しさん@ピンキー:2006/12/22(金) 18:46:44 ID:FQZbtsBP
初投下。キノです。エロはそんなにないです。
386哀れな女のいる国:2006/12/22(金) 18:52:09 ID:FQZbtsBP
「いやぁ、旅人さんがいらっしゃるのなんて何年ぶりでしょう。
 改めて歓迎いたします」
 この国の観光案内人だと名乗った男は、そういってにっこり微笑んだ。頭から
すっぽりと黒い布を被った旅人は、モトラド(二輪車・空を飛ばないものを指す)を
押しながら、軽く頭を下げた。
「ご丁寧に、どうも―――あの、一つ質問してもいいですか?」
「はい、何でしょう」
「この、黒い布は一体何なんでしょうか?」
 旅人の質問に、男はあぁ、と答えた。それからにっこりと微笑む。
「その布は、処女の証なのです」
 処女、と旅人が困惑気味に呟いた。不意に、旅人に押されていたモトラドが
声を上げる。
「キノはまだバージンだからねー。つるっつるのぺたっぺただよ」
 エルメス、とキノと呼ばれた旅人が低くたしなめる。モトラドの言う妙な擬音に、
男は朗らかに笑った。
「この国では、処女は黄金に値します。特に、未婚で成熟した処女は特に。
 この黒い布は処女の、そしてあの赤い布はそうでない女の証です」
 そういうと、男は通りを歩いている一人の女を指差した。赤い布をまとった女は、
20才くらいの美人だった。
「あのように年若い既婚者、つまり非処女はゴミも同然です」
 男は赤い布の美人に向けて聞こえよがしに言った。女は顔を赤らめ、俯いている。
すると、今度は通り反対側からキノと同じように黒い布をまとった女がやってきた。
今度は30代半ばくらいの、お世辞にも美しいとは言いがたい女だった。
しかし、男はうっとりとした視線を彼女に注いでいる。
「旅人さんは運がいいなぁ。あんな美人、めったに見れないんですよ」
 男が囁いた。キノは困惑しているのかしきりに瞬きをしていた。
387哀れな女のいる国:2006/12/22(金) 18:54:14 ID:FQZbtsBP
「……この国の美人の条件はどうやら他の国と大きく違っているみたいだけど、
 何か理由があるの?」
 未練がましく黒い布の女を眺めている男に、エルメスが質問した。
男ははっとわれに返ったように笑い、それから頷く。
「ええ。我が国の男女比は1対2、男性は女の半分しかいません。ですから、
男性には価値があります。しかし、女の中で価値があるのは処女か、子供を産んだ
母親のみです。ですから、女は男性に求婚されたら拒めませんし、子供を産み育てる
ことが義務とされています」
「女性の気持ちは考えないのですか?」
 キノが不愉快そうに眉を寄せながら訊ねた。男は至極当然だというように頷く。
「もちろん。というより、女にはそんなもの不必要です。なので、我が国では
重婚も許されています。というよりも、多数の女を囲う事が男性の甲斐性なのです。
ですが、女の不義密通は許されていません」
 なんでまた、とキノがため息をつくような声音で言った。しかし、男は飄々とした
顔で続ける。
「他の男性に抱かれた女は、汚れているわけです。あなただって好き好んで
便器にキスしないでしょう?」
「………」
「きびしー」
 エルメスが愉快そうに言った。男が苦笑する。
「……お恥ずかしい話ですが、それでも20年ほど前までは我が国では
性犯罪が多発しておりました」
「性犯罪」
 キノが鸚鵡返しにした。男はふぅ、と息を吐くとかけていた眼鏡のつるを指で
押さえた。
「先程の不義密通です。他の男性の妻に手を出したことが発覚した場合、
男性は罰金を払わないといけないのです」
「女性は?」
 エルメスの問いに、男はちょっと考え込んだ。それからにっこりと笑う。
「もちろん、処刑されます」
 一人と一台は絶句した。しかし、男は気にせずに歌うような調子で言った。
「ですが、近年はそれを防止する策を政府が作り上げました。
そこへ案内したいのですが、構いませんか?」

388哀れな女のいる国:2006/12/22(金) 18:55:48 ID:FQZbtsBP
 キノとエルメスが連れてこられたのは、コンクリートで出来た巨大な建物だった。入り口に立っていた係員に、男は身分証明書と結構な厚さの紙幣を渡す。
「ここは……?」
 開かれた門を潜り抜けながら、キノは男に尋ねた。男はなれた足取りで
建物の中に進みながら答える。
「政府の策であるところの“娼館”です」
 うぃぃぃん、という機械音がして、大きな扉が開いた。建物内はシンプルな
つくりで、部屋が沢山あった。広間には何十人もの女が裸同然の格好でたまっている。
むせ返るような甘ったるい匂いに、キノは軽く咳払いをした。
「いらっしゃいませ」
 可愛らしい声と共にやってきたのは、年若い娘だった。体の線が透けて見える
薄い下着を身につけ、にっこりしている。
「こちらは……?」
 明らかに困惑しているキノを安心させるように、男はにっこりと笑った。
「この子は、政府の開発したセクサロイド……つまり、セックスのためだけに
作られたアンドロイドです」
 男の回答に、キノは押し黙った。しかし、男は気にせずアンドロイドの娘に
何かを耳打ちした。彼女が走り去る。
「こちらへ。部屋を用意してもらいました」
389哀れな女のいる国:2006/12/22(金) 18:58:47 ID:FQZbtsBP
奥まった部屋に入れられ、キノは無感動に周りを眺めた。中央に置かれた
大きな寝台の前には、金の髪をたらした美しい少女が立っていた。
「いらっしゃいませ。お久しぶりです」
「あぁ、“コゼット”。元気だったかい?」
 男は少女を抱き寄せるとキスをした。目を見張っているキノに、男は照れくさそうに笑う。
「すみません……この子は“コゼット”といいます。この店での一番人気なんです。
私の気に入りです」
「そうですか……ここは誰でも入れるのですか?」
「ええ。身分証の提示と、あと安くない金を払えば。人形は一回一回使い捨てですし」
 男とキノが話している間に、“コゼット”はキノに近寄ってきて
腰に吊られていたパースエイダー(銃器。この場合は拳銃)を抜き取った。
光にかざすように持ち上げ、しげしげと眺めている。
「あの……彼女は」
「ああ。コレの頭の中身は幼児と同じです。きっともの珍しいのでしょう。
すみませんが、好きにさせてやってくれませんか?」
 そういっている間にも、パースエイダーを持った“コゼット”はくるくると
踊るように部屋中を歩き回っている。お気に入りのおもちゃを手に入れてはしゃぐ
子供のような姿を、キノは冷めた目で眺め、反対に男は熱っぽい目で見つめていた。
ひらひらと揺れる薄物から見える裸体に催したのだろうか、男はいきなり“コゼット”を
羽交い絞めにした。
「すみません……すぐ、すみますから目を閉じていてもらえませんか?」
 がちゃがちゃとせわしなくベルトを外しながら、男がキノに哀願した。“コゼット”は
目を見開いたままキノのほうをむいている。キノは指示されたとおりに目を閉じた。
 
 パン。パン、パン。

 乾いた音が3つ。そしてどすん、という重たい落下音がした。キノが目を開くと、
そこには倒れたまま動かない男と、血まみれの“コゼット”が立っていた。
「………“コゼット”さん」
「はい」
「……あなた、お人形なんかじゃないんですね?」
「はい」
 金の髪をどす黒く染めながら、“コゼット”は美しく微笑んだ。
390哀れな女のいる国:2006/12/22(金) 19:01:37 ID:FQZbtsBP

「わたしは、生まれたときからこの“娼館”のなかにいるんです」
 大きな寝台に腰掛けながら、“コゼット”が言った。隣に腰掛けたキノは黙っている。
「わたしの母親も、同じようにここの娼婦でした。今も、きっとこの建物のどこかに
居るはずです」 
 金色の長い髪を弄びながら、“コゼット”は言った。床に転がって言る男の死体は、
死後硬直を始めたらしい。妙にねじれた形で転がっている。
「……あなたたちは、一体何者なんですか?」
 キノの問いに、“コゼット”は小さく微笑んだ。髪を耳にかけながら首をかしぐ。
「――――わたしたちは、人間です。しかし、わたしたちはこの国ではいないものと
なっているのです」
「それは……?」
「………わたしたちは、性犯罪の被害者なんです」
 “コゼット”が言い放った。キノの目がわずかに細まった。
「性犯罪の被害にあった女が処刑されるのはご存知でしょう。わたしたちがその女
たちです。体を汚された女は、実は処刑などされません。そうではなく、この建物に
連れてこられます。そして、然るべき教育を受けた後に、アンドロイドの触れ込みで
働かせられます。終わる事のない仕事です。そして、永遠に尽かない呪縛です」
 そういうと、“コゼット”が立ち上がった。男の死体をしげしげとながめ、
それからその頭を華奢なつま先で蹴飛ばした。
「一度この建物に入った女は、二度とここから出られません。そして、その女が
やがて孕み、子供が生まれればその子供もおなじように働かせられます。
わたしも、そうでした」
 げし、げし。“コゼット”は言いながら男の死体を蹴飛ばした。
首が変な形に曲がる死体の顔を、今度は踏みつける。
「………この男は、私の母を犯しました……母は、裕福な家の娘でした。
それは優しい、立派な男性と婚約をしていました。しかし、この男のせいで
こんな所に……!」
 男の死体の鼻が陥没した。血が吹き出る。“コゼット”は興奮しているのか、
よりいっそう男を痛めつける。
「こいつのせいでわたしも、一生こんな身です。人間として扱われず、人並みの
幸福も許されず、玩具にされるだけの暮らしです」
 そういうと、“コゼット”はキノを振り返った。その目には、言いようのない
悲しみとやりきれなさがにじんでいた。
391哀れな女のいる国:2006/12/22(金) 19:04:20 ID:FQZbtsBP
「………だから、殺した」
 キノが静かに口を開いた。“コゼット”は笑い、小さく首を振る。
「いいえ。外に居ようと中にいようと、この国の女には幸せな未来など訪れません。
男でなければ、何をしても……」
「じゃあ、どうして?」
 キノの問いに、“コゼット”は答えず、ただ手招きをした。キノを導き、
隣の部屋に続く小窓をあけた。
「あぁ!やだよぅ……やだよぅ!ママ!ママぁっ!」
 寝台の上では、フリルのたっぷりついた美しいドレスを着た幼い少年が、
二人の男に犯されていた。かわいそうな少年は、白濁にまみれながらのたうっている。
「あれは……」
「息子です。五年前にわたしが産みました……わたしの、希望でした」
 “コゼット”が静かに答えた。キノがかすかに目を見張る。そうしている間にも、
また新しい男が寝台に乗りあがった。少年の目から光が消え、狂ったような笑い声がもれる。
「あひゃ!あきゃきゃきゃきゃああ!!あひゃひゃひゃひゃっ!きゃあああああっ!」
「すみません」
 耐えられなくなったのか、“コゼット”は小窓を閉め、カーテンを引いた。
大きな目は、涙に濡れている。
「………あの子の父親は、この男です……そして、あろう事かこの男は息子を
抱きました。親子三代にわたって辱められて……ねぇ、もう充分ですよね?
同じ男なのに、あの子は永遠に苦しみ、こいつは好き勝手に暮らして……
……ねぇ、死んだって構いませんよね?こんな男……」
 “コゼット”が、寝台に顔をうずめてすすり泣いた。震える肩を、キノは
ただぼんやりと眺めていた。
「この男がわたしの母を犯しさえしなければ、息子だってきっと――……!」
「……ボクには、あなたが悪いとは思えません。でも、同時に彼が悪いとも言えません」
 キノの言葉に、“コゼット”は絶望したような顔をした。しかし、ゆっくりと
微笑む。諦める事になれきった人間だけができる、力のない笑顔だった。
「知ってます―――ただ、覚えていて欲しいのです。この国には、死ぬよりも
悲しいことがあることを、そして暗闇の中を走らねばならない人間がいる事を」
 そういうと、“コゼット”はパースエイダーを差し出した。大きな青い瞳は、
ひどく穏やかな様子だった。
「お手数ですが、係りの者に伝えてください。“コゼット”が狂った、と」
「わかりました―――お元気で」
 “コゼット”が頷いた。そして、床にぺたりと座り込むと、血まみれの男の頭を
かき抱いた。そして、ぽろぽろと涙を流した。

392哀れな女のいる国:2006/12/22(金) 19:06:30 ID:FQZbtsBP

「すごい国だったねー」
 ぽつんと、誰に言うわけでもなくエルメスが呟いた。
「あぁ……なんというか……少し、やりきれないね」
 キノも静かな声で背く。すると、道の向こう側から同じようにモトラドに乗った
男がやってきた。キノは思わずエルメスを止める。
「旅人さん、あんたはあの国から来たのか?」
 男は開口一番、そう尋ねてきた。キノが軽く背いてみせる。小太りの男は
流れる汗を拭いながら、だらしなく笑った。
「あの国では、男が女よりえらいと聞いた。そして、処女と結婚できると。本当か?」
「ええ、まぁ端的に言えば」
 キノの答えに、男は頬を紅潮させた。はるか先に見える城壁をうっとりと眺める
男に、エルメスが問い返す。
「あのさー、どうしてあんたはあの国に行こうと思ったの?」
 その質問に、男が表情を引き締めた。それから唇を尖らし、指先をモトラドに
こすりつけながら答える。
「俺の国は、自由恋愛の国だった。みんな惚れた腫れたと騒ぎ立てて暮らしている。
でも、俺は誰からも愛されなかった……女たちは見た目しか取りえのない軽薄な男に
群がり、さっさと純潔を捨てる。純潔を捨てた女は冷たい!俺に目もくれないし、
それどころか俺をのけ者にし、ひどい言葉で傷つける!だから、俺は処女の国に
行こうと思った。あの国では誰も俺を笑わない。処女なら、俺が女を一度も抱いた
事がないことを笑ったりしない!」
 一気にそこまでまくし立てると、男はぜいぜいと荒く息をついた。キノの目が
細められる。
「………あなたなら、きっとあの国でも上手くやっていけますよ」
 キノが呟くように言った。男が尊大な態度で頷く。さも、自分が愛されるのが
当たり前であるかのように。
「でも、女性にだって意思はあるんだよ」
 エルメスの言葉に、男ははっと鼻で笑った。それから、勝ち誇ったような目で
キノとエルメスを見据える。
「ヤツらは子宮で物を考える。動物と同じだよ」
 男は言うだけ言ってすっきりしたのか、挨拶もそこそこに再びモトラドを
発車させた。キノはぼんやりとその背中を見送った後、晴れ渡った空を見上げた。
393名無しさん@ピンキー:2006/12/22(金) 19:09:11 ID:FQZbtsBP
以上です。書いたはいいけれどどこに発表すればいいか解らなかったので、
もしかして、を期待してここに落としました。
スレ違いすいませんでした。
394名無しさん@ピンキー:2006/12/22(金) 19:38:59 ID:xccN5cQe
上手いんだが読後感が酷く不快。
それはそういう展開だからしょーがないんだが、もー一捻り欲しかったかもしらん。
395名無しさん@ピンキー:2006/12/22(金) 20:06:06 ID:HMcuY7iP
たしかに、読んだ後のテンションは下がるな




……いや、いい意味でですよ?
396名無しさん@ピンキー:2006/12/23(土) 01:01:44 ID:iltnHqkl
でも本編ぽい展開、ラストだと思ふ。
うまく言えないけど
携帯じゃなく紙面で読みたい感じがする。
397名無しさん@ピンキー:2006/12/23(土) 01:34:14 ID:zIWWFKQC
すごく上手いと思う。
読後感が本編読んだ後とほぼいっしょ
398名無しさん@ピンキー:2006/12/23(土) 02:01:59 ID:WxAIQI0D
GJ!
発表できそうなのはここぐらいしか知らないな
ttp://mai-net.ath.cx/
399名無しさん@ピンキー:2006/12/23(土) 20:13:03 ID:+6NKYc2z
うん、良い。本編に近い。
読後感が爽やか=良い作品 とは限らないし、バッドエンドだって立派なエンドだよ。
‥‥上からモノ言ってすいませんorz
400名無しさん@ピンキー:2006/12/23(土) 20:26:12 ID:dvwxLfeL
GJ!
こういうエロじゃないSSもドンドン投下してほしいな
401名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 08:45:00 ID:7KDocVrV
これはGJ!
402名無しさん@ピンキー:2006/12/25(月) 07:41:08 ID:8knA1kEv
ここにはキノのパロを投下するとこであって、小説「キノの旅」をパロった
SSはまずいのかね?
403名無しさん@ピンキー:2006/12/25(月) 11:15:42 ID:EqkIUJD9
それは、上の話みたいに「キノの旅」の二次って意味?
それとも設定が「キノの旅」で出てくるのがオリキャラってこと?
あるいは「学園キノ」みたいなノリ?

エルメスに乗ってるのがvipperで〜、なんてパロは
おもろいかもしれないけど、見ず知らずのおにゃのことか
おとこのこが旅しているのは興味ない。
404名無しさん@ピンキー:2006/12/27(水) 19:10:58 ID:8TP9aYtQ
>エルメスに乗ってるのがvipperで〜、なんてパロは
>おもろいかもしれないけど、
405名無しさん@ピンキー:2007/01/01(月) 18:00:02 ID:cmDdLPmL
保守
SBI氏GJ!!
406名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 04:16:50 ID:foShs+15
HOSHU
407名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 06:53:49 ID:AJHocKLr
ほしゆ
408名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 00:34:58 ID:p9deoHy6
ほす
409SBI:2007/01/15(月) 11:01:44 ID:pjcWWoQU
どうも、随分とご無沙汰してしまいました。
何だかんだでなかなか書けずにいたんですが、ようやく一本書けたので投下します。
ヴィル×アリソンです。
それでは、いってみます。
410SBI:2007/01/15(月) 11:02:32 ID:pjcWWoQU
目を覚ましたばかりのヴィルには、最初それが何だかわからなかった。
つい先程まで机に突っ伏して眠りこけていた頭はぼんやりとして重たく、ヴィルは自分の顔を覗き込んでくる正体不明のそれをしばらくの間ぼうっと眺めた。
肌色のすべすべでぷにぷにの塊の上に、金色のさらさらがかぶさっている。二つ並んだ青くキラキラと輝くものは、もしかして瞳なのだろうか?
やがて、薄くぼやけていたヴィルの視界がゆっくりと像を結び始めた。
「ヴィル、そんなところで寝てたら風邪ひくわよ。ヴィル!!」
聞き慣れた声が、目の前の物体と重なって、お馴染みの顔をヴィルの脳が認識する。心配そうにヴィルの顔を覗き込むアリソンの顔が、ヴィルの顔の真ん前にあった。
しかし、ヴィルはそれが彼の幼馴染みで恋人のアリソン・ウィッティングトンである事を受け入れる事が出来なかった。なぜなら………
「…………うあ、えっ!?…ア、アリソン!?」
「どしたの?お化けでも見たような顔して……」
「……そんな、なんで……どうして!?」
怪訝そうな顔をするアリソンの前で、ヴィルは両目をゴシゴシと何度もこする。真ん丸に見開いた瞳でアリソンを見つめるヴィルの顔が、急速に赤く染まっていった。
やがて、耐えかねたように瞳を俯けたヴィルは、いかにも恥ずかしそうな、か細い声でアリソンに尋ねた。
「………………なんで、裸なの?」

「いや〜、やっぱりヴィルも男の子よねぇ。エッチな夢の一つぐらい見ても、仕方が無いわよねぇ」
「ご、ごめん、アリソン………」
あの衝撃の一言から丸一日ほどが経過しただろうか。ヴィルとアリソンは、二人の寝室のベッドに腰掛けていた。
丸一日が過ぎても、ヴィルは俯いたまんまである。
すっかりしょぼくれてしまったヴィルの声に比べて、アリソンの声は言外の嬉しさを隠し切れないかのように、ウキウキとした調子だ。
「いやいや、男の子ならそれぐらい当然よぉ。むしろ今までのヴィルが淡白すぎたのよね。心配しなくったって私は気にしてないわよ」
「…………ごめん、変な事言ってホントにごめん」
「いやいや、ほんとに良いってばぁ〜」
しかし実は、ヴィルが未だに顔を赤くして俯いているのは、昨夜の自分の発言の恥ずかしさが抜けないためではなかった。
ヴィルに降りかかった災難は、未だ彼の前から姿を消す事無く、どーんと鎮座しているのだ。
「いやでも、さすがの私もヴィルにあんな事言われちゃうと動揺しちゃうって言うかぁ……」
恐る恐るヴィルが顔を上げる。やっぱり何も変わっていない。
目の前で楽しく身悶える少女の姿は、昨日と何も変わっていない。ヴィルの目にはアリソンの姿は、何一つ身に付けていない素っ裸に見える。
そう、素っ裸なのだ。
アリソンだけではない。今日一日外を出歩いて、見た人も話した人も、男も女も老人も子供も、みんな生まれたままの姿で当然のように過ごしていた。
どの人も、自分が服を着た当たり前の姿であると考えているようだった。吹き付ける北風の中でも、寒そうにしている人は一人もいなかった。
手を伸ばせば温かな肌に触れる事さえ出来た。
裸の女の人と真正面からぶつかったが、他人の肌の感触に顔から火を噴きそうなほど取り乱したヴィルの前で、女性はごめんなさいねと笑って許してくれた。
服を着ているのはヴィルだけ。恥ずかしがっているのもヴィルだけだった。
ヴィルはもう、ほとほと疲れてしまっていた。
「ところで大丈夫、ヴィル?なんだか元気がないみたいだけど」
アリソンも心配してヴィルに問い掛けた。
「ううん、ああ。やっぱり昨日までの疲れが抜けなくって……」
「そう、やっぱり勉強は大変よね……」
覇気の無い笑顔で答えたヴィルの言葉は、半分まで真実だった。ここ数日、ヴィルがかなり根を詰めて勉強していたのは確かな事実だった。
眠い目を擦りながら勉強を続けて、ついには勉強机に向かったままヴィルが眠りこけてしまったのが昨日の夕方の事である。
そして仕事を終えて帰ってきたアリソンにヴィルが揺り起こされた頃には、世界はすっかりその様相を変えてしまっていた。
(………なんで、どうしてこんな事になってしまったんだ?)
ヴィルは考え込む。
他の人たちが当然の様に過ごしているからには、これは幻覚の類なのだろう。手で触れる感触まで変わっているのが多少特殊ではあるけれど、それ以外の原因も思いつかない。
問題は、どうしてそんな幻覚の中にヴィルが迷い込んでしまったかという事だ。
411SBI:2007/01/15(月) 11:04:26 ID:pjcWWoQU
ヴィルはつい先程まで、それが勉強疲れによるものだとばかり思い込んでいた。だが、つい先程から別の考えがヴィルの中に生まれ始めていた。
恥ずかしげもなく美しい裸体をさらすアリソン。それを見る度にヴィルの下半身に否応も無く渦巻いていく膨大な熱量…………。
(…………これは、これはもしかして俗に言う……『欲求不満』ってやつなんじゃ……)
平穏無事に過ごしてきたつもりの自分の内側に、実はとんでもない量の欲望がたぎっていて、それが連日の疲れをトリガーにして噴き出したのだとしたら………。
元来、そちらの方面にはてんで疎いヴィルにとって、それはあまりに恥ずかしすぎる仮説だった。
そして、その証拠はヴィルのズボンの中で固く大きく、その存在を主張しているのだった。
「……寝る前にトイレに行かなきゃ」
気まずさに耐えかねて、ヴィルが立ち上がった。下腹部に生じた変化を悟られまいと、前屈みで歩いて寝室を出た。
個室に逃げ込んだヴィルは、形容し難いもどかしさをぶつけるかのように、トイレの壁に何度も何度も頭突きを繰り返す。
穴があったら入りたい。この世界から消えてしまいたい。そんな想いがグルグルと、ヴィルの頭の中で回転し続ける。
たっぷり20分は悶々とし続けて、ようやくヴィルはトイレの中から這い出した。こうなっては、眠ってやり過ごす以外の方法を思い付かなかった。
ひょっとすると、一眠りして目を開けた時には、世界はまた元通りの姿を取り戻しているかもしれない。
一縷の望みを支えにして、フラフラの足で寝室まで辿り着いたヴィル。しかし、ドアを開けた向こうには予想だにしない光景があった。
「………あ、アリソン……」
そこにいたのはいつも通りの空軍のジャケットを着込んだアリソンだった。ヴィルの胸の中に一気に安堵感が広がる。
眠るまでも無かった。悪夢はヴィルの前から姿を消したのである。
ベッドに腰掛けて、なんだか妙に顔を赤くしたアリソンに微笑まれて、ヴィルは思わず満面の笑顔で答えた。
「…ヴィル……」
(良かった、本当に良かった………)
が、それも一瞬の事だった。
「……いきなり裸で、やっぱり驚いた?」
ヴィルの表情が笑顔のままで固まった。アリソンの言葉が理解できず、しばらくフリーズしたヴィルの脳は、一瞬遅れでその解答を導き出す。
全ての認識が逆さまになっているなら、目の前の服を着たアリソンはもしかして……。
「………なんか反応薄いわね。それとも、ビックリしすぎて声も出ない?」
呆然とするヴィルの前で、アリソンが立ち上がる。
「裸を見せるのは初めてってわけでもないのに、結構恥ずかしいわね……」
言ってから、傍らにあった毛布をマントのように羽織ったアリソン。恐らくは裸を隠しているつもりなのだろう。
部屋の入り口で棒立ちになっているヴィルの所までやって来たアリソンは、恥ずかしそうに上目遣いにヴィルを見つめてから、ヴィルの体にぎゅっと抱きついた。
「……いや…その…あのね……やっぱりちょっと嬉しかったの。ちゃんと女の子として見てくれてるんだなって……。ほら、ヴィルっていつも鈍いから……」
「…え、えっと……アリ…ソン……違うんだ……違うんだよ…アリソン……」
「そんな恥ずかしがらなくたって、ヴィルの体だって正直に答えてくれてるじゃない……」
アリソンの体に固くなった自分のモノが触れていることに気付いて、ヴィルの顔がユデダコのように真っ赤に染まる。
おろおろするばかりのヴィルはアリソンに手を引かれて、アリソンの促すままにベッドに腰掛ける。
ファスナーが下ろされ、下着をずらされて姿を現した自分のモノに、アリソンの細い指先が絡みつくのをヴィルは何も出来ずに見下ろしていた。
「………すごい…いつもより熱くて…すっごく固くなってる……」
尋常ならざる熱量を内に秘め、そびえ立つヴィルのモノに、アリソンもしばらく呆然となる。
いつもより一回り大きくなったように見えるソレにどう立ち向かってよいのかがわからず、アリソンはぎこちない手つきでヴィルのモノを摩擦した。
「……ヴィルのが熱くて……熱すぎて……私の指まで熱くなってく………」
ヴィルの熱量に当てられたかのように、アリソンの手が、体がその熱を高めていく。文字通り熱に浮かされた表情のアリソンは、忘我の状態でヴィルの先端を口に含んだ。
412SBI:2007/01/15(月) 11:05:09 ID:pjcWWoQU
「……あっ……アリソン…おねが…やめ……うぁ…ああっ!!」
「……んっ……んぅ……くちゅくちゅ……んっ……ヴィルぅ……ヴィルぅうっ!!」
無我夢中のアリソンのストロークは、ヴィルに凄まじい快感を与えた。だが、ヴィルがここまで無抵抗になってしまうのには別の理由があった。
アリソンの姿である。
着衣、それもよりによって軍服でこんな事をしてしまっている。その事がヴィルをたまらなく興奮させてしまっていた。
ヴィルにとってはアリソンとの日常の風景の一つであり、またアリソンの自由奔放さや勇気、元気さに対するヴィルの憧れの象徴である空軍の軍服。
それを汚しているような感覚がヴィルの欲情を掻き立てるのだ。
(ああっ……アリソンが…あんなに必死に僕のを……)
背筋がゾクゾクする。際限なくスピードを上げて鼓動が高鳴る。目の前のアリソンのエッチな姿に頭の中が埋め尽くされていく。
ヴィルのモノにすっかり夢中になったアリソンの表情はたまらなくエッチだった。
くちゅくちゅという淫らな水音を立て、本当に美味しそうにヴィルのモノに奉仕するその顔を、ヴィルは熱に浮かされたような瞳で見つめる。
先端から幹の部分を下り、袋の部分までをアリソンの舌が舐め回し、ねっとりと唾液を塗りつけていく。
その一つ一つの過程を、アリソンは丁寧に、精一杯の愛情をもって繰り返す。
「……はぁはぁ……んぅ…んんっ……あっ…ヴィルっ……ヴィルぅううっ!!」
奉仕の合間、股間に直接当たるアリソンの熱い息と、自分の名前を呼ぶ声。膨れ上がる興奮と愛しさの中でヴィルは最初の戸惑いさえ忘れていった。
限界一杯の自分のモノに、体の内側から凄まじい圧力が、熱の流れが押し寄せてくるのを感じた。
そしてそれは、アリソンの舌がヴィルのモノの先端を刺激した瞬間、堰を切って溢れ出した。
「……ああっ……アリソンっ!!アリソンっ!!!…僕は…もうっ!!!!」
「……んくぅっ!!?…ぷあっ!!?…あはぁあああっ!!!!!」
勢い良く飛び出した白濁はアリソンの口の中に収まり切らず、アリソンの顔目掛けて吐き出された。
ビクビクッ!!ドクドクッ!!脈動の度にヴィルのモノから溢れ出る白濁液は、アリソンの顔を汚すだけでは飽き足らず、茶色の軍服をまだらに汚した。
どうやら相当に溜め込んでいた上に、今日一日裸の人たちの中で過ごすという異常な経験をしたためか、ヴィルの精液はとどまる事を知らないかのようだった。
「…ふあっ……ああっ…ヴィルのせーえきで…おぼれちゃうよぉ……」
全ての白濁をその身で受けて、白濁に汚され切ったアリソンは、その熱量だけですっかり腰砕けになってしまっていた。
そして、そんなアリソンを見つめるヴィルも……
「アリソン……アリソン…すごく…えっちだ………」
軍服を白濁で彩られたアリソンに、完全に骨抜きになっていた。
「…すきだよ……アリソン…だいすきだ……」
「…や……ヴィルまで…よごれちゃうよ……」
自分の精液で汚れたアリソンを構わずに抱き締めて、その唇にキスをする。アリソンの口の中の苦味に混じって、伝わってくる可愛い舌の熱さを存分に味わった。
ヴィルの熱に当てられ、奉仕とキスだけですっかり力が抜けてしまったアリソンの体をヴィルは抱き上げ、ベッドの上に仰向けに寝かせた。
切なげに震える体に指を這わせ、ヴィルはアリソンのズボンの奥で熱く湿っている部分に、布地越しに触れた。
直接触れているのかと錯覚しそうなほど熱いそこを何度か撫でてから、ヴィルは股間を覆う布地の端をつまんで、そっと引っ張った。
何の抵抗も無く大事な部分の布が破ける。興奮で頭が一杯のヴィルはその事に大した疑問も抱かず、いまだ硬さを失わない自分のモノをアリソンのアソコに押し当てた。
「……あたってるだけなのに…ヴィルのがあつくて…私のアソコ…へんになっちゃうぅ……」
「……僕もだ、アリソン……」
「…おねがいヴィルぅ…はやく…はやくきてぇ……」
ヴィルの熱と質量を待ちわびて潤んだ入り口。ヴィルはアリソンに促されるまま、そこにあてがった自分のモノの先端を熱い肉の隙間に埋めていく。
413SBI:2007/01/15(月) 11:05:52 ID:pjcWWoQU
挿入の感覚に震えるアリソンの体を、ヴィルはぎゅっと抱き締めた。ごわごわした布地越しにじんわりと伝わる体温が、愛しさを加速させていくようだった。
奥の奥まで到達したヴィルのモノを体の内に感じながら、涙目のアリソンがヴィルに微笑みかける。
「……すごくかわいいよ…アリソン……」
ヴィルの言葉に、今度はアリソンの方からキスをねだる。優しい口づけを交わした二人は、ゆっくりと体を動かし始めた。
いつになく、熱く硬く張り詰めたヴィルのモノ。それが前後に動くたび、アリソンの体がビクンと反応する。
圧倒的な存在感が体を内側からくちゃくちゃにして、渦巻く熱量でお腹の中がどろどろのシチューにされてしまったような錯覚をアリソンは覚えた。
ヴィルは軍服の上から触れるアリソンの体の感触に我を忘れ、アリソンの性感帯すべてを愛撫せんとばかりに、熱い体の上に縦横無尽に指を走らせた。
「…あっ!?…そんな…おっぱいに…おしりまでぇ……っ!!…らめぇっ!!…私…ほんんとにへんにぃ……っ!!!!」
ジャケット越しに探り当てたアリソンの胸の上の突起を、ヴィルは執拗に甘噛みして刺激しまくった。
敏感なアリソンの体が弓なりに反って反応すると、今度は無防備にさらけ出された首筋に舌を這わせた。
弾力のあるお尻をズボンの布地ごともみくちゃにして、お尻の割れ目に食い込んだ布地越しに、アリソンの後の門を指先でつついた。
全身のあらゆる場所から押し寄せる快感の洪水に、アリソンは何度も嬌声を上げた。そして激しいピストン運動が、アリソンに追い討ちをかける。
「…ひふぅんっ!!ひゃぅううっ!!!…ヴィルぅ…きもひいいよぉっ!!!ヴィルぅうううううっ!!!!!」
ぬぷぬぷ、ぐちゅぐちゅ、絶える事無く続く淫らな音にうっとりと聞き惚れながら、ヴィルとアリソンは何度も何度もキスを交わした。
蕩けるような視線を絡み合わせながら、快感と愛しさの狭間で溶け出していきそうな感覚を二人は味わった。
「……アリソンっ!!…アリソンっ!!!」
「…ああっ!!あっ…ふあああんっ!!!ヴィルっ!!すごいよぉおおおっ!!!!」
快感に震えるアリソンの腕が、脚が、ヴィルの背中にぎゅっとしがみつき、抱き締めて、今の自分が感じている切なさと熱を、ヴィルの体にダイレクトに伝える。
必死で呼び合う名前と、荒く切れ切れの呼吸は二人をさらなる興奮の中に追い立て、理性をぐずぐずに侵蝕していく。
「あああっ!!!…あっ!!や…はぁあんっ!!!ふああっ!!…あああああっ!!!」
もう死にそうなほど気持ち良くておかしくなりそうな程なのに、とめどない衝動は行為を加速させ、さらなる快感が二人を呑み込む。
快感が快感を呼ぶ無限の連鎖反応の中で、アリソンとヴィルは無我夢中で腰を振り続けた。
体を何度も電気が駆け抜けて、その度に意識が真っ白に吹き飛んだ。体が気持ち良い事だけで満たされたどろどろの沼に沈められていくようだった。
熱かった。熱くて、気持ち良くて、なによりも狂おしいほどに愛しかった。
そしてついに、限界を越えて張り詰めていた糸がアリソンとヴィルの中でぷつりと切れた。ダムが決壊した。
「ひあああああっ!!!やぁっ!!…ヴィルっ!!ヴィルぅっ!!!!…イクぅううっ!!!…イっちゃうよおおおおおおおおおおおおっ!!!」
「ああああっ!!!アリソンっ!!!射精るぅうううっ!!!!!」
絶頂へと吹き飛ばされたアリソンの体が、凄まじい快感の波にガクガクと痙攣する。その体の上に降りかかるのは、先程よりさらに量を増したヴィルの白濁である。
先程は上半身だけを汚した精液を今度は全身に浴びて、アリソンの体が白濁に沈んでいく。全身を覆い尽す熱さに、アリソンの体は何度も小さな絶頂を覚えた。
「…はぁはぁ…ヴィルので…まっしろにしてもらっちゃった……」
うっとりと、アリソンが呟く。いつもは凛々しく格好いいアリソンの軍服姿が、今は白濁の中でぐちゃぐちゃに汚されてしまっていた。
それを見下ろすヴィルの胸に湧き上がるのは、何度も言えない胸の奥がきゅんとする感覚。
「…アリソン……きれいだよ……」
ぐちゃぐちゃのアリソンを抱き締めて、ヴィルもぐちゃぐちゃに汚れる。疲れ果てた二人は、そのまま幸せな眠りに落ちていった。
414SBI:2007/01/15(月) 11:06:31 ID:pjcWWoQU
それから数時間後、カーテンの隙間から差し込む朝日でヴィルは目覚めた。しばらくぼんやりとしていたヴィルは、隣に眠るアリソンを見て一気に覚醒する。
ベッドから起き上がったヴィルは服装を直してから、カーテンを開けて外を見た。
窓の外、まだ人通りの少ない道を歩いている数人の男女は、みなしっかりと服を着ている。振り返ったベッドの上には裸のアリソンが横たわっている。
「……元通りだ。全部元通りだ……」
昨日、一日中苦しめられた緊張感から解放され、ヴィルはほっと胸を撫で下ろした。
「………良かったぁ…」
足取りも軽くベッドまで戻り、どっかりと腰を下ろす。その時、すっかり油断していたヴィルの手の平が、何か温かくて柔らかいものをむにゅりと押さえつけてしまった。
「……いやぁん…ヴィルったらぁ……」
「…あっ……しまっ…」
アリソンの胸の感触に、咄嗟にヴィルは振り返った。そして、そこに横たわるアリソンの姿を見て、言葉を失う。
「………これ…僕がやったんだよね……」
アリソンの白い肌を、ヴィルの白濁がぐちゃぐちゃに汚している。それを見つめるヴィルの胸に芽生えたのは何とも言えない罪悪感。
「………やっちゃったんだ、僕……」
しかし、恥ずかしさに俯いたヴィルの胸の中にはもう一つの感情が、ヴィル自身さえ気付かぬ内に生まれていた。
昨夜の軍服を白濁で汚されたアリソンとはまた違った、今のアリソンの姿の艶かしさ。それがヴィルの胸をきゅうきゅうと締め付ける。
「………ア、アリソン…ごめん、ごめんよぉ……」
自分の感情を理解できぬまま、眠りこけるアリソンに謝り続けるヴィル。彼がまた悶々とした気持ちに苛まれる日も、そう遠くはないのかもしれない。

「……むにゃむにゃ…んもう、ヴィルったら恥ずかしがらなくてもいいのにぃ……」
ま、その前にアリソンに押し倒されちゃう公算の方がはるかに大きいのだけれど………。
415SBI:2007/01/15(月) 11:07:25 ID:pjcWWoQU
以上でおしまいです。
それでは、失礼いたしました。
416名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 14:22:06 ID:bV7J8+/g
久々に神キター!
417名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 18:49:01 ID:dyy2WoNJ
今回も、やっぱり「らめぇ」は入ってるなw
418名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 22:10:23 ID:bauPpa/O
GJGJGJGJGJ!!
419名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 16:47:26 ID:Ph272T51
GJです!!!
420名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 19:03:19 ID:Kre4HM5i
上手いっす!GJ!!
421名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 02:19:45 ID:EnKB7VrJ
GJついでにあげてみる
422名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 22:31:19 ID:Z7AM+gvK
>哀れな女のいる国

素晴らしい
423名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 17:11:54 ID:q/s8QZTP

424名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 17:15:32 ID:Fw7ceUyD
>哀れな女のいる国

本物が書いたかと思うほどだった…
GJ!
425名無しさん@ピンキー:2007/01/26(金) 19:39:13 ID:cu9PMr9l
保守
426名無しさん@ピンキー:2007/01/27(土) 17:05:32 ID:rJlOUMSf
シズティーキボンヌ
427名無しさん@ピンキー:2007/01/28(日) 09:17:24 ID:Fo86Suuv
知ってるかもしれんがここにキノの旅の同人誌が2つある
つまり、マンガのこと

ttp://adult.csx.jp/~megaland/etc2.html
428名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 17:58:27 ID:gphiTEcy
ホシュ
429名無しさん@ピンキー:2007/02/06(火) 03:13:25 ID:OVCi3+Ai
保守
430名無しさん@ピンキー:2007/02/08(木) 03:40:15 ID:r7Xn9+Wo
キノのゲーム楽しい?
431名無しさん@ピンキー:2007/02/11(日) 22:07:33 ID:2yTIXL+j
保管庫も更新止まったし、神もいないし、このスレも終わりかな…
432名無しさん@ピンキー:2007/02/13(火) 05:39:32 ID:EcWZorwL
あげ
433保管人:2007/02/13(火) 15:47:08 ID:MJWMqAyb
保管はそんなすぐじゃなくてもいいと思って今はしていない。
続け続け 保守
434名無しさん@ピンキー:2007/02/16(金) 18:05:35 ID:cqiu8y2j
保守
435名無しさん@ピンキー:2007/02/18(日) 22:46:00 ID:fhwCUv4B
保守。

明日〜明後日にトレリリ投下するかもしれない。
436名無しさん@ピンキー:2007/02/19(月) 00:09:43 ID:Mi7Et9rO
期待してまってます
437名無しさん@ピンキー:2007/02/21(水) 04:21:18 ID:QMwbsWdM
リリトレ(*´・ω・)マダー?
438名無しさん@ピンキー:2007/02/21(水) 23:54:26 ID:ULLHLJhh
全裸で待ってる
439名無しさん@ピンキー:2007/02/22(木) 17:04:09 ID:wg0N8iBs
ココホレワンワン




違いますよ!?シズ様そこは・・・・・・・・・・ギャアアア!!尻が裂けるぅううううう!!!!
440名無しさん@ピンキー:2007/02/23(金) 15:36:43 ID:B7Q9Uq3I
くちゅくちゅ
「…キノ、何やってるの?」
「オナニー」
「…」「…」
「ええっと、ガンガン指入れてるけど…膜は大丈夫?」
「モトラド乗りは乗降りで足開くから、ひきつれて破れちゃうんだ」
「あ、そう…」
「…」「…」
441名無しさん@ピンキー:2007/02/25(日) 03:45:58 ID:SVtWFd/h
保守ピタル
442名無しさん@ピンキー:2007/02/26(月) 02:13:44 ID:o6s0PTLe
 旅人は速攻で宿に入った
「何それ?」
「さっきのドMの国で買った吸引式充血刺激型胸部発育促進機」
「…もしかしてさ、そのいかがわしい豊胸マシーン試してみたくて急いで宿取ったの?」
「……うん」
「なにやっても無駄だyボゴォ
モトラドのタンクに拳のスタンプマークがついた。
 ベッドに腰掛け、マシーンを箱からとりだす。
逆止弁のついた透明なガラスのカップがふたつ、小さなカップがひとつ、ポンプがひとつ、説明書が一枚入っていた。
「えと、胸を水で軽く湿らせカップを当ててポンプで空気を抜く、か」
「簡単そうだね」
 シャツの首元を弛め、カップを右胸にあてがう。
「…冷たい」
ポンプを繋げて空気を抜く。
スポスポスポ…
「くっ、結構、痛い…」
「止めといたら?」
「いやだ!もう嫌なんだ!ツルペタなんて萌えられるのは!」
もう一つのカップを左胸にあて空気を抜く。
「んっ痛っ…くぅ」
 5分ほど我慢してからカップを外した。
443名無しさん@ピンキー:2007/02/26(月) 02:40:22 ID:o6s0PTLe
「すごいよこれ胸が張ってるんだ、これ続ければ確実に巨乳だよ」
「ふーん?見た目はあんまり変わんないけど」
「自分ではわかるの。なんだが巨乳になるめどが立ったら眠くなってきた…おやすみ」
「え、ちょっとキノ、今日はまだ豊胸しかしてないよ?キノ?…あ〜あ寝たよこの人」

 次の日キノは目覚めると、後ろ手に縛られていた。全裸で。
宿の主人がはいってきた。
「いや〜腕がなるなぁ。ドMの国から我がドSの国に直接入国するなんて」
「んムム〜」
抗議しようにも猿轡をされていて発音できない。
「あ、もしかして知りませんでした?あちらの国から直接この国に来ると≪私を苛めてください≫って意味になるんですよ。」
444名無しさん@ピンキー:2007/02/26(月) 04:51:58 ID:TpbMQ0ql
マジか
445名無しさん@ピンキー:2007/02/26(月) 21:13:53 ID:lbInrqFq
おめえさん、『えむの王国』って四コマ漫画知ってっか?
446SBI:2007/02/28(水) 17:01:52 ID:05P2hsC/
やっと、久しぶりに一本書けました。
キノさんの話です。
それでは、いってみます。
447SBI:2007/02/28(水) 17:03:04 ID:05P2hsC/
「どうしても、ですか?」
「はい、どうしてもです」
あくまで事務的な調子で答える入国管理官の言葉に、シズの表情が引き攣る。
実際にこの国に来てみるまでは、こんな厄介な事になるとは考えていなかった。治安も良好、気候も温暖で豊かな国であると聞いていた。
確かに、多少変わったところのある国だとも聞いてはいた。だからって、これはないと思うのだ。
シズの目の前にいる入国管理官の男性、その格好が問題なのである。水着姿なのだ。水着の男が平然と事務机についているのだ。
「海パンにスク水、ですか?」
「はい」
「もちろん、水着の、ですよね?」
「それ以外に何があるんです」
頭痛がするとでも言うように、頭を抱えてシズが俯いた。
この国の国民は全て海パン、スク水を着用して生活しなければならない。この義務は、たとえ一時しか国にとどまらない旅行者であっても逃れる事はできない。
入国するには今着ている服を脱ぎ、この国の住人に相応しい姿となる事が最低条件なのだ。
「シズ様、諦めましょう……」
シズの足元に控えていた陸が、心底気の毒そうに言うと、
「……そうだな、仕方がない。仕方がないんだ……」
自らの迷いを断ち切るように語調を強め、シズが顔を上げる。後で待っていたティーの方を振り返り、
「ティー、そういう事になったんだけど、大丈夫かい?」
ティーがコクリと肯くのを確認して、前に向き直って、
「わかりました、私たちは入国を希望します。この国から課せられる義務を果たします」
待ちくたびれていた入国管理官から、スクール水着と海水パンツをそれぞれ一着ずつ、静は受け取ったのだった。

ともかくは宿を探さなければならない。水着姿の人間二人といつも通り素っ裸の犬一匹を乗せて、バギーは国の中心を目指した。
「伝統衣装だというのは、本当らしいな……」
ちっちゃな子供も立派な大人もよぼよぼの老人も、果ては生まれたばかりの赤ん坊に至るまで、老いも若きもみな水着姿。
海パン姿の八百屋の親父が奥さんお安くしとくよと、スク水の人妻を呼び止めている。スク水老婆の手を引いて、親切な海パン姿の若者が道路を渡る。
ここでは、その全てが当然のごとく日常の出来事なのだ。
「なんというか、落ち着かないな………」
「お察しします」
なんて、戸惑い顔のシズの横で、ティーの方は初めて身につけたスクール水着をそれなりに気に入っているようだった。
ただ、戯れにスク水の肩の紐などを弄ぶので、これはこれでシズにとっては落ち着かない。
若い女の子などが通りかかると居たたまれなくて視線を逸らすのだが、逸らした視線の先にまたスク水がいるのでどうにもならない。
仕方ないので意識を道路に集中させ、他のものは見ないふりをする事をシズは心に決める。
そうやって前だけ見ていたとき、シズは遠く前方に見覚えのある後姿を見つけた。
「あれは……キノさん?」
短くて黒い髪、耳にたれのついた帽子、茶色いコート、脇に停めてあるモトラドはキノの相棒であるエルメスに間違いないように思えた。
シズは一瞬、大声で呼びかけてみようかと考えてから
「でも、顔が見えないな……。もし人違いだったら……」
「ともかく近くに行ってみましょう、シズ様」
ゆるゆると、バギーをキノらしき後姿に近づけていく。と、その時、もう目の前まで来たその後姿が、気配に気付いたのか不意に振り返った。
「あ………っ!」
「ああ、やっぱり……」
以前と変わらぬキノの精悍な顔が見えた。だが、妙な違和感を感じる。その原因を測りかねていると、キノの顔がみるみる赤くなって……
「シ、シズさんっ!?」
448SBI:2007/02/28(水) 17:03:39 ID:05P2hsC/
そこでようやくシズは違和感の源に気付いた。コートにブーツに帽子にガンベルト、キノの姿は以前見たときと変わっていない、ただ一点を除いて……。
キノがコートの下に着ているのはスク水だった。当然である。この国に入国したなら、キノだってスク水を着ていなければおかしいのだ。
なんて事を一瞬の内に考えていたシズの視線は、当然の如くキノのスレンダーな体を覆う紺色の布地に向けられていた。
キノは、その視線を浴びているだけで体が焼けてしまうとでも言うかのように、コートの前を合わせてスク水を隠し、
「……うあ……あ……うわあああああんっ!!!!」
エルメスに跨って脱兎の如くに逃げ出した。
引き止める暇などなかった。それなり以上の交通量がある国の中心に向かう道路を、交通事故スレスレの猛スピードでモトラドが走り抜けていった。
「………悪い事をしてしまったかな」
取り残されたシズ達は、キノが消えていった道路の先を呆然と見つめる事しか出来なかった。

「残念でしたね。久しぶりの再会だったのに……」
「仕方ないさ。キノさんも女の子だ。私だってこんなに恥ずかしいんだから、無理もない」
そこそこ居心地が良さそうで、手ごろな値段のホテルを見つける事が出来たシズ達は、自分達の部屋に入って休んでいた。
とにかく外にいるだけで緊張して、じりじりと疲弊してしまう。どうやら、この国に定住するのは止めておいた方が良さそうだった。
「まあ、少なくとも同じ国にはいるんだ。キノさんとだって、また会えるかもしれない」
と自分で言ってみても虚しいばかりだ。多分、もう一度キノと会うことが出来ても、さっきの調子でまた逃げられてしまうに違いない。
ため息を一つついて、シズは立ち上がる。
「とりあえず、買出しに行ってくるよ」
ホテルに逃げ込む事ばかりを考えて、その辺りの事をすっかり忘れていた。この国に定住するでもないのに、そう怠けてばかりもいられない。
鞄を肩に担いで、シズは部屋を後にする。
薄暗い廊下をエレベーターに向かって歩く。誰が見ているわけでもないのに、何故だか足早になってしまう。
ボタンを押してすぐにエレベーターの扉は開いた。そのタイミングの良さに暗くなっていた気分を少し明るくして、シズは一階のボタンを押した。
しかし、動き出してすぐにエレベーターは停止してしまった。一階下にも同じようにエレベーターを待っている客がいるようだ。
ぼんやりと見つめるシズの前で、扉がゆっくりと開いて……
「………っ!!?」
扉の向こうの誰かさんが息を呑んで、シズは一瞬遅れでその正体に気がつく。
「キノさんっ!!!」
その一声でキノは弾かれたように動き出した。まだ開きかけの扉からエレベーターの中に強引に手を突っ込み、ガチャガチャと『閉』のボタンを押す。
「ちょ、待ってくれ!!キノさんっ!!!」
『開』のボタンを押せば良いのに、動転したシズは閉じようとする扉の間に両腕をつっこんで、強引に押し開く。
すると、キノはキノで、逃げたいならさっさと逃げればいいのに、ムキになってガチャガチャと『閉』のボタンを押しまくった。
「キノさん!!落ち着くんだっ!!!キノさんっ!!!」
「うるさいですっ!!!変態っ!!!ストーカー侍っ!!!尾行してたんですねっ!!!!」
「な、何を言って……っ!!!」
「じゃあ、どうしてこんな所にいるんですかっ!!!どうして同じホテルなんですかっ!!!」
「偶然っ!!偶然に決まってるだろうっ!!!ストーカーってなんですかっ!!!」
「現行犯じゃないですかっ!!!ネタは挙がってんです!!!観念してボクの前から消えてくださいっ!!!」
延々と続いた醜い争いは、最終的にシズに軍配が上がった。力任せに廊下に転がり出たシズを残して、エレベーターは一階へと下っていった。
シズにとって運が悪かったのは、廊下に飛び出る勢いが強すぎた事である。ギリギリまで『閉』のボタンを押して頑張っていたキノを下敷きにしてしまったのだ。
廊下のど真ん中でキノを押し倒してしまった。シズが慌てて体を起こすと、真下から一直線にキノの視線が突き刺さった。
「………………やっぱり変態じゃないですか」
真っ赤な顔に恨み骨髄といった感じの表情を浮かべて、キノはシズの顔を睨んでいた。気圧されたシズがキノの上から体をどけて、キノがゆっくりと立ち上がる。
そこでシズはようやく、落ち着いてキノの服装を眺めた。相変わらず、コートの下のスク水以外は頑なにいつものスタイルを守ろうとしている。
「そんなに水着が良いんですか。それなら外で好きなだけ眺めればいいじゃないですか」
449SBI:2007/02/28(水) 17:04:24 ID:05P2hsC/
シズの視線に気付いたキノがコートの前を合わせてそっぽを向く。この状況に対する、それがキノなりの防衛策なのだろう。
しかし、シズが見る限りそれは逆効果だった。
「キノさん、その、一つだけ…………」
「………なんですか?」
「いや、服の事……………」
睨みつけるキノの視線に晒されて口ごもりながらも、シズは勇気を出して口を開いた。
「………何ていうか、その、………コートとか、着ない方が良いと思うんだが……」
キノにとっては最終防衛線のつもりなのだろうが、コートはむしろ今のスク水を着たキノに怪しげな雰囲気を付加してしまっていた。
スク水姿の娘などそこらにゴロゴロしているのだ。それをコートなど着てしまうと、逆にやましい事を意識させられてしまう。
裾から覗く生脚、必死に前を合わせてもときどきチラリと見えてしまうコートの下のスク水の紺色、隠される事で逆に際立つ白い肌………。
それはまるで、コートの下を見て欲しがる類の変態を思わせるものだった。
「………だから、キノさん逆に目立っちゃってるから……なるべくそのコートは……」
概ねそんな意味の事を、シズは考え得るかぎりの遠まわしな表現を使って伝えた。しかしまあ、話が話だし、今のキノにその言葉を聞くだけの余裕もなかった。
黙って聞いていたキノは次第にわなわなと震わせ始めて……
「つまり、脱げと……」
「は……いや、だから……この国ではその格好は逆に恥ずかしいって話を……」
「要するに、脱げと……」
「キ、キノさん?聞いてるかい?」
「変態のシズさんに見せるために、脱げと……………」
キノが、ぎゅっと怒りの拳を固める。異変に気付いたシズが後ろに下がる。しかし、シズの背後にあるのは硬く閉ざされたエレベーターの扉だけ……
「ばか――――――――っっっ!!!!!」
鼻っ柱をブチ折られて床に崩れ落ちたシズを残し、キノは自室へと逃げ戻った。

それから一時間ほど経った後、シズはキノの部屋の前にいた。どうしてキノの宿泊する部屋がわかったかというと……
「準備はOKみたいだね。今はシズだけが頼りだからね」
「わかってるよ、エルメス君……」
エルメスはキノによって部屋の外、ドアの脇に置かれていた。盗難防止のためだろう。どこから持ってきたのか、ヤケクソのように鎖を巻かれた哀れな姿である。
「いや〜、さすがに僕も『裸なんて、いつも見せてるじゃない』はまずかったと思うんだけどね……」
「そんな事を言ったのか?」
「いや、キノがあんまり恥ずかしがるもんだから、ちょっと悪ふざけしすぎて………シズと街中で会うまではあそこまで恥ずかしがってなかったんだけど……」
とにかく、今のキノに会うのが相当難しい事は確かである。しかし、シズとしてもストーカー呼ばわりされたまま引き下がりたくはなかった。
それに、一応作戦も無いではなかった。
「だけど、こんなので本当に大丈夫かい?」
「大丈夫、大丈夫、いつものキノを知らないから、シズはそう言うんだよ」
「そうか、それじゃあ……」
覚悟を決めて、シズはキノの部屋のドアをノックする。静まり返った廊下に、コンコンという音がやけに大きく響いた。
「キノさん、開けてくれ、キノさん」
返答はない。しかし、ここまでは予想通り。シズが足元に置いていた袋を持ち上げて、ドアの覗き窓から見える位置で抱える。
「キノさんと一緒に食べようと思って、色々食べ物を買ってきたんだけど、もしかして眠ってるのかい?」
袋の中にはさまざまな食べ物が詰まっていた。
あんまりと言えばあんまりな、作戦とも言えない作戦である。しかし、シズの横のエルメスはなにやら自信満々である。
「キノ、早めにお昼を済ませてから、何も食べてないはずだから、きっと上手くいくよ」
エルメスの言葉を信じて、シズはキノに呼びかけ続ける。
「サンドイッチにミートパイ、他にも色々買ってきたのに、本当に眠ってるのかい?」
450SBI:2007/02/28(水) 17:05:03 ID:05P2hsC/
あまりに棒読みな自分のセリフにシズが多少ウンザリしはじめた頃、扉の向こうに何かが動く気配がした。
予想よりも早い反応に驚きながらも、気付かないふりでシズは続ける。
「本当に眠ってるみたいだなぁ。まったく残念だ。勿体無い……」
ドアの向こう、息を殺してこちらの様子を窺うキノの姿が見えるようだった。
「勿体無い、これは陸とティーと私で食べる事にしようか……」
ガタン、扉の向こうで音がする。もう一押しだ。
「仕方ない。いつまでも陸たちを待たせてる訳にもいかないし。エルメス君、キノさんによろしく言っておいて……」
ガチャ。きぃ……。静かに、チェーンロックの長さの分だけ、小さくドアが開いた。
「………そんな手に引っ掛かると思ってるんですか?」
そのドアの隙間から、コートの代わりに今度はシーツに全身を包んで、恨めしげなキノの瞳が覗いた。
「やあ、キノさん。起きてたんだね、いや良かったよ」
「うっさいです。ボクはそんな手には乗らないって言ってるんです」
なんて言いながら、キノの視線はシズの腕の中の食料袋に釘付けである。
「良くわからないが、とにかく私としてはせっかく買ってきたご馳走をキノさんに食べてもらえないのは残念なんだけど……」
「引っ掛かりませんよ。そんなのに引っ掛かるほど、ボクはバカじゃないですよ」
「うーん、残念だ。でも、キノさんにその気が無いのに無理強いするわけにもいかないな……」
わざとらしく首など振って、シズがその場から立ち去ろうとする。遠ざかる食料袋。その瞬間、扉の隙間から延びたキノの手がサンドイッチの入った箱を掴み取った。
しかし、そのまま引っ込めようとしたキノの手はドアの隙間につっかえた。サンドイッチの箱が引っ掛かったのだ。
ちょうど、壷の中から餌を掴んだ手を抜く事が出来なくなった猿と同じ状態である。
それでも何とかドアの隙間に箱をねじ込もうと頑張っているキノに、シズは優しく微笑みかけて
「キノさん、なんならそのサンドイッチも、他の食料も、まとめて部屋の中に運んであげますよ」
かくして、堅固な城門のごとく閉ざされていたキノの部屋のドアが開かれたのだった。

よっぽどお腹を空かせていたのだろう。キノはシズが持ってきた食料を片っ端から掴み取り、次々と胃袋に収めていった。
一脚だけの椅子をキノが使っているので、シズはベッドの端っこに腰掛けている。キノが食べ終わるのを見計らって、シズが魔法瓶から注いだお茶を手渡す。
口の中に残っていた食べ物をそのお茶で流し込んで、キノはようやく一息ついた様子だった。
「………ごちそうさまでした」
ただし、まだまだ語気に険がある。警戒は解けていないようだ。それでも『閉』のボタンを押しまくったり、ギャーギャー叫ばない分ずいぶんとマシだ。
「卑怯ですよ、シズさん」
キノがぼそりと言った。
「それは、ボクもずいぶん大人気無い事をしましたけど……、人の部屋にムリに上がりこんで来ようとするのは褒められた話じゃないですよ」
「すまない、キノさん」
「街中で逃げたのは悪かったですけど………。シズさんだって、この格好を恥ずかしがる気持ち、わかるでしょう?」
キノが視線を落として、相変わらず頭の上からかぶっているシーツの隙間から覗く、スクール水着を身に着けた自分自身の体を見た。
つられてシズもキノのスク水を見てしまう。濃紺の布地に包まれて、キノのスレンダーな体のラインの、そのごく僅かな陰影が強調される。
幼い胸に、細い腰、おへその辺りから太ももの隙間に消えるなだらかな曲線、スクール水着が引き立たせるキノの肉感に、ゴクリと唾を飲んだ。
そこでシズはハッと正気に返った。顔を上げる。キノが見てる。
「やっぱり変態じゃないですか………」
「………すまない」
シズの顔が赤くなる。一体、何のためにキノの部屋に入ったのやら。
キノの様子がおかしい事が気になったとか、とにかくキノと話がしたかったとか、さっきまで自分で信じていた理由も疑わしくなってくる。
バツが悪くなって、視線を下げる。海パンの下で、自分の体がかすかに反応し始めている事に気付く。本当に、何のつもりだったのやら。
そうやって、ベッドの端っこでどんどん小さくなるシズを半目で睨んでいたキノだったが、何を考えたのか、ふいに立ち上がった。
「キノさん……」
451SBI:2007/02/28(水) 17:05:58 ID:05P2hsC/
気配に気付いて、シズが顔を上げる。キノはシズの隣まで無言で歩いてきて、シズと同じようにベッドの端に腰掛ける。
すうっと息を吸ってから、呆然と自分の様子を見ていたシズの方を向き、その顔を覗き込む。
「…………シズさんのせいなんですよ」
言った後から、キノの顔がかーっと赤くなっていく。そこでようやく、シズもその意味に気付く。
「私の、せいなのか……」
「もちろんです」
そういえばエルメスも言っていた。『シズと街中で会うまではあそこまで恥ずかしがってなかったんだけど……』
元からスク水の上にコートなど羽織ってやたらと恥ずかしがっていたキノだが、シズと街中で会った直後からさらに態度を頑なにしたのだ。
「単なる知り合いなら、こんなに気にしません」
「そうか…」
「水着にコートが変なのもわかってました。でも、どうしても恥ずかしくて、他にどうすればいいかわからなくて……
その上あんな所でシズさんに会うなんて想像もしなかったから………」
シズは自分の間抜けさ加減に頭を振った。確か自分で言ったはずじゃないか、キノも女の子なのだと。
「私が行けば行くほど逆効果だったわけだ」
「嫌がる女の子に同じ事をし続けるのは、変態と小学生だけです」
「……………でも、キノさんと話したかった」
「それは、………ボクも同じです」
一息ついて、二人してようやく笑い合う。そこでキノが頭の上からかぶっていたシーツを、しゅるりと脱ぎ去った。
「あの、水着なんてもう着る機会は無いと思うので聞いておきます。…………似合ってますか?」
「ああ、もちろんだ」
キノの体が、ゆっくりとシズの方に傾いた。

キノを膝の上に抱き上げてから、シズは気がついた。
「ガンベルト、してたのかい?」
「はい」
シーツの隙間からもちゃんと見えてた筈なのだが、それどころじゃなくて気がつかなかったようだ。その上、ブーツもまだ履いている。
スク水+コートと同じ、何かスク水単独では出せない背徳的な臭いの漂う組み合わせである。
「外しましょうか?」
固まるシズに、キノが何となくそう言うと
「いえ!!だいじょうぶ、だいじょうぶですよ!!!」
思いがけず強い口調でシズが答えて、キノが怪訝そうな表情を浮かべる。
「やっぱり、いつ何があるかわかりませんから、武器はなるべく肌身離さず……」
「水浴びの時とか外でも外すときはあるし、近くに置いておけば問題ないです。っていうか、シズさん……」
「いえ、その、別にキノさんにやましい事は……」
「反応してます。当たってます、ボクのお尻に……」
テント状に膨らんだシズの海パンの股間の部分。シズの膝の上に座るキノのお尻が、その接触を受けている。
「やっぱり、シズさん変態ですね」
「………うぅ、申し訳ない」
「それに、もしかしたらボクも……」
その言葉の意味を測りかねて一瞬思考が停止したシズの胸に、キノは背中を預けてしなだれかかる。
「恥ずかしい格好して、ドキドキしてる……」
随分と体格差のある二人なので、キノが上を見上げると視線の先に見下ろしてくるシズの顔が目に入る。自然と、二人の顔が近づいて、頬が上気して赤味を増す。
「もうこんなの着る機会は無いと思いますから、一応聞いておきます。………似合ってますか?」
「ああ、とても、すごく……」
452SBI:2007/02/28(水) 17:06:58 ID:05P2hsC/
シズに言われて、嬉しそうに、照れくさそうに、キノが笑う。
「可愛いよ、キノさん……」
「…シズさん……んっ…」
唇が重なって、スク水を着たキノの華奢な腰に肩に、シズの腕が回される。きゅうっと愛しげに抱き締めて、抱き締められて、二人の鼓動は高鳴っていく。
「…んんっ……うん…あっ……シズさ…ぁあん!」
シズの指が、手の平が、キノの体を包み込む濃紺の布地の上に蠢きはじめている。撫でて、触って、スク水の中で弾力としなやかさを増したかのようなキノの体を楽しむ。
「…やっ……うあっ!!…ああっ!…やあああっ!!!!」
スク水にコートの恥ずかしい格好で街を歩いて、人目をずっと意識し続けて、絶え間ない緊張で張り詰めていたキノの肌は敏感にシズの動きに反応する。
無防備な首の後ろをシズの舌が舐めて、スク水から露出している首の付け根のあたりギリギリまでの範囲を、何度も往復して唾液で濡らした。
「…あっ……そんなぁ!?…何度も…ひゃめぇ!!……あああああっ!!!!」
舌を絡みつかせる。ねぶる。吸い付く。いたる所に甘噛みして、かすかな歯型がいくつも残される。耳たぶの上を舌に這いまわられて、キノが何度も甘い声を上げる。
「…それ…やめ……シズさ…ん……ひうぅっ!!!」
「じゃあ、今度はこっちだ」
キノの体をくまなく撫で回していたシズの手の平が、キノの幼い胸の上に移動する。
キノの体温が高まるのに合わせて、次第に布の下で立ち上がり始めていた二つの突起の上に、シズの人差し指の腹が触れる。
そのまま接触されているだけで、キノの胸にジンジンとした感触が湧き上がってくる。これからされる事を想像して、大事なところがキュンと疼く。
「興奮してるみたいだね。こんなに尖って、水着の上からでもちゃんとわかる」
「……シズさんが…こんな……するからぁ…その…せいでぇ……」
「わかってるよ。責任は取るさ。ほらっ!!」
「…ひゃっ!?…ふああああああっ!!!」
一旦停止していたシズの指が再び動き始める。キノの乳首の先端を指の腹だけでさんざん撫で回して、もどかしさと切なさで壊れそうになった所できゅっと摘む。
そのまま指の間で転がされ、敏感な突起はシズの指に苛められまくる。たまらず背中を反らせて声を上げたキノの、今度はその白い喉にシズの唇が吸い付く。
「…ん…ああっ!!…や…らめぇ!!…あっ…あはああああああああっ!!!!!!」
首筋を、鎖骨を、唾液の描くキラキラとした軌跡が埋め尽くす。胸への責めは激しさを増してゆき、ジンジンがキノの小さな胸を覆い尽くしていく。
そして、そのジンジンしてたまらなくなった胸全体をシズの手の平が揉みくちゃにし始める。
「………っ!!!……ふあっ!!?………っあ!!!……ふあああっ!!!!!」
激しすぎるほどの快感。シズに責められる場所全てに電気が走るようで、その衝撃を味わうたびに、キノの呼吸までが止まってしまうようだった。
間断なく責めて、責め立てられて、シズも、キノも、次第に理性を忘れて、肉体の促すままに動くようになっていく。
そして、無我夢中のシズの指先は、キノの細い脚の隙間、スク水の下で熱と湿りを増していく最も敏感な部分に伸びていく。
「………あっ!!!だめっ!!!…そんなとこまだ……っ!!!…シズさ…あああああああああああっ!!!!」
一撫でされただけで、体の下から上に向かって雷が通り抜けたみたいだった。布地越しに割れ目の部分を執拗に撫でられる。こね回される。
じゅくじゅくと、止めようも無く熱い液体が溢れ出して、スクール水着の濃紺を濡らしてさらに暗い色に変えていく。
「熱い。……キノさんの…アソコ……さわってるだけで指が溶けそうだ……」
興奮に追い立てられるように、シズはキノのアソコを覆う布地をずらし、熱く濡れた割れ目に夢中で指を入れて、何度もかき混ぜた。
シズの腕の中、指先の僅かな動きに敏感に反応して、ビクン、ビクン、とキノの体が痙攣する。
シズの指に翻弄され続け、快感の波に溺れるばかりのキノの意識は次第に、自分の背中を包むシズの体温と、それが最も熱く硬くなっている部分の事を強く意識し始める。
「……お尻の下……当たってる……シズさんの…かたくて…あついのが………」
ドキドキドキドキ、胸の奥で早鐘が鳴って、頭の中が熱く蕩けて、それからのキノの行動はほとんど意識してやったものではなかった。
ふいに腰を浮かせ、気が付いたシズが手を止めたところで、シズに背を向けた今の体勢から180度方向転換する。
パンパンのシズの股間に手を伸ばし、そっと海水パンツをずらして、その下で猛る熱い肉の棒に指を絡ませた。
453SBI:2007/02/28(水) 17:07:35 ID:05P2hsC/
「………キノさん?」
「……欲しいんです…シズさんのが………ボクのアソコ…シズさんにめちゃくちゃにしてほしいんです………」
快楽で体も頭の中もぐちゃぐちゃになっていたけれど、その言葉を言うのはやはり恥ずかしかった。顔を真っ赤にして、俯いたまま、小声でキノが言った。
「………いれて…ください……」
シズの手がキノの頬に伸びて、その手に促されて俯いた顔を上げる。細かく息を切らしているキノの唇が、シズの唇に塞がれる。
「………わかった、キノさん……」
腰を、背中を、シズの腕が包み込む。キノは逸る気持ちを押さえながら、ゆっくり、ゆっくりと腰を下ろしていく。入り口にシズのモノが触れる。
「………っ!…ああっ!!…ふ…ああああああああっ!!!!」
最初の2,3センチが入ってきただけで、圧倒的な快感の電流が背骨を駆け上っていった。それ以上は、体勢を保つ事すら出来なかった。
腰が砕けて、そのまま残りの部分が一気に挿入された。巨大な質量が熱い肉を貫いて、体の奥までが燃え上がるようだった。
「……奥まで……シズさんの…奥までとどいてるぅ……っ!!!!」
さきほど、指に絡めて確かめたシズのあまりに熱すぎる体温が、自分のお腹の中で脈を打っている。貫かれているだけで下半身全体が痺れて、とても自分では動けない。
堪え切れずに自分の首に抱きついてきたキノの、その後頭をシズはよしよしと撫でて
「だいじょうぶかい、キノさん?」
「………は、はい」
「これから動かしてみるけど、かまわないかい?」
それ以上答える余裕も無くて、キノはただコクコクと首を縦に振った。シズはゆっくり、腰を上下に揺らし始めた。
「……っくぁ!!…あふぅ!!!…やあっ!!…あっ…あああんっ!!!」
キノの口から漏れ出る吐息は甘く、シズの欲望を沸き立たせた。じゅぷ、じゅぷ、と淫らな水音が響いて、二人の荒い息遣いと混ざって奇妙なリズムを刻む。
細い腕に必死でしがみつかれて、その震えから快感に身悶えるキノの様子をダイレクトに伝わって、シズはキノと一つに溶けて混ざるような心地を味わう。
「……ひあっ!!…や…はあああんっ!!!…シズさんっ……シズ…さんっ……シズさあああああんっ!!!!!」
夢中で自分の名を呼び、すがりついてくる少女が愛しくて、もっと彼女を乱れさせたい、くちゃくちゃにしたいという欲望ばかりが頭を埋め尽くす。
キノの上げる声が大きくなればなるほど、シズの動きも激しくなっていく。熱く火照るキノの肌にむしゃぶりつき、スク水の上から乳首を歯と舌でめちゃくちゃにしてやった。
「…シズさんっ!!!……ボク…へんになるぅっ!!!!きもちよすぎて…あたまおかしく……っ!!!!」
折れそうに細い腰を抱き締めて、激しく、さらに激しく、ピストン運動を加速させる。息もつかせぬ快感の連続攻撃で、キノの頭は真っ白になっていく。
自分の声がどんどん大きくなっていくのも、体がガクガクと痙攣して言う事を聞かないのも、まるでどこか遠い所の話のようにしか思えない。
全てを凌駕する快感の渦の中で、乱れに乱れていく自分を呆然と見ていることしか、今のキノにはできない。
「ああ………っ!!!…シズさんっ!!…もう…ボクっ!!!…ボクぅうううううっ!!!!!!!」
「キノさんっ!!!…私も…もうっ!!!」
そして次の瞬間、噴火寸前で体の奥底に押さえつけられていたマグマが、堰を切って溢れ出した。
絶頂が、二人を飲み込んだ。
「…ふあっ!!ああああっ!!!…イクぅっ!!!!イっちゃうぅうううううううっ!!!!!!」
体を貫くすさまじい絶頂感に、キノはシズの首に回した腕にぎゅうっと力を込めた。そして、それが過ぎ去った瞬間、体中から力が抜けてそのままベッドに崩れ落ちた。
放たれたシズの欲望はキノの膣内には収まり切らず、溢れ出してキノのスクール水着を白濁に汚した。
「………あっ…シズ…さん……」
うっとりと呟いたキノの瞼に、シズがキスをする。そして、今日一日分の緊張の糸まで切れてしまったのだろうか、キノはそのままスヤスヤと眠りに落ちていった。
454SBI:2007/02/28(水) 17:08:15 ID:05P2hsC/
その後、遅く戻った事を陸とティーに怒られたり、手榴弾を投げられたりはしたものの、一応、一件落着と言ったところであろう。
一時間ほどして目を覚ましたキノは、すっかり平静を取り戻していた。
「それでもやっぱり、恥ずかしい事は恥ずかしいんですよ」
「わかってるよ。私もさすがにここに住む気にはなれない」
二人は今、キノの部屋の前にいる。追い出してしまっていたエルメスを部屋に運び入れるところだ。
「やっぱり、ラブラブパワーは効果覿面だね」
エルメスに冷やかされて、キノは一瞬ムッとしたが
「………今回はエルメスにも悪かったよ。追い出したりして反省してる」
「わかればよろしい」
そんなキノとエルメスのやり取りを見ながら、シズも笑顔を浮かべる。これでともかく、メデタシメデタシだ。
その筈だった……………。
ようやく胸を撫で下ろしたシズの前で、エルメスがうっかり口を滑らせたのだ。
「でも、キノもそんなに恥ずかしがらなくても、つるぺた娘にスク水なんてこれ以上ない組み合わせだよ」
一瞬で、空気が変わった。
「ほとんどキノのために作られたみたいな水着なんだから、まさに貧乳専用装備………」
シズが止める暇など無かった。エルメスの軽口はいつもの事だが、いくらなんでもタイミングが悪すぎる。
塞がったばかりの傷口から、カサブタをひっぺがすようなものである。凍りついた笑顔のまま、キノはエルメスのスタンドを蹴っ飛ばす。
「あっ!?」
シズのつま先が下敷きにならなかったのはほとんど奇跡のようなものである。呆然とするシズの前で、キノはくるりと踵を返し
「………………寝る」
バタンッ!!!とドアを閉じて、部屋に引っ込んだ。取り残されたシズはやれやれと頭を振り
「………さすがに責任取りかねるので、後はエルメス君、よろしく」
「えっ!?ちょっと、シズ!!」
「明日もキノさんといっしょに色々したかったんだけどなぁ………」
「……せめて起こしてってばあ!!!ねえっ!!!」
立ち去っていくシズの背中は、エルメスの言葉に振り返る事は一度としてなかった。
まあ、自業自得。こればっかりはどうしようもない話である。
455SBI:2007/02/28(水) 17:08:55 ID:05P2hsC/
以上でおしまいです。失礼いたしました。
456名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 18:12:34 ID:Jr11tm5s
超GJ!
457名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 22:03:10 ID:fIpvuCPo
服が全部水着・・・!
GJ!
458名無しさん@ピンキー:2007/03/02(金) 16:56:28 ID:ynHzsp6a
スク水GJ!
459名無しさん@ピンキー:2007/03/05(月) 08:41:12 ID:/YIFeCqd
保守。
460名無しさん@ピンキー:2007/03/09(金) 23:41:21 ID:tFU39CS3
保守
461名無しさん@ピンキー:2007/03/10(土) 19:01:11 ID:Nhc87W1J
リリトレ新刊来たね
こっちに生かされる要素はあまり無かったけど、サブタイがサブタイだけに来月の下巻に期待かな
462名無しさん@ピンキー:2007/03/11(日) 02:22:18 ID:cbpHnOQ9
何を言うか。
マチルダ姫とメリエル姫とメグ嬢のレズ3P画書けるじゃあないか
463名無しさん@ピンキー:2007/03/11(日) 03:07:36 ID:ljkUKrwl
GJ〜〜〜〜〜!!
464:2007/03/13(火) 18:12:06 ID:KdR8vp9t
はじめまして^^
「林」です。
中途半端な小説です。
この続きを書いてくれる人がいたら嬉しいです。
465:2007/03/13(火) 18:14:45 ID:KdR8vp9t
「よし!これでOKだ」
キノとエルメスは川原にいた。
エルメスは、今までこびり付いていた泥を落としてもらっていた。
「ありがと。もー、水はしばらく見たくないよ」
川からエルメスを引きずり上げて、ぼろ布で拭く。
「調子がおかしくないかどうか、エンジンをかけるよ。おかしかったら言ってね」
「りょーかい」
爆音が響き、エンジンがかかる。

「・・・」
「どうだい?エルメス」
「…なんかモヤモヤする」
キノはエルメスの部品を一つ一つ確認していく。
「…異常はないよ。」
「きっと、アレだよ。
             欲求不満。」
気まずい空気が流れた。
予想しなかった言葉に、キノも多少は動揺した。
「……なんで?」
エルメスは、「うーん」と少し考える素振りをしてから言った。

「僕は自慰できないからね。キノとエッチもできない。」
「なっ………!?」

「だから、キノが僕の前で自慰とか、エッチなことしてくれれば治ると思うよ」
「…何言ってるんだよ、エルメス。なにかあったのかい?」
「んー。しいて言えばキノに好意を持ったってことかな」
エルメスは、こんなことを何事も無いかのようにサラリと言ってのけた。
466名無しさん@ピンキー:2007/03/15(木) 10:27:53 ID:FaEpwAr7
てめーでやれ
467eat:2007/03/16(金) 01:00:39 ID:SUEESihb
>>464
確かにネ。ネ申キターー!!とオモタから少しガッカリしたヨ。
エルメス×キノはなかなか見ないから、自分で書いてみたらどうだぃ?
468名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 18:42:43 ID:Z9ou6Iyo
今日の朝日新聞、一面広告でキノの旅やってくれやがった・・・

漏れはアサピを見直したぜ。
469名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 23:48:15 ID:0r8qHadh
>468

実にアカヒ向けの内容だったしな。
470名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 00:48:42 ID:Bro+PAx9
あれだけ見ると時雨沢がイデオロギー丸出しに見えてしまう所が流石は朝曰。リアル自由報道の国なだけはある。
471名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 02:51:16 ID:gXcMfyeY
ホシュミ゚д゚ミ
472名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 16:12:24 ID:B3erasv8
とうとうROM専の漏れが
筆を執るときが来たようだ
473名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 18:15:34 ID:RSsXcB3Q
>>472
期待してもいいんだな?
474eat:2007/03/25(日) 00:13:11 ID:gNJxwJB2
>>472
カプだけでも教えてくれ〜
475名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 14:29:54 ID:MHGD8VRC
首都の喧騒から少し離れた古いアパートの最上階に、部屋の主である金髪の美しく若々しい女性、
アリソンとその引きつれ、トラヴァス少佐が両手に荷物を抱えて騒がしく帰宅してきた。 
「ふああ・・・やっばあの映画もマンネリね・・・一緒にオールナイトでフライトの方がよかったわ」   
アリソンがソファーに座りながら半分本気を交えてつぶやいた。      
「それは疲れそうだから遠慮しておく。リリアは?もう寝てる?」       
トラヴァス少佐がキッチンの机に几帳面に両手の荷物を並べながら答えた。
「日曜日はラジオの深夜放送はお休みよ。あーあ、いっそリリアちゃん起きてれば堂々と
できたのに」  
「どういう意味・・・?あ、これリリアの本?ベゼル語みたいだけど」
トラヴァス少佐がテーブルの上に置かれているカバーがされた文庫本サイズの本を手にとって眺めながら言った。        
「へー?なにそれー?しらなーい」
アリソンが答えた。トラヴァス少佐が何気なく本を開いて、そして閉じた。ちょうど折り目のついている所を開けていた。  
「アリソン・・・この本、ちょっと調子悪くない?」
「え?なにが?」     
トラヴァス少佐がアリソンに文庫本を手渡した。 
「本を開けると頭が痛くなるんだけどねえ・・・」  
アリソンが渋々折り目をつけたベージを開けて、静かに目を通した。
476名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 14:32:15 ID:MHGD8VRC
折り目がついたベージには、金髪の女性が全裸の姿で大きく股を開いている絵が描かれていた。
アリソンはトラヴァス少佐に感想も言わず他の折り目があるページを開いた。 そのベージには絵は描かれておらず、
代わりにベゼル語でこう記されていた。
『気が付くとアンナは両手を天井から吊されたロープで縛られ、かろうじて足が着くくらいの状態で立っていた。
「どうして・・・こんなことするの・・・?」    
アンナが誰に言うでもなく呟いた。じきに背後の扉が開かれ、4〜5人の男たちが部屋に入ってきた。すでに疲れ
切っていたアンナは正確に人数を把握しようとはしなかった。 男たちはアンナの目の前で堂々とズボンを下着
ごと脱ぎ捨て、天に向けいきり立った剛直を曝け出した。そして一度アンナを頭から爪先までしげしげと眺め、男の一人がいきな
り自分の剛直をアンナの中に挿入していった。       
「ああっ!い・・・痛いっ!や、やめえっ・・・!」
 そこまででアリソンは読むのを中断し、天を仰いで深くため息をついた。  
「確かに調子悪いわね・・・まさかあなたのじゃない?」          
「まさか」   
トラヴァス少佐が即座に返事をした。          
「でもこんなの、いつ買ったんだろ?一応リリアちゃん女の子だし、相当恥ずかしいはずよ」      
アリソンが真剣な表情で聞いた。      
477名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 14:33:56 ID:MHGD8VRC
「わからないけど・・・表紙には何もそれらしいこと書いてないから、知らなかったとか?」
「それはないわ。あんまり無駄遣いする子じゃないから」          
「じゃあ、やっぱり・・・」           
トラヴァス少佐が疑心に満ちた目でアリソンを見つめる。          
「・・・まっ、いいでしょ!そういうお年ごろなんだし」          
「でも、年齢制限とか、こんな事はきちんとしないと」  
「いいのいいの!そんなことより、今日はベッドに行きましょう!今日は疲れたしね!」「疲れてたらベッドに行く気力はないと思うけど」

リリアが聞いていたのは、いや聞こえていたのはそこまでだった。      
確かにその本はリリアの本だった。だがそれは、かつてアリソンに見つかり、こっぴどく叱られたあげく
取り上げられた本だった。 捨てられたものだと思っていたが、どうやらアリソンに愛用されているようだ。
リリアは枕に顔をうずめ、一人でうーーーっとうなった。  
しかしリリアには、それを咎めることはできない。 なぜならリリアが次に耳にするのは、アリソンの
幸せに満ちた媚声だと知っているから。        
そしてまた、リリア自身もこれからその媚声に満たされるのだ。

かくして、週末の夜はなかなか寝付けない3人であった。
478名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 17:24:47 ID:6bnI8cAq
GJ〜
なんかちらリズム的なものがあっていい。
台詞も違和感ないし
479名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 00:24:21 ID:MVya+vid
久々の新作GJ!!!
楽しく読ませて頂きました。
480名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 07:29:24 ID:OtGamlWh
キノ「あっ、アリソンさん・・ちょっ、と、まだ早いですよ・・・リリアさんがきた、ら・」
ヴィル「あっ、あっ、あっ、」
アリソン「トレイズ!もっと腰をつかいな!!」
トレイズ「あいあいさー」
481名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 03:26:20 ID:w8p9DRmp
サブタイ付けるなら「川向こうの国」か?

どうでもいいが彼の絵師のキャラは特徴がかなりかぶるな。
アリソン(少女)は帽子被せたらベルフラウだし
キノが殺しの依頼を引き受けた誘拐犯の少年はライに見える。
板違いスマソ。
482名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 01:54:06 ID:JH5TnB9x
もぅ…キノくんはぅはぅです(*´Д`)=зGJ
483名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 16:37:09 ID:YLyC6dxL
疲れ果てて眠る、彼女の白い首が目に入った。

なんて細く、もろく。少し力を込めたら、ぽっきりと折れてしまうガラス細工のような、危うい美しさ。
ふと、その首を、己の手で締め上げたらどうなるのだろうか、などという考えが、頭の片隅をよぎった。
先ほどまでの、情事の残り香が蒸し返す、妙にぬめりを帯びた部屋の空気は、いとも簡単に思考力を奪い、それを実行へと移そうとする。
ゆっくりと手を伸ばし、白い肌に触れる。
そして力を込めようとした、その刹那。
一瞬のうちに我に返る。

――僕ハ今、何ヲシヨウトシテイタ?

彼女のその首に手を添えたまま、体をこわばらせる。

動けない。

息ができない。

「う……、ぁ……」

無意識に声がこぼれた。
口は、えさをねだる魚のように何度も開閉する。

苦しい。苦しい。苦しい。

苦しくてたまらない。

「ヴィル」

意識が暗いところへ堕ちていきそうになったとき、名前を呼ばれた。
白い手がゆっくりと伸びて、頬にふれた。

「あ……」

彼女の手だった。

それはあたかも魔法のように、呼吸を楽にした。

「ヴィル……。貴方に殺されるなら、わたしは幸せよ」

優しく微笑みながら、彼女が言う。
その蒼い瞳には、いっぺんの曇りもない。

きっと本心。
それ以外の何ものでもない。

「大丈夫よ。何も怖くないわ。ヴィルはヴィルよ。それ以外の何ものでもない」
「……アリソン」
「愛してるわ、ヴィル。貴方のすべてを、愛してる」
「――っ」

彼女にすがりつくようにして、抱きしめた。

彼女の白い胸へと、顔を埋める。

「大丈夫よ、ヴィル。わたしはここにいるわ」

耳元で、妖精が優しくささやいた。
484名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 17:56:58 ID:b8pMCguA
GJ!!!
ところで、これはリリトレXの内容と関係してる?まだ読んでないので、もしかしたらと思って……。
485名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 18:48:58 ID:EVzVG0dh
age
486名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 20:11:31 ID:6r6b4Xn8
関係ないと思われ
487名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 22:16:59 ID:XiAqyZmS
リリトレ新刊読んだ
これはもう職人様にがんばっていただきたいと思いました!
488直接エロ描写無しのアリソンSS:2007/04/06(金) 23:11:14 ID:wntQ6jLi
ア「ヴィル、上級学校卒業おめでとう、迎えにきたわよ、卒業式終わったのよね?」
ヴ「……アリソン…だよね? そのウェディングドレスは一体……」
ア「みんな待ってるから早くいくわよ、ヴィルは制服のままででいいわよね一応フォーマルだし」
ヴ「みんなって? 待ってるってどこで?」
ア「神父さんに私のお父さんのアイカシアさんやベネディクトとフィオナさんとかよ、時間がないからとばすわよ」
ヴ「アリソンそれって一体……」
ア「いいから乗って! 話は後でね」

ア「さぁ着いたわよ」
ヴ「ここって……」
ア「見ればわかるでしょ教会よ、アイカシアさん達もそこにいるでしょ」
ヴ「えと……聞いていいかなアリソン、君のパパのアイカシアさんは何故ショットガンを構えてるの? なんか僕の方を睨んでるし…」
ア「結婚式を迎える花嫁の父には付き物でしょ、ショットガン」
ヴ「結婚式って誰の?」
ア「ヴィルと私のに決まってるでしょ、さぁ式を始めるわよ、ぐずぐずしてるとお父さんのショットガンが黙ってないわよ」

ア「ねぇヴィル、その……結婚式も挙げたし教会から首都までだけど新婚旅行もしたし、あたし達もっと…その親密になっても……、ヴィルったらあたしに何もして来ないし…って、ちょっとヴィル、ひとの話を聞いてるの!」
ヴ「アリソン、来週予備校の入学試験があるんだ、込み入った話なら試験が終わってからでいいかな?」
ア「その……私達にとってとっても大事な話なんだけど……そうとても大事な…」
ヴ「大事な話だったら尚更試験が終わって落ち着いてからでいいかな? んっアリソン、そんな薄着してたら風邪ひいちゃうよ」
ア「……ヴィルこれはね、ネグリジェっていって……その……」
ヴ「あぁ寝間着のことだね、アリソン」
ア「………ヴィルヘルム・シュルツ! 起立! そのまま服を脱ぐ、脱がしてあげるから動かない! ほらベットへ向かって一緒に行進!」

ア「おはようヴィル」
ヴ「……僕もうお婿にいけない…」
ア「バカねぇ、もう結婚してるじゃない私達、それにヴィルったら三回もしといてよくいうわね」
ヴ「あれはアリソンが無理やり……そうだアリソンこそ大丈夫? 女の子の初めては痛いっていうけど……」
ア「痛かったけど……ヴィルだったから平気よ」
ヴ「……ごめんねアリソン」
ア「バカねぇ何いってるのよ、……ちょっと、ヴィルのがあたしの背中にあたってるわよ!」
ヴ「……いやそのこれは生理現象で……」
ア「せっかくだし……その……もう一回しよっか?」

− 以上 −

489名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 09:35:08 ID:kOjTui94
時雨沢総合スレから誘導されてきた
GJ!
490名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 22:15:51 ID:LlHFwqqK
俺も新刊読んだぜ!
491名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 00:02:46 ID:stwRYR6S
ネタバレになるので詳しくは書けないが、まさか本編中に
「一緒に……、 イこうぜ……。 一緒に……」
などという台詞を拝める日が来るとはな!
492名無しさん@ピンキー:2007/04/08(日) 01:09:08 ID:JmftbmXK
エヴァネタが公式で投入されるとは思わなんだ
493名無しさん@ピンキー:2007/04/09(月) 11:30:08 ID:JXVtjR1v
ネタバレじゃない程度に同じく俺も一言だけ

シグはこのスレの住人よりも有る意味変態だと思った
494名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 02:21:00 ID:9RTneMcr
計画的かつ陰湿…そんな事件の犯人がまさかあんなのなんて…。


まあシグらしいと言えば実にシグらしいが。
495名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 11:58:18 ID:RPr2QRvr
新刊読んだ
ぶっちゃけあのまま・・・
496名無しさん@ピンキー:2007/04/10(火) 23:14:03 ID:d7Fk5+AH
>>それはとっても気持ちが良い
吹いたwwwww
497名無しさん@ピンキー:2007/04/11(水) 08:51:51 ID:sqInpx/N
次スレは?
498名無しさん@ピンキー:2007/04/11(水) 21:59:16 ID:XjBj3FHZ
さぁ、リリアとトレイズの学園生活を長編で・・・・・
499名無しさん@ピンキー:2007/04/12(木) 22:19:13 ID:5q9gvpNl
学園キノのSSって無いの?
500名無しさん@ピンキー:2007/04/13(金) 00:10:56 ID:j3EnjjjO
内容が壊れてるから18禁以外無いんじゃない?
501名無しさん@ピンキー:2007/04/13(金) 12:10:40 ID:c21C41fA
18禁の学キノが読みたいんだ
スク水とか(*´д`)ハァハァ物だよ
502名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 20:11:35 ID:cxIWWgmd
サモエド仮面乙
503名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 03:16:35 ID:9pFPyiJT
キノとエメルスのラブラブが読みたいです(><)
504名無しさん@ピンキー
師匠とハンサムのラブラブが読みたいです(><)