ヤンデレの小説を書こう!

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1名無しさん@ピンキー
このスレッドはヤンデレの小説を書いてみるものです
このスレではヤンデレとは主人公が好きだが(デレ)その過程で心を病んでしまう(ヤン)
状態の事をさします(別名:黒化、黒姫化など)
既存のキャラを使うもよし、オリジナルキャラを作るもよし、です
未完にさえしなければぶつ切りでもいいのでどしどし書き込んでみてください
2名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 13:58:47 ID:j2t7ssuz
2
3名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 14:18:34 ID:URRAIFRK
>>1

嫉妬スレくらいのびて欲しいな
4名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 14:49:32 ID:c4RDrkV7
5名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 16:05:52 ID:Qt52YLWc
というか、修羅場スレとの線引きが難しいな。
向こうも修羅場への過程上、ほぼヤンデレ化してしまうから。
6名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 18:52:02 ID:w22gTeDZ
嫉妬スレは対抗馬がいて激しいバトルを繰り広げるが
こっちは特定の対抗馬がいないのに勝手に病んでいくみたいな?
7名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 19:15:18 ID:D0sTtARY
>>1
こうですか?わかりません!><
     o∝,;r''" ̄ ゙゙゙̄''''‐::;,,
   o9 .i'゙::          ゙i
△8   i':::::      ..     |
  8▽ .|::::::.      .. ::     |
  8 . r::!;::::::''ー-::;,,;:. ;;,;::-‐'''|
  8 . l :!lli:::::::r''"゙゙lア゙ i;:゙゙"lア |
  ilii .ヾ,:l!;:::::::::     ゙i   | <いいですとも!
  ''゙   ゙'lli;::::: .: ,-::;;,,_,!、  l
       .|::゙i;;::i .i゙;:――:;゙i. /
      .|::::;!゙'ii;.゙  ::::::: ゙/l
     ,:‐,| ヾ::ヾiii;;;;;;;―'゙ ,゙‐:、
8名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 20:21:24 ID:P1AXZkLo
質問があります
ヤンデレは、最初から病んでる子が病んだままデレるのでもいいのでしょうか?
9名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 20:53:55 ID:mEYw7okH
おれは、病んでさえいれば何でもいい。
10名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 21:25:40 ID:y/7XZU1c
>>8
悪くはないが、下手をするとただの痛い系キモ女になってしまう諸刃の剣。
やっぱ、段々と病んでくのがいいとおもう。
主人公への思いの強さ故に・・・という感じがよく出るし。

>>6
同意。
例えば克服したはずの過去のトラウマ・・・幼少時の愛の無い家庭や
両親の離婚、自分を引き取った方の親の虐待からくる精神の不安定さが
主人公と付き合いだすことで再覚醒するとかアリかも。
11名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 23:29:14 ID:V38lmzl/
石田敦子の漫画がそんな感じかね
作者の精神が心配な作品がたまにある
12名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 23:51:14 ID:P1AXZkLo
>>10
最初から発狂しているサイ娘を愛するスレかと思った
13名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 00:05:47 ID:qACkzsxA
>>7
ヤンゴルじゃん

つまり、ヤンガスデレデレなSSですな
14名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 02:19:48 ID:adrkbpWP
ヤンダルゾックとデレデレ。
15名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 10:14:12 ID:a5rt+aiw
>>6
つまりこんな感じか?

nana14071 [やすいひろさと] ポチっぷり

16名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 23:19:57 ID:TY0hKG1f
ヤンデレの定義というのがいまひとつ分からないのだが、とりあえずプロットを投下してみる。

・姉は実の弟に家族以上の想いを抱いているが、道徳観が邪魔をして一線を越えられない。
・他の女に弟を取られるのは嫌だが、それと同時に仲の良い姉弟の関係を壊したくないので身を引く。
・弟に彼女ができた。幸せそうな弟を見て、これで良かったと思う反面、どうしようもない苛立ちをおぼえる姉。
・弟への想いを打ち切るため、姉は他の男を付き合う。
・しかしその男が女を食い物にする悪いやつで、姉を性欲処理の玩具としか見ていなかった。
・姉に飽きたその男は、自分の連れに輪姦させる。
・精神が病んでしまった姉。弟は甲斐甲斐しく看病する。
・何とか立ち直った姉だが、結果的に大切なものが壊れてしまっていた。
・「私は弟を愛してる。だから弟も私を愛してる」
・「私がこうなってしまったのは弟以外の男と付き合ったから。だから私以外の女と付き合ってる弟もいずれ酷い目に遭ってしまう」
・「何とかして弟を守らなければ、それが姉としての義務だ」
・「……そうだ、弟を躾ければいいんだ」
・「私以外の女に興味を持たないように調教してあげればいいんだ」
・このような脈絡のない思考の元、弟の寝込みを襲う姉。
・自分の上で腰を振る姉にショックを受ける。やめてくれと頼むが効果なし。
・「ほら……お姉ちゃんのマ○コ気持ち良いでしょ?エッチならいくらでもさせてあげるからお姉ちゃんだけを見て……」
・それでも頑なに拒む弟。
・「○○(弟の名前)!マ○コ気持ち良いって言いなさい!!お姉ちゃんを愛してるって言いなさい!!!」
・結局姉の中で果てた弟。近親相姦に罪悪感を抱くが、幸せそうな姉を見ると責めることができなかった。
・それ以来日常的に関係を結ぶ(逆レイプ)。こんな関係はいけないと思いつつも姉を拒むことができない弟。
・そのうち姉は弟に暴力を振るうようになる。他の女に近づかないための躾として。
・だが暴力を振るわれた後、いつも謝ってくる姉。
・「ごめんね……○○ちゃんが心配だから……つい手が出ちゃうの……お姉ちゃんを許してね……」
・しかし日に日に酷くなっていく暴力。「また他の女のこと考えて!!○○ちゃんは悪い子ね!!!」
・度重なる暴力と、それと同じだけの愛情を注がれて、弟はどうしようもなくなっていた。

駄文スマソ。こういうのもヤンデレって言うのかな?
17名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 23:36:38 ID:9ZO5D1xf
>>16
イイね!まさにヤンデレって感じ
18名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 00:08:29 ID:EQRf+40f
ヤンデレって書くの難しいと思うな
19名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 00:16:30 ID:rT8pwRrt
20名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 00:22:26 ID:W96BxYC0
書いていると嫉妬スレのほうで発表すればいいかというかそんな出来に。
誰も書く人出てこないけど、このスレって職人さんとか別にいないのに勢いだけで立てられたの?
21名無しさん@ピンキー:2006/05/30(火) 00:13:11 ID:W56qDLe3
誰も書かないので駄文で埋める。ただしヤンデレと同時にただのサイ娘である。実験。

 須藤幹也は狂気倶楽部の一員である。
 しかし、彼は狂気倶楽部には一体何人いるのか、そもそも倶楽部が何をするところなのか。
 そんなことすら知らない。知ろうとも思わなかった。
 彼にとって狂気倶楽部は暇つぶしでしかなかった。
 無論、長い長い人生が終わるまでの暇つぶしである。

「雨に――唄えば――」

 古い歌を歌いながら幹也は階段を降りる。街の片隅、路地にひっそりと立つ喫茶店「グリム」の地下へ。
 グリムの地下は基本的に開放されているが、誰もそこに行こうともしない。
 そもそもグリムはごくきわまった趣味を持った少年少女しか集まらず、その地下にある「書架」ともなると
 狂気倶楽部の面々しか立ち入らないのだった。

「雨に――唄えば――」

 同じフレーズを延延と唄いながら幹也は降りる。古い板の階段が、一歩足を下ろすたびにかつんと鳴る。
 地下へと降りる階段は、きっちり13段だ。
 毎回幹也は数えながら降り、そのたびに幹也は一度としてみたことのないマスターのことを思う。
 彼は――あるいは彼女は――一体何を考えてこんな店を作ったのだろう?
 病んだ少年少女、ゴスロリ少女や歪んだ少年ばかりが集う喫茶店を。
 考えても仕方のないことだ、と幹也は割り切る。特定の何かに、彼はこだわりをもたない。
 だまって、十三段の階段を折り終え、

「あ。お兄ちゃんだ――っ!」

 地下に辿りついた幹也に、聞き慣れた、舌足らずの声が届いた。 
 人に甘えるような、生まれたばかりの子猫のような声。
 幹也はあえて声にこたえず、奥へと進み、一番奥の椅子に座ってから声の主を見た。
22名無しさん@ピンキー:2006/05/30(火) 00:25:14 ID:W56qDLe3
 声の主は、声の通りに少女だった。十と七を迎えたばかりの幹也よりも、ずっと年下に見える、幼い声と同様に幼い容姿。
 長い栗色の髪は膨らみ、彼女が動くたびにふわりと揺れた。
 裾にフリルのついた白いワンピースを着て、靴下も靴も何も履かずに裸足だった。
 栄養が足りず、細くなった手と足がむきだしになって見える。
 両の手首には、プレゼント用の包帯が巻かれている。
 幹也は知っている。その下に、醜い傷跡が残されていることを。
 椅子の隣、本棚から適当に本を選びつつ答える。

「ヤマネ。僕は君の兄じゃないと、何度言えばいいんだ?」
「えぇ――? で、でもぉ、」

 ヤマネと呼ばれた少女は首をかしげ、戸惑うように言葉を切った。
 幹也は構わず本を抜き出す。背にはこう書かれている。
――『黄金に沈むお茶会』。
 かつて狂気倶楽部にいた人間が書いた本の一冊である。

「お兄ちゃんはー、兄ちゃんだよね?」
「お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど僕は君のお兄ちゃんじゃないからお兄ちゃんじゃないんだよ」
「でもお兄ちゃんはヤマネのお兄ちゃんよね?」
「あーもうそれでいいから静かにしてろよ」

 呆れたように幹也が言うと、ヤマネは満面の笑みを浮かべた。大きな瞳がにっこりと閉じられる。
 幹也の『それでいい』だけに反応したのだろう。
 ゆったりとした安楽椅子に座り、本を広げる幹也。
 その幹也へと、裸足のままヤマネは近寄り、

「えへっ」

 頬に手を当てて笑ってから、ごそごそと、幹也の膝の上に上りこんだ。
 小柄な身体がすっぽりと幹也の胸に収まる。椅子の上でだっこをするのは、なれないと難しい。
 そして、幹也はもうそれに慣れていた。
 制服のすぐ向こうに、ヤマネの体温を感じた。
23名無しさん@ピンキー:2006/05/30(火) 00:34:30 ID:W56qDLe3
 細い足が、安楽椅子の下を蹴るようにぶらぶらと揺れる。
 そのたびにヤマネの小さな身体が揺れ、幹也の身体に振動を伝えた。
 すぐ真下にある髪から、シャンプーと、少女の臭いが混ざった、甘くただれた香りがした。

「お兄ちゃんっ、今日は何のご本?」
「『黄金に沈むお茶会』。いつもの変なご本だよ。『ご』をつけるほど大層なものじゃないけどね」
「読んで読んで読んでっ!」

 膝の上でばたばたと手を動かしながら嬉しそうにヤマネが言う。声は大きく、普通の喫茶店なら叱られるだろう。
 が、そう広くもない、椅子が12個と長い机が一個だけ置かれ、壁は全て本棚で埋め尽くされた図書室に人はいない。
 いつもの面子はおらず、今は、ヤマネと幹也しかいなかった。
 本を遮るように動く細く白い腕と、その手に巻かれた紅いリボンを見ながら、幹也は言う。

「読んでやるから、手は動かさないでくれ。読めない」
「はーい!」

 がっくんがっくんと頷き、ヤマネは手をばんざいし、幹也の首に絡めた。
 そのままくるりと半身をひねり、猫のように全身で幹也に抱きつく。
 とても、三つ下の少女とは思えなかったが、幹也は特に気にしない。これも『いつも』だ。
 首筋に触れる髪を感じながら、幹也は表紙をめくった。
 声に出して、幹也は読み始める。
 最初のページには、たった一行だけ、こう書かれていた。


『むかしむかし。でも、むかしっていつだろう? 少なくとも、明日よりは近いのよね 』

24名無しさん@ピンキー:2006/05/30(火) 00:40:19 ID:W56qDLe3
『 むかしむかし。でも、むかしっていつだろう? 少なくとも、明日よりは近いのよね。
  明日は永遠に来ないけど、少なくともむかしは記憶にはあるもの。
  あら、でもそうね。永遠に手が届かないという意味では同じかしら。
  わからないわね。
  でもきっと、この本を誰かが読むときは、私は「むかし」になってるのよ。
  できれば、そのときに私が生きていないことを祈るわ。だってそうでしょう?
  無事に死ねたのなら、それが一番の幸せですもの!

  それで、むかし。手が届かない昔ね。
  一人の女の子と、独りの女の子がいたの。
  二人の女の子は決して出会うことはなかったわ。だって、お茶会には椅子が一つしかあいてなかったから。
  一人の女の子は、お茶会で、楽しくお喋り。
  独りの女の子は、お茶会で、独り寂しくお茶を飲む。
  そのうちに、独りの女の子は考えたの。
  一人の女の子がいなくなれば、自分は一人になれるんじゃないかって。
  というわけで、思い立ったら吉日よね。独りの女の子は、紅茶のポットに毒を入れたわ。
  黄金色に輝く毒を。とってもおいしそうな毒を。
  次の日のお茶会で、一人の女の子は、そのおいしそうな毒を飲んだわ。
  でも残念なことに、お茶会のメンバーは、あんまりにもおいしそうだったから、その毒を全員飲んじゃったの。
  そうして、独りの女の子は、一人の女の子になれたけど。
  やっぱり、お茶会では、独りだったの。
  独りきりでお茶会をしている女の子は、ある日、一つ残ったティーカップに、黄金色のお茶が残ってるのに気づいたの。
  それが何か独りの女の子は知っていたけど、あんまりにもおいしそうだから。
  独りの女の子は、それを飲んじゃったの。
  それで、おしまぁい。お茶会には誰もいなくなっちゃった   』
25名無しさん@ピンキー:2006/05/30(火) 00:53:37 ID:W56qDLe3
 短いその本を読み終えて、幹也は小さくため息を吐いた。
 何のことが書かれているのか、まったく分からなかった。
 分からなかったが、少なくとも、暇は潰せた。
 あとは、そのわからないことを考えて暇を潰せばいい。全てはその繰り返しだった。

「お見事、お見事、大見事。さすが朗読が上手いわね、三月ウサギ」

 ぱん、ぱん、ぱん、と。
 なげやりな拍手の音と共に、少女の声がした。
 ヤマネの声ではない。ヤマネよりも冷たい感じのする、鋭い声だ。
 拍手と声のする方向を幹也は見る。
 13階段の傍。本棚に背をもたれて、長く艶のある黒髪の少女が立っていた。
 少女は男物のタキシードを着て、小さなシルクハットをかぶり、おまけに黒い杖まで持っていた。
 彼女もまた、狂気倶楽部の一員であり、幹也――今この場では三月ウサギだが――とヤマネの知り合いだった。

「……マッド・ハンター。着てるのならば声をかかえればいいのに」
「あら、あら、あら。ごめんあそばせ。あんまりにも仲がいいから邪魔をするのも悪くてね」

 つ、と紅色がひかれた爪先で、マッド・ハンターは幹也を指差す。
 そこには、幹也に抱きつくようにして甘えるヤマネがいる。朗読中はずっとこうだった。
 幹也は小さくため息を吐き、

「言っとくけどね、僕は発情期じゃないよ」
「あら、あら、あら。でも、発狂期なのでしょう?」
「……ハ」
「あら、あら、あら。違ったかしら? そうね、違うわ。永遠の発狂を『期』とは言わないもの」
「君に言われたくはないな、イカレ帽子屋め。何人の帽子を集めりゃ気がすむんだ」
「それは、それはもう!」

 マッド・ハンターは言いながらくるりと回り、ステップを踏みながら、かろやかに椅子の背を引いてそこに座った。
 幹也とは対角線上。長机の一番端に。
 座り、足を組み、肩に杖を乗せてからマッド・ハンターは答えた。

「全て、全て、全ての帽子を集めるまで、ですよ!」
「その前に君が死ぬのが先だと思うがね」
「あら、あら、あら! そしたら私の帽子が手に入るわけね。すばらしいわ」

 言って、マッド・ハンターはくすくす笑った。
 処置なし、と心の中で呟き、幹也は手持ち無沙汰になった手をヤマネの髪に伸ばす。
 栗色の毛を、手ですきながら、幹也は言った。

「ヤマネ。今日はお前一人か?」
「うん? うぅん?」
「どっちだよ」
「えっとねぇ。お兄ちゃんがいる」
「……。他には?」
「お兄ちゃんがいれば、それでいいよっ!」

 マッド・ハンターと幹也は同時にため息を吐いた。聞くだけ無駄、というやつである。
 仕方なしに、幹也はマッド・ハンターに尋ねる。

「『眼球抉りの灰かぶり』はどうした? あいつ暇なんじゃなかったのか」
「あの子は、あの子の、あの子なら最近新しい子に熱中中中中よ」
「繰り返しはいいよ――ああ、じゃあ今日は狂気倶楽部というより、『お茶会』だな」
「うふ、うふふ、ううふふ。ヤマネにマッド・ハンターに三月ウサギ。穴から転げる子は来るかしら?」
「『裁罪のアリス』は無理だろ。あいつがいちばん忙しいだろ」

 幹也はいいながら立ち上がる。誰もこないのなら、自分がやるしかない。
26名無しさん@ピンキー:2006/05/30(火) 00:59:51 ID:W56qDLe3
 椅子から立ち上がり、幹也は上へと向かった。飲み物を取りにいくためだ。
 マスターの存在しないこの店では、自分たちでやるしかない。

「わ、わ、にゃ! お兄ちゃん落ちるっ!」
「落ちたくないならつかまってろよ。それが嫌なら落ちろ」

 幹也の言葉に、ヤマネはさらに手に力を込め、両足を腰に回し、全身で幹也にしがみついた。
 意地でも歩く気が存在しない。
 軽いので問題はなかった。幹也はヤマネを抱えたまま階段まで行き、

「紅茶、紅茶、紅茶をお願いね」

 後ろから聞こえる声に、手をひらひらと振って答えた。
 十三の階段を着合いで昇り、喫茶店『グリム』のカウンターへと真っ直ぐに進む。
 中で優雅に茶を飲んでいるゴスロリ少女たちが不審げな――あるいは羨ましげな――瞳で見てくるが、全部無視した。
 狂気倶楽部とは、格好から入る少女にとって、敬愛と侮蔑と尊敬と憎悪の対象でもある。
「他人と違う」ということに憧れる少女は狂気倶楽部に入ろうとし。
「誰とも違う」ということに気づいて、狂気倶楽部を怖れ憎むのだ。
 その視線を全て幹也は無視する。ヤマネはそもそもまったく他を見らず、ただ幹也に甘えるだけだ。
 手早く、適当に紅茶とコーヒーとホットミルクを用意して、盆につぎ、零さないように地下へと戻る。
 地下の図書室では、マッド・ハンターが本を読みながら待っていた。

「おお、おお、おお! お疲れさまだね、三月ウサギ」
「そう思うなら少しは手伝ってくれ――はい、紅茶」
「どうも、どうも、どうもありがとう」

 お礼を言うマッド・ハンターの前に紅茶を置き、残る二つを手に幹也は下の椅子へと戻った。
 ヤマネは、今度は、背を幹也にもたれて座った。
 三人は手に飲み物を取り、掲げ、声を揃えていった。

「――『狂気倶楽部に乾杯』」


(続)
27名無しさん@ピンキー:2006/05/30(火) 01:24:11 ID:W56qDLe3
極めて意図的に中二病向けなサイ娘が書きたくなった
読み返したら本気で中二病っぽかった
プロット考えたら嫉妬スレ向けになった
こっそり早く書き上げよう
28名無しさん@ピンキー:2006/05/30(火) 01:56:25 ID:tf4jy+E/
>>27
中二病患者でサイ娘好きの俺はワクテカしながら読んでました
続き期待してます


しかしあれだね
嫉妬スレの包含するものは大きいし向こうは人も作者も多いから
ここは病んでればそれでいいスレにした方が住み分けになると思うんだ
そもそも住み分ける必要があるのかどうかは分からんけども
29名無しさん@ピンキー:2006/05/30(火) 02:17:43 ID:W56qDLe3
 狂気倶楽部とは、つまるところ「ごっこ遊び」である。
 誰が言い出したのか、誰が作り出したのかすらはっきりしない。
 ただ、その『始まり方』だけははっきりと伝わっている。なぜならば経緯を記した地下図書室にあるからだ。
 元々喫茶店「グリム」は少し変わった喫茶店であり、古いアンティークと雰囲気が合わさって
 ゴスロリ少女が集まる、通向けの喫茶店だった。
 そのうちに、集まる少女の誰かが言った。
『ごっこ遊びをしましょう』
 集まる少女の誰かが賛同した。
『本名を隠して、「お話し」の名前を借りて。ごっこ遊びをしましょう』
 集まる少年の誰かが賛同した。
『キャラクターをなぞらえて。二つ名をつけて。楽しい楽しいごっこ遊びをしましょう』
 集まる少女と少年が賛同した。
『私はアリス』
『あたしは赤頭巾』
『僕はピーターパン』
『わたくしはシンデレラ』
 こうして、童話と元にした、『ごっこ遊び』が始まった。
 始めは他愛のない、あだ名の付けあいのようなものだった。
 けれども、ゆっくりと、それは変質していった。
 本名も何も知らない、喫茶店だけで通じるあだ名。
 それは選民意識を伴い、やがては、『ごっこ遊び』から『物語』へと変わる。
 異端な登場人物。真似、ではなく、本物になっていた。
 初代シンデレラは親友の目を抉って自殺した。
 初代アリスは、その存在を特別なところへと押し上げた。
 初代ピーターパンは、永遠を求めるあまりに発狂した。
 初代赤頭巾は、親戚に地下室に閉じ込められて堕ちてしまった。
 そうして。
 その名は受け継がれ。二代目たちは、最初から異端なものたちで構成され。
 名前を受け継ぎ、二つ名をつけられる彼女ら、彼らは、いつしかこう呼ばれた。
 喫茶店に来るだけで、名前を受け継がれない「観客」たちから、こう呼ばれたのだ。

――「狂気倶楽部」と。
30名無しさん@ピンキー:2006/05/30(火) 02:30:06 ID:W56qDLe3
 そして今、三代目「三月ウサギ」こと、『五月生まれの三月ウサギ』須藤幹也は優雅にコーヒーを飲んでいる。
 彼の本名を、この場にいる人間は誰も知らない。
 幹也も、今この場にいる二人の本名を知らなかった。
 あくまでもこの場だけの付き合い。死ぬまでの暇つぶし。
 虚無的で刹那的な空間を、そしてそこにいる異常な、この場ではあるいみ通常な少女たちを気に入っていた。
 居心地がいい、とすら思った。久しく飽きることはない。そう感じた。

「お兄ちゃんっ! 今日はもうご本読まないの?」

 膝の上に座る、ヤマネ――何代目かは知らない――『眠らないヤマネ』は、顔を上げて幹也にそう問いかけた。
 ぴちゃぴちゃと猫のように舐めていたホットミルクが、いつの間にか空になっていた。
 逆しまになった瞳を見つめて、幹也は答える。

「本は飽きたよ。一日一冊で十分だ。たまにはヤマネが読めばいいじゃないか」
「やーだよ。ヤマネは、お兄ちゃんに読んで欲しいんだもんっ!」

 言って、コップを机に置き、ヤマネは再び反転した。
 猫がそうするように、幹也の膝の上で丸くなった
 どこが『眠らない』だ、と幹也は思う。二つ名をつけるのは一代前の人間か、あるいは『名づけ親』と呼ばれる倶楽部仲間で、本人の意思ではない。
 回りがそう感じたからこそつける名前が二つ名だ。
 眠らない――活発に動き続ける、ということだろう。
 死ねば動かなくなるかな。そう思いながら、幹也はヤマネの頭をなでた。

「今日も今日も今日とて仲がよさそうだね。いやはやいやはや妬けてしまうよ」

 呆れるように、からかうようにマッド・ハンターが言う。『首刈り』という物騒な二つ名を持つ少女だ。
 もっとも、幹也は彼女をそう恐れてはいない。マッド・ハンターの趣味は、大抵同年代の少女へと向いているからだ。
 幹也にとってはお喋りで面倒な相手でしかない。
 それでも構うのは、やはり暇だからだろう。

「焼けるっていうのは、二枚舌でも焼けるのか」
「いやいやいや。残念ながら私の下は一枚だもの。焼けてしまったら困る」
「焼けて静かになった方が世界のためだ」
「君の世界はどうか知らないが、私の世界はこれで幸せだよ」

 マッド・ハンターは、満足げにそう言って、手にしていた本を机の上に投げ置いた。
 しおりも何もはさまっていない。読み終えたのか、続きを読む気がないのか。
 恐らくは後者だろう、と幹也は思う。
31名無しさん@ピンキー:2006/05/30(火) 02:45:04 ID:W56qDLe3
 無視して、ヤマネの頭をなでながら思考に戻る。
 今日の暇つぶし的な思考は、先ほど読んだ本についてだ。
 少女が片方を毒殺し、毒殺することで独りになり、最後には誰もいなくなる話。
 出来の悪いマザーグースか何かのように思えた。これを作った奴はそうとうにひねくれているに違いないと幹也は思う
 この本は、書店に流通している本ではない。
 喫茶店「グリム」の地下の「図書室」に存在する本。
 それらは全て、過去の「狂気倶楽部」のメンバーが書いたものだ。
 基本的に著者は乗っていない。文体でこの本とこの本は同じ人が書いたな、と思うくらいだ。
 本は、誰かに見せるための本ではなかった。
 ただ、暗い嫌い自分の内面を吐露しただけの、怨念のような本だった。
 それを、幹也は、何を気負うこともなく毎日読んでいた。
 学校から還って、寝るまでの時間を、幹也はここですごす。
 居心地がいいのでも、合いたい人間がいるのでもない。
 一番『マシ』な秘密基地だから、とでもいうかのような理由だった。

「ヤマネは本は好きかな?」

 幹也の問いに、ヤマネは丸まったまま即答する。

「お兄ちゃんの方が好きだよっ!」

 それは嬉しいことだ、と幹也は思う。
 たとえ出会った瞬間に「お兄ちゃんっぽいからお兄ちゃんっ!」と言われ、それ以降依存するかのように
 つねにべったりと甘えられているとしても、好意を向けられていることは嬉しかった。
 好意を向けられれば、少なくとも暇つぶしはできるから。
 依存と調教。ヤマネと幹也は歪な関係であり――
32名無しさん@ピンキー:2006/05/30(火) 02:45:54 ID:W56qDLe3

「今日も、今日も、今日とて君はやるのかな?」

 マッド・ハンターの楽しそうな声。

「まあね――どうせ、暇だし」

 幹也は答え、ヤマネの頭をなでていた手を、おなかの下へと回す。ヤマネの小さな身体を抱きかけるように。

「うぃ? お兄ちゃん?」

 ヤマネの不思議そうな声。嫌悪はにじみ出ていない。
 幹也は片手でヤマネを持ち上げる。満足に食事をしていないのか、酷く軽かった。
 持ち上げて、机の上からコップをどかし、広くなった机にヤマネの身体を置いた。
 丸いヤマネの瞳が、幹也を見上げている。

「うぃ、お兄ちゃんやるのっ?」
「暇だしね」
「いつものようにいつものごとく、見させてもらおうかな」

 そう。
 狂気倶楽部においては、歪こそが正常である。
『元ネタ』が共通しているせいか、ヤマネとマッド・ハンターと幹也は、比較的話す機会があった。
 ヤマネが依存し。
 幹也が壊し。
 マッド・ハンターが薄く微笑みながらソレを見る。
 異常な光景が通常に行われる場所。それが狂気倶楽部の集い場だった。
 そして、幹也は、いつもの如く、

「――それじゃあ、暇つぶしだ」

 机に押し倒した、小さなヤマネの細い首に、手をかけた。


(続)
33名無しさん@ピンキー:2006/05/30(火) 02:47:47 ID:W56qDLe3
>>28
ありがとう

嫉妬や修羅場分が少ない、サイ娘少女による異常な純愛とか
そういうのなら修羅場スレよりこちら向きかもしれない
34名無しさん@ピンキー:2006/05/30(火) 21:35:58 ID:L2vHHL9M
ヤンデレ抜きで普通におもしろげだな
35名無しさん@ピンキー:2006/05/30(火) 23:54:32 ID:dUdy7Kor
 幹也が先代三月ウサギ――『12月生まれの三月ウサギ』に出会った場所は、実を言えば狂気倶楽部やグリムではない。
 そもそも、『三月ウサギ』として出会ったのではない。
 学校の図書室に残る、二つ年上の三年生の先輩。二つ名のない、普通の学生である「里村・春香」と出会ったのだ。
 出会った場所は、陽が暮れかけて、赤く染まった図書室。
 誰もいなかった。図書室は閉館時間を向かえ、図書委員である春香を除いて、誰もいなかった。
 幹也がいたのは完全に偶然である。ただ暇つぶしのために本を読んでいて、気づけば閉館時間になっていたのだ。
 気づけば、誰もいなくなっていた。
 誰もいなくなっていることにさえ、幹也は気づいていなかった。春香が声をかけなければ、永遠にそこで本を読み続けていたかもしれない。

「ねぇ」

 幹也が顔をあげると、三つ編みの髪を三つ作った、銀縁眼鏡の先輩がいた。
 叱られるかな、そう思った。
 別に叱られても構わないな、そう思った。
 どんな事態になれ、暇つぶしにはなるからだ。

「……何ですか?」

 問い返す幹也の持つ本を指差して、春香ははっきりと言った。

「その本、死ぬほど詰まんないわよ。読むくらいなら死んだ方がマシね」

 意外な言葉だった。
 そんな言葉を言われるとは、少しも思っていなかった。
 せいぜい、「閉館時間ですよ」と言われるくらいだと思っていた。
 興味がわいた。
 だから、幹也も正直に答えた。

「つまる本なんてあるんですか?」

 その言葉が、そのときはまだ名前も知らなかった里村・春香の興味を引いたのだと、
 幹也は数ヵ月後、春香の二つ名と共に知ることになる。
36名無しさん@ピンキー:2006/05/31(水) 00:09:07 ID:ju7bF4dq
 そして今――幹也は『三月ウサギ』を里村・春香から受け継ぎ、グリムの首を絞めている。
 数ヶ月の間、暇つぶしの相手になってくれた里村・春香はもういない。
 狂気倶楽部において、名前を継ぐというのはそういうことだった。
 里村・春香はどこにもいない。
 幹也は彼女から二つ名と、喫茶グリムの存在と、狂気倶楽部での椅子を受け取り。
 暇を潰す場所を、学校の図書室から、グリムの図書室へと移した。

「あ――っ、う、あ、」

 首を優しく絞められて、グリムは嬉しそうに呻いた。力を込めていないので、普通に喋れはする。
 力を込めれば死ぬということに、代わりはないけれど。
 遊びを思いついたのがグリムだったのか幹也だったのか、あるいは他の誰かだったのか、幹也はもう憶えていない。
 気づけば、こんな関係になっていた。
 幹也は思う――これくらい普通だ。自分は普通だ。みんなしたいと思っている。する相手がいないだけだ。いい暇つぶしだ。
 平然と首を絞める少女こそが狂っていると、幹也は思う。

「お兄ちゃんっ、もっと、もっとぉ、」

 甘えるようにグリムが言う。
 本人曰く、首を絞められるのは、たまらなく心地良いらしい。
 殺意を以って支配されている感覚が、死を以って繋ぎとめている感触が、相手の全てを共有している気分が、
 寂しがり屋で甘えん坊で、独占欲と依存癖の塊であるグリムにとっては、何よりも心地良いらしい。

「言われなくてもやるさ――暇だからね」

 首を絞める手に力を込める。
 グリムの細く白い首に、ゆっくりと、指先が食い込んだ。そのたびにグリムは嬉しそうに笑う。
 その気持ちは、幹也にはまったく分からない。
 首を絞められて何が楽しいのかわからない。他人を支配も共有も共存もできるはずがないとすら思う。
 こんなのは暇つぶしだ。リアルに還ってくる相手の反応が楽しいだけだ。
 冷めて冷静な心とは反対に、身体は、熱を持ったように動き始めた。
37名無しさん@ピンキー:2006/05/31(水) 00:30:10 ID:ju7bF4dq
 首を絞めながら、幹也は身を近づける。グリムの小さな身体を押しつぶすように。
 顔を近づけ、グリムの小さな耳を優しく噛む。こりこりと硬い感触があった。
 そのまま噛み千切ったら、この少女はどんな反応を示すだろうか。そんなことをふと思う。

「あ――、あっ、あは、あはっ」

 首を絞められ、身体を端から食べられかけながら、グリムは嬌声と笑い声が混ざり合った声を漏らす。
 心の底から楽しそうだった。虚ろな瞳は妖しく笑っている。
 独占と依存を背負うグリムにとって、食尽というのはある意味究極のあこがれなのかもしれない。
 そして、幹也にとっては。
 そんな憧れなど、知ったことではなかった。

「楽しいね。楽しいと思いたいものだよ、本当に」

 口から漏れる言葉に意味はない。まったく意味のない、ため息のような発言だ。
 けれども、グリムはその言葉を聞いて、さらに嬉しそうに笑う。

「お兄ちゃんっ、楽しい、たのし、いのっ! やったっ」

 首を絞められ、途切れ途切れの声で、それでもグリムは嬉しそうに言う。
 幹也は片手で首を絞めたまま、右手をゆっくりと下へと這わせた。
 むき出しになった鎖骨をなぞり、さらに下へ、下へ。
 フリルのついた裾まで辿りつくと、手は服の下へともぐりこみ、今度は上へと上がった。
 ふくらみのない胸――ではなく。はっきりと形の分かるアバラを、一本一本幹也はなぞっていく。

「あ、あは、あはっ、あはははっ、あははははははははははははっ!」

 くすぐったいのか。楽しいのか。気持ちいいのか。嬉しいのか。
 首を絞められ、鎖骨をなぞられながら、グリムは笑い続ける。
 その笑いを塞ぐかのように、幹也は耳をかんでいた唇を、グリムの唇へと移した。
38名無しさん@ピンキー:2006/05/31(水) 00:43:03 ID:ju7bF4dq
 重ねた唇から舌を伸ばしてきたのは、グリムの方だった。
 八本、九本とあばらを数えながら、倒錯した行為を続けながら、幹也も舌を絡ませる。
 意志を持った触手のように、二対の舌は勝手に蠢き、口の端から唾液が漏れた。
 倒錯した行為に没頭しながらも――幹也の頭は冷えていた。
 どうしてこんなことをしているのだろう、と自問して。
 暇だからだ。時間つぶしにはなるからだ、と自答できるほどには。

「ん、っん、んぁ――、う、あ、」

 少しだけ、手に力を込める。首を絞める手に。
 繋げた唇の向こうで、グリムが苦しげに息を履いたのが分かった。
 唾液と下に混ざって、吐息が口の中に入り込み、幹也の肺腑を侵食していく。
 首を絞め。細い身体を好き勝手に弄びながら、幹也はキスをしたままグリムを見た。
 目をつぶるなどという、殊勝な行為はしていなかった。
 グリムは瞳をしっかりと開け、身体をすき放題にする幹也を、じっと見ていた。
 その瞳は笑っている。その瞳は物語っている。
 獲物を絡め取った蜘蛛のように笑うグリムの瞳は、こう言っている。

――楽しい、お兄ちゃんっ? もっと楽しんでいいの。でも――その代わり。

 篭絡する瞳で、歳にあわない妖艶な、狂った瞳で、グリムはこう言うのだ。

 ――ずっと愛してねっ。ずっと、ずっとグリムのお兄ちゃんでいてねっ。

 幹也は唇を離す。ぬるりと舌が滑りながら、グリムの唇から抜け出る。
 顔を離すことなく、間近で幹也は言う。

「楽しいよ――ありがとうグリム」

 手を離すことなく、心中で幹也は思う。

 ――楽しくはない。退屈だ。ああ、暇が此処にある。

 倒錯した二人は、そのまま、倒錯した行為に溺れていく。お互いを食い合うような行為に。
 その行為を、口を挟むことなく、マッド・ハンターは見ていた。
 異常な二人を、にやにやと、にやにやにやと笑いながら、異常な笑みを浮かべながら、ずっと見ていた。
 倒錯した行為は終わらない。
 倒錯したお茶会は、どこまでも続く。


(続)
39名無しさん@ピンキー:2006/05/31(水) 00:45:57 ID:ju7bF4dq
大体のストーリーは考えてはいるものの、考えながら書いてるので変なところがあったら申しわけない。
エロはなし。倒錯行為だけで。
タイトル考えてないことに今更気づいた……とりあえず、一応は幹也とグリムの話です。
ヤンデレでサイ娘で嫉妬で修羅場で死亡なお話し
40名無しさん@ピンキー:2006/05/31(水) 02:04:40 ID:GMOaiQZQ
サイ娘キタコレ!

続き期待して待ってます
41名無しさん@ピンキー:2006/05/31(水) 02:12:06 ID:M/ahUCy2
もはやヤンデレとかサイ娘とか抜きで面白い
更にその味付けが深くなった日には恐ろしく上質なものが出来るなぁ
流石です、作者様(*´д`*)
42名無しさん@ピンキー:2006/05/31(水) 02:37:50 ID:uTAUNG6e
ヤマネなのかグリムなのか
何かのトリックの可能性もある

というわけで続きが
+   +
  ∧_∧  +
 (0゚・∀・)   ワクワクテカテカ
 (0゚∪ ∪ +
 と__)__) +

43名無しさん@ピンキー:2006/05/31(水) 02:41:17 ID:ju7bF4dq
 里村・春香と出会ってから分かれるまでの数ヶ月の間、幹也は春香を好きだと思ったことは一度もなかった。
 ただ、彼女の左手に隠すことなく刻まれた細く数多い傷跡は、幹也の興味を惹くだけのものがあった。
 幹也には自傷癖も他傷癖もない。そういうことをする人間に対する興味はあった。
 なぜそうするのか――それを考えていれば、正しく暇つぶしになった。

「どうしてこういうことをするの?」

 夕暮れの図書室。紅く染まった、本と埃の、時の積み重なったにおいのする部屋。
 二人だけの世界で、幹也は、春香の手首を舐めている。
 手首につけられた傷跡を、穿り返すかのように、丹念に舐めている。
 春香は光悦とした表情とともに答えた。

「人による。狂気倶楽部には、手首を切る人は多いけど、みんな理由が違う」

 狂気倶楽部、という名前を、幹也は図書室で「遊ぶ」ようになってから幾度となく聞いていた。
 それが何かと聞いても、春香は決して教えようとはしなかった。
 いつか教えてあげる。それまで誰にも秘密。その二つだけしか言わなかった。
 幹也もそれ以上尋ねようとはしなかったし、誰にも話すつもりはなかった。
 そもそも、学校では「可もなく不可もなく特徴のない」生徒だった幹也には、そういうことを話す相手はいなかった。
 家でも、学校でも、彼は普通である。ただ、退屈していただけだ。
 何の理由もなく、何の原因もなく、生まれつき彼は――ただひたすらに、退屈していた。
 だからこそ、こうして退屈しのぎと称して、退廃的で倒錯した行為にふけっている。
 手首から舌を外して、幹也はもう一度尋ねた。

「なら――春香の理由は?」

 幹也は、学校では『12月生まれの三月ウサギ』ではなく、名前で呼んでいた。
 春香がそう懇願したのだ。まるで、特別な絆を作るかのように。
 春香は微笑んで、答えた。

「死にたいから。死にたいけど怖くて、手首しか切れないの」

 分からなかった。
 どうして死にたいのか。
 だから、幹也は尋ねた。

「春香は、どうして死にたいの?」

 笑ったまま、春香は答えた。

「生きるのが怖いから」

 この答えの25日後、里村・春香は言葉どおりに、屋上から飛び降り自殺をした。
 そしてその遺言に従い、幹也は暇をもてあましながら、喫茶店「グリム」を訪れたのだった。
44名無しさん@ピンキー:2006/05/31(水) 03:08:51 ID:ju7bF4dq
 退廃的で倒錯的な行為を終えて、幹也はグリムの身体から離れた。
 机の上で、グリムは、ぐったりと力を失って気絶している。
 フリルのついた、黒いワンピースが乱れていた。
 色こそ違うものの、その姿は、いつかの日のヤマネに似ていると思った。
 それもそうだ、と幹也は内心で頷く。ヤマネにやったようなことを、グリムへやったのだから。
 行為を終え、椅子に深く座りなおした幹也に、マッド・ハンターがにやにや笑いと共に話しかけた。

「やぁやぁやぁ。『盲目のグリム』は有望な新人でしょう?
 排他的でも自傷的でもない、誘いうける依存者は久しぶりだよ」

 幹也は、眼前の机の上で横になるグリムと、昔と変わらず対角線上の端に座るマッド・ハンターを見つめて言う。

「喫茶店の名前はつけないものとばかり思ってたよ。分かりにくいことこの上ない。
 途中から喫茶店に向かって話しかける気分になった」
「まぁ、まぁまぁそれも仕方がないよ。この子、どうにもマスターの関係者らしいよ。
 会ったことはないそうだけれどね」

 随分と曖昧で適当なことだ、と幹也は思う。久しぶりに来たが変わりはない。
 あの頃。
 春香を失い、暇をもてあまし、マッド・ハンターとヤマネと過ごしていた頃と、何も変化はない。
 きっと、永遠に変化しないまま、唐突に終わるのだろう。
 まったく変わらないマッド・ハンターは、やはり変わらない笑いを浮かべながら幹也に言う。


「しかし、しかし、しかしだね。三月ウサギ君はどうにも、『妹』に好かれやすい節があるね。
 ヤマネの時もお兄ちゃんと呼ばれていただろう? 懐かしいね。
 君の本当の妹も、お兄ちゃんって呼んだのかな?」
「狂気倶楽部の外の話は、ここではナシだったはずだろう?
 そのルールも変わったのかい、マッド・ハンター」
「いやいやいや。変わってないよ。ただし、君の場合は有名になりすぎたからね」

 ――有名。
 マッド・ハンターの言葉は間違っていない。
 ヤマネと分かれ、狂気倶楽部からしばらく離れるきっかけになった事件で、幹也は有名になった。
 マッド・ハンターも、その事件を知っているし、本来秘密のはずの幹也の本名も知っている。
 それでも二つ名で呼んでくれるのは、マッド・ハンターの優しさなのかもしれない。

「それで、それで、それで? 君はまたしばらくここにいるの?」
「いや――」

 幹也は言葉を斬り、失神したまま動かないグリムを見る。
 今は失神しているだけだ。
 けれど、いつかは死ぬかもしれない。
 里村・春香のように。
 そして――ヤマネのように。

「この子を愛せるようになったら、またどこかに行くさ」

 グリムの黒い服と白い足を見ながら、幹也はふと思い出す。
 ヤマネのことを、春香のことを。
 忘れることのない、一瞬だけ退屈から救われた事件のことを。


(続)
45名無しさん@ピンキー:2006/05/31(水) 22:17:28 ID:VAe4dHpS
後から後から微笑がこぼれてくる。
46名無しさん@ピンキー:2006/05/31(水) 23:51:29 ID:4mtc8WIK
読み直すと苦笑いが出てくる。
書きたいサイ娘シーンまで頑張ろう俺

時空軸の表記がないので判りにくいことに気づきました
一レス内で時間が跳ぶことはありません
春香時代と、ヤマネ時代と、グリム時代の三編が絡み合ってます
47名無しさん@ピンキー:2006/06/01(木) 02:02:09 ID:zXEahP8G
 狂気倶楽部の数少ない原則の一つに、外での関わりを持たないというものがある。
 外で話すな仲良くなるな、ということではない。
 他の人間に、狂気倶楽部という存在を知られるな、ということである。
 一対一でこっそりと密談するのならばいい。けれども、横の繋がりを、外に知られてはならない。
 そういった、排他的な面が狂気倶楽部にはあった。
 それは、狂気倶楽部の面子が――事件を起こしやすいという一面を持つからだ。
 自殺なり他殺なり。
 何かの事件を起こしやすく、起こしたときに、個人ではなく狂気倶楽部を責められないように。
 あくまでも喫茶店グリムとその地下図書室を除いては、彼ら、彼女らは他人同士だった。
 本名も住所も分からない、二つ名と異常性だけのつながり。
 だから――

 里村・春香の葬式には、狂気倶楽部の面々は来なかった。

 そのときはまだ幹也は狂気倶楽部の一員ではなかったけれど、そのことだけは断言できる。
「学校代表者」を除けば、春香の葬式には、幹也しか来なかったからだ。
 誰もいない葬式。
 両親と、義理でくる人以外には、誰もいない葬式だった。
 誰もかもがおざなりに泣いていた。
 幹也は泣かなかった。
 泣かずに、ただ、

 ――ああ、彼女は本当にこの世に未練などなかったんだな、と思った。

 そうして、生前ただ一人の友人とった幹也は、葬式から帰るその足で喫茶店「グリム」へと向かったのである。
 
48名無しさん@ピンキー:2006/06/01(木) 02:20:56 ID:zXEahP8G
 そして今、『五月生まれの三月ウサギ』という二つ名を得て、幹也は地下図書室で暇を潰している。
 膝の上には白いワンピース姿のヤマネ。
 情欲と肉欲と食人と他傷を混ぜ合わせたような行為を経て、ぐったりと力を失って幹也にもたれかかっている。
 その目に光はなく虚ろだが、幸せそうに笑ってもいた。
 幹也はその細い両手首を掴み、普段は隠されている手首の傷を、抉るように撫でていた。
 普段傷を隠してるプレゼント用のリボンは、今は何かの冗談のようにヤマネの首に巻かれている。
 まるで、絞めた跡を隠すかのように。

「雨に――唄えば――」

 手首の傷を撫でながら、子守唄のように幹也はワン・フレーズを繰り返す。
 手首の傷。
 春香は死に損ねた結果としての傷だった。
 ヤマネは、「お兄ちゃんに会えなくて寂しいときにつけるのっ!」と言った。
 幹也には自殺をする人間の気持ちも自傷をする人間の気持ちも分からない。
 そういうこともあるか、と思うだけだ。
 暇を潰すために、傷口を唄いながら撫で続ける。

「前から、前から、前から思っていたのだけど。君、映画に何か思いいれでもあるの?」
「映画?」

 幹也の問いかけに、反対側の椅子に座るマッド・ハンターは「雨に唄えば」と言った。
 幹也はああ、と頷き、

「そっちじゃないよ」

 ん? と首を傾げるマッド・ハンター。
 幹也は掴んだヤマネの手首をぷらぷらと揺らしながら答える。

「『時計仕掛けのオレンジ』の方」
「なんともなんともなんとも――悪趣味なまでに良い趣味だね君は」
「そうかもしれないね。でも、あれは退屈しのぎとしては楽しそうだよ」

 映画の中。暇な遊びとして、唄いながら暴行を加えるシーンを幹也は思い出す。
 そして、今こうしてヤマネにしているのも、同じようなのかもしれないな、と思い、自嘲げな笑みを浮かべる。
 愛情を受け止める手段として、首を絞め、身体を弄ぶ。
 それが、暴行と殺害に代わったところで、意味は変わらないだろうと思うのだ。
 首を絞められても喜ぶヤマネは。
 たとえ殺されても、喜ぶだろう。
 その瞬間、相手を独占できるのだから。
49名無しさん@ピンキー:2006/06/01(木) 02:35:30 ID:zXEahP8G
「うあー? うぃ、お兄ちゃん……?」

 マグロのように虚ろだったヤマネの瞳に、ようやく意志の色が戻ってきた。
 全身を幹也に預けたまま、顔だけを上げて幹也を見る。
 丸い瞳と目が合う。
 ふと目を突きたくなった。きっと、時計仕掛けのオレンジの話をしていたからだろう。
 目を突く代わりに、その栗色の髪をなでてやった。

「ひゃはっ! お兄ちゃんっ、くすぐったいよっ!」

 ヤマネは嬉しそうにそう言って、身体をねじり、首を伸ばした。
 幹也の首を、顎を、頬を嬉しそうに舐める。

「……何してるの?」
「スキンシップっ!」

 幹也の問いに嬉しそうに答え、ヤマネは舌を這わせる。
 マーキングをする犬と対して変わりはなかった。
 その二人を見て、マッド・ハンターが「やれやれ」とでも言いたげにため息をついた。

「まったくまったくまったくね。君たちは獣のようだ獣だケダモノのようだ」

 呆れてはいるが、楽しそうでもあった。
 傍から見れば異常であるはずのスキンシップを、楽しそうに見つめている。
 歪んだ少女の愛情は続き、愛情を持たない少年は、暇を持て余しながらも、愛情に対して行為で返す。
 それを、残る少女が笑いながら見つめている。
 これが、ここしばらくの幹也の日常だった。
 ヤマネとマッド・ハンターとの三人で過ごす狂気倶楽部での日々。
 退屈だけれど、暇つぶしにはなる日々。
 異常だけれど、それが平常となる日々。
 歪んだままに穏やかな日々だった。

 ――それが崩壊したのは、狂気倶楽部の外に、その狂気が持ち込まれたのが切っ掛けだった。

(続)
50名無しさん@ピンキー:2006/06/01(木) 02:37:26 ID:zXEahP8G
>>47
の『 そうして、生前ただ一人の友人とった幹也は、』 は『友人となった』ですね
掲示板でSS書くのは初めてで、色々勝手がわからず難しい限りです。
嫉妬修羅場スレの人たちは凄いなぁ……

とりあえず明日には事件が起きて一気に崩壊まで加速します
51名無しさん@ピンキー:2006/06/01(木) 02:53:11 ID:3ZDBu5zu
いつもながらGJ。どんな崩壊が待っているのかwktkだよ。

ところで一つ確認させて頂きたいのだが「マッド・ハッター」ではなく「マッド・ハンター」なのは
首刈りにかけてあるんだよな?
52名無しさん@ピンキー:2006/06/02(金) 04:04:01 ID:zdEZTGLI
>>51
ですね、「マッド・ハンター」です。
多少言葉遊びも含まれています
オチまでにちゃんと回収できるよう頑張ります
53名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 02:49:59 ID:+eT8KhQA
 里村・春香がいなくなって数ヶ月、幹也の生活は完全に固定していた。
 学校が終わると、図書室に行くことなく、喫茶店グリムへと向かう。
 部活動が終わるくらいの時間までは、グリムで、マッド・ハンターやヤマネと過ごす。
 そして、二人を置いて、家へと帰る。
 ヤマネは先に帰る幹也を恨みがましい目で見つめたが、無理矢理に引き止めようとはしなかった。
 代わりに、

「お兄ちゃんっ、明日、明日も来てねっ! 絶対だよっ!」

 と約束の言葉を投げかけるのだった。
 幹也はその言葉に頷きつつも、内心ではどうでもよかった。
 学校は嫌いではない。勉強もそこそこで、話し相手もいて、平穏な日々。
 ただし、退屈だった。
 家族は嫌いではなかった。父がいて、母がいて、妹がいて。平和な一軒家。
 ただし、退屈だった。
 狂気倶楽部は嫌いではなかった。マッド・ハンターやヤマネ、時にはその外の少女との異常な付き合い。
 ただし、退屈だった。
 面白いことがないから退屈なのではない。
 退屈だと思うから退屈なのだと、幹也は自覚していた。
 ヤマネを抱くことに楽しさを感じることもなければ、首を絞めるのに背徳感もない。
 ただただ、退屈だった。
 だから、

「――兄さん、明日暇ですか?」

 と、家で妹に言われたとき、幹也は迷わず「暇だよ」と答えた。
 頭の中ではヤマネとの約束を憶えていたが、どうでもよかった。
 退屈だったのだ。
 その結果、どんなことになろうが、構いはしなかった。
54名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 03:07:24 ID:+eT8KhQA
 妹。
 その姿を見るたびに、最近の幹也はヤマネのことを思い浮かべる。
 勿論ヤマネと妹は似てもつかない。
 妹は物静かで口数が少なく、ほとんどの時間を鴉色の制服で過ごしている。
 髪の色は幹也と同じ黒で、膨らむことなく真っ直ぐに伸びている。
 背は幹也の肩に並ぶくらいだが、全体的に細く、大人びた感があった。とても中学生には見えない。
 同じく鴉色のプリーツスカートには皺一つない。丁寧で几帳面だな、と幹也は思う。
 学校帰りに買い物に行く時でさえ、制服を着ているのだから。
 もっとも、幹也とて、同じく制服を着ているのだから妹に何を言えるはずもない。
 
「どれがいいですか?」

 幹也の隣に立つ妹が小さく言う。ぴったりと横に寄り添い、腕をくっつけるようにして立っている。
 いつものことなので幹也は気にしない。ウィンドウに並ぶケーキの山を見定める。
 母親の誕生日ケーキだった。
 ――プレゼントは既に買っているので、みんなで食べるケーキを買いたい。兄さんも好きなケーキを。
 そう妹に頼まれたのだった。
 好きなケーキ、と言われても、幹也にはぴんとこない。好きなものも嫌いなものもないからだ。

「――これは?」

 適当なチーズケーキを指差して幹也が言うと、その手を掴んで、ぐい、と妹は降ろした。

「指差してはいけません」

 そのまま、指を差さないように、ぎゅ、と腕を掴んで離さなかった。
 幹也は仕方なく、目線だけでケーキを見て、

「あのロールケーキは?」
「それがすきなのですか?」
「好きでも嫌いでもないよ」

 正直にそう言うと、妹は少しだけ頬を膨らませた。

「それではだめです。好きなものを選んでください」
「好きなの、ね……」

 幹也は悩み、すべてのケーキを見る。好きなものも嫌いなものもない。
 が、一つだけ、ピンと来るものがあった。
55名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 03:08:07 ID:+eT8KhQA

 ごくありきたりな、生クリームのイチゴケーキ。
 けれど、その上には、お菓子で出来たウサギが乗っていた。
 妹に話していないものの――『五月生まれの三月ウサギ』として、興味が沸いた。

「これ。これにしよう。これがいい」
「これですね」

 幹也の視線を正確に読んで、妹は店員にケーキ名を告げる。
 すぐに、箱に入れたケーキを手渡された。
 妹は、幹也に片手を絡ませたまま、器用に残った手で財布からお金を取り出そうとした。
 そして、それよりも早く、

「はい、どうぞ」
「ありがとうございましたー!」

 幹也が、ポケットから千円札を取り出して、店員に渡した。
 お釣りを受け取る幹也を、妹は、微かに嬉しそうな、怒ったような、どちらともつかない顔で見ている。

「……兄さんはずるいです」
「みんなずるいのさ」

 妹の言葉の意味がわからなかったが、幹也は適当にそう答え、絡ませていない方の手でケーキを受け取った。
 頭を下げる店員から目を離し、踵を返す。
 そして。

「――――――――――」

 鏡張りの向こう、店の外に。
 手首にラッピング用のリボンをまき、栗色の髪の毛で、フリルのついた白いワンピースを着て、裸足の少女がいた。

 少女は――ヤマネは。

 泣きそうな、それでいて笑い出しそうな、不思議な表情で、幹也と、手を絡める妹を見ていた。


56名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 03:28:22 ID:+eT8KhQA
 ヤマネとはっきりと目があった。
 泣き笑いを浮かべ、口元をへらへらとゆがめるヤマネと、はっきりと目があうのを幹也は感じていた。
 幹也は考える。明日も来てね、と約束して、来なかった自分を探して、街をさ迷うヤマネの姿を。
 いつもの格好で、裸足のまま、街をうろつくヤマネの姿を。
 そして思うのだ。
 幹也が約束を破ったのは、これが始めてではない。いつもは、約束を破って、家に帰っていた。
 けれど、今日はたまたま――妹と、町に出た。大人びて、幹也と似ていない妹と。
 そして、たまたまではなく、いつものようにヤマネは街をさ迷って、幹也の姿を見かけた。
 そして、ヤマネは、仲が良さそうに手を組み、ケーキを買う幹也と妹を見て、こう思ったに違いない。

 ――いつも、あの子と一緒にいるんだ、と。

 幹也と妹が店から出ても、ヤマネは一歩も動かなかった。
 へらへらと笑っている。
 へらへらと、壊れたかのように笑っている。
 その姿を妹は不審げに見ている。幹也は、真顔で見つめている。
 笑ったまま、ヤマネは言った。

「お兄ちゃんっ! ヤマネのこと、好きっ?」

 妹が不審げな顔を深める。
 幹也は、感情を込めずに、あっさりと答える。

「ああ、好きだよ」

 その言葉を聞いて、ヤマネは、へらへら笑いではない、満面の笑みを浮かべた。

「そっかっ! じゃあ、お兄ちゃんっ、また明日ねっ!」

 言って、笑ったまま、どこかへ去っていった。
 裸足で去っていく姿から、幹也はあっさりと視線を外し、言う。

「帰ろうか」
「兄さん」

 歩き出そうとした幹也の腕を掴んだまま、妹は不審げな表情のままに、尋ねた。

「今の人は知り合いですか?」

 幹也は、平然としたまま、あっさりと答えた。

「知らない子だよ」


 その日は、それだけで終わった。


 そして、全てが終わり始めたことに、幹也はまだ気づいていなかった。

(続)
57名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 03:38:08 ID:UCmT86MI
いい感じに病んできましたなー。

妹にも期待
58名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 23:06:36 ID:xM4iJZ1Z
作者様GJ(*´д`*)ハァハァ
時間軸をそろそろ自分の中でに整理しないと
俺の頭では理解が限界、折角の良作を楽しむためにも
ちょっと脳年齢上げてくる
59名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 01:11:44 ID:qc8UBzFa
>>58 氏
わかりづらいので一応補足をば。

里村・春香時代(回想)
>>35
>>43
>>47

ヤマネ時代(ほぼメイン)
>>21-26
>>29-32
>>48-49
>>53-56

グリム時代(現在)
>>36-38
>>44
6058:2006/06/04(日) 01:49:35 ID:cByhBQ4R
作者様の手を煩わせてしまい申し訳ない(*_ _)人
改めて良作ップリを味あわせていただきました(*´д`*)
61名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 03:32:06 ID:sVLyjdlB
ヤマネもいい病みっぷりだが
妹に期待しちゃう…
キモウトだとええなあ
62名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 05:58:40 ID:1U8Y5B+2
俺もキモウトがいいなぁ。
63名無しさん@ピンキー:2006/06/05(月) 02:23:08 ID:HVNZGBN/
 翌日。幹也は学校が終わると同時に、喫茶店「グリム」へと向かった。
 ヤマネが「明日」と言ったからではない。
 単純に、退屈だったからだ。退屈だったからこそ、いつものようにグリムへ行き、地下の狂気倶楽部へと向かった。
 いつものように、そこには二人の少女がいた。
 マッド・ハンターと、ヤマネだ。
 幹也は唄いながら十三階段を降り終え、二人に挨拶した。

「おはよう」
「ん、ん、ん? おはようと言った所でもう夕方よ」
「授業中退屈で寝てたんだよ――おはようヤマネ」

 言葉を向けられると、ヤマネの顔に、満面の笑みが浮かんだ。
 脳が蕩けたかのような笑顔を浮かべながらヤマネが言う。

「おはよっ、お兄ちゃんっ! 今日はなにするっ!?」

 にこやかに挨拶をするヤマネに笑いかけ、幹也はいつもの指定席に座る。
 長机の一番奥の椅子に。
 いつもと違う事があるとすれば――幹也が本をとるよりも早く、その膝の上に、ヤマネが乗ってきたことだ。
 まるで、昨日の分も甘えるとでも言うかのように、ヤマネは全身で幹也にすりよる。
 臭いをつける猫に似ていた。
 ヤマネが、二つ名の通りに『ヤマネ』ならば、今ごろ幹也は穴だらけになっていただろう。

「今日はずいぶんと甘えるね」

 幹也もそう感じたのか、言いながら栗色の髪の毛を撫でる。
 撫でられたヤマネは気持ち良さそうに微笑み、言う。


「――お兄ちゃんっ、昨日のコって誰かなっ!?」
64名無しさん@ピンキー:2006/06/05(月) 02:32:12 ID:HVNZGBN/
 唐突なその問いに、幹也の手が止ま――らなかった。
 まったく動揺することなく、頭をなでながら、幹也は言う。

「妹だよ」
「妹?」

 逆に、ヤマネの動きが止まった。
 その答えをまったく予想していなかったのか、瞳はきょとんとしていた。
 何を言っているのかわからない、そういう顔だ。
 家族がいないとでも思っていたのだろうか――そう思いながら、幹也は言う。

「妹。家族だよ」
「仲」惚けたまま、ヤマネは問う。「良いのかなっ?」

 見ての通りだよ、と幹也が応えると、ヤマネは「そっかぁ。えへへ」と、笑った。
 楽しそうに、笑った。
 楽しそうに笑う場面ではないというのに。安堵の笑みなら分かる。幹也を取られないという安堵ならば。
 けれども、ヤマネの笑いは違った。
 どこか被虐的な――自嘲じみた、歪に楽しそうな笑みだった。

「家族かぁ! いいなぁ、いいねっ! お兄ちゃんも、ヤマネの家族だよねっ、だってお兄ちゃんだもんっ!」

 楽しそうに笑ったままヤマネは言う。
 幹也は「そうだね」と適当に頷き、ヤマネの軽い体を机の上に置く。
 退屈だった。
 妹もヤマネもどうでもよかった。退屈を潰せるのならば。
 いつものように――幹也は、ヤマネの首に手をかける。


「うふ、ふふふっ、うふふふふっ! あは、あはっ! お兄ちゃん、楽しいねっ!」

 ヤマネは笑っている。
 いつもとはどこか違う、歯車が一つ壊れたような笑み。
 幹也は構わない。歯車が壊れても遊べることには変わりない。
 歪な、歪な今までとは違う歪さの二人。

 その二人を見ながら、マッド・ハンターはひと言も発さず、楽しそうに笑ってみている。



65名無しさん@ピンキー:2006/06/05(月) 02:39:15 ID:HVNZGBN/
 結局、その日は、いつもよりも早く帰ることになった。
 ヤマネの反応が、いまいち面白くなかったからだ。常に笑っているだけでは、壊しがいがない。
 反応を返してくれるからこそ、退屈しのぎになるのだ。
 そう考えながら、幹也は一人、家へと帰る。
 ごく普通の一般家庭の中に、普通の子供として帰る。
 肌に少女の臭いが残るだけだ。家族は情事としてしか見ないだろう。
 まさか首を絞め、異常な交わりをしているとは、少しも思わないだろう。

「雨に――唄えば――雨に――唄えば――」

 ワン・フレーズを繰り返しながら幹也は歩く。
 頭の中には、もうヤマネのことはない。あるのは、里村・春香のことだ。
 図書室から飛び降り自殺をした春香のことを考える。
 今もなお考えるのは――死んだ瞬間、春香のことが好きだったからだと、幹也はなんとなく考えている。
 一瞬だけ退屈がまぎれるような――人を好きになれるような――幸せだと感じるような――
 不思議な感覚が、『あの一瞬』にはあった。
 人にとっては異常とも思える思考と記憶にたゆたいながら、幹也は家へと帰る。

「雨に、唄えば――」

 唄いながら扉を開け、家へと入る幹也は気づかない。

――電柱の陰に隠れるように少女がいる。ワンピースをきて、栗色の髪の毛をした少女が。裸足のまま、じっと、幹也が入っていった家を見ている。

 ヤマネに、後をつけられ、家を知られたことに、幹也は気づかない。
 幹也の家を知り、幹也の部屋に電気がついたことを確認したヤマネは、楽しそうに笑いながらその場を去っていく。
 ヤマネの頭にある考えは、一つだけだ。


――お兄ちゃんは、ヤマネだけのものなの。



(続)
66名無しさん@ピンキー:2006/06/05(月) 15:27:00 ID:k8WbBjNn
ヤマネVSキモウトの予感…!
67『死の館』 ◆PkDo3c3GM2 :2006/06/05(月) 21:27:56 ID:+jTKkPfr
今書いているのが有るんだが、登場人物紹介だけ。
南校生徒、山岳部
1:井田 敦也(イダ アツヤ)二年三組。
無愛想で、友達は少ないが、その友達の質は高い。いつも冷静沈着。
2:高田 翔太(タカダ ショウタ)二年三組。
自称、敦也と親友関係。もてたいがそれが前に出過ぎるため、もてない。童貞。学園卒業前に、脱童貞を目指す。
3:桐谷 美保(キリヤ ミホ)二年三組
敦也の幼馴染みであり、唯一敦也が普通に話せる相手。敦也の事が好きだが、その事に疎いためヤキモキしている。影の学園アイドル。
4:市原 奏(イチハラ カナデ)二年四組
自他共に認める学園のアイドルだが、少し我が儘なとこが玉に傷。容姿端麗、頭脳明晰と、完璧なタイプ。それを鼻にかけるのがまた厄介。
5:神崎 光(カンザキ ヒカリ)二年四組
活発で、男勝りな所があるが、美少女の部類に入る。翔太とは喧嘩友達といった辺りだが、互いに好意があるかは不明。
6:神崎 明(カンザキ アカリ)二年二組
光の双子の妹だが、性格は正反対でおとなしく、地味。そのため、双子でも簡単に見分けられる。昔目の手術に失敗し、眼鏡が無いと何も見えない。
68『死の館』 ◆PkDo3c3GM2 :2006/06/05(月) 21:30:09 ID:+jTKkPfr
7:楠木 絵理(クスキ エリ)二年一組
昔の事故により、片足が不自由な女の子。既に治っているのだが、精神的なもので動かないため、筋力が衰えてしまった。読書が大好き。
8:高田 由良(タカダ ユラ)一年二組
翔太の妹。兄譲りのお調子者な性格で、ムードメーカ的な存在。翔太の友人である敦也が好きだが、美保の気持ちを知っているので抑えている。
9:馬場 隆(ババ タカシ)
25歳。筋肉質で、いわゆる体育会系教師。山岳部顧問であり、今回の部活旅行の引率。生徒からの評価は、ごく普通。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
洋館の主
春川 知奈美(ハルカワ チナミ)本名かは不明。
今回山岳部に招待状を出した、奏の親戚。とはいえ、奏も見たことがなく、どんな人なのかも不明。噂では、若くて美しい女性だとか。








グロって有り?
69名無しさん@ピンキー:2006/06/05(月) 22:42:05 ID:KfB8sfCy
|ω・`) グロの度合いがわからないけど寝取られ系でなければ基本大丈夫
まぁ読者が私一人じゃないからなんともいないけど・・・
グロだからどうこうってことはないと思います
とりあえず設定だけで(*´д`*)ハァハァ
10人近い人物がどう動くのか期待
70名無しさん@ピンキー:2006/06/05(月) 22:53:34 ID:tFgb8qQG
メッタ刺し位なら平気
>>69
俺は、女が男を寝取るとかなら割とすきだなぁ
71名無しさん@ピンキー:2006/06/05(月) 23:26:04 ID:ivcG0IBK
最初に明記すればなんでもありじゃない?
スレタイが【ヤンデレ】なんだしさ
72名無しさん@ピンキー:2006/06/05(月) 23:34:23 ID:hz8qZhvt
俺は別にグロでもいいと思うけど、あんまり行き過ぎると・・・
登場人物が多いと大変だろうと思うけど頑張ってください。
期待してます!!
73名無しさん@ピンキー:2006/06/06(火) 02:28:32 ID:bJP1ejAS
>>63
やばい!!ヤマネがなんかツボすぎる。
そしてまだ攻めには転じていないキモウトにも期待w
個人的に

「お兄ちゃんっ、昨日のコって誰かなっ!?」

が相当キタw

作者さんGJです!!
74『死の館』 ◆PkDo3c3GM2 :2006/06/06(火) 13:33:27 ID:yF1KkMww
投下します。
心臓の弱い方、妊婦はご遠慮(ry
75『死の館』 ◆PkDo3c3GM2 :2006/06/06(火) 13:34:22 ID:yF1KkMww
――敦也
きっかけは何気ない一言だった。
「夏休み、みんなで旅行に行かない?」
奏の提案だった。俺達山岳部……とはいえ、ほとんど活動はしてない……が、奏の親戚の家に招待された。俺は面倒だと言ったのだが、美保に強引に連れられてしまった。
そして今はバスの中。日も暮れて来た時間、山中を進む。かなり高い所まで来た。隣りでは美保が熟睡して居る。無防備なもんだ。
外の味気無い風景を眺めていると、前に座っていた翔太が、イスから身を乗り出して話しかけてくる。
「おう、敦也。実はな、今回の旅行、俺には計画があるんだ。」
「…計画?」
面倒に思ったが、一応返事はする。
「人里離れた洋館……たくさんの美少女達……この条件から導かれるのはただ一つ!脱・童・貞!だぁぁぁぁ!!!!」
お前が報われないのはそこにあるんだぞ?といいたくなるが、黙っておく。言っても無駄だし、自分で気付かないと無意味だろう。
「な?お前も乗るだろ?」
「断る。」
俺にとっては、完全に無意味なことだ。この後、そんな余裕もない程悲惨な旅行になるとは、俺も含めて誰も知らなかった………
76『死の館』 ◆PkDo3c3GM2 :2006/06/06(火) 13:35:27 ID:yF1KkMww
――由良
「脱・童・貞!だぁぁぁぁ!!!!」
兄さんがまた変な事を叫んでいる。妹として、兄のイメージ低下は避けて欲しい……でももう手遅れみたい。みんな引いちゃってる。
はあ、なんであんなのが兄なんだろう。ほら、敦也さんにだって軽くあしらわれちゃってる。……かっこいいなぁ。
でも、そんな敦也さんの肩に頭を乗せながらぐっすりと寝てる美保さんを見ると、胸が痛くなる。
『私、あっちゃんが好きなんだ、幼馴染みとしてじゃなくて……男の子として。』
それを相談されたとき、本当に泣きそうになった。でも、私も敦也さんが好きだと言ったら、きっと美保さんは身を引いてしまう。優しすぎるから。
そんな事をさせてまで、敦也さんに好きだと言える事なんて無理。だから私は黙っていた。美保さんも好きだから、二人には幸せになって欲しい。
私が……私さえ我慢すれば、全部丸く収まるんだ。だから我慢…………でも、黙っていれば、離れて見てていても構いませんよね?
兄さんを避けるように顔を背けた敦也さんと目が合い、苦笑いされる。ああ……また、私の胸が疼く……敦也さんがイケナインデスヨ?
77『死の館』 ◆PkDo3c3GM2 :2006/06/06(火) 13:36:37 ID:yF1KkMww
――翔太
俺の懇願虚しく、周りからは色のいい反応はもらえなかった。
「な?お前も乗るだろ?」
無理やり敦也を誘ってみる。わが親友ならわかってくれるはず……
「断る。」
と思ったが、こいつはそういう奴だったよ。ちょっと腹癒せにからかってみる。
「お前はいいよなー。もうかわいい候補がいるからさぁ。」
敦也の隣りで寝てる美保ちゃんを見ながら言う。どうみても美保ちゃんが敦也に好意を持ってるのはバレバレだ。だから俺としても二人がくっついてくれるのはありがたい。
だから絶対に美保ちゃんには手を出さないようにする。ただ一つ問題なのは……
「候補?誰が?なんの?」
敦也本人が爆発的に鈍感って事だ。わざとか?と思うほど、色恋ざたははぐらかす。
「美保ちゃんが、さ。」
「まさか。」
苦笑いしながら顔をそらす。その目線の先には由良がいた。……む、こいつ、もしや俺の妹狙いか。もし由良と敦也が結婚までいくとなれば……
『今後ともよろしくお願いします、兄さん。』
『兄さん』『兄さん』『兄さん』
それを想像しただけで吐き気が…………
78名無しさん@ピンキー:2006/06/06(火) 22:52:53 ID:lVzMyppW
|ω・`) 一体誰が病むのかワクテカ
それにしても兄貴、結構キてるなぁ((;゚Д゚)ガクガクブルブル
79名無しさん@ピンキー:2006/06/07(水) 21:43:54 ID:yONoAegT
保守だ。
80名無しさん@ピンキー:2006/06/07(水) 23:28:25 ID:P9556osH
ヤマネマダァァァァァ??
81名無しさん@ピンキー:2006/06/08(木) 00:41:43 ID:ghfOlPng
>>76
(;´Д`)ハァハァ
つ、続きを早くヤンで
82名無しさん@ピンキー:2006/06/08(木) 06:50:22 ID:S6xMSoai
あぁ、由良がいい感じで病んでるなぁw
美保が出てきてないけど……ワクワクしながらまってますぉ!
83名無しさん@ピンキー:2006/06/08(木) 10:38:35 ID:4nKORfYh
よく分からんが、定義としては
S県月宮みたいな奴のことをいうのか?>ヤンデレ
84『死の館』 ◆PkDo3c3GM2 :2006/06/08(木) 13:43:23 ID:RqCur5RQ
――美保
とても心地良い、あっちゃんの肩。寝たフりしてるけど、本当は最初からずっと起きてる。ドキドキして寝れないから。
考えてみれば、あっちゃんが居る旅行なんて初めて。無理やり連れて来てもよかった。翔太君が変な事を叫んでいたけど、私も似た様なことを考えている。
この旅行の間に、あっちゃんと………
そんなことを考えていたら、体が暑くなってきちゃった。いけない、いけない。私は変な子なんだろうか?
誤魔化そうと薄目をすると、あっちゃんが私を見ていた。一瞬似して体が硬直してしまった。な、なんでこっちを見てるの!?
「こいつ……」
なにか呟いてる。
「面白い癖っ毛だな。」
ガクッ
はぁ、なんか期待外れ……まあ、あっちゃんに期待するのも無駄かな。私が引っ張っていかないとだめだからね。

そろそろ起きようかと思った時………
ガタン
「んん?」
バスが少し揺れ、運転をしていた先生が声を出す。
「おかしいな……ガソリンはまだあるし、故障か?」
周りから不満の声が上がる。
「いいじゃない、あれが目的地なんでしょ?あれぐらい歩いて行きましょうよ。」
奏ちゃんがそう提案した。
85『死の館』 ◆PkDo3c3GM2 :2006/06/08(木) 13:44:14 ID:RqCur5RQ
――奏
私が提案したように、皆で森を抜け、歩いて洋館まで向かう。
まったく、こんな不便な所に別荘を建てるなんて理解できない。しかも余り知らない親戚から招待されるなんて、なんかおかしい。
でもまあ、みんなそれなりに楽しみ似しているようなのでよしとする。
少しだけ舗装された道を歩くこと数十分。やっと正門までたどり着いたけど……
「で、でけぇ〜〜!!」
翔太君がみっともなく大声で叫ぶ……無理もない。本当に大きいのだ。山の森に隠れていたためか、近付くまでわからなかったが、正門から見ただけでもウチの学校の校舎ぐらいはある。
こんなところに住むなんて、とても疲れそうだ。
「あ、あれ何?」
エリっちが不思議そうに指差した先には……
「時計塔、か。」
あら、珍しい。敦也が答えるだなんて。
確かにそこには時計塔があった。ちょうど私達の居る正門とは正反対で、洋館を線対称に分けるように中央にそびえたっている。
夜の闇にライトアップされたそれは、妙に不気味に見えた。その上……
「つ、つめたい!」
雨まで降り出した。敦也君が珍しくしゃべるからよ!
86『死の館』 ◆PkDo3c3GM2 :2006/06/08(木) 13:45:56 ID:RqCur5RQ
――絵理
「ほら、冷えてきたから、さっさと入るぞ。」
先生が促すと、皆で正門に入る。松葉杖をついている私を、光ちゃんが、しっかりと支えてくれる。こんな私が山岳部なんかに入った理由がこれだ。
障害があり、なかなか部活に入れなかった私を、カナちゃん(奏)が誘ってくれた。ちなみにカナちゃんが山岳部に入った理由は、『暇そうだから』らしい。
それから私とカナちゃんは親友になった。カナちゃん以外も皆優しくてとても助かっている。
庭の中央まで来た時、異変は突然起こった。
ガシャン!
大きな音がして振り返ると、鉄の正門が閉じていた。
「風かな?」
光ちゃんが言った直後………
ガルルルルル……ワンッ!!
犬の吠える声が聞こえた。よく見ると、庭の隅の穴から、五匹ぐらい這い出ていた。その私たちを見る目は、餌に飢えた獣のようだった。
「あ、あれって!軍用犬じゃない!みんな逃げて!」
そうカナちゃんが叫ぶと、皆スイッチが入ったように混乱し、玄関へと走り出す。そんな中私は……
「いよっと!」
翔太君におぶられていた。………そんな翔太君の横顔が、なんとなくかっこよく見えた………
87名無しさん@ピンキー:2006/06/08(木) 17:00:30 ID:XG2Ju9NL
なんかサスペンスの臭いが((;゚Д゚)ガクガクブルブル
これはいいヤンデレ洋館ものですね(*´д`*)
88十月五日午前三時の君達へ:2006/06/09(金) 06:16:24 ID:8ZzyCs2Z
七月十日
拝啓、お元気ですか?
こちらは元気です。
湿った六月も明け、七夕を経て、半端な時期に梅雨も終わって、ようやく夏がやってきそうです。
先日、一人暮らしをしていた弟が私の住む実家に帰ってきました。
半年間メールでしか連絡を取っていなかったので、久々に弟と顔を合わせて話せたので心臓がどきどきしています。まるで恋する乙女の様です。弟は夏休みの間はこちらにいるようなのでその間、何をして弟と過ごすか色々と考えている今日この頃。

七月十五日
今日は弟と一緒に映画館に行きました。内容はあまり覚えていません。ずっと弟の横顔を眺めていたので。
帰りに弟とショッピングモールで買い物をしました。弟が付けている地球をモチーフにしたピアスがあったので、それを購入。
おそろいですね。と言うと少し頬を紅くして、照れていました。可愛いです。
だけど、家に帰る途中に弟の友達と名乗る妙な女が弟を連れて行ってしまいました。そこは今日という素晴らしい一日の唯一の汚点で、どうもいただけません。
死ねば良いのに。

八月九日
今日は弟と一緒に海に行きました。
本当は人前に肌を晒すのは嫌なのですが、弟に見られるとなると話は別です。散々胸元を弟の元を弟の前で見せびらかす事に成功。
やりました。
少しはこちらを意識してくれたでしょうか?
帰りの電車でつい、うとうとしてしまったのですが、弟の視線がちらちらと私の胸にいっているような気がします。
早く襲ってくれればいいのですが。
89十月五日午前三時の君達へ:2006/06/09(金) 06:20:45 ID:8ZzyCs2Z
八月十九日
今日は弟と家でごろごろとしていました。たまにはだめ人間になるのも良いものです。
朝はトースト。お昼はパスタ。夜にはカレーを作って食べました。
この調子で弟も食べてしまいたくなります。
ずっと二人でこの家で、誰にも阻まれず、弟と心逝くまでとろけてしまいたくなります。
弟の滞在期間もあと半分です。その間に理性は保ってくれるでしょうか?崩れるのも一興ですが。

八月二十五日
最近、弟がよそよそしいです。家に帰る時刻が遅く。前までは遅くなるとその旨を伝えるメールが来るのですが、それさえもありません。
何だか寂しいので今夜も一人、体を慰めながらの就寝です。
八月三十日
悔しい。弟と同じ血が流れるこの体が恨めしい。あの女。よりにもよって私の弟と繋がったようです。
決め手は弟の体から女の臭いがして来たからで、私は今すぐにでもその臭いをわたしの臭いで多い被せたくなりました。
しかし、人の良い弟の事です。どうせあの女が何か泣き落として無理やりに抱かせたに違いありません。
先月にあった時に直感で理解しました。ろくでもない発情した動物と同類だと。
殺してやりたい。


九月四日
弟の瞳は私のもの。
指は喜ばせ、唇は私を震わせる。耳に届く声は甘い呪いの呪文。舌は否応にも私を濡らせ、抱き締める腕でさらわれてしまいたい。
体の全てで弟を感じて、想いの全てで弟を受け入れました。
しあわせ。
もう、はなさない。

九月十八日
今日も一日中弟と繋がり合いました。
朝起きて、私の奉仕で目覚めそのまま一回。
午前は居間で飽きるほどに互いの秘所を舐め逢いました。
昼食の準備の最中に襲われ、はしたなく食事中も私の中に弟は挿さったままでした。
午後になって私の胸で一回。今まで私の胸で興奮した事があるそうです。嬉しい。
夕方になって夕飯の買い物の帰り近所の公園の御手洗いで一回。
夕飯を食べた後、御風呂の中で二回。浴場で弟と洗いっこ。どんどん元気になって行く弟が印象的でした。
私も隅々まで洗われて、絶頂まで連れて行かれてしまいました。恥かしいです。
90十月五日午前三時の君達へ:2006/06/09(金) 06:24:06 ID:8ZzyCs2Z
九月二十日
弟はこちらに残るそうです。あまりの嬉しさに泣いてしまいました。最近泣いてばかりです。アノ時も泣きっ放しです。姉としての威厳が。

夕飯の買い物を一人で済ませ、帰り道の途中にあの女と会ってしまいました。
泣きはらしたような目でこちらを見て、
変態。
と、静かに呟いて去って行ってしまいました。
負け犬の遠吠え。思わず笑い出しそうになるのを押さえるのに必死でした。
これからずっと弟と一緒だと考えると淫らな気持ちになってしまいました。
帰ったらうんと恥かしい御仕置をしてもらわなくてはなりません。

九月二十九日
しにたい。

十月一日
きょうはわたしたちのなかをじゃまするふたりをやっつけました。
おとうともわたしのかんがえにさんせいしてくれました。なつのあいだかれにあたえていたくすりのせいかです。
いいぐあいにかれのこころをてにいれることができました。

いまでわたしたちのりょうしんがふたつならんでしんでいます。
どうでもいいことです。
さて、いまからまたおとうとときもちよくなってきます。

十月五日
拝啓、お元気ですか?
私はあまり元気ではありません。昨日から弟がベッドから起き上がってくれないのです。
ベッドの上には相変わらず弟から流れた血で紅く汚れています。
早く起きて欲しいです。私を驚かそうとしているのですね?騙されませんよ。
さあ、早く起きて朝ご飯を食べましょう?朝に食べないと体に悪いんですよ?食べ終わって、それで早く私も食べてしまってください。
いつまで寝ているんですか?さあ起きましょう。天気も良いですよ。二人で久し振りに外に出かけましょう?
ねえ、起きましょう…?
ねえ、はやく…
ねえ…
ベッドの上には相変わらず手首に傷をつけた弟がいつまでも横になっていました。
91作者:2006/06/09(金) 06:28:21 ID:8ZzyCs2Z
眠れなくてふと、書いてみました。
勢いで書いたので気に入っていただけるか…
携帯からの書き込み、失礼しました。
それでは名無しに戻ります。
92名無しさん@ピンキー:2006/06/09(金) 06:57:09 ID:XoOrus3h
サスペンスと言うよりむしろ、ホラー……?
これからどうなるのやらw
93名無しさん@ピンキー:2006/06/09(金) 09:34:19 ID:xeKRSHZm
やべぇなんて良スレを発見しちまったんだ……!
94名無しさん@ピンキー:2006/06/09(金) 10:47:20 ID:E+NqHkk+
キモアネは人類の至宝
95名無しさん@ピンキー:2006/06/09(金) 18:44:19 ID:bgN0fkZe
愛に溢れるキモ姉ものが読みたい。
キモ姉こそ、人類最後の希望。
96名無しさん@ピンキー:2006/06/09(金) 22:00:55 ID:8ZQ++sLn
このスレと修羅場スレは俺にとって聖地。
97『死の館』 ◆PkDo3c3GM2 :2006/06/09(金) 23:24:41 ID:3KxOvOB5
――敦也
「ハァ、ハァ、ハァ」
皆急に走ったため、息が切れている。なんとか走り抜き、ドアを閉め、犬を追い払う事ができた。
「か、奏!なんであんなのがいるんだよ?」
「知らないわよ。私だって聞きたいぐらいだわ。」
さすが自称アイドルを誇るぐらいだ。もう息も整え、平然と返事をしている。
「あ、あっちゃん!大丈夫?怪我なかった?」
「おまえな…俺の事より自分の事心配しろよ。お前こそ、怪我してないか?」
「うん…ありがと。」
そう言うとホワッと笑う。
「しかし許せんな。あんな凶暴な犬を放し飼いにしておく上、迎えも無いとは……ここの主と話をつけてくる。」
「私も行きます。私がいないと話にならないでしょうから……とりあえず、適当にこちらに行ってみましょう。」
言うやいなや、先生と奏は十数枚あるドアのうちの一つを開け、さっさと行ってしまった。
「あっちゃん……どうする?」
「散歩でもしながら適当に時間つぶすさ……一緒に行くか?」
「うん!」
それを聞き、俺は美保と一番入口から遠いドアを開け、入っていった。それは……地獄の幕開けだ……
98『死の館』 ◆PkDo3c3GM2 :2006/06/09(金) 23:26:12 ID:3KxOvOB5
――光
「ひ、光ちゃん……やめようよ……勝手に入ったら怒られちゃうよ?」
「なぁーに心配してんのよ。大丈夫だって。」
私は明と洋館を探索し始めた。あの様子だと先生達が戻ってくるのは遅くなりそうだ。それに……
「こういう広い家……私の冒険家としての魂が燃えるわよ!!」
「だからまずいってば〜。」
まったく、相変わらず弱気ね、明は。私達は双子だってのに、こうまで違うのかしらね。
「なによ、あんただって図書室があるかも、っていったら喜んだじゃない。同罪よ。」
「そんなぁ〜」
「それに、あんなめにあったんだから、これぐらいは許されるわよ。」
おどけながらもしっかりとついてくる。見掛けによらず、本に関しては貪欲だ。本が嫌いな私とは、本当に正反対だ。
やっぱ本なんか読むよりスポーツよねー。
「それにしても…本当に広いわね…」
廊下だけでも、相当な長さだ。電気は着いているが、小さな豆電球が等間隔で点いているだけなので、全体的に薄暗く、廊下の先もよく見えない。
……正直に言えば、不気味なのだ。
「ほら、この部屋なんか面白いドア……あれ?」
振り返ると、いつの間にか明が居なかった。さっきまではいたはずなのに………
99『死の館』 ◆PkDo3c3GM2 :2006/06/09(金) 23:27:13 ID:3KxOvOB5
――???
あなたがついにやってきた。私が招待した洋館へ。でも、正確にはこの洋館にすんでいいのはあなただけ……
他の人は皆消すだけ。私とあなたは一生をここで過ごす……最初の犬に、誰も食い殺されなかったのは残念……でも安心して。
邪魔者を消す方法なんて、いくらでもあるから……私にまかせてくれれば、きっと……いえ、絶対うまくやってみせる。
「ん?おお、――か。こんな所でどうした?」
馬場隆……あなたの通う学校の先生…邪魔な人…
私は誤魔化すため、道に迷ったと言う。あたりに人はいない。殺るなら今。
「そうか、じゃあ俺と一緒にホールに戻ろう。この洋館に住んでる人が見当たらん。」
そう言うと、なんの疑いもせず、背中を向ける。……馬鹿な人。背中に隠していたネイルハンマーを取り出し、振りかざす。…もちん、釘抜きの方を向けて………振り下ろす!
ガッ!
「ぐあ!?」
一撃で膝を突く。まだまだ足りない。消えてもらわないと。
ガッ!ガッ!
「やめ…――!な、にを……す……」
私の名前が呼ばれるが、構わない。私の名前を呼んでいいのはあなただけだから。他の奴等は……虫酸が走る。
ガッ!ドカッ!グバッ!
打撃音が水気を含む音に変わる。
「ふふふ…アハハハハハはははははは………」
グバッ!ドッ!グシュッ!
もう完全に死んでいる。それてもまだ振り続ける。あなたのためにしていると思うと、快感で体が熱くなり、止まらなくなる。
「まっててね……私の大事な大事な……なによりも大事な弟………――ちゃん…ふははは……あっはは………」
気付けばもう、叩くところが無くなっちゃった……残念………
100名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 00:07:12 ID:1Og+TXND
サスペンスキタ━ヽ(ヽ(゚ヽ(゚∀ヽ(゚∀゚ヽ(゚∀゚)ノ゚∀゚)ノ∀゚)ノ゚)ノ)ノ━!!!!
続きwktk!+(0゚・∀・) + テカテカ +


101名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 00:30:03 ID:M/U1Dsv6
イキナリ惨殺キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!!
最高のスレだ、ここは。
全部早く続き読みてー!!
102名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 00:39:49 ID:uj/kMvwy
ヤマネの方にもトリップつけたほうがいいのかな……
とりあえず死の館の続きを楽しみに待っています
10365の続き:2006/06/10(土) 00:56:48 ID:uj/kMvwy
 その日、珍しいことに、幹也は学校に行かなかった。
 その日、珍しいことに、喫茶店「グリム」にヤマネはいなかった。
 地下図書室には、いつもの姿をした、マッド・ハンターだけがいた。

「おや、おや、おやまあ! これは珍しいわね。おサボリ?」
「おサボリのお欠席だよ」

 言って、幹也はいつもの席に座った。いつもと変わらない制服姿。鞄には教科書と弁当が詰まっている。
 本当は、学校に行くつもりだったのだ。
 学校に行こうとして――そのまま、喫茶店「グリム」へと来たのだ。
 完全な気まぐれだった。
 完全な気まぐれだと、椅子に座るその瞬間まで、幹也自身もそう思っていた。

「それでそれでそれで? きみはどうして学校を休んだの?」
「同じように学校を休んでる君に言われたくないけどね――いや、そもそも、学校に『居る』の?」

 幹也の問いに、マッド・ハンターは唇の端を吊り上げて笑った。
 答える気はない、と笑みが告げている。
 幹也はため息を吐き、「それならば僕も答える必要がないな」と呟いて、
 ようやく、気づいた。

「ああ、なるほど。死んだからだ」
「――?」

 幹也の突然の言い分に、マッド・ハンターが首を傾げる。
 構わずに、幹也は独り言のように呟いた。

「『先代』が死んでから、ちょうど半年だ」
「ほう、ほう、ほう!」

 楽しそうなマッド・ハンターの声を、幹也はもはや聞いてはいない。
 頭の中にあるのは、『先代』との思い出だけだ。
 先代。
 十二月生まれの三月ウサギ――里村・春香。
 ちょうど一ヶ月前の放課後に、彼女は、図書室から飛び降りて死んだのだった。
 そして、それは、幹也にとっても特別な日だった。
 先代が死んだから、でも、三月ウサギになったから、でもない。
 生まれて初めて――『退屈でない』と思った日だからだ。


 

104名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 01:06:52 ID:uj/kMvwy
「君は、君は、君は――」マッド・ハンターが楽しそうに言う。「彼女が好きだったのかな?」「
「彼女?」
「『12月生まれの三月ウサギ』」

 いきなりとも言えるマッド・ハンターの問いかけに、幹也は悩む。
 傍から見れば、付き合っているように見えた――わけがない。
 幹也と春香の関係は、図書館の夕暮れ、誰もいないところだけだったのだから。
 今でも、幹也と春香の関係を知る人などいないだろう。葬式に出た、くらいだ。
 そして。
 実際の『関係』がなかったかといえば、NOだ。
 ヤマネにするような関係を、幹也は、春香としていた。
 12月生まれの三月ウサギ。
 12月に生まれたウサギは――死にやすい。
 その通りに、春香は、今にも死んでしまいそうな人間だったし、実際に死んでしまった。
 彼女が死んだ瞬間を思い出しながら、幹也は言った。

「好きだよ」

 好きだった、ではなく。好きだ、と幹也は言う。
 その答えを聞いて、マッド・ハンターは笑う。

「ふぅん、ふぅん、ふぅぅぅん。それも嘘かい?」
「さあね」

 幹也は肩を竦める。本を探す気にはなれなかった。
 相変わらず退屈だ。
 そして、退屈でなかった一瞬を、思い出していたかった。
 里村・春香が死んだ瞬間を――唯一、退屈でないと思えた瞬間を。

「ふむ、ふむ、ふぅむ。私も見たかったわ、その瞬間。もう一つだけ質問いいかな?」
「駄目って言っても聞くんだろ?」
「まぁねまぁねまぁぁね。それで、自殺した先代は――君が殺したの?」

 酷く核心的な、酷く確信的な問い。
 全ての前提を覆すような問いを、笑いながらマッド・ハンターは吐く。
 幹也は、その問いに、真顔で即答した。

「――さあね」


105名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 01:19:53 ID:uj/kMvwy

 結局、その日は、幹也は学校には行かなかった。
 ほぼ一日中、本も読まず、楽しいと、退屈ではないと思えた一瞬のことを思い出していた。
 思い出している間は――かすかだけど、退屈さが紛れるような気がしたからだ。
 席を立ったのは、十六時前。
 いつも喫茶店「グリム」に来る時間よりも、かなり早かった。
 ヤマネもいないので、家でゆっくりと思い返そう――そう思ったのだ。
 帰る道すがら、幹也は、ぼんやりと思考をめぐらせていた。
 帰ったら妹がいるだろうか、一昨日買ったケーキがまだ残っているだろうか。
 父と母は家にいるだろうか。時間が不定な家族は、いつ家にいるかわからない。
 いなければいい、いてもいなくても退屈なのだから、いないほうが静かだ――そう幹也は思った。
 そして、そんなことよりも、頭にあったのは。
 里村・春香のことだ。
 彼女の最後の言葉を、幹也は思い出す。

『――幹也くん、私はもう疲れた』

 心の底から、疲れきった、生気の無い声。
 いつものように首を絞められながら、春香はいった。

『――だから、お終いにしよ』

 それが、最後の言葉だった。
 その数秒後――春香は、図書室の窓から落ちて自殺したのだから。
 その光景を思い出して、幹也は小さく笑う。
 地面に咲いた赤い花。
 肉と臓物と血で出来たきれいな華を思い出して、幹也は歩きながら笑った。
 あの瞬間。
 あの瞬間だけは、退屈でなかったのだから。
 いまもなお退屈をかかえる幹也は、退屈でないときを思い返しながら、歩く。
 あっという間に家へとたどり着き、チャイムを鳴らした。
 ぴんぽん、という間抜けな音。
 誰も出なかった。そもそも、誰かが出るとは思っていなかった。とりあえず鳴らしただけだ。
 玄関を入り、ポケットから鍵を取り出し、ドアノブを掴み、

「……あれ?」

 そこでようやく、幹也は異変に気づいた。
 ドアノブが、回ったのだ。
 鍵を差し込んでいないのに。
 鍵は――かかっていなかった。
 誰かいるのだろうか。チャイムに気づかなかったのか? そう思いながら、幹也はドアノブをひねり、
 扉を、
 開けた。


 ――そして幹也は、むせ返るような赤を見た。


106名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 01:22:39 ID:G1P/sHbL

なんか主人公が1番のヤンデレみたい?

ところでキミキススレにヤンデレが襲来してるな
107名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 01:26:49 ID:uj/kMvwy

 赤と紅と朱。臙脂、橙、茶。
 思いつくかぎりの、この世に存在する限りの赤が、そこにあった。
 それは、とある赤いものが、元からあった家具や壁や空気と触れ合って、変色した結果だった。
 もともとは、くすんだ赤。
 黒に近いような――赤。
 家の中は、完全に、赤に染まっていた。
 濡れた赤。
 まだ、乾ききっていない。
 幹也の家は、玄関に入れば、扉一枚向こうにリビングが見える作りになっている。
 そして、その扉は今、開けっ放しになって――扉の向こうには、赤が広がっている。 
 赤に塗れた世界を見て、幹也はなるほど、と納得した。
 ――これならば、チャイムに出ることもできないな、と。
 扉の向こう。赤い水溜りに沈むように、ばらばらの何かがあった。
 皮をはがれ、肉を抉り、骨を削り、臓物を取り出し。
 必要以上に――否、必要がないのに、ばらばらにされた、父と母の姿を、幹也は見た。
 そして、その奥。
 手足から血を流す妹と――その妹の神を掴み、楽しそうに笑う少女の姿を、幹也ははっきりと見た。
 普段の白いワンピースは、いまは赤く染まっている。
 この部屋と同じように――――溢れる血で、ヤマネは真っ赤に染まっていた。
 幹也は、いつものように、ヤマネに声をかける。

「やぁ、ヤマネ」

 ヤマネは。
 右手に分厚いナイフを持ち、左手に妹の髪を掴んでいたヤマネは。
 まるで人形か何かのように、妹を放り投げ、血の海をばちゃばちゃと言わせながら、幹也へと近づいてきた。
 そして、真っ赤に染まった体と、真っ赤にそまった顔で、ヤマネは笑う。
 血に塗れ、右手に包丁を持ったヤマネは、死に囲まれた部屋で、満面の笑顔で言った。

「おかえりっ、おにいちゃんっ!」

(続)
108名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 01:28:43 ID:uj/kMvwy
>>106
春香から妹にいたるまで全員の予定

主人公は
「君が一番狂ってるんじゃないのかい?」
と終わり際でネタにする予定
109名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 01:35:15 ID:thi7MeHr
ヤマネまったてよヤマネ

ちょっ
キモウトもうお亡くなり!?そんなのヤダヤダ! 
110名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 01:37:53 ID:1Og+TXND
>>108
おおおおおお殺戮キタコレwwwww

GJ!!


トリップは別にいいと思うけど
投下するレス数は書いてもらえるとありがたい
割り込みとかへるし
111名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 01:58:37 ID:GWU5lhqh
鬼、キモウトが死んでルー!!
112名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 02:03:47 ID:HPh6ODlY
続きが気になって仕方が無い。
113名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 02:04:18 ID:thi7MeHr
ヤマネヤバスと思ったが

主人公が一番こわいお!
114『死の館』 ◆PkDo3c3GM2 :2006/06/10(土) 11:10:02 ID:XKVYYFeK
――敦也 〈一階東側通路〉
「なんてこった……」
しばらく歩き進んで初めて気付いた。この通路には所々、廊下を区切る様にドアが設置してあった。
やたらと枚数が多いと思ったのだが……
「一方通行とはな。」
ホールから見て奥へ進むと、その側のドアに取っ手が無かった。
「どうしよい、あっちゃん……戻れないよ…」
美保が泣きそうな顔ですがりついてくる。こういう時に慰める術を俺はよく知らない。
「戻れない事もないだろ。そんな家があってたまるか。…先に進んで一周でもすれば戻れるさ。」
どうしてかこう刺のある言い方になってしまう。人を拒絶する傾向があるからか。
「えぇ〜。本当に?」
知るか。と口に出そうだが、喉で止めておく。……美保にだけは、俺を軽蔑のまなざして見てほしくない。
「大丈夫だ…いくぞ。」
「あっ……」
グイッと手を引っ張って行く。これぐらいしないとなかなか先へ進んでくれないからだ。そうやって手をつないだ途端、黙ってしまった。
「ん?」
そうしてまたドアを開けた途端、激しい違和感に襲われる。すぐにわかった。この通路だけ、横に部屋がないのだ。
ドアは突き当たりの一枚のみ……進むしかないか。
「なに?これ。」
そのドアにはドアノブが無く、一枚の紙が貼ってあるだけだった。
「えーっと……『スペインとサイパンの違いはな〜んだ?わかったら大きく叫ぼう』……?」
その問題を読んだ瞬間……
ガコォンッ
なに大きなものが外れたような音がし、振り返ると………
「まじかよ…」
さっき閉めたドアが、ゆっくりと迫ってきた…………
115『死の館』 ◆PkDo3c3GM2 :2006/06/10(土) 11:11:04 ID:XKVYYFeK
――奏 〈一階西側通路〉
「もう……なんなのよ、ここ……」
私は完全に道に迷ってしまった。いや、この場合家に迷ったと言うべきか。
その上先生ともはぐれてしまった。……この歳で迷子だなんて勘弁だが、そうも言ってられない。
携帯を見てみるが、完全に圏外。いまどき電波の届かないところなんてあるのね………
とりあえず、ポケットにある飴玉を舐めて気持ちを落ち着かせる。甘い物は鎮静剤になる。
「落ち着け……常に冷静に。」
それが私の好きな人の口癖であり、モットーであった。もっとも、その人の事を考えると、落ち着いてもいられなくなるのだが。
適当にドアを開け、部屋に入ってみると、そこには幾つかの本棚と、机、その上には本が開いてあった。
「さしずめ書斎っつとこね。」
臆する事無くイスに座り、本を覗いてみると………
『森鴎外、夏目漱石、芥川龍之介………いずれも世に名高い賢者である。だが、今の時代には欲にまみれた愚者と成り代わるものあり。
さて、その名を叫び、世に知らしめよ。わからぬ者、自然の恵みにあやかる資格なし。』
「……?」
まったく意味不明。これが一体なんだと……

ガチャ
席を立とうとした瞬間、横から出たベルトに体を固定される。
「な、なんなの!?悪ふざけもういい加減に……っ!」
少し叫んだ時気付いた。……酸素が…薄れてる……
116名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 19:09:30 ID:oFeSDvUN
クイズの雰囲気に蠅声の王を思い出した((;゚Д゚)ガクガクブルブル
最後1対1になったらどうなるのかな(*´д`*)
117名無しさん@ピンキー:2006/06/11(日) 02:20:47 ID:FUN6bYIy
何気に>>16のプロットが秀逸だな
118名無しさん@ピンキー:2006/06/11(日) 22:55:58 ID:8vhck+0u
うほっ
いいスレ!
119名無しさん@ピンキー:2006/06/12(月) 20:42:01 ID:D/p3jFsP
保守
120名無しさん@ピンキー:2006/06/12(月) 22:39:33 ID:TNKxT41S
クイズで失敗すると……ってのは怖いなw
121『死の館』 ◆PkDo3c3GM2 :2006/06/13(火) 13:21:41 ID:qDbR0HcX
――翔太
皆で洋館の探索に行っちまったため、ホールには俺と由良と絵里ちゃんが残っていた。
「由良、お前は探索に行かなかったんだな。こういうの好きそうじゃねぇか?」
「私はそんな子供じゃありまん。それに、絵里さんと二人っきりにしたら何をするかわからないので。」
「アホか。俺はそんな鬼畜と違うぞ。節度ある紳士で……」
「紳士はバスで叫びません。」
くっ!さすが我が妹。人の揚げ足をとるのがうまくなってきたな。これは要注意だ。
三人でしばらく雑談していると……
「答…は……の数…!」
どこかのドアの向こうから、叫び声が聞こえた。あまり内容は聞き取れなかったが。
その瞬間、ドアの一つが開き、中から敦也と美保ちゃんが出て来た。
「めずらしぃな。敦也が大声出すなんて。ゴキブリでもいたか?」
「そんなんじゃないんだよぉ。大変だよ、この洋館……」
美保ちゃんが必死な顔で説明する。一方通行の通路。なぞなぞと迫ってくるドア。……まったく信じられなかった。
「おいおい……冗談だろ?それじゃあまるで、からくり屋敷どころか、殺人館じゃねえか!」
122『死の館』 ◆PkDo3c3GM2 :2006/06/13(火) 13:22:40 ID:qDbR0HcX
――由良
さすがに今回のことは信じられなかった。いくら敦也さんの言葉とは言え、人殺しの罠なんてないと思ったが……
「はぁ、はぁ、み、みんな無事?」
足下がおぼつかない奏さんが、ホールに入ってかた。かなり息が上っているようだ。
そして奏さんからも聞いた。洋館の罠を。
「そう……敦也君たちも引っ掛かったのね…」
「ああ、なんとか解けたけどな。……あの庭の犬と言い、本当に冗談じゃすまされないな。」
目の前の会話がとても難解だった。実際自分が体験していないからなんだろうけど………
「あれっ?みんな集まってなにしてんの?…先生居ないみたいだけど……」
明さんと光さんが一緒にホールへ来た。これで先生以外は揃ったことになる。
奏さんの話を聞いてから、恐怖感が込み上げて来て、寒気がした。今だけ……今だけなら。
そう思い、敦也さんに近付き、自然な形で寄り添った。
「なんか……怖いです。」
「大丈夫さ……なんとかなるさ。」
そう言ってもらうだけで気持ちが楽になった……そのとき。
「由良ちゃん!!」
いきなり美保さんが叫んだ……
「誰かが殺人者かもしれないんだよ!!?あっちゃんから離れて!!」
123『死の館』 ◆PkDo3c3GM2 :2006/06/13(火) 13:23:47 ID:qDbR0HcX
――???
結局、見回りだけでは誰も罠に掛からなかった。しかも、大切なあなたが罠にかかってしまったのは誤算だ。
あなたになにかあったら……私……。
でも誤解しないでね?あなたじゃなくて、その隣りに居る邪魔者を潰したかっただけなの……そう、自分の感情を押さえ切れず、後輩にキレてる醜い女を……
「落ち着けって!美保!…由良ちゃんは悪くないだろ?」
あなたの怒気を含んだ声……少しこまった顔……それを見て、聞くだけで、体が熱くなってしまう……下着ももう、ビショビショなのよ?
「◆†≠…!……塘p#%〒!!?」
「@&*≒√だ…ろ!?」
あなた以外の声はすべてノイズになってしまう。聞き取る必要も無い。うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。
あなたがここに居なかったらみんな消してしまうところだ。でもそれじゃだめ。あなたの見ていないところでやらないと。
「くそっ……奏。先生はどうした?」
「…れが……≠塘p°+ー…」
何?あの男を探してるの?だったら見せたあげる……もう、直視できない様な形だけど、ね。
124名無しさん@ピンキー:2006/06/13(火) 16:52:09 ID:yC4nLjWD
キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!
125名無しさん@ピンキー:2006/06/13(火) 17:20:27 ID:V/mWpM3x
サスペンスキタ━ヽ(ヽ(゚ヽ(゚∀ヽ(゚∀゚ヽ(゚∀゚)ノ゚∀゚)ノ∀゚)ノ゚)ノ)ノ━!!!!

なるほど徐々に容疑者が減っていくのか……
126『死の館』 ◆PkDo3c3GM2 :2006/06/15(木) 13:22:52 ID:e+FvKVEx
――敦也
「ね?あっちゃん、私の隣りに居れば安全だから……みんな…みんな危ないんだから!」
軽く美保が錯乱し始めていた。あんな目にあったからだろうか。あからさまに周りと接する事を避けて居る。
「ははは……や、やだなあ、美保ちゃん。俺達が危害加えるわけないだろ?」
翔太が慌てて仲裁に入る。確かに、今の美保の言ってる事はめちゃくちゃだ。
と、その時、ひゅっと風を切る音。
「え?」
ガシャーーン!!!
振り替えると、中央にシャンデリアが落ちてきた。誰もいなかったため下敷きにはならなかったが、そこには………
「き、キャーーー!!イヤァーー!!」
一斉に飛び交う複数の叫び声。恐怖、驚愕、悲しみ……そこにはすべてが混じっていた。そう、そのシャンデリアには………
「はは、あは……う、嘘だろ?」
フラフラと近付く翔太。目線はただ一つ……シャンデリアに巻き付く様になっていた死体だった。
それはもう直視出来る様な物ではなかった。頭は潰され、血は体中にべとべとと張り付き、強烈な死臭を放っていた。俺も込み上げる吐き気を抑え、何とか近付き、確認する………
127『死の館』 ◆PkDo3c3GM2 :2006/06/15(木) 13:23:34 ID:e+FvKVEx
――奏
「これは……先生、だな。顔は潰されてわからないけど……服と言い、体格と言い、間違いないだろ。」
「……ドッキリなんだろ?なあ、敦也?」
そんなわけない。離れて見ても本物の死体だとわかる。こんな匂いを、偽造できっこない。
でもまずい。この状況で疑われるのは……私だ。
「奏ちゃん!?」
真っ先に美保ちゃんに呼ばれた。いや、名前を叫ばれた。ああ、違う。私じゃ……ないのに。
「奏ちゃん、先生と一緒にいたんでしょ?これ、どういう事なの!?」
「そんな……私じゃ…ないよ………私は……」
「奏ちゃんが……やったんじゃないの!?」
「違う!私だって、途中から先生とはぐれて……それで……」
いくら弁解しても周りの疑いの目ははれない。
「おい、よせよ美保。言い過ぎだ。」
「そ、そーだって……たはは……」
こういうとき、男子はフォローしてくれる。
「あっちゃん!いくら奏ちゃんだからって庇わないで!」
「そうよ……一番疑いがあるのよ?」
女子は醜さが露にされる。えりっちまでも私を疑う。酷い、酷い!
「私じゃない!!……あなたたちの中にだっているんじゃないの!?」
128『死の館』 ◆PkDo3c3GM2 :2006/06/15(木) 13:24:54 ID:e+FvKVEx
――絵里
正直、私も完全にカナちゃんが殺ったと思った。だって、他にできる人なんていない。でも、もしカナちゃんが犯人なら、理由が全く見当たらない。
少なくとも、カナちゃんが先生に殺意を抱いていたということは見えなかった。人の心は友達でもわからないけど…
「いやよ…もう、いや、イヤァ!!」
突然、明ちゃんが狂った様に叫び、一人で走りだして勝手にドアの向こうへ入ってしまった。
「あ、明!!」
呆然として立ち尽くす七人。この複雑な洋館に加え、館内を彷徨っているかもしれない殺人鬼のことを考えると、疲れるのも当然か。
「取りあえず……こうしててもなにもかわんねぇし、明ちゃん探すついでに、此所から出る方法も考えようぜ。」
翔太君が案を出す。普段はおちゃらけているけど、こういう時には頼りになるのかもしれない。
「そうだな……明を探す班と、脱出法を探す班。二つに分けるけど、いいか?」
それに続いた敦也君の提案に、他の人達もうなずき、賛成する。ただ、私と美保ちゃんは少し渋った。それもそのはず、殺人鬼が仲間にいるかもしれないのに………
129 ◆PkDo3c3GM2 :2006/06/16(金) 13:32:47 ID:oKE/zmL/
今ヤンデレスレで投稿してるのが修羅場向けになりそうなんで、こっちに移ってよい?
130 ◆PkDo3c3GM2 :2006/06/16(金) 13:33:49 ID:oKE/zmL/
間違えた…orz…スマソ
131名無しさん@ピンキー:2006/06/16(金) 15:25:13 ID:DRoLkIMx
穏やかな風が吹く、どこか涼しいその感触はどこからともなく現れる秋が来たことを告げている。もう二月もすれば、吐く息も白くなる冬が訪れるだろう。
アルバイトをこなし、疲れた風体で道を歩いている弥栄 志摩はぼんやりとした表情で陽が隠れた空を眺めた。
その表情は堅い。なにか思い詰めたそれは、選択を悩む子犬を連想させる。
歩きなれた道を進み、志摩は家にたどり着いた時にどのような態度で家族と接して良いかを悩む。
恐らく、家に帰れば多少行き過ぎた感のある過保護な姉がいるだろう。
今日、アルバイトに行く際に散々行かないでと駄々をこね、そのまま家を飛び出してしまった。志摩はその時泣いていた姉の姿が仕事中にちらつき、つまらないミスをいくつか起こしてしまった。
帰れば、姉はどういう態度で迎えて来るのか、そして自分は何と言えばいいのか。いい加減まとまらない思考が志摩の足取りを更に遅くさせる。
散らかされたゴミのように志摩の気持ちはバラバラになっていった。それが歩みを遅くさせ、最終的にジレンマとなって志摩に襲いかかる。
細いワイヤーを頭蓋に通すような痛みが心に走る。結局、その状況から逃れるために、その足は繁華街の方交へ向かっていた。
132名無しさん@ピンキー:2006/06/16(金) 15:26:38 ID:DRoLkIMx
繁華街にある少し大きめのゲームセンターで時間を潰して外に出ると、大降りの雨が志摩を出迎えた。
ゲームをしていても、一向に気晴らしにもならなかった気分は、大降りの雨を前にして更に下がり気味になる。
いつ頃から降り出したかは解らないけれど、ゲームセンターに入ったのが二時間前。コンクリートに溜まる水溜まりの量から察すると、少なく見積もっても一時間は降っているだろう。
濡れ鼠になることを覚悟しようとしたが、迎えのコンビニエンスストアの傘立てに忘れられたようにビニールの傘があった。
雨を避けるようにしてその傘立てに近付き、その傘を手に取る。柄の部分を見て、名前がないことを確認すると、志摩はそれを広げて雨の中に入る。道徳心が痛んだが、それよりも傘立てに挿さったままの傘が寂しげで、その孤独感が自分に似ている気がした。
しかし、その傘にも持ち主がいるはずで、そのことに気がついて苦笑する。元に戻そうかとも思ったけれど、あいにく濡れるのが煩わしかったのでそのまま家の方向を進んだ。
足音は雨音に遮られて聞こえなかった。
133名無しさん@ピンキー:2006/06/16(金) 15:30:05 ID:DRoLkIMx
雨の中、帰りの道を進み家がある方向の曲がり角を曲がると、家の前に一つの影が立っていた。
志摩の背中に冷たいものが伝う。
「志摩くん、おかえり」
あまりに場違いと感じるほど姉、弥栄 柚姫の面持ちは鬼気迫るものだった。長い間雨にさらされていたのだろう、髪は肌に張り付き、唇は紫に染まっている。寒さから来ているのか、身体は小刻みに震えている。何も言わずに志摩が立っていると、
「志摩くん、お疲れさま。こんな所で立ってないで、お家に入ろ?傘さしてても濡れちゃうよ?」
そう言って、志摩の手を握り家の中に引っ張って行く。何か言おうとしたけれど、手を握る柚姫の掌の冷たさに言葉は凍り、口から出ることは叶わなかった。
134名無しさん@ピンキー:2006/06/16(金) 15:32:44 ID:DRoLkIMx
携帯から失礼しますよ。
少し短めを想定しています。どうかお付き合いのほどを。
135名無しさん@ピンキー:2006/06/16(金) 15:43:41 ID:kuGBuGuf
キモ姉きた!
お姉ちゃんがどんな風に、壊れてるか、続き楽しみにして待ってます
136名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 05:24:07 ID:WaylaRvC
キモ姉サイコー!
137名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 15:06:11 ID:bKpBlPc8
投下します。
138名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 15:49:17 ID:/1yrsfcI
キタ━━━━━━━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━━━━━━━!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!?
139名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 19:12:58 ID:bKpBlPc8
「おなか空いたでしょ?お姉ちゃんが何か作ってあげる」玄関に上がるとすぐに柚姫が嬉しそうに言う。
その鬼気迫る雰囲気と話している内容の差に志摩は不思議な感情になる。
しかし、すぐに濡れた姉を着替えさせないといけない、と気がついた。
「柚姫、着替えないと。風邪を引いてしまう」
志摩はそのまま、柚姫の手を引くと浴室まで連れて行こうとする。けれど柚姫はその場から動こうとしない。志摩が柚姫を促そうと、声を出そうとするのを遮り
「私の作ったごはん、食べてくれないの?」
柚姫が少し拗ねたような声を出す。
「解った、外で知らない女と食べて来たのね?だから帰りが遅かったんでしょう?困った子ね、私の志摩くんが嫌がるのに、無理やり食事に連れて行かれたのね?」
柚姫の口は止まらずに言葉を溢れさせる。
「本当に笑えないわ。志摩くんは私が作ったものしか食べちゃいけないのに」
そう言うと、柚姫の顔が志摩に近付く、たがいの距離が限り無くゼロになる。
「柚姫、落ち着いて」
志摩がたしなめるように言うのを聞かずに、柚姫はその唇で志摩の口を塞いだ。
140名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 19:20:28 ID:bKpBlPc8
「ん…」
静かに唇を離すと柚姫は照れるように頬を朱に染めて、微笑んだ。
少し曲がる口から志摩は目を離せない。
「許さないんだから」
志摩の胸に顔を埋める形で柚姫は呟く。志摩はしばらくその感触を楽しみたかったが、それを振り放そうと口を開く。
「違う」
音のない空間に、その声は大きく響くように聞こえた。
「ん…」
柚姫が両手を志摩の身体に巻き付ける。
「誰とも、食事なんてしていない」
出してしまえば後は零れるように溢れ出る。
「柚姫が、泣いてたから。柚姫がバイトに行くのを止めたのに、俺がそれを聞かずに出て行ったから…それが気になって、帰るのが」
遅くなったんだ。と、言おうとして、再び口を塞がれた。
「ん…ふぅ…ぁ」
口から舌が伸びてきて、志摩もそれに応える。濡れた感触が広がり、それに思わず自分が反応して、柚姫の腕に力がこもる。
少し身体に痛みが走るが、志摩にはそれが心地良い。
唾液と舌の艶かな感覚を楽しんで、二人は口を離した。柚姫の唇についた唾液が、彼女の首元に落ちる。
慌ててそれを拭う。
141名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 19:25:01 ID:bKpBlPc8
「ん…」
静かに唇を離すと柚姫は照れるように頬を朱に染めて、微笑んだ。
少し曲がる口から志摩は目を離せない。
「許さないんだから」
志摩の胸に顔を埋める形で柚姫は呟く。志摩はしばらくその感触を楽しみたかったが、それを振り放そうと口を開く。
「違う」
音のない空間に、その声は大きく響くように聞こえた。
「ん…」
柚姫が両手を志摩の身体に巻き付ける。
「誰とも、食事なんてしていない」
出してしまえば後は零れるように溢れ出る。
「柚姫が、泣いてたから。柚姫がバイトに行くのを止めたのに、俺がそれを聞かずに出て行ったから…それが気になって、帰るのが」
遅くなったんだ。と、言おうとして、再び口を塞がれた。
「ん…ふぅ…ぁ」
口から舌が伸びてきて、志摩もそれに応える。濡れた感触が広がり、それに思わず自分が反応して、柚姫の腕に力がこもる。
少し身体に痛みが走るが、志摩にはそれが心地良い。
唾液と舌の艶かな感覚を楽しんで、二人は口を離した。柚姫の唇についた唾液が、彼女の首元に落ちる。
慌ててそれを拭う。
「いやらしい…」
うっとりとした表情で呟くと
「そんなに、私が濡れてるのが気になるの?」
柚姫の口が耳に触れる。くすぐったい様な感覚に少し震える。
「それじゃあ」
これから続く言葉は、大体予想がつく。志摩は自分の鼓動が早くなるのを感じた。
そんな彼の心の裏を知ってか知らずか、柚姫は唇を歪ませながらささやく。
「志摩くんが、暖めて…」
言葉は、麻薬のように広がった。
142名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 19:42:07 ID:bKpBlPc8
投下失敗orz
規制がかって時間が開いてしまいました。
お見苦しい所を見せてしまいました。
スミマセン(´・ω・`)
143名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 00:24:35 ID:yav7fLyZ
じわじわとくる感じで、うまいなぁ……
GJです!
144名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 10:02:08 ID:wSNGe558
柚姫エロスw
やはりキモ姉はいいものだ
145名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 18:40:35 ID:eOvBDNwj
109 名前:現役小説家兼漫画原作家 ◆4HhZSQd0HY [sage] 投稿日:2006/06/21(水) 18:00:34
最後に

漫画家や小説家は内職ですので、家にかじりついてる時間がつくづく多い仕事だと
思いますね。
それとですね、小池一夫先生がいつも言ってたけど才能というものは
・自分に対する自信
・無駄の無い努力
この二つさえついてれば十分だといつもいってましたね。
確かにその通りです。
伸びの遅い人はほとんどがこの二つのどちらか、もしくは両方に当てはまっていること
が多いです。

最終選考を超えられない壁と考えずに、後一歩のハードルと考えればかなり良い線に
なるはずです。
それと、あなたの場合最終選考で残るということは、むしろ絵が下手なのより書く速度
のほうに問題があるのでは?
私が選考委員の手伝いをするときは最終選考で行き詰まる人は大概絵のほうは最低限
の連載レベルのハードルは、超えています。
編集部は得てして絵が下手と一蹴しますが、私達が落選と当選を分ける判断として決め
ているのは、その絵のラインの引き方から出る、スピードです。
素人(いわゆる漫画読者)はどんなにデッサンがしっかり出来ている絵よりも、見栄えの良
い無難な絵のほうをプラスに表し、Gペンのダイナミックなラインよりも丸ペンの線の細いラ
インのほうを美しいと言います。
146名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 19:00:43 ID:PwJN8CFo
誤爆ですか><?

版権ギャグ物しか書いたことのないヘタレでも、投下してみてもよろしいですか(`・ω・´;)?
大体九割ほど書き上がっているもので
147名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 19:15:25 ID:4xnMVk4B
もちろんですとも
ささ、遠慮などなさらずに
148名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 01:59:42 ID:L/arMpBo
遠慮せずにこいよ。
149名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 02:47:04 ID:L/arMpBo
ヤマネの続きが読みたいなぁ。
150名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 20:14:36 ID:+hl2L+4W
>>146
誘い受けと顔文字うざいっすw
きもいんで遠慮して欲しいっす
ここには既に神が居るんで、正直水差さないで欲しいっす
151名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 21:02:50 ID:sgT2Wozz
そう言う野暮は廃れる原因だぞ?
神は足りなくて困る事はあっても多すぎるに越した事は無い
と言うわけで未だ見てたなら気にせずカモーン
152名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 21:28:04 ID:3UuvqBNQ
職人が増えると、信者同士のいざこざがスレを乱すからな…
既に連載を持っている身としては、平穏を乱すのは正直遠慮して頂きたいものだな。
153名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 21:29:15 ID:2es/HUJu
スレ住人の心までヤンデルからな
154名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 23:12:17 ID:x1FD+7ir
もう投下しづらい空気になってしまったね。実に残念だ
スレ速度が伸びないから、新しい職人が増えるのは願ってもいなかったのに
155名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 23:16:03 ID:vG1zlFG1
>>154
あまり開放的なのも面倒事が増えるきっかけなんで
多少閉鎖的で排他的なほうが平和で良い
156名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 23:25:57 ID:HG48fsAg
そんなの投下がなくなったら平和も糞もあったもんじゃない
157名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 00:29:48 ID:f+v7Fphm
わざわざ投下してくれるのを断る馬鹿は死ねばいいのよ
ただでさえここ暫く投下がない廃れたスレなのに。

158名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 00:44:41 ID:PfoyDJsX
で、ヤマネはまだなの?

そろそろ放置プレイがきつくなってきたんだが…
159名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 00:54:24 ID:64HdAo9O
ここの住民はツン期な奴が多いね
160名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 01:55:01 ID:7fiY42Gx
>>157
いや、くだらない投下で水を差されるのも萎えるし・・・
別にいいんでない?
住人もも投下を餞別するくらいの権利はあるだろ。
161名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 02:12:37 ID:Ybks7DNa
ねぇよ
162名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 02:25:25 ID:TcXogWyZ
>>161
んじゃ
スカトロホモSSを、延々と住人の声無視で投下しても文句は付けられない訳だw
次に誰か投下したら割り込みで投下するんでよろしくw
163名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 02:27:23 ID:TcXogWyZ
さっき、川原でやった六尺兄貴凄かったです!ガチムチの色黒兄貴がオッス連呼で
張型ケツにぶちこまれ腰振ってました。俺もくわえさせられて浣腸食らい無様に
排便さらしました。バリカン出されたときは一瞬引いたけど、兄貴の「いやなら
止めていいんだぜ!」の一言で覚悟決め、生まれて初めて丸刈りになりました。そ
の後、脇・チンゲも刈られてビンビンのマラ、思いっきりしごかれ派手にガチムチ
兄貴の顔に飛ばしました。スッゲー男らしく気持ちよかったです。また行くとき
カキコして下さい!帰ってから丸刈りの頭見て、また感じまくってます!
164名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 02:53:41 ID:lxvidNoI
ヤンデレななごみんが見たいなぁ
165名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 09:42:59 ID:Z9STkiMX
乞食がもらうものを選べるわけねぇだろ。
嫌なものはもらわないことはできるだろうけど。
てわけで嫌ならスルー
166名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 10:34:36 ID:zL/nlMoL
客はレストランで出されたものをまずいという権利はある。
まずかったら金払わなくてもいいんじゃね?
金の代わりに感想上げてるわけだし、一方的に恵んでもらてるわけじゃねーべ。
思いあがりも甚だしいなw
167名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 11:27:29 ID:Q0YKR+/z
なんか粘着沸いてるな。このスレもうダメぽ。
168名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 12:27:41 ID:PHi7Wac4
気持ち悪いのが一人で頑張っているよね。
169名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 12:54:13 ID:k4OAvRhc
こいつのやってることはどうみても荒らしだね。
偉そうな態度を取って反応する奴らを虎視眈々と狙ってるきがする。
ってわけでなんか場を一掃するネタを↓の人どうぞ。
170名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 13:51:55 ID:xMiegZIh
糞スレage
171名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 19:55:43 ID:Ef6oQ2P3
七誌君がこんなところに目移りしちゃうのが悪いんだよ
七誌君が見ていいのは私だけ、それ以外の女なんて見たら
七誌君の目が腐っちゃうよ、だから七誌君に近づく女から守ってあげる
あの女がヤリまくってる牝豚だっていう噂流したの私だよ
だってそうしないと七誌君優しいからずっと付きまとわれちゃうもんね
そんなの七誌君がかわいそうだよ
だから私が排除してあげたの
これからはずっと一緒、ずっと・・・


っていう目的の荒らしだったらヤンデレでいいねぇ
俺は未だに146殿の作品を待っているわけだが・・・
ヤンデレは発展途上だから色々見てみたい(*´д`*)
172名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 00:41:57 ID:T2aHSS6C
ゴミみたいな小説もどきしかないのな
もう少し人生考え直したほうが良いと思うが。
173107の続き:2006/06/25(日) 02:32:12 ID:+sD7Pgg/

 ヤマネは――笑っていた。
 どうしようもないほどに、どうにもならないほどに、満面の笑顔でヤマネは笑う。
 その笑顔の向こうを幹也は見る。それ以外は見ようともしない。
 血に沈んだ家族も。壊れて散乱した家具も。割れた窓も。
 穏やかで、退屈だった日常の残骸を幹也は見ようともしない。
 血に濡れた笑顔だけを見つめている。

「ただいま、ヤマネ。どうしてここに?」

 幹也は問う。
 どうしてこんなことをしたのか、ではなく。
 どうしてここにいるのか、と。
 その問いに、ヤマネは笑ったまま答えた。

「だって、ヤマネはお兄ちゃんの妹だもんっ!」

 言って、ヤマネは包丁を放りなげてすりよってくる。
 手から離れた包丁が宙を回り、中ほどまで床に突き刺さった。
 血をぱちゃぱちゃと踏み鳴らしながら、ヤマネは幹也へと抱きついた。
 すぐ真下にある髪からは、いつもと変わらない少女の臭いと、真新しい血の臭いがした。
 その血の臭いも、部屋に満ちているそれと混ざり合い、すぐに分からなくなる。

「ヤマネねっ、お兄ちゃんのために頑張ったんだよ?
 お兄ちゃんを閉じ込める、ニセモノの家族を倒してあげたの!
 ね、褒めて、褒めてっ!」

 傍から聞けば、錯乱しているとしか思えないヤマネの言葉。
 けれど、この場には『傍』に立つものは誰もいなかった。
 血に濡れた部屋に立っているのは、ヤマネと幹也の二人だけだ。
 力の限り抱きついてくる少女を、幹也はそっと抱き返して言う。

「そう。――がんばったね、ヤマネ」

 答える幹也の顔は、邪悪に笑って――などいなかった。
 笑ってもいない。
 怒ってもいない。
 いつもと変わらぬ、退屈そうな表情のまま、幹也はヤマネを抱きしめていた。
174名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 02:33:35 ID:63vVoDMc
妨害工作自演職人キター!
175名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 02:41:44 ID:Xy0aiEkL
一レス分だけなんて酷いよ!お兄ちゃんっ!
もっともっと!
176名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 02:43:47 ID:0jmQoazG
遂に続きキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!!
主人公一番ヤベーがな!!
177173の続き:2006/06/25(日) 02:49:15 ID:+sD7Pgg/

 腕の中、ヤマネが猫のように喉を鳴らし、頬を摺りつけてくる。
 ふと、幹也はその細い首に手をかける。
 キスをしたい。そう思う反面、このまま首を絞めてしまいたくもなった。
 そうすれば、少しは暇ではなくなるだろうから。退屈が紛れるだろうから。
 この異常な状況においてなお――幹也は、どこまでも平常だった。
 けれども、幹也が何をするよりも、ヤマネの動きの方が早かった。

「お兄ちゃん、そろそろ行こっ!」

 幹也から離れ、首に添えられた手を握り、縦にぶんぶんと振ってヤマネが言う。
 上下に振られた手を追いながら、幹也は呟くように答えた。

「行くって――どこに?」

 当然といえば当然の言葉に、ヤマネは「決まってるよっ!」と前置き、

「こんなところ、もういらないよね? ね、ヤマネと一緒にいこっ!」

 ――こんなところ。
 その言葉を聞いて、幹也は部屋の中を見回してみる。
 二人分の死体と、一人の死に掛けと、血と死と破壊で満ちた家。
 すでに終わってしまった場所。
 成る程、もうここは要らないな、と幹也は内心で納得する。
 退屈な家から離れて、殺人鬼の少女と退屈な逃避行。
 それも暇つぶしだ、とすら思った。

「そうだね。行こうかヤマネ」

 ヤマネの手を握り返し、幹也は言う。
 その言葉を聞いて、ヤマネは、これ以上ないくらい嬉しそうに笑った。

「うんっ! ここも、喫茶店もヤマネいらない!
 お兄ちゃんがいればそれでいいよっ!」

 ヤマネは手を繋いだままぴょんと跳ね、幹也の隣に並ぶ。
 繋いだ手の温もりと、血に濡れる感触を感じながら、幹也は踵を返す。
 視界の端に、重症の中まだ動いている――最後の生き残った家族が見えた。
 もはや家族ではなくなった少女に向かって、幹也は言う。

「――ばいばい」

 それが、別れの挨拶だった。
 幹也も、ヤマネも、振り返ることはなく。

「雨に――唄えば――」
「唄え――ば――」

 二人仲良く歌いながら、家の外へ、夜の街へと消えていった。

178名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 03:09:23 ID:63vVoDMc
【アッー!の由来】

サッカー部員に扮した多田野らがヤクザの車に追突
 ↓
「犬のまねしろよ」「四つん這いになるんだよ」「やれば返していただけるんですか?」
「何犬のくせにお前服着てるんだよ」「早くしろよ」などの会話を経て全裸に。
 ↓
「わんわん泣いてみろ」「まわってみろ」「よぉし、お手だ」の命令に犬を演じるも
「なんか犬っぽくねぇなあ」「なんかたんねえよなぁ」ということで首輪をはめられる。
 ↓
指でアナルをほじくられ、「汚ない穴だなぁ」などと罵られる。スパンキングに穴が反応。
「お前初めてかここは、力抜けよ」と後輩の目前でいじられ、長い尻尾をつけられる。
 ↓
「咥えてやれよ」と命令された後輩(DB)のフェラチオで「アッー アッー!」と悶える
 ↓
ヤクザに局部を見せながら2人の後輩に尻の穴を見せる。「気持ちいい!」と悶えながら
男性自身を勃起させる。このあと、後輩(HTN)がコンドームをつけ、多田野に背後から挿入。
「オフッ!」と唸るも、直後から「アッ、アッ、アッ、アッ!」と多田野は勃起させながら声をあげる。
 ↓
ヤクザも加わり4Pが始まる。ヤラれるばかりだった多田野が一転、攻勢に出て、
ヤクザを下にして犯し始める。
小刻みに腰を振りながら「イグ!イグッ!イグゥ!アッー!、アッー!」 と叫んで、
多田野もヤクザの腹に勢い良く射精「…アッー!… アッー!… ァッー…」と虚脱の表情。
179名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 03:10:37 ID:63vVoDMc
>>ゲイの出会い系で知り合った10歳以上年上のオジサンの家へ。
そしたら「これ着て責めて欲しい」と言われて、レンコン掘りというか、
魚河岸の人が着てるような胸まであるゴム長を着させられ、捻りハチマキをさせられた。向こうは全裸。
まあこんなのもたまにはいいか、と愛撫してたら、オジサンが喘ぎ声の中、喋りだした。
「お、おにいちゃん…お、おかえりなさい…た、大漁だった?ねえ大漁だった??」
…オレは突然の、しかも想定の範囲を超えたセリフにポカーンとしてしまった。
オジサンは素に戻って、「…返事して欲しい」と恥ずかしそうにオレに言った。
プレー再開。・・・耳とかをなめつつ体中をさわさわと触る
「お、おにいちゃん、大漁だった?」
「ああ、大漁だったよ」
「あぁぁぁあぁすごいいいぃいぃ!、、な、なにが、、ハァハァなにが捕れたの?」
乳首を舌でやさしく舐めながらオレは答えた
「…鯛とか、、、ヒラメがいっぱい捕れたよ」
セリフを聞き、オジサンはびくんびくんと身体をひきつらせた
「はっ!はぁぁぁあんっ!イ、イサキは?イサキは、と、取れたの??」 チンコをしごく
「ああ。でかいイサキが取れたよ。今年一番の大漁だ。」
「大漁っ!!イサキぃぃ!!おにいちゃんかっこいいいいぃぃぃい ぃくううううう!」
実話です。。きっと漁師の人との幼い頃の体験というか、淡い恋心とかが
あったんだろうなあ、といろんなことを考えさせられた一夜でした。
180名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 03:14:01 ID:63vVoDMc
××の喧嘩祭といえば、六尺褌一丁の男達が、神輿を担いでぶつかり合う、
勇壮な祭として、この地方に知られている。
祭のあと、男達は集会所に集まり、普段着に着替え、飲み合う。
六尺は、激しい祭でドロドロボロボロになるから、使い捨てで、ゴミとして出される。
俺はいつもそれが狙いだ。
捨てられている六尺の、できるだけ汚れてる奴を10数本ほど、
こっそりさらって家に持ち帰る。
そして、深夜、俺一人の祭が始まる。
俺はもう一度汚れた六尺のみ身に付け、部屋中にかっさらってきた六尺をばら撒き、
ウォーッと叫びながら、六尺の海の中を転げ回る。
汚れた六尺は、雄の臭いがムンムン強烈で、俺の性感を刺激する。
前袋の中のマラは、もうすでに痛いほど勃起している。
六尺の中に顔を埋める。臭ぇ。
汗臭、アンモニア臭や、股ぐら独特の酸っぱい臭を、胸一杯に吸い込む。溜まんねえ。
臭ぇぜ、ワッショイ! 雄野郎ワッショイ!と叫びながら、前袋ごとマラを扱く。
嗅ぎ比べ、一番雄臭がキツイやつを主食に選ぶ。
その六尺には、我慢汁の染みまでくっきりとあり、ツーンと臭って臭って堪らない。
その六尺を締めてた奴は、祭で一番威勢が良かった、五分刈りで髭の、40代の、
ガチムチ野郎だろうと、勝手に想像して、鼻と口に一番臭い部分を押し当て、
思いきり嗅ぎながら、ガチムチ野郎臭ぇぜ!俺が行かせてやるぜ!と絶叫し、
マラをいっそう激しく扱く。
他の六尺は、ミイラのように頭や身体に巻き付け、
ガチムチ野郎の六尺を口に銜えながら、ウオッ!ウオッ!と唸りながらマラを扱きまくる。
そろそろ限界だ。
俺は前袋からマラを引き出し、ガチムチ野郎の六尺の中に、思いっきり種付けする。
どうだ!気持良いか!俺も良いぜ!と叫びながら発射し続ける。
本当にガチムチ野郎を犯してる気分で、ムチャクチャ気持ち良い。
ガチムチ野郎の六尺は、俺の雄汁でベトベトに汚される。
ガチムチ野郎、貴様はもう俺のもんだぜ!
俺の祭が済んだあと、他の六尺とまとめて、ビニール袋に入れ押し入れにしまい込む。
また来年、祭で六尺を手に入れるまで、オカズに使う。
押し入れにはそんなビニール袋がいくつも仕舞ってあるんだぜ。
181名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 03:15:41 ID:63vVoDMc
この前ズリダチとタイマン勝負したことを書くぜ。
互いに六尺姿でまずは威嚇、腕組みヤニ咥えガン飛ばし、
大股で筋肉と勃起誇張して、野郎比べだ。
雄臭ぇポーズで挑発しあう。腰突き出し勃起を振り回し、
オラオラ節で興奮に火が付く。

やわらオイルをタップリ仕込んで、いよいよズリ戦開始だ。
胴ズリ、逆ズリ、雁ズリ、玉ズリ、上ズリ、下ズリ。
野郎うなぎ責め、腰砕けの手マンコ、野郎泣かせの亀頭責め。
片手技と両手技の競り合いで、雄の粋と艶を比べ合う。
ズリ見せ根性丸出しでな。

一息入れる時にゃ、奴の胸板めがけて、勃起ションベン。

ビシバシ痛ぇくらいに、照射すりゃ、雄の征服感が全身を
快感となって駆け回る。

さらにオイルを仕込んで2R。
今度は俺のズリビデオ見せながらのダブルズリ攻撃さ。
ラッシュ飛ばして、ド淫乱野郎に変獣し、チンポ・センズリ・押忍の連呼。
俺達はまさに、チンポ、ズリ、男意気を激しく比べ合う戦闘士だ。

寸止めのエロい表情も相手を落とす神技、何度も食らう度に金玉の
引きつる痛みさえ新たな快感に変わる。

その時、ほんの少しの気の緩みで奴は快感のコントロールを失い
射精の痙攣に突入。

2回に渡るファイトはいずれも俺の勝利、最後は奴のチンポめがけて、
野郎征服の快感に酔いながら勝利の照射!
3時間勝負は俺達ズリ舎弟の絆を更に固めたぜ!
182名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 03:16:13 ID:63vVoDMc
「一発やっかぁ」
ス-ツを脱ぎ捨てると、縦じわでよれよれの前垂れを整えた。鏡の前に立ち股を開く。
既に前袋を濡らし、俺のチンポは俺の愛撫を待つ。
身体を横にして鏡に映すと、前垂れを持ち上げて、ピラミッドがそこにあった。
「俺の越中一本のセンズリだぜ」声に出していう。
「男はやっぱセンズリ」
やおら前袋の脇から、ズルムケ状態の仮性包茎チンポを取り出す、手にオイルをたっぷり取り、逆手で亀頭をこね回す、
「ヌリュッ、ヌチョッ」音が俺の勃起中枢を更に刺激する。
「センズリたまんねぇ」扱きに合わせて、身体を上下させる。
「男のセンズリにゃあこれだよ」ラッシュを吸い込む。
「スッ、スッ、スッ、スッ」顔から熱くなり、やがて頭の中が真っ白になる。
「チンポ、チンポ」「越中のセンズリ」
頃合いをみて前垂れを引き抜く。俺は自分のこの格好が好きだ。
白い細紐だけがはらに残り、ぶらぶらのきんたまのバックに、前垂れ垂らして、腰を振り、左手できんたま引っ張り、右手でヌルヌルとチンポを扱く。
鏡の中のの俺は、日本一の伊達男になっていた。
「ちきしょう誰かに見せてやりテェよ」最高潮が近付くと、いつもそう思った。ラッシュをもう一度効かせ、オイルを追加すると、男へ向かってまっしぐらだ。
「男になってやる」「越中一本のほんまもんの男」
「うりゃ、そりゃ」「ズリュッ、ブチュッ」しぶきを飛ばしながら、クライマックスをめざす。
「たまんねぇよ」きんたまの奥から、激しいうねりが起こった。やがて奔流となり、俺を悩ます。
-だしてぇ- -もっと扱きてぇ-相反する気持ちがせめぎあい、俺は崖っ淵に立つ。
「きたっ」俺は膝を直角に曲げ、それに備える。奔流は堰を切ろうとしていた。
「男一匹 ! 」「ぶちっ」
鈴口を押し分けて、白い塊がしゃくり出される。
真っ白い時間が過ぎ、目の前が現実に戻る。
183名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 03:23:52 ID:63vVoDMc
「もういっちょ男になってやろうじゃねぇか」
布の上から、亀頭を刺激する。爪で引っかくように、エラの部分を擦った。
チリチリとした快感に、鏡の中の越中野郎が顔を歪めた。
左手は、前袋に突っ込み、きんたまを掴んだ。そのまま腰を落としももを割る。
「おやじの越中最高だぜ」声に出す言葉で、自分を挑発する。
「越中褌一丁日本男児のセンズリだぜ」「俺のこの男っぷり見てやってくれっ」
辛抱たまらなくなって、前垂れを抜き取る。右手にオイルたっぷりで、左手にラッシュ構える。
「おうっ」亀頭の先から、チンポの根元へ、ヌルンと扱き下ろす。
「スッ、スッ、スッ、スッ、ス-ッ」きつめにラッシュ決めたら、暫く呼吸を止める。
血圧が下がり、脳の中を<せんずり>だけが、支配する。
「ピチッ、ヌチョッ、クチャッ」亀頭の辺りを通過する度、くぐもった擦過音が響いた。
先ほど来揉み続けていたきんたまを、ギュッと下方へ引っ張る。
チンポの皮が引き延ばされ、亀頭がテカテカに突っ張る。逆手でそれを握ると、グリグリと回転させる。
「これが俺の亀頭攻めだぜ」強い刺激に腰が砕けそうになる。腰を前後に振ると、一層感じる。
オイルを追加し、改めてラッシュを吸い込む。
「スッ、ス-ッ、スッ、ス-ッ」一旦止めて効果を待つ。
滴る程のオイルと、やけに効くラッシュで、男入りまくり状態だ。
「センズリ、センズリ男のセンズリ」「越中一本男のセンズリ」
言葉が快感を呼び、刺激が男をくすぐる。
「スッ」軽く吸う。蟹股で部屋の中を歩く、
「ス-ッ」男気が溢れ、どうしようもなくなってくる。
「ス-ッ」反り返り脈打つチンポを、渾身の力を込めて扱く。 
「たまんねぇ、勘弁してくれ」
「スッ、ス-ッ」
「きたぜ、くるぜっ」
<そんきょ>の体制で、備えた。押し寄せるものは、もはや留まることを知らない。
「おりゃっ男一匹」
いつもの決め言葉で、噴出が始まる。その回数に合わせ腰を振った。
やがて潮が引き、ヌルヌルと後戯を楽しむ。
次第に呼吸が整ってくる。
184名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 04:56:06 ID:kccRMrcs
>>177
ヤマネGJです!

この後、妹が復活して暴走してくれればいいな……と思ってみたり。
185名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 10:34:58 ID:qO4QxtZY
>>184

俺はセンズリの時は必ず六尺を締めてやる。
そのまま発射するから六尺には雄汁がたっぷり染み込む。
それを一回も洗濯しないからチンポが当たる部分は変色し茶ばんで、
臭いもすげぇ雄臭くなっている。
昨夜もその六尺締めてセンズリした。
臭いが逃げないように六尺は密封ケースの中に仕舞ってあり、六尺二丁が生乾き状態で、
蓋を開けただけでムワッと雄臭え臭い立ち昇ってきて俺の性欲を刺激する。
全裸になって素早く六尺を締める。縦褌がケツにギュッと食い込むほどきつく締める。
六尺一丁の姿を全身鏡に映して眺める。週4でトレして日焼けマシンで焼き込んでる
ゴツクて浅黒い肉体が我ながら雄欲をそそる。
既に前袋の中では痛いほどチンポが勃起して盛り上がり先走りの染みがひろがっている。
俺はいろいろポージングして己の肉体美を観賞する。
雄臭ぇ。たまんねぇぜ。
俺は前袋ごとチンポを揉みしだく。
うぉっ!いいぜ。
長く楽しむために発射しそうになると手の動きを止める。
俺は交互に使ってるもう一丁の生乾きの六尺を顔に押し当て臭いを嗅ぐ。
臭ぇ臭ぇ。ギンギンのチンポからさらに先走りが溢れる。
こうやってじっくり楽しみながらいよいよ発射の時が来る。
褌マッチョ野郎!雄臭えぜぇー!と叫びながら六尺に中出しする。
六尺はドロドロベトベトになり部屋中に雄臭が漂う。
六尺を解いてすぐ密封ケースに仕舞う。今夜もまた世話になるぜ。よろしくな。
186名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 13:21:38 ID:CmEnv2PY
ヤマネ待ってました!(b^ー°)。
187名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 17:02:34 ID:CDvp98fD
ガチムチ待ってました\(^o^)
188名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 17:07:47 ID:N7SFMt4o
ある山奥の洞窟に、赤鬼と青鬼が住んでいました。
赤鬼と青鬼はとても仲良しで「兄貴」と、呼び合い、お菓子を持ち合ってお互いの家を訪ねたり、玉門を貸し合ったりしていました。
ある日、赤鬼が青鬼に悩みをうち明けました。
「青兄貴・・・」
「なんだい、赤兄貴」
「俺、村にいる、他の穴を持つ奴とも仲良くしたいっす・・・」
「私じゃ、不満かい?赤兄貴」
「いえ、そうじゃないっす。ただ、色々な穴を持つ人達と広く知り合いになりたいというか・・交流をもちたいっす」
「そうか。赤兄貴はやさしい性格だから、きっと、いろんな人達と穴友達になれるだろうね」
やさしい青鬼の言葉に、赤鬼は悲しげに首を振りながら言いました。
「だめっす・・!みんな俺の逞しい体と顔を見ると恐がって逃げていくっす。いつ、誰が訪ねてきてもいいように、お菓子も用意して玉門も毎日清潔にしているのに誰も来てくれないっす。乱暴なことはしないのに・・・」
肩を落として悲しげな様子の赤鬼を、青鬼はとてもかわいそうに思いました。
「そうだ、赤兄貴。他の人とも仲良くなれるかもしれない名案があるよ。」
「えっ、本当っすか!青兄貴、ぜひご教授おねがいしまっす!」
青鬼の名案というのは、自分が悪者になり村人をいじめ、そこへ赤鬼が現れ村人を助けるというものでした。
「そんな・・そんなこと出来ないっす!青兄貴を悪者にするなんて!」
「赤兄貴、一時的なことだよ。村人と仲良くなれたら君があとで誤解を解いてくれればいい」
赤鬼はとても悩みましたが、青鬼に説得されて実行に移すことにしました。
189名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 17:46:25 ID:G7CWR5Yn
>>177
お待ちしておりました。
ヤマネGJ!
190177の続き:2006/06/25(日) 22:39:19 ID:OwitErRI

 ――そして、半年後。

 街へと消えていったはずの幹也は、今、喫茶店「グリム」地下の図書室にいる。
 机の上でぐったりと放心している少女――グリムに覆いかぶさるようにして。
 そこにいるのは、ヤマネではない。
 机の反対側にはマッド・ハンター。胸の中にはグリム。
 かつて幹也の傍にいたヤマネは、此処にはいなかった。

「ふむ、ふむ、ふぅむ! それにしても君は本当にどうしてここにいるのかな?」

 行為が終わったのを見計らって、マッド・ハンターが口を挟んだ。
 その声は、いつもと変わらない嬉々としたものだ。ヤマネがいたころから。あるいはその前から。
 そして、これから先も変わらないであろう笑顔に向かって、幹也は答える。

「退屈になったから。それだけだよ」

 簡潔な答えに、マッド・ハンターはあは、あはは、あはははと笑い、

「君はいつもそれだよね。退屈、退屈、退屈! 
 ――その退屈を紛らせてくれたヤマネはどうしたのかな?」 

 確信的な、あるいは核心的な言葉を聞いて、幹也は微笑んで答える。

「君が知らないわけないだろ。ニュース見たよ。
『少年少女謎の失踪』。『殺人カップル』『少年死亡説』、他には何があったっけ」
「『悲惨な事件の生き残り・須藤冬華の賢明なリハビリ』。
 ニュースに出たおかげで、三月ウサギ君の正体を知ったのよね」
「ここで名前を呼ばないのは嬉しいけどね。で、どういうことなんだよ」

 なにがかな? とマッド・ハンターはとぼける。
 とぼけた顔は笑っている。解っていて、彼女は笑っているのだ。
 そのことを悟っている幹也は、ため息と共に言う。

「どうして――死んだはずのヤマネが、失踪扱いになってるんだよ」

 その言葉に、マッド・ハンターはこの上ない笑みを浮かべた。

191名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 23:57:03 ID:CjdxWwkE
鏡に向かって地下足袋手甲姿で盛る毎日。
数日に1回の射精にしてるから、ほとんど毎日が寸止めズリ修行さ。
大股仁王立ち、マラ握り突き上げる腰つき、チンポセンズリ連呼、鏡の手前ぇにガン飛ばし、ラッシュで駈け登る。
何度も極楽彷徨い随喜の涙が糸引き飛び散る。いつも1時間位は修行でな、テレズリ相手とナマ中継もやったりな。
金玉の底からザー汁がクツクツ上ってきてよ、この感覚が最高なんだよな。
射精の日、最近はタッパに手前ぇのザー汁吐き出して速攻急速冷凍。
勿論貯めて時々解かしては胸板チンポにオイルとミックスして、マッパザー汁まみれ、勿論手前ぇの口でもタップリ味わってよ、至極のズリに酔い痴れる。
全国のズリ野郎、ビュッビュッと吹き上げようぜ!電話でのズリ戦対決、待ってんぜ!
192名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 00:05:26 ID:havn7b8g
柚姫お姉さんも楽しみだネ。
193名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 00:09:06 ID:OW4cXkow
越中兄さんも楽しみだネ。
194名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 00:21:08 ID:jNI9vZbM
>>192
作者自演乙w
195名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 00:24:46 ID:8uwgQBmv
>>194
流石ヤンデレ容赦ないわね
いくら七誌君を取られたくないからってそういう汚い手を使うのは
お兄ちゃんどうかと思うな
196名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 00:35:32 ID:bdpix0Jr
紀州の南高梅といえば、六尺一丁の暇人が、我を忘れて仕込み合う、
薫り高い梅として、全国に知られている。
仕込みのあと、野郎達は集会所に集まり、去年の仕込み酒を持ち寄り、飲み合う。
南高梅は、梅酒にとてもよい青梅の旬の後、すぐ黄色や赤色になるから、
投売りでセール品として出される。俺はいつもそれが狙いだ。
投売られている南高梅の、出来るだけ肉付きのいい青めの奴を1kgほど、
こっそり購入して家に持ち帰る。
そして、深夜、俺一人の祭が始まる。
俺はもう一度熟した南高梅の身を摘み、流しの桶にばら撒き、
ウォーッと叫びながら、桶の中に流水を落とし回す。
汚れた南高は、日本古来より親しまれて来た臭いがムンムン強烈で、俺の性感を刺激する。
ザルに上げた南高は、もうすでに痛いほどアクが抜かれている。
梅の中に顔を埋める。臭ぇ。
梅臭、山臭や、南高独特の酸っぱい臭を、胸一杯に吸い込む。溜まんねえ。
臭ぇぜ、ワッショイ! 梅仕事ワッショイ!と叫びながら、ペーパータオルごと梅を扱く。
嗅ぎ比べ、一番梅臭がキツイやつを主食に選ぶ。
その南高には、虫食いの染みまでくっきりとあり、ツーンと臭って臭って堪らない。
その南高を食べてた奴は、里で一番威勢が良かった、五分の魂で一寸の、無脊椎の、
幼虫野郎だろうと、勝手に想像して、鼻と口に一番臭い部分を押し当て、
思いきり嗅ぎながら、南高野郎臭ぇぜ!俺が仕込んでやるぜ!と絶叫し、梅のヘタをいっそう激しく穿り取る。
仕込んだ南高は、兵馬俑のようにガラス容器に並び付け、
南高野郎のデカ梅を口に銜えながら、ウオッ!ウオッ!と唸りながら氷砂糖を置きまくる。
そろそろ限界だ。
俺は戸袋からブランデーを引き出し、南高野郎の容器の中に、思いっきりブチ撒ける。
どうだ!気持良いか!俺も良いぜ!と叫びながら1.8リットル程注ぎ込み続ける。
本当に美味しい梅酒を仕込んでる気分で、ムチャクチャ気持ち良い。
ガチムチ南高梅の容器は、俺の雄酒でベトベトに浸される。
南高梅、貴様はもう俺のもんだぜ!
俺の祭が済んだあと、他の容器とまとめて、ラベルを張って押し入れにしまい込む。
また来年、梅雨頃に南高梅を手に入れるまで、オカズには使えない。
押し入れにはそんな梅酒がいくつも仕込んであるんだぜ。
197名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 00:46:39 ID:g6i1EULZ
>>196
コピペにレスするのもアレだが
今年梅酒仕込めなかったの後悔してたけど、南高梅探してみる
ブランデー漬けもしたことなかったから試してみるよ、ありがとう!
198名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 00:53:27 ID:IRlUOfx8
このまえ、スゲーやらしい交尾したんで報告するっす。俺は176−65−28でジム週3行って、逆三体形。
ソフモヒで色黒競パン跡くっきりのヤラシー体してるっていわれる。その日はすげーケツマンがうずいて我
慢できなくて、ドイツの発展場へ行った。店内は結構混んでたんだけど、ジャニ系のカッコカワイイ子が手を
のばしてきた。もちオッケーして個室へ。「すげーカッケーすね。超タイプなんで掘らしてもらっていいっす
か?」うなずいてそいつのチンポさわったら超デケー!20はかるくこえてたかな。俺も夢中になってしゃぶる
んだけど、口ん中先走りでべとべと。ようやく奴が「やらしーケツマンコっすね。ヒクヒクしてるっすよ。」って
言いながら指を出し入れしてきた。俺はもう早く入れてほしくて奴のチンポをせがんだ。「ヴォースゲー!」奴
の生チンポ入ってきたんだけど、そいつ若いからなりふり構わず腰振ってくるんだよね。30分くらいガンガン
に掘られて、俺も気が狂うかと思うほど。そしたら奴が個室の鍵を開けて「みんなに見せ付けてやろうぜ」って
言う。体勢をバックに変えてガンガンに掘られてたら、程なくしてガタイのいい野郎っぽい奴が入ってきた。
「すげーやらしい交尾してんじゃん。俺リバだから3人でやろうぜ!」俺も掘られながら奴のチンポしゃぶったら
こいつのもでかいのなんの。超硬い。そうこうしてたら、野郎の兄貴が俺のチンポにオイルをぬりたくって「三連
結やろうぜ」って言う。俺のチンポが野郎のケツマンコに生で入った瞬間すげーやばいくらい感じた。ラッシュガ
ンガンに吸って「すげーすげー!」1時間くらい三人つながったままで盛り合ってたら、俺を掘ってるジャニ系の
奴が「やべーイキそう」って言って俺のケツマンコにドクドク種付けした。そしたら俺もやばくなって野郎のケツマ
ンコん中にぶっぱなした。野郎の奴はトコロテンしやがって「こんどは俺が真ん中やるよ」て言って交代で交尾
し合った。またこういう交尾してー!
199名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 18:00:31 ID:YUDNHltq
進んでるなぁ
200LION:2006/06/26(月) 18:38:49 ID:v/7+yLzE
進んでると言うより
まさに病んでると言うべきだろう。
あぁヤマネも死の館も柚姫もきになるぅ
201名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 18:43:43 ID:LFkaEtXe
とりあえず死の館は修羅場スレに行ったぞ
202名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 19:01:19 ID:OW4cXkow
スカホモ期待age
203名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 21:28:18 ID:PGH3ZGET
ホモSS意外に秀逸だから新しくスレ立てたらどう?
204名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 02:46:31 ID:pta+JYpw
ヤマネの作者さん、トリップ付けて頂けませんか?
205名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 02:59:46 ID:SjVy2vUJ
あんま調子こいってっと潰すおw
206テスト ◆tr.t4dJfuU :2006/06/27(火) 19:26:48 ID:XBVld2ca
☆トリップのつけ方☆

名前欄に#の後ろに適当な文字列を入れるとトリップが表示されます。

例えば、名前欄に
テスト#1234って入れると、ここの名前欄みたいになります。

|ω・`) ヤマネの作者様と柚姫の作者様楽しませてもらってます
207名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 23:26:56 ID:Ra4CJZgD
・・・耳とかをなめつつ体中をさわさわと触る
「お、おにいちゃん、ぁあ…ウンチ出るっ、ウンチ出ますうっ!! 大漁だった?」
「ああ、んはああーーーーっっっ!!!ウッ、ウンッ、ウンコォォォッッ!!大漁だったよ」
「あぁぁぁあぁすごいいいぃいぃ!、、いやああああっっっ!!見ないで、お願いぃぃぃっっっ!!!
な、なにが、、ハァハァなにが捕れたの?ブジュッ!ジャアアアアーーーーーーッッッ…ブシャッ! 」
「…鯛とか、、、ブリュブリュブリュゥゥゥーーーーーッッッ!!! ヒラメがいっぱい捕れたよ」
セリフを聞き、オジサンはびくんびくんと身体をひきつらせた ビッ、ブリュッ、ブリュブリュブリュゥゥゥーーーーーッッッ!!!
「はっ!はぁぁぁあんっ!おおっ!ウンコッ!!ウッ、ウンッ、ウンコッッ!!!
ウンコ見てぇっ ああっ、もう イ、イサキは?イサキは、と、取れたの??」 チンコをしごく
「ああ。でかいイサキが取れたよ。今年一番の大漁だ。」
「大漁っ!!イサキぃぃ!!ウンチぃぃぃぃウンコおにいちゃんかっこいいいいぃぃぃい ぃくううううう!
ぶびびびびびびびぃぃぃぃぃぃぃっっっっ!!!!
ぁあ…ウンチ出るっ、ウンチ出ますうっ!!
ビッ、ブリュッ、ブリュブリュブリュゥゥゥーーーーーッッッ!!!ボトボトボトォォッッ!!! 」
実話です。。きっと漁師の人との幼い頃の体験というか、淡い恋心とかが
あったんだろうなあ、といろんなことを考えさせられた一夜でした。
208名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 00:12:57 ID:cQkm5URQ
>>208
混ぜるなw
209名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 00:15:09 ID:5KKhGnG9
ドーマウスマダー?
210名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 22:08:38 ID:+IqfZxg9
このスレ終わったな
211名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 00:20:08 ID:wsJR1IXp
なんならあげるか
212名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 01:01:19 ID:7ks+ByZ+
スカトロホモSSおもろい
213名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 18:12:38 ID:BemoHQxQ
なさけないが俺に出来る事は待つだけだ。
214名無しさん@ピンキー:2006/07/06(木) 13:58:58 ID:+DGhgtVy
ではオレも待とう
215名無しさん@ピンキー:2006/07/06(木) 15:58:12 ID:K+Tkpq5D
スカホモSSきぼんぬ!
216名無しさん@ピンキー:2006/07/06(木) 19:12:08 ID:zbzpk0td
三月ウサギのモデルはひょっとしなくてもヒィーヤッハァ!電波だよぉ!電波電波電波ぁーー!の人?
217終わらないお茶会 ◆msUmpMmFSs :2006/07/06(木) 19:48:37 ID:JKeN3p5I
>>190の続き
「決まってる、決まってる、決まってるだろうとも。
 君は知っているし、私も知っている。
 なぜなら――私はあそこにいたんだよ?」

 確信をつく言葉を、この上なくさらりと、マッド・ハンターは吐いた。
 その言葉は、つまるところ、

「全て、知ってるってことか」

 幹也の言葉に、マッドー・ハンターは両手をあげ、おどけたように笑う。

「全て、全て、全てと! 全てを知るものはいないよ。
 私が知っているのは、君とヤマネ君の顛末くらいだ」
「僕にとっては、それがすべてだよ」
「そうとも、そうとも、そうともさ! 君は全てを失い、全てを手に入れた」

 言って。
 マッド・ハンターの顔から、笑みが消えた。
 初めて――幹也が知る限り、初めて――真顔になったマッド・ハンターは立ち上がる。
 手にもった杖で、こつん、こつん、と床を鳴らしながら、彼女は歩き始めた。
 まるで、名探偵が解決編を始めるかのように。

「あの日、君とヤマネは、手に手をとって逃げ出した――」

 唄うような言葉を聞きながら、幹也はその光景を鮮明に思い出す。
 血と汚濁に塗れた少女を抱き寄せた夜のことを。
 月明かりの中、二人で手を繋いで歩き出した。行くあてなんてどこにもなかった。

「もちろん簡単に逃げ切れるものじゃない――」

 ヤマネも幹也も、お金も何も持たなかった。
 お互い以外には何も持たず、駆け落ちのような逃避行だった。
218終わらないお茶会 ◆msUmpMmFSs :2006/07/06(木) 19:50:07 ID:JKeN3p5I

「私たちみたいな人間が好む場所、廃ビルや廃工場。その一つで、君たちは身を休めた――」

 出来かけたままの鉄筋ビル。朽ちることもないのに、終わってしまった場所。
 始まる前に終わった世界。
 そういうものを彼女たちは愛していた。
 幹也は、どちらでもよかった。退屈をしのげるのならば。
 むき出しのコンクリートの上に座って、二人で身体を休めた。

「ヤマネは当然のように愛を求めて――」

 お兄ちゃん、抱きしめてっ! ぎゅって!
 ヤマネはそう言って抱きついてくる。

「君は当然のようにそれを受け入れて――」

 幹也は抱きしめる。いつものように。
 強く抱きしめて、舌を動かす。食べるように。
 けれど――

「けれど、ヤマネは、そこから先を求めた――」

 抱きしめていたヤマネが身を離す。
 その顔は、すこしだけ膨れたような、恥かしそうな顔。
 首を傾げる幹也に向かって、ヤマネははっきりという。
 ――ちゃんと、抱いて。ね。
 そして、スカートをたくしあげる。
 初潮がきたかのような、返り血で濡れた、下着のない下腹部。
 そして――

「そして――君らは、一線を越えた」
219終わらないお茶会 ◆msUmpMmFSs :2006/07/06(木) 19:56:35 ID:JKeN3p5I


 幹也は、ヤマネを抱いた。
 初めての性交。返り血とヤマネ自身の血が混ざり合い、白い太腿を伝っていく。
 身体から血が零れるかのように。
 抱きしめた身体は柔らかく、細く、壊れてしまいそうだったことを幹也は覚えている。
 痛いはずのなのに、最後まで、ヤマネが笑っていたことを覚えている。
 そして。
 一線を越えて。

「ヤマネは一線を越えて、さらなる幸せを得た。
 問題は君だ――君もまた、一線を越えてしまった」

 一線を越えて。
 一線を越えて。
 一線を越えて。
 一線を越えて。
 一線を越えて――



「――一線を越えて、君が、ヤマネを愛してしまった」


 こつん、と、杖の鳴る音が、すぐそばで止まった。
 見上げる。すぐそこに、マッド・ハンターがいた。
 口元は笑っていない。それなのに、その瞳は、堪えようもなく笑っているような気がした。

「勿論、勿論、勿論のこと――これは推測だよ。
 君の中で何があったのか、私には判らないしね。
 あくまでも傍から見た、私の推測。
 それを踏まえたうえで聞くけど――君、彼女の事を、愛したんだろう?
 さんざん遊んでおきながら――初めて、本当に、心の底から愛したんだろう?」

 幹也は。
 心の中に退屈を飼う、誰に対しても情動を抱かないはずだった少年は。
 マッド・ハンターの顔を見返して、はっきりと言った。

「――その通りだよ」

 衝撃的な告白にも、マッド・ハンターはたじろぐことはない。
 むしろ、何事でもないかのように、さらりと答えた。

「だから、君はヤマネ君を殺したんだね?」

 そして、幹也もまた。
 何事もないように、さらりと、「そうだよ」と答えた。

220名無しさん@ピンキー:2006/07/06(木) 20:14:37 ID:RUc4hVbb
リアルタイムktkr
221終わらないお茶会 ◆msUmpMmFSs :2006/07/06(木) 20:18:03 ID:JKeN3p5I


 マッド・ハンターは続ける。

「愛しまったから、殺した。それとも、殺したから愛した?」

 幹也は答える。

「一緒だよ。僕にとってはね。自覚したのはここ一年だけど」
「シザーハンズみたいな男だね、きみは!」

 そう言って、マッド・ハンターは笑う。
 幹也は笑わず、思い返した。
 あの日、あの夜のことを。

 自分の胸の中で喘ぐヤマネ。身体を突き入れるたびにがくがくと揺れる小さな身体。
 ――自分のことを好きだから、他の全てを排除しようとした。
 ――自分のことを好きだから、家族を殺した。
 ――自分のことを好きだから、彼女は今、ここにいる。
 身体を重ね、彼女の心について考えて、初めて――愛しいと思った。
 そしてその瞬間には手が伸びていた。いや、その瞬間より前に、手は伸びていた。
 ヤマネの首へと。
 そして、愛しいと思った瞬間は。
 自分の胸の中で、ヤマネが動かなくなった瞬間なのだから。
 自分のために生きた少女。自分のために死んだ少女。
 その骸を抱きしめて、幹也は初めて――彼女を好きだと思ったのだ。
 好きだと思えた。
 退屈でないと、思ったのだ。

「君は、ヤマネのことが好きだったのかな?」
「好きだよ」

 幹也は答える。
 過去形ではなく、今も好きだ、と。
 その言葉を聞き、マッド・ハンターは鬼の首でもとったかのように言う。

「君の『先代』――12月生まれの三月ウサギに対しても、君は同じように言ったね。
 好きだ、って。それはつまり、つまるところ、そういうことなの?」

 嘘を言っても意味がないので、幹也は正直に頷いた。
 それだけで、充分だった。
 その意味に気づいているマッド・ハンターは、ここでようやく、けたけたと笑い出した。
 もはや笑いを堪えることができなかったのだろう。
222終わらないお茶会 ◆msUmpMmFSs :2006/07/06(木) 20:22:06 ID:JKeN3p5I

「傑作、傑作、傑作だ! 彼女を殺したも君か!」
「半分は事故だけどね」

 いつものように、窓辺で会って。
 いつものように、首をしめて。
 いつもと違って、転落した。
 それだけのことだ。

「文字通り『退屈しのぎ』か! だから君は彼女を好きになったわけだ。
 そして、次の三月ウサギになったのね。
 シザーハンズよりも質が悪いじゃない!」
「人のこと言えるのかよ。質が悪いのは一緒だろ、マッド・ハンター。
 話聞く限りじゃ、後つけて死体始末したんだろ。
 僕は放置して帰ったのに」

 その言葉に、マッド・ハンターはわざとらしいため息を付いた。
 やれやれ、とばかりに肩を竦める。
 その仕草が少しばかり気に入らなかったけれど、幹也はつとめて無視した。
 マッド・ハンターは子どもに言い聞かせるかのように、

「仕方がない、仕方がない、仕方がないよ。
 私は『首切り女王』のために働く、しがないマッド・ハンター。
 狂気の帽子屋、兇器の狩人。死体専門だけどね。
『狂気倶楽部』の『外』で起きた問題の後始末係さ」
「いやな役だよな、それ。楽しいか?
 できれば――僕に関わってほしくない役だ」
「『裁罪のアリス』のような処刑人を送り込まれないだけありがたいと思いなよ。
 それにもちろん、役得もある」

 言って、マッド・ハンターはくるりと踵を返した。
 幹也から離れて、さらにもう一回転する。
 距離を取り、向かい合って、マッド・ハンターはポケットに手を突っ込んだ。
 そこから取り出したのは、小さな透明のペンケース。
 ただし、中に入っているのは筆記用具ではない。
 入っているのは――長い、栗色の髪の毛。

「という、というわけで、ということだよ。私も私なりに役得がある。
 君は私より、自分のことを考えるべきだと思うよ。
 また逃避行を続けるのかい?」

 マッド・ハンターの言葉に、幹也は「あー」と厭そうな声を漏らす。

「どうせ退屈だし……しばらくここにいてもいいけど。
 日本の警察って有能らしいし、」

 また逃げるかな、そう言おうとした。
 その言葉が――言えなかった。
223終わらないお茶会 ◆msUmpMmFSs :2006/07/06(木) 20:24:35 ID:JKeN3p5I

「――大丈夫だよっ、お兄ちゃん!」

 言ったのは、幹也でもマッド・ハンターでもなかった。
 二人のどちらでもなく、この場にいる最後の一人の声。
 場にそぐわない、能天気なほどに明るいグリムの声。
 その声に、続いて。

 ――ズド、と。

 厭な、本当に厭な音がした。

「え――あ、?」

 幹也は、ゆっくりと、ゆっくりと顔を下ろす。
 そこにいるのは、グリムだ。生きている少女。
 けれど。
 揺らぎ始めた視界のせいで、その姿が、なぜだかヤマネとかぶさって見えた。
 そう――視界が、揺らいでいった。
 思考と同じ速度で、景色が歪んでいく。
 その原因を、幹也は、不安定な中で確かに見た。

 ――自分の腹に突き刺さった、小さなナイフを。

 おかしなことに、痛みはまったくなかった。ナイフは確かに腹に刺さっているのに、痛いとも思わない。
 ただ、熱い。ナイフの柄を伝ってぽたり、と血が流れ出る。引き抜くまで、血は大量に流れはしない。
 熱い。ナイフが熱を持ったかのように熱い。どうしようもないほどに、熱い――
 そして、目の前には、温度を感じさせない――能面のような、グリムの笑み。

「だって、お兄ちゃんはもうどこにもいかないんだもんっ! ずっと、ずっとグリムのものだよ」

 グリムは二本目のナイフを取り出す。
 そのナイフが、股間ぎりぎりの太腿に、ホルスターのようにしまわれたものだということにようやく気づく。
 倒錯行為は、性行為ではない。あくまでも、相手を捕食するかのような愛撫。
 普通の性行為をしていれば気づいたであろうそれに、幹也は気づかなかった。
 気づいたときには、遅かったのだ。
 幹也の視線に気づいたのか、グリムは二本目のナイフをちらりと見て、

「最近物騒だもんねっ! でも大丈夫、お兄ちゃんはグリムが守ってあげるよっ!」

 言って――グリムは、二本目のナイフを、幹也の脚に突き刺した。


 ――今度こそ、激痛がきた。

224終わらないお茶会 ◆msUmpMmFSs :2006/07/06(木) 20:26:07 ID:JKeN3p5I
ちと小休憩
>>206
トリップ参考ありがとうございます
タイトルとともに、トリップつけてみました
225名無しさん@ピンキー:2006/07/06(木) 20:26:11 ID:JahDVCLU

「一発やっかぁ」
カーキ色の詰襟を脱ぎ捨てると、縦じわでよれよれの前垂れを整えた。操作パネルの前に立ち股を開く。
既に燃料を充填し、俺のテポドンは俺の合図を待つ。
身体を横にして鏡に映すと、前垂れを持ち上げて、金剛山がそこにあった。
「俺の外交カード一本のテポドンだぜ」声に出していう。
「男はやっぱテポドン」
やおら前袋の脇から、ズルムケ状態のミサイル発射キーを取り出す、手にオイルをたっぷり取り、逆手で鍵をこね回す、
「ヌリュッ、ヌチョッ」音が日本の政府中枢を更に刺激する。
「テポドンたまんねぇ」扱きに合わせて、身体を上下させる。
「男のテポドンにゃあこれだよ」人参茶を吸い込む。
「スッ、スッ、スッ、スッ」顔から熱くなり、やがて頭の中が真っ白になる。
「ノドン、ノドン」「高麗のテポドン」
頃合いをみて前垂れを引き抜く。俺は自分のこの格好が好きだ。
38度線だけが地図に残り、孤立した祖国のバックに、ロシア・中国控えて、国旗を振り、左手で外交ルート引っ張り、右手でヌルヌルと発射キーを扱く。
ミサイルサイトの中の俺は、朝鮮一の伊達男になっていた。
「ちきしょう誰かに見せてやりテェよ」発射時間が近付くと、いつもそう思った。照準をもう一度効かせ、燃料を追加すると、東海へ向かってまっしぐらだ。
「男になってやる」「テポドン一本のほんまもんの男」
「うりゃ、そりゃ」「ズリュッ、ブチュッ」しぶきを飛ばしながら、クライマックスをめざす。
「たまんねぇよ」サイトの奥から、激しいうねりが起こった。やがて轟音となり、俺を悩ます。
-だしてぇ- -もっと扱きてぇ-相反する気持ちがせめぎあい、俺は崖っ淵に立つ。
「きたっ」俺は膝を直角に曲げ、それに備える。轟音は堰を切ろうとしていた。
「男一匹 ! 」「ぶちっ」
発射口を押し分けて、白い塊がしゃくり出される。
真っ白い時間が過ぎ、目の前が現実に戻る。
226名無しさん@ピンキー:2006/07/06(木) 20:27:14 ID:JahDVCLU

「もういっちょ男になってやろうじゃねぇか」
ミサイルの上から、核弾頭を装備する。爪で引っかくように、信管の部分を擦った。
チリチリとしたガイガーカウンターの反応に、鏡の中のグラサン野郎が顔を歪めた。
左手は、操作パネルに突っ込み、発射ボタンを掴んだ。そのまま腰を落としももを割る。
「おやじの主体思想最高だぜ」声に出す言葉で、自分を挑発する。
「民族服一丁朝鮮男児のテポドンだぜ」「俺のこの男っぷり見てやってくれっ」
辛抱たまらなくなって、前垂れを抜き取る。右手にオイルたっぷりで、左手に発射キー構える。
「おうっ」弾頭の先から、ミサイルの根元へ、ヌルンと扱き下ろす。
「スッ、スッ、スッ、スッ、ス-ッ」きつめに人参茶決めたら、暫く呼吸を止める。
血圧が下がり、脳の中を<テポドン>だけが、支配する。
「ピチッ、ヌチョッ、クチャッ」弾頭の辺りを通過する度、くぐもった擦過音が響いた。
先ほど来動かし続けていた照準を、ギュッと南方へ引っ張る。
国交正常化の議論が引き延ばされ、緊張がテカテカに突っ張る。逆手で発射キーを握ると、グリグリと回転させる。
「これが俺の日本攻めだぜ」強い刺激に腰が砕けそうになる。国旗を前後に振ると、一層感じる。
燃料を追加し、改めて人参茶を吸い込む。
「スッ、ス-ッ、スッ、ス-ッ」一旦止めて効果を待つ。
滴る程の燃料と、やけに効く人参茶で、男入りまくり状態だ。
「テポドン、テポドン男のテポドン」「高麗一番男のテポドン」
言葉が快感を呼び、刺激が男をくすぐる。
「スッ」軽く吸う。蟹股でサイトの中を歩く、
「ス-ッ」男気が溢れ、どうしようもなくなってくる。
「ス-ッ」反り返り脈打つ発射キーを、渾身の力を込めてひねる。 
「たまんねぇ、勘弁してくれ」
「スッ、ス-ッ」
「きたぜ、くるぜっ」
<そんきょ>の体制で、日米の防空システムに備えた。押し寄せる国際世論の批判は、もはや留まることを知らない。
「おりゃっ男一匹」
いつもの決め言葉で、噴出が始まる。その回数に合わせ国旗を振った。
やがて東海の潮が引き、ヌルヌルと日本政府の抗議を楽しむ。
次第に呼吸が整ってくる。
227名無しさん@ピンキー:2006/07/06(木) 20:46:27 ID:Hf/Ddept
>>224
くぁあああ―――!!!!!?
なんてこった!?主人公死亡!?妹は!?
228名無しさん@ピンキー:2006/07/06(木) 22:11:19 ID:RUc4hVbb
なんかアレだ、西尾維新風味
229名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 00:16:35 ID:75kkItTs
>>225
>>226
まさしくオナニーですな
230名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 00:57:14 ID:cvRvkhCJ
>>224
うは、そう来たか……
主人公の生死が気になるところだけど、妹が一切出てこないところも気になるな
続きをのんびり待ってるよー
231名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 02:47:26 ID:o2ZDRdQd
キタキタキタ━━━━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━━━━━━━!!
どうなるんだ主人公!?
232名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 03:10:44 ID:Glt+jWen
今でもあるかどうか解らんが電・・・某大手広告代理店の宴会ゲイ(芸)は
凄いらしい。人の頭にチンポをのっけて「ちょんまげ」や、水を口に含んで
仰向けに寝て、そいつの顔の上にケツ丸出しでしゃがんで菊門に水を拭き
掛けられる「ウォシュレット」なんかはまだ甘い。

電・・・某大手広告代理店には「おでんやさん」と言う宴会ゲイ(芸)が
あるらしい。その内容は・・・・・・・
まず、下半身全裸にエプロンを付けた男が店のオヤジ役で客役の男が店に
入ってくる。親父「いらっしゃい!!何にします?」
客「わかめ有るかい?」
親父「おでんやにわかめはなぁ・・・」
と言いつつ親父のエプロンを捲くり上げ親父の陰毛を箸で・・・以下略。

客「餅入り巾着有るかい?」
親父「へい、餅入り巾着お待ちっ!!」
と、親父のエプロンを捲くり上げ親父の玉袋を箸で摘み・・・以下略。

客「ちくわ有るかい?」
親父「へい、ちくわお待ちっ!!」
と、親父のエプロンを捲くり上げ親父のチンポを箸で摘み口に咥えた瞬間
女子社員「キャーーッ!!」と言う悲鳴が宴会場全体に響き・・・以下略。

これで就職活動中のゲイ学生達からの人気が上がるな。
233名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 03:12:06 ID:Glt+jWen
テポドンといえば、斜め上をいく国の将軍様が発射する、
勇壮なミサイルとして、この地方に知られている。
発射のあと、ミサイルは予測のコースをはずれ、日本海に落っこちて、放置される。
ミサイルは、激しい発射でドロドロボロボロになるから、使い捨てで、ゴミとして出される。
俺はいつもそれが狙いだ。
捨てられているミサイルの、できるだけ汚れてる奴を10数本ほど、
こっそりさらって家に持ち帰る。そして、深夜、俺一人の朝鮮戦争が始まる。
俺はもう一度汚れたミサイルをまたぐらに挟み、部屋中にかっさらってきたミサイルをばら撒き、
ウォーッと叫びながら、ミサイルの海の中を転げ回る。
汚れたミサイルは、腐食した燃料の臭いがムンムン強烈で、俺の性感を刺激する。
前袋の中のマラは、もうすでに痛いほど勃起している。
ミサイルの中に顔を埋める。臭ぇ。
汗臭、アンモニア臭や、独特のキムチ臭を、胸一杯に吸い込む。溜まんねえ。
臭ぇぜ、ワッショイ! テポドンワッショイ!と叫びながら、前袋ごとマラを扱く。
嗅ぎ比べ、一番キムチ臭がキツイやつを主食に選ぶ。
そのミサイルには、キムチ汁の染みまでくっきりとあり、ツーンと臭って臭って堪らない。
そのミサイルの燃料注入した奴は、発射台で一番威勢が良かった、五分刈りで髭の、40代の、
ガチムチ朝鮮人だろうと、勝手に想像して、鼻と口に一番臭い部分を押し当て、
思いきり嗅ぎながら、テポドン臭ぇぜ!迎撃してやるぜ!と絶叫し、マラをいっそう激しく扱く。
他のミサイルは、ロケット発射基地のようにあちこちに立たせ、ガチムチ野郎のテポドンを口に銜えながら、ウオッ!ウオッ!と唸りながらマラを扱きまくる。
そろそろ限界だ。
俺は前袋からマラを引き出し、テポドンの中に、思いっきり種付けする。
どうだ!燃料注入してやったぜ!もう一度撃ち込んでやるぜ!と叫びながら発射し続ける。
本当に燃料を入れてる気分で、ムチャクチャ気持ち良い。
ガチムチ野郎のテポドンは、俺の雄汁でベトベトに汚される。
金成日さんよ、貴様はもう俺のもんだぜ!
朝鮮戦争が済んだあと、他のミサイルとまとめて、ビニール袋に入れ押し入れにしまい込む。また今度、ミサイルを手に入れるまで、オカズに使う。
押し入れにはそんなビニール袋がいくつも仕舞ってあるんだぜ。
234名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 03:14:16 ID:Glt+jWen
何日も穿き続けて野郎の染みが付きまくったケツワレやボクサー、
六尺なんか着けたまま、「クッセェクッセェ」言いながら俺とやんねーか?
3日ぐれぇ風呂入ってねぇ男臭プンプンな状態でよぉ。
オレ的には六尺褌が好きなんやけどよぉ、汁汚れだったらなんでもいいぜぇ。
俺が今穿いてんのは2ヶ月ぐれぇ洗ってねぇボクサー。
しょっちゅう穿いては ズリこいてんぜぇ。
雄汁とションベン染みでかなり臭っせぇ。
これから六尺も育てるつもりだぜぇ。
お互い臭せぇの穿いたまま普通に会ってぇ、そとに匂ってもかまわねぇ。
服脱いだら 溜まってた匂いがモワっと飛び出すぐれぇがいい。
あとは野郎同士対等に股ぐら押し付けあってぇ匂い嗅ぎ合ってぇ、
野郎のすべてをさらけ出そうぜぇ。
そのままションベン漏らしてもいいなぁ。
ぶっかけ合ってもいい。
なんならでっけぇクソも出すぜぇ。
臭っせぇの穿いたままションベン・クソ漏らし。
たまんねぇな。
男臭せぇな。
そんなん好きなやつおるか? 
170×60×33 坊主 竿(ちんぽ)もでかいぜぇ。
235名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 23:41:09 ID:g7+EvTYW
白い湯気が立ち上ぼる中に、湿った音が響く。
白いタイルが敷き詰められ、すこし値の張りそうな石で出来た浴槽に二つ、絡み合う志摩と柚姫がいる。
「あぁ…ん…あは、志摩くんとお風呂…入る…の久し振りだね」
形の良い胸を押し当てて、顔を赤くした柚姫が呟く。志摩は無言で柚姫を抱き締めると、そのまま柚姫の口を塞ぐ。
「ん…ふ…」
舌と舌を絡ませて、二人の身体が更に近付く。
「し、まくん」
切ない表情で柚姫が瞳を除き込む。その顔は、これからを期待している。志摩と柚姫が普段よりもっと自分達を近付ける行為を。
志摩は無言で柚姫の腰を持ち上げると、そのまま自分のモノを挿入した。
「あぁ!…はぁ…あ、き、気持ち良いよぉ…しまくん…」
そのまま身体を揺らす。湯船に大きく波紋が広がり、浴室にいやらしい音が鳴る。形の良い乳房が震えて、それが志摩の欲情を更に掻き立てる。
236名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 23:42:55 ID:g7+EvTYW
「ん…ぁ…しまくん…」
柚姫が切なそうに志摩を眺める。瞳は、もう彼を映していない。どこか遠くの何かを見つめている。
「キス…して…ん!」
身体が熱い。唇が溶けそうになるくらいに柚姫の口を塞ぐ。舌が絡み付いて、指を繋ぎ会って、目と目は互いを結んでいる。
志摩は白い湯気を邪魔に感じた。それが二人を阻む壁みたいに思えたから。
「…っあ…あぁ!」
柚姫の身体が震え始めた。まるで心を押し出すように、感じる快感をより味わうように、そして志摩ともっと触れ合う為に。
「はぁ…あっ!し、志摩くん…す…きぃ…あぁ!」
もう、何もかもが良くなって、志摩は腰の動きを速める。
「しまくん!あっ、あぁ!んっ…し…ま…あぁぁ!」
柚姫が一際高い声をわずかに出して、静かになる。身体は浴槽に投げ出されて、長い髪が水面をそっと泳いでいる。
惚けた顔の柚姫の顔に、志摩は堅くなったものを近付けた。
「あぁ、志摩くん。まだ…イッてないの?それ…じゃあ…お姉ちゃん…のおくち…使って?」
そして、だらしなく開いた口に志摩はそれを差し込んだ。
「んむっ!はむ…ん…」
口の周りから涎が溢れて、卑猥な音を立てる。オレンジの光がそれを卑しく照らした。
237名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 23:43:56 ID:g7+EvTYW
「くぅ、柚、姫っ」
口内と舌のはい回る感触と、志摩を美味しそうに咥えた柚姫の顔。紅がさした頬に、先に当たる喉の感覚。視覚と触覚に信号が走る。
「柚、姫っ、もう…」
自分が達したのを感じる。多少のためらいは在ったが、柚姫の柔らかさがそれを流した。
「ん…」
柚姫は更に深く咥えると、喉を刺激するものを飲み込んで行く。
「ふぁっ」
ひとしきり飲み込むと、ゆっくりと口から志摩を出す。そうしてまた先をアイスを舐める様にして舌を這わすと、うっとりとした様子で志摩を見つめる。
「ごちそうさまでした」
愛らしい口元と、綺麗な瞳を歪ませた姉を見て、志摩は静に額を撫でた。
天井から落ちた水滴が、水面にゆっくりとした波紋を描いた。
238名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 23:50:02 ID:g7+EvTYW
とりあえず以上です。
少し私生活がドタバタしていて、執筆が遅れてしまいました。
未だにヤンデレっぽくなっていませんが、なんとかそうなる様にしますので、しばらくお付き合いしていただけたら、と思います。
239名無しさん@ピンキー:2006/07/08(土) 00:56:25 ID:4n3gBSgU
<雄のスケベ>の基本は<センズリ>

複数・乱パ・ケツマンもこなしてみたが、やっぱり<雄のスケベ>は<<センズリ>>
そこいらのオナニーイベントでチンコ起てても満足できねえマジなズリ野郎で、野郎の
センズリ・テメエの変態さらけだしてヤリてえ奴、できる奴。

雄ズリ・変態センズリがかませる自信のある奴のみ書き込みをしてくれ。

<マッ裸にリング重連>は当たり前でズリやり放題、ぶっ倒れるまでヘロヘロでやってる
奴のみ歓迎だ。

<鏡>の前で、乳首つまんで腰落としスケベ言葉吐きながら腰ふってセンズリ!
<窓際>で、とにかく見せつけ願望爆発「ほら、見ろよ」「見られて〜」連呼ズリ。
<野外>で、マッ裸にリングかましてマラおっ起て、露出徘徊、見せ合い・濃き合い。
<部屋>で、変態ズリやってる所へいきなり来るなり服を脱ぎ捨て、オラオラ見せ合い。
<連呼ズリ>とにかくチンコ・マラ・センズリ連呼しっ放しで雄マラ扱き上げ。
<体育会>複数の先輩の前でセンズリ披露。最後は全員から雄汁あびせまくり。
<亀頭責め>手足拘束、目隠し、縛り、寸止め、強制連射であえぎ放題。
<複数>で、ヘロヘロでマラリンおっ起て、濃き上げ、ぶっかけ合い集会。
<リング>重連かまして、ギンギンマラ見せつけ合い、金属音たててマラ扱きまくり。
<変態>仮面つけて極限まで変態さらけだし、金玉に錘ぶらさげてオス連呼のマラ扱き。
<テレセ>でド派手に一発!
240名無しさん@ピンキー:2006/07/08(土) 00:57:10 ID:4n3gBSgU
久々に褌を締めて短ラン・ボンタン姿で野郎と気合いを入れあった。
野郎は褌が初めてで、きつく締め上げると「つぶれるー。」と絶叫。
そして、俺の長ラン・ドカンを貸して着せてやると、もうビンビン。
一応、俺が後輩って形にして気合いを入れてもらった。
野郎はすでにハイテンションで、俺の毛を剃り、竿を舐めまわした。
俺は逝きそうなのをひたすら我慢。「押忍!押忍!」を連呼。5分後に昇天した。
「おい、優(仮名)。そんなに俺のが欲しいか?」
裕紀(仮名)が言い出した。要領を得たようだ。
「押忍。先輩のが頂きたいです。」と、答えた。
「よし、脱がせろ。」と言われ、俺は優のドカンのチャックをゆっくりと降ろした。
チャックの向こうには白の褌がある。勃起している。
我慢汁が少々出ている。
全裸の俺は右手で撫で回した。すると、当たり前のことだが、裕紀の竿はますます勃起。
裕紀のドカンをひんむいて、夢中で褌をはずした。
そして、裕紀を押し倒し、竿をひたすら上下に口で扱く。
「おお、優。いいぞ。あー。」裕紀はあえぐ。
昇天。
「押忍。先輩のをありがたくちょうだいいたしました。
ごっつあんです。押忍。」
また、褌を堅く締めてやる。
241名無しさん@ピンキー:2006/07/08(土) 00:57:50 ID:4n3gBSgU
いつもオナニーする時は、素肌に短ランとボンタンを着る。裏地が肌に触れる瞬間が、たまらない。ボンタンのシルク地の部分が冷たくてたまらない。準備ができた俺は、家を
出ていつものコンビニへ入る。夕方、人で混んでいる時しか行かない。人の目が必要だ。
短ラン、ボンタンを見せ付けながら歩く。店内の客は、なんだこいつ?みたいな目つきで
俺を見る。興奮する。勃起する。ボンタンにテントが張る。ガマン汁が出るのを感じる。
俺の短ランはボタンが4つしかなく、背中が見える。ボンタンは袴のようで、歩くたび
布が擦れる音がする。尻の部分は、すりきれて光っている。何年も使っているからだ。
一通り人の目で感じた後、缶コーヒーを買い店を出る。一口飲み、残りは短ランの襟首か
ら流す。コーヒーが背中を伝わり、股間に達する。再度感じる。再度勃起する。しかし、
決して触らない。次に本屋へ入り、店内を歩く。視線を感じる。いい年こいて何着てんだ
こいつ? ばかじゃねえの? 消えろ!! 俺を見下すような視線が来る。そんな奴の隣
で立ち読みする。再度感じる。再度勃起する。限界が近い。短ランボンタンを見せ付け、
店を後にする。家に着き、内側に大量のローションをかける。冷たい、感じる。ぬるぬる
する感触がたまらない。限界だ。しごく、しごく、しごく。出そうになり、止める。シャ
ワーを頭からかぶる。濡れた短ランボンタンが肌に張り付き感じる。しばし放心状態にな
る。また、しごく。やがて体の芯から感じてくる。限界に達し、発射する。発射する。
発射する。全身がだるくなり、力が抜ける。だるい。
こんな俺は、おかしいのか・・・。
242名無しさん@ピンキー:2006/07/08(土) 00:58:45 ID:4n3gBSgU
5年くらい前の話。夜中に駅前で酔っ払って寝ている学生を見つけ、タイプだったんで部屋に連れ帰った。
意識朦朧の学生をベッドに寝かしつけ、ジーンズを脱がしてチンポを弄んだ。
その日はそれだけで終わったが、それから学生とはちょくちょく飲むようになり、
飲む度に俺の部屋に泊まっては夜中にイタズラをしていた。
学生もそれを知っていることは明白で、半年もすると夜這いを待つようになっていた。
寝たふりする学生にフェラやローションでの手コキとやりたい放題を楽しんだ。
そのうちアナルに指を入れても抵抗しないどころか、体をくねらして快感をあらわにしたんで、
「感じるのか」と耳元で聞いた。すると目を開けて大きくうなづくと俺にしがみついてきた。
風呂場に連れて行って、シャワ浣してやり、ゴメを仕込んでプレーを再開したら、
いままで寝た振りしておとなしくしていたのが嘘のようにもだえ出した。
ノンケが快感に苦しむ姿は最高だった。キスも自分から進んでやるくらいにまでゴメもきいてきて、
いよいよ生で学生のバックに挿入した。
学生は大きく息を吐くと、俺の背中に腕を回してしがみついてきた。
ゆっくりそして早く俺が動くと、涎をたらしながら自分から腰を振ってきた。
チンポは半立ち状態ながら、先からは我慢汁がたらたら流れていた。
マッハピストンすると、学生は大きな声で叫びながらチンポから精液をだらだら流した。
俺もそれを見てアナルからチンポを抜き取ると、学生の腹の上に精液をぶちまけた。
その夜は精液でまみれた体のまま、抱き合って寝た。でも学生とはそれが最後となった。
俺が電話しても、もう怖いからと言って会おうとしなかった。
去年、久しぶりの電をしてみると、学生は結婚していた。
243名無しさん@ピンキー:2006/07/08(土) 06:17:58 ID:PWJMlDdn
>>238
志摩エロス!
ヤンデレ化をwktkしながら待ってる!
244名無しさん@ピンキー:2006/07/08(土) 15:07:11 ID:9GWliHWX
神スレだ。
終わらないお茶会
由貴作品ヲタの私にはたまりませんな。
童話、倒錯、殺戮、最高です。

かまいたち風味の死の館が気になるので修羅場スレでも覗くかな
245名無しさん@ピンキー:2006/07/08(土) 23:57:06 ID:0aKP1kMy
さっき、国道でやったねずみ取り凄かったです!ガチムチの色黒警官が止まりなさい連呼で
スピードガン車にぶちこみ旗振ってました。俺も飛ばしすぎて停車命令食らい無様に
停車さらしました。違反キップ出されたときは一瞬怒ったけど、警官の「いやなら
留置していいんだぜ!」の一言で覚悟決め、生まれて初めて罰金取られました。そ
の後、嫁に違反ばれてビクビクの顔、思いっきりしばかれ派手にコワモテ
嫁の顔に返り血飛ばしました。スッゲー男らしく気持ちよかったです。もうしないんで
勘弁して下さい!帰ってから丸刈りにして、また反省しまくってます!
246名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 00:38:23 ID:4LprU5lj
今一から全部読んだ
お茶会がとてもおもしろい
でももう終わっちゃうのかな?
247名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 02:32:12 ID:fIs+//23
妹もまだ生存してるしまだ終わらないと期待!
ぜひキモウト化してほしい
248名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 09:25:14 ID:JTvDRLKc
キモウトは重要だよな
249名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 14:43:14 ID:vI9fEzVX

                         ,、ァ
                        ,、 '";ィ'
________              /::::::/l:l
─- 、::::;;;;;;;;;`゙゙''‐ 、    __,,,,......,,,,_/:::::::::/: !|
  . : : : : : : `゙'ヽ、:::゙ヾ´::::::::::::::::::::::`゙゙゙'''‐'、. l|
、、 . : : : : : : : : r'":::::::::::::::::::::::::::ノ::::ぃ::ヽ::::::ヽ!
.ヽ:゙ヽ; : : : : : :ノ:::::::::::::::::::::::::/" ::     '\-:'、
. \::゙、: : : :./:::::::::::::::::::::::::::::(・ )::  ,...,(・ ):::':、      で ? >>248
 r、r.r ヽ 、 /:::::::::::::::::::::::::     _  `゙''‐''"  __,,',,,,___
r |_,|_,|_,|`ヽ、:::::::::;;;、、--‐‐'''''',,iニ-    _|  、-l、,},,   ̄""'''¬-
|_,|_,|_,|_,|、-‐l'''"´:::::::'  ,、-'" ,.X,_,,、-v'"''゙''yr-ヽ / ゙゙'ヽ、,
|_,|_,|_人そ(^il:::::::::::;、-''"  ,.-'  ゙、""ヾ'r-;;:l  冫、     ヽ、
| )   ヽノ |l;、-'゙:   ,/      ゞ=‐'"~゙゙') ./. \
|  `".`´  ノヽ:::::..,.r'゙         ,,. ,r/ ./    ヽ
   入_ノ   ン;"::::::.       "´ '゙ ´ /      ゙、
 \_/  //:::::::::            {.        V
   /   / ./:::::::::::::            ',
  /  /  /:::::::::::::::::.            ',.
250名無しさん@ピンキー:2006/07/10(月) 16:03:32 ID:Lbz4mgYo
むしろマッドハンター萌え。
251名無しさん@ピンキー:2006/07/10(月) 22:01:27 ID:vXuk/tlv
このスレ見てると荷電粒子砲や高出力レーザーを思い出すのは漏れだけですか
252名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 00:42:18 ID:EZmKUEih
>>251
あ、俺がいる。
マッドハンターと聞くと、まずそっちが思い浮かぶなぁ……
253名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 00:54:22 ID:hLZ81WVJ
天使禁猟区のベリアルを思い出します。
254終わらないお茶会 ◆msUmpMmFSs :2006/07/11(火) 18:57:10 ID:/EufeoYV

「雨に――唄えば――」

 いつものようにいつもの如く幹也は歌う。唄のワン・フレーズ。雨に唄えば。
 狂ったオルゴールのように、退屈を紛らわせるかのように、幹也は歌う。

「――雨に――唄え、ば――」

 唄うたびに腹と足が痛む。抜くと血がこぼれるせいで、刺したまま抜いていない。
 放っておけば死んでしまうだろう。
 抜けば致命傷になるだろう。
 適切な治療をすれば、助かるだろう。
 けれど、幹也は、そのどれもを選ばなかった。
 椅子から転げ落ち、本棚に背を預けて座り、ただ唄う。退屈しのぎの唄を。

「あ、めに――うたえ――ば――」

 腹に力をいれず、喉だけで唄うので声は小さい。
 それでも身を動かすたびに、腹と足の傷が痛んだ。
 足に刺さっているせいで、動くこともできない。
 そして――地下図書室にいるもう一人。
 マッド・ハンターは、にやにやと笑ったまま、動こうとはしなかった。
 助けることもなく、ただ、見ている。
 見ている、だけだ。

「どうして、どうして、どうしてなのかな? 君がその唄を好きなのは」

 椅子に座ったままマッド・ハンターが問う。
 幹也は顔だけを動かして、

「あの映画でさ……唄いながら蹴り殺すシーンがあるんだよ」

 シンギング・イン・ザ・レイン、ではなく。
 時計仕掛けのオレンジ。
 主人公が「雨に唄えば」を口ずさみながら、まったく無関係の、罪もない人間を、愉快げに蹴り殺すシーン。
 その情景を思い浮かべながら、幹也は続ける。

「あれが楽しそうでね――全然、退屈そうじゃなくて。
 そう思ったら、癖になってたんだよ」
「そうかい、そうかい、そうなのかい。それで、君は退屈から逃げられたの?」
「まさか」

 幹也は笑い、

「退屈だよ。今もね」
255終わらないお茶会 ◆msUmpMmFSs :2006/07/11(火) 18:59:03 ID:/EufeoYV

 マッド・ハンターも笑って、「死に掛けてもそれなのね」と笑った。
 幹也は顔をマッド・ハンターから逸らす。
 視界にあるのは、本棚だ。
 かつて狂気倶楽部にいた人間が書いた小説。あるいは日記。
 自分も何か書こう。そう思った。
 ただし、すべては生き延びればの話で――このままだと自分が死ぬことを、幹也は自覚していた。
 
「君はどうするんだ」

 ふと思い立って、幹也はそう問いかけた。
 顔を再びマッド・ハンターへ向けると、不思議そうに首を傾げているのが見えた。

「なにが、なにが、なにがだい? どうすると言われても。
 もう少ししたら、『盲目のグリム』よろしく帰ろうかな」
「あの子……やけにあっさりと帰ったけど。なにがしたかったんだ?」
「君を殺したかったんだろう、殺したかったんだろうね。
 そうすれば、自分だけのものにできるから。
 ……いや、でも違うかもしれないわね。
 単に君の両足をぶった斬って、二度と離れなくするのかも」

 ――どちらにしろ、彼女じゃない私には判らないよ。
 マッド・ハンターはそう言って、言葉を切った。
 幹也を刺したグリムは、あっけないほどに外へと出ていってしまった。
 帰ったのか、何か用事があるのか、幹也には分からない。
 ただ、ああまで言っていた以上、戻ってくるのだろう。
 そして、戻ってきたときに幹也が死んでいても――それでも構わず愛するのだろう。

「――で、きみはどうするんだよ。
 ヤマネにしたみたいに、死んだ僕の髪の毛でも持っていくのか?」
「まさか、まさか、それこそまさかだよ!」

 両手をあげてマッド・ハンターは笑い、

「私は死人の髪を集めて『帽子』を作る
 狂った狩り人(マッド・ハンター)にしてイカレ帽子屋(マッド・ハッター)だけどね。
 あいにくと、狩られるのはごめんです」
「狩られる……? グリムにかい」

 マッド・ハンター答えずに、ただ笑うばかりだった。
 幹也は肩を竦めようとして、腹に刺さったナイフが動き、痛みに「う、」と声を漏らしてしまう。
 できることなら、大声で叫んで、痛みに泣きまわりたい。そう思った。
 そうしなかったのは、それが単に――面白くないことだからだ。
 そんなことをしても、退屈は紛れない。
 殺したいなあ、と幹也は思った。先輩のように。ヤマネのように。
256終わらないお茶会 ◆msUmpMmFSs :2006/07/11(火) 19:00:17 ID:/EufeoYV

「愛したいなあ……」

 けれど、口から漏れた言葉は、まったく別の言葉だった。
 あるいはそれは――幹也にとっては、同じ意味だったのかもしれない。

「ああ、うん。そうだね――愛したい」

 幹也の心を占めるのは、退屈だ。
 けれど、その退屈に混じって――その思いがあった。
 今更ながらに、理解する。
 愛が欲しいのだと。
 そして、愛されたからこそ、里村・春香は死んだのだと。
 今更ながらに、理解する。

「雨に――唄えば――」

 再び唄い出す幹也。
 その唄を聴きながら、さりげなく、本当にさりげなく、マッド・ハンターが言った。

「そういえば、そういえばだけれどね。最近グリムの他にもう一人、新人が来たわよ。
 君と同じように、その唄が好きな人」

 へぇ、と幹也は気なく返事をする。
 マッド・ハンターも、さぞかしどうでもいいことのように、言う。

「『女王知らずの処刑人』。八月生まれの三月ウサギ。君の後輩だよ」

 その言葉に、答えるかのように。
 喫茶店『グリム』の入り口扉。
 その扉が、ゆっくりと、開いた。
257終わらないお茶会 ◆msUmpMmFSs :2006/07/11(火) 19:02:28 ID:/EufeoYV
気付けば結構長くなっていました。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
残り一話で、とりあえずは終了……予定です。
258名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 20:46:54 ID:LZQ4n925
キモウトktkr
259名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 22:36:52 ID:hLZ81WVJ
お茶会キタ━━(゚∀゚)━━
260名無しさん@ピンキー:2006/07/12(水) 02:19:29 ID:eQcAtJ1k
もう残り一話なんて・・・
最後まで期待して待ってます(*´д`*)
261名無しさん@ピンキー:2006/07/12(水) 22:59:57 ID:GBAuVGIe
お茶会は良作。
262名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 01:28:04 ID:qgx3ESrx
blogか何かに保存しておきたいな
かなりの良作
263名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 02:04:28 ID:2fZxUnTz
お茶会のためにココに来てる。
264名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 02:27:21 ID:hHpxm+e/
正直ほかの職人の邪魔なんでよそでやって欲しい
265名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 03:03:26 ID:WzJtl63V
邪魔以前にお茶会以外に職人がすでに居ないけどね。
他の職人の方の作品も投下して欲しいのに・・・
266名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 17:05:59 ID:IZic1Vbg
お茶会が終わると職人のいないこのスレは落ちちゃうんだろうね
そのまえに誰かお茶会保存よろ
てかマッドたんは最後までなんか達観してますね
267終わらないお茶会 ◆msUmpMmFSs :2006/07/13(木) 18:32:42 ID:GXffaKv/
 個人的には他の方のも読みたかったり。
 嫉妬スレは人が多くていいなぁ

 というわけで最終話です
268終わらないお茶会 ◆msUmpMmFSs :2006/07/13(木) 18:34:00 ID:GXffaKv/

 夜の路地を歩きながら、グリムは楽しそうに口笛を吹く。
 その曲は『雨に唄えば』の一節で、壊れたラジオのように、サビの部分だけをループしている。
 それは、厳密には彼女の癖ではない。
 彼女の『お兄ちゃん』の癖だ。

「、、、――、……、――♪」

 お兄ちゃんの名前を、グリムは知らない。
 五月生まれの三月ウサギ。その通り名しか知らない。
 名前だけではない。それ以外のことについても、グリムは殆ど知らない。
 どこに住んでいるのか、とか。
 どんな人間なのか、とか。
 そういった、普通真っ先に知るべきであろうことを、グリムは知らない。
 知ろうともしなかった。
 初めて会った瞬間、『あの人がお兄ちゃんだ』と決めたのだ。
 そして、グリムにとっては、それで十分だった。
 ようするに、一目ぼれだったのだろう。
 ほんの少し、歪なだけで。

「――――――、……、、……♪」

 狂気倶楽部に来てよかった、とグリムは思う。
 半年前に死んだ従姉妹、その子の日記帳から、グリムは狂気倶楽部のことを知った。
 日記帳というよりは、それは――小説だったけれど。
 歪な愛情を記した小説。
 そしてグリムは、その小説に出てくる『お兄ちゃん』という人物が気に入ってしまった。
 従姉妹同士、趣味が似ていたのかもしれない。
 そういうわけで――グリムはこっそりと喫茶店『グリム』を訪れ、狂気倶楽部の一員となった。
 マッド・ハンターに話したことも嘘ではないけれど、本当でもない。
 ただ、そんなことはやっぱり――どうでもいいのだ。
 彼女にとって一番大切なのは愛情であり、それ以外はどうでもいいのだから。

「……、……♪」

 唄いながら、グリムは考える。
 お兄ちゃんのことを。
 もう何人になるか判らない兄のことを。
 本当の兄は死んでしまったし、その次の兄は死んでしまったし、その次の兄も死んでしまった。
 ヤマネと同じように――自分だけのものにしなくては、気が済まないのだ。
 かつての兄のことを、グリムはもう覚えていない。
 今頭にあるのは、新しいお兄ちゃんのことだけだ。
 足を両方とも切ってしまって、どこにもいけないようにしよう。そう思った。

「――、……、、、――♪」

 グリムは歌い、


 ――その歌が、途中で途切れた。

269終わらないお茶会 ◆msUmpMmFSs :2006/07/13(木) 18:34:55 ID:GXffaKv/

 何が起こったのか、グリム自身にも分からなかった。
 唄っていたはずだ。今も唄おうとしている。けれど、口からは声がでない。
 ひゅう、ひゅうという、かすかな息が漏れるだけだ。
 何が起きたのか、グリムには分からない。
 夜の路地は暗くて、街灯の光は頼りなくて。
 その少女が持っているナイフは、まるで血がこびりついたかのように真っ黒で。
 だから――自分の喉にナイフが刺さっていることに、グリムは、すぐには気付かなかった。

「その歌は――私と、兄さんだけのものです」

 声は、ずいぶんと下から聞こえた。
 グリムは、首を動かすこともできず、視線だけで声のした方を見る。

 ――闇色の少女が、そこにいる。

 黒い髪、黒いセーラー服、黒いプリーツスカート。手に持つ細く長いナイフも、また黒い。
 全体的に黒いせいで、闇夜に違和感なく紛れ込んでいる。
 声が低い理由は簡単だ。その少女は、車椅子に乗っていた。
 両足は義足。左手も義手。
 ただ一つ、唯一右手だけが生身で――その右手で、ナイフを持っていた。

「だから、最初は喉」

 言葉と共に、その右手が閃く。
 喉に刺さっていたナイフが横に引かれ、皮膚と肉と動脈を根こそぎながら抜けていった。
 一瞬の、間。
 心臓が一回鼓動する時間。
 その時間が過ぎた瞬間――グリムの喉から、一気に血が噴き出た。
 角度の都合上、当然のように少女にも血は注ぐ。常人なら噎せ、吐いてしまいそうな血を浴びても少女はどうじない。
 薄く、笑っている。
 黒い服が血を吸い、さらに黒くなる。

「初めましてグリムさん。私は八月生まれの三月ウサギ。
 ――知ってましたか? 兄さんを、兄さんって呼んでいいのは、私だけなんですよ。
 あなたと違って、本当の妹なんですから」

 その言葉に、グリムは答えられない。
 噴出す血と共に――彼女の意識もまた、ほとんど消えかけていた。
 命の灯火は当然のように消え去り、もはや考えることなどできるはずもない。
 うろんな瞳で、三月ウサギをグリムは見る。
 その視界が、かしいでいく。
 自分が倒れていくことに、グリムは、もう気付かない。
270終わらないお茶会 ◆msUmpMmFSs :2006/07/13(木) 18:36:00 ID:GXffaKv/

「その腕で兄さんに触れたんですね――だから、次は腕」

 倒れ掛かったグリムの脇に、三月ウサギはナイフを沿える。
 そして、地面に倒れようとする体の勢いを利用し――ナイフを力の限り上へと切り上げた。
 三つの力が同時に働き、グリムの腕がもげる。歪んだ間接でかろうじて繋がっているくらいだ。
 倒れるさいにその腕を背中側に巻き込み、ほとんど千切れてしまう。
 腕を失っても、グリムに痛みはない。熱いとも、寒いとも感じない。
 少し身体が軽くなった――そんなことを、ぼんやりと思う。

「足がなければ兄さんのところにいけないですよね――だから、次は足」

 車椅子から三月ウサギが降りる。義足はうまく動かないのか、四つんばいになってグリムに近付いた。
 右手には、変わらず、ナイフがある。
 それを一度ぶん、と振い、こびりついた血と肉片を払って――そのまま、突き下ろした。
 グリムの、足へと。
 手の力だけなので、足は千切れはしない。たとえ生きていても、二度と使えなくなるだけだ。
 切り口からは、血がほとんど零れない。
 それはもう、心臓に蓄えられていた血が、あらかた喉から出て行ってしまったことを意味していていた。
 何もしなくても、グリムは死ぬだろう。
 それでも、三月ウサギは、止まらなかった。
 血たまりの中を四つんばいで歩き、グリムの身体に山乗りになって見下ろした。

「いやな目ですね。私をこんな身体にした、あの子もそんな目をしていました」

 グリムは、三月ウサギを見上げている。
 その目は、ほとんど死人のそれだ。何も映すことのない、ガラス玉のような瞳だ。
 その瞳に見えるように、三月ウサギは左手を掲げた。
 黒い義手。神経の通わない、動かすことのできない、左右のバランスを保つだけのような――意味のない義手。
 その指先は、まったく不必要なほどに、鋭い。
 三月ウサギは左手を高く掲げ、

「だから、次は、目です」

 力の限りに、振り下ろした。
 グリムの瞳に向かって。
 尖った指がグリムの瞳に突き刺さり、そのさらに奥にまで突き進む。
 グリムも、三月ウサギも、痛みを感じない。
 痛みを感じるような機能は、もはや残されていない。
 ゆっくりと、三月ウサギは左手を引き抜く。つぶれた眼球と千切れた神経がついてくる。
 グリムの顔に、二つの穴が開いていた。
 その姿を見て、三月ウサギは「盲目的な『盲目のグリム』が、本当に盲目に――」と嘯いた。

「あの子のこと、怨んではないんですよ。死を見て、私は兄さんと同じところへといけた。
 愛する兄さんを、本当に理解することができた。
 だから、あの子には感謝すらしているんです――私の手で、殺してあげたかったくらいに」

 その言葉を聞く、もう、グリムはすでに死んでいたけれど。
 その心臓、心がある位置に、ナイフを突き立てた。
 最後の『心』を殺すかのように。
 横に倒して落としたナイフは、肋骨の隙間をすべり、心臓に突き刺さり――反対側へと貫通した。
 まるで昆虫のように、グリムの身体が、コンクリートへ縫い付けられる。
 両手両足をもがれ、喉を切り裂かれ、地面に縫い付けら、大量の血に塗れる死体。
 その上にまたがって――血まみれの三月ウサギは微笑んでいた
271終わらないお茶会 ◆msUmpMmFSs :2006/07/13(木) 18:38:01 ID:GXffaKv/
「あなたは代わり。兄さんにとって『私』の代わり。
 あなたは代わり。私にとって『ヤマネ』の代わり。
 そしてあたなは死体に変わる。
 さようなら、誰でもないあなた」

 別れの言葉は、それだけだった。
 そこにはもう、グリムはいない。
 誰のものでもない――ただの死体があるだけだ。

「――雨に、唄えば――」

 三月ウサギは楽しそうに唄い、ぴちゃぴちゃと、音を立てながら四つんばいで歩く。
 まるで、雨の中を歩いているかのようだった。
 紅色の水溜りの上を、唄いながら、三月ウサギは行く。

「雨に――唄え、ば――」

 唄い、再び車椅子に乗る。特注の、漆塗りの車椅子。両親の保険金で買ったものだ。
 右手だけで操作できるようになっているのは、正直にいえば楽だった。
 あの事件の後遺症で、満足に動くのは、右手だけだった。
 それでも、別に構わなかった。
 自分は生きていて――生きている限り、兄と愛し合うことはできるのだから。

「――雨に――唄えば――」

 唄いながら、車椅子を動かす。
 目的地は、喫茶店『グリム』――そしてその地下図書室だ。
 マッド・ハンターと名乗る女性にお礼を言おう、と三月ウサギは思う。
 狂気倶楽部までたどり着いたのは実力だけれど――その後の顛末などを教えてくれたのは、彼女だからだ。
 あれが、何の目的を持っていたのか、三月ウサギは知らない。
 知ろうともしない。
 兄と自分の間を邪魔するなら殺す。それだけしか思わない。
 女王――誰か――に命令されたからではなく。
 自分と兄のために、処刑をする。それが八月生まれの三月ウサギなのだから。

「――雨に――――唄え――ば――」

 唄いながら複雑な路地をさらに奥へと進み、三月ウサギは扉の前に辿り着く。
 喫茶店『グリム』の入り口扉へと。
 その先には、兄がいる。
 地下には、マッド・ハンターと、愛しい兄が、テーブルを囲むようにしてまっている。
 ――愛しい兄さん、今行きます。
 心の中で、そう呟く。
 扉の向こうには――まるで、お茶会でもするかのように、彼らが待っている。
 一人欠けて、また一人。
 減って増えて同じ数。
 何人死のうと――お茶会が終わることはない。
 三月ウサギは思う。自分もその一員になるのだ、と。
 ――だから――愛して、くださいね。
 紅色の唇が、艶やかに微笑み。
 血に濡れた指先が、扉のノブへとかかる。
 そして三月ウサギは――狂気倶楽部へと扉を開けた。
272終わらないお茶会 ◆msUmpMmFSs :2006/07/13(木) 18:38:33 ID:GXffaKv/




 お茶会は、終わらない。



   《続かない》

273名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 19:17:26 ID:NomlNmlc
うぁああああああああああああああ(||゚Д゚)
最後でキモウトかぁああああああああああ!!!
274名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 19:46:36 ID:vxzbaCS8
キモウトGJ
最後の最後で輝いてくれた!
275名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 19:57:35 ID:ljo4e5aa
時計仕掛けのオレンジもキャロルも好きな俺のツボを攻めまくりだよ。
感動した。
276名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 22:43:09 ID:mZ9pZacb
ヤーンーデーレー―
最っ高ぅ!!
277名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 23:10:45 ID:KdnqYC6i
お疲れ様でした!!
GJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJ
278終わらないお茶会 ◆msUmpMmFSs :2006/07/13(木) 23:23:51 ID:GXffaKv/
・蛇足かもしれないけどあとがき。

――お茶会は終わらず、続かず、コーカス・レースのようにぐるぐると回り続けます。

なんだかんだで70kbほどの長い作品、最後まで読んでくれてありがとうございました
気付けばヤンデレというよりは、青臭く発狂した少年少女のサイ娘な恋愛話に。
途中間があいたりしたけれど、最後まで書けてほっとしてます

シチュエーション的には修羅場嫉妬でもおかしくはないけれど……
個人的にはサイ娘な登場人物たちがメインなのでここで最後まで書きました
主人公が狂ってたり妹はやっぱりキモウトだったり、書いてて楽しかったことは確かです

今後は未定。まったくの新作を書くか、なにも書かないか。
あるいは『帽子屋』や『キャプテン・フック』、『グリザベラ』などの別キャラメインの同世界話を書くか
スレ落ちるのももったないないので、他の神がくるのを待ちつつ、多分のんびり書きます。

最後に。
こんな最後まで読んでくれた人ありがとう! 乙!
279名無しさん@ピンキー:2006/07/14(金) 00:18:41 ID:kkRsaLT9
もっとよみたいよおぉぉおぉぉぉおぉぉぉお
280名無しさん@ピンキー:2006/07/14(金) 00:46:24 ID:c57XrEjx
うおおおおおおおおおおおおお!!
お疲れ様でした!!続編を凄まじく楽しみに待ってます!!!
281名無しさん@ピンキー:2006/07/14(金) 01:54:46 ID:R1SphgAw
この世界観は一つの話で終わらすには惜しいな
是非続編ORスピンオフを
282名無しさん@ピンキー:2006/07/14(金) 03:49:46 ID:v6wbVNuE
結局主人公は死んだんだろうか……と蛇足的かつ無意味な考察をしてみる。


…なにはともあれ。GJGJGJGJGJGJGJ!!個人的に貴方の文体が好きでしょうがない!是非とも同一世界の別モノを!!
これだけ世界観が統一されてるならもったいなさすぎる!!
283名無しさん@ピンキー:2006/07/14(金) 17:11:06 ID:MIra5z9z
ヤマネぇええええ!!!

作者様お疲れ様でした!!
284名無しさん@ピンキー:2006/07/14(金) 19:03:24 ID:t/ZIy26r
ヤマネとキモウトとマッドハンターがいかすね。

主人公もいい。
終わっちゃうのが惜しい…
285名無しさん@ピンキー:2006/07/14(金) 19:04:24 ID:R1SphgAw
裁罪のアリスも是非出して欲しい
286名無しさん@ピンキー:2006/07/14(金) 23:51:06 ID:kkRsaLT9
もっとマッドたんを
むしろマッドたん視点で何か物語を・・・
287名無しさん@ピンキー:2006/07/15(土) 00:08:55 ID:UY7kjI6n
主人公は死んだのか・・・?
288名無しさん@ピンキー:2006/07/15(土) 02:49:16 ID:/oO7xalw
設定が神すぎ
俺には絶対浮かばないよ(´・ω・`)
289名無しさん@ピンキー:2006/07/17(月) 08:40:21 ID:XtvwlYKl
ほす
290名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 14:43:02 ID:agGBjwgP
続かないね
291名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 22:03:21 ID:gI/yEY1A
誰か・・・誰かはやくスレが落ちる前に
保存を・・・
292 ◆msUmpMmFSs :2006/07/18(火) 23:47:41 ID:CxhPH15s
新規プロット書いたらヤンデレというか病んだプチミステリに。
とりあえずまた実験として書いてみます

狂気倶楽部 一卵性姉妹 ヘンゼルとグレーテル による カーニバルの夜に
293名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 23:55:54 ID:9DOxb6Mm
スレの私物化も大概にして下さい
調子に乗ってると本気で潰しますよ?
294名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 00:06:17 ID:KP9UO9wd
>>293の本気なSSに超期待。
295名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 00:06:28 ID:Azkg/Zza
>293
馬鹿はお帰り下さい。
296名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 00:10:22 ID:TQcCzleM
>>292
楽しみです!
>>293
ここホモスカだってあるじゃん

あ、ホモスカの人の新作も、ずっと待ってます
面白いです
297カーニバルの夜に ◆msUmpMmFSs :2006/07/19(水) 00:24:47 ID:1/djX81y

 彼らがどこに行ったのか、マッド・ハンターは実を言えばほとんど迷わなかった。
 行き先は限られている。血塗れの二人旅で、遠くまで行けるはずはない。
 直接見てはいないものの、ヤマネは殺戮のかぎりを尽くしたはずであり、五月生まれの三月ウサギはその手を引いて逃避行をしたはずだ。
 長い付き合いから彼らの人格を知り尽くしているマッド・ハンターは、そのことを理解していた。
 ヤマネが三月ウサギの家族を殺し、独占しようとすることも。
 三月ウサギが、そのことを責めようともせずに、その存在を許容するであろうことも。
 となると、二人は今にも手に手をとって逃避行を始めるはずであり――彼女の予想が正しければ、ヤマネは、今夜にも死ぬ。
 というわけで、喫茶店『グリム』を抜け出し、マッド・ハンターは夜の街へと繰り出した。
 明確な目的を持って出かけるのは久しぶりだった。
 入れ替わりの激しい狂気倶楽部の中で、長く生き、居続けるのには理由があった。
 けっして深く関わらず、傍観の立場にいること。
 関わるときは、物語が終わり――エンドマークが打たれるときだけだ、とマッド・ハンターは心に決めている。

 そして、今夜。ヤマネという少女の、物語が終える。

 町の外れにある、出来かけたままの鉄筋ビルにマッド・ハンターは足を踏み入れる。
 鉄骨と、所々が未完成のコンクリート製の足場。町の中心部から外れたせいで、開発が途中で止まった高層ビルの成れの果て。
 世界に置いていかれて、ゆっくりと朽ちていく場所。
 こういう場所は町のあちこちにあり、『グリム』に通うようなゴスロリ少女たちからは、『聖域』と呼ばれている。
 その退廃的な雰囲気が、彼女たちを魅了するのだろう。
 そんな感慨はマッド・ハンターにはなかったし、恐らくは三月ウサギにもないだろうと思っていた。
 それでもここに来たのは、三月ウサギの家から人目に通らない裏路地を取って行ける、人気の存在しない場所がここだったからだ。
 居るとしたら、ここに居る。
 いなければ、夜の間に、街を出て行ってしまっている。
 半分は賭けだった。

 マッド・ハンターは、賭けに勝った。
298カーニバルの夜に ◆msUmpMmFSs :2006/07/19(水) 00:42:23 ID:1/djX81y

 そこにあるのは、惨劇の後ではなかった。
 幹也の家のような血塗れではない。
 吐瀉物に汚れる、小さな死体があるだけだった。
 首を絞められ、酸欠するよりも先に骨を折られたのか、首がくの字に曲がっている。
 口の端からは胃の内容物と血が交じり合ったものが垂れ流れている。
 どう見ても死んでいて――その死に顔は、この世の誰よりも、幸せそうだった。
 ヤマネの、死体だった。
 マッド・ハンターは、廃ビルの中をもう一度見回す。
 ヤマネの死体がある。
 そして――三月ウサギは、どこにもいない。
「……そうか、そうか、そうなのだね。もう、行ってしまったのね」
 ヤマネは醒めない眠りにつき。
 ウサギは逃げ出して。

 全ては、完膚なきまでに、終わっていた。

 マッド・ハンターは薄い笑みを浮かべ、杖に体重をかけつつ、ポケットの中から携帯電話を取り出す。
 何のアクセサリーもついていない、機能重視の薄い携帯電話。
 ボタンを押さず、ダイヤルを回し、登録してある番号にかける。
 相手は、直ぐに出た。

『はいはぁい、』
『はいはいはい、お仕事ですよ『壱口のグレーテル』ちゃん。西区の聖域、廃ビル、」

 相手の言葉を遮ってマッド・ハンターは言い、グレーテルと呼ばれた相手もまた、言葉を遮って電話を切った。
 ツー、ツー、という音だけが虚しく響く携帯を耳に当てながら、マッド・ハンターは無言で肩をすくめる。
 この調子だと、三十分もかからずに相手はすっとんでくるだろう。
 壱口のグレーテルと、人朽ちのヘンゼル。狂気倶楽部の、お仲間が。

 ――その前に、やらなければならないことがある。

 マッド・ハンターは携帯をしまい、しまったそこから魔法のように鋏を取り出す。
 鋏を手に、ヤマネの死体へと近寄りながら――右手でしゃきん、と一度鳴らす。
 それ以外に、音はない。
 死に果ててしまった場所で、生きているのは、マッド・ハンターだけだった。

299名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 00:59:23 ID:FuNVCbIS
馬鹿じゃねぇのw
調子に乗ってんなコイツww
300カーニバルの夜に ◆msUmpMmFSs :2006/07/19(水) 01:07:53 ID:1/djX81y

 ――予想に反して、グレーテルは十五分二十五秒でやってきた。

「はぁい。元気ぃ? あたしとしては、元気じゃない方が嬉しいんだけどぉ」

 ふらふらと揺れながら、グレーテルは廃ビルへと現れた。
 足元がおぼつかなく揺れている。
 ここまで走ってきたせいなのか、常日ごろからそうなのか、見ただけでは判別がつかない。
 ぱっと見は酔っ払っているように見えるが、しかし、年齢で言うのならばマッド・ハンターより年下なのだ。
 もっとも、二人とも未成年であることには変わりないけれど。

「やぁ、やぁ、やあ! 私は元気でしたよ。ヘンゼルくんは変わらず不元気かい?」
「不元気ぃ?」グレーテルはわざとらしく唇に人差し指をあてて、「不健康、不健全、不満足、ねぇ」

 笑って、グレーテルは髪が短くなったヤマネの死体に近寄っていく。
 その手には、普通に生活している分には絶対に見ることのない、ボディバッグと呼ばれる緑色の大きな袋を持っていた。 
 袋というよりは、完全密封式の寝袋に近いかもしれない。
 死体を詰めるという、その目的のために存在する、通称『死体袋』である。
 その袋をずりずりと引きずりつつ、

「何ぃ? まーた髪が短いじゃない。なんであんたから連絡がくるときって、いっつもこうなのよ?」
「きっと、きっと、きっとだね、短髪者を愛好する殺人鬼がいるんでしょうね」

 さらりと嘯くマッド・ハンターを、まったく信じていない目つきでグレーテルは見る。
 その瞳は、ヤマネが零した血のように赤く、禍々しい印象を人に与えかねない。
 そのくせ髪は新雪の雪のように白く、前は鎖骨、後ろは肩甲骨のあたりで切りそろえられていて、
 見るものに清楚な印象を与えるという、二律反したイメージがそこにあった。
 レトロなキュドパリ・ジャンパースカートは黒で、モノクロの世界から抜け出してきたような雰囲気がある。
 ジャンパースカートの下には何も着ていないせいで、肩口から腕にかけては完全にむき出しになっていた。
 その細い腕で死体袋のチャックを降ろしつつ、グレーテルは妙に間延びした口調で、

「まぁ、あたしとしてはぁ、新鮮なのが手に入れば文句は言わないけどねぇ」

 マッド・ハンターはその様子を斜に構えて見つつ、「新鮮な方がいいの」と訪ねた。
 首だけで振り返り、笑ってグレーテルは答える。

「兄さまはぁ、それが好きなのよぉ?」

 もう一度笑って、グレーテルはヤマネだったモノを袋の中に詰める。吐瀉物の掃除は彼女の仕事ではない。
 すべては分担されている。
 自分の役目をこなすだけだ。自分の役割をこなすだけだ。
 誰もが、自分という役を演じているだけだ。
 つらつらとマッド・ハンターがそんなことを思っている間に、グレーテルは作業を終えた。
 そして、来た時と同じくらい唐突に、挨拶もなく踵を返した。
 マッド・ハンターはため息をもって別れの挨拶とし、こつん、と杖で一度床を叩く。
 そこにはもう、本当に、何もない。
 ヤマネも、三月ウサギも、そこにはいない。
 もう一度だけ――あるいは最後に――マッド・ハンターは、器用にも、笑いながらため息を吐いた。

 そうして、一つの物語は終わりを告げて。

 新しい物語は、ゆっくりと始まっていた。

<二話に続く>
301名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 01:08:16 ID:/yb72Omz
>299はヤンデレ
302名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 01:11:30 ID:Loap2mcT
>300
キャラの立て方、濃い内容、洗練された文章、うまいなあ。
303名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 01:11:56 ID:j+uafUFn
どうみても西尾維新です
304名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 01:18:17 ID:mrfwmyr6
中二病のおれがはまったいいssです
もちろんいい意味で
305名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 08:42:38 ID:aS1iYljI
>>299
つまんないと思ったら、読まなきゃいいんだよ。
【スレログを一覧から消去しつつ】
306名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 17:41:49 ID:4vVc5oJC
前のスカトロホモの時みたいにスルーよろ
307名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 18:37:00 ID:1epRo0cX
そうだな。お茶会の作者様に失礼だ。
308名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 02:10:21 ID:TqM2+bVx
病んで自傷癖がついちゃうヤンデレもいいなぁ、行き場のない怒りとか嫉妬を自分自身にむけちゃう
これじゃただのメンヘラか
309名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 06:44:42 ID:c/JBPjpl
そこを『落とした消しゴムを拾ってくれた』レベルの親切をしてくれた
クラスメイトにゾッコンLOVE
          ∧_∧
    ∧_∧  (´<_`  ) 『運命の人』と思い込み
   ( ´_ゝ`) /   ⌒i   朝な夕なにつけまわす
   /   \     | |  
  /    / ̄ ̄ ̄ ̄/ |  
__(__ニつ/  FMV  / .| .|____
    \/____/ (u ⊃

( *´_ゝ`) やべ、ちょっと興奮してきた!!
(´<_`  ) そうか?
310名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 06:16:27 ID:r02npZwF
狂気倶楽部はグリム童話のキャラなので
「偏頭痛持ちの孫悟空」とか今思いついたけど使えませんねw
311名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 07:36:38 ID:eRcIhcIg
悟空wwwwwwwwww
312名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 13:18:06 ID:A0JjsJjy
313名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 20:06:22 ID:0ZtDWa6A
友達の話かと思ってしまった・・・・・
名前一緒だし母子家庭だし・・・・・・
314名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 21:47:36 ID:W0VD1VT4
で?
315名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 02:40:52 ID:SGS1opNA
ほす
316名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 17:23:31 ID:wmtpz+Zx
狂気に走ったりするわけではなく、
ただひたすら主人公のことを愛して、
日常生活に支障を来すような娘はヤンデレに入るのだろうか
 
家族を見て「あの人に比べてなんて醜いんだろう」と吐き気を催したり
香水の匂いを嗅いで「あの人と比べてなんて臭いのだろう」と吐き気を催したり
食事してて「あの人と比べたらこんなの生ゴミだ」と吐き気を催したり
 
こんな感じなのは有りかな?
317名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 23:12:59 ID:FpMF20xm
>>316
十分狂気だwwwwwwww
でも俺のツボにジャストミート
318名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 17:43:03 ID:GBl2pbPg
チェックメイイイイイイイト!!!!!!!!!!
319名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 17:45:20 ID:lxACFFUB
どうしたw
320名無しさん@ピンキー:2006/08/07(月) 13:08:56 ID:6OCb/hDc
他のスレにこんなのがあった

1:穂村愛美(拉致監禁)型
好意の対象を自分の思い通りにしないと気がすまない自己中心的タイプ。
愛情表現が特に偏執的で好意の対象を拉致監禁調教し心身ともに追い詰めていく。

2:桂言葉(粘着ストーカー)型
依存心が強すぎるために愛情を極端に肥大化させてしまう恋愛依存タイプ。
好意の対象を神聖視し、問題の原因を周りに転嫁して狂気に走る。

3:芙蓉楓(可愛さあまって憎さ百倍)型
恋愛依存と自己中心的を掛け合わせたアンビバレンスタイプ。
愛の欲求が強ければ強いほど憎しみの強さもますます強くなる。
相互依存の関係が崩れた時、好意の対象すら凶行の対称になる。
321名無しさん@ピンキー:2006/08/07(月) 17:09:36 ID:bZuO0Zb8
じゃあ園崎詩音は2ですかね
322名無しさん@ピンキー:2006/08/07(月) 19:30:12 ID:T6ChUAiC
お茶会最高潮の時に誰もヤンデレラとうまいこと言ってくれなかったことについて小一時間監禁して説教したい
323名無しさん@ピンキー:2006/08/08(火) 00:48:50 ID:QzuSxDAU
>>322
暇だったらから書いてみたお>ヤンデレラ



腰に回された手は柔らかく、とても優しい。毎日のように床に這いつくばっているシンデレラには、とても遠いものだった。そうして、目の前で微笑む王子の顔は美しい。すっきり通った鼻筋、きらりと透き通る青い目、ふわりと揺れる金髪。あぁ、なんて素敵な王子さま!
ゆらゆらと踊りながらシンデレラは、堪らない幸福に包まれていた。王子さま、ねぇ王子さま、わたしは床を舐めながらあなたをいつも思っていたの。

(わたしだけの王子さま、)
(誰よりもあなただけを愛しい)

「ねぇ、王子さま…」

シンデレラの顔がとろりと溶けていくのを、王子は見てしまった。恍惚に濡れた瞳。蜜を煮詰めたような声。紅潮した頬。清楚で純粋そうなシンデレラが、そういう表情をするのは酷く欲情を誘う。背徳の、うつくしさ。

「私のことを、愛していただけますか?」

324名無しさん@ピンキー:2006/08/08(火) 00:51:10 ID:QzuSxDAU

「――勿論だよ」

気が付いたら答えていた。ふわりと、シンデレラは笑った。これ以上ないほど溶けて崩れた幸福の中を、シンデレラは泳ぐ。この人の腕の中、今ここで死にたいと思った。あぁでも、まだだめ…。まだ、死んではいけない。

(この人をほんとうに手に入れるまで)

「嬉しい」

控え目に、けれどしっかりシンデレラは王子に抱きついた。王子はそれに応えて、シンデレラをきつく抱き締める。その流れはあまりに滑らかで、ただ、幸せだった。

「私のことだけを」

じんわりと染み込むように、王子の耳元で囁いた。背徳と淫靡を溶かして、欲情を誘う甘い声。ぞくりと王子の背中を走ったのは、間違いなく本物、だ。

「愛してくださるのなら」

――ゴーン、

鐘の音が響く。12時を告げる、それは魔法の解ける死刑宣告にも似た。

けれどもシンデレラは笑っていた。笑って王子の腕から抜ける。あまりにも美しく自然に笑うので、王子は腕を伸ばすことも忘れてしまった。

「私を見付けて」

(あなたの愛で)

動きを止めてしまった王子を尻目に、シンデレラは駆け出した。その姿が見えなくなってからようやく、王子は我に返る。シンデレラが走っていった階段を見下ろせば、綺麗なガラスの靴だけがひとつ、きらりと光っていた。

325名無しさん@ピンキー:2006/08/08(火) 00:55:37 ID:QzuSxDAU
むしゃくしゃしてやった。今は反省している。

いやほんとまじごめん(´・ω・`)
なにこの厨な文章…
326名無しさん@ピンキー:2006/08/08(火) 19:20:52 ID:Rj8uS41S
どこらへんがヤンデレラなのかと小一時間(ry
327名無しさん@ピンキー:2006/08/09(水) 13:59:25 ID:QohHQzap
チェックメイイイイイイイト!!!!!!!!!!
328名無しさん@ピンキー:2006/08/11(金) 04:01:46 ID:V541l980
幼い頃読み聞かされてた話が…いい!
329名無しさん@ピンキー:2006/08/11(金) 14:17:24 ID:i2YZmlv1
>>312って続きないの?
330名無しさん@ピンキー:2006/08/11(金) 17:11:48 ID:obrSGzJu
好きなキャラがヤンデレだなと思った今日この頃
女体化擬人化すればの話だがな
331名無しさん@ピンキー:2006/08/14(月) 06:30:17 ID:g6pHmYii
キモウトのまんこ
332名無しさん@ピンキー:2006/08/14(月) 10:35:19 ID:O42aY1DR
イワンの馬鹿
333名無しさん@ピンキー:2006/08/17(木) 12:23:07 ID:DbKC6Aog
キモウトかキモ姉きぼん
334名無しさん@ピンキー:2006/08/19(土) 23:14:06 ID:F9MZ2Std
保守ウウゥゥウ!!!!
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!!!
335名無しさん@ピンキー:2006/08/20(日) 14:36:08 ID:DL0O42Z7
実の弟が好きです。エッチしたいんだけど、弟が近親相姦を嫌悪してるみたいなので言えません。
高校初めての夏休みで、浮かれているのか家から離れて旅行に行ってしまいました。友達と行くと言ってたけど、多分その中に女がいます。くやしい。
336名無しさん@ピンキー:2006/08/20(日) 19:47:36 ID:KSeEXJ1j
なんだっt(ry
337名無しさん@ピンキー:2006/08/20(日) 22:16:33 ID:dl3vaczS
338名無しさん@ピンキー:2006/08/20(日) 22:38:33 ID:K2V+VpQj
未来日記のユッキー凄かった…
339名無しさん@ピンキー:2006/08/22(火) 20:34:33 ID:MZ2UQul0
ユッキーがすごいの?
340名無しさん@ピンキー:2006/08/22(火) 22:19:39 ID:WXfq/3UM
すごかったのは由乃だと思う
341名無しさん@ピンキー:2006/08/24(木) 20:21:01 ID:xn9Yjmwg
         ____
       /      \
      / ''''''    '''''' \
    /  (●)  (●)  \
    |      (__人__)     |
    \     ` ⌒´    /

   _____________
   |__/⌒i__________/|
   | '`-イ   ./⌒ 三⌒\     | おやすみユッキー・・・・
   | ヽ ノ  /( ●)三(●)\    |
   |  ,| /::::::⌒(__人__)⌒::::: \  |
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

       ____    
     /ノ   ヽ、_\ 
   /( ○)}liil{(○)\
  /    (__人__)   \
  |   ヽ |!!il|!|!l| /   |
  \    |ェェェェ|     /
342名無しさん@ピンキー:2006/08/25(金) 00:57:06 ID:HKDNkSyQ
ちょwwww
343名無しさん@ピンキー:2006/08/25(金) 04:25:20 ID:/8y8WdBr
>>341
麦茶吹いたwww
344名無しさん@ピンキー:2006/08/27(日) 00:57:15 ID:aAF1r6qp
今月号も由乃凄かった…

平然と一般市民(操られてるとはいえ)を斧で頭からぶった切る胆力はラオウ並
目が逝っちゃってるところも高ポイント
345名無しさん@ピンキー:2006/08/27(日) 08:31:40 ID:xLbzvysa
保守
346名無しさん@ピンキー:2006/08/28(月) 00:33:02 ID:xqo4ZqOz
【未来日記】我妻由乃【ストーカー少女】

http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/cchara/1156349226/
347名無しさん@ピンキー:2006/08/28(月) 03:13:37 ID:t4vnGuAg
そういやかってに改蔵の名取羽美ってヤンデレだっけ?
348名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 16:14:14 ID:rWoaS5Pw
デレはなかったような・・・
349名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 00:07:34 ID:xZkjxBea
携帯だと途中のホモ小説がウザくてほかの小説が見にくいからアンカーで小説ごとに示してくれるとありがたい
350名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 02:17:07 ID:Y1pvjnZ5
今、お茶会を読んで感動した。
主人公はGOTHの神山に、
マッドハンターは谷川の学校を出よう!の真琴に
何となく似てると思いますた。
351名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 07:47:05 ID:xZkjxBea
俺はマッドハンターは君と僕の病院坂黒猫だな
352名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 01:11:27 ID:2T7BK3kE
今更ながらお茶会に感動
353名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 23:33:43 ID:2T7BK3kE
こういう雰囲気の小説ってどんなのがある?
354名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 18:19:14 ID:SPXerW9e
エヴァのアスカが精神崩壊を起こす所で萌えたんだけど
これってもヤンデレになるのかな?
355名無しさん@ピンキー:2006/09/10(日) 14:31:57 ID:CJP+Y3Am
『境界崩し』のキャラって、ヤンデレ?
356名無しさん@ピンキー:2006/09/10(日) 20:30:27 ID:mdtGwnst
>>355
話の内容に混乱して途中で読むの挫折したが……ヤンデレだらけだったと思うぞ
357名無しさん@ピンキー:2006/09/11(月) 18:37:50 ID:+iLi+ljv
おお、サンクス。

やはり、俺の目は間違ってなかった!!
358名無しさん@ピンキー:2006/09/11(月) 20:35:43 ID:oarUVCiI
「愛の流刑地」はヤンデレに含まれますか?
359名無しさん@ピンキー:2006/09/12(火) 19:04:29 ID:AdPdK7vV
>>354
おいおいアスカはツンデレでヤンデレなのかよ

すげぇな
360名無しさん@ピンキー:2006/09/13(水) 20:48:33 ID:TufgCfly
>>359
つ魔界都市日記
361名無しさん@ピンキー:2006/09/13(水) 23:14:31 ID:kARZs0mv
主人公はずっと苛められ続けていてそれでもそんな彼を愛しているという人が出てくるんだけど、
ずっと苛められ続けたからそんな好意とか優しさも後からくる苛めの伏線とか、からかいとしか思えなくて、
というか信じられなくてその彼女を拒絶する。で、彼女のほうは、好きだという気持ちを信じてもらえないうえに、
ひどい拒絶をされて、どうして私を信じてくれないの、とだんだん病んでいく。というのはこのスレ的にはどうでしょうか?
362名無しさん@ピンキー:2006/09/14(木) 00:04:14 ID:VGL3/rxe
ストライクだと思います。
363名無しさん@ピンキー:2006/09/14(木) 01:11:48 ID:VepB2FXz
>>362
うんこっこw
364名無しさん@ピンキー:2006/09/14(木) 03:06:28 ID:DDOslpke
このスレを読んですっかりヤンデレの虜だわ〜
境界崩しは読んだことあるけどあれもヤンデレだったのか…
ヤンデレ初心者の私にヤンデレ作品を教えてください!!
365名無しさん@ピンキー:2006/09/14(木) 10:42:21 ID:ltDP/g37
>364
Astral
柚たんの休日
366僕と彼女の恋事情 ◆msUmpMmFSs :2006/09/14(木) 15:39:30 ID:iRL1fkGP
   1/彼の場合

 友人曰く、幼馴染のユーナは『電波女』だそうだ。

「……ユーナ。これって実はアンテナだったりするのか?」
 ユーナの頭頂部より少し後ろから、尻尾のように生えている髪の毛を掴んで俺はそう訪ねた。
 腰まで伸びた髪の毛は見た目よりも軽い。梳いてもらっているのだろうか。
 もっとも、四六時中一緒にいるが、ユーナが美容院に行くところを俺は見たことがない。
 多分、自分で切ってるんだろう。
 真夜中に、電気もつけない真っ暗な部屋で、一人ハサミをチョキチョキ動かすユーナの姿を想像してみる。
 中々面白かったので、つい笑ってしまった。
「ヘンなマー君。なんでアンテナなのかな? なんで笑ってるのかな?」
 そう言って、制服姿のユーナは手に持った荷物をぶん、と振りながら振り返った。
 俺は髪を持ったまま一歩下がって、
「友人曰く、ユーナは電波女だそうだ」
 そう言うと、ユーナは「けたけた」と口に出して笑った。
「やだなマー君。『曰く』なんていう人、わたし始めて見たよ」
 ユーナは笑ったまま、さらに半回転して歩き出した。
 手で掴んでいた髪がすり抜けていく。スカートの裾がわずかに円を描いた。
 俺はため息を一つ吐いて、その後に続く。
 もう夜も更けているので、辺りは足元が覚束ない程に暗い。
 田舎の裏道には街灯もなければ、通行人もいない。驚くべきことに車のヘッドライトすらないのだ。
 だというのに、ユーナは見ているこっちが危なく思うくらいに、ふらふらとした足取りで進んでいく。
「――ユーナ。こけるぞ」
「ねぇマー君。わたしがこけたら泣くのかな?」
「……泣きはしないが困るな」
 我ながら面倒くさそうな口調で言うと、ユーナはぴたりと足を止め、
 すすすすすすすと、後ろ向きにすり足で寄ってきた。夜道でそんなことをやられると妖怪に見える。
 俺の隣まで戻ってきたユーナは、荷物を左手に持ち替え、右手で俺の腕に抱きついて、
「なら、一緒に歩こっ」
 上目遣いでにっこり笑ってそう言われたら、何も言い返せない。
 決して、腕にあたるふくらみに惑わされたのではない。本当だ。
「いいけど。腕掴んだままこけるなよ、頼むから」
「マー君は心配しょうだなあ。お姉ちゃん心配だぞ」
「ぬかせ。そもそもユーナ、お前の方が年下だ」
「マー君と三百六十四日違うだけじゃない、それくらいいいでしょ?」
「前後の文が繋がってない」
 他愛のないことを話しながら、全体重をかけて抱きついてくるユーナを引きずるようにして歩く。
 俺はどうして――こんなことをしているんだろうな?
367僕と彼女の恋事情 ◆msUmpMmFSs :2006/09/14(木) 15:49:04 ID:iRL1fkGP
   2/彼女の場合

 わたしの見る限り、幼馴染のマー君は殺人鬼だ。

「マー君っていっつも真っ赤だよね」
 わたしがそう言うと、マー君は「俺は郵便ポストじゃない」なんて低い声で呟き返してくれた。
 わたしの何気ない言葉にも、マー君はぜんぶ答えてくれる。学校だと、みんな何にも言わないのに。
 みんなの耳が悪いのか、マー君の耳がいいのか。たぶん、どっちかだと思う。
「でも、赤いマー君はかっこいいよね」
 そうか、とマー君は頷く。十センチ高いところにある瞳が、わたしの方をちらりと見た。
 腕に抱きついたまま、わたしが「にこっ」って笑い返すと、マー君は恥かしそうに視線をそらした。
 うん、こういうところは昔から変わってない。
 昔からマー君は、無口で、ぶっきらぼうで――なにより、赤い。
 小一のとき、階段から落ちたわたしを庇ってくれたマー君は、頭から血を出して真っ赤だった。
 小三のとき、お母さんが死んじゃいそうなときに助けてくれたマー君も、真っ赤だった。
 小五のとき、火事になった家から助けてくれたマー君は、火に照らされて真っ赤に見えた。
 いつだってマー君は助けてくれたし、そのたびにマー君は真っ赤だった。
 だから、好きなのだ。
 ――彼が殺人犯だとしても。
「マー君はいつだってマー君だねー」
「ユーナはユーナのままだな」
「そうかな?」
「だよ」
「えへへ、そっか。マー君は、いっつも一緒だもんね」
 右手でしっかりと、マー君に抱きつく。本当は左手でも抱きつきたいけど、荷物を持ってるから無理。
 掴んだマー君の手は、真っ赤な血で濡れてたけど、気にしない。
 マー君の白いシャツは、血で真っ赤に染まってたけど、気にしない。
 だってわたしは、赤いマー君が大好きなんだから。
 真っ赤に染まったマー君は格好よくて、いつでも私を助けてくれる。
「ねーねーマー君」
「んだよ」
「わたしねー、マー君のこと好きなんだよ」
 思い切ってそう言うと、マー君はわたしを見て、
「知ってる」
 その返事が嬉しくて、わたしは思わず笑ってしまう。
 マー君は殺人鬼だ。
 けど、マー君を通報しようとか、逃げようとか、そんなことは思わない。
 いつかマー君に殺されるかもしれないけど、それでも、いいのだ。

 ――しょうがないじゃない、惚れたんだから。
368僕と彼女の恋事情 ◆msUmpMmFSs :2006/09/14(木) 16:00:41 ID:iRL1fkGP
   END/彼と彼女の場合

 ユーナ曰く、俺は殺人鬼らしい。

 まあそれでもいいと思う。腕に抱きついて、「えへへ」と幸せそうに笑うユーナを見てるとそう思う。
 いつまでたっても成長しないような童顔に、昔から変わらないポニーテール。
 長い付き合いで気心が知れているし――いや、そうじゃなくて。
 単純に、惚れているのだろう。俺が、こいつに。
「なんで好きなんだ?」
 腕にしがみつくユーナに、投げやりに言葉を投げかけてみる。
 どうせ答えはわかっている質問だった。
 案の定ユーナは、一度俺のシャツを見て、それからまた俺の顔を見て、笑って答えた。
「マー君には秘密ー」
 そうか、と答えて、俺も自分の胸元を見る。
 シャツは真っ赤だ。血のりやペンキじゃなくて、他人の――しかも、さっきついたばかりの血。
 確かに、この光景を見られれば、殺人鬼と思われても仕方がないだろう。
 実際、こんな人気のない道を通るのは、見つからないようにするためなのだから。
 けど――

 ――そんなことは、ユーナだって同じことだ。

 俺は、俺以上に真っ赤に染まったユーナの、左手に持つ荷物を見ながら言う。
「ソレ」
「うん?」
「重くないのか」
「ひょっとしちゃったらマー君、心配してくれてるの?」
「まあな」
「大丈夫だよー、これくらい。わたし、平気」
 そう言って、ユーナは荷物を――大型の肉切り包丁をぶんと振り回して、へらへらと笑った。
 成る程、この笑い顔は、確かに電波と思われても仕方ないかもしれない。可愛いからいいが。
 セーラー服と鞄ならともかく、セーラー服と肉きり包丁はなかなかシュールだが、見慣れれば気にならない。
 ユーナはいつだって凶器を持っていたし、いつだって同じくらいに赤かった。
 小三のとき、自分の母親を切り殺したときだって。
 小五のとき、自分の父親と義母の家に火を放ったときだって。
 いつだって、ユーナの傍には、凶器と赤がある。
「早く帰ろっ。マー君、今日のご飯は何かな?」
「ミートソース」
「やったっ!」
 ぴょん、と跳ねて喜ぶユーナ。たった今人を解体してきて、よく食べれるな――と思うが、それは同じだ。
 第一、ユーナはきっと、人を殺したとは思っていない。
 俺を赤く染めようと思っているだけなのだから。赤い俺が大好きなのだから。
 赤く笑うユーナを見てると、どうしても俺は思わずにはいられない。
 ひょっとしたら――小1のときのあれは、ユーナに突き落とされたのかもしれない。
 けど、別に構わない。ユーナを通報しようとも、逃げようとも思わない。
 たとえ、いつかユーナが俺を真っ赤に染めるために、俺を殺そうとしたとしても――構わない。それでも、いい。

 ――仕方ないだろう? 惚れてるんだから。
369僕と彼女の恋事情 ◆msUmpMmFSs :2006/09/14(木) 16:01:51 ID:iRL1fkGP
ヤンデレカップルってこんな感じかなあ
370名無しさん@ピンキー:2006/09/14(木) 16:25:27 ID:ZGWopTLY
イイヨイイヨー
371名無しさん@ピンキー:2006/09/14(木) 22:12:12 ID:ltDP/g37
アアン(*´Д`)
372名無しさん@ピンキー:2006/09/14(木) 23:43:20 ID:SY9ZcJzr
初めて苛められたのはいつの事だったか正直覚えていない、だが確か小学校の頃からだったと思う
その日何時も通りに学校に行くとなぜか机が無く訳が解らずおろおろしている僕を見てクラスメイトが笑っていた。
その中には幼馴染で幼稚園に入る前から何時も一緒だった、猛と麻紀の姿も在った。その日から苛めが始まった。
何故苛められるのか僕にも解らなかった。物を隠されたりするのが多かったと思う。
中には仲の良かった子からも苛められ僕はどうしていいのか解らなかった、ただ漠然と耐えていれば苛めも無くなるのではないかと思っていた。
学年が上がるごとに苛めはエスカレートしていった小5の時給食のスープにミミズを入れられた、小6の時いきなり後ろから後頭部に石を投げられた。
中学に上がれば苛めは無くなるのではないかと思っていたが甘かった、中学に上がったある日あこがれている人から呼び出しの手紙を貰った喜び勇んで行き、1時間待って来たのは
小学校の頃の苛めっ子だった。その時また苛めが始まるのだと確信した。事実また苛めは始まった前よりもひどい形で。
集団リンチにあった。机に死ねなどと彫られた。上靴に大量のカミソリが入っている事もあった。そして高校に入る頃には誰も信じられなくなっていた。
そんなある日のことだった彼女に出会ったのは。
373名無しさん@ピンキー:2006/09/15(金) 00:12:14 ID:GTObeYBf
あの人を始めて見たのは彼が苛められている所だった。
大抵の人は苛められると、その目には怯えが走るものだ。実際私もそうだったから。
だけど彼の目にあったのはそんな物ではない冷たさだ苛めているもの達を見るあの冷え切った蔑んだ様な目
まるで自分が苛めているかの様な目をしていた。その目を見た瞬間私の中に何かが走った。
その日からその人を調べる毎日が始まったあの人の好みのタイプを調べその通りになる様努力し、
彼の好きな食べ物を調べてはその料理を猛特訓した。たぶん最初は単なる興味だったのだろう。
だが彼を調べていくうちにそれは変化して行ったそう私は彼を愛しているのだ。
だからこそ今日私はこの胸の内を彼に伝えた。だが、返ってきた言葉は予想だにしていなかった言葉だった。
「別にいいんだよ無理しなくても何かの罰ゲームか何かでしょ。大体から僕を好きだなんてありえないんだからさ。」
ショックだっただって彼の目は何時も私に伝えてくれたのに僕を愛していいのは君だけだって、僕は待ってるからって
そう、愛しているって!!なのにどうして何故私を拒絶するの!!何故何故何故何故何故何故何故!!!
あぁそうか解った貴方は、あいつ等の事を心配してるんですね。僕と付き合ったら君にも迷惑がかかるからって。もうそんな優しい所も大好きですよ。
待ってて下さいね。もうすぐ私が貴方の不安を取り除いてあげますからね☆
うふふふふふふ、あははははははははははははははははは。

ひまだっので書いてみた続かないと思う。
374名無しさん@ピンキー:2006/09/15(金) 00:12:49 ID:oypVb07s
wkwktktk
375名無しさん@ピンキー:2006/09/15(金) 00:25:42 ID:yKneCG4j
>>365
柚たんの休日はもう読めないんだよね?
376名無しさん@ピンキー:2006/09/15(金) 21:07:01 ID:HW+ti/yx
電撃だからもしかしたら「あすとらる」とかで一冊出るかもしれない
377名無しさん@ピンキー:2006/09/15(金) 21:45:37 ID:tXpNIszl
378名無しさん@ピンキー:2006/09/18(月) 22:29:38 ID:9xJZd1Op
近親相姦の話はこのスレ的にはOK?
379名無しさん@ピンキー:2006/09/18(月) 23:53:16 ID:WR82gIQr
おK過ぎる
380名無しさん@ピンキー:2006/09/19(火) 21:33:50 ID:SZvFrgbT
てst
381名無しさん@ピンキー:2006/09/20(水) 19:52:39 ID:LlNS1xFr
ヤンキーがデレデレするスレじゃないのか…
382名無しさん@ピンキー:2006/09/20(水) 22:24:47 ID:dlZG1y8O
>>381
俺も最初見たときは一瞬そう思ったけど、
そっち系ならツンデレスレ行った方がいい
383名無しさん@ピンキー:2006/09/20(水) 23:41:08 ID:Di0PzoZG
ヤンキーがアンパンのやりすぎで妄想バリバリとかヤンデレじゃね?
384名無しさん@ピンキー:2006/09/21(木) 01:33:49 ID:wCdE/Q+d
人形を偏執的に愛する姉の気を引こうと人形になろうとして徐々に人間らしさを失ってしまう少女
ってのはヤンデレっぽいかな
385名無しさん@ピンキー:2006/09/21(木) 07:42:53 ID:uW0/XXEf
>>384
いいね
386名無しさん@ピンキー:2006/09/25(月) 18:14:18 ID:90vN4p8I
近親モノだったら、血がつながっていることを気にして
「他人になりたい!」
という願望が強い。強すぎて、
兄貴(弟)の彼女と自分の体内の血液を交換しようと奔走する…
映画サイコなみのメッタ刺しで笑いながら
「私、あなたになりたい…そうすれば兄(弟)を堂々と私のものに…」

うん、わかってる。修羅場or猟奇スレにいけ(ry
387名無しさん@ピンキー:2006/09/25(月) 23:54:35 ID:L0nw57pw
>>384のネタで書こうとして資料に人形の写真集買った
ずっと見てたら精神病んでしまいそうなんですが・・・
なんか新しい世界の扉開いてしまいそう
388名無しさん@ピンキー:2006/09/26(火) 01:26:16 ID:6RIqK5RW
>>387
その扉開けてごらん
清々しい、いい気持ちになれるから…
389名無しさん@ピンキー:2006/09/26(火) 21:05:29 ID:wPNvRlNg
勧誘すんなWWWWW
390名無しさん@ピンキー:2006/09/26(火) 21:47:51 ID:pDI3p1Uz
久々に嫉妬スレから来たが・・・人居ないな
391名無しさん@ピンキー:2006/09/27(水) 23:46:18 ID:mfgujogm
あそこ早いけど似たようなのばっか…というか予定調和的展開が多すぎて食傷気味だわ
まぁシチュエーション系のスレでは避けて通れんことかもしらんけど
392名無しさん@ピンキー:2006/09/29(金) 13:37:30 ID:XUrQyPPl
       ____
       /      \
      / ''''''    '''''' \
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    |      (__人__)     |
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       !|. __,,,__     ::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::   __,,,__ .|!     
      .!|,;'    `,,   :::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::    ,,;'   .`,|!    
      !|;; :::。::: ;;    :::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::    ;; ::::..。 :::;;|!     
      .!| '';,___,,;' ;,    :::;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::   ;,, '';,,___,,;'.|!     
      !| ';,,_,,_,,,、,‐     ::;;;;;;;;;;;;;;;::     ‐,,_:;,,_,,;''..|!    
      i| ::;;;;;;;;;;:     .くO'';;;;;;''O>     :;;;;;;;;;;;;: .|i    
     ..i| :;;;;;;;;;;:  ,,   `::;;:  ';:;;:      :;;;;;;;;;;;: :|! 

おやすみユッキー

       ____    
     /ノ   ヽ、_\ 
   /( ○)}liil{(○)\
  /    (__人__)   \
  |   ヽ |!!il|!|!l| /   |
  \    |ェェェェ|     /
393名無しさん@ピンキー:2006/09/29(金) 18:27:23 ID:NOM/YtB6
はい、おやすみ
394名無しさん@ピンキー:2006/09/30(土) 16:47:13 ID:W66q6LKp
      「\     __    __
      │ト、l、 /´, '`⌒'´ `ヽ
      ヾヽ!lV/ / ,/ /  ,' ハ、     
    ,ィニ≧ゝレ' / /  ,./   / , ハ     男を思って刺すのはヤンデレだ!
   く<-‐7´ _」] l l/_,∠/   / / / い   女を嫉妬して刺すのはよく訓練されたヤンデレだ!
     ̄ノ/: :f r'l l /レ'/、_/‐ト'、/l| li l    ホント、修羅場は地獄だぜ! フゥハハハーハァー!
     {ハ : :|{(l|y==ミ   _ノ、/ソリ ll |
      ヽヽ: :|、lハl、゙      ⌒ヾlノリ ll l        jl       //  
          V\ヽ、 `ー  ゛ノルんイリノ      l ||  ヽ \/   
          ,.--、_ハ`−r=ニ--、′ノ       | ||   ゝ   /
       ,,,-彡_,r''" ̄ 「/ ̄/ ̄/;二"二"二((二((三三C≡=─
      _,-|  r'" 二 ==i ニニ二/\/ccccccc//_ヽ )   ヽ
     <、、゙l  - ̄ ̄C=] ノ;ヾ / ⊂ニニニ二二ソニニニソノ/⌒ヽ\
       ,l゙゙'l、  」ニニ二二〈ー;; \/二L_」 j
      /  l  /;:: /{ ̄`)ノ ーーー \   /


修羅場スレより、コピペ。
395名無しさん@ピンキー:2006/09/30(土) 20:07:03 ID:+flVGC5b
>>373
頼むから続き書いてくれ!
396名無しさん@ピンキー:2006/09/30(土) 20:29:59 ID:e4RfrRzT
例えば、好きだった男が不慮の事故とか病気とかで死んで
彼が死んだのは世界のせいだとか言って、
なんで彼が死んだのにお前がのうのうと生きてるのと
死んだ彼の友達や兄弟を刺すのはアリですか?
397名無しさん@ピンキー:2006/09/30(土) 22:42:14 ID:pKjrPxnw
何その園崎詩音。
398ヤンバル:2006/10/01(日) 12:42:26 ID:sZd/waCh
投下します
399ヤンバル:2006/10/01(日) 12:51:56 ID:sZd/waCh
次の日学校に行くと何時もならば上靴が無い等の慣れてはいるが正直気分の悪くなる
苛めの類いが無かった。珍しいこともあるものだと思ったが、ほっとさせておいて、凄まじい反撃を食らったことの有る
ので過度の安心と期待はせずに何時も通り教室に入った。どうやら俺を主に苛める三人はまだ来てないようだ。
ホームルームが始まり担当教師から聞かされたのは喜んでいいのか正直判断に迷う物だった。
俺を主に苛めていた三人が昨夜事故で死んだという事だった。偶然とは怖いなと俺は思っていた。
そう、彼女にまた会うまでは・・・・・
400ヤンバル:2006/10/01(日) 12:54:17 ID:sZd/waCh
>373の者です。少しだけ続きが思い浮かんだので書いてみました。
続きを書ききれるか解らない新参者ですがよろしくお願いします。
401名無しさん@ピンキー:2006/10/01(日) 19:43:06 ID:aBOh/Doz
初めて嫉妬スレから来て見たら向こうに張ったAA(>>394)が転載されてたw
ガチムチの荒らしももういない見たいだし、短編を書いてみようかな…
402名無しさん@ピンキー:2006/10/02(月) 00:18:50 ID:Kpr2z8P0
wkwktktk
403名無しさん@ピンキー:2006/10/02(月) 22:38:13 ID:N4z94EwW
鏡の前で変態言葉浴びせ合いながら
「ホモ!ホモ!」連呼「男好き好き!男大好き!男!男!男!」連呼で、
サカリ狂って涎垂らしまくった変態馬鹿顔を見せ合い、獣みたいな変態顔さらけだし合いながら
鏡の前で、変態ポーズを競うように見せ付け合い、部屋中徘徊しながら気違いみたいに
変態ホモズリ「雄の気違いセンズリの見せ合い」に狂い合いたい。
(厳格なセーフのみ。バックなし。肛門を舐めたり、触ったりもしません)
チンポ!チンポ!連呼、男!男!男!男!の大連呼は当たり前。
変態顔の表情、変態ポーズの動き、変態ポーズまでもシンクロし合って
ホモり狂い合おう!オナニーカップにチンポ刺し込んで、モロ感乳首摘んで
「気持ちいい〜!あ〜気持ちいい〜!男好き好き!男大好き!」って声を上げてヨガリ狂い合い白状し合おう!

その他の変態言葉連呼もOKです。
セーフであればその他の変態プレイもOKです。
プロフと好きな変態気違いセンズリプレイを書いてメールくれ!
180.104.33歳.筋肉質.東京在住
404名無しさん@ピンキー:2006/10/02(月) 22:38:57 ID:N4z94EwW
>>402
「地上最強のホモを見たいかーーーーッ」
「オーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
「ワシもじゃ ワシもじゃみんな!!」
「全兄貴入場です!!!!」


エロガキ探しは続いていた!! 更なるカキコを繰り返しコキコキボーイが来た!!!
46歳!! kazuyaだァ――――!!!

テレズリ相手とのズリ比べではすでに我々が連呼している!!
オラオラ、チンポチンポ、セィヤセィヤだァ――――!!!

吸い付きしだいしゃぶりまくってやる!!
吹奏楽部代表 軟弱野郎です!

六尺の真剣勝負なら我々のラッシュがものを言う!!
超スケベの取っ組み合い 六尺タイマン淫乱相撲 淫乱・正幸!!!

真のテレズリを知らしめたい!! 金玉の底からザー汁がクツクツ シュウジ兄貴だァ!!!

鏡に向かって盛る毎日だが数日に1回の射精だ!!
金玉の底からザー汁がクツクツ 地下足袋手甲・兄貴だ!!!

前袋のニオイは完璧だ!! 坊主ヒゲ有六尺常用 ヤロウぜ政褌!!!!

全ホモズリのベスト・連呼は私の中にある!!
雄の気違いセンズリの神様が来たッ 男好き好き!男大好き兄貴!

タイマンなら絶対に敗けん!!
ズリダチとのズリ勝負見せたる 野郎うなぎ責め ズリ舎弟だ!!!
405名無しさん@ピンキー:2006/10/02(月) 22:39:38 ID:N4z94EwW
>>402
六尺狂い(なんでもあり)ならこいつが怖い!!
褌角刈り兄貴のチンポコをしゃぶりたいぜ! 押忍!!!

ハッテン公園から内気な男が上陸だ!! お、お、俺とハメ狂わねえか?!!!

壁に開いた穴で交尾がしたいからハッテン場(公衆便所)に行ったのだ!!
ガチのプレイを見せてやる!!深夜25時!!!

祭の土産に六尺とはよく言ったもの!!
盗人の宝物が今 部屋でバクハツする!! 臭ぇぜ、ワッショイ 六尺兄貴だ―――!!!

スゲーやらしい交尾で地上最強にヒクヒクしてるっすよ!!
まさか超タイプの男が掘ってくれるとはッッ ヴォー・スゲー!兄貴!!!

ヤリたいからハッテン場までまできたッ キャリア!!!!
ヤバリバのポジ(陽性)ファイター 元彼へのリベンジだ!!!

オレは六尺譲るつもりはない交換相手を募集なのだ!!
御存知ヘンタイ 激臭汚穢褌!!!

スカトロの本場は今や岡山にある!! わしを満足させる浮浪者はいないのか!!
変態・糞親父だ!!!

いくぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ説明不要!! 大漁だよ!!! おにいちゃん!!!
イサキ兄貴だ!!!

六尺は実戦で使い込んでナンボのモン!!! 超雄臭六尺!!
本家日本からうぉっ!いいぜ兄貴の登場だ!!!

お前はオレのもの 命令に従わないやつは思いきり浣腸し思いきり虐めるだけ!!
バイト・奴隷同時募集中 本屋の店長wave
406名無しさん@ピンキー:2006/10/02(月) 22:40:36 ID:N4z94EwW
>>402
チンポをシゴキに冬の公園へきたッ!! チンポ全露出センズリ 俺のズリ舞台!!!

丸出しチンポに更なるリングをかけ ”我慢汁トロッ”結構でかい兄貴が帰ってきたァ!!!

俺のチンコに火がついたッッ!! ガッシリ30代の怒涛 津波!!!

穿き続け2ヶ月の雄臭で今ケツワレを脱ぐ!! クッセェクッセェ 竿(ちんぽ)もでかいぜぇ!!!

おやじさんの前でならオレはいつでも発情期だ!!
一発やっかぁ 越中褌闘記 長編で登場だ!!!

機動隊の仕事はどーしたッ ホモの炎 未だ消えずッ!!
捕縛も制服も思いのまま!! 現職K官だ!!!

特に関係はないッ なんとなく文体が似てただけ!!
実際にはノンケだ!!! コピリンコ! 小泉武夫がきてくれた―――!!!

男色下宿で磨いた実戦ホモ!!
「俺も仲間に入れろッ!」のデンジャラス・大家 金田氏だ!!!

キメションだったらこの人を外せない!! 超A級スジ筋体型 三超兄貴だ!!!

超一流応援団の超一流の上下関係だ!! 生で拝んでオドロキやがれッ
学ラン好きの先輩の命令!! ゴラァ〜〜〜大石立たんかい?!!!

兄貴コピペはこの男が完成させた!!
ガチムチの切り札!! 六尺兄貴だ!!!

若き王者が日本に帰ってきたッ
どこへ行っていたンだッ メジャーリーガーッッ
俺達は君を待っていたッッッ多田野数人の登場だ――――――――ッ
407名無しさん@ピンキー:2006/10/03(火) 03:15:06 ID:HonB891c
お久しぶりです
408名無しさん@ピンキー:2006/10/03(火) 14:34:10 ID:SVjgCAxh
噂をすれば影か、いなくなったと思ったらまた現れたな
409名無しさん@ピンキー:2006/10/03(火) 18:28:29 ID:kZYXJuW3
こうまで粘着してるといっそヤンデレだな
410名無しさん@ピンキー:2006/10/03(火) 19:43:49 ID:IvkP10LV
>>409
好評みたいだしな
ずっと駐在してるぜ?
またわけのわからん勘違い馬鹿が投下したら
ストックから10以上連続投下して消毒してやるから安心しろ
ヨロシクな!!!
411名無しさん@ピンキー:2006/10/03(火) 21:59:30 ID:HxZ2mm53
a
412名無しさん@ピンキー:2006/10/04(水) 00:29:49 ID:U/11H4ix
勘違い馬鹿ってお前だろ(プ
413名無しさん@ピンキー:2006/10/04(水) 01:16:37 ID:WA7w6TNX
>またわけのわからん勘違い馬鹿が投下したら

自分の事をよく分かっているじゃあないか。
414名無しさん@ピンキー:2006/10/04(水) 20:12:11 ID:9qkfujl3
>>410
あんたは801板に池谷
415名無しさん@ピンキー:2006/10/04(水) 21:37:09 ID:k9aYA4Au
>>414
801板住人としては来て欲しくないです。

こんな状況では投下しても感想レスもらえなさそうで鬱・・・
416名無しさん@ピンキー:2006/10/04(水) 22:08:46 ID:WWk3omhM
スカホモ板立てたらどうでしょうか?

立てる勇気もなさそうですが。
417名無しさん@ピンキー:2006/10/04(水) 23:36:35 ID:GLoKQEEz
ヤンデレなスカホモカップルキボンヌ
別にヤンデレが男でも問題ないんで
418名無しさん@ピンキー:2006/10/04(水) 23:57:52 ID:c5Zow5QJ
透明機能で消せば問題なしヽ(´ー`)ノ

投下wktk
419名無しさん@ピンキー:2006/10/06(金) 19:47:26 ID:yvs87iNo
ホモをNGワードにすりゃ問題ない
420名無しさん@ピンキー:2006/10/06(金) 20:44:10 ID:CpjdNkMX
>>419
こっちはこっちで勝手にやってるから
勝手にNGワードにしてろ
読みたい奴だけ読めばいい
チンポ!チンポ!セイヤ!セイヤ!
421名無しさん@ピンキー:2006/10/06(金) 21:45:29 ID:Wgd0ijNN
>>420
板違いはすっこんでろ
422名無しさん@ピンキー:2006/10/06(金) 21:53:21 ID:5pyW95DM
>>420
板違い・スレ違いって言葉知ってる?
423名無しさん@ピンキー:2006/10/06(金) 22:25:44 ID:Xy10wSlM
板違い・スレ違いだからあえてやってんだろうと思うよ。
適当な該当スレに投下しても「ハイハイ、駄作乙」で終わっちゃうから。
424名無しさん@ピンキー:2006/10/06(金) 23:03:44 ID:D/anA41h
つかただのコピペ
425名無しさん@ピンキー:2006/10/07(土) 11:09:09 ID:TnbWrzdN
ガイドライン板にスレあるしな
426名無しさん@ピンキー:2006/10/07(土) 16:04:20 ID:wvqJuQ3z
誘導
【オールジャンル】エロパロ板801総合スレ
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1139754709/
427名無しさん@ピンキー:2006/10/09(月) 09:02:56 ID:YlQlHneh
wktk wktk
428名無しさん@ピンキー:2006/10/09(月) 19:20:51 ID:w2Rvrdw2
trtktrtk
429名無しさん@ピンキー:2006/10/10(火) 02:01:25 ID:RUcF1PDr

俺は鳶やってる33歳ガッチリ。
昨日現場が俺のタイプの後輩と一緒だった。側にいるだけでドキドキした。
そいつは25歳、中田英寿似の引き絞った体の髭の奴だ。足場作業していくなか資材運ぶのに
どうしても上下作業にならざるおえず、俺が下、奴は上で連携して仕事すすめた。
下から見ると奴の白い寅一が透けてチンコの膨らみが見えて、俺のチンコはビンビンに…
現場は二人だけだがまじやべぇ…マラ勃起させたまま作業していたら、後輩に気付かれて、
どうしたんすか?て聞かれた。もうがまんデキネェ 
♂無言で寅一から上着から全部脱いで現場でオナニ−始めた。♂奴はスゲー引いていた…
それから口聞いてくれねぇ−。一応誰にも言わないっす…とは言ってくれた。
430名無しさん@ピンキー:2006/10/10(火) 04:19:47 ID:s6N+GrX4
アンギットゥの雪国にある素子inloveが結構ヤンデレです。
431softbank219176046007.bbtec.net ホモ:2006/10/12(木) 18:42:27 ID:xH4RIuZX
保守あげ
432名無しさん@ピンキー:2006/10/12(木) 23:10:35 ID:jIBpDte2
433名無しさん@ピンキー:2006/10/14(土) 11:19:25 ID:HEoGee1c
                 九之郎のおねいさん ver.1

「のろちゃ〜ん」

あーい、なに?

「ちょっとそこの『バールのようなもの』取ってぇ〜」

え”〜、いま新聞読んでんですけどぉ〜。

「はやくぅ〜」

はぁー、あいあい。わかりましたよっと。バールバール…… おっ、あったあった。はいよっ。

「あはっ、ありがとう、のろちゃんっ」

っつーかコレ『バール』だよね。『のようなもの』って必要なくない? あぁ、ってか何に使うの?

「ひみつぅ。じゃ、おねえちゃんちょっと一丁目の十二番地にいってくるね」

それ持って? 何しに行くのよ。強盗?

「ひみつぅ。たとえるならぁ……ネコ退治、かな」

? わけわかんね。ま、いいや。暗くなる前に帰ってきな。

「はぁーいっ、今日の夕ごはんは豪華だからねっ」

おっ、そりゃ楽しみ。でも今日なんかあったっけ。

「んふふっ、これからあるのぉ〜。じゃ、いってきま〜す」

あーい、いってらっしゃい。あっ、あの辺に銀だこあったからタイヤキ買ってきて、クリームのヤツ。

「はーーーーいっ」

ふむ、バールにネコ退治ねぇ……なにげに危ない響き。ま、いいか。おねえちゃんに限って
ネコ殺したりはしねーだろ。ネコ好きだし。それより今日の番組はっと。

〜10分経過〜

『コンビニ強盗多発 覆面男バールのようなもので店員脅す』

だから『のようなもの』ってなんなんだよチクショウッ。イラつくぜこの新聞記事ィ〜〜。
バールなのかそうじゃねぇのかはっきりしろってんだボケッ! コケにしてんのか俺を! クソッ! クソッ!
……っつーかおねえちゃんホントに強盗じゃねぇだろうな。なんか怖くなってきたわ。
一丁目の十二番地だっけっか。あのへんは確か住宅街だったよな。商店街も近くにあるし。
あ、そういや美音子ん家があの辺にあったな。銀だこもあいつの家で食ったんだっけ。

『エッスキィモープッシィズメェーリコー ウングッ ユゥグッ』

あ、電話。あい、もしもし九之郎です。
434名無しさん@ピンキー:2006/10/14(土) 11:20:36 ID:HEoGee1c
『あ、九之郎。あたしだよん。いま大丈夫?』

ああ、美音子か、別に大丈夫だけど。っつーかタイミングいいね。

『そうなの? よかった。ねね、今日の夜空いてる? 10時に映画観にいかない。レイトショーで面白いのやるの』

へ〜、レイトショーねぇ。うーん、内容によるかな。どんな感じ?

『すっっっごい面白い!! 時をかけるjojoってヤツ! 最近口コミですごいよ』

いや、内容をきいてんだけど。ま、いっか、暇だし。行きますか。

『え〜〜なにそれ暇だしってぇ、あたしと映画いくのは暇つぶしなの〜ひど〜い』

あいあい悪かったよごめんなさい。美音子と映画みたいッス。っつーか実は俺も今日
誘おうとおもってたとこ。……ラブホに。

『……さいあく、笑えないし。ほんっとにスケベなんだから、まったく。』

ゴメン。今のはつまんなかった。あやまる。最近寒いギャグばっかしでこまっちゃうわ。おわびに映画とメシおごるから。

『別にいいよ。九之郎、貧乏だし。それに、今日は親いないから、その、うん、まあ、ね?』

なんだよ、そっちもスケベじゃん。……ははっ

『なぁにぃ〜? 九之郎ほどじゃないもんねっ! ……ふふっ』

あいあい、じゃあ10時にね。遅れんなよ。

『そっちこそ、いっつも遅刻してき、あ、お客さん。ちょっと待ってて』

うん? いやもう俺切るぞ。お〜い切ってからいけよ、もしも〜し。

『  はぁ〜ぃ   ぁ  ……  !?  ……ッ   ……  ……ぇ?  ドンッ!』

ったく、後から掛けりゃいいじゃん。別にまたせなく

『 ゴガン!! ……ぃゃぁぁああっ!!!! ゴヅン”!! ……ヤッ  ゴッ!  ……ヤメテェェ!!』

!? なに? なになに? なんだよ? おい美音子? 美音子! おいっ! なんだどうした!? もしもし!

『  ゴヅッ! ゴヅン! ガヅ! ガヅ! ガヅ! ……   ……  ……ク、ロ    ガヅン!!    』 

なんだよ!? なにかあったのか美音子! 美音子!! 電話でろよおいっ! どうしたんだよ美音

『だいじょうぶ。なぁんでもないよ、のろちゃんっ』

……えっ
435名無しさん@ピンキー:2006/10/14(土) 11:21:45 ID:HEoGee1c
『んふふっ、のろちゃんの必死な声。カワイイ』

……おねえちゃん? え、なんでおねえちゃんが? え、え、どうなってんの? なんなのこれ?

『んふふっ、あのね、今ね、おねえちゃんはね、ネコを退治したんだよ。』

退治? え、あ、美音子、を? バール、バールで?、美音子を、うそだろっ!? おい!! マジかよ!!

『んふふふっ、マジだよ大マジ。泥棒ネコを退治しちゃいましたぁ〜〜、あはっ! ほめてほめてぇ〜〜』

お、おいおいおいおい!! なに笑ってんだよ! おいっ! 何考えてんだマジでぇ!! おいっ!!

『やぁだ〜、怒らないでぇ〜のろちゃぁん。おねえちゃん悪くないよぉ、のろちゃんを盗ったこの泥棒ネコが悪いんだよぉ〜』

マジ!! ちょっとまてよいいから! 救急車呼べまず! 救急車ァ!! はやくゥ!!

『ヤダ。ヤダだしもう死んでるしぃ。んふふっ、じゃ、おねえちゃんこれから帰るからね。夕ゴハンはすき焼きだよぉっ』

ハァ!? わけわかんねぇこといってんなっ!! いいから救急車呼んでくれ!! 美音子助けろ!!

『ちゃぁんとタイヤキも買って帰るからね。いい子でまっててねっ』

待てってぇ!! 待ってくれってぇぇ! 美音子助けてくれよぉぉ! 美音子ォ!! 呼んでくれよォォ!! 救急車ァァ!!

『大好きだよっ。のろちゃんっ』

おねがいしますからぁぁ!! おねがいだからぁぁ!! 助けてくれよぉぉ! 美音子ォォ!! おねがいですってぇぇ!! みねこぉぉ!!

『  ツー   ツー   ツー   ツー   ツー  』

う”あ”ー! う”あ”あ”ー!! うそだろ”お”!! うそだっていってくれ”よぉぉお”お”!! 美音子ぉぉお”!! み”ね”こ”お”お”ー!!
436名無しさん@ピンキー:2006/10/14(土) 18:39:57 ID:1DsKyoco
…ヤンデレっていうか只の怨恨じゃ…。昼ドラか
437名無しさん@ピンキー:2006/10/15(日) 16:39:46 ID:hp0gfNrS
>>436
まあ昼ドラを2次元化したら禿げ萌えなんだけどな俺は
だけどそんなのありえないからシャッフルやらひぐらしに萌えてるわけだ
438名無しさん@ピンキー:2006/10/16(月) 16:04:39 ID:MRdxDn3n
昼ドラは見てると結構面白い
でもヤンデレというより修羅場じゃないか?
439名無しさん@ピンキー:2006/10/17(火) 18:00:25 ID:rlGdGgV/
修羅場スレ向けだな。

ヤンデレというなら、むしろ盗った盗られたという認識ではなく
相手の女と自分を同一視し、姉弟だから結ばれない自分の代わりに
神様が作ってくれた自分の分身体だとか本気で信じる姉だとか。

で、その女(姉認識では=自分)をレイープして
ああ、私はあの子はこういう風に感じてこのカラダを通じてあの子がどうしたのかよくわかって
ええ、気持ちいいのねあの子はこのカラダは私はこんなに気持ちよかったのね

とか、こんな感じで。
440名無しさん@ピンキー:2006/10/17(火) 19:56:25 ID:2q2KsFT+
日本語でおk
441名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 13:48:33 ID:I7/8ozo1
姉は弟が好き
弟には彼女ができた(そして肉体関係も)

その時の姉の認識は、「弟を彼女にとられた」ではなく、
「私は弟とは血が繋がっててエチーできないから、神様が私のかわりに
 エチーできる存在(弟の彼女)をつかわしてくれたんだわ!」 で、
(このへんが病んでる)

弟とエチーした彼女の体をレイープして、「弟とエチーしてこんなふうに感じたのね!」
と彼女が感じた弟との肉体の感覚を自分にとりこもうとした。

と解釈した。
442名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 17:12:40 ID:PhmrcjbA
>>441
((((((゚A゚:)))))ガクガクブルブル
怖すぎだな姉
ヤンデレ通り越してる
443名無しさん@ピンキー:2006/10/19(木) 23:49:03 ID:FaQjMaMn
>>441
なるほど。

いい病みっぷりだ。
444名無しさん@ピンキー:2006/10/20(金) 13:22:27 ID:r1QKYGbx
>>441
兄弟とか姉妹でもよさそうだね。

兄が弟の彼女をとか姉が妹の彼氏をとか

姉が妹の彼女をってのもありうるか。






兄が弟妹の彼(ry
いやなんでもない。
445名無しさん@ピンキー:2006/10/20(金) 14:06:58 ID:r1QKYGbx
妹がレズで彼女ができた
妹がスキな兄が、妹とは血が繋がって直接は無理。
中継をお与えくださった神に(ry

もありうるな、と思ったら

アメリカのバイブルベルトで現実に近い事件があったの思い出して欝に

正確には、神に背くレズが可愛い妹を誘惑し汚した。
呪われしレズに鉄槌を!

と言うことで妹の恋人を兄が仲間とよってたかってもて遊んだあげく殺した事件だけど。
446名無しさん@ピンキー:2006/10/20(金) 15:49:37 ID:kF3G356D
兄弟だと、精神的には801にならんか?
447名無しさん@ピンキー:2006/10/20(金) 18:30:45 ID:nWM319R7
レズは苦手ずら・・・
448名無しさん@ピンキー:2006/10/21(土) 00:46:14 ID:aDVRjsK7
妹がお姉ちゃんの彼女をとかもいいな。

母親が息子のガールフレンドをってのは妙に現実味があって怖い。
449名無しさん@ピンキー:2006/10/21(土) 21:55:33 ID:go2Dx5ow
それはともかくFMJの着メロ欲しい
450名無しさん@ピンキー:2006/10/22(日) 19:18:36 ID:3UySaR/p
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1159710321/
嫉妬スレのほうが盛り上がってる
451名無しさん@ピンキー:2006/10/22(日) 19:20:44 ID:odHqBJ6u
>>450
ヤンデレの方が状況とか精神状態とか難しいからなぁ……。
452名無しさん@ピンキー:2006/10/22(日) 19:49:17 ID:rNF9b/md
一番の問題はホモ荒らしがいることだと思う
453名無しさん@ピンキー:2006/10/22(日) 19:57:26 ID:odHqBJ6u
そういや、そんなのもいたな。
あまりに過疎ってて忘れてたよ……。
454名無しさん@ピンキー:2006/10/22(日) 21:12:30 ID:JYDjWrZU
お茶会をどこかに保存してほしいんだ
このスレが落ちる前に
455名無しさん@ピンキー:2006/10/22(日) 21:23:48 ID:03NLBpBK
嫉妬スレのまとめサイト管理人にお願いしたらどうだ
456名無しさん@ピンキー:2006/10/23(月) 00:59:03 ID:sfgs1s+c
空気を読まずに投下。レズ嫌いな方は避けて。
457終わるその時に1/7:2006/10/23(月) 00:59:52 ID:sfgs1s+c
いつでもあなたは花を携えやってくる。

いつも通り、ひどい仏頂面。可愛いのだから笑っていればいいのに。
私がそう言うと、あなたは眉をぴくりとひそめて窓辺の花瓶に手を伸ばす。
何の言葉も交わすことなく、てきぱきとした手際の良さでカサカサに乾いた花を捨て
見舞いに持って来た花束をその花瓶へと移しかえる。
私が好きだといった白い花。
あなたは不器用だから、一度気に入ったと私が告げればそればかり買ってくる。
そのくせ不快そうな表情を湛えたままでいるあなたが滑稽で仕方無い。
――いつもありがとう、嬉しいわ。
私は決まって最上級の笑顔を返す。
そうするのがあなたにとって一番不愉快だと分かっているから。
――ああ、そう。
投げ捨てるようにあなたは言う。向けられた背が、私の事が嫌いなのだと雄弁に物語る。
458終わるその時に2/7:2006/10/23(月) 01:00:34 ID:sfgs1s+c
あなたは私を嫌いだと言った。この世で一番嫌いなのだと言った。
それは私も良く分かっている。
あなたが好きで大切で、世界の誰より愛していると簡単に言ってのける私。
そんな嘘じみた―私にとってはまごう事無き真実なのだけれど―セリフを
鵜呑みにしてしまうあなたを、素直に嬉しいとうなずけないあなたを、
そして自分もそうだと、私の事を愛してくれていると言葉に出来ないあなたを
あなた自身が嫌っているのでしょう。
よく分かる。だからそれは構わない。
だから――…私はあなたの嫌う事を繰り返す。何度でも、何度でも。
何度だって愛の言葉を囁いて、あなたの顔をしかめさせてやりたいと思う。
加虐的な悦び。そうして苦悩と共に私の事を忘れられなくなればいい。
私が乾いて朽ちて消えてゆく前に。
459終わるその時に3/7:2006/10/23(月) 01:01:32 ID:sfgs1s+c
寒々とした隔離病棟の3階。その行く末が見えている患者達には、看護師でさえ訪れない。
なのにあなたはこうやって、週に何度か私を見舞う。
大層不機嫌そうにむくれて、それでいて私の好きな花と
以前に私が勧めた文庫を持って私の個室を訪ねてくる。可愛い子。
ブラインドを薄く開けた窓から差し込む日の光を頼りに、一心不乱に本を読んでいる。
――何故、来てくれるの?
前に訊いてみた事があった。それは私の加虐趣味の一環でもあったのだけれど。
本を抱えたあなたは少し驚いて、それから極めて冷静な風を装い答えてくれた。
――ここは静かで、読書には最適だから。
その口調には昂りが隠しきれずに表れて、私はそれが可笑しいと思った。
今もそうやって読書のふりを続けているの?
私は知っているのよ、あなたが文庫のページを押さえながら私の様子を見ているの。
私に天使の羽が届かぬように。私に死神の鎌が届かぬように。
だけど、もうそろそろ限界が近い。
永らくベッドに横たわったまま冷え切った私の体は瓦解を始めようとしている。
これで最後。だから、私の最後の意地悪に付き合って。
願いを込めて私はあなたに目を遣る。見ているあなたなら気付くでしょう。
――こっちに、来てくれる?
460終わるその時に4/7:2006/10/23(月) 01:02:24 ID:sfgs1s+c
しかめっ面を崩さぬままで、あなたは窓際のパイプ椅子を立ち
私のベッドの端に腰を下ろした。
――何?
面持ちとは裏腹に、心配そうな響きを伴った声。
私のただならぬ雰囲気を察してくれたに違いない。
――もっと、顔をよく見せて。私に
私は自分の声が思ったより震えている事に、そう話しながら驚いた。
あなたは無言で私の顔を覗き込む。私はどんな風に写っているのだろう。
病床に疲れきった末期患者の貌をしているのだろうか。
私はあなたに笑ってみせる。今なら最高に儚く微笑える筈だ。
――何で。
きつく結んだあなたの口元が、堪え切れない激情に歪む。
――何でそうやって笑うの。お姉ちゃんはいつもそう。
――いつだってそうやってあたしに微笑んで、優しくして、そうして最後に離れていくんだわ。
――だから嫌いなの。いつもあたしを玩具にして。面白がって。卑怯だ。この卑怯者!
吐き出しながらあなたは私に縋りつく。双眸から涙を零して私を叩く、叩く。
弱った体には些か堪えるが、その痛みは幸福と同義だ。
ああ、愛しいあなた。私の可愛い妹。
私の為に泣き崩れるその頭をそっと撫でると、石鹸のいい匂いがした。
461終わるその時に5/7:2006/10/23(月) 01:03:22 ID:sfgs1s+c
――お姉ちゃ…ん?
私は妹の頬を抱き、未だ止めどなく溢れ続ける涙を唇で拭った。
ひとの体はこんなに温かなものだったかと私は思う。
――許して、ね
返事を待たずに私は唇をそのまま妹のそれに重ねた。
突然の事で妹は目を白黒させている。
驚いて弛緩した口の隙間から、舌をねじ込んで口内を舐る。
何が起こったか分からないままの妹は、ただ私の良い様になっていた。
互いの唾液が絡まり合う水音。合わさった口の端から甘く漏れる吐息。
何と温かいのだろう。
ふと唇を離して私は妹の顔を見る。
整った顔立ちは恥辱に歪み、凛とした眼差しは未だ濡れていた。
妹は我に返って唇をごしごしと拭った。
――なんで、こんなこと、するの…!
私は答えない。その代わりに笑った。
あなたを愛しているからよ。
病床の私の上にへたり込む妹の、シャツのボタンは思いの外脆かった。
462終わるその時に6/7:2006/10/23(月) 01:04:21 ID:sfgs1s+c
必死に振り回される妹の腕をかいくぐってブラジャーのホックを外すと、
形の良い乳房が露わになった。
――嫌、嫌。お姉ちゃん。止めて、離してよ…!
双丘の膨らみに触れて、撫でて、その度に妹の体がびくりと跳ねる。
その初々しい仕草が可笑しくて、私は堪えるのに精一杯になる。
――慣れてないのね。男の子とは寝た事無いの?
胸の先端を舌で転がして弄ぶ。固く強張っていくのが感じられた。
――そ、そんなの…無い、…っ!あぁっ、んっ…やぁ…!
最後の方は嬌声に取って代わっていた。妹の喘ぐ声が耳に心地良い。
もっと聞かせて。私は首をもたげた欲望に身を任せ、妹の体に舌を這わせていった。
スカートを弄り、下着を剥ぎ取る。
柔らかな茂みに囲まれた秘部はもうぐちゃぐちゃに濡れて卑猥だ。
――じゃあ、私がはじめてね。
私が浮かべたきっと残虐な笑みに、妹は畏れを示した。
――っ!! やめて、おねえちゃん。もう、いやぁ…っ!

妹の中は酷く暖かくて、私はこのまま溺れて果てたいと願った。
463終わるその時に7/7:2006/10/23(月) 01:05:34 ID:sfgs1s+c
ああ、私の可愛いあなた。
最期まで傷付けてごめんなさい。
嘘もついたわ。本当は許して欲しいなんて思ってない。
ただ私の為に泣いてくれればそれでいいから。
私を時折思い出しては恨んで、憎んでくれさえすれば、それで私は満足するの。

さようなら、愛しい人。
こんな稚拙な方法でしか愛せなくて、ごめんなさい。

私の意識はそこで途切れる。

                         (了)
464名無しさん@ピンキー:2006/10/23(月) 01:29:58 ID:0IS3E+cp
「一発やっかぁ」
ス-ツを脱ぎ捨てると、縦じわでよれよれのジャージを整えた。犬小屋の前に立ち股を開く。
既に瞳を濡らし、俺のワンコは俺の愛撫を待つ。
身体を低くして覗き込むと、お尻を持ち上げて、散歩のおねだりがそこにあった。
「ご主人様一筋のワン公だぜ」声に出していう。
「犬はやっぱ柴犬」
やおら犬小屋の中から、ズルムケ状態の換毛期ワンコを取り出す、手にリードをたっぷり取り、逆手で頭をこね回す、
「ワンッ、ワンッ」音が俺の愛犬中枢を更に刺激する。
「ワン公たまんねぇ」ワン公に合わせて、ペースを上下させる。
「犬の散歩にゃあこれだよ」ラッシュを吸い込む。
「スッ、スッ、スッ、スッ」顔から熱くなり、やがて頭の中が真っ白になる。
「ワンコ、ワンコ」「自慢の日本犬」
頃合いをみてリードを引き抜く。俺はワンコのこの格好が好きだ。
白い首輪だけが首に残り、ぶらぶらのベロのバックに、ヨダレ垂らして、尻尾を振り、四脚で大地を蹴って、口でガブリとフリスビーをくわえる。
公園の中ののワンコは、世界一の愛犬になっていた。
「ちきしょう放し飼いしテェよ」最高潮が近付くと、いつもそう思った。ラッシュをもう一度効かせ、褒め言葉を追加すると、愛犬家へ向かってまっしぐらだ。
「愛犬家になってやる」「飼い犬一本のほんまもんの愛犬家」
「うりゃ、そりゃ」「マテッ、こっち来いッ」リードをつなぎながら、目立たない場所をめざす。
「ウンチ袋ねぇよ」こころの奥から、激しい罪悪感が起こった。やがて奔流となり、俺を悩ます。
-やめさせてぇ- -もっと出させてぇ-相反する気持ちがせめぎあい、俺は崖っ淵に立つ。
「きたっ」俺は膝を直角に曲げ、それに備える。奔流は堰を切ろうとしていた。
「犬一匹 ! 」「ぶちっ」
※を押し分けて、茶色い塊がしゃくり出される。
真っ白い時間が過ぎ、目の前が現実に戻る。
465名無しさん@ピンキー:2006/10/23(月) 02:19:29 ID:BY0yucbH
>>463
グッド
466名無しさん@ピンキー:2006/10/23(月) 12:56:53 ID:A0TMqcjK
>463
病んでるのに読後が切ないなんて反則だ
GJ
467名無しさん@ピンキー:2006/10/23(月) 14:46:09 ID:IU9nfV9V
>>463
GJ!!!!!!!!!!!!

おかしいなあ・・・モニターがにじんで見えるよ・・・
468名無しさん@ピンキー:2006/10/23(月) 19:28:19 ID:DpUubx4o
空気が読めないのは寧ろ>>464だな。
469名無しさん@ピンキー:2006/10/23(月) 20:00:20 ID:k3ICmmc/
皆が無視してるのにわざわざ触れるな。
470463:2006/10/24(火) 01:31:12 ID:3xUY8zzj
レスありがd!
ついかっとなって初めて書いた。描写がいろいろ中途半端で悔しい。

お茶会の人再臨激しく待ってます。ハッター萌え!
471名無しさん@ピンキー:2006/10/24(火) 01:32:37 ID:3xUY8zzj
ハッターじゃない、ハンターだ
グリムに刺されてくるorz
472名無しさん@ピンキー:2006/10/24(火) 02:02:57 ID:miGdKv+l
うんこっこw
473名無しさん@ピンキー:2006/10/24(火) 10:51:08 ID:XCBF19Rh
帽子屋かw
474名無しさん@ピンキー:2006/10/24(火) 23:39:35 ID:rFSJrRGO
もしかして嫉妬スレにまでスカホモ荒らしが出没し始めたのは>>450にリンク張られたからか?
475名無しさん@ピンキー:2006/10/24(火) 23:46:56 ID:9xgwb26Y
そうかもしらんけど今更>>450を糾弾してもどうにもならんだろ
ほっとけ
476名無しさん@ピンキー:2006/10/25(水) 00:41:19 ID:OkPzSJih
メイド服+敬語+地下室でイジメられたい #3
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/sm/1138373977/

女性上位で優しく愛撫される小説ver4
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1135775671/
477名無しさん@ピンキー:2006/10/25(水) 01:23:48 ID:CariOzEL
おい、嫉妬スレ荒らしているのはこのスレのせいか?
せっかく、神が投稿しているときに妨害して
本当に頭大丈夫か? ここの住人は
478名無しさん@ピンキー:2006/10/25(水) 01:30:10 ID:WFSrqLvP
ここの嵐があっちにいったんだよ
頭までヤンデルと思われては心外だ
479名無しさん@ピンキー:2006/10/25(水) 01:34:49 ID:CariOzEL
ブラッド・フォースという神作品投稿中に妨害されたら
誰だって怒りますよ


とりあえず、言葉様を置いておくから頭を冷やすんだ


                 ,. -───ー- 、
               /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
             /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,.:.:.:.:.:.;、.:.:.:.:.:.:.:.`ヽ
  ____    //.:.:.:.:.:/:.:/ i.:./'''||ヽ.:.:.:.:.:、.:.:.:.`,
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     |-| ヽ、  /,l:|.:.:i.:,/||.:;/  リ    ,||、._l:.:;.:.:.:l.:.:.:.|
          i l.:.|;;;|/,.j.|、l___ / ====、 ,.r ̄l:|.:.:.:.|.:.:.:i
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      ヽ、__   / ト、 ヽ   ヽ、   /   __,. -|.:.:.:|.:|.:.:! ヽ
      _i_i、  / i.:.:|`lー------t t-- '".:.:.:.l.:.:.:l.:.|.:.:.}  ヽ
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     __l___   |  l;.:! |.:.:.:.:.:.:./7 ハ~ハ;.:.:.:.l.:./.:.i!;|.:.:.:|
      ,/     l:;l  l.:.:ハ.:.:l:::\| V:::::i.:.:.:l:/.:./i|ヽ.:.:!
      /^ヽ、,     i|  ヾj i.:.:l;;;:::::::メ::::::::i、.:.リ:.:.:! l| |:/
              i!    ヽl_|;;;;;;;:|;;;;;;;lソ.:.:,/、;|  リ
       ヽ/       /"~メ{___,.ゝ;/
               /,、ケ'`  |::l  |::| ´
              ``''     i:l  i:l
480名無しさん@ピンキー:2006/10/25(水) 01:46:22 ID:OsnulfCW
ヤンデレスレの住人さん、すいませんでした。
CariOzELの代わりに謝らさせて頂きます。
嫉妬スレにはこんな馬鹿もいますけれど、偏見の目で見ないでやってください。
481名無しさん@ピンキー:2006/10/25(水) 01:48:03 ID:WFSrqLvP
>>480
その言い方は…どうかな…
482名無しさん@ピンキー:2006/10/25(水) 02:04:45 ID:OkPzSJih
大勝利確定記念age

みたいな事他スレで書き込んでた奴だろ、路線変更?
確かラックとか言う奴に粘着してるって自分から言ってた記憶が・・・・・・・・
483名無しさん@ピンキー:2006/10/25(水) 11:12:03 ID:IfGNAAuV
ホモ野郎なんか       ,. -───ー- 、
               /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
             /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,.:.:.:.:.:.;、.:.:.:.:.:.:.:.`ヽ
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     |-| ヽ、  /,l:|.:.:i.:,/||.:;/  リ    ,||、._l:.:;.:.:.:l.:.:.:.|
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484名無しさん@ピンキー:2006/10/25(水) 20:20:18 ID:Hw1ZMUac
>>483
あははは、あははははははは、あははははははははは、
あははははははははははは
485名無しさん@ピンキー:2006/10/25(水) 20:44:38 ID:KMhnI6cW
かなりマイナーだがもとジャンプノベルでのちに一般書籍化した『ジハード』はヤンデレの宝庫だぞ。
両手両足切り落として自分に依存するしかない状態にしたいという望みを持ったやつとか色々いる。
最も一番精神病んでるの作者だと思うが。
486名無しさん@ピンキー:2006/10/26(木) 06:32:16 ID:q2kYtXOU
>485者
あの本、巻によって同じキャラでも性格が違う 
          ∧_∧
    ∧_∧  (´<_`  ) 時々同じ巻でも違うときがありましたね
   ( ´_ゝ`) /   ⌒i 
   /   \     .| |
  /    / ̄ ̄ ̄ ̄/ |
__(__ニつ/  FMV  / .| .|____
    \/____/ (u ⊃
487名無しさん@ピンキー:2006/10/28(土) 02:54:39 ID:5qIapL5e
ガンスリのヘンリエッタは程よく病んでると思う
あのままエスカレートしていってジョゼに・・・な展開期待してたのにいつの間にかレギュラー落ちorz
488名無しさん@ピンキー:2006/10/30(月) 14:21:34 ID:KcUwZ8au
狂った果実最高。まぁ小説ではないが。
489名無しさん@ピンキー:2006/10/30(月) 17:42:23 ID:9LpbhiJB
>>488
僕の脳みそも猫と一緒にとろけそうでした。
490名無しさん@ピンキー:2006/10/30(月) 21:24:45 ID:Zk8PK4A8
やっぱり神様なんていなかったね
491名無しさん@ピンキー:2006/10/30(月) 23:51:50 ID:lKPQLT0y
うむ。神は死んだからな。
492名無しさん@ピンキー:2006/10/31(火) 00:03:58 ID:MTB42ccD
諸君、我らの愛したヤンデレ神は死んだ、何故か?
493名無しさん@ピンキー:2006/10/31(火) 00:12:13 ID:D4iQgGcu
坊やだからさ。
494名無しさん@ピンキー:2006/10/31(火) 00:26:10 ID:UcvP2JCw

さっき、車で事故って公衆トイレでやった六尺兄貴凄かったです!
俺のインテグラがガチムチの色黒兄貴の乗っていたプレジデントに側面衝突して、来いよ連呼で
近くのにトイレに連れて行かれて免許書ブン盗られたあげく
張型ケツにぶちこまれ腰振ってました。俺もくわえさせられて浣腸食らい無様に
排便さらしました。脇差出されたときは一瞬引いたけど、兄貴の「いやなら
止めていいんだぜ!」の一言で覚悟決め、生まれて初めて丸刈りになりました。そ
の後、脇・チンゲも刈られてビンビンのマラ、思いっきりしごかれ派手にガチムチ
兄貴の顔に飛ばしました。スッゲー男らしく気持ちよかったです。また行くとき
カキコして下さい!帰ってから丸刈りの頭見て、また感じまくってます!
495名無しさん@ピンキー:2006/10/31(火) 00:27:37 ID:SO4a7GaO
今の人間では、創造できるヤンデレシチュエーションに限りがあったからさ……。
そう、いつか、また……。

このスレに職人さんが常駐する時代が、きっと……。
496名無しさん@ピンキー:2006/10/31(火) 00:32:23 ID:igJbWdy+
>>495
チミがなればいいんだよ!
497名無しさん@ピンキー:2006/11/01(水) 14:15:36 ID:vu7OFLff
自分の好きな萌えシチュはあれども、文章にしようとしてみると
難しいもんだしな
498名無しさん@ピンキー:2006/11/01(水) 23:33:06 ID:/UNRP+Fl
45 : ◆q8Bs81Gv1M :佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 16:02:17.39 ID:o6x9QPQV0
「突き指」

恋につき指
突然現れるんだもん
つきつきつっきききん
つきつきつっきつっつき
骨折れたよ
責任取ってね
マイスイートラバー・TAKATOU・・・破廉恥(はれんち)!!

96 : ◆q8Bs81Gv1M :佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 16:06:08.42 ID:o6x9QPQV0
「イナズマ」

ライライライライフル回転!!
恋は転落死
ライライララライライララライ
消しゴムの門で
脅迫まがい
好きっていって
ほしいのよ
たまには 二人で
フル回転「地獄まで!」
ライライライライハンニバル
ランララララライ雷鳴轟く
恋は イナズマ

738 : ◆q8Bs81Gv1M :佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 17:06:42.94 ID:o6x9QPQV0
「心」

ココロコロコロマシンガン
死ぬよ? 避けろ!
一・撃・必・殺!(必ずお前を殺す!)
恋なんてそんなもの
狙われたら 逃げられないv
逃がさないv
許さないv
ファンタジー・ラブモード・フィフティーン・ソロモン・ユビワ!
いいよ 逃げなさい コロコロ逃げろ
切腹!
499名無しさん@ピンキー:2006/11/01(水) 23:34:13 ID:/UNRP+Fl
798 : ◆q8Bs81Gv1M :佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 17:11:05.57 ID:o6x9QPQV0
「三時間」

体育なんだ
見てるよ
窓から 見てる がんばって
走って! ランニング!
汗をかいたら ふけばいい
足の指の間までふくのはちょっとやかなぁ
でも好きだよ
本当だよ
でも見たくはなかったかなぁ
でも好きだけどさちょっといやだったなー

862 : ◆q8Bs81Gv1M :佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 17:16:34.49 ID:o6x9QPQV0
「ラブティーチャー」

先生・・・
恋、教えてください
胸がどきどきするの
息できないの
マウストォーマウス?
ゥイエッス!!!
よろこんでーお引き受けしますーv
先生・・・ 恋、教わっちゃった・・・v

 ↑
これって、ヤンデレ?
500名無しさん@ピンキー:2006/11/04(土) 18:25:38 ID:iut2h+Ip
なんか過疎ってんな・・・
ここの作品は嫉妬スレの保管庫に入れてもらって
嫉妬スレ行こうか?職人さんまったくいないし・・・
501名無しさん@ピンキー:2006/11/05(日) 19:03:42 ID:KOyS9ntw
理想郷の SS投稿 その他 にある雨迷子ってヤンデレ?

俺はあれくらいなら悶えるほど萌える
502名無しさん@ピンキー:2006/11/05(日) 19:07:20 ID:q1HkNzoB
嫉妬スレも最近は過疎っているけどな
大物のSS作者さんが次々に最終回を迎えてしまった
503名無しさん@ピンキー:2006/11/06(月) 12:12:24 ID:5DbzdXY1
まあぶっちゃけあっちも最近は
疾走とミスターくらいしか見るものなかったしね
504名無しさん@ピンキー:2006/11/06(月) 13:31:45 ID:JGokgOsE
ぶらっでぃまりぃやブラッドフォース、モカさんや凍結してるけどたぬきなべやら
山本君やらで近所にお裾分けするくらいあるじゃないか
505名無しさん@ピンキー:2006/11/07(火) 03:34:42 ID:DOLghGe+
前半はともかく、後半は糞だろ
506名無しさん@ピンキー:2006/11/07(火) 10:39:20 ID:q/ed9fOB
特に雪桜の舞う時には稀にない嫉妬スレの中では駄作中の駄作であった
あんな作品をGJとか叫んでいるのは作者トライデントの自作自演としか考えられないわけだが
なんで、俺はあいつを追放しないのか考えられん
507名無しさん@ピンキー:2006/11/07(火) 13:48:16 ID:QBsuRi83
ここは避難所じゃないんだぜ?
508名無しさん@ピンキー:2006/11/07(火) 14:08:45 ID:x/jRktTV
>>506
嫉妬スレに湧いてた自治厨か?

ヤンデレスレにまで火種を持ってくるんじゃねぇっての。
509名無しさん@ピンキー:2006/11/07(火) 18:12:44 ID:bw87rCFW
しかし燃え上がるものがないという罠
アパム!ヤンデレ持って来いアパーム!
510名無しさん@ピンキー:2006/11/07(火) 20:06:45 ID:FyYh6zD8
たしかにトライデントの作品は微妙だな
511名無しさん@ピンキー:2006/11/07(火) 21:27:12 ID:DOLghGe+
粗悪な出来のSSはいらん
いちいち自演で賞賛レスいれる作者もうざい
512名無しさん@ピンキー:2006/11/07(火) 22:00:03 ID:JMPg2e9G
本気で自演だと思っているのだろうか。
513名無しさん@ピンキー:2006/11/07(火) 22:02:16 ID:vaoAtvSD
>>512
反応しない
514名無しさん@ピンキー:2006/11/08(水) 15:11:01 ID:9UKZfZ6f
つーかなんでここで愚痴ってんの?
言うなら本スレで言えよ
515名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 18:43:06 ID:lzaOPqr6
>>514
どうせあっちじゃ叩かれるからこっちで愚痴言ってんだろ
516名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 19:56:13 ID:PHnm/Uwc
なんで、SSの神が叩かれているのかよくわからない
自分で書いてから文句言えって感じだよ
517名無しさん@ピンキー:2006/11/11(土) 07:13:23 ID:rlrQSIe6
別にいいじゃんw
518名無しさん@ピンキー:2006/11/11(土) 07:56:38 ID:lp3yoQhb
お前らもっとヤンデレっぽく会話しなさいよしなさいよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
519名無しさん@ピンキー:2006/11/11(土) 20:21:09 ID:JX/SO8Sd
>518
萩原朔太郎は言っていた
「おわあ、こんばんは」「おわあ、こんばんは」
「おぎやあ、おぎやあ、おぎやあ」
「おわああ、ここの家の主人は病気です」


こうですか、わかりません!!
520名無しさん@ピンキー:2006/11/12(日) 00:07:53 ID:8GaC8k8S
「…見つけましたよ、お兄さん。
ダメじゃないですか、こんなところに隠れたりしたら。
まったく、お兄さんは私が居ないと何も出来ないんですから…。
私が居なかった二日間どうでしたか?
外出、出来ました?食事、出来ました?掃除、出来ました?
洗濯、出来ました?身体、洗えました?一人で、眠れました?
でも、安心して下さい。私が来ましたからもう大丈夫ですよ。
私がお兄さんの隣に居さえすればお兄さんは生きていけます。
全てを私に任せて下さい。
統てを私に委ねて下さい。
……ほら、震えないで、私が来たからもう安心ですよ。」
521名無しさん@ピンキー:2006/11/12(日) 00:10:04 ID:8GaC8k8S
これがヤンデレと認められるならば遠い未来に一個書いてみたい今日この頃
522名無しさん@ピンキー:2006/11/14(火) 18:56:53 ID:yD4gzdJL
>>521
こここここれがあああああヤンデレとおおおおおお
認めるならあああああああああああああ遠いいいいいいいい
未来にいいいいいいいいいいいいい一個書いてええええええええ
みたいいいいいいいい今日このころおおおおおおおおお

これがヤンデレとみとめるならばとおいいみらいにかいてみたいきょうこのころ
523名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 12:28:58 ID:xK6oczOM
・・・レミオロメン?
524名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 20:13:12 ID:4OTvJPXJ
>>522
とりあえずモチツケ
525名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 20:55:20 ID:1bIJVg+E
526名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 00:02:47 ID:LznV2QS5
言わずにはいられないから言わせてもらう。
522≠521
527名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 00:15:34 ID:ZBxFvAUH
ふふふふふふふふふふふふふふ♥
お馬鹿さん♥
同じ人だって私には分かってるんだから♥
528名無しさん@ピンキー:2006/11/19(日) 09:26:36 ID:pgngASn/
逝っちゃってる系ヒロイン分類マトリックス
ttp://d.hatena.ne.jp/a-park/20061115/p2
529名無しさん@ピンキー:2006/11/19(日) 12:01:07 ID:e18YBLey
かなり適当だな。
530名無しさん@ピンキー:2006/11/20(月) 03:17:48 ID:1R89Bezn
ヤンデレ作品どっかに落ちてないかね?
531名無しさん@ピンキー:2006/11/20(月) 12:08:34 ID:0nxVgBWu
好き嫌い分かれるだろうけど、涼宮ハルヒものならそこそこ探せば散らばってるかと。
532名無しさん@ピンキー:2006/11/21(火) 02:37:09 ID:Sx/XHp4v
>>531
アニメも小説も見てないからきっと理解できない…
最近心踊る物に出会ってないなぁ〜と思う今日この頃
533名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 15:48:20 ID:3lqbU3Je
    ◎シーン1:主人公罰ゲームで負けて、学校で一番根暗といわれている冥子に告白
 「あの、好きです。入学式の時から好きでした、あんの、そ、つ、付き合ってくださいっ」
 『・・・・・・』
 「え、あー、あの、ダメ? ははっ、まー……ね? だよね。にゃはっは」
 『わたしも、好きでした』
 「!?」

    ◎シーン2:取り合えず付き合い始め深い仲になり
 『お弁当、作ってきた。いっしょにたべよ♪』
 「お、おーんっ、いいねぇ。たべましょたべましょ(なーんかなぁ)」

    ◎シーン3:最初から乗り気でなかった主人公、彼女の拘束はだんだんキツくなり
 『ねぇ、景子ってだれ?』
 「ちょっ! ケータイみたの? 酷くね!?」
 『ねぇ、景子。景子って誰なの? すごく気になるの。』
 「いや、ただの友達だって。つーかケータイチェックやめてよマジで(ふざけんなよコイツ)」

    ◎シーン4:主人公景子に告白、で成立。冥子を振る
 『どうして、ねぇ、どうし、どうして!! どうしてよぉ!! 私のこと好きっていったじゃない!!』
 「ゴメン、でもそれが一番いいから。お前とはもう一緒にいられないんだよ。」
 『いやっ、いやよ絶対!! あんなに愛してるってぇぇ!! 愛してるっていたじゃない!!」
 「っせぇーーなぁ!! うぜぇんだよてめぇはよぉ! 大体付き合ったのも罰ゲームだったんだよ!」
 『!?』
 「好きで付き合ってたわけじゃねぇーんだよ! 気づけよそんくらい。つーかもう行くから、じゃあな」
534名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 15:49:51 ID:3lqbU3Je
    ◎シーン5:ストーキングを始める冥子、主人公の家族に取り入る 
 「ただい――ま゙!?」
 『おかえりなさい』
母「あらあらお帰り。まったくもう、こんなカワイイ彼女を待たせるなんて、ダメねぇ」
 『あ、いいんですお母さん。私がいきなり来たんですから」
母「んま〜〜ごめんなさいねぇ、うちの子気が利かなくて、嫌いにならないでやってね」
 「・・・・・・(マジかよ)」

    ◎シーン6:夜這いをかけられた主人公、一部始終をビデオに押さえられ脅迫される
 『景子さんと別れてください。でないと、このビデオテープ、警察に提出します」
 「ハアッ!? なんで警察なんだよ!? 意味わかんねーよ!」
 『あなたにレイプされたって。どうなると、おもいます?」
 「……てめぇ」

    ◎シーン7:冥子宅にて主人公、冥子を拘束レイプ、証拠のビデオを発見、焼却
 「はっは!! これでもう何もできねーだろ!! ニ度と俺に近づくなよテメェ」
 『フフフ、こういうプレイが好きなんですね、あなた』
 「ハ、ハア? マジうっぜぇんだよ! キメェんだよテメェ!!」
 『うぐぅ!? ……ぅふっふふ、もっと、してもいいんですよ? もっと、もっと」
 「ハァハァ、うっせ! 死んどけ!(怖ぇぇ、本気で怖ぇぇコイツ)」
535名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 15:50:33 ID:3lqbU3Je
    ◎シーン8:主人公景子とデート中、地下鉄で
 「あ、ゴメンちょっとトイレ」
景「うん、わかった」
 ・主人公景子の傍を離れる
 『こんにちは』
景「え? あ、えーっと?」
 『冥子っていいます』
景「!! あ、彼の……こ、こんにちは」
 『ええ、こんにちは』
 ・電車がホームに進入
 『そしてさようなら』
景「えっ?」 
 ・ホームは波紋が広がるように悲鳴の嵐となる
 『人の恋路を邪魔するやつは……ふふっ』

    ◎シーン9:主人公ブチ切れて冥子宅へ乱入、しかし返り討ちに
 「あ、が、がぅぁ」
 ・バチバチと火花を散らす改造スタンガンを手にした冥子
 『大丈夫です、死にはしません。そんなこと絶対させません』
 「て、めぇぇ、ぅぁ、ち、くそぉぉ」
 『これをずぅっと脊椎に当て続けると、どう、なるとおもいますか?』
 ・火花が散るスタンガン
 「!? ちょ、ぉおいっ」
 『大丈夫です。だいじょうぶ、ぜぇったい死にはしません。ただ、』
 「ま、まって、まってくれぇぇ、おねが、まってぇぇ!!」
 『ただ、私がいないと、生きていけない体に、ね? でもだいじょうぶ』
 「ッッッ!! ぎゃぁあ!! あぎゃぅ、ぅがえ! うげぁぁあ!!」
 『だぁいじょぉぶ♪ ずーっといっしょに居てあげます♪ ずぅーっと、ずぅぅぅぅっと!!』

    ◎シーン10:教会でライスシャワーを浴びる二人の男女、男性は車椅子
 『うふふっ! 幸せっ、いま私すぅっごく幸せよ! あ・な・たっ♪』
 「あ、あ、ああ、うあ」
 『うふふふ!! うん! そうだねっ! 幸せだねっ私たち♪』
 「う、あ、ああ、ううう」
 『(チュッ)あははっ!! うふふふっ!! あはははっ!!』
 ・参列者の拍手と歓声を浴びながら車に乗り込む二人
 『愛してるよ♪ あなたはもうすべて、体も、心も、人生も』
 ・車椅子の男には、頬に一筋の涙
 『  わたしのもの  』
 
    END
536名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 16:30:51 ID:nualdiDv
rule of roseのウェンディーが実にいいヤンデレだったよ。
537名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 18:47:51 ID:F4zqrmO6
>533-535
一途な想いって素敵な事なんですね(*´Д`)
538名無しさん@ピンキー:2006/11/24(金) 02:05:10 ID:BwOzkcPM
>>533-535
全米が抜いた

GJ
539ideal ◆zvQNG0FZvQ :2006/11/25(土) 00:05:58 ID:dWlM3zuU
俺は理想的な家庭に生まれ落ちた。
優しい母親に尊敬出来る父親。何不自由なく育てられた。

しかし、五歳の頃にその理想は崩れた。
断片的な記憶だが、最近は頻繁に思い出す。

始まりは母親が出産祝いに、と伯母夫婦に送った二枚の旅行券。
伯母は生まれたばかりの娘は置いて行けないと最初は遠慮したが、
母は『何言ってんの、これから忙しくなって夫婦水入らずなんて出来なくなるんだから!
美奈ちゃんのことは私達に任せて、楽しんで来なさい!』と強く勧めたこともあって
伯母夫婦は出掛けていった。
540ideal ◆zvQNG0FZvQ :2006/11/25(土) 00:07:26 ID:dWlM3zuU
その帰り道。
旅行バスの崖からの墜落。生存者はいなかった。

母は責任を感じていたのか、後を追うように急死した。

遺されたのは俺と親父と…美奈だった。
親父は俺に告げた。
『修治、俺は親として情けないことを頼もうとしている。聞いてくれるか?
俺の仕事は帰りが遅いことは知っているだろう?
だが俺は今の仕事でしか金を稼げない。
生後間もない美奈の面倒を見ることが出来ない。
だから、美奈の母親がわりに面倒を見てやって欲しい。
五歳のお前に言うことじゃないとわかっている。が、
やって、くれるか?』
541ideal ◆zvQNG0FZvQ :2006/11/25(土) 00:09:28 ID:dWlM3zuU
『美奈は、誰かに愛されている、存在を必要とされている、ということが
教えられなくてはいけないんだ。それが出来るのはお前だけだ。修治。』

「うん、わかった!」
俺は素直に答えた。別に深く考えていたわけじゃない。
ただ、尊敬していた父に頼まれたという事実が嬉しかった。
自分が親父に近づいたような気がして、大人になったような気がして嬉しかった。
だから俺は、自分がもてる精一杯の力を統べて注いで、美奈の世話をした。
美奈の母になろうとした。
美奈が必要不可欠な存在だと、実感させようとした。
542名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 00:14:08 ID:HVXoRnLe
支援
543 ◆zvQNG0FZvQ :2006/11/25(土) 00:15:00 ID:dWlM3zuU
とりあえずプロローグ的なものだけ投下
・携帯からで一つ一つが短くて読みづらい
・エロが無い作品になる可能性大 etc..
このような欠点を誰か一人でも認めてくれるのなら
のんびり連載するかも
544名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 00:16:46 ID:HVXoRnLe
認めるとか認めないじゃなくて

投下しろ
545名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 00:54:38 ID:WjeCMvbI
>>543
能書きうざいよ?
プライドがないのか?
物書きの端くれなら作品だけで勝負しろボケ!
546名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 00:57:19 ID:/o1iSC/Q
やっぱ人間て餓えてるとピリピリすんのな。
547名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 01:01:14 ID:tkgxq7pn
新手の焦らしプレイ?
548名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 01:15:40 ID:/9F9VuKN
5歳の息子に「母親代わりになれ」と言い出す親父、ちょっとキモイな……。
549名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 21:05:16 ID:DTDEOF98
超キモイ
550名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 21:06:16 ID:4g94J9Ty
そこから先を投下してくれたら気にならない
551ideal ◆zvQNG0FZvQ :2006/11/25(土) 21:40:34 ID:dWlM3zuU
それからというもの俺の生活の大半は美奈との生活だった。
親父が調べてきてくれてわかりやすく書き直してくれた資料をもとに
俺は必死に美奈を育てた。
食事、風呂、排便、夜泣きの対処。
たかが五歳の子供が何故こんなにも育児を続けられたのか?
やはり全ては親父への尊敬からだった。
親父のようにかっこいい男なりたい。その一心で俺は動いていた。

さすがに俺が小学校に入学すると昼過ぎまでは美奈の世話は出来なくなった。
そこで親父と俺は美奈を日中は家の近くの保育園に預けることにした。
552ideal ◆zvQNG0FZvQ :2006/11/25(土) 21:42:04 ID:dWlM3zuU
美奈は見知らぬ場所に置いてかれると思ったのだろうか。
俺が美奈を保育園に預け、学校に行こうとするといつも泣き叫んだ。
俺の服を掴んで離さない美奈をなだめるのには毎朝手をやかされた。
3時頃に迎えに行くと美奈は待ってましたと言わんばかりに抱き着いてくる。
そんな美奈を俺は、親父のような男になるための道程の一つとしての存在ではなく
妹として、素直に可愛いと感じた。
また、美奈の兄として、美奈を絶対に幸せにしようと思い始めたのはこの頃だろう。
美奈と会話が成立するようになってからはその思いは一層強くなった。
553ideal ◆zvQNG0FZvQ :2006/11/25(土) 21:43:24 ID:dWlM3zuU
「兄さん!オセロやろ!オセロ!」
「兄さん、兄さん!今日のご飯は?」
「お風呂入ろ!兄さん!」
「見て見て!ね、これ、すごいでしょ!」
美奈が居た。
苦労したかいがあったと思う程に美奈は俺に懐いてくれた。
美奈はいつも俺の隣に居たがり、俺と遊びたがった。
「兄さん…今日も学校?」
だから美奈が"学校"という単語に不快感を示すのは俺が美奈の側に居なくなるからかなぁ
と、その時は自惚れだと思っていた考えを抱いたものだ。

そして、美奈が成長するにつれて親父の帰りは少しずつ遅くなった。
554 ◆zvQNG0FZvQ :2006/11/25(土) 21:47:48 ID:dWlM3zuU
今回はここまで
さて、父キモい、と微妙な先読みをされた訳だが…
言い訳するとまた怒られるので読み手の意見は一切無視する方向性で
555名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 22:40:49 ID:N2cTDUFt
GJGJ
556名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 22:55:27 ID:tkgxq7pn
もっと一回あたりの投下量は多くしたほうがいい。
と思ったがスレが途切れないようにするためには小刻みなほうが良いのか。
557名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 23:48:14 ID:HVXoRnLe
中々にやるじゃないか


少しづつでも読めたほうがいいかな
558名無しさん@ピンキー:2006/11/26(日) 01:29:08 ID:ABqvSnUB
>>554
つーかお前さ、自分から擦り寄ってきてるくせになんでそんなに偉そうなんだ?
なんかうざいんだが
559名無しさん@ピンキー:2006/11/26(日) 01:42:58 ID:ZuDmHvZb
>>558
職人が居ないこの状況で、
なんで職人を潰す様な書き込みをする?

つーか職人が気に入らないなら
自分で書いて投下すればいいじゃない。
560名無しさん@ピンキー:2006/11/26(日) 01:47:38 ID:gUzeXOM0
GJ!!!俺ももうちょい量あったほうがいいと思うけど、それで間隔があきすぎるのもあれだしな。
ここは作者さんには頑張って量も多くし頻度も早くしてもらうという方向でw

561名無しさん@ピンキー:2006/11/26(日) 05:41:59 ID:zU41I0Je
投下するのはいいが、作者のコメントは目障りなんで禁止な?
黙って投下だけしてくれ
過疎スレだから競合相手がいなくて神になれるからここを選んだんだろ?
手放しで歓迎されると思ったのか?
562名無しさん@ピンキー:2006/11/26(日) 06:12:25 ID:z+TP11cn
父親に死亡or失踪フラグが立ちました。
563名無しさん@ピンキー:2006/11/26(日) 07:54:26 ID:TMAcOw0O
投稿者に喧嘩売るやつって何なのかね
スレ潰したいのか
564名無しさん@ピンキー:2006/11/26(日) 08:44:13 ID:mGIbofsj
>>554
むしろこいつの態度が反発を招いてるな
565名無しさん@ピンキー:2006/11/26(日) 08:51:15 ID:6ZZJO5eq
ガチムチ兄貴コピペ貼ってたアホが別な方法で荒らしてきたか
566名無しさん@ピンキー:2006/11/26(日) 09:02:31 ID:GPgeF5Gj
ガチムチ兄貴コピペ、あれはあれでちょっと面白かった
567名無しさん@ピンキー:2006/11/26(日) 14:08:27 ID:MLcdEMOd
書き手に対するううううううう一種のおおおおおおおお
ヤンデレじゃないかとおおおおおお思ううううううううううううううううう
568名無しさん@ピンキー:2006/11/26(日) 14:34:22 ID:MSoTU7gE
>>567
もちつけ
569名無しさん@ピンキー:2006/11/26(日) 14:56:51 ID:xvNHjTPD
>>567
新ジャンル:ヤンデレヒート
570ideal ◆zvQNG0FZvQ :2006/11/26(日) 20:44:09 ID:PInRSSth
春、美奈は小学生になった。
学校に行くことになる、と美奈に言った時の喜びかたは強烈だった。
「本当!?兄さん、私も学校に行っていいの?あはっ!これでお昼の間も一緒だね!」
予想以上の美奈の上機嫌に、同じ学校に通っても一緒に居られる訳じゃない、
と言えなかった。
自身の言葉で美奈を落ち込ませるのが恐かったんだと思う。
案の定、学校に行くまではうきうきしてた美奈だったが下校時には目に見えて落胆していた。
「…やっぱり学校なんて………
あ!ねぇ、兄さんって何年何組だったっけ?」
俺は特に考えずに質問に答えた。
571ideal ◆zvQNG0FZvQ :2006/11/26(日) 20:45:49 ID:PInRSSth
驚かされたのは次の日だ。
一時間目が終わり教室でのんびりしていると聞き慣れた声が聞こえた。
「えへへ、兄さん、来ちゃった。」
姿を確認するまでもない、美奈だ。
「へぇ、よく場所がわかったね。」
この時は美奈のことを褒めた。エラいエラいと頭を撫でた。
授業間の休み時間は短い。
その短い時間に小学一年の美奈が俺の教室を見つけ、やって来たことを単純に凄いと思ったからだ。
しかし、
美奈は毎時間毎時間やって来た。
授業が終われば飛んで来て、開始ぎりぎりまで粘っている。
これは、間違ってる。そう感じた。
572ideal ◆zvQNG0FZvQ :2006/11/26(日) 20:47:17 ID:PInRSSth
兄バカかもしれないが、美奈は賢い子だと思う。オセロだって強い。
間違ってることをしているのならば早めに修正すればよい。
何事にも悪くなり始めがある。そして悪くなり始めのうちは案外簡単に手が打てる。
というのが俺の持論だった。
先手先手を取っていけば取り返しのつかない事態にはならない、
そう思い、その日の下校時に俺は美奈に言った。
「美奈、もう教室には来ちゃいけないよ。」
美奈は信じられないといった顔でこちらを見てきた。
「なんで!?教室に行かないと一緒に居られないよ?」
「そうじゃないよ、美奈。」
573ideal ◆zvQNG0FZvQ :2006/11/26(日) 20:48:51 ID:PInRSSth
俺は続けた。
「美奈、学校っていうのはね、兄妹で仲良くする場所じゃないんだ。
勉強したり、友達を作ったり、クラブに精一杯になったり、そうゆう所なんだよ。
だから、休み時間を僕と一緒に居るのに使ったらいけない。
今のうちはいいかも知れない。でも、将来困るのは美奈なんだ。わかる?」
「わかんない、わかんないよ。
だって…兄妹なんだよ?一緒に居ないなんておかしいよ。そうでしょ?」
「美奈、学校に兄妹を持ち込んじゃ駄目だ。兄妹でいるのはそれ以外の場所。」
「なんでなんで?そんなの、変だよ!!それに」
「美奈!!」
574ideal ◆zvQNG0FZvQ :2006/11/26(日) 20:50:22 ID:PInRSSth
美奈に対して大声を出したのはそれが初めてだった。
思えばむきになるような事でもなかった気がする。
しかし、美奈にあんな風に食ってかかられたことが無かったから、つい興奮したんだろう。
俺の声に美奈は震え、俯いた。そんな姿は俺を後悔させるには十分すぎた。
気まずい沈黙がどれくらい続いたのだろうか。
どうやって謝ろうか思考を巡らしていたところで
美奈は小さな声で、囁くように喋り出した。
「……わかった。兄さんが、そう言うなら……………そうする。
でも……………………………のは、………までだよ。」
575ideal ◆zvQNG0FZvQ :2006/11/26(日) 20:52:08 ID:PInRSSth
「うん、わかってくれて嬉しいよ。ごめんな、大きな声出したりして。」
最後のほうは殆ど聞き取れなかったが、美奈が応じてくれたことに安心して言葉を返した。
「私も、ごめんなさい。わがままいって。」
そう言って美奈は笑い、腕に抱き着いた。
家に着く頃にはいつもどうりの仲の良い兄妹に戻れた、と思った。
いや、"仲の良い"兄妹だと思っていたのは初めから俺だけだったかもしれない。
いずれにせよ、今も昔も、美奈の黒い瞳の向こうがわを読み取ることなど
俺には不可能であり、
先手を取ったと思った時にはとっくに手遅れだった。
576 ◆zvQNG0FZvQ :2006/11/26(日) 20:53:43 ID:PInRSSth
以上です。
次からしばらく美奈サイド
577名無しさん@ピンキー:2006/11/26(日) 20:57:12 ID:z+TP11cn
片鱗が見え始めktkr
578名無しさん@ピンキー:2006/11/26(日) 22:40:35 ID:gUzeXOM0
小学一年で既にヤンデル妹w
俺にもクレヨーーーーーーーーーーーーーー!!!
作者さんGJ
579名無しさん@ピンキー:2006/11/28(火) 06:35:58 ID:2yL8ez9f
うっはw
wktkしながら続きを待ってますw

GJ!!
580名無しさん@ピンキー:2006/11/30(木) 09:59:05 ID:av0NtVJn
ほす
581ideal ◆zvQNG0FZvQ :2006/12/03(日) 21:59:00 ID:mF3XkySr
兄さん……兄さん…………
なんて素敵な響きだろう……言葉として口に出さずとも、
頭の中で繰り返すだけで心が、身体が、暖かくなる。
他の誰もが発することの出来ない、私にだけ許された言葉。私の人生そのもの。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――


私の側にはもの心ついた時には兄さんが居た。
私の記憶があるのは、私が二、三歳くらいの時からだ。
兄さんは私のことをいつも気にかけていてくれた。
私を愛してくれた。私は兄さんの愛に包まれて育ったのだ。
兄さんを愛さないはずがない。
582ideal ◆zvQNG0FZvQ :2006/12/03(日) 22:00:28 ID:mF3XkySr
私は小さい頃から学校が嫌いだった。
兄さんが学校に行っている間、私は何をして過ごしていたのか覚えていない。
ただ淋しかった。そして私から兄さんを引き離す学校を恨んでいた。
日が傾き始めてからが私の時間だった。私と、兄さんの時間。
兄さんが居て、私が居る。ただそれだけのことだったが、
私はそれが嬉しくてしかたがなかった。

だから、兄さんから、私も学校に行くことになる、ということを聞いて、喜ばない訳がなかった。
これからは一日中兄さんと一緒だ。
嫌いだった学校を一気に好きになる程に私は有頂天になった。
583ideal ◆zvQNG0FZvQ :2006/12/03(日) 22:02:30 ID:mF3XkySr
幸せの真っ只中にいた私だが、それはいとも簡単に破られた。
期待を粉々に打ち砕かれ学校に裏切られた私は、この時一つの教訓を得た。

兄さん以外には、信ずべき存在など有り得ない。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

今日は色んなことがあったなぁ。
兄さんの手を繋ぎながら今日のことを思い出す。
まず学校を楽しみにして、でも学校は思ったようなとこじゃなくて、
やっぱり私の味方は兄さんだけだなぁ…って確認した。
じっと兄さんを見つめる。
うん、やっぱりカッコイイ!
584ideal ◆zvQNG0FZvQ :2006/12/03(日) 22:04:01 ID:mF3XkySr
「…どうかした?」
私が見つめているのに気が付いたのか、
兄さんはテレビから私のほうに顔を向けてきた。
「ううん、なんでもない。」
そう言って兄さんの腕に抱き着く。
あはっ、兄さんの匂いがするよ…


次の日、
私は今、1時間目の授業が終わるのを待っている。
早く兄さんに会いに行きたいのだ。居場所は昨日聞いた。
十分くらいしか一緒に居られないけど、それでも早く会いたい。
身体がうずうずする。
時計を見る。授業の終わりまであと少し。
チャイムが鳴る。
私は矢のように飛び出した。
兄さん、いま、会いに行きます。
585ideal ◆zvQNG0FZvQ :2006/12/03(日) 22:05:55 ID:mF3XkySr
廊下を駆け抜け、目指す場所まで一直線。
見えた、兄さんだ。
「えへへ、兄さん、来ちゃった。」
兄さんは少し驚いた顔をして、少しして笑った。
「へぇ、よく場所がわかったね。」
当然だよ、兄さん。だって私は兄さんの妹なんだから。
兄さんは近づいて来て私の頭を撫でてくれる。
あは、あははっ、あはははは!
気持ちいいなぁ…兄さん、すごく、気持ちいい…。
兄さんに撫でられているとこからとけちゃいそうで、
触られてるだけなのにすごく甘い。よくわかんないけど、なんだか甘い。
兄さん、もっと、もっともっと撫でてくれる?
586ideal ◆zvQNG0FZvQ :2006/12/03(日) 22:07:32 ID:mF3XkySr
その後も、授業が終わる度に兄さんに会いに行った。
短い間だけど、昼の間、全く会えなかった時より最高に楽しかった。

その日の帰り道、兄さんと並んで歩いていると、兄さんが喋り出す。
「美奈、もう教室には来ちゃいけないよ。」
…なんで?疑問はそのまま口から出てくる。
「なんで!?教室に行かないと一緒に居られないよ?」
すると兄さんは答える。
「そうじゃないよ、美奈。美奈、学校っていうのはね、………」
……ねぇ兄さん、何を、言ってる、のかな?
私、全然わかんないよ。兄さんの側に居るより大切なこと、あるわけないよ。
587ideal ◆zvQNG0FZvQ :2006/12/03(日) 22:10:09 ID:mF3XkySr
「わかんない、わかんないよ。
だって…兄妹なんだよ?一緒に居ないなんておかしいよ。そうでしょ?」
……そう、おかしいよ…兄さん、なんでこんなこと言うの?
「美奈、学校に兄妹を持ち込んじゃ駄目だ。兄妹でいるのはそれ以外の場所。」
兄さんの言葉を聞きたくない…
「なんでなんで?そんなの、変だよ!!それに」
「美奈!!」
ッ!!!!!!!
……心臓が跳ね上がった…………息が吸えない………胸が……ドキドキして……
……頭がガンガンする…………気持ち…悪い…
……身体の中のものを……全部……吐き出して……しまいそう…
588 ◆zvQNG0FZvQ :2006/12/03(日) 22:12:38 ID:mF3XkySr
中途半端なところですがここまで。
申し訳ないです。
589名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 22:25:56 ID:rZg9JSNt
GJ!!

そこで反省するのが普通の人。
しかしヤンデレは
590名無しさん@ピンキー:2006/12/04(月) 00:36:34 ID:at2boQ6R
小学5年生のとき、入学してきたばかりの妹に授業中窓の外から「おにいちゃーん!」と叫ばれ、
恥ずかしいから無視してたら思いっきり名前を連呼されて大恥かいたのを思い出したぜw
591名無しさん@ピンキー:2006/12/04(月) 00:49:15 ID:KX71P3F5
待ってましたw妹がいない間そこには・・・
592名無しさん@ピンキー:2006/12/04(月) 22:48:06 ID:5vim64yX
GJ杉

続きが気になるZEEEE!!
593名無しさん@ピンキー:2006/12/07(木) 23:47:48 ID:P+4E1y1y
続きを期待しながらホシュ
594名無しさん@ピンキー:2006/12/09(土) 21:16:45 ID:1deKMf72
このスレは本当に寂れているな
嫉妬スレとは大違いだよ
595名無しさん@ピンキー:2006/12/09(土) 21:20:50 ID:7jjnnEOU
よそはよそ、うちはうち
596名無しさん@ピンキー:2006/12/09(土) 21:32:24 ID:i+pmeC4N
新ジャンル ほのぼの純愛
ttp://www21.atwiki.jp/honobonorennai/pages/1.html
597名無しさん@ピンキー:2006/12/10(日) 06:55:04 ID:GNx+rJEn
age
598ideal ◆zvQNG0FZvQ :2006/12/10(日) 10:16:27 ID:FIWtjQkX
……どれくらい時間がたったのかな。
兄さんはそのまま私のことを怒ると思った。
でも、兄さんは黙ったままだ。
頭に浮かんだ不思議さにさっきまでの気持ち悪さも少し軽くなった。

私は、兄さんの顔をばれないように覗く。
兄さんは、困ったような、辛そうな顔をしてた。

こんな顔、前に一回見たことがあったのを急に思い出す。
どれくらい前のことかは忘れちゃった。でも、何があったかは急に思い出した。
あれは、いつもどうりの朝だったはず。
でも、私は兄さんが学校に出掛けて行くのを見送るのがどうしても我慢出来なくなった。
599ideal ◆zvQNG0FZvQ :2006/12/10(日) 10:17:54 ID:FIWtjQkX
だから私は、兄さんにしがみついて叫んだ。力の限り。
「兄さんっ!行っちゃやだ!!私のそばに居てくれなきゃやだ!
ずっと一緒に居てくれなきゃやだ!お家に居てよ!!私も連れてってよ!!」

兄さんは、困ったような、辛そうな顔で私を撫でながら言った。
「美奈、ごめん。僕も、美奈のことが心配だよ。なるべくなら側に居たい。
でも、しかたないんだ。お願いだから、わがまま、言わないで。」

わがまま、か。
兄さん、妹が兄さんのそばに居たがることはわがままなのかな。
ううん、絶対、そんなことないよ。そんなことあるわけない。
600ideal ◆zvQNG0FZvQ :2006/12/10(日) 10:19:29 ID:FIWtjQkX
だって兄さんと私は愛し合っている。一緒に居るのは当然だ。
じゃあ、なんでわがままなんだろう。

答えは意外とすぐに見つかった。
なんで気付かなかったんだろう。
学校だ。学校が悪いんだ。
学校が私と兄さんを引き離す。学校が兄さんに辛い顔をさせる。
兄さんのことば、やっと、わかった。気持ち悪さもいつの間にかさよならしている。
見つけた答えを軽くつぶやく。
「……わかった。兄さんが、そう言うなら……………そうする。
でも兄さん、私達、我慢するのは、学校卒業するまでだよ。」
ね、そうだよね、兄さん。
601ideal ◆zvQNG0FZvQ :2006/12/10(日) 10:22:56 ID:FIWtjQkX
そうしたら兄さんは頷いてくれた。
「うん、わかってくれて嬉しいよ。ごめんな、大きな声出したりして。」
あはっ、あははっ。
兄さんの返事が嬉しくてたまりません。
やっぱり兄さんもおんなじ気持ち。私と兄さんは愛し合ってる。
「私も、ごめんなさい。わがままいって。」
あはははははっ。
嬉しさのあまり兄さんの腕に飛び付く。
兄さん兄さん兄さん兄さん。愛してます。心から。
兄さん兄さん兄さん兄さん。愛してます。一生。
卒業するまで、少し長すぎるけど我慢します。
だってその後にあるのは理想の楽園。そうでしょ、兄さん。
602 ◆zvQNG0FZvQ :2006/12/10(日) 10:24:36 ID:FIWtjQkX
短めです。すいません
でもきりがいいのでここまでです。
603名無しさん@ピンキー:2006/12/10(日) 10:47:22 ID:W8xp8WEs
GJ!!!これからのキモウトの行動に期待w

つか>>596のまとめ見てたらいきなりwikiが消滅したんだぜ。
久々にツボったのによぉ…
604名無しさん@ピンキー:2006/12/10(日) 16:16:41 ID:j4pmxuR7
>>598-602
GJ!
キモウトの病んだ内面描写いいね。



>>596 「新ジャンル ほのぼの純愛」
ちょw ほのぼのって・・・・ww

女「ねぇ、開けてくださいよ男くん。今日はせっかくの休日ですよ。家に籠もってないでお外に行きましょう?」
男「……」
女「いるのは知ってるんですよ。男くんは恥ずかしがり屋だから、きっと返事するのを躊躇ってるんですよね」
男「……っ」
女「ふふふ……可愛い男くん。大丈夫ですよ、私は男くんが出てくるまで、ず〜〜っと、ここにいますから」
男(もう嫌だ……!)

ttp://www21.atwiki.jp/honobonorennai?cmd=upload&act=open&pageid=21&file=uporg586524.png


605名無しさん@ピンキー:2006/12/10(日) 17:35:44 ID:mbQn8RgQ
兄と妹のずれっぷりがいいなw
キモウトの更なる攻勢に期待
606名無しさん@ピンキー:2006/12/10(日) 20:52:31 ID:GwGIHX7H
>>596
ほのぼのしねぇwwwww
607名無しさん@ピンキー:2006/12/11(月) 01:28:35 ID:HnJ/8tRb
独占欲が強いというか、ヤンデるとこういう発想になるんだなw
p://strawberry.noob.jp/1/src/1165745657485.jpg
608名無しさん@ピンキー:2006/12/11(月) 22:13:19 ID:mZqhccSN
もういったいどの辺りがほのぼのなのかww
609名無しさん@ピンキー:2006/12/11(月) 22:23:24 ID:SPWHscII
>>607
あれは途中でへたれるのが惜しかった
610名無しさん@ピンキー:2006/12/13(水) 19:40:49 ID:3FYAX7KC
>>607
これなんて作品?
611名無しさん@ピンキー:2006/12/14(木) 20:02:15 ID:wPrs63z7
蛸壷屋さんとこの「キング・アーサー」かな?
間違ってたら詳しい人訂正頼む。
612名無しさん@ピンキー:2006/12/16(土) 20:43:51 ID:XWv31u3E
保守

tp://www5c.biglobe.ne.jp/~nyu/COMIC/2428/20061210_2428_4_20.jpg
613名無しさん@ピンキー:2006/12/18(月) 20:39:52 ID:9+IXavYQ
>>612
これがヤンデレと認められるのなら(ry
614名無しさん@ピンキー:2006/12/19(火) 06:56:46 ID:/bgQ67zk
ideal氏の続編待望
615名無しさん@ピンキー:2006/12/19(火) 19:04:06 ID:lEq9wGx7
このスレも過疎ったな・・・
保守あげ・・・
616ideal ◆zvQNG0FZvQ :2006/12/20(水) 00:06:30 ID:3ouRB9kS
数年後。
兄さんは中学三年に、私は五年生になった。
私と兄さんは今も元気だ。

「ただいま。」
家の中には誰も居ないけど私は挨拶をする。
生活の中の挨拶をしっかりしよう。
これは兄さんに言われたことだ。
私にとって兄さんは絶対。兄さんに言われて以来欠かしたことは無い、はず。
おかげで先生にも褒められたこともある。
兄さんじゃない人に褒められてもあんまり嬉しくないけど。

そんなことを考えながら時計を見ると、三時半。
兄さんが帰ってくるまであと1時間ほどだ。
私は机の引き出しをあけて小さな鍵を取り出した。
617ideal ◆zvQNG0FZvQ :2006/12/20(水) 00:08:02 ID:3ouRB9kS
あれは半年くらい前のこと。
私は兄さんに鍵付きの日記をプレゼントした。というより押し付けた
「毎日じゃなくてもいいから日記はつけたほうがいいよ。
私もつけてるんだからさ、兄さんもやろうよ。」
そういうと、兄さんは少し笑って頷いてくれた。
鍵付きの日記なら兄さんは安心して本当のことを書くだろう。

でも、私は、買った時に付いてきた予備の鍵を、
兄さんにその存在を、伝えていない。
何故か?
そんなことは簡単だ。
これは、私の、秘密兵器。
兄さんの本当の気持ちを、文章で表してくれる素晴らしいものだからだ。
618ideal ◆zvQNG0FZvQ :2006/12/20(水) 00:09:29 ID:3ouRB9kS
もちろん、毎日事細かにチェックするなんてことはしない。
兄さんは私を愛しているのだし、私はそれ以上に兄さんを愛している。
互いに信頼し合っている。

だからこれを使った記憶があるのはまだ一回だけだ。
その一回は、兄さんと父が口論をした夜の何日か後。
私はあんな奴、親とも何とも思ってないが、兄さんはどうだろう。
それが気になって仕方が無くなった時の一回だ。
その時日記には、親に裏切られた悲しみが書きなぐってあった。

それから私は父を心底憎んだ。
兄さんを悲しませるような人間は死んだほうがいい。
619ideal ◆zvQNG0FZvQ :2006/12/20(水) 00:11:07 ID:3ouRB9kS
それで今回が二回目の秘密兵器の登場だ。
昨日の日曜、明らかに兄さんは変だった。
まず午前中、私を家に残して兄さんは出掛けて行った。
せっかくの、休み、なのに、だ。
…こんなこと今まで無かったのに。
帰ってきてからも兄さんはどこかおかしかった。
何か、あったに違いない。
調べなくちゃいけない、兄さんの身に何があったのか。

ふと気が付くと鍵を見つめたまま思いの外時間が経っていた。
いけない、あと30分しかない。
私は、兄さんの机から日記を取り出し、鍵を差し込んだ。
カチリと小さな音が鳴り、表紙が開く。
620 ◆zvQNG0FZvQ :2006/12/20(水) 00:13:34 ID:3ouRB9kS
間があきました
文も短いです
年末は忙しいなぁって言い訳しときます
申し訳ないです
621名無しさん@ピンキー:2006/12/20(水) 00:14:24 ID:JR5NhEOH
ぐっじぶ
622名無しさん@ピンキー:2006/12/20(水) 00:21:22 ID:0vJMcGaz
早熟ヤンデレだな
623名無しさん@ピンキー:2006/12/20(水) 00:40:54 ID:1cIYmf/P
GJ!
続きが待ち遠しいが、年明けになりそうだね。
気長に待つよ。
624名無しさん@ピンキー:2006/12/20(水) 02:47:17 ID:TNwq/ZzR
これは将来有望なヤンデレですね
625名無しさん@ピンキー:2006/12/21(木) 03:51:02 ID:n8hklq6u
やばい、この先の展開を想像するとwktkがw
626名無しさん@ピンキー:2006/12/21(木) 05:14:45 ID:JBxpbnLv
鈴香被告そっくり… “鬼母” 進藤美香容疑者の素顔
://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20061114-OHT1T00028.htm

96年には、JR奥羽線の後三年駅などに火をつけて有罪判決を受けているが、
その動機は「消防隊員だった当時交際中の男性の気を引くため」というものだった。


男の気を惹く為、放火っすか・・・
627名無しさん@ピンキー:2006/12/21(木) 07:38:01 ID:a5B46cTm
>>626
江戸時代の天和の大火とかそんな感じだよ。
628名無しさん@ピンキー:2006/12/21(木) 08:32:02 ID:JBxpbnLv
八百屋の娘お七か。

江戸時代からヤンデレはいたんだな、とシミジミ。

629名無しさん@ピンキー:2006/12/21(木) 15:01:18 ID:K2YcCa1A
過疎ったと言った瞬間にSS来た!奇跡か?
630ideal ◆zvQNG0FZvQ :2006/12/24(日) 23:28:46 ID:LLrbHodb
5月17日(木)
今日、学校の行事の一つ、職場体験学習なるものの正式な日時が連絡された。
それは次の日曜。
あまりにも急な日程にクラスはざわついたが、
学校側のミスで連絡が遅れたらしい。
連絡の遅れはどうでもいい、休日というのが困る。
理由はただ一つ、美奈だ。
休日に出かけることを美奈が快く見送るなんて有り得ないからだ。
美奈を不機嫌にさせたら大変だ。
美奈の僕への甘えようは普段でもかなりのものだが、不機嫌状態の美奈は格別だ。
納豆なんかめじゃないくらい粘っこく絡み付いてくる。
この前なんかトイレの中まで……
631ideal ◆zvQNG0FZvQ :2006/12/24(日) 23:30:09 ID:LLrbHodb
本来読むべきは昨日の日付、つまり日曜日の日記なんだけど…
延々と続く5月17日の日記は凄かった。
いや、感動したと表現したほうが正しいかもしれない。
なんてったって私と兄さんの愛のスキンシップが克明に綴られているんだから。
書き出しのところでの書き方であたかも私が兄さんに甘えてるだけ、
という印象を与えられるけどそれは兄さん得意の照れ隠しだろう。
日記の中でも照れ隠しするなんて、
兄さんのそんな可愛い一面が更に私の愛を倍増させる。
あぁ、兄さん、日記だけで私をこんなにメロメロにさせるなんて…
人が悪いですよ。
632ideal ◆zvQNG0FZvQ :2006/12/24(日) 23:31:34 ID:LLrbHodb
とにかく私は有頂天になっていた。
だからかもしれない。
問題の日曜日の日記を見て、自分を見失わないでいられたのは。
もしも、木曜日の日記を見ないでこの忌まわしい事実を目の当たりにしたら、
私はこの場で日記をバラバラに引き裂き、
なんの躊躇いもなく灰にしていただろう。
ここはなんとか踏み止まった私に拍手だ。
しかし、気を抜けば直ぐにでも狂ってしまうんじゃないだろうか
という程に心には暴風雨が吹き荒れている。

とにかく、今わかることは、これ以上日記を見てはいけない、ということだ。
だから、私は、日記をしまう。
633ideal ◆zvQNG0FZvQ :2006/12/24(日) 23:33:01 ID:LLrbHodb
日記をしまい、私は脱衣所に向かう。
身体が、心が兄さんを求めている。狂おしい程に。




……気が付けば私は兄さんの布団の中に居た。
今の私は裸……じゃなかった。
兄さんの下着を身につけている。
頭まですっぽり布団の中に入れて深呼吸。
すぅぅっと兄さんの匂いが肺の隅々まで染み渡っていく。
何回も、何回も、何回も、何回も繰り返す。
異世界的な気持ち良さがあるがまだ足りない。
もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、
もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、兄さんが、欲しい。
634ideal ◆zvQNG0FZvQ :2006/12/24(日) 23:34:27 ID:LLrbHodb
もっと欲しい。
その思いで私は身につけている兄さんのシャツとパンツを、
自分で自分にこすりつけた。
兄さんの下着を身体に擦り付ける両手が股と胸にきたとき、
「っっっっ!!」
訳の解らない快感に私は動きを止めた。
もう一度、今度はゆっくりと擦り付ける。
「あぅっ…」
自然と声が出る。
「兄さん……兄さん兄さん!!」
もう、止まらない。
動かせば動かすほど、気持ち良い。
動かせば動かすほど、呼吸が乱れ、その分兄さんの匂いが身体に染み込む。
「兄っさっっんん!!」


私は最後の格段の快感に意識を持ってかれた。
635ideal ◆zvQNG0FZvQ :2006/12/24(日) 23:35:40 ID:LLrbHodb
5月20日(日)
今日、クラスメイトの女子に告白された。
返事は、明日にした。
どうすれば、いいんだろうか……
636 ◆zvQNG0FZvQ :2006/12/24(日) 23:39:31 ID:LLrbHodb
今回はここまでです
今回、エロといえるものじゃないですがエロは苦手です……
637名無しさん@ピンキー:2006/12/25(月) 01:57:14 ID:3GU5eN36
クリスマスプレゼント乙
キモウトかわいいよキモウト
638名無しさん@ピンキー:2006/12/25(月) 21:52:02 ID:NaFZ+zKM
聖夜に素晴らしい贈り物GJ
639名無しさん@ピンキー:2006/12/26(火) 00:10:51 ID:a5dxOddH
盛り上がってきたよぉ('A`*)
640名無しさん@ピンキー:2006/12/26(火) 01:17:25 ID:dhmYnoCn
妹が歳相応の語彙を使ってくれると、もっと物語に入っていけるかな〜
641名無しさん@ピンキー:2006/12/26(火) 04:22:27 ID:nbSG+LCf
>>590
おま、てめ
642名無しさん@ピンキー:2006/12/26(火) 13:21:21 ID:ZDt/86nD
>>636

エロなんて飾りです。 それが偉い人には(ry

たっぷりのヤンデレ成分さえあれば、後10年は戦えます。
643名無しさん@ピンキー:2006/12/27(水) 07:55:37 ID:lVmjft53
249 名前: 本当にあった怖い名無し 投稿日: 2006/11/05(日) 09:31:45 ID:npSkKftkO
俺は東京在住。ある時大阪からメル友が遊びに来た。
ホテル(ラブホテルじゃないよ)に行って、話をしていたら知らないアドレスからメールが届いた。

「見てたから」

一瞬驚いたが、すぐに、ははあ、なるほどと思った。
俺には彼女はいないし、仲の良い子すらいない。
これはきっと、相手がメール時間設定であらかじめ用意しておいたんだ、本当に彼女がいないかこちらの顔色を探っているに違いない。
そのまま小一時間話して、彼女がコンビニに買い出しに行った。最初は一緒に行こうとしたが、良いからと言うので、じゃあ下着チェックでもしてやるかと、見送った。
早速あさっていると、非通知で電話がかかってきた。

「……」
「……もしもし?」
「ん……見てたから」
「えっ?」
「……プツ」

またメル友の悪ふざけかとも思ったが、夜になっても男と女の雰囲気にもならなかったし、違うようだった。
なんとなく気味が悪かったが、もう忘れていた。

昨晩、帰宅途中に妹が後ろから走ってきた。
「お兄ちゃん、コーラちょっと頂戴」
「なんで知ってるんだ?」
カバンからコーラを出して渡してやった。

「ん……見てたから」

何故かゾッとした。
644名無しさん@ピンキー:2006/12/27(水) 16:17:47 ID:qYBhrlDc
>>643
今頃そのスレの249は・・・wkwk
645名無しさん@ピンキー:2006/12/27(水) 23:04:05 ID:eqxIo6ft
転載


743 :名無しさん@ピンキー [sage] :2006/12/23(土) 23:32:18 ID:+HXf9s5V
9巻よんでオリンピックの後タズサを誘導したヤンデレリアが
欲しい物を全て手に入れた後に上り詰めていく物語を妄想した
タズサが壊れる様に誘導しながら愛情を注いでいくリアを誰か書いてくれ
646名無しさん@ピンキー:2006/12/30(土) 01:34:46 ID:DMCGvKZ3
これは別の意味で病んでないか?w

自分のウンコをタッパーに詰めて3100円で売っていた女(24)を逮捕
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/dqnplus/1166982633/

「自分のわいせつ画像と排泄物をネット販売していた24歳女」を逮捕
インターネットの掲示板で手広く、自身のわいせつ画像を販売していたとして、愛知県警保安課は
11月8日までに北海道函館市港町の函館大学職員、佐藤梢容疑者(24)を逮捕した。佐藤容疑者は、
わいせつ画像販売目的所持で逮捕されたわけだが、売っていた物は自身のわいせつ画像だけではなく、
自身の排泄物や下着類など数種類。
佐藤容疑者は取調べに対し「遊び感覚だった」と供述しているが、自身が運営するネット上のブルセラ
ショップでは、他の「売り子」の指南役としての役割も果たしており、とても遊び感覚とは言えず、
風俗店営業に近い状態だった。

ttp://adnet-news.com/syakai/news149320061208.htm
647名無しさん@ピンキー:2006/12/31(日) 11:55:41 ID:InCnAhzP
ところでみんな
もうアクアノックス2はプレイしたよな?
648名無しさん@ピンキー:2007/01/01(月) 08:30:23 ID:iXobG6Kw
サキュバスの巣ってサイトの女王様の壮大な愛ってのヤンデレかな?
649名無しさん@ピンキー:2007/01/02(火) 19:52:23 ID:zw9iZ9Tb
無駄な描写多くない?
650名無しさん@ピンキー:2007/01/03(水) 20:07:39 ID:qLOV5sU8
>>648
元々携帯サイトの方に置いてあった妹に電車の中で犯されるやつのほうがこのスレ向きじゃない?
数年かけて男を落とそうと画策するあたり萌える

つか個人サイトが晒されると叩かれそうで嫌だな…
651いない君といる誰か:2007/01/04(木) 17:49:55 ID:zpAEyOdJ
「というわけで、貴方の身の安全は私が保証したわ」
 クラスメイトの如月更紗は、僕の眼前に長い――長い長い長い長い長い長い長い鋏をつきつけてそう言った。
 長い、なんてもんじゃない。長すぎる、でもまだ足りない。それはもう冗長としか言いようが無い長さだった。
 そんなに長くても使い道なんて一切合切ありえないだろうと、こんな状況でもなければ僕は断言していただろう。
 それくらいに、長い。
 一般的に使いやすい鋏の長さは手首から中指までの長さだと言われているが、
そんな常識など「知ったことではない」と主張するような長さだった。
 30センチものさしを二つくっつけたような――長方形の鋏。
持ち手の部分は二等辺三角形で、その鋏には所謂曲線というものが存在しなかった。
それは、丸みを帯びた「優しさ」とか、そういったものを根こそぎに否定したがっているような、
どこまでも暴力的な鋏だった。こんな鋏がモノをきっているところを想像できるはずがない。
 じゃあ、何を斬っているのか――できれば想像したくなかった。
 とくに、眼前にその鋭い切っ先が突きつけられている今は。
「ああ、これ?」
 僕の視線に(といっても、眼前に鋏がある以上、どこを見ようとソレが視界に入るのだけれど)気付いたのか、
如月更葉は視線を鋏と、僕と、交互に移ろわせて、笑った。
 照れたような、恥かしそうな、頬を赤らめて顔を背ける笑いだった。
 ほんのちょっとその仕草がかわいいと思ったけれど――そんなことを素直に口に出せる状況でもない。
 如月更紗は、そんな照れ笑いを浮かべたまま僕に告げた。
「これ私の手作りなの。似合うでしょう?」
「殺人鬼とか死神とかが持ってるならともかく、制服きた女子高生に似合うようなもんじゃないだろ」
「あら。貴方ってば、女子高生よりも殺人鬼や死神の方が好きなのね。不健全だわ」
「誰がそんなこと言った!?」
 思わず突っ込みを入れて、僕は慌てて口をつぐんだ。突っ込みを入れた反動で、身を起こしかけたからだ。
 こんな状況で身を起こせば、ズブリ、といくこと間違いない。横に逃げようにも、仰向けに寝転がった僕の上には、
如月更紗の細い体が馬乗りになっている。
 ……普通、こういうのは男女が逆なんじゃないのか?
 脳内で突っ込むに留める。そりゃ普通男が女を押し倒すものだが、生憎と押し倒してきたのは如月更紗の方だった。 
 押し倒してキスでもされるのか――なんて甘い妄想を抱いたのは一瞬のこと。次の一瞬には、問答無用の勢いで更紗はするりと背中から鋏を抜き出して――
 僕の眼前へと、突きつけた。
 ……。
 これのどこが、身の安全の保証だ。
 脅かしているのはお前じゃないか、如月更紗。
 不遜な僕の眼差しに気付いたのか、更紗はこほんとひと息入れて、
「言い直すわね」
「どうぞ」
「不健康だわ。顔色が悪いわよ」
「それはお前のせいだ!」
 僕は思わず、ではなく、意識して突っ込み、
 ――しゃきん、と。
 僕の目の前で、音を立てて開いた鋏の前に、沈黙せざるを得なかった。
 一つが、二つ。
 片目のみに押し当てられていた鋏が――開くことによって、両目に押し当てられることになった。
 危機感、二倍。
652いない君といる誰か:2007/01/04(木) 18:06:21 ID:zpAEyOdJ
「慌てないで。何も顔色が紫になって口から緑色の血を吐いたわけじゃないのよ」
「それは不健康を通り越して重病人だ」
 緑の血は吐かずとも。
 鋏が落ちれば――赤い血は噴き出る。
 自分の体の中を流れる血の色くらいは知っている。15年も生きてりゃ怪我の一つや二つは三つはしたことがある。
 怪我をさせられたことも――させたことも、ある。
 流石に眼球に鋏を突きつけられたことはないけれど。
「とにかく」
 如月更紗は前置いて、
「死神や殺人鬼よりは、女の子の方が好きよね?」
 ……。
 そっちを訊くのか……。鋏なんてどうでもいいと言わんばかりの、確信に満ちた、核心に触れるような問いだった。
如月更紗の中においては、鋏を他人に突きつけることは日常茶飯事なのかもしれない。そんな噂を聞いたことはないが、
それだってただの一人も証人が生き残っていないだけかもしれない。
 夜な夜な街を彷徨って眼球を抉る女子高生。
 ……殺人鬼と大差ないじゃねぇか……。
「野菜よりも果物が好きかという意味で答えるなら、イエスだ」
「野菜を食べないから不健全になるのね?」
「なるのは不健全であってそもそも僕は不健全でも不健康でもない!」

「なら――貴方は、健全で健康で身に潔白があり恥じるものなど一つもないと、そう言うのね?」

「……う――」
 言葉に、詰まる。
 妙に――迫力に満ちた言葉だった。
 先までの多少冗談の混じった言葉とは違う。『君は聖人君子というものの存在を信じるのかね』と遠回しに言われたような、
そんなものが存在するというのならば今すぐにもで殺してやると言いたげな、物騒で不穏当で危険で不均衡な――危うい、言葉だった。
 いや、
 危ういのは、言葉じゃない。
 どこか赤みがかかったような、爛々と輝いているようにさえ見える、如月更紗の瞳が――最も、危ういのだ。
 獲物を狙う、蛇のような。
 満月に狂う、狼のようだ。
 その眼で、如月更紗は――僕を、見る。
「そんなことはあるわけがない。そんなはずがあるわけもない。そんなことがあっていいはずもない。
 そうでもなければ――私がここに来ることはなかったんだから」
「ここに、来る?」
「鋏を持ってまで、ね」
 愛嬌たっぷりに如月更紗はウィンクをした。いや、決して愛嬌が必要な場面ではない。
 むしろそのナンセンスさが、この場に不釣合いで――不釣合いだからこそ、怖いとすら、思えた。
653いない君といる誰か:2007/01/04(木) 18:07:05 ID:zpAEyOdJ
 相手のやりたいことが、まったくわからない。
 クラスメイトに屋上に呼び出されて、告白かと思ってのこのこついていったら、『鋏』だ。
 わけが、わからない。
「わけなんてわかるはずがない。わけなんてわかるはずがないわ」
 僕の心を読んだように、如月更紗は滔々と語った。舞台の上で台詞を読む演劇役者のように、澄んで通る声だった。
教室の隅で本を読んでいる印象しかなかった更紗が、こんな風に喋るなんて――想像もできなかった。
 それをいうなら。
 そんな相手に、鋏をつきつけられているなんて、想像どころか妄想すらできなかったわけだが。
「……どういうことだよ」
 なんとなく無駄だと思いつつも、一応訊いてみた。
 如月更紗は、口紅を塗っているかのように赤い唇をつぅぅ、と吊り上げて、

 笑った。

「貴方に原因はないわ、貴方に理由はないのよ」
 笑って――嘲って。
 おどけるように、微笑んで。
 道化るように、微笑して。
 満面の笑みを、顔面に浮かべて。
 笑いと共に、呪いのように、言葉を吐き出した。

「原因は――死んでしまった、貴方の姉にあるのだから。ねえ、里村冬継くん?」

 それは、正しく。
 言葉のような、呪いだった。


・二話に続く
654いない君といる誰か:2007/01/04(木) 18:28:39 ID:zpAEyOdJ
 里村春香についてのあれこれ。生きていれば19歳。生きていれば、というのは他でもない、何の身も蓋も伏線もトリックも関係なく、
れっきとした事実として、里村春香は死んでいるからだ。死んだのはもう一年も前になる。18歳の里村春香は受験のストレスに耐え切れずに
学校の図書室から飛び降り自殺した――ということで一応の決着がついている。彼女が受験生だったことは事実だし、18歳だったことも、
思春期だったことも、そして図書室から飛び降りたことも、全て事実だ。覆しようのはない。ただし、その単語群の間を=で埋めるのは残された
人間たちの創造力でしかなかった。そして、里村冬継は、創造力を持ち合わせている人間ではなかった。
 だから、事実だけで考えれば。
 姉が――死ぬ理由が、分からなかった。
 死ぬ前日まで、姉は、とても幸せそうに、笑っていたから――
「…………」
 不意に意味のある単語を投げかけられて、僕は意図的に黙り込んだ。ただの突発的な通り魔的犯行かと思っていたのに
(それはそれで厄介なことだけれど、単に『変な奴』に絡まれた程度だと思えばいい)、いきなり姉さんのことを言われるとは、思いもしなかった。
 つまり、相手は。こちらの事情を、少しは知っているということになる。
 問題は、一体どこまでを知られているのかということで……
「その顔は図星といったところね」
「…………」
 如月更紗は僕に馬乗りになったまま、得意げな顔で、僕を見下ろしていた。
 ふふん、と鼻で笑ってもいいだろうに、微笑むだけで、鼻を鳴らそうとはしない。
 馬鹿にするのも、馬鹿馬鹿しいのだろうか。
 如月更紗は僕を見下したまま話を続ける。
「貴方はやっぱり――シスコンなのね」
「何がどうなってそんな図星が導き出された!?」
「自明の理よ。姉の存在を話題に出されて押し黙るのはシスコンか、」
「か?」
「姉に対して鬱屈したコンプレックスを抱いているシスコンだと、友人が言ってたわね」
「誰だよそんな歪んだ情報をお前に教えたの!」
「貴方はさしずめ後者なのだろうね」
「それはお前の偏見だ!」
 しゃきん、と。
 再び、鋏が鳴って、僕は押し黙る。なんだか、脅迫というよりは、一方的に話を進めるためだけに鋏が存在するような気がしてきた。
 遠回しな、コミュニケーション手段。
 それにしては、物騒すぎるけれど。
「とにかく、とにかくよ――貴方がシスコンであることは知っているわ」
「否定していいか」
 一応言った僕を無視して、如月更紗は言う。
「それから、貴方の姉が、どんな人間だったのかも」
「…………」
「今度は、否定しないのだね?」
 くすり、と如月更紗は笑った。どこか見透かしたような笑みだった。
 いや、実際に、見透かしているのだろう。
 姉さんはクラスの中で目立つような、そういうタイプの人間ではなかった。端で本を読んでいるような人だった。
そんな人が、それ以外の場所では、どんな人だったのかを――僕は知っている。
 奇しくも、僕の上に座す、如月更紗のように。
 人間は、一面からだけでは、計り知れないのだ。
「だからこそ、貴方の安全は私が保証してあげる」
「お前の頭は間違いなく壊れてる。『だからこそ』と『=』の使い方をもう一度勉強しなおせ」
「使い方を間違ってはいないけれど?」
「なら使い手が気違っているんだ」
「ああ、つまり貴方はこう言いたいのね――馬鹿と鋏は使いよう」
「この状況を巧いこと言ったつもりなら正直にお前は天才だと褒め称えてやるよ!」
「つまり、貴方が馬鹿、と」
 くすり、と如月更紗は笑った。完全に馬鹿にされている。弄ばれている。
 鋏を突きつけられていなければ、相手が女だろうが構わずに突き飛ばしているところだ。
 が、圧倒的弱者であることには変わりはない。ともかく、鋏がどかないことには話にならない。
「なあ如月更紗、」
 問いかけた僕の言葉を遮るようにして。

「貴方は――命を狙われている」

 不思議なほどにきっぱりと、如月更紗は断言した。
655いない君といる誰か:2007/01/04(木) 18:47:31 ID:zpAEyOdJ
「……狙われてるも何も、今まさに死にそうなんだが」
「眼を抉られても、死にはしないよ」
 くすり、と更紗は笑う。
「眼を抉られても、指を切り落とされても、足をもぎられても、手を焼かれても、
爪先から順にすり潰されても、首を落とされても、頭を潰されても、心臓に杭が刺さっても、死にはしないよ」
「……いや、それは死ぬだろ」
「殺されない限りは、死にはしない」
 奇妙な――断言だった。
 この女、如月更紗の言葉は、なぜか、どれもこれも力に満ちた断言だ。世に対して一片たりとも退くところがないと主張しているような、
世界の全てを敵に回して胸を張っているような――いや、違う、そうじゃない。
 世界なんてどうでもいいと、笑っているような。
 そんな、態度だった。
「だから貴方は死に掛けているのよ。あの恐るべきチェシャの奴が殺意を持って貴方を
狙っている以上――貴方は、このままだと、殺される」
「殺される……」
 その言葉はどこか非日常で、非現実で、だからこそすんなり頭に入ってきて、疑問の浮かびようもなかった。
 それよりもむしろ、如月更紗がさりげなく口にした「チェシャの奴」という言葉に意識が向く。それは確か、
あの古くも有名な童話に出てくる、にやにや笑いの悪趣味な猫の名前で――
 意識がまとまるよりも速く。
 如月更紗は、きっぱりと、断言する。
「だから、貴方の身の安全は、私が保証するわ」
「つまり……」
 頭の中で、情報を整理する。他人事のように、無関係のように。
「姉さん関係で、誰かが僕を殺そうとしていて――そいつから守るために、お前が?」
 お前が――なんだというんだ。
 そいつから守ることが、どうして、眼球に鋏を突きつけることに繋がるんだ。
「ああ、これ?」
 僕の視線を手繰ったのだろう、如月更紗は、彼女曰くお手製の鋏をちらりと見て、
「手作りなの。似合うでしょう?」
「ボケの焼き直しをやれと誰が言った!」
「あら。繰り返しは素敵なことよ」
 繰り返し、繰り返し、繰り返す――何かの唄の歌詞なのか、リズムをつけて更紗はそう言った。
 繰り返し、繰り返す。
 日常のように。 
「突拍子もない話を信じるには、突拍子もないことをするのが一番なのよ」
 非日常を続けて、日常にするように。
 さらりと、如月更葉はそんなことを口にした。
「……ようするに」
 この十数分間のことを思い返しながら、僕は結論を口にした。
「お前の趣味なんだな?」
 僕のその言葉に、如月更紗は満面の、悪意なき笑みを浮かべた。図星をさされたのが嬉しかったのだろう。
イエス、イエス、その通り――なんて、はしゃいだように、笑っていって。
「だけど、これも私の趣味」
 文節を勉強しなおせ。『だから』の、間違いだろう――そう突っ込むよりも先に。
 鋏がすぅ、と退かれて――入れ違うように、更紗の体が前のめりになるように倒れてきて。

 誰もいない屋上に仰向けになって、雲ひとつない青空を見上げながら――僕は如月更紗に唇を奪われたのだった。


・第三話に続く
656いない君といる誰か:2007/01/04(木) 19:55:20 ID:zpAEyOdJ
ヤンデレ作品投下
例によって妹とか妹とか姉とか妹とかが病んだりデレたりします
全何話かはまったく未定
657名無しさん@ピンキー:2007/01/04(木) 20:30:08 ID:nx7pzAvC
これも一つの愛の形(*´Д`)
658名無しさん@ピンキー:2007/01/04(木) 20:41:37 ID:vcOInZZb
どう転ぶか先が全く読めないですね
wktkして続き待ってます
659名無しさん@ピンキー:2007/01/04(木) 22:30:53 ID:KjfSYVID
>>656
お茶会の人ですか!?GJです!!
660名無しさん@ピンキー:2007/01/04(木) 23:22:39 ID:XHHa1pFB
>>651ナレフ!
きまさハルヒシリーズを読んだことがあるなっ!?
661名無しさん@ピンキー:2007/01/05(金) 00:16:50 ID:ZRyBoQwo
谷川ちんはもちっとくどい比喩を使ってるから、それが無い分するする入っていけたかな。
何はともあれ先の展開を待つ。
662名無しさん@ピンキー:2007/01/05(金) 00:29:03 ID:98mIRqg3
いや、ハルヒゆらむしろ戯言を読んでるだろう。
文体が非常に酷似している
663名無しさん@ピンキー:2007/01/05(金) 03:09:08 ID:ykvUuhwS
中学の頃に書いた小説がキモ姉ものでした

ただそれも西尾風味
664名無しさん@ピンキー:2007/01/05(金) 03:51:01 ID:kY7XQF4J
お茶会の人かな
665名無しさん@ピンキー:2007/01/05(金) 03:59:28 ID:kY7XQF4J
かなって言うか完全にそうか。里村春香だもんな。
666名無しさん@ピンキー:2007/01/05(金) 07:51:48 ID:7bQDaAOh
>>656
GJ! 続きが楽しみです。

      ./       ;ヽ 
      l  _,,,,,,,,_,;;;;i  <いいぞ >>654
      l l''|~___;;、_y__ lミ;l  姉の存在を話題に出されて押し黙るのはシスコンだ!
      ゙l;| | `'",;_,i`'"|;i |  姉に対して鬱屈したコンプレックスを抱いている奴はよく訓練されたシスコンだ!
     ,r''i ヽ, '~rーj`c=/ 
   ,/  ヽ  ヽ`ー"/:: `ヽ
  /     ゙ヽ   ̄、:::::  ゙l, ホント シスコンは地獄だぜ! フゥハハハーハァー
 |;/"⌒ヽ,  \  ヽ:   _l_        ri                   ri
 l l    ヽr‐─ヽ_|_⊂////;`ゞ--―─-r| |                   / |
 ゙l゙l,     l,|`゙゙゙''―ll___l,,l,|,iノ二二二二│`""""""""""""|二;;二二;;二二二i≡二三三l
 | ヽ     ヽ   _|_  _       "l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |二;;二二;;二=''''''''''' ̄ノ
 /"ヽ     'j_/ヽヽ, ̄ ,,,/"''''''''''''⊃r‐l'二二二T ̄ ̄ ̄  [i゙''''''''''''''''"゙゙゙ ̄`"
/  ヽ    ー──''''''""(;;)   `゙,j"  |  | |
667いない君といる誰か:2007/01/05(金) 12:41:14 ID:w9uu+67R
>>664
お茶会の人です。トリップメモが見つかったらトリップつけます

普通の三姉妹とかハーレムとか書いてみたいなあと修羅場スレを見てると思う
さて三話投下します
668いない君といる誰か:2007/01/05(金) 13:04:35 ID:w9uu+67R
・三話
 如月更紗についてのあれこれ。当年とって15歳。ただし正確な誕生日は不明。同じクラス、同じ学年だから15だと思っているだけで、本当は16歳かもしれない。
実際のところ内情について知っているのはほとんどない。クラスメイト――それはクラスが同じというだけで、なんら共通項を得るようなものじゃない。
例えば彼女がどこの中学校の出身だとか、どこに住んでいるのだとか、野菜と果物のどちらが好きかとか――そんなことが、僕に知り得るはずもない。
分かることといえば、それこそ外見的なことと、彼女の立ち居地だけだ。
 こうしてみる限り校則違反はしていない。紺のプリーツスカートは極端に上げたり下げたりはしていないし、白の半袖シャツの下に柄物が見えることもない。
もっともこんなバカでかい鋏を持っている時点で、校則違反以前に法律違反だが――今のところ、誰も気付いた様子はない。かくいう僕もこうして突きつけられる
までは彼女がそんなものを持っていようとは夢にも思わなかった。
 長く伸びた艶のある黒髪は、こまめに手入れしてあるのか腰のあたりで綺麗に切りそろえられている。その几帳面さが、日本の古い幽霊映画に出てきそうな雰囲気を
かもし出していて、何ともいえないくらい絶妙に……似合っていた。学校にいる間中、ぼぅと窓の外を見て一言も喋らない、どこを見ているのか分からない如月更紗と
いう少女の雰囲気をひきたてるのに、それは適格だったのかもしれない。あるいは、本人が意識してそうしていたのかもしれない。
 そんなことを、つらつらと。
 口内を蹂躙されながら、思った。
「ん、ん――! んんん――!」
 口の端からだらだらと如月更紗の唾液がたれ始め、呼吸困難を憶える頃になって、僕はようやく抵抗を開始した。
 というか、この女。
 普通こういうときは触れるだけのキスをするだろうに、まるで攻撃でもしてくるかのように、無遠慮に舌を入れてきやがった。
あまりもの衝撃に突き飛ばすのも驚くのもキスに対して何かを思うのも忘れて、現実逃避してしまった。
 しかし一度現実に戻れば、当たり前のように抵抗する。なぜって、それは舌を入れられたことよりも――
「暴れないで欲しいものだね……」
 つぅ、と唾液の糸を引きながら如月更紗の唇が離れた。ぬらぬらと、放課後の光を浴びて輝く液体は扇情的で、未だ唇と唇が繋がっていたことをその身で証明していた。
 エロスティックというか、エロいというか、マロいというか、そういうのを否定するつもりはない。
どこか潤んだような瞳で僕を見てくる如月更紗の姿を見ていると、こう、ぞくぞくと背筋にくるものがある。
 が、それとこれとは別だ。僕は如月更紗の瞳をしっかりと見返して、言った。
「この――下手糞」
「………言葉遣いが悪いわよ?」
「なら言い直してやる! この下手れ!」
「それはまた別の意味よ。まったく困った同級生だわ」
 あっけらかんと、自分に非がないように髪をかきあげる如月更紗。その仕草に再びどきりとさせられるが、意識を総動員して無視する。
「いきなり何すんだって言いたいが……他に言いたいことがあるんで先に言ってやる。歯をがんがんぶつけんじゃねぇ!」
 そう――そうなのだ。てっきりいきなり舌を入れてくるくらいだから上手いかと思ったのに、この女ときたら、舌を動かすたびに頭を押し付ける
せいで歯ががんがんと当たるのだ。おまけに痛みなんて気にしないかのように続けるから、延々とがち、ガチとぶつかる音が脳内で響く。
 最悪だった。
 何が最悪かって、キスにわずかに期待してしまった自分が最悪だった。
「仕方ないのよ。慣れてないんだから」
「慣れてないならいきなりキスなんてするな!」
「勘違いしないで。キスには慣れてるのよ」
「……? じゃあ、何に慣れてないんだよ」
 僕の問いに、如月更紗はクラスでは絶対に見せないような、そのくせこの屋上では何度も見せた、にたりとした笑みを浮かべて、
「生きてる相手とするのには、慣れてないのよ」
 なんてことを、さらりと言ってのけた。
「………………」
 冗談か本気か、その妖しい笑顔からでは判別できない。
 判別したいとも――思わない。
669いない君といる誰か:2007/01/05(金) 13:34:09 ID:w9uu+67R
「とにかく」
 こほん、とわざとらしく如月更紗は咳払いした。上体を起こしていないせいで、口から漏れた息が直接顔にかかる。
生暖かいような、甘いような吐息だった。
「何だよ」
 問い返すと、如月更紗は、それが当然だと言わんばかりの口調で、はっきりと言った。
「慣れていないのだから、慣れさせてよ」
「なんでそうなる!?」
「あら、あら! 当然の理屈だわ、当然の理屈よ――アインシュタインもニュートンも団鬼六先生も賛同してくれるに違いないわ」
「物理学者と官能小説家を同じラインに並べるのかお前は!?」
 恐ろしい女だった。
 ある意味、人類平等を体現しているのかもしれない。
「貴方がファーストキスもまだだと言うのならば、やぶさかではないけれど」
 ため息と共に、如月更紗はそういった。なんとなくバカにされているようで癪に触る。
「貴方がファーストえっちもまだだと言うのならば、諦めるけれど」
 深い深いため息と共に、如月更紗はそんなことを付け加えた。
「いや、それは付け加えなくていい」
「そう?」
 大体キスをしたことがあっても初体験もまだだというのは世の中には一杯いるだろう、と思ったが言わないでおくことにした。
余計なことを言えば藪をつついで鬼を出す嵌めになることくらいは想像できる。
 どうも、如月更紗という相手は――未知数だ。
 何が返ってくるのかわからない。
 何を思っているのかわからない。
 何のためにここにいるのか、まだ、分からない。
「…………」
 そのことに多少の警戒はあれど。
「如月更紗」
「何かな?」
「眼、つぶれ」
 僕は――思春期なのだった。
 言われた通りに素直に子供のように、如月更紗は眼を瞑った。そのまま微塵も動かない。僕の方から、何かをするのを待っているように。
 殉教者のように、如月更紗は待つ。
「…………」
 その耳の側から、如月更紗の髪に僕はそっと右手を差し込んだ。手で触れることで、彼女の髪のきめ細やかさがよくわかる。
いつまでも触っていたいような、それだけで幸せになれるような触感だった。
「……動くなよ」
 一応、そう前置いて。
 手で、ゆっくりと、如月更紗の頭を引き寄せる。如月更紗は何も抵抗することなく、僕の手に導かれるままに顔を寄せて、
 眼を瞑り、唇を横一文字に閉じる如月更紗。
 その顔に、歯がぶつからないように――そっと、キスをした。

 血の味が、するような、気がした。

670いない君といる誰か:2007/01/05(金) 13:56:46 ID:w9uu+67R
 今度は歯がぶつかることはなかった。もっとも如月更紗のように舌を入れるようなことはしない。
唇をそっと触れて、相手の唇を舌でなぞるだけの、簡単なキスだ。それでも、痛みがないというだけで先よりもずっと良かった。
 痛くはない。血の味もしない。温かく、柔らかい、
 人間との、キス。
「ん……」
 小さな吐息と共に如月更紗の唇が離れていった。気付けば、自分から彼女の頭に差し込んでいた手を話していた。
人の胸板にのしかかるように身を寄せて、如月更紗は僕を覗き込む。至近距離で見る彼女の瞳は、どこか猫のように笑っていた。
「確かに――上手ね」
 良し、よし、よし、と子供をあやすように如月更紗は幾度か繰り返した。
 上手いと言われて悪い気がするはずがない。僕は思わず微笑みかけ、

「貴方のお姉さんと、練習したからかしら」

 微笑みが、固まった。
 意識してか、意識せずか、そんなことはどうでもいい。
 どうだっていい。
 問題は彼女が、如月更紗が何げなく、何事でもないように口にした、軽口のようなその一言にしかない。
僕は押し黙り、恐らくは、明確な敵意を持って――如月更紗を睨みつける。
 この距離で、睨みつけられても。
 如月更紗は――微笑んでいた。
「どうやら――姉に対して鬱屈したコンプレックスを抱いているシスコンで、正しいみたいね」
 くすくす、と笑う。僕は笑わない。僕は笑わずに、黙って、彼女を見遣る。
 如月更紗を、見る。
「とはいえ言い過ぎたわ、口が崖から落ちていったようね」
 そう言って、如月更紗は唐突に僕から身を離した。両足で立ち上がり、鋏を制服の背中に隠す。
さっきまで濃厚な彼女の匂いに包まれていたことに、僕はようやく気付いた。彼女が離れたことで
その甘い蜜のような匂いの存在に、ようやく、気付けた。
 脳が痺れるような――如月更紗の匂いだった。
「今日は色々考えてくださいな。色々と、色々と――思い起こして思い返して考えてね、冬継くん」
 それでは、また明日。
 そう言って、如月更紗は、寝そべったまま身を起こせないでいる僕をまたいでつかつかと歩き去った。
人の顔面の上を通り越していったせいでスカートの中身が見えたのにまったく気にした様子がない。
用は済んだのだとばかりに、振り返ろうともしない。
 振り返らず、何も言わず。
 がちゃん、という音と共に、如月更紗は屋上から出て行った。
「………………」
 今日一日と、昨日のことと、明日のことと、如月更紗のことを思って。
 屋上に寝転がったまま、僕は深く、深く深く――ため息を吐いて、舌で唇を舐める。

 キスの感触が残っていた。

・第三話 了
671名無しさん@ピンキー:2007/01/05(金) 19:54:46 ID:CqhSHgex
1番乗りGJ!イイヨーイイヨー
672名無しさん@ピンキー:2007/01/06(土) 00:41:02 ID:fGQtsdjx
GJ!なんか素質有りそうなオトウトだな!!続きwktk
673いない君といる誰か:2007/01/06(土) 20:11:38 ID:yoIymAIa
「先輩先輩! 遅くなりました!」
 神無士乃はいつものように校門前の坂道を降りたところで待っていた。下校ラッシュの時間からは少しずれているせいでにしか人がいない。
部活動をやっている生徒が帰るにはまだ時間がかかるから、もうしばらくは校門前も混雑しないだろう。わずかに通りかかる帰宅組がちらりと
横目で神無士乃を見ていくだけだ。さすがに中学校の制服を着ている神無士乃は目立つ――とはいえ、もう見慣れているのかあまり気にしていない。
 神無士乃は、いつだってそこにいるのだから。
「あれ、今来たの?」
「いえ、先輩が遅くなりました。遅いです」
「そうだよお前はそういうやつだったな……」
 頬を膨らませて言う神無士乃の髪をくしゃくしゃとかき回して、僕は彼女の横に並んだ。何を言うでもなく一緒に歩き出す。
高校に進学してからほぼ毎日こうなので随分と慣れたものだった。
 ん、と嬉しそうな顔をした後、神無士乃は僕の左手をとって歩く。教科書は学校にでも置いているのか、左手に持っている鞄は
やけに薄っぺらかった。まあ、僕も同じことをしていたので何も言うまい。
「あー……待たせた?」
「いえ、今来た所です!」
「さっきと言ってることが違うじゃねぇか」
「いえ、先輩が今来たところです」
「前後の文が繋がらない返答をするなよ!?」
 ひひひひひ、と神無士乃は悪人のように笑った。こいつ、顔はかわいい系のくせに、こういう小悪人的な仕草が妙に似合うんだよな……。
小学校の頃はそうでもなかったんだが、いったい誰の影響を受けたんだ。
「とにかく、行くぞ」
「らじゃーっす!」
 びし、と鞄を持った手を振りかぶって神無士乃は答えた。危うくぶつかりそうになった鞄をすんでのところで避けて、僕も彼女の手を引くよう
にして歩き出す。やけに急な坂を下り終えて、ゆるやかに曲がる道を行く。先の曲がり角が、中学校と高校の分かれ道なので、帰る姿は中高様々だ。
手を繋いで歩いているが、そんなもの学生町では珍しいことではないので気にしない。たまに道行くオバちゃんに指をさされてくすくすと笑われるだけだ。無視。
「でもどうして遅くなったんですか?」
 神無士乃が僕を見上げて問うてくる。視線は少しも外さずに、瞳を、真正面から覗きこむようにして。
「あー……」
 呟きながら考える。嘘をついたらバレるだろうなあ、と思うが、正直に本当のことを話すわけにもいかない。学校の屋上に呼び出されて刃物突きつけられた
あとキスしてましたなんて言ったら正気を疑われるか狂気を疑われるかのどっちかだ。実際僕だって、先あったことが現実だとは思えない――嘘を言うのはやめよう、
現実だと思いたくない。かなり。切実に。出来れば夢であって欲しかった。
 唇に残る感触だけが、夢ではないと主張している。
「あー――」
 さらに呟きながら考え、視線をさまよわせる。僕を真っ直ぐに見てくる神無士乃を逆に見返す。身長が20センチは低いせいでかなり見下ろす形になっていた。
いくら中学生、二歳後輩とはいえ小さすぎないかと思う。昔からまったく変わっていない気がする。
「神無士乃、前にならえをやってみるんだ」
「こうですか?」
 唐突な言葉にも堪えず、神無士乃はきちんと前へならえをやった。ただし、両手を腰にあてて胸を張るポーズだ。
「はっ、やっぱりな」
「何ですかその勝ち誇ったかのような笑みは! 意図不明かつ意味不明ですよ!」
「いや、特に意図も意味もないんだ」
「じゃあ話を逸らしただけですね」
 あっさりと真相をつく神無士乃。さすがに鋭い。鋭いが、自分がクラスで一番身長が低いことを吐露してしまったことには
気付いていないらしい。これが人間経験の差か……ちなみに僕は一度クラスで一番背が低い時代があった、そのとき間違えて
両手を前に伸ばして以来、前へならえというものを憎んでいる。
 そう、神無士乃は小さいのだ。ただし小さいのは背だけで、その分の栄養が胸と尻にいったと見える。それを指摘すると叱られる
ので言わないが、クラスではさぞかしセクハラの的になっているに違いない。
「神無士乃、牛乳は出るか?」
「? うちの学校給食ですから出ますですよ」
「ああそうだったな、自分の出身校なのに忘れてたよ」
 バカなことを言ってみるが肝心の質問の答は見つからない。
674いない君といる誰か:2007/01/06(土) 20:21:55 ID:yoIymAIa
 現実逃避にさらに神無士乃の姿を上から下までなめるように見てみる。
小さな背と大きな胸。ツインテールが兔の耳みたいに直立している。太くも細くも無い手足と、丸い瞳。小動物系というの
だろう。最近の流行はよく知らないので断言はできないが、案外こういう安産型が人気なのかもしれない。守ってあげたく
なるような――といえば聞こえはいいが、それはようするに独占したいだけなのか? 正直よくわからない。
 モスグリーンのチェックの制服は――男女差こそあれ――去年まで着ていた奴だ。懐かしい、と思ってしまうのは、高校に慣れてきたからだろう。Y
シャツのボタンが弾けるところを一度でいいから見てみたい、そんな体型だった。さっきから僕体型についてしか考えてないな。
「何見てるんですか?」
 どことなく恥かしそうに神無士乃が言うので、正直に答えることにした。
「ニュートンの法則が横方向にも適用されてるか考えてたんだよ」
「しってます。林檎から木から落ちて砕けた例のヤツですね?」
「砕けるのはピザの斜塔から落としたヤツだろ?」
「ピザの斜塔ってとうとう崩壊したんですか?」
「…………」
 いまいち話が通じてない気がするが、問題はない。問題の箇所から話がどんどんずれていくからだ。
「それで――」
 神無士乃は前置いて、僕の腕を強くつかみ、見上げて笑った。
「どうして遅くなったんですか? 解答時間は残り三十秒をきりましたよ」
「数えていたのか!?」
「ちなみに制限時間三分です」
「余計なことばっかり考えて時間無駄にしてた!」
 まあ、でも。
 そろそろ誤魔化すのも限界なので、答えることにした。
「学校の屋上に呼び出されて青春してきたところだ」
「校舎裏がラブレターだから、屋上は決闘ですね?」
「そうだ決闘だ。命をかけた戦いだった」
 嘘は言っていない。ある意味命はかけている。一方的な上にかけたのは僕だけだが。
 ……そもそも告白するなら――あれが一応でも告白というのならば――如月更紗のヤツ、校舎裏に呼び出せばよかったのに。
そしたら一発で何が目的かわかる……ああ、駄目なのか。校舎裏で告白なんてしたら、他人に見られるかもしれないからな。
そういう意味では扉が閉まる屋上が一番あいつの目的にかなっていたわけだ。
 鋏を突きつけ、
 危機が迫ってるとつげ、
 キスをする、目的に。
「………………」
「ちなみに敵はどんなヤツです?」
「シザーメンだ」
「複数人ですか!」
「ああ、恐ろしい男だちだったよ。両手に鋏と糊を持って襲い掛かってくるんだ」
「なんだか図画工作の先生みたいですね」
「僕の母校の先生はそんな奇妙なヤツなのか……? おい、木頭先生はどうなったんだ」
「木頭先生は……いえ、ここから先は言うのはよしましょう先輩」
「何だその『あいつはもういないんだ』みたいな台詞は!? 不謹慎だぞおい」
「木頭先生は生徒と駆け落ちしていなくなりました」
「…………」
 不謹慎だった。
 というか、生徒って、よく考えるまでもなく中学生だろ……? 知らなきゃ良かったことが世界にはたくさんあることを
今改めて再確認してしまった。あの楽しい図画工作の時間の思い出が薄汚れた感じに染まってしまう。
「とにかく」
「強引な話題転換ですね。そうそう、木頭先生といえばですね、」
「いいから話題を変えさせろよ! いつまでも木頭先生を引っ張ってるんじゃねえ!」
 両手が塞がっているので兔耳のような頭目掛けて頭突きをする。高低差のおかげで楽にできた。痛いですよう、と呻く
神無士乃を無視して話を戻す。
「ようするにホームルームが長引いて遅れたんだよ」
「面白味のない答えですね」
「お前はいちいち返答に面白さを求めなきゃ気がすまないのか……?」
「面白味のない人生ですね」
「言うな! 悲しくなるようなことは言うな!」
 先輩に対してまったく尊敬とか、それに類するものがない奴だった。
 まあ……結果的にきちんと話は逸らせたからよしとしよう。
675いない君といる誰か:2007/01/06(土) 20:35:56 ID:yoIymAIa
「しかし神無士乃、先に帰ってても別にいいんだぞ。お前の方が終わるの早いんだし」
「そんな先輩、気にしないで下さい。それに迷子になったらどうするんですか」
「そりゃ結構歩くけどさ、電車使うわけじゃないんだから迷いはしないだろ、地元だし」
「いえ、先輩の方向音痴さを鑑みるに有りえ無い話ではないかと」
「勝手に人の設定をつけくわえんな! いつから僕が方向音痴になったんだ!」
「運動音痴よりはマシじゃないでしょうか?」
「どっちもどっちって気がするけどな……そういや知ってるか、運動神経っていう神経はないんだぜ」
「マジですか! ということは反射神経とか末端神経とかもないわけですね!」
「あーないない。間違ってテストに書かないようにしろよ」
 なんて話しながら歩きつづける。学校から家まで大体歩いて三十分くらいだ。ぎりぎり中学校の校区――自転車通学許可が出ない場所――
に済んでいるので、神無士乃は自転車を使うわけにはいかない。それにあわせて、僕もこうして歩いている。
 小学校以前からの幼馴染だ。それくらいはしてやってもいいだろう。
 可愛いし。懐いてるし。
 何気ないやり取りは面白いし。
 ちょっとバカだけど。
 それでも――いきなり、刃物を突きつけられることは、ないしな。
「先輩先輩、明日の予定はありますか?」
「学校いって帰る」
「勉強はしないのですか!」
「僕くらいになると勉強しなくても大丈夫なんだよ」
「さすが先輩です! でもそれって学校行く意味あるんですか?」
「…………」
 こいつ……世の中の学生の大半に喧嘩売りやがった。そんなことを言ってただですむと思っているのか。
意味がなくてもとりあえずで進学するやつが大勢いることをしらないのか。
 しかしここで現実の厳しさを教えてもむなしいだけなので、「あるよ」とだけ答えた。
「つまり、放課後の予定はないんですね?」
「一緒に帰るくらいだな」
「じゃあそのまま一緒に遊びに行きましょう」
 前後の関係もなく言われるが、いつものことだ。僕はさらりと答える。
「門限を守るならな」
「らじゃーっす」
 びし、と手をあげて神無士乃は返事をした。
 いつものような口約束を終えて、いつものように適当にお喋りしながら三十分を歩き続けた。他の学生たちがまったく
見えなくなったところで神無士乃は「それじゃあまた明日です、冬継さん」と言って駆けて行った。
 自分の家へと。
 神無士乃の姿が見えなくなるまで見送ってから、僕は、深く、溺れてしまいそうなほどに深くため息をついた。
 やりとりは、楽しい。
 楽しいが――疲れる。
 安らぎなどない。
 安らぎを与えてくれる人は、一人しかいない。
「まったく……今日は疲れることだらけだ」
 世界を憎むようにそう言って、僕は自分の家の門をくぐる。胸ポケットから鍵を取り出して開けて家の中へ。
 そして。
 いつものように玄関で僕の帰りを待ってくれていた人に、親愛と友愛と愛情を込めて、ただいまの挨拶をする。

「今帰ったよ、姉さん」

 姉さんは。
 一年前に死んだ里村春香姉さんは、にっこりと微笑んで、「お帰りなさい」と言った。

・第四話(了)

 
676いない君といる誰か:2007/01/06(土) 20:37:18 ID:yoIymAIa
というわけでヒロインは
・死んだ姉
・奇妙なクラスメイト
・明るい妹
です。誰エンドにいくかは未定。
あと一人くらい出そうかと思うけれどまったく思いつきません
677名無しさん@ピンキー:2007/01/06(土) 21:17:25 ID:JH2fa6u9
乙!
読めば読むほど妹、あや取り上手そうだ
678いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/06(土) 23:37:31 ID:oCwLvBbv
訂正。妹じゃなくて幼馴染だ……
そして>>652の誤字修正
「なるのは不健全であってそもそも僕は不健全でも不健康でもない!」

「なるのは不健康であってそもそも僕は不健全でも不健康でもない!」
でした
679名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 00:56:56 ID:Jnnzv0LW
GJ!!死んだ姉!
680名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 04:15:48 ID:384o1NQ9
死んだ姉が出てきた!?
681いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/08(月) 00:53:03 ID:nxdo25K6
・第五話
 里村春香姉さんは弱い人だった。他人を傷つける強さも、他人から傷つけられる強さも持っていなかった。
誰かと深く関わって傷つくのが怖くて、誰かと深く関わって傷つけるのが怖くて、いっそのこと誰とも関わらない
ことを選ぶような、そんな人だった。けれど姉さんはどこまでも弱くて、独りぼっちでいることに堪えられなくて、
それどころが他人を傷つけないことにも、他人から傷つけられないことにも堪えられないほどに――弱かった。
 圧倒的に弱かった。
 致命的に弱かった。
 弱い、か弱い、女性だった。
 自分自身の腕に傷を刻み込んで安堵するような人だった。生きることが怖くて、生き続けることも怖くて、
死にたがっていた。そのくせ死ぬのが怖くて、自分では死ねなくて、誰かに殺されるのを願っていた。
『冬継。姉さんを殺してくれないかしら』
 時折何の前触れもなく呟いていたその言葉は、間違いなく姉さんの本音だったのだろう。
 けれど――殺せるはずもなかった。
 姉さんが、生きることに堪えられないほど弱い人なら。
 僕もまた――姉さんが死ぬことに堪えられない人間なのだから。
 姉さんを殺すことなどできるはずもなかった。僕が首を横に振ると、姉さんは『そう』とだけ応えて、どこか遠くを見るような眼をした。
あれは、今にして思えば……姉さんは待っていたのだろう。
 いつか、自分を殺してくれる人を。
 腕に傷を刻みながら――ずっと、待ち続けていたのだろう。

 そして姉さんは一年前に、学校で飛び降り自殺をした。最後に、今まで一度も見たことないような、穏やかな微笑みを見せて。

 今、僕の前にいる姉さんは、そのアルカイック・スマイルを浮かべている。
 生きている間は一度しか見せてくれなかった幸せな笑みを、惜しみなく見せてくれる。その笑顔を見るたびに、僕は不思議な感覚
に襲われる――姉さんの笑顔を見れて嬉しいという気持ちと、その笑顔を浮かべさせる原因となった《誰か》に対する嫉妬が入り混
じった、胸の奥がざわめきながらも安堵するような、奇妙な心地だ。
 それでも、此処に姉さんがいること以上に、望むことがあるはずがない。
 たとえ――死んでいても。
 姉さんは、今、ここに居るのだ。
「姉さん、今日は疲れたよ。色んなことがあったんだ」
 靴を脱いで玄関にあがる。横に立って並ぶと、姉さんの方が少しだけ背が低い。
三つ編みを三つ作った髪型に銀縁メガネ。図書室にいるのがよく似合いそうだった。もっとも、
年代の関係で僕は姉さんと同じ学校に通ったことはないけれど。
 進路を同じにしたのは――せめて、同じ学校を卒業したかったからだ。
「お疲れさま。今日はゆっくり休みなさい」
 姉さんは淡々と抑揚なく言う。それでも、その声は優しさに満ちていた。
 優しさに満ちているような気がした。
「うん、そうするよ」
 僕は答えて、姉さんにキスをした。
 いつものように。
 姉さんはとくに抵抗しなかった。初めからそれを待っていたのか、眼を瞑り、くいと顎をあげて待っていたほどだ。
唇をそっとつけて、それから姉さんの後頭部を手で支える。初めは弱く。それから、唇で唇を押しつぶすように強く。
舌でその間をかきわけ、姉さんの中へと先を侵入させる。歯をなぞりながら舌を伸ばすと、姉さんの舌が僕のそれを
待ち構えていた。唾液をまとって、絡み付いてくる。
「っん――」
 姉さんの吐息が漏れるのを聞きながらも舌を動かすのをやめない。挨拶にしては長すぎるキス。
 それでも、それはいつも通りだ。
 いつもの、挨拶のキスだ。
 ちゅぱ、と唇の隙間から空気が漏れる。唾液が下に垂れたかもしれない。毒のように甘い、姉さんの唾液が。
 ああ――キスをしながら思う。如月更紗。お前が言っていたことは正しい。僕は確かに、キスの練習を姉さんとしている。
もっとも僕は練習だとは思っていなかった。ようするにそれは、姉さんが練習に僕を選んだのだろう。
 僕は練習ではなく――本気だったのだから。
 初めて姉さんとキスをしたのも。
 初めての相手が姉さんだったのも。

 全ては――単純に、好きだったからだ。
682いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/08(月) 01:06:57 ID:nxdo25K6
 それは死んでしまった今でも変わらない。たとえ逸脱していようと、相手が僕にしか見えない幽霊だろうと――構わない。
 独占できることを、喜ぶだけだ。
「んぁ……」
 唇を離すと、姉さんと僕の間を唾液で糸がひいた。粘質があるものの、重力があるのですぐに垂れる。それを拭うようにして
もう一度軽くキスをした。
 血の味が、するような気がした。
 それはもちろん幻味だ。姉さんが死んでいるから、そんな気がするだけに過ぎない。死人とキスをする背徳感が、キスに血の味を
付加させているに過ぎないのだ。
 キスをやめる理由にはならない。
 いつもよりも短くキスを終えたのは、そんな理由ではなかった。
 唇に、まだ、感触が残っているような気がしたからだ。

 姉さんのものではない――あの女の感触が。

「……冬継?」
 あっさりとキスをやめた僕を、姉さんが気遣うように見てきた。不審げに、ではない。姉さんが僕を疑うはずもない。
姉さんと僕の間に疑いが入るはずもない。姉さんは、純粋に僕を気遣ってくれているだけだ。
「ん、なんでもない」
 姉さんの唇を指の先で拭って答える。ついでとばかりに、そこに軽く唇をあてて、後頭部にあてた手を離した。
 名残惜しいと思ったけれど、思うだけだ。
 キスはいつでもできる。
 いつまでもできる。
「それとも、姉さんがもっとしていたかった?」
「バカなことを言わない。弟を心配しただけだ」
 笑顔でそう言って、姉さんは僕の手を握った。家に居る間はずっと触れていたいという僕の願いを叶えていてくれるのだ。
それは嬉しいが――姉さんも、多分、それを望んでいるのだろう。
 今の姉さんは、学校にも、どこにも、行けないのだから。
 そう。
 今の姉さんは家の中にしかいない。
 どこにもいけない。


『狂気倶楽部』なんてところに、行けるはずもない。


「今日は少しだけ遅かった」
「ごめん姉さん。……姉さんが望むなら、学校なんていかなくてずっと家に居ようか?」
「いや、それは駄目だ。弟がしゃんとしているのを見るのは私も嬉しいよ」
「寂しくない?」
「寂しいさ。でも、今は違う」
 姉さんはちょっとだけ背伸びをして僕にキスをする。僕もキスをしかえす。
 いつものように。
 そう、何が起ころうと、いつものように過ごすだけだ。如月更紗のことも、神無士乃のことも、家族のことも今は考えたくない。
姉さんとご飯を食べて姉さんとお風呂に入って姉さんと寝るだけだ。いつものように、いつものごとく。ただそれだけだ。
 それだけでいい。
 だから僕は、今日も姉さんとご飯を食べて姉さんと風呂に入って姉さんと寝た。

 そして翌日。
 僕は鋏の音と共に目を覚ますことになる。
・第五話(了)
683名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 18:25:53 ID:968/Bzj7
>「いや、それは駄目だ。弟がしゃんとしているのを見るのは私も嬉しいよ」

>「寂しいさ。でも、今は違う」

こ、この口調は……。
684名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 16:46:12 ID:xKdAERBY
今女王の教室見てたが真矢先生ってヤンデレだよな?
685名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 20:25:15 ID:Tsc9Oxpq
>>684
いや、あれは生徒に対する確固とした新年と愛情だろ。
686いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/10(水) 23:09:32 ID:B28hlr6U
六話投下します
687いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/10(水) 23:26:38 ID:B28hlr6U
 しゃきん、という音で目覚めたら、全裸の如月更紗が隣で寝ていた。
「――姉、」
 さん、といつものように言いかけた言葉が途中で止まる。口から出かけていた言葉が、衝撃のあまりに無理矢理停まらされたのだ。言葉
と一緒に思考まで固まってしまいそうになる。
 眠気なんて、わずかも残りはしなかった。どんな目覚まし時計で叩き起こされるよりも、それは効果的な起こし方だったらだろう。眠気
をさますためのあくびさえ必要なかった。目を見開いて、もう一度閉じることすらできない。開きっぱなしの瞳は、意識から放れて目の前
の非現実を凝視していた。
 如月更紗が寝ている。
 全裸の如月更紗が寝ている。
 目をこすって、もう一度見た。
 全裸の如月更紗が寝ていた。
「……嘘だろ?」
 思わず呟いてみるが、目の前の現実は生憎と嘘でも幻でもないようだった。三十センチと離れていない如月更紗からは
確かな息遣いが聞こえてくるし、人の身体状に膨らんだタオルケットは幻覚にしては生々しすぎた。
 先のしゃきん、という音は、夢の中で聞いた音だったらしい。
 朝起きて蜘蛛になった男の気分が、少しだけ理解した。
 理解したくなかったものを理解してしまったが、グレゴリーなんとか君は間違いなくこんな気分だったに違いない。奴
には可愛らしい妹がいて彼女だけが理解者になってくれたが、僕に妹はいない。
 いるのは――姉さんだけだ。
「…………」
 視線を部屋の中へと彷徨わせてみるが、姉さんの姿はどこにもなかった。勉強机とベッドしかない、殺風景すぎる部屋。
隣の姉さんの部屋には本棚が三つもあるが、比例するかのように僕の部屋には何もない。無趣味もいいところだ。
 如月更紗はまだ寝ている。目を瞑り、規則的に薄く息を吐いている。そのたびに、わずかな膨らみのある胸が上下して――
ああ、これ以上直視していると自分が犯罪者にでもなった気分だ。それでも視線は止まらない。夏が近いということもあって、
僕はタオルケット一枚しか使っていなかったが、その半分以上を如月更紗に奪われている。もっとも、それで隠せているのは
下半分だけで――くっきりと形の見える鎖骨から緩やかな胸丘を通って、小さなヘソ下から腰の下あたりまで、何も隠すもの
なく見えている。
 こいつ……寝間着どころか、下着すらつけてねぇ。
「悪夢だ……」
 思わず呟くが、現実が現実でしかないからこそ、悪夢より悪夢的なのだろう。朝起きたら隣に全裸で女子が寝てるなんざ、一昔前の
漫画でしかありえない光景だ。
 現実で起こると、欲情よりも、呆れが先にくる。
 何も着てない如月更紗を見るのはこれが始めてだが――何度もあってたまるか――確かにこいつの姿は良いと思う。それは認めよう。
女性的な膨らみとは彼方の関係だが、その代わりに絵画的な綺麗さがある。美術の教科書にのってる非人間的なプロポーションをした
少女肖像画からそのまま抜け出してきたような格好だった。そう考えれば、裸婦画を見ているようなものだ。欲情なんてするはずがな
い――いや、待て。
 そもそも。
 ようやく僕は原初的な、まず最初にたどり着かなければならないはずの疑問に辿り着く。あまりの光景に脳が停止していたのは事実
だったらしい。普通ならば、まず大声で叫ぶと同時に警察に電話しなければいけないはずだ。
 事象だけ捉えてみれば――寝ている間に不審者が家屋侵入して同衾していたのだから。
 追い出すか叫ぶか逃げるか頭の中でサイコロを転がし、

「おはよう、冬継くん」

 なんて、目を瞑ったまま、如月更紗が挨拶をした。

 
688いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/10(水) 23:50:26 ID:B28hlr6U
 …………寝てたんじゃなかったのか。
 僕の目の前で、全裸の如月更紗は細く目を伸ばしながら、そのしなやかな腕を伸ばした。制服を着ているときでもその
腕は“生”で見ているはずなのに、こうして他の部分まで見えていると、妙に艶やかに見える。指の一本一本までそう見
えてしまうのは、健全な学生としては無理もないことだろう。
 僕が健全な学生なのかは、ひとまず置いておく。
 如月更紗はその腕を僕の枕の下へと差し込み、何をするのかと問うよりも早く再び腕を引き抜いた。
 手には、長い長い、三十センチもありそうな長方形の鋏が握られていた。
「…………」
「しゃきん」
 自分で言いながら、如月更紗は鋏を開け、閉じた。しゃきん、という金属のすれる良い音がする。どうみても
違法改造の異常な鋏なのに、音だけは耳に心地良い。
「しゃきん、しゃきん、しゃきん」
「繰り返すなよ! 一度で満足しろ! 何がやりたいんだお前は!」
「朝から元気ね冬継くん」
「誰のせいだと思ってるんだ!」
 平然と言う如月更紗に突っ込んでしまう。こいつ、平常心とか平静とか、そういう言葉がやたらとよく似合うな……
普通『寝てる間にベッドに忍び込んでいる』なんてホラー映画の一シーンにしか過ぎないだろうに、こいつがやたらと
堂々としているせいで、恋人同士が行為のあとに惰眠を貪ったようにしか見えない。
 いや――恋人、なのか?
 そんなことを承知した憶えは一切ないが、あるいは、如月更紗は勝手にそう思い込んでいるのかもしれない。昨日の
言動を思い返せばありえそうなことだった。
 だとすれば……訂正しなければ。
 そのことを言おうとした僕の機先を制するように、如月更紗はくすりと笑い、
「下の方が元気ねと言ったのよ」
「朝から下ネタをふるなよ!? ただの生理現象だ!」
「朝以外なら生理現象じゃなくて欲情になるわね」
 さらりと言って、如月更紗はくすくすと笑う。その視線は、僕の下半身へとそそがれていて……
「……ッ!!」
 自分で言った通りに、朝の生理現象が起きているのを確認してしまった。迂闊だった……不健全かもしれないが、
別に不能というわけでもないのだ。起こりえて当然だろう。
 慌てたまま、深く考えずにただただ隠したい一心でタオルケットを腰に寄せる。が、一枚しかないタオルケットで
そんなことをすれば当然――
「あら」
 不思議そうな、如月更紗の声と同時に。
 彼女の下半身を隠していた布切れが、すべて剥ぎ取られた。
「…………ッ! ……!?」
 完全に――本当に一糸纏わぬ姿になってしまった如月更紗を真正面から見てしまい、何も言えなくなってしまう。
隠したり恥かしがったりしてくれればやりやすいものの、如月更紗は横になったまま、身じろぎすらしようともしない。
普通手で隠したり叫んだりするものじゃないのか。
 むしろ僕が叫びたい。
 全裸でベッドに寝る如月更紗は、タオルケットを剥ぎ取った僕を見て、笑顔のまま言った。
「――見たかったの?」
「断じて違う!」
「じゃあ脱がせたかったのね」
「更に違う! そんなことがあってたまるか」
「じゃあ……」如月更紗はさらに考え込み、これは間違いないぞとばかりにいい笑顔を見せて、「襲いたいのね?」
「お前が僕のことをどう思ってるか、なんとなく分かった気がしたよ……」
「シスコンの駄目人間?」
「あってるけどさ……」
 合ってるけど。
 言うなよ、そういうこと。
 後者はともかく――前者は、簡単に口にするな。
689いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/11(木) 00:02:43 ID:VQEobuYl

 僕の気配が変わったのに気付いたのか、如月更紗は神妙な顔をして視線をそらした。最も全裸なのでまったく様にならない。
一瞬で気まずくなった空気の中、如月更紗がぽつりと、
「舌が滑ったわね」
「口が滑るんじゃないのか……?」
「キスをしたせいだわ」
「昨日のことだろう、それ」
「いいえ、いいえ」
 如月更紗は器用にも、寝たまま首を横に振った。彼女の裸体を隠すように伸びている髪が蠢く――ああ、その光景を艶かしいと
思ってしまっても、罪はないのだろう。白い肌に黒い髪は良く映える。
「つい一時間ほど前にも」
「不法侵入した挙句に寝てる人間にキスをしたのか!?」
「冬継くん、無用心よ」
「寝るたびに警戒するなんて非日常的なことできるか!」
「いえ、いいえ。そうでなくて戸締りがよ」
「戸締り……?」
 つまり、どこか窓なり扉が開いていたのか……? そりゃ今のこの家には盗まれるものも襲われるものもない。両親もいないし、何よりも
大切な姉さんは――僕以外には見られない。姉さんの部屋には誰も入ることができない以上、放火でもされない限り、どんな泥棒が入ったと
しても大した被害は受けない。
 そういった事実もあり、戸締りがおざなりになっていたのも事実だ。ひょっとしたら、鍵をかけわすれていたのかもしれない。
 まあ……それでも夜中に人の家にまで来て忍び込む理由の正当化にはならないが。
 如月更紗はしゃきん、と鋏を鳴らし、確信的に断言した。
「シリンダーは新しいのに交換するべきね」
「ピッキングだな!? ピッキングしたんだなお前!」
「窓を割られなかったことは僥倖というべきね」
「そう言うってことはお前割る気だったんだな!?」
 確かに如月更紗が持っている鋏をつかえば、窓の一つは二つ破壊は容易いだろう。しっかりとしたつくりをしているから、長い
だけでなく破壊力も十分にあるだろう。それを片手で振り回せるということは、如月更紗は意外と力があるのかもしれない。見た
限りでは、箸しかもてないような細腕なのに。
「しかし、シュールだな……」
 思わず口から出た僕の言葉に、如月更紗は目だけで《何が?》と問いかけてくる。
「でかい鋏持った全裸の同級生と添い寝してる事実がだ」
 言って、未だおきようとしない如月更紗を置いてベッドから身を起こした。身体にまとわりついていた
タオルケットを如月更紗の身体に投げつけてやる。いくら“裸婦画のような”裸身だとはいえ、クラスメイト
の素肌をじっと眺め続けているとおかしくなりそうだ。
 ただでさえおかしな頭が、さらに壊れてしまいそうだ。
 ベッドから離れ、部屋を横断して勉強机に座る。着替えようかと思ったが、今こいつの前で着替えなんて隙を
見せたくないのはやめた。ぼろぼろのGパンにシャツのみという姿だが、全裸やパジャマよりはましだろう。
 如月更紗は、僕と同じように身を起こし――けれどベッドから離れず、立ち上がることもせずに御姫様座りを
した。タオルケットを被ってはいるものの、前を閉じていないせいでほとんど見えている。胸と鎖骨の一部が髪の毛
で隠れているのがやっぱり艶かしい。
 というか……今更気付いたが、こいつ生えてないのな……
 脇と股間に流れかけた眼をむりやり如月更紗の顔に固定する。
 阿呆なことは、抜きだ。
 そろそろ――真面目になろう。
 全裸の衝撃からようやく抜け出し、僕は如月更紗を睨みつけるようにして、問うた。
「それで――納得のいく説明をしてもらおうか」
 自分でもきついと感じるような声を前にしても、如月更紗は少しもひるまなかった。
 妙に印象に残る、嘲うような、笑うような、微笑むような、楽しむような――曖昧な笑みを浮かべて、如月更紗は言う。

「私がその気になれば――冬継くんは死んでいたよ」


・六話(前)了
690いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/11(木) 00:04:43 ID:VQEobuYl
一時中断です
>>677
他で指摘されてるよう、わざと作風を変えて「コミカルさ」の練習も兼ねてます
が、どうもいまいちな気がして、元の深く沈む感じの文章に変えるかどうか悩み中
とりあえずそろそろ病みはじめたり、エロが入ったりします
691名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 00:09:10 ID:aA8tVlPY
最高っすわ。続き、楽しみに待ってます。
692名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 04:47:47 ID:zAx+jDpc
因みにグレゴリーではなくグレゴールだったと思います。
693名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 12:26:19 ID:MhCwlwlb
蜘蛛ではなく毒虫(原典の表記からすると芋虫もしくはムカデ系)だったと思います。
694名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 12:27:31 ID:MhCwlwlb
面白いから別にかまいはしないと思いますが、一応。
695いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/11(木) 17:09:56 ID:RYdu6W/M
>>694
ご指摘ありがとうございます
前者は作中の人物の勘違いとして、後者は小さな伏線としての意図的な間違いです
分かりにくくて申し訳ありません

696いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/11(木) 17:39:38 ID:RYdu6W/M
 ――死んでいた。
 それは言われるまでもないことだ。寝ている間は誰だって無警戒だ。寝首をかく、という言葉があるくらいだ、『その気』さえあれば、
子供にだって殺すことことは容易い。そうした危険性を普段意識しないのは、《その気》になるような人間が周りに存在しないからだ。も
しもそういう人間が大多数を占めていたら、僕らは眠ることすらできなくなるだろう。
 けれども現実は違う。そもそも家とは、そういった外敵から身を守り、安眠するために存在するのだから。
「そういった言葉は、危険性の低い人間が言うことだ」
「私はその気にならなかった。私は冬継くんを殺さなかった。それでは不満?」
「ああ、不満だね」
 吐き捨てるように僕は言う。朝起きて隣に鋏があるのに、不満を覚えない奴は聖人君子か狂人だけだ。
「そんな忠告をするだけなら――わざわざ忍び込むことはないだろう」
 おや、という顔を如月更紗はする。馬鹿にされたような気がしたが、無視した。
 そう――言われずとも、それくらいは気付いている。如月更紗はようするにこう言いたいのだ。
『私がこうして入ってこられた以上、他の悪意を持っている誰かが同じように忍び込むことも可能なのだ』、と。
 けれど。
「お前以外の誰がそんなことをするっていうんだ」
 確かに夜寝ている間に忍び込まれたら身の危険は危ういだろう。それは理論だけのことで、実際に忍び込まれたのは、
十何年と生きていて今日が始めてた。比較的無茶苦茶な性格をしている神無士乃だって、夜訪れるときはインターホンを
鳴らす。窓を割ったりピッキングして侵入した挙句、全裸で添い寝をされたことなど一度もない。
 もっとも、ピッキングも窓を割ることもせず、隣に寝ていた姉さんが夜部屋に来ることは――多かったけれど。
 そのことは顔に出さないように努め、僕は如月更紗を睨む。睨むが、相手が全裸なのでいまいち睨みづらい。
 如月更紗はその身体を隠そうともせずに、言った。
「――チェシャ」
 その言葉に、思考が一瞬だけ止まる。
 チェシャ。
 不思議の国のアリスに出てくる、にやにや笑いだけが残った透明猫。
 物語の中の、登場人物。
 けれど、今如月更紗が口にしたのは、間違いなく――物語の外の登場人物のはずだ。
《チェシャ》と呼ばれる、誰かの話。
 固まってしまった僕に対し、如月更紗は愉悦の笑みを浮かべて言葉を吐いた。
「言ったでしょう? チェシャの奴が貴方を狙っていると。そして、私は貴方の安全を保証すると」
「……なあ、昨日もその名前が出てきたんだが、誰なんだそれ」
 チェシャ。ソレが、殺意を持って僕を狙っていると――如月更紗は言った。
 つまりは、敵だ。
 敵がいること自体に問題はない。生きていれば敵は勝手に増える。問題は、どうして敵なのかということだ。
 如月更紗は、朗々と、唄うように話を続けた。
「チェシャ猫は探索係。姿を消して、《敵》がひっかかるのを待っている。アリスと森の中で出会ったように――異邦人に対する、警戒役。
 向こう側に入ってしまえば、向こう側に接触しようとすれば、必ずチェシャの縄張りに触れることになる」
「……マークとセンサーとトラップが一緒になったような奴か」
「無粋な言い方だけれど、そういうことね」
 索敵と、警戒と、罠。
 道を行こうとすれば触れてしまい、姿も見えぬままに後を尾けられる、か。
 だから、チェシャ猫。
 成る程――と、僕は如月更紗に気付かれないように、心中で納得した。チェシャが誰かは分からないが、
どうして狙われているのかは何となく分かった。
 ようするに、調べ物の最中に僕はチェシャのセンサーに引っかかったのだ。『立ち入り禁止』と書かれた向こう側
に入ってしまった人間を、中にいる番犬が食い殺すように。
「つまり……そいつが僕を殺しにくる、と?」
「少し違うわね」
 如月更紗は指をぴんと僕に突きつけた。その際にタオルケットが肩から落ちて再び裸体がはっきりと見えてしまうが、
今はそんなことを言っている場合ではない。如月更紗も、タオルケットを被りなおそうとはしなかった。
 僕を指差したまま、如月更紗は――笑うことなく、言う。
「チェシャは探索係。チェシャは呼び水。貴方が奴に見つかれば、きっと彼女がやってくるわ」
「彼女?」
「そう――」
 如月更紗は、僕の問いに。
 笑うことなく、最後まで笑わないままに、どこか憂いを帯びた瞳で、告げた。
 
「――裁罪のアリスが、やってくる」
697名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 17:46:30 ID:ZrXA2zGW
>>690
コミカルなら、もう少し地の文を抑えた方が良いかも。会話メインで進めていくと少しテンポがよくなる希ガス。書いたことないけど。

なにはともあれGJ
698いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/11(木) 17:53:18 ID:RYdu6W/M
 その名を聞いたとき、僕の背を走ったのは――まごうことなき怖気だった。
 名前を聞いただけで、心が揺さぶられる。
 名前を言われただけで、恐怖を覚える。
《裁罪のアリス》のアリスとはそういう存在だったのだ。その名前を、僕は知っている。調べ物の最中に、
幾度か突き当たった、幾度となくめぐり合った、忌避すべき噂話。
 噂。
 そう、噂だ。噂の中にのみ、『裁罪者』は存在する。その名を口にする少女たちは、あるいは誇らしげに、あるいは
忌避すべき者として、あるいは恐怖と共に――その名を告げる。そのくせまるで実体のない、色鮮やかに心に浮かんでは
消えていく、亡霊のような噂話だった。
 それでも、彼女たちは確信していた。『裁罪者』がこの町のどこかにいることを。

 ――『裁罪のアリス』は殺人鬼だ。

 噂では、そういうことになっていた。
 裁罪のアリスは殺人鬼であり、救世主であり、唾棄すべき敵であり、敬愛する仲間であると。人を守ることも
人を襲うことも人を救うことも人を哂うこともない。願いを聞かなければ導きもしない。
 愛しもしなければ――憎みもしない。
 年齢も名前も分からない。顔も姿も知られていない。黒い傘を持った少女で、黒い猫を連れているということ
くらいしか、話の中では正体が伝わっていない。
 はっきりと分かっていることは、ただの一つだけだった。
『裁罪のアリス』は――亡霊のように現れ、名前の通りに、罪を裁くのだと。
《ソレ》に関わるものの罪を、容赦も微塵もなく裁く。その基準も意味も彼女しか知らない。
『貴方は有罪』と告げて、何の容赦も何の慈悲もなく、相手を殺す。
『貴方は無罪』と告げて、何の躊躇も何の嫌悪もなく、相手を殺す。
 何の指針もない、滅茶苦茶な裁判が行われるだけだ。それはさながら、不思議の国のアリスの終盤で出てきた、
あのおかしで理不尽な『裁判』のように。
《ソレ》に関わるモノ全ての上に平等に訪れる、都市伝説の殺人鬼のような――そういう、噂だった。
 だからこそ、僕は思う。 
 ――上等だ、と。 
「アリスが――僕を?」
「その様子だと、知っているみたいね」
 如月更紗がくすくすと笑う。僕の態度から、僕が《裁罪のアリス》のことを知っていると読み取ったのだろう。
それはあまり歓迎すべき事態ではなかった。その噂は、普通の人の間で噂にあがるようなものではないのだ。学校
で誰とも話さずに一人片隅で本を読んでいるような、そういう無口で《噂話》とは縁遠い孤独な少年少女の間に密
やかに広まる噂話なのだから。
 例えばそれは、姉さんのように。
 例えばそれは、如月更紗のように。
 周りと会合できないような人間の中で広がる噂なのだから。それを知っているということは――知ろうと努力
したのだと認めることに他ならない。
「けれど里村冬継くん? 狙われるのは、貴方が悪いのよ」
 けれど、如月更紗は。
 そんな僕の心配を全て吹き飛ばすかのように、決定的な一言を。
《ソレ》の名前を、告げた。


「貴方が狂気倶楽部について調べようとするから――チェシャの縄張りに引っかかったのよ?」




699いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/11(木) 18:08:32 ID:RYdu6W/M
「………………」
 その言葉を聞いて――もう、ふざける気はなくなった。
 不法侵入も全裸も明日のことも昨日のことも、全ては後回しだ。
 どこまで知っているかは分からないが……そこまでを知っている相手が目の前にいるのだ。
他の全てを差し置いてでも、向かい合わなくてはならない。
 話を聞かなければならないし、
 場合によっては――殺さなくてはならない。
「如月更紗」
 僕は彼女の名前を呼びながら、座った机の引き出しを開けた。そこに入っているのは、鈍く銀色に光るナイフだ。刃の長さは二十センチほどで、
如月更紗の持つ鋏よりも短いが、使い勝手なら彼女のソレよりも良いだろう。
 魔術単剣だ、と姉さんは誇らしげに言っていた。
 これは儀式に使うのよ、と言いながら、姉さんはこのナイフで自分の手首を切っていた。
 今では、ただの遺品だ。それでもこれが、他人を殺すことのできる道具であることには違いない。
「――どこまで知っている?」
「貴方が狂気倶楽部について、こっそりと調べたこととか?」
 如月更紗は笑っている。突然ナイフを取り出した僕に対して惑うこともなく、常と変わらない笑顔を浮かべている。
 ああ――そうか。
 全裸とか、不法侵入とか、そういったレベルの話ではなく。
 この女も、向こう側に居るのだと、今更ながらに僕は実感していた。恐れるべきは突然鋏を取り出したことでも、鋏を振り回すこと
でもない。それこそを日常としている点だ。
 如月更紗にとって、誰かが突然ナイフを取り出したり、誰かが突然鋏を取り出したり――その挙句に刺したり刺されたり殺されたり
殺したりするのは、何ら特別なことではないのだ。
 だからこそ、彼女は《いつものように》笑っている。
「貴方の姉さん――里村春香の死について調べるべく、あちこちを探りまわっていたこととか?」
 笑ったまま如月更紗は続ける。
 その言葉には迷いはないし――その内容に、間違いはない。
 春香姉さん。
 僕の愛していた姉さん。
 一年前に学校から飛び降りた姉さん。
 狂気倶楽部というわけのわからない団体に身を置き――12月生まれの三月ウサギと呼ばれていた、姉さん。
 他人と触れ合うことを怖がっていた姉さんは、僕の知る限りいつでも一人だったはずだ。僕以外の人間と触れ合う
こともなく、《集団》に所属することもなく、一人で生きていた姉さん。
 そんな姉さんが、狂気倶楽部というものに属していたことを、僕は姉さんが死んでから初めて知った。それ自体は
別にかまわなかった。姉さんの社交性がほんの少しだけ広がろうが、姉さんが僕の姉さんであることに変わりはなかっ
たからだ。
 問題は、死んでしまったことだ。
 死ぬなんておかしい、とは思わなかった。姉さんはいつだって死にたがっていたから。
 自殺なんておかしい、とは確信していた。姉さんはいつだって死を怖がっていたから。
 なら。

 姉さんを殺した奴が――狂気倶楽部の中に、いるに決まっているのだ。

 だからこそ僕は、それについて調べ出したのだから。
「よく知ってるな」
「貴方は、隠そうとしなかったから」
 くすくすと如月更紗は笑う。その笑いが疎ましく、同時に心地良い。
 彼女は、知っている。
 僕の知らない何かを知っている。それが嬉しくてたまらない。
 姉さんを殺した犯人を知っているなら――殺してでも、教えてもらう。
「一応隠してはいたんだけどな。それでも、動いていれば《向こう側》から何らかのリアクションがあると思った。
こんなにも早いとは思わなかったがな」
「あら、あら、あら。つまり私は、」
 如月更紗は意外そうに、そして楽しそうに笑う。
「貴方がチェシャにひっかかったように――私は貴方に引っかかったのね?」
「そういうことだ」
 言って――僕は、机を離れた。ベッドまでは五歩もない。
 ナイフを持ったまま、如月更紗との距離を詰める。
700名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 18:50:56 ID:OS6AtQFQ
連投規制にかかっているのか?
701名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 18:57:21 ID:bfGI7nrl
日本語がおかしいおかしい
702いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/11(木) 19:25:26 ID:RYdu6W/M
 五歩は近いようで、遠い。間を詰め切ってしまえば、足ではなく腕を動かす必要がある。振うのか、振わないのか。
それを決めなくてはいけない。五歩を歩くという、短い時間の間に。
 一歩前へ出て、如月更紗に問う。
           ・・・
「如月更紗。お前は――誰だ?」
 確信を込めて、核心を問う。
 里村春香姉さんが、12月生まれの三月ウサギだったように。
 如月更紗は《誰》なのかと、僕は問う。今ここに至ってまで、彼女が無関係な人間だとは思わない。
そこまで知っているからには、彼女は関係者のはずだ。そうでなくとも、向こう側の存在であるのは間違いない。
 敵なのか、味方なのか――そんなことはどうでもいい。
 問題はただの一点。姉さんを殺したか否かということだけだ。
 如月更紗は、近づいてくる僕にも、僕の持つナイフにも構わずに、笑いを浮かべた。
 楽しそうな――笑いだった。
 笑みを浮かべて、如月更紗は言う。
 
「君の姉さんと、君の姉さんが、君の姉さんに、最も仲が良かった人を知っている」

 それは――まるで別人のような、皮肉に満ちた言葉だった。冗談を言っているときとも違う。
さながら、《そんなことはどうでもいいのだ》と言いたげな、投げやりすぎる言葉だった。
 如月更紗ではなく。
 如月更紗の姿を借りた、誰かが言っているような、そんな口調だった。
 だが今はそれを気にしている暇はない。彼女の言った内容こそに、注意するべきだ。
「何――?」
 最も仲が良かった。
 それは――僕よりもか。
 僕よりも、姉さんと仲が良かった存在が、いるというのか。
 二歩目を踏み出し、僕は如月更紗に問う。
「そいつが、姉さんを殺したのか?」
「さあ」
 如月更紗は肩を竦めた。むき出しの肩が上へと上がり、鎖骨が蠢く。
「私は知らない。貴方も知らない。でも、《彼》なら少なくとも知っているでしょうね」
 くすりと、笑い。
「何せ、《彼》は『12月生まれの三月ウサギ』の最後を看取ったのだから、ね」
 ――それは、つまり。
 ソイツは姉さんの死に、直接的にも間接的にも関わっているということじゃないか。
「そこで何があったのか、あるいは何もなかったのか、私は知らないわ。知っているのは《彼》だけ。
だから貴方がそれを知りたいというのなら――《彼》に聞くしかないよ」
 その言葉に、僕は三歩目を踏み出した。
 ベッドまではあと一歩。ベッドの上にいる如月更紗までは、あと二歩。
 二歩で、手が届く。
「その《彼》は、《誰》だ?」
 もっとも重要な問いに、如月更紗はあっさりと答えた。

「『5月生まれの三月ウサギ』」
703いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/11(木) 19:30:48 ID:RYdu6W/M
「…………」
「里村春香さんの、《次》」
 ――次。
 その意味を僕は知っている。狂気倶楽部の代替制度。いなくなった穴を誰かが埋めて延々とお茶会を続ける遊び。
 姉さんを殺したかもしれない奴が、姉さんの居場所を奪って、今もなおそこにいる。
「もっとも、もう更に《次》になったけれど」
「……どういうことだ?」
「ウサギの寿命は短い、ということよ」
 如月更紗は意味ありげに笑った。ウサギの寿命は短い――その言葉を心中で咀嚼する。
 12月生まれが、五月生まれに引き継がれて。さらに、別の人になったということだろうか。
 入れ替わり、入れ替わる。そうしてお茶会は続く。なら、ソイツもまた、姉さんと同じように死んだというのだろうか?  姉さんの後を、追うように?
 四歩目を踏み出すと、如月更紗は何を訊くよりも早くしゃべり出した。
「彼に会わせることはできるけれど、今はまだ難しいわ。彼もまた、貴方と同じようにゲームの途中だから」
 そろそろ、終わりそうだけれど――そう付け加えて、如月更紗は笑った。
 ゲームの途中。
 そいつもまた、僕と同じように、チェシャに追われているのだろうか。代替わりしたということは、狂気倶楽部
から抜け出したということだ。そこで何があったのか、少しだけ気になった。疑問だけはいくらでも浮かんでくる。
 が、それは、僕には関係のない話だ。僕と姉さんには、関係のない話だ。
「お前が殺したんじゃないんだな?」
「私は誰も殺せはしないわよ」
 笑いながら如月更紗は言う。殺人者ではないことを誇らしげに。
 人殺しの道具にしか見えない鋏を持ったまま、誇らしげに如月更紗は言う。

「貴方こそ――今、私を殺すのかしら?」

 足が止まる。
 如月更紗までは、あと一歩だ。
 あと一歩で、手が届く。
 あと一歩で――ナイフが届く。
 夜中に家に忍び込んできた不審者を返り討ちにした。それは、果たして正当防衛になるのだろうか。
 殺すことにためらいがあるはずもない。
 けれど――殺したことで、目的が達せないのは、困る。
 僕は人殺しになりたいのではない。
 人を殺したいのではない。
 姉さんの死について、知りたいだけなのだから。
 そのことに如月更紗もまた気付いているのだろう。鋏を向けることもなく、逃げること
もせずに、悠々と僕を見たまま彼女は言う。
「自殺ということになっているけれど、真相は彼しか知らない。それを知りたいのは私も一緒よ。
なにせ――彼女は、オトモダチだったのだから」
 オトモダチ。
 その言葉ほどうそ臭いものはなかったが、とりあえず聞き流すことにした。
「《五月》を紹介するのは吝かではないわ。ただし、そのためには貴方は乗り越えなくてはならない」
 何を、と問いかけて気付いた。
 ここで、話が元に戻るのだ。
「真に知りたければ、チェシャの手を逃れないといけない。だから言ったでしょう、里村冬継くん。

 貴方は命を狙われていると。そして、貴方の安全を私が保証すると」

 しゃきん、と鋏を一度鳴らし、如月更紗は笑みを浮かべたのだった。
704名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 19:30:53 ID:gm7y/I3X
(´,_ゝ`)プッ
705いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/11(木) 19:46:41 ID:RYdu6W/M
 その笑みを見ては、何も言えない。
 如月更紗はいつだって、僕に向かって親愛の笑みを向けている。時にその笑みが変貌することがあっても、
殺意に変わることはない。敵対する意志を見せようともしない。
 彼女もまた、狂気倶楽部の一員であるはずなのに。
 その確信があったからこそ、屋上であんなことをされても、拒否することも逃げることもしなかったのだ。異常
な相手が近づいてくることは避けるべきことではない。僕はまさにそれを待っていたのだ。
 もっとも、それがクラスメイトだとは思わなかったが。 
 世界は狭くて近いものだ――それとも、狂気倶楽部は山のように存在して、その中でクラスメイトだという
理由で近づいて来たのだろうか?
「出来すぎていると思わないか、状況が」
 その疑問を、如月更紗に向けてみる。特に意味もない。考える時間を埋めるためのような質問だ。
 それでも如月更紗は律儀に答えてくれた。僕を指差していた手をすっと降ろし、
「そうでもないわ、そうでもないの。貴方が自分の姉がいるという理由で高校を選んだように、私
も似たような理由で進学したのだから。遭遇率は、遅かれ早かれあったのよ」
 同じクラスだったのは、奇遇だったけれどね。
 そう言葉を結んで、如月更紗はしゃきんと鋏を鳴らした。
 姉さんの友達だと、如月更紗は言った。
 なら、こいつはきっと――
「……チェシャは」
「え?」
「チェシャは、もう僕のことを知っているのか?」
 僕は、ナイフを下ろして、彼女に問うた。向けられたナイフが外されても、彼女は笑い続けている。
ただ、その笑みが――少しだけ嬉しそうだったのは、きっと僕の気のせいなのだろう。
「さあ?」
「…………」
「本当よ。チェシャに会うなんて私にだって出来ないわ。けど――動いている以上、すぐに現れると思う」
「だから、か」
「…………?」
「だからお前は、夜中に侵入なんてまでしてまで襲撃を警戒していたのか。
 律儀に学校帰りに尾行までして」
「あら」如月更紗は目を丸くして「気付いてたの?」
「いや、ひっかけてみただけだ」
 本当に気付いていなかった。
 ただ、昼にあんなことを言って、夜にまで訪れたのに、その《下校時間の空白》は不自然だと思っただけだ。
家を知られていることも説明がつく。恐らく、正直に訊ねても教えてくれないだろうと思ったから、そういう手段
をとったのだろう。あるいは離れてチェシャを警戒していたのかもしれない。
 僕の身の安全を保証すると、如月更紗は言った。
「……どうしてだ?」
「何が?」
 目を丸くしたままの如月更紗に、僕は問う。それはこの状況で、たった一つだけ残った疑問だった。

「お前が僕を殺しにくるならまだ分かる。けど――お前に守られる理由がわからない」
706いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/11(木) 20:01:31 ID:RYdu6W/M
 そうだ。狂気倶楽部の一員であるはずの如月更紗が、狂気倶楽部と敵対する行動をとる僕を
始末しにきたのなら納得できる。彼女が持っている鋏でさえ、その説の補強になるだろう。こ
いつが僕を殺すために送り込まれてきた人間だとしても、僕は驚かない。
 それを返り討ちにして真実に辿り着こうとすら思っていたのだから。
 けれど訪れたのは、キスの下手くそなクラスメイトだった。その上、自分の所属している狂
気倶楽部を裏切って僕を守ると、そう言っているのだ。
 わけがわからない。理由がわからない。
 納得が――いかない。
「それだけ説明してくれたら――僕はお前を信用するよ、如月更紗」
 信用して、仲間になってやる。信用して、守られてやる。
 僕と、姉さんのために。
「ああ、なんだそんなこと……」
 如月更紗は、僕の問いを《そんなこと》と切り捨てて笑った。言葉と一致しない
ちぐはぐな嬉しそうな笑み。その問いを待っていたのかもしれない。
「言ったでしょう? 里村春香とは、オトモダチだったのよ」
「……それで?」
「貴方の話も聞いている。姉に狂った素敵な弟がいると」
「…………」
 言われたくないが、聞き流す。それは、如月更紗の評価ではない。姉さんが、僕に下した評価だ。
 そしてそれは――その通りだ。
「そんな愉快な弟に、私は興味を持っていたのよ。一度会いたいと。
 だからこそ進学したし――貴方と同じクラスになれたとき私は悦んだわ」
「…………つまり?」
 要領を得ない発言に、僕は先を、結末を促す。
 如月更紗は僕を見たままに、鋏をニ度しゃきんしゃきんと鳴らして、彼女の理由を口にした。

「――惚れたら悪い?」

「…………」
「好きな人を守りたいと、思ったらおかしいかしら?」
 それが。
 それが――お前の理由か、如月更紗。
 屋上でのやり取りも、ここでのやり取りも。行動も、理念も。それが理由なのか。
 好きだからそうするという、単純な答え。
 そんな馬鹿げたことが、お前の行動理念か。
 なら――お前は、僕と一緒だ。
 死んだ人間に恋し続ける馬鹿な僕と、お前は同じだ、如月更紗。
「まったく……どいつもこいつも」
 僕はナイフを床に放り投げ、部屋の片隅を見た。如月更紗もつられたように見るが、彼女には何も見えないだろう。
 部屋の隅には、姉さんが立っている。
 目を覚ましてからずっと……いや、如月更紗がきてからずっと、姉さんはそこで僕らを見ていた。僕にしか見えない姉さんは、
いつだって側に居る。僕が姉さんのことを想っている限り。
 姉さんは、僕と、裸の如月更紗を見て怒っていない。笑っている。
 なら――もう少しだけ、僕はやり続けられるだろう。姉さんが微笑んでくれている限り。
「如月更紗」
 名前を呼んで、僕はさらに一歩を踏み出し、ベッドの上にあがる。
 如月更紗に手が届く距離だ。けれど、もう手にナイフは持っていない。如月更紗が鋏を持っているだけだ。
「なぁに、冬継くん?」
 楽しそうに如月更紗が答える。ああ畜生、こいつはきっと、僕の答を知っている。僕の取りえる道はそれし
かないのだから。知っているからこそこんなにも楽しそうに笑っているのだ。
 いいだろう、如月更紗。
 僕はお前の提案に乗ってやる。
「目ぇ潰れ」
 昨日そうしたように、僕は如月更紗に言う。彼女は順々に目を瞑った。
 全裸のクラスメイトが、ベッドの上で少しだけ顔を上げて、目を瞑っている光景。
 ぞくぞくるのは、これからのことを考えているせいか、それともこの状況のせいか。
 分からぬままに、僕は如月更紗へと手を伸ばし、

 ぴんぽーんと、間の抜けた音をインターホンが吐き出した。
707いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/11(木) 20:04:33 ID:RYdu6W/M
以上で少し長めの六話が終了です。
読んでくれてる人ありがとうございます
《終わらないお茶会》と繋がっていますので、先にそっちを読んでいただけたら幸い。

>>597
あーそうか、地の文が多いからか……
今度試してみます


次は、幼馴染襲来。
708名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 20:31:15 ID:fI/Ij39B
化物語にそっくりというのが残念。
709名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 12:09:44 ID:+LATI9LY
age房にかまうことないと思うが
710いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/12(金) 22:49:39 ID:J8cR6X3g
>>709
ごめん>>697でした

711名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 23:10:40 ID:924GIdja
>>707
如月さんも「誰か」なんだろうか…?
とにかくGJです!でも確かにコミカルさではマッドハンターの時とあまり変わらないw
712いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/12(金) 23:34:25 ID:J8cR6X3g
七話投下します
713いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/13(土) 00:04:41 ID:+bXpdwYt
 神無士乃についてのあれこれ。カンナシノ、とカタカナで書くとどこまでが苗字でどこまでが名前なのか
分からないな、とからかうと怒られたことがある――なんてささやかなエピソードはここでは置いておく。
神無士乃がクラスで神無ちゃんと呼ばれていようが士乃ちゃんと呼ばれていようが僕にはまったく関係ない
からだ。二歳も違うと世代が一つは違うと考えていい。神無士乃と同じ学校に通うのは僕が三年生で士乃が
一年生、という形にしかならないので、彼女が中学校でどんな扱いを受けていたのか知らない。高校に入っ
たとしても知らないままだろう。もっともそれは、神無士乃が僕と同じ高校に進学すればの話だけれど。
 20センチは低い身長。小さな背と大きな胸。兔の耳みたいなツインテール。丸い瞳と、女性らしい体つ
き。如月更紗が人間味のない彫刻だとすれば、神無士乃は人間味に溢れる少女だった。行き帰りに着ている
モスグリーンのチェックの制服が印象深いけれど、結構な数の私服も持っている――それを知っているのは、
休日に共にどこかに遊びにいくからだ。姉さんと予定がないときは、神無士乃と遊ぶ。それが僕の日曜だっ
た。
 何せ、神無士乃は幼馴染なのだから。
 仲がよくも悪くもない。ただ神無士乃は僕から逃げないし、僕も神無士乃から逃げることはない。余計な
気をつかう必要もないし、疲れるけれど気を遣う必要もない。他の人間というよりは居心地がいい。それが、
僕にとっての神無士乃だった。こっちに引っ越してきた小学校の頃からその関係はずっと変わっていない。
 毎朝一緒に登下校をするのも――昔から変わっていないのだ。

「チャイムが鳴ったわ」
 裸のままの如月更紗が言う。こいつ、一向に隠そうとも服を着ようともしない。お陰で同級生の裸に見慣れてしまった。
この歳でそれはさすがにマズい。それ以上に、今この状況がまずい。
 朝から部屋に裸の同級生がいるという状況は、とてもマズい。
「鳴ったな」
「そろそろ始業開始かしら」
「学校からうちまでどれだけ離れてると思ってる! インターホンに決まってるだろうが!?」
「案外下校開始かもしれないわね」
「一日!? こんなやり取りで一日が終わったのか!」
 最悪な一日だった。
 というか、こんな馬鹿なやりとりをしている暇はない。まったくない。インターホンが鳴ったということは、
玄関前に人が来ているということで、それはつまり――
「先輩ー! いないんですかー!」
 玄関の外から、そんな神無士乃の声が聞こえてきた。
「…………」
 まずい。この状況を神無士乃に見られるのは非常にまずい。いくらなんでも不名誉すぎる噂をたて
られるのは確実だった。嫌われるのは別に構わないが、侮蔑されるのは僕のみみっちい尊厳が許さな
い。最悪学校にバラされて、同級生と朝から同衾した男という不名誉な名称を戴いてしまう。
「……如月更紗」
「何?」
「今すぐ服を着てここからいなくなれ。話の続きは昼休みにでも聞いてやるからどこでもドアでもワープでも
『あっちからこっち』でも何でもいいからとにかくここからいなくなれ」
「切羽詰まってるわね」
「誰のせいだと思ってるんだ!」
 お前のせいだ。
 如月更紗を今すぐ蹴り出したい衝動を必死でこられる。狂気倶楽部とか三月兔とか姉さんを殺した奴とか
チェシャとかアリスとかそういった様々なことを全て後回しにしたくなる。思想がなくても生きていけるが
パンがなければ生きていけないというやつだ。
 食うだけなら動物以下だ、とも言うが。
「とにかく、この状況を見られるわけにはいかないんだ」
「この状況?」
 小首を傾げて、唇に人差し指をあてる如月更紗。くそ、お前なんで今この瞬間に至ってそんな可愛げのある仕草をするんだ。
「この状況、だ」
 念には念を入れて言う。この状況――いうまでもない。ベッドの上で裸のクラスメイトとキスをしようとしていた状況だ。
もし神無士乃がこなければ、そのまま行為に及んでいたかどうかは……神のみぞ知る、ということだ。
「とにかく僕は神無士乃をごまかしてくるから、お前はとにかく服を着ろ。まずはそれからだ」
 問題はドウ誤魔化すかだが――最悪ぱっと着替えるだけ着替えてこいつを家に置いていけばいい。遅刻をして
困るのは如月更紗だけだ。留守を預ける、というのには非常に抵抗があるが、ピッキングをするような奴に言っても
仕方がない。
 神無士乃を誤魔化す算段を頭の中でまとめていると、
 ――がちゃん、と。
 玄関の方で、扉の開く音がした。
714いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/13(土) 00:21:21 ID:+bXpdwYt
 次いで、
「先輩ー! いないんですかー!」
 なんて、神無士乃の声が、家の中から聞こえてくる。
「…………」
「…………」
 如月更紗の顔を間近で見つめる。というか、睨む。如月更紗は飄々と、
「ピッキングしてそのままにしていたようね」
「無用心なのはお前の方だ!」
 この女……人の家にピッキングして入った挙句、そのまま扉を開けて放置していたのか。侵入者相手に言うのも変だが
せめて夜の戸締りくらいはやってくれ。不審者や暴漢魔が入ってきたらどうする気あったんだ。お前の目的はチェシャ猫
から僕の身の安全を保証することじゃなかったのか。それともあれか、社会的地位を抹殺するために送り込まれた刺客か。
 そう、突っ込みたいのは山々だったが――全て我慢した。今この状況でそんなことをしている余裕はない。状況は先よ
りも切迫している。なぜなら――
「先輩ー! もしかしてもしかするとまだ寝てますかー! 永眠ですかー!」
 そんなことを怒鳴りながら、二階への階段を昇ろうとしている神無士乃がいるからだ。
 いっそ、今すぐ部屋から飛び出て神無士乃をぐるぐる巻きにして浴槽にでも叩きこんで
しまおうか――そんな物騒なことを、半ば本気で考えてしまう。
「冬継くん」
 そんな僕とは対照的に、如月更紗は落ち着き払っていた。この鉄の度胸は少し羨ましい
ものがある。
「何か起死回生のアイデアでも思いついたのか?」
「ちゅー」
 口で言ってから、キスした。
 目を瞑る暇もなかった。
 さっき寸止めされたのが不満だったのだろうか――如月更紗は両手を僕の後頭部にあてて、無理矢理
頭を引き寄せてキスをした。また歯がぶつかるのか、と心配したが、衝突の寸前で減速したらしく痛み
はなかった。その代わりに、柔らかい唇の感触があった。
 目を瞑る暇も余裕もなかった――だから、はっきりと目を開けたままキスをしてくる如月更紗と、目
があってしまった。キスの最中に目があうことほど気まずいことはない。如月更紗の瞳は、はっきりと
僕にも分かるくらいに、笑っていたのだから。
 トン、トン、トン、と二階へと昇ってくる足音が聞こえてくる。それでも如月更紗は手も唇も離さな
い。初めてのキスでもないのに、頭の中が真っ白になってしまう。くるくると回り進む現状に思考がつ
いていかない。
 如月更紗は、唇を離そうとすらしなかった。押し入るように、分け入るように。昨日教わったことを
忠実に実行し、歯をぶつけないように――そのぬるりと長い舌を、僕の口内へと差し入れてきた。
715いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/13(土) 00:31:37 ID:+bXpdwYt
 抵抗ができるはずもなく。
 今まで出来なかった分の鬱憤を晴らすかのように、如月更紗の舌はどんよくに蠢いた。一回目のキスが失敗で、
二回目のキスは僕からで。三回目のキスは寸止めで――四回目のキスは、如月更紗からのディープキスだった。
 トン、トン、トン、と足音が聞こえてくる。その音に会わせるようにして、如月更紗の舌が上へ下へ奥へと動
く。唇からちゅぱ、ちゅぱと水音が漏れるのが聞こえた。
 シーツに、雫が落ちる。
 とん、とん、とん――
 ぺちゃり、ちゅぱ、べちゃりと――
 頭がくらくらしてくる。キスをしている相手はクラスメイトで、何一つ身にまとっていないのだ。その上
今にも部屋に幼馴染が乱入しかけていて、それでも目の前の相手はキスをやめない。間近ではっきりと如月
更紗の甘い匂いを感じる。こうして裸だとよく分かる――それは彼女の体臭だ。汗臭い自分の身体とは違う、
まるでお菓子か香水で身体ができているかのような、理性をとかしていく匂いだ。
 すぐ真下に、如月更紗の白い裸体がある。手を伸ばせば届く。
 僕は。
 僕は、更紗に手を――

 伸ばそうとしたところで、部屋の隅に佇む姉さんと、目があった。

「…………ッ!」
 力ずくで――如月更紗の身体を引き剥がした。
716いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/13(土) 00:51:06 ID:+bXpdwYt
 今――僕は何をしようとしていた。
 如月更紗を抱こうとしていたのか?
 彼女を、名前で呼んで。
 姉さんの前で――抱こうとしていたのか。
 姉さんを抱いたベッドと同じベッドで、同じように如月更紗を抱こうとしていたのか。
 それは――許されるのか。
 それを、許していいのか。
 僕は思う。
 抱き終わった後――果たして。

 部屋の隅に、姉さんの亡霊は見えるのだろうか?

「…………」
 如月更紗から身を離し、姉さんと視線を絡めたまま僕は後ろへと下がる。何も見なくても、部屋の位置くらい
は把握している。たとえ後ろ向きでも、扉に辿り着くことは容易い。
 背中で、部屋の扉を、押さえつける。
 トン、トン、トン――背後で神無士乃が階段を昇ってくる音がする。寝ているであろう僕を脅かすつもりなの
か、もう呼びかけてくることはしない。それでも一段おきに音は近づいてくる。あと13段もあれば二階へ辿り
着くだろう。
 今すぐ部屋から出て、彼女を誤魔化すべきだろうに。
 僕はそれができない。振り向くことができない。扉から出ることができない。
 姉さんから、視線を逸らすことができない。 
 視界の端で如月更紗が僕と、僕の視線の先を見比べている。彼女にはただの部屋の隅があるようにしか見えな
いだろう。姉さんの姿は、僕にしか見えない。
 もう僕の心の中にしか――姉さんはいない。
 僕が忘れてしまえば。
 姉さんは、今度こそ本当に、居なくなってしまう。
「……姉さん」
 僕が呼ぶまでもなく、姉さんは、笑っていた。微笑んでいた。
 姉さんはずっと微笑んでいる。
 死んでからは、ずっと。
 死んだことで幸せそうに微笑んでいる。
 死ぬ前日、僕に初めて見せた、あの寂しくも嬉しそうな笑みを、ずっと浮かべている。
 ――ああ。
 今にして分かる。あのアルカイックスマイルは、きっと――自分を殺してくれる誰かを見つけた喜びの笑みだ
ったんだろう。
 死にたがっていた姉さんは。
 自分で死ねない姉さんは。
 自分を殺してくれる誰かを見つけて――自身の死を確信して、あの笑みを浮かべたのだ。
 姉さんは微笑んでいる。
 姉さんは、僕に向けて微笑んでいる。
 でも、その笑みは――――僕に向けられたものではないのだ。
「今すぐ出て行け、如月更紗」
 小声でそう言って、僕は逆に大声で廊下の向こうへと「神無士乃!」と呼びかけた。
 トン、トン、トン、という足音が止まり、
「はいはい何でしょう〜♪」
 という声が聞こえる。お気楽そうなその声に、僕はできるだけ感情を押さえつけて叫ぶ。
 いかにも焦っているように、叫ぶ。
「いいか、絶対に入ってくるなよ! 今着替えてるんだから入ってくるなよ! 扉開けるなよ!」
「ははあ、朝の処理中でしたか」
「どうしてお前はそういうことを平気で言うんだ!」 
 いつもの――いつも通りの、やりとりだ。
 これでとりあえず問題はない。
717いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/13(土) 01:09:04 ID:+bXpdwYt
 ちらりと部屋の中へと視線を戻すと、如月更紗は既に動き出していた。部屋の隅にきちんとハンガーにかけて
あった――いつのまにそんなことをしていたんだ――制服に袖を通し、身嗜みを簡単に整える。その間にもトン、
トン、トン、と近づいてくるが、如月更紗の着替えは早い。早着替えになれているのかもしれない。
 そして如月更紗は着終えると、部屋の片隅にあったトランクケースを手に取った。
 ……トランクケース?
 トランプの、トランクケースだった。赤のクイーンと白のクイーンを両面に模した、そこそこ重量のありそうな
トランクケース。キャリーケース、と呼ぶのかもしれない。長方形のでかい箱に車輪がついた例のアレだ。
 勿論、僕の物ではない。姉さんのものでも、家族のものでもない。つい昨日まで、部屋の片隅にそんなものは置
かれてはいなかった。
 となると、アレは如月更紗の私物ということになる。形はどうあれ、《泊まり》に来たので荷物が多く、全てを
詰めるために必要だったのかもしれない。
 普段からあんな鋏を持ち歩いていることを考えれば――他にもろくでもないものが入っていそうだが。
 最後に如月更紗は、その物騒な鋏を制服の後ろへと隠し仕舞った。後ろの席に座ってる奴でさえ、彼女がそんな
ものを制服の下に隠しているとは思わないだろう。体育の時とかどうしているんだろう。
「それじゃあ、冬継くん」
 如月更紗は別れを惜しむように、寂しさの入り混じった微笑みを浮かべた。その笑みの意味が、今ここを去るせ
いなのか、キスを無理矢理に中断してしまったせいかは――僕には判別がつかない。
 僕はまだ、如月更紗を完全に信用しているわけではないのだから。
 如月更紗が僕に一目惚れしたというのを――信じているわけでは、ないのだから。
 トン、トン、トン、という音がようやく途切れる。それはつまり、神無士乃が二階へと辿り着いたということだ。
ともかく今は神無士乃を引き下がらせ、部屋に入れないようにしなければならない。
 そう思う僕に対し、如月更紗は笑んだまま、
「また学校で会いましょう」
 と言って――二階の窓から、平気で飛び降りた。
 スカートが風でめくれあがるのだけが見えた……というか、あいつ最後まで下履いてないのか。履く時間がおし
かったのかもしれない。そういえば、上も下も下着をつけているようには見えなかったから。
 なんてことを考えたのは、勿論現実逃避だ。目の前で、飛び降り自殺をされたら誰だってそうなる。
「如月更紗!?」
 思わず彼女の名を呼びながら、慌てて窓まで駆け寄ると、芝生に着地し、さらにキャリーケースをうまく使って
塀を乗り越える如月更紗の姿が見えた。平然と、平気で、そのまま立ち去っていく。制服の後ろ姿が、家の影に隠
れて――見えなくなる。
 影も形もなく、如月更紗はいなくなっていた。
 窓から入ってこようと言ったのは、冗談でもなんでもなかったのかもしれない。
「先輩、先輩――!」
 扉の向こうから神無士乃の嬉しそうな声。この声は間違いなく部屋に入ってくる声だ。
 僕は慌ててズボンを脱ぎながら、
「待て着替えてるって言っただろ――!」
 そんな抵抗の振りもむなしく、予想通りに神無士乃は扉を開け放った。躊躇が微塵もない。その顔は喜色満面と
いう言葉に相応しかった。
「あらあら先輩は着替え中でしたか――!」
 トランクス姿の僕を見て、神無士乃は嬉しそうに笑い、その予想通り過ぎる反応に僕は内心で安堵しながらも慌
てたように脱ごうとしたズボンをはいて、

「――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――あれ、この匂い?」

 予想外に……神無士乃の、笑みが固まった。
718いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/13(土) 01:09:46 ID:+bXpdwYt
以上で七話終了です
719名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 01:14:16 ID:VOdhezk2
GJ!!

しかし、すごい気になるところで終わってしまうとは!!
あなたは鬼畜ですか!?
720名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 01:18:06 ID:xJRYJdjc
カチンコチンコ
721名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 10:41:59 ID:4FkeZULk
>>718
じ…GJ…!

明らかにただ者じゃなくなった神無志乃にわくてか
722名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 11:40:44 ID:bRr60mXu
突然だが「涼宮ハルヒ」のヤンデレ漫画やSSを最近見かけたが・・・
原作そういう話なの?
723名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 14:10:39 ID:p5HwsCfx
ある意味狂ってるが、流血沙汰を期待すると凹むぞ
724名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 14:31:46 ID:aDaq/Pwy
ヤンデレではないよ、ハルヒは。
725名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 20:19:24 ID:/pnX+o7g
>>722
DQN女のワガママを叶える為に登場人物全員が頑張るお話。
726名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 20:21:28 ID:6A/JoJrU
ところで>>634のキモウトの続きはまだかね
727名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 22:47:25 ID:bRr60mXu
黒楓事件依頼、ヤンデレ自体がはやったんだな、うん、そうにちがいない、そう決めた
俺がそうだし
728名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 23:25:53 ID:cKX5fbQ6
そういやSHUFFLE地上波でやってるな。黒楓ソフトになっちゃうんだろうか?
729名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 18:46:25 ID:XLR1Rr1S
GJす。続き楽しみにしてますわ。
730名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 20:40:48 ID:/HFMWtP9
書き込みテスト
731名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 02:37:20 ID:7hTAJdsA
http://yandere.web.fc2.com/

ヤンデレスレの繁栄を願って、保管庫を作ってみました。
これを機に、職人さんが増えたら良いなぁ……。
732名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 04:10:38 ID:+cYN0q5s
>>731
おぉ!!GJ!!
ヤンデレはまだまだ成長していくジャンルだと俺は思ってる!!
733名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 09:55:12 ID:NOOh+xVz
>>731
激しくGJ!
734いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/15(月) 19:08:07 ID:2lppWWhM
>>731
乙です

八話投下します。これで全体の三分の1は終わるはず……
735いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/15(月) 19:22:18 ID:2lppWWhM
 僕の動きは固まった。そして、神無士乃の笑みもまた固まっていた。
 いや――正鵠をきすなら、それは固まったとはいえないのだろう。神無士乃の笑みは、彼女の張り付いたような笑みは
全て抜け落ちていたのだから。仮面を無理矢理に剥がして素顔をさらけ出したような、そんな印象があった。いつも浮か
べている、あの楽しそうな小悪魔の如き笑みは、今の神無士乃の顔にはない。
 笑っていない。
 怒っても、いない。
 泣いてもいなければ喜んでもいない。一切の感情が抜け落ちてしまった顔で、その虚ろな瞳で、じっと僕を見ている。
 僕から――眼を逸らそうとしない。
 大きな丸い瞳が、じっと、じっと、僕を見ている。
 瞳の中には僕が映っている。ズボンに手をかけ、寝起き姿の僕自身が。その顔は、苦笑いのままで固まっている。
 ――固まっていては、いけないのに。 
 着替え中に突如として部屋の扉を開けられたのだから、大騒ぎして追い出さなければならないというのに。
 それが、出来ない。
 ナメクジに見据えられた蛇のように、動くことすら、できはしない。
 じっと、一心不乱に見つめてくる神無士乃の瞳から、逃れることができない。
 それでも、どうにか。
 口だけを動かして、どうにか、取り繕う。
「神無士乃! いつまで見てるんだ――」
「何の、匂いでしょうね?」
 にべもなかった。
 神無士乃は僕の言葉を聞いていなかったし――聞こうとすらしていなかった。彼女はきっと、僕を見てすらいない。
彼女の瞳が見ているのは、僕の周りを漂う、誰かさんの残り香なのだ。
 ――あの女。
 最後まで厄介事を持ち込んでくれた……と思うが、それが筋違いの恨みであることは十分に承知していた。普通なら
ばいるはずがないのだ。わざわざ部屋に乗り込んでくる幼馴染なんてそういないだろうし、その幼馴染が、匂いにここ
まで反応するだなんて、誰も考えはしないだろう。
 いや――シャンプーを変えたことを気付いたり、香水の匂いで人間を判別したりもできるのだ。それくらいはやって
も当然なのか……? しかし、着の身着のままだった如月更紗は、何の香水もしていなかったし、風呂に入ったわけで
もない。
 なら、やっぱり体臭だ。

 如月更紗の匂いを、神無士乃は嗅ぎ付けたのだ。

 それは――どうなんだ?
 異常だと、一言で切り捨てるべきなのか? それとも、これくらいの芸当は僕にできないだけで、
他の皆は誰だって出来るのだろうか? いつもと違う何かを感じ取る力は、獣だろうが人間だろうが
十分に備わっているはずだ。
 いや、違う。
 そうじゃない。
 そうじゃないんだ。問題はそんなところにはない。匂いをかぎつけたこと云々を今問題にしている暇
はない。
 そんなことでは説明がつかない。
 神無士乃の豹変に、説明がつかない。
「先輩、この匂いは、一体何の匂いなんですか? 私、かいだことないですよ」
 くすくすと、神無士乃は声だけで笑う。瞳どころか、口元すら笑っていない。
 真顔で、笑う。
 可笑しいそうに。
 犯しそうに。
 神無士乃は、声だけで、笑う。
「――――」
 僕は何も答えない。答えられるはずもない。
 神無士乃は――こんな奴だったか。僕は必死で記憶を探る。神無士乃。ずっと昔からの幼馴染。いつだって楽しそうに
笑っていて、僕をからかうように、僕にからかわれるように、笑って過ごしていた。
 神無士乃は、いつだって笑っていた。
 なら、それは。

 笑っていないのと、そう違いはないんじゃないのか……?
736いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/15(月) 19:35:41 ID:2lppWWhM
 僕はこの時になって初めて――狂気倶楽部でも、鋏を持ったクラスメイトでも、家族の幽霊にでもなく――ただの
幼馴染でしかなかった神無士乃の裏側をかいま見たような気がした。
 そして――その原因は、僕にもあるのかもしれない。
 朱も交われば赤くなる、どころの話ではない。
 子が親を見て育つように、昔からずっと側にいる幼馴染に、影響を受けたとしても、ありえない話ではないだろう。
 きっと僕はまともな人間ではない。それは認めよう。
 なら。
 その僕の側にずっと居た神無士乃がまともであると――一体どこの誰が保証してくれるのだろう?
 異常。
 異常とは――なんだ?
 狂っていることだろうか。
 里村春香は、狂っていた。
 如月更紗は、狂っている。 
 里村冬継も、狂っていて。
 神無士乃も――狂っているのかもしれない。姉さんを殺した奴だって、姉さんと共にいた奴だって、
名前だけしか知らないチェシャやアリスだって、狂気倶楽部だろうが誰だろうが、皆狂っている。
 なら。
 なら――それは。

 異常も正常も意味もなく、狂っている人間など、一人もいないのではないのだろうか。

 ここが極点なのではなく。
 普遍的な、ただの出来事。
 世界のどこかで、毎日のように行われている、ただの日常なのではないだろうか。
 笑わない幼馴染を目の当たりにして、僕はそんな、子供じみた――いや、思春期じみたことを
考えてしまった。考える必要などまるでないというのに、頭の中にするりと入り込んでくる。
 足をすくわれた気分だった。
 足元が、揺らぐ気分だった。
 今までの日常が、まったく別のものであったと、再認識させられたかのような――明確な、恐怖だったのかもしれない。
737いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/15(月) 21:01:14 ID:2lppWWhM
「いったい、何の臭いなんでしょうね――」
 言いながら、神無士乃は一歩、部屋の中へと踏み込んでくる。
 こちら側へと、踏み込んでくる。
 いけない。
 それは――いけない。
 それは、駄目だ。
 日常と非日常が入り混じってはいけない。異常と正常の垣根をなくしてはいけない。
 そんなことになれば。
 そんなことになれば――意味がなくなってしまう。

 異常だからという理由で死んでしまった姉さんの、死の意味が、なくなってしまう。

 だから。
 日常は、正常で。
 非日常は、異常で。
 そうでなければ、いけないのだ。
「見るなぁ神無士乃ォォ!」
 そう叫びながら、僕は思いっきり、腰まであげかけていたズボンを――そのままトランクスと一緒に、一気に引き下ろした。
先の如月更紗とのアレコレで大きくなっていた股間が、あられもなく神無士乃の目前にさらされる。もう、これしか手段がない
とはいえ、発作的な行動とはいえ……大切な何かを捨てた気分だ。
 神無士乃は。
 突然叫びながらトランクスを降ろした僕を見て、それから丸出しになった股間を見て、丸い瞳をさらに大きく見開いた。
 沈黙が一秒ほど。
 そして神無士乃は、トマトよりもなお赤く顔を染めて、「うひょわぇ!」と叫んだ。
 ……うひょわぇ?
 その叫び声はどうかと思う。
 だが――無表情は、消えた。真っ赤になった神無士乃は、恥かしそうに眼を逸らし、前ではなく
後ろに一歩下がった。
「着替え中だから入ってくるなって言っただろうが!」
「ただの露出狂じゃないですか!」
「自分の部屋で脱いで何が悪い!」
 言いながらさらに上着まで脱ぐ。こうなったらやけだ。
「他人の前で露出してるから露出狂なんですよ!」
「もっとこう気品のある名前で呼べよ! ストリッパーとか!」
「大して変わりません! 破廉恥先輩のバカァ!」
 叫んで、神無士乃は後ろに飛び退り扉を思い切り閉めた。いっそ全裸でリンボーダンスでもやってみせるか
とすら覚悟していたので、その行為には非常に助かるものがあった。
 人として大事なものを、捨てきらずにすんだ。
 半分くらい、捨てたような気もするけど。
「破廉恥先輩って名前みたいでいやだな……」
 僕はぶつくさと言いながら、換気のために窓を全開まであけ、制服に着替えなおした。部屋の外ではとんとんとん
と神無士乃が下まで降りる音がした。扉の前で待っている、ということはないだろう。
 とりあえず、誤魔化せた。
 その場しのぎとも言うが。


738いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/15(月) 21:35:56 ID:2lppWWhM
 誰もいなくなった部屋で、深呼吸をした。制服を適当に着終え、カバンをひったくるようにして持つ。
そのまま部屋の外へと駆け出ようとノブをつかみ、
 足を止めて、振り返った。
 部屋の隅で、姉さんは笑っていた。笑って、学校へ行こうとする僕を送っていた。
 姉さんが笑っていることに、僕は安堵する。
 姉さんが笑っていてくれる限り――僕は、大丈夫だ。
 姉さんのために、がんばる。
「行ってきます、姉さん」
 僕がそう言うと、姉さんは笑ったまま、ひらひらと手を振って送り出してくれた。

 さあ――今日も一日、頑張ろう。

 意気込んで玄関に下りると、神無士乃が体操座りをして床にのの字を書いていた。すねているらしい。
「楽しそうだな」
「嫌味ですよ!」
「なんだ。てっきり神無士乃のことだから、うきうき気分でやってるものだとばかり」
「先輩、それ死後です。そして楽しくないです」
「それを楽しんでやる奴とは、ちょっとお知り合いになりたくないな……」
 言いながら僕は座ったままの神無士乃の横を通り過ぎ、革靴を履いて、玄関の扉に手をかける。
「じゃ、そういうことで」
「何がそういうことでですか!?」
「いや、ほら。遅刻するし」
「遅刻ぎりぎりまで待ってたわたしの立場があまりにないと思うんですが」
「僕は全速力で行けば間に合うけど、お前は遅刻決定してるからなあ」
「外道! 町内の皆さん、ここに外道がいますよう!」
 立ち上がり、街宣カーのように宣言する神無士乃。うん、いつもの神無士乃だ。
 これでいい。
 いつもの、朝だ。
「冗談は置いといて、本気で遅刻するから急ごうか」
「朝ごはんはどうします?」
「明日の朝に食べる」
「意味ないです!」
「じゃあ神無士乃が代わりに食べといてくれ」
「私はもうハンバーグ食べてきましたっす!」
「何ィ!?」
 こいつ……朝からハンバーグなんて高価なものを! ひき肉をこねるのが面倒で僕でさえ滅多に
造らないというのに……ブルジョワジーにとっては朝から肉でも構わないというのか。そんなこと
だから乳ばっかりでかくなるんだ。
「先輩。今セクハラいことを、」
「考えてないよ」
「その身で実行しようとしましたね。セクハラーのように」
「してねぇよ! そして誰だよそいつ!」
 アホなやりとりだった。
「まあ、しいて言えば朝の爽やかな運動ってところかな」
「乳を揉むのが?」
「いいや、ゴミ箱に貴重な栄養を与えるのがだよ」
「先輩……部屋のにおいってもしかして……」
「あー爽やかな朝だなー!」
 叫びながら扉を開け、一気に駆け出す。学校まで走れば十五分ほどでつくだろう。一人遊びのどこが
爽やかなんですか! と後ろから叫び声が聞こえるがとりあえず無視。
 もうしばらく走ったら立ち止まって、それから、いつものように一緒に学校にいこう。たまには手をつない
でもいい。平和なんだから、それくらいしたってバチはあたらないだろう。

 楽しい一日の、始まりだ。

 楽しい楽しい――最後の日なのだと、この時の僕はまだ知らなかった。
739いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/15(月) 21:36:55 ID:2lppWWhM
八話終了です。
間があいてすいません
740名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 21:43:16 ID:Q+tATxcI
741名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 22:30:43 ID:D+ZPxaOc
>>738
GJ!!!
742名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 23:44:19 ID:Q+tATxcI
サキュバス、まとめサイトのリンクに入ってるw
743名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 02:47:04 ID:lWwVlqPG
GJ!!

神無士乃がどういう感情を持っているのか読めない……。
普通に狂っているのか、はたまた主人公への異常な好意で病んできているのか。
これから大きく化けそうな予感がします。

744名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 02:48:20 ID:lWwVlqPG
ふと思ったけれど、「冬柴さんの話」に出てくる
冬柴さんを崇拝してる男ってヤンデレかなぁ?
745名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 18:11:14 ID:O0RXD3+g
>>742
誰だよあそこをリンクに入れたのw
全く、けしからんけしからん
746名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 20:45:45 ID:WkNs/s6s
冬柴さんってヤンデレじゃないだろ、病んでるだけだよ
747名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 23:11:12 ID:r0kO9ThB
ヤンデレって難しいな…NHKにようこその岬も病んでるよな?
あれもヤンデレなのかな〜と漫画読みながら考えてた
748名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 18:47:17 ID:CxiCrdiD
>>745-746
「サキュバスの巣」「冬柴さんの話」を削除しました。
749名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 19:15:18 ID:KY2u9QCt
ttp://news21.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1169186471/l50

何かヤンデレのにほいがしないか?
750名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 19:53:52 ID:GzcrSwBv
>>749
萌えたが向こうのスレでは散々な評価だなあw
751名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 00:31:21 ID:klXI5mvv
                  /: : : : : :      \  、\
                 -=彡:    , {:   .       ヽ  \丶
                /:/:  . ノ !l、\ : .     、_,ヽi
                  lイ: : . / ノ'、丶ニ=‐ .  ヽ‐ ´ `.ニ=‐
     ,   ̄ 丶、       l: /_ イ/l'!ハ: l: .ヽ: ! !: .  !:l   ヽヽ
   /ニニ. 、    > ._  -≠: :l : l|:l r|=l∧ : },| | ト、: | l l: .  lヽi
.   /   彡'  /l   ヽニ.lム: :l | llリ 、 (;)ヘ l//ソ:l|/=l: l//:l ゝ ',
  ∧, ,. ´  . イ  l    | |   トトトl`  三´彡'ノノt;¬!//: :l  ハ`\
. ハ/. -‐  ィ  |    | |   |ヽヽ〉      ̄「{ ミ、彡': :/:l l/
 {、/ 三三イ: ¬ l   | |   |レ 〉ス ,. 、_ ノ  ムルl/:/lム     どっちもうざいんだよおおおおおお
 三三 / / : /人  //   |/ヘ.ヽ`__一'_ 、< ′ ̄ ´  ヽ
 ___l: :/: :└  _ //   / 〉 /`>ヽ< /       __   ハ
   , / /: : : : : ``''‐-、/ /_//:::::l レ/,. ニニニニ ¬ | {ム
    l/ /: : : : : : : : : ∧i´::::::::::f <//:::::::::::::::::::::::::| l  ヽ}
  r/ /: :/ ̄: : : : l: / l::::::::::::::\/::::::::::::::/:::::::::::ゝ\_ム
  l' /: :/: : : : : : : ̄ l  、:::::::::::::::::::::::::::::::∠ニニニ二::`ー、__}_
  | /: : l: : : : : : : : :l  ゝ二.\__/ ̄\――――---:L._
  └―‐ |: : : : : : : : |::...   , 7ーァ'´     丶、::::::::;;;:::::::::::::::::\
      |: : : : : : : : |   ,r彡' /         `ヽ、:::::::::::::::::::::::::`丶、
       |: : : : : : : : |  // /               ヽ、::::::::::::::::::::::::::::\
   __ /: : : : : : : : |  //ァ'´                丶、::::::::::::::::::::::::::\__
.     / : : : : : : : : |r彡'{                    `丶、:::::::::::::: ̄ ̄`丶
752彼が望むなら死んでもいい1:2007/01/20(土) 02:49:24 ID:RkuWxsmM
>>749
彼と知り合うきっかけは幼馴染であるリンからの紹介だった。

リンは私と違いかなりもてる。
その理由はおそらく性格にあるのだろう。
男女分け隔てなく明るく接し、辛いことがあっても
それを周りに悟らせない彼女を嫌う人間はいないと思う。

それに対して私は男性恐怖症で男と全く縁が無い。
自分ではすでに恋人を作ることはあきらめていたが、
そんな私を世話好きの彼女が放っておくはずが無かった。


「レイ!紹介するわ。同じサークルのフェイ君よ。」

大学の中庭で一人食事をとっていたらリンがやってきた。
いきなりそんなことを言われてもどうしたらいいのだろう。
しかも連れてきた相手は男だった。当然固まる私。

「それじゃああとは若い二人で仲良く・・・ね?」

そう言ってリンは去っていった。
753彼が望むなら死んでもいい2:2007/01/20(土) 02:52:28 ID:RkuWxsmM
私は地面を見ながらこれからどうしたらいいのか必死で考えていた。

何か話しかける?
却下。男の人を前にするとロレツが回らなくなる。
何も言わずに立ち去る?
却下。そんなことをしたら後で男の人に何をされるかわからない。

そうだ。とりあえず挨拶してみよう。
こんにちはと言うくらいならなんとかなるはず。
このままずっと固まったままいるほうが辛い。
そのあとは適当な返事をしておけばこの状況を切り抜けられる。
(こんにちは。こんにちは。こんにちは。)
よし、言うぞ・・・

「こっ、こ。こんにゃっちは。」

恥ずかしい。噛んでしまった。
どうしよう。笑われる。からかわれる。いじめられる。
いやだ。嫌だ。こわい。怖い・・・

だけどしばらく待っても反応がなかった。
おそるおそる顔を上げると男性の顔が目の前にあった。
恐怖で体がこわばった。

しかし男性の表情を見ているうちに恐怖は少しずつ消えていった。
なにを言おうか迷っているような表情と
なにかを決意した眼差しが私に向けられている。
一分ほど待ってから彼の口が開いた。

「僕と付き合ってください!」

至近距離であげられた大声と、

その言葉の内容に驚いて、

手に持ったままの弁当箱を落としてしまった。
754彼が望むなら死んでもいい3:2007/01/20(土) 02:53:36 ID:RkuWxsmM
その場での返事は保留ということにした。
生まれて初めての告白で、嬉しい気持ちと男性に対する潜在的な恐怖心が混ざり合い
まともな返事ができなかったからだ。

自宅で告白されたときのことを思いかえしてみる。
あの時、男性とあれだけ近くで話したというのに恐怖心が少しずつ消えていった。
別れ際の時点ではほとんど無くなっていたと言ってもいいかもしれない。
あれだけ怖かった男という生き物なのに。
暴力の象徴だと思っていた存在なのに。

それからは大学で毎日話すようになった。
彼と話しているときだけは恐怖心は全くなくなってしまう。
今日の講義の内容、今日のニュース、好きな本の話題。
私のする楽しくない話を彼は真剣に聞いてくれる。

いつしか彼と話すことだけを楽しみに大学に行っていることや、
自宅で一人になると彼のことを思って寂しくて泣いてしまうことを自覚したとき、
私はこれが恋なのだと知った。

翌日、彼に交際したいと伝えた。
告白から二ヶ月以上経っていたが彼は満面の笑顔で私を受け入れてくれた。
その笑顔がこれからも私だけに向けられると思うと
喉が締め付けられるかと思うほどの幸福感が私を襲った。

私とフェイが付き合いだしたことを知ったリンは

「よし!二人が付き合いだした記念のコンパしよ!コンパ!
 あ、大丈夫。私の知り合いの女の子だけ連れてくるから。男は連れてこない!」

と言い出した。
断る理由もなかったので参加することにした。


今思うと参加しなければよかったのかもしれない。
あのコンパから少しずつ歯車が狂いだしたのだから。
755彼が望むなら死んでもいい4:2007/01/20(土) 02:54:30 ID:RkuWxsmM
コンパには本当に女の子だけが参加していた。男はフェイ一人だけだった。

私達二人が主役なのだから当然質問攻めにあった。
私のどこに惚れたのかという質問にフェイは

「はっきり言っちゃうと一目惚れなんですけど・・・
 理知的なところに惚れたって言うのかな?」

いますぐ押し倒してやろうかと思った。

色々な質問がされていくうちにフェイの好きなものを聞くことができた。
どうやら彼は自動車が好きらしい。
しかし欲しい車は手が届かない金額らしく、夢のまた夢と言っていた。
そのときのフェイの顔はまるで幼い子供のようでまた押し倒したい気分にさせた。


コンパが始まって二時間ほど経つとすでに私も含め皆できあがっていた。
不愉快なことに彼の右に座っていた女が肩にもたれかかっていた。
私がじっと見ていることに気づいたフェイは女を引き剥がすが、
数秒もするとまたもたれかかってくる。

何度も繰り返すものだからいい加減に頭にきた。
その首をへし折ってやりたいがフェイの手前そうするわけにもいかない。
なるべく感情を抑えて注意したところ、挑発するように

「あら、私のほうが彼にふさわしいと思うんだけど?
 だって私のパパは○×商会の社長だからお金には困ってないもの。
 今すぐ彼を養うことだってできるわ。」

安い挑発だ。素面の状態なら軽く流せるのだが、このときの私は
酒で判断力が欠けていたのだろう。

大手不動産会社の社長の娘であると大嘘をついてしまったのだ。
女はすぐに嘘を見抜き私を鼻で笑った。もう我慢の限界だった。
手元にあるアイスピックをその女の顔に振り下ろ――


振り下ろせなかった。リンが私の腕をつかんでいた。
暴れようとする私と女をいさめたリンはコンパを解散させた。
756彼が望むなら死んでもいい5:2007/01/20(土) 02:55:11 ID:RkuWxsmM
翌日、これ以上ないほど後悔した。
二日酔いになるほど飲んだこともそうだが、フェイの前で凶暴な一面を見せてしまったからだ。
あのときリンが止めてくれなければ、間違いなくあの女の左目を貫いていた。

恋人の凶暴な一面を見てもフェイは私のことを好きでいてくれるだろうか?
フェイは私のことを好きだと言ってくれた。それは事実だ。
しかし酒の席で前後不覚になっていたとはいえ人を殺しそうになった恋人を
好きでいてくれる保証などどこにもない。

どうしたらいい?
彼の思いを繋ぎとめることができて、同時に私のこの愛を余すことなく伝えるためには
何をしたらいい?
考えろ。考えろ。考えろ。

そうだ。フェイが欲しいと言っていた自動車だ。
あれを贈ればフェイの愛も受けることができるし、私がどれだけ愛しているのかということも
わかってくれる。
幸い彼は私の家族がどのような生活を送っているかということは知らないはずだ。
少なくとも私は喋っていない。
コンパで言った嘘を信じてくれていればきっと受け取ってくれるはず。
彼を騙すのは気が引けるが仕方がない。

私達の未来のためには仕方がないのだ。
757彼が望むなら死んでもいい6:2007/01/20(土) 02:56:08 ID:RkuWxsmM
その後、大学の陸上部の知り合いから元オリンピックメダリスト二人を紹介してもらった。
偽造した名刺を使い、嘘の説明で二人から合わせて180万元を手に入れた。
その金で車を買い、フェイの自宅に納車するよう手続きをとった。

納車日当日、フェイから「すぐに来てくれ」と連絡があった。
ああ、すぐにでも私に会いたいなんて・・・やはり車を贈ったのは正解だったようだ。
部屋に入った途端襲い掛かられるかもしれないから覚悟していかないと。

しかし、フェイの自宅の玄関を開けたときに目に飛び込んできたのは怒りの表情だった。

「?どうしたの?なんで怒ってるの?」
「どうしてじゃないだろ!なんで僕のところに君の買った車が届いたんだよ!」

どうしておこってるのかな。

「だって、このあいだ欲しいものだって、夢だって言ってたでしょ。だから、プレゼント。」
「どうやって買ったんだ!とても手が届くものじゃないのに!」

そんなことどうでもいいじゃない。

「それはお父さんに頼んで・・・」
「リンからもう聞いてるよ!君の父親は社長じゃないってことくらい!」

なーんだ。ばれてたんだ。

「えっとね。友達の友達に『お買い得の物件がありますよ』って言ったらくれたのよ。
 ちょっとお話しするだけでお金くれるなんてお金持ちよねぇ。」
「物件?お話?くれた?・・・まさか、詐欺で!?」

そういえばそうともとれるわね。

「いいじゃない。騙されるほうが悪いんだし。」
「騙されるほうが、悪い・・・?」

ねえ、なんでさっきよりおこっているの?
758彼が望むなら死んでもいい7:2007/01/20(土) 02:56:56 ID:RkuWxsmM
「君には言ったことなかったね。実は僕の家はあまり裕福じゃないんだ。
 大学に通っているのだって両親の仕送りと僕のバイト代を合わせてギリギリなんだ。
 なんでこうなったかって言うとね。」

フェイは一拍置いて叫んだ。

「君みたいな人間のせいだよ!君みたいな考えの人に騙されて父さんも母さんも
 辛い思いをすることになったんだ!
 何が騙されるほうが悪いだ!騙す人間が悪いに決まってるだろ!」

その目には明らかな敵意の色。

「もう君とは一緒に居られない。二度と僕の前に姿を現さないでくれ。」
「え?なに言ってるの?好きだってこの間言ったばかりじゃない。」
「そんなのは昔の話だ!」

私は、

「僕はお前が、」

   何かが壊れるのを、

「大嫌いだ!」


            聞いた。



あは、あはっははは、アハハハハハハハ!アハハハハハハ、はははははははは!!
ねえ馬鹿言わないであなたはそんなこと言っちゃいけないのよあなたが言っていい言葉は『愛してる』だけよ
真剣な顔で熱い視線で私を見つめて『愛してる』って言わないとダメよだめ駄目打目打め駄目
早朝も朝も朝ごはんのときも昼も昼ごはんのときも夕方も夕ごはんのときも夜も深夜も寝ているときでも
私のことを愛して壊れるほど愛して普通の人の三倍三十倍三百倍三千倍三万倍いいえもっと
だから嫌いなんて言っちゃ駄目なのようん絶対に言っちゃだめ拷問にかけられようが死にそうだろうが
あなた私のこと好きだっていったじゃない好きだっていったじゃない好きだっていったじゃない
一度言ったことは消せないのよよく言うじゃない男に二言は無いって男なら守らなきゃ
もし守ってくれたらなんだってしてあげるええなんでもよどんなものだって手に入れるわ
死ねって言われたら死ぬし殺してくれって言われたら残念だけど殺してあげるし
うふふ好きよ大好きよ超好きよ愛してる超愛してる世界一愛してる宇宙一愛してる

あ な た の こ と 愛 し て る
759彼が望むなら死んでもいい8:2007/01/20(土) 03:00:18 ID:RkuWxsmM
そのあと、僕の家に踏み込んだ警察によって彼女は取り押さえられました。
彼女はとり抑えられながらもまだ壊れたように僕に向かって叫び続けていました。
僕の前から姿を消す最後のときまで。

カレンダーを見ると1月19日。
僕が彼女に告白した日から三ヶ月経っていた。




勢いに任せて書いた
正直、反省していない

設定なんかは適当です。
中国の大学とかはわからないので日本と同じようにしてみました。
760名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 03:03:17 ID:fOVtuk0s
やばい、ここに本物の職人技を見たっ……
761名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 06:06:03 ID:5BvuamDw
>>759
GJ

むしろ、彼女がコンパのときの女に彼を取られて
発狂するんじゃないかと予想してた俺は鬼畜だなww
762名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 06:48:04 ID:TIkPs9C9
>>759
神あらわる
GJ!
763名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 10:27:49 ID:ZIt8iqO9
半日(8時間)足らずで構想浮かんで1時間で書いただと!?
天才か!
764名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 12:53:28 ID:O0LrP3k8
>>759
GJで御座います
765名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 13:13:45 ID:xOsayo99
いいねぇ。実際に起こった事件を元に、また何か書いてほしいなぁ。
766名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 19:30:44 ID:AJBlDoDk
やったッ!
さすがID:RkuWxsmMッ!
あれだけの大作を平然と書いてのけるッ!
そこに痺れる憧れるゥッ!
767名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 01:42:13 ID:YBByPdQk
やったッ!
さすがID:RkuWxsmMッ!
あれだけの大作を平然と書いてのけるッ!
そこに痺れる憧れるゥッ!


768トリップテスト ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/21(日) 21:13:48 ID:Kcf6rTXR
トリップテストです。

スルーしてください・・・
769あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/21(日) 21:16:32 ID:Kcf6rTXR
テストしてすまない。
お礼にSSを投下する。


季節は冬。
道場には剣道部員の掛け声と踏み込みの音、面を打つ音が響いている。
その音が一旦止まり、

「籠手打ち、始め!」

部長の掛け声をきっかけに、再び音が道場に響く。
夕方7時、ここ練心館で始まる校外練習は二時間続く。
770あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/21(日) 21:17:22 ID:Kcf6rTXR
練習が終わり着替えを終えて、外で部員全員が出てくるまで待つ。
早く帰りたいが、道場に施錠をして鍵を返すまでは帰るわけにもいかない。
いや、本来はそれすらもしなくていいのだが。
何せ道場の持ち主の娘がここに来ているのだから。

一人を除き部員全員が帰ったことを確認した俺は、鍵を閉めることにした。

「ちょ、海原先輩すとっぷすとっぷ!」
「あーなんか幻聴が聞こえるな。まるで女の子の声みたいだ。」
「ばっちり聞こえてるじゃないですか!幻聴じゃないですよ!
 すぐに出ますから待ってくださ〜い!」

声の持ち主が出てから再び施錠する。うん。確認OK。

「さて、帰ろうか大河内。」
「先輩。いつも言ってますけど、私が出てないのに鍵閉めないでくださいよ。
 いやがらせですか?それともいじめですか?」
「不器用な部長なりのスキンシップだ。」
「へー、そんなこと言うんですか。じゃあ今日お父さんに言っておきます。
 『海原先輩がお父さんとスキンシップしたいって言ってた』って。」

まずい。いつもより怒っている。
しかも彼女の父親との『剣道でのスキンシップ』は『死合い』と同義になる。
本人は遊んでいるのだろうが警察で剣道の指導をしている人間と高校生とでは実力差がありすぎる。
ライオンがウサギにじゃれついているようなものだ。
771あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/21(日) 21:18:09 ID:Kcf6rTXR
「すまん。それは勘弁してくれ。もうむちうちになるのは御免だ。
 今度学食でカツ丼特盛か牛丼特盛をご馳走するから。」
「両方です。」
「両方かよ!・・・いや、わかった。わかりました。
 ご馳走させていただきます。大河内桜嬢。」
「わかればよろしい。ようやく身分をわきまえたようね海原。」

腰に手を当てて高笑いしている。しかし竹刀袋を持ったままだから全然似合わない。 

「さて!じゃあ帰りましょうか先輩!」

やれやれ。
このお嬢様の機嫌を損ねるたびに奢らされているというのに
俺も学習能力が低いものだ。
しかし、それがわかっていても何故かこいつにちょっかいをかけてしまうのだ。

それはこの少女の性格がそうさせてしまうのだろうか。
それとも単純に俺がいたずら好きだからだろうか。

それとも、俺がこいつに対して異性としての好意を持っているからか。

――たぶん全部だな。
左で歩くたびに左右に揺れるポニーテールを見ながらそう思った。
772あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/21(日) 21:19:02 ID:Kcf6rTXR
すっかり暗くなった夜道を先輩と歩く。
四月に剣道部に入部してから毎日のように繰り返されていることだ。
でも一度も飽きたとか一人で帰りたいとか思ったことはない。

なぜか?理由は簡単。
私が先輩のことを好きだから。





剣道馬鹿の両親と兄を持つ私は物心つくころにはすでに竹刀を握っていた。
別に強制をされたわけじゃない。
両親の期待を受けた兄が小学六年生のときには全国大会に出場し、
中学に入ってからは高校生も打ち負かすほどの実力者になっていたからだ。

そのため私は両親に稽古をつけてもらったことがない。
見よう見まねでただなんとなく竹刀を振るようになっていたのだ。

そのことが影響したのか、中学校では全国大会にも出場し、部員の推薦で部長に任命された。
だからだろう。私は調子に乗っていた。

家が近いという理由で入学した県立高校の剣道部は
過去に大きな成績を残すほどでもなく、弱小と言ってもいいところだった。
入部一日目の感想はそんなものでしかなかった。
しかし入部二日目。この感想は変わることになる。
773あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/21(日) 21:19:51 ID:Kcf6rTXR
経験者ということで早速その日から練習に参加することになった。
基本練習を終え、次に実力を見るために練習試合が行われた。
私の試合は最後に行われた。その相手が海原先輩だった。
海原先輩は昨日は練習に来ていなかったらしい。

(練習をさぼる人が私の相手をできるの?早く終わらしちゃお。)

そう思い『はじめ』の合図とともに繰り出した突きは、
先輩の喉ではなく空を突いた。

(うそ!突きがくることがわかってたの?)

予想外だった。どうやら本気でやる必要があるようだ。
先輩に向かって再度構える。
しっかり向かい合って分かる先輩の威圧感。
兄ほどではないが油断できない相手であることが感じ取れる。
そして自分の持てる最高の速度で突きを繰り出した――



774あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/21(日) 21:22:22 ID:Kcf6rTXR
「引き分け!」

両者一本ずつの引き分けの結果に終わった。
私の突きを先輩が避けて胴を打ち、先輩に一本。
先輩の面打ちに対して籠手を打ち、私に一本。
その後はお互い決定打を打てずに引き分けに終わった。

終わってから私が感じたのは高揚感だった。ものすごく楽しかった。
ジョギング中にいつまでも走り続けていられるような、
プールでずっと泳いでいられるような感覚と似ていた。
今まで竹刀を握っていてこんな気分になったことはなかった。


練習後、対戦した先輩に興味を持った私は先輩が一人で帰っているところを見計らって話しかけた。

「海原先輩!」
「へ?あ、おー、こー・・・皇王池さんだっけ?」
「大河内です!お、お、こ、う、ち!」

最初の会話がこんなだった。まさか名前を間違われるとは。
なんだかとぼけた先輩だと思った。


妄想が浮かんだので書いた。
正直、反省していない。
とりあえずここまで。
次の投下は脳がスパークしたら今日中に。
遅くても・・・今週中には。
775名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 21:28:09 ID:tzOD2uWN
>>774
GJ!
今はまだ普通の女の子に見える大河内さんが
どんな風に病んでいくのか楽しみにしてます
776名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 21:39:33 ID:IlYYgP25
ちょw
高校の初稽古でいきなり突きとか、なかなか外道なヒロインですね。

戦闘に躊躇いの無いヤンデレに期待させていただきます!!
777あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/22(月) 00:52:56 ID:sVWolwVr
その帰り道でいろいろと聞いた。
名前は海原英一郎(うなばらえいいちろう)。
剣道を始めたのは小学三年生。段位は二段。
意外なことに今まで大会で優勝したことはないらしい。
気になったので突っ込んで聞いてみたところ、

「・・・笑わないって約束してくれる?」
「笑いませんよ。でも、まさか『大会に出るのが馬鹿馬鹿しい』とかじゃないですよね?」
「違うって、逆。出たくても出られなかったんだよ。
 ほら、大会前って練習に力が入るでしょ。
 俺の場合はやりすぎて体調崩して寝込んで、ってパターンが多いんだ。」
「でもさすがに七年間続けてっていうのは変じゃないですか。」
「大会前日に練習しなかったりしたら今度は体がうずうずして
 寝られなくなったりとか、風邪とか怪我もあってね。結局出場したことがないんだよ。
 嘘みたいだけど本当。」
「・・・ご愁傷様です。」
「いいえ、亡くなった私のために悲しんでくださって本当に・・・って違う!
 ノリ突っ込みさせないでくれ。」
「いやいや、今私ボケてないです。」
「そういやそうだった。ごめん。」

そんなことを話しているうちに私の家に着いてしまった。
残念。もっと長く話していたかったのに。通学路の短さを恨んだのは始めてだ。
先輩と別れの挨拶をして、その背中を見送っていると急に寒気を感じた。
寒さからではなく、これが寂しさから来るものだとこのときの私は理解していなかった。

778あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/22(月) 00:53:36 ID:sVWolwVr
風呂に入り、遅めの夕食をとる。明日は弁当を持っていって練心館に行く前に食べるようにしないと。
歯磨きをして、布団に入る。

今日一日のことを思い返してみる。そして真っ先に思い浮かぶのは、海原先輩のこと。
私と互角の実力者。いや、私は全力だったが先輩は本気だったとは限らない。とすると互角以上と考えるのがいい。
しかし今まで私と張り合えるような人間はみんながみんな両親や兄のような遠い存在か、
年が近くても威張り散らしているような人ばかりだった。

しかし先輩は違った。とぼけているような感じがするけど実際は剣道好きでまじめな人。
初めて会う後輩に対しても親しく接することが出来る人。
短い髪。私より頭一つ分高い身長・・・。

「ん・・・」

なんだろう。むずむずする。もどかしい。パジャマの上から下半身に手を当てる。

「ひぁっ・・・!」

秘部のあたりに手を当てた途端、腰がくだけた。

「なに、これ・・・」

いままで経験したことのないものだった。
物足りないようで満たされないような感じ。でも、

「きもち、いい・・・ふぅ、ん・・・あっ!」

さっきより強く手を当てるとさらに強い刺激が襲ってきた。
甘い。手を出してはいけないとわかっていても手を出してしまうほどに。

そういえば中学生のころに聞いたことがある。
自分で性器に触って快感を得ようとする自慰行為。
今まで一度もしたことがなかったけど、

「これが、そうなんだ・・・」

でもどうして?今まで一度もこんなことしようなんて思わなかったのに。
なにが違うの?なにか悪いものでも食べた?なにか考えて・・・あ。
779あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/22(月) 00:54:16 ID:sVWolwVr
「海原、せんぱぁい・・・」

そうだ。あのとき先輩のことを考えていたらこうなったんだった。
でも、たしかこういうのは好きな異性のことを思い浮かべるものだって聞いた。
と、いうことは。

「ふぅ、ん・・・あ、あんっ!わたし、せんぱいのこ、と・・・ふぁっ!好き、なの・・・?」

本当にそうなんだろうか。今日会ったばかりの人に?
でもなにもしなくても先輩の姿を思い出すだけで甘い痺れが襲ってくる。

「だめぇ、こんなの・・・せんぱいにしつ、れぇ・・・はぁん!」

そう思っても指は止まらない。妄想は止まらない。
先輩の指が私の秘部をいじっているところを想像した瞬間、

「あ!ひ、・・・なにこれ、とまらないよぉ・・・ふあ、あ、ああああああンっ!」

止めようのない大きな波が全身を駆け巡る。その波は私の体をしばらくの間痺れさせたあと、引いていった。
そして今度は脱力感に襲われた。なんだか芯に力を入れられないような感じ。

「はぁ、はぁ、はぁ・・・せんぱい、先輩、センパイ、私・・・」

初めて想い込めてこの言葉を口にします。

「好きです・・・海原先輩。」


これが先輩と初めて会った日の記憶。
それまでの人生で一番楽しかった日。
780あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/22(月) 00:54:49 ID:sVWolwVr
翌日、私は一本の鍵を持って学校に行った。
実家とは少し離れた位置にある道場の鍵だ。
この道場はかなり昔、祖父か曽祖父が師範をしていたころに建てられた道場で、名前を練心館という。
現在では剣道の大会などで時々使用するだけで、ほとんど使われていなかった。
そこで父に部活の校外練習に使うという理由で頼み、許可を得た。

だが校外練習というのは理由の一つに過ぎない。
本当の理由は海原先輩と少しでも一緒にいたいと思ったからだ。
正直に言うと、先輩だけ来てくれればいい。

顧問と部長に校外練習をする提案をした。
顧問は道場の持ち主が近くに住んでいるということを話すと許可してくれた。
部長もはじめは渋い顔をしていたが、最後にはOKの返事をしてくれた。
部員には希望者のみ参加してくれればいい、と説明した。
先輩にはその日の校外練習が終わった日に頼みごとをしてみた。

「海原先輩。お話があります。」
「ん?なに?まさかこくはk」
「もう夜九時です。遅い時間ですよね? 外は真っ暗ですよね?
 女の子が一人で帰ったら危ないですよね?
 だから先輩。練習の後に私の家まで付き合ってくれませんか?」
「ああ、もう九時だ。たしかに遅い時間だ。夏でも九時には真っ暗になっているな。
 女の子が一人で帰ったら暴漢にあうかもしれない。
 だが大河内。練習の後は俺もすぐに家に帰って寝たい。だから断る。」
「なんでですか!私が暴漢に襲われてあんな目やこんな目にあってもいいと言うんですか?」
「むしろお前があんな目やこんな目にあわせてしまっ・・・
 いや、すまん。前言撤回する。だからそんな目で見るな。」

全く失礼な先輩だ。会って二日目だというのにこのやりとり。まるで昔からの友人みたいだ。
でも――嬉しい。こんなに早く先輩と仲良くなれるなんて。
これからは毎日先輩と二人っきりで話すことができる。
もっと先輩のことを知ることができる。先輩のことをすべて知りたい。 
ただ先輩がものすごく怯えているように見えるのはなぜだろう。
781あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/22(月) 00:55:36 ID:sVWolwVr
それからは学校での部活動が終わった後に練心館での稽古が行われるようになった。
参加する部員は十人前後ではあったが、海原先輩は毎日来てくれた。
狙い通り。昨日の話で先輩が練習大好き人間だということが分かっていたから来ると思っていた。


校外練習の成果だろうか。剣道部は地区で行われた春の新人戦で団体戦で準優勝を飾った。
同時に行われた二・三年の先輩達の試合も第三位という快挙を成し遂げた。
このときに海原先輩も参加しており、初めて手にする銅メダルを感慨深い眼差しで見つめていた。

第三位という成績をおさめ、練心館はさらに活気付いた。
部員の八割が校外練習に参加するようになり、大会でも好成績を記録していった。
それには――海原先輩の参加が影響していると思う。
私が入部して以来、先輩は『大会の日に必ず体調を崩す』というジンクスが嘘のように消え去った。
参加する大会ではほぼ負け無し。夏の県大会で全国大会の優勝校のエースと対戦したときだけが例外。
その戦績で部員達の信頼を得た先輩は夏に三年生が引退するときに部長を務めることになった。

剣道部も先輩の調子も順風満帆。ただひとつだけそうは行かないのが――




782あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/22(月) 00:56:19 ID:sVWolwVr
「俺はいまだに脱皮する必要があるのかわからない。
 最初からあの状態で高速戦闘したほうがいい。
 あれは設定ミスだろう。」
「最終回が終わったっていうのにいまさら何言ってるんですか。
 だいたい先輩は分かってません。脱皮したら敵を吹き飛ばせるんですよ?
 それにいきなり高速戦闘するだなんて情緒がありません。
 あれが美学というものです。」

これだ。私と先輩の関係。未だに『部活動の先輩・後輩』のままだということだ。
半年以上一緒に帰っているというのに先輩は全く私に色気のある話を切り出さない。
まあ、そういう話を振らない私も悪いのだけど。

だけど、いつまでもこの状態でいるわけにはいかない。私の恋には敵が多い。
剣道部の女子の数人も時々先輩を潤んだ瞳で見ていたりするし、
先輩の下駄箱には毎週ラブレターが入れられている。

今までは女子部員の籠手の手首を狙って打ったり、
ラブレターを別の生徒の下駄箱に入れたりしてきたが、
直接言われたらもう止める術はない。

「よし、決めました。決戦は月曜日です。」
「それを言うなら金曜日だろ。あれもいい歌だよな。たしか・・・」
「あ、着きました。じゃあ先輩。送ってくれてどうもありがとうございました。」
「あ、ああ。じゃあまた来週部活でな。」
「はい!」

この戦い、必ず勝利して、そして・・・今までの先輩との関係の壁を壊します。



コーヒーで脳がスパークしたので書いた。
正直、エロシーンがこれでよかったのか反省している。

PS.私の属性は『後輩』。
783あなたと握手を訂正 ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/22(月) 01:02:15 ID:sVWolwVr
>>780
>先輩にはその日の校外練習が終わった日に頼みごとをしてみた。
先輩にはその日の校外練習が終わった後に頼みごとをしてみた。

でした。ごめんなさい。

784名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 01:10:19 ID:x5FIbsvX
日本語がおかしいぞ
きちんと文章を書いてくれないか?
785名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 01:10:33 ID:i4qMGm2H
大河内さんエロいよ大河内さん(*´Д`)ハァハァ
裸で待っててよかったw
GJ!
786名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 01:36:08 ID:+Sn+XoUr
GJです!
続きの病みの描写に期待
787名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 02:35:42 ID:sXcPKANe
高校から許される突きを初っ端からぶっ放したり、
籠手の手と手首の間の布地だけの部分を狙って打ったり……。

非道いw
非道過ぎるよ、大河内さん!! (* ´Д` *)ハァハァ
788あなたと握手を訂正2 ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/22(月) 06:46:58 ID:sVWolwVr
うわぁぁぁぁぁ!
また誤字発見!

>>779
>初めて想い込めてこの言葉を口にします。
初めて想いを込めてこの言葉を口にします。

『を』が抜けてました。ごめんなさい。
789名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 14:04:12 ID:fF6rd5LU
>今までは女子部員の籠手の手首を狙って打ったり、
>ラブレターを別の生徒の下駄箱に入れたりしてきたが、
既にかなり黒いよ大河内さん(*´д`*)ハァハァ 

そろそろ次スレじゃないかな?
テンプレ案とかある?
790名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 14:13:10 ID:PXbJp60O
791名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 15:42:33 ID:or+YVF78
>>790
百合だが確かにヤンデレだ

ep9の4コマ目の表情が秀逸w


>>789
とりあえずまとめサイトのURLは必須だろう。
792テンプレ案 ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/22(月) 20:46:21 ID:sVWolwVr
>>789

>>1やスレの頭で語られた内容を自分なりに整理しました。
気に入らなかったらスルーしてください。


・このスレッドはヤンデレの小説を書くスレッドです。
・既存のキャラの使用アリ。
・プロット投下やニュースなどのヤンデレ系のネタ大歓迎。
・ぶつ切りでの作品投下もアリ。
・作者のみなさんはできるだけ作品を完結させるようにしてください。


ヤンデレとは
・主人公が好きだが(デレ)その過程で心を病んでしまう(ヤン)状態の事をさします。
 (別名:黒化、黒姫化など)
・ヒロインはライバルがいてもいなくても主人公を思っていくうちに少しずつ確実に病んでいく。
・トラウマ・精神の不安定さから覚醒することがある。

ヤンデレの小説を書こう!SS保管庫
http://yandere.web.fc2.com/
793あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/22(月) 22:48:40 ID:sVWolwVr
続けてレスしてすまない。投下する。


大河内の自宅の周りには塀が建てられている。
自宅の敷地内にも道場が建てられているらしく、次の曲がり角までその塀は続いている。
塀に沿って歩きながら、別れ際に大河内の言った言葉を思い出す。

「決戦は月曜日ね・・・」

その言葉はおそらく、『交際の申し込みを月曜日にする』ということだろう。
確信は持てないが、なんとなくそんな気がする。

大河内が俺に対して好意を持っていることは薄々感づいていた。
『練習のあとに一緒に帰ってほしい』と頼み込んできただけだったら、自分の勘違いだと思っていただろう。
しかし大河内はいろいろな面で俺に関わろうとしてきた。

ときどきではあるが俺に弁当を作ってきてくれたこと。
メールアドレスを交換してから毎朝おはようのメールを送ってくること。
休日に大河内家の道場で家族と一緒に剣道の練習をしようと頼んできたこと。

あのときは大河内兄に防具をつけたまま便所まで追い込まれた挙句閉じ込められたり、
絵に描いた様な巨漢である大河内父から、高速の突きを受けてむちうちになったりと散々だった。
あの日、唯一嬉しかったことは大河内母の作る昼食の豚汁が言葉にできないほど美味だったことだけだ。
まさにアメとムチ。豚汁とむちうち。
一回行ったきりだが、また今度行ってみるとしよう。今度は医者同伴で。

それは置いておいて。


そんな大河内の姿勢に俺も段々惹かれていき、気づいたら異性として好きになっていた。
なぜ今まで告白しなかったかというと、一緒に練習をして談笑しながら帰るという関係が心地良かったからだ。
だがそれも月曜日で終わらせる。こっちから先に告白して、あいつの驚いた顔を拝むことにしよう。

もし俺の勘違いだったとしても構わない。
俺は大河内のことが好きだから告白するのだ。
794あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/22(月) 22:49:40 ID:sVWolwVr
俺の家は大河内の家から国道を挟んで向こう側にある。
国道とはいえ俺の住む町は都市部とは違い九時ごろになるとほとんど車が通らない。
だからいつもは横断歩道が赤でも車が来なければ渡っていた。

その日は右側百メートルくらい向こうから車が来ているだけだったのでいつものように渡った。

『ドサッ』

向かい側の歩道に着いたときに後ろから物音がした。
振り向くと、同じ高校の女生徒が手提げバッグの中身を落としてそれを拾っているのが見えた。


右からは車が迫っている。止まる様子は、ない。


(ズクン。)

心臓が締め付けられるのを感じた。
引き返すな。間に合わない。このまま止まっていろ。そう言っていた。
それでも恐怖で上手く動かない足を動かし、引き返した。
もしかしたら助けられるかもという小さな望みが体を動かした。

女生徒の左側で急停止。
腰を落として、しゃがんでいる女生徒の腰に右手を回し、引き寄せる。
この時点で車は二メートル前に迫っていた。視界が光で埋め尽くされる。

考える時間はなかった。
反射的に道路についた左手を軸にして両足で地面を蹴り、
体を移動させることができたのはまぐれ、もしくは運が良かったと言うべきだろう。

車が一瞬前に自分たちのいた空間を通り過ぎる。と同時に俺は衝撃を受けた。


最初にゴォンという音と一緒に頭に激痛が走り、

次に鉄の匂いときつい香水の匂いがして、

最後に左手から、骨を伝って嫌な音が脳に届いた。


『ぐきゃ』


その音を最後に、

俺は意識を手放した。
795あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/22(月) 22:50:37 ID:sVWolwVr
月曜日。

大河内桜は早起きして台所で料理しながら変な歌を歌っていた。

「うっなばら♪ うっなばら♪ うっなばらせ〜んぱい♪
 きょうのおかずはハンバーグ〜♪ 
 ポテトサラダもたっくさんいれて〜♪
 ニ〜ンジンもいっぱいいれました〜♪
 ぜ〜んぶ た〜べてくださ〜いね〜♪
 さ〜いごはわたしをたべちゃって〜♪」

歌の内容のとおり、憧れの海原英一郎の心を射止めるための弁当を作っているのだ。
メインのおかずは一番得意なハンバーグ。
以前手作り弁当を食べてもらったときに一番の好評を得ていた。
食卓では定番のメニューだが時間がかかるため、朝作ることはほとんどない。

だが今日だけは別である。愛の告白という最重要イベント。
少しでも勝率をあげるためにはどんな労力も厭わないのだ。


「じゃあ、行ってきます!」

母に見送られ大河内桜は勇み足で歩き出した。
憧れの人が待つ学び舎という名の決戦場へ向かって。
796あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/22(月) 22:52:49 ID:sVWolwVr
今私は屋上で先輩を待っている。
学校の屋上と言えば昼食をとる学生たちで賑わうものだというイメージがあるが、
この高校は安くて美味しい料理を出す学食や、テーブルが設置されている中庭もあるので人が滅多にこない。
告白するには絶好の場所だ。

朝、先輩の下駄箱に

『屋上で待ってます。一緒にお弁当を食べましょう。 桜』

と書いた手紙を入れておいたから先輩はきっと来てくれる。
でも、さすがに先輩も今日この場で告白されるとは思わないはずだ。

もし、告白したら・・・



「先輩。私は、先輩のことが好きです。初めて会った日から好きでした!
 私を先輩の恋人にしてください!」
「えぇっ!え、あ、いやなんでていうかそういうのはもっとこう
 長くお知り合いになってからのほうがいいのではないかと思うのだが。」
「もう私たちが知り合ってから10ヶ月目です。十分にお知り合いですよ。」
「し、しかしだな今月号の保健便りにも思春期の恋愛ではキスを許してしまうと
 男が発狂してその先へ行ってしまうということが書いてあってだな
 つまり何が言いたいかというとだな俺とお前がそういう関係になった場合
 俺が狂人にならないとは言えないわけでだな。」
「いい、ですよ。」
「ぇ?」
「私のファーストキスも、初めても、全部先輩にあげます。
 ・・・先輩。私、本気ですよ。」
「・・・・・・・・・。
 ・・・大河内。実は、俺もお前のことが――――――
797あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/22(月) 22:53:20 ID:sVWolwVr
「大河内?来てるのか?」
「『そして私たちは顔を寄せ合い』って、へぁっ!?」

先輩の声が後ろから聞こえた。振り向くと左肩を壁に当ててもたれかかっている先輩がいた。
心臓が高鳴る。顔が紅くなるのがわかる。
まずい。いざとなると頭が回らない。えーと、『私のファーストキスも、』じゃなくて!
そう!まず一緒にご飯を食べるんだった。告白はそのあと。

「手紙、呼んでくれたんですね。じゃあ、一緒にお弁当食べましょう。」
「待ってくれ。その前に言っておきたいことがあるんだ。」
「ぇ?」

まさかさっきの妄想が本当に?
嘘、え。やだ、嬉しい。どうしよどうしよ。
いや、落ち着け私。先輩の告白の言葉を脳に永久保存するために耳を澄ますんだ。

「大河内。実は俺な・・・」

くるっ!

「この間の夜、事故った。」


・・・じこった?
なんですかそれ。どこの国の言葉ですか?もし日本語だとしたらどの地方で流行っている告白の言葉ですか?

しかし次の瞬間私は凍りついた。
先輩が体の後ろに回していた左手を私に見せる。



左手が、包帯でぐるぐる巻きにされていた。
798あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/22(月) 22:54:22 ID:sVWolwVr
あの夜にあった出来事を大河内に話すことにした。
こいつには話しておいたほうがいいだろう。

「国道でうちの高校の女生徒が車に轢かれそうになってて、俺が助けようとしたんだ。
 どうにか女生徒は無事だったけど、俺は左手をタイヤに踏まれて、この通りさ。」

明るい口調で喋ったつもりだったが、大河内の表情はさらに険しくなった。

「女をかばって、先輩が怪我をした、ってことですか」
「まあ、そういうことだ。」


事故のあとに目を覚ました俺は病院のベッドに寝ていた。
目を覚ました俺を見て両親は緊張の糸が切れたように座り込んだ。

聞くところによると、ガードレールの柱に頭を打って倒れていた俺を見て救急車を呼んでくれたのは
俺がかばった女生徒ではなく、散歩途中のおばさんだったらしい。
横断歩道に潰れた携帯電話や化粧品が転がっていただけで
女生徒らしき人影は見当たらなかったそうだ。

車はそのまま走り去ってしまったらしく、警察が調べてはいるが
人を直接轢いたわけではないので特定は難しいとのこと。

怪我の具合を聞いてみたところ、脳波や頭蓋骨・脊椎などに異常は無かったらしい。
「ただ・・・」と言葉を切った母の視線が俺の左手に向けられていた。
それにつられて見た自分の左手は、包帯に包まれて楕円形になっていた。

それを見て嫌な予感がよぎる。
軽く人差し指を動かしてみようとするが、動かない。ああ、やっぱりか。



左手が、まったく動かなくなっていた。
799あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/22(月) 22:55:15 ID:sVWolwVr
ここまでの話を聞いた大河内の表情は、絶望の色に染まっていた。

「右手は動くし、左手は薬を飲んでおけば日常生活に問題はないから学校には通うことにしたんだ。
 ちょっと不便だけどな。」
「・・・・・・・・・そうですか。」

いつもの明るい声も暗く沈んでいる。
何を言っても元気を出してくれないのではないだろうか。

「・・・完治は、するんですか?」
「医者の話では骨は元通りになるそうだ。
 ただ以前のように動くかは経過を見ないとわからないってさ。」
「・・・・・・・・・そうですか。」

声を聞くたびに俺の気分まで落ち込んでいく。
こいつのこんな顔は見たくなかった。

(今告白したら元気、出してくれるかな。)

馬鹿か俺は。
ここまで落ち込んでいる人間にそんな話をしたら嫌われるに決まっている。

「あー、とりあえず弁当食べないか?作ってきてくれたんだろ?」
「・・・はい。すいません先輩。
 私、急用を思い出しました。・・・失礼させていただきます。」

そう言って大河内は俺に弁当の包みを渡すと屋上から去っていった。
あとには俺一人が残された。


その弁当は確かに美味かった。
ハンバーグまで入っているということは相当に力を入れて作ったんだろう。
でも。

「二人で食べたらもっと美味しいんだろうな。」

誰もいない屋上でそんなひとり言をつぶやいた。
800あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/22(月) 22:56:06 ID:sVWolwVr
先輩を屋上に残し、ゆっくり屋上のドアを閉めて、・・・そしたらもう我慢の限界だった。

(なんで!なんでなんでなんで!どうしてこんなことになってるのよ!)

声には出さないけど心の中では絶叫が響きわたっている。
いま自分がどんな表情をしているのかわからない。でも、きっと子供が見たら泣くのは間違いない。
絶望と、怒りと、悲しみが混沌を生み出している。なにがなんだかわからない。
くらくらする。眩暈がする。足がもつれて、階段を踏み外してしまった。

「いっっつう・・・うく、くぅ・・・うっうぅぅ・・・」

泣き出してしまった。痛みからではない。悲しみが堰をきって押し寄せてきたからだ。
先輩の左手が動かなくなった。そのうえ、元通りになるかはわからない。
直る可能性もある。でも、もし直らなかったら。

「そんな・・・そんなこと、考えちゃ、だめ・・・うぅぅ、く、ふ・・・
 いや、そんなの・・・いや。だ、って、もしそんなぁ、ふぁ・・・ことに、なったら・・・」

先輩は剣道部をやめてしまう。
つまり、先輩とのつながりが無くなってしまうということ。

今まで私は先輩と『剣道部の後輩』としてしか付き合ってこなかった。
お弁当を作ることができたのも『後輩』だったから。メールでの話題も『剣道』のことばかり。
家に呼べたのも一緒に『剣道の練習』をすることができたから。
それは先輩が剣道部員だから成り立っている関係だった。

先輩に対して学校の上級生として接することもできるのかもしれない。普通の女の子なら。
でも私には無理。今までの人生で男の子とは『剣道』を通してしか関わらなかった。


そう。『剣道』が無ければ何もできないような臆病者なんだ。私は。
801あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/22(月) 22:56:50 ID:sVWolwVr
だからこそこの関係を早く終わらせようと思ったし、告白する勇気も持てた。
それなのに、こんなことになるなんて。

「辞めないで・・・せんぱい。やめないで・・・
 私は、うなばらせんぱいが、いないと・・・もう、だめなんです・・・
 好きです・・・好きです・・・好きぃ、で、すぅ、う、ふぇぇぇ・・・」

ならなぜ告白をしなかったの?毎日そのチャンスがあったのに。
後悔してももう遅い。そう思うともっと悲しくなる。

「なんでぇ。なんでこんなことに、なっちゃったのよぉ・・・
 ふぇ、えぇぇぇぇぇん・・・こんなの、やだよぉ・・・
 どうしてせんぱいは、変なおんななんか、かばって・・・・・・、ぇ?」




女?
そうだ。変な女が轢かれそうになっていて、それを先輩が助けて、そして怪我をした。


涙が止まる。
意識が覚醒する。体が軽い。心も軽い。
そう。あの夜。

「その女が、居なければよかったのに・・・」

いまさらその女をどうにかしても先輩の左手はすぐには回復しない。でも。

「その女に、報いを・・・」

助けてもらった恩も忘れ、立ち去るような人間には。

「その女に、■を・・・」



まずは探さなければ。その女を。

「・・・誰、なのかしらねぇ・・・」
802あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/22(月) 22:57:48 ID:sVWolwVr

妄想が浮かんだので書いた。
正直、仕事中にも少し書いたことに対して・・・反省していない。

このお嬢様には
左手が動かない→剣道をやめてしまう
とインプットされています。マネージャーでもいけるのに。


予告:ハッピーエンドにします。
   ただみんなが納得するかは分からない。
803名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 23:36:49 ID:FWYlzihh
>>802
こいつぁ期待の新人がきたな!
俺はあんたの作品を読み続けるよ!
804名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 23:37:46 ID:fF6rd5LU
>>802
GJ!
テンプレ案も感謝感謝
450KB越えたしそれで立ててきます
805名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 23:40:06 ID:fF6rd5LU
立ててきましたよん

ヤンデレの小説を書こう!Part2
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1169476735/
806名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 23:51:43 ID:QjGT9OPQ
>>602
これはクオリティが高くてGJな小説でつね
807名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 22:14:34 ID:+4orXTIq
それだけが願いだったのに
それだけが叶わなかった。

愛されたくて愛されたくて。

愛してるだけでいいと思った日もあったよ。でも笑ってる顔を毎日みて。

いつの間にか会いたいと思うようになった。会いたいよ。
必死に隠したけど会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい。

鏡に映った私は酷い顔してた。濁った瞳。あははは、仕方ないね。般若の気持ちがわかったよ。
私はきっともう壊れちゃったんだろう。壊れたんだね。あなたのせいだよ。
愛して。ねえお願いだから愛して。

会いに行くから。そしてもう離さない。待っててよ。あなたの胸にこの刃を突き立てて桜の木の下に埋めてあげる。



みんなこのスレ埋め立てようぜ。
808 ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/23(火) 22:50:48 ID:bYCtaPEW
じゃあ、最終回のあとで大河内ネタ投下してもおk?
809名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 22:54:26 ID:2PeEq9pZ
>>808
大河内と主人公に救いをヨロ
810名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 23:06:48 ID:pi8YjqwB
>>808
ぜひお願いしますm(_ _)m
811トリップテスト ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/25(木) 22:42:02 ID:VgLGiMfZ
トリップテストです。
812ひどいよ!おおこうちさん ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/25(木) 22:43:18 ID:VgLGiMfZ
〜血に染まる桜〜


偶然早起きして、いつもより早く学校に着くと下駄箱の中に便箋が入っていた。
周囲を見回して、誰もいないことを確認してから手紙の内容に目を通す。

『海原君へ 
 私は同じクラスになったときからあなたのことが好きでした。
 一度でいいから、二人きりで話がしたいの。
 もしこの手紙を読んで、会ってもいいと思ってくれたら、』

「『お昼休み、屋上に来て。』か・・・・・・」

苦節17年、ようやく俺にもモテ期が到来したようだ。
一ヶ月前に桜と恋人同士の関係になっているから当然返事はNOなわけだが、
誰が俺のことを好きになったのかということには興味がある。

「ちょっと話をするだけなら、いいかな。」

付き合いだしてから桜は一気に嫉妬深くなり、女子部員と話しているだけでも目に見えて不機嫌になる。
でもクラスメイトからラブレターを受け取ったのに、それを無視したらクラスの女子全員を敵に回す可能性もある。
学生生活を円満に送る秘訣はテストで赤点をとらないこと、友人を作ること、そして女子を敵に回さないことだ。

手紙をポケットに入れて教室に向けて歩き出すと、突然背中に針が突き刺さった――ような感じがした。
振り返っても誰もいない。気のせいにして、再び教室に向かって歩き出した。
813ひどいよ!おおこうちさん ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/25(木) 22:44:22 ID:VgLGiMfZ
昼休み。桜は用事があると言って弁当を渡すと、どこかに行ってしまった。
あいつが俺と一緒に食べないだなんて珍しい。今日は学食で食べ放題パーティーでも開催しているのだろうか。
あいつも女の子だから、俺の前でガバガバ食っているところを見られたくないのだろう。――とっくにバレバレだが。

今日のおかずは豚肉の生姜焼きだった。ハンバーグだけでなく、他の料理も上手い。
大河内母といういい教師がついているから、上達も早いのだろう。
弁当を完食してから、さっそく屋上に向かうことにした。
このとき、昼休みは20分が経過していた。


『・・・・・・ガ、・・・・・・ド、・・・・・・ドス、・・・・・・ドンッ・・・・・・』

屋上へ向かう階段を上がっていると、音が聞こえてきた。
それは一段一段上がっていくたびに近づいてくる。
何か、柔らかいものを叩いているような・・・・・・肉を叩いているときの音に似ている。
一定のリズムで聞こえてきたその音が止まると、今度はどこかで聞いたことのある声がした。

「ぁは・・・・・・こ・・・で、この泥棒・・・は動・・・・・・く、なったわ・・・・・・」

桜の声、だった。――嫌な予感がする。
俺を待っている女の子。桜。肉を叩く音。

心が警鐘を鳴らしている。鳥肌がたつ。
階段を駆け上がり、屋上へ続くドアを開けた俺が見たものは――


屋上の床一面を染める鮮血と、
制服を血に染めて、ありえない方向に体の関節を曲げて動かない女生徒と、
血に染まった木刀を持ちながら、笑い声をあげる少女の姿だった。
814ひどいよ!おおこうちさん ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/25(木) 22:45:01 ID:VgLGiMfZ
桜が狂った。そうとしか思えない。
いくら嫉妬深いとはいえ、まさか人に危害を加えることはないと信じていた。
だが目の前にいる少女は、俺に告白をしようとした女の子を木刀で動かなくなるまで殴った。

俺の方を振り向いた桜は、返り血を浴びたまま笑顔を浮かべていた。

「ああ、先輩。ちょうど良かった。今終わったところでした。」
「っ・・・・・・終わったって、何が・・・・・・だよ。」
「泥棒猫の退治ですよ。猫らしく逃げ足だけは速かったですけど、膝の骨を砕いたら倒れて動かなくなりました。
 そこからはすぐに片がつきましたよ。もう、息の根を止めちゃいました。」
「・・・・・・さ、く、ら・・・・・・」
「ところで先輩。お弁当の生姜焼きは美味しかったですか?
 今日の出来はかなり良かったからお母さんも褒めてくれたんですよ。
 だ・か・らぁ、先輩も褒めてください。」
「おまえっ・・・・・・!」

今回ばかりは、俺の堪忍袋も緒が切れた。

「桜ァァッ!!」

床に置かれていたのモップを手に取り、桜めがけて突進する。
突進の勢いをのせた横薙ぎの一閃は、木刀で受け止められた。

「せ、先輩?! いきなり何するんですか!」
「何も言うな。もうお前は――寝てろ!」

モップを離し、みぞおちに向かって全力で拳を叩き込む。
桜はそのまま脱力して、床に倒れこむ――――ことなく、前かがみのまま喋りだした。

「・・・・・・そうですか。ここで、私と手合わせをしたいっていうことですね。
 いいですよ。じゃあ――――死合い、開始です。」

そしてその体勢のまま左手で木刀を腰溜めに構えて、――――まずい
右手で木刀の柄を振り抜くのが見えた。――――しゃがめ!

ビヒュッ!

木刀を振る音ではなく、鋭い刃物が空気を切り裂く音が耳元で聞こえた。
床に落ちたモップを拾い、続く袈裟切りを転がって避ける。

右手には、真剣が握られていた。
815ひどいよ!おおこうちさん ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/25(木) 22:46:23 ID:VgLGiMfZ
「おまえ、そんなものまで・・・・・・」
「綺麗な刀でしょう?昨日道場の倉庫の中で偶然見つけたんですよ。
 先輩に見せようと思って持って来たんですけど・・・・・・
 まさか先輩と死会うことができるとは思いませんでした。」
「俺も、殺すつもりなのか・・・・・・」

首を傾げて考えるような仕草をしながら、正眼の構えで俺と向き合った。

「ちょっとだけ、違います。
 先輩は、私と離れたくないって言いましたよね。もちろん私も同じ気持ちですよ。
 でも先輩は私というものがありながら、泥棒猫のところに行こうとした。
 私はずぅっとずぅぅっと欲しかった先輩を手放す気は、全くないんですよ。」

俺と正面から向き合った刀の切っ先は微動だにしなかった。
だからその凶刃が俺に向かってきても、気付くことができなかった。人と人が歩み寄るように日常的に、自然に近づいてきた。

――――気付いたときには、すでに俺の左胸から刀が生えていた。

「そのためにはどうすればいいか、必死で考えました。
 先輩と一つになってしまえばいいんです。物理的な意味で。」

桜が抱きついてくる。優しい抱擁だった。俺の心臓から流れ出してくるものを全て受け止めるような。

「大丈夫です。私と一緒になれば喜びも、怒りも、哀しみも全てが楽しみに変わります。
 これからは何も心配しなくていいんですよ」

――魅力的な誘惑だ。そしてこの誘いに対する拒否権は与えられていない。

じゃあもう、いいや。あきらめて、ねてしまおう。

おやすみ。さくら。


あはっ、あはっ! あはははは! あぁっははははははははははっ!



816ひどいよ!おおこうちさん ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/25(木) 22:47:21 ID:VgLGiMfZ




「・・・・・・という夢を見たんだ。」
「・・・・・・そうですか。」
「お前、まさかそんなことを考えてないよな?」
「・・・・・・・・・・・・」
「なぜ目をそらす。」
「・・・・・・ちっ」
「なぜ舌打ちをする。」

桜は木刀を竹刀袋の中に入れた。

血に染まる桜・終わり



『ひどいよ!おおこうちさん』のネタはあと四つほどあります。
三日、もしくは四日連続で投下する予定です。
817名無しさん@ピンキー:2007/01/26(金) 00:05:54 ID:206hWlB1
ちょwwwwwひどいよ!おおこうちさん!

てかGJ!大河内さんテラモエス(*´д`*)ハァハァ
818ひどいよ!おおこうちさん訂正 ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/26(金) 00:19:43 ID:2vX2aLwM
>>814
>床に置かれていたのモップを手に取り、桜めがけて突進する。
床に置かれていたモップを手に取り、桜めがけて突進する。

でした。

(てか、のモップってなんだよ!俺!orz)
819名無しさん@ピンキー:2007/01/26(金) 01:17:32 ID:+j6uJi3S
さいこうだ!
あんた神だよ!
820名無しさん@ピンキー:2007/01/27(土) 01:45:51 ID:E+rnGFh2
それ何てエロゲ?
821ひどいよ!おおこうちさん ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/27(土) 04:46:57 ID:N3CylHm4
>>819
神は死んだ!私の正体は超人めsゲフンゲフン

意外と好評らしいので続きを投下します。大河内はちょっとだけ出てきます。


〜ある同級生の回想録〜

 私が彼に対して想いを寄せるようになったのは、一昨年の春のことだった。





 入学式が終わって、一年A組の教室で初めてのHRが行われた。
 クラス担任の自己紹介の後は、クラスメイト全員の自己紹介が始まった。
 こういうときの自己紹介というものはたいていつまらないし、平凡なものだ。
 前の席に座っていた男子生徒の自己紹介も内容は平凡なものだったが――、

「宮内(くない)中学校出身、海原英一郎です。
 中学校では剣道部に入っていました。これから一年間、よろしくお願いします」

 含まれていた単語は無視できるようなものではなかった。


 私が居た岩戸(いわと)中剣道部の先生と宮内中剣道部の先生は
姉妹の関係で、揃って勝負事が大好きだった。
 その影響で、両校の剣道部は月一のペースで代表五人を選出し、練習試合を行っていた。
対戦方法は勝ち抜き方式。先鋒が一人で五人抜きをすることもできるルールだ。

 両校のポイント差は、私が二年生になった時点で15まで開いていた。
 しかし、三年になったときにはポイント差は3にまで縮み、
 七月に行われた最後の試合で、とうとう逆転されてしまった。

 弱小剣道部に脅威の16連勝をもたらした選手の名前は海原英一郎。
 中学時代、一度会って話してみたいと思っていた人間が私の前には座っていた。
822ひどいよ!おおこうちさん ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/27(土) 04:48:04 ID:N3CylHm4
 私の勝手なイメージでは荒々しくて粗暴な男だったが、
 目の前にいる男子生徒はそのイメージとは違い、話しやすそうな相手だった。
 心の準備を終えて話しかけようとした瞬間、先手を打たれた。

「えーと、違ってたら・・・・・・ごめん。
 もしかして君、岩戸中の剣道部にいた?」

 どこか申し訳なさそうな感じで話しかけてきた。

「え、と――うん。そうだよ。
 それで、君が本当に海原君? なんだかイメージと違うなぁ。
 そぼ・・・・・・じゃなくて、武士みたいな人なんだと思ってたよ」
「武士って・・・・・・俺、そんな風に思われてたの?」
「うん。部員全員がそう。だってそうでも思わないとこっちはやってらんないもん。
 『宮内中の海原には合戦で無念の死を遂げた侍の霊が宿っている』っていうのが
 卒業前に一番流行っていた仮説だったね。今頃は『武田信玄』とかになってるかも」
「んなあほな・・・・・・」

 冗談なのに。どうやら彼は真面目な人間らしい。

「それでさ・・・・・・恨まれたりは、してなかったのかな」
「二年生の夏ごろまでは私も・・・・・・ちょっとだけ。けど、三年生になるころにはもう皆あきらめてたね。
 だからそんなに気に病む必要はないよ」
「そっか・・・・・・良かったぁ。
 いつか後ろから刺されるんじゃないかって内心びくびくしてたからさ」

 そう言って彼は安堵したような笑顔を浮かべた。
 その表情は、先刻まで彼に対して抱いていたイメージとは大きなギャップがあった。


 その笑顔に不覚にもときめいてしまった私を誰が責められようか。





 それから海原君と私は剣道部に入部した。
 そのまま一年間彼と部活での仲間兼クラスメイトとして過ごして、そろそろ
次の関係にステップアップしようと思っていた四月。
 
 入部してきた後輩にいきなり彼の隣のポジションを奪われた。
823ひどいよ!おおこうちさん ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/27(土) 04:49:34 ID:N3CylHm4




 忌々しい。そして今まで行動しなかった自分自身が恨めしい。

 あの泥棒猫は校外練習という理由で練習好きの海原君を誘惑し、
同時に一緒に帰るという約束まで取り付けてしまったようだ。
 貧弱な体しか持ち合わせていないが、頭だけは回るらしい。
 
 このままでは突き放すということを知らない彼はずるずるとあの女と親しくなっていき、
帰り道に突然振り出した雨の日なんかに、
「先輩。もう夜も遅いから泊まって行きませんか」
 とかなんとか言われて無理矢理家に連れ込まれてちょうどその日は家の人が居なかったりなんかして
「先輩。まるでこの世界に二人だけしかいないみたいですね」
 とかなんとか言われて本当に二人だけの世界にくぁwせdrftgyふじこlp;@:「」

 まずい。それだけは防がなければいけない。
 今まで海原君を満足させるために色々な本でアッチ系の勉強をしてきたというのに、
全てが水の泡になってしまう。

 よし・・・・・・今日の練習が終わったあと、泥棒猫と一緒に帰る前に
明日彼とデートする約束を取り付けよう。
 彼の心を先に奪ってしまえばあの女も強引なことはできないはずだ。

 彼は私の数歩先を行きながら練心館へ向かっている。
 私はその背中に視線で念を送りながら、歩く速度を上げた。


 今日の校外練習ではくじびきで決めた相手と試合をすることになった。
 私の相手は運のいいことに泥棒猫だった。

(あなたの弱点は、お見通しなのよ。)
824ひどいよ!おおこうちさん ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/27(土) 04:50:29 ID:N3CylHm4
  『はじめ』の合図前から、わたしは勝利を確信していた。

 しゃがんでいる泥棒猫の右膝が私の方に真っ直ぐ向けられている。この体勢は
『開始直後に突きを繰り出す』という合図だ。
 そして『はじめ』の合図と同時に私も突きを繰り出せば、リーチの長い私の突きが
カウンターで泥棒猫の喉に突き刺さることになる。

「はじめ!」

 きたっ!全力で私の突きを喉元に――

 居ない。消えた。

 いや、居た。開始の合図と同時に左へ跳躍し、私の突きをかわしていた。
 体勢を崩して隙だらけの私に向かって、竹刀が走る――――

 ――さて、みなさんは剣道をしたことがありますか?
 ――そして、籠手の手首部分だけを思いきり打たれたことがありますか?
 ――私はあります。たった今、ポニーテール頭の後輩に打たれました。痛い。

 その後は右手の握力が戻らず、一本目の籠手に次いであっさり面を打たれ、試合終了。
 

 結局右手の痛みで海原君をデートに誘うことをすっかり忘れてしまい、
早々に帰宅してしまった。

 現実は、予想通りにはいかない。




825ひどいよ!おおこうちさん ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/27(土) 04:51:28 ID:N3CylHm4
 そして現在、私は屋上で海原君を待っている。

 先月、海原君と泥棒猫と付き合いだしたということをひとづてに聞いてから、
彼を奪うために練ってきた作戦を実行するためだ。

 作戦名は『寝取る』。
 作戦の内容は『彼と二人きりの状況に持ち込み、強引に既成事実を作り出す』。

 うふふ。残念だったわね。泥棒猫さん。
 彼は強引に私のものにするわ。
 あなたには無い物――自慢の体――を使って、ね。 


『ガチャ』

 後ろからドアを開く音が聞こえた。ターゲットが到着したようね。

「うな・・・・・・っばらくん?」

 振りむいても誰も居なかった。おかしいな。風で開いたのかな?


『迷子の 迷子の 子猫ちゃん♪』

 歌が、聞こえた。
 
『あなたの お家は どこですか♪』

 あの、泥棒猫の声。

『お家を 聞いても答えない♪
 名前を 聞いても答えない♪』

 後ろから、聞こえる。  

『だって その子 生きてないもの♪
 血を流してる子猫ちゃん♪』

 ――作戦名変更。『逃げろ』。 

『町の 保健所さん♪
 困ってしまって ズンドンドドン♪ ドンズンズドン♪』


 ――――膝が、砕けた。
826ひどいよ!おおこうちさん ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/27(土) 04:54:01 ID:N3CylHm4
「――ハッ!ハッ、ハッ、ハッ、・・・・・・ゆ、夢・・・・・・?」

 私は今、自分の部屋のベッドに寝ていた。

「・・・・・・そりゃ、そうよね。あんなの、夢に決まってるわ」

 まさかあの子でもあそこまでしたりはしないでしょう。・・・・・・たぶん。

 それよりも早く寝ないと。
 明日は早起きして海原君の下駄箱に手紙を入れないといけないんだから。

「海原君。おやすみなさい」

 写真立ての中で笑顔を浮かべる同級生を胸に抱きながら眠りについた。

ある同級生の回想録・終わり



気付いたら、朝いつも起きる時間になっていた。
正直、今日が土曜日だということにとても感謝している。

今までの書いてきたもののなかで一番時間がかかりました
キャラ設定が甘いと苦労するということを身を持って味わいました
827名無しさん@ピンキー:2007/01/27(土) 07:19:52 ID:z+bpXimj
GJ!
怖カワイイヨ大河内さん((( ;゚∀゚)))ガクブルハァハァ
828名無しさん@ピンキー:2007/01/27(土) 16:18:07 ID:kKCDeWwi
結果的に振られなかったしいい人だな。>大河内さん
829ひどいよ!おおこうちさん訂正 ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/27(土) 17:03:11 ID:N3CylHm4
>>825
>先月、海原君と泥棒猫と付き合いだしたということをひとづてに聞いてから、
先月、海原君と泥棒猫が付き合いだしたということをひとづてに聞いてから、

でした。ごめんなさい。
830ひどいよ!おおこうちさん ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/28(日) 07:11:04 ID:wFSh9mQ6
〜一月末、海面の上昇により桜前線北上〜

 八月末の土曜日。ツクツクボーシが最後の力を振り絞り、
その役目を終えようとしていたある日のことだった。

 私の期待を裏切り剣道バカに育った娘の桜が、

「お母さん! 明日部活の先輩が来るから、先輩の分のお昼も用意してもらっていい?」
 
 と言ってきた。
 
 
 桜は元気な娘に育ってくれた。
 夫と私は長男にだけ稽古をつけていたから、
親の愛情を知らない子供に育ってしまうかもしれないと
心配していたが、杞憂に終わってくれた。
 家にもよく女の子の友達を連れてきたし、
仕事で家を空けることの多い私の代わりに家事もこなしてくれた。

 桜は私にとって――こう言うと親馬鹿に聞こえるが――自慢の娘だ。

 しかし、心配なこともあった。
 それは、全くと言っていいほど男の話をしたことがないということ。
 
 容姿は私に似て愛らしいし、身長も夫に似ることなく
上目遣いをしたら男のハートを射止めることができる絶妙の高さ。
 男にもててもおかしくないはずだ。
 もしかしたら男に興味が無いのでは、と心配したこともあるが、
家に連れてくる女の子たちを見る目は友好の眼差しだった。
 とはいえ、変な男がくっついてきても困ると思い、
そのまま放っておいたある日のことだった。
831ひどいよ!おおこうちさん ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/28(日) 07:12:04 ID:wFSh9mQ6





 高校の剣道部に入部してから二日経った日の夕食の席で、こんなことを言い出した。

「今日ね、練習で対戦した男子の先輩とね――」

 驚いた。桜が男の子の話をし始めたのだ。絶句してしまうのも無理はない。
 しかし、夫と長男の反応は一味違った。
 長男は鈍器で頭を殴られたように呆然としているし、
夫にいたっては焼酎を吹いた上椅子から転げ落ちた。

 嬉々として部活の話を終えた娘は、夫に向かって
「校外練習をするために練心館を使わせて欲しい」と頼んできた。
 剣道バカではあるが、桜は校外練習をするほどのめり込んではいなかった。
 それなのに校外練習のために道場を貸してくれと頼んできたということは、
その先輩と少しでも一緒にいたいという考えなのだろう。

 しかし、それでは練習を終えて帰宅するころには夜八時を過ぎてしまう。
 そう思い反対しようとしたら、また驚かされる言葉を返してきた。

「大丈夫。そんなに家から離れてないし、毎日先輩に家まで送ってもらうから」

 ・・・・・・どういうことだ。今まで男と縁の無かった娘がここまで積極的になるとは。
 もしやその先輩とやらに惚れ薬でも飲まされたのか。・・・・・・いや、さすがにそれはないか。
 娘の成長を嬉しく思った私は、校外練習をすることに賛成したが、夫と長男は反対した。
 心配するのはわかる。しかし、娘の恋を成就させるため(同時に夫の娘離れと長男のシスコンを治すため)には
賛成させるしかない。
 
 一時間の議論の末、「あんたたち、いい加減に(桜から離れ)なさい!」という私の一喝で
娘の校外練習は了承された。



832ひどいよ!おおこうちさん ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/28(日) 07:12:59 ID:wFSh9mQ6
 それから四ヶ月が経ち八月になった今、ようやくその先輩を
我が家に連れてきてくれるらしい。
 そういうことなら私も張り切らないわけにはいかない。
 一番の得意料理である特製豚汁を用意して娘の夫――もとい恋人候補を
出迎えることにしよう。

 ただ、やけにご機嫌な様子でご飯を食べる夫と長男が不気味ではあった。


 翌日の日曜日。
 桜が剣道部の先輩だという男の人を連れて家に帰ってきた。
 
 もしかしたら夫のような巨漢か、長男のように痩身の男でも連れてくるかもしれないと
内心覚悟を決めていたが、拍子抜けするほど普通の男の子だった。
 中肉中背。くっきりした二重まぶた。そしてなにより、若い。
 
 じゅるり。

 いやいや、37才にもなって年がいもなく興奮している場合ではない。
 今日は娘と我が家に対する心象をよくするために努力しなければいけないのだから。
 
 午前十時に家族全員が参加して、彼――海原英一郎君の実力を見ることにした。
 打ち込みを見ている限りでは、桜が話にするだけあっていい筋をしている。
 体の使い方も上手だ。高校生にしては、だが。
 
 一時間ほどして一通りの基本練習を終えたので、
お茶でも飲みながら英一郎君を質問攻めにしたい気分だったが、
長男が彼と試合をしてみたいというのでやらせてみた。

 正直、やらせなければ良かったと後悔した。実力差がありすぎた。
833ひどいよ!おおこうちさん ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/28(日) 07:14:28 ID:wFSh9mQ6
 長男の放つ威圧感は、喩えるなら『壁』である。
 その細身の体からは想像できないほどの広い『壁』。

 前進するたびにその『壁』は押し寄せてきて、
気がついたら逃げ道を塞がれそのまま仕留められてしまう。
 実力が上の人間なら壁を押し返すなり横に抜け道を見つけるなりして
自分の土俵で勝負をするのだが、高校生である彼には無理だったようだ。

 『壁』に追い詰められて白線の外に出て、トイレまで誘導されてから閉じ込められた。

 ちょうどその時点でお昼の時間になったので、道場から引き上げることにした。
 長男は足首を縄で縛って、カロリーメイトを与えてから更衣室に閉じ込めて鍵をかけておいた。
 当然、水抜きで。


 お昼に私がふるまった豚汁を英一郎君は何杯もおかわりしていた。
 「ものすごくおいしいです」と言いながら食べるその姿を見ていたら、
まるでもう一人の息子ができたような気分になった。

 可愛い。食べてしまおうか・・・・・・

 と不埒なことを考えたが、正面に座っている桜が今までに見たことのない目で睨んでいたので、
早々にごちそうさまをしてから道場へ向かうことにした。


 午後の練習は一時から始めることにした。
 今度は英一郎君と夫が試合を行った。
 夫の実力は長男でさえ歯牙にかけないほどのものだから、
当然内容は一方的なものになる。
 しかし夫よ。さすがに全力で突きを出すことはないだろう。

 英一郎君は突きを受けて、腰を軸に体を4分の1ほど回転させてからそのまま落下した。
 
 彼が機嫌を悪くして二度と家に来なくなったりしたらどうやって私――じゃなくて、
桜に謝るつもりだ。今夜の晩酌は焼酎だけ与えてつまみは無しだ。
834ひどいよ!おおこうちさん ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/28(日) 07:16:41 ID:wFSh9mQ6
 試合を終えたあと、英一郎君はすぐ帰ることになった。
 首を痛めたという理由ではなく、最初から練習をするためだけに来たらしい。
 桜も晩御飯までご一緒する約束を取り付ければよかったのに。
 ・・・・・・まあ、異性の先輩を連れてきただけでも充分な進歩だと言えるだろう。

「じゃあ、今日は本当にありがとうございました」

 そう言って英一郎君は背を向けて帰っていった。

 いいえ。また来てくれたら同じ料理をごちそうしますよ。 
 だから今度はお義母――おばさんと試合しましょうね。
 ――たっぷり可愛がってあげるから。

 と不埒なことを考えていたら桜が色の無い目で私を睨んでいたので、
すぐさまきびすを返して家の中に入ることにした。





 それから英一郎君が道場へ練習に来なくなってから一月になり、
剣道協会の仕事から夫婦と長男揃って朝帰りしたら桜からこんな台詞で出迎えられた。

「おかえりなさいお父さん、お母さん、お兄ちゃん!
 あのね、私海原先輩と付き合うことになったから!」

 その後で私は喜んだり、桜が足に包帯を巻いていることに気づいて慌てたり、
夫が叫びだすやら、長男が気絶するやらで朝からてんやわんやの事態だった。


 それから、桜は毎日花が咲いたような笑顔を浮かべるようになった。
 我が家の桜には一足先に桜前線が到来したようだ。

 ありがとう。海原英一郎君。


一月末、海面の上昇により桜前線北上・終わり
835あとがき ◆Z.OmhTbrSo :2007/01/28(日) 07:18:26 ID:wFSh9mQ6
本当はあと二つネタがあったんですが、ボツにしました。
書いてみようとはしましたが、どうやったら結末まで持っていけるかが浮かびませんでした。
(メモ帳に『結婚』とか『桜の木の下に埋めてあげる』とか書いてどうする気だったんだろうか>俺)

『ひどいよ!おおこうちさん』はこれで終幕です。
同時に『ヤンデレ?娘』と『恥ずかしい男』のお話もおしまいです。
大河内と海原を愛してくださったみなさま。
本当にありがとうございました。

また私の埋めネタも尽きましたので、
どうぞみなさん存分に埋めてください。
↓↓↓↓↓↓↓↓
836名無しさん@ピンキー:2007/01/28(日) 10:22:23 ID:oqk/Q3rB
乙です。内容もGJですけど
短期間でこれだけ書けるエネルギーも尊敬。
次回作も期待しておりまつ
837名無しさん@ピンキー:2007/01/28(日) 10:31:53 ID:+4XyCBC7
ほのぼのしてるなGJ
838名無しさん@ピンキー:2007/01/28(日) 10:47:55 ID:fRy+f1sw
ヤンデレ部分が少なめだったけど面白かったぜ

GJ
839名無しさん@ピンキー:2007/01/28(日) 12:26:26 ID:cUTalHFJ
GJでした
次回作もwktkしてお待ちしております
840いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/29(月) 18:38:12 ID:SQxqzpns
埋めネタで「ルートC・姉に唄えば」を投下します
841いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/29(月) 18:49:39 ID:SQxqzpns
「……考えとくよ」
 それだけ言って――僕は如月更紗のベッドから離れた。彼女の生腕が名残惜しそうに離れる。
 別に、一緒に帰ることが嫌なわけではない。
 神無士乃との約束を破るのが嫌なわけでもない。
 如月更紗を、嫌いなわけでもない。
 それが、問題なのだ。
 そう――僕はもう気付いている。ここ数日のやり取りの中で、気付かずにはいられなくなっている。
神無士乃に対してそう思ったように――如月更紗にもまた、ある種の居心地のよさを感じていることに。
 一緒にいると疲れる。それには変わりはない。
 けれど――
 一緒にいて、楽しいのも、また事実だ。
 偽ることのできない――事実だ。
 だから、怖い。
 楽しくて、楽しくて、楽しすぎて――姉さんのことを、忘れてしまうのが、怖い。
 深く情を入れてはいけない。
 自分にとって、何が一番なのか、忘れるな。
 何を最も優先すべきなのか、忘れるな。
 お前は――姉さんが、好きなんだろう。
 お前は――姉さんの、仇が取りたいのだろう。
 なら、それを一番に考えろ。
 死んでいる姉さんと、生きている神無士乃や如月更紗を天秤にかけて。
 いない君と、いる誰かを秤にかけて。
 迷わずに――姉さんを選べなければ、ならない。
 迷っては、いけない。
「なあ如月更紗」
 僕はベッドを離れ、保健室のベッドを囲む白いカーテンに手をかけながら、如月更紗に話しかけた。
如月更紗は「ん?」と、枕の上で器用に首を傾げてみせた。何かを心待ちにするような、楽しそうな
表情。
 そんな如月更紗に、僕は尋ねる。
「お前――いつから僕のこと好きなんだよ?」
 どうして、と聞くべきだったのかもしれない。
 けれど、直接的に聞くのが何となく恥かしくて、そう訊ねた。
 如月更紗は――
「ああ、ああ、そんなことか」
 応えて。
 微笑みながら、僕の問いに、楽しそうに答えたのだった。
「勿論秘密だよ。秘密だけれども――夜にベッドの上で教えてあげなくもないわよ」
「そういう物言いが胡散臭いんだよなあ……」
 答えを期待していたわけではないけれど、こうもはぐらかされるといい気分ではない。
 まあ、夜を期待しておこう。
 ひょっとしたらひょっとすると、何かの気まぐれで、如月更紗自身のことを話してくれるかもしれないから。

「それじゃあ――またな」
「また、ね」

 挨拶をして、僕は如月更紗と別れて保健室を出る。


 また、という約束は――果たされることは、なかったけれど。
842いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/29(月) 19:16:57 ID:SQxqzpns
 太陽が遠い。
 夜も夕方もまだ遠い。真昼の太陽は、かなりの高さにあって手が届きそうにもなかった。季節柄暑いけれ
ど、我慢できないほどでもない。坂道の下から吹いてくる風が制服の下に入り込んで気持ちが良かった。
 誰もいない坂道を下るのは、かなり気分がいい。
「皆がサボりたがる気持ちも少し分かるな……」
 独り言を呟くが、独り言を聞く人がいないというのは、中々いいものだった。教室で独り言をぶつ
ぶつと呟けば変人だが、ここでは聞く人は誰もいない。坂道をのんびりと歩いているのは僕だけだっ
た。いつもならば蟻のように行き来している中学生や高校生も、今は一人だっていやしない。
 どことなく、静かな気がした。
 遠くからは車の走る音や、町の声が聞こえてくる。背後にある学校からは、グラウンドの歓声が聞
こえてくる。それでも、周りには音がないように思えた。
 近くに、何もないからだ。
 全てが遠い――別のセカイでの、音だった。
「たまにはこんな静かなのも悪くないよな……」
 いつも、賑やかだから。
 登下校は、神無士乃が一緒だから。
 最近は、とくに賑やかだから。
 学校や家に、如月更紗がいるから。
 こんなに静かなのは――姉さんといるときくらいだ。
「どこにも行きたくねえなあ……」
 そんな、不健全のような、不健康のような台詞を吐きながら、
 僕は歩く。
 家へと、歩く。
 三十分ほど歩いて家まで辿り着く。郊外まで来ると、静けさはより一層深くなっていた。住宅街に
存在するせいで、道路からの音が聞こえずらい。学校の声も聞こえない。夕方になればそこそこ賑わ
うが、この時間に家にいるのは、暇を持て余している専業主婦くらいだろう。
 あるいは、家から出ることのできない事情を持つ者だけだ。
 姉さんもその一例だよな――そんなことを思いながら、胸ポケットから鍵を取り出して扉を開ける。
 ノブをひねると、鍵がしまっていた。
「…………」
 あれ――おかしい。
 もう一度鍵を差し込んで、ノブを回す。今度は抵抗なく扉が開いた。無人の玄関が、いつも通りの玄関が
目の前に広がる。
「…………」
843いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/29(月) 19:17:41 ID:SQxqzpns

 鍵が壊れていたのではない。
 最初から――開いていたのだろう。
 扉の鍵が、開いていた。
「…………」
 可能性は二つ。
 閉め忘れたか、誰かが開けたかだ。
 前者はいかにもありえそうだった。今朝はどたばたとしていたから、閉め忘れていてもおかしくはない。実際、きちんと
閉めたかどうか、記憶は曖昧だった。神無士乃や如月更紗にかき乱された朝だ、鍵を閉め忘れていてもおかしくはない。
 おかしくは無いが、違和感がある。
 そんなはずはないと、頭のどこかで警鐘が鳴る。
 後者の可能性について考えてみる。家の中にいる人間が扉を開けた、というもの。
 それは、あり得ない。
 家の中には確かに姉さんがいるけれど――姉さんは、物理的にはもう何もできない。
 なら。
 家の外にいる人間が、扉の鍵を開けて、中に入ったことになる。
「…………」
 考えられる可能性を更に考える。こういうことをしそうなのは、間違いなく如月更紗だ。僕らが家を出た後で、
タイミングを見計らって如月更紗がこの家に侵入、トランクケースを置いて学校へ向かった――そう考えれば辻褄
はあう。如月更紗は既に一度ピッキングを行っているから、実行することは可能だ。
 可能なだけだ。
 辻褄があうだけだ。
 何かが――何か、嫌な予感がする。
 蟲のしらせ、なのかもしれない。
 ――これ以上考えても、答えはでない。
 考えすぎかもしれない――そんな甘い考えを捨て切れなかったが、それでも念のために、
足音を殺して家へと上がる。なぜ足音を殺すのか、考えもしなかった。
 静かに、静かに。
 家へと入って。
 居間への扉を開けて――

 居間では。


「雨に――唄えば――」


 見知らぬ男が、小声で歌を口ずさんでいた。
844いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/29(月) 19:59:37 ID:SQxqzpns
「――誰だ、お前」

 思わず、言葉が口を割って出てきた。
 見たことのない男だった。
 見たことも聞いたことも無い男だった。
 上から下まで黒一色の服装。暑さを感じないのか、長袖に黒の靴下まではいているせいで、首から上まで
しか肌色が見えない。怪我でもしているのか、松葉杖を使っていた。
 男が見ていたのは、居間に飾ってある、何の変哲もない写真たてだ。
 姉さんの写真を――男は、見ていた。
 男は、唄うことを止めることもなく、写真を見るのもやめようとしなかった。僕がきたのを、まったく意に介して
いなかった。まるでそこが自分の居場所であるかのようにくつろいでいる。
 ここは。
 この家は、僕と姉さんの場所だというのに――

「――誰だお前は!」

 今度こそ、意志を持って怒鳴った。怒鳴られて初めて気付いたように、男はゆっくりと、振り向く。
 優男にしか見えなかった。
 不法侵入をするような男には見えなかった。どこにでもいる男にしか見えなかった。
 ただ一点。
 姉さんのように。
 如月更紗のように。
 変質した神無士乃のように。 
 あるいはそれ以上に――暗く暗く暗く暗い、何処までも沈むような、黒い瞳だった。
 黒い意志を持つ、瞳だった。
「……ああ」
 男は僕を見て、興味なさげにいう。
「君が弟か」
「…………!」
 その言葉に、感情が沸騰しそうになる。
 弟。
 それは僕を主体にとらえた言葉ではなく――あくまでも、姉さんを主とした場合の呼び名だ。
 つまり、こいつは、姉さんの知り合いで――
「お前は――誰だ」
 僕は三度、如月更紗に対してそうしたように、誰だと、男に尋ねる。
 姉さんは、学校に知り合いなどいなかった。まともな友人などいなかった。
 まともでない知り合いが、まともでない方法でここにいる。
 それは、つまり。 
 この男は――
 男は、惑うこともなく、淡々と応える。
「特に誰でもないよ――先輩から貰ったウサギの名は、後輩に譲ってしまった」
 ウサギ。
 先輩。
 後輩。
 ウサギ。
 三月ウサギ――

「――お前か!」

 頭の中で幾つもの単語が浮かび上がり、一瞬でくもの巣のように繋がっていく。家にいた男、姉さんのことを知っている男、
ウサギ、譲られたウサギ、譲られたものを譲ったウサギ、三月ウサギの次。
 五月生まれの三月ウサギ!
 こいつが――姉さんを殺した男!
 奇妙な確信を持って僕は松葉杖をつく男へと飛び掛り、
845いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/29(月) 20:28:47 ID:SQxqzpns
「あら、駄目ですよ」
 後ろからかかる声と共に――止められた。
 無理矢理に、脚を止められた。
 止めざるを得なかった。
 横薙ぎに脚を包丁で切られれば、誰だって足を止めるだろう。
 右足から感覚が消え、うまく走ることができずに右半身から床に倒れこむ。受身を取ることすら
できなかった。どうにか手をついて頭を床にぶつけるのだけは防ぐ。
 遅れて――痛みがくる。
 脚に、痛みが。
 痛い。
 それ以上に――熱い。脚が熱い。熱いのに、冷えていく。
 脚から血が、抜けていく。
「兄さんに乱暴しようなんて――私が許しません」
 上から声がする。さっき後ろで聞こえていた声が、今度は上から聞こえてくる。高い、女の子の声。
 聞いたことのない声は、笑っている。
 楽しそうに、笑っている。
「兄さんに触れるなんてとんでもない。触れていいのは、私だけです」
 笑い声が近づいてくる。同時に、きぃ、きぃと車輪の音が聞こえる。
 何の音だ――疑問に思いながら、力を振り絞って、身体を仰向けに戻す。
 車椅子に乗り、血に濡れた包丁を手にした少女が、楽しそうに笑っていた。
「男の方も、女の方も、関係ありません。兄さんの側にいていいのは私だけです。
 私は兄さんだけのもので、兄さんは、私だけのものです。
 そうでしょう――兄さん?」
 最後の言葉は、僕ではなく、松葉杖をついた男に向けられたものだった。
 男は、目の前で起きた惨劇に眉一つ動かすことなく、退屈そうに答える。
「お前が言うなら、そうなんだろ」
「ええ、その通りです。だから――貴方は、邪魔者です」
 退屈そうな男と対照的に、少女はどこまでも楽しそうだった。
 おかしそうに、笑っている。
 犯しそうに――笑っている。
「お前、は……」
 脚の傷を手で押さえる。ぬるりと、血に濡れる感触がする。それでも血が止まらない。フローリングの床に、血が
だくだくと、だくだくだくと広がっていく。的確に、これ以上ないくらいに正確に動脈を切られたのだろう。
 急いで手当てをしないと、間違いなく死ぬ。
 いや、手当てをしても怪しい――そして、それ以上に。
 目の前の少女が、それを許すようには見えなかった。
「ごめんなさい。ここは貴方の家なんでしょうけど……今は、私と兄さんのための世界なんです」
 くすくすと、車椅子の少女は笑う。血塗れの包丁にはそぐわない、純粋無垢な笑みだった。
 少女は笑う。
 男は笑わない。
 僕は――
「は、はは」
 僕は、笑った。
「はははははははははははははははははははははははははは!」
 笑うしかなかった。
 なんだ――これは。
 一体なんで、こんなことになっている。理不尽だ。曖昧だ。唐突すぎる。伏線も前ぶれも何もなく、理由も意味もなく、
 ――僕は、殺されるのか。
 姉さんを殺した奴にですらなく。
 その妹に――邪魔だという、それだけの理由で、死ぬのか。
 馬鹿げている。
 狂っている。
 どいつもこいつも――狂ってやがる。
「はははははははははははははははははははははははは!」
 僕は笑い、笑い、笑って、

「煩い」

 喉に包丁が突き刺さって――それ以上、笑うことはできなかった。
846名無しさん@ピンキー:2007/01/29(月) 20:37:52 ID:3P1G75il
GJ!!

幹也生きていたんだ……
良かった。

………ん、誰だアンタ?
アナタに兄さんを心配する権利はない?
ちょ…タン……マ………

レスはここで終わっています。
847いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/29(月) 20:43:59 ID:SQxqzpns
 少女の投げた包丁は――まっすぐに、僕の喉へと突き刺さっていた。
 惑いも迷いもない、微塵の躊躇もない、真っ直ぐな一撃だった。
 刺さってから、初めて投げられたことが気付くほどに。

 つまりは、何をしようが、手遅れだったのだろう。

「兄さんと、私の、邪魔をしないでください」
 少女が憮然とした声でいう。人を殺したばかりとは思えない、可愛らしい嫉妬めいた声だった。
 態度と――やっていることが、一致していない。
 それとも。
 これが、彼女にとっての、日常なんだろうか。
 邪魔なものを、残らず排除するのが。
「兄さんも兄さんです。こんな所、こなければいいでしょう? 二人だけでいいじゃないですか」
「思い出めぐりをしたかっただけだよ。またしばらくここから離れるんだから」
「私は――兄さんがいれば、思い出も何もいりません」
「そうかい」
 兄妹の会話が、遠くで聞こえる。
 彼らが遠くに行ったんじゃない――僕の意識が、遠ざかっていく。
 喉に刺さった包丁を、抜く力もない。脚を押さえていた手から力が抜ける。
 力が、抜ける。
 血が、抜ける。
 命が――抜ける。
 抜け落ちる。
「…………あ、」
 暗くなる視界の中で。
 男も少女も見えなくなっていく視界の中で。

 姉さんが、笑っているのが見えた。

 ああ――姉さんが笑っている。
 僕も、それだけで十分だ。
 十分、なんだ。
 姉さん。
 僕も、今。


 ――そっちにいくよ。



《TYPE・C BAD END》
848いない君といる誰か ◆msUmpMmFSs :2007/01/29(月) 20:45:16 ID:SQxqzpns
埋めネタ、以上で終了です
誤爆すいませんでした……
849名無しさん@ピンキー:2007/01/29(月) 20:57:06 ID:5R6LJCHq
激しくGJ!
前作の主人公は生きていたのか……

本編がより楽しみになりました
更紗たんと主人公はこのヤンデレ兄妹に対抗できるのか?((( ;゚Д゚)))ガクブル
850名無しさん@ピンキー:2007/01/29(月) 21:16:40 ID:kdxvy8W1
選択肢Cがトゥルーだと思ったのにw
主人公から考えればBADなんだが、妹が可愛過ぎる。

自分はB派だけど、果たしてどっちが生存ルートなのやら…。
851名無しさん@ピンキー:2007/01/29(月) 21:17:28 ID:kwE6Wb+R
ちょ……GJ!!
素晴らしいまでの病みっぷり…
852名無しさん@ピンキー:2007/01/29(月) 21:19:04 ID:tjkq8L2/
GJ!
すげぇぜ、ウサギさん、貴女に惚れそうだ。
853名無しさん@ピンキー:2007/01/29(月) 21:20:26 ID:jPqRTP/r
とにかくGJです!
Aルート派の俺としては更紗の妹を上回るヤンデレ化を期待してしまいます
854名無しさん@ピンキー:2007/01/29(月) 21:22:48 ID:Hz0zFcUy
生きてたのか!
855名無しさん@ピンキー:2007/01/29(月) 22:45:46 ID:GflRSjlw
文章が型月っぽいな
もしかして意識してる?
856名無しさん@ピンキー:2007/01/29(月) 23:36:15 ID:1OVEbNPH
むしろ本人
857名無しさん@ピンキー:2007/01/30(火) 00:28:22 ID:p01L77KA
むしろ当人
858名無しさん@ピンキー
むしろ本人以上

これからも良い作品を期待しております(-人-)