川原泉作品をエロくしろ!4

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1名無しさん@ピンキー
白泉社花とゆめコミックス、
ほのぼのな作風でお馴染みの川原泉作品をエロくするスレッドです。

妄想を語るもヨシ、キャラにハァハァするもヨシ、小説をうpするもヨシ、
エロな方向から川原泉作品を愛でましょう。

前スレや保管庫などの案内は、>>2にあります。
2名無しさん@ピンキー:2006/01/14(土) 17:16:40 ID:h6LF0wXx
○過去スレ
「川原泉作品をエロくしろ!3」
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1109168712/l50
「川原泉作品をエロくしろ2!」
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1075465904/l50
「川原泉作品をエロくしろ!」
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1039827496/l50

親スレ「まさかこのキャラをエロに使うか!?」
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1027604556/l50

これまでに投下されたSSの保管場所「2chエロパロ板SS保管庫」
http://sslibrary.arings2.com/
「少女マンガの部屋」へどうぞ
3名無しさん@ピンキー:2006/01/14(土) 17:29:26 ID:LQFI69p8
「あ〜新スレだとよ」もぎゅ
「ありゃ。前スレがdat落ちしたか」もぎゅ
「うんにゃ。容量オーバーだとよ」もぎゅ
「容量お〜ば〜か〜。職人さんたちのおかげだな〜」もぎゅ
「職人さんたちには本当感謝だよな」もぎゅ
>>1も乙だぞ」もぎゅ
4名無しさん@ピンキー:2006/01/14(土) 21:38:12 ID:SLZb7JCA
>>1乙!
5名無しさん@ピンキー:2006/01/14(土) 21:45:28 ID:G8+rE7ph
>1様乙です!
6名無しさん@ピンキー:2006/01/14(土) 23:19:58 ID:zlLKTrQJ
>>1さん乙です!

ところでフト思ったんですが、「ブレーメン2」で、
“最初の旅が終わる間近になって、どうにもナッシュと離れがたい気分に
なっちゃうキラ船長”
っていうシチュはアリですか???
「あ〜〜コレが終わったらナッシュは社長業か〜〜。船が静かにな……
あれ、なんだこの胸のモヤモヤは〜〜〜!!!」
みたいな……。
気の緩む瞬間って、ちょっとツボかなと。
7名無しさん@ピンキー:2006/01/14(土) 23:41:18 ID:Q/X6jdzo
1さん乙です。

まさかこんな早く新スレになるとは…。
保守用に前952の続きを投下します。
まだ全部書き終わってないです、すみません…orz
それから、前952冒頭を間違えました。

× ホワイトデーにはねー(クスクス)メジナを釣りに行くんだよー。
○ バレンタインにはねー(クスクス)メジナを釣りに行くんだよー。

皆様の脳内で、訂正をお願いします。
8名無しさん@ピンキー:2006/01/14(土) 23:42:46 ID:Q/X6jdzo
今回綾乃がバレンタインデーの為に選んだ釣り場は、伊豆諸島だった。
実はここいらは、密かに関東の一部釣り人に人気が高いのだ。
50cm以上の大物がバンバン釣れちゃうんだぜ、すごいんだぜ。
沖に行ったら、釣り人の夢カジキマグロ様まで釣れるらしい。
嗚呼、カジキマグロ様ですよ、カジキマグロ様。(うっとり)
さすがに自分の身長以上の魚は装備の関係もあるんで、学校を卒業してから、自分で自分に責任が持ててからだと思ってるけども。
釣り人歴12年の誇りはエベレストよりも高いのさっ。
この釣り人垂涎の伊豆諸島に、二人はなんと自家用小型クルーザーでやって来た。
加納の友人が、クルーザーを貸してくれたのである。
『自家用クルーザーなんて、誰が運転すんだよ』と思った読者の方もおられるであろう。
あいや、ご心配めされるな。
加納は海上保安庁でいわゆる「ふねのうんてんしゅさん」をしてるので、船舶免許をちゃんと持ってるのだ。
綾乃の前ではのほほんと見える加納も、毎日警察のおにーさんや消防署のおにーさんよりもハードなお勤めを頑張っているんだよ。
最近は特に、北の国から「ふしんせん」がしょっちゅう来るしな。
んでも、仕事がハードな割には存在が地味だったりする。
海上保安官は哀愁なのだな…。

空の天気はピ〜カピカ。波の音はドンブラコ。磯の香りはプ〜ンプン。
そう、まさに絶好の釣り日和でございます。
ヨセエをすると魚が寄って来るのが見えるのだ。
今日はどっかんどっかんメジナが釣れますぜ旦那。うひょひょひょひょ。
「今日は漁師さん風磯汁で美味しくいただきましょうね」
「はいっ!」
じゅるっと垂れそうになった涎を拭い、綾乃ははっ!と気を取り直した。

いかんいかーん!
こ、これではいつもと変わらない…。
不肖、白川綾乃18歳。今日はバッチリ決めようとしているのに。
そう!今日こそ加納さんをユーワクし、大きく一歩前進!
このもにゃもにゃした不安とは永久にオサラバするのだ。

「あの…加納さ……」
「あっ!綾乃さん!!引いてますよ!」
「はっ、はいっ!」
……哀しい哉、釣り人のサガ。
竿にアタリが来たら、体が釣らずにはいられないのでございます。
パブロフの犬の如く反応する釣り人魂(スピリッツ)のせいで、綾乃は釣り用語で言う所の朝マヅメが終わるまで、結局何も言えないままなのだった。

9名無しさん@ピンキー:2006/01/14(土) 23:43:38 ID:Q/X6jdzo
朝日が昇りきって、朝マヅメも終わりを告げる。
ちなみに朝マヅメとは、朝日が昇りきる直前の時間。2月だと7時ぐらいまでである。
『これから朝食取るべえ』と思ったねぼけまなこの魚達をだまくらかして釣るとゆー、魚にとってはまさに悪魔の漁法。
しかし所詮魚類は魚類。腹に収まりゃ皆食料。
人間様にゃその心理なんぞ知ったこっちゃないのだ。
大漁旗が翻るほどメジナを釣り、いそいそと調理用具を取り出す加納。
「今日はね〜、なめろうを板に乗っけて焼いたのと、磯汁ですからね〜」
ほう、それは旨そうだ。
しかし食欲に流されてばかりいては何も進まない。
人は魚のみにて生くるにあらず。
「あ、あの…加納さん…」
綾乃は思い切って声をかけた。
「はい、何でしょう?」
にっこり。
……加納の悟りを開いた仏様のよーな笑顔に、邪な考えを胸に抱いた綾乃はただ沈黙するのみだった…。

加納の作った魚料理を自作のおにぎりと共に美味しくいただきながら、綾乃はすっかり気がくじけていた。
こうなった敗因は、バレンタインのチョコをもう渡してしまった事にあると思われる。
やっぱあーゆーモンは、『チョコと一緒にワタシをア・ゲ・ル(はぁと)』っつーのが定番だろう。
そんな発情期の猿みてーな真似が出来るかどーかはこの際置いとく。
今更、『チョコの他にも上げるものが…』っつーのもおまぬけだ。

わたしって…わたしって…なんであげる前に気付かないんだよ〜。

綾乃は泣きたくなった。
元来どー頑張ってみた所で、自分にエネルギッシュな愛情表現なんぞ無理なのだ。
激しい恋に燃え上がり、薔薇をバックにランバダ踊って生きてるタイプじゃない。
熱情・浪漫・激動よりも、温厚・平和・静寂を愛する…平たく言えば、恋愛に向かないタイプ。
いつの間にか綾乃の思考は『加納に迫れない不甲斐ない自分』から『大和民族は情熱的な恋愛に向くのか』に外れ、あっちゃこっちゃに風呂敷を広げながら、勢い余って日本海溝の底に沈みそうなほど果てしなく落ち込んでいく。
「あの〜…綾乃さん。…今日の磯汁、美味しくなかったですか?」
そんな綾乃の顔を、加納は至近距離で覗き込んだ。
はわわわ、と驚いた綾乃は飛びずさった。
そのせいでコップが転がったので、慌ててキャッチしようと大きく身を乗り出す。

……あ”。
10名無しさん@ピンキー:2006/01/14(土) 23:44:57 ID:Q/X6jdzo
「綾乃さん、危ないっっ!!」
…そう。
ここはクルーザーのデッキ。
身を乗り出せばそこは海原ではありませんか。

……なしてもっと早う気付かんのじゃ、わたし…。

落ちていきながら、綾乃は自分の馬鹿さ加減に点目になった。

釣り人必需のライフジャケットを着用しているので、綾乃の体はすぐ海面に浮かび上がった。
「綾乃さん!綾乃さん!!大丈夫ですか!?浮き輪取れますか?」
加納がすかさず投げた浮き輪が、5mほど先にプカプカ浮いている。
「ふぁ〜い……大丈夫れすぅ〜〜〜……」
加納が心配そうな顔でデッキから身を乗り出していた。

すいませんすいません加納さん…ああ、わたしってばなんてオマヌケ様なんだぁ。

これ以上加納に迷惑をかける訳にはいかない。
綾乃は浮き輪に向かって泳ぎだした。
…のだが。
……あ…あれ?
手足が重い…磯ブーツとオールシーズン用ウエアが体にまとわりついて、思った様に手足が動かない。
海流が早いのか体が流されているらしく、少しづつ浮き輪が遠ざかって行く。
ざぶーん!と水音がした。見ると加納が海に飛び込んでいる。
「…今そっち行きますからね!動かないで待ってて下さい」
カッパの申し子のように力強いストロークで、加納はあっと言う間にそばにやって来た。
「ご、ごめんなさい……」
綾乃は申し訳なさのあまり涙ぐんでいる。
「いえいえ。服着たままで泳ぐと手足が取られるので、慣れない人には無理ですよ…」
「でも、加納さんは平気じゃないですかぁ〜……」
「そりゃ〜、普段は船の操舵ですが、一通りの訓練はしていますので…」
手早く浮き輪を綾乃に装着し、いとも容易くクルーザーに泳ぎ着くと縄梯子を上る。
ずぶぬれの二人はキャビンに入った。
「…本当にごめんなさい」
「いえいえ、それより綾乃さんが無事で良かった…こんな事なら、キャビンの中で食事をすれば良かったですね」
加納がすまなそうに言った。
天気がいいからデッキで食べようと言い出したのは加納だったので、少なからず責任を感じているようだ。
「いえ、私がドジ踏んだのが悪いんです……加納さんまでずぶぬれになってしまって…」
「とにかく綾乃さんはここで着替えて下さい。僕は外で着替えますから」
緊急用の着替えをバックから取り出して、加納がキャビンから出ようとした。
その服のすそを握りしめ、綾乃が慌てて言った。
「そんな!外じゃ寒いです。風邪を引いてしまいますから、一緒に中で…」
11名無しさん@ピンキー:2006/01/14(土) 23:45:39 ID:Q/X6jdzo
「えっと…。……じゃあ、僕、後ろ向いて着替えますね」
笑顔がぎこちなくなった加納を見て、綾乃は(あ…)と気付いた。

これはチャンスではなかろーか。
えっ!?で、でもっ、どーやってユーワクしたら?

えーっとと混乱して、後ろを向きかけた加納にとっさに言った。
「あ…あの……ぬ、脱がせて下さいませんか……」
自分の大胆な発言に、綾乃は口から心臓が飛び出そうだ。
「そ、それは……僕も男ですし…責任が持てなくなってしまうので…」
後ろを向いて加納が口ごもる。
「加納さんだったら…いいです…。私達婚約しましたけど…どう言ったら良いのか、判らないんですけど……わたし、不安なんです…」
どう言ったら伝わるのだろう。足下が揺らぐような微かなこの不安を。
「不安…ですか?…どうして?」
その意外な言葉に振り返った加納は、手に持っていたタオルで海水が滴る綾乃の髪をこすった。
ああ…加納はいつも優しくて。
いつも優しすぎて。
その優しさの分不安になる。
「私…なんて言ったら良いんだろ……自信が、持てないです…。加納さんはいつも優しくて。…そんな加納さんが…すごく好きになって……。なんか…なんかね…私だけが好きすぎてる気がします…」

ああ、やっぱりうまく言えないや。

上手に自分の気持ちを伝えられなくて、寂しい。
綾乃がうつむいていると、加納がそっと肩に手を回した。
「あのね。…僕だって、綾乃さんの事が好きなんですよ。あなたに負けないくらい」
そう。いつも加納は言ってくれる。
好きだよと。
その言葉を嘘だと思った事なんてない。
加納の優しさが偽りだと思った事もない。
キスだってした事がある。
なのに…なんでこんな訳判らん不安を抱えたままなのか。
綾乃が自己嫌悪に陥っていると、加納の指先が強く肩に食い込んだ。
「……あなたを抱いたら…そうしたら、不安じゃなくなるんですか?…」

12名無しさん@ピンキー:2006/01/14(土) 23:46:46 ID:Q/X6jdzo
加納は、おもむろに綾乃のおとがいに手をかけ、柔らかく口付けた。
いつもの様に、軽く触れるだけのキス。
それを何度か繰り返し、腰と首の後ろにそっと手を回す。
そして初めてその舌が綾乃の口腔に入って来た。
一瞬戸惑ったが、綾乃もおずおずとぎこちなく応じた。
徐々に加納の口付けが激しくなって来る。
歯のひとつひとつをなぞり、綾乃の舌を吸い上げ、上顎の内側を舌先で突つき。
ただキスをしているだけなのに、まるで行為そのものをされているかの様に激しくて。
少し逃れようと身をよじる。
だが抱きしめた加納の腕が、逃げる事を許してくれない。
綾乃の心臓はばくばくと激しく脈打ち、呼吸すら苦しくなって来た。
加納の肩口にしがみついている指先が、知らないうちに細かく震える。
数時間にも思われた数分後、ようやく綾乃の唇が解放された。
空気を求めて短く息を継いでも、動悸が止まらない。
「震えてますよ、綾乃さん。……もう止めましょうか?…」
抱きしめたまま優しくそっと耳元に囁かれた声に、鼓膜の奥が甘く震える。
慌てて綾乃は首を細かく振った。
「では……もっと?」
目が合わせられなくて、俯いたままでそろりと頷いた。

ああ、はしたない娘さんだと思われたらどうしよう。
でも…それでも。
綾乃は、加納の確かな気持ちが欲しかった。
…どうしても欲しかったんだ。

俯いた視界に、自分のシャツを脱がす加納の指先が見える。
その中には、間違っても色っぽいとは形容出来ない平原のよーな自分の胸元があって。
衣擦れの音にそっと見上げると、加納も自分の上着を脱いでいる。

………い、意外と着痩せするタイプだったんですね…加納さん。

綾乃はいささか驚いた。
ムキムキマッチョとまではいかないが、ちゃんと筋肉がついている上半身。
ボーッと驚いていると、いつの間にか簡易ベッドに横たえさせられていた。

13名無しさん@ピンキー:2006/01/14(土) 23:47:58 ID:Q/X6jdzo
ええと。
普段のんびりそうに見えるのに、結構な御手前で。
あ、でも刺身を作ったり焼き魚を作ったりする時の手際のよさから鑑みると、納得できるのかも。

さらに混乱した綾乃をよそに、加納が上に軽く覆い被さった。
急いで目を閉じる。
まだブラが残っている胸をそっと撫でられ、固く目を閉じた綾乃の身体がビクリと跳ねた。
背中に回った右手が、ホックをいとも簡単に外す。
急いで彩乃は目を見開き、自分の胸をブラごと両腕でかばった。
「あ、あのっ!……ご、ごご、ごめんなさい!あまり、色気の、ない体で…」
目にうずまきが浮かびそうなほど、頭の中がぐわんぐわん回る。
「いえいえ。……十分魅力的ですから」
そう微笑みながら、加納がまたキスをした。
やんわりと、でも確実な力強さをもって、加納は綾乃の腕を解いていく。
パサ、とブラが床に落ち。
綾乃が体を固くした。
『大丈夫ですよ』と言うように、加納の手が頭を撫でた。
もう互いの上半身には何もまとっていない。
ぎゅっと抱きしめられ、触れ合った肌から体温とは違う熱を覚えた。

恥ずかしくて消えてしまいたい気持ちと、加納に触れられる心地良さ。
未知なる領域に進む事への恐怖と、同じくらい密かに湧きあがるこの先への期待。
相反する自分の感情をもてあまし、綾乃の心は振り子の様に揺れている。

耳たぶにキスを落とし、加納が綾乃の手を掴んで自分の肩に巻き付けた。
「僕に掴まって……恥ずかしいなら、目を瞑っていてかまいませんから…」
そのまま、加納の手が自分の胸に触れる。
「………ぁ……」
ビクッと身震いし、綾乃の目がさらに固く閉じられた。
「綾乃さん…好きだ……」
つぶやく様に告げた加納は、そのまま耳を軽く舐め、首筋についばむように無数のキスを落とす。
その間も胸に触れた手が、先端で固く勃ち上がり始めた薄桃色の蕾を指先で押し込み、軽くつまみ上げる。
「あっ!…あ、あぁっ…」
思わず声が出て、綾乃は慌てて口元を手で押さえた。
自分の声がとてつもなく恥ずかしい。
14名無しさん@ピンキー:2006/01/14(土) 23:48:52 ID:Q/X6jdzo
「声を抑えなくてもいいんですよ……ここには僕と君しかいない」
その言葉に首を振った綾乃の目から、思わず涙が零れた。
ちょっと困った顔になった加納は、綾乃の背中に腕を回し、その体を簡易ベッドから抱き起こした。
ぎゅっと抱きしめて、あやすように背中を叩く。
「……今日は、もうこのくらいで止めましょう」
その言葉に、ビクリと綾乃は体を離した。
「違っ……違うんです、加納さん!…嫌だから泣いたんじゃないです……お願い。最後まで……」
そこまで言ってまた涙が零れ、それ以上言葉が出なくなった。

どうして…。
どうしてわたしはこんな時に泣いてしまうんだ。
自分から言い出したのに。
今日は覚悟して来たつもりだったのに。
加納さんだって、こんな時に泣く女の子は嫌だろうさ。

しかし、止まれと思えば思うほど、なぜだか蛇口が壊れた様に涙が止まらない。
そんな綾乃を膝に抱き寄せ、加納がその頭を何度も撫でる。
「いいんですよ…無理しないで」
優しく諭す様に加納が言った。

ああ……やっぱり子供だと思われてるんだ。
それとも、わたしの貧相な体じゃその気になれないのかも知れない。

相手にされていない事が悲しくて、なのに誘惑しようとした事が恥ずかしくて、綾乃の涙が止まらなくなる。
「……綾乃さん…聞いて?」
しゃくり上げる綾乃の頭を撫でたまま、加納が静かに話しだした。
15名無しさん@ピンキー:2006/01/14(土) 23:50:06 ID:Q/X6jdzo
「僕、綾乃さんの事が本当に好きなんですよ。…本音を言えば、今すぐ抱きたい。でもね……女の子の初めてって、とても大切なんでしょう?こんなクルーザーの中の簡易ベッドで、感情に流されて勢いで済ませて良い物ではないと思うんです」

こんな事言ってしまっては、クルーザーを貸してくれた友人の立つ瀬がないですが。
…まぁ、本人に言った訳ではないから良いでしょう。

と密かに加納は心の中で思った。

「…それに、今日は避妊の準備はして来なかったですし。ほら、綾乃さんはミカエルの短大に進むでしょう?今はまだ、赤ちゃんを作る訳にはいかないじゃないですか」
そう言葉を続けて、『ね?』と加納が綾乃の顔を覗き込んだ。
生真面目な加納の言葉に、綾乃はこくこく頷いた。
「綾乃さんの心の準備がちゃんと出来るよう、ホワイトデーまで待ちます。ホワイトデーの頃には、あなたも高等部を卒業していますしね。…ですから、その日を覚悟して待っていて下さい……」
優しい言葉にまた頷き、それでも綾乃は泣きやむ事が出来なかった。
「……ああ、もうっ!……」
目を覆っていた綾乃の手を取って、加納はズボンを履いたままの股間にその手を導く。
布越しから指先に、固く熱く張りつめた感触が伝わった。
驚いた綾乃の目から、ようやく涙が引っ込む。
「……実はですね…本当に本当に……理性を総動員させて、やっとの思いで我慢してるんですからねっ?」
恥ずかしそうに目をそらしながら話す加納を見て、やっと綾乃は微笑った。


続く


寸止めですみません…orz
16名無しさん@ピンキー:2006/01/14(土) 23:55:49 ID:G8+rE7ph
ああああああ〜!
952さん乙です! GJです!
初めてなのにいきなりライブ! か、感動です!
揺れる乙女心がたまりません。。ハァハァ
続き楽しみにしております。
17名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 00:17:18 ID:E2tKujKE
すげええええええええ
川原節満載の情景描写で、ばっちりエロになってるううううううううう
すげえええええええええええええええええ
18名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 00:27:17 ID:uiWJWwp9
すげぇ! すげぇよ! あの絵で見えるようだよ!(それもどうかと思うが)
GJです!
ああ、続き〜。続きを〜〜〜。
19名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 01:11:33 ID:OJgBuVOt
GJすぎ……
20名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 02:11:12 ID:UCZTS/NC
年明け早々神々が…。
ありがたやありがたや…南無南無。
21名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 10:43:31 ID:rGXc8o6H
レベル高いな〜ここの職人の皆様方は。
もともと川原作品には字面の面白さってものもあるから
小説として書いても、それが上手く行かされてますね。

それにしても加納さんいい男だな〜wwwww
ホワイトデーのお話wktkでお待ちいたしております。
22名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 12:34:05 ID:TevWQHdA
いつの間にか神が降臨されてる・・・っ!
GJです。
続きを待ってます(・∀・)
23名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 21:53:00 ID:HNq4R7NK
GJすぎです〜(絶叫
ほわいとでーに早くならないかしら!?
24名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 23:47:12 ID:CnztNImM
ブラボー!釣りに詳しいね
25名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 00:11:35 ID:FSKJHbZo
神が…神が!!凄い!!GJ過ぎる…!!

>18
>(それもどうかと思うが)

ごめんワロタw確かにw
26名無しさん@ピンキー:2006/01/16(月) 11:50:25 ID:i5qStxd4
何だかこのスレのおかげで更に川原作品が好きになるよね
嬉しいです!
277:2006/01/16(月) 23:03:00 ID:/glDJfW1
感想くださった方、ありがとうございます。
次回は最後まで書いてから投下したいので、しばしお待ち下さい。
他の職人さんのSS、楽しみに待ってます。
28名無しさん@ピンキー:2006/01/18(水) 08:06:05 ID:SBWx/1Yx
>7
うぉぉ…。川原節炸裂!!
ご本人が書いてるんじゃないか、ってぐらいそのまんまな世界観ですね〜〜。
少女漫画な部分は少女漫画らしく、それでいてカーラワールド全開!で面白いです。

加納さんが優しくていいなぁ。よいお話をありがとうございます。
はやる気持ちを押さえてホワイトデーをお持ちします。
29名無しさん@ピンキー:2006/01/18(水) 08:17:46 ID:6Dm82bzM
>>15
「続く」の次がすぐホワイトデーなのかなぁ?
自分のために我慢してくれる加納さんのために、
固いものに触れた手をそっと動かしながら
「それなら、今は口で……」と譲歩(?)する
綾乃さんというのも個人的には萌え。
30名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 02:25:54 ID:kDe6y1Gg
うぎゃあ加納さん男前すぎる! 綾乃さんと共に私めも萌え尽きまする。
続きを楽しみに待ちます

>>6
ありでしょうアリでしょう寧ろ激しく希望する!
キラとナッシュはなんだかんだ言ってイイ組み合わせですよね
あんなカオして(失礼)ちゃんと大人な振舞いの出来るナッシュってのもいいが、
キラに99.999999999%の精度でナッシュを制御して頂きたい気持ちもあり複雑。
31名無しさん@ピンキー:2006/01/20(金) 04:42:07 ID:4Dkxag7R
マリナーは河原作品の自分的ベスト10に入るくらい好きな作品なのだけど、
原作イメージまんまでホントネ申!!すごいよー!
つるぺた綾乃さん萌。
大人な加納さん萌。
ホワイトデー編が楽しみ過ぎるハアハア(´д`*)
釣り帰りの旅館で致すのも加納さん宅で致すのも萌ですね。
32名無しさん@ピンキー:2006/01/21(土) 21:16:47 ID:dg4VaTnY
ageとこう
33名無しさん@ピンキー:2006/01/22(日) 23:32:17 ID:zCmUtz47
あーあ、旧スレの983に書いたの誰だよ。
982の1/21(土)22:57:02から24時間レスなければ
dat落ちしたのに、わざわざ1日延命させて。

983のせいで、どこかのスレが圧縮に引っ掛かるん
だろうなぁ。気の毒に。
34名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 00:37:21 ID:M5ehN9zq
昨日のうちに一気に1000まで埋めておかなかったのは失敗だったね。
あらたにレスする人がいるかもしれないなんて……気がつかなかった。
35名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 22:12:45 ID:8fjxU3KM
3スレ952、4スレ>>8-15の続きです。


ここで誤解のないよう解説するが、加納は別に聖人君子でも何でもない。
人より釣り好きだけど、かなり温厚な方だけど、たまにヘボ短歌を雑誌に投稿してるけど、ごく普通の健康な成人男子なのだ。
本当は過去何度か、綾乃に手を出したくなった事だってあったんである。
だけども、そのたびに欲望が綾乃の曇りのない笑顔に勝てず。
ひとり夜中に布団の中でジタバタしたりモンモンしたりしていたのだな。
相手は一回り以上年下で。汚れない大天使(アーチエンジェル)の乙女で。
そんな人相手にどーのこーのするのは、何かとてつもなく悪い気がするのだ。
まさに堪え難きを耐え、忍び難きを忍んで来たと言える。
何より惚れた弱みという奴で。
嫌われたくない。泣かせたくない。幸せな顔してて欲しい。
んだから泣かれちまった日にゃー、自分の欲望を曲げてでもホニャララするのは我慢しようと思うのだ。
そうじゃなくても、綾乃との婚約が職場の人間に知れ渡り。
それまでは海上保安庁一温厚だ有能だと誉れ高かったのに、加納は今や職場内で、第3管区海上保安本部一の鬼畜と呼ばれていた。
まー、色恋沙汰に縁の薄そうな上官が、一回り以上年下のじょしこぉせぇと、しかもワシントン条約で保護されそうなほど貴重な聖ミカエル学園のお嬢様と、いつの間にやら婚約しちまってたんだ。
そら職場の独身者達も、血の涙を流して鬼畜と呼ぶだろうさ。
……大丈夫、君らにもいつか春が来る…………なかなか来ない人もいるけども。

閑話休題。

「……あの…加納さん。…このままじゃ…加納さんが苦しいんじゃないでしょーか…」
「いえ…いいんですよ。……はは………」
キャビンに乾いた笑いがこだまする。
やせ我慢もここまで来れば見上げたモンだ。
なんせ、北京義和団より我慢した斎木総一郎氏の記録を塗り替えるほど、我慢に我慢を重ねている。
その交感神経は、いつ暴走してもおかしくないと申せましょう。
「……私のお口で良かったら…何とかしましょーか?」
「へっ!?」
大胆問題発言勃発。

口でって…口でって…それって、あの、やっぱ…そーゆー意味なんでしょーか…。

「大丈夫です。…これでもお兄様のをお口で処理した事がありますし…」

なぬーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
それって、それって、白河君のホニャララをホニャした事があるって…そーゆー事ですかぁ〜〜〜〜っ!?!?!?

綾乃がにっこり微笑みながら、加納のファスナーに手をかける。

……あ、あ〜、あ〜〜、綾乃すわ〜〜〜ん!

星をまたたかせながら加納は飛び起きた。

………へーんーなーゆーめー。

だが本日はホワイトデー。待望のホワイトデー。
おめかしして待ち合わせの場所へ行くのだ。
時間の余裕よ〜し。
おめかしよ〜し。
バレンタインのお返しよ〜し。
レストランの予約よ〜し。
ホテルの予約よ〜し。
避妊具の準備よ〜し。
……このように、得てして男側の陰の努力にはロマンのかけらもない…わはは。
その目がシベリアなのは……あまり多くを語りたくない。
いー歳こいた大人が、遠足の前の晩のように眠れなくなったなぞ…恥ずかしくて誰にも言えないではないですか。

36名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 22:13:20 ID:8fjxU3KM
約束の時間より10分ほど早く行くと、すでに待ち合わせ場所には加納が待っていた。
ソフトスーツにコートが板についていて、今日はいかにも大人の男って感じだ。
「……お、おお、お待たせして申し訳ありません!」
綾乃は自分もおめかししている事を忘れ、仁王立ちで『押忍!』と言わんばかりに頭を下げた。
「いやいや…約束の時間より早いですから…はは……は…」
これではまるでホニャララが待ち遠しいみたいで、加納はとても恥ずかしくなった。
綾乃もかなり落ち着きなくそわそわしている。
「あ…あの……今日はどちらのお店なんでしょう?」
雑踏の中を歩き出しながら、綾乃が尋ねた。
「ん?…地中海料理で、魚が美味しいと評判の店なんです。……といっても、僕も今日行くのが初めてなんですけどね…」
「はー、そーですかー」
意味なく笑いながら頷き、道の段差でコケそうになる綾乃。
慌ててはっし!と加納が腕を取り、かろうじて転ぶのを食い止める。
なはは、とお互い笑ってごまかし、慌てて離れる二人であった。
「……な、なんか、竿とクーラーバック持ってないと、落ち着かないですねぇ…」
照れ隠しに綾乃が何気なく言った。
「そーですねぇ………」
と同意してから、加納はハッ!と気付いた。
「ごめんなさい綾乃さん。やっぱりいつも通り釣りに行った方が良かったんでしょーか?」
自分の国語表現につまずきを感じ、慌てて綾乃がフォローする。
「いえっ!そーゆー意味では…。……そ、そういえば、こうやって釣り以外でどこか行くの初めてですもんね、私達」
「……すみません…。もっと早くに、色んな所に連れてってあげるべきでしたよね……」
その言葉に、加納が力なくうなだれた。

ああっ!違うんです違うんです加納さーん!

しまった、追い打ちをかけてしまった。
急いでなんとか話の接ぎ穂を探すも、すでに加納はマリワナ海溝の底まで落ち込んでいる。

………に…日本語って難しい…。

綾乃は痛感した。

37名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 22:14:44 ID:8fjxU3KM
加納が予約していたホテルに辿り着いた時は、もう2人は冗談はよせと言いたいくらい疲労困憊していた。
道に迷い、慣れない靴でマメを作り、レストランの予約時間に遅れ、出て来た料理はいつも食べてる魚とは比べ物にならず、相手に気を使い、場所に落ち着きを感じず……etc。
…人間、慣れない事はするもんじゃない。
ホテルに到着した頃には、んもう休めるんならどこでもいいと言う気持ちだった。
本当だったら二人でホテルに一泊なんて、端から見てどう見えるんだろうとか思う所だったが、もーんな事どーでも良い。早く寝床に案内して欲しかった。
客室係に案内されて部屋に通される。
広くて眺めの良い、海の見える部屋だ。
「わ〜……ここって…もしかしてスイートルーム?」
「…一番良い部屋じゃないですけどね」
加納は今現在独身寮住まいなので、まさか綾乃を連れ込めるはずもなく。
かといって、初めての女の子にいきなりそのものズバリなホテルも抵抗があるだろうと。
なるべく今日一日を、綾乃にとって最高の思い出にしたくて、評判の良いレストランや、この瀟洒なホテルを探したのだ。
「わ〜、苺にシャンパンだぁ。こんなの初めて見ました」

うん…僕もスイートルームやこんなサービスは初めて見ました。

と思ったが、口には出さないでおいた。それが大人ってもんさ。
「本来、綾乃さんは未成年ですからいけないんですが…まぁ、卒業のお祝いもかねてますから…」
と、加納はワインクーラーからシャンパンを取り出し、2つのグラスに注いだ。
「卒業おめでとう」
「ありがとうございます」
軽い音を立てグラスを合わせると、綾乃が気付いた様に胸元に手をあてる。
そこにはハート形のアクアマリンとメレダイヤのペンダントが付けられていた。
別に綾乃の誕生月は3月ではないのだが、マリン(海)が決め手になった模様である。
「あ…後、これもありがとうございます。お返しこんな高そうな物いただいちゃって…」
「気に入ってくれた?」
「はい!」
にっこり笑い、すぐ照れたように綾乃は視線を泳がせた。
「あ!そーいえば、確かシャンパンに苺入れて飲むと美味しいんですよね?…小さい頃映画で見ました!」
そう言いながら、テーブルの苺をグラスに落とした。
「あ。綾乃さん、ヘタ取ってから入れないと…」
もう遅い。苺はヘタ付きのままシャンパングラスの底に沈んだ。
綾乃は頬を赤くしながら、急いで苺の救出作業にあたる。
だが、グラスはシャンパンフルートという種類で、底までなかなか指が届かない。
じれったくなった綾乃はええい!とシャンパンを飲み干した。
ようやくコロリンと苺が出て来る。
「取れましたぁ〜」
「…大丈夫?そんな一気に飲んで」
「大丈夫です。…シャンパンと苺って、一緒に食べると美味しいですねぇ〜。ははは…」
失敗を誤摩化そうと、シャンパンのお代わりを手酌で注ぐ。
その目の前に、加納が苺が入ったガラスボールを置いた。
「疲れましたか?…そうそう、足は大丈夫?」
「だいじょーぶ、です」
カクカクと頷き、でへへと綾乃は笑った。
少し沈黙があって、思い切った様に加納が立ち上がる。
「……僕、シャワー浴びて来ますね」
「………はい…」
加納がバスルームに入った音を聞き、綾乃はベッドに腰掛けてストッキングを脱いだ。
慣れないヒールを履いてマメが出来た足をピョコピョコ動かす…やでやで。
大きいキングサイズのベッド。
女の子だけだったら、3人ぐらいは楽々眠れそうだ。

もうちょっとしたら、私もシャワーを浴びて…。
もうちょっとしたら…。

そう考え、綾乃の顔が秋の紅葉の様に真っ赤に染まる。
38名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 22:15:47 ID:8fjxU3KM
ベッド脇のローチェストに置いたシャンパングラスの中身を勢い良く飲み干し、ため息をついてからぽふっと倒れ込むと、スプリングの効いたベッドがぽよんぽよんと揺れた。
しばらくトランポリンのように揺れを楽しみ、ころころベッドの端から端まで転がる。
ふと天井を見上げ、思った。

……終わったら…何か変わるのかな。
………そーいえば……持って来た着替え…パジャマだったけど、良かったのかなぁ……。

加納がシャワーを終えて部屋に戻ると、ベッドの上で、綾乃がグラスを握ったまま寝こけていたのだった。


綾乃が目覚めると、部屋は薄暗かった。
ボーッと辺りを見回し、いつもの自分の部屋じゃない事に気付く。
次の瞬間、今、自分がどこで何をしようとしていたのか思い出し、綾乃は跳ね起きた。
ばっ!と横を見ると、加納が幸せそうな顔をしてベッドの端っこで眠っている。
綾乃は自分の失態に頭を抱えたくなった。
かといって今更、眠っている加納を起こす訳にも行くまい。

……あーあーあー…わたしの馬鹿ぁ〜〜〜!……

せっかく加納がいろいろと気を使ってくれたのに…台無しにしてしまった。
とりあえずシャワーを浴びようと、綾乃はベッドから滑り出た。
ふと見ると、かかとにいつの間にか絆創膏が貼ってある。
それを見た綾乃の胸は、感謝と切なさとあたたかさが混じった気持ちで一杯になった。


シャワーを浴び終えて、そおっと部屋に戻る。
「…ん……綾乃さん?…」
音を立てぬ様極力気を使ったのだが、気配で加納が目を覚ました。
「ごめんなさい…起こしちゃいました?」
加納は寝ぼけまなこでにっこり微笑み、首を振る。
「いーんですよ。……よく眠れましたか?」
「はい。…あの…ごめんなさい。わたし、眠ってしまったんですね……」
ベッドの端に腰掛けると、加納が起き上がり冷蔵庫に向かった。
中からスポーツドリンクを取り出し、綾乃に手渡す。
「はい、水分補給」
あ、どうも…と もごもご口の中で呟き、綾乃はありがたくそれを飲んだ。
備え付けのデジタル時計はAM04:09を示し、部屋の中をほんのり緑に照らしている。
足下がぼうと明るいのは間接照明だろうか。
「……今日、あ、もう昨日か。……色々と疲れさせてしまったかな」
コリコリと頭を掻きながら加納がきまり悪そうに言った。
「いいえ。あの、お気持ち嬉しかったです!」
綾乃はブンブンと首を振る。
「なら良かった。…僕は気が利かなくて、あまり普通の恋人同士のよーに、遊園地とか観光スポットとか…女の子が喜びそうな場所に連れてってあげてなかったからねー……」
綾乃の脇に腰掛けて、加納がしみじみ言った。
「あの、それは、違います!」
急いで綾乃が否定した。
「わたしも……昨日今日、加納さんにいっぱい気を使っていただいてたのに、こんな事言っちゃいけないんですが…あまり、遊園地とかそーゆースポットとか興味なくて…」
ころころと手の中の缶を弄びながら、つっかえつっかえ言葉を探して続けた。
「……わたし、加納さんと一緒に釣りしてる時が1番楽しい……幸せなんです…」
そう綾乃が言い終わると、加納はにっこり笑ってキスをした。
「奇遇ですね。……僕も、綾乃さんと一緒に釣りをしてる時が1番幸せですよ…」
加納はその手から取った缶をローチェストに乗せ、綾乃をそっとベッドに押し倒した。
39名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 22:16:58 ID:8fjxU3KM
……不思議だ。
バレンタインの時や夕べまではあんなに緊張してたのに。
今は心の中がしみじみぬくくて。
キスして見つめ合い、思わず綾乃はくすくす笑った。
「これこれ…。駄目ですよ、笑っちゃ……」
そう言う加納の顔も微笑んでいる。
「だって……なんか…ね?…」
そのまま、小鳥の様に唇をついばむ。
それから二人は自然にお互いの舌をからませた。
ほのかに煙草の匂いがする。加納の匂い。
ふいに触れたくなって、心のまま首筋に手を回した。
加納の指先が綾乃のパジャマのボタンを外す。
はだけられた胸元に、なだらかに線を描く様に加納の手が降りて来た。
首筋をキスでたどりながら、ゆっくりと綾乃のパジャマの上着を脱がせる。
その胸元に、加納が送ったホワイトデーのお返しが光っていた。
「……ペンダント」
「え…?」
「したままだけど、平気?」
「ええ……このまま付けていたいんです…。それより…加納さんも……」
綾乃の指が大胆にも加納のボタンにかかった。
ボタンを外されながら、加納の目は綾乃の胸元に釘付けになっていた。
ペンダントだけをつけた裸の胸元は、まるで子猫に所有の証として首輪を付けたみたいで扇情的ですらあり。

……そんなつもりじゃなかったのに…まいった。
これじゃあ……歯止めが利かなくなりそうだ…。

下まで綾乃の手でボタンを外され、加納は自分でパジャマの上着を脱ぎ捨てた。
背中をなぞりながら肩甲骨を舐めると、くすぐったそうにえへへと綾乃が笑う。
「…今日は……泣いても止めないよ…」
そう言って深く唇を貪る。直前に、かすかに『はい』と聞こえた。
加納の指が胸の先端をなぞるたび、ぞくぞくと綾乃の芯から先日と同じ感覚が沸き上がる。
その唇が胸まで徐々に降り、とうとう先端で膨らみ始めた淡い珊瑚色の蕾に口づけた。
「……ん…」
舌先でころがし、もっと濃い色に蕾が咲くよう強く吸い、軽く歯をたてる。
ふっくらと勃ち上がった先端が自分の唾液で艶やかに光るのを眺め、加納はもう片方も同じ様に味わった。
「…ぁ…あ、あぁ……」
好きな人によって与えられる心地好さに、綾乃が身をよじる。
今まで知らなかったこの心地好さを、多分『快感』と呼ぶのだろう。
加納の手がパジャマのズボンにかかる。
「綾乃さん…少し、腰、浮かして…」
その言葉に慌てて腰を浮かせた。

ああ、わたしってば気が利かない…。

下着の上から、加納の指が綾乃の谷間をなぞる。
敏感な場所に指先が来るたびに、綾乃の体が跳ねた。
何度か形に添ってなぞられ、綾乃の息づかいが荒くなり始めた時、その手が下着の中に潜り込んだ。
「ああっ!…あ、あぁ……んんっ……」
布の上から触れられていた時より、何倍もの強い刺激に思わず綾乃の声が漏れる。
濡れた音が微かにするのが、今すぐ逃げ出したくなるくらい恥ずかしさを煽った。
それでも綾乃はしっかりと加納の首に腕を回して耐えた。
40名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 22:17:55 ID:8fjxU3KM
加納の指先が下着にかかり、慌てて少し腰を浮かす。
綾乃の足から下着を抜き取り、加納は軽く綾乃の頬にキスしてから言った。
「綾乃さん…あのね……初めての女の人は、挿れても気持ちよくならないらしいです」
その説明に、こくこく綾乃が頷いた。
小説とかで読んだ事がある。初めては、すんごくすんごく痛いらしい。
「でも、僕だけ気持ち良くなるのは嫌なんです。だから………恥ずかしくても、少し我慢して下さいね…」
意味に気付く前に、加納が綾乃の膝を広げその泉に顔を寄せた。
あいや待たれい!と叫ぶ間もないまま。
加納の舌が綾乃の1番鋭敏な部分を舐め始めた。


「やぁっ!…あ、あぁっ!……か、のうさっ!……汚…汚いっ!」
膝を閉じようとしても、加納の手に押さえつけられていてままならない。
頭を押そうとした瞬間、加納が突起を強く吸う。
その刺激に火花が全身に弾け、思うよう体を動かせなくなる。
強く目を閉じた綾乃の目から涙が零れ落ちた。
全てを加納の目の前にさらけ出しているのだと思うと、恥ずかしさのあまり枕を食べたくなる。
なのに……与えられる甘い刺激をもっと欲しがる自分もいる。
加納の舌が谷間を滑り、奥へと潜り込んで来た。
どうしても耐えきれなくなり、綾乃は口元を手で押さえた。
「んんっ!…ん!んぅっ…ふぁ!……」
舌先が中を浅く抉り、蠢く。
恥ずかしさとは裏腹に、その気持ち良さに腰が浮いた。
綾乃が今まで知らない、自分の体の様々な場所に潜んでいた快感を、先ほどから加納によって余す所なく暴かれ。
舌で指で探し出された部分全てに、二度と消えない甘美な灯火が点る。
そこから体中に、熱の波が広がっていく。
刺激に耐えきれず、綾乃の中から蜜が止めどなく湧き出し滴る。
加納はその液体を舌で掬い取り、湧き出る源に口づけ、音を立てて吸った。
それから舌先が淡い朱鷺色の尖りまで登り、ゆっくりと中指を綾乃の中に埋めてきた。
「……痛く、ないですか?」
掠れた声で加納が問いかけた。
微かな痛みを感じたが、綾乃は首を横に振る。
小さく丸く勃った尖りを口の中で弄び、加納の指が動き始めた。
「ん、んぅ!…は……ん、あ、あぁ、あぁっ!…」
中は少し疼く様な痛みを感じるが、吸われている場所から沸き上がる快楽の方が大きい。
指が動く時に起こる水音が、やけに大きく耳に響いた。
加納が指先で内側の襞を探り、少しずつ広げる様にかきまわす。
指や舌から発見された新しい悦びが、肉体を通じて綾乃の奥深くにまで刻まれる。
見ると、綾乃の突起は赤く膨らみ切って、今にも僅かの刺激で弾けそうだ。
中の壁が指を締め付け、到達しそうなのをはっきりと告げている。
加納は指の動きを速め、少しきつめに綾乃のふくらみに吸い付いた。
「……ああぁっ!!」
その瞬間、綾乃の目の前が白くなり、体が浮き上がるほどがくがくと震えた。
41名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 22:19:15 ID:8fjxU3KM
加納は口元を拭ってから、綾乃の頭を撫でて耳元に囁く。
「綾乃さん、大丈夫?」
「……か…加納さんの………意地悪っ……」
真っ赤な顔に涙目で、綾乃はうらめしそうに加納を睨む。
「ちゃんと言ったじゃないですか。『泣いても止めない』って…」
そんな反応が可愛らしくて、加納は笑いながら口付けた。
「いや…そーは言っても、こんなの想定の範囲外です……」
もう恥ずかしくて恥ずかしくて、綾乃は布団の中に潜って暴れたくなった。
加納は自分のパジャマのズボンと下着を脱いでいる。
目のやり場をどーすれば良いのか判らず、綾乃は反対側に体の向きを変えた。
加納も後ろを向き、何かごそごそしている。
あー…なんか装着の最中って間が抜けてるよな。
だからといって、生でやって子供が出来たらイカンし。
ともかくソレをすばやくつけた加納は、改めて綾乃の上に覆いかぶさる。
「………力、抜いてて下さいね…」
加納の体が綾乃の膝を割り、その切っ先が何度か泉をなぞり、ゆっくりと沈んで来た。
……いたい。
いたいの文字ひとつひとつに濁点を付けたいほど痛い。
綾乃は出産の経験がないが、鼻からスイカを出すほど痛いのだと聞いた事がある。
だとしたら、こっちの痛みは鼻に暖めたカボチャを入れるくらい痛いかもしんない。
奥まで一気に貫いて、一旦加納の動きが止まった。
痛みと痺れる様な熱い感触に、体の奥がじくじく疼く。
「………痛い?…」
「はは……は…いだい、れす……」

……いっそ、このまま動かないで終わってくれたら嬉しいなー。

と思ったが、口には出さないでおいた。それが大人ってもんさ。
「じゃ、少しこのままで……」
そう言いながら、加納は繋がったまま綾乃を抱きしめ横に向きを変えた。
加納が綾乃の頭を撫でる。その安心感で、ほんの少し痛みが遠ざかった。
「……あの…加納さんは…き、気持ち良いですか?…」
自分の体は、加納にとっては気持ち良いんだろうか。
「うん。……体も気持ち良いですが、心が」
「…心が?」
反射的に聞き返してから、綾乃にも何となく判った。
なぜなら綾乃も今、体は痛いけれど心が満たされているから。
今、こんなにもお互いが全てをむき出し、さらけ出していて。
何も隙間がないほど二人の体が深く繋がっている。
そう思うと、この痛みさえ愛しい。
…痛いけど。
「……本当はね、前からずっと、こんな事したかった。でも…綾乃さんに嫌われたくなくて、我慢してました」
「嫌うなんて…」
その言葉は綾乃にとって意外だった。

……加納さんも不安だったのかな。
42名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 22:20:55 ID:8fjxU3KM
見た目はともかく、自分よりずっと大人で、包容力があって、優しいと思っていた。
でも、お互い相手を傷つけたくなくて、少し臆病だったんだろうか。
「わたしも…心が気持ち良いです。……体は…ほんとはまだ痛いんですけど…この痛みも、加納さんと繋がっている証なんだと思うと……すごく嬉しい…」
「今なら信じてくれますか?……僕が、どんな君でも好きだって事」
加納がその手を握りしめ唇を合わせた。
きつく舌を吸い上げてから唇を離し、まぶたや頬にキスの雨を降らせる。
そのまま体勢を戻し、加納が動き始めた。
さっきより少しだけ痛みが遠くなり、代わりに熱い塊が体の奥から微かにこみ上げた。
「う……んっ!あ、あっ……んくっ!……」
最初はゆっくりと。
徐々に、熱に浮かされた様に加納の動きが激しくなってきた。
奥まで突き上げられるたびに、綾乃の声が細く漏れる。
その声に合わせるかの様に、加納の息づかいも荒くなる。
熱い大きな塊が中で蠢いて。
痛かっただけの感覚が、そのうねりに合わせて他の何かにすり替わっていく。
その波にどこかに体がさらわれそうで、怖くて必死に加納の背にしがみついた。
「ぁ、あ、あぁ、ん!あ、あ…あぁぁっ!」
痛さと同じぐらい奥底から得体の知れない感触がきて、綾乃の体が大きく揺れる。
次の瞬間、その再奥に叩き付ける様に深く挿し込み。
加納は体を震わせながら呻き、綾乃をきつくきつく抱きしめた。


荒い息を整えた加納が、綾乃のおでこにキスをし、繋がったままの体を抜き取った。
サイドチェストのティッシュを取り、自分の後始末を手早くすませてから、痺れた様に動けない綾乃の蜜をそっと拭う。
「ごめん……途中から、手加減出来なかった…」
首を振って綾乃が微笑んだ。
「大丈夫?動ける?……あんなにしちゃ痛かったよね」
「いえ……途中から段々痛くなくなりましたし…大丈夫、動けます」
加納がブランケットを直し、綾乃に掛けてから横に潜り込んだ。
綾乃に向かって腕をのばし、小さくぽんぽんと叩く。
意味に気付いて、そっと加納の腕に頭を乗せた。
笑った加納にむぎゅっと抱きしめられ、ほのぼのと幸せを感じる。
「なんだか……ホワイトデーだったのに、僕だけいっぱい貰っちゃったみたいだな…」
加納が少しすまなそうに言った。
首を振って綾乃が答えた。
「いえ……加納さんはとても大切なもの………わたしに自信をくれました」
43名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 22:22:27 ID:8fjxU3KM
わたしだけじゃなくて。
貴方も私が想うのと同じぐらい、私を好きなのだという事が……。
体を重ねる事で、言葉だけでは伝わらない部分がとても良く判ったから。

「わたし、本当に……幸せです。豪華なお部屋だからじゃなくて、素敵なごちそう食べたからじゃなくて……今、こうして、加納さんと一緒だから…」
「それは良かった。僕も、今、とても幸せです」
にっこり笑った加納は、ちょっと待ってねと綾乃に断りを入れてパジャマを着始めた。
綾乃にも散らばったパジャマを渡し、着替えを待ってその手を取り、窓際へと導く。
「おいで……」
カーテンを開けると、薄いヴェールを掛けた様に、明け始めた空が世界を青く染めている。
海の青と空の青が混じり、海原の境界線が空の果てと溶け合っていた。
少しずつ少しずつ、その溶けた境目から空が白み始める。
「海が見えるから……ここにしたんですよ」
後ろから綾乃を柔らかく抱え、加納はその耳元に告げた。
本当は何度も何度も、二人で釣りをしながら朝日を見ている。
でも、今日は本当に綺麗だと思った。

あー……なんだかとっても。

「「今日は、朝釣り向きの天気ですねぇ……」」
しみじみつぶやいた二人の声が重なり、お互いに顔を見合わせて吹き出した。


終り

44名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 22:24:48 ID:kovtk5hq
初リアルタイムに遭遇(*・∀・)
45名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 22:43:37 ID:yzTXcqKc
すげー萌えた・・・ハァハァ
46名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 22:44:31 ID:nN2tpiqr
GJ!
GJ!
激しく萌え転がってしまいましたよもう。
お口云々で白河兄の名が出た時はどうなるかと思いましたが。
カーラ調満点の出だし、萌え転がれるベッドシーン、そして綺麗な、かつ
原作の二人らしいラストシーン。
感動しますた。
47名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 23:22:08 ID:sYe3Epiy
うあああああ。神キテタ!
も、萌えたぁあ ハァハァ。。
なんでこんなに川原なのにエロ……。すごいー。
すごいです。すごすぎです。弟子入りしたいです!
48名無しさん@ピンキー:2006/01/23(月) 23:41:36 ID:FnxqRgFM
すげー!!
エロなのに続編だー!
あまりの見事さに思わず帽子を食べてしまいそうです。
49名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 09:52:45 ID:HNL55pKW
GJ!
原作の二人のふいんき(なぜかryを壊さず、でもエロな文章にテラ萌えたよ!
50名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 11:03:37 ID:Mi7Z4Cwh
サイコーです!!綾乃さん可愛いー!!
51名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 20:52:26 ID:DwYritQI
さいこーーーーです!
激萌!
52名無しさん@ピンキー:2006/01/24(火) 23:29:23 ID:j2avIsVU
うわわ、気付かない内に神が!
GJ!
53名無しさん@ピンキー:2006/01/25(水) 12:29:48 ID:+uBTekP0
>あいや待たれい!
ハゲワラw

GJ!楽しませてくれてありがとう!
初々しい綾乃さんかわいいよ綾乃さん
54名無しさん@ピンキー:2006/01/25(水) 22:37:59 ID:KnLMx6Iu
>………へーんーなーゆーめー。
笑いすぎてお腹がイタイwwwwwwwwwww
55前952:2006/01/25(水) 22:40:04 ID:SLq/0UoA
ご感想ありがとうございました。

ここの書き手さんの作品も、住人さんの萌え談義も大好きです。
このスレも、書き手さんと住人さんとで、まったり盛り上がりますよう。
56名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 21:54:01 ID:s/YoI3yd
前952さんの神業ssの後に投下するのは非常に恥ずかしいのですが、
空の食欲魔人を書いてみました。
結婚後なんでカレーの王子さまになるのか?
吉川夫妻ってことで……。
5756(吉川弘文×みすず) 1:2006/01/26(木) 21:55:25 ID:s/YoI3yd

「うわぁ! みすず、見て!」
惰眠を貪る昼下がり、真剣にチラシを眺めていた弘文は私を呼んだのでございます。

お互いいつまでも独身でいるのは見苦しいので、先の春、わたくしと吉川弘文は、
幼なじみ同士めでたく結婚したのでございます。
夫は、某航空会社のパイロットでございました。

その日は年も改まり、弘文の今年始めての連休中。
奥さま火曜日とかなんとかで、新聞に挟まったチラシがやけに多い日のことでございました。
「みすずってばー、ほら見て! ハーゲンダッツが4割引だって!」
「んぁ〜、ワタシは眠い。買い物行くなら一人で行って、ついでにこれも買ってきて」
ぴらりと一枚メモを渡すと、
「うん!」
弘文は嬉しそうに私の財布を持って、いそいそと出かけたのでございました。

その夜のこと、風呂に入って歯も磨き、寝支度万全整った私を尻目に、弘文は
「ねぇねぇみすずは何味がいい? チョコレート? ストロベリー? それともちょっと大人にラムレーズン?」
歯も磨いたと知っていながらなんちゅー無神経さ。
「うるさい黙れ。ワタシはもう寝るんだ。邪魔するな」
それでも雑誌の間が不自然に膨らんでいるのは、間にアイスを挟んでいるからに違いない、きっとそーだ。
私は深い深いため息をついたのでございます。
5856(吉川弘文×みすず) 2:2006/01/26(木) 21:55:58 ID:s/YoI3yd

もう弘文には構わずベッドに入り込みそっぽを向く。
心地よい眠りの渦に巻き込まれそうになったとき。。
雑誌をめくる音とは別にカサコソとパッケージを剥がす音……。
「ひ、弘文。あんたってば何べん言ったら分かるのよ! 寝床で物を食うなといつもやかましく言ってるでしょーが!」
がばりと起き上がって弘文をにらみつけ、
「天気の良い日にふとん干しするとき、私がご近所さまにどれだけ恥ずかしいか分かる?」
興奮のあまり動悸がし、声が震える。
「うちだけなんだからねっ! フトンに蟻がたかっているのは!」
「ま、まぁまぁみすず。お前カルシウムが足りないんじゃないのか? ひとつだしじゃこでもかじってみる?」
「うううううるさいっ! もう寝なさいっ!」
今度こそ電気を消し、ぬくいベッドにもぐり込む。。。

「なぁみすず〜」
今度はそっぽを向いた私の機嫌をとるように肩を抱かれた。
首筋に弘文がすりすりと鼻を押し付けながらネグリジェのボタンを一つ一つ外し……。
「ちょっと! 何やってんのよ!」
「いいじゃんかよ〜。俺また明後日からフライトだし」
「んなの知らないわよっ!」
それでもボタンをお腹の方まで外されると、まぁいいか、という気分になってきた。
寝床でお菓子を食い散らかされるよりはずっといいわ……。

開いた胸からそっと手を差し込まれ、耳に舌を這わされるとゾクリとした。
そういえば弘文とこーゆーことするのも久しぶりかも……。
くるりと寝返りを打って弘文の胸に顔をつけ、パジャマのボタンを外していると
引き締まった上半身があらわになって、とくん、とくん、と波打っている胸に耳を当てる。
弘文が起き上がって私を上向きにさせて、そのまま唇を重ねた、長く、深く。
「はふー」
少し息が苦しくなって顔をそらすと、弘文の唇が首筋を這って、舌先が触れるか触れないかのところで
ちろちろと動く。ヘビかお前は。
弘文の片方の手がネグリジェのボタンを下まで外すうちに、ネグリジェがすっかり捲れ上がっていた。
悔しいので私も弘文のパジャマを乱暴に脱がせて、いざ胸を合わせて抱き合おうかというところ……。
5956(吉川弘文×みすず) 3:2006/01/26(木) 21:56:40 ID:s/YoI3yd

「ああああああああっ!」
思わず俺は声を上げた。
「な、何よ」
みすずがいぶかしげに下から顔を覗き込む。
そだ、俺は大事なことを忘れていた!
アイス、俺のアイス……!
「俺のアイスがぁあああ!」
慌ててサイドテーブルのアイスを確認する。
嗚呼なんとゆーことでありましょう。それはもう既にアイスではない。
俺のハーゲンダッツが……。がくりと首を折ると心配そうにみすずが
「どしたの?」
ネグリジェから露わになった白い肌が陶器のようだ。
……みすずの胸に垂らしたら、どーゆー顔すんだろ?
「みすず、これもうアイスじゃないよ」
言いながらカップを持ち上げて胸元にひと垂らし……。
「やぁああっ!」
びくっと一瞬身体を硬くして、みすずが嬌声を上げた。
その声に気をよくして、溶けた液体はたらりたらりと胸元を這った。
「や! 何するの!」
「動かないで、垂れる」
みすずの顔が紅潮してぎゅっと両腕を脇につけている。
そっと舌で掬い上げた。ハーゲンダッツバニラ味、清純でいて濃厚な、あまい香り。
指先でぬるりと撫でて広げる。舌先が甘いバニラを求めてみすずの肌を這う。
たちまちのうちにみすずの息が上がった。
「ゃ、ぁあ……、もう! 舐めるならさっさと全部舐めちゃって!」
その頬は既に薄紅い。この顔、いつもなら乳首まで愛撫しないと見られないのに。
「動くとシーツ汚れるよ」
思わずくすりと笑って舌先を這わせると、目をぎゅっとつぶって身体を硬くした。
舌先がバニラの味を楽しむように、触れるか触れないかのところで微かに動く。
乳首が既に誘うように赤く尖ってつんと上を向いている。
そっと唇で触れるとみすずが泣き声を上げた。
「そ、そこにはついてないでしょ!?」
必死とも聞こえる声が可愛い。
「……今、つけた」
身をよじって逃げようとする肩を押えて、再び乳首に舌を這わせた。
「ゃ……、ぁ! ん!」
「動くと……、垂れるよ」
びくんと怯えたように俺を見て、そのまま素直にじっと身体をすくませる。
あ、余計にいじめたくなってきた、かも……。
もう一度カップを持ち上げて、今度は下腹のほうまで、細く垂らす。
つとつとつととわき腹から白い液体がシーツにこぼれた。
「やぁああ……」
はぁはぁと息を切らして涙を浮かべて俺を見るみすず。
身を起こして今度は唇に垂らしてやる。
「すごく甘いよ……」
「んぁ……」
唇の端から垂れる白い液体。
みすずをひどく汚したような、もっとめちゃめちゃにしてやりたいような……。
半開きの口元をゆっくりなぞると、みすずが甘く歯を立てて俺の指を咥えて、舐めた。
「あま……ぃ」

溶けたアイスはひどく官能的だ。
ぺちゃぺちゃと音を立てて舐めあうキスとか。
溶けた指で滑らす肌の感触とか。
半分乾いてくっつきあう肌と肌とか。
6056(吉川弘文×みすず) 4:2006/01/26(木) 21:57:15 ID:s/YoI3yd

みすずの膝を割って薄い下着を下ろすと、ちゃんとそこはアイスよりも溶けているのだった。
「あ、すご……」
「……やだ」
みすずが手の甲で顔を隠す。
「俺、ここにはつけてないのに」
耳元に息を吹き込みながら囁くと、みすずが泣きそうな声で言う。
「ゃ、だ……。そゆこと言う、な」
「アイスよりも溶けてる……」
言いながら指でゆるゆるとなぞってやると、温かな潤みが広がった。
「みすずのここも甘い?」
「……ぇ?」
「ねぇ……」
みすずが小さく声を上げてのけぞった。
ちゃぷ、と音が響いて、もう尖って紅く膨らんでいる蕾を舌先が捉えて跳ねた。
みすずの身体が汗ばんで、短い声を上げて胸が上下する。
潤みが目に見えるほどに豊かに光って、指先が温かく締め付けられる。
そっと指先を出し入れしながらも舌先を柔らかく動かして、ふと思いついた。
片手で手探りでカップの底をすくうと、そのまま冷たい液体を蕾にひたりとなすりつけた。
「あ!」
みすずの腰が一瞬引いたところを押さえ込んで、指先でそっと押し広げる。
あ、しぼんじゃった……。今まで紅く尖っていた蕾がきゅんと縮まって隠れて震えている。
「ごめ……」
「も、ばか……」
思わずしゅんとして謝ると、みすずが半分脱力したまま少し怒った顔で俺の頭をぽかりと叩いた。
ホントごめんね、と思いつつ再び口を寄せた。
じゅ、と吸い付いて温めるように優しく吸うと、それに答えるようにちゅんと尖る。
ちゅちゅと吸い上げて体の奥の温かいひだを夢中になって奥の奥まで探っていると、
指を奥に咥えて腰が跳ねた。きゅっきゅっと絡まるひだが指先をさらにさらに奥まで誘う。
「……ぁ、あ、あああああっ!」
6156(吉川弘文×みすず) 5:2006/01/26(木) 21:57:56 ID:s/YoI3yd

頭の中が刷毛で乱暴に真っ白に塗りたくられた……。久々のこの感覚。
びくん、びくん、と身体が勝手に動いて、膝頭ががくがく震える。
「……なして、アイス……」
「だって、もったいないじゃないか。それに、みすずにつけて舐めたらさぞ美味かろうと」
弘文が顔を上げてにっこりと笑う。
「やっぱりアイスの基本はバニラだよな」
「ば、ばにら……?」
「うん。みすずはバニラ味」
まだ呼吸が落ち着かない。はぁはぁ息を吐いていると弘文がのしかかって来た。
べたつく乳首を咥えた後、そのまま一気に挿入された。

一度引いた波がまた押し寄せてきて……。
あ、なんかもうどーでもいいや、と私は快楽に身をまかせることにしたのだった。
胸を合わせると、半分乾いたアイスがペタリペタリと糊みたいになってくっつき合った。
弘文が私の顎を舐める。それはそれは美味しそうに。
この場合普通は「愛しそうに」になるところだが、弘文は違うのだ。
顎を舐めて、首も舐めようとして、
「みすず、ちょっと起き上がれる?」
「……ん。どして?」
繋がったまま身を起こして向かい合うと、弘文がもっと深く入ってきたのが分かった。
「こっちの方が舐めやすい」
「……そ」
首にへばりついている髪の筋をはがしながら綺麗に舐めている。
右手は弘文の首に回して、左手を後ろについて身体を支えていると弘文が突いてきた。
「ぁ、ぁ……ずるい」
「ん?」
「弘文ずる、い……。美味しい、のと、き、気持ちいいのと、りょ、うほ……」
弘文が私の背中を抱き寄せて、私は両腕で弘文の首にしがみついた。
手の平が汗で何度もすべる、私の汗なのか弘文の汗なのか。
「ちょ、ちょ、待って、も、ダメ」
言うと弘文が動きを止めて私の半身をシーツに横たえた。
動きが激しくなって、ぎゅっとつぶった目尻から一筋、汗か涙か分からないけど目が沁みる。
手探りでシーツを握り締めたらべたべたで、揺れる頭で、あぁ、明日のアリは確実だわ……、
と思った瞬間。大きな波が来た。
6256(吉川弘文×みすず) 6:2006/01/26(木) 21:59:08 ID:s/YoI3yd

まだ波が引いては返して、身体の奥でリズミカルな運動が起こっているのを、シーツの上でじっと耐えた。
弘文が身体をそっと離すと、温かく満たされていた身体が空っぽになったようで、……淋しい。
「ぁふー……」
ひどく重い身体を横に倒すと、熱いものがたれっと内腿を流れた。
「ひ、ろふみ。ティッシュ……」
はいよ、と弘文が幾枚かくしゃくしゃにして、ついでに私の内股も優しく拭いてくれた。
ああ、弘文と結婚してよかった。。

そのまま目を閉じようとして、気付いた。
髪の毛がこごって首筋にべたりと貼り付いて、身体全体も言いようもなくベタベタして、シーツから
あまいバニラが香り立っていることに!!!
「ひ、弘文ぃいいいい!」
怒りのあまり声が震えた。
「お前はあれほどいつも言ってるのに……」
「みすずは、」
「布団の中で物を食うなと!」
「みすずはとても気持ちよさそうだった」
しれっとして弘文が言う言葉に、顔に血がのぼって思わず絶句した。
「清純のバニラも良かったけど、次は濃厚なチョコで……」
「な!」


言葉が出ずに固まっている私の頭を、弘文は優しくぽむぽむと叩くと
「もちろんこの後シーツは洗うのさ。だからみすずは何も心配しなくていーんだよ」
にっこり……。

63名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 22:11:30 ID:L1zmu7VA
をを、リアルタイム遭遇。GJです〜〜〜。
支援した方がいいんでしょーか…ここで次回に続く…?
64名無しさん@ピンキー:2006/01/26(木) 23:02:28 ID:rjFNQv6F
みすずキテタ!!
この2人読みたかったんです!
シーツべたべたに激しく笑わせてもらいますた(´∀`)
…で、続きあるんでしょうか?ワクテカ
6556:2006/01/26(木) 23:06:38 ID:s/YoI3yd
あ、あ、すみません。
これで終わりますw
ありがとうございました。
66名無しさん@ピンキー:2006/01/27(金) 00:28:50 ID:j6YmfKx9
食欲魔人さまが色欲魔人に!w
67名無しさん@ピンキー:2006/01/27(金) 08:56:49 ID:oLD3FION
あ、しぼんじゃった・・・・
に笑いました。
また書く気になったらどんどん書いてください。
個人的には「桜前線」でしたっけ?「桜梅桃李」でしたっけ?
血のつながらない姉と弟の話
アレが好きです。
68名無しさん@ピンキー:2006/01/27(金) 18:36:00 ID:uf/t86p+
>「こっちの方が舐めやすい」
>「……そ」

すげーあの二人らしい会話w!
GJ!>56さん
69名無しさん@ピンキー:2006/01/27(金) 19:15:01 ID:q6KQZX2D
age
70名無しさん@ピンキー:2006/01/27(金) 23:18:59 ID:8QbQE+Oa
>>67さん

それは『3月革命』じゃなかったか??
うろ覚えで申し訳ないが。猫被りな早紀子と優等生の浩生姉弟の。
私も好きだぁ。
71名無しさん@ピンキー:2006/01/28(土) 09:58:47 ID:eXNL+M9Z
GJ!

56さんは前スレの881さんだろーか。
擬音語とか会話の感じが似てる気がするが。
72名無しさん@ピンキー:2006/01/28(土) 17:12:29 ID:OoZ17g2b
 
 「待ってくださーい!」
その声にハッとして、俺はエレベーターの『開』のボタンを押す。
「すみま……あ!なんだぁ、とーるちゃんかぁ。おはようございます!」
間一髪で扉が開き、誰かと思ったら、飛び込んで来たのはお隣の久美子ちゃんだった。
 初々しい制服姿である。
この間まで『あるいてさんぷんのこすもすようちえん』に通っていた小さな女の子だったのに。
いつの間にやら大きくなって、『こすもすようちえん』は『聖ミカエル学院』に変わっていた。
時の流れは早い。
ついこの前、姉ちゃんとここに越して来て、式部さんや久美子ちゃんと出会ったと思ったのに。
その姉ちゃんはいつの間にか式部さんと結婚しており、当時受験生だった俺は、今や外交官の下で翻訳の仕事なぞしている。
 「……?
とーるちゃん?」
物思いに耽っていた俺を、久美子ちゃんが不審そうに下から覗き込んできた。
「あっ……ゴメン。おはよう久美子ちゃん。今日入学式だっけ?」
「そうだよ。見て見て!聖ミカエルの制服だよ。これ着てるとお嬢様に見えるでしょ〜?」
狭いエレベーターの中で、くるんと回って見せてくれた。と、自分の足にガッとつまずく。
「キャッ!!」
咄嗟に差し出した俺の腕の中に倒れ込んできた。
「アハハ……つまずいちゃった」
屈託のない笑顔で笑う。
とに、もう。
幾つになっても世話がやけるんだから。
見かけは立派な(?)女子高生でも俺の中ではいつまでも、こすもすようちえんの久美子ちゃんのままだった。
7372:2006/01/28(土) 17:36:30 ID:OoZ17g2b
「とーるちゃんはこれからお仕事?」
エレベーターが一階に着いた。
俺たちは肩を並べてエントランスを歩いて行く。
「うん」
「毎日大変ね。ご苦労様。」
「いえいえ。そういえば今日の入学式、うちの姉ちゃんも行くの?」
「ん〜、そのつもりだったんだけど。昨日から風邪引いちゃってて……。」
「え?じゃ誰も行かないの?」
「うん……。おじちゃんはお仕事だし。エリカちゃんにも安静にしてて欲しいもん。
それに、どってことないよ、高校の入学式なんて。小学生じゃあるまいし」
そう言って二カッと笑った。
しかし、流石に心細さは隠せない様だった。それはそうだろう。
誰一人として知らない人たちの中に、独りで入って行かねばならないのだ。
「……もう少し早く分かってたらなぁ。仕事休んだのに」
「ううん、いいのいいの!大丈夫だよ。ありがとう」
慌てたように久美子ちゃんは手を振って言った。
「あ、じゃあせめてさ、久美子ちゃんの入学祝いやろうよ。ね?」
「えっ、ホントにいいの?!」
うわ―……と目を輝かせて俺をじっと見た。俺はニッコリ笑って頷いた。
「やる!やりたい!」
「じゃ決まり。俺も今日はなるべく早く帰るからさ。待っててね」
「うん!!」
久美子ちゃんは嬉しそうに手を振ると、元気よく歩き出した。
74名無しさん@ピンキー:2006/01/28(土) 20:33:26 ID:HbbjZfyd
おおー、海、空に続いて陸の神も降臨!
7572:2006/01/28(土) 21:07:21 ID:OoZ17g2b

 その日は忙しかった。
やらなければいけない仕事が山積みになっており、ようやく一息つけたのは昼をだいぶ過ぎた頃だった。
「ハーッ……」
溜め息と共に煙草に火をつける。心持ち、ネクタイを緩めた。
今まで他の事など考える暇もなかったが、やっと余裕ができたので改めて久美子ちゃんとの約束を思い出す。
頭の中で今日の予定を立てることにした。
―まず、定時に帰ってシャワーを浴び、着替えたら久美子ちゃんを迎えに行って……。
そうだ、この前同僚に教えてもらったレストランに行こう!あそこはケーキが美味しいって評判らしいから。
久美子ちゃんはケーキが大好きなのだ。というより甘い物が大好きである。姉ちゃんがお菓子を作る度に目を輝かせて頬ばっていた。
そんな久美子の姿を思い出し、独りくすりと笑う。
……だけど、あんなに小さかった久美子ちゃんももう高校生になったのか。
制服姿、よく似合ってたな……。
俺は寂しいようなくすぐったいような、変な気持ちになった。
なんだか親父にでもなった気分である。
「よしっ!早く仕事終わらせてさっさと帰るぞ」
そして久美子ちゃんの喜ぶ顔を見るのだ。
7672:2006/01/28(土) 21:28:50 ID:OoZ17g2b
だが、甘かった。
なかなか仕事が終らないのだ。
一つ片付ける度何かしら新しい仕事が入る。
職業が職業だけに、「用事があるんでお先に」という訳にはいかない。
俺はそれこそ必死になって仕事を片付けていった。


 「北原君、ご苦労様。そろそろ上がってもいいよ」
上司の声にハッとなった。袖を捲って腕時計を見る。
10時……!!
「……まずっ」
思わず声が漏れた。慌てて書類をかき集めデスクを整える。
「すいませんっ。お言葉に甘えてお先に失礼します」
上司にペコリと頭を下げると鞄を掴んで、一目散に飛び出した。


 まずい。これはまずすぎる。
駅まで猛ダッシュ、電車に飛び乗り、がたんがたんと揺られながら俺は、舌打ちばかりしていた。
自分から久美子ちゃんに言い出しといて……。
一瞬、「仕事なんだし久美子ちゃんも分かってくれるのでは」という考えが頭をかすめた。
いや、そーゆーことじゃないだろ……。
俺はすぐにその考えを打ち消す。
久美子ちゃんを、久美子ちゃんとの約束を裏切ってしまった。
脳裏に久美子ちゃんの笑顔がよぎる。嬉しそうに手を降ってた久美子ちゃん。
俺との約束を楽しみにしていたに違いない。
ああもうっ。電車の速度がじれったく感じた。
早く、もっと早く!駅なんか一つ二つすっ飛ばしたっていいだろう?!
77名無しさん@ピンキー:2006/01/28(土) 21:40:47 ID:J1/OHZfm
支援
7872:2006/01/28(土) 22:42:34 ID:OoZ17g2b
どうもです。ここって短い話の方がいいんですよね?
長くなりそうなんでマズいかなぁと思いまして。まずかったらやめときますね〜。
79名無しさん@ピンキー:2006/01/28(土) 22:55:29 ID:1oHXAHHT
>>78
いえいえ、問題はないと思います。
他の人のレスと区別がつきやすいように、コテハンを名乗るなり
トリップを付けたほうが確実かもしれませんが。

久美子ちゃんがどうしているか気になります。
80名無しさん@ピンキー:2006/01/28(土) 22:56:35 ID:7CXM2vkM
読みたいです〜ノシ
でも、折角の長編になるならある程度の量ずつまとめて投下して頂けると嬉しいかなぁ。
良質な作品を書いてください、陰ながら応援しております〜。
8172:2006/01/28(土) 23:18:41 ID:OoZ17g2b
わかりました〜。
まとめて投下…なるべく頑張ります。仕事しながらなのでとぎれとぎれになってしまってすみません…。
82名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 00:05:30 ID:J1/OHZfm
>>72
面白くなりそうですね、わくわくします
ただひとつだけお願いが〜
よかったら投下の区切りには、<続く>とか<ここまで>とか入れてい
ただけると、感想書きやすいです
途中で終わっていると、何かあったのでは!?と心配しちゃうのですよ
83名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 00:16:15 ID:ZtQax7sD
お待ちしております。
8472:2006/01/29(日) 00:17:27 ID:tOj7b79T
 電車がやっと駅に到着する。
慌だしく降りると階段を駆け降り、公衆電話に飛び付いた。
ダイヤルした先は勿論、式部家である。
何度かのコールの後に
『はい、式部でございます』
「良かった、姉ちゃん!」
『透?』
「あのさ、久美子ちゃんいる?」
『いないわよ』
気のせいか?姉ちゃんの声が冷たく感じる。
「嘘?こんな時間にどこへ……」
『さぁどこかしらね?無責任なとーるちゃん』
やっぱり気のせいではなかったか。
『8時過ぎまでウチで待ってたけど、アンタん所で待つって、鍵貸してくれって言われたわよ。一体、何考えてるの?!久美子ちゃん楽しみに待ってたのよ!』
「ごめん姉ちゃん。説教は後で聞くから」
そう言うとガチャッと受話器をフックにかけ、俺は改札口に向かって走り出した。


 6階の部屋に辿り着いた時、俺の息はすっかり上がっていた。
エレベーターを待つのももどかしく、階段を駆け上がってきたのだ。
ハァハァと肩で荒く息をしながら俺は、鍵を回し玄関のドアを開けた。
8572:2006/01/29(日) 00:37:57 ID:tOj7b79T
部屋の中は真っ暗だった。
(……?おかしいな、来てるはずなのに)
暗闇の中手探りでリビングまで行き、明りをつけようとしたその時。
「うわっっ」
突然誰かに飛び掛かられて、俺は思わず奇声を上げた。
「お帰りなさーい」
「くっ久美子ちゃん……」
「ふふっ、びっくりした?」
すっと俺の体から手が離れたかと思うと、リビングの明りがパッとついた。
俺は驚きの余り、一瞬言葉を失った。
汚れていた部屋はきれいに片付き、なんと洗濯までされていた。
テーブルの上にはラップのかかった料理の皿が並び、圧巻はデコレーションされた大きなケーキである。
「これ……どうしたの?」
やっとの事で言語能力を回復した俺はどもりながら尋ねた。
「作ったのよ勿論!とーるちゃんのお仕事終わるの待つついでにね。驚かそうと思って……」
にこにこしながら久美子ちゃんが説明する。だがにこりともしない俺を見て段々不安になってきたのか、
「あの……ごめんなさい。勝手にお部屋とかいじっちゃって。とーるちゃん、怒ってる?」
上目遣いで俺の顔を覗きこむ。
8672:2006/01/29(日) 00:38:47 ID:tOj7b79T
今日はここまで。
仕事が溜まってきました〜。
明日はまとめて投下しますね、すみません。
8772:2006/01/29(日) 00:41:13 ID:tOj7b79T
<<82
今レス読みました〜。明日から気をつけますね。すみません。
88名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 16:33:23 ID:tOj7b79T
俺は慌てて、
「そんな……怒る訳ないよ。あんまり驚いたんで声が出なくて……」
「ホント?良かったぁ」
久美子ちゃんがホッとしたように笑う。
「とーるちゃんを驚かそうと思ったんだもん。大成功だね」
 久美子ちゃんの入学祝いをしようなんて自分から約束しといて。
散々待たせた挙句、電話の一本すら入れなかった。
それなのに。
この子は恨み言一つ言わず、嫌な顔もせず部屋を片付け料理まで作ってくれたのだ。
俺を驚かそうと。
ただそれだけのために。
目の前に立ってにこにこしている久美子ちゃんを、俺は胸の詰まる思いで見ていた。
「とーるちゃん?」
首を傾げて不思議そうに俺を見上げる彼女を次の瞬間、俺は抱き締めていた。


 「と……とーるちゃん?!どどどどしたの?」
俺の胸の中で、久美子ちゃんがバタバタともがく。抱き締めている腕に力を込めて身動きを封じると、意外にもおとなしくなった。
「……煙草の匂いがするね」
小さな声でそんなことをつぶやいた。俺は久美子ちゃんの頭を撫でながら、
「ホントにごめん……。せっかく久美子ちゃんと約束したのに破って……」
「んーん。お仕事だもん、しょうがないよ。それにホラ、こーやって急いで帰って来てくれたし……。じゅーぶんだよ」
なんと健気な子だろう。俺は思わず久美子ちゃんの額に髪に口ずけを落とした。
89名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 16:52:42 ID:tOj7b79T
ピクッと小さな体が動く。俺は片手で久美子ちゃんの顎を上に向かせると、そっとキスをした。
唇を離し彼女を見ると、真っ赤になりながらもおずおずと俺を見つめ返す。
(……いいのかな)
頭の隅でチラリと思うも衝動には逆らえない。再び目を閉じ唇をつける。
長い口付けの後、俺はそっと舌を彼女の唇の中に滑りこませた。
久美子ちゃんが身を強張らせたのが判った。
それでも強引に舌を捩じ込み口の中を犯していく。
「……んっ……」
不本意に漏らしたその声は俺の身体に火をつけてしまった。
激しい一方的なキスを繰り返しながら、久美子ちゃんの体を持ち上げてベッドに運ぶ。
きれいに整えてくれてありがとう。でもごめんね。これからまた乱してしまうけど。
ドサッと二人揃って倒れ込んだ。
「あ……あのとーるちゃん……。あたし……」
「嫌?」
彼女の身体にのし掛かって逃げ場を塞ぎ、嫌?も何もないもんだ。
でも、無理矢理にはしたくない。
大丈夫。まだここまでだったらやめられる。
久美子ちゃんの顔は今や、パニック寸前といった表情である。
「嫌だったらやめるけど?」
優しく言ってみた。
ここでやめればまた前の二人に戻れるよ。
仲良しの友達、とーる君と久美子ちゃんに。
「あ……い、嫌じゃない、けど」
震える声で久美子ちゃんが答えた。
「あたし……でいいの?」
9072:2006/01/29(日) 17:11:01 ID:tOj7b79T
その言葉に俺はくすっと笑って、
「久美子ちゃん、だからしたいんだけどな」
「そ……そう」
驚いたことに、久美子ちゃんは俺の首に腕を回してきた。
「あの……じゃあ優しくして下さい」
「了解しました」
俺はまた笑うと、その小さな顔に沢山キスの雨を降らせた。そのまま首筋に唇を這わせる。
「……っ!」
そうか、久美子ちゃんはココが弱いのか。
そんな事を思いながら右手を彼女の服の下に滑りこませた。
ガッチリとブラジャーでガードされた膨らみを、手の平に包んで優しく撫で上げる。
「あ……!んっ……」
久美子ちゃんは目をギュッと瞑り、しっかりと俺に抱き付いている。
背中に手をいれホックを外すと、下着を押し上げ直に触れた。
その膨らみの頂きを指で引っ掛けて擦る。
久美子ちゃんの身体がじれったげにくねり、唇から吐息が漏れる。
「ここ……気持ちいい?」
尋ねると久美子ちゃんはぶんぶんと首を振って
「……わからな……っ」
「そう」
俺は裾を捲り上げると胸を露わにし、そっと口に含んだ。
「やぁっ……っ!とーるちゃ……。舐めないで……」
「なんで?久美子ちゃん、可愛いよ?」
執拗に口と手で愛撫を繰り返す。
久美子ちゃんはその度に切なげに啼いた。
9172:2006/01/29(日) 17:12:00 ID:tOj7b79T
続きは後で投下しますです。
今夜には完結させたい!
92名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 17:39:34 ID:ZjGhyKiQ
>>72
GJ.
久美子ちゃんの初々しさがよいです。
9372:2006/01/29(日) 21:26:02 ID:tOj7b79T
俺は手を下に滑らせると、太股を撫でながらゆっくりとスカートの中に這わせていく。
流石に怖いのだろう、久美子ちゃんの身体が小刻みに震えた。
「……」
そこで、下着の溝に手を這わせると今度はまた太股へと戻って行かせた。
何度かそれを繰り返す。
「……っ?」
不審に思ったのか久美子ちゃんは、ギュッと瞑っている目を片方だけそぉっと開けてそっちを見た。
「……とーるちゃん?」
「ん?」
わざと聞き返す。ようやく両目を開いた久美子ちゃんは、身を捩ってくっくっと笑う。
「くすぐったい……」
「やっと笑ってくれた」
「あ……」
俺は久美子ちゃんの手に自分の手を重ねる。
「そんなに緊張しないで」
「そんなことゆったって……無理だよぅ。初めてなんだもん……」
眉をしかめて駄々っ子の様に言う。
可愛くて堪らない。
「あ……っやっ……!」
突然下着の中に手を差し入れ這わせると、子供っぽかった表情はたちまち女に変わる。
「あっあっ……だめぇ」
精一杯の拒絶の言葉も俺を誘っているかの様である。
手を休めずに、空いてる方の手でネクタイを外しワイシャツを脱ぎ捨てた。
その間もキスを繰り返し、久美子ちゃんの喘ぎを唇で塞ぐ。
「……んーっ、あ……あんっ……やっ」
久美子ちゃんの口の端から受け止めきれなかった唾液が零れる。
俺は舌を這わせそれを舐めてやった。
(……このくらい馴らせばもう平気かな?)
9472:2006/01/29(日) 21:41:56 ID:tOj7b79T
…データが消えたーーっ!
なんでなんで?
本当にすみません!ちょっと復活できないか探ってまいります。
95名無しさん@ピンキー:2006/01/30(月) 01:50:57 ID:VpNxtQsg
データ消え=久美子ちゃんの恥じらい

と思ってお待ちしております。
96名無しさん@ピンキー:2006/01/30(月) 23:13:50 ID:R5c0MAED
…山には山の 
海には海の
竈には竈の神様がいるよーに
データにもデータの神様がいるのなら

神様
神様
データの神様

お願いです 1度だけでいい
>>72のデータ復活を…!
97名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 00:59:21 ID:b7ZJNZtH
書き手さんたち、思わず書き込みたくなる素敵な作品をありがとう!!
ここが笑みに満ちた場所でありますように。


>35-43
萌えエロ→笑→萌えエロ→笑、の相互こーげき(?)にやられました!(笑)
>「…今日は……泣いても止めないよ…」
に萌え。そのあと怒涛のよーに襲ってくるエロと笑いがたまりませんです。
それから、絆創膏のくだりでの加納さんが優しくて好きです。
こっちまで気持ちがぬくくなる〜〜。
寒い時期にあったかいお話をありがとうございました!!

98名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 01:00:10 ID:b7ZJNZtH
>56-62
>「清純なバニラも良かったけど、次は濃厚なチョコで……」
清純と言いつつもとてもエロくて、かつ二人らしくて
思わすチョコレート編を期待してしまいました(笑)
もし、甘酸っぱいストロベリーなら、甘々プリンなら、そして
キャラメルがねっとり絡みつくドルセ・デ・レチェなら……!!と
アズキ味を食べながら妄想に耽ってしまいそう(w
美味しいお話をありがとうございました!

>72
垣根を超えたいとーるちゃんがんばれ(w
(恥らう久美子ちゃんには申し訳ないのですが)72さんのハプニングにおかれましては
データが労なく復旧されますことをお祈りしています。


…そーいえばこの二人もちゃんと川原的年齢差なんですよね(W
ちょーどくみこちゃんが女子高生になる頃、とーるちゃんは20代後半の男性で。
うまくできてるなぁ…。



9972:2006/01/31(火) 01:10:00 ID:75tbEkzL
復元出来なかったorz
ので、続きを自分流に投下。



 あたしはガチガチに緊張していた。
頭の中は真っ白、手足は冷たく痺れている。
恥ずかしくて堪らなかった。
「そんなに緊張しないで」「可愛いよ」って、とーるちゃんは余裕の笑みを浮かべて言うけど。
無理無理!!
とてもあたしにはそんな余裕はない。
「……っはぁ……っ」
とーるちゃんが手を止めた。
しばしの休憩。あたしは酸欠状態の頭に酸素を送り込むべく、深呼吸をした。
小さく目を開けてとーるちゃんを見ると、あたしに背を向け何かごそごそやっている。
何をしてるのかな……?
とーるちゃんの金色の髪がキラキラ輝いててとってもキレイだった。
とーるちゃんがくるっとこちらを向く。あたしは慌てて目を閉じた。
ぎしっ、とベッドの軋む音が聞こえて、あたしの上にとーるちゃんの体が重ねられる。
心臓、破裂しそう。
「久美子ちゃん……。好きだよ……」
耳朶を甘噛みしながら囁かれた。思わず腰が浮く。
「あた……あたしもっ」
「痛くしないから」
その言葉と共に、とーるちゃんがあたしの中にゆっくりと入ってきた。
10072:2006/01/31(火) 01:26:48 ID:75tbEkzL
「……っ?!」
胃が、頭の先から飛び出したかと思った。
「ああっ……」
痛い、と言おうとした時。
耳元でとーるちゃんが吐息を漏らした。
……気持ち、いいの?
あたしのお腹にうねるような、温かいものが込み上げてくる。
「痛くない?」
「……うん」
こくりと頷く。すると、本当に痛さよりも……なんだろう、違う感じがしてきたのだ。
「入った……よ?」
「うん……っ。あっ!」
あたしは思わず悲鳴をあげた。とーるちゃんが腰を急に動かしたのだ。
最初はゆっくりと。
ちょっとずつ速度を増してゆく。
「あっあっ……んあっ……」
声が止まらなかった。
「久美子ちゃん、久美子ちゃん可愛い」
「んっ……はぁっ……やっ……」
とーるちゃんの手があたしの胸を包む。同時に舌があたしの舌を捕らえる。
痛みは今や消え、あたしは快感の波に飲み込まれていた。
「……とーるちゃ……もっ……ゆっくり……」
「……ごめん、止まらない」
とーるちゃんの喘ぎにあたしの背中が跳ね上がった。
「……やっ、らめぇ……っ」
舌が回らないよぅ。
このまま体がふわりと浮かんでしまいそう。あたしはとーるちゃんの背中にしがみついた。
とーるちゃんの広い背中は汗ばんでいて暖かい。
10172:2006/01/31(火) 01:47:05 ID:75tbEkzL

 「……久美子ちゃん?」
とーるちゃんの胸に顔をうずめていたあたしは、ピクッとした。
恥ずかしくて、顔が上げられない。
あんな……あんなことがあった後でどんな顔してとーるちゃんを見ればいいのか、判らなかった。
「久美子ちゃん、俺を見てよ」
渋々、顔を上げる。
とーるちゃんは、見たこともない程優しい顔であたしを見つめていた。
かぁぁーーとあたしの顔が真っ赤になる。
「……見ないでよぅ」
「なんで?」
「だって、恥ずかしいもん」
呟くと、とーるちゃんはフッと笑ってあたしにキスをした。
「ずっと、久美子ちゃんとこうしたかったんだ」
そんなことを言われてしまったら、恥ずかしさなんてどうでも良くなっちゃうから、不思議。
「あたしも……。とーるちゃんのお嫁さんになるのが夢だったの」

 その後あたし達は起きて、ご飯を食べた。
とーるちゃんは「お祝いだからね」と言ってちょこっとだけワインを飲ませてくれた。
「ごめんね、プレゼントも何も用意できなくて」
すまなそうにとーるちゃんは何度も謝る。
だいじょーぶよ。
プレゼントはちゃんと、貰ったもんね☆


10272:2006/01/31(火) 01:52:27 ID:75tbEkzL
えー、以上です。
なんか…川原さんのキャラで生々しいとこまで描くのが悪い気がしてしまって。
変な箇所も多いですが…。
お目汚し失礼しました〜。
103名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 08:30:04 ID:YtkN6VEu
GJGJ!!
大きくなった久美子ちゃんがかわいい〜!
あの二人がちょっと気になってたので補完された気分になりました!
104名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 09:24:13 ID:YmaQBUZ1
GJ!
行為の後で、何年かぶりに一緒にお風呂に入るんでしょうな。
105名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 11:12:45 ID:zDOgGOsY
ところでとーるちゃんと久美子ちゃんは、法的にはどんな関係になるん
でしたっけ?
血のつながりはないけど叔父と姪?
いえ、久美子ちゃんから見て「叔父の妻の弟」を叔父と呼ぶのかどうか
謎ですが。
106名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 12:21:37 ID:xI1FmUhv
>>105
血のつながりがなくても、叔父と姪にあたりますよん。

親の再婚で、連れ子同士になった二人に恋愛感情が芽生えても、
恋愛や婚姻において法的にはなんら問題ないのと同様、
この場合もお互い好き同士なので、淫行条例以外の支障はなし。
ただし72さんのお話では、とーるちゃんは公務員になったらしいので、
発覚した場合えらい事になります。


ちゅ〜か、そう考えたら川原作品って、淫行条例引っかかりまくるなw
107ときめきの因数分解:2006/01/31(火) 14:40:58 ID:75tbEkzL


 ―この前、私の母が再婚した。
お相手は何と、担任の椎名邦彦先生のお父様である。
最初のうちはたじろぎぎこちなかったものの今では少し慣れ、椎名家のホームドラマは順調である。
そして私はと言えば……。

 「先生、何してるんですか?」
先生の部屋の前を通りかかった私は、沢山の書物を抱える先生を見て声を掛けた。
「ああ、ちょっと本が増えすぎてしまったんでね。本棚の整理をしようかと」
「フーン。手伝いましょうか」
言うと応えを待たずに部屋に入る。
「ありがとう」
先生がにっこりした。
 ……しかしすごい本の量である。
教員書に教科書、参考書に様々な辞典。
数論における…原理。
リー群数が…。
不完全性定理の…。
解析数論に関する…。
ナニこれ??
日本語なのだがさっぱり理解できない!
私は題名を読むのを諦め、幾つかの書物を一気に抱えた。
「……おもっ」
「当たり前だよ。そんなに一気に持ったら」
先生が笑いながら手を伸ばして抱えている本を何冊か取ってくれた。
先生の顔が。
先生の手が。すぐ近くに。
ドキッとした私は思わず、本を取り落とした。
「わっ!?」
バサバサッと足の爪先を重たい本が掠める。
と同時に先生が私の肩を掴んで自分の方にぐっと引き寄せた。
「……っぶない。大丈夫か?藤枝」
「……はいっ」
大丈夫だけど。ある意味大丈夫じゃないって!
私の顔が先生のむむ胸に……っ。
「あああのっ、すみませんっ」
慌てて体を離す。
なんで赤面するのだ?!私ってば。
【続】
108名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 14:44:40 ID:zDOgGOsY
>>106
まぁミカエルの生徒が条例に抵触なんてしたら退学なんてことにも
なるかもしれないので、そのあたりは秘密厳守の関係なのでしょう
な。
109ときめきの因数分解:2006/01/31(火) 15:07:59 ID:75tbEkzL
「藤枝?大丈夫?」
先生が至近距離で顔を覗き込んでくる。
「はははいっ!」
もう、なんで吃るのだ?!
「ははっ、これ因数分解の定義書だ。藤枝は苦手だったっけ?」
足元に落ちた本を拾い上げながら先生が笑った。
 そう、苦手だったのだ、ちょっと前までは。
因数分解と聞いただけでたじろいでいたものだ。
しかし今は……なぜかときめいてしまったりする。


 恋という字は変という字によく似ている。
あんなに嫌いだった因数分解が、椎名先生のお陰で少し好きになれた。
私の中で『因数分解=椎名先生』となったのだ。
変としかいいようがない。
「藤枝、ありがとう。もう大丈夫だよ」
ぽん!と先生の大きな手が私の頭を撫でた。私はハッと我に返った。
いつの間にか本棚はきちんと整頓されている。
結局何の役にも立たなかったな……。
「じゃあ……」
「うん。どうもね」
私はそそくさと先生の部屋を後にした。

【続】
110名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 15:15:18 ID:75tbEkzL
72です。
とーるちゃん&くみこちゃんカプーは個人的に大好きなので投下できて嬉しかったです。
そして同じくらい好きなのがさとこちゃん&椎名先生の因数分解カプー。
二人のSSってないんですねぇ。
誰か続き書いて下さらないかな〜なんて。
111名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 15:17:09 ID:zDOgGOsY
>>107&109
割り込んでしまってスマンカッタ。

>>110
私も間が悪かったけどあなたもそれ以上にw
112名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 15:18:15 ID:zDOgGOsY
……と思ったら>>110さんは>>107&109さんご本人でしたか orz
俺って大マヌケ……。
113名無しさん@ピンキー:2006/02/01(水) 18:40:17 ID:xif20gKj
最近ブレーメン2を3巻まで購入。

……一番の萌えキャラがシャキールさんだった…orz
114名無しさん@ピンキー:2006/02/01(水) 19:18:58 ID:+mMhNIEA
>>113
ブレーメンの女の子たちの中ではウサギさんが一番かわいらしかった。
回想シーンのブラウス姿に萌え。
115名無しさん@ピンキー:2006/02/01(水) 19:34:26 ID:Fh0LDtgK
南京玉すだれ♪
116名無しさん@ピンキー:2006/02/01(水) 21:50:37 ID:xif20gKj
>>114
シャキール×シルビアは違和感があるかな〜w

年寄りな発言(若人おいてけぼり)でスマンが、思わずシルビア=ユキの図式が浮かび、
じゃあキラ=オキタとして、コダイ君は誰だろうと真剣に悩む自分がいました。
ブレーメンズでエロを考えようとする自分に、ふと我に返った訳ですがw
117名無しさん@ピンキー:2006/02/01(水) 22:26:52 ID:WMKgLDpp
>>116
>シャキール×シルビアは違和感があるかな〜w
愛撫しながらシルビアたんの肌を舐めているうちに「美味しい」とか
思ってしまったらシルビアたん大ピンチw

>ブレーメンズでエロを考えようとする自分に、ふと我に
まぁその昔、探せばメイプルタウンとかのエロ同人誌もあったでしょ
うしw(本当か?)
118名無しさん@ピンキー:2006/02/03(金) 21:56:02 ID:PjC4NuPF
56です。ご感想ありがとうございました。
バレンタインくらいまでに、吉川夫妻〜チョコレート編〜を書いてみようと思いました。

さて、時過ぎてしまったのですが、斎木総一郎、迪子夫妻の新春を書いてみました。
まだ途中なので、イヤになって投げ出さないように前半を投下いたします。
前半の語りはおキヨw、エロはまだ無しです…… orz
119斎木総一郎×迪子 1:2006/02/03(金) 21:58:10 ID:PjC4NuPF

「奥さま。奥さま!」
何度呼んでもすました顔で振り向かない奥さまに結局負けて
「み、迪子さま」
「なあに? おキヨ」
私は深いため息をつきました。

斎木様と迪子さまの婚礼が滞りなく行われてから数ヶ月。
若奥様と言われるお立場になっても、迪子さまは私から「奥さま」と呼ばれるのを拒み続けました。
私は幼い頃に迪子さまがお母様を亡くされてから、ずっと迪子さまのお世話をして参りましたキヨと申します。
迪子さまがご結婚されて、新しく東京に斎木家を構える時に、女中頭として迪子さまに付いて参りました。
新しくご家庭を築かれたと言うのに、迪子さまはお嬢様の頃と何一つ変わらないお暮らしぶりでございました。

「迪子さま、未だに旦那様をお迎えなさらないというのはまことにございますか?」
「ええ」
「まぁ迪子さま。もうご結婚なさって3ヶ月ではありませんか! こちらの部屋へはいらっしゃいませんの?」
「一度いらっしゃいましたけど、きっぱりとお断り申し上げました」
「まぁ……」
あまりのことに言葉も出ないでおりますと、迪子さまはつんと顎を上げられるのでした。
「あの方は、お城とご結婚なさりたかったのですから」
「そ、それは言葉の間違いだと、旦那様も何度もおっしゃっていたではありませんか」
「いいえ、私は一度も伺ったことがありません」
迪子さまはお母様の形見の着物を幾枚か引き出して、
「そんなことより、新年の晴れ着はどれにしましょうか」
言いながら畳紙を開けられるのでした。
「……そうでございますねぇ。今年はご婚礼の衣装の準備が忙しくて、染めさせるひまがございませんでしたね」
「ええ、だからお母様の着物を見ていたのよ」
そこへ使用人が襖の外から声を掛けました。
「奥さま、西村屋がお見えでございます」

「あら、おキヨが呼んだの?」
「いいえ、迪子さまがお呼びになったのではございませんの?」
西村屋と言うのは、江戸の頃より鳴沢の着物を作らせております、老舗の呉服屋なのでございます。
不思議そうに顔を見合わせ、迪子さまが立ち上がりました。
「何の用なのでしょう」

「これはこれは奥さま。この度はまことにおめでとうございました」
小春日和の温かい日差しが座敷に差し込んでおります。
西村屋の主人と連れが深々と頭を下げますと、迪子さまは曖昧な笑顔で受けました。
「ご婚礼のお衣装も染めさせていただきまして、近年に見ない見事な出来栄えで私共も鼻が高うございました」
「本日は、新年の晴れ着をお持ち致しました」
西村屋が恭しく畳紙を出しますと、迪子さまは怪訝そうに
「西村屋、今年は頼んではいないのですよ」
とおっしゃいました。
「いえ奥さま、こちらは旦那様のご依頼で染めさせたものでございます」
「まぁ旦那様の?」
私は驚いて思わず声を上げました。
「ええ、斎木様からのご依頼でございます」
「まぁ」
迪子さまが一瞬息を飲み、強張った表情で畳紙を見つめました。
「こちらでございます」
西村屋が畳紙を開くと、なんとまぁ……。
こっくりとした空色の地に、春蘭が裾から勢い良く伸びている様子が見事な友禅で染められておりました。
「これは、加賀の?」
「さようでございます。若手ですが実力のある作家で、旦那様が柄から打ち合わせなさいまして」
「まぁ、柄から?」
「はい、奥さまは蘭がお好きだからとおっしゃいまして」
120斎木総一郎×迪子 2:2006/02/03(金) 21:58:46 ID:PjC4NuPF

西村屋が帰りましてから、迪子さまはぼんやりとしたご様子で先ほどの晴れ着を見ていらっしゃいました。
「見事でございますね」
「ええ、この強い空色にも負けない勢いのある春蘭は見事ね」
でも、と躊躇いがちにつぶやかれます。
「私に着こなせるかしら、とても印象の強い着物ですもの」
やれやれ。私は迪子さまに聞こえないよう、そっとため息をつきました。
どう見ても、その着物は迪子さまにしか着こなせませんとも……。

「旦那様も人がお悪いこと。一言ご相談下さっても宜しいではございませんか」
「あぁ、おキヨ。見事だったろう?」
「ええ、本当に見事で、私も奥さまも見とれてしまいましたわ」
「迪子も?」
旦那様が食いつくようにお聞きになるので、思わず笑いが漏れてしまいます。
「ええ、大層お気に入りのご様子でございました」
「それは良かった」
「でも、こんな強い印象の着物を着こなせるだろうか、と心配なさっておいででしたわ」
ふん、と旦那様は鼻であしらいます。
「迪子にはあのくらい強い柄でないと、着物の方が負けてしまう」
「あらあら」
それにしても旦那様もお気の毒な。
30代前半の男ざかりで新婚でありながら、迪子さまとはまだ結ばれていらっしゃらないとは……。
それを言うなら迪子さまもお気の毒、初恋の方とご結婚までなさっていながら未だに生娘のまま。

そう、あれはもう7年も前。散歩からお帰りになった迪子さまがぼんやりとため息をつかれていた日でございます。
幼少の頃よりお遣えしておりました私ですもの、迪子さまの変化に気付かない訳がございませぬ。
それ以来も散歩の時に幾度かお見かけしたことがあるとか。
ええ、ご結婚の申し込みにいらっしゃるくらいですもの、言葉を交わした日もあったに違いない、と私は
睨んでいるのでございます。
その方が結婚の申し込みにいらしてお父様に呼ばれた時も、恥ずかしそうにそれでいていそいそと
お出ましになったのでございます。
そして、あの悪夢のようないい間違い。
凍りついた空気。迪子さまの青ざめた顔、斎木さまの呆然とした顔。
その晩、迪子さまは少しお泣きになったようでございました。
しかしそれから一度も涙を見せることはございませんでした。
お父様がお許しになったのだから、と、もう心を動かさない風情でおっしゃって全てをこなされました。
私はもちろんただ黙っていたわけではございません。
何度も言葉を尽くして斎木様の言い間違いについて申し上げました。
けれども迪子さまは耳をふさぎ、心を閉じて、頑なに聞こうとはなさいませんでした。
それでも、ご結婚なさって真に触れ合うことが出来たなら、迪子さまの心の氷も融け、斎木様に打ち解ける
日が来るのではないかと、私などは考えておりましたが。
まさか数ヶ月も「真に触れ合う」ことがないまま来ようとは、夢にも思いませんでした。

しかし、あの晴れ着でございます。
男性が女性に着物を贈るのには意味があると申します。
旦那様は、堂々と迪子さまに宣告なさったのでしょう。
それを受けた迪子さまが、まさか意味を知らない訳がございません。
とうとう迪子さまも覚悟をお決めになった、と私はひとり力が入るのでございました。
121斎木総一郎×迪子 3:2006/02/03(金) 22:00:03 ID:PjC4NuPF

さて、いよいよ斎木家も新しい年、ご結婚なさって初めての新年をお迎えになりました。
昨年の春は先の旦那様の喪中でしたので、一年ぶりの正月でございます。
苗字は変わったとは申せ、鳴沢の家のしきたりはそのままに、元日の早朝の若水汲みから始まって、
迪子さまは若奥さまとして全ての行事を滞りなく仕切られるのでした。
昼頃までは新春らしい華やかな小紋に若々しい柄の名古屋帯を締めていらっしゃいましたが、
午後からは鳴沢のご家老衆や旦那様の会社の役員の皆様の年賀を受けられる為に、例の晴れ着に
袖を通されました。

まぁ、それにしてもなんと見事な晴れ着でございましょう……。
こっくりとした空色は、まばゆいばかりに晴れた空よりも深く、春蘭の葉の緑が薄く濃くぼかされて
勢いよく裾から上って参ります。
花はあくまでも白く、花芯が薄紅にほんのりと染まっているのがなんともなまめかしい風情でございました。
左の肩に花が集まって咲き誇っている様は、迪子さまの白い頬を明るく照らし、まるで競い合っているかのよう。
花の邪魔をしないようにと銀糸の袋帯を締めると、凛として華やかで見事な若奥さまぶりでございました。
「さ、迪子さま。旦那さまにもお見せなさいまし!」
ぽんと帯の後ろを叩いて申し上げますと、迪子さまは気が進まぬ風ではございましたが
「そうね、晴れ着のお礼は申し上げなければ……」
と、素直に旦那様の待たれる応接室へと歩いて行かれました。

応接室では既に三つ揃えに着替えた旦那様が新聞を読んでいらっしゃいます。
そこへ迪子さまはそっと入って行かれましたが、旦那様は気付く様子がございません。
迪子さまも、ご自分からどう、という方でもございませんので、しばらく入り口付近にぼんやりと立っているご様子です。
やれやれ、私が言って何か言わねばなるまいか、と気を揉んでおりますと、旦那さまがバサリと新聞を畳まれました。
そのまま迪子さまに気付いて、ハッと息を飲んで目を見張ると、呆然と見つめていらっしゃいます。
迪子さまは珍しく伏し目がちに立っていらっしゃいましたが、自分から何か話すわけでも頭を下げるわけでもありません。
あぁ、気の揉めること! ここで頬を染めてお礼の言葉ひとつ口元に上らせるだけでいいものを……。

それでも旦那様が年上の余裕を見せて何とか口を開きます。
「よくお似合いだ」
新聞をテーブルに置くと立ち上がり、迪子さまのすぐ傍まで歩いて来られます。
「よくお似合いですよ、お嬢様」
明らかに冷笑を含んだ声で囁くと、迪子さまがムッとして顎を上げ、旦那様を強い瞳で睨みます。
その細い顎に右手をかけて、旦那様が親指でそっと顎をなぞるとたちまちのうちに唇を奪っておしまいになりました。
すかさず迪子さまが平手打ちする音がパンと響きました。
旦那様が可笑しそうに笑うと、迪子さまを乱暴に抱き寄せ耳元で囁きます。
「……これは手厳しい」
「離しなさい、無礼者っ!」
旦那様はクスクス笑ったまま素直に手を離します。
迪子さまの上気して怒りに満ちた表情を、なんとも言えない表情でご覧になった後、また唇のはしに冷笑を浮かべて
「今日は、懐剣はないのですか?」
その言葉を聞くなり、迪子さまはくるりときびすを返して、ドアをバタンと閉めて出て行かれました。
122斎木総一郎×迪子 4:2006/02/03(金) 22:00:46 ID:PjC4NuPF

さて、こういう場合、私はどうしたものでしょうね……。
仕方なく、そ知らぬフリで応接室へ入りました。
「おや旦那様、こちらへおいででしたの?」
我ながら白々しいセリフを吐くと、旦那様は苦笑いして頬を撫でています。
「こっぴどくやられたよ」
「おや誰に?」
「あれに、迪子に」
くっくっと自嘲的に笑っておいでです。
「あらまぁ、でも旦那様も意地悪をおっしゃったんでしょうに」
図星を指されて旦那様がこそばゆいような顔で顎を撫でます。
「ねえ、おキヨ」
「はい、何でございましょう?」
「今日の、……夜に迪子の所へ行くから、お前が懐剣を隠しておきなさい」
「え、ええ。もちろんでございますとも」
いそいそと私は言って、それからいくぶん躊躇って申し上げました。
「迪子さまは、あれ以来懐剣を枕元に置くのはおよしになりましたのよ」
「……ほぅ」
それは本当のことでございました。
再度、旦那様が迪子さまを求めることがあらば、迪子さまは素直に身を任せるおつもりだったのかもしれません。
しかし、男女のことは一度歯車が狂うとそれが後々まで後を引くものでございます。
「ですからあの……。どうぞ旦那様、迪子さまに優しくしておあげ下さいまし」
「これ以上ないほど優しくしたつもりだよ、私は」
「それは分かりますわ旦那様。でも、いま一度」
「分かったよ、おキヨ」
今宵、真におふたりが契ることがあれば、それで狂った歯車も元通りになるものでございましょうか……。

「迪子さま、もっと素直にならなければ」
迪子さまはご自分の寝室に決めている和室で、鏡台の前に静かに座っていらっしゃいました。
部屋に入るなり私がずけずけと申しますと、しょんぼりとした風情で私の方へ振り返りました。
「おキヨ……」
もちろんご夫婦の寝室は二階にご立派な洋室がございました。
けれど迪子さまはそこで休まれるのをお嫌いになり、娘時代の鏡台や文机を持ち込んで、勝手に奥のこの部屋を
ご自分の部屋と決められたのでございました。
「お前、見ていたの?」
迪子さまがさすがに決まり悪そうに呟かれますと、思わず申し上げられずにはいられませんでした。
「ええ、失礼ですが一部始終拝見いたしましたわ」
「そう……。でもあの方もずいぶんだったと思わない?」
「ええ、まぁ……」
今度は私が苦笑する番でございます。確かに先ほどの旦那様は意地が悪かった……。
「旦那様もきまりが悪いのでございましょう。こういう時は女の方が折れるフリをなさいませんと」
「……私はどうも苦手だわ。結局お礼も言わずじまい」
「そうでございますねぇ」
こちらへ来れば迪子さまの気持ちもよく分かり、なんとも不器用なおふたりよ、と嘆きたくなる気分でございます。
でも、今宵が最後のチャンスでしょう。
旦那様とて氷のような迪子さまの心が融けるのを、いつまでも待っているとは思えません。
「迪子さま。今宵からは寝室でお休みあそばしませ」
迪子さまの顔色が青ざめ、身体を堅くしたまま黙り込みます。
「やはりご夫婦で別々の寝室というのがそもそもの誤りでございますわ。新年で区切りも良うございますし」
その時、襖の向こうから声がします。
「奥さま、おキヨさん。ご家老衆のお年賀でございます」
「はいはい、今行きますよ。旦那様にも申し上げて」
よろしいですね、と今一度念をおし、私は部屋を出ました。
123斎木総一郎×迪子 5:2006/02/03(金) 22:01:34 ID:PjC4NuPF

その後はもうてんてこ舞いでございます。
鳴沢の時ももちろん年始客は多うございましたが、それに加えて旦那様の会社の役員やら親戚筋の方々など、
後から後から年始客がおいでになりました。
旦那様も迪子さまも表面上は和やかに、新婚夫婦らしくおもてなし申し上げたご様子でございました。
夕方になりバタバタとしている中でふと思い出し、迪子さまが使っていた和室に客用のお膳や食器類の空き箱を
積み上げておきました。
これで迪子さま、今宵はご夫妻の寝室へ行かなければなりません。

どうなることでございましょうか……。
124名無しさん@ピンキー:2006/02/03(金) 22:05:17 ID:PjC4NuPF

以上で前半終わります。
後半は総一郎視点になりますので、この文体はここまでです、たぶん……。
数日後には後半を載せたいと思います。

お話さえぎってしまってごめんなさい、どうぞお続けください。
それから何日かかかりそうなので、他の職人さまもどうぞです。
あぁ、ぐだぐだと長いばかりで申し訳ない……。
125名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 00:56:52 ID:WAIre9ab
ムッハー楽しみにしてます
126名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 01:43:37 ID:GHRjw8PJ
みちこさまカワイイ(*゚∀゚*)!!
続き待ってます。ごゆっくりでいいんでぜひよろしく。
127名無しさん@ピンキー:2006/02/04(土) 11:15:55 ID:O6Yu3pWC
総一郎様ネタですかぁっ!うおお、続きが楽しみです。
マターリ続き待ってます。
でも、あまり無理しないで〜、ゆっくりでいいですからね〜。
128名無しさん@ピンキー:2006/02/07(火) 13:46:43 ID:LtgMrvF9
でも早くね〜。待ってるよん。
129名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 20:49:21 ID:7fy8BI7E

遅くなってすみません。
>119-123の続き、投下いたします。
これまた長くなりましたが、ごゆるりとお付き合いください。
130斎木総一郎×迪子 6:2006/02/08(水) 20:50:08 ID:7fy8BI7E

寝室にふたつ並んだベッドの片方は、いつもピンとして皺ひとつない。
本来ならここに眠るはずの新妻は、ひとり階下の奥の座敷に眠り……。
寝室の横手にある化粧室には、嫁入り道具の豪奢なドレッサーや飾り棚が並んでいたが、
鏡は主を映すことなく、ただそこにあった。
私はいつも眠る前にその家具類をそっと見回して、決して乱れることのないベッドを
視界の端に入れて眠りについた。
7年間、身を粉にして働いて手に入れたものはこれだったのかと、自らを嘲りながら。

年始客も帰り、風呂を浴びたのが10時ちかく。
パジャマにガウンはさすがにやめて、普段用のスラックスとシャツにカシミヤのカーディガンを羽織った。
落ち着かない思いでサイドボードからブランデーを出して窓際のデーブルで一人舐めつつ、
思い描くのはあの人の笑顔ばかりで。
いや、笑顔を思い浮かべようにも、あの人が私に向ける笑顔は見たことがないのだった。
懐剣を自分の喉元に突き付けて、青ざめた顔でキッと睨む姿を思い出して、思わずぶんぶんと首を振った。
今日拒まれたらこの家を出ようか、とぼんやりと思った。
いやいや、こんな暗いことばかり考えちゃダメだ。

そ、それにしても今日のあの人の晴れ着姿は美しかった。
近年流行りの、猛々しい程の加賀友禅の筆遣いにも負けない着姿に呆然と見とれてその後、
……平手打ちされたんだっけ。
あぁ、いかん。どうも話が暗い方に行ってしまう。
ガタリ、と窓際の椅子から立ち上がった。そろそろ11時も過ぎた頃だろうし。
いよいよ覚悟を決めてあの人の元へ行こうとドアを開けて……。

ドアを開けたらその人が、迪子が立っていたのだった。
「ど、どうしました?」
その後に『お嬢様がお共も無しに、こんな夜遅くひとりで』と言いかけたのをかろうじてこらえた。
「……寝る部屋がないのです」
「へ? そりゃまたどーして?」
「おキヨが私の部屋に荷物を置いてしまって……。布団を敷く場所もないものですから」
うつむいて悔しそうに唇を噛む。
おキヨ、策士だな……。心の中で最大級の賛辞を送って彼女に向き直った。

白絹の夜着の上に娘時代の物であろう華やかな羽織を重ねて、化粧を落とした肌はあくまでも白く透き通るようで、
柔らかく癖のない髪の毛を後ろでひとつに束ねて……。
いつから廊下に立っていたのだろうか、少し寒そうに震えていた。
「とにかく寒いでしょう。中へお入りなさい」
さすがに躊躇うそぶりを見せて立ちつくす。
「……何もしませんよ、どうぞ」
そっと身をすくめるようにして私のそばをすり抜けると、わずかに湯上りの石鹸の香りがした。
窓際のテーブルの奥の椅子を勧めると素直に腰をかけ、めずらしそうに辺りを見回した。
「何か飲みますか?」
「いえ、私は……」
「でも少しならいいでしょう? 今日は疲れただろうし」
女性向けの酒がなくて、飲んでいたのと同じブランデーを魔法瓶のお湯で割って勧めると、
少しほっとしたような顔をして、両手でカップを包み込んだ。
「寒くありませんか?」
言いながらドアのそばに戻って暖房のスイッチを調整してやり、再びテーブルに向かい合う。
乾杯するのも変だしな、と考えていると彼女が口を開いた。
131斎木総一郎×迪子 7:2006/02/08(水) 20:51:01 ID:7fy8BI7E

「あの……。晴れ着、どうもありがとう」
言い終えて、義務を終えた小学生のように清々しい顔でカップを口に含んだ。
「あぁ、いえ。お気に召しましたか」
思いがけずも礼を言われて少しばかり動揺した。
「……ええ、私が選ぶよりも私らしいとおキヨは申しましたわ」
「あなたは、どう思ったんです?」
「私は……。とても気に入りました」
「それはなぜ?」
「それは……」
少しばかり黙り込んで、
「……私の好きな色で、好きな花で……」
そこまで言った瞬間、頬にいきいきと血の色がのぼった。
「私のことを良く知っている者でも、あの着物は染められないと思いましたわ……」
最後はそっと囁くように言ってうつむいた。

私は半ば感動して、彼女の白魚のような指が桜色に染まるのをじっと見ていた。
「そ、それはありがとう」
ぎこちなく言うと、彼女はうつむいたまま立ち上がった。
「私、もう休ませていただきますわ。明日も早うございますし……」
立ち上がった瞬間、テーブルの上にあった手を捕らえた。
「迪子!」
彼女は必死で、私から顔を出来るだけそむけて、残った片方の手で襟元をかき合わせる。
「離して……!」
テーブルの向こうへ行こうと立ち上がると、椅子が後ろに倒れてガタン!と恐ろしい音を立てた。
青ざめて息を飲む彼女の手を手繰り寄せて胸元へ抱き寄せる。

「いや! 離して!」
抵抗する彼女を後ろから抱きかかえ、身体が崩れそうになるところをかろうじてベッドまで支えた。
ベッドがふたりの身体を受け止めると、左腕で彼女の細い腰を抱き、右手は彼女の右手首をつかんだまま
しばらく無言で揉み合った。
「お離しください! 斎木様……」
一瞬力を抜くと見せかけて、こちらも必死で彼女の耳元に唇を寄せた。
右手首を左手に持ち替え、自由になった右手をぐいと胸元の奥深くまで差し込んで……。
触れた肌が感触でも分かるほどにびくんと震え、ぎゅっとつぶった目から涙がにじんだ。
噛み締めた形の良い唇は紙のように白くなり、額にはらりと一筋髪の毛が落ちる。

ふと、懐剣は持っていないようだが、舌を噛まれでもしたらどうしよう、と頭に浮かんだ。
「……許してください」
言いながら少し腕の力を緩めた。
「ただ、私の気持ちを知ってもらいたくて……。もう8年待った。これ以上はとても無理だ」
あぁ、もうこれ以上はとても無理だ。
私に平手打ちを喰らわせ懐剣を喉元に突き付けたその人が、今自分の腕の中で乱れた息を吐いている、
そう思うだけでたまらなかった。
132斎木総一郎×迪子 8:2006/02/08(水) 20:51:41 ID:7fy8BI7E

「ではなぜ……謝ってくださらなかったの?」
彼女のくぐもった震える声が聞こえて、驚いて聞き返した。
「何を?」
「……斎木様の、言い間違いを」
「そ、それなら何度も……!」
言いかけてハッとした。そういえば私は、直接謝ったことが、ない……。
「斎木様はいつも、おキヨに言い訳ばかりさせて……」
組み敷かれたままで肩を震わせ、彼女が言葉を続ける。
「私は……、言い訳を百度聞くよりも、斎木様からの言葉を直接聞きとうございましたのに……!」

時が、止まったような気がした。
すっかり抵抗を止めてぐったりと身を寄せている彼女を抱いて、上半身を起こさせた。
目を閉じたまま、青ざめた顔でされるがままになっている彼女の額の髪をかき上げて、そっと囁く。
「迪子。私はあなたとの結婚を許して欲しくて、あの日お城へ上がって……。
決してお城が欲しかったわけじゃない。あれは緊張の余りの言い間違いだった」
そこまで言って目を閉じた。
「すまなかった……」

しばらくの沈黙の後に、
「もう、遅すぎますわ」
彼女の白い頬が強張ったまま、冷たい声が響いた。
あぁ、この人は平気でこういうことを言う……、懐剣よりも鋭い刃が私の心を貫いたことも知らずに。
傷ついた心を気付かれたくなくて、思わず乱暴に彼女を上向きにして組み敷いた。
「斎木様!」
睨む中に一瞬の怯えが見えた。
「あぁ、耳障りな。もう夫の名前も忘れましたか」
首で、肩で、足で、両腕で、全身で彼女の抵抗を抑えながら耳元に唇を寄せた。
「もっとも、夫とも思わぬ人の名など覚える必要はありませんか、鳴沢の姫君は」

「……あなたの名前など、知っていても口に出すものですか」
まるでおぞましい物でも見るかのように顔を歪めて、彼女が私を見上げている。
無言で、既に乱れた襟元を両手でぐいと開いた。
一度も人目に晒されたことのない、いや、日の光さえ見たこともないだろう白い肌が露わになった。
さほど大きさはないものの形の良い乳房を、力まかせに揉みしだきたい思いにかられるが、なんとか思いとどまる。
それでもいくぶん乱暴に唇を落とし、ついつい夢中になっていくつかの紅い跡を残した。
133斎木総一郎×迪子 9:2006/02/08(水) 20:52:50 ID:7fy8BI7E

彼女は抵抗を諦めたように、でも時折り逃げるように身をよじった。
長身の私とは対象的に、彼女は中背ではあったものの体つきは華奢で、手首などは私が力を入れてしまえば
折れてしまいそうなほどに細かった。
それなのに全力で抑えつけていた為に、彼女の白い肌にはところどころ私の指の跡が赤く浮かんだ。
でも、力を抜いたら逃げてしまいそうで、また軽蔑の言葉を投げられそうで、力を抜くことが出来ない。
たいして時間も経っていないのに、既に私の額には汗が浮かんでいた。
震える右手で胸元をさらに深く開くと、薄紅の乳首が震えている。
逸る心を抑えて優しく吸い付くと、彼女が目を見開いて息を飲んだ。
舌で転がすとすぐにぷっくりと跳ね返すように息づいて震える。
思わずもう片方を指先で優しくはじくと、たちまちつんと尖って上を向いた。
「や、やめて……」
彼女が震える声で囁く。
舌先はその尖りに吸い付いて離れない。
優しく形をなぞり、いただきまでのぼって幾度か往復すると彼女の吐く息が震えるのが分かった。
もう片方を指先で同じように優しく嬲る。
吐息が湿り気を帯びて、声をこらえるように胸が大きく上下した。
恐らく初めての感覚に耐え切れないのだろう、
「離して!」
溜まっていた息を吐き出すように悲痛な声を上げる。
「8年も我慢して、今更離せるとお思いか?」
胸元から彼女の顔を見上げると、彼女の懇願するような目線とぶつかった。
その目を見つめ返しながら、ゆっくりと乳首を口に含むと、彼女の顔が歪んで首が後ろに反り返った。

喘ぐ白い喉元が闇に浮かぶ。
懐剣を突きつけたのはこの喉元かと、吸い寄せられるように指で撫でるとゴクリとほそい喉が動いた。
そのまま上にじりじりと上がって逃れようとした彼女の身体が、ヘッドボードにさえぎられる。
体重をかけたままにじり寄ると、形の良いくちびるが数センチ先の目の前にあった。
混乱した、怯えたような姿で胸元をかき合わせて私の視線から逃れようとするが、
その姿さえも私の劣情を煽っているとは思いもしないのだろう。
「どうして隠すんです、綺麗なのに」
言いながら、空調があまりに暑くてカーディガンを脱ぎ、シャツのボタンを外す。
じれったい思いでシャツも脱ぎ捨てると、そのまま裸の両腕で彼女を抱き締めた。
ぎゅっと縮こまっている彼女に
「怖いんですか?」
声に少しばかり笑みが混じったが、気にしないで続けることにする。
「それともこの期に及んで、まだ逃げられるとでも?」
呆然として抵抗も出来ないでいるくちびるを奪った。
きゅっと引き結んでいる歯が緩んだと思った瞬間、下唇の端を噛まれた。
「っ!」
少しばかり驚いて体を離しかけると、ほんの数滴、血が落ちて彼女の胸元を汚した。
「あぁ……、汚してしまった」
ぺろりと汚れた胸元を舐め上げると彼女がなおいっそう身体を強張らせた。
「いや!」
思わずくすりと笑った。
「あぁ……、じきにイヤではなくなりますよ」
ああもう。ただのエロオヤジみたいな言葉しか出ないのはなんでだ。
いっそもう何もしゃべるまい、と無言で彼女の夜着を脱がせようとすれば、薄い絹はピリリを音を立てて縫い目から裂け、
まるでエロオヤジそのものになってしまった。あああああ……。
裂けた絹に心底驚いたのか、彼女は一言も漏らさずに素直に袖から腕を引き抜いた。
あとは観念したようにヘッドボードとクッションに上半身をもたれさせて瞼を閉じる。
134斎木総一郎×迪子 10:2006/02/08(水) 20:53:44 ID:7fy8BI7E

細い顎からうなじ、華奢な肩、鎖骨、胸元から乳房にかけて、さらにその下の小さな臍のくぼみに至るまで。
全てが白く整って美しい曲線を描いていた。
先程の愛撫の余韻がまだ残っているのか、上気した胸に乳首が赤く上を向いている。
「とても、……綺麗だ」
うなじにくちびるをつけ、てのひらでそっと肩から指の先まで撫で下ろせば、きめ細かな肌が少し粟立った。
まるで壊れ物を扱うようにそろそろとくちびるを落とし、なめらかな乳房の丸みを撫で上げる。
指先に乳首が引っ掛かると、彼女の吐く息が震えて、ぎゅっと身体に力が入った。
うなじから降りた舌先がもう片方のつぼみを捉えてゆっくりと舐め上げると、無言の身体がひくっと跳ねる。
あとはもう夢中になって、歯を立てないように自分を抑えるのが精一杯だ。
じきに汗ばんで上気する肌から目を離すと、彼女は手首を口に押し当てて声を上げまいとこらえていた。

その手を取って見ると赤く歯型がついて濡れて光っている。
「我慢しなくていいのに……」
歯の跡を甘く噛みつつ、右手で腰紐をほどいた。
しゅるしゅると衣擦れの音がして前がはだける。ついでにお腰の紐も外す。
上半身をもたれさせていたクッションを外し、腰の後ろに手を回して身体を下へ引っ張った。
彼女が、スプリングで身体が弾むのに驚いて不安そうに私を見た。
「……なぜ揺れるの?」
「え? あぁ、姫君はベッドが初めてですか」
あぁ、また余計なことを言った、くそ。
「……私には迪子という名がありますわ」
ムッとしたように低い声で言う。
「ならば私にも総一郎という名前がございますよ。お忘れでしょうが」
視線が絡み合って、マンガならば火花を散らすところだが。
体勢を変えようと少し起き上がると、またスプリングが揺れる。
「ぁ!」
彼女が青ざめて私の腕にすがりついた。
「どうしたんです」
呆れたように言うと、さすがに恥じて手を離すが顔色が落ち着かない。
「揺れるのが嫌なの?」
黙り込んでうつむいた。
しかしまさか鳴沢の姫の初夜が床の上というわけにもいくまい。
思わずくすりと笑った。
「あなたは、変なものを怖がるんだな」
やれやれ、気が強いのか弱いのか、それを言うなら好いているのか憎いのか……。
「……」
一瞬の隙をついて唇を合わせると、舌を割り込ませた。
驚いたように隠れる小さな舌を追いかけ、絡め取る。

「ん!」
初めて上げた小さな声。ああもっと聞きたい……。
右手は身体の曲線をなぞりながら下へ降りて、左手は柔らかい髪の毛を撫で、
舌は彼女の口腔を犯すように奥へと責める。
震える唇を甘く噛むと、また甘い吐息を漏らした。
右手はすでに乳房を撫でてわき腹まで降りて、ぴたりと合わさった膝頭を撫でた。
白くなめらかなふくらはぎを何度か往復して、降りてきた唇が再び乳首を捕らえると
「ぁ!」
また小さな声が上がり、羞恥からか顔を背けて右手の甲を口に押し当てた。
それでも執拗に乳首を責めると、押し当てた口からくぐもった声が幾度か漏れる。
135斎木総一郎×迪子 11:2006/02/08(水) 20:54:21 ID:7fy8BI7E

いつの間にかゆるんだ膝頭の間にやさしく手を滑り込ませて内腿を撫で、押し開く。
覚悟を決めたのかあからさまな抵抗はないが、一瞬息を止め、身体を強張らせた。
白い肌に刷毛で刷いたような薄い茂みが浮かび、その下は夜目にも分かるほど赤く……。
たまらず指を押し当てると表に出るほどの湿り気はないが、開いた瞬間、くちゅ……と
なんとも淫靡な音を立てて潤みが広がった。
「ぃや」
子どもが訴えるように小さな声を漏らし、ぎゅっと目をつぶっていやいやをした。
「いや?」
言いながら指で広げてゆるゆると撫で上げて、頂きの蕾に豊かな潤みを絡める。
「!」
びくんと身体が跳ね、両腕を伸ばして私の身体を押しのけようとする、そのしぐさが
思いがけなくも子どもっぽくて可愛らしい。
指でやさしく震わせていると、蕾がぷっくりと充血して熱く尖った。
「ぁ! いや!」
「こんなになってるのに?」
わざと目の前で濡れた指を舐めてみせると、真っ赤な顔で首を振った。

鳴沢の姫、しかも生娘を相手に何をしているんだろうと思う。
やっぱり私は基本的にはただのエロオヤジなのか。
でも、どうせ嫌がられているのなら、エロオヤジでもいいかと投げやりな気分になった。
だって8年、8年も! 8年も待ってこのていたらくだ。
でも、恋焦がれた人を組み敷いて言葉で追い詰めるのは、それはそれで倒錯した歓びがあって……。

蕾を親指で撫でつつ、中指を幾分乱暴に彼女の中に突き立てると息をつめて固まった。
抵抗するように突っ張った細い両腕を、私の首の後ろに絡ませてやると、中指でそっと中の襞を探った。
「いや……」
まだ苦痛しか感じないのだろう、ぎゅっとつぶった目から涙が落ちる。
「じきに良くなりますよ……」
蕾にあてた親指を上から圧力をかけるように震わせ、中指で狭い潤みの中をゆっくりと出し入れする。
中の肉壁がうごめいて潤みがあふれてきたかと思う頃、止めていた息を震えながら吐き出した。
「まだいやですか」
首にしがみつくように耐えていた彼女が目を開いて、哀願するように私を見上げた。
そんな顔されたら……。
「まだいや? それとも、もっと?」

……誰か、この口を切って捨ててくれ。

頬を上気させた彼女が目をぎゅっとつぶると、涙がほろほろと零れ落ちた。
右手の位置はそのままに唇を乳首に落とし、舌先でしつこく嬲ると頭上からほそい声が響く。
親指の動きを速くすると中の襞が中指にきつく絡んで
「ん! ……あ、あぁあっ!」
初めての絶頂に達した彼女の身体が、仰け反って跳ねた。
136斎木総一郎×迪子 12:2006/02/08(水) 20:55:26 ID:7fy8BI7E

ぼんやりとベッドに四肢を投げ出す彼女をそのままに、後ろを向いてベルトを外した。
はやく中に入りたい、それだけの一心で。
ようやく脱いで弛緩した両膝を抱える。
「さ、斎木さま……」
後ずさりしかける身体を押え付けて、中心に自身を押し当てた。
潤みを広げるように何度か往復して一気に突き立てる。
さすがに中の抵抗がキツくて思わず息をつめた。
「大丈夫ですか」
青ざめた顔の彼女に声をかければ、黙ってこくりとうなずく。
大丈夫なはずはない、私でもこんなに苦痛なら彼女はもっとだろう。

しばらくじっとしていようかと彼女の身体を挟んで両肘をつくと、胸と胸が合った。
「……さ、斎木さま、首に、腕をかけても、宜しゅうございますか?」
彼女が苦しそうに言うので、黙ってうなずく。
おずおずと両腕を首にかけて息をついて
「何かに掴まっていないと、揺れてどこかへ流されそうで怖い」
苦痛に耐えるように真面目に言う。思わずこちらも真面目な顔で
「このような首でよければ」
「ええ……、安堵しました」
責める男の首に腕をかけて「安堵しました」は、なんだか少しおかしい……。
「では、次は揺れないところで」
耳元で囁いてやれば、はっと思い出したようにみるみる顔に血が上り、
「次はございません!」
「でも、この体勢で言われても説得力がない」
笑って言いながら身体を揺らすとぎゅっとしがみついてきた。
「いや、揺らさないで……」
弱々しく声を上げる。痛いのか、揺れるのが怖いのか、両方か。
一度揺らすと今度はこっちが心地よくなってまた揺らす。
「斎木さま、やめ……て」
「総一郎だ、迪子」
苦痛で少しまぶしそうな顔で私を見上げる。その視線を捕らえたままもう一度揺らすと、
「や、めて、総一郎さま……」
137斎木総一郎×迪子 13:2006/02/08(水) 20:56:11 ID:7fy8BI7E

ああ……。
その声を聞いたらもう抑えられなくて、そっとしたつもりだったけど性急に何度か浅く突いた。
「ぁ! そ、総一郎さまっ! や、あっ」
苦痛の声にも律儀に名前を呼ぶのにまたそそられて。
しかしさすがに、苦痛を噛み締めて白くなったくちびるを見てこらえた。
上半身を起こし右手をそっと合せ目に当てて、痛々しく引き攣った皮膚を撫でる。
そろそろと上まで上がって、いただきの蕾に触れた。
ひくりと中がうごめいて声を上げそうな程の快感が襲ってきた。
蕾に触れた指を震わせると、中の襞もきついところにやわやわと絡みつく。
「く……」
思わずうめいて彼女を見れば、上気した顔でぎゅっと目をつぶっていたが、
口元だけが薄く開いて浅い呼吸を繰り返す。
指を震わせるたびに肌にあからさまに血が上って、首から胸元まで一気に紅く染まった。
「総一郎さま……!」
私の首にしがみつく彼女の指が震えて、汗ですべった。
「ちゃんとここにいるから、大丈夫」
何が大丈夫なのか自分でも良く分からないままに、声をかけると震えながらうなずいた。

……理性が、飛んだ。
たぶん、本能の命じるままに突いた。奥の奥まで。
彼女が幾度か悲鳴みたいな声を上げたのは覚えていた。
「迪子!」
と、最後に声をあげて果てて……。

ちり紙で始末をしたところまではおぼろげに覚えているが。
極度の緊張が解けたのか、私はそのまま倒れるように眠った。


夢を見た。
空色の日傘に空色のワンピース。
「総一郎さま」
遠くからにっこり笑って手を振る迪子の夢を。
138斎木総一郎×迪子 14:2006/02/08(水) 20:57:56 ID:7fy8BI7E

……まだ暗い部屋に衣擦れの音が響く。しゅるしゅるしゅる……。
「……だれ?」
「迪子です」
「迪子!?」
がばりと起き上がると、同じベッドの中で、迪子が羽織を着ているところだった。
「早いですから、まだお休みになって」
「いや、一緒に起きる。何時?」
「四時ですわ」
「よじ?」
「ええ、今朝は早くに高柳が年始の挨拶に参りますので」
「高柳って?」
「鳴沢に仕えていた忍びの一族ですわ」
「へー。早朝に隠れて挨拶に来るのがしきたりとか?」
「ええ、庭から参りますの。……ご一緒に行かれます?」
「うん」

手を伸ばして抱き寄せてみた。
「何なさるんです!」
「ん……」
くちびるを重ねても抵抗がない。舌は入れずに柔らかな下唇を噛んだ。
ついつい右手が羽織の下からもぐって、昨日破った夜着のほころびから素肌を撫でる。
「いたずらはおよしになって……」
「……いやだ」
「もう……、離して。高柳が来る前に支度をしなければ」
「離さない」
「総一郎さま……」
胸にうずめていた顔を離して見上げると、薄赤い顔で困ったように睨まれた。
「今夜も、ここに来るなら……、離す」
「まぁ!」

みるみるうちに顔が真っ赤になった。
「次はございません、と申し上げたではありませんか!」
「……あんなに可愛らしい声を上げていたのに?」
あ、また余計なことを言ってしまった……。
「それに、ベッドでは身体が休まりませんわ、いつもどおり階下で休ませていただきます!」
……身体が休まらないのは別な意味じゃないのだろーか、別にいいけど。
「あの部屋は松の内は無理だろう? おキヨが荷物を置いているんだから」
細い肩に顎をもたれさせて腰の辺りを柔らかく撫でながら言うと、怒りの為か肩が震えている。
「とにかく離して! もう支度しなければ間に合いませんわ!」
「いやだ」
「総一郎さま!」

怒ってはいるけど名前を呼んでくれるのが嬉しくて、自然とにんまりしてしまう。
よし! とにかく今は、今晩の約束をしなければ離さないことに決めた。
私は腕にぎゅっと力をこめて迪子を抱き締めた。



おしまい。
139名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 21:03:35 ID:7fy8BI7E

読んでいただいてありがとうございました。
こんなに長くてごめんなさい。
ではー。
140名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 23:36:03 ID:Ifq6sslG
きたきたきたきた! GJ!!
エロオヤジ総一郎さんステキーw
ベッドを怖がる迪子さん萌えーw
141名無しさん@ピンキー:2006/02/08(水) 23:43:43 ID:2K3hf4cJ
うっわあ…みちこたんかわいい…惣一郎さんかっこわるかわいい…。
GJGJGJ!
142名無しさん@ピンキー:2006/02/09(木) 00:02:53 ID:QIb0+PwL
素直になれない迪子さん萌え〜
余裕のない総一郎さん萌え〜
こっそり高柳一族が出てるのもGJですw
143名無しさん@ピンキー:2006/02/09(木) 12:52:55 ID:05OHvn0X
あああ迪子さまカワイス!!!
楽しませてもらいました、GJ!
144名無しさん@ピンキー:2006/02/09(木) 20:34:21 ID:Y6759jVr
このカポー読みたかったよ!GJ!!!GJ!!!よかった!萌えっす。





和ものついでに迪子様ご先祖の
殿様と鈴姫なんかきぼんぬ。もしかしてガイシュツ?
145名無しさん@ピンキー:2006/02/09(木) 20:56:45 ID:v09RQ4TS
GJありがとうございます。斎木夫妻書いたものです。

斎木夫妻ファンの皆様、申し訳ありません!
わたくし総一郎さまが身を粉にして働いた年数を勘違いしておりました!
「7年」としつこく言っておりますが、さっき空色の革命を読み返したらば
「5年」でした……orz
あぁ、斎木夫妻大好きなのになんでこんな勘違いしてたんだろー。。

すいませんすいませんすいません。本当にごめんなさい。
読まれた方、脳内でマイナス2年して下さるとありがたいです。

今後はこのような初歩的な間違いがないよう精進したいと思います。
本当にすみません。
読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。
146名無しさん@ピンキー:2006/02/10(金) 09:43:07 ID:f1NO/ARm
>>145 お疲れさまでした!
読み終わった後に、空色の革命読みたくなっちゃいました(*'-')b
次の作品も楽しみにしてますヽ(∇⌒ヽ)(ノ⌒∇)ノ
147名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 01:49:52 ID:UuLs6LtC
ウサギは1年中発情期、つまり毎日がウエルカムカモンなんだそうだ。


シルビアたん……意外にエロ向きw
148名無しさん@ピンキー:2006/02/11(土) 15:59:29 ID:JHzXnxDT
総一郎さん、エロ親父だ〜w
GJ!ですた〜
149名無しさん@ピンキー:2006/02/12(日) 01:19:14 ID:wa62yXw5
迪子さまはどうして総一郎さんを婿にもらわなかったんだろう?
斎木に嫁に行ってるんだよね?

子どもの名前が「和音」ってとこに、なんとな〜く「これから3人で仲良くなれたらいいな」
みたいな意思を感じるんだけど、名付けたのは総一郎さんだろーか?
その割にはひどい失言をしたわけだがw

産後の例の失言でおそらくセクースレスになったと思うんだけど、愛人をこさえた総一郎さんはともかく、
迪子さまは、その……体を持て余したりしなかったのかしらん?
産後はしんどいからそのまま性欲なんて忘れちゃったのかな、そいで趣味の世界に没頭しちゃったのかなぁ。

ホント考えれば考えるほど不器用な二人だ。。好きなんだがw
150名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 08:58:24 ID:pYeODGem
だからこそ、趣味に没入しちゃったんだと思う。
よくある話。

適当〜に結婚したなら
ふしだらな妻ならば、他の男と遊ぶという選択肢もあるけど
(デスパのガブ)
一応迪子さまは総一郎を愛してる上、操というものを大事にしてたからなー。
151名無しさん@ピンキー:2006/02/13(月) 21:40:58 ID:IRwYnoOW
「だからこそ」ね、なるほど納得です。
鳴沢の姫としての矜持があるんだろうね、情けないザマを見せないという。
迪子さまはプライドっていうより矜持って感じだw
そして操。久々に聞いた言葉だけど迪子さまにはぴったりだねー。

でも20年後でも何でも理解し合えたのは良かったなぁ。。
(デスパのガブって何ですか?)
152名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 01:12:53 ID:YWUiZCQ+
デスパレートな妻たち の ガブリエル かな?
http://www3.nhk.or.jp/kaigai/dh/chara/gabrielle.html
153名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 01:13:29 ID:sznehjnu
デスパレードな妻たちってドラマの登場人物かな?
154名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 15:51:07 ID:pHwKa+Hp
す、素晴らしい…
和音さんの誕生日を機に、久しぶりに覗いてみた甲斐がありました!
やはり萌え悶えるには素晴らしい職人さんの素晴らしい作品を読むに限ります〜

斉木夫妻、大好きなんですよねー145様GJです!
2人の愛の一夜エピと、今日の和音さんの誕生日を祝してバンザーイ!!ヽ( ゚∀゚)人(゚∀゚ )メ( ゚∀゚)人(゚∀゚ )メ( ゚∀゚)人(゚∀゚ )ノ




これは保管庫も楽しみだ
155名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 19:10:49 ID:pHwKa+Hp
保管庫堪能しました 満腹です 幸せー
156名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 20:52:54 ID:04mD1MIX
>152-153
ありがとうございます。
そういうドラマがあるんですねー。面白そうだわ。
BS見られないのが残念だ。。
157名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 23:07:14 ID:eZKH/2ds
今日は和音さんのお誕生日なんですねー、おめでとうございます。

今日はバレンタインにちなんで、吉川夫妻のチョコに絡むお話。
しかし、チョコを絡めるのが難しくて、設定を思いついたのが今日でした。 orz
なのでまだ途中です。。
でもせっかく今日がバレンタインなんでキリのいいとこまで投下します。
158バレンタインデー(吉川弘文×みすず) 1:2006/02/14(火) 23:08:03 ID:eZKH/2ds

「みーすーずー! 明日はバレンタインデーだぞー」
帰宅するなり弘文が言って紙袋を差し出して言ったのでございます。
「ふーん」
大き目の紙袋に沢山のチョコ。
「なして今日?」
「ふっふっふ、明日俺は休みなのだよ。だから今日くれたのさ」
弘文はガサゴソを包みを剥がし、うっとりとチョコを抱えておりました。

「大漁ね。そんなに貰ったんなら私からはいらんでしょ?」
「い、いや! みすずからは別だよ!」
んなことを言っても私は準備さえしておらん。
「じゃ明日買い物に行った時にでもスーパーで買ってくる」
「ええええー……」
何が不満なのか弘文が哀しそうな顔をした。

「なぁ、明日さ」
「うん」
「これ全部溶かさないか?」
「は?」
思わず弘文の顔を凝視した。何を言っているんだコイツは。
「溶かしたチョコをみすずにつけてさー……」
全部言い終わらないうちにぽかりと殴りつけた。
「何度言ったら分かるんだ。お前はニワトリか? 三歩歩いたら忘れてしまうのか? ああん?」
「なぁなぁいいだろー。バレンタインだよー。させてくれたらチョコいらないから」
「アリが来ると言っておるだろうが!」
「シーツは俺が洗うからさー。頼むよみすずー」
年明け早々の痴態を思い出して、少し眩暈がした。
あまりのことに返事も出来ず私は早めに寝ることにした。

次の日、ぽかぽかと陽だまりの中で昼寝をしているうちに弘文は出かけたらしい。
ふぁー、と欠伸をひとつしてコーヒーを飲んでいると帰宅したようだ。
「あ、みすず、おはよ」
ガサゴソとスーパーの袋を持って冷蔵庫にいろいろと入れ始めた。
「何買ってきたの?」
「うん生クリームとね、製菓用のリキュールでしょ、それからトッピング用にいろいろと」
「お菓子でも作るのか?」
「みすず、忘れたの?」
哀しい目をして振り向いた弘文の言葉にふと昨晩の会話を思い出す。
「弘文、お前正気か?」
「うん、とろーりとろりとみすずにかけてさ……」
「うんにゃ、やめろ。やらんでもいい」
「うんにゃ、やる」
弘文はきりりとした顔できっぱりと言い切り、鍋やらボウルやら温度計やらを出し始めた。
159バレンタインデー(吉川弘文×みすず) 2:2006/02/14(火) 23:09:00 ID:eZKH/2ds


「なぁ、やっぱり無理だと思わんか?」
裸のままベッドの上で冷たく言うと、
「……うぅ(涙」
チョコにまみれた弘文が、情けなさそうにうめいた。

チョコは、ややもすれば溶けたがるアイスとは違うのだ。
冷えれば固まろうとして動きが鈍くなる……。
そしてべたつきがアイスの比ではない、見た目も美しくない。
「だめだもう我慢できん、シャワー浴びてくる」
「み、みすず〜」
後ろから弘文の泣き声が聞こえたが構わず浴室へ直行した。

温かいシャワーを浴びると、足元に流れ落ちる水が茶色く濁った。
やれやれ。もったいないなーこれ。
「俺も、俺もシャワー……」
弘文が寒そうに入ってきて私の手からシャワーを奪った。
「返せ」
「うんにゃ」
ちぇー、とスポンジにボディシャンプーを泡立てる。
もこもこ、もこもこ……。ふと、良からぬことが頭に浮かんだ。

「なぁ弘文」
両手にいっぱいの泡を持って、後ろから弘文を抱き締めた。
「うひゃっ!」
弘文の持っていたシャワーから上向きに水が飛んで、私は頭からびしょぬれになった。
構わず、そのまま弘文の胸から腹を撫でまわす。
「み、みすず! ちょ! まって」
……なめらかな肌を泡で撫でるのって、どうしてこんなに気持ちがいいんだ?
そっと泡の中を探ると、乳首が硬くなってコリコリとする。……面白い。
「ぅ、み、みすずー、やめろー」
シャワーがカランと音を立てて下に落ち、お湯が吹き上がって湯気が下から昇ってくる。
弘文の背中に胸を押し当てて目の前にある肩甲骨の辺りを舐めた。
「甘い」
「そ、そりゃチョコがまだ……。ぁふっ」
手のひらを下に降ろすと弘文がうめく。
泡を撫で広げるように引き締まった下腹を降りて、泡にまみれた茂みを洗う、そっと。
「み、みすず……」
たぶん苦痛に耐えるような表情をしているに違いない、切なげな顔。見えないけど。
だってもうこんなになってる。
左手で撫で上げつつ、右手でスポンジを探ってまた泡を掴む。
160バレンタインデー(吉川弘文×みすず) 3:2006/02/14(火) 23:10:24 ID:eZKH/2ds

無言で泡をなすりつけるのもアレなので「気持ちいい?」と聞いてみた。
「……ん」
「ここ?」
またたくさんの泡で下から手を這わせた。
「あぅ」
たふんと揺れるところ、この感触が割と好きだったりするのだ、私は。
そこから、屹立している弘文自身にやさしく手を伸ばすと
「!」
弘文が息を飲んで腰を引いた。
やさしく、あくまでもやわらかく包み込むように撫で上げると、ますます切なげな息遣いになった。
「み、みすず……」
可愛くて思わずうふふと笑ってしまうと、弘文が恨めしそうにうめく。

「今日はここまでね〜」
言うなりシャワーを拾って泡だらけの手を洗った。
「ええええー! そりゃないよみすずー。ヘビの生殺しだよー!」
弘文が涙目ですがりつく。仔犬みたいだな……。
「分かった分かった、まず泡を流そうではないか」
シャーっとシャワーを当ててやり、綺麗になったところで「じゃ」と風呂から出ようとすると
「鬼だ、みすずは鬼だっ!」
「わーったわーった」
まぁ、バレンタインだし、な……。
161バレンタインデー(吉川弘文×みすず) 4:2006/02/14(火) 23:12:00 ID:eZKH/2ds

床に滑らないようにひざまずいて、そっと弘文に口付けした。
ボディシャンプーの香りがする。
下からそっと唇を這わせて、てっぺんまで来たところで口を開いて、ちろっと弘文を見上げてみた。
「うわ……。みすず、すごくやらしー」
ふっふっふ、私にだってこれくらいは出来るのだよ弘文くん。
そのままぱくりと、歯を立てないように上顎の一番奥まで咥えこむ。
ちょっと苦しくなって咳き込んだ。……弘文ってば、こんなに大きかった?
「……みすず、無理しないでいーよ」
「んにゃ、大丈夫」
ここで止めては女がすたる、よーな気がする。
上顎に当てるように何度か上下させると、弘文が「うぁ……」と小さな声を上げた。
あ、ちゃんと感じてるんだ、と思ったら少し嬉しくなった。
根元を右手で握りつつ、深く咥えると奥に当たってやっぱり少し苦しい。涙が出て鼻の奥がつんとした。
弘文がそっと私の頭を撫でた。
む、……苦しいけど、もちょっと頑張るか。。

シャワーからピタン、ピタン、と水音が響く。
狭い浴室に弘文の荒い息遣いが広がって、私の頭を撫でる手に力が入った
「ぁ……も、ダメか、も……」
苦しいけどそれなら頑張ろうじゃないか。
一生懸命顎の奥に当てて吸い上げると、弘文が私の髪の毛をぎゅっと握って、腰を引いた。
「!」
途端に弧を描いて飛んだ。

はぁはぁと息を切らしながら弘文がこっちを見た。
「ごめ……、汚しちゃった」
うつむいて見ると胸元が白く汚れている。
「……口に出しても良かったのに」
弘文がはっとした顔で
「も、もったいないことをした……、みすずが口でしてくれるなんて、年に一度あるかないかなのに……」
がくりと頭を垂れる。
「……もうしないぞ」
シャワーで胸元を流しながら言うと、弘文がシャワーを取り上げた。
「じゃ、今度はお返しに俺がみすずを洗ってあげよう」
「うんにゃ、やめろ。やらんでもいい」
「うんにゃ、やる」
162名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 23:38:20 ID:eZKH/2ds
と、取り合えずここで一旦切ります。
あぁ中途半端ですみません。
今続き書いてます。
163名無しさん@ピンキー:2006/02/14(火) 23:52:40 ID:eZKH/2ds
ちょっと今日中は無理そうでした。
明日また参ります。
途中まで読んでくださってありがとう、ごめんなさい。
164名無しさん@ピンキー:2006/02/15(水) 01:02:29 ID:CSE/UFZz
うわー馬鹿夫婦wそんな君たちに禿萌エ!
原作っぽい台詞回しが心地よくて、職人様超GJです!
165名無しさん@ピンキー:2006/02/15(水) 02:41:17 ID:4Y0WTOBl
ネタを思いついたのにエロを書けない口惜しさよ。
166名無しさん@ピンキー:2006/02/15(水) 02:53:47 ID:e0SZLCS7
「年に一度」に禿藁w
続き待ってます!
>>165 ネタだけでも投下希望。萌雑談もいいもんです
167名無しさん@ピンキー:2006/02/15(水) 20:42:16 ID:5Ja0nW17
すみません。
風邪をひいてしまいました。。
バレンタインの続きはしばらく無理そうです。
まぁ、あれで終りでもいいかな、次の展開は容易に予想つくだろうし、と。

次の職人さま、ドゾー
>165さまの萌え話も是非!
168名無しさん@ピンキー:2006/02/15(水) 21:48:23 ID:4Y0WTOBl
いや、大したネタじゃないんだが。フロイト1/2の後日談で。

北と南の提灯を持った二人の夢の中で。
「今は『社長』と呼んでくれ。あと、ちょっと位抵抗された方が燃える」
「弓彦くんって結構マニアックなんだね・・・」
「ほっとけ」

「ああ、社長〜。おやめください人を呼びますよ社長〜」
(寝言か・・・!? しかし一体どんな夢を・・・)
知らぬ間に大人への階段を登っている娘に、嬉しさと寂しさを覚える父・祐一であった。
(まさか、私が営業に出ている間社長に・・・まさか、まさかだよ、な?)

そんな駄ネタ。
169名無しさん@ピンキー:2006/02/15(水) 22:53:39 ID:hleZnPEv
>168
そうきたか、ワロス
170名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 00:29:29 ID:VJvaIVp+
夢ならゴム不要だし?w
171168:2006/02/16(木) 00:43:40 ID:8j5mu/Bh
あと
「わたし初めてなんですけど」
「大丈夫。夢の中ならノー・カウントだ。喜べ。何度でも初体験できるぞ」
「それはあんまり嬉しくないなぁ・・・」
みたいな。畜生、文才が欲しい。
172名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 09:10:04 ID:m4gHTcRS
夢の中では大きくなったり小さくなったり自由だから、ペドなプレイも
可能ということかw
173名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 09:49:33 ID:XdIZPWYA
なんせフロイト先生が関わっているとなれば口唇期だの肛門期だの
理屈をつけていろいろなプレイを要求して(ry
174名無しさん@ピンキー:2006/02/16(木) 21:21:41 ID:5BfMwtYg
今日「鳴滝」とゆー地名を発見して「迪子さま……」と呟いてしまったです。
大阪の南の果てにひっそりと。
お城はありませんでしたw
175名無しさん@ピンキー:2006/02/18(土) 15:40:20 ID:U3rNQhE5
思わず「鳴滝」で住所検索してしまったw
北は青森から新潟、大阪、京都、鳥取、山口、長崎・・・
思ったより沢山あった!
お城はどうだろう。どこかにかあるんだろーかw
176名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 00:02:47 ID:74PH9anE
思わず「鳴滝城」でググっちまったジャナイカ
広島にあったよ!
落城の際に鈴姫という奥方が殺されたって
あったけど…アワワ
177名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 11:53:53 ID:T9gn4pEw
「鳴沢城」でもググってみた。
こちらは最上にあったらしい。
178名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 16:52:48 ID:j5fEwqnv
たかし兄×白薔薇の君をよんでみたい
なかなか手を出せない兄ちゃんの葛藤とか
179名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 22:54:09 ID:NAoiun0y
>>178
たかし兄と白薔薇の君の新婚生活…気になる。
広いダイニングにちゃぶ台置いて、ご飯を食べる一家に
果たして白薔薇の君は馴染めるのかな
180名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 23:03:53 ID:rrJ8QTZ8
広島の鳴滝城、確かに鈴御前が殺された、とあった。
うわわわわ……。

白薔薇の君、新婚時代くらいはマンションで孝兄とふたり暮らしして欲しい。
いやホントお願いします。
ちゃぶ台に馴染めないのも可哀想だが、馴染まれるのもなんだかモニョるぞw
181名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 23:12:15 ID:rrJ8QTZ8
>178
こんな感じはどーですか?


「なぁ、孝にーちゃん。白薔薇の君と手くらいは握ったのか?」
「うんにゃ、結納も間近とはいえ、まだヨソのお嬢さんだからな」
「はぁ? キサマは白薔薇の君を前にしてもそーゆー態度なのかよ!」
「うむ、にーちゃんは日々平らかにあるのが目標だ」

柚子にはそー言ったものの……、にーちゃんだって男なのだ。
母親譲りの地味な顔に父親譲りの地味な性格、自分のことは自分が一番よーく知っている。
白薔薇の君と呼ばれる佳人が俺に惚れる、などと言うのがそもそもの間違い……。
手を握る? そんなこと出来るわけないだろ?
自分の手をじっと見てみた。平凡な手、労働者の手だ。
そして白薔薇の君のすんなりとした細い白い手を思い出して……。

なんで白薔薇の君は俺なんかに惚れたんだろう?
いくら考えても答えの出ない問いがぐるぐると頭を駆け巡る。
182名無しさん@ピンキー:2006/02/19(日) 23:20:32 ID:rrJ8QTZ8
しかし、この先が書けない。
いつもエロはシリアス顔で想像(妄想?)してるんだけど、
孝にーちゃんにはシリアス顔がなくて想像がつかない。

私も孝にーちゃんと白薔薇の君の絡み(エロじゃなくても)が見たいわぁ。
183名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 00:21:20 ID:c5niQN9O
イイ!
181の続きを強くキボン。
お願いしばす、釣ったばかりのイシダイあげるからさぁ〜。
184名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 09:45:24 ID:Af8rANRa
あやぐあやぐ!!
185名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 12:04:37 ID:3hK/orAp
>181
わーありがとう!エロなくてもいいから
続きが読みたいです

186名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 17:37:58 ID:mI2TeY3h
>181の続き投下します。
やっぱりエロは無理でした。。 orz




結納を2日後の日曜に控えた金曜日。
ちょっとした事の確認をしに、会社帰りに白薔薇の君の屋敷へ立寄った。
急なことでご両親は留守だったが、白薔薇の君は在宅で俺を自室へ案内した。
男爵家の血を引くという白薔薇の君の家はゆかしい洋館で、屋敷のそこここに
由緒ありげな調度品がさりげなく置かれている。

……いつもながら、この優雅な雰囲気に俺はそぐわない気がしてならない。
気だけじゃなく、たぶん本当にそぐわない。
美しい手つきで紅茶をいれる白薔薇の君に見とれながらも、どこか心の奥が冷めているのは、
自分がこの優雅さに値しない人間であることを知っているからだ。
冷めている、いや冷めているわけじゃないんだ。
有頂天になったら手酷いしっぺ返しをくらいそうで、気持ちにブレーキをかけている……。

誘拐事件の時に白薔薇の君は俺に一目惚れした、ということになっているが、
あれは極限状態から開放された直後で気が緩んでいたのだろうし、そういう非常時でもなければ
俺なんかに惚れるわけがないのだ、そーだろ?
187名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 17:38:49 ID:mI2TeY3h

「孝さま、どーなさいまして?」
白薔薇の君が顔を覗き込んだので、おもわずのけぞった。
「だ、大丈夫です、ちょっとぼんやりしてしまって! あ、そろそろおいとましようかなー」
「まぁ、もうお帰りになるの?」
薄紅に上気した頬がさっとかげって、白薔薇の君はうつむいてしまった。
えええええ、そ、そんな、そんな顔されても困るー。
「え、ええ。今日は早く帰ると妹にも言っておりましたし……」
「……孝さま、私のことお嫌い?」
「へ?」
うつむいた白薔薇の君の手にぽたぽたと涙が落ちて、俺は慌ててスーツのポケットを探り、しわくちゃの
ハンカチしかないことを呪いながら、それでもそのハンカチをポケットから出してオロオロした。
「どーしたんです……」
ハンカチを差し出すべきか? しかしこのハンカチで白薔薇の君の涙を拭く? このしわくちゃのハンカチで?
俺は両手でハンカチを揉みしだきながら、椅子から半分立ちあがったり座ったりした。
しかし、いつまで経っても白薔薇の君は泣き止まず、更には肩まで震えだしたので、えーいいままよ!

ガタガタと椅子を寄せて両手で肩をそっと抱き寄せてみた!
白薔薇の君がもたれかかってきて、胸に顔をよせてまた泣き始める。
うわわわーーーー!
栗色に波打つ豊かな髪から、ふわりと柔らかなバラの香りが立ち昇って……。
普通だったら惑乱しそうなその香りに、俺は覚悟を決めたのだった。

188名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 17:39:21 ID:mI2TeY3h

有頂天になって後でしっぺ返しをくらったっていーじゃないか。
非常時の一目惚れだっていーじゃないか。
そんなことにこだわって、今泣いている白薔薇の君を放り出してどーするっ!
一目惚れしたのは自分だってそーじゃないかっ!

「どーして泣くんです?」
「孝さまは私のことお嫌いなの?」
「どーしてそんな……。そんなことあるわけないじゃないですか」
「……本当?」
「本当です」
「でも、孝さまはいつも私から離れようとなさるわ」
「それは……。私はあなたにはふさわしくないただの平凡な人間で……」
白薔薇の君が泣き止んで、胸に頭をもたれさせてひっそりと息を呑む。
「なんの取り得もなくて、あなたのような美しい方は私にはもったいなくて……」

あまりに自分を卑下するのも哀しくて、それ以上は口には出さないけど。
憧憬、羨望、憧れ、それとは別に、嫉妬や妬み、僻みがあったことも事実なのだ。

「まぁ、孝さま。孝さまは平凡ではなくってよ」
「へ? そ、そう?」
「ええ、私はじめてお会いした時に雷に打たれたように感じましたもの」
「?」
「本当にコロボックルちゃんにそっくりで……」
う、ぅーむ、あまり、つーか全然フォローになっていないよーな……。

白薔薇の君が泣いて赤くなった頬を恥ずかしそうの両手で押えて身を起こした。
「ごめんなさい、泣いたりして」
涙で濡れた顔でにっこりと微笑む。
むぅ、美しー……。
夜露に濡れた薔薇に朝日が当たった、という風情。
189名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 17:41:35 ID:mI2TeY3h

そっと両手を握って「もう大丈夫ですか?」と聞くと、白薔薇の君は俺の手をじっと見ながらささやいた。
「孝さまの手は美しい手ね」
「へ? この手のどこが?」
「人の為に働く尊いお手ですわ。力強くて暖かい手」
「……」
感動のあまり頬が熱くなった。
「……ありがとう。この手で一生あなたを守ります」
白薔薇の君が俺を見上げて微笑む。

繋いだ手をそのままにそっと唇を重ねた。
やわらかなくちびる。あんまり強いキスをしたら溶けてしまうんじゃないだろーか。。
つ、強いキスって、そ、そんな……。
それでも、薄く開いた口元に誘われるように……、い、いや、結納前なのにいかん。
いかんぞタカシ。
やっとの思いで身体を離すと、額には汗がびっしょり浮かんでいた。
「そ、そろそろ帰らなければ」
「そ、そーですわね。コロボックルちゃんもお待ちでしょうし」
白薔薇の君が赤い顔でぎこちなく言って立ち上がった。


「ただいまー」
「あ、にーちゃん遅かったじゃないか」
「うん、白薔薇の君のとこに寄ってきた」
「そーだったの? ……なー、にーちゃん」
「なんだ?」
「そろそろ、キスのひとつやふたつしてきたんだろーな?」
「ば、ばか言えっ! 結納前のお嬢さんを傷つけるよーなことは出来ん!」
「ほほーぅ、その割に随分赤面してるんじゃねーか?」
「!」

あぁ……。日々平かであるって、難しい……。
190名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 17:48:00 ID:gqPKKg04
いやっほーう!! 素晴らしー!
十分、十二分に、このなんつーか、身もだえしそうな感じが
エロですよ。
ありがとう! ごちそうさま!!
191名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 17:48:44 ID:mI2TeY3h
以上でございます。
ああ、あそこで押し倒せばよかったか。。
しかしそこで押し倒さないのがタカシ兄のいいところなのです、たぶんw

でもタカシ兄は普通に庶民の間には彼女とかいたんだろーなー。いい人そうだし。
平凡だけど自分に自信がないわけでもなさそーだし。
なのに今回のタカシ兄は卑下させすぎちゃったかも。

あぁ、どなたかかっこいいタカシ兄を書いてくだされー。
192名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 17:56:28 ID:mI2TeY3h
二箇所誤字がありました。

>187
× えーいいままよ!
○ えーいままよ!

>188
× 泣いて赤くなった頬を恥ずかしそうの両手で
○ 泣いて赤くなった頬を恥ずかしそうに両手で

申し訳ございませぬ。
193名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 18:03:19 ID:1rMuAt8t
>181
リクした178です 
素敵なSSをありがとうありがとう!
私の中で兄ちゃんの株が急上昇です

194名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 19:20:35 ID:kswg6TZj
>181
ありがとう
タカシ兄と白薔薇の君、テラモエス
ちゃぶ台って白薔薇の君ならまあ素敵とか言いそうな気もする
195名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 22:44:54 ID:cfWV0JO1
兄×薔薇激しく萌えました!
196名無しさん@ピンキー:2006/02/20(月) 22:55:48 ID:HPFxoZOo
>>188

>「本当にコロボックルちゃんにそっくりで……」
涙が出たw
197名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 07:34:31 ID:QiKXyh9d
タカシ×白薔薇萌えたー!!
すごい見てみたかったけど、無理だろうと諦めてたカプだったから嬉しいよ!

しかし、考えてみたら将来ロレンス先生と白薔薇の君は
義理の姉弟になるんだね。
お互い複雑な心境になりそう……(w
198名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 13:03:38 ID:7cVtktVW
兄ちゃん×白薔薇の君よかったーーー!
GJGJGJ!!
兄ちゃんの心情が、なんか川原キャラっぽくて、とても良かったです。
本当に好きだから手を出せない感じが出てて、萌えました。
199名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 21:29:11 ID:ok9E9vsB
181です。ご感想ありがとうございます。
ちょっと続きとゆーか、コネタを思いついたので載せまする。




「孝さま。孝さまは女性経験はおありになって?」
「はぁああ?」

結納も無事終わり、結婚式の打ち合わせに白薔薇の君の屋敷へ伺った時のこと。
いつものよーに白薔薇の君の部屋で、彼女が紅茶をいれる様子をうっとりと眺めていた時に
彼女は急に真面目な顔つきになって言ったのだった。

「き、急にどーしたんです?」
「私、真剣なんです、孝さま」
確かにカップを持つ手が震えて音を立てているので冗談ではないのだろーけど。
てか、女性経験って? 女性経験ってアレ? アレのことなの?

「あ、あなたのよーな方が口に出す言葉ではありませんよ」
「でも孝さま……。恥をしのんでお聞きしたんですの。どーかお答えになって」
「……」
「孝さま。本当のことをおっしゃって」
ああ、そんなにアップで見ないでくれー。

「……ありますよ」
「まぁ……、良かったわ」
「へ?」
「この間、紫の上と桔梗の宮とお話していた時に、そういう話になったんですの」
「……はぁ。。いったいどーゆー話をしてるんですか……」
「私たち、経験がございませんでしょ? ですから殿方が経験者だと安心ですわね、って」
「経験者、って……」
どーもお嬢様方の話にはついていけない……。

「孝さま。めくるめくってどんな感じですの?」

……この人は、俺をからかっているのか?
それとも誘ってるの?
いやいや、白薔薇の君に限ってそんな……。

「まぁ、それはおいおい……」
「楽しみですわー」
白薔薇の君が両手を組み合わせて、うっとりとため息をついた。
無邪気とゆーか、何とゆーか。

「でも、そんなにいーもんでもないです」
「まぁ……、そーですの」
「女性は、最初は苦痛を伴うものだと聞きますし、いろいろと抵抗もおありになるかと」
「抵抗って?」
「……ええと、姿勢とかですね。あとはその、一糸纏わぬ姿になるわけですし……」

俺はいったい何の説明をしているのだろう?

白薔薇の君が頬を染めてうつむいて
「でも私、孝さまとでしたら……」

うわぁぁあああああ!
だ、だめだぞタカシ。
結納を終えたとはいえ、まだまだ婚約期間中。
身をつつしまなければぁああああっ!
200名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 21:35:14 ID:ok9E9vsB
ここで、タカシ兄はギリギリ踏み止まると思うんですが、
白薔薇の君の無邪気な質問がその後もちょいちょい出て、
タカシ兄は結婚式までに(何もしてないのに)消耗しそうだ、とw
201名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 21:59:46 ID:ZUdRdqiO
純情なのか耳年増なのか微妙なライン上にいる白薔薇様に萌えw
202名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 22:15:23 ID:rEsz3pBh
初夜の前にお付きのばあやが先祖代々伝わる春画とかであれこれ教えてそうなイメージある>ミカエルのお嬢様
三馬鹿にはきっとそんなものは必要ないんだろうなあw
203名無しさん@ピンキー:2006/02/21(火) 23:26:43 ID:8bi0hB7z
初夜の白薔薇の君の下着は白一色だろうな

204名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 03:07:03 ID:+7UoxHq4
タカシ兄禿ワロス
ケコーンするまで大変だわw
205名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 10:33:25 ID:MtqAwhS9
暫し右手で我慢でござる
206名無しさん@ピンキー:2006/02/22(水) 12:42:31 ID:9refUKOW
も、萌えだ…
萌えとはこういうことを言うのだな…
(とお空に向ってため息をつく私であった)
207名無しさん@ピンキー:2006/02/25(土) 22:22:05 ID:bhadgCGM
白薔薇の君、突然「めくるめく」とか言い出すのにワロス
確かに初夜の前に、ばあやに春画で教えてもらうイメージはあるけど
「○子はめくるめく一夜を過ごした」とか小説に出てきそうだしなw
208名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 00:49:17 ID:MleZDLyu
とっても和み萌えたので
ここぞとばかりたかし兄やんをシリアス画で想像したら
『フロイト1/2』の八木沢さん似になってしまった
のは私だけだろうか……
209名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 23:44:57 ID:e0m1uxcx
ああ八木沢さん、似てるかも!
八木沢さんを、もっとすっとんきょーにした感じ?w
なんだか八木沢さんにも萌えてきた、でも相手がいないなー。
メガネ男子萌えだけどあんまり出てこないよね、淋しい。
210名無しさん@ピンキー:2006/02/26(日) 23:57:54 ID:SQ0lBDMM
ミカエル3人娘のお相手(殿下含む)なんて全員眼鏡似合いそうなのにね。
俊介さんは黒セルフレームにスーツ+黒髪でハマると思うし、
ロレンス先生は細めオーバル形の銀メタルフレームをさらっとかけてほしい。
殿下もメタルフレームの方が似合うかな。縁なしでもいいかも。

……なんて、真剣に想像してしまった。
211名無しさん@ピンキー:2006/02/27(月) 00:09:00 ID:O63dXGHm
殿下って仕事中眼鏡かけてなかったっけ? 俺の妄想?
212名無しさん@ピンキー:2006/02/27(月) 21:46:48 ID:qWVIGP4D
憶測ですが、たぶんカーラ教授の中ではメガネ=(自分の)にーちゃん
とゆー図式が出来上がってて、メガネキャラで萌えるのは恥ずかしい
んではないかと。
そういえば、カーラ教授のにーちゃんもタカシだったなぁ。

しかしメガネ萌えの一人としては、イイ眼鏡がいないのは確かに寂しい。
もっと眼鏡を!w
213名無しさん@ピンキー:2006/02/27(月) 22:31:03 ID:QBmg5Q6K
じゃ、メガネ萌えが書いたコネタをひとつ。




「にーちゃん、そのメガネどーしたんだ?」
「ああ史緒さん、少し視力が落ちてしまったのでね、ひとつ作ってみたんですよ」
「ほー」
ひょいと書斎に暇つぶしにやってきた史緒さんに、殿下はにっこりと答えます。

「でも史緒さん……。まだ慣れないせいか少し頭痛が……」
「外して寝ればよかろう」
「……どーしてそう、思いやりがないんだろう」
「……ぅ」
殿下はたじろいだ史緒さんを見て、再びにっこりとして
「史緒さんがメガネを外してくれて、キスをしたら治ります」
「ば、ばかっ!」

じりじりと近づきながら、殿下が史緒さんの手を取って
「ほら、ここを持って外して」
なすがままに繊細なフレームに手をかけると、前髪がふわりと落ちて、
いつも見慣れているはずの素顔があらわになると、史緒さんは柄にもなくドキリとしました

「……顔が赤い、熱でもあるの?」
くすくす笑いながら殿下が史緒さんの額に額を押し付けて……。
逃げようとした腰を一瞬早く捕らえました。

「む……。何すんだこら!」
「頭痛が治る、おまじない」
「……!」

フレームを持った両手をどこに置いたらいいか分からなくて、史緒さんはメガネを持ったまま殿下の
首の後ろに両腕をかけます。
「今日はめずらしく素直だ」
「だ、って。メガネ壊れたら大変じゃないか……」
「じゃ、いつもメガネを持っていてもらうことにしましょうか」
「!」
214名無しさん@ピンキー:2006/02/27(月) 22:45:48 ID:QBmg5Q6K
そかー……、メガネ=(自分の)にーちゃん、なのか。
そう考えると納得できなくもない。
メガネカコイイのにねー。。
八木沢さんに近い女子はいなかったよなー。残念だ。
215名無しさん@ピンキー:2006/02/27(月) 23:20:03 ID:qWVIGP4D
>>213乙〜。小ネタいいね〜。
殿下はああみえて腹黒そうだもんな。

手元にないので記憶で発言スマソだが、
八木沢さんにはたしか、奥様とお子さんがいらっしゃった気が…


ちなみに私の脳内では、真面目タカシ兄ちゃんはシリアス穴田アナ。
216名無しさん@ピンキー:2006/02/27(月) 23:27:03 ID:VJxHBnyK
八木沢さん、妻子餅だった。。
私も今読返して丁度そこを見ていたとこだったよー。
いいお父さんなんだろうなー(ちょっと萌えw
217名無しさん@ピンキー:2006/02/28(火) 01:41:55 ID:Lzs59fY7
殿下GJ
眼鏡萌えなので美味しく頂きました。

カーラ教授の兄タカシ、柚子さんのタカシにーちゃん、穴田アナ、八木沢さん。
この人たちには同じ遺伝子が入ってるに違いない。
218名無しさん@ピンキー:2006/02/28(火) 02:41:08 ID:GZ9JchIU
穴田アナのファーストネームもタカシにちがいない
219ロレンス×柚子 1/2:2006/02/28(火) 08:29:19 ID:vUdNConv
元から眼鏡好きの私は、川原キャラ眼鏡談義に激しく萌えますた。
拙いSSですが2回に分けて投下させて頂きます。
エロが無くてすんまそん。

ピンポ〜ン。
来訪者を告げる電子音が鳴る。
…が、中からの反応は無い。

「おかしいなあ〜。今日は休みだから居るはずなんだけど」
ブツブツ言いながら、インターフォンをもう一押し。
先ほどと同じ音がするものの、主人が出迎える気配はゼロ。

軽くため息をつくと、急用で出かけたものと判断し、両手に下げたスーパーのビニール袋を
─中に卵のパックが入っているので─注意深く床に置き、ポケットからカギを取り出した。


猫かぶりのお嬢さんは、聖ミカエルを卒業しても食事の出前を続けていた。
最近では、自分の家よりもロレンス氏が住むこのマンションで共に食べる事が多い。

イギリスの広大な自宅に比べると悲しいまでに狭いこの部屋も、日当たりは抜群である。
うららかに射しこむ太陽の光は、どんな睡眠薬にも勝るようで…。

柚子ならダブルベッドになるんじゃないかと思われるくらい、巨大なソファに体を預けて眠っている。
目の上に真ん中辺りのページを開いて本を乗っけてるのは、アイマスクの代わりらしい。

「ろれんす〜、寝ててもいいからチャイムが鳴っらた起きて荷物運びくらいしろよー」

うたた寝していて聞こえていないと分かっていつつも、柚子は文句をぶつける。特売でついつい買い過ぎた食材が重かったし。
まあ、自業自得なんだけどさ。


クッションの1つも投げつけて睡眠の邪魔でもしてやりたい気持ちを抑えつつ…寝室から毛布を持ってくると、その大きな体にかけてやった。
それからカーテンを少し閉めて、顔に直接光が当たらないようにしてやる。

「いくら何でもこのままじゃあ、ね…」

アイマスクに活用するにはぶ厚い洋書を取り払った時。
柚子の気配を感じたのか、小さなあくびをしてロレンス氏は起き上がった。
220ロレンス×柚子 2/2:2006/02/28(火) 08:31:53 ID:vUdNConv
「おや、おはよう柚子ちゃん」

柚子の姿を目視すると、にっこり笑う。
しかし、柚子はホラー映画で信じられない怪物を見た登場人物のように目を見開いた状態で固まっている。

「…?柚子ちゃん大丈夫?どうかした?」

柚子の肩を小さくゆさぶる。
ハッと我に返った柚子は、ロレンス氏をビシッ!と指差して叫ぶ。

「何か、ヘンなオプションが付いてるんだけどっ?!」
「人を指差すのは感心しないな〜、っていうかオプションって。そんなにおかしい?」

柚子の驚く表情がよっぽど面白いのか、眼鏡をかけた顔を更に近づける。

「いや、なんつーか…見慣れないから、違う人にみたいだ」
「そう?眼鏡かけてるけとさ〜、男前でしょ?」

こちらが困惑しているのを、ニヤニヤとイタズラっ子のように笑いながら見ているのが気にくわない。
柚子はレンズに指紋がつくのも構わずに、べたりと手の平でロレンス氏の顔を押しやる。

「本当の男前は、自分でそういう事を言わないんだよ。いつからかけるようになったのかは知らないけど、老眼が始まったんじゃないかね、ロレンスくん」
「残念ながらまだ老眼になる年齢ではありません。でも、コンピューターを使ってると視力が低下してくるよね」

ロレンス氏は眼鏡を外すと、ケースに入っていた布で柚子さんの指紋を拭ってからしまった。

「さっきまで読んでいた本があまりにも字が小さ過ぎてお世話になったけど、裸眼でも普段の生活には全く支障ないから。利用回数は少ないんじゃないかな」

そう言って柚子の体を引き寄せると言葉を続ける。

「だから、安心していいよ」
「それってどういう…」

質問を言い切る前にロレンス氏は素早く柚子の唇に自分のそれを重ね─夕飯のご馳走よりも美味しいくちづけを堪能したのだった。


おわり。


あとがきという名の言い訳。
キスするのに、眼鏡って邪魔だよねーという事を言いたかったのです。
それをうまく表現できないのが悔しいですが。
あと、ミカエルが連載していた頃は「パソコン」よりも「コンピューター」の方が一般的に
使われていたと思うので(たぶん)、そうしました。
ワープロの方が雰囲気が合っていたでしょうか…(;・∀・)

で、俊介さん眼鏡化SSを誰か書いて下さいプリーズ。
221名無しさん@ピンキー:2006/02/28(火) 22:03:55 ID:M45esSpd
GJです! あぁ、やっぱりメガネはいい男のスパイスなのね!w

メガネ俊介書いてみましたー。
メガネがメインのつもりだったんですが、何故か言葉責め風に。。(汗
222(メガネ俊介×和音) 1:2006/02/28(火) 22:04:47 ID:M45esSpd

「なぁなぁ俊介〜、一緒に飲まないか〜」
「和音さん。申し訳ないですが、俊介は今日仕事を持ち帰っておりまして……」
「珍しいな、俊介が帰ってまで仕事するなんて」
「ええ、俊介のミスなんですが、明朝までに仕上げなければならない資料がありまして」
「ふーん」
パジャマ姿の和音さんは、ベッドにあぐらをかいてウィスキーの壜を抱えてぼーっとしている。
「どーかしましたか?」
「や、俊介がメガネかけたところ初めて見たな、と思ってさ」
「そーですね、会社でしか使ってませんでしたから、ね」
「ふーん……」

カチカチとキーボードを打つ音だけが部屋に響いて、ついベッドに和音さんがいることを忘れてしまう。
急に耳の辺りがこそばゆくなって「うわ!」と声を上げると、背後に忍び寄っていた和音さんがメガネを
後ろからするりと抜き取ったところだった。
「何するんです!」
「仕事してる俊介はつまらん」
「こら! 今晩中に仕上げなければいけないんですよ! 返しなさい」
「やだ」
「返せ! と言っている」
「やだよー」

ベッドの上に逃げてあかんべーをしている和音さんをつかまえて頭をぽかりと一発。
「あにすんだ!」
「メガネを返しなさい。事と場合によっては俊介も本気で怒りますよ」
「だってー……」
唇を尖らせ頬を膨らませて涙目になっている和音さんを見て、ふぅとため息。
「仕事が終わったら相手してあげますから……」
無言でメガネを差し出すのを受け取って片手でメガネをかけると、もう片方の手で和音さんの頭を
ぽむぽむと軽く叩いた。
「もうちょっとで終わりますから、それまで機嫌よくして待っていてください」
和音さんが無言のまま、パジャマの袖で涙をぐいと拭く。

やれやれ……。
その腕を取って親指で涙を拭いてやると、ぷいと顔をそむける。
「メガネをかけた俊介は嫌いだ」
「へー、それはまたどーして」
あ、これは長くかかりそうだな、と思いつつ相手してやると
「……なんか分からんけど、嫌いだ」
拗ねている和音さんが可愛くて、思わずくすくす笑いつつ額に額をこつんとぶつけてやる。
「……んだよ。仕事はいーのかよ」
「ま、朝までに仕上げればいーですしね」
そっと唇をついばむようにキスをして、
「もしかして和音さん、嫉妬しましたか?」
「……何に?」
「仕事に」
「ち、ちが……!」
かーっと音をたてそうに顔が赤くなるのを面白く見て、また唇を重ねた。
223メガネ俊介×和音 2:2006/02/28(火) 22:05:36 ID:M45esSpd

パジャマの裾から手を入れて捲り上げると、ふぁん、と気の抜けそうな声を上げる。
「和音さんがヤキモチ焼きだとは、俊介も今初めて知りましたよ」
「ちがう、って、ば……。ゃ、ん!」
胸を愛撫しながらパジャマを脱がせつつ、既にとろんとした眼差しになっている表情に見惚れていると
「やっ、しゅんすけ。メガネ外して……」
視線に気付いた和音さんが頬を染めた。
「なんか……、メガネかけてると、恥ずかしい……」
あらあら……。

さほどの度数ではないから、メガネをかけなくても視界に大した変わりはないけれど、
そー言われると外したくなくなる。
「でも、メガネかけてると、和音さんの可愛い顔がよく見えて……」
「や、ん……、なんか俊介じゃないみたい、だ……」
「それは、俊介じゃないみたいで、イイってこと?」
言いながらつんと上を向いた胸元のつぼみを舌で掬い上げた。
「あっ! ちがっ……」
「だって、ここはこんなにイイって言ってるのに」
確かに、いつもより敏感に反応して赤くなる肌を、しつこく嬲る。
はぁはぁと息を弾ませて、涙のにじんだ眼をうっすらと開いた和音さんがひどく扇情的に見えた。

パジャマのズボンと下着を一緒に脱がせてそこに手をやれば、いつもよりも濡れていて思わず
「ほら、こんなに……、いつもよりイイんでしょう?」
和音さんが赤い顔でぶんぶんと首をふる。
構わずそっと触れれば、それだけで潤みがあふれて、すべるように指が和音さんの中にもぐりこんだ。
「……ぃや、ぁ」
「いや?」
ゆるゆると動かしていた指先を止めて、言葉尻を捕らえる。
「やめます、か?」
黙り込んで言葉を発しない和音さんを見ながら、また指を揺らす。
あからさまに声をあげる姿がもう可愛くて可愛くて……、いじめたくなった。
「でも、いやならやめましょう、俊介も仕事がありますし」
「やぁん……」
身を起こしかけると和音さんがおずおずと腕を伸ばして、ぎこちなくメガネを外した。
「……メガネないと、しごと、出来ないだろ……?」
224メガネ俊介×和音 3:2006/02/28(火) 22:06:33 ID:M45esSpd

あぁぁ。なんだこの可愛さは……。
「そーですね、こーゆーことする時、メガネは少し邪魔ですし、ね」
和音さんの手からメガネを取り上げてサイドテーブルにそっと置いた。
再び和音さんの中に指を滑り込ませると、ぴくりと身をよじった。
「どーします? やっぱりやめる?」
「や、だ……。しゅん、すけ。もっと……」
切れ切れに、喘ぐように言葉を紡ぎだす。
「そーですね……。ここは?」
体内に飲み込まれた指の上で、ぷっくりと膨らんで色付いているつぼみを舌先で掬い上げる。
一段と高い声が上がった。
「やぁっ! ん!」
「いや、ですか?」
和音さんが苦しそうにぎゅっと眉を寄せて首を振った。
「や、じゃない……。しゅんすけぇ。いじわるしないで……」
「ちゃんと言って。言わないと分からない……」
「……やぁあ」
「やめますか?」
「……しゅ、んすけ。もっと、いっぱい、して……」
真っ赤な顔で涙ぐんで、ついに和音さんが震える声で言った。

身体を離すとテーブルの引出しからゴムを出して、ベルトも下着もズボンも一緒くたに脱ぎ捨てて
限界の自身につけた。
くたりとベッドに身体を投げ出している和音さんに押し当てて、ぐいと突く。
潤みであふれているそこに飲み込まれると、和音さんがため息をついた。
さっきまで舌先で愛撫していたつぼみを、今度は濡れた指先で優しく震わせる。
「や、俊介。やめ、て」
「だって、いっぱいして、って、さっき言ったでしょう?」
「……ぁ! いやぁあああ!」
十分熱くなっていた身体はあっけなく頂点に上りつめて、がくがくと震えた。
絡まりつく襞がリズムを持って奥に誘う。
誘われるままに優しく突き始めると、和音さんが涙目を薄く開いていやいやをした。
「だめ、しゅんすけ、やめて……」
声にならない声で囁くように哀願するのを見下ろした。
「……しゅんすけ、こわい」
「俊介が怖いですか?」
「ううん……、あ、また……!」

一度のぼりつめた肌がしっとりと汗をかいて、髪の毛が顔に張り付いているのをそっとかき分けてやった。
和音さんが腕を伸ばして首にしがみついてくる。
短い声と熱い息が耳元にせまる。
「俊介、しゅんすけぇ……」
悲鳴のように繰り返す和音さんの身体の奥がさっきよりもっと熱くなって、その熱さを確かめたくて
何度も何度も奥を突いた。
やがて和音さんの中が短く何度も痙攣して、それに合わせるように自身も、果てた……。
225メガネ俊介×和音 4:2006/02/28(火) 22:10:26 ID:M45esSpd

腕枕にもたれかかっていた和音さんが、やがて静かにくぅくぅと寝息を立て始めた。
起こさないようにそっとベッドから滑り出して衣服を身に着ける。
サイドテーブルのメガネをかけた。
ブリッジに指をかけて位置を直すとパソコンに向き直って画面が浮かび上がるのを待つ。

……メガネ嫌いって言ってたけど、実は好きなんじゃないのか?
いつもよりも敏感だった反応を思い出して、引出しから鏡を取り出した。
ブリッジを指で持ち上げてみる。
これ、スーツ姿だったら格好つくかも、今度スーツ着てる時に和音さんの前でやってみよう……。


おしまい。
226名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 00:30:03 ID:PbsblcXf
おおおっ、メガネ祭りですか!!
ロレンスも俊介もメガネかけてエロ度上がってるじゃないかw
ステキオプションに栄光あれ!
227名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 00:38:51 ID:pvR0csCg
メガネ祭り━━ヽ(ヽ(゚ヽ(゚∀ヽ(゚∀゚ヽ(゚∀゚)ノ゚∀゚)ノ∀゚)ノ゚)ノ)ノ最高ぉ━━!!!!
228名無しさん@ピンキー:2006/03/01(水) 23:54:01 ID:y9nLsROb
めがねGJ!!!
素敵めがねに(~0~)/□☆□\(~▽~ ) 乾杯
229名無しさん@ピンキー:2006/03/02(木) 08:57:01 ID:1saR53p2
メガネ祭りGJ---------------------------------ッ!!
やっぱメガネいいわぁ〜。
どのメガネも美味しくいただきました(-人-)

個人的には遠藤さんのマダミスのグラハムさんや、危険なアネキの森山君など、
メガネ君は相方に振り回されるシチュエーションが好きなので、
タカシにいちゃん×白薔薇の君が1番ツボでした〜。
230名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 01:42:23 ID:IvKF29Hw
アダミスのグラハムいいね〜。
前この板にあった少女漫画全般スレにアダミス投下されてたなぁ。
スレ違い失礼!
231名無しさん@ピンキー:2006/03/03(金) 03:05:54 ID:1/9KJvw3
「花にうずもれて」の家庭教師さんって、確かメガネっ子でしたよね?
手元に本が無いので確認できないから違っていたらすいません。

自分が1番最初に思い浮かべた川原作品のメガネっ子は、柚子さんとこの兄でも穴田アナ
でもなく、マリーニ神父(本物)ですた。
あのぐるぐるメガネが最高(*´д`*)ハァハァ

殿下もアンドレもサー・ロレンスもメガネが似合いそうだけれど「パセリを摘みに」
の嵯峨宮兄弟も、是非メガネ祭りに参加させたいです。
232名無しさん@ピンキー:2006/03/04(土) 21:51:49 ID:DPnUculX
>231
眼鏡取ると女の人みたいな美形で花乃子ちゃんが笑ってしまうってやつでしたな。
233名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 22:47:54 ID:/6iteUAT
マリーニ神父! 
自分はすっかり忘れていたクチだからワロタ
嵯峨宮さんたちも似合いそーだねー。
メガネ男子もあまり出てこないけど、メガネ娘っ子も全くと言っていいほど出てこないな。
234名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 22:57:50 ID:f4L9VXZ7
なんか川原ヒロインって視力よさそうな娘さんばかり
だもんなぁw
235名無しさん@ピンキー:2006/03/06(月) 23:55:16 ID:8pnvl3An
少女マンガのお約束で眼鏡を取ったら美形…というオチかも、マリーニ神父。

>>234
おお、確かに!
美貌の果実の菜苗しゃんなんか、緑の多い所に住んでいるから更に視力が良さそうだ。

ところで自分は川原作品の中で愚者の楽園が一番好きなのだが、どんなに邪でエロな妄想をしようとしても、
安楽さんが仏のようにほのぼのし過ぎていて、エチーまで辿りつかない…。
236名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 21:30:48 ID:I2aNoamN
お、私も愚者の楽園が好き!
天光さんが一番好きです。
メガネも好きですが、お坊さまにも萌えますw

嵯峨宮兄弟にメガネをかけようと思ったけど失敗。
仕方ないので娘っ子の方にかけてみました。
次の職人さんまでのつなぎにドゾー。
237嵯峨宮弟×諒子 1:2006/03/07(火) 21:31:59 ID:I2aNoamN

「ダメだ……」
私は鏡を覗き込んでため息をついた。

3月。それは花粉症の季節。
夜中に無意識にこすっていたのか、赤く充血した目にコンタクトを入れると非常に痛い……。
「くそー。メガネにするか……」
真の美人はメガネが似合う女性だと言うが(言うのか?)、私はメガネが似合わない。
私は美人風ではあるが、真の美人ではないのだな。

「律子。今日はお隣へのご挨拶はナシ。 さっさと通り過ぎるのよ!」
「うん、ねーちゃんは本当にメガネが似合わないからなー」
「そーなのよ、もちょっと知的美人風になってもいいと思うんだけどね」
「うん、ただただ地味になるばかりだもんな」

一方、嵯峨宮家では茶碗にご飯をよそっていた兄弟が窓の外を眺めて
「千尋、あれはお隣りの諒子さんではあるまいか?」
「ん? いや、諒子さんはあんなに地味じゃないだろう」
「でも一緒にいるのは律子ちゃんだぞ」
「ホントだ、今日はどーして挨拶ナシなんだろう?」
と顔を見合わせていた。
238嵯峨宮弟×諒子 2:2006/03/07(火) 21:32:39 ID:I2aNoamN

さて。月中ともなれば仕事もさほど忙しくはなく、私は定時早々に上がることにした。
久々のメガネで軽く頭痛になりかけていたし、何よりこのメガネ姿を人前にいつまでも晒したくはない……。
ああ、花粉が目に染みるなぁ。
バッグから出したマスクもつけると地味さに拍車がかかって、完璧に花粉症の人だ。
駅から自宅までの道のりを、うつむき加減でとぼとぼと歩く。
どーか知ってる人に会いませんよーに……。

ところがどっこい、実にタイミングよく向こうから歩いてきたのは……。
げっ。
嵯峨宮家の弟、売れない詩人なのであった。
さらに深くうつむいて、必要以上に道の脇に寄り、そそくさと足早にやり過ごそうとする。

「あれ? 諒子さん?」
「ち、違いますっ!」
「え? でも……」
駆け出そうとしたところを片腕を掴まれた。ああああー。
「やっぱり諒子さん。……い、一体どーしたんですっ?」
「いえあの、別にその、何でも……」
まじまじと顔を覗きこんだ詩人の顔つきが変わって青ざめると、
「と、とにかく家へ行きましょう」
私の腕を引っ張って急ぎ足で嵯峨宮家へ向かって歩き出す。
な、なに? どーなってんの?

もうすっかりお馴染みになった嵯峨宮家のリビングで、いれてもらったミルクティを飲む。
詩人は家に入ってから一言も口をきかず怖い顔をしている。
やっぱりメガネが気にくわなかったんだろーか……。
ミルクティに溶けたはちみつの甘さにホッとした瞬間、たれっと鼻水が垂れてきた。
無言でティッシュを取って鼻に押え付けると、詩人ががなんとも言えない表情で顔を覗き込んだ。
「大丈夫ですか?」
「ん……」
「ちょっとは落ち着きましたか?」
「ううん? まだちょっと辛いけど」
「……そーですか」
239嵯峨宮弟×諒子 3:2006/03/07(火) 21:33:24 ID:I2aNoamN

なにやら思いつめた顔をしているが、どーしたんだろーか?
聞こうと思った瞬間、詩人が一瞬早く口を開いた。
「……いったい誰が諒子さんを泣かせたんです?」
は? はぁ? はぁぁあああああ?
あまりのことに口がきけないでいると、詩人がまた言葉を続ける。
「そんな詮索をする権利はないとは思いますが、諒子さんのことが心配で」
「そ、それはどーも……」
「振られでもしたんですか? そ、それともまさか、まさか誰かが無理やり……」

勝手に青ざめて立ち上がった詩人をあっけに取られて見上げる。
「諒子さんを泣かせる奴は許さない」
「ちょ、ちょっと待って。私別に泣いたりなんか……」
「何を言ってるんです、そんな真っ赤な目をして。僕の前では強がらなくてもいーんですよ!」
「いや、強がりなんかじゃ……」
今度は檻の中の熊のよーにうろうろと歩き始める。
「さ、嵯峨宮さん、誤解だよ……」
力なく言ってみるものの、耳には入っていないよーだ。
「すみません、一番つらいのは諒子さんなのに僕ひとりで熱くなって……」
そりゃ確かに花粉症はつらいけどさ。
しかし、さすが詩人だ。勝手に自分の世界に入りやがって……。
240嵯峨宮弟×諒子 4:2006/03/07(火) 21:34:49 ID:I2aNoamN

「ち、違うんだ、嵯峨宮さん、誤解なんだよ」
「諒子さん、つらいなら何も言わなくていーんですよ」
「わたし、花粉症」
「……へ?」
「花粉症で目が充血して鼻水が出てるだけなの」
「……か、花粉症?」
「そーなの。だから涙が出てるの」
「そ、そーなんですか……」
呆然としてソファに座り込んだ詩人を見て、なんだか可哀想になった。
「心配かけて、ゴメンね」
泣き笑いの表情で見上げた詩人は、やっぱりジューシマツのピーコに似ていた。

今度は詩人がまじまじと顔を見つめるので、なんだか恥ずかしくなって
「きょ、今日はさー、メガネだから変でしょー」
「や、変じゃないですよ」
「そ? 律子なんかは変だって言うんだけど」
「諒子さんはどんな変な格好したってきれいですよ」
「えへへ、そ、そお?」
にまにま笑っていると、詩人は何やらむっつりと怒った顔をしている。
「なんで怒ってるのさ」
「いや、ただちょっとカッコ悪かったかなーと思って……」
「あははー、そんなことないよー」
241嵯峨宮弟×諒子 5:2006/03/07(火) 21:36:24 ID:I2aNoamN

なんだ、この人は。人が心配してるってのにへらへらと。
メガネかけて、マスクのせいかほぼスッピンの顔して目を鼻を赤くしてさー。
……メガネ、とってやれ。
「ぅあ! 何すんだ」
いつもの諒子さんの顔、と言いたいところだけど、鼻も目も、さらに顔中も赤くなってしまった。
可愛いじゃないか、これじゃとても年上には見えな……。
まぁ、さっきの話じゃ告白したも同然だし、な。
抱き寄せてキスしてみると想像以上に慌てた。
「ななななな、何するだ」
「何って……、キスですよ」
「な、なんで突然わたしなんだ?」
「なんでって、好きだから」
腕の中で目を回している諒子さんを見て、そーかそーか、この姉妹はひどくニブいんだったと思い出し、
「好きですよ」
と言ってみる。
「そっか……。突然でびっくりしちゃったよ」
「いや、どー考えても突然じゃないでしょう」
「そかそか、うん。そだね」

やっとにっこり笑うと、諒子さんは僕の首に両腕をかけて、ようやく僕達は大人みたいなキスを交わしたのだった。
いや、大人なんだけどさ。



おしまい。

242名無しさん@ピンキー:2006/03/07(火) 21:37:52 ID:I2aNoamN
>236
「職人さん」と書いてしまったよ。「職人さま」と書こうとしたです。スマソ
243名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 00:09:20 ID:ZJuJlVsp
あんた、素敵だよ……なんて彼ららしい、彼女ららしいらぶっぷりなんだ!
諒子さんカワイイ!
244名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 00:57:49 ID:mwwKEara
ふおおGJ!
そのままえちーになだれ込んで(゚Д゚)ホスィ…
245名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 09:46:00 ID:8UCC+d+E
ジュリエット白書の兄弟カプ×2で4P!
とか考えてる漏れは終わってるだろうか_| ̄|○
246名無しさん@ピンキー:2006/03/08(水) 20:52:12 ID:JqKBXxB6
いや充分アリアリとおもうぞ
子羊2匹並べて美味しい食べ方を追究するとか…
247名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 20:54:43 ID:ifmZFn09
>237-241です。
思えばここはエロパロ板でしたね。。
詩人と諒子さんにはキスさせて満足してしまいました…… orz

>244さま
ちゅーことで続きを書きました、読んでくださいませ。
248嵯峨宮弟×諒子 続き1:2006/03/09(木) 20:55:50 ID:ifmZFn09
>237-241続きです。



んー。。ちゃんとしたキスするのって何年ぶりだろ。
高校時代? 大学時代? いや、新入社員の時に同期のAと付き合った時以来か……?
あんまり久しぶりなんでやり方を忘れたかと思ったけど、ちゃーんと覚えているもんだ。
下唇をそっとなぞっていた千尋君の舌が口の際を通って中にするりと入り込むと、
さすがに久々の感触に背中がぞくっとした。
あ、千尋くんタバコ吸うんだ……。タバコの匂い、好き。
首にかけていた手を頭の上の方まで伸ばして柔らかな髪を撫でる。
舌と舌が絡み合う音、衣服が擦れ合う音が頭の中で響く。
一瞬離れた口の隙間から息を吸い込んで、また絡みつく。
……いつの間にかわたしは、ソファに押し倒されていたみたいだった。

「諒子さん、キスうまい……」
「えへへ、そ、そお? 久しぶりなんで忘れたかと思った」
「……久しぶり、とか、言わないの」
「ん……。千尋くん、タバコ吸うんだね」
「うん。……いや?」
「ううん。好き……」
またぎゅうっと抱き締められて唇をふさがれた。
ああ、それ以上するとあれやこれやとスイッチが入ってしまいそーだ……。
千尋君の手がわき腹を下りてきて、薄手のニットをたくし上げるように中に入り込んだ。
「ぁ……」
あ、声出る。こりゃダメだ。もうスイッチ入ってるじゃないかー。
ちょっと待て、ここじゃちょっとマズいだろ……。
「ち、千尋くん。ちょっと待って……」
249嵯峨宮弟×諒子 続き2:2006/03/09(木) 20:56:36 ID:ifmZFn09

息とともに吐き出した小さな声を聞いて、貪っていた唇を離し、一旦身体を起こしかける。
まくれ上がったニットや、乱れたスカートの裾が目に入って、その刺激的な光景に思わず我を忘れそうになった。
「ち、千早さんが帰ってきたら、さすがにまずい、よね……」
「あ、そっか。んと。にーさんは今日は遅くなるとは思うけど」
頬を寄せて耳元でささやいた。
「僕の部屋に行こう」
うん、と目を伏せて頷いた諒子さんを抱き起こし、どこかへ吹っ飛んでしまったスリッパを探して履かせ、
メガネがないと歩けないと言うのでメガネをかけてやり。
こっちだよ、と階段を上がって廊下の突き当たりに、自室がある。

「へぇええええええ」
部屋に入って諒子さんは、それはそれは珍しい物を見るように目を見張った。
二部屋続きの自室は、手前が書斎兼仕事場で、奥に寝室がつながっていた。
諒子さんは仕事場にある天球儀や、壁一面の書棚や、飾ってあった星の写真集なんかを楽しそうに眺めている。
「ここは仕事場です、ね」
「そっか、千尋くんは詩人なんだもんね」
「ええ、まぁ」
そのうち、室内用のプラネタリウムを見せてくれとか言い出すんじゃあるまいな……。
「わ! これプラネタリウム? 見せて見せてー!」
ああ、当たってら〜。
「諒子さん、僕の部屋にプラネタリウム見に来たの?」
ちょっと笑って言うと、さすがに恥ずかしそうに赤くなった。
いーですよ、と奥の寝室にプラネタリウムを持ち込んでスイッチを入れ、遮光カーテンを閉めた。
うーむ、寝室でつけるあたり、我ながら作為的だ……。
250嵯峨宮弟×諒子 続き3:2006/03/09(木) 20:57:31 ID:ifmZFn09

なるほど、さすが詩人だ。ロマンチストなのだな……。
闇に散らした星の光は、人工的に映し出したものとは思えないほど綺麗だ。
ダブルくらいの大きさがあるベッドに並んで座って見上げていると、なんだかどこにいるんだか分からなくなってきたぞ。
星空の中で千尋くんがメガネを外そうとする。
「んにゃ、メガネ外すと星が見えない」
「後からかけてゆっくり見たら……」
それもそーかとおとなしく外されるがままになって、次はコンタクトで来よう、と決心する。
今度は軽くちゅ、と唇を合わせ、次第に深く絡み合う唇をそのまま受け止めて、でもついスイッチが入った時の用心に
千尋くんの肘あたりに手を添えてみた。

まぁ、一度入ったスイッチはまたあっさり入るわけで、肘に添えた手はいつのまにか腰に回ってぎゅっと力が入っていた。
千尋くんがわたしの首の後ろに手を添えて、枕の方に優しく身体を倒す。
ぱふっ、と倒れこむと、千尋くんのにおい、タバコが混じった懐かしいようなにおいが身体を包み込む。
……このにおい、好きだなぁ。花粉症だからどーも胸いっぱいって感じにならないのが淋しいけどさー。
ベッドの上で見詰め合ってまた唇を重ねて、その唇が顎から首筋を通って耳元まで達した。
手が柔らかい動きでなめらかなニットの上をなぞって、そっとわき腹から中に滑り込む。
千尋くんの触れるところ触れるところが熱くなって、知らず知らずのうちに息が上がっていた。
「諒子さん、かわい……」
吐息とともに耳に入った言葉、いつの間にか背中にまわった指がブラのホックを外して、するんと上半身が自由になった。
たくし上げたニットと、キャミソールと、ブラも全部一緒に頭から脱がされる。そりゃもう笑っちゃうほど上手に。
今度はわたしが、千尋くんのシャツのボタンをひとつずつ外す。乱れた髪を千尋くんが愛しそうに撫でてくれる間に。
腕を抜いてTシャツを頭から脱がせて……。
なんか嬉しくなって裸の上半身を合わせてぎゅーっと抱き合ったのだった。
251嵯峨宮弟×諒子 続き4:2006/03/09(木) 20:58:20 ID:ifmZFn09

「諒子さんの身体、熱い……」
「うん……、スイッチ入っちゃったから」
「それ、僕が解除してあげないといけないスイッチ?」
「ん……」
スイッチが入っちゃったとゆー諒子さんの身体は確かに熱くて、そっと指先が触れるたびに息をつめて身をよじった。
なだらかな胸の曲線を撫で上げると、もうちゃんと頂でつぼみが僕の愛撫を待って震えている。
唇から顎、首筋に何度もキスを落としながら指で何度かつぼみに触れると、その度に諒子さんが小さく息を吐いた。
やがて下におりた唇が反対側のつぼみを捕えて舌先が跳ねると、なんとも甘い声を漏らす。
「……どーしよ千尋くん」
「どしたの?」
「気持ちよくなってきちゃった……」
クソ真面目な申告に思わず頬がゆるんだ。
右手で乳房を揉みしだくと、あ、あ、と声を上げて僕の顔に腕を伸ばしてきた。
耳朶からうなじにかけてやさしく撫でられて……。
「諒子さん、僕そこちょっと弱い……」

諒子さんがくすりと笑ったと思ったら、ひょいと起き上がって僕の首を抱き寄せた。
耳朶に唇をよせて甘く噛まれて「ここ?」と吐息まじりに耳元で囁く。うっわ……。
中腰のまま諒子さんの肩に唇を這わせつつ右手で胸のつぼみに再び触れたとたん
「ぁ……」
耳元で諒子さんがかすれた声を上げて、背中がゾクリとした。
そのまま手を既に捲れ上がっているスカートの中へ忍ばせて、ゆるく開いた膝の間を奥へと撫で上げる。
ストッキングの肌触りを通して湿った感触が伝わってきて、ストッキングの線をなぞるように何度も指を上下させた。
首筋にしがみついて声をこらえている諒子さんを押し倒して乳首に吸い付く。
開いた膝の間に片足を入れて、ウエストのストッキングに手をかけて
「破っちゃったらごめん」
「ん……、いーよ」
と諒子さんが浅く腰を浮かせる。
一応丁寧に滑り下ろしてつま先から引き抜くと、薄布はひらりと床に落ちた。

つるつるした下着は布越しにもはっきり分かるほど濡れていて、スカートと一緒にそれも続けて脱がせると
あらわになった身体を恥じるようなそぶりを見せた。
やさしく膝を押し開いて、指を押し当てて幾度か撫でるとそれだけで潤みが溢れる。
でも、中指を入れようとすると少し身体を硬くした。
キスも久しぶりって言ってたし、優しくしたほうがいいよな……。
でも心配するほどのことはなくて中指は飲み込まれるように潤みを押し広げて入っていく。
息をつめていた諒子さんが、ふはーと息を吐いて力を抜いた。
ゆるゆると指を動かしつつもう片方の手で尖りきった乳首を優しく嬲ると、薄明かりでも分かるほど、
諒子さんが眉をひそめて切なげな息を吐く。
252嵯峨宮弟×諒子 続き5:2006/03/09(木) 20:59:41 ID:ifmZFn09

ひそやかに漏らす小さな声と、吐く息と、淫らな水音だけが、星空が広がる室内に響いた。
親指でやさしく探って潤みのいただきの小さなつぼみを探し当てると、諒子さんの喉の奥から細く高い声が漏れた。
たまらず顔をうずめ、親指で撫でていたつぼみを吸い上げた。びくんと腰が跳ねる。
中指の周りにさらに潤みが溢れて、舌先を踊らせるたびに内股がひくひくと痙攣して、
「ゃ、あ……。も、ダメぇ……!」
僕の髪の毛を掴む諒子さんの手に力が入って、中指がきゅっきゅっと締め付けられた。

ぱたりと頭の上にあった手がベッドに落ちて、諒子さんが目をつぶってはぁはぁと息をついている。
僕はベルトに手をかけて下着ごと一気に脱いだけど、恐ろしいことに気付いて青くなった。
「諒子さん……。ゴム、ない」
そーゆーことにしばらくご無沙汰だったもんで、ゴムがない。
「ん……」
諒子さんが首を曲げて僕の方へ気だるげな視線を向けて、そりゃもーうっとりするような誘う目で
「いーよ、そのままでも……」
「や、でも……」
「大丈夫な日だから、いーよ……」
「ほ、ホント?」

常々の諒子さんを見ていると、その言葉を信じるには一抹の不安があったわけだけれども……。
ちょっとばかしの不安には目をつぶって、もうスイッチ入りまくりの自身を押し当てる。
少しばかりの抵抗は溢れた潤みで帳消しになって、く、と飲み込まれた瞬間。
大いなる快感の前に、ちょっとばかしの不安なんか星空の彼方へ吹っ飛んでしまった。

まだやわやわと動く肉壁の奥へ誘われるように突き進む。
胸を浅く上下させて喘ぐ諒子さんの頬を両手で挟んで「諒子さん」と小さな声で呼んでみた。
「ん? なに?」
薄目を開いて僕の目を見つめ返す。
「いや、なんか嬉しくて」
にっこり笑うと、諒子さんもちょっと笑って僕の頭をくしゃくしゃと撫でた。
「やっぱりピーコに似てる……」
ふふふと笑って、僕の首に腕を絡むと引き寄せた。ピーコ??
「千尋くん、もっかいキス……」
まぁ、唇を重ねるうちにピーコのことは忘れてしまったわけで……。
253嵯峨宮弟×諒子 続き6:2006/03/09(木) 21:00:29 ID:ifmZFn09

深く絡みあった唇の合間から、諒子さんのくぐもった声が漏れる。
息遣い、肌と肌の擦れ合う音、湿った空気の中で諒子さんの肌から立ちのぼる甘いにおい。
唇を離し、首筋に押し当てた。腋下と胸の谷間にも。そのたびにくすぐったそうに身をよじる。
はんなりと塩からい普通の汗なのに、南国の花みたいな甘いにおいがするのはなんで?
甘いにおいが鼻腔から入り込んで、確実に僕の何かが痺れていく。

わずかずつ体勢を変えて諒子さんの中を探っていく。上壁をこすりあげて奥まで。
ちょうど僕の先端がぴたりと噛み合う窪みを探し当てた時に、諒子さんがみじかく声をあげてしがみついた。
「あ……、そこ……」
「ここ?」
「ん、あっ!」
幾度か往復してやさしく突くと、諒子さんの肌がしめって、甘いにおいはますます強く立ちのぼった。
諒子さんの喘ぎ声が切迫して体内が小刻みに震え始めると、快感が甘く押し寄せて激しく突かずにはいられない。
夢中になって突いているうちに喘ぐ白い肌が目に付いて、何度も唇で強く吸い上げた。

やがて迎える絶頂の時、諒子さんの肌から汗がふきだして濡れたように夜目に光った。
一瞬むせかえるような強い花の香りが周りを取り囲み、それだけで僕は果てそうになる。
僕自身を捕える襞が生き物のようにきつく動いて絡みついて、まるで僕が放つのを誘っているかのようだ。
かろうじて直前までこらえて引き抜くと、諒子さんが小さな声を上げ、僕は彼女の下腹に快感を解き放った。

まだ、互いの荒い息が交錯しているのに、やけに静かだと思うのは何故なのだろう?
さっきまでの極彩色に彩られた世界は急速に終焉に向かう。
254嵯峨宮弟×諒子 続き7:2006/03/09(木) 21:01:14 ID:ifmZFn09

ティッシュで諒子さんの下腹を丹念に拭いて、ついでにウェットティッシュで拭くと
「うは……、つめた」
「ごめ、こっちのほうがさっぱりするかと思って」
「ん、ありがと」
手早く自分も始末して立ち上がると、クローゼットを開いてタオルを出して「はい、タオル」とベッドに放った。
くたりと四肢を投げ出して動かない諒子さんを見て、仕方ないなとタオルで首筋あたりを拭いてやり顔をうずめた。
「さっき、諒子さん、すごくいいにおいがした……」
「そ? 全然分からんけど」
「今はもうしないけど、なんでだろう?」
「あー。香水じゃないかな、ほら」
諒子さんが自分の肘の内側を指差すので鼻をつけてくんくん嗅ぐ。
「これもいい香りだけど、違う。もっと南国の花みたいな甘いにおい」
「……気のせいじゃないのか?」
「そーなのかなー?」
まぁ、また分かる、かな。いずれ。いや、近々、明日にでも。うん、明日また確かめよう。
そのまま覆い被さってやさしく唇をふさぐ、もう今日何度目なのか分からない、キス……。

ピンポーン。
「あ、誰か来た?」
諒子さんが身を起こしてタオルで胸元を隠す。
しばらく耳をすましてみて、鳴り止まないチャイムに慌てて服を身につけると、そっとドアを開けて階下を伺った。
ピンポーン。ピンポンピンポーン。
また連打されるチャイム。誰だよいったい。
「諒子さん、ちょっと見てくる」
階段を降りかけると、ガチャリと鍵の開く音。
千早にーさん?

「今日は千尋がいるはずなんだけど、おかしーな」
「すいません、ねーちゃん会社は定時で出たって聞いたんで、ここかと思って」
「でも、ちょうど玄関先で会えてよかった」
「あ、ねーちゃんの靴だ。やっぱりここだったんだな」
「ほー、にしては電気が消えて……」

うわわわわわわ。
部屋に慌てて戻ると、諒子さんはもう身支度を整えていた。
「り、律子ちゃんとにーさんが……」
ええ? と諒子さんの顔が真っ赤になって慌て始める。
「と、とにかく下に降りましょう」
うーん、これはさすがに気恥ずかしい状況だ……。
255嵯峨宮弟×諒子 続き8:2006/03/09(木) 21:02:28 ID:ifmZFn09

「あ、ねーちゃん。おかえりー」
紅茶を飲んでくつろいでいる妹を見て、少々めまいがした。
「会社の人から電話があってさ、定時で出たっていうのに帰ってこないから心配したよ」
「そ、そお? 帰り道に花粉症で具合悪くなっちゃったのよー」
「そっかー、もう大丈夫?」
「ん」
「諒子さんも紅茶、飲みますか?」
ポットを取り上げて千早さんが聞く。
「いえ、私はもう失礼します……」
「そーですか。千尋、ちゃんとご自宅までお送りするんだぞ」
「うん……」
「あ、ねーちゃん。千尋さんの部屋ってどんななの?」
ギクリ。
「えっと、そ、そーね。プラネタリウムがあった」
「ほー、プラネタリウムね……」
ち、千早さん、その見透かしたよーな笑顔は……。
「じゃ、これで失礼しまーす」
そそくさとふたりで出て行こうとすると、千早さんがにっこり笑って指摘した。

「千尋、ボタンの穴が1個ずれてる」
「あ……!」




おしまい。
256名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 21:03:46 ID:ifmZFn09
以上です。読んでくださってありがとうございました。
メガネしつこく引っ張ってごめんなさいですー。

ではでは。次の職人さま、ドゾー
257名無しさん@ピンキー:2006/03/09(木) 21:55:53 ID:x931ONlU
GJ!
上手いなぁ〜。詩的に上品にエロくてそれがまたツボりました。
ありがとう!
258244:2006/03/10(金) 01:24:09 ID:PnsXHiRm
ありがとうありがとう!堪能しきったよ!!
これで土曜日出勤もがんがれるわ。
259名無しさん@ピンキー:2006/03/10(金) 01:29:16 ID:4cj24eyp
らしくてイイ!
260名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 21:42:27 ID:CeTM52kQ
GJ!!
処女じゃない諒子さんが新鮮でよかった。
最後に4人そろうところのアタフタも感じでてていい。
全部見透かしてる千早さんと、たぶん全然分かってない妹が想像できてオモロイ
今度千早さんの方のSSも見てみたい。
261名無しさん@ピンキー:2006/03/11(土) 23:07:33 ID:oKTSGLlK
ロレンスと柚子の続き気になる!
誰か書いてくだせえ〜
262名無しさん@ピンキー:2006/03/13(月) 00:13:46 ID:nd+CmavK
ロレンスと柚子さんは3人娘の中では
一番ほのぼのとしてるイメージなんだけど、
あえてこの2人でエロいの読んでみたい。
ほのぼの甘エロい感じ……って、自分で言っててどんなのか疑問だけど。
263名無しさん@ピンキー:2006/03/13(月) 00:51:31 ID:mwj0P1GJ
age
264名無しさん@ピンキー:2006/03/13(月) 02:18:42 ID:LlIXorw3
>262
一緒にお風呂入るとか?
実家の風呂はすごくゴージャスだったのに日本ではユニットバスか〜とか
あひるがあったりしてお風呂掃除をしようとバスルームを見た柚子さんにからかわれたりして
265名無しさん@ピンキー:2006/03/13(月) 08:44:30 ID:/D1Z5ech
>>261さま

も、もしかして私(219〜220)が投下した小説の続きってことでしょうか?
違っていたら自意識過剰ですいません。

ロレンス×柚子のエロ有り小説はすでに他の神様が素晴らしいのを残していらっしゃるので、
私があえて書く必要はないかな〜と思っていたのですが。
261さまを含め、他のミカエル好きのみなさま、続きを書いてもよろしいでしょうか…?

あ、でもあのネタで他の方が書いてくれるなら、それはそれで嬉しいので、どんどん流用
しちゃってくださいませ。
266名無しさん@ピンキー:2006/03/13(月) 22:04:13 ID:nd+CmavK
>265
261さんじゃないけど、読みたいです!

というか、職人様はそんな風にお伺いを立てることないと思いますよ〜。
投下があればそのこと自体で盛り上がりますし、
他の方の作品で萌えて「書いてみようかなぁ」と思う人も出てくるかもしれませんし。
楽しみにしています!
267名無しさん@ピンキー:2006/03/13(月) 22:08:01 ID:q+NQEO9X
261です。
もちろん265さんの作品の続きに決まってるじゃないですか〜〜!
書く必要がないなんて言わずにお願いします。
久々の大好きなロレンス×柚子待ってますよ!
268265(219&220):2006/03/14(火) 19:48:47 ID:IgMsM2e+
システムがおかしくなってパソが起動せず、OSの再インストールをしたのでHD内の
全データを失いましたが私なんぞに期待してくださる方々がいてくれると思うと前向き
になれそうです。
上記理由により、執筆・投下まで時間がかかりそうですが必ず発表しますので気長に
お待ち頂けたらと。
全くバックアップを取っていない状態から、元々使っていた状態に戻すので… orz

私信ばかりでは何なので小ネタをひとつ。


「最近、一臣さまは締め切りが無い日でもひどく眠たそうだけれど、どうしたのかしら?
そういえば、お嬢様も…。
兄弟ってこういうところも似るのかしらね?」

…と、ひどく疲れた様子で大学へ登校する史緒さんを見送りながら、司城家のお手伝いさんは
首をかしげる。
こうして、大人の深読みをしない善良な人々によって二人の秘密は守られてるのだった。

とりあえず、今日も司城家は(色々な意味でとばっちりを食らっている)史緒さんを除いて平和だ。
てゆーか、少しは手加減してやれよ殿下…。
269名無しさん@ピンキー:2006/03/14(火) 21:03:50 ID:FSnnUyxy
>265さま
あららら、大変ですねー。。
ゆるゆると楽しみに待っておりますー。
どうぞご無理なさらずに。。

コネタワロタw
大人の深読みをしない善良な人々、って表現ステキです。
270名無しさん@ピンキー:2006/03/15(水) 22:27:07 ID:cP5NLBm0
メガネ男の話です(しつこくてスマソ orz
フロイト1/2の滝木巴さん(梨生ちゃんパパ。漢字が出なかった)もメガネ男なんだね。
19年くらい前に梨生ママと恋人同士でママのお腹には赤ちゃんがいたにも関わらず、
恋人を捨てて重役の娘とケコン。
えー、この設定で妄想すると結構、いや非常に萌え(ゲホゲホ。
んでんで、仕事バリバリの滝木巴さんの若かりし頃は、瀬奈さんにメガネをかけたよーな
感じだったのかなー、と。
梨生ちゃんママの名前も何も知らんし、勝手に妄想してるだけなんですがね。。
ママは新入社員だったのかな、とか、実は大学の後輩だったんじゃないか、とか、色々w
271名無しさん@ピンキー:2006/03/16(木) 20:57:21 ID:22kCKnP6
笑う大天使の映画化情報を今頃になって知ったよ……マジですか?って気分だorz



史緒って大蔵省に入省してからは、一度ならずとも
「もう一人で生活できるから、兄ちゃんは嫁さんもらえ」
と殿下に言ってそうだ。
殿下はその度にあれこれ言いくるめて史緒を引き留めてるんだけど、史緒が34歳になった時
(離れて暮らしてた時間と、一緒に暮らした時間がの長さが逆転した時)
になったら、引き留める言葉が見つからなくなりそうだ…
272名無しさん@ピンキー:2006/03/16(木) 21:34:36 ID:KtwshN4Y
「笑う大天使」夏に公開ですね。
あの制服が既に違う。てか、映画のあのワンピはお嬢様にしてはエロいと思うです。
上野樹里は好きなんですけど、うーむ。 orz

史緒さん34歳の時、殿下は44歳かー。
そのくらいになったら、史緒さんももう何も言わないよーな気もしたり。

シ竜木巴さん、梨生ちゃんを認知して養育費払うことを、妻である重役娘に
何か言われたりしなかったんだろーか? 黙って払ってたのかな?
273名無しさん@ピンキー:2006/03/16(木) 22:01:34 ID:nAyjltxM
映画化知らんかったよ
一人で観に行こーっと。

ちょっと淋しくなった・・・orz
274名無しさん@ピンキー:2006/03/16(木) 22:11:34 ID:zjsMFNR3
映画版ミカエルは突っ込みどころ満載ですなー。漫画派の人は違和感あるかも。
個人的には「美貌の果実」を実写化してほしかった。
精さんは藤木直人なんてどお?

独立宣言するたびに
「なんて思いやりがないんだろう…」
と殿下が寂しげな目で訴えるから、史緒さんも実行できないとか?
275名無しさん@ピンキー:2006/03/17(金) 21:52:42 ID:mQXE21Ds
最近の分、一気に読みました。
シリアスな作品ありーの、ほのぼのコメディ?ありーの、メガネ談義ありーので
「川原萌えのオンパレード」を目の当たりにしてしまった気分です〜。

>256
諒子さんの色っぽさがカーラテイストのネックにならずに、
むしろ萌えなのがすごいです。
千尋くんをこんなにを夢中にさせて…いい女なのだな、諒子さん。

>265
続きが読めるとなると、それまた嬉しいです。>220の
>「だから、安心していいよ」
>「それってどういう…」
がすごく気になります(w 大変かと思いますが、楽しみにお待ちしています。



>「なんて思いやりがないんだろう…」
>と殿下が寂しげな目で訴えるから、史緒さんも実行できないとか?
「その目で見るのはやめてくれ〜〜」と言いながらも、引き止められて
内心ほっと嬉しい史緒さん…なんてのはありですか?w


>ミカエル映画化
情報を拾った限りでは確かにギャップが大きいかもですね。@実写

で、そこに広川太一郎さんのナレーションがつくんですね。
「あ〜ららららら、お嬢様がブロンズ像を持ち上げちゃったりな〜んかして〜」
…ってな広川節が炸裂するのだろーか?

……ごめんね、ちょっと楽しみになってきたorz
276名無しさん@ピンキー:2006/03/17(金) 21:55:51 ID:EE4QkYbz
>>275
最後の広川節のくだりで吹いた。
たしかに、それなら見てみたい気がする。
277名無しさん@ピンキー:2006/03/22(水) 21:06:52 ID:MUIHIqyu
りおパパの婚約者はりおママの存在を知らなかったんだろうか。
278名無しさん@ピンキー:2006/03/23(木) 20:56:30 ID:PgQsNvAC
養育費を毎月渡していたわけだし、戸籍にも庶子で記載があるからなぁ。
知らなかったのは不自然な気がする。
でも、正妻に子どもがいなければ戸籍なんて見ることもないかな、どうだろう。

むしろ「子どもがいてもいーから!」と、見込まれてのケコンだったとか?
正妻の父親にとっても気に入られてたとかね。
だから正妻との間には夫婦の情愛なんてものはなく、窓際に飛ばされて
あっさり離婚された、と。
279名無しさん@ピンキー:2006/03/23(木) 21:06:16 ID:PgQsNvAC
ちょっとよく分からんのですが、
梨生ちゃんの戸籍には「タキエさんの庶子(女?)」と記載されてるんですよね?
タキエさん本人の戸籍ってどうなるんですか?
配偶者には正妻がきて、庶子のところに梨生ちゃんの名前が来るの?

うーむ、そもそも戸籍をじろじろ見たことってあまりない。
自分がどう記載されているのかも分からんのに、梨生ちゃんの複雑な戸籍を
理解しよーというのがそもそも間違いなのかもしれん。。
280名無しさん@ピンキー:2006/03/24(金) 12:34:59 ID:1dmO5V/o
梨生ちゃんは、滝杷さんの庶子だけど
籍(戸籍)はママの方だったんだろうね。
その場合、滝杷さんの戸籍には載らない。
あくまで「篠崎」梨生だったので、篠崎の戸籍に
載ってるだけのはず。
(篠崎の戸籍で、戸主がママ(亡)→梨生単独?
 続柄として「父:滝杷」になるはず)
281名無しさん@ピンキー:2006/03/24(金) 16:27:17 ID:BNaQVrk9

ここでその名前を聞くとは思わなかった>広川太一郎
おまいらいくつですかw 


戸籍の件は280さんにほぼ同意。
篠崎家の戸籍を見ていたんだと思う。
養育費はポケットマネーから・・・・

282名無しさん@ピンキー:2006/03/24(金) 22:06:16 ID:jsnuf4o4
おお、たきえさんの戸籍に梨生ちゃんの名前は載ってないんですな?
すると正妻は全然知らなかった可能性もあるんですねー。なるほど。
無知なわたくしに、ご親切にどうもありがとうございます。

あの、これだけでは何なので、まだ途中なんですが嵯峨宮兄と律子ちゃんを
投下します。
最初の方、メガネ祭りの頃に書いたので、未だにメガネを引きずってます。スマソ
しかも途中だし! orz
いや、実は続きが書けないでいたので、前半投下して頑張りたいと思います。
283嵯峨宮兄×律子 1:2006/03/24(金) 22:07:54 ID:jsnuf4o4

「うぉ! 誰かと思ったら貿易商人か!」
「律子ちゃん、僕には千早とゆー名前が……」
「千早さぁん、そのメガネどーなさったの?」
「コンタクトの在庫がなくなったんですよ、眼科に行き忘れて」
「ほぇー、貿易商人がコンタクトだとは知らなんだ」
「とゆー訳で今日は眼科に寄りますね、律子ちゃんちょっとだけ待っててもらえますか?」
「ふぁーい」

今日は嵯峨宮家のご長男、貿易商人こと千早さんと植物園でお弁当を食べるのだ。
ちょうど桃の花が見頃だとゆーので花見も兼ねて、だ。
ねーちゃんは弟の千尋さんといそいそと美術展へ出かけたし、相変わらず嵯峨宮家と柿ノ本家の姉妹は仲が良いのだ。
まぁ、仲が良いと言っても一応担当は決まっていて、年増の割にロマンチックなねーちゃんは詩人の千尋さん担当だし、
わたしは千早さんの大きな財布が魅力とゆーわけで……。
しかし、何でいつの間に担当分けされちゃったんだろーなー??

眼科の待合室で、弁当の入ったバスケットを膝に抱えてしばし考える。
ダメだ、どー考えても思い出せん……。
まぁ、今日は天気もいいし、難しいこと考えるのはナシにしよーぜー……。

「……ちゃん。律子ちゃん!」
「ほぇ?」
ヨダレを拭きながら起き上がると、わたしは眼科の待合室で寝こけていたのだった。
「あ、もー終わったんですか?」
「うん、待たせてごめんね。じゃ行きましょーか」
「ふぁーい」

すーいすいと郊外を走る車の中で、千早さんが買ってくれたムギ666をむぎゅむぎゅむぎゅ。
「さっきは随分気持ちよさそーに寝てましたね、眼科で」
運転中の千早さんがくすりと笑って麦チョコを一粒つまんだ。
「あ、はい。なんか考え事してたら眠くなっちゃってー」
えへへ、と意味もなく笑いながら、そーださっきの疑問を聞いてみよう、とふと思った。
「ねえ千早さん。うちの姉妹と嵯峨宮さんのご兄弟は仲がいい訳ですけども」
「ええ」
「どーしてこーゆー組み合わせなんでしょーね?」
「と言いますと?」
「わたしと千早さん。ねーちゃんと千尋さん。普通だったら長男長女、次男次女になりそーですがね」
「そー、ですねぇ」
「思えばわたしは千尋さんと出かけたことがないし……」
「えっと、出かけたいわけですか、律子さんは」
「へ?」
「だから、千尋と出かけてみたいの?」

な、なんつーか、不穏な空気……。別に悪いことはしてないのにゴクリと唾を飲み込んだ。
いつもならへらへら笑ってくれる貿易商人が笑ってくれないぞ!
そっと運転席を伺ってみると、なんちゅーことだ。メガネで表情が読めないじゃないかっ!
「ち、違いますよ、やだなぁ。別にそーゆーつもりで言ったんじゃないっすよ、あははははは……」
車内にわたしの笑い声が空しく響く。
「そーですか。僕はまたてっきり、律子ちゃんは千尋とお出掛けしたいのかと勘繰ってしまいましたよ」
「あはは、違いますよー……」
「それに、千尋もいよいよ諒子さんとちゃんとお付き合いすることになったよーで」
「え、そーなんですかっ?」
「うん、律子ちゃん知らないの?」
「へー、初耳です」
ねーちゃんめ……。わたしに一言くらいあってもいーじゃないかっ!
284嵯峨宮兄×律子 2:2006/03/24(金) 22:08:36 ID:jsnuf4o4

助手席で黙り込んだ律子ちゃんの気配が怖い……。
この間の夜の出来事で、もう律子ちゃんも知ってると思ったんだけどな。
まさかまさか律子ちゃんは千尋のことを好きだったんじゃないだろーな。
なんだか哀しくなって鼻をすすった。ちくそー、あんなにいっぱいおごったのに……。
「千早さん、どーしたんですか鼻水」
「僕、花粉症で……ぐすん」
まさか花粉症が縁で千尋と諒子さんが結ばれたなんて、とても僕の口からは言えない。
ごめんね律子ちゃん。
そーだ、今日はせめて楽しい一日が過ごせるよーに僕がしっかりしなければっ!
「り、律子ちゃん、今日はお弁当を作ってきてくれたんだって? 楽しみだなぁ!」
「あはは、早起きして作ってはみたんですけど、いろいろ失敗もありまして……」
「いや、律子ちゃんが作ってくれたんだったら僕は何でも食べますよ」
「えへへ、そ、そお?」
へらへらと笑い始めた律子ちゃんを見てまずはほっと一息。

「うっわぁー! 満開ですねぇー」
律子ちゃんが上を見上げて声を上げる。
馥郁たる桃の香りが空気中に漂って、青い空に見事に咲いた桃が浮かんだ。
春らしい色合いのすとんとしたワンピースにゆるく編んだボレロを羽織った律子ちゃんはとても可愛らしかった。
ああ、なのに律子ちゃんは千尋のことが好きなんだな。
ショックだろーに健気に明るく振舞って、おじさんはちょいと感動しました。
ぐすんと鼻をすすり上げて、暖かい陽気の中をしばらくぽてぽてと歩く。
「この辺がきれいですし、そろそろお昼にしましょーか」
「そーですね」
ふたりでガサゴソとレジャーシートを広げて、律子ちゃんがバスケットから水筒やらおしぼりやらを取り出す。
そしてでっかい塗りの重箱を出すとふたを開けた。
「うっわー! これ全部律子ちゃんが作ったの?」
一の重には俵に結んだおにぎりとお稲荷さん。二の重は色とりどりのおかずがたくさん。
三の重はイチゴやら薄皮剥いた伊予柑やらフルーツ寒天やらデザートが。
「えへへ、ほとんどはかーさんが作ってくれたんだけどさ、でもこれは……」
と卵焼きを指差してえへへと笑った。
「し、失敗しちゃったんだけどねー」
「へー。じゃ、まずはこれを」
ぱくりとひとくち。……ん、甘いともしょっぱいともつかない……。
「お、おいしーですよ」
「本当か?」
にぱーと笑った律子ちゃんが卵焼きを口に入れて、なんとも形容のつかない顔をした。
「……貿易商人、無理しなくてもいーんだぞ」
「む、無理じゃない。ほら!」
何切れか一度に口に入れてむせ返る。
「もうしょーがないなー。ほら、麦茶」
「ありあと……」

「まぁでも実際、早起きして作ってくれたのが嬉しーですよ、僕は」
「ま、ね……。こ、今度はもっと上手につくるからさ」
お弁当も食べ終わってうららかな日差しが暖かく降り注ぐ。
律子ちゃんがふぁーと伸びをして後ろにぱたりと倒れこんだ。
「律子ちゃん。身体が冷えますよ……」
「……ん、早起きしたからねむ、い……」
そのままくぅくぅと寝息を立て始める。うーん、この子はどこでも寝る子だなー。
真似して寝転んで見ると、薄白く霞んだ空がのどかで、時折遠くから鳥の声が聞こえてくる。
あ、心地よい。。。。
……いつしか僕も睡魔に襲われてしまった。
285嵯峨宮兄×律子 3:2006/03/24(金) 22:10:22 ID:jsnuf4o4

「ここ、どこだ?」
空。霞んだ空に浮かぶももいろ。
薄いピンクに濃いピンクが重なり合うようにして咲き誇っているのは、桃?
目をぱちくりさせて左右を見ると、すぐ隣に貿易商人の寝顔があってぎょっとした。
えっと、桃の花見に来たんだっけ、んでお弁当食べて……寝ちゃったんだな?
隣で寝息を立てている貿易商人の顔をまじまじと見てみる。
こんな間近で男の人の顔を見るのははじめてだ。
なんだかいつもよりも年上に見えるのはメガネのせいだな。
これ外さないで寝てもいいのか? フレーム歪んだりしないのかな?
そっと手を伸ばしてメガネのフレームに手をかけて引っ張ってみる。
「ん……」貿易商人が顔を動かして、メガネは思いのほかあっさりと外れた。

ふーん。
切れ長の目に思ったより濃い睫毛。鼻梁がすっと通って前髪が額にかかっている。
こ、これは、なかなか、かっこいーんでないかい?
な、なんだか胸がドキドキする……。どーしちゃったんだ、わたし。
貿易商人が目をぱちりと開いた。
「えっと、誰? よく見えない……」
あ、メガネ外したからか? それにしても誰とはしつれーな。
「律子ですけど」
「ああー、律子ちゃんかー」
貿易商人が腕を伸ばしてわたしを抱き寄せた。えええええええええええええ!?
「律子ちゃんかわいーね……」
そのまま、また眠りに落ちた。寝ぼけてたのか?
って、この体勢、どーすりゃいーの!?
うわあああ、心臓がドキドキしてどーしたらいーか分かんないよーーーー!
た、助けてくれーーーー!


「ぼ、貿易商人さん、起きてくらさい……」
困ったような律子ちゃんの声で目を覚ました。
当の律子ちゃんは僕の腕の中で……。え? 腕の中?
ぱっちりと目を開いてあまりの状況に半ば呆然とした。
「ごごごごっご、ごめん!」
慌てて身体を離してメガネを、律子ちゃんが差し出したメガネをかける。
うーむ。状況がよく分からない……。
「り、律子ちゃん、えっと、こんな時に失礼ですが、タバコを吸ってもいーでしょーか」
「ど、どーぞ……」
一本くわえて火をつけて、携帯灰皿を持って記憶を手繰り寄せる。しかし困ったことに手繰り寄せる記憶も、ない……。

「えっと、大変失礼なことをしてしまいまして……」
「い、いえ」
律子ちゃんが隣りで赤い顔をうつむけてちんまりと座っている。
「その、他にもっと失礼なことをしませんでしたか?」
「ほ、他に失礼なこととは?」
う、やっぱり言わないとダメだろーか。。
「その、キスしたりとか、その他の欲望に基いた行為など……」
「そ、そのよーなことはございませんです……」
少しホッとして息を吐いて、真っ赤な顔で泣きそーになっている律子ちゃんの前でちゃんと頭を下げる。
「本当に申し訳ないです。寝ぼけて驚かせてしまいましたね……。ごめんなさい」
こくりと頷いて律子ちゃんが立ち上がった。
「だ、大丈夫ですよ。でも寒くなってきましたし、もう帰りましょう……」
286嵯峨宮兄×律子 4:2006/03/24(金) 22:11:47 ID:jsnuf4o4

帰りの車内の雰囲気はひじょーにぎくしゃくしていた。
わたしは未だにドキドキして貿易商人の顔をまともに見ることさえ出来ない。
で……、欲望に基いた行為、ってなんだ?
「貿易商人さん。欲望に基いた行為って何ですか?」
「はぁ? えっと、僕そんなことを言いましたかね……」
「いーました」
「そーですか……。なんと説明すればいいのか、その。男女間の、ある種の行為と申しましょーか」
「……さっぱり分かりませんが」
「ええと、律子ちゃんがですね、いずれ恋愛をすれば分かると思いますが」
「はぁ……。貿易商人さんに教えてもらうわけにはいかんのですか?」
「は!?」
思った以上に貿易商人は動揺して、ブレーキを踏んで路肩に車を停めた。
「り、律子ちゃん、そーゆーことを異性に不用意に言うのはいくないです」
「でも、貿易商人はわたしよりも年上だしいろいろ知ってるんだろ?」
「そ、それはそーですけど。でもこーゆーことは恋人とですね、ふたりでじっくりと深め合うものですから……」
「じゃ、わたしと貿易商人が恋人同士になればいーんじゃないだろーか?」
「えええ!?」

「り、律子ちゃんは千尋のことが好きなんじゃないんですか?」
「は? わたしは千尋さんを好きになったことは一度もないぞ」
「そ、そーなの?」
貿易商人が薄赤い顔で視線を泳がす。
わたしはもう後には引かないぞ、とぎゅっと歯を食いしばった。
「じゃ聞きますけど、律子ちゃんは僕のことを好きなんですか?」
「……うーむ。……そーゆーわけでもない、と思う」
「じゃ、やめましょう。興味本位でそーゆー言葉を弄ぶのはよくない」
貿易商人が少し怒った顔で言って、車をまた走らせた。


「ち、違うんだ……、怒んないで、貿易商人」
「千早です。ついでに言えば怒ってるわけでもない」
ただ、哀しいだけさ……。
「好きとかは分かんないんだよ……」
律子ちゃんが泣きそうな顔で言う。本人に分からないものを僕が分かるわけないしな……。
「だけど、貿易商人、じゃなくて千早さんと会ってると楽しいし、心地いいし、また一緒に出かけたいなって思うし」
……。
「そ、それにさっきだってさ……」
律子ちゃんがゴクリと唾を飲み込んで、小さな声で言う。
「さっきだってびっくりしたけど、ドキドキしたけど、でもなんか、その、うっとりしたって言うか」
うっとり、ねぇ……。ん? うっとり?
「あんなこと、他の人ならイヤだけど、貿易商人とならずっとくっついていたいって思ったんだよ」

この姉妹、鈍いとは思っていたけど、これほどとは思わなかった……。
再びブレーキを踏んで車を路肩に停める。
「律子ちゃん」
やさしく呼ぶと、律子ちゃんが泣きそうな赤い顔してこっちを向いた。
「律子ちゃん、ふつーはそれを、好き、って言うんじゃないの?」
「そ、そーなの?」
「僕はそーだよ、律子ちゃんに」
「わたしに?」
「うん」
287嵯峨宮兄×律子 5:2006/03/24(金) 22:13:05 ID:jsnuf4o4

う、うひょーーー!
このドキドキ感! この高揚感! こ、これが恋? 恋ってヤツなの?
あわあわあわ、と口が閉まらなくなって、助手席で身の置き所がなくてもじもじする。
貿易商人がにっこり笑ってわたしの頬に手を寄せる。うっわーーーーーーーーーー。
心臓が今まで生きてた中で一番ドキドキする、ダメだ心臓壊れるー。
「そんな怖い顔しないで」
貿易商人が笑って言う。こ、怖い顔してるのかわたし?
と思ったら顔が近づいてきて、額でちゅ、とやさしい音がした。
とたんに、ぼっと顔が熱くなり、わたしは座席の後ろに頭をパタンともたれさせた。

再び車を発進させて、貿易商人が鼻歌を歌い始めた。
「たのしそーですね……」
「そりゃーもう! 律子ちゃんは楽しくないの?」
「わたしはなんだかぐったりしてしまって……」
「そーですか? じゃ車でおやすみなさい。ついたら起こしてあげますから」
「……でも眠れそうにない」
くすくすと笑う声。なんだよ、貿易商人め。
もうお前のせいだー、この胸のドキドキをなんとかしろーーーーー!


もうすっかり日が暮れた。
リビングの電気をつけて中へ入り、「紅茶でいい?」と聞くと「はい」と答える。
お湯を沸かしながらちらりとリビングを見ると、律子ちゃんはソファに座ってぼーっとパセリの生茂る庭を眺めている。
クッキーの缶を開けて皿に移して持っていくと、ぼんやりと僕の方に向き直った。
「疲れましたか?」
「そーですね、なんかいろんなことがあって……」
「紅茶飲んだら送りますから、今日は早くお帰んなさい」
「うん。でも両親も出かけてますし、ねーちゃんも遅いしなぁ」
「あ、そっか。千尋も今日は遅いって言ってたしね」
じゃ、パスタでも茹でましょうか、と立ち上がる。
「うんにゃ、お腹はすいてないです」
おや、この子にしては珍しい。

「それより、欲望に基づく男女間の行為ってやつを教えてくらさい」
……鈍さゆえのこの表現なのか?
「その……、その、むくつけき表現はやめましょー……」
「じゃ、何て?」
「何にしろ、額にキスされただけで心臓壊れそうなくらいドキドキしてる律子ちゃんには早すぎます」
図星をさされて律子ちゃんの顔が赤くなる。かっ、かわいいなー。
そんな顔されると、おじさんはちょいといたずらしたくなっちゃいます……。
288嵯峨宮兄×律子 6:2006/03/24(金) 22:14:15 ID:jsnuf4o4

わたしだって今度は大学生だ、大人の女だ。そ、そーなのだ。
でも、貿易商人の手がそっとわたしの頬を覆って、顔が近づいてくると、腰がひけた。
「わわわわわ! やっぱナシ! 今のはナシ!」
貿易商人が間近でわたしの顔を覗き込んでくすりと笑う。
「律子ちゃん。男女間で、今のはナシ、とかは通用しないんじゃないかな」
「ふぇぇー、じゃどーすりゃいーんだ」
貿易商人が額に額をこつんとぶつける。そのままじっとして、わたしの呼吸に呼吸を合わせている。
早鐘のよーに打ちまくっていた動悸がようやく落ち着いて、貿易商人の体温が感じられるようになった。。
手の平の温みが、妙に心地よい……。
ぎゅっとつぶっていた目を薄く開けようとしたところで、唇に柔らかい感触を感じて慌てて目を閉じる。
「律子ちゃん、ちょっと肩の力抜いてみて」
貿易商人が少し笑いながら言う。か、肩に力入ってるのかなー? よー分からん……。
貿易商人がわたしの下唇をやさしく噛んだ。甘い電流が肩のあたりに走って、強張っていた肩が落ちる。
「ふぁ……」
なんとも情けない声が口から漏れた。でも、声でも出さないと息継ぎも出来ないんだぞ……。
貿易商人の舌が唇の隙間から入り込んだ。んあ、タバコだ。タバコの味とにおい。
苦いよーな渋いよーな味とにおいは、身近な誰もがタバコを吸わないわたしには結構衝撃的だ、けど。
だけど、そのにおいのする舌で口の中を探られるのは、……イヤじゃないのだ。
すぐその後に溶けるよーな甘さがきて、今度は無意識に「ぁ……」と声が漏れていた。

「ぼ、貿易商人……」
「千早です」
「ち、千早さん。なんかわたし変です」
「どんな風に?」
「かっ、身体がふわふわします……」
「じゃ、僕がちゃんと押えててあげますよ……」
言うと同時に、ぎゅっと抱き締められた。身体が甘く締め付けらて、そこから新しい痺れが身体の奥へ駆け抜ける。
あ、あ……。この感じ、何だろう。
ずっとこのまま抱き締めていて欲しいよーな、もっともっとぎゅうっと力をこめて欲しいよーな……。
身体から力が抜けた。間違いなく。唇や瞼の力も抜けて、貿易商人がさらに舌先を探り入れる。
ダメだ、脳みそ溶ける……。


力が抜けて頼りないほど甘い舌を味わいつくして身体を離すと、驚いたことに律子ちゃんは僕の胸にしなだれかかってきた。
「だ、大丈夫? 律子ちゃん」
「……ふぁー」
重そうに首を持ち上げ僕を見上げるその顔は、上気して目付きがとろんと蕩けそーだ。
あー、10歳年下なんだよな、うん。ついこの間まで高校生で、セーラー服を……。セーラー服。セーラー服か……。
いや、せめて大学の入学式が終わってから、だよな……。
でも思考とは裏腹に、僕の指先は律子ちゃんのボレロを肩から脱がせよーとしている!!
「貿易商人、もっとすんの?」
「い、いや。もーやめます! やめましょう、律子ちゃん!」
「んにゃ……。もっとしてもいーぞ」
「へ!?」
律子ちゃんが僕の胸に顔を当てて、そのままぐいぐい身体を押し付けてくる。
持て余した自分の身体をどうしたらいいのか分からない風情で、まるで子どもみたいだ。
289嵯峨宮兄×律子 7:2006/03/24(金) 22:17:33 ID:jsnuf4o4

ようやく余裕を取り戻して、半分脱がせたボレロをまた肩にかけてやる。
「ごめんね、僕が大人気なかったです」
律子ちゃんが恨めしそうに僕を見上げた。薄く開いた唇がまだ濡れて紅い……。
「……やめちゃ、やだ」
耳たぶまで赤くして律子ちゃんが怒ったように言う。
鈍い割に変に積極的なのは何なんだろう? この姉妹特有なのか? そーなのか、千尋?


貿易商人がつと立ち上がって紅茶のカップを片付け始めた。
「貿易商人、怒ったのか?」
「そーじゃなくて、飲み掛けのカップを置いたままではなんだか不自然でしょう」
「誰か来るのか?」
「千尋とか、諒子さんとかが。ここに出しっ放しで部屋に行っては、いかにも勢いで行ったみたいだから」
そーいやねーちゃんと千尋さんが部屋に篭っていた時、飲み掛けのミルクティが出しっ放しだったと思い出して、
ああ、そーゆーことだったのか、とやっと合点がいった。
ねーちゃんたちも男女間の欲望に身を任せたのだな……。
「冷静だな、貿易商人は」
「まーね、伊達に年を取っているわけではないです」
カップを洗ってる貿易商人を、わたしはただぼんやりと見ていただけなんだけど。
「じゃ、僕の部屋に行きましょーか」
貿易商人がにっこり笑ってわたしの手を取った。



つづく。




続きはまた今度です。

>265=219=220さま
ロレンス×柚子ちゃん投下前なのにごめんなさい。
私の続きはまだかかりそうなので、流れ気にせず投下しちゃってくださいね。
楽しみに待ってます!
290名無しさん@ピンキー:2006/03/24(金) 22:26:05 ID:YXn/MfvS
うおおおおおおおおおおおおおおおおお
そこで続くのかあああああああああああ
このじらし上手さんめ!GJGJGJ!!!!!!!!!
291名無しさん@ピンキー:2006/03/24(金) 23:21:14 ID:ekQsZAYj
何ーーっ!!ここまで?
続き続き続き続き…
292名無しさん@ピンキー:2006/03/25(土) 03:31:19 ID:bLGD3zHg
このカップル待ってました!!GJ!!
キスまでされても呼び名が貿易商人でワロス

気長に続きを待ってますよ
293名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 19:39:18 ID:9wz3COe5
おおおおお神きたー!!!
貿易商人と呼ばれ続けてる兄がちょっとツボったw
セーラー服でぐるぐるする兄もステキだw
ってここでおあずけ? じらさないでー。
294名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 23:33:42 ID:GxS+ZAzV
GJ!GJ!
295名無しさん@ピンキー:2006/03/26(日) 23:48:33 ID:gcn6Cp8n
>289
嵯峨ノ宮兄さんの尽くしがついに報われるときがきたのですね(w
これだけニアミスしても、どこまでもどこまでもニブい律子ちゃんが
目覚めていく(?)過程に萌え。
ドキドキしてるのに言動がすごく冷静なのが面白いです。
鬼引き(笑)に耐えつつ気長にお待ちしています。

>276
>280
いっそ氏が思いっきりいじり倒していたら違う意味で大化けするのでは…
なんて楽しみもあるにはあるのですが(笑
だけど、話が違ってても、ユダダが女の人でも、公開されたら
やっぱり観にいっちゃうだろーなーという気持ちもあります。

296名無しさん@ピンキー:2006/03/28(火) 10:46:05 ID:vl3hCu2I
なぜか書きこみが出来なかったorz

職人様GJ!GJ!GJ!
ハアハアしながら続き待ってるよ。GJ!



297名無しさん@ピンキー:2006/03/28(火) 22:30:07 ID:j6p2IMZa
おお、わたしも書き込みが出来ませんでした。。

>281-289書いたものです。
決して、じらしてる訳でも引っ張ってる訳でもないのです。
ただ、ただ、書いていなかっただけなのです。。 orz
でも嬉しかったです、ありがとうございます。

ようやく書けましたので投下いたします。
お付き合いいただきまして、ありがとうございました。
298嵯峨宮兄×律子続き 1:2006/03/28(火) 22:31:23 ID:j6p2IMZa
>283-289の間違いでした、スマソ。




律子ちゃんの顔がだんだん強張ってきた。
そ、そーだよな、勢いで部屋までつれてきちゃったものの、相手はこの間まで高校生だったわけだし。
心の準備なんか何にもしてなさそーだし、ここはひとつ僕が大人になって自制するべきだよな。

僕の部屋の真ん中にはダブルベッドがひとつ。ベッドのそばに小さな冷蔵庫がひとつ。
壁際のカウンターにパソコンが二台(仕事用と私用)。それから作り付けの本棚。
これだけのシンプルな部屋なもんだから律子ちゃんを座らせるのはベッドしかなく、隣に座ると少し身体をずらして離れる。
さりげなくくっつくと、また少し離れる。またくっつくとまた離れる。
じりじりとせまっていくと、じきにベッドの頭まで追い詰められて身を縮める。
……大人なんだから自制するべきだよ、うん。
そっと抱きすくめると、肩をびくりと震わせて頭を襟元に埋めようとする。
「もう何もしませんよ」
言うとこの時ばかりは顔をあげて、
「でも、怖くないぞ、大丈夫だ」
何故か威張って言う。
「じゃ何故逃げるの?」
「別に逃げてなんかっ」
僕をにらむ顔がたちまち真っ赤になって目をそらす。
「さっきの思い出したの?」
腕を身体に回したまま、耳元に息を吹きかけるように囁くと、力が抜けてくにゃりとなった。


あー、これからわたし、どーなるんだろ……。ムダ毛とか大丈夫だっけ? 今日のぱんつどんなのだっけ?
あー、もうダメだー。あー、耳がー、みみがー……。
貿易商人がわたしの顔を覗き込んでちょっと困ったように笑う。
そのまま再びキスされると、さっきの記憶が呼び覚まされて、まだ舌も絡んでいないのに小さく声が出た。
「まだ何もしてないよ……」
「だって、だって……、もーダメです」
「ダメって?」
さすがに言うのを躊躇って、でも、喘ぎと一緒に言葉が口から漏れた。
「気持ちいい……」
貿易商人が驚いたように目を見開く。
一瞬の間の後にわたしは乱暴に抱きすくめられて、唇はタバコのにおいでふさがれる。
あっと思う間もなく今度はベッドに押し倒された。

わー、 と変な声が出たけど貿易商人の耳には入らないのか、舌が乱暴に口の中を探る。
まるで波にさらわれた木の葉みたいに、わたしの身体は無防備だ。
どーしたらいいか分からなくて足をじたばたさせているとワンピースの裾が乱れて、貿易商人の腿がわたしの足の間に押し付けられた。
怖くはない、と思うんだけど、どーにも置いてきぼりをくらったみたいで不安で、身体に力が入る。

299嵯峨宮兄×律子続き 2:2006/03/28(火) 22:32:26 ID:j6p2IMZa

ぅ……、さっきの律子ちゃんのセリフで、大人の自制心とやらはどこかへ吹っ飛んでしまった。
いかんいかん、冷静になれ千早。冷静になるんだー……。
顔をあげて律子ちゃんの表情を探ると、目じりに涙をためて強張った顔で天井を睨んでいる。
「ご、ごめんね律子ちゃん。怖がらせてしまった」
「んにゃ、怖くはないけど、どーしたらいーのか分かんないぞ」
「そー、だよね、ごめん」

ふー、とひとつ深呼吸。
両腕でやさしく律子ちゃんのふわふわの頭を抱きかかえて、撫でながら唇を落とした。
すべすべした頬、つんととがった鼻の頭、きゅっとひそめている眉間、しょっぱい涙のたまった目じり。
唇を落とすたびに少しずつ、律子ちゃんの身体から力が抜けていく。
やがて下唇に舌を這わせると、口の中で小さく、ふにゃぁと鳴いた。
さっきは頼りなく脱力していただけの舌が、絡ませると小さく反応しておずおずと絡みつく。
ぅ……、また自制心がどっかに行ってしまいそーだ。ガマンだぞ千早……。


舌が絡みあうのが気持ちよくって、舌先が勝手に動いて貿易商人の舌に絡みつく。
いつの間にかわたしの口は大きく開いて貿易商人の唇に噛み付いていた。
「いて!」
「あ、ごめ、なさ……」
「いーよ、だいじょぶ」
「む、夢中になっちゃって……」
貿易商人がちょっと嬉しそうに笑う。
「夢中になるくらい、気持ちよかった?」
無言でうなづくと、またにっこり笑ってキスしてくれた。
今度は噛まないよーにしなくちゃな……。

ちゅっ、ちゅっと静かな部屋に響く音。
キスのことをちゅー、って言うのは音からきてるのかー。
やっぱり実践してみなければ分からんことは沢山あるんだな。
とか思ってる間に唾液がこぼれて顎へしたたり落ちた。
貿易商人がすかさず顎を舐めて、さらに舌を這わせる。
一瞬力が入りそうになるところを、貿易商人が肩をやさしく抱いて、わたしはほっとしてまた力を抜いた。
身体のふわふわは、もうずっと止まらない。

もう既にはだけて、ただ腕に引っ掛かってるだけのボレロを脱がされて、ふにゃふにゃしたワンピースは
太ももの中ごろまで捲れあがっているよーだ。
襟元に並んでいる小さなボタンを、貿易商人が一生懸命外そうとしている。
「貿易商人、それ飾り」
「え。そーなの?」
「うん、ファスナー後ろ」
貿易商人がわたしを抱き起こして手を後ろへ回す。あっとゆー間にファスナーもブラのホックも外されてしまった。
腕を抜いて、貿易商人がワンピースを腰へ落とした。
ばんざいをさせられて中に着ていたキャミもブラも脱がされる。
さすがに裸で向かい合うのは恥ずかしくて、腕を交差させて自分の肩を抱いてうつむいた。

「律子ちゃん、きれい」
「そ、そーかな? 貧弱で恥ずかしいんだが」
「そんなことないですよ、きれいで可愛いです」
顔に血がのぼって、耳まで熱くなった。わたしは無言で貿易商人の胸にあたまをこつんとぶつけた。
「それから律子ちゃん、しつこいよーですが、僕の名前は千早です」
貿易商人が笑って言って、わたしの身体を抱き寄せた。
背中をそろそろと指が上がっていく感触に身体に震えが走って、返事をするつもりがため息のような声が漏れる。
300嵯峨宮兄×律子続き 3:2006/03/28(火) 22:33:08 ID:j6p2IMZa

うーむ。僕の大人の自制心はさっき以来戻ってくる気はないよーだ。
両手で律子ちゃんの頬を包み込むと、律子ちゃんが薄赤い顔で見つめ返す。
軽く唇を合わせて、そのまま下へ降りる。律子ちゃんが顎をあげて、ごくりと唾を飲み込んだ。
ほそい首すじ、鎖骨、速く打っている鼓動が皮膚の上からも見てとれた。
右手をおろしてわき腹から肌を撫で上げる。どちらかといえば薄い乳房が息をする度に上下した。
乳房のいただきを撫で上げると、なめらかなふくらみがやがて指先に引っ掛かるように立ち上がる。
もう片方の小さなつぼみに唇をあててやさしく吸い上げると、同じようにぷっくりと膨らんで舌を押し返した。
律子ちゃんの息が荒くなって、喘ぐように必死に僕の首にしがみつく。
ぴくりぴくりと跳ねる様子が可愛くて指と舌先が何度も何度も肌を嬲る。
「あ、……ぁあ」
ぎこちないながらも幾度か甘い声を漏らしながら、律子ちゃんが薄目を開いて僕を見た。
「ぼ、えき商人。なんか、おかしくなりそー、だ」
「いっぱいおかしくなっちゃっていーんですよ」
「で、でも。……ぁあぁん」
力が抜けた半身を再びベッドにやさしく押し倒して、僕は自分のシャツを、ボタンを外すのももどかしく脱ぎ捨てた。

肌を合わせて抱き上げると、律子ちゃんのなめらかな肌が吸い付くようだ。
再び胸元を唇で愛撫しつつ、腰にたまったワンピースの布地をおろして足から抜いて、軽く立てた膝の間から下着の線に指をかける。
途端に律子ちゃんが息を飲んで、ぐっと身を起こした。
「貿易商人! わたし、おもらししたのか?」
慌てふためいて脱いだワンピースを手繰り寄せ、下着のあたりを隠そうとする。
「ど、どーしたの律子ちゃん」
「だって、ぱ、ぱんつが冷たいぞ」

あー……。
「律子ちゃん、それはおもらしじゃないですよ、安心してください」
「じゃあ何で濡れてるんだ」
手からワンピースを取り上げ床に放る。唇を胸元におとす。
膝を軽く撫でて開いた足の間からするりと手を滑り込ませて内股を撫でる。
律子ちゃんが目をつぶって震える息を吐いて、
「ちゃんと、聞いてるのか、ぼーえき商人……」
確かに、指を滑らすとそこはかなり濡れていて、知識のない律子ちゃんが勘違いするのも無理はない?
優しく指を上下させてなぞって、同時に赤くとがった乳首を吸い上げると、身体を震わせて小さな声をあげた。
「こーやって律子ちゃんが感じると、律子ちゃんのここは濡れるんですよ」
「ぁ…あ……。ど、どーして?」
「僕を受け入れるよーに、ですかね……」
一瞬何か聞きたそうにしたが、下着の上から小さなふくらみを捕らえた僕の指を感じたのだろう、身体が跳ねた。
甘えるようだった声は、高く細い嬌声に変わる。

下着をおろそうとすると、一瞬身体を硬くして膝頭をあわせたが、やがて力を抜いて腰を浅く浮かした。
小さく丸まった下着が床に落ちてすこし転がった。
さすがに膝をぴたりと合わせて身をよじって身体を隠そうとする。
横を向いた身体をそのままに、背中、腰からお尻のふくらみまでをやさしく撫で下ろして、やがて潤みであふれる場所にたどりついた。
後ろから指を浮かせてそっと濡れそぼったそこに触れて幾度か往復すると、横を向いて乱れたシーツを抱えた律子ちゃんが声をあげる。
そろそろいいかと中指を少しずつ潤みの中に沈めると、くちゅりくちゅりとなんともいやらしい音が響きわたった。
まだ何も受け入れたことのないそこはさすがに狭かったけれど、溢れる潤みが指を滑らせて飲み込んでいく。
指が中ほどまで埋まったところで「痛い?」と小さな声で聞いてみる。薄赤い顔で天井を睨んで一瞬考えて、ぶんぶんと頭を振った。

301嵯峨宮兄×律子続き 4:2006/03/28(火) 22:33:58 ID:j6p2IMZa

「異物感」という言葉が頭に浮かんだ。異物感、それだ!
その異物はわたしの中を探るようにやさしくうごめいている。
横を向いて背中を丸めて異物感のことを考えていると、貿易商人が顔を覗き込んだ。
顔だけ向けると、汗ばんだ額にかるくキスをして「かわいい」とつぶやく。
ちょっと気が緩んで、無理に笑ってみせた。また唇を合わせる。やさしいキスだ。
相変わらずタバコのにおいがするけど、前ほど強烈じゃないし前ほど鮮明じゃない……。
あ、タバコを持つ指もタバコのにおいがするのかな、貿易商人のゆび。
そう思った瞬間、異物は異物じゃなくなって、貿易商人が指を揺らすたびに身体が熱くなった。
乳首みたいに快感とはっきり呼べるものじゃないけど、自然に汗が出て、吐く息がいつしか声に変わっている。

「ぼーえき商人、あつい。からだがあついです。ぁー」
どーしたらいいのか分からなくて貿易商人に訴える。
「え、ここが?」
貿易商人が少し速く指を動かすと、確かに汗がじんわりとにじんでまた息が上がる。
「ぁあ、なんか分からんけどあついです。あつい……」
貿易商人がするりと指を抜いた。わけの分からん焦燥感から開放されて少しほっとして息をつく。
でもすぐにわたしの身体を上向きにすると、足の間からふたたびゆびを差し入れた。
ゆびが上向きにわたしの中を探ってる、あー……。
貿易商人が身をかがめて、わたしのそこに、貿易商人がゆびで探っているところじゃなくて、もっと敏感なところに唇を落とした。
あーやめてー、と言う暇もなく頭の中に白い線が走った。

「あ、ああ!」
上げた声があまりに大きいことに気付いて慌てて口を押える。
声を押える間もないほど白い快感が後からあとから押し寄せて、口から切れ切れの言葉が漏れた。
「あぁ……。やっ、こわ、い! あ、ぁ……!」
必死に訴えているのに貿易商人はやめてくれない。
「大丈夫、ちゃんとここにいますから」
と、片腕で腰を抱かかえられたけど、だって、だって、あ……!
だいじょぶ って ぼ えき しょーにん が こーゆー こと する から  こわ い  ん   じゃ  な  い   か …… !!

そこまで思ったところで頭の中でものすごい火花が散って、身体がはじけるようにびくんびくんと跳ねた。

目尻からひとすじ、汗だか涙だかがにじんで沁みた。
なんだか訳が分からないまま、呆然とベッドに身体を投げ出している。
手を動かしてみた、動かせないかと思ったけれどちゃんと動いてほっとする。
「しぬかと思いました……」
乱れた息を整え整え言葉を出すと、貿易商人が苦笑した。
「たぶんこれで死んだ人はいないと思うよ」
「……大人ってタフなんだね、貿易商人」
「あー、どーでしょう。ところで律子ちゃん」
「はい?」
「貿易商人て呼ぶのはそろそろやめてもらえます? 呼ばれる度に微妙な気持ちになってしまう」
「あー、はい。……千早さん」
「ええ、こーゆー時は、特に」
意外と繊細なのだな、貿易商人は。じゃなくて千早さんは。

ぼ、じゃなくて千早さんが立ち上がってクローゼットへ向かった、扉を開いて中をゴソゴソ探っている。
わたしは少しほっとして目を閉じた。疲れて眠い……。
戻ってきた千早さんは、今度はベッドの下の方に座ってもぞもぞと動いている。服でも着てるのか?
しばらくして「律子ちゃん」と裸の千早さんがわたしを抱き寄せた時、わたしは心底驚いて声も出せなかった。
……まだ終わってなかったのか!?
302嵯峨宮兄×律子続き 5:2006/03/28(火) 22:35:10 ID:j6p2IMZa

あ、やっぱり知らなかったんだよね、そーだよね……。
呆然としている律子ちゃんを抱き寄せて一度みじかいキスをして、耳元で囁いた。
「律子ちゃん、さっき濡れるのはどーしてか聞きましたよね?」
耳朶を噛みつつ乳首をやさしく撫でる。
「ぁ……、えっと、千早さんを受け入れるため?」
もう片方の手は肌を撫でながら下へ降りて、さっきまで指を受け入れていた周りをゆるゆると撫でる。
「うん、そーなんだけど。指じゃなくて……」
さっきの刺激を思い出したのか、一番敏感なつぼみは充血して赤く尖った。
「最初は少し痛いかもしれない……」
聞いているのかいないのか、律子ちゃんはもう何も言わずに快感に身を任せることにしたらしい。
目を閉じて可愛らしい声で喘いでいる。
潤みはまたすぐに溢れて指は再び中に吸い込まれた。
中を広げるように探ると、汗で律子ちゃんの肌が湿りを帯びた。
しつこいほどに指で押し広げてするりと抜くと、律子ちゃんがねだるよーに僕を見た。
無意識なんだろーけど、今の僕にはどーしてもねだるよーにしか見えない!

弛緩して開いた膝を両手で開いて、のしかかるように身体をかぶせる。
自身を潤みの溢れるそこに押し付けると、律子ちゃんが驚いたように目を見開いた。
「千早さん、それは、無理だ……」
呼び名が貿易商人から千早さんに変わっただけなのに、こんなにグっとくるものなのか……。
変なことに感心しながら、押し付けたまま幾度か潤みを上下させると、どこに当たったのかまぶしそうな顔で声を上げた。
「力、抜いてて……」
言いながら力が入る前にすかさず腰を前に出した。
そのままゆっくりと沈めると、さすがにきついものの何とかじりじりと奥まで沈んでいった。
律子ちゃんの顔を伺うと、息をつめて青白い頬で目をぱちくりさせて天井を見つめていた。
「……はいったの?」
天井から僕に視線をうつして、青い顔色のまま律子ちゃんが言った。
「うん、ごめんね、痛いよね」
身体を動かすのが怖いらしく、顎を2,3度かくかくと動かして頷く。

303嵯峨宮兄×律子続き 6:2006/03/28(火) 22:35:56 ID:j6p2IMZa

……これは、いたい。
さっきのところまでは「男女間の欲望に溺れるのも納得できるぞ」と思い込んでいたんだけど、これは、いたい……。
じりじりと熱く焼けたコテでも入れられたよーな気がする。
男女間の欲望につられたのはわたしの方だった、こんなに痛いなんて知らなかった。
ああ、休み時間に女友達がひそひそ笑いながら回し読みしていた雑誌、あれ見とけば良かったのかなー。
「初体験☆セキララ☆体験談」みたいなやつ。
まさかアレがこーなってこんなところに入るとは……。
ああ、せっかく千早さんと繋がってるのに、千早さんはやさしくてステキなのに、わたしってば何考えてるんだろ……。
なんだか情けなくなって涙が出てきた。
「あ、ああ! 律子ちゃん、泣かないで……」
千早さんがオロオロしてわたしの頭を撫でる。ますます申し訳なくなって涙がもう止まらない。

しかし、コテってアレか? 友達が巻き髪つくる時に巻いてたやつ。
泣きながら頭に変なことばかり浮かぶ。アレがコテなら形状も長さも似たり寄ったりじゃないか?
じゃ、じゃあ。熱く焼けてないだけ千早さんの方がなんぼかマシなんでない?
どんな理屈か自分でもよく分からないけど、ふいに涙は止まった。
千早さんがぎゅっと抱き締めていてくれるのが嬉しくて、さっきの焼けるような痛みはいくらかマシになった気がする。
……実際焼けてないもんな、うん。
「千早さん、もー大丈夫です」
ホント? と千早さんが顔を覗き込む。
「うん、泣いたりしてゴメンね」
「ううん、僕が性急すぎたから……」
あ、今なら言える気がする。
「千早さん」
「なんですか律子ちゃん」
照れくさくて、えへへと笑いながらも、まだ涙が滲んでるからたぶん泣き笑いの顔だ。
「千早さん。わたし、千早さんのことたぶん大好きです」

千早さんがにっこりと笑う。
「たぶんは余計ですけど、僕も律子ちゃんのこと大好きですよ」と言いながら顔中にやさしいキスが落ちた。
少しずつゆっくりと千早さんが腰を動かす。その度に新しい痛みが体内に走った、けど。
焼け付くような痛みは次第に薄れて、やがて身体の奥から揺さぶられるようなにぶい痛みに変わった。
千早さんが少し動きを速くした。わたしの身体をきつく抱き締めて、千早さんの顔がわずかに歪む。
快感にはまだ程遠い感触がだんだん強く奥まで行き来する。
身体を揺さぶられて、息と一緒に短い声が上がる。

千早さんの顔、汗で歪んだ顔が。
わたしの前髪をかきあげて愛しそうに何度も撫でる。
わたしも、ぎこちなく腕を伸ばして千早さんの頭を撫でる。10歳も年上のひとの頭を。
身体を揺さぶられる間隔が速くなった。
最奥まで突かれて、痛みと熱がわたしを波のように襲う。
千早さん、と首にしがみついて叫んだ。ちはやさん!
304嵯峨宮兄×律子続き 7:2006/03/28(火) 22:37:37 ID:j6p2IMZa

千早さんが身体を離して身を起こした。
さみしい。
でも、くたりと放り出した体は重くて、わたしは首だけ回すのが精一杯だ。
「なに、してるんですか?」
「いろいろと、始末を」
「ふーん……」
さみしい、さっきまであんなにくっついていたのになー。

「千早さん」
「なんですか? 律子ちゃん」
「さみしーです」
千早さんは何かをゴミ箱に捨てるとすぐ戻ってきて、ぎゅーっと抱き締めてくれた。
「律子ちゃん、さっき言ったこと本当ですか?」
「……わたし、何か言いましたっけ?」


忘れちゃったの……。
少しばかりがっかりして、それでも嬉しくて律子ちゃんをぎゅっと抱き締める。
律子ちゃんは、もう抱き締められても顔を赤くしたりなんかはしない。
満足気に目を閉じて僕の胸に顔をくっつけている。
「疲れたでしょう、少しお休みなさい」
「……ん」
返事をする間もなく、腕の中ですーすーと寝息を立て始める。
僕は寝顔にそっとキスを落として、それからよーやく大人の自制心を思い出して、少しばかり青くなった。




おしまい。




以上です。読んでくださってありがとうございます。
律子ちゃんが予想以上にぶっとんだ人になってしまいましたw


では、次の職人さま、ドゾー
305名無しさん@ピンキー:2006/03/28(火) 23:13:08 ID:p9kRkG0o
イイヨイイヨー
律子ちゃんよすぎw
306名無しさん@ピンキー:2006/03/28(火) 23:28:50 ID:GdCefBta
職人さまありがとです!
明日からしばらくPCが使えなくなるので、その前に読めてよかった

律子ちゃんがまだ終わってなかったのか!ってところで吹いたWW
307名無しさん@ピンキー:2006/03/29(水) 01:26:42 ID:OyksMxAg
貿易商人GJ!
律子ちゃん面白いなぁ〜。
エロなのに、読んでて楽しかったw
この日を境に、貿易商人の辞書からは「大人の自制心」とゆー項目は削除されてしまったのだな……。
308名無しさん@ピンキー:2006/03/29(水) 10:30:26 ID:n7NiXDPc
神!
GJ!!!!!!!!
309名無しさん@ピンキー:2006/03/29(水) 10:50:57 ID:eVN/Y/Oy
いやしかし、冷静沈着にゴム装備するあたりに
立派な大人の自制心が見えますよw
弟はその点まだ修行が必要だがwwwww
310名無しさん@ピンキー:2006/03/29(水) 21:12:11 ID:OyksMxAg
神の後に多少気後れもするけど、今日思いついたネタ。
意味もなくすっげー食欲魔人になった自分と、冷蔵庫にあった羊羹でネタが浮かんだw


「ふーん、春と秋にだけうつ病になったりするのかー」
季節性うつ病、なんてゆーらしい。
何の気なしにぱらぱらとめくっていた雑誌に載っていた記事を独り言のよーに音読する。
十中八九、夫はお菓子を食うのに夢中であんまし人の話には無関心だろうと思って。
それにしても、何で羊羹を、羊羹だけを延々と丸々一本食えるんだ、こいつは。
同じ人とは思えない。
いや、食欲魔人であることは前々から十分に承知していた筈だが……羊羹……。
そのサマを見ているだけでも気分が悪くなりそうだったので、
夕食後のまったりした時間を同じリビングの中でも離れて過ごしていた。
夫はテーブルで羊羹をかじり、妻はソファに寝そべって雑誌を眺めている。
何だかよくわからない内容のテレビがつけっぱなしだが、これはBGM代わりだ。
ああ家庭内ぷち別居。
「確かに春と秋に食欲が増したりするよなー」
「うぎゃっ」
急に、背後から弘文が顔を出したので私は雑誌を放り投げていささか素っ頓狂な奇声を上げた。
「あんだよみすずー、愛する旦那様に向かって『うぎゃっ』はないだろ『うぎゃっ』は」
「あんたこそいつの間に移動してるのよ! おとなしく羊羹食ってたんじゃなかったの?」
「ん。羊羹食ったからこっちにきたの」
オソロシイことをのたまう夫からそろそろと視線を外してテーブルの上を見ると、
綺麗に食べ終わった羊羹の包み紙が取り残されていた。
あんなにずしりと重かったアンコのカタマリを、ただそれだけを食い切ったのか。ありえない。
「……そう。で、アンタの食欲に春も秋もないでしょーが。
くだんないこと言ってないで、歯ぁみがいて寝なさい」
「何を言う、春には春の、夏には夏の、秋には秋の、冬には冬の味覚があるではないか。
僕を季節感のない男だと見くびって貰うと困るよ、みすず」
ソファ越しに、無意味にふんぞり返る夫の姿。
「カレーもきしめんも、季節感なんぞないわっ」
「うっ、酷いっ」
演技がかった仕草で打ちひしがれた夫は、次の瞬間私の雑誌を取り上げていた。
「あにすんだよ」
抗議する私の後ろから手を回し、不意に耳を食った。
「ひゃう……っ」
「急に、みすずを食いたくなったりもするんだよー」
「ば、ばかもの離せ!」
「春のみすずはどんな味がするかな」
そう言われて、身体の奥からぞくりとした。
「そんなの……違いなんてないわよっ」
負け惜しみを口にしながら、まぁいいか、とくったりと身体を預けてしまったりして。
……あ。
しまった、今の弘文のキスは、アンコ味だ。

おわり。
311名無しさん@ピンキー:2006/03/29(水) 23:04:12 ID:c7wNPi48
いいなー すごくいい感じだなーこのネタ
すごく好きだ GJだ

欲を言えば是非この続きを……
(と皆思ってるはず)
312名無しさん@ピンキー:2006/03/30(木) 18:14:47 ID:z2JNG18K
んだんだ
313名無しさん@ピンキー:2006/03/30(木) 22:57:35 ID:bO4qOOkp
>304
おもらし発言や「体が熱い」のやりとりが特に川原絵で浮かんできて笑った(w
コテに例えながら千早さんを思ってガマンする律子ちゃんが
かわいくって笑い萌えでした。
最後の段階でも好きに「たぶん」が付くのが律子ちゃんなんですね〜(w
面白かったです。おつかれさまでした!

>310
「春の味覚」に笑った。
なんだかんだ言いつつ、弘文さんはみすずさんが大好きなんですね(w
このあとどう展開するんだろ?楽しみ!!
(と、続きがあるものなら…と仮定して書き込んでみます。勝手言ってすみませんです)
314名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 08:15:44 ID:KCTMW5Jj
あの、もしもですが柚子ちゃんの続きを書いてくださっている方と
310さんが同じ方だったらすみません。でも面白かったんです。
書き手さん方いつも素敵な話をありがとうです。ご無理はなさいませんように。
315名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 17:44:59 ID:+6tG+lbk
笑う大天使の一臣さんと史緒さんを書いてみたくなりました。エロじゃなくてすみません。

司城家に引き取られてから1年が過ぎ、もうすぐ2年目がやってくる。
来たばかりの頃は猫をかぶりすぎてストレスを溜める事も多かった史緒さんだが、
日々の暮らしにも順応し、殿下ことにーちゃんともそれなりに?いい兄妹関係が築けている。(と思う

しかし親友の更科柚子さんのお宅訪問をした時から、史緒さんは捨てたはずの野望が再燃していた。
お泊りで出された朝食は、まさに史緒さんの憧れ、伝統ある日本の美。ミソ汁・玉子焼き・焼き海苔と干し魚・・。
やっぱし日本の朝はコメ・ミソ・ショーユの三拍子だよなー・・。本格的なコンチネンタル・ブレックファーストを
食べながら、史緒さんは心の中で懐かしいちゃぶ台をかじっていた。
しかし本格的なフランスのシェフ、吉田さんにそのような無体は頼みにくい。よっぽどの理由でもない限り・・。

よっぽどの理由・・・・?あるじゃないか!!私ってば、な〜んで今日まで気がつかなかったんだ!
史緒さんの目が授業中にきらーん!と光った。思わずにへら〜と笑顔がこぼれるのを教科書で隠す。
汚れを知らないアークエンジェルのお嬢様達はそんな史緒さんを見て、無邪気に賞賛のささやきをしている。
「ご覧になりました?史緒様の授業に燃える真剣なまなざし!」「ええ、見ましたわ!さすが才媛でいらっしゃる、
我が2年の救世主様。なんて凛々しいのでしょう。」「やはり私たちの目に狂いはありませんでしたわね。」
柚子さんと和音さんだけは黙って目で語り合った。「あいつ、またしょ〜もないこと考えとるな。」「んだなー。」

そんな周囲を余所に決意を秘めた史緒さんは、早速吉田シェフの元に向かう。
「あ、お帰りなさいませ。史緒様。おやつはご用意しておりますよ。」邪気のない素敵な笑顔である。
史緒さんはちょっと心が痛んだが、意を決してかくかくしかじかと吉田さんに相談した。
渡されたメモを見てしばらく考え込んでいた吉田さんだが、意を決したようにおっしゃった。
「史緒様のお心は、この吉田汲み取りました。及ばずながら全力を尽くさせていただきます!」
い、いや・・・そんなに気張っていただかなくても・・・と史緒さんは恐縮したが、
プロジェクトは既に第一歩を踏み出したのだ。「よ、よろしくおねげ〜しやす・・・でわ、おやついただきますね〜。」
へらへら笑いながら史緒さんは厨房を後にした。

数日後の気持ちの良い日曜の朝。すっきりと目覚めた殿下ことにーちゃんは、いつものように優美に食卓に現れた。
「おはようございます。一臣様。」「ああ、おはよう。史緒さんはまだ寝ているのですか?」
見れば、食卓にもまだなにも用意されていない。殿下は時間が早かったかと腕時計を確認した。

「お〜い!にーちゃん!今日はそっちじゃないぞ。こっちだ。こっち。」食堂の隅から史緒さんが声をかける。
食堂の片隅に畳が3枚敷かれており、その上にはちゃぶ台と史緒さんが座って手招きしていた。
「・・・・。」呆気にとられた殿下は、滅多に見られない点目になった。
背後から鍋を抱えた吉田シェフがやってきて殿下に耳打ちをする。
「亡くなったお母様のご命日とかで、史緒様が一臣様にもお母様の味を知っていただきたいとおっしゃりまして。
この吉田、及ばずながら力を振るわせていただきました。ご賞味くださいませ。」
・・・ああ、そうか。史緒さんはずっと母と二人でああいう食卓を囲んでいたのだな・・。一臣さんはしんみりとなった。
「にーちゃん、早く来いよー。ミソ汁が冷めるぞ?」史緒さんはニコニコしながら一臣さんの座布団を用意している。
「そうですね。こういう朝も新鮮でいいでしょう。」殿下もにっこり笑うと、優雅に座布団に座った。
・・・しっかし、どんな場面でも自分のスタイルをつらぬくやっちゃなー。まるで食卓に孔雀がいるよーだ。
ミソ汁をよそいながら、史緒さんは内心思いながら殿下を見ていた。
                                   続く(続けていいでしょうか?
316名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 18:22:04 ID:+6tG+lbk
書いてから時系列がおかしいのに気がついた(´□`;)
高校2年で引き取られたのに2年後も高校2年生ってサザエさんの世界だ・・。
すいません、脳内保管でお願いします。
317名無しさん@ピンキー:2006/03/31(金) 21:55:27 ID:myGQlz+i
>314
310ですが、柚子さんの続きの人ではないですよー。
昔ロレンス×柚子さん書いたことはありますがw

>316
気にしない気にしない。
ちゃぶ台の殿下がすげー笑える。孔雀て。史緒さんw
続き待ってますよ〜。
318名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 00:39:43 ID:fYFztSFI
>>315笑う大天使の一臣さんと史緒さん2
「ほれ、にーちゃん。ミソ汁だ。トーフとナメコだぞ。豪勢だな〜!」
史緒さんは殿下の食前にミソ汁を置いた。

吉田シェフさんがニコニコしながら料理の説明をする。
「本日のメニューは、史緒様のご指示で、手作りの味噌と豆腐から作りました味噌汁と、現地から仕入れたアジの干物、
これまた吉田めが精魂込めました納豆と焼き海苔、出し巻き卵、そして京都から取り寄せた野菜の浅漬けでございます。」

う、うーむ・・・・。もはや庶民の朝食とは言えない高級さだ。さすがわ吉田シェフ・・。

史緒さんは顔に縦線を浮かばせながらにっこり笑ってお礼を言う。「あ、ありがとお。吉田さん。とても素晴しいです。」
「では、ごゆっくり。いやぁ、日本料理も奥が深くて私もつい夢中になりましたよー。」と嬉しそうに去っていった。
・・・ナイス!庶民的とは言えないが、今後は和風の朝食もありかもしんない!史緒さんは高級朝食を前ににんまりした。
「わーい!納豆だ!納豆だ!なつかしー!!」史緒さんは納豆にからしとネギや醤油をたらし、ぐにぐにとかき混ぜた。
ふと見ると向かいの孔雀・・・もとい、にーちゃんは箸を握ったまま固まっている。
「どーした?にーちゃん。食わんのか?好き嫌いしてると大きくなれんぞ?」
「い、いえ、いただきますよ。」
殿下は汗を一筋たらしながら、ミソ汁と玉子焼きをつまみ始める。アジの干物にも箸をつけたが、どうも食べにくいらしい。

「しょーがねーなー。おぼっちゃまは干物を食ったことがないんだろ。」史緒さんは殿下の皿を取り上げると、干物の身を
ほぐしてやった。「ほれ。こうすれば食べやすかろ?よく子供の頃、かーちゃんがしてくれたんだー。」にぱっと笑って
ほぐした魚を殿下に渡す。「あ、すいませんね。史緒さん」殿下はにっこり笑うと史緒さんがほぐしてやった魚を口に入れる。
「・・うん。おいしいですね。史緒さんは母に可愛がってもらえたようで、僕も安心しました。」

そうか。。にーちゃんは金には不自由なく育ったが、かーちゃんの愛情はほとんどわしが独り占めだったんだもんな・・。
そう思うと、殿下に優しくしてあげたくなる史緒さんだった。なんとなくしんみりしてしまったので、史緒さんは
勢いよく自分の茶碗に納豆をかけて、がしゅがしゅとかっこんだ。・・・う、うめー!さすが手作り納豆さまだぁ!
じーんとしている史緒さんを、殿下は呆然と見つめている。
「・・・?あんだよ?にーちゃん。にーちゃんの分はそこにあるぞ?納豆はこーやって食べるのがうまいのさっ!」
「い、いえ・・。僕はこの納豆の匂いに慣れてないもので・・。ど、どうにもこの匂いがちょっと・・。」
「あんだよ。運動靴を脱いだ足の匂いとか言い出すんじゃないだろーな?」ぽろっ!と殿下が箸を落として絶句する。

                                 すいません続きます・・・
319名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 01:39:46 ID:Rd8WOKCO
殿下納豆嫌いか〜、何かイメージ沸くよw

他の作品の話も大好きだけど、ミカエル三人娘の話は何か特別なのよね。
だから、うpされるとすごく嬉しい。いつもありがとう、神々よ。
私だけのこだわりなんだけど…押し付けスマソ。
320名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 01:40:23 ID:Rd8WOKCO
おっ、3/32なのね今日w
321名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 03:20:44 ID:Om+9JgtN
>>318 笑う大天使の一臣さんと史緒さん3
「ふ、史緒さん・・・。食事中にそういう例えはちょっと・・・。」小さなちゃぶ台をはさんで無言の緊張が走った。
「あ、あら。ごめんあそばせ。私ったらつい・・。」さすがに殿下にこの例えはまずかったと史緒さんは後悔した。

優しくしようと思ったのに、なんでわらしはこうなんだぁぁぁ!内心穴を掘りたい史緒さんだが、今更引っ込みもつかない。

「で、でもね、おにーさま。この納豆は吉田さんが精魂込めて大豆を発酵させて作ってくださいましたのよ。
それに大豆は栄養満点!史緒はおにーさまにいつまでもお元気でいて欲しいと願っておりますの。ホホ・・ホ。」
それでも納豆に戸惑っている殿下に史緒さんは業を煮やしてしまった。殿下の納豆を取り上げる。
「ほれ。納豆はこーやってこーやってかき混ぜて、ご飯にがばっとかけてかっ込むんだ!にーちゃん!」
美しい褐色に光る納豆を殿下のご飯茶碗にがばっとかける。孔雀の分際で豆も食えんのか!軟弱な!
メイドさんに新しい箸を持ってきてもらった殿下は、意を決したように目をつぶって納豆かけご飯をかっ込んだ。
「・・・・。」「・・どだ?にーちゃん?」ちょっと可哀想だったかな、と史緒さんは心配になる。

「・・これ、おいしいですよ!史緒さん!」殿下は一気に納豆ご飯をかっ込むと、嬉しそうににこっと笑った。
不安そうだった史緒さんも嬉しくなって、にぱっと笑う。「そーだろ、そーだろ。なんたって高級手作り納豆だしなー!」
「いやぁ、なかなかいいものですね。こういう食事風景も。」メニューを克服した殿下はまたも優雅な物腰に戻る。
いつもの食卓テーブルと違い、ちいさなちゃぶ台は乗り出すと膝がくっつきあうほど近いのだ。
当然、殿下のにーちゃんの顔も近くにあって、話声も聞こえやすい。2年近く一緒に暮らして、ここまで近くで
食事をしたのは初めてだ。
「あ、にーちゃん、ご飯粒がついてるぞ。」優雅な殿下の口元についてるご飯粒を発見し、史緒さんは何気なく
ひょいぱくっとそのご飯粒を口に入れた。・・・はっ!しまった!!つい昔の癖でやっちまったぜ!・・・
恐れ多くも殿下のご飯粒を食べちまうなんて、私の馬鹿馬鹿!!またも史緒さんの顔に縦線が入った。
しかし、殿下はものすごく極上の微笑を史緒さんに向けた。「ありがとう。史緒さん。家族っていいですね。」
「そ、そか・・?でへへ・・・」史緒さんもつられて恥ずかしそうに笑う。
孔雀に見えていた殿下が、にーちゃんの顔に戻った。そっかー。にーちゃんてこういう顔だったっけ。
史緒さんは今まで殿下オーラで直視できなかったにーちゃんの顔を、今日初めて正面から見れた。

二人はちゃぶ台を挟んで食事を続け、残るは吉田シェフ渾身の京野菜の浅漬けを残すのみとなる。
「にーちゃん、待て。漬物はお茶と一緒が美味いんだ。」史緒さんはそういうと煎茶の筒をかぱっと開けた。
煎茶の温度など庶民は気にしないのさ!史緒さんはきゅうすに煎茶を放り込むとポットのお湯を無造作に注ぐ。
軽くきゅうすを揺すると、そのまま湯飲みにお茶を注いだ。
「おっ!にーちゃん!!見てみれ!茶柱が立っとるぞ!」ちゃぶ台の中央に並んだ湯飲みをのぞきこむ。
「ほう、どれどれ?」殿下もつられてちゃぶ台に乗り出し湯のみ茶碗を覗き込んだ。
「な?な?立ってるだろ?きっといい事があるぞー!」「そうですね。あるといいですね。」
茶柱に見とれていた二人が、額がくっつきそうなほど顔を近づけていることに気づいたのはしばらくしてからだった。
                           
                                  誤字や文章変ですがまだ続きます。
322名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 10:15:48 ID:EU5DxLU2
>>321 笑う大天使の一臣さんと史緒さん4
先に気がついたのは史緒さんだった。
うげっ!この体制は・・・ち、近い近い!近すぎるぞ!大気圏に突入しちまってるじゃねーか!
顔が縦線で埋まり硬直する史緒さん。
「ん?」急に黙り込んだ史緒さんを見上げる殿下と目が合ってしまう。・・・馬鹿っ!顔を上げたら余計至近距離だ!!
殿下のきらきらお目目が数cm先にあった。
殿下もこの体制はちょっとまずいと感じたが、やはり史緒さんのどアップに硬直した。

朝の柔らかな日差しが薄いカーテン越しから二人を照らす。
二人の視線は見つめあったまま時が止まってしまっていた。
緊張に耐えられなくなった史緒さんが、おとんちな発言をしてしまう。
「にーちゃん、納豆食べた匂いがするな。」
「・・史緒さんは口に焼き海苔がついてますよ・・。」殿下の優美な指が(いや、決して駄洒落ではないのだ)
史緒さんの顎に触れた。びくん!ま、まさかこのにーちゃん、さっきのご飯粒ぽいを逆にする気か・・・?

ガスッ!!反射的に史緒さんは、恐れ多くも畏くも、殿下の額に頭突きを食らわせてしまった。
クリティカルヒットをお見舞いされ、びっくりしている殿下に史緒さんはあたふたする。
「あ・・・。ご、ごめん、にーちゃん。頭が滑ったみたい」でへへ〜と笑ってごまかしてみる。
「頭が滑ったんじゃ仕方ないですね。」殿下も戸惑ったように愛想笑いをする。
実際、殿下も戸惑ったのだ。長年離れて暮らしてはいたが、史緒さんは大事な実の妹なのだ。
それなのに、あまりに突然の急接近に思わずときめいて・・・何をしようとしてたんだ!?僕は?
うわぁぁぁぁ・・・!殿下と史緒さんはそれぞれ心の中で叫んでいた。

「あ、まだお食事はお済ではなかったんですね。」腕利きシェフの吉田さんが作品の感想を聞きに来た。
きゅ、救世主だ!後光がさして見えるぞ!吉田さん!!
「あ、はいはい。すいやせん。あまりに美しい漬物に、お茶を入れつつ見とれてました〜。
どの料理もとっても美味しかったです〜。な?にーちゃん?」揉み手をしながら吉田さんを賞賛する。
「は、はい。心を尽くしていただいたメニューには驚きました。」色んな意味で・・・と殿下は心の中でつぶやく。
吉田さんは、まるで菩薩様のよーな満面の笑顔で喜んだ。
「さ、さて、にーちゃん。食べるのがもったいないくらいだが、浅漬けをいただこう!」
「そ、そうですね。いただきます。吉田さん。」
二人は小皿に美しく盛られた浅漬けを、もぎゅもぎゅと食べた。
すっかり完食をしたちゃぶ台の上は、史緒さんが入れた日本茶のみが残った。

「は〜・・。美味しかった〜。しゃ〜わせだなあ・・。」さっきのアクシデントも忘れて史緒さんが幸せそうに笑う。
一臣さんはそんな史緒さんを見つめていると、自分も幸せな気分になった。
「にーちゃん、ごめんな。おぼっちゃまには狭い畳とちゃぶ台の食事は辛かったろ?イベントはこれで終わりだ。
明日からは元の食卓に戻してもらうからな〜。」・・・和食は時々吉田さんにおねだりするつもりだが。
広い洋風のインテリアの中で、妙に浮きまくっている三枚だけの畳と小さなちゃぶ台のままごとのような臨時の食卓。
そこだけが異空間のように最初はめまいを覚えた殿下だったが、食事が終わる頃にはすっかりくつろぐ自分がいた。
若干のアクシデントはあったが、これが史緒さんの日常だったのだ。

「さて、腹も膨れたし。畳とちゃぶ台はわらしが片付けておくよ。にーちゃん。」座布団の上に立ち上がった史緒さんの
手を、殿下はとっさにつかんで引き止めた。「ん?どした?にーちゃん。足がしびれたのか?」
「違いますよ。・・・史緒さん、ここはこのままにしておきましょう。なかなか風情があってよろしい。」
「あん?にーちゃんがそう言うなら別にいいけどさ〜?」この豪華なインテリアの中に畳が風情なのか?
やはり根っからの金持ちの考えることはわからんな〜。
史緒さんは思ったが、確かにこっちのほうが史緒さんも落ち着くのだ。
殿下と史緒さんはそれぞれの内心を口に出さず、ただにぱっと笑いあった。

司城家の、平和でちょっと変わった日常はこうして過ぎてゆくのだった。
                                                 おしまい。
323名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 16:03:46 ID:e1elEasQ
>>322
乙!
戸惑いつつも真摯に向き合う兄妹(・∀・)イイ

>「頭が滑ったんじゃ仕方ないですね。」
殿下オモシロスw
324名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 18:32:59 ID:uVAWpG6P
おー、良いなあこういうの。こういうの読みたかったんだよ〜。
何と言っても実の兄弟なので、プラトニックでないとちょっと引いてしまう自分のような
輩にとっては ネ申! です。
冷静なツッコミぶりも史緒さんらしいし。
>孔雀の分際で豆も食えんのか!軟弱な!
ってあんた・・・・w
325名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 21:23:46 ID:YVBsIHaC
315を投稿させてもらいました。
エロにならなかったので、文句言われないかとちょっとひやひやしたんですが、感想ありがとうです!
326名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 22:39:43 ID:7a6yXyx7
文句どころかかなりいいぞ!
ぎこちない兄妹関係は、こんなささやかなイベントで氷解していったのですね、
そしてあのような仲良し家族になったのですねとものすごく納得した。
にしても、殿下が孔雀とはうまい!
327名無しさん@ピンキー:2006/03/32(土) 22:42:31 ID:2AZqQjya
いいよ!いいよ!いいよーー!
PCが使えるようになって、さっそく観にきたら ネ申 が!!
爽やか系でいい感じ、職人さん乙です
328名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 10:50:15 ID:TX/py1tx
>317
かえってすみませんです。一度に2つは大変かなーとか勘違いしてしまってorz
お二方失礼しました。どちらも続き楽しみにしてます。

史緒さんキテター!!
これからゆっくり楽しみに拝読させていただきます!
329名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 23:47:24 ID:oj7UYaJP
突然失礼いたします。川原泉作品など個人的に好きなスレをお邪魔しています。
今度したらばBBSにささやかな保管庫を作成しました。
もしまだ保管がお決まりでなかったら、
>>310
>>315様 ご両名の作品を当方で保管させていただきたいのですが、いかがでしょうか。
あつかましいお願いをして申し訳ありませんが、よろしくご検討ください。
許可がない限り、掲載はいたしません。
▲虹パロサイト21▲
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/6498/
作り立てでまだ空き家ですが、加筆や習性の自由はお聞きできると思います。

いきなりで失礼いたしました。
330名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 23:56:42 ID:62LXGlhS
>>329
えっと、315です。リロードしたら突然のお誘い、ありがとうございます。(ちょっとびっくり
時系列や誤字脱字ばかりでお恥ずかしいのですが、少し手直しさせていただければ私はかまいません。
少しお時間をいただけますか?
331名無しさん@ピンキー:2006/04/02(日) 23:58:32 ID:62LXGlhS
ただ、ここのルールがあるかもしれませんので私の一存で決めていいのやら、
ちょっとわからないです。それも含めてお時間くださいませ。
332名無しさん@ピンキー:2006/04/03(月) 00:11:22 ID:W0fUr5Yq
>>331
早速のレスありがとうございます。▲虹パロサイト21▲の管理人です。
突然勝手な申し出ですので、色々事情もあると思います。
まだできたてですし、焦っていませんので、ゆっくりお考え下さってお返事をいただければ嬉しいです。
住人の皆様にも突然の横レスで失礼いたしました。

333名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 19:12:30 ID:QLQWycoe
>>332
遅くなってすみません。315です。サイトも作られたのですね。
こんな駄作でよろしければ、保管してください。
ただ、2年生を3年生に治していただけると助かります。ぎりぎりつじつまが合うので、お手数おかけしますが
よいでしょうか?
334名無しさん@ピンキー:2006/04/04(火) 19:26:43 ID:O2N0UJ5y
>>333
ご了承ありがとうございます。こちらがお願いしたので、勿論ご希望に添うよう頑張ります。
他の作家様方にも、よろしくご検討いただけると嬉しいです。
▲虹パロサイト21▲ 
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/6498/ 掲示板
ttp://comicnovel.run.buttobi.net/  サイト
335名無しさん@ピンキー:2006/04/06(木) 22:58:31 ID:/9nvxVhi
>315
ごはんつぶから改めて家族にめざめた兄妹、素敵です。
殿下の「こういう顔」が是非見てみたい。
大気圏(笑)内では史緒さんのみならず殿下もドキドキしてたのか〜(w
とゆーことは、家族にだけでなくときめきにもめざめたわけですね(w
336名無しさん@ピンキー:2006/04/08(土) 10:34:13 ID:WDvUsSEo
>>334
川原スレに限らず、エロパロ板の多くのスレは>>2のテンプレにある保管庫さんに収蔵してもらってます。
スレに投下されたSSを残らず保管するサイトではなく、あなたが個人的に気に入った書き手、自分から
頼みに行った書き手のみ保管するサイトなら競合はしないでしょうが、少々気になりました。
337虹パロ21☆ ◆4ndMMyPCR. :2006/04/08(土) 16:43:12 ID:cPglkGYj
>>336
当掲示板にも書き込みがされていたのですが、
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/6498/1143983475/l100
ここのスレのローカルルールで決まっているのでしょうか。
もしそうでしたら今後お願いには伺いませんので、
ご検討下さい。
縄張り荒らしをしているつもりはありませんので、無理強いはいたしません。

338名無しさん@ピンキー:2006/04/08(土) 16:50:14 ID:ATpRKP72
別にルールとかいう話じゃないですよ。
これまでは>>2の人に収蔵してもらっていたってだけの話で。

異なる方針、異なるスタイルの保管庫が複数あっても別にいいんじゃないかな。
339名無しさん@ピンキー:2006/04/08(土) 19:56:16 ID:+u0mEKLZ
>>336
すみません、315です。自分も最初ローカルルールで保管先が決まっているのかと思って、
すぐお返事しなかったのですが、特に何もレスがなかったので承諾しました。
まずかったでしょうか・・・
別に重複転載でもこんな駄作を読んで楽しんでいただけるならかまいませんが、
個人的には、やはり保管前に一声をかけていただけるほうが嬉しいです。

このスレはとても穏やかで居心地がいいのですが、向こうの管理人さんもよくしてくれたので、
次回からもお願いしては雰囲気が壊れてしまいますか?
340名無しさん@ピンキー:2006/04/08(土) 20:39:33 ID:WtPJjSfh
気にすることはないですよ。
>>2の管理人さんも最近忙しそうで収録が止まってるし、
きちんと挨拶に来てくれて作家さんの要望も聞いてくれてるのなら小規模運営している保管庫さんに
お願いしてもいいと思います。
決めるのは作家さんだと言っているし、競合とかはあまり気にしなくていいのでは?
341名無しさん@ピンキー:2006/04/08(土) 23:11:08 ID:toqoWhnh
でもまあ、そこの保管庫も手広くやっていくみたいだしねえ。
少女マンガ系のスレには結構あちこち声を掛けてるし、少年マンガから種まで範囲を広げて、
今みたいに決め細やかな対応がいつまで続けられるのかな?
342名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 00:25:48 ID:rNGkZ2ht
>>341
ちょっと棘があるように見えるよ。作家さんを不安にさせるのはあまり良くないんじゃないかな?
サイトじっくり見てきたら、今日に限ってあっちの掲示板にも色々書き込まれてたけど、
管理人もちゃんと対応してた。
あちこちっていっても見てみれば声をかけてるのは
少女漫画ではここを入れて3スレと作家さんの自己依頼1
少年漫画は0
アニメも種だけだったから、あちこちとは言えないんじゃ?
運営方針も一応書かれてたし、悪くないと思ったけどな
343名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 00:36:16 ID:KdcYhT04
スレ丸ごとの保管は従来通りで良いのではないですか?
1レス、2レス程度の小ネタでさえ、投下のたびに保管の是非を尋ねて、
承諾を得られてから保管って流れを守るなら、更新速度も今以上に上がるとも思えませんし。
川原作品専用サイト、とかなら心動くものはありますけど、スタイル的には従来のものと同じですし。

気に入った作家様、気に入った作品を、個別にスカウトしていくのは誰憚る事はないのでご自由になされば良いですし。
344名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 01:11:56 ID:/Lwrrbly
投下したSSは従来どおりの保管庫さんに自動保管ってことにするの?
どっちでもいいんだけど、新しい保管庫の作家さんの談話室スレを読んでたら、
作家さんたちも内心は無断はいやって人が多くてちょっと考えた・・・
ここの作家様達はどう思ってるか一度確認したほうが良くないかな

そんなに頻繁に作品が投下されてるわけじゃないしどうなんだろう
345名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 01:48:46 ID:dD6AqgOV
逆に 「いいですか?」「いいですよ」なんてやり取りを いちいちしなきゃいけないのが煩わしいって書き手もいるでしょうね
それに 「保管していいですか?」 なんて直接聞かれたら 嫌でも断りにくくなるし
346名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 01:57:19 ID:/Lwrrbly
聞くと断りにくいから無断転載ってのも乱暴なんじゃ?
最初にどっちか、または両方OKかと書いてもらえば済むんじゃないの
読み手が意見するより作家様第一ってのはなるほどと思う
なんか最初から拒否的意見が多いけど、せっかくの申し出を邪険にするのもどうかと
347名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 02:11:01 ID:rNdwF3OH
っていうか、第二スレから既にテンプレに書かれてる保管庫を無断転載呼ばわりしてる方がよほど乱暴だよ。
余所のスレを見たって、一個一個のSSごとに了解を得てる保管庫なんて殆ど無いし、それで問題が起こってもいないし。
今までずっと利用しておいて、突然に無断転載だとか失礼な態度だとか、ちょっと恩知らずじゃないの?
348名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 02:38:14 ID:c/85f/KQ
独自の保管庫作るのもいいけど、二次創作だから検索よけとかしなきゃいけないし大変だよ。
検索よけタグ入れても作家のキーワードで引っかかっちゃう事も多いし。
いくつかの保管庫は検索で引っかかってるしエロパロ保管庫さんも検索にHITしてるんだよね。
あまり公になると原作者の著作権とかも絡んでくるし、作るならトップ名称を変えるとかの工夫が必要になる。
サイトからのDL画像とかリンクも使わないほうがいいし、アフリエイトバナーなんか貼るとすぐ引っかかる。
匿名の作家さんは無事だろうけど、サイト管理人はリスクが大きいから作ってくれる人は偉いと思う

関係ない話でごめん
349名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 03:19:04 ID:9QmhM+cv
ちょっと皆さん落ち着きませんか?
>315作家さんが新しい保管庫に保管するまで以来から二日間何も説明がなくて、
いいのかな?とOKした後数日してから>336が発言して、作家さんが困惑してるし
>337も決まっているなら無理強いはしないと書いてるし、なんだか当事者が蚊帳の外になってません?
言葉のあやで揚げ足取りをしてると雰囲気が悪くなると思うんですが・・。
もう皆さん寝てるでしょうから、また後でゆっくり話し合ってもいいんじゃないですか?
350SS保管人:2006/04/09(日) 13:18:59 ID:+NZHQftj
〜業務連絡〜

新しい保管庫もできるようで、より決め細やかな対応もできるみたいですし、
そちらにお任せすることにして当方からは削除させてもらいました。
お騒がせしました。
351名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 16:54:04 ID:kjl06s8o
なんか変な感じ…

初代スレからこれまで、不満を言う人なんか居なかったし
普通に保管庫の中のSSを話題にしてたのに
誰かさんが来た途端だもんねえ

向こうの掲示板は、スパムとか荒しが暴れてるとか言いながら自作自演ができるID無しを変えないし
管理人が言うことを信じれるかと言えば…

まあ、望み通り前任者を追い出せたし
宣伝通りのきめ細かい保管を期待しましょう


そして保管人さん、
これまでありがとうございました
352虹パロ21 ◆4ndMMyPCR. :2006/04/09(日) 20:23:52 ID:JTN03ekQ
すみません、管理人です。気がつくのが遅れて失礼しました。
サイトやうちの掲示板にもありますし、こちらでも書いていますが、
当方は元からの保管庫様を押しのけてまで保管を一任したいわけではありません。
住人の皆様がお気に召さないようなら以後お願いには伺わないとも書いています。

過去ログ読ませていただきました。
こちらが伺ったことで荒れてしまったことは申し訳ないと思います。

>351様。
当方の言い分が信じられないとおっしゃるのはご自由ですが、
「望みどおり前任者を追い出せた」というのはこちらの意思ではありません。
「きめ細かい保管を宣伝」しているわけでもありません。
できる限り対応したいと考えていますが、それを宣伝文句に使ってはいませんので
ご確認下さい。

再度申し上げますが、皆様がお気に召さないのなら今後も無理強いをするつもりはない事をご了承下さい。

315作家様にはとばっちりを投げかけてしまった形ですが、こちらがお願いしたので非はこちらにあります。
そちらもまたご理解いただきたくお願いします。

長文にて失礼しました。

353名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 21:12:05 ID:/O42b/YG
しっかし向こうの掲示板の管理人マンセーな空気って、すごく胡散臭いよなw

サイト開設してたった一週間、保管庫としてもまだマトモに稼動してないのに
あそこまで「将軍様の仰るとおり!」な住人達は凄い!

管理人からは自作自演し放題の環境から考えても、
まあ臭い臭いw
354名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 21:19:14 ID:zfvNwqWF
さっそく、串刺して文句言って何が悪い、って頭悪い信者がw
355名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 21:31:39 ID:CtgW73Fk
文句言ってるくらいならエロパロ保管庫さんに再度頼めばいいんじゃないの?
前の雰囲気とがらっと変わってるけど、もともとの住人?
356名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 21:37:29 ID:CtgW73Fk
IDなんて再接続や再起動で変わるから当てにならないのは確かだし、
そこまで目の敵にしてれば>352ももう来ないでしょ
ついでに作家さんも引いてこなくなるのが嫌なんだけど
357名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 21:38:52 ID:7aayYc3T
ほらあっという間に変わる
358名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 21:51:01 ID:/O42b/YG
>>356
IDがあれば、管理人→儲→管理人→儲って技は使えなくなる。

359名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 22:00:41 ID:7aayYc3T
自分は両方保管でも保管無しでもどっちでも良かったけど確かに雰囲気が変
撤退したのはSS保管人さんが決めたんだし、言い方に含みがあるように読めた
煽ってるレスにもそう感じる
はたから見てると、どっちが自演かと疑うんだけど
360名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 22:04:59 ID:7aayYc3T
別にあっちの人は荒らしとかしてないし、気に入らないなら断れば済むだけでしょ
なんでいつまでも引きずるの?
あえてID変えないで質問したい
361名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 22:06:49 ID:Ag7Axi0+
初代スレからあった保管庫を無断だ無断だって煽ってた人らは…
362名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 22:10:17 ID:7aayYc3T
>>361
無断だと煽ってた人があっちの住人だだっていいきれる?
むしろ釣りと考えた方がこの荒れかた見ても納得行くけど
363名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 22:16:20 ID:7aayYc3T
下手に何を言っても刺激するだけだろうからこれでやめるけど
決め付けて踊らされるよりスルーすればいいだけだと思う
保管庫は別にどっちでもいい。読み手が殺気立ってるのが一番まずいと思う
364名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 22:34:38 ID:zFks0Ptg
>>362
確かにあっちの掲示板に書き込んでる住人にこのスレまで来る勇気があるとも思えないね
あそこで好き勝手言ってればいいんだから、わざわざ荒らしに来るとも思えない。
むこうで晒されてた作家を庇いあってるけど、このスレのことは何も書いてないし
365名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 22:46:35 ID:8poGs6tC
>>358の様な自作自演の疑いについて、7aayYc3T氏はどうお考えで?

っていうか、2chでも強制IDは一定の効果を出してるんだけどねえ。
366名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 22:49:18 ID:T1YYnsPE
したらばだったら固定IDって手段もあるけどね。
367名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 23:00:13 ID:I3cG0uN9
>>358
2chにだってIDでない設定はあるし、余所がどう運営してようと勝手だと思う
いつからここはヲチ板になったのかと逆に聞きたい

そもそも問題点がずれまくってることのほうが対策練るべきだと思うけど?
368名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 23:09:31 ID:I3cG0uN9
今何個目の投稿かちょっとはらはらしてるからあまり連投したくないんだけど。
規制に引っかかるし

よーするに流れはこうでしょ
作家さんがSS投下したら新規保管庫が保管依頼に来た→作家さん迷う→なにもレスや注意がない
→じゃお願いしますと保管→保管が終わってからクレーム?→作家さんと保管人がレス
→どっちでもいいんじゃない?という意見とうちは元々保管庫があるのにという意見それに煽りが加わる
→泥沼化→エロパロ保管庫さんが撤退宣言→新規の保管庫がしゃしゃり出てきたせいだとまた泥沼
新規サイトを叩きまくる→現在に至る

問題は新規保管庫を叩くより保管を今後どうするかじゃないの
自分はどっちでもいいと思ってる
369名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 23:14:43 ID:G0x65YpL
確か30までは大丈夫なはずだよ。
370名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 23:25:52 ID:tngog9h8
>>368
【動画も】レンタルアップローダ(2ちゃんねる完全互換、384M)
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/9242006003/

このスレに、他の人に書き込んでもらえば良い。
他の人の書き込みがあれば連投規制はクリアできる、
371名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 23:26:54 ID:5dCdKCEi
>>369
1スレ10個じゃなかったっけ?(よくわからん
372名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 23:42:12 ID:5dCdKCEi
>>370
自分も他の板見たり書き込んでるけど、やってくれる人いる?
>318とだけ話したいの?規制に引っかからせて黙らせたいの?
自分も今の雰囲気悪いと思うよ・・・。住人みんなの意見はどうなの?
IDはやっぱり変えられるから水増しした意見でもわからないし
373名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 23:44:49 ID:5dCdKCEi
アンカーミス>368だった、ごめん
374名無しさん@ピンキー:2006/04/09(日) 23:58:47 ID:X2lrfawy
>>372
何が言いたいのか良く分からんのだけど?
余所のスレでも連投支援の為の書き込み依頼なんて良くやってることだよ。
予め他の住人に頼んでおいてから連投ってのは。

規制に引っ掛けようとか、黙らせようとか、あなたの発言がいちばん酷いことを言ってると思うよ。
375名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 00:17:42 ID:z+vZz3I/
みんな疑心暗鬼になってて今あんまりよくない流れだね・・・
とりあえず今後このスレに投下された作品をどこで収録するか考えるのが一番なんじゃないかな
以前の保管人さんにまたお願いするとか
虹パロ21 ◆4ndMMyPCR. さん以外で保管人やってくれる人にお願いするとかさ
去年もギスギスした時期あったけどそれを乗り越えてここまできたのにまた過疎っちゃうよ
376名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 00:35:15 ID:6nPQUws2
33 名前:21管理人★ ◆4ndMMyPCR. 投稿日: 2006/04/08(土) 14:03:35

>>31
お待たせしました。午前中は内職がしにくいので対応が遅れて申し訳ありません。

>ここはスレ単位での保管じゃなくて、
>管理人氏が気に入った書き手、
>自分から申し出た書き手みたいに個人単位なのかな?

スレ単位での保管は希望ですが、あくまで作家様の保管許可を頂いてからが方針です。


スレ全体の保管をするって言ってるんじゃないの?
377名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 00:44:05 ID:mXUHe1Yi
流れを黙って読んでたけどひとことだけ。
ぶっちゃけ、過去レス自分で持ってるから保管庫(゚听)イラネ

でもあると纏めて読めてうれしいよ。
文句言う人、このスレのまとめでも作ってよ。
そんだけ色々言いたいなら、きっとやれるでしょ。
378名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 00:55:45 ID:FVKMW5up
そりゃそうだね。
●さえあれば過去スレだって読める。
2chも収入が増えて安泰だし。
379名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 01:21:30 ID:f4MpPZqb
>>362
荒らしも叩きもいなかったこのスレに、どこからとも無く現れた奴が釣りを?
んなバカなwww

保管庫をウザったく思ってたこのスレの住人か、
テリトリーを広げようと狙った向こうの住人か、
どちらにせよ、保管庫(゚听)イラネ って意思表示でしょ。
で、その意思通りに撤退してくれたってことで、願ったり叶ったりだね。
380名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 01:24:18 ID:pZsniLbg
こういうやり取り見ててSS保管庫さんも面倒になったんじゃないの?
どこも新しく保管庫ができるとまずは叩かれる
それが嫌で断りもなく作ってる輩もいるんだからそれに比べれば全然まし
自分で作る事はしないのに文句ばかりってよくあるよな
むしろ重複してようが申し出てくれるのはありがたいことだと思うが
381名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 01:35:28 ID:KQBv7JNb
>>376を読む限りではスレ単位での保管をしてくれるようだが?
382名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 01:38:59 ID:UxlKePTU
>>379
むこうの言葉を使えばソースもないのに誰がと最初から決め付けてる奴はいるな
いちいち棘を含んでたり、嫌味なこと書きまくってみたりキモかった
どこからともなくは現れないだろ
昨日の午前中からあの掲示板になんか書いてる奴、時間見ると
>336 とかぶってるがw
31 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2006/04/08(土) 10:44:11 
ここはスレ単位での保管じゃなくて、管理人氏が気に入った書き手、自分から申し出た書き手みたいに個人単位なのかな?
383名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 01:43:39 ID:1KVfM9rw
過去SSまで問答無用で消すってやり方もどうかと思った
33 名前: 21管理人★ ◆4ndMMyPCR. [sage] 投稿日: 2006/04/08(土) 14:03:35 
>>31
お待たせしました。午前中は内職がしにくいので対応が遅れて申し訳ありません。

>ここはスレ単位での保管じゃなくて、>管理人氏が気に入った書き手、
>自分から申し出た書き手みたいに個人単位なのかな? 

スレ単位での保管は希望ですが、あくまで作家様の保管許可を頂いてからが方針です。
管理人が気に入った書き手さんではなく、保管許可をくださった作家様の作品を保管させていただきます。
(801等のBL物とオリジナルキャラとのカップルは原則として除外しています。)
これはスレの皆様のご意見でも多いので問題はないかと思われます。

同じ作家様でもこの作品は除外して欲しいなどのご要望もあると思われますので、それは尊重したいと考えます。

ご自分から申し出ていただけるならば、それに越したことはありません。

作家様の意思を尊重して運営する、といった意味では 個人単位になると言えますが、
作家様に対して無断転載と言う形は取りたくない、と考えます。
384名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 01:48:26 ID:Y22nNAt3
>>382
すごいぜ!
かきこみじかんからどういつじんぶつをみぬくとは!
きみのすいりりょくにはだつぼうだ!


まあ冗談はさて置き、「ソースもないのに」云々言ってる舌の根も乾かない内に、時間だけ見て同一人物認定?
人の振り見て我が振り直せって言葉を君に贈るよ。
385名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 01:50:01 ID:Y22nNAt3
>>383
っていうか、過去SSを無断転載してたって文句言われたんだから、
過去SSを消すのが当り前でしょ?
386名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 01:51:58 ID:UxlKePTU
422 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 
投稿日: 2006/04/02(日) 15:37:07 NoKWu7tY
無理しなくても自分らで保管庫つくってもいいんだよ? 
423 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 
投稿日: 2006/04/02(日) 17:45:58 Bm58XoUw
そうだな、自分らで保管庫作れば済む話だな
実際、そうやってるスレも多いし 
426 名前: SS保管人★ [sage] 
投稿日: 2006/04/08(土) 21:46:41 mV2Q5l3A
>>407
ごめんなさい、今だから言いますけど当時の317、324
、その他諸々は私でした。
  ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
自演認めてるが


387名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 01:57:54 ID:1KVfM9rw
>336があっちに書き込めば潔白は証明されるなw
388名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 02:02:10 ID:m1EI1buu
31 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2006/04/08(土) 10:44:11 
ここはスレ単位での保管じゃなくて、管理人氏が気に入った書き手、
自分から申し出た書き手みたいに個人単位なのかな?

35 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2006/04/08(土) 15:39:48 
エロパロ板にはかなりの数のスレを保管している総合保管庫があります。
(ちなみに篠原スレも川原スレも守備範囲)
かぶってる所は避けるのならご注意を。

ttp://red.ribbon.to/~eroparo/ 

38 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2006/04/08(土) 16:45:07 
>>36
つい先日、とある保管庫が問題になりました。
そこの保管庫を始め、各スレ独自の保管庫を持ってるスレばかりを狙って、
事前の承諾も事後の報告も無しにSSを収蔵。

しかも、既に保管庫があるスレなのに収蔵するのはなぜと問われ、
「要するにそこがヘボだから」と言ってたのです。

まあ、そんな経緯も関係してると思いますので、
報告さえきちんとしていれば大丈夫だとは思いますが。 

これが同一人物かも管理人にはわかるはずだが、嫌がらせに近い書き込みだな
389名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 02:11:16 ID:UxlKePTU
38 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2006/04/08(土) 16:39:57 
>>17
亀レスで蒸し返すようで悪いけど、
それって、自分はそのSSを書いた人の所属するサークルの者で、自分が指示して投稿させた物だ、
とか言ってた人のことでしょ?
後から書いた本人が”騙り”だって否定して、改めて削除は否定してたやつ。
そんなものを取り上げて、一方的に保管庫の人が責められてるのはさすがに可哀想だから言わせて貰うよ。 

これも忘れるなよ 
390名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 02:15:20 ID:eAsosInu
>>388
>報告さえきちんとしていれば大丈夫だとは思いますが。

あなたはきちんと報告してるんだからOKです、と言ってるような気もするのだが?
まあ嫌がらせだと先入観持って読めば嫌がらせにも見えるだろうかね
391名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 02:16:53 ID:48PGyUyg
>>389
管理人マンセーな書き込みばっかだから意に逆らうような書き込みは目立つねえw
392名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 02:20:05 ID:hTee7AdB
>>391
すごいなおまえ
れんらくすれぜんぶよんでいってるのか
どこがまんせーなのかかきだしてみろ
393名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 02:20:23 ID:EVHmOy8S
>>364
ここまでの書き込み、あっちの住人以外の何者でも無いと思いません?
394名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 02:22:40 ID:hTee7AdB
>>392
ほとんど管理人しか書いてないな
395名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 02:22:46 ID:eMS/Aclv
>>392
全部と強調するほど大量でもないような
396名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 02:24:05 ID:wLYHSbYu
連絡スレじゃなくて書き手スレ?
397名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 02:25:32 ID:UxlKePTU
>>393
ここまでの反レス、個人が書いてる以外何者でもないと思えません?
つか、スレでチャットしてるなよ・・・
398名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 02:25:39 ID:5ilZpAIV
このスレも終わりかなあ…

こんな煽りに占領されちゃあ
399名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 02:33:16 ID:EFRuLy5o
35 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2006/04/08(土) 15:39:48  
エロパロ板にはかなりの数のスレを保管している総合保管庫があります。 
(ちなみに篠原スレも川原スレも守備範囲) 
かぶってる所は避けるのならご注意を。 

ttp://red.ribbon.to/~eroparo/  
これを受けて
>337の確認に絡みだしたからじゃないの?
400名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 02:35:23 ID:BMN1JJPC
そもそも保管庫をルールで決めるってのも変な話だね。
401名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 02:54:13 ID:qa9a6F+S
篠原スレって王家スレと連動して大荒れしてたスレでしょ
402名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 03:06:08 ID:ov77oiyL
>>401
……そこまで知ってながら、その書き方は……
403名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 03:10:00 ID:kM+gkF59
>>402
掲示板見てスレまで出張しましたから。SS書きとして擁護したら荒らし認定されたけどね
404名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 03:15:33 ID:kM+gkF59
過去ここに投下させてもらって皆いい人たちばかりで嬉しかったのに、スレによってああもちがうんだ、
とレス読んでて、自分はここで良かったと思ったのに今ではまるで再現・・・
ちょっとがっかり
405名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 03:16:06 ID:Z66AC0bA
>>403
よそのスレで「あそこが荒れてる」って言うのは
「もっと荒らしてやれ」と言ってるのと同じだよ。
このスレの惨状が向こうにまで拡大したらどうするのさ。
406名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 03:23:33 ID:GlXJbC9h
ああ言えばこう言うスレになっちゃったんだね
言い返さないと負けだって人が多すぎる
スルーすればいいじゃない
407名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 07:25:01 ID:55NGeD/U
一気にスレが伸びてるからどんな大作がと思ったらこれかorz
おまえら全員クールダウンしる。
408名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 07:47:21 ID:MZryT+UA
そもそもまとめサイトって1つでなくてもいいんじゃいだろうかねぇ?
409名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 08:17:30 ID:mXUHe1Yi
こういうのこそ、自治スレでやればいいんじゃないの。
川原スレでやる必要ナス。
410名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 10:07:41 ID:41EpLn7c
正直読者の立場ではまとめサイトがあれば嬉しいけどなくてもどうでもいい。

他ジャンルの二次スレでSS書いてるが、2に投下した時点で
よほどのことがないかぎり取り消せないのは覚悟しているのだから
保管するなという言葉は無意味だと思う。
html化されれば読み返せるし、されなくても●保有者には読める。

いいじゃねーか、保管したい奴が保管すれば。
かたいこと言うなよ。もぎゅもぎゅ
やっぱりサー=ロレンスのは大きくて柔らかいんだろうな。
411名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 10:17:39 ID:QPA1d3Fb
>>407に同意。
カーラ君作品のスレにふさわしくない流れになってるぞ...
412名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 12:04:32 ID:/LKE4bm4
よそに頼んでもいいけど、保管させてって申し出を叩いてたらちゃんとした所は嫌がるんじゃないの
SSは読んでもらえてなんぼだし、転載元がはっきりしてれば複数あっても構わないと思う

こういう流れはスレ伸びてると期待して見に来たのに脱力感を覚える
413名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 16:52:10 ID:T+1P98ai
>>412
あなたはそれで構わないと思ってても、それが嫌って書き手もいるわけで…
それも向こうの書き手スレを見るに結構な数が
414名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 18:25:07 ID:lAl4z6VX
>>413おとといからロムしてたけど言わせてもらう
ずいぶん書き手スレを意識してるみたいだけど、職人や職人志望が本音を話しちゃいけないの?
このスレでもずいぶん好き勝手なこと言いたい放題なのに、職人はダメなわけ?
別に管理人さんをマンセーしてるわけじゃないけど、どこ見ていってるのか聞きたい
よそを非難めいたことは書くなと管理人氏にいわれて従うのが媚売ってるように見えるの?
ここだけじゃなくよそに投下してる人もいるんだけどね
保管はされても仕方ないけど、できればこうして欲しい・欲しかったと希望を話し合うだけでもいけないんだ
ずいぶん心が狭いですこと

415名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 18:29:47 ID:lAl4z6VX
ID変えないかトリつけて文句言って
416名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 18:42:18 ID:qAORRXmH
>>415
オマエモナー

人に言う前にトリ付けたら?
417名無しさん@ピンキー ◆auAjVFZD.E :2006/04/10(月) 18:46:12 ID:lAl4z6VX
これでいいんでしょ。さあどうぞ
418名無しさん@ピンキー ◆auAjVFZD.E :2006/04/10(月) 18:48:47 ID:lAl4z6VX
なんなら書き手スレに来てくれればみんなで歓迎しますけど?
419 ◆vPGSxyaeQs :2006/04/10(月) 18:51:07 ID:bup18sxf
>>414

これまで無断転載してたことが駄目、
これからも一件一件確認しないと駄目、
その職人や職人志望たちの本音の不満を受けて保管庫を撤退させたんでしょ、
これ異常なにが文句あるの?
420 ◆rdjy5m3SAw :2006/04/10(月) 18:56:28 ID:KFT0mn+Z
>>418
で、自分のフィールドに引きずり込んで袋叩きにしようってかw

ID変えるなと言ったりID無しの所へ来いとかコロコロいう事が変わりますねww
421名無しさん@ピンキー ◆auAjVFZD.E :2006/04/10(月) 19:02:06 ID:lAl4z6VX
駄目だとは断言してないけど。気分は良くないってのは本音だけど
IDなくてもIPわかるしね
422 ◆S9ZM/2viNw :2006/04/10(月) 19:05:45 ID:ofRo9DNI
>>421
管理人出張乙!
423名無しさん@ピンキー ◆auAjVFZD.E :2006/04/10(月) 19:06:41 ID:lAl4z6VX
ここに書き込んだのは言っとくけど自分の独断。
保管庫が撤退したのはむこうの勝手。
なんでよそのスレに書かれてることを真に受けて撤退したって言い切れるの?
424名無しさん@ピンキー ◆auAjVFZD.E :2006/04/10(月) 19:09:38 ID:lAl4z6VX
>>422
でたwお決まりの台詞。恥ずかしくない?
425名無しさん@ピンキー ◆auAjVFZD.E :2006/04/10(月) 19:11:07 ID:lAl4z6VX
同じトリの人が出てこないのはなんで?w
426名無しさん@ピンキー ◆auAjVFZD.E :2006/04/10(月) 19:13:07 ID:lAl4z6VX
ID変えようがトリつけようがいくらでも自演はできるってことだよね
よそのスレのに文句つける前に自分達の足元見たら?
話聞いても無駄だとわかった
では失礼。
427名無しさん@ピンキー ◆auAjVFZD.E :2006/04/10(月) 19:19:36 ID:lAl4z6VX
>>420
最後に一言。
>自分のフィールドに引きずり込んで袋叩きにしようってかw 

あんた達が今までやってきたことじゃん
428名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 21:06:39 ID:l35MqMlS
>>427
412だけど自分は肯定も否定もしてない。
ひとくくりにするのだけはやめて欲しい
429名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 21:10:33 ID:aEUaupv/
旧保管庫への収録を納得かつ満足していた職人さんたちと、
古い作品も読みたいと考えていた読者たちにとって、旧保管庫から
削除されてしまったことは、とても困った事態だと思う。

ちなみに私は後者。保管庫が複数あるのは有り難いと考えて
いたけれど、正直言って、新保管庫の管理人さんのやり方には
モニョってしまう。もっと穏便な、共存出来るやり方があったのでは?

一般に保管庫が出来たり増えたりすると、SS系のスレは作品投下で
活気づくことが多い。にも関わらず、今回こんな状態になってしまった
のは、新保管庫の管理人さんのやり方にも問題があったのだと思う。
念のため・・だからといって叩きや荒らしは論外。
430名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 21:30:12 ID:EvDUrL0p
できたばかりだし、やり方は変えてもらえたと思う
新管理人もできれば協力していきたいって書いてたし、今日も過去SSについては誰かが書き込んでた

ずっと見てたけどなぜああも最初から否定するのか自分も不思議だったよ
挨拶に来て1人の作家さんが保管OKしただけだったし、保管OKするまで迷ってたし
職人さんの談話室を作ってあったのがいけなかったのかな?
でも、あれはあれで職人さんの気持ちは汲み取れるからマイナスばかりでもないと思った
むこうの言い分も聞いてこっちの希望も言えばいいと思うけど
対応してくれなかったらそこで文句言えばいいんだし

こう書くと自演扱いされると思って黙ってたけど、やっぱり言われるかな
431名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 21:40:50 ID:IS+PYypN
新しく保管庫を作ってってだけだったら、多分そこで収まってたと思うんだけど、
わざわざ、無断で収蔵されてて嫌だったとか、篠原スレでの騙り騒動の対応が嫌だったとか、
いろいろと言ってたのが余計だったんじゃないかな。

新しい保管人も、言葉は丁寧に飾ってたけど、つまるところ
「ルールで決まってるわけじゃないでしょ、私が保管したって問題ないでしょ!」
そうじゃなくて前の保管人に一言くらいあっても良かったんじゃないかな。

こう書くと自演扱い(以下同文
432名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 22:01:19 ID:XtAkjjN3
>>431
それは管理人も諌めてたし、自演じゃないかと疑ったらきりがない
>無断転載発言やら他スレ騒動
実際ついさっきもトリップつけて騒動があったけど、同一トリップの反論はなかったし

それに新しく保管庫作ったからってわざわざ挨拶にいってる所ってあったっけ?

これも自演扱い(略

今は管理人氏本人も発言に来にくい状態ではあると思う
433名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 22:13:22 ID:en3toKTD
>>432
挨拶っていうか。
ちょっとスレを読み返してみたんだけど、見事に前の保管庫さんを無視して話してるね。
保管庫さんが収蔵してくれてるって事情を知った上で、まるっきり保管庫さんを無視して「書き手はどうなの?駄目なの?」って感じで。

これまた自演扱い(ry

っていうか、前の人も新しい人も、それ以外の人も、誰も保管庫を作ろうって思わないんじゃないかな?
すべて確認を取れと言われたら過去スレのものはアンタッチャブルになるし。
434名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 22:20:29 ID:8v2gnDwT
>>433
自演とは言わないけど叩きにはなってる
435名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 22:27:44 ID:3tshVS32
自分としてはもう当分このまま放っておいて、新保管庫が廃れるなり
他に無差別に保管しようという新手が出てくるなりするまでは
ノータッチでまったり雑談が建設的だと思う。
起きてしまったことを今更ぐだぐだ言ってても荒れるだけじゃないかな?

雑談で画面が埋まってくれば新規の作家さんが迷い込んで
投下してくれるかもしれない。
436名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 22:39:33 ID:Ctq5/ad/
ID変わってるかもしれないけど429と同一人。

>>430
職人さんの談話室はマイナスばかりではない、には同意。
ただ2chの外郭サイトである以上、ヲチポイントになってしまう
のも確か。隙あらば叩こうと考えている人間にとって、ああいう
誰にも見える場所での文句は乗じ易いものだから。その点で、
2ch系の保管庫をやるには脇が甘かったかも。

>>431-433
431さんの一言あっても、に同意。
私のロムしてる他スレでは、2つの保管庫があって、うまく共存
してくれてる。後発の管理人さんが前からの管理人さんに
挨拶に行って、協力体制を取ったらしい。
だから住人も感謝してる。
437名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 22:41:36 ID:dfMo2gvE
>>435
だから放っておくというなら「新保管庫が廃れるなり」とかって書くのは余計なんじゃ
エロパロスレは住人も重複してるんだし、そんなにあそこを潰したいのかと勘ぐるよ
OKしてる作家さんもいるんだし言葉は選んだほうがいい
それこそ荒れる元になるって
438名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 22:43:53 ID:Ctq5/ad/
ついでだから書いちゃえ。
329で突然勧誘が始まった時、「もしまだ保管がお決まりで
なかったら」って書いていたから、「1箇所の保管庫にのみ
保管できる」「先に保管した者勝ち」と考えているのかと、
かなりモニョった。

「既に保管庫さんがあるようですが、うちにも保管していい
でしょうか?」という聞き方ではなく、前からの保管庫さんに
対してどういうスタンスなのかなと。

けど、職人さん名指しのレスに横から口を挟むのもどうかと
思って様子見してたら、こんなことに。
名指しで聞かれたら、職人さんも断りづらかったろうな。
まあ今更な話だけど。
439名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 22:57:01 ID:dfMo2gvE
>>438
それも言ったらきりがないし後だしの意見じゃない?
文章って伝わりにくいし、悪く取ろうと思えばいくらでも取れる
一人は返答しなかったし、一人はよくしてもらったって言ってるし
保管されてからこうやってもめるなら最初の挨拶の時言えばよかったんでは?
種のスレでは先に運営方針とか住人が確認して作家さんがOK出してるよ
440435:2006/04/10(月) 23:00:57 ID:3tshVS32
>437
微妙に日本語の表現上のつまづきがあった。すまん。
廃れるってのは場合によっては何年も先。
管理人さんが忙しくなったり何らかの事情で続けられなくなったとき。
別に潰れろとか言ってない。
そうやって揚げ足取るより雑談しようよと言ってるだけなのに・・・。
ほんまに日本語って難しいな。



というわけで無理やり話題を振る。
中国の壺でたくみにーちゃんと志姫ができちゃっていちゃこいてると、
壺の中から飛竜が「うるさい!」って飛び出してくる姿を妄想してしまう。
そして複雑な三角関係へ・・・。
441名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 23:05:27 ID:Imywxw2o
あーうー、今更310です。
何故か名指しされて「何で?」と様子見してました。
そのうち忙しくなってきてレスを精読出来ずにいるうちに
えらい荒れてきて正直ビビってるのですが。
前にどなたかもおっしゃってたようにここに投下してる時点で
(保管庫だろうが個人的だろうが)保管されるのはある程度予測がつくので、
そもそもあるのかどうかも判らないようなこちら側の権利を主張する気はありませんでした。

一書き手としては、保管されるのはされるで嬉しいと思うと同時に、
ここに投下した時点でどうされようが構わない、と思ってます。
私はただ同じスレに住む住人さんに楽しんで・萌えて貰えたらいいと思ってるし、
ご意見ご感想があれば批評であってもツッコミであっても頂けると有難い。
そういうスタンスの書き手もいるということで。

……えと、前向きな議論はともかく、喧嘩はよろしくないと思うです。
桜でも見ながらお茶啜って落ち着いて……な?
442名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 23:07:15 ID:oLpB5qyg
ちょっと落ち着いてるようなので今のうちに。

>410
論議で流されてるけど
>やっぱりサー=ロレンスのは大きくて柔らかいんだろうな。
って何の話なんだ?w
443名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 23:11:08 ID:SmnplUnW
>>439
種スレには既存の保管庫が無いからねえ
444名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 23:32:17 ID:MZryT+UA
>>442
男塾を読めばわかる(謎
445名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 23:33:34 ID:3xFdoWUe
>>438
自分は、
「・独自の保管庫をお持ちで稼動していそうな所にはお願いは避けています。 」
と言いながら、
「ここのスレのローカルルールで決まっているのでしょうか。 」
とまったく避けてないって時点でモニョってた。
保管庫のことでスレが揉め始めても全く気にすることなく収蔵を始めたところで更にモニョった。
44621”管理”人 ◆4ndMMyPCR. :2006/04/10(月) 23:34:13 ID:lAl4z6VX
蒸し返すようで申し訳ありません。
まずは職人さんスレの住人さんが先走ってしまった事についてお詫びします。
ご本人も反省しているようなので、できればお許しいただきたくお願いします。
今後このようなことがあればあのスレは閉鎖します。

確かに最初ここへのご挨拶の時の表現がまずかったのも認めます。
保管人さんのところにも実はご挨拶に伺おうと思ったのですが、
管理人さんが長期発言がなかったことと、ちょうど荒れているようでしたので
余計刺激してしまうかと思っているうちにタイミングが外れてしまいました。

あちらの連絡掲示板424は当方が書き込みました。(あれも失礼かなとは思ったのですが・・
ご挨拶に伺ったところ、なにやら険悪そうでしたので僭越ですが第3者が介入しないほうが
いいのではないかと書き込み、落ち着いて管理人さんがお見えになるようなら
それからご挨拶をと考えていました。

さて落ち着いてきたから改めてご挨拶を、と思った矢先業務連絡の書き込みを見まして
挨拶に行く雰囲気ではなくなってしまったなと思っているのがこちらの事情です。

作家様をご指名したのも当サイトのみで保管したいと思ったからではありません。
やはり言葉がまずかったようで、現状のように荒れてしまったことも重ねてお詫びします。
447名無しさん@ピンキー:2006/04/10(月) 23:43:26 ID:s5BoDe6D
448虹パロ21 ◆4ndMMyPCR. :2006/04/10(月) 23:47:24 ID:lAl4z6VX
すいません、ブラウザのレスエディタ選択を間違えました
>>445
>保管を実際開始したのは4月4日、新しく更新したのは4月7日で、
>エロパロ板にはかなりの数のスレを保管している総合保管庫があります。
>(ちなみに篠原スレも川原スレも守備範囲)
>かぶってる所は避けるのならご注意を。

という書き込みを頂いたのが4月8日です

>保管庫のことでスレが揉め始めても全く気にすることなく収蔵を始めた
とおっしゃるのには語弊がないでしょうか。

449虹パロ21 ◆4ndMMyPCR. :2006/04/10(月) 23:53:31 ID:lAl4z6VX
>>447
ご指摘たしかに同じIDですね。
これは個人情報に当たるのですがトリップつきのご当人とはプロバイダと地域が同じです。
ここまであからさまに自演するほど初歩的ミスはしませんが、説得力はないですね・・・。
450名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 00:03:24 ID:5ilZpAIV
なるほどねえ、これほどのウッカリさんじゃあID無しの設定じゃないと駄目だよねw
451名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 00:06:28 ID:foiqvInH
>442
ここはエロパロだしねえ。必然的にw
じゃあハーフの織人くんはどうなんだろね。
大きさは西洋人、固さは東洋人じゃ大変だね、苑生さん。
452虹パロ21 ◆4ndMMyPCR. :2006/04/11(火) 00:10:02 ID:Qkfx3TAv
同じIDなのは弁解のしようもありませんが、21時までは職場からのアクセスでしたので、
DICEでIPは随時確認しています。
帰宅してすぐ接続しましたので、これには自分も驚きました。
どちらにしても申し訳ないとしか言いようがありません。
453名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 00:14:20 ID:pFUUbcnt
いや、職場でアクセスすんなよ
454虹パロ21 ◆4ndMMyPCR. :2006/04/11(火) 00:23:05 ID:x8dpAg79
親族の会社なので午前は忙しいのですが14時くらいからは内職可能なんです(ちょっとテスト
455名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 00:26:09 ID:bISMXAV4
もういいよ、痛々し過ぎるから
456虹パロ21 ◆4ndMMyPCR. :2006/04/11(火) 00:33:48 ID:tNKGkxd+
やはり何度か接続すると同じIPは出ます。やはり心外ですので
これで終わりにします。失礼しました
457名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 00:48:35 ID:mPcYYTC+
ていうか、だからここ川原スレだから。
ここで自治の議論されてもね。
458名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 00:59:05 ID:zEx3hD4j
337の「ここのスレのローカルルールで決まっているのでしょうか」の時は
喧嘩っ早い人だな、こんなんで2ちゃんの保管庫なんて出来るのか?と
不安に思った。でもまさか自作自演までやってたとは。
◆auAjVFZD.Eと同じプロバイダ、同じマンションだったとしても、同じIDに
なんかならないよ。

その他、前管理人に挨拶するならメールでも出来たでしょ?とか、
個人サイトじゃないんだからスレを占拠するのは止めて欲しいとか、
突っ込みどころだらけ。頼むからもう来ないで欲しい。


んで前保管人さんのカムバックきぼん。無理かなあ。
459名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 01:05:18 ID:8VcouIxu
80 名前:名無しさん@ピンキー ◆auAjVFZD.E 投稿日: 2006/04/11(火) 00:17:09
IDが同じ?説明に行きましょうか?
81 名前:21管理人★ ◆4ndMMyPCR. 投稿日: 2006/04/11(火) 00:18:34
>>80
いえ、説得力がないし、余計もめるのでいいですよ。
もしかして同じマンションの方だったりしますかね・・・
82 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日: 2006/04/11(火) 00:40:39
地域がかなり近いと空いてるIPが割り振られることはありますよ
実際、自分もそれで同一扱いうけたことありますから
83 名前:名無しさん@ピンキー ◆auAjVFZD.E 投稿日: 2006/04/11(火) 00:46:26
なんだか本当にすいません・・・同じプロバじゃアク禁もできませんね
84 名前:虹パロ21 ◆4ndMMyPCR. 投稿日: 2006/04/11(火) 00:47:17
いやもう本当にいいですよ^^;;
諦めました
85 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日: 2006/04/11(火) 00:50:59
動揺してますね^^;名前が・・・
86 名前:21管理人★ ◆4ndMMyPCR. 投稿日: 2006/04/11(火) 00:52:43
ほんとだ・・・専ブラのネームが並んでるから(汗)
いっそお詫びに行かないほうが良かったかも( ;∀;)
87 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日: 2006/04/11(火) 00:57:54
気にしない!!物理的にありえないことではないです。マジで。


共通点を探すなら、みんな…(三点リーダ)じゃなくて、・・・(中黒三つ)を使ってるところか。
SS書きの控え室なのにね。
ちゃんと教えてあげないと、文章の基本はw
460名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 01:23:52 ID:jc5VMFhS
>>456
いや、マジで有り得る事だから無理しないでいいよ
書くほどにネタにされるだけだ
重箱ほじられるだけだから黙ってた方がいい
地域型集合住宅とかだと空いてればそのIPは割り振られる事は事実ある
今はこういう流れだから面白がられるだけだし
早速やられてるだろ

読むときは(・・・)より(・・・)の方が読みやすいって好んで使う作家も多いのも
知らないのがいるし

これも自演乙だろうが

461名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 01:26:19 ID:fyFfHf9T
篠原スレで見られる自作自演の技

桑田乃梨子でエロパロhttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1143948870/27
27 名前:虹パロ21☆ ◆4ndMMyPCR. 投稿日:2006/04/06(木) 17:16:11 ID:DcAVUpzg
>>26 様
新作ですね!!お待ちしておりました。
完成したら保管させていただいてよろしいですか?

篠原千絵作品でエロパロhttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1074488949/837
837 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日:2006/04/06(木) 03:38:06 ID:DcAVUpzg
>>836
せっかくだけど無駄だと思いますよ
>826の作家さんもなんだか引いちゃって続きが来る気配ないし、
うちはエロパロ保管庫さんがSS保管してますから


こんなところにもw
つうか、かなり巧妙に世論誘導してるなあ。
462名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 01:31:31 ID:hVWZ1+pk
>>461
これも同じマンションの住人なんだw
463名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 01:33:47 ID:zEx3hD4j
> こういうサイトを始めるからには、それなりに起こり得ることを想定して
> 思いつく限りの対策を事前に行うのは普通だと思うのですがいかがでしょう?

と言ってた割にはオマヌケだったねw
つか議論厨で自分語りスキーだから、2ちゃんのHPで管理人なんて
最初から無理だって。もっと黒子タイプじゃないと。

>>460
この板のSS書きの控え室スレ見てみなよ。「……」と「・・・」が混在してる。
なのにあっちの談話室は「・・・」ばかりで明かにおかしい。他にも書き癖の
一致が色々あるけど、今後直されたらつまんないから書かないでおくw
464名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 01:35:39 ID:jc5VMFhS
だから有り得ない事じゃないと(以下略
投稿時間帯がかなり違うだろ
そこまでバレバレ自演に自ら気づかない馬鹿ならあんなサイトつくらんと思うが
粘着しすぎるのも人格疑うぞ
465名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 01:36:28 ID:mPcYYTC+
だからさ、川原スレだけの問題じゃないんだし自治スレでやっとくれー。
466名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 01:42:49 ID:g3ZlQc+C
>>464
ならどういう状況なら有り得るか答えてみなよ。

つうか、馬鹿だからこんな短期間にばれたんだろ。
467名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 01:48:14 ID:GpI8cGp+
集合住宅・会社のLAN・ケーブル等ではありうる
回線元は同じでProxy用PORTが開いているホスト
自分で調べてみろ
どっちでもいいがイジメカコワルイ
468名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 01:49:13 ID:GpI8cGp+
ネカフェも追記
469名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 01:49:49 ID:l3NyObrE
>>467
>集合住宅・会社のLAN・ケーブル等ではありうる

繋ぎ直すたびにIDが変わるのに?
470名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 01:50:13 ID:zEx3hD4j
>>465
自治スレでは保管庫の話はスレ違いと言われてるよ?
471名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 01:53:09 ID:O7GMk9KD
>>468
本人が自宅だと言ってるよ。

しかし、こんな状況で勧誘された二人の書き手さん、どうするんだろ?
472名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 01:54:10 ID:GpI8cGp+
自分は教師じゃないんだが
繋ぎ直すたびに変わるのはIPが空いてる時
1分で変わることもあれば1日変わらないこともある
473名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 01:57:01 ID:GpI8cGp+
早速他のスレでも祭りになってるし希望通り廃れて潰れさせることができるだろ
474名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 02:03:10 ID:N2RLqusd
謝罪に来てここまで騒がれるというのも珍しい
ヲチスレを見ているようだ
475名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 02:04:55 ID:MwiVLzoi
というか、謝罪に来てボロを出す、だろw

つうか謝罪と言うより言い訳と責任転嫁だな。
476名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 02:12:57 ID:TgYEb/It
>>463
88 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日: 2006/04/11(火) 02:06:36
自分ら同一人物らしいよw
89 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日: 2006/04/11(火) 02:07:52
いんでない?自分達がよくわかってるんだし
90 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日: 2006/04/11(火) 02:09:52
書き方が似てるって似せれば誰が誰だかわからないのにね
そんなテクもあるとは思わないんだろね



こんな時間に二人も居るってのは「オマエモナー」だからおいとくとして、
お前らはそんな雑談スレで常に文体を似せようとして会話してんのかと小一時間問い詰めたいw
477名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 02:21:22 ID:l/y0Xd4z
>>476
ID有りにしとけば、こんな一人漫談もできない、

もとい、

自作自演だと疑われなくて済むのにね、
なんでID無しなんだろ?
ID有りにして、デメリットも無さそうなのにね。
478名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 02:41:47 ID:7mcgTWjg
自演かどうかはくだらないからどうでもいい
結局
>>463
の言ってる通りだと思う。
479名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 02:55:00 ID:8evVL2MX
>>469
光通信だと、繋ぎ直しても一日まったくかわらんよ。

つーか、職人が降臨しづらくなるばっかだ、そろそろやめれ。
480名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 03:33:48 ID:zEx3hD4j
最後にこれだけは。
>>459>>463(=自分)が問題にしてるのは、「…」(三点リーダ=全角
1文字分のスペースに点が3つ)と「・・・」(全角の中黒3つ)の使い分け。
なのに>>460が書いているのは、「・・・」(半角の中黒3つ)と「・・・」(全角の
中黒3つ)の使い分け。

三点リーダを使わず全角の中黒3つを使うSS書きは、web上ではよく
見かけるし、どちらがいいかという議論もよくある話。
だけど、それを半角の中黒3つと全角の中黒3つの話と勘違いする、
作家の事情に詳しい人なんて初めて見た。>460

で、談話室の102も>>406と全く同じ勘違いをしていて、三点リーダの
話だと理解していない。初めて見たばかりのタイプがもう一人。
やれやれ。
481名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 04:19:47 ID:Aw1bYJhX
>>439
>種のスレでは先に運営方針とか住人が確認して作家さんがOK出してるよ

ちょっと待て。種住人ですが、まだ議論の最中といいますか
保管庫の話は荒れる元になってしまい、なるべく話さないようにしています
大体今回保管依頼した職人さんは、新規の方で
さっそく虹パロへ厨職人が誤字脱字訂正依頼してるし
せっかく保管してもらうならもっと文章見直せよ
482名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 08:28:04 ID:sYIp5mzP
しかし、向こうの住人イメージアップ作戦に必死だねw

IDが無いから雑談やSS投下時に便利とか言ってるけど、
まだ誰も雑談もSS投下もしてないのにねw

2ch用語使わないで済むって言ってるけど、ここも大して使ってないし、
そもそも管理人が顔文字使いまくりで、はっきり言ってここよりウザイんだけどw

何より、新着レスのメール告知設定にしてるらしく、活発な会話は禁止みたいなんだが、
それでどうやって盛り上がる積もりなんだかw
483名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 11:18:47 ID:SIGqbtw5
向こうの掲示板を、2ch専用ブラウザにURL取り込んで、
SS投下に向けてスタンバイしてる立場で言うと、ID無いほうが不便。

タイトル未定、コテトリ無しで投下してる人が居る場合、
SS抽出纏め読みにはIDを使うから。

日付が変わったり繋ぎ換えたりしてIDが変わるのは仕方ないけど、
それはまた別の話。
逆に、1日の投下分だけID抽出して読む事も出来るし。
484名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 12:04:19 ID:mBdrchwu
種スレ見てきた。あっちでは、ここより早くから変な応対を
してたんだね。
普通だったら歓迎される保管庫なのに、行く先々で揉める
元になっているのは何故か、それが分からないうちは保管庫
作ろうなんて無理だよ。

コテ+トリって只でさえ悪目立ちしちゃうのに、種スレもここも
一時はあの管理人の発言だらけで、スレの雰囲気ぶち壊し。
作品投下ごとに許可がどうの、修正がどうのというレスを
応酬されることが、どれだけスレの流れを壊すかも分かって
なさそう。

結論として種スレ599のこれに同意。
>好き嫌いを基準としなかったとしても、神視点から選別した時点で保管庫とは言わずただの個人収集だ。
485名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 12:43:28 ID:pg5KCYPi

保管庫補完委員会
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1117213788/l50

自治スレがすれ違いならこっちはどうか。
もうそろそろ元の流れに戻そうよ〜。
何人かがネタフリしてくれてるのに、降臨されるたびにこんなんだと困る。
486名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 20:39:03 ID:y1RXeFOc
それに乗じて

「こんなんなってるぞ、ロレンス〜〜」
…と大きくて柔らかいモノを無邪気に弄ぶ柚子ちゃんハァハァ。

 織人、ユーリ、ナッシュ、ミソスープの彼……。
思えば、それに近いハーフもしくは外国人男性キャラがけっこういるかも。





487名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 21:58:02 ID:lmMJmZVa
>>485
そーだそーだ!
私は先月からメガネロレンスの続きをず〜と待ってる者だ
早くエロを!
488名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 22:03:06 ID:mPcYYTC+
私なんてGHQの人の続き、未だに待ってるんだー!!!!!
エロを! 限りないエロを!! 川原エロが足りないんだしかし書けないんだ_| ̄|○
489名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 22:15:15 ID:lmMJmZVa
いいね〜良スレに戻るように盛り上げていこう!
職人様エロ町住人一同君臨をお待ちしています!!
490名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 22:16:19 ID:IBM7KDIA
柚子さんは照れるというか硬直しそうな気がする
ふみおさん、和音さんは嫌味言いながらもてあそぶふいんきだ
と言いつついつもは強気なのに照れまくって喰われちゃう三人もいいな
491名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 22:21:04 ID:mPcYYTC+
書けないけど、文句ばかり一人前でもと思い空の食欲魔人をちょっと書いてみてる。
けどちっとも進まない…あの二人の初エチーっていつなのさ…。
神々のすごさを改めて尊敬するよホント。
いつか投下できる勇気が出るまで、どうかエロ神様がこのスレを見放しませんよーに。
492名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 22:24:34 ID:lmMJmZVa
私の中では和音が一番奥手の気がする。
すっごく恥らってM和音とS俊介って感じ
柚子と史緒は肝が据わってるというか、なんでも受け入れそう
493名無しさん@ピンキー:2006/04/11(火) 22:32:20 ID:Mh4M/RHB
確かに俊介さんドSっぽい。
小さい頃から大切にしてきたお嬢様を虐めるってシチュもオイシイし。
史緒さんは強気に行くけど結局殿下に笑顔で翻弄されて、
柚子は一生懸命に頑張りすぎて素でロレンスを翻弄する、ってイメージだ。


>488
自分もずーっと待ってるんだー!
あと一歩ってところで寸止め状態だよね。
続き読みたい……
494名無しさん@ピンキー:2006/04/12(水) 00:15:40 ID:ZtuiV9rm
>>488>>493さんすんませんでしたー!!(フライング土下座
まさかアレの続きを待ってくださってるお人がいるとは
毛ほども思わず!!慌てて引っ張り出して書き足しましたが前回どこで
うっ止まっているのかさえさだかでなく!その辺りかなと
思しいところから一応投下しておきます!

GHQ、志貴さん×七緒ちゃんです。本当申し訳ない。


 おじさんの今の脈拍は、慌しいのだろうか?今のわたしのように。
 思えば誰かに抱きしめられた記憶なんてなかった。二親は物心がつく前に亡くなってたし、
育ててくれたおばあちゃんは抱っこよりおんぶ派で、おぶい紐で背中にきっちり背負われて、それも
本当にちっちゃかった頃の思い出でしかなくて。
 わー。極々当たり前のことではあるけれど、おじさんの胸、わたしのそれとは違ってなんだか
凄く男の人なんだなあと思ってしまう。脂肪の含有率の差かどうか知らないけれど、男の人って
案外固い。
 そんでもって何故か安心してしまう。身を凭せかけたくなる。あったかい。
 どうしよう。これは凄くクセになってしまうような、気がする。
 見たいなあ、おじさんの顔。どんな顔しているんだろう。
 こっちが仕掛けて始めたことなのに、おじさんに先を越されてばかりでは癪に障る。ということで
わたしはおじさんのシャツに手を伸ばした。・・・それにしても自分のなら楽なのに他人の服のボタン
を外すという作業はどうしてこう難しいんだろうか。ついでに、いつもよりわたしの指先が利かない
ような。もどかしいのか、恥ずかしいのか。
 上手くできないわたしの気配を察してか、おじさんは自分でボタンをはずし始めた。余計な真似を。
 そうやっておじさんは自分の分のシャツを脱いでしまって、脱いだシャツをどうしようかと
ちょっと思案顔になってベッド脇の椅子に手を伸ばしてその背に掛けた。
 その挙動でいやおうなく目に入ってくる男の人の体、という奴に、あたしの頬が自然と
熱を持って赤らんでいくのが分かる。
「七緒さんの頬、真っ赤ですよ」
 そりゃあもう赤いりんごに唇寄せて・・・って、頭で諳んじている場合ではなく。う、わ、
うわわ、わ!ほほほ本当に唇をっ、わー!!ぅゎー・・・。
 絶句。
 き、キスを、してしまった・・・!!おじさんに度々不意打ちを食らわされてはわたしの気は
動転する。どうしたことだ、常時のわたしは何処をほっつき歩いているんだ、静まれ脈拍体温上昇。
 しかも思えばファーストキスという奴ではなかったかしら、これは。
 今夜は色んな初体験を一気に済ませてしまうことになるんだなあ。しみじみ。
 ・・・している場合か?
495名無しさん@ピンキー:2006/04/12(水) 00:20:40 ID:ZtuiV9rm
 計画の初段階に躓きがあったのだろうか。
 酷く混乱する。冷静なままで居られない。やたら、そう、ドキドキする。
 シェイクスピアの劇に出てくる恋に落ちた乙女みたいに。そういえば彼女はたったの14歳だった。
 早熟な、風のように駆け抜けていった恋。僅か五日。
 死という幕引きで終わりを告げてしまったけれど。
「おじさん、正和さん」
「はい、なんですか七緒さん」
 律儀に名前を呼んでくれる。
「あたし、おじさんのこと大好きなようなんですが」
 あ、おじさんが固まってしまった。
「だいじょーぶですか?」
 コンコンとノック、ではなく頬をぺちぺちしてあげたら、おじさんはやっと正気に返った。
「・・・はっ、あ、ああ、はい平気です、あっ、いややっぱりあんまり平気じゃないかも・・・」
 もごもごと口篭るおじさんの顔が真っ赤だ、さっきのあたしみたいに。
「し、心臓に悪い」
 どういう意味だそれは。
「・・・僕も・・・七緒さんのことが好きですよ、とても」
「ああ、それは良かった」
 あたしはにっこり笑った。
「じゃあ、二人して楽しく長生きして共白髪になろうね」
 花のように散る美しい恋人たちでなくて良いから。
 肉親との縁が薄くて、でもたった一人温かく包んでくれたおばあちゃんのお陰で
充分心は満ち足りて、でも結局天涯孤独になってしまって途方にくれてたところを救って貰った。
 不器用で妙に世間ずれしてなくってすごく音痴で変なところ依怙地で優しくって。
 おじさん、もし貴方が居なくなっちゃったら、あたしは寂しさでどうにかなってしまうかも。
 ぎゅっとおじさんの胸に顔を埋めると、おずおずと強く抱き締めてくれた。
496名無しさん@ピンキー:2006/04/12(水) 00:22:28 ID:ZtuiV9rm
「あのね、たとえおじさんが持久力と体力に自信がなくても、わたしは全然構わないから」
「は、はは・・・」
 何せわたしには比較対象できる経験が一切無いことではあるし、志貴正和さんは御年三十四才。
「・・・おじさん、って。初めてじゃ、ないんでしょ?」
 聞いた。聞いてやったぞ、とうとう。
 おじさんは最初目をぱちくりさせてから段々と台詞の意味を理解したらしく、赤くなってあたふた
して汗をかいて口ごもった。そんでもってあたしは意地悪くもそんな様子がちょっと面白いとか
思っちゃったりして。
 じーっと見つめる私に気圧されてか、顔を逸らしながらちっちゃな声で、「・・・はい」
 えっ。
「ほ、ほんと?」
 いやおじさんの年齢で今までムニャムニャをしたことがないというのもアレだと思うけれど、
その口から直接聞くと理不尽以外のなにものでもないような気がしてくるから不思議だ。
「それは僕も馬齢を重ねていることですから、な、何度かの体験は経てはいますが」
 でもあんまり多くはなさそう。おっと失言、でもそっちのほうがわたしには嬉しい。
「お手柔らかにオネガイシマス」
「こ・・・こちらこそ」
 二人してみょうちきりんなやり取りをしてから、あたしは自分のパジャマのボタンを外した。
 ふわっと柔らかい素材で作られたパジャマはいかにも女の子の着る奴で、
でもそれほど装飾過多でもない。四つしかないボタンを外して前をはだけると、
おじさんはなにやら目の遣りどころに困っているようだった。
「ごめんねおじさん」
「え」
「男の人って、大きい胸が好きなんでしょ」
「な・・・七緒さん、一体どこでそういう話を」
「雑誌とテレビとラジオ番組」
「・・・・・・」
 おじさんは黙り込んでしまった。現代は情報社会、しかもどーでもいい話題ほど大衆は
面白がって受け入れるのですよ。特に乳がどうとかこうとか。おじさんは精々新聞くらい
でしかメディアと・・・というか、現世と繋がってないから、それも経済新聞が主だったり
するから尚更免疫がないんだろうけども、ね。



まだここまでですが、続きは必ず!
497名無しさん@ピンキー:2006/04/12(水) 00:47:41 ID:l4Fp2Wt4
神は……いる!
おじさーん、七緒さーん、幸せになってくれー!
498名無しさん@ピンキー:2006/04/12(水) 00:49:26 ID:vfNYznH6
えっと、これの前段階って…?
499493:2006/04/12(水) 00:56:40 ID:VIvEqo/c
>494神
うわー!嬉しいー!!
本当に言ってみるもんだ……
もう職人様自体このスレ見てないかも、と思いつつ
駄目もとで呟いてみたようなもんだったから、本気で嬉しい。
照れるおじさんと恋する七緒さんが最高に可愛いです!
続きも楽しみにしてます!
500名無しさん@ピンキー:2006/04/12(水) 02:23:01 ID:ssAHLMmu
GHQの神様お帰りなさい!!!
密かに待ち焦がれておりました。続き読めてすげー嬉しい。
ありがとう。
501488:2006/04/12(水) 07:14:33 ID:xVC4n/+5
い、言ってみるもんだ…ありがとうありがとう。
まさかすぐ現れるとは…(土下座)。
続きも楽しみにしております!
502名無しさん@ピンキー:2006/04/12(水) 08:17:17 ID:B1F+Y60a
>496
よもや続きが読めるとは!すごく嬉しいです!!
>どこで止まっているのかさえさだかでなく!
ということですが、確認しましたところしっかり繋がっていましたよ〜。

お互いの経験についてぐるぐる考えたり、安心する七緒さんが
恋する女の子!って感じでかわいい。
かたや、まっかになって口ごもるおじさんもまたいいです。
それと、ラジオ体操って(w
続きを楽しみにお待ちしています。


503名無しさん@ピンキー:2006/04/12(水) 10:31:57 ID:W+AwXVF7
>>498
スレ2の527-528,545-546,,556-557,559.561,584-585

にくちゃんねるでも、みみずんでも、ぐぐっても、見られないね。
ゾヌ2のdatファイルなら手元にあるけど…
504名無しさん@ピンキー:2006/04/12(水) 20:47:21 ID:vjXZUOfR
うおおおおー!
前半読んだことないんですが、これだけでも十分美味しいっす。
おじさんかわええなぁ〜。続き楽しみにしてます!

>502さまにつられてラジオ体操って読んでふきましたw
ラジオ番組でいんだよね??
505名無しさん@ピンキー:2006/04/12(水) 21:33:39 ID:gNeNV7fR
キタ―!!!
待っててよかったよぉ
続き待ってるよぉ
491さんもガンガレ!期待してます


ようやく元の流れに戻ってきたよ
506名無しさん@ピンキー:2006/04/12(水) 23:17:24 ID:icONveYq
住人の皆さんへのささやかなエールの気持ちから、
dat落ちしていた過去ログをまとめてUPしてみました。
↓ここから行けます。
http://houka5.com/yuukan/kawahara/index-threk.html

容量の関係で1スレを2つに分割せざるを得なかったので、
読みにくいかもしれません。申し訳ないです。
507名無しさん@ピンキー:2006/04/12(水) 23:19:51 ID:xVC4n/+5
>>506
うわあ…ありがとうありがとう!
申し訳ないなんてとんでもないよ、今までの作品も読めてうれしいよ。
508名無しさん@ピンキー:2006/04/13(木) 01:16:17 ID:/4aYGjDf
>>494
前に過去ログ読んでから、ずっと続きを読みたいと思ってました。
投下ありがとうございます。感動です。
どうかご自身のペースで、無理なさらず。
でも続きお待ちしておりますw

>>506
ちょうど今、GHQや前の職人さんの良作を、読みたいと思っていました。
お心使いに感謝します
509名無しさん@ピンキー:2006/04/13(木) 01:22:07 ID:fIFi18KO
>506
神様は我を見捨てなんだ。ありがとう!
510名無しさん@ピンキー:2006/04/13(木) 01:24:20 ID:fx/O3tTq
あとは保管庫だけなんだよねえ。
もう一度お願いに行こうか?
511名無しさん@ピンキー:2006/04/13(木) 01:57:15 ID:u0mKECNL
他スレの話だけど


429 名前: SS保管人★ 投稿日: 2006/04/09(日) 13:13:32 [ siDBNdQ6 ]

>>411-
いろいろ事情を把握しようと努めてきましたが、
誰も彼も串を刺したり使い捨てメールだったりで、誰が本当のことを言ってるのやらサッパリ分かりませんでした。

スレの方を覗いたら、新しく保管庫を作ると仰ってる方も来られましたし、
当方では、一つ一つ確認を取ってから収蔵という手順を踏む余裕もありませんので、
そちらに任せることにして手を引かせてもらいます。
おみやげ付きメールの処理にも少々ウンザリですし、
当該スレは保管庫からは削除させて貰います。

とか言ってたからミリなんじゃない?手間かけるのも心苦しいし
494さんにまとめて、もらえただけでもありがたいと思わなきゃ

512名無しさん@ピンキー:2006/04/13(木) 02:00:43 ID:b8D0VaBx
串とかなんとかはこのスレのことじゃないし、
確認の手間なんかは私ら住人が代わってもいいんじゃないかなあ。
新しい人が来てくれた時に、保管庫に入れてもらいますけど良いですかって。
513名無しさん@ピンキー:2006/04/13(木) 02:13:40 ID:Ra1y4i3O
506さんは他スレの保管庫を長年やっていた人みたい
URLを削ったら出てきた
このスレの分もやってもらうのは無理かなぁ…
514名無しさん@ピンキー:2006/04/13(木) 02:24:54 ID:u0mKECNL
消したデーターが残ってれば別だけどもし、全部削除済みだったら
また、HTMLにして収納するのは大変だと思うよ〜。
>>512
二つも掛け持ちはきついんじゃないかな?
一つだけでも大変なのに。
>>513
515名無しさん@ピンキー:2006/04/13(木) 04:02:07 ID:u/n8bz7A
>>514
あそこの管理人さんは既に2つ掛け持ちしている。
3つ目は難しいかも。
516名無しさん@ピンキー:2006/04/13(木) 20:54:03 ID:4V4Y2Azd
>506さま、ありがとうありがとうありがとう!
新参者なんでss以外の雑談も面白く読みました。
本当にありがとう!
517志貴×七緒:2006/04/13(木) 22:20:42 ID:FJ3OvE5G
前回のをどれだけ慌てて書き込んだのか、一人称がバラバラでした・・・
もうこれは本格的に焼き土下座の準備をするしか。
皆さん、温かいお言葉どうもありがとうございます。


 ところがわたしの予想に反し、おじさんがぼそぼそと、
「そんなこと、どうでもいいんです」
 そんなこととはまた豪儀な。そうかー、おじさんってばあんまり胸にこだわらないタイプですか。
「おじさんは、七緒さんだから、良いんです」
 ・・・・・・今度はわたしが黙り込む番だった。
 これは・・・いわゆる殺し文句、というものではないだろうか・・・?
 わたしが散々真剣に悩んだことは、かなり下らないことに感じられるかもしれないが、ブラを
着けるかどうか、だった。どうせすぐ脱いでしまうんだろうし、と思えばパジャマだけで良さそうで、
でもやっぱり脱いだその時にまんまの素肌を晒してしまうのも恥ずかしく、結局選んだショーツと
揃いの二点セット。この日のために女性用下着売り場でうんうん唸って決めた逸品。あれやこれやと
とっかえひっかえしてはハンガーに掛けなおし、本当、あんなに逡巡して買い物をしたのはあれが
初めてだ。
 その苦吟の末に買い求めた薄桃色の花の刺繍が施されたブラに、おじさんの手がそっと触れた。
 お世辞にも大したものじゃないわたしの胸を、それはそれは大切そうに、儚く消えてしまうんじゃ
ないかと、ちょっとおっかなびっくりといった感じで触るので。
 ああ、わたしおじさんのことが好きでよかった。
 ・・・なんて思ったりした。
 柔らかいベッドと私の背中との間におじさんの片手が潜り込んで、その意図を察して
少しだけ体を浮かす。
 ところが、
「あ、あれ?七緒さん、これ」
「前で外すタイプじゃないですよ」
「ですよね・・・あれ?」
 おじさん・・・どこまでも不器用な・・・。
518志貴×七緒:2006/04/13(木) 22:22:18 ID:FJ3OvE5G
 ブラのホックを探り当てても、覚束ない手つきでもたつき、苦心するのが不憫で見ていられずに、
わたしは自分でホックを外した。なんかもう殆ど自分で着ているものを脱いでるなあ。
 胸を締め付けるものがなくなって、僅かな開放感に浸る。
 その分自分の体を覆ってくれていたものがなくなって、
あられもない格好でいるのが流石に恥ずかしい。救いなのは、部屋の光源がサイドテーブルの
小さな明かり一つだけ、という点か。お陰で部屋は大分薄暗い。
 でも、おじさんの目には、わたしはどう映ってるんだろう?
 いっそ真っ暗闇のほうが良かったかも。しまった、昨日のうちに電球を切れたのと
交換しておけばよかった。でもここで悔いても後の祭りだ。
 見上げると、すごく真面目な視線とぶつかった。
「・・・こういったとき、どう女性に言えばいいのか、全くの不得手なんですが」
「は、はあ」
 そりゃ得手じゃないだろうなあ。普段から国語能力に乏しいんだから、そんなおじさん想像つかん。
「綺麗ですよ、七緒さん」
 たとえ百万遍繰り返されてきた陳腐で月並みな台詞でも、そんな真面目な顔で、
デスラー総統みたいな渋い声で、そういうこと言うのは反則だ。そのせいで、
わたしおじさんになんでもされたっていいと思っちゃったじゃないか。いや今からされるんだけど。
 露わになっている胸に、おじさんの手が直接触れるのを、息を詰めてじっと見る。
 ついさっきブラの上から触れたよりもずっと慎重な手つきで、大きな掌で包むように。
 思わずため息が漏れた。そのため息に反応して、おじさんの手がびくっと動く。どうしてこう
さっきっから、まるで立場が正反対じゃないか。
「も、もしかして痛かったですか?」
「ううん、平気。そうじゃなくって」
 おじさんの手があったかくって気持ちいい。
 素直にそういうと、おじさんは照れと安堵が複雑に入り混じったような顔をした。
「じゃあ先・・・進めますよ」
「はいどうぞ」
 いちいちこれからこうやって応答しながら進むんだろうか・・・?
 それはちょっと問題だなあと下らないことを考えていたわたしの頭が思考を途切れさせる。
 おじさんのあったかい掌が、ゆっくりと、少し冷えてしまった肌の上を撫でていく。
 その微細な動きに気を取られて、考えが纏まらない。
 大事に慈しむように触られて、なんだかむずむずとくすぐったいようなもどかしいような。
 決して全然、不快とかじゃない。不思議な気持ち。


牛歩の歩みで続きます。
519名無しさん@ピンキー:2006/04/13(木) 23:05:52 ID:e4JR1kOw
すげー楽しいです!
520名無しさん@ピンキー:2006/04/13(木) 23:58:39 ID:6ZNGf4LJ
>517
>「・・・こういったとき、どう女性に言えばいいのか、全くの不得手なんですが」 とか
>「じゃあ先・・・進めますよ」
なんて正直で生真面目なおじさんは、この先のそーゆー時にどんなふうになるんだろう?と
興味深々です。これからも楽しみにまたーりお待ちしています。


>ラジオ番組

  ○)))) )  | ̄|_    …あほだ、自分。

興奮のあまり502の目も踊っていたようです。504さんが正しいです。
素晴らしい作品にとんだ読み違いを…申し訳ないです。
496神様、504様……ごめんなさい、ごめんなさい(テラ恥ズカシス           

>506
ログの作成おつかれさまです。ありがとうございます。
521名無しさん@ピンキー:2006/04/14(金) 00:39:17 ID:bFipDQAK
ああ…やっぱりいいなあ、GHQの神様。
亀でもいい、のんびりと筆の赴くままにお進み下さい。

保管庫のアーカイブを探してきたよ。
もし良かったらこっちも
ドゾー(*・ω・)つttp://web.archive.org/web/20060413083726/http://s1.artemisweb.jp/sslibrary/girlcomic.html
522名無しさん@ピンキー:2006/04/14(金) 00:39:50 ID:kMDond4w
ブラも外せない不器用なおじさん萌えw
牛歩の歩みで我々に焦らしプレイな職人様にも萌えw
523名無しさん@ピンキー:2006/04/14(金) 14:22:18 ID:dTv5H2xo
>>521
うーん、

そういう形で利用するくらいなら、もう一度お願いしに行って、
ちゃんと保管庫に入れ直してもらった方がいいような気がする。
524名無しさん@ピンキー:2006/04/14(金) 18:41:23 ID:dXGy5w9q
>>521
乙です!
別に●あるし、読みたいならこれで充分だと思う。
525名無しさん@ピンキー:2006/04/15(土) 00:42:30 ID:cLr7K8Aa
お願いするにしてももう少しほとぼりが冷めてからのほうがいいんじゃ?
保管人さんに嫌がらせされるかもしれないし
526名無しさん@ピンキー:2006/04/15(土) 00:45:41 ID:p4aLocYE
>>525
そうだね、少なくとも今スレの間は誰でも読み返すことができるんだし、
次スレに移る時に改めて考えてもいいかもね。
527名無しさん@ピンキー:2006/04/15(土) 00:46:51 ID:eC7Mv5y4
>>523
いいじゃねーか、かてーこと言うなよ(もぎゅもぎゅ)。

マジレスすると、保管庫管理人さんが作る気がなければこのまま消えていくだけだし、
wayback知ってて自分で保管できる人はもうとっくにしてる訳で。
528名無しさん@ピンキー:2006/04/15(土) 01:15:50 ID:z0la4siz
ぶっちゃけ、過去レス自分で持ってるから保管庫(゚听)イラネ 

欲しいなら専用で作りたい人が作ればいいし、
頼みたい人がいるなら勝手に頼めばいい。
保管庫の話題でスレ流すのは、もうおなかいっぱい。
529名無しさん@ピンキー:2006/04/15(土) 01:31:24 ID:fT1P/kyy

ま た お ま え か !
530名無しさん@ピンキー:2006/04/15(土) 07:27:28 ID:cLr7K8Aa
難民でヲチスレできたらしいので保管庫話は以降そっちで
ヒントは『せんりょう』←を漢字に変換
531名無しさん@ピンキー:2006/04/15(土) 20:42:28 ID:9LsWoJGh
【自分ら】ヲチスレをヲチるスレ【自演らしいよW】
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/6498/1145087005/

こんなスレまで立てて穏便に済ます気はさらさら無さそうだね。
向こうに行った書き手さんはどうしてるんだろうか…
532名無しさん@ピンキー:2006/04/16(日) 14:29:27 ID:ZsbzJ36l
川原泉作品をエロくしろ!4
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1137226530/425

自演疑惑騒動の張本人の発言だが、確かに同じトリ・IDは全く無いw
533名無しさん@ピンキー:2006/04/16(日) 17:36:52 ID:boeg+S0k
http://kawahara.h.fc2.com/

新たに保管庫を用意してみた。
収録はのろいペースになるけど。
534名無しさん@ピンキー:2006/04/16(日) 22:11:14 ID:sSuQiK6E
おーv
これは見やすい!作品別にまとめてくれているとは。
GJ!dです>533
535名無しさん@ピンキー:2006/04/17(月) 00:17:12 ID:LNjsiL0l
age
536名無しさん@ピンキー:2006/04/17(月) 00:25:42 ID:j2SfybH+
前の保管庫のをそのままコピペしてあるんだね。

それは別にいいけど、アダルト不可のサーバーでやるのは止めとこう。
537名無しさん@ピンキー:2006/04/17(月) 00:28:19 ID:vnpxxvS1
>>536
ちゃんとアダルト専用のとこだよ。大丈夫。
538名無しさん@ピンキー:2006/04/17(月) 00:30:07 ID:vnpxxvS1
でも誰がどれを書いたかわからないのはマイナスかな?
539名無しさん@ピンキー:2006/04/17(月) 02:59:39 ID:frCpspm3
>>533
ありがとうございます。読み直したい作品が多かったから嬉しい。
ひとつだけお節介を。サイトのTOPにも、検索よけをしておいた方が
いいですよ。
<META NAME="ROBOTS" CONTENT="NOINDEX, NOFOLLOW">
例えば↑こういうタグを<HEAD>と</HEAD>の間に入れたりして。

詳しくはこのページを。
ttp://www.google.com/intl/ja/remove.html
二次創作は著作権的にはグレーゾーンなので、管理人さんに迷惑が
かかっては悪いですから。


スレ違いな長文を失礼しました。
以下何事もなかったかのように、作品投下や萌え話ドゾー
540見てるよ:2006/04/17(月) 13:38:17 ID:CPN+3oH4
【自分ら】ヲチスレをヲチるスレ【自演らしいよW】
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/6498/1145087005/
541応援してあげない?:2006/04/17(月) 14:54:42 ID:hOQUInTo
【自作自演】虹パロ21 ◆4ndMMyPCR【カルト】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/adultsite/1145101150/l50
542名無しさん@ピンキー:2006/04/18(火) 00:04:32 ID:sQC+jcMg
だーかーらーこの流れはもう止めようよ〜!

エロについて語ろうよ〜

私はくどいようだがメガネロレンスきぼん
543名無しさん@ピンキー:2006/04/18(火) 00:11:48 ID:L1cKSEJr
織人君と苑生さんのSS。苑生さんがお嫁に行く所まで補完してほすい…
作者さんもう見てらっしゃらないかな。
544名無しさん@ピンキー:2006/04/18(火) 00:27:05 ID:jsPx/2FH
>>542
気にするな。あちこちのスレに投下してるマルチポストだから。
っていうか反応しないで。エロについて語りたかったら、自分でも話題振ってくださいな。

私は食欲魔人の話書いてみるって言った人のSSを楽しみにしてる。
プロポーズされるまでなんだから付き合ってたのかしら。
ここの職人さんはすごくレベル高いのでいつも楽しみじゃよ〜。読むばっかりですまんのう。
545名無しさん@ピンキー:2006/04/18(火) 07:45:21 ID:WzSdpkg8
自分もメガネロレンス楽しみ。
それと何よりGHQの続きが楽しみだ!
みんな言ってるけど、まさか続き読めると思わなかったから
すごく嬉しいです。
職人様ありがとう!
546542:2006/04/18(火) 21:50:25 ID:sQC+jcMg
>>544
そうだね気にしちゃだめだね

私も食欲魔人の結婚前って気になる!お金が貯まったから結婚ってことは今まで何してたの?
実際幼稚園からの幼馴染の男が私にはいて、毎年初詣に行ってる。けどちゅーはおろか手も握ったことない
お互い三十路だが結婚の気配はない。状況は似てるのよね
あーいったいあの二人は付き合っていたんだろうか?
547名無しさん@ピンキー:2006/04/19(水) 00:25:41 ID:lgfdBhX7
おお、リアルみすずさん登場か!?
結婚前もいわゆる「以上未満」状態だったんでしょうかね。
弘文はとーぜんのように結婚を設定していたみたいですが(w
でも、そんな感じの相手がいるのっていいですね。ほのぼの。
548名無しさん@ピンキー:2006/04/19(水) 01:00:39 ID:EEkcZ7q0
つき合ってはなかったんじゃないかな?
「一番親しい異性友達」ぐらいの関係で、
どちらかと言えば、弘文→みすず。
結婚式まではちゅーもしなかったと私は睨んでるが。

弘文もみすずも「劇的な運命の出会い」があれば、
他の人と結婚していたと思うよ。
どちらかが先に結婚してしまった時、
もう片方は理不尽なほどショックを受けそうだけど。
549名無しさん@ピンキー:2006/04/19(水) 01:43:36 ID:78yB+LtX
みすず達は他に相手がいなかったからなし崩しにケコーンというパターンでしょう。
幼馴染って友人以上には見れないですよ。
だからなにもない関係だったんじゃないかと思う。
550542:2006/04/19(水) 23:31:42 ID:USRR17yp
おおー!
私の発言が話題に昇ってるぞ
549さんの言うとおりで実際に友達以上には見れないんだよ、た周りはうるさい
何時付き合うんだとか、結婚はしないのかと
このままだと本当に相手が見つからずケコーンしてしまうんじゃないかと不安だ
けど、ヤツとはできない無理だ
みすず達はケコーンしていきなりやったんだろうか?
急に異性としてできるんだろうか?
新婚初夜エロきぼん
551名無しさん@ピンキー:2006/04/19(水) 23:35:12 ID:z/xXWs+X
>>549-550
あれですかね?
実際に妹がいる男が妹萌えにならないような感じというか。
子供の頃から相手の実態とか醜い一面とかもお互い見ているから
互いに理解しあえる友人にはなれても、憧れみたいな感情は抱け
ないという感じで。
552名無しさん@ピンキー:2006/04/20(木) 21:52:47 ID:cp3AeFqz
そもそも幼馴染が恋愛対象になる時ってのが分からん
553名無しさん@ピンキー:2006/04/20(木) 23:30:28 ID:cp3AeFqz
すまんあげてしまった
逝ってきます
554名無しさん@ピンキー:2006/04/21(金) 17:36:14 ID:ankuVpsP
実際結婚している幼馴染同士もいるんだし。
555名無しさん@ピンキー:2006/04/22(土) 08:03:45 ID:Us8wvQhB
人それぞれなんですねー。
そういえば、ビルゲイツの奥さんも幼なじみだそーですね。
幼なじみが恋愛相手に変わる瞬間が、みすずと弘文みたいになしくずし的なのか、
あるいは、仁希とユーリが友達に誤解されてたシーンみたいにある日突然なのか
ちょっと気になるw
556名無しさん@ピンキー:2006/04/22(土) 12:00:51 ID:RRE/y2ME
弘文は恋愛対象として見てたんじゃないのか?
みすずはそんなこと考えてもいなかった、って描写があった気がする。
557名無しさん@ピンキー:2006/04/22(土) 12:31:19 ID:b4vNfBjW
みすずさんはそーゆーのにニブそうだし、
まさかあのアホの弘文と、なんて先入観持ってたっぽいしな。

てゆーか川原作品の女性陣は総じて鈍感ですな。
そして乙女な恋心を抱く男性陣w
558名無しさん@ピンキー:2006/04/22(土) 22:36:33 ID:baQRXgJw
きっとこの二人の初キスは梅干しおにぎり味だ、と勝手に思っていたよ…orz
559名無しさん@ピンキー:2006/04/23(日) 03:42:51 ID:D+fzjZ8l
>558
ソレイイ!
560志貴×七緒:2006/04/24(月) 00:17:59 ID:kQwVaYIN
ラストは書けましたが濡れ場が全く進みません。
川原作品は本当にエロが難しい・・・先達の皆さんに脱帽です。


 優しく胸を撫でながら、もう片っ方のおじさんの手がわたしの背中に回されている。もう
わたしの全部その腕に凭れかけてしまいたい。
 そうこう思っていると、おじさんはふわふわした気分のわたしがビックリ仰天するような行動に
出た。唐突にわたしの首根っこの辺りに顔を埋めたのだ。
「わっ」
 慌てて叫んでしまった。するとおじさんは顔を上げて、不安そうにする・・・ので、
大丈夫だと何度も頷いてみせる。と、またしても思いもよらないことが。
 また、キスを。
 今度はさっき済ませた初めての奴よりも長かった。なので、わたしはこういう時の一般女性の
作法として目を閉じて、触れ合った唇の感触を確かめる。何でだろうか、体の一箇所が
くっ付き合っているだけの、ハリウッド映画の恋人たちのような大胆で情熱的なキスでもないのに
やたらドキドキする。そんなわたしの心拍数を更に
跳ね上げるように、胸を触ったおじさんの手が、慎ましい膨らみを撫で回し、ついに
先端の部分に掠めるように指先が触れた。思わず体が反応する。な、なんだ?
 今までのふんわりとした感覚とは違った、異質の刺激だった。
 戸惑うわたしをそのままに、おじさんの唇は耳元から首筋へと移っていた。肌をくすぐり、
まさぐる感触と、撫でるのを止めて揉むような手つきに変わったことに、
わたしは混乱する。お空を能天気に漂っていた風船が、今やゴーカートに押し込まれて
予想外のスピードにブンブン振り回されているような。
 濡れた感触が肌を伝うに、わたしの体が再びビクっとした。
「おっ、おおおじさん!」
 堪らず声を上げる。 
「は、はい?」
 おじさんもまたビックリしている。いやそんな顔をするのはわたしの方ですって!
「いっ、今、なにしたの?」
「なにって・・・その・・・普通に・・・」
 語尾をちっちゃくさせながら、愛撫などを、と、仰られた。
561志貴×七緒:2006/04/24(月) 00:21:33 ID:kQwVaYIN
「な・・・舐めなきゃ駄目?」
 ちょっとだけ時間の空白があってから、七緒さん・・・と、おじさんが言った。
「こういうとき、こういう風に触れ合うのは、好きな人相手ならば当たり前のことなんですよ」
 ・・・そーなんですか?とてもとっても恥ずかしいのですが。
「それとも・・・」
 おじさんが言いよどむ。
「もし、僕にそうされるのがイヤだと七緒さんが言うのなら・・・」
 そんな顔して言わないでくれ!おじさんの申し訳なさそうな顔というのは、元が
内に引きこもりがちな人であるだけに本当に所在無げな途方に暮れた様子を漂わせ、
お陰でこっちのほうが居た堪れなくなる。
 そしてそれも全部わたしに対する気遣いであるだろうだけに、余計に、尚更。
 ええい、ままよっ!いい加減覚悟を決めろ!初心者だからって甘えるな!
 心の中で自分にぴしゃんと気合の平手を一発かます。
「・・・ヤじゃない」
「え?」
「ちょっと予想外の出来事に驚いただけだから!だから平気だと、思う、から」
 続きを。
 流石にそれは自分では言いあぐねて、縋るように見上げて、ただ一回こくりと頷いてみせる。
 おじさんはそれで全部を分かってくれたようで、落ち着かせるようにわたしの髪を撫でてから、
ちゅっと軽い音を立てて鎖骨の辺りにキスをした。うう、くすぐったい。恥ずかしいのが
くすぐったい。
 それと、わたしに覆いかぶさるような体勢でいるおじさんの体がわたしの裸の皮膚に触れて
掠めて妙にゾクっとする。わたしの体の脇、シーツの上に片腕をついて最小限しかわたしへ
負担をかけないようにしてくれているけど、それでも圧し掛かる重みがあって、それがまた
いやに心理面での圧迫感といいますかまざまざと存在を感じさせるといいますか。



のたくりつつ進みます。
562名無しさん@ピンキー:2006/04/24(月) 15:52:09 ID:X7La3Tvc
ぬおおー、いつの間に続きが!
ディープキスはしないのに、愛撫はするおじさん萌え。
563名無しさん@ピンキー:2006/04/24(月) 21:25:11 ID:NPrexskV
う〜ん、七緒ちゃん、初めてなのはわかるけど
いちいち「ちょっと」で中断が・・・多すぎるのでは('A`)

志貴さん、優しすぎるのはわかるが読んでるこっちの身にもなってくれい!
処女の「ちょっと」にいちいち構ってたら、朝になるぞw
そろそろ「泣いてもやめませんから」が発動して欲しいなあ。
ガンガレ!志貴さん!読者は期待している!
564名無しさん@ピンキー:2006/04/24(月) 21:33:59 ID:mxNlaCYM
GHQの神様GJ!!

個人的には、後ずさる志貴さんに積極性を発揮する七緒ちゃんキボン。
「……もっと…」と真っ赤な顔の七緒ちゃんに言われて、とうとう
ストッパー焼き切れる志貴さんとか……ハァハァ
565名無しさん@ピンキー:2006/04/24(月) 22:35:47 ID:awHmBR9a
でもこのくらい焦らされるのも快感になってる自分。
半ば諦めてたのに再開してもらえてホント嬉しかったから
あんまりすぐ進展して終わってしまうのがもったいないw

読み手側の希望としては色々あるだろうけど、
職人様の思うような展開で書いてもらえるのが一番だと思いますよ〜。
続きもお待ちしています。
566564:2006/04/25(火) 00:12:07 ID:pgYw7Yfc
>>565さん、その通りですね。
反省……orz

>>560さん、余計な事言ってごめんなさい。
萌えの赴くままに書いて下さい。ゆっくりでも待ちますので。
567志貴×七緒:2006/04/25(火) 00:34:47 ID:MnDoqke9
>>566
いえいえそんなことはないです。

皆さんの仰るとおり、二人の進まなさっぷりにはこちらも歯噛みしています。
もっとこう、ガツンと行けや志貴さんよ!今日びの中学生、初体験同士だってもうちょっと
積極的だ!・・・と突っ込んでいるんですが何故か。全く。
ドギツいエロのほうがまだ書き易いという不退転の状況に陥っております。不思議不思議。


 これが男と女の生の触れ合いというものか。
 と、一人で絶賛緊張中のわたしをよそに、おじさんの唇が胸元の辺りをつぅっと下って。
「ひゃっ!」
 へ、変な声が出るのも当たり前だ!だって今おじさんってば・・・今!
 口に出すのも到底アレだが、何と言いますか、わたしの慎ましやかな膨らみと呼ぶのも
おこがましいうちの片方の、その、あの。
「んっ!」
 もっかいおじさんの舌が擦るように舐めて、わたしは咄嗟に声ごと唇を噛んだ。
 体が、背中が震える。
 そんなわたしを宥めるように、おじさんの手がわたしの髪を梳き、指先が頬をくすぐった。
 体の一部が生温かい感触に包まれるという、味わったことのない刺激。微かに濡れた
舌の音も聞こえ、その響きにわたしの耳から爪先までがかあっと一気に熱を帯びた。
 もう頭の中は真っ白だ。反対に顔色のほうは茹蛸みたいになっているのに、
胸から伝わる感覚ばかりが鮮明で、それが自分でも訳の分からない感覚なものだから
千々に乱れる感情を持て余して心底イヤで恥ずかしさに消えたくなる。
 それなのにおじさんの手が優しくて、その手に頬擦りしたくなるのだ。
 鼻に掛かったような小さく甘えた声を必死になって押さえ込み、ただ与えられる全てを
甘受する。つい瞼をギュッと閉じてしまって、それがまた全身の触覚をかえって
敏感なものにしているのに、わたしを混乱の真っ只中に追い落としている舌先や
肌を擦るおじさんの体のひとつひとつに過剰なほど反応して、
そんな些細なことにも気がつかないでいた。
568志貴×七緒:2006/04/25(火) 00:36:17 ID:MnDoqke9
 やがておじさんの口がわたしの胸からやっと離れて、緊張と混乱から開放されたわたしは
全身からくったりと力が抜けたてしまった。
 テスト勉強を徹夜でこなしたときより重い疲労感。多分心身ともに
あまりにも張り詰めてたせいだろう。
 でもこれでやっと一息できるかも、と、思ったら、お腹の辺りを掌が滑るように撫でて、
臍の横を通って・・・パジャマの下に、掛かった。
 とうとうきたか。
 そりゃ一回ごとに休憩取るとか馬鹿なことするわけないもんな。
 これもさっきみたいにわたしが脱ぐべきかなとぼやけた頭で曖昧に思ってたら、
「七緒さん、少し腰を・・・浮かして下さい」
 穏やかなおじさんの声だった。
 も少し焦ってるんじゃないかとなんとなく思ってたのに、こっちの勝手な思い込みだったらしい。
 おじさんのくせに生意気な。
 勿論謂れのない謗りだ。大体これは自分から望んだことのくせに。
 でもインドア派で知的労働ばっかしかしないくせに、こんなところで
とても男の人なんだと感じるとは、なんだかとても理不尽に感じた。
 それは、未経験の行為に翻弄されて怯える自分に対する不甲斐なさが噛んだ部分も
あって、そんな自分をみっともなく曝け出していることの恥ずかしさも含んだんだろうけども。
 今の、色んな感情がぐっちゃぐちゃになってしまっていたわたしには、そんな正論は通用しない。
 大人しくおじさんの言葉に従ってお尻をシーツから持ち上げようとして、いきなりガバっと
相手の不意を付いてわたしはおじさんに抱きついた。



一体どこに転がっていくのやら。
569名無しさん@ピンキー:2006/04/25(火) 00:57:11 ID:fVEPBN6i
ど…どこへなりとお好きな方へ…(感涙)。
570名無しさん@ピンキー:2006/04/25(火) 08:35:14 ID:Bo+cnCDn
お互いに自分のことよりも相手に気を使わせまいとするあたり、
あの二人だなぁ〜と思いましたw

いざその時(?)のおじさんがどーなっていくのか、
また七緒さんがどんな反応するのか楽しみです。
萌えころがりつつゆっくりお待ちしております。
571名無しさん@ピンキー:2006/04/27(木) 19:18:56 ID:zTj0sT9M
GHQいつのまにか続きキターー!
はやく続きがみたいです
572名無しさん@ピンキー:2006/05/05(金) 20:52:54 ID:iCUI4IK0
GHQの神様の途中で申し訳ないのですが、保守がてら投下させてください。

>119-123、>130-138の斎木夫妻続きです。
和音さん受胎の時は仲良くさせてみたかったんでついww
まぁ、仲いいって言ってもこの二人なんでアレですが……。 orz
573斎木夫妻その後 1:2006/05/05(金) 20:55:23 ID:iCUI4IK0

>119-123、>130-138続き



さて、正月2日目の斎木家も、それはそれは忙しかった。
元旦に遠慮していた分家の親戚筋や下位の家来筋、会社の取引先関係の人々が2日目を狙って挨拶に来るのだ。
総一郎さんはにっこりと、昨日までとは違う心からの笑顔で機嫌よくもてなして、
おキヨさんはそれを見てほっと胸を撫で下ろし、やっぱり私の判断に誤りはなかった!と張り切って仕事に精を出した。
つまり、常に緊張感に溢れていた斎木家に、真の平和が訪れたのだな。

しかし、早朝の高柳の年始に結局間に合わなかった迪子さんは、実は静かに怒っていた。
おキヨさんが万事心得顔なのが癪に障った。
総一郎さんがあからさまに機嫌がいいのも癇に障った。
身体の奥に残る鈍い痛みがまたその怒りを増長した。
昨晩のことを思い出すたびに自然に顔が赤らむ自分が悔しくてたまらなかった。
総一郎さんとおキヨさんがそーゆー自分の心情に気付かないのも腹立たしかった。
つまり、お育ちがいいのであからさまに表には出さなかったが、ひじょーに不機嫌だったのだ。

いつも寝室にしていた和室には、おキヨさんがさらに荷物を積み上げていた。
普段用の着物や下着類は2階の寝室のクローゼットにあらかた移されていた。
迪子さんは物置のようになった部屋で懐剣を探した。今日は絶対に許すものですか、と思っている。
時々、昨晩のことをいろいろ思い出して、探す手がちょっと止まって赤面したりして、迪子さんてば可愛いのだ。
探せど探せど懐剣は見つからない。迪子さんは何か思いついて夫婦の寝室に戻る。
サイドボードの引出しを開けると、果物ナイフが入っていた。迪子さんは、今夜は果物ナイフを懐剣代わりにするつもりでいる。
刃を懐紙で包んで枕元にしのばせて、安心したような淋しいような気持ちで、迪子さんは息をついた。

迪子さんが入浴しようと夜着を出したところへ総一郎さんが入ってくる、夫婦の寝室だから当り前だ。
寝室であれこれしている迪子さんを、何も言わずに見ている。
総一郎さんは、迪子さんが今晩も寝室で休むことが本当に嬉しいのである。
しかし一方で迪子さんの不機嫌さも感じている。だから賢明な総一郎さんは話し掛けないのだ。
不機嫌なのも当然だろう、拒み続けていたものを昨日無理やり奪ったのだから、と大人の余裕で考えているのだ。
迪子さんが羽織に包んだ着替えを持って、つんとして寝室を出る。
一方、総一郎さんも着替えを準備して彼の浴室へ向かった。斎木家には浴室が4つあるのだ。

迪子さんが清潔な肌をぴかぴかさせて寝室へ戻ると、窓際のテーブルで総一郎さんが年賀状を読んでいた。
初めて見るくつろいだパジャマとガウン姿に、迪子さんは慌てて目をそらす。
自然に顔が火照るのが、身体さえも自分を裏切っているような気がして悔しくてならない。
迪子さんは認めないだろーが、ガウン姿でゆったりと足を組んでいる総一郎さんはカッコ良かった。
ちょっと笑って「いいお湯だった?」と聞く声も、いつもよりもやさしくて素敵だ。
そんな訳で、迪子さんは総一郎さんをなるべく見ないようにした。
……見ると拒む気がどっかに飛んで行ってしまいそーだったしな。

よくよく考えると、迪子さんが総一郎さんを拒む理由はもうどこにもないのだ。
迪子さんも日中何度かそこに考えが行き着いた。しかし、だ。
初体験の乙女の純情を踏みにじられた気持ちとか、ただの言い間違いを大層なこととして拘っていた今までの気持ちとかが、
本当は好きなんだけど可愛さ余って憎さ百倍、みたいに素直になれなくなったわけだな。
迪子さんは、実は自分がそーとーの意地っ張りだとゆーことに気付いていない。
とにかく、決心が鈍りそーだったので総一郎さんを見ないで、質問も無視して自分のベッドへ向かった。
574斎木夫妻その後 2:2006/05/05(金) 20:55:57 ID:iCUI4IK0

総一郎さんは今までと違ってちょっぴり余裕がある。何しろ昨晩の実績があるからな。
だから詰問したり追いすがったりしないで再び静かに年賀状に目を落とした。
迪子さんにはこれも気にくわない。
嫌味のひとつも言われればぴしゃりと言葉を返すことも出来るが、それもないのでは大人の余裕を見せ付けられているようで悔しい。
だからといってこちらから話し掛けるのはおもねっているようで出来ない。
内心の苛立ちを隠しながら表面は静かに上品にベッドにもぐりこんだ。
ベッドに入ってまた腹を立てる。こんなにふわふわ揺れるところでは眠れないわ!

一方、総一郎さんはちょいと迷っていた。今晩も迪子さんと身体を合わせたい気持ちは山々である。
しかし、昨晩はいくらか素直な風情だった迪子さんは今日は明らかに不機嫌である。
だが、その不機嫌も迫ればあるいは機嫌が直るものなのか、それとももっと機嫌を損ねるのか検討がつかない。
分厚い束になった年賀状を揃えて箱に入れて、立ち上がると部屋の電気を消した。足元につく常備灯を頼りにベッドへ歩いて……。

一瞬迷った後に奥のベッドの、迪子さんの掛け布団をそっとはがした。
息を飲んで肩に力が入ったのが気配で分かった総一郎さんは、ひとつ深呼吸をした。
迪子さんは息をひそめて枕の下の果物ナイフを探る。
迪子さんの肩に手がかかった瞬間、張り詰めた声で「さわらないで」。
総一郎さんが枕元のスタンドの電気をつけた。

静かに半身を起こした迪子さんが、果物ナイフを喉元に突きつけた。
総一郎さんは、突きつけているのが懐剣ではなくて果物ナイフだということに驚いている。
少しばかり情けなくなったが、明らかに前回懐剣を突きつけた時とは違う顔に思わず見とれてしまう。
前回のような気迫もないし、顔は赤くて震えているし、何より果物ナイフである。
おそらく総一郎さんが強く迫ったら、あっさりと陥落しそうな風情なのだ。
迪子さんも戸惑っている。こーゆー時は視線を外さないのが大事なのに、総一郎さんの顔をまともに見ることが出来ないのだ。
それでも我慢して睨むつもりが、少し驚いたような作らない表情を見ると自然に顔が赤くなった。
総一郎さんは少し迪子さんが可哀想になって、それから果物ナイフが滑稽でもあったので肩から手を離した。
「今日は何もしないよ。あなたも疲れただろうから。それは危ないから仕舞っておきなさい」

自分のベッドにもぐりこんだ総一郎さんを見て、迪子さんはようやくサイドテーブルに果物ナイフを仕舞い、
それから再び揺れるベッドにもぐりこんで、何故か分からないけれど淋しくなって涙をひとつこぼした。
お互いがお互いの息遣いを聞いて、眠れない寝返りの気配を感じて、斎木家の正月2日目の夜は更けて行くのだ。


さて、ここから斎木夫妻はお互いに動けなくなってしまった。
迪子さんは拒むのがもう当り前になってしまって、今更素直になるとゆーことが出来ない。
総一郎さんは形だけでも拒んでいる迪子さんが可哀想で、もう一歩を押すことがなかなか出来ない。
更には総一郎さんの仕事が忙しくて毎日の帰りが遅い。
それでも総一郎さんが果物ナイフを隠して一度、迪子さんが比較的おとなしめに拒んだところを一度、
と言う風に月に一度くらいは、なんとか折りを見て隙を見て……、と季節が進んでいった。
月に一度くらいだと迪子さんの身体もまだこなれない。
毎回処女のよーに抗うところを、じんわりゆっくりなだめすかしつつ総一郎さんがやさしくほぐしてやるのだ。
こんなことを繰り返すうちに、総一郎さんはちょっと疲れてしまっていた。まぁ、無理もないよな。

迪子さんも困っていた。肩を抱かれたら素直に身をもたれさせればいーんだけど、それが出来ない人なんだよな迪子さんは。
日中は反省して今度は素直になろうと思ったりもするんだけど、そーゆー気持ちの時は総一郎さんが接待だとかで遅かったり。
次に総一郎さんが迫ろうとすると気持ちが硬化していたり……。
575斎木夫妻その後 3:2006/05/05(金) 20:57:01 ID:iCUI4IK0

その年は暑くなるのがいつもよりも早くて、まだ5月の下旬だと言うのに立葵が少しづつ伸びだしている。
日曜日。ふたりは珍しく言い合いもせず庭を散歩している。もちろんおキヨさんの差し金だ。
迪子さんが口を開く。
「今年は早く開きますわね」
「うん、何が?」
「葵の花が。わたくし葵が好きなんですの」
「ほー」
そーいやこの人は葵の上みたいな人ではあるよな、と総一郎さんは口には出さずに思った。
葵の上っちゅーのは光源氏の正妻で、美人なんだけど素直とは対極にいるよーな人で、ついに源氏に打ち解けたと思ったら
子どもを産んですぐに物の怪に襲われて死んでしまう気の毒な人だ。
そーなる前に本当の夫婦になれるだろーかと、総一郎さんは弱気なことを考えている。

「それにしても意外だ、あなたが葵の花を好きだなんて」
「……ええ、あのひらひらふわふわして可憐なところが、自分にはなくて憧れますわ」
「でも気強く立っているところはあなたに似ていなくもない」
迪子さんが総一郎さんを見上げて少し笑った。
珍しいことだと思いながら総一郎さんもにっこりと笑い返して、ひょっとして今晩はいけるかな? と考えている。

斎木家の庭は広い。東屋あたりに木が沢山植わっているところは、ちょっとした雑木林のようだ。
「ちょっと休みましょうか」総一郎さんが東屋の椅子に腰を下ろすと、迪子さんも素直に隣の椅子に座る。
膝に置いた白い手を総一郎さんが握りしめる。少し身体を硬くはしたが手を放す様子はない……。
手が汗ばんできたところへ、ちょうど気持ちのよい風が木々を揺らして抜けていった。
「ああ、いい風……」
迪子さんが目を閉じてうっとりと顔を上げる。総一郎さんはその顔をうっとりと眺める。
白い額、すっと通った鼻筋、切れ長で睫の濃い目、形の良い眉。迪子さんは美人である。
誘われるように総一郎さんの手が白い頬に伸びて、迪子さんがまぶしそうに瞼を上げるとはにかんでうつむいてしまった。
総一郎さんがそっと顎を持ち上げる。
目が合ったところでゆっくり唇を重ねると、迪子さんは再び目を閉じて素直に唇を預けた。

総一郎さんのやる気と、迪子さんのめったにない素直さが重なった、奇跡のよーな一瞬である。
このふたり、結ばれて5ヶ月にもなる夫妻なのだが(しかし身体を合わせたのは片手にも満たない)、
まるで付き合い始めた恋人同士のよーにぎこちない。ま、そこがいーのだなきっと。


今日は素直にならなければ、と珍しく思った迪子さんは果物ナイフをサイドボードの引出しに戻した。
夕暮れの薄暗い室内で、迪子さんは先程の口づけを思い出してひとり赤面する。
口づけを交わした事も何度かあったのだけれど、あんなにやさしくて清々しい口づけは初めてだと思った。
今までどうしてこんなに意地を張って拒み続けてきたのだろう?
もう拒むのはやめましょう、と迪子さんは決意する。
576斎木夫妻その後 4:2006/05/05(金) 20:57:48 ID:iCUI4IK0

風呂上りの総一郎さんがいそいそと廊下を歩いている。そりゃもー期待で胸ははちきれそうだ。
寝室へ戻ると、迪子さんは窓を開けて、窓際のテーブルで静かに本を読んでいた。
「窓、開けていたの?」
「ええ、気持ちのいい晩ですもの」
「本当だ……」
レースのカーテンを翻し、香りのいい初夏の夜風が吹き込んだ。
迪子さんは撫子柄の浴衣を夜着にしてはきちんと襟元を合わせて着て、気持ちよさそうに窓の方に顔を向ける。
後ろでひとつに束ねた癖のない髪が風になぶられて揺れた。
湯上りの清潔な肌、初夏の香り、無防備な表情に見とれて、総一郎さんは思わず声をあげた。
「迪子、きれいだ……」
いつもなら表情を強張らせてうつむく迪子さんが、今日はちょっと小首をかしげて恥ずかしそうに微笑んだ。

……可愛い。この人はこんなに可愛いひとだったか?
どちらかといえば冷たい美人系だとばかり思っていた迪子さんが微笑むと、化粧を落としたせいもあるのか、
冷たい空気の中で梅の花がほころぶような可憐さがあって、初めて見る表情にドキドキしてしまう。
総一郎さんが迪子さんの手から本を取り上げてテーブルに伏せた……。
迪子さんの白い手が、総一郎さんの少し日に焼けた大きな手に包まれて、それから指と指が絡み合った。
立ったまま覆いかぶさるように唇を重ねている姿を隠すように、レースのカーテンがひるがえる。
迪子さんが唇の端から「あぁ……」とため息のような声を漏らして、総一郎さんの腕が迪子さんの背中に伸びた。

中腰で立ったままの総一郎さんにぎゅーっと抱きしめられた迪子さんは、ああいつもこうやって力を抜けばよかったんだわ、と
今更ながら気がついた。
そうすると、瞼や頬や額に受ける口づけがまるで春の雨のよーに温かい。
拒んだり緊張したり強張ってばかりでは、やっぱり迪子さんも疲れてしまうんだろーな。
自分を抱き締める身体は熱くて力強くて、迪子さんは初めてその情熱に流されたいと思った。
そいで小さな声で「総一郎さま、窓……」と言ってみた。迪子さんにとってはものすごい画期的な発言だ。

総一郎さんはちょっとばかしうろたえて、でもそこは百戦錬磨の企業人なので動揺を押し隠しつつ窓枠を閉めた。
カエルの声とか風の音とか、全てがやんでしんとした室内。
迪子さんが椅子から立ち上がろうとするのを制して、総一郎さんが迪子さんの前で立ち膝になった。
そのまま大きな両手で迪子さんの頭を覆うように包み込むと、再び唇を重ねた。
何度も何度も離してはまた合わせる。
総一郎さんの左手は迪子さんの耳の後ろから髪の地肌をまさぐり、もう片方の手は耳朶をなぞりうなじをさすって胸元へ降りた。
襟元から手を差し入れようか迷うように行き来して、やがてそれを諦めて浴衣のさらさらした肌触りの上から胸の形をなぞる。
迪子さんが小さく喘いで、総一郎さんは唇を離して迪子さんを見つめる。
目じりが紅く染まってうるんだ瞳で見つめ返す目つきがあまりにも嫋々として可憐だったので、
ぐいと腰を引き寄せて噛み付くような口づけを落とした。
577斎木夫妻その後 5:2006/05/05(金) 20:58:40 ID:iCUI4IK0

いつしか広くもない椅子の上でふたりは折り重なるように絡み合っていた。
我に返った迪子さんが裾の乱れを気にしながら斜めに身をよじって、消え入りそうな声で
「あの、ここではちょっと……」と目を伏せる。
総一郎さんが慌てて身体を離す。指を絡んで立たせると、迪子さんはするっと総一郎さんの脇をすり抜けてベッドの脇に立った。
窓に背を向けて、うつむいて伊達締めをほどこうとしているところを、総一郎さんが後ろから抱き締めた。
「それは僕が……」
後ろに束ねた髪の毛を前にどかしてうなじに唇を落としながら、総一郎さんは迪子さんのほそい腰に腕をまわす。
片手を胸元に差し入れると、迪子さんが膝を折って片手をベッドに付いた。
総一郎さんも一緒にベッドに倒れこむと、ベッドが大きく揺れて、迪子さんがおかしそうに小さな笑い声を上げた。
「もう揺れは怖くないの?」
「ええ、だってもう5ヶ月以上もベッドで休んでいるんですもの」
「最初のあなたはこの揺れを怖がって……」
「いや……、変なことを覚えていらっしゃる」
「とても可愛らしかった」
後ろから身体を抱き締められている迪子さんの耳が赤くなって、総一郎さんはそこに引き寄せられるように吸い付いて甘く噛んだ。

耳の奥に響く淫らな水音に迪子さんの身体が熱くなった。
再び胸元に差し入れられた手が肌襦袢をまさぐって、素肌に達する。
もう片方の手が器用に伊達締めをほどいて、背後から両の手が形よい乳房をやわらかく掴む。
総一郎さんの大きな手には少したよりないほどの乳房。
触るか触らないかのところで手のひらで撫でると、既につんと上を向いた乳首が手のひらを甘くくすぐった。
迪子さんがシーツに額を押し当てて切なそうに身をよじって、シーツの隙間からくぐもった声が漏れた。
「迪子……」
総一郎さんが乳房をやわやわと揉みながら耳元で囁いている。
幾度か偶然みたいに乳首に触れてまたじらすように肌を撫ぜる……、迪子さんが苦しそうにシーツから顔を上げて大きく息をついた。

迪子さんの大きくはだけた襟元を背中に抜いて浴衣を下ろすと、ほそい腕を袖から抜いた。
それからもどかしそうに自分のパジャマを脱ぎ捨てた。
白くなめらかな背中を浅黒い胸が包み込むと、隔てる物がなくなった肌と肌は密着して、総一郎さんの熱い鼓動を伝えている。
迪子さんが再びシーツに顔を押し当てたのは、手を離していた総一郎さんが乳房をまたやさしく掴んだからで……。
ゆびがそっと反応を確かめるように乳首をやさしく嬲る。
総一郎さんは少し上半身を離してなめらかに光る肌を眺めて、喘いでいる背中を甘く噛んで片手で肌を撫で下ろした。

白く喘ぐ背中、舌に吸い付くような滑らかな肌、乳首を嬲るとシーツに押し当てた喉からもれるほそい声。
総一郎さんは夢中になってほそい身体にのしかかるように、ゆびと舌と歯、身体全体で考え付く全ての愛撫をささげる……。
邪魔なもののように中途半端に残っていた浴衣とお腰を一緒に剥ぎ取ると、迪子さんの全身があらわになった。
息が苦しくなった迪子さんは再びシーツから顔を上げて喘ぐように呼吸している。
578斎木夫妻その後 6:2006/05/05(金) 20:59:25 ID:iCUI4IK0

「声が聞きたい」
総一郎さんがすかさず耳朶を噛みながら囁く。「迪子の声が聞きたい……」
迪子さんは赤い顔でかぶりを振ったが、ゆびが強く乳首を捕らえるとその甘い刺激に身を仰け反らせた。
「ね……? 迪子」
ゆびが両の乳首をとらえて、強くやさしくリズミカルに跳ねる。身体の奥に直接響く官能に迪子さんの唇が甘く震えた。

後ろから熱い身体を密着されて羽交いにされ、両腕の自由を奪われて与えられる愛撫。
包まれている安心感と奇妙な屈辱感がないまぜになって迪子さんを襲う。
やがて迪子さんは総一郎さんが与える快感に屈して、いつしか可憐な声をあげている。
「すごくかわいい……」
耳元から注ぎ込まれる言葉が熱くて、恥ずかしいのに声が止まらない……。迪子さんの髪がシーツの上でうねった。

片手がわき腹をなぞって下りると、薄い茂みを分けて奥へゆびが差し入れられる。
あ、こんなに……。
そこはすでに潤みで溢れて、内股まで熱く溶けていた。
総一郎さんは思わず息を飲んで、嬉しさで感動すら覚えた。
ため息と一緒に「すごい」とつぶやくと、迪子さんが恥ずかしそうに身を縮めて首を振る。
ゆびを少し動かすだけで、まだ中に飲み込まれてもいないのにひたひたと水音がして、腕の中で白い身体が跳ねた。

総一郎さんが身体を離すと迪子さんの肩を押さえて上向きにした。
弛緩した四肢、既に胸元まで紅く染まった肌、痛々しいほどにつんと尖った乳首、潤んでとろけそうに見上げる目元。
「……離さないで、総一郎さま」
体を離されて淋しい、もっと密着していたいと思った。苦痛でも快感でも、この方の愛撫なら、もっと……。
白い腕が伸びて、ぎこちなく総一郎さんの腕をつかむ。
その腕を掴んでゆびを絡むとシーツに押さえつけて、もう片方の手が足の間から探りを入れた。
濡れに濡れたそこは大した抵抗もなくゆびをするりと飲み込んで、迪子さんがまぶしそうに顔をゆがめて身体を震わせる。
身体の中を行き来する刺激に思わず声を上げて、それから迪子さんは顔を見られていることに気付いて身体を硬くした。

「いや、ご覧にならないで……」
「こんなに、淫らなあなたを見るのは初めてだ……」
その言葉を聞いた瞬間、迪子さんの身体の奥がさらにさらに熱くなった。
小さな蕾を探し当てた親指がやさしく揺れて、いや、と言おうとした口が快感に負けてまた高い声を上げる。
下肢がひくひくと震えて、紅潮した身体の絶頂が近いことを知ると、総一郎さんはゆっくりと乳首を口に含み、ゆびの動きを深くした。
「ぁ…ぁああぁあ……!」
背中を反らせ、白い顎を見せて迪子さんの身体が達すると、総一郎さんは身体を離して自分の衣服を全て脱ぎ捨てた。


びくんびくんと全身が大きく波打って、ぎゅっとつぶった瞼から涙を流しながら、迪子さんが口を薄く開いて喘いでいる。
肩を抱き寄せると、物憂げに抗って「総一郎さま、わたくし、もう……」と言いさしてくたりと力を抜く。
構わずうなじから胸元まで唇を這わせると小さく身体を震わせて「もう、だめ……」と身をよじった。
「まだだ迪子」
ダメと言われて引き下がれる状態じゃないし、総一郎さんも必死だ。
くたりと投げ出した下肢を抱き上げて一気に貫くと、悲鳴のような声が上がった。
まだ中が熱くてうごめいている……。
誘われるように浅く突くと迪子さんが声を上げる。
「総一郎さま……!」
迪子さんが、何度も名前を読んで涙を浮かべながら腕を伸ばして首へ絡める。
579斎木夫妻その後 7:2006/05/05(金) 21:00:11 ID:iCUI4IK0

身体を合わせているのに、合わせているその皮膚一枚さえも邪魔でもどかしい……。
総一郎さんの顎から汗がしたたって白い肌に落ちた。
もっと、もっと重なりたい。もっと、もっと強く。
迪子さんの力の抜けた足を抱き上げて両肩に乗せた。
白いふくらはぎに歯を立てる。
距離が離れて、迪子さんの両手が行き場を失った。
深く身体を沈めると、屈辱的な体勢に迪子さんは目もくらむ思いがした。
が、それも一瞬のことで……。

「あ、ああ! そ、いちろさま! いやぁっ!」
今まで味わったことのない感覚。愉悦と呼ぶにはあまりにも強烈で鮮烈で、迪子さんは文字通り悲鳴を上げた。
抗おうにも身体は深く折り重なって自由が利かず、強く突かれると苦痛にも近い感覚が身体を支配する。

眉根を寄せて堪えている表情を見て、総一郎さんは動きを止め、やがてゆるやかに揺すり始めた。
最奥で波打つように何度も身体を揺さぶられると、愉悦の波が大きく襲ってきて、迪子さんの声は甘く色付いた。
絡み合った指が汗ですべる。その手をさらににぎり返しながら、総一郎さんはたまらず強く腰を打ちつけた。
十分に熱くなった身体はその動きに堪え、やがて自分の快感にすり替える。

今までにない、甘く切ない声で乱れる迪子さんに、総一郎さんの理性のたがが外れた。
強く打ちつけながらかすれた声で名前を呼んだ、何度も何度も。
ぎゅっと閉じた瞼から涙が零れ落ちたが、名前を呼ばれた迪子さんは必死で瞼を上げて総一郎さんを見つめ返す。

やがて迪子さんの顔が涙を流したままゆがんで、切れ切れの声を上げた。
がくがくと全身が震え、絡んだ指先に力が入る。
既に限界が近い総一郎さんは、迪子さんの、暖かく強くうごめく体内に欲望を解き放った。


「総一郎さま……」
まだ涙の跡が残る顔で迪子さんが両手を伸ばして総一郎さんの頬を包む。
総一郎さんも横たわった迪子さんの裸の腰にやさしく腕をまわした。

乱れたシーツの上で、ふたりは黙ったまましばらく見つめ合った。
先程の愛撫の余韻で艶めいた迪子さんの顔色を総一郎さんは吸い込まれそうな思いで見つめて、
それから再び抱き寄せると、やさしく唇を重ねた。
迪子さんの両手が首に絡んで、ふたりの身体は密着して離れない。

あ……、何だかまた身体が……。
総一郎さんの身体がまた熱く反応して、迪子さんがそれに気付くと顔を赤らめて身体を離そうとする。
「いやだ、離さない……」
「だって、総一郎さま」
迪子さんを強く抱き締めると、総一郎さんはにっこり微笑んで囁いた。
「今夜は、今まで我慢していた分を取り戻す」
「まぁ……」
迪子さんが顔を真っ赤にして抗おうとする。
「だって、わたくし、もういけませんわ、……あぁぁ、だ…め……」
既に唇は胸元を這って、迪子さんは諦めたように甘い声を吐息と共に囁いた「いじわるね……」。
「今の僕と、今までのあなたと、どっちがいじわるだと思う?」
笑みを含んで顔を覗き込んだ総一郎さんに、迪子さんは再び顔を赤らめると、何度目か分からない甘い快楽の渦に身を任せた。




おしまい。
580名無しさん@ピンキー:2006/05/05(金) 21:07:15 ID:iCUI4IK0
産後、迪子さんは能面になるわけですし実際はこんな風ではなかったでしょうが、
私の勝手な妄想でした。
お付き合いいただいてありがとうございました。
581名無しさん@ピンキー:2006/05/05(金) 22:34:34 ID:3MAM68bP
総一郎様、大人の余裕ムッハー!!!!!
582名無しさん@ピンキー:2006/05/05(金) 23:11:33 ID:CBuPqOlF
特徴的な書き癖がまだ残ってるけど努力はしたようだな。
583名無しさん@ピンキー:2006/05/05(金) 23:31:05 ID:zilv1PT/
うおぉぉGJ!
迪子さんかわいい!
584名無しさん@ピンキー:2006/05/06(土) 00:14:44 ID:f61uIAEG
GJ!!
ツンデレ迪子さんとオトナの余裕総一郎さん最強。
585名無しさん@ピンキー:2006/05/06(土) 02:07:50 ID:3mfi77we
GJGJGJ!!!!

能面のようになるけれど、
一度くらいこんな夜があったとしてもいいじゃないか!
またお願いしますw
586名無しさん@ピンキー:2006/05/06(土) 05:46:38 ID:yEuWhXQs
迪子さん萌…
夫婦エチー眼福でございました。
582は誤爆か?
587名無しさん@ピンキー:2006/05/09(火) 09:49:56 ID:8c9bsSQz
斎木夫妻書いた者です。
遅くなりましたが、GJありがとうございます。

>582さま
書きグセ等のご指摘は私宛でしょうか。
私はssを書き始めてまだ数ヶ月足らずですが、書き始めた頃より三点リーダを使用
しております。
このスレになってからも幾度か投下しましたが、書き方を初期から特に変えてもお
りませんので、
遡っていただければすぐに私のssがお分かりになるかと思います。
尚、過去投下した中で一番新しいものは>283からの嵯峨宮兄のものです。

このレスで気分悪くされた方がいらしたら申し訳ないです。
流れ遮ってすみませんでした。
588名無しさん@ピンキー:2006/05/09(火) 10:39:38 ID:II3HhAso
>>587
気にしない方がいい
こーゆー奴はスルーが1番

老婆心ながら…
書き手は(目立つと言う意味で)叩かれやすいんで、あまり長文レスはしない方が良い
あなたは頑張ってる
でもここは2chだから、書き手として発言する時は、少し名無しさん達
とは距離をおいた方が良いと思う
どうか、あなたが傷つく事がありませんように


ここも、自然にみんなでスルー出来る様になるスレだといいね
楽しいといいね
幸せだといいね
589名無しさん@ピンキー:2006/05/09(火) 10:49:43 ID:II3HhAso
これだけじゃ、毎日が詰め襟=葬式のよーなので……w

まだ出てない作品も結構あるよね?
愚者の楽園
殿様は空のお城に住んでいる
大地の貴族
ミソ・スープは哲学する
フロイト1/2
かぼちゃ計画

だっけ?出てないの
590名無しさん@ピンキー:2006/05/09(火) 20:50:56 ID:VWvi9sSs
フロイト1/2は過去にあったんじゃないかな。
愚者の楽園読んでみたいな。
安楽さんのそーゆーとこ想像できないけど。
天光坊は割りとあっさり手を出しそうだww
591名無しさん@ピンキー:2006/05/09(火) 21:46:49 ID:Y7fpYDv4
自分は大地の貴族が読んでみたい!
川原作品にしては、珍しく純粋培養のお嬢様だよね。
郁子お嬢様、ぽややんとしてて好きだったよ。
592名無しさん@ピンキー:2006/05/09(火) 23:47:57 ID:BeWSIyWE
>573
遅ればせながら、大人の総一郎様萌え。
お庭での奇跡の一瞬の光景が目に浮かぶようで綺麗です。
この初合意えっち(?)が和音さんの受胎日だったりするのかな。
なんか幸せでいいですねぇ。(とりあえず時期の計算はなしで(汗)
次回作もお待ちしています。

>591
>川原作品にしては、珍しく純粋培養のお嬢様
なんか可愛い郁子さん。
あと、恋する女の子!なのが画期的だと思ってしまったです(笑

593名無しさん@ピンキー:2006/05/10(水) 01:17:35 ID:twHxLDu5
ここのログ引用されてるみたいな気がする…不愉快なんだけど。
ttp://aa5.2ch.net/test/read.cgi/nanmin/1144777199/522
594名無しさん@ピンキー:2006/05/10(水) 10:25:37 ID:WYORO99c
自分が不愉快だからって、いやな気分をおすそ分けしてくれなくても良いよ。
595名無しさん@ピンキー:2006/05/10(水) 12:31:41 ID:PrZBUTfW
>>591
牛馬のくんずほぐれずを先に想像してしまった漏れは……orz
596名無しさん@ピンキー:2006/05/10(水) 20:14:01 ID:qjGsWN/N
私も真っ先に
「フォンタナ・ゴールドとエリザベスの種を超えた愛!」
と思ったよ    orz
乳牛なんだろうから、お母さんなのかね(それも不思議だが
597名無しさん@ピンキー:2006/05/11(木) 02:03:34 ID:RyWlSMxQ
>595-596
>種を超えた愛

想像しちまったじゃねーかwww
598名無しさん@ピンキー:2006/05/12(金) 09:20:29 ID:wSZlBZl4
>597
その前に、性別、越えなきゃ…。

知人の獣医に聞いたトリビア。
普段は牝の匂いをわざとつけた台で牡を興奮させ、その某白濁液を採取するらしい(その名も「横取り法」)が、一度、交尾の味を知ってしまった牛は、二度とその台では興奮しないらしい。
あの白牛は、まき牛か?
599598:2006/05/12(金) 09:27:16 ID:wSZlBZl4
誤爆

エリザベスなら、性別、越えなくてもよかった…。
ちょっと逝ってくる。
600名無しさん@ピンキー:2006/05/12(金) 09:50:13 ID:m8+6edqW
メイプル戦記ってまだ需要ある?
書いてみようと思うんだが...
601名無しさん@ピンキー:2006/05/12(金) 13:46:17 ID:HbLQeR0e
>>600
書いてあるなら普通に投下すればいいよ。
老婆心から言わせてもらうと、
職人さんの前置きや自分語りは叩かれやすいからやめた方がいい。
誘い水してるように思われて荒れる元になる。
ただでさえ今は微妙な雰囲気だしね。

わかってくれたらレス不要。
602名無しさん@ピンキー:2006/05/12(金) 15:33:42 ID:TsRMuljg
>600
 大 蟻 ! 禿 黄 泉 隊 w
603名無しさん@ピンキー:2006/05/13(土) 00:52:58 ID:Jge43sfF
メイプルだろうがなんだろうが需要はあります。職人さんカモーン。
604名無しさん@ピンキー:2006/05/14(日) 01:25:40 ID:jY0MKTob
メイプル期待して待ってます。ガンガッテ!GHQも待ってます。
605名無しさん@ピンキー:2006/05/14(日) 21:15:20 ID:CWXnq1ti
保管庫久しぶりに更新されてたね。
管理人消えたかと思ってた。
606笑う大天使(スワップ風)1:2006/05/15(月) 23:26:44 ID:XmdWauV5
●注意●
タイトルの通りスワップ風味です。(風味と言うのは一応最後までは無い予定なので)
今回は前振りのみですが原作カップル以外のエロになりますので嫌な方はご注意。

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隣の芝生は青いという諺がある。
取って食うわけでもないのに色がどうしたって思わないでもないが、偉いおじさんか
おばさん(男女同権ってやつだ)が芝生は青いのに限ると決めたのだ。
それだけの話なんだけどびしっと決められた物に弱いのが庶民というもの。
それゆえパイオニア庶民や由緒正しい庶民、それにエベレスト庶民であるお嬢さんがたは
アサハカに隣の庭を見て指を咥えて呟くのだ。
「いいなあ…青くて…」
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始まりは和音さんの家のごく些細な?トラブルからだった。
ずっと前から予定していた二人きりのディナーが若月氏の都合で中止になってしまったのだ。
互いにとにかく忙しい二人が調整に調整を重ねて、食いしん坊の和音さんも吟味に吟味を重ねて
とっても楽しみにしていたディナーだった。しかも当日の直前、ドタキャンというやつだな。
「はぁぁぁ?キャンセル、だ?ふ、ふ、ふざけんな!もう店に向かってるんだぞっ!」
「本当にすいません。今回はおじさ…じゃなくてお義父さ…でもない。
会長の面子がある仕事ですし私が出ないわけにはいかないんですよ。
今度必ず埋め合わせ…「ああん?何を埋めるんだって?」
昼食を抜いて準備万端だった和音さんはすこぶる機嫌が悪くいつもにも増して口と柄が悪い。
「今度なんてどーでもいいんだよ。今のこの腹減りをどーしてくれるんだっ!俊介!」
「どーしてくれるんだって…こちらだって遊んでるわけじゃないんですよ。」
「あったりまえだ!遊んでるくらいなら首根っこひっ捕まえに行ってやる!」
さしもの若月氏も誠意を尽くして謝っているのに責めに責められればお臍も曲がる。
「…わかりました。そんなに行きたいならどーぞお一人で店へお行きになればいいでしょう。
遠慮はいりませんから俊介の分も存っ分にお召し上がりください。
食いしん坊の和音さんには嬉しいくらいでしょう?ただし腹痛起こしても知りませんけどね。
わはははは……」
がっちーーーん!ぶっちーーーん!
一個目は携帯電話を投げ付けた音で二個目は堪忍袋の緒が切れた音。
そして和音さんはその怒りのままに予約した店に一人で勇み入って行ったのだ。
607笑う大天使(スワップ風)2:2006/05/15(月) 23:28:09 ID:XmdWauV5
「俊介の奴め…今度と言う今度はもう許さんぞ。
だいたい自分でえらっそうに男子の一言金鉄のごとしとかほざいてたくせにっ!」
20年は昔の事まで持ち出していっそう怒りを盛り上げる和音さんに柚子さんと史緒さんは
何とも複雑そうに顔を見合わせる。言葉に出さなくても互いの気持ちはおんなじだ。
点目は口ほどに物を言うってやつだな。
(和音って…執念深いんだなあ…)
スポーツマンもしくはウーマンがさっぱりした性格なんてのは幻想。
勘違いで20年冷戦を続けた総一郎さんと迪子さんの娘なんだからまあ当然といえば当然だ。
「そう言うなって…若月さんだって悪気があったわけじゃあるめぇ。仕事だったんだろ。」
日本的な和、というか曖昧さを必須とするエリート官僚の史緒さんが適当に取り成してみる。
「んだな。腹減り大将で帰ったってならともかく二人分食って挙句腹痛で寝込んでるんだ。
完璧に自業自得なんだからしっかりと安静にしてるのが一番だよな。」
長い海外暮らしで日本的曖昧さ、というかナアナアが恋しくなっていた柚子さんはすかさず賛同した。
「ぐ…ぐ…うるせ〜〜〜!!お前達はわらしのトモダチじゃないのか!!」
正論に次ぐ正論で言い篭められた和音さんはベッドの中で駄々っ子のように手足をばたつかせる。
「だいたい安静にっても程があるだろ!昨日からず〜っと薬と水しか飲ませて貰ってないんだぞ。
もう痛みは収まってるのにどう考えても俊介の嫌がらせだっっ!」
学生時代からちっとも変わらない和音さんにやっぱりちっとも変わらない二人が深々と溜息を吐く。
「まあまあ。腹痛治ったら今度こそ若月さんと美味い物食いに行きゃいいじゃねーの。」
「お、んで仲直りだな。それで万事解決めでたしめでたし、おめでとー。」
面倒くさくなってきた二人はかなり強引にまとめてぱちぱちぱちと拍手までする。
「薄情者らめ〜…」
恨めしそうに呟く和音さんの上にさっと禍々しい影が落ちて来た。
「そうそう、お二人の言われる通りです。安静にしてないといけませんよ。」
「げ!しゅ、俊介!」
あれだけ威勢の良かった和音さんがシーツの中に逃げ込むのを横目に見て若月氏は笑いを噛んでいる。
手際よくさっさか日本茶とアンまんをテーブルに並べていく。勿論、ちょっきり二人分だ。
608笑う大天使(スワップ風)3:2006/05/15(月) 23:30:52 ID:XmdWauV5
「おお、久しぶりのアンまん!」
「ああそうか。柚子は先週までロンドンだっけ。よし存分に食え食え。」
他人の家のアンまんをお勧めする史緒の背後から何とも恨めしそうな声がした。
「う〜……それは私がおやつに食べようと買って来てたのに〜…」
「何言ってるんですか、おかゆも食べられない人が。」
ぴしゃりと言い返す若月氏を何とも悲しげな仔犬のような顔で見上げる和音さん。
「まあまあ、若月さん。アンまんは無理でもそろそろおかゆくらいいいんでないの?」
「んだんだ。和音も反省しただろうし何といっても夫婦喧嘩は犬も食わないってんだから。
二人でゆっくり何か食いながら仲直りってことでさ…」
今度はこっちへ譲歩をお勧め、と蝙蝠な二人にあっさりと首を振る若月氏。
ついでに異人さんのような指振りと肩竦めに苦笑いのジェスチャー付きだ。
「今回は、A fool's bolt is soon shot…”愚か者の矢はすぐ放たれる”ですよ。
私が仕事を早く片付けて何とか駆けつけたのにとっくに一人で二人分平らげてたんですからねえ。」
更なる恥を暴露されてぐうとシーツの中で呻く和音さんにわっはっはと高笑いの若月氏。
「ではお二人ともごゆっくりどうぞ。ああ、和音さん。
言って置きますが貰い食いなんてしたら一週間食事抜きですからね。」
楽しそうに退場する若月氏に面白がっていた二人もさすがに和音さんへ同情の念が沸いて来た。
日本の伝統、判官贔屓だ。
一応若月氏を弁護するならば、本人は和音さんを馬鹿にしたってつもりじゃないんだ、これが。
病気とは言えそんなに深刻なものじゃないから跳ねっかえりの和音さんがしおらしく寝てるのが
可愛くて何となく浮かれちゃっただけだったりする。要するに好きな子いじめってやつだな。
でも、そういう事はたいてい伝わらないんだよな。男と女の間には深くて暗い川があるから。
「愚か者ってさ。そこまで言うこと無いよな。」
「だよなあ。そんなら先走って中止の連絡した方こそ愚か者だろ。」
「お。お前達……わらしの悔しさをわかってくれたか!」
いつの間にかベッドから出てきた和音さんはひしと二人の手を取る。
嗚呼、美しき猫かぶり同盟の友情よ。
609笑う大天使(スワップ風)4:2006/05/15(月) 23:32:48 ID:XmdWauV5
「それよりよ、さっきの妙ちくりんなジェスチャー見てたらいや〜な事思い出したぞ。
ロレンスが澄ましてよくやるんだよ。ああいうのをさっ!」
柚子さんの眉間に薄っすらと皺が寄りむっつりとした口調になってくる。
彼女はゆっくりと年月を重ねてサー・ロレンスの妻、ユズコレディロレンスになった。
学生時代からの淡い思いがやがて愛へ、そりゃあ素敵な素敵なラブロマンス。
でもそれはまた庶民の柚子さんにとって貴族っちゅー何とも時代錯誤な生き物との生活、という
非常に忍耐を要する歴史でもあったわけだな。
「どうも実家に帰るとお貴族様に戻っちまうみたいでさ。
茶葉がどうの、産地がどうの、挙句にはどの家畜のミルクがいいかって……何か馬鹿らしくなって
らくのう牛乳でも入れてろって言ってやったらばな。こう、鼻でフンと笑うんだよ。
んで『まあ、らくのう牛乳もおいしいけどね』だってよ。」
「『おいしいけど』だとぉ?美味けりゃいいじゃねーかっ。けどって何なんだよ。」
若き十代の頃から現在まで同じように異文化摩擦に苦しんできた史緒さんがすかさず賛成する。
「冗談じゃないよなっ。世間には貧乏に苦しんでる人が大勢居るってのに!」
「そーだそーだ、贅沢は敵だっ!欲しがりません、勝つまではっっ!
うちの兄ちゃん殿下も一回くらい貧乏を味わえってんだよな。」

「そ、そこまで言わんでもええんでないか…?」
二人がエキサイトし過ぎると今度は和音さんの方がフォローにまわる。
「ロレンス先生はうちの俊介と違って優しかろ?レデーファーストってやつで。」
「うんにゃ!あいつ、そこんとこはきっちり日本男児なんだよ。
優しいんならやっぱ史緒ん家の兄ちゃん殿下だろ。あんな優しげな兄ちゃん欲しいよなあ。」
矛先を向けられた史緒さんがぎょぎょっと目を見開いた。
「えええ〜?どこがあ?兄ちゃんみたいなのが一番性質が悪いんだよな。
ニコニコして油断させてぐさっとやっちまうに違いねぇ。やっぱ俊介さんだろ。
幼い頃から影に控えて支え続けるってのは憧れだな。君はオスカル、僕はアンドレ♪」
「えええ?だからうちの俊介よりもさあ…」
「それ、さっき聞いたよ。」
610笑う大天使(スワップ風)5:2006/05/15(月) 23:34:40 ID:XmdWauV5
羨ましがりがぐるっと輪になってああだこうだと答えの出ない話ばかり。
「何か…わしら冴えないよなあ…」
「結婚なんてしなきゃ良かったかな。」
「結婚しなくたって変わんないだろ。」
三人が三人、何とも言えない倦怠感に微妙な溜息を吐く。
「あーあー…取替えっこでもできたらなあ。」
「!」「!!」
それは、空腹になりすぎた和音さんのとんでもない世迷いごとだったのだが……
「そっそれだ!」
同じくらい世迷ってる二人には天の雷のような衝撃だった。
我発見せり!ユリイカ!地球は回ってる!
「それだ!って…おいおい、本当にんな事できるわけないだろが。」
「ふっふっふっ。エリート官僚を甘く見るんじゃないぞ。あんなお薬こんなお薬、思うが侭だ!」
ちっとも威張れる事じゃないんだが、偉そうに胸を張る史緒さん。
「いいないいな、それ。そんじゃあこっそりロレンスお気に入りのブランデーにでも入れてさ…」
「まあ待て待て。それならいっそわらしの快気祝いと称してだな………」
ごにょごにょにょにょ、良からぬ密談。
ずっと昔に若月氏が教えてくれたとっても失礼な格言――小人閑居して不善を為す。
散々怒った癖に、正にその例えの通り暇を余らせた庶民たちはろくでもない計画を着々と進めていったのだった。

(続く)
-----
追加の注意書き?というか設定のようなもの。
●設定としてはお嬢さんたちが二十代後半くらいの感じです。
原作で婚姻時期までは特定されて無いようですので勝手に柚子は既婚、和音は未婚に。
前者は短大卒後すぐ、後者は体育教師をやってた5年は未婚かなという勝手な想像。
特に根拠はありません。

今週中には終わらせる予定です。
611名無しさん@ピンキー:2006/05/15(月) 23:46:59 ID:UgFaY4S6
wktkして待つ。
612名無しさん@ピンキー:2006/05/16(火) 11:04:57 ID:5HdOmGAr
職人さん乙!
続き期待します。
613名無しさん@ピンキー:2006/05/16(火) 14:01:35 ID:+7LXYDw/
いい男達をつかまえておいて
(いや、捕まえられて、か)
ムチャクチャ言ってるのにハゲワラ
614名無しさん@ピンキー:2006/05/16(火) 22:23:17 ID:thfuPHTL
ちょとなにこの作品!
すげ〜楽しいんだけど
続き待ってま〜す
615名無しさん@ピンキー:2006/05/16(火) 22:54:50 ID:tq175Rjf
職人さん、ありがとう!
これからの展開がひじょーに気になる。
早く読ませてー!
616名無しさん@ピンキー:2006/05/16(火) 23:10:03 ID:s8cchWwp
щ(゚Д゚щ) カモーン!
щ(゚Д゚щ) カモーン!

熱烈に希望します。

そしてアリガトウゴザイマス。
617名無しさん@ピンキー:2006/05/22(月) 00:50:38 ID:yUsdcqI+
大地の貴族の郁子お嬢様に言いよる嫌なやつって
カモメまゆげ?でしったけ?原作よみなおそうかな。
てなわけで保守。
618名無しさん@ピンキー:2006/05/24(水) 00:21:02 ID:1F8/5LCU
かもめ眉毛いたねw

大天使続き、熱烈待機しております。
619名無しさん@ピンキー:2006/05/24(水) 21:32:18 ID:/Pc+c04L
GHQの神様も、大天使の神様も、wktkで待ってます。
620名無しさん@ピンキー:2006/05/25(木) 00:11:44 ID:VnhRfcW3
 いつも書き手のみなさんの素晴らしい作品に萌えまくっていたら、自分でも書いてみたくなってしまいました。
 まだまだ修行が必要な身ですが、職人さん方が産みの苦しみで作品を書いていらしゃる合間の暇つぶしにでも読んでやってください。

 バビロンまで何マイル?のパロです。
 友理が仁希と一線を越えるために頑張ろう!と思ったきっかけの妄想です。注意書きを良くお読み下さい。

 要注意!
 設定としては、お年頃の仁希は微乳ではなく最近胸が大きく育ってきています。
 友理はモテモテだったので過去に多くの女の子と付き合っていて、女性経験豊富です。
 最終的には友理に本懐を遂げさせたいと思っています。最後まで行くには、仁希にどうしても友理を意識してもらわないことには、なんとも進みません。
 今回は友理の独白がほとんどなので、シリアスです。こんなのバビロンじゃないー!!とお思いの方は華麗にスルーして下さい。

 それでは、妄想のバビロン 友理×仁希 を投下します。
621妄想のバビロン:2006/05/25(木) 00:13:05 ID:VnhRfcW3
《決意の夜》

 月明りが綺麗な晩だった。
 まだ八月までには一週間以上あるというのに、連日三十度近くの熱帯夜が続いている。
 そんな深夜、仁希は机に向かい、額から汗をだらだらと流しながら受験勉強をしていた。机の前の窓の網戸は全開にしているが、少しの生温い風しか入ってこない。
 仁希の部屋にはクーラーがない。と言うより、仁希の家には一台もクーラーはなかった。しかし、そこは受験生。いくら暑くったって、意地でも勉強しなければならない。
 仁希はふと勉強している手を止め、着ているTシャツの裾の両端を手で持ち、パタパタとお腹に風を送り込むように扇ぎ出した。
「あっちぃ〜。こう毎日蒸し暑いと、勉強も進まね〜よ。あーあ〜」
 独り言でも言ってないと、この冗談のような暑さに負け、勉強を投げ出して寝てしまいたいという衝動に駆られそうだった。
この蒸し暑さで仁希のTシャツは、既に首周りから背中が汗でびっしょりになっていた。
(あー、気持ち悪いから着替えようかな…)
 仁希は椅子に座ったままTシャツを勢い良くがばっと脱いだ。
 そのTシャツを丸めて部屋の隅に置いてある汚れ物を入れる籠に投げ入れ、下着姿のまま椅子から立ち上がり、壁際に置いてあるタンスから新しいTシャツを引っ張り出すと、机に向かって歩きながら頭からそれをずぼっと被った。
「うん?」
 Tシャツから頭を出したところで、仁希は何か視線を感じたような気がして、窓の外を何気なく見た。隣家の窓に影が動いたような気がしたが、部屋の中は真っ暗だったため何も見えない。
(気のせいか…?ま、気のせいだろうな…)
「よし、続きをやるぞー!」
 仁希は気合を入れ直し、両腕を上げて伸びをすると、椅子に座って中断していた勉強を再開させたのだった。
622妄想のバビロン2:2006/05/25(木) 00:17:14 ID:VnhRfcW3
友理はシャワーを浴びてちょうど出てきた所だった。風呂上りなので、着けているのは下着のみ。
 引き締まった上半身裸の首にバスタオルを掛け、そのタオルを使って両手で濡れた髪の毛をかき回すように拭きながら、
網戸から入ってくる風で涼もうと思い窓際に向かった。
 友理の部屋にクーラーはあるが、暑いのはフェンシング部の練習や合宿などで慣れている。そのため風呂上りでも電源を入れる気はなかった。
 昔からクーラーはなんとなく苦手だった。体が冷えすぎて、だるくなってしまうからだろうか。
何より今は受験勉強のためにも体調を崩したくないので、極力使わないことにしていた。
 窓際に佇むと自分の部屋の電気は点けずに、窓から入ってくるお盆のような月の明かりで隣家の部屋の窓をぼんやりと目にした。
(今日も遅くまで頑張ってるな…)
 こちらが暗い分、明かりの点いている仁希の部屋の様子は良く見える。真剣な眼差しで机に向かっていると思ったら、
着ているTシャツの裾をつかんで両手でバタバタと扇いでいる。時折可愛らしいお臍が見える。
(今日はまた、特に蒸し暑いもんな。熱帯夜で…)
 くすっと苦笑しながらその様子を見ていると、何と―仁希はカーテンも引かずに煌々と明かりを点けたまま、勢い良くTシャツを脱いでしまった。
 あまりのことに友理は目を見開いたまま、痺れた様にその場に立ち尽くした。
 ―見ちゃいけない、見るんじゃない!目をそらせ!―
 これじゃ、まるで覗きだ!友理の理性が告げるが、目を離せなかった。いや、離したくなかったのが事実―
 仁希の肌は、驚くほど―眩しいほどに白かった。
 本好きでいつも建物の中にいるため、日になど焼いたことがないであろう肌は、蛍光灯に照らされ、それ自体が発光しているかのように輝いて見える。
 椅子から立ち上がった腰はほっそりとくびれていて、それに続く紺色のショートパンツから見える足は、すらりと細く伸びていた。
 シンプルな白い下着に包まれている仁希の胸は、その華奢な体には似合わないくらい豊かに膨らんでいて、
どう見てもサイズが合っていないであろう下着に窮屈そうに収まっていた。
その二つの膨らみは、残念なことに仁希が新しいTシャツを頭から被り、友理の目からは隠されてしまった。
 ふと、仁希がこちらに視線を向けた。
 まずい!とっさに友理は窓の下にしゃがみ込んだ。心臓がばくばくと早鐘を打っている。
623妄想のバビロン3:2006/05/25(木) 00:19:52 ID:VnhRfcW3
 普段からゆったりとした服しか着ているのを見たことがなかった。体のラインが露わになるような服など、仁希は一着も持っていないのだろう。
そして、普段着ている洋服の上からは、あれだけものが隠されているとは、友理は想像したこともなかった。
(仁希って…着痩せするタイプだったんだ…)
 もう一度、下着姿の仁希が目に浮かぶ。頭の中は今見た光景の繰り返しがぐるぐると回っていた。今までの経験から言って、目測では少なくともCもしくはDカップ。

 あの白い二つの膨らみをこの両手で直に感じてみたい。唇でその頂にある紅い蕾を吸い、思うさま舌で舐ってみたい。
白い肌のいたるところに唇で所有印を刻み、余すところ無く指先で触れてその質感を思う存分味わいたい。
そして、あの華奢な腰をつかんで細い足を抱え上げて―

 頭にカッと音を立てて血が上っていく。友理は思わず口元を手で押さえると、窓の下の壁に背中を持たせかけ、そのままずずっと崩れるように足を投げ出し、床に座り込んだ。
(―まったく…なんて、こった…)
 仁希の裸を想像しただけで、下半身のものが痛いくらいに自己主張を始めてしまった。
 女の子の体を知らない訳ではない。年の割には付き合って深い仲になった人数は、多い方だと思う。しかし、どの女の子たちも自分から好きになったことはない。
 告白されたことは山ほどあっても、友理は告白したことは今まで一度もなかった。
 来る者拒まず去る者追わずの精神で付き合ってきて、最終的に友理の心がいくら頑張っても自分だけのものにはならないと気付いた女の子たちは、静かに去っていった。
(もう、俺にもわかってる…誰も仁希の代わりにはならないってことぐらい…)
624妄想のバビロン4:2006/05/25(木) 00:22:41 ID:VnhRfcW3
 ノームから貰った指輪で過去に二人で跳ばされ、何度も危ない目にあったときも自分の命よりも先に仁希を助けるために自然と体が動いた。
 ティラノザウルスに仁希が襲われているのを見て、自分の身の危険など省みずに駆け寄り、無我夢中でその尻尾にナイフを突き立てた。
 チェザーレの邸宅で刺客に襲われたときも、人を傷つけるための剣など振るうつもりはなかった。だが、体が勝手に仁希を庇う様に動き、相手の腕を切り裂いた。
 その時、仁希を守るためなら人も殺せるかもしれないと初めて自覚した。
 他の誰でもなく、仁希のためならば…
 
 いくら仁希を思ったところで、幼馴染としてしか自分の存在を認めてくれはしないだろうと、今までの仁希の態度からも頭では容易に想像がつく。
 この世界に女性はいくらでもいると、仁希が望むのならただの幼馴染の役に徹しようと考えた時もあった。
 だけど、仁希という人間は世界でただ一人。だから、大切にしたかった。自分の一方的な思いだけで傷つけたくはなかった。
 最後の彼女と別れてからは、この思いに気付いてくれるまで、仁希が自分を望んでくれるまで、いつまでもいくらだって待つつもりでいた。
 そう、今日までは―今の場面を目にしたりしなければ―

 今現実に見てしまった仁希の白く眩しい体の前では、友理の心と体はもうこれ以上待つのは、諦めるのは嫌だと叫んでいる。
 一緒に遊んだ子供の頃から十年以上思ってきたのだ。もう充分だ。
 長年馴染んできた幼馴染という砦がどんなに居心地が良くても、立て篭もる時期はもう終わりにしなければ。
 これから先、誰にも仁希を渡すつもりなどないのだから―
 どこで誰が見ているかもわからないのに、カーテンも閉めずに下着姿でうろうろするなど、年頃の女の子が取っていい行動ではないことを自分が教えてやろう。
 無理やり閉じ込め抑えていた自分の欲望に火を点けたのは、無防備な行動を取った仁希に責任がある。
(この責任はきっちり取ってもらわないと―)
625妄想のバビロン5:2006/05/25(木) 00:25:45 ID:VnhRfcW3
 期限は二人が現役で大学に合格したとして、入学するまでの間に必ずなんとかしようと心に決めた。
 新しい生活に入る前に自分のものにして、お互いの関係を確かなものにしたい。
 まずは行動を起こして、単なる隣の幼馴染ではなく、仁希に自分を男として意識させることだ。そして、今の関係は絶対に変えなければ!
 
 決意を新たにして床から立ち上がると、友理は窓からそっと仁希の勉強している様子を眺めた。
(強引にでも押し倒すしかないか…一度警戒させると二度目はないだろうな…慎重に事を進めないと…)
 頭をすっきりさせて計画を立てるためにも、まずこの熱い体の疼きを静めなくては、あまりにも辛すぎる。
 友理は再び自室に付いている今出たばかりの風呂場へと向かった。

 目に焼きついている仁希の下着姿を思い浮かべ、何度も抜いてしまった。いつもは割りと淡白な方なのに、今日のこの昂ぶり様は尋常ではない。
「…あぁっ…仁希…っ…うっ!」
 何度出しても満足できない。もう、こんなに疲れ切っているのに…
 切りが無いので、仁希を思うだけで苦しいぐらいに張り詰めてくる己自身を静めるため、友理は冷たいシャワーを体が冷え切るほど全身に浴びせた。
 下半身の熱はなんとか治まったが、なんとなく感じる罪悪感に友理の胸は苦しかった。
 今まで意識的に仁希のことを汚してはいけない神聖なものとして、こういう夜のオカズにしたことはなかった。
 一度箍が外れてしまえば、取り返しが付かなくなりそうで怖かったからだ。
 夢の中に仁希が出てきたことはあるが、それは無意識の中のことなので仕方が無い。

 友理は風呂を出ると、仁希に責任を取らせるその日のために、永遠に仁希を失ってしまうことがないように、失敗することは許されない計画を仁希の部屋の明かりが消えてもなお、
空が白々と明けるまで考えていた。
 友理はベッドに体を横たえたが一睡も出来ずに、結局眠気を堪えて出かける支度をすることになってしまった。

 今日はこれから終業式―明日からは受験勉強さえなければ、自由気ままな夏休みだ。
 難攻不落の砦を落とすための第一歩は、仁希を待ち伏せして、偶然を装って一緒に登校すること。それから、仁希に夜通し考えた第一関門を突破するための提案をすること。
 さりげなく人の良い幼馴染を演じるためにも、些細な眠気など今は構っている場合じゃない。

 学生服に着替えると友理はあくびを噛み殺しながら、朝食を食べるために階下へと下りて行った。


《決意の夜》終
626妄想のバビロン:2006/05/25(木) 00:31:26 ID:VnhRfcW3
おまけ

 昔遊んだバルタン星人 
 華奢な体のバルタン星人
 ある日Tシャツ脱ぎ捨てて
 幼児体型抜け出して
 今ではすっかりDカップ

 以上、お粗末でした。


 この展開は、お隣り同士の幼馴染が着替え風景を偶然見てしまいドキドキものー、という使い古された少年少女漫画の王道ですわな。
 所詮わらしの想像力などその程度です。続きも書いてますんで、そのうちこっそり投下します。
 
 GHQ、大天使の職人様、期待してます!ガンガッテください!
 では、失礼します!
627名無しさん@ピンキー:2006/05/25(木) 00:53:09 ID:cY2MhEHq
628名無しさん@ピンキー:2006/05/25(木) 02:08:51 ID:A0nGYMgn
新しい世界の扉が開きかけている。
バビロンの妄想神様、乙!

仁希の体型いいなー。
無防備無自覚は幼馴染の王道ですね、いいですね
629名無しさん@ピンキー:2006/05/25(木) 23:53:21 ID:ihIZB363
久々にミカエル映画公式行ったらリニューアルしてたんだけど、
柚子さんメガネっ子設定?!
女優が派手顔だから苦肉の策でメガネなのかな。
相関図にあるロレンス先生もメガネかけてるから
映画版ではメガネカップルになるのか?
(映画では恋愛関係は一切かかれないだろうけど)
630名無しさん@ピンキー:2006/05/26(金) 02:46:34 ID:kWq10Fam
妄想のバビロン様乙!!
超超超、GJ!!
バビロン好きにはたまらん展開ですた!!!

続きめっちゃ楽しみにしてます。
631名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 00:07:25 ID:46TYJEiI
554 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2006/05/08(月) 14:29:37 ID:CarV/viv
しかし…いま投下しようと思っているスレはまさしく 
スレの盛り上げのための社交辞令のGJが飛び交っていて恐いなあ。 
そろそろ荒れそうな気配。 
こういう時は、はできるだけ寡黙に淡々と投下したほうがいいかな? 
555 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2006/05/08(月) 14:31:44 ID:jV44oedl
>>552 
俺なんかは「GJ」だけのレスとかはとりあえず言ってみました感が払拭出来ないんだけどな 

ていうかあれだね、「ここをこうしたら〜」よりも 
素直な感想を述べてくれると嬉しいし参考になる 
「〜〜」っていう台詞にこう感じたとか、この部分の描写がよく分からなかったとか 
自分のSSは頭の中で映像出来ちゃってるから文章でちゃんと伝わってるか不安になる 
632名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 02:27:48 ID:cOK5ZNPH
神降臨ですか。
バビロンの二人は一押しなので続きよろしくw
633名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 05:49:07 ID:Et6FrNl1
537 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2006/05/07(日) 17:16:07 ID:56UMG3z7
投下後の妙に熱いGJがちょっと閉口するときがある 
「すげー!」とかテンションの高い感想書かれると 
スレを盛り上げようと無理矢理感想書いてるような気がするんだよな。 
634名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 10:00:06 ID:0zP/wXKA
主張があるなら堂々と言えばいいのに
まあ他人に対して「読解力がない」なんて怒リ出さなければいいか
635名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 13:07:53 ID:ux5pcPp5
妄想のバビロンの作者でございます。駄文は重々自分で承知しております。
川原ワールドからは、かなり逸脱してますよね。深く反省…
まあ、そこは初めて書いたSSなので、大目に見てください。
GJくださった方々、ありがとうございます。でも、あまり無理しないでくださいね。

今までの素晴らしい皆様方の作品には、本当に感服しています。
自分で書いてみてわかる他人の苦労って感じです。
皆様方にはご不快な点が多々あると思われますが、
そこは大人同士さらっと水に流してください。

あ〜、川原作品読みてーよ。飢えてんだよ〜。萌え話してくれよ〜。
誰か書いてくれよ〜〜ぉ。
友理のかーちゃんの焼いた秘蔵のチーズケーキやるからさー。
さあ、川原作品を愛しているそこのあなた!是非書いて下さい。
素晴らしい作品が読めるなら、二度と出てこないからさ〜。

ま、いろいろありますが、せっかく書いたんで、
書いたところまで懲りずに投下します。
636要注意!!:2006/05/27(土) 13:09:13 ID:ux5pcPp5
要注意!
これから駄文を投下します。読みたくない方は避難してください。
バビロンのパロです。無駄に長くてすみません。
設定としては、お年頃の仁希は微乳ではなく最近胸が大きく育ってきています。
こんなのバビロンじゃないー!!とお思いの方は華麗にスルーして下さい。
今回もエロなしです。仁希と中条さん、松崎さんの三人トークです。
以上ご理解いただいて、宜しくお願いします。
それでは、妄想のバビロン 投下します。
637妄想のバビロン6:2006/05/27(土) 13:10:41 ID:ux5pcPp5
《その日のために》

「各自プリントは行き渡ったかー」
担任が教壇から生徒たちを見回す。
「それじゃ、そこにも書いてあるが、夏休みの受験対策特別補講のスケジュール表だ。予定のないやつは、なるべく参加するように…」
そう言って言葉を切ると、担任はにやりと笑って声のトーンを少し下げて続けた。
「こういう進学校でこういうことを言っちゃなんだが、高校最後の夏休みだ。勉強は程々で、悔いの無いように遊んどけ。
くさい台詞だが十八の夏は一度だけだからな」
生徒たちからは軽い笑い声が出る。
「それじゃ、みんな体調には気をつけろよ。では、解散!」

「仁希、ちょっといい?」
「うん?」
帰り支度をしていた仁希が背後から声を掛けられ、振り向くとクラスメイトの松崎と中条が立っていた。
「今日これから予定ある?なかったら、夏休みでしばらく会えなくなるから一緒にお昼食べて、ちょっとおしゃべりしてかないか?」
「それが、今朝急に予定が入ってさ。別に急ぎの用事じゃないんだけどな…」
「急ぎじゃないならいいじゃない。ちょっとだけ。私らが購買のパンとジュース奢るからさ」
流石に仲の良い友人たちである。仁希の弱点をよくわかっている。
「いいのか〜、悪いなー。もう、何でも私めにお申し付けください。私を犬と呼んでくらはい」
なぜか仁希は、もみ手状態。
「はははっ、冗談はいいからさ。その予定の変更って、どこかに連絡とかするの?」
「あ、大丈夫。友理との約束だから。じゃ、ちょっと遅くなるって言ってくるよ」
「そんじゃ、私らはお昼買ってくから、中庭の芝生のいつもの木陰の所でなー」
「あー、いいね。あそこは風も涼しかろー」
コロッケパンがいいなー、と自分好みのリクエストを仁希が言うと、はいはいわかってますよー、と二人は言いながら教室を出て行った。
638妄想のバビロン7:2006/05/27(土) 13:11:39 ID:ux5pcPp5

「友理、悪い。中条さんたちと、ちょっとお昼食べてから帰るからさ。お邪魔するの少し遅くなるかもしれないけどいいか?」
「ああ、俺は構わないよ。今日は一日家にいるから」
「んじゃ、そう言うことで。また後でなー」
「じゃ、後で」

中庭の木陰にはこの暑さにもかかわらず、気持ちの良い風が吹いている。三人はその芝生の上に輪になって座った。
「ふ〜ん。あんた、夏休みは真船くんの家で勉強するんだ。はい、これ仁希の分」
買ってきたパンとジュースを仁希に渡しながら、中条が言った。
「うん。今朝ばったり家から出るとこで会ってさ。学校まで一緒に登校したんだけど、この暑さにほとほと参ってるって言ったら、
クーラーあるから家で勉強すればって言われてさ」
仁希は受け取った紙パックのジュースにストローを刺し、一口のどを潤してから続ける。
「願っても無いことだったから、お言葉に甘えさせてもらおうかなーと思って。友理は明日から予備校の夏期講習が始まって、
朝から夕方までほとんで家にいないんだと。あいつの家って子供のときは良く遊びに行ったけど、今はリビングくらいしかお邪魔してないしさ。
それで、今日は勉強する部屋を案内するって言われてな」

「私らは同じ予備校の夏期講習行くんだけど、仁希は夏期講習は行かないの?」
松崎がジュースを飲む手を止め、質問した。
「うちにはそんな余裕はないからなー。夏休みの間は暑いの我慢しながら、勉強は家でやろうと思ってたんだ。うちの経済事情を考えると、
受験させてもらえるだけでもありがたいよ。かーちゃんには本当に感謝してる」
仁希はしみじみとそう言いながら、手に持ったコロッケパンを一口かじって、もぎゅもぎゅと咀嚼してごきゅっと飲み込んだ。
「でもさー、家にクーラー無いのは結構きついんだよなー。特に今年の暑さは半端じゃないだろ?
だから、昼間の間だけでも友理の家に避難できて助かるよ」
639妄想のバビロン8:2006/05/27(土) 13:12:31 ID:ux5pcPp5
「そうそう。真船君と言えば、いつも付き合ってる彼女が途絶えたことなかったのに、今は誰とも付き合ってないね。どうしたのかな?」
 松崎は首を傾げながら中条の方を見ると、焼きそばパンを食べていた中条も同意のようで、無言で首を縦に振って頷いた。
「やつも受験生だからな〜。勉強に集中したいんじゃないか?」
 仁希が気の無い返答をすると、
「でも、あの真船君だよ。ワンクール男と呼ばれてる」
「ワンクール男?」
「ま、あんたは知らないか。こういう噂話はいっつも耳に入らないもんね」
松崎がやっぱりねー、と言いながら続ける。
「連続もののドラマとかって三ヶ月が一単位、これをワンクールって言うんだよね。真船くんがワンクール男って呼ばれてるのは、
お付き合いの期間が長くても三ヶ月くらいで別れちゃって、次々とまた新しい彼女と付き合うってことを指して言ってんの」
「へー、よくそれで恨まれないなー」
「それは、真船君が付き合っているときは、その彼女一人だけを大事にするからなんだって。あれだけもてるから、付き合ってるときも告白とかされて、
彼女がいてもいいから付き合って、なんて女の子もいるわけ。だけど、そう言うのは一切お断りなんだって。断固として突っぱねるってさ」
そう語る松崎の物言いは何やら力が入っている。
「ほ〜お。感心感心」
「それで、真船君たちが別れちゃったときが狙い目さ。真船君が別れたって聞くと、彼の事を好きな女の子たちは先を競って告白するんだと。
大体真船君がフリーになって最初に告白した子が次の彼女だからね。だから、三日と空けずに次の彼女ができるんだな」
 松崎の言葉にうんうんと中条も頷く。
「幼馴染ながら、すげーな。友理は」
もてるやつだとは思っていたが、そこまでとは。
思い返してみれば、友理の家に遊びにきている女の子を何度か偶然見かけたことがあるが、必ずいつも違う子だった。短期間だからいつも違っていたわけだ。
「真船君は、女の子たちのお姫様願望をくすぐるんだろうな。なんといってもあの外見だろ?白馬に乗った王子様風だもんね。かっこいいだけじゃなくて、
優しくて生徒会長やったくらいだから行動力もあって、それでフェンシングも強くて、お金持ちのお坊ちゃまなんだもの。
そりゃ、誰でも放って置かないよ。仁希以外はね」
今度は中条がそう言うと、松崎がそうだよねーと大きく頷いた。
「わらひ?」
いきなり話しを自分に振られて、仁希は食べていたコロッケパンを危うく落としそうになった。
640妄想のバビロン9:2006/05/27(土) 13:13:27 ID:ux5pcPp5
「そう、あんたよ。なーんで、お隣同士なんておいしい立場で、全然そういう気にならないの?それが、もう本当に信じられない」
そう呆れたように言いながら松崎は首を横に振り、中条に同意を求めたが彼女は我関せずといった様子で首をすくめただけだった。
「うひゃひゃひゃひゃ。絶対有りえないね」
「どうして?」
「あいつのこと、子供の頃から知ってるんだぞ。一緒に育った兄弟みたいなもんだよ」
「だって、お年頃の、それも血の繋がらない男女でしょ。なんか、こう、少しは異性を感じたりしない?」
「あいつと私との間には、性別なんてないのだよ」
仁希は、もぎゅもぎゅと今度はハムカツロールを頬張る。
なぜか、はーっという深いため息が松崎の口から漏れた。
「仁希にロマンスを求めても虚しいだけだから、止めておいた方がいいぞ。この前二人でそう確認したじゃないか」
今度は中条が松崎に呆れる番だった。
仁希ほどリリシズムやロマンティシズムの似合わない女はいないというのに、松崎は何を血迷っているのか。
「そうだけど、なんて言うかなー。火の無いところに煙は立たないと言うか、人の恋路は興味深いと言うか…」
「あんた、何が言いたいの?」
怪訝そうに中条が松崎に問う。
「だから、噂になってるようなことが少しでもあるんじゃないかと…。と言うか、あって欲しい!
このシチュエーション、もう考えるだけでもドキドキでしょ?今で言うなら、萌えよ、萌え!」
「「はあ?」」
仁希と中条は同時に間抜けな声を出してしまった。
「だって、今まで余りにも身近な存在だった二人―それが、ある時お互いの存在に気付き、いつしか互いに惹かれあう…その突然の衝動と新たな発見、
そして未知の世界に踏み出していく二人…いい、すごく、いい…」
松崎はうっとりとした目をしながら両手を胸のところで組んでそう言った。どうやら、一人で空想の世界へと飛んでいってしまっているようだ。
「ちょっと、あんた、勉強しすぎじゃない?大丈夫?」
「それとも、ファンタジー小説の読みすぎで現実と虚構の区別もつかなくなってるのか?」
仁希も続いて心配そうにそう言うと、松崎は前のものよりももっと深いため息をついた。
「やっぱり、仁希に期待した私が馬鹿だった。でも、少しぐらい夢見させてよ〜。こんな殺伐とした受験生活に、少しの潤いを与えてくれたっていいじゃない」
「そんなこと、言われてもなー」
ファンタジーは私には理解できない領域だからなー、などと考えながらもぎゅもぎゅとハムカツロールを食べきると、仁希は胸元を軽くさすった。
641妄想のバビロン10:2006/05/27(土) 13:14:54 ID:ux5pcPp5
「あれ?仁希、どうしたの?ほら、まだ、焼きそばパンが残ってるよ。いつも軽く三個はいけるのに」
「私のコロッケパンも良かったらあげるよ」
松崎と中条の二人の言葉は、いつもの食用旺盛な仁希だったらとっても有難かったのだが、今日はちょっともう食べられそうになかった。
「なんかさー、こう、最近胸苦しいちゅーか、胸いっぱいって言うか…。メシが前より食えなくなったんだよなー。なんか悪い病気かなー」
そう言いながら仁希が咽元から胸元をさすっていると、あっ、もしかしてと、松崎が嬉しそうに声を上げた。
「それって、医者には治せない病気じゃない?」
「えっ!」
まさか、この若さで不治の病―
なんてーこった、かーちゃんごめんよーぉ。先立つ不幸をお許しくだされー。
仁希はその場でがっくりとうな垂れた。
「お医者様にも草津の湯でも治せないってやつ?あんたも懲りないねー。そんなの、無い無い、絶対無い!この前はあんたがそう言ってたじゃない」
中条は手をパタパタと横に振りながら呆れてそう断言したが、仁希の耳にはその言葉が届いていないようだ。
そんな様子を見ていた中条は、ふと何か思いついたように立ち上がり仁希に近付いて、うな垂れて座り込んでいる仁希の目の前に膝立ちになった。
「仁希、ちょっと首のリボンとシャツの第二ボタンまではずして」
「え、何で?」
「何でも。ほら、早く!」
「う、うん…」
素直にはずすと、中条はぐいっと仁希のシャツの首元を指で引っ張って、中を覗き込んでふむふむと頷いている。
「っちょ、ちょっと、な、なに?」
「やっぱり。あんた、ブラのサイズが合ってないよ。かなりきつそう。これ、いつ買った?」
うーんといつだったかなー、と仁希は言いながら考え込んでいたが、思い出してぽんと手を打った。
「これ、四月に買ったばかりなんだけどなー。近所のスーパーで680円で安かったからさ。今までよりワンサイズ大きなのにしたんだけど…」
えーっ!という二人の驚きの声に続きは掻き消された。
「あんた、お年頃の女の子がスーパーで680円!そりゃ、ないんじゃない?」
「そうだよ。いくらなんでも、お年頃の女の子でしょう?」
「そう言われても、下着なんて使用できればなんでもいいじゃねーか。高いの買う必要なんて全然ないだろ」
「わかった、わかった。仁希にお年頃の女の子の気持ちを説いたところで、糠に釘、暖簾に腕押しさ。私らが間違ってた。でも、そりゃ、まずいよ。
サイズが小さすぎる。体の調子が悪くなっちゃうよ。締め付けすぎは、内臓までおかしくなるって聞いたことあるよ」
心配そうに中条が言った。
「う〜ん。そう言われても、新しい下着を買う余裕はないな〜」
「あ、そうだ。駅前のランジェリーショップで下着を買ったときに、割引券もらったのがあったんだ。
それ仁希にあげるから、サイズの合った新しいの買いなよ。付き合ってあげるからさ」
松崎はそう言って鞄の中から財布を取り出すと、中から二千円と書かれたサービス券を二枚仁希に手渡した。
「えーっ!こんなに悪いよ」
返そうとしたが、松崎は断固として受け取らない。
「悪くない、悪くない。あんたの体調が悪くなったりする方が心配だよ」
「そうそう、素直に受け取りな。私も買いに行くの付き合うよ」
「二人とも…ありがとな」
ああ、いい友人を持ったな〜と、しみじみ思った仁希であった。
642妄想のバビロン11:2006/05/27(土) 13:15:58 ID:ux5pcPp5
「それじゃ、私らは校門で待ってるから、食べ終わったゴミは仁希が全部片付けてね。あ、仁希の荷物は持っていってあげるから」
「へいへい、わかりました」
よいしょと立ち上がり、仁希は一つの袋にまとめたゴミを捨てに、ここからは少し遠くにあるゴミ捨て場へと歩いて行った。

それを見送ると、松崎と中条は反対方向の校門へと歩き始めた。
「さっき変な先入観を持たせるといけないから仁希には言わなかったけどさ。同い年の男の子の家で勉強するって状況は、かなり私らの想像をかき立てると思わないか?」
にやっと笑いながら、中条が横を歩く松崎を見る。
「なーんだ、同じこと考えてたんだ。仁希はともかく、あの真船君の家で勉強だもんね」
「ま、お互い合意の上なら何の問題もないし、彼は実に紳士だという噂だぞ」
「あ、それ私も3−Eの小林さんの友達の子から聞いた。二人っきりで部屋にいても、女の子の方から誘わないと絶対手は出さないんだってさ」
「だから、仁希にその気が全然なければ大丈夫ってことだな」
「でも、わからんよ〜。今は彼女いない訳だし、こんなに長い間彼女がいなかったことって今までなかったでしょ?彼も健康な男子高校生なんだしさ」
「この夏休みで、なんらかの展開があるかもしれないって?」
「私の願望としては、あって欲しいね」
「ま、想像するのは自由だからな」
にかっと二人で顔を見合わせて笑うと、ちょうど校門にたどり着いた。
「仁希のセンスじゃ心配だから、私らでちゃんと可愛い下着を選んでやらんとな」
「いつ何があるかわからないもんね。題して『その日のために』仁希改造計画第一弾って感じかな」
仁希がこちらに急いで走ってくるのが見えた。
「そうだ!仁希に特別補講で学校に来るかどうか聞いておかないと。なんとしても都合をつけて、仁希に真船君の家での勉強がどんな様子か途中経過を聞かないと、
気になって受験勉強もはかどらなくなるぞ」
「私も絶対に出席する!」
中条と松崎は頷き合い、おまたせーと言いながら仁希が近付いてくると、二人同時に声をそろえて言った。
「「仁希、特別補講出るよね?」」
 
《その日のために》終り

妄想のバビロンは、まだまだ続く
643妄想のバビロン:2006/05/27(土) 13:16:55 ID:ux5pcPp5
今回仁希の友人ということで、脇役の中条さんと松崎さんにご登場いただきました。二人は仁希って呼んでるのに、
仁希は二人の下の名前を知らない。いえ、わらしが知りませんでしたので、始終名字で書くことになっちゃいました。
すごく不自然。許してください。

以前読んだレスにクーラーや食べ物で仁希を部屋に誘い込む友理って読んだ時に、妄想が広がり書き始めてしまいました。
ありがとう素晴らしい萌え話!
次回はやっと友理のお部屋に到着です。でも、エロにはなりそうもない…トホホホ(古っ)
エロの神様、何かハプニングを宜しくお願いします。
では、失礼!
644名無しさん@ピンキー:2006/05/27(土) 16:31:39 ID:vZyWxGLl
読ませていただきましたよ、続きv待ってました。
原作読み返さなくても入り込んでいけて、スゴク読みやすいですね。
来るべきシーンに向けて、松崎さんたちの心もwわしら読み手の心も
盛り上げていく心憎い第二回目の投下でした。
書いてくださり有難うv続き、wktkして待ってますv
645名無しさん@ピンキー :2006/05/27(土) 21:40:22 ID:ACdJPx30
646名無しさん@ピンキー :2006/05/27(土) 21:46:56 ID:ACdJPx30
442 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2006/05/24(水) 15:00:37 ID:1JMbLBIq
投下のあとに「まだ少し続きます」とか「これで完結です」とかはあってもいいと思うが
自分のSSに対して「ぎゃーこっぱずかしい!」だの
「キャラ壊れててスマソ」だの書いてるのはどうもなぁ…
書きたくなる気持ちは判るが潔さがない気がする。
黙々と投下する職人てちょっと憧れるな。
443 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2006/05/24(水) 15:02:11 ID:3ZTfS8Ro
>>442
>「キャラ壊れててスマソ」だの書いてるのはどうもなぁ…

自覚できてるのならやるなよと突っ込みたくなりますわな。
647名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 02:41:45 ID:B66+QEfp
川原作品は、登場人物の日常を独特の視線で描くんで、
「妄想のバビロン」は、その線ではちょっと風味薄めだね。
ここからどうエロにもっていくのか!という楽しみがあるね。薄い分。
濃いエロか薄めエロか。どっちもよさそうだ。
648名無しさん@ピンキー:2006/05/28(日) 14:35:12 ID:j1Zi3E2Z
>>643
原作未読なのですが、雰囲気よくて楽しめましたよ。
続き待ってます。
649要注意!:2006/05/29(月) 19:48:41 ID:9rwREoyw
要注意!
バビロンのパロです。無駄に長くてすみません。
こんなのバビロンじゃないー!!とお思いの方は華麗にスルーして下さい。
以上ご理解いただいて、宜しくお願いします。
650妄想のバビロン12:2006/05/29(月) 19:50:13 ID:9rwREoyw
《白昼夢》

「は〜〜ぁ、極楽、極楽。やっぱり、クーラーはいーね〜。生き返るな〜」
仁希はリビングのクーラーの風が一番当たる場所に椅子を置き、友理が持ってきてくれた麦茶をぐいっと一気に飲んだ。
「あーうめ〜、もう一杯!」
「おいおい、冷たいのそんな一気飲みするなよ。体に悪いぞ」
「かてーことゆーなよ。こっちはこの馬鹿暑い中、駅前まで買い物引っ張り回されてくたくたなんだよ。
遅くなると悪いから、家にも寄らずに先に友理の家に来たんじゃねーか。な、もう一杯くれよ〜」
すがるような目で仁希がコップを差し出すと、苦笑しながらも友理はそれを受け取り、部屋を出て行った。

友理は麦茶の入ったコップを両手で持ってくると、一つを仁希にほいと差し出した。
「悪いな。ありがと」
仁希はそれを受け取ると、今度はちびちびと飲んでいる。
友理は立ったまま手にしているコップから一口麦茶を飲むとテーブルの上に置き、仁希の近くの椅子に腰掛けた。
「なあ、仁希」
「うん?」
「勉強する場所なんだけどさ。今朝も言ったけど、俺は予備校で夏中ほとんど家にいないから、俺の部屋で勉強するってことで構わないか?」
「クーラーさえあれば、私はどこでも構わないぞ。使わせてもらえるだけでも有難いしな」
「入ったことないと思うから案内するよ」
「あれ?小さい頃一緒に遊んでた部屋じゃないのか?」
「ああ、あそこは子供部屋で、今は使ってないんだ。中学になってから、ゲストルームを俺の部屋にしたんだよ」
「ゲストルームって、確か五つくらいあったよな。どこだ?」
「二階の一番西側の部屋。前は全然使ってなかったから、閉め切ってたところあっただろ?」
「あー、そういやあったかもね。あんまり覚えてないけどさ」
「じゃ、後で案内する。母さんがさっき出かける前に、チーズケーキを焼いてってくれたんだ。食べるだろ?」
「おー、いいね〜。ちょうど、腹減ってたんだ。もちろん、いただきます」
 仁希はにっこり微笑んだ。食べ物がからむと途端に上機嫌になる。
(わかりやすいやつだよなー)
 友理はそう思いながら、チーズケーキを取りにリビングを出て行った。
651妄想のバビロン13:2006/05/29(月) 19:51:36 ID:9rwREoyw
「あー幸せだな〜。いつ食べてもおばさんの作るチーズケーキは最高だよな」
仁希はうっとりと、一口一口を味わって食べた。
友理が入れてくれたアイスティーの爽やかな苦味も、これまた絶妙にケーキの甘さに合っていて素晴らしい。多分茶葉がいいのだろう。
(うちで飲む安物のインスタントの紅茶とは雲泥の差だよな…)
「そう言えば、おばさんさっき出かけたって言ってたけど、こんな夕方になってからの外出って珍しいな。なんかあったのか?」
「ああ、実は知人から頼まれて、明日から週三回お菓子教室を手伝うことになったんだ。
子供のためのお菓子教室が、夏休みで急に人数増えて大変らしいんだよ。それで、今日はその打ち合わせだってさ」
「おばさん、お菓子作り上手だもんなー」
「朝早くから出掛けるみたいだから、仁希に家の鍵を渡しておくよ。俺も毎日八時には家を出るからさ。何時ごろ勉強しに来る?」
「朝は洗濯と掃除してからだから、九時ぐらいかな。もう一個食べていいか?」
切り分けた皿には最後のチーズケーキが残っていた。友理はまだ最初のケーキの半分しか食べていない。
「おまえ、俺より二個も多く食べて、まだ足りないのか?食べすぎだろ。これは俺の分だ」
「昼飯ちょっとしか食べられなかったから力入らなくて、ここに着く前に行き倒れになるかと思ったぐらい腹減ってんだよ〜。
チーズケーキ三個くらいじゃ、足りないんだよ〜」
「……」
仁希の声を無視し、友理は無言でチーズケーキの皿を自分の方に引き寄せた。いくらなんでも晩飯前にチーズケーキ四個は多すぎる。
「友理っ!そのチーズケーキをよこせ!おまえ、私が行き倒れになってもいいのか?」
「家が隣なのに、行き倒れも何もないだろ。夕飯食べられなくなるぞ」
「バカモノ!食ってもいない夕飯より、今はこの飢えを満たすほうが先だ!さっ、よこすのだっ!」
食欲の権化と化している仁希に、何を言っても無駄なことは長い付き合いで承知している。
仕方が無いので、友理はチーズケーキを仁希の皿に乗せてやった。
「あー幸せ〜。おばさんのチーズケーキは最高だな!」
仁希はまたもやうっとりと、一口一口味わって食べたのだった。
652妄想のバビロン14:2006/05/29(月) 19:52:45 ID:9rwREoyw
「さっき、買い物に引っ張り回されたって言ってたけど、何か買ってきたのか?」
「よくぞ聞いてくれた!」
先程まで暑さでへばっていた人間と同一人物とは思えないすごい勢いで、仁希は話し始める。
「もー、聞いてくれよ〜。大変だったのなんのって、笑い悶え死ぬかと思ったよ。あんなに大変なものだとは、正直言って思ってなかったね。
誰がなんと言おうと、もう二度と行くもんか!」
「おいおい、落ち着け。中条さんたちと一緒だったんだよな?話が見えないんだが、何を買いに行ったら笑い悶え死ぬような目にあうんだ?」
「下着だよ。し・た・ぎ」
「はあ?」
「友理にはわからないよな。女の下着なんて。私もいつもスーパーでしか買ったことなかったからさ。
ランジェリーショップに今日初めて連れて行かれて、そこで採寸されたわけ」
「採寸?」
「ま、つまりブラジャー買うのに胸のアンダーとトップのサイズを測って、体にあったものを買うっちゅうことだな。
今日中条さんにブラのサイズが合ってないことを指摘されてな。三人で買いに行ったんだよ。前に買ったのがきつくなっててさ。
最近胸が苦しいなーとは思ってたんだけど、自分で気付いてなくて。だけど、驚いたよ。胸って急に大きくなるもんなんだなー。
ツーサイズも大きくなっちゃったよ。新しい下着に付け替えたら、胸がすんごい楽になったから、そのまま着けて帰って来ちゃった」
仁希は一気にそう言うと、アイスティーをストローで一口飲んで、また話を続けた。
「で、そこの店員さん、ま、女性なんだけど、『あら、いい形ですねー、締め付けすぎは形悪くなっちゃいますよー』なんて言いながら触ってくるんだぞ。
そんで、正しいブラジャーのつけ方っちゅうのも私が自分でやるのを見てて教えてくれればいいのに、『そうじゃないですよー。
背中のほうからもお肉をこうやって持ってくるんですよ』なんて言ってブラに手を入れてくるんだよなー。人に胸なんて触られたことないから、
くすぐったくて大笑いしてたら、もう腹筋が痛くて痛くて。中条さんたちも私の笑い声が大きすぎて、恥ずかしくて他人のふりしたくなったって言ってたなー。
結局上下お揃いで二組買ったんだ。二人に女子高生らしい可愛いの選んだんだから、ちゃんと使ってよって言われちゃったよ。そんで、松崎さんに割引券もらってさ。
随分安くなって助かった。だって、合計で五千円以上もするんだぞ。びっくりだろ!それでも二人はこのお店は直営店だから安い方だって言うんだよなー」
653妄想のバビロン15:2006/05/29(月) 19:53:37 ID:9rwREoyw
友理は呆れ果ててものが言えなかった。
仁希はどうしてこういう会話を平気で自分とできるのだろう。男として意識していないからなのだろうが…
そんな話を聞いたら男は誰でも想像してしまうじゃないか―その下着の下に隠されているものを―豊かな二つの膨らみを―
友理は頬杖を付いて深いため息を吐き、無言でじっと仁希を見つめた。
『大変だったなー』とか、なんらかの反応があると思って話したのに、友理が何も言わないことに仁希は居心地の悪い思いを味わっていた。
それに友理はなんとなく、少し怒っているような感じがする。
「友理、どうした?反応がないんだけど…」
「おまえ、そういう話は他の男子とかにもするわけ?」
「はあ?する訳無いだろ」
「じゃ、俺にもするな」
「なんだよー。友理が先に何買ってきたんだって聞いたんじゃないかよー」
「そういうときは、馬鹿正直に答えなくてもいいんだよ。『ま、いろいろ』とか言っておけ」
「はいはい、わかったよ」
ふて腐れて仁希はアイスティーをストローで最後までずずっとすすると、仏頂面でコップの中の氷をがりがりと食べ始めた。
(あ、機嫌損ねちゃったな…)
不機嫌な顔をされると、ご機嫌を取りたくなるのが惚れた弱みというやつだ。
「もう一切れチーズケーキ残ってるけど、食べるか?」
チーズケーキを六等分にしたときに、勉強の合間に食べようと思って取っておいた自分用の最後の一個だが、
仁希のこの様子なら食べると言い、ご機嫌も直るだろう。
仁希は途端に、にーっこり微笑み、満足げに頷く。
「アイスティーもよろしくな」
「はいはい。承知しました。お嬢ちゃま」
(結局俺はこの笑顔に弱いんだよな〜)
心の中で苦笑しながら、友理は仁希のために再びキッチンにチーズケーキを取りに行った。
654妄想のバビロン16:2006/05/29(月) 19:56:26 ID:9rwREoyw
「一応この部屋は土足厳禁だから」
母親が外国の人だからか、昔からそうなのかは知らないが、友理の家は基本的に家の中でも靴を履いて生活している。
友理が先にドアを開けて中に入ると、壁際に置いてある靴箱の上段からスリッパを二足取り出し、床に置いた。
二人で靴を脱いでスリッパに履き替える。
入口よりも少し高くなってるフローリングの床は、綺麗に磨き上げられていた。
「すげーな。おまえ、これだけの部屋を一人で使ってるのか?うわ、ベッドもダブルかよ!」
広々とした室内に入ると、仁希はダダダッと部屋の奥にあるベッドに駆け寄り腰掛けて、ぽむぽむと飛び跳ねてみた。
「うむ、いいスプリングだな」
「仁希、こっちがトイレのドアでこっちが洗面所と風呂場のドア。で、エアコンのリモコンはこの壁に掛かってるから。
基本的にこの部屋の中は好きに使っていいからな―って聞いてんのかよ」
部屋の間取りを説明しているうちに仁希から目を離していたら、なにやら仁希はベッドの横で、マットレスの下にごそごそと手を入れて何かを探している。
「おまえ、何やってんの?」
「いやさー、この前友達と話してたら、弟のベッドのマットレスの下にエロ本隠してあったの発見したって聞いたから。
友理もそういうの隠してるかなーと思ってさ」
(あ、なんか頭痛くなってきたかも…)
友理はこめかみを押さえながら言った。
「人に部屋を貸すのに、そんなわかりやすい所に隠すかよ。って言うか、隠すようなものは持ってないし。
そういうおまえの行為はプライバシーの侵害っていうんだぞ。女の子だって人に見られたら嫌なものってあるだろ。
見つけたくても、そこはぐっと我慢しろ」
「へいへい、承知しました」
仁希はそう言うと今度は窓に駆け寄り、そこから見える風景を眺めた。
「この部屋は眺めもいいな〜。ここからは庭と正面の道路が見えるんだな」
655妄想のバビロン17:2006/05/29(月) 19:57:47 ID:9rwREoyw
今度は違う窓から外を眺める。既に外は夕闇に包まれていた。
「お、こっちは私の部屋が丸見えだな。友理の部屋だったんだ。よく明かりは点いてるなーとは思ったけどさ。
このガラスって外からは中が見えにくくなってるよな」
友理も窓辺に近付いて仁希の隣で外を見ながら、少し咎めるような口調で言った。
「おまえの部屋は丸見えになっちゃうんだから、ちゃんとカーテン引けよ」
「なに?友理はよく見てるのか?」
仁希がきょとんとした顔で友理の方を向くと、友理も視線を仁希に向けた。
「見てるんじゃなくて、見えたんだ!昨日カーテン引かないで明かり点けたまま着替えてただろ。
どこでどんな奴が見てるかわからないんだから、気をつけろよ。最近は変な奴も多いんだし」
「ま、見えても減るもんじゃなし、私は別にいいけどね」
事も無げにさらりと仁希が言う。
(別にいいだとーーぉ。良くないぞ!断じて良くない!おまえが許しても俺が許さん!)
自分の他に仁希の裸を見るなど、何人たりとも許しちゃいけない。
「うんにゃ、良くない。おまえの家は女二人暮らしだって、ご近所はみんな知ってるんだぞ。変な事を考えてる奴がいたとすれば、
そう言うことはすぐに調べられるんだから、あんまり変質者を刺激するような真似はしないでくれよ」
(そして、俺を刺激するような真似も…)
じっと仁希を見つめる。
今自分は一度も見せたことのない男の顔をしているのだろう。
仁希の顔には戸惑うような表情が浮かんでいた。
「友理…?」
友理は一番危ないのは自分かもしれないと思った。だが、今はまだそれを知らせる時期ではない。
友理はいつもの幼馴染へと戻り、幾分明るい声を出した。
「これでもいつも幼馴染として、心配してるんだぞ。仁希の家のことは。だから、気を付けてくれよ。
この辺も昔よりは物騒になってきてるんだからな」
「…わかった。以後気を付ける」
素直にそう頷く仁希に、ふいに熱い衝動が湧き上がる。
656妄想のバビロン18:2006/05/29(月) 19:58:38 ID:9rwREoyw
手を伸ばせばすぐに、その細く柔らかい肢体をこの腕の中に閉じ込めることができる。
(今はまだ駄目だ!)
両手にぐっと力を込めて、友理はその場を急いで離れ、本棚の前に行き仁希を呼んだ。
「ここにある本は自由に使っていいから。高いところのものは、そこにある脚立を使えば取れるからな」
天井までの壁一面に作り付けのスライド式の大きな本棚があり、その棚には多くの本と参考書、辞書などが置いてあった。
その脇には四段の脚立が置いてある。
「うわー、すげーな。立派な本棚だな〜」
感動したように仁希は本棚を見上げた。勉強するための辞書などは、ほとんど全て揃っているようだ。
一番の上の棚には広辞苑もあった。
「家から辞書とか持ってこなくても済みそうだな。有難く使わせてもらうよ」
「勉強するのは俺の机でいいか?テーブルの方が良ければ、持ってくるけど」
「机でいいよ。もし、おまえが予備校休みで使うときは言ってくれ」
「うん、わかった」
友理は仁希と二人きりで部屋の中にいるのに、少し息苦しさを感じ始めた。
母親は知人と食事をしてくるということで夜遅いと言われたし、父親は仕事で長期出張中。
今この広い家の中には、友理と仁希の二人きり―
「それじゃ、一通り説明も終わったし、玄関まで送るよ」
「隣なんだから、ここでいいよ」
「そうか?じゃ、気を付けて…」
「ああ、じゃあな」
仁希そう言いながら入口まで行ったその時―フローリングと入口の段差があるのを忘れて、仁希が足を踏み外した。
657妄想のバビロン19:2006/05/29(月) 19:59:49 ID:9rwREoyw
あっと思って、仁希は体勢を整えようとしたがスリッパですべり、体が後ろに倒れこんだ。
まずい!頭を打つ―仁希はぎゅっと目と瞑った。
しかし、次に来ると思った後頭部への衝撃は、いつまで経ってもやってこない。
(う…ん?)
ぎゅっと瞑っていた目を開けると、真上に友理の顔があった。
「大丈夫か?!」
友理が倒れる仁希を後ろから抱き止めてくれたのだ。仁希は足を投げ出して、背後から友理に抱き締められているような格好になっていた。
「あ、ありがと…友理…」
すぐに起き上がろうとしたが、友理の両手で拘束されていて動けない。
気付くとその両手は、なぜか仁希の両胸に置かれていた。
「…って、どこ触ってんだ!」
仁希の声ではっと我に返った友理は、慌てて胸から手を離して立ち上がり、仁希が体を起こすのを手伝った。
その細い手首を掴んで立ち上がらせたその瞬間―仁希の体はぐいっと友理に引き寄せられ、その広い胸の中に倒れ込むように抱き締められた。
「ちょ、ちょっと、友理、何ふざけてるんだ。は、離せ!苦し…っ」
仁希の最後の言葉は、突然下りてきた友理の熱い唇に塞がれ、呑みこまれてしまった。

《白昼夢》前半終り

後半に続く

長いので後半はもう少し時間を空けてから、投下します。
続きは友理鬼畜編です。
658要注意!!:2006/05/29(月) 20:40:13 ID:NxFu1wmm
これから友理は鬼畜になります。苦手な方は退避してください。
読んでもいいよーと思っている方、もしも単行本のバビロン1巻をお持ちでしたら、
仁希のシリアス顔はP143の左の上から二段目「?」「最愛の息子はチェザーレ君じゃなかったのか?」
の顔で想像してみてください。なかなかの美少女でしょ?
それでは、後半投下します。
659妄想のバビロン20:2006/05/29(月) 20:41:36 ID:NxFu1wmm
友理が思っていた通り、仁希の唇はチーズケーキの甘い味がした。
抗議の声を上げようとして薄く開いた仁希の口内に、無理やり己の舌を捻じ込む。
甘い―
その甘さに頭の芯が痺れる。
もっと、もっと、もっと、この甘さを知りたい!
仁希の震えて逃げ惑う舌を追い詰め、追いかけ絡め取ろうとする。
仁希の空気を求めるあえぎが、友理の理性を失わせ、更にその行為を加速させる。
「…っ!」
友理は弾けるように顔を離した。仁希が自分の口内を蹂躙している友理の舌を噛んだのだ。
その痛みで友理の腕の力が緩んだ隙に、仁希は腕の中から身を捩って抜け出した。
仁希は逃げようと制服のスカートを翻し、走って入口へと向かう。
―逃がすものか!―
友理は追いかけ、仁希の片方の手首を掴んで振り向かせると、黙って二人は睨み合った。
今まで足りなかった酸素を補うため、二人は荒く息を吐く。その音だけがこの部屋の静寂を破り、お互いの緊張感を高めていた。
舌を噛まれた痛みに、わずかの理性が友理に戻る。
こんな無理やりするべきではなかった―
しかし、仁希を見た次の瞬間、そんなものはどこかに吹き飛んでしまった。
660妄想のバビロン21:2006/05/29(月) 20:42:35 ID:NxFu1wmm
まるで汚いものでも払うかのように、ごしごしと自分の唇を手の甲で拭っている。
女の子にそんなことをされたのは生まれて初めてだった。
屈辱感で頭に血が上り、怒りで震えた低い声が友理の口から抑え切れずに漏れた。
「…おまえはっ…そんなに、俺が嫌か?」
「えっ?」
言葉に詰まり眉をひそめる仁希の瞳が、さらに友理の感情を逆撫でした。
ただの幼馴染よりも始末に悪い。自分は男として、仁希にこれほど嫌悪されている!
「…こんなことをするおまえは嫌いだ。今なら許してやる。手を離せ!」
きっぱりと言い放つ仁希を、友理は無表情で見下ろす。
先程の荒々しい口付けで赤く色付き少し腫れている仁希の唇は扇情的で、友理の苛虐心を煽った。
「…おまえが悪い。無防備にのこのこと男の部屋に来るってことがどういうことか、これから俺が教えてやる!」
滅多に声を荒げたことの無い友理が、感情も露わにそう叫んだ。
怯えたように揺れる仁希の瞳が大きく見開かれる。言葉の意味を正確に把握したのだ。
「ば、馬鹿なことはやめろ!おまえ、幼馴染にそんな。他にいくらでも…」
「他はいらない。今、仁希が欲しい…」
驚く仁希を再び引き寄せ、声も出せないほど強く抱き締めた。
すっぽりと腕の中に収まる仁希の体は細く、柔らかく、そして熱い―熱くて頭がおかしくなりそうだ。
―この体温を直に感じたい―
逸る気持ちのまま仁希を軽々と抱き上げベッドに向かうと、その上に乱暴に放り投げるように落とした。
「わっ…」
大きく揺れるベッドの上で仁希が体勢を整えて起き上がろうとする間に、友理は手早く着ているTシャツを脱いだ。
逞しく鍛え上げられた裸の上半身が露わになる。脱いだTシャツをベッドの横のサイドボードの上に置いた。
ベッドの上で上半身を起こし呆然としている仁希を見て、友理の身の内では熱く滾るものが湧いてくる。
急いで自分のスリッパと靴下を脱ぎベッドの上に上がると、呆然としている仁希のスリッパと靴下も脱がせ床の上に落とした。
友理は仁希の上に覆い被さるように移動すると、仁希をベッドに押し倒し、その細い両手首を頭の横で縫いとめるように固定した。
661妄想のバビロン22:2006/05/29(月) 20:43:25 ID:NxFu1wmm
仁希は決意を込めた強い瞳で友理を見つめ、震える唇を開いた。
「…今なら間に合う。こんなことは、やめるんだ。な、考え直せ。何かの気の迷いだよな」
「もう、遅いよ。仁希…」
押し殺したように囁く友理の顔は、怖いくらいの真剣さで仁希を見つめる。
今組み敷いている肢体を気が狂うほど欲してるのに、今更後になど引けるはずも無い。
「…おまえを一生憎むぞ。それでもか?」
仁希の真っ直ぐな強い瞳が友理の胸に突き刺さる。
―嫌われるくらいなら、憎まれる方がずっといい―
その体に己を刻みつけ、仁希が生涯忘れることなく憎み続けてくれるのなら―その存在を一生思っていくのと同じことではないか―
自分が仁希を思うのと同じように…
「ああ、俺を憎んでくれ…一生…」
その言葉に仁希は血の気を失ったように青ざめた。最後の切り札を失ってしまった。
まさか、友理がそんなことを言うはずがないと思っていた。
いつでも冷静で温厚な幼馴染だった友理が、自分が嫌がることをするはずがないと―それが甘い考えだったことを思い知らされる。
「…だから、仁希も諦めて大人しくしてくれ。優しくするから…」
「だっ、誰が大人しくなんかするもんか!今すぐ手を離せ!」
「そう…残念だな。じゃ、少し痛いけど我慢して」
そう言うと仁希の両手を頭上に上げさせ、その手首を片手で押さえると、サイドボードに置いてあった先程脱ぎ捨てたTシャツに
空いている方の手を伸ばして引き寄せ、それで仁希の両手を強く縛り上げた。
「いっ、痛い!やっ、やめろ!友理!」
「こんなこと、できれば俺だってしたくないさ。だけど、暴れられると仁希にもっと痛い思いをさせちゃうから。ごめんな」
縛って余ったTシャツの両端をベッドのヘッドボードに括り付ける。
「あ、謝るくらいならするなよ!バカモノ!ほどけっ!」
「ほどいても逃げないって言うなら、ほどいてもいいけど」
「逃げない、逃げない。絶対逃げない」
仁希の目が泳いでいる。こういうときは嘘を吐いているときだ。何とか両手を自由にさせて逃げる気なのだろう。
「おまえ、嘘を吐くとき目が泳ぐ癖、直ってないんだな。目が泳いでるぞ」
「うっ…おっ、泳いでなんか無いぞ!はっ、早くほどけ!」
どもる癖も直ってない。仁希は子供の頃から本当に変わっていない。

変わらないから好きだった。変わらない仁希が好きなのに、今自分はその仁希との関係を変えようとしている。
本当にそれでいいのだろうか…本当にそれで…
662妄想のバビロン23:2006/05/29(月) 20:44:28 ID:NxFu1wmm
友理がなにやら考え込んでいる隙に、仁希は身を捩り両手を抜き取ろうともがいていた。
固く結ばれた結び目は、仁希の力ではびくともしない。自力での脱出は不可能だと諦めざるをえない。
「そ、そうだ。おばさん!おばさんがそろそろ帰ってくるだろ?二人で部屋にこもってたら変に思われるし、
私が大声を出せばおまえの悪行がばれるぞ。さあ、今すぐほどけ!」
強気で詰め寄る仁希に、友理は意地の悪い笑みを浮かべる。
「仁希、残念だったな。母さんは、あと三、四時間は帰ってこないよ。今日は知人と打ち合わせを兼ねた食事会だから遅くなるってさ。
帰ってきた頃にはもう、何もかも終わってる」
そう言うと友理は、仁希の着ている制服のベストの左脇に付いているファスナーを右手で下ろし、
左手を仁希の背中に回して少しベッドから持ち上げると右手でベストを掴み、仁希の頭から巧みに抜き取った。
それをそのまま縛られている仁希の右手首の方に寄せる。
仁希の上半身は、真っ白い半袖のシャツとリボンだけになった。
首のリボンをするりとほどき、シャツのボタンを上からゆっくりとはずしていく。
シャツの前を開けるとそこには、昨夜見た二つの豊かな膨らみが現れた。
それを包んでいる薄いピンクの可愛らしい下着が、友理の欲望を更に刺激した。
下着に手をかけようとすると、仁希がその手を逃れるように身を捩る。
「…友理…こんなのは嫌だ…やめてくれ…」
懇願する仁希の声は、今の友理には己の欲望を高めるための材料にしかならなかった。
着けている下着の真ん中を持って、そのままぐいっと上にずらし、仁希の胸を露わにする。
「あっ…っ!」
敏感な部分が布に擦れて、仁希は痛みの声を上げた。
「…いいね…もっと聞かせて…」
豊かな膨らみの蕾の片方に唇を寄せ、ふっと熱い吐息を吹きかけると、びくっと仁希の体が強張った。
友理が顔を上げて仁希を見ると、必死に唇を噛み締め、ぎゅっと目を瞑っている。
これから自分の身に何が起こるのか―仁希にとっては恐怖でしかないのだろう。

―可哀相に―

これから好きでもない男に、仁希はその清らかな体を陵辱される―
そう思う哀れみの心は、大きく膨らんでしまった欲望の前では塵ほどの重みも無かった。
「仁希…ごめんな…」
友理は囁くようにそう呟くと、仁希の白く細い震える首筋に、欲望で滾るその熱い唇を落とした。
663妄想のバビロン24:2006/05/29(月) 20:45:48 ID:NxFu1wmm
それは一瞬の妄想―

根っからのジェントルマンの友理が、嫌がる女の子をどーのこーの出来るはずもなく…

実際は―
664妄想のバビロン25:2006/05/29(月) 20:47:13 ID:NxFu1wmm

「…って、どこ触ってんだ!」
仁希の声ではっと我に返った友理は、慌てて胸から手を離して立ち上がり、仁希が体を起こすのを手伝った。
(今のは俺の妄想?なんてリアルな…)
それも仁希に触れたほんの一瞬の白昼夢―
「ご、ごめん。わざとじゃないぞ。助けようとした不可抗力だ!」
「わかってるよ。ありがとな。お蔭で頭を打たずに済んだ。助かったよ」
「そ、それじゃ、明日から勉強頑張れよ」
「うん。友理もな」

靴を履き終わった仁希が部屋を後にすると、友理はその場でがっくりと肩を落とした。
偶然とはいえ、仁希の胸を触ってしまった。
そして、そのことにひどく動揺しているのは自分だけで、仁希は何も無かったかのように平然としていた。
(わかっちゃいるけど、へこむよなー。こんなことなら、すぐ手を離さないでもう少し触ってみたかったな。
そしたら、仁希も俺のこと少しは意識したかもしれないし…)
いやいや、それはまずい。自分の理性がもつはずがない。今だって仁希の胸の感触を思い出しただけでも、体が熱くなってくるというのに。
自分が理性を失ったときをもう一度想像して、友理の顔は赤くなったり青くなったり。
(いかん、いかん。冷静になれ!そんなことは、しちゃ駄目だ!仁希に一生憎まれるなんて、とんでもない!俺は仁希を絶対に失いたくないんだから)

勝負はこれから。今は仁希を自分の部屋に違和感無く誘えたことで良しとしよう。
これで夏休み中は仁希と二人きりになる機会がいくらでもある。徐々に頑張ればいい。
十年以上もただの幼馴染だったのだ。そう簡単に事が上手く運ぶわけがない。
夏休みの間に少しは仁希に異性を感じさせることができるのか…
なんだか自信がなくなる友理だった。

《白昼夢》終り

第一部完

妄想のバビロンはまだまだ続く


はー、長くてすみません。やっとこさで、友理の部屋にたどり着きました。
第二部は仁希と友理が二人っきりになる機会が多いので、
なんとか不自然なほどのドキドキハプニングを起こしたいと思っています。
665名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 20:58:56 ID:FOX5c/Jr
リアルタイムで読んだよ。乙。

賛否両論在るのかもしれないけど、私はこの雰囲気、好きだよ。
抱きとめて胸が……ってのは、少女マンガの王道だなw
続き楽しみにしてます。リラックスして楽しく書いて下され。
666名無しさん@ピンキー:2006/05/29(月) 21:10:10 ID:wCWdVK75
うを!まってましたv
しかし次回鬼畜編?むりやりってやつですかい?
読む方は萌えるけど、それが初体験な仁希はかわいそう・・とか思ってしまいましたが
妄想が暴走してますか?w
667妄想のバビロンの作者です:2006/05/29(月) 21:49:29 ID:NxFu1wmm
今まで妄想の浮かんだままに書いていたので、川原作品らしからぬものになってしまいました。
もっと気持ちが温まるような作品を書きたいのですが、川原作品は難しいです。
書いたものをすぐに投下するのではなく、書いてから二、三ヶ月置いて、
忘れた頃にまた読み直すと良いと他のスレで読みました。特にエロは。
と言う訳で、川原ワールドをもっと研究して、しばらく精進してきます。
第二部は忘れるまで置いてから推敲するので、ちょっと遅くなりますが年末までには必ず!
また読んでもいいよーとおっしゃる方がいる限り、投下しますので宜しくお願いします。
いつも後書き長くてすみません。しばらくは出てきませんから、許してやってください。

職人の皆様方に敬意を表して、しばらくROM専に戻ります。
皆様の素晴らしい作品を期待して待っています。
こんな駄文を読んで下さった皆様、レスを下さった皆様、ありがとうございました。
またそのうちお邪魔します。第一部の最後はミカエルのお嬢様風に締めます。
それでは、ごきげんよう!
668早速訂正:2006/05/30(火) 00:29:20 ID:0l8tqlY8
妄想のバビロンの作者です。
す、すみません!しばらく出てこないと言いながら…
変な文章を見つけてしまったので、訂正します。
訂正箇所
妄想のバビロン18の最後の行です。

×仁希そう言いながら入口まで行ったその時―フローリングと入口の段差があるのを忘れて、仁希が足を踏み外した。
○そう言いながら入口まで行ったその時―フローリングと入口の段差があるのを忘れて、仁希は足を踏み外した。

に脳内変換お願いします。
失礼しました!
669名無しさん@ピンキー:2006/05/30(火) 09:32:07 ID:lO834R1F
激しく乙でした。
肩すかし…と思わせつつ、次への布石もあるし
年末に期待してますよ!

しかし鬼畜ってほどじゃなかった
と思う私はスレてるのね…
670名無しさん@ピンキー :2006/05/31(水) 10:21:22 ID:PAzpzgfF
三月革命 プロローグ〜早紀子〜1

私は今日「へ〜、ほ〜、ふ〜ん」で会話の成り立つほにゃららなお坊ちゃまんの玉の輿に
乗るのだ。
なのに、なんで桜の下におっきな浩生が寂しそうに立ってるのよ!?
我が家の経済状態は、私の結婚にかかっているんだ!

おっきな浩生がきらきらお目目で教会の窓辺に立つ私を見上げている。

むか〜し、まだ幼稚園児だった頃 桜の木の下に小さい浩生が立っていた。
努々落し物なぞ拾うもんじゃない。拾おうかどうしようか、やっぱり拾おう。
だから名前を浩生と言う。私の義理の弟だ。

私は数年前、中くらいの浩生を拒絶した形で疎遠になってしまっていた。
子供の頃に捨てられた浩生がうちの子になって、ずっと本当の肉親のように思っていたのに、
いきなり告白された私はパニックを起こしてしまったのだ。
浩生は私が馬鹿笑いで誤魔化すのを拒絶と受け取って、無言で去っていってしまった。
あれからずっと後悔はしていたんだ。

浩生は人生の最初で一度捨てられている。
うちの子になってからは、ずっと私の我が儘を聞いてくれる優しくて天使の様な子だった。
そんな浩生の真面目な告白を笑い飛ばし、人生で二度目の拒絶を味わわせてしまったのは私。
決して嫌いだったわけじゃない。むしろ私は浩生が好きだったのかもしれない。
いや、きっと弟としてだけじゃなく、浩生の事が好きだったんだ。

一応彼氏と交際もした事もあった。
なのに、浩生の後にも一度見たら、彼氏がアホの子に見えてしまった。
私も浩生のおかげで一種のブラコンになってたわけだ。

でも浩生が怒ったのは初めてだったし、どうしていいかわからなかった。
ほにゃららな坊ちゃんとの式が決まり、式に出席する為、帰国してきた浩生は
すっかり人が変わってたし、売り言葉に買い言葉で今日という日を迎えてしまった。
私はもう諦めていたんだ。

671名無しさん@ピンキー :2006/05/31(水) 10:23:10 ID:PAzpzgfF
>>670 〜早紀子2〜
なのに、桜の下に浩生がいた。
わかってる。私は猫かぶりのリアルストで、夢見がちなお嬢様じゃないんだ。
あれは絶対わざとだ。よりによって桜の下に立ってるなんて!
だけど浩生が拾って欲しそうに、私をずっと見つめている。
…わかってる。父さん母さんや親戚ご一同様にも迷惑がかかるんだ。

だけど私の足は桜の下に向かってしまった。
そして気がついたら私は浩生の前に立っていた。

桜の下に 小さい浩生と中くらいの浩生とおっきな浩生が立っている。
これは一種のパラドックス。

私は覚悟をくくって浩生に手を差し出した。気の利いたセリフなんか出てこない。
出てきたのはこんな陳腐な言葉だった。
「…お手」
それでも浩生は私の差し出した手をしっかり握り、驚いたような眩しそうな顔で私を見た。
中くらいの頃、私に背を向ける前の浩生に戻っていた。
私はもう何も言わず浩生の胸に飛び込んだ。
浩生はしっかり私を抱きとめてくれた。

桜の時期にはまだいくらか早い三月の、乱れ咲きした桜の下。
私たちは図々しくも堂々と、二人で手を取って結婚式場から退場を決めた。

「わかってると思うけどさ〜。これは連帯責任なんだからね」
「うん、早紀子ちゃん」
「だから後で一緒にみんなに謝ってね、浩生」
「うん、早紀子ちゃん」

浩生がにっこり笑って私を見下ろす。おっきくなっても、やっぱり私の浩生だ。
私は開放された気分になってベールを取った。
当然のように浩生にベールを持たせる。私は私で、この長いドレスの裾を纏めないと、
トンズラしにくいのだ。
何しろ汚さないようにして再利用するんだからな〜。

―そして、熱海に行くのよ あたし達―

                 プロローグ おわり
672名無しさん@ピンキー:2006/05/31(水) 10:59:04 ID:twHtSidz
三月革命いいね〜。
血の繋がらない姉弟、萌えますな〜。
続き期待して待つ!
673名無しさん@ピンキー :2006/05/31(水) 21:29:14 ID:0mF+5lEg
三月革命 〜その後・浩生1.〜

―だから 熱海に行くのよ!あたし達!―

「早紀子ちゃん、わかってるから」
ここはニューヨーク行きの旅客機の中だ。
早紀子ちゃんは機内サービスのアルコールはサービスだとわかると、なるべく高そうな
酒をスチュワーデスさんに頼んで何杯かあおっていた。
「なんで熱海じゃなくてニューヨークなのよぅ〜?ニューヨークに行きたいかー!?」
いい気分で酔っ払った早紀子は、旅の恥はかき捨てとばかり、猫を脱いでしまっている。
「…早紀子ちゃん。それ、もうかなり古いから」

三月に早紀子ちゃんは自分の結婚式を破棄して僕の腕に飛び込んできてくれた。
相手は銀行家のお坊ちゃまで、ほにゃららなりに早紀子ちゃんには惚れていたらしい。
こちらから一方的な破談にしたのだが、謝る時の早紀子ちゃんの機転は見事だった。

普段、余所行きの猫をかぶった早紀子ちゃんは おしとやかな深窓の令嬢を装っている。
清らかな涙を流し、幼い頃からずっと僕を愛する気持ちを隠してきたが 僕と再会した事で
やはり思いを断ち切れなくなった、というお涙頂戴なシナリオでお坊ちゃまを納得させた。
「もっと早くあなたに出会っていたら……」
これが決め台詞で、お坊ちゃまは感動し『男らしく』身を引いてくれたのだった。

…ただ、お坊ちゃまの胸で涙を流す早紀子ちゃんの足元に目薬が落ちていたのを こっそり
靴で隠したのは僕だった。
父さんと母さんは見ない振りをして頭を下げていたが、恥ずかしさを堪えて 笑いで震えていたのを
僕は見た。
早紀子ちゃんはずる賢いくせに、いつも肝心な詰めが甘いから放っておけないんだよな…。

早紀子ちゃんの名演技?で婚約の違約金はなんとか払わないで済んだが、
父さんの会社が経営不振な事に変わりはなかった。
丁度僕のニューヨークでの研究を買い取りたいという企業が現れてくれていたので、
その研究の成果を売れば、会社の負債は払える事になった。

これを機会にニューヨークでの留学は終わりにして、正式に日本に帰国して就職?する為、 
手続きにニューヨークへといったん戻る事にしたのだが、結婚式場から逃げ出した花嫁という
汚名からほとぼりを冷ます為に 今回早紀子ちゃんも同行する事になったのだ。

しかし旅行は「熱海」と決めていた早紀子ちゃんには、ニューヨーク行きは不満だったらしい。
しかも機内は禁煙というのも早紀子ちゃんの機嫌を悪化させていた。
普段はそんなに吸わないのに、吸えないとなると吸いたくなるものらしい。

全く面白い人だ、と僕は思う。
初めて桜の下で早紀子ちゃんを見た時から、『面白そうな人』だと僕は思っていた。

巨大な猫を背負い、見栄っ張りで欠陥だらけの彼女なのに 何故こうも惹かれ続けるのか、
自分でもよくわからなかった。
だが、自分でも諦めかけていたあの桜の下で 心細くなって立っていた幼い僕の手を
引いて家に連れて行ってくれたのも、結婚式直前に 見栄も意地もかなぐり捨てて
僕を選びに来てくれたのも、他ならぬ早紀子ちゃんだったのだ。

結局、僕はこの人には敵わないと思う。
674名無しさん@ピンキー :2006/05/31(水) 21:31:58 ID:0mF+5lEg
>>673  〜浩生2.〜
すっかり昔の暴君だった早紀子ちゃんに戻ってしまっているが、
僕は早紀子ちゃんの我が儘を聞くのは嫌ではなかったし むしろ楽しかった。

「早紀子ちゃん、機内は禁煙だからこれで我慢して」
僕はあらかじめ早紀子ちゃんが機嫌を悪くする事を予想して、禁煙パイポを用意していた。
「浩生ー!あんた、あたしに こんなオヤジくさい物を咥えろっていうの?」
ブツブツ言いながらも、早紀子ちゃんは渡した禁煙パイポを咥えた。

「浩生ってばさ、昔の浩生に戻ったみたいだね。帰国したばかりの頃と別人みたい」
しばらく禁煙パイポを咥えて黙っていた早紀子ちゃんが、急に話しだした。
「そ、そうかな?」
「うん、外見はやっぱり昔と大分変わっちゃってるけどね。
やっぱりあれ?あたしが結婚するって言うんで嫉妬して反抗してたの?
ほら、男の子って好きな子には意地悪したくなるっていうじゃん。
あんたってば、年相応の時に反抗期がなかったもんね」

早紀子ちゃんは うひゃひゃと一人笑いながらしゃべり続けた。
どうやら早紀子ちゃんは完全に酔っ払っているらしい。
しかも酔っ払いの癖に、かなり図星をついてくる。
彼女は絡み上戸なのか…余り酒を飲ませるのはやめよう、と 僕は思った。

「ねぇ、優等生の浩生君。
せっかく外国で頑張ってきた成果を私らの為に捨てちゃうの、後悔しない?」
早紀子ちゃんは、急に真顔になって僕を見つめた。
急に何を言い出すんだろうね、この人は。
「別に捨てるわけじゃないし、後悔もしてないよ」
これは嘘じゃない。
研究に没頭するのは早紀子ちゃんを忘れようとする為でもあったんだから。
「おとーさんも おかーさんもさー、優秀な浩生君が自慢だったわけよ。
なのに、わらしらの為に浩生君は前途ある未来を捨てようとしてるんだよねえ…。
ちっさい頃から手のかからない子だったけどさ、結局浩生君に全部負担をかけちゃって、
おねーさんは悲しいのら〜」
半分ろれつの回らない口調で早紀子ちゃんは言った。
675名無しさん@ピンキー :2006/05/31(水) 21:33:57 ID:0mF+5lEg
>>674 〜浩生3.〜
昔から強情なこの人は、お酒の力を借りないと本音が言えないのかもしれない。
「負担だなんて思った事はないよ。
早紀子ちゃんに他の人と結婚されちゃう方が、僕としては困る訳で…」

あ、この科白にはデジャヴーがある。
あれは高校の入学前、月夜の晩の桜の下で 僕が早紀子ちゃんに言ったんだ。
あの時は大笑いされてかっとなってそのまま寮に逃げてしまったけれど。
「……」
僕は恐る恐る早紀子ちゃんを見た。
今回は爆笑はされなかった。代わりに早紀子ちゃんの頭が僕の肩にもたれかかって来た。
早紀子ちゃんはうつむいたまま、何も言わなくなった。
「言いたい事だけ言って寝ちゃったのか…」
僕は少しほっとして、早紀子ちゃんに毛布をかけた。
だが、今度は早紀子ちゃんの柔らかい髪と体温を感じて 自分の鼓動が高まった。
何しろここはエコノミーシート。
普通に座っているだけでも身体が触れ合うほど狭いのだ。
自分でも恥ずかしいが、頬が赤くなってくるのがわかる。
ドキドキしながら 僕は早紀子ちゃんの顎にそっと手をあて眼を閉じている早紀子ちゃんの唇に、キスをしたいという誘惑に捕らわれた。

唇と唇が触れ合う瞬間、いきなり僕の頬に早紀子ちゃんの掌が当てられた。
「おいこら浩生。アメリカでは寝ている乙女の唇を奪ってもいい習慣なのか?」
早紀子ちゃんは ぱっちり目を開けて僕を見つめていた。
「さ、早紀子ちゃん!狸寝入りだったのか」
「たっりめーだーな、あのくらいの酒に飲まれるわらしではなーい!」
やっぱり酔ってるよ、早紀子ちゃん…。
でもこの体勢はどう言い訳も出来なかった。
「ごめん、早紀子ちゃん」
まともに顔が見れなくなった僕は、急いで早紀子ちゃんから身体を離そうとした。
すると、いきなり何かが頭からかかって真っ暗になった。
早紀子ちゃんが、かけていた毛布を僕の頭にかけてきたのだ。
「わっぷ!早紀子ちゃん何するんだ!」
早紀子ちゃんは何も言わず、いきなり毛布の中で僕に抱きつき、自分から唇を合わせてきた。
こうして僕らはエコノミーシートの安い毛布の中で初めてのキスをした。
「大体なー、浩生は諦めるのが早すぎるんだよ。男に二言はない!武士は喰わねど高楊枝って
いうだろ」
…それ、違ってるよ 早紀子ちゃん…
だけど僕は腕の中にいる早紀子ちゃんをもっと確かめたくて、あえて突っ込みを入れず 
今度は自分から堂々と早紀子ちゃんを抱きしめ、何度も唇を重ねあった。

やっぱり、たまには早紀子ちゃんに酒を飲ませようかな…。
僕は早紀子ちゃんの唇を充分に楽しみながら、そんな事を考えていた。

                 続く
676名無しさん@ピンキー :2006/05/31(水) 23:10:15 ID:CAKDUoSj
215 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2006/05/21(日) 13:59:06 ID:DP1IxaDM
>>213
住人の絶対数が多いところはそういう感覚なのかもね
俺んとこは過疎とは言わないまでも割とのんびりしてるから
他の職人が作品投下したら最低24時間以上は空ける
それも平日の昼とか訪問者の少ない時間帯に投下されたんであれば尚更気を遣う

実際感想付けたくても、亀レスになりそうだと遠慮しちゃうって人も居るんじゃないの?
他の作品で盛り上がってるところに水差すの悪いかなって
677名無しさん@ピンキー:2006/05/31(水) 23:55:51 ID:xKrj/939
>>675
GJ!三月革命は川原作品の中でも後日談が気になる話なんで
楽しく読ませてもらいました。猫かぶりの姉ちゃん、そういや珍しく
喫煙する女性キャラだった。
678名無しさん@ピンキー:2006/06/01(木) 10:32:14 ID:ClJubEeC
うおーー!
川原作品、いっぱい読めるのは嬉しいです。
どんどんカモーン!
679名無しさん@ピンキー :2006/06/01(木) 20:29:34 ID:N6Hzqt/5
エロが足りない
つまらん
680名無しさん@ピンキー:2006/06/02(金) 12:42:41 ID:j/DHgpdj
三月革命、好きな作品です。
マターリお待ちしてます。
681名無しさん@ピンキー :2006/06/02(金) 13:39:41 ID:KW6/o7uP
三月革命の途中ですみません。長編を投下します

悪魔を知る者 和馬×若菜 13回予定(鬼畜系かも・苦手な方はスルーでお願いします)
1.
幼馴染の入江和馬は 誰がなんと言おうと恐ろしく根性の曲がった性格破綻者だった。
奴はとある大会社の大事な一人息子という強みがあり、まさに手中の珠として育てられた。

たまたまうちの父がそこの社員だったというのが立花若菜にとっての身の不運だった。
初めて会ったその日から、利発そうな和馬の中に若菜は不吉なものを見抜いてしまった。
しかもそれを和馬に悟られてから 現在に至るまで、若菜は和馬の監視下に置かれている事を知る者は誰一人としていない。
時として人は、想像を絶する非日常事態に直面した時、初めて知るのである。
…ただ沈黙するしかない事を…
幼き日から現在に至るまで、若菜はまさにその心境だった。

何しろ完璧に猫をかぶった和馬の評価は、家よし 顔よし 頭よし と申し分なく、
奴の本当の正体は二重人格で陰日向があって、根性の悪さを外見と演技力でカバーして
世間様をだまくらかしているのだと、小市民である若菜が話しても、きっと誰も信じない
だろう。
だがしかし、言ってしまいたい!王様の耳はロバの耳!
時に和馬の境遇にも同情したが、若菜は毎日が和馬の下僕に甘んじ 爆発寸前だった。

そんな若菜を見抜いたように、和馬は若菜の三人目のBFを葬り去ってくれた挙句、
口封じの為に結婚を申し出で、迅速に結納の品々まで届けてよこすという荒業に出た。
若菜のお母さんは玉の輿だと狂喜乱舞し、若菜の反論は速やかに却下された。
かくて 若菜は内輪とはいえ、哀れな悪魔の許嫁という立場になってしまった。
682名無しさん@ピンキー :2006/06/02(金) 13:40:22 ID:KW6/o7uP
>>681
2.
小学三年の頃から高校一年の終わりに至るまで、散々和馬にいたぶられてきた若菜は、
なかば悟りの境地に達していた。
幸い和馬は三年生でもうすぐ卒業だ。
もう数ヶ月辛抱すれば、悪魔は大学に去り、二年間は自由な高校生活が待っているのだ!
和馬が卒業したら、奪われていた明るく楽しい高校生活が過ごせるだろう。
女生徒からの、不当なジェラシーストームも、和馬宛のラブレターの返事の代筆をする
心苦しさも もう受けないで済むのだ。
今度は邪魔されずにボーイフレンドなんかも作れるかも…
若菜の野望は広がっていた。

思わず顔が緩み、和馬の唯我独尊な仕打ちにも 時には口答えする事を覚えながら、
許せる気分になっていた。

しかし、そんな若菜の機嫌のよさを 和馬がじっと観察していることに、彼女はまだ
気づいていなかった。
3.
明るい未来を想像しながら、鼻歌まじりにお風呂を出ると お母さんが風呂場の入り口で
仁王立ちして待っていた。
「若菜!今日は和馬様のおうちに伺う約束だったんですって!?
あんたが呑気にお風呂に入ってる間、何度も電話があったわよ!
すぐにお詫びにいってらっしゃい!」
「へ…?もうお風呂入っちゃったのに?」
…第一そんな約束、した覚えは全くないぞ??
ぼーっと記憶をたどっている若菜に、お母さんはたたみ掛けるように言い放った。
「…わかってると思うけど、おとーさんの出世の足を引っ張るような真似をしたら、
おかーさんはアンタを道連れに心中してやる。家のローンだってまだ残ってるし」
若菜はすがるように父親に助けを求める視線を送るが、おとーさんは情けない笑いを
しながら新聞に顔を隠してしまった。
ブルータス、お前もか…。父に期待はしていなかったが、若菜はがっくりと項垂れた。

しぶしぶ髪を乾かすと、若菜は重い足取りで和馬の家に向かった。
「あの〜。夜分にすんません、若菜ですけど」
情けない気持ちでインタホンを鳴らすと、しばらく待たされてから和馬の声がした。
「あー、今オートロック解除したから 入ってこいよ」
和馬がインタホンに出たって事は、お手伝いさんたちはいないらしい。
あったく、こんな夜更けに人を呼び出しておいてなんちゅー言い草だ!
若菜は軽い殺意を覚えながら、和馬の部屋に向かった。
683名無しさん@ピンキー :2006/06/02(金) 13:41:51 ID:KW6/o7uP
>>682
4.
いつもの様に、二人だけの時は本性を現す数馬が煙草を咥えながら水割りのグラスを
窓辺で優雅に揺らして立っていた。
「あの〜。今日って伺う約束なんかしてなかったと記憶してるんですが。
これは一体どういうつもりですか」
それが人を迎える態度か、と むっとしながら若菜は精一杯皮肉を込めて言った。
「そうだっけ?聞き忘れてたんじゃないのか?」
和馬はけろりとして皮肉を聞き流すと、煙草を消して近づいてきた。
若菜は思わず条件反射で後ずさってしまう。

「時に、若菜。お前 最近は随分楽しそうじゃないか。何を企んでいるんだ?」
「た、企むなんて、和馬さんじゃあるまいし 人聞きの悪い事を言わないで下さいな!」
口答えしながらも、足は勝手に後退してしまい 反撃力はほとんどなかった。
「まさか、もうすぐ俺が卒業したら また懲りずに男と交際しようと考えているんじゃないだろうね?
無駄な期待はしない方がいいぞ、俺が許さないから」
和馬は悪魔の微笑みを浮かべながら、ぎくっと硬直した若菜に和馬は更に近寄ってきた。
「な、なんであなたが許さないと私が自由な希望も持てないのよ!?」
「だって俺達 もう結納も済ました婚約者同士だろ。大事な婚約者の浮気を許す程、
俺って寛大じゃないんだよな。若菜」

あれはただの脅しじゃなかったのか!?驚愕した若菜はあんぐり口を開いた。
684名無しさん@ピンキー :2006/06/02(金) 13:42:24 ID:KW6/o7uP
>>683
5.
ずるずると後退する若菜の背後はついに壁にあたり、和馬はどんどん近づいてきた。
逃げ場を失った若菜は、窮鼠猫を咬む思いで怒鳴ってみた。
「あんなの、あなたが勝手に決めた事じゃない!婚約なんて形だけでしょ!」
和馬に対して、こんな風に思い切り怒鳴ったのは初めてだった。
さすがの和馬も一瞬怯んだが、すぐに立ち直ってにっこり笑った。
今まで悪魔の微笑みにしか見えなかった和馬の笑顔が、何故か優しげに変わっていた。
「形だけなんてとんでもない。この間ちゃんと正式にプロポーズしただろ?
ちゃんと俺は俺なりに考えた上で、自分の言葉に責任を持って言ったんだぞ」
「…はぁ?」
若菜は和馬が何を言わんとしているのか、訳がわからず混乱した。
「お前は最初から、俺の完璧な演技を見破っていただろ?それはなんでだ?」
「そんなの、わかるわけないでしょーが!」
「まぁ、待て。俺は色々な仮説を立てて結論を出した。
俺達には初めて会った時から、ある種の愛が芽生えていたんだ。
だから結婚する。自然の成り行きだろ?」
「…はい??」
なんでそんな唐突な結論になるんだ!?
大体、今まで和馬から受けた仕打ちの一体どこに愛があったんだ?
若菜は突っ込みを入れたい気持ちと、心のどこかで妙に納得している自分に戸惑っていた。
685名無しさん@ピンキー :2006/06/02(金) 13:44:43 ID:KW6/o7uP
>>684
6.
「俺はさ、一生自分を隠し通せる自信もあったけど いつもどこかが疲れてたんだよな。
お前に見破られて、まずいと思った反面 お前の前なら自然でいられる自分にほっとした。
お前だって、本当に嫌なら俺を脅して優位に立つ事も出来たはずだが しなかった。
子供の頃から親の出世の為に我慢するほどお前に知恵が回っていたはずもない」

…なんだか馬鹿にされてるような言われ方だが、確かに恐怖心からだけで黙秘していたのとは違う気もしてきた。
「つまり、俺達は気づかないうちから相思相愛だったって訳だ。」
和馬は自信たっぷりに言い切った。
「う、うーん……。なんか釈然としないんですけど…」
「若菜に難解な思考を求めてはいないさ。だが、浮気をされる前に予防策は取らないとな」
「へ…?予防策って?」
と、聞き返す間もなく若菜の唇は和馬の唇に塞がれた。
若菜は何が起こったのかわからず、いきなり奪われた唇の感触にまたも混乱した。
煙草と少し酒臭い和馬の唇が若菜の唇を貪り、和馬は若菜をそのまま抱き上げた。
「ひゃっ!な、なにすんの!!」
あまりにも唐突な論理と展開に呆然としていた若菜は、抱き上げられて我に返った。
「丁度 若菜も風呂は済ませてるし、ここらで既成事実を作っておこうじゃないか」
和馬は当然のように言いながら、若菜を抱き上げたままベッドに向かった。

ようやく意味を理解した若菜は、和馬の腕の中で慌てて暴れ出した。
「じ、冗談でしょ!降ろしてよっ!そんなつもりでお風呂に入ってきた訳じゃないって!」
じたばた暴れる若菜の体が和馬から落っこちた。
落下地点は 丁度 和馬のベッドの上だった。
「おお、グッドタイミングで着地したな 若菜」
覆いかぶさろうとする和馬を突き飛ばし、若菜はついに感情の堰が切れてしまった。
泣きながら突き飛ばした和馬をクッションで思い切り殴りつけた。
「いつも勝手なことばかり言わないでよ!二重人格!悪魔!エクソシスト!バカバカバカ!」
若菜は涙と鼻水を拭おうともせず、今までの鬱憤をクッションに込めて、罵倒しながら
手が疲れて上がらなくなるまで和馬を殴り続けた。
686名無しさん@ピンキー :2006/06/02(金) 13:45:32 ID:KW6/o7uP
>>685
7.
プライドの高い和馬が、反撃もせずに若菜の爆発を受け続けていた事に気づいたのは、
殴り疲れて腕を下ろしてからだった。
息切れをしながら枕を抱きしめた若菜に、和馬は黙ってティッシュケースを差し出した。
「すごい顔になってるぞ、若菜」
「…誰のせいよ…」
ティッシュを受け取った若菜は、派手な音を立てて鼻をかんだ。
思い切り暴れて言いたい事を言い切ったので、もう恥ずかしさも何もなかった。

「悪かったよ。若菜はいつも俺の前でおどおどしてたからさ。
さっきは相思相愛だなんて言ったけど、本当は不安だったんだ。
俺の片思いじゃないかとはずっと思ってたけど、若菜を誰にも渡したくなかった。
無理強いしてごめんな。ほら、まだ鼻が垂れてるぞ」
和馬は急に静かな顔になって、優しく若菜の鼻水をティッシュで拭いた。
「婚約も解消しよう。もう自由になっていいよ、若菜。今までありがとな」
涙と鼻水でくしゃくしゃになった若菜の顔を、和馬が寂しそうな顔で拭いてくれている。

「婚約を解消して自由にしていい?…それって別れの言葉なの?」
鼻を真っ赤にしたまま、若菜は和馬に大人しく顔を拭かれていた。
「ああ、若菜は可愛いもんな。邪魔者がいなくなれば、すぐに新しい恋人も出来るさ」
急にそんな事を言われると、若菜は突き放されたような孤独感を感じてしまう。
「…じゃあ、これからはずっと和馬さんは一人で完璧を演じ続けていくの?」
「元々、若菜が現れるまではそのつもりだったからな。たいした事じゃないさ」
和馬は常に周囲から完璧を求められ続け、ずっとその期待全てに応えて来ていた。
実の両親でさえ和馬がかぶっている巨大な猫には気づかなかったのに、若菜には初対面で
わかってしまった。
これはやはり必然だったのかもしれない、と若菜は思ってしまった。
687名無しさん@ピンキー :2006/06/02(金) 13:49:03 ID:KW6/o7uP
>>686
8.
思わずクッションを放り投げると、和馬に手を触れる。
「私がいなくなったら、和馬さんの人格が崩壊するか、次の犠牲者が出ちゃうよね」
なんだか無礼な事を言いながら、若菜は和馬の胸に顔を埋めてささやいた。
「和馬さんは人格が破綻してるけど、私はそんな和馬さんを嫌いじゃないよ
もっと私の人格を尊重してくれれば、好きなほうかも」
和馬の腕が若菜の背中に回り、若菜を抱きしめ返してくる。
「本当に?」
若菜は答える代わりに眼をつぶってみせた。
和馬の唇が若菜の唇に重なり、数馬の舌がゆっくり若菜の口の中に入ってきた。
若菜はもう拒まずに、和馬の舌を受けとめ それに応えた。
「若菜…」
和馬がゆっくりと若菜を抱きしめながらベッドに押し倒す。
「私、さっき暴れたから汗かいちゃってるよ」
若菜は恥ずかしそうに顔をそむける。
「大丈夫。若菜は若菜のままでいいから」
和馬はそっと囁くと、若菜のうなじに唇を這わせながら ゆっくり若菜のブラウスの
ボタンをはずしていった。
688名無しさん@ピンキー :2006/06/02(金) 13:50:42 ID:KW6/o7uP
>>687
9.
少し汗ばんだ背中に手を回し、ブラのホックをはずすと お世辞にも大きいとはいえない胸が
顕わになった。
「…やっぱり恥ずかしいよ…せめてシャワー浴びちゃダメ?」
「だめ。このままでいいって」

和馬の掌が若菜の胸の上で泳ぎ始め、後を追うようにして唇が胸の膨らみに降りてきた。
さっきまで大泣きしながら殴っていた和馬の頭が 若菜の胸の上で動いている。
若菜は自分の貧弱な胸も恥ずかしくて、もっと牛乳を飲んでいればよかったと思いつつ、
普段威張っている和馬が自分の胸に顔を埋めている姿を なんだか可愛い様な、それで
いて違う自分に変えられていくような、おかしな気分になってきた。

「…ちっちゃい胸でがっかりしてる?」

若菜は恥ずかしくて、つい余計な事を話してしまう。
「余計な事は言わないでいいの」
和馬は掌にすっぽり収まる乳房を揉みながら、小さな乳首を口に含み 舌で転がした。
若菜の小さな喘ぎ声が洩れる。泣いた後なのでその声は少し擦れていた。
やだ…変な声が出ちゃう…
なるべく声を出すのを我慢しようとすると、触れられている部分に神経が集中して
余計恥ずかしいような 気持ちいいような、変な気分だ。

若菜はぎゅっと眼を閉じて、和馬の頭にしがみついた。
689名無しさん@ピンキー :2006/06/02(金) 13:52:44 ID:KW6/o7uP
>>688
10.
「…あっ…!」
思わず声が出てしまった。

和馬の指が、若菜のショーツの上から 恥ずかしい部分に触れたのだ。
「…あの、やっぱり汗ばんで恥ずかしいんですけど…」
和馬は若菜の耳元でそっと囁く。
「馬鹿だな…これは汗じゃないよ…いいからもう少し力を抜いて」
そ、そんな事言われても、指が動くと力が入っちゃうんですけど…!

和馬の指がショーツの上で 自分のすごく敏感な部分を彷徨っている。
押し殺しても擦れた声が漏れてしまい、頭の芯がくらくらしてくる。
ショーツが濡れていくのがわかり、着替えがないのにどうしよう…と若菜は戸惑った。

「全部脱いじゃおう、若菜」
「ぬ、脱ぐんですかぁ…!?」
どぎまぎしている若菜のスカートのファスナーを探し当てると、和馬は黙って
スカートと一緒にショーツまで手際よく脱がせた。
なんだか手馴れた手つきだなぁ…と、思う間もなく、一糸纏わぬ姿にされた若菜は
恥ずかしくて手で顔を覆ってしまった。
和馬はそんな若菜にシーツをかけると、いつの間に脱いだのか自分も裸になって、
素早くシーツの中に入ってきた。

唇を重ねると、再び和馬の手と唇が若菜の身体を動き始める。
和馬の心臓の音が素肌を合わせると伝わってきた。
まるで競争しているように、互いの鼓動は早くて、若菜はなんだか可笑しかった。
くすくす笑ってしまうと、『真面目に!』と和馬に怒られた。
だってくすぐったくて、恥ずかしくて、どうしていいかわからないんだもの…

「…あっ…!」
今度はショーツ越しではなく、直接和馬の指が敏感な部分に触れた。
やだ…触られてるところがどんどん熱くなって変な気分になってくる…
それになんだかぬるぬるして、水っぽい音が段々大きくなってきて恥ずかしい。
も、もしかして 私って淫らな女なんだろうか…?
恥ずかしくて和馬の顔が見れず、首にしがみついているだけで精一杯だった。

「…んんっ!」
か、和馬さん…指が私の中に入ってきて、いやらしく動いてるんですけど!!
「ち、ちょっとそこ タイム…!」
「我慢、我慢!」
和馬の指の動きは止まるどころか、段々早くなってくる。
ダメ…ってばぁ…!!
若菜は和馬が自分の中心と中を動かす指の刺激で、一瞬意識が飛んでしまった。
690名無しさん@ピンキー :2006/06/02(金) 13:54:24 ID:KW6/o7uP
>>689
11.
「若菜…もう少し足を開いて力を抜いて」
ぼんやりした若菜の耳に、和馬の声が遠く聞こえてくる。

…力、もうすっかり抜けてます…

既にそれは声になっていなかった。
「…これから痛いかもしれないけど、我慢だぞ。若菜」
「ま、まだ我慢ですかぁ…」

ハーフタイム入れようよぉ…。
声にならない声で若菜は和馬に抗議したが、声になってないので届かなかった。

熱く痺れたような若菜の中心に、なにやら和馬の熱くて硬いものが当たった。
しばらく濡れた若菜の中央入り口付近を彷徨ったそれは、意を決したように
若菜の中に少しづつ入ってきた。

『…い、痛い〜〜ぃ!!』
思わず和馬の首に力いっぱいしがみつき、声にならない叫びをあげた。

「もうちょっと頑張れ!若菜」
「応援はいいから、ち、ちょっとタイムプリーズ!!」
「…今は無理。もう少し頑張ってくれ!若菜」
わかってたつもりだけど、まさかこんなに痛いとは…

和馬はなるべく若菜を気使って、ゆっくり入ってきてくれてるが、痛いものは痛かった。
思わず涙ぐんでしまった若菜だが、すっかり入った和馬はそこで止まってくれて、
優しく頭を撫でてくれた。
「ごめん…痛いか? 若菜、ここで少し休憩な」
若菜の中に入ったまま、和馬が優しく抱きしめた。
若菜の中にいる和馬は、硬くてとても熱く感じた。
691名無しさん@ピンキー :2006/06/02(金) 13:56:13 ID:KW6/o7uP
>>690
12.
「少し落ち着いたか?」
「…う、うん…大丈夫…かな…?」
「じゃ、ゆっくり動かしていくからな」
和馬は言葉どおり、ゆっくり腰を動かし始めた。

…う…やっぱりまだ痛いです…和馬さん…

若菜は再び和馬にしがみついて身を硬くした。
「もう少し力を抜いて、若菜」
「う、うん…」
思わず思い切り腹筋を込めている事に気づいた若菜は、努力して体の力を抜いてみた。

…あ、少し痛く無くなった…?
和馬の動きが少し早くなって来た。
だけどさっきよりだいぶ痛くなくなって、ほっと力が抜けると更に痛みが薄らいだ。
痛みが薄らいでくると、少しずつ身体の芯が熱くなる様な妙な気分になってきた。

…もしかして、これって気持ちいいって感じてる…?

和馬が動くごとに、段々動きがスムーズになり 迎え入れるのも楽になった。
妙な気分も高まってきて、また油断すると声が出てしまう。
「我慢しないで、声を出していいんだぞ」
「う、うん…」

ベッドの中の和馬さんはいつもよりずっと優しかった。
だんだん早くなってくる和馬の動きに、若菜の身体は反応し始めた。
貫かれるごとに、身体がシーツごと上にずり上がる。
ずり上がりすぎて、ベッドの壁に頭がぶつかり、和馬の動きと共に頭のてっぺんが
ベッドの壁にごつごつ当たるので、腕をあげて頭がぶつからないようにベッドの壁に手を着いた。
途中で和馬が気がついてくれ、身体を下に引き摺り下ろしてくれた。
その弾みで、和馬の先端が若菜の奥に当たり 若菜は思わず声をあげてしまった。
その後はもう、若菜はもう声を我慢できずに小さく声を発していた。
692名無しさん@ピンキー :2006/06/02(金) 13:59:30 ID:KW6/o7uP
>>691
13.
「若菜…俺、そろそろだ…」
和馬の動きが激しくなる。
「ち、ちょっと待って!和馬さん ひ、避妊…」
突然、和馬は若菜を抱きしめたまま動きを止め、若菜の中に暖かいものを放った。
「か、和馬さんてば…!」
若菜はすっかり避妊を忘れていた事に絶句した。

「大丈夫。子供が出来てもちゃんと責任は取るからさ」
和馬は満足そうに若菜を抱きしめたまま、さらりと言ってのけた。
「…責任とか以前に、私はまだ高校一年生なんですけど!」

ああああ!最初から自分が気をつけるべきだったぁ!!

和馬の腕の中で、若菜は眩暈を起こしそうになった。
そんな若菜を悪戯っぽく見ながら、和馬はごそごそとシーツの中に手を入れて、何か
小さなものを取り出した。

それは、いわゆるアレだった。
「これ、なーんだ?」
若菜はまたやられた、と思った。…最初からつけてたのね…

やっぱりこいつの本質は悪魔だぁぁぁ!
「これで既成事実もできて、虫避けも万全。幸せにするからね」
笑いながら抱きしめてくる和馬の腕の中で、若菜は『やっぱり早まったかなぁ…』と
ちょっぴり後悔しはじめていた。

                     おわり。

お眼汚し失礼しました
693名無しさん@ピンキー :2006/06/02(金) 14:33:31 ID:2WUHH9mG
正直な感想。
キモイです。
694名無しさん@ピンキー :2006/06/02(金) 18:28:48 ID:cDJrSveA
誤字と文章推敲してから投下してくれない?
同じ単語が削りきれてないよ
695名無しさん@ピンキー:2006/06/02(金) 20:08:33 ID:0LoXUT6c
どんなダメSSかとおもったら…
普通に面白かったよGJ
696名無しさん@ピンキー :2006/06/02(金) 23:01:52 ID:7fJsHsR+
悪魔を知る者の原作は読んだ事ないけど、
前半で大体内容はつかめたよ
鬼畜系じゃないし面白かった。
どの単行本に収録されてるのか、
知ってる人教えてー
697名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 09:04:32 ID:NJZnBaTO
楽しく読みましたよ!
原作ラストの微笑はこういう意味だったのね〜と思ってみたり。
推敲が必要なのは同意だけど
文章書きなれたらもっとこなれると思います。
職人さん乙でした。次回にも期待してます。
698名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 13:14:06 ID:EacA08Q0
悪魔を知る者、面白かったですよー。
これからもガンガン書いて下さい。

>>696
単行本は、空の食欲魔人
文庫版は、フロイト1/2
に入ってるよ〜。
699名無しさん@ピンキー :2006/06/03(土) 19:51:01 ID:oesjV9tE
ミソ・スープは混沌する その1. (注)エロ描写はないのですみません
シドニー・ハワード×郁 <ミソ・スープは哲学する>

―世界は不透明である―

と、ガラス細工のように透明な人は言った。
そして傷ついた顔をして、明日英国に帰ると郁に告げた。

郁にはハワードさんが何故そんな傷ついた表情をするのかわからなかったが、
自分の言葉が繊細な彼を傷つけたのだ という事は理解できた。

正直、郁には彼の話す言葉の半分も理解できないでいた。
ハワードさんは日本語を話せるのだが、難解すぎて意味不明なのだ。
大体 世界的に有名な芸人が、なんで毎日うちのメシ時に訪問してくるのか。
変な外人だ、と郁は思っていた。

それでも何故か彼の昨夜の表情は、郁に罪悪感を抱かせ 彼の急な帰国の知らせを聞いて
なんだか悲しいような むなしいような、自分にも理解不能な感情に落ち込んでいた。
そーいえば 帰国するという前にガラス細工の人は何か言いかけてたっけ。
何を言おうとしていたのか、それは郁が遮ってしまったのだが…

11:45。
弟の明人が、ハワードさんは13時にホテルを出て空港に向かうという電話を受けたと
郁に告げた。
郁は思わずミソ汁の鍋を抱えて走り出してしまった。
なんでそんな行動に出ているのか、どうやって鍋を抱えてホテルまでたどり着いたのか、
郁自身にもわからなかった。

ホテルの廊下を走っていたら いきなり目の前のドアが開き、ハワードさんが驚いた顔で
出てきた。
ハワードさんは、郁の抱えているミソ汁の鍋を見ると、満面の笑みを浮かべる。
「…よく こぼさずに持って来れたものだ」

―こいつ、まさかミソ汁の匂いを嗅ぎつけたのか?
郁も驚いたが、彼の嬉しそうな笑みにつられて自分も微笑んでしまった。
「そら〜、なにしろ世界は不透明だから」
自分でも意味不明な発言をすると、彼に迎え入れられるままに鍋ごと部屋の中に入った。

よっぽどミソ汁が好きなんだな〜この透明な人は。
「た〜んとあるから、たっぷし食べな」
「そりゃ、どーも…」
に〜っこり。
そして二人を残し、ホテルのドアは閉められた。

  ―閑話休題―
700名無しさん@ピンキー :2006/06/03(土) 19:53:16 ID:oesjV9tE
>>699
その2. 
「そ〜いや、一時にホテルを出なくていいのか?ハワードさん」
ホテルに備え付けの小さな電子保温機でミソ汁を温めながら、郁はたずねた。
「郁さんが来てくれたから、帰国は延ばします」
ハワードさんはずっとにこにこしながら郁を見つめていた。
「延ばすって、ひこーき代 今からキャンセルしても戻ってこないんじゃないか?
一体エゲレスまでのひこーき代っていくらなんだ?
きっと高いんだろーなー…もったいないなくないか?」
小市民な郁はそっちの心配をする。
「いいんですよ、そんな事はたいした問題じゃない」
ハワードさんはそんな郁の発言も嬉しそうに がばっと抱きついてきた。

うひゃぁ〜!
抱きしめられて、郁は目がちかちかした。
「あ、あのね ハワードさん。日本じゃ抱擁する挨拶の習慣はないから驚くんだってば」
郁は顔が赤くなるのを感じながらハワードさんの胸を押し戻した。
「英国にもそういう習慣はありませんよ。郁さん」
「ほえ?」
…う〜む、やっぱりこの人の思考回路と行動原理はよくわからん…
赤い顔で混乱している郁に、ハワードさんは目を細めて説明し出した。
「つまりですね、世界とは 不透明かつ暗さを伴い…」
「ま、待った!ミソ汁が吹きこぼれるから 説明は手短にね」
よーするに、この人の哲学的な説明には 郁の理解がついていけないのだ。
「あ、ごめんなさい。結論を簡潔に述べると、僕は郁さんを英国に連れて帰りたいほど
好きなんです」

郁の顔が ぼっと火を噴く様に赤くなった。
「き、極端に簡潔な説明ですね…」
もしかして…と、と予想はしていたが こうもあっさり言われると、どうリアクションを
すればいいのやらわからなかった。
「理解してくれましたか?」
「は、はぁ。…明確なお答えありがとうございます」
「ご理解頂けて嬉しいです」
そう言うとハワードさんは再び郁を抱きしめた。 
701名無しさん@ピンキー :2006/06/03(土) 19:54:22 ID:oesjV9tE
>>700
その3.
しばらくぼーっとしたままハワードさんの腕の中にいた郁だが、ハワードさんの手が、
背中から腰に降りてくるのを感じて我に返った。
「ち、ちょっと待った!
理解はできたけど、こーゆー事はまず、お互いの相互理解を含めてからですね…。
ハワードさんの気持ちはわかったけど、まだ私の気持ちは言ってないし」

もう、郁は緊張のあまり口から心臓が飛び出しそーだった。
シドニー・ハワードは ふむ、と納得したように郁から手を離すと、まっすぐな瞳で郁を
見つめながら言った。
「そういえば そうですね。郁さん、答えてくれますか」
「うっ…!」
墓穴を掘ってしまったぜ…。
郁はいきなり授業で問題を当てられた生徒のように硬直した。

ガラス細工のように透明な人が、不安気の様な 期待に満ちたような眼で見つめている。
まるで蛇ににらまれたカエルの様だ、と 郁は思った。
「き、嫌いじゃないです。でも、まだ私ハワードさんの事をよくわかってないし。
だ、大学もまだ卒論を控えてるしで…あの、その…」
滝のような汗を流しながらしどろもどろに答えた。

ハワードさんはしばらく郁をじっと見つめた後にっこり笑った。
「わかりました。それでは郁さんは、これから僕の事をもっと知ってください。
イギリスは郁さんが大学を卒業するまで待ちましょう」
郁は何とか質問に答えられた生徒のように、ほ〜っと安堵の溜息を漏らした。

「じ、じゃあ そゆ事で、ミソ汁もあったまった事だし食べるか?ハワードさん」
郁は緊張感から解放され、ミソ汁の保温気の電源を手探りで切った。
しかし厳しい教師となったハワード氏は、郁を解放してくれなかった。
「まずはレッスン・ワンです、郁さん。僕の事はシドニーと呼んでください」
「し、しどにーですね、はいはい」
「レッスン・ツーです。僕はミソ汁より先に郁さんが食べたいです」
そ、そう来たか〜!
「ハ、ハワードさん、それはまだ早いんじゃ…」
「シドニーですよ、郁さん」
「し、しどにぃ〜!」
「よろしい。発音はこれから練習しましょうね」
そう言うと シドニーになったハワードさんは、またもや郁を抱きしめ唇を近づけてきた郁はもう観念して、
シドニーの唇を受け入れた。

唇を重ねながらシドニーは郁の背中に手を回し、まるでワルツのステップを踏むように
ベッドに向かって歩き出した。
ベッドまでたどり着くと 郁の背中をしならせ、その反動で郁はゆっくりベッドに倒れこんだ。
702名無しさん@ピンキー :2006/06/03(土) 20:05:16 ID:oesjV9tE
>>701
その4.
い、いつの間にこうなったんだ…?
眼をぱちくりさせる郁の眼前で、シドニーはネクタイを緩めながら顔を近づけてきた。
うわぁ…まるで映画のラブ・シーンみたいだぁぁ… 
郁はまるで他人事のように覆いかぶさってくるシドニーに見とれていたが、
唇が再び重ねられ シドニーの舌が自分の唇から入ってくると、また動悸が始まった。
シドニーの手が郁の服にかかり、一枚づつ剥がされる度に鼓動は高まっていった。


「…とーさん、ねーちゃんが持ってたのミソ汁の鍋だったよ。
今日はミソ汁抜きの昼食だぁ」
「そうか、夜は店屋物になるかもしれないなぁ」 
「あ!それなら俺、ウナギがいいなー」
「明人のおごりなら特上でもいいぞ。とーさんは」
島崎家に取り残された家族は呑気な昼食を親子二人で食べはじめた。
のどかな日差しのする冬の日だった。


郁はシドニーの腕の中で、自分の頬をつねっていた。
「いてっ!」
「郁さん、どうしました?」
「い、いえいえ、なんでもないです〜!」

…やっぱり夢じゃなかった。

頬をつねるまでもなく、郁もシドニーも生まれたままの姿でベッドに横たわっているし、
郁の身体にはまだシドニーが触れた感触が生々しく残っているのだが。
あまりの展開の速さに 郁はまだ信じられない気持ちでいっぱいだった。

無我夢中でミソ汁の鍋を抱えて走ってきて数時間後、まさかシドニーとこういう関係に
なっていようとは。
郁にとってはまさに青天の霹靂だった。

「郁さん、後悔しているのですか?」
シドニーの青い瞳が郁を覗き込むと、郁はまた赤面した。
「…してないです…しどにー」
ガラスのように透明な人はにっこり微笑むと、
「よかった。これからもっと僕を知ってくださいね、郁さん」
と、再び郁を求めてきた。
げ、元気な外人だ…

不透明な世界の向こうには、こんなでき事もあるんだなぁ…と、
郁は再び陶酔の世界に引き込まれながら考えていた。

この後シドニーは郁が大学を卒業し英会話を覚えるまで日本で過ごす事になる。
ツーショットで撮られた週刊誌記事の切り抜きは、郁の抗議にも耳を貸さず、
シドニーの胸ポケットに大事な記念として収められていた。

             おしまい
703名無しさん@ピンキー :2006/06/03(土) 20:35:16 ID:oesjV9tE
>>702
前作との投下間隔が短くて大変失礼しました。

専ブラから投下できなかったので、その3の
>そう言うと シドニーになったハワードさんは、またもや郁を抱きしめ唇を近づけてきた郁はもう観念して、
>シドニーの唇を受け入れた。
ここの改行を失敗しています。

そう言うと シドニーになったハワードさんは、またもや郁を抱きしめ唇を近づけてきた。
郁はもう観念して、 シドニーの唇を受け入れた。

と、脳内変換をお願いします…
704名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 20:42:02 ID:tG0JGRj+
乙です!
ミソ・スープは哲学するのその後、想像通りです。
そりゃ、食べられちゃってますよな〜。
訪ねていったの、ホテルですから…

最近、川原作品ラッシュのようで、
読み手としては嬉しい限りです。
エロ少なくても萌えます。
書き手の皆さん、ありがとう!
705名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 21:07:07 ID:NJZnBaTO
大学じゃなくて短大だった気もしたけど
すごく雰囲気でてましたよ。
ただ出来ればムニャムニャの描写も…w
706名無しさん@ピンキー :2006/06/03(土) 22:28:22 ID:oesjV9tE
>>705
感想ありがとうございます。
ミソ・スープを書いたものです。
今回、自己語りを入れますがお許し下さい。

実はエッチ描写も本当は2レスほどあったのですが、
専ブラから投下できないのでカットしてしまったのです。

今利用しているのは かちゅ−しゃなのですが
早く対応してくれるか、他の専ブラを探しています。
IEからだと連投規制とか厳しくて…

他の作家様方はどうやっているのでしょう…?
707名無しさん@ピンキー :2006/06/03(土) 22:44:01 ID:cA3sTsjq
>>698
ありがdです!!
御礼書こうと思ったら新作が投下されてたので読みふけってましたw
明日早速買ってきますーーー
原作が楽しみです

>>706
うわーー!読みたかった(涙)>2レス
Live2chは対応してますよー!!
よかったら補足ででも…ハァハァ
708名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 22:56:27 ID:KfEUhMJz
>>706
参考にならないかもしれませんが、私の場合
WindowsであればOpenJaneを、
MacOSXであればCocoMonarを使用しています。
709名無しさん@ピンキー :2006/06/04(日) 00:34:39 ID:cEUCWkeE
>>707
>>708
ありがとうございます。今両方入れてみました。
使いやすさを試してみます
カットしちゃった部分は、後日番外編を書く時にでも再利用
しますので、また投下したときはよろしくお願いします。
710名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 07:52:30 ID:vwirf3mH
ミソスープ、投下ありがとうございますv
なんか萌えますた〜エロ部分があるともっと良かったなwじかいに
「元気な外人だ」にワロタw
711698:2006/06/04(日) 13:09:12 ID:AovdAH7m
ミソ・スープは哲学する、大変美味しゅうございました。
是非、番外編も宜しくお願いします。

>>707
早速、御礼どーも!
ブレーメンU以外は全部読んでるので、お安い御用です。

ブレーメンUって、面白いですか?
買うかどうか迷ってます。
どなたか知ってる方、教えて!
712名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 15:40:18 ID:w8poMJre
>>711
『ブレーメンU』悪くないと思うけど。
「アンドロイドはミスティ・ブルーの夢を見るか?」の続編なので、
主人公はイレブン・ナインことキラ・ナルセ&星間企業スカイ・アイ社長ナッシュ・レギオン。
人間外も盛り込んだほのぼのヒューマンドラマ系SF。(という表現でいいんだろうか?)
ちょっとクールめな女性と天然素材な感じの年上男性のコンビなので、
『空の食欲魔人』のようなカップリングが好みなら萌え要素高いかも。
713711:2006/06/04(日) 16:03:02 ID:zuIIWw+r
>>712
ご親切に解説付き、ありがとうです!
面白そうなので、買いに走ります!
アンドロイド…でのナッシュは26年間
『会社が恋人〜。男女交際もね〜したことないの〜。かわいそね〜。かわいそね〜』
でしたけど、その後恋人はできたのでしょうか?
かなり、気になる〜!!
714名無しさん@ピンキー:2006/06/07(水) 01:46:23 ID:f4bSxqtn
人いないねえ・・・

次スレどうします?(現在484KB)
715名無しさん@ピンキー:2006/06/07(水) 06:48:37 ID:bue1CzyL
エロなしばかりで食傷気味かもしれませんが、投下します。

夢だっていいじゃない (笑う大天使) 史緒その1.

某航空会社系列の豪華ホテルの一室は明かりは消され、ほの暗い室内には、
うっすらとスタンドの明かりが1個だけついていた。

薄暗い室内で微かな衣擦れの音がする。
史緒がベッドに横たわる男を起こさないように、ストッキングを身に着ける音だ。
ついさっきまで体を重ね合っていた人が、ふと眼を開ける。
「司城君、やっぱり帰るんですか」
「あ、起こしちゃいましたか。気にせずまだお休みになっていてください。室長」
さっきまで男の腕の中で乱れていた彼女とは別人のようなクールさで、史緒は
ベッドに取り残した男に一瞥をすると身支度を整え続ける。

「たまには泊まっていきませんか?明日は休日だし、私は君と過ごしたい」
「申し訳ありません。持ち帰りの仕事がありますので」
『室長』と呼ばれた男は、ベッドから起き上がると史緒を引き止めるようと、背後から
抱きついてきた。
しかし史緒は身につけた洗練された微笑みでその腕を振り解くと、
「そのうちにまた誘ってください」
と、ホテルの一室を後にした。

取り残された男は、史緒の残り香を感じながら溜息をついた。
「さすが現役でキャリア官僚入りしたバリキャリだ…。中々ガードが解けないなぁ…」

東大卒業後、順調なキャリアを重ねて秘書議長となった史緒は 職場でも
『クール・ビューティ』と囁かれ、美しく気高き高嶺の花として有名だった。

聖ミカエル学院を卒業し、有能なキャリアウーマンとしての実績を重ねている 完璧な女性。
それが史緒に与えられている世間の評価だった。

ホテルのボーイにタクシーに乗り込み、史緒はまっすぐ自宅に戻る。
…は〜。冗談じゃねーよ。週末は貯めて置いた時代劇のビデオを見て過ごすんだ。
休みの日まで わらしの楽しみを奪われてたまるか。
それに、外泊なんぞしたら にーちゃんが泣くじゃないか。

これが史緒の本音だった。
716名無しさん@ピンキー:2006/06/07(水) 06:49:22 ID:bue1CzyL
>>715 その2.
司城家に到着した史緒はこそこそと屋敷の玄関を開けて、ぎくっとした。
一臣殿下こと、にーちゃんが玄関にソファをおいて読書をしていたのだ。
「おかえりなさい、史緒さん。毎日遅くまでお疲れ様です」
史緒はちょっと固まりながら、殿下の出迎えにごまかすように笑った。
「た、ただいまー、にーちゃん。なんでそんなところでいつも待ってるんだ?
仕事なら書斎ですればいいじゃないか。風邪引くぞ」
「社会に出たとはいえ、年頃の娘さんが連絡もなしに遅い帰宅をすれば心配するでしょう。
連絡してくれれば迎えに行けるのに」
殿下は無表情で本のページをめくりながらさっくり言う。

「そ、そだね〜、残業も多いからさ。今度から遅くなる時は連絡するよ。
にーちゃんも忙しいんだから、気にすんなって。
じゃ、私は着替えてくるからさ〜」
そそくさと、殿下の脇を通り抜けて自室にダッシュした。

…馬鹿言うなよ、にーちゃん。
男と逢引してたホテルに迎えに来いといえる程、私は厚顔無恥じゃないぞ!
史緒は心の中で思ったが、まさかそんな事を口に出せるはずはない。

出かける前と違った石鹸の匂いをさせている事に、史緒には気がついていなかった。
自室に消えた史緒を、一臣殿下は寂しげな表情で何も言わずに見送っていた。

「は〜、びっくりした」
史緒はパジャマに着替えながら、後ろめたい気持ちに満たされていた。

親友の柚子は先日、ロレンス先生と結婚し 和音は俊介さんと婚約した。
幸せそうな二人が、史緒は少しうらやましかった。
やはり好きな相手と結ばれるのは、史緒だって憧れる。
大学に在学中や就職してからも、何度か他の男と交際もしてみた。
だが、うちに戻って にーちゃんを見ると、付き合ってる男たちが野菜に見えてしまうのだ。
そんなこんなで、史緒には いつも決まった彼氏が定着しないまま今日まで来てしまっていた。

「ま、いっか。明日はビデオでも見て日々の疲れを癒そう〜」
あまり深く考える事はやめて、史緒は秘蔵のコレクションを整理すると自分のベッドにもぐりこんだ。
717名無しさん@ピンキー:2006/06/07(水) 06:50:18 ID:bue1CzyL
>>716 その3.
翌日、のんびりとビデオを見ていた史緒の元に、柚子と和音が遊びに来た。
「せっかくの休日に悪いな〜、疲れてるか?史緒」
「いんや。丁度時代劇のビデオを見ていただけさ。ま〜、上がれよ。
それより二人こそダーリンをほったらかしておいていいのか?」
なんだか気まずそうにしている二人に、史緒は大量に買い込んでいたおやつを出した。
「…?あんだよ、二人とも。遠慮しないで喰えよ」
「う、うん。じゃ、せっかくだからいただくとするか〜」
歯切れが悪そうに、柚子と和音は大福持ちに手を伸ばし もぎゅもぎゅと食べ出した。
史緒は時代劇を再生スタートして暴れん坊将軍の続きを見始めた。
柚子はそんな史緒をみながら、ボソッと口を開いた。
「な〜、史緒。お前、私らに何か隠し事してないか?」
「あん?別に何もしてないけど?」
どーしたんだ?こいつら?と思いながら、史緒はビデオから眼を離さない。
今度は和音がぼそっと言った。
「うちの俊介がさ〜。最近お前がよく男とホテルで会ってるのを見たって言うんだよ。
…彼氏が出来たなら、私らに一言言ってくれてもいいんじゃないか?」

史緒はあまり驚いた様子はなく、煎餅をかじった。
「あ〜、見られてたのか〜。俊介さんも目ざといなあ」
二人は史緒のリアクションの薄さに拍子抜けしたが、真意を測りかねて尋ねた。
「見られてたのかって、水臭いじゃないか。私らは友人なんだから気になるだろ。
史緒に彼氏が出来たなら、応援だってしたいんだぞ?」
「おっ!ちょっと待て。これからが暴れん坊将軍の見せ場なんだ」
二人の心配を余所にビデオを見ている史緒に、柚子が思わずTVを消した。
「あー!あにすんだよー。今いいところだったのに!」
文句を言おうとした史緒は、二人の真面目な顔に驚いて 眼を逸らした。

「…別にあれは彼氏なんかじゃねーよ。だからわざわざいう必要もなかっただけさ。
それよりビデオ見せてくれよ〜」
「だって、ホテルに行くような関係なんだろ?彼氏じゃなかったら何なんだ?」
チャンネルを柚子からパスで受け取ると和音が驚いたように聞き返す。
「ん〜、いわゆる世間体での外交って奴かな」
史緒の言葉に柚子はあんぐりと口を開いた後、いきなり史緒の頭をどついた。
「なんだよそれ!じゃ、好きでもない奴とお前はああいうところに行くのか!?」
「…いて〜な〜…。別にいいじゃんか。ちゃんと予防はしてるんだし」
「そ、そういう問題じゃないだろ?お前、け、結婚とかする時困るじゃないか!
いつからそんな奴になっちまったんだよ!眼を覚ませ!」
長年付き合ってきた友人の史緒が、思いもかけない言葉を言うのに柚子と和音は
動揺した。
史緒は表情を崩さないまま、ボソッと言った。
「い〜んだよ。私は結婚なんかする気ないし。…老後の面倒見るって約束したしな。
ほれ、チャンネル返せよ」

718名無しさん@ピンキー:2006/06/07(水) 06:53:26 ID:bue1CzyL
>>717 その4.
柚子と和音は、史緒の言葉の意味にはっと気がつくと 黙って史緒にチャンネルを返した。

二人にはわかってしまったのだ。
自分たちの夫や婚約者と違って、史緒は殿下と血が繋がっている。
どんなに好きでも、史緒と殿下は結ばれる事は絶対にないのだ。

「…あんだよ。そんな顔すんなよー。もし彼氏ができたら、ちゃんと報告するからさ」
――きっと、永遠にそんな日は来ない。
忘れようとしても、きっと史緒には殿下以上に好きになれる人は現れないだろうし、
きっと 殿下もそうなんだろう。

TVをつけなおして、画面を巻き戻す史緒を 柚子も和音も何も言えずに見つめた。

なんだか切なくて、二人とも泣きそうな顔になっていた。

「…肉まんも喰えよ」
史緒がぼそっと袋を差し出す。
「…うん、悪いな」
柚子と和音は、もう黙って肉まんに手を伸ばした。

そのまま 三人は黙って肉まんにかぶりつき、時代劇の音だけが流れ続けた。

719名無しさん@ピンキー:2006/06/07(水) 06:54:42 ID:bue1CzyL
>>718 その5.

「史緒さん、お二人と喧嘩でもしたんですか?」
夜になって、柚子と和音がしんみりとした顔で帰るのを見送ったにーちゃんは聞いてきた。
「あん?喧嘩なんかしねーよ。二人とも マリッジ・ブルーみたいで落ち着かないんだろ。
すぐに元に戻るって」
史緒は普段と変わらないようにまだビデオを見ている。
外では巨大な猫をかぶったキャリア・ウーマンの史緒なのに、家では時代劇オタクの娘さんだ。

殿下はそんな史緒の背中を見ながら、決心したようにつぶやいた。
「史緒さん、好きな人が出来たら ちゃんと紹介してくださいね。
僕に気を使う事はないんですよ」
史緒は『またかよ』と思ったが、にーちゃんにも言っておくか と考えた。
「誰が誰に気を使うんだ、馬鹿馬鹿しい。にーちゃんは、私に嫁に行って欲しいのか?」

殿下は一瞬固まったが、笑う場面なのに真面目な顔をしてTVを見ている史緒の横顔を見つめた。
史緒の問いに、答える事ができない自分に戸惑った。

「にーちゃん。私、誰とも結婚はしないよ。
薄利多売の交際しか出来ないにーちゃんの老後を見るのは私しかいないだろ?
ちゃんと老後は看取ってやるから安心しな」
史緒は振り返ってにこっと笑うと、またTVに視線を戻した。

一臣殿下は赤くなると、なんだか嬉しそうな顔になって史緒の頭を本で叩いた。
「いてーな。ハードブックでぶつなよー、にーちゃん」

こんな関係でもいいじゃないか。
たとえ、これからの未来が変わっても 今はこうしているのが幸せなのだ。
きっと未来も変わらないだろうけどね。

お月様も微笑む、今は夢のように幸福な時間。

                おしまい


スワップ風が投下途中なのに、同じ題材ですみませんでした
720名無しさん@ピンキー:2006/06/07(水) 10:10:55 ID:UsZRF0lt
>>719
GJ!
文緒さんの気持ちがせつないの〜。
気持ちは殿下にあるのに、体は他の男と…
大人の文緒さん、これはかなりありえますな〜。
721名無しさん@ピンキー:2006/06/07(水) 10:20:41 ID:UsZRF0lt
ところで、次スレ立てましょうか?

冒頭はこのスレの1と同じにして、2での保管庫を変更すればいいんですよね?
それとも、まだ先でもいいですか?
何も異論がないようなら、今日中に立てますよ。

722名無しさん@ピンキー:2006/06/07(水) 13:29:35 ID:m86DMFTq
異論というか、誰も見ていないようなので、立てちゃいました。

川原泉作品をエロくしろ!5
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1149654230/l50

500KBになるまで、エロ話でもして埋めてくだされ!
よろしく〜!
723名無しさん@ピンキー:2006/06/07(水) 20:42:19 ID:tiPptpcV
>722
乙です。ありがとう。
724名無しさん@ピンキー:2006/06/07(水) 22:21:25 ID:XTN7+YRW
大天使の史緒さんGJでした!
なんかいいな、こういうの…
史緒さんに切なくなった柚子さんと
和音さんのその後も読みたいっす!
725名無しさん@ピンキー:2006/06/07(水) 22:28:58 ID:XTN7+YRW
>>722乙ですが…
なんだか住人さん減っちゃったのかな?
せっかく職人さんがいるのに、なんだか寂しいですね
726名無しさん@ピンキー:2006/06/07(水) 22:49:30 ID:XkO6Vemd
>715さん
乙です!
男女の仲になってる二人も萌えるけど、
こういう切ない距離感の二人にもグッと来ました。
自分もその後の柚子さん・和音さんも読んでみたいです。

>725さん
自分はギコで書き込めずにしばらくROMってたよ。
耐え切れずに今はIEから書き込んでるけど。
727名無しさん@ピンキー:2006/06/07(水) 23:05:46 ID:XTN7+YRW
>>726
ぎこなび対応したようですよ〜?
> 新ギコ使いたい人はここ 
ttp://prdownloads.sourceforge.jp/gikonavi/20364/gikoNavi_1.52.0.656.zip 
> [test] 書きこみテスト 専用スレッド 3 [テスト] 
http://pc7.2ch.net/test/read.cgi/software/1148994529/ 

> (バタ52)先日27日から書き込みできない変更に対応 
だそうです。
728名無しさん@ピンキー:2006/06/08(木) 01:23:50 ID:4vdwMnTr
>>725 居ますよ ノシ
仕事の締め切りが近いのでレス遠慮してました。
フミオさんせつないっす、GJでした。
729名無しさん@ピンキー:2006/06/08(木) 16:55:53 ID:0aoukXGR
はいはいいますよー。

フミオさんと殿下のこーゆー関係は今までになかったから新鮮だね。
GJです。展開が非常に気になる。
730名無しさん@ピンキー:2006/06/08(木) 23:53:20 ID:KdKxsfxV
>>715
なんだかエロなくても萌えますた!!
できれば連載にしていただきたい…

三月革命の続きも待っております!!

新スレに移るまでは待ったほうがいいのかな?
731名無しさん@ピンキー:2006/06/08(木) 23:55:48 ID:KdKxsfxV
あ!ミソ・スープの番外編もwktkして待ってますー

どれもいいなぁ。
悪魔を知る者もよかったし、作品がたくさん投下されると嬉しいです
732名無しさん@ピンキー:2006/06/09(金) 01:20:35 ID:9Fk8f/iy
GHQ…しつこくお待ちしておりますおー。
733名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 02:21:32 ID:4vkEus7V
>>702 ミソ・スープは混沌する 
こっちが余っている様なので、カットした部分で埋めます。
エロ描写が色っぽくないのは勘弁してください…
______________________________________________________________________________________________________________________________________
その4.
い、いつの間にこうなったんだ…? 
眼をぱちくりさせる郁の眼前で、シドニーはネクタイを緩めながら
顔を近づけてきた。

うわぁ…まるで映画のラブ・シーンみたいだぁぁ… 
郁はまるで他人事のように覆いかぶさってくるシドニーに見とれていたが、
唇が再び重ねられ シドニーの舌が自分の唇から分け入ってくると、
また動悸が始まった。

唇を重ねつつ シドニーの手が郁の服にかかり、ブラウスのボタンがするするとはずされてゆく。
郁の鼓動はどんどん高鳴って息苦しいほどだった。

さすがシンセ何とかを何台も駆使する天才と、明人が尊敬するだけある芸人だ。
シンセ…なんだっけ…?と思い出そうとする郁の思考はシドニーによって遮られてしまう。

細く長い指の動きは強弱の緩急をつけて郁の素肌の上を滑る様な速さで
動き回り、指先が触れる度、郁の身体は 自分でも驚くほどに反応していた。

まるで流れる様に動く指が 郁の身に着けていた服を1枚づつ消し去ってゆく。
その不思議な指の感触に思わず出てしまう自分の声が郁自身も信じられない。

「う、うそ…、こ、これ私の出してる声…?」
「郁さん、僕もまた新しい郁さんをいくつも見つけていますよ」
シドニーは郁の身体の反応を眩しそうに見つめて囁いた。

まるで ミソ・スープに初めて出合った時と同じように、
郁の見せる反応は シドニーに新たなインスピレーションを湧き上がらせた。

うなじや鎖骨を滑らかな動きでシドニーの指と唇が踊るように動き回る。
動きにあわせて郁の声がピアニシモで洩れる。
ブラの上からシドニーの指が郁の胸に触れると、郁の声はややフォルテシモに変わった。
郁はくすぐったいのとも違う、不思議な感覚に翻弄されていた。

するりとブラもはずされ、緩やかな膨らみを確かめるようにシドニーの指が動くと、
恥ずかしさを感じる暇もないほどに、郁の感覚は高まっていく。
いつの間にか掛けられた毛布の下で スカートが郁の身体から消え、
続いてストッキングとショーツも手品のように奪い取られてしまった。

宙に浮く様な感覚の中で、シドニーに操られている郁はまとまらない頭で考えた。
『この人、音楽家じゃなくて実は手品師なんじゃなかろ〜か…。』

シドニーはまるで郁の身体を使ってショーをしている様に感じられた。
734名無しさん@ピンキー
>>733
その5.
郁は顔を紅潮させながら シドニーに反応してしまう自分に驚きつつ、 
自分をこんな風に翻弄しているシドニーが少し憎らしくなった。

「ハワードさん…も、もしかして私で遊んでない…?」
「シドニーですよ、郁さん。僕はいつでも真剣です。今は郁さんに感動しています」
「し、しどにー。か、感動って…なんで?」
シドニーは黙って郁の両胸を指と唇で揉みあげると、郁は跳ねるように反応し、
甘い声をあげてしまう自分にまた驚く。

「郁さんのこの反応が 僕を感動させるんです」
シドニーは郁の耳元でそう囁くと、郁の耳朶にもキスをした。
またもビクンと反応してしまう。

「私は自分に驚いてます…」
初体験でこんなに反応しちゃうものなんだろうか…?
「そんな郁さんも、僕は好きですよ」
郁はシドニーの言葉に照れながらも、更に感じてしまう自分に混乱していた。

シドニーもワイシャツを脱ぎ捨てると、郁の素肌に重ねてきた。
私らと全然違う白い肌だぁ…なんだか眩しい感じだった。

陶磁器のように白く、すべらかな肌をしたシドニーが郁を見下ろしている。
まるで本当にガラス細工みたいなのに、その体温は暖かかった。
不思議そうに見とれている郁とシドニーの目が逢ってしまう。
青い瞳に自分が映っているのが見えて、郁の顔は益々紅潮した。

うわぁ…恥ずかしい!
思わず顔を背けてしまう郁を、シドニーの青い瞳は柔らかく見つめた。
横を向いて露わになった郁のうなじを、シドニーの唇がなぞってゆく。
郁はまた小さな声が出てしまうのを抑え切れないでいた。

シドニーの指が、更に郁をゆっくりと奏で始める。
魔法の指が郁の敏感な部分に触れた時、郁はあまりの衝撃で 感電した様に
仰け反ってしまった。
あまりに驚いて、シドニーにしがみついてしまう。

「…郁さん、大丈夫ですか?」
し、しんぞーが破裂しそうだ。

うまく言葉にならない郁は、赤い顔のままこくこくと頷くことしか出来なかった。
郁が頷くと、シドニーの指は動き始める。
最初は触れるか触れないか位の速さで、それが段々早くなってゆく。
郁はシドニーにしがみ付きながら、自分が柔らかく溶けて溢れて行くのを感じた。
体の芯から火照り、シドニーが触れているところから発火しそうな不安を覚えた。

シドニーの指が郁の中に入ってくる。
細くしなやかな魔法の指は、何の抵抗もなく郁の中を滑らかに奏でてしまう。
「し、しどにー、なんだか変な気持ちです…」
途切れ途切れに郁が囁く。

やばい、意識が飛んでしまいそーだ。
「…どんな風にですか、郁さん」
「う、うまく言えません…けど…気絶しそうです…」
消え入りそうな喘ぎとともに、郁はやっとの思いで答えた。

郁の中で動いていた指が止まり、そっと郁から出てゆく。
「……はぁ…っ…」
熱に浮かされた様に、郁は熱い溜息のような吐息を漏らして脱力する。