まほらば 〜鳴滝荘のうららかな四時〜

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1名無しさん@ピンキー
えーと、ここは皆さんが作った『まほらば』の創作SSを投稿するスレです。
全年齢対象の作品はもちろん、18禁作品もどんどん出し合ってください…
…18禁……梢ちゃんの……ぷっ!!(鼻血)

前スレ
まほらば 〜鳴滝荘、ほがらかな三時〜
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1117367671/

まほらば 〜鳴滝荘、2時…、かも。〜
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1113669362/

まほらば 〜鳴滝荘での一時〜
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1106131763/

原作スレ(※こっちももうすぐ埋まります!)
小島あきら まほらば20号室
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1117942274/

まほらば小島あきら 第5回鳴滝荘お絵描き大会
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1117205655/

…あ、過去スレに投稿された作品はこちらに保管されているそうですよ。
ttp://whitebrown.hp.infoseek.co.jp/mahoraba/index.html
それと、SSのみですが保管庫の避難所もあるんですね。
ttp://blog.livedoor.jp/maholog/

次スレは>>970を踏んだ人が立てるルールだそうです。
では書き手の皆さん、頑張って投稿してください!
2名無しさん@ピンキー:2005/06/18(土) 13:02:24 ID:MzJc+a34
2
3名無しさん@ピンキー:2005/06/18(土) 13:17:06 ID:OVx0xp0G
3
4ぐうたら:2005/06/18(土) 13:17:52 ID:QIWSH+mh
4!
>>1さん乙!
5名無しさん@ピンキー:2005/06/18(土) 15:26:56 ID:BwDSzaR1
>>1
乙です。
6名無しさん@ピンキー:2005/06/18(土) 17:12:59 ID:vrZLpISB
うららかな12時ってなんかエロイ
7名無しさん@ピンキー:2005/06/18(土) 18:31:33 ID:OVx0xp0G
>>6
エロいのはお前の頭。
8名無しさん@ピンキー:2005/06/18(土) 19:24:29 ID:YxqqLwIZ
とりあえず、前スレ埋まりそうなんで投下します。
スレ立して最初に自分のを投下って言うのも気が引けるけど。
9We'd get there someday:2005/06/18(土) 19:25:17 ID:YxqqLwIZ
───。
なんか、柔らかくて暖かい…。
そんな感覚がした瞬間、僕は激しい嘔吐感に襲われ大量の水を吐きだした。
「───ッ! げほっごほっ!!」
「梢ちゃん、反応があったです〜」
「げほっ……ハァ…ハァ…」
「隆士さん、大丈夫ですか!?」
「ハァ…ハァ…あれ? …梢…ちゃん?」
はっきりしない意識とぼやけた視界で周りを確認しようとしたが体は鉛のように重かった。
「あっ、まだ動かないでください!」
「僕は…いったい…」
「足つって溺れたんですよ〜。 まだしばらく大人しくしてるです〜」
「……そっか。 そうだっけ」
何となく状況を思い出したが、僕の意識はまた遠のいていった。
10We'd get there someday:2005/06/18(土) 19:25:35 ID:YxqqLwIZ
それからしばらく経って再び僕は目を覚ました。
ぼやける視界のなか、梢ちゃんが顔をのぞき込んでいるのは理解出来た。
「…うっ」
「あっ、隆士さん。 気がつきました?」
「梢ちゃん…」
「タマなしサン、コレは何本デスか?」
僕をのぞき込んでいた部長さんが片手を広げて質問してきた。
1,2,3…。
「6本…ってえええぇっ!?」
「フム、意識ハはっキリしたヨウでスね」
「やれやれです〜」
「よかった…」
「とりあえず目が覚めたならさっさとそこから退くです〜」
「えっ?」
「…と言いたいところですが、今回は特別に許可するです」
珠実ちゃんに言われてようやく気がついたけど、僕は梢ちゃんに膝枕されていた。
…ひょっとしてずっと?
「くっ…こ、梢ちゃんごめ…っ!」
「あっ、まだ急に起きあがっちゃダメです!」
慌てて起きあがろうとしたが梢ちゃんに押しとどめられた。
「まだ無茶しちゃダメですよ」
「ゴメン…」
「謝るのは私の方です…。 隆士さんにムリさせちゃって…本当にごめんなさい」
「あっ、いや、そんなことは…」
「今回は私も調子に乗り過ぎちゃったです。 ごめんなさい、白鳥さん」
「珠実ちゃん…」
11We'd get there someday:2005/06/18(土) 19:25:56 ID:YxqqLwIZ
「タマなしサン、水をドウぞ」
部長さんがくれた水を一気に呷る。
冷たい水が疲れた体にじんわりと染みていった。
「ありがとう、部長さん」
「イえ、礼ニは及びマセん」
「隆士さん、大丈夫ですか?」
「うん。 だいぶ楽になったよ、もう大丈夫」
ちょっと名残惜しいけど、僕はゆっくりと半身を起こした。
「白鳥さんも起きたことですし、そろそろ撤収作業を開始しますかね〜」
「えっ…もうそんな時間?」
「白鳥さん、どれくらい時間が経ったと思ってるんですか〜」
「えっ…」
ようやく気がついたけど日はだいぶ傾いていた。
「白鳥さんは着替えるのはまだムリだと思うのでとりあえずシャツを着ておくです」
「あっ、うん」
「じゃあ、隆士さん、私たちは行ってきますね」
「うん、行ってらっしゃい」
僕の無事を確認すると梢ちゃんと珠実ちゃんは更衣室の方へと駆けていった。
「…あれ? 部長さんは?」
「私はタマなしサンが寝テイる間に着替エてキていマスよ」
確かに彼女の言うとおり、もう水着から着替えていた。
でも、いつものマントをしていないラフな格好なので何か不思議な感じだ。
「…さっキモ言いマシたがレディをジロジロ見ルのはヨクないデスよ、タマなしサン」
「いや、そんなつもりは…ただ、部長さんが綺麗だなって…」
「アら、嫌デスわ。 あナタとの交際は前にオ断りシタはずデスが」
「えぇ!? そんなこといってないよ!?」
12We'd get there someday:2005/06/18(土) 19:26:10 ID:YxqqLwIZ
梢ちゃんが帰ってくるまでの間に部長さんは僕の様子を調べていた。
朝と同じように顔を近づけて瞳をのぞき込んでくる。
「フム…だイブ魔力が抜ケてきたヨウでスね」
「えっ、ホント!?」
「エぇ、思っタよりモ随分早イでス。 コレなら数日経たズに元に戻るでショウ」
「よ、よかった…」
どこまで信用出来るかはわからないけど、改善に向かっていると言われ胸をなで下ろした。
「滅多になイ体験デスから、女心ヲ知るイイ機会だト割り切りルことデス」
「はは…」
根拠のない励ましでも、僕の心を幾分楽にしてくれた。
どうせ僕がいくら考えたところでわかりはしないんだから。
「とりあえず着替えないと…」
まだふらつく体をなんとか動かし着替え終わった頃、梢ちゃんたちも帰ってきた。
13We'd get there someday:2005/06/18(土) 19:26:28 ID:YxqqLwIZ
浜辺を後にした僕たちは海に沈み行く夕日を眺めながら海岸通りを走っていた。
まだ少し体がだるいけど、思ったよりもだいぶ回復していた。
「ところで梢ちゃん、旅館の方は大丈夫なの?」
「あ、はい。 ちゃんと予約取ってありますから大丈夫ですよ」
「そっか。 この時期だと大変だろうからね」
「いえ、町内会の方の紹介なんです」
「そうだったんだ」
そういえば、どういうところなのかまるで聞いていないんだった。
「露天温泉と美味しい料理が売りだそうです〜。 楽しみですね〜」
「へぇ〜」
「ほホゥ」
「和風旅館なので陰湿オカルトマニアには場違いもいいところですけどね〜」
「アァ! 運転中ニモ関わらズその暴言! 私、我ヲ失ってシマいソウでスよ!」
「いいから前を見て運転するです〜!」
「前見て、前! ハンドル離さないで〜!」

そんなこんなで日暮れ前にはなんとか宿にたどり着くことが出来た。
「車内で部長を煽るのはやめにするです…」
「オヤ、珠実サン。放置プレイでスか」
「梢ちゃんの身の安全の方が大事です〜」
(僕も免許くらい取った方がいいかな…)
14We'd get there someday:2005/06/18(土) 19:26:49 ID:YxqqLwIZ
荷物を車から降ろし、僕たちは旅館の中にやってきた。
なかなかに立派な建物で歴史を感じさせる、風情のある建物だった。
「ようこそお越しくださいました。 蒼葉様4名様でのお泊まりですね?」
「はい、そうです」
梢ちゃんがフロントでチェックインを済ませて戻ってきた。
「フム…こノ建物にハ特に私の気ヲ引くモノはなさソウでスね。残念デス」
「…ナニを期待してたんですか、部長?」
「イエいエ…。 クッ」
「お帰り、梢ちゃん」
「あの…大部屋の空きがなくて部屋2つに別れちゃうんですけど、いいですよね?」
「えぇ〜〜!?」
「そ、そうなの? まあ、僕は構わないけど…」
「私モ別に構イマせんヨ」
梢ちゃんの知らせにただひとり珠実ちゃんだけは不満そうだった。
「どうしても空いてないんですか〜?」
「今日は家族連れが多いそうで、満室だそうなんです」
「う〜…。 不本意ですけど部屋がないなら仕方ないですね…」
「マァ、イイじゃナいデスか」
まあ、なんとなく彼女の不満の理由も分かる気がするけど…。
「は〜…。 どうせ梢ちゃんと白鳥さん、私と部長なんですよね…。 まっ、白鳥さんも今の状態じゃ過ちも起こらないでしょう〜」
「あ、過ちって…」
「楽しイ夜にナリそうデスね。 クッ」
「は〜……」
15We'd get there someday:2005/06/18(土) 19:27:19 ID:YxqqLwIZ
その後は部屋が別々なこともあったので座敷の方へ行き、みんなで夕食を食べた。
「魚ハ目が美味シイのデスよ」
「そ、そうなんですか?」
「マ゛ー…。 ゲテモノ好きには好きなだけあげるです〜」
「オォ、珠実サン…」
「美味しいですね、隆士さん」
「そうだね。 たまには外で食べるのもいいね」
「代わりにこっちいただきです〜」
「アァ!? 私のアワビが、アワビがッ!」
「部長〜、人前で卑猥なこと叫ばないで欲しいです〜」
「隆士さん、あ〜んしてください」
「えぇ!?」
16We'd get there someday:2005/06/18(土) 19:27:33 ID:YxqqLwIZ
食後は一部屋に集まってみんなでトランプに興じた。
「それでは本場ヨーロピアン地獄魔術をお見せしましょうか。クッ」
「そんなもの見たくないです〜。 滝壺に落ちやがれです〜」
「ふゥ、私は小アルカナより大アルカナのほウが得意ナノでデスがね…」
「そんなことより、5と8止めてるの誰!? さっきから出せないよ!」
「さ〜、なんのことですかね〜」
「でハ、私はココを」
「ごめんなさい、隆士さん」
「じゃあ、繋いであげるのでジョーカー持っていくです〜」
「そんな、ひどいよ!」
「ククッ」
「勝負は勝負…かも」
「敗者にはスペシャル罰ゲームです〜」
「聞いてないよ〜!」

───鳴滝荘住人同士での旅の夜。
遠くに潮騒を聞きながら、それぞれに旅行気分を満喫した。
17We'd get there someday:2005/06/18(土) 19:29:12 ID:YxqqLwIZ
「みなさん、そろそろお風呂にしませんか?」
ひとしきり遊んで夜9時を回った頃、梢ちゃんは僕たちを温泉へ誘った。
「うん、そうだね」
「それはいいんですけど〜…白鳥さんはどうするつもりなんですか〜?」
「えっ?」
「まさかそのまま男湯に入るつもりで〜?」
「…ああっ! そうだった!!」
すっかり忘れていたけど、僕は変身していたんだ。
確かにこのまま入るわけにもいかないし、かといってみんなと入るのも…。
「えっ? 隆士さん、一緒に入らないんですか?」
「別ニ気にスルこともなイでショウ。 女同士デスし」
「えぇっ!? いや、でも僕、一応男だし!」
「じゃあ、男湯に行きますか〜?」
「いや、それは…」
なんだか知らないけど、みんな一緒に入る気満々だった…。
18We'd get there someday:2005/06/18(土) 19:29:27 ID:YxqqLwIZ
「…ねぇ、ホントにいいのかなぁ…」
「くどいです〜。 男は度胸、なんでもやってみるもんです〜」
「はぁ…」
結局、僕は三人(主に珠実ちゃん)に引っ張られるような格好で温泉まで来てしまった。
「硫黄のニオイがしマスね」
「まー、温泉ですから〜」
「楽しみですね、隆士さん♪」
「あ、うん…」
僕の眼前には大きく「女」と書かれたのれんが掛かっている。
ああ、ココを過ぎてしまうともう戻れない…。
「いいからさっさといくです〜」
「あっ! いや、ちょっとっ、まって!」
「ぱ〜らだいすぅ〜、です〜」
「フフフ…」
19We'd get there someday:2005/06/18(土) 19:29:53 ID:YxqqLwIZ
「も〜、白鳥さん、いつまで恥ずかしがってるですか〜」
「そ、そんなこと言ったって…」
僕は珠実ちゃんに強引に浴衣を脱がされ、タオル一枚の姿になっていた。
当然、他の三人も同じように裸になっている。
「コの状況デも及び腰とハさすがタマなしサンでスね」
「隆士さん、私たちは気にしてませんから…」
「い、いくらいいって言われても急には無理だよ…」
「突っ立ってないでさっさと入るです〜」
いつもそんなことを考えないで過ごしている三人といきなり裸になって平然と接しろなんて無茶な話だった。
とりあえず穏便に済ますため、極力他の子たちを見ないようにするという方法をとることにした。
しかし、そう簡単に済むわけがない。
20We'd get there someday:2005/06/18(土) 19:30:35 ID:YxqqLwIZ
「隆士さん、お背中流しますね♪」
「えぇ!?」
最初の刺客は梢ちゃん。
初っ端からボスキャラ登場で大ピンチって感じだ。
いや、戦う前から負けているっていうか。
「…いけませんか?」
「えっ、いや、でも!?」
「実は一度やってみたかったんです。 …ダメでしょうか?」
「あっ、うん…ありがとう」
そんな彼女のお願いを無碍に出来るわけがない。
結局、僕は梢ちゃんの申し出を受けることにした。
「どうですか?」
「うん、もうちょっと強くお願い出来るかな?」
「はい♪ うんしょうんしょ…」
自分の彼女が一生懸命背中を流してくれる…。
考えてみれば悪くないどころか、かなり嬉しい状況だった。
ただ、鏡に映る梢ちゃんは体を隠そうともせずに目のやり場に困るのが難点だ。
(うぅ、魚子ちゃんの天国地獄攻撃にも匹敵するよ…)
ひょっとしたら梢ちゃんは僕のことを普通に「女の子」と扱っているのかもしれない。
なら、無闇に狼狽えたり拒否するのこともないのかも…。
21We'd get there someday:2005/06/18(土) 19:30:55 ID:YxqqLwIZ
「…ふあっ!?」
「あっ、ごめんなさい。 痛かったですか?」
ぼんやり考え事をしていたらいつの間にか梢ちゃんの手が胸の方に来ていた。
不意打ちされたような格好になり、思わず声を上げてしまった。
「い、いや、ちょっとビックリしただけ」
「すいません、ちょっと失礼しますね」
「うん…」
梢ちゃんはまた手を動かし始めた。
彼女の手が僕の胸をむにむにと触っている…。
なんだか鼓動が早くなって、不思議な感覚が胸にうずき始めた。
(って何考えてんだ、僕は! 梢ちゃんは体を洗ってくれているだけだろう!?)
「…胸、大きいですね」
「えっ!?」
背後からぽつりと呟く声が聞こえた。
「実は前から気になってたんです。 ちょっと羨ましいなぁって…」
「こっ梢ちゃん!?」
「背も高くてスタイルも良くて…憧れちゃいます」
「そ、そうだったんだ…」
梢ちゃんはちょっと複雑な表情を見せて笑った。
確かに、普通じゃない僕がモデル並みのスタイルだったら納得出来ないかもしれない…。
「ゴメンね、梢ちゃん…」
「いえ、私が勝手に感じていることなので謝らないでください」
「でも僕は梢ちゃんも十分綺麗だと思うよ」
「えっ…あ、ありがとう…ございます」
22We'd get there someday:2005/06/18(土) 19:31:18 ID:YxqqLwIZ
体をだいたい洗い終わった頃、梢ちゃんはその手を止めた。
「えっと…隆士さん、海水浴から出てシャワー浴びてないんですよね?」
「えっ? あ、うん」
遠慮がちに聞いてくる梢ちゃんだったが、僕の返答を聞くと意を決したように迫ってきた。
「そうですか…。 で、では、失礼しますね…」
「えっ、なに…? って、そこは!?」
戸惑う僕を意に介さないかのように梢ちゃんの手が僕の股間に滑り込んできた。
シャワーを浴びせながらゆっくりと指を動かしていく。
「えっ? ええっ!? なにをっ!?」
「か、海水浴の後は、こ、こうしないとダメなんです…」
「そ、そうなの…っ?」
「す、砂が入ると体に悪いので…我慢してくださいっ!」
「で、でもっ!?」
梢ちゃんは真っ赤になりながらも僕のそこで丹念に指を動かした。
僕がそれを意識せずにいられようはずがない。
さっきから胸をいじられたりされていたこともあり、僕の体は梢ちゃんの行為を受け流すことなど出来なかった。
梢ちゃんの細い指が動くたびに電撃が走ったかのように全身に刺激が駆け上る。
「ふぁっ…ダメ…だよ、こず、えちゃん…!」
「が、我慢してください!」
「そ、そんっなこと…いっ、たって…くぅっ!」

───結局、洗い終わるまでそんな拷問のような状態が続いたのだった。
23名無しさん@ピンキー:2005/06/18(土) 19:33:00 ID:YxqqLwIZ
ふぅ〜…。
本日の投下分終了です。
1日空いたからだいぶ書きためてしまいました。
しかし、我ながら長すぎです。
少し短くする努力もしないとダメですね、トホホ。
24名無しさん@ピンキー:2005/06/18(土) 19:38:01 ID:w5TSiwYi
>>23
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
GJ!!超GJ!!
もう隆士キュンに(*´Д`)ハァハァですヨ
25名無しさん@ピンキー:2005/06/18(土) 19:38:20 ID:8p1R58cz
>>23
GJ!
電車の中なのに(・∀・)ニヤニヤ
26名無しさん@ピンキー:2005/06/18(土) 19:47:44 ID:LZyrYtlm
白鳥君が純情タイプだからこそ・・・
こんなにも白鳥君が自然にかわいく見える・・・
何より梢さんも良すぎる・・・良すぎる・・・
ふわふわした雰囲気ってこう言うのなんですね〜・・・ぽやぽや・・・
27名無しさん@ピンキー:2005/06/18(土) 19:49:02 ID:x9ebs/1X
>>23乙です。梢ちゃん大胆っすね。
実は今、自分も前回の続きを書いてるんですが、見事にネタがかぶってしまったorz
まあ自分のはラブラブとは程遠いんですが。
28名無しさん@ピンキー:2005/06/18(土) 22:15:10 ID:BqR+y4PU
>>10
指6本ワロス
29名無しさん@ピンキー:2005/06/18(土) 22:21:47 ID:EL8FD4mh
>>23
GJGJ!!
30名無しさん@ピンキー:2005/06/18(土) 22:39:47 ID:PnxQBy3h
メリー氏…氏家ト全のエロパロスレにいたりする?
31メリー:2005/06/18(土) 23:00:27 ID:tSusIcWo
>>30
はい、そのメリーは私ですよ?
32名無しさん@ピンキー:2005/06/18(土) 23:35:13 ID:PnxQBy3h
なんとなく見てたら見つけてビックリした。それだけです。
33テイル:2005/06/18(土) 23:48:06 ID:iGfLN0fe
前スレ埋まりましたね〜。

>>23
女の子は海水浴のとき>>22のような事をしなくてはいけないのか……
寡聞にして知らなかった。
そのままr(ry

それはともかく、「M.I.W.」ようやく完成しました。
最終投下を開始します。
34M.I.W.(18):2005/06/18(土) 23:50:25 ID:iGfLN0fe

地元の双葉台駅から電車に乗って、新宿へ。
電車と言っても、数駅分の距離だが。

そして、午後7時。
私達は、新宿中央公園にいる。
「……でも」
私は部長さんに訊く。
「どうして、新宿なワケ?」
「……新宿にハ、JRモ含めテ、多数の路線が走っテいまス。
 都内でモ似たよウな場所ハ多数ありマスが、その中でモ新宿は際立っテいまス」
「際立って、ねぇ……」
確かに、沢山電車はあるけど……
でも、ねぇ。
「それだけでハありまセン。新宿と言う駅ハ、日本で一番利用客ガ多い駅デス。
 そこが―――――彼ら、異星人のターゲット」
「……そういう訳ね」
「なんだか、いつもより格好良いです部長〜」
「……格好良いナド」
部長さんは首を振る。
「・・・…いくら私ガ悪魔崇拝者(サタニスト)とハ言え、この地球が無くなっテは、
 元も子モ無いでスから……デスから、私も戦いマス」
「そうよね……」
彼らは何なのか、分からない。
目的が何なのかも分からない。
でも。

私達は、梢ちゃんを取り戻さないといけない――――――
35M.I.W.(19):2005/06/18(土) 23:51:21 ID:iGfLN0fe
「あア、ソウでした」
部長さんは手に持っているクマの人形から、何かを取り出した。
「珠実部員、あばずれサン、これヲ」
ただの木の棒切れだった。
しかも小さい。
むしろ木片と言った方が正しい。
「………………」
「何疑るようナ目デ見るのデスか」
「だって、これ、どう見たってカケラでしょ?」
「ただのカケラでハありまセン。ちゃんとシた武器デス」
「……武器?」
―――冗談じゃないわよね?
「戦う時ニ、念じテくだサイ」
「……念じる?」
「梢部員を救イたい、この地球ヲ守りたイ、ソう強く願っテくだサイ。
 あなたニ合った武器ニ変化しまス」
「……」
そんな、莫迦みたいな話が。
でも。
あれを、見た以上は―――――
恐らく、本当の話だ。
「…………分かったわ」
「珠実部員モ、良いデスか?」
「オ〜イエ〜」
36M.I.W.(20):2005/06/18(土) 23:52:28 ID:iGfLN0fe
時刻は午後7時。
陽は既に落ちている。
そして、雨が降ってきた。


新宿の空に浮かぶ、無数の光る物体―――――


「……来まシたネ」
「……ええ」
「です〜」


そして。
光る物体から、無数の異形が現れた。
37M.I.W.(21):2005/06/18(土) 23:53:07 ID:iGfLN0fe
私は念じる。
私は、梢ちゃんを、救い出す―――
鳴滝荘のみんなの仇を、取る―――
そして、
そして、この地球を、守り抜く―――――

木の棒の感触が消える。
そして、私の両手に現れたのは―――


一丁の、拳銃だった。



……
………
…………
これで、戦えと?
「―――ふざけるんじゃないわよ」
呆れて、力が抜けた瞬間―――
間違えて、トリガーを、引いてしまった。
「……あ」
38M.I.W.(22):2005/06/18(土) 23:54:05 ID:iGfLN0fe
でも。
銃口から出たのは、弾丸ではなくレーザーだった。

轟音を立て、次々に異形が薙ぎ倒されていく。
「………うへぇ」
「中々やルじゃあないデスか、あばずれサン」
「……まぁね」
部長さんの手には、いつの間にか、杖が握られている。
杖の頭の部分には、白い水晶―――確か、未来水晶だったか―――が付けられている。
珠ちゃんは、両手に蒼い炎を持っている。
これも、魔術の賜物なのだろう。
「―――でハ」
部長さんは杖を掲げて、高らかに宣言する。


「それデハ、異形狩りヲ始めマス」

39M.I.W.(23):2005/06/18(土) 23:57:34 ID:iGfLN0fe
異形の軍団が私達へやってくる。
その動きは、まるでゾンビのようだ。
私は、その軍団に向けて、銃を発射する。
光の光線。
異形が吹っ飛ぶ。
一つの軍団が、あっという間に無くなる。
「うふふ、まるでゴミのようだわね―――」
ここまで来ると、最早快感に近いものがある。
戦争における、一種の麻痺状態のようなものなのかもしれない。
「―――アゾルト!」
「とあーーーー!」
部長さんも、珠ちゃんも、それぞれの得物で奴らを薙ぎ倒していく。
でも。
奴らは、次から次へとやってくる――――
「―――ちょっと!きりがないじゃない!」
「耐えルのデス!反撃のチャンスを待ツのデス!」
「待つと言っても、いつまで待てばいいn…………」

そこまで言って、珠ちゃんは言いよどんだ。
そして、呆けたように、上を見上げる。
私も、部長さんも、上を見る。


そこには。
梢ちゃんの、姿があった。

40M.I.W.(24):2005/06/18(土) 23:58:30 ID:iGfLN0fe
「―――梢ちゃん!」
「梢部員!」
宙に浮く梢ちゃんは、眠っているかのようだった。
その瞳は閉ざされている。
いつ見ても変わらない、端正な顔立ち。
しかし、その顔に温かさは無かった。

そして、空中にいた梢ちゃんは、地面に着いた。
相変わらず、眼は閉じたままだ。

「――――梢ちゃん」
珠ちゃんは叫ぶ。

「梢ちゃん!今助けるです!」
珠ちゃんが走り出す。
「ちょっと、珠ちゃん!待って!」
私が叫んでも、珠ちゃんの耳には届かない。
両の拳を振るって、異形を薙ぎ倒し。
梢ちゃんのもとへ、疾る―――!
「梢ちゃーーーーーん!!!!」


と。
41M.I.W.(25):2005/06/18(土) 23:59:57 ID:iGfLN0fe
梢ちゃんの眼が開く。
その瞳は、虚ろ。
赤でも金でも緑でも紺でも蒼でもない―――黒。
底の無い―――暗黒。

梢ちゃんは珠ちゃんを見て。
少し、笑ったような顔をして。
少し、悲しそうな顔をして。
口が開く。


「―――キエロ」


どす。

42M.I.W.(26):2005/06/19(日) 00:01:13 ID:TOXIkjd4
珠ちゃんの腹に、梢ちゃんの腕が貫通した。
そしてそのまま、投げられる。
珠ちゃんは大きく弧を描いて、


どしゃり


地面に打ち付けられる。

私は、一瞬呆然としていた。
あれが―――あれが、梢ちゃんなのか。
梢ちゃんにあれほどの力があるはずがない。
そして、あれが人間なのか。

刹那。

「珠ちゃーーーーーん!!!!!!」
「珠実部員!!!!!!」
43M.I.W.(27):2005/06/19(日) 00:02:01 ID:TOXIkjd4
私は珠ちゃんに駆け寄る。
お腹から、酷く出血している。
貫通しているせいもあって、止まる気配は無い。
「大丈夫!?珠ちゃん、しっかり!!」
「―――――桃、さ」
「喋らないで!傷口が―――」


「もう、いいん、です」


「―――珠、ちゃ」
「私は、梢ちゃんに敗けた。あの、梢ちゃんに、です、よ?
 私が、こうなる、のだか、ら、もう、誰も、梢、ちゃ、を、止めら、な―――」
「―――珠ちゃん」
私の声が震えている。
「でも、桃、さ、なら、梢、ちゃ、を、止め、られ、る………
 だから、桃、さ―――」


「後は、任せましたです――――――」


珠ちゃんは、そのまま息絶えた。

44M.I.W.(28):2005/06/19(日) 00:03:32 ID:iGfLN0fe
蒼葉梢。
茶ノ畑珠実。
天下無双の友情を持っていた。
8年間の交流。
それは、どんなモノにも代え難いものだったはずだ。

それが。
それが、こうなるなんて――――
私は―――――

ワタシハ、ミンナニ、ドウスレバ―――――――


「珠あああああああぁぁぁぁ!!!!!!!!」

雨の新宿に、私の悲鳴だけが木霊した。

45M.I.W.(29):2005/06/19(日) 00:05:05 ID:iGfLN0fe

「…………にゃ」
……あれ。
寝ていた―――のかな?
どうも、炬燵の上に突っ伏していたらしい。
テレビでは、女子アナが年末の商店街のリポートをしている。
――どうも、記憶が確かじゃないわね。
頭を上げて、ふと周りを見渡す。

そこには。
ミカンをもぐもぐ食べる沙夜ちゃんと。
珠ちゃんがいた。

「―――あれ?どうし―――」
「勝手に人を殺さないで下さいです〜」

……
…………え?
46M.I.W.(30):2005/06/19(日) 00:05:59 ID:iGfLN0fe
「………ちょ、珠ちゃん、何で私の夢を知ってるの」
「部長に『他人の夢の見方』を教わったです〜。
 つまらないものかと思いましたが、中々有用なものでしたね〜」
珠ちゃんの口振りは、明らかに怒っている。

……ナンカ、イヤナ、ヨカン……

「さて、夢の中で人を勝手に殺すような人には、少し制裁を加える必要があるです〜」
「ちょ、ちょ、珠ちゃん、待って、日本国憲法には精神の自y――――――」



「ギニャーーーーーーーーーーー!!!!!」
「ええのんか〜、ええのんか〜」


それは、年の瀬に見た、世にも奇妙な夢でした。



<<Mahoraba Imagination Wars>>is the end?
47M.I.W.(ザンゲノアトガキ):2005/06/19(日) 00:11:03 ID:TOXIkjd4
30……
全部で30……

長かった……orz

ええ、もう何とでも言ってください。反論する気もありません。
完全に暴走し過ぎました。ATS-PもATCも意味がありません。
これは最早大長編だな……しかも夢オチってのがな……

ちなみに、タイトルの「M」は…
まほらばの「M」
桃乃の「M」
妄想の「M」

……ダメだこりゃorzorz
次はもっと綺麗なのを書きたい……
48名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 00:16:38 ID:A0Cec/RP
な、なるほど!!
9巻43「彼と彼女」での冒頭の桃乃さんが見ていた夢はこれだっんだ!!!
な、なんだってー
49メリー:2005/06/19(日) 00:17:13 ID:8+4QDbo4
47氏
結構緊迫した感じとかは面白かったデスよ?
内容がSFっぽいっていうのはなかなかないシチュエーション
ですしね。
あの展開で逆に夢オチってのも予想外で良いのでは、と。

32氏
実は私結構色んな所に出現してるんですよ(笑)?
ここも合わせて六ヶ所だったはずですけどね
50名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 00:18:11 ID:moq2R0BG
>>テイル氏
お疲れ様でしたー、GJです
あの3コマからここまで書き起こせるとは・・・

オリジナルの結末も読みたかったけれど、珠が死ぬ(?)ところで終わったのもちょうどいいですかね
次も期待してますので、がんがってください
51名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 00:19:13 ID:Laq1Lahh

── =≡∧_∧ = とりあえず蹴っておくぞ!!!
── =≡( ・Д・)  ≡    ガッ     ∧_∧
─ =≡○_   ⊂)_=_  \ 从/-=≡ r<    >
── =≡ >   __ ノ ))<   >  -= 〉#  つ >>47
─ =≡  ( / ≡    /VV\-=≡⊂ 、  ノ
── .=≡( ノ =≡           -=  し'
52名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 00:26:30 ID:wAs4dzrW
>>47
ェェエエエ(´Д`)エエエェェ
此処まで期待させといて夢オチかYO!
53名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 00:27:43 ID:A0Cec/RP
でも内容が暗くなってるしこれ以上続けると収拾が付かなくなる気もするから夢落ちでちょうどいいかと。
54名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 00:28:10 ID:4hZRMQkF
開始当初に「大晦日の話のときのアレ」とは宣言されていたはずなので問題なし。
55名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 00:44:08 ID:pdZUNoVd
今書いているSS、すごく長くなりそう、というか長いのですが、
やっぱり長いとだめなんですかね…
56名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 01:32:09 ID:e0KtCTKk
>>55
俺は他スレで五万字以上のやつを分割で投稿したことがあるが、特に駄目とは言われなかったな。
ただ、ここみたいに書き手の多いスレだと、長いのは一括投稿の方が見やすいかもしれない。
57名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 01:59:11 ID:uh1wFAlB
55
確かに一括の方が読みやすいな。強制ではないが……

メリー氏
ということは、苺ましまろやぱにぼにもあなた?
58SSじゃなくてシチュ妄想スマソ:2005/06/19(日) 02:32:37 ID:4hZRMQkF
公園でデート中の白鳥と早紀。
白鳥は新作の絵本の構想を聞いて欲しいという。

早紀は、内心では白鳥が作り出す優しさにあふれた物語が聞きたくて仕方が無かった。
けれども、白鳥からすれば自分は「絵本が好き」なんてキャラじゃないだろうから、ついつい
「そ、そこまで頼むんなら仕方ねーから、ちょっと付き合ってやる」なんて、
心とは裏腹な言葉が口を飛び出す。少し自己嫌悪する早紀。
だけれども、白鳥はその優しい口調を絶やすことなく、「本当?ありがとう早紀ちゃん!」なんて
嬉しそうに返答してくれる。「ま、まあな」なんて素っ気無い返事で、少し赤らんだ頬を隠す。

話をするのにちょうど良さそうな場所を見つけると、早紀は小さめの階段に腰を下ろした。
わくわくを隠し通せない早紀に対して、白鳥が新作の構想を語り始める。
時々入る「ここはやめた方が良いかな?」や「ここは直した方が良いかな?」なんて白鳥の問いに
「べ、別にいいんじゃねーの?」なんて素っ気無い返事しか返せない早紀。
この状況が嬉しくてたまらない、目の前の語り部と、その物語が愛しくてたまらない。
文句なんて、思いつくことすら出来なかった。
59SSじゃなくてシチュ妄想スマソ:2005/06/19(日) 02:33:28 ID:4hZRMQkF
説明が始まって約30分。どうやら、今回の物語は白鳥にとってもかなりの自信作であるらしく、
その一言一言に強い熱気がこもっていた。そして、それを見つめる早紀の瞳も。

いつまでも、この瞬間が続けば良いのに。

そう、心から思った、その時だった。
下腹部に、違和感がある。
(あ、あれ…え、ちょ、ちょっと…あ、あたし、最後にトイレ行ったのって…いつ、だっけ・・・!)
それは、感知されると同時に、そのゾワゾワとした感覚を背筋へと広げていった。
(ぴ、ぴぇ…な、なんでこんな、こんな時、にぃ…っ)
白鳥の声が恐ろしいほど遠く感じられる。何を言っているのかが、もう認識できない。
気にしないようにすればするほど、ゾワゾワが早紀の中で幅を利かせていく。
(あ、あたしの身体なんだからっ、言うことぐらい聞けーっ!)
そんな無茶苦茶、尿意と言う名の魔物に通用するはずも無かった。
60SSじゃなくてシチュ妄想スマソ:2005/06/19(日) 02:35:21 ID:4hZRMQkF
さらに30分が経過した。
早紀は、普段は別に、特別トイレが近いというわけではなかった。
実際、もしもこのような状況でなければ、この程度の尿意など意識せずに過ごせただろう。
だが、目の前には今だ熱意を灯したままの白鳥の姿がある。
白鳥の邪魔になっちゃいけない、我慢しなくちゃ我慢しなくちゃ、そんな思いが
早紀により強く尿意を意識させてしまう。
(ぴぃ…え…ぴぇ、ぴ、ぴぇえ…っ)
もう駄目だ。我慢できない。
素直に「ちょっとトイレ行ってくる」と言えばいい、それはわかっている。
(だけど…っ!)
そんなことをしたら彼はどう思うだろうか。
せっかく、自分のために一生懸命になってくれてるのに、あたしがそんな態度を取ったら…
白鳥はきっと、あたしのことなんか…!
尿意は、人の冷静さを殺す。
早紀とて冷静であれば、その程度のことを白鳥が気にするなどとは思わないだろう。
彼女は気付いていないだろうが、白鳥の話もクライマックスを迎えていた。
その、感動の連続な展開と、顔を真っ赤にしてその瞳にうっすらと涙を浮かべている
美少女の姿は、傍から見れば実にフィットしたものであった。
もっとも、当の本人はにっちもさっちもいかない状況なのだが。
61SSじゃなくてシチュ妄想スマソ:2005/06/19(日) 02:37:12 ID:4hZRMQkF
やがて、限界が訪れる。
「ご、ごめんっ!白鳥っっ!」
「さ、早紀ちゃんっ?」
もう駄目だ。こうなったらもう、先程の様な奇妙な論理すら働かない。
くわっと目を見開き、立ち上がり、脱兎のごとく部屋を…
抜け出して、走り抜けて…いるのは、早紀の意識だけだった。
身体が行ってくれたのは、立ち上がろうとする所迄、だった。
熱い。
それしかわからなかった。
白鳥と早紀が座り込んでいた階段が液体で染まっていく。
もう、なにがなんだかわからない。
早紀は力なく階段の上に座り込むと、まるで子供のようにしゃくりあげ、泣き出した。
「し、しやと…しやとり…ぃっく…」
「さ、早紀・・・ちゃっ!?」
白鳥は、早紀の様子が人目につかないように、向き合い、その両肩を抱いてやる。
白鳥の胸の中で、早紀は普段からは考えられないような弱々しい表情で泣きじゃくりながら、
「ごめん、ごめん」という言葉を繰り返していた。
白鳥にしてもどうすればいいのかがわからなかったが、とりあえず人目についてはいけないので、
早紀をあまり人の寄り付かない、公園の休憩できるベンチの方へと運んであげ・・・


以上。二次板の話題に乗ろうと思って妄想したら、変に長くなったのでこっちに引き取ってください。
この後も妄想したけど、絵と何の関係もなくなったので削除。
62名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 03:02:56 ID:UHNJYxNi
削除しなくていいから。
63名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 05:22:23 ID:C8PbzM5a
やっぱり1000行越えるようだと投下するには厳しいかな。
途中まで投下してるけど次からはまとめて投下しよう。
64名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 05:22:59 ID:qUlXisQG
>>9-23
>「アァ!? 私のアワビが、アワビがッ!」
ハゲワロ…腹イテー
65名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 05:54:23 ID:wHqn+Bx1
>>23
キター!前スレでも書いたけど最近まほらば本編よりもこのシリーズが楽しみになってきてます俺w
もうぶっちゃけこのままこのシリーズが永遠に続いて欲しいくらいに。最高っす!GJ!

>>47
結構楽しませていただきました、最後のオチが特に面白かったですw GJ!

>>61
普通にSSになってるのでは?読んでて何気に良かったですよ。
続きみたいかも。GJ!
66We'd get there someday:2005/06/19(日) 06:07:56 ID:C8PbzM5a
「隆士さん、ごめんなさい…」
「あ、いや…。 梢ちゃんは悪くないから…」
「いえ…なんか隆士さんを見てたら急に悪戯したくなっちゃって…本当にごめんなさい…」
梢ちゃんは少し強引にしてしまったことを謝っていた。
確かに、普段の梢ちゃんからは想像出来ない部分もあったけど…。
「今度は私が梢ちゃんの背中を流すです〜」
「あっ…珠実ちゃんいたの!?」
「いたのとはご挨拶ですね〜。 さっきからそばにいたですよ〜?」
「み、見てた!?」
「一部始終をばっちりと〜。 まぁ、私も恋人たちの情事に割り込むほど野暮じゃないですから〜」
「た、珠実ちゃん…」
67We'd get there someday:2005/06/19(日) 06:08:13 ID:C8PbzM5a
「はぁ〜…」
とりあえず体を洗い終わった僕はふたりを残して露天の方にやってきた。
ふらふらとおぼつかない足取りで湯船に足を入れようとすると呼び止める声がした。
「湯に浸カル前に髪をマとめなサイ、タマなしサン」
「あ…そっか」
言われるままに洗い濡れた髪をタオルでまとめる。
どうも勝手が違うと忘れがちになる…。
「って、部長さん!?」
「ククッ」
慌てて声がした方へ振り向くと露天の縁石に腰掛けて部長さんが笑っていた。
髪をまとめていたせいで気がつかなかったのか…。
「ビックリしたなぁ」
「ソンなに驚かレルのも心外デスね」
言葉とは裏腹にあまり気にした様子もない。
と言うより元々驚かすつもりだったんだ、そういう人だし。
それにしても…彼女はその体を隠そうともせずに悠然とくつろいでいた。
水着の時も思ったけど、その端正の取れた体と白い肌には不思議な魅力があった。
「何度も言ウヨうデスが、余りジロジロ見なイデ頂けマスか」
「あ、いや、つい見とれちゃって…」
「ハァ…。 まッタくアナたはタマなしのクセに言ウことダケは一人前デスね」
「そ、そうかな…気がつくと口に出ちゃってるっていうか…」
部長さんは呆れたようにため息をついた。
68We'd get there someday:2005/06/19(日) 06:08:40 ID:C8PbzM5a
「シカし、タマなしサン、さっキのザマはなんデスか」
「えっ?」
「本来、彼女でアル梢サンにイイよウに手玉に取ラれて。 海デは逆に助ケラれる始末」
「う……」
「あナタはモウ少し心身共に男らシくなッタほうがヨいデスね」
「う、ぅう…」
部長さんの言うことももっともだった。
このところずっと梢ちゃんに守られていることの方が多い。
「優シさは確かに大事デス。 ガ、言葉や気持ちダケではどウにもならナイことがアることハ知ってイルでショウ」
「………」
僕は彼女の言葉の意味を考えるように右手の傷痕を見た。
この傷は確かに梢ちゃんを守って出来たものだ。
でも、結果的に守れただけであって、僕の力ではない。
「イつマでも珠実サンの支エを当てにシテいるヨウではイけマセんヨ」
「うん…」
「アの子が未だニ梢サンから離れらレズに執着スルのもアなタの責任でもアルのデス」
珠実ちゃんのことを引き合いに出されて、あの夜の事を思い出した。
『でなければ私が安心して手を引けないでしょう?』
誰よりも梢ちゃんのことを想い、僕にその道を託した珠実ちゃん…。
彼女の言うように僕は…あの約束を守れていない。
「………」
なんだかんだ言って、部長さんは僕たちのことをよく見ている。
一歩離れたところから見ているからだろうか、改めて考えさせられる事ばかりだった。
(僕は強くなれるんだろうか…いや、ならなきゃいけないんだろうな)
69We'd get there someday:2005/06/19(日) 06:08:58 ID:C8PbzM5a
「ふう、いい湯でしたね♪」
「うん、そうだね」
「満足満足、です〜」
入るときは散々渋った僕だけど、出る頃にはもう吹っ切っていた。
顔見知りの三人しかいなかったからというのも大きいけど。
「これで白鳥さんもまた一歩女の子に近づけたです〜」
「そ、それはちょっと…」
「タマには湯に浸カッて心の洗濯とイウのも悪クなイ物デスね」
「なに不似合いなこと言ってるんですか、このモジャモジャオバケ〜」
「モ、モジャ!? 私のドこがモジャモジャだト!?」
反論する部長さんだったが、フルーツ牛乳を呷る珠実ちゃんは聞いていなかった。
70We'd get there someday:2005/06/19(日) 06:09:12 ID:C8PbzM5a
談笑する僕たちだったが突然梢ちゃんが急に体の力が抜けたように僕に倒れかかってきた。
「えっ……?」
「あ、あら……? 力が……」
「ど、どうしたの、梢ちゃん!?」
「ゆ、湯当たりでしょうか…なにか、急にめまいが…」
湯当たりにしてはあまりにも息が荒い。
返事をすることも出来ないのか、うつろに目を開き汗を流している。
「どうしたの、梢ちゃん!? しっかり!!」
「梢ちゃん、大丈夫ですか!?」
「フム…。やはりデスか」
「やはりって、部長さん!?」
「また部長の仕業ですか〜!?」
「説明は後デス。 とにカく梢サンを急イデ部屋へ」
こうなることがわかっていたような部長さん…。
でも、今は梢ちゃんを連れて行くのが先決だった。
71We'd get there someday:2005/06/19(日) 06:09:45 ID:C8PbzM5a
梢ちゃんを部屋に連れ行った頃には彼女はすっかり意識を失っていた。
布団に横たえた今も目を閉じ荒い息を立てている。
「そ、それで部長さん! 梢ちゃんは一体!?」
「口デ説明スるよりモ実際に見タ方が早いでショウ」
「え…?」
部長さんは戸惑う僕たちを尻目に梢ちゃんに近づくと、浴衣の胸元を躊躇なく開いた。
彼女の行動にも驚いたが、それよりも梢ちゃんのほうが問題だった。
「こ、これはっ!?」
「───!? 部長、梢ちゃんに何をしたですか!?」
開け放たれた浴衣からは梢ちゃんの豊かな胸がなくなっていた。
「私はナニもシていマセんよ。 シタのはタマなしサンでス」
「っ!? 僕が!?」
「白鳥さん、梢ちゃんに何をしたんですか!!」
「えっええっ!?」
僕のせいだと言われたからか、珠実ちゃんは矛先を変え僕の胸ぐらを掴みかかってきた。
「そ、そんな、僕にもさっぱり!?」
「珠実サン、少シ落ち着キなさイ」
部長さんがいきり立つ珠実ちゃんを軽く小突くと脱力したように座り込んでしまった。
「ぶ、部長…なにを」
「スミませんネ。 暴れラれテも説明シにくイノで」
部長さんは改めて座り直すと僕たちの方に向き直った。
72We'd get there someday:2005/06/19(日) 06:10:08 ID:C8PbzM5a
「マズ…結果的に言ウと現在梢サンはタマなしサンと同じ状態にナってイマす」
「どういうことですか…!?」
「ツマり、変身シテいるわけデス」
そう言って、梢ちゃんの胸元を指さす。
「一体どうして…」
「タマなしサン、アなたデスよ」
「えっ?」
ふたりの視線が僕に集まる。
「わカリやすイ例で言ウと…放射性物質を放置しタラどウなると思イまスか?」
「!?」
「メルトダウンした原発…ソれが今のあナタでス」
「そ、そんな…」
「壊レた器かラ溢れダシた魔力はアなタの意志トは関係なク他人を侵蝕シテいくわケでス」
愕然とする僕たちを余所に部長さんは淡々と説明する。
更に彼女はビー玉のようなものがいくつか入った瓶を取り出して僕に見せてくれた。
「…これは?」
「コレが漏れダシた魔力を結晶化シたものデス」
部長さんが胸元で手を組むと鈍い光が手に集まり、その手の中に小さな玉が乗っていた。
「一番最初に言ったヨウに私ハこうしテ自力で処置出来マス。
 シカし、普通の人でハ体内に蓄積サれてシまイやがて梢サンのよウになってシまうのデス」
「そんな…」
部長さんは同じように珠実ちゃんにも手をかざし、意識を集中した。
さっきよりも大きな光が集まり、彼女の手にはいくつもの玉が乗っている。
「こ、こんなに…」
「周囲にイた我々がコレだけの影響ヲ受ケるのデス」
「………」
「後は言ワなくてもオわかりデしょウ」
73We'd get there someday:2005/06/19(日) 06:10:27 ID:C8PbzM5a
与えられた情報一つ一つによって僕は愕然となった。
「じゃあ、僕の体から魔力が抜けるのが早いっていったのも…」
「ソレだけ周囲にマキ散らシテいた、と言うことデス」
近くにいた珠実ちゃんや部長さんですら、あれだけの影響を受けていた。
と言うことはずっとそばにいた梢ちゃんがその何倍もの影響を受けているのも当然だ。
「なら、梢ちゃんからもそうやって抜き取れば…」
「残念なガらそウもいかナイのデスよ」
部長さんは珠実ちゃんから抜き取った玉を瓶にしまいながら淡々と語った。
「梢サンは常人トは異なりマスので」
「───ッ! どうしてそれを!?」
「コレだけつキ合いが長くナッて気付かなイとオ思イでスか?」
「そ、それは…」
学校にいたときも珠実ちゃんが隠蔽工作をしていたようだけど、それだって個人の力じゃ限界がある。
たまたまふたりが離れたときに人格が変わって部長さんに知られても不思議ではない。
「とモかク、下手に手ヲ出せばどンな影響を与エルかわからナイ…なのデ手がつケられなイのデスよ」
「……」
「マァ、サいわイ一時的なモノでタマなしサンのよウに定着スルことはなイと思イまスがネ」
「そ、そうなんですか…」
部長さんは梢ちゃんの状態と僕とでは根本的な状況が違う、と付け加えた。
「…じゃあ、なんで最初から教えてくれなかったんですか…?」
「タマなしサンは危険ナ状態なのデ近寄ルな、と注意を促シタところデ梢サンがソの通りにスルとデも?」
「それは…」
「コンな時彼女がドウいう行動を取ルか、アなタならよクご存ジのハズでス」
「……」
74We'd get there someday:2005/06/19(日) 06:21:18 ID:C8PbzM5a
その後、日付が変わっても梢ちゃんは目覚めることもなく部長さんたちは自分たちの部屋へ帰っていった。
「梢ちゃん…」
僕は眠り続ける彼女の手を取り、じっと考えていた。
『私タチは部屋に戻りマス。 梢サンにはアナたから伝エてくだサイね、白鳥サン』
脳裏に部長さんの言葉が響く。

また梢ちゃんに迷惑をかけてしまった…。
守るどころか逆に迷惑かけっぱなしじゃないか…。
今だってそばにいるだけで梢ちゃんに悪い影響を与えているのに。
こんな僕に彼女にしてあげられることなんてあるんだろうか…。
「梢ちゃん……」
75名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 06:26:56 ID:C8PbzM5a
昨日は早くにダウンしたので早朝に投下。
うーん、やっぱり次回作からはまとめて投下しよう。
もう連投規制はいやだorz

>>47
きっちりラスコマのところで落としてるのがポイントですな。

>>65
いや、そこまで喜んで貰えるのは恐縮ですが…。
未熟ながら頑張らせて頂きます。
と言ってもこのシリーズはコレで完結になりますけど。
76名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 06:30:33 ID:Qxi587GW
>>75
乙wwwww続き気にナルスwwwwwww


>>61
おいおい、続き書こうぜ、な?皆それを望んでるぞ
77名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 07:33:17 ID:C8PbzM5a
しかし、梢♂化は前スレで見事に予想されちゃったなぁ…。
がっくし。

>>61
あの絵からよくそこまで想像を広げたもんですな。
まあ、早紀ちゃんは羞恥プレイ向けの性格ですが(ヘンケン
78名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 07:50:14 ID:fbs+GMMF
一緒にお風呂♪流しっこ〜♪(;´Д`)ハァハァ
しかも梢ちゃんが♂に!

続キが気にナりマス。
部長語も大変ですね(w
79名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 07:55:08 ID:A0Cec/RP
まさか「梢さんが男の子になったって(!)・・・」書き込みの前から
本当に梢さんが男の子になる構想があったとは思わなんだ
80名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 10:14:25 ID:PhtyRct7
>58-61
角煮のシチュですか
81名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 10:24:35 ID:wAs4dzrW
ヤバい・・・萌え尽きた('Α`)
82名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 10:48:28 ID:wAs4dzrW
>>61
早紀以外も創作キボーン
83Angel Dust:2005/06/19(日) 11:59:57 ID:C8PbzM5a
───奇妙な夢を見た。
私の隣で白鳥さんが微笑んでいる。
まるで恋人のように語らい、笑い合う。
私は何故か幸せになった。

目覚めた私は自己嫌悪に陥りながら疑問に思った。
何故、私が白鳥さんと?

しかし、───私はまた夢を見た。
私は白鳥さんと見つめ合い、口づけを交わす。
深く深く、まるで恋人のような口づけ。
私はもっと幸せな気持ちになった。

夢から目覚めた私は質の悪い冗談だと自分に言い聞かせた。
しかし、いったん芽生えた疑問は簡単には消えない。

───そして、私はまた夢を見た。
私と白鳥さんは裸で抱き合い、互いを確かめ合った。
白鳥さんの精を受け入れ、全身で喜びに打ち震える私。
あり得ないほどの幸福感が私の心を満たした。

その夜から何度も何度も夢に見るようになった。
何度も何度も白鳥さんに抱かれ、何度も何度も悦び乱れる私。
それは次第にエスカレートしていった。
84Angel Dust:2005/06/19(日) 12:00:21 ID:C8PbzM5a
───何故こんな夢を見続けるのか?
私は疑問の答えを探し続けた。

現実の白鳥さんは梢ちゃんのものだ。
梢ちゃんの全てが彼のものであるように、
彼の全てが梢ちゃんのものだった。

私は何を考えているんだろう?
───今、何を考えた?

私はあり得ない考えを振り払うように頭を振った。
しかし、すでにそんなことで迷いがなくなるほど小さな想いではなくなっていた。
───私の心の中には白鳥さんへの想いがどんどん膨らんでいた。

まるで自分が自分じゃないかのように心が渇望する。
白鳥さんが欲しい、白鳥さんが欲しい、白鳥さんの全てが欲しい。
それは悪魔のささやきだろうか。
私は───また禁断の恋心を抱いてしまった。

それから、寝ても覚めても白鳥さんのことが心を埋め尽くした。
彼の言葉が欲しい、彼の唇が欲しい、彼の体が欲しい、───彼の愛が欲しい。
何故こんなに心惹かれるのか、自分でもわからない。
でも理由なんてどうでも良かった。
彼が堪らなく愛おしい、ただそれだけだった。
85Angel Dust:2005/06/19(日) 12:00:42 ID:C8PbzM5a
そして───。
私の様子を心配してか、白鳥さんはわたしの語りかけてきた。
心ここにあらずの私を熱心に励まそうとする彼。
やめて…そんな目で私を見ないで…。
私を…その優しさで包まないで───。

気付いたときには私は白鳥さんの唇を奪っていた。
戸惑う彼をそのまま強引に押し倒し、彼の性器を無理矢理私の中に押し込んだ。
破瓜の痛みすら、今の私には快感だった。

そのまま私は白鳥さんの上で腰を振った。
何度も何度も何度も何度も何度も───。
夢で見た光景を思い浮かべるように私は淫らに乱れた。
そして、私は彼の精を受け、絶頂に打ち震えた。

私は幸福感に身もだえながらも視線を彼に向け、愕然となった。
白鳥さんは───泣いていた。
涙を流し、梢ちゃんへの懺悔の言葉を繰り返していた。

夢はあくまで夢に過ぎない───。
私はなんて事をしてしまったんだろう。
一番欲しかった物───。

彼の心はそこにはなかった。
86Angel Dust:2005/06/19(日) 12:01:04 ID:C8PbzM5a
私の瞳から涙がこぼれた。
それは親友を裏切ってしまったことに。
それは白鳥さんの優しさを裏切ってしまったことに。
そして、浅はかな私の過ちが全てを壊してしまったことに。

涙でぼやける視界の中には───。
最愛の親友が───。
彼の最愛の人が───。
───呆然と立ちすくんでいた。

誰よりもふたりの幸せを願っていたはずなのに私は全てを壊してしまった。
それは償えない罪。
消えない罪───。
87名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 12:02:11 ID:C8PbzM5a
即興ネタ。
前スレ埋めで書いたあれが妙に印象に残ってたので…。
ごめんなさい、ごめんなさいorz
88名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 13:36:34 ID:ASgI/Tt8
>>87
内容はともかく、雰囲気はいいと思います。

>>68
今更ですが、「離れら『レズ』に」はわざとですか?
89名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 14:08:52 ID:5Hg2oZu2
>>87
・・・・なんか色々痛々しいし、とにかく蹴ってあげようか?
90名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 15:18:16 ID:1NCs44if
ちょっと痛々しい。でも、原作のほのぼのとした感じではないような展開なので、意外によかったような。
これからもガンガッテクダサイ!期待してますよ。
91鍋の中:2005/06/19(日) 17:12:12 ID:cLRzbBuC
「ここは…」
まだ外が薄暗い明け方、梢は宴会場と化した隆士の部屋で一人、目を覚ました。
「まぁ、私としたことがこんな所で…」
ふと下をみると珠美が恍惚の表情を浮かべて眠っている。
梢がふとした事で珠美の膝の上で寝てしまい、
『梢ちゃんラブリーです〜』とか言いながら動けずに珠美も眠ってしまった事は想像するに容易い。
まぁ、その時の梢は梢であっても梢では無かったわけだが…。
(折角早く起きたのですから皆さんの朝食の支度をしてしまいましょう)
そう思い皆がまだ寝静まっている中、無意識にポニーテールをストレートに直しつつ、
ふらふらと一人台所に向かった。
92鍋の中:2005/06/19(日) 17:13:05 ID:cLRzbBuC
「まずはお味噌汁から作りましょうか」
そう言うと梢は手際よく料理に取り掛かった。
だしを取り、具に火が通り、後は味噌を入れるだけとなった。
(あとはお味噌とねぎを入れて完成ですね)
そう思い、戸棚の奥の味噌を取ろうとしたその時、
『ごん』という鈍い効果音を出して梢は頭をぶつけてしまった。
普段の彼女なら流石にこんな失敗はしないのだが、眠気眼に早紀の飲酒による二日酔いのせいもあって彼女は思わず頭をぶつけてしまったのである。
 ………………
「…いたーい。ここどこー?」
それはともかく、頭をぶつけた拍子に彼女の人格は又入れ替わってしまったのである。
「…魚子お腹すいたぁー」
と言っても周りには誰も居ないので仕方なく魚子は自分で食べ物を探し始めた。
「あー!なんだろーこれー?」
魚子は梢がまだ作りかけだった味噌抜き味噌汁を見つけた。
鍋に入っている物は食べ物だろう。と、魚子はお椀を出し、その味噌抜き味噌汁を食べてみたのだが…。
「味薄〜〜い」
当然の事ながら味噌がまだ入っていないので鍋の中の物はただ野菜や海藻をだし汁で煮込んだ物だった。
ふと魚子が開けっ放しの戸棚を見ると中には醤油や酢などの調味料が入っているのが目についた。
魚子は目を輝かせつつおもむろに調味料に手をのばし…
「魚子が美味しくしてあげる〜」
と言うやいなや、魚子は戸棚に入ってた調味料を片っ端から取り出し、
「お醤油〜どばどばぁ〜 お酢〜じょぼじょぼ〜 ラー油〜ポトポト〜 お砂糖〜ざ〜 梅干し〜ぼとぼと〜………」
なんということでしょう!料理の匠もびっくりな劇的ビフォーアフター!
「できたー!!!」
満面の笑みでっゃっゃになる魚子。
目の前には味の想像もつかない黒っぽい濁った色をした未確認流動物体。
「そうだ!お兄ちゃんにも食べさせてあげよう!」
そう言うと魚子はお兄ちゃん、もとい隆士を呼びに行った。
93鍋の中:2005/06/19(日) 17:14:42 ID:cLRzbBuC
   「ぉ兄〜ちゃ〜ん」
突然隆士の部屋の沈黙を破る
ガチャ
「お兄ちゃん!」
魚子の声。
呼ばれた本人はこれから起こる悲劇を知るはずも無く気持ちよさそうに眠っていた。
「おにぃいちゃあーん!!」
がたがたと乱暴に隆士の体を揺さぶる魚子。
しばらくしてやっと目を覚ます隆士。
「あ…れ…梢ちゃん?おはよう…」
寝た後の梢の人格は元に戻るの法則に従って目の前に居るのは梢と判断した隆士であったが、
「ねぇ!魚子お料理作ったの!お兄ちゃんも食べてみて!」
あてが外れた。
94鍋の中:2005/06/19(日) 17:16:35 ID:cLRzbBuC
眠い目を擦りつつ台所に向かった隆士であったが、
台所でお椀に入れられて出された物を見て
 なんだこれは。
 昔どこかで聞いた事が有る。
 こういう食べ物であり食べ物にあらざる液体をジャイアンシチューと呼ぶのだ。と
甘酸っぱい匂いと見た目だけで危険だと本能が言うその代物を見て一発で目が覚めた。
「あの魚子ちゃん、これ…」
「魚子が一生懸命作ったの!まだ味見してないけど、お兄ちゃんにも食べさせてあげる!」
それは毒見ではないのか、というかむしろ罰ゲームじゃないんだろうか
と思ったが口には出さない。
彼女の作った食べ物である。
食べてあげたいのは山々だったが、食べて吐いてしまうと彼女と料理に最低最悪の侮辱をする事になる。
なので、なんとかして食べない方向に持っていきたかった。
がしかし、少し考えたが古典的な言い訳しか思いつかなかった。
「いまちょっとお腹一杯で…」
嘘も嘘。
大人にはばればれの大嘘である。
「え!…じゃあ食べれないね…」
だが魚子は純粋ゆえに疑う事を知らない。
魚子ががっかりしながら諦めかけたその時、
95鍋の中:2005/06/19(日) 17:17:41 ID:cLRzbBuC
「あれあれ〜食べないんですか〜白鳥さん〜?」
『がちゃり』と効果音を立てて扉が開くと外から珠美が入ってきた。
先程魚子が起こしに来た時に目が覚めたのだろう。
隆士と魚子が台所に入ったのを見計らって部屋を出て、後からつけて台所の中の様子をずっと今までうかがっていたのだ。
天使で悪魔な微笑みをした珠美を目の前にして隆士は見て分かるほどに狼狽した。
「あ…え?…珠美ちゃん?」
なんでここに居るの?と続けようと思ったが彼女の威圧により言葉が出ない。
「まさか魚子ちゃんが一生懸命丹精込めて作った手料理が食べられないとでも〜?」
珠美は微笑みながらゆっくりと隆士に近づいていく。
「今まで寝ていて起きたばかりですから〜何も食べれないって事は無いでしょうし〜」
一歩また一歩と。
「まさかそんなはずないですよね〜白鳥さん〜」
隆士の目の前まで来てそう言い切った。
「そ…それは…」
なんとか反論したい隆士であったが、相手は珠美。勝ち目は無い。
それならば無駄な反論はせず、むしろ墓穴を掘る前に潔く食べてしまった方が良いと
そう隆士は判断した。
「わー、そ、そういわれてみるとなんだかお腹が空いてきたよー」
もちろん思いっきり棒読みである。
「え!じゃあ魚子のお料理食べれるの!?」
今まで落ち込んでいたのが嘘のように目が輝く魚子。
「う、うん、もちろんだよ」
隆士の顔は銀先生に折檻される前かのごとく青ざめている。
「大丈夫ですよ〜いざという時のためにほら〜」
手には洗面器。
吐いてしまっては彼女と料理を侮辱してしまうのには変わらない。
洗面器が有っても床を汚さないだけで隆士にとって何の保健にもなぐさめにもならない。
「そ、それじゃあいただきます…」
隆士はこうなりゃヤケだと思い一気に胃に流し込んだ。
96鍋の中:2005/06/19(日) 17:19:12 ID:cLRzbBuC
……………

隆士は気がつくと部屋で皆と寝ていた。
(夢…か?)
少し安堵を覚えたその時
「まったくだらしないですね〜白鳥さんは〜」
夢が現実だった事を証明する声が聞こえてきた。
「でも、吐き出しませんでしたし〜気絶する瞬間に『美味しかった』って言いましたから、まぁ次第点って所ですかね〜」
珠美は膝の上に寝ている梢の頭を乗せながら言った。
最悪の事態は避けれたが、気絶するというのは彼女にとってどう思われるのかが気がかりだった。
「魚子ちゃんには『気絶するほど美味しかったんでしょうね〜』って言ってちゃんとフォローしておいてあげましたから喜んでいましたよ〜」
ああ、良かった。と思ったと同時に珠美に感謝した、が原因は彼女にあるのだからそれぐらいはして当然とも思った。
「良かった…。ありがとう珠美ちゃん」
「いえいえ〜当然の事をしたまでですよ〜それに白鳥さんのためじゃ無くて魚子ちゃんのためにしたんですからね〜」
珠美ちゃんは相変わらずだなとは思いつつも隆士はもう一度深い眠りに
「あ〜!そういえば『 あれ 』はまだ残ってますから〜ちゃんと残さず食べて下さいね〜」
隆士は二度と目覚めたくないと思いながら眠りについた。
「まぁ〜ちょっとした軽い冗談ですけどね〜」
97名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 17:21:44 ID:cLRzbBuC
誰も居ない…晒すならイマノウチ…。
こういう魚子とこういう珠美が書きたくてやった。
今は反芻している。
98名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 17:23:44 ID:vqFsuKJS
>>87
まぁ、SSとしてはなかなかいいから一応GJ!と。
だが痛かったので珠実ちゃんと部長とタチバナさんあたりにお仕置きしてもらうか。
99名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 17:44:49 ID:C8PbzM5a
そもそも珠実BAD ENDを想定して書いてるので罵倒されるのは覚悟の上ですた。
梢から離れた気持ちがどこへ行くのかなとか考えていたらこんなの出来てしまったわけです。
欝END嫌いな方ごめんなさい。
恋のマホウ以来、アマアマなSSばかり書いてたからつい出来心で…。

懺悔室|λ......<「We'd〜」の続き書いてきます…。

>>97
荒んだ心をいやしてくれるほのぼのをありがとう…。
100名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 17:48:40 ID:BWmI26wh
真の鬱ENDといっても、ゴールしてないから良し
101名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 17:55:23 ID:BWmI26wh
真の鬱はゴールだよなと思ってたら文法がメチャクチャになってた
軽く逝ってくる
102名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 17:59:19 ID:A0Cec/RP
われわれは思い違いをしていた
エンジェルダストとウィッドゲットゼアサムデイを書いた人は同じ人だったんだよ!

な、なんだってー


マジに驚きましたw
103名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 18:33:19 ID:wAs4dzrW
さっき秋葉から帰ってきて、明日の授業の準備を
するためバックを見たら明日提出の課題が・・・
>>102以上に驚きますたorz
104名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 18:40:55 ID:/BkCUOsc
>>97
GJ!ワラタよw
105テイル:2005/06/19(日) 19:06:45 ID:TOXIkjd4
>>102
な、なんだ(AA略
かなり文体が違うから違う人の作品かと。

>>97
ありえる話でGJでした。
ジャイアンシチューにワロタw

さて、こちらも新作を作りに入るか……
ほのぼの分を投入しなくては。
106ぐうたら:2005/06/19(日) 20:40:40 ID:Vtwr+rnF
>>102
な、なんですっ(ry
蒼にまだほとんど手をつけてないぐうたらです。こんばんは。
蒼も書いてないのに企画段階で3つ出来ているぐうたらです。
とりあえず早紀ちゃんものと夢オチものと千百ちゃんものの内次はどれを見たいですかと聞いてみるぐうたらです。
1、早紀ちゃんSS
2、夢オチSS
3、千百ちゃんSS
のどれか多かったものを次に書いてみますがリクがあったらどうぞです。
新スレ早々良作投下してくださった職人様、GJ!!
107テイル:2005/06/19(日) 21:03:16 ID:xNiWvNOG
>>106
当然千百合ちゃんで!
骨が溶けるほど白鳥くんスキーな千百ちゃんキボンヌ
108名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 21:09:27 ID:C8PbzM5a
私はレジデントオブサンとかグレイですかorz

なんだか、珠実可愛いよ珠実になってきたけど
考えれば考えるほどAngel Dustと同じ展開になってしょぼん。
おかげでWe'd〜が進みませんorz
ちなみに書いた人は同一人物です(ID同じだしね)


>>106
夢オチはテイル氏が書いたばかりなのでここは1.3希望。
どちらがいいかは甲乙つけがたいところ…。
109名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 21:11:36 ID:wAs4dzrW
>>106
1か3ならおk。
110ぐうたら:2005/06/19(日) 21:24:10 ID:Vtwr+rnF
夢オチSSの内容をザッといいますと
・朝起きたら炊事場に皆はいるけど梢がいない
・隆士と珠実で管理人室に行くけど反応が無い
・ドアを開けると空の布団…と思いきや少し小さなふくらみが
・布団を剥ぎ取ると、そこには小さな梢が!
…みたいな展開。ほのぼのギャグ?でオチは未定。
千百合ちゃんのはすこーし重くなる感じ
早紀ちゃんのはギャグ(勿論みなさまが嫌う悪ノリはしませんよ。しませんとも。ふーんだ)
それよりも早く蒼書かなきゃ…メガネメガネ(普段はかけてないだろ)
111名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 21:27:24 ID:PhtyRct7
MMOどうなったんでしょう
112名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 23:03:45 ID:90HybPJG
…ハッ、ダレカガオレヲヨンデイル…

本当にごめんなさい、呑気に旅行行ってますたOTZ
構想練り始めた時からスレをまたぐことは想定済みでしたが、たった1話しか投下してないとは…(汗
バトルシーンがかなり難航していて…って、言い訳ですが。
気分転換でもしようと、今は前スレでリクがあったムカシサヨコのR18モノを書いてます。
まあ、こっちはこっちで「沙夜子の回想自慰は必要なのか」と疑問が出てきてるわけですが…

あ、いや、M.M.Oももちろん書きますよ?
今週は時間もあるし、ひたすら頑張りますから。



…あろうことか、ポケモンにハマっちまったんですよ○| ̄|_
113名無しさん@ピンキー:2005/06/19(日) 23:28:40 ID:7weTmuo1
ポケモンはおもしろいよな
114テイル:2005/06/19(日) 23:56:20 ID:TOXIkjd4
やっているのは新シリーズですか?


とりあえず、誰もいない頃合いを見計らって、新作を投入しておくです。
もしかしたら、今夜の24話を観た後に読む方がいいかもしれないけど……
115First Present(1):2005/06/19(日) 23:59:32 ID:TOXIkjd4
3月10日。
段々暖かくなりつつある午後。
「うーん…………」
さて、どうしたものか……
というか、何も思い付かない……
僕は、縁側に座って悩んでいた。

ネーム切れ、ではない。
物書きはある程度(無論人にもよるらしいが)ストックを持っているのが普通だ。
今は、プレゼントの内容が思い付かないでいる。

プレゼントと言っても、ただのプレゼントではない。
3月14日、ホワイトデーのプレゼントだ。
男の子が、バレンタインにチョコをくれた女の子に、お返しをする日。
誕生日のプレゼントとは、また違う重みを持っている。
自分の気持ちを相手に伝える、大切な日なのが、ホワイトデー。

だから、僕は悩んでいた。
「うーーーーーーーん………………」
ダメだ、完全にネタ切れだ。
僕の脳はスポンジか。
とうとうネタが尽きたのか。
「…………散歩しよう」
今年度分の学校は終わっている。
梢ちゃん達はまだ学校だ。
鳴滝荘に残っている面々も、昼寝をしている沙夜子さんを除いて外出中。

……なんか、無人島に取り残された気分。
ここ暫く外出していなかったから、尚更だ。
116First Present(2):2005/06/20(月) 00:02:44 ID:LYCpsFWX

うーむ。
前なら、阿甘堂の『あのお姉さん』がタイミングよく最高のモノを
仕入れていてくれたんだけど…
今回も期待できるかどうか。
そう考えながら、双葉銀座へやってきた。
ここに来れば、たいがいの物が揃うんだけど……

「ああ、白鳥クンだヨ〜」

この声。
この変に訛った声。
この喋り方は、あの人だけ。
「……こんにちは、お姉さん」

マメ知識。
和菓子を売る阿甘堂の二枚看板。
そのうちの一人が、このお姉さん。
人呼んで<ヨ〜ちゃん>。
ここで働く以前に、僕は何度かお姉さんを見掛けているんだけれど…
当の本人がとぼけているので、それは定かではない。
以上、マメ知識。
117First Present(3):2005/06/20(月) 00:03:50 ID:LYCpsFWX
「どうしたヨ〜、学校はもう休みかヨ〜?」
「ええ、今月の頭から春休みです。特に課題も無いんで暇してますよ」
「暇してるならこの店を手伝って欲しいヨ〜」
「いえいえ結構です僕は絵本を一冊仕上げなくてはいけないのです」
何言ってんだ僕は。
それは置いといて、本題に入る。
「お姉さん、何かいいモノ仕入れてませんか?」
「……?いいモノって何だヨ〜?」
「ええ、まぁ……ちょっと、プレゼントに何かいいものを探してまして……」
「…………」
お姉さんはしばらく考え込むようなポーズをとって(そのポーズは何故か一休さん)、
ようやく思いついたかのように、
「ああ、ホワイトデーかヨ〜?」
「……そうです」
……わざわざ一休さんのポーズをしてまで考えることじゃないと思う……
お姉さん、大丈夫?
「前に、お姉さんから買ったプレゼントは最高だったんですけどね……」
「ヨ〜?あの不良債権がかヨ〜?そんなに気に入ってもらえたのかヨ〜」
「ええ、まあ……」
「……っと、その子は梢ちゃんだったヨ〜。あの子なら確かに喜ぶヨ〜」
「はは……」
梢ちゃんって、微妙な感じのものが好きだからな……
だからこそ、迷うんだけど……
118First Present(4):2005/06/20(月) 00:04:30 ID:LYCpsFWX
「だから、今回もお姉さんが何か仕入れてくれていないかなー、と思ったんで」
「ないヨ〜」
否定された。
速攻で否定された。
その間0.3秒。
「………無いんですか?」
「というより、旭さんに禁止されたヨ〜。『これ以上アタシを巻き込むな』ってヨ〜」
「そうですか……」
「ちなみに、梢ちゃんはバレンタインに何をくれたんだヨ〜?」
「マフラーですよ」
「君が今している、それかヨ〜?」
「……鋭い……」
先月のバレンタイン。
梢ちゃんは、手編みのマフラーをくれた。
女の子からのプレゼントなんて初めてだったから、余計に嬉しかった。
だから、今回は僕が梢ちゃんを喜ばせる番だ。
……でも。
流石に、またぬいぐるみを使う訳にもいかないかな……
「……という訳です」
「なるほどヨ〜…………悪いケド、今回は君の力になれないヨ〜。ゴメンだヨ〜」
「いえ、そんなことはないですよ」
「ついでに鯛焼き買わないかヨ〜?」
「今はそんな気分ではないです」

……とはいえ。
これでお姉さんの伝手は消えた。
……まるで飛車角がない将棋を指しているような気分だ……
むしろ手詰まり。
どうしよう……

119First Present(5):2005/06/20(月) 00:06:34 ID:LYCpsFWX
3月12日。
結局、昨日もネタが無かった。
正直、銀先生の課題が出来ない並みの厳しさだ。
どうしよう。
本当にどうしよう。
「……本屋にでも行こう」
今ならホワイトデー関連を特集した雑誌があるはずだ。
そういう時には、週刊誌や男性誌も役に立つ。
むしろ、僕はこういう時にしか開かないのだけれど。
少しでもヒントになるものがあればいいけど……


「……やんぬるかな」
結局、本屋で2時間格闘したけど、成果はゼロだった。
「ああ…………」
なんか、どうしよう。
ここは王道にキャンディーを買うか。
「……でも、梢ちゃんが、心から喜ぶとは思えないな……」
梢ちゃんが喜ぶプレゼントって、何だろう……
「ぎゃーす……」
120First Present(6):2005/06/20(月) 00:09:50 ID:LYCpsFWX
鳴滝荘に帰って来た。
「…………ん?」
倉庫から物音がする。誰だろう……
物置に行って見ると、

「……あ、お帰りなさい白鳥さん」

梢ちゃんがいた。

「……何してるの梢ちゃん」
「ええ、物置の整理をしています。探しものついでですけど」
「探し物って何?」
「工具箱ですよ、夏以来使っていませんけど……」
工具箱……はあのときか。
「じゃあ、僕も手伝うよ」
「お願いします、白鳥さん」
そうして、僕も探すことにした。
少しは、気分転換になりそうだ。

15分ほど格闘したところで、ようやく工具箱を発見した。
「お、あったあっt……?」
何だろう。
工具箱の裏に、白い画用紙がある。
121First Present(7):2005/06/20(月) 00:11:04 ID:LYCpsFWX
「……梢ちゃん、この画用紙は何?」
「……画用紙、ですか?」
瞬間、梢ちゃんの眼の色が変わった。
変わった、ような気がした。
「これなんだけど」
僕はその画用紙を梢ちゃんに手渡す。
「………!これは!」
「どうしたの!?」
「………………」
梢ちゃんは、何も言わず、その画用紙を、ぎゅっ、と抱きしめる。
「……これは、あのときに白鳥さんがくれた絵……
 私が、初めて貰ったプレゼントだった……
 貰って暫くして、なくなってしまったんですけど、ここにあったんですか……」
「……僕が、梢ちゃんにあげた?」
「そうです……やっぱり、憶えていませんか?あの日の事を……」
「ゴメン……まだはっきりとは……」
「……いいんです。私はこうして、白鳥さんの側にいる事が出来ましたから」
そう言って、梢ちゃんはその絵と工具箱を持って物置を出て行った。

その梢ちゃんの表情は、とても嬉しそうなものだった。
だけど、どこか悲しそうでもあった。
僕は――結局、何も、出来ない。
あの日の記憶を――思い出せない。
122テイル:2005/06/20(月) 00:14:13 ID:LYCpsFWX
第一章?はここまで〜。
次回は……予想できると思いますが、アレです。

原作ではバレンタインもホワイトデーもやっていないために色々制約がありますが、
そこは勝手にやっていきます……

もしかしたら、原作もこんな感じn(ry
戯言だけどね。
123名無しさん@ピンキー:2005/06/20(月) 00:29:43 ID:aqey9ShJ
ぎゃーすワロタ
124名無しさん@ピンキー:2005/06/20(月) 00:30:50 ID:uZ+s6TkM
今の段階では良いです。賛辞は完結してからにとっておきましょう
125556:2005/06/20(月) 02:18:40 ID:T2e2/54q
テイル氏GJです!
新スレ記念ちまちま投下。

エロなしまひる話
「だから、笑いましょう」

それでは投下ー
126「前スレ」556:2005/06/20(月) 02:20:40 ID:T2e2/54q
名前間違えた…orz
次レスから投下ー
127だから、笑いましょう:2005/06/20(月) 02:21:57 ID:T2e2/54q
6/


「……!」
その瞬間。
あの時のあいつの言葉が、脳裏に甦った。

―――でなきゃ私とヒロちゃんD.O.A.なのぉぉ〜!!

私は漸く理解した。
どうして父が、コイツを―――サクラを雇う事にしたのかを。

そして、後悔した。
自分を恥じた。
自分が情けなかった。
自分が、厭になった。

「……その、ごめ―――」
「だから」

蚊の鳴くような私の声を、あいつの言葉が掻き消す。
その声が暗に私を戒めているような気がして、私はハッと顔を上げた。

一瞬の沈黙。
一呼吸置いて、あいつは続けた。
128だから、笑いましょう:2005/06/20(月) 02:23:52 ID:T2e2/54q
「―――だから、こんな役立たずな私を拾って下さった御主人様に―――皆さんに、
感謝しきれないほど感謝しているんです。
…こうやって仕事をしていると、
ああ私生きてるって、
この2年間は無駄じゃなかったんだって、
父も母もかみさまも、私とヒロちゃんの事を見ていてくれたんだって、―――心の底から、そう思えるんですよ」
あいつはそう言って、もう一度、にっこりと笑った。
その顔はもうすっかり、元の何時もの笑顔。
満開の、爛漫桜花のそれだった。


…なんで。

―――もう、限界だった。

なんで、そんな事を笑って話すんだ。

―――赤い紅い水が、グラスから溢れ出すように。

なんで、そんな顔で笑えるんだ。

―――自分でも訳の解らない感情が、ココロの許容量を超えて溢れて。

なんで、そんな悲しい顔で―――

――私は――――……
129だから、笑いましょう:2005/06/20(月) 02:25:00 ID:T2e2/54q

「…それじゃあ、私はお掃…ってッお嬢様!?
なっなっ何で泣いてるんですか!?もももしかして私また何か失礼なこ―――」

「―――なんで」

目を渦巻きにして混乱しているあいつの声を、今度は私の言葉が掻き消した。

静まりかえった屋敷の廊下に、その声は殊の外はっきりと―――不気味な程はっきりと、響き渡った。
130だから、笑いましょう:2005/06/20(月) 02:26:16 ID:T2e2/54q
7/


「…え……?」
俯いていても、あいつの声の調子が変わる―――恐らく、表情も然り―――のが、私には解った。

胸が苦しい、そんな感覚。
心の堤防が崩れかけているのが―――ダムにヒビが入って、河水が、言葉が、或いは感情が―――行き場の
無くなった感情が、止めどなく溢れ出そうとしているのが、自分でも判った。
…判った時には、もう遅かった。
「なんで―――何で笑う?どうしてそうやって笑うんだ?笑う事に、何の意味がある?
楽しいから笑う?笑わなくたって―――無理して笑わなくたって、私は十分楽しい。
……違う。笑う、なんて事…しない方が、私は―――」

「そうですか?」

―――やられたら、やり返す。
闘争心というモノを知らない本人にはそんなつもりは破片も無かっただろうが、
「―――私は、笑った方がもっともっと楽しいと思いますよ〜?」
…その時の私にとって、その―――悪意の微塵も感じられない、無邪気な―――笑顔は最早、
私の感情を逆撫でするモノ、でしか無く。
131だから、笑いましょう:2005/06/20(月) 02:27:28 ID:T2e2/54q
―――ソレを見た瞬間。

私は、
私を支える何かが、
音を立てて、
がらがらと、
崩れていくのが、


―――見えた、気が、した。
132125:2005/06/20(月) 02:28:51 ID:T2e2/54q
今回はここまでです

鳴呼、まひるが壊れていく…orz
次回にはちゃんと直しますんで(何)

では
133テイル:2005/06/20(月) 15:14:55 ID:sc0qwzBQ
「終わりの始まり」の続きマダー?(チンチン)
134名無しさん@ピンキー:2005/06/20(月) 15:32:48 ID:77CRKiGG
GJ
135名無しさん@ピンキー:2005/06/20(月) 18:16:39 ID:3wmF8SH3
ていうか、随分寂しい反応ですな(´・ω・`)
アニメの衝撃が大きかったとか、時間帯が悪かったとか
レスしづらいところで区切ってるというのもあると思いますがね。

ともかく、完結をお待ちしております。
136名無しさん@ピンキー:2005/06/20(月) 18:45:21 ID:nmyqJdbH
騒がれている「アニメの衝撃」とはまだ無縁な俺が来ましたよ。
まったく今夜が楽しみ棚。

ともかく、>>132氏GJ!
まひるの話は好きなのでどんどん読み入ってしまいますたよ。
続き、楽しみです。
137名無しさん@ピンキー:2005/06/20(月) 19:09:26 ID:ipaVzgzq
実は皆書くのに忙しくて反応できないのです。
と言ってみる。


私はほんとにそういった状態です。自分のをやりだすと他のが目に入らなくなるんで。
書き終えてからもう一度ゆっくり読みます。
138We'd get there someday:2005/06/20(月) 21:07:59 ID:3wmF8SH3
「…さん。 隆士さん」
「……ん」
あれからどれくらいの時間が経ったのだろう。
僕は誰かに呼ばれる声を聞き、目を覚ました。
「………梢ちゃん!?」
「おはようございます、隆士さん」
あのまま眠ってしまったのだろうか、梢ちゃんは半身を起こし僕に微笑んでいた。
「梢ちゃん………ッ!」
「…ずっと、そばに居てくれてたんですね」
「…梢ちゃん」
彼女はちょっと照れたように繋ぎ合った手を見て目を細めた。
眠ってしまっていても手は離していなかったらしい。
「……」
「……」
彼女にかける言葉が見つからなかった。
やるせなくて、情けなくて、梢ちゃんの顔すらまともに見れなかった。
ただ、握った手をじっと見るのが精一杯…。
「ごめんね、梢ちゃん…ごめんね……」
「……」
ただ、懺悔の言葉を繰り返すしか僕には出来なかった…。
139We'd get there someday:2005/06/20(月) 21:08:18 ID:3wmF8SH3
「目を覚ました後…隆士さんが目を覚ます前に私に何があったか確かめました」
「……」
「…話して貰えますか?」
梢ちゃんは僕の態度で気付いたんだろう。
僕が全てを知っていることを。
僕は部長さんから聞いたことを途切れ途切れに説明した。
梢ちゃんはそれを何も言わずじっと聞いていた。
その沈黙がかえって僕には怖かった。
「…そう、でしたか」
全てを話し終えた後、彼女はただそう呟いただけだった。
「私、隆士さんと同じになってしまったんですね」
「……」
梢ちゃんは確認するように呟いた。
僕はそれを無言の肯定で返すしかできない。
僕たちの間に沈黙が続いた。
140We'd get there someday:2005/06/20(月) 21:08:42 ID:3wmF8SH3
「…隆士さん、一つだけ…答えてください」
「……」
沈黙を破り、梢ちゃんの凛とした声が響いた。
今まででもっとも決意に満ちた声で。
「女ではない私は……嫌いですか?」
「……!?」
梢ちゃんの口から発せられた言葉は僕が予期したものとはまったく違っていた。
でも、この問いには彼女の全ての想いが詰まっているはず…。
なら答えなんてとっくに決まっている。
「そんなこと……そんなことないッ!!」
僕は梢ちゃんの問いを全力で否定してた。
「たとえ姿が変わったって…そんなことはどうだっていいんだ!!」
僕が彼女に負い目に思っていたこと…。
それはいつも迷惑をかけてしまう不甲斐ない自分に対して。
彼女の優しさに甘えてしまう自分に対して…。
「僕はただ…キミに迷惑をかけて…嫌われたくなかったんだ……」
守るって誓ったのに…。
そんな情けない自分に俯くことしかできなかった
141We'd get there someday:2005/06/20(月) 21:09:07 ID:3wmF8SH3
「…なら、いいじゃないですか」
「えっ…?」
僕が顔を上げたとき、彼女は微笑んでいた。
いつものように優しい笑顔で僕を見つめていた。
「『そんなこと』はどうでもいいんでしょう? …ならそれでいいじゃないですか」
「梢…ちゃん…」
「私は隆士さんが女だって気にしません…隆士さんも私が男だって気にしないなら…何も問題ないですよね?」
「……」
最初からわかっていたじゃないか、彼女ならこういうだろうってことは。
梢ちゃんはずっと僕を信じてくれているのに…。
「私は隆士さんのことを嫌いになんてなりませんよ。 まして迷惑だなんて思いもしません」
「………」
「あなたが私のことを想ってくれている限り…私はあなたのことを信じ続けられるんです…」
「でも…僕は、僕は……」
「そんなにすぐには人は変われませんよ…。 なら、あなたのスピードで行けばいいじゃないですか」
「こず、え…ちゃん……」
「あなたと、私と……ふたりで……」

僕は梢ちゃんの胸の中で泣いていた。
梢ちゃんは撲を優しく抱きとめ、包み込んでくれた。
涙のわけはもうわからなかった。
ただ、ひたすら…。

僕はただただ彼女の愛の大きさに涙するしかなかった───。
142名無しさん@ピンキー:2005/06/20(月) 21:12:23 ID:3wmF8SH3
さて、今日はここまでです。
先に書かれたSSと似たようなシチュエーションですが、
リフレインってことで。

…で。
ここから先のイベントを入れるからカットするかで悩み中。
梢x隆子、いりますかね?
143名無しさん@ピンキー:2005/06/20(月) 21:15:29 ID:tevIEomi
お互い逆でスルんですね。
見てみたいですね。
144名無しさん@ピンキー:2005/06/20(月) 21:24:17 ID:90Y5V7DF
梢×隆士で早急にキボーン
145名無しさん@ピンキー:2005/06/20(月) 21:36:02 ID:99wWvo9Y
ちょっとマテ、隆子に挿入中に魔法が解けて男に戻ったら
つっこんでる物はどうなるんだ……ガクガクブルブル
146名無しさん@ピンキー:2005/06/20(月) 21:37:07 ID:bJ1+y/y6
男の状態でちゆりんになったらどうなるんだろうか?(;´Д`)ハァハァ
147名無しさん@ピンキー:2005/06/20(月) 21:42:29 ID:8xi/VhqX
>>142
GJデス〜。
確かにリフレインかかってますね。
言われるまで全然気付きませんでしたが。

ここでジャンルの分岐点ですか。
ぶっちゃけ、これでENDと言っても違和感は少ないですが…
やっぱり、やるところまでやっちゃう続きをキボンです。
148名無しさん@ピンキー:2005/06/20(月) 21:51:47 ID:m6JQ/XRE
せっかくだし、今逃したらもう見れないシチュエーションかもしれないし。、エロパロだし・・・
行くところまで見てみたい・・・かも
149名無しさん@ピンキー:2005/06/20(月) 22:05:25 ID:3wmF8SH3
むむ、意外とたくさんのキボンが。
頑張って取りかかります。

…先にすっ飛ばして後の展開書いてたのはナイショ。
150名無しさん@ピンキー:2005/06/20(月) 22:08:53 ID:Gjf5ZbWj
>>145
入れるところがなくなっちゃったんなら、菊に挿せばいいじゃない
151名無しさん@ピンキー:2005/06/20(月) 22:28:43 ID:90Y5V7DF
>>145
入ったまま合体して2度と抜けなくなる。
かなり怖いな。
152名無しさん@ピンキー:2005/06/20(月) 22:36:17 ID:P5hep90N
愛の奇跡で元に戻る。
153名無しさん@ピンキー:2005/06/20(月) 22:40:16 ID:8xi/VhqX
>>151
そのままベトちゃんのように(略
って、知ってる人いるのだろうか。


…大作直後の投下って怖い…。
遅くなりましたが、「M.M.O」の続きがようやく書き上がりました〜。
前回は↓こちら。(保管庫より)
ttp://whitebrown.hp.infoseek.co.jp/mahoraba/SS/050531_2059.txt
では早速どぞー。

第2話「オープニング・オブ・バトル」
154M.M.O:2005/06/20(月) 22:41:27 ID:8xi/VhqX
「まったく、本っ当に頼りにならない剣士ですねぇ〜」
 うう、と嘆きながら、隆士は両手で剣を支える。
「ほっといてよ…剣道もフェンシングもやったことなんてないんだから……」
「剣とは、こうやって扱うのですよ〜」
 言いながら、珠実は柄に手をかける。
「よく見ておくです〜」
 そして、くっと腕に軽く力を入れた。が――
「あ〜…?」
 重力に逆らうこともなく、切っ先は再び大地に突き刺さった。
「…珠実、ちゃん?」
「……おかしいですねぇ〜…」
 いざ実践する直前の自信に満ちた言動から察するに、彼女は片手で軽く持ち上げてみせるつもりだったのだろう。
 隆士も、彼女の能力の一角として、自分よりもはるかに強い筋力を何度も見せつけられてきた。
 ほんの数秒前までは、彼もその力を信じて疑わなかったのだが……
「力が入らないです〜…」
 演技ではないのだろう。先程までの自信は明らかに翳っている。
「どーしちゃったの、珠ちゃん…」
 恵も、心配そうに彼女を見守っている。
 珠実は隆士に剣を返し、ため息をついてから話し始めた。
「…どうやら、順応が本格的に始まってきたみたいです〜」
「それって、珠実お姉ちゃんが魔法使いだから?」
 さすが、子供は飲み込みが早い。珠実は頷き、
「実際、魔法使いに力は必要ないですからねぇ〜…」
 さも残念そうにそう答えた。隆士を見、続ける。
「ああ、安心してください、白鳥さん〜。今後、遅からず白鳥さんの運動能力は高くなっていくと思いますよ〜」
「そ、そう…? だったら安心かな…」
「まあ、最後にモノを言うのは技術なわけですけど〜」
 がっくりと、隆士は肩を落とした。
155M.M.O:2005/06/20(月) 22:43:06 ID:8xi/VhqX
「さって……」
 うーんと、恵が伸びをした。
「そろそろ行くですか〜?」
「ずっとここにいたって、ラチがあかないもんねぇ」
「でも、」
 不安そうな顔の隆士。
「行くって言っても、どこに…」
「そんなの、後から決めればいいことよ。このまま立ち止まってるより、よっぽど建設的だと思わない?」
 確かに、と梢や朝美は首を縦に振る。
 そこに珠実が口を挟んだ。
「まあ、ある程度行き先の目星をつける必要はありますけど〜」
 言い終えてから、彼女はやや遠くにある丘を見やった。
「高いところから見下ろす、ってワケね」
 出発するにしても、当てもなくさまよい続けるよりもはるかにいい。
 隆士も納得し、6人は腰を上げた。
「とりあえず、当分の目的は町を見つけることよね」
 恵の言葉に、全員が頷く。
「早めに装備を調達しなきゃなりませんねぇ〜」
「やっぱり…お金、かかるんだよね」
 朝美らしい心配である。
「灰原さん、ご無事だといいんですけど…」
 こちらも梢らしい気遣い。どちらも優先すべき問題なのだ。
 ようやく自分の出番が来たとでも言うように、恵は声を張り上げた。
「諸君! 我々が考慮せねばならぬ課題は3つ! ひとつは行動拠点の確保、ひとつは資金の調達、そしてもうひとつは灰原隊員を救出することである!」
「まぁた始まったです〜」
 そうは言いながらも、珠実が浮かべているのは楽しそうな表情だ。
「これらの課題に共通する解決策とは〜……」
「解決策とは?」
 隆士がオウム返しに訊くと、恵は得意げに自分の腿をぱしっと叩き、
「昔から言うでしょ、『何事も足で稼げ』って!」
 そう、自信たっぷりに言ってみせた。
156M.M.O:2005/06/20(月) 22:43:40 ID:8xi/VhqX
「あ……」
 ぴく、と朝美が何かに反応したのはその時だった。
 他の面々、特に沙夜子がすぐに彼女の様子に気付く。
「朝美…どうしたの?」
 彼女の視線は、どこにも定まっていないように見える。
「……何か、来るみたいなの」
 何か?
「もしかして…灰原さんかな」
 当てずっぽうに隆士は呟くが、朝美は首を横に振る。
「よくわかんないけど……人じゃ、ない感じなんだ」
「人じゃない…」
 つまり、それは――
「さっきのお話の…モンスター、なんですか?」
 梢に尋ねられるが、恵は首を傾げるばかりだ。
「さあ…あたしは音も気配も何も感じないからねぇ…」
「ともかく〜、何があっても不思議じゃないわけですからねぇ〜」
 その一言に、彼らは何となく身を構える。
「…あ……来るよ」
 間もなく、先程珠実が出てきた森の茂みががさりと動いた。
「………………」
 自然と、緊張が走る。
 そこから現れたのは――


 果たして、それは日常では到底見ることなどあり得ないモノ。

 …それは大げさな表現だろうか?
 適度にデフォルメされた狼の頭部にそのまま尻尾が付いただけの、どちらかと言うと愛嬌がある存在。
 しかし、その存在が現実にいるはずのないことは誰の目にも明らかだった。

「…あれが、モンスター……」
157M.M.O:2005/06/20(月) 22:44:40 ID:8xi/VhqX
 ごく、と固唾を呑む。
 いよいよ冗談ではないのだ――そう思うのは当然だろう。
「モンスター…って言うからには、襲ってきたりするんでしょうか?」
「十分に考えられることではありますねぇ〜」
 即答。なぜここまで平静を保っていられるのだろうと、隆士は疑問に思う。
「戦って…倒すんですよね……」
 モンスターを見つめながら、梢は誰にともなく尋ねた。
 生き物を傷つけることが心優しい彼女にとってどれだけ酷なことであるか、隆士たちには手に取るようにわかる。だが、それでも……
「…梢ちゃん、これは…仕方のないことなんです〜…」
 珠実に続き、恵も彼女を諭す。
「ねえ、梢ちゃん。今、あたしたちがいるのは夢の中なわけでさ…だから何してもいいって言うわけじゃないけど…」
 自分を納得させるように梢は首を縦に動かし、笑顔を作ってみせた。
「…そうですよね。これは、夢…なんですよね」
 そう、自分に言い聞かせる。
「……白鳥さん」
「えっ…なに?」
 突然名を呼ばれ、隆士は少し驚いた。
「…頑張って…ください」
「あ……う、うん」

「……って、頑張る?」
 隆士は梢を見た。彼女はきょとんとしている。
「え? だって、今からモンスターと戦うんじゃ…」
「ぼ、僕が…!?」
 彼らのやり取りを見、珠実と恵はニヤリとあくどい笑みを浮かべた。
「それじゃあ、白鳥さん〜」
「…な、何、珠実ちゃん…?」
「白鳥クン、頑張って…ね!」
 どん、と背中を押され、隆士は前に出た。
「な、何で僕が…」
 文句を口にした瞬間、モンスターは彼の存在に気が付いた。
「あ……」
158M.M.O:2005/06/20(月) 22:46:43 ID:8xi/VhqX
 ウル が 1体出た!

『――!?』


「…い、今の……」
「文字がいきなり飛び出してきた……」
「…ホント、何でもアリだわね……」
「これはちょっとこだわり過ぎですねぇ〜…」

 コマンド?

「うわっ、また…」
「…戦闘が始まると、あの文字が出てくるみたいですねぇ〜」
「お母さん、びっくりしたよね…」
「……びっくりね……」

「それで…」
「ん〜…まあ、ガンバよ!」
「えぇ!?」
「白鳥さんしか、武器を持ってる人はいないですし〜」
「そ、そんな…」
「さあさあ、じっくり見せてもらうわよ、戦いぶり!」
「…お兄ちゃん、頑張ってね…」
「……うん……」
「あ…こっちに走ってきますよ!?」

 ウル の こうげき!

「うわあっ!?」

 しかし ウル の こうげきは はずれた!
159M.M.O:2005/06/20(月) 22:48:27 ID:8xi/VhqX
「反撃よ、白鳥くん!」
「うぅ…わかりました…」

 リュウシ の こうげき!

「く…てやあっ!!」

 しかし リュウシ の こうげきは はずれた!

「白鳥さ〜ん、ちゃんと当ててくださいです〜」
「無茶…言わないでよ…」

 リュウシ の こうげき!

「やあっ!」

 しかし リュウシ の こうげきは はずれた!

「ちょっとちょっと、当たってないわよ〜!」
「ていうか桃乃さん! 武闘家って武器なしでも戦えるんじゃないんですか!?」

 ウル の こうげき!

「わわっ!」

 リュウシ は こうげきを かわした!

「あたし、今回は様子見ってコトでさ〜」
「そんなぁ……」
「…し、白鳥さん! 後ろっ!」
160M.M.O:2005/06/20(月) 22:49:29 ID:8xi/VhqX
 ウル は たいあたり を しかけた!

「え…っ!?」


 リュウシ の こうげき!

「おやぁ〜…」
「お、おおぅ…」

 あいぬき が きまった!
 リュウシ に 10 の ダメージ!
 ウル に 38 の ダメージ!
 ウル を たおした!


「…あ、あれ? 今……」
「あ〜…倒しちゃったですねぇ〜…」
「完全なマグレだわね…」
「お兄ちゃん、かっこいい…」

「あのー、僕……」
「まあ、とりあえずはおめでとうございますです〜」
「運が良かったからとは言え、こりゃ幸先がいいわねぇ…お?」

 メグミ は せんりひんとして 30チョイ てにいれた!
161M.M.O:2005/06/20(月) 22:49:47 ID:8xi/VhqX
「これ…お金だわ」
 恵は3枚の銀貨をまじまじと見ながらそう言った。
「なるほど、モンスターを倒して貯まるならおサイフの心配は少ないですねぇ〜」
「それはいいんだけど…『チョイ』って?」
 先程の“文字”に疑問を持ったらしい隆士が誰にともなく訊く。
「コレの価値が30ちょいってコトかしらねぇ?」
「随分とアバウトな表示です〜」
 銀貨の片面には、月と星がひとつずつ描かれている。
 その裏を見ると、日本の硬貨のように大きく『10』と書かれていた。
「だったらこれ、正確じゃない表記ってことですか…」
「ああ、価値の変動が激しいのかもしれないわね」
「お金というのは価値がある程度一定だから成り立っているんです〜」
 などと、この貨幣を巡ってひと時、論議が交わされた。

「あーもう、わからんわ…」
 それは数分続いたが、結局大した結論も出ず、恵は諦めたように伸びをした。
「……お金の…単位じゃないかしら……」
 突然、沙夜子が呟く。
「…あ…言われてみれば」
 それなら別段、価値の変動が大きいわけでは(おそらく)ないと言える。
 考えるほど、彼女の発言が正しいもののように思えてきた。
「にしても『チョイ』って…」
「センスがあるのかないのか、よくわかりませんね…」
162M.M.O:2005/06/20(月) 22:50:04 ID:8xi/VhqX
 隆士が、不慣れな手つきで剣を鞘に収める。
 それを見届けた後、恵は天に向かって思い切り拳を突き出した。
「さあ、出発するぞ野郎共ぉ!!」
「お〜いえ〜」
「おー!」
「…お〜……」
 かけ声一発で盛り上がる4人の横で、隆士は梢の肩をポンと叩いた。
「梢ちゃん、そろそろ出発…」
 ……しかし、反応がない。がっくりとうなだれているようで、顔が見えない。
「…梢ちゃん?」
 異変を感じ取り、珠実が近寄る。
「白鳥さん、ま〜た何かしたんですか〜?」
「え、いや、違うけど…」

 全員が彼女を見、心なしか不安げに眉をひそめる。
「…やっぱりさ、動物を傷つけることは梢ちゃんにとってショックが大きかったのかもね……」
「かわいかったよね…。私も、ちょっとかわいそうだなって思ったもん…」
「梢ちゃん…健気です〜…」
 もっとも、『とても心配している』節はそれほど見えない。これから起こることを何となく予想しているためだろうか。

「…ぅん……」
 やがて、彼女は小さな声を発した。
「大丈夫?」
 隆士が尋ねる。その瞬間、彼女の体はぴくりと強張った。
「…………?」
 無言で、彼は後ろを振り向く。しかし、恵たちはそろって首を傾げるばかりだ。
「…ねぇ、こず」
「ホ……」
 再び、彼女の声。だが、明らかに様子がおかしい。
「……ほ?」
 隆士が訝しげに反芻した直後、彼女は首をバッと上げた。
163↑書いた人:2005/06/20(月) 22:50:36 ID:8xi/VhqX
最後の方がぐちゃぐちゃorz
ってか、本当に遅くなりました。楽しみにしていただいた方、申し訳も面目もありません…。
…とりあえず、次回は誰よりも早くあの人が登場です。乞うご期待。

それと、今回の文中にはとあるゲームのパロディが含まれていたりします。
「ここはアレを使おう」と考えながら入れた部分が合計で5つ。どれも違うゲームから使わせていただきました。
それほどコアなパロディではありませんが、一人で全部はわからないかと…多分。
次にどなたか投下されるまで、ちびちびと考えてやってください。

えーと、次回は今週中にできるか微妙ですね…orz
164テイル:2005/06/20(月) 23:09:23 ID:LYCpsFWX
>>163
乙でした。

しかし、なんでこのテのRPGは、動物がお金を持っているのやら……
ゴブリンならともかく、どうしてボアとかが持っているかな……

どうしよう、こんなんなら「FP」の続きを投下するべきかしないべきか……
悩む。
というか>>142さんの作品の質がいいから見劣りする……
TSモノじゃなく感動モノ書いたら大変な事になりそう……
165名無しさん@ピンキー:2005/06/20(月) 23:23:31 ID:m6JQ/XRE
われわれは思い違いをしていた
動物がお金を持っているのは、実は持っているのではなく、動物が人を襲った際に人が落としたお金を
誤って飲み込んでいるだけだったのだよ!
166名無しさん@ピンキー:2005/06/20(月) 23:27:01 ID:Li88FhA2
ドラクエの考察さいとにそんな事書いてあったな。
167名無しさん@ピンキー:2005/06/20(月) 23:32:46 ID:3wmF8SH3
その辺の解釈はいろいろあるね。
「倒したモンスターの体から金品になりそうなものをとって換金する」
例えば、爪とか牙とか毛皮とか。
「モンスターが貴金属や宝石に魔法をかけられて変身している」
アニメドラクエではこのタイプだったっけ。

っていうか、あんまり過大評価されてもわたしゃまいっちんぐですよ。
168名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 05:17:24 ID:J+XiKyhm
>>163
梢ちゃんが転職する?
169「終わりの始まり」:2005/06/21(火) 05:53:14 ID:8LnAG14y
なんか、スレごとに一投下っていう鈍足進行になってますね…。申し訳ないです…。
っていうか、進行早い…、ここ。
でも、投げ出したりはしてませんので、そこはご安心ください。(秀作ラッシュで、自信喪失してたのは内緒)

ってなわけで、「終わりの始まり」

いや、何回続くんだろ、これ。
170「終わりの始まり」:2005/06/21(火) 05:54:49 ID:8LnAG14y
「すぅ………すぅ…、んぅ…………、すぅ………」
棗は泣き疲れて眠ってしまった。でも、隆士の思考は止まらない。止められない。
これまでの梢の立ち居振る舞い、表情、ここ最近の棗の言葉、現れなくなってしまった他の人格たち、鳴滝荘に来た日、鳴滝荘の人々、珠実の嫉妬、学校の仲間との談笑、梢に告白した日、両親、旧友、かすかに覚えている梢との出会い…。
死ぬ間際には、これまでの人生が走馬燈のように甦るという。まるでそんな感じ。
自分の腕の中で泣き、そのまま寝てしまった少女。何かその発言の中に彼女の過去にまつわる手がかりを掴めないかと思い出すうち、こんな状態になってしまった隆士。

(もう疲れた…。頭痛い…。…こんなので知恵熱がでるの?僕は…。ホント情けない…)
我に返った隆士。錯乱しそうになるも、それより先に疲労と虚しさが募る。
身体は火照る。文字通りに知恵熱だろうか…。にしては汗が出すぎている。上半身がぐっしょりと濡れていた。

(…もういい)
その場は何もかもを放棄した。横になったまま、器用にシャツを脱ぎ捨てる。投げたシャツは、重そうに床へ落下していった。
汗で冷えた身体に、寝間着越しの棗の体温が心地よい。
『私って、子供体温なんですよね』
『平熱が36.8℃もあるんですよ』
いつだったか、そんな事を梢が言っていた。
胸の辺りに、寝息がかかる。そこにあるのは、髪を下ろした少女の姿。今起こすと、どっちの人格が現れるのだろう…。
でも、いまここにあるのは、涙の跡が乾いて、その涙と一緒に悲しみも乾ききった、心地よさそうな「彼女」の寝顔。
そんな風にしているうちに、隆士は乱れた心に平静を取り戻していた。
(…君には敵わない。いつも、誰をも和ませる、この顔には…ね)
何となく頭を撫で、頬をさすり、顎をくすぐる。そのまま猫のように咽を鳴らして少しまるまる「彼女」。
ふと思う。「彼女」は薬だ。半分は荒れる心の痛みを鎮め、もう半分は包むような優しさで出来ている。
(我ながら巧いかも…。少なくとも今の僕にはそう作用したし)
程なく襲いかかる眠気。そんな「薬の副作用」に身を任せ、隆士は眠りに落ちていった。
171「終わりの始まり」:2005/06/21(火) 05:55:33 ID:8LnAG14y
「………さん…、……うs……さn……」
隆士の耳に、聞き慣れた声。身体の下の方から聞こえてくる。
目を開けると、腕の中には、既に目覚めた梢の姿。
「隆士さん、そろそろ起きないと…」
「ん…、よく眠れた?」
遠慮無く欠伸をしながら聞く。
「はい、とっても。…あれ?」
梢が首を左側に…、つまり横になっている状態で、部屋の上の方に捻る。
「ん?梢ちゃん?」
その意味がよく分からず隆士が尋ねた。
「…ごめんなさい。短針を見間違えてました…。まだ6時前です…」
壁に掛かった時計を見ていた。
「早く起こしちゃいましたね…」
「いいんじゃない?遅く起きるよりマシだよ」
まどろみつつ隆士は言う。もはや呻くと言った方があってるくらいに眠そうに。
172「終わりの始まり」:2005/06/21(火) 05:56:27 ID:8LnAG14y



「…隆士さん?なんか違和感が」
梢が惚けた顔で言ってくる。寝ぼけ眼の隆士にはなんの事か分からない。
「何が?」
「足の付け根の辺りになにか…」
(足の付け根…?)
まどろむ隆士をよそに、梢が手をその部分に持っていく。
隆士は、鎖骨の辺りに頭がくるように、梢を抱いている。身長差20cm弱。隆士は寝起き。そして梢は…。
「…あら、隆士さん。どうしたんですか?」
「!!!梢ちゃんっ!?」
梢は、手に持った硬いモノを、先端を重点に「にぎにぎ」する。
「ちょっっちょ、こずえちゃっ!ぅは!痛いって…、あっ!」
実際感覚としては痛いのだが、触ってるのが胸の中にいる恋人なら、別の話だったりする。
「なぁんにもしてないのに、こんなにかちかち…。…変な夢でも見ました?」
「いや、っそ、そんなっ!こっっこれは!男のせいっあはぁ!生理みたいなもので!」
「へぇぇ〜、生理の割には、相当感じちゃってますけど?」
「だっっd、だって、そんなにされれば…、」
「舐めたりとかしてないから、痛いんじゃないんですか?」
「…っ、な…、っ、なんか…、梢ちゃんにっ、触られるとっっ、なんっか…」
「痛いのに気持ちいいなんて変態さんじゃ、ありませんよね?隆士さん?」
「〜〜〜!」
173「終わりの始まり」:2005/06/21(火) 05:56:36 ID:8LnAG14y
…別にそういう教育をした訳ではなかった。そういう本を読んでる素振りもなかった。
普段の性格を考えても、そんな事あり得なかった。むしろ性格から考えれば、現代人においての年相応の性知識を備えているかすら、危ういと思っていた。
なのに、何故こういう事になったのか、隆士には見当もつかなかった。
でも、そう言ってももう遅い。目覚めてしまった物は止められない。
隆士と関係を持った梢が、少しづつその性格とは反対に、サドになっていくのが、隆士には不思議でたまらなかった。
それと共に隆士は、梢になされるままになればなるほど、マゾになっていく自分が少し情けなかった。
「こっっこ、こずえちゃ…、ぅん、梢ちゃん…」
「隆士さんの声、可愛い…。でも、そんな可愛い声を出してもやめてあげませんからね?」
隆士を見る梢の顔は、どことなく小悪魔的。絶対隆士以外には見せない顔だろう。
「この首の噛みあとは…、ぅぁ…、梢ちゃんがやったの?」
昨日の朝から気になっていた事。それを途切れ途切れに聞いてみた。今しか聞けないと思ったから。
普段の梢にそう言う事を言うのは、何だか気が引けた。こういう「えろえろモード」の時に聞くしか、手は無いと思ったから。
「ええ、だって隆士さんは、私の物ですから。名前を書いておかないと…。そうでしょ?隆・士・さ・ん?」
「へえぁ、梢ちゃん!」
そう言われてゾクッと来る隆士。つくづく堕ちたと思わずにはいられない。
「感じてる隆士さん…、あぁぁん可愛い…。でも、このままだとかわいそうだから、ちゃんと舐めてあげますね」
そう隆士に言う。
「あ…。そんな。朝なのに…。うぁぁ…」
そう言いつつ、可愛いと言う時の梢の表情、それが少し気になった。
(なんか、これって…)
174「終わりの始まり」:2005/06/21(火) 05:57:11 ID:8LnAG14y
「まさか朝から…」
ほどよく疲れていたため、授業中に爆睡気味だった隆士。銀先生に折檻を受ける事になるのだが、そのときに言われた言葉。
『女は、エクスタシーを覚えると、変わっちゃうんですよ〜。でも、それに甘んじて毎晩毎晩そっちにうつつを抜かしてると、単位は取れませんからね〜』
…さすが銀先生。なんでもお見通しだった。
(噛みあと…、消えてなかったかな…)
さすがにそれはなかったのだが…。

帰宅途中。電車の中。ボケッと外を見る。
背の低い駅員が、一所懸命旗を振って合図をしている。高校生が続々乗ったり降りたり。学習塾や水泳に向かう小学生たち。買い出し帰りで袋をいくつか持った主婦。
でも、そんなの目には入らない。
結局隆士は、ほぼ一日(折檻されている間は除いて)梢の事が頭を離れなかった。
175「終わりの始まり」:2005/06/21(火) 05:57:48 ID:8LnAG14y
数日後…。
土曜日。焦る必要はない。のっそり起きる。時間は10時半くらいか。
…誰もいない。
(みんな出かけちゃった…?)
とりあえず、台所に向かう。最近、何かあると梢は、書き置きを残していくようになった。
(普通はこういうの、メールでやるのかな…)
携帯を持たない二人。でも、逆にそれくらいの距離は合った方が、この二人にはちょうど良い気もしなくはない。
例によって書き置きがあった。どうやら梢は、朝美と買い出しに出かけたらしい。恵は大学に用があり、珠実も部長お出迎えで拉致されていったらしい。
(…そう言えば朝美ちゃん、今度友達と出かけるって言ってたっけ)
何故置いて行かれたか。鈍感な隆士には想像もつかないだろう…。女性に疎い隆士には。
と、そうなると、この家に居るのは灰原と沙夜子…。

(灰原さんが居て、他の人が居ないんだ…)

人間とは、突然いろいろ思い付く生き物だ。隆士も例外ではなく、突然、これまでの悩みに、光を当てる方法を思い付いた。

(そう言えば…。灰原さんって、かなりの間ここにいるんだよね…)

ずっとここにいる住人なら、当然ながら梢を小さい頃から見ていることになる。

(そうなると、梢ちゃんのこと…。もしかして…。)

藁をもすがる思い…、なんて言ったら灰原に失礼か。でも、隆士がそれに近い感覚だったのも事実だ。手詰まりだったのも否定できない。

(…よし)
隆士は決めた。
何かが変われば、そう願っていた。でも、その願いより、何かが変わると言う予感の方が大きかった。
176「終わりの始まり」:2005/06/21(火) 05:58:33 ID:8LnAG14y
「灰原さん、ちょっといいですか?」
灰原は例によって、中庭の池の縁に腰掛けて、糸を垂らしていた。
「おう、なんだおめぇ、置いてかれたのか」
「えぇ、まぁ」
頭を掻きつつ、灰原の隣に座る隆士。
「で、なんか用か?」
「はい…」
聞こうと決めた。事態を打開しようと決めた。梢のためになろうと決めた。
だから躊躇わない…、つもりだったが、やはり何か、触れてはいけない絶対領域に触れようとしている気がして、二の足を踏む。
(…いつもこんな感じでダメだったんだよね)
一瞬過去を振り返り、深呼吸。
(…だから、それは繰り返したくないんだよ)
と、覚悟を決めた。

「…梢ちゃんの事です。僕に、梢ちゃんの両親の事を、聞かせてください」
言った。もう戻れない。過去を知って、梢ちゃんをどう支えるか、決めるんだ。と、心に言い聞かせた。

「そう言う事か。…」
一瞬黙り込む。本体も手も、何か考えて…。
「…正直、あまり話したくねぇんだけどよぉ…。まぁ、いずれは知る事になるからな…」
言いづらそうに切り出す。でも、隆士は揺らがない。
「はい」
それだけ言った。
「ちょっと来い。日の下じゃ話しづらいからな」
177「終わりの始まり」:2005/06/21(火) 06:07:19 ID:8LnAG14y
覚悟はしていた。覚悟はしていた。そう、覚悟はしていた。そのつもりだった。
でも、梢の過去は、想像していた以上に凄まじかった。


「あいつはな…、半ば捨てられたも同然で育った…」
小学2年くらいの頃に一度、借金苦で両親は失踪した。そのとき、梢は置いて行かれた。古くからの友人であった灰原に、半ば押しつけるような形で。
誠実な人間だった梢の父親。その誠実さから、ある知人に借金を押しつけられ、逃げられてしまったのだった。額は1億以上。アパートの管理人が、どうにも返せる額ではなかった。
数年経って、灰原らが両親を説得し、何とか連れ戻したのが、それまでの間に何度も、梢は借金取りに襲われそうになっていた。
「相当傷ついたみたいだったな…。あのときは…」
両親が帰ってくる前は、生気を失ったようにうつむいた状態で、言葉も交わそうとはしなかった。
しかし梢は、親を気遣ってか、両親が帰ってからは明るく振る舞っていた。いつも以上に笑顔を作って、家事も母親の代わりに、いろいろとこなしていた。
しかし、どうやらそれが両親に新たな亀裂を生じさせた。

梢の父親は朝から深夜まで職を掛け持ちして、かなりの金銭を稼いで、借金の返済に充てていた。
母親も、パートや内職で、生活を支えていた。
でも、それが梢に負担を掛けていると、両親は心を痛めていた。しかし、それよりも先に、そんな生活への疲労が溜まっていった。
程なく酒におぼれる両親。そんな二人を心配そうに見つめるも、近づきづらかった梢。
次第に梢と両親との距離は離れていく。
梢はアパートの住人に支えられ、アパートの管理人の役割を担い、既に子ではなく、一人の人間となっていた。
両親は、二人ともパート先の賄いで食事を済ませ、帰宅したら酒を飲むだけと言う状態だった。
そうして、2年が過ぎ、梢が小学6年になったある日…。
「梢の両親は、やっと借金を返せたと、喜んで帰ってきたんだ」
どうやって返したのだろう…。1億以上あった借金は、既に手元から消えていた。
梢は何も知らず、両親を労う。でも、他の誰もがそれを怪しいと思い、疑った。
178「終わりの始まり」:2005/06/21(火) 06:08:37 ID:8LnAG14y
「で、次の日…。どうなったと思う?白鳥」
「…え?」
隆士は見当も付かない。

「日曜日だった。昼間、いきなり検察がガサ入れに来た…。何のことかと、俺は呆然としていた。そしたら、梢の両親のいた部屋から…」
梢の両親は、睡眠薬を大量に摂取した上でアルコールを飲み、既に息絶えていた。
そんな光景を、物事が分かり始めていた梢はそのままの状態で見てしまった。梢は錯乱したが、検察官が落ち着かせ、語りかけた途端に気を失い、2日間眠り続けた。
2日後、目を覚ました。事態を把握した直後に発した梢の言葉に、周囲の誰もがハッとした。
「『お父さんもお母さんも、頑張ったんです。だから、寝かせてあげてください』そう言ったんだよ。俺らに」
どうやら両親は、かなり危ない道に足を踏み入れていたらしい。適法か違法か、そのすれすれで、様々なことをやっていたらしい。
その頃から、梢の病は本格的に発症した。葬式が終わって、7日経たないうちだった。
「正直、俺らは『アレで済んでよかった』とか思ったよ。もっとひどい状態になると心配していたんだから。繊細な子供ほど、そう言う傷は深くなるからな」
それでも梢は、この鳴滝荘を支え続けてきた。
179「終わりの始まり」:2005/06/21(火) 06:09:02 ID:8LnAG14y
話は意外と短時間で済み、部屋を出ると、まだ日がさんさんと照っている状態だった。
部屋を出るとき、最後に言われたこと。
「さっき両親が帰ってくる前は、俯きっぱなしだったって言ったろ。どうもあの頃の梢は、棗と重なるところがあるんだ…」
その言葉を気にしつつ、自分の部屋にはいる。
隆士にとって、知らないことだらけだった…。でも、それを知った今、むしろ不安は増大していた。
(僕に梢ちゃんを支えられるのかな…)
あまりに悲惨な過去。それを受け止めきれるかどうか。隆士には、不安でたまらなかった。
180「終わりの始まり」:2005/06/21(火) 06:09:23 ID:8LnAG14y
「…何か、あったの?」
珍しく沙夜子から声を掛けられる。縁側に座っていた灰原は、空をぼーっと見ていた。
「あ?…あぁ…」
灰原は、やる気なさげに返事をした。
「白鳥にな、梢の昔のことを話してやった…。思い出したくねぇ過去だがな…」
古傷がうずく。そんなところか。ちょっと苦い顔をして、空を見ていた。
「そう…」
沙夜子はその様子を見て、何となく灰原の隣に座った。

「なぁ、沙夜子…。一つ聞いてもいいか?答えたくなければ良いんだがな…」
「…え?」
沙夜子がキョトンとした顔で、灰原を見る。

「愛する人を失う気持ちって、どんな感じなんだ?」
「…。…」

灰原自身、何故そんな言葉を口にしたかよく分からない。でも、何だか変な予感がしていた。妙な感覚があった。それだけは分かった。

冷たい風が吹いてきた。
181「終わりの始まり」:2005/06/21(火) 06:12:30 ID:8LnAG14y
ageちゃった〜〜〜〜〜〜〜〜〜!orz
ごめんなさい…。

さて、ここまで書きました。あとどれだけ続くんだろう。そして、次はいつ投下できるんだろう…。
そんな不安を持ちつつ、仮眠を取ろうと思います。

「日本国憲法」ウザス。
182名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 07:47:52 ID:sMFtoYFa
>>181
あなた、ネ申ですね。
隆司の心の変化が繊細に描かれていて、なんというのですかね、「隆司頑張って」と言いたくなる感じです。
意味不明な感想でゴメンナサイ。これからも頑張ってください。
183テイル:2005/06/21(火) 07:50:42 ID:P7TXz+lh
>>181
電車の中からGJ!
語り部バラさんカッコイイ…

しかし随分ダークな方向ですな。展開が全く読めません。
続きを首を長くして待ってます。
184名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 09:57:04 ID:2dbDzGsE
サディスティックな梢さんにドキドキしました///
核心部のコメントじゃなくてこんなコメントでゴメン
185名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 10:13:34 ID:Qsne7BXG
白鳥くんは基本的に受けキャラなのでこれでCorrectなのです。
186名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 10:56:14 ID:2dbDzGsE
実際の所白鳥君と梢さんって体力はどっちが上なのかが気になる・・・かも
“ほぼ同等”って気がものすごくする・・・かも
187名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 11:08:35 ID:JpqG06Ya
神揃いで今までビビり続けていましたが、
書いたものはUPしないと意味がないですよね…。

というわけで人生初SSですので、
至らない所だらけとは思いますが、そろそろ投降させていただきます…。
188名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 11:09:01 ID:Qsne7BXG
梢サンは身体能力的には他の人格と共通。
早紀・千百合のパワーや棗の器用さ、それを併せ持ってるわけです。
ただし、彼女らのように効率のいい使い方を知らないので
無駄が多くなっていると思われます。

逆にお子様で加減を知らない魚子が一番危険だったりします。

なので、梢サンも「その気になれば」白鳥くんじゃ手も足も出ないかと。
189One day +One:2005/06/21(火) 11:11:35 ID:JpqG06Ya
キーンコーンカーンコーン

「梢ちゃん、一緒に帰るです〜」
「はい♪」

梢さんと球実さん、学校が終わったようです。
今日も二人は仲良しですね。
「今日の夕ご飯は何にしようかなー。
球実ちゃんは何か食べたいものとかある?」
「梢ちゃんが作るならなんでも良いです〜」

二人が廊下を歩いていると、
「お待ちナさイ球実部員」
怪しい人が声をかけてきました。
「あ゛〜…なんですか部長〜。
せっかく梢ちゃんと二人で帰ろうとしていたのに〜」
怪しい人は部長さんでした。
190One day +One:2005/06/21(火) 11:14:01 ID:JpqG06Ya
「今日は一年ぶリに、降霊会ヲ行う日デスよ?」
「そんなの知ったこっちゃないです〜」
「去年は誤っテおかシナ犬の霊ヲ呼んでシまイまシたガ、
今年ハ成功させマスよ」
「勝手にやってろ陰険、です〜」
「ハァぁぅ…ッ!」
“陰険”という言葉に反応して、部長さんは悶え始めました。
「イイ…!やっぱリ球実部員ノ雑言は格別にイイでスよッ…!!」
今日も部長さんは気持ち悪いですね。
「さあ梢ちゃん、今のうちに帰るです〜」
「え?でも…」
「いいからいいから〜」
「おヤおヤドコへイクのデス?」
191One day +One:2005/06/21(火) 11:16:07 ID:JpqG06Ya
復活した部長さんは球実さんにのしかかります。
「…しつこいですね〜邪魔するならぶっ飛ばしますよ部長〜?」
「マた私と戦っテ、勝てイる思ッてイルのデスか?」
「あまり調子に乗らないほうがいいです〜」
二人の周りに重い空気が漂い出しました。
梢さんは困っています。

「アスモデ!疾風…」
「このオカルトゾンビ〜!!根暗〜!!マゾヒスト〜!!」
技を繰り出そうとした部長さんに、容赦のない雑言。
「あハふゥン!!」
部長さんはものすごく悶えてしまいました。
「今です!ガルノフ、昇竜烈破斬!!」
192One day +One:2005/06/21(火) 11:18:09 ID:JpqG06Ya
悶え、がら空きになった部長さんのボディに、球実さんの攻撃がもろに入りました。
…もちろん、二人以外には見えていません。
「ぅゥウ…卑怯デスよ、球実部員…」
「秘境も都会もないです〜」

いつもなら正々堂々と戦う球実さんですが、梢さんのこととなると話は違います。

「さあ今度こそ、梢ちゃん帰るです〜」
しかし、あろうことか梢さんは
「あの…私でよければ手伝いましょうか?」
と、倒れている部長さんに向かって言いました。
「こっ梢ちゃん〜!」
「…イいエ、それ二は及びマセんよ、梢部員」
193One day +One:2005/06/21(火) 11:23:16 ID:JpqG06Ya
立ち上がりながら話す部長さん。
「不意打ちヲ食らッタとハいえ、私の負けデシタ…
降霊会は諦めマショウ…」
まだ微かに震えている部長さん。
その潔さといい、不気味です。
「でスかラ、今日ハ球実部員と梢部員のオ家に、
遊ビにイクことにシまシタ」
ニヤリ、と部長さん。
「何やらオモシロイことがアるヨうナ気がスルのデス」
「え〜!」
「はい、どうぞいらっしゃってください♪」正反対な二つの意見。
「とイう訳デ、帰りマショウ」

「マ゛〜…。梢ちゃんと私の、二人きりの、至福の時間が〜…」
194名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 11:24:46 ID:JpqG06Ya
すいません、書いているうちに非常に長くなってしまいました。
恐らくとんでもない長さになってしまうと思いますが、
これからもちょくちょく投降させていただきます。

稚拙な文章で申し訳ございませんでした…。
195名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 12:01:39 ID:Qsne7BXG
いえいえ、これくらいの長さならこのスレでは標準くらいですよ。
昼間の投稿は連投規制されやすいですが、頑張ってください。
196194:2005/06/21(火) 12:29:21 ID:JpqG06Ya
いえ、まだ終わりじゃないんです。
かなり書き進んじゃってるんですが、40レス分以上の長さでも
大丈夫でしょうか?
内容にとても自信がないので…。

でもまあ、夕方あたりにでも続き上げます。
197名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 12:40:57 ID:2cN7+HfG
なら、1つのレスにもう少し文章を詰めれば良いと思うぞ。
198テイル:2005/06/21(火) 12:42:59 ID:P7TXz+lh
>>194
何に負けたんですかw

ともあれ、一部の誤字を除いて大体良かったと思います。
部長と珠実の掛け合いもいいですね。

あと、現在投下されている大作の長さに比べれば大した事はないので、是非次回作も投下してください。
期待してますよ。
199名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 12:51:11 ID:Qsne7BXG
参考までに言っておくと昼間とかは8レス連続投稿すると
規制で10分くらい書けなくなるから要注意デス。
…経験者は語る。

完結まで書いちゃってるならどこかのあぷろだに上げちゃうのも手ですけどね。
200名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 13:14:38 ID:J+XiKyhm
球実⇒珠美
続きがんばってね
201名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 14:33:56 ID:9/BchjTW
珠実じゃなかったっけか?
202名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 15:05:32 ID:oQPHAcdh
珠実。それと朝美です。
俺はとあるSS、最後までそれに気付かずに書いてしまったことがありますorz
203202:2005/06/21(火) 15:07:47 ID:oQPHAcdh
…ああ、ワンデイの文中で「球」実という誤記がありましたね。
まあ凡ミスはあるものですよね。
204ぐうたら:2005/06/21(火) 16:03:06 ID:Qkf1aAaj
むう、この短期間でこのレススピード、投下数…
もしかすると容量オーバーもありえますなぁ…

ここから独り言
蒼終わらNEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!!
205名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 17:35:33 ID:f1aNoFP4
もう数日したら怪獣ナースばりに長いの落としますんでよろしく。
206名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 18:55:36 ID:oQPHAcdh
確かに進行が早すぎですねぇ。
原作スレと消費速度が同じって…
207194:2005/06/21(火) 20:05:45 ID:JpqG06Ya
>>197
パソコンは諸事情で使えないので、
自分は携帯から(しかも古い)投降させてもらってるのです。
ですから、一度に全角250字程度しか入力できないのです…。

>>198
テイル氏からのそんなお言葉、自分にはもったいないです!

>>200
ああ!本当ですね!
珠実でした…orz

すいませんすみませんごめんなさい申し訳ございませんでした。

上にも述べましたが携帯からなので、
投降の時に書き込むスピードも僕のスピードになってしまいますが、ご容赦願います。

では、珠修正しながら投降させていただきます…
208One day +One:2005/06/21(火) 20:07:24 ID:JpqG06Ya
いつもの帰り道。
しかし、一つ違うことがあります。
不審人物を加えた、三人で歩いていることです。
「もしかして部長って寂しがり屋ですか〜?」
「さ、寂しがり屋!?ソレは私へノ悪言デスか?(ゾクゾク)」
「違うですよぅ〜!」
時折特定の言葉に反応して悶え出す、黒マント。
どこから見ても“不審人物”です。危険ですね。
「どうしました部長〜?」
「先程カら誰かニ罵ラれていル気がスるのデス…(ゾクゾク)」
209One day +One:2005/06/21(火) 20:09:06 ID:JpqG06Ya
二人と不審人物が歩いていると、阿甘堂の前まで来ました。
何やら騒がしいですね。
見ると二人の女の人が一人の男の人に必死に何かを頼んでいます。
「買っていってー」
「買っていってヨ〜」
「ええと…じゃあ、買っていこうかな…」
「ありがとう!」
「ありがとうヨ〜!」
二人の女の人に非常に感謝されています。
「あれは白鳥さんですね〜」
見ると確かに白鳥くんでした。
「白鳥さーん」
梢さんが白鳥くんのところへ行きます。
「こんにちは、白鳥さん♪今お帰りですか?」
210One day +One:2005/06/21(火) 20:10:40 ID:JpqG06Ya
「あっ梢ちゃん。ちょうど良かった。はい、これ」
白鳥くんは袋を渡します。
「みんなの分まであると思うから」
中にはお団子などの和菓子がたくさん入っていました。
「ありがとうございます、白鳥さん!帰ったら皆さんとお茶にしましょう」
「うん!」
「ホほウ、確かニタマなしサンと梢部員ハ仲睦まジイカップルデスね」
そんな二人の様子を眺める部長さん。
「です〜見てるこっちが妬けてくるです〜」
「マあまア、そンな時はヤッぱりコノ『ザ☆悪魔…』」
「あのー」
「ちょっといいかヨ〜?」
211One day +One:2005/06/21(火) 20:12:11 ID:JpqG06Ya
変な本を取り出そうとした部長さんでしたが、
二人の女の人に止められてしまいました。
「和菓子買っていって〜」
「ヨ〜」
二人とも必死です。
「何故アナタがたハそンなに必死ナのデスか?」
部長さんが聞きます。
「じ、実は…」
「阿甘堂の向かいに新しく洋菓子屋さんができたヨ〜。
それでお客さんとられてるヨ〜…」
「全然こないの…このままじゃ、私たちの阿甘堂がつぶれちゃうかも…」
「また路頭に迷うヨ〜…」
「ヨ〜ちゃん!」
「旭お姉さん〜!」
腕を取り合い、見つめ合う二人。
目には涙を浮かべています。
212One day +One:2005/06/21(火) 20:14:07 ID:JpqG06Ya
「仕方なイデスね。私ガなんトかシまショウ」
「本当に?」
「買っていってくれるのかヨ〜?」
「イえいエ、モッと簡単なことデス。
珠実部員、少シ手伝ッテくだサイ」
「めんどくさいですね〜」
珠実さんはぼやきながら部長さんと並びます。
そして突然、
「珠さ〜んチェ〜ック!!大!ドンデン返し!!」
部長さんと珠実さんは、変な呪文を唱えだしました。
「興シ、繁栄、栄え、集マれ!」
部長さんの掌に紋章が輝いている…ような気がします。
「はァっッ!!」
部長さんの掌から発射された光が阿甘堂に降り注いだ…
気がしました。
213One day +One:2005/06/21(火) 20:16:09 ID:JpqG06Ya
「……?どうなったの?」
「…何も変わらないヨ〜?」
部長さん達の怪しげな行動を眺め、呆然としていた二人。
その怪しげな行動と裏腹に、阿甘堂には何も起きません。
「決まりましたね〜部長ビーム〜」
「珠実部員、変な名前ヲつケないでクダさイ。
しカし、コレでイイのデスよ。今ニ変化がアるでショウ」
部長さんがその言葉を言い終えた時でした。

ドドドドド…

低い地響き。
「な、何?」
「何だヨ〜?」
その答えはすぐにわかりました。

人。
遠くから、近くから、やってくる人、人、人。
人の波でした。
214One day +One:2005/06/21(火) 20:18:09 ID:JpqG06Ya

ド ド ド ド ド …

それらは全て、阿甘堂に集まってきます。
「ひぃぃ!?」
「ヨ〜!?」
あっという間に人の波に呑まれてしまうみなさん。

「待って〜!ちゃんと並んでくださーい!!」
「押さないでヨ〜!!」

「わっ!なんだこの人たちは!?…梢ちゃん、こっちだ!!」

「クッ…。効キ目が強スぎタようデスね…」
「笑い事じゃないです〜!どうするんですか〜!?」
「ドウにモなりマせンね」


…なんとか抜け出せた部長さんと球実さん。
「まったく〜、とんでもない目に会ったです〜」
「クッ」
215名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 20:23:37 ID:JpqG06Ya
今日はここまでです。
中途半端なところで切ってすいません。

スレの消費を異様に早くしちゃってるの自分ですね…。
216名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 20:29:09 ID:8GbXWhnH
>>215
まあまあ、今はラッシュの最中ですから消費が早いのは必然ですし。
携帯からの投下、乙です。まほらばらしく、と言うか部長らしくて好きですよ。

細かいことですが、>>214に球ちゃんがまだ残ってますねぇ…
217名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 20:38:32 ID:Qsne7BXG
まずい…。
えちシーンだけで350行オーバーになってしまった…。
さて、これどうしよう…。

>>215
もっと激しく消費してる人がいるからご安心をorz
218名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 20:41:02 ID:z3/PPaG2
実は1レスに文章を詰めない方がスレ容量に優しいのかもしれない・・・。ということで>>215GJ。
219We'd get there someday:2005/06/21(火) 21:07:13 ID:Qsne7BXG
「…落ち着きましたか?」
「うん……」
梢ちゃんの腕に抱かれたまま、僕はようやく落ち着きを取り戻した。
その温もりと優しさに撲は安らぎを覚えていた。
「…本当を言えば、自分がどうなったか知ったとき驚きました」
「……」
「でも…よくよく考えたらそんなに驚くことでもなかったです」
そう言って梢ちゃんは僕を抱きしめる力を強めた。
「隆士さんが女で…私が男なら釣り合いも取れてますしね」
「梢ちゃん…?」
「こんな風に言っちゃうとなんですが…実は隆士さんのこと羨ましく思ってたんです」
「え……?」
僕は彼女の思わぬ発言に驚いて、彼女の顔を見上げて。
梢ちゃんは恥ずかしそうに照れながらも言葉を続ける。
「私なんかよりずっと美人で…スタイルもよくって。 なんだか守ってあげたくなるって言うか…」
「は、はは……」
「さっきも言いましたが同じ女として、ちょっと悔しいな、って思ったりしてます」
梢ちゃんの発言で僕はお風呂場でのやりとりを思い出していた。
確か、さっきもそんなことをいっていたっけ…。
そう言えば今日の梢ちゃんはいつにも増して積極的だったというか、ちょっと様子が違っていた。
ひょっとしたら僕のときと同じように精神的なバランスが乱れているのかもしれない。
「なんだか不思議な気分です…」
「僕も…」
「隆士さんって、ホントに可愛いです…」
「そ、そう? あ、ありがとう…」
梢ちゃんは褒めてくれるけど、僕にとってはちょっと複雑な気分…。
220We'd get there someday:2005/06/21(火) 21:07:35 ID:Qsne7BXG
「あの、隆士さん…」
「何? 梢ちゃん」
「実は…さっきからずっと思ってたんですけど……」
そう言いつつ梢ちゃんは僕を抱く手を緩めて、僕と向き直った。
梢ちゃんは頬を染め、視線を泳がせている。
「どうしたの? 梢ちゃん」
「あの…その……」
「……?」
「実は、その……さっきからお風呂の時のことが頭から離れなくって……」
お風呂の時……。
何のことかと思案する必要もなく、梢ちゃんの態度の理由は察しがついた。
「えっ!? えっと…それって…」
「なんか、今日は変なんです…。 お風呂の時も、ご飯の時も、海で人工呼吸したときも…」
「…じ、じんこうこきゅう!?」
「あっ……」
そう言えば、溺れたとき柔らかい感覚がした後、目が覚めたけど…。
「その…しちゃいました。 なりふり構っていられなくて…」
「………そっか」
むしろ適切な処理だったなら僕は感謝すべき事だった。
梢ちゃんが申し訳なさそうにすることはない。
「ありがとう、梢ちゃん」
「いえ…ホントは珠実ちゃんがやろうとしたんですけど無理言って私がしたんです」
「そ、そうなの?」
「慣れないことだったんで余計に手間取っちゃったんですけどね…」
そう言って梢ちゃんは苦笑いした
221We'd get there someday:2005/06/21(火) 21:07:55 ID:Qsne7BXG
「あ、あの…それで……」
「う、うん…」
梢ちゃんの言いたいことはもう察しがついていた。
彼女の態度、男になった影響を考えればある意味当然かもしれないけど…。
「その…いいですか?」
普段控えめな彼女の要求。
それだけその欲求が強いって事なんだろうけど、気になっていたことが一つ。
本来とは男女が逆になってるのにしてしまって大丈夫なんだろうか?
「でも…いいのかなぁ…」
「えっ…あ、そういえば隆士さん、初めてなんでしたよね」
「…初めて?」
「あっ、いや、その…お風呂の時…確かめましたから…」
「……? …………っ!?」
なんだか論点が異なっているけど、僕は口籠もる彼女の様子でようやく気がついた。
僕たちが普通の状態では既に経験済みなのは確かだった。
でも僕が女の状態で経験したことはない…つまり僕は未経験、ということになる。
さすがに僕も動揺を隠せなかった。
「ええええっ!?」
「や、やっぱりダメですか…?」
「い、いや…」
222We'd get there someday:2005/06/21(火) 21:08:11 ID:Qsne7BXG
僕はしばらく考え込んだ。

本来、僕は男なのに大丈夫なのか───?
いや、梢ちゃんだってそもそも女なのに出来るんだろうか───?
もし途中で魔法が切れたりしたら───。

あれこれ考えていたけど、僕も梢ちゃんの初めてをもらっているじゃないか。
なら…僕の選択は決まってるも同じ。
「梢ちゃん…いいよ」
「…っ! 隆士さん…本当にいいんですか?」
「梢ちゃんとおあいこだからね」
「隆士…さん…」

そう言ってふたりで微笑み合う。
僕たちはゆっくりと近づき、深い口づけを交わした。
223We'd get there someday:2005/06/21(火) 21:08:32 ID:Qsne7BXG
「ん…ふ……ん……」
「……っ、はぁ…」
余韻を味わうかのようにゆっくりと唇を離す。
ふたりの唇に細く光る橋が架かり、不思議と興奮した。
「なんだか、不思議な気分…何でこんなにドキドキするんだろう」
「私もです…」
僕たちはすでに何度か経験済みだった。
でも今はこれまでにないような高揚感を感じている。
「梢ちゃんも初めての時はこんな風にドキドキしてたのかな…」
「正直…よくわかりません…」
ひょっとしたら、また魔法の影響を受けているのかもしれない。
「あの…隆士さん、触って…いいですか?」
「あ…うん、ちょっとまって」
梢ちゃんに請われるようにして僕は浴衣を脱いでいった。
逆の立場だったときのことを思い浮かべてゆっくり服を脱いでいく。
梢ちゃんがじっと見守り、僕は彼女に見せつけるようにブラジャーも外し、その身を晒した
224We'd get there someday:2005/06/21(火) 21:08:46 ID:Qsne7BXG
「……こ、こんなにドキドキするのは初めてです」
「ぼ、僕も…」
男だったときとはまた違う興奮が胸に溢れてくる。
それは梢ちゃんも同じなんだろう。
「それじゃ、触りますね…」
「ん……」
梢ちゃんの手が僕の胸に重なり、その熱が伝わってくる。
その指がゆっくりと動き、優しく包み込んだ。
「柔らかくて…隆士さんの鼓動が伝わってきます…」
「へ、変じゃない?」
「いえ、そんなことないですよ」
梢ちゃんの手は胸を包み込んだまま、ゆっくりと指を動かす。
その動きが体の芯まで伝わり、ますます胸が熱くなった。
「ん…なんか…胸が……」
「切なくなってきましたか…?」
「うん……」
「大丈夫ですよ、私もそうでしたから」
彼女はそう言うともう片方の手でも胸を触り始めた。
異なるタイミングで刺激が走り、僕はあっという間に翻弄された。
「んっくっ……な、なにこれ……!」
「これが気持ちいいって事ですよ……」
「そ、そうなの…? …っは…ん……」
「隆士さん……可愛い……」
「っ…はぁ…っ!!」
梢ちゃんはそう言うと乳首を口に含み、歯を立て舌で転がし弄ぶ。
僕は身をよじり、もう完全に梢ちゃんの為すがままだった。
225We'd get there someday:2005/06/21(火) 21:09:03 ID:Qsne7BXG
「はぁ…はぁ…っん……はぁ…はぁ……」
「隆士さん、大丈夫ですか?」
「わかん…ない……」
梢ちゃんの手から解放された頃にはもう何も考えられなくなっていた。
ただただ、大きく息をつくことしか出来ない。
「ちょっと失礼しますね」
「……? こっこずえちゃん!?」
僕の思考が回らないうちに梢ちゃんは僕の股間へと潜り込んでいた。
気付いたときには彼女の眼前に大事なところを晒すような格好にされていた。
お気に入りのストライプの下着越しに彼女の吐息が吹きかかる。
「…隆士さん、恥ずかしいですか?」
「は、恥ずかしいに決まってるよっ!!」
「ふふ…でも私も恥ずかしかったんですよ」
「〜〜!?!?」
「すっかり濡れちゃってますね?」
「んっ! くっ」
梢ちゃんは鼻の頭をこすりつけながらそう言った。
裂け目に沿って刺激がどんどん駆け上がってくる。
自分の意志とは裏腹に下着がじんわりと濡れていくのがわかった。
「これ、お気に入りでしたよね? でも、もうびっしょりですね…」
「あ、あぁ……」
そう言いつつも、梢ちゃんは下着越しに舌を這わせた。
なんだか、梢ちゃんがどんどん変わっていく…。
226We'd get there someday:2005/06/21(火) 21:09:35 ID:Qsne7BXG
ぴちゃぴちゃと水音が響く。
「んっくぅっ、やだっ…あっあぁ!」
いつの間にか下着は脱がされ、梢ちゃんの為すがまま僕は身を仰け反らせていた。
彼女の舌がクレバスを蹂躙し、溢れ出る雫を吸い上げる。
本来、女である梢ちゃんだからこそどこが一番刺激を受けるか、よく知っているんだろう。
それに対して僕は無防備に身を委ねるしか出来なかった。
「ふぁ…あっあああああぁぁぁぁっ!!!」
突き抜けるような衝撃が腰から頭に駆け上がり、目の前が真っ白になった。
人生初めての女性としての、絶頂。
僕の全身から力が抜け、ぐったりとして息をついた。
「はぁっはぁはぁはぁ……」
「気持ちよかったですか…?」
「よく…わかんない…よ…ハァ…」
「隆士さん…可愛かったですよ」
梢ちゃんは悪戯っぽく笑うと僕の唇を奪い、舌を絡めた。
227We'd get there someday:2005/06/21(火) 21:09:56 ID:Qsne7BXG
「…いいですか?」
「うん…」
いったん休憩を挟んで僕たちはまた向かい合っていた。
おそるおそる梢ちゃんの股間にあるものに目をやる。
ホントにこんなのが入っちゃうんだ…。
「あの…隆士さん。 初めては多分辛いと思うんですが」
「あ、そうだっけ…」
「はい。 だから、なるべく全身の力を抜いた方がいいです」
「力を…」
「と言っても難しいと思いますけど…」
経験者の言うことは参考にするべきだけど、梢ちゃんの言うように難しいんだろう。
僕も梢ちゃんとの初めてのときを思い出し、その覚悟をした。
「うん、頑張るよ」
「いえ、頑張らないでリラックスを…」
「あ、うん」
「それじゃ、行きます…」
梢ちゃんはゆっくりと僕の上に覆い被さる。
数回裂け目の上を滑らせた後狙いを定めて僕のそこに熱いモノを押し当てた。
十分に濡れているとは言え、異物が裂け入ってくるのは耐え難い痛みを伴った。
「んっ! 痛っ!!」
「力んじゃダメです、大きく息を吐いてリラックスしてください!」
「う、うん…!」
言われたように脱力しようとするけど、本能的に力んでしまうのはそう簡単に抑えられない。
228We'd get there someday:2005/06/21(火) 21:10:22 ID:Qsne7BXG
「くうっ!」
「隆士さん、頑張って!」
痛みに耐えながら、梢ちゃんの顔を見た。
…そうだ、彼女だってこの痛みに耐えたんだ…。
だったら、僕だって泣き言は言ってられない。
梢ちゃんの手を握り、覚悟を決めた。
「だ、いじょう、ぶ……!」
「…はい! ゆっくり行きますよ…」
「…くっ!」
歯を食いしばりじっと痛みに耐える。
メリメリと裂けるような痛みが続き、ギュッと閉じた目から思わず涙が溢れる。
梢ちゃんがぐぐっと力を込めるとやがて最深部に到達した感触が伝わってきた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁっ……」
「奥まで、入りましたよ」
「っ…ん、うん……」
繋いだ手から伝わる温もり、下半身から伝わる痺れるような熱さ、結合部から溢れる朱い雫───。

僕たちはやっと一つになれた。
229We'd get there someday:2005/06/21(火) 21:10:38 ID:Qsne7BXG
僕たちは繋がったまま抱き合っていた。
僕が落ち着くまで梢ちゃんは待っていてくれたのだ。
「はぁ…はぁ…」
「隆士さん、大丈夫ですか?」
「うん、だいぶ…慣れてきた感じ…」
「では…」
梢ちゃんは抱き合う腕をほどき、ゆっくりと動きやすい姿勢に変えた。
互いを正面に見据え、彼女は小さく腰を一振りした。
その瞬間、また傷口を触られるような痛みが走る。
「くぅっ!」
「我慢してください…次第に慣れてきますから」
「う、うん…くっ!」
梢ちゃんは僕を気遣うようにゆっくりゆっくりと腰を動かし続けた。
僕は目を閉じ、歯を食いしばってそれに耐えた。
手に自然と力が入り、シーツを握りしめる。
「うっんっうぅっくっ!」
しばらく耐え続けると結合部から血以外のものが溢れ始め、だんだん痛みも和らいできた。
「んっ……ちょっと…慣れてきた…かも」
「はい…」
梢ちゃんは僕の様子で察したのか、少しペースを上げる。
さっきよりだいぶスムーズに出入りするようになりだんだん痛み以外の感覚が増してきた。
「んっんっ……あっんくっはぁ……」
「どうですか…?」
「うん…続けて……」
梢ちゃんがスピードを上げると徐々に粘着質な水音が大きくなっていった。
熱いモノが出入りするたびに僕の内部をこすり、何かがじりじりと下半身をせり上がってくる。
いつしかそれは痛みではなくなり、ジンジンと痺れるような快感へと変わっていった。
230We'd get there someday:2005/06/21(火) 21:10:56 ID:Qsne7BXG
「あっ! あっんっ、ああっはっ!」
「隆士さん、もう平気ですか…?」
「うっうんっ! なん、かっすごっ、いっ!」
梢ちゃんの腰が動くたび、快感の波紋が全身を駆けめぐる。
もうすっかり痛みはなくなっていた。
予想していたよりも遙かに大きな快感に理性は飛びそうになっていた。
「なにっこれっ、こん、なっすごいっ! あぁっ!」
「隆士さん…もうこんなに感じちゃってる…」
「だ、だってっ! こんなのっ…!」
「隆子ちゃんのえっち♪」
「えっ、ええっ!? そ、そんなっことっ……!」
更にスピードが増し、快感が加速する。
「ひっ!? あっああああっ!?」
「初めてなのにこんな感じちゃって…私はそんなじゃなかったですよ?」
「だ、だって…くっ、ああんっ!」
「隆子ちゃん、気持ちいい…?」
いつの間にか呼び名が変わっているけど、そんなことはもうどうでもよかった。
梢ちゃんは空いている両手で更に胸を揉み、腰を動かし続けた。
僕はもう快感の波に飲まれるだけ…。
「きっ、気持ち、気持ちいぃ、いいよぉっ! こずえちゃんっ!」
「隆子ちゃん…可愛い…」
「すっすごいっすごいよぉっ!!」
231We'd get there someday:2005/06/21(火) 21:11:12 ID:Qsne7BXG
「はぁはぁ、はぁはぁ…梢ちゃん…もうっ……」
「うん…隆子ちゃん、いい…?」
「うん…いいよ…」
互いに限界近くまで来ていることを知り、僕たちは確かめ合った。
僕が頷くのを確認すると梢ちゃんはラストスパートをかけるようにスピードを速めた。
結合部が捲れ上がり、血の混じった潤滑液が卑猥な音を立て飛び散る。
「あっあっあっあっあっああっ!!!」
「はぁはぁはぁ…!」
梢ちゃんは痙攣しているような早さで突き入れ、僕はつま先立ちで腰を浮かせそれを受け入れた。
軽い絶頂が何度も押し寄せ、ガクガクと体が揺れる。
「隆子ちゃん……!」
「うんっ……来て……!」
「ううっ…!」
梢ちゃんがうめいたその瞬間。
ひときわ熱い濁流が僕の胎内に迸った。
繋がった部分から伝わる熱が僕のお腹の中に染みこんでいくのがわかる…。
「あっああああああああああああぁぁぁぁぁっっ!!!!」
激しい絶頂に僕の内側は収縮し、梢ちゃんから出た物を逃すまいと蠢く。
梢ちゃんから放たれたものは何度も何度も僕の胎内に注ぎ込まれていった。
「あっ……ああ……」
「りゅうこ……ちゃん……」
僕たちはぐったりと脱力し、折り重なるように倒れ込んだ。
荒い息を吐き出しながらも僕たちは唇を貪りあう。
「こずえ…ちゃん……」
「んっ……」
ずるりと結合部から梢ちゃんのものが引き抜かれると、入りきらなかった白濁と血がどろりとこぼれ落ちた。
232We'd get there someday:2005/06/21(火) 21:11:32 ID:Qsne7BXG
「ふう……」
「隆士さん、無茶しちゃってごめんなさい…」
「あっ、いいよ、平気だから…」
その後、2回ほど繰り返して僕たちはようやく一息ついた。
さすがに初めてで連戦はきつかった…。
「まぁ…滅多に体験出来ないことだしね……」
「はい…隆子ちゃん、可愛かったです」
「あ、あはは……」
何というか、している最中の梢ちゃんの性格は随分変わっていた。
「なんか、隆子ちゃんが凄く可愛くって…意地悪したくなっちゃって…」
「そ、そうなのかな…」
自覚はないけど、あんまり嬉しい気はしない…。
「珠実ちゃんの気持ちがわかった気がします」
「あ、あまり嬉しくないなぁ…」
「ふふ…でも、もうさすがにこれ以上は無理そうです…」
「うん…腰が抜けそう…」
「すいません、無茶しちゃって…」
梢ちゃんは申し訳なさそうにしているけど、まあ満足してくれたならいいか…。
233We'd get there someday:2005/06/21(火) 21:11:47 ID:Qsne7BXG
「それにしても大丈夫なんですかね…」
「えっ…?」
「その…中にいっぱい出しちゃいましたから…」
「あっ……」
そう言えば、3回とも…。
最後はほとんど入らなかったけど、それでもこれだけ入れば万が一のことがあってもおかしくない。
というか、そもそもこの状態でして大丈夫なのか、それが問題だった。
「う〜ん…まあ、考えても仕方ないし、僕は梢ちゃんとなら構わないよ」
「そう言う気楽な問題でも…」
「もし赤ちゃんが出来ちゃっても僕は梢ちゃんの子供なら嬉しいよ」
「……」
「何があったってふたりならきっと大丈夫だから、ね?」
「…そう、ですね。 いざとなったら私がパパになりますから♪」
「あははっ」
僕たちは笑い、そしてまたキスをした。

未来はどうなるかわからないけど、ふたりならきっと大丈夫。
僕は胎内に残る熱さを感じながらそう誓った。
234We'd get there someday:2005/06/21(火) 21:12:06 ID:Qsne7BXG
「…コレでヨカったのデスか? 珠実サン」
「はい…部長の協力には感謝しています…」
彼女の問いに珠実は伏し目がちに答えた。
「マったク、アなタも損な性分デスね」
「いいんです。 こうすることがふたりにとって最良なら私はそうするまでです」
「ソれは自虐カラでスか? それトも自己犠牲の心とデも…?」
「どう…なんでしょうね…」
ふたりいる部屋のドアをじっと見つめて考えていた。
「ケジメ…ですかね」
「……」
「梢ちゃんの心にはずっと白鳥さんがいた…そして、私たちは女同士だった…」
珠実は一瞬、遠い目をしてドアから背を向ける。
「報われないことと知りながら私は想いを募らせてしまったんです…」
背を向け、そして歩み出す。
「なら、私はいつかその想いを断ち切らなければならなかった…それだけです」
「フム……」
235We'd get there someday:2005/06/21(火) 21:12:35 ID:Qsne7BXG
ずっと同じ道を歩けないのなら、より良き道を選ぶ道しるべになる…。
それが珠実の選んだ選択。

「部長は…」
「…? ナンでスか?」
「…部長はいつまで私と一緒にいるつもりなんですか?」
そんな珠実と寄り添うように彼女も歩いていた。
「ソウでスね…。 私ハ愛だの恋ダのには興味ハありマセんが…」
「……」
「他を求メ合うノは生キ物トシての本能でアリ摂理。 私はソレに逆ラウつもりはアりセンんヨ」
同じ道を歩むために。
「部長らしい考えですね〜」
「ソうデスか? 私は合理的ニ物事を考えテいるダケでスから」
「女同士でも求め合う術があるなら手段は選ばない、ですか〜?」
「オヤ……」
彼女の答えに珠実は小瓶を見せながら不敵に笑う。
いつの間にか、隆士から溢れ出た魔力を集めた瓶を珠実はその手に取っていた。
「部長〜、今夜はちょっと長くなりそうなんですが、よろしいですか〜?」
「……。 望ムところデスよ、珠実サン」
「ならば情け無用〜、です〜」
「クッ」
そして彼女もまた、別の道を歩み始めていた。
236名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 21:14:04 ID:Qsne7BXG
長丁場になりましたが、今日の分は終了です。
あとはエンディングのみ…。
また大量投下になってしまい申し訳なかったです。

女性側の経験はないから苦労した…(当たり前)
237ぐうたら:2005/06/21(火) 21:23:40 ID:Qkf1aAaj
GJ!!
ドえらい事になってきましたなぁ…
ラスト、楽しみにしてます!

ところで>>213
>人。
>遠くから、近くから、やってくる人、人、人。
>人の波でした。
の『人』があまりにも多いもんだから
(0w0)の上の部分に見えたwww

238名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 21:25:37 ID:oQPHAcdh
やべ、不覚にも竜田。GJ。
隆子ちゃん可愛すぎだwww
珠と部長も気になるなぁ…書いてはくれんのですかなぁ…
239名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 21:28:13 ID:Qsne7BXG
Σ('A`【阿甘堂】  λλλλλ..........
240名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 21:29:21 ID:tllguaSz
非常にお疲れ様です〜〜
ただでさえ性別の反転という普通は未知の状態なのに、
さらにお互いに反転した状態でエッチ・・・なんて誰も知らないですから描写にはすごく苦労したと思われます。
そしてやっぱり攻め攻めの梢さんってどきどき・・・♥
241名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 21:29:36 ID:mJB9JiXl
>>236
GJ!!
隆子かわいいよ隆子。

ついでだから珠×部のえちも書いて欲しいと言ってみる。
242名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 21:33:08 ID:gN73awN3
>>236
GJフゥ〜〜〜〜!!
隆子カワイイよカワイイよ隆子
しかし、男になった梢ちゃんが全然イメージできない・・・

そして>>238氏と同じくタマ×部長を激しく希望
終わってからで構わんので書いていただきたいです

お疲れさまでした〜
243名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 21:41:28 ID:Qsne7BXG
♂梢さんは普通の白鳥くんの顔を梢さんに置き換えたモノだと思ってください。
胸削ってアレつけただけ、って感じで。
244名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 21:42:23 ID:CWxBGyc2
>>236
ヤバい、隆子に萌え尽きた('Α`)

EDが(・∀・)ワクワク
245テイル:2005/06/21(火) 21:47:15 ID:iiK9rX+t
GJ……GJ……GJなんだろうけど……

いい加減このシリーズに飽きてきたorz

……ゴメンナサイ、私の「理想的まほらば像」から大幅に外れているもので……
そこであの部長の名ゼリフを持ってこられそうで……

そして今なら言える。
>>236さん、アニメ版の今の展開を予想していたのですか?
246名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 22:02:37 ID:Qsne7BXG
>>245
さすがにもうすぐ終わりです。

自分としてもキャラいじりすぎはルール違反にしてるので…。
キャラの設定を変える、というのは自分の都合のいいように別人にしてしまう
ってことでもあるんで二次創作としても自分的にもNGなんです。
(恋のマホウのあと続き書く気はないと言ったのはこのためです)

あと、他のみんなの未来像は原作(雑誌)とアニメを加味して、
なるべく”あり得る未来像”というのを考えました。
247名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 22:03:03 ID:z3/PPaG2
>>236
まほらばのエロはできる限りスルーしてきた俺がハマっちまったぜ・・・。G・J!!
248名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 22:09:45 ID:tllguaSz
キャラ弄ってる筈なのに、あまり違和感が無いのは・・・
そうか、白鳥君が受けなら違和感を感じないのか(爆)
249名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 22:13:00 ID:oQPHAcdh
「終わりの始まり」もアニメの展開に近いものを感じるような。
…違うな、アニメの展開が「終わりの始まり」のそれに似ているんだ。

というわけでこっちも続きカモ〜ン
250名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 22:58:13 ID:J+XiKyhm
飽きたならスルーすればいいだけなのに・・・
251テイル:2005/06/21(火) 23:11:15 ID:iiK9rX+t
>>250
飽きても読みたくなるのが人間の性なもので……

まああれなので、続けざまに「First Present」投下します。
前回は>>115-121と。
252First Present(8):2005/06/21(火) 23:13:25 ID:iiK9rX+t



桜が舞っている。
花びらは、綺麗な桃色。
そして、その桃色に似合わないモノトーンの鯨幕。
僕は、お母さんに連れられて、この鳴滝荘に来ている。
何があるかなど、知らされていない。
「僕のひいおじいさんが死んだ」とお母さんは言っていたけど、さっぱり分からない。

そんな僕は、玄関で一人の女の子に出会った。
その子は、隅でしゃがんで泣いていた。
悲しい、のだろうか。
僕は、何も言わず、その子を見ていた。

「総一郎さんも、大往生だったわね……80過ぎてたんでしょ?」
「ええ……戦前からここの大家をやっていたんだから、それぐらいよね」
「にしても、惜しい人を亡くしちゃったわね……」
「そうね、この付近でも数少ない歴史の生き証人だったから……」
「でも、これからどうなっちゃうのかしら」
「ここは孫夫婦が相続するみたいよ……それでも息子夫婦と色々な確執があるらしいけど」
「孫夫婦?ああ、あそこには女の子がいたわね。すごく総一郎さんに懐いていたわね……
 名前は……梢ちゃん、だったかしら」

大人が難しい話をしている。
何のことだかさっぱり分からない。
葬式とはいえ、小さな子供にしてみればただの退屈な事でしかないから、
僕は縁側に腰掛けて絵を描いていた。
自分だけのスケッチブックに、自分だけのクレヨン。
僕の、初めての宝物。
初めてスケッチブックを貰った時は、とても嬉しかった。
それ以来、どこへ出掛けるにもこの二つは手離せない。
253First Present(9):2005/06/21(火) 23:14:00 ID:iiK9rX+t

「ねえねえ」

後ろから、女の子が声を掛けてきた。
肩より少し長いロングに、黒いドレス。
……あの、さっきの女の子?
「おにいちゃん、なにをしているの?」
「お絵かきだよ」
「うわー、わたしもおえかきがだいすき!どんなえをかいてるの?」
「そうだねー」
僕は、クレヨンを走らせる。
たちまち、キリンが出来上がった。
「うわー、おにいちゃんうまーい!もっとたくさんえをかいて!」
「うん、いいよ」
「わたしね、こずえっていうの」
「こずえ?」
「うん!わたしのなまえは、あおばこずえ!」
「こずえちゃんか……ぼくは、しらとりりゅうし。よろしくね」

それからは、あっという間に時間が過ぎた。
僕のスケッチブックは、沢山の友達でいっぱいになった。
僕。
梢ちゃん。
カエル男爵。
空飛ぶサメ。
キノコの妖精。
小鳥達。
白いキャンバスは、たくさんの友達に囲まれた緑の広場になった。
254First Present(10):2005/06/21(火) 23:14:45 ID:iiK9rX+t

「ねえねえ、おにいちゃん」
梢ちゃんは訊いてくる。
「なあに?」
「こんどは、わたしをかいて!」
「こずえちゃんを?……いいよ」
「やったー!」
梢ちゃんは、縁側に出て僕の目の前に立つ。
「おにいちゃん、できあがったらわたしにみせて!」
「いいよ」
僕は、梢ちゃんを白いキャンバスの上に描き出す。
はじめて、女の子を描いた。
木立の中に佇む梢ちゃんは、とても幸せそうにしている。
しばらくして。
「できたよ、こずえちゃん」
「みせてー!」
僕はスケッチブックを渡す。
「うわー………」
梢ちゃんの目が輝いている。

「なんだか、とてもあったかい……」

「どう?気に入ってくれた?」
「うん!ありがとう!」
梢ちゃんの笑顔は、とてもキラキラしていた。
255First Present(11):2005/06/21(火) 23:15:49 ID:iiK9rX+t

そんな楽しい時間も、当然のように終わりを迎えた。
僕は帰らなくてはいけなかった。
「ええ〜?おにいちゃん、もうかえっちゃうの?」
「うん、しょうがないよ」
「そんなぁ〜……もっと、おにいちゃんのえがみたいよ〜……」
梢ちゃんは今にも泣きそうだ。
「……こずえちゃん、ぼくのこの絵をあげるよ」
言って、僕はスケッチブックから一枚破って渡す。
あの、たくさんの友達が仲良く遊ぶ絵。
「これを、あげるよ」
「ほんとう!?ありがとう、おにいちゃん!!」
それが、僕が初めて見た、梢ちゃんのとびきりの笑顔だった。
「また、会おうね」
「うん!!」
そうして、僕は車に乗り込む。

「おにいちゃん!!大好きだよ!!!」

ある春の、小さな出会いだった――――――
256First Present(12):2005/06/21(火) 23:16:18 ID:iiK9rX+t




「………ん」
そこで、僕は目が覚めた。
「そうか……そうだった、ようやく思い出した」
今まで断片的にしか思い出せなかったけど、今の夢で完全に思い出した。
ずっと昔の、梢ちゃんとの初めての出会い。
梢ちゃんにあげた、あの絵。
あれが、初めてのプレゼントだったのか……
梢ちゃんのあの反応も、分かる気がする。
「……………………あれ」
ちょっと待て。


じゃあ、<あれ>は、どこに行ったんだ?


「…………もしかしたら」
これは――――いいかも。
かなり、いいかも。
梢ちゃんも―――喜んでくれる、かも。
「――――そうと判れば」
思い立ったが吉日。
そして、何より時間が無い。
今日は、3月13日。そして日曜日。
出掛けるにはもってこいだ。
何より、本番は明日なのだから。
257First Present(13):2005/06/21(火) 23:17:37 ID:iiK9rX+t

「梢ちゃん、今日はちょっと遠くまで出掛けてくるから、帰りが遅くなるよ」
「そうですか。夕飯はどうしますか?」
「うん、夕食までには帰れると思う。僕の分も作っておいて」
「分かりました。気を付けて下さいね」
「うん、行ってきます!」

双葉台駅から上野に出て、常磐線に乗り込む。
片道90分強の小旅行。
もっとも、旅行ではないけど。

「ただいま!!」
行先は、僕の実家。
要は、帰省だった。
母さんが出迎えてくれた。
「あら、お帰り。学校はもう終わりなの?」
「うん!」
そんな母さんの言葉も話半分に、自分の部屋へ向かう。
確か、クローゼットに段ボール箱が山積みになっていたな……
「何か探し物?」
母さんが訊いてくる。
「うん、<あれ>なんだけど、どこにあるか知らない?」
「<あれ>って……何?」
「だから、<あれ>だよ!随分前の葬式の時の……」
「ああ、あの時の。だったら、庭の物置だと思うわ。
 あの頃のあなたのものは、あそこに全部取ってあるわよ」
「ありがとう!」
258First Present(14):2005/06/21(火) 23:18:37 ID:iiK9rX+t
庭の物置に入る。
「えーと……」
物置はモノで散乱していた。
というか、段ボール多過ぎだよ……
これじゃあ、どこにあるのかさっぱり見当がつかない……
30分ほど格闘して。
「……あった……」
ようやく、<あれ>を見つけた。
これで、よし……と。
あとは、予定を立てて……
そうすれば、梢ちゃんもきっと……
うん、出来る。
これなら出来る。
259First Present(15):2005/06/21(火) 23:19:02 ID:iiK9rX+t

「何ブツブツ言ってるのよ」
「うひゃう!!??」
後ろに母さんがいた。
というか、立っていた。
「予定ですって?笑っちゃうわね。
あなたが予定を立ててもその通りにやった試しがないじゃない」
「う……」
まあ、確かに。
「で、梢ちゃんが何ですって?」
「え、あの、その……」
そこまで聞かれていたか……
最近独り言が多くなったな……なんでだろう。
「ちゃんと聞いていたんだから、白状したら?」
「う…………」
自分で蒔いた種。
口は災いの元。
「わ、分かったよ……」
260テイル:2005/06/21(火) 23:23:22 ID:iiK9rX+t
今回はここで打ち掛け。
白鳥母を召喚しました。
……こんなもんでいいのだろうか……

角煮の作品にインスピレーション受けてたり。
最後のほうに、チラっと、の予定。
261名無しさん@ピンキー:2005/06/21(火) 23:49:33 ID:Qsne7BXG
むむ、過去ものですか…。
どういう展開に持っていくのかお手並み拝見です。

さて、We'dのラストも出来上がりましたので投下させて頂きます。
262We'd get there someday:2005/06/21(火) 23:49:57 ID:Qsne7BXG
翌朝───。
僕と梢ちゃんは一緒に温泉に浸かっていた。
「はぁ〜…」
「気持ちいいですね…」
露天から一望出来る海を眺めながらふたりで息をつく。

梢ちゃんの体は一晩で元に戻っていた。
やっぱり僕の体と違って、一時的な変身でしかなかったらしい。
「…こうして変身しているのも悪くないのかもしれないなぁ」
「そうですね…」
「こうやって、梢ちゃんと肩を並べて一緒にお風呂に入るって…普段じゃ経験出来ないしね」
「もう、隆士さんったら…」
僕の隣で梢ちゃんははにかむように微笑んでいた。
ただ、それだけで僕はたまらなく幸せになれた。
「隆士さん…体、大丈夫なんですか?」
「えっ…? ああ、うん。 大丈夫だよ、梢ちゃん」
「そ、そうですか…」
梢ちゃんは夕べのことを思い出したのか、赤くなって俯いた。
僕はそんな梢ちゃんの方を抱き寄せ、強く抱きしめた。
「大丈夫だよ、梢ちゃん。 何があったってふたりなら平気、でしょ?」
「はい…そうですね」
僕たちはどんな未来に進むのかまだわからないけれど、きっとふたりなら大丈夫。
そう誓い合ったふたりの契り。
どんな困難があったってきっとふたりなら乗り越えていける───。
263We'd get there someday:2005/06/21(火) 23:50:15 ID:Qsne7BXG
お風呂を出た僕たちは廊下で珠実ちゃんたちと出くわした。
どうやら僕たちと入れ違いで温泉にはいるらしい。
「あ〜、ふたりとも〜おはようです〜」
「おはよう、珠実ちゃん、部長さん」
「オや、梢サンはもウ元に戻ってオらレルのデスね」
「あっ、はい。 ご迷惑おかけしました」
そう言ってふたりにぺこりと頭を下げる梢ちゃん。
「何ハともアレ梢サンも元ニ戻っテ一安心デス」
「まったく白鳥さんも人騒がせです〜。 でも今日のところは感謝してあげるです〜」
「…感謝?」
「なんでもないです〜。 部長相手で疲れたからさっさとお風呂に入ってくるです〜」
「??」
「ソレではご機嫌ヨウ」
呆気にとられる僕たちを置いて彼女たちは行ってしまった。
「どうしたんだろ、珠実ちゃん…」
「さぁ……」
264We'd get there someday:2005/06/21(火) 23:50:33 ID:Qsne7BXG
みんなで朝食を済ませた後、荷物をまとめて旅館からチェックアウトした。
外に出るともうすっかり真夏の太陽が降り注いでいた。
「今日も暑くなりそうですね」
「うん」
「さっさと車に乗るです〜」
「オマちなサイ、珠実サン。 タイが曲ガッていマスよ」
「あれ…? 部長さん、マントは?」
「アァ、サすがに暑イので外シテいるのデスよ」
「それもそうですね」
「さっさと乗〜る〜で〜す〜」

空には高く高く輝く真夏の太陽。
今日もまた、新しい思い出を作るために僕たちは走り出した。
265We'd get there someday:2005/06/21(火) 23:51:12 ID:Qsne7BXG
「あっ、部長さん。 そこ寄って貰えますか?」
「…イイでスよ」
「「あっ…」」

「珠実ちゃ〜ん♪」
「マ゛ー……」
「梢ちゃん、どうしてまたここに?」
僕たちはまた恋人岬に来ていた。
梢ちゃんはそのわけは言わずにまっすぐ展望台を目指していた。
「やっぱり…今日は綺麗に見えてます♪」
「ホントだ…」
昨日とは違い、今日は雲一つない空に富士山が綺麗にその姿を見せ鎮座していた。
「綺麗だね〜、珠実ちゃ〜ん」
「暑いからくっつかないで欲しいです〜…」
「うぅ、珠実ちゃん、私のこと嫌い?」
「マ゛ー……」
266We'd get there someday:2005/06/21(火) 23:51:47 ID:Qsne7BXG
「そっか、梢ちゃんはこのために来たんだ」
「あっ、いえ、そうではないんです」
「えっ?」
梢ちゃんは不思議に思う僕の手を引くとまた台座の上に立った。
「また皆さんに伝えたいことが出来ちゃいましたから」
「伝えたいこと…?」
「えへへ…」
彼女は恥ずかしそうに笑うとすぅと大きく息を吸い込んで大きく叫んだ。


「みなさーん、幸せですかーー!!」

遠く離れた”仲間”たちへ。

「私たちは、幸せでーーーーす!!!」

遠く幸せに暮らす”家族”たちへ。

「もーーーーっと幸せに、なりましょーーーー!!!!」


この幸せを今は遠い、あの人たちに届けるために。
267We'd get there someday:2005/06/21(火) 23:52:17 ID:Qsne7BXG
それから───。
この旅行の後、部長さんが鳴滝荘の新しい住人になった。
珠実ちゃんはこれを機会に部長さんのオカルト趣味を改善させると張り切っていた。
去年よりも人数は少ないけれど、鳴滝荘は少し賑やかになった。
散々苦労したけど、僕の体にかかっていた魔法も取り除かれた。

季節は流れ。

紅葉の秋を過ぎ。
雪の降る冬を過ぎ。
また桜咲く春が巡ってきた。

高校卒業を機に、珠実ちゃんは鳴滝荘を去ることになった。
僕も梢ちゃんも突然の出来事に驚き懸命に引き留めたが、彼女は笑顔で答えるだけだった。
───私も自分の道を進むために頑張るです。
そして、珠実ちゃんを追いかけるように部長さんも鳴滝荘を去っていった───。
268We'd get there someday:2005/06/21(火) 23:53:23 ID:Qsne7BXG
「…寂しくなっちゃったね」
「…はい」

今、この鳴滝荘にいるのは僕と梢ちゃんのふたり。
桃乃が宴会をやっていた廊下も、灰原さんが釣りをしていた池もその主はいない。
黒崎親子が内職にてんてこ舞いになる声も聞こえない。

「いつか…こうなることはわかっていたんです」

梢ちゃんは親友がプレゼントしてくれた大きなクマの遊具を愛おしそうに撫でた。
それは風雨にさらされ、あちこち痛み始めていた。

「ここがアパートである限り、いつか、みんな……」

梢ちゃんは寂しそうに呟いた。

「そんなことはないよ」

「隆士さん…」

「僕はここにいる。 ここにいてずっと梢ちゃんと暮らしていく」

269We'd get there someday:2005/06/21(火) 23:54:25 ID:Qsne7BXG
僕は中庭に降りて、梢ちゃんの脇を通り過ぎていく。
向かった先には一本の若い木が芽をつけていた。

「それにほら、一緒に食べるんでしょ?」

「……!」

「桃だったら3年、柿だったら8年…梨だったら18年だっけ。 楽しみだね」

「隆士…さん」

まだまだ実をつけるほど大きくはない木だし、何の実が付くかもわからない。
それでも僕はその木をそっと優しく撫でてあげた。

「…ずっと一緒だよ、梢ちゃん」

「りゅうし…さん……」


桜の舞い散る庭で僕たちは優しく抱き合った。
たとえ時は流れても、変わらない絆。
未来はわからないけど、ふたりだったら大丈夫…。

僕たちはゆっくりと唇を近づけて……
270We'd get there someday:2005/06/21(火) 23:55:14 ID:Qsne7BXG

ぴんぽーん♪



「あ、あれ?」
「だ、だれかしら。 お客さんですかね」
「う、うん」

「どなたですか〜?」
小走りに玄関に走っていく梢ちゃんを追いかけて僕もゆっくりと玄関に行った。
「……です」
遠巻きに見ると見たことのない僕より少し上くらいの男女が玄関先にやってきていた。
「では、入居希望で?」
「はい!」
そのやりとりを聞き僕の足は自然と玄関先へと向かっていた。
「あ、隆士さん…」
「お二人とも入居希望ですか?」
「あ、そうです。 学校の友人が勧めてくれたので…」
「そうですか。 では…」
僕は梢ちゃんの方に目配せした。
僕たちは声を合わせて新しい住人たちを歓迎した。

『ようこそ、鳴滝荘へ!!』
271We'd get there someday:2005/06/21(火) 23:55:41 ID:Qsne7BXG
アパートだから別れもある。

───だけど。

アパートだから出会いもある。

───別れを恐れず、出会うために。

僕たちは手を取り合って歩いていく。




僕たちのまほらば───鳴滝荘で。






<We'd get there someday> Fin.
272We'd get there someday あとがき:2005/06/21(火) 23:57:12 ID:Qsne7BXG
難産…。

そんな言葉がぴったりでした。
そもそも、恋のマホウの続編を書く予定はなかったのでろくな構想もなかったのです。
おかげで倍近くの労力がかかりました…。
まあ、それなりにネタはあったのですが何より途中でネタを予想されたと言うのがダメージでかかったです。
えちシーンは基本的にすっぱり切っちゃってもよかったんですが、そこはエロパロスレってことで。

全体的にパワー不足&悪のりしすぎな感じですが、楽しんで頂けたなら幸いです。
っていうか、〆の部分反則技ですねorz

さて、力尽きたからしばらく筆安めしよ…。
273テイル:2005/06/22(水) 00:06:38 ID:KXln+M5o
>>272
新入居者は巧・綾乃ペアですか?
最後の展開になんか感動しました。
何だかんだ言って、これぞまほらばって感じです。


あれ?部長はどこ行った?
274テイル:2005/06/22(水) 00:11:48 ID:KXln+M5o
連レススマソ、読み飛ばしてたorz
軽く逝ってくるっちゃ…

あ、ちなみに「First Preasent」は過去話ではなく、思い切り未来に行きます。
過去は、流れの上で必要だったから…
275名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 00:15:27 ID:PE0nCiRL
鳴滝荘って東京の割と良いとこ(周りビルヂングばかりだし)にあって、
黒崎親子が住めるくらい家賃も安いのに入居希望者っていないのか?
風呂トイレ共同っていうのがネックなんだろうか
276名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 00:23:26 ID:2xRhs++E
>>272
うーんGJ!俺はTS物はあまり好きではなかったのですが、はまってしまいました
そして、最後の展開がまたよかったです
>>260
GJ!続き期待していますよ!
>>215
これからどうなるか気になりますね〜。頑張って下さい
>>181
GJ!・・・なんですけど、俺にはちょっとサディスティックな梢さんが合わなかった
かな。でもストーリーはGJなんで続き待ってますよ
277名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 00:25:32 ID:gtauvvCr
読んでて最後のあたり、ぞくぞくしてきた(・∀・)イイ!!
278名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 00:29:37 ID:3ATqe8uj
>>273
投下し終わって10分経たないうちにばれるとは…orz
でも鳴滝荘は都会のど真ん中…天体観測に向かないです。
まあ、人と人との繋がりって感じで…。
279名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 00:36:45 ID:UNOjzfV7
>>278
年ごろの男女のペアが二組…
別の意味で毎晩賑やかそうだなw
280名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 00:50:46 ID:aayUIh05
おつかれさまでした。
とてもGGGGGJJJJJな、作品でした。
これからも頑張ってください
281黒衣のメディラス ◆Voeg7Vxg8w :2005/06/22(水) 01:09:27 ID:rnyCKXAf
お楽しみ畑がよかったです。部長さんと珠実さんがくっついたかも気になるところですが……GJでした。





……コテハン?気にせず。
282名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 01:14:01 ID:5KhkEW1b
>>275
珠実が…
283名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 07:07:45 ID:dEuwZXiE
>>268の部分
今のアニメの展開と照らし合わせて鬱になった(´・ω・`)
284名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 08:06:46 ID:/HpVloKO
>>272
ぬはぁ、ついに終わってもうた!しかも完璧に続かない終わり方だ_| ̄|●lll
いままで激しく楽しませていただきました、ある意味本編以上に。激しくGJ!


|ω・)気が向いたらいつかまた番外編みたいなのでもかいてほしい・・・・かも
285名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 10:52:06 ID:rnQTjg8l
>>272
お疲れさまでした。
いつも楽しく拝見させていただき、
ラストには感動させてもらいました。
今は筆を休めて、また良い作品を書いてください。
ちなみに自分は珠×部に興味深々です。

さて自分の『One day』ですが、
今筆が進んで、進んで、面白くて仕方ないです。
また夕方か夜にでも上げさせていただきます。

人が王子のツノに見えるとは予想外でした…(ヒトリゴト
286名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 11:44:50 ID:KkiFMI/l
・・・どうでもいいレス増やさないと1000まで保たなくないか?このスレ
287名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 11:58:00 ID:3ATqe8uj
長いの投下しちゃって、ゴメンね(´・ω・`)
しばらく投下は自粛します…。
288テイル:2005/06/22(水) 12:22:00 ID:KXln+M5o
角煮にあった「梢は実は主人格ではない説」のシチュって需要あるだろうか…
構想を練ってみたらとてつもなく鬱エンドに近いんだけど。
289名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 12:28:12 ID:hOzKkoYL
ただでさえ人格消滅パターンは嫌がってる人多いよー
290名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 12:31:14 ID:rnyCKXAf
そのためにスルーがある。
私は節操なしだから。
291名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 12:50:40 ID:3ATqe8uj
投下するのは自由じゃないですかね。

ただ、共感を得られにくいものを投下しても反応が薄いかもしれないし、
その辺は考慮してから投下した方がいいと思います。

ただ痛い展開だけで救いがない展開だと蹴られますし、
ただの独りよがりで終わる可能性もありますから。
292名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 14:03:11 ID:O34aDCrf
>286
1000保たせる必要性など無い
293名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 14:57:28 ID:or7i3bKy
エロパロスレで容量オーバーはとても喜ばしいことではないのか。

と駄レスを増やすチキン
294名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 16:54:44 ID:PnBOYP5k
嫌ならスルー。初めにこういう話だからいやな人は見ないようにとかいておけば
何を投下してもいいと思いますけどね。
自分の好みで投下やめてとか言うのは少々愚かな行為な気がする。
295名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 17:19:07 ID:g/rVASIz
沙夜子って、やっぱり処女かな?

朝美と沙夜子のダブル破瓜ゲット!とか妄想してみたり
296名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 17:20:22 ID:e3qdS4L4
そうだな。ただし警告文よりしたは大きめに行をあけるといいと思われ。
297名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 17:42:04 ID:3ATqe8uj
>>294
それに併せて投下する方も人に読まれる作品である、
ってこと理解してから投下するほうがいいんでしょうね。

誰も喰えないようなモノ出して、いいから黙って喰えみたいな
態度じゃ単なるエゴの押しつけですし。
298名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 17:58:18 ID:Op+Fo1hI
>>297
まあ押し付けになったり大半を占領したりしなければいいんじゃね?
鬼畜物とかも読んでみたい俺みたいなのもいるし。
299名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 18:28:43 ID:ndTcHYc0
>>295
お前の墓ゲット。
300名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 18:37:01 ID:g7Kr5+g1
警告があるべきSSのシチュ、傾向を考えてみる。
俺はTS、鬼畜、スカトロ、オリジナル要素あたりが代表的なものだと思う。

まあ一番安全なのは、全てのSSでカプや傾向を最初に記すことだろうけどな。
301名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 18:43:45 ID:Op+Fo1hI
>>300
まあオチで驚かせたい場合もあるだろうからその方法も良し悪しだけどねぇ。

基本的に原作の雰囲気に近いほのぼのな話だったらTSでもオリジナル要素でもまあ
注意書きは別になくても大丈夫だとは思うけど。
あるに越したことはないとは思うけどね。
302名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 19:04:57 ID:FsY1MUDM
>>300
ゴメン、それやっちゃうと先読まれそうで怖いんだわ。
と、「終わりの始まり」筆者がぼそっと言ってみる。
ただまぁ、鬼畜物やスカ物は、1レス目に警告を貼っといた方が良いのかな?
303名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 21:19:24 ID:kAfDdk9T
日本の感覚では違うが、
忠実な意味での「スカトロ」なら1つあっただろ。
304名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 21:27:24 ID:Nxmk1kEp
そんなのあったっけ?


にしてもスレの進行が早いなぁ。
このままだと自分の毎スレ必ず1作品は投下する。
という目標が達成できなくなりそう・・・
まぁそれだけここが栄えてるんだろうな。
305名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 21:30:23 ID:hB42+eK4
来週でアニメ終了だから、このペースは今週で終わるような希ガス
306名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 21:33:45 ID:Kn6NRR+J
>>305
安心しろ、北海道は再来週にもある…orz
307名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 21:35:26 ID:3UesFBWz
そうそう、んなこたぁないですよ。
海の向こうでは7月まで続いてるわけですしorz
308名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 21:37:29 ID:3ATqe8uj
北海道の最終回は7/1って公式に書いてあるけど…。
309名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 21:39:20 ID:hB42+eK4
でも北海道在住者なんてあまりいないのでは?
310テイル:2005/06/22(水) 21:39:36 ID:nEhqI1sj
なんか色々と物議を醸しているようで……
いや、なんか、メンゴ(何

現在「First Present」の続きを執筆中ですので、
このシチュはしばらく忘れてください。
このネタで書いて投下するときは予め連絡しますので……

今日は投下できるかどうか……
311名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 21:51:53 ID:xYgl+FGp
マゾの部長がいじめられるエロSSを書こうと思っていたんだが、
投下できる雰囲気じゃなさそうだな・・・

大体、話構築しようにも誰にサド役やらせるのかでテンパっちゃったし、
珠実の言葉攻めというのも考えたけど、部長が喜ぶようなことを進んでやるとも思えんし・・・




ファイル消して寝る。
312名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 21:53:29 ID:kAfDdk9T
>>304

忠実な意味だと>>58が入る。
313名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 22:16:31 ID:JFDHxfYl
>>311
いや、あとあと荒れないようにこうしたほうがっつうことを話してるのに
なんか荒れてるみたいな反応されても・・・。
314名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 22:18:19 ID:13NtFLe3
だって「エロ投下すると即タコ殴り」というのは、ちょっと、なあ
315名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 22:21:16 ID:JFDHxfYl
>>314
?????
誰もそんなことは全く言ってないような?
316名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 22:22:41 ID:Nxmk1kEp
前から既にエロは投下されてるじゃないか?
鬼畜とかそういうジャンルがちょっと・・・
ということであって。
317名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 22:31:19 ID:JR1k0oMd
四肢切断は愛だと豪語する猛者もいるくらいだからな…
318名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 22:34:49 ID:or7i3bKy
明日の夜までこんな空気が続いていたら沙夜子さんエロをうpしようと思いますが。
319名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 22:37:04 ID:hB42+eK4
明日の夜までこの空気で逝かないか?
320One day +One作者:2005/06/22(水) 22:38:45 ID:rnQTjg8l
ええと、空気読まずに、そろそろ続きを投下させてもらいますね?

テイル氏のつなぎになれば幸いです。
321One day +One:2005/06/22(水) 22:40:23 ID:rnQTjg8l
「あれ?梢ちゃんと白鳥さんがいないです〜」
まだ人波の中にいるのでしょうか?
「珠実部員、アレではナイのデスか?」
部長さんが指したのは、人波から離れたところ。
そこには、梢さんと白鳥くんらしき人が。
「あ、本当ですね〜。…し〜らと〜りさ〜ん、恋人同士とはいえ、
誰も見てないと思って白昼堂々、梢ちゃんとナニをする気ですか〜?」
ニコニコしながら二人に近づく珠実さん。
恐いです。
「あ、珠実ちゃん…どうしよう…」
「どうしたのー?お兄ちゃん?」
「…おや〜?魚子ちゃんですか〜?」
322One day +One:2005/06/22(水) 22:42:49 ID:rnQTjg8l
「うん!わたし魚子ー!!」
どうやら梢さんは、魚子ちゃんになってしまったようです。
「あの人波に驚いて、変わっちゃったみたいなんだ…」
「そうですね〜…。町中ですから、少し困りましたね〜」
「お兄ちゃん、あそぼー☆」
白鳥くんにじゃれつく魚子ちゃん。
「…そうだ!魚子ちゃん」
「なあにー??」
「お家に帰って、みんなでお団子食べるんじゃなかった?」
「おー!魚子、お団子大好きー!!帰るー!」
手に持っていた、お団子その他和菓子入りの袋をブンブン振り回す魚子ちゃん。
みんなで鳴滝荘へ帰ります。
323One day +One:2005/06/22(水) 22:44:46 ID:rnQTjg8l
鳴滝荘へ向かいながら、部長さんは珠実さんに尋ねます。
「珠実部員、アれハ梢部員デはナイのデスか?」
「あ〜…部長は梢ちゃんのことを知りませんでしたね〜…。
こうなった以上、もう隠し切れませんから、
部長にも話すしかないですね〜…」

珠実さんは梢さんの病気のことを話します。

梢さんは、五つの人格を持っていること。
精神的ショックを与えられると人格が変わってしまうこと。
人格同士で記憶をある程度共有していること。
そして、今の状態が“金沢魚子 6才”であること…。
324One day +One:2005/06/22(水) 22:46:22 ID:rnQTjg8l
「…なルほド、そウだッタのデスか。梢部員が多重人格者デシたとハ…」
「梢ちゃんが面倒なことに巻き込まれないようにと、
今まで隠してきたんです〜」
「マあ、五つモ顔ガあル人間だナンて、ソうソうイませンかラ、
クレバーな判断だト思いマスよ。私モなんダカ興味ガ湧イてきマシタ…」
「マ゛〜!だから部長に教えるのは避けてきたんですよ〜!」

そんなことをやっている間に、鳴滝荘に到着しました。

「ただいまー」
「ただいまーっ☆」
「ただいまです〜」
「オ邪魔しマスよ」
325One day +One:2005/06/22(水) 22:52:20 ID:rnQTjg8l
鳴滝荘に三人が帰ってきて、変質者が一人やってきました。

「みんなはどうしてるのかな?」
白鳥くんの疑問に、
「はい。桃乃さんはお部屋で蓄まった映画を消化するとかで、
沙夜子さんと朝美ちゃんはお部屋で内職、
灰原さんはいつも通り、中庭で釣りをしていると思います」
などと答えてくれる梢さんはいなく、代わりに
「桃ちゃぁぁあん!!」
すごい勢いで走っていく、魚子ちゃんがいました。
「ちょっ、魚子ちゃん、待ってよー!!」
慌てて白鳥くんも追いかけます。
326One day +One:2005/06/22(水) 22:53:44 ID:rnQTjg8l
「私たちも追いかけますよ、部長〜」
珠実さんと部長さんも、二人の後を追いかけます。
「ククッ。ヤはリ楽しイコトにナりそウデスね…」
327名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 23:01:52 ID:rnQTjg8l
いつものごとく、スレ消費が多くて内容少なくてすいません。
そのぶん、もう少し進むと内容が濃くなるはずです。

ジャンルの件についてですが、
作者の良心で、『これは一応注意書きを入れておいたほうがいい』
と判断したものの最初には、警告文を書いておけばいいと思います。

ちなみに自分のは、
『全年齢対象ドタバタストーリー』
ですので、安心して読んでくださいね。
328名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 23:10:13 ID:3ATqe8uj
乙ッス。
っていうか、毎度思うんだけどケータイで打ち込みってナイスガッツですよ。
感想はまだまだ序盤っぽいので割愛。
頑張ってください。
329テイル:2005/06/22(水) 23:14:20 ID:nEhqI1sj
>>327
乙です。
お団子その他諸々がどうなっているのかがすごく気になっていたり……

ちなみに今日は投下できそうにないですね……面目ない。
中々上手い具合に行かないものです。
最後の終わり方は決まっているのに……
330名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 23:20:38 ID:gtauvvCr
にんニコ
331名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 23:24:15 ID:kvU40QdY
>>329
 角煮のアレを書き込んだ者です。
 自分は君望とかシンフォニックレインとか鬱が多めな作品も
好きなので、ああいう流れを考えてみるわけだけど、それを
「まほらば」で望む人がそれだけいるかは別問題かなぁ?
 個人的には読んでみたいので、気長に待ってます。
332名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 23:24:56 ID:kvU40QdY
 「それだけ」→「どれだけ」です。失礼。
333名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 23:32:33 ID:3ATqe8uj
>>331
横レスだけど>>83-86の微欝SSのレスを参考に、って感じです。
後味悪いのを書くならそれなりにお叱りいただく覚悟がいるかと。

個人的にはそういう後味悪い系もアリだと思います。
334名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 23:34:26 ID:rnyCKXAf
>325
最初の一文がいいかんじです。
335名無しさん@ピンキー:2005/06/22(水) 23:42:44 ID:or7i3bKy
>>327
毎度ながらナイスGJ(ガッツジョブ)です。
最近、普通にまったりしてる作品が少ないのでありがたく読ませていただいてますよ〜。
しかし、地の文を読んでいると部長への愛が伝わってきますねw
336テイル:2005/06/23(木) 00:11:15 ID:VN5gdffF
色々ありましたが、完成してしまいました。
折角なので投下します。
今までの話は>>115-121>>252-259ですね。
337First Present(16):2005/06/23(木) 00:12:24 ID:VN5gdffF
3月14日。
ホワイトデー当日。
梢ちゃんは学校に行っている。
その他の面々も、いつも通り。
バラさんは池に糸を垂らし。
沙夜子さんは内職しながら昼寝中。

さて……いつ渡したらいいものやら。
なんか、ムードというものもあるし。
やっぱり、いいムードのときに渡せればベストだけど……
……我ながら、毎度毎度、妙なところに凝るな……
「……まあ、考えた所でその通りになる訳じゃないけど」
それは、最早経験論だった。

一人で昼ごはんを食べて、自分の部屋に戻ろうとする。
「…………あれ」
おかしい……
さっきまで晴れていたのに、西の方角から暗雲がやってきている。
この分だと、そろそろ雨が降りそうだ。
それに、ちょっと寒いな……
「…………梢ちゃんは大丈夫かな?」
折り畳み傘とか、何も用意していなかったような……梢ちゃん。
確か、1時半ぐらいには学校が終わりだったか。
338First Present(17):2005/06/23(木) 00:12:52 ID:VN5gdffF
「……迎えに行こうかな」
いつかの沙夜子さんの発想じゃないけど。
今から出れば、駅の辺りで拾えそうかも。

荷物も準備して。
部屋を出た所で、灰原さんに声を掛けておく。
「灰原さん、そろそろ中に入った方がいいですよ」
「ん?……ああ、天気が悪くなってきてるナ。
 そうだな、部屋に戻って小説の続きを書くとするか……ありがとナ」
「いえいえ。あと、これからちょっと出掛けてきます」
「梢の出迎えか?」
「…………」
何故知っている。
あなたは腹話術だけでなく読心術も使えるのですか?
「だから、独り言が聞こえてんだヨ。気を付けろヨ、お前」
「……努力します」
昨日に続いて今日もか……
僕の学習能力はマイナス7のようだった。

339First Present(18):2005/06/23(木) 00:13:31 ID:VN5gdffF
   ◇

「梢ちゃん〜、一緒に帰るです〜」
「うん、そうしよ、珠実ちゃん」
今日はホワイトデー。
世間一般では男性が女性にプレゼントする日だけど、うちの高校みたいに、
女子高では女の子同士でお菓子を交換する日だ(共学でもそうらしい)。
そこに。

「お待ちナさイ、珠実部員」

「……今日という日に何の用ですか部長〜」
やってきたのは部長さんだった。
何の用だろう……?
「今日とイう日を忘れタのデスか?今日はホワイトデーでス」
「だから何ですか〜?私は梢ちゃんと一緒に楽しむです〜」
「今日のサバトにハあなタの力が必要デス、珠実部員。
 何せ、今日の議題は『白魔術』デスから……」
「いつに増してギャグもくだらないです〜」
「なラ梢部員ヲ連れテ行きマスが」
「それでは行くです部長〜」
……珠実ちゃん?
「ねぇ、珠実ちゃん……」
「ごめんです梢ちゃん、先に帰っていてくださいです〜……」
「うん……」
そうして、珠実ちゃんは部長さんに連れて行かれた。
結局、今日も一人で帰ることになった。
340First Present(19):2005/06/23(木) 00:14:05 ID:VN5gdffF

「えーと、今日の夕飯は何にしようかなー……」
今日は寒いからお鍋がいいかな……みんなで食べられるし。
それなら、お肉と野菜を買いに行かなきゃ。
と。

ぽつり

「…………あら?」
雨だ…………
「どうしよう、折り畳みも持ってない……」
しかも雨が強くなってる……

仕方なく、走ることにした。


「あー……びしょびしょ」
双葉台駅までなんとか来れた。
これから先は、ちょっときついかな……
という訳で、しばらく雨宿り。
周りを見ても、同じような人が集まっている。

「……雨、か……」
341First Present(20):2005/06/23(木) 00:14:41 ID:VN5gdffF
雨の日はあまり好きではない。
何となく、大切な人に会えない気がするから。
技術が発達した時代に、馬鹿な考えかもしれない。
でも。
雨は川を作る。
その川が、私と、大切な人を引き離してしまうから。
だから、雨は、嫌い。
大切な人に、会いたい。
「…………白鳥さん…………」

「梢ちゃん」
「………!!」

342First Present(21):2005/06/23(木) 00:15:41 ID:VN5gdffF



「梢ちゃん、迎えに来たよ」
「……白鳥さん……」
梢ちゃんは、ちょっと雨に濡れていた。
心なし、寂しそうにも見えた。
「大丈夫、梢ちゃん?」
「……白鳥さん!!」
がば、と僕に抱きついてきた。
「……梢ちゃん……」
「暖かい……白鳥さんの、温もり……心から、温まります……
 白鳥さんの、この温もりが、私、大好きです」
「……梢ちゃん……」
自然、僕も梢ちゃんを抱きしめる。
体は雨で冷えていたけど、心は温かかった。
しばらくして。
「……そうだ、梢ちゃん。渡したいものがあるんだ」
「なんですか?」
「これだよ」
僕は鞄から<あれ>を取り出す。
「……!それは……!」
343First Present(22):2005/06/23(木) 00:16:24 ID:VN5gdffF
「そう、あの時のスケッチブックだよ。
 僕が梢ちゃんにあげた、初めてのプレゼント」
スケッチブックを梢ちゃんに手渡す。
「…………懐かしい…………そして、とても、嬉しいです……
 白鳥さんの絵は、昔と全く変わらないです。
 いつも、私の心をほっとさせてくれるんです……」
「気に入ってくれた?」
「はい!とても!……あら?」
パラパラとめくっていた手が止まる。
「ここから先、白紙ですね……」
「どれどれ……あ、本当だ……」
小さい頃の、梢ちゃんのイラストから先が、白紙になっていた。
どうしたものか……
「…………それなら」
僕は言う。
「僕達の、これからの思い出を、このスケッチブックに書いていこうか?」
「…………」
梢ちゃんは、しばらく呆として、
そして、
「はい!そうしましょう!」
とびきりの笑顔で、応えてくれた。
344First Present(23):2005/06/23(木) 00:17:10 ID:VN5gdffF
雨の中を、相合傘で歩いていく。
「……ちょっと、寒いですね……」
「なら、僕のコートを着て」
僕は、コートを脱いで梢ちゃんに羽織らせる。
「……ありがとうございます、白鳥さん」
「うん……お」
雨が、雪に変わっていた。
この時期には珍しい、名残雪。
それは、ホワイトデーの名に相応しい演出だった。
白い恋人達は、雪の中を歩んでいく。
「……今日は、忘れられない日になりそうです」
「え?」
「だって……」

「素敵な『白い贈り物』を、二つも頂けたんですもの」

「梢ちゃん……」
「あ……二つじゃなくて、三つでしたね、『白』鳥さん」
「え……」
そう言う梢ちゃんは、この上ない笑顔だった。
345First Present(24):2005/06/23(木) 00:19:32 ID:VN5gdffF



桜が舞っている。
綺麗な桜色。
僕は、縁側でイラストを描いている。
と。

「おとーさーん!!」

廊下をとてとてと歩いてくる影。
髪は梢ちゃん譲りの蒼色。
リボンで二つにまとめる、いわゆるしずかちゃんヘアー。
「どうしたの、あずさ」
「あのね、おとうさんがかいたえほんをよんでほしいの!」
「うん、いいよ」
「やったー!!」
僕の膝の上にちょこんと座るあずさ。
「これ!これよんで!」
「はいはい、わかりました」
僕はその絵本を読み始める。

「昔々ある所に、一人の若者がいました。その若者は、故郷の村を出て大きな町にやってきました。
そこで若者は、ある若いむすめに出会いました………」
346First Present(25):2005/06/23(木) 00:22:18 ID:VN5gdffF
あのスケッチブックは、今も残っている。
その最後のイラストには、
母としての優しさが満ちている僕の大切な人と、
可愛らしい笑顔が眩しい、僕達の宝物が描かれていた。


<<White Present>>is the end...
347First Present(オマケ):2005/06/23(木) 00:24:41 ID:VN5gdffF

「ねえねえ、どうしてジョニーはごはんをたべないの?」
「え……それはだナ……」
「ねえねえ、どうして?」
「………………」
「あら、あずさちゃんったらまた『どうして』が……」
「あずさちゃん、いつにも増して可愛いです〜」
「あずさちゃんにまで熱を上げるわけ〜、珠〜?」
「実はね、あずさちゃん……」
「……うふ、朝美もすっかりお姉さんね……」


鳴滝荘は、今日も賑やかです。
348First Present(アトガキ):2005/06/23(木) 00:27:56 ID:VN5gdffF
最後はまったりと仕上げました。
というか、オリキャラ「白鳥あずさ」ちゃん召喚です。
イメージは、保管庫のムカシコズエです。
ttp://whitebrown.hp.infoseek.co.jp/mahoraba/CG/2_866.jpg

結構、完成度としては気に入っているかな……
なんか、久々のまったり系は疲れます。

こんなところで、もう寝ます。
オヤスミナサイ・・・・・・・
349名無しさん@ピンキー:2005/06/23(木) 00:31:03 ID:Ty3ZzKP8
>>348
(・∀・)GJ!!

オリキャラで最後を締めるなんて流石だな。
350名無しさん@ピンキー:2005/06/23(木) 00:37:12 ID:1r9+m+FK
ふむ…お疲れ様でした。
We'd〜の「変わっていくけど変わらない」まほらばに対して
「変わらないけど変わっていく」まほらばですな。
一つの未来像として対照的でした。

何はともあれ、よいまったり感でした。
351名無しさん@ピンキー:2005/06/23(木) 01:03:18 ID:2d4YNTiz
>>348
俺も羊羹になりたい。
352名無しさん@ピンキー:2005/06/23(木) 02:00:01 ID:dOeo0kdf
二人に子供が・・・
なっ…なんということでしょう!!
353名無しさん@ピンキー:2005/06/23(木) 03:01:55 ID:Askeh0cr
梢ちゃんのドピュドピュで隆子たんが孕んだ子ですな
354テイル:2005/06/23(木) 07:27:43 ID:u8fY0iPL
>>353
その場合はお絵描き掲示板のミニ隆子たんになります、なんて。

実際、迷いましたけど。
でも普通にムカシコズエが可愛かったから…

いや、ゴメンナサイ。
355名無しさん@ピンキー:2005/06/23(木) 10:25:44 ID:1r9+m+FK
もういっそ、二卵性双生児で両方ってことで。
356名無しさん@ピンキー:2005/06/23(木) 12:40:27 ID:o8Yv/ja1
やっぱ木偏がいいのか?

梓と楓?
357名無しさん@ピンキー:2005/06/23(木) 12:46:42 ID:3X/6eQ4v
"梢" って字の意味調べたら「木の幹や枝の先端のほう」だって・・・
358名無しさん@ピンキー:2005/06/23(木) 13:22:24 ID:hGJhe/r/
「だって…」って、
多分このスレの住人の大半は知っているぞ…
359名無しさん@ピンキー:2005/06/23(木) 13:28:12 ID:LsASgzop
まだ義務教育が終ってない子はこんな所来ちゃだめだよ。
360名無しさん@ピンキー:2005/06/23(木) 13:42:43 ID:1r9+m+FK
>>356
ついでに千鶴と初音…いや、なんでもない。

でも白鳥くんも梢さんも一人っ子だったから反動で3人くらい
子供作りそうな予感。
361名無しさん@ピンキー:2005/06/23(木) 14:23:38 ID:gYoceO+T
テイル氏、乙です。
原作イメージ崩れず暖かい終わり方でよかったです。
ただ>>342の梢ポンが抱きついてくるところが違和感を・・・
外でいきなり抱きついてくるような娘ではない・・・かも

362テイル:2005/06/23(木) 14:51:53 ID:u8fY0iPL
ちなみに執筆時点での名前候補は…
渚・麻梨・菜々香・つぐみ・雫…

つぐみって家出しそうな名前だなorz

>>361
いや、そこは恋人同士だし、雨に濡れていたから大目に見てくださいな…
363名無しさん@ピンキー:2005/06/23(木) 15:19:36 ID:3X/6eQ4v
>>359
梢は常用漢字ではないから学校卒業した成人でも知らない人は知らないよん
364名無しさん@ピンキー:2005/06/23(木) 15:25:27 ID:RMzJzGXC
そっち系の漫画って人の名前に無駄に難解な漢字使う事があるからなあ・・・
365名無しさん@ピンキー:2005/06/23(木) 17:24:58 ID:1r9+m+FK
そりゃ、鈴木花子とかありきたりな名前じゃ覚えて貰えないから…。
366名無しさん@ピンキー:2005/06/23(木) 18:04:23 ID:sEVGjWXH
難解でも意味があればええことよ

単純でも鈴木一郎は全国区だからええことよ
367名無しさん@ピンキー:2005/06/23(木) 18:28:03 ID:9RYYhkVp
でも読めない漢字を使ったせいで名前を覚えてもらえない事態にもなるわけで。
本末転倒になるよりは、あまりこだわり過ぎない方がいいと思うんですけどね。
妥協もれっきとした方向性。
368名無しさん@ピンキー:2005/06/23(木) 21:25:03 ID:+BUX+kop
はい、本日もつなぎのためにやってまいりましたよ〜。

それでは『One day +One』です。
369One day +One:2005/06/23(木) 21:26:30 ID:+BUX+kop

桃乃さんの部屋。

「ガオー」
「うわー」
「うわー」
「悪者めーとうー」
「マイッター」
「だいすき」
「ははは」
「すき」
「ははは」

「にゃははははは!!せ、台詞全部棒読み〜!!怪物の中の人丸見え〜!!
どこがスペクタルサスペンス!どこがサイバーパンクホラー!!」
桃乃さんが、床をバンバン叩きながら笑っています。
これは、いつかの文化祭の時に買ったビデオですね…。
「は〜笑ったわ〜。さーて、次は何を見ようかしら〜」
積んであるビデオに手をかけようとしたとき。
370One day +One:2005/06/23(木) 21:28:07 ID:+BUX+kop
「桃ちゃぁぁあん!!」
不吉な叫び声が聞こえてきました。
そしてそれは、
「桃ちゃあん!!」
勢いよく部屋の扉を開き、突進してきました。
「に゛ゃっ!?な、魚子ちゃん?」
「うん!わたし魚子ー☆桃ちゃん、お団子食べよー!!」
「お、お団子…?」
「ハア、ハア、すいません、桃乃さん…」
やっと来た白鳥くん。
「体力ないですね〜白鳥さん〜」
その後ろに珠実さん。
「あ、白鳥くんに珠ちゃん、お団子ってどういうこと?」
「実は、帰りに和菓子をたくさん買ってきたんです。
よかったらみんなで食べませんか?」
371One day +One:2005/06/23(木) 21:29:53 ID:+BUX+kop
「あたしはいいけど…」
「じゃあ、いま沙夜子さんと朝美ちゃん、灰原さんも呼んできますから、
その間魚子ちゃんを頼めますか?」
「よっしゃ!そういうことなら任せなさい!
アレをやるわよ〜珠ちゃん!!」
「はいです〜!」
そして二人が取り出したのは、
「グレートネコロンダー見参!!」
「さっきどさくさに紛れて部長から奪還した、ドワルガ〜!」
「おー!」
目を真ん丸くする魚子ちゃん。

「な、なんだかえらい懐かしいものを出しましたね、二人とも…。
それじゃあ、僕は沙夜子さんと朝美ちゃんのところに行ってきますから…」
372One day +One:2005/06/23(木) 21:31:21 ID:+BUX+kop
「グレートネコロンダー、ブーストパ〜ンチ!!」
「なにを〜!ドワルガ〜、アイアンクロ〜!!」
拳を交える奇妙なニ体。
そして一度離れ、距離をとります。
「くっ、グレートネコロンダーの属性は光!」
「対してドワルガーの属性は闇です〜」
「つまり、互いに反対属性!」
「一撃でも食らったら大ダメージです〜」
「勝負は…」
「一瞬で決まります〜…」
睨み合うニ体。
「あははは!!おもしろ〜い!魚子もやる〜!!」
そう言うと、魚子ちゃんは庭の方へ走っていってしまいました。
373名無しさん@ピンキー:2005/06/23(木) 21:39:52 ID:+BUX+kop
今回は短くてすいません。次回はいつもの長さになります。
次回、白鳥くんが黒崎親子の部屋に行くと…?
乞う御期待!!

余談ですが、コテハン入れるのは生意気でしょうか?
それともあったほうがわかりやすいでしょうか?
374名無しさん@ピンキー:2005/06/23(木) 21:43:35 ID:WEhsWSF5

調子に乗るな
お前一人になんか期待してない
375名無しさん@ピンキー:2005/06/23(木) 21:57:09 ID:5nh/rx45

お前には耳かき一杯分の期待もしていない

>>373
これからも書くぞ!の意気込みがあればコテハンの有無はどうでもいいんだけど。
ま、ご自由に。
376名無しさん@ピンキー:2005/06/23(木) 22:00:49 ID:YKoLvyAV
>>373
漏れは期待してるぞノシ
377名無しさん@ピンキー:2005/06/23(木) 22:19:11 ID:hGJhe/r/
>>373
今回も乙です。
やっぱりこの雰囲気がいいですね。
明日も期待します。
それと、コテの件ですが。
まあぶっちゃけ、俺も>>374と同じ意見ですね…前半だけ。
作家が自分からコテを付ける必要性はほぼないかと。
読み手が望んだら、付けるのも悪くはないと思いますが。


これは偏見ですが、誰に言われてもいないのにコテを付けると言うのはどうも独り善がりな気がするんですねぇ。
378名無しさん@ピンキー:2005/06/23(木) 22:22:15 ID:4P5vC7RR
>>373
是非ともコテを付けてください!
379名無しさん@ピンキー:2005/06/23(木) 23:37:14 ID:GFytRT/f
書き方からするに、>>373は2ちゃん暦浅いのかな?
大抵コテは嫌われるけど、このスレはそうでもないし、
漏れは好きにすればいいと思うけどね。
380名無しさん@ピンキー:2005/06/23(木) 23:42:39 ID:jazDklSf
>>373
乙です〜。
俺も>>379同様、コテをつけるかどうかは本人の自由かと
381名無しさん@ピンキー:2005/06/23(木) 23:51:04 ID:+BUX+kop
すいません、やっぱり少々調子に乗ってましたね…。
筆が進んでいたのでうれしくてつい…。

>>377
少々ドタバタすぎませんかね?大丈夫ですか?

自分もそう思うので、ここで皆さんの意見を聞いてみました。
>>378
本当につけていいんでしょうか?
「これからも書くぞ!」という意気はあるかわかりませんが、
今の書いてるうちにムクムクしてきたアイデアで別話は書くかもしれません。
とりあえず、今の話を終わらせるまでは頑張らせていただきます。
382名無しさん@ピンキー:2005/06/24(金) 00:21:23 ID:/wdxqfrW
別に2chにコテつけちゃダメってルールはないからご自由にとしか。
まあ、読み手としては作者が誰なのか名無しよりもわかりやすいからいいんですけどね。
ただ、わかりやすい分だけ目立つのでいろいろ気を遣った方がいいですよってことです。
383ぐうたら:2005/06/24(金) 00:22:20 ID:KbXyBR4a
蒼が出来たので投下します。

『熱 〜シラトリリュウシの場合〜 蒼』
投下〜。
384熱 〜シラトリリュウシの場合〜 蒼 1/4:2005/06/24(金) 00:22:46 ID:KbXyBR4a
外からの日差しが眩しい、お昼時…をそこそこ過ぎた午後3時30分。
今現在、僕こと白鳥隆士は、風邪で寝込んでいます。
そして炊事場では、僕の恋人、蒼葉梢ちゃんが僕に料理を作ってくれています。
…?何ですか?
……転んだのに、どうして梢ちゃんのままなの、ですかって?
それは僕にも分かりませんが、今日の梢ちゃんはいつもよりタフです。
そのお陰で今から食べれる梢ちゃんの特製手料理の事を考えると……おっと、ヨダレが止まりません。
開きっぱなしのドアの向こうから聞こえる、トントントン、と、小刻みに一定の間隔を置いて包丁がまな板に当たる音。
小気味良い音に不思議な安堵感を覚えながらも、天井を見ながら時間をつぶしておきます。
あ…何か人の顔のような…シミ?
目をつぶってもう一度見ると、そのシミは消えていました。怖!?
そんなぷち恐怖体験を体験していると、炊事場からとても良い香りがしてきました。
と、と、と…と、慎重に歩を進める音と一緒に香りもついて来ます。
「白鳥さん?起きてますか?」
385熱 〜シラトリリュウシの場合〜 蒼 2/4:2005/06/24(金) 00:23:32 ID:KbXyBR4a
ひょこっとドアから顔をのぞかせた梢ちゃん。
「起きてるよ、梢ちゃん」
「あの、おかゆ…作ってきました!」
彼女の持つお盆の上には、おかゆと、山盛りの梅干。
梅干がどれくらい山盛りかというと、おかゆ:梅干が4:6なぐらいに。
「あ、あのさ…梢ちゃん」
「はい?」
「その、さ…なーんか…梅干、多くない?」
「え、そ、そうですか?病気の時は梅干で元気をつけるのがいいかなって思って…」
そう言いながら、少し梢ちゃんの目が潤む。
「こんなにたくさんは…ご、ご迷惑…でしたよね…?ごめんなさい、白鳥、さん…ぐすっ……」
「ご、ごごごごごご迷惑なんてっ!!と、とんでもございませんことでましまし候じゃなくてトンデモナイ!本当においしいよね、梅干!!」
急いで梅干(推定50個)の4割程をたいらげる。
「ほ、本当ですか…?」
「うん!梅干もおいしいし、おかゆも―」
そう言いながらおかゆを口にした瞬間、あたたかな感じが口の中にぶわっと溢れ、
焼きたて◎。ぱんをも凌駕するリアクションをとりそうになるのを必死に抑えて…
「―おかゆも、すっっっごく美味しい!!」
「そうですか?嬉しいです、喜んでもらえて…」
ぽっと顔を赤らめる梢ちゃん。
そんな彼女を見ていると僕まで赤くなってきて…
「…?し、白鳥さん?また顔が赤くなってますよ?熱がまた出てきているんじゃないですか?
386熱 〜シラトリリュウシの場合〜 蒼 3/4:2005/06/24(金) 00:24:09 ID:KbXyBR4a
そう言うと梢ちゃんはその幼さが残る顔をどんどんどんどんどんどん(の森)僕に近づけて…
ぴとり。
おでこを僕のおでこにくっつけました。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!??!!??!!??」
声にならない声をある僕と、静かに目を閉じて自分の熱と僕の熱を比べるかのような梢ちゃん。
ハタから見れば、面白くてたまらない光景ですが、当人としては大変です。
「こ、ここ梢ちゃんッ!?」
裏返った声がもう一度裏返り、おまけにもう一度裏返ったような声を出す僕に対して梢ちゃんは
「うーん……熱は無いですよねぇ…」
と、呑気に熱を測っています。
「だ、大丈夫大丈夫!も、もう寝るね!?お、おかゆありがと梢ちゃん!!おやすみ!!」
と、一気にまくし立て、布団をがばっと被って眠りにつこうとします。
「あ、そ、そうですか?そうですよね、風邪のときはしっかり食べてしっかり休むほうがいいですよね!」
「うん…そうだね」
「あ、熱いですよね?私、氷まくら作ってきます!」
「え?あ、いいよ?そんなにしてもらわなくても…」
「いいえ!白鳥さんには早くよくなって貰いたいですから…そうじゃないと…」
「?」
「私が……寂しいですから……」
と言って、顔を赤らめ、俯く梢ちゃん。
「〜〜〜っ!?」
もはや何度目か、何とも言えぬ気恥ずかしさ。
「あ、わ、私っ、氷まくら、持って来ま…ごにょごにょ…」
最後のほうは聞き取れないほどごにょごにょな梢ちゃんは、足早に部屋を出て行きました。
387熱 〜シラトリリュウシの場合〜 蒼 4/4:2005/06/24(金) 00:24:32 ID:KbXyBR4a
再び部屋に静寂が訪れます。
ふと、壁を見る。
本棚。絵本がたくさん入っている本棚。
魚子ちゃんに読ませたりもしたっけ。
壁。何となく血痕のようなものが見え隠れしている壁。
早紀ちゃんに酔った勢いで叩きつけられた時のものです。
押入れ。中には少し紙ふぶきが入っている押入れ。
夜になって押入れを開けたら棗ちゃんが入ってて驚いたなぁ…
窓。夕日に染まった朱の差し込む窓。
課題をしてたら急に窓から千百合ちゃんが飛び込んできたときがあって大変でした。
何処か、いつもより静かなこの部屋。この鳴滝荘。
いつもと違うけど、いつも通りの日常。
普段とちょっと違う一日だったけど、僕のことを心配してくれてる梢ちゃんのためにも、普段どおりの一日を送れるようになろう。
心の中で、大事な恋人にたくさんのお礼を言い、その後ちょびっと、風邪にも礼を言ってみました。
388アトガキ ジゴク:2005/06/24(金) 00:28:10 ID:KbXyBR4a
今回で一応『熱』シリーズ完結です。
なんか自分的には今回中身がすっからかんな感じがしてあまり書いてて楽しくありませんでした…
やっぱり個性と需要のバランスが難しいです。
自分の個性をまだ見出せてないのでまだまだ拙いところもありますが、これからも御覧頂ければ、と思います。
次回は自分の中で答えが出てからの投下になると思うので、かなり期間が開くと思います。
たった一人でも期待してくださる人がいればその期待に沿えるようなものを書ける書き手になりたいです。
それではさようなら。
389名無しさん@ピンキー:2005/06/24(金) 00:31:20 ID:DYYnVdR2
(・∀・)VGJ!

漏れはおまいがまた来ることを祈り、期待して待ってるぽ。
390テイル:2005/06/24(金) 00:52:21 ID:jo/b6vNQ
>>388
色々書こうと思ったんですが、やめました。
ぐうたらさん、同じ書き手として次の新作を待っています。
乙・GJでした!
391名無しさん@ピンキー:2005/06/24(金) 01:01:08 ID:9VH1uT28
>>ぐうたら氏
癒されました。GJです!
392名無しさん@ピンキー:2005/06/24(金) 01:03:39 ID:/wdxqfrW
そう言う何気ないところがまほらばらしさなんじゃないかなと。
無理に起伏を持たせようとしないでもいいんじゃないですかね。

青春の悩みは堂々巡り〜ってやつですから、頑張って自分なりの回答を見つけてください。
アニメが終わっても待ってますよ。
393名無しさん@ピンキー:2005/06/24(金) 08:05:13 ID:o1ZGUCe4
>>388
ぐうたら氏には何度も笑わせていただきました。
また帰ってきてくださいね!
お疲れさまでした。
394名無しさん@ピンキー:2005/06/24(金) 08:48:42 ID:5kClcy3Q
「気絶したっぽい?けど梢さん状態のまま」というのは実際(原作の作中)に
隆士君が梢さんに告白したときの、ただ1度だけあるね
395名無しさん@ピンキー:2005/06/24(金) 09:18:01 ID:I1e87n7a
梢ちゃんかわいいね。
ぐうちゃんもがんばってね。
396名無しさん@ピンキー:2005/06/24(金) 18:08:32 ID:u0vztRgW
ぐうたんハァハァ(;´Д`)
397テイル:2005/06/24(金) 18:26:34 ID:G7VYrsqD
保守代わりの短編投下。
「ホコトン」の裏バージョンみたいな感じです。

まあ、完全に勢いですけど。
398名前(1):2005/06/24(金) 18:29:05 ID:G7VYrsqD
「ねえ、ちょっと」
「何よ、今忙しいのよ」
「忙しいって、ホモ小説読んでるだけじゃない」
「ホモって言わないで!これはボーイズラブだよー」
「あいつの言い草じゃないけど、言い方を変えてるだけよ」
「うぅ……………」
ここは脇役天国。
本編における登場頻度が低い者達が集う場所。
「なんかひどい言い草ね、ナレーター」
「うん」

……だって、そう表現するしかないし。
それはともかく。

「にしてもさー、あんたの名前の『理想奈』って……」
「いい名前でしょー、少女マンガのヒロインみたいで」
「あんたはそうかもしれないけどさー……私にしてみれば、

 銀行

 ……なんだよね」
399名前(2):2005/06/24(金) 18:30:33 ID:G7VYrsqD
「はうううううぅぅぅぅ!!!!!」
ショックを受けるホモスキー。
「ひ、酷いわ、私がずっと気にしてる事なのに!それを言うだなんて!
 この元ネタはラテン語で『共鳴する』って意味なのに!馬鹿!外道!鬼畜!
 馬に踏まれて死んでしまえー!!!」
「そこまで言われる覚えは無いわよ……」
ギャーギャー騒ぐ理想奈に対し、釘バットは呆れ顔。
「何よ、それを言ったら、あなたの『瑞穂』だって銀行の名前じゃない!
 しかも往年の寝台特急にもなってるわ!!」
「な、なんですってーーーー!!」
過剰反応する瑞穂。
「それだけはあんたに言われたくなかったのに!しかも廃止された寝台特急まで持ち出して!
 あんたのほうが外道よ!腐女子!変態!豆腐の角に頭をぶつけてしまえー!!」
「二人とも元気良く喧嘩してるトコ悪いんだけどさ」
最早泥沼の二人へやってくる影。

「あ…………お姉さん」

やってきたのは、阿甘堂のお姉さん。
「あんたたちはまだいいわよ……銀行にしろ、列車にしろ、今も元ネタがあるんだから。
 それにひきかえ私は…………銀行は『りそな』とかいう変な名前になるし、
 列車に至っては急行から新幹線にまで上り詰めたのに、『朱鷺』に変わっちゃうし」
そう話す旭さん、すごく疲れた顔をしている。
人生に疲れた顔だ…………
400名前(3):2005/06/24(金) 18:32:21 ID:G7VYrsqD
「お姉さん…………」
「……そうよね、お姉さんはもう元ネタが無いんだったね。
 まだ私達は幸せなのかも……」

「じゃあ俺達の立場はどうなるんだ〜?」

「あ、八百長のおじさんと…………どなた?」
「水無月家の専属運転手です……沙夜子お嬢様がいつもお世話になってます」
「はぁ……」
少しマイナーな八百屋の親父さん、現在名無し。
「ちくしょう……どう考えても『やおちょう』としか読めない看板担がされてんのに、
 よりにもよって俺は名無しかよ……」
「私なんていつもハンドル握ってるだけ……」
「――お互い、大変ですね」
名前があるのとないのでは大違い。
しかし、今ではどうでもよくなっていた。
「名前が……名前が欲しい……でも、どうすれば……」

「まぁ、そういう恨み節は〜」
401名前(4):2005/06/24(金) 18:33:01 ID:G7VYrsqD
「あ、プチ銀先生」
「あそこにいる駄目作者に言うです〜」
珠実が指を差した先には……


作者、せっせと作業中。


「………………」
「………え、なに、脇役のみんな」
「名前……」
「名前?…………あ」
しばらくの沈黙。
そして、小島の回答は。


「―――――テヘ」


その日、作者の悲鳴が再び響きました。


<<RebellionU>>is exploded.
402名前(チラシの裏):2005/06/24(金) 18:37:14 ID:G7VYrsqD
完全に勢いです。もしかしたら原作スレで既出事項だったり……
ちなみに、元ネタは本当の話です。
あさってが最終回とは思えない感じです。


ここから雑談。
誰か愛しのあずさたん描いてくれないかな……
スレ違いスマソ
403名無しさん@ピンキー:2005/06/24(金) 18:43:04 ID:/wdxqfrW
ああ、ここでも忘れ去られる弓道ちゃん…。
404テイル:2005/06/24(金) 18:59:35 ID:jo/b6vNQ
しまった、サクラを入れ忘れたorz
後で修正版出します…
405名無しさん@ピンキー:2005/06/24(金) 19:16:34 ID:jH7lPTHS
サクラは脇役天国から卒業させられてるのでOKでしょう。
406ぐうたら:2005/06/24(金) 19:18:36 ID:kxdRtovR
>>395
>>396
俺は萌えキャラじゃない!!
近いうちに皆様のご要望に答えられるSSを投下したいと思います。
>>402
GJ!作者様が死んじゃうからもう暴力は…暴力は…っ!!
407名無しさん@ピンキー:2005/06/24(金) 22:55:02 ID:GAjW27cd
意気込み書いてるんだったら、SS製作に集中しろ
408名無しさん@ピンキー:2005/06/24(金) 23:03:27 ID:o1ZGUCe4
>>402
テイル氏乙です。
嗚呼、短篇が書けるようになりたい。

>>406
ぐうたら氏、萌えキャラ化?

>>407
まあまあ、意気込みは自己決意みたいなものですよ。
ぐうたんのことですから、しっかり製作していると思いますよ。

というわけで、今日も投下させていただきます。
409One day +One:2005/06/24(金) 23:05:41 ID:o1ZGUCe4
ダンボールが積まれた、部屋の中。
朝美ちゃんと沙夜子さんがいます。
「ごめんなさい!お母さんの木、一本無駄にしちゃった…」
「…いいのよ、朝美…」
「ソうデスよ豆サン。木ヲ無駄にシテも気にシなイ…デス。
私モこノ通り失敗しテしまいマしたガ、木に、オっと、気にシていマせんヨ。クッ」
そしてもう一人、なぜか部長さんがいました。
部長さんは失敗した木を朝美ちゃんに見せます。
「あははは…。でもやっぱり私は、いつも通り、お花を造るよ。お母さんは作品、がんばってね!」
「私モ手伝いマスよ、豆サン」
410One day +One:2005/06/24(金) 23:07:50 ID:o1ZGUCe4
朝美ちゃんと部長さんは、失敗した木を片付け造花造りに戻ります。
沙夜子さんは新しく木を取出し、
「……」
掘り始めます。
そこへ、

コンコン

ドアがノックされます。
「朝美ちゃん?」
「あっお兄ちゃん!どうぞー」
「仕事中ごめんね…って、沙夜子さんは何を造っているのかな…?」
沙夜子さんは木を掘って、不思議な生物を造っています。
「お母さんは彫刻を掘ってるんだよ!」
「彫刻…?前まで庭にあったオブジェのようなもののこと?」
411One day +One:2005/06/24(金) 23:09:28 ID:o1ZGUCe4
「そう!実はお母さんが作ったあの彫刻を、まひるちゃんが気に入って持っていったんだ。
それを見た丑三おじいさんが、お母さんに
『これは売れるぞ。もっと作ってみろ』
って言ったの!」
「それで、沙夜子さんは彫刻を掘ってるんだ…」
ホリホリホリ…。
彫刻を掘る沙夜子さんは、いつにも増して静かです。
「…で、なんで部長さんはここにいるんですか…?」
「アァっッ!!放置プレイかト思ッテまシタのにッ!!」
朝美ちゃんと一緒に造花を造っている怪しい人を、
いい加減無視できなくなった白鳥くん。
412One day +One:2005/06/24(金) 23:11:44 ID:o1ZGUCe4
「私ハ、豆サンと『お花』ヲ造りながラ『お話』しテいタのデスよ。ねエ、豆サン」
「あははは!うん!お姉ちゃん、とっても面白いんだもん!!」
「そうですか…ははは…」
力なく笑う白鳥くん。
「それで、お母さんと私に用事ってなに?」
「あ、実は帰りに、お団子とか和菓子をたくさん買ってきたんだ。
よかったらみんなで食べない?
…部長さんも、どうですか?」
「うん!私はいいよ。お母さんと、お姉ちゃんは?」
「…水ようかん…」
「水ようかんもちゃんと買ってありますよ」
「…水ようかん…!」
沙夜子さんはうれしそうです。
413One day +One:2005/06/24(金) 23:13:33 ID:o1ZGUCe4
「私も、水ヨうカンは嫌イではアりマせンよ」
部長さんもまんざらではないようです。
「それじゃあ、もう少し進めてから行くね!」
「うん。待ってるよ」
「…水ようかん…」
白鳥くんが行こうとしたとき、
「あア、ソうデシタ。オ待ちナさイ、タマなしサン」
部長さんに呼び止められてしまいました。
「な、なんですか…?」
「実は、デドリーに入れておいたドワルガーがないのデス。
知りませんか、タマなしサン?」
「ドワルガー?…ああ、あの人形ですか。
それなら珠実ちゃんが持ってましたよ」
414One day +One:2005/06/24(金) 23:15:55 ID:o1ZGUCe4
「おヤ、マたしてモ珠実部員デシたカ…。
彼女ハ、少々痛い目ニ遇わナいとわからなイのデシょウか…?
アァぁ、痛い目!!遇いタいデスねッ…!!」
「は、はぁ…」
「ソれデは、私はドワルガーを取り返スために、先に行ッてマスよ豆サンたチ。…アァッ!先にイきタいッ!!」
両手で顔を押さえながら部長さんは走り去ってイきました。
朝美ちゃんも、さすがに今のはわからなかったでしょう。
「…そ、それじゃあ待ってるね」
「…う、うん!」
415One day +One:2005/06/24(金) 23:17:18 ID:o1ZGUCe4

「さて、次は灰原さんだな…」
白鳥くんは中庭へ向かいながら、ふと考えます。
「…部長さんのあのぬいぐるみ、どれだけ物が入るんだろう…?」

…それは考えてはいけないことのような気がしました。
416お腹いっぱい:2005/06/24(金) 23:24:52 ID:o1ZGUCe4
いろいろ考えましたが、今日からコテハンを使わせていただきます。
まだまだ未熟ですが、書きながら成長したいです。
今後ともよろしくお願いしますm(_ _)m

今日はちょうどよく区切れたのでよかったです。
この先変なところで区切れることがあると思いますが、
そこは暖かい眼差しで見てください…。
417テイル:2005/06/24(金) 23:43:05 ID:G7VYrsqD
今日も今日とて携帯から乙です。
明日も待っていますよ。

ほどよくスレの速度が低下気味……
これで丁度いいのかもしれないけど。
418名無しさん@ピンキー:2005/06/24(金) 23:48:23 ID:DYYnVdR2
>>417
それはそれで悲しいような希ガス。
419名無しさん@ピンキー:2005/06/24(金) 23:59:13 ID:/wdxqfrW
毎度ながら不信心仏画生き生きしてますね。
…どういう変換なんだ、ATOKクン。

まあ、今までが飛ばし過ぎてただけって話で
これでも十分早いんじゃないですか?
420名無しさん@ピンキー:2005/06/25(土) 00:37:08 ID:fFrRDvQZ
>>416
是非これからも頑張ってくれたまえ。

>>418
まあ本当に好きなヤツだけが残るから、いいんじゃない?
421125:2005/06/25(土) 00:49:04 ID:1XZje648
毎度ながらちまちま投下

エロなしまひる話
「だから、笑いましょう」

それでは投下ー
422125:2005/06/25(土) 00:50:00 ID:1XZje648
8/


「だったら!」
気が付くと、叫んでいた。
吐き出すように、吐き捨てるように。
「…だったら、なんでそんな話を笑ってするんだ?親が死んだ、なんて…どうして笑って言える?」

止まらなかった。
止められなかった。

暴れ狂う濁流をせき止める堤防―――理性、その類の感情―――などは、その時の私には到底縁遠いモノで。

なんでもいい。
手当たり次第、洗いざらい、とにかく何でもいいから、
吐き出したかった。
ぶち撒けたかった。
楽になりたかったのだ。

「どうして―――どうしてそんなカオで笑う…?悲しい時は笑えばいい。無理して笑わなくたって……」

違う。
何を言っているんだ、私は?
あいつが無理に笑ってなどいない事は、他ならぬ私が一番理解っている筈なのに。

だけど、止まらない。
胸が苦しい。
たまらなく苦しい。
こうして喋り続けていないと、分裂してしまいそうで、仕方無い―――。
423だから、笑いましょう:2005/06/25(土) 00:51:49 ID:1XZje648

一方で、あいつは私の胸の内を知ってか知らずか―――あの様子では、恐らくは本当に知らなかったのだろうが―――
うーん、と頬に指を当てて暫く考えると、
「わかりません、私も」
また、あっけらかんと、笑った。
「…気が付いたら、笑ってるんです。
笑えるとか笑えないとか、笑おうとか笑いたくないとか、そういう事じゃなくて」
―――息をしているのと、同じだと思いますよ。
笑う。
そう言って、あいつは尚も笑う。

「……………」
ああ―――この笑顔は、毒だ。
毒。或いは、豪雨。
激流と化した感情に、拍車を掛ける、豪雨。
「…………ぃ…」
吐き出しても吐き出しても、楽になるどころか余計に苦しくなる一方で。
烈しく流れ続ける感情は、宛ら胃液の如く、己が壁を―――ココロの壁を、がりがりと削り、浸食していく。
自らが、自らを蝕んでいく―――
424だから、笑いましょう:2005/06/25(土) 00:53:25 ID:1XZje648
「………な…い」
…"わからない"?
ふざけるな。
だったら、私だって―――
「……か…ら、ない」
…私、だって。
「…わからない」

わ、た…し―――


「わからない!!」

叫んだ。
叫ぶしか、なかった。
そうしないと、本当に自分が解らなくなりそうで。
ネジが外れて、バラバラに壊れてしまう―――そんな感覚さえ、覚えた。
「私だって、わからない!私は何で笑わない!?何で笑えない!?お前が笑えて、皆が笑えて、どうして私だけが笑えない!?」
何を言っているのか、自分でも解らなかった。
私は、最低だ。
こんな事をあいつに言った所で、何の意味も為さないのに。
自分が今している事は、自分の不自由を他人の所為にしているだけ。
押し付けているだけに、過ぎないというのに―――
425だから、笑いましょう:2005/06/25(土) 00:54:20 ID:1XZje648
「私は泣く事しか出来ない!怒る事しか出来ない!私だって…私だって―――!」
―――いけない。
その先を言っては、駄目だ。
それを言ってしまったら、私は―――

―――ソレヲ、ミトメルコトニナルカラ。



―――――、」
刹那、わたしがまっぷたつにこわれる一歩手前―――それは冗談でも無く、もしかすると比喩ですら無く。

ぽん、と。
正しく間一髪のタイミングで、私の両の肩にあいつの手が置かれた。

その掌の、確かな重さ、確かな温もり。
私は闇の中から引き戻されたような感覚を覚えて、ハッと顔を上げた。

―――桜色の太陽が、其処にあった。
426421:2005/06/25(土) 00:55:24 ID:1XZje648
今回はここまでです

次回はサクラさん大活躍?
終わりも近いです、多分

では
427名無しさん@ピンキー:2005/06/25(土) 01:04:17 ID:G8Nx+RM6
>>426
GJですよ

あ〜あ次の火曜で最終回か〜
428テイル:2005/06/25(土) 11:50:47 ID:c4hKCMUM
ネタレスだけど、まほらば女性陣(梢とか)に一度は言われたい台詞ってある?
これぞってコトバは、独断と偏見で次のSSに載せる……かも。
王道でも何でもOKです。
429名無しさん@ピンキー:2005/06/25(土) 11:57:44 ID:Glqz7PeR
言われたいというか、部長が珠を詰ってるとこが見たい。
430名無しさん@ピンキー:2005/06/25(土) 12:29:54 ID:onvdAs2q
>>428
「ああッ!出ますッ!うんち出ちゃいます白鳥さんッ!!」
431ぐうたら:2005/06/25(土) 13:21:41 ID:SXr6IWx+
>>428
早紀ちゃんで
「手…つないでも良いかな・・・?」
とかで。っつか自分で書けばいいんだけど・・・
432名無しさん@ピンキー:2005/06/25(土) 14:00:17 ID:icajQYUq
>>428
梢ちゃんが箱いっぱいのゴムを手に
白鳥君に「お一つどーぞ」って
433名無しさん@ピンキー:2005/06/25(土) 14:26:56 ID:FnpRGsSO
>>428
体は男、心は女。その名は、白鳥隆子!
434名無しさん@ピンキー:2005/06/25(土) 14:45:41 ID:A+9LhRi4
言葉責め以外の部長とのカラミ
435名無しさん@ピンキー:2005/06/25(土) 14:59:34 ID:qorGcDD0
それ、難しいからって前フリだけで終わりにした人ならここにノ
436名無しさん@ピンキー:2005/06/25(土) 16:09:15 ID:kw5QlHqJ
アニメ最終回でなっちんのパンチラかよ。どーゆー反応するかそれはそれで楽しみだが、
なんかこう可哀想だろというかやめといてやれよというか、そういう汚れ役は梢ちゃんに
やらせろよと。
437名無しさん@ピンキー:2005/06/25(土) 16:36:54 ID:5BhCOLpo
>>436
それはそれで失礼な気が。
ところでアニメ終わったの?自分は放送圏外だから分からん・・・。
438名無しさん@ピンキー:2005/06/25(土) 17:24:39 ID:KatAZynb
>>437
東京は明日で終わりだよ。北海道はもう少し後だが。
439名無しさん@ピンキー:2005/06/25(土) 20:44:04 ID:9CshFsR2
DVDプレーヤーホスィ…
440名無しさん@ピンキー:2005/06/25(土) 20:54:18 ID:eS23pbtp

うるせぇデブ。ピザでも頬張ってろ
441名無しさん@ピンキー:2005/06/25(土) 20:56:44 ID:nWtmylNh
>>433
体は女、心は男。その名は、白鳥隆士!
442名無しさん@ピンキー:2005/06/25(土) 21:06:47 ID:LEotl5zg
>>440
何でピザ・・・。
443名無しさん@ピンキー:2005/06/25(土) 22:11:23 ID:yWMJ6/W5
単に決まり言葉で ピザ って言うのがあるらしいよ
444One day +One:2005/06/25(土) 22:27:40 ID:HMg3pkPw
中庭の池に来ました。
いつものように釣りをしている、灰原さん(とジョニー)はいません。
竿だけが転がっています。
「あれ…?灰原さーん?」
…返事はありません。
しかし、何か音が聞こえます。
「…誰かが泣いてる…?」
シクシクという音がする茂みの裏を見てみると、
「…灰原さん?」
灰原さんが突っ伏して泣いていました。
灰原さんは白鳥くんに気付くと、起き上がり、
掴み掛かって何かを訴えてきます。
…よく見るとジョニーがいません。
445One day +One:2005/06/25(土) 22:29:18 ID:HMg3pkPw
「あ、あの…もしかして、またあのネコに
ジョニーを盗られたんですか…?」
首を横に振って否定したあと、縦に振って肯定します。
「え…?半分はあってるんですか?」
首を縦に振る灰原さん。
「いったい誰に盗まれたんですか?」
白鳥くんがそう聞くと、
灰原さんは何やらジェスチャーを始めました。

頭の上から何かが二本。

「髪の毛…?…桃乃さん…は一本、だしなあ…」

走ってきて、突進。

「…あ、もしかして、魚子ちゃんですか?」
激しく縦に首を振る灰原さん。
446One day +One:2005/06/25(土) 22:31:45 ID:HMg3pkPw
「ああ…また魚子ちゃんでしたか…。灰原さんも大変ですね…。
あ、そうだ。帰りに和菓子をたくさん買ってきたので、
みんなで食べませんか?
…ついでに、魚子ちゃんにジョニーを返してもらうの、手伝いますから」
ぶわぁっ、と泣きながら首を上下する灰原さん。
いつもいつも、可哀相な人です。
「…そ、それじゃあみんなのところへ行きましょうか」
447One day +One:2005/06/25(土) 22:33:28 ID:HMg3pkPw
みんなのところへ戻ってくると、そこは不思議な戦場でした。

「いぬ夫ぱーんち!!」
「なんの!ネコロンダーガード!!」
「いぬ夫ぱんちでびくともしないのー!?」
「ネコ合金ニューGの装甲に、そんな攻撃通用しないわよ!!」

「球実部員、イイ加減ドワルガーを返さナいト、
コちラにモ手ガありマスよ」
「なんでもきやがれです〜」
「でハ…うハはハはァー!!」
「あ〜!?デドリーとは卑怯です部長〜!」
「卑怯…あア、そノ響キもイイ…!!
しカし、ナンでもコいト言っタのハそちらデス」
448One day +One:2005/06/25(土) 22:34:53 ID:HMg3pkPw
「…やるしかないですね〜。ついに親を超える時がきたです〜!」
「うハはァー!!イきマスよ、球実部員!」

「……親子だったんだ、あのぬいぐるみ…」
それにしては全然似てませんね。
「…あっ、そうだった!桃乃さん!」
「ネコロンダーブースター、装着完了!
…って何?白鳥くん?せっかくいいところだったのに…」
「そんなことやってる場合じゃないですよ!
和菓子、みんなで食べるんじゃなかったんですか!?」
「え?あ、ああ!わ、忘れてなかったわよ〜?」
「思いっきり忘れてたじゃないですか…」
449One day +One:2005/06/25(土) 22:36:38 ID:HMg3pkPw
「…ごめん、つい童心に還ってた…」
「………」
「ま、まあ、そんなことより…珠ちゃ〜ん!!」
「マ゛〜、また部長に盗られたです〜…」
「盗っタのはアなタデスよ、珠実部員。
…まア、やハり、子は親にハ勝てマセンか…クッ」
どうやら珠実さん(ドワルガー)は、
部長さん(デドリー)に、負けてしまったようです。
「珠ちゃん!」
「なんですか〜?」
「お茶会の準備するわよ〜!」
「あ〜それならもう終わってるです〜」

「「え…?」」

驚く白鳥くんと桃乃さん。
「廊下を見るがいいです〜」
450One day +One:2005/06/25(土) 22:39:17 ID:HMg3pkPw
廊下を見ると、シートが敷かれ、お茶が用意されています。
確かに準備はできていました。
「いつの間に…」
「ふふふ〜…ね〜、部長〜」
「フフフ…ネえ、球実部員…」
「あ、あんたたち、何をやったのよ…?」
「…知りたいですか〜?」
「……イイエ…」

なにはともあれ、(魚子ちゃんのおかげで少し崩れた)和菓子を囲む、
『第1回鳴滝荘お茶会』の始まりです。
451お腹いっぱい:2005/06/25(土) 22:43:46 ID:HMg3pkPw
今日も暇つぶし程度にはなったでしょうか?

すいません、書き込んだあとに気付きました。
またしても修正忘れorz
しかし、これから先は確か皆さんに指摘を受けてから書いたので、
もうこのようなミスはないと思います。

すいませんでしたorz
452名無しさん@ピンキー:2005/06/25(土) 23:45:11 ID:sysfuy2n
>>451
GJ!
やっぱりまほらばには、ほのぼのが一番あいますね!
次回作も期待してます!
453テイル:2005/06/26(日) 00:02:47 ID:3NI0r8eb
バラさんはいつも通りか……乙でした。

現在、避難所の更新中です。
本家が更新止まっているから、少しメンドクサイ……

マア、誰も来ないんですけどね。
454名無しさん@ピンキー:2005/06/26(日) 00:26:09 ID:u2QvZxLG
>>451
GJ!まあ、ミスはどんまいということで
>>453
俺は毎日チェックしてますよ
あと、セリフの件。俺は普段珠実が言わないようなセリフを言わせて
もらいたいです。
それにしてもやっぱり俺と同じ趣味でしたかw
455名無しさん@ピンキー:2005/06/26(日) 06:52:27 ID:wkg8YTjv
魚子?
魚子だよ?
456名無しさん@ピンキー:2005/06/26(日) 11:37:20 ID:x1r+g33F
梢・珠実って電車通学?それとも徒歩?
457名無しさん@ピンキー:2005/06/26(日) 11:59:55 ID:tdRXEG4F
描かれてないからお前が補完することが許される
458名無しさん@ピンキー:2005/06/26(日) 12:12:04 ID:zNDc3v88
今月号でネタ補給しようかと思ったら2年目の夏休みとか
もう使っちゃってるネタだったしorz
夏の思い出話はもう書いちゃったよ…。
459名無しさん@ピンキー:2005/06/26(日) 12:53:44 ID:m5Bvj3KW
そういえば今日は、朝美ちゃんの誕生日だな〜w
460名無しさん@ピンキー:2005/06/26(日) 13:05:24 ID:LMhrSoHH
朝美の誕生日……
何をもって誕生日としてるんだろう
施設に拾われた日?
黒崎夫婦が勝手に定めた?
461名無しさん@ピンキー:2005/06/26(日) 13:06:38 ID:SQGGV+rw
>>456
白鳥君と駅で別れていることから(彼は確実に電車だし)
徒歩で通える範囲に学校があるのではないかと推測されますが
>>457の言う通り描かれていない以上その辺は自由に補完していいのでは?

今月号って言えば
まさかあの早紀ちゃんがあそこまでストレートな愛情表現するとは
まったく思っても居なかった俺がここにいる……orz
462456:2005/06/26(日) 13:10:47 ID:L+3WH5zI
>>457>>461
ありがとうございます。徒歩ということにして書きます。
463名無しさん@ピンキー:2005/06/26(日) 13:12:17 ID:V7YgBjCI
>>455
大好き
464名無しさん@ピンキー:2005/06/26(日) 13:13:03 ID:zNDc3v88
>>460
朝美の言うとおり母親は早くに死んだ、ということなら
施設側で誕生日は聞いている可能性もある。
(身寄りが亡くなったから預けられた場合)

実は朝美が捨て子で「本当の母親は早く死んだ」と聞かされていた
だけという可能性も十分あるんだけどね。
その場合、黒崎が引き取った日、とか。
465名無しさん@ピンキー:2005/06/26(日) 14:07:01 ID:VGW3S4uY
それにしてもバラさん気苦労が多いなあw
白鳥君とどっちがストレス溜まってんのか…
466名無しさん@ピンキー:2005/06/26(日) 17:07:52 ID:I8DFqM7q
今月号を見て禿しく思ったのだが、最後に桃が出て来なかったらどうなってたんだろう。
467名無しさん@ピンキー:2005/06/26(日) 17:15:09 ID:TOLvPRGb
隆士君の腰が締め付けられて損傷
巴投げで頭から落ちたのも相当危険ですが・・・
468名無しさん@ピンキー:2005/06/26(日) 21:00:55 ID:I8DFqM7q
白くまたんに萌えたタチバナたんに萌えてしまったorz
469名無しさん@ピンキー:2005/06/26(日) 21:27:33 ID:Hm6hw20m
>465
動かなくなった白鳥君を早紀ちゃんが美味しく頂いてました。
470名無しさん@ピンキー:2005/06/26(日) 21:43:08 ID:I8DFqM7q
>>469
動かなくなったより、動けなくなったの方が(・∀・)イイ!
式にすると、早紀>隆士
471テイル:2005/06/26(日) 21:43:16 ID:zoR2b1+z
>>468
俺は先々月の告白する千百合たんに萌えたからorz
千百たん最高!

と、言葉ネタはおしまいなのかな?
472ぐうたら:2005/06/26(日) 21:50:07 ID:/FrLoUNB
九州在住なので明日の夜中に最終回。いよいよか…イキルカテガナクナル…orz
九州在住なのでDVDの特典がついてるショップがない…orz
九州(中略)早紀ちゃんスキーなのに翼の今月号まだ未購入…or2


テイルさんがどうしようもないくらい千百合ちゃんが好きみたいなので現在千百ちゃんSS執筆中ー。
お楽しみ(?)にー
473テイル:2005/06/26(日) 21:58:15 ID:zoR2b1+z
>>472
ぐうたらさんサンクス!
わーい…

まあ、自分でも書きますけどね。一応。
ちなみに東京人なのに翼未購入orz
474名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 01:04:27 ID:7yeYLu4O
金がない。
475名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 01:11:02 ID:/cstOZvy
金がないのは首がないのと同じだから…
476One day +One:2005/06/27(月) 01:47:07 ID:tlRyiQFZ
「わあい、お団子がいっぱーい!!」
「タイ焼きも、どら焼きもあるよ」
「本当にたくさんあるわね…ちょっと崩れてるけど…」
「桃乃さん、また体重増えるですよ〜」
「誰が1キロ増えたですって!?」
「そんなこと具体的な数字言ってないです〜」
「…水ようかん…水ようかん…」
「あ〜!お母さんもう3個も食べてる!」
「クズ人間サン、和菓子はガシッ、と食べルのデスね?」
「あははは!お姉ちゃん、うまーい!!」
「…オイ、オレの茶は…?」

鳴滝荘の住人が全員集合+1人で、いつもよりややにぎやかです。
477One day +One:2005/06/27(月) 01:48:24 ID:tlRyiQFZ
ちなみにジョニーは、
魚子ちゃんがお団子を見たとたん放り投げたのを
灰原さんがナイスキャッチしました。

「ええい、こうなったら食べまくるわよ!体重なんざ知るか〜!」
「そんなんだから1キロ増えたんです〜」
「な、なぜそれを!?」
「さっき自分で言ってたじゃないですか〜」
「アァッ!!団子がノドにッ!太イのがノドにッ!!」
「部長は卑猥な言葉を叫ばないでください〜!」
「ほら、魚子ちゃんもあんまり急いで食べると、
ノドに詰まっちゃうよ?」
「…んっ…ん…」
「ってもう詰まってるの!?」
478One day +One:2005/06/27(月) 01:50:37 ID:tlRyiQFZ
「お兄ちゃん、これ!」
「ありがとう、朝美ちゃん!」
白鳥くんは朝美ちゃんからお茶を受け取り、魚子ちゃんに飲ませます。

ごくん。

「気をつけないとダメだよ?」
「……」
「?…魚子ちゃん?」
急に静かになった魚子ちゃん。
そして次の瞬間、


どかーーん

「うわっ!?」

ななこ は ばくはつ してしまった !!

「魚子ちゃん?!…ま、まさか…」
「あ〜、棗ちゃんだったみたいですね〜」

かなざわ ななこ は
こんの なつめ に かわてしまった !!
479One day +One:2005/06/27(月) 01:51:55 ID:tlRyiQFZ
「…珠実部員、今ノ魔法はナんデスか?」
「“紺野棗”ちゃんのマジックです〜」
「ほホウ、私ト同じ魔女ッ娘デスか」
「いや、同じ“マジック”でも、手品のほうだと思うんだけど…」
「シかシあノ、
“爆発魔法(エクスプロージョン)”&“移動魔法(テレポート)”は見事デシたヨ」
「やっぱり、もう手品の領域じゃないのか…」
黒魔女ッ娘(自称)の部長さんの目にも
魔法に見える、棗さんの手品。
「一度オ手合ワせしタいデスね…」
部長さんの興味を引くには十分でした。
480One day +One:2005/06/27(月) 01:57:14 ID:tlRyiQFZ
「部長、変なことに棗ちゃんを巻き込まないでください〜!」
「珠実ちゃん、それは後にして、棗ちゃんを探さないと!!」
「ああ〜、それなら白鳥さんに任せたです〜」
「私たちじゃ、前ほどじゃないにしろ、恐がられちゃうもんね…」
「…水ようかん…」
「そういうことよ!白鳥クン!
なっちんを連れてきて、一緒にお茶会をするのよ!!」
「がんばれヨ!」
口々に言う皆さん。
「そういうことですか…。じゃあ、行ってきます。
…あ、棗ちゃんの分、ちゃんと残しておいてくださいね!」
481One day +One:2005/06/27(月) 01:58:25 ID:tlRyiQFZ
白鳥くんは、恐らく棗さんが消えて(?)
行ったであろう方向へ、歩いていきました。

「…珠実部員、私モ行っテもイイデスか?」
「なんですか部長〜?まさか、あの二人を邪魔するつもりですか〜!?」
「違いマスよ。ソの棗サンと、オ手合わセしタいダけデス」
「同じことです〜!」
「ソレでハ皆サン、ゴキげんヨう」


どかーーん

棗さんの時より激しい爆発を起こし、部長さんは消えてしまいました。
部長さんの隣にいた朝美ちゃんと灰原さんは真っ黒です。
「けほっ…」
「…大丈夫?朝美…」
482One day +One:2005/06/27(月) 01:59:43 ID:tlRyiQFZ
「うん、大丈夫、なんともないよ。
…お姉ちゃん、本当に魔法使いだったんだ…」
「なんでオレまで…」
「珠ちゃん、追わなくていいの?」
「いいんです〜。…私まで二人を邪魔したくないですから〜。
それに、部長もそこまで無神経じゃないと思います〜」
「ならいいけど…」
珠実さんはお茶を一口飲んだ後、ため息をつきながら言いました。

「…実を言うと、私、移動魔法は使えないんです〜…」
483お腹いっぱい:2005/06/27(月) 02:06:45 ID:tlRyiQFZ
すいません、本日は遅くなってしまいました。
現在、ラストを執筆中です。

さて、金に続いて紺が登場しましたが、
先になっちんスキーに謝っておきます。
「こんなのなっちんじゃねぇ!」と思うシーンがあると思います。
カンベンしてください。
まだ未熟なもので…
484名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 02:26:05 ID:UcpQ7hVh
2005.06.27.MON
我々の糧であった『まほらば』、
そして我々の全てであった『まほらば』が、
遂にTV東京地区で終わり告げた…

今まで有り難う『まほらば』、
今まで有り難う『小島あきら』、
そして今まで有り難う…おまいら。

『まほらば』と、おまいらに栄光あれ。
485名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 02:28:53 ID:EPua5vep
ただ普通に『うめぼしひめ』に感動した。

これからは原作が感動へと導いてくれるように期待する。
486名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 02:29:45 ID:/cstOZvy
終わりみたいなことを言うな。まだこのスレがある。原作がある。DVDがある。
アニメは終わったが終わった今こそこのスレを真に盛り上げるべきではないかと思う。
487名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 02:32:49 ID:6ucZmowy
終わりじゃないさ
まほらばは漏れたちの心のなかで
ずっと生きつづけるんだよ
488テイル:2005/06/27(月) 02:33:27 ID:rYNEZEOa
一言苦言を呈しておく。

あんなラストは認めない!!
第二期orOVA・映画化を激しく要求する!!!
俺はまほらばの灯を守るぞ!!
489名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 02:37:37 ID:fRAaQLSN
>>486
良いことを言った!!
あなたの言う通り、これからは原作、DVDを糧にこのスレを盛り上げるのだ!!
と言うことで買ったはいいがまだ見ていないDVD2巻とCD2枚&金を聞いて色んなものを補充してこよう
490名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 06:40:57 ID:QP1qgMzK
そーかなー。
アニメの終わりはよかったと思うけどな。

原作とアニメじゃ目指す方向性が違ったわけだから、
アレはアレでアリだったと思うな〜。
むしろ予想通りで安心した。
491名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 07:18:11 ID:kqJ4riNy
うむ、一応なにかしら締めなくちゃいけないだろうし
それを考えれば十分いい終わり方だったと思う。
さすがに全巻買う金はないから最終巻だけ買おうかな、DVD・・・。
珠の問い詰めのためにw

>>483
なんか部長さんがいることでさらに作品にいい味が加わってる気がする。
個人的にはかなり好きですよ、貴方の作品。GJ!
492名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 07:24:16 ID:G2nBkv1e
>テイル氏
俺は北の人間だからまだ告げる夜すら見ていませんが…
2期はともかく、映画はどうかと思いますよ。ぶっちゃけ俺は嫌かな。煽りの厨も増えてしまいますし。
まほらばは家でゆっくりまったり見るのが性に合ってるので。
493テイル:2005/06/27(月) 08:19:39 ID:rYNEZEOa
>>492
昨夜はすごいこと言ってましたです…
ホントゴメンナサイ……
軽く逝ってくるっちゃ……

後は「蒼」に期待、て所ですか…
494名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 10:13:44 ID:b9OLyfxq
放送圏外だから話題についていけねぇ・・・。
よければどんな終わり方なのか教えてくれ。

あと>>483GJデスよ。
495「終わりの始まり」筆者@鈍速進行:2005/06/27(月) 11:15:54 ID:b6j37c+A
暑い中申し訳ないが、ちょっと教えて!エロい部長!(←なんだそりゃ

原作の設定
梢→16才
隆士→18才
でFA?

…ほかの人格、魚子以外は年齢設定無かったよね?確か。
496名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 11:24:52 ID:QP1qgMzK
っ3巻冒頭

他人格は魚子以外不明。
ちなみに作中誕生日が来て、年取っているから注意デス。

住人以外の年齢設定もちゃんとあるけどいらないかな。
497名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 12:19:56 ID:ntaBpou2
>>494
まだ放送が終了してない地域の人もいるのだろうから、聞くのはもう少し待とう
498テイル:2005/06/27(月) 12:42:56 ID:rYNEZEOa
>>495
原作の一月時点で白鳥は19、梢は17で無問題。
「終わりの始まり」の設定は告白以降だからこれでお願いします。
499名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 13:02:47 ID:G2nBkv1e
>>494
アニメスレから読み取ってみては
500名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 16:13:30 ID:uvvqAgtG
もう少し早くこの作品を知っていたら
一話から欠かさず録画していたのに・・・
501名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 18:04:30 ID:UcpQ7hVh
>>484のような事を言ったが、やっぱり『まほらば』を忘れる事は出来ないorz

もう少し此処に居させて頂きます('Α`)
502「終わりの始まり」(ry:2005/06/27(月) 19:50:13 ID:XrDqTEOc
…3巻にめっちゃ載ってるし。
>>496 >>498
ども。
503名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 19:59:53 ID:qUdvaQb0
ここのSSとおえかき掲示板の絵って結構リンクしてるんですね、ちょっとびっくりしました。
絵師さんが気に入った作品を選んで描いてらっしゃるんですかね?
504名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 20:07:33 ID:QP1qgMzK
隆子♀化SSのことなら作者自身が物書き兼絵描きだからです。
他の絵描きさんも気に入って描いてくださってますけどね。
…作者よりたくさん描いてもらってるとか言えないorz
505名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 20:12:05 ID:qUdvaQb0
>>504
両方できるってのは凄いですね。あのSSの隆子のようなキャラを出す場合は
ああいった絵があると読む時にイメージし易くて良いです。
506名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 20:29:03 ID:QP1qgMzK
絵もそこそこ、文章もそこそこ、でも漫画描けないので
こういう形になっちゃってるわけです…。
(ついでにめんどくさいから色も塗らなかったりorz)
でも絵もSSも書いていて楽しいですよ。

ちなみにあのSSはキャラの外見もいじっているため
読み手の人が想像しづらいかなと思って描いた設定画だったりします。
自分のイメージを膨らませるのにもよく使う方法ですが。
507One day +One:2005/06/27(月) 21:40:43 ID:tlRyiQFZ
「棗ちゃーん」
白鳥くんは棗さんを探します。
「棗ちゃーん?」
「隆士…君…」
「うわっ?!な、棗ちゃん。う、後ろにいたの?」
「ごめ…ん…さい…」「いや、僕はびっくりしただけだから…」
「また…逃…げ…たり…して……」
「ああ、そのことね…」
「前…より…人…が…多か…た…から……」
「…前にも言ったけど、いいんだよ、ゆっくりで」
「隆士…君…?」
「なにも特別なことはしなくていいんだよ…?」
「……」
「…それでもダメだったら…棗ちゃんには、僕がいるから」
「…!…隆士…君…」
「棗ちゃん…」
508One day +One:2005/06/27(月) 21:41:53 ID:tlRyiQFZ
見つめあう二人。
前の時は邪魔者が入りましたが、今は二人以外誰もいません。

そしてそのまま…


「オお、ブラボー!!」
…のはずでした。
「部長さん!?」
白鳥くんは、その声のした方向を見ます。
「ソうデスよ、タマなしサン!」
しかし姿は見えません。
「…そシテ、棗サン!!」
なんと部長さんは、柱の中から出てきました。
「うわぁ!?ま、まだあったんだ、この柱…」
「私もビックリしマシタ。久シぶリに移動魔法ヲ使ッたのデ、
失敗シテ柱の中にメり込ンだかト思いマしタよ。サテ…」
509One day +One:2005/06/27(月) 21:43:53 ID:tlRyiQFZ
部長さんは、白鳥くんの後ろに隠れた棗さんに向かって言います。
「棗サン。アナたハ“マジシャン”だソうデスね」
「みん…な…は…そう…呼ぶ……かも…」
「実は私モ“マジシャン”なのデス」
「だから部長さんは勘違いしてるって…」
白鳥くんのツッコミは、部長さんには届きません。
「アなタを相当ノ腕と見込んデ、お願イがアるのデス」
「…何…かも…?」
「私とオ手合わセ願いマス」
「暴…力は…嫌…かも……」
争いごとが嫌いな棗さんはもちろん応じません。
510One day +One:2005/06/27(月) 21:45:12 ID:tlRyiQFZ
「ヤはリ、そウきマシたカ。シかシ、アナタは応ジなけレバなりマセン」
「応…じ…なけ…れば…?」

「タマなしサンは、本当にタマなしサンになッテしまイマス」
「え、えええぇぇ!!?ぼ、僕は関係ないじゃないですか!!」
いきなり自分の名前が出てきて驚いていると、
いきなり大変なことを宣言された白鳥くん。
「隆士…君に…そん…な…こと……させ…ない…かも……」
「『かも』なんだ…」
「ククッ、ココでハ少々狭イのデ、場所ヲ変えマシょウ」
すると部長さんと棗さんは、

どかかーん

「また!?」
511One day +One:2005/06/27(月) 21:46:11 ID:tlRyiQFZ
爆発して消えてしまいました。
「二人とも、どこへ消えたんだ?」
中庭に出ます。

「ココがアナタの死に場所デスよ」
「…誰…も…死……せ…ない…かも…」
なんだか話が大きくなっていますね。
「上!?」
二人は鳴滝荘の上で対峙していました。
鳴滝荘の上で展開されている、“マジック”バトル。
そして、
「私ノ得意とスル、召喚魔法ヲ味わウがイイ!
出デよ!決戦魔導巨兵グラシア=ラボラス!!」
部長さんが巨大な怪物を召喚しました。

『モ゛ー』

怪物が吠えます。
「なんだあれ!?」
512One day +One:2005/06/27(月) 21:48:33 ID:tlRyiQFZ
怪物は白鳥くんにも見えるようです。
「……かも…」
それに対し、棗さんは、
「な、棗ちゃんが、ふ、増えてる!?」
なんと、三人に増えました。
三人の棗さんは、部長さんの怪物に向かって走りだします。
「ホう、幻影トはヤりマスね。
シかシ、コチラに腕は二本あルのデスよ?」
怪物はその巨大な二本の腕を、走ってくる三人の棗さんのうち、
二人にむかって振り下ろします。
「危ない!棗ちゃん!!」
白鳥くんの叫びも虚しく、二人の棗さんは潰されてしまいます。
「あ…」


ポンッ

「…花?」
513One day +One:2005/06/27(月) 21:50:36 ID:tlRyiQFZ
潰された瞬間、二人の棗さんは花になりました。
「花に自分ノ姿をサせルとハ…」
再び怪物が腕を振り下ろそうとしますが、
それより早く棗さんが怪物の眼前に迫り、
手に持っているステッキで攻撃しようとします。
「やった!棗ちゃんの勝ちだ!」
白鳥くんが確信した時、部長さんがニヤリ、と笑みを浮かべます。
「引ッ掛カりマシたネ」
「え!?」
「グラシア=ラボラス!魔導光線!!」

『モー』

怪物は一声を発すると、眼前の棗さんに向かって目からビームを発射します。
「ああっ!棗ちゃん!!」
514お腹いっぱい:2005/06/27(月) 21:57:00 ID:tlRyiQFZ
今回は中途半端にここまで。
なっちんなのに、ノリでバトルシーンに入ってしまいました…。
暴れすぎな部長さんには、少々静かになって頂く予定です。
ふっふっふ。

執筆のほう、終了いたしました。
あとは少しずつ上げていくだけです。
515テイル:2005/06/27(月) 22:00:52 ID:5lcPnyFS
うわー、なっちんが戦闘要員に……
お腹いっぱいさんGJ!

こちらも、避難所を手入れしながら執筆中。
梢・沙夜子の異色ペアの短編で考えています。
516名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 22:03:23 ID:VA2ZjzD/
まほらば格闘ゲーム化!

マジック対決なのに、びっくり人間ショーになってる(w

鳴滝荘で鳴滝ショー・・・
517名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 22:43:12 ID:oDl12OJC
>>お腹いっぱいさん
毎晩乙です。

あの皆さん、TSモノの需要ってまだありますか?
実は上手く纏まるか不安だったんで言ってなかったんですが、
前スレのHard shiratoriを書き終えた後、ちょっとずつですが書き溜めていました。
それで今ようやくラストシーンを書いてます。
518名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 22:55:31 ID:QP1qgMzK
>>満腹のヒト
何やら思わぬ方向に展開が…。
しかし、本当に部長が好きなのですね。

>>517
最初に書いたわたしが言うのもなんですが最初にTSものですって
断り入れておけば後は内容次第じゃないでしょうか。
今は少しペースも落ち着いてますし、頃合いを見計らって投下してみればいいと思います。
519テイル:2005/06/27(月) 22:57:27 ID:5lcPnyFS
>>517
個人的にはTSはお腹いっぱいですが、
ここのところこのスレも燃料不足なので投下を希望します。
期待してますよ。
520名無しさん@ピンキー:2005/06/27(月) 23:11:31 ID:wL1y2GiC
隆士君が受けなら何でもOK
ってのは冗談として(希望はしたいけど)、TS物自体何故か雰囲気が合うから割と好きですよ。
521517:2005/06/27(月) 23:40:51 ID:oDl12OJC
了解しました。ラストを書き終えて、チェックが終わり次第投下します。
522名無しさん@ピンキー:2005/06/28(火) 00:41:35 ID:4kGfCTFc
mmo続きマダー?と言ってみるテスト
523名無しさん@ピンキー:2005/06/28(火) 09:54:33 ID:pjxjigIZ
最近廃れて来てる……終わりなのか……?
524名無しさん@ピンキー:2005/06/28(火) 12:00:35 ID:+vQNNVgN
まだだ!まだ終わらんよ。
525名無しさん@ピンキー:2005/06/28(火) 12:06:52 ID:5tni6kL6
>>523
普通こんなもん
今までが速すぎた
526名無しさん@ピンキー:2005/06/28(火) 16:01:20 ID:hOa6jy0F
ウボァー
>>522
少しずつですが進めてます。あと2日お待ちを…

>>523
原作スレと同速で進んでいた今までは異常なんですよ、ぶっちゃけ。
527お腹いっぱい:2005/06/28(火) 17:52:37 ID:E1hPpV7v
>>519
テイル氏、私を呼びましたか?w

私の地域もアニメ放送していなかったので今月号の金、楽しめました。
珠実さん、名前間違えてごめんなさいごめんなさい…。
そんなに怒らないでうわちょっと誰か助けt
528ぐうたら:2005/06/28(火) 18:38:42 ID:TY7FXsBW
なんつーか、平日の深夜から真昼間にかけて人がいなくても廃れてるわけじゃ…
千百ちゃんモノ進行中〜♪
ここまで手が早く進むのは早紀ちゃんのヤツ以来だっ!!!ふはははは!!
529名無しさん@ピンキー:2005/06/28(火) 19:36:32 ID:AC3P3Cfh
というか平日の昼間に書き込みラッシュあったら日本の情勢疑うよ…?
530名無しさん@ピンキー:2005/06/28(火) 22:08:32 ID:+dpeNc+U
隆×桃の18禁SSの続きはどうなった?
531テイル:2005/06/28(火) 22:31:21 ID:6YqH1MPP
アニメの千百合はどこかオバハンぽくて苦言を呈したい俺が来ましたよ。

予告していた短編が完成しました。
短編にしてはちょっと長めですが。
では、投下します。
532前夜(1):2005/06/28(火) 22:32:18 ID:6YqH1MPP
夜。
そろそろ日付が変わろうとしている。
私は、縁側に座っていた。
単に、眠れない。
なぜか、眠れなかった。
あの人が――――
あの人が、気になって仕方なくて。

私は、何も言わず夜空を眺める。
大都会の冬の空は、珍しく透き通っていた。
星がいくつか瞬いている。
もしも鳴滝荘が森の中にあったら、沢山の星を眺められたのに……
そう思っていると。

「……どうしたの、梢ちゃん。こんな夜遅くに……」

「……あ、こんばんは沙夜子さん」
「眠れないの……?」
「ええ……」
声の主は、沙夜子さんだった。
普段から昼寝をしているせいか、夜には強い。
「内職、終わらないんですか……?」
「……いつもの話よ……」
言って、沙夜子さんは私の隣に腰掛ける。

「………………」
「………………」

沈黙が流れる。
先に口を開いたのは、沙夜子さんだった。
533前夜(2):2005/06/28(火) 22:33:53 ID:6YqH1MPP
「……何か、気になるの……?」
「…………」
その質問は、私の核心を突いているようで。
私の心を、見透かしているようで。
ただ、頷くしか出来なかった。
「……白鳥君、かしら……」
「…………はい」
沙夜子さんは、私の年上。
そして、朝美ちゃんの母親。
私の事も、朝美ちゃんと同じように、手に取るように分かるのかもしれない。
「……この前も、珠実ちゃんに言われました。
 『梢ちゃんの話題の半分以上は白鳥さんの話題だ』って……」
「……そうなの……」
「白鳥さん、今日は『バイトを探してくる』って言って、帰ってきてからぐっすりで……」
言って、私は白鳥さんの部屋の方を見る。
「……だから、気になっているのね……」
「ええ…………」
また、沈黙が流れる。
私は、何も言えない。
心の中が、よく分からない。
自分の事なのに、理解できない。
どうしてだろう。
何もしていないのに、頭の中には、白鳥さんがいっぱいになって―――

「―――梢ちゃんは」

また、沙夜子さんが口を開く。
「白鳥君の事が、好きなのね?」
534前夜(3):2005/06/28(火) 22:35:05 ID:6YqH1MPP
それは、質問文ではなく、付加疑問文だった。
本当――――
この人は、私の事を良く知っている。
「――――はい」
私は、だから、頷いた。
「白鳥さんは、あのとき―――12年前のあの日から、ずっと憧れていたんです。
 だから、白鳥さんがここに来ると知った日は―――とても、嬉しかったんです」
私は、心のムワムワを、吐き出している。
誰かに言わないと―――
誰かに言わないと、自分が壊れそうだったから。
「白鳥さんは、私にいつも微笑んでくれました。私にお茶碗をくれました。
 一緒に海水浴にも行きました。紅葉狩りにも行きました。私は―――」

「―――私は、白鳥さんの側に居る事が出来て、とても、幸せだった」

「…………」
沙夜子さんは、ただ、何も言わないで私の話に耳を傾けている。
そして。
「なら、どうして、告白しないの…………?」
「――――それは」
それは、触れられたくない所に触られた感覚。
絶対に、触りたくないもの。
私の、パンドラの箱。
「それは、どうしても、できなくて―――告白すると、今までの関係が、
 崩れてしまいそうで―――それに、もしも、もしも嫌われたら、私、
 そのときが怖くて―――

 ―――大切なものを、失ってしまいそうで、怯えているんです」
535前夜(4):2005/06/28(火) 22:38:42 ID:6YqH1MPP
「…………」
沙夜子さんは、何も言わない。
そして。

「――――大丈夫よ」

言って、私の頭を撫でる。
「白鳥君は、そんな子じゃない―――他でもない梢ちゃんを、嫌うような子じゃない。
 白鳥君だって、梢ちゃんの事が、好きなはず。だって―――いつも、側にいるから」
「沙夜子さん…………」
「それに、長い間待ち焦がれていたのなら、それに見合う幸せがその先に待っているものよ。
 うふ、まるで、織姫と彦星――――あるいは、葵と薫かしら」

なぜだろう。
いつもぼうっとしている沙夜子さんが、どうしてお母さんに見えるんだろう―――
どうして、こんなに、優しいんだろう。

「―――さあ、もう寝なさい。明日もあるわよ」
「――――はい、おやすみなさい、沙夜子さん」
今日は、もう寝よう。
白鳥さんの幸せを願って。
沙夜子さんの優しさに感謝して。
そして―――みんなに、ありがとうと言って。
536前夜(5):2005/06/28(火) 22:39:15 ID:6YqH1MPP
「―――あ」
ふと、私は立ち止まる。
「ひとつ、訊いていいですか、沙夜子さん」
「……なあに、梢ちゃん……」
「沙夜子さんは……旦那さんに、何て告白されたんですか?」
「…………」
沙夜子さんは、きょとんとして。
不思議そうに、私の顔を見て。
そして、微笑んで、言った。

「――――『俺と、朝美と一緒に暮らさないか』って」
「そうですか……」
「どうか……したの……?」
「いいえ、何でも。お休みなさい」
「お休み…………」

537前夜(6):2005/06/28(火) 22:40:20 ID:6YqH1MPP



梢ちゃんと別れて、私は自分の部屋に戻ろうとする。
そこに。
そこに、灰原さんがいた。
「―――どうだった、梢は」
「…………大丈夫よ、あの子は。自分の部屋に戻ったわ」
「そうか……」
言って、灰原さんは煙草を一服する。
暗い空間に、白い煙が映える。
その煙は―――苦い。
それは、私には、堪えるものだった。
「なあ沙夜子……」
「……なあに……?」
「お前から見て―――母親の眼で見て、あの二人は、幸せになれるのか?」
「…………」
あの子の病気。
解離性同一性障害。
治るかどうかも分からない。
でも――――――
「――――大丈夫よ。あの子達は、絶対に幸せになれる。
 私みたいな、不幸な人生を―――絶対に歩んでほしくない。
 私が、それをさせない」
538前夜(7):2005/06/28(火) 22:41:04 ID:6YqH1MPP
「沙夜子…………」
自分の轍を踏んで欲しくない。
それは、親心。
それは、老婆心。
そして、贖罪。
「……そうか、お前がそう言うなら大丈夫だな」
「………」
「俺は――――梢を、小さい頃から見ている。あの子は、あまりにも無垢だ。
 でも、あいつなら、白鳥なら、梢を支えていける。
 あいつだったら、亡き蒼葉夫妻にも、申し訳が立つさ…………」
「…………」
「もう寝ろ。明日も、内職があるんだろう?」
「……ええ、そうするわ」
私は、自分の部屋に戻った。

部屋では、朝美が寝ていた。
当然だろう。
試験勉強と平行して内職をしていた。
無理が祟って、疲れが一気に出てしまったのだろう。
「…………」
私は、朝美の頭を撫でる。
朝美にも、私の轍は踏ませたくない。
だから。
「―――今日ぐらいは、私も頑張るね、朝美―――」

539前夜(8):2005/06/28(火) 22:41:50 ID:6YqH1MPP



「なあ、蒼葉さんよ――――」
俺は、縁側に座り、そこにはいない人に、話し掛けていた。
「梢は、幸せになれるのか?」
それは、さっき沙夜子にもした同じ質問。
「―――――――――――」
答えは返ってこない。
でも。
風の音が、それを物語っていたから―――――
「――――だろうな。でなきゃ、俺も、あんた達も、あの子達も、報われないしな」
俺は、酒を一杯飲んだ。
冬の寒空に、冷たい日本酒が、身に沁みた。


<<Confession Eve>>is continued to "No.39".
540前夜(アトガキ):2005/06/28(火) 22:45:12 ID:6YqH1MPP
夜だけに、静かな作品に仕上げました。
沙夜子さん、随分と饒舌になっちゃいました……
まあ、これぐらいはよしとして。

設定上は12月18日、つまり告白の日の前日です。
このまま、梢サイドで第39話に繋げる事も出来るのですが……
流石に二番煎じかorz
541名無しさん@ピンキー:2005/06/28(火) 22:48:04 ID:wW8OlKae
>>540
二番煎じでも良いじゃないか!!





多分…orz
542名無しさん@ピンキー:2005/06/28(火) 23:21:20 ID:YICLGoxU
GJ!!
しかし沙夜子さんが家族以外の名前を呼ぶと違和感を感じてしまうのは何故だろう
543名無しさん@ピンキー:2005/06/28(火) 23:27:56 ID:Iuof+yx+
原作だと朝美とまひる以外の名前を一回も言ったことないしね。
アニメだとアドリブで何度か言ってたけど、どっちかと言えばギャグみたいなものだし。

しかし、前夜とか言われたら結婚前かと思っちゃいましたよ。
544お腹いっぱい:2005/06/28(火) 23:30:34 ID:E1hPpV7v
>>540
テイル氏GJです。

沙夜子ママンがかっこいいですね。
でも、内職がんばって、一晩で何本作れるのかなorz

それでは本日の分投下ー
545One day +One:2005/06/28(火) 23:31:58 ID:E1hPpV7v
棗さんは、ビームをもろに受けてしまいました。
「…私の勝ちデスね…」

ポンッ

「…え?」
「おヤ…?」
ビームをくらった棗さんは、花になりました。
「ナンと!三人とモ、偽物デシたカ…」
「じゃあ、棗ちゃんは…?」
「ここ…かも……」
「棗ちゃん!?」
棗さんは、怪物のお腹の前にいました。
「ソうイうことデしタか!マさカ三人目の影にイタとハ…!」
「終…わり…かも……」
棗さんは怪物のお腹の真ん中の、
丸が三つくっついたような紋章の中心を突きました。
「アぁッ!?グラシア=ラボラスの弱点ガっ!!」
546One day +One:2005/06/28(火) 23:35:00 ID:E1hPpV7v
弱点をステッキで突かれた怪物は、

『モ〜!!!』

体中から光を放ち、

どーーーん

爆発しました。
怪物の体は花びらとなり、空から降ってきました。
これもマジックでしょうか。
「アア、私のグラシア=ラボラスを倒スなンテ…」
部長さんが膝をつきます。
怪物がいたところには、棗さんが立っていました。
「…すごい…」
花びらが舞い、それはとても綺麗な光景でした。
「…隆士…君…私…やっ…た…かも……」


どさっ

「棗ちゃん!?」
今度は棗さんは倒れてしまいました。
547One day +One:2005/06/28(火) 23:35:51 ID:E1hPpV7v
「…グラシア=ラボラスを倒シタのデス。サぞ消耗したコトでショう…」
部長さんが、棗さんを抱えながら降りてきました。

「…私の負けデス、タマなしサン…」
部長さんはややションボリしています。
一日に勝負で二回も負けたからでしょうか。
「…一つ、考エてイたコトがありマス」
「?…なんですか?」
部長さんは語り始めました。
「グラシア=ラボラスを倒スには、強力ナ魔力が必要デス。
先程の棗サンからハ、普通は考えラれなイ程の魔力を感ジまシタ…」
「そうなんですか…?」
548One day +One:2005/06/28(火) 23:37:06 ID:E1hPpV7v
「えエ。…私ハ愛だノ恋だノの力なド信じテいマセンが、
モしかシたらアノ力がソうなノかもシれマせンね」
にっこりと笑う部長さん。
「ダとシタら、タマなしサンは余程棗サンに好かレていルのデスね」
「そっ…そんな…」
照れる白鳥くん。
「棗サンを、大事にシなイとダメデスよ?」
「は、はい!!」

「ぅ……ん…?」

「あ、起きた?」
棗さんが起きたようです。
もっとも、梢さんに戻っているかもしれませんが…。

「…あら?…隆ちゃん!?」
…残念ながら、梢さんでも棗さんでもありませんでした…。
549お腹いっぱい:2005/06/28(火) 23:40:19 ID:E1hPpV7v
部長さん、あっけなく敗北。
さて、次回から“あの人”が大暴れです。

しかし、なぜ私が部長スキーだと文からわかるんですか?
そんなにわかりやすいですか?w
550名無しさん@ピンキー:2005/06/28(火) 23:47:08 ID:CCyDSZqa
>>わかりやすい〜
うんw

>>543
じゃあ、次は初yうわ珠実ちゃなにをすうわ

551名無しさん@ピンキー:2005/06/28(火) 23:50:35 ID:4Dho/Ggs
>>549
青臭い。






だがそこが良い。GJ!!
552ぐうたら:2005/06/29(水) 00:01:40 ID:TY7FXsBW
今夜は…やめておきますか…二つも投下されてるし。

テイル氏、静かな夜とシリアス沙夜子さんは似合いますね。GJ!

お腹いっぱい氏、部長スキーっぷりは手に取るように分かるよw
553名無しさん@ピンキー:2005/06/29(水) 00:46:41 ID:DcdsFTJo
>>549
棗ちゃん(E)
これくとー

次回、千百合と部長の絡み期待してます。
554名無しさん@ピンキー:2005/06/29(水) 01:29:04 ID:8pjbjeoF
>>552
コテハンの馴れ合いは荒れにつながることがあるので辞めたほうが吉
555名無しさん@ピンキー:2005/06/29(水) 03:41:25 ID:vIvUFXCR
感想なら別に問題ないんではないかと
556名無しさん@ピンキー:2005/06/29(水) 06:33:37 ID:M1CHjDWG
>>549
ぶっちゃければ話のメインに部長がいる時点で
部長スキーじゃないというほうが無茶ですw
面白かったっす、GJ!

>>554
感想と馴れ合いの見分けくらいつけましょうぜダンナ。
そもそもよっぽど酷くない限りはあんまそういう発言しなさんな。
557名無しさん@ピンキー:2005/06/29(水) 06:41:06 ID:vIvUFXCR
そんなことよりも保管所復活キター!ですよ諸君

つか、私の書き飛ばした角二早紀絵シチュ妄想は未完扱いなんだw

558名無しさん@ピンキー:2005/06/29(水) 07:26:44 ID:XFF2SVng
>554
その発言で少々荒れる。
559名無しさん@ピンキー:2005/06/29(水) 12:03:50 ID:yToqdNms
でもコテハンがいるだけで荒れるからな、普通。
寒い時代だとは思わんかね?
560名無しさん@ピンキー:2005/06/29(水) 12:12:04 ID:H8Nfu25/
「荒れる」じゃなくて「荒らされる」が正しい
561名無しさん@ピンキー:2005/06/29(水) 12:25:20 ID:XFF2SVng
>559
左舷南方に赤い何かがッ!
562名無しさん@ピンキー:2005/06/29(水) 12:53:44 ID:yToqdNms
>>561
ジョニー
563名無しさん@ピンキー:2005/06/29(水) 14:19:43 ID:Mqr0whc/
ジョニー・ライデン?

ま、それはともかく、創作系のスレは作者と読者の交流の場でもあるんだから
普通の2ch概念持ってこなくてもいいんじゃないかね。
作者コテのほうがわかりやすいのは確かだし、職人同士が
レスしあっちゃいけないってルールもないしさ。
564名無しさん@ピンキー:2005/06/29(水) 14:19:57 ID:XFF2SVng
>562
真紅の流星ジョニーかッ!
565名無しさん@ピンキー:2005/06/29(水) 22:50:05 ID:2+vGCnuP
つ、通常の三倍速い!
566名無しさん@ピンキー:2005/06/29(水) 22:56:17 ID:cbEJJPOJ
>>563
言いたいことは分かるが、そこまで全面肯定するのはどうかと思う。
567名無しさん@ピンキー:2005/06/29(水) 23:01:38 ID:tN73jcFy
何故?
568名無しさん@ピンキー:2005/06/29(水) 23:11:56 ID:99WNojsq
だから馴れ合いと感想の区別ぐらい付けろと
569名無しさん@ピンキー:2005/06/29(水) 23:13:45 ID:XFF2SVng
投下しにくい状況なのは確か。
570名無しさん@ピンキー:2005/06/29(水) 23:21:04 ID:iPo0r970
普通の2ch的概念を持ってこなくて持っていっても、ここは2chなんだよ
コテハンが馴れ合ってるのを見るとつい茶々入れしたくなる奴もいるってことだ

コテは粘着されやすいってのだけは念頭においてほしい
571名無しさん@ピンキー:2005/06/29(水) 23:31:06 ID:Mqr0whc/
>>570みたいなのが典型って事か。
さっきからコテで荒れる荒れると言ってるほうは全部ID違うというのがわかりやすいな。
本スレとかネタバレスレで暴れてるのと同じ人物かな?


馴れ合いと感想は違う、これは確かにそうだ。
だが、その物言いだとコテがコテにレス返しちゃいけないように聞こえる。
そこまでぎくしゃくしたルールを持ち込む必要もあるまい。
572名無しさん@ピンキー:2005/06/29(水) 23:34:28 ID:iPo0r970
>>571
そういうことだ
こうやって雑談が進んで空気が悪くなるってこと
食いついてきてくれてありがとうよ
573名無しさん@ピンキー:2005/06/29(水) 23:38:12 ID:XFF2SVng
まんまと釣られました。
574名無しさん@ピンキー:2005/06/30(木) 00:12:44 ID:55FzN2ms
鬱なSSってやっぱし嫌がられるだろうか
575名無しさん@ピンキー:2005/06/30(木) 00:18:39 ID:vDdYX3HW
まほらばの温かさを求めてる人にはあまり好まれないかと。
だからといって別に私は排他的では無いけどね
576名無しさん@ピンキー:2005/06/30(木) 00:20:27 ID:xUQ5K8Zm
欝SS書きたがってる人は結構いるんだなぁ。
最初に欝注意って書いておけばいいんじゃないかな。
577名無しさん@ピンキー:2005/06/30(木) 00:28:15 ID:UjpsO1PL
つーか誘い受け乙
578名無しさん@ピンキー:2005/06/30(木) 00:29:08 ID:xUQ5K8Zm
おっ、保管庫更新されてる。
管理人さん乙です。
579One day +One:2005/06/30(木) 01:05:36 ID:JKNYd+bh
「…千百合ちゃん…?」
棗さんは、千百合さんになってしまったようです。
「心配してくれていたのですか!?
ホーーッ!!…あら?こちらは…?」
「おヤ、また別ノ方になッタのデスか?」
二人の質問に答える白鳥くん。
「千百合ちゃん、この人は珠実ちゃんの部活の部長さん。
部長さん、こちらは“緑川千百合”ちゃんです」
「なるホド、千百合サンデスか」
千百合さんは部長さんの服装をじっと見ています。
なんだか嫌な予感がしますね。
「…おや、あなたの服装は正しくないのではありませんか!?」

…やっぱり始まってしまいました。
580One day +One:2005/06/30(木) 01:07:51 ID:JKNYd+bh
「…イきなリ失礼な人デスね。コノ格好は私のポリシーデスよ」
「ややっ!?やはり正しくありません!!
あなたにはもっと正しい服装があるはずです!」
「アァっ!!何をスルのデス!?
アッ!イケまセン!イケまセン…!そノ服装ダケは…!!」
部長さんは千百合さんに捕まってしまいました。
どんどん着せ替えられていきます。

そして、

「…アハウアぁ!!」



「…Correct!!」
「ありがとうございます、こんな素敵な格好にしてくださって」
「………」
「いつも同じ服装でしたので、今まで気付きませんでしたよ」
581One day +One:2005/06/30(木) 01:09:31 ID:JKNYd+bh
部長さんが着せられた服、それは
「…“巫女”さん…」
その服が発する神気(?)にやられた部長さんは、
いつかの時のようになってしまいました。
「こんなに素晴らしい服があったのですね」
部長さんの巫女さん姿は、恐ろしいくらい似合っていました。
「やはり私の服飾は正しかったようです!!」
千百合さんもご満悦です。
「あのさ、千百合ちゃん…」
「なんですか隆ちゃん?」
「そろそろ、みんなのところへ戻ろうか?」
「そうですね。千百合さん、皆さんも正しい服装にしてあげましょうか」
582One day +One:2005/06/30(木) 01:11:20 ID:JKNYd+bh
「部長さん、あなたはわかってくれる、いい人ですね!!」
「いえいえ。私に正しい服装を教えてくれた、あなたほどではありませんよ」
千百合さんと部長さんは服装を通じて仲良くなったようです。
「……はぁ。どうなるんだろう…」

三人は皆さんのところへ戻ります。
583One day +One:2005/06/30(木) 01:13:42 ID:JKNYd+bh
「あら、遅かったじゃない白鳥クン。
さては、イケナイことでもやってたか!?」
「もう少しでお母さんが全部食べちゃうところだったよ」
「…どらやき…」
三人が戻ってくると、皆さんはお茶を飲んでゆっくりしていました。
「ただいま…みんな…」
「どうしたの白鳥くん?」
桃乃さんはなぜか疲れてる白鳥くんを見たあと、
その後ろにいる二人に気付きました。
その一人は髪型が変わ。、どこからか出した眼鏡をかけています。
もう一人は巫女さんの格好をしていて、なんだか雰囲気が変わっています。
584One day +One:2005/06/30(木) 01:15:45 ID:JKNYd+bh
「あ…、ま、まさか…千百合ちゃん?」
「「え?」」
桃乃さんの言葉で、他の人たちも二人の変化に気付きました。
「ええ!皆さん、この部長さんのように、正しい服装になりませんか?」
「「!?」」
逃げようとする皆さん。
そこで桃乃さんが気付きます。
「あ!!そうよ、千百合ちゃん!!こんなところで着替えたら、
和菓子にほこりがかかっちゃうわよ!?」
「おや…なるほど、それも一理ありますね…」
「「ふぅ…」」
安心する皆さん。
「ならば…」
千百合さんは残してあった和菓子に近づくと、一瞬で全て食べてしまいました。
585One day +One:2005/06/30(木) 01:17:34 ID:JKNYd+bh
「…これなら、良いでしょう?」

「「……う、うわぁぁぁぁあ!!」」
逃げ出す皆さん。

「…何を嫌がっているのでしょう?
まあ、いつものように一人ずつ捕まえて、正しい服装にしてあげましょうか」
「そうですね〜」
千百合さんの右隣に珠実さん。
「千百合さん、私にも手伝わせてください」
「もちろんですよ、部長さん!」
「部長がなんだかおかしい気がするですが、この際気にしないです〜」
千百合さんの左隣に部長さん。
「…みんな…」
その後ろに白鳥くん。

…ターゲットは、残り3人。
586お腹いっぱい:2005/06/30(木) 01:22:00 ID:JKNYd+bh
今回はここまでです。
部長さんが静かになったら、千百合さんと口調そっくりなので苦労しました。
普通は絶対に見られない絡みを書くのは面白いです。

アァ、部長サンの巫女姿…見テみタいデスね!
587名無しさん@ピンキー:2005/06/30(木) 03:49:35 ID:sfmgRrDb
このスレ終わり辺りから、保管庫でSSの人気投票をやるとおもろいかも。
って、保管庫管理人殿には激しく乙な話だけど。
588名無しさん@ピンキー:2005/06/30(木) 03:54:42 ID:xUQ5K8Zm
ヘタに優劣をつけたりすると、職人のやる気を削ぐ結果にもなりかねないから
そーゆーことはやらない方がいいと思うよ。
589名無しさん@ピンキー:2005/06/30(木) 06:41:05 ID:dwXLryyX
>>586
ああ、巫女服きせて神気Verにするなんつう手段があったんですね、上手い使いかたっすね。
実に面白いです、GJ!
590名無しさん@ピンキー:2005/06/30(木) 08:07:22 ID:b7qWXXW+
あっさりと部長はやられてしまいましたね。
591テイル:2005/06/30(木) 12:28:32 ID:YRYQP044
>残り3人

…バラさんは何処へ。
592One day +One:2005/06/30(木) 13:16:06 ID:JKNYd+bh
>>589
自分でもよく思いついたと思いますw

>>591
バラさんは千百合さん的に対象外かと思ってカウントしませんでした。
593名無しさん@ピンキー:2005/06/30(木) 13:35:59 ID:HlbUgStY
>>592
さらにできるようになったな!
続きも期待するノシ
594名無しさん@ピンキー:2005/06/30(木) 13:37:10 ID:JKofklcR
OKですよ。
595妄想特急:2005/06/30(木) 15:26:37 ID:FyyB84H8
GJな小説が沢山あって最高ッス、ここは。
596名無しさん@ピンキー:2005/06/30(木) 19:41:38 ID:hi0Ieog2
2次創作保管庫より着。
突然だが隆士の服のプリント二つほど足りなかったのを発見

33話、シロクロミケトラマフィア。ラストページ
表・空牙、裏・雷電

36話、告げる夜。隆士の回想(梢の一番の笑顔がどういうときか〜のトコ)
多関節

そしてココへの書き込み初めてだったりするw
597ぐうたら:2005/06/30(木) 19:57:16 ID:soWjnb6u
>>596
・ ・・ ・・・ ・・・・ ・・・・・?
なんかよく分からないけど、
596ーさん。…………クッ。
598妄想特急:2005/06/30(木) 21:47:30 ID:1LEKeGI2
多分、保管庫の「まほらばネタまとめ」の話だと思いますよ〜。
でわ〜
599妄想特急:2005/06/30(木) 21:50:57 ID:1LEKeGI2
〜君といつまでも〜
「ではくれぐれも明日の課題を忘れないように〜♪」
銀先生の警告の言葉とともに午後5時ちょうどに授業が終わった。
「ふぅ・・・」
僕は今日一日の疲れを振り払うかのように大きく伸びをした。
「白鳥ィ〜〜〜一緒に帰るぞ〜〜!!」
大声をあげて彼がこっちに向かってきた。あの「麗子さん事件」の一件以来、彼は少しずつ以前の元気を取り戻しているようだった。というか、元気になってくれて本当によかった。もしあの時、本当の事を全て打ち明けていたら今頃彼はどうなっていたのだろうか・・・?
「どうしたの?早く帰るよ白鳥くん」
「あ・・・うん」
不吉な思考を巡らすことをやめ、授業で使った道具を鞄にしまって学校を後にした。
しばらくして、彼は突然質問を投げかけてきた。
「ところでさ〜白鳥、おまえ大家さんとどこまでいったんだ?」
「え・・・エエッ!!?そんな・・・どこまでって言われても・・・その・・」
「ぶっちゃけろよ〜白鳥〜まさかもうセッk(ゴンッ!!)イッ!?痛ェ〜〜〜!」
彼の縦横無尽な質問に答える前に、Xカリパーが彼の頭に襲いかかった。
「何しやがる、この暴力女!」
「あまり調子にのるな、このロリータ!」
「ぇ・・・はぁ?だからアイツとはそんなんじゃねーって」
「毎日弁当作ってもらってるのに?」
「なッ!?それはアイツが勝手に・・・・ってうるせ〜〜ほっとけ〜〜!!」
「あの二人、仲がいいんだか悪いんだか・・・」
「・・・・(ははは・・・)」


600妄想特急:2005/06/30(木) 22:04:49 ID:1LEKeGI2
こうして僕たちはいつもの駅で別れてそれぞれの帰路についた。僕の家___鳴滝荘に到着するやいなや僕は早速今日出された課題に取り組んだ。
銀先生の折檻だけはごめんだ。

「ここをこうしてっと・・・・よしっ!これで終わり」
ふと時計を見ると9時前を指していた。課題にずっと集中していたため、こんなにも時間が経っているとは思わなかった。
部屋を見回すと、見慣れない箱が置いてあるのに今更気づいた。見ると、どうやら母親からの仕送りらしい。
その箱を開けると、中には一通の手紙とたくさんのリンゴが。    
「  隆士へ  親戚の方がリンゴをたくさんくださったので少し送ります。
絵本の勉強を頑張るのもいいけれど、くれぐれも体に気をつけて    母より 」
「・・・母さん」
僕はその時改めて両親に感謝の念を抱いた。
「追伸  出世する日を楽しみにしてるわよ♪」
「・・・・」
とにかく僕は感謝した。
(朝美ちゃんかな?この荷物ここに持ってきてくれたのは・・・そうだ、またみんなにお裾分けをしよう)
そうして僕は、リンゴを袋に分けて部屋を後にした。最初に3号室の桃乃さんの部屋に向かった。

601妄想特急:2005/06/30(木) 22:06:46 ID:1LEKeGI2
「桃乃さ〜ん、ちょっといいですか?」
「ん〜?・・・白鳥君?何か用事?」桃乃さんがドアを開け、顔を出した。お酒を飲んでいたのか(というか、絶対飲んでいたと思う)、顔が少し赤らんでいた。
「あの、これお裾分けのリンゴです」
「あ〜いつもサンキュー白鳥君」
「いえいえ・・・・?」
何やら音がするので部屋の中に目をやると、テレビ画面には高校生に殴られているサラリーマンの姿が映っていた。一体どんな話なんだ?
「・・・ああ、あれは今巷で話題の「FLY,FATHER,FLY」って映画よ。結構面白しろいわよ〜。今度白鳥君にも見せたげるね」
「あ・・はい・・・・じゃあ僕はこれで失礼しますね」
「じゃあね〜」
少しだけあの映画が気になりつつ、次に6号室の灰原さんの部屋へと歩を進めた。
「灰原さーん、ちょっといいですかー?」
「ん・・・おお白鳥か、どうしたンだ?」
ジョニーが先にドアからひょっこり顔を出した。
「あのこれ、お裾分けのリンゴです」
「おお、スマンな」
僕はその時灰原さんの手に持っているペンに気がついた。
「小説書いていらしたんですか?」
何となく訊いてみた。
「ん?・・まあな。一応、本業だしナ」
「あ・・そうですか・・頑張って下さいね。じゃあ僕はこれで」
「ああ、アリガトな」
この前珠実ちゃんが言ってたけど、灰原さんは昔はよく売れる小説家だったそうだ。今の状態からはあまりそんな風には見えないけれど(・・・って我ながら失礼なことを考えてるなぁ・・・)。
602妄想特急:2005/06/30(木) 22:12:13 ID:1LEKeGI2
その後、黒埼親子や珠実ちゃんにもリンゴを手渡した。黒埼親子は相変わらず内職と奮闘
中。珠実ちゃんはプリンターを使って何かやっていた。
何故かすごく身近に感じる女性の姿が映っていたが、よくは見えなかった。というか、見せてくれなかった。
「後は・・・梢ちゃんか・・・」
僕は自分の中でそう確認すると、管理人室へと向かった。



いつの日か____彼女は一人夜空を見上げて縁側に座っていた___どこか切なげな顔をして___
僕は少し不安に駆られながらも彼女に近寄り、声をかけた。
「・・・どうしたの?梢ちゃん」
「・・・・」
彼女から応答はなかった。もう一度声をかけた。
「・・・・梢ちゃん?」
「・・・白鳥さん」
虚空を彷徨っていた彼女の目がこちらにやっと気づいた時、その目から涙が今にも溢れそうになっていた。
彼女のこんな表情を見るのは初めてだった。
603妄想特急:2005/06/30(木) 22:15:15 ID:1LEKeGI2
「・・・もしよかったら僕に話してよ。きっと何か力になれると思うからさ」
「・・白鳥・・さん・・・」
彼女の目に溜まっていた涙が一気に頬へと溢れ出た。そうして、彼女は口を開いた。

____彼女の話してくれた、彼女が経験した過去___それは残酷だった。あまりにも悲しいものだった。
大切な人との別れ、襲いかかる孤独感、絶望。そして彼女がその日見た夢のことも・・・・。

「・・・もう大丈夫だから。僕がずっと君の側にいるから。だから・・・だからもう泣かないでよ、梢ちゃん」
「う・・・・ぇ・・・白鳥さん・・・」
僕はそっと彼女の肩に手を回し、やさしく抱いた。今にも崩れてしまいそうな彼女を壊さないように優しく・・・。
僕はわかっていなかった。彼女がこんなにも苦しい想いをしてきたことを。ただ、彼女を悲しみから解放してあげたかった。
そして僕は、彼女にキスをした。震えていた彼女の肩が徐々に落ち着きを取り戻し、溢れていた涙はその姿を消していた。
しばらくして彼女は立ち上がり、僕に言った。
「ありがとうございました。もう大丈夫です。・・・では・・おやすみなさい、白鳥さん」
「うん・・・おやすみ」
笑顔を取り戻した彼女が部屋に帰るのを見届けた後、僕も寝ることにした。



管理人室の前に到着すると、僕は彼女に呼びかけた。

「梢ちゃん、これお裾分けのリンゴ」
「わぁ、リンゴですか♪いつもありがとうございます」
604妄想特急:2005/06/30(木) 22:16:30 ID:1LEKeGI2
「喜んでもらえて嬉しいよ。じゃあ僕はこれで・・・」
そして、僕は彼女に背を向け部屋に戻ろうとしたその時・・・
「あっ・・・白鳥さん待ってください。よろしければまたご一緒に・・・」
「え・・・?」
かくして、僕は梢ちゃんの部屋で一緒にリンゴを食べることにした。
(そういえばこの前もこんな事があったなぁ・・・確かあの時は・・・)
「・・・あっ」
突然の声で回想は消え去り、僕は我に返った。そして声のした方に目を向けると・・・。
「すみません、手がすべってしまって・・・」 
彼女の、正座していた太ももの上に一切れのリンゴ___。甘そうなリンゴの汁がじんわりと広がっていき、そこに輝きを与えていた。___そして気づけば___僕は彼女をベッドの上に押し倒していた。
「あ・・・ご、ごめん。つい・・・」 
こんな事をしたら、彼女はきっと傷つくだろう。自分の過ちに気づき、僕は肩を掴んでいた手をゆっくりと離していった。だけどその時・・・
「・・・いいです。白鳥さんとなら私・・・」
彼女は顔を赤らめながら僕の手を掴んで静かにこう言った。
605妄想特急:2005/06/30(木) 22:18:18 ID:1LEKeGI2
「・・・梢ちゃん」
9時30分。昼からぽつぽつと降っていた雨が夜になって激しく降り始めた。少し蒸し暑い梅雨の夜___。
「・・・本当にいいの?」
「・・・・はい」
「じゃあ・・」
「あの・・よろしくお願いしますね・・」
「うん・・・」
僕は彼女から了承を得たあと、彼女とキスを交わした。そしてゆっくりと包み込むように優しく彼女の胸に触れた。やわらかい。初めて触れる女の子の胸・・・。僕の心臓は張り裂けそうになっていた。
「ん・・・」 
彼女の口から漏れる言葉が僕をさらに高揚させた。上着を脱がして、ブラジャーのホックを震える手ではずした。白く透き通るような彼女の美しい胸に思わずみとれそうになった。「・・・綺麗だよ、梢ちゃん」
そういうと、彼女は無言のまま、また顔を赤らめた。ゆっくりと彼女の胸を揉み、優しく舐めた。
「あぁ・・・白鳥さん・・・」
彼女の息が徐々に荒くなっていく。
606妄想特急:2005/06/30(木) 22:19:11 ID:1LEKeGI2
「梢ちゃん・・・」
僕は無心に彼女のやわらかい胸をしゃぶり続けた。そして、右手を下半身へと移していく。スカートの奥へと手を伸ばして、初めて触る女性の恥部___。撫でるとしっとりと濡れていることに気づいた。
「あっ・・はぅ・・・・」
やわらかくて温かい。興奮した僕は一気に彼女が下半身にまとっているものを脱がした。初めて見るピンク色の彼女の股間に僕は目を奪われた。彼女の体は小刻みに震えていた。
「白鳥さん・・・そんなに見られると恥ずかしいです・・・」
彼女の赤らめた顔をよそに僕はその小さな穴へと指を入れる。そしてゆっくりと動かす。「ハァ、ハァ・・・」
彼女の息が一層荒くなった。
「・・・どう?梢ちゃん。気持ちいい?」
「あっ・・・ハイ・・・んぅ!!」
指のスピードを徐々にあげ、激しくピストンした。彼女の体はびくびくと大きく震えた。
「ああッ!し、白鳥さん・・・私・・・イ、イッちゃいますぅ!!」
「梢ちゃん、梢ちゃん!!」
「ああああッーーー!!」
指に彼女の熱い愛液がかかるのを感じた。絶頂へと達した彼女は目を閉じて幸せそうな顔をしていた。
607妄想特急:2005/06/30(木) 22:20:04 ID:1LEKeGI2
10時。彼女と僕はお互いを求め合うように愛撫しあった。そして・・・
「・・・白鳥さん」
「・・何?」
「もう・・ください・・・入れて下さい」
「・・うん、じゃあ・・・」
彼女の股の間に割り込み、僕の性器をそっと近づけた。彼女は少し怯えているように見えた。
「あの・・・私初めてなので・・・」
「うん・・・ゆっくり入れるね・・・」
彼女は目をつむった。そして彼女のびしゃびしゃに濡れている性器に僕の固くなったそれを入れた。少しキツい。それでも、ゆっくり少しずつ・・・。
「ぁ・・・」
そして僕と梢ちゃんはようやくひとつになった。
「梢ちゃん、痛くない?」
「はい・・少し痛みますが・・・大丈夫です」
・・・気づけば僕の目には涙が溢れていた。
彼女とひとつになれたこと___それがこんなにも・・・
こんなにも素晴らしいことだったとは___。
「・・じゃあ、動かすよ」
「・・はい」
そして僕は腰を前後へゆっくり一振り、二振りと動かした。
「・・気持ちいい?」
「あ・・はい、気持ちいいです」
「梢ちゃん」
「はぁ・・白鳥さん」  
608妄想特急:2005/06/30(木) 22:20:53 ID:1LEKeGI2
・・・僕たちは何度も何度もお互いの名前を呼び合った。感じることができる彼女の火照った体___涙が止まらなかった。最初は不器用にしか動かすことのできなかった腰も、今は引き合うかのようによく動かすことができた。そして僕は___
「こ、梢ちゃん、梢ちゃん!!」
「ああ!はぅ!!し、白鳥さ・・・んぅ!!」
「僕もう・・・でちゃうよ!!」
「来て下さい白鳥さん!!はぁ、はぁ・・・!」
「で、でも・・・あぁ!」
「今日は大丈夫なんです・・・だから!・・一緒に・・・んあッ!!」
「くぁ・・・出る、出るよ!」
激しい二人の吐息。高ぶる鼓動。もう僕はもはやその動きを止めることができなかった。体が熱い。こんなにも熱くなったのは初めてだ。意識がとびそうだ。それでも僕はしっかりと彼女の手を握りながら今この時を感じていた。
僕は再び彼女と唇を重ねた。そして・・・・
「イ、イクゥ!!ああッ!!い、一緒に・・・!」
「ハア、ハア・・・梢ちゃん・・・・ああああッ!!!」
僕のそれが大きく脈打つのがわかった。白濁した精液を彼女の中へいっぱい流し込んだ。彼女をしっかりと見つめて・・・。今まで張りつめていたものからの開放感に包まれて、体中の力が一気にぬけるのを感じた。
609妄想特急:2005/06/30(木) 22:21:39 ID:1LEKeGI2
そうして、時間が過ぎ、気づけば12時前になっていた。
「・・・気持ちよかった?」
「・・はい、とても。・・すごく嬉しかったです・・・」
「・・僕もだよ」
気がつくと彼女の目にも僕の目にも涙がにじんでいた。あの時彼女が見せた悲しみの涙なんかではなく・・・。僕たちはしばらくの間抱き合った。
お互いの体温を確かめ合うかのように___。
「梢ちゃん・・好きだよ、大好きだよ」
「私も・・大好きです」
「ずっと一緒にいよう、ずっと」
「・・・はい!」
             僕は心に誓った。
         彼女を絶対に幸せにすることを。
    彼女に二度とあの頃のような辛い思いをさせないように。
        そして彼女を愛し続けることを。
   彼女に出会えた幸せを噛みしめながらずっと、ずっと_____
    激しく降っていた雨は、いつの間にかやんでいた。
610妄想特急:2005/06/30(木) 22:30:11 ID:1LEKeGI2
「君といつまでも   あとがき」
小説初めて書きました。やっぱりムズいし・・・orz。
自分の表現力の無さに乾杯!(ぇ
では、乱筆乱文にて失礼します。
611テイル:2005/06/30(木) 22:36:49 ID:D1Aotq2c
>>610
妄想特急さんGJ!
一部どこかで見たような展開ですが、そこはご愛嬌という事で。
というか、以前私も似たようなSS書いたのですがエロ無しだったから、
すごく新鮮です……

というか、純粋な隆士×梢は久しぶりかも。

現在千百合SSを執筆中です。
以前募集した言葉ネタは、結局責める部長にしました。
あと、私的に言って欲しかったフレーズを一つ……
どう料理されるかは、お楽しみに……

責めるって…………女王様しかないやんorz
612名無しさん@ピンキー:2005/06/30(木) 22:37:07 ID:soWjnb6u
sageなさい。まずはそれが職人への第一歩だ!
ちなみに>>599の縦横無尽って表現はオカシイぞ。傍若無人か?
613名無しさん@ピンキー:2005/06/30(木) 22:58:41 ID:1Ovxndlv
久々のエロ有りキターー(゜∀゜)ーー!!
614名無しさん@ピンキー:2005/06/30(木) 23:42:19 ID:xUQ5K8Zm
久々ってほどでもないんじゃないかな?
615ぐうたら:2005/07/01(金) 00:00:47 ID:S9YHPhRf
こんばんはぐうたらです。
本名検索してみたら何かレーサーっぽい人が出てきました。
今夜は千百ちゃんSSの前編の投下に参りました。
今回は予定としては前編、中編、後編の三部構成のつもりです。
それでは行きます!!
隆士×千百合SS!『The last moment』!!投下っ!!!
616The last moment 前編 1/8:2005/07/01(金) 00:01:30 ID:S9YHPhRf
彼女と出会ったその日。

彼女と再開したあの日。

彼女と恋人同士になった日。

あっという間に時は過ぎていった。

そして、今日がやってきた。

四月のとある日曜日。


僕は今日、世界で一番大切な人を失った。


『The last moment』
617The last moment 前編 2/8:2005/07/01(金) 00:01:50 ID:S9YHPhRf
「あっ」
四月某日、日曜日。時は十時三十分。
課題も一息ついて、休憩がてら炊事場でお茶を飲んでいたときに、同じく炊事場にいた梢ちゃんが声を上げた。
「?どうしたの?梢ちゃん」
突然声を出した梢ちゃんに、僕は首を傾げて尋ねる。
「あ、いえ、ちょっと…」
そういって冷蔵庫の中を二、三度見渡す梢ちゃん。
「………?」
ますます首を傾げる僕。
「ちょっと、お昼ご飯に使う野菜が足りなくて…」
「野菜?」
「はい、お昼は野菜炒めとチャーハンにしようと思ってたんですけど…」
「へぇ、何が足りないの?」
「え?あ、にんじんともやし…ですけど…?」
「にんじんともやしだね?よし、僕が買ってくるよ。」
「え?いいですよ!私が…」
「いいって。ちょうど僕も本屋に用があったからさ。そのついでに、おつかいを、ね?」
にこっ、と、微笑む。
「あ、そ、そうですか?えっと、じゃあ、お願いできますか?」
少しだけ顔を赤らめ、言う梢ちゃん。
「うん。それじゃ、そんなに時間はかからないと思うけど、本屋によってから帰るね」
「はいっ、よろしくお願いします!」
「うん。いってきます」
「いってらっしゃい、白鳥さんっ!」
梢ちゃんの嬉しそうな声を背に、僕は鳴滝荘を出て、商店街に向かうこととなった。
618The last moment 前編 3/8:2005/07/01(金) 00:02:14 ID:S9YHPhRf
双葉銀座。
阿甘堂や、目的地でもある八百長、本屋『book on』もある、駅前の賑やかな商店街。
「まずは、本屋かな…」
つぶやき、本屋に足を向ける。
入り口から一、二分歩いてついた本屋は、雑誌から絵本までしっかりとした品揃え。
この店なら大体の資料や欲しい本はそろっている。
「お、あったあった」
目当ての絵本を見つけ、会計を済ませると、早速次の目的地、八百屋の八百長に向かう。
「こんにちわ」
八百長に着き、店主のおじさんに声をかける。
「おう兄ちゃん!いらっしゃい!どうでい?梢ちゃんとは仲良くやってっか?」
おじさんは今日も威勢の良い声をだしながら、僕の背中をバンバンと思いっきり叩く。
「は、はい…おかげさまで……」
手加減なしのスキンシップに背中をさすりながら答える。
「おーおー、そいつぁ何よりだ!で?何だ?今日はなんか買っていくのか?」
「あ、はい、もやし…と、にんじんを」
「もやしとにんじんだな?おっし、良いもん選んでやるよ!」
「あ、ありがとうございます」
「いいって事よ!何たって梢ちゃんの彼氏だからな!サービスの一つや二つや百八つぐれぇ…」
「そ、それは多すぎですよ…」
「わっはっは!それもそうか!ホレ、もやしとにんじん!オマケに梅干しだ!梢ちゃんに食わしてやりな!」
「あ、いえそんな……」
「いいから受け取れって!おっちゃんからの気持ちだよ!!」
「じゃ、じゃあ遠慮なく…」
「おう!!またこいよ!!」
「はい、ありがとうございました」
「毎度ありー!!」
もやしとにんじん、おまけに梅干しまで貰い、僕は鳴滝荘への帰路につく。
619The last moment 前編 4/8:2005/07/01(金) 00:02:36 ID:S9YHPhRf
時間は恐らく12時より少し前、といったところか。
昼食時には間に合ったので、しっかり昼食はとれそうだ。
これなら珠美ちゃんにもどやされる事は無いな、等と思っていた。
そこで、鳴滝荘の玄関先で、ふと、気がついた。
「…………静か…すぎる…?」
そう、今の鳴滝荘は、あまりのも『静か』なのだ。
今はさすがの桃乃さんでも起きているはずだし、しかも今日は日曜日だ。
あの騒ぎ好きな住人が日曜の昼間に静かなハズがない。
じゃあ、何故・・・?
その瞬間から、日頃の経験からか、多少、嫌な予感はした。
その予感が確信に変わるのに、時間は要らなかった。
「ただい―――」
がらりと玄関を開けた瞬間、一人の人物が目に入った。
朝美ちゃんだ。
だが、多少普段と違うところがある。
服だ。
普段の制服ではなく、妙な―看護婦のような―服を着ている。
こんな服を着せるのは…
玄関の朝美ちゃんの他にも、廊下に出ると、柱にもたれかかる様に、沙夜子さんが、メイド服の様な物を着て気を失っていた。
そしてその側では桃乃さんがチャイナドレスを着て倒れていた。
この三人がこんな格好をして倒れている、というのは過去何度もあった。
この場合、殆ど、いや、確実に梢ちゃん…『彼女』が関わっている。
と、なると、『彼女』は今何処に?となる。
『彼女』を探そうとしたその時だった。
「ホーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
真昼の空に、轟く咆哮。
この奇妙な雄たけびを上げるのは、唯一人。
そう、世界で唯一人。
620The last moment 前編 5/8:2005/07/01(金) 00:03:01 ID:S9YHPhRf
「……あ」
声の聞こえたほうを見る。中庭をはさみ、向こうの廊下。
そこに『彼女』はいた。
蒼葉 梢ちゃんの姿をした彼女。
梢ちゃんの深緑の瞳より、多少薄い緑の瞳をした彼女。
長い髪を、横で一つに縛った少し変わった髪形をした彼女。
緑川 千百合。それが彼女の名前。


今日は、長くなりそうだ。
621The last moment 前編 6/8:2005/07/01(金) 00:03:18 ID:S9YHPhRf
「ホーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
もう一度大きな雄叫びを上げて、廊下の真ん中に立っていた千百合ちゃんは、壁にぴたりと背中をくっつけ
「ホーーーーー……………」
何か気合を込めるように息を吐き
「ホーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」
壁側から中庭側までの廊下の短い助走で、ジャンプ一番、千百合ちゃんは宙に舞った。
「ええっ!?」
当然、彼女の突然の行動に驚きを隠せない僕は、声を上げる。
「隆っちゃーーーーーーーーんっ!!!」
空中で僕の名前を呼び、そのまま
「Ωυ*$%#δ"&!!」
僕の腹部に直撃し、僕に声にならない声を上げさせる。
コレで何度目か、僕は千百合ちゃんに押し倒される形になった。
と、いうか向こうの廊下からこちらの廊下まで跳んで来れる千百合ちゃんの跳躍力には目を見張る物があった。
「ん〜〜、隆ちゃぁ〜ん〜」
当の千百合ちゃんは、魚子ちゃんの様に甘い声で僕にすりよってくる。
「ちょ、ちょっと、千百合ちゃん!?」
「はぁ〜っ、隆ちゃんの匂い、感触、温もり!どれをとってもSランク!!さすがはマイダーリン!完璧です!!correct!!」
と、言って手でOKの丸を作る千百合ちゃん。
だけど僕にとっては苦しいものでもあり、色んな所が僕に押し付けられ、恥ずかしい物でもある、というのが悲しい現状。
「ち、千百合ちゃんっ!苦し…離れ…て…色々…あたってる…っ!!」
「ホーーーーーー!!!」
「ギブギブギブギブギブギブブギウギごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
 ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめん…なさい…ごめ…い…ゴメ…ス…………」

                         かゆ…
 
                   うま…

「……コホン、えー、取り乱してすみませんでした、隆ちゃん」
咳払いを一つして、先の奇行に少し頬を赤らめる。
622The last moment 前編 7/8:2005/07/01(金) 00:03:39 ID:S9YHPhRf
「いや、何とか大丈夫だったし…平気平気」
軽く握りこぶしを上げ、小さくガッツポーズをして見せる。
「そ、そうですか?それなら何よりですが……」
ふと、千百合ちゃんの表情が曇った気がした。
何か思いつめているような表情で、
何か考え込んでいるような表情で、
そして何かを決心したような表情で、言った。
「隆、ちゃん」
「何?」
「今日一日…」
少し、ほんの少し間を置き、息をつき、
「…今日一日、私のワガママに付き合ってもらえませんか?」
そう言った。
でも、そう言った彼女の表情は…ほんの少し…だから、
「…ワガ…ママ?」
「ええ…でも、無理にとは言いませんよ?隆ちゃんにも都合が……」
だから千百合ちゃんが言葉を言い切る前に、僕は言う。
「いいよ?」
「え?」
「いいよ。ちょうどさ、今日は恋人の頼みごとより大事な予定は入って無いから。僕でよければ好きに使って?」
「隆ちゃん……」
顔を一気に紅潮させ、うつむく千百合ちゃん。
「…ありがとう、ございます…」
うつむいたまま、ぽつりと、そう呟く。
「うん。どういたしまして」
彼女には見えないけど、笑顔で答える。
623The last moment 前編 8/8:2005/07/01(金) 00:03:57 ID:S9YHPhRf
数分後、出かける準備を終えた僕と千百合ちゃんは、玄関にいた。
まだ朝美ちゃんも沙夜子さんも桃乃さんも気を失っているようだった。
珠実ちゃんを探したが、千百合ちゃんの話によると、朝美ちゃんに手をかけ、沙夜子さんに手をかけ、桃乃さんに手をかけようとした時に、
部長さんが訪れ、珠実ちゃんを連れて行ったそうだ。
灰原さんは、中庭の池ではなく、部屋にいたので、桃乃さん達が目覚めたらよろしくお願いします、と言っておいた。
一応桃乃さんの髪の触覚部分に『千百合ちゃんと出かけてきます。お大事に。白鳥』と、メモをテープで貼り付けておいた。
「隆ちゃん、準備、出来ました?」
「うん、いつでも出れるよ」
「そ、それじゃ、行きましょうか」
「そうだね。行こうか」

―今の僕はまだ知らない。

―今日、この日が、僕と、千百合ちゃんの―

でも、今の僕はまだ知らないから、ただ、こう思った。

―今日は、やっぱり長くなりそうだ―
624アトガキ ジゴク:2005/07/01(金) 00:04:21 ID:S9YHPhRf
今回はここまで〜。
いっそ全編完成してから一日ごとに投下とか考えたけどスレをあたためるには早急に投下が必要なので。
今回は白鳥君の独白をまるで他人事のように書いてみました。
いつもどおりにすると皆さんお気に召さないようで!!
現在中編は半分…ほど出来上がっているんでそんなに時間はかからないと。
次回はお出かけ先〜怒涛の急展開な中編。
ではでは。
625名無しさん@ピンキー:2005/07/01(金) 00:11:10 ID:ZaujYMAF
>>624
続きが気になって課題がはかどらないorz

('Α`)リュウネンヘノダイイッポダナコリャ
626名無しさん@ピンキー:2005/07/01(金) 00:18:38 ID:fU+6iZ5h
>>610
GJ!ただ、ちょっと展開が急すぎたような・・・
でも、久々の隆士×梢良かったですよ〜。
>>624
賛辞は完結するまでとっておきますよ。う〜ん、これからどう展開していくんだろう・・・
続きが気になるなあ。
627名無しさん@ピンキー:2005/07/01(金) 00:18:46 ID:tmWc9N96
お前様はまだ課題やってたのか…。

>>624
だいぶ落ち着いた作風に。
ナニやら不穏な感じですが続きを待ちましょうか。
628ぐうたら:2005/07/01(金) 00:20:50 ID:WFMNCIXz
ま、まさかあなたがあの『マタカダイデキナイヒト』!?
あの、良作が来るとすぐに現れ、
『コーリャ、マタカダーイ・デキネナー』
とか言って本当はする気ないだろとか言われてた人!?
ここまで言って別人がモアベター。
629ぐうたら:2005/07/01(金) 00:21:43 ID:WFMNCIXz
あ、書いてる間に人が…
>>628>>625さん宛てで。
感想アリガトゴザマス
630テイル:2005/07/01(金) 00:24:56 ID:t1yR5cd2
>>624
ぐうたらさんがこのような悲恋SSを執筆するであろうことを、私はあらかじめ予測していました。

…嘘ですゴメンナサイ。
続きが気になって(ry
むしろ構想中の梢消滅SSに近くなりそう…
嗚呼、愛しの千百合たんorz
631メリー:2005/07/01(金) 00:26:49 ID:r0TuNycK
最近ごぶさただったメリーです。

皆様素晴らしいですっ!
ROMってばかりだった私は常々そんな感想を。

今日は一風変わった感じで。
イメージ画像を見つけたのでそれを見ていただくといいかと。
ttp://whitebrown.hp.infoseek.co.jp/mahoraba/CG/1_258.jpg
の画像を脳内にインプットしておくと最後に分かりやすくなっております。
ではどうぞ。
632誕生日1:2005/07/01(金) 00:27:14 ID:r0TuNycK
 今日は朝美ちゃんの誕生日。
 いつも彼女の笑顔にはとても助けられている僕は、プレゼントを買おうと街に出た。
「朝美ちゃんには何がいいかな?」
 普段から金銭や食料に貧困しているから、朝美ちゃんの喜びそうな物が良い。
 でもそのままお金を渡すのも変だし、っていうか僕自身もお金に
 余裕のある身じゃないし……。
 食料って言っても何がいいのやら。というかカテゴリが広すぎるよ。
 僕はデパートの中を上に下にとうろうろと徘徊していた。
 そして地下の食料品売り場に来ていた。
「そうだ、僕が料理作ってあげようかな?」
 ヘタなりにも一応人の食べられる程度には作れるし、
 朝美ちゃんと一緒に作ってもいいかもしれない。
 でも誕生日だから、梢ちゃんや桃乃さん辺りがご馳走を用意するかも……。
「う〜ん、どうしようかなぁ……」
 僕は色々と見て回り、今日の特売と売り出されいる物を見つけた。
「ホットケーキか」
 僕の勝手な想像だけど、もし朝美ちゃんにプレゼントを買っていったら、
 きっと金額のことを心配すると思う。
 だけど特売の物だとなったら、少しは納得してくれるんじゃないだろうか?
 それにこれなら一緒に作れるし、僕でも多分美味しく作れる。
「よしっ、これにしよう」
 安いのを良いことに、お一人様三つまでの特売品を、限界の三つ買って僕は
 デパートをあとにした。
633誕生日2:2005/07/01(金) 00:27:34 ID:r0TuNycK
「ただいま〜」
 鳴滝荘についた僕が、玄関のドアを開けると、そこはすでにパーティー会場並み
 にコーディネーションされていて、ビックリした。
「あ、おかえりなさい白鳥さん」
 パタパタと鳴滝荘内を走り回っていた梢ちゃんが、玄関でしばし呆然としていた
 僕に気付き、おかえりを言ってくれた。
「ただいま梢ちゃん。梢ちゃんは料理担当?」
「はいっ。もう少しで完成ですよ。白鳥さんは朝美ちゃんのプレゼントを買いに
 行ってたんですか?」
「うん。でも何が良いか分からなかったからコレにしたんだ」
 僕はそう言って梢ちゃんに袋の中を見せた。
 すると梢ちゃんはとても嬉しそうに微笑んで、
「わぁ、朝美ちゃんきっと喜びますよ。でもケーキなら用意しちゃいましたし、
 どうしましょう……」
 ふと考える表情を見せた。
 僕は慌て手を振り、
「あ、いや、これは今日食べる分じゃなくて、今度朝美ちゃんと一緒に作ろうかと
 思って」
「そうなんですか。とても素晴らしい考えだと思います」
「そうだ。朝美ちゃんが良いって言ったら梢ちゃんも一緒にどう?」
「はい。その時は是非ご一緒に。あ、そろそろ私行きますね?」
 梢ちゃんは僕に軽く一礼すると台所へと走っていく。
 慌てている梢ちゃんはちょっと新鮮だと思った。
634誕生日3:2005/07/01(金) 00:27:52 ID:r0TuNycK
「「「「「「朝美ちゃんっ! お誕生日おめでとう〜!」」」」」
 なぜか僕の部屋で誕生日パーティーは執り行われる。
 まあ、今日はおめでたい日だから良いんだけど……。
「み、みんなぁ……ありが、ありがどぅ〜」
 始まったばかりだというのに、朝美ちゃんはもう涙を浮かべていた。
「泣くのは早いわよ朝美ちゃん! 今日は一杯ご馳走用意したからねっ!
 腹一杯食べるのよっ!」
 高らかに宣言する桃乃さん。変に気合が入っているのはいつものことだけど、
 いつもよりもテンションが高い……。
「う、うん」
「ああっ、ちょっと待って下さい。いまケーキを持ってきますから」
 ギリギリまでケーキを冷やして、生クリームが解けないようにと、冷蔵庫に
 入れていたのだろう。
 それを持ってきた梢ちゃんは、テーブルの中央にそれを置くと、ローソクを
 立てた。
「僕が火を点けるよ」
 梢ちゃんからライターを受け取ると、一つずつ火を点けていく。
 そして部屋の電気を消す。
 ローソクの灯りが幻想的に室内を照らし出した。
「「「「「「ハッピバースデートゥユー♪ ハッピバースデートゥユー♪
 ハッピバースデーディア朝美ちゃーん♪ ハッピバースデートゥユー♪」」」」」」
 手でリズムを取り、朝美ちゃんのために皆が歌う。
 朝美ちゃんは手で顔を押さえながら、何度も嬉しそうに頷いていた。
「ささ、朝美ちゃん! 今こそ火を吹き消すのよ!」
 桃乃さんの言葉に、朝美ちゃんはふーっと小さな口をすぼめて息を吐き出す。
 一本一本がしっかりと消え、全部消え終わるのを確認して電気を点けた。
「さ、食べましょうか」
 それぞれが目の前のご馳走に手を伸ばし、美味しいと言いながら口へ入れていく。
 梢ちゃんの作った料理は本当に美味しかった。
635誕生日4:2005/07/01(金) 00:28:11 ID:r0TuNycK
「恒例のプレゼントターーーーーイム!!!」
 仕切りを担当している桃乃さんからさっそく朝美ちゃんにプレゼントを渡していく。
 なんか皆綺麗にラッピングされてて、僕のがとっても霞んで見えるなぁ。
 もともとそんなに高い物じゃないから仕方ないんだけど、せめてラッピングくらいは
 しておいた方が良かったかも。
 この時僕は後悔先に立たずということわざを理解した。
「ありがとうぅ、ありがとう」
 朝美ちゃんは何度も涙を流しながら、渡された品々を受け取っていく。
 渡されたのが分かったのは、灰原さん(ジョニー)の渡した「コイツのオススメの
 小説だ。読んでみてくれ」という触れ込みの小説。
 梢ちゃんの渡した「私のお気に入りのヌイグルミです。お古であれなんですけど、
 可愛がってくださいね」とリボンで綺麗に装飾されたクマのヌイグルミ。顔が長い。
 そしてお母さんの沙夜子さんの渡した「朝美……これ……」とだけ短く告げ、
 木彫りの朝美ちゃん人形だった。とても上手だ……。
「あ、朝美ちゃん。僕のはその、安物なんだけど……」
 そう言ってデパートの袋を差し出す。
「ふえ?」
 中を見た朝美ちゃん。目のうるうるが止まってなかった。
「え、いいのお兄ちゃん?」
「うん。今度一緒に作ろう? それから、さっき急いで作った『王様になれる券』も。
 一応僕にだけ有効だから」
 ポケットから出して、それも一緒に渡す。
「ありがとぅ、嬉しいぃよぉ〜……ありがとうお兄ちゃん」
 朝美ちゃんがとても嬉しそうだったので、僕も嬉しかった。
 その後パーティーとは名ばかりの宴会になったのは言うまでもない。
636誕生日5:2005/07/01(金) 00:29:06 ID:r0TuNycK
 コンコン。
 後片付けもようやく一段落し、ちょっと座って休憩していたら、部屋のドアが
 ノックされた。
 時間はもう十時を回っているから、梢ちゃんだろうか?
「開いてますよ?」
 ドアが開かれ、立っていたのは意外にも朝美ちゃんだった。
 優等生な朝美ちゃんはこの時間帯にはもう寝ているんじゃないのだろうか?
 そうか、内職でもやってたのかな?
「お兄ちゃん今時間大丈夫?」
「あ、うん。どうしたの朝美ちゃん?」
637誕生日6:2005/07/01(金) 00:29:24 ID:r0TuNycK
 朝美ちゃんは僕の傍に近づくと、僕のひざにいきなり座ってきた。
「うわっ、あ、朝美ちゃん!」
「えへへへ〜」
 何だか嬉しそうな朝美ちゃんを見ると、何も言えなくなる。
「ど、どうしたの朝美ちゃん?」
「あのね、これ使ってもいい?」
 朝美ちゃんが取り出したのは一枚の券。僕が渡した『王様になれる券』だった。
「さっそく? いいけど、何がしてほしいの?」
 僕は朝美ちゃんが落ちないように、ちょっと恥ずかしかったけど腰に手を回して、
 体を支えた。
「今日だけ……今日だけでいいから、お兄ちゃん……私の『お兄ちゃん』なって」
 僕の顔を見ずに、搾り出した声。
 やっぱり父親が恋しいのだろうか? せめて家族がもう一人でもいれば、また
 違ったのかもしれない。
 最近、沙夜子さんの妹さん、まひるちゃんとも仲が良いみたいだったから
 あまり気付かなかったけど、やっぱり肉親が恋しいのかもしれない。
 僕は朝美ちゃん頭に手を乗せると、
「いいよ朝美ちゃん。今日だけじゃなくて、いつだって僕は
 朝美ちゃんの『お兄ちゃん』になってあげる。もちろんその券はいらないよ?」
 そう言って頭を撫でる。
 すると朝美ちゃんは顔を上げて、僕の方を見つめ、目から涙を零していた。
 今日は朝美ちゃんの涙を見る率が以上に高いな。
「いいのお兄ちゃん? 本当にいいの?」
「うん、いいよ」
「ありがどーお兄ちゃん……」
 朝美ちゃんは僕の体にすがって泣きついた。
 こんな可愛い妹なら僕からお願いしたいくらいだし。
 そして僕は朝美ちゃんが泣き止むまで、そっと体を抱きしめ続けた。
638メリー:2005/07/01(金) 00:31:57 ID:r0TuNycK
いじょうデス〜。

改行エラーが嫌いになった……orz

この後、ぶっちゃけエチシーンの構想も脳内で練っていたのですが、
良い雰囲気、後味で終わらせるにはここかな? と勝手に解釈。

イメージ画像は『誕生日6』のシーンです。
イメージ画像一つから上の『1〜5』をひねり出しました。
639テイル:2005/07/01(金) 00:52:49 ID:t1yR5cd2
>>638
メリー氏久々の作品乙でした。
しかしあれですな、普段からお兄ちゃんと呼んでいるのに、何か新鮮な感じですね。
朝美ちゃんもカワイイです。

そんな俺はただの後輩に(ry
640名無しさん@ピンキー:2005/07/01(金) 01:08:28 ID:ZaujYMAF
>>628
待ってくれ!やる気はあるんだ!



でも続きが気になって気になって・・・orz
641名無しさん@ピンキー:2005/07/01(金) 01:15:36 ID:IEL/wOsW
>>638
GGG(゚∀゚)JJJ

でも、せっかくだからエチも見たみたいぞ。
642お腹いっぱい:2005/07/01(金) 01:20:08 ID:xux1kgGp
な、なんてこった。
一晩で三人も投下するなんて!
というわけで今晩はお休みしますね。

>>610
妄想特急氏、乙です。
エロキターって言いながら読ませていただきました。

>>624
ぐうたら氏、GJ!!
しかしちょうど今千百合編に突入している私の立場は…。
テイル氏も書いているそうですし…。

>>625
あなたがあの伝説の!?

>>638
メリー氏、GJ!!
朝美ちゃんかわいすぎですよ?
変態な自分はそのままエチシーンにいくのかと思ってましたよ。
643名無しさん@ピンキー:2005/07/01(金) 02:02:54 ID:MToVlMLD
>>638
すごくいい作品だがエロシーンを求めてしまう自分が情けない。
白鳥朝美。
644妄想特急:2005/07/01(金) 12:42:51 ID:qEKsS3Je
>>624 ぐうたら氏、最高にGJ!!
続きが凄く気になります
>>638 メリー氏、GJ&乙です!!
今後の展開、勝手にエロに期待

あと、コメ&アドバイス下さった方々、サンクスです!
645名無しさん@ピンキー:2005/07/01(金) 14:25:16 ID:joWdCBmJ
SSではなく質問なのですが、

>>83 氏の「Angel Dust」を見て、突然SSをリュミーンと閃いたのですが…
他人の作品の続きを書くというのは、ここではアリなのですか?
646テイル:2005/07/01(金) 14:37:42 ID:t1yR5cd2
>>645
前例が実際にある(「恋のマホウ」と「Hard Shiratori」)ので大丈夫ですよ。
私は大歓迎です。

なかなか自分のが進まないorz
647名無しさん@ピンキー:2005/07/01(金) 19:04:31 ID:4teeRbju
許可くらいは取った方がいいんでない?
648517:2005/07/01(金) 19:53:21 ID:KR7IePpX
>>645一応作家さん本人に許可を取った方が良いと思います、と経験者は語る。

では、予告しておいたTSモノ投下したいと思います。
今回も前作と同様に続きものです。呪文などの設定はWe'd〜のものを使わせてもらいました。
あと、今回は少し作りがアレなんで「展開が読めたゾ」という方も
できれば言わないでおいて貰えるとありがたいです。
649The fateful decision:2005/07/01(金) 19:55:38 ID:KR7IePpX

――――――――――



女は自分の前で背を見せている男に訊ねる。

「なんでこんな所に連れ出すの?」
場所は夜の公園、居るのは男と女の二人だけ。

「あそこだと誰に聞かれるか分からないから・・・」
(皆に聞かれてはいけない話?)
女は少し不安になる。

「お前が・・・好きだ」

「!?・・・」

突然の事に、女は言葉を失う
650The fateful decision:2005/07/01(金) 19:56:21 ID:KR7IePpX

「すまん・・いきなりで驚くよな・・・・・でも実は、初めて会った時から、こうなって欲しいと思っていたんだ。
  俺と付き合ってくれないか・・な・・?」

女は否と即答しようとした、が、何かがそれを押し留める。
沈黙が続いた。

「――あの子の事か?」

女はこくりと頷く。

「どうして!だってあの子は・・・」
「分かってる・・・・でも私は、あの子を裏切ることなんてできない」

男は唇を噛み締める。 

「最後に聞かせてほしい、お前は俺の事をどう思ってる?」
「・・・・・・・」
正直な気持ちを伝えてしまえば、誰かが傷つくことになる。
それに何より己の感情に歯止めが利かなくなりそうだった。
女はそれをひどく恐れていた。

(もしかして私、この人のことが・・・・・?)




――――――――――
651The fateful decision:2005/07/01(金) 19:57:15 ID:KR7IePpX




もう、二週間近く経つだろうか。あの晩以降、僕は一度も変身はしていない。
あの事はそろそろ忘れてしまいたいのだけれど、皆で食事をする時なんかは、今でも
あの時の僕についての話題で盛り上がってる。もちろん僕以外の皆がだけど。

珠実ちゃんはあの時いつのまにかメイク後の僕をデジカメに撮っていたらしく、
それをプリントアウトして学校にまで持っていってるらしい。
どうせ、『この人、こんな顔してるけど実は男なんですぅ〜♪』とかいって友達に
見せて廻ってるんだろうな。はあ〜;

でもそれが梢ちゃんの写真といっしょに彼女の手帳に入っているのを
僕が知った時の、珠実ちゃんのあの慌てようは何だったんだろう?

いずれにしても勝手に呪文を唱えて、僕を変身させるようないたずらはしなくなった。
桃乃さんといっしょに、早紀ちゃんに説教されたのが相当応えたのだろう。いくら人格が違うとはいえ
梢ちゃんと根本は同じなんだから。
652The fateful decision:2005/07/01(金) 19:58:05 ID:KR7IePpX



ピピピピッ ピピピピッ がちゃ

目覚まし時計のアラームを止める。
うっすら目を開けると、カーテンの間から朝陽が差し込んできている。
僕はゆっくりと起き上がり、うんっと手を組んで伸びをする。そしてカーテンを開ける―――眩しい。
心なしか気分が軽い。そう、明日は休日、今日一日頑張れば明日はお休み。
久しぶりに梢ちゃんをデートに誘おうか。
そう思うと居ても立ってもいられず、急いで着替えてから部屋を出て、
梢ちゃんのいるだろう調理場に向かう。

(梢ちゃん・・・)
あの晩の事は忘れたいなんて言ったけれど、やっぱり忘れたくない。
あの時の梢ちゃんの言葉は、僕の一番の宝物だ。
今でも一字一句憶えている。

『白鳥さん、私は白鳥さんに出会えて本当に幸せなんですよ?
 白鳥さんは私の人生で抜け落ちていたモノを埋めてくれたんです。
 私はもう、白鳥さん無しでは生きられません。
 そばに居られるだけでいいんです。
 そのためなら、たとえどんな事があろうと耐え抜く自信があります』

壊れかけていた僕を思い遣っての言葉だろうけど、その場で適当に繕ったのではない事が、
普段は見せることの無い、あの強くも暖かい視線から感じられた。
この言葉で、僕の梢ちゃんへの気持ちが一方通行でないことが分かった。
この時から僕達は本当に一つになれた気がする。
今僕達を引き離せば、二人とも血を流し死んでしまうだろう。
653The fateful decision:2005/07/01(金) 19:59:11 ID:KR7IePpX

調理場の前まで来ると、味噌汁の良い香りがしてきた。
その匂いに誘われて中に入ろうとするけれど
(――やっぱり顔ぐらい洗ってこなきゃ)
寝ぼけ眼でデートに誘われても嬉しくないだろう。
僕は思い直し、調理場を後にして洗面所に向かった。

洗面所に入ると予想していない人物がそこにいた。
いや、調理場にいると勝手に思い込んでいた梢ちゃんがいたのだ。
正確に言うと洗面所の奥のお風呂場でしゃがみ込んでいた。
「おはよう梢ちゃん」
「あっ、おはようございます」
「どうかしたの?」
「はい、お風呂場のお掃除をしようと思ったんですが、お水が出ないんです。」

こんな朝早くからお風呂掃除をしてたのか。
思えばこんなに広い建物をいつも一人で綺麗に保ってるのだ。
それが大家の仕事だと言えばそれまでだけど、彼女だって学生なのだ。
普段はそんなそぶりは見せないけれど、かなりの負担だと思う。
これからはいろいろと手伝ってあげよう。

「え、そうなの?――本当だ、出ないね・・・他の場所はどうなの?」
「ええ、それは大丈夫なんです。お水が出ないのはお風呂場だけみたいです」
「そうなんだ、じゃあ断水って訳じゃないのか。これは誰かに来てもらって直して貰うしかないね」
「ええ・・・ちょっと電話で頼んできます」

654The fateful decision:2005/07/01(金) 19:59:45 ID:KR7IePpX

立ち上がって行きかける梢ちゃんを呼び止める。
「待って梢ちゃん!」
「はい?」
梢ちゃんは立ち止まって振り向く、
「あのさ、明日お休みだし、何処か出かけない?・・・忙しいんならいいけど・・・」
「――はい、行きたいです♪」
「良かった、じゃあどこに行きたいか考えといて。僕も考えとくから」
「はいっ♪」
笑顔を残して駆けていく梢ちゃん。ああなんて良い朝なんだ・・・。思わず顔が緩んでしまう。

と、緩んだ顔のまま固まってしまった。洗面所の入り口からこちらを覗いているのは、
「た、珠実ちゃん!」
ふふふ〜と不気味な笑いと共に近づいてくる。
「今の・・・聞いてたよね?・・・当然」
「もちろんですぅ〜。朝っぱらから発情中ですかぁ〜?」
「う・・・どうでもいいけどさ・・・明日は尾けてこないで、お願いだから・・・」
「さあ〜?それは白鳥さんの心掛け次第ですぅ〜」
うう、絶対尾けてくる・・・間違いない。

655The fateful decision:2005/07/01(金) 20:00:35 ID:KR7IePpX

そのあと二人で洗顔をして調理場に向かった。
なんとも気まずい空気だったけど、そう感じてるのは僕だけみたいだ。
まあいいか、最初の目的は達成できた訳だし。
そういえば珠実ちゃんは、邪魔しようと思えば幾らでも出来た筈だけど、
それをしなかったのは気を利かせてくれてるんだろうか?

調理場に近づくと、さっきの味噌汁の匂いの他に色々なおかずの匂いが加わってる。
入ってみると、梢ちゃんが食器をテーブルに出しているところだった。
「梢ちゃん、おはようですぅ〜」
「珠実ちゃんおはよう。――白鳥さん、一緒でしたか」
「う、うん・・・洗面所でね・・・」
珠実ちゃんがニヤつきながら僕を見てくる。
梢ちゃんはそんな僕らを不思議そうに見ている。

「?・・・・・・食事の支度はもうすぐできますから、ちょっと待っててくださいね」
僕はさっきの事もあったから手伝うことにした。
「あ、いいんですよ白鳥さん。座っててください」
「いや、手伝わせてよ。普段お世話になってる感謝の気持ちだから」
「・・・はい♪」
なんだか嬉しそうだった。こんなことで喜んでくれるなら、幾らでもしてあげたい。

656The fateful decision:2005/07/01(金) 20:01:32 ID:KR7IePpX

「こうして見ると、なんだか夫婦みたいですねぇ〜」

「「たっ、珠美ちゃん!///」」
「息もぴったりですぅ〜」

その言葉自体にも動揺してしまったのだけれど、
僕は珠実ちゃんが、僕と梢ちゃんの関係についてそんなことを言うのが、
軽口であったとしても信じられなかった。

「そっ、そんなこと言ってないで珠実ちゃんも手伝ってよ!」
「もう〜、冗談なんですからそう過剰に赤くならないでくださいですぅ〜」
梢ちゃんを見てみると僕同様に真っ赤になっていた。
ふと目が合う。梢ちゃんのその瞳は何かを訴え掛けてくる、が、すぐに照れ隠しの為に下を向いてしまう。


(えっ!今のは何だったの!?・・・・梢ちゃんはもしかして・・・・・・?)

その後ほとんど熱に浮かされたまま、それでもなんとか手伝いをやり遂げた。
やがて食器を並べ終え、おかずを盛り付けると
桃乃さん、沙夜子さんと朝美ちゃん、灰原さんが起きて来て朝食になった。
しばらくわいわいと雑談しながら食事をした。いつもと変わらない平和な一日。

657The fateful decision:2005/07/01(金) 20:02:49 ID:KR7IePpX

皆が食べ終わった頃に
「皆明日はヒマ?久しぶりにどこかに出掛けない?」
これもまた、いつもと変わらず桃乃さんが提案した。
「急に言ってもダメか。学生さん達は何かあンのかな?」
「桃さ〜ん」
「ん?何よ珠ちゃん」
「とりあえず、白鳥さんと梢ちゃんは用事があるですぅ〜」
桃乃さんはキョトンとしていたけれど、
「珠実ちゃんっ!どうして・・・!?」
と、赤い顔で驚いてる梢ちゃんを見て察したらしい。
「ああ・・・じゃあ二人は抜きってことね。他の皆はどう?」

朝美ちゃんが躊躇いがちに
「――私達、まひるちゃん家に遊びに行くことになってるの・・・ごめんね」
「ううん、いいのよ気にしないで。急に言い出した私が悪いんだし・・・楽しんできてね!」
「うんっ、ありがとう桃乃さんっ!」
「・・・ありがとう、お姉ちゃん・・・」
「さ・・沙夜ちゃん・・・オネエチャンテイッテナイシ・・・」
658The fateful decision:2005/07/01(金) 20:03:38 ID:KR7IePpX

「ん?なんだよ、俺の用事は聞かネエのか?」
灰原さんがジョニーを駆使して言った。
「バラさ〜ん、アタシら3人でどっか行く気になるぅ?」
灰原さんは桃乃さんと珠実ちゃんを見た後、しばし考えて(ジョニーが腕組みして)
「まっ、それもそうだな。今回は無しってこった」
「そうなるわね、それにアタシも用事を思い出したような、出していないような・・・」
と言ってこちらをチラチラ見てくる。尾けてくる気満々だよ・・・

その話題が終わると皆それぞれの部屋に帰ろうとした。

「あっ!皆さん待ってください」
梢ちゃんが思い出したように立ち上がった。
「どうしたの梢ちゃん?」
桃乃さんが反応する。
「はい、実は今朝気付いたんですが、お風呂場の水道管が故障しているみたいで、
 お水もお湯も出なくなってるんです」
「あらそうなの?夕べは何ともないようだったけど・・・」
「ええ・・・それで業者さんにお電話してみたんですが、
 予約がいっぱいみたいで・・・明日にならないと来て貰えないようなんです。
  ですので今日お風呂を使われたい方は、銭湯に行ってもらえませんか?――ご迷惑おかけしてすいません」
梢ちゃんはぺこりと頭を下げた。
こういうところはやっぱり大家さんなんだなぁと感心してしまう。
659The fateful decision:2005/07/01(金) 20:04:35 ID:KR7IePpX

「仕方ないじゃない梢ちゃん、モノはいつか壊れるんだし。
 それにたまには銭湯の大きい湯船に浸かるのも悪くないわ。
 ああ、別にここの湯船が狭いって言ってるんじゃないわよ?」
「銭湯ですかぁ〜、久しぶりですぅ〜。梢ちゃんお背中流しっこしましょうねぇ〜♪」
う、ちょっと悔しいかも。
「・・・朝美、今日はフルーツ牛乳ね・・・」
「わぁ〜い!フルーツ牛乳〜」

「俺は別にいいや」
と灰原さん
「えぇ〜、バラさん不潔ぅ〜」
「俺はお前らほど代謝が良くネエから、一日風呂に入らなくたってどうってことネエの」
そういえば灰原さんは、入浴中はジョニーをどうするんだろう・・・?着けたままなのかな?

というわけで皆の銭湯行きが決まった。
明日のお出かけの代わりみたいで、皆結構楽しみみたいだ。
でも僕はお風呂の中じゃ一人か・・・とほほ。
でも変身すれば―――ってイカンイカン何を考えてる。

660名無しさん@ピンキー:2005/07/01(金) 20:07:53 ID:KR7IePpX
今日はこのぐらいで。
この後の展開は本家さまのWe'd〜に若干カブるところがあるのですが、
パクッたわけではありませんのでご容赦下さい。
661名無しさん@ピンキー:2005/07/01(金) 20:15:02 ID:xKBBEjTL
低めにきてたらやばかったな
662名無しさん@ピンキー:2005/07/01(金) 23:03:59 ID:ZaujYMAF
続きが気になる…でも今日は課題が無いorz
(´・ω・`)カダイガアレバツヅキキボンヌヲスルノダガナァ・・・ショボーン
663お腹いっぱい:2005/07/01(金) 23:42:55 ID:xux1kgGp
>>662
課題ないのはよいことなのでは?

さて、そろそろ続き投下しますね。
神千百合がくる前に、終わらせないと…
664One day +One:2005/07/01(金) 23:44:29 ID:xux1kgGp
「…ところで、あなたは逃げないのですか?」

部長さんが、逃げずに残っていた灰原さん(とジョニー)に尋ねます。

「ん?ああ、千百合はオレには興味ナイからナ」
「そうなのですか?」
「ええ、まあ…」
「でもせっかくですし、この方の服装も変えてみませんか?」
「お?変えてくれるのか?」
「…部長さんがそう言うのであれば、やりましょうか」
「では早速取り掛かるです〜」
「おっ、今まで体験したことなかったけど、結構激しいナ…」

三人に囲まれる灰原さん(ジョニー)。
665One day +One:2005/07/01(金) 23:46:16 ID:xux1kgGp
「灰原さん、どんな格好にさせられるんだろう…?」
白鳥くんも少し興味がありました。


「……」
「Correct!まあ、こんなものでしょうか?」
「そうですね〜」
「さすが千百合さんです。素晴らしい服飾ですよ」
「…灰原さん……」

そこに、灰原さんはいませんでした。
いるのは、体が灰原さんの、大きいジョニー。

「…オレは…灰原なのか?…いや、ジョニー?」
灰原さんは混乱しています。

「さて、次に行きましょうか」
「まずは桃さんから行くです〜」
「あの方ならあちらへ逃げましたね」
666One day +One:2005/07/01(金) 23:49:34 ID:xux1kgGp
三人は混乱しているジョニーを放置し、
桃乃さんが逃げた方向へ行きます。
白鳥くんはそのあとをついていくしかありません。


「みんな忘れてるのよね〜…」
桃乃さんは隠れていました。
「ここなら気付かれない…」
偽柱の中に。
残念ながらつい先程、この場所は使われてしまっていたことを、
桃乃さんは知りません。

「ー〜…」
話し声と足音が聞こえてきました。

それは気のせいか、目の前で止まりました。

「あ、ここではないのですか?」
「おや、部長さんもそう思いましたか」
「これはもともと私が作ったんですよ〜」
667妄想特急:2005/07/01(金) 23:50:15 ID:23xAzaef
>>660 乙です!冒頭がかなり気になります
668One day +One:2005/07/01(金) 23:53:35 ID:xux1kgGp

ぱたん

「……え…?」
絶対に見つかるはずがないと思っていた桃乃さん。
無防備でした。
「ビンゴです〜」
「部長さんのカンが当たりましたね!!」
「千百合さんのカンもですよ」
「えっ?えぇ??」
訳が分からなくなってる桃乃さん。
逃げる機会を無くし、そのまま三人に囲まれてしまいました。

「に゛ゃぁぁぁあーー!?」


「…桃乃さん」

返事がない。ただの屍のようだ。

「Correct!!」
哀れ、桃乃さんはネコの耳を頭につけられ、
手には肉球のついたかわいいネコ手。
体は極端に露出が多いネコ体になってしまいました。
669妄想特急:2005/07/01(金) 23:54:03 ID:23xAzaef
↑の途中で書いてしまってすみません
670One day +One:2005/07/01(金) 23:55:09 ID:xux1kgGp
「次の方へ行きましょう、千百合さん」
「ジャンジャンバリバリいくです〜」

倒れている桃乃さんを踏み越え、三人は進みます。
次に向かうは、黒崎親子。


…残るターゲットは、二人。
671お腹いっぱい:2005/07/02(土) 00:06:46 ID:9dOWVeOW
>>679
投降間隔長い自分も悪いんですよ。
気になさらないでください。

登場している場面の文の長さ測ったら、なぜか千百合編だけ長いんです。
書いてて楽しかったですし、これが千百合マジックか!?
672名無しさん@ピンキー:2005/07/02(土) 00:09:26 ID:9dOWVeOW
↑重ね重ねすいません。
アンカーミス、>>669でした。
673テイル:2005/07/02(土) 00:24:02 ID:lYKzAXRR
バラさん変化無し……
まあ、今日も今日とて乙でした。

どうしようか〜……自分の作品を投下するべきかしないべきか。
しかし、同時千百合テロにする訳にもいかないような……

いや、むしろ部長?
674メリー:2005/07/02(土) 01:01:29 ID:VF8hXAJB
お腹いっぱい氏
グッジョブb! 楽しく書けるのはいいことですよね。

テイル氏
私でワンクッションおいてみては?
というわけで、どうやらエチシーンをご所望の方が多いらしく、
またまたイメージ画像をご用意して続きを書きましたよ。
ttp://whitebrown.hp.infoseek.co.jp/mahoraba/CG/1_307.jpg
で、いきたいと思います。
ではどうぞ。
675誕生日7:2005/07/02(土) 01:02:03 ID:VF8hXAJB
「ありがとうお兄ちゃん」
 朝美ちゃんは目の周りをちょっと赤くしながら、はにかんだ表情でお礼を言った。
「どういたしまして」
 何だか僕も恥ずかしくて、鼻を掻く。
 すると朝美ちゃんは僕の目を見つめて、
「お兄ちゃん。あの券使ってもいい?」
「え? もう? いいけど、もう何に使うか考えたの?」
「うん」
 なぜか朝美ちゃんは顔を赤くして頷いて、僕の頭は疑問符で埋まる。
「何?」
 朝美ちゃんは僕から立ち上がって、くるっと振り返って僕のほうを向いた。
「私を女にして」
「へ?」
 突然意味不明なお願いをされて、僕は声を裏返らせてしまう。
 女にして? はて、朝美ちゃんは男だったのだろうか? いやそんなはずはない。
 え? っていうことはどういうことなの?
「朝美ちゃんはもう女の子でしょ?」
 見たまんまのことを言う僕。結構マヌケっぽいぞ。
「ううん。私を大人の女にして欲しいの」
 首を振り、朝美ちゃんがそんなことを言った。
「……………………………は?」
 自分でも思うくらいにマヌケな声を出す。
 すると朝美ちゃんはスルリと着ていた衣服を脱ぎ始めた。
「あわわわっ! あ、朝美ちゃん!」
 僕の制止する声を朝美ちゃんは聞いてもくれず、一枚一枚服を床に落としていく。
「ダ、ダメだって朝美ちゃん!」
 言っても止めてくれなさそうだと判断した僕は、両手で目を隠す。
 でもそうすると他の器官が敏感になり、朝美ちゃんの服の擦れる音がとても良く
 聞こえてきた。
676誕生日8:2005/07/02(土) 01:02:32 ID:VF8hXAJB
 今どこまで脱いだのかは分からないけど、もう絶対にヤバイ所まで脱いでいるはず
 だ。
「お兄ちゃん……見て」
 囁くような声がはっきりと僕の耳に聞こえる。
「ダ、ダメだって朝美ちゃんっ。は、早く服着てよ! それに僕には梢ちゃんが」
 いるから、と言おうとしたんだけど、言えなかった。
「分かってる! だから券を使うの。お願いお兄ちゃん」
 朝美ちゃんによって遮られたからだ。
 ふわっと甘い香りが僕の鼻腔ををくすぐると、僕の体に程良い重さが感じられた。
 それはさっきまで僕のひざに感じていた重さだった。
「うわっ!」
 僕の体は押し倒され、受け身を取るために両手で体を支えた。
 そして僕はしっかりと見てしまった。
 雪のように白い肌。小さな胸。柔らかそうな太もも。形の良さそうなお尻。
 全てが可愛らしかった。
「ねぇ、朝美の身体……綺麗?」
 とても中学生とは思えない妖艶な表情に僕は息を呑んだ。
 朝美ちゃんは僕の上で体を起こすと、自身の身体を抱きしめた。
「……あ、さみ、ちゃん……」
 僕は情けないことに綺麗だと思ってしまった。
 梢ちゃんがいるのに、今僕は朝美ちゃんに目を奪われてしまったのだ。
「初めては痛いってお友達が言ってたけど、お兄ちゃんだから我慢するね」
 朝美ちゃんは僕にそう言うと、僕のズボンのチャックを下ろした。
「朝美ちゃん……」
 その時、僕は逃げられたはずなのに、止めさせることが出来たはずなのに、
 頭では分かっていたのに、体を動かすことが出来なかった。
 それなのに、僕の身体は朝美ちゃんの艶やかさにしっかりと、情けないくらいに
 反応をしていた。
677誕生日9:2005/07/02(土) 01:03:10 ID:VF8hXAJB
「あっ!」
 クチュっといやらしい音がして、僕の身体が温かさを覚えた。
 締めつけられる……!
「い……たっいぃ!」
 朝美ちゃんは大きく背を仰け反らせ、苦悶の表情を浮かべる。
 僕はとっさにこれ以上朝美ちゃんが腰を下ろさないようにと、手を差し伸べた。
 ムニュ……。
 バカだった。僕はバカだ。そうしようとすれば、自ずと朝美ちゃんのどこを
 触ることになるのか気付かないなんて。
「あんっ」
 僕は朝美ちゃんの柔らかなお尻を掴んでいたのだ。
 や、柔らかい……。
 もうダメだ。僕はヘンタイに成り下がったのかもしれない。
 口は何とでも言うけど、やってることは全然反対のことだし。
「も、っと触ってお兄ちゃんんぁっ!」
 朝美ちゃんは痛みを堪えて、僕の手の静止を振り切って、一気に腰を下ろした。
 生温かい液体が僕の分身を包み込む。
 正直気持ち良かった。けど、僕は気持ち良くなって良かったのだろうか?
 仮に良かったのだとしても、朝美ちゃんを傷つけたことには変わりないし、
 痛い思いをしているのはやっぱり朝美ちゃんだけ。
「朝、美ちゃん……うあっ、い、たい、くぅっ、でしょ?」
 ゆっくりと腰を上下させ始める朝美ちゃん。
 僕の耳に、朝美ちゃんの荒い息遣いと、僕と朝美ちゃんが繋がっている部分から
 水の混ざり合う音が聞こえる。
「うう、ん。痛く、ああっ! んあ、はぁ、なぃぃ、よぉ? あ!」
678誕生日10:2005/07/02(土) 01:03:29 ID:VF8hXAJB
 破瓜の痛みが薄れてきたのか、朝美ちゃんは動きを増し、僕の分身を
 存分に刺激する。
 初めての感覚。今までに感じたことの無い快感。
 様々な刺激が僕を狂わせていく。
「朝美ちゃんっ! 朝美ちゃんっ!」
 いけないことだと頭の片隅でまた理解している。けれど僕の身体は正直で、
 朝美ちゃんが腰を振るのに合わせて、腰を振り始めた。
「んんぅ! ああ、くっ、ふぁっ、は、あ、ふぅ、ひゃあ、あっ!」
 僕たちが腰を打ち付けあう度に朝美ちゃんは声を上げ、それに会わせるかのように
 僕に対する締めつけも強くなる。
 も、ダ、メだ!
「朝美ちゃん! 僕イッちゃうよぉ!」
「ホン、ト? はぁ、あっ、うぁぁぁ!」
 僕の射精と同時に朝美ちゃんも絶頂に達したらしく、力が抜けた身体を
 僕に預けてきた。
「はぁ、はぁはぁ……」
 僕は肩で息をしていた。朝美ちゃんの体をしっかりと抱きしめたまま。
「はぁ、ふぅ、んん……お兄ぃちゃん……」
 小さく呟いて、朝美ちゃんは目を閉じた。
 僕は朝美ちゃんの温もりを胸元に感じ、そっと頭を撫でる。
 そして僕たちは一緒に一夜を過ごした。
679メリー:2005/07/02(土) 01:05:07 ID:VF8hXAJB
以上〜

今回何度『朝美たん』と入力間違いをしたことかorz

にゃ〜んな感じを保とうとした結果、こんなんなりましたけど?
積極的な朝美ちゃん……。なんか変?
680名無しさん@ピンキー:2005/07/02(土) 01:40:01 ID:ZgrPtK8U
朝美ちゃんはそういえばモテたりしないんでしょうか。
結構誰にでも好かれる性格だと思うのだが。
681名無しさん@ピンキー:2005/07/02(土) 01:52:10 ID:6oKEgfsl
>>680
道端の草をニヤニヤしながら引っこ抜いてる中学生がリアルに居たらと想像汁!
・・・引くだろ?
682名無しさん@ピンキー:2005/07/02(土) 04:09:18 ID:5MV/DEsy
>>681
付き合うには、それ相応の度胸がいるな。
それこそ白鳥のように、振り回されても平気なぐらいの寛容さと、体力がないと。
…いや、違うな。逆に遠慮しちゃってそう。
683名無しさん@ピンキー:2005/07/02(土) 04:11:37 ID:FiCqbWhM
「おまえは今日から俺の嫁だ!」と宣言してお持ち帰りしちまえばいい。
684名無しさん@ビンキー:2005/07/02(土) 05:25:54 ID:qV49BS5o
だめだろ!!
それと部長に名前あったけ?
685名無しさん@ピンキー:2005/07/02(土) 07:35:55 ID:sjH13Gt2
> ・・・引くだろ?
意味が解りません。
686黒百合:2005/07/02(土) 08:21:06 ID:qV49BS5o
>>685
びっくりしたってことでは?
687名無しさん@ピンキー:2005/07/02(土) 10:05:32 ID:+3Rh5rXN
一日見ない内に良作ラッシュだな。
やっぱこのスレは凄いわ。

>>681
ヒント:かわいいから許す。
688名無しさん@ピンキー:2005/07/02(土) 12:11:44 ID:pfJIBPKz
まほろばかと思った。
まほろちゃん…
689妄想特急:2005/07/02(土) 14:27:13 ID:y4ZCdode
>>670 GJです!
あと二人、どう料理されるのやら・・・

>>679 えちシーンキタァーーー!って感じです
期待以上の展開でGJ!!です
690テイル:2005/07/02(土) 17:52:56 ID:lYKzAXRR
自分のネタで悪いのだが、
ttp://black.skr.jp/mahoraba/pbbs/data/IMG_000031R4.jpg

この画像を見た瞬間「俺のために描いてくれたのか」と思ってしまった俺は負け組orz
「それから」のイメージ画像にして逝ってくるっちゃ……

ウエディングドレス似合うなあ……
691517:2005/07/02(土) 19:11:14 ID:lz5ZSVyo
では今日も投下します。
692The fateful decision:2005/07/02(土) 19:12:07 ID:lz5ZSVyo

今朝の朝食はこれでお開きになった。各々が部屋に戻っていく。
僕はふと気付いたことがあった。そういえば僕は変身の呪文を知らされてない。
一旦気になりだすと仕様が無くなってきた。
珠実ちゃんを追いかけて肩をたたく。
「珠実ちゃん、ちょっと聞きたい事があるんだけど・・・」
「うー、何ですかぁ〜?朝はあんまり時間が無いんですがぁ〜」
「ああごめん、そうだよね。いやちょっと変身の事について聞きたいな〜?なんて・・・アハハ」
[変身]という単語が出ると、珠実ちゃんの表情がみるみる硬いものに変わっていくのが分かった。

「あ、うん別に良いんだ。どうせ急ぎの用じゃないし、引き止めてごめんね」
「来てください」
そう言うと珠実ちゃんは僕の腕をぐいぐい引っぱって行く。
「な、何なの?何処に連れてくの?」
「ワタシの部屋に決まってるですぅ〜」
「なんで?別に此処で話してくれれば良いじゃない」
「機密漏えいは極力防ぐですぅ〜、こんな所じゃ誰が聞いてるか分かりません。
 少なくともワタシの部屋が一番安全ですぅ〜」

少し神経質すぎやしないかとも思ったけど、そうしないと珠実ちゃんが話してくれそうにないので
素直に従うことにした。

693The fateful decision:2005/07/02(土) 19:12:51 ID:lz5ZSVyo

「さあ、さっさと入ってください〜」
珠美ちゃんはドアを開けて僕を部屋に押し入れる。
そういえば珠実ちゃんの部屋なんて初めて入ったなぁ。
部屋をぐるりと見回す。芳香剤を使っていたりするところは女の子の部屋らしいけど、
それ以外は必要最低限の家具しか置いていない。
突っ立っていると珠実ちゃんは座布団を二枚敷いた。座れということらしい。
そこに座ってなんとなくそわそわしてると、珠実ちゃんは早速本題に入った。

「で、聞きたい事ってなんですかぁ〜」
「うん、あのね、呪文を教えてほしいんだ。変身の呪文。」
「変身の呪文〜?そんなこと知ってどうするんですかぁ〜」
「えっ・・・それは・・・その」
「さては今日は銭湯だから変身して女湯に入ろうとしてますねぇ〜?」
皆考える事は同じらしい。
「そんなことするつもりは無いよ」
「じゃあ何なんですかー、知りたい理由は」
そう言われてみると、はっきりとした理由は思い浮かばない。
とりあえず思いついた事を言ってみた。
「う〜んと、もし暴漢に襲われたりしたら・・・」
「男性のままの方が安全ですよね〜」
そ、そうだった・・・何を馬鹿なことを言ってるんだ僕は。
「い、いや、もし男を専門で襲う暴漢に襲われた時に、その・・・」
だんだんしどろもどろになっていく。
「はぁ〜、そんなレアなケース有るんですかぁ〜?
  でも白鳥さんの場合、男女のどちらになってたとしても
   危険度はあまり変わらない気がしますが〜」
それ酷いって珠実ちゃん・・・

694The fateful decision:2005/07/02(土) 19:13:21 ID:lz5ZSVyo

珠実ちゃんはしばらく考えていたようだけど
「う〜、悪用する気が無いならまあいいでしょう。
 それに白鳥さんの言うように、本人が知ってないと危険かもしれない場面があるかもですぅ〜」
意外な言葉が返ってきた。
「じゃあ、教えてくれるの?」
「はい〜、じゃあ言いますよ。パポうぐぐぐぐぐうううううう!」
僕は慌てて珠実ちゃんの口を押さえた。
「だ!駄目だって珠実ちゃん!!口で言ったら変身しちゃうじゃないか!」
「ふふー、冗談ですよ白鳥さん。二度と勝手に変身させないって梢ちゃんと約束してますから。
 安心してくださいですぅ〜」
いままでされてきた事を鑑みて、あっさり安心していいのか判断に苦しむ。
「じゃあ、紙に書いて見せてよ」
「はいですぅ〜」
珠実ちゃんは机の上にあった、メモ帳のようなものに呪文を書いている。
書き終わるとそのページを破いて渡してきた。

(変身呪文:  パポップ・ペプッポ・ピペッポ  )

695The fateful decision:2005/07/02(土) 19:13:58 ID:lz5ZSVyo


――なんだ、この便秘二週間目みたいな呪文は・・・・・

「珠実ちゃん・・・これって・・・マジ?」
「もちろんマジですぅ〜♪」
珠実ちゃんは親指を立ててそう言った。

これは怒っていいんだろうか・・・いや怒るべきだ。

「珠実ちゃんっ!人が真面目に聞いてるのに巫山戯ないでよ!」
「巫山戯けてなんかいないです。お望みなら唱えてあげますよ」
そう言った珠実ちゃんの顔は、その言葉通り真剣な表情をしていた。

なんだかよく分からないけど、何者かにおちょくられてるようで腹立たしかった。

「呪文ってもっとなんか複雑で、分からない言葉が連なってるようなものを想像してたよ。いやこれも分からないけど・・・」
「まあ普通はそうなんですけどねぇ〜、
 部長曰く『この呪文ハ、あクまデ変身経験者用ノものデス。
  なニかヲ召喚スル時とは違イ、その人ノ体そのモのニ訴エ掛けルだけなのデ、
  変身スる人ガ認識しやスイ言葉デいイのデス』ということだそうですぅ〜」

「――そ、そうなんだ・・・」
「そんなことより白鳥さん、その呪文は誰にも教えては駄目ですよ〜?」
珠実ちゃんは少し心配そうな顔をする。
「うん、それは分かってるよ。じゃあ聞きたかったのはそれだけだから。忙しい時間にありがとう」
僕はそう言うとメモ用紙を持って珠実ちゃんの部屋を出た。

696The fateful decision:2005/07/02(土) 19:14:34 ID:lz5ZSVyo

縁側を自分の部屋に向かって歩きながら、もう一度メモを見る。
(  パポップ・ペプッポ・ピペッポ  )
うん、一応憶えたぞ。だけど短いわりにややこしいなこれ。
もう少ししっかり憶えてからメモを処分することにしよう。

部屋に戻り、学校へ行く仕度をする。
(このメモは・・・)
学校に持っていくのは危ないだろう。
かといって机の上に置きっぱなしというのもまずい。
しばらく隠し場所を探していたが時間が無いことに気付いて、
とりあえず洗濯済みの衣類の間に隠すことにした。

(隠すといえば・・・)
二週間ほど前に桃乃さんと珠実ちゃんからある物を進呈された。
ある物とは、あの金髪カツラだった。おそらく今更女装する必要も無いという意味なんだろう。
僕の部屋は家具が少ないから隠し場所が無くて困る。今はタンスの裏に押し込んである。

荷物を持って玄関に行くと梢ちゃん、珠実ちゃん、朝美ちゃんが待っていた。
四人でおしゃべりしながら歩いていく。皆それぞれ明日の予定が楽しみなんだろう。
表情が明るい。

駅で皆と別れ、電車に揺られてやがて学校に着く。
銀先生の講義が始まり、いつも通りの時間を過ごす。
徐々に集中力が切れていくと共に、頭の中は講義とは関係ない事でいっぱいになった。
それはもちろん明日のデートの事だ。
何を着ていこうか、何処に行こうか、何を食べようか、そんな事をつらつらと考える。
それから梢ちゃんの顔を思い浮かべる。ああ早く講義が終わらないだろうか。
終わればすぐに帰って、梢ちゃんと一緒にいられるのに・・・
697The fateful decision:2005/07/02(土) 19:15:01 ID:lz5ZSVyo


「というわけで、今日の講義はこれでお終いです」

ああまずい!ぼんやりしてる間に終わってしまった!
こんなことじゃ絵本作家なんてなれやしないよ。

「なお、明日はお休みですが、その代わり課題を出しておきます。
 課題の内容は配りましたプリントの通り、絵本のプロットです。
  皆さん、今日明日を利用して、素晴らしい絵本を創るために構想を練ってきてください♪」

そういうと銀先生は退室していった。

「おーい白鳥、おまえ今日ずっとうわの空だったぞ?
 俺がいなけりゃ、おまえが折檻部屋行きだったんだから感謝しろよな」
話し掛けてきたのは僕の友人の、ちょっと(?エッチな翼君だった。
「え、折檻部屋って・・・ああ」
彼の前の机の上をよく目を凝らして見ると、生々しい女体のデッサンがビリビリに破かれて散らばっていた。
銀先生に見咎められて、破られたうえに折檻か・・・・。
698The fateful decision:2005/07/02(土) 19:15:37 ID:lz5ZSVyo

「それより白鳥ィ〜、今日一緒に課題やらないか?」
「ん?いいけどなんで?」
「ほら、おまえ絵本は得意分野だろ?色々とアイディア貰えないかなぁ〜?っと思ってさ」
それが建前だということが僕には分かっていた。いや、この友人の今の表情を見れば
誰だってそう思うだろう。にやけてる、半端じゃなく。

「だからさぁ〜、おまえのアパートに行っていいよなぁ〜?あはあはあは」
そう、この友人は鳴滝荘の女性達が大のお気に入りなのだ。
「うーん、来てもいいけど変なことはしないでよ?」
「しないしな〜い♪よし、決めた。今日は白鳥の部屋に泊まるからな」
「ええー!?勝手に決めないでよ。布団だって一組しかないし、それに今日はお風呂も使えないし・・・」
「そう気を使うなって白鳥ィ〜。俺はあのアパートの中で夜を過ごせるのなら
 布団なんか無くたって構わないぜ。というか寝ないぞ、あの環境で寝るやつぁ〜男じゃねえ!
  ああでもお姉さま達に膝枕されて眠るのもいいなあ。あはあはは」
物凄く不安だ・・・。でも駄目だと言っても付いてくるだろうし・・・。
しばらく二人で学校に残って、課題をやってから帰ることにした。

699The fateful decision:2005/07/02(土) 19:16:08 ID:lz5ZSVyo

そういったわけで僕は不本意ながら、翼君を伴って鳴滝荘に帰ってきた。
翼くんはすでに飢えた狼のような目つきをしている。
「お邪魔しまーす!お姉さま方、いずこにおわしまするか〜!?」
ブンブンと首を左右に振って辺りを探している。
「ああ、皆今はいないと思うよ」
「え?なんでだよ」
「さっき学校で言ったけど、今日は此処のお風呂が壊れちゃってて
 銭湯に行くしかないんだ。あの人たち夕飯前に皆で一緒に行こうって言ってたから。
  って・・・え?」

見ると翼君は凄い形相で僕を睨んでいて、その体は細かく震えてる。
「――こ、この、大馬鹿野郎〜〜〜!!!なんでそれを早く言わないんだっ!!」
「なっ、何なんだよ、意味が分からないよ翼君」
突然叫ばれたせいで耳がキーンと鳴っている。
「かーっ!何も分かっちゃいねえな白鳥。いいか!銭湯の、あの上の開いた壁の向こうにいる、
 生まれたままの姿の知り合いの女性を想像する興奮。
これぞ人類普遍の真理!最後のユートピア!」
「そんなに捲くし立てないでよ。一体何が言いたいんだよ」
「だ!か!ら!俺達もすぐに行くぞって言ってるんだよ!」
そう言うや否や僕の体を担ぎ上げて門の外に飛び出した。
「おい、白鳥!俺達の桃源郷はどっちだ?どっちなんだ!?」
「ちょっと落ち着いてよ!それに銭湯に行くにしても用意しなきゃ。
 シャンプーとかリンスとか・・・」
「え?ああ、ん〜くそ、いらいらするなぁ。早く済ませろよ!?」
そういうと今度は僕の部屋に向かって驀進する。

700The fateful decision:2005/07/02(土) 19:16:35 ID:lz5ZSVyo

「ほらほらはやくはやくはやく」
急かす翼君。色欲の塊になっていて何も見えてない。
僕はとりあえず僕と翼君の学校用の荷物を置いてから、部屋にあった着替えやタオルなんかを適当にバッグに詰めた。
詰め終わるとすぐに
「おし、行くぞ!」
翼君はまた、僕を担いで走り出した。

結局翼君は僕を担いだ状態で、
普段銭湯まで徒歩10分のところを2分で到着してしまった。
あまりに目まぐるしく変わる風景に僕は乗り物酔い気味になった。
「さあ〜着いたぞ白鳥!」
「うう・・・げろげろ・・・。一応言っとくけど、女湯に入ったり覗いたりしちゃ駄目だからね・・・」
「分かってるって、見損なうなよ。そこを越えちまえばロマンなんかじゃなくただの犯罪だからな」
――その目は犯罪的なんですが・・・
701The fateful decision:2005/07/02(土) 19:17:13 ID:lz5ZSVyo

僕たちは料金を払い脱衣所に入った。
まだ営業開始時間から少ししか経ってないせいか、そこには誰も居なかった。
「おお、一番風呂だ。急いだ甲斐があったな」
「うん、そうだね」
それには同感だった。
ピカピカに磨かれたタイルに大きな富士山の一枚絵。
誰も居ない浴場。

今まで銭湯の一番風呂は経験した事が無かったので新鮮だった。
そんなことを考えてるうちに翼君はもう素っ裸になって浴場に入ろうとしていた。何も持たず、前も隠さずに。

僕も慌てて服を脱いで後を追った。
「ちょっと翼君。前ぐらい隠しなよ」
そう言ってタオルを渡す。
「おお悪い、まあ誰もいないんだし、気にすんなよ」
翼君はタオルを受け取って腰に巻く。
(ん?何だあれ?)
翼君の体とタオルの隙間に紙のようなものが挟まってる。

ああ!!まさかあれは!?

翼君もそれに気付き、手に取った。
「ん?なんだこのメモ・・・変身呪文――パポップ・ペプッポ・ピペッポ?」

702517:2005/07/02(土) 19:19:58 ID:lz5ZSVyo
とまあこんな感じです。恋のマホウを読んですぐに浮かんだのがこの展開で、
是非ともこれだけはやっておきたかったのです。
実は前スレにもこの妄想を書き込んだりしてます。
703お腹いっぱい:2005/07/02(土) 20:06:26 ID:9dOWVeOW
>>702
517氏、GJです!
前スレからの振りは、これだったんですね。
このままエチは…しませんよね。ははは。
704名無しさん@ピンキー:2005/07/02(土) 20:18:28 ID:l0zPmin2
非常にやばい展開ですな(;´Д`)ハァハァ
かつらが無いから麗子さんじゃないけど、じゃないけど(∩゚д゚)
705ぐうたら:2005/07/02(土) 20:23:25 ID:UCwlMdxp
なんて気になる引き…っ!!
GJっ!!

コーリャ、マタカダーイ・デキネナー
706すれちがい:2005/07/02(土) 20:43:15 ID:EH7qgkDw
すれちがい

僕がこの鳴滝荘に住み始めて始めて一年が経った。
そして僕は鳴滝荘で出会った一人の女の子と付き合い始めた。
長い黒髪をした彼女はとても友達思いで少し意地悪だがとても可愛いらしい。
僕は僕たちが付き合い始めたことをみんなに言おうと彼女に相談したが、
彼女はなぜか秘密にしてほしいと言った。
そのため僕たちが付き合い始めたことをみんなはしらない。



「白鳥さ〜ん!早く行きますよ〜。」
「うん。わかった。」
今日は彼女と久しぶりのデートでデパートへ行くことになった。
「今日は買うものがたくさんあるのでよろしくです〜。」
「ひぇ〜〜〜!」 


梢「桃乃さん。白鳥さん見ませんでしたか?」
桃「白鳥君なら珠ちゃんとどこかへ出かけてたわよ〜」
梢「そうですか・・・」
ジ「そうイヤ、あいつらよく一緒に出かけることが多いよナ。」
桃「案外あの二人付き合ってたりして・・・。」
梢「えっ・・・?」梢の中に一瞬不安がよぎった。
桃「いやね〜。冗談よジョ〜ダン。白鳥君が梢ちゃんをさしおいてほかの人と付き合ったりするわけないじゃない。珠ちゃんだって梢ちゃんをうらぎるようなことしないわよ〜。」
梢は黙りきってしまった。
707名無しさん@ピンキー:2005/07/02(土) 21:24:54 ID:mV4ZHSlC
続きが気になって、課題がはかどr(ry



本当は今日課題ないですorz
708すれちがい 2:2005/07/02(土) 21:55:31 ID:EH7qgkDw
梢が白鳥を探していた理由、それは一緒にお買い物に行くためだった。
(しょうがない・・・一人で行こう)
梢は一人、デパートへ行くことにした。

「白鳥さ〜ん、この服どうですか〜?」
珠実は赤いドレスを着て白鳥に見せびらかした。
「うん。とても可愛いよ。」
「本当ですか〜?」
「本当だよ。」
「うれしいです〜」
(ドキッ)
珠実の見せた笑顔はとても可愛かった。この笑顔が彼女を好きになったひとつの理由でもある。
「じゃあ、ありがとです〜」
「へっ?何が?」
「12500円です〜」
(はっ、はめられた・・・)
この子悪魔的な性格も彼女を好きになったひとつの理由である。
(チュッ)
「!!??」
白鳥は自分の唇に重ねられた彼女の唇に驚いた。
「たっ、珠実ちゃん!?」
「お礼です〜」

{少し時間が戻ります}
デパートに着いた梢は白鳥たちと同じ階にいた。
(あれは・・・?)
梢は白鳥と珠実を見てとっさに隠れた。
(白鳥さんと珠実ちゃん、何してるんだろう?)
(チュッ)
「!?」
梢は見てしまった。その現場を・・・。
709707/708:2005/07/02(土) 21:57:11 ID:EH7qgkDw
一旦ここで止めます。
710名無しさん@ピンキー:2005/07/02(土) 21:58:34 ID:wURnWVPz
だからsageろっちゅーに
711sage:2005/07/02(土) 22:09:57 ID:EH7qgkDw
スマソ
712名無しさん@ピンキー:2005/07/02(土) 22:38:57 ID:bTpfd698
517氏、メリー氏、>>709
みんなGJであります。
713名無しさん@ピンキー:2005/07/02(土) 22:41:28 ID:mV4ZHSlC
>>709
止めずに投下キボン
714名無しさん@ピンキー:2005/07/02(土) 22:47:17 ID:JBHjJ9Dp
おや、数日空けてる間に続き物が…。

>>517氏、>>645氏、共に題材に使ってくださってありがとうございます。
事後承諾っぽいけど頑張ってください。
難しい素材かもしれませんが、期待してますよ。

>>690
こっちに貼られるとは…orz
715名無しさん@ピンキー:2005/07/02(土) 23:25:56 ID:kRdxL6s6
皆さんGJ!
そして漏れは来週試験なのに、続きが気になって
勉強がはかどらない、と。
716すれちがい 3:2005/07/02(土) 23:26:55 ID:EH7qgkDw
夕方。
隆士と珠実は鳴滝荘に帰ってきた。
白&茶「「ただいま〜」」
桃「おかえり〜2人とも」
白「あれ??梢ちゃんは?」
桃「梢ちゃん、ちょっと前に帰ってきたんだけど何か変なのよね〜。部屋に閉じこもりだし。」
茶「ちょっと見てくるです〜」

(白鳥さんと珠ちゃんって・・・)
梢は見てしまった光景が気になって仕方なかった。
(あれ・・・)
梢の蒼い瞳から泪が流れた。
(トントン)
「梢ちゃ〜ん、大丈夫ですか〜」
「開けるですよ〜?」
(ガチャ)
「梢ちゃん?」
「あ・・・、珠ちゃん。大丈夫だよ。」
「ならよかったです〜、さあ台所へ行きましょう〜」
そう言って珠実が梢の手を持ちドアを開けるべくノブに手をかけたその瞬間
「珠ちゃんって、白鳥さんと付き合ってるの?」
717kazuki:2005/07/02(土) 23:30:25 ID:EH7qgkDw
結局ここまで貼っちゃいました
718名無しさん@ピンキー:2005/07/02(土) 23:36:50 ID:ZutxSqBe
>>717
GJ!&乙。次回は修羅場ですね
719名無しさん@ピンキー:2005/07/02(土) 23:39:38 ID:JBHjJ9Dp
ああ、修羅場…。
堕天書いてるときに真面目に書きたかったんだ…。

でも、どうやってもバッドエンドっぽいから断念したあの日…。

結末を託します。
720すれちがい 4:2005/07/02(土) 23:53:23 ID:EH7qgkDw
「珠ちゃんって、白鳥さんと付き合ってるの?」
「えっ?」
珠実は驚愕した。
「わたしね、今日デパートで見ちゃったの」
まさか・・・、梢ちゃんが見ていたなんて・・・
「ねぇ、珠ちゃん?」
「そうです。」
(!?)
「私と白鳥さんは付き合ってます。」
「・・・そう・・・」
2人は黙ってしまった。
「・・・ごめんなさい」
「えっ・・・、何で謝るの珠実ちゃん?」
「えっ?だって梢ちゃんは白鳥さんのこと・・・」
「そうだけど・・・白鳥さんは珠実ちゃんの事が好きなんだよね?」
「・・・」
「私は大丈夫だから。珠美ちゃん、白鳥さんと幸せになってね。」
彼女は泣いていた。
「梢ちゃん・・・」

その夜
(トントン)
珠実は2号室の前にいた
「どうしたの?珠実ちゃん?」
「ちょっと話があります」
721お腹いっぱい:2005/07/03(日) 00:16:44 ID:h03w/6vv
あの、投下してよろしいのでしょうか?

書き込みがなければ10分後くらいに投下します。
722テイル:2005/07/03(日) 00:21:55 ID:hekf/Aro
俺も投下したい……いつ投下できるか分からないし。

満腹さん優先ですけど。
別に明日でもいいかもしれないケド。
723すれちがい 5:2005/07/03(日) 00:27:45 ID:EusbiD7s
「白鳥さん、私の事好きですか?」
「えっ?なっ・・何?いきなり?」
「いいから答えてください!!」
「好きだよ。僕は珠実ちゃんのことが大好きだ!!」
「・・・」
「君の可愛い笑顔、小悪魔的な性格、親友を大切にする心、すべてを愛してる!!」
「白鳥さん・・・うぅぅぅ」
「珠実ちゃん??」
「わ・・私、梢ちゃんが・白鳥さんのこと・・好きなの知ってて・・それなのに私が白鳥さんを取ってしまって・・・梢ちゃんを裏切ったみたいで・・・梢ちゃんが私の事嫌いになったかが心配で・・・」
「もう何も言わないで。」
白鳥は珠実を抱きしめた・・・
「梢ちゃんは君の事を嫌いになったりしないよ。どんなことがあっても。それは親友の珠実ちゃんが一番よく知ってるじゃないか!!」
珠実は泪が止まらなかった。
(この人は、私の事を誰よりも理解してくれるんだ・・・)
「うううあああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
珠実は白鳥の中で泣いた。

梢はそのとき2号室の前にいた。
そして彼女は2人をこれからも見守っていこうと思った
724すれちがい 5:2005/07/03(日) 00:28:24 ID:EusbiD7s
ホントすいませんでした。
ここまでです。
725テイル:2005/07/03(日) 00:32:30 ID:hekf/Aro
>>724
色々ありましたが乙でした。

文章はともかく、作品の中身は面白いと思います。
白鳥と珠実が付き合うなんて、原作とは一味違う雰囲気でグッドです。
大枚を払わされる白鳥クンは、まさに女王と下僕……なんか違う。

>>714
スマソ、貼っちゃってorz
今は反省している。

なんか、最近新人さんが増えたな……俺が言えた話でもないけど。
これもアニメ効果?
726お腹いっぱい:2005/07/03(日) 00:32:32 ID:h03w/6vv
>>724
GJです。
ですが、頼むのでまとめて投下してくださいませんか…。
深夜のいい時間帯に20分も開けられるとさすがに…

>>722
テイル氏、ありがとうございます。

それでは投下しますね
727One day +One:2005/07/03(日) 00:34:33 ID:h03w/6vv
「もうダメだよ、お母さん!」
「…あきらめたらだめよ…朝美…」
柱の影に身を潜める二人。
「でも、もうこっちに来ちゃうよ!!二人とも捕まっちゃうよ…」
涙を浮かべる朝美ちゃん。
意を決した沙夜子さんが、朝美さんに言います。
「……朝美、私が囮になるわ…。…あなただけでも生きるのよ…」
「お母さん!?」
「…さようなら……朝美…」
沙夜子さんが飛び出しました。
「おかあさぁぁ―ん!!」


「いました〜!こっちです〜!」
「囲むのです、珠実さん!!」


「お母さん…」
朝美さんは涙を拭いて、立ち上がります。
728One day +One:2005/07/03(日) 00:36:14 ID:h03w/6vv
「お母さんの犠牲、無駄にはしないよ…」
朝美さんにもう迷いはありませんでした。
「…どこへ行くのですか?」
「えっ!?お姉ちゃん?」

目の前に立ちふさがったのは、巫女さんの姿をした部長さん。

「びっくりしたー。お姉ちゃん、大丈夫だった?」
「何がですか?」
「何がって…、千百合お姉ちゃんに、着せ替えられたんじゃないの?」
「確かに私は千百合さんに着せ替えられました。
しかし、そのことによって私はこの通り、素敵な服装になることができました」
「お姉ちゃん、それって…」
朝美ちゃんの顔が青ざめていきます。
729One day +One:2005/07/03(日) 00:38:03 ID:h03w/6vv

「あなたも、素敵な服装になりましょう」

後ろを見ました。
沙夜子さんをすっかり魔女の格好にしてしまった
千百合さんと珠実さんが、こちらへ向かってきます。
前を見ました。
巫女さん姿の部長さんが、にっこり笑っています。
逃げ場など、ありませんでした。
「あ……あ、あ……」

「Correct!!」
「…皆さん…」
白鳥くんは倒れているネコ娘、魔女、プチメイドさん、
をお茶会のシートの上に並べました。
ジョニーは今ではすっかり落ち着き、
中庭でいつものように釣りをしています。
ターゲットは、もう残っていません。
730One day +One:2005/07/03(日) 00:39:45 ID:h03w/6vv
「魔女の服装を見ると落ち着くのはなぜでしょうか?」
「かろうじて自我が残っているようで〜」
いつの間にか珠実さんも“モエモエファッション”になっていました。

「これで全員ですか」
自分は女医の服装になった千百合さん。
「まだ残ってますよ〜」
「?…どなたですか?」
珠実さんが教えます。
「それは、白鳥さんです〜」
「なっ!?」
白鳥くんは、またしても突然自分の名前が挙がったのでびっくりしました。
「ああっ!私としたことが、隆ちゃんを忘れていました!」
白鳥くんを見る千百合さん。
731One day +One:2005/07/03(日) 00:42:22 ID:h03w/6vv
「隆ちゃん…おとなしくしてください…」
息遣いが荒いです。
「私に…身を…任せて…」
目もヤヴァイです。
「さあ、隆ちゃん!!」
危険です。
「うわぁぁあ!!」
当然のごとく逃げる白鳥くん。
しかし、白鳥くんはすぐ戻ってくることになります。
「待ってください!隆ちy」

つるっ

「あ…」
千百合さんがすっ転んだからです。

「大丈夫!?千百合ちゃん!!」
「なんともないみたいです〜。でも、頭からいきましたね〜。また誰かに変わるんじゃないですか〜?」
「誰かって、あと今日なってないのは早紀ちゃんだけ…」
「ぅ〜ん…」
732お腹いっぱい:2005/07/03(日) 00:46:43 ID:h03w/6vv
次回から5人目です。
ここは千百合スキーと早紀スキーな人が多いみたいですから、ぷれっしゃー…。

考えたら自分も新人ですし、文章おかしいから人のこと言えませんねorz
733kazuki:2005/07/03(日) 00:51:31 ID:EusbiD7s
GJです。
そんなことないですよ。
満腹さんを見習います。
734テイル:2005/07/03(日) 00:51:40 ID:hekf/Aro
>>満腹さん
GJです。
結局こうしてみーんな処理されましたとさ(チャンチャン
むしろ千百合ちゃんは看護婦……訂正、看護師の服装の方が正しいかと。

と、いうわけで……
今日も同時千百合テロは断念します隊長!!
いくらなんでも一日で約60レスは速過ぎだから……

責める部長を心待ちにしてる人、首を長くして抜けるほど待ってて下さい……
735645:2005/07/03(日) 01:14:03 ID:59c69ye5
SS作者さんみんなGJです。
破壊力の大きい作品ばかりで心が壊れてしまいそうですよ。アはゥア!

以前、AngelDustの続編を書きたいと言った者ですが、
作者さんの許可を取りたいのですがレスが無いようなので
もう一度ここで。>>83氏、書いてもよろしいでしょうか?
736名無しさん@ピンキー:2005/07/03(日) 01:25:20 ID:I5mAPsr7
>>724
お疲れ様です。
しかし、私が真っ先に切ったエンドパターンとは…。
でもハッピーエンドならそれに越したことはないですね。

>>尻尾の人
まぁ、週末だからスレのスピードが上がるのはそれほど問題ではないのでは。
盛り上がるときに盛り上がるのは悪くないと思います。

>>735
がびん、>>724の人とは別人!?
こいつはうっかりだった…orz
別の人に許可出しちゃいましたがいいですよ、
好きに書いてください。
737645:2005/07/03(日) 01:32:04 ID:59c69ye5
ありがとうございまする。
さっそく着手ー。

しかしこんなハイクオリティの作品のある板に出すとなると
(;゚Д゚)プレッシャーーーーッ
738名無しさん@ピンキー:2005/07/03(日) 05:41:31 ID:mzcYs5LS
>>732
早紀クル━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
739名無しさん@ピンキー:2005/07/03(日) 08:48:37 ID:UVpeKIpi
バラさんが起きたら隣に女装済み隆士タンが寝ているSS
読んでみたい。
740名無しさん@ピンキー:2005/07/03(日) 14:31:49 ID:yGGLjhYB
>>737
がんがれ。
課題が無いと暇で暇で…orz

>>739
女装じゃなくて変s(ry
741名無しさん@ヒッキー:2005/07/03(日) 17:14:37 ID:UVpeKIpi
>>740
それは気ずかなかった。
今日トラ穴いったらまほらばの同人誌あったけど
絵に愛が感じられなかった。
誰か同人誌に愛を・・・
742名無しさん@ピンキー:2005/07/03(日) 18:39:12 ID:zYCydgmW
あの、ちょっとSSを書いている上で質問ですが……

梢の別人格の料理の話って、本編で出てきましたっけ?
743名無しさん@ピンキー:2005/07/03(日) 18:52:34 ID:yGGLjhYB
>>742
出てない希ガス。
744名無しさん@ピンキー:2005/07/03(日) 18:57:37 ID:zYCydgmW
>>743
ですよねー……


全巻アニらばを見た友人にかっ攫われて資料が無かったもんでorz
サンクス。
745名無しさん@ピンキー:2005/07/03(日) 19:36:36 ID:I5mAPsr7
久しぶりの投下です。
即興&えち展開注意。
746勇気のマホウ:2005/07/03(日) 19:37:06 ID:I5mAPsr7
「なんだろう、用事って…」
僕は管理人室の扉の前に立って思案していた。
それは半日ほど前のこと…。

『隆士君…こんにちは…かも』
『あっ、梢ちゃ…棗ちゃん?』
『そう…かも』
『…どうしたの?』
『とっておきの…手品…見せたいから…今夜…部屋に来て…欲しい…かも』
『今夜…? 今じゃダメなの?』
『ダメ…かも。 隆士君は…ダメ……かも?』
『ううん、いいよ。 今夜だよね?』
『そう…かも』

本当は課題があったけど、恋人のお願いとあっては無碍にするわけにも出来ない。
棗ちゃんと別れた後、普段よりハイペースで課題を終わらせた。
「ちょっとやっつけ気味になっちゃったけど…しょうがないか」

『隆士君…今夜…絶対来て…』

「よっぽど自信作なのかな…?」
彼女の決意の表情を思い出し、僕は管理人室のドアをノックした。
747勇気のマホウ:2005/07/03(日) 19:37:29 ID:I5mAPsr7
「隆士君…かも?」
「うん、棗ちゃん、入っていい?」
「どうぞ…かも」
「お邪魔します」
部屋に何か仕掛けがあるのかと注意しながら中に入ったけど、特にいつもと変わりはないようだった。
「隆士君…どうしたの…かも?」
「あ、いや、大がかりな手品なのかなと思って…」
「そういうの…とは…違う…かも」
「そうなんだ」
「誰にも…見られたく…ないから…鍵…閉めて欲しい…かも」
「あっ、うん」
僕はそう言われて思い出し、開けっ放しだったドアを閉め鍵をかけた。
「それでは…そこに座って…ください…」
「うん」
棗ちゃんはいつだったかみんなに手品を披露したときのように手品師の口調になっていた。
僕は彼女に指示された通りにベッドの傍らに腰を下ろす。
「この手品は…とても…集中力と…勇気が…要ります…どうか成功を…願っていて…ください」
「うん、頑張って、棗ちゃん!」
「では…いきます」
そう言うと棗ちゃんは僕の前に立つと大きく息を吸い込み、真剣な表情になった。
748勇気のマホウ:2005/07/03(日) 19:37:46 ID:I5mAPsr7
「隆士君…両手を…広げて…前に出して…ください」
「こう?」
「…はい」
僕は彼女に言われたとおり手を広げる。
それを確認すると棗ちゃんは僕と手を重ね何かを掌の上に乗せた。
「それが…なにか…わかります…か?」
「えっ……?」
彼女の手が退けられると僕の手には何か暖かいものが乗っていた。
お椀を包み込むような形をした布きれ…女性用下着、いわゆるブラジャーだった。
「えっ? えええぇぇ!?」
「隆士君…こちらを…ご覧ください…」
「!?!?!?!?!!!?」
いきなり手渡されたブラジャーに呆気にとられていたが、棗ちゃんの声で更に愕然となった。
彼女はワンピースの上着をたくし上げ、その素肌を僕に晒していた。
「なっなつめちゃん!!!?」
「…ビックリした?」
「い、いや、ビックリしたっていうか…」
しどろもどろになりながらも僕は彼女の体から視線を背けられずにいた。
棗ちゃんは下の下着はつけているけど、上は…。
「脱ぎたて…かも」
「…………!」
「隆士君…どうだった?」
「えっ!? えっと……」
「ここから…先は…わた…しだけでは…出来ません…」
「そ、それって…」
彼女の言動、行動に僕は絶句するしかなかった。
749勇気のマホウ:2005/07/03(日) 19:38:02 ID:I5mAPsr7
「………」
棗ちゃんは何も言わずにじっと僕の答えを待っている。
僕は答えることもできずに沈黙の時間が過ぎる。
そうしている間にも彼女の肌は上気しほんのりと朱に染まっていた。
柔らかそうな双丘に自然と目がいってしまう。
「隆士君は…触って…みたい…かも?」
「そ、それは……」
「わ…たしは…触って…欲しい…かも」
「な、棗ちゃん…本気?」
「冗談で…こんな…こと…しない…かも…」
のぞき込んだ彼女の瞳は真剣そのものだ。
本気で彼女は───わたしを抱いて欲しい、そう言っているのだ。
(棗ちゃんは…本気だ…)
「隆士君……」
だったら、僕の答えは一つしかない。
「棗ちゃん…」
「……」
棗ちゃんはゆっくりと目を閉じ、僕の答えを待っていた。
僕はそんな彼女に近づくと肩を抱き、ゆっくりと唇を重ねる。

彼女の想いと勇気は重ね合った唇から熱と共に僕に伝わった。
750勇気のマホウ:2005/07/03(日) 19:38:16 ID:I5mAPsr7
「んっ……」
僕たちは深い口づけを交わし、温もりを感じあった後ゆっくりと唇を離した。
「いい…? 棗ちゃん」
「うん…隆士君の…好きに…して欲しい…かも」
「棗ちゃん…」
彼女の了承を得るとゆっくりと彼女が晒していた胸に手を伸ばした。
熱く柔らかいふくらみに手を重ねると棗ちゃんの全身に緊張が走った。
そんな彼女の緊張をほぐすようにもう片方の手で長い髪を撫で、唇を重ねた。
「んっ……んんっ……」
壊れ物を扱うかのようにゆっくり優しく彼女の体を包み込んでいく。
「隆士…くん……」
「棗ちゃん…」
丹念に愛撫を続けるうちに次第に彼女の体から硬さが消え、しっとりと汗ばんできた。
僕は棗ちゃんをベッドに横たえると再び愛撫に専念した。
「んっくっ……なにか…胸が…熱い…かも…んっ…」
「大丈夫だよ…僕に任せて」
「うん…」
普段は着やせしていてわからない彼女の大きな両の胸を手と唇を使ってじっくりと刺激する。
次第に彼女の体の反応も大きくなり、息づかいが荒くなってきた。
「隆士君……切なくて…苦しい…かも……」
「うん、それじゃ…」
このままだと棗ちゃんが耐えられないと判断し、僕はゆっくりと下腹部に手を伸ばしていった。
「あっ…隆士君…そこは…」
「可愛い下着だね」
「うん…今日は…頑張った…かも」
「ありがとう…」
僕は彼女の健気な努力と勇気に感謝し、ゆっくりと下着の下の茂みに手を差し入れる。
棗ちゃんの茂みの中は他の場所以上の熱と湿り気で僕を迎え入れてくれた。
751勇気のマホウ:2005/07/03(日) 19:38:37 ID:I5mAPsr7
「棗ちゃん、大丈夫?」
「うん…続けて…欲しい…かも」
棗ちゃんは僕の指を受け入れると目を閉じて刺激に身を委ねた。
ぬるぬると湿る指先をゆっくり秘所に這わせると彼女は体をくねらせる。
「あっ…んん……隆士…くぅん……」
指が動くたびにくちゅくちゅと淫らな音が耳を刺激する。
彼女の秘所からは愛液がとろとろと溢れ、下着はすっかり濡れてしまっていた。
「ダメ…パンツ…汚れちゃう…」
「うん、それじゃ脱がすよ…」
「恥ず…かしい…かも……」
そう言いつつも棗ちゃんは自分でお尻を浮かせ、脱がしやすい姿勢にしてくれた。
僕はゆっくりと下着に手をかけそれを脱がせると彼女の大事なところに目が釘付けになった。
「隆士君…あんまり…見ないで…欲しい…かも…」
「棗ちゃん…」
「やっ…ダメ…そん…な…ところ…あんっ…」
こらえきれなくなった僕は棗ちゃんの股間に顔を埋めると舌と指を使って集中的に愛撫し始めた。
秘所の割れ目を指で開き、彼女の一番奥へと舌を差し入れる。
たちまち僕の口の中は彼女の愛液で満ちてくるが、それでも後から後から熱い液体が溢れ出てくる。
「あっああっ…やぁっ…んっ……りゅうし…くんっ……んっ…」
快感に身を委ねる棗ちゃんは更に僕の欲情を掻き立てた。
「隆士…くん…もう…ダメ……我慢……出来ない……」
「うん…」
棗ちゃんが限界に近づいていることを確認すると僕は自分の服を脱ぎはじめた。
752勇気のマホウ:2005/07/03(日) 19:38:59 ID:I5mAPsr7
「じゃ、いくよ…?」
「うん…来てほしい…かも…」
棗ちゃんの了承を得ると僕は彼女の中心に自分のモノを宛う。
僕のモノはすでに準備するまでもなく熱く滾り、彼女を求めていた。
「ちょっと…怖い…かも…」
「大丈夫、僕に任せて…」
「うん…」
彼女は僕の言葉を聞くと目を閉じて、指で自分の秘所を押し広げた。
そんな棗ちゃんに合わせるように僕も彼女と一つになるためにグッと腰を突き入れた。
くちゅっと音がして、熱くぬるぬると滑る膣内に僕のモノは侵入していく。
「んくっ…はぁ…!!」
「棗ちゃん…!」
最初は抵抗があったモノのしっかりと濡れていたため、それほど苦もなく彼女の最深部まで到達した。
彼女の内側は熱くきつくうごめき、僕を締め付けた。
それを確認すると彼女も目を開き、二人の結合部に目をやる。
棗ちゃんもそれほど辛さを感じていないようだ。
「大丈夫、棗ちゃん?」
「うん…思ったより…ずっと…平気…かも」
棗ちゃんはともかく、梢ちゃんとは経験済み…つまり肉体的には処女ではないので破瓜の痛みはもうない。
彼女が苦痛を味わうことがないということは僕にとっても幸いだった。
「隆士君…動いて…いい…かも」
「じゃ、動くよ」
753勇気のマホウ:2005/07/03(日) 19:39:20 ID:I5mAPsr7
「あっあっあ、ああっ…んくっ……」
「棗ちゃん…気持ちいい…?」
「んっん……気持ち…いい…隆士…くん…っはぁ……」
棗ちゃんもすっかり慣れたのか、僕の動きに合わせるように腰を動かし互いに快感を高めていた。
ギシギシとベッドが揺れ、シーツが乱れる。
「あの…隆士君……」
「…? どうしたの、棗ちゃん?」
「その…自分で…動いて…みたい……かも」
「え……?」
「隆士君…仰向けに…なって…欲しい…かも」
棗ちゃんの思いがけない提案。
上になる…と言うことは騎乗位?という体位だろうか…。
なんだか、千百合ちゃんを連想させたけど棗ちゃんがどうしてもと言うので僕は彼女の言うとおりに仰向けに寝転がる。
さっきとは逆に棗ちゃんが僕の上に跨るような格好になった。
「それじゃ…入れる…かも」
「棗ちゃん、無理しないでね」
「だいじょうぶ…かも」
そう呟くと彼女は僕の上に跨り、ゆっくりと自分の膣内に僕のモノを入れていった。
754勇気のマホウ:2005/07/03(日) 19:39:36 ID:I5mAPsr7
「はっぁぁ……」
「くっ…!」
ずぶずぶと突き上げるような格好になり彼女の膣内を侵入させられる。
ドロドロな熱い内側をスムーズに進むとやがて最深部に到達した。
「んふぅ…んっ……さっき…より…深い…かも…」
彼女が少し腰を振ると、僕の先端は彼女の最深部をこつこつと叩いた。
「棗ちゃん…ホントに大丈夫…?」
「うん…すごく…気持ち…いい…かも」
棗ちゃんは小さく頷くとゆっくりと腰を動かし始めた。
初めはぎこちない動きだったけどだんだんコツを掴んでリズミカルに僕の上で動いた。
「ああっ……あっあっあぁっあっん……気持ちいい…あっ……あぁん……」
「くっ…棗ちゃん…凄いよ…」
「んっ…隆士…くんもっ……気持ち…イイ…?」
「うっん…」
「じゃ…もっと……んっ」
彼女はそう言うと腰の上下運動に加えて、膣内の締め付ける力に緩急をつけてきゅっと僕のモノを締め上げた。
「はうっ!」
「んんっ…すごぃ…隆士…くんのを…あぁっ…こんなにっ…感じる……」
「棗ちゃん…棗ちゃん……!」
棗ちゃんが腰を上げるときに僕も腰を引き、彼女が腰を下ろす瞬間に僕も突き上げる。
お互いのリズムを掴み、さらに快感を高め合う。
僕は空いている手で彼女の両胸を激しく揉みしだき、指で乳首を摘み転がした。

───僕たちはすっかり快楽に溺れ、互いを貪りあっていた。
755勇気のマホウ:2005/07/03(日) 19:39:51 ID:I5mAPsr7
「あっあっ……あぅっ……んんっ! …りゅ…ぅ…し……くっ……!」
「棗ちゃんっ……!」
棗ちゃんは僕の上で身を仰け反らせ、快感に溺れていた。
そして、僕も彼女から伝わる快楽の波に身を委ねていた。
じゅぷじゅぷと二人の結合部から愛液が溢れ、痺れるような感覚が下半身からせり上がってくる。
「隆士…くん……わ…たし…もう……っ!」
「僕も……!」
「一緒に……いっしょ……に……あっあぁん……!!」
互いに限界を感じ、一気に上り詰めるように最高速で腰を振った。
もはや何も考えられなくなり、無我夢中で抱き合った。
「はっ…はぁ…はぁ…わ…たし……んっ……もう……ダメっ……!」
「棗ちゃん…棗ちゃん…っ!」
「あっあっあっあっあっ………………も…う…っ!! あっあああああああぁぁぁぁぁっ!!」
「な…つめ…ちゃん……っ!!」
目の前が真っ白になり、下半身で何かが弾けた。
僕のモノから迸った熱い奔流は棗ちゃんの一番深いところで溢れ出て、彼女の中に染みこんでいく。
彼女の膣内も一滴残さず搾り取るように収縮し、深い絶頂が何度も押し寄せた。
僕の中から全てがはき出され、彼女の中に放ち終える。
全てが終わると僕たちはぐったりと脱力し、抱き合ったままベッドに崩れ落ちた。
756勇気のマホウ:2005/07/03(日) 19:40:04 ID:I5mAPsr7
「…棗ちゃん、大丈夫?」
「……。 だい…じょうぶ…かも…」
「よかった…」
あまりに激しい快感だったので棗ちゃんは気を失ってしまうんじゃないかと思ったけど、彼女は満足げな笑みを僕に返してくれた。
そんな彼女を見て僕も自然と笑みがこぼれた。
「こんなに…気持ち…いい…って…思わなかった……かも」
「うん、そうだね…。 やっぱり好きな人と一つになれるのは幸せだからじゃないかな」
いつものように自然と本音が出て気恥ずかしくなった。
でも、この包み隠さない想いは嘘偽りない本物の気持ち。
「隆士…君…」
「あっ…。 あはは……」
「わ…たしも……隆士…君のこと…大……好き…」
そう言って棗ちゃんはギュッと僕をその胸に抱いた。
彼女の胸から伝わる熱い鼓動と愛情。
柔らかな暖かさに包まれて…まだ繋がったままだった僕はまた元気になった。
「あっ……」
「……。 隆士…君…もう…一回…する……かも?」

757勇気のマホウ:2005/07/03(日) 19:40:20 ID:I5mAPsr7
愛の形は体を重ねる事だけじゃない…と思う。
でも今は、今こうやって体を重ねて幸せを感じられるならそれもまた一つの愛。
そう思うことは間違った事じゃないと思う。
今はこの温もりと幸せを互いに分かち合おう…。





「隆士…君の…エッチ……」







<勇気のマホウ>   Fin.
758勇気のマホウ あとがき:2005/07/03(日) 19:41:23 ID:I5mAPsr7
最近ご無沙汰のなっちん純愛ものです。
いや、あんまり内容はないんですけどね。
虹のほうにあった絵↓に刺激を受けたのは間違いありません。
ttp://black.skr.jp/mahoraba/pbbs/data/IMG_000032.jpg

まあ、見たまんま、ただエッチするだけの内容ですが、
たまにはこういうのもいいですよね?よね?

ではまたほとぼりが冷めた頃に投下しに来ます。
759名無しさん@ピンキー:2005/07/03(日) 19:51:42 ID:KMFjQ3+J
いいよ〜いいよ〜GJ!GJ!
760名無しさん@ピンキー:2005/07/03(日) 19:53:45 ID:H8vBV9qb
アニメ終了と突然のエロラッシュは何か関係あるのだろうか?w
なんにしてもGJ!
761名無しさん@ピンキー:2005/07/03(日) 19:55:37 ID:nnrdv8Nr
GJ!!!
いや、もうなっちんは最高ですね!
お疲れさまでした。
次回作を期待してますよ〜
762名無しさん@ピンキー:2005/07/03(日) 19:57:30 ID:jnb+Ga2N
GJ!
最近はエロが多めで何よりですな
763名無しさん@ピンキー:2005/07/03(日) 20:35:24 ID:sznIYgmb
GJ!なっちんがエロくて(´д`;)ハァハァ

ちょっとかもかも言いすぎな気がするので次書くときはちょっと気をつけてみたら良くなる・・・かも
764名無しさん@ピンキー:2005/07/03(日) 20:42:31 ID:yGGLjhYB
>>758
Gーーー(゜∀゜)ーーーJ!!
なっちんにグランドモエスorz
765妄想特急:2005/07/03(日) 21:07:28 ID:HpL8rGOv
>>758  GJ!GJ!GOD JOBッス!!
エロなっちん最高〜!
766名無しさん@ピンキー:2005/07/03(日) 21:18:47 ID:mzcYs5LS
棗ちゃんかわいかった…かも(・∀・)イイ!!
767名無しさん@ピンキー:2005/07/03(日) 22:00:21 ID:fx+eiQ+p
>>758
               ( ⌒)     ∩_ _
              /,. ノ     i .,,E)
             ./ /"    / /" .
   _n  グッジョブ!! ./ /_、_   / ノ'    
  ( l    _、_   / / ,_ノ` )/ /_、_    グッジョブ!!
   \ \ ( <_,` )(       /( ,_ノ` )      n
     ヽ___ ̄ ̄ ノ ヽ     |  ̄     \    ( E)
       /    /   \   ヽフ    / ヽ ヽ_//

なっちん最高ーーーーー!!!
768ぐうたら:2005/07/03(日) 22:15:10 ID:qdcjNv20
なっちん波に引かれて千百ちゃんSS書きなぐっていた俺も塀を蹴り壊してやってきましたよ。
>>758
言いたいことは既に言われてる感じなので。
GJ〜〜〜〜〜〜!!!
769テイル:2005/07/03(日) 22:25:09 ID:hekf/Aro
試験勉強の合間に執筆するという裏技をしていたら腹を壊した俺が来ましたよorz

>>758
おお、ベリベリGJ!!
あえぐなっちんすごく可愛い……

ああ、こんな彼女が欲しいと嘆く独り身orz

さて、ちょっと落ち着いた感もあるので新作を投下させていただきます。
ついさっきまでタイトルが「タイトル未定」という驚愕の事態でしたが、
書いて行く内に決まりました。

スレの>>428で募集した「言われてみたい台詞」も登場します、なんて。
770AIR(1):2005/07/03(日) 22:26:41 ID:hekf/Aro
今日の講義が終わった。
外はすっかり茜色だ。
「はぁ〜……課題がないから、週末はのんびり出来る〜……」
「ホント、週末まで銀先生の顔に怯えながら課題をするのはご免ね……」
「やったー!銀先生を忘れてお祭に行けるー!!」
「白鳥ー、お前週末は?」
「特に予定なし。本でも読んで過ごすかもね」
「悠々自適だな……夢水清志郎みたくなるなよ」
「僕は食事を忘れるほど馬鹿じゃないよ」
「ははは……」
まあ、そんな事を話したりして。
帰ったら、とりあえず、寝るか……。
みんなと別れて、電車に乗り。
双葉台駅で降りて。
阿甘堂のお姉さんに声を掛けて。
八百長の親父さんに挨拶して。
いつもの鳴滝荘に、帰って来た。
「ただいま〜……」

「あ!!」

そこにいたのは。
「お帰りなさい、隆ちゃん!!!」
どーん、と、ボディ。
なんとか衝撃を和らげる。
え……
魚子ちゃん……?
いや、さっき「隆ちゃん」って呼んだよな……
771AIR(2):2005/07/03(日) 22:27:31 ID:hekf/Aro
髪型を見ると、横に束ねた独特のポニーテール。
という事で。
「……ただいま、千百合ちゃん」

というか。
なんで、梢ちゃんじゃなくて千百合ちゃんな訳?

「あ〜ん、隆ちゃ〜ん……幸せ〜……」
僕の腕にほおずりする千百合ちゃん。
すごく幸せそうだ……
「珍しいね、千百合ちゃんとは……ん?」
よく見ると、かけている眼鏡が見た事の無いものになっていた。
ライトグリーンのメタルフレーム。
「千百合ちゃん、その眼鏡は買ったの?」
「ええ、帰りがけに寄ったお店で買ったのです。
 どうですか、隆ちゃん。Correctでしょう?」
「うん、とっても似合うよ」
「流石にいつまでも桃乃さんのものを借りるわけにはいきませんから……
 最近、どうにも視力が落ちているみたいで」
「…………」
「だから、これは度無しです」
そういや、梢ちゃんがそんな事を言っていたか。
『白鳥さん、最近視力が落ちているみたいなんです……』
『え?どうして?』
『よく分からないんです……なんでかしら……』
…………
原因は千百合ちゃんでした。
ここのところ、千百合ちゃん率高かったから……
って、詰まる所自分の身体なのだけど。
自業自得、と言うには何か違う。
772AIR(3):2005/07/03(日) 22:28:27 ID:hekf/Aro
「ねえねえ、隆ちゃん」
千百合ちゃんが訊いてくる。
「……なあに、千百合ちゃん」
千百合ちゃんはちょっと照れた顔をして。
そして、あの名言を言う。
「ご飯にしますか?お風呂にしますか?それとも――――」

「わ・た・し?」

「…………」
突然の精神攻撃に、立ち尽くしてしまった。

……
………
ズギューーーーーーン!!!
まずい、千百合ちゃん、ものすごく可愛い………
あんな照れた顔で『わ・た・し?』だなんて、僕は幸せだ……
一度は言われてみたいって、本当だったんだな……
萌えですか?
これが最近流行りの『萌え』ってヤツですか?
なんか、分かる気がする……
「うーん……ここで千百合ちゃんって選択肢も悪くないんだけど……ご飯、かな」
「分かりました!隆ちゃん、楽しみに待っていて下さい!」
千百合ちゃんは台所に向かう。
その顔は幸せそのものだ。
……ん?
こんなことをしていれば、いつもならあのツッコミが―――――
「千百合ちゃん、珠実ちゃんはどうしたの?」
「珠実さんですか?彼女なら部活ですよ。何でも、今日は降霊会をするのだとか」
「降霊会……なんか、いわくありげだな……」
773AIR(4):2005/07/03(日) 22:29:13 ID:hekf/Aro

同時刻。
青短大オカルト研究会部室。
「あら、どうしたのですか珠実さん?」
「…………」
「なんですの、その憎たらしい顔は?」
「うう…………」
そこにいるのは、珠実と部長。
もっとも、今現在は部長ではない。
降霊会で呼んだ幽霊に身体と精神の一部を乗っ取られ、女王様と化してしまった。
服装は、黒革ミニのSM女王様。
珠実は、有無を言われず全身を縛られてしまった。
「両手両足を縛られていながら、どうしてそんな顔が出来るのかしらね……」
「……放して、下さい、部長……」
「ああ?誰にモノを言っているのかしらこの娘は?」
「……うう……」
「それに部長じゃないでしょう?ええ?」
「…………」
「私の事は、女王様とお呼び!!このメス豚!!」
「はぅぅぅ…………(どうして、女王様になるですかぁ……?)」
「どうした?女王様の命令に従いなさいメス豚が!!!」
「はいぃぃぃぃ……分かりましたです女王様〜……」
そこは、オカルトな部屋ではなくアブノーマルとなってしまった。
「なんだい、その無様な格好は!豚に相応しいとは思わないかしら!!」
「はいぃぃぃぃ、その通りです女王様〜……」
「ホーッホッホッホ!!!」

マ゙ー……この屈辱……いつか返してやるです〜……うぅ……
774AIR(5):2005/07/03(日) 22:29:57 ID:hekf/Aro
今日は、梢ちゃんではなく千百合ちゃんの手料理と相成った。
というか、千百合ちゃんの手料理は初めてだ。
……って、料理出来るのかな……
台所に立つ千百合ちゃんなんて想像も出来ない。
早紀ちゃんや魚子ちゃんなら尚更なのだけど。
「何を言っているのです隆ちゃん。私だって料理は嗜みます」
「え、そう?」
「料理は、服飾に似ているのです。見た目をいかに美しくするか、
 そして中身をいかに美しく、美味しく調理するかなのです。
 要は、美しい外見、中身があって初めてCorrectな料理になるのです」
「へぇ…………」
千百合ちゃんの料理哲学を初めて聞いた。
なるほど、確かに千百合ちゃんの感性に合うんだろうな……
でも、なんか、今までのイメージと違う。
「千百合ちゃんって、結構家庭的なんだね」
「何を言っているのです隆ちゃん。料理は女子の嗜みですよ」
「…………」
それ、沙夜子さんが聞いたら逃げ出すだろうな……
あの人、温室育ちだし。
そも、料理をしたことすらないか。
775AIR(6):2005/07/03(日) 22:30:50 ID:hekf/Aro
そして、何故かボロボロになって帰ってきた珠実ちゃん達を交えて、
みんなで夕食をとる事になった。
……実は、今現在梢ちゃんが千百合ちゃんである事実にみんなが震えてしまったのだが、
僕にベタ惚れ状態というわけで、自分達に危害は無いと思ったようだ。
それはそれでありがたい。
ちなみに今日のメニューは、豚キムチに高野豆腐だ。
「はい、隆ちゃん、あーん」
「ええ!!??み、みんな見てるって!!」
「大丈夫です隆ちゃん。こうしていく事こそが清く正しいラブライフへの第一歩ですよ」
「そんな事言われたって……」
ちらり、と向かいを見る。
みんなが注目していた。
「…………」
一人、我関せずと言わんばかりに灰原さんは黙々と食事中。
……大人だ……この人こそ真の大人だ……
高倉健もびっくりするぞ。
「わ、分かったよ………」
「はい、あーん」
ぱくっ。
もぐもぐ。
776AIR(7):2005/07/03(日) 22:32:03 ID:hekf/Aro

……
………
…………おいしい。
このピリ辛感が何とも言えないハーモニー。
ご飯が進むとは正に豚キムチのために用意された言葉である。
これ格言。
「おいしい……すごくおいしいよ、千百合ちゃん」
「わあ、ありがとうございます、隆ちゃん!!とてもCorrectです!!」
「幸せそうねぇ………それに引き換え私は……(ブツブツ)」
「まあまあ桃さん〜そう言わずに一杯〜」
「よっしゃーー!!今日はトコトン飲むぞーーー!」
「桃、お前もホドホドにしとけヨ?彼氏が見たらどう思うか……」
「いーのよ気にしなーい。豚キムがいい酒の肴だわ……」
「うわー、二人とも大人だね!!」
「……朝美……(あーん)」
「はいはい、お母さん。はい」
「(ぱくっ)……おいしいわ、朝美……」
「うん!!」
そうして、いつもの夕食が過ぎていった。
777AIR(8):2005/07/03(日) 22:33:05 ID:hekf/Aro
夕食後。
「ふうー……食後のお茶って美味しいわね」
「桃、それがさっきまで酒をあおってた奴の言う言葉か?」
「いいじゃないバラさん〜、日本人なんだからお茶ぐらい美味しく飲まなきゃ」
「まあ、それもそうだがナ……」
「桃さん、水ぶくれ〜」
「ああ、なんだって珠キチ〜!!??」
「桃さん怒ったです〜」
「隆ちゃん、ちょっとそこの食器を戸棚に仕舞って頂けますか?」
「うん、いいよ」
「お母さん、今日は内職頑張ってね」
「……ええ……頑張って内職するわね、朝美……あ」
つるっ。
ごろり。
沙夜子さんの湯呑が、滑ってテーブルに転がってしまった。
「ああ、お母さん、何してるのー!!」
「はうぅぅ…………」
「お洋服がびしょびしょになってるじゃないのー!!」

「――――――服?」

千百合ちゃんが反応する。
――――――まずい。
何か、嫌な事が起こる気がするぞ――――
「――――隆ちゃんに目が入っちゃって気付きませんでしたが、良く見ると、
 皆さん服飾が正しくありませんね……早急に是正する必要があります!!」
「―――――!!!」
778AIR(9):2005/07/03(日) 22:34:08 ID:hekf/Aro
やっぱり。
やっぱりこうなりますか。
今日はこのまま何も無いと思ってたのに……
もしもいるなら神様に問いたい。
神様、あなたは馬鹿ですか?
「――――――ああ、千百合ちゃん!!!」
桃乃さんが素っ頓狂な声を上げる。
「なんですの?桃乃さん」
「あそこに澄百合学園の制服が!!」
「ええ!!??」
千百合ちゃんが振り向く。

そこにはやかんがあった。

「もう、何を言うのですか桃乃さん。ここは台所ですよ、制服があるわけ―――」
千百合ちゃんがもう一度振り向くと。

桃乃さん。
沙夜子さん。
朝美ちゃん。
脱兎の如く、消えていた。

残された僕達。

「―――――どうして」
その言葉を呟いたのは、何と千百合ちゃんだった。
その表情は、どこか寂しげで。
どこか悲しげで。
そして、とても儚そうに見えて――――
779AIR(10):2005/07/03(日) 22:34:56 ID:hekf/Aro
「どうして、こうなるのでしょう――」
「千百合ちゃん……?」
「どうして、私が服飾の事を言い出すと、みんなが逃げ出すのでしょう……
 私は、皆さんのためを思ってやっているのに……」

「それは違うぞ、千百合」

返答したのは灰原さんだった。
「お前はそう思っているかもしれないが、俺達からしちゃただの有難迷惑だ」
「灰原さん、いきなり何を言い出すんですか!?」
「白鳥は黙ってろ」
ぴしゃり、と切り返された。
「千百合―――行き過ぎた親切はただの押し付けでしかないんだよ。
 お前は―――それを、判っていない」
「違う―――私はただ―――」
「判ってないさ」
千百合ちゃんの言葉を制するように、灰原さんは言う。
「お前は、判っていない」
「………」
「だから、もう少し自分を抑えろ。俺が言えるのは、それだけだ」
「―――――!!!」
「あ、千百合ちゃん!!」
だっと、千百合ちゃんは炊事場から出て行った。
僕は――――
僕は、何も、言えなかった。
千百合ちゃんのあの表情に、何も言えなかった。
僕は。
ぼくは。
ぼくは――――――

彼女に、何が出来る。
780テイル:2005/07/03(日) 22:39:49 ID:hekf/Aro
今回はここまでです。
バラさん、なんか違う。

言って欲しい言葉……これ、個人的なものですが、王道過ぎますかね……
使い古されたかもしれませんが。
あと、責める部長。どうしたら珠実を責められるかという事で、
結局女王様です。
何か違います。
ただのバカです。

次回は、物語の佳境です。
これからどうなることやら……(まだ出来てないPAM)
781名無しさん@ピンキー:2005/07/03(日) 22:45:19 ID:yGGLjhYB
>>780
乙&GJ!
早く続きが来ることに禿しく期待(・∀・)
782名無しさん@ピンキー:2005/07/03(日) 23:10:25 ID:N8ysrsUW
一度知ったら溺れそうな気がするのは私だけかな?
783名無しさん@ピンキー:2005/07/03(日) 23:31:09 ID:djEvbCDv
う〜む…バラさん威厳がありますな。
でもこれで千百合ちゃんが根本から叩き直されたら千百合ちゃんでなくなりますが…
どういう展開になるか楽しみに待っています。
784ぐうたら:2005/07/03(日) 23:32:39 ID:qdcjNv20
>>テイル氏
千百ちゃん…
今月は千百ちゃんラッシュになりそう…自分の含んで。
最初の「お風呂・ご飯〜」のくだりで鼻血ダクダクな俺に裁きを…
785メリー:2005/07/03(日) 23:41:54 ID:YdEwy1In
勇気のマホウ……凄い……。
テイル氏の千百合ネタ……先が気になります。

最近ちらほらとイメージ画像がSSに付属され始め、
とっても面白くなってきた予感がしますよ。
786お腹いっぱい:2005/07/03(日) 23:59:27 ID:h03w/6vv
>>758
GJです。
なっちん、かわいいですよね…。
>>780
テイル氏、乙です。
こんな部長もいい…かも。

それでは、今日の分投下です。
787One day +One:2005/07/04(月) 00:01:15 ID:h03w/6vv
「えーと…早紀ちゃん、かな?」
「しら…とり?……!!」
目覚めた早紀さんは、目の前に白鳥くんの顔があるのを見て
真っ赤になりました。
「ば、馬鹿野郎!!離れろ!!」
「あ、ごめん、早紀ちゃん!」
「…い、いや、その、別にお前が嫌いになったってわけじゃないからな!?」
「う、うん!」
二人とも真っ赤です。
「部長、“赤坂早紀”ちゃんです〜」
「そうですか、早紀さんというのですね」
「…おぅ?なんだおめーら。なんでそんな格好してるんだ?」
珠実さんと部長さんの服装に気付いた早紀さん。
788One day +One:2005/07/04(月) 00:02:21 ID:4nB5yTS8
「あ〜早紀ちゃんはこういうのは嫌いでしたね〜。
すぐ着替えてくるです〜」
「おぅ…で、お前は?」
巫女さんのまま、着替えに行こうとしない部長さんに突っかかります。
「私ですか?」
「他に誰がいるんだよ!」
「この姿は、私にとって最も正しい姿であるということに気付いたのです。
ですから、着替えようとは思っていません」
「いいからお前も着替えろ!!うっとーしぃんだよ!!」
早紀さんに無理矢理着替えさせられる部長さん。
「ああっ、何をするのですか!?やめてください!
ああ、でもむしろやめないで!!」
789One day +One:2005/07/04(月) 00:03:31 ID:h03w/6vv
すっかり元の黒マントに戻された部長さん。
「これでいいだろう!」
「ハッ!?私は一体ナにヲしてイたのデショウ!?」
雰囲気も元通りです。
「なんだか“神気部長”さんも、別人格みたいだったなあ…」
そこにちょうど珠実さんも戻ってきました。
「…なんだか部長が普通に戻ってるです〜」
「オお、珠実部員…」
「まあ、普段から“普通”じゃないわけですが〜」
「アハぅはッ!!イイデスよ…!」
「こいつ、気持ちわりぃな…」
「イイデスッ!!元気二なれソうデスッ…!!」
これは間違いなく部長さんですね。
790One day +One:2005/07/04(月) 00:04:46 ID:4nB5yTS8
「おい、珠。こいつらも着替えさせるぞ」
シートの上に転がる三体の屍も蘇らせてあげます。
「う、う〜ん…しゃべらないで、珠ちゃん…傷口が…」
「なに寝呆けてやがる!」
桃乃さんの腹に蹴りが入ります。
「がはっ!!…あれ?早紀ちゃん…?」
「やっと起きたか、桃」

程なくして、沙夜子さんと朝美ちゃんも目覚めました。
起きた朝美ちゃんが時間を確認してます。
「あ!大変!そろそろ夕ご飯を作らないと!」
「ゆ、夕飯?もうそんな時間か?」
「うん!!」
791One day +One:2005/07/04(月) 00:05:43 ID:4nB5yTS8
立ち上がり、台所へ向かおうとする朝美ちゃん。
「ま、待て朝美!オレも手伝う…」
早紀さんが珍しいことを言いました。
「え?早紀お姉ちゃんも?」
「……おぅ」
「早紀ちゃん、本気?」
桃乃さんは心配そうです。
「うるせー!やるっつったらやるんだよ!!」
「がんばってね、早紀ちゃん」
白鳥くんも少し心配そうですが、早紀さんに任せてみます。
「し、白鳥のためだけに作るわけじゃないからな!!」
「うん!」
「私モ手伝いマスよ」
部長さんも珍しいことを言いました。
「ぶっ、部長さんも?」
792One day +One:2005/07/04(月) 00:06:43 ID:4nB5yTS8
「エえ。…言っテ置きマスが、私ハお料理上手なのデスよ?」
皆さん信じられない、という顔をしています。
「部長、前みたいに闇鍋とか作らないでくださいよ〜?」
「失礼ナ。アの時ハ少し失敗シタだけデスよ」
それを聞いてますます不安になった皆さん。
「ソれデハ行きマシょウ、豆サン、早紀サン」
三人は台所へ行きました。

「早紀とアイツは大丈夫なのか?」
一人だけジョニーのまま放置されている灰原さんも不安そうです。
793お腹いっぱい:2005/07/04(月) 00:12:30 ID:4nB5yTS8
本日はここまでです。
最近このスレに足りていない、赤成分を補充できたでしょうか?

テイル氏に謝っておきます。
桃さんにまたあの夢見せてごめんなさい。
そして、料理ネタかぶってごめんなさい。

次回は夕食です。あと、
…こいつら、さんざん菓子食って飯食えるのか?
というツッコミは勘弁してください。
794名無しさん@ピンキー:2005/07/04(月) 00:20:35 ID:gDpYgEnD
早紀ちゃんの( ´∀`)りょうり〜
795名無しさん@ピンキー:2005/07/04(月) 00:24:20 ID:gDpYgEnD
>赤成分を補充できたでしょうか?

<(`Д´)補充できました。
続き期待してます
796テイル:2005/07/04(月) 00:25:54 ID:k1HV8etk
>>793
桃乃の寝言に思わず反応してしまいました…
こんな所で自分の作品(ネタ)が登場するとは思わなんだ。
満腹氏、非常に感謝感激であります。もう多少の転用はOKですよ。

千百合ちゃんには豚キムチを作らせましたが、
早紀・部長ペアはどんな料理を作るのやら…

「愛のエプロン」のゲストの気持ち…orz
797 ◆cj23Vc.0u. :2005/07/04(月) 00:35:35 ID:Vqqatp24
ゴメンナサイゴメンナサイ(´Д`;)

ネタが料理+赤成分でモロ被りですけど、これからちょっと投下させていただきます。
初のまほらばSSなので、不具合などありましたら指摘していただけると幸いです。
798本日のスープ (前):2005/07/04(月) 00:36:51 ID:Vqqatp24
 びゅうっ

「ん……」
「大丈夫?」
 改札を抜けて吹き付けた風に、彼女が身を縮ませる。
「あ、はい。ちょっとびっくりしただけです」
 そう言って、彼女――梢ちゃんは乱れた髪を直しながら頷いた。
「ならいいけど、寒くなかった?」
「いえ、さっきまでずっと暖まってましたから」
「そういえばそうだね」
 さっきまで電車の暖房にあたっていたせいか、僕の頬はまだ少し火照っていた。
 梢ちゃんの頬も、心なしかちょっと赤らんでいる。
「けど、やっぱり外に出ると寒いね」
「そうですね。もう少しで暖かくなってくると思うんですけど」
 息を吐いてみれば、白い息が空を漂って消えていく。
 そして、空を見上げてみれば澄んだ空が茜色から深い蒼へのグラデーションを描いていた。
 あと一ヶ月ぐらいで暦は春に変わるけど、まだまだ冬が続きそうな気配だ。
「あの、白鳥さん」
「うん?」
 夕飯前で賑やかな駅前通りに出ると、ふと梢ちゃんが口を開いた。
「今日は付き合って下さって、本当にありがとうございました」
「そ、そんなにかしこまらなくていいよ。僕も課題が一段落したところだったし、
 その、こうやって……一緒にお出かけしたかったしね」
「あ、は、はい。その、私も……」
 僕たちはお互いに顔を赤くして、ちょっとだけ視線を逸らした。
 ……手を、ぎゅっと繋いだまま。
799本日のスープ (前):2005/07/04(月) 00:37:51 ID:Vqqatp24
『ちょっと欲しい食器があるので、隣町まで行ってきますね』
 梢ちゃんのその言葉から、今日一日が始まった。
 朝ご飯を食べていた僕が同行を申し出ると、最初梢ちゃんは申し訳なさそうにしていたけど、
その……梢ちゃんと一緒にいたかったし。
 本当なら、僕のほうから誘わなきゃいけないんだろうけどね。
 桃乃さんや珠実ちゃんにからかわれながら鳴滝荘を出た僕らは、電車に揺られて隣町のデパートへお出かけ。
お昼には一緒にハンバーガーを食べたり、少し寄り道をしてウインドウショッピングをしたり。
 そして、梢ちゃんが欲しがっていた食器もちゃんと買って、僕が手にしている紙袋の中で
静かに揺られている。

「帰ったら、早めに夕飯の用意をしないといけませんね」
 八百長さんで買い物を済ませた僕らは、足早に鳴滝荘へと向かっていた。
「ちょっと遅くなっちゃったからね……よかったら、僕も手伝うよ」
「大丈夫ですよ。学校の用事で遅くなった時とか慣れてますから」
「そう? でも、何かあったら遠慮無く言ってね」
「ありがとうございます」
 嬉しそうに笑ってくれる梢ちゃんを見て、僕もほんのりと嬉しくなった。
 恋人になったからってわけじゃないけど、何か手助けしてあげられることはしないとね。
 左手には、デパートの紙袋。
 右手には、梢ちゃんの温かい手。
 一緒にお出かけして、一緒に手を繋いで帰って……
 桃乃さんたちに付き合わされる宴会も慣れたけど、こういう穏やかな一日もやっぱりいいな。
800本日のスープ (前):2005/07/04(月) 00:39:47 ID:Vqqatp24
「うん?」
 ブロロロロロ……

 もうそろそろ日が暮れようかという時間。
 鳴滝荘への静かな道を歩いていると、後ろからエンジン音が聞こえてきた。
 振り向いてみると……って、バイク!?
「し、白鳥さん!」
「危ないっ!」
 僕はとっさに梢ちゃんを抱き締めると、ブロック塀に急いで身を寄せた。

 ブオンッ!

「うわっ!」
「きゃっ!」
 バイクは僕たちの横をかすめて、猛スピードで道路を駆け抜けていった。
 そんなに広くない道なんだから、あんなにスピードを出さなくたっていいのに……
「あっ、大丈夫?! 梢ちゃん?」
「…………」
 僕の腕の中で、梢ちゃんは固まっまま俯いていた。
「……こ、梢ちゃん?」
「…………」

 カタカタカタカタ……
801本日のスープ (前):2005/07/04(月) 00:42:11 ID:Vqqatp24
 しばらくして、突然梢ちゃんの体が震えだして……
 って、これってもしかして?
「あ、あのー」
「しぃ〜らぁ〜とぉ〜りぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃい」
 や、やっぱり人格チェンジ?!
「あ、あのっ、そのっ、えーっと」
「いつまで……いつまでアタシの許可無く抱き締めてるんだよっ!!」
「うわっ!」
 梢ちゃん――人格が変わった早紀ちゃんは、バッと顔を上げると睨み付けるように見上げてきた。
「あ、あの、早紀ちゃん? そんなに顔を近づけなくても」
「え?」
 僕の言葉に、早紀ちゃんが怪訝な顔をする。
「ん……」
 そして、僕のことをぼーっと見て、
「あ……」
 ほっぺたが真っ赤になって、
「!!!!!!」
 顔全体が真っ赤になった。
「しししししししししししししししらとり!!」
 その途端、早紀ちゃんは僕から飛び退いて叫びだした。
「さ、早紀ちゃん?」
「まてぇぇぇぇぇっ!!」
 早紀ちゃんに近づこうとすると、彼女は両手で止まれというポーズをした。
802本日のスープ (前):2005/07/04(月) 00:43:58 ID:Vqqatp24
 シャッ!!

 それから、足下に転がっていた石を手にして地面に一本の線を引く。
「あ、あのー」
「だぁぁぁぁぁ!! ダメダメダメダメッ!!」
 そう叫びながら、早紀ちゃんは足下の線を指さしてみせる。
「いいか、ここから近づくなっ!
 境界線! 境! 界! 線!」
「あの、早――」
「領海ー!! 領海侵犯ー!!」
 僕がその線を越そうとした瞬間、早紀ちゃんが僕の足下に石つぶてを投げつけてきた。
 怪我するほどじゃないからいいけど、そんなに恥ずかしいのかな。
「ま、まず落ち着こう? ね? 早紀ちゃん」
「ああああアタシは落ち着いてる! 正常だ! 至って元気だ!」
 そうは言うけど、相変わらず早紀ちゃんの顔は真っ赤で、
「ね、早紀ちゃん」
「近づくなぁぁぁぁっ!!」
 また近づこうとした僕を、拳で殴りつけようとして――
「……あぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 それを突然、塀のほうへ向けた。
「早紀ちゃん?!」
 僕は慌てて、空いているほうの手でその拳をかばおうとした。
803本日のスープ (前):2005/07/04(月) 00:45:31 ID:Vqqatp24
 バシッ!

「うっ!」
「し、白鳥?!」
 なんとか塀にはぶつからなかったけど、その衝撃は僕の手を痺れさせるのには十分だった。
「だめだよ、壁は殴っちゃ」
「あ……ご、ごめん」
 痺れをこらえて微笑むと、早紀ちゃんは申し訳なさそうにしゅんとなった。
「よかった、早紀ちゃんの手が壁に当たらなくて」
「し、白鳥は……大丈夫なのか?」
「うん、壁には当たらなかったから大丈夫だよ。
 でも、どうして壁を殴ろうなんて――」
「……白鳥を傷つけたくなかったんだよ」
「え……」
 早紀ちゃんが僕をさえぎって言ったことに、僕は声を詰まらせた。
「だから、白鳥を殴っちゃダメだって思って、その……」
「早紀ちゃん……」
 そう言って、僕は早紀ちゃんの手を両手で包んであげた。
「だけど、早紀ちゃん自身が傷つけちゃいけないよ」
「でもっ、ダメなんだ! 白鳥が好きで好きで、大好きでどうしようもなくなるんだっ!
 この気持ちをどこかにぶつけ……ぶつけないと、アタシはたまらなくなるんだっ!!」
 顔を真っ赤にしながら叫ぶ早紀ちゃんと一緒に、僕の頬も熱くなっていく。
 すっごく恥ずかしいことなんだけど……でも、それ以上に嬉しい。
 最初に早紀ちゃんが好きだって言ってくれたときは、ただ感情に流されるまま僕のことを
投げたり押し倒したりしたけど、今はこうやって僕のことを思いやってくれる。
804本日のスープ (前):2005/07/04(月) 00:47:18 ID:Vqqatp24
 梢ちゃんはもちろん、棗ちゃんも千百合ちゃんも、魚子ちゃんもそうだったように、
みんながそれぞれ僕のことを想ってくれているんだ。
「早紀ちゃん、ありがとう」
 僕は包んでいた早紀ちゃんの手を、きゅっと握ってみせる。
「少しずつ、少しずつ慣れていこうよ。
 僕も、その……そう思ってくれるのは、嬉しいから」
「白鳥……
 ……うん」
 早紀ちゃんは、僕にストレートに想いを伝えてくれる。
 だからこそ、僕も早紀ちゃんにちゃんと伝えなくちゃいけない。
「その、サンキュな。手ぇかばってくれて」
「もうダメだよ、こんなことしちゃ」
「ったく、わーってるよ」
 少し悪びれたような返事。
 だけと、その顔は早紀ちゃんらしい元気な笑顔だった。
「そういえば、アタシって何してたんだ?」
「ああ、買い物帰りだよ。これから夕飯時だからね」
「そっか」
 さすがに何度も人格交代を見ていることもあって、こういうやりとりも少しずつ慣れてきた。
早紀ちゃんもどこか慣れたように、僕の言葉に納得する。
「んじゃ、とっとと帰って鳴滝荘の奴らにメシを食わせてやらねーとな」
「わっ」
 早紀ちゃんはそう言うと、僕の手を握り返して鳴滝荘へと歩き出した。
「ほら、行こうぜ白鳥。みんな待ってるからさ」
「うんっ」
 僕も、それに応えて足を踏み出した。
805 ◆cj23Vc.0u. :2005/07/04(月) 00:51:13 ID:Vqqatp24
……というわけで皆様、突然の投下でしたがいかがだったでしょうか。
WING最新号を見て居ても経ってもいられず、思わず書いた次第です。
肝心の料理シーンは後編(もしかしたら中編?)からとなります。
色々と試行錯誤しつつ書いてるのですが、はてさてどうなるやら……


皆様からのご指摘・ご意見の程をお待ちしております。
806たろ:2005/07/04(月) 00:59:03 ID:Uo9ppMWj
神ラッシュに狂喜乱舞のこの頃、
小説どころか2ch初心者の私も書いてみました。
友人と作っている「まほらばTTRPG」の原作小説です。
原作(少しアニメ)を色々切り張りした部分があるので多少矛盾があるかもですが…。
因みにシステム、デザイン共に「サモンナイトシリーズ」を意識してますのであしからず。
807名無しさん@ピンキー:2005/07/04(月) 00:59:31 ID:eew/VKxG
ぉぉ、またもや実力派新人到来の予感…。
アニメが終了してもまだまだ安泰ですね。

しかし、力作が連投されてるなぁ…ここはいいスレだ…。

それと勇気のマホウ、GJたくさんありがとうございました。
まだしばらく虹と半々でやっていきますがまたなんかネタが浮かんだら投下しに来ます。

そして、尻尾の人。
保管庫のなっちん漫画も加味してるって気付きましたか。
さすがです。
808ぐうたら:2005/07/04(月) 00:59:51 ID:1mPOfnRf
週末、恐ろしい日…!!
>>お腹いっぱい氏
早紀ちゃんの一人称は「あたし」というとこ以外は楽しみでしょうがない!

>>805
早紀ちゃんキテル-----!!!
早紀ちゃん波に引かれて以下略。
>「いいか、ここから近づくなっ!
> 境界線! 境! 界! 線!」
>「あの、早――」
>「領海ー!! 領海侵犯ー!!」
滅茶苦茶ハイテンションな早紀ちゃんに笑わせていただきました。
また居ても経っても居られなくなったらここに書きなぐってみてくださね。
809第0話 突然の始まり〜Is he god?:2005/07/04(月) 01:00:23 ID:Uo9ppMWj
「…を…して…の…いて…」
…?…何だろう…
「目を覚まして、ボクの話を聞いて…」
!!…今度ははっきり聞こえた…誰かが僕の事を呼んでる……

「うぅ……あれ?…ここは…何処だ…?」
誰かに呼ばれたような気がして目を覚ました少年(?)、白鳥隆士は辺りを見て、自分が不思議な空間に居る事に気付いた。
一面が真っ暗な闇に包まれているのに視界はハッキリとしていて、それにどこか心地よい浮遊感を感じていた。
「…僕は…確か桃野さん達と部屋で宴会を…」
ボーっとする頭で懸命に状況を整理してみるも自分の置かれた状況が全く理解できない。そんな時
「あの…ちょっといいですか…?」
「えっ?…って、うわあぁっ!!?」
いきなり声をかけられて振り向くとそこには不思議な生き物が立っていた。
紫色の四角い少し厚めの板切れの様な物の真ん中より少し上に顔とおぼしき記号の様な物、
そして殆ど細長い棒か紐にしか見えない手足が生えたそれはいつの間にか隆士のすぐ後ろに居た。
「やっと気付いてもらえた、よかった…。」
呟くその声はよく考えると先ほど自分に呼びかけていた声だった。
「ええっと…貴方は一体、誰?それにここは何処ですか?」
とりあえず自分の正直な疑問をぶつけてみると
「ボクは『コジマアキラ』…えっと、簡単に言うと君達や君達の居る世界を作った神様…みたいなものかな。
そしてここはボクの話を聞いてもらう為に君の意識を呼び出したんだよ…。」
「……」
なんだか余計に状況が飲み込めなくなってきた…神様?話を聞いてほしい??呼び出した???
一体どういうことだろう…
810名無しさん@ピンキー:2005/07/04(月) 01:01:13 ID:k9Pv7kZk
ぐっじょぶですよう(`・ω・´)ノ何故か、タイトルでローカルな番組思い出してしまたが

そういえば、早紀たんがこのスレに最初に出てきた時もお料理中だったような。
ああいうタイプの女の子が好きな人のために家庭的なことに手を出すってシチュはやっぱしみんな好きなのね。

もちろん、自分もだが
811第0話 突然の始まり〜Is he god?:2005/07/04(月) 01:01:22 ID:Uo9ppMWj
「実は君達の世界に大きな危機が迫っているんだ、あいつは君達の世界そのものを否定し破壊しようとしている。」
「???」
最早何だかわからない。危機?否定??破壊???
「もうボクではあいつを止められない、だからこうして君に伝えに来たんだ。世界を、君の大切なものを守り、救って欲しいって。」
「どういう事ですか?世界を救えだなんて…、それにあいつって一体誰なんですか?」
「あいつはボクの分身、ボクから生まれた闇の邪念。もうボクはあいつに飲み込まれかけているんだ。」
「闇の邪念!?」
なんだか事がどんどん大きくなっています
「一体どうしてそんな者が生まれたんですか…それに飲み込まれるって…」
「…実は…」
ゴクッ…何だか訳がわからない状況にしても嫌が上でも緊張が走ります。
「最近すっごく仕事が忙しくって、ちょっと『休みが欲しいな〜』なんて考えてたらそいつが出てきて『じゃあ世界を変えてやろう、終わらせてやろうって…』言い出して。」
「………」
「言うや否やボクは意識が遠くなって…、多分あっちでは過労って事になってるけど本当はあいつに意識と身体を乗っ取られたんだ。」
「………それってつまり貴方の中のもう一人の貴方がこの世界を壊そうとしているって事ですか?」
さすが作家志望だけに非日常への飲み込みが早いのか程度の差はあれ身内に似たような人が居るからなのかアッサリと順応している。
「って言うかそれって貴方のせいなんじゃ…」
「……テヘッ」
「それに僕はただのデザインスクール生ですよ。そんな神様みたいな相手に何ができるんですか。」
もっともな話である。と言うか白鳥隆士はお世辞にも格闘技や運動に強いとは言えない。
812第0話 突然の始まり〜Is he god?:2005/07/04(月) 01:04:08 ID:Uo9ppMWj
「それは大丈夫。あいつだって世界のルールには逆らえない、一気に全部を消し去る事はできない。
だから少しずつ歯車を狂わせて最終的にこの世界が存在する意味を失わせ世界に矛盾を抱えさせる事で消去しようとしているんだ。」
「それってどういう事ですか?」
「簡単に言うと世界にあり得ない事やおかしな変化を生み出す事で自分の干渉できる幅を広げていき
最終的にこの世界がある意味を奪う事で世界を不要なものにするって事。」
「…それと僕が世界を守れる事とどういう関係があるんですか?」
「世界に干渉する事で起きる変化は当然君にも現れる。
と言うか世界にあるもの全てが何らかの影響を受ける。だからあいつが世界を滅ぼすための攻撃を行えば
当然君たちにもそれに対抗できるだけの力を得られるんだ。」
最早完全にSFの世界である、ほんわかアパートメントコメディはどこへ行ったのだろう…
「それでも…僕一人で何ができるんですか。無理ですよそんなの。」
そういうと『コジマアキラ』は微笑みながら(?)
「大丈夫、君は一人じゃない。君を支え、君に支えられる仲間が居る。君なら世界を守れる、
この世界がある意味と、君の大切な物を…」
まるで全てを知っている卓越した賢者(当たり前だが)の様に隆士を諭すと
「もう、限界だね。
既に同化されかけている僕が世界に干渉するとそれだけであいつの力を強める事になってしまうから
もう帰らなきゃ。既にあいつは世界に干渉、侵入するために少しずつ毒牙を伸ばしている。気をつけて、
そう遠くないうちに君の周りは変化を遂げる。
あいつの放った悪意が世界の中心たる君たちに襲い掛かってくる…
もうあいつは少しずつ世界を侵しかけている…」
そう言うとコジマアキラは眩しい光に包まれていった
「えっ、ちょ…待って…」
慌てて声をかけるがもうその時には隆士の視界には何も無い深遠だけがあった。そして…
813第0話 突然の始まり〜Is he god?:2005/07/04(月) 01:04:43 ID:Uo9ppMWj


ピピピピッ、ピピピピッ、
目覚し時計のアラームが隆士を現実に引き戻した。
「…一体今のは…夢だったのかな…?」
布団から上半身を起こして辺りを見回すとそこは慣れ親しんだ鳴滝荘の2号室、
部屋の机の上には食べ散らかされたおつまみのカス、床にはビールの缶、
ジュースやカップ酒のビンが散乱していた。間違いなく昨日から変わらない風景である。
普段きれいに片付いているこの部屋を散らかした張本人達はもう自室に戻ったのか部屋はとても静かだった。
「…やっぱりただの夢だったのかな…」
そう気持ちに整理をつけると、とりあえず目立つゴミを片付けてから簡単に着替えた後、
朝食を食べる為キッチンに向かった。冬の朝特有の何とも言えない空気の感覚を肌で感じながら
廊下を歩いていく隆士には庭の植え込みに潜む影に気付く由も無かった。
814たろ:2005/07/04(月) 01:07:46 ID:Uo9ppMWj
色々といたらない所も多いと思いますが今日はこの位で。
当たり前ですが作中の羊羹の言動は全てフィクションです。
次回からは何箇所か選択肢が入ります。それとTTRPGなので戦闘やアイテムの
要素がありますがあまり関係ないです。
815名無しさん@ピンキー:2005/07/04(月) 01:09:33 ID:k9Pv7kZk
更新してなかったせいで割り込んじゃった・・・(´・ω・`)ごめんなさい

そしてぐっじょぶ
816名無しさん@ピンキー:2005/07/04(月) 01:13:52 ID:5Va8zQEZ
このネ申共め!





今日は課題ないから早く寝させてくださいorz
817名無しさん@ピンキー:2005/07/04(月) 01:14:44 ID:eew/VKxG
うん、まあ、慣れてないならしょうがないけど
メール欄には半角でsageと入れようね。
つまらないところで損するのは勿体ないことだから。
818テイル:2005/07/04(月) 01:16:01 ID:k1HV8etk
>>本日のスープ
大泉洋?とにもかくにもGJです。
続きがどうなるか気になって(ry

>>814
TTRPG?TRPGの事?
どちらにしろ新しい切り口で乙です。
むしろセッションのリプレイも投下キボン。

ああ、出来ればルーンクエストで(ry
819ぐうたら:2005/07/04(月) 01:27:09 ID:1mPOfnRf
>>816
ゆっくり眠ればイイジャマイカ。
そのかわり貴方が寝てる間にも神作品がどんどんどんどんどん……

それと経過報告ー。
『The last moment』、後編執筆中!
……中編飛ばして。
アアッ!?やめてモノを投げないで!あ、やっぱりやめないで!!
全体的にストーリーは完成しているのでその骨に肉をつけていく感じの作業なんで、中編、後編のどちらでも書けるんです。
かなり力入れて書いてるんで、きっと皆様の心に響くようなものを!
ぐうたらでしたー。
820たろ:2005/07/04(月) 01:29:14 ID:Uo9ppMWj
どうもすいませんでした。
これで良いんでしょうか?
821517:2005/07/04(月) 01:31:20 ID:YnE9h/Cq
作家の皆さんにまとめてGJです。
今日はちょっとつけ入る隙が無かったですな。
投下のタイミングを見誤ったかしら・・・
822名無しさん@ピンキー:2005/07/04(月) 01:39:00 ID:ft4CPgL3
>>818
テーブルトークロールプレイングゲームだから、
TRPGともTTRPGとも略すことができますな
823雨の日:2005/07/04(月) 01:52:09 ID:fWPz+Hz9
夕方。
梢は食事の支度のためキッチンにいた。
鼻歌を歌いながら振り返る。
「珠実ちゃん、今日の夕食は何がいいかなぁ?」
「そうですねぇ〜…オムライスなんてどうですか〜?」
側には珠実もいる。今日の夕食の相談をしているのだ。
「オムライスかぁ…美味しそうだね♪それじゃあ早速準備しなくちゃ」
梢が冷蔵庫を開けようとしたとき、朝美が帰ってきた。
「お姉ちゃん、ただいま!」
「おかえりです〜…あら〜?」
帰ってきた朝美の制服はびしょびしょに濡れていた。
梢がタオルを持ってくる。
「ありがとうお姉ちゃん。急に雨が降ってきちゃって、大変だったよ〜」
雨。そういえばさっきからぽつぽつと連続した音が聞こえていた。
824雨の日:2005/07/04(月) 01:53:20 ID:fWPz+Hz9
「そういえば白鳥さんも傘持ってませんでしたねぇ〜…」
珠実が思い出したように言う。
朝は晴れていたのだから持っていなくても不思議ではない。
「じゃあ私が白鳥さんを迎えに行ってくるよ。珠実ちゃん、夕食の用意頼めるかな?」
エプロンの紐を外しつつ梢が言う。
「分かりました〜。朝美ちゃんにも手伝ってもらいますよ〜」
「うん!私にできることがあったら言ってね、珠実おねえちゃん!」
「というわけで梢ちゃん、こっちは心配なく〜」
珠実が梢に向かってにっこりと笑う。
「ありがとう。それじゃあ行って来るよ」
パタンと扉が閉まる。
珠実はふぅと溜息一つ。
「どうしたの?お姉ちゃん?」
「いや〜…梢ちゃんは本当に白鳥さんのことが好きなんだなぁ…と」
「そっか…わたしもあんなふうに思われたいなぁ…」
825雨の日:2005/07/04(月) 01:54:56 ID:fWPz+Hz9
雨の中。
パシャパシャと濡れた歩道を歩く音。傘に振る雨の音。通っていく車の水しぶきの音。
どれも心地よいものだ。雨の日はそんなに嫌いじゃない。
街中に移るものは全て灰色に見える。
しかし、普段見えないものが見える。普段とは違った見方ができる。
いつもはただ雑然と生えている草木も、雨の日は緑色を取り戻して映えて見える。
公園の近くを通ればカエルの鳴く声。アジサイにカタツムリ。
葉の影に身を休める昆虫。そしてその鳴き声。
いろいろな物が見える。聞こえる。
そんな雨の中を通る。
心は弾んでいる。大好きな人に会えるのだ。
雨の日の陰鬱な空とは対照的に心は明るい。
「ふふふっ♪」
思わず笑みがこぼれる。
826名無しさん@ピンキー:2005/07/04(月) 01:56:01 ID:fWPz+Hz9
駅に着いて辺りを見回す。たくさんの人が雨の中で目線を下げつつ歩いている。
その中で一組の男女を見つけた。
「白鳥さん、桃乃さん!」
「あ、梢ちゃん」
隆士と恵はそろって言った。
「迎えに来ましたよ。桃乃さんも一緒だったんですね」
「うん。さっき電車の中であってね」
隆士が答える。
「梢ちゃんがお出迎えとは白鳥君が羨ましいわねぇ〜」
「も、桃乃さん…あまり、からかわないで下さいよ…」
「恥ずかしがること無いでしょ。それじゃ帰りましょ」
「はい♪…あ」
そのとき梢はあることに気がついた。
「ん?どうしたの?梢ちゃん」
「えっと…その……傘が…一つしかないんです」
そう。梢の手には来た時にさしていた傘一つしか握られていなかった。
827名無しさん@ピンキー:2005/07/04(月) 01:57:33 ID:fWPz+Hz9
「…梢お姉ちゃん、傘忘れてるよ〜…」
鳴滝荘にて朝美がつぶやく。
「…まぁ、梢ちゃんらしいですけどね〜」
珠実も一緒だった。
「しかし…白鳥さんと相合傘してくる可能性大ですね〜」
「お姉ちゃん、顔が怖いよ…」
「帰ってきたら白鳥さんをどうしてやるですかねぇ…」
フフフとほく笑みながらそんなことを言っていた。

が、隆士と梢が相合傘で帰ってくることは無かった。
「いいの?私が傘使っちゃて?」
恵に傘を渡したからだ。
「いいですよ。私達は後から行きますから」
梢が言う。
申し訳無さそうにする恵。
「そう?悪いわね…今度何かお礼するわね。…それじゃお先〜」
傘を差して雨の中を恵が帰っていった。
828名無しさん@ピンキー:2005/07/04(月) 01:59:05 ID:fWPz+Hz9
棒立ちしている二人。
「……梢ちゃん、どうするの?」
隆士が尋ねる。
「…ちょっと濡れてしまいますけどこのまま帰りましょう」
「傘くらいなら僕が買って来るよ?」
「あ、いえ。いいんです。その…」
「?」
梢が少し恥ずかしそうにする。
「…白鳥さんのコートの中に入れてもらえますか?」
「え…」
確かに隆士の着ているロングコートなら、なんとか二人くらいのスペースがあった。
「…ダメですか?」
「い、いや、全然問題ないよ。えっと、はいどうぞ」
コートを開いて梢を入れる。体が密着。「一度こうしてみたかったんですよね」
「そう…なんだ」
「うふふ♪」
嬉しそうにする梢。
多少窮屈ではあるが、これなら寒くないし、あまり濡れないだろう。
歩きにくいけどそこは我慢。
829名無しさん@ピンキー:2005/07/04(月) 02:00:21 ID:fWPz+Hz9
「それじゃ行こうか」
「はい♪」
二人は雨の中をよたよたと歩きながら帰っていった。
(やっぱり雨が降ってよかった)
と梢は思った。


蛇足

イチャイチャしながら帰った二人を珠実が目撃。
「天国と地獄を味あわせてあげるですよ…」
「た、珠実ちゃん…これは、えっと…」
たじろく隆士。珠実はなぜかやたらとでかい金色のピコハンを取り出し振り上げる。
「問答無用〜。光になれぇぇぇぇぇえ!!!!!です〜」
「ええ!!?なんでそんな急にネタに走ろうとギャァァァァッァ!!!!!」
「今日はそんな気分だったんです〜」
白鳥隆士は光の粒子となって散った。

完。
830名無しさん@ピンキー:2005/07/04(月) 02:03:26 ID:2Pr311BX
>AIR
入手困難極まりない
首つr…もとい、澄百合学園の制服出されちゃ気をとられるわな
831あとがき:2005/07/04(月) 02:04:09 ID:fWPz+Hz9
とまぁ、話の変化の少ない話でした。
自分はギャグに走れないんですよね。小説だと。
別にシリアスでもないですし。エロでもないですし。
そんなにほのぼのでもないかなぁ…
832名無しさん@ピンキー:2005/07/04(月) 02:18:52 ID:5Va8zQEZ
寝ようとしてたのにまた投下か!!

>>831め!!おまいもネ申と同じだ!!
833 ◆cj23Vc.0u. :2005/07/04(月) 03:32:14 ID:Vqqatp24
ダレモイナイ、トウカスルナライマノウチ……

まずは気になったレスから。
>>810 タイトルでローカルな番組
>>818 大泉洋?
最初は「1/6の夢旅人」というタイトルでサイコロ人格錯綜ネタをやろうとした不届きモノです(ガクガクブルブル
実際は、

 8巻のクリスマスネタを読む→BGMで「本日のスープ」が流れる→電波トドイタ─wwヘ√レvv~(゚∀゚)─wwヘ√レvv~─ !!

という感じでこのSS作りに至ったわけでして。


それでは「本日のスープ」後編へどうぞ。
834本日のスープ (後):2005/07/04(月) 03:33:04 ID:Vqqatp24
「……んで、話はそこまでってことかな? 白鳥く〜ん」
「隠しゴトがあったら、とっとと白状するです〜」
「だから、これで話はおしまいですって!」
 帰ってきて早々、僕は自室で桃乃さんと珠実ちゃんに尋問を受けているわけで。
 珠実ちゃんはまだわかるけど、どうして桃乃さんまでいつも話を聞きたがるんだか……
「なーんだ、つまんないの。それじゃただのフツーのデートじゃないの」
「でも、梢ちゃんや早紀ちゃんの貞操が守られてて、ホッとしたです〜。
 もし汚したりなんかしたら……この世から白鳥さんを滅殺しないといけませんからね〜」
 だから、その笑顔は怖いって珠実ちゃん!
「しかし、梢ちゃんが早紀ちゃんに変わってたのがそういうことだったとはねー。まあ、
白鳥くんGJってところかな」
「悔しいですけど、GJです〜」
「あ、あはははは……」
 ビッと親指を立てる桃乃さんと、下に突き立てる珠実ちゃん――って珠実ちゃん、それはちょっと違うんじゃ。
「あの、それでちょっと質問があるんですけど」
「ん、何かな?」
「何です〜?」
 二人が座り直したのを見て、僕もテーブルの前に座り直す。
「あの、早紀ちゃんって料理……出来るんですか?」
「え?」
「あ〜」
 そう。
 ここに来てもう大分経つけど、まだ僕は梢ちゃんの別人格の料理は食べたことが無かった。
835本日のスープ (後):2005/07/04(月) 03:34:58 ID:Vqqatp24
「そうねー、出来ることは出来るんだけど……」
「言うならば『一球入魂』ですね〜」
「あー、そうそう。そういう感じ」
「い、一球入魂ですか?」
 まるでスポ根のような……
「まあ、百聞は一見に如かずです〜」
「そうだね、白鳥くんに見て貰ったほうが手っ取り早いか」

 がしっ

「いっ?」
 突然立ち上がった二人は、僕の両脇を抱えて、
「さーてっ」
「行きますか〜」
「ちょ、ちょっと〜〜〜〜〜〜!!」
 そのままずるずると進み出した。
 ううっ、立ち上がらせてくれたっていいじゃないか……
「うぉりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 だんっ! だんっ! だんっ!

「きぃえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

 じゃりっ! じゃりっ! じゃりっ!

 な、なに? この絶叫と轟音は……
836本日のスープ (後):2005/07/04(月) 03:36:12 ID:Vqqatp24
「おーおー、やってるねー」
「相変わらず豪快さんです〜」
「うわっ!」
 二人はそのまま僕のことを引きずると、炊事場の前へ放り出した。
「ひ、ひどいじゃないですか!」
「まあ、よく見るです〜」
「え?」
 珠実ちゃんに言われて、僕はドアの隙間から中を覗いてみた。
「とぉりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 ざしゅっ! ざしゅっ! ざしゅっ!

「す、凄い……」
 早紀ちゃんが物凄い勢いで包丁を振り下ろす度に、まな板の魚の身が素早く、綺麗に切り刻まれていく。
 見た目は豪快だけど、大きさはちゃんと揃っている。
 それに、大鍋からはコンソメとかトマトとか、いろいろな調味料のいい匂いがしてきた。
「ほほー、さすがは早紀ちゃん。相変わらず腕がいいねぇ」
「今日のメインディッシュは期待できそうですわね〜」
「本当、美味しそうな香りですね」
 梢ちゃんの料理もいつも美味しいけど、早紀ちゃんもその腕をしっかり持ってるってことなのかな。
「で、珠ちゃん。他に何か作ってる気配は?」
「ありませんわね〜」
「あー、そっか……」
 桃乃さんの問いに、珠実ちゃんがすぐさま答える。
 確かに、このスープにだけ集中してるみたいだけど……
837本日のスープ (後):2005/07/04(月) 03:36:55 ID:Vqqatp24
「さて白鳥くん、『一球入魂』の意味、わかったかな?」
「もしかして、おかずが一品だけしかないってことですか?」
「甘いですわね〜。北海道名産『よいとまけ』以上に甘々ですわ〜」
「ほらほら白鳥くん、炊飯器とかよーく見てみ」
「炊飯器……ですか?」
 桃乃さんに言われたとおり、テーブルの上にある炊飯器を見てみる。
 ……あれ?
 蓋は閉まってるけど、ランプはついてなくて……電源コードも……
「は、入ってない?!」
「はい、ご名答だけど減点いちー」
「ということは、夕飯はご飯なしで……」
「まあ、そこが早紀ちゃんのお茶目なところですけどね〜」
 なるほど、「一球入魂」って「おかず一品に魂を込める」ってわけね。
「まあ、今回みたいに具だくさんならいいけど、前は茶碗蒸しのみとかあったからね」
「あの時は、鯛が一匹まるごと入ってて豪快だったです〜」
 つまり、早紀ちゃんは豪快料理担当なのかな?
「でも皆さん、食べたあとにお腹空いたりしないんですか?」
「大丈夫大丈夫。足りなくてもあたしらで何か作ればいいし」
「わたしは梢ちゃんの料理だったら、大満足で食べられるです〜」
「そ、そうですか」
 そこはさすがに、長年早紀ちゃんたちと接してきただけあるってことか。
「んじゃ、あたしは腹を空かせて待つことにしますかね」
「わたしも、じっくりたっぷり待つです〜」
 そう言うと、二人は楽しげに自室のほうへと戻っていった。
838本日のスープ (後):2005/07/04(月) 03:38:30 ID:Vqqatp24
 ……さて、僕はどうしようか。
 ただ一人、ぽつんとここに残されちゃったけど……
 また覗いてみると、早紀ちゃんはさっきの魚をフライパンで焼いていた。
 サラダ油、じゃなくて――ペペロンチーノとかでよく使われる香りの油の匂いが、ぱちぱちって
音と一緒に、こっちまで漂ってくる。
「よしっ! あとはこれでじっくり煮込ませると!」
 早紀ちゃんはまくっていた袖を戻すと、勢いよくこっちのほうへ振り返った。
「…………」
「…………」
 となれば当然、
「…………」
「……や、やあ」
 目と目が出会ってごっつんこ、ってことで……
「ししししししししししし白鳥っ!?」
 そう言うと同時に、早紀ちゃんがこっちにやってきてドアを盛大に開ける。
「ご、ごめんね、なんか覗き見しちゃって」
「バカッ! 男だったら堂々と見ればいいのに……ほらっ、入れよ」
「あ、はい、お邪魔します」
 前だったら鉄拳が一発は飛んできたのに、今日はしょうがないっていう風に苦笑いしているだけ。
 やっぱり、僕のことを考えてくれてるのかな。
「なんだ、今日の夕メシが気になったのか?」
「あはは、なんだかいい匂いがしてきたから」
「そーだろそーだろ? なんてったってアタシの十八番だからな!」
 胸を張って言う早紀ちゃんは、どこか誇らしげに見える。それだけ、この料理に力を入れてる
ってことなんだろう。
839本日のスープ (後):2005/07/04(月) 03:39:54 ID:Vqqatp24
「ところで早紀ちゃん、今日のこの献立って何なのかな」
「ああ、これはブイヤベースって言ってな、海の幸がいっぱいなスープなんだ。
 ま、ぶっちゃけて言えば外国の鍋物みたいな感じだけどな」
「へえ」
 ブイヤベースか。そういえば、母さんが作ったことがあったっけ。
「冷蔵庫の中にいっぱい魚があって、今日の買い物にも海老とかあったから使ってみたんだ」
「そ、そうなんだ」
 確か、今日は浜鍋とか梢ちゃんが言ってたけど、一応これも浜鍋……で、いいのかな?
「それに、これがあったからな」
 そう言いながら、早紀ちゃんは洗い場にある七枚の皿に手をやった。
「あ、これって……」
 それは、今日の昼間に梢ちゃんが買ったお皿――『スープ専用のお皿があってもいいかも
しれませんね』って言って買った、少し深めのお皿。
 白くてシンプルだけど、ワンポイントのお魚柄があってかわいいって言ってたっけ。
「折角買ってあったんだし、これを使わない手は無いだろ?」
「そっか……そうだね」
 ――やっぱり、梢ちゃんの見立てはぴったりだったんだ。
 無意識なのか、それとも記憶の共有なのかかわらないけど、それを早紀ちゃんが引き継いでいる
かもしれないことが、なんだか嬉しかった。
「な、なんだよ。突然笑ったりして」
「いや、早紀ちゃんの力作が早く食べてみたいなって思って」
「ば、バーカ! いきなり恥ずかしいコト言うなよ!」
「えっ」
 僕を軽く突き放すと、早紀ちゃんは顔を紅くしてそっぽを向いた。
 普通に言っただけなんだけど、そう言われると僕もなんだか照れてくるな……
840本日のスープ (後):2005/07/04(月) 03:41:42 ID:Vqqatp24
「で、でも、折角ここまで来たんだからな、味見させてやるよ!」
「えっ、いいの?」
「ただし、一口だけ! あとは夕メシ時だからな」
「う、うん」
 相変わらず照れたまま、早紀ちゃんが鍋の蓋を手にしてゆっくりと開けた。
「……いい香りだね」
 瞬間、炊事場にふわっとコンソメとトマトの香りが広がる。
 少し遅れて、魚介類のいい匂いも漂ってきた。
「だろ? じっくり小魚からダシを取って、魚介のダシもだんだん出てくるからな」
 早紀ちゃんが自信ありげに言いながら、お玉で鍋からスープを少しすくった。
 手にした小皿に注がれたそれは、赤みががった――だけど、どこか澄んでいる色をしている。
「綺麗なスープだね」
「ま、まあ、飲んでみてくれって」
「うん」
 早紀ちゃんは相変わらず視線を逸らしたまま、その小皿を差し出してきた。
 それを受け取って、スープを一口すする。
「…………」
「ど、どうだ?」
 口の中に、コンソメの風味とトマトの酸味が広がっていく。
 それだけじゃなくて、いろいろな魚の風味もいっぱい感じられて……
「うん、美味しいよ!」
「ほ、本当かっ?!」
「もちろんっ」
 このスープは、とっても優しい味がする。
 豪快そうに見えた作り方だけど、早紀ちゃんらしいというか、なんというか……上手く言えないけど、
そんな味がした。
841本日のスープ (後):2005/07/04(月) 03:42:34 ID:Vqqatp24
「そ、そっか……よかった……よかったぁ」
「さ、早紀ちゃん?」
 安心そうに呟いて、早紀ちゃんはへたり込むように椅子に腰掛けた。
「大丈夫? 疲れたの?」
「い、いや、なんてーか、その……
 白鳥にそう言ってもらえて安心したっていうか、とっても嬉しくて」
「早紀ちゃん……」
「ほら、アタシの料理を食べてもらうのって初めてだから、緊張して……
 でも、やっぱりいつも通りの料理を食べてもらいたかったんだ。
 アタシたちは恋人なんだから、よそ行きじゃなくていつものをって思って……」
 その言葉が、僕の心をほんのりと暖かくしてゆく。
 形は違うけど、みんながこうして僕のことを想っていてくれているんだ。
 それが、とても嬉しくて……
「ありがとう、早紀ちゃん」
 とても、愛しくて。
「し、白鳥!?」
 たまらなくなった僕は、早紀ちゃんの頭に手を置いて、
「あっ……」
 そっと、撫でてあげた。
「本当に、ありがとう。
 早紀ちゃんの優しさがいっぱい詰まったスープ、大事に食べるからね」
「ば、ばか……ハズカシイこと言うなよ……」
「だ、だって、早紀ちゃんが正直に言ってくれるから……」
 だから、僕もちゃんと伝えなくちゃって、そう思って。
「そう言ってくれると……アタシも、うれ……しい……」
「ん……」
 早紀ちゃんの顔が真っ赤だけど……僕も、きっと顔が真っ赤になってるんだろうな。
842本日のスープ (後):2005/07/04(月) 03:43:42 ID:Vqqatp24
「そ……それじゃ、そろそろ晩ご飯にしよっか」
「そ、そうだな。もうそろそろ時間だし――ってあぁぁぁぁぁっ!!!!」
「うわっ!!」
 突然の早紀ちゃんの絶叫に、僕はたじろいで一歩後ずさった。
「ど、どうしたの?」
「ご、ご、ごっ、ごはんっ、ごはん忘れてたっ!!」
「あっ」
 そういえば、全然炊いてなかったんだっけ。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! どうすりゃいいんだ! これから米をといで水に浸して
炊いたら、9時まわっちまうじゃんかよ〜〜〜〜っ!!」
「だ、大丈夫だよ、これから早炊きすれば――」
「ダメだっ! ダメダメッ!! 早炊きは味が落ちるんだから、今日のには合わないんだよっ!」
「そ、そうなんだ」
 さすがは料理に力を入れてるだけあって、完璧なものを作りたいんだろうな。
「あ〜〜〜どうしよどうしよどうしよどうしよ、どうすりゃいいんだっ!」
 だからといって、早紀ちゃんがこのままだと可哀想だし……って、そうだ!
「ね、ねえ、早紀ちゃん」
「う〜〜……な、なんだよ白鳥」
 頭まで抱えちゃって、すっかり参っちゃってるみたいだ。
「あのね、家の母さんがやってたことなんだけど……冷蔵庫に、にんにくってあったかな?」
「にんにく……それだったら、さっき使ったけど」
「それじゃあ、バターと……あとパセリ」
「それもさっき使ったから全部揃ってるけど、何するんだ?」
「うん、ちょっとね」
 まだ落ち込んでる感じの早紀ちゃんに笑いかけて、冷蔵庫の横にストックしてあった食パンに手を伸ばす。
843本日のスープ (後):2005/07/04(月) 03:45:28 ID:Vqqatp24
「前に母さんがブイヤベースを作ってくれたとき、付け合わせで出してくれたんだけど……」
 何枚かパンをまな板に用意して、冷蔵庫の中からバターとにんにく、パセリを取り出して一緒に置く。
「えっと、確かパンにバターを塗って、にんにくを刻んでその上にまぶして、パセリをかけるんだっけ」
「それって、もしかしてガーリックトーストか?」
「それそれ。ブイヤベースにはこれが似合うって、母さんが作ってたんだ」
「だったら、アタシも手伝う!」
「大丈夫だよ。早紀ちゃんも全力で料理して疲れたでしょ? だから、これは僕が作ってあげるよ」
「うっ……で、でもっ」
 一瞬嬉しそうだったけど、早紀ちゃんはどこか不満だったみたいで唇を尖らせた。
「じゃあ、一緒に作ろうか?」
「えっ?」
「パンにバターを塗っておいたり、にんにくを刻んだりしなきゃいけないからね。
 そうすれば早く終わるし、少しは楽になるでしょ?」
「あ、ああ。じゃあ、さっさと作ろうぜ!」
 早紀ちゃんは椅子から立つと、さっきとは打って変わって元気よく腕をまくった。
「そうだね、早く作らないと」
「んじゃ、アタシはにんにくを刻んでおくよ」
「それじゃ、僕はバターとパセリのほうをやっておくから」
「うんっ」
 そして、僕たちは二人並んで台所に立った。
 人数分だけじゃちょっと足りないかもしれないから、何枚か余分にバターを塗っておく。
 それに、パセリをぱらぱらっとふりかけて……
844本日のスープ (後):2005/07/04(月) 03:46:38 ID:Vqqatp24
「なあ、白鳥」
「うん?」
 包丁を動かす手が止まったのを見て、顔を早紀ちゃんのほうに向ける。
「アタシも、ありがとうな。その……一緒にいてくれて。
 たまにムチャやっちまうけど、その度に白鳥がいてくれたから助かった」
 また赤らんでいる、早紀ちゃんの顔。
「でも、白鳥も何かあったら……あ、ああ、男なんだから、生半可なことで呼んで貰っちゃ困るけどな!
 その、えっと……いつだって、頼りにしてくれていいんだからさ」

 その表情は、本当に幸せそうで、

「……うんっ」

 ぽかぽかと暖まった僕の心にも……

「さ、さあ、早くやっちまおうぜ。みんな腹を空かせてるだろうしな」
「そうだね、急ごうか」
「おうっ!」

 幸せのスープが、たくさん満ちていきました。


<本日のスープ/了>
845 ◆cj23Vc.0u. :2005/07/04(月) 03:49:23 ID:Vqqatp24
――以上「本日のスープ」でした。

なんだかイキオイだけで書いちゃいましたね。
あとで見たら赤面したくなるかもしれませんが、やっぱりこのイキオイで今投稿ということで。
何かありましたら、指摘・ご意見など何でも受け付けますので、宜しくお願い致します。


それでは、またいつかお会いしましょう。

846名無しさん@ピンキー:2005/07/04(月) 04:03:29 ID:gDpYgEnD
早紀ちゃんかわええ〜
読んでて顔がにやけてきた

早紀スキーな私には、すごいぬくぬくでよかったです
またよろしくお願いします。
847名無しさん@ピンキー:2005/07/04(月) 07:52:25 ID:iDUv0u5j
MMOまだなんですかぁ・・・
848名無しさん@ピンキー:2005/07/04(月) 09:41:31 ID:eew/VKxG
勢い重視っていうのはそれだけ愛情が込められているという意味。
早紀スキーなことがひしひしと伝わってくるデスね。

いつかと言わず、また愛情たっぷりの力作をお待ちしてマスよ。
849名無しさん@ピンキー:2005/07/04(月) 09:59:47 ID:0M/NmTwm
>829
社交辞令。

ゲム・ギル・ガン・グォー・グフォ……ウィータァァァァァ!!
850名無しさん@ヒッキー:2005/07/04(月) 13:10:25 ID:uu5RYdc5
誰か珠実のSSかいてくれ〜
設定とかは、昔白鳥が鳴滝荘に来たときに
どっかであったことがあるとかどうよ?
851妄想特急:2005/07/04(月) 13:18:04 ID:7cOOEOGD
GJな作品ばかりで、悦楽至極〜
更なる早紀ちゃんラッシュに期待!
オレにも電波きてくれ〜〜〜
852名無しさん@ピンキー:2005/07/04(月) 15:23:32 ID:0M/NmTwm
水澄 亮か……名乗ればいいのに
853名無しさん@ピンキー:2005/07/04(月) 15:43:20 ID:tb5REmoz
サイトあったのか
なんも隠すこと無いのに
854妄想特急:2005/07/04(月) 20:01:56 ID:C9+2/Np5
勝手に改まった感想を・・
>>831  「隆士」と「粒子」を掛けていたことに
今頃気づいた・・・GJです!
>>845 早紀ちゃんラブリ〜&料理の知識凄ッ!!
855517:2005/07/04(月) 20:15:13 ID:XmsT3+qI
投下するなら今のうちですね。
あと今更なんですが、隆子は
ttp://black.skr.jp/mahoraba/pbbs/data/IMG_000012.jpg
この絵をイメージして書きました。
自分もこの絵を観ながら恋のマホウ読んで悶絶したクチなんで。

では続きを投下します。
856The fateful decision:2005/07/04(月) 20:16:38 ID:XmsT3+qI

「ん?なんだこのメモ・・・変身呪文――パポップ・ペプッポ・ピペッポ?」


迷っている暇は無かった。浴場の出入り口からは離れ過ぎてしまっている。
辺りを見回して姿を隠せる場所を探す。ああっ、あれだ!
「なあ白鳥、このメモどういう意味うげっ!!」
翼君の視線がメモから上がりきる前に体当たりを浴びせる。
そしてその勢いのまま走り切ってダイブ。

どぼ〜〜ん!

「いててて。おい白鳥!風呂場で走っちゃいけないって教わらなかったのかよ」
翼君は転んだ体勢のまま言う。
「あはは・・・ごめんごめん、あの僕、泡風呂に目が無くって・・・」

僕が隠れる場所として選択したのは、泡が吹き出してくるジェットバスのような浴槽だった。
位置関係から考えてベストチョイスだったと思う。
それにここなら泡に隠れて体を見られることは無い。
今の翼君の反応から見て、気付かれてはいないようだ。
僕は首までしっかりお湯に浸かって体を隠す。それにしてもかなり湯温が高いな・・・
持っているものは前が隠せるぐらいのタオル1枚だけだった。
857The fateful decision:2005/07/04(月) 20:17:51 ID:XmsT3+qI

僕は今の状況を確認するために自分の胸を触ってみた。

《ぷにゅ・・・むにむに》

ああ〜、やっぱり〜;;;

下の方を探ってみる。

(無い・・・)
僕の体は正真正銘、生粋の女になっていた。
一体何だって選りにも選って、男湯の中でなんか変身しちゃうんだ〜〜!!!
ひぃぃぃぃん;;;;

そうだ・・・・
朝、メモをタオルの中に隠しておいたのをすっかり忘れていた。
僕の不注意のせいだ・・・
858The fateful decision:2005/07/04(月) 20:18:25 ID:XmsT3+qI

「おうどうした?泡風呂に入れたのがそんなに嬉しいか?」
僕は泣きながらカクカクと頷く。
「ふーん変わった奴だなおまえも・・・・ん?なんか顔つき変わってないか?」
(ドッキーン!)
「そ、そんなわけないでしょ!気のせいだよ気のせい!」
「?・・・まあいいや、そんなことより・・・・鳴滝荘のおねえさま達〜!!いらっしゃいますか〜!!?」
浴場の中を大音響が響き渡る。
これなら居れば一発で気がつくだろう。
しばらく沈黙が続いた後、
「だ!誰よあんた!!」
幾分警戒した様子の桃乃さんの声がした。いきなりこんな場所で呼び掛けられれば当然だろう。
「ああ!その美声はピンクの髪のセクシーなおねえさん!!」
「だから!誰だって聞いてるのよ!」
「僕は以前お会いした、白鳥の友人の翼という者です〜!!」
はあ〜とため息のような音が聞こえた。
「あんたなんでこんな所にいるのよ!」
「はい〜!今日は白鳥に部屋に泊まるように誘われまして!」
――勝手に決めたくせに。
「ですから今日はよろしくお願いしま〜す!」
何やら相談するような声が聞こえる。
859The fateful decision:2005/07/04(月) 20:19:35 ID:XmsT3+qI

「白鳥さ〜ん!そこに居るですか〜?」
珠実ちゃんが聞いてくる。
「う、うん!居るよ!皆そこにいるの?」
「梢ちゃんも沙夜子さんと朝美ちゃんも居るですぅ〜、今、梢ちゃんとお背中流しっこし終わって、これからマッサージし合うところですぅ〜。
 ――あふぅ!梢ちゃん駄目ですぅ!そんなところを触っちゃおかしくなっちゃうですぅーー!!!」
「珠実ちゃん!変な事言わないでっ!!」
梢ちゃんの声が聞こえた。
珠実ちゃんの言葉はあからさまな挑発だったけれど、今はそんなことにかまっていられない。
何とかこの状況を打開しなければ。
翼君を見ると、倒れたまま「生きてて良かった」と繰り返し言いながらぴくぴくしている。
倒れてない部分もあるけど・・・
僕は翼君のそのモノを普段通り特に何も考えずに見てしまった。
(ドキン!)
えっ?何これ?
頭は到って冷静なのに、心臓が激しく鼓動してる。顔もどんどん火照ってきた。
うわ〜!なな何なんだこのドキドキは!
なんで男の僕が・・・マズイってば!――認めない!認めたくない!

とりあえず今の状況を珠実ちゃん達に知らせないと!
ああでもどう言えばいいんだろう。翼君に気付かれないようにしないと。
860The fateful decision:2005/07/04(月) 20:20:36 ID:XmsT3+qI

「珠実ちゃん!」
僕は壁の向こうに呼び掛けた。
「何ですか〜?想像して興奮しちゃいましたかぁ〜?」
「そんなんじゃないってば!―――えーと・・・・・パポップ・ペプッポ・ピペッポ!!」
気付いてくれただろうか?
「!!・・・・」
「珠実ちゃ〜ん!;;」
自然と哀願するような口調になってしまう。
「分かったですぅー!ちょっと待ってるですぅー!」
バシャっと水のはねる音がした後、ダダダダと駆けていく音が聞こえた。
よかった・・・気付いてくれたみたいだ。
後は珠実ちゃんが助けに来てくれるまで、何とか翼君に気付かれないように・・・
「なあ白鳥、その変な呪文みたいなのは何なんだ?さっきのメモにも書いてあっただろ」
「えっ?い、いや〜、大した意味は無いんだ!うん!気にしないで」
翼君は一瞬怪しむような顔をしたけど、三歩歩いたら忘れたようだった。
今はサウナと水風呂に交互に入って遊んでいる。
861The fateful decision:2005/07/04(月) 20:21:18 ID:XmsT3+qI

それから10分ほど経っただろうか、まだ珠実ちゃんは現れない。
幸いな事に他のお客さんは一向に来ない。
これが混雑時や、珠実ちゃん達がいない時だったらと考えるとぞっとする。
水風呂から上がった翼君が話し掛けてきた。
「おい見ろよこれ!水風呂で冷やしたらキン○マ袋がこんなに縮まっちゃったよ!ハッハッハ!」
自慢げに腰に手を当てて見せてくる。
「うわッ!そんなの見せないでよ!」
普段なら苦笑いで済ますところだけれど、今は顔を真っ赤にして目を逸らしてしまう。
ジェットバス効果もあってか頭がだんだんクラクラしてくる。

「ちょっとあんた!こっちには純真無垢な乙女達がいるんだから、少しは言葉を慎みなさいよ!」
壁の向こうから桃乃さんが怒鳴る。
そういえばそうだった、梢ちゃんや朝美ちゃんはどんな顔をして聞いてるんだろう・・・
「いいえ〜、それは違いますよおねえさま。僕はただ、さっきのサービスのお返しをしようと思って」
「サービスしたつもりもないし、お返しなんか要らないわよ!」
翼君は少し驚いた様子で言った。
「あれ、怒っちゃったよ・・・女心は分からねえなぁ」
「(女心は分からないけど、君がモテナイ理由は分かったよ)・・・」
「ん?なんか言った?」
862The fateful decision:2005/07/04(月) 20:22:13 ID:XmsT3+qI


もうかれこれ20分近く、ずっとジェットバスに入り続けている。
何とか隙をついて逃げ出そうとするのだけど、翼君が落ち着き無く動き回るのでそれも叶わない。
そうこうしてるうちに他のお客さんが数人入って来てしまった。
どうしよう、これは本当にマズイ、冗談じゃなく意識が朦朧としてきた。これが脱水症状というんだろうか。
もういっそのこと恥を捨てて出てしまおうかとも思ったけれど、もしこの体を翼君に見られて
そのことが学校の人達なんかに知れ渡ってしまったら、僕はどう思われるのだろう・・・?

――ずっと男だと思わせていたけれど、実は女だった。

これほどセンセーショナルな話題はあっという間に広がってしまう。
学校を介して親にも噂が伝わってしまうかもしれない。
嫌だ、そんなことは絶対嫌だ。

今何とか我慢をする気になっているのは珠実ちゃんが来てくれる事を信じてるからだ。
ああ、早く来てくれ珠実ちゃん・・・・

「白鳥ー、おまえ大丈夫か?顔真っ赤だぞ?・・・それにずーっとそこに入りっぱなしだろ?」
とうとう翼君に不信がられてしまう。
「うん・・だいじょぶ・・・それより、まだ・・あがらないの・・?」
頭が朦朧として、呂律が回らなくなってきた。
「ああ、じゃあそれに入ってからあがるわ」
翼君は僕が入ってる浴槽を指差して言った。

ああそう・・・・って、ええ〜!!

863The fateful decision:2005/07/04(月) 20:24:09 ID:XmsT3+qI

翼君はゆっくりと泡風呂の中に入ってきた。
「ふぅ〜、確かにマッサージされる感じがなかなか良いなぁ」
僕はもう居心地が悪くて仕様が無い。

「ところで白鳥、おまえ、どのくらいだ?」
翼君が何を言いたいのか分からなかった。
「・・どのくらいって・・・なにが・・?」
「だから、ナ・ニ・が・だよ」

これで理解した、翼君が言いたい事が。
そしてこの話題は、今の僕にとって致命的なものだ。
とりあえずこの話題を逸らすために惚ける事にした。

「・・ん・・・なんのこと・・かな・・」
「なんだよ水癖ぇな、俺とおまえの仲だろ?ちょっと見せてみろよ」
誤魔化すことはできなかった。それどころか翼君は無理やり手を突っ込んでこようとする。
「・・や・・・やめてって・・おねがいだから・・」
体力の限界にきている僕はそれを防ぎきれない!
「いいじゃねえか、減るもんじゃ無し・・・」


スカッ


864The fateful decision:2005/07/04(月) 20:25:00 ID:XmsT3+qI

「ん・・・・・?」
翼君は不思議そうな顔で自分の手を見詰めていた。
「白鳥・・・おまえ・・・・」

(ああっ、気付かれた!!これはもう言い逃れできない。どうなってしまうんだ僕の人生!?)

翼君は、ぽんと僕の肩を叩く。


「男の価値はナニの大きさで決まるんじゃねえ――――ハートのでっかさだぜっ!」
ニッ、と最高の笑顔で励ましてくれる翼君。

ありがとう・・・・君の鈍さに感謝する。

それだけ言うと満足したのか、翼君は少し僕から離れた。
865The fateful decision:2005/07/04(月) 20:25:47 ID:XmsT3+qI

「しっかしなぁ〜、勿体無いよな〜」
翼君は天井を見上げながら、そうつぶやいた。
「・・・なにが?」
「なんでおまえみたいな奴が女じゃねえんだよ」
「・・・・・・」
今度は何なんだろう、早く解放してよ・・・

「ああ悪い、こんな事言われたって不愉快になるだけだよな。でもな、俺以外にもこう言う野郎共は結構いるんだぜ?
  『もし白鳥が女だったとしたら、誰にも渡さねえ』ってな。――おい冗談だってば、そう赤くなるな。気味悪がるな」

何とも複雑な気分だった。
普段友達として接してきた人達にそんな目で見られていたなんて・・・。
僕ってそんなに女っぽいのか?それとも今の女の子に変身してしまう体質が何か影響してるんだろうか。
866The fateful decision:2005/07/04(月) 20:26:51 ID:XmsT3+qI

「じゃあ俺はこれであがるわ。おまえも幾ら好きだからって長すぎるのは体に良くないぞ」
「・・うん・・・わかった」
そういうと翼君は出入り口の方へ向かっていく。やがて人が出て行く気配がした。

さて、やっと翼君から解放された。もう少ししたら服を着て脱衣所からも出て行くだろう。
でもまだ問題は残っている。僕の他にこの浴場内にいるのは――4人。

思いきって、走って突っ切るのはどうか?いや余計に目立ってしまう。

ホフク前進はどうか――――今の女性の体でやるには卑猥すぎる。
もし見つかって襲われたとしても文句が言えない。

何か、何かないだろうか。視界が一定時間消えるような手段は。
照明を消す?どうやって?
UFOだ!っとでも叫んでその隙に――馬鹿馬鹿しい。

そんなことを考えているうちにも、どんどんと症状が悪化していく。
頭はガンガンと痛くなり、視界が白く埋まっていく。

――もう駄目だ、諦めよう。
そう思い立ち上がろうとした時だった。

服を着たままの少年が浴場内に入ってきた。
その少年は手に何か白い物と大きめのバッグを持っている。
そして迷わず一直線にこちらに向かってくる。


「白鳥さん、まるで茹ダコですぅ〜」
867The fateful decision:2005/07/04(月) 20:27:35 ID:XmsT3+qI

(珠実ちゃん!)
やっと来てくれた。帽子やマスクで変装しているけれど、それは紛れもなく珠実ちゃんだった。
「・・ああ・・・もう・・おそいよ」
「男物の服が無かったんですぅ〜、さあ無駄口叩いてないでこれを着けてあがるですぅ〜」
珠実ちゃんが持っていた白い物は、大きめのバスタオルとバスローブだった。

「とりあえずタオルを巻いてその中から出て、バスローブを着るですぅ〜」
ああ、ちゃんと体を見られないように気を配ってくれてるんだ。その気遣いがありがたかった。
僕はタオルを受け取ると言われた通り体に巻いた。そして立ち上がろうとしたが


グラッ

「わ!わ!」
「おっとぉ、そうとう脚にきてますね白鳥さん」
珠実ちゃんがバランスを崩した僕の腕を引っ張ってくれた。
「なんでこんなになるまで我慢したんですかぁ〜。下手したら命に関わってましたよ〜?」
「え、・・・だって珠実ちゃんが来てくれるって・・・信じてたから」
僕は思ってた事を素直に言った。助けが来ないと思っていたら、いくら僕でも恥を忍んで出ていただろう。
すると珠実ちゃんは何故か一瞬だけ悲しそうな表情をした。
868The fateful decision:2005/07/04(月) 20:28:13 ID:XmsT3+qI

僕は浴槽から出てバスローブを着ると、その中でバスタオルを取った。
いつもより長くなった髪はずっと浴槽の中に浸していたからずぶ濡れになっている。
珠実ちゃんは別のタオルを取り出すと、タオルをターバンのようにして髪の毛を纏めてくれた。
流石に女の子だけあって慣れた手つきだった。

「さあ、怪しまれないうちにさっさと出るですぅ〜」
今の状態は男湯の中ではそれなりに怪しいのだけれど、
他のお客さん達はそれぞれ頭を洗ったり体を洗ったりしていて、こちらに注目している人はいない。

僕は歩き出そうとしたが、また立ち眩みがして倒れそうになった。
「はぁ〜もう、危なっかしいですねぇ〜。頭を打ったら大変ですから、ほら、乗ってください」
珠実ちゃんは中腰になって僕を背負ってやると言う。
僕は女の子におんぶされるという事に抵抗があったけれど、
早くこの場から出たいという気持ちの方が強かったので、その言葉に甘える事にした。
869The fateful decision:2005/07/04(月) 20:28:55 ID:XmsT3+qI

「ありがとう、優しいんだね珠実ちゃん」
珠実ちゃんに身を委ねながら言う。
「そんなこと言ってると、梢ちゃんに言い付けちゃいますよ〜?」
「えっ、なんで?・・・梢ちゃんだって『珠実ちゃんは優しい子ですよ』って言うに決まってるじゃない」
「(ふぅ〜、流石梢ちゃんの彼氏ですぅ〜)・・・」
「?・・・」

脱衣所に出ると幸いな事にそこには誰も居なかった。
僕はとりあえず乾いた喉を水道水で潤す。

「で、なんでこうなっちゃったんですかぁ〜?」
珠実ちゃんが聞く。
「うん・・・朝貰ったメモをタオルの間に隠してて、それをすっかり忘れてたんだ・・・
 それでそのタオルを運悪く使っちゃったんだ」
「見て憶えたら、さっさと処分しておけばよかったのに〜ですぅ〜」
「うん・・・・そうだね・・」
珠実ちゃんはそれ以上のことは言わなかった。
870The fateful decision:2005/07/04(月) 20:29:37 ID:XmsT3+qI

「一応誰が入ってくるか分からないので、トイレで着替えましょう」
そういうと珠実ちゃんは真っ赤なレースのパンティを手渡してきた。
「こ、これは?」
「毎回同じ事言わせないでください〜」
「いや、女性用の下着を着けるのは仕様が無いと思うけど、流石にこれは派手すぎない?」
お尻の部分なんかほとんどTバックと言っていいほどの急角度だ。
そういうと、珠実ちゃんは悪戯っぽい顔で
「そんなことないですぅ〜、今の女の子はそのくらい普通ですぅ〜。白鳥さんが知らないだけですぅ〜♪」
と言う。なんか楽しんでない珠実ちゃん?
871The fateful decision:2005/07/04(月) 20:30:20 ID:XmsT3+qI

僕は自分で持ってきた着替えを持ってトイレに入った。
思ったよりスペースが有って着替えるのに差し支えない。
と、何故か珠実ちゃんも一緒に入ってくる。
「なんで珠実ちゃんも一緒に入ってくるの!?」
「気にしないでくださいですぅ〜。ほら早くそれを穿くですぅ〜」
釈然としないながら下着を身に着ける。
穿いているんだか穿いてないんだか分かりゃしない。お尻なんかほとんど丸出しだ。
その時、
「それぇ〜!!ですぅ〜♪」

バッ!

突然バスローブを剥ぎ取られる僕。
何が起きたのか分からず、咄嗟に胸を両腕で隠す。

「なッ!何するんだよ珠実ちゃんッ!!」

パシャリ

「うふふ〜、白鳥さん、凄く色っぽいですぅ〜」
珠実ちゃんはいつの間に取り出していたのか、デジカメで僕の姿を撮っていた。
872The fateful decision:2005/07/04(月) 20:30:54 ID:XmsT3+qI

僕は今撮られた写真の構図を想像して暗澹とした気持ちになる。
赤い挑発的なパンティを身に着けた、上半身裸体の女性。
胸を両腕で隠し、その顔は羞恥で赤く染まっている・・・・

そして今の自分の置かれている状況に恐怖する。
三方は壁で正面には珠実ちゃん。逃げ場がないし、声も外に届かない。しかも今は抵抗できるほどの体力も無い。
さっきまで信頼していた珠実ちゃんの笑顔がどんどんと恐ろしいものに見えてくる。

「さあ、おとなしくしてくださいですぅー」

「な・・・何をするつもり・・なの・・・・?」
声が震えてしまうのを抑えきれなかった。

873名無しさん@ピンキー:2005/07/04(月) 20:33:04 ID:XmsT3+qI
今日はこのぐらいにしときます。というか一人で張り過ぎですかね?
話の方は白鳥君一難去ってまた一難という感じですが、あんまり期待しないで下さい。
874名無しさん@ピンキー:2005/07/04(月) 20:36:38 ID:5Va8zQEZ
>>873
GJ!
続きがめっさ気になって課題が進まないorz
875名無しさん@ピンキー:2005/07/04(月) 20:38:51 ID:eew/VKxG
元ネタ書いた人もたっぷり貼ってるのでいいんじゃないですかね。
しかし、作者ごとに別ベクトルのいじり方があって興味深い。


それにしても、IDがジングルベルな感じですね。
876名無しさん@ピンキー:2005/07/04(月) 20:57:13 ID:XmsT3+qI
>>875
ホントだ、これから夏だってのにIDが・・・

別ベクトルっていうのは、たぶん自分が少年漫画的なノリが好きだからでしょう。
単にえっちシーンを書き切る技量が無いだけかもしれませんが。
877テイル:2005/07/04(月) 23:50:32 ID:Eo+m4fhx
なんだ、この静けさは……昨夜がうるさすぎただけか。
昨夜は計6作品投下か。

>>850
そんなあなたのために短編を書いてみました。
もっとも、注文とは程遠いですが。

ストレス発散のために書いた短編です。どうぞ。
ちなみにバラさん主役。
878正夢(1):2005/07/04(月) 23:53:42 ID:Eo+m4fhx
俺は、いつものように釣りをしている。
鳴滝荘の指定席。
池のほとりの、大きな石。
無心になって、水面を見つめる。
「………ん?」

釣竿が……反応している!?

「う、うおおおおおおお!!!!」
思わず、力の限り竿を引く。
そして。

鯛が一匹釣れた。

「おお、鯛だ………って」
ちょっと待て。
ここで鯛が釣れるのか?
明らかに、これは池だぞ?
何か、おかしい。

すると。

「お父さん、すごーい!!」

そう言って、一人の女の子がやってくる。
長い黒髪で、和服を着れば日本人形になるのでは、と思うような可愛い子。
誰かに、似ているが―――――
879正夢(2):2005/07/04(月) 23:55:28 ID:Eo+m4fhx
「――――?」
待て。
俺は今は独身だ。
子供も生き別れた。
だから、お父さんと呼ぶ奴は、いないはず――――――
そう考えていると。

「お父さん、やったね!」
「おとーさん、おさかなつった!!」
「おとーたん、ちゅごーい」
「ばぶー」
「だー」

わらわら。
わらわらと、童がやってくる。
いや、何親父ギャグやってんだ俺は。
「え、ちょっと、待て、お前ら、俺は―――――」
あっという間に、子供達に囲まれる。
なすすべも無く、もみくちゃにされる。
「ちょっと、待て、おい、ぐは、おっと、はべし―――――――」

「―――――――!!!」
880正夢(3):2005/07/04(月) 23:57:04 ID:Eo+m4fhx
がば、と飛び起きる。
ゆ……夢か。
びっくりした。
あんなに、子供がいるなんて、有り得ない。
それにしても、恐ろしい夢だ。
確か、昨夜は、恵の宴会に参加して……その後、何か重大な事をしていたような……
記憶が定かじゃない。

しかし、あの女の子。
誰かに、似ていたような―――――

「う〜ん…………」
すーすー。
すやすや。

ん?
誰の寝息だ?
横を見る。

そこには、珠実が眠っていた。
全裸で。
少女の、白くて瑞々しい肢体が、そこにはあった。

「……………」
「う〜ん――――――あ」
起きた。
珠実が、目を覚ました。
どうする、俺。
どうする、俺!?
881正夢(4):2005/07/04(月) 23:59:06 ID:Eo+m4fhx
「おはようございます――――由起夫さん」
「―――――???」
は?
由起夫さん?
「―――――――おはよう、珠実」
何とか取り繕って、珠実に言う。
「で――――なんで俺の部屋にいる」
「何でって――――二人で一夜を共にしたからです〜」

…………………は?

「由起夫さん〜」
俺に抱きつく珠実。
「え、ちょ、おい」
「大好きですよ〜、由起夫さん」
「………」
「梢ちゃんの次に、大好きです」
「梢の次なのか……」
「はい〜」
珠実の笑顔は、どこか小悪魔で、とても眩しかった。
そんな珠実が、とても、愛しくなって―――――
「……まったく、可愛い奴だ、お前は」
まあ、世間体は悪いかもしれないが、
この幸せを、ずっと噛みしめるのも、いいかもな――――――
882正夢(5):2005/07/04(月) 23:59:48 ID:Eo+m4fhx

「あの、由起夫さん」
「何だ?」

「―――――赤ちゃんが、出来たみたいです」

……………え?

「ちゃんと、責任を取って下さいです〜?」
ああ、この笑顔が愛しいから、いいか。
新しい幸せが、また一つ増える、
だけど、貯金、まだ十分にあったかな……?

その日、鳴滝荘にはあの言葉が響いた。
883正夢(6):2005/07/05(火) 00:01:05 ID:Eo+m4fhx
         ナ ゝ   ナ ゝ /    十_"    ー;=‐         |! |!
          cト    cト /^、_ノ  | 、.__ つ  (.__    ̄ ̄ ̄ ̄   ・ ・
ミミ:::;,!      u       `゙"~´   ヾ彡::l/VvVw、 ,yvヾNヽ  ゞヾ  ,. ,. ,. 、、ヾゝヽr=ヾ
ミ::::;/   ゙̄`ー-.、     u  ;,,;   j   ヾk'! ' l / 'レ ^ヽヘ\   ,r゙ゞ゙-"、ノ / l! !ヽ 、、 |
ミ/    J   ゙`ー、   " ;, ;;; ,;; ゙  u ヾi    ,,./ , ,、ヾヾ   | '-- 、..,,ヽ  j  ! | Nヾ|
'"       _,,.. -─ゝ.、   ;, " ;;   _,,..._ゞイ__//〃 i.! ilヾゞヽ  | 、  .r. ヾ-、;;ノ,.:-一'"i
  j    /   ,.- 、  ヾヽ、 ;; ;; _,-<  //_,,\' "' !| :l ゙i !_,,ヽ.l `ー─--  エィ' (. 7 /
      :    ' ・丿   ̄≠Ξイ´,-、 ヽ /イ´ r. `ー-'メ ,.-´、  i     u  ヾ``ー' イ
       \_    _,,......::   ´゙i、 `¨ / i ヽ.__,,... '  u ゙l´.i・j.冫,イ゙l  / ``-、..- ノ :u l
   u      ̄ ̄  彡"   、ヾ ̄``ミ::.l  u   j  i、`ー' .i / /、._    `'y   /
              u      `ヽ  ゙:l   ,.::- 、,, ,. ノ ゙ u ! /_   ̄ ー/ u /
           _,,..,,_    ,.ィ、  /   |  /__   ``- 、_    l l  ``ーt、_ /  /
  ゙   u  ,./´ "  ``- 、_J r'´  u 丿 .l,... `ー一''/   ノ  ト 、,,_____ ゙/ /
        ./__        ー7    /、 l   '゙ ヽ/  ,. '"  \`ー--- ",.::く、
       /;;;''"  ̄ ̄ ───/  ゙  ,::'  \ヾニ==='"/ `- 、   ゙ー┬ '´ / \..,,__
、      .i:⌒`─-、_,....    l   /     `ー┬一'      ヽ    :l  /  , ' `ソヽ
ヾヽ     l      `  `ヽ、 l  ./  ヽ      l         )  ,; /   ,'    '^i
884正夢(アトガキ):2005/07/05(火) 00:04:33 ID:Eo+m4fhx
珠実で思いつきました。完全に勢い任せ。
灰原とくっつくのも悪くないかと。

そして、俺が言いたいことは唯一つ。
俺は、単に課題のストレスを発散させたいがために、
「な、なんだってー!」を叫びたかっただけだったんだよ!

あ、ちゃんと「AIR」も書きますよ?投下は遅れる予定ですが……
885名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 00:09:08 ID:ThjAwAo8
思わず、吹いた。
886名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 00:09:38 ID:yHCpIw+d
AIRの続きが禿しく気になるせいで課題が手に着かない。
という訳で、AIR早期投下キボン
887お腹いっぱい:2005/07/05(火) 00:11:49 ID:77KAMTuO
昨夜投稿した皆さん、乙&GJ!!
まさか一日で100近くも進むなんて…
そしてテイル氏、リアルタイムGJ!!
なんだか灰原さんが可愛かったです。

ミスの指摘、ありがとうございました。
それでは間髪入れずにドゾー
888One day +One:2005/07/05(火) 00:12:22 ID:77KAMTuO
白鳥くんの部屋で待つこと数十分。
朝美ちゃんが呼びにきました。
「みんなー、ご飯だよー!」
「はーい…」
皆さんあまり乗り気ではないようです。

朝美ちゃんの料理は普通においしいのですが、
早紀さんはお世辞にも料理がうまいとは言えなく、
部長さんは本当にうまいか怪しいものです。
(珠美さんによると、前に部活で鍋を作ったことがあるそうですが、
珠美さんは食べるのを拒み、食べた部長さんは
その次の日から三日間、姿が見えなかったそうです)

そんな三人の料理。
「どんな料理だろう…」
889One day +One:2005/07/05(火) 00:13:11 ID:77KAMTuO
台所に近づくと、おいしそうな匂いがしてきました。
「わぁ…」
意外と期待できるかもしれません。

「わぁ……」
期待できませんでした。
「三人で二つずつ、担当して作ったんだよ!」
テーブルの上に広がるパノラマ。

朝美ちゃんが作ったのは副菜、緑色の草の山“野菜炒め”。
「今日、学校の帰りに採ってきたばかりだから、新鮮だよー!」

早紀さんが作ったのは主菜、形が崩れた肉塊“ハンバーグ”。
「結構うまくできたんだぜ!」
890One day +One:2005/07/05(火) 00:14:07 ID:77KAMTuO
部長さんが作ったのは、
カラフルな謎の粒々が入った気味の悪い“ご飯”
と、黒く濁った“お味噌汁”。
「自信作デスよ」

「「………」」
皆さんはただその光景に唖然とするばかりです。
「さあ、みんな座って!」
朝美ちゃんに急かされ、全員着席します。

「デは皆サン」
「「い、いただきまーす…」」

まず最初に食べてみるのは、朝美ちゃんの野菜炒め。
これは白鳥くんが以前食べたことがあるもので、
見た目は草そのもの、しかし味は良い品です。
「どう…?」
「うん、おいしいよ」
891One day +One:2005/07/05(火) 00:16:19 ID:77KAMTuO
「おいしいわ…朝美…」
沙夜子さんはボトボト落としながら口に運んでいます。
「よかった!どんどん食べてね!!
ちなみに、そのヨーグルトドリンクも私が作ったんだよ!」
ヨーグルトドリンクはさっぱりとしていて、美味でした。

次に食べてみるのは、早紀さんのハンバーグ。
勇気を出して口へ運びます。
「………」
「ど、どうだ…?」
「…おいしい」
形が崩れていてまずそうに見える外見と裏腹に、味は良いみたいです。
意外でした。
「へへへ…、実は前から朝美に料理を教わってたんだぜ」
892One day +One:2005/07/05(火) 00:17:21 ID:77KAMTuO
「そうだったんだ…」
「うん!なんでも、早紀お姉ちゃんがお兄ちゃんに作ってあげt…」
あわてて口封じします。
「ばっ、バカ!余計なこと言うんじゃねえ!!」
「ほぅ、早紀ちゃんもやるわね〜」
「そんなんじゃねぇよ!!」
「……?」
白鳥くんはわかっていないようです。
「まったく、ニブチンですね〜」
「だ、だからそんなんじゃねぇって!!」
「…あア…皆サン!!イつまデ私のお料理ヲ放置プレイすルつもりデスか!?」
部長さんの料理を誰も食べてないので、部長さんは悲しんでいます。
893One day +One:2005/07/05(火) 00:18:06 ID:77KAMTuO
「でも…」
「…ねぇ?」
「です〜…」
「…まずそう…」
「アアッ!皆サン失礼デスよ!!ストレートすぎデス!!」
…でも喜んでるのかもしれませんね。
「そ、そうだよ。お姉ちゃんも一生懸命作ったんだよ?」
「あァ…豆サンはイイ人デスね…。私ノお料理、食べテくれルのデスね?」
「え…?う、うん」
少し戸惑いながらもカラフルご飯を食べてみる朝美ちゃん。
「…あ、甘くておいしい」
「ソうデシょウ!ソうデシょウ!!体にイイ豆ご飯デスよ、豆サン!」
カラフルな粒々は各種豆だったようです。
894One day +One:2005/07/05(火) 00:19:12 ID:77KAMTuO
「部長、じゃあこっちの黒いお味噌汁はなんです〜?」
「イカスミ入りノお味噌汁デス。体にイイのデスよ?」

どうやらこちらも見た目が怪しいだけで、味は良かったようです。
「部長さん、本当にお料理上手だったんですね!」
「アラ!タマなしサン、ソんナ目で見ナイでクダサイ…
確カに私はお料理上手でセクシィな魔女ッ娘デスけれド、
タマなしサンには早紀サンがいルのデスよ?」
「そうだぜ、白鳥!」
「そっそんな目で見てないよ!」
「ところでヨ、このイカスミはどこから出したんだ?」
ジョニーが部長さんに聞きます。
895One day +One:2005/07/05(火) 00:20:11 ID:77KAMTuO
「デドリーからデス」
予想通りでした。
「…まぁ、体にイイなら良しとしましょ!」
「…イカスミ…」

楽しく食事は進み、皆さん食べ終わりました。
「ふぅ〜。食べたわ〜」
「早紀ちゃん、おいしかったです〜」
「喜んデ貰えテ嬉しいデス」
「部長には言ってないです〜!」
ご馳走様しようとした皆さん。
「おい、てめえら、まだご馳走様には早いぜ」
早紀さんが止めます。
「実は、早紀お姉ちゃんのデザートがあるんだよ!」
「それが早紀ちゃんの二つ目ね〜」
「楽しみです〜」
896お腹いっぱい:2005/07/05(火) 00:27:45 ID:77KAMTuO
今日はここまでです。
この“One day +One”も終わりに近づいております。
長かったです。でも、それはすべて終わってから言いましょう。

料理知識なくて、ボロボロですいません。
この早紀ちゃんは料理苦手という設定ですので、
他作品様の早紀ちゃんと比べると違和感あるかもしれません…。

あと、テイル氏に許可をもらいたいんですが、
現在執筆中のSSに、また桃さんのセリフ引用してもよろしいでしょうか?
といっても投稿はだいぶ先の話になると思いますが…。
897名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 00:31:59 ID:yHCpIw+d
>>896
乙&GJ
そろそろフィナーレか…
898テイル:2005/07/05(火) 00:36:01 ID:eo5EHL92
>>満腹さん
GJ!デドリーさりげに凄いな…

なんか部長の料理の想像が付かない…

あと、言葉の件ですが、自由に活用したってください。どの作品でも。
もしかして、またMIWなのかな?(桃が出てくる作品も少ない)
899ぐうたら:2005/07/05(火) 00:36:04 ID:3P3yg33a
ああもう展開が速すぎてレスが間に合わない!
おまえらみなGJ---!!!とだけ言っておく。
もうじき900…凄い早さだよね…
900名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 00:48:42 ID:t0A4/jhr
>>896
GJ!部長さんいい味でてますね〜
笑いましたよ
901名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 00:49:24 ID:3MQxXR4X
>肉塊“ハンバーグ”。
ワロタ
でも激しく食べたいです。
902名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 00:56:25 ID:ThjAwAo8
いや、ハンバーグはこねる力と時間が重要なので
実は早紀ちゃんみたいなタイプにはうってつけの料理だったりするのですよ。
まあ、形は悪くても味は変わりませんからね。
903名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 01:00:32 ID:UBhNIAxp
なんか時間の関係変じゃない?
>>884より>>901の方が時間が早いよ。
こういうのはよくあるの?
904名無しさん@ヒッキー:2005/07/05(火) 01:37:53 ID:NEWZVoAo
>>9003見間違いだろ?
905名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 01:39:01 ID:b5MEAGtr
>>904
そう言うあなたは書き間違い
906名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 01:55:39 ID:UBhNIAxp
そうでつか。見間違いでつか。
なんか疲れてるのかな。今日はもう寝よう。
907名無しさん@ヒッキー:2005/07/05(火) 02:18:45 ID:NEWZVoAo
>>904
俺も疲れているようだ。
それとスマンかった
908名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 10:26:38 ID:yGy0Hjm9
    , '⌒⌒ヽ
    l ,Ll」l」l」 〉 疲れたときはお茶でも飲むです〜
   〈 .(!-ヮ-ノ〉
    〈 ヽ!つ水0
   ノlく/7_)_)l〉  旦旦淫毒旦旦毒毒旦旦
909名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 10:35:13 ID:OZlicBQP
>>908
いただきます。

   __ 毒  
   .|・∀・|ノ
  <|___.|  
   /  >
910名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 10:41:01 ID:ThjAwAo8
栄養補給!( ・∀・)ノ淫
911名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 11:07:24 ID:cPVGaQNV
                _,.. -─   ─-、 しァ
          /!/ヽ‐'"         / イ⌒ヽ
         ,l_/           l l  / /!   ヽ
         |l         /lハ//  V| !   ハ
         | l       /  イ    ヽヽ/Vl !
         | ハVヽト`ー- ' イ/   ,ィ/!  \ ∧l |
        、ト、 \ ヽー- '  _,..ィ/ // ハ ト、   l!
         \  ヽ_,.メ、<イ_/__,.._-=ニ-ヽ _,/
          ヽi`、|  、‐rッヾ =|二|-=_rッァ `}',.}
           { ヽ!    ̄ シノ! ヽヽ  ̄  //リ
           ヽヽ!`ー--‐'´/|  ` ー--‐ ' /./
            \!     ヾ_,.      /‐'
           _ィニlヽ    __    ,イiヽ、
       _,. -‐'"   l | \   `二´   ,r' l !  `ヽ、._
  _,. -‐ '"      l |   \       /   | l      `` ー- 、._
‐'"      _,. -‐  ̄`ヽrァr--`‐──'‐‐-r ,! !           `` ー-
    _,.ィ´     ヽ、._ ヽ        ./ /i  l
ァ‐/ /         \_ノ!        l / l  ',
 /   {       `ヽ、  }!ヽ!       /V !   ヽ
 !   ヽ      \  Y |  ` r====r'´  |    〉
912名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 11:30:26 ID:77KAMTuO
>>907
新しいIDですね。
913名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 16:24:58 ID:QWN6ubIK
さて、そろそろ次スレ>1のテンプレを作ろうと思いますが、
今度は誰でいきましょうかね?
914名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 16:27:16 ID:ThjAwAo8
ここは一つ早紀ちゃんで。
915名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 16:29:03 ID:3MQxXR4X
>>914
(・∀・)イイ!! ですね
916名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 16:42:56 ID:6akXbY3F
部長は・・・やりにくい?
917テイル:2005/07/05(火) 17:17:54 ID:eo5EHL92
>>913
ここは一つ銀先生で。

出来ればエローリ折k(ry
918名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 17:49:17 ID:sBd5WgZR
ホモスキーで頼む
919名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 18:09:38 ID:iJozdzRF
携帯からですが、ぐうたらです。
今は家にいないから無理だけど、早紀ちゃんテンプレで決まりなら俺が書いてもいいッスか?
920名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 19:01:38 ID:yHCpIw+d
次スレのテンプレは早紀に一票。
部長タソとか銀タソはその次のテンプレで。まぁ、スレがそこまで続くか分からんが…
921名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 19:34:58 ID:kptkV9n1
スレ立てするヤツがみんなの意表をつくに一票
922名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 19:41:15 ID:fbvD+w1s
早紀反対に1票。
好きだけど、今月号でいろいろ新しい事が明かされそうだから
次テンプレにとっておいた方が良いと思う
923名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 20:08:43 ID:wpiHNTei
七天抜刀斎の茜タンとニーナタンの絡みで話作れないものかな?
924名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 20:37:09 ID:V75heFyi
↑誤爆?
テンプレ案思い付いたんだけど、出していいかな?
925名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 20:40:09 ID:hWNrdSXK
>>924
出してほしい…かも
926名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 20:51:17 ID:V75heFyi
ここは『まほらば』の創作SSを投稿するスレよ。
年齢制限は問わないから、どんどん投稿してね。
……ねえ、皆私が誰だか分かってる?(泣)

前スレ
まほらば 〜鳴滝荘のうららかな四時〜
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1119067293

まほらば 〜鳴滝荘、ほがらかな三時〜
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1117367671/

まほらば 〜鳴滝荘、2時…、かも。〜
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1113669362/

まほらば 〜鳴滝荘での一時〜
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1106131763/

原作スレ(※すぐに埋まるんだって)
小島あきら まほらば22号室
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1120221732/

まほらば小島あきら 第6回鳴滝荘お絵描き大会
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1119299488/l50

過去スレの作品はここ。
ttp://whitebrown.hp.infoseek.co.jp/mahoraba/index.html
で、SSのみだけど保管庫の避難所がここ。
ttp://blog.livedoor.jp/maholog/

次スレは>>970さんが立てるんだって。
以上、弓道でした。私のSSも書いて……(泣)
927名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 21:06:37 ID:yHCpIw+d
>>926
最後まで誰か分からなかったorz
928名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 21:26:09 ID:b2a+HPzw
今更で多分既出だろうが、初代スレって「ひととき」であって、「いちじ」じゃないよな(笑)

↓何事もなかったようにチキンレースをお楽しみ下さい
929名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 21:27:35 ID:yHCpIw+d
>>928
本当に今更だな。
930名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 22:02:44 ID:E9OfY6bn
ふと思ったんだが白鳥って五股かけてるんだよな。
931名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 22:09:22 ID:ThjAwAo8
根本の部分は繋がってるから、正確には五股と言い難い。
五人合わせて梢ちゃん、と認識してるからなー。

と言うか、肉体は共通だから一股しかないし。
932名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 22:16:17 ID:cLvsWZu9
いきなり表現が生々しくなった。
933黒百合:2005/07/05(火) 22:54:23 ID:NEWZVoAo
そうだ!!そうだ!!
体はひとつだから一人ずつしかでき、うわナニするやめ・・・・
(板汚しスマン)
934名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 23:00:42 ID:yHCpIw+d
そして一人ずつ美味しくいただき、うわナニするやめ・・・・

>>933
('Α`)スマソ
935名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 23:02:01 ID:2PHZsWgP
ではスレも残り少ないですが、今日の分を貼らせてもらいます。
936The fateful decision:2005/07/05(火) 23:03:49 ID:2PHZsWgP
「さあ、おとなしくしてくださいですぅー」

「な・・・何をするつもり・・なの・・・・?」
声が震えてしまうのを抑えきれなかった。



「残念ながら、白鳥さんの期待するような事はしないですぅ〜」
そう言って珠美ちゃんが取り出したのは、白の長い布のような物だった。
それには僕も見覚えがあった。僕はそれで全て理解した。

「あっ!サラシ!」
そうだった、パンティを渡されて、ブラジャーを渡されない時点で疑問に思えよ、僕・・・
そう思うと、さっきまでの恐怖が恥ずかしさと怒りに変わっていく。
「そうですぅ〜、白鳥さんのあのお友達は今日は泊まるんでしょう?
 だったらこれをしてないとバレてしまうですぅ〜」
僕はそう言う珠実ちゃんに食って掛かる。
「酷いじゃないか!サラシを巻くなら巻くって最初に言ってよ!どれだけ怖かったか分かってるの!?」
「変な想像を勝手に膨らませる方が悪いんですぅ〜。ワタシは別に疚しいことはしてないですぅ〜♪」

くっ・・・やっぱり全然優しくなんかない。前言撤回する。
937The fateful decision:2005/07/05(火) 23:04:41 ID:2PHZsWgP

サラシを巻いてもらい自分の服を着て、長くなった髪を隠す為に
珠実ちゃんから借りたキャップを被って脱衣所を出た。
休憩所のような場所に皆が座っていた。

沙夜子さんと朝美ちゃんは、もたれ合って眠っている。待たせちゃったみたいだ。
翼君は涙を流して桃乃さんの足に頬擦りしている。
桃乃さんは、ビールを飲みながらそれを笑って見ている。何やってんだこの二人は・・・?

梢ちゃんは心配そうな顔をして壁に掛かった時計を見ていた。
やがて男湯から出てきた僕達を見つけて駆け寄ってくる。
「白鳥さん、大丈夫でしたか!?」
珠実ちゃんから、僕が変身したらしいことを既に聞いていたのだろう。
「うん、ちょっとのぼせただけだから。心配掛けてごめんね」
「いえ、いいんです。――それで、変わってしまった・・んですよ・・ね・・・」
僕の顔や体の変化を見てとったのか、その問いかけは尻すぼみになった。
僕はそんな梢ちゃんを見て、罪悪感を感じた。
この前の事はともかく、今回は僕の不注意が原因だ。
「でも、ご無事で良かったです。珠実ちゃんも色々ありがとう」
「いいんですぅ〜、じゃあもう帰りましょう、梢ちゃん」

僕達は朝美ちゃんと沙夜子さんを起こして帰ることにした。
沙夜子さんに全く起きる気配が無いので皆が困っていると、
翼君が「自分が背負って帰る」と提案したので、当然僕は大反対した。
が、結局今の僕ではそんな肉体労働は無理なので、翼君の提案が通ってしまった。ごめんよ朝美ちゃん。
938The fateful decision:2005/07/05(火) 23:05:25 ID:2PHZsWgP

今は帰り道の途中。梢ちゃんと珠実ちゃんを先頭に、集団で歩いている。
僕はまだ少しフラつくのだけど、もう倒れるようなことはない。
「お兄ちゃ〜ん・・・お兄ちゃんのお友達の人、さっきからずーっとヘラヘラ笑っててちょっと怖いよぉ。お母さん大丈夫かなぁ・・・」
朝美ちゃんは不安そうに話し掛けてくる。
「う、うん。・・・ごめんね朝美ちゃん、僕が非力なばっかりに・・・。
 できるだけあのお兄さんから目を離さないようにしてね・・・・」
僕は翼君と沙夜子さんの様子を見る。沙夜子さんは相変わらず安らかな顔で眠っているし、
翼君は涎を垂らすかの如く笑っている。今は背中の感触を味わうことに全身全霊を注いでいるんだろう。

いきなり乱暴に肩を組まれて、お酒クサイ息が顔に掛かってくる。
「し〜ら〜と〜り〜クンッ♪今日も大変だったわねぇ」
桃乃さんだ。
「ちょっと、こんなに早い時間から酔っ払っちゃって。ペースが速過ぎませんか?」
「湯上りに一杯と思ったら、止まらにゃくにゃっちゃったんだヨ〜ん♪」
果たして一杯で止めるつもりがあったのだろうか。
桃乃さんは急に顔を近づけて、声をひそめる。
「(それにしても今日もやってくれるわねぇ〜。まさか男湯の中で女の子になっちゃうだなんて
 ぷぷっ・・・笑っちゃいけないけど・・・笑っちゃうわ・・・ぶぶぶ・・・)ぶわっはははははは!!」
腹を抱えて笑ってる。
「もう!こっちは必死だったんですから、笑わないでくださいよ!」
僕は何とかそれだけは抗議した。
939The fateful decision:2005/07/05(火) 23:06:50 ID:2PHZsWgP

夕食が終わり、僕と翼君は僕の部屋で課題をやることにする。
「白鳥、おまえいつまで帽子被ってんだ?」
「え?あ、いや髪形が決まんなくて・・・」
廊下を歩いて部屋に向かっていると桃乃さんに捕まってしまった。
「ねえ、あんた達も私の部屋で飲まない?珠ちゃんとバラさんは来るみたいだけど」
「あの、僕たち今日は課題をやらなくちゃいけなく・・」
「行きます行きます!絶対行きます!な、白鳥」
「だって課題はどうするの?明日は僕、用事があるから付き合ってあげられないよ?」
そうなのだ、何よりも優先されるべき用事がある。梢ちゃんとデート・・・
「え?用事ってなんだよ?」
と、突っ込まなくていい所を突っ込まれてしまう。
「白鳥クンはね、明日は梢ちゃんとだ〜いじな御用事があるのよ、ね〜?」
「ちょっと桃乃さん!?」
「白鳥ー!そうだったのかーッ!おまえそうだったのかーッ!」
頭を押さえ絶叫する翼君。
「まあちょっと顔を出す程度でいいからさ白鳥クン、その後課題とやらをやっても大丈夫でしょ?」
「くそっ、白鳥!おまえだけ良い思いするなんて許せねぇ。ほら行くぞ!?」
「う〜ん・・・ちょっとだけだからね?」
940The fateful decision:2005/07/05(火) 23:07:30 ID:2PHZsWgP

桃乃さんの部屋には既に灰原さんと珠実ちゃんが待っていた。
「おう、おめえさんは確か白鳥の友達だったナ。おまえも飲むのか?」
と灰原さんは聞く。
「もちろん!今日はとことん飲みますよ〜」
翼君はそう答える。
「ちょっと翼君!課題があるんだからそんなに飲んじゃ駄目だよ!?」
「堅いこと言うなって。少しアルコールが入ったほうが、良いアイディアが浮かぶかもしれないだろ?」
「そうよ白鳥クン!才能ある芸術家は大抵ドラッグに溺れるものよ。だから今日は飲め!浴びるほど飲めぇ!」」
何だかよく分からない理屈で勧められる。
「でも、この性欲の塊みたいな人に酔っ払われたら、ワタシの貞操も危ういですぅ〜」
珠実ちゃんが翼君を見ながら言う。
「失敬な!俺は見る目は持ってるつもりだ」
「な、なんですとぉ〜!?」

なんだかんだで宴が始まった。翼君は、飲み始めるやいなや、いきなり裸踊りを始める。
皆はやんやと喝采する。この人達には徐々に打ち解けるとかそういった感性は無いのだろうか。
941The fateful decision:2005/07/05(火) 23:08:03 ID:2PHZsWgP

皆は缶ビールを飲んでいたのだけど、翼君は最初の15分ほどで飲んだ本数が二桁に届きそうな勢いだ。
「アンタなかなか良い飲みっぷリねぇ。アタシそういう男は嫌いじゃないわ。
 ・・・そうだ!アタシより長く飲んでいられたら、ご褒美に何かしてあげよっかな〜?」
と、挑発するようなことを言う桃乃さん。
「うぉー燃えてきた!これだっ、俺が求めていたのはこの展開だッ!」
「翼君飲み過ぎだって。これから課題やること忘れないでよ!?」
「分かってるって、俺はまだまだ平気だから心配すんな」
確かにまだ酔っているというほどでもない。ほんのりと顔が赤くなる程度か。
なんでこんなに強いんだろう、僕と同い年の筈なのに。
「それより白鳥ィ〜、おまえももうちょっと景気良くやれよ?そんなちびちびやられると、こっちまでマズくなっちまう」
僕は一本目に口をつけたぐらいで、ほとんど飲んでない。
「ほら!ぐいっと」
翼君は僕の頭を掴んで無理やりビールを飲ませてきた。
「うわ!ゴボガボゴボボボボ・・・」
どんどんビールが注ぎ込まれる。鼻の中にも流れ込んで、ツーンとした刺激が襲う。
それでもその痛みもすぐに鈍くなっていって、頭がクラクラしてくる。今日はクラクラしてばっかりだ・・・
「白鳥さんは下戸なんですから、無理やり飲ませちゃ危ないですぅ〜」
「あ〜あ、こいつもう此処で寝ちまうゼ?」
最後に聞こえたのはそんな珠実ちゃんと灰原さんの言葉だった。

942The fateful decision:2005/07/05(火) 23:08:41 ID:2PHZsWgP


「んん・・・、ここ、何処だっけ・・・?」
軽く頭痛のする頭を持ち上げる。
辺りは空き缶の海だった。
(そうだ、宴会の途中で無理やり飲まされて・・・)
視線を上げると桃乃さんと翼君が―――まだ飲んでいた。珠実ちゃんと灰原さんはダウンしている。
「う〜、ヒック、あんた、結構やるじゃない・・・ここまでアタシに、ヒック、張り合ったやつは初めてよ・・・」
「な、なんの、ご褒美を貰うまでは、ヒック、諦めないですよ・・・」
そんな二人から視線を更に上げ、時計を見る。
(11時半か・・・)

えっ!じゅういちじはん〜!?
そんなに寝た感覚は無いのだけど、もう3時間以上も寝てしまった。
僕は取れかかっていた帽子を直すと、翼君に言った。

「翼君!早く課題やらないと!」
「おう起きたか白鳥ィ〜。ヒック、駄目だ、まだ勝負が終わってない」
「そうよ。ここまで引っ張って、ヒック、無効試合はないわ!」
二人とも流石に酔いがまわっているようだけど、
どうしてもご褒美が欲しい翼君と、負けず嫌いの桃乃さんの勝負がそう簡単に終わる筈が無い。
そう思った僕は、翼君を無理やり引きずり出して僕の部屋に押し込んだ。
力が出ないので、体がまだ男に戻ってないのが分かった。

943The fateful decision:2005/07/05(火) 23:09:56 ID:2PHZsWgP

「ああもう、何すんだよ白鳥!おかげでご褒美がパアだ!」
「それは諦めた方がいいよ。一度桃乃さんが気絶しながらも飲んでるところを見たことあるから。」
「え・・・本当?」
「うん、本当」
翼君は蒼ざめた顔をしている。どうしてこんな馬鹿げた嘘を信じられるのだろうか、そっちの方が信じられない。
「さあ、そんなこと言ってないで早く課題をやらなきゃ!僕は明日は本当に駄目なんだからね!?」
「うぃ〜、分かったよ・・・」

こうしてやっと課題に取り組めたのは日付が変わる少し前だった。
僕はさっきまで眠っていた所為か頭が冴えていて、アイディアが結構浮かぶ。
今考えてるのは、男の子と女の子の二人が魔女に魔法を掛けられて、
一日性別が逆になってしまうという話だ。

え?どっかで聞いたことあるって?気にしない気にしない。

対して翼君は退屈と、眠気と、オアズケを喰らった煩悶の三重苦と闘っていた。
944黒百合:2005/07/05(火) 23:10:27 ID:NEWZVoAo
>>934
気にするな、ほかのVERは
うわどこさわって、いやそこはだめだって
いやどこにナニいれ・・・(以下桃色)
945The fateful decision:2005/07/05(火) 23:10:56 ID:2PHZsWgP

「う〜、近くにあんな美女達がいるってのに俺はなにをやってんだ・・・
 これは結構辛い、まるで生殺しだ・・・・なあ白鳥、おまえ何か持ってないか?」
「何かってなに?」
「いやだからさ、何でも良いんだけど、その、エロ本とか・・・」
そういった物は生憎持ってなかった。全然そういったものに興味が無いわけじゃないけれど、
とりあえず今持ってないことには出しようが無い。
「そんなもの無いってば。それに人の部屋で変な事しないでくれる?」
「え?ああ、しないって。それよりおまえもそんなに恥ずかしがるような歳じゃないだろ?
 俺はただ友人として、おまえがどんな性癖を持ってるのか知りたいだけだから。さあ出してみろよ」
やっぱり言っても分かってくれないようだ。
「だから無いものは無いんだって。そんなに気になるなら探してみれば?」
「お、言ったな?俺は人のエロ本探すのは得意なんだぜ?3分以内に見つけてやるよ」
そういって翼君はがさごそと探し始めた。僕は見てても仕様が無いので課題に戻る。

しばらくして、
「うわあぁ〜!!」
「ど、どうしたの翼君!?」
見ると翼君の手にはあの女装用のカツラが・・・!
「何だこれ・・・か、カツラ?」
誰だって探し物をしていて髪の毛が出てきたら驚くだろう。
カツラを隠している事をすっかり忘れていた。僕は再び自分の不注意さ加減を呪った。
946The fateful decision:2005/07/05(火) 23:11:37 ID:2PHZsWgP

「白鳥?・・・おまえ、これ着けたりするのか?・・・」
不信がるのも無理はない。それはリボンも着いていて明らかに女性用なのだ。
「い、いやその・・・・これには訳があって・・・」
僕達はしばらく呆然と立ち尽くした。

やがて、フッと翼君の表情が柔らかくなった。
「いや、こんなに驚いて悪かったな、あまりに突然のことでさ。
 というか、俺が勝手に物色したのがいけないのか・・・悪い」
「あの、違うんだって!これはその・・・」
この状況では何を言っても無駄だ。けれどどうしても弁解したくなる。
「いいんだって、俺は気にしないから。おまえが女装しようが
 おまえは俺の友達だよ。それにおまえならこういうの似合いそうじゃねえか」
急の事で避けられなかった。翼君は僕が被っていた帽子を取ると持っていたカツラを被せたのだ。

「あ・・・・・・」
「あ・・・・・・」



再び沈黙が二人を包む。

しかし今度の翼君は明らかにさっきとは違っていた、その目には怒りが満ちている――
947名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 23:14:37 ID:2PHZsWgP
今日はここまでです。やっと半分に到達しました。
明日以降から若干スピードアップしますんで、どうかお付き合い下さい。
948黒百合:2005/07/05(火) 23:16:54 ID:NEWZVoAo
スマン途中で変なレスつけちまった・・・orz
949名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 23:20:04 ID:ThjAwAo8
続きが気になってry
950黒百合:2005/07/05(火) 23:20:46 ID:NEWZVoAo
えっと修羅場?
951テイル:2005/07/05(火) 23:22:15 ID:sBYErk9b
>>947
ジャスティス!……じゃなくて、GJ!
続きが気になって「AIR」の執筆が進ま(ry

……冗談です。今ちゃんとやってますよ。
しかし、これで半分ですか。どんな結末を迎えるのやら……
TSがここまでシリアスになるとは……


余談だけど、マホウの人が新作書いているようで……
こちらも、すごく中身のクオリティが上がってて驚愕orz
これならいっそ俺のは投げうわなにをする珠実ちゃんジャンジャンバリバリあそpdfはp
952名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 23:32:00 ID:yHCpIw+d
せっかく課題をやる気になったのに、また途中終了か!!
もう一括投下でお願いしますorz
953名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 23:36:20 ID:2PHZsWgP
>>テイルさん
>マホウの人が新作書いているようで……
自分はこれから読むところです、楽しみですね。

テイルさんのも期待してますよ。自分は今はもう区切るポイントだけ考えればいいんで楽ちんですw

>>952
一括だとたぶん970踏むことになっちゃうんで、ご勘弁を。
954名無しさん@ピンキー:2005/07/05(火) 23:51:22 ID:Ncl2Z8w/
隆子を押し倒セ!エロール
955たろ:2005/07/06(水) 00:04:19 ID:Y0A6fTXX
素晴らしきかな超良作の雨あられ。
ココはもしや天国ですか!?
自分の小説の1話以降も出したいが次のスレが出来てからにしておきます。
956名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 00:23:14 ID:AorD3adE
気付けばもう残り50レスをきったのか・・・本当に凄杉だなこのスレ。
957名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 00:33:01 ID:bIRuRu2E
一ヶ月も経ってないのにな
冗談みたいな速さだ
958名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 01:03:54 ID:G5Xhr5ZO
五時のスレタイどうします?
やはり「おだやかな」とか「まろやかな」みたいな
やわらかい系がいいですかね?
959名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 01:22:42 ID:QMdXKF4L
おだやかな
にぎやかな
さわやかな
ゆるやかな
ぬくぬくな

8時だったら「全員集合!」と言いたいところだけど。
960名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 01:32:40 ID:AorD3adE
ここはやっぱり、えろえr(ry
961黒百合:2005/07/06(水) 02:00:23 ID:8L3YdQoR
先生!!
騒がしきかな、なんてどうでしょう?
962名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 03:33:18 ID:zUQcUUgO
男でもいいと思ったエロールが白鳥を押し倒してみたら女で、
ここぞとばかりに犯しまくるんだね。
精液まみれで放心状態の白鳥をおいてこっそり帰るエロール。
次の日梢が部屋に入ると白鳥は首を吊って死んでいましたとさ。おしまい。
こんな感じになるんかな?
963名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 03:38:06 ID:VG+qo8N2
しかし白鳥は死ななかった!
彼の憎悪に満ちた魂はグラシア=ラボラスへと変化し
鉄拳制裁が>>962を襲う!!
君は生き延びることができるか!?
964名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 06:13:03 ID:eaWRt8Ly
>>958
前スレ・前々スレのテンプレを作ってた者ですが。
次は「たそがれの五時」にしようなんて思ってたですよ。

…あ? ひととき?
それについては2時のスレ立てた人を(略
965名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 07:27:12 ID:pcZ0Zzcp
麗子さんの正体がばれた?
966お腹いっぱい:2005/07/06(水) 08:43:53 ID:5OoeucsW
>>947
GJです。

昨日は寝てしまって投下できませんでした。
続きは次スレできてからにしますね。

2スレまたぐ結果になろうとは…。
967ぐうたら:2005/07/06(水) 08:59:15 ID:1LuWsN/J
お腹いっぱいさん、2スレまたぐぐらいじゃまだまだ。
俺のあしなみそろえてなんて3スレまたいでウボァー・・・
968名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 10:07:03 ID:UoAdNWX2
仕事終わりのおれが来ましたよ
一晩の間にまたすごいことになってますな。
969名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 10:08:23 ID:UoAdNWX2
ここで俺の出来ることといったら新スレ建てる事ぐらい。
970名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 10:10:02 ID:UoAdNWX2
少しでも感謝の気持ちを伝えられれば…

これで建てられなかったら銀先生のとこへ逝ってくるか。
971名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 10:17:22 ID:UoAdNWX2
というわけで、建ててきました

まほらば〜鳴滝荘のにぎやかな五時〜
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1120612364/l50
テンプレは>>926氏の弓道ちゃんを使わせていただきました、ありがとうございます。
972ぐうたら:2005/07/06(水) 12:25:34 ID:7g4XvjhD
うぐぅ、夕べから夜中にかけて謎の腹痛に襲われPCに触ることさえままならなくてテンプレ作れなかった俺が転がりながら来ましたよ。
現在自宅で回復をまっていまつ。
弓道ちゃんになったか…次スレこそはぁ!
973黒百合:2005/07/06(水) 15:11:20 ID:8L3YdQoR
>>963
ちがうぞ某ナ○シ○の劇場版みたいに
バイザーとマントつけて数日後後あたりにエロールに
復讐しに現れるんだよ。
974黒百合:2005/07/06(水) 15:33:56 ID:8L3YdQoR
それで朝見ちゃんとかに「君の知っている、白鳥隆子は死んだ」
とか言うんだ。
975名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 15:41:21 ID:KXVwFLgm
>>974
それを聞いたエロールが「坊やだからさ」と。
976名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 16:44:41 ID:OtKPUDXj
>975
それでもお前が欲しいっ!と言うわけですね。

あと朝美だと……
977名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 19:39:53 ID:eRJageyi
以下、まほらばがゲームになったら、
という妄想を流すスレ。
978kazuki:2005/07/06(水) 20:41:05 ID:6hJwnQD6
埋めーうめー梅
979名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 21:09:11 ID:xxQjIw+8
今朝のはなまるうめぼしのことやってたよな
980基本:2005/07/06(水) 21:16:29 ID:V3jqNcVG
          〜φ
    .___  
  三l〜゚ ヮl〜 ワーイ
  三|___| 
   三ノ   > 
981練り歩く:2005/07/06(水) 21:16:51 ID:V3jqNcVG
          〜興
    .___  
  三l〜゚ ヮl〜 メトロイド オモロイド
  三|___| 
   三ノ   > 
982空気:2005/07/06(水) 21:17:09 ID:V3jqNcVG
          =====十
    .___  
  三l〜゚ ヮl〜 消える飛行機雲 僕達は見送った
  三|___| 
   三ノ   > 
983回避:2005/07/06(水) 21:17:26 ID:V3jqNcVG
     くニ} {fj{fj{fj{fj{fj{fj{fj{fj{fj{fj
    .___  
   l〜゚ ヮl〜 マトリックス
 くニ} {fj{fj{fj{fj{fj{fj{fj{fj{fj{fj{fj{fj{f
    ノ   > 
984黒百合:2005/07/06(水) 21:23:40 ID:8L3YdQoR
  .___  
  三l〜゚ヮl〜 今にも命の火が消えそうな恋人
  三|___|  その火が今にも消えそうなのに何もできない・・・
   三ノ  >
985黒百合:2005/07/06(水) 21:57:37 ID:8L3YdQoR
ずれた・・・orz
986名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 22:11:59 ID:go7pOtZU
梅雨は梅が食べたくなる季節・・・ところで
(゜A゜)←「キターーー」って顔が打てない・・・orz
誰か教えて
987名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 22:21:50 ID:HE263Jox
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
988名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 22:55:23 ID:obqsQ1yt
>>985
その間はなんだw
989名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 23:19:39 ID:HE263Jox
倉庫の『恋のマホウ』を改めて読んでみたが、アニメの最終回はこれにすべきだったと本気で思った
ただそれだけ
990名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 23:21:41 ID:AorD3adE
990!
991名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 23:32:54 ID:uw61rfmu
991だったら、次スレもぬくぬく
992名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 23:37:20 ID:yLmgx7yd
>>989
マジで勘弁してくださいorz
993名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 23:44:35 ID:obqsQ1yt
>>991
しかしそこで修羅場フェチの俺がここに。
鬱展開とどっちがいい?
994名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 23:47:12 ID:h/3Ioybq
>993
鬱展開ベースで最後は救いのある終りキボン
995名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 23:53:11 ID:AorD3adE
995だったら、課題やらずに秋葉に逝く。
996名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 23:53:32 ID:W0Yi6Jtb
997だったら童貞卒業
997名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 23:54:19 ID:obqsQ1yt
>>996
かわいそう……
998名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 23:56:14 ID:uw61rfmu
>>993
修羅場等の鬱展開があっても、やはり最後はぬくぬくというのが
良いと思ふ
999名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 23:56:58 ID:KwxlDJbX
1000
1000名無しさん@ピンキー:2005/07/06(水) 23:57:17 ID:j69GC0/b
1000でなっちんget
10011001
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