まほらば〜鳴滝荘のにぎやかな五時〜

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864お腹いっぱい:2005/07/24(日) 09:58:02 ID:36Th5UgF
えー、早紀ちゃんの自分称また間違えて、すいませんでした。
以後気を付けます。

>>847
お疲れさまです。
なかなかいい感じですよ。
言いたいことはすべて他の皆さんが言ってくれましたから、自分から言うことはないです。

>>856
こういうさっぱりとしたのもいい感じですよ。
自分が書くと、どうしても無駄に長くなってしまうんで。
さっぱりと書きたいものです。

誰でも最初は初投稿です。
自分だって、少し前まで…いや、今も、なのかもしれませんね。

今、自分はここの職人さんの数の中に、入ることができているんでしょうか?
865名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 12:07:25 ID:Vh3TBiUm
特訓早紀ちゃんかわいいね(・∀・)イイ!!

不安な梢ちゃんも(・∀・)イイ!!
866名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 13:59:38 ID:jqylPK7E
保管庫の人大丈夫かな?
あそこまだ四時のままなんだけど
867名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 14:28:33 ID:NTgxwA+d
社会人で忙しいらしいからなぁ。
暇な人で代理してあげるてもあるけど。
868aizu:2005/07/24(日) 21:51:06 ID:tv2voWZi
今夜はとっても静かだね・・・
ちょっと寂しい・・・・・・・かも
869ぐうたら:2005/07/24(日) 21:59:34 ID:QCiCMJQU
>>868

ヒント:嵐の前の静けさ

ヒント2:PSOって面白いよね
870ヘブン:2005/07/24(日) 22:05:52 ID:x6kNLSRl
>>868
ヒント:「蒼」発売前
多分発売されたらバァーッって投下されると思う。
タチバナさん系が

ヒント02:微調整中(何が
871名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 22:06:48 ID:reGraXKO
>>869
             ___
         | ̄ ̄`\::::__::/´ ̄ ̄|
        ノ!     ‐| `|=    〈
       /::/   ,.、.:┴┴ 、  cセh
       ,'::::ト-‐::i:::|:::|::::|:::l::::l:::::ヾー'||l:|
       |::::|::::|::;|:':|´`|:::|::::|'´|:゙:ヽ|:::|||::l
       ',_;;|::::L-‐ __┴┴┴ __ ‐‐|-':::|
        |::::|::',,," ̄`  ,  ´ ̄`,,,':::|::::|
         |::::|::ハ     ---,   ハ:::|:::::|
       l:::::l|:::::lヽ、   ` ´ , イ|:::::|::::::|  あらあら、それは困りましたねぇ
       !::::|:|::::::|:::|::_l' ー‐ 介:::::|::::::|:::::::| 
       l::::::|::|::::::|/ \ // \|::::::|::::::::|_
      |:::::::レ!::::::|、   `/    |:::::,! '´彡}}
      .|:::/  |:::::::|ヽ  /   /// '´ィ ||!
      |:/   |:::::::| ソ   //  ,rツ ノ|:l
872名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 22:10:32 ID:NTgxwA+d
ヒント1:暑くて稼働不能
ヒント2:某ゴルフゲーやってた
ヒント3:エロネタばかり思いつくってどうよ?
ヒント4:いつの間にかまほログからリンクされててびびった
873名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 22:21:27 ID:/7v0G2y9
A・投下されない日がある、ということが話題になるのはこの板じゃ凄いこと。
874名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 22:24:09 ID:cMq+qTfW
ファイナルヒント:最萌
875テイル:2005/07/24(日) 22:32:28 ID:kZJROzZj
>>872
スミマセン、連絡遅れましたorz
いやあ、ここに投下されてない良作もあったので、リンクして置きたいな、という出来心で…
外した方がいいですかね?


中々筆が進まないorz
いや、ストーリーややりたい事は上がってるけど中々パソコンに向えんorz
投下は暫く先で…
876名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 22:42:17 ID:NTgxwA+d
>>875
いや、リンクフリーなので別にかまわんのですが。
なるべくこっそりやりたいんでスレでは話題にしないで貰えると幸いです。

ちなみにアレ投下しなかったのは続き書きたいって言ってきた人がいたからなのですが…
どうなっちゃったんだろう。
877名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 22:49:33 ID:5zKzg6Im
>>757>>761です。なんとか形になる目処がついたので、
ちょっとずつ投下してみようと思います。
878ずっとずっと〜IF〜:2005/07/24(日) 22:56:17 ID:5zKzg6Im
出てきやがれ白鳥ッ!!」
「わっ!?」
ある冬の夜。珍しく宴会も無く、静かな夜を自室で絵本を読んで過ごしていた
白鳥は、突然の叫び声とドアを乱打する音に背中を仰け反らせた。「な、なんなんだ一体…」
「コラー!! 出てこーい!! ここにいるんだろ!! さっさと…」
「は…はいはい…だ…誰ですか…」
ドアをぶち破らんばかりの勢いに催促されるように、白鳥は慌てて入り口に
駆け寄り、鍵を外してドアを開ける。
「あっ!?」
わずかに入り口を開けたところで、いきなり手が伸びてきてドアの端を掴むと、
思い切り引っ張って全開にする。開け放たれたドアの向こうに、その手の持ち主が
仁王立ちで立ち塞がっている姿が現れた。パジャマ姿の女性…女の子のようだ。
「…あの…えーと…わっ!?」
その人物が、状況が飲みこめず呆然とする白鳥の胸倉を掴み上げ、引き寄せる。
お互いの顔が接近したところで、白鳥はようやくそれが見慣れた人であることに
気が付いた。彼の住むこの鳴滝荘の大家、そして彼の恋人である蒼葉梢だ。
ただ、普段の梢は、決して声を張り上げたりなどしない娘なのだが…。
879ずっとずっと〜IF〜:2005/07/24(日) 23:00:08 ID:5zKzg6Im
「あ、あれ…梢ちゃ…」
「コラ白鳥!!」
その人物が梢だと気付いた白鳥が、彼女に声を掛けるよりも早く、梢は大声で彼を怒鳴りつけた。
「は…はい!?」
脅えて怯んだ白鳥の胸倉を掴み上げたまま、梢は彼を押してずんずんと部屋へと
上がり込んだ。完全に部屋に入った所で、後ろ手にドアノブを掴み、荒々しくバタンと閉める。

「コラ白鳥!!」梢はドアを閉めた手を再び白鳥の胸倉に戻すと、彼の頭をガクガク
揺らしながら再び怒鳴った。
「お前はどうして白鳥なんだ!!」
「へ? ええええええととととと…???」
意味不明の問い掛けと、いつもの彼女からは考えられない挙動に、白鳥の頭は混乱した。
こんなの、いつもの梢ではない。いつもの…『あ…!』
と、そこでようやく彼は、梢が別の人格になっていることに思い至った。これは梢ではない、
彼女の別人格の一人、早紀なのだと。
「白鳥! 白鳥!!」
その間にも、早紀は白鳥の頭を激しく揺さぶりながら、彼の名を叫んでいる。これが
早紀だったにしても、やはり何かいつもと様子が違う。
「白―――」
と、突然早紀が、掴んでいた白鳥の胸倉を手放した。
「鳥」
呆然と立ち尽くしたまま白鳥の前で、いきなりしゃがみ混む。
「大好きだー!!!」
そしてその言葉と共に、早紀は彼の胸目がけて思いっきりロケットダッシュを
ぶちかました。余りの勢いに、白鳥が早紀に抱きつかれたまま後ろ向きに吹き飛ぶ。
『な、何…? 一体何が…どうなっ…』
わけがわからないままひっくり返り、後頭部を強打。しかしそれを痛がる暇もなく、
次の災難が彼を襲った。
880ずっとずっと〜IF〜:2005/07/24(日) 23:03:31 ID:5zKzg6Im
「…長かったぞ!!!」
不意に、白鳥を抱きしめる早紀の腕に力がこもった。きつく抱きしめる、という
表現より、締め殺そうとしている、と表現したほうがいいほどの力だ。
ギチギチギチ…と、自分の肉体が上げる悲鳴が白鳥の耳に届く。
「あたしはこの日を…ずっとずっと待っていた!!」
ギチギチ…
「白鳥!」
ギチギチ…
「白鳥!!」
ギチギチ…
「白鳥…ッ!!!」
ギチギチギチギチギチギチ…
『し、死ぬ…』
早紀が彼の名を叫ぶごとに腕の力が強まっていき、白鳥は死を覚悟した。
だが、彼が三途の川へ足を踏み込む寸前、早紀が急に胴を締め付ける腕を
ほどくと、むくりと上体を起こした。
『た、助かった』
とりあえず生命の危機を脱した白鳥は、ほっと一息つく。『へ?』
しかし次の瞬間、彼の顎がかくんと下がった。彼に馬乗りになったままの
早紀が、パジャマの胸元に手をかけると、ボタンを外し始めたのだ。
焦っているのだろうか、妙に手こずりながら一番上のボタンを外し終えると、
2つ目のボタンももどかしげに外していく。そしてその2つ目のボタンが
外れた時、パジャマの胸元が開いて、豊かな胸の谷間が顔を覗かせた。
881ずっとずっと〜IF〜:2005/07/24(日) 23:06:42 ID:5zKzg6Im
「ちょっ、何やってんのー!?」
「『何』って、恋人同士がすることって言ったら一つしかないだろ?」
ワンテンポ遅れて驚く白鳥に、早紀が当然のように答える。
「ちょ、ちょっと待って!」
白鳥があわあわと手を振って制止しようとするが、早紀はボタンを外す
指を止めない。3つ目を外し、最後のボタン…。だが、その最後が
なかなか外せない。指が滑り、うまくボタンを摘めないのだ。
「ああもう、めんどくせー!!」
早紀は叫ぶと、パジャマの前を掴んでがばっとはだけた。最後のボタンが
はじけ飛ぶ。そしてそのままの勢いで、彼女はパジャマを脱ぎ捨てた。
白鳥の眼前で、飾り気の無い、シンプルな白いブラジャーに包まれた
二つの膨らみが顕わになる。やや細身の身体に比べ、不釣合い一歩手前
ともいえる大きさだ。
「ま、待って!待って待って待ってっ!!」
噴出した鼻血を抑えつつ、白鳥が叫ぶ。「落ち着いて、早紀ちゃん!」
「ん〜、なんだ白鳥? あ、そうか、自分の手で脱がしたいのか、エロいぞお前」
「ちっ、違うってば! そうじゃなくって、こういうことは、その、もっとロマンチックな
雰囲気の時に、順序を追ってゆっくりとね…」
相変わらず夢見る乙女のようなことを言う白鳥に、見下ろす早紀の表情が曇った。
882ずっとずっと〜IF〜:2005/07/24(日) 23:10:38 ID:5zKzg6Im
「嫌なのか?」
「えっ?」
「アタシとするのは嫌なのか? アタシのこと好きじゃないのか?」
「いや、その…もちろん好き…だよ」
赤くなっていた顔を、さらに赤く染めながら白鳥が答える。
「だったらいいだろ!」
「でっ、でも、だからって急にこんな…」
いまだ及び腰の白鳥の胸倉を、早紀はつかみあげる。
「お前に好きだって言われて、あたしも嬉しかった。…でも、なかなか会うことが
できなくて…。今日もこのまま別れたら、今度はいつ会えるかわからないんだぞ、
お前はそれでもいいのか白鳥っ」
『あ…』
焦りとも性急とも見えるこの行動の理由を知り、白鳥はハッと胸を突かれた。
梢が別人格になっている間と同様、早紀たちも梢でいる間のことを覚えていない
らしいことは、薄々気付いてはいた。つまり早紀が自分と会えるのは、梢が早紀に
なっている間だけしかないのだ。
早紀は今、自分のことを恋人だと認識している。だが、会えるのは梢の人格が
変わっている間だけ。せっかく恋人同士になれたのに、好きな人がいるのに、
梢が梢でいる間は、離れていなければならない。
そんな人物に、白鳥は一人心当たりがあった。桃乃だ。以前一度だけデートした時に、
その離れて暮らす彼氏の話をする桃乃の辛そうな顔は、今でもはっきり覚えている。
早紀もそんな思いをしているのだろうか? そう思うと胸が痛む。しかし同時に、
そんなに強く自分のことを想ってくれているのかと、嬉しくもあり…
883名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 23:11:20 ID:5zKzg6Im
というところで続きはまた今度
884テイル:2005/07/24(日) 23:15:14 ID:uuE+kk30
>>883
……地の文を途中で区切って欲しいんだナー、と。
つらつらと打たれるのも読み辛い……
それ以外はGJ!

>「お前に好きだって言われて、あたしも嬉しかった。…でも、なかなか会うことが
できなくて…。今日もこのまま別れたら、今度はいつ会えるかわからないんだぞ、
お前はそれでもいいのか白鳥っ」

……なんかホロリときた。
他人格に共通して言えることだから……
885名無しさん@ピンキー:2005/07/24(日) 23:37:31 ID:cMq+qTfW
WINGキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!!!!!
886ぐうたら:2005/07/24(日) 23:55:06 ID:QCiCMJQU
今更ですがアニメスタッフは千百合ちゃんのキャラを間違ってると思います。(ナニアノエセガイジン…)ぐうたらです。
>>883
ちょっと早紀ちゃんの思考が短絡的すぎる…ような…?
恋人=ヤる みたいな考えの元に動いてるような希ガス?
でもタイルさんの挙げた部分は自分も共感。
他人格であるゆ故の白鳥君との距離をあらわしていてよかったです。
次回も期待します〜

…PSOって面白ry
887ぐうたら:2005/07/24(日) 23:56:02 ID:QCiCMJQU
ゴメンナサイ…タイルさんじゃなくてテイルさん…なにその風呂場……ホントスイマセン、テイルさん…
888名無しさん@ピンキー:2005/07/25(月) 00:10:24 ID:0Wjk9hZ3
まぁ…若さ故の過ちという言葉もありマス故。
好きになったら想いが爆発しちゃうっていうのもアリだと思いますよ。
と、エロネタばっかり書いてる人の意見。


>>883
あとはまぁ文章がちょっと読みづらいってところですかね。
この辺はいっぱい読んで勉強するしかないッス。
889お腹いっぱい:2005/07/25(月) 08:00:51 ID:WdIaFxgy
>>883
乙です。
句読点で改行すればよいのではないでしょうか?

>>ぐうたら氏
タイルさんで笑いました。
PSO、面白いですよね。
自分も昔ずっとやっていました。
今はもう解約していますが…。

>>868
ヒント:また寝てしまった自分
890名無しさん@ピンキー:2005/07/25(月) 08:06:36 ID:HmXq7i4S
早紀ちゃん積極的(;´Д`)ハァハァ
891名無しさん@ピンキー:2005/07/25(月) 10:42:52 ID:FaUBY/tk
( ´ー`)。o0(MMOってどうなったんだろう?)
892ヘブン:2005/07/25(月) 10:54:59 ID:pPu9be51
SS投下開始ヨ〜
893それは不幸かあるいは幸福か:2005/07/25(月) 10:55:31 ID:pPu9be51
人生において幸福と不幸は同じ数だけあるという。
不幸があるから幸福があり、幸福があるから不幸がある。

幸福を掴むためには不幸も経験しなければならない。
不幸を知らなけれ本当の意味での幸福には気づかないのだ。

彼女はそんな幸福に気づいた数少ない人物なのかも知れない・・・・・
894それは不幸かあるいは幸福か:2005/07/25(月) 10:56:04 ID:pPu9be51
朝、彼女は目覚めてから毎朝の日課として仏壇に向かい手を合わせる。
今日も良い日でありますように、そう願い。

彼女のこれまでの人生は決して平坦なものではなかった。
愛する曾祖父「青葉総一郎」を失い、そして両親も不運の事故でこの世を去った。

「曾お祖父さん・・・・・・」
彼女はあの日、総一郎の葬式の日のことを思い出した。

あの日、曾祖父が、大好きだった曾お祖父さんが死んだ。
大人達が何やら話をしているが彼女の耳には届いていなかった。
彼女は横たわる曾祖父の遺体に近づき軽く揺すった。

「ねえ、おじいちゃん・・・起きてよ・・・ねえ・・・」
隣に来た両親が少女の肩に手を置き首を横に振る。
幼いながらも曾祖父の死を理解したようだ。
「やだ・・やだ・・・やだよぉ・・・」
彼女の目からは大粒の涙がこぼれ落ちた。
895それは不幸かあるいは幸福か:2005/07/25(月) 10:56:57 ID:pPu9be51
それからどれくらいたったか、彼女は今も泣き続いている。
悲しくて、辛くて、どうしようもなくて。
「ねぇ、どうしたの?」
不意に後から声を掛けられた。
その声は大人のものではない、自分と同じ子供のものだった。
彼女は振り向いた。
そこには自分と同い年くらいの男の子が立っていた。
「どうして泣いているの?」
彼女は答えられなかった。泣きすぎたせいか上手く声が出ない。
「それよりもほら、こっちこっち!」
男の子は泣いていた少女を縁側に連れて行き、スケッチブックを広げ一枚の絵を見せた。
そこには様々な動物が描かれていた。
「こっちがきりんで、こっちがぞうさんなんだ」
男の子は楽しげに説明していく。
いつしか、泣いていた少女も楽しげに男の子の絵を見ている。
「ねえ、つぎは、うさぎさん描いて!」
少女が初めて口を開いた事に喜び男の子も歓喜の声を上げる。
「うん!」
そして、リクエスト通りうさぎを描き始めた。
少女は次々に描かれていく絵を硬骨の目差しで見ている。
「ねえ、きみのなまえはなぁに?」
男の子が少女に問いかけた。
「わたし、あおばこずえ!あなたは?」
「ぼくはしらとりしゅうし!よろしくね」
「うん!」
そして、二人はりゅうしの描いた様々な絵を見続けていた。
「ぼくね、おおきくなったらえほんさっかになるんだ」
りゅうしが誇らしげに語る。
それを受け梢も
「すごぉーい」
歓喜の声を上げ二人は楽しい時間を過ごした
896それは不幸かあるいは幸福か:2005/07/25(月) 10:57:33 ID:pPu9be51
やがて、日も傾き始め楽しい時間は終わり別れの時が来た。
「そうだ、これ」
隆士はそう言って一枚の絵を梢に渡す。
その絵には幼いながらも上手に梢が描かれていた。
「ありがとう!だいじにするね!」
そう言い二人は別れた。

この時、彼女は祖父を失うという不幸を体験した、
だが、隆士と出会えた。
この幸福と不幸が等価なのかは分からない。
少なくとも彼女は隆士と出会い彼の描く絵によって祖父を失った悲しみを乗り越えられた。

そして時は流れた。
彼女は両親を失った。
事故だった。
福引きで当たった海外旅行。
それを両親にプレゼントした。
だが、両親は不運にも旅行先の事故で帰らぬ人となった。
彼女は強い自責の念に駆られた。
自分が旅行に行っていれば、自分がプレゼントなどしなければ両親は死ななかったのではないか?
悲しみにくれる彼女のそばにかつての様に隆士はいなかった。
深い絶望が彼女を襲った。
そして、彼女「変心」するようになった。
他人を拒絶し自分の世界に閉じこもったり、着たくない喪服を脱いでオシャレにはしったり
泣くの止め代わりに思いっきり笑ったり、怒ったり、幸せだった子供の頃に戻ったり。
これらのもう一人の自分が彼女を支えてくれた。
だから、彼女は耐えられたこの深い悲しみに。
897それは不幸かあるいは幸福か:2005/07/25(月) 10:58:04 ID:pPu9be51
そして、彼女は両親の跡を継ぎ鳴滝荘の大家となった。
「変心」するようになった彼女に最初は戸惑った住人達も彼女を受け入れてくれた。
だが、彼女の心には溝が出来ていた。
曾祖父、両親と自分に最も近い人物を失った。
その溝を埋めることはどうしても出来なかった。

彼女は大きな不幸を経験した。
ならば、彼女にはそれと等価の幸せが訪れるのだろうか?

「・・・白鳥さん」
彼女はあの日。曾祖父の葬式の日、隆士にもらった一枚の絵を見つめている。
彼女はこの絵に救われてきた。
見る者を温かい気持ちにさせるというこの絵に。
彼女は隆士に憧れを抱いた。
そして、彼に会いたいと願い始めた。
そんなある日のことだった。
「はい、鳴滝荘です。」
白鳥の母親から電話がかかってきた。
「はい、お部屋なら空きがあります!」
隆士が専門学校に通うために上京したいと言い出したらしい。
そして、その下宿先を鳴滝荘に出来ないか?そう訪ねられた。
彼女は嬉しかった。
また、彼に、隆士に会える。
その想いが彼女の中に溢れていた。

このときから彼女は幸せへの道を歩み始めたのかも知れない。
898それは不幸かあるいは幸福か:2005/07/25(月) 10:58:35 ID:pPu9be51
そして、白鳥が鳴滝荘に入居してきた。
梢は嬉しかった。
憧れていた人にまた会えたことに。
それからは毎日が幸せだった。
桃乃がいて珠実がいて黒崎親子がいて灰原がいて
そして何より隆士がいて・・・・・
彼女は何よりもこの何気ない風景が好きだった。
ホンの些細なことだが、彼女にとっては幸せだった。

彼女はこの何気ない、いつもと変わらない日常を幸せと感じていた。
住人達と、白鳥と一緒に過ごす日々を。


―――彼女は本当の意味で幸福に辿り着いた数少ない人物なのかも知れない
どうか彼女の未来に幸あらんことを―――
899それは不幸かあるいは幸福かあとがき:2005/07/25(月) 10:59:35 ID:pPu9be51
はい、自分でも何書いてんだ?って言われても仕方がない気がしてきましたorz
・・・ご意見批評その他お待ちしてます
900名無しさん@ピンキー:2005/07/25(月) 12:02:35 ID:opj0AWNy
>>899
こんな時間に誰かと思ったら…

しかし、幸福と不幸、か。まほらばの根っこの部分ですな。
本編でも色々語られていますが、こういうストレートなものも乙なものです。
ちなみに「蒼葉」ですよ。

…あ、夢の事書き忘れてたんだ俺orz
901名無しさん@ピンキー:2005/07/25(月) 12:04:02 ID:HmXq7i4S
>「はい、お部屋なら空きがあります!」
このときの梢ちゃんの表情は、最高の笑顔だっただろうなぁー
902ヘブン:2005/07/25(月) 12:06:15 ID:pPu9be51
>>900
やっべ、また間違えたorzorz

>>900-901
どもっす
903名無しさん@ピンキー:2005/07/25(月) 13:05:42 ID:eZAqanXL
>>899
GJなSSお疲れ様です!
しかし、幸福と不幸ですか・・・
鳴滝荘の皆、幸福になれるとよいですねぇ
904名無しさん@ピンキー:2005/07/25(月) 19:35:27 ID:Zn1d3p2X
>>899  GJ(・∀・)!葬式の場面とかよかった。
そしてもう900かぁ・・・
すごいスレスピードだなこりゃ
905名無しさん@ピンキー:2005/07/25(月) 20:20:27 ID:WdIaFxgy
スレが立ってからまだ二十日も経ってませんね…。
906805:2005/07/25(月) 20:24:42 ID:eZAqanXL
とりあえず新しいのができたので
投下をしようと思います。
では。
907その、笑顔[1/8]:2005/07/25(月) 20:27:01 ID:eZAqanXL
ここは誰も居ない鳴滝荘。
今、僕は自分の部屋でいつものように絵を描いている。
そう、ここは誰もいないはずの鳴滝荘。

「ふぅ・・・なかなか上手くいかないな・・・」
「それにしても・・・こんなに静かな鳴滝荘っていうのも珍しい・・・」

皆、今なにしてるかな・・・

梢ちゃんと珠実ちゃんは二人で買い物に。
桃乃さんは・・・大学のサークルに顔を出してくるって言ってたっけ。
朝美ちゃんと沙夜子さんは水無月家に遊びに。
灰原さんは・・・どこへ消えたんだろう。

「今日は朝から絵ばかり描いてたから、少し疲れてきたかな」
「お昼ご飯でもとって休憩しよう」
そう思って僕は立ち上がり、ドアのほうへ歩みを進め
ドアを開けた。そしたら・・・そこに居たのは・・・
「!!・・・え・・・?えーっと・・・こんにち・・わ?」

誰も居ないはずの鳴滝荘なのに、そこに立っていたのは・・・

「おヤ、タマなしサンの部屋でシタか。こんニチわ・・・クッ」
部長さんだった。
「えっと、部長さん・・・?どうしてここへ?」
「ソウでスね、シいて言エバあナタに用がアッたからデスよ」
「誰もイナいよウなノデ、勝手に上ガラせテモらイマシたが」
「一発デ当たリヲ引くトハ・・・クッ」
部長さんが僕に用事・・・?
いったいなんなんだろう
なにか変なことじゃなければいいけど・・・
僕は恐る恐る訊いてみた。
「僕に用事っていったいなんでしょう?」
「絵を描イテもらイタいのデスが」
「へ・・・?」
908その、笑顔[2/8]:2005/07/25(月) 20:27:56 ID:eZAqanXL
僕はポカンと口を開けて聞き返してみた。
「・・・絵?絵・・・ですか?」
「エエ、そうデスよ」
「えーっと、何の絵・・・ですか?」
その質問を聞いた部長さんは、ニヤっとした笑みを作り
僕にこう答えた。
「私の絵デス、私の肖像画ヲ描いテモらいタイと思ッタのでスヨ・・・クッ」

・・・?肖像画・・・?
それはえーっと・・・部長さんがモデルになって僕がそれを絵にする。
そういうことなのか・・・?いやそういうことだ。
それにしても・・・肖像画?いったい、なぜ?

「部長さんの肖像画を?なぜですか?」
「嫌デシたか?」
「あ、いえ、そういうことはありませんよ
ただ、どうしてかなぁと思っただけですから」
その質問に対してもなぜか、なぜかまた部長さんはニヤっと笑って
僕に答えてくれた。
「タダ部室に飾ろウカと、ソウ思っタダけデスよ
少々寂シイ部室デスからネ・・・クッ」
「は・・・はぁ、そうなんですか」
「えっと、それじゃあどうしましょう?どこで描きましょうか?」
「そうデスね・・・では、タマなしサンの部屋デ」
「え!僕の部屋・・・ですか?あ・・あぁ・・・じゃあ入ってください」
なんでまた僕の部屋なんだろう・・・
そう考えていると
「別にアナタを黒魔術の実験ニ使うナド、そうイウことハ考えテイませんヨ
ただ、ワザわざ遠くマデ移動スルのも面倒デシょう、ただノ肖像画デスし」
「は・・・ははは、そうですね」
909その、笑顔[3/8]:2005/07/25(月) 20:28:32 ID:eZAqanXL
僕は少し冷や汗をかきつつ、部長さんを部屋に招き入れる。
そして適当な椅子を用意して適当なところに置く。
そして部長さんを・・・

「じゃあ、そこの椅子に座ってください、立ちっぱなしじゃ疲れますしね」
「そうデスね、ワカりマシた」
道具を一通り準備して、僕は部長さんの前に座った。
「よし、準備はできましたから、描き始めますね」
「エエ、お願いシマすよタマなしサン」
そういって僕は絵を描くために筆を走らせた。

「・・・・・」
「・・・・・」

長い沈黙の時間、僕は部長さんをジッと見ては
またすぐに筆を走らせる。
それを繰り返し続けていた。

「・・・・・」
「・・・・・」

長い沈黙の時間、それは永遠とも思えるような時だった。
なぜだろう、普段誰かにモデルになってもらって
描くときは、こんななにか変な違和感は覚えたことなかったのに
なにかがたりない・・・そんな気がした。

気づいたら僕はジッと今までとは違う目で
部長さんを見ていた。

「・・・・・」

なにがたりないのか、この違和感の正体を見つけるために・・・
910その、笑顔[4/8]:2005/07/25(月) 20:29:20 ID:eZAqanXL
「どうされましたか?さっきから筆が動いていないようですが」
突然の言葉、僕はハッとなって慌てて返事を返す。
「あ・・・す、すみません」
「どこヲ見てイタのでショうかネ、いやデスよタマなしサン・・・クッ」
「は!?な、なに言ってるんですか部長さんっ!」
「コノ私に目を付ケルとは・・・梢部員とイウ恋人がイナがら・・・
ナカなかヤルようデスね・・・クッ」
「ちょ・・・部長さんってばっ!!」
突然僕をからかってくる部長さんを、どうすれば止められるのか
今はただそれだけしか考えられなくなっていた。
っていうかどうしてほんとに、こんな目に僕が・・・変な汗が出てくる・・・
「クッ・・・コノ程度のコトで心乱さレルとは、ヤハりタマなしサンも
まだマダ青イヨうでスネ・・・クッ」
「う゛っ・・・ぶ、部長さ〜ん」
さらに痛いところを突かれて覇気のない声で
声を発していた、そこにさらに追い討ちをかけるように・・・
「これデハ、あなタノ恋人でアル梢部員が心配デスね」

いや・・・追い討ちとは違った
部長さんが発した言葉は・・・

「ですガ、まぁ・・・お二方ノことデス
なんの問題もナク共に幸セニならレルことデショう」
「部長さん・・・」
「勘違いシテはなリマせんよ、ソレを可能にスルか不可能にスルか・・・
ソレはあナタ方次第デス、そしてタマなしサン」
「あ、はい?」
「梢部員ヲ本当に幸セニできルノは、他の誰デモないアナただけデスよ」
911その、笑顔[5/8]:2005/07/25(月) 20:30:36 ID:eZAqanXL
梢ちゃんを幸せに・・・そう、僕は梢ちゃんを幸せにしたいんだ。
梢ちゃんに幸せを感じてほしい、これから先ずっとずっと・・・
僕はずっとこれから先もずっと、梢ちゃんを支えていきたい。

そう思っているんだ、だけど・・・部長さんの言葉を聞いて。

本当に僕に梢ちゃんを幸せにできるのだろうか・・・
言うだけなら、思うだけなら誰だって簡単にできるんだ。
僕はそれを実行できているんだろうか・・・
と、そんなことを考えていた僕に部長さんが

「頑張ッテくだサイ、まだマダ青いトハ言え・・・
アナタならきットでキルでショう、あなタニしかデキないコトなのデスから」
「は、はい、頑張り・・・ます」

部長さんが応援してくれてる・・・?
いや、部長さんだけじゃない・・・

そうだよ。

周りには皆がいるじゃないか、僕達を支えてくれてる人達が
家族のように大事な人達が、いつかは皆も居なくなってしまうかもしれないし
ずっと頼っているわけにはいかないけど・・・
今はまだいいよね・・・みんなにはまだきっと迷惑をかけてしまうだろう。
いっぱい頼ってしまうだろう・・・でもいつかきっと僕も強くなるから
絶対に強くなるから、もう少しだけ僕達を支えていてください・・・

「勘違いシテもらっテハ困りマスよ」
「あ・・・え?」
また一人考え事をしていた僕に部長さんは声をかけてきた。
「私はアナタのこトヲ思って言ッタわけデハありマセん
私はアクまで梢部員ノことを思ッテ言っタマでデスよ、大事な部員デスのでネ
マァどうシテも、と言うナラば多少は力ヲ貸シテ上げテモいいデスが・・・フッ」

ど、どうしてこの人はこう、とことん僕を・・・
まぁなんだかんだで・・・ん?
あれ・・・なんだろう今なにか・・・あっ
そうか・・・足りなかった物それは・・・
912その、笑顔[6/8]:2005/07/25(月) 20:31:09 ID:eZAqanXL
「あの、部長さん気づいたらもう結構時間が・・・
と言うことで絵の続きを描きたいんですけどいいですか・・・?」
「元ハトいえバ、タマなしサンのせイデ止まってイタ気がスルのデスが?」
「う・・・そうでしたね、すみません、じゃあ描きますね
極力ジッとしていてください」
「ワカっていマスよ」

そして僕は再び絵を描くために筆を走らせた。

「・・・・・」
「・・・・・」

またしばらく沈黙の時間が訪れた。
そして・・・ついに。

「ふぅ・・・よし!できましたよ部長さん!」
「ホォ、やットできマシたかタマなしサン、お疲れ様デス」
「あ、はいどうも。じゃあえっとこの絵を・・・」
「待ってクダさい」
突然、部長さんから制止がかかった。
「え?どうしました?」
「ソノ絵・・・なにか布カナにかデ巻イテほしイノですガ」
「え、あぁできますけど、今すぐですか?」
「エェ、そうデスよ」
「あ、そうですかじゃあ・・・って絵は見ないんですか?!」
どういうことだろう・・・せっかく描いた絵なんだけど・・・
そんな風に思っていた僕に、部長さんが返事を返してきた。
「エエ、今は見マセん。帰ってカラじックり見るコトにしマスよ」
「あ・・・見てはくれるんですね」
「なにヲ言っテイるんデスか、ソレは当タリ前でしョウ」
「ま、まぁ・・・そうですね」
やっぱり部長さんはどこか掴みにくい・・・
透明人間みたいな人だ。
913その、笑顔[7/8]
「タマなしサン」
「あ、はい?」
「なにか、イラぬ事ヲ考えテイるヨうデスが?」
「!・・・そ、そんなことないですよ」
「サテ、どうデシょうカネ・・・クッ」
「ないです、ほんとに断じてないですから、ははは・・・」
どうやら僕は心を読まれやすいようだ・・・
昔からこうだった気がする・・・気をつけよう。
「デハ、私の用事はモウ終わりマシたのデ帰らセテいたダキますネ」
「あ、はい。えっと、今日はありがとうございました色々と」
「お礼ヲ言うノハこちらデスよ。私のタメにわざワザ、すみマセんデシたね
デハ・・・またイズレお会いシマしょう」
「はい、気をつけて帰ってくださいね、さようなら」
「ええ、サヨうなラ」

そう言って部長さんは僕の部屋を、鳴滝荘を出て行った。
あの絵を見て部長さんは何を思うんだろう。
少し勝手なことをしてしまった気もするけど・・・
きっと大丈夫なはずだ、うん、きっと大丈夫
部長さんもあの絵を気に入ってくれるはずだ。

それは僕が心に決めたこと。

「サテ・・・どのヨウな絵がデキたのカ見てミマしょうカね」

ここは青華短大付属高校
オカルト研究部の部室
そこに居る一人の生徒

「フム・・・おかシイでスね、コノ用な表情ヲ作ってイタ覚えハナいのデスが・・・
しかし、マァ流石デスね。タマなしサン、なかナカ良くデキていマスよ
ええ、コレはこれデ・・・悪クないデスね・・・フッ」