1 :
1:
<お願い>
新スレは、なるべく480KBを越した人が立てましょう。
500KBでスレッドストッパーが働き、書き込めなくなります。
ほす&乙
独り祭りさん、いつもいつもGJ!!!!!
毎回楽しみにさせていただいてます。
新スレ立てたの、気付いていただけると嬉しいなぁ。
ぜひ続きはこちらでお願いします。わくわくして待ってます。
それからこちらの皆様。
KB超えの為御相談出来なかったのですが、バーディースレを関連リンク
に入れなかったのですが…これで良かったでしょうか?
ご意見お待ちしております。
専ブラの方もいらっしゃると思うので、この新スレに気付かれた方は、
一週間ほどage進行に御協力願います。
「くぁあっっ!あっ・・・く、う・・・・・いいっ!」
「すごいな・・・・マ*コ全部で振動しやがる・・・・大したもんだ」
尻をローターに、秘裂を恋人に埋めて貰って下肢がパンパンに張る。
股間から絶え間なく快楽が上がって来て、残り少なかった理性など簡単に奪われた。
「今すぐうごいてぇっ・・・・・おねがい、おち*ちんうごかして・・・・っっ」
はめられたままの腰を精一杯振って恋人を誘う。
いつもより荒々しい呼吸の隊長が、眩暈がするほど色気のある声で言った。
「落ち着きなさい・・・・今、犯すから」
そう言いながらも隊長も、ものすごく興奮しているのが分かる。
ぴたぴたと尻を叩いて溜息をつくと、上擦った声を出した。
「・・・・・・・・・・・良すぎるな」
隊長は嬉しそうに腰を動かす。亀頭ギリギリまで腰を引くと、根元まで力一杯打ち付けた。
「くふぅっっ!あふ、ぅ、ぁ・・・・・きい、ち・・・さ・・ん・・・っ・・もっと、きて・・・っ」
何度も何度も腰が引かれて奥の奥まで犯される。
膨らんだ先端が張り詰めた最奥を裂ける寸前まで広げていく。
興奮した恋人の肉棒はいつも以上に太く大きい気がした。
「おっき、い・・・っ・・きいちさん・・・・おっきい・・・ふぁあっ」
「野明の、中も・・・・っ・・・・すごいな・・・本当は、こんなだった・・・・・の・・か」
背中にぱらぱらと汗が降ってくる。雨のような大量の汗。
隊長がここまで汗を流すのなんて初めてかもしれない。いつもどこか余裕があったから。
でも今はあたしと同じ。余裕なんて全然ない。
あたしを見て、あたしに感じて、こんな風になってしまっている。
誰に対してか分からないけれど、ものすごい優越感が湧き上がってきた。
「き、いち・・さんも・・・・・んぁっ・・・・・・い、い・・・?」
「良すぎて・・・・・・・・・・狂う」
腰骨を両側から掴まれる。隊長が打ち付けるのと同時に、思い切り引き寄せられた。
「んぁああっっ!!あふっ、ぁうっ、ふか、い・・・っ・・・・きゃあっっ!!」
ものすごい勢いでぶつかり合う。ばちん、ばちんと折檻を受けてるかのような音。
肉棒という凶器で性器を掘り進められる悦楽に、恥も外聞もなくよがりまくった。
8 :
独り野明祭り2 :2005/04/21(木) 22:24:02 ID:ehNceTtE
「すごいよぉ・・・っ・・・お**こも・・おし、りも・・・・すごいよぉ・・っっ」
隊長の動きに合わせてローターの強弱を変える。引く時は強くし、突く時は弱くする。
まるで尻と性器を交互に突かれているようだ。
奥まで入れられてぐりぐりと掻き回される時は小刻みに強弱をつける。
隊長の肉棒が二本あって、前と後ろ一緒に入れられてるみたいだった。
「随分尻でも楽しんでるみたいだな・・・・本当に初めてなのか?」
隊長があたしの手からコントローラーを取り上げる。ダイヤルを回し、最大値にしてから放り捨てた。
「まって!そんな、つよすぎ・・・るっ・・・とめ、て・・・・・おしり・・・・・・・・だめぇっっ!」
「んっ・・・・いいな・・・・一段と締まってきた・・・・」
最大値のまま延々揺さぶられ、尻の気持ちいいのが止まらない。
尻への刺激だけでもきついのに、性器は恋人の肉棒がきちきちに埋めて暴れ回っている。
片手が乳首を、もう片方が肉芽を操ってあられもない声を上げさせる。
拘束され全身の性感帯を同時に犯されては、狂ったように泣き叫ぶしかなかった。
「よすぎるっ・・・・あぅっ、きいちさんっ・・・・あ、あぁっ・・すき・・・・だい、すき・・・いいっ・・・だいす、きっっ!」
「もっと、言ってくれ・・・野明」
「すきぃ・・・・あふっ、ふ・・・・だい、す・き・・・・・・きい・ちさん、が・・・・すき・・・っっ」
腰の動きが一層激しくなる。あたしもそれに合わせて出来る限り腰を振った。
「イク・・・ッ・・・イっちゃ・・・・う・・っ・・・お**こも、おしり、も・・・・イッちゃう・・・っ!」
隊長が後ろから抱き付いてくる。一拍置いてからものすごい力で抱き締められた。
ああ、隊長もイクんだ。あたしの身体で、イクんだ。
「あぁっ!イ、ク・・ッッ!いっしょ・・に・・・・イッて・・・っっ!!」
「・・・・・・・野明・・・っ」
極まった性感が身体を突き抜ける。震える身体を隊長が折れる程締め付けた。
同時に迎えた絶頂に力尽き、抱き締められたまま二人重なって布団に突っ伏す。
互いに指一本動かせない身体の間で、押し込められたローターだけが動き続けていた。
9 :
独り野明祭り2 :2005/04/21(木) 22:25:36 ID:ehNceTtE
「・・・・・・・抜くぞ」
頷けば隊長の肉棒がずるんと抜けてしまう。それでもいつもの寂しさをあまり感じない。
それは多分、尻に淫具が入ったままだからだ。あたしを眺めながら隊長はゴムを外す。
まだ熱い中身があたしの顔にかけられた。垂れた精液を舌で受け止め大切に飲み干す。
「んっ・・・おいしい・・・・・おしりもぬいて・・・・?」
尻を上げて抜いてもらうのを待っていたら、隊長がとんでもない事を言い出した。
「自分で出してごらん?」
「えっ・・・・・そ、んな・・・・」
抜いてくださいと何度も懇願するが、隊長は笑って首を振るだけだった。
こうなってしまえば隊長は絶対にしてはくれない。
しばらく迷ったが、覚悟を決めてぐっと下腹部に力を入れた。
濡れた肛門から少しずつ少しずつ異物が押し出される。
「ん・・・・っ・・・ふ、ぅ・・・・っ」
肛門を押し広げてローターが顔を出す。
スイッチは切れているが、狭い穴を硬い物で中から押し広げられるのはきつい。
「あぁ・・・ぅ・・・・・か、た・・・い・・・・ぅう・・・・おっきい・・・」
もり、もり、と棒状の異物が吐き出されていく。
一緒にこぼれたジェルは股間を通って陰毛から垂れ落ちて行った。
「犬の排泄みたいだな?」
揶揄の言葉に尻が縮む。その締め付けで勢い良くローターが飛び出した。
「ひィ・・・ッ!」
「おっと」
ぷちゅっと音を立てて飛んだローターが放物線を描いて畳に落ちる。
一緒に飛び出たジェルは長い糸となって畳とシーツに線を描いた。
「すごいな野明・・・・こんなのはじめて見た」
隊長の上擦った声に羞恥が湧き上がり顔が熱くなる。
栓を失った尻の穴は刺激を求めていつまでもヒクヒク蠢いていた。
10 :
独り野明祭り2 :2005/04/21(木) 22:26:14 ID:ehNceTtE
すべての拘束から解放され、清められた身体を横たえられる。
再び布団の中で身体を絡めあって定位置に付いた。
「・・・・・やっぱり喜一さんの抱っこ大好きだなぁ」
首筋に顔を埋めて息を吐き出す。隊長も髪を撫でながら満足そうに溜息をついた。
「俺もこうしてる時が一番好きかもな」
その答えに首を振って違うと言うと、隊長は怪訝な顔をする。
乾いた唇にキスをして、硬い胸に顔をすり寄せた。
「セックスの最後の抱っこです。喜一さん、最後にすごく強く抱き締めてくるんです」
「えっ・・・・・・あ、そお・・・だった、か?」
「はい」
やっぱり気付いてなかったんだ。隊長も最後くらいは無我夢中って事かな?
「最後にぎゅーって。折れちゃう位に強く」
「そう・・・か。そんな事してたか」
隊長はガリガリと頭を掻いて、申し訳なさそうに呟いた。
「苦しかったろ?すまんな、気付かなかった。これから気をつけるわ」
「ち、違いますよっ、そうされるのが大好きなんです!ものすごく!」
だからやめちゃ嫌ですと抱きつくと、そのまま抱きとめてくれた。
隊長はうーんとか唸りながら必死で最後の瞬間を思い出そうとしている。
何だか可愛いな。そんな一生懸命にならなくていいのに。
「なんか変に意識しちまいそうだ」
「自然でいいですよぉ」
「自然・・・ねぇ・・・・・・・却って不自然になって腰つったりしてな」
あんまりにもあり得る事なのでつい吹き出してしまう。
そうなったらその時はお前が介護するんだよ、なんて拳骨で頭をぐりぐり撫でられた。
「いたたたた・・・・・・いいですよ?もうそーなったら下の世話までしてみせます!」
「・・・・・なんかそれ、別のプレイっぽいなぁ・・・・」
プレイで結構。もうこうなったら死に水まで取ってやるんだから。
<終>
腕の中ですやすやと眠る介護人・・・じゃなくて恋人の顔を見つめる。
安らかな寝顔にこっちの顔もだらしなくゆるんだ。
「しかしイク時に抱き締めてたとはな・・・・・・そんな事するようになるとは」
元々他人に体を触れられるのは好きではなかった。
過去のセックスの時には女の愛撫してくる手を払いのけた事だってある。
おとなしく寝てろよ、と腹の中で毒突きながら抱いてたもんだ。
それが今じゃどうだ。
セックスの時に泉が掴まってこなきゃむっとするし、愛撫されれば天にも昇る気持ちになる。
傷跡なんて特に触れられたくないはずなのに、泉の手なら不快にならない。
まったく、勝手なものだな。
心の中、過去の女に神妙に手を合わせる。
どうか野良犬に噛まれたって事で許してください。今は飼われておとなしくしてますから。
その野良犬を手懐けたブリーダーは、寝返り打って乳丸出しで大の字になった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・可愛いなぁ、まったく。
「きいちさんだいすき・・・・・」
自分でも薄気味悪いほど鼻の舌を伸ばしていたら、恋人は更に嬉しがらせるような寝言を吐いた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・畜生、嫁に欲しいなぁ。
「そんな事言ってると、本当に下の世話させるぞ?」
布団を被せて乳を隠してやってから眼を閉じる。
何か幸せな、出来ればこの恋人の伴侶になれる夢を願いつつ眠りについた。
<おわり>
12 :
独り祭り:2005/04/21(木) 22:28:02 ID:ehNceTtE
なんつーかもう・・・すいません。本当に。
GJ--------------------------------------------!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
あいや、お気にめされるな。
それよりごとのあ新作読めて嬉しいですよ。
リアルタイムで読めたのも死ぬ程嬉しいっす(*´▽`*)しゃ〜わせ〜
あー・・こんな時間に独り祭りさんの読んだら眠れなくなりましたー。
とてもえっちでとても素敵。
後藤さん大好きなんで、野明がうらやましいっっ
どーしてくれるんですか、もー。
オシリー!
甘いのと鬼畜っぽなのがちょうどよく混ざってて素敵でしたん
16 :
名無しさん@ピンキー:2005/04/22(金) 12:12:00 ID:LcdFbvBS
良いですねー甘鬼畜。
でもって支援あげ。
わーいわーいわーいわーい。
とんでもなくしあわせだぁ…!!
前スレ422っすけど、前のの続きらしきもの投下して平気ざんすか?
平気
まってます
ぜんぜん平気。
むしろ期待がひろがりんぐwwwwwwwwww
21 :
ちょっぷ n.:2005/04/23(土) 18:07:50 ID:2V+Y5HhA
前スレ422です。以降ちょっぷ とさせていただきます(ぺこ)。
時期が時期だけにちょっと手足震えてますが…またしても季節モノを書いて
しまった自分のせいだわなぁ……。
だああああ。なんだってこんなに暑いんだろう。
まだ5月だっていうのに、仮眠に入る前に見たテレビは、今日の最高気温は30度を越したっていってた。
ぜんぜんぜんぜん眠れなくて何度も目が覚めた。着てたTシャツはもとより、かぶってた毛布まで自分の汗でびっしょりだ。
とっくに真夜中。それなのに気温はぜんぜん下がってくれない。…ったくもう、真夏じゃないのに。
あまりの気持ち悪さにシャワーを浴びようと思い立つ。紙袋に下着とか新しいジャージとかを突っ込んで、出来るだけ足音を
忍ばせてシャワー室に向かう。ボイラー、止められてないかな。
シャワー室にまわる前に、一応ボイラー室を確かめて。…あ、よかった、まだ中のお湯はあったかい。電源も切られてないし。
シャワーの女子用は、男子用の奥。男子用の扉の前を突っ切ろうとしたときに、いきなり誰かに右腕をつかまれた。
………?!!!?!!?!!???? おまけに口まで手でふさがれる。
その誰かにひきずられるみたいにして、男子用の脱衣所に引っ張り込まれた。
22 :
ちょっぷ n.:2005/04/23(土) 18:12:32 ID:2V+Y5HhA
…………。だろうとはちょっと思ったけど!いくら何でもそれはないとあたしは思う!!匂いだけでわかった。遊馬だ。
「………ヤらせてよ……。」
耳たぶを噛むみたいにして囁かれる。かかる息は背筋がそくっとするみたいに熱い…ってそんなこと言ってる場合じゃない!
あたしは紙袋から手を離し、遊馬の手をふりほどこうとした。
「……んぐっ!!……ふがぐうううっ!(あのねぇっ!!こんなトコで出来る訳ないでしょっ!)」
なのに。あたしの腰と口許にまわされた手は、ぎっちり組み付いて離れない。指にかみついてやろうともしたけど、口が
うまく開かない。なのになのに、遊馬は呑気な調子でこう返しやがった。
「あ、そーかそーかお前もしたいか。待ってな、今ジャージ下ろしてやるから……。」
「もががががが――っ(違――うっ)!!!」
やっとのことで遊馬の手を口からひきはがす。足りなくなった酸素を肺に補給して。大声は出せないからいきおいあたしも
遊馬の耳元でささやくことになってしまう。
「こんな職場のまっただなかで出来る訳、ないでしょっ!」
「できるできる、ぜーんぜん問題なし。お前が声さえ上げなきゃいいだけの話。」
…それ自体出来ない相談だと思う…ってそういう問題じゃないだろうあたし。シャワー浴びてとっとと寝たいし、とにかく
ここでスるなんてもう論外だ。
とにかく遊馬に思いとどまってもらわないと。えーとえーとえーと。ない頭を必死にしぼって考える。ええと…あ。
「遊馬。バレるとまた懲戒で減給だよ、今減給されると辛くない、お互い。」
しかしこんなこと自分の彼の耳元にささやくセリフなのかなぁ、とはそりゃちょっとあたしも思う。でもこれくらいしか
思い浮かばないぃぃぃぃぃぃ。
「だってそんなこと言ったって、…野明、サせてくんないじゃん、ぜんっぜん。」
………。確かに認めるけど……ここ2回、デートしてもお泊りと休憩はは拒否してた。門限破るのにいい加減友達を使い続
けるのに気が引けてきてるんだよぉ。それに、なんかスるだけみたい、で、さ……。
「……シなきゃ死んじゃうってわけじゃないでしょっ!」
「いや、死ぬって。」
……アリエナイ。あり得ないって!どうしよう、次にどう言ったら諦めてもらえるか固まって考えていたら、遊馬のあたし
の腰にまわした手が徐々に上の方に伸びてきて…やめてって!シャツとブラ越しにあたしの胸、撫でてきてるぅ。
「……し、死ぬ訳ないじゃん。」
声はこらえてこらえてこらえてこらえてっ。ここで感じちゃったら本気でアウトだ。えーとえーと、ああっ…やめてって…。
「そうは言うけどお前なぁ。オトコって3日シないでいると目からどーっと白いモノが溢れてくるんだぞぉ。で、5日続けば
即死。」
…そりゃ確かに3日前に、お泊り断りましたけどさ……。
でも何でよっ!付き合う前だってそんな、目から白いものがどーっ、なんてなってる所、見たことないぞっ。
…って言っても、遊馬はまったく答えずにあたしのうなじに舌をはわせた。…だからやめろーっ!手は徐々にTシャツの下に
もぐりこんで、ブラだけ越しに乳首をつまんだりつついたりしている……うー。やめ……て。
右手が愛撫してれば左腕が強くなって。上体はけっこう自由なんだけどふりほどけない。
「そりゃお前が注意して見てないだけだって。とにかくヤらせて、すぐ済ますから。」
…ってどーしよ、ここで、職場でスるのはどーしても避けたい。深夜だからこの程度の物音じゃ誰も目を覚まさないだろう
とはいえ、ここに泊り込みになってるのは何もあたしたちだけじゃない。現に、ひろみちゃんは今まで遊馬のいた当直室で
寝てるはずだし。
ええいっ。なんだってこんなに強硬なんだっ。
「…遊馬。」
「何。」
「大声、出すよ。」
こ、こっちは真剣なのにっ!…笑いやがったっ!笑いながら首筋にキスしたりシャツごしに歯を立てたり、あたしを苛むの
を止めてくれない。
「だってお前だってバレりゃ同罪じゃん。男子脱衣所になんか入って来てるんだし。」
…冷静だったら気付いただろう。あたしは遊馬にひっぱりこまれてココに居るんだ。でもあたしはなんだかいろいろパニッ
クを起こしていて…自分も悪いんだってどっぷり罪悪感まみれになってしまった。
があああああん。
「ね?遊馬お願いだから、今日はよそう?ね?だって前ほら、熊耳さんがバドの髪の毛、シャワー室で見つけたとかって
あったじゃん。あたしの髪って男の人よりほら、長いからさぁ、石和さんとかに見つ……」
ごしゃごしゃ言わないの!と、遊馬はまたあたしの口を手でふさいだ。
「お前の髪って、たぶん進士さんよりとおんなじくらいじゃねぇの?」
……そうかも。でもでもでも。これって…これって…。このまんまじゃ強姦じゃん!
やっとこさ遊馬の手を口からひっぺがして、あたしは最後の手段に出た。
首筋に、そっと口付けして。半泣き目ですこし遊馬の目を見つめてから、あたしは遊馬の耳元でささやき声で訴えてみた。
「…今週の非番の日さ、もーどーにでもしていいからっ! もー滅茶苦茶にしてくれていいからっ!! だからお願い、
今日ココでは止そ? ね?ね??ね???」
25 :
ちょっぷ n.:2005/04/23(土) 18:22:59 ID:2V+Y5HhA
見つめあうこと2秒間。ちょっとこれで収まってくれるかなって期待してたのに。なのに。
くすくす笑いながら遊馬は、あたしの乳首をじかに、きゅっとつまんだ。………よしてぇ………
「あーそー、そんなに煽ってくれるの。そんなにシたいんだぁ…そっかぁ、そーゆーコトなら今日も非番も頂きますので
よろしく。」
…………。しばらく自分が何をしてしまったんだかわからなかった。今ならわかる。あたしって……バカすぎ…。
自分で墓穴掘ってどうするんだよぉ、って泣いてみたってもう遅い。遊馬はあたしの上体を左手できゅっとつかまえ、
右手をジャージのお尻のほうから滑り込ませてきた……ちょっとやだ、下着の、中……。
「それにお前だって、もう停まれそうにないじゃん。こんなに濡らしちゃってさ。」
そういってあたしの前に差し出された遊馬の右手のひとさし指は、あたしの愛液でべったりと濡れていた。
「…べ、別に今シなくたって平気だもん。」
そう平気。へ、平気だもん。例え今シなくったって………平気、だよ、なぁ、あたし……。
「でもずーっとは困るだろ?もし今サしてくんなかったら、もうずーっとシてやんねー。」
ああああもう、ガキかっ!!ここまで強硬になってる遊馬って、あたしにはもう停められない。それにちょっと、あの、
その…えっと……ずーっとって。………ええええいっ、記述者特権利用して省略っ。とにかくいろいろあって、あたしは
半分やけで腹を括った。
「ホントに、今日だけだよ?またヤらせてって言っても、職場内だったらずぅえええええっったい断るからね?」
「はいはいはい。」
またシャツに手、突っ込んで、あたしの脇腹を愛撫しながら答える。ちょっとぉ、本当にもう、ちゃんと聞いてるの?
「あと、さ。」あたしはまた耳元で囁いた。
「ん?」
「…せめて、ちゃんとキスくらいしてよ。これじゃレイプみたいじゃん。」
ここに引っ張り込まれてから、いちどもちゃんと唇にふれてもらってない。それくらいおねだりする権利は、あたしに
だってあるだろう。
「…それもそうだな。」
あたしのことを押さえ込んでいた腕をはじめてはなして、遊馬はあたしの目を覗き込む。このまま逃げる事も出来たけど、
逃げなかったし、逃げる事も出来なかった。
だって、目が、違うんだ。ヤらしてヤらしてって大騒ぎしてたさっきと。脂が抜けたっていうか、普段の優しい目ってい
うか。
「じゃあなぁ、俺に向かって背伸びしてみ?」
……へ?? まあ意味はわかった。あたしは遊馬の正面で背伸びしてみる。その唇にむかって。
でも確か背が20センチくらい違うのに。かがんでもらわないと届かないのに、いつもみたいにしてくれない。
………え?
ひょいっと、おとなが小さな子を抱き上げるみたいにたてに抱かれてつま先が浮いて……待ってた唇がその先にある。
やっと、やっと唇がふれあう。つっかけてたサンダルは脱げそうで、いつもとかさなりかたの違う唇にふたりともちょっと
とまどってるみたいで。いつもみたく舌をからめてもどこかいつもと違う。お尻の下に遊馬の腕はまわっていて、あたしの
上体をつかまえているけど、ちょっとしたあたしの動きで頭とかはゆれるから、まるで唇と舌だけでつながっているみたい
な変な不安定さにどきどきした。
そぉっと降ろされる。遊馬はかくかくと腕を振った。
「…やせてくれよ。」
「それより遊馬が鍛えたら。」そんなことしたらもっと胸なくなっちゃうよ、ってのは黙っとく。
かがみこんで、もう一度キスして。「で?俺これでノルマ果たしたよな?……いい?」
……結局それかい。…さっきの表情もヤりたいための引っかけだろうな…。まぁ約束だからしょうがないか…。
あたしは遊馬の唇を噛んでやった。
27 :
ちょっぷ a.:2005/04/23(土) 18:25:40 ID:2V+Y5HhA
よいしょっと。キスしたまま野明をもういっぺん持ち上げ、壁際に押しつける。サンダルが片っぽ脱げちゃったみたいだけど
…んなもん要らんから、放っとく。
唇をいったんはなして、瞳をのぞきこむ。ちょっと怯えた顔をしている所が妙にかわいらしい。
「…シャワー…」
「まだ駄目。」Tシャツの両腕だけを抜いて肩にのせる。うすいオレンジ色のブラが顔をのぞかせる。その胸許に顔を埋めて
みると、いつもよりちょっとはっきり野明の匂いがした。
「…汗かいてるし……」
「それがいいの。」
舌先で谷間――そんなに大きくないけど―に溜まっていた汗を舐める。背にまわした腕に野明がぴくん!と身じろぐ感触が
伝わってくる。
確かに乱暴だとは思うけど…俺のほうとしてはこの、いつ誰が来るかわかんない感じとか、野明が嫌がってる感じとかが、俺を
こう……むらむらさせてる訳で…ちょっとやそっとじゃ停まれない。調子づいてブラを下から押し上げ、乳房をあらわにする。
乳首に軽くかみつくと、野明ののどの奥が「くっ」と鳴る。必死になって声を上げないようにしてるみたいだ。
そんなことされると、こちらの嗜虐心、むちゃくちゃそそられるんですけどー。乳房に音たてて吸い付き、キスマークを
いっぱいつける。乳首をつまんで回す。
「は…あっ……音…ひびいちゃう……」
「扉閉めてきたから外までは聞こえねーよ。」
ちゅっ、とくちゅっ、とかいう音が脱衣所に反響している。野明は自分でじぶんの口をふさぎ、声をもらさないようにして
いるみたいなんだけど…そんなことしても無駄だと思うなぁ、めちゃくちゃこいつ、感じやすいし。
唇で乳首を吸い上げながら、右手を下着のなかにもぐりこませる。…やっぱり。とっくにあふれ出てる愛液で、下着が
べちょべちょだ。
指で陰唇をひらき、前のほうについているちっちゃな豆を手探りでみつける。俺がそれにふれた瞬間に野明は大きく身を
よじった。
「……やぁっ…さわんない……で…声…でちゃう……」
「出すなよ。」
28 :
ちょっぷ a.:2005/04/23(土) 18:29:36 ID:2V+Y5HhA
「……ふ……くうううぅぅっ……っ」
だからそんな声聞いたらもっとシたくなっちゃうって。両手で必死に口を押さえ、目はうるんで、はしから一筋涙がこぼれ
そうになっている。だから、もっとヒドいことしてやりたくなって俺は、野明の豆を手加減なしでてのひらでこすった。
「…くぅぅぅぅぅぅっ!!……ふぅぁぁぅぅぁっ!!!」
手が口からはずれる。脚に力がはいらないみたいで俺の首筋にぶらさがる。唇をかみしめて「ヤメテクレ」と泣いた目で
訴える。……ってこれででも止められるオトコっているかぁ?ただでさえ、ここしばらくぜんぜんヤらせてくれないのに。
しかもまいにちまいにち、そのヤらせてくれない女が俺の目の前をうろうろしてるってのに。
そりゃ、無理ってもんだ。俺はそれでも多少静かに野明を脱衣所の床に横にすると、ジャージと下着を一緒に彼女の足首
まで下ろした。
首にからんだTシャツ。半端に押し上げられたブラ。乳房におへそ、陰毛まであらわにして。足首にはだらしなく黒い
ジャージがひっかかっている。それを元に戻そうとする野明の手を止めた。
「自分も脱ぎなよ。」
野明はくやしそうに自分の上にのしかかってきた俺の耳元に囁く。俺はまだTシャツもジャージも脱いでない。
「やなこった。」
さすがにかわいそうでブラは外してやる。野明は足首のジャージを外そうとしばらくじたばたしていたが、俺が膝頭を
両方ともその不自由そうな脚の間に割り込ませ、顔を陰部に埋めようとしているのに気付くと、赤面して俺の頭をひき
はがすのに必死になる。
それくらいじゃはがされませんから。俺は野明のかかとを首の下において、無理矢理脚をひらかせて陰唇のうちがわを
舐めまわす。やぁぁっ、やぁぁぁ…、と顔を覆った手の内側から半泣きの声が聞こえる。
「……きたないのぉ……シャワー、あびてない…しっ……やめ……て……」
だからこれがいいんだって……!さくらの日からひと月ちょっと。もうそろそろ寝た回数は両手使っても足りなくなる。
飽きるって訳じゃないけど、バイクに二人乗りして飯食いに行ってホテルで泊まるか休憩かして。ちょっとビールとか飲
んで風呂はいって抱きあって。なんか徐々に型どおりになっていくのが嫌だった。なにか変えようとして…っていうのは
言い訳か。
「そんなこといったって、野明、ぐちゃぐちゃに濡れてるぞ、お前のココ。すげぇ気持ちよさそう。」
「い……いわないでよぉ……あふぅ……っ」
ふさいだ口から恥ずかしそうな声が漏れる。俺の吐息がかかるだけで敏感に反応し、すこしずつ赤みをましてゆく。
紅い、きれいな性器。洗ってないから汚いって言ってるけど、俺にとってはこんなにきれいなもの、ほかにない。俺の指と
舌、そして俺のことしか知らないところ。
野明の割れ目の横に、濃くて小さいほくろがあるなんてこと、この世の中でほんとに俺しか知らないだろう。
「吸わせて。コレ済んだらシャワー浴びよう。」
「え?………あっ!……や………くぅぅぅぅっ……やぁぁっっ……!!」
音をたてて吸い上げる。野明が俺のシャツの袖口から手を入れ、肩甲骨あたりをひっかいた。
30 :
ちょっぷ a.:2005/04/23(土) 18:41:38 ID:2V+Y5HhA
シャツとジャージを脱いで。野明の首と脚にからまった服を取ってやる。立ち上がった野明はちょっと怒ったような目を
して、俺の胸をげんこつで叩いた。その仕草があんまりにもいとおしくて、きゅっと抱きしめる。
「……ごまかされないからね…。」
「そこまで信用されてないの?俺。」
「…今日のところは……。」
これ以上ご機嫌を損ねるのは得策じゃない。俺は野明をかかえ上げてシャワー室に入った。蛇口をひねってシャワーノズル
の下でお湯をかぶりながらキスする。それだけで少し安心したのか、野明は仔猫みたいな風情で俺の胸許に身をあずけてきた。
あたたかい水が降ってくる。体温ぐらいのそれはまるで体液みたいにじゃれあう俺たちの肌や髪を濡らしてゆく。唇から
くちびるがこぼれ、水の膜にひきずられるみたいに下に滑り落ちていき、お互いの首筋や乳首や指先を吸い上げていく。
水がはじける音とキスの音。空気が暖かくなってるように感じるのは、なにも湯気のせいだけじゃない。
俺の乳首に歯をたてていた野明が、上目遣いに俺を見上げ…いたずらっぽい目をした。ついと俺の耳元に伸び上がって
くると囁く。
「決めた。はやめに済ませてもらおう。」
……わぁっ。野明はかがんで膝を床につくと、いきなり俺の股間に吸い付いてきた。
「ってちょっと……野明っ……。」
先だけくわえ、手で袋をころがされる。裏の筋に舌が這い、かと思うとぎりぎり奥まで口腔に含まれ、ぎゅっと引き
絞られる。まるで俺の精液を搾り出そうとしてるみたいに。
「……っ……あっ……っくう……。」
今度は俺が唇をかみしめる番だった。これでついこないだまで親以外の局部しか見たことがなかったってんだから
オンナって怖い。舌を棹じゅうにからませたり、唇が締めたり緩めたりをくりかえしたりする。俺は野明の髪の毛を気持ち
よさのあまり、むちゃくちゃにかきまわした。
呼吸をするためか一旦口を離すと、野明の唾液が俺の性器からだらりと糸引いてこぼれた。
「…しゃぶるの好き?」
「……しゃぶられるの好き?」
「……嫌いな訳ないじゃん。」
「…じゃ、好き。」
「じゃ、ってなんだよ、じゃ、って。」
俺は野明の口を再度強制的に、俺の股間に持っていった。確かに時間はなくて手短かに済ませなきゃだけど、あとちょっと。
野明の舌先に甘えるみたいに、俺はあともうすこしと、野明の口の中を攻めた。
32 :
ちょっぷ a.:2005/04/23(土) 18:44:43 ID:2V+Y5HhA
ふうぅ。また息が詰まるかと思った。遊馬があたしの髪をつかんであたしの口を性器からはずす。
「立って。」
わきの下に手が入って立たされる。ちょっとキスして。そのままあたしにかさなってくると思ってたのに、何故か遊馬は
あたしの手首をつかんだ。
「……?」何何何何何。くるっと逆向きにされて壁に手をつかされてしまう。…って……え? 後ろ…??
遊馬はあたしの中に中指をもぐりこませる。え…?……あっ!…………。
「あっ……くうううぅぅっ……っ。」
あわてて口を押さえたけど、あ、の音だけがシャワー室にひびく。だって……だって……違う……っ。ちが……
「あんまり声だすと、脱いだパンツ口にねじ込むぞ。」遊馬が耳元で囁く。
「…くう…っ…やぁ……っ……」
口を必死に押さえるけど、声がもれてひびいてしまう。だって、指のあたっているところが全然違って……触れられ方
や指の向きが違うだけで……こんな……。
だらだらとあたしの中から、お湯とは温度の違う液がこぼれてくる。ひざがわらいそう。立っていられなくなりそう
なのに、いつもこういう時に正面にあるはずの遊馬のカラダがない。なんで……な…。
「指だけでそんなに気持ちよくなってもらっちゃ困るなぁ。」
遊馬はあたしの口を片手でふさぎ、もう片手を自分の股間にそえて、あたしの中に入れる。…うしろ、から。
「……うんっ……くっ……くうっ…ううっ………っ。」
口をおさえられててことばにならない。それ以前にことばにできない。同じ自分の彼のおなじものなのに、なんでこん
なに違うように感じるんだろう。あたるところが全然違う。違うことで慣れない快感がだくだくと押し寄せてくる。
タイルの目地に爪をひっかけるようにして上体をささえ、倒れないようにしないと耐えられない、甘い快楽。
「……く……っ……ふぅ…っ…はうっ……うううっ…つうううぅ……。」
せなかじゅうにキスされる。胸をうしろからつかまれ、指先で乳首をころがされる。後ろ、から。初めてがいくつも
いくつも重なって、あたま、おかしくなり…そう…。
「…ふ…くっ……はぁぁぁっ……ぃぃぃ……ぁぁぁ…っ」
「いい声……っ。」
遊馬の腰の動きがはやくなる。ああっ……すごく気持ちいい……。口をふさいでいる遊馬の指を甘噛みしてそらす。
そう……で…ない…と…………あたし……いっちゃう………
「うううううっ。……はぁっ……くふっ…ふうううっ……むぅ……あくっ……」
「……イって……いい?」
「……ん……。」
いいよ、のかわりにちょっと指につよくかみついた。遊馬があたしの腰を突き上げ……あたしの手がタイル面をすべって
いくのとほぼ同時に、抜かれた遊馬の性器から放たれた精液があたしのお尻の上を濡らしていた。
34 :
ちょっぷ n.:2005/04/23(土) 18:47:37 ID:2V+Y5HhA
座り込んでしまったあたしを遊馬はまた持ち上げる。また向きをかえられてタイルに背中を押し付けられた。呼吸の
あらいままキスされ、口の中の酸素を吸い尽くされるみたいだ。息、ちょっと苦しい。
「……すぐ済むから……もいっぺん、させて。」
!! 返事して…ないよ…あたし……。もがく間もなくあたしの足をひらかせ、指があたしの敏感なところに触れる。
「つうううぅ…やぁぁぁぁっ……やめ……」
聞いてない。あたし、今いっちゃったばっかり……そんなことされたらしんじゃうよぉ……っ。
「おまえ、…軸足どっち?」
…? なんでそんなこと聞くんだろう。あまり考えないで右、と答えると。
遊馬はあたしの右ひざをかかえこんだ。だから軸は右なんだよぅ。左足で立っているあたしは、ふらふらと全身がぶれる。
遊馬の肩に両腕かけて持ちこたえるけど、それでも軸に慣れてない左足の裏は、どこに体重を移動させたらいいんだか
迷うようにうねっていた。
「いやぁぁぁぁ……っ。」
そんな状態なのに、遊馬がまたはいってくる。下から突き上げられ、左足のかかとがあがる。倒れまいとして脚に力を
いれると、正面にある遊馬の顔が快感にゆがんだ。
「…それ…締まるんだよねぇ……っ」
「え…っ?」ああああ……っ。
じぶんのなかにあるもののかたちがわかるかんじがする。あつくて大きくて、あたしの奥の奥をつきあげてくるもの。
「……おく…の…かべ………ま……であたって……るぅ……つい…て…くるぅ……っ」
脚はふらふらとバランスが取れない。力をこめるとまた別の――奥のおくをえぐるような快感がおそってくる。膝が
崩れそうになると遊馬に突き上げられ……あたしはなすすべを失っていく。
ああ。ああ。ああ。声は上げちゃいけないんだっていうのはどこかでわかってて、遊馬の胸許に噛んだ唇をぴったり
ひっつけ、必死で声をかみころす。気が遠くなりそう。
自分の意思じゃないのにあたしの中がひくひくと収縮する。まるで遊馬を離すまいとしているみたいに。
「すげぇ、気持ちいい……よ……中で出しちゃいたい…くら……い…」遊馬があたしの耳元に囁きをながしこむ。
「う……っ……くふうぅぅ……き……て。……」
「…イっちゃって…いい…?…」
「…これ…いじょう…されたら……あたままで…とろけちゃう……っ…」あたしは囁きかえした。
「…ん………っ。」
つきあげてくるつきあげてくるつきあげて……くる………こみあげてくる快感に流されまいとしてあたしは必死に遊馬の
首筋にかじりつく。そうしないともう立っていられなくて。目の前にある遊馬の顔がよく見えなくなる。
右足が下ろされて、あたしの中から遊馬が抜ける。
ふとももの上を、温度と粘度の違う液体がすべっていき…すぐお湯に流された。背中がぐっとタイルに押し付けられて、
え? ちょっと……重いっ……。
お互いにかばいあうみたいに、床にゆっくりくずおれていった。
36 :
ちょっぷ n:2005/04/23(土) 18:50:24 ID:2V+Y5HhA
くすくす。くすくすくす。半分ほうけたみたいな顔をしていたふたりが、どちらからともなくくすくす笑い出す。
遊馬があたしを抱き起こしてくれた。そのまま抱き合って、くすくすまだ笑う。
「気持ちよさそうだったじゃん。あんなに嫌がってたのに。」
……言わないでほしいっ。あたしは遊馬の唇をふさいだ。そのまま、お湯をかぶったまま、お互いをたしかめあうみたいに
唇をかさねつづける。
「こういうのも、アリでしょ。」
唇をあわせたまま遊馬がささやく。声を出すときの唇のふるえがあたしの唇にも伝わってきた。
「…ナシだよ、どきどきしすぎて心臓に悪い。」ほんとはすごく気持ちよかった……けど、そんなこと認めちゃうと歯止め
がなくなりそうだから、ゼッタイ認めてやらない。
「まぁそう言わずに。もうちょっと暑くなったら屋上で星眺めながら、とか……。」
「ゼッタイやだ。」あたしは唇をはなす。
なんで職場でスることから離れてくれないんだろ? それはそれでロマンチックで、してみたいことは認めるけど…
ぜ―――ったいぜったい、サせてやらないぞっ、屋上でなんてっ。
シャワーきちんと浴びてびちょびちょのまま脱衣室にあがって。体拭いて袋の底から出した腕時計見ると、もう2時すぎ。
…手短か、とかいいながらけっこう時間がたっている。……いちどくっついちゃったらはなれたくなかったし、ね。
脱衣所の扉を開けて遊馬が左右を見る。誰もいないのを確認すると、あたしに手招きした。
さっと扉から出、ひとつ深呼吸。誰もいないのに妙に平静をよそおって。自分たちのしていることの間抜けさに、くすくす
また笑う。
すっと、遊馬がかがんだ。唇をつきだして。
「…おやすみのキスくらいしろよ。」
……かわいいじゃん。あたしはこわれものでも扱うみたいに、そぉっと遊馬の唇を吸い上げた。
[了]
翌日、男子便所にて。
「……遊馬さん。」
「…ん?」
「あんまり泉さん、いぢめちゃかわいそうですよ。」
………☆♪おおおおおっ???
「……って………ひろみ……ちゃん……」
「あ、大丈夫です大丈夫です。整備の泊まりの人たちも隊長も気付いてなかったみたいだし……ぼく、誰にしゃべる
つもりもありませんから……。」
そういってひろみちゃんはふっと口許をゆるめ、細い両目をつむってみせた。
ウインク、のつもりだったらしい。
38 :
ちょっぷ:2005/04/23(土) 18:57:59 ID:2V+Y5HhA
とほほ。最後のはおまけでした。名前がうまくつかないぞう。
べんきょーしてきます…
うひょ〜!
相変わらずメチャ可愛い野明&遊馬ですね。
可愛くてエロくて素晴らしいです。
次作も期待してます!
可愛らしいのにえっちでGJ!!
おおー二人共気持ちよさそうでGJ
ひろみちゃん可愛いなぁ
42 :
ナツ:2005/04/24(日) 19:00:01 ID:HJ8dAuIO
新スレ立てご苦労様ですm(_ _)m
前スレの「あたしのアンドロイド君 U」のご感想、ありがとうございました。
続きを投下させていただきます。
43 :
ナツ:2005/04/24(日) 19:02:01 ID:HJ8dAuIO
■あたしのアンドロイド君 V【1】
春風高校がRの父である成原成行博士によって占拠された事件から一ヶ月がたった。
博士の野望は潰え、屋上に建設された要塞も今では綺麗に撤去されている。
博士は警察に連行されたが、学界に追放された事に対しての情状酌量により、
違法建築物の建設及び器物破損の罪による幾らかの罰金だけという信じられないくらい軽い刑で免れてしまった。
罰金は成原博士はアレで幾つかの特許を持っていたので苦労なく返済できるらしい。
世間ではこれでいいのかと物議を交わされたが、
今はもうこのあまりにもアホらしい事件事態も世から忘れられ、平和な日常に戻っていた。
44 :
ナツ:2005/04/24(日) 19:02:46 ID:HJ8dAuIO
■あたしのアンドロイド君 V【2】
Rが発見されたのは博士に刑が下された数日後の事だった。
Rはあの日、博士の開発したメカ成原と戦っていた最中に要塞が倒壊し、
瓦礫の下に埋もれてしまいそのまま姿を消してしまっていた。
幾日も捜索しても見つからず、光画部も春校の関係者も落胆し諦めかけていた。
そんな時に光画部恒例の宇南山公園での撮影旅行で池の中で呆然と立っていたRをさんごが発見した。
Rはあれからずっと迷子になっていたのだ。
光画部と初めて出会った公園へ無意識に振り戻してみたのかもしれない。
その場にいた光画部はそれは喜び、特に鳥坂は早速様々な技をかけてRの無事を喜んだ。
その時にRは壊れてしまった。
皆は鳥坂が壊したと攻めたが、何よりも要塞の倒壊に巻き込まれた時のダメージが一番の理由だった。
壊れたRをどうしようか部員全員で悩んだが、どうしても一つの方法しか思いつかない。
成原博士に治してもらうしかない。
撮影旅行を早々に切り上げ、鳥坂と浅野、岸田、それとさんごでRを成原万能工学研究所に連れて行った。
Rの胴体を運ぶのは浅野と岸田。さんごはRの頭を運んだ。
Rを連れて行き、博士の反応が心配だったがそれは大丈夫だった。
胴体から離れたRの頭が博士を「お父さん」と呼ぶと、
「私をお父さん呼ばわりする君は誰だ」
といつもの突拍子のない会話が展開され、最後には
「おー、おー、R・28号ではないか!」
と、Rを研究所に連れて行ってしまった。
大丈夫かなとさんごは心配した。
「あの博士は治す時はいつもしっかり治すではないか。だから、だーいじょーぶっ!」
と鳥坂が自信満々に中指を立てた。確かにそうかも…と皆で納得する事にした。
45 :
ナツ:2005/04/24(日) 19:03:33 ID:HJ8dAuIO
■あたしのアンドロイド君 V【3】
それから更に一ヶ月がたった。Rはまだ修理から帰ってこない。
さんごは今日も成原万能工学研究所に向かっていた。
Rの事を心配して研究所に何度か足を運んでいるが、呼び鈴を鳴らしてもいつも中は無反応で、
もしかしたらもう帰ってるかもしれないと思いRのアパートまで行った事もある。
Rの部屋のドアの前にはいつも轟天号が立て掛けてあり、傍のガス官のパイプとチェーンロックで繋がっている。
それはRが行方不明の時に学校に放置されてるより、
アパートにあった方が安心と思いさんごが春校から持ってきた物だった。
チェーンロックがかかっていたがさんごは番号を知っていた為外す事ができた。
アパートに来る度に轟天号の位置が持ってきた状態から変化がないので一目でRはいないと解った。
さんごはこの3日間、勤め先の区役所の仕事が忙しくて研究所もアパートも光画部にも行ってない。
今日は早く終えられたので研究所の方に直行する事にした。
研究所はいつも誰も出ないので今日は母屋に行ってみる。
門を開け呼び鈴を鳴らす…暫くして玄関のドアが開いた。
「はい?」
聞きなれた声…。それもそのはず、ドアを開けたのは成原博士の息子、Rのモデルのあきらだった。
白いYシャツにジーンズという、Rにはありえない服装。
Rと違って前髪が短めで両目が見える…ちょっと違和感…。
「あれ?確か…R・28号の友達の…」
あきらの声は聞けば聞くほどRと同じ声をしていた。
「こんにちは…あのぉ…R君は…」
「ああ、R・28号だったら一昨日帰ったよ。しばらくまだメンテで家に通うけどね」
「そうですか…どうも…それじゃあ」
「あ、ねぇ、もしかしてこれからR・28号のとこに行くの?」
「…はい…」
「ふ〜ん……驚くよ、きっと…」
「え…?」
何を…?と聞こうとしたが、あきらは意味深に笑いながら家の中に消えてしまった。
(…驚くって…何…?)
さんごはRのアパートに急いだ。
46 :
ナツ:2005/04/24(日) 19:04:10 ID:HJ8dAuIO
■あたしのアンドロイド君 V【4】
急いで走った為、さんごは早くにアパートに着いた。
ドアの前を見るといつもの場所に轟天号はなかった。
(…出かけちゃってるのかな…?)
部屋の呼び鈴は壊れている為ノックをしてみた…返事がない。
息を整え焦る気持ちでドアノブに手をかけるとカチャッとドアが動いた。
ゆっくりドアを開ける…覗くとRの部屋は相変わらずだった。
古いテレビやたくさんの目覚まし時計、米袋…あの時と何も変わってない。
壁際には轟天号が立て掛けてある。その前にある寝袋にRは潜っていた。
さんごは静かにドアを閉め部屋に上がり、ソッと寝袋に近付く。
顔を見ようと思ったが頭まで潜ってる為よく見えない…でも寝てるようだった。
(…仕方ないかぁ……治ったのが解ったし、いっか…)
よく見ると前に博士からもらったと言っていた轟天号のパーツや部品が枕元に散らばっている。
轟天号の改造の途中で眠くなってしまったように見えた。
もう一回寝袋の中をよく覗いてみる。前髪でよく見えないけど閉じた瞼が少しだけ見えた。
(疲れてるのかな……また来るね…)
あきらの意味深な言葉が気になったがRが寝てるなら仕方ない。
さんごは静かに立ち上がった…ふと炊飯器が目に入る。炊飯器を開けると中は空っぽだった。
起きた時にRがお腹がすかせるしれないと思い、ご飯を炊いてから帰ろうとキッチンに向かう。
…足が止まった。キッチンの床に数個の缶ビールが転がっている。手に取ると中は空だった。
(まさかR君が…?そんなわけないよね…)
さんごは暫く考え込むが気を取り直し、転がった空き缶をポリ袋に入れて片付けた。
音で起こしちゃうかな…と気を使いながらお米を研ぐ。
「ん?…やぁ……さんごじゃないですか…」
Rが目を覚ましてしまった。
「…あ…ごめん…起こしちゃった…?」
さんごはお米を研ぎながら返事を返す。後ろからジィーッと寝袋のファスナーを開ける音が聞こえた。
「ご飯の準備してくれてるんですか?」
「うん。本当は済ませてからこっそり帰ろうと思ったんだけど…」
研ぎ終わって炊飯器にセットしようとすると「貸して下さい」とRが近づいてきた。
「疲れてるんでしょ?今日は自分のはやめて普通のコンセントにしたら?」
さんごは振り向き、Rを見た。
47 :
ナツ:2005/04/24(日) 19:06:54 ID:HJ8dAuIO
■あたしのアンドロイド君 V【5】
実は、さんごは先程あきらを見た時に彼の変化に気付いていた。
あきらと初めて会ったのは高校2年の時。
Rが光画部の新部長に選ばれた頃、初めて成原博士に会いに行った時だった。
今日はその日以来、久しぶりにあきらに会った。
(あぁ、少し大人っぽくなったな…背も少し伸びたみたい…)
クラスメイトの男子の急な成長に気付いたような感覚であきらを見ていた。
そして、Rが人間だったらこんな感じになるのかな…とも思った。
今、目の前にそのあきらと同タイプのRが立っている。
さんごは驚きのあまり手にした炊飯器を落としてしまう。
床に着く寸前にRがサッと炊飯器を受け止めた。
「さんご、危ないじゃないですか」
「あ…あ……R君…?」
「…あい?」
まぬけな返事は変わらない。
「ど…どういう事?…何が起こったの?」
さんごはすっかり気が動転している。
「何が…って何ですか?」
「何ですかじゃないでしょ?…その…R君が…その…成長してるよっ!」
「ああ、お父さんがモデルチェンジしてくれました」
「モデル…チェンジ…?」
「僕、だいぶ痛んでたみたいです。お父さんがどうせなら今のあきら君と同じにしようと凝りだしましてね」
Rは最後に得意気にアハッと笑い、いつもの眠そうな笑顔で新しい体を事細かに説明し自慢する。
「そ…そうなの……だから時間がかかったんだ…」
「あい…」
新しく成長した体と言ってもそんなに前と大差はない。
相変わらず学生服を着て、体もヒョロッと華奢で、首もスラっと細い。
でも背は5センチ位高くなったように見え、顔立ちがほんの少しだけ大人っぽくなったような気がする。
ボー…とした顔付きは変わらないけど…。
でも、惚れた欲目かもしれないが…ちょっとだけ前よりかっこよく見える。
さんごはRをまともに直視できない。
ナツさん‥今日中に残り投下して欲しいです。
でないと夜が越せないから。
Newボディーでのあれこれ、楽しみにしてますよ!
50 :
ナツ:2005/04/25(月) 21:38:55 ID:heL68hSF
お待たせさせてすみませんでした…m(_ _)m
残り全部投下致します。
51 :
ナツ:2005/04/25(月) 21:39:39 ID:heL68hSF
■あたしのアンドロイド君 V【6】
Rは炊飯器をキッチンのコンセントに繋ぎ早炊きにセットした。
「ずっと留守にしてたからお米も古くなっちゃいました。早く食べてしまわなくては…」
さんごはそんなRを後ろからこっそり観察するように見ていた。
「ねぇ、あのビールの空き缶…まさかR君が飲んだわけじゃないよね?」
「え?ああ…今日、メンテナンスで研究室に行った帰りに浅野君と岸田君に会いましてね、ここに寄って行ったんです」
「ふーん…昼間からビール…ていうか未成年でしょ…まだ…」
たぶん浅野も岸田もOBの付き合いで飲みなれてしまってるのかもしれない。
「完治祝いにいろいろ置いていってくれましたよ、そこにあるでしょ」
どれ?とさんごは浅野岸田コンビが置いていった物を見た。
さきイカ、ポテチ、チーカマ…どれもRが食べられない物ばかり。
参考書…これは忘れ物では…?この様子であの二人がかなり飲んでたのがよく解る。
「あの二人もR君見て驚いてたでしょ?」
「いいえ、特別何も言ってませんでしたね。僕に会った時から酔っ払ってましたし」
「浪人生って暇なのか……な…」
さんごの動きが止まった。
浅野岸田コンビが置いていった物の中にビデオが一本あった。それもいわゆるAV物…。
さんごはうわ〜っと真っ赤になる。
(な、何よ…これは…!こんなもんここに置いてどう…)
よく見るとそのビデオは買ったばかりの新品のようだった。
パッケージに少しビニールが着いていて、床にはその剥がされたビニールが丸まって転がっている。
これは一体どう解釈すればいいんだろう…。
「さんご」
「は…はい?」
思わず声が引っくり返る。ビデオをサッとおつまみの山に隠す。
「光画部の皆さんは元気ですか?」
「うん、たぶん…。あたしも最近忙しくてなかなか行けないのよ」
「ああ、そうなんですか…明日行ってみましょうか…」
Rが横に近づいてくる。
「あ〜、そうそう」
さんごは発見してしまったビデオと久々に会った少し大人のRのせいで気恥ずかしい。
焦ってしまいRから離れ、何でもない近況を話してごまかす。
52 :
ナツ:2005/04/25(月) 21:41:16 ID:heL68hSF
■あたしのアンドロイド君 V【7】
暫く楽しい会話が続き、そうこうしているうちにご飯が炊けた音がした。
「ああ、炊けましたね。食べます?」
「ううん、R君食べなよ」
Rは嬉しそうにキッチンへ行く。
実はさんごはさっきから気になっていた物があった。
床に転がった、前にRが博士からもらったと言っていた轟天号につけるパーツだった。
さんごはパーツを手に取る。一見、もう出来上がってるように見えた。
「R君、これ…これで完成?」
「あい?」とRがキッチンから顔を出す。
「…ああ、まだですよ。あと少しで出来るんですけどね」
「まだこれが何なのか秘密?」
「秘密です」
「ふーん…」
なんだろうなぁ…とパーツを眺める。
すると急に背後からRの手がさんごの手にあるパーツに伸びてきた。
前より背が高くなったRは小さなさんごの後ろからでも簡単に手が届いてしまう。
急なRの接近にさんごは驚く。
「轟天号をここまで持ってきてくれたのはさんごですか?」
「…うん」
「そうですよね。チェーンロックの番号、さんごしか知らないですもんね。おかげで助かりました」
振り返るとRが微笑んでいた。いつもと変わらない眠そうな笑顔だけど、やっぱり少しだけ大人びて見える。
Rはパーツを手にとって点検するように見た後、近くのテレビの上に置いた。仕草までも少し大人っぽい気がした。
「お楽しみ、お楽しみ」
「……うん…」
さんごはRに近付いてソッと胸元に顔を埋めた。
条件反射のようにRもすぐにさんごを抱き寄せた。
Rに抱きしめられるといつもは第一ボタンが目の前にあった。
今は第二ボタンが目の前の少し下にある。この差にさんごはすこし戸惑う…。
耳を体につけて久しぶりにRの体の中の音を聞く。
音は変わらない…さんごは何故か安心した。
53 :
ナツ:2005/04/25(月) 21:43:41 ID:heL68hSF
■あたしのアンドロイド君 V【8】
さんごはRの胸の中でゆっくりと呟くように話し出した。
「あたし、よく春校の自転車置き場に行ってたんだ…。轟天号のある場所に行けばR君に会えるかなって…」
「そう…」とRは小さく答える。
「ずっと…R君に謝りたかったんだよ…」
「え…?」
「だってあの時あたしがさらわれなかったら、R君あんな事にならなったかもしれないんだよ…?」
あの要塞の事件の時、さんごは大量生産のロボット達にさらわれ、
それを見たRは要塞の成原博士の元までさんごを助けに向かった。
その後自分だけ助かってRがいなくなっていた事をさんごはずっと気にしていた。
「さんごがさらわれたら助けにいくのは当然ですよ?」
さんごは首を振りながらRの胸元に顔を埋める。
「……ごめんね…R君」
声は震えた涙声になっていた。
「もう…会えないかもって……思った…」
Rの胸の中で聞き取るのもやっとな小さい声で囁いた。
「…泣いてるの?さんご…」
さんごは黙っていた。Rは少し困った顔をする。
「前も泣いてましたね…こういう時はどうすればいいんでしょうか…」
さんごは声を殺して泣いている。震える肩を掴んでRはさんごの顔を覗く。
急に顔が近づいて来てさんごは驚きながら涙を拭いた。
Rは首を傾げてさんごを見つめた。
肩に置いた手に力がこもり、さんごを引き寄せ奪うようにキスをする。
背が前より高くなったRはさんごにかぶさるようにいつもより低く屈んだ。
ゆっくりと下唇を動かす。さんごは何もせずただ目を閉じた。
Rがさんごを弄んでいるようなキスに見える。
じょじょにRの唇の動きに熱が入っていく。いつものキスと違う。
「…ん…ん……ん…く!」
さんごの息が乱れる。
Rはさんごの唇を離さず抱きしめたまま壁に追いつめる。
そばにあった轟天号がガチャンと揺れた。
54 :
ナツ:2005/04/25(月) 21:44:16 ID:heL68hSF
■あたしのアンドロイド君 V【9】
Rのキスは続く。唇は飢えるように動いている。
無抵抗だったさんごは戸惑い、Rの胸元に手を添え離れる仕草をする。
Rはさんごが逃げないように唇で唇を掴み舌を入れた。
「ん…う…」さんごは声を漏らす。
Rの舌がさんごの舌を捕らえ、絡めていく。
Rは嫌がって首を横に振るさんごの顔を両手で掴み、しつこく顔を捻じ込んだ。逃げても逃げても舌を奪われる。
「…う…ん…!んく……ん!」
次第に力が抜けさんごはRにクッタリと体を預ける。Rのなすがまま唇と舌が弄ばれていく。
長いキスを終え、Rは名残惜しそうに顔を離した。
さんごはキスだけで全身が快感で一杯になっている。薄目がちにRの顔を見ると満足そうな顔をしていた。
「…R君…今の……こんなの…初めて…だよ…」
「あれです。あの二人が置いていったんです…」
と、Rはあのおつまみの山の中から少し覗いたビデオを指差した。
「………見たの?」
「はい。ビデオの女の人もさんごみたいになってましたよ」
「や…やだ…!」
(浪人コンビのバカ…!)さんごは真っ赤になって俯く。
「へ…変なビデオだった?」
「…変?」
「な、何でもない…」
「してみます?」
Rは真面目な顔でさんごの体に触れようとする。
「し…しなくていい…!変だったらやだもん…」
Rは「ん〜・・・」と首を傾げて少し考えるが、結局さんごの言葉を無視して首筋にキスをする。
首筋から耳に唇が移動する。今までにない唇の動きで今までされた事のない場所にキスされていく…。
唇で耳を優しく噛む。Rの吐息がかかる。
「ん……うっ…ん…!」
さんごはRの腕にしがみ付く。もう一人で立っていられなくなっていた。
気がつくといつの間にかシャツのボタンが全部外されている。
Rはシャツを肩が出るまで脱がし、すぐに掌をブラの中に滑り込ませた。
暫く中で愛撫し、乱暴にブラを上にめくる。
55 :
ナツ:2005/04/25(月) 21:44:49 ID:heL68hSF
■あたしのアンドロイド君 V【10】
力強く揉まれ、小さな胸がRの掌の中で僅かに形を変えていく。唇は耳と首筋を交互に噛み付くように蠢いている
「…ん…ん……あっ!」
壁にもたれながらガクッと下に崩れそうになるさんごをRは空いた手を背中に回し支えた。
胸を揉みながら乳首に触れる。すっかり硬くなり指の下で転がるように動いている。
「っ…あ……や…あっ!!」
思わず声が大きくなる。Rは耳や首筋へのキスをやめ、さんごの体をジッと眺めた。
さんごの体はハァハァと微かに震え、しっとりと汗ばんでいる。
自分の指先ひとつでビクビクと身をよじって反応するさんごを見るのが楽しい。
両手でさんごの脇の部分をシッカリと支えながら両方の親指でふたつの乳首を転がす。
「あ…!あっ……ん…ん……んんっ!…い…や…っあ…」
さんごの小さな体がRの両手の中でうねる。ピクピクとかすかに胸が震えている。
Rは鎖骨から胸元へキスでたどり、乳首を口に含んだ。さんごはビクッと肩をすくめる。
硬くなった先をゆっくりと味わうように舌がなぞる。焦らすように触れたり離したりを繰り返す。
さんごはRの肩に手を置き、これ以上乱れないように耐えた。
Rは乳首を吸い出した。舐めながらきつく吸う。
「…ん!んぅ!」
チュッ…とRの口元から音が鳴り出す。
「ん…!…や……あ…るく……あっ…ん…ん!」
さんごは首を振りながら視線を下に降ろす。
胸元で動くRの顔が見え、閉じた瞼と細い鼻筋、乳首を銜えた上唇が見えた。
やっぱり前よりRの表情はいつもより大人びている…色っぽさまで感じる。
「…R…君」
Rはチラッと目線をさんごと合わせて再び瞼を閉じ、執拗に舌を動かす。
「あ!…うっ……んっ…んんっ…ん!…あっん…!」
さんごは我慢が出来ず声を荒げる。Rは突起した先を舌で撫で回しながら口を離した。
「ねぇ、さんご…もう入っていいですか?」
「…え……もう…?」
「うん……ダメ?」
さんごは少し考えてから「いいよ…」と頷いた。
Rはすぐさまさんごのスカートを腰までめくり下着を掴んで引き摺り下ろした。
手で膝下まで脱がした後、足の指で摘まんで床まで落とす。
56 :
ナツ:2005/04/25(月) 21:46:01 ID:heL68hSF
■あたしのアンドロイド君 V【11】
「…え!R君…ちょっと……このまま…立ったまま…?」
Rは答えずさんごの割れ目を指で撫で、十分に濡れている事を確認し右の太ももを掴んだ。
「…や…!や…だ…!」
Rの肩に両手をついて体を離そうともがく。
Rはその両手を掴んで後ろに回した。片手で両手首を握り自由を奪う。
「や…!…やだよ、R君…離して…!」
今度は唇を重ねて言葉も消した。何も喋らせないように唇が隠れるほど顔を捻じ込む。
「…っん〜!んん〜!」
Rはさんごの声を聞かないフリをし、問答無用でさんごの中に捻じ込む。
立った体勢の為、また乱暴になってしまった。
「っ…ん!ん〜ん〜…っ!」
さんごは首を振って抵抗しようとするが、Rの顔が押し込まれて動けない。
Rは腰を動かそうとする。さんごは逃げるように腰をずらす。
両手首を握るのをやめ、さんごの腰に手をそえ腰を持ち上げる。
「…んんっ!」
さんごは自由になった両手でRの肩を掴み、キスから逃れた。
「……やっ!待って…」
Rは聞かずに乱暴に本腰を入れる。さんごの体が少し浮く。未経験の体勢のせいか痛みが走る。
「や…!いっ…や!お…ねがい…動かないで!」
さんごの叫びでRの動きが止まった。Rにしがみついて痛みに耐える。
Rが突き刺さってる状態でさんごの左足のつま先はなんとか床に届いている。
体重を支えるのにRにしがみつくだけで必死なのに、動かれたら…怖い。
「さんご…動きますよ…」
焦れったそうに耳元で囁く。
「や…ダメ…こんなの…いや…」
「……動きますからね…」
Rはゆっくりと動き出した。
「っ…んぅ…!」
肩に置かれたさんごの手に力がこもる。
Rは上に突き上げようとしたが少し動きにくい事に気付いた。
さんごの右足を傍にあった轟天号の後輪の上に置いた。
57 :
ナツ:2005/04/25(月) 21:49:14 ID:heL68hSF
■あたしのアンドロイド君 V【12】
片足を開かれた状態にされ、さんごはRの胸の中で再びもがく。
「や…!やだ……いや…Rく…!」
動き易くなりRはさんごを持ち上げるように突き上げた。
足を閉じないように右の太ももを下から掴み、腰の速度を上げる。
「…やっ!…い…や……あ…あっん…あ…っあ…」
必死に床につなぎ止めてた左足のつま先はビクビクと宙に浮いている。
「ん…いや…あ…るく…こんなの………H過ぎ…だよ…」
言葉とは裏腹にさんごはRを力強く締めつけている。
Rは黙って出し入れを繰り返す…二人の融合部分から音が聞こえてきた。
そこはさんごの中から止めどなく溢れた物で濡れ浸り、大量に内股にまで流れていた。
さんごの声を嬉しそうに聞きながらRの腰使いが更に強まる。
「あ…あ!あぁっ……ん!」
激しく突かれ、さんごは仰け反る。Rの顔の近くで小ぶりな胸が揺れた。
触れたかったがさんごを支えるのに両手は塞がっている。
Rは腰を動かしながら首を屈めて唇で胸を揉む。
「ん…!」
さんごの肩がビクッと震える。
乳首の周りを舐め回し、尖った先を舌で突付くように触れる。
「あ…あぁっ!…R…く……あぁっ…あ…んっ…あ!あ!」
今まで逃れようとしていたさんごは自分からRの頭に抱きつく。
58 :
ナツ:2005/04/25(月) 21:50:18 ID:heL68hSF
■あたしのアンドロイド君 V【13】
Rは胸元から顔を離し、本気になったさんごの顔を眺めた。額が汗で濡れている。
スッと掌で汗を拭ってやり、夢中でさんごに腰を打ち付ける。
足を置いた轟天号がガチャガチャと揺れる。
「あ…あ…る…君…ん!…ん!…あ…ぁ…るく…」
体の安定を守る為、さんごの右足のつま先が轟天号から離れないように動く。
すると突然Rが腰を回し中を掻き雑ぜてきた。
さんごの足は感電したようにビクビクと暴れる。その勢いで轟天号が倒れてしまう。
「…んう!…あっ!」
支えがなくなりさんごは少し苦しそうな表情をする。
Rは気付かず動きを止めない。
宙吊り状態になったさんごの体は、突き上げられて壁にもたれながら少しずつ上へ登っていく。
「っん!…うっ!んんっ…あ、あ、あぁ…!あぅっ…!あっ!」
さんごは首を横に振って耐える。
こんなの恥ずかしくて嫌な筈なのに…嫌じゃない。体はRをすごく求めてる。
さんごはRをきつく締め上げていく。
「っあぁっんっ…!ん、ん、んっ!あ、あぁっ…あぅ!」
「…さんごの中…すごい事になってる…」
「…んっ!…うっ、ん、ん、んっ……あぁ…るく…うっ、ん、ん、ん…ん!…っあぁっあっん…!!」
さんごは達し、何度か痙攣を起こしてRに崩れるようにもたれた。
59 :
ナツ:2005/04/25(月) 21:50:51 ID:heL68hSF
■あたしのアンドロイド君 V【14】
仕上げをするようにRはまだ快楽の余韻で荒い息が漏れるさんご唇に何度もキスをしている。
さんごはぼんやりとRにされるがままにしている。疲れてもう何も出来ない。
薄目を開けるとRの閉じた瞼が見えた。唇は離れ惜しいようにいつまでも重なる。
次第にRもキスに疲れてゆっくりと顔を離した。
「……R…君…」
さんごは瞼を閉じて囁く。カクッと頭をRの肩に置いた。
もう本当に何も出来ない。自力で立っていられない。
Rはさんごを抱き寄せて壁から離し、足元にある寝袋の上に優しく倒した。
さんごはまだ息が整っていない。熱にうなされた子供のように顔がほんのりと赤い。
気持ち良さそうに閉じた瞼はそのまま眠ってしまいそうだった。
Rは横に寄り添ってさんごの様子を興味深気に見ている。
こんなに汗をかくのか…終わった後はこんな表情をするのか…観察をしてるようだった。
さんごは自分の額の汗で貼り付いた前髪を上げようとした時にその視線に気付いた。
「……なんでいつもそんな目で見るの?」
「…気持ち良さそうだなって思って…」
Rはさんごの上に体を重ねた。さんごの体の熱はまだ冷めてなく、まだ胸の音も静まらない。
さんごもRの体に耳を寄せる。Rの体も少し加熱していて、中のモーター音がいつもより大きく聞こえた。
「…久しぶりだったから…………もっと優しいのがよかった…」
「……今度気をつけます」
「…もうビデオの真似なんかしないで…」
「…あい」
さんごはRの背中に腕をまわして愛しそうに肩に顔を擦りつけた。
Rも同じように抱きしめ返す。
Rの背中に届くさんごの手の場所が前と少し変わった。
いつもと違う抱き心地…まだRの新しい体に慣れるのに少し時間がかかりそうだった。
60 :
ナツ:2005/04/25(月) 21:51:36 ID:heL68hSF
■あたしのアンドロイド君 V【15】
「R君、背が高くなったね…解らなかったけど、肩幅も少し広くなったのかな…」
「さんごも相変わらず柔らかくて触り心地がいいですね…」
いつもだったらそんな事を言われたらさんごは嬉しそうに恥ずかしがる…。でも今日は違った。
「あたしより柔らかくて触って気持ちがいい人っていっぱいいるよ…」
Rは頭を起こしてさんごを見た。
「…R君、あたしとビデオの女の人…だいぶ違うでしょ?」
「…え?」
「ああいう…女っぽい人が男の人って好きみたい…。あたしみたいな子供っぽいのは普通は誰も見ないよ…」
「…はぁ…」
「わかんない?……ほら、浅野岸田コンビがよくあたしと椎ちゃん比べるじゃない…あんな感じ…」
Rは首を傾げた。
「R君もそのうち理解できるかもしれないね」
「なんでそんな事言うんですか?」
「……なんでだろ……なんでかな…」
Rは首を傾げてさんごを抱きしめなおす。
何故自分が急にこんな事を言い出してるのか…さんごもよくわからなかった。
やっと会えて、ちょっと乱暴だったけど抱いてもらって嬉しいのに…嬉しいはずなのに…。
Rの体以外は何も変わってないはずなのに、さんご自身何か落ち着かなかった。
今だって抱きしめてくれてるのに妙な不安感は何だろう…。
だた、ひとつハッキリと感じていた事があった。
さんごはギュッとRの背中に回した腕の力を込めて、一呼吸置いて呟いた。
「R君は成長したのに、あたしの方は何も変わらないって…変だね…」
(終)
61 :
ナツ:2005/04/25(月) 21:52:16 ID:heL68hSF
長々とすみません。以上です。
ありがとうございました。
ナツさんGJ!
ちょっとSっぽいRがよかったです。
今後期待してます!
ははぁ…変わらないはずのアンドロイドが変わって
生身のほうがへこむって面白いですね
ゆっくりでいいんだよさんご!と叫びたくなってしまたGJ
GJ!!
ふたりの徐々にレベルアップしてる感じがたまらんですハァハァ
しかしひ…引きが!
こんなとこで終わられたら、不安そうなさんごをギュッとしたくなるではないですかハァハァ
続き待ってます!
まだ一週間してないからあげつつ。
俺、このさんごおうちに連れて帰りたい……!
ナツさんGJ!!!
Rが変わってさんごが置いてかれた感を味わうっつ〜のは、中々新鮮です。
アンドリューじゃないけど、今後精神的にもRが成長する話に発展したら面白
いなぁ〜。
でもって、さんごの不安ごと受け止めてあげて欲しい。
「野明の一番大切な人」続き
2人は茂男世の車に乗って出発した。
ここで2人の家についてご説明しよう。
2人の家は札幌と千歳の間に位置している。丁度真ん中に、そう北広島の南西だ。
千歳には千歳空港がある。明日、野明はここから東京へと旅立つのだ。
茂男世「で、どこへ行こうか?」
野明「じゃあ夕張なんてどう?」
茂男世「いいねぇ、夕張かぁ。あそこは良い炭坑だよ。景色も申し分無い。」
野明「カメラ持ってく?」
茂男世「いや、今回はいい。」
野明「それじゃあ夕張へレッツ・ゴー!」
2人は夕張へ出発した。それは2人にとって一番長い日の始まりだった。
轟天号GJ!
69 :
サザム:2005/05/01(日) 23:16:22 ID:LMDyozU+
デンデレ デンデレ デンデデ デレデレ デン♪
ちょほいとまちなは。
スレの空気が恋しくってな、地獄の淵からよみがえってきたぜ。
そりではさっそく、7巻の獣化千明とバーディのエロSSなど一本投下させてもらふぜ。
だひなまひとがよほぉ〜♪
70 :
サザム:2005/05/01(日) 23:18:03 ID:LMDyozU+
〜発情〜
<被検体の脳内物質の、更なる分泌を促します。誘導体を投入……>
──ドクン。ドクン、ドクン。
液体を満たされた宇宙船の調整槽の中で、千明和義は夢を見ていた。
遠い異星からやって来たという、初めて好きになった美しい女性──バーディの夢を。
「わたしのことが、好きなの?」
「は……はいっ!」
夢想の中の彼女に問い掛けられ、千明は激しくなる動悸を自覚しながら、自分の想いを率直に告げた。
強い意志を窺わせる凛とした美貌に、身体の線を隠さない大胆な衣装。
運命を感じた肌の温もりや、胸を騒がせる心地良い香りまでもが、頭の中へ鮮明に蘇る。
「おねえさんが地球の人間じゃないと言うのなら──、僕だって人間じゃないかも知れないんだ」
「どうして、そう思うの?」
「か、肉体の奥から、得体の知れない力が込み上げてくるんです……」
話す間も、バーディの魅惑的な姿態が次々と浮かび、力と共に耐えがたい欲求が沸き起こる。
おねえさんを、……この女を、自分のモノにしたい。組み伏せたい。犯したい。そんな欲求が。
「僕にはそれが、抑え切れない気がして……」
「それならば──、その力を使って、わたしを手に入れてみたらどうかしら?」
妄想上のバーディは豊満な裸身を抱きかかえ、媚を含んだ表情と声色で、千明の意識を甘くそそのかす。
それが外部からの刺激によるものとは知る由もなく、彼の理性は内なる獣の猛りに侵食されていく。
<被検体の血圧が急激に上昇しています。これ以上の脳内物質の分泌促進は危険です……>
宇宙船の警告が空しく響く中、眠る千明の肉体は、ゆっくりとヒト以外の何かに変容を遂げていった。
71 :
サザム:2005/05/01(日) 23:19:13 ID:LMDyozU+
◇ ◇ ◇
<うそっ!!>
<何が起きたか、始めから教えて>
会話の食い違いに驚く宇宙船へ、バーディは片手で額を押さえつつ、溜息混じりに詳しい報告を求めた。
彼女の前にある調整槽のハッチは開放され、その中で寝ていたはずの千明の姿も何処かへ消えている。
宇宙船に訊ねても、まるで彼女が全てを了解しているかのような物言いで、要領を得ない返答をするばかり。
危険などない単なる検査だと油断していたバーディは、急転した事態に思考が追いつかない。
ただ、自分が席を外している間に、千明の身に何か厄介な問題が生じたらしい事だけは、確実に理解できた。
『おいっ! 千明はどこ行っちゃったんだよ!?』
「ちょっと待って」
頭の中で問い質してくるつとむを素っ気なく制し、バーディは宇宙船の状況説明に耳を傾けた。
宇宙船の認識では、彼女は一旦船を出た直後に引き返してきて、新たな命令を下した事になっているらしい。
しかし、つい先程までつとむの試験勉強に付き合っていたバーディが、そうした行動を取れるはずもない。
話を聞きながら船内を見渡すと、千明の衣服は船を出る前のまま、下着も含めて全て残されている。
<──たため、危険と判断した私は……>
<まさか……、その状態で外に放り出したんじゃないでしょうね?>
『ふ……服、脱ぎっぱなし……!?』
千明のシャツを手に取りながら、バーディは最悪の事態を想像して宇宙船を問い詰めた。
彼女達の言語が理解できないつとむは、状況がさっぱり飲み込めず、ただ狼狽した思念を洩らす。
宇宙船は恐縮したように語気を弱め、説明を中断してバーディの問いに答える。
<さすがに、それは……。彼は船内をうろついています>
その言葉を聞くと同時に、忽然と現れた何者かの気配を感じ取り、バーディは背後を振り返った。
そして、猛然と迫って来るそれを正体も確かめないまま、反射的に壁際へと投げ飛ばす。
だがその人影は、機敏に身をひねって壁に足をつくと、更に勢いを増して正面から飛び掛かってきた。
72 :
サザム:2005/05/01(日) 23:20:47 ID:LMDyozU+
「──っ!?」
初めて正視したそれは、半ば獣のような姿に変わり果ててはいるものの、確かに千明の面影を残していた。
驚愕と戸惑いで反応が鈍り、バーディは不覚にもそのまま、宇宙船の硬い床へ強引に押し倒される。
背に受けた衝撃で我に返って、組んだ片手を振り払おうとするが、獣人化した千明は驚異的な怪力を示す。
体勢の不利もあってか、相当の力を込めて抗っても、その身体を跳ねのける事は出来なかった。
『まさか……、千明なのか、こいつが!?』
「そうみたい」
つとむの問い掛けへ短く答えつつ、バーディはのし掛かってくる千明と力比べを続けた。
本気で格闘すれば倒せない事も無いだろうが、相手は犯罪者ではなく、あくまで保護すべき被害者である。
深刻な危害を加える訳にもいかず、かと言って軽くあしらえるほど容易い相手でもない。
バーディが対応を決めかねていると、千明はまるで餌の匂いを察した犬のように、小さく鼻を鳴らし出す。
そして、牙の生え揃った口を大きく開き、バーディの首筋をずるりと舐め上げてきた。
「くはぁ〜……」
意表を衝いた攻撃を受けて、バーディは震える吐息と共に奇妙な声を洩らした。
ざらついた舌が素肌を這っていく異様な感触に、彼女の顔からザァッと血の気が失せる。
次の瞬間、おかしな真似をされた憤りに思わず自制を忘れ、バーディは掴まれていた腕を強引に振り解く。
「この、しっかりっ……!」
『待てっ! 何する気だよっ!?』
バーディは千明の胴を二の腕ごと抱きかかえ、威力を弱めたクラッシュを放とうと、両手に意識を集中した。
しかし、それを察したつとむが頭の中で慌てて叫びを上げ、寸前で彼女の行動に待ったをかける。
突発的な怒りの衝動へ水を差されたバーディは、少しばつが悪そうに目線を宙へ泳がせた。
73 :
サザム:2005/05/01(日) 23:22:10 ID:LMDyozU+
「あ、いや、ここは一気に気絶させた方が、面倒が無くていいかなー、なんて」
『やめろよなっ!? 千明を殺す気かよ、僕の時みたいにっ!』
「や、やだなぁ。ちゃんと手加減するってば……」
つとむの激しい剣幕におされながら、バーディは言い訳じみた口調で訴えた。
その言葉自体に嘘は無いが、実際に殺されかけた当人から前科を持ち出されると、どうにも具合が悪い。
こめかみに汗を垂らして弁解しても、つとむは強い不信感を含んだ思念を返してくる。
『大体そんな事して、千明がこれ以上おかしくなったらどうするんだよ!』
「……あ」
『「あ」って何だよ「あ」って! やっぱり考えてなかったなーっ!?』
言われて初めてその危険性に思い至り、バーディは呆けた声を上げた。
間の抜けた返答に、自分の懸念が的中していた事を悟ったつとむは、語気を荒げて彼女を問い詰める。
バーディは頭に響くつとむの文句を聞き流しながら、宇宙船のメインカメラへと注意を移す。
<宇宙船、昏倒する程度のクラッシュを打ち込んだ場合、彼の体質変化に悪影響を及ぼす可能性は?>
<データ不足のため、私からは何とも……。余計な刺激は与えない方が良いとは推測出来ますが>
<言われなくても、そのくらいならわたしにだって分かるわよ……>
頼りにならない宇宙船の返答に、バーディは途方にくれて天を仰いだ。
あとは力ずくで殴り倒すぐらいしか思いつかないが、病院で戦った半獣人の例を考えるとそれも難しい。
多少のダメージでは効果が無いであろうし、加減を誤って大怪我でもさせたら、それこそ本末転倒だ。
とりあえず、逃がさないようにしっかりと腕で拘束するが、そこから先は手の打ちようがない。
「ハァ、ハァッ……」
「うひひゃう! ちょっ、さっきから、一体なんなのよっ!?」
そんな彼女の悩みをよそに、千明は何やら嬉しそうに牙を剥き出して、首筋や頬に舌を伸ばしてくる。
意味不明な行動にバーディが戸惑った声を上げると、つとむが気まずげな口調でその疑問に答えた。
74 :
サザム:2005/05/01(日) 23:23:17 ID:LMDyozU+
『あっ、あのさ。たぶん千明のやつ、君に抱きつかれて興奮してるんだと思う……』
「は? そっ、それは分かるんだけど、だからって何で舐めてくるわけ?」
つとむの言いたい事が良く理解できず、バーディは千明と揉み合いながら、怪訝そうに眉をひそめた。
捕らえられて暴れるならともかく、こんな奇妙な行為に及ぶ理由など、今の彼女には全く想像もつかない。
『いや、だからさ。興奮っていっても怒ってるんじゃなくて、その、別の意味で……』
「なによ、はっきりしないわね。別の意味ってどういう……って、え?」
「グウゥ……、ハァッ、ハッ、ハァ……」
言葉を濁すつとむへ問いかける途中で、バーディの太腿へ硬く熱い何かが押し当てられた。
千明は喉の奥で心地良さげに唸ると、腰を揺すってその器官を彼女の素脚へ擦り付け出す。
バーディは視線を宙に浮かべ、普段は使わない知識を頭の中から引き出すために、少しの間考え込む。
「えーっと……、おおっ! つまり、今の千明くんは発情した挙句、私と性交したがってるのね?」
『頼むから、そういう事を平然と言うなぁっ!』
数秒経って、バーディは大いに納得した風に頷くと、何の恥じらいもなく明確に答えを口にした。
歯に衣を着せない率直な物言いに、つとむは勘弁してくれとばかりに悲痛な思念を放つ。
「そっか、それなら……、うん。あんまり気は進まないけど、それが一番穏便な手段かな……」
しかし、バーディはつとむの抗議を完全に無視し、自らを納得させるように独りで呟き出した。
果てしなく嫌な予感に駆られたつとむは、沈思する彼女に向けておずおずと問い掛ける。
『お、おい。なんか変な事考えてないか?』
「ううん。私はただ、このまま性交して欲求を解消させてあげれば、たぶん大人しくなるんじゃないかと」
『それが変な事だっつーのっ!』
あっさりとんでもない考えを告げてくるバーディに、つとむは間髪入れず突っ込んだ。
75 :
サザム:2005/05/01(日) 23:26:23 ID:LMDyozU+
「そんなに変かな? だってこういう場合、やることさえやっちゃえば、たいてい落ち着くもんでしょ?」
『だからやるとか言うなって! 大体、こんな時にどうしてそんな気になれるんだよっ!?』
「いや、別に乗り気ではないけどさ。でも、他にいい手段もないし、このさい仕方ないかなって」
『あぁああぁ、宇宙人の感覚って一体……』
全く噛み合わない性的な行為に対する認識のギャップに、つとむは内心で頭を抱えつつ、大いに嘆いた。
以前から、こういった問題については特に鈍感だと感じてはいたが、今回のこれは極めつけだ。
千明の異様な姿に対する嫌悪も、常識的な貞操観念もまるで無いとあっては、そもそも話が通じる筈がない。
一方、獣化した千明は、急に抵抗を弱めたバーディを、首を傾げて不思議そうに見下ろしている。
『あっほら! 千明の奴なんか戸惑ってるし、今のうちに縛り上げるとかすれば!』
「手足を拘束しても、調整槽の中で暴れられたら機材が壊れるわよ。まずは何とか無力化しないと」
『だ、だからってなぁ! そんな簡単にしていい事じゃないだろっ!?』
「なら、それ以外に千明くんを傷付けないで宥める方法がある? あるならわたしの方が聞きたいんだけど」
『う、いや、そりゃあ……』
焦るつとむとは対照的に、バーディはやけに落ち着いた様子で反論を重ねた。
そう理路整然と問い詰められると、特に代案があるわけでもないつとむとしては、返す言葉に困る。
「普通の時にした事はないけど、生殖器の構造は地球人とほぼ同じだから、たぶん問題なく出来ると思うし」
『って、おい! ほっ、本気でする気か!?』
「と言うか、わたしにその気がなくとも、千明くんの方がやめてくれるかどう……ん、むぐっ!?」
二人が会話に気を取られている隙に、千明は一時の戸惑いから立ち直ると、彼女の唇を強引に奪った。
同時に素早く口中へ滑り込んできた舌先の感触に、バーディは息を詰まらせ、丸く目を見開く。
千明は彼女の舌を探り当てると、軟体動物めいた動きで、己の舌をねっとりと絡め合わせていった。
76 :
サザム:2005/05/01(日) 23:27:38 ID:LMDyozU+
「ムゥ、クフゥ……、ウッ、ム、ウウ……ッ」
「んもっ……、こふ、くふっ! んう、んっ、ぷ、んん……っ!」
千明は低く唸り声を上げつつ更に唇を押し付け、バーディの喉奥に深々と舌先を差し入れていった。
口元をしっかりと塞がれたまま、粘ついた唾液を気管に流し込まれて、バーディは軽くむせ返る。
けれど千明は咳き込む彼女にも構わず、激しい興奮に鼻息を荒くし、温かな口内を掻き回す。
『おおお、おちおち落ち着け千明っ! たたっ、頼むから、正気に戻ってくれぇ!』
バーディが息苦しさに顔を逸らそうとしても、首を伸ばして執拗にそれを追いかけ、逃げる事を許さない。
まるで自分が襲われているような視点でそれを見ながら、つとむは聞こえるはずもない思念で必死に訴えた。
「んっ、ふぅ……。んんっ、んっん、んう……」
「ウムゥ、チュプ、ンゥ……。ウウ、ムグゥ、フッ、ムゥ……」
やがてバーディは根負けしたように溜息をつき、抵抗を止めて千明の行為を従順に受け入れていった。
千明は大人しくなった彼女の様子へ喜びを露わにし、さらに勢い込んで口内を蹂躙する。
力の抜けた舌を湿った音を立ててねぶり、口蓋や歯の裏までをも丹念に舌先で伝う。
大量にしたたる千明の唾液が唇の端から零れ落ち、バーディの頬にねとついた線を引く。
深く激しいキスを重ねながら、千明は片手を彼女の胸元に伸ばすと、豊かな乳房を強く揉みしだき始めた。
「フゥ、ング……ッ。ムゥウ、ンッ、ンン、ウゥ……」
「ん、んむんっ! ぷふっ、んむ、んっ……!」
千明の手は、スーツの上からバーディの胸の膨らみをきつく掴み、大きくたわませていった。
指の間から柔肉がまろび出るほど強く握られて、痛みを覚えたバーディの顔がかすかに歪む。
しかし、そんな表情に却って劣情を煽られたのか、千明はますます熱心に舌を踊らせ、乳房を捏ね回す。
『ああっ、おっ、オレはどうすればいいんだぁっ!』
文字通り手も足も出せず、ただ見ている事しか出来ない不本意な状況に、つとむはもどかしげに煩悶した。
77 :
サザム:2005/05/01(日) 23:29:37 ID:LMDyozU+
「ムゥ……ッ。ハッ、ハ、ハァ……」
「ぷはっ! はぁ……。あー、苦しかった……」
しばらくしてようやく唇を解放されると、バーディは小さく溜息をつき、どこかのんきな口調で呟いた。
陵辱に等しい行為自体よりも、呼吸を妨げられた事の方へ言及する辺りが、つとむからすれば信じられない。
おそらく言っても無駄だろうとは思いつつ、呻くような語調でバーディに問い掛ける。
『ほ、他にもっと言う事はないのか……?』
「んー、やっぱり時期から外れてると、こういう事されても今ひとつピンとこないわねー……」
『だ、だめだこいつ……』
バーディはまるっきり他人事のような顔つきで、小首を傾げてとぼけた答えを返した。
自分の常識からことごとくズレた物言いに、つとむの意識は処置無しとばかりにぐったりと脱力する。
その間に、千明は軽く後ろに身を引いて、今度はバーディの胸元へ飢えた視線を向ける。
そして、彼女の身体を隠す邪魔な衣服を剥ぎ取ろうと、肌とスーツの境目に手を伸ばしていく。
だが、肌に密着した生地にはわずかな隙間さえ無く、服の下に指先を潜り込ませる事すら出来なかった。
「ウゥッ、グゥ、ウゥ……!」
「いたた、ちょ、引っ掻かないでっ……、つぅっ!」
どうしても脱がせられないと見るや、千明は不快げに唸りを上げて、バーディの胸へ強く爪を立て始めた。
指先を鈎のように曲げ、脱がすというより削り剥がすといった調子で、乳房の上を乱雑に掻き毟る。
戦闘用の物と違い、脆弱な素材で出来た普段着用のスーツへ、鋭い爪が幾つもの穴を空けていく。
「グルル……ッ!」
「わ、分かったから! いま脱ぐから、ちょっと待ってってば……!」
苛立つ千明へ宥めるように告げ、バーディは苦痛に顔をしかめつつ、手首の端末を目の前にかざした。
手早く操作すると、彼女のスーツは細かい断片となって消え、その下から一糸まとわぬ裸身が姿を現す。
鍛え上げられた肢体は無駄なく引き締まっていながらも、同時に充実した女性としての丸みを帯びている。
豊満な乳房を眼前にさらけ出された途端、千明は待ちかねたようにそこへむしゃぶりついた。
78 :
サザム:2005/05/01(日) 23:31:24 ID:LMDyozU+
「ハフ、ムッ、ウグ……ッ! ハプ、チュッ、ング、ムゥ……」
「ううっ! こっ、これは、ムズムズするというか、こそばゆいというかっ……」
敏感な胸の先端をじかに舐められ、バーディは困ったような顔つきで低くうめいた。
精神的にも肉体的にも感覚が鈍っている今の彼女には、そうした刺激もただくすぐったいものでしかない。
対する千明は、腹を空かせた乳児にも似た熱心さで、口に含んだバーディの乳首を何度も吸い立てる。
荒い吐息が彼女の肌をくすぐり、力強い両手が量感のある乳房を淫らに歪ませていった。
「まっ、まあでも、さっきみたいに痛くされるよりは、この方がまだマシか……」
「ウゥ……。ハアァ、ンッ、ハッ、ハァ……」
バーディが自分を慰めるように呟く中、乱暴だった千明の行為が、次第に穏やかなものになっていった。
自分がつけた乳房の爪痕に目を留めると、その傷を癒すようにチロリと舌を這わせる。
赤くなった素肌に唾液を塗りつけられ、ひりつく疼痛とかすかな心地良さとが、バーディの胸に響く。
「あ、あはっ……。何だか、大きな動物に懐かれているみたいな感じね……」
「ハッ、チュプ……。フウゥ、ンッ、ハァ、ハフ……」
激しいながらも多少の気遣いを見せ始めた千明の愛撫に、バーディは軽く苦笑を洩らした。
ざらついた舌で舐められ続け、快楽からではなく単に刺激への反応で、乳首がゆっくりと隆起していく。
硬くしこり始めたそこを唇でついばみながら、千明は掌に収めた柔肉を入念に揉みしだく。
バーディの視線を通してそうした光景を見せ付けられる内に、つとむも段々とおかしな気分になってくる。
『うああ……。もっ、もう見てられない……』
「ん……、見ていたくなかったら、別に寝ててもいいわよ? この分だとしばらく掛かりそうだし……」
『眠れるかぁっ!』
やり場のない興奮と、それを理解してくれないバーディへの苛立ちに、つとむは半泣きになって言い返した。
79 :
サザム:2005/05/01(日) 23:33:01 ID:LMDyozU+
「何を怒ってるのよ、つとむ……、あ、んんっ! そっ、それ、くすぐった……きゃうっ!」
「ムウゥッ、チュ、ハフ、ンム……」
バーディとつとむが言葉を交わす間にも、千明は思いつくままに彼女の胸を弄び、その感触を楽しんでいた。
豊かな乳房を胸の中央に寄せ合わせ、並んだ乳首の間に舌を伸ばして、るろるろと舐め回す。
桜色に色づいた突起が踊る舌先に弾かれて、白い肉の丘の頂点で不規則に跳ね動く。
『ううっ、オレは何も見えない、聞こえないぞぉ!』
つとむは自制心を振り絞って淫らな水音を意識から遠ざけ、バーディとの視覚の同調を懸命に閉ざした。
そんなつとむの努力を知りもしない千明は、魅惑的な二つの膨らみに没頭し、存分に舐めしゃぶっていく。
両の乳首を同時に口に含んで吸い、舌の腹で捏ねるように転がし、尖った牙で軽く甘噛みする。
したたる唾液は彼の手によって乳房全体へ塗り広げられ、きめの細かい肌にぬめるような艶を増していった。
「ハアァ……ッ。フッ、ハッ、ハァ……」
「ん、なに……?」
しばらくして、千明は感じ入ったように大きく息を吐くと、バーディの乳房からのそりと顔を上げた。
視線を向けたバーディの上で、彼の身体は四つん這いのまま、再びじりじりと後ろへ退がっていく。
熱い視線は形の良い臍の窪みを通り過ぎ、ゆるやかに閉じた脚の付け根に集中している。
「ああ、今度はそっちか……。んっと、これで、いいかな……?」
「ウゥ……」
千明が次に行おうとしている行為を理解して、バーディは納得したように小さく呟いた。
彼の手が太腿の裏に回ると同時に自らも膝を上げ、しなやかな脚を左右に割り開く。
興奮に血走った千明の目へ、引き締まった内股と淡い茂みに覆われた下腹部とが映し出される。
巻き毛の下で鮮烈な肉の色を示す秘唇を凝視したまま、千明は吸い寄せられるように顔を近づけていった。
80 :
サザム:2005/05/01(日) 23:34:40 ID:LMDyozU+
「フウゥ……、スン、フッ、クンッ……」
バーディの脚の間へ頭を割り込ませた千明は、せわしく鼻を鳴らしてその香りを胸一杯に吸い込んだ。
未だに全く濡れてはいなくとも、その場所は身体のどこよりも強く、かぐわしい女の匂いを濃厚に放っている。
初めて目にする女性の神秘と、本能を昂ぶらせる甘い芳香に、張り詰めた剛直の先から透明な先走りが滲む。
千明は溜まった吐息と共に大きく舌を伸ばすと、下から掬い上げる形でそこを舐め始めた。
「クハァ……。ンッ、チュル……」
「んんっ、くぅ……! ふっ、身体が、ゾクゾク、するっ……ん!」
「ハフッ、チュ、ピチュ……。ンム、チュプッ、チュク……」
千明はバーディの太腿を肩の上で抱え、薄皿に注いだミルクを飲むように、大きく舌を鳴らしていった。
塗りつけられる唾液に、柔らかなウエーブを描く薄い秘毛が湿り、白い肌の上にぺたりと貼り付いていく。
下から上へと繰り返し動く千明の舌が、濡れた茂みを脇に撫で付けて、肉の花弁を剥き出しにする。
尖った舌先が襞の合わせを這い上がるたびに、伸びやかな肢体が痙攣するように小さく震えを見せた。
「ハプッ、ン……。ムヌッ、ンウ、ンム……」
「はぁ、っん! は、入って……く、んふぅっ!」
入り口を軽く湿らせると、続けて千明はバーディの股間に深く顔を埋め、舌を内部へ潜らせていった。
バーディは身体の中へ押し入ってくる舌先が生み出す異物感に、深く眉間へ皺を寄せる。
溢れる唾液が潤滑油の働きをするとはいえ、まだ大して準備の出来ていない膣内は、強い抵抗を示す。
「あっく、んっ! やっぱり、少し、きつっ……んん!」
そこをやや強引に割り込んでくる舌の動きを受けて、バーディの脚が半ば無意識の内に閉じようとする。
しかしその動きは千明の邪魔をするどころか、彼の顔を股間に押し付けて、より深い場所へと舌先を導く。
蠢く舌は複雑に折り重なった襞をぬたぬたと押し広げ、やがて膣道の半ばまで入り込んだ。
81 :
サザム:2005/05/01(日) 23:36:19 ID:LMDyozU+
「ヌゥッ、ムフゥ……。ハフ、ングッ、ム……」
「はっ、あんっ! そん……なっ、中っ、かき回しちゃ……、ん、あぁ!」
それ以上奥には伸ばせなくなると、千明はこじ入れた舌を蛇のようにくねらせ、秘裂の内側を探り出した。
器用に動く舌先が複雑に折り重なった襞の一つ一つを舐め伝い、くちくちと擦り立てる。
刺激を受けたバーディの中は、過敏な粘膜を保護する為に、さらりとした蜜を滲ませていく。
「ハァ……ップ、ムフゥ……。ハッ、ム……ッ、ンン……」
「ん、あっ、あれっ……? なんかっ、少し、感じが、変わってっ……、んっ、はぁ……っ!」
膣壁を丹念に舐められていくにつれ、バーディの反応が次第に変化を起こし始めた。
薄皮を一枚一枚剥ぐように、刺激に対する違和感が薄れ、代わりに疼きにも似た波が押し寄せてくる。
通常時には感じた事のないその感覚に、バーディは当惑した呟きを洩らす。
「や、んぅっ……! やだ、すごく、ヘン……な、感じ……っ、んっ、くぅ!」
何度かそうした時期を経験した事のある彼女は、それが紛れも無い己の発情の兆しである事に気付いた。
しかし、自然に身体が求め出す時とは違い、その疼きはごくゆっくりとしか水位を上げてこない。
眠った快楽中枢を徐々に目覚めさせられていく初めての経験に、バーディはもどかしげに身をくねらせる。
彼女の頬はほんのりと悦びの朱に染まり出し、洩れる声も次第に色めいた響きを帯び始める。
「ンンッ、ムッ、チュ……! ムッウ、ムグッ、プフゥ……」
「あふ、んんっ! やっ、それ、響いちゃ……んふぅん!」
バーディが甘い反応を示すようになると、千明は更に勢いづき、舌の動きを激しくしていった。
前後に細かく出し入れして狭い膣道をほぐしつつ、沁み出した彼女の蜜の味をじっくりと味わう。
舌先を曲げて腹側の内壁へ伸ばし、少し粒立ったそこを引っ掻くように何度もくすぐる。
その度に、宙に浮いたバーディの足指がきゅっと丸められ、唇からは切なげな喘ぎがこぼれ出した。
82 :
サザム:2005/05/01(日) 23:37:33 ID:LMDyozU+
「ンジュッ、ズッ、チュル……ッ! ハプ、ヂュクッ、フッ、ピチュ……!」
「ああっ、ん……っ、それ、いいっ……ぅんっ!」
千明は膣道を舌で掻き回して、バーディの雫を己の唾液と混ぜると、大きく音を立てて啜り上げた。
同時に押し付けた唇をもむもむと動かし、ぷくりと隆起してきた彼女の陰核を、すり潰すように擦り立てる。
中を探られながら最も敏感な急所を弄り回され、バーディの身体の芯が熱く蕩けていく。
「んふぅ……ん! あっ、うそ、こんなに、どうして……っ! ああっ、んっ、くぅ……!」
「クチュ、ムルッ、チュプ、フッ……! ムウゥ、チュパ、ンッ、ハプ……ッ!」
理性を保ったまま、身体だけが発情期に入ってしまったような感覚に、彼女は持て余し気味な声を上げた。
けれど、一旦覚醒した快感は留まる事を知らず、それにつれて溢れ出す蜜もその量を増す。
バーディは紅潮した顔を左右へ振り乱し、込み上げる官能に大きく身悶えていった。
「ム……ッ、プハァッ! フーッ、フゥ、フウゥ……」
「んぅっ! ……あっ、はっ、はぁ……」
しばらくして、花弁の外へ溢れ出すほどにバーディの中が潤うと、千明は彼女の股間から身を起こした。
抜き出された舌先と秘裂の間に、透明な液体が長く糸を引き、プツンと途切れてしたたり落ちる。
愛撫の余韻に息を弾ませながら、バーディは再び自分の上に覆い被さってくる千明の下半身へ目を向ける。
彼女の視線の先では、凶悪なまでに反り返った剛直が、別の生き物のようにビクビクと跳ねていた。
「んっ、はぁ……。いいよ、千明くん、来て……」
バーディは大きく脚を開いて千明の腰を迎え入れると、言葉と態度の両方で、彼の挿入を促した。
彼女の瞳はすでに更なる快楽への期待に潤み、濡れそぼった花弁も牡を求めて小さくひくついている。
千明は顎を引いてそこを見下ろしながら、片手を幹の根本に添え、膨れ上がった先端を望む場所へと導く。
そして、そのまま一気に腰を沈め、熱く濡れた秘洞を貫いていった。
83 :
サザム:2005/05/01(日) 23:39:13 ID:LMDyozU+
「ふ、ああぁっ!」
「ウッ、オォ……!」
舌よりもはるかに硬くて太い剛直を突き入れられ、バーディの背は引き絞られた弓のように強く反り返った。
急な侵入を受けた膣内がきつく収縮し、硬く節くれ立った肉棒をきちきちと締め付ける。
千明は己の性器を押し包む、ぬめった粘膜の心地良さに、歓喜と感歎の入り混じった雄叫びを上げる。
張り詰めた亀頭が肉の狭間を強引に押し退け、熱くたぎった幹が悦楽にわなないた。
「オァ……ッ! フッ、ウオ、グウッ……」
一旦根本近くまで挿し入れると、千明は具合を確かめるように、軽く前後に腰を揺り動かした。
強烈な締め付けが多少の動き辛さを感じさせるものの、充分な潤いがそれを甘美な快楽に変えてくれる。
剛直全体に吸い付き絡みつく、熱く柔らかな襞の連なりに、千明は陶然と目を細める。
「ウルゥ! フッ、ハ、オッ、オオ……ッ!」
「んん、っく、あっ、は、あんっ!」
両手を床に突いて体勢を整えると、千明はまさしく獣の如き勢いで、激しく腰を打ち振るい始めた。
大きく張り出した雁首が内部の襞をめくり上げ、突く動きに合わせて再び奥へと押し込んでいく。
ごつごつとした幹は、きつい締まりを物ともせずに出入りを繰り返し、膣壁との間に強い摩擦を生む。
「んふぅっ、はぁ、んっ、くふ、んんっ!」
「クゥ、フゥッ、ウゥ、ハッ、ハァ!」
連続する律動に身体を揺さぶられ、バーディの豊かな乳房がたふたふと波打った。
その誘うような動きに、千明は片手を彼女の胸元へ伸ばし、妖しく弾む二つの膨らみを交互に捏ねる。
硬く隆起した乳首が指の間で転がり、柔らかな肉の丘に沈んでは、再びひょこんと顔を出す。
バーディは中を抉られる度に短い喘ぎを上げ、襲い来る快楽に白い肢体を悩ましげにくねらせた。
84 :
サザム:2005/05/01(日) 23:41:04 ID:LMDyozU+
「グウゥ、ハッ、ハァ……!」
「えっ……、あ、なにっ……?」
しばらく同じ調子で動き続けると、千明はバーディの腰へ手を掛けて、身を起こしながら抱え上げた。
仰向けに寝たバーディの背中が滑らかな床を滑り、膝立ちになった彼の元へと引き摺られていく。
下半身のみを床から浮かせ、尻を千明の太腿の上に乗せる体勢を取らされ、バーディは疑問の声を洩らす。
千明はその問い掛けへ行動で答えるように、勢いをつけて大きく前へと腰を突き出す。
同時に、両手で掴んだバーディの尻を強く手前へと引き寄せて、彼女の最奥を深々と抉り込んだ。
「っああぁ!」
「オァッ……!」
重く腹の底に響くような衝撃をその身に受けて、バーディは悲鳴にも似た叫び声を放った。
弾力のある亀頭の表層が子宮の入り口でひしゃげ、その下の固い部分がごりっと押し当てられる。
背筋を貫いて脳裏で弾ける強烈な刺激に、バーディのしなやかな肢体が電撃を受けたかのように痙攣する。
きゅんっと引き絞られた中の締まりに短く吠えると、千明は再び腰を振るい出す。
それに合わせて腰を抱えた腕が力強く前後に動き、秘洞を行き来する肉棒の速度を一段と高めた。
「くっ、んっ、あ、っはぁっ!」
「クフゥ、グッ、ウァ、オオッ!」
「や、だめっ、激しっ、すぎっ、ん、あぁ!」
バーディは深さと勢いを増した千明の抽送に、官能の昂ぶりを急速に押し上げられていった。
突き破らんばかりに奥を打ち据える先端が、微細な襞を間断なく擦る太い幹が、蕩けた秘洞を更に熱くする。
千明の腰へ叩きつけられる度に、充実した尻たぶが大きく弾み、湿った肉の音を高らかに響かせる。
宙を掻く爪先は支えを求めるかのようにピンと伸ばされ、唇から溢れる声も切羽詰った響きを強め出した。
85 :
サザム:2005/05/01(日) 23:42:17 ID:LMDyozU+
「ウゥッ、グ、オオオォ……ッ!」
「あっ、あぁ! ん、はっ、あっ、あ、んっあ、あぁ……っ!」
やがて射精の予兆が背筋に走ると、千明は最後の高まりを求めて、動きを更に加速させていった。
掴んだ尻肉を逃さないとばかりに強く握り締め、がむしゃらな腰使いでバーディの中を猛然と突きまくる。
暴れる剛直がひくつく膣道を不規則に角度を変えて掻き回しながら、奥の肉壁を激しく小刻みに打つ。
短く途切れるバーディの喘ぎは快楽の度合いを示し、駆け上がるように声量と音階を上げていく。
連続する甘美な波涛に翻弄され、彼女の官能はその頂点まで一気に押し流されていった。
「んっ、ああああぁっ!」
「グォッ……、クゥ、オアアアァ……ッ!」
バーディの四肢は歓喜の極みに大きく打ち震え、わななく秘洞がきゅくっと絞り込まれた。
その絶妙な締め付けに誘われて、千明も後を追うように悦楽の咆哮を上げ、彼女の中に己の精を解き放つ。
膨れ上がった剛直の先端が、粘度の高い白濁を大量に吐き出し、子宮の入り口へと浴びせかける。
千明はバーディの尻を抱えたまま軽く腰を揺すり、欲望を果たした達成感に恍惚とした表情を浮かべる。
最後の一滴までを彼女の膣内に注ぎ終えると、千明は力を使い果たしたかのように前へ倒れ込んでいった。
「ん、っあん! んふぅ、はっ、んん……」
「ハッ、ハアァ……ッ。フーッ、ハッ、フゥ、ハッ、ハァッ……」
腰が床へと下ろされる拍子に、秘洞の中からずるりと肉棒を抜き取られ、バーディは小さく声を上げた。
千明は満足し切った様子で彼女の上に力無く身体を預けると、瞼を伏せて荒い息をつく。
険の取れた穏やかな顔には、先程までの猛々しい雰囲気は微塵もなく、彼本来の表情を取り戻している。
絶頂の余韻に同じく息を切らしつつ、バーディは潤んだ瞳でそんな千明の姿を茫洋と眺める。
緩やかな痙攣を続ける秘唇から、蜜の混じった乳白色の精液が滲み出し、尻の谷間をトロリと流れ落ちた。
86 :
サザム:2005/05/01(日) 23:43:11 ID:LMDyozU+
◇ ◇ ◇
その翌日、期末試験を終えて学校を出たつとむは、ひと気の無い公園のブランコに座り込んでいた。
彼の胸の中には、ついさっき早宮に問い詰められた時の、動揺と葛藤が渦巻いている。
事情も知らずに余計なお節介を焼きたがる、幼なじみの少女の態度に、八つ当たり気味な苛立ちが募る。
他人に声を聞かれる心配がなくなると、つとむは弁解とも愚痴ともつかない台詞を呟いた。
「あんな事があった後で、千明の顔をまともに見られるわけないじゃないか……」
何しろ、半獣人に変身した姿を見た上に、バーディとの激しい交わりまで目撃してしまったのだ。
前者だけでも充分に顔を合わせ辛いというのに、友人の性行為を覗いた気まずさが、それに拍車をかける。
どちらの出来事も、関係の無い早宮は勿論、本人である千明にさえ話せはしない。
しかも、彼の頭を悩ませている問題は、それらの他にもうひとつ存在していた。
『はぁ……。それにしても、夕べのアレは気持ち良かったなぁ……』
「こらそこっ! 記憶を反すうするなっ!」
脳内に響く悩ましげな独白に、つとむは腹立ちまぎれに大きく叫んだ。
時期外れの性交がきっかけとなり、バーディがすっかり発情状態に移行してしまったらしいのだ。
昨夜、元に戻った千明の前では態度を取り繕っていたが、その後はずっとこの調子である。
しかし、頭の中で終始色っぽい声を聞かされ続けるつとむの方としては、たまったものではない。
『ああ、ごめんごめん。……はぁっ、だけど正直、ちょっとクセになりそう……』
「うがあああぁっ!」
心ここにあらずといった風情で謝ると、バーディは再びため息をつき、ポツリと本音を洩らす。
完全にあちらの世界に行ったまま、戻ってきそうにない彼女の様子に、つとむは激しく頭を掻き毟った。
〜END〜
87 :
サザム:2005/05/01(日) 23:43:47 ID:LMDyozU+
おおっ! 前スレの投下予告から、何と5ヶ月も経ってしまっているではないですか。不思議不思議。
さて、とりあえず投下は終わったので、ぼくはもう名無しに戻らなければいけないんだ。
ではみなさん、さやうなら。
わ〜いわ〜い、サザムさんGJ!!!!!!!!!!!!!
生きてて良かった。
もし宜しかったら、脳内バーディの色っぽさに耐えきれぬつとむのオナニーを
さらに希望したいです…。
最近良作を良くリアルタイムで読めているので、幸せで死ねるっすよ。
最初読んだのが早朝で…エライコトになりかかった!!
とてつもねぇGJ!!! ばんざい。
前スレって600番台で容量一杯になったのか・・・。
職人の質・量の豊かさいぇだろうが、ちょっと油断して保存失敗した。
どっかにミラーでUPしてくれてるようなところがあればなあ。
前スレDAT落ち後、しばらくネットの海を途方に暮れて彷徨っておりました。
新スレ発見でホッと一息つく暇もなく、新作を堪能させていただきました。
中でもサザム氏の獣化千明×バーディー、めっちゃエロ萌えー。
「やることさえやっちゃえば、たいてい落ち着くもんでしょ?」、読んだ時に感涙が出そうになりますた。
地球人とアルタ人の価値観の違いをまざまざと見せ付けられました。GJです。
PS 「284」というHNはスレ>284と誤解されやすいので、今後は「PT-VT」に改名いたします。
いつの日か新作投下する際には、どうかよろしくお願いします。
>>90 専ブラなら問題なく見れるけど、保管庫管理人さんがそのうちうpしてくれるんじゃないかなと。
94 :
ナツ:2005/05/06(金) 21:34:35 ID:IQLIZwQm
「あたしのアンドロイド君 V」の御感想ありがとうございましたm(_ _)m
続きのWを投下させていただきます。
95 :
ナツ:2005/05/06(金) 21:35:46 ID:IQLIZwQm
■あたしのアンドロイド君 W【1】
校内に植わった木々から耳障りな蝉の鳴き声が聞こえる。
初夏の心地良い熱さから、そろそろ本格的な真夏に入りかかろうとしていた。
春風高校は今は夏休み前の短縮授業になっており、午後にもなると校舎の中は人気がなくなる。
特別何もやる事のない、特に文化部の生徒はそれぞれの部でダラダラと過ごす者も少なくない。
光画部もそのひとつ。部室は相変わらず現役とOBが入り交じって賑やかだ。
今日は現役部員が全員、OBは鳥坂、椎子、そしてRがいた。
成原博士の修理を終え、新しい体となり初めて光画部にやってきたRは皆に一瞬言葉を失う程のインパクトを与えた。
だが、Rが主役のように持てはやされたのもほんの少しの間で、
見た目が少々変わっただけで中身が変わらないのがRらしい…と片付けられてしまった。
鳥坂は「芸のない奴だ」と中指を立て、小夜子は体が変わったら磁場が悪くなったと近付かなくなり、
えりかは相変わらず懐いてはいるが、最近は同じ学年の曲垣とまことといる方が多い。
今日Rが学校に来ているのは、あの成原博士が春校を占拠した日の前に受けた試験がさんざんな結果で、
結局補習をしなおし、追試を受ける事になった為だった。
今回はあんなに嫌がっていた補習を真面目に受けている。
他にも目的があって学校に来ているからだ。
Rはこの数日、補習を終え部室に来ると窓際に座る事が多い。
そこからはちょうど裏門が見えて人の出入りが見える。
Rは裏門の通行人を見落とさないように目を反らさず眺めていた。
そして数日前の事を思い出す…。
…Rはさんごの言葉が頭から離れなかった。
96 :
ナツ:2005/05/06(金) 21:37:24 ID:IQLIZwQm
■あたしのアンドロイド君 W【2】
Rのアパートで久しぶりに再会を果たし、さんごはRに抱きしめられていた。
先程までの行為でまだ体が火照っている。
さんごはまだ慣れないRの新しい体をぎこちなく抱き返していた。
「R君は成長したのに、あたしの方は何も変わらないって…変だね…」
「……?」
「……R君も男の子なんだなって事…」
「言われなくても僕は男ですよ?」
「………うん…」
Rの耳元でかわいく返事を返す。
「ねぇ、さんご…」
「…なぁに?」
「…もう一度いいですか?」
「………もう一度…って…」
さんごの了解もなくRは首筋に唇を押し付けた。
鼻先に触れる火照った耳が気持ちがいい。
「っ…やだよ…R君、もう無理……」
「ビデオの人達は2回やってましたよ」
「……だから……そういうの…いや…っ」
上から重なっているRを引き離そうと肩を掴んでもがく。
Rは今までのさんごとの経験でそのうち暴れなくなるのが解っていた為、行為を止めずに続けた。
抵抗の言葉を発する唇を塞ぎ、貪るように唇を動かす。
嫌がる唇を割って強引に舌を押し入れ、すぐに舌を捕らえ絡めた。
「っん!…んっ…んくっ…ん〜…ん〜ん…っ!!」
嫌がっているがそのうち大人しくなる…解ってる…Rはさんごの胸に手をのばす。
「痛っ!!」
急に左頬に衝撃が走った。Rはさんごに思いきり引っ叩かれた。
だが、声を出したのはさんごだった。Rの顔を力いっぱい引っ叩けば男でも痛い。
さんごに叩かれ、Rは驚いていた。叩かれた頬に手をあて呆然としている。
さんごの方はRに手を上げてしまった…驚きと悲しさの入り混じった言葉で表現しきれない顔をしている。
覆いかぶさったRから離れ身なりを整えると、さんごは逃げるように部屋から出て行った。
97 :
ナツ:2005/05/06(金) 21:38:12 ID:IQLIZwQm
■あたしのアンドロイド君 W【3】
今日は少し暑く、窓を開けても風はほとんど入ってこない。
その窓からRはあの日の事を反芻しながら裏門を眺めていた。
あの後、きっとさんごは泣いてしまった…と思った。
でも理由が解からない…自分に触れられるとさんごはいつも幸せそうだった…そんなにビデオの真似が嫌だったのか…。
いや、それ以上にさんごにとって悲しい気持ちにさせてしまった何かがあったのではとも思う…。
…そこがよく解からない…。
裏門は人通りが減り静かになった。さんごが来る時はいつもこの時間なのに…。
「椎ちゃん」
Rは椎子に声をかけた。
「今日もさんごは来ないんですか?」
「…さぁ…わかんないな…さんごも忙しいみたいだからね…」
「……そうですか…」
いつもこれくらいの時間になるとRからさんごの事を聞かれる。椎子は何となく二人の関係が解っていた。
「ねぇ、椎ちゃん…相手の事を理解するには何をどうすればいいんでしょうか…」
「…へぇ、R君でもそんな気持ちになる事があるのね」
椎子は少し意地悪く笑う。
「そりゃあ、ありますよ…」
「ん〜…何て言うんだろう…自分の気持ちを理解してないうちは相手の事を解かろうとするのは無理なんじゃないかな…」
「…自分の気持ち…ですか…」
自分の気持ち…実はRにもひとつハッキリとしない不安があった。
それも考えてみても解からなかった為、まずさんごの事を考えていた。
椎子はそんな考え込んでいるRを見かねて誰にも聞こえないようにコソッと囁いた。
「…さんごね、最近よくバッティングセンターに行ってるのよ」
「……?」
「ほら、栄三中の近くにあるでしょ。あそこ…」
「…ああ、あの長い登り坂のある…」
「そうそう。仕事帰りに寄ってるのよ、あの子…。今日ここに来なかったら行ってみたら?」
Rは少し考えた…。
このまま会わなくても何も解決しないかもしれない。それにさんごは今どうしてるのかも気になる…。
「そうですね…行ってみます」
98 :
ナツ:2005/05/06(金) 21:39:33 ID:IQLIZwQm
■あたしのアンドロイド君 W【4】
日が沈みかけてきた頃、光画部の面々は帰宅しようと片付けと支度を始めた。
鳥坂が買い物があるからとRに轟天号を出せと言い出したが、
椎子が慌てて今日は自分が付き合いますと気転をきかし、何とかごまかした。
現役部員も皆なくなり、Rだけが部室に残った。急に部室が静かになる。
Rはまだ窓際に座り裏門を眺めていた。
もう今日はさんごがここには来ないのは解かっているのに…。
窓からは自転車置き場も見えて轟天号も見える。
Rはさんごに轟天号を早く見てもらいたいと思っていた。
さんごが前から気にしていた改造がようやく終わったのだ。
まず、さんごに見てもらいたい…。Rはサッと立ち上がる。
椎子が教えてくれたバッティングセンターに向かうつもりだった。
とにかく、さんごに会って話をしなければ…。
部室を出る為電気を消す。
電気の明かりよりも眩しい色が目に飛び込んできた。
オレンジ色の夕焼けが部室いっぱいに広がっている。
Rは初めてさんごを抱きしめた日と同じ色だな…と思った。
ここで初めてキスして抱きしめて、初めてさんごの暖かさを知った…。
初めてさんごから告白された…。
「……あ…」
Rはどれだけ考えても解からなかった自分の不安に突然気が付いた。
自分の部屋で再会を果たした日…さんごに叱られながら抱きしめた日…。
あの時、一度もさんごからその言葉を聞いてない…。
さんごはいつも自分に抱きしめられる時、泣きそうな切ない声であの言葉を囁く。
それがあの日なかった。
物足りない…というより、言われなかった不安があった。
それにやっと気付いた。
Rは自転車置き場へ急いぐ。
さんごと自分しか知らない番号に合わせてチェーンロックを外す。
轟天号にまたがり、素早く走らせる。
まず仁和野公園の前から栄三中の横を抜けて行く。
長い坂があるけど、もうRには苦にならなかった。
「野明の一番大切な人」続き
夕張は2人の家から東に進んだ所にある元・炭坑の町である。
茂男世「まずは北広島まで行って、そこから夕張へ行こう。あそこには大きな道路があんまり無いからなぁ。」
2人は北広島へ向かい、そこから夕張に向かった。
蒼く瑞々しい草原が広がる馬追丘陵を1台の車が突っ走る。絵になる風景である。
茂男世「よーく眼に焼き付けておけよ。就職したらしばらくは帰って来れないからな。」
野明「うん解った。」野明は窓を開けると、北海道の涼しい風を顔一面に受けた。
茂男世「教えてくれないか?」
野明「何を?」
茂男世「何で特車二課に就職したんだ?」
野明「・・・ほら、私レイバーが好きだから・・・。」
茂男世「それだけか?本当にそれだけか?」
野明「・・・・・・・・。」
茂男世「とうしてあんな所に就職したのか俺にはさっぱり解らないよ。レイバーが好きなら工事現場で働いたらどうだ?」
野明「そこじゃダメなの・・・。」
茂男世「ダメか・・・。確かに警察でレイバーを使っているといえばあそこだけだが、
何故あんな休む暇も無い様な所へ・・・。」
野明「・・・・。」
茂男世「教えてくれないか、兄さんに?」
野明はその重たい口を開いた。
100 :
ナツ:2005/05/07(土) 01:30:47 ID:8VnkyVW/
すみません、開きましたが「あたしのアンドロイド君 W」の続きです。
101 :
ナツ:2005/05/07(土) 01:31:20 ID:8VnkyVW/
■あたしのアンドロイド君 W【5】
Rはあの長い坂を難なく登りきった。球を打つ金属音が聞こえる…バッティングセンターはすぐそばだった。
もうほとんど日が沈み、中はナイター用にライトが照らされている。
Rは中に入る前に網越しにさんごを探した。
一番奥から2番目に小さい女の子がいる…さんごだ。すぐに解かった。
仕事帰りのスカートのまま、軽快にスィングしている。
かなり早い速度の球を簡単に打っている。久しぶりに見るさんごの勇姿だ。
Rは男子顔負けの野球をしたり、体育祭の100m走等で一等になるさんごを見るのが好きだった。
中に入るのはやめて暫く外からさんごを眺めた。
次第に球の打球は遠くへ飛ばなくなり、最後の二球は空振ってしまった。
さんごはため息をついてバットを置き、ヘルメットを脱いで出口へ向かう。
Rがいた所はちょうど出口側でさんごはすぐにRに気付いた。
驚きながら建物から出てくるさんごに、轟天号を押しながらRの方から近づいて行く。
二人は向き合うが、お互い言葉が出ない。さんごは複雑な表情をしていた。
ふと目を反らし、網越しに中でバットを振っている人を眺めた。
「……見てた?」
「…うん」
「ハハッ…なまっちゃった…ダメね……R君は今帰りなの?」
「あ……いえ…」
さんごはRの返事に気付かず、すぐ傍にある自動販売機でスポーツドリンクとミネラルウォーターを買う。
ハイ…とミネラルウォーターをRに手渡す。
「…じゃあね」
さんごは帰ろうとする。Rにとってこんな素っ気無いさんごは初めてだった。
もちろん、さんごだって好きでこんな態度でいるわけではない。
さんごも今はどうRと話せばいいのか解からないのだ。
Rは轟天号を押しながら、歩き出したさんごの横に近付いた。
「さんごが…ここに来るって聞いて…来たんです…」
「……椎ちゃんから聞いたの?」
Rは黙って頷いた。
「…そっか…」
さんごは足を止め、Rの目を見た。
「…R君…部室に行かない?…」
102 :
ナツ:2005/05/07(土) 01:33:20 ID:8VnkyVW/
■あたしのアンドロイド君 W【6】
轟天号の後ろにさんごを乗せ、さっき来た道を戻る。
さんごはRの腰掛けているサドルをギュッと握り、轟天号の揺れに耐えた。
今度は下り坂の為、楽に春校に着く。
もうすっかり日が沈み、校内の木々から聞こえていた蝉の鳴き声も静かになっていた。
二人は轟天号から降り、Rは裏門の柵と轟天号をチェーンロックでつないだ。
もう夜になればどこも鍵がかかっていて校内に入れない。
裏門を二人はよじ登り、外から部室の方向へ向かった。
一号棟一階の一番端の部屋が光画部の部室。
光画部の第一期黄金時代を記念して光画部OBの校長が
鉄筋校舎の中に当時の木造校舎ごと思い出と共に封じ込めてしまったという代物。
造りが特殊だが、ちょっとコツさえ知れば外からの侵入は簡単で、
鳥坂はそれでよく忍び込んでは部室で寝泊まりしてそのまま職場に行ったりする。
だが、この特殊な造りせいで夏は昼も夜も暑い。
この時期は家に帰る事の方が多く、今日は鳥坂はいないだろう。
部室の前につき、Rは鉄筋の方の窓を開けた。
少し振動を与えるとロックが下がるようになっている。
木造の方は窓枠ごと外せば後は簡単に中に入れる。
二人が部室に入ると、中は暑くてムッとしていた。
さんごはもう一つ窓を開けた。暫くすると少し部屋の中が涼んできた。
ふと見たらRが電気をつけようとしている。
「R君…電気つけちゃったら…」
「あ…そうですね…」
Rはさんごの横に並ぶ。
「電気つけなくても月明かりでけっこう見えるね…」
月の明かりで部室は青白く照らされていた。二人の影もはっきり見える。
Rはさんごの自分より小さい影を見つめた。
103 :
ナツ:2005/05/07(土) 01:34:11 ID:8VnkyVW/
■あたしのアンドロイド君 W【7】
夜のせいか風が冷たくなってきた。
さっきまでバットを振っていたさんごは、ようやく汗がひいて体が涼んできた。
ここに来る前に買ったスポーツドリンクをコクコクと飲む。
Rもさんごが買ってくれたミネラルウォーターを別に喉が渇いてるわけではないが同じように飲んだ。
「……さんご…」
さんごは缶から口を離してRに顔を向けた。
「…この間…すみませんでした……あんなに怒ると思わなくて…」
「怒ってないよ…ちょっとビックリして……あたしだって殴っちゃったし…ごめん…」
「怒ってるからここに来なくなったと思ってました…」
「……忙しかったから…」
さんごは一口コクリと飲んで、すぐに一言追加した。
「…ウソ…なんか来辛くなっちゃったの…」
部室の中央にある机の上にちょこんと座る。
月明かりがギリギリ届く場所でさんごの表情が解り辛くなった。
「…卒業してから、ここになかなか来られなくなっちゃったけど…この場所に来ると落ち着く…
…先輩達が卒業しても頻繁に来る気持ち、今はすごくよく解かるな…」
さんごはクスッと笑って両手で缶を揺らした。残った中身がチャプチャプと音を立てる。
「…でね、R君がいたらすごくホッとするの…」
Rは黙っていた。ゆっくりと話すさんごの話を静かに聞いていた。
「社会人になって…環境とかいろんな事が変わって、疲れてる時にR君に会うと元気になってたの…
変わらない何かがひとつでもあるのってすごく安心する…」
さんごはRの方を見ていた目線を下に下ろし、手に持った缶を座っている机の上に置いた。
「…あたし……R君が変わらないって勝手に決めつけてたかも……体の事じゃないのよ?
…R君だっていろんな事吸収して…知って、あたし達みたいに成長して変わるのに…
…R君はR君って…アンドロイドでも普通の男の子と同じように見てたつもりだったのに…
……ここってところでR君の事…都合よく見てたのかなって……自分自身にショックうけてたの…ずっと」
そして一呼吸置いてか細い小さな声で呟いた。
「あたしがR君好きみたいに……R君だって…好きな子ができたりするのに…」
それだけ話してさんごは黙った…。
104 :
ナツ:2005/05/07(土) 01:35:04 ID:8VnkyVW/
■あたしのアンドロイド君 W【8】
ポツリポツリと話すさんごの言葉をRはただ黙って聞いていた。
さんごがどんな顔をしてるか気になる。Rはカラン…と一歩近付く。
「…ごめんね、R君。変な事言って…。あたし仕事でストレスたまってるのよ…」
無理矢理作った明るい声だというのがRにも解かった。
たぶん、さんごは今は顔を見られたくないのかもしれない。その場から離れようと机から降りた。
Rはさんごにカランコロンと歩み寄ると、月明かりが届かないがうっすらと顔が見えた。
さんごは泣かないようにキュッと唇を噛み締めていた。
そんなさんごを見てRはすぐに抱きしめる。
Rは気がつかなかったかもしれないが、それは守るような…とても優しい抱きしめ方だった。
さんごはついに泣いてしまった。
「…あ…」
さんごから微かに聞こえる泣いている息遣いに気付き、Rは困った。
「…泣かないで、さんご…」
「……我慢してたのに…いつも泣いちゃうから…」
さんごはいつも声を殺して泣く。いつもそれがとても悲しそうに見えていた。
Rはさんごの背中で両手を合わせ、胸の中に押しこむように引き寄せる。
さんごのうなじが見えた。改めてさんごが小さくて華奢で…女の子だという事に本当の意味で気付く。
春校を占拠された日から髪ものびてるのにも気付いた。
さんごはまだ泣き止まない。
今度はRがゆっくりと話し出した。
「……さんご、僕を見てホッとするって言ってくれましたね…
…僕も今日は久しぶりにさんごの姿を見たら嬉しくて…ホッとしましたよ…」
さんごの息遣いが少し大人しくなった。
「いつもそばにあるモノの大切さって、なくならないと気付けないんですね…
…言って欲しい事を言ってもらえないのは…不安だって知りました……」
Rはさんごを抱きしめる腕に少し力を込めた。
「…さんごの言う変わるとか、変わらないとか…僕はまだよく解からないけど、でも、気付く事は出来ます…
僕…さんごの事、とっても大事です…すごく大事ですよ………いえ…それだけじゃなくて……その…」
Rはこの場所でさんごに初めて言われた言葉を思い出す。
「…僕………………さんごが好きです…」
105 :
ナツ:2005/05/07(土) 01:36:56 ID:8VnkyVW/
■あたしのアンドロイド君 W【9】
Rは言いたい事を全て言い終え、さんごを抱きしめ続けた。
ふと、さんごがRの腕の中でガクッと崩れるようにもたれてきた。
「…さんご?」
「…あ……ち…力が…抜けちゃって…」
Rはさんごを抱えた。さんごもRの腕に掴まり、胸に顔を埋めた。
Rの体の中の音が少し早く感じる…たぶん気のせいかもしれないけど…。
「……ずっと、この先もずーっと…あたしだけだと思ってた…」
Rは胸の中のさんごの泣きそうな声ごと包むように抱きしめる。
さんごの顔を見ようとしたが自分の胸に耳をつけた状態で見えない。
「さんご、顔見せて…」
さんごは顔を上げる。まだ泣き顔だった。
Rは屈んでさんごに顔に近付き、少し見つめてから唇を重ねた。
少しだけ触れてすぐに離れるとさんごは目を閉じていた。
Rは再びキスをした。唇の動きがぎこちない。
唇を一度離し、腕を肩と腰に移動させ負担をかけないようにさんごを床に寝かせる。
さんごはRの顔を見上げると、表情が少し緊張してるように見えた。
さんごまで緊張してきてしまい、暫くお互い何もしないで顔を見つめ合う。
「…R君…あたし…汗すごくかいちゃったから……」
「……?」
「汗臭いかも…だから今日は…」
「…そんなの…いいです」
少し吐き捨てるような口調で言ってからRはキスをする。
唇をゆっくりと動かすいつものキスになった。さんごもRに合わせて動かす。
「…ん…ん……んっ」
Rは自分に合わせ出したさんごを健気に感じた。
顔の角度を変えて優しくゆっくりとさんごの唇をもとめる。
「…う…んっ……ん…んんっ」
Rのキスにさんごは黙ってられず声を漏らす。
静かに唇を離すとさんごは…はぁ…と一度小さく吐息をついた。
106 :
ナツ:2005/05/07(土) 01:37:48 ID:8VnkyVW/
■あたしのアンドロイド君 W【10】
さんごの唇から離れ、首筋に唇を押し当てていく。
少し長くなった髪を指でどけ、何度もキスする。
髪の生え際、耳の裏までRの暖かい唇は蠢いていく…。
「…ん…んっ」
さんごはRの細かく動く唇に反応する。
Rは唇を動かしながらさんごのシャツのボタンに手をのばす。
…うまくボタンが外せない。いつも片手で手早く外していくのに…。
「……ん?…あれ…?」
Rはさんごの首から顔を離し、ボタンの方に気を取られる。
様子のおかしいRに気付き、さんごは自分でシャツのボタンを外す。
ゆっくりとボタンを外すさんごの指をRはジッと見つめた。
さんごが全部外し終えたのを確認してからシャツを左右に開いた。
薄い水色のシャツの下から真っ白なブラがのぞく。
この夏はまだ一度も泳いでいないさんごの肌はまだ日に焼けていない。
でも、もとからアウトドア派な為どちらかといえば肌の色は黒い方かもしれない。
その分下着の白さが際立つ。
Rは(真っ白だ…)と思いながらシャツを全開にした。
ブラを親指でひっかけ上にずらす…小さな脹らみがかわいく揺れた。
すぐに掌の中におさめる…ビクッと一瞬胸の柔らかさに驚き、慣れない手付きで胸に触れていく…。
Rがいつもと違いどこかぎこちない。まるで初めてさんごを抱くようだった。
さんごを改めて女の子として意識したからかもしれない。
最初はどうしたのか心配したさんごだったが、すぐにそんなRを受けとめた。
Rの好きなようにさせてあげたかった。
Rはさんごの胸を撫でる。柔らかくて壊れそうだと思った。
脹らみに触れた掌を回すとさんごの息遣いが細くなった。
指に少し力を入れ揉む動作をつけくわえる。
「…んっ…ん…ん…っ」
さんごの声が聞こえ出してきた。
107 :
ナツ:2005/05/07(土) 01:38:26 ID:8VnkyVW/
■あたしのアンドロイド君 W【11】
Rはススッとさんごの胸元に顔を近付けた。
自分の掌で揉まれる胸を見つめ、既に硬くなった乳首をソッと口に含んだ。
ピクッとさんごの肩が動く。軽く吸うと更に硬く尖った。
優しく唇で摘んだ後、舌でゆっくりと周りを舐め、乳首の側面を撫でる…。
「んっ…ん…あ…ん……んっ!」
Rは自分のペースを取り戻したように舌を動かす。舌をどけ、指で撫で、弾いて摘む。
「んんっ…ん!」
揉みながら乳首を攻め、もう片方の乳首を吸い出し、舌先で何度も突付く。
「…あっ…ん!…んっんっ…んっ…あっ!…ん…」
さんごの掌は掴み所のない冷たい床を爪を立てるように蠢く。
Rはあいた手でさんごの体を撫でる…細いと思った。
知っていたがさんごの体の小ささを改めて感じる。特に腰は折れそうな程に華奢だ。
小さな体が自分の為に一所懸命に反応している。
さんごをもっともっと喜ばせたくなり、舌の動きを早めた。
「ん!…あ!…あぁ…るく!…ん、ん…んんっ…あ、あぁっん!」
さんごは体を左右に揺らしRの肩に手をついた。小さな膨らみはピクピクと震える。
指で揉みながら吸い、舐めていく。吸い付く力が強くなり、舐める舌使いも荒々しくなる。
「ん…っ!んくっ…あっ…あっ…あっん…あ……はぁ…っ…う!」
小さな体はビクビクと跳ねるように反応する。さんごが喜んでる…Rは執拗に攻めた。
さんざん舌で弄った乳首はこれ以上ないくらい尖っている。Rは指で触れた。
「ん…っ!…R…く…もう…そこ……ダ…メ…っ」
さんごの言葉は聞き入れたいが指の動きは止まらない。親指でツンと尖った先を転がす。
「…ぃ…や…っ!…ん、ん…うっ…」
Rは指を動かしならが胸元から鎖骨に唇を滑らせさんごの顎、頬にキスしていく。
「ん、あ…あっ…あ…うっん……んっ…」
指の動きをとめ、キスもやめ、さんごを眺める。
「…ん、ん………ん…っ」
何もしてないのにさんごは目を閉じたままさっきまでの余韻で思わず声が漏れている。
涼風で乾いた肌に汗がまた浮き出てきた。
視線に気付きさんごは薄目を開けRを見上げた。さんごはトロン…と力がないが熱っぽい瞳をしている。
Rに今までにない感情が湧き上がってきた。
108 :
ナツ:2005/05/07(土) 16:05:26 ID:8VnkyVW/
■あたしのアンドロイド君 W【12】
「僕…いつもこんなに…さんごをかわいくさせてたんですか…?」
さんごがとてもかわいい…。
このまま大切にしまっておきたいような、このままメチャメチャにしてしまいたいような…。
訳の解らない衝動がRを襲う。
さんごも今までになく敏感な自分に気付いていた。意思のない人形のように何もコントロールが出来ない。
Rが今までと違うせいかもしれない。Rが「好き」って言ってくれたからかもしれない。
Rは息の整わないさんごの唇にキスをする。さんごは愛しそうにRの頬に両手をそえた。
Rから舌を口の中に押入れ、さんごから絡めた。
「ん…ん…うっ……んっ」
二人は顔を動かし唇と舌を味わい合う。
キスをしたままRの掌は腹部を滑り下着にのびていく。
さんごは腰を上げスムーズに脱がせられるように手伝う。
膝まで脱がしてあとは片足だけ抜いた。もう片方の足に下着が絡みつく。
割れ目に触れると申し分ないくらい濡れていた。
このまま自分を刺し込みたいが、さんごの中の暖かさを指で感じたい。
キスしたまま、入れますよ…と小さく囁き、中指をゆっくりと埋め入れる…。
「っ!…う…んっ…ん…っ!」
さんごは腰をくねらせた。知ってか知らずかその動作が指を奥の方に誘導させた。
「…っ…んんっ…ぅ…っ」
重ねあった唇からさんごの吐息が漏れる。
Rは指を動かし始めた。さんごの中の暖かみと感触を味わうように緩やかに出し入れする。
さんごはすぐにRの指を締め付け始めた。中からは止めどなく溢れ、あっという間にRの掌をまんべんなく濡らす。
Rは今までそれが動きをスムーズにさせる便利な潤滑剤としか思っていなかったがそれだけじゃないと気付いた。
息苦しくなってきたさんごを労わり、唇を開放してやる。そして指の動きを早める。
「…あっ!…っうんっ…ん…ん…は…っ!」
ヒクヒクと何度も何度も指を包む。今度は指を回しながら出し入れを繰り返す。
「…うっ…あっあ……ん、ん、ん…あ…ぁっあうっ…!」
(…また溢れてきた…気持ちがいいんですね…さんご…)
Rも締め付けられる指の感触に酔う。
興奮したさんごの熱い脈を指先に感じながらゆっくりと指を引き抜いた。
さんごはハァハァと体中を使い呼吸をしている。
109 :
ナツ:2005/05/07(土) 16:06:33 ID:8VnkyVW/
■あたしのアンドロイド君 W【13】
「…ん……R…く…」
「………うん…」
Rは片手でベルトのバックルを外す。
細いさんご腰に自分を埋める。二人で息を合わせてゆっくりとひとつになった。
「…ん…ぅ…」
Rが優しく入ってきてくれた。さんごにとって痛みがないのは初めてだった。
Rはさんごの体に覆い被さる。唇がさんごの額に触れた。
暫くの間動かずにさんごの中を味わう…。
心地良い暖かみは知っていた。だが、微かに感じる脈の鼓動は今まで気にした事がなかった…。
このままでもいい…とRは思ったが本能的にゆっくりと腰が動き出す。
アンドロイドに本能があるか不明だが、その動きはまさにそれだった。
ゆっくりだが、さんごの感じやすい場所を的確に押し入れていく。
「っ…う!…んんっ…あ、あ…っう…」
Rの動きは戸惑いがあるが、さんごとは何度も経験がある…どこをどうしたらさんごが好きか知っている。
さんごはRの優しい動きが嬉しかった。
今まで優しい時があっても確かに嬉しかったが、それは何かの真似事のような感じがしていた。
今はRの意志で自分を労わってくれてるような気がする。
さんごはRが動きやすいように腰を浮かせる。
もうあたしはいいからR君の好きにしていいんだよ…と言ってるようだった。
Rは床に肘をついて力の入れやすい体勢になり、腰の動きを早めた。
「…っあ!…んっんっんっ…あ…う…んんっ!」
さんごはRの学生服の脇の部分をギュッと握る。何かに掴まってないといられない。
Rの胸元に潜るように体を丸める。
Rはリズムを崩さず何度も何度も出し入れを繰り返す。
「う…っあっ…あっあっあぁっ…ん…っ…んっく…!」
突く度に必ずさんごの感じる個所に当たる。腰を浮かせる為に曲げた膝がユラユラと揺れた。
さんごもRの出し入れる動きに合わせキュッキュッと締め、素直に返事を返す。
「…あぁ…るく……うっ…んっ…ん、ん、ん、…んっあっ!」
Rは目を閉じてさんごの声を聞く…なんてかわいい声なんだろう…。
……さんごを気遣う余裕がなくなってきた。
さんごはRの動きに夢中で異変に気付かなかった。
110 :
ナツ:2005/05/07(土) 16:07:11 ID:8VnkyVW/
■あたしのアンドロイド君 W【14】
さんごは閉じた瞳をハッと開けた。
耳元で苦しそうな息遣いが聞こえてきた。
「…ん…ん………う…っ」
今度は声が聞こえてきた。
「……っう……んっ…あ…うっ」
「…R…君…?」
Rからハァハァと荒々しい吐息が聞こえる。耐えきれず思わず発してしまう声も…。
「……さん…ご……かっ…体が…熱…い……すごく…熱いです……意識が…遠くなりそう……
でも…止まらない…止まらないです……ぼ…く……変です…また…壊れて…きたんでしょうか……んっ…んぅっ!」
「…R君」
さんごはRを見上げた。
瞳を閉じ眉をひそめ、唇を少し開けて苦しそうな顔をしている…初めて見るRの表情…。
「っ!…んっ…さんご……さんっご…っ…う…あっ!…あぁっ!」
初めて体感する快感に対処できず、Rは少しパニックを起こす。
さんごはRを抱きしめた。本当に熱い…。
「R君…あたしもそうだよ…あたしもR君と同じ………同じだよ…」
さんごはRにそっとキスをした。ハァハァと息が口の中に入ってくる。
Rが落ち着くように優しく唇をついばむ。Rは黙って瞳を閉じたままさんごにキスされていく。
息が少し整ってきた…。さんごはゆっくりと唇を離した。
「…大丈夫…?R君…」
Rは軽くため息をしながら頷く。
二人は目を合わせ、どちらからともなく鼻先を擦り合わせ、またキスをした。
さんごの口の中に舌を入れると甘えるように絡みついてきた。
「ん…ん…ぅ…んっく…っ」
さんごが床に降ろした腰を再び上げるとRは動きを再開した。
落ち着きを取り戻したが、激しい息遣いと時折漏れる声は止める事が出来なかった。
「…ハァッ……う……さんご…っ」
Rはキスをしながら名前を呼んだ。
さんごにとって初めて聞くRの声色…初めて聞く感じている男の声だった。
111 :
ナツ:2005/05/07(土) 16:08:22 ID:8VnkyVW/
■あたしのアンドロイド君 W【15】
Rの腰使いが少しずつ激しさを増してきた。
息苦しくなりキスをやめ、腰の動きに集中する。
さんごが腰を動かし始め、Rに合わせて上下に動く。
「…っん…」
Rはビクッと体を起こす。
さんごはRが感じるように一生懸命に細い腰を動かす。閉じた瞼に汗が流れていく。
Rは自分の為に小さな体を健気にくねらすさんごが本当にかわいくて仕方なかった。
腰に力をくわえ、奥へ突き上げるように押し入れていく。
「っぁあっ!…んっ…んうっ」
「……っ…!」
さんごの体がビクビクと震えた。Rは思わず息を飲む。
見た事があった症状だったが、今まで意味がよく解かっていなかった。
でも今は解かる。半端なくさんごが締めつけてきた。
力の抜けそうな感覚にグッと耐え、Rは動いた。
「…あっん…あっ……んっ!…う…うっ…んっんっ……んっあぁっ…!」
さんごはRを力いっぱい締めていく。
さんごの締め付けに答えるようにRは腰を回し掻き混ぜる。
「っは!…うっ…ん…んっんんっん、ん、あ…あ…んっ」
さんごはRの背中にしがみ付き、学生服を何度ももみくちゃに掴む。
「…あ…るく…あぁる…くっ…んっんっあっあっ…あぁっ!」
さんごはRに着いていこうと必死に腰を動かす。中はケンカをするようにぶつかり合っていた。
二人はお互いを答え合うように夢中で体を擦り合せる。
「…さん…ごの中…いつも…こんなに…気持ちよかったんですか…っ?」
さんごは薄目を開けて見上げるとRは熱のこもった視線で優しく見下ろしている。
「……どうして…これが今までわからなかったんだろう…僕は…」
112 :
ナツ:2005/05/07(土) 16:09:29 ID:8VnkyVW/
■あたしのアンドロイド君 W【16】
Rは小刻みに動きを早め、奥深く突き刺し、掻き混ぜ、さんごの中で暴れた。
以前は抵抗の声をあげていたが、今はそんな乱暴なRも受け入れていた。
好きだから好きと言われたから…。
「…好…き…あ…る君……あ…たし…R君…好きっ…」
疲れる事なくさんごは果てなくRを締め上げていく。
「……好き…だよ…さん…ご…僕も…っ…っう…!」
最後が近づいてきた…。
でも…まだ、もっとさんごの奥に…Rはさんごの腰を持ち上げ突き上げた。
「…っ!…はぁっ…う…っ!」
さんごは体を仰け反る。掴んだ学生服を引っ張る。
これで力を使いきってもいい…Rは体重をかけてもみくちゃに動いた。
とうの前から聞こえ出していた融合部分の粘着質な音が変わり、激しくなる。
「ぁあっ!…あっ!Rく…R…く…あっ…あ!んっ…あぁる…くっ!あぁっ…うっ…!」
「…っ!さん…ご…っ…んっ…うっ…!さ…さんごっ…っう…うっ…っ!…はっ…っ!」
二人はお互いの名前を何度も呼んで耐える。
Rはさんごの華奢な腰を両手で鷲掴み、狂ったように打ち付けた。
激しい動きでさんごは何度も仰け反り体が床の上を移動していく。
さんごは首を振って少し抵抗したが、すぐに大人しくなった。
さんごの体がビクビクと小刻みに震え、痙攣しかけてきた。
「ん…っ!…はぁっ!あ、あ…ダ…メ…もう…ダメ…あ、あ、あぅっ…っん!」
最後の力を振り絞ってRを締めつけた。
「…ん…んんぅっ…!!」
「…………っ!…っ…ぅあっ!」
Rに熱いような、寒いような…味わった事ない感覚が体を駆け巡った。
余韻を味わうように暫く腰を動かす…さんごも少しだけ反応を返すが力尽きてしまった。
気が済んだのかRは動くのをやめ、優しくさんごを抱きしめた。
そして初めての最後の快楽を味わった。
113 :
ナツ:2005/05/07(土) 16:11:01 ID:8VnkyVW/
■あたしのアンドロイド君 W【17】
耳元でRの吐息が聞こえる…。
初めてRが達した。しかも自分で……それに好きだって言ってくれた…。
さんごはRを抱きしめて夢じゃない事を祈った。
好きで好きでたまらない…。
あきらめていた人から好きと言ってもらえた…。
味わった事のない感覚に包まれ今更ながら涙が出そうだった。
再度、Rを抱きしめなおす。Rの重みも髪も学生服も全部好き…。
いつもより早いRの体の中の音を愛しげに聞く。
ふと気付く…Rの様子がおかしい………熱い…?
「…さんご…」
「…?」
「さんご…オーバーヒートしました………動けない…」
「え…!」
「…水……ラジエーターに…水…足さなきゃ…」
「あ、待って…!」
さんごはRを自分の上からどけてササッと下着を履いて簡単に服を整えると、
部室に来る前にRに買ったミネラルウォーターを探した。
窓枠に置いてあるのを見つけ渡そうと振りかえるとRは寝転がったまま下げたズボンを上げていた。
それくらいの余力は残っているらしい…少しまぬけだ…。
さんごから水をもらうと上半身を起こし、一気に飲み干した。
「…っはぁ…」
「大丈夫…?」
「…はい…ちょっと休めば動けますよ…」
そういって座ったままカクッと頭を両膝の間にうな垂れた。
さんごは安心して乱れた身なりを整えた。
114 :
ナツ:2005/05/07(土) 16:11:39 ID:8VnkyVW/
■あたしのアンドロイド君 W【18】
窓からは変わらずに風が入ってくる。
涼しい風の流れが、さんごの火照った体とRの加熱した体を冷ました。
少し楽になったのかRは両手を床についてぼんやりと月を見ていた。
あれから月の位置が移動して部室には窓の辺りにしか月明かりは届いていなかった。
「…R君、もう大丈夫?」
さんごはRに近付いて肩に手を置いた。
「…はい…」
Rはさんごの手を取って笑った。さんごは真っ赤になってしまった。
自分の手を取ったRの仕草がとても優しく、かっこよく見えた。
ちょっと男っぽい…初めて見たRだった。この間からいろんなRを発見している。
意識し過ぎて恥ずかしい。手を振り解く事もできず、ただドキドキとRを見ていた。
「…轟天号、改造すみましたよ」
「え、ホント?」
「はい…ついこの間…」
「…で…改造してどうなったの?」
「速度が上がりました」
「…それで?」
「それだけです…」
「…………」
「…何か?」
「…う、ううんっ…へぇ〜…そうなんだ…」
さんごは拍子抜けた渇いた笑い声を返す。
「まぁ、一般でいう変速ギアーに毛がはえたようなもんですよ、あはは…」
「あ〜…ハハッ…なるほど…」
釣られて笑ってみる。
「これであの栄三中の近くの坂も楽に登れます。さんごを後ろに乗せてどこまでも行けますよ」
Rはニッコリと嬉しそうに笑いかけた。
「…あ…う…うん…」
さんごはまた真っ赤になって俯いた。
115 :
ナツ:2005/05/07(土) 16:12:23 ID:8VnkyVW/
■あたしのアンドロイド君 W【19】
裏門に人影が見える。
Rとさんごが門を乗り越えて外に出ていた。
さんごを家に送ろうとRは轟天号の用意をしている。
車体部分についてるあの例のパーツの電源を入れた。
Rの説明だとペダルをこがないと作動しないらしい。
チェーンロックの番号を合わせて外す。番号は「0305」さんごの誕生日。
さんごがすぐに番号を忘れるRに「あたしの誕生日にしたら?」と冗談で言ったら本当に合わせてしまった。
でもそれからRは一度も番号を忘れた事がなかった。
「さんご、乗って下さい」
さんごはRの後ろに乗っていつものようにサドルに掴まる。
「ほら、ちゃんと掴まって下さい」
「…え…うん」
さんごはRの腰に嬉しそうにしがみついた。
「じゃあ、行きますよ」
Rは地面を蹴ってペダルを踏みしめた。
(完)
116 :
ナツ:2005/05/07(土) 16:14:22 ID:8VnkyVW/
轟天号はただの電動機付き自転車になったって事なんだろうか…邪道…。
あと、恥ずかしながら誤字脱字がありました…orz…チェックガアマカッタ…スミマセン
これで一応完結です。
本当に長々とすみませんでした。気が済みました。
どうもありがとうございましたm(_ _)m
GJ
感動のあまり目が離せず、風呂を追い炊きしすぎてぼこぼこにしました…。
もうとにかくすべての登場人物がいとおしすぎるっ。
GJ!!!!!!!! 気が済んだなんて言わずにあせらずまた書いてください!!
ナツさんGJ!!
二人がすんげえ可愛らしかったです。
気が済んだなんておっしゃらず、また書いて下さい。待ってます。
うはぁ。
ごちそうさまでした ノシ
Rとさんごの切なくて甘い雰囲気がとても良かったです。
読了後にはOVAの「くちびるにメモリー」がイメージぴったりだなぁと思ったり。
うむうむ、モロに青春な話も結構なものですねぇ。ナツさん、本当にぐっじょぶです。
あーるは扱いが難しそうなのにGJ!
くちびるにメモリー
久しぶりに 降りた駅は
いつに間にか 建て変えられて
まるで見知らぬ街のよう
見覚えある制服姿達
すれ違って 振り返っても
クラスメイトであるはずもない
長くもない時間の中で
町の色も流行歌(はやりうた)も変わったけれど
変われないものもあるわ
ターミナルで降りたあなたを
ガラス越しに見送ってた あの日のわたし
そのまま この胸の中 いるもの
Not so long as a change
朝はいつも たった5分
急ぎ足で通(かよ)った道が
今日のヒールの靴では遠い
長くもない時間の中で
軽い恋の相手ならば 変わったけれど
変われないものもあるわ
一途(いちず)だったマジカルシーズン
あの季節に刻みこんだ呪文だけは
自然に くちびるついて こぼれる
Not so long as a change
昔、この曲一人でしんみり聴いてた時期を思い出したよ…。
そうか、こんな歌詞だったんだ…(泣)。
この曲を聴くとしんみりする…。
なんか、色々思い出すんだよな…。
126 :
独り祭り:2005/05/14(土) 00:39:03 ID:kvuwS1Xn
後藤×熊耳で。コミックスの後日談です。
「ご迷惑をおかけして本当に申し訳ありませんでした」
畳の上、深々と頭を下げる部下に眼を細める。
「私の勝手な判断であのような事態になった事、深く反省しています」
ああ、そんなに頭を下げたら畳に付いちまうぞ。
「今後二度と無き様、十分に自戒し奉職して参ります」
復帰二日前の夕刻。わざわざ自宅まで挨拶という名の謝罪に来た部下。
電話で何度も声は聞いてたが、こうして会うのは久し振りだった。
全体的に細くなった。細くなったってのも通り越してるか。
こいつこんなに小っちゃかったかね?二回り位小さくなっている気がする。
「なあ、熊耳」
話しかけるとびくりと身体を震わせる。何だかいじめてるみたいだな。
全身緊張させて耐えている姿が痛々しい。お前、俺の事まで怖がるのか。
「…ちゃんと食ってんのか?」
叱責を受けるとでも思っていたのだろう。驚きに上げた顔に血の気は無かった。
家に上げてからやっとまともに顔を見れた。それは余計に不安を増長させるものであったが。
やつれた。それも酷く。整った顔立ちも今は何の意味も成さない。
何だか一気に老け込んでしまったように見える。
おい、お前若いんだぞ?今からそんなんでどうするんだ。
「夕飯、食ってきたか?」
首を振る。
「腹、減ってるか?」
首を振る。
予想通り過ぎる反応に心の中溜息を漏らす。こんなんじゃだめだ。
人間寒いのと腹を減らすのは良くないんだ。昔読んだ何かに書いてあったから確かだ。
俺は立ち上がって、出来る限りの優しい声を出した。
「俺、夕飯まだなんだわ。良かったら付き合ってくれ」
「申し訳ありません、夕食時は外したつもりだったんですが……」
熊耳は小さくなった身体をさらに小さくして恐縮している。
そういえば今日こいつの口からは謝罪の言葉しか聞いていないな。
「いや。俺の夕飯が早いだけだ」
そんな訳は無い。俺はこんな早い時間に夕飯は食わない。
晩酌を夕飯代わりにする事だってあるのだから。
だが本当の事を言ってどうなるものでもないし、むしろ今のこいつには負担になるだけだ。
この部下にはもうほんの少しの重圧もかけたくはなかった。
「んー…たいしたモンないし、残り野菜入れて雑炊でいいか?」
冷蔵庫に顔を突っ込んだまま聞けば、ぼんやりと立ち尽くす部下は曖昧に頷く。
食べたくはないという空気は無視して流しに立った。
鍋に張った水にだしや調味料を入れ、野菜も適当に切って入れる。
味付けは薄めにした。ほとんど食べてない身体に濃い味はきついだろうから。
「卵は食えそうか?」
弱々しく首を振る。さすがに卵はきついか。滋養があるから食わせたかったんだが。
まあ、無理に食わせて吐いたら意味ないしな。吐くのは体力消耗するし。
所在無げに佇む部下は俺の手元を虚ろに眺めている。その視線がなぜか痛かった。
「熊耳、そこの棚からどんぶりとってくれや」
煮立った鍋に飯をぶち込みながら声を掛ける。
熊耳は指示された通りにふらふらと動いてどんぶりを取り出した。
これじゃまるで幽霊だ。
差し出された食器を受け取って出来上がった雑炊を盛り付ける。
熊耳の分は無理なく食べられそうな位の量にした。
ガスの元栓を閉め、レンゲを取り出してどんぶりと一緒に盆に載せる。
盆を片手に部下の背を押して居間へと促した。
「ほら、温かいうちに食おうな」
小さなテーブルを挟み、向かい合った部下の前にどんぶりを置く。
熱い湯気が血の気のない顔を撫でていった。
「口に合えばいいが、まぁ男一人暮らしの料理なんで味は大目に見てくれ」
「いえ、そんな………いただきます」
丁寧に手を合わせてから細い指でレンゲを掴む。
しばらくぐるぐると掻き混ぜていたが、覚悟を決めたのか極少量をすくって口に運んだ。
雑炊の温かさの所為か、ほんの少しだけ顔の強張りが解ける。
「おいしい…」
咀嚼した米が喉を滑り落ちていく。途端に熊耳の眼から涙が溢れ出した。
「熊耳…」
「すみません、ごめんなさい、すぐ止まりますから……」
向かい側に回って両手で顔を覆う部下の身体を抱き締めた。
熊耳は何一つ抵抗する事無く胸に顔を埋めてくる。声を押し殺して身を震わせた。
ああ、情緒が安定していないんだな。
きっと毎日こうやって、突然泣いたり石の様になったりしていたんだろう。
誰かを失った後は当然だ。それも誰かに殺されたとなれば余計に。
辛いな、熊耳。
恋人に二度も裏切られて、その恋人は目の前で殺されて。
もう二度と会えなくて、責める事もなじる事も出来なくて。
相手が容疑者でお前は警察官だから、誰にも愛してたとも悲しいとも言う事が出来なくて。
だからお前はこうして泣く事しか出来ない。
そんなにいい男だったのか?俺に美味い中華屋教えないで逝っちまったぞ?
教えてくれてりゃ、お前を連れて行ってやれたのに。
そうすれば美味い中華食って元気出せたのに、お前が今食ってるのはこんなまずい雑炊だ。
もう一緒に行く事も、逝く事も出来ず、お前は泣くしかない。
辛いな、熊耳。本当に辛すぎるな。
「すみません、本当にすみません、もう落ち着きました。大丈夫です。すみません……」
熊耳は身体を離し俯いて涙を拭う。泣いた反動か今度は石の様に冷たく固まっていった。
お前はこういう事を何度も繰り返してきたんだな。
あんな事があったら泣き暮らして当然なのに、お前は理性の方が勝つからつい涙を抑えてしまう。
なまじ強いから弱さも涙も許せないんだ。それがたとえ自然なものであっても。
だけど熊耳、その先に何があるんだ?すべての感情を消し去った後に何が残る?
お前このままじゃ本当に石になっちまうぞ。そんなの俺は嫌だよ。
俺は立ち上がり開けっ放しの隣室に入って押入れを開いた。
中から敷き布団を出して部屋の真ん中に敷く。熊耳は感情の無い眼でそれを見ていた。
居間へと戻り冷たくなった部下を抱き上げて隣室へと運ぶ。
軽すぎる身体に眉間に皺がよった。こんな身体でお前は何を無茶してるんだ。
抱き上げられた部下は起こっている事に何の興味も湧かないのかおとなしくしている。
布団に寝かせて襖を閉めても何の反応も無かった。ただ宙を見つめている。
白いシーツに横たわる姿は遺体のようだった。自分で自分の想像にぞっとする。
嫌な考えを振り払うためにシャツを脱ぎ捨て細い身体を跨いだ。
しばらく見つめていると虚ろな眼に生気が戻ってくる。そうしてようやく眼が合った。
「汚れたきゃ汚してやる。綺麗にして欲しいなら綺麗にしてやる。好きな方を思ってろ」
無茶苦茶な事を言っているのは分かっている。だがこのままじゃこいつは冷え切ってしまう。
人間寒いのと腹を減らすのは良くないんだ。だからせめて温めてやりたい。
心が寒い時に、人肌ほど温かいものはないから。
返事が無いのを返事と取って細い身体に伸し掛かる。
上品なワンピースのボタンを外していくと小さな小さな声が聞こえた。
「抱いてくださるんですか……?」
そう言って再び涙を流す。いい傾向だ。止めずに枯れるまで流しちまえ。
あの男の死を泣いてやる奴なんてこの世にお前しかいないんだから。
そうやって沢山泣いて温かくしてメシを食おう。俺でよけりゃいくらでも付き合うから。
「添い寝ならいつでもしてやるって言ったろう?」
ようやく見せてくれたか弱い笑顔は嘘ではないと思いたかった。
纏わり付いた服を投げ捨て下着に手を掛ける。乳房とブラジャーの間に隙間が出来ていた。
痩せた証拠を見せられて心が痛む。気付かない振りをし背を浮かさせホックを外した。
小さくなっても形の良い乳房に唾を飲む。こんな状態の部下に欲情するなんて。俺は鬼か。
脇腹を撫で下ろしてショーツに手を入れそのまま引き下ろしていく。
自ら腰を浮かすのが、嬉しくも悲しくもあった。
「嫌だったらいつでも言えよ?すぐやめにするから」
綺麗な爪先からショーツを抜き取る。返事はなかったが、緊張していた身体から少し力が抜けた。
全裸になった部下を改めて眺める。痩せはしたがバランスの取れた良い身体をしていた。
「綺麗だな」
何の慰めにもならない言葉を紡いで身体に触れる。何処も彼処もひどく冷たい。
待ってろ熊耳。今俺が温めるから。
ズボンだけ脱ぎ捨てて下着姿になる。全部は脱がないでおいた。
好きでもない男の下半身をあんまり直に擦り付けられるのも嫌だろうしな。
正面から身体を合わせて首筋にキスを落としてみる。
身体を震わせたが嫌悪感は見当たらなかったのでそのまま続けた。
何度も唇を押し当て下から上に撫で上げる。
耳の後ろを軽く吸えば、そこが急所だったのかぴくんと身体を跳ね上げた。
俺の耳元を可愛らしい吐息がくすぐる。頼りない子供のような儚い吐息。
「可愛いな?熊耳」
耳全体が弱いらしく舌先で形をなぞればむず痒そうに身体をくねらせる。
耳たぶを吸い、したままのピアスを舐めて耳全体を口に含んだ。
「ふぅっ…」
手を伸ばしもう片方の耳も愛撫してやる。柔らかさを楽しみ穴の中をくすぐる。
「んんっ……あ…」
何度もキスを繰り返し指で弄り続けていると、身体の強張りも随分とほぐれていった。
耳の中に息を吹き込んで、切ない声が上がるのを楽しむ。
あまりのしつこさに耐えられなくなったのか、背中を軽く引っ掻かれてしまった。
「すまんな、あんまり可愛かったもんでな」
かさついた頬を撫でてご機嫌伺いをする。
眼を伏せはしたが怒っている訳でも嫌がっている訳でもなさそうだった。
荒れた肌を潤してやりたくて頬を一嘗めしてみる。
そういえばお前化粧してないな。そんな気力もなかったのか。
いつも感心する程綺麗にしていい匂いさせていたのにな。
そんなお前が化粧もせずに外出するなんて、どれだけ放心してるんだ。
頬に軽いキスを落として下へと移動する。鎖骨の窪みが病的に深かった。
浮いた骨に噛み付けば背中が綺麗に反り返る。ここも感じるのか。
舌と唇で丁寧にしゃぶっていく。跡を残そうかとも思ったが、酷なのでやめた。
耳と同じ様にもう片側も愛撫してやると、初めて熊耳からしがみ付いてきた。
弱々しい指先が背中を彷徨う。くすぐったかったが好きにさせてやった。
熊耳が聞こえない声で何かを囁く。あいつの名前か?それとも別の事か?
何でもいいんだ、熊耳。何でもいいから何か幸せな事を考えててくれ。
そうでなければ快楽だけを追ってくれ。俺がいくらでも与えてやるから。
念入りに鎖骨を刺激すれば、押し潰していた乳房の先が硬くなっていく。
「あっ………あ…」
少しだけ切羽詰った声が嬉しくて、脇腹も丹念に愛撫してやった。
唇と指で鎖骨を、手の平で脇腹を撫で、無言で快楽を与え続けていく。
切なげだった荒い息に次第に声が混ざり、やがて嗚咽になっていった。
「ごめんなさい……」
熊耳が両手で顔を拭いながら謝ってくる。
「ごめんなさい……たいちょう…ごめんなさ……」
馬鹿だな、泣くことないだろう。謝る必要だってない。むしろ俺は役得なんだから。
「熊耳。眼を閉じてろ」
潤んだ眼を手で覆う。震える睫毛の感触がくすぐったかった。
「何も考えなくていいから。もう十分過ぎる程考えただろう?だからもういいから」
もういいんだよ?熊耳。だからこれ以上苦しまないでくれ。
眼を閉じ力を抜いてくれた身体を再び愛撫する。さっきよりも反応が良くなっていた。
鎖骨から乳房へ唇を移動し、桃色の先端に口付ける。
先だけ口に含みちゅっと吸い上げると可愛らしい声を上げて恥じらった。
両手で乳房全体を揉み上げ、卑猥に歪んだ形を舌で満遍なく愛撫する。
根元から先端まで舌で何度も撫で上げて乳首をくすぐると、閉じた瞼が快楽に震えた。
可愛いな。年甲斐もなく素直にそう思った。
快楽に絶えている顔を堪能したくてしばらく眺める。
湿った長い睫毛が細かく震えて繊細な影を作っている。
頬にほんの少しだが赤みが差し、悲壮な印象が薄くなっていた。
乳房への刺激に合わせて薄い唇が戦慄き、奥にある薄赤い舌が覗く。
吸い取ってしまいたい欲望が込み上げるが唇を噛んで耐えた。
じっと見ていた所為か熊耳が視線に気付き顔を両腕で隠してしまう。
「嫌だったか?悪かったな。そういう時は遠慮なく文句言ってくれや」
すぐやめるからさ、とぽんぽんと頭を撫でて再び乳房に顔を埋める。
柔らかさを堪能していると、か細い声が頭上から降ってきた。
「隊長こそ……」
目線だけ上げて続きを促す。熊耳は今までに見た事のない可憐な表情をした。
「隊長こそ、その、こんな事するのお嫌でしたら……遠慮なく…」
あまりの可愛らしさについ肩を震わせてしまう。不思議な顔をする熊耳の前で手を振った。
「笑ってすまん。いや、こんな無防備なお前初めてだからさ。なんか可愛いらしくってな」
「か、かわ…」
「どした?」
熊耳は何故か耳まで真っ赤にする。落ち着きなく視線を動かすと小さな声で囁いた。
「可愛いなんて言われるの……生まれて初めてで」
あ、そうか。言われるとしたら美人とか綺麗とかだったんだろうな。あと優秀とかか。
『可愛い』ぐらいでこんなに取り乱すなんて。お前は本当に真面目でお堅くて可愛いな。
「可愛いな、熊耳」
真っ赤に茹で上がった熊耳の頬に遠慮なくキスを落とした。
散々弄んだ乳房から口を離し腹を伝い降りていく。
窪んだ臍に舌を差し込めば腹筋が妖しく揺れ動いた。ここも感じるのか。
丹念に舐めていると細い手が俺の髪を掴む。顔を上げれば恥じらった表情が見えた。
感じすぎて嫌なのか?まったく可愛いらしいな。
そうと分かれば逃す訳がない。腰を捕らえて濃厚な愛撫を続けた。
「…っ!…ぅ…、あ…た、いちょ…う」
熊耳は俺の肩を掴み息を荒げて身体をねじる。
乳房が卑猥に揺れ動き、その向こうに感じている顔が見えた。
「や、めてくださ……やめ…」
踊る乳房が堪らなく良い。もっと大胆に踊らせたくて舌の動きに力を込める。
望み通り激しく仰け反って淫靡な動きを披露してくれた。
涙を溜めて喘ぎながら爪を食い込ませて抗議してくる。それでも子猫の様な弱々しさだった。
「言った、ら……やめて…くれる…って…」
「俺は『嫌だったら』って言ったろう?」
得意のシニカルな笑みを向けてやれば、形の良い眉を顰めてこちらを睨んだ。
「嘘つき…」
「知らなかったのか?」
冷たい手がきゅうっと耳を引っ張ってくる。抵抗か抗議か、いずれにしても可愛い仕草だった。
引っ張る手を掴んで手の平にキスをする。何度も繰り返すと冷たい指先が頬をなぞった。
「……あたたかい…」
「生きてるからな。俺もお前も」
熊耳はまた新しい涙をこぼす。流れた涙はすべて拭ってやった。
「ごめんなさい…泣きたくないのに……勝手に出てしまうんです…」
それでいいんだよ。耐えて耐えて溜め続けてきたもの全部流しちまえ。
「止めて…隊長、とめて………」
「止めなくていいんだよ。人一人死んだんだ。存分に泣いてやれ」
お前の涙で弔ってやれ。あのどうしようもない子供のような悪党を。
再び乳房を愛撫し脇腹を撫でると異常な手触りを感じる。見ればそこには銃創があった。
あの冷たい雨の日の傷か。女の体にこんなモン残しやがって、あいつら。
「触っていいか?」
熊耳は無言で頷く。腕を上げさせて露になった傷に唇を寄せた。
引き攣れた感触が痛々しい。薄くなった皮膚を愛撫すると少し苦しそうな吐息を漏らした。
「あ…ん、ん……熱い…」
乳房と乳首への手淫を施しながら丁寧に愛撫する。
いつかここが痛みではなく快楽を感じる場所になればいいと思った。
何もかもを忘れさせてくれる快楽を感じる場所に。
「……誰かに」
「ん?」
頭上から降る小さな声。聞き返すと言い難そうに口篭りつつも続けてくれた。
「医者以外で誰かに触れさせたのは・・・・・初めてです」
そうか。拉致されていた時、あの男と寝なかったのか。
咄嗟に浮かんだ下世話な考えに吐き気がする。
俺の表情から考えている事を悟ったのだろう。熊耳は悲しい笑顔を見せた。
「………抱いてもらえませんでした」
微笑む熊耳に手を回して強く抱き締める。熊耳もまた俺の背中に手を回してくれた。
「抱いてもらえなかったんじゃない。お前が抱かせなかったんだ」
背中に回った手に力がこもる。肩の下、唇を噛んで涙を耐えているのが分かった。
更に強く抱き締めてやる。そうだ、自分の為の涙は決して流すな。お前は惨めな女なんかじゃない。
首筋に顔を埋め、わざと耳に息を吹きかけながら訊いた。
「最初に触ったのが俺でよかったのか?散々触っちまった後だけどさ」
熊耳の動きが止まり、しばし無言になる。
背にあった手が上へと移動して首に巻きつき、柔らかな声が耳朶をくすぐった。
「隊長で…よかった……」
涙混じりだが真っ直ぐな声だった。俺達は互いにしっかりと抱き合った。
「いいか?」
痩せた膝を掴んで訊くと、熊耳はゆっくりと頷く。少し力を込めて脚を左右に開かせた。
「あ……」
性器が目の前で開いていく。ぽってりとした肉厚でいい色をしていた。
「触っていいか?」
今すぐにでもむしゃぶりつきたい気持ちを抑えて怖がらせないように問う。
頷いてくれた事に気を良くして陰毛の上から口付けを落とした。
「ん……っ」
感じてくれた事にほっとする。陰毛を掻き上げて中から現れた肉芽を啄ばんだ。
包皮がひくりと震えて中の粒が赤みを増していく。
柔らかいそこを傷付けてしまわないよう丁寧に時間をかけて舐めていった。
「んんっ…あぅ……隊長…そ、んなに」
「そんなに、何だ?」
しゃぶったまま目線だけ上げて訊けば、熊耳は真っ赤な顔でこっちを見つめていた。
「そんなに丁寧に………しないでください……」
馬鹿野郎。お前にどんな些細な傷だって付けてたまるか。
例えお前自身がそれを望もうともな。
「諦めろ。俺はお前に痛みを与えてやるつもりはない」
熊耳の顔が先刻とは違う理由で赤くなる。痛みを感じる事で自分を罰したかったんだろう。
どこまでもくそ真面目な奴だ。もう十分傷付いて痛みを味わっただろうにまだ足りないのか。
「それにここだけの話………………俺ものすごく上手いんだよ」
眼を丸くした熊耳がぷっと吹き出す。泣き笑いだったが悪い笑顔じゃなかった。
「随分……自信がおありなんですね」
「年寄りは色々知ってるんだ」
熊耳は少し視線を逸らして息を吐く。腕を上げて目を隠すと可愛らしい声を出した。
「さっきの……続けていただけますか?………すごく、良かったから……」
「あんっ……あ、ぅ……い、い…」
首を振って乱れた髪がシーツに当たりぱさぱさと音を立てた。
脚を開いた状態で快楽に喘ぐ様は見ていてそそられる。
力を込めて舌で押してやると弓なりに身体が跳ねた。
「ふっ……そんな…つよ、く……」
内部から流れ出す蜜を飲み下して喉を潤す。甘ったるい女の味がした。
「美味いな……」
「や、めて……そん、な…の…いわないで…」
舌先を左右に揺らめかせて肉芽を弾く。包皮が剥けていき丸々とした粒が勃ち上がった。
「綺麗に勃ったぞ。可愛い色をしているな」
「は、ずかし…い………ごめんなさ…」
飛び出た性感帯の塊を舌で転がせば、濡れた包皮が収縮を繰り返す。
快楽に蠢く秘裂はにちゃにちゃと濡れた音を立て蜜を垂れ流した。
割れ目に沿って舌で切ってやる。押された陰唇が左右に割れ、血の様に蜜が滴った。
「熱、い……裂ける…」
割れ目に深く舌を刺し込む。中は相当の熱さになっていた。
入れた舌を何度も突き刺す。その度熊耳は身体を跳ね上げ艶やかな喘ぎ声を上げた。
「あぁっ…あ、んっ……もっと…んっ……もっ、と…」
舌を入れたまま秘裂の下で震える尻の穴に指先を当て中に潜り込ませる。
「きゃあっ!」
熊耳が悲痛な声を上げて跳ね起きた。顔を真っ赤にさせていつもの様に怒られる。
「な、何でそんな所触るんですか、もう!」
「何でって……するだろ?普通」
「しません!そんな事!」
そうか、した事ないのか。普段通りの真面目な反応に悪戯心が湧き起こった。
「ふーん…じゃあな」
「えっ………あっ!」
熊耳の身体をくるりと引っ繰り返す。尻を高く上げさせて、穴が丸見えになるようにした。
濡れた尻の穴に口付けをする。刺激に尻が窄まった。
「おい、締めるな。やりにくいだろう?」
「何言ってるんですか、止めてください!そんなっ……汚いですから…っ!」
制止の声は無視して両手で尻を割り開く。薄いベージュの中心に淡いピンク色が見えた。
「お前さんのは本当に綺麗な色をしているな」
恥ずかしすぎるのか声も上げず、耳まで赤くした顔を布団に埋めている。
何も知らない処女の様な反応に頬が緩んだ。
触れるか触れないかの距離を保って舌先で穴を突付く。
シーツを噛んでいるのかくぐもった声しか聞こえなかった。
「いいか?熊耳」
返事はない。だが陰毛が粘度のある水分を含んで重くじっとりと垂れ下がっていた。
濡れた陰毛を扱いて快楽の証を搾り取る
股の間から伸ばした手で胸から腹にべっとりと塗りたくってやった。
「濡れてるな……嬉しいよ」
肉芽を指で挟んで弄りながら尻の穴を愛撫する。気持ちいいのか蜜が止まらない。
汁を垂らすそこに指を入れてやる。肉芽と膣と尻の穴。三箇所を同時に責め立てる。
熊耳は切ない啜り泣きの様な喘ぎ声を上げていた。
「…気持ちいいか?」
布団に押し付けたままの頭がこくりと頷く。あんなに冷たかった身体が汗を掻く程になっていた。
更に愛撫を強くして容赦なく快楽を引き摺り出していく。どこか誘う様に尻が揺らめいた。
「なあ、熊耳」
俺ももう限界が近かった。穴に入れた指をぐるりと回して肉芽をつねる。
跳ね上がる尻にキスを繰り返して先を強請った。
「お前が欲しい……ここに入れてくれ」
熊耳がやっと顔を上げてくれる。悦楽の涙でけぶった眼でこちらを見つめた。
「入ってきて………ください…」
下着を脱ぎ熊耳の身体を表に返す。立て膝で身体を伸ばしてゴムのある引き出しを漁った。
「悪いな、気ぃ利かなくて」
ムードもクソもないがしょうがない。それより大事な事だし。
やっと探し当てた小箱を取り出すと、熊耳は目を逸らしながら呟いた。
「つけなくても……いい、ですよ……?」
空いた方の手で頬をぱちんと軽く叩く。熊耳は驚いた顔で見上げてきた。
「くだらない安売りすんな。女はいつだってツンとしてろ」
まったく何を言い出すんだろうねこの子は。そんなこと言えば俺が喜ぶとでも思ったのか?
冗談じゃない。俺が一番喜ぶのはお前の顔に笑顔が戻る事なんだよ。
「男なんてのはな、冷たくあしらってる位で丁度いいんだ。基本的にどうしようもない生き物だからな」
袋から取り出したゴムを自身に丁寧に被せていく。ミスの無い様丁寧に。
俺の子供なんて身籠っちまったらそれこそ自殺しちまう位ショックだろうしな。
「痛い目に遭ったって懲りない馬鹿ばっかりなんだ。ガキがそのまま大きくなっただけだからな」
嵌め終わった手を軽く拭ってから横たわった身体に伸し掛かる。
痩せた頬を撫でて優しく言い聞かせた。
「だから媚なんて売るな。男なんて振り回してりゃいいんだよ」
熊耳は眼を伏せて俺の手に手を重ねる。そうしてあの男を思い出している眼をした。
「隊長は……そうでもないんじゃないですか…?」
「男なんて例外なく馬鹿だよ。どいつもこいつも女に甘えてばかりのな」
現に仕事でいつもお前に甘えっぱなしだろ?と言えば熊耳はくすりと笑う。
自嘲だろうが苦笑だろうが、笑ってくれた事が嬉しかった。
「そうですね……そうしてれば良かったのかな……」
「明日から即実行だな。そんでとびきりのいい男捕まえてやれ。いい女にはいい男が似合うんだからな」
今度こそ熊耳は声を上げて笑った。明るい、いい笑顔だった。
「買い被り過ぎですよ」
「正当な評価だ」
お前はとびきり魅力的ないい女だよ。俺が保証してやる。
開いた脚の間、濡れて蠢く入り口に肉棒の先を押し付ける。
熊耳はどこか神妙な顔でそれを見つめていた。
切っ先が肉を割る。腰を進め亀頭部分を潜り込ませた。
「う、ん……あ…たいちょう…」
肉の形に割れた入り口が生々しい。奥へと腰を進めれば熱い肉がぴったりと張り付いた。
「熱い……ああ……熱い…あつい…」
そのまま進めば先端が最奥にぶつかる。そこを更に押し上げれば繋いだ身体が快楽に跳ねた。
シーツの上で彷徨う腕を捕らえて指を絡めあう。細い指が痛い程握り締めてきた。
「たい、ちょう……あぁっ、たいちょ…すごい……」
根元まで収めた満足感に溜め息が漏れる。熊耳も色気のある顔で溜め息をついた。
潤んだ目元に赤みが差し、乱れた髪が覆い被さっている。
こけた頬はやつれたとしか見えなかったが、生気が戻った今は影のある色香を感じさせた。
半開きの唇は速い呼吸を繰り返す。苦しそうな息の合間、切れ切れに呼ばれた。
「たい、ちょう……」
開いた脚が持ち上がりしなやかに腰に絡みつく。ふくらはぎが腰に当たり甘く引き寄せられた。
「きて……」
誘われるまま腰を打ち込む。熊耳は悩ましい声を上げて仰け反った。
腰だけでなく上半身もくねり乳房は不規則に揺れ動く。
乳首は完全に勃ち上がり乳房全体を引っ張り上げていた。
揺れる乳房に眼を奪われながらも腰を丹念に動かして内部を探す。
やがて求めていた場所を探し当てた。そこを突くと熊耳は目を見開いて高い悲鳴を上げた。
「いやぁあっっ!」
「……ここか」
赤い顔をして必死で首を振る。握り合った手を振り払おうとするのを押さえ込み、もう一度急所を突いた。
「あうっ!ん、ん、やっ、あぁっっ!」
「ここ、だな」
内部の一点を中心に腰を回す。手を握り締められ甲に爪が食い込んだ。
「ああっ、ん、いいっ…だ、め……いい…っ」
肉棒の先端を天井部分に滑らせてざらついた場所を擦る。
切っ先が急所を掠める度に、熊耳は甘い声を上げて蜜でぐちゃぐちゃにした。
「あ、あん…っ、ぬれて……あぅっ……くるし…っ」
「濡れやすいんだな……可愛いよ、熊耳…」
どんどん滑りの良くなる内部を思い切り犯す。激しく腰を動かして容赦なく急所を突き上げた。
強い快楽を感じる度に膣口から奥まできつく締まり肉棒を絞り上げる。
肉壁は淫らなざわめきを起こして愛撫してきた。
「いいな……熊耳、すごく……いいよ」
「たい、ちょう……も…あっ…すご、く……んんっっ…い、い…っ」
入り口付近の急所を円を描くように擦り、予告なく最奥を突き刺す。
何度もそれを繰り返して二箇所の性感帯を交互に責め立てる。
襲い掛かる快楽の波に熊耳は我を忘れて泣き叫んだ。
「あぁうっ!こんなっ…こんなっ……っふ、うぁあっっ」
手を握る力が強くなる。腰に回った脚に力が籠もり、声に甘えが増していく。
閉じた眼からは幾筋もの涙が溢れ出し、頬を綺麗に濡らしていった。
「あ、あ…っ、リ、チャード……リチャード…ッ!」
初めてあの男の名を口にした。初めて耳にする、熊耳の女の声。
こんな声であの男を呼んでいたのか。甘く激しくどこか絶望を滲ませた切ない声。
「リチャード……愛、してるわ……愛してる…リチャード……ッ」
違う男に抱かれながら最愛の男の名を呼び続ける。
そんなに愛しているのか。そんなに愛していたのか。あの男を。
どこか痛ましい思いで目の前の身体を責め上げる。しなやかな身体は絶頂に向かっていった。
「イ、ク……リチャード…イク……イクわ…リチャードッ……あああっっ!!」
最奥を突かれた衝撃で熊耳は絶頂を迎える。少し遅れて俺も達した。
汗まみれの身体を正面から重ねる。細い腕が背中に回り、こっちが泣きたくなる様な声を出した。
「愛してるわ………リチャード…」
俺は無言で痩せた身体を抱き締めた。
濡れた内部から自身を引き抜き後処理をする。
だるい身体を布団の上に転がして、片手で熊耳の頭を抱き寄せた。
「このまま抱いてた方がいいか?それとも消えた方がいいか?」
「このまま・・・・・・」
身体を起こすのが面倒で、部屋の片隅に積んでいた洗濯物の山からシーツを引っ張り出す。
胸の中に裸の部下を抱き寄せ薄い布で包んだ。初めの時のように抵抗はなかった。
抱き寄せた背中を赤ん坊にする様にぽんぽんと叩く。二つの身体が同じ速度で冷えていった。
「隊長……」
「ん?」
「………ありがとうございます」
熊耳は顔を上げずに呟く。馬鹿だな。男は振り回せっていったのに。
上司の命令を無視するなんて感心しないな。
「こういう時は静かに微笑んでやりゃいいんだよ。意味深な顔して翻弄してやれ」
「ふふ……それは明日からにしておきます」
熊耳が悪くない声で笑う。そしてしばらく無言の時間が流れた。
「また……」
ぽつんと小さく囁く声。ぼんやりと心音に耳を傾けていた所為かよく聞こえなかった。
「ん?何か言ったか?」
「いえ……何でもありません」
何だよ聞かせろよと詰め寄るが、熊耳は笑って首を振るばかりだった。
本当に何て言ったんだろうね?弱音とかだったら聞き逃したくないんだが。
俺は自分の部下は誰一人だって失いたくないんだからな。
「ここに来て………本当に良かった」
ああ、そう言ったのか?なら良かった。そう言ってもらえるなら安心だ。
「またいつでも来い。何度だって抱いてやる」
小さな頭がこくんと頷いた。その頭をすべてから守る様に抱き締める。
どうか夢ぐらいは良いものを見られる事を願って、拙い子守唄を歌ってやった。
夜の明ける前に出勤の準備をする。
さすがに明るい中で顔を合わせるのはこいつにとって辛過ぎるだろうから。
起こさない様注意して身繕いをし、枕元にセットした目覚まし時計を置いた。
眠る部下の顔を眺める。昨夜と比べて随分マシになっていた。
「昨夜は幽霊みたいだったもんな…」
頬を撫でれば確かな温もりを指先に感じた。
「…生きてるんだよ?熊耳。お前は生きてるんだ」
大丈夫だな、熊耳。ちゃんと温かいから大丈夫だな。
押入れから掛け布団を取り出してそっと掛けてやる。
温めるだけの簡単な食事を用意し、テーブルにメモと合鍵を置いて部屋を出た。
帰宅してみると熊耳の姿はなく、テーブルにも指定した郵便受けにも合鍵はなかった。
それが何を意味するかは複雑だが、決して悪い意味ではないだろう。
なあ熊耳。ちゃんと分かってるか?
俺は電話機を床に叩き付けちまう程、お前を大切に思っている。
俺もあいつらも、お前が幸せである事を本当に願っているんだ。
<終>
聞き慣れない電子音に眠りを妨げられる。無意識に発信源を探せば硬い感触にぶつかった。
「目覚まし……?」
少し操作に途惑いつつ音を止める。再び訪れた静寂の中、身を起こした。
寝ぼけた頭で部屋を見渡す。覚醒するに従って昨夜の出来事を思い出した。
久し振りの性交で身体の奥がだるい。ましてあんなに感じさせられた性交ともなれば。
昨夜の乱れた無様な姿を思い出して自嘲が漏れた。
部屋の主はもう出勤したのか姿はない。
あの上司らしい気の遣い方に感謝する。さすがに昨日の今日では顔は合わせ辛かったから。
「本当にいい男……だなぁ…」
枕元に用意されていたシャツを羽織り居間へと移動する。
テーブルの上には食事と合鍵とメモが残されていた。拾い上げて眼を通す。
シャワーや電化製品の使い方の最後に書かれた『好きなだけいなさい』という言葉に涙がこぼれた。
主のいない部屋で、主の残した厚意に浸る。
メモの通りにシャワーを浴び、食器を片付けて部屋を出た。
手にした鍵はあまり迷う事無く自分のキーケースにしまった。
ケースごと握り締めると手の平が温かくなる様な錯覚が生じる。
これはお守りだ。これからを生きていくための。どうしようもない私を支えてくれるお守りだ。
明るい日差しの中歩き出しながら肌を合わせた男の事を考える。
抱擁だけを与え、一度も、ただの一度も唇を奪わなかった残酷で優しい上司。
あさって、いや明日会ったら叱ってやろう。
あまり優しさを見せてはいけないと。
そうしないと私の様な女に付き纏われてしまうのだと。
<おわり>
超GJ
泣いちゃった。すごい。
せつないねえ
長いことごと×くまって頭のなかに妄想としてあったんだけど、
それをこうまですっきりと美しいかたちで文章にしてくださるとは…!
接吻しなかったあたりなど、本気で泣きモードでした。
GJ!!!!! ありがとうございますっ。
くはー超GJ
コミックス版でのわだかまりが解消さらた上に
素敵な妄想まで広がりました。
独り祭りさんほんとうにありがとう!
素晴らし過ぎる・・・。心からGJ!
それにしても、ここは神々に恵まれたスレですね。
さすが独り祭りさんだ〜〜〜…Godjob!!!
熊耳さんと後藤さんって正直なかったんですが、こう来ましたか〜。
せつなさに、胸が締め付けられる様でした。
接吻しなかった、ってトコが特に好きです。
すいません…
正直なかった→正直思い付けなかった
独り祭り氏、相変わらずいい仕事をしますな・・・GJ!!!
絵描きです。久々に絵板に投下してきましたので報告まで。
ひろみちゃんはH作りにくいキャラかのう。
二課メンバーの男で一番好きなんだが。
>>154 絵板のレスの付け方わからんや
なんか挑戦的な目がいいねGJ
独り祭りさんGJ。ごとたけも制覇スゲー。
>154
乙。バーディーにはセーラー服似合うなぁ。
>155
そこが腕の見せ所ですな。
>157
レスボタン押した後、コメント書いて、右下のSubmitボタン押せば付くよ。
はー読み直しちゃった。
ミンナノウタの時も思ったけど、おたけさんは
どこか悲愴な感じがいいね。
>>154 すんげえGJ!!!
バーディーってスケ番似合うなぁ。セーラーの身体のラインが萌え〜〜。
……自分的脳内で手にヨーヨーを持たせたのは、ここだけの秘密だw
あのー・・・こういう催促はルール違反なのかもしれませんが
「野明の一番大切な人」はいったいどうなってゆくのでしょう・・・
催促なら全然問題ないんじゃないでしょうか
続きお待ちしてますハァハァ
163 :
PT-VT:2005/05/30(月) 02:13:57 ID:9BYhdl2A
私も待ってます。>「野明の一番大切な人」
応援カキコが少ないせいでしょうか? ぜひ続き書いて下さい。
マイ小説は現在ネタを構想中。
絵板のスケバンチックなバーディーに萌えたから、今度はバーディーにも挑戦してみるか?
お待ちしてますハァハァ
「野明の一番大切な人」続き
そうこうしている内に2人は夕張の閉鎖された鉱山に着いた。
茂男世「降りよう。」野明「うん。」
2人は車から降りた。北海道ならではの涼しく、母なる大地の匂いがする風が2人を包み込んだ。
眼下には今はもうゴーストタウンと化した鉱山街が広がっていた。
茂男世「ここも10年近く前までは賑やかな町だったそうだ。」
野明「それがこんなに寂しい町になっちゃうなんて・・・。」
茂男世「世の中は凄まじい速さで変わって行く。恐ろしい程のな。」
野明の眼には茂男世はまるで時空という大平原に取り残された1人の男の様に見えた。
その時、茂男世は眼から涙を1滴程こぼしたが、野明はあえてその事を茂男世に言わなかった。
茂男世「君も昔はレイバーには全く興味を示さなかったのに・・・。」
野明「話、聴いてくれる・・・?」
茂男世「ああ、勿論だとも。」
「野明の一番大切な人」
ブチブチと思わせぶりにしないでもう少しテンポよく投下してくれないかな。
ある程度完成してから投下するのが礼儀と思うよ。
すいません。以前ここで格キャラの身長について公式設定があると書かれていましたが、
体重の設定とかありました?資料集も持っていたのですが、そういう記述は見当たらないと記憶しているんですが。
資料集も一時期熱が冷めたときに売り払ってしまったのでネットで検索をしてみても該当するようなものがありません。
大体これぐらいじゃないかって言う見当はあるんですが、ちょっと調べていて詰まっています。
すいません。分かりにくい文章ですが、疑問点は体重の設定があるかどうかです。
>168
アニメ化した時に、野明と香貫花は身長体重スリーサイズが
オフィシャルから出てたような気がする。
数字は覚えてないけど。
…パトの話だよね?
>>170 はい。パトです。
かなり前にそういうことを書いたサイトさんを見たように記憶してるんですが、管理人さんの設定だったのかもしれませんね。
ちょっとそういうネタを考えていたところ、公式設定があれば調べておいた方がいいかなと思って質問させてもらいました。
173 :
名無しさん@ピンキー:2005/06/05(日) 02:26:19 ID:WLZjF8zE
>>172 ひろみちゃん200センチか。なんか新しい響きだw
ちょっと危なげなので一旦あげます
>>172 そのキャラ身長は自分が持ってるDVD-BOXの小冊子に設定メモみたいなのがあって
それに書いてあるのと同じなので正確だと思われ
特車二課の見取り図とかはあったけど
野明以外のキャラのサイズは手持ちではありませんでした。
あとは妄想でカバーってとこですなw
最近投下してないのでこんなカキコでスマソ
うーん停滞…いちおホス&あげ。失礼
176 :
名無しさん@ピンキー:2005/06/11(土) 02:18:12 ID:6zLpMRUk
てあがってなかった。もいちど失礼
あげないけど保守
「ん……遊馬……?」
「おう野明、起きたか。どうだ、朝日がまぶしいだろう」
「なに、そんな窓際に立って……」
「野明、そのカメラで写真を撮れ」
「でもそこだとうまく取れないよ?光の方向が……」
「逆光は勝利だっ!」
「トライXで万全ってわけね……はいはい」
書き手さんたちはいかがなされたのでしょう・・・。
また、ごとのあ読みたいなぁ…ちょっと甘めでちょっと鬼畜で。
181 :
PT-VT:2005/06/23(木) 22:44:28 ID:B8skWcWU
微力ながら、スレの再興に協力させていただく所存であります。
というわけで、後藤×しのぶで近々執筆予定です。
以前書いたものとは若干趣向を変えてみようかなと思います。
最近投下出来てなくてすいません…今頑張ってますので、しばしお待ちを。
おお、期待してます。ご無理なさらず。
184 :
名無しさん@ピンキー:2005/06/24(金) 12:03:53 ID:T6fqsK6Z
同じく只今執筆中です。
正座して待ってます
神が三柱も! 新作お待ちしております!
何があろうと日々は容赦なく過ぎていく。
悪人が死のうとその仲間が逃げようと一人の警察官が休職しようと容赦なく。
隊長に抱いてもらった二日後に、私は職場に戻った。
どういう訳か誰にも何一つ責められなかった。皆優しかった。
香港で同じ様な事をしてしまった時は、帰国するまで同僚たちの視線が痛かったのに。
面と向かって罵倒されたこともあった。だがそれも当然だ。
邪魔な研修中の異邦人が、自分達の捜査を完全に潰してしまったのだから。
馬鹿な女刑事が色に迷って情報を漏らしたのだから。
あの時、二度とこんな事はするまいと誓ったのに、結局こうして同じ事をしてしまった。
逃げ出して隊長や松井刑事に伝えるチャンスは何度もあったのに、それをしなかった。
私があんな事をしたから、二課は襲撃されレイバーはすべて破壊された。車も備品も何もかも。
篠原のテスト機までも失われてしまった。被害総額は一体幾らになるのか。恐ろしくて考えられない。
それだけではない。一方的にやられた事で皆のプライドも傷付いただろう。
泉さんに至っては顔に消えない傷を負ってしまった。女性なのに顔に傷を。私の所為で。
テレビで見た彼女の表情。自分の職務を遣り遂げた誇りに輝いていた。
あの真っ直ぐな眼。誇り高き警察官の顔。己に恥じる所のない曇り無き魂。
その彼女に自分は何をした?
あれ程偉そうに感情まかせの仕事をするなと説教しておきながら、自分が一番感情に流された。
自分自身が警察官として、いや人としても恥ずべき行いをした。
利用されただけの女が再びの電話に浮かれて。浮き足立って色気付いて。
ついて行こうとも捕らえようとも考えていなかった。ただ傍に居たかったのだ。
馬鹿な女だ。救いようの無い馬鹿な女。言うなれば、あの事件の本当の犯人は私なのに。
それなのに、どうして皆私を受け入れてくれるのだろう。どうして責めないのだろう。
胸の中幾度も繰り返す訊く事の出来ない疑問。そして初めて気付く。
責められない辛さというのは、責められる辛さを遥かに越えたものだという事を。
あれ程の事をしておきながら、今だ未練がましく昔の男を思い出す。
愛していた。ただ愛していた。愚かだと分かっていながら愛していた。
もう一生、あの男の呪縛からは逃れられないのだと思っていた。
だけど。
あの夜、職場復帰二日前のあの夜に起こった出来事。
何を考えているのか全く分からない上司の、剥き出しの細やかな優しさ。
あの夜以来、あの男を思い出すのと同時に隊長の事を思う様になった。
掴み所がないのはあの男と全く同じだけれど、何処かが根本的に違う上司。
あの男と同じ人種でありながら、隊長は何かを信じている。
それは多分、顔に傷を負った部下と同じもの。彼の愛する部下達と同じもの。
あの立派な警察官達と同じものを信じている。
だから彼は警察官なのだ。あの男と違って。私と違って。
眼を閉じれば記憶が蘇ってくる。圧倒的な肉の記憶。
比べるのも馬鹿馬鹿しいが、上手かった。あの男よりも。
裸になっても漂う煙草の匂いと肌の熱さ。
勝手だったあの男と違い、私の身体と心を気遣い慎重に事を進めてくれた上司。
思い返す度に痛む傷跡を優しい愛撫で癒してくれた。
頭に血が昇る位恥ずかしい場所にも愛撫を施されたが、感じていたのだから言い訳できない。
抱えた罪悪感も感傷も吹き飛ぶ程の快楽だった。
せめてもの恩返しにと避妊具を付けないことを提案したら、逆に叱られてしまった。
自分の快楽は全く優先せず、心から私の事を案じてくれた。
入り込んでくる薄い膜を纏った性器の重さ。今までは貫かれているのだと思っていた。
男が持つ肉の凶器に貫かれているのだと。でもそれは違うのだと教えられた。
貫かれるのではなくて、繋がるのだという事。一つになるという事。
私があの男としていたのは一体何だったのだろう。
ただの快楽の交感。セックスですらなかったのかもしれない。
それもまた当然か。あの男が欲しかったのは私ではない。私の持つ情報が欲しかっただけだ。
その為に抱いた、ただそれだけなのだから。
そしてそれを愛情と勘違いしたのが、私だった。
閉ざされた玄関の前で主の帰りを待つ。合鍵はもちろん持っていたが、使うのは憚られた。
たかだか一回抱いてもらえただけで恋人面するわけにはいかない。
だがそれはけじめではなく、ただの見栄だった。
そうでもしないと、どこまでもみっともなく縋り付いてしまいそうだから。それだけはしたくなかった。
同じ位の時間に二課を出たと思っていたが、主はまだ帰ってこない。
もうとっくに着いていていい時間なのだが。一体どうしたのか、まさか事故にでもあったのか。
そこまで考えてくすりと笑う。それより先に考える事があるというのに。
明日は非番なのだ。誰かと会っていると考える方が普通だろう。同僚や友人や、もしかしたら恋人と。
恋人。その言葉の重さに胸が締め付けられる。そうだ、なぜその事を考えなかったんだろう。
あれ程の男をまわりの女が放っておくものか。私の様に言い寄ってくる女は幾らでもいるだろう。
一体あの上司の何を理解しているつもりだったのか、何を期待していたのか。
合鍵の返却を求めてはこなかった事に浮かれてこんな所まで来てしまった。
本当に救い様のない愚かな女だ。消えてしまいたい位恥ずかしかった。
おとなしく帰ろうと階段を下りようとしたその先、階段を上がってくる待ちわびた上司の姿があった。
「……熊耳?」
ほんの少しだけ驚いた表情。それが柔らかくほどけて微かな笑顔になった。
「来てたのか。もっと早く帰ってくりゃよかったな」
トントンと階段を上りきり私の横に立つ。甘い酒の匂いがした。
「合鍵持ってきてなかったのか?」
「あ、いえ…その」
口篭る私の背に手を回すと、何もかも見透かした顔で笑った。
「遠慮する事ないのに」
鍵を取り出しドアを開ける。私は恥ずかしくて顔を上げられなかった。
背中を押され中へと入る。ドアが閉まり真っ暗な中で抱き締められた。
「…ここにはお前くらいしか来ないよ」
暗くて良かった。きっと顔は真っ赤だろう。隊長は私を抱いたまま壁にもたれた。
「こんなに身体冷えちまって…次からはちゃんと中で待ってろよ?」
声も出せずに胸の中で頷く。今声を出してしまったら、きっとひどい涙声になってしまうから。
胸に手をついて身体を離し鼻を啜る。隊長の指があの夜の様に涙を拭ってくれた。
「すみません、泣いて、ばっかりで。こっ、これでも、泣かなくなって、きたんですよ?」
「泣くの我慢してる暇があったら、車のキーと合鍵掴んでとっとと押しかけて来い」
また涙が溢れ出す。どうしてこの人はこういう事を言うのだろう。
もうこれ以上私の中に入ってこないで欲しい。お願いだから。
「やさしくしないで…」
「無理だな」
再び頭を抱き寄せられる。服越しの熱い鼓動と煙草の匂い。今の私が一番欲しいもの。
それをこんなに惜しげもなく与えてくれる。こんなにも、こんなにも。
「隊長抱いて……」
つい漏らしてしまった本音。すると頭に回った手でコツンと叩かれた。
「そういう事は女から言うもんじゃないよ」
ぐっと強く抱き締められ、耳元で囁かれる。耳の弱い私には前戯にも等しい。
「今夜、一緒に過ごしてくれるか?」
温かい胸に守られたまま何度も頷く。軽く耳を噛まれて甘い声が出た。
「よし、決まりだ」
パチンと音がして玄関が明るく照らされる。眩しさに眼を顰めながら靴を脱いだ。
横で案外几帳面に靴をしまう上司はふと顔を上げて言った。
「そういやお前、メシは?食ったのか?」
「あ、その……」
食べてないけれど言い辛い。隊長はきっと済ませているだろう。酒の匂いもしていたし。
そう言ったら隊長の事だ。気を使って一緒に食べてしまうだろう。たとえ無理してでも。
どうしようかと視線を彷徨わせていたら、上司の声で促された。
「熊耳?」
「食べて……いま、せん」
ふう、と溜め息をついた上司は立ち上がると台所に向かう。
ネクタイを抜き、ジャケットを椅子に放り捨てて腕まくりをした。
「ほんじゃ夕飯にしようか」
キター
「あの、私そんなにお腹へっていませんから。大丈夫ですから」
「んー、やっぱり大したモンないなぁ」
私の事は無視してがさごそと台所を漁っている。あの夜のように私は佇んでいるしかなかった。
「これじゃまた雑炊か何かに……あ、貰い物のうどんがあったな」
棚から薄い木箱を取り出して賞味期限を調べる。大丈夫だなと呟くと今度は冷蔵庫を調べた。
「卵ぐらいしかないな…月見がいいか?それとも卵とじがいいか?」
「…卵とじがいいです」
「はいはい」
さっさと鍋に水を入れて調理を開始する上司を手伝うべく、とりあえずどんぶりを出してみた。
「お、ありがとうな」
手際よく卵を割りうどんを茹でる上司の姿に一人暮らしの年季を見た。
湯気の立ったうどんが鍋からどんぶりに移される。食欲をそそるいい匂いが広がった。
「よしできた。さ、食おうか」
あの夜と同じに居間で向かい合って手を合わせる。
上司の作ってくれたうどんは温かく沁みる味で、どんぶりの中はあっという間に空っぽになった。
「よく食べたな、えらいえらい。今日の昼も食べていたしな」
ちゃんと気に掛けてくれていたのだ。何だか恥ずかしい。こんなに心配させてしまっているなんて。
空になった食器を片付ける上司の手を止め、お盆を取り上げた。
「私が洗いますから」
「んじゃ頼むわ。俺風呂の用意するから」
風呂場に消える隊長の後姿に少し動揺する。抱いて貰いに来たのに何を今更。
考えを振り払うために勢いよく食器を洗う。鍋を片付け流し台も綺麗に拭いた。
「お、綺麗にしてもらっちゃったな」
「いえ、ご馳走になりましたから」
「ご馳走ってほどの料理じゃないけどな」
目尻に優しい皺を刻んで隊長が笑う。その顔をいつまでも眺めていたかった。
「風呂沸いたな」
再び向かい合ってお茶を啜っていると、甲高い電子音が聞こえた。
「熊耳、お前先入ってこい」
「いえ、そんな。隊長がお先に」
「そうか?じゃ、先入らせてもらうわ」
立ち上がり、パジャマや下着の用意をする姿に郷愁の様なものを覚える。
誰かと生活を共にすること。二人から始まる家族の形。
生涯あの男しか愛さないと思っていた。愚かにも結婚まで夢見ていた。
国際結婚となる事をあれこれ空想したり心配したり。
もし本当に求婚されれば、研修が終わっても香港で生きていこうと思っていた。
警察を辞しあの男の妻となる。自分は四ヶ国語話せるから仕事上でもいいパートナーになれるだろう。
そして子供を産み孫が産まれ、喜びも悲しみも分かち合いながら共に老いていく。
そんな馬鹿馬鹿しくも甘い夢を本気で思い描いていた。犯罪者相手に、警察官が。
本当に救いようのない女だ。
「本でも何でも、好きなように見てていいから」
そう言って風呂場に消えていく背中に何かを重ねる。ドアの閉まる音に身体の力が抜けた。
しばらくするとシャワーの音が聞こえてくる。あまり深く考えずに立ち上がり、風呂場へと向かった。
静かに扉を開け中に入る。すりガラスの向こうに髪を洗う背中が見えた。
服を脱ぎ下着に手を掛ける。今までの下着はすべて捨て新しいものに取り替えた。
服もどんどん捨てている。香水も変えた。あの男の好みだったものはすべて排除していった。
ただの気分の問題だが、そうする事で今までの自分を捨てたかったのかもしれない。
そうする事こそが、あの男に囚われたままである証拠だというのに。
床に膝を付きそっと浴室の扉を開けると、隊長がシャワーを浴びたまま振り返った。
「どうした?」
「……お背中を」
湯気の向こうの上司は、何故か心底嫌そうな顔をした。
「あ……すみませんっ」
何か怒らせてしまったのかもしれない。私が急いでドアを閉めようとすると、隊長の手がそれを拒んだ。
抱き上げられ中に引き摺り込まれる。しっかりと抱かれながら共にシャワーの湯を頭から被った。
「…俺には媚びるな。何があろうと俺はお前を見捨てない。お前は俺の大切な部下なんだから」
喉に息が詰まる。忌まわしい記憶が脳裏に蘇ってきた。
逃げる様に日本に帰ってきてからも冷たい視線から逃れる事は出来なかった。
香港から話は通っていたのだろう、同僚も上司も彼らと同じ目で私を見た。
そして放り出される様にして特車二課に配属された。
キャリアを積むはずの研修ですべてを失い、流れ着いたのがあの場所だった。
その流れ着いた場所でも同じ過ちを繰り返し、しかも一度目よりも更に大きな被害を呼んだ。
また見限られる、と思った。罵られ、馬鹿にされ、蔑まれると思った。
それなのに彼らはそうしなかった。それどころか私の帰りを待っていてくれた。
私は皆を裏切ったというのに、以前と同じように受け入れてくれることが辛かった。
罵られたり、嘲られるより耐え難い事があるなんて知らなかった。
「どうして皆……優しいんでしょう。私、いつもあんな偉そうな事言っておいて、それなのにあんな事をして」
「そう考えるな。正しいとか間違っているとかじゃない。皆お前が仲間だから受け入れてるんだ」
仲間。私は仲間と認めてもらえるような事をはたしてしてきたのだろうか?
「誰かが間違ってしまったら、全力でフォローするのが仲間だろう?」
競うのではなく、足を引っ張り合うのではなく、共に戦ってきた彼ら。
「良い時だけ寄って来て、迷惑掛けられたらぽい、なんてのは仲間じゃないよ」
間違っていても見捨てないでくれる、助けてくれる、励ましてくれる。
「それにお前だって、他の誰かがこういう状態だったら全力でフォローするだろう?」
「……はい」
「そういう事だ」
帰る場所があり、受け入れてくれる仲間がいて、抱き締めてくれる腕がある。
私は、幸せだ。
「ほら、風呂入ってろ」
シャワーを止め、背中を押す腕に掴まる。媚びるとかそういう事ではなく、どうしてもしたかった。
「あの、やっぱりお背中流します」
「……じゃ、頼むわ」
苦笑してスポンジを渡してくる。石鹸を泡立てて、座った隊長の広い背中を洗っていった。
大きな背中が泡に包まれていく。それを見つめていると心はまたあの男の事を考えた。
もしあの男と結婚していたら。いや、あの男が死なずに一緒に旅立っていたなら。
こんな事をしたのだろうか。こんな日々を過ごしたのだろうか。それは幸せなのだろうか。
そこまで考えて慌てて頭を振る。嫁き遅れの馬鹿な妄想だ。
「……惚れた相手との将来を夢見るのは当然の事だ。何も恥ずかしく無いよ」
どうして、どうしてこの人にはすべて分かってしまうのだろう。何か魔法でも使っているのだろうか?
恥ずかしさを隠す為に力を入れて背中を擦る。すると肩に添えていた手をそっと握られた。
許しをくれる手。あんな事をしても尚、私を許してくれる手。
大きな身体に腕を回し、顔に泡が付くのも構わず背中に頬を寄せた。
湯で更に熱くなった肌。あまりにも確かな生きている証。愛おしさに離したくなかった。
「熊耳」
隊長が居心地悪そうに身じろぐ。腹に回った手をぽんぽんと叩いて茶化すような声を出した。
「勃っちまうからさ、まだちょっと誘わないでくれる?」
見れば背中に乳房を押し付ける形になっている。慌てて身体を離した。
「すみません!あの、そんなつもりじゃ!」
「風呂場でやるとのぼせちまうからさ。あ、でもお前が風呂場がいいってのなら…」
「いえノーマルにお願いします!」
「え?ノーマルって?風呂だしやっぱりソープごっこ?まいったなー」
「違います!」
照れ隠しに思いっ切り背中を擦ってやる。
茶化すことで私の中の陰鬱な空気を祓ってくれた事に気付くのはもう少し後だった。
洗い終えた隊長が湯船に浸かる。入れ替わりに私がシャワーを使い髪を洗った。
隊長の身体を洗ったスポンジを手に取り石鹸を馴染ませる。視線を感じて横を向くと隊長がにやりと笑った。
「洗ってやろうか?」
「いえっ、自分で洗えます!」
はは、と声に出して笑って顔を擦る。溜息を付いて本当に気持ち良さそうに湯に沈んだ。
「…太ったな」
普段であれば腹が立つ台詞であるが、今の私の状況では良い意味なんだろう。そうでなければセクハラだ。
「……おかげさまで」
一応三食細々とではあるが食べている。あの夜まではほとんど食べられなかったのに。
あの日の朝ごはんもさっきのうどんも美味しかった。溶き卵の絡んだ優しい味だった。
そうだ、明日の朝ごはんは私が作ろう。何が好きだろう。でも卵しかないとか言っていたような。
「明日の朝はさ、ゆっくり寝坊してそれからどっか食べに行こう」
「……はい」
だからどうして人の考えが分かるんだろう。この人は一体何なのだろうか。
ざばりと音を立てて隊長が風呂から上がる。私の手からシャワーを奪って軽く流すと扉を開けた。
「ほんじゃお先に。ちゃんと温まれよ」
閉まった扉の向こうでドライヤーの音が響く。自分以外の誰かが立てる音に湧く安心感。
温かいお湯に浸かりながら眼を閉じてその音を聞いた。
「ここにいると……ほっとするな……」
心からくつろげる場所。隊長の家だからだろうか?それとも単純に隊長がいるからだろうか?
今はどちらでもよかった。この世に安心してくつろげる場所がある。それだけでよかった。
風呂から上がると下着だけ残して服が消えており、バスタオルやパジャマが丁寧に畳んで置かれていた。
かなり大きいそれを身に着け髪を乾かす。鏡の中にはどこか華やいだ表情の女が映っていた。
「……不謹慎でしょうが…まったく」
目を逸らし使い終わったタオルを洗濯機に入れ脱衣所を出た。
居間に戻ると隊長は肘を付いてビールを飲んでいる。その後ろの壁に私の服が丁寧に掛けられていた。
「お、出たか。お前も飲むか?」
頷くと冷蔵庫から二本取り出して一本渡してくれる。よく冷えた缶が指先に気持ち良かった。
「あの、服ありがとうございます」
「ん?ああ、皺になるといけないからな」
隊長は手にした幾つかの袋をテーブルに置いて腰を下ろした。
「はい、乾杯」
おざなりに缶をぶつけてプルタブを引く。私も少し掲げてから缶に口を付けた。
「……あーっ。やっぱり風呂上りの一杯はいいなぁ」
「いいですよね。身体は温かいし、喉は渇いているし」
火照った身体に軽いアルコールが沁みていく。久し振りの味だった。
袋を開けただけのツマミを齧りながら隊長が呟く。
「すまん、ツマミ乾き物しかなかった」
「十分ですよ。隊長は何で飲むのが好きなんですか?」
「ビールだったらしょっぱけりゃ何でもいいな。日本酒ならメシのおかずみたいなので飲むのが好きかな」
「あ、キンピラとか煮物とかで飲むの美味しいですよね」
「そうそう。甘辛いものがいいんだよな。こってりとしたさ」
「洋酒ならどうですか?」
気を許した相手と他愛ない事を話す。こんなに自然に話して自然に笑ったのはいつ以来だろう?
二度とこんな時間は訪れないと思っていたのに、こんなに呆気なく手に入ってしまった。
「塩分とか気になる年になったから、本当は薄味のものがいいんだろうけどねぇ…薄いと美味しくないんだよな」
隊長がサキイカをもぐもぐ噛みしめつつぼやく。私はエロティックに動く唇から眼が離せなくなった。
「隊長…」
「ん?」
「キス……してくださいませんか?」
気付けば口が勝手に動いていた。
奇妙な間が空く。隊長は無言でイカを噛みしめてビールで一気に流し込んだ。
「こういう事も女から言うもんじゃないよ」
隊長が私の身体を掻き抱く。熱くて苦い唇が、私の唇に押し当てられた。
優しく触れるだけで何度も何度も表面を掠めていってくすぐったい。
最後に軽く吸い上げてから離れていった。
「…って、言わせたのは俺か」
「いえ!……そんな」
あの夜口付けをしなかったのは、この人の優しさだと知っている。
身体だけを夢の様に与えて、私に逃げ道を残しておいてくれた。
私が私自身に、幾らでも言い訳が出来るように。
「その…はしたないとお思いでしょう?あの…あんな事のあった直後なのに…」
抱き寄せられた胸に顔を擦り付ける。今は自分と同じ匂いがする温かい肌。
「節操ないですよね。きっと私、こうしてくれる人なら誰だっていいんですよ。抱いて貰えれば、誰だって」
「誰でもいいわけないだろう?少なくとも俺は何とも思ってない女は抱けないぞ」
擦り付けた頭をぐりぐりと撫でてくれる。いつも優しい大きな手。あの男とは正反対の手。
「…もう、終わってたんだよ」
手の感触に酔っていると父親のような声が聞こえてきた。穏やかで力強い年長者の持つ声。
「香港で一度終わってたんだよ」
硬い胸に顎を付いて見上げれば、信じられない位優しい瞳が見下ろしていた。
「だから罪悪感やあの男への後ろめたさなんて感じる必要は無い」
私すら気付けない私の中の感情を、この人はすべて理解してしまう。この人に隠せる事なんてあるのだろうか?
「お前はずるくも卑怯でもないよ」
「でも……私、隊長を利用しています…」
そうだ、私はこの人を利用している。この人の優しさに付け込み甘えきっている。
この人は、決して私のものではないのに。
「お前みたいないい女抱けて、俺は幸せだ」
今度のキスはもう少し深いキスだった。
べそを掻くのをあやしてもらい、落ち着いた所で寝室へと移動する。寝室にはもう布団も避妊具も用意してあった。
隊長はパジャマの上を脱ぎ捨てる。ズボンに手を掛けて私に向き直った。
「下、はいてた方がいいか?」
首を振ると躊躇無く脱ぎ捨てる。たくましい腰と量感のある性器が目に入った。もうすでに反応し始めている。
私も自分のパジャマのボタンに手を掛けると、隊長に後ろから抱き締められた。
「これは男の仕事だ」
一つ一つボタンが外されていく。裸を見せるのはこれで三度目だが、まだ少し照れがあった。
袖が抜かれ、ズボンに手を掛けられる。下着ごと下ろされて下半身もすべて露になった。
「あの、隊長、本当に無理しないでくださいね。嫌なら、その」
まだ残る罪悪感の所為か照れ隠しかそんな言葉が出てしまう。
隊長は私の身体に手を回して肩を掴むと、セックスの時にだけ聞ける熱の籠もった声を出した。
「馬鹿言うな……こっちはいますぐ入れたい位なんだよ」
耳元に掛かる熱い息。欲望を煽られて思わず口走ってしまった。
「し、て……入れて…」
また怒られてしまうかと思ったが、予想に反して色気のある目がこちらを見ていた。
「どう入れて欲しい?」
「後ろから…」
「バックが好みなのか?」
「……はい…」
布団に上げられうつ伏せにされる。隊長はゴムを拾い上げると素早く自身につけた。
シーツに顔を付き、尻だけ上げた状態で秘裂を舐め回される。
「う、ん……いい…すごく、いい……」
直接的な快楽に、恥も忘れて脚を大きく開いて喘ぐ。私の身体は濡れやすく、今ももう膝まで濡れてしまっていた。
柔らかく撫で回す舌が離れていく。代わりに重みのある肉が入り口に押し当てられた。
「えっ……も、う…?」
「出来るだけ力抜けよ…」
言葉と共に一点に力が掛かる。入り口が割れ亀頭部分がめり込んだ。
「あうっ……うっ、う、…く、うっ!」
ほぐれていない内部にもっと硬い物が入ってくる。
内壁が強張り肉棒を拒否するが、それを押さえ付けて更に侵入してきた。
「かた、い…いやぁ…熱いっ…っ」
自ら流す蜜が潤滑剤となる。太すぎるそれが肉を掻き分け最奥までの侵入を果たした。
硬めの陰毛が尻の穴を刺激する。入り口をこじ開けられた秘裂は痛々しく引きつって肉棒を締め上げた。
「きついな……千切れそうだ」
根元まで収めた隊長は満足そうに溜息をつき甘ったるい声を出す。
私は呼吸を整えるので精一杯だった。まだ硬く強張ったままの膣を肉の塊が押し広げる。
「動くぞ」
先端で私の中を愛おしそうに擦る。最奥を亀頭で潰される感触に蜜が更に溢れ出した。
掻き回される度に蜜がぐちゅりと音を立てる。割れ目を伝ってこぼれたそれは胸の谷まで届いていた。
「あ、あ……そんな…そ、んな……っ」
「また濡れた…」
濡れれば濡れる程肉棒の動きが激しくなっていく。硬いままの内部が強制的にほぐされてヒクつきながら波打った。
咥えた肉棒を揉みしだきつつ締め上げる。肉と肉のぎりぎりの隙間から白く濁った蜜が滲み出す。
隊長の突き込む動きに合わせて意思と関係なく腰が揺れ動き、乳房の先が布団で擦れた。
「も、う……もう……っ」
受け入れる肉の硬さに意識が霞んでくる。だらしなく開いた口からは唾液が流れ、突っ伏した布に吸い込まれていった。
「だめ……だ、め……あっ…まだ、だ、め……い、や、…ああぁっっ!」
酷使された肉壁は早々に音を上げる。私は硬いままの肉を咥えて絶頂に震えた。
「早いな…」
汗の浮いた背中をぺろりと舐められる。それすら今の私には強烈な快楽だった。
股間の奥に収めた肉の棒はまったく萎える様子はない。力強く脈打って存在を主張していた。
「す、みま…せ…」
「ん?ああ、いいよ。無理させたのはこっちだ」
男を咥えたまま獣の体勢で息を整える。なかなか整わない呼吸に焦りが募った。
「……一度抜くか」
隊長が私を気遣って腰を引こうとする。慌てて腰を支える手首を掴んで首を振った。
「だめ…っ」
「だめって、お前」
隊長の眉が訝しげに寄せられる。切れ切れの息の間で言葉を発した。
「ほしい、ん、です…」
「…嬉しい事を」
抱えられた腰にそのまま突き刺さる。イッたことで少しほぐれた中はさっきよりも丁寧に肉を受け止めた。
「ふぅっ…う、あ、いい…すご、い…っ」
濡れた肉筒の中を前後する熱の動きに堪らず喘ぐと、突然上体を持ち上げられ身体が起こされた。
「あうぅっっ、う、んあぁっっ!」
隊長の胸に背を付け片足だけ持ち上げられた体勢で下から激しく突き上げられる。
入れたままの状態で秘裂を左右に開かされ、剥き出しになった肉芽を硬い指が弾いた。
「そこ、はっ…だめっ、あ、つい…っ」
「ああ……熱いな」
穿たれる動きが更に激しくなる。火照った肉の先端で最奥をがつがつと叩かれ身体の芯がとろけてしまう。
「も、う…もう…だめ…また、イク…だ、め……う、ぁ…イク…ッ!」
性器をさらけ出したまま隊長の肩に頭を預けて絶頂に仰け反る。
残された隊長も二、三度私の中を突き上げてから身を震わせて果てた。
ようやく抜け出す肉棒が淫らな糸を垂らす。布団の上にうつ伏せに横たわり、残る異物感に熱い息が漏れる。
内部の空洞はじんじんと熱く、まだそこを押し広げられているようで。前戯なしの挿入がこんなに激しいとは思わなかった。
「無理させちまったな。すまん」
声を掛けつつ避妊具を外す上司はいつも以上に濃い色気を漂わせている。
「たいちょう…」
手を伸ばして隊長を求める。ゴムを放り近づいてくれた身体を引いて布団に座らせた。
腰骨に手を添えて股間に顔を寄せると、頭を掴んで止められた。
「おい」
「したいんです…」
そのまま頭を振って隊長の手を払う。精液の絡む肉棒に唇を当て舌でなぞる。
隊長は口に手を当てて考え込んでいたが、溜息をつくと好きにさせてくれた。
口に含み纏わりつく汁気を吸い上げる。静かな状態でも十分に質量のあるそれは舌に重い。
口の中で転がして勃ち上がっていくのを楽しみながら男の味を飲み下す。
やがて完全に立ち上がったそれをもっと楽しむべく、避妊具に手を伸ばして封を切った。
濡れたゴムを取り出して肉の起立に被せようとすると、隊長に手を振り払われた。
「風俗みたいなことするな」
「したいんです…」
落としてしまったゴムを拾い上げて上目遣いで懇願する。隊長はぐしゃぐしゃと髪を掻き回すと再び溜息をついた。
「今日だけな」
頷いて薄い膜を被せていく。根元まできちんと下ろしてから見上げれば、合格とでも言うように頭を叩かれた。
身を起こし隊長の肩を押して伸し掛かる。立ち上がった肉を掴んで望む場所に導いた。
「おい」
「したいんです…」
切っ先を当てたまま強請れば隊長の頭が垂れる。さすがにもう諦めたのか、ぽんぽんと腰を叩かれた。
「…ゆっくりな」
再び頷いて腰を落としていく。張りつめた肉が少しづつ性器を侵食していった。
肉が開く。落ちていく腰の中に突き刺さる性器。息を吐いて一番奥まで導く。
「ん、ぅ…あ…」
欲望の塊が入り込んでくる。私の事を思ってこうなってくれているのならば嬉しい。
きっとそんな事はないのだろうけれど。
張り出した部分をようやく受け入れ残りを埋め込んでいく。肉棒を覆う薄い膜の存在が妙にもどかしかった。
直に触れて欲しいと思う。以前の媚びる気持ちとは別の感情。男の素肌を中で感じたかった。
指を伸ばして男と繋がっている部分に触れてみる。薄い肉の奥にある硬く張った肉の感触。
直には触れられないが、せめて入っているのをちゃんと確かめたかった。
「……どうした?」
黙って首を振り根元まで収めた腰を動かす。男の起立を芯に踊れば最奥が男の形に広がる。
これ以外では得る事の出来ない唯一の感覚にみっともなく喘いでしまった。
「あぁっ…、いい…っ…どうし、よう…いい…っっ」
下から少し小さくなってしまった乳房を鷲掴みにされる。左右の乳首同士を擦り合わされて涎が垂れた。
ああ、体重を戻さなければ。もっと胸に脂肪をつけて隊長を喜ばせたい。こんなやつれた身体では駄目だ。
涎がたらたらと垂れて隊長の腹に落ちる。股から垂れるものも隊長の腰を濡らしていった。
「んっ、たい、ちょうも、いい……です、か…?」
「……分かりきった事、訊くなよ」
苦笑した目の焦点が快楽に寄っている。熱っぽい息を吐きつつ髪を掻き上げる様には喜びしかなかった。
夢中になって腰を動かす。這い上がってくる悦楽に全身が侵される。女としての真の喜び。
あの男と寝る以上の幸福なんてこの世に在りはしないと思っていた。それなのに、今感じているこの感情は。
「うっ…たい、ちょ…う…イッて、いい…です、か…?」
隊長は微笑を浮かべてゆっくり頷いた。濡れた眼で見上げられ身体が震える。
全体重を掛けて腰を落とし、一気に絶頂へと駆け上った。硬いままの肉棒に支えられ胸に手を付く。
そのまま下から数回突き上げられ、薄い膜の中に熱い汁が吐き出された。
眼を閉じて甘い余韻に浸っていると、隊長が身を起こし熱いキスをしてくれた。
最後の最後まで満足させてくれる行為に大人の余裕を感じる。
押し倒されて繋がりをほどかれる。同じ温度になった肉棒はもう中で動いても違和感を感じさせなかった。
横たえた身体を湯で絞ったタオルで丁寧に拭われる。その間も私に傷を付けなかったか確認していた。
こんな風に大切に扱われるのに慣れていないので、何となく落ち着かない。
普通の男性とのセックスは、ここまでしてもらうのが当たり前なのだろうか?
綺麗になった身体に掛けられた布団をもじもじと弄繰り回す。
天井を見上げて待っていると、隊長はマグカップを手に戻ってきた。
「はい、お茶だよ」
喉が渇いていたのでありがたかった。ぬるいお茶をくいと飲み干し大きく息をつくと笑われてしまった。
「セックスの後は喉渇くよな」
「運動…みたいなものですしね」
「でも運動って括っちまうとな…情緒がないよなぁ」
だらしなく裸のままでお茶を飲み、他愛もない会話を楽しむ。
きっと本当の恋人同士というのはこういう時間を過ごすのだろう。
そして抱き合って眠るのだ。幸せである事を、何一つ疑わずに。
「さて、もう寝るか」
畳の上にマグカップを置いたまま二人で布団に潜り込む。まるで恋人同士の様に。
「熊耳、向こう向いてくれ」
終わったらもう用無しなのかと寂しくなる。散々付き合せておいて厚かましくもそんな風に考えてしまった。
言われた通りに背を向けると、後ろから手が伸びてくる。
「…で、こっちに…」
背中側から抱き寄せられお互いの肌がぴったりと触れ合った。
「俺も後ろからが好きなんだわ…しっかり触れ合えるからな」
なんだ、そういう事か。勘繰ってしまったのが恥ずかしかった。
背中に隊長の鼓動と呼吸を感じてほっとする。私は子供の様に安心しきって体を預けた。
隊長の鼻先が髪に埋められ匂いを嗅がれる。やだ、今すごく汗臭いのに。
「た、いちょう、汗臭いでしょう?」
「んー……いい匂いだ」
あの男と同じ言葉に胸を揺さぶられる。そんな残酷な言葉、この人の口から聴くのは辛かった。
「こんな狭い布団で悪いな」
「いえ、そんな……それにここは落ち着きますし」
「こんな所で満足するなよ。そういえば、赤坂プリンスまだ行ってなかったな」
ホテル。あの男と散々抱き合った場所。そんな所に隊長とは行きたくなかった。
「ホテルは……好きではないので」
「………そっか」
聡いこの人の事だ。きっと分かってしまっただろう。だが見透かされるのは嫌ではない。
隊長は、何があっても見捨てないでくれると分かったから。
でも、私たちの関係は一体何なんだろう。
恋人同士では決してない。上司と部下は一線を越えた時点でもう変質してしまった。
身体だけの関係にしては心まで包んでもらっている。大切にされているのは分かるがどういう種類か分からない。
私たちの関係は一体どうなっているんだろう。どうなっていくんだろう。
「あまり考え込むな」
後ろからくぐもった声が聞こえる。見透かされる痛みと喜び。
「この関係に名前なんてつけなくていいから」
たくましい腕がしっかりと拘束してくる。守るようにしっかりと。
「一度寝たから俺の女、なんて言う程馬鹿じゃないよ」
本当にこの人はどこまで私の中に入ってくるつもりなんだろう。これ以上入り込まれたら、もう。
「隊長の腕の中って……どうしてこんなに気持ちいいんでしょう」
「…あの男よりお前の事を大切に思っているからな」
大切。「愛している」よりなんて尊い言葉なんだろう。
あの男の口にする、安い「愛している」という言葉が涙と共にどこかに消えていくのを感じた。
後ろから回った手が涙を拭ってくれる。もう照れるのも今更なのですべて拭ってもらった。
「…ここは巣みたいなもんだ。何も考えずゆっくり羽を休めろ。そんで充分元気になってから飛んで行け」
そんな事を言う隊長に、つい口が滑ってしまった。
「飛んで……いかない、か…も…」
思わず出てしまった本音に気が焦る。隊長の顔を見ないでわざと元気な声を出した。
「だから、言ったんですよ。優しくしちゃいけないって。私みたいな女を」
そう言って見上げた隊長の顔は……今まで見たことない優しさに満ちていて…。
全身で、私を愛おしいと言っていた。
どうしよう。男性から愛されるのなんて、初めてだからどうしていいか分からない。
隊長は途惑う私の額にキスをして抱き締めると、耳元で柔らかい声を出した。
「好きなだけいなさい…って、言わなかったか?」
あれ?メモだったか?そんな事を言う隊長の所為で、もう顔が上げられなくなる。
本当にこの人は。どうしてこう。
「ご、とう…さん…」
初めて名字だけで呼んでみる。調子に乗っているのは分かっているが、止まるものでもなかった。
「何だ?武緒」
さらりと切り返してくる余裕の態度が悔しいけれど愛おしい。でも観念してしまうのも悪い気分じゃない。
「手を……繋いでいただけますか…?」
子供っぽいだろうか。でもずっと夢だった。大切な人と、手を繋いで眠ること。
きっと、幸せな気持ちになれる。キスをするより、抱き合うより、ずっと。
「合鍵、ちゃんと使うって約束するならな」
もう、だからもうこの人は。どうして本当にこう。
頷けば大きな手が私の手を優しく包んでくれる。
それは、言葉には表せない幸せだった。
<終>
眠りに落ちた身体をそっと抱き締める。あの夜より随分と戻った身体の厚み。
柔らかさを取り戻した身体に安堵の溜息が漏れる。
あの夜の、いつ切れてしまうか分からないぎりぎりに張り詰めた神経はもうどこにもなかった。
「まったく、こんなに心配させやがって」
こいつが辛い思いをしていたのは分かっていた。
あいつらはこいつが辛そうなのを、事件の所為であると勘違いして過剰なほど優しく接した。
原因は自分達にあるのだと気付かずに。優しさが何よりこいつを傷つけていると分からずに。
だが俺は放っておいた。確かに優しさは人を責め立て追い詰める事がある。
けれど人が本当に傷を癒し立ち直るには痛みを伴うものだ。
辛いだろうが、あいつらの優しさを受け入れるしかない。
それだけがあの男の死を乗り越えられる道なのだから。
こいつには、あの男よりもこいつを想う仲間がいるという証なのだから。
「よく頑張ったな…いい子だ」
細く美しい髪にキスを落とす。もう消えてしまったシャンプーの匂いに代わって立ち昇る汗の匂い。
生々しい女の匂いに自分の中の雄の部分が刺激された。
「…………ごとう…さん…」
小さく漏れる寝言。あの夜はあの男の名前を呼び続けていた。
だが今夜は最中も今も一度もあの男の名前を呼ばなかった。
これはいい意味だろうか?いい意味なんだと思いたかった。
「ここに、いるよ」
聞こえやしないだろうが呼びかけに答えてやる。華奢な身体を抱え直して眼を閉じた。
熊耳、俺はここにいる。あいつらもまた、お前の傍にいる。
その事を決して、忘れてはいけないよ。
<おわり>
独り祭りさんGJ!!!
今回もせつないっす・・・(つд`)
ぐわー、後藤隊長カッコエエー!
酸いも甘いも噛み分けた、中年の色香が最高です!
弱ってダメダメになってる熊耳さんも可愛くて良い! ぐっじょぶです!
ほんと、エロい気分になりながらも深く静かにせつない・・・
なんだか「じっくり」読みふけってしまいました
卵とじのあたりとか、他の箇所もそうなんですが、頭の中に鮮明に
その絵(映像)が浮かんでくる。すごくいい。
待ちに待ってた神様がキタ━(゚∀゚)━!!
今回もエロイし、いい話だし最高でした!!
熊耳さんかわいいよー!
もうもうもうもう…。またしても泣いちゃいました。
ウッヒョー!! 降臨!
切なエロ(・∀・*)イイ!!
214 :
名無しさん@ピンキー:2005/06/26(日) 14:06:34 ID:w7QGOtUO
GJ。
投下し辛くなってしまった…。
ごとしの者だけど、独り祭りさんの作品はどれもグッときますー。
おたけさん、イイ(・∀・)!!
>>214氏
そんなこと仰らずに・・・楽しみにしております。
あわわわ第二弾書いていただけるとは思わんかった…幸せ…
>>214さん
書いてくれる人は神様ですよ
218 :
PT-VT:2005/06/27(月) 01:42:52 ID:5rX8AJ49
独り祭りさん、ごとたけ第二弾乙でした。
隊長の優しさにグッとキました。
及ばぬまでも、奮起して次の作品書きます。
独り祭り氏、GJ!!!!
でも、切ない。・゚・(ノД`)・゚・。
コミック1巻から読み直して
投下できるネタを模索してきます
220 :
大曲:2005/06/30(木) 01:38:12 ID:EsMCQsGY
以後、投下時のみ大曲(おおまがり)のコテハン名乗ります。
前回感想を下さった方、ありがとうございます。
「ミンナノ唄」泉野明の唄を投下します。(今回はエロ薄です)
引用している歌のタイトルが知りたい方は、冒頭のメール欄を御覧下さい。
今までの話は、「ゆうきまさみキャラ・エロ萌えスレその5」の過去ログでどうぞ。
214さんや他の職人さんの投下を、読み手として楽しみに待ってます。
221 :
ミンナノ唄:2005/06/30(木) 01:39:36 ID:EsMCQsGY
私が悩み苦しんでいると 聖母がやって来て 知恵ある言葉を下さる
『成すがままになさい』
私が暗闇で全てを見失うと 彼女は私の正面に立ち 知恵ある言葉を下さる
『成すがままになさい』
そのままに 成すがままに あるがままを受け入れよう
囁けばいい 知恵ある言葉を 『成すがままに』
失意の人々の心がこの世界に同じ様に満ちあふれた時
答えは見つかるだろう 『成すがままに』
離ればなれに分たれても いつか見つかるかもしれない
答えは見つかるだろう 『成すがままに』
そのままに 成すがままに あるがままを受け入れよう
そう、きっと答えは見つかる 『成すがままに』
夜空を雲が覆っているけど まだ光が私を照らしていてくれる
明日まで輝いていて欲しい そのままに
妙なる調べに目覚めると 私の元に聖母がいらっしゃって知恵ある言葉を下さる
『成すがままになさい』
そのままに 成すがままに あるがままを受け入れよう
囁けばいい 知恵ある言葉を 『成すがままに』
222 :
ミンナノ唄:2005/06/30(木) 01:41:01 ID:EsMCQsGY
あたしがこの曲を知ったのは、英語の授業でだった。
こういうのを教材にするのが好きな先生だったので、よく色んな曲を聴かされた。
この曲を思い出したのは、遊馬の実家の騒動が週刊誌を賑わしていた頃だ。
遊馬は、あたしにあの記事の事を隠した。
記事の内容がどうこうではなく、その気の使われ方が辛かった。
自分で言うのも何だけど、昔からたまにこういう事が起こる。
あたしだけ、ショックを受けない様にと仲間が大切な事を隠す事があった。
あたしはそんな良い子じゃない。あたしは天使じゃない。あたしはただの人間だ。
誰かの物差しで測られたくなんかない。
あの日。
給湯室。拭き終えたカップ。壁に付かれた手。床に落ちたバックパック。あたしの涙。
あの時、遊馬の事がすごく情けなかったけど。
もっと自分が情けなかった。
結局、あたしは何も出来なかった事が悔しくて。
別に綺麗なままでいたいんじゃない。
でもあのまま、あるがままの遊馬を受け入れるべきだったんだろうか。
あの時のあたしの態度は、ただの綺麗事だったんだろうか。
もう終わった事に、答えはいつまでも出ない。
あの日から、この曲がふとした拍子に浮かぶ。
…あたしの葛藤の唄は止まらない。
ーーーarpeggioーーー
2月10日、晴れ。模擬戦日和。
一週間前に、新しい98式AVが特車2課にやって来た。
当初、AVではなくAVS・AVRの導入も検討された。
だが万が一の場合、現場で部品流用が可能な点も見地に入れ、同じ小隊で動く機体は同一の物が好ましい事と予算の関係上、結局98式AVに落ち着いた。
223 :
ミンナノ唄:2005/06/30(木) 01:42:17 ID:EsMCQsGY
武緒の手によって初期設定と慣らしがみっちり仕込まれた3号機は、今日から敷地内で実戦訓練が始まる。
新しい機体はアンテナの先端が黒で、1本ラインが入っていた。
「シマシマ…」
「なんじゃそら」
「わわっ!…びっくりしたぁ〜」
誰もいないと思ってぼそっと洩らした言葉に、いきなり後ろから遊馬の声がかかり、野明は驚いた。
正直、聞かれてしまったのがちょっと恥ずかしい。
「いや、その、新しい機体、ツノにシマがあるな〜って…」
「野明…お前ネーミングセンス皆無だな。早く1号機乗れよ、模擬戦だぞ」
『別に、名前付けてた訳じゃないんだけどなぁ〜』とブツブツ呟いて、野明は1号機に向かった。
すでに太田機は、ウォーミングアップを始めている。
「……熊耳巡査部長!上司だからといって、手加減はしませんぞ!!」
太田の胴間声が、辺りに響き渡った。
「大田さん!今日来たばかりの仲間の機体相手に、あまり無茶しないで下さいよ」
進士が心配そうな声で、何とか大田をなだめようとする。
「馬鹿な事を…犯罪者が現場で手加減する訳なかろうが!本気で行くのがこの場合の礼儀だ……そう、礼儀…ふ…ふふ…っふはははは…!」
1号機を起動させながら、進士さん大変そうだなぁ…と野明はぼんやり考えた。
「野明、まだか?」
「はいは〜い、今行きまぁす」
格納庫から出ると、小春日和の枯れ野原に、やる気満々の2号機と新品の3号機が対峙している。
「あ〜、やっぱ新しい機体は綺麗だねぇ〜」
「なぁ〜に呑気な事言ってんだか…」
野明の大平楽な言葉に、遊馬がカックンと俯いた。
傍らではひろみがインカムで、思ったよりもテキパキと武緒に状況指示を与えている。
「…足元、所々枯れ草で滑りやすくなってますから気をつけて。御存じの通り、ここの行動半径は……」
その姿は今までのひろみを思い返すと、あまりにも意外だ。
224 :
ミンナノ唄:2005/06/30(木) 01:43:35 ID:EsMCQsGY
「う〜ん…。…俺らも、うかうかしてられないかも……」
「へ?何がぁ?」
遊馬が洩らした言葉に、野明が聞き返す。
「野明、よ〜く聞け。太田機はともかく、ここで負けたら俺らは恥だぞ」
「判ってますって。おタケさんはちょっと手強い相手だけど、頑張るよ」
その言葉に2号機が凄い勢いで振り向く。
「きさまらぁ!黙って聞いていれば失礼千万っ!昨日今日納品されたばかりの機体に、俺が負ける訳なかろうがぁ!!」
野明の目に、太田機の額から青筋が浮かんでる様に見えた。
整備班や第1小隊のヤジ馬が、面白そうにその様子を見て笑っている。
熊耳機はそのやりとりを聞きながら、屈伸、手の曲げ伸ばし、小走り等、淡々と動きのチェックをしていた。
「太田さん、何か忘れてませんか?…あなた前に、初めて1号機に乗り込んだ熊耳さんに負けてるんですよ。油断は禁物です」
進士が太田に注意を促す。
それに対して、大田はぐむぅ、と声にならない抗議をした。
模擬戦は予想以上に苦戦した。
98式そのものの扱いは、太田や野明に一日の長がある。
それに対して武緒は、不馴れさを柔術や逮捕術の体捌きでカバーして来た。
やみくもに突進して行けば、相手の思うがままだ。
かといって、逃げてばかりではお話にならない。
太田は1敗1引き分け。野明はからくも1勝1引き分けの結果に終わった。
「まいったなぁ…」
頭をかきながら、野明はイングラムを降りた。
「お疲れさま。やっぱり、泉さんはすごいわ」
武緒がヘッドギアを外しながら微笑む。
「すごいのは熊耳さんの方です。まだまだ機体はまっさらなのに、ちゃんとイングラムのポテンシャル引き出してるんですもん」
「ふふ、ありがとう。98式AVはクセがないから、使いやすいのかもね」
その脇で大田は、顎が外れそうなほど口を開け真っ白に固まっていた。
進士がポンポンとその肩を叩きながら、太田に声をかける。
「大田さん。そろそろ、真っ向勝負以外の戦法も覚えましょうね…」
225 :
ミンナノ唄:2005/06/30(木) 01:45:28 ID:EsMCQsGY
(さて!終わったし、イングラムにワックスでもかけるか〜)
ヘッドギアを外して、野明は思いきり伸びをした。
1引き分けにされたのはちょっとショックだったけど、おたけさんの体捌きはそのうち勉強させてもらおう。
そうすれば、あたしのイングラムはもっと強くなれる。
考えるだけでわくわくする。
今日より明日、明日より明後日。まだまだ凄いレイバーになれるんだ。
「熊耳さん、お見事でした。今日のデータは後で御覧になりますか?」
後ろで、ひろみが武緒に声をかけていた。
「…え、ええ。…あ、いえ、やっぱり今欲しいわ」
「…判りました。今、データ落としますね」
野明は怪訝そうに振り返った。
気のせいかもしれないが、武緒が復職してからこの2人はギクシャクして見える。
正月休暇明けからここしばらくひろみも元気がないし、何かあったのだろうか。
「おいっ!何ボヤっとしてるんだよ。油断してっと、すぐ追い抜かれるぞ」
遊馬がポン!と頭を軽く叩く。なんだか不機嫌そうだ。
「なんだよぉ!別に油断なんかしてないもん」
「1引き分けってのはなぁ、お互いの機体の経験値を考えたら負けたのと変わらんわい」
その一言にカチンと来るものがあった。
別に、野明だって油断なんかしていない。遠慮して動いていた訳でもない。
この場合、武緒の戦術が優れていただけだ。
それだって、散々野明や太田の動き・手の内を武緒が知り尽くし、その隙をつかれたからだ。
それに比べて武緒の動きは未知数で、まったく予測が付かなかった。
「そんな事言うんだったら、おたけさんのバックスやったら!?」
おいっ!と後ろから聞こえる遊馬の声を無視して、野明は更衣室に向かって走った。
ーーーapagadosーーー
(そんなにおたけさんが良いなら、ひろみちゃんと変わったらいいじゃないか…)
判ってる。
判っている。
本当は、自分達の動きが知れていて、武緒の動きの予測がつかないとは言い訳だ。
実戦で犯罪者の動きの予測が100%つく事なんてない。
226 :
ミンナノ唄:2005/06/30(木) 01:46:35 ID:EsMCQsGY
今までは、実戦の経験に基づいた予測で対応出来る相手ばかりだった。
あの黒いレイバー・グリフォンと会うまでは。
苦しい戦いの日々だったが、あの経験を経て自分は変わった、と思える。
ただひとつ、あの犯人達を捕まえられなかったのだけが心残りだが。
武緒が復帰してすぐ、1号機の左腕が燃え落ちる事件が起きた。
その後武緒はフォワードに志願、第2小隊はなんと1機増える事になった。
『あの連中を誘き寄せるために武緒はフォワードになったらしい』との噂で、特車課はもちきりだ。
遊馬は遊馬で、武緒の復帰する少し前からまた何か抱え込んでいるようで、時々殻に篭っていた。
だからなのか。11月の半ばぐらいから、遊馬は何かと野明と武緒を比較する。
最初は気にしないようにしていた。
野明は野明、武緒は武緒。比べる事なんておかしいと思っていた。
ただ。遊馬が。
ほぼ毎日言葉で二人を比較する。態度すら、今までと違って見える。
3号機の導入が決定してから…いや、武緒が第2小隊に復帰してから。
遊馬はかなり武緒の事を気にしている様に見えた。
どうしてだか判らない。判らないけど。
そんな風に比較されるとモヤモヤしてしまう。
気にしないようにしているのに。
少しづつ、少しづつ、野明の心の深い所に、遊馬の言葉が澱のように溜まっていく。
なぜちょっと比較された事ぐらいで、こんなに心が揺らぐのだろう。
遊馬は同僚で。バックアップとフォワードの関係で。
決して、それ以上ではない。
制服からツナギに着替えながら、もうこれ以上考えるのはよそう、と野明は思った。
227 :
ミンナノ唄:2005/06/30(木) 01:48:04 ID:EsMCQsGY
着替え終わって格納庫に向かうと、外を横切って行く遊馬の姿が目に入った。
(…さっきは言い過ぎちゃったな。あやまろう)
ワックスセットを1号機の足元に置き、野明は遊馬の後を追った。
足早に歩くその姿が、建て物の角を曲がって消える。
急いで自分も、建て物を曲がり声をかけようと息を吸い込んだ。
「…っ!…」
そこに遊馬だけではない、武緒の姿を認め、急いで野明は身を翻し壁に体を隠した。
どうして隠れてしまったんだろう。何も悪い事などしていないのに。
二人の話す声が聞こえる。なんだか小声で言い争っているみたいだ。
「……て……ないんですか?…」
「…う…ないって…じゃない…」
(何やってんだろあたし。これって立ち聞きじゃないか)
早く。…早くここから立ち去らなくちゃ。
1歩足を出し、踵を返そうとした野明の体は、次の遊馬の声に凍り付いた。
「俺には貴女が必要だ!それは貴女も同じでしょう!?」
ーーーえ?…え……?
イマ…ナンテ?…ドウイウ、イミ?
「ちゃんとルールを守れないような人と、もう寝るつもりはないわ。生理が来たから良かったようなものの…万が一の事があったらどうするつもりだったの?」
武緒の声が耳に入ったとたん。
野明の目の前から、色が消えた。
どうやって格納庫に戻ったのか覚えていない。
耳鳴りがする。足元もフワフワして、何を踏んでいるのか感覚がしなかった。
一番驚いたのは。
二人の会話を聞いて、自分がショックを受けている事だ。
どうして。
どうして。
どうして、こんなに驚いているんだろう。
遊馬は同僚で。バックアップとフォワードの関係で。
決して、それ以上ではない。それ以上ではないはずだ。
228 :
ミンナノ唄:2005/06/30(木) 01:49:13 ID:EsMCQsGY
武緒は自分より綺麗で。自分より賢くて。
どんな男の人だって、自分と武緒が並んでいたら武緒を選ぶと思う。
遊馬だってそう思った。それだけの話だ。
(かなわないもの。あたしは、おたけさんに何ひとつかなわない…)
別に今じゃ無くたって、最初からそんな事判り切っていた事だ。
なのに。
なぜこんなに、胸が張り裂けそうな程痛むのだろう。
こんな痛みはいらない。こんなココロなんていらない。
これは違う。これは違う。これは違う。
カツッ、と何か足に当たった音に見ると、ワックスセットが散乱していた。
我に返った野明は、急いで飛び散った道具をかき集めた。
今うずくまって拾い集めているのも、さっき盗み聞きしていたのも、なんて自分はみっともないんだろうか。
惨めな気分を味わいながらノロノロ立ち上がると、いきなり肩を叩かれた。
驚いて、すごい勢いで振り返るとシゲが笑っている。
「おおっ!ビックリしたぁ?泉ちゃんはエラいねぇ〜、いつもコイツの事ピッカピカにしてさぁ。好きなんだねぇ〜、コイツの事」
「あ…うん。…へへ…」
シゲが何気なく発した『好き』の言葉が胸に刺さった。
「…シゲぇ!油売ってんじゃねえ!!」
榊がハンガーの向こうから苛々した声で怒鳴る。
「おっと…じゃあね、泉ちゃん」
ポンポンと肩を叩いて、シゲは急いで榊の元へ駆け出した。
その後ろ姿を眺めながら、野明は理解した。
(……そうか。…あたし、遊馬の事、好き、だったんだ。…そうか……)
今まであえて気が付かないふりをしていたのだと気付いた。
気付かなければ、良かったのに。
229 :
ミンナノ唄:2005/06/30(木) 01:50:14 ID:EsMCQsGY
ーーーpardendosiーーー
給湯室で水の音がする。遊馬だ。
カップを洗い終えた遊馬は、野明の気配に気付き、振り返って言った。
「野明…話がある…」
そのまま、遊馬は野明の手を掴んで第2宿直室へと引っ張って行く。
「ちょ、ちょっ…、遊馬、どうしたの?止めてよ…」
強い力で掴まれた手は、振りほどこうとしてもビクともしない。
そのまま、中へと引きずり込まれた。
バタン!と荒々しく部屋のドアが閉められ、ガチャリと鍵をかける音がする。
「……野明…」
ずっと掴んでいた手を引き寄せ、遊馬は野明を強く抱きしめた。
汗が混じった遊馬の匂いを吸い込み、野明は胸が苦しくて身動き出来ない。
「…止め…止めて。…お願い、遊馬」
「嫌だ、離したくない…好きだ」
そう言って、遊馬はさらにぎゅっと抱き締めた。
「…遊馬は……遊馬は、熊耳さんが好きなんでしょ?…おタケさんを………抱いた、んでしょ?……あた、あたしじゃなくて……」
その言葉に遊馬は驚いたように身体を離し、野明をまじまじと見つめる。
その視線が痛かった。
「おまえ、一体何の話してんだ?」
「………ごめん…。聞くつもりじゃなかったんだけど…たまたま、二人で話してるトコ通りかかっちゃって…」
遊馬が鼻にしわを寄せて考え込む。
「…マジで、心当たりないんだけど。…大丈夫か野明。居眠りこいてたんじゃねえの?」
「…え…え、えぇ?……だって、ハッキリ聞いたんだよ?」
それよりもこの腕を離して欲しい、と野明は思った。
激しい動悸が苦しくて苦しくて、死んでしまいそうだ。
「…変な夢でも見てたんだろ。で?その時どう思ったんだ?」
「どう…って……」
目をそらす野明のおとがいを捉え、遊馬はその顔をまじまじと覗き込む。
遊馬の瞳の中に、戸惑った顔の自分が見える。
「少しは…嫉妬したか?ショックだったか?」
「……。……すごく…すっごく……ショック、だった、よ…」
かすれた声でそう告げると、遊馬は満足そうに野明を抱きしめた。
230 :
ミンナノ唄:2005/06/30(木) 01:51:16 ID:EsMCQsGY
「バーロー。俺の好きなのは、野明、おまえだけだ…」
目眩がしそうだ。胸が張り裂けそうなほど嬉しい。
このまま時が止まって欲しいと、心から願った。
「…愛してる。…野明、おまえが欲しい…」
そう耳元で小さく囁き、遊馬がキスをして来た。
息もつけないほど、何度も激しく唇を求められる。
そのまま、誰かがしまい忘れた布団に二人は倒れ込んだ。
「……いいの?…あたしで、いいの?」
「おまえ以外いらない…。…野明……野明…」
名前を呼ばれるたびに、耳の奥底が震える。
うわ言の様に何度も名を呼ばれ、耳に、うなじに、肩甲骨に、キスの雨。
胸をゆっくり揉まれ、野明の奥からじわじわと切ない痛みが沸き起こった。
それは快感と呼ばれる甘い疼きで。
「…っは……あ、遊馬ぁ…すき…っ好き…」
温かい重みを感じながら、泣き出しそうな声で、遊馬の身体に抱きついた。
「俺も好きだ。…ずっとおまえが欲しかった……ずっと…おまえを抱きたかった…」
もどかしげに、遊馬の指が制服を剥ぎ取っていく。
あらわになった体中をなぞられ、様々な場所にキスを落とされ、野明の身体が跳ねた。
「ん…んうっ…あ、ああぁ!…遊馬ぁ…ん、嬉し…あぅ…は、んんっ……いぃ…」
遊馬の手が下着の内側に滑り込み、野明しか知らない叢の奥をゆっくりなぞる。
自分で触れるより何倍も強い気持ち良さに、身体が揺らいだ。
『求められている』事が、より大きい幸せとなって野明の心を満たしていく。
そのまま下着も脱がされ、お互い生まれたままの姿。
「野明…いいか…」
「……ん…」
野明はふと気が付いた。
瞬きすると見なれた寮の天井。まだ室内は薄暗く、微かな時計の音がする。
231 :
ミンナノ唄:2005/06/30(木) 01:52:17 ID:EsMCQsGY
ーーーああ、夢か。
ため息をついて、ゆっくり横を向いた。大好きな伏木渡のポスターがうっすら見える。
馬鹿だなぁあたし、と野明は可笑しくなって来た。
おタケさんと遊馬の関係こそが本当で、夢はこっちの方じゃないか。
第一、野明の知ってる遊馬は、照れてしまって言えないだろう。
好きだとか、愛しているとか、そんな言葉はたぶん言わない。
(夢だもんなぁ。そら、あたしにとことん都合が良いよねぇ…)
クスリ、と笑い出したくなった。
(馬鹿みたい…馬鹿みたい。な〜にありえない夢見てるんだろ…あははっ)
肩が震えて。同室の子を起こす訳にはいかなくて。頭まで深く布団をかぶって。
野明は、声を出さずに泣いた。
ーーーpoco a pocoーーー
眠れなかった目に、太陽が黄色く輝いている。
野明は重い足でバイクのスターターをキックし、職場に向かった。
時々、一時停止線を忘れそうになったり、赤信号を無視しそうになりながら。
職場に着き、更衣室に入ると武緒がいた。
「…お、おはよう、ございます」
間の悪さに泣きたくなる。
スーツを脱いでいた武緒の体を、思わずまじまじと見つめた。
瞬間頭に浮かんだ自分の考えの卑しさに、情けなくなって来る。
「おはよう。…どうしたの?」
「…え?」
その声に慌てて視線をそらし、野明もロッカーから制服を取り出した。
「目。…腫れぼったいわよ、大丈夫?」
「あはは、な、何でもありません。何でも…」
脱ぎながら、つい横目で自分の体と比べてしまう。
232 :
ミンナノ唄:2005/06/30(木) 01:53:22 ID:EsMCQsGY
形良く膨らんだバスト、くびれたウエスト、なだらかなヒップ。
かたや自分は、ささやかな胸、メリハリのない胴、貧弱なお尻。
蝉の羽の様に繊細で綺麗な下着に、すっきりした仕立てのスーツ、コート。
何の素っ気もない実用的な下着に、シャツ、ジーンズ、ジャンパー。
何から何まで違いすぎている。
「……泉さん。これから仕事なんだから、しっかりしてね」
苦笑混じりの武緒が、着替えを終えてそう言った。
野明はまだ、私服を脱ぎかけのままだった。
何かが起きて欲しくない日に限って、出動命令がかかるものである。
『荒川区南千住汐入で事故発生!第2小隊は直ちに現地に赴き、処理にあたれ!』
特車2課が3機体制になってから初めての出動だ。
1号機のキャリアに乗り込むと、運転席にひろみがいる。
「え?なんでひろみちゃんが…」
野明は戸惑った。
この場合、通常であればひろみは3号指揮車に搭乗するはずだ。
「…あの、急な事だったので、キャリアを運転出来る人が足りないんですよ。3号指揮車は他の人でも運転出来るんですが、こちらは免許がありますから…」
確かに今回の話は急だった。そうか人員が不足なのか、と納得する。
「…泉さん、大丈夫ですか?」
発進しながら、ひろみが小さく声をかけて来た。
「え?何が?」
野明は勤めてにっこり笑った。
「目が腫れぼったいですし…なんだか、今日は無理してるんじゃないか、と思って」
ゆっくりと、遠慮した口調でひろみが言った。
答えが喉に詰まる。
制服を着て、更衣室を出てから。
勤めて明るく元気に振る舞った。そうすると少しだけ、本当に元気になれる気がした。
まだあまり、遊馬と武緒の顔をまともに見る事は出来なかったけれど。
『お前はもう少し、社会人としての落ち着きを持たんか!』
今日はそう太田に怒られたほどだったのに。
233 :
ミンナノ唄:2005/06/30(木) 01:54:38 ID:EsMCQsGY
「……ごめんなさい。僕、変な事言っちゃいましたね」
ひろみが、野明の方を気にしながらハンドルを切る。
「…ううん。大丈夫、あたし自身の問題なんだ。…あたしが解決しなきゃ」
「無理しないで下さいね。泉さんは、泉さんのままで十分なんですから」
その言葉が胸の奥をシャラシャラと鳴らした。乾いた寂しい音だ。
「…そうなのかなぁ…なんだか…なんだかなぁ〜、だよ」
上手く笑顔を作る事が出来なくなって、野明は窓に向かって呟いた。
その声はひろみに聞こえたのか、聞こえなかったのか。
ちょうどキャリアは、ゆっくりと事故現場に滑り込んだ。
事故現場はかなり大掛かりな水道工事の最中で、菱井の汎用レイバー・ヘラクレスが2機、折り重なって滑落していた。
下敷きになっている方は、片方の足が欠損し、かろうじて上になっているレイバーに折り重なる事でバランスを保っている。
折り重なり方が良かったのか奇跡的にまだ何も無かったが、下手に動かすと水道管を破損する恐れがあった。
現場は土に水が染み出して、非常に足場が悪い。
とりあえず片方を3号機、もう片方を1号機で受け持ち、2号機は上で引き上げ補助と作業分担を決め、事故処理にあたる。
1度に2機は入らないので先に3号機が入り、静かに作業が始まった。
3号機は手際良く、下になったレイバーの折れた足に鉄骨を2本添え、上の支えがなくても多少持つ状態にした。
そのまま、レイバーを支えられる特殊鋼のワイヤーを、上に重なっているヘラクレスに取り付ける。
「…OK、取り付けたわ。ゆっくり上げて頂戴」
ゆっくりゆっくり、ヘラクレスが持ち上がっていく。
下になっていた機体が、微かに揺らめいた。
急いで3号機は不安定なレイバーを片手で軽く支える。
「支え方が悪かったのかしら…泉さん、気をつけてね」
「野明、足場悪いから十分注意しろよ」
武緒と遊馬の声が、インカムから重なりあって聞こえるのが辛い。
(仕事中だぞ、しっかりしろ。余計な事考えちゃ駄目じゃないか)
234 :
ミンナノ唄:2005/06/30(木) 01:55:41 ID:EsMCQsGY
「じゃあ、行きます」
先ほど武緒が降りたのと同じルートをなぞり、ゆっくり1歩踏み出した。
その瞬間。
確かなはずだった足場は、岩ごとズルリと崩れた。
叫ぶ間もなく、3号機とヘラクレスにスライディングをかます形になり。
現場に、大きな水柱が上がった。
最悪の結果を招いてしまった。
精一杯の空元気が、卵の殻の様にペシャリとひしゃげた。
現場にはすぐマスコミ連中が駆け付けたから、夕方のニュースに大きく取り上げられるだろう。
武緒が、あれはしょうがなかったと慰めてくれた。
慰められれば慰められるほど、心がささくれていく。
太田のハッパも、進士の同情も、ひろみの視線も、隊長の言葉も、遊馬の苦笑も。
何もかもが嫌だった。
1番嫌だったのは自分自身。一体何をやっているんだ、と思うといたたまれない。
埋め立て地に戻って、誰とも顔を合わせられなくなり、濡れた制服を着替えた野明は屋上に逃げ込んだ。
ぼうっとした寝不足の頭に、2月の澄んだ冷たさが丁度似合っている。
(こんな時、いつもだったらすぐに遊馬が来てくれるのに…)
そんな事を考えてしまい、自分は何を期待しているのだろうと首を振った。
ビュウビュウと風切り音がする中で見る、青い空が目に痛い。
空を眺めていると、ふと子供の頃の思い出が浮かぶ。
キャッチボール、サッカー、鬼ごっこ、缶蹴り、凧上げ。
野明の家の近所は男の子が多かったので、自然と遊びは男の子中心で進んだ。
川の近くの大きな木の根元に穴を掘って、皆で秘密基地を作った。
そこに各々お気に入りの漫画や宝物を持ち込んだが、翌日の大雨で見事に全部流された。
皆どこかにばんそうこうが貼ってある子ばかりだった。
野明が飼っていた犬もいつも仲間と一緒で、皆に飼われているみたいだった。
たまに仮想敵にもされていたから、犬もさぞかし迷惑だった事だろう。
小さな頃は一日がとても長くて、いつも真っ暗になるまで外で遊んだ。
あの頃。どこまで走っていっても、この世に果てがなかった頃。
世界は今よりもっと濃く輝いていて、出来ない事など何も無かった。
今見上げている青い空も、あの頃と何一つ変わりはしない。
235 :
ミンナノ唄:2005/06/30(木) 01:57:34 ID:EsMCQsGY
あの頃からずっと、自分に恥かしくならない様に、いつも全力で頑張って来た筈だった。
なのに、今の自分と来たらどうだ?
周りから天才レイバー乗りなどとおだてられ、気付かぬ間に奢り高ぶっていた自分。
些細な事で動揺し、自分の感情のコントロールを制御出来ずに。
それが今回の事故を生んだのだ。
(…どうしてこんなんなっちゃったんだろう……)
今、この世で自分が1番嫌いだ。
膝を抱えて丸くなっていると、ドカスカとやって来る足音がする。
「くぉら泉!こんな所で何サボっとるんじゃ!!」
「……おおた、さん…」
顔を上げると、いつもと変わらない大田がいた。
「さっさと戻って始末書書かんか!風邪引くだろがぁっ!」
大田はいつもこうだ。
ミスをした野明を、下手に慰めたりしない。
それが太田独特の気の使い方なのだと気付いたのは、いつ頃だったろう。
でももう今日は疲れてしまって。
返事をする事も、顔の筋肉を動かす事も、もう思う様に動かせない。
「…おいっ、泉。…返事ぐらいせんかぁ!」
どうしても答えられず、膝にまた顔を埋めた。
少し沈黙があり、太田の手がポンポンと遠慮がちに触れてくる。
「……冷えきっとるじゃないか。…お前、何考えてるんだ…」
野明は答えられなかった。
「…篠原呼んで来る」
その言葉に、急いで凄く重くなった指先を上げ、太田の上着の端を掴んだ。
「何だぁ!?……どうした。いつものお前らしくもない…そんなにアレがこたえたか?」
重い頭を懸命に動かし、微かに振る事しか出来ない。
「……こんな処で落ち込んでいても、何の解決にもならんぞ」
その通りだ。
だが、もう何もしたくなかった。
「この仕事が嫌になったんなら、さっさと嫁にでも行っちまえ。お前は女なんだからな」
憮然とした口調で、大田がそう言う。
236 :
ミンナノ唄:2005/06/30(木) 01:58:46 ID:EsMCQsGY
「……無理…だよ」
「んん?」
「こんな…何の色気も…魅力もなくて……誰も……」
これ以上声に出したら泣いてしまいそうだ。
「だぁぁぁっ!女の腐ったよーな、うじうじした事言うな!」
ようやく重い頭を動かして、顔を腕に乗せ大田を見上げた。笑顔は作れなかったけれど。
野明の顔を見て太田も口を噤んだ。そのまま腕組みをして、無言で横に腰を降ろす。
海から吹く強い風が、二人の間を通り過ぎていく。
しばらくして、大田が口を開いた。
「…お前の気持ちも判らんでもない。だがな…一人で抱え込むな」
ーーー違う。違うんだ太田さん。
あたしが落ち込んでいる理由は今回のヘマじゃなくて、あたし自身の弱さが嫌で。
ポタン、ポタンと。
白いコンクリートの床に、丸い模様が幾つも染みる。
横で大田が慌てふためいている気配がした。
ガシッとヘッドロックを仕掛ける様に、頭を太田の胸に抱え込まれる。
「ばっ、ばっ!…ま、まるでっ、お、おお、俺が、泣かせたみたいじゃないかぁ〜…」
声が裏返っていた。胸がどどどん、どどどんと鳴っている。
頭に絡んでいる腕も、頬に当たる胸も、とても熱い。
そのままぎゅうっと、息が出来なくなりそうなほど強く抱き締められた。
指先が髪の毛に潜って探る様にかき回され、肩に回った手が強く引き寄せられる。
太田の匂いがする。遊馬の匂いとは違う。胸が胸が痛い。
大田の制服に、野明の涙が滲みていく。
「…な、何をしているっ!」
大声に顔を向けると、そこにはしのぶが立っていた。
驚いた大田が急いで飛びずさり、直立不動で敬礼する。
「大田巡査!貴様、ここで泉巡査に何をしていたっ!?」
「はっ!自分は、泉巡査に第2小隊室に戻れと説得していた処でありますっ!!」
その言葉に、しのぶが大田を頭の先から足先までジロリとねめつけた。
「ほう…太田巡査の説得とは、随分変わったやり口だな…」
真っ青な顔で頬を真っ赤にしながら、太田が固まっている。
237 :
ミンナノ唄:2005/06/30(木) 02:00:24 ID:EsMCQsGY
「職場は、愁嘆場を行なうには相応しくない。…判るか?」
しのぶが薄く笑いながら、太田に向かってそう言った。
「はっ!もちろんでありますっ!!」
ダラダラと太田の脂汗が止まらない。
先ほどまで深刻に悩んでいたのに、野明は今は可笑しくて笑い出したくなった。
「判ればよろしい。両名とも、持ち場に戻れ」
そのまましのぶは踵を返し、立ち去っていく。
バタンと音がしたとたん、我に返った大田が振り返った。
「す、すまん。…俺はだなぁ、そんなつもりじゃなくてだなぁ…あああっ!俺は何で、泉に言い訳なんぞしとるんだぁぁ!!…」
ギクシャクと一人で懊悩する姿を見て、少しだけ野明の心が暖まる。
しのぶに入れ代わる様に、ひろみが屋上にやって来た。
「ああ、やっぱりここでしたか。泉さん、太田さん、風邪引きますよ」
ひろみが入って来るなり、すすすすす…と、真っ赤な顔の大田が入口に後ずさる。
「山崎ぃ!泉を何とかしてやってくれ。……い、泉ぃ!…元気出せよっ!…」
だだだだだ、と転がり落ちる様な音がして、大田がいなくなった。
ひろみが野明の額に手を当て、顔色を変えた。
「泉さん、大丈夫ですか?…下に行きましょう」
その言葉に頷いて、ひろみに支えられながらゆっくり下へ降りる。
「熱があるようですから、宿直室で休みましょう。隊長には僕から言っておきますから」
その言葉を、ブラウン管の向こうから聴こえるみたいにぼんやり聞く。
第2小隊室の前を通りかかると、何かが激しくぶつかり合う音がした。
見ると、大田が遊馬に掴み掛かっている。
「…お前はバックスだろがぁ!泉の事を、ちゃんと見てやらんかぁ!!」
「子供じゃあるまいし、何でそこまで面倒見なきゃいかんのだ?そんなに見たけりゃ手前が見やがれっ!」
もつれ合う二人が机にぶつかり、湯飲みが落ちて割れる。
「ああぁ…ちょっと太田さん、止めて下さいよぉ」
おろおろしながら進士が、太田を後ろから羽交い締めにした。
「署内で私闘は厳禁ですっ!」
日誌を机に叩き付けながら、武緒が怒鳴っている。
238 :
ミンナノ唄:2005/06/30(木) 02:03:10 ID:EsMCQsGY
いつもだったら自分もあそこの輪の中にいて、まぁまぁとか、よしなよ、とか言っているんだろうな。
他人事のように室内の様子を眺めながら、霞んだ頭で野明は思った。
とたんに地面がせり上がる様な悪寒が昇り、足元がふらつく。
その目の前をひろみの巨体が遮り、背中をそっと押して来た。
「行きましょう。…見ちゃいけません」
ふと振り返ると、武緒が複雑な表情でこちらを見ている。
そのままおぼつかない足取りで宿直室に入ると、TVがつきっぱなしだった。
ざらついた画面に98式が映っている。
『…付近は一時300世帯以上の住宅が断水し、給水車が出る騒ぎとなりました。こ…』
急いでひろみがTVを止めた。
そのまま何も言わず、床を敷いて野明を寝かせる。
氷枕を用意し、寝る前に薬を飲ませてくれた。
黙ったままひろみは、布団をかけた胸元をポンポンとあやすように叩く。
そのまま野明は泥のように眠りについた。
<to be continued>
以上です。今回は色んな意味で難産でした…
うわぁ〜!! のあすま好きとしては辛いですが、話の大きさに目が離せません!
それにしても、こんなにも丁寧にキャラを砥いで磨いて、そっと慎重に自分のワールドに
配置する能力!! まのあたりにできて嬉しいです。
続き待ってます〜。
ミンナノ唄キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
太田かわいいよ太田
エロパロという枠を超えて大好きです。
複数の登場人物をここまでキャラの特色を立てながら
一つのでっかいお話を作れるって本当スゴイよなぁ…
そして久々の上官しのぶサンに胸キュソ
242 :
>218でつ:2005/07/01(金) 01:16:17 ID:+1h2zSps
大曲さん、「ミンナノ唄」お待ちしておりました。
とうとう野明と遊馬の関係にもズレが生じましたね。
エロ薄でも、ストーリー的に大いに楽しめました。
シーン的には、太田を男言葉で叱責する南雲隊長にしびれました(いつも1小の連中だけという固定観念があったので)。
PS Meも今回から、SS投稿時のみコテハン貼ることにします。理由は言うまでもないし……。
昼はカコイイ南雲隊長(;´Д`)ハァハァ
夜はエロカワイイしのぶちゃん(;´Д`)ハァハァ
すいません…間違い発見…
×「今日来たばかりの仲間の機体相手に、あまり無茶しないで下さいよ」
○「まだ新しい仲間の機体相手に、あまり無茶しないで下さいよ」
それから識者の方、御教示下さい。
1:高田さんの書いたピアス野明、ピアスの色は青の他に何かありますか?
2:アニメ版で、大田さんとひろみちゃんの過去、兄弟姉妹、警察官志望動機
に触れられているでしょうか?
触れてある場合、どんな内容でしたか?教えて下さい<m(_ _)m>
>>244 新作のお役に立てるなら…!
1:画集now or neverを見てみますと、
一枚だけ赤いピアスを着けている絵がありました。(p161-162)
あと、これはイヤリングかも分からないんですが、
有名なW隊長結婚式の絵では、白いのつけてますね。
まあ、色々と持っててもおかしくないのでは。
2:確認中…確かなかったと思うんですが。
246 :
245:2005/07/02(土) 18:25:21 ID:1Fl7KLyV
>>244 確認終了。
2:触れられてなかったです。
ざっと見ただけなので見落としあったらごめんなさい。
でも想像でカバーしちゃっていいんじゃないでしょうか。
>>245さん、本当にありがとうございます<m(_ _)m>
お陰でとても助かりました。
>>254 乙
でW隊長結婚式ってなんなんだろ。ぐぐっても皆録画ができないとか
ばっかりだw
W隊長ってもしかしてもしかしてハァハァ
W隊長のは原画展で生を見たよ。
感動だったw
2:ひろみは、
『船酔いをする体質なので漁師になれなかった』ので、警官になって『男らしくなりたかった』が志望動機のはず。
たぶん一人っ子。健康優良児に選ばれたことがある(NT誌のイラスト)。父親は故人で、母が故郷の石垣島で一人暮らしをしている(旧OVA)。
エキゾチック美人の婚約者がいる(小説)。
太田は、いわゆるところの『俺に銃を撃たせろ〜』が志望動機。元機動隊員(コミック)。
アイドルオタク。松本加奈ファンクラブ会員ナンバー001。
顔のよく似た叔母さんがいる。お見合いの相手に一目惚れしたことがある。
乙女座生まれ(テレフォンサービス)
…こんなもんか?
W隊長の絵は海外のサイトで見たような。
AKEMI TAKADAかPATLABORをイメージぐぐれ!
251 :
250:2005/07/03(日) 04:57:38 ID:1EGJ4e2Z
あと、
1:青のピアス(トルコ石)は野明の誕生石である。
以上です、おそまつ。
>>248 now or neverで高田先生が書いている結婚式のイラスト。
高田先生の公式ページから出版社サイトがリンクされているけど、そこでモノクロのラフ絵があった筈。
>>250さん、ありがとうございます<m(_ _)m>
まとめ倉庫行けなくね?
>>254 行けるには行けるけど、倉庫管理人さんからメッセージがある。
忙しいんだろうけど、今までお疲れ様。
倉庫管理人さん、今までありがとうございました。
忙しいそうですが、お身体大切になさって下さい。
今までの分を編集して下さった方、ありがとうございます。
ところで独り祭りさんの作品のその5とその6に投下された分が、収蔵されて
いませんね。
ごと×しの、ごと×のあ、ごと×くまが保管庫にないのは、とても寂しいです。
(この意見を持つのは、自分一人ではないと思うのですが・・・)
もし御本人から了解いただけるのでしたら、保管作業にチャレンジしてみますが、
いかがでしょうか?
倉庫管理人さん、お疲れ様でしたー。
>>256 独り祭りさんは以前「まとめサイトには入れないで下さい」と
仰っていたような覚えがありますよん。
>256さん
保管庫の継続をされるんでしたら、消してほしい物があるんですが…。
後、>257さんが言っていたように独りさんは保管庫作成当時、ここのスレで自分の話は入れないで欲しいとおっしゃってました。
259 :
242:2005/07/05(火) 22:18:01 ID:Y6cE96q2
倉庫番さん、どうも御苦労様でした。
>256さん、よろしければ管理ぜひともお願いします。
>>257-258 ありゃりゃ?
過去ログで読んでいて、
収蔵を拒否したい作品と、収蔵してもOKな作品があるんだなぁ・・・
と思っていたのですが、自分の読解不足だったのでしょうか(汗)
だとしたら無駄にお騒がせして、皆様申し訳ない orz
とりあえず今、編集作業のFAQ読んでます。
偉そうに言ってて、うまく出来なかったらすいません。
261 :
256:2005/07/06(水) 02:24:45 ID:z+JVlpCd
ナツさんの「あたしのアンドロイド君IV」と、
大曲さんの「ミンナノ唄(泉野明の唄)」を更新してみました。
不都合ありましたらお知らせ下さい。
なお、責任を誰かに押しつけたいのではありませんが、倉庫前管理人さんが、
「ご自由に編集・削除してください。」と発言なさっておられるのは6月26日です。
その後、27〜28日に更新して下さった方がおられます。
その方を差し置いて私が新管理人かのごとくふるまうのは、心苦しいというのが
正直な感想です。
ちょっと個人的事情によりフリメを取得出来ない事もあり、更新のお手伝いは
時間があったらさせていただきたいですが、新管理人は辞退させて下さい。
263 :
256:2005/07/06(水) 18:23:22 ID:z+JVlpCd
独り祭りさんの過去発言、確認しました。
ちゃんと読んでなくてごめんなさい・・・orz
>>258 やり方何とか理解しましたので、消したい物を教えて下さい。
他の方も直して欲しいなどありましたら、教えていただければ時間がある時に
お手伝いしたいと思います。
256さん、更新ありがとうございました☆
保管庫作業に携わって頂いた方々、お疲れ様でした。
アーンド 書き手として感謝です。ありがとうございます
お手伝いしたいけどPCスキルがあまりないので
見てるだけで申し訳ない(´・ω・`)
266 :
ちょっぷ −:2005/07/07(木) 22:25:19 ID:NUEEAWRE
ええと、前のの続きでナイ、のあすまでナイ、以上2点お含み置きを。
「なんで、拒まないの?」
今日何度目かの囁きが風杜の口から漏れる。それでも彼女はそれには答えない。触れられたことに
よって生じる、甘い吐息をつくばかりで。
重ねるだけのキスをした時も、レースのカーディガンに手をかけた時も、キャミソールのストラッ
プを肩からはずした時も。
どころか。彼のタイに指をからめ、彼女は自分からそっとそれをはずした。
ワイシャツを脱いだ彼の胸元に鼻を埋め、抱きしめられるまま彼女はずっと身じろぎせずにいた。
何故。
好きな女。手に入れたかった女。でも彼女にはこれまでずっと風杜にとっては鬱陶しいお目付け役
がついていて。その状況を、彼女は受け入れているように彼には見えていて。
今回も、誘ったところで拒否されると思っていたのに。
ついて来た。それも、食事だけでなく、冗談半分で誘った彼の部屋まで。
ほぼ半裸の状態でベッドに座った風杜は、彼女を膝の上に乗せている。肩先や首筋、シャンプーの
匂いのする髪に唇を寄せるたびに、服ごしに胸を愛撫するたびに控えめな、でも甘い声がくちびる
からこぼれ出し…拒まれては、いない気がする。
267 :
ちょっぷ −:2005/07/07(木) 22:26:30 ID:NUEEAWRE
でも、本当に?
風杜に、そんな思いがよぎる。彼は、窓のほうを見ながら彼に身を任せている彼女の顔を、両手で
そっと包むようにして己に向かせた。
「…泉ちゃん…。おれ、で、いいの?…君は……篠…」
その後の言葉は言えない。彼女のやわらかな唇にふさがれて。
啄ばむように、そっと彼女は風杜の唇を何度もつついた。反射的に彼女の背に腕を回す。どうして
も、離したくなくて。
「あたしは、貴方といたくて、この部屋に来たんです。…それで…充分…ですよ…ね…?」
かすれた、震える声。アナタトイタイ。そのことばが風杜の自制心を壊した。まだ間近にあった唇
に深く口付け、口中を強引に味わう。彼女を膝から抱き降ろすと、華奢な肩を自分の匂いのする
シーツに押し付ける。
「おれと一緒に寝てくれるの? 今夜…」
上に圧し掛かったまま尋ねると、目を閉じた彼女はちいさな声で呟いた。
「…風杜さんと…いたいんです…。」
「もういいよ、それ以上言ってくれなくても…。」
そっと触れるみたいなキスを何度かする。もし、これ以上彼女のくちびるが動きだすとしたら、風
杜は自分の聴きたくない言葉をたくさん聞いてしまうような気がした。
淋しさの埋め合わせに、つかわれているのかもしれない。
仮にそうだとしても風杜は、今自分の腕の中にいる彼女を、どうしても離せそうになかった。
仮に仮に、ほんとうにそうだとしても、自分といたいという彼女に今は騙されたかった。
唇を奪い、歯列を舌でたどる。舌が絡まりあう音が口の中でひびく。
手探りで彼女のキャミソールのボタンをはずし、ひじまで下がっていたストラップを腕から抜いた。
背中に手を入れてブラジャーも取る。胸どうしが、じかにふれあう。起こり得るはずもないと思っ
ていた状況。それが今、確実に自分の腕のなかに在って、軽くめまいがしそうだった。
268 :
ちょっぷ −:2005/07/07(木) 22:27:51 ID:NUEEAWRE
たしかにそれは今、風杜の腕の中にある。耳たぶと首筋が弱くて、吐息を吹きかけたり軽く歯を立
てたりしようものなら、とろけそうな声をあげて。
彼の手には少し小さいけれど、形のよい乳房、その上の、ピンク色の突起。そっともみしだくと、
控えめにあがる、悦びの声。
乳首に歯を立てたり、舌先でころがしたりすると、風杜の背にまわされたちいさな手が、お返しの
ように爪を立てる。それによってもたらされる、疼きみたいな痛みすらいとおしくて。
ぜんぶ、自分だけのものにしてしまいたい。誰にも、勿論あいつにも、絶対渡したくない。
そっと、脚の間に指をのばす。さして抗われもせずに開いたそこは、自分を求めているかのように
しっとりと潤っていた。
「………!」
敏感なところに指をはわすと、背筋がぴくん!と震える。それでも拒絶されるわけではなく、続き
を促すように手のひらが頭に移り、そっとかきまわされた。
多分。
それは彼女に触れたことのある男の痕跡なのだろう。そうされることによる快感は確かにあるが、
それ以上に嫉妬心が頭をもたげてくる。
こうやって髪をかきまわしてやると、あいつはどうやって君を気持ちよくさせるんだい?
……その言葉を飲み込むように、風杜は彼女の敏感な、ちいさな突起を甘噛みした。
「……はぁぁぁ……ん……あ…っ」
彼女があげる甘い声。快感と、もっと続きをしてほしいという意思表示。媚び。女ならほぼ誰でも
することだが、それを彼女に教え込んだのがあいつだという考えが、風杜の頭から離れない。執拗
にそこを歯で責め、彼女にもっと眉根を寄せさせる。逃れようともがく上体を腕でおさえこむ。
「……そん…っ……な…っに……噛んじゃ……いやぁっ……」
「でも、気持ちいいんでしょ? 泉ちゃん。すごく、濡れてるけど…」
「…いわないで……。」
だらだらこぼれてくる愛液を吸い上げる。涙みたいな味だ、という浮かんでしまった考えを投げ捨
てる。
∧_∧ +
(0゜・∀・) ワクワクテカテカ
(0゜∪ ∪ +
と__)__) +
270 :
ちょっぷ −:2005/07/07(木) 23:19:17 ID:NUEEAWRE
「そんなに暴れないでくれたら、もっと気持ちいいコト、してあげられるんだけど…して欲し
い?」
「…………。」
無言なのは肯定。わかっているけれど風杜は、それを彼女の口から言わせたかった。
「……して欲しくないの? いってくれなくちゃ、わからない。」
「………して…。」
「……何を?」
焦らすように口をすこし離し、陰唇のふちを舌先でつ、とたどる。いちばん触れて欲しいところに
は触れてあげない。風杜は眼だけ上げて媚態を浮かべている彼女の顔をちらと眺める。
「どうしてあげると君が気持ちがいいのか、教えてもらわなくちゃわからない。」
「……いじ…わる。」
「悪いかも、ね。」
指先で陰唇をひらく。触れそうで触れない舌先、撫でそうで撫でない指先。もどかしさを彼女にた
めこませるように、玩ぶように、揶うように吐息を吹きかける。
「もっと……ちゃん…と…」
「ちゃんと、何?」
陰唇にかるく歯を立てる。彼女の背中がぴくん!と跳ねた。
「…さわっ……てぇ……。」
「どうやって?」
刷くようにするり、と花芯以外のところを舌で撫でる。くっ、と彼女の喉が鳴った。
「……それ…じゃ…嫌ぁっ……。もっと……なか……まで…」
「中までなに、中まで何を、どうして欲しいの。」
充分に、感じさせてあげない。懇願しないと許してあげない。自分の中にあるどろどろしたものが、
染み出てきているような気がする。
「……あ…あんっ……なか…まで……指………入れて……」
271 :
ちょっぷ −:2005/07/07(木) 23:23:02 ID:NUEEAWRE
彼女はおなかのあたりに伸ばされていた風杜の右手を両手で掴む。拘束のかるくなった上体を起こ
し、彼の中指をいとおしげに口に含む。
「……こう……。」
「………!」
中指が熱い舌に絡め取られる。翻弄される。関節のきわまでむしゃぶるように舐められ吸われる。
指先を咥え込まれているだけなのに、それが股間を吸われているかのような錯覚を与える。
「い……いずみ…ちゃん……」
「コレ……でも………駄目?」
うっかり甘えているとイニシアチブを取られる。風杜はそう思うと彼女の口からその中指を抜き、
それをぐっ、と彼女の割れ目にあてがった。
「あ……あんっ……あ……。そ…れ……」
「ごほうび。」
くちゅくちゅと、わざと音がするようにかきまわす。湿った音が室内に響き、彼女のため息がそれ
に重なる。手のひらが愛液でじっとりと湿ってきた。
「……い……いいっ……の……ああっ……かざもり……さん……」
「…おれとあいつと……どっちが気持ちいい?」
うすく笑みを浮かべて、風杜は彼女に尋ねる。快感に悶えながらも彼女の表情には、瞬間冷静さが
差した。
「……いや……」
「どっち。」
272 :
ちょっぷ −:2005/07/07(木) 23:24:35 ID:NUEEAWRE
「……嫌ぁ……っ。くっ……ああ……嫌っ……」
「教えて。篠原と寝るときとおれに抱かれてるのと、どっちが。」
指先を、細かく鋭く動かす。彼女の中が徐々にきつくしまってくる。彼女は自分の唇を自分の舌で
舐め…、無意識に他にほしいものがあると、懸命に訴えてくる。
「……だ…め……」
唾液で濡れた唇。なまめかしくぬめって。必死にそれにくらいつきたい衝動と闘う。ここで貪って
しまったら彼女の言いなりになる。彼女を下に組み敷くように、冷静な部分の螺子が飛ばないよう
につとめる。
「教えてくれないと、あげない。君のいまいちばん欲しいもの。」
指を抜く。じゅぶっ、と音がして愛液が風杜の指から糸を引いた。
「……え。」
「しないよ。」
彼女が風杜の首に腕を回す。上目遣いに彼を見上げ、責めるような目で彼を見据えた。
「……し……て…。お願い。このままなんて……いや…。」
「答えなきゃ、してあげない。おれと篠原と、どっちに抱かれたいのか。」
「………………。」彼女がちいさく息を呑む。
「そんなに、篠原が、いいの?」
ためらい、のみこみ、ねがい、欲求。何かが彼女の顔の上をたくさんよぎっていくのが彼には見え
た気がした。
刹那、つぶやきが聞こえる。
「何?」
「……が。」
「きこえない。」
「……かざもり…さん…が……いい……。」消え入りそうなちいさな声で、彼女は呟く。
聞こえた。聞こえたけれど彼女からもっときちんと、あいつの影を拭い去りたかった。
「もういちど、言って。もっと、ちゃんと。」
彼女を…泉 野明をもういちどベッドに押し倒しながら、彼は彼女の耳元で囁いた。
「……風杜さんが……いい。」
「いい子だ。」
唇をかさね、深く深く貪る。そして風杜は自分の我儘を、彼女の中に貫いた。
[了]
273 :
ちょっぷ :2005/07/07(木) 23:28:59 ID:NUEEAWRE
えーと、更に足すと。おまけがナイ 更に需要まで多分、ナイ…。
途中でデータ飛ばしたと思い込んでパニック起こしたし…。
ってーわけでおいら、逃走します。ずどどどどどど〜っ(自棄)!!
GJ!!!!
大丈夫、需要あるよ。
わがまま言えば、入れた後の最後まで読みたかった・・・(つд`)
遊馬に嫉妬しながらも行動をする風杜(・∀・)イイ!!
GJGJGJ
ちょっぷさん乙。
風杜が野明を言葉と指で責めるのに興奮しまつた。
普通なら最後まで書くところを寸止めで終わりにしたところも斬新。
読み手としてはおあずけを食った感じだが、こういうのも悪くない。
絵板の挿し絵が…GJ!!!!
>277
漏れも見たが、ヤバイ、ヤバイほどイイ。
漏れもお絵描きできればなぁ……。
SSは現在執筆中。前回とは違い、まとめてup予定なので、少しまだ掛かると思います。
(^O^)/待つてるよ
だれかれということじゃなく、このスレッド全体が凄すぎる
そろそろ9月まではsage進行で…と、そっとつぶやいてみる。
sage進行なのは無問題なんだが、何故9月まで?
教えてエロい人。
>>283 長きに渡る夏休みの始まりさ…。しかしこのスレあまり影響受けないのと違いますか?
厨房どもが究極超人Rとかパトレイバーとか知ってるか微妙だし。…だからといってageる事もありませんけど。
たまにわくから油断は出来ないけど、職人さんも夏祭り控えているから9月までかとも思った。
夏祭りに、本を出す人いるのかな。
一般サイトさんで出す方はここで話題にするのは駄目だけど、
サイトをしていない、告知していないサークルで本を出していたっていう情報も少ないですね。
287 :
284:2005/07/21(木) 13:49:18 ID:GjN3+Eqo
なるほど、そういう理由ですか。
教えてくれた皆さん ♪♪♪ d(`Д´)b♪♪♪サンキュ
厨房来るからsageろってのも変だな。
夏休みで、普段は目にしない人が見やすくなるなら、荒らしや厨房以外に
ふつうに好きな人が目にする確率も増えるってことじゃん。
新しい書き手だっているかもしれない。
自分は既に知ってて見てるからって、そりゃエゴだよ。
一応sageとくけど、あんまり納得できない
好きな人は目に付かないここでも見つけ出すよ。
荒れる可能性を極力作らない方がいいと思う。
エゴと言われようとも。
新しい住人に恵まれる希望よりも、たちの悪すぎる夏厨が現れる現実。
絵板の職人さんGJ!!
大変かわいらしゅうございます。
あそこはいい絵が多いけど、贅沢言えば画像が小さいものしか描けないのと
手持ちのデータの「投稿」はできないんだよね?
それはもったいない気がするな・・・もし容量に余裕があったら、
もっと精密で大きな絵をかける人もいるだろうに。
それから、もし投稿可能なら俺も手持ちのコレクションを
うPできるんだけど。
手持ちデータの投稿できると勝手に思ってたけど、できなかったのか?
教えて絵描きさん。
>>292 保管所にあったんだよ。
使われてなかったし、なくなったみたいだけど。
自分もちょうど同じように手元データ投稿できたらなと思ってたとこです。
話の途中ですが、小ネタ投下
出動もなく穏やかに一日が過ぎようとしている。
待機任務である遊馬は時間を持て余しふらふらと廊下をうろついていたが、給湯室から賑やかな話し声が聞こえたために、その歩みを止めた。
「えー、知らなかった。南雲さんもそうなんですか?」
「そうなのよ」
声の主は野明と南雲らしい。南雲が隊長の勤務時間を過ぎても帰宅しないことはさほど珍しいことではないが、この二人が何やら気さくに話をしていることに強い興味を覚え、その場に立ち止まり聞き耳を立てていた。
(にしても、随分楽しそうに話てるな。野明のやつ『南雲さんって、こわくて話しにくい』って言っていたくせに)
声の調子からすると野明が南雲から注意をうけているわけではないらしいし、格段深刻そうでもない。
「どうすればうまく立つのかしら」
「強くしごいちゃ、だめですよね」
「もう、泉さんったら。当たり前でしょ、デリケートな部分なんだから」
しかも、二人のほかに熊耳もいるらしい。さすが第2小隊の学級委員。野明に諭すように話している。
更に珍しいこともあるもので、南雲が何やら相談事を持ちかけているらしいことが会話から理解できた。
(立つって・・・・・イングラムのことか?)
足回りが弱いことは以前隊長や榊などから指摘され、メーカーである篠原重工でも改良にあたっている。第1小隊のパイソンは足回りがどうのなどどいう以前の問題をもつ代物だ。しかも野明がいうように「しごく」などということはイングラムに限って言えば全く関係ない動作だ。
給湯室の入り口近くの壁に腕を組んだまま背中を凭れていると数メートル先に進士と太田の姿を見つけた。
口元に人差し指を立て『静かに!』と目で合図する。
『どうしたんです?遊馬さん』
給湯室の手前で立ち止まると、察するのが早い進士が小声で尋ねた。
『実は・・・』
わけがわからない・・・といった風の太田も加えながら遊馬は、珍しく女3人が親しげに話をしていることとそれが何についての話なのか疑問に思っていることを伝えた。
『なんだと思う?』
『うまく立たせたいのはそりゃ、銃身だろ』
『は?銃身は立つともしごくとも言うか?しかも野明がそうそう銃の話しないぜ。常に銃で頭がいっぱいのお前じゃあるまいし』
『・・・ふん。人が親切に考えてやれば。なら直接聞けばよかろう』
『ばか、南雲さんがいるのにこの会話に入れるかって』
「ちゃんと立ってほしいけど、私は太さも大事だな」
あはは・・・と笑い声混じりに野明が声が聞こえてきて3人は中の会話に耳を澄ませる。
「若い子は、そうよね。泉さんなら太い方が好きそう」
「南雲さんは?」
「長い方・・・かしら。そういえば、後藤さんって結構長いのよね」
「そうなんですか?隊長が??知らなかった・・・・・。あ、熊耳さんはどっちが好きですか?太い方と長い方?」
「そうね・・・選べないわね。両方とも大事ですもの」
「熊耳さん、よくばりー!」
「そうよ、女は欲張りでなきゃ。ね、南雲隊長」
「ふふ。話は聞いてみないとわからないものね」
『わかりました!』
急に進士が小さく手を打った。
『本当か?』
『おう、なんだ。進士。早く教えろ』
ぱぁっと明るい顔になった二人を下から見上げるようにして、進士はにたにた笑う。
『やだな、二人とも。こんなこともわからないなんて』
『え、なんだよ』
眼鏡をクイ、と人差し指で上げると声のトーンを更に下げて答えた。
『・・・・・・・ナニの話ですよ』
『『は?』』
『二人とも独身ですからわからないでしょうがね。長さと太さ、どちらが女性にとって大事か。しかも南雲さんは「立たない」と言っている。・・・ここまで言えば、わかるでしょ?』
二課で唯一の妻帯者である進士の自信たっぷりな回答に思わず遊馬も太田も納得するだけだった。
『と言うことは、のっ野明は太い方が好きだと』
『そして、巡査部長殿は両方兼ね備えているのが大事だと』
『そういうことでしょうね』
給湯室でこんな会話をあけっぴろげにしているところに女の恐ろしさを感じ、太田と遊馬は身震いした。
「でもね、この間まではうまくできたのよ。ちゃんと弓なりにすっと立って」
そして一番気になるのは南雲の発言だった。
『これって・・・どう考えても、南雲さんが後藤隊長のナニを立たせてるって話だよな』
『ええ。さっき「後藤隊長のは長い」って言ってましたし』
「そうだわ、南雲隊長。ゴム、代えてみたらかがですか?」
「ゴム?」
「今まで同じものしか使っていないんじゃありませんか?代えると全然違いますよ。いいのあるんで、お貸ししましょうか?」
「そうなの、ありがとう。助かるわ」
いくら学級委員とはいえ、そちらのアドバイスまでさらりと言ってしまう熊耳の言葉に耳を疑っていると、南雲が給湯室から出てくる気配がして、3人は何事もなかったかのようにその場を通り過ぎ、気づかれないように南雲の後姿を目で追った。
遊馬の脳裏に南雲が後藤に奉仕している姿がリアルに浮かび、いけない妄想を断ち切るために頭を振った。すると同じように頭を振っている太田の姿が目に入り、そのまま目で会話をした。
『『後藤隊長・・・長いのか』』
別の日
後藤がトイレに入ると、後を追うようにして遊馬と太田がくっついてきた。
後藤を中心に両側を挟むようにして二人は立った。
用を足していると何やら両方から強い視線を感じる。
「なんだよ、気持ち悪いな」
困った顔をしながら、困ったような口調で二人に訴える。
「や、別に」
「気のせいでしょう。隊長」
「そうかなぁ」
3人がトイレから出ると、手にポーチをもった南雲がいて、同じくトイレから出てきた熊耳に声を掛けた。
「熊耳さん、この間はありがとう。使い勝手よかったわ」
「うまくいきました?」
「ゴムを替えただけでもすいぶんきちんと立ちあがるようになったわ。でも新しいビューラー、買うことにしたの。以前のは随分使ったから」
「そうですか。いつでもまた言ってください」
「ありがとう。でも熊耳さんって本当に両方兼ね備えた睫毛ね。太さも長さもきれいにそろってて」
「目が小さいんで、苦肉の策なんですよ。これでも」
「若い子はいいわね。化粧栄えもして。・・・・・・・じゃ、ありがとう」
「な、篠原」
太田が遊馬の方を見向きもせずにたずねる。
「ああ」
「この間って・・・」
遊馬がちらりと太田を見ると太い眉毛がぴくぴく動いているのがわかった。同調するように遊馬は答えた。
「ああ、睫毛の話だったのか・・・・・・・・」
お邪魔しました〜。
面白かったっすw
GJ!!
めっちゃ笑いました!!!!
オチが睫毛とはw
面白かったです〜!
読みながらオチを真剣に考えたよw
職人さんGJでした!
GJ!!
後藤隊長のトイレのくだりに笑いましたw
女子も結構大変なんだなぁ…
>>296 すいません、お伺いかけずに保管庫に収蔵しちまいました。
駄目だったらサクッと削除しますんで、言って下さい。
素晴らしい……。こういうネタで笑わす話も好きです。
素直に笑ったw
書きなれてますね〜GJ
誰か2課で乱交とか書いてくんないかなぁ〜。
小ネタ投下した296です。
エロじゃなかったのに、温かい言葉たくさん頂いて・・・幸せ者です。
読んでくださってありがとうございます。
306様>
仕事、早いですね。
ぜんぜん駄目じゃないです。ありがとうございますっ。
小ネタ、最高でした。GJです!
313 :
名無しさん@ピンキー:2005/08/09(火) 02:45:08 ID:4RpLlzMU
かなり下の方に落ちてるのであげさせてー。
>>296 げらげら馬鹿わらいしてしまいましたー。すんばらしい。
ありがとうございまーす♪
暑くてイライラしてた中で
久々に爽やかに笑ってしまいました、GJ!!
♪落ちないでマドンナ〜
夏祭り行った人、本ありました?
ある程度、出しているところ(健全本)は知っているけどエロパロはあるんだろうか…。
まあ3日目にはないでしょうね
ん〜〜…書けない…すすまない…てわけで保守
夏祭り
新刊じゃなかったけど
のあがかぬかといろいろしたりされたり
くまがみがいろいろなひとにいろいろされている本はあった
書名おしえてくだすい
買ってないので書名は不明 3日目のゲーム系のとこ
しのぶさんは出ていなかった
買わなかった理由は全員が爆乳だったから
パトレイバーキャラはゆうきまさみの描く乳がいい
なまなましくて
あー、たしかに爆乳な野明はすでに野明じゃないよな
野明のお胸のサイズって結局いくつなんだろう?
チケマガCDドラマだとAじゃサイズが合ってない
(つまりBってこと?)って香貫花に言われてたような
気がするけど。
個人的にもBくらいがいいな、と。
ほとんどぺったん、ナイ乳だと思う
公式ではB=79 W=58 H=82。
「パトレイバーすちゃらか寄席」で大戸島さんごが
「でもAカップでしょ」とバラしていたりする。
公式ではBか!よし。
まぁ胸がない云々〜以前に
全体的に体の作りが細くて小さいんだろうね。
野明はそこがまた可愛いんだけど。
さんごと野明、どっちが貧・・・ うわ!なにをすr くぁswdgふじこl;@:
僅差でさんごのほうが貧乳・・・だったっけ?
さんごはこれから成長するかn…うわ!なにをすr くぁwせdrftgyふじこ;@:
いや、野明だって!
身長(骨格)は無理でも胸はまだ可能性が!
でもやっぱり貧乳の野明が好き
後藤×熊耳いいなー。
エロイ神様が投下してくれないかなー。
と、最近スレが寂しいので独り言
あすま×熊の不安定さも最近好きさー
後藤×熊耳はお互い大切な人を亡くした者同士ってのが
いいよなぁと書けないなりに妄想
自分的には
遊馬×熊もありだな と
あと
遊馬×熊で
一人ワタワタする遊馬と
落ち着いた女性陣もみてみたい
336 :
匿名希望:2005/09/07(水) 00:26:58 ID:8BUu4Yjg
すいません、筆が進まないので場つなぎの小ネタ投下します。
微エロ、微スカ、収蔵不可でお願いします。
ある朝目覚めると、俺は泉になっていた。
どわぁぁぁっ!!と叫んで鏡の前から飛びずさる。
手をしげしげ見るがいつもの自分の手にあらず、ちっちゃな桜色の爪がついている華奢な指先が目の前にあった。
急いで頬をつねる。痛い。
胸を掴むとささやかながらもむにゅっとした感触がある。
急いで股間に手を突っ込んだ。
「………な、無いぃぃ〜〜〜っっ!!!!!!!」
寮に女の悲鳴がこだました。
不機嫌そうな篠原が、すごい勢いで部屋に怒鳴り込んで来た。
「朝っぱらからうるさいぞ、太田!!…っの、野明ぁ!?」
震える指で人を指差し、水槽から出た金魚の様に口をパクパクさせている。
あまり騒がれても困るので、急いで俺は篠原の口を塞ぎ部屋に引きずり込んだ。
「静かにしろ!…俺だ、太田功だ。あまり騒ぐなよ、篠原」
いつもと頭の位置が違って、頭を押さえ込むのも感じが違う。
…俺は本当に泉になっちまったのか?夢なら早く覚めてくれい。
「冗談よせ、野明!4月バカは4月にやれよっ」
「言うに事欠いて、バカとはなんだ!バカとはっっ!!」
「うるせえ!なんでココにいて、よりにもよって太田の下着なんぞ着てやがるんだぁ!!」
その言葉にハッと自分の姿を見ると、いつも通りのランニングにシマパン。
普段泉がしている格好とさほど変わりはないが、微妙な違和感がある。
「やかましいっ!俺だって、なんでこんな事になっとるのか理由が知りたいわぁっ!」
押さえ込んだまま、ぐいっと頭をヘッドロックで締め上げると、篠原が焦って叫んだ。
「わ〜〜〜、バカバカッ!野明、脇っ!脇から乳はみ出とるぞ、おまえ!!」
ん?と自分の胸元を確認する。
ランニングの脇から微乳がはみ出して、薄桃色の乳首が篠原の頬にくっついていた。
(こ〜んなささやかな乳で真っ赤になるとは、篠原も修行が足りんな)
自分がこの立場になった場合を棚に上げ、俺はそう思った。
「ふんっ!貧相な乳だな。お前こんなんで興奮出来るのか?ほれ」
とランニングをガバッと捲り上げ、篠原にサービスしてやる。
自分の体だと思うと、存外恥ずかしさは湧かない。
「わ〜〜〜〜〜〜〜〜っっっっ!!!」
真っ青な顔をした篠原が、急いでランニングを元通りに下げる。
「お、おまえ…野明じゃねえなっ!?」
こめかみが青、頬が赤とゆう、世にも珍しい顔色で篠原が詰問する。
「だぁ〜から、始めからそう言っておろうがっ!!」
俺は握りこぶしで思いっきり頭をどついた。
「いだだだだ…」
蹲った篠原を尻目に俺は廊下に出ようとしたが、はしっ!と足首を掴まれた。
「ばっ!おまっ!その格好で廊下出る奴があるか!!」
「ええいっ、放せ!モレるっ!」
あまりの展開に忘れていたが、さっきから行きたかったんだ。
「せめて着替えてから行け。体は野明なんだからな!」
むむう。面倒だが仕方あるまい。
急いで俺は手近にあったシャツとトレパンを着た。
泉は小柄なせいか、俺の衣服は大きめでだぶつく。
『これでいいだろ』とばかりに上目遣いで睨み付けたら、なぜか篠原が赤くなった。
…気持ち悪い奴だな。
「まてまて!頭を何かで隠せ!顔を誰かに見られたらマズイ…」
しょうがなく、俺は『魚が好きっ!釜石水産』と書かれた手ぬぐいでほっかむりした。
なぜか篠原が俺の先に立ってドアを開け、辺りを伺う。
『…大丈夫だ。行くぞ…』
何で俺のトイレにこいつがついて来るのか判らんが、面倒な騒ぎになるのは俺も困る上、今にも防波堤が決壊しそうなので、しぶしぶ後についた。
たった5mの共同トイレが、今日はやけに遠く感じる。
篠原の先導のお陰で、なんとか寮の人間に見られる事なく、トイレの個室に収まった。
……が。
『篠原っ!キサマ何故個室に一緒に入るっ!!』
ひそひそ声で俺は抗議した。
『バーロー!オメーに野明の大事な部分を見せる訳にはイカンだろがぁ!!』
ムキになって篠原が叫んだ。キサマは変態かぁっ!
『今は非常事態だ!ンな事言ってる場合じゃないんじゃい!!』
ももも、もれる、もれるっっ!!
『いいから目隠ししてシロ!俺が拭いてやるからっ!』
ああああっ!ももももも、もう一秒も待てない〜〜〜〜っっ…っ!!!!!
俺はままよ!と勢い良くトレパンとパンツを下げ、至近距離で見つめる視線を肌に感じながら放尿した。
すかさずサッと、篠原が俺の目を手ぬぐいで覆う。
ずっと我慢していたので、なかなか止まらなかった。
『…はぁ〜〜…スッキリした。おい篠原、さっさと拭いてさっさと出ろ』
『……拭きやすいように大きく開けよ、野明…』
…気のせいだろうか、篠原の息遣いが粗いのは。
目かくしを取ろうとした俺の手を、篠原が引っ掴んでひとまとめした。おいおいおい!
『篠原ぁ!俺は太田だっつっとろーが!!』
『うるせえ!タマにゃ、ちょっとぐれーイイだろーがっ!』
暴れようとしても、壁に肘が当たる程度でビクともしない。
泉ぃ!キサマ日頃の鍛練が足らんぞぉ!!
とここで呪ってみたが返事はない。
と油断していたら、首筋に生暖かい湿った感触がした。
「ばっ!止めろ…っ!俺にはホモの趣味はないわ!」
手がシャツの下から侵入し、胸元をまさぐる。
ぞくぞくと、胸から電流が全身に広がった。
う…わぁっ!…な、なんだこの感触は…っ!
「…先に拭いてやるよ野明…ホラ、足をここにかけて、股を大きく開いて…」
そう言いながら、篠原は俺の脚を片足づつ引っ掴んで便座に乗せた。
俗に言うM字開脚って奴だ。
畜生!俺はな、篠原!M字開脚を見るのは好きだが、自分でするのは好きじゃないぞ!
く……屈辱だ。
そりゃあ、泉が目隠しで大股開かされてる図は、ちょっとクルもんがあるかもしれん。
だがな〜、自分で見れないんじゃ意味がないだろ〜がっ!
カラカラと便所紙を取る音がして、股間に乾いた紙が触れた。
「野明…お前、濡れてるぞ…」
「ばーろー、そりゃあションベンじゃいっ!篠原、いい加減目を覚ませ!」
「毒食えば皿までだ…こーなったら最後までヤラせてくれ…」
「……ひぃぃいぃぃぃぃいぃぃぃぃぃぃぃ〜〜〜〜〜っ!!!!!」
太田は自分の叫び声で、汗みずくになって目覚めた。
その日一日、太田は決して遊馬の傍には近寄らなかったらしい。
(おわり)
わーー!!
スゲー面白かったです!
ニヤニヤしながら読みました。
シチュ(トイレ)は萌えるのに大田さんの顔がチラついて
笑ってしまうスゴイ作品でした。
またの投下を心よりお待ちしています〜!
こ−ゆ−小ネタ大好きだ(・∀・)
太田GJ
げらげら笑ったー。
太田さんお気の毒。合掌。ちーん。
すげーw
笑わせてもらいました。
知らない間に小ネタが!
グッジョブ!!
遊馬野明ネタでちと質問なんですが
公式で遊馬に昔彼女がいたような描写ってでてましたっけ?
こちらの投下されてるネタを読ませてもらってると
遊馬が非童貞で野明が処女っぽい設定がフォーマットに
なってるような気がしたんで
自分の知らない公式設定があったんかなーと…
昔、パトレイバーテレフォンサービスのクイズの問題に
「遊馬は童貞である・・・・・・・答え:×」というのがあったけか。
アニメだかOVAで、遊馬に元カノっぽい人が出てる回あったよね?
遊馬が童貞だったら嫌だなァ(´Д`)
遊馬野明書いたことがある者ですが。
そのほうが書きやすいからと、↑のテレフォンサービスの回答を
聞いたことがあったからそうしました。
あとは、ヤローであのトシで知らないのは問題もあろう?というのも(汗)。
テレフォンサービス知らなかった・・・
その「答え ×」のあと、理由というか何か説明はなかったんですか?
>>345の質問をした者です。
遊馬の場合、性格もルックスも特に問題なくて
あの年齢の健全な男子だったら…
まぁ過去に彼女くらいいたよなーと
何となく思ってただけでして
テレフォンサービスの話は初耳でした。
回答ありがとうございます。
自分も「答え ×」の後に何かフォロー入ったのかどうか
気になりますw
351 :
名無しさん@ピンキー:2005/09/12(月) 03:08:39 ID:b6OGY0Kz
あとあれだね、アニメの公式設定で「昔女の子で酷い目にあったらしいが
くわしいことはわからない」となってるし、漫画の1巻でも
「隊長、女はわからないですよ!」と口走って
野明が「なにかあったんだ、何かあったんだ!」ってつっこまれてるし
きっと、年上のおねぇさまに遊ばれちゃったんだ
一応篠原重工のボンだし
>>347 NEW OVAシリーズの第14話「雪のロンド」じゃなかったけ。
高田先生のイラストにもあったような。(ちょっと若い南雲隊長にも見える)
>>357 雪のロンドに出てくる加嶋は別に遊馬の元カノではないような。
遊馬とはあんまり話したことなかった、と加嶋本人が言ってなかった?
お互い気になってる感じはあったけど。
しかしテレフォンサービスの童貞否定ネタは私も知らんかったorz
雪のロンドの加嶋は確かにつきあってはいなかったよ(DVD確認済)
お互い好きだったけど遊馬の照れ屋病が災いした模様ですw>あまり話した事ない
童貞の遊馬なんて嫌だよぅww
でも自分の中では野明の処女じゃないんだよね
どうしてだろ。個人個人の持つイメージの問題だろうなー
>>354-355 dクス。
DVD売るんじゃなかったなあ…一時期熱が冷めたときに売った。
保守がてらに…
オエビの最新イラストイイよ〜
首すじ舐めフォ〜〜〜〜〜!
>>358 君はHGかw
…夜中の隊長室での秘め事萌えっ!
むっはー(*゚∀゚)=3 萌え萌え!!
絵師さんGJ!!
オエビ見たら、ごとしのが読みたくなりました・・・
保守
ソロソロ浮上させないと…
角煮のゆうきスレで香貫花、熊耳、南雲隊長を独り占め発言した奴が居た。
そのあとその不埒な奴宛にトリプルフェラの画像が貼られた。一人ぐらい寄越せw
しのぶさんがほすぃ。
俺は香貫花がほすぃ
罵倒されながらのプレイ・・・ハァハァ
ホシュついでに。。。
独り祭りさんのSSで独り祭り〜
(≧ω≦)人(≧Д≦)人(≧◇≦)人
ヲンナのコの憧れを地でいく、GJですヨ!!!!!
初カキコで初投下させていただきます。
後藤×しのぶです。
あまりエロっぽくなくて申し訳ないのですが……。
371 :
370:2005/10/11(火) 00:03:20 ID:SPDlkAdH
夜のしじまが辺りを包んでいた。カーテンの隙間から、柔らかい月の光が室内に差している。青白いあえかな光の下では、雑然とした彼の部屋が不思議と落ち着いた表情を見せる。
静謐な空間。優しい静寂───。
隣に横たわる彼から、安らかな寝息が聞こえてくる。数刻前、あんなに激しく私を求めた人物と同じとはとても思えないほど穏やかな呼吸。
腕枕の温もりが心地よくて、うとうとしながら頬をすりよせる。
その時だった。
「佑子……」
囁きが彼の口から漏れた。
どくん、と心臓が跳びはね、まどろみが覚醒に変わる。早鐘のように打ち始める鼓動。息が、苦しい。
……何を驚いているんだろう、私は?
うろたえつつも、自分の中の冷静な部分で思う。
今の名前は彼の亡くなった奥さんのそれ。寝言で口にしたって、おかしくもなんともない。
むしろ、別の女性の名前を囁かれる方が余程問題だろう。
これは取るに足らないこと。いつかは起きたであろうこと。それがたまたま今だっただけ。
そう自分に言い聞かせ、落ち着こうとするが、私の意志とは裏腹に、鼓動はさらに速度を増し、痛いくらいに乱打する。
聞かなかったことにすればいいと理性が説得しても、納得できずにいる感情。
過去を承知したうえで抱かれた筈なのに、みっともないほど動揺している自分にさらに動揺する。
372 :
370:2005/10/11(火) 00:19:07 ID:SPDlkAdH
その時、ふと、何かの気配を感じた。身体を起こして周囲に視線を巡らせる。
気配に伴い、部屋の雰囲気も一変した。先刻、静謐さを覚えた青白い空間は、何故だかとてもよそよそしく見え、優しく感じた静寂は、張り詰めた空気しか醸し出さない。
まるで見知らぬ部屋のようだ、と思った。
思って、自分が場違いなところにいる気分になった。もしかしたらここに居てはいけないのではないか、ここにいるべきは私ではないのではないか、という気分に。
それは私を不安にさせた。どうしようもなく不安に。そんな不安の中、目と耳で確認する。この他人行儀な部屋に居るのは、私と彼の二人だけだ、と。
でも、目や耳にはっきりと判るものがなくとも、ここには気配がある。それは……。
───佑子さんの気配。
心の中で独りごちる。
私はちらと彼を見やった。
多分この気配は、彼の中に住む彼女から発されているものなのだ。
身体ごと彼に向き直り、顔を覗き込む。
そこにはいつもの韜晦めいた表情はなく、あどけないくらい無防備な寝顔があった。
普段ならいとおしく感じるその顔を、ひどく冷めた眼で見下ろしている自分を感じていた。
彼には忘れられない女性【ひと】がいて、柘植さんには帰る場所があった。
……おんなじことの くりかえし
ふとそう思った刹那、ぞわりと背中に冷たいものが走った。
373 :
370:2005/10/11(火) 00:21:18 ID:SPDlkAdH
寒気は一向に消えてくれず、それどころか全身にまで及んでいく。意志に反して起こる、奥底からの震え。
両腕で自らの肩を抱いたが、それでも震えは治まらない。どうしようもなく、寒い。
冷えきった身体を温めて欲しくて、彼の身体に縋り付く。
けれど、先程心地よさを感じた温もりは、皮膚一枚をほんのわずかに暖めただけで、身体の芯にある冷たさまでは届いてくれない。いや、むしろもっと寒さを覚えたような気さえした。身震いが止まらない。
「……どうしたの? しのぶさん」
強くしがみついたことで、彼が目を覚ましたようだ。寝ぼけた声で問うてくる。
普段なら私に幸福感をもたらすはずのその声が、今はひどく私を悲しくさせた。
先刻、妻の名を呼んだそれよりも、どこかが違うように耳に響いたのだ。
どこか……───それはもしかしたら、想いの重さなのでは……?
ふいにそんな考えが浮かび、身体はさらに冷たくなる。
374 :
370:2005/10/11(火) 00:25:08 ID:SPDlkAdH
───目の前の私にだけ気持ちが向けば、声音は変わるかもしれない。
新たな考えが脳裏をよぎり、その考えに縋り付くべく、必死になって彼の唇に何度も自分のそれを重ねた。
「し……のぶさん?」
何度目かに唇が離れた時、彼はもう一度私の名前を呼んだ。その声は起きぬけの先刻よりも戸惑いに彩られ、愛情には程遠い。私は、もっと悲しくなる。
どうしようもなくて、さらに深く口づけする。耳朶に触れ、顎を唇で食み、首筋に舌を這わせる。
少しずつ乱れていく、彼の呼吸。
でも、名前を呼んでくれない。彼が亡婦を呼んだ声と、戸惑って私の名を口にしたそれとが耳の中で反響して、私の心はどんどん追い詰められていく。
彼の夜着をはだいて、膚をあらわにする。舌で唇で指先で丹念に愛撫する。
いつの間にか彼の両手も私の夜着の中に収まり、私の敏感なありとあらゆる部分を、その掌で指先で刺激する。自然と零れる吐息。身体が弓なりにしなる。
心は不安と悲哀で張り裂けんばかりなのに、身体は素直に反応しているのが不思議だった。
375 :
370:2005/10/11(火) 00:27:07 ID:SPDlkAdH
右手を彼の下着の中に入れ、疾うに固くなっている彼自身をつかむ。上下に動かし、刺激する。
お願い、忘れて。
佑子さんのことを、全部。
まるで懇願するように彼を駆り立てながら、一方で、冷めた目で私を見据える私がいた。
───最低な女。
柘植さんを忘れられないのに、彼には過去を手放してほしいと切望する。
自分勝手な、あさましい感情。自身の醜さに嫌悪感を抱く。
でもどうしても、せめて今だけでもいいから、目の前にいる私だけを見てほしかった。
……どうしてなんだろう。
私はいつも間違いを犯す。もしくは、間違える相手を選んでしまう。
昔も今も、望んでいたのは私だけを見詰めてくれる瞳だったのに……。
376 :
370:2005/10/11(火) 00:29:11 ID:SPDlkAdH
「上に乗って…」
掠れがちに彼が囁く。低く艶めいた声音。
私ははっと目を見開く。
それは、いつもなら恥ずかしくて拒否する体位。
けれど今は、彼を見詰め、意を決して小さく頷いた。それくらい、心はぎりぎりのところにいた。絶望という名の海を臨む崖の縁ぎりぎりのところに。
私との行為で、ほんのわずかでもいいから、彼女のことを意識から追い出して欲しい。
胸のうちで哀願しながら、彼の上で揺れる。
欲望を煽るように上下に動く様を満足げな眸で見ていた彼が、やおら私の腰を掴み、自らの腰を突き上げた。
「あ…ぁっ!」
刹那、背筋から頭へと快感が走る。
重苦しい感情とは裏腹に、もっと快楽を得たいと身体は彼自身を締め付ける。
早まる呼吸と沈みゆく心。
絡まる肢体と交わらない想い。
そのすれ違いがどうしようもなく苦しいのに、律動はますます激しくなり、本能はどんどん昇り詰めていく。
お互いにほとんど同時に達した時、私は泣きたい気持ちで、あられもなく啼いた。
377 :
370:2005/10/11(火) 00:33:21 ID:SPDlkAdH
果てた後のけだるい身体をおして彼から離れる。そのまま背を向けて横になった。
肩で息をする程、呼吸は乱れているのに、依然、寒さを感じる身体。部屋の空気もよそよそしいままだ。
自分がひどく惨めで、情けなかった。
こんなことをしたとて、何か変わる訳ではない。
過去は消せないし、ましてや心を繋いだ人の思い出を忘れるなんてできよう筈がない。それは自分が一番知っていることではないか。
いい年齢の大人同士なのだから、それなりの過去があるのは当たり前。嫉妬するなんて馬鹿げている。
そう自分自身に言い聞かせるのだけれども、彼が彼女を呼んだ声が耳から離れてくれない。身体がさらに冷たさを増す。
冷たさから解放される方法は唯一つ。この部屋を出ること。以前と同じ、単なる同僚に戻ること。
背中では彼が、すごくよかったよ、とか、積極的なのもいいね、とか、私の気持ちも知らないで嬉しそうにはしゃいでいる。
───出よう。
そう決意し、身を起こしかけた時だった。
378 :
370:2005/10/11(火) 00:35:23 ID:SPDlkAdH
ふいに背後から抱き締められた。強く、つよく。
「愛してるよ、しのぶさん」
耳元で彼が囁いた。柔らかく優しい、そしてとても真摯な声音で。
それはいつもの睦言。最近では耳慣れてしまっている台詞。
なのに──心臓がどくんと撥ねた。
まるで初めて聞いた言葉のように耳に響いて、波紋が静かに広がっていくみたいにゆっくりと身体の中に浸透する。
そっと振り返ると、目線が合った。とたんに彼は破顔する。職場で見るような本心の窺いしれない飄々としたそれではなく、満ち足りた猫みたいに幸せそうなそれ。
「………っ」
身体は冷たいのに、目頭だけが熱くなって、それを隠すためにあわててシーツに顔を埋める。
言葉も笑顔も、私の気持ちを察してのことではない。自分が何かをしでかしたと気づいたならば、言い訳をするか素直に謝るかするのが彼の常だ。だから、これは単なる偶然。
偶然だけれど……目頭はどんどん熱くなり、視界は淡くにじんでいく。
そう、彼は何も判っていない。
ほんの些細な言動で私がひどく動揺することも、
ほんの些細な言動で私が本当に救われることも。
それくらい、彼に対する想いが私の心を占めていることも───。
部屋は未だに見知らぬ空間のまま。身体もまだ冷たい。
ここに居たら、もう二度と温まらなくて、もっと苦しくなるかもしれない。
でもそれでも、この腕に包まれていたかった。
できるならこの冷たさも何もかもすべて受け入れてしまいたかった。
いつかそうできる日が来ることを祈りながら、そっと彼の手に自分の手を重ねる。
別離の危機もすんでの回避もまるで判っていない彼は、私の首筋に顔をうずめて、小鳥が囀るような音の口づけを繰り返している。
379 :
370:2005/10/11(火) 00:37:51 ID:SPDlkAdH
終わりです。
お目汚し、スミマセンでした。
切ねえ。・゚・(/Д`)・゚・。
GJ!!!
GJ!!!!
素敵すぎる・・・。
しのぶさんの心理描写が細やかで(・∀・)イイ!!
激しく乙です!
GJ!!!
しのぶさんの心の機微を丹念に書かれていて、ぐっと来ました。
良かったらまたいらして下さい。待ってます。
おぉ!!見事な出来栄えっすね!
GJ!!
切な系すごく良かったです。
ところで、保管庫へ収蔵はOKでしょうか?教えて下さい。
書き手様へ
よろしかったら、投下前もしくは投下後に収蔵OKかNGかをお書き添えいただけ
れば助かります。ご協力お願い致します。
このスレって本当に神が多いなぁ…
387 :
名無しさん@ピンキー:2005/10/14(金) 01:59:22 ID:bzvDe6sP
GJ!下がりすぎなのでアゲ
388 :
370:2005/10/14(金) 22:13:22 ID:TMVfY15k
あまりエロくない上に駄文なので、かなりためらった末での投下だったのですが、
こんなに多くの温かいお言葉をいただけるとは!
お読みいただいて、本当にありがとうございました。
また書けましたら、お邪魔させていただきます。
>>385 保管庫の管理人様でいらっしゃいますか?
収蔵に関してですが、OKです。
最初にお伝えするべきでしたね。申し訳御座いません。
お手数ではございますが、よろしくお願いいたします。
389 :
385:2005/10/14(金) 23:24:26 ID:/JFrVQPx
>>388 お返事ありがとうございます、保管庫に収蔵いたしました。
管理人さんは、厳密に言えば私ではありません。
私は単なるお手伝いですので、あまり気を使わないで下さいね。
390 :
370:2005/10/16(日) 22:01:57 ID:7UUL8qrQ
>>389 保管庫への収蔵、ありがとうございました。
お早い対応に感謝しております。
絵板の新作に萌へ・・・
同じく萌え!
直にレスしてあげなよ…
遅くなりましたが、
370さんの作品、本当に素晴らしくて大好きです。
しのぶさんの切ない心情や後藤さんのぬこタンのような笑顔、最高です。
素敵な作品をありがとうございました!
コミックス後の後藤×野明です。
後藤隊長を好きになったのはいつからだったのだろう。
初めての出会いはバイト先の工事現場だった。
綺麗な女の人と一緒の背の高いおじさん。
ガス管の近くで煙草を吸おうとしたので大声で怒鳴りつけた。
そしてお構いなしに火を点けた瞬間大爆発が起こり、その後はすっかり忘れ去っていた。
次に会ったのが特車二課の隊長室。遅刻寸前で乗り込んだその部屋で意地悪く笑っていて。
そんな『変わった上司』から、『実は頼りになる上司』
『ちゃんと話を聞いてくれる上司』へと印象が変わっていき、
バドの事を然るべき部署に通してくれた時には『立派な大人の上司』になっていた。
『子供を幸せに出来る大人』の上司。あたしのなりたい大人像を兼ね備えた人。
大切で尊敬できて大好きな上司。もうこの時には恋に落ちていたのかもしれない。
でも隊長を好きだと自覚した時は、高揚感とかよりも戸惑いの方が大きかった。
年の差や階級差、上司と部下という事、そして何より隊長自身の気持ち。
どう考えたって、隊長から見たあたしは年若い部下でまだまだ青すぎる小娘でしかないだろう。
とても恋愛感情なんて持って貰えなそうというか、そもそも女として見てるかどうかも怪しい。
それに多分、隊長は南雲さんの事が好きなのだと思う。
初めて会った時、二人は夫婦だと思っていた。それ位二人の周りにはこなれた雰囲気が漂っていた。
おまけに南雲さんは美人でスタイルが良くて大人で仕事が出来て隊長とも息が合っている。
勝ち目が無いというか勝負にもならない。告白する前に失恋なんて遣り切れないけど仕方無い。
だから何度も諦めようとしたのだけど結局好きなのは止められなかった。
駄目だから諦められるという程いい加減な気持ちじゃなかったみたいだ。
伝えられないのは苦しいけれど、それでもあたしは隊長を好きでいたい。
他の人にしてみればどうでもいい感情だろうけど、あたしにとっては大切な気持ちだから。
大切だから心の中にしまっておく。流れ出て何処かへ消えてしまわないように。
隊長に知られてしまわないように。なによりも隊長に振られてしまわないように。
我ながらなんて臆病なんだろう。でも隊長の事あまりにも好きだから振られたくない。
振られてしまったら、もう本当にこの気持ちを終わらせなければならないから。
大好きな隊長の事を、永遠に諦めなければならないから。
「隊長、こちら本日の分です」
「ん」
隊長に点検詳細を提出する。本来なら熊耳さんの仕事だけれど、今はいないからあたしの仕事だ。
こんな時に不謹慎だけどちょっと嬉しい。こうやって隊長の傍にいられる時間が増えるから。
「はい、ご苦労さん」
素早く書類のチェックをした隊長はハンコを付いて戻してくる。
こっそりとだけど顔を眺めていられる時間が終わってしまった。
もっとゆっくり読んでくれればいいのに。そうすればもっと見ていられたのに。
「これ、帰りに整備班に提出しておいてくれ」
そう言ってこちらに向けられた隊長の表情が一瞬強張る。
視線はまっすぐあたしの右頬に注がれていた。
きっとあの事件の傷跡が見えてしまったのだろう。あたしは慌てて右頬を隠した。
「…残ったな」
互いの間に気まずい空気が流れる。
他の人に言われるのはまだ平気なんだけれど、隊長に言われるのはさすがにきつい。
好きな人にこんな傷を見られて嬉しい訳ないから。綺麗じゃない所を見られて喜べる筈ないから。
あからさまに傷を隠すあたしに隊長は眼を伏せて溜息を吐いた。
「すまなかった」
「た、隊長の所為じゃ…」
否定するため胸の前で手を振る。この傷はあたしの力の無さの現われだ。隊長の所為じゃない。
この傷は誰の所為でもない。誰も悪くない。ただ全ての巡り合わせが悪かったのだ。
「…部下の傷は全て上司がつけたようなものだ。そうなる状況を回避できなかったんだからな」
悲しさと悔しさを滲ませた声で隊長は呟く。そんな事言ったってあの状況ではどうしようもない。
あの時動けたのはあたしと遊馬だけだったのだから。
あいつと戦えるのはあたしとイングラムだけだったのだから。
唯一動けたあたしには、フォワードとして二課の責任を果たす義務があった。
そしてあたし自身グリフォンとの決着を望んでいた。
その結果の傷なのに隊長はこんなにも責任を感じてくれている。
あたしは上司にも好きな人にも本当に恵まれているんだな。
「えーと……じゃ、じゃあ、責任取っていただけますか?なーんて」
場の空気を変える為、努めて明るく冗談に聞こえるように言ってみる。
その中に言えない本音を織り交ぜながら。でも隊長は笑わなかった。
悪ふざけが過ぎたかと後悔していると隊長は立ち上がってこちらに向かってきた。
「あの…隊長?」
無言の隊長にじりじりと追い詰められる。
背中が壁にぶつかったと思ったら、顔の両側に腕を付かれて囲われた。
高い身長で照明が遮られ隊長の顔に影が落ちている。
その表情は良く見えないけれど、笑っているのでもふざけているのでもない事は分かった。
「たい、ちょう?」
真剣な雰囲気に気圧される。隊長が初めて纏う空気にどう対処していいか分からなかった。
「…いいのか」
「え?」
「お前なら責任取るぞ」
何を言われているんだろう。責任を、取る?何の?責任って?
軽いパニックに声が出せないでいると、隊長の顔が降りてくる。
目を逸らす事もつぶる事も出来ないまま隊長の唇が頬に甘く触れた。
「んっ……」
驚いた。人の唇ってこんなに柔らかいものなんだ。こんなに気持ち良いものなんだ。
初めて知る感触に背筋がぞくぞくとざわめく。それが好きな人なら尚更だ。
唇を傷に沿って滑らせながら、隊長はじっとあたしを見ていた。
反応を全て見られているのがとんでもなく恥ずかしいけれど眼を閉じられない。
互いに横目で見つめ合ったまま唇が触れる。とろけそうな柔らかさの唇が肌に心地良い。
どうしていいか分からず眼で訴えると、隊長はほんの少し眼を細めて笑んでみせた。
唇が割れ、舌が伸びてきて傷の形を確かめるようになぞられる。
あまりの気持ち良さに一々膝が震えてしまう。
いつの間にか力強い腕が回され崩れかかった腰をしっかりと支えられていた。
「たい、ちょ…」
抱き寄せられふわりと身体が浮き上がる。隊長と壁に支えられて軽く爪先立ちになった。
心許無さから隊長の袖をぎゅっと掴む。それを確かめてまた唇を滑らせてきた。
ゆっくりとした動きで繰り返し傷を舐められる。そうされている内に自然と涙が滲んできた。
何度、何度この傷跡を鏡に映して涙を流しただろう。
この先一生付いて回る、消える事の無い傷。あたしだって女だ。
顔に傷が付いて、それももう消えない傷が付いて、笑ってなんていられない。
化粧すれば隠せるけれど、傷が消えてくれる訳じゃない。
むしろそれは傷の存在を再確認しているようで。
遊馬には何でもない振りをしていられたけれど、隊長の前では簡単にほどけてしまう。
鼻の奥がツンとして涙がこみ上げて来てしまい、慌てて眼を閉じればぼたぼたと垂れ落ちていく。
それに気付いた隊長は目尻に唇を当てて涙を吸い取った。柔らかい舌がまつ毛を撫でる。
「きず…」
思わず漏れた声は嗚咽交じりのものだった。
本当はすごく悲しかった。
警察官やってる以上怪我とは無縁でいられないし、命に関わる事だってあるのは分かっている。
それを覚悟でこの仕事を選んだのだし、その事自体に後悔は無い。
でもどんなに覚悟を決めていたとしても、傷を負ったショックがなくなる訳じゃない。
肩に出来る鬱血はまだいい。あたしだっていつかはレイバーから降りるだろう。
そうなれば自然に消えていくものだ。でもこの顔の傷は違う。
いくら待っても消えはしない。レイバーを降りても、警察官を辞めても、死んだとしても。
たかが傷一つと言う人もいるだろう。よく見ないと分からないと。
あたしも最初はそう思っていた。負け戦に勝って、そして出来た勲章くらいに思っていた。
でも戦いの後の高揚感が去って冷静になるにつれて、この傷は恐ろしく現実味を帯びてきた。
気にしてくれた遊馬や、悲しんでくれたひろみちゃんや
なぜか怒り出した大田さんや、心配してくれた進士さん。
洗面所や風呂で驚く寮生の顔。ちらりと見て悲しそうに眼を逸らす上官達。
テレビを見たお父ちゃんお母ちゃんが何度も電話を掛けてきたが、本当の事はとても言えなかった。
言ったら最後、北海道に連れ戻されるだろう。それでなくても心配かけているのに。
だけどさすがに親の勘が働くのか、身体の状態を幾度も訊かれてしまって。
心配してくれる親に嘘を吐くのはとても辛かった。そして何より目の前のこの人。
上司として、警察官として、男性として、深く愛しているこの存在にますます引け目を感じるようになった。
隊長があたしの事を、あたしの傷を、愛してくれたら全ての痛みが消えるだろうけど。
傷物になった女がどうやって近付けるというのだろう。
こんな身体になってどう愛情を伝えられるというのだろう。
傷を負った顔で一体何を囁けと、どうして傷を負った顔を愛してくれと乞えるだろうか。
自分ですら未だに受け入れ難いこの傷を、この人に押し付けるなんて出来ない。
この苦しみを、押し付けるなんてしたくない。
「きず…きず、が…」
「泣くな」
硬い腕に抱き寄せられ胸板に顔が付く。熱い体温と何処か懐かしい匂い。
幾度も夢見た場所は想像以上に心地良かった。力を抜いて身体を預けると優しく受け止めてくれた。
こめかみから伝わる心音。規則正しい呼吸。自分の周りを包み込む暖かな空気。
そのどれもがあたしを慰めようとしてくれている。けれどずっと押さえてきた涙は止まらなかった。
「きず…、きず…」
馬鹿みたいにその言葉だけを繰り返す。だけど他にどういっていいのか分からない。
この仕事を選んで後悔していない事。警察官としての責務を果たせて誇りに思っている事。
仕方が無かったのだと分かっている事。誰も恨んでいない事。
それでも傷の存在は悲しく受け入れ難い事。
そして隊長が好きだという事。その全てをどう言えば伝えられるのだろう。
どう言えばこの人に辛い思いをさせずに伝えられるのだろう。あたしには分からない。
分からないまま抱かれていると、屈んだ隊長が耳元で静かな優しい声を出した。
「泣くな…傷ごと愛しているから…」
信じ難いというか内容を上手く把握できない。
言葉に驚いて顔を上げると、真剣な眼差しの隊長と眼が合った。
冗談を挟む余地の無い鋭い視線。もう眼が逸らせない。
「頼むから泣かないでくれ。お前に泣かれると、どうしていいか分からなくなる」
呆けた顔をしていると、また顔が近付いて傷を舐められる。
流れ落ちた涙もついでとばかりに舐め取られた。
目尻に落ちるキス。柔らかい感触が敏感な皮膚には心地良い。
全て舐め取ると髪に頬をぐいぐい寄せられる。獣じみた、というか大型犬みたいな仕草だ。
そういえばアルフォンス一世があたしが元気が無い時こうしてくれたな。
そんな事を考えていたら、何だか力が抜けて気が楽になった。
「止まったな」
愛おしそうに眼を細めた隊長は、笑ってあたしの眼の周りを払い額を合わせてきた。
優しい眼が真っ直ぐに見つめてくる。いつもの意地悪さや妖しさを排除した初めて見る眼だった。
その眼のまま再び唇が傷の上に落ちる。ゆっくりと唇で撫でられて鼻の頭にキスされた。
「どうか」
何か言われる。何か恐ろしい事を言われる。
聞きたいという気持ちと聞いてはいけないという気持ちが内部で激しくせめぎあった。
逃れようと身を振るが、覆い被さってきた大きな身体で全身を包まれる。
物理的な逃げ道は全て断たれてしまった。
身構えるあたしの左手を取り、薬指の根元に唇で触れる。そして静かに爆弾を投下した。
「どうか私と結婚してください」
予想を遥かに超える内容にただ絶句する。それが冗談でも何でもない事は眼を見れば分かった。
「私の存在が嫌でなければ、どうか私と結婚してください」
こんな声出さないで欲しい。こんな甘くて優しい聞いた事も無い声で囁かないで欲しい。
「どうかすべての責任を取らせてください」
髪に幾度もキスをされ頬が摺り寄せられる。
頬との間で髪がしゃりしゃりと音を立て頭皮をくすぐる。
「どうか私の伴侶となってください」
耳に直接声が注がれ甘くうねった快楽が背筋を上がる。
それを追う様に背骨を撫でられて鼻にかかった声が漏れた。
「どうか死の時まで傍らにいさせてください」
崩れ落ちるのを止める為か、ただしがみ付きたいだけなのかも分からずに隊長の背に腕を回す。
溺れる者の如くに大きな背を手でまさぐり、シャツに無数のシワを作った。
隊長は両手であたしの頬を包み、優雅な動作で唇を重ね合わせた。
「どうか…どうか『はい』と言って下さい」
「は……い」
生まれて初めてのプロポーズ。
こっちも優雅にお受けしたかったのに、声の掠れは抑えられなかった。
こんなに嬉しそうな隊長を見るのは初めてだった。
小躍りしたりはしゃいだりしている訳じゃないけれど、全身から喜びが溢れている。
本当に嬉しそうに何度も何度もあたしを抱き締めなおした。
「野明…」
そうしてキスを繰り返す。深く浅く内部を暴かれてすごく気持ちいい。
導かれるままに舌を伸ばせば唇で軽く噛まれる。
くすぐったさに笑ってしまったら、何故か隊長も笑い出した。
くすくすと笑いながら抱き合い唇を重ねる。すると何だかどんどんおかしくなってくる。
なんだろ、何もおかしいことなんて無いのに笑いが止まらない。
笑いながらキスするから歯ががちがちとぶつかってしまう。それがおかしくてまた笑い出す。
「何で笑うんだ」
「隊長こそ」
笑うから唇が変な具合に当たってくすぐったくて、それにまた笑ってじゃれ合って。
20pの身長差に苦心する隊長を助けるために背伸びをして唇を追う。
隊長がやっと伸ばせた腰をこっそりさする姿がおかしくてまた笑ってしまう。
ああもうバカみたいだ。本当にバカみたいだ。
けどもうあまりにも幸せすぎて笑いが止まらない。
背伸びしてしがみ付いて、キスをしてキスをされていると涙がまた溢れてきた。
「あ、あれ?」
予期せぬ涙がぼとぼと零れ落ちていく。顔はにやけたままなのに涙が勝手に流れ出す。
なんだろなんだろどうしたんだろ。もう悲しくなんてないのに何で涙が出てくるんだろう。
こんなに幸せなのに、泣く理由なんか一つも無い筈なのに、どうして止まらないんだろう。
「ごめんなさい、なんだろ、とまんない」
腕で顔を擦るが涙が止まる気配はない。これじゃキスを嫌がってるって誤解される。
何とか止めようと両手でぐいぐいと眼を擦っていたら、隊長の手がその動きを止めた。
「いい涙は止めるな。存分に流せ」
いい涙?この涙の事?でもさっきはあんなに泣くなって言っていたのに。
困惑しているとまたキスが再開される。温かくて柔らかい煙草の味。
心地良い苦味と甘みの交じり合った隊長の味。
迷いつつもキスのもたらす快楽に身を任せる。
首に腕を回し、ぶら下がるような体勢で唇を求める。
吸われ、吸い返し、舌を絡め合って唾液を啜れば胸の中にさざ波が立つ。
揺れ動くそれを感じているとまた涙がこみ上げてきた。一体何なんだろうこの気持ちは。
温かくて優しくて気持ちが良くて少し怖い。この気持ちがあたしに涙を流させる。
キスを重ねながらつらつらと考えていると、突然頭の中に閃いた。
ああ、ああそうか。なんだ、そういう事か。分かってしまえば簡単な事。
幸せなんだ。あたし、幸せだから泣いているんだ。
キスが欲しくてもっともっととおねだりをする。だけど隊長は唇に手を当てて優しく制した。
「仕掛けておいてなんだけど、ここ職場だしこれ以上はな」
そう言って頬を撫でて大人の笑みを見せる。そんな笑顔で誤魔化すなんて、大人ってずるい。
一度だけぎゅっと強く抱き締めてから解放された。煙草の匂いが遠くなってしまう。
「すまなかったな、がっついて」
隊長は照れくさそうに頭を掻いている。あたしは否定する為慌てて首を振った。
再び手が伸びてきて、後頭部に回され引き寄せられる。
耳元に口を寄せられ色気十分な声で囁かれた。
「最近、急に綺麗になったから少し焦った」
き、綺麗に?あたしが?うわ、どうしよう、すごくすっごく嬉しい。
「髪型…変えたから、かなぁ」
嬉しさと恥ずかしさでしどろもどろになりながら答えると、大きな手の平が髪を撫でていった。
「よく似合ってる」
また髪に唇が落ちて、今度こそ身体が離される。
机の上に残したままの書類を掴むとあたしに向かって振って見せた。
「俺が帰りに提出しておく。お前は着替えて下で待ってろ」
「え?」
意味が分からず間抜けな顔をしていると、隊長は真剣な顔で宣言した。
「もう今夜は離さない。お前を連れて帰る。いいな」
「……はい」
恥ずかしさに俯く頭が撫でられる。まだ性的な匂いのない穏やかな手。
だがこれがもう数時間もすれば男の手になるのだろう。
この手によって全てが暴かれるのだろう。
胸の中に今まで感じた事のない気持ちが生まれる。
不安と戸惑いと期待の混ざったくすぐったい気持ち。
ぐしゃぐしゃに掻き回された頭を撫で付けて、隊長を見上げて微笑む。
それなのにせっかく整えた頭をまたぐしゃぐしゃにされた。
「人が必死で我慢している時にそんな顔するな」
隊長は照れたような怒ったような顔をして身を翻し更衣室に消えていく。
閉まった扉の向こうにちょっと大きめの声で話し掛けた。
「隊長って、可愛いですね」
あたしとしては照れた隊長が珍しすぎて、ちょっとからかってみたかっただけだったのだ。
だけどその後の不穏な言葉に大慌てで退散した。
「…今晩死ぬほど可愛がってやるからな」
なるべく急いで着替えて駐車場という名の荒野に降りる。
愛車のカブを目立たない場所に停めなおして隊長の車に向かった。
「待たせたな」
車の側に佇んでいると、スーツ姿の隊長が遅れてやってきた。鍵が出されロックが解除される。
自分で開けようとしたがやんわりと押し止められ、代わりに隊長がドアを開けてくれた。
「どうぞ」
乗り込んだのを確認してからドアが閉められる。うわ、隊長にエスコートされちゃった。
シートベルトをしめて座席に身を預けると隊長が乗り込んでくる。
乗り込む際にされたさりげないキスに俯いていると車が発進した。
「コンビニ寄るからな」
ちょっと遠回りして駐車場のあるコンビニへと向かった。路駐しない所はさすが警察官だ。
眩しい店内に一緒に入り取り合えずカゴを掴む。
あれこれ見てるうちに外泊用の品を何も持ってない事に気付いた。
何とも照れくさい気持ちで下着とか化粧品とかのお泊りセットをカゴに放り込む。
「こういうの買う日がくるとはなぁ…」
自分には全く縁のない商品だと思っていたのに。世の中分からないものだな。
店内を見回せば隊長はさっさと自分の買い物を済ませていた。
買った物をポケットに押し込んでこちらに来る。
「ほら」
自然な動きでカゴを取り上げられてしまい、中にあったパンツやら何やら全部見られてしまう。
だがそこは隊長、表情は全く変わらなかった。やっぱりこういうの慣れてるんだろうな。
「これだけか?」
「あ、はい」
そしてカゴを取り上げたのと同じ自然な動きで手を繋がれた。
まるでずっと以前から恋人同士であったかのように。
なんかいいなこういうの。うん、すごくいいな。
「そういやビールが乏しかったな」
囁きに促され手を繋いだまま巨大な冷蔵庫の前へと移動する。
アルコール製品の華やかな陳列を二人並んで覗いた。
「銘柄とか、こだわりあるか?」
「いえ、お酒なら何でも」
「俺もだ」
厳然たる協議の結果、定番と新商品からそれぞれ一種類ずつ選んでカゴに入れていく。
楽しい。コンビニでビール選んでいるだけなのに、何でこんなに楽しいのだろう。
華やいだ気分は隊長にも伝わるのか横顔がどことなく嬉しそうだった。
会計を済ませドアを押さえてもらってコンビニから出る。
車に乗り込みながら、後部座席に荷物を置く隊長に疑問をぶつけてみた。
「そういえば、隊長は何買ったんですか?」
「んー?…内緒」
辿り着いた自宅は綺麗にしてあった。そういえば机の中とかも綺麗にしてる人だったな。
不規則な仕事をしてて、男一人暮らしでこの状態は奇跡に近いのではないだろうか。
「ただいま」
律儀に誰もいない空間に帰宅の挨拶をする姿がなんだか可愛い。
笑ったら怒る代わりにキスされた。結構スキンシップの多い人だったんだな。
考えてみれば、よく肩抱かれたり胸倉掴まれたりしたっけ。
まあ、あたしも色々触ってた様な覚えがあるけど。
隊長ってなんか触りやすいんだもん。あんまり反応しないし。
「さーて…夕飯の支度するか」
駐車場からここまでずっと繋がれていた手が離される。
緊張した所為か随分汗を掻いていた。まだ手に残っている硬い感触が愛しい。
本当に、あたしがこの手を独り占めしていいのだろうか?
愛しい人は背を丸めて腕まくりで荷物を漁っている。
黙々とビールを冷蔵庫に詰め込む背中に声を掛けた。
「あの隊長。ご飯、泉が作ります」
「そうか?じゃあ頼むわ。…それと、いいかげん隊長は無し」
腰を抱かれ上からキスされる。隊長、本当にキス好きなんだな。
「えーと…じゃあ、後藤さん」
「んー」
「えっ…じゃあ、喜一…さん」
「んー…ま、今はそれでよしとするか」
そうしてまたキス。おまけとばかりに顔の傷にもキスされる。
後ろから覆い被さる形で抱き締められ、二人で冷蔵庫を覗いた。
「あんまり…ないねぇ」
「あんまり…ないですねぇ」
「やっぱりスーパーも寄っておけばよかったかな」
まったくのからっぽではないが、少々乏しい冷蔵庫の中身に知恵を絞る。
あるのは卵と使いかけのハムと野菜が少し、それに冷凍してあったごはん。
これで出来る料理といえば…。
「炒飯…で、良いですか?」
「ん。じゃあ俺、スープでも作るわ」
二人台所に並んでお湯を沸かしたり、野菜を刻んだりする。
器用に包丁を扱う姿に感心して眺めてると隊長が笑った。
「なんだよ、そんなにじっと見て」
「たいちょ……喜一さんの料理する姿ってはじめて見るなーっと思って。上手なんですね」
「一人が長いと嫌でも上手くなるんだよ。お前だって上手いだろうが」
あの賄いでそんな風に思ってくれてたんだ。
二課でやってる料理なんて、貧しい食材から力技で作り出してるのに。
「…本当ですか?」
「本当だ。嫁に欲しい位な」
意味深な流し目を向けられて途惑ってしまう。
恥ずかしいから一生懸命そっち方面には思いがいかない様にしていたのに。
出来上がった料理やスプーンをテーブルに並べ二人で手を合わせる。
何だかものすごく遠くまで来た気分だ。
ほんの数時間前まではこんな事になるとは夢にも思わなかったのだから。
人生ってすごいなぁとスープに口を付けながら思う。
隊長は炒飯をゆっくりとすくって大事そうに食べていた。
「適当に作った料理をそんな丁寧に食べないで下さい…」
「俺の為に作られた手料理なんだ。堪能させろよ」
意地悪く笑っているが、意地悪で言っているのではないのは分かる。
でも恥ずかしい気持ちにかわりはない。
初めての手料理は適当な炒飯だなんてちょっとやだな。もっといいもの作りたかったなぁ。
隊長の作った美味しいスープを啜りつつ心の中でぼやく。まあ今後リベンジということで。
今後……今後?ああ、そうだ、あたし達はこれからなんだ。
長かった助走を終えて、ここから始めていくんだ。
焦る必要も苛立つ必要もない。隊長はここにいる。
言いようのない幸せと共に目の前の食事を噛みしめる。今までで一番美味しい炒飯だった。
「炒飯、結構上手く出来てましたね。……でもちょっと味薄かったかな」
「ん?んー……すまん。なんか今感動してて、味がよく分からん」
神妙な顔でそんな台詞を言えてしまうこの人がすごい。尊敬すら覚える。
黙ってしまったあたしに何か勘違いしたのだろう。隊長は慌てて言葉を繋いだ。
「まずいって意味じゃないぞ。本当に胸が一杯でよく分からないんだ…勿体無いよな。せっかくの手料理なのに」
照れ臭そうに自嘲する隊長に、どうしようもないほど愛情が湧いてくる。
どうしよう、あたしこの人好きだ。
「……喜一さん大好き」
隊長はぐぶ、と妙な音を立てる。スープで炒飯を飲み込むと恨みがましい眼を向けてきた。
「…大人をからかうんじゃないよ」
眼の端がほんのりと赤くなっている。
笑みを形作ろうとする口元を手の平で覆い隠してそっぽを向いてしまった。
しばし無言で食事を続けるが沈黙は優しいものだった。
お互いがすぐ側にいる喜びに自然口数は減る。
時折顔を上げると眼が合うことがあり、その度に小さく眼で微笑みあった。
少しずつ空気が弛んでいく。二課から何となく続いていた微妙な緊張が一秒ごとにほどけていく。
ゆるゆると互いの気配が混ざり合うのをくすぐったく感じながら食事を終えた。
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさま」
空になった食器を手に台所へと戻る。
スポンジを手に取ると、隊長は何も言わずにお風呂の用意をしに行った。
自分の立てている音とは違う離れて聞こえる水音に今後の展開を思わずにいられない。
それが嫌というわけじゃなくて、なんか、その…。
「恥ずかしいな…」
隊長に初めてを貰ってもらえるのは嬉しいけれど、やっぱり恥ずかしい。
大丈夫かな、あたしちゃんと出来るのかな?
誰にともなく問うてみるけれど、その答えは分からなかった。
「野明、ビール飲もう」
お風呂の準備を終えた隊長が晴れやかな表情でビールを取り出す。
ビールと一緒に買っておいたささやかなツマミも並べ、二人だけの静かな宴会となった。
「はい、勤労後の喜び。労働後の慰安。乾杯」
「なんですか、それ」
笑ってグラスに注いだ金色をゆっくりと飲み干す。ほどよい苦味と炭酸が喉を落ちていく。
飲み切って息を吐くと、隊長がじっと見つめてきた。
「……隣、座っていいか?」
断る理由なんて一つも無いので頷く。隊長は嬉しそうな顔であたしの横に腰を下ろした。
さりげなく腰に手を回され身体が密着する。あたしより若干高い体温に心が躍る。
引き寄せられるままに隊長の肩に頭を預けてみると、いきなり抱き締められた。
「お前、なんでこんなに可愛いんだろうな」
グラスを取り上げられ窒息しそうなキスをされる。散々貪られた挙句に押し倒された。
頭を掴み髪を好き放題に掻き回す。あたしは口の中に溢れる唾液を飲むので精一杯だった。
「いいな……ん…いい…」
低い声に欲望を滲ませて隊長が唇を求める。広い背に手を回すと更に深くまで探られた。
互いの唇が唾液で滑って音を立てる。息苦しさに隊長の後ろ髪を掴むがその手が震えてしまう。
煙草とビールの苦味が伝わり内部から犯されてるみたいだった。
「んんっ…ん……ぅ…」
快楽と酸欠で頭がくらくらする。止まらない動きに脚の間が熱く湿っていく。
やだ、どうしよう…濡れてきちゃったよ…。
足を動かそうにも隊長の重みが掛かっていて少しも動かせない。
濡れるのを止められず下着に滲みていく感触ををただ追うしかできない。
何とかしようともがく身体を、隊長は楽しそうに押さえつけた。
肩から手の先まで撫で回され、手の平を隊長の頬に導かれる。
硬い頬の肉を撫でれば瞳が喜びにきらめいた。
再び唇に噛みつかれ、口内に溜まった唾液を啜り上げられる。
長めの舌で歯の裏から上顎まで濃厚に繰り返される愛撫に、秘裂の奥は更に蜜を湛えた。
収まりきらなかったぬめりは肉の口から溢れ出していく。
透明な液は下着に吸い込まれ染みを作る。
「あ、ぅ……う…もう…も、う……」
上からも下からも涎を垂れ流し、重い肉体の下敷きとなった身体を震わせる。
頭の中には隊長の事しかなくて、好きだという言葉しかなくて。
でも口を塞がれているのでそれを伝えられない。
蜜が下着の股部分を濡らしきった頃、終わりを告げるように軽い電子音が響き渡った。
名残惜しそうに何度か唇を掠められた後、畳から上体を起こされる。
少し乱れた着衣を直していると、隊長が隣室からタオルやパジャマを持ってきてくれた。
「これ使いなさい。ちゃんと洗濯してあるから」
洗い晒しなのにどこか煙草の匂いのする隊長らしい着替えを持って風呂場に向かう。
シャワーやドライヤーの使い方を簡単に説明すると、隊長は居間へと戻っていった。
てっきり一緒に入るのかと思ってたのでちょっと拍子抜けしてしまった。
「と、とにかく、お風呂入って、綺麗にしなきゃ…」
よたよたと服を脱ぎ下着に手を掛ける。
膝まで引き下ろすと股と下着を繋ぐ濡れた太い糸が見えた。
「あ……」
濡れた布地にこんもりと乗った蜜が、蛍光灯を反射してぬらぬらと光っている。
下着はもちろん股間も太腿も陰毛もじっとりと濡れてしまっていた。
膣口からだけでなく陰毛の先からも蜜がぽつぽつと垂れている。
床に垂らしてしまわないように、慌てて手を股間に当てた。
「ぅ……」
指先が秘裂に触れた瞬間走った衝撃に、掠れた声が漏れてしまい驚いた。
今まで感じた事もない強烈な刺激だった。試しにもう一度そっと割れ目を撫でてみる。
「んっ!」
触れただけで背筋が捩れ膝が笑った。信じ難いほどの快楽が指先からもたらされる。
先程のキスの所為かこれまで押さえ込んできた欲求の所為か、身体が獣の如くに男を求めていた。
短時間にここまで変わってしまった自身に呆然としてしまう。あたしって、こんなにいやらしかったんだ。
「恥ずかしい…」
隊長は傷ごと愛してるって言ってくれたけれど、こんないやらしい身体でも愛してくれるだろうか?
もしかして軽蔑されないだろうか。キスだけで濡れてしまう淫乱な女だと。
「我慢しなきゃ…まだ、我慢……」
中途半端に脱いでいた衣服を全部脱いで畳む。
乾いた浴室に飛び込んで頭からシャワーを浴びた。
まだ冷たかった流れが火照った肌には丁度いい。
水の流れにすら感じてしまう肌に爪を立ててシャワーを浴び続けた。
「あ……」
尻から流れ落ちた湯が充血した秘裂を撫でて陰毛を濡らす。
知らず刺激を求めて脚が開いていった。開いた股に湯が滑り込んでくる。
「ふぅっ、ん…んん……」
秘裂が歪み快楽に入り口が弛んでいく。壁に手を付き腰を高く突き出す。
大量に流れてきた湯が割れ目を更に切り裂くように撫でていく。
もう我慢できない。
あたしは自分の性器に手を伸ばした。
さらりとした湯の流れの中に粘ついた液体を感じる。肉の奥から漏れ出てくる透明な滴り。
湯の流れにそよぐ陰毛を掻き分けて肉芽を暴き、飛び出した陰核を指先で突付く。
ほんの小さな刺激だけで身体は大げさに跳ねた。
「あ、ん……きいち、さん…」
片手で陰唇を大きく割り、もう片方で充血しきった包皮ごと左右に弾く。
嬲られる動きに陰核は勃起して自ら包皮を押し広げ完全に頭を見せた。
すべすべとした感触の小さな肉の粒が鮮やかな桃色をして湯に洗われている。
熱がダイレクトに性感帯に伝わり、火照った肉に更に大量の血が流れ込む。
内側から張り裂けんばかりに膨れ上がった陰核は大きな刺激を求めて震えていた。
「きいちさん…すき…だいすき……さわって…」
もう一度指先で触れれば、秘裂全体が大きく戦慄き奥からぬめりを吐き出した。
ぐらつく腰の奥にある穴を埋めるべく、後ろから手を回して指を当て一気に三本突っ込む。
「ふぅうっ、ん、んんっ」
膣の中でぐるぐると掻き回せば湯と混ざり合った蜜が手の平に落ちてくる。
ぬめりを股間全体に塗り広げて更に激しく指で捏ね繰り回す。
見知らぬ浴室での自慰行為は背徳感からどんどんエスカレートした。
三本の指だけでは飽き足らず、四本目を無理やり滑り込ませる。
縦に四本並べた指で肉の輪を潜れば鬱血しそうなほどに締め上げられた。
「うぅっ、うっ、きい、ち、さん、すてき…」
きつい輪の中を垂れ流した潤滑液の力を借りて前後に動かす。
激しい動きに肉が大きく捲れ上がり内部の深い所まで湯に晒された。
「あつい…っ…あつい…」
前かがみでよろめきながらも指をもっと奥へと埋めていく。
とっくに外気に晒されている陰核も、後ろの動きに合わせて容赦なく弾いた。
「あぐっ、ううっ、こわれちゃう…」
前後からの加減のない快楽に、中の汁は更に泡立ち白い濁りとなって湯に押し流されていった。
桃色だった陰核は包皮の中心で真っ赤に熟し、弾ける事を望む。
「きいちさんすき…すき…すき…」
陰核を親指と人差し指で抓み、潰す勢いで擦り合わせて刺激する。
蜜を散らして跳ねる腰に指を差し込めば、秘裂が限界の悲鳴を上げた。
「ふぅっ、う、う……だめぇ…っ!」
前と後ろ両方から駆け抜けた絶頂に膝は耐え切れず、股間でタイルを叩く様に崩れ折れた。
「ああ…ああ…ああ…」
股に手を突っ込んだまま涎を垂らして放心していると、手の先に熱い流れが当たる。
何かと思い視線を落とすと黄色い染みがタイルに広がっていた。あたしは感じすぎて放尿していた。
止める事も出来ず、濃厚な匂いの液体を股の間からじょろじょろと垂れ流す。
「あぁっ…やだ……」
誰も見ていないのに赤くなった顔を伏せて、あたしはお漏らしをし続けた。
出し切った流れは全て排水溝に吸い込まれる。
頭から湯を被りながらぼんやり濡れたタイルを眺めた。
さっきまではあんなに恥ずかしかったのに、今は早く抱いてもらいたくて堪らない。
隊長を全身で感じたい。愛されているっていうのを身体で感じたい。
立ち上がり汚れた股間を湯で清める。荒くシャワーを止めそのままの姿で浴室を出た。
「もう出たのか?ちゃんと温まったのか?」
奥の部屋にいたらしい隊長がふすまの陰から顔を覗かせる。
「おい、どうした」
台所に素っ裸で立つあたしを見て、隊長が驚いた顔をする。
バスタオルを片手に大股でこちらに来た。
タオルを頭から被せられて、素早く丁寧に水分が拭き取られていく。
その姿は小さな子供のいるお父さんみたいだった。
「風呂場にお化けでも出たか?」
明らかに挙動のおかしいあたしをいぶかしく思いながらも、茶化しつつ優しくしてくれる。
あたしは拭われるタオルの間から手を伸ばして隊長の身体にしがみ付いた。
ああ、隊長だ隊長だ隊長だ。
肌の熱さも煙草の匂いも硬い骨も何もかも、髪の一筋まで愛おしかった。
「喜一さん、好きです、抱いてください…」
唇を撫でてキスをねだるが隊長は指の先にキスを繰り返すだけだった。
「…少しだけ待て。汗流してくるから」
「そんなのいいから今すぐ抱いて…」
聞き分けなく駄々を捏ねていると、バスタオルごと抱え上げられた。
「せめて髪は乾かそう。風邪を引く」
再び脱衣所へと連行されて洗面台の前に立つ。
隊長は出しっぱなしのドライヤーを掴むと手早く髪を乾かしてくれた。
硬い指先が柔らかい頭皮を掠め、快楽とはまた違う気持ちの良さをもたらしてくれる。
あちこちから風を当てて乾かし終えると、タオルとドライヤーを放り捨て再び腕に抱える。
裸の脇腹が隊長の硬いシャツに擦られて少し痛い。
だけど隊長の一部が与えてくる痛みだと思うとそれもまた愛しかった。
隊長はあたし一人抱えてる事など何でもないように軽やかに寝室へと向かう。
敷いてあった布団にあたしを下ろすと部屋以外の電気を消した。
「俺本当に汗臭いぞ」
後ろ手にふすまを閉めた隊長が勢い良く服を脱ぎ捨てながらこちらを窺う。
現れていく筋肉質の裸体に眼を奪われつつ正直な気持ちを伝えた。
「喜一さんの匂い、もっと知りたい…」
「…言ってくれる」
全裸となった隊長は何処か乱暴な様子であたしの体を跨いだ。
隊長の太い腕が背中に回って息が詰まるほど抱き締められる。
一心にあたしを抱き締める隊長は知らない顔をしていた。
「野明…野明…」
知らない男が目の前にいる。
熱い肌を持ち全身から雄の匂いを立ち昇らせた見知らぬ男。
ひどく腹を減らせた男が自分を捕らえて喰らおうとしている。
一瞬も緩まない殺気の様な雰囲気。
飲み込まれそうな圧迫感の中に漂うのは男の放つ濃い性の匂い。
生臭く濃厚な空気に晒されるのは、丸腰で獣の前に差し出されたようだった。
「…リラックスしてくれ」
剣呑な眼が緊張するあたしを見て不安に揺らぐ。
ガチガチに力の入っていたあたしの髪を微かに震える手で撫でてくれた。
「緊張してるのは俺の方か…」
器用そうな手を不器用な仕草で何度も握り締めては開く。
重苦しい溜息を吐きゆっくりとした仕草で額を拭った。
「すまん、余裕ない。覚悟してくれ」
前髪を掴まれ大きな口に唇が飲み込まれる。
喉の奥まで届きそうな勢いで舌が侵入してきた。
苦味のある舌が歯から歯茎から全てを嘗め尽くし、唾液を貪り啜り上げる。
一度経験したとはいえ、互いに全裸の状態での深いキスは更なる官能を呼び覚ます。
落ち着いたはずの秘裂から再び蜜が噴出し、だらしなくシーツまで垂れ下がった。
「ん…野明…」
唾液でべたついた唇が下へと動き、喉から鎖骨へと移っていく。
引き攣れた痛みと共にキスマークが散らされた。
「ああ…もう…」
きつく吸い上げる隊長の後ろ髪を掴み腕の中でのた打ち回る。
刻まれる所有の印を愛しさと共に受け取りながら、髪を掻き回して何度もキスをした。
「もっといっぱいつけて…」
隊長の動きが忙しなくなる。要望通り胸から腹から満遍なく紅い跡が刻まれていく。
その合間には乳房を揉まれ、先端の凝り固まった突起を力一杯吸い上げられる。
初めての性感帯への刺激は勢い良く背筋を這い上がり、理性の欠片も無い声を上げさせた。
「あうっ、やっ…きいち……っ…きいち、さん…もっと…っ」
いつの間にか自分から脚を開いていて、その空間に隊長の身体がぴたりとはまっている。
蜜で湿った陰毛が硬く割れた腹筋でぐしゃぐしゃに擦られ続け細かい泡を立てている。
飛び出たままの陰核はその茂みに何度も撫で付けられ破裂寸前まで張り詰めた。
「おねがい、もっと、下…」
「本当に待てないんだな」
両の乳首を指で押し潰し、硬い爪を食い込ませ赤黒く変わる色を楽しんでいる。
「待てない…あっ…今すぐ、きいちさん欲しい…」
「お前…言ってる意味分かってんのか?」
煽りやがって、と荒々しく吐き捨てると身体をずらしあたしの脚を大きく広げさせた。
「ん…そんな見ないで…」
「嘘吐くなよ」
仕置きと言わんばかりに更に脚を開かされる。
肉を濡らして口を開く性器を愛しい男の目の前に晒した。
「違うんです、あの、違う…」
涎を垂らす股間を見られては何の言い訳も出来ないが、恥ずかしくてどうしようもなくて。
隊長は膨れた肉芽からだらしなく開いた膣口、そして濡れた尻の穴までじっくりと見ている。
その視線だけで犯されているみたいだった。
「見ないで…触って…」
視線だけでは耐えられなくて、腰を捻って手淫を求める。
隊長は自分の指を一舐めして最初から二本の指を入れた。
「ああっ、あ、きいちさん…」
「……?」
隊長が微かに眉を寄せ首をひねる。
入れた指を快楽を引き出す為ではなく、何かを確かめるように動かした。
「き、いち、さん…?」
指の節が中を押し上げ微妙な快楽を生み出すが、場にそぐわない真面目な眼がそれを阻止する。
指を動かし肉の割れ目をまじまじと眺めていた隊長が低い声で呟いた。
「…お前、さっきここ使ったろう」
ザアッと血の気が引く。そんな事が分かってしまうのだろうか?
隊長はあたしの強張った顔を見て興奮した眼差しで笑った。
「やっぱり使ったな。中がざわついてやがる」
入れた指を押し上げて内壁に擦り付ける。
刺激に喜んだ肉は感謝の涎を流して指を締め付けた。
「いきなり二本入ったからな…いくら濡れてるとはいえおかしいと思ったんだ」
きつく締まりつつ激しい動きに従う肉壁を二本の指がお構いなしに攻め立てる。
隊長はあたしの耳元に顔を寄せて楽しそうな声を出した。
「何本入れた?」
自分で入れた指の数を訊いているんだろう。
どうしよう。こんな恥ずかしい事を言わなければならないなんて。
「…二本、です」
「嘘だな」
中に入ったままの指が割れて大きく開く。
突然開かされた口が驚いて閉まろうとするが、太い指がそれを許さなかった。
「こんなに簡単に開くのに、二本って事はないだろう」
「ああっ、あっ、ん…っ…ふぅっっ」
開いたまま中でぐるりと回されて、食い込んだ指の先が内部を痛めつける。
罰を与えられながらも飢えた肉は歓喜の涙を流して蛮行を受け入れた。
「……四本、です…」
正直に答えると同時にもう二本の指が追加された。
「ああぁっ!うんっ、うぅんっ、太い…太、い…っ」
同じ四本とはいえ太さも長さも違うそれは自分で広げたよりも大きく開かされる。
縦に長く開いた膣口は鋭い剣を埋め込まれているようで、痛みと快楽を等分に伝えてきた。
「ううっ、うっ、こんなっ…こんなの…っ」
「相当使い込んだな…ここまで広げられてるのに喜んでやがる」
ずぐ、ずぐ、と刺し込まれ広げられ、自分しか知らなかった穴が他人の手で汚される。
乱暴な陵辱にも関わらず、男を受け入れるための器官は卑屈なほど従順な素振りを見せた。
「は、ぁ…だめ…っ、き、れる…ぅっ」
シーツを握り締め、限界まで股を開いて自ら進んで犯される。
男の手刀を股間に咥え肉芽も乳首も勃起させて尻を振りまくる姿を隊長は嬉しそうに眺めた。
「いいよ、野明…色っぽい」
残った親指が肉芽を捕らえ指の腹で潰される。
包皮がぐにゃりと形を変え、中の粒が大きく飛び出した。
「いやっ、だ、め…出ちゃう…っ」
「ああ…中の綺麗な色した肉まで丸見えだ」
「やぁあ…っ」
コリコリと粒が弄られ、その刺激で塞がれた穴から嬉し涙が溢れだす。
ぬるついた肉は力を込める度に滑って自ら快楽を生み出していた。
「きもちいい…きもちいいよ…」
性器への容赦ない責めに息があがる。
絶頂への期待に全身が紅潮した時、隊長は突然指を引き抜いた。
「んぅうっ!……あ…きいちさん…?」
隊長は何も言わず指に絡みついた蜜を舐め取っている。
手首まで垂れ下がった蜜を綺麗に舐めながら意地の悪い声で囁いた。
「続きは自分でしてごらん?」
とんでもない台詞に再び血の気が引いていく。
この人は目の前で自慰をする事を強要しているのだ。
「そんな……できな…」
「出来るだろう?ここがこんなに開くまでやれたんだから」
ここ、と尽きる事無く水を溢れさせる性器を膝で押される。
硬い感触に喘いでもそれ以上の快楽は与えてもらえない。
中途半端な状態で投げ出された秘裂はどんな些細な快楽も逃すまいと膝頭に吸い付いている。
身体も気持ちも性感に向けて開かされている今は、どんな惨めな事でもしてしまいそうだった。
「野明が俺を思ってする所が見たい」
言う事を聞かないあたしがもどかしいのか膝の動きが益々乱暴になってくる。
潰されている性器が解放と快楽を求め続けている。
あたしは自らに慰みを与えてやる為に濡れた股間に手を伸ばした。
「あぁっ…んんっ……きいちさ…ん」
布団に顔を擦り付け、尻だけ高く上げた体勢で自分の性器を弄る。
立てた尻の間に手を割り込ませ、縦にした四本を濡れた割れ目に食い込ませた。
「くふぅっ、う、う」
肉芽から肛門まで戦慄くのを感じる。
愛しい人が身を乗り出してそれを見てるのだと思うと堪らない。
空いた手で肉芽をつねれば身体は勝手に喜びに踊った。
「う、うっ、きいちさん…きいちさん…っ」
一番大好きな人の前で、一番恥ずかしい格好をする。
屈辱を感じてもいいはずなのに、何か大事な秘密を分け合っているようだ。
さっきは一人でした事だけど、見られている今は隊長にしてもらっているようで。
自分で自分を犯しながらも想像の中では大好きな隊長に犯されていた。
「本当に感じてるな。匂いが濃くなってきた」
隊長は泡立つ秘裂にギリギリまで顔を近付けて匂いを嗅いでいる。
「やだ…っ」
文字通り隊長の目の前で性器を割り中をほじくる。
泡立ち白く濁っていった蜜が内腿を這う。
隊長は肌を垂れ下がる雫を舐め上げて満足そうに味わった。
「味も濃くなってるな…もうそろそろか?」
布団に埋めていた頭で何度も頷く。絶頂に向けて秘裂は肉の輪を動かし続けた。
「俺とするより良さそうだな」
「あ、あっ、きいち…さんの、ほう、が…きもちいい…っ」
自分では届かないほど奥まで犯してくれる長い指を身体は求めている。
触れるだけで感じてしまう指で中を掻き回して欲しかった。
「ほしい、よ…きいちさんの、ぜんぶ、が、ほしいよぉ…」
この濡れてほぐされた性器に隊長の性器を擦り付けて欲しい。
あの太くて重そうな肉の棒で中を一杯にして、気の済むまで蜜を垂れ流したかった。
「ああっ、ほしい、きいち、さん…が…っ、んあぁっ!ここ、に…ほしい…っ」
ともすれば卑猥な単語を叫んでしまいそうだった。
男の人に抱かれるのは初めてなのに、どうしてこんなにいやらしい事が出来るんだろう。
隊長はそんなあたしを深く重い呼吸をしながら見つめていた。
「あぅうっ、もう…イクッ、イク…きいちさぁ…んっ!!」
咥えた指を入れられるだけ奥まで入れる。
絶頂に歪んだ肉は真っ赤に腫れて指を締め付けた。
「ふ、ぅう…うぁ…」
意味もなく二、三度尻を振り布団に突っ伏す。
抜けてしまった指一本動かせずにだらしなく転がった。
「今度は俺の番だな」
イッたばかりの敏感な尻を撫でて、隊長は不適に笑った。
力の入らない身体を横向きにされる。
掴まれた右足が隊長の右肩にかけられ性器を大きく晒す形になった。
宙吊りのような不安定な体勢と丸見えになっている心許無さから縋る様に隊長を見上げる。
隊長は本当に嬉しそうな顔をして、あたしの尻を揉み濡れた陰毛を扱いた。
「安心しろ。いきなり奥まで入れたりしない」
いつの間にかゴムがはめられていた肉棒が膣口に触れている。
さっきコンビニで買っていたのはこれだったんだな、なんてどうでもいい事が頭に浮かんだ。
「きいちさん…きいちさん…」
何もかもが堪らなくて身体を捩ると、隊長の熱い手に拘束された。
「やっと……お前を俺のものに…」
歓喜と狂気を声に滲ませ、ふくらはぎにキスをしてからあたしの中へ入ってきた。
「あつい…っ」
圧迫感より何よりまずそれを感じた。本当に焼けてしまうのではと思ったほど熱かった。
亀頭が肉のひだに潜り汁気で満ちた肉筒へと運ばれていく。
「ん、ん、ん」
めりめりと肉の輪を広げ、張り出した部分がやっと中へと入った。
ほんの少し前まであんなにゆるんで肉棒を欲しがっていたのに、今は何故か締まりがちになっていた。
入ってきた肉を内壁はぐいぐいと締め上げ容易に割る事を許さない。
だが追い出すような動きを見せるそこを、灼熱の剣はぬめりと力で突き広げていった。
「よく締まって…理想的だな」
自分自身の性器の具合を聞かされる事がこんなに恥ずかしいとは思わなかった。
だがどんなに頭は恥らっても下半身は別の意思を持つ。
男の欲を満足させようと肉を動かし蜜を潤わせて見苦しいほど媚を売っていた。
「あぁ…開いちゃう…おく、まで…あいちゃ…ああぁっ」
肉壁を広げられるギリギリまで開かせて凶器が最奥まで埋め込まれる。
奥の奥を更に押し上げるまでに圧迫しておきながら、入りきらなかった部分が膣口から長く伸びている。
肉が肉を生々しく広げている感触は、今まで感じたどれとも違っていた。
誰も迎え入れた事のないそこに初めて入る他人。自分以外の熱が体内に埋められる。
自分でも触れられない内臓の全てを根こそぎ暴かれる感触。
自分が自分でなくなるような、まったく別の物に変えられてしまうような恐怖。
犯される。
ただ、ただそう思った。
「だめぇ…っ…犯されちゃ…」
「犯してるんだよ…っ!」
隊長が獅子の如く荒々しく吼えると中の肉が激しく動き出した。
「あっ、あっ、あつい…っ…あつい…っっ」
奥まで刺し込まれたまま腰が円を描き、内部の蜜と外気が混ぜ合わされる。
肉の縁から濁った蜜が溢れ続け左の腿を膝まで濡らす。
秘裂はどれだけこぼしても留まる所を知らず、いつまでも垂れ流し続けた。
「ここまで垂らしておいて、よく弛まないな」
荒い息の合間に隊長の揶揄が届く。
だけど生まれて初めての感覚に喘ぐあたしはそれどころではなかった。
「ああっ、うっ、きいち、さんが…きいちさんが…っ、こんな近く…っ」
指では叶わない、中の中すべての部分に触れられ内部を隈無く犯される。
あんなに狭い所をあんなに太い物で掻き回されるなんて。
柔らかくて何も抵抗できない無防備な部位を、硬く張り出した肉の突起が徹底的に犯す感触。
潜っている肉の出っ張りが丁度いい部分に当たるのに涎を垂らしてよがる。
未知の物に犯される恐怖は、いつの間にか性器の中すべてを隊長で満たす喜びへと変わっていった。
「いいっ…きいちさん、に、さわれて…うれし…っ」
「…俺は、もっと、嬉しいよ」
隊長は酔った眼差しで腰を動かしあたしの中から快楽を引き出している。
あの冷静な人がここまで夢中な顔をして求めてくれるのが本当に嬉しかった。
「あっ、んっ、きいちさん、も…いい…?」
「…最高」
「うれしい…っ」
隊長があたしの身体で気持ち良くなってくれている。そう思うともうどんな事でもしたかった。
「なあ、野明…もっと気持ち良くしてもいいか?」
「して、くださ…あぁっ、きいちさん、なら、もう全部…っ」
出来るだけ隊長が好きに犯せるよう、股を開き腰を動かしながら無我夢中で叫ぶ。
隊長の節くれ立った親指が粘ついた蜜を掬う。
先から根元まで蜜を絡めたそれが尻の谷間に降りた。
「ん…きいちさん…?」
濡れた指先が蕾んだ尻の穴を何度も何度も捏ねる。
刺激に口を開けかけたそこに突然押し込まれた。
「ひいっ!ひぁ、あっ、やぁあっっ!」
衝撃に腰を振り乱して暴れるが侵食は止まらない。すぐに根元まで収まってしまった。
「おしり…おしりの中まで…さわられ、ちゃったよぉ…っ」
自分ですら触れた事の無い部分を最愛の人に触れられる。
背中側から支えていた手が無くなった為、体重を尻の穴で支える事になった。
「おしり…ひろがっちゃ、う…っ!」
もう何も出来ずに喘いでいると、前から支えていた手が不穏な動きを開始する。
濡れた茂みをかき上げた手が肉の割れ目の中へと潜る。
親指で膨れた肉芽を捕らえると、思い切り内部へと押し込んだ。
「ひいぃっっ!ひっ、ひぃいっ、い…ひゃあぁっ!」
性器に肉棒を押し込まれた状態で、前と後ろから同時に攻められる。
膣口と肉芽と肛門を一度に犯されてはまともな事など考えられない。
髪を振り乱し、みっともなく口を開けて狂った様に喘ぎ続けた。
隊長がこんなに強引だとは思わなかった。
いつもだと緻密な根回しをして自然と自分の思い通りにするパターンなのに。
今は何らひねる事もなく力ずくで自分の思い通りにしていた。
策略家の男と我侭な子供、一体どっちが本当の隊長なんだろう。
きっと本人だって分からない。でもあたしは両方を知っているんだ。
「あぁんっ、あぁあんっ、おしりっ、おしりが…あいちゃ…う、ひぃっ」
「ああ…開いてるな…中まで丸見えだ…っ」
尻の中の指は幾度も折り曲げられざわつくような微細な性感を与えてくる。
前を押さえる指は内側に向かって力一杯押し肉芽がめり込んでいく。
膣の中は肉棒の愛撫で掻き乱され発狂寸前の悦楽を休む事無く食わせられる。
どこまでも続く肉の嬲りに、終わりと解放を望む身体は絶頂に逃げようとしていた。
「はぁっ、イク…イク…ッ…もう許して…っっ!」
太い肉棒でみっちりと埋められている膣は動かせない口を微かに震わせて限界を叫ぶ。
尻の穴も肉芽も、もうこれ以上の快楽には耐えられなかった。
「イクッ……ふ、うぁ、あ、あぁああっ!」
肉芽を丸められ、尻の穴を広げられ、膣を肉棒の形一杯に開いたまま快楽の頂点を極める。
それなのに、隊長の動きは何一つ変わらなかった。
「あひぃっ!や、やぁっ、やめてぇ…っ!」
隊長はイッた直後の敏感すぎる身体をお構いなしに串刺しにする。
極端に過敏になっている性器を更に暴力的な動きで嬲り者にする。
ショックで膣が滅茶苦茶な動きを見せるが、肉棒はそれすらも掻き回した。
「あぁっ、やめてぇっ…イッたの…っ…イッたんです…っっ」
「知ってるよ……だからもう一度イけ」
尻の指は周りの肉を巻き込むほど奥まで潜り込み、裏から肉棒と一緒になって膣内を弄り倒す。
肉芽は包皮を捲られ、その開いた口から爪を立てられ極まった肉の粒に深い跡を刻まれた。
膣を責める肉棒は前後の指とリズムを合わせて混乱した肉のうねりを更に乱し、
入りきらない竿の部分まで入れようと力一杯ねじ込んできた。
「入れないでぇ…っ…奥、が、裂けちゃ…う…っ」
もはや凶器でしかない愛しい人の男根はそれに相応しい振舞いで膣内を痛めつける。
尻の指が内部からそれを増長し、肉芽の指は小さな粒を硬い爪で切り刻んだ。
「いやっ、いやぁっ!もう、***……いやぁあっっ」
肉に押された肉が内臓に向かってめり込み、余っていた部分の侵入を許す。
無理矢理深くされた膣は股間の皮膚を内部へと引っ張り、自らの口で陰唇を飲み込む形となった。
その動きに尻の穴まで引かれ、指とはまた別の方向に穴を広げていく。
肉芽も包皮を下へと引かれるが、指先が腫れた皮を上へと引っ張り千切れる寸前まで引き伸ばされた。
深くなった肉筒を更に深く掘り下げようと切っ先は容赦なく沈む。
強烈な快楽をもって拡張された性器は二度目の限界に戦慄き続ける。
犯り殺される、そう思った。
「もう、殺して…っ、ころしてぇ…っ!」
極限状態で愛する人の肉棒を膣で握り締める。
すると今まで散々苦しめてきた臓物が何かを吐き出した。
「死ねよ…俺が殺してやるから…」
何かが聞こえた気がしたけれど、遠ざかる意識には届かなかった。
眼が覚めたら隊長の腕の中だった。
身体は綺麗にされていて、ご丁寧に腰や脚に湿布まで貼られている。
普段使わない部分の筋肉使ったからな、なんて言って疲労した箇所をさすってくれた。
さっきとは違う気持ちのよさに眼を閉じて隊長の首にしがみ付く。
ああ、隊長に初めてを貰ってもらえたんだな。
失ったもの以上の充足感が新しく生まれ変わった身体を覆っている。
隊長はしがみ付くあたしの頬の傷に唇を滑らせていた。
「あのね、喜一さん…本当は……熊耳さんを恨んだ事もあるんです」
隊長の顔を見ないで懺悔をする。隊長は黙って聞いてくれた。
そう、正直に言って熊耳さんを恨んだ事もあった。
あたしがもっとイングラムを上手く扱っていればこうならなかったのは分かってる。
熊耳さんは仲間として大切な大切な人だ。けれどあたしだって心が弱る時がある。
傷を思って、隊長を思って泣いた夜は心が黒く染まっていき、それはやがて恨みとなった。
「熊耳さんが一人で行かなければ、リチャード・王もその仲間も逮捕できたし、バドもあんな事しなくて済んだ」
もしかしたらあの犯罪者達を逮捕できる千載一遇のチャンスだったかもしれないのに。
「それに二課の機体も破壊されずに済んだ」
二課の車両含んだ機体全てが破壊され、篠原のテスト機も全壊となってしまった。
「誰も怪我しなくて済んだし」
太田さんや課長もたくさん血を流していたし。
「もしかしたら……顔に傷もつかなかったかもしれない」
あたしもまた血を流した。
「……そんな風に思ってしまうんです」
そうだ、あたしは本当は熊耳さんを恨んでいるんだ。
あたしは大切な仲間を心底憎む事が出来る、そんな女なんだ。
今更ながら自分の心の醜さに吐き気がした。
隊長もきっと呆れているだろう。こんな女だったのかと。
「…当然だろう?」
なのに、聞こえてきたのは肯定する言葉だった。
「お前が今言った事は全て当然の意見だ。熊耳の行動が無ければあの事態は起こりえなかった」
胸の中の何処かが微かに動く。
一番好きな人に肯定してもらえる嬉しさに、心の硬くなっていた部分が柔らかく解け始めた。
「熊耳が警察官として行動していれば、誰も傷付かなくて済んだ。熊耳以外はな」
そう、熊耳さん以外は。
でもあたしは、熊耳さんはあそこで警察官として行動していた方が傷が浅かったと思っている。
だってあそこであんな行動とってしまったら、それこそ完敗じゃないだろうか。
警察官として捕まえる事も、女として捕まえる事も、どっちも選べなかったんだから。
迷ったまま最後まで自分の生き方を決められなかった。そして多分今も。
熊耳さんはもう一生、あの男に捕らわれたままなんだろう。あたしの傷の様に。
その傷を何処か小気味よく思っていると、今度は隊長が意外な懺悔を始めた。
「だがその前にな、俺の行動もまたあの災厄を招いたんだよ」
「バドを二課で事情聴取しただろう?」
そうだ、隊長たっての希望という事で二課で取調べをしたんだ。
あの時は隊長も随分と甘いんだなと思っていたけど。
「あれはわざとだ。リチャード・王は必ずバドを取り返しにくると思っていた。
バドはグリフォンのパイロットだから。イングラムとグリフォンの決着を付ける為にな。
そうなればまずシゲさんの所に置いておく訳にはいかない。民間人巻き込む事になる。
だがもし警視庁で取調べをしていたら警視庁が襲撃される事になる。
それ位はするだろうあの男は。子供…というかもう狂っていたようだからな。
万が一本丸落とされたとなれば警察の面子は丸潰れ。
落とされなくても襲撃されただけで大変な事だ。
しかも警察官一人が拉致された状態ともなればマスコミは大騒ぎだろう」
その通りだ。警察官拉致した犯人が警視庁まで壊滅させたら眼も当てられない。
あげく警視庁周辺には皇居や国会議事堂、各省庁が存在する。
もしもその中の一つにでも、何かあったとしたら。
もはや信用回復が不可能に思えるほどのダメージだ。
「だから二課にバドを置いておくことにした。
あそこだったらイングラムはあるし、暴れるには広いし、周り何もないし。
バドがあそこに居ると分かれば自らグリフォン引っさげてやってくると思った。
因縁の対決を見物しにな。もうあの男の頭にはそれしかなかったようだし。
……本当に壊れてたんだなぁ、あの男は。
だからそうやって二課に網を張った訳だ。今度こそあいつら釣り上げる為にな」
「…バドを餌に使ったって事ですか?」
「そうだ」
何の感情も交えない冷たい声。隊長を怖いと思うのはこういう時だ。
目的を遂げる為ならばあらゆる手段を講じる。
それは全てこの人の中に凛と立つ正義感からきているのだけれど。
「それでバドを拘束したまま逆にリチャード・王かその仲間誰か一人でも捕らえられりゃよし。
もしもバドを奪われたとしても、間違いなくグリフォン動かすからそれを押さえりゃいい。
周りに気を配らなくていい状況でAVシリーズ四機がかりならいくら何でも勝てるだろうしな。
リチャード・王達がバド見捨てて逃げたとしても、それはそれ。
バドを保護してグリフォンって物証押さえてりゃシャフト側を追い込みやすくなる。徳永もいるしな。
そうすりゃ後は松井さん達の仕事。俺達の仕事は終わり。
一連の黒いレイバー事件への特車二課としての責務は果たせるって寸法だ」
確かにあの場所で四対一ならどうしたって勝てるだろう。よっぽど不利な条件でもない限り。
「だが熊耳が拉致されたのは誤算だった。あれで一気にやりにくくなっちまった。
あげく橋落として孤立させて、それにまさか他のレイバーも持ってくるとはな。
一時はもう熊耳を取り返せないかとも思った。さすがに一瞬自分の判断を後悔したよ」
後で人づてに聞いてびっくりしたのが、隊長が電話を床に叩きつけたって話だ。
あの隊長が、とも思ったけど、あの隊長だからこその行動だったんだ。
この人は本当にあたし達を大事に思っているんだから。
「だが最大の誤算は、この傷だな」
顎を掴まれ頬を手が滑る。傷跡を指の腹で幾度も撫でられた。
「まさかこんな事になっちまうとはなぁ…俺も熊耳恨んだよ。なんて事してくれたんだってな」
無表情だった隊長の眉間に皺が寄る。
いつもより率直な表情の変化は本当に心を痛めているんだと言っていた。
「でも、本当に恨めしいのは自分自身だ。惚れた女一人満足に守れなかった」
両手であたしの顔を包んで触れるだけのキスを落とすと自嘲の笑みを浮かべた。
「だから言っただろう、お前の顔に傷を付けたのは俺なんだよ」
悲しい笑みを浮かべる隊長の首を引き寄せて、今度はあたしからキスをする。
お互い眼を閉じないで、視線を合わせたままキスを続けた。
「あのね?喜一さん」
あたしの唾液で濡れた唇を指で撫でる。想像していたよりもうんと柔らかいそれ。
「傷自体が悲しい訳じゃないんです」
隊長がいぶかしげな顔をする。表情がくるくる変わって可愛いな。
「あたしが傷を悲しく思うのは、こんな顔じゃ喜一さんに好きって言えないと思ってたからなんです」
今度は驚いた顔。唇に触れていた指を滑らせて、手の平で頬全体を覆った。
「…あたしも一応、女の子ですし。だけど喜一さんがこんなにあたしを心配してくれて、
あたしを思ってくれてるの分かったからもう大丈夫なんです。責任も取ってもらえるし」
隊長は無言であたしを抱き締める。
きつい拘束の隙間から、心細そうな小さな声が入り込んだ。
「……ごめん」
そんな声出さなくていいのに。
好きな人に愛してもらえて、あたし本当に幸せだ。
「…しかしお前も成長したな。前はあんなにイングラムに傷を付くのを嫌がっていたのに」
「あ、うーん…何て言うか…コンテナ埠頭で一回吹っ切れちゃったのかなぁ」
「そうか…色々あったもんなぁ」
本当に色々あったな。あの工事現場から今日この日まで、本当に色々。
「物理的な被害も人員の負傷も全てが取り返しのつかない事だが、負けた訳じゃない。
間違いなくあいつらに、グリフォンに勝ったんだ。本当に良くやったよ、お前も皆も」
「頑張りましたから」
「そうだな、本当によく頑張ったな」
よしよし、と髪を掻き回される。裸なのに撫でてくるのは上司の手なのが何だか可笑しい。
「喜一さんもよく頑張りましたよね」
あたしも真似してよしよし、と撫でてあげる。
怒られるかと思いきや、以外にも本当に嬉しそうな顔をした。
お互いによしよしと撫で合って笑い合う。そうして布団に沈み込んだ。
「寝るの勿体無いな」
「ごめんなさい…あたしなんだか……ねむくて…」
「いいよ、寝てろ。朝までずっと抱き締めてるから」
太い腕を枕にしてあくびを一つする。
柔らかい布団と天然湯たんぽの温かさであっという間に瞼が下りてしまった。
あ、そうだ。あたしまだ隊長に言ってなかった。一番一番大切な事。
「きいちさん愛してる…」
やっと言えたなぁとまどろんでいると、あたしの持つ全ての不幸を昇華してしまう声が聞こえた。
「ありがとう…」
あたしは初めて、心から熊耳さんの幸せを祈れた。
<終>
420 :
おまけ:2005/10/20(木) 22:04:51 ID:6slSCgpH
気持ち良さそうに眠る恋人の頬を突付いてみる。
「う」とか「む」とか言うが、起きる気配は全くなかった。
「まあ、相当犯っちゃったしなぁ…明日が非番でよかったよな」
処女相手にかなり飛ばしてしまった自覚はあるが仕方ない。
長い片恋の相手にあんな風に誘われては頭のネジも飛ぶ。
「結構若かったんだなぁ、俺も」
感慨深く頷きつつ腰に貼ったシップをさする。
…もう一枚追加しとこうかな?
「やあれやれ…っと」
シップを取るついでに救急箱から包帯を取り出す。
伸縮性がない事を確かめてから泉の手を取った。
「こんなもんかな」
指の根元に包帯を巻きつけ締め付けない位に縛る。
上に引き上げて関節もちゃんと通る事を確認した。
「これでよし…それにしてもちっちゃい手だよなぁ」
左手薬指に巻きつく白い布を指輪に見立てて眼を細める。
指輪を買うなんて年単位で久し振りな自分の人生にちょっとやさぐれた気持ちになった。
「ま、この場合は女が切れてて良かったと言うべきか…」
他に女がいる状態で抱いたと分かったら、この潔癖な部下の場合半ギレになるだろう。
もしかしたら寝た次の日には別れ話になっていたかもしれない。
やはり警察官たるもの身辺はきれいにしておいて正解だ。
こうして心置きなく泉を抱けるし、遠慮する事無く指輪だって贈れる。
「ええと、最初が婚約指輪で次が結婚指輪だったか…」
その前に恋人としての指輪を贈りたい。確か誕生石とか言うのが存在するはずだ。
それを調べてその石を使った指輪を贈ろう。そうだ、裏に文字も彫ってもらおう。
「なんて入れるか……ああ、そうだ、あれを…」
Forsan et haec olim meminisse iuvabit.
いつかこれらの事を思い出す事も、喜びとなるだろう。
<終>
GJ!!!!
もうもうもうもう、すっごい大好きだぁっ!!!!
野明の葛藤も、後藤さんの暴走も、すごくイイ!
魂が抜けそうなほどGJです〜。いつもありがとうございます。
GJ!
エロくて二人が幸せそうで
読んでてニヤニヤした
うおー、凄い大作……。
後藤さんの畳み掛けるような告白シーンにぞくぞくしました。
傷を気にして泣く野明がいじらしいなぁ。
エロも質・量共に申し分なく、〆も雰囲気が良くて最高です。
これが保管庫に入らないのはかなり惜しいなー。
エロ部分が濃厚ですごい!
ただちょっと傷にこだわりすぎる野明はあんまり…
しかし好みの問題ということで。
なんかもう、早朝から半泣きです。
いいなぁいいなぁ、ただかっこよかったりかわいかったりするだけじゃなくて、
人間としての生臭さがでてて、そこも素敵というか。
426 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/03(木) 13:40:36 ID:WrSVA5SZ
ちょっとあげますよ
427 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/04(金) 17:05:42 ID:27qLoLgy
性年サンデーで、じゃじゃ馬グルーミングアップの渡会千草が旦那に
調教されているとゆうネタがあったが、あの様な設定で故障した馬が
温泉で治療する様に、馬主のパーティーで無茶苦茶な体位で攻められ
て腰痛になった千草が、駿平に連れられて温泉に治療に行き、駿平の
体調を気使いながらの優しい調教ですっかり彼の虜になり、帰ってき
た妻の様子を見た牧場主は、こんなに一人に懐いては人に貸し出す事
は出来ないからと引退させて駿平に譲り、自分は娘たちと調教名目で
様々な設定で一対一や複数でのプレイを楽しむ。
千草は牧童たちのも気にせずに駿平に甘え、駿平も自分にだけ見せる
熟女の可愛い様を愛らしく思って可愛がり、ひびきを苛立たせる。
428 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/04(金) 17:38:19 ID:27qLoLgy
誰か書いて。
429 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/06(日) 02:22:29 ID:pvNnSuf1
あと少し。もう少し待って。
ログ倉庫、あぷろだがあったらなって思う人いますか?ノシ
オエビじゃうまく描けなくてアップできない・・・
ごめん。
保管の手伝いはできるけど、うぷろだを探してあそこのサイトに貼付けるスキルはないっす。
433 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/11(金) 01:32:59 ID:Lmsp9wUL
エロ小説でこんなに男がカッコいいと思ったことは無い!
いや、読み物としてもGJ!
このスレで書いてくれる人たちのって、エロを抜きにしても
普通に読める(楽しめる)話が多いんだよね。みんなすごい。
>432
431です。レスありがとうございます。
それと管理ご苦労様です。
あぷろだの件は無理を言ってしまってすみませんでした。
と言いつつ、どう頑張ってもオエビで描けない未熟者です。
本気でオエビで描ける方尊敬します…。
いつかどこかのあぷろだにあっぷ致します。
教えてちゃんで申し訳ないですが、いいとこないでしょうか?
どこかにPASS入力しないと映像が見られないあぷろだがあったような気がしたんですが、どこか忘れてしまいました。
エロなんで晒しはちょっと…。
いままでの絵板にも画像うp機能あるよ?
通常カキコから画像選択で。あれではだめなのかな…
435さんの絵見たいよー
画像がアップできる掲示板作成しましょうか?
お絵かき板のシステムが判らないのかなと思い説明。
お絵かき板のトップにあるこの項目【通常カキコ】をくりく
↓
[お絵かきすと] [更新] [返信順] [サムネイル] 【通常カキコ】 [お絵描き] [消す] [管理] [設定] ▼
そしたら、
書き込み画面が出てくる。
4番目にある、
画像選択
( )【参照】←ファイルを選択
という項目の【参照】をくりく
パソのファイルの選択って言うのが、出てくるから絵を保存しているフォルダ名が出てきたらそれをクリク。
参照欄にC:\Documents and******* やらの自分が保存しているフォルダ名があれば、そのまま一番下にある、
【Snbmit】をくりく。
これでアップロード終わりですよ。
ただし※マークのついているHNやコメントも必須入力事項しないとうp出来ません。
削除の為のパスワードも入れておいた方がいいよ。
* 受信できる画像の最大データサイズは 200 KB までです。(最大解像度 : 1024 x 768 )
* 画像ファイルには JPG・PNG・GIF・PCH が使用できます。
* パスワードは半角英数で8文字まで有効です。
にも注意。
どこの画像掲示板でも同じようなシステムだし、これ以上、似たような掲示板ばかり外部に作ってもとは思いますが…。
435です。
絵板に画像アップできる機能があることをまったく知りませんでした。
不勉強で大変ご迷惑をおかけ致しました。
親切にいろいろ教えていただきましてありがとうございます。
438さん、非常に解りやすい解説ありがとうございました。
絵は完成次第アップします。
>>439 + +
∧_∧ +
(0゚・∀・) ワクワクテカテカ
(0゚∪ ∪ +
と__)__) +
他人様が描いたイラストや改造画ならカナーリ持ってるんだが・・・
そういうのはUPしちゃまずいかな?
>>442 昔、半角板あたりで出てたやつかなあ。もうあのスレ自体なかったけ?
>他人様が描いたイラスト
放置していても生きているサイトならまだマズイかなと思う。管理人(絵師)さんも見ている可能性あるからね〜。
それこそ、うpローダーかな…
サイトというか同人誌と、あと改造イラスト投稿の掲示板で
取ったのが多いんだけどね。今は古本屋とかでもこのへんが、
なかなか出回らないし、同好の士があつまるのはネットでも
ここぐらいだから逆に分けたかったんだ。
当時は二次創作とか知らなかったけど
最盛期にはそれなりに18禁同人とかあったんだろうなぁ
うらやますぃ…
>>444 そういうレベルならお絵かき板じゃなくてうpローダーでいいんじゃないのかなあ。
つか、初代スレでも結構その手の絵とか個人…まであったし。
全盛期はどっちかというと数字の方が盛んなイメージだった。
その頃は別ジャンルにいたから、余り詳しくは知らないけど。
数字とは?
スレッド一覧をじーっと眺めてたら分かる。かも。
特車2課よりシャフトの方が人気あったんだよね
内海×黒崎が多かった気がする…>全盛期同人
全盛期でも、質はなかなかだが18禁の数はあまり多くなかった。
ゆうきまさみの絵に色気がないせいだとも言われたw
今、古本屋で一番手に入れやすいのは釣りキチ同盟の本かな。
パトだけの本も出したし、評判がよかったのか「梅玉奈部作品集」
にも収録されてる。じゃじゃ馬やあーるネタも書いてるな。
表紙にパロ題材のタイトルが書いてあるから、ビニールに入ってても
内容がわかるし。
451 :
名無しさん@ピンキー:2005/11/18(金) 05:40:13 ID:V5CBu0Vp
さて連載中のバーディが「男(つとむ)の意識のまま、女(バーディ)のカラダ」という、
さあエロい妄想してくれといわんばかりの展開になったわけだが
>>450 そういえば、少し前だけどヤフオクにパト同人詰め合わせ150冊だったけ。出てたね…
買っとけばよかったかなと激しく後悔。
>>452 あったあった。ダンボール二箱で届くってやつでしょ?
よっぽど落札したろかと思ったけど、親の目が怖くて断念…
たぶん成人向けは少ないと思うけど・・・
多分、ほとんどノーマルギャグ系だった感じじゃないかなあ。
でも、欲しかった…
たまに業者が出しているオクの本って大抵見たり持っている物ばかりだから、個人所有の本って貴重かもしれない。
昔だと、オールキャラのノーマルギャグ本かシャフトの801
野遊、ごとしの、のカップリング本が多かったような気がする。
成人向が出てきたのって、ここ何年かの話ような気がするんだが…
良い世の中になったよ……
439さんのイラスト、UPされてましたよ〜。
ここは絵師さんも上手い人が多くてすごいっすね…
55 :名無しさん@ピンキー :2001/01/29(月) 15:41 ID:???
昔漫画版だかアニメ板に載っていた、パトレイバーの
同人誌情報を保存してあったので転載する。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「MELON FRAPPE 9+α」(art theater1990)
*漫画版ブロッケン搭乗二人組に犯される野明。その快感が忘れられず今度は篠原と…
「SAMPLE1、2」(studio SAMPLE1990、91)
*絵がすごくそっくり!(けら・作)内海とバドが野明を拉致、縛り上げて処女を奪う。途中で終わってるので3に続きがあるかも。
「全何有」「love & peace」「梅玉ンガ集1」
「98式Nan demo R」(梅玉奈部・釣りキチ同盟)
*こちらも絵がすごく上手い。大抵ぜんぶチンピラが野明か熊耳をレイプ。クスリで淫乱化も。有名どころで、一番手に入りやすくこの上でも紹介URLがある。じゃじゃ馬は「梅玉んが集3」。
「性年サンデー2」(誰罷慕)
*珍しい「あーる」と「じゃじゃ馬」光画部がまりい会長を犯す。オリジナルっぽいけど上手い
「zoneスペシャル2」(間合来人)
バドと野明、遊馬と野明。レイプ度低し、間合来人は似てないけどいい。
「こちら大田区城南島埋め立て地 特車二課」(やげざわ文庫)
カラーイラストなど。一枚絵で、野明の涙目の大股開きや、緊縛図が極エロ。
「MODEL2、3、4」(METAL)
玉石混交の感有り。イラスト主。やぱりチンピラin野明、熊耳
「お役にたちます」「野明の日々」(小説・ニコちゃん企画)
めずらしい小説。前作はテロリストが人質として野明と香貫花(珍しい)を監禁しつつ3日3晩責めまくる。後者はおたけさんが野明を調教。放置プレイの公園で、ホーム○スにおもちゃにされる野明が萌え燃え。
「happy LABOR」(moon water)
*女性が描いた18禁。野明と遊馬の純愛もの。最近発行、買いやすい。
乙。参考になりました
>>458 しのぶさんのエロ本は無いの?
ごとしのも良いけど、海の家とかに犯されるしのぶさんも見たいわけだが。
しのぶさん 後れ毛が エロい
同人誌はシャフトものでものすごい長編があってあれは好きだった。
ちょっと数字っぽかったけど。
ごとしの待ち保守
パトで盛り上がってますね〜。
パトじゃないのを近々投下したいんですか、いいでしょか。
すみません、空気読んでなくて。
ここは「ゆうきまさみキャラ」で萌えるスレ。
パト専用だなんてどこにも書いてないし、それ以外も投下されとる。
気にせずど〜んときなはれ。
っつ〜訳で
+ ∧_∧ + +
(0゚・∀・) ドキドキ 。
oノ∧つ⊂) +
( (0゚・∀・) ワクワク 。
oノ∧つ⊂)
( (0゚-∀-) テカテカ +
∪( ∪ ∪ 。
と__)__) +
468 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/09(金) 00:35:49 ID:SyrHn0Hn
あげとく
P2後のしのぶです
あの事件から今日で一年たった。
まだ一年と言うべきなのか、もう一年と言うべきなのか、私には分からない。
それともたった一年と言うべきなのか。
柘植を逮捕してからの展開はまさしく怒涛のものだった。
第二小隊隊長の暗躍により、私達は逃亡犯ではなく『勇敢なる』警察官に仕立て上げられた。
犯人逮捕を武器として、私達に都合の悪い事実はすべて無かった事にさせたのだ。
警視庁警備部特車二課による見事な奇襲作戦により、事件の容疑者を全員逮捕。
突入した隊員や機体が正規のものでなかったのは厳重に伏せられた。
どうやって容疑者の本拠地を知りえたのかは『優秀なる』公安部の捜査によるものとし、
私達が警察官を殴って逃亡したのは『混乱した状況での情報の錯綜』として無理矢理片付けた。
皮肉だが通信回線を破壊されたのがあらゆる言い訳を可能にしたのだ。
事件の真犯人は自衛隊ではなくこの男だと柘植の首を高らかと掲げて国民を納得させる。
自衛隊は完全に被害者であるとし、元自衛官による犯行への批判は現職自衛官の死傷を盾にかわした。
事を大きくしたとされる警察は犯人逮捕で汚名返上したという筋書きで押し切る。
自衛隊駐屯地への警備出動や三沢基地指令の拘束といった勇み足の責任は、
打って変わって擦り寄ってきた海法達に負わせて批判への生贄として世間に差し出した。
また利用されたという例のグループの人間達は、すべてを柘植に被せて証拠隠滅し保身を図った。
永田町の責任争いは累が及ぶのを恐れた者達が事件解決とその後の復興作業を理由にうやむやにし。
米軍は事態が打開へ向かったのを受け、その剣を静かに収め沈黙を守った。
そうやってそれぞれがあらゆる責任と罪と後ろ暗い部分を柘植一派と生贄達に背負わせて己の平和を守った。
こうした一連の事件の真相を知るのは私達と政府や警察、防衛庁の一部しかいない。
お互いがお互いの立場を守るために沈黙は続き、真実は墓場まで持っていかれるだろう。
それでいいんだとあの男は言った。真実になんてなんの価値もないのだと。
そこからがまたあの男の独擅場だった。
刷新した警察上層部に犯人逮捕の栄誉をくれてやった代わりに、それぞれの地位と安全を保証させる。
私は予定より遅れたが大規模に改編された特車二課の課長を拝命。
新旧それぞれの隊員達も、各自の特性を生かすより良い部署へと配属された。
どういう経緯があったのかは分からないが、あの男は公安部へと戻っていって。
そうやって事件後の混乱を利用して物語を一気に終演まで持ち込み、鮮やかに幕を引いた。
もう大丈夫だよと、笑って。
私は柘植を逮捕してからもすべき事があるのに驚いていた。
逮捕した瞬間、世界が終わってしまったと思い込んでいたのだ。
馬鹿馬鹿しい。何が世界の終わりだ。
一人の警察官が犯人を捕らえただけだ。
警察官としての責務であり、まったく当たり前の事をしただけだというのに。
それを世界の終わりだと思える自分のおめでたさに吐き気がした。
それとも自分と彼が特別な人間だとでも思っていたのだろうか?
それこそ馬鹿馬鹿しい。彼はただの犯罪者で私はただの警察官だ。
いや、警察官というよりも犯罪者に近いだろうか。
そういった意味では最悪かもしれない。
そんな人間が自分を世界の主人公か何かだと勘違いしたとは。
自分の不幸を世界中が嘆いていると思い込んでいたとは。
私がどれだけ不幸に見舞われようと世界は変わらない。
私や彼が生きようと死のうと世界なんて変わらない。
特別な人間なんて、この世に一人も居はしないのだから。
私と柘植の間に何があろうとも、世間から見れば警察官が犯罪者を逮捕しただけだ。
それをまるで世界の一大事のように捉えている自分が滑稽だった。
そう、滑稽だ。滑稽すぎて救いようのないほど愚かなのは分かっている。
けれど私にとって柘植の逮捕は世界の一大事だったのだ。
他人にとってはどれ程くだらない感傷であっても、私には大切で仕方がなかったのだ。
どれほど人に笑われたとしても。
現在の特車二課は埋立地を離れ、より広い場所と真新しい設備が与えられている。
すべてが新しく生まれ変わりあの事件を解決した花形部署として若い警察官の憧れとなっていた。
私自身ずっと携わってきた部署の大きな変革に、後ろめたくも忙しさに引き摺られて過ごしていた。
事件後は公安の監視がついていたが、あの男の移動と同時に対象から外されたようだ。
おそらく男が手を回してくれたのだろう。正直重苦しかったのでほっとした。
埋立地で最後の後始末をして以来、男とは一度も会っていない。
きっともう会う事もないだろう。
そうして一年。
私はあの忌まわしき始まりと同じ日に、廃墟と化した埋立地へと向かった。
身を切る海風に煽られながら正門の前に立つ。
閉ざされているかと思ったが錠も何もされておらず、拍子抜けする位あっさり開いた。
ただ錆付いた重い音だけが時の流れを示していた。
一瞬、不法侵入という言葉が頭をよぎるのをおかしく思う。
今更そんな罪が何だというのだ。もっと取り返しのつかない罪を犯しているくせに。
少し迷ったが、乗ってきた車はそのまま門の外に置く。
意味はないと思ったが門を閉じてから二課棟へと向かった。
打ち捨てられただけあって建物までの道は消え、立ち枯れた雑草に覆われている。
道なき道の草を踏みしめ廃墟と化したかつての職場を見上げた。
小さい。
こんなに小さな建物だったろうか?
記憶とあまりに違う光景に驚きを隠せない。
あの機械仕掛けの人形を収めていたとは思えぬ程小さかった。
人が住まなくなると家は死ぬ。そんな言葉を聞いた事がある。
この荒れ果てた最果ての地に建つ鉄筋は、まさにそれを示していた。
疲れた気持ちで物言わぬ遺骸となった建物の入り口に巡りつく。
正面玄関に貼り付けられた「特車二課は移転しました」の文字に唇を噛んだ。
これがあの男との最後の仕事だった。
すべての処理を終え、この場所を離れる時に貼ったものだ。
荷物を運び出し終えた殺風景な隊長室でカレンダーの裏に丁寧にしたためる姿。
丸い背を更に丸め、意外に神経質な印象の文字を綴る姿には悲しみが溢れていた。
からっぽになった屋内からガムテープを探し出し、ガラスに貼り付け戸を閉める。
すべての終わりとしてはあまりに虚しい仕事だった。
あの男と交わした最後の言葉は何だったか。
『忘れ物ない?』だったか、『じゃあ行こうか』だったか。
ああ、そうだ。確か『身体には気をつけて』だった。
自分の事しか考えられない愚かな私と違い、あの男は最後まで私を心配してくれた。
私だけでなく、かつての部下と今の部下すべてがより良い場所へと向かえるように采配していた。
新しくなった二課にもあの男の画策により、若く優秀な人材が多数送られてきた。
お陰で大変な筈の再出発も、大きな混乱無くスムーズにいったのだ。
すべてを放棄した私と大切な部下達を抱えて、あの男はただ一人戦い守ってくれたのだ。
そんな相手の優しい言葉に私は何一つ返さず、ただ自分の事だけを考えていた。
そう、自分の事だけ。柘植の事すらほとんど考えてはいなかった。
私は最初から最後まで、自分の事しか考えていなかったのだ。
そしてそれを当たり前だと思っていたのだ。
あの日閉めておいた筈の玄関は門と同じ様に簡単に開いた。
もしかしたら取り壊しが始まるのかもしれない。だとしたら今日来ておいてよかった。
遠い日に希望を胸に降り立った地の終焉を見られて良かった。
薄暗い屋内に足を踏み入れ、自身の小隊のあった北側のハンガーへと向かう。
レイバーと車両が並び、大勢の人間が行き交っていた場所も今は静寂しかなかった。
壁側の窓には板が張られ、明かりは天井から差し込む自然光しかない。
割れた天窓と無数の穴から差し込む光が帯となって暗い床を照らしてた。
天使の梯子。
昔あの男が教えてくれた雑学を思い出した。
隊長室で見た曇天の隙間から海原へと漏れる光の筋。
それを眺めていた時に教えられた。
他にも天使の階段、ヤコブの階段、レンブラント光線。気象学では光芒というそうだ。
旧約聖書に天に通じる梯子を昇降する天使の夢を見たヤコブという男の記述があるらしい。
おそらくそこから取ったのだろうと呟いていた。
特に口にはしなかったが、その教養に感心していた。
だがこの廃墟に天使が降りてくる訳もなく、光によって闇が一層濃くなっているだけだった。
ここもこんなに狭かっただろうか?
あの巨大な偶像がないのだから広く見えてもいい筈なのにひどく狭く見えた。
ただ天井だけが異様に高く見える。深い穴の中から地上を見上げている様な気持ちになった。
深く暗い穴の中、誰にも知られず助けを呼ぶ声も上げずに一人救いを待ち続ける。
自らの力で這い上がろうともせず、立ち竦みぼんやりと天上を見上げるだけの女。
あの時あまりに無力で愚かだった手を天に向かって伸ばしてみる。
しばらくそうしていたが救済も罰も訪れず、虚しく宙を掻いた手はだらりと垂れ下がった。
何もしないくせに救いの手は望むのか。
例えそれが訪れても掴む気も無いくせに望むのか。
あの頃とまったく変わりのない己の愚かさに笑えた。
もしこの光の中降りてくるとしたら一体誰が降りてくるのだろうか。
天使なのだろうか、悪魔なのだろうか。それとも誰も降りてはこないのだろうか。
柘植はあの夜何を思って私を呼んだのだろう。
待つと言ってくれた男は今でも待っているのだろうか。
過去でもなく未来でもなく今ここにいる私はどうしたいのだろう。
あの日から流されるままに生き、すべての決断から逃げ出した私はどこへ行きたいのだろう。
生きたいのか死にたいのかそれすらも分からない。自分の事だというのに。
分からないならかつての夢だったこの建物と共に朽ちていこうか。
誰にも知られず独りで。
すべてが消え去った空虚さの中で何も考えずにただ座っていようか。
誰にも会わず、誰とも話さず、光の中何かが降りてくるのを待っていようか。
そして孤独に消えていこうか。
くだらない妄想の間も、自分がどちらの男を考えているのかは分からなかった。
破壊されて歪んだ階段を上がり、反対側のハンガーへ向け移動する。
出来ればすべての場所を見ておきたかった。
もしかしたら誰かに会いたかったのかもしれない。
あれはすべて夢で、二課はここにあって、いつもの日常が続いている。
あの角を曲がれば部下がいて、廊下を事務官が歩いていて、遠くに整備員の怒鳴り声が聞こえる。
自分はハンガーから隊長室へと戻り、コーヒーを入れ席に着く。
斜め前の同僚の席には書類が積み重なっていて、まったくあの男はどこへ消えたのか。
裏で釣りをしているのか、屋根で惰眠を貪っているのか、まさか外出でもしているのか。
だがどれ程サボっていたとしても期日にはきっちりと仕上げているのだ。
一体いつ仕事をしているのやら。しかし仕上げている以上小言も言えないし聞きもしないだろう。
どうせあの男には何を言っても無駄なのだ。どれだけ言っても徒労に終わるだけ。
それに自分には自分の仕事があるのだから、さあ書類に手を伸ばして…。
ほんの一年前には当たり前だった光景は、隊長室のドアを開けた時点で掻き消えた。
古びた机とロッカーだけ残して空となった部屋。埃が雪のように厚く降り積もっている。
床に散らばる白い破片はあの男の愛用していたマグカップだ。
ここを去る最後の日、死人の茶碗を割る様に自分のカップを床に落とした。
もう最後だからね、と言った横顔の冷たさは忘れられない。
あの時、あの男は自分の中のどの部分を殺したのだろう。
最後まで男の顔を正面から見られなかった私には分からなかった。
私のカップは埃を被ったまま片隅に置かれている。
私は自分のカップの事すら決められなかったのだ。
私の狡さと汚さを象徴するようなカップ。何もせず何も決めずただそこにいるだけの。
崩れた状況を片付けるでも修復するでもなく、あらゆる決断から逃げ続ける自分の姿に重なる。
開いたドアからの風が埃と黄ばんだ紙片を舞い上げ容赦ない現実を叩き付けた。
そうだ、私が壊したのだ。
ここにあった当たり前の光景のすべてを私が壊したのだ。
色々な人の人生を私が壊したのだ。他の誰でもない私が壊したのだ。
壊しておきながら片付けもせず、ただ壊したままで何も決められない。
荒涼たる絶望が胸の中に広がっていく。
足元にぽかりと穴が開き、永久の暗闇に堕ちていくような恐怖。
ドアも閉めず身を翻してそこから逃げ出した。私は一体どこへ逃げようと言うのか。
私が逃げ込める場所など、どこにも在りはしないのに。
私が許される事など、もうありはしないのに。
惨めな姿で救いを求め南側のハンガーへと駆け込む。
そこにも幻想は存在せず、どこまでも冷静な現実が広がっていた。
壁や屋根が醜く崩れ、あらゆる機材は持ち出され、機械人形も立ち去った廃墟。
埃と染み付いた油と潮の匂い。
北側と同じく窓を塞がれた暗闇に天空からの梯子が伸びている。
降り注ぐ光の中、まぼろしの様に一人の男が佇んでいた。
最初は亡霊かと思った。
冬の儚い光の中に佇む黒ずくめの長身。
闇を切り取ったかの様なその姿には現実味がなかった。
瞬きする瞬間に灰となり消えてしまいそうな。
あるいは翼が生え天空へと舞い上がりそうな。
またあるいは鎌を携え命を刈り取りそうな。
そんな妄想を誘う姿だった。
私は動く事も出来ず、錆びて歪んだ手すりを握り締めその姿を見下ろす。
厚手の黒いコートに身を包んだ男はゆっくりとこちらに向き直った。
まさか。そんな。
一番居て欲しくなく、一番居て欲しかった男がそこに居た。
真っ直ぐに伸びた背。皺一つ見当たらない威圧感のあるコート。
裾から覗くスラックスは折り目も美しく、よく手入れされた靴が鈍く光っている。
いつも後ろに流していた髪は軽く分けて下ろされ、長めの前髪が眼に被さっていた。
漆黒の隙間から覗くのは鋭い眼。よほどの時でないと見せる事はなかったのに。
あの頃漂わせていた凡庸とした空気は消え失せ、近寄り難い冷淡な雰囲気を纏っていた。
ああ、時が流れたのだ。
あの頃の男は、もうどこにもいないのだ。
互いに声も出さず距離も埋めずに視線を交わす。
あの最後の日、いや警視庁から逃げ出して以来視線を合わせるのは初めてだった。
「…ここの鍵を開けたのは、あなただったのね」
沈黙と視線に耐え切れず、分かりきった事を口にする。
だが男はそれには答えず代わりに堅く冷たい声を出した。
「降りて来い。人に上から話しかけるな」
この男から初めて聞く厳しい言葉に虚を衝かれる。
一瞬冗談かとも思ったが、男の表情は変わらなかった。にこりともせずこちらを見ている。
私は穴が開き一面に錆の浮いた階段を軋ませて男の方へと歩み寄った。
不自然な距離を置いて男の姿を見上げる。随分印象が変わっていた。
こんなに背が高かったのか。伸びた背筋の所為だろうか威圧感の所為だろうか。
何故すべてがここまで記憶とかけ離れているのだろう。
あの日々は本当に現実だったのだろうか。
男は立ち竦む私の姿をしばし眺めた後、ようやく先程の問いに答えた。
「開けたのは俺だ。大した作りではなかったからな」
ここは確か民間に払い下げられてそのままになっていた筈だ。
当然鍵は付け替えられ管理会社が所有しているから昔の鍵では開けられない。
おそらく錠前屋が使うような特殊な工具で開けたのだろう。
ピッキングに不法侵入。なかなか派手な行動だ。
まともな警察官ならば躊躇しそうだが、この男に迷いなどなかったのだろう。
現に眉一つ動かさず当たり前の顔をして立っている。
視線も定まらず落ち着かない私を見据えてゆっくりと口を開いた。
「何をしに来た?」
一年という時の所為だろうか。声に聞き覚えがない。
あの心地良い低音は変わらないのに記憶の声と重ならない。
こんなに冷たい声を出す人だっただろうか?
「…あなたこそ」
以前の印象と全く違う姿形の所為で、見知らぬ人間と相対しているような気持ちになる。
かろうじて出た自分の声もまた、あの頃とは随分違って聞こえた。
「訊いているのは俺だ。質問に質問で返すな」
笑うでも怒るでもなく究極の無表情で機械のように言葉を紡ぐ。
口調は穏やかだが声に温度がないため突き刺さるように痛い。
あの頃とは何もかもが違いすぎる。私は途惑いつつ質問に答えた。
「……今日で一年だと思ったら…ここに来なければならない気がしたの」
この建物の死んだ日。私への罰が下った日。
あの日破壊された建物はほとんど再建されており、当時のままなのはここだけだった。
世界のすべてから見捨てられた建物。私自身を象徴するかのような。
動かない男から眼を逸らして足元のガラス片を踏みしめた。
「ここも…こんなに壊れてしまったわね」
粉々になったガラスの破片。あちこちに散らばる細かな部品。
回廊は歪み塞ぎきれなかった壁の穴が星座のように光っていた。
「…私が壊したのよね」
足元を見つめたまま懺悔をする。男は一言も口をきかなかった。
「私があの時迷わなければ…」
あの日から幾度も繰り返した後悔を口にする。
確かに事件を起こしたのは柘植だが止められなかったのは私だ。
まさか次の日あそこまでやるとは思ってなかったが、そんなのはただの言い訳だ。
愚かな女の気の迷いがこの街を破壊した。
この街を、破壊した。
「私が…私があの時撃っていれば…!」
人生最大の後悔を搾り出すと、男は軽蔑しきった声を出した。
「いいかげんにしろ」
強くはない、だが切り裂くような声に驚いて顔を上げるとこちらを見下す視線があった。
無意識に否定の言葉を期待していたのを見透かされているのに気付き顔が赤くなる。
視線を受け止められず、再び下を向くと容赦ない言葉を浴びせられた。
「いつまで悲劇のヒロインを気取るつもりだ。それともなにか?
『そんな事はない、君の所為ではないのだから気にするな』とでも言って欲しいのか?
自分の所為と言いながら随分と図々しいんだな。たいしたものだ」
初めてだ。この男にあからさまに傷つける言葉をぶつけられるのは。
この男には色々と煮え湯を飲まされてきたが、私という個人を傷つけられた事は一度もない。
それどころかあんな状況を生み出した私をずっと守ってくれたのだ。
それなのに何故、今はこんな冷たい刃を向けるのだろう。
「あの事件における俺達の行動を警察の手柄とする以上、あんたの失態は公表されない。
それが分かっているから自分の所為だなんて軽々しく言うのだろう?
地位が保障された状態での自己憐憫は気持ちがいいからな。
責任も取らずただ『私の所為』と言うのは楽だし罪悪感から眼も逸らせる。
そうやって安全な場所で『私の所為』を繰り返して、それで自分を許しているのだろう?」
声にも内容にも一片の容赦もない。
自分の弱くずるい部分を暴かれる羞恥に脚が震える。
だが男の追及は止まらなかった。
「そうだ、これは全部あんたの所為だ。で?どうする?自殺でもするか?
あの事件を止められなかった責任を取って?そんなもの公表される訳ないだろう。
『一警察官の過労による発作的な自殺』で処理されて終わりだ。
案外上層部には喜ばれるかもな。犯人と関係のあったあんたが自滅してくれるのだから」
淡々と告げられる事実に追い詰められていく。
この一年、男をどこかで拠り所としていた心は小さな悲鳴を上げた。
「死にたいのなら殺してやろうか?不幸な事故に見せかけて殺す方法なら幾らでもあるぞ。
運の悪かった気の毒なあんたを演出してやるよ。あんたが死んだって警察は困らないからな」
もうやめてください。もうこれ以上言わないでください。
厳しい追及に涙が滲み出す。
あの時も、この一年も涙など流さなかったのに何故今泣けるのだろう。
何があろうと肯定してくれると思っていた存在から誰よりも厳しく否定される恐怖。
歯を食いしばって耐えたが水の粒は荒れた床へとこぼれ落ちた。
「泣くのか?今更泣いてどうする?泣けば済むと思っているのか?やはりあんたは女だな。
それも男勝りな女にありがちな、雌のいやらしい部分すべてが凝り固まった女だ。
あんな男とこんな女の所為で亡くなった方達は永久に浮かばれないだろうな。
あいつのくだらない主張と、あんたの愚かな迷いの犠牲になったのだから」
そうだ、あの事件では何人もの方が亡くなった。私と柘植が殺したのだ。
亡くなった方とその家族や友人達の悲しみはどれ程のものだろう。
突然訪れた死。それも亡くなった方達には何の咎もない。
ただこの街で生きていただけだ。
なのに死ななければならなかった。殺されなければならなかった。
それは誰にも侵せない本当の悲しみだ。
それに比べて私はどうだ?自分は生きている。彼も生きている。
家族もいて、友人もいて、何の責任も問われずのうのうと結構な地位に居座っている。
人を殺しておきながら、自分こそこの世で最も不幸であると世界を逆恨みしている。
他人の死体を踏みつけておきながら、当然の顔で堂々と生きながらえている。
私は自分の事しか考えていない。あの18号埋立地でもそうだった。
地上に上がった時、私は自分の事しか考えていなかった。
足の下では命がけで地上へと送ってくれた隊員達がまだ戦っていたというのに。
レイバーに乗った隊員はまだしも、生身だった隊員は怪我をしたり、最悪の場合死んでいたかもしれないのに。
それなのに私は自分の悲劇にどっぷりと浸っていて、彼らを思いもしなかった。
そして彼らの無事も見届けもせずに飛び去ったのだ。最愛の容疑者と共に。
いや、その前からそうだったか。
警視庁が襲撃されて、あの状況を見れば沢山の警察官が死傷したのを想像できた筈なのに。
それなのに私はそれを何とも思わなかった。普通の人間なら持つ怒りさえ湧かなかった。
自分の事しか考えていなかったからだ。誰が死のうと柘植さえ生きていればよかったのだ。
いや、もっと前からそうだったか。
荒川が情報を持ってきた時から、自分の事しか考えていなかった。
柘植を容疑者と知りながらただのエゴで密会し、挙句の果てに撃てもせず取り逃がした。
この男が荒川と密会した時は、あれ程偉そうに怒鳴りつけたというのに。
そんな勝手な行動を取りながら悪びれもせず棚に上げて、上層部の面々を臆面もなく糾弾した。
当時の上層部に責任がない訳ではない。だがそれを糾弾する権利が私にはあったか?
『あなたがたはそれでも警察官か!』
よく言えたものだ。あの場にいた全員が思っただろう。
そっくりそのままお前に返す、と。
男の言う通りだ。私はなんていやらしい女なのだろう。
最初から最後まで自分の事しか考えていなかった。
そこまで分かっていながら心はなおも浅ましく泣き、許しを求め続けた。
声もなく涙を流す私に男は同情の欠片もない溜息を吐く。
ガラスや鉄屑を鳴らしながら私の方へと踏み出した。
近付いてくる恐怖におののきながらも心の片隅では期待していた。
男が優しい言葉をかけてくれるのを。言い過ぎた、ごめんと言ってくれるのを。
以前のように何を敵に回しても私の味方となってくれるのを期待していた。
だが男は距離を縮めただけで何一つ言わずに佇んでいた。
どれ位時間が流れたのか分からなかったが、乾いてきた涙を拭うために顔を上げる。
男の顔に優しさがあるのを期待したが、それは簡単に裏切られた。
冷たく澄んだ眼で私を見下ろしている。甘えも逃げも許さない厳しい視線。
この一年、どれほどひどい事をしようとこの男だけは許してくれると思い込んでいた。
この男になら何をしても許されるなどと甘い考えを抱いていた。
何を根拠にそんな事を考えられたのだろう。
最後の砦は、もうとっくになくなっていたのだ。
もう誰も、私を待ってはいなかったのだ。
「………消えてしまいたい」
俯いた喉からある意味の本音が漏れる。
意識しようとしてまいと、揺らぐ心の支えだった人物に否定された。
これはきっと罰だ。この男に散々甘えてきた罰だ。
男に甘えて、自分を許して、ずるくずるくここまで生きてきてしまった罰だ。
自分を不幸だと嘆き悲しむ事で眼を逸らし続けてきたいやらしさをすべて暴かれた。
自分勝手な悲しみを盾にしてあらゆる責任から逃れ続けた汚らしさをすべて暴かれた。
必死に取り繕ってきた自分という人間の弱さを、最も信頼していた人物によって露にされた。
恥ずかしかった。消えてしまいたかった。
「叶えてやる」
抑揚の無い声が耳に届く。その意味を知る前に冷たい手が喉を捕らえた。
「……っ!」
片手で首を締め上げられる。見開いた眼で男を見るが表情は変わらなかった。
冗談でも何でもない、本気の力で首を絞められる。
血流が滞り、酸素を取り込めない状態に本能が暴れ出した。
「……やめてっ!」
男の手と肩を掴み力一杯抵抗をする。
掴み合いになるかと思ったが簡単に解放され、バランスを崩した私は床に倒れた。
喉を押さえ激しく咳き込む。視界の端に男の靴が見えたが動く事はなかった。
「ほら、死ぬ度胸もない。他人の死には眉一つ動かさなかったくせに。
人がどれだけ死のうと何とも思わなかったくせに、自分の命乞いはするのか。
あの男のようにくだらない理由で無関係な人を殺しておいて涼しい顔で生き延びるのか。
この街に生きる人間はあんたとあの男の背景の一部だとでも思っているのか?
どれだけ自分を特別扱いするんだ。どれだけ他人を蔑むんだ。
他人の死にあれ程無関心だった人間が軽々しく死を口にするな」
頭上から冷たい声が降り注ぐ。さすがにここまでされた怒りに涙混じりながら抗議をした。
「どうして…そうであってもどうしてあなたがこんな事をするのよ…っ!」
「目障りだから」
あっさりと返された言葉にもまた温度は無かった。
涙に汚れた顔で男を睨み付ける。
そうしているとみるみるうちに男の眼に怒りが集まってきた。
「生きる覚悟も死ぬ度胸もなくて。いつまでもだらだらと被害者面して不幸ぶって。
もっと不幸な目にあった人が沢山いるのにそれにはそ知らぬ顔をして。
自分一人が大変な目にあった可哀想な人間だと思い込んで。それでまたいい気になって。
そうやって飽きもせず無気力に座り込んで陰気な空気撒き散らして。
誰の助けも要らないって顔しておきながら、自分からは何もせず周りに心配ばかりかけて。
いつまでその独りよがりな不幸に甘えていれば気が済むんだ。
あいつらやお母さんがあんたをどれだけ心配していると思っているんだ。
俺が………俺がどれだけ心配していると思っているんだ!」
初めてこの男に怒鳴られた。
短くはない付き合いでこの男の怒鳴る声を聞いたのは一度だけだ。
それも私に対してではなく他人に対してのものだった。
常に穏やかだった男から初めて剥き出しの怒りと荒ぶる感情をぶつけられ心が震える。
だがやっと血の通った男の声を聞けて嬉しかった。
怒鳴られても、嬉しかったのだ。
男が床に片ひざを付く。怯える私に手を伸ばし肩を掴んだ。
「生きろ。俺がこの世界のすべてからあんたを守る。
この先何があろうと絶対に食わせていってやる。
俺のすべてをあんたにやるから、あんたのすべてを俺に寄越せ」
真剣な眼に射抜かれる。拒否を許さない強い瞳。
視線に耐えられず顔を背けると顎を掴まれた。
獣の匂いがする。唇を、身体を狙われているのが分かった。
「ちょ、ちょっと待って」
「一年待った」
男がもっともな意見を吐く。肩を押され、冷たい床に横たえられた。
「待つのは一年だけと決めていた。一年だけはそっとしておいてやると決めていた。
一年待ってやって、それでも動かなかったらこちらから仕掛けると決めていた」
そうか、この一年まわりから突付かれなかったのはこの男が抑えていたからなのか。
上からも下からも何も言われなかったのはこの男が牽制していたからなのか。
私が自分で選べるよう、時間と環境を与えられていたのだ。
「あの日から今日で一年。あんたは何の決断も下さなかった。一歩も動かなかった。
生きるのか死ぬのか。あの男を選ぶのか俺を選ぶのかどちらも選ばないのか。
あんたは何一つ決めなかった。下すべきすべての決断を放棄した。
もうあんたに決定権はない。これからは全部俺の決定に従ってもらう。
あんたは俺と生きるんだ。もし拒否するならここで殺す」
日が動き天使の梯子が傾いて互いの居る場所を照らし出す。
梯子を降りてきたのは天使でも悪魔でもなく生身の男だった。
なんてずるいのだろう。この期に及んでまだ甘やかされている。
この男はわざと私を傷つけて、何でもいいから強い感情を引き出そうとしたのだ。
負の方向でも何でもいいから生きていく為の強い感情を。
人形のようだった私から人としての感情を引き摺り出そうとしたのだ。
そして脅迫し無理強いする振りをして許しを与えてくれている。
脅されたのだと、殺されるから仕方なく従うのだという立場を作ってくれている。
幸せを恐れる私がすべてに言い訳できるような幸せに追い込もうとしている。
殺されないためにはおとなしくこの男と生きるしかないという状況に。
幸せになるのは仕方の無い事だと自分自身に言い聞かせられるように。
冷たさこそが、この男の優しさなのだ。
何故ここまでしてくれるのだろう。何故これほど大事にしてくれるのだろう。
私はこんなにずるくて汚らしい女だというのに。
「後藤さん…」
再会してから初めて名前を呼んだ。さっきまで名前を呼ぶのすら躊躇していたのだ。
待たせるだけ待たせていたから。自分がずるいのを分かっていたから。
どうしようもなく弱いくせにプライドだけは手の付けられない程高かったから。
私はなんて小さいのだろう。なんて醜いのだろう。それなのにこの男は大事にしてくれる。
そして私は今も自分を責める事で自分を許していた。
「ごめんなさい…」
何に謝っているのだろう。この期に及んでまだ戯言を口にするとは。
男は眉を顰めて強張る私の顔を見据えた。
「誰に謝る?一体何のために謝っているんだ?」
本当に何のために謝っているのだろう。少なくともこの男に対して謝っているのではない。
私はいつだって自分の事しか考えていなかった。だからきっと自分の為に謝っているのだろう。
ここまでして貰っているのにまだ浅ましく次を求めるのだ。
外側ばかり立派で中身の伴わない高い高いプライドを満たして貰う為に。
「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい……」
「だから何がだ」
「……私のような女の為に…一年も…」
醜い懺悔の言葉に男は重々しい溜息を吐いた。
ぱん、と乾いた音がすぐ近くでする。続いて頬に何かが触れた感触。
ほとんど力は入っていなかったが、男に頬を叩かれたのだと分かった。
「人を舐めるのもいい加減にしろ」
声に一段と凄みが増す。どうやら本気で怒らせてしまったようだ。
「惚れた女に古傷ある位で腰が引ける男だと思っているのか?
ほんの一年やそこら待たされた位で背中を向ける男だと?
人を馬鹿にするのも大概にしろ。それとも何か?俺を試しているのか?」
怖い。この男が怖い。先程までの恐怖など物の数にも入らない。
単純な恐怖から手を拒もうとすると、男が荒々しく舌打ちをする。
怯える私の上でゆっくりと闇色のコートを脱いだ。
「ご、とう…さん…」
脱いだコートが綺麗な場所に広がる。光沢のある裏地が冬の光を反射する。
「黙れ」
見上げる男の三つ揃いも闇の色をしており、まるで喪服のようだった。
「後藤さん…後藤、さん…っ」
軽々と抱えられた身体をコートの上に寝かされ衣服が剥ぎ取られていく。
「やめて…やめて」
着ていたコートを広げられ、脱がした衣服や靴は放り捨てられる。
ストッキングは乱暴に引き裂かれ跡形も無くなってしまった。
「それは命令か?だがもう意味はないな。俺も警部だからな」
そうだ、この男は移動のどさくさと同時に昇進したのだった。
おそらく上層部との取引の過程でもぎ取ったのだろう。
上はその恐ろしさを分かっているのだろうか?
「お願い…やめて…」
下着に掛かった手を止めようとすると恐ろしい眼で睨まれ力が抜ける。
無抵抗となった身体からブラジャーが奪われショーツが引き下ろされる。
室内とはいえほとんど外気と変わらないのに何故か寒さは感じなかった。
もうそれどころではなかったのだ。それに目の前の男の身体が異様に熱かったのだ。
「後藤さん…」
全く隙の無いスーツ姿で全裸の私を押さえつける。
抵抗したいがまた舌打ちをされたり睨まれるのが怖くて何も出来ない。
何より心のどこかで身体を開けば許してもらえると思っていたのかもしれなかった。
いつの間にこの男の存在は私の中でこんなに大きくなっていたのだろう。
自分がこの一年、どれだけこの男に支えられてきたのかようやく分かった。
私を待っている人がいる。私には帰れる場所がある。
その考えにどれだけ甘えてきたかようやく分かった。
そしてそれを失うのがどんなに恐ろしいのかという事も。
失うのが怖くて、嫌われるのが怖くて、見放されるのが怖い。
それならば行為の恐ろしさを受け入れる方が良かった。
押さえ付けていた手が離れ、腕から肩へと愛撫が始まる。
熱く滑らかな手がかさついた肌を撫でて乳房を包んだ。
「あ…、あぁ…」
ただの肉の塊でしかなかったそこが、男の手によって性感帯へと変わる。
外気で縮まっていた突起が指によってほぐされ、もう一度性感によって立ち上がった。
「後藤さん…」
浅く繰り返す呼吸が白く曇って消えていく。聞こえるのは遠い波の音と風の唸りだけ。
静まりかえった廃墟の中心で供物のように捧げられる。
これは罰なのか救いなのか。
何も分からず何も決められず、ただ痩せた身体を転がしておくしか出来なかった。
男の熱い息が全身に掛かる。四つん這いになり犬の様に私の身体を愛撫した。
「んっ…あ…」
指の先から足の先までくまなく熱い舌が這う。
皮膚を這いずる粘性の器官が足の指まで捕らえて丹念にしゃぶった。
「や…め…っ」
一本一本丁寧に含み、足の甲にもキスを落とす。
くるぶしを撫でた唇は脛から太ももへと真っ直ぐ上がり、へその窪みをくすぐる。
濡れた柔らかい感触に息を乱していると、肌をつねられる痛みを感じた。
「い…っ」
痛んだ箇所を見てみると紅い小さな跡が浮かび上がっている。
男はその跡を満足そうに撫でていた。
「後藤さん…」
男の唇が再び落ちて肌を鬱血させる。
長めの前髪が乳房を撫でて言いようのない快楽をもたらした。
「後藤さん…後藤さん…」
腹部から胸にかけて満遍なく印を刻みつけた男は首筋に顔を埋める。
止める間もなく今度は喉元に跡を付けられた。
「あっ…だめ…っ」
男の肩に手をやって押し返すが、簡単に振り払われる。
幾度も首筋を舐め上げられ胸と同様大量の鬱血を残される。
痕だらけの首はきっと見れたものではないだろう。明日からどうしようか。
遠い天窓を見上げてそんな事を思っていると突然喉元に食いつかれた。
「ひ…っ」
ぎり、と柔らかい喉に硬質の歯が食い込む。薄い皮膚が剥けて淡く血が滲んだ。
「あ…あ…」
感じる痛みがひどくリアルだった。
その痛みにこの一年どれだけ感覚を殺してきたのか気付かされた。
流れる血を拭う口元が紅く染まる。
男の顔が汚れるのが嫌で手を伸ばして拭き取った。
「……」
男の眼に自分が映っている。己の顔を見るのすら久し振りな気がした。
映る女の顔は涙で汚れていて、迷子のように怯え揺れている。
哀れで、惨めで、頼りない、甘えきった醜い顔だった。
血を拭い終え、改めて男の顔を見つめる。
一年前より随分と魅力的になっていた。
迷いや弱々しさが一切抜け、誇りと力強さにみなぎっていている。
引き締まった頬に凛々しい表情を乗せ、落ち着いた自信を醸し出していた。
何より瞳が美しかった。澄み渡った空のような、静かな深い湖のような。
孤独を越えた人間特有の深く澄んだ瞳だった。
「きれい…」
こんな美しいものを見るのは何年ぶりだろう。何かを美しいと思うのは何年ぶりだろう。
この人は幾多の悲しみもすべて受け止めて、独り静かに耐えてきたのだろう。
だからこれ程までに美しい眼をしているのだ。
そう思うと自分の薄汚れた目が恥ずかしかった。柘植の事も恥ずかしかった。
どうしてあんな男を魅力的に思えたのだろう。自分とどこか似ていたからか?
あの男もご大層な言葉を紡いでいたが、今思えばあんなのはただの言い訳だった。
自分の事しか考えられない人間のくだらなさを、もっともらしい理由を後付けして誤魔化していただけだ。
この世界に馴染めない自分の弱さを、世界が間違っているのだと言い換えて眼を逸らしていただけだ。
自分は何一つ失おうとしないくせに、世界には多くを要求する。
自分の要求が通らなければ世界を不当に責め、己こそが正しいのだと大騒ぎする。
この街を幻だと言う事で、現実での躓きや無力感から逃げ出し自分は特別な人間だと必死で思い込むのだ。
あの男もあの男なりに言いたい事はあったのだろう。
遠い異国の地での過酷な経験が男に何かを決心させたのだろう。
だがそれがどうした。
人を傷つけてまで、人を殺してまで、主張すべき事なんてあってたまるか。
何が罪だ、何が罰だ、何が幻だ。
気取った言葉で飾るのもいい加減にしろ。
そんなにこの街に、この世界に不満があるのならばとっとと出て行け。
その正しさはお前だけのものだ。
「後藤さん…」
彼の澄んだ光に照らされた心が凄まじい勢いで傷を修復していく。
生涯抜ける事も無いと思っていた棘が跡形も無く消え去っていった。
互いの呼吸が重なるのを感じていると初めて口付けをされる。
その瞬間、私は一つの真実に気付いた。
この人は今日、ここで私を待っていたのだ。
そして私は今日、ここに帰ってきたのだ。
モノクロだった世界が急激に色付いてよみがえっていく。
私は何かに奪われたままだった自分の魂を取り戻したのを知った。
「後藤さん、後藤さん、後藤さん…」
この一年あんなに重苦しかった心が今は羽根のように軽い。
あまりの変貌に一秒前の自分すら思い出せなかった。
何をあんなに苦しんでいたのだろう。何をあんなに捕らわれていたのだろう。
私は柘植を撃てなかった。確かにそれは失態だ。だが罪ではない。
柘植を止められず、『状況』が始まり多くの人が傷付き亡くなった。
だがあそこで柘植を捕らえたとして本当に『状況』を止められたのだろうか?
例え逮捕したとしても、あの時点では柘植が口を割らない限り本拠地は分からなかった。
あの時分かっていたのは、松井さんが調べ上げた福生の飛行船会社だけだったのだから。
仮に柘植が口を割ったとしても、辿り着く前にヘリと飛行船は飛び立っていただろう。
もう『状況』の始まりは決定していたのだから。いや、もうとっくに始まっていたのだ。
それに通信回線の破壊も柘植を捕らえた所で免れはしなかっただろう。
作業はすべて完了していたのだろうし、残った部下が滞りなく『状況』を開始しただろうから。
それで私の失態が無くなる訳ではないが、撃とうと撃たなかろうともう間に合わなかったのだ。
あの男は三年もの長きに渡り準備をしてきたのだから。
私に会いに来たあの夜にはすべてが終わっていたのだから。
あの男の行動理由に、私の存在なんて関係なかったのだから。
「やっと分かったか」
私の表情から心の変化を読み取った後藤さんはあの頃のように唇を吊り上げる。
全裸の私を二着のコートで包み直してあの頃のような声を出した。
「確かにあの夜、あんたは警察官として重大な失態を犯した。
誰にも知らせずたった一人で容疑者に会いに行き、挙句の果てに取り逃がした。
だが例え失態を犯さなくてもあの事件は止められなかった。絶対にな」
優しい手の平が頬を撫でる。私は安心して身体を預けた。
「しかしあの場に居ながら柘植を逃がし荒川を泳がせた俺だって同罪だ。
俺も甘すぎたよ。まさかあそこまでやるとは思わなかったから」
「違うわ…あんな勝手な行動をとった私をかばおうとしてくれたのでしょう?
あそこで騒がなければ、私が柘植と密会して取り逃がした事実をなかった事に出来るもの」
後藤さんは眼を逸らしてその言葉を無視した。
「だがな、あんたや俺よりも当時の公安部の方がよっぽど問題だよ。
勿論一番責められるべきは柘植だが、次に責められるべきは公安だ。
柘植が行動を始めてから三年もの時間があったのに何やってたんだって話だ。
当時では何か手を出しにくい理由があったのかもしれない。
だが落ちた橋や亡くなった方の前でそんな言い訳が通用するものか」
あの事件後、海法をはじめ何人もの首が飛んだが公安部でも大幅な異動があった。
もしかしたら後藤さんが公安に戻ったのはその辺りが理由なのかもしれない。
公安が後藤さんを必要とし、後藤さんもまたあまりの不甲斐なさに戻る決心をしたのだろう。
それに一連の事件でもっとも犠牲者を出したのが、フロアごと攻撃された公安部だった。
きっと彼の元同僚や上司や部下も犠牲になっただろう。さぞ悔しかっただろう。
この世界の秩序を守り、正しい警察官である為に、後藤さんは茨の道を歩く決心をしたのだ。
「大丈夫だ。俺が公安にいる限り、もう誰にもあんな事件は起こさせない。
あんたがあんたの信じてきたレイバーでこの世界の秩序を守るように、俺も俺のやり方で守る。
俺達は同じ夢を見ているんだよ。そして同じ夢を生きていくんだ。俺達は『正義の味方』なんだからな」
「後藤さん、後藤さん、後藤さん」
コートの隙間から手を伸ばし、首にしがみ付いて必死で名を呼ぶ。
今までずっと停止していた心臓が突然に動き始めたようだった。
新しい血が全身を駆け巡る。新鮮な空気が肺に満たされる。
細胞のすべてが新しく生まれ変わっていく感覚。
「後藤さん、後藤さん」
何故こんな簡単な事に気付けなかったのだろうか。
何故あんな男に長い間捕らわれこだわり続けたのだろうか。
愚かだった。私は本当に愚かだった。
「後藤さん、後藤さん…」
がむしゃらに背を引き寄せようとする私を後藤さんの方からきつく抱き寄せる。
背中に腕が回され、骨を砕かんばかりの力で抱き締められた。
「しのぶさん…」
再会してから初めて名前で呼ばれる。懐かしい声。優しい音。
ここが私の楽園だった頃、日々繰り返されてきた甘い音色。
あんな不確かなものばかり見て、どうしてこんな確かなものに背を向けたのだろう。
この人はこんなにも、私だけを見て私だけを守り続けてくれたのに。
「ごめんなさい…」
自分の為ではなく、ただこの人の為に謝る。後藤さんは微笑んで首を振った。
「ごめんなさい、後藤さん、ごめんなさい」
スーツの背にいくつもの皺を作る手を捕らえられる。
腕を腹の上で交差するように置かれその上からコートの前が合わせられた。
「俺こそごめん。乱暴な事をした」
かさついた頬を優しく撫でられ触れるだけのキスをされる。
放り捨てた衣服に手を伸ばすのを、コートの間から腕を出して止めた。
「…しのぶさん?」
後藤さんが訝しげに眉を寄せる。私は掴んだ腕に必死でしがみ付いた。
「後藤さん…後藤さん…」
視線だけで精一杯尋ねる。
こんな女でも愛してくれるのか。
弱くてずるくていやらしい、愚か過ぎる程愚かな女であってもまだ愛してくれるのか。
警察官として生きる事も、女として生きる事も決められなかった私を見捨てないでくれるのか。
散々傷付けて、待たせて、その上守られ頼り切ってきた女を許してくれるのか。
これが私に与えられた最後の救いだと分かっていたから必死で尋ねた。
「後藤さん…」
大きな手が頬を包み美しい眼が私を覗き込む。
「おかえり、しのぶさん」
後藤さんの眼は『すべてを許す』と言っていた。
「後藤さん、後藤さん、後藤さん」
「もう黙って」
名前を紡ぐ口を優しく塞がれる。
嫌いだった筈の煙草の苦味を味わってようやく落ち着けた。
私を包むコートが再び開かれる。身も心も裸にされ、いっそ清々しかった。
後藤さんもネクタイを抜き、前を塞ぐボタンをすべて外す。
はだけた衣服から男らしい上半身が覗いて私を待っていた。
「しのぶ」
儀式が始まる。
これまでの私が死に、新しく生まれるための儀式。
その祭壇としてこの廃墟以上に相応しい場所はなかった。
「愛している」
精悍な顔が降りてきて口を塞ぐ。幾度も優しく啄ばまれ、鼻から吐息が漏れる。
入り込んで来た舌におずおずと舌を絡めてみれば優しい動きが返ってきた。
もっと近付きたくてはだけたシャツの下から背中に手を回す。
真っ直ぐな背骨に手を這わすと口付けは深くなった。
「ん…ふぅ…ぅ」
流れてきた唾液をこくこくと飲み自分のものにする。
薄く眼を開くと真剣な眼がこちらを見ていた。名前を呼ぶ代わりに唇を押し付ける。
後藤さんは余裕の仕草でそれに答え、頬を包んでいた手が広がった髪を梳いた。
ああ、なんて気持ちが良いのだろう。気が遠くなりそうだ。
こうして肌を触れ合わせているだけで気持ちが良い。
こんな素敵な事がこの世にはあったのだ。
愛される喜びをまさに肌で感じる。触れ合う部分からこの人の愛情が流れてくる。
何もしていないのに、こんな素晴らしい出来事を受け取ってもいいのだろうか?
罪悪感から理性と感情がせめぎ合っていると、後藤さんが静止の声を上げた。
「考えないで…感じて」
手首を掴まれ彼の頬に導かれる。幾分痩せた顔を両手の平で包んだ。
「これが俺」
手を動かされ、形のいい鼻や伏せた睫毛に触れる。
柔らかな瞼の感触に驚き、唇の弾力を指先で感じる。
滑らかな耳や長めの髪に触れ、漆黒の糸をさらさらと揺らした。
シャンプーの香りだろうか?煙草に混ざって草花の青い澄んだ香りがした。
掴まれた手が首筋に降ろされる。血の打つ音が伝わってくる。
生き物の命が立てる音。この人の命が立てる音。
「俺が分かるか?」
後藤さんが生きている確かな感触に何度も頷く。
この人が生まれてきてくれた事。この人が生きてきてくれた事。
この人の命を生かしてくれたすべてにただただ感謝を捧げた。
シャツの前を分ける様に手が降ろされ硬い鎖骨に触れる。
堅牢な造りのそれは艶やかな皮膚に覆われていた。
熱く湿った肌が手の平に吸い付いてきて心地良い。
鎖骨を撫でた手は胸板を真っ直ぐ降り、突起に触れた所で止められた。
指先が胸の粒に触れてしまう。引こうとするのを力を込めて拒まれた。
「ちゃんと触って」
小さな肉の粒が硬く張っている。真珠のような滑らかな手触りが心地良い。
指先でそっと擦ってみると、後藤さんは微かな溜息を漏らした。
熱い筋肉の奥にある鼓動を感じながら綺麗な突起を撫で回す。
呼吸は少しずつ速くなり、汗がしっとりと浮いてきた。
顔を見上げると目尻に喜びを表してこちらを見ている。
表情に濃厚な男の色香を浮かべて息を乱していた。
「しのぶ…」
掴まれた手が更に降ろされ割れた腹筋に触れる。
隆起に沿って指を動かすとくすぐったそうに身を捩った。
ねじれる筋肉の動きが美しい。人の身体なのに何故か誇らしかった。
窪んだへそを弄って脇腹を撫で上げる。濃くなっていく体臭に酔ってしまいそうだった。
「後藤さん…」
何もされていないのに身体の中心が濡れていく。全身から女の匂いが立ち昇っていく。
彼の発する匂いと自分の発する匂いが混ざり合って堪らない芳香となる。
性の匂いの立ち込める中、愛する人の身体を愛撫する幸福。
指先と彼の肌が同じ温度となり匂いも一つになっていく。
溶け合う豊潤な香りに包まれ幸せだった。
「掴まって」
服の上から彼の分厚い腰骨を掴まされる。しっかりとした造りを撫でさすった。
後藤さんは口元だけで笑ってベルトを外しファスナーを下ろす。
再び私の手を取ると、はだけたスラックスの間に導いた。
「あ…」
薄い布の向こうに熱く猛る存在を感じる。この人を男たらしめる器官。
引こうとする手をしっかりと握られ布の内側へと引き込まれた。
暖かい空気の中、濡れた恥毛に手が触れる。
豊かな茂みの根元を指の腹でそろりと撫でると腹筋が揺らめいた。
手は更に奥へと押し入れられ熱の根源となっている部位に辿り着く。
触れる甘やかな感触に耐えられず、引く腕と押し戻す腕で小さな攻防となった。
「気持ち悪い?」
首を振って否定する。
「触りたくない?」
それも否定する。後藤さんは眼だけで微笑んで言った。
「触ってくれ。俺のすべてを」
頷いて手を奥へと忍ばせる。熱くたくましい彼自身を両手で包んだ。
手の中の器官をどう扱っていいのかも分からず、ただ手指を使って愛撫を繰り返す。
籠もる熱はどんどん上がっていき、握った剣は益々猛っていった。
後藤さんの手が離れ、覆っていた薄布を押し下げる。
包まれたままの器官が外気に晒される。
初めて見る彼の反り勃った熱に思わず目を逸らした。
「見て」
頭を掴まれ顔を向けさせられる。今度は目を逸らせず彼のすべてを見た。
「しのぶを思ってこうなっているのだからちゃんと見て」
手の中で脈打つ性。その下にはふっくらとした器官が覗いている。
艶やかな恥毛は豊かに根元を覆って力強い剣を飾っていた。
焼けた鉄の熱さを持つ雄々しい彼の性器。
雄だけが持つ、まったく無駄のない完成された部位。
綺麗だと思った。
手の中に収まっているそれは、人としての美しさが表れていると思った。
「きれい…」
そっと手を動かして反り勃つ物の奥にある器官も愛撫する。
脚の間の皮膚を撫で、膨らみを両手で包むと後藤さんは熱い溜息を漏らした。
優しくさすってから恥毛を梳き、肉の先端まで移動する。
しっかりと張り出した部分をなぞると四つん這いになった身体がびくんと揺れた。
反応が嬉しくてそこを幾度もなぞる。
呼吸が荒さを増し、性の匂いが一段と濃くなった。
性感に翻弄される彼の美しい姿に煽られる。
逆手に持った手で幹をしごき、先端を指の腹でなぞると妖艶な喘ぎ声を漏らした。
がくりと床に肘を付き、私の首筋に顔を埋める。
長めの髪が頬をくすぐり肩に甘い息が掛かる。
彼が喜んでいるのが分かったので、休みなく手を動かして性感を引き出した。
覆い被さる身体が小刻みに震える。手の中の温もりはやがて完璧な形となった。
「しのぶ」
後藤さんの手が私の膝を掴み脚を大きく開かせる。開いた場所に彼の身体が割り入ってきた。
彼の性器を握った状態で自分の性器を彼に晒す。彼のほど美しくない気がして恥ずかしかった。
「後藤さん…」
すぐに挿入されるかと思ったが、彼は動かない。私に握らせたまま止まっていた。
「後藤さん…?」
「自分で入れて」
思いも寄らなかった言葉に驚愕する。恥ずかしさに首を振るが彼は動かなかった。
「しのぶが入れてくれ」
開いたままの脚を更に開かされ、後藤さんの嬌態で濡れてしまった入り口が音を立てる。
強く惹かれあう部位をこれ以上止められない。
私は意を決して彼を引き寄せた。
濡れた剣が濡れた鞘に触れる。ただそれだけなのに、身体は跳ね上がった。
「ん…っ」
先端を茜色のひだに付け、くっと埋め込む。美しい彼の性が淫らな性に包まれる。
私の爛れた性器では彼を汚してしまう気がした。
触れ合う部分から滲み出す蜜を彼の幹に塗り広げる。
裏も表も根元まで塗ってから彼を中へと引き込んだ。
綺麗に張り出した部分が口を大きく割る。
内部は侵入におののいていたが、私は構わず入れていった。
「あ…っ……んっ」
心と身体の隅々まで後藤さんが染み込んでくる。
汚濁にまみれた私の中に流れてくる清流。
半分ほど引き入れてから手を離し、硬い腰を掴んで抱き寄せる。
彼の身体が落ちて奥の奥まで貫かれた。
「あああっ!……あ…っ」
澄み切った刺激に内部は踊り狂い全身が震え出す。
凄艶な肉の洗礼にあられもない声を上げてしまった。
ひくついていた内部はやがて落ち着きを取り戻し、中のものを大事そうに包み込む。
視線を落として見てみると、彼の完璧な性が私の空虚な部位を埋め尽くしていた。
「……うれしい」
涙が一筋頬を伝う。
こんな美しいものが私の中に入っているなんて。
こんな清らかなものが私に触れているなんて。
埋め込まれた綺麗な性器に内部から清められていく。
均整のとれた彼の半裸が抱き締めてくれる。
私は大きな背にすがり付いて先をねだった。
「あなたで綺麗にして…」
瞬間、身体が仰け反る。彼が剣先を力一杯突き立てたのだ。
「…っ!あぁああ……っ!」
峻烈な衝撃に悲鳴を上げる。ビクビクと震える身体を折り曲げられ膝が顔の横まで来た。
目の前に彼自身を咥えた陰唇が広げられ、零れ落ちた蜜が恥毛をしっとりと濡らしている。
やはり私の肉体は彼の性器ほども美しくない気がする。
自分の身体を申し訳なく思っていると、形の良い器官が蠢き始めた。
「あっ…あ、あ…」
顔のすぐ近くで性器が音を立て合う。
泡立つ蜜が白く濁り、彼自身にこびり付いて根元に溜まっていく。
透明な蜜と白濁した蜜が幾重にも重なり合って幹を濡らしていた。
「後藤さん…後藤さん…あっ…ああっ」
触れ合う部分から生々しい性交の匂いがする。
やがて鉄錆の匂いが混じり出し、白い蜜が紅に染まっていった。
彼が汚れてしまう。
私は手を伸ばして血液混じりの蜜を拭おうとする。
だが彼の腕がそれを止め床に押さえ付けられてしまった。
両手の平が重ねられしっかりと握り合う。
身体が更に落とされ清潔な肉柱が血に沈んだ。
「あ…あ、あ……ご、とう…さん…」
後藤さんは深く入り込む自身の姿をじっと見ている。
濁った血で汚れた私の陰唇も眼を細めて眺めていた。
「なんて綺麗なんだろうな…」
言葉を理解する前に彼の身体が動き出す。
埋まった剣が激しい出入りをし、中で溜まった蜜を溢れさせた。
私は彼の手を強く握って懸命に衝撃を遣り過ごす。
だが彼の性器が私を清める美しい光景からは目が離せなかった。
「ご、とう…さ……ごとう…さ…ん…っ」
動きは更に激しくなる。硬い腰骨が尻に当たる。
一回一回最奥まで入れ込まれ熱い身体の下で跳ね狂う。
そんな私を彼は嬉しそうに眺めていた。
「しのぶ…しのぶ…」
自分の清艶な裸身を使って私の身体を確かめるように抱く。
ああ、私はどうしてもっと美しい身体を持てなかったのだろう。
この人に相応しい清潔な身体で抱かれたかった。
「愛しているよ…愛している…」
引き締まった身体が更に大きく動いて絶頂へといざなう。
全身が極まっていく心地良い感覚。
絶大な解放感に向け互いを激しく求め合った。
「あっ…あああっ!」
頂点へと達した身体はすべてから解き放たれ、幸福な浮遊感に包まれた。
「しのぶ…っ」
残された彼の動きが速まっていく。
収縮する円を幾度も突き上げた後、内部を真っ白に染め上げた。
ふわ、と小さなあくびが漏れる。
情事の後のけだるさと日差しの暖かさが心地良いまどろみを誘う。
鉄柱に寄り掛かる後藤さんに抱えられ、しばらく二人で日向ぼっこをした。
赤ん坊の様にくるまれたコートからは懐かしい煙草の匂いが立ち昇る。
彼の温かさと天窓から差す光の所為で、私の周りだけ小春日和が訪れていた。
コートの中で手を伸ばし裸の下腹部に触れてみる。
この奥に収まっている彼の滴り。これがいつか私の中で実るのだろうか。
いつの日か得るかもしれない贈り物に思いを馳せて優しく撫でさすった。
「…って言ったらどうする?」
よく聞こえなかったらしい後藤さんが首を傾げて問い返す。
少し迷ったが、勇気を出してもう一度言ってみた。
「あのね……男の人に抱かれたの、初めてだって言ったらどうする?」
「……………え?」
後藤さんがぽかんと口を開けた状態で固まる。
再会してから初めて見る、あの頃のような力の抜けた表情だった。
「…柘植に抱かれてないの。口付けすらしてない。遠い昔たった一度手を握り合っただけなの」
眼を閉じてあの瞬間を思い返す。遠くても、まだ鮮やかだった。
「あの時私達は部屋に二人きりだった。そして柘植から手を伸ばしてきて握られたの。
初めて男の人に、それも尊敬していた人に触れてもらえて幸せだった。
奥さんがいるって分かっていても。
でも本当にそれだけだったのよ。けれどそれを見られたのよね。
……そして噂が流れた。
私が柘植と寝ているとか、職場で逢引しているとか、そんなの」
後藤さんは何も言わず抱き締めてくれる。コートに顔を埋め、硬い胸に頭を預けた。
「馬鹿みたいだけれど、私自身噂に気付くのが遅かったの。
私、学校以外の人間とほとんど交流なかったし、話すのも仕事関係だけだったから。
気付いた時にはものすごく大きな尾ひれが付けられてかなり広まっていた。
確かに私は柘植が好きだったし、手とはいえ意味深に触れ合っていたからすごく焦ったわ。
でも不倫は事実ではないし、ましてや寝てなんていない。それも職場でなんて。
だから大丈夫、事実ではないからすぐに消える。そんな風に思っていた。
柘植も何一つ弁解せず沈黙を貫き通していたのもあったしね。
…でも甘かった。噂は消える事無く警視庁にまで流れていった。
上から事情を聞かれて、事実無根だって否定しても全然信じてもらえなくて。
結局そういう噂が広まった事自体が問題だったのよね。
辛かったわ。本当に誰一人信じてはくれなかった。
唯一、仕事では大きな成果をあげていたから許されたようなものだった」
大きな手が頭を撫でてくれる。この手があの頃あったらどれだけ救われただろうか。
「否定してまわれば良かったのかしら。でもそれは違うって思っていたし。
それに柘植が恐ろしい程この話題には触れなかったのよ。
本当に完全沈黙だった。…彼が何を考えてそうしたのかは分からないけれど」
「あくまで『噂』でしかない事に対してじたばたするのもな。事実でないのならば余計だろう。
いちいち構うと向こうの思う壺だったりするし、余計に傷口が広がったりもする。
大方そんな風に考えたんじゃないか?」
確かにそうだろう。普通の仕事ならばそれで済んだのかもしれない。
だが、私達の仕事は『普通』ではないのだ。
ずっと黙ってきた真実を告白できて心が少し楽になる。
誰にも信じてもらえずに墓場まで持っていくしかないと思っていたのに。
それなのにこうして信じてくれる人を得る事が出来た。
後藤さんが流れた噂ではなく私の言葉を信じてくれるのが嬉しかった。
本当にあの頃この人がいてくれたら、どれだけ私は救われただろうか。
後藤さんはしばらく顎に手を当てて考えてからゆっくりと口を開いた。
「…多分、あの醜聞はしのぶではなく柘植を転ばせる為のものだったのだろう。
新しい試みを目立って華やかにやっていれば、内部では相当妬まれていただろうしな。
男の嫉妬は凄まじいから、貶める噂を流す位は平気でやるだろう。
それに柘植自身も、こう、恨みを買いやすい所があったのだろうし。
手を握り合っていたのだって、本当は誰も見ていないんじゃないのか?
要はそれらしい話を流せればいい訳だから。しのぶはその為に使われたのだろう」
「あ…」
今思えばそうだったのかもしれない。
柘植周辺の人間にとっては、私が転んでも何の得にもならないのだから。
仮に私と警視庁が狙いだったとしても、その為に柘植を使いはしないだろう。
それでは警視庁に恥をかかせるのと同時に身内の恥を晒す事になる。
それよりも柘植自身を貶めようとしたと考える方が自然だ。
柘植は仕事や金で弱みを見せる男ではなかったから、女の線で攻められたのだろう。
その相手として部外者の警察官である私は都合が良かった。
密告者も今までは柘植学校の人間だと思っていたが、そうではなく外部の人間だったのではないだろうか。
彼らだって噂をしなかった訳ではないだろうが、密告などする人間ではなかった。
彼らは最初女の私に戸惑っていたが、仕事へのやる気を見せればちゃんと仲間として認めてくれた。
今だってきっと仲間だと思ってくれている。
だから何度も何度も誘い出そうとしてくれたのだろう。
醜聞によってぎくしゃくしてしまった関係を修復しようとしてくれたのだろう。
もしかしたら私の口から否定されるのを期待していたのかもしれない。
なのに私はそれを辱めだと思っていた。
愚かな女をあざ笑っているのだと思っていた。
恥ずかしい。彼らがそんな人間じゃないと少し考えれば分かるのに。
あれだけ誠実に一つの目標に向かって歩んだ仲間だったのだから。
あんな事件が起きてしまったがいつかまた誘って貰えるだろうか。
会いたい。彼らには話をしたい。柘植とは本当はどんな関係だったのか。
あの時と、あの後と、そして今と。私がどう変わったのか聞いて欲しい。
また彼らと仲間になりたかった。
「…大丈夫だ。きっとまた共に笑える日が来る。生きている限りな」
私よりも私の事を分かっている人が優しくしっかりとした声で断言してくれた。
「しかし…」
「なに?」
後藤さんは言いにくそうに口をつぐむ。しばらく迷っていたが再び開いた。
「寝てなかったのは正直意外だった。
実際柘植は決起前夜に接触してきたし、荒川はわざわざ監視しにきた。
だから相当深い関係だったのだろうと思っていた。でも違ったんだな」
何と言ったらいいのだろう。私自身、今日一日で考えが随分変わったし。
私は自分自身を整理する意味も込めて、初めて柘植との事を人に話した。
「愛していたわ。柘植も多分、何かしらの感情を持っていてくれたのだとは思う。
あの頃の私達は毎日本当に夢中になっていたわ。『レイバー』という新しい可能性に。
何時間も討論したり、知恵を出し合ったり、それこそ徹夜同然に議論を繰り返して。
あんなに他人と濃密な時間を過ごしたのは初めてだった。
それに『女の癖に』って眼で見なかった男性は柘植が初めてだったのよ。
…そんな簡単な事で私、彼を好きになってしまったの。
彼の力になりたくて、彼に認めてもらいたくて必死だった。
いつも彼にくっついていて、彼しか見えてなかった。
けして不倫関係にはなかったけれど、私にとって彼は本当に大切な人だった。
そういう意味では特別な関係だったのかもしれないわね。
でもあんな形で壊れてしまった。…それでも私は彼を愛していたわ。
一度も抱かれなかったから、余計に踏ん切りがつかなかったの。
憧れたまま、やたら綺麗な気持ちのまま会えなくなったのだもの。
私の中ではいつまでも完璧な男のまま。幻滅すらできなかったのよ。
それに恥ずかしいけれど………初恋だったの」
遅く来た初恋の思い出に眼を閉じる。
初めて私を抱いた男が身体を引き寄せ背中を撫でた。
「…後藤さんが初めての人で良かった」
初めての相手がこの人で良かった。
私を心から愛してくれる人が相手で、本当に良かった。
「後藤さんで本当に良かった」
太い腕が私を締め付ける。漏れる吐息を奪われる。
互いの唇を貪り合いながら涙を流した。
「…あなたに会えて良かった。本当に本当に良かった」
「俺もだ」
もう一度キスをする。
新しい始まりがこの人で、本当に良かった。
唇を舐めキスの味を反芻して天井を見上げる。
ぽかりと開いた大きな穴から冬の澄んだ空が見えた。
北側ハンガーでは絶望と共に見上げた穴が、今は希望を持って見上げられる。
差し込む光の美しさを眼を細めて味わった。
「ここも…こんなに壊れてしまったわね」
天井を見上げる私を後藤さんが見下ろしている。
本当に綺麗な眼。
こんな綺麗な眼で公安なんていう薄暗い仕事をやっていけるのかしら?
やっていけるのだろうな。この人は本当に強い人なのだから。
あの男とは、違うのだから。
あんな男とは、違うのだから。
その愚か者が開けた穴を見上げて私は微笑んだ。
「…柘植が壊したのよね」
「正解」
短いキスが落とされる。ついばんでくる音すら愛おしかった。
温かい胸に身体すべてを預ける。寄り掛かるというのは何て気持ちがいいのだろう。
こんな素敵な事を、屈辱だと思っていたなんて。
「結局柘植が何を考えてこんな事をしたのか。今までは知りたくて仕方がなかった。
でも今は違う。そんなもの聞きたくもない」
暗闇の中沈黙する破壊された私の聖域を見据える。
自分でもはっとするような鋭い声が出た。
「柘植がこの街を否定するのなら、私が柘植を否定してやる」
髪を撫でる手の動きが止まる。
この人が真剣に聞いてくれているのが分かった。
「人を殺してまで、私達の仲間を殺してまで、主張すべき事なんてあってたまるか」
言い切った瞬間、私は魂とは別にまた一つ何かを取り戻したのを知った。
私のすべての始まりだったもの。
これまでの私を真っ直ぐに立たせ、励まし続けてくれたもの。
あの男に乱され見失ってしまったもの。
それは『警察官』という誇りだった。
「私は戦い続けるわ。私の信じるレイバーと共に。私の大切な仲間達と共に」
その言葉に後藤さんも力強く頷いてくれる。
私は新しい空気を誇りと共に吸い込んで空を見上げた。
「私達は『正義の味方』ですものね」
もう一人の正義の味方も眩しそうに空の青を見上げた。
「…よかった。本当の『しのぶさん』が帰ってきた」
「え?」
奇妙な言い方に首を傾げる。後藤さんは少し困った笑顔で言った。
「あの頃のしのぶ、本当におかしかったから」
あの頃、に付随する自分の様々な愚行を思い出して顔が熱くなる。
後藤さんは気にするなとでも言うように髪を撫でてくれた。
「…本当にあの頃の私、おかしかったわよね…恥ずかしい……消してしまいたい…」
記憶や行動がデータのように簡単に消せたらどんなにいいだろう。
だが消せないからこそ人は己の言動に用心し慎み深くあらねばならないのだ。
傷つけられた痛みは決して消えないからこそ人を傷つけてはならないのだ。
した事はすべて、取り返しがつかないのだから。
「もう、本当になんて馬鹿だったんだろう…泉さん達もきっと怒っているわよね。
私は隊長なのにあの子達を見捨てて行ったのだから」
「怒ってなんかいないよ。あいつらみんなしのぶを心配している。
南雲隊長が別人みたいだったけど大丈夫なのかって」
「優しいわね、あなたの部下達は。それなのにどうして私は…」
振り返れば振り返るほど自分の愚かさが見えて叫び出しそうになる。
これならまだ責められ罵られた方が楽かもしれなかった。
「確かにいつものしのぶじゃなかったな。あの頃のしのぶはまるで別人だった。
大体、警視庁ぶっ壊されようものなら『ふざけるなこの痴れ者が!』って
雄叫び上げてぶち切れるのが南雲しのぶってものだろう」
「ちょっと!それどういう意味よ!」
あまりの言葉に脊髄反射で声が出る。
私の抗議に後藤さんは声を上げて笑った。
「それそれ、そういう所。冷静に見えて怒りんぼ。気丈に見えて結構もろい。
溢れんばかりの正義感を持っていて、根は優しい可愛い人」
褒められているのかけなされているのかよく分からない。
だが私を一番理解しているのは確かなようだ。
くやしいので厚い胸板をぼかぼかと叩く。後藤さんは我関せずで軽く受け流す。
この場所で毎日のように繰り返していた擬似夫婦喧嘩を思い出して胸が温かくなった。
再び後藤さんの腕の中に収まって空を見上げる。
「今からでも間に合うかしら……怒られないかしら」
「何がだ?」
私のような人間がしていい事なのか分からないけれど、許されるのならしたかった。
「亡くなった方達のために……祈る事」
この街からあの空へと消えていったいくつもの魂を思う。
もし許されるのなら、祈りたかった。
「もちろんだ。一緒に祈ろうか」
共に手を合わせ死者の為にこうべを深く垂れる。
亡くなった方達に特別な天国が与えられる事を、自分のすべてをかけて祈った。
深い祈りの中から浮上する。間違いなく上手に祈れていただろうか?
間違えていても許してくれる神様だといいのだけれど。
「しのぶ」
同じく祈り終えた人が澄んだ顔で微笑んだ。
「渡したい物があるんだ」
スーツのポケットに手を入れて、手の平に乗る位の小さな紅い箱を取り出す。
「…なあに?」
後藤さんは無言で箱を開く。その中には小さな小さな銀色の指輪が納まっていた。
少し幅の広い輪の中央に透明な石がはめ込まれている。
複雑な加工がされた石は梯子の光を撥ね返してきらきらと輝いていた。
「手を出して」
どちらを出していいか分からず両手を差し出すと、左手を掴まれた。
薬指に輪が当てられ指を滑っていく。
根元まで下ろされたそれはどうしてかぴったりだった。
「思った通りだ。よく似合う」
はまった指輪の上からキスをされる。まだ冷たい金属に少し熱が伝わった。
「この指輪、『記念日』って名前だそうだ」
手を動かすと石が弾いた光が暗闇の中で踊り出す。
後藤さんの眼を思わせる美しい透明な光。
涙が出てきた。
「どうして泣く?」
「綺麗で…」
こんなに沢山のものをくれた人に、私は何をどう返していけばいいのだろう。
こんなにも美しいものを見せてくれたこの人に。
両手で顔を覆って泣き出した私を、後藤さんは変わらず抱き締めてくれた。
私はこの廃墟に誓った。
この人と幸せになる事を。この人の幸せになる事を。
「そういえば、これと同じ名前の歌があったな」
私の眼から涙を拭って、これ、と指輪を差す。
指輪が涙で汚れてしまいそうになって、慌てて彼の指を拭った。
「ごめんなさい、歌とかよく知らないの」
「綺麗な歌だよ。悲しいような、幸せなような不思議な歌。
『ありふれた朝でも 私には記念日』って所が好きだな」
記念日。今の私にぴったりの言葉だった。
「男の人から指輪を貰うのなんてはじめて。うんと大事にするわ」
微笑む後藤さんの手が私の手に絡む。
繋いだ手が離れないようにしっかりと握り合った。
「ありがとう。本当にありがとう。ずっとずっと大事にするわ」
「俺こそ受け取ってくれてありがとう」
私達は手を握り合ったまま口付けをした。
繋いだ手を離さずに光の中で身を寄せ合う。
急激な変化を遂げた心と身体は休息を求めていた。
「眠いのか?」
「どうして分かるの?」
「手があったかくなったから」
子供のような身体の変化を知られて何とも面映い。
「寝てていいよ。どこにもいかないから。手もずっと繋いでいるから」
抱き寄せてくれる腕に何の心配も無く身体を預ける。
久し振りに安らかな眠りを得られそうだった。
「おやすみ、しのぶ」
身体中が温かくなり眠る体勢へと入る。
けれど眠る前にどうしても伝えたかったから必死で意識を繋ぎとめた。
「後藤さん…」
「ん?」
「好きになってくれて…ありがとう」
今までありがとう。
守ってくれてありがとう。
待ってくれてありがとう。
本当に本当にありがとう。
あなたに会えて、ありがとう。
伝えられるだけ感謝を伝えると、後藤さんは私の手を強く握ってくれた。
「しのぶを愛して本当に良かった」
少し眠って、そして起きたらあのカップを砕こう。
死んでしまった過去の私のカップを粉々に砕こう。
もう過去に私を拘束する力はない。柘植に私を拘束する力はない。
過去の私は死んでしまった。柘植を愛した私は死んでしまった。
生まれ変わった私に過去は必要ない。
今と未来、そして後藤さん。
それだけでいい。
後藤さんさえいてくれれば、私の毎日は記念日となる。
私は死ぬ。そして生まれる。
この人の為に。この人と生きる為に。
新しい自由を。
<終>
499 :
おまけ:2005/12/11(日) 20:09:00 ID:1NWckFzi
煙草の煙が冬の空気に溶けていく。開放的な空間での喫煙は気持ちが良い。
火気厳禁だったこの場所で煙草を吸う日が来るとは思わなかった。
以前、煙草を吸うと眼を吊り上げていた人は、腕の中で安らかな寝息を立てている。
彼女に煙が行かないように空の大穴に向けて吐き出した。
「好き放題やりやがって…あの野郎」
腕に最愛の女を抱きながら、この街を破壊した男を思う。
あの男は結局しのぶをどうしたかったのだろう。
決起前夜、何故しのぶを呼び出した?
保護する為か?パートナーとして迎えに来たのか?
一回だけ止めるチャンスを与えたのか?
むしろ止めて欲しかったのか?
あえて危険を冒してまで会いに来たというのに何故。
何故次の日にはしのぶのいる可能性の高い二課や警視庁を襲撃できる?
しのぶを殺してしまう可能性を考えなかったのか?
それとも殺しても構わないとでも思っていたのか?
この統一性を欠いた行動は一体何なんだ?狂っていたのか?
「正気の人間があんな事を出来る訳もないが…」
大体あいつの部下達も何を考えているんだ。
大将が決起前夜に女、それも現職の警察官に会いに行くのをよく許したものだ。
普通に考えれば捕まる。そうしたら一網打尽だろうが。
俺が部下なら首絞めてでも止めるが。あんた馬鹿かってな。
だというのにそれを許した挙句に船まで出してやるとは。
やる気があるのか無いのか分からない。部下も狂っていたのか?
「分からない…本当に分からない…どうしてあんな男に人がついていったんだ?」
あの男のどこに共感できた? どこに惚れられる?
あの男の目論見に参加するというのは、その後の人生のすべてを捨てる事だ。
だがあれがそれだけの代償を払える程崇高なものか?
それとももっともらしい理想をでっち上げて部下達を騙していたのか?
だとしたらなおの事決起前夜の奇行は止めるだろう。そうでなければ行きつく先は内ゲバだ。
だがそのどちらもなかった。一体どういう事だ?なぜこんなに一貫性を欠くんだ?
「どんな動機があったか知らないが…どういう動機であれ行動に矛盾がありすぎる」
動機に関しては荒川がだらだらと語っていたが、別に柘植本人の口から聞いた訳ではない。
現にあの男は完全に黙秘を続けており、いまだに動機は解明されていない。
荒川の代弁をすべて鵜呑みには出来ないしするつもりもない。
それにどんな動機であったとしても、行動の矛盾や一貫性のなさは説明できない。
もしあるとすれば、全員狂っていたのだろうというものだけだ。
「本当に分からないが、ま、分かりたくもないな。あんな狂った人間の動機など」
しのぶの言う通りどんな動機があろうと知った事か。
人を殺してまで、俺達の仲間を殺してまで、主張すべき事なんてあってたまるか。
自分自身の視点だけで、その恐ろしく狭い世界だけでこの世界を判断して一方的に断罪しやがって。
「まだ甲斐の方がマシだったな。犯罪者同士比べても仕方が無いが」
吐き捨てて空を見上げる。何があろうと変わりのない空がありがたかった。
「それにしてもとんでもないのに目を付けられてしまったな」
安らかな寝顔にキスをしてやる。眠りつつくすぐったそうに唇を擦っていた。
あの男に対して怒りが湧くのは破壊行為や殺人に対してだけではない。
もっとも自分を怒らせ苛立たせるのはしのぶに対しての行動だった。
しのぶを愛しているというのなら、何故噂が流れた時守らなかった。
何故身を挺して庇わなかった。何故一人で苦しませた。
何故惑わす様な手紙を送る。何故三年も放っておいた。
何故あのタイミングで呼び出す。何故彼女の職場を襲撃できる。
何故傷つける。何故追い詰める。何故責め立てる。
何故巻き込んだ。何故しのぶと事件を無理矢理絡める。
何故向こうで得た異常な悟りとしのぶの存在を一つにしようとする。
何故自分の罪をしのぶになすり付ける。
何故しのぶを道連れにする。
何故。
何故しのぶを不幸にした。
俺があいつに望むのは、謝罪でも反省でも動機を話す事でもない。
望む事はただ一つ。
「死んでしまえ」
病気でも自殺でも死刑でもなんでもいい。
目障りだ。消えろ。一秒でも早くこの世界から立ち去れ。
大好きな彼岸でもどこでも行ってしまえ。
一人で。
お前のような狂人にしのぶを渡しはしない。
しのぶを苦しめたお前を絶対に許しはしない。
絶対に。
「しのぶ」
握った手に力を込めれば弱々しくも握り返してくる。
はめた指輪が肉に食い込み存在を主張した。
「守るからな」
当たり前すぎる誓いを眠る女と廃墟にする。
眠っていてもなお美しい女は安らかな寝息を立てていた。
「何があっても守るからな」
手にした煙草を床に擦りつけ投げ捨てる。
やっと手に入れた温もりを抱え直して眼を閉じた。
もう離しはしない。何があろうと絶対に。
俺はその為にこの一年を生きてきたのだから。
「一生しのぶだけを守るからな」
長い巡礼だった。お互いこの聖地に辿り着くまでの長く辛い旅路だった。
傷を負い、血を流し、やっとの思いで再会できた。
この存在を失わずに済んだ事をいるのかも分からない神に感謝する。
「ありがとうございます…」
俺は眠る彼女を抱き締めて光の中涙を流し続けた。
<終>
感動しますた…。・゚・(ノ∀`)・゚・。
今まで色んな二次創作で"After P2"を読みましたが、今回の作品が最高です。
な、なんという超大作を投下するのですかー!?
言葉も出ないほど圧倒されますた。すごいぜ!
すごいの一言。
これは書こうと思っても中々書けるモンじゃないですよ。
静謐さと重さと甘さのある、素晴らしいSSだと思います。
個人の勝手な意見で失礼かもしれませんが、後からじっくり読み返したいので、
出来れば保管庫収納不可を考え直して欲しいと思います。
>>503 メモ帳かテキストエディタにコピペ保存して見たら?
なんか自分の中でP2が終わった感じだ。
エロの一言で片付けられないっつうか。
>>503 貴重な書き手さんに読み手が注文つけちゃあいけませんぜ。
506 :
503:2005/12/12(月) 21:23:24 ID:t4sUdSvq
余計な事を言ってすみませんでした。
ただただ圧倒されました。
涙とまらない。・゚・(/∀`)・゚・。
ネ申すぎる!!!!!
ごとしのに溢れんばかりの幸あれ。
P2を見て以来ずっと、後藤さんとしのぶさんがどうやったら幸せになれるかを
考えてきましたが、こんなに納得のいく、完璧な形を見る事ができるなんて…
505さんの言うとおり、自分の中でもP2という物語がひとつの結末を見た、
そんな気分です。
もうただただ満たされています。ありがとうございます!
神だ…まさに神だ!
何ですか、この超絶作品は!
P2後の事が自分の中で補完された思いです。
静かな激しさ、厳しい甘さ。
何だか下手な感想しか書けないのが、もどかしい。
ただもう感謝。ひたすら感謝です!
読めたお礼だけ、書いておきます。
ありがとうございます。
これほど納得のいった、P2後はありませんでした。
本当にありがとうございます。
まさか、ここで読めるなんて…!!
良スレに感謝。
512 :
ナツ:2005/12/13(火) 20:48:49 ID:lKdXbrdb
しまった、遅かった…大作の後は辛いっす…それにしても感動しました…。
てことで、463です。予定が狂って遅くなりましてすみません。
以前こちらに投下させていただいた「あたしのアンドロイド君」の続編になります。
一応、説明…Rの体はモデルチェンジ=成長してるという事で。
続きなので舞台は夏です。思いっきり季節外れですみません(汗)
これでもよろしかったら保管倉庫にお収め下さい。よろしくお願いします。
513 :
ナツ:2005/12/13(火) 20:51:36 ID:lKdXbrdb
■僕のさんご【1】
照り付ける太陽にけたたましく鳴く蝉の声。
世間では二週間程前から夏休みに入り、本格的な真夏到来である。
今日は日曜日だというのに春校光画部の部室は人が賑わっている。
鳥坂を始めOB、OGと現役部員が宴会の準備をしていた。
何かと無理矢理に理由をつけて宴会を開く光画部だが、今回はちゃんとした理由があった。
Rの卒業が決まったのだ。
補習も終え、追試もすませお情けをもらい、とうとう卒業まで辿りついた。
その祝いの宴会の準備を涼しくなる夕刻にあわせ、光画部総出でしていた。
日曜日のせいかOB、OGの集まりもよく、さんごも準備を手伝っていた。
さんごはクーラーボックスにビールの缶を詰めながらRをチラッと見る。
Rは窓のそばで足を組んで椅子に座り、ボンヤリとしていた。
考え事をしているようで、たぶん何も考えてないんだろうな…とさんごはクスッと笑った。
Rがその視線に気付いた。あ…とさんごは顔を背け、ビールを詰める作業を続けた。
Rは椅子から立ちあがり、カラコロとさんごに近付きすぐ横にしゃがんだ。
作業を手伝おうとさんごの横にあるビールの箱に手をかける。
「あ、いいよ。今日はR君が主役なんだから、座ってて」
「……そうですか…?」
さんごはニコッと笑ってもうひとつ用意してあるクーラーボックスに今度はジュース類を詰め始めた。
「……さんご…」
「ん?」
「…後で会いません?宴会終わった後…」
さんごは作業の手を止める。チラッと見るとRもこちらを見ずに、他の作業をしている部員達を眺めながら話しかけていた。
「…うん…いいけど……でも…どこで?」
「はい、それなんですが…」
さんごの耳元に話しかけようとした瞬間、突然鳥坂が後ろからRを羽交い締めにしてきた。
「あ〜る?貴様、何故手伝わん?いつからそんないい身分になったのだぁ?」
「と、鳥坂さん、何するんですかぁ、今日の僕は主役の人なんですから手伝わなくてもいいんです…!」
「このスカタン!貴様のような影の薄いヤツが主役なわけがなかろう!こうしてやるっ!」
鳥坂は技をかけながらそのまま部室からRを連れ出してしまった。
その光景をさんごはただ黙って眺めていた。いつもの事…慣れている。
ふと気付けば椎子が同情の視線をさんごに向けている。さんごはハハッと恥かしそうに笑った。
514 :
ナツ:2005/12/13(火) 20:54:45 ID:lKdXbrdb
■僕のさんご【2】
「おのれRのヤツ…体がモデルチェンジしてから、どうもうまく技が決まらん!」
鳥坂が文句を言いながらビールとユンケルを交互に飲んでいる。
「ちょっと、鳥坂さん!そんな飲み方してたら体によくないですよ?」
呆れ顔の椎子が鳥坂からサッとユンケルを奪う。
「だいじょーぶ!これくらいがちょうどいいのであーる!」
椎子の手からユンケルを奪うと再びゴクゴクと飲み干した。
そしてとうとう力尽き、床に大の字に転がり大きなイビキをかきながら寝てしまった。
時間はもう0時を過ぎている。
宴会は終了し、部室に残っているのは鳥坂とたわばと椎子、Rとさんごだけで他の部員とOB達は帰宅していた。
明日…というより既に今日は月曜日という事もあり、はけるのが早い。
「よし、鳥坂も倒れた事だし、帰るぞ。俺は堀川を送るから、Rはさんごを送れ」
たわばが爪楊枝をくわえながら指示を出す。
「ちょっと、たわばさん、鳥坂さんはどうするんですか?」
「ほっとけ、ほっとけ。何ならお前が家まで担ぐか?堀川」
「い、いいえ…遠慮しておきます…」
「じゃあ、そういうわけだからさんごは頼んだぞ、R」
そんなたわばの横で、椎子が散らかった部室を心配そうに眺めている。
「この後片付けどうするんですか…」
「あ?ああ、いい、いい、朝一番に来た部員にやらせておけ」
「…ったくいいかげんなんだから…」
と、会話をしながらたわばと椎子は部室を出て行く。
出口を出る寸前に椎子がさんごに「うまくやるのよ」と目配せをしたように見えた。
(…も、もう…椎ちゃんてば…)
赤くなりながらRを見ると宴会で残ったおにぎりをモグモグと食べている。
(気…気が抜けるな……)
床には鳥坂が寝てるし、部室ではゆっくり話が出来なさそうだ。
「ねぇ、R君…どうするの?これから…」
「…え?…あ!そうでした、そうでした…」
指についた米粒を食べながら我に返り、さんごを見る。
「いい場所があるんですよ、行ってみます?」
515 :
ナツ:2005/12/13(火) 20:58:31 ID:lKdXbrdb
■僕のさんご【3】
寝転んでいる鳥坂を残したまま部室の電気を消し、Rはさんごを連れて廊下を歩いた。
古い木造の廊下から硬いコンクリート状の廊下を渡り、階段を登り2階へ。
そして隣校舎に繋がる渡り廊下を通り、再び階段を登る。3階、次に4階…。
「ね、ねぇ…R君、まさか…」
「…あい?」
4階について更に階段を登る。やっぱりそうだ…さんごは確信した。
「ねぇ、この先、あの屋上だよ?行く気なの?」
「…何か都合が悪いですか?」
「……別に…そんな事…ないけど」
二人が向かっている場所は数ヶ月前に成原博士が春校を占拠した時に要塞を建設した、あの屋上だった。
さんごは一時期でもRを失ったと思ったその場所に向かうのに少し抵抗があった。
前にいるRは構わずにカラコロと階段を登っている。
暗くて見辛いが、あれだけボロボロになった階段や壁がきれいになっていた。土木研究会春風組のおかげだろう。
屋上に出るドアの前についた。要塞の妙な入り口を作るために破壊された出入り口周辺も新築のようにきれいだった。
Rはドアノブに手をかける。ガチャガチャと…拒絶する音が響いた。
「…あれ?…あれ?」
さんごは焦っているRの背中に気付く。
「どうしたの?」
「…はて…これはどうしたものか…開きませんねぇ…」
「…まぁ…当然でしょうね…」
普通はこういった屋上へのドアは鍵がかかっているもの、しかも今は夜中である。鍵がかかってているのは当然だろう。
さんごが「R君のアパートに行こうよ」…と言おうと瞬間、バキッと破壊音が聞こえた。
Rが怪力でドアを強引に開けてしまった。もちろん、ドアノブは壊れている。
「ちょっと、R君!どうするのよ、これ…!」
「やあ、勢い余って壊してしまったようですね…」
「土研の人達に知られたら怒られるよ…」
「ん〜…弱りましたねぇ…ま、クヨクヨしたって仕方ないですよ、昔の人も言ってたじゃないですか」
「…何よ」
「……後の祭…」
「…それですめばいいけど…」
さんごは軽くため息をついた。
516 :
ナツ:2005/12/13(火) 21:00:39 ID:lKdXbrdb
■僕のさんご【4】
Rはドアを開けて屋上に出た。さんごも後に続く。
昼間の天気がそのまま夜に来たようにまだ暑い…熱帯夜だ。
夜空はよく晴れ、屋上は月明かりで周りが見渡せた。
要塞倒壊でグチャグチャになった床や柵もきれいに元通りになっている。
「なんか、あの時の事がウソみたいだね…」
「……ホントですね」
そういうとRはさんごの腕を引っ張り抱き寄せた。
(…わ…なんか、手が早いよ、R君…)
ちょっと戸惑い気味にRの背中に手を回す。
このRの新しい体はまだ慣れていない。まだ思いもかけない場所に手が触れているような感覚がある。
でも、すっぽりとRの腕の中に収まる感じは好きだった。
「…よかったね」
「はい?」
「…卒業おめでとう」
Rは「…うん」と小さく返事を返し、「顔見せて下さい…」と小声で囁いた。
言われるまま顔をあげ、Rを見上げた。
さんごは社会人になっても女顔の中学生の男の子のようなあどけなさがある。
前にさんごから「自分みたいな子供っぽい子より、女っぽい人の方が男の人は好きみたい」と言われた事があった。
Rは意味がよく解からなかったが、一応念の為に一般的な「女っぽい」というのを調べてみた事があった。
やはりよく解からなかったが、ひとつ出た結論はさんごが一番かわいいと感じた事だった。
そう考えながらまじまじと顔を眺めているうちに、さんごと自分の顔の距離が近付いて行った。
さんごが少し困った顔をしている。構わずRはさんごを見つめる。
よく見るとまつげが長く、鼻筋も細く、唇も小さめで女の子らしい顔をしている。
それが実は女の子らしい顔、というのにRが気付いているかどうか…かわいいと思ってるのなら解かっているのか…。
気付いたらRはさんごの頬にキスをしていた。
軽く触れる程度のキスを頬に一回…唇にチョン、と一回キスをした。
さんごの様子を見ると目を閉じて次を待っているように見えた。また唇を重ねた。
黙って自分にキスされてるさんごがすごくかわいい。何度も何度も唇をついばむ。
次第に唇の動きに熱がこもり、つい顔を押し付けしまった。
「…ん!…んっ…んくっ…!」
さんごの声にRは気付いて唇を離した。
517 :
ナツ:2005/12/13(火) 21:03:18 ID:lKdXbrdb
■僕のさんご【5】
「…嫌でした…?」
さんごは首を横に振った。Rはホッとして今度はさんごの口元にキスをし、頬、首筋に唇を移動させていく。
「…ね、ねぇ…R君…」
「…はい?」
Rは首筋に唇を押しつけながら背中に回した腕に力をこめた。
「ねぇ…あの…まさか、ここで?」
Rは何も答えず、返事の変わりにさんごの背中に回した腕を交差して肩ごと抱きすくめた。
さんごは目を大きく開いて赤くなった。Rの胸元に手をついて少し体の距離をあける。
「だ、だって…ここ、外だよ?」
「…外ですよ?」
「ヤダよ!誰かに見られたらどうするのよ」
「ここは屋上ですよ?夜ですし、誰も来ませんよ」
「……でも嫌…」
「じゃあ、なんで着いて来たんですか…」
さんごは少しムッとした。
「あたしはこんな事ばっかりしたいわけじゃないもん!」
「…それは……そうなんでしょうけど……」
Rは少し悲しそうな顔をした。それを見てさんごの胸は少し痛む。
(そんな顔されても…外なんて抵抗あり過ぎだよ…)
Rはさんごの背中から腕を解いて、掌を肩に滑らせた。
力はあまり入れていない。シッカリ掴んだら逆に逃げられてしまいそうだから…。
「…僕…さんごの事…我慢してたんです…卒業が決まるまで」
さんごは「え…」と小さく呟いた。
たしかに夏休み前、お互いの気持ちが通じ合ってからは一度も、キスさえもしていなかった。
さんごは会う時間が合わなかっただけかと思っていたが、
どうやら卒業試験がうまくよう、願掛けの為にRはさんごに手を出さなかったようだ。
Rはさんごの体を引き寄せ、再びキスをする。
重ねていただけのRの唇がゆっくりと動き出し、さんごの唇を貪る。
「…んっ……って……るく…」
さんごが何か話している…。Rは聞かないフリをしてキスを続けた。
518 :
ナツ:2005/12/13(火) 21:05:30 ID:lKdXbrdb
■僕のさんご【6】
ついばむようなキスの中、さんごは唇が離れた瞬間に何度もRに声をかける。
「…あ…るく………待って……わかったから……待って…」
Rはキスをやめた。やっと落ち着いて話せる。
でもRはすぐにまた再開できるようにあまり顔を離さなかった。さんごは一呼吸置いてから呟いた。
「わかったから、R君のアパートにいこ…」
Rは眉をよせる。露骨に嫌な顔をした。
「…もう我慢させないで下さい」
Rはさんごの背中と腰を抱え、ゆっくりと地面に押し倒した。
そして、さんごの肩を地面に押しつけ覆い被さり首筋に唇を這わせる。瞬間、さんごはRから離れようと暴れた。
「…!!R君、ちょっと待って…っ」
「大人しくして、さんご…」
「嫌、やめて…ホントにちょっと待って…!」
さんごの言う事を聞かず、Rは噛みつくように首筋を貪る。
「ん…んっ!…やめてよ……もう、R君っ!ストップ!!」
さんごの少しキツイ口調で、手懐けられた飼い犬のようにRは思わず動きを止めてしまった。
「…どうしてもダメなんですか…?」
「……違う…背中…熱くて…それに硬くて痛いよ…」
「え?」
Rはさんごを押し倒した地面を掌で触れる。たしかに少し熱い…昼間の炎天下の熱が冷めてなかった。慌ててさんごを起こす。
「ね?だからR君のアパートに行こうよ」
Rはさんごの言葉を聞き入れず考え込む。さんごは怪訝な顔でRを見つめた。
するとRは何か閃いたような表情を浮べた。ニコニコと話しかける。
「では、こうしましょう…」
「立ってするのはイヤ」
さんごは間髪入れずに言葉を放った。Rはまた眉をひそめる。
「では、さんごをうつ伏せに…」
「イヤ」
「では、僕が下に…」
「もっとイヤ!」
「…では、さんごをだっこしますから座って…」
さんごはRを呆れた顔で見つめた。
519 :
ナツ:2005/12/13(火) 21:07:21 ID:lKdXbrdb
■僕のさんご【7】
(いつからこんなにエッチになっちゃっだんだろ…R君…。また浅野岸田コンビが変なビデオ見せたのかな…)
Rはまだ考え込んでいた。まだ諦めてないようだ。
「ねぇ、もう万策尽きたでしょ?どうしてここにこだわるの?」
「……今日は月がキレイですし…」
「…何それ…」
「…だって…今日はあの時みたいにキレイな月ですよ?僕だって部室でって思いましたけど、今日は鳥坂さんが泊まりそうでしたし…」
あの時…確かにふたりが両思いを確認出来た日は月がキレイな日だった。
そんなこだわりがあるなんて…さんごは恥かしいような嬉しいような複雑な気持ちになった。
「…う〜ん…もうこれしかないですね…」
Rは学生服の上着のボタンに手をかけ外していく。
さんごは目を大きく開け驚く。
(何脱いでるの?何?何?)
学生服を脱ぎ終わる…しかし、まだ下に学生服を来ていた。
(あ…そうだった…こういう仕組みだった…R君は…)
でもいまいち行動が読めない。
Rは脱いだ学生服を地面に敷いた。
「これで少しは熱くないと思いますよ…」
(…あ…そういう事…か)
Rはさんごの肩を掴んでゆっくりと学生服の上に倒した。
「…ね、熱くないでしょ?」
「う…うん…でも…汚れちゃうよ…?」
「構いませんよ…」
Rは体重をかけないように地面に腕をついて、さんごの上に体を重ねた。
「背中の硬いのは、我慢してくれます?」
さんごは黙って頷いた。頷くしかなかった。Rがあの生徒会選の時の凛々しい顔つきで除き込み、話し掛けているからだ。
しかも、あの時よりも少しだけ大人っぽくなった今の顔で…。
「R君てば…ずるいよ」
「何がです…?」
そう言いながらRは顔を近付けた。
520 :
ナツ:2005/12/13(火) 21:09:29 ID:lKdXbrdb
■僕のさんご【8】
いつも思うがキスをしようと近付いてくるRの表情はすごく色っぽい。
普段まぬけな顔ばかり見てるから余計にそう見える。その表情を自分だけが独占出来てるのが嬉しい。
唇が重なった瞬間は何度経験してもドキドキする。
Rは最初からもとめるように唇を動かした。顔の角度をかなり傾け、さんごの唇に唇で噛みつく。
少し激しめのキスの為か、Rの顎の動きが大きい。
「…んっ…う…」
声を漏らしたのはRだった。キスの感触が気持ちがいいらしい。さんごも同じだった。
Rの舌が入ってくる。舌が触れた瞬間、一瞬逃げたがすぐに絡まれ捕まってしまった。
「ん…!…んっ…」
さんごはRの腕にしがみ付き、痺れるような感覚に耐えた。
Rは何度も舌を舐め、舌先を絡めていく。その度にビクビクと反応するさんごがかわいくてたまらない。
「…んっ…ん…く…っ!」
密着した唇から助けを求めるような、まだ欲求は満たされてないような、曖昧な泣き声のようなさんごの声が聞こえた。
息苦しくなって一回離れる。Rは何度かさんごの唇に押しつけた後離れ、耳、首筋へキスを移動する。
キスをしながらさんごのシャツのボタンを外す。
黄緑色と黄色の薄い色のチェック柄のシャツの下から白いブラがチラッと除く。
ボタンを全部外し終え、パラッと前を肌蹴た。月明かりでよく見える。
健康的な色をした胸元がブラをより白く感じさせた。
Rは背中に手を回し、ホックを外そうとする…が、ホックらしき物が見つからない。
首筋のキスも止まり困った様子のRに気付き、さんごはハッと思い出した。
「あ、今日はフロントホックだった…」
「…ふろんと?」
「…ホックが前についてるの」
「やぁ、それは外しやすいですね」
後ろに回した手を前に移動させ、ホックに手をかける…でもどうも勝手がわからない。
「…ん〜…これは奥が深い…うまくいきませんね……仕方ない、こうなったら……えい…」
フロントホックにリタイアし、結局ブラを上にずらした。
プルンと小さく胸が揺れる。Rはすぐに掌にその脹らみを納めた。
ビクッとさんごの肩が反応する。Rも久しぶりに触れた胸の柔らかい感触に小さくため息をつく。
521 :
ナツ:2005/12/13(火) 21:13:39 ID:lKdXbrdb
■僕のさんご【9】
「…柔らかい…気持ちいい…」
囁きながらRは小さな脹らみをゆっくりと揉みだした。さんごはRの腕を掴んで身を縮める。
指先に少しだけ力を加えた後に、掌で乳首を撫でていく。
「…ん…ん……っん…!」
声を殺して反応するさんごに、Rは再び首筋に唇を這わせた。耳にもキスし、たまに息が耳にかかった。
愛撫され、ハリが出た乳房を丁寧に撫でる。一指し指と中指で乳首を挟んで摘む。
「……っん!」
感度のいいさんごの乳首はすぐに硬くなった。硬くなった乳首を親指で転がす。
強く押すとピンと跳ねた。その側面を優しく撫ででやるのがさんごにはたまらないらしい。反応が変わる。
「…ん!…はっ……んぁ…っ!」
我慢が出来ずに声が漏れ出す。もう片方にも同じ事をする…両手で両方を同時に攻めるとさんごは身をよじった。
「…っんぅ!…ぁ…っあ…!んっ…ん!」
Rは首筋と耳を攻めていた唇を胸元に滑らせ、乳首を含んだ。
さんごがまたビクッと震えた。
唇で乳首を摘むように噛むとより硬くなった。
「…っ!」
さんごは少し体を仰け反らせ、Rの肩に手をついた。
何度が舌で弾いてからゆっくりと味わうように舌を動かし、舐め始める。
乳首の側面、周りを丹念に舐めていく。夢中になりすぎてRの口元から音が鳴り出した。
「ん…っあ!…ぅ…んくっ…」
Rは自分の舌の動きに反応し、ピクピクと震えるさんごの胸がかわいくなって、少し口を大きく開け唇で乳房を揉む。
そのせいでさんごは思い切り乳首を吸われてしまった。
「んぅっ…!や…っ!」
さんごは更に体を仰け反らせてRの肩を掴み、攻めに反応する。肩から頭に掌を滑らせ、Rの髪を撫でた。
髪を撫でられるているのが気持ちがいいのか、Rは吐息をつきながら乳首から口を離した。
さんごの掌の中の頭が胸元から少しずつ上に登っていく。それも唇を這わせながら。
鎖骨、首、顎をキスしてから唇に押し当てる。
左手は胸を撫で、右手は腰から太股を撫でていく。
黒のデニムのスカートを腰までめくり上げ、下着を指で引っ掛け膝まで脱がす。
既に濡れている割れ目をなぞるように指で触れ、中指をゆっくりと埋め入れた。
522 :
ナツ:2005/12/13(火) 21:16:58 ID:lKdXbrdb
■僕のさんご【10】
「…っ!」
Rの指が動き出す。敏感な部分を探りながら出し入れを繰り返していく。
「…っ!っく!」
さんごはRにキスをされたままで自由に声が出ない。
でもキスをしてなかったら声を張り上げていたかもしれない。
おまけに胸も撫でられている。唇と胸ともうひとつ…三ヵ所を同時に攻められ、さんごは思わず体をくねらせる。
指の速度を速め、さんごの中の好きな個所を擦る。
硬くなった乳首を指で撫でまわし、口の中では舌が暴れた。
Rはさんごの暖かな秘部の、自分の細い指を締め付けてくる弾力に夢中になり、指の出し入れに没頭する。
さんごは息を乱しながらやっとの事でRの唇から逃れた。
「んっ…Rく…ちょっ…と…!」
Rは恍惚とした顔でさんごを見下ろしている。
さんごに冷静を取り戻させないように、頬に唇を滑らせ、胸を強く揉んで、中で指を激しく蠢かせる。とにかく、攻めた。
「…っん!あ…る君…っや!…い…や…っ」
言葉とは裏腹にクチュクチュと股間の音が派手になる。中からトプトプと溢れ出し、Rの指を伝い掌を濡らしていく。
「ん!…あっん!ん、ん、っぅ!…あ、あ…っん」
さんごは我慢できず声を荒げる。無意識に腰が動いてしまう。
「…Rく…や…っ…ど…かなっちゃうよ……い、や…」
Rは何も答えずさんごの中で指をかき混ぜ続ける。反動をつけて突きながら…。
「う!…んっ!…っ、あぅ…っ!」
クッチュ、クッチュとより淫靡な音に変化する。
Rの髪に触れた指に力が加わり、少し髪が乱れる。
Rは胸に触れていた掌をさんごの足に滑らせ膝を曲げ、
膝の辺りでくるまった下着をさらに下げて、スニーカーが邪魔したがなんとか片足から引き抜いた。
さんごの中から指を抜き、ベルトを外して少しだけ忙しくさんごに腰を埋める。
「…っ…あ…っ!」
さんごはRの首に腕を回し、ひとつになった快楽に耐える。
いつもRが刺し込んできただけで気が遠くなり果てそうになる。
それは今のRも同じだった。
でも初めて達したあの日は途中からこの良さに気付いた。
さんごの中に入れた瞬間の快楽は今日が初めてだった。
523 :
ナツ:2005/12/13(火) 21:19:42 ID:lKdXbrdb
■僕のさんご【11】
Rは深いため息をつく。
まだ動いていないのにさんごは十分に締め付けている。
少しの間さんごを抱きしめてから、ゆっくりと腰を動かし始めた。
「ん…っう…!」
さんごは背中に敷いた学生服を掴んだ。
薄目を開けると目の前でRの詰襟部分が上下に動いている。Rの息遣いも聞こえる。
それは以前の頃の運動的なだけの呼吸ではなかった。
(…R君…今日も感じてくれてるんだ…)
さんごは嬉しくなり、Rの首に回した腕に力をこめた。
…ふと動きが静まる。さんごは不思議に思い、Rの顔を見上げた。
Rは上体を少し起こし、繋がった状態のまま背中の下に敷いた学生服ごとさんごを持ち上げた。
そして地面に座る体勢になり、さんごを自分の太股の上にまたがらせた。
「…!Rく…っ!」
さんごはRから離れようと肩に手をかけもがく。繋がった部分に刺激が走った。
「…んぅっ!…や…嫌…Rく…」
Rはさんごが逃げないように腰と背中を掴んだ。
逃れるのに動こうとするとどうしても感じてしまう…さんごは大人しくなった。
膝を地面につき、腰を浮かしたままRにもたれる。
「…嫌だって…言ってるのに…」
「……いろんなさんごが見たくて…」
Rは学生服越しにさんごの背中を優しくさする。
「…さんご………動けます?」
「……無理だよ…もう…精一杯だよ…」
「…動いてほしいです…さんご」
さんごは間髪入れずに首を左右にふった。
Rはさんごの頬に手を添え、汗ばんで貼り付いた髪を指でどけてやる。
目が合う…Rは切ない表情でさんごを見つめている。
「……どうしてもダメですか?」
少し甘えた声だった。さんごは初めて聞くRの声に少し動揺した。
「ね、さんご…卒業祝いに……」
524 :
ナツ:2005/12/13(火) 21:22:55 ID:lKdXbrdb
■僕のさんご【12】
さんごは浮かした腰の力を緩め、Rに体重をかけた。
「…ぅん…っ!」
否応無しにRが奥まで届いた。
「っ…う…っ」
涙が出そうだった。これ以上は辛い。溺れて救出された人のようにRの肩にしがみ付く。
Rはさんごの背中に腕を回して支えてやった。
「…っ…こ、これで…動くの?…どうしても…しなくちゃ、ダメ?」
Rは黙って頷く。「…もう…」さんごは小さく呟き、遠慮がちに腰を動かし始めた。
恥かしくて顔を見られたくない…さんごは抱きついた状態で上下に動く。
「…ぁ…う…」
Rが声を漏らす。気持ち良さそうな声を何度もあげながら、さんごの背中を愛撫する。
Rの声が聞こえ出してきてからさんごの動きにぎこちなさがなくなった。
恥かしさはもちろんある。でも、気持ち良さそうなRの声を聞いたらさんごもたまらなくなった。
上下運動がしやすいように足を踏ん張り、Rの体にしがみ付いたまま動きを早めた。
「う…っ…っ…あっ…あ、くっ…!」
「…ん…うっ…!さんご…っ」
Rはさんごの腰を掴んで補助をした。細い腰がより力強く動く。
急にさんごがRの体から離れた。肩を掴んだ手を伸ばし、仰け反る。
「あっ…う…っ」
今まで触れたことのない部分にヒットした。そこに触れるたびに体温が一気に登るような感覚に陥る。
「あ…R君っ…はっ、う…」
身震いするほど感じ、締め付ける力が強まる。Rは腰を支えたまま顔だけを仰け反らせ、さんごの様子を目を細めて見つめた。
さんごは発見したその感じる部分をRに擦りつけ、締めつけ続ける。
「っん!…んくっ…うっ…はぁっ…あっ…あ、う…っ、R…く…っ」
さんごの体が汗ばみ、体を包んだ学生服が湿っていく。
今まで見た事のない激しいさんごの姿にRは興奮する。
自分にまたがるさんごを強く抱きしめ、地面に押し倒した。
それでも腰の動きを止めないさんごに、Rは腰を突き上げた。
「…っん、あぁっん!」
さんごは悲鳴のような声をあげた。動きを止め、Rにしがみつく。
525 :
ナツ:2005/12/13(火) 21:28:26 ID:lKdXbrdb
■僕のさんご【13】
「…ここ…ですよね?」
Rはさんごが見つけたポイントを細かく突く。
「ぁあっ!あ、あ!ん、あっ…!あ、るく……R君…っ!」
さんごもそれに答えるようにRが突くのと同じ数だけ締め返す。自分で動くのとくらべられないくらい気持ちいい。
Rの加熱していく体の重みが何より嬉しい。愛しい。
しがみついた腕をとき、Rの髪をかきあげて頬にキスする。
閉じていた目を開き、Rがさんごを見下ろす。見つめながら腰を更に早め、勢いをつけた。
速度が早まり、性器と人口生器が音をたて激しくぶつかる。
さんごからもRをもとめていく…もう気恥ずかしさも気後れもない。
「…っん!…あ…るく…あっ…んっ……今日も…気持ちいい?」
Rはコクンと頷いた。さんごを見る視線に熱がこもっている。
背中に敷いた学生服からRの匂いがする。背後からもRに抱きしめられてるような気分にさんごは酔う。
左手で背中の下の学生服を、右手でRの学生服をシッカリと掴んで、さんごも腰を使い始めた。
「…っう!…さん…ごっ!…あっ…く!っあ!」
たまらずRが喘ぐ。腕を地面について上半身を浮かせる。Rの顔がよく見える。眉をひそめて息が荒い。
もっとRに喜んでもらいたい…その一心でさんごは一生懸命に腰を振った。
「ん、うっ…あ…るく……好きだよ…だ…から……感じてね」
Rは黙って頷き、再びさんごの動きに任せ、合わせた。
さんごの体は汗ばみ、額から閉じた瞼に汗が一筋流れている。
いつもさんごは自分の為に一生懸命にしてくれてる…昔からそう…Rは反芻しながらさんごの顔に手を添えた。
そして、瞼の汗をペロッと舐めた。
目を閉じていたさんごは驚いてRを見る。「なぁに?」と小さく囁き、再びしがみつく。
しがみついたせいか踏ん張りがきくようになって、腰をより大きくうならせる。
「あっ…あっ…さんごっ」
「んんっ、あっ…!くっ…イ…ク…あ、たし…あっ…んっあぅっ!!」
さんごは痙攣して果てた。しがみついた腕は力が抜け、だらしなく地面に仰向けていた。
526 :
ナツ:2005/12/13(火) 21:31:23 ID:lKdXbrdb
■僕のさんご【14】
Rの方はまだ腰を動かしている。
「…おいてけぼり…ですか?…さんご…」
「………も…あたし…無理だよ…動けない…」
止まらない上下運動で力の抜けたさんごの体は人形のように上下にユラユラと揺れている。
「…いいですよ、じっとして…後は僕がやります」
「…違うよ…もう…無理なの…できないよぉ…」
「さんご…言ったでしょ?…感じてって……僕は、まだ…」
スタミナ豊富のアンドロイドは少し笑って動作を続けた。そして地面に仰向けたさんごの掌を握った。
それは逃がさないと言ってるような、もっと…と甘えてるような、曖昧な力と動きだった。
さんごの耳元でRの熱い息遣いが聞こえる。
それを聞き、さんごの中からまたジワッ…と熱が込み上げてきた。
「…はっぁ…」
Rはため息をつきながら掌を離し、体勢を変えようとさんごの腰を掴みながら上半身を起こし、膝をついた。
さんごの背中が地面から離れ腰が浮いた状態になり、尻がRの太股に置かれた。
顎を下げRを見ると、密着した股間同士をジッと見ている。さんごは慌てて手を伸ばし隠そうとするが、Rに阻まれた。
「や!バカッ!R君のバカぁ!そんなとこ見ないでっ!」
「そんなっ!いいじゃないですか。散々触ったモノじゃないですか、大丈夫ですよ。ほら、色もキレ…」
「バカバカッ!触られるのと見られるのとじゃ、違うよ。見ちゃダメっ!」
「……でも、今締めてきましたよ」
「!…そんなこと言うならもう嫌!離れて」
Rが眉を八の字にして情けない顔をする。
「怒りました?」と呟きながら掌を組んで、手の甲にキスをしていく。
その時のRの顔ががあまりにも優しくて、さんごは顔は怒っているが既にほだされいた。
「R君さ…H過ぎ…」
「さんごだって…」
「…何よ」
「………」
「なぁに?」
と、問い詰めたが、さんごは今日の自分もちょっとな…と思いなおした。その瞬間、Rが呟いた。
「…さんごがかわいいからじゃないですか…」
527 :
ナツ:2005/12/13(火) 21:35:03 ID:lKdXbrdb
■僕のさんご【15】
(こ…こんな体勢で言われても…)
さんごはRの言葉と今の状況に真っ赤になる。
「さんご、また…イク?」
「ん…わかんない…」
手の甲にキスしてるRの唇が笑ったような気がした。
Rはさんごの掌を敷いた学生服の上に置き、両手で腹部を撫でていった。
腹部、脇を撫でて、胸に辿りつき、優しく揉んだ。
さんごは何度も深くため息をつく。一通り愛撫をして、腰に手を添えて本腰を入れる。
上下に腰を動かすと、さんごの体が学生服の上を少し這い上がっていった。
動かないように腰をシッカリと鷲掴み、大きく波打つ。
「あ…ぅん…っ!」
さんごは思わず腰のRの掌を掴んで、首を横にふった。
Rは構わず、動きを止めない。それどころか、最奥に思いきり突き上げた。
最奥へ、さんごの見つけたポイントへ、一定のリズムを崩さず機械的にがむしゃらにRは突く。
「っあ!…んっ…あっ…あぁっ!」
Rに何度も何度も突かれ、さんごも何度も何度も締め返す。
「…は、はっ…くっ……うっ…!」
耐えきれず、Rも声を上げる。
二人から漏れる吐息まじりの声と、融合部分の艶めかしい摩擦の音がピッタリと合わさる。
が、次の瞬間その息が崩れた。
Rが腰を回してさんごの中を掻き雑ぜてきた。出し入れする音質が変わり、さんごも悲鳴をあげた。
「んっ!…や!嫌!」
「……すごく…気持ちいい…ですよ……さんごっ…もっと、締めつけきた…」
「だ…から…そういうの、言わないで…嫌っ…」
「だって…ほら…」
Rは更に力を加えて最奥を掻き混ぜながら何度も突く。
その度にさんごは陸に打ち揚げられた魚のように体を跳ね上げる。
「…っや!…おかしくっ…なっちゃう…よ…っ…嫌ぁ!」
「僕もっ…壊れそう…今度はっ…」
「だったら…や…め…っ」
「いいです…これで…壊れても…っ」
528 :
ナツ:2005/12/13(火) 21:40:16 ID:lKdXbrdb
■僕のさんご【16】
言葉は嫌がってもさんごの腰は無意識に蠢く。
背中の下の学生服をシワがつくほど握りしめ、恥かしさと嬉しさと快楽とがごちゃまぜになった感情を行動で表す。
Rが回して、さんごが上下に動き、お互いを挑発するように二人は腰を動かしていく。
ぶつかり合う粘着質な音色が二人が気持ち良過ぎて収集がつかないのが解かる。
「ん、んっ…ぅ、あっ!…あ、るくっ…うっ…んくっ」
「さ、さんご…ぼ…く…もう、すぐ…」
Rは息が上がっている。体を硬直させて顔が少し苦しそうに見える。
「Rく…最後は…ひっついて…」
さんごは腕を伸ばし、甘えるように囁いた。
Rは体に覆い被さり、さんごを抱きしめた。
激しく波打つように動き合い、ふと唇がかすれ合ってそのままキスをした。
腰を動かし合っているせいか、いつもより熱がこもる。
Rは噛みつくように唇を蠢かせ、さんごは顔の角度を何度も変えた。
ふとさんごが顔を背ける。
「ん…っ…また…イク…かも…っ」
Rは嬉しそうに笑い、更に強く突く。二人の体は大きく揺さぶリ合い、さんごの胸は学生服で擦られていく。
「っあ…さんご…さん…ごっ…」
「っう…!…あっ…んっ、ん!んっんっん!」
さんごはRの背中をもみくちゃに掴み、つま先でRのふくらはぎを伝い、撫でる。
「…いい?…さんご…」
さんごは黙って頷く。熱にうなされる子供のように息を弾ませ、顔が紅潮している。
「好きですよ…」
さんごは息が乱れてうまく返事を返せない。息を吐き出す時に「好き、好き」と小さく唱えるのが精一杯だった。
「……さんご…今日も…かわいい……好きですよ…」
もう一度囁いた後、口ギリギリまで引き抜き、最奥まで鋭く突き刺した。
「っあぅ!んっぅ…っ!!」
さんごの声色が変わった。中から溢れる液体が出し入れされる勢いで外に飛び散った。
「ん、ん…っく…あ、るく…イ…ク…イ…ク…ん、ん!…っく…あ、あ、あぁっ!!」
強く握り締めるように、さんごがRを締め上げる。
「!!…んっ…っうぅっ!!」
Rは身震いをする。しばらく余韻を味わうようにゆっくり腰を動かし、さんごの上に果てた。
529 :
ナツ:2005/12/13(火) 21:44:48 ID:lKdXbrdb
■僕のさんご【17】
二人の呼吸はなかなか整わなかった。
さんごはRの顔に手を添え心配そうに除いた。
目が合うと、まだ余裕のない表情のRは満足そうにさんごを抱きなおした。
さんごも目を閉じ、愛しそうに抱き返した。
(長かった…ていうか…あたし2回も……ありえないよ…)
いつも全て終えてから恥かしくなってしまう。
さっきまでの自分を思い出し(やだ…!)と赤くなっていると、しばらくしてもRが動かないのに気付く。
「…R君?…大丈夫…ホントに壊れてない?…」
「……壊れてないですよ…大丈夫です…」
「……ホントに?さっきから全然動かないじゃない」
「…だって、離れたくないじゃないですか」
「あ…そう…なの…」
「ずっとこうしてたいです…さんごは離れたいんですか?」
「…ううん…でも…離してくれなきゃ困っちゃうよ…」
「なんでですか?」
「………明日…じゃなくて今日から仕事だもん…もう帰らなきゃ…」
「あ…そうでしたね…」
それから数分抱きしめてからRはさんごを開放した。
さんごが服装を整えているのをRがジッと見ている。
「もう、何見てんのよ!」
Rはアハッと一声笑って後ろを向く。
服を着ながら、さんごは実は以前から気になっていた事を尋ねた。
「ね、R君は卒業したら何するの?」
Rはしばらく考えてから答えた。
「…考えてないです。卒業するのに精一杯でしたので…」
「先生に進路相談しなかったの?」
「しましたが、僕の進路希望は却下されました…」
世界征服とか東大(灯台)と言ったんだろう…Rが言った事はだいたい想像つく。
「今度、卒業証書見せにお父さんに会いますから、その時に何か奇策が思いつくかもしれません」
「奇策って…あのねぇ〜…」
確かに奇策だったら成原博士は思いつくかもしれない…。
530 :
ナツ:2005/12/13(火) 21:49:56 ID:lKdXbrdb
■僕のさんご【18】
「R君…これ…ごめん…」
さんごが背中に敷いていた湿った学生服を抱えて赤くなっている。
「ああ…いいですよ…洗えばすみますし…」
Rが手をさんごが抱えた学生服に伸ばす。さんごはサッと後ろに隠した。
「あたしが洗うから…」
「いいですよ、僕が…」
「あたしが洗いたいの…!」
「いいですってば、僕の責任だし…」
「…恥かしいの!」
さんごは屋上の入り口まで走って逃げた。そしてRが壊したドアノブを見つめて意地悪を言った。
「これ、バレたら卒業取り消しになったりして…」
「え…」と困った顔をしたRを見て、さんごは空かさずフォローする。
「アハッ、冗談、大丈夫よ。やっとR君を卒業までこじつけたんだもん、簡単に取り消されないって。
それに、轟天号の簡単な修理が出来るならこれくらいなおせるんじゃない?」
「…やってみます…」
Rはドアノブを手に暫く考えてから、バカ力でドアに押し込みガンガンと叩いた。すると、ガチャッと元の鞘に収まりノブもスムーズに回った。
「やぁ、治りましたよ、やってみるもんですねぇ…」
「鍵はどうするの?」
「その心配は及びません…ほぉら、不思議…鍵が出ましたよ…」
Rはおもむろにズボンのポケットから鍵を出した。
「…なぁに?その鍵…?」
「決まってるじゃないですか、このドアの鍵ですよ。ちょっと拝借してきました…」
「鍵持ってなかったんじゃないの?」
「僕がいつそんな事を言いましたか…?」
「……もう…いいよ、帰ろ…」
Rは鍵をかけてポケットにしまった。
「また来ましょうね」
「もうダメ」
「え〜、いいじゃないですかぁ〜」
不満そうなRの声を聞きながら、さんごは二度と来る事のないと思っていた屋上にRと二人で来られて、あの時の呪縛が解かれたような気がした。
笑いながらRの腕を組んで階段を降りた。
531 :
ナツ:2005/12/13(火) 21:56:26 ID:lKdXbrdb
■僕のさんご【19】
部室に戻ると鳥坂が爆睡している。でも、部室の窓から出て行くと鳥坂が起きそうだった。
たわばと椎子が帰った時の事を思い出し、校舎の出入り口へ向かい下駄箱の横の部室よりも大きめで出入りのしやすい窓、
第二の脱出口と呼ばれるその窓から外に出た。
いつものように轟天号でさんごを送る為に自転車置き場へ向かう。
Rがしゃがんで轟天号のチェーンロックを「0305」に合わせてるのを見ながら、さんごが不安げに声をかける。
「…ねぇ」
「あい?」
さんごは轟天号に装備された既にON状態になってる、以前にRが制作した手作り変速ギアを指さす。
「これ使わないでね」
「…なんでですか?」
「なんでって…R君は高速道路を突っ走るのが平気なくらいだからいいけど…」
「何か不都合でも?」
「Gがかかるくらいの威力だったよ。まだあの飯田線の時の10人乗りの方がかわいいよ!」
「早くついていいじゃないですかぁ」
「それも嫌なの!」
「…意味が解かりませんよ…」
「……長くいっしょにさ…いられるじゃない…ゆっくりの方が…」
Rは少しの間キョトンとして「あぁ!」と何かが閃いたように笑った。
「…使わないでね」
Rはゆっくりと立ちあがり、さんごの腰を掴んで後ろの荷台に座らせた。
まだ汗ばんでる額の髪をかきわけると、さんごが上目使いでRを見つめた。
「…さんごって…ホントに…」
さんごが目を閉じた。Rはそっとキスをする。
しばらくついばむように唇を合わせてから「約束だよ」とさんごが小さく囁いた。
Rは轟天号の変速ギアをOFFにした。
(終)
532 :
ナツ:2005/12/13(火) 22:20:53 ID:lKdXbrdb
誤字発見…すみません…orz
ナツさんのあーる×さんごを読むと、いつも過ぎ去ってしまったあの頃を思い
出します。
せつなさや懐かしさまぶしさなど、言葉に出来ない感情が入り交じって…
まるで胸の中にそっと閉まっていた箱を開けたみたいな…
う〜ん、なんだか文才がないのでうまく言えませんが、ありがとう。
534 :
ナツ:2005/12/15(木) 21:43:41 ID:Admdj7a3
だいぶ前の話ですが「あたしのアンドロイド君」はご指摘の通り「くちびるにメモリー」をイメージしました。
伝わった事が驚いたのと、嬉しいですと言うのをうっかり忘れていたので追記させて下さい。
あと今回の「僕のさんご」は「マジカル季節」をイメージしました。
ご感想ありがとうございましたm(_ _)m
では名無しに戻ります。また何か浮かんだら投下させていただきます。失礼いたしました。
マジカル季節の歌詞キボンヌ
えー、夏から細々とごと×しのSS書いていた者ですが、何やかやで完成が遅れまくってしまいました。
しかも、上のお二方の作品の出来があまりにも素晴らしく、だいぶ気分が萎えてしまいました。
話の内容もかなりガタガタですし……。
それでも読みたいという方はレスお願いしまつ。
>>536 読みたい。ぐたぐた誘い受けでじらさんでGO!
>>536 さあ、何を恥ずかしがることがあるのかね?
半年越しの作品を今、今!
>>535 「マジカル季節」
定期入れにはさんだ ピンボケのスナップ
授業中にこっそり 盗み撮りアイツを
アイドルっぽいしかけの 影落とすまつげね
さわぎたてるハートを
おさえこめばへんね 泣けちゃう
たぶん言わない だって言えない
L・O・V・E(レトロロマンス)
そうよアイツは いつもだれかの
L・O・V・E(リトルプリンス)
Brand-New Good-Bye,Good-Bye
投げ合うためにあるのね
一度だけの Magical Season
非常口の扉を 抜け出して屋上
先まわりでアイツを 待ち伏せた放課後
二度目の夏休みも 何もないなんてね
ほっといても時間が
素敵・できるなんて 信じない
*たぶん言わない だって言えない
L・O・V・E(レトロロマンス)
そうよアイツは いつもだれかの
L・O・V・E(リトルプリンス)
Brand-New Good-Bye,Good-Bye
競い合う日がくるのね
わたし達の Magical Season
*(Repeat)
半角二次元のゆうきスレがスクリプト嵐のせいで落ちた_| ̄|○
協力してくれる人がいたら立て直すけどどうしよう?
541 :
PT-VT:2005/12/18(日) 21:46:41 ID:FDjAusDY
>536でつ。恥を覚悟で投稿させていただきまつ。
時期設定は梅雨の頃を想定していましたが、気付けばもはや冬……。
しかし書き損じてしまった以上はあとは意地ということで、笑いながらどうぞ。
542 :
PT-VT:2005/12/18(日) 21:50:05 ID:FDjAusDY
「爛れる夜」
夕立が降りしきる中、後藤は鞄片手に傘を差し、家路に就いていた。
「この降りようじゃ、明日の朝まで響くかもなぁ……」
独り言を漏らしつつ、彼はアパートの階段を昇った。
傘立てに傘を入れてから部屋に入ると、薄暗い居間に行儀よく正座した人影が目に入った。
「あら、しのぶさん来てたの」
後藤は意外そうに言った。
しのぶの後ろ姿は、心なしか普段より小さく見えた。
「電気も点けないでどうしたの? お茶でも淹れようか」
後藤は給湯器にヤカンで水を注ごうとして、背中に心地よい重さと柔らかさを感じた。
後藤に抱き付いたしのぶは、声を潜めて言った。
「後藤さん、抱いて……」
「はぃいっ!?」
開口一番に飛び出してきたセリフに、後藤は喜ぶ以前に間抜けな声を上げてしまった。
これまでのしのぶとの情事で、彼女の方から求めてきたことはないわけではない。
だが、今は何かが違っていた。
後藤は体の向きを変えると、しのぶの顔を両手でそっと包んでみた。
表情はなぜか悲しげだったが、女の色香を際立たせてもいた。
彼は唾を飲み下すと、口を開いた。
「何かあったの?」
「ごめん、言えない……」
「無理に体だけで慰めようとしない方がいいよ?」
「いいの……。気遣いしなくていいから、抱いてちょうだい……」
543 :
PT-VT:2005/12/18(日) 21:51:36 ID:FDjAusDY
「そう……」
後藤は、それ以上しのぶの内面に踏み込むことをやめ、彼女の背に回した手に力を込めた。
「んっ」
そのまま唇を重ね、舌をぬるりと口腔に滑り込ませると、しのぶの舌がそれを歓迎する。
「はっ……はっ……はぅ……」
互いの粘膜を求める濃厚なキスに、唾液が溢れ、呼吸が乱れる。
「ぷはっ……」
しばらく貪ってから離れると、後藤はしのぶの胸に手をやった。
ブラウスとブラジャーを透かし、膨らみの先端を視覚と触覚で確認した彼は、おもむろにブラウスのボタンを1つずつ外す作業に入った。
慎重に、焦らず、じらさず、かつゆっくりと。
ブラウスを肩からするりと下ろし、そのままブラジャーも取り去ると、熟れた果実のような乳房が露わになる。
後藤は手馴れた手つきで、それを揉み始めた。
時折、硬い突起を指先で力を入れてつまみ上げることも忘れない。
色白の細面が徐々に上気し、口から甘い吐息が漏れ始める。
後藤は左手で胸への愛撫を続けながら、右手をタイトスカートに滑り込ませた。
密やかな粘液質の音と共に、繊細に蠢く指が濡れていく。
ショーツの上から十分に愛撫してから、それを一気に足首まで引きずり下ろす。
敢えてスカートには手を付けぬまま、彼は再び指を深淵へ進めていった。
544 :
PT-VT:2005/12/18(日) 21:52:10 ID:FDjAusDY
中指を濡れた肉の通路に突き入れる一方で、勃起した陰核を親指と人差し指でなぞるように刺激する。
熱くぬめった愛液が、とめどもなくとろとろと溢れ出てくる。
「あら、大洪水だねぇ」
くすくすと笑いながら言うと、しのぶの顔が羞恥で耳まで真っ赤に染め上がる。
ほんの少しだけ指先に力を込め、軽くつまむと、しのぶは声にならない悲鳴を上げた。
「どうして欲しい?」
後藤は、しのぶの耳元で囁くように訊いた。
「ぐちゃぐちゃになるまで愛して欲しいの……」
後藤はスカートを腰までまくり上げると、何度見ても溜め息の出るような白い脚を大きく広げた。
後藤はベルトを外し、ズボンとパンツを一緒に下げ、隆々とした男根を露出させた。
その時間すらももどかしく感じたしのぶが手を貸したことは、言うまでもない。
「入れるよ……」
後藤の囁きに、しのぶが小さく頷く。
狙いを定めると、後藤はしのぶの体内に深々と侵入した。
「ああ……ッ!」
しのぶは快感に大きく顎をのけぞらせた。
しかし後藤は、入れたばかりのものを膣口近くまで引き戻した。
「ヒィ……ヤダッ……抜いちゃ、嫌あっ! あうんっ!」
と思うと、今度は再び最奥まで貫かれる。想像外の激し過ぎる快感に襲われたしのぶは、耐えられずに叫んでいた。
545 :
PT-VT:2005/12/18(日) 21:53:15 ID:FDjAusDY
中指を濡れた肉の通路に突き入れる一方で、勃起した陰核を親指と人差し指でなぞるように刺激する。
熱くぬめった愛液が、とめどもなくとろとろと溢れ出てくる。
「あら、大洪水だねぇ」
くすくすと笑いながら言うと、しのぶの顔が羞恥で耳まで真っ赤に染め上がる。
ほんの少しだけ指先に力を込め、軽くつまむと、しのぶは声にならない悲鳴を上げた。
「どうして欲しい?」
後藤は、しのぶの耳元で囁くように訊いた。
「ぐちゃぐちゃになるまで愛して欲しいの……」
後藤はスカートを腰までまくり上げると、何度見ても溜め息の出るような白い脚を大きく広げた。
後藤はベルトを外し、ズボンとパンツを一緒に下げ、隆々とした男根を露出させた。
その時間すらももどかしく感じたしのぶが手を貸したことは、言うまでもない。
「入れるよ……」
後藤の囁きに、しのぶが小さく頷く。
狙いを定めると、後藤はしのぶの体内に深々と侵入した。
「ああ……ッ!」
しのぶは快感に大きく顎をのけぞらせた。
しかし後藤は、入れたばかりのものを膣口近くまで引き戻した。
「ヒィ……ヤダッ……抜いちゃ、嫌あっ! あうんっ!」
と思うと、今度は再び最奥まで貫かれる。想像外の激し過ぎる快感に襲われたしのぶは、耐えられずに叫んでいた。
546 :
PT-VT:2005/12/18(日) 21:55:01 ID:FDjAusDY
「ああっ、後藤さん……やめてっ……こんなの、イヤ……!」
「しのぶさん、さっき自分でお願いしたでしょ。だから、ちゃあんとぐちゃぐちゃになるまで愛してあげる……」
しのぶの涙目に映った後藤の顔は、慈愛と残忍さが伯仲していた。
そのまま、後藤は勢いよく腰を動かしていく。
そのたびに、淫らな粘液の音が奏でられ、2人を扇情した。
「ヤッ、苦しい……はあんっ……」
「ココはそう言ってないよ。だって、ほら。こぉんなに嬉しそうに音立てちゃってるし……」
「そんなこと、言わないでってば……!」
後藤の腰に小さな痙攣が走り、絶頂の近いことを知らす。
「く……しのぶさんっ!」
後藤は呻くと、最後の一突きと共にしのぶの蜜壷に精を放った。
「後藤さんっ……もう、だめぇえええええッ!」
後藤の熱い体液が注ぎ込まれるのを感じ、しのぶも絶頂に達していく。
やがて精魂を使い果たした2人は、そのまま倒れ伏した。
部屋に余韻の吐息が淫靡に響く。
しばらく経ってから、後藤は腰を引いて己のものをしのぶから抜き出そうとした。
だがしのぶは、後藤の腰に足を絡ませてそれを阻んだ。
「あれ、しのぶさん?」
「このままでいて……」
後藤は無言でそれに応じる。
やがて2人は、穏やかな眠りに落ちていった。(終)
547 :
PT-VT:2005/12/18(日) 21:58:35 ID:FDjAusDY
以上です。
保管庫収納をしてくれる方がいましたら、544・545の二重投稿の削除をお願いします。すんません。
あとその際は、543と544の1行空けも詰めて下さい。二重投稿はそれを修正しようとしてやってしまいました。
少しの間反応待ちしますー。
>PT-VT
「はぃいっ!?」
ひっくり返ったマヌケな声の後藤さんになんか笑った。
>ナツさん。
R君卒業おめでとう!!R君にとっては、さんごが一番かわいい!のがウレシイ。
「過ぎ去った頃を色々思い出す」のが同感です。
>>469 なんつーか、とにかく読後の感想が「書いてくれてありがとう」 でした。。
P2好きなので柘植と南雲さんの関係も好きなのですが、柘植の矛盾がなるほどなあ、と。
後藤さんの激しさが、好きですな。「死んでしまえ」が。冷たい後藤さんが、なんかこうゾクゾクしました。
「警察官は、正義の味方」って言葉が胸痛くなりました。好きな部分多すぎ。読めてよかったー。
PT-VTさんGJです。
しのぶさんに何があったんでしょう。気になる…。
保管庫収蔵致しました。
ご指摘の箇所は詰めましたが、他に何か不都合な点がありましたらお知らせ下さい。
他の書き手さんも、
>>3や直して欲しい箇所がありましたら、こちらに遠慮なくお知らせ下さい。
忘れてたっ!
ゆうき先生お誕生日おめでとうございます。
や、ここは見てないだろうけどw
便乗おめでとうございますで。
二次創作に賛否両論はあるだろうけど、ここの歴代スレの
おかげで自分にとってますます魅力的な作品になりました。
ここの神にも感謝だけど生みの親にも大感謝。
>>547 しのぶさんがどうして荒れてたのか分からないところが、
いかにもパト作品っぽいっすね。
GJ!
踊る大捜査線のキャネタ&なりきりに後藤隊長が出てきて笑えます
hoshu
556 :
PT-VT:2006/01/03(火) 14:04:43 ID:DMnYQjA3
あけおめ&ことよろーw。遅ればせながらレスです。
>548さん
「はぃいっ!?」は狙って書きました(笑)。
>549さん
収録作業、どうもありがとうございます〜。まさに感謝の極み。
>552さん
しのぶさんがヤケになっていた理由は、適当に考えていれば思い当たると思います。
ここの賢明な読者さんにはもうお判りでしょうが、ちょっと前に完膚なきまでに否定されちゃったもんなぁ(苦笑)。
まぁ時間軸が前だから大丈夫だろうけど……。
遅ればせながら、P2後の話、よかったです。
勝手な話、P2には怒りのような悲しみのような気持ちをずっとひきずってきたのですが、
何が傷ついたのか言葉にする能力も文才もなく…
言いたかったことを見事に文章にしてもらったみたいでようやく落ち着いた気がします。
ありがとうございました。
558 :
PT-VT:2006/01/11(水) 19:36:41 ID:9Jui0acM
次回作を構想中ですが、そこで少し質問です。
おたけさんと黒崎ってどっちが年上でしたっけ?
黒崎のほうが一〜二歳上だと思うけど、年齢出てたかな、彼。
とりあえず保守
561 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/18(水) 23:47:14 ID:GVkvp0j7
野明と大田(かひろみちゃん)がくっつくとしたらどんなネタならありえる?
>>561 おまいの発言でちょろっとアイディアが頭の隅に湧いたので文章化してみる。
おお〜。待ってるぞ!
野明とひろみちゃんは、「雨の日に来たゴマ」みたいなシチュでありそうですが
太田は想像つきませんね〜
楽しみ楽しみ
漏れ的には太田は野明のこと結構大事に思ってるからそういう気があっても
「篠原がいるから」と遠慮するだろうけど、その遊馬が野明にひどい事
しようものなら(どうひどいかは置いといて)ぶん殴った挙句にかっさらい
そうだとか思う それだと遊馬ファンスマソになっちゃうけど 何かないかなあ
>>562 太田でもひろみでもワクテカで待ってるっす
>566
激しく同意。
「バーディ」スレ落ちた・・・
569 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/25(水) 16:19:42 ID:2ie/6eG9
あらら…じゃあここに統合になるのかな
念のためあげ
自分も>566に同意。
太田にとっての野明って、「大事な妹」っぽい感じだろうか。
となるとさしずめ、おたけさんは「逆らえないお姉さん」か。
>>570 「お前(遊馬)に泉は渡せーんっ!」みたいな太田お兄さんかなー。
「逆らえないお姉さん」の響きに、何故か生唾をごくっと呑んでしまったんだがw
そろそろ480kbなので、ss投下は次スレの方がよさそうな気が。
逆らえないお姉さん=おたけさん
かわいい妹=野明
頭の上がらん嫁=かぬか
つーかんじ?
573 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/29(日) 15:21:37 ID:2OoPdGQr
ひたすら理屈で押さえ込もうとするから逆らえない爆弾もちのお姉さん=おたけさん
理屈で押さこめないと判ると手が飛んでくるせいで逆らえないお姉さん=かぬか
ほっとけなくてかわいい「お隣の」妹=野明
なんか、慰労会の酒飲み話を観た後だとこうなると思うわ。
でもあの話、最初に太田を窓から投げ捨てたのはおたけさんなんだよなぁ……。
済まぬあげちまった。
ついでに。 スレストップって何kだっけか。
>酒飲み話
酔っぱらいおタケさん可愛かった…
投げた後に裾直すところがたまらんかった…
おいらは何度でも池から這い上がってくるイサオちゃんが好きだったw
さいごの布団引っ張りにごとのあを期待した漏れがいる
578 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/31(火) 17:19:53 ID:/Hloz+tm
モモーイ
「アムネジア」も好きだったな、太田主役シナリオ。
480kbとかどうやったらわかるんだろ…
次スレはいつ頃立てた方がよさげですかな
IEとかのブラウザ使ってるならスレの最後尾に記載されてる。
106 KB [ 2ちゃんねるが使っている〜って感じで。
2ちゃんブラウザなら大抵そのスレを表示させているなら何KBかも表示されている筈
かちゅ〜しゃによれば今ちょうど480KBだお
>>582 ほんとだ!ありがと!
書き込めるデータ容量は512kbまでらしいね
>>584 実際は
>>4に書いてある通り、500KB超えれば書き込めなくなるそうだ。
では、梅代わりの寝たふり。
今んとこ後藤さん、太田、遊馬、ひろみちゃんと来た野明の辛味。
あとは、進士とくれば一揃いOKってことになるが。
どう崩す?
(タミコさんのかべ、厚そうだものな)
シンシさんは、タミコさん以外で勃つんだろーか…。
と思った瞬間に、
「股間のレバーも自由自在に操縦よ☆」なタミコさんが目に浮かんだ…orz
ひろみちゃんと野明の絡みのネタなんてあったっけ??
>>562がひろみちゃん相手の可能性がまだ残ってるからとちがう?
ひろみちゃん相手だと小柄な野明には
大変そうだな…
太田と野明もいいが、香貫花もいいな。
つーか太田絡みなら何でもいけ(略
野明は特車二課ならわりと誰とでもいけそうだな(すごい言い方
ただリチャードとかの悪役に惹かれていく野明ってのは書きにくいかも
太田と香貫花だと香貫花×太田になりそうな予感w
>594を妄想しようとしたが、そこまで行く前に、
「押し倒した瞬間、額に銃口押し当てられてる太田」にしかならなかった
同意
遊馬相手の前科もある