エロくない作品はこのスレに4

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1名無しさん@ピンキー
・萌え主体でエロシーンが無い
・エロシーンはあるけどそれは本題じゃ無い
こんな作品はここによろしく。

過去スレはこちら
エロくない作品はこのスレに
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1062/10624/1062491837.html
エロくない作品はこのスレに 1+(前スレ)
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2chエロパロ板SS保管庫
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2名無しさん@ピンキー:04/12/30 22:55:38 ID:aEXfCyuf
>>1
乙です!スレ立て代行、どうも有難うございました!

それでは、前スレの続きをどうぞ↓(即死回避できるように調整してみます)

 それでも、何が何でも彼女の姿を見ずにこのままわざと眠ってやろうかと思った。
そんな俺を見透かしたように”蝙蝠野郎”がその度に俺の手や腕、顔に傷をつけ、痛みという”刺激”を与え、
眠らないようにしてきやがった。
 だから、嫌でも彼女の姿を見続けなきゃいけない。たまにちらりと俺を見つめる彼女の哀しい視線。
お願いだから、こんな俺なんて見ないでくれ……。

「やめろ……」 それでも、彼女は俺を見続ける。
「やめてくれ……」 まだ見続けている。なんともいえない表情で……
「見るなぁぁ!!」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ハッと気付くと、目に入ってきたのは白い天井。
(また夢か……) 溜息をつく。もう何度目だろう。
 意識が戻ってから、バンがいつも見る夢はいつも同じ。”あの時”の夢。
最後はいつも、ジャスミンにじっと見つめられ、「見るな!」そう叫ぶと、いつもそこで目が覚めるのだ。
 けれど、目が覚めても、彼の心は晴れることはない。

(俺は……ジャスミンを、”裏切った”んだ……)

 夢の中では”あの時”の再現。そして現実に還ると、自責の念にかられる。そして、また眠る。それの繰り返し。
(”止まない雨”って、こんなことをいうんだろうな)
 ”この世に止まない、雨はない" 彼女の口癖を、ふと思い出した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
4特捜戦隊赤黄34:04/12/30 23:02:14 ID:aEXfCyuf
「あれー、ウメコは?」
「ジャスミンの部屋に、さっき行ったばかりだ」
「毎日、大変だね……ウメコも」
「ウメコさんだって、ジャスミンさんのことが、心配なんですよね・・・」
「でも……ウメコが呼びかけても、目が覚めないなんて……」
(ウメコには悪いけど……やっぱり、バンじゃないと、駄目かもしれない……)
センは、なんとなくそう思った。

 ジャスミンの病室。ウメコが元気一杯、ジャスミンに語りかける。
「見て?ジャスミン、今日、バラ持ってきたんだよ!赤いバラ」 「……」
反応はない。でも、それでもウメコは諦めずに。
「……D−花瓶も一緒に持ってきたから、今から飾ってくるね!」 そう言って、一旦病室を出る。

 ドアを閉めて、ずっと病室で堪えていたものが、ぽろぽろと流れる。
(なんで?……なんでジャスミン、目が覚めないんだろう……)
 毎日こんな調子。いつものように語り掛けて。ジャスミンの目が覚めるのを待っているけれど、
一向に目が覚める気配はない。
(でも……諦めちゃ、駄目だよね……がんばらなきゃ……)
 目をこすって、赤いバラの束と、D−花瓶を持って給湯室へ、向かった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
5特捜戦隊赤黄35:04/12/30 23:02:41 ID:aEXfCyuf
(ウメコ……?)
 ここは、「ジャスミンの意識」の中。
 現実世界でも眠っているジャスミンはこの意識の中でも、ずっと眠っていた……
……というより、あの頃の”茉莉花”のように。
ぎゅっと目を閉じて、両手で耳を塞いで、外部からの接触を自ら遮断して。
 それでも聴こえる・感じる現実世界からのアプローチ。

(ウメコ……?)
試しに、そっと手を耳からゆっくり離してみた……

――突如として聴こえてくるのは、あの男の声。
『お前……いい体してるな……』
『襲われてるってのに……濡らしてるなんて……淫乱だな……』
 そして、閉じているはずの目に映るのは、”あの時”と一緒。あの男が……近づいてくる――

「いやあぁぁぁぁ!!」 そして、また再び耳を塞いだ。……さっきまで映っていた、あの男も、消えた。
(あの男を消して……あの時の記憶を消して……誰か、助けて。誰か……ここから出して)
(……違う、「誰か」じゃない。”バン”……貴方じゃないと、駄目……)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 意識が戻ってから、3日が経った。
 あれからセンやテツは一日に一回はバンの様子を見に来るものの、それに受け答えする
余裕がなく、ずっと黙り込んでばかりいた。
 一人で病室に居る間、体も動かず、何もすることがなく……何もしたくもない状態で、
ただひたすら天井や窓を見つめながらずっと自責の念に駆られていたバンにふっと聴こえたのは。
 ―キィーン―
ずっと聴こえていなかった”耳鳴り”。ビジョンも、声も聴こえない。ただひたすら、”耳鳴り”が続く。

(まさか……ジャスミンか……?) それに応えるかのように、
「うっ……」 ”耳鳴り”が激しくなる。
「やめてくれ……お前を助ける資格なんて、俺にはないんだ……」
そう呟くと、ずっと続いていた”耳鳴り”が消えた。
(そう、俺には……無理なんだよ……)
6特捜戦隊赤黄36:04/12/30 23:03:15 ID:aEXfCyuf


「先輩、聞きましたよ……食事殆ど食べてないそうじゃないですか……」
「そうだよ。栄養たっぷり取らないと、いつまでたってもベットから離れられないよ」
「食べたくない」
 見るからにやつれているのが、わかる。これじゃ意識不明だった時のほうが見た目的には健康そうだ。
「バン、あのさ……」 「何」
「あれからもう”耳鳴り”は聴こえない?」 「……」
何故今そんなことを聞くのかと、なんとなく予想はついていた。バンは何も言わず黙り込んだ。
「やっぱり、聴こえてきたんだね」 「……」
「ジャスミンは今も眠り続けてる。でも、そんな状態でも、ジャスミンは、無意識にバンに……
こう、”助けて”って言ってるんじゃないかな」
手振りを交えながら、センは話す。しかし、バンはすぐさま反論しようすると、
「センちゃんの気のせ……!」 
 突然、耳が鳴った。
 ―キィーン―
「耳鳴りしてるんですね!先輩!」 「これで、”確定”だね」
「気のせいだって……」
そうじゃないと、否定しようとした瞬間。今度は声が聞こえてきた。

 <タスケテ……ダシテ……ココカラ>

(なんで、俺なんだよ……!)
「俺じゃ駄目だって言ってるだろ!」 そう叫ぶと、耳鳴りが消えた。
 はあはあと息を切らしながら、「駄目なんだ……」
そう言うと、バンはそのまま気を失った……

 ふっと目が覚めると、夜。月明かりが窓からこぼれて、なんとなく病室も明るい。
(俺……あれからずっと、眠ってたのか……)”あの時の夢”はさっきは見なかった。よかった……
でも、それでもやっぱり自責の念は消えない。
 ぼーっと天井を見つめていると。また、”耳鳴り”が始まった。天井が、ゆらゆらと歪み始め、
そこに見えるは、”若き日の、ジャスミン”。
7特捜戦隊赤黄36:04/12/30 23:03:44 ID:aEXfCyuf
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ノリちゃんだけは…………親友だと思ってたのに!」ジャスミンは、それから学校を飛び出し、雨の中走り出した。
 そこで彼女が目にしたのは。トモカオ星人オロジが、路地裏で若い女性を焼失させている”殺害現場”。
「知られたからには、お前も生きてはいられない……」 とオロジに言われ、ジャスミンはドラム缶に叩きつけられる。
「目を開け!」 とジャスミンに怒鳴るオロジ。
 その一部始終を見ていたバンの耳に聴こえてきたのは、若き日のジャスミンの心の叫び。

<目を開けたら……死ぬんだ……それでもいいかな……みんな私の事……気味悪がるし、
友達なんていらない……死んでも…………いいや>

(これは……俺が意識がない時に聴こえてきた言葉……)
 その時、一発の銃声が聞こえて、オロジは路上に倒れ、そのまま消滅してしまった。銃を撃ったのは、ボス。
そこで、映像は、一旦途切れ、引き続きボスの声が聞こえてきた。

「俺が保障する。君は一人ぼっちじゃない。だから自分を嫌いになっちゃいけない」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 『頼むから、ジャスミンを守ってやってくれ』
 『俺には、あいつを救えなかった……頼むからあいつを救ってやってくれ……』

(ボスから言われた言葉。……もうボスの手からジャスミンは離れていったのを、ボスはわかってたんだ……)
 そう思ったバンに、最後に聴こえてきた声。

<タスケテ……ダシテ……ココカラ>

「本当に……こんな俺でもいいのか?」 右手をぐっと握り締める。
 意を決した彼は、ナースコールで、”目的の場所”を教えてもらい、痛みを堪えて、ベッドから立ち上がり、
壁伝いにその場所へと向かった……

8特捜戦隊赤黄37:04/12/30 23:04:45 ID:aEXfCyuf

 目的の場所。それは、ジャスミンが、寝ている病室。
その病室の前で、彼女を守るが如く、座っていたウメコとホージーがバンに気付いた。
「……バン?」
「なんでお前がここにいるんだ?」

「ジャスミンに、会わせてくれ……」
「何言ってるんだ馬鹿……お前が会ったところでジャスミンがそう簡単に起きるとでも思ってるのか?」
「あたしでも、無理だったのに……」
(そういうだろうと思ってたぜ……相棒も、ウメコも……みんなジャスミンのこと、好きなんだ……でも……)

「……頼む!」 「バン?」
ウメコが驚く中、バンは、痛む体でその場に土下座して。
「ジャスミンをこんな目に合わせた責任は、後で必ず取る……だから、ジャスミンに会わせてくれ!」
「バン……」
 バンを上から見下ろした格好で、ホージーがバンに問いかけた。
「……会ってどうするんだ?」 「俺がジャスミンを、起こす」
「できなかったら?」 「スペシャルポリスを辞めるさ……仲間のことすら救えないやつが、地球なんか守れる訳、ないからな」
(ふっ……お前にとって、ジャスミンはもはや「仲間」以上だろうが)

「わかった、行ってこい」 「ホージーさん……」
「……どうせ、無理に決まってるさ……最後に一度ぐらい、会わせてやれよ、ウメコ」
無理に決まってるといいながらも、ひそかに笑みを浮かべているホージーを見て、ほっとしたバンは。
「サンキュ、相棒……」 「相棒って言うな。早く行ってこい」

 よろよろと立ち上がったバンを支えながら、ウメコはこう言った。
「バン……ジャスミンのこと、お願い……」
「わかってるって。朝になったら、いつものアイスクリーム、買ってきといてやれよ」 「うん…」

そのままバンはドアの向こう側へと、消えた。
9特捜戦隊赤黄38:04/12/30 23:05:34 ID:aEXfCyuf
「ジャスミン、本当に起きるのかな」
「あいつならいつかこうするだろうって思ってた。あいつが本気になれば、ジャスミンだって、嫌でも起きるさ……」
「本当に?」
「それよりも……お前、朝になったらアイスクリーム、買いにいってこいよ」 「ええ?嘘!」(今お金ないよ……)
「後はあいつに任せて、もう俺たちも休もうぜ……」(ミラクルマンだから、大丈夫だろう……頼むぞ)
あくびをしながら、ホージーはその場から離れる。 「待ってよ、ホージーさん……」 とウメコもその後についていった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ジャスミン……」
 病室のベッドで横たわる彼女。バンは、窓から漏れる月の光に照らされている彼女を見て、
初めて綺麗だと、思った。

 ふっと気付くと、耳鳴りもせずに、直接浮かんできた”ビジョン”―
眠っているジャスミンの上に現れたのは、ロチイの幻影。思わず目を背ける。
ロチイが、眠っているジャスミンの胸、首元、そして、耳を撫で回す。そして口元に近づき、接吻。
「綺麗な肌、してるじゃないか……はぁ、はぁ……胸もでかいしよぉ……ざまあみやがれ……ドギー……」
 目を背けながらもちらほらと、映るロチイの動きを見て、気が付いた。

(ジャスミンを襲ったロチイの幻影か……)

 まったくといっていいほど、的外れな手付き。胸を触っているようで、実際のジャスミンには、触れていなかったり、
接吻しているつもりが、一人で口を出してなんとも間抜けな格好……
 これは、ジャスミンが造り出している、恐怖?

(お前……ずっとこれが怖くて”出て来れなかった”のか……)
10特捜戦隊赤黄39:04/12/30 23:07:10 ID:aEXfCyuf
 ロチイの幻影を無視して、手袋をつけていない、彼女の白くて細い手を見つめる。
(あのイリーガルマッチのときに、初めて彼女の手に、触れたんだっけ)
思い出しながら、そっと彼女の手に、触れてみる。
 ロチイの幻影が、一瞬消えた。
(もしかして……)  そのまま、彼女の頬に、触れる。また同じ現象。
(……ロチイの幻影を完全に消す為には……) でも。
(ジャスミンを起こすって、決めたんだ) そう自分に言い聞かせて。

(助けてやるから) そう思いながら、ベッドの脇に置いてあった、椅子に座り。
右手は、彼女の冷たい左手を握りしめ、彼女の顔に近付くと、やさしく口づけを始めた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(助けてやるから) かすかに聞こえた、彼の声。
<バン……?> 条件反射的に、そっと手を耳から離そうとした……でも。
<……駄目!> またあの男が出てくるのかと思うと、怖くて離そうとした手を止めて、再びぎゅっと耳を塞ぐ。
(ジャスミン……!) それでも聴こえて来る、彼の声。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 彼女の冷たい手を握り締め、口づけを続けながら、目を閉じると、そこは闇の中。
 あの時、ジャスミンからの呼びかけを拒絶した時に、やっとバンは気付いた。
自分の気持ちが彼女に伝わっていることを。

<……駄目!> 彼女の声が聴こえてきた。何が駄目なのかはわからず、闇の中に目を凝らすと、
段々とぼんやりとした光が見えてきた。……見つけた!
(ジャスミン!) そこには耳を塞ぎ、目を閉じて、”あの頃”と一緒のジャスミンが横たわっていた。

―あの手を離さない限り、きっと、ジャスミンは、起きることはないんだ―

(手ぇ、離せって!) 自分の手は彼女には届かない。だから彼は呼び続ける。
11特捜戦隊赤黄40:04/12/30 23:08:44 ID:aEXfCyuf
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ……手を離せと声が聞こえる。それも何度も何度も。
<嫌……怖い> その度にそう答えてた。
 それでも、彼の声が止まることはなかった。
 
 気が付くと、瞳を閉じているのに、私の中に”ビジョン”が流れてくる。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
<これは……私?>
 自分がが映っている。それも、”あの時”と一緒。ロチイに襲われ続けている、自分。
<ああ、そうか、私、”あの時”のバンの中にいるんだ……>

 そう思った瞬間。バンの”心の声”がジャスミンの心に、流れてきた。
(なんで……俺はこんな時に限って”感じている”んだ……ジャスミンが、襲われているって言うのに……畜生……)

 そして、痛みは感じないもの、背中から何か踏まれる感触。そして、あの憎きアブレラの声。

 『なんだ?……やっぱりお前も欲情してるんじゃないか』
 『よかったな。いい息抜きになっただろう?普段の警察の仕事は息が詰まるだろうからな……』
(……俺、お前を”裏切った”……ごめんな)

<バン……!> ”ビジョン”は消えて、再び闇の中に戻った。
12特捜戦隊赤黄41:04/12/30 23:13:50 ID:aEXfCyuf
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 気が付くと、ジャスミンの瞳にはまた違う”ビジョン”が見えてきた。
 辺りはさっきと同じ闇の中だったが、目を凝らすと、遠くでセーラー服の女の子が一人で泣いている。
誰かと話をしているようだ。

「助けてくれなくても良かったのに……」
(昔の私だ…)
 しかし、その次に返ってきた返事は自分の記憶とまったく違っていた。

『愛する人の目の前で、犯されてしまったからか?感じてしまったからか?』
(違う…!あの時は『君が、エスパーだからか?』って私に聞いてきたはず……)
そんなジャスミンの疑問は素通りされ、少女はこう返事した。

「…そうです」 
『君は…もう彼を愛していないのか?』
「そんなこと!ありません……」
『彼は、君の事を今でも愛してくれている。さっき君だって聴こえただろう?”彼”の声が。
そして、君もそれをずっと待っていたんだろう?』
「……」
「君は”もう”一人ぼっちじゃないんだ。さ、早くその手を離すんだ。”ジャスミン”」
ボスが現れて、こっちの方を向いた。
(え?なんで私がいるってわかるの?)
 少女もこっちを向いて、黙ってにっこりと微笑む。

『もう、自分から”過去(こっち)”には戻ってくるんじゃないぞ』
「…ボス…」
そう言って、ジャスミンは、やっとずっと耳を塞いでいた手を離した……
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
13特捜戦隊赤黄42:04/12/30 23:24:13 ID:aEXfCyuf
 ふっと気が付くと、左手が、暖かい……。そして一番最初に目に入ったのは。
「バン……」
「おはよう、ジャスミン」
 体中包帯ぐるぐる巻き。頬はげっそりとやつれている。
それなのに。笑顔でジャスミンを見つめながら。彼の唯一動く右手は、自分の左手をずっと握り締めてくれていた。
 自分に気持ちを読まれるかも、しれないっていうのに。
「助けにくるの、遅くなっちまって…ごめんな」
 暖かかったのは、彼の右手。そこから、全身ににぬくもりが伝わってくる。
嬉しくて……そして、彼が愛しくて……涙が、溢れてきた。
「バン……!」

 バンの胸元にこつんと頭を置く。でも、彼の負担にならないように、
本当にちょっとだけ頭を置こうと思っていたら。
 それを読み取ったのか、バンは自分の右手を彼女の頭に置いて。
「もっとぎゅって寄りかかって来ればいいじゃん」
 ジャスミンの顔を自分の胸元に、ぐっと近付けた。
 そんな優しさがたまらなく嬉しくて。彼の胸の中で、また、涙が枯れるまで……泣いた。

 
 気が付くと、夜が明けて、陽の光が窓から差して来る。
「もう朝か…”夜明けの刑事、デカレッド参上!”って感じか?」
せっかくのところで茶化すところはいつもと変わりない。
「…もう、年明けちゃったんだね」
「俺も、意識不明で年越しだったから、お揃いだぜ?やっとおせちとお雑煮食える〜
…あ、ウメコが後でジャスミンの好きなアイスクリーム買ってきてくれるから、”初アイスクリーム”か?」
「バン」
「何だよ、ジャスミン」
14特捜戦隊赤黄43:04/12/30 23:27:26 ID:aEXfCyuf
 気が付くと、夜が明けて、陽の光が窓から差して来る。
「もう朝か……”無謀な悪を、迎え撃ち、恐怖の闇を、ぶち破る、夜明けの刑事、デカレッド!”って感じ?」
 せっかくいいところで茶化すところはいつもと変わりない。

「…もう、年明けちゃったんだね」
「俺も、意識不明で年越しだったから、お揃いだぜ?やっとおせちとお雑煮食える〜
…あ、ウメコが後でジャスミンの好きなアイスクリーム買ってきてくれるから、”初アイスクリーム”か?」
「バン」
「何だ?」

 じっと、バンの顔を見つめながら。
「バンのこと、”愛して愛して愛しちゃったのよ”」
「……」
(これっていつものジャスミン語だろうけど、でも、告白って、奴だよな…)
 かあっとバンの顔が赤くなった。
 そして、それに追い討ちをかけるように。ジャスミンは体を起こして、バンの右頬に、キス。

 バンは自分の右手、そしてジャスミンの左手。一旦離していた手を、再び握り締めて。
ふっとバンはジャスミンの耳元に近寄って呟いた。
「俺、お前のこと、ずっと守ってやるからな……絶対に」
「…うん」
 そして、握った手を通じて、バンがジャスミンに伝えた、言葉。
(もし、昔のこと思い出したら、俺が忘れさせてやるから)
(前は助けてやるって、言ってたね……どういう方法で、忘れさせてくれるの?)
(そんな野暮な質問、するなよ……)

―自分の気持ちが彼に伝わっているのをはっきり気付いた、彼女。
 自分の気持ちが彼女に伝わっているのを、やっと気付いた、彼。
 2人の気持ちは今、やっと合わさった―

「しっかし、告白するときぐらい、普通に言えよな、あれいつ流行った言葉なんだよ……」
「バンだって”夜明けの刑事”ってテツの名乗り、真似っこしてたじゃない」       (終)
15特捜戦隊赤黄:04/12/30 23:52:06 ID:aEXfCyuf
以上で投下、終了です。(即死回避出来たかな…?)
途中で新スレに移行してしまい、既存の住人の皆さんには本当に申し訳ありません。

(訂正)
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1089502253/474 の一行目は削除です(コピペ失敗)

 最後に、初めて読んで下さる方、デカレンジャー知らないという方へ登場人物の説明をちょろっとだけ。
バン→デカレッドに変身。猪突猛進・短期直情型。地球署の新米刑事。
ホージー→デカブルー。多分リーダー。根は真面目で努力家。バンから勝手に「相棒」と呼ばれ続けてもう1年。
  口癖は「相棒って言うな」
セン→デカグリーン。みんなのまとめ役。博士タイプ。多分いたずら好き。
ジャスミン→デカイエロー。ボスに命を救ってもらったのをきっかけに、宇宙警察にスカウトされた。
  どう考えても生まれていない時代の流行語や死語を使う。
ウメコ→デカピンク。元気いっぱい。無類のお菓子好き。そしてお風呂好き。
テツ→デカブレイク。本部直属のエリートなので、↑の5人より上司。でも一番年下。
ボス(ドギー)→デカマスター。地球署署長の犬型人間。でも男前。
スワン→地球署のメカニック担当。ドギーとはずっと長い付き合い。(多分恋人同士?)

てな感じでした。本当にどうも有り難うございました。
16名無しさん@ピンキー:04/12/31 00:22:35 ID:Z2caB7u+
乙です!
デカレンジャー全く知らないので、15の設定読みつつ
これからじっくり読ませていただきますね。

即死回避って書き込みすればいいんでしたっけ?
ところで過去スレを遡っていて
48さんの「戦うカッコイイ女性キャラ」のSSも読みました。
エロ増量しようとする様子が微笑ましいですw
17名無しさん@ピンキー:04/12/31 01:48:39 ID:btIu16o1
訂正。
>>13の下八行はカットさせてください…orz 
>>14の上八行が正しいんです。

>>16さん どうもありがとうございました。でも15の設定が完全に
反映されているとは限りませんのでご了承下さい…
18名無しさん@ピンキー:05/01/01 02:13:17 ID:TZs2CZj2
19名無しさん@ピンキー:05/01/01 08:31:40 ID:uvz+5VHL
長編お疲れ様でした。
変な所で終わっていると思ったら容量の関係で新スレに移行していたんですね。
キャラの書き分けも上手く出来ており力作だと思います。
20名無しさん@ピンキー:05/01/02 01:33:05 ID:DXKudYC8
ほしゅ
21名無しさん@ピンキー:05/01/02 16:18:15 ID:szMK4vvQ
おお、新作だ。
二人の心の絆がいいですね。デカレンジャーを見たくなりました。マスターも気になる。

朝起きられなくて、気になるものの未だ見てないさ。
22名無しさん@ピンキー:05/01/03 00:23:09 ID:ZjdfmBCj
>21
このお話を踏まえたうえでデカを見たいならDVD一巻と二巻は必需ですな。
一巻はバン登場、二巻には例のジャスミンの過去(いじめとボスの出会い)があります。
デカマスターが見たいなら四巻っす。と言うより、全巻見てくれ!w
23名無しさん@ピンキー:05/01/03 01:24:52 ID:RHbOczps
>>21
今年は基本的に外れ回が無いという稀有な年であります。見るべし。見るべし。
最近は、キャラ設定が少しづつ中の人に近づいてきたかのような演技になってて面白いよ。
24名無しさん@ピンキー:05/01/03 08:01:19 ID:e93rNtRs
>>22.23
21です。アドバイスありがとうございます。外れの無いとは凄い…
一度頑張って起きてみようかと思います。
DVDの購入も検討してみようかな。
25特捜戦隊赤黄
>>19>>21
久しぶりにPC向かってみたら…、感想有難うございます!
もしこれでデカに興味を持たれた方がいましたら、嬉しい限りです。
長い文章にお付き合いくださって本当に有難うございました。