サムスピ総合エロ萌えSS

このエントリーをはてなブックマークに追加
1名無しさん@ピンキー
ここはサムライスピリッツシリーズの
萌えSSやエロSSを書き込むスレッドです。

サムライスピリッツ零SP公式
ttp://www.samurai-zero.jp/special/index.html

2名無しさん@ピンキー:04/05/21 19:01 ID:udA6U47q
前スレ
【わたし】リムルル萌えエロSS【頑張るよ!!】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1068761442/l50
3名無しさん@ピンキー:04/05/21 19:04 ID:6KBcsJCQ
>>1乙。
4名無しさん@ピンキー:04/05/21 20:03 ID:vHfUj2qq
*これまでに投下されたSSの保管場所*
2chエロパロ板SS保管庫
http://adult.csx.jp/~database/index.html
(サーバーが重くて繋がりにくいです)
5名無しさん@ピンキー:04/05/21 21:32 ID:KAIoblJf
>>1
乙彼!
6名無しさん@ピンキー:04/05/21 23:16 ID:3Z7qyLI0
閑丸タン…(;´Д`)ハァハァ
7名無しさん@ピンキー:04/05/22 00:05 ID:MxoOLk+E
ほしゅ
8名無しさん@ピンキー:04/05/22 00:15 ID:h6p2Gojl
職人さんこないかなー。上げてみよっと。
9名無しさん@ピンキー:04/05/22 01:01 ID:FRU5sN2V
シャルロット様のチラチラ見えるフトモモにハァハァしてるのは漏れだけでつか?
10名無しさん@ピンキー:04/05/22 02:39 ID:h6p2Gojl
>>9
シャルはかなり少数派なんじゃない?
ナコリムレラミナあたりに比べると。
11名無しさん@ピンキー:04/05/22 03:17 ID:hKQdcfcp
>>9
同志よ!
共に魅力溢れるシャル様のSSを待とうではないか!
12名無しさん@ピンキー:04/05/22 09:39 ID:YjYyCJnz
シャル姐持ちキャラにしてかれこれ10年の付き合いになるし愛着もあるが
彼女をエロ萌えの目で見るのは当たらない気がする…別にひがみじゃないぞ?
13名無しさん@ピンキー:04/05/22 11:57 ID:r6NXQ18h
シャル姐萌えの流れぶった斬ってスマソ。職人さん降臨までのあいだ、保守がてら、つまみ程度の駄作投下します。
わかる人のほうが少ないんじゃねえかと思われる、風間葉月&弟邪っす。妹属性だけど、リム程ロリじゃないのが葉月のツボなのかも。
背景としては炎邪ED以降のつもり、です。





「…ん…」
 むき出しの肌を焼く熱い空気と、あたりに漂うきな臭い風。そして、とてつもなく大きな邪気にあてられ、葉月は目を覚ました。
「…えと……私…?」
 一体どれだけ眠っていたのだろう。
 気が付けば、無残に焼け焦げた建物や、旗印などが散乱している。
「…いったい何があったの…」
 痛む身体を叱咤して、よろよろと立ち上がる。
 あたりを見渡すと、まるで、何者かによって意図的に破壊され、焼き尽くされたかのような惨状に、葉月は眉を顰める。
 と。葉月の背後から焼け跡を踏みしめるような足音が聞こえてきた。
「誰!?」
 反射的に、腰に下げた短刀を引き抜き、逆手に構える。忍びとしての腕はまだまだ未熟だが、それでも、自分の身体程度は守れるはずだ。
 しかし。構えた刀は、すぐに下ろされる。視線の先にいた人物が、彼女が最もよく知る相手。彼女の兄だったからだ。
彼女の位置から見えるのは、肩を落とし佇んでいる、彼の後ろ姿だけではあったが、長年そばにいた肉親だ。兄に違いないと葉月は思った。
「兄さん!無事だったのね!!」
 花のような笑みを浮かべて、葉月が火月の元へ駆け寄ろうとする。
 しかし。葉月の動きが突然止まった。
(…何だろう…何か…違う…っ…)
 頭の片隅で、何かが警鐘を鳴らす。あれは、兄ではない、と…。
 その時だ。葉月の声に呼応するかのごとく、焼け跡の真ん中で佇んでいた男が、ゆっくりと葉月を振り返る。
14名無しさん@ピンキー:04/05/22 11:57 ID:r6NXQ18h
 日に灼け、色が抜けきったかのような象牙色の髪と、褐色の肌に浮かび上がる刺青状の白い紋様、紅玉のような真紅の瞳。そして…その全身から発せられる禍々しい邪気とも瘴気ともつかないもの。それは…
「まさか…そんな…!!」
 炎邪―破壊本能のままに行動する、魔界の精神体―。
 おそらく、我旺を倒して手に入れた、闇キ皇に宿りし人魔一体の秘術を用いて、火月の身体を乗っ取ったのだろう。
「…て………兄さんを返してっっ!!!」
 あどけなさの残る顔を怒りと悲しみに歪ませて、手にした短刀を握り締め、葉月は炎邪に斬りかかった。
 炎邪と自分の力量の差は、痛いほどよくわかっていた。
 それでも…敵わないまでも、せめて毛ほどの傷でもいい。最愛の兄を奪った目の前の妖に、一太刀を浴びせたかった。
 しかし。
「ゴハアっ!」
 唐突に目の前で炎が弾ける。次の瞬間、爆風と熱風が吹きつけ、葉月の体を吹き飛ばす。うつし身を、その場で自爆させる技。炎滅。
 爆心部から距離があったため、大した怪我はしていないが、むき出しの腕や足に、軽い火傷と切り傷を負い、地面に叩きつけられた衝撃で、短刀を手放してしまった。
 地面に突き刺さっている短刀を掴もうと、身体を翻した葉月の上に、炎邪が覆いかぶさった。
「嫌っ…!放して…放してっっ!!」
 背後から抱きすくめられるような形で地面に押し付けられた葉月が、全身の力を振り絞って抵抗する。しかし、彼女を押さえつける炎邪の力が緩む気配は一向にない。
 暫くして…炎邪の身体の下から、すすり泣くような声が漏れ出してきた。もはや、抵抗する力もないのだろう。
「ヤダぁ…兄さん…兄さん…」
 イヤイヤをするように頭を左右に振りながら、大きく見開いた瞳からポロポロと涙を零す。
 殺されるかもしれないという恐怖でも、兄の身体を乗っ取ってしまった炎邪への怒りでもない。ただ、もう、自分の知っている兄がこの世にはいないということへの悲しさと寂しさだけが、葉月の胸の中を支配していた…。
「……兄さん……火月兄さん……」
15名無しさん@ピンキー:04/05/22 11:58 ID:r6NXQ18h
 いつしか、葉月は炎邪の腕の中に抱きすくめられていた。泣きじゃくる葉月の頭を、炎邪が、ぎこちない手つきでそっと撫でる。
 弾かれたように、葉月が振り返る。
 刹那。涙に濡れた翡翠色の瞳と、真紅の瞳が交わった。
「…ハ……ヅ、キ…」
 喉の奥から搾り出すようにして、炎邪は、ただ、葉月の名前だけを呟くと、頬を伝う透明な雫を舌で舐めとった。
―…もう泣かせたくない…―
 破壊することしか思い浮かばない自分の中に、突然沸いてきたこの思い。胸の奥に広がる名前も知らない感情に、炎邪は戸惑っていた。
(まあ…時間はあるか…)
 ようやく実体を手に入れた今、時間切れで消滅するということはないだろう。小難しいことを考えることは後回しにして、今はただ…自分の腕の中にある温もりを抱きしめていたかった。
 彼女の封魔の力によって、自分がもう一度眠りに付くその時まで…。
16名無しさん@ピンキー:04/05/22 14:02 ID:hKQdcfcp
GJ!その切なさに萌えますた。
17名無しさん@ピンキー:04/05/22 14:03 ID:7qSqqDRI
GJ!!葉月って天サムで捕まってた緑の人だっけ?
よく知らないけど悲しい切ない話ですね。・゚・(つд`)・゚・
ぐるじおぉ忍邪にもこんな悲しい話が…。
でも個人的にはリムとミナきぼんぬ。そーいやミナスレがあったよね?
18名無しさん@ピンキー:04/05/22 19:18 ID:/hxf7ewK
保守がてら、くだらない壷SSを一つ。リムルル多めの話っす。
どこが萌えなのかと聞かれたら土下座するしかないんすけどね。





 リムルルは、本当にナコルルが大好きだった。
 強くて、優しくて、格好よくて…。ナコルルのような姉ができたことが、本当に嬉しかった。
 自分も、いつかこうなりたいと思った。
 だから、ナコルルに、刀舞術を教えてもらえることが、とても、とても嬉しかったのだ。
 自分が強くなることができれば、ずっと、アイヌの戦士であるナコルルのそばにいられると思っていたから…。
 ナコルルの事を守れると思っていたから…。



「なあ、ちっこいの。まぁだ食う気か…?」
 天草城に向かう途中の茶店の中。次々と重ねられていく団子の皿を、赤毛の青年が苦笑いを浮かべながら見守っている。
 彼の目の前には、大和ではめったに見られない刺繍を施した民族衣装を纏い、青い大きなリボンとつけた一人の少女の姿がある。
「ひゃっへ、おひゃはふいひぇるんらもん!」
 団子を口いっぱいに頬張りながら主張する彼女に圧倒されたのか、青年は茶店の主人に、団子の追加を頼んでくれたようだ。お互いの間に沈黙が流れる。聞こえるのは、鳥のさえずりと風の音くらいなものだろか。
 暫時。目の前の団子を平らげた少女が、満足そうにお茶をすする。
「あー、お腹いっぱい!どうもご馳走様でした!」
 満面の笑顔で頭を下げる少女に、青年は鷹揚に手を振って答えながら、先程からの疑問をズバッと口にする。
「あー、別にいいけどよ。アンタ、なんであんなところで倒れてたんだ?」
 …倒れて…。そう。倒れていたのだ。街道から少し離れた林の中で。
「えーっと…その…」
 頬を真っ赤にして、胸の前で指をもじもじさせながら、少女が恥ずかしそうに事の顛末を語りだす。
 要約すれば、『家を出た姉達の後を追って島原までやってきたが、姿を見失った挙句に路銀も切らし、木の実か何かを探そうと林に入ったところで空腹のあまり倒れてしまった』…と言う事らしかった。
「姉を追って、ねぇ…。アンタの姉さん、家出でもしたのかい?」
 のほほんと残りの団子を齧る青年に、少女は硬い表情で答えた。
19名無しさん@ピンキー:04/05/22 19:20 ID:/hxf7ewK
「…姉様達、島原に悪神が復活して、自然を破壊してるって言って…。絶対帰ってくるから、カムイコタンで待っててねって言って、私のこと置いて行っちゃったの…」
 湯飲みを持った手を膝の上に置きながら、少女がぽつぽつと話し出した。
「でも、私、待っていられなくて…姉様の後を追いかけて、やっと島原で姉様達の事見つけたんだけど…姉様、私を見るなり『カムイコタンに帰りなさい』って…」
 少女は、きゅっと唇を噛み締める。まるで、思い出し泣きを堪えるかのように。
「赤姉様も、紫姉様も、なんでも一人で背負い込んじゃうから…だから…私…姉様達の力になりたかったのに…姉様達に笑顔でいて欲しかったのに…」
 とうとう、彼女の瞳から涙があふれ、ぽつぽつとズボンに染みを作る。
「姉様、私のこと足手まといだったのかな…?私、一生懸命修行もしたのに…姉様には負けるけど、姉様を守ってあげたかったのに…」
 と。それまで、黙って彼女の話を聞いていた青年が口を開いた。
「んー…よくわかんねえけどさ。アンタ、その姉さんとやらに、大事にされてんだなあ…」
「…え…?」
「アンタの姉さんは、アンタが邪魔だから留守番してろって言ったわけじゃねえと思うぜ。むしろ、その逆だとオレは思う…」
 驚いた少女が顔を上げると、青年は困ったように笑いながら考え考え話しだした。
「オレにも妹がいるから、アンタの姉さんの気持ちは、少しわかるかな…。オレだって、例えどんなに妹が強くても、自分の目的のために絶対に怪我なんかさせたくねぇもん…」
 一つ一つ言葉を選び、訥々と話す下青年の言葉に、少女は黙って耳を傾ける。
「姉さんはさ、きっと、一回も村を出た事のないアンタが心配なんだろうな」
 そこで言葉を区切った青年が、一息入れるように茶を啜る。
「雨に濡れて泣いてるんじゃないかとか、妙な相手に襲われて怪我してるんじゃないか、とか、腹が減ってどっかで行き倒れてるんじゃないか、とか思うと、心配で心配でしかたねえんだろうな…」
「…………」
「例えば、ほら…あんなふうに、アンタの後をつけてきちまうくらいに…」
 そういって、ニカッと笑った青年が指差す向こうには、大きな杉の大木と、その根元で揺れる赤と紫のリボン…。
20名無しさん@ピンキー:04/05/22 19:21 ID:/hxf7ewK
「ね、姉様!?」
 思わず大声を上げた少女が立ち上がるのと同時に、しまった!という様子で、2色のリボンが木の陰に引っ込む。
「じゃ、後は、当事者同士で話し合ってくれや」
 人懐っこい笑顔を浮かべた青年が、団子代を置いて立ち上がる。
「何から何までありがとうございます!………えーっと…」
「オレの名前は火月。風間火月だ」
「火月さん、ありがとうございました!私、リムルルって言います!」
「おう。じゃあ、またな。…っても、アンタとは、またどっか出会えそうな気がするけどな!」
 涙を拭い、ニッコリと笑うリムルルの頭をぐしゃぐしゃと撫でて、火月が茶店を後にする。
 もう一度礼を述べようと、慌てて後を追うリムルルだったが、たった今茶店を出たはずの火月の姿はどこにも見えなかった。
「…おっかしいなあ…どこ行っちゃったんだろう…??」
 首をかしげるリムルルの足に、ふわふわとした毛皮が当たる。シクルゥだ。
 振り返ると、そこには、ばつの悪そうな笑みを浮かべた、二人の姉の姿。
「り、リムルル…あなたまだカムイコタンに帰ってなかtt…」
「リムルルー!!大丈夫だった!?さっきの男に変な事されてない!?お団子奢ってあげるからお兄さんとイイ事しようよハアハア(;´Д`)とか誘われてない!?リムルルたん萌え〜〜とか言われなかった!?!?」
 我に返り、リムルルを咎めようとした赤ナコの言葉を遮るようにして、紫ナコがリムルルに抱きつき、頬擦りする。
「うん。大丈夫だよ。紫姉様。お団子奢ってもらっただけだから」
「ちょっと、二人とも!私の話がまだ…」
「ホントに!?大丈夫だった!?最近は、動き回るリストラ担当死人とか、万年喀血林檎男とか、男女両刀遊郭侍とかがうろついてるから心配してたのよ〜〜〜!!」
21名無しさん@ピンキー:04/05/22 19:22 ID:/hxf7ewK
 真っ赤になって怒る赤ナコを尻目に、紫ナコの抱擁は今だ続いている。
「赤姉様、紫姉様。心配してくれてありがとう。でもね、私は大丈夫だよ。もう、姉様達に守ってもらうだけの子供じゃないもん!」
 ぎゅうぎゅうと、紫ナコに痛いくらいに抱きしめられながら、リムルルは口を開いた。
 考えてみれば、姉たちに自分の意見を言うのは初めてだったかもしれない。
「…姉様達から見たら、私は足手まといにしかならないだろうけど…でも!私は、姉様達の力になりたいの!だから…だから…っ」
「…リムルル…」
 ふう、とため息をついた赤ナコが、嗚咽で言葉を続けられないリムルルの頭をそっと撫でる。
(…いつの間にか、そんなことを考えられるくらい大人になってたのね…)
 嬉しいような寂しいような気持ちで、ナコルルの胸が満たされる。ついこの間まで子供だ、子供だとばかり思っていたのに…。
「…泣き虫なところは、昔から変わっていないわね…」
 クンネサランペでリムルルの涙を拭ってやりながら、微笑を浮かべた紫ナコがリムルルの鼻を摘む。
「そんなに泣いてばっかりだと、今度こそ置いていくわよ、リムルル」
「…赤姉様…もしかして、それって…」
 意味深な赤ナコの台詞に、リムルルの瞳に希望の火が灯る。
「アイヌの戦士の修行は厳しいわよ」
 ニッコリと笑う赤ナコの言葉に、見る見るうちにリムルルの目から涙が零れ落ちる。
「ハイ!姉様!!」
 袖口で涙を拭い、泣き顔のまま満面の笑みを浮かべてリムルルは思う。
…世界で一番大好きな人に、自分を認めてもらうこと…。
たったそれだけのことで、人は強くなれるということを…。






 …ちなみに、リムルルに団子を奢ったせいで、手持ちの路銀を使い果たしてしまった火月が、行き倒れの挙句蒼月にとっ掴まり、小一時間問い詰められたのはまた別のお話…。

    どっとはらい♪
22名無しさん@ピンキー:04/05/22 19:24 ID:/hxf7ewK
>17
これか?
真鏡名ミナにオナニーの仕方を叩き込むスレ
tp://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1066752747/l50
23名無しさん@ピンキー:04/05/22 20:06 ID:MimKxseR
火月って実は情に厚い男なんだよなぁ。
(´∀`)ナイス

横文字が多かったのがちょっと気になったけどGJ!
24名無しさん@ピンキー:04/05/22 20:14 ID:/hxf7ewK
ありがとうございます!
えと、横文字っすか?えと、どの辺のことでしょうか…?
差し支えなければご教授ください。次回の参考にします!
25名無しさん@ピンキー:04/05/22 20:24 ID:41j3zu5j
ぐぐぐGJ!!!
紫ナコ(レラ?)たんハァハァ(;´Д`)
火月カコヨイ(・∀・)
ところでリストラ担当死人って誰?他は分かったんだけど。
26名無しさん@ピンキー:04/05/22 20:28 ID:/hxf7ewK
>25
首切りのバサラさんッス。
首切り→リストラ、という連想で…わかりにくくてすいません!
27名無しさん@ピンキー:04/05/22 20:38 ID:MimKxseR
>>24
横文字=リストラ
28名無しさん@ピンキー:04/05/22 20:42 ID:/hxf7ewK
>27
しまった…!そうか!!
スキヤキ食ってるメリケン忍者がいるからツイツイ油断したっす…
時代考証本に埋もれてきます_| ̄|○
29名無しさん@ピンキー:04/05/23 01:12 ID:PiOv40fV
シャル様にぶった斬られながらもあの微妙な丈のスカートからチラチラ見えるパンチラをオカズに泣きながらオナニーしてみたい!
30名無しさん@ピンキー:04/05/23 01:27 ID:BmmmWG+t
シャル好きが多いな。ところでレラがリムルル溺愛ってのは
公式なの?そんな設定あったっけ?
31名無しさん@ピンキー:04/05/23 01:40 ID:PiOv40fV
そういえば何かであの時代の女性はまだ下着を使う習慣がなかったと聞いた。
ってことはシャル様も?
パワーグラデーションなんか出した時にはもう…ハァハァ
32名無しさん@ピンキー:04/05/23 02:35 ID:vlfz4GRN
>>30
レラの公式設定で
平和を感じるとき: リムルルと昼寝(してみたい)
という項目から、どんどん妄想が広がっていったのだと。
33名無しさん@ピンキー:04/05/23 02:43 ID:BmmmWG+t
>>32
そうだったんすか。そりゃ妄想も広がるわハァハァ(;´Д`)
34閑話3:04/05/23 02:53 ID:q7QwMQnb
萌えとかは殆どないんですが、保守がてら。
前スレの続編ものです。閑リムです。

宿場町を目指して歩く二人の子供。既に秋の陽は高く昇り、深い山道とはいえど
子供の視点からでも辺りの様子は把握できる。
「リムルルさん、脚は大丈夫ですか?」
「うん、平気だよっ!」
緋色の髪の少年は少女の脚に巻かれた白布に目をやった。傷が開いている様子はない。
この足並みなら宿場町まではもうすぐだな。それにしても…。
この子はなんでいきなり僕に接吻を…?そんなの夫婦や恋人同士がすることなのに…。
少年は後ろを歩く少女を振り返った。少女の大きな瞳が彼を見つめる。
何だ?何だろう?この感じは?顔が熱い。鼓動が早まる。今朝から…何か変だ…。
少年は、少女の透き通る瞳を受け止めきれず、視線を戻して土を踏みしめた。
「ねえ、閑丸?」
突如背後で響いた音色に少年は足を止めて振り返った。言葉を失った。
そこには彼女がいた。
大きな目に映る自分の顔さえ見える距離に。首筋には吐息すら感じる距離に。
固まる少年をよそに、彼女はその顔をほころばせた。
「もう葉っぱがこんなに色づいてるよ、ほら綺麗でしょ?」
少女は赤く染まった椛の葉を、少年に見せるように手のひらで踊らせる。
「そ、そぅですね。もう秋ですからねぇ…」
声が上ずっているのが自分でも分かる。
「どうしたの?何か顔赤いよ?大丈夫?」
視線を逸らした少年の顔を少女は更に覗き込んだ。
「な、何でもないですよ!」
無邪気すぎる視線の暴力に、少年は止めた足を動かすことでしか抵抗できなかった。
「あ、待ってよ。閑丸!」
そう呼びかけた少女の頬もまた少年と同じように赤く染まっていたのは、
紅葉のせいだけではなかったかも知れない。
道行く幼い二人の間を柔らかな風が吹き始めた。
35閑話4:04/05/23 02:54 ID:q7QwMQnb
不思議な幸福感と正体の掴めない高揚感に少女は戸惑った。
なんだろうこの気持ち。閑丸のことばっかり考えてる。
私が一番好きなのは姉さまだし、村の皆の事も大好きだけど…
何だろ?それとはまた違う感じがする。気がついたら今朝は閑丸に
あんなことしてたし…何か自分がどんどん変になってくような…
こんな気持ち初めてだよ…閑丸…閑丸…。
ふと、緋色の髪の少年が足を止めた。
「どうしたのしず、うっ―――」
少年が少女の口を塞いだ。突然のことに鼓動が激しく脈を打つ。
彼女は少年を見た。周りを包む空気ははっきりと変わっていた。
少年は恐ろしい表情で森の奥を見つめていた。
見える、明らかな警戒の色。視線を追った少女は言葉を失った。
肩で深く呼吸する浪人風の男。そばに横たわる二つの役人らしき骸。
男の前髪ひとつ残さず束ねた長い髪と背中の大きな古い刀傷。
骸に突き刺さった日本刀。秋に染まり始めた山河よりも遥かに赤いその光景。
ただ赤。ただ赤。
「ど、どうしよ…」
震える少女の手を少年は力強く握り締めた。
「まだ気づかれてない。逃げよう、リム―――!」
少年の唇はそれ以上動かなかった。真紅を纏った男の両の眼光が彼らを射抜いたから。
長髪の男はゆっくりと刀を握り直して、振り返った。
「……ガキ供…見たな」
少女の小さな手のひらから赤い椛の葉がはらりと落ちた。風は既に止んでいた。
36名無しさん@ピンキー:04/05/23 03:59 ID:vlfz4GRN
げげ、幻さん登場!!?((((;゚Д゚)))
37名無しさん@ピンキー:04/05/23 13:54 ID:Zwl3zuTK
        /⌒ヽ 
       /  =゚ω゚)  
       |  つ つ=[ニフ
       ( ヽ ⌒)  
       と_)L/  ヒタ・・・


    lヽ
    l 」 /⌒ヽ
    ‖/  =゚ω゚) ヌッコロス!!
    ⊂ノ   /つ
     ( ヽノ
      ノ>ノ  ヒタヒタ
. 三  しU


      /⌒ヽ ∩
     /  =゚ω゚)彡 スパーン
   ∠二i=⊂彡  ('A`) ←>36
     ( ヽノ    彡・∵.:: :.
     ノ>ノ  ヒタヒタ    ( ヘヘ
. 三  しU
38名無しさん@ピンキー:04/05/24 00:21 ID:nFz7BoKO
シャル様萌えの香具師はもういないのか!
39名無しさん@ピンキー:04/05/24 00:29 ID:jOFLTAnq
戦士としてはどのキャラよりも好きだ。女としても凛々しい。

でも、萌えてはいない
40名無しさん@ピンキー:04/05/24 01:17 ID:wfhvM/u7
だってシャルだし。キャラとしては悪くないけど
同じ土俵の相手が悪すぎ。
41名無しさん@ピンキー:04/05/24 20:17 ID:x5A0EL4t
シャルと幻十郎の小説があったよなー。
あれ、すんごい好きだった。
42名無しさん@ピンキー:04/05/24 20:30 ID:5Mo9aw3O
色のSSキボンぬ
43名無しさん@ピンキー:04/05/24 21:50 ID:OCSi7O9d
誰かムラナコがレラに嫉妬するギャグ系SS書いて!!
44名無しさん@ピンキー:04/05/24 22:45 ID:cONI1t5Z
このゲーム一番の萌キャラは、閑丸だろ?
45名無しさん@ピンキー:04/05/24 22:49 ID:BNci9u0K
>>44
何を今更当然な事を…

純真無垢な閑丸タンを汚しちゃうSS木棒。
46名無しさん@ピンキー:04/05/25 01:05 ID:qt9fe/IT
しかし、覇王丸とシャルってのは無いんだよなー
おれが見つけてないだけかもしれんが
47名無しさん@ピンキー:04/05/25 01:08 ID:dPFcpYLL
色さん×閑丸くんのSSщ(゚Д゚щ)カモォォォン 

・・・お願いします。
48名無しさん@ピンキー:04/05/25 01:14 ID:8N5CVLpZ
ガルナコ(本番あり)と閑リム(なし)な同人誌
かなり昔の奴をやっと一冊サバイブしたけど・・・絵が少々すごいことになってたw
49名無しさん@ピンキー:04/05/25 01:32 ID:WScfUVMh
羅将神ミヅキに、快楽に堕落させられるナコルル希望。
50名無しさん@ピンキー:04/05/25 02:01 ID:xo1SQ61H
>>31
シャルロットは武人の家系だから乗馬もするだろうし、下着着けてると思うのだが。
あの時代が女性下着の着け始めだったような気も。
むしろ今日的下着を着けてないのは日本の方だと思う。お静とか葉月とか。

ミヅキは公式ストーリーで、魔に落ちる巫女さん喘ぎ付きをやってたな。
(ミヅキと美州姫)あとベントスタッフが攻略本で書いてたネタ、
千両狂死郎にお嫁にいけないことをされた?ミヅキというネタもあった。
51名無しさん@ピンキー:04/05/25 04:14 ID:70BPZ3IK
閑丸キュンはいつオナニー覚えてしまったんだろーか。
修行中、服の着ヅレで擦れて…とかね。
ひょっとしてまだ知らないとか…??
(;´Д`)ハァハァ
52名無しさん@ピンキー:04/05/25 22:19 ID:uF7KZwh3

──┐
    |
    |,,∧    誰も居ない・・・
    |Д゚,,彡   バルタンするなら
    |と彡     今のうち…
    |'"J
──┘

   ∧,,∧   フォッフォフォ-
 (V)ミ,,,゚Д゚.彡(V)  フォッフォフォ-
   ミ to 彡ヘ   フォッフォフォッフォフォ !!
   <"""

        ∧,,∧
      (V)ミ.゚Д゚,,,彡(V)  フォッフォッフォッフォ
       ヘミto 彡     フォッフォフォ-
         """>   フォッフォフォッフォフォ !!

   ∧,,∧   ヴィーム
 (V)ミ,,,゚Д゚.彡
   ミ to 彡(<  ⊂二二二⊃
    |"""|
53名無しさん@ピンキー:04/05/25 23:00 ID:8N5CVLpZ
        /⌒ヽ 
       /  =゚ω゚)  
       |  つ つ=[ニフ
       ( ヽ ⌒)  
       と_)L/  ヒタ・・・


    lヽ
    l 」 /⌒ヽ
    ‖/  =゚ω゚) ヌッコロス!!
    ⊂ノ   /つ
     ( ヽノ
      ノ>ノ  ヒタヒタ
. 三  しU


      /⌒ヽ ∩
     /  =゚ω゚)彡    スパーン∧,,∧  
   ∠二i=⊂彡      (V)ミ,,,゚Д゚.彡 >52
     ( ヽノ     ミ to 彡(<
     ノ>ノ  ヒタヒタ  |"""|
. 三  しU

  絶  命  勝  利  !  !
54名無しさん@ピンキー:04/05/28 02:42 ID:C6CH5Zo1
保守
55名無しさん@ピンキー:04/05/28 23:39 ID:had1J5YF
このシリーズだけで女子キャラ12人・・・多くなったなあ・・・。
56名無しさん@ピンキー:04/05/29 12:40 ID:7XQyp1pU
ナコ、シャル、チャム、ミヅキ、リム、色、
ミナ、レラ、ミント、命、サヤ、リンカでオッケー?
5755:04/05/29 13:44 ID:jOk3r5Bc
ああ、よく考えたらお静と小田切圭とあざみと楓と夢路と
葉月とハンマの仕える姫と右京の取り巻き3人入れて22人か・・・。
58名無しさん@ピンキー:04/05/29 14:43 ID:VGlGZAWJ
一応二四も勘定にいれてやれw
59名無しさん@ピンキー:04/05/29 15:38 ID:7XQyp1pU
あとヨシトラの取り巻きが6人いるね。PCでは12人でFA?
60名無しさん@ピンキー:04/05/29 16:10 ID:VGlGZAWJ
ふと気がついた。
篝火を忘れている。
後、RPGやナコりものを含めると更に多くなる。
牛若姫、時姫、天姫、疾風の鈴音、烈風の飛音、アントワ王妃、ビクトリア、千年比丘尼、妖貴妃、チョナチョナ、マナリ…ぐらいか?
61名無しさん@ピンキー:04/05/29 16:24 ID:aY+0q5os
一応ミカトもそうだぞ。
62名無しさん@ピンキー:04/05/29 16:35 ID:VGlGZAWJ
PCは12人でFAかと。
他にはエリザヴェートや王虎の妻(眠眠だっけ?)綾女までいるけど…それにしてもメチャ多いな…。
63名無しさん@ピンキー:04/05/29 18:24 ID:7XQyp1pU
忘れてたわ、閑丸。
64名無しさん@ピンキー:04/05/29 18:27 ID:eYlDGodz
閑丸は男だよ。釣りか、釣りなのか?
65名無しさん@ピンキー:04/05/29 18:34 ID:n+F65dWX
釣りだろ。
この上男装ロリなんぞ出されてたまるか
66名無しさん@ピンキー:04/05/29 20:03 ID:FhJxKCXX
閑丸は男の子だからこそ可愛いというのに…バカメガ!
67名無しさん@ピンキー:04/05/29 21:29 ID:vy2R1mmg
ブリジット以外の男の子は萌えませんので閑丸はスルー
68名無しさん@ピンキー:04/05/29 22:00 ID:IX6RHdIA
(´・ω・`)えー。別に801好きじゃないケド、閑丸キュンは萌えるよぅ。
着物半ズボン...(;´Д`)ハァハァ
69名無しさん@ピンキー:04/05/30 01:38 ID:jlO5nApF
万が一にでも職人様が間違えないようにage
70名無しさん@ピンキー:04/05/30 01:40 ID:Cw/4uYRs
>>69
つうか、アレってサムスピスレのつもりなのか!
71名無しさん@ピンキー:04/05/30 01:48 ID:jlO5nApF
>>70
じゃないか?
まぁ、念のため、な。
72ミヅキサマ モエッ!!:04/05/30 08:56 ID:/VuUjnBK
>>50(千両狂死郎にお嫁にいけないことをされた?ミヅキ)
ねっ!?それどゆこと!?ねっ?ねっ?
ハァハァハァハァハァ(;´Д`)ハァハァ
73名無しさん@ピンキー:04/05/30 12:01 ID:z1e+IIwV
薙刀使った二本挿しじゃないの?
74名無しさん@ピンキー:04/05/30 12:29 ID:Kd3My+P6
ミヅキに萌えるとはこのスレは強者揃いですね。下半身化け物ですよ?
75名無しさん@ピンキー:04/05/30 12:33 ID:JIA1xAQx
不正解。
それは今回の仕様なだけで、ミヅキ様は美脚の持ち主です。
76名無しさん@ピンキー:04/05/30 13:12 ID:Kd3My+P6
でも何か全体的に化け物っぽい雰囲気じゃないですか?羅鬼気危機って感じで。
77名無しさん@ピンキー:04/05/30 20:40 ID:o6Te40mX

           lヽ
            l 」
       /⌒ヽ ||
      (゚ω゚=;ヽ∩  
  ∠ニl=とヽ    ヌ これ以上悲しみを
         ) 、  | 拡げさせる訳には
       ( l" \ル_ いかないポ!!
         U   \)
78名無しさん@ピンキー:04/05/30 21:59 ID:5MlnpQQe
某所で零のエンディングを見たけど…基本的に救いがない世界だねw
79名無しさん@ピンキー:04/05/31 03:00 ID:FFLIOFYE
>77
まぁなんだ、そのガッ
80名無しさん@ピンキー:04/05/31 14:22 ID:6bqNUx9I
夢路だっけ?あれは男なのか?女なのか?どっちだ?
81名無しさん@ピンキー:04/05/31 17:22 ID:0K65iz/T
おそらく性別不明。どっちか分かんないっつーのがメーカー側のねらいかと。
82名無しさん@ピンキー:04/05/31 21:35 ID:KzAgBoRL
>>81
そうか・・。じゃあ、勝手に女って事にさせてもらうわ。


性別わからないから、零の同人誌でも、エロで全然出てこないのかな?
それとも、女としても魅力ゼロなんかな?
83名無しさん@ピンキー:04/05/31 21:36 ID:CaHG0ull
>>80 エンディングで尼になってたり、 火月に女呼ばわりされても否定しないとこから女でしょう。
84名無しさん@ピンキー:04/05/31 22:32 ID:IxWVB8Qw
>>83
火月に女呼ばわりって何処でだ?
ゼロのシナリオを火月でクリアしてもそれらしい台詞無かったんだが
85名無しさん@ピンキー:04/06/01 00:28 ID:pHOfnNwz
>50
>(ミヅキと美州姫)あとベントスタッフが攻略本で書いてたネタ、
>千両狂死郎にお嫁にいけないことをされた?ミヅキというネタもあった。

零から興味を持ち始めて、狂死郎好きで狂死郎使いの俺としては聞き逃せん話だ
ぜひとも詳細を

いや、リムルル萌えを忘れたわけじゃないよ?それにしてもやっぱり混沌としてたか、新スレ。
86名無しさん@ピンキー:04/06/01 12:32 ID:8sO7mn9f
>>83
エンディングって誰の?
夢路はプロフに三体寸が載ってなかったような。
ナコ他女性は載ってるけど。
87名無しさん@ピンキー:04/06/01 13:31 ID:VLIqeI0+
混沌っつうか現状がむしろ正常だろ?
色んなキャラの話、作品そのものの話が出ていて普通。
振り返れば前スレは、SSとその感想以外にほとんどレスが無かったわけで。

今の方が楽しいな。
88名無しさん@ピンキー:04/06/01 15:15 ID:8sO7mn9f
俺は前スレの方がよかったな。リムルル云々は抜きにして。
ここはあくまでSSを貼るスレだと俺は思ってるし。
キャラとか設定について語るならアケ板に総合やキャラ萌えがあるじゃん。
89名無しさん@ピンキー:04/06/01 20:31 ID:9rhRnKfS
>>88
俺もそう思う。
ただのSSクレクレスレになっとるしな、現状。
90名無しさん@ピンキー:04/06/01 21:37 ID:axTZHVxJ
88と89の意見が噛み合ってないと思うのって俺だけ?
91名無しさん@ピンキー:04/06/01 23:02 ID:nnhoRwQS
しかしなー、これではアケ板の雑談系スレとなんら変わらないような。
それから新スレになってから、職人さんのSSもほとんど見なくなっちゃったしなあ…
元々は、アケ板でSS書いたら「どっか別に作ってやれ」って言われて出来たのがこのスレだし
ここはSSスレッドにすべきだと思うなあ。スレタイもそうなんだし。
92名無しさん@ピンキー:04/06/01 23:26 ID:1GbWwMZc
>>91
言われるまでもなくここはSSスレ。
しかし職人さんだってそんな簡単に書けるわけでもなし。
SSが来ないなら、その間を雑談で盛り上げるのは、ある意味読み手の務めでもあると思うが。

雑談も何もない、住人が居るかすら怪しいスレに、SSを投下する気になると思う?
93名無しさん@ピンキー:04/06/01 23:33 ID:USwa78W5
いいから新作ぎぼん
94名無しさん@ピンキー:04/06/02 02:03 ID:WDp4I0C/
>>86
尼さんぽい格好をした夢路が出るのは羅刹丸のEDだ
95名無しさん@ピンキー:04/06/02 06:54 ID:UsYd1ESz
職人さんくるまでのあいだ、おつまみ程度のSSSドゾー
炎邪&葉月兄妹ネタに付き、嫌いな方はスルーキボン。




 炎邪と共に過ごすようになってしばらくが過ぎた。彼は相変わらず何も喋らない。
 大抵、葉月が起きる前に起きだして、ふらりとどこかへ出かけていく。
おそらく、本能のままに町を破壊しているのだろう。
炎邪と葉月が身を寄せている日輪の地からも、どこかしらで炎が上がっているのが見て取れた。
「…何で私…あの人と一緒にいるんだろう…」
 今日もまた、東のほうに火の手が上がった。
 真っ赤に燃える街の中で、獣と化した彼女の兄は灼熱の炎を身に纏い、歓喜の笑い声を上げるのだろう。
 人の命を奪うということが、どんなことかわからないほど子供ではない。
 人を殺すな、と説ける程、綺麗な身体ではない。
 しかし…平然と人が殺されるのを黙ってみていられる程、大人ではなかったのだ。
「兄さんを…止めなくちゃ…」
 固く閉じていた翡翠色の瞳を開き、煤煙にけむる空を見つめる。
 悲痛な決意をあどけない顔に宿しながら…。



 愛用の短刀と、着慣れた忍び装束を纏い、彼女は走る。
(…皮肉なものね…兄さんが教えてくれた技が、兄さんを止めるのに役立つなんて…)
 毎日のように、兄と共に鍛錬を繰り返した身体は、足音や気配を消したまま駆けることを可能にした。
『そうそう。なるべく踵を地面に衝かねぇようにして…膝をバネみたいに使うんだ』
 ふいに、かつて、走り方を教えてくれた兄の声が脳裏に響く。
 曲がったことが大嫌いで…納得のいかない任務のときは、いつも長に噛み付いて…どこか詰めが甘くて……忍びとしては致命的だったかもしれないが、それでも……
「…火月兄さん…」
 葉月は、兄が好きだった。あの、太陽のような笑顔も…抱きしめられた時の陽だまりのような温もりも…。
 ……そして……
96名無しさん@ピンキー:04/06/02 06:54 ID:UsYd1ESz
「があぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」
 突如、獣のような咆哮が大地を震わせる。とっさに、そばの大木に身を潜める葉月。
 焦土と化した大地と、見るも無残な姿を晒す焼け跡と…。
 人の亡骸らしきものが見当たらないことが、唯一の救いであろうか。
「グルルルルル…」
 獣のように、喉の奥で唸りながら、火月が、いや、炎邪が辺りを徘徊する。
 破壊衝動が収まらないのだろうか。すでに炭と化した木材を手当たり次第に殴っている。
「………………………………………」
 力量の差を考えると、勝負は、最初の一撃で決めなくてはならない。
 …気取られてはならない…。
 緊張と恐怖で震える手で、葉月は鞘を抜き払った。
「ぉおおぉおおおぉっ!!」
 町のあらかたを破壊しつくした炎邪が、再び、虚空に向かって咆哮する。
 ―…今しか、ない…―
『ごめんなさい…兄さん、ごめんなさい…っ!!』
 地を蹴って、葉月が炎邪の背後に躍り出る。
 気配を感じてのか、とっさに振り向いた炎邪の胸に白刃を突き立てる。
 …ズブッ…
 肉を付きさす何ともいえない感触が、腕に伝わってくる。後は、刃を捻り、空気を送り込んで出血死させるだけだった。
 しかし…
「う、そ…」
 葉月の渾身の力を込めた刃は、確かに炎邪の身体を貫いていた。
 もっとも、それは、葉月が狙った心ノ臓ではなく、そこを庇うように差し出された腕の部分だったのだが…。
「…………………………」
 呻き声一つ上げることなく、炎邪が腕に刺さった刃を引き抜くと、決して薄いとはいえない刀身を、粉々に打ち砕く。
97名無しさん@ピンキー:04/06/02 06:56 ID:UsYd1ESz
「………あ……」
 粉々に砕けた刀の破片が地面に落ちるのと同時に、葉月もまた、膝から地面に崩れ落ちる。
せめて、切っ先だけでも残っていたのなら、隙をついて兄と自分の首筋を掻き切ることもできたのに…。
「…………………………」
 腕からあふれる血潮を拭うこともせずに、炎邪は葉月を見つめていた。両方の目が湛えている感情は、怒りでも、憎しみでもない。
 それは、はっきりとした哀しみと、悲しみ。
(…其れ程までに我が憎いか…お前の兄を奪ったこの我が…)
 蹲る葉月の肩を掴み、強引に顔を上げさせる。
 張り詰めていたものが切れたのだろう。人形のように、なすがままにされている葉月の瞳には、何の感情も浮かんではいない。
「…ワタシヲ、コロシテ…」
 虚ろな瞳で炎邪を見つめる葉月の唇が微かに動く。
 ふっくらとした頬に、驚くほど優しげな手つきで炎邪の指が触れる。
 途端に。彼女の大きな瞳から、ほろりと涙が落ちた。翡翠色の瞳をいっぱいに見開いたまま、壊れた水瓶のように透明な雫を零す。
「…私を、殺して…そうすれば、兄さんのところにいけるから…」
 溢れる涙を拭おうともせず、ただ、それだけを繰り返す妹に、どうすれば伝えられるのだろうか。
 生きて欲しいということを。
 自分のそばで、笑っていて欲しいということを。
 火月が葉月を愛していたのと同様に、自分も、葉月が大切なのだということを…。
98名無しさん@ピンキー:04/06/02 06:57 ID:UsYd1ESz
「…兄さん……火月兄さん……」
 うわ言のように兄の名を繰り返す葉月。
 おそらく、どんなに言葉を尽くしたとしても、今の妹の心に届くことはないのだろう。
 だから。
 炎邪は、葉月の唇に、己のそれを軽く重ね合わせた。
 言葉が通じないのなら…心を通わせることができないのなら……せめて、身体だけでもいい。
 葉月と共にありたかった。
 啄ばむような口付けが、次第に深く、むさぼるような荒々しいものに変わっていく。
 思っていたほどの抵抗はない。
 歯列をこじ開け舌を侵入させると、柔らかな舌を絡めとる。
(…噛み付いてくるかと思ったが……心、ここにあらず、か…)
 思う様口腔内を弄び、唇を離す。混ざり合った唾液が、細く糸を引いた。
口の端から溢れ出た唾液を舌先で舐め取ると、そのまま項に唇を押し付け、舌を這わせる。
(…葉月…)
「…ぁ…」
 首筋を軽く吸い上げながら、そっと地面に押し倒す。微かに、葉月の口から声が漏れる。
 装束はすでにはだけている。
 肌にぴったりと密着するようなつくりになっている、素襖色の肌着を爪で切り裂く。
 葉月は胸を隠そうとはしなかった。
 幼い顔とは不釣合いなほど発達した乳房が彼女の呼吸に合わせてたゆたゆと上下に揺れる。
 炎邪は、躊躇うことなくその柔らかな双球に顔を埋める。
 …とくん…とくん…とくん…とくん…
 規則正しい鼓動の音。熱い血流れる生命の証。
(…お前は、暖かいな…)
 ふっくらとした柔らかい胸の感触を感じながら、炎邪は瞳を閉じる。
 できることなら、この柔らかさに埋もれ、溶けてしまいたいと思っていた。もう二度と、離れることができないように…。
99名無しさん@ピンキー:04/06/02 06:59 ID:UsYd1ESz
あと、暇に明かせた炎邪と葉月の落書きです。
つまみにもなりゃしませんが。暇な人はドゾー

ttp://al.kutikomi.net/sitagosentai/4/
100100ゲト:04/06/02 07:04 ID:DSi8XvnY
ヤッホーォォィ!(´∀`)リアルタイムニソウグウda!
モエッ!(;´Д`)ハァハァ
101名無しさん@ピンキー:04/06/02 18:31 ID:xPtM1vmL
GJ!!!
葉月(・∀・)イイ!!!
そういえば葉月って二次創作物でしかイラスト見たことないや。
ドット絵か公式絵ってある?
102名無しさん@ピンキー:04/06/02 18:42 ID:28u70St+
>>101
以前どこかのアプロダで見たような気が。
火月と一緒に楽しそうに走ってる絵だったような…?

それとは別物で
ttp://yamada7536951.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/img/219.jpg
103名無しさん@ピンキー:04/06/03 09:26 ID:q1QwAz+v
>>102
24にwarota!
104名無しさん@ピンキー:04/06/04 01:26 ID:qS9Lr7DQ
なんだか、新スレになってから一気に寂れた感が…。

とりあえず前スレ&新職人さん待ち保守
105名無しさん@ピンキー:04/06/04 07:39 ID:wzoZ1VqE
神職人щ(゚Д゚щ)カモォォォン 
106名無しさん@ピンキー:04/06/04 07:59 ID:FbqbQp/j
やっぱリム萌えでいった方が・・・
107名無しさん@ピンキー:04/06/04 10:14 ID:cRY9eHOR
誰だ総合にしようなんて余計な事ぬかした香具師は
108名無しさん@ピンキー:04/06/04 12:57 ID:Xv8b0PWt
俺だけど? このスレを立てたのも俺。 …でもまぁ寂れ気味なのも事実だし、責任とって何か書くけど、リクはある?
109名無しさん@ピンキー:04/06/04 13:15 ID:uvMnEPnF
>>106
そう思うならまず自分からネタを振ったら?
110名無しさん@ピンキー:04/06/04 13:50 ID:AeaFxIRZ
>>108
ムラナコとレラのリムルル争奪戦
さりげに赤ナコも参戦
111名無しさん@ピンキー:04/06/04 15:12 ID:8fE4EQkO
>101
風間葉月でググれ
112前スレ64:04/06/05 11:47 ID:IwhOR8mM
新スレ建ったのにSSは書けず・・・で、だいぶ間が。お久しぶりです。
土産も無いのに顔を出すわけにもいかず、しばらく潜伏しておりました。
間が空きすぎたので、本文の前に適当にあらすじなんぞ。

・前スレのあらすじ
年の瀬も迫る12月のある日。平凡な大学生の俺の下へ、アイヌの少女
リムルルが、氷のカムイ、コンルと共に空から降ってきた。話を聞けば、
姉のナコルルを探して過去からやってきたのだという。異常なほどに強い事、
何か計り知れない力を秘めている事を除けば、可愛くて少し泣き虫な
甘えん坊の妹との同居生活に、俺は胸を躍らせていた。しかし、正体不明の
敵に襲われたり、傷ついたリムルルの過去や置かれた立場を知るうち、
俺はそう甘い事ばかり言っていられないことに気づく。そしてリムルルの
心にも、少しずつだが変化が起き始めていた。

・ちょっと前のお話
羅刹丸との闘いで深手を負っていたリムルルは、突如として現れた
ナコルルを知る女性「レラ」に手渡された薬草で大幅に回復する。
それを良い機会に、俺は久しぶりにリムルルと外出しようとするが・・・。
113前スレ64:04/06/05 11:49 ID:IwhOR8mM
「出かけるにしても・・・この服じゃなぁ」
風呂から上がって飯を食った後、俺は肝心なことを忘れていたのに気づいた。
リムルルの服は、羅刹丸との戦いでかなり酷く傷んでいたのだった。
破れや傷みのある服でも流行りのお陰で着られるとは言うものの、さすがに
リムルルには早すぎるし、肌が露出するほどの穴が開いているようでは
単なる笑いものになってしまう。
「仕方ないな。もう一着、同じようなの買うか。外に出るときいつもこれ
ばかりじゃ流石につまらないし、飽きちゃっただろ?」
「ううん・・・わたし、これ大好きだよ?にいさまが買ってくれたんだもん!
それにね、だいじょうぶ!直せばまだまだ着れるよ」
リムルルは、俺から手渡されたパーカーとジーンズをしげしげと眺め、
穴からこっちを覗き見たり、破れあとを確かめたりしていたが、俺の言葉に
首を横に振りながらそう言った。
「直す・・・って?穴塞ぐのか?」
「うん」
驚く俺を尻目に、さも当然といった表情だ。
「お裁縫できるのか?リムルルが?」
「もうっ、バカにしないでよ!ほらっ、ちゃんと針だってあるんだから」
リムルルはしかめっ面で、部屋の隅にある肩掛け鞄の底から、小さな筒を
取り出した。さらにその中から出てきたそれは、現代の物より無骨で太いが、
紛れも無い針である。
「あ、ホントだ。悪い悪い・・・こっちの方じゃ、あんまりやらないからさ」
「えーっ!そうなの?」
「うん、服は売ってるしね。縫い物は趣味でやってる人が多いかな」
「そういえばそうだねぇ。わたし達はみんなやってたし、とっても大事な
お仕事だから、針はいつでも持ってなくちゃいけないんだ」
リムルルは、久しぶりに取り出したと見える針を指で摘み、俺に見せながら
そう答えた。
114前スレ64:04/06/05 11:49 ID:IwhOR8mM
「それにね?この針・・・ねえさまから貰ったんだ。これで縫うと、とっても
良く縫えるの・・・」
「へぇ。んじゃさらに大事ってワケだな」
「そう!」
「それでだ。重要なのは腕前なワケですが・・・いかがですかリムルルさんは」
「うふふ!縫い物なら任せなさーい!」
俺はあんまり自信の無いものかとばかり思っていたが、どうやら違うらしい。
リムルルはえっへんとばかりに張った小さな胸を、ぽんと誇らしげに叩いた。
「へー、随分と自信があるみたいじゃん?」
「ねえさまとおばあちゃんが、いーっぱい教えてくれたから!それにね、
『リムルルは上手だね』って!いっつも!」
男勝りでもガサツでもないし、見た目も女の子らしくて可愛らしいリムルル
だが、どうにも子供っぽいイメージを抱きがちだった俺にとって、これは
少し意外だった。
「そりゃあ楽しみだな。さっそく取り掛かるの?」
「うん、早くお外に出たいし、服が可哀想だもん。大急ぎでやるね!」
「そうだな、リムルルも病み上がりだしな。今日は家にいような」
「うん!」
物を大事にする姿勢の素晴らしさは、さすがは過去の世界から来ただけある。
俺は俺で気に入った服や肌着は何年も平気で着る方だが、破けたら直して
さらに着ようとは思わない。それ以前にそんな技術も無いわけだが。
リムルルはといえば畳にジーンズを敷き、その前に座り込んで腕を組み、
何やら考えているようだ。おそらく頭の中でイメージを膨らませているのだろう。
「う〜ん・・・ここが重要だよね」
少し難しい顔をして、ズボンの左太股部分に残った鋭い裂け目の様子を
手にとってみながら、リムルルは口を開いた。見事にぱくりと開いた穴は、
まるで提灯のお化けのようになってしまっている。
「・・・・・・」
羅刹丸によって向こう見ずに振り回された、紙一重の一撃を思い出している
のだろうか。リムルルの難しい顔に、きっと一瞬緊張のようなものが走った
ように見えたが、ふぅと息をつくと、再び作業を始めることにしたらしい。
115前スレ64:04/06/05 11:50 ID:IwhOR8mM
「あ・・・」
だが、リムルルは小さな声を上げると気の抜けたような表情をして、
動き始めたその手をすぐにまた止めてしまった。
「どうした?」
「針はあるんだけど・・・布が無いや。糸もちょっぴりしか・・・」
「あー、なるほど。そういやそうだ」
「どうしよ?これしかないかなぁ」
そう言って見つめるのは、傍らに置かれた鞄だった。
「それをどうすんの?」
「切れば、当て布にするのにちょうど良いかな・・・って」
「おいおい、それこそ勿体無いぞ」
だよね、というリムルルの気持ちが、苦笑いを通じて伝わってくる。
「そうさな・・・裁縫なんてした事ないけど・・・いっちょお店に行くか」
「お店って、服の?」
「いや、違うよ。布とか糸とか、服になる前のものを売ってるお店が
あるんだよ」
「わーっ!行ってみたい!!きっと楽しいよ」
服地のお店と聞いて楽しそうというところなど、今の女の子の口からは
そう聞けない。時代が変われば文化も変わるとは言え、やはりこういう
女の子らしさを感じさせる言動には、どうしても弱いものだ。
「よしよし、行こうな」
「ふふ!」
俺はリムルルのすべすべとした頬を撫でると、初めて一緒に外に出た日以来
しばらく着ていなかった俺の服を着せ、早速表に飛び出した。狭い階段の
途中で待ちきれなくなったのか、後から着いて来ていたリムルルがすっと
俺の脇を抜けて、残りをたーっと駆け降りていく。
「んんんー・・・っは!お外だ!!」
少し遅れて下に着くと、穏やかな陽の光に照らされながら、リムルルは
大きな背伸びをしていた。くるりとこちらを向いたすがすがしい笑顔は、
久しぶりの外出がもたらした幸せで溢れていた。
116前スレ64:04/06/05 11:51 ID:IwhOR8mM
「気持ちいいか?」
「うん、とーっても!」
心底楽しそうなリムルルの声が、自転車を掻き分ける俺の後ろで弾ける。
「日光浴は体にいいんだよな・・・っと。よし、リムルル・・・」
「にいさま、見てみて!」
何台かの自転車をどかし、やっとの事でくたびれた自分の自転車を引っ張り
出したところで呼びかけに顔を上げると、リムルルは数羽のスズメと戯れていた。
「お・・・すげぇ」
「ふふ、かわいいでしょ?」
かざす両手に一羽ずつ、そして頭の上にもう一羽。どこから飛んできたのか、
あれほど警戒心の強いスズメを、リムルルはいとも簡単に手なずけている。
というよりも、何かお互い楽しげにしているところから、話でもしている
ようにも見えた。
「どうやったんだ?」
「え、別に?いい天気だねって。にいさまも来てごらんよ」
「いや、逃げちゃうからいいよ」
「脅かさなければだいじょうぶ・・・ほら」
小声でそう言いながら目配せされた俺は、そろりそろりと近づいた。途端、
左手の一羽がこちらをくるりと向く。俺はぎくりと止まったが、リムルルは
首を縦に振っている。来い、ということらしい。徐々に、スズメとの距離が
詰まる。
「・・・お、平気だ・・・」
「ね?」
「こんなに近くで見たの、初めてだ・・・」
俺はしばし、身近な野生とのふれあいを楽しんだ。そんな俺の驚く顔を見て、
リムルルは嬉しそうに目を細めている。
117前スレ64:04/06/05 11:51 ID:IwhOR8mM
「それっ、またね!」
しばらくするとリムルルは両手を羽ばたかせるようにふわりと持ち上げ、
鳥たちを再び空へと放った。チュンチュンという小気味の良い鳴き声と共に、
手を離れた三羽のスズメ達は、あっという間に民家の屋根の向こうへと
飛んでいった。その姿を仰ぐようにして、リムルルはにこにこと見送っている。
自然と共に生きてきたというだけで、ここまで人間は変わることができるの
だろうか。あらゆる自然を愛する気持ちで一杯の、リムルルの満面の笑みを
眺めていると、羨ましくなってしまう。
「さ、俺たちも行こう」
「はぁい」
自転車に飛び乗り、時折ペダルをきしませながら、俺たちは冬の街中を
のんびりと走り出した。
「リムルルは動物とも仲良しなんだな」
「ううん、わたしだけじゃないよ?カムイコタンにはもっとお話が色々
できる人もいたし、ねえさまはもちろん凄かったなぁ・・・」
「そっか・・・なぁ、リムルル?」
「なに?」
「俺もできるようになるかな?その、さっきみたいに」
好奇心と憧れが、俺の口を突いて出る。
「うん、にいさまならきっとできるよ」
「そっか?」
「コンルと仲良くできるんだもん。それに、にいさま優しいし」
優しさがどう関係あるのかピンとこなかったが、素質ありと見込まれて
俺は素直に嬉しかった。
「今度教えてあげるね!」
「おう、そうしてくれ」
声を聞くだけで、リムルルが楽しそうに笑っているのが目に浮かぶようだ。
その笑顔に負けないぐらい澄み切った青空の下、俺は道を急いだ。

・・・・・・・・・
118前スレ64:04/06/05 11:52 ID:IwhOR8mM
その日の晩。夕食を終えると、リムルルは早速お店で買った包みを開いた。
「すごい・・・やっぱりきれい」
少し落ち着いたピンク色の布切れをはじめ、色とりどりの刺繍糸に
うっとりと見とれている。
「楽しかった?」
「ごめんねにいさま、いっぱい迷っちゃって」
店に着くや否や店内を振り回され、悩み続けること数時間。リムルルは
有り余る元気を爆発させ、とにかく楽しんでいた。鮮やかな布の色が
瞳に映りそうなほど、いつになくキラキラと輝いていた少女らしい目が、
印象深く思い出される。
「あぁ、久しぶりに出かけたんだし良しとしよう」
「うん、とっても楽しかったよ!ありがとう」
リムルルはさも大事そうに布に頬を寄せながら、さっきから顔が緩みっぱなし
である。この笑顔が見られるなら、少しのワガママなど大したことではない。
「早速始めるの?」
「うん」
「そっか。怪我しないようにな。俺は風呂だ」
「遊びに連れてってくれたし、にいさまの背中流そっか?」
「あー、いいって。後から肩でも揉んでくれよ」
「うん、わかった・・・にいさま?」
タオルを持って風呂場に行こうとすると、俺は後ろから呼び止められた。
振り向くと、リムルルの手には店で布と一緒に買ってあげた、小さな
針入れが握られていた。
「ありがとう・・・この針、ホントに大事にするから」
「おう、いいってことよ」
ひらひらと手を後ろに向かって振ると、俺は今度こそ風呂場へと向かった。
「さ、始めるよ!」
その背中を見送っていたリムルルは、ぱんぱんと自分の顔を手で軽く叩き
気合を入れると、新しい縫い針をもう一度蛍光灯の光にかざした。自分や
コタンの誰もが持っていた針よりもずっと細く、鋭利で繊細だ。
119前スレ64:04/06/05 11:53 ID:IwhOR8mM
『すごい・・・カムイが作ったみたい』
きっとこれで心を込めて縫えば、姉の使っていた針で縫うよりもいい物が
できるに違いない。そう確信していた。道具の良さもさることながら、
心から慕う兄が自分に贈ってくれた品なのだから。
『にいさま、わたしがお裁縫出来るって言ったら、驚いてたな・・・』
朝の光景が鮮明に蘇ると同時に、確かに今まではあまり女性らしいところを
見せたことがなかったことも思い出した。またとない名誉挽回のチャンスに、
小さな胸が高鳴る。
「私の腕前、見せてあげるんだから!」
リムルルは、兄が入っているであろう風呂場の方に針の先をえいっと指すと、
ついに作業に入った。

・・・・・・

風呂から上がり、夜中になってもリムルルの手が休まることはない。せっせ
せっせと手を動かし、糸を取り、色を合わせ、慣れた手捌きでどんどんと
刺繍が進んでゆく。リムルルが過去から着てきた服を見れば分かるが、
裁縫の方法としてはいわゆるパッチワークというか、当て布を縫い付ける
タイプのものらしい。そして服の箇所や種類によっては、別に刺繍を施す。
2通りの方法を上手に使い分けることで、あの見事な模様が出来るということ
なのだそうだ。始める前にあれだけ豪語していただけのことはある。まだ
小さな破れを修理しているところだが、そこに赤い糸で縫いこまれたツタの
ような模様は、まるで機械で縫われた刺繍のように正確でありながら、
ジーンズの上に本物の植物が芽吹いたかのような優しさと強さで満ち溢れていた。
「・・・上手いな」
「ぜーんぜん、まだまだこれからだよ」
俺の言葉にも、リムルルは少しそっけない返事をするばかりだ。
「けど、肩凝るぞ?風呂に入ってきたらどうよ」
「ん〜、もうちょっと」
まるでビデオゲームに没頭する子供のような台詞だが、普段の表情とも、
闘いのさなかの表情とも違う真剣そのものの顔に圧倒された俺は、それ以上
話しかけるのを止め、イヤホンを付けてごろりとテレビの前に寝そべった。
120前スレ64:04/06/05 11:54 ID:IwhOR8mM
「えーさて、次のニュースです。昨日、XX市XX町の林道で、男性8人の
変死体が発見され、警察では殺人事件として捜査を進めています。
遺体はどれも刃物で切り付けられ、中には銃で頭を撃たれた死体もあると
いうことで、副数人の犯行とみて調査をしていますが・・・現場には薬品が
入っているとみられるドラム缶が多数発見されており、警察では、薬品の
不法投棄とそれを巡るトラブルが原因となっているとの見方を強め、
遺体の身元確認と薬品の出所を急ぐと共に、周辺住民への・・・」

『XX市?隣じゃないか。意外と近いな・・・物騒になったもんだ』
近所で起きた物々しいニュースにあまり良い気分はしなかったが、後半は
もう俺の耳には届いてきてはいなかった。
『かわいいなぁ』
何かに打ち込んでいる人間というのは、どうしてこうも魅力的なのだろうか。
リムルルの針仕事姿に、俺はテレビなどどうでも良くなってしまっていた。
黙々と針を進めるリムルルは、いつもよりずっと大人っぽく見える。
『もしもこれからもずっと一緒にいられるとして・・・いつかはリムルルも
大きくなったら、誰かと・・・なぁ?』
妹であり娘のようでもある、不思議な同居人の未来を俺はふと想像した。
『素直で、性根が優しくて、強くて、何より可愛くて・・・』
表情ひとつ変えないリムルルの顔を見ながら、計り知れないほどの魅力が
頭を駆け巡る。
『できることなら、ずっと俺のそばにいて欲しいなぁ・・・いや、それは
欲張りってもんか』
独占欲が顔をのぞかせたところで、俺は頭を振った。
『こんなかわいい妹が出来ただけ、感謝しろっつーのな、俺は』
俺は再びリムルルに背を向け、コタツで横になった。始まったばかりだった
はずのニュースは、いつの間にか天気予報になっていた。

・・・・・・
121前スレ64:04/06/05 11:55 ID:IwhOR8mM
「いたっ」
針が指をちくっと突いたところで、リムルルはしばらく振りに手を止めた。
見つめる指先の上。目には見えないが確かに開いた穴から、すうっと血の
雫が膨らみ、無機質な蛍光灯の光の中で弱々しくも確かな赤い輝きを見せた。
『昔は・・・こんな失敗ばっかりだったっけ』
貰ったばかりの針で、喜び勇んでボロ布や何かに糸を通していていた頃。
外で遊ぶのも好きだったけれど、寒さの厳しい冬や夕方、家の中で静かに
縫い物を習うのも大好きだった。姉様やお婆ちゃんから新しい模様を教わる
たびにワクワクしたし、そうやっていろりを囲んで、楽しくおしゃべりして
いる時の姉様の笑顔を見るのが大好きだった。その時ばかりは、何かを心配
しているような様子は無かったからだ。それに、上達すればするほどに
姉様はまるで自分のことのように喜んでくれた。楽しそうだった。リムルルも
もちろん楽しかったし、嬉しかった。だから。
いつもこうだったらいい・・・
幼心にも姉の事が心配だったリムルルは、そう思っていた。笑顔が戻れば。
物憂げな表情が晴れれば。指の上の、てんとう虫の背中より小さい輝きの
向こうに、リムルルはいろりの火に照らされたあの笑顔を見た気がした。
「ねえさま・・・」
赤は、姉が好んだ色だった。頭に巻いた鉢巻も赤なら手甲も赤。普段着て
いた愛用のモウルも、赤の刺繍で飾られていた。そして他のどんな色よりも
似合っていた。静かな佇まいと微笑みの向こうにある、威厳とも信念とも
取れる強い意志が、そのまま色になっているかのようだった。
『だから、赤で縫うの』
少しでも、いつでも姉様を感じていたい。無事でいて欲しい。早く、早く
会いたい。ありったけの思いをリムルルは赤い糸に込めながら、一針一針、
丁寧に縫ってきた。果たしてその思いは、うねる様なつた模様へと姿を変え、
ジーンズの上に確かに結実している。
「ねえさま・・・」
リムルルはもう一度小さな声で求めながら、手の中で垂れる糸を傷口に
そっと近づけた。細い繊維の間へと血がみるみるうちに染み込み、赤が赤を
深め、姉の愛した色が、血の色で染め返されてゆく。その光景に、リム
ルルはいつかも同じような光景を目の当たりにしたような気がした。
122前スレ64:04/06/05 11:56 ID:IwhOR8mM
少しゆったりとした白地の道着。その白よりも上品で透き通るような、
近づけば自分の顔さえ映してしまいそうなほどに白いナコルルの肌が、
真っ赤な血で染められていたような・・・そんな奇妙な既視感。自分の
中でさえ、現実とも虚構とも、思い出とも想像ともつかないぼやけた
映像にリムルルは少しの間だけさいなまれていたが、小さな血の玉が
指先からとうに姿を消し、その後はもう滲み出てくる様子が無いのに
気づくと、走り去るようにしてそのイメージはリムルルの脳裏から
遠ざかっていった。

一瞬の空白にぽっかりと置き去りにされたリムルルは顔を上げ、
少し首を捻ったが、もう何も思い出すことは出来なかった。それよりも、
疲れた目に飛び込んできた、読み方を覚えたばかりの時計の文字盤に
驚いてしまった。日付がとうに変わってしまっている。こちらに背を向けて
テレビの方に顔を向けている兄も、どう見ても眠ってしまっている様子だ。
「ありゃりゃ・・・」
だが、止めるわけにはいかない。確かな刺繍の腕を持つリムルルは、
その先の出来栄えは一本の針に込められた、鬼気迫る程の魂の強さが
握っていることを知っていた。まして、今縫い込めている文様には
他ならぬ姉への思いが込められているのだ。一夜明けてしまっては、
せっかくの気持ちが無駄になってしまいはしないかと、不安だった。
「頑張るんだもん・・・」
しょぼつく目をしばたかせ、もう一度針を握ったところで、不意にずしりと
肩が重くなる。リムルルはうっと呻いた。時を忘れるほどに没頭していた
ためだろう、若い身体にもそれなりの無理が生じていたのにリムルルは
気づかなかった。肩から広がった倦怠感は今や全身に行き渡り、眠気に頭の
リボンがふわんふわんと左右に揺れ、指先からは、針をデニムに通す力さえ
失われてゆく。
『だめ・・・ねえさまの分は、今夜のうちに縫わなきゃ・・・』
そうだ。赤い糸の刺繍が終われば、明日は白い糸でコンルへの友情と感謝を、
緑の糸で大自然への祈りを、そして最後には水色の糸で・・・兄が好きだといった
その色で、仕上げをするのだから。
123前スレ64:04/06/05 11:57 ID:IwhOR8mM
『きっと、すごく、すごく素敵なのが出来るなぁ』
大好きな人たちを表す色とりどりの刺繍で生まれ変わったジーンズに脚を通し、
皆の前で披露するさまを、リムルルは思い浮かべた。コンルは楽しそうに、
ひゅるひゅるとリムルルの両脚の間を踊るように通り抜け、ねえさまはあの
優しい笑顔を浮かべながら、良く頑張ったわねと頭を撫でてくれるに違いない。
後ろでは、お婆ちゃんがうんうんと嬉しそうに頷き、こちらを眺めているのだ。
わぁっという驚きの歓声に振り返れば、びっくりした顔のにいさまが
わたしの事を強く抱きしめてくれて、それでわたしの事を一人前の女の子だと
認めてくれるんだ。そして・・・
「にいさまぁ・・・わたし、嬉し・・・ん・・・んにゃ」
まぶたの下で流れる楽しい未来に、リムルルは幸せそうな顔を浮かべたまま、
ころんと転がるようにして横になった。

・・・・・・

「・・・お?」
頬にひんやりとした感触が感じられたので目を開くと、プリズムのように
くるくると光を映すコンルが俺の顔の正面に居た。
「んお、コンル・・・あっ、しまった。寝ちまってたか」
時計を見れば、もう夜中の3時だ。テレビも蛍光灯も付けたままである。
「起こしてくれたのか?ありがとな、コンル。そうだ、リムルルは・・・」
ぐるりと首を回すと、リムルルは、部屋の隅でうずくまるようにして
眠ってしまっていた。起き上がってその周辺を見ると、どうやら縫い物の
途中で眠気に耐えられなくなったらしい。糸くずやら道具やらが散乱した
ままになっている。
124前スレ64:04/06/05 11:58 ID:IwhOR8mM
「やれやれ・・・」
このままでは布団を敷くことは出来ないので、俺は眠い目を擦りつつ、
ごみや道具を壁際に押しやり適当に片付けた。だが、リムルルのジーンズを
見た途端、眠気はどこかに吹き飛んだ。
「すげ・・・」
右足側に転々と開いていた小さな穴が繊細な刺繍とパッチワークで塞がれ、
ぐるりと斜めに回転しながら囲むように、お尻のポケットの辺りから膝までが
ひとつの模様へと変化していた。子供の業とは思えないその出来栄えに、
俺は息をのむ事しか出来ない。明日は、例の左足の大穴を塞ぐのだろうか・・・
いや、膝から下の続きをするのだろうか?
「ホントに上手い・・・あっ、コンル!いいからいいから」
見とれる俺の代わりにコンルがリムルルを起こそうとしたので、俺は慌てて
止めた。そして子犬のように丸くなって寝転ぶ軽い体をそっと抱きかかえ、
布団の上にふわりと寝かしつけた。
「すぅ・・・すぅ・・・」
一日中はしゃぎまわった上に神経を使うことを半日ぶっ通せば、熟睡は
当たり前だ。起きる気配を微塵も見せず、リムルルは寝息を立てている。
「こいつ、久しぶりに頑張ったからな・・・さて、コンルもお休み」
俺の言葉に、コンルは冷凍庫へとすうっと収まった。開けることは出来ても
中からは閉じられないので、俺が扉を閉める。
「ふあ・・・寝っか」
蛍光灯を消し、リムルルの横に滑り込む。間近に迫る愛らしい寝顔の浮かぶ
頬を指で突付く。温かくて気持ちのよい感触だ。
「あんまり無理しないでくださいよ、お裁縫屋さん」
言葉をかけると、夢でも見ているのだろうか、んんんっと身をよじらせ、
小さな笑顔を作った。


リムルルのジーンズと上着の修理が終わったのは、それから3日後だった。
125名無しさん@ピンキー:04/06/05 16:36 ID:zL7Exhkp
すまん!すごく良い話なんだが「ら抜き言葉」が気になった…
リムルルの「着れる」とか…ホント細かい指摘ですまないがやはり気になるのです…
126名無しさん@ピンキー:04/06/05 16:49 ID:zL7Exhkp
…などと生意気なことを言ってスマソ。
やはりこう、没頭して読ませてしまう魅力があなたのSSにはあります。
これからも無理せずお話を続けていってくださいな。
127名無しさん@ピンキー:04/06/05 19:41 ID:IkrUAxxM
(゚∀。)アヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!!!!!!???????????
キタヨキタヨキタヨ―――――――!!!!!!!!!!!!
リム!リム!リム!リム!リム!チェスト―――!!!!チェスト――――!!!!!
アガメヨ―――――!!!!!タタエヨ――――――!!!!!!!!!!!!!
128名無しさん@ピンキー:04/06/06 23:06 ID:A0ky4zpK
お裁縫リムたん可愛いぞう!


刺繍の模様とかって氏族によって違うんだよね?
だったら、
「俺の服にもその刺繍をしてくれないかな」(ペアルックも良いだろう)
と軽くお願いしたら、

同じ模様の服を着る
 ↓
同じ氏族の一員となる
 ↓
つまり結婚、プロポーズ!

とパニックになっちゃうリムたんw
129名無しさん@ピンキー:04/06/06 23:45 ID:WfvPRV10
針が折れたら、是非アイヌ式の霊送りの儀式をやってほしい
「どんなものにも命があるんだから、ちゃんと見送らないと…って姉さまが言ってた!」
130名無しさん@ピンキー:04/06/07 03:55 ID:tovOazGi
>>128
その流れイイ!!!
131名無しさん@ピンキー:04/06/07 06:19 ID:QvcKhdqM
個人的には、現代を眺めていくにつれ、自分達の時代よりも自然をあまりに蔑ろにする
現代に失望したレラが、「こんな時代には居るべきではない。それに、あんな見るからに軟弱な
現代の男にリムルルを任せられない。自分達とは生きている次元が違うから…。」などのように
考えた結果、一刻も早く64君の元からリムルルを引き離し共に元の時代へ帰るべく詰め寄ってくる
展開が望ましい…。
132名無しさん@ピンキー:04/06/07 18:33 ID:ZbCdypN0
にいさまと一緒にマンガ喫茶へ行く

エロサイトの広告をクリックしてしまったリムたん

パニクりながらも、とりあえず見る

その日の夜、思い出してハァハァ

(゚д゚)ウマー
133名無しさん@ピンキー:04/06/09 01:16 ID:CV2t7nK9
保守
134名無しさん@ピンキー:04/06/09 23:07 ID:QgElroZL
リムたんの刺繍の腕前を見た手芸屋のお姉さんが、
「お小遣い稼ぎに内職しない?」と持ち掛ける。
「おにいさんにプレゼントできるよ」と言われて引き受ける。
評判になってリムルルお金持ちに!



「もしかして、リムルルは俺がいなくてもこの世界でやっていけるんじゃないのか?」
と自分の立場に自身を失うおにいさんw
135名無しさん@ピンキー:04/06/10 12:10 ID:R4sU3jwk
そういえば昔ラジオドラマで覇王丸とナコリムで旅をしていたのがあったのだが…
 
3Pはお好きかな?
136名無しさん@ピンキー:04/06/10 20:27 ID:Mn29AoZL
>>135
だいっ嫌い
137135:04/06/10 21:55 ID:R4sU3jwk
>>136
(´・ω・`)ショボーン
じゃあ投下やめときまつ
138名無しさん@ピンキー:04/06/10 22:59 ID:slXiXTd4
そりゃないぜセニョール!もっと熱くいこうぜ!!

……つうわけで投下、切にきぼん。俺は応援するぜ
139名無しさん@ピンキー:04/06/11 01:19 ID:EOTrw0c7
侍RPGのラジオドラマでは、
覇王丸とガルフォードがリムルルをひん剥いたぞ。





…傷の手当てのためだが。
140139:04/06/11 01:24 ID:EOTrw0c7
↑ガルフォードが肌もあらわなリムルルを抱えているところへ、
覇王丸が消毒のため、傷口に酒を吹きかける。
痛みに呻くリムルルに、ガルフォードが大丈夫だと優しく言いながら
薬を塗り塗り。


よく考えたら、結構大変なシーンだったな。
その後傷が治って目覚めたリムルルは、ナコ姉さまを殺すと息巻いていたし…
141135:04/06/11 12:27 ID:PQf4jOdp
ところで聞きたいのだが、覇×ナコ×リムと覇&ガル×リムの
どっちがいいかね?
139氏のネタに触発されて書きたくなってきたよ
142名無しさん@ピンキー:04/06/11 12:41 ID:EeDm2ir7
俺はナコリムに1票入れとく。
143名無しさん@ピンキー:04/06/11 13:05 ID:aJoGuq/P
漏れは、覇&ガル×リムに一票
144名無しさん@ピンキー:04/06/11 13:23 ID:F4EN5722
”覇×ナコ×リム”に全部
145139:04/06/11 16:52 ID:EOTrw0c7
>141
マジでつか。
この機を逃したら、覇&ガル×リムなんぞというものは
二度と拝めない気がするので、覇ガルリムキボン。
ナコリム系は、わりとちょくちょくあるでしょうし。
146名無しさん@ピンキー:04/06/11 19:14 ID:HIzLdmSM
>>140
>ナコ姉さまを殺すと息巻いていたし…
なぜリムがナコを殺そうと?
147名無しさん@ピンキー:04/06/11 19:55 ID:EOTrw0c7
>146
天草だったか牛若姫だったかに、寝込んでいるうちに
夢枕に立たれて洗脳されたらしい。ワケワカメ

さらにその頃ナコルルは、悪党に捕獲されて売られるハメに。
どこかの船底に鎖でつながれてた。そこに現れる幻十郎。
もう脚本家のリビドー全開。幻ナコ絡ませるの大好きだった人。

ちなみにラストは、ガルとリムがカムイコタンまで二人旅に。
といってもガルはリムを送り返すための監視役みたいなもんで、
リムはそれでも天草討伐をあきらめてはいなかった…


聞き逃した回もあったから、覚えているのはこんなところ。
結局洗脳リムルルは、ナコルルとガチで斬り合ったんだっけ??
148名無しさん@ピンキー:04/06/11 23:20 ID:D+gi33DU
リムは犯さないで!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
149名無しさん@ピンキー:04/06/12 11:26 ID:1clV5DQ6
あのドラマCD聞いて子安を思い出した俺はDVDショップへ行ってきます…
150135:04/06/12 12:19 ID:hBJfLBFB
同数でつか_| ̄|〇|||
じゃあ両方かきまつ。覇ナコリムが先になりそうですが
151146:04/06/12 18:49 ID:GIroGkyP
>>147
なんか凄いストーリーだな・・・。
どうもありがとう。
152名無しさん@ピンキー:04/06/14 04:05 ID:mbjghiMi
>>150
ガンがって下さい、応援してまつ
153名無しさん@ピンキー:04/06/15 00:29 ID:sebrsB9Q
たまにはシャルロットの事も思い出してあげて下さい
154名無しさん@ピンキー:04/06/15 01:18 ID:FWfz8PGq
ミヅキ様のことを思い出して欲しくて仕方がありません。
155前スレ64:04/06/17 22:23 ID:dpFxHRSC
「どうっ?にいさま?」
すっかり修繕を施された上下を纏い、リムルルは楽しそうに笑いながら、
座りこむ俺の前でくるんと回り、その出来ばえを披露した。紺のジーンズ
の右脚を支柱にして、ぐるりと絡みついたツタのような模様は、大自然と
戯れ、その只中で共に生きてきた少女の身体を守るかのように、リムルルの
すうっと伸びた脚線を一層際立たせている。
もう片方、無残にも切り裂かれていた左の太腿部分には、リムルルが
呼ぶところの「モレウ」という四角い渦巻き模様のパッチワークが大胆に
施されていた。右脚を彩る植物的な模様と、左脚を飾る幾何学的な模様は、
それぞれが全く違う属性の図柄でありながら、驚くほどの調和を見せている。
「う、う〜〜む」
唸りながら視線を上に移すと、俺の目線の動きを読んだリムルルがにこっと
笑い、こっちだよと背中を向けた。羅刹丸と一戦交えたあの時、背中で受けた
石つぶてによって大小の破れがピンクのパーカーには生じていたわけだが、
真ん中に元からあった横文字のプリントを囲むかたちで、ジーンズと同じ
ようなつた模様が広がっており、豪勢なエンブレムのようになっている。
まさか穴が開いていた古着、しかも量販店の品のリメイクとは思えない。
「リムルル・・・お前ホントすごいな」
俺はリムルルの腕前に心から感心し、拍手をしながらその努力を称えた。
その一言に、リムルルは大きな瞳をきゅうっと細め、もう一度つま先で
立つとくるり、くるりと小さな身体で円を描く。
「かわいい?」
「うん、可愛いよ。それになぁ、リムルルのお姉さんや婆ちゃんが
褒めるだけあるわ。センスがいいよ」
「せんす?」
「おーっと、センスってのは感性って意味な。ただ教えられても、その
勉強したことを自分なりに表現できる人って、そう居るもんじゃないよ。
リムルルはそれが出来てる。だから上手だねって褒められたんだと思うな」
「えへっ、えへへ・・・にいさまにも褒められちゃった」
よほど嬉しかったのか、リムルルは顔を赤くして、やたらにこにこしながら
あたまを照れくさそうに掻いた。
156前スレ64:04/06/17 22:24 ID:dpFxHRSC
「だけどね・・・わたし、にいさまに褒められるのが一番嬉しいなぁ!」
「何で?」
「わかーんない!ねぇ、もっかい褒めてっ?」
「あー、ウマイウマイ」
期待の視線を送り続けるリムルルに、俺はぽんぽんと手を叩きながら
わざと気のない返事をした。やっぱりというか、リムルルはどかっと
座ると俺の目前に赤いままの顔を迫らせ、ぷうっと頬を膨らませた。
相変わらず分かりやすい妹だ。
「んもう!もっとちゃーんと!」
「ほらほら、可愛い顔が膨らんじゃってますよ」
ぷにぷにのほっぺを両方から指で押すと、リムルルはぴうーっと口から
面白い音を出しながら溜めた空気を吐き出した。その音に驚いたのか、
リムルルはまん丸い眼をぱちくりとさせ、
「・・・ぷっ」
見詰め合ったまま一間置いて、俺たちは同時にぷっと吹き出した。
「あはは!ぴうーっ、だってぇ!」
「何だよー今の!ははは!」
「はははっ、ははは!あっそだ、にいさま!今度はにいさまの番だよ!
ほら、ほっぺ膨らませて!」
「んむー」
「はは!!ひっ、ひー・・・にいさまの顔っ、面白・・・ぷっ、あははは!」
いっぱいに膨らんだ俺の顔がそんなに愉快だったのか、リムルルは
息も切れ切れ、笑いすぎて涙を溜めながら俺の身体に倒れ掛かってきた。
ごろんと押し倒さるがまま、小さな身体を受け止める。
「んだよー、そんなに笑うなって」
「ふふ・・・だって、だってぇ!おかしいんだもん!」
「あんまり笑うと、咳とか出ちゃうぞ」
「うん、はぁぁぁ〜・・・はぁ。はは、やっと止まってきたぁ〜」
赤ら顔に埋め込まれた大きな瞳に涙を揺らしながら、リムルルは大きく
深呼吸して息を整えた。それでもまだ息を切らしており、俺の胸の上で
くたりと横たわった軽い身体が、呼吸に合わせて小さく震えている。
157前スレ64:04/06/17 22:24 ID:dpFxHRSC
「おいおい、大丈夫か」
「ふぅー・・・うん、平気ぃ。へへ、笑いすぎちゃった」
「人の顔をそんなに笑いやがってぇ〜、俺は傷ついたぞ。フン」
「えーっ?ごめんなさい・・・わたしそんなつもりじゃ」
「嘘うそ、うーそ」
「わ・・・」
俺の意地悪を真に受けて、しまったと顔をしかめながら慌てて弁解する
リムルルの柔らかな頬に、俺は言いながらちゅっとキスをした。
一瞬きょとんとして、んもーっとすぐに再び口を尖らせる。
「びっくりするでしょ!にいさまってばぁ」
「悪い悪い、ついね・・・ほらっ、一日は短いぞ」
「それに、にいさまだけ・・・きゃ!」
何かを言いかけようとしたリムルルをころんと身体の上から転がし、
手を取って一緒に起き上がった。
「お昼前には出かけるか!その服着てな」
「えっ?」
「お出かけだよ。お弁当作って行くぞ」
「わーっ!いい考えだね!わたしも手伝うよ!」
さっきまでの難しい顔はどこへやら。窓からの日差しに負けない笑顔を
輝かせながら、リムルルはうきうきと肩を躍らせながら声を弾ませた。
大した用では無かったらしく、言いそびれた事も忘れてしまった様子である。
「ねぇ、今日はどこ行くの?ねえさま居そうなトコ、他にある?」
「う〜ん、そうだな・・・あ、リムルルはこれ着けな」
「あっ、えぷろんだ!やってやって!」
時々皿洗い程度なら手伝ってくれるリムルルだが、せっかくの服が汚れては
一大事と、エプロンをさせるのが常だった。そして、俺が着させてやる
ことも、いつの間にか当たり前のことになっていた。ほっそりとした腰に、
ぎゅっと紐を結わくと、その殆どが余ってしまう。リムルルは、それほどに
小さくて可憐な身体をしているのだった。
158前スレ64:04/06/17 22:25 ID:dpFxHRSC
『どんな事情があっても、強い心を持っていても・・・リムルルはまだ子供なんだ』
俺は小さな背中の後ろで、だらんと垂れ下がった長い蝶結びを眺める
たびに、リムルルのことを思い、またあの日の誓いを噛み締めていた。
『俺が・・・リムルルを守ってやるんだ。大事な妹だから』
「ん、よし」
「ありがとっ!さーっ、やるぞぉ!」
小さなお尻をぽんと叩くと、リムルルは腕まくりをしながら、よしっと
意気込んだ。そんないつもと変わらない妹の姿に幸せを感じながら、狭い
台所に二人並んで弁当の準備をしつつ、俺たちは今日の予定を立て始めた。

・・・・・・

リムルルを自転車の後ろに乗せ、今日は近所の川のそばを通るマラソン
道路を走り、海岸まで行くことにした。冬の海に別段楽しいことがあるとは
思わないが、緑地公園もあるし、小さいながらヨットハーバーもある。
それに何より、リムルルがどうしても海を見たがった。
「何で海がいいんだ?」
磯の香りがする向かい風を受けながら、俺は背中のリムルルにもう一度尋ねた。
「ん?こっちに来て、海はまだ見てないでしょ?だからー。それにね?」
「それに?」
「コンルがね、もしかしたらって言うの。ねえさまがいるかも・・・って」
「そっか・・・と、話しているうちに!ほらっ、見えてきたぞ〜」
「えーっ、どこどこ?見えないよぉ」
「うぉっ危ないから揺らすな!ほら、見てごらん」
「わぁ・・・」
先走るリムルルが、どうしても背中の影から覗き込もうとするので、俺は
キッと自転車を斜めに止めた。数百メートル先で鈍く波を光らせる海を
見ると、リムルルはため息を漏らしながら荷台からぴょんと降りた。
その目は、ただ真直ぐに銀色の水平線を食い入るように見つめている。
159前スレ64:04/06/17 22:26 ID:dpFxHRSC
「な、もう少しだろ。ほら乗って」
「わたし、走る!」
「えぇ?!」
「ほらっ、行くよー!」
呼び止める俺の声を背にしたまま、リムルルは待ちきれない様子で海への
道を走り出した。相変わらずの俊足だ。ぼーっとしていたら、みるみる
うちに小さな身体がより小さくなってしまっている。
「はーやーくー!」
道の向こうでリムルルが振り返り、ぴょんぴょんと飛び跳ねながらこっちに
向かって声を張り上げたところで、俺は再びペダルに足をかけた。
「おりゃっ、待てー!」
ぐっと力を込めてペダルをせわしなく踏み込むと、小さかった背中が
今度はぐんぐん近づき、ついに俺はリムルルの前へと躍り出た。
「ふうっ、ふぅ・・・自転車ってやっぱり速いねー!」
息が少し上がっているが、リムルルは余裕たっぷりに笑っている。しかし
まだまだ浜辺までは遠かった。行く前から疲れられては困るので、俺は
減速してリムルルの横に自転車をつけると、荷台を指差した。
「まだ遠いぞ、乗れよ」
「だ、大丈夫だよ!」
「これから楽しむ前にヘトヘトじゃ意味分からないだろ?ほらっ」
「わかった・・・よいしょっと!」
やっとのことで提案に応じたリムルルは、俺のジャケットの背中を
はしっと掴むと、ひらりと荷台に飛び乗った。
「はぁーっ、はぁー・・・」
「思い切り、走りすぎだぞ」
「だって・・・嬉しくて!自分で直した服を着て、にいさまと一緒にお出かけ
出来るんだもん!」
リムルルが嬉しい一因に自分が含まれているのが、俺も嬉しかった。
ペダルを蹴る足にも、がぜん力が入る。
「よおぉぉぉっし!もうちょっとだ、行くぞ!」
「おー、速いよ!頑張れ!にいさまー!」
160前スレ64:04/06/17 22:27 ID:dpFxHRSC
冬にしては寒くもなく、太陽もまだ高いというのに、冬の砂浜には人影が
少なかった。犬の散歩をする人や、屋根の付いた浜辺の休憩所で読書に
いそしむ人などが居るぐらいだ。リムルルは俺が自転車を置くや否や、
わぁっと歓声を上げると靴を脱ぎ捨て、ジーンズの裾を膝まで捲ると、
穏やかな白波を立てる冬の砂浜と駆け出した。
「ひゃっ、冷たいよー!にいさまぁ!!」
くるぶしの辺りまでを銀色の波打ち際に浸したリムルルが、波が迫って
は逃げ、逃げては詰めを繰り返しながら、靴を拾い上げる俺に向かって
良く通る声で叫んだ。
『あー、失敗。カメラ持って来ればよかったなぁ』
まばゆい小さなフラッシュを敷き詰めたように輝く海辺を背にして、
はしゃぎながら遊ぶリムルルの姿は、切り取れば写真集の表紙を飾れ
そうなほど絵になっていた。仕方なく指で作ったファインダーに
その姿を収め、脳に焼き付けながら、俺は自分の不覚を呪った。
「まあ、しょうがないか・・・おーいリムルル!ご飯にしよう」
「はーい!」
リムルルは、俺の声にくるりと振り向き返事をすると、もう一度こちらに
背を向けしばらく海を眺めた後、人が降りてくる様子の無い浜へと続く
階段に座り込んでタオルと昼食の準備をしていた俺の方へと、砂浜に
小さな足跡を残しながらとことこ歩いて戻ってきた。
「さ、足拭いて」
「ん、大丈夫だよ?乾いてから叩けば、砂は落ちちゃうから」
リムルルは裸足のまま俺の横に座り、タオルを差し出す俺の手を押し返した。
「けど寒いだろ」
「ぜーんぜん!カムイコタンはもっと、もーっと寒かったから」
「あー、それもそうだな」
「それよりにいさま、お昼ごはん!」
リュックの中から取り出した銀色のホイルで包まれたおにぎりの包みに、
リムルルの視線はさっきから注がれっぱなしであった。がさがさと包みを
解くと、大小二種類のおにぎりが顔を出した。大きくて三角形をしている
のが俺の作ったもの、小さくて俵の形をしているのが、リムルル作だ。
161前スレ64:04/06/17 22:27 ID:dpFxHRSC
「うわー、美味しそう!それじゃわたし、にいさまが作った鮭のおにぎりー!」
リムルルが手に取ったのは、その中でも一際大きく作った鮭むすびだった。
「大きなおにぎり作って!」とせがまれて面白半分で作ったは良いものの、
果たしてあの小さな口でどうやって食べるのだろうか。
「んじゃ俺は、リムルルのおかかにしようかな・・・」
一抹の不安を覚えつつ、俺はリムルルの作ったおにぎりに手を伸ばした。
これまた、作っている最中にリムルルから「わたしが作ったの、食べてね
食べてね」と何度も念を押されていたのだ。お手玉のような楕円形のおにぎりを
一回転するように海苔が巻きつけられているが、ご飯粒の付いた手で触った
のか、海苔の上にさらにご飯が付いており、まだら模様になってしまっている。
だが、これを作った当の本人はそんな事を気にするそぶりも見せない。
「よーし、にいさまも準備完了だね!せーの!」
「いっただっきまーす」
息巻くリムルルの号令に合わせ、俺は声を合わせて食事の挨拶をした。
「あーん・・・ばくっ!!もむもむ・・・」
箸でご飯を口に運ぶときの何倍あろうか、という程の大口を開くと、
リムルルは大きなおにぎりにかぶり付き、一口で頬張れるだけ頬張った。
とても味わっているようには見えないが、顎を元気良く動かすその顔は
幸せそうだ。やっとの事で最初の一口を飲み込むと、リムルルはまだ
一口も昼食に手をつけていない俺を不思議そうに見つめてきた。
「どうしたのにいさま?心配しなくても、おにぎり美味しいよ?」
「え、うん。いやさ、リムルルがあんまり一生懸命食べるもんだから、
嬉しくてつい見とれちゃったんだ」
「そうだったんだ・・・あっ、そうだ!それじゃあ、今度はにいさまが
わたしの作ったおにぎり食べてよ!見てるから」
「ど、どれどれ」
あれ程楽しみにしていたおにぎりを食べる手を休め、リムルルは俺の顔と
小さなおにぎりの間に視線を通わせている。
162前スレ64:04/06/17 22:28 ID:dpFxHRSC
『形は少しいびつだけど・・・問題ないよな』
中身の具を作ったのは俺だし、何を心配する必要があろうか。
「んじゃ、いただきまーす。ばくっ」
じゃり・・・
「うが、うぐ・・・!」
口の中で砂を噛んだような感触が頭全体に響いたかと思うと、おかかの
風味さえ吹き飛ばす強烈な塩辛さが舌を突いた。
「な、何?!どうしたのにいさま!!」
思わず渋い顔をした俺に、リムルルが不安そうに尋ねた。口の中を塩漬けの
ようにしている物を飲み下さない事には返事も出来ず、俺は水筒のお茶で
無理矢理に残りを洗い流した。
「ごくん。はぁぁぁ〜・・・リムルル?」
「何?大丈夫?」
「おにぎりに塩をつけ過ぎだ。固まってた」
「えっ、そんなぁ・・・ホントに?」
黙って頷きながらお茶を飲む俺を前に、リムルルは食べかけのおにぎりを
片手に、自分の作ったおにぎりをもう片方の手で掴むと、ぽいっと口に
放り込んだ。
「ぐ・・・」
もぐっ、と顎を動かした途端、リムルルはがっくりとうな垂れた。あまりに
素直な反応に笑いながら、慰めるように肩を叩きお茶を渡すと、リムルルは
しおれた顔を上げ、ぐっと一気に飲み干した。
「ぷは〜。はぁぁぁ〜・・・失敗だぁ・・・ごめんなさい」
「料理を手伝ってもらったのは初めてだしね。しかし裁縫は上手なのにな」
「あ、ねえさまにも同じこと言われたなぁ。裁縫はいいから、リムルルは
もっとお料理の練習しなさいね、って」
「・・・・・・」
「これじゃあ、また会えても笑われちゃうよね・・・へへへ」
リムルルはもう一杯、自分で水筒から注いだお茶を飲みながら、なかなか
会うことの出来ない寂しさからか、下り調子の声色で少し笑った。
163前スレ64:04/06/17 22:29 ID:dpFxHRSC
「まあ・・・裁縫だって、リムルルはたくさん練習したから出来るように
なったんだろ?」
「うん。わたし、模様大好き!」
「ほら。好きなことは、いくらでも出来ちゃうもんだよ。だから上達する」
「あー、そう言われてみれば・・・」
「だからお料理だってさ、簡単なヤツから練習すれば好きになるよ。
そしたら・・・」
「上手になれるんだ!そっか!そうだね!!」
基本中の基本ともいえる簡単なおにぎりも上手く作れないリムルルだったが、
俺の励ましでにわかに元気を取り戻したらしく、鮭のおにぎりを再び美味そうに
食べ始めた。俺も食べないと、すぐに残りがなくなってしまいそうだ。
別に競い合ったわけではなかったが、残りの(俺の作った)おにぎりは
ひょいひょいと売れ、すぐに無くなってしまった。リムルルの作った方は、
残すのも忍びないので具と内側のご飯だけをつまんで食うことにした。
「う、内側はさすがに平気でしょ?ね?」
「お、おう」
「にいさまねえさまみたいに、お料理できるように頑張らなくちゃ・・・」
「そうだな。これからは少しずつ教えてやるよ」
「うん!」
リムルルは指に付いたおかかをちゅぱちゅぱとやりながら、良い返事をした。

それから俺たちは、浜辺の道をゆっくりと移動しながら遊んだ。遠くに霞む
タンカーの想像をはるかに超えた大きさにリムルルが圧倒されたり、この前と
同じように鳥にやたら好かれるリムルルが浜辺の鳥と戯れる姿に今度は俺が
驚かされたりと、楽しい時間はどんどん過ぎ、やがて空が赤く染まる頃、
俺たちは沖の方へと長く張り出した防波堤の上に続く歩道を、手を繋いで
渡っていた。毎日来ているのか、冬だというのに皺だらけの顔を黒くした
釣り客のじいさん達が、すれ違って帰って行く。防波堤の先端まで
行き着く頃には、もう人の姿は無かった。
164前スレ64:04/06/17 22:30 ID:dpFxHRSC
「はぁ〜、楽しかったね」
手すりを掴み鉄棒のように足をぶらぶらさせながら、リムルルが言った。
「あ、まだヨットで遊んでる人たちがいるよ?」
だいぶまばらにはなったが、絶好の波を逃すまいと食い下がるヨットの
群れをリムルルは見つめている。
「たまには海もいいな」
「ねー。綺麗な夕日だね・・・」
辺りに溶け込むようにオレンジに染まったリムルルの横顔の方が、ずっと
綺麗である。俺は今日何度目になるか分からないが、カメラが欲しくて
仕方なくなった。海に沈んでゆく夕日が一段と赤く輝き、世界が燃える
ように煌々と輝きだす。夕暮れもピークだ。いつしか俺も、リムルルが
食入るように見つめる雄大な日没のショーに心を奪われていた。
「すごいな・・・なぁ、リムルル」
「・・・」
俺が相槌を求めると、リムルルはしおれるようにその場にしゃがみ込んだ。
「リ、リムルル・・・?」
「今日も・・・終わっちゃうんだ」
ぽつりと言うリムルルの足元、波を砕くコンクリートには、涙の跡が
出来ていた。その涙の理由は、聞かずとも分かっていた。
「ねえさま・・・いなかった・・・」
「あぁ、俺も探したんだけど」
楽しそうに振舞う反面、リムルルはすれ違う女性の顔を見ては、時折
ため息をついていたのだった。コンルの教えという事もあり、俺も内心
期待していたのだが、残念なことに、ついにその姿を探し出すことは
出来なかったのである。
「コンル、まだ力が戻らないのかな・・・頼りっぱなしじゃ、やっぱりダメ
だって事なのかな・・・ねえ・・・さま・・・うっ、うう・・・」
「・・・」
波の音に隠れ、リムルルはすすり泣いた。俺はただ、黙ってその横に座り、
背中をさすりながら悲しげな嗚咽に耳を傾けることしか出来ない。
165前スレ64:04/06/17 22:31 ID:dpFxHRSC
「会いたい・・・ねぇ、にいさまぁ・・・ねえさまに会いたいよ、会いた・・・い」
「リムルル・・・」
「どうすればいいのかな、わたし・・・」
「う・・・む・・・」
とうに夕陽は水平線に姿を消し、空も幕を引くように暗くなってきていると
いうのに、俺はリムルルの問いかけに途方に暮れてしまっていた。
「どうすれ・・・ば」
「私に着いて来るのよ」
だが、俺の代わりにその問いかけに答える声が不意に横から聞こえると、
俺たちははっと顔を上げた。のしのしと近づく大きな狼の背中に揺られる女。
光と闇が入り混じる海辺で、あの晩と同じ鋭い眼光が俺たちを貫いている。
女は、紛れも無いレラだった。
「リムルル、ずいぶんと早く良くなったのね」
「レラ・・・さん?」
しゃがんだままのリムルルの、放心した声色で自分の名を呼ばれたレラは、
少し顔を綻ばせながら狼の背中から静かに降りた。そしてその横に立つと
手を差し伸べながら、優しくも有無を言わさない口調で言った。
「リムルル、さあ、約束よ。行きましょう」
「・・・約束?」
「えぇ。ナコルルに会いたいんでしょう?私と来るのよ。会わせてあげる」
166前スレ64:04/06/17 22:42 ID:dpFxHRSC
次回に続く形で今回はここまでです。

前回のお裁縫ネタに付き合ってくれた方々、有難うございました。
器用なリムルルってのもたまには良いかな?と思い、やらかしてみました。
針仕事してる女の子は可愛いと思います。個人的に。それがリムなら尚の事。

>135氏
ワオ、すごく楽しみです。自分としては覇&ガル×リムに興味津々です。
あんまり想像したことなかったもので。今から(´Д`)ハァハァしてますよ。
167名無しさん@ピンキー:04/06/18 02:26 ID:4IaId5Y2
ID:dpFxHRSC

(  ゚,_ゝ゚)バカジャネーノ
168無礼度:04/06/18 05:18 ID:Ffrhk1Xk
はじめまして。
一駄文書きの無礼度と申します。

えーと、ナコリムレラミナはナンボでも職人さんいそうなので、
ミヅキ・シャルネタでのSSを需要があれば投下させて頂きたいのですが。
169名無しさん@ピンキー:04/06/18 09:07 ID:W7xrC3RD
>>168
是非!!!



あ、でも出来れば鬼畜っぽいのなら予め注意書きヨロ。
漏れ、そっち苦手なんで。
170名無しさん@ピンキー:04/06/18 10:32 ID:yfxL3Evd
167がいい事言った

新スレにまで出張ってくんなよ勘違いがw
新職人も一杯いるんだし、いつまでも糞長文垂れ流してスレ汚すな。
そろそろ空気嫁(  ゚,_ゝ゚)バカジャネーノ
171名無しさん@ピンキー:04/06/18 13:16 ID:/ipmt3M/
>>167=>>170
早く死ね
172無礼度:04/06/18 13:31 ID:Xz9/Vh8R
>169
あ、鬼畜にはならぬと思います。いぢめ程度にはなってしまうかもしれませんが。
ただ、ミヅキ萌えなんですが、ミヅキのSSって……ミヅキ攻めオンリーな気が。本体なら受けでしょうが。
シャルは受けです。絶対受け。と言ってみる。
173名無しさん@ピンキー:04/06/18 13:53 ID:+bjEzHRC
アンチリムはろくでもないのばっかだな。
元々アケ版リムスレからの派生だし
リムオンリーの方が平和でよかったんじゃないか。
174名無しさん@ピンキー:04/06/18 14:40 ID:4IaId5Y2
>>171
何言ってんだコイツ(  ゚,_ゝ゚)
175名無しさん@ピンキー:04/06/18 15:00 ID:/ipmt3M/
ID:4IaId5Y2
ID:yfxL3Evd
はNG登録、と。
176名無しさん@ピンキー:04/06/18 15:01 ID:4yJNYvpK
>>前スレ64氏
うp乙です。やっぱリムルルはいいっすわ(;´Д`)
個人的にはレラが絡んでくる今後が気になります。

つーか、ココの人たちってSS書いてくれた職人さんに
労いの言葉すらないんだね。そもそも嫌なら読まなきゃ
いいだけのことだし。
>>167=174は早く帰れ。
177名無しさん@ピンキー:04/06/18 15:24 ID:CbAlqBoY
>D:dpFxHRSC=>ID:/ipmt3M/だな。
見苦しい
178名無しさん@ピンキー:04/06/18 15:34 ID:/ipmt3M/
>>177
実に失敬だな君は。あんなのと一緒にしないでくれたまえ汚らわしい。
179名無しさん@ピンキー:04/06/18 15:43 ID:CbAlqBoY
ま、夏厨はNG登録だな。
180名無しさん@ピンキー:04/06/18 16:00 ID:/ipmt3M/
>>179
ああそれが一番だよな。
181無礼度:04/06/18 16:59 ID:ZN3+5UT1
何か荒れてますね。
もともとがリムルル板と言う事もあり、投下は新たな火種を産みかねない気がしますので避けときますね。
182135:04/06/18 17:15 ID:+//elPoT
>>181
いやいや無問題、投下キボンヌ

>前スレ64氏
乙でした!存分に萌えさせてもらいましたよ(;´д`)ハアハア
漏れも必死に覇ナリを書いております…覇ガルリムはちと後になりますが
〇| ̄仗マナイ
183名無しさん@ピンキー:04/06/19 00:43 ID:XKyhhfE7
>>182
無理せずに頑張ってください、覇ナリ、覇ガリ両方とも楽しみにしてます
184名無しさん@ピンキー:04/06/19 03:57 ID:uEvnOLKS
>>無礼度様
今回の投下は控えられるとの事で残念に思います。
どうかこれに懲りないでまたの機会があればぜひお願いします。
前スレがリム板だったからこそ、
このスレではそれ以外の作品も充実していってほしいと願っていますので。

>>一部の方
前スレの空気を懐かしむのは結構ですが、
そのあまりにこのスレをないがしろにしようとしていませんか?
167みたいな単なる荒らしは無視に限ります。
煽るような書き込みより、一緒にまったりとやっていきましょうよ。
同じ作品を愛する者同士なんですから。

185名無しさん@ピンキー:04/06/19 06:50 ID:KqA6GOME
キャラを愛しててもその作品まで愛せるとは限らん。
186名無しさん@ピンキー:04/06/19 09:35 ID:hbHWgBqY
総合スレは作品全体を扱うんだから
嫌いなキャラが扱われても黙ってスルーしろよ。
この板に来るのは大人だけなんだから
それくらい出来て当然だろうが。
187名無しさん@ピンキー:04/06/19 10:19 ID:HBOJJBKC
難しい事よく分からないけど、とりあえずリムたんの
おにぎり食べて塩っからくなった指をしゃぶる係は俺に任せてくれ(゚∀゚)
188名無しさん@ピンキー:04/06/19 18:07 ID:a3l0RDhn
>186
それが出来ん奴がいるから、つまらん荒れや不毛な煽り合いが起こるんだと思うが…。
総合スレを立てること自体、そもそも間違いだったんだ。
個人的にはどのキャラを扱いどんなSSを書かれようと構わんが。
189名無しさん@ピンキー:04/06/19 19:22 ID:fei52zUg
じゃあご不満な方々には新しいリムスレでも作って頂いて、そこに行って頂きたいね。
結果がどうあれ戻ってくるのは無しの方向で。
190名無しさん@ピンキー:04/06/19 21:43 ID:RRaCVblp
穏便に行きましょうよ。たかが一度の煽りぐらいでこんな荒れてしまっては、
それこそ荒らしの思う壺でしょう。まだスレが出来て間もないんですから、
多くの職人さんが常駐しようとしている今、この機を逃すのはあまりに勿体無い。
一時のスレの流れに酔ってはマズイ状況だと思います。今が我慢のしどきかと。
作品がスムーズに投下されるようになれば、おそらくスレの方向は良い方へ…。
191名無しさん@ピンキー:04/06/19 21:46 ID:a9fO8Pye
いいからエロSS貼れ
192勇太:04/06/19 22:31 ID:TaaC1KOl
この風ではまだ動くわけには行かんな
こ  の  俺  が  !
(戦績: SS・51編 32勝5敗)
193名無しさん@ピンキー:04/06/20 06:32 ID:79dlu3eh
>>184
何かリム萌えの人間だけが加害者っぽい言い方ですね。
まあ、前半が気に入らないけど後半は同意。

俺はリム萌えだから前スレは確かによかったけど
総合スレにまでその空気を持ち込もうとは思っちゃいない。
このスレもそこそこ楽しんではいたよ。
まあ少なくとも170みたいな言い方する人間がいるスレには
職人は来ないし新職人も育たんね。このスレも終わりだな。
194135 ◆M8E1jrtRWk :04/06/20 09:26 ID:jxLKy9t2
「げへ、う、うまぞなおんなだなぁ」
ぶくぶくに膨らんだ腹、正視に堪えない醜悪な容貌
そして、血の臭い。
化け物としか形容できない『それ』を目の当たりにし、
女はその端正な顔を恐怖に歪ませた。
「こ、来ないでくださいませ!!」
女は震える手で小刀を抜く。しかし化け物の巨体の前では
爪楊枝も同然。化け物も女の持つ凶器など気にも留めず
近づいてくる。
「あ、あじがいいがなぁ、ふどももなんてやわらかぞでいいなぁ」
だらりと異常に長い舌が口から垂らされる。
よりいっそう強くなった腐臭に、女は体を竦ませた。
その一瞬。
甲高い金属音が響き、女の手から小刀が弾き飛ばされた。
「え…ひぎぃっ!?」
次いで襲い来る激痛。見れば右手のひらに大きな穴が開いていた。
「ん゙〜、んめぇ!んめぇな゙ぁー!!」
耐え難い痛みにうずくまる女。化け物は女の血がついた自らの骨を
舐め上げ、歓喜の声を挙げる。
「ま、まずはふぐをはいでぇ、ぞれからたぁっっぶりなめでぇ、
 やわっごぐなっでがらぁ、うんめぇどごがらぐぅんだぁ!!」
言うやいなや、化け物の腕が振るわれた。
195135 ◆M8E1jrtRWk :04/06/20 09:27 ID:jxLKy9t2
鋭く尖った骨が女の着物を切り裂き、肌に赤い筋を残す。
「ひぃいっ!?」
新たに生まれた痛みと、自らの裸体を晒す羞恥。
女は短い悲鳴とともに逃げることすら忘れ体をかき抱いた。
「うまぞだぁ!うまぞだぁっ!」
化け物は喜びながら地面に手を打ち付ける。
ドンドンと土が鳴る音。と、それに呼応したかのように、
地面から無数の手が生え、女の体を拘束した。
「いやぁあっ!!」
骨だけのもの、蛆がわいたもの、どろどろに溶けたもの。
それぞれの異なるおぞましい触感に、たまらず逃げ出そうとする。
だが体のあらゆる場所に手が絡みつき、女は四肢を拘束された。
「まずはなめるがぁ」
人ひとりは飲み込めるような巨大な口から赤黒い舌が伸ばされる。
凄まじい長さと醜悪さを兼ね備えた舌。それが女の太ももに這った。
「うあっ!?」
唾液が足に付着した気持ち悪さに思わず声を上げた。
「ひ、い…きもち、わるいぃ…」
腐臭を放つ粘液を塗りこまれ、ザラザラした舌先が太ももに押し付けられた。
じゅるっ
「ひあぁあっ!?」
そのまま股、腹、胸、顔と一気に舐め上げられた。
「んめうぇ〜♪」
化け物は満足そうに目を細める。
その味をより知りたくなったのか、化け物はさらに舌を女に這わせた。
「や、いや、んぷっ!」
柔らかい胸を乳首ごと舐り、それでも余る長い舌を女の口に挿れる。
196135 ◆M8E1jrtRWk :04/06/20 09:28 ID:jxLKy9t2
「んむぅう……」
女はその舌を噛み切ろうとした。しかし、口に、いや、全身に力が入らない。
それどころか、化け物に舐められたところが熱く疼いてくる。
「おお゙、やわっごぐなっでぎだなぁ」
化け物は舌先の感覚に満足し、胸と口から舌を離す。
「んちゅ…ゲホッ!」
むせ返るような悪臭が口内から無くなり、残る唾液を吐き出す。
「ながもやわっごぐじないどな」
離した舌を今度は女の股に這わせる。
「ひ、やぁん!!」
先ほど舐め上げられたそこは、女の思っていたこととは別の感覚を返してくる。
ねとねとする粘液、膣と菊座を同時に舐め上げられ、臍の穴を舌先で弄ぶ。
「あ、や……くぅ!」
じりじりと湧き上がる不快感。決して感じるとは思わなかったそれ。
「あ、ふあ、んんん―――!!」
唾液が肌に染み込むたび、女はそれを振り払うように声を上げる。
それ。すなわち、
「ひ、は、あぁああぁぁぁ――――――!!」
――快楽。
自慰すら、ましてや絶頂すら知らぬ女は、化け物の舌で生まれてはじめての
快楽を、そして、悦びを刻み込まれた。
「あ、あぁ……」
197135 ◆M8E1jrtRWk :04/06/20 09:32 ID:jxLKy9t2
とまあ流れを読まずに投下
しかも宣言してたものではないし脇坂静なんて誰も知らない罠orz
さらに中途半端なところで(ry

漏れが書きあがるまでの繋ぎと思って見てやってください〇| ̄仗マナイ
198135 ◆M8E1jrtRWk :04/06/20 09:36 ID:jxLKy9t2
さらにスマネェ、添削前の投下しちまった
派手に外道タンに食われてくる…
199勇太:04/06/20 10:17 ID:1wN0id4C
俺は他人の作品を貶したりはしない
200名無しさん@ピンキー:04/06/20 15:11 ID:kHWSFKrz
135 ◆M8E1jrtRWk 様。

正直・・・・・チンコ立った。
201名無しさん@ピンキー:04/06/20 15:27 ID:SV+xyLWs
うほっ、いい外道
激しく萌えますた

この調子で外道タンは他の女性キャラも・・・
202名無しさん@ピンキー:04/06/23 20:57 ID:3/EMHgyk
保守(´・ω・`)
203前スレ64:04/06/25 01:04 ID:oVhNEB04
「リムルル、さあ、約束よ。行きましょう」
「・・・約束?」
「えぇ。ナコルルに会いたいんでしょう?私と来るのよ。会わせてあげる
ほらっ、ともう一度強く出された手を前に、涙をこぼしながらリムルルは
顔を見上げるばかりだ。足早に迫る夕闇の暗さの向こうで、レラの表情が曇る。
「どうしたの、リムルル。ほら、アイヌの戦士がいつまでも泣いていてはだめよ」
「教えて・・・」
「何?聞こえないわ」
「教えて・・・レラさんは・・・誰なの?何でわたしとねえさまを・・・知ってるの?」
「そ、そうだぞ。さっきからいっぽうて・・・」
俺が口を割った途端、レラがさっと手を上げた。それが合図だったらしい。
巨大な狼がひたり、ひたりと俺の方へと近づいてくる。
「スイマセン」
俺がリムルルから離れるように後ずさりすると、狼はどかっと俺が居た場所、
リムルルのすぐ横にお座りをした。だが、その眼は依然として俺から離れる
ことは無い。その後ろでは、腕組をしたレラがこちらに向かって軽蔑の
眼差しを送っていた。
「で、私が・・・何であなたとナコルルを知っているか、だったわね」
一触即発の爆薬を前に俺が硬直するのを見届けたレラは、腕組みを解き、
再びリムルルに柔らかな視線を戻しつつそう言った。リムルルは、頬に涙を
光らせたまま、迷子のような表情でレラの顔を見つめ、頷いた。
「私は、ナコルルの反面。あの娘が胸の奥に押しやっている、躊躇せず
闘いの中に身を投じ、目の前の敵をなぎ倒す闘争心。そして、思いのまま、
気の向くまま・・・そう、風のように舞う解き放たれた心・・・それが私よ」
「ねえさまの・・・心?」
「リムルル、会いたかったわ・・・!」
204前スレ64:04/06/25 01:05 ID:oVhNEB04
か細い返事を待たず、レラはリムルルに覆い被さるように抱きつき、
ほお擦りしながら、いつになく緩み切った顔で一気にまくし立てた。
「寂しかったでしょう?辛かったでしょ!可哀想に、こんな服まで着せられて!
我慢できずに自分で刺繍をしたのね。だけどそれも今日で終わりよ。
リムルル?ナコルルに私が戻るまでは、ずーっと、ずっと一緒にいてあげる。
ラタシケプでも何でも、お腹一杯になるまで作ってあげるわよ。もちろん
寝る時も一緒。私の膝枕でも、腕枕でも・・・いいえ、胸の中で寝てもいいわ。
さあ涙を拭いて。一緒に自然を守るために戦いましょう。そしてナコルルを・・・」
「ちょ・・・っと、苦しいよぉ!」
半ば押し倒されるかたちとなったリムルルは、自分より大きいレラの身体の
下で、迷惑そうにもがいている。
「あら、やりすぎちゃったかしら。ごめんね。フフ・・・あんまり嬉しかった
ものだから、つい・・・ね」
悪意があってやった訳ではなかったようだ。まだ緩みっぱなしの口元から、
小さな笑いを漏らしつつレラは立ち上がると、リムルルもそれに続いた。
いくらかの身長差と距離があって、二人は向き合ったまましばらく見つめ合った。
月と同じ色をした狼のたてがみが、潮風を受けてさらさらとなびき、かすかな
光を返している。目と目を通わす二人の間には、俺など入り込む余地は無く、
何か俺の知らない方法で気持ちのやり取りをしているようにも見えた。
「あのねっ」
少し落ち着いて、心の整理がついたらしい。先に小さな口を開き、しばしの
沈黙を破ったのは、リムルルだった。表情に、まだ少し怯えが残る。
「この前、にいさまのお家で・・・レラさんに会ったときね?どこか似てると
思ったの・・・ねえさまに、何か関係ある人だって・・・思ってた」
「レラねえさま、でいいのよ」
訂正を促され、リムルルは素直にそれに応じる。
「レラねえさま・・・それでね?さっきレラねえさま、自分はねえさまの・・・
ナコルルねえさまの心の半分だって言った。それじゃあ・・・」
205前スレ64:04/06/25 01:06 ID:oVhNEB04
さっきまではあまり人の話を聞いていないような雰囲気だったが、リムルルは
ちゃんとキーワードを掴んでいたようだ。その質問が革新へと迫る前に、
レラは首を縦に振り、それ以上の言葉を遮ぎるように言った。
「えぇ。あの娘は、ナコルルはちゃんと生きてる。心配ないわ」
簡単な答えだった。だが、それで十分だった。
「うぅ・・・う・・・う・・・ねえさま・・・レラ・・・ねえさまぁ・・・」
リムルルの肌に、乾く間もなく新たな涙の跡が描かれる。肩が苦しそうに
跳ねる。震える唇が、捜し求めていた者の名を呼び続ける。そして、
「あ・・・・・・あ・・・よかった・・・よかったよぉ―――!!!」
叫んだ。浜辺に聞こえそうなほどの大声で叫びながら、リムルルは
大きく開かれていたレラの胸に飛び込んだ。
「心配したんだよ?!心配したのぉ!」
「リムルル・・・」
「チチウシ持ったママハハだけが帰ってきてねっ、コタンのみんなが・・・
おっ、お葬式始めてっ、絶対に生きてるって、わたし、わたしぃ・・・!」
「うん、当たり前よ。リムルルを残して、死ぬわけがないわ」
泣きじゃくる背中を抱きしめるレラの指に、ぎゅうっと力がこもる。
「そう、死ぬわけがない・・・あなたを独りになんかしないわ!」
「うっ、うあぁ〜〜ん!!よかった・・・うぅっ、うう〜っ」
時を越え、辛い日々を越え、ついに掴んだ姉の消息。願いは叶いつつある。
あまりの安堵に、リムルルは涙と嗚咽を抑える事が出来ない様子だった。
本当なら俺も駆け寄って抱きしめたやりたいところだが、本物の姉妹の
絆に守られた二人の抱擁を見ているだけで、柄にも無く俺は涙を堪える
事が出来なかった。
「よかったなぁ・・・おっと、ずずっ」
自分にしか聞こえない声で言いつつ、俺はついついこみ上げる物に目頭を
押さえながら、鼻水をすすった。邪魔をするつもりは無かったが、無意識に
立ててしまった鼻の音が耳に届いてしまったらしい。リムルルはレラの胸に
突っ伏していた顔をそっと上げ、レラの背中越しにこちらを覗き込み、その腕を離れた。
そして、泣き笑いの眼を袖でぐしぐしと擦りながらこちらに向かってきて
「にいさまぁぁ〜・・・」
今度は俺の胸にぱふっと身を預けた。普段のような勢いは無く、倒れるようにして。
206前スレ64:04/06/25 01:07 ID:oVhNEB04
「いたよ・・・ねえさまいるの・・・ちゃんと生きてるのぉ!」
「良かった、ホント良かったなぁ」
「うん!うん!!わたし、にいさまが居たからここ・・・きゃ」
涙声で吉報を告げるリムルルに返事をしながら、俺は抱きしめようとした。
だがそうしようとした所で、下げた視界の中に収まっていたリムルルは
こつ然と姿を消し、顔が埋まっていたジャケットには小さな涙の後だけが
残されているだけだった。
「やっ、な、何?」
あれっと視線を上げると同時に小さな悲鳴が聞こえる。しっかりと右腕を
掴まれていたリムルルは、ヨーヨーのように再びレラの胸の中に引き戻されていた。
「リムルル、突然何のつもり?」
「やっ、痛っ!放してよ!」
ぎゅうっと握られた手首が痛いのか、リムルルはもがいたが、左手を
腰に回され身体を引き寄せられているので振りほどけない。
「だめよ。あんな男といつまでも一緒にいては!!」
目前に顔を迫らせ、レラはまるで厳しい母親のようにリムルルをたしなめた。
「何で!にいさまはダメじゃないっ!」
「すっかり毒されて・・・!リムルル、あなたは何も知らないだけ。この時代の
人間が、どんなに穢れきって・・・いいえ。腐りきっているかを、ね」
遠慮の無い言葉に痛みよりも怒りが勝ったらしく、リムルルはもがくのを止めた。
「にいさまは違うもん!にいさまの事、レラねえさまは何も知らないんだもんっ!」
必死の反論にも、レラは冷たく首を振るばかりである。
「しなび切った身体と濁った瞳を見れば、そのくらいすぐ分かるのよ。
リムルル、ちゃんと目を開いているの?」
「嘘!そんなの違う・・・っ!!」
言いながらも、レラに生じた僅かな隙を、リムルルは見逃さなかった。
その場にしゃがむようにして、抱きかかえられていたレラの左手の束縛から
抜け出すと、次いで掴まれていた右手をぴっと振り払い、立ち尽くす俺の横へと
転がりそうになりながら駆け寄った。
207前スレ64:04/06/25 01:08 ID:oVhNEB04
「リムルル・・・」
どうして良いのか分からず俺はとりあえず名前を呼んでみたが、リムルルは
答えもしなければ、レラの方を睨んだままで俺の顔をちらりとも見ようと
しない。だがその代わり、涙で少し湿った手が俺の左手を力強く包んだ。
それは、何よりも心のこもった返事だった。
「・・・・・・」
しかし同時にそれは、反発の意思表示でもある。レラは無言のまま
腰に手を当て、呆れたようにさっきよりもずっと大げさに首を振った。
「一体、その男があなたに何をして、あなたがどうしてそこまで拘るのか、
私は知らないわ。だけどね、リムルル。あなたには必要の無い男なの」
「どっ、どうして!どうしてそうやってすぐに決めつけるの?にいさまは
何も分からないままこっちに来た、わたしを守ってくれた・・・助けてくれた!
話も聞いてくれたよ?!一緒にねえさまを探しに今日だって・・・こうやって」
「その事については感謝するわ。妹を助けてくれてありがとう。そして
ご苦労様。だけど今日からはもういいわ。私が居るから」
「やだっ!変だよ!お姉さんと一緒に居ていいのに、どうしてお兄さんと
一緒に居ちゃいけないの?!」
「いい加減にしなさい!!」
白波を立て、空気を震わせる突然のレラの怒号をもろに受け、リムルルの
顔に不安が浮き上がる。
「あなたはチチウシを受け継いだ、大自然を守る誇り高きアイヌの戦士!
大自然に仇なすものたちを退け、アイヌモシリの平和を守り続けるのが
役目なのよ?!それが、こんな時代のこんな男と一緒に暮らしていたら、
心も身体も汚れてしまう!」
「や・・・ひぐっ、うっ・・・そんなこと・・・なぃ、のに・・・」
釣り目の奥で怒りの炎が渦巻くレラの瞳に焼かれたリムルルは、震えていた。
震えながらも必死に涙を堪え、聞こえるのかどうかも分からない小さな声で
抵抗を試みるも、レラの止まらぬ口撃に、たやすく押しつぶされてしまう。
208前スレ64:04/06/25 01:10 ID:oVhNEB04
「それじゃあリムルル?あなた、足に一太刀浴びていたわよね。その時この男は
どうしていたの?あなたを守ろうとした?一緒に戦った?違うんでしょ?
あなたの事を妹などと呼びながら、守る事も出来やしないじゃない!
これんぽっちもあなたの事を大事になんて思ってない証拠じゃないの!!」
「うあ・・・ぁ・・・ちが・・・うよぉ・・・にいさまは・・・うぅっ」
誤解だった。が、あまりに辛らつなレラの言葉は、悲しみと歓喜の狭間に
落ち、ショック状態となっていたリムルルの脆い心を容赦なく痛めつけた。
「力も、勇気も、知恵も無い。闘いの中で、子供一人も守れない。
男として必要なものが何一つとして無いのよ!こいつには!!」
この言葉が、止めとなった。リムルルは俺の手を握ったまま、その場に
力なく膝から落ちてしまった。伏せた顔、前髪の影に隠れた目元からは、
大粒の涙だけが滴っては、コンクリートに弾けた。
「・・・さ、わかったでしょ」
こちらに歩み寄ろうとするレラに、俺は手の平を突き出した。不思議と
怖くは無かった。というよりも、酷評の連続に吹っ切れていたと言った方が
正しかったかもしれない。
「あのさ」
口を開くと案の定、レラは歩みを止めた。その上にある釣り目は相変わらず
こちらを卑下してはいたが、俺も両の目でしっかりと見つめ返す。
「あんたの言ってることは・・・たぶん間違ってない。リムルルは、特別な
女の子だ。過去から来たって事だけじゃなく。不思議な力を持ってるし、
あんたやリムルルが背負ってるモンは俺には考えもつかないような、
でっかい宿命なんだろうよ?それに比べたら、俺の体たらくときたら・・・な。
返す言葉も無いわ、実際」
レラは、黙って聞いている。リムルルは、相変わらずだ。
209前スレ64:04/06/25 01:10 ID:oVhNEB04
「だけどさ、独りぼっちは・・・辛いし嫌じゃん。誰でも」
俺は、リムルルの小さな手を硬く握りしめた。
「だから、俺はリムルルと一緒に暮らしてたんだ・・・守ってやりたかった」
どごっ、という嫌な衝撃がみぞおちの辺りに響いて、レラの身体が
みるみるうちに小さくなる。握り締めあったばかりのリムルルの手が、
するりと俺の手の中から抜ける。視界が徐々に高くなる。地面が、海が、
遠くなる。
「・・・ぉ」
俺は、レラに思い切り蹴り上げられていた。フェンスを越え、月が輝き、
一瞬の無重力を感じた身体が、今度は当然ながら鉛色の海面に引き寄せられて・・・
『話、終わってなかったんだけどなあ』
下らない考えと、俺の言葉を無理矢理に止めたレラのもの凄い剣幕が
頭によぎったのを最後に、俺は意識を失った。

たぱぁーん。
210名無しさん@ピンキー:04/06/25 04:01 ID:HA6+s0qF
ああ、にいさまーーー!
211名無しさん@ピンキー:04/06/25 12:36 ID:7sRT5HEn
にいさまがんがれーっ!
前スレ64さんもこのままがんばれーっ!

いい萌えをいつもありがとです。
愛情表現ヘタなレラたんにも(*´д`*)ハァハァ
212名無しさん@ピンキー:04/06/25 16:13 ID:Q+XkRfie
【永遠に】にいさま追悼スレ【にいさま】
213名無しさん@ピンキー:04/06/25 22:51 ID:ucD78+x/
追憶スレというとサムワンを思い出す
214勇太:04/06/27 02:46 ID:iYYPVnqF
先が気になる。ときめくぜ。
215名無しさん@ピンキー:04/06/29 18:46 ID:IqghG0ew
SSを考えるのは大変だよなぁ・・・ガンバレ。
216前スレ64:04/07/01 22:41 ID:FYcc+Gf/
たぱぁーん。

何かが思い切り水に叩きつけられる音が後ろから響いて、リムルルは
ぎょっと顔を上げた。と同時に、汗ばむほどにぎゅっと握り締めてくれていた、
兄の大きな手の感触が消えているのにも気づく。
「・・・にいさま?」
ぐるりと周りを見回したが、顔を上げる直前まで傍らに居てくれたはずの兄は、
かくれんぼをしているわけでもないのに、どこにも姿が見えない。
目の前では、確かな手応えを感じるように、美しく持ち上げられた
右足を、ゆっくりと下げるレラの姿だけがあった。
「にいさま!?」
大きな声で、もう一度呼びかけるが、その声は波の音に吸い込まれた。
兄が消えた。レラねえさまが何かを蹴った。派手な水音が響いた。
一体何が起きたのか、にわかには信じがたい光景。冷静さを取り戻せば
取り戻すほどに、リムルルの背中に冷たいものが走った。
「う・・・そ・・・」
僅かな願いを込めたリムルルの声も空しく、レラはありったけの現実を
大声で叩きつけた。
「守る・・・ですって!?何も知らないくせに、生意気言うからよ!」
「にいさまぁぁぁぁぁ!!」
聞くなり、リムルルは音のした方へと駆け寄った。防波堤から海面までは
大人の背丈以上ある。それが、ただ飛び込んだだけならよかった。しかし、
リムルルの胸の高さぐらいまであるフェンスを越えて、厚着をしたまま、
しかも強烈な一撃を見舞われて凍える冬の海へ落ちたのだ。無事なはずが無い。
『やだっ、やだあ!!』
片手は塞がっていた。それに、あそこまで綺麗な残身を取れるほどの蹴りを
受けたのでは、受身はおろか泳ぐことも、下手をすれば呼吸も、意識も。
『死んじゃうよぉ!』
最悪の展開が頭の中を駆け巡る。リムルルは息をすることも忘れ、フェンスを
掴むと身を乗り出して防波堤の下を覗いた。
217前スレ64:04/07/01 22:41 ID:FYcc+Gf/
「にい・・・」
「それが現実よ、リムルル」
大きく見開かれたリムルルの瞳に映る現実。
それは黒く鈍い色をしていて、時々波を立て、コンクリートに砕けては輝くばかりである。
その上には、何も浮かんではいなかった。
「うやああああっ!」
我を忘れ、リムルルは泣き叫んだ。
リュックを降ろしパーカーを脱ぎ去り靴を放り、フェンスに足をかける。
「ちょっと、リムルル!!」
リムルルが飛び降りる直前で、レラは慌ててがしりと背中から羽交い絞めにし、
フェンスから引き離そうとした。だが、しっかりとフェンスを握った
リムルルの手は、溶接されたように揺るがなかった。
「放してえぇぇ!」
「バカっ、何考えてるの!」
「にいさまがっ、ああああ!!」
「何で、あの男は何なの?!」
「うああああああん!!!にいさま、にいさまぁぁぁ!!!!」
もみ合い、大声で叫びながらも、リムルルは涙に歪んだ視界を振り回し、
黒々とした海面に目を凝らした。だが皮肉にも、兄を飲み込んだ海原は
ざぶざぶと声を上げて、無駄だとあざ笑うばかりだった。
「うあっ、うあああああん!にいさまがっ!放せ!はなせぇ!」
「・・・?!」
『この子・・・気が狂って・・・違うわ。心が奪われてしまっている!!』
レラは今までに見たことの無い、泣き叫ぶ妹の姿にそう感じた。無我夢中
なのか、力まで異常に強くなっている気がする。力比べならそこら辺の
男に負ける気はしないレラだったが、手に負えない予感がした。
『このままじゃ・・・手荒な真似はしたくない・・・けど!』
今にも振り解かれそうな状態で、四の五の考えている暇は無かった。
愛する妹を救うため。レラはもう一度自分に言い聞かせると、右腕の下に
通していた腕を解き、間髪いれず、リムルルの背中のわき腹に向かって
重い掌底を放った。
218前スレ64:04/07/01 22:42 ID:FYcc+Gf/
「ひぅ」
後ろから前へと、突き抜けそうな程に強烈な一撃だった。リムルルの呼吸が
詰まる。叫び声も上げられない。脱力しかけたが、それでもリムルルはまだ
諦めきれず、気力だけになってもまだ海へと向かおうとした。
「あうっ、に、さま・・・ぐぁっ・・・あ・・・ぁ〜・・・」
しかし、それもつかの間だった。鈍痛によって腑抜けにされたリムルルは、
フェンスを握り締めて海の方を向いたまま、ずるずると座り込んでしまった。
「・・・!・・・・・・!!」
内臓が絞られて声の出ない口が、はくはくと兄の名を呼ぶ。目に映る景色は、
形を留めないほどにまで涙で歪んでいた。黒。時折、砕ける音と共に白。
その色の繰り返しだけが続く。
「あれは・・・ウェンカムイに取り付かれていたのよ」
リムルルが動けないと分かって、レラは背を向けながら聞こえよがしに
言い放つ。
「リムルル、あなた騙されてい」

ざばぁ!!!

一段と高い波の音・・・のはずが無かった。明らかに、何かが穏やかな海原を
破った音だ。反射的に、レラは音の方、会心の一蹴を見舞われ、海に
吸い込まれていった男の方を向いた。
「なっ、な!?」
風一つなかった防波堤の先に、耳を裂く氷混じりの寒風が吹き荒れる。
音の主は、そこに太古の昔からあったような風格でそびえ立つ、氷の柱だった。
荒く削り落とされた表面が、月光を幾重にも反射し増幅させ、暗闇に沈んで
いた世界を蒼く照らしている。平らな台座のようになった柱の頂には、
横たわるずぶ濡れの男の姿が浮かび上がっていた。
「うぐ・・・こん・・・る!にぃさま・・・!!」
目の前で起こった奇跡に、凍てつく吹雪さえ寄せ付けない熱い涙をリムルルは
こぼした。重くなった内臓に呻きながらも、掛け替えの無い友人と、最愛の兄の
名を呼び続ける。しわくちゃの笑みを浮かべたその顔は、あの刺繍糸と同じ、
爽やかな蒼で照らされていた。
219前スレ64:04/07/01 22:43 ID:FYcc+Gf/
「そんな・・・コンルが?!」
心打たれるほどに美しく、そしてレラにとっては異様な光景だった。
『カムイが、私利私欲のために大自然を貪り、汚し続けるこの時代の人間に
心を開いたっていうの?!』
そんなことあるはずが無い、あってはならない。レラは、台座に形を変えた
コンルがリムルルの元へとふわふわと漂い、男を傷つけぬようそっと地面に
降ろすところを目の当たりにしながらも、それでもまだ信じられなかった。
「まさか・・・コンルまで?!」
いや、それは無いと、レラは顔をしかめた。負の感触が少しも感じられないからだ。
一方、蹴り上げた男は気を失ってはいるが、息はあるらしい。おそらくは海中で
コンルが何らかの処置を施したに違いなかった。リムルルは男の首に手を回し、
寄り添うようにしてわんわんと泣き声を立てている。もちろん、悲しみの涙ではない。
「・・・・・・くっ!」
リムルルとコンルは、揃ってウェンカムイに取り付かれた男に魅せられているのだ。
『絶対にそう、そうに決まってるわ・・・なのに・・・!』
思いとは裏腹に、あの頼りない貧弱そうな男からは、邪気が微塵も感じられないのだ。
眼が濁っていると言ったのも、とっさに出た方便に過ぎなかった。
そう。男は・・・リムルルが兄と呼ぶあの男は、ただの若造なのだ。
『リムルル!あなたに必要なのは私じゃ・・・ナコルルじゃないの!?
どうして、どうしてその男なの?!』
仲睦まじい二人の姿を見れば見るほどに、疑念と嫉妬が心を覆い尽くしてゆく。
『あんなにナコルルに会いたがっていたじゃない!!私が誰か分かった途端、
抱きついて嬉しい、うれしいって・・・私だって、ずっと会いたかったのよ?!』
固く握った拳が震える。悔しさに、歯がぎりぎりと鳴りそうだった。
間違いはないかと、もう一度だけしっかりと「現実」に眼を凝らす。
リムルルは、男の上着を脱がせ、リュックから取り出したタオルで身体を
拭いているところだった。そんな二人の風景がレラには、少しずつだが
遠ざかっていくように見えて仕方なかった。
「すぅ・・・・・・」
目を閉じ、ため息にも似た深呼吸をする。闘いに臨む前の、いつものやり方で。
再び目を開いたときには、レラの心を飛び交っていたあらゆる雑念は消滅していた。
220前スレ64:04/07/01 22:44 ID:FYcc+Gf/
「・・・」
レラはそのまま無言で、思念と気配全てを消し去った身体を携え、凍てつく風の
隙間を縫うように二人の方へと一歩詰めた。が、不意に行く手を阻まれる。
「シクルゥ・・・」
自分の後ろで、事の成り行きをずっと見守っていた相棒が、レラの顔を
食い入るように見つめたまま、のしのしと目の前を横切った。
「なあに?どうしたの?」
レラは、いつものように優しく声をかけた。それでも狼には、全てがお見通しだった。
ひやりと塗れたシクルゥの鼻先が、レラの右手を優しく突く。その手、腰の方へと
後ろ手に回された手の平の中には、チチウシの柄がしっかりと握られていた。
「シクルゥ?」
「・・・・・・」
お互いの視線が交錯する。
何をしようとしているのか、わかっているのか。
獣の眼が物語った。
「・・・わかった。帰るわ」
レラはチチウシから手を離しシクルゥの顎の下を軽くくすぐると、相棒の背中に
飛び乗り、二度と振り返ることは無かった。
ただ、その顔には落胆とも怒りともつかない、明らかな動揺が見てとれた。

シクルゥの背に揺られ、レラは今夜もまた、見知らぬ雑木林へとたどり着いた。
海辺からの道中、人には誰にも見つかっていない。人ごみを抜けようと、
自動車が疾走する道路を横切ろうと、その姿を常人に悟られる事など無い。
時折、勘の鋭い人間が、頬を撫ぜるカムイコタンの風に、はっと何も無い後ろを
振り返ったり、猫や犬がシクルゥに怖気づいて、逃げたりむやみに吠えたりする程度だ。
レラは、風そのものだった。
221前スレ64:04/07/01 22:45 ID:FYcc+Gf/
「・・・・・・」
無言のまま、レラはシクルゥの背中から、落ち葉に覆われた地面に降りた。
寝床を探すのだ。植林された人工の林は木々の間隔も広く、身体を寄せる
にも幹が細い。それに加え、落ち葉の上にはどこもかしこも
「ここにも、ごみが・・・」
現代の日本、世界全体の大自然がどうなっているのかを、レラはナコルルの
中で眠りつつも、大概を肌で感じ、知識として備えていた。それでも、
肉体を得て、実態に触れる事によるショックは計り知れなかった。
やり場の無い怒りを空き缶にぶつける。かぁん、という乾いた音。
空中で頼りなく放物線を描く赤い缶に、あの男の姿が重なった。
やり切れない気持ちに拍車がかかってしまう。
「シクルゥ・・・おいで」
レラはシクルゥを小さく手招きし、手近の木の根元、地面にせり出した
根の間の落ち葉が溜まった部分に一緒に寝そべった。枯葉と土の甘い匂いと、
身体を優しく包みざわざわと耳元で心地良い音を立てる天然の布団に、
とげを剥き出しにしていた気持ちが落ち着いていくようだった。
「リムルル・・・」
仰向けになって、レラは妹の名を空に向かって呟いた。既に葉が落ち、
枝に隠される事の無い星空に、その声は上っていった。
「シクルゥ。私は、戦うためにこうやって肉体をもう一度得た。そうよね?
だって、ナコルルが死んだら、私も死ぬんだもの。なのに・・・」
心の中では、リムルルの事ばかりを考えていた。時は流れ、もう逢えないと
思っていた可愛い妹との再会は、奇跡としか言い様が無かった。
「戦う事よりも、あの子に会うことばかり考えてしまっているわ・・・。
死んだら、今度こそカムイモシリに逝くまで逢えないのに。それなのに、
この一瞬、今だけでも・・・そばに居たい・・・何でかしら。ねぇ、シクルゥ」
ふん、と鼻息を鳴らしてあくびをするだけで、シクルゥは何も答えない。
名前は呼ばれていても、レラの独り言の延長だと分かっているのだった。
レラは、ごろりと仰向けになった。空は人工の光とガスが混じりあい、
夜だというのにぼんやりと赤い。星の光は僅かにしか届かなかった。
222前スレ64:04/07/01 22:46 ID:FYcc+Gf/
「リムルル・・・何て幸せそうな顔だったかしら」
自分の正体と、ナコルルの無事を知った時のリムルルの表情が浮かぶ。
だが、記憶はそこに止まることは無く、自然と次の風景へと切り替わってゆく。
男とリムルルが幸せを分かち合う風景へと。
「また!また思い出して・・・!!」
レラは頭を振った。これで一体何度目だろう。海辺からここへ来る間にも、
その事ばかりが頭の中を占めていた。自分の知らない男。自分の知らないリムルル。
仲睦まじい、二人。レラは枯葉に爪を立て、土もろとも握り締めた。
『この瞬間にだって・・・リムルルは私の隣に居るはずだったのに。
これまでの、そしてこれから先の話をして、抱き合って眠って・・・』
リムルルがどうしても必要だった。欲しかった。苦しめられている
自然を守り、一緒に戦うため。ゆくゆくはナコルルを救うため。
「違う!」
もっともらしい理由をそこまで考えて、レラは自分に一喝した。
「違う・・・違うわ。リムルルには戦って欲しいんじゃない・・・違う!」
心の中に生じた真っ赤な嘘を、レラは声に出して否定する。
「ナコルルを救うために、リムルルは戦えといえばきっと戦うわ。けれど
それは私の望みじゃない。あの子には血を流して欲しいんじゃない・・・!
リムルルには幸せになって欲しいだけ!アイヌの戦士とかそんなの、
あの子には必要ない・・・。私だけで・・・いい」
本心を掴んだに見えたレラだったが、今度は大いなる矛盾にぶち当たる。
「なら戦うために生まれた私は、どうしてあの子を求めているの?
戦いに赴くだけの人間が、一番戦って欲しくない人間を連れて・・・
おかしいじゃない!」
つじつまの合わない自問自答の結論はすぐに出た。
「独りで・・・いいじゃない」

ひとりで。

「うぅ・・・・・・!」
導き出された救いの無い答えに、レラは泥だらけの手で頭を押さえて、
うずくまってしまった。もう、限界だった。
223前スレ64:04/07/01 22:47 ID:FYcc+Gf/
「独りぼっちが辛いですって・・・?だから一緒に居たですって・・・?!
そんなの・・・私だって!独りは昨日で終わりだと思っていたのに!」
あまりに愚直で、馬鹿みたいに当たり前だった男の言葉。それこそが、
レラの求める全てだった。
「リムルル、ごめんなさい。私はあなたが欲しかっただけ・・・だった」
レラは一段と体を丸めて、弱々しく呟いた。
あの時、どうしてこうやって素直に気持ちを認めることが出来なかったのか。
なぜ、リムルルのそばにいるあの平凡極まりない男が、あれ程に憎らしかったのか。
確かめる必要があった。
だけど今のレラには動く事が出来なかったし、とっくに答えは出ているような気がした。
何か、大事なものが心の中で消えてしまったような。
大切にしておいたものが砂になってしまって、必死にすくおうとしても、
もう一度形作ろうとしても、指の間からさらさらと流れ落ちていくだけのような。

そしてそれはもう、どんなに追っても、願っても戻ってくる事はないような。

「リムルルぅ〜〜・・・うっ、うあぁ・・・リムっ・・・リムルル・・・ううう!」
その夜、林の近くでは、心に染みる悲しげな風の音が一晩中絶えなかったという。
224グッジョブ:04/07/02 00:34 ID:iKpHs/A/
みんな、幸せでいたいんですよねぇ・・・。
リムルル、レラはどうすれば幸せなのか、悲しいねぇ。
225名無しさん@ピンキー:04/07/02 02:00 ID:GTu1CWPj
リムルル、レラ、にいさまでドタバタ三角関係でお願い、とか言ってみるw

みんなで幸せになろうよ〜
226名無しさん@ピンキー:04/07/02 05:48 ID:f6qsrNFZ
最初の頃の比べると段違いに上手くなって来てるね、64氏。
過疎っても応援してます。
頑張ってー。
227名無しさん@ピンキー:04/07/02 08:11 ID:yXAcP6bj
朝からレラで泣いた……・゚・(ノД`)・゚・
レラも幸せにしてやってくれ。
頼む、幸せにしてやってくれ……!
228勇太:04/07/02 14:59 ID:acNxp6pZ
まさに文字通り「風が変わった」ってな話だった。ときめくぜ。
229名無しさん@ピンキー:04/07/06 00:41 ID:TUVap0ZU
静かですね。どうやら今日はリムルルの誕生日ですね。ケーキにろうそくがえーと(ry
230元204:04/07/06 23:25 ID:VgdIv/7c
ふぅ、こんばんは。
晴れて2スレ目(大分前の話ですが…)ですね。
「お久しぶり」で通る方だけではなさげなので、
念の為…前スレにて住人様方お世話して頂いたしがない物書きでございます。
以後御見知り置きをば…。
ふと気付けば本日はリムルルの誕生日でしたか。
ともあれ、リムルル、おめでとう〜。この先もリム萌えが終えぬ事を〜。
さて、そろそろ本格的な突っ込み頂いてそうなんで、本題の方へ…。
ぶっちゃけ、只今、泥沼の真っ只中に居る
と言っても過言ではない苦しい状態です。
書けども書けども納得行く物に仕上がらず、
書くたびに苦汁を舐める思いでございます。
激励頂いた皆様には会わせる顔が一つたりともございません。
愚痴や弱音を吐きに来たつもりではないのですが、
まだ投下は先に見送り、になりかねません。
誠に申し訳ない。
231元204:04/07/06 23:45 ID:VgdIv/7c
ふぅ、こんばんは。
晴れて二スレ目ですね(大分前の話ですが…)
「お久しぶり」で通る方ばかりではないかもなんで、僭越ながら、念の為自己紹介を…。
私、前スレにて住人様方にお世話して頂いた物書きでござします。
…ふと気付けば本日はリムルルの誕生日でしたか。
ともあれ、リムルル、おめでとう〜。これからもリム萌えが終えぬ事を〜。
さて、そろそろ本格的な突っ込み頂いてそうなんで、本題の方へ…。
えと、ぶっちゃけ、只今泥沼の真っ只中に居ると言っても過言ではありません。
書けども書けども納得行く物に仕上がらず、
書くたびに苦汁を舐める思いございます。
激励頂いた皆様には会わせる顔が一つたりともございません。
愚痴や弱音を吐きに来たのではないのですが、
上の事情で、お話の投下は先送りになりかねない状態です。
誠に申し訳ない。
232元204:04/07/07 00:00 ID:5NMyzOYt
ふぅ、こんばんは。
晴れて二スレ目ですね(大分前の話ですが…)
ふと気付けば本日はリムルルの誕生日でしたか。
ともあれ、リムルル、おめでとう〜。これからもリム萌えが終えぬ事を〜。
さて、そろそろ本格的な突っ込み頂いてそうなんで、本題の方へ…。
えと、ぶっちゃけ、只今泥沼の真っ只中に居ると言っても過言ではありません。
書けども書けども納得行く物に仕上がらず、
書くたびに苦汁を舐める思いございます。
激励頂いた皆様には会わせる顔が一つたりともございません。
愚痴や弱音を吐きに来たのではないのですが、
上の事情で、お話の投下は先送りになりかねない状態です。
折角めでたい日に湿った話で誠に申し訳ない。
233名無しさん@ピンキー:04/07/07 00:00 ID:6OUs7Gsv
投げてないと教えていただけただけでも果報です!
待ちますともいつまでも…
234勇太:04/07/07 02:16 ID:rgFznHV6
何の真似だ・・・?
235元204:04/07/07 05:34 ID:5NMyzOYt
うぉう。しまった…。
重ね重ね失礼してます。
236名無しさん@ピンキー:04/07/10 22:07 ID:RBqhMRC+
まああれだ。
勇太、書け
237前スレ64:04/07/11 02:12 ID:joralhf0
「あぁ・・・にいさま、起きて」
部屋に戻るなり、リムルルは横たわる大きな兄の身体を揺すった。
浜辺から家までは約10キロだ。その距離を、リムルルは自転車を引き、
兄をコンルに運んでもらって、持ち前の脚を生かし超特急で帰ってきた。
道を行く通行人たちを猛スピードで追い抜くたびに、「はやッ」とか何とか
言われたような気がする。
「うぅ・・・ダメだ・・・起きないや」
起きる気配一つ見せず、兄はリムルルの手の動きに合わせて身体を揺さぶられる
がまま、ぐにゃぐにゃと左右に動かすばかりだ。
その様子を見て、心配ない。ちょっと気絶してるだけだよと、優しいアドバイスを
くれるコンルにリムルルもそうだよねと頷いたが、目の前をふと横切った心優しい
相棒の変わり果てた姿に眼を見張った。
「ちょ・・・コンル!大変、小さく?!」
コンルは、手のひらに収まってしまうぐらい小さくなって、水滴をぽたぽたと
畳に滴らせていた。帰り道に聞いた話では、兄の身の危険を察知して、
一瞬で海中に発現したのだという。その上、海から家まで大人一人の搬送だ。
如何に一人前のカムイとはいえ、さぞ重かったに違いない。
「コンルぅ・・・だいじょぶ?」
相当に力を消耗したらしく、気丈にきらきらと輝いてリムルルの声に
返事をする姿がなお痛ましい。
「これ・・・氷できたらどんどん食べて、早く元気出して!」
台所で適当に調達したボールやら食器に水を張り、リムルルは冷凍庫の
スペースが許す限り並べた。氷が出来上がるのにはしばらく時間はかかると
思うが、これだけ食べれば少しは元気になるだろう。
「それじゃ、休んでてね・・・おやすみね、コンル。今日はありがとう・・・
コンルが居なかったら、わたし・・・」
こうやって兄の命をつなぎ止めて家に戻ってこれたのも、パニックに陥った
リムルルに適切な指示を与え導いてくれたのもコンルのお陰だったが、
「う、うん。そだ。わかった。おやすみ!」
ほら、思い出している暇なんて無いよ。早くお兄さんの面倒をみなきゃ・・・
コンルはいつでも冷静だ。言われて、リムルルはぱたんと冷凍庫を閉めた。
238前スレ64:04/07/11 02:12 ID:joralhf0
「とにかく、あっためなきゃ!」
部屋の方を振り返ったリムルルが、所狭しと飛び回る。
洗面所からは大きなタオルを3枚。ポットからお湯。ヒーターをオン。
一気に手際よく揃えたリムルルは、早速、兄の身体を包んでいたびしょ濡れの
衣服を脱がせる事にした。
「よいしょ・・・重いぃ」
脱力しきった兄の身体は、石のように重く、冷たかった。ジャケットを
脱がすだけで、汗をかきそうだった。その下には、さらにトレーナー。
襟元を引っ張って中を覗けば、もう2枚も着込んでいる。
「んもー!にいさまの寒がり!!」
口では不平を垂らしてはいたが、本当は心配で仕方なかった。今は意識が
無いだけだから良い。これがもし、一歩でも手当てが遅れたせいで衰弱して、
悪い流行病にでもかかってしまったら一大事だ。実際、そういう人々を
リムルルは過去の世界で幾度か目撃していた。手厚い看病を重ねても、
助かる人、助からない人。病気に詳しいコタンのおばさんは、ほんの僅かな
処置の差が、大きく人命を左右するのだと言っていた。
「にいさま、しっかりね!しっかりだよ?」
聞こえるはずも無い兄への応援で、自分の心も一緒に奮い立たせる。
なるべくなら話しかけ続けろ。確かこれも、人命救助の方法の一つとして
おばさんが教えてくれたような気がした。言われてみれば、もしかしたら
こちらが発した何かの言葉に反応して、急に意識が戻るかもしれない。
「にいさま、今日は・・・楽しかった?」
とりあえずリムルルは、今日の思い出を話しかけることにした。
これなら話す内容に事欠くことは無いし、二人が共有するものだけに
意識を取り戻す「きっかけ」が多いと思うのだ。
「わたしはねぇ・・・楽しくて、嬉しくて、だけど怖くてちょっと悲しくてね、
それにびっくりした!こんなにいっぱいの気持ち、一日で感じちゃったんだね。
明日は一日中、ずぅーっと寝てよっかな!」
あははと笑ったが、一緒に笑ってくれる人はいない。リムルルはついむっとして、
「もう、にいさまだってびっくりしたでしょ?おにぎりしょっぱかったし、
海鳥に囲まれちゃったり。それに・・・急に蹴られたりして」
出だしこそ元気だったが、急に気が重くなってトレーナーを脱がせる手が止まる。
239前スレ64:04/07/11 02:13 ID:joralhf0
闇に紛れるように染められた服を着た、もう一人の姉の顔が思い出されて、
声のトーンが少しだけ下がった。しかし、今日の出来事はそれ無くしては語れなかった。
「ごめんね、にいさま。辛い事ばっかり・・・わたしのために」
万歳をしたままの兄のトレーナーを捲りながら、リムルルは再び口を開いた。
「レラねえさまは酷いよ、あんなににいさまの悪口ばっかり言うんだもん」
レラ。姉であるナコルルの心から発現した、曰く戦いを司るという半身の存在。
にわかには信じがたい話だったが、リムルルには心当たりが幾つもあった。
ある春の日、一緒に夕食を囲んでいたナコルルが急に立ち上がり、チチウシを
携えて森の奥へと消えてしまった事があった。すぐに近隣の人々が寄せ集められ、
森の中での大捜索が始まったのである。
「ねえさまあの時、お話の途中で急にご飯がまだ入ったままの食器落としてね、
わたしもおじいちゃんもおばあちゃんも、すごくびっくりしてね・・・」
一晩中の捜索の結果、朝日が蘇る頃になってやっと、ナコルルは森の奥深くで
倒れているのを発見された。その目の前では巨大な熊が、チチウシに深々と
その身を突き刺され絶命していたのだという。
闘いはただ一刀で決していた、と。そういう事らしかった。
「わたしがねえさまを直接見つけたわけじゃなかったんだけど、
コタンに引きずられてきた熊、見たこと無いぐらいの大熊でね、
近くのコタンを襲ってた、人喰い熊だったみたいなの。でも・・・」
家に帰って来た姉に話を聞けば、何も覚えていないと呟くばかりで、
うな垂れた首を横に振ってはただ震えていた。そんな事が、何度か。
「闘ったり、殺したり・・・そういうの、ねえさまは何より嫌ってた。わたしも
嫌いだよ?だから、レラねえさまが出てきて闘ってたんだと思うの。たしか昔、
わたしもどこかで直接会ったような気がするんだけどなぁ」
姉を探して遠くまで旅に出たときだったか、それともコタンの近くでか。
確かに顔を会わせた気がするのだが、その思い出にはどうしても触れることが
出来なくて、頭の中を探るリムルルの手は、すかすかと空を切るばかりだった。
240前スレ64:04/07/11 02:13 ID:joralhf0
「けど、これで」
兄が着込んだシャツの裾をジーンズから引っ張り出しながら、リムルルはこれ以上
考えても仕方ない思い出から、意外なほどあっさり気持ちを切り替えた。なぜなら、
「ねえさまがちゃんとこっちにいるって事、はっきりしたんだよ?良かったぁ。
ホントに、ホントにありがとうね、にいさま」
姉の所在を突き止めるまであと一歩。目標の達成が近づき、当然心は踊る。
しかし今はそれよりも何もまず、ここに至るまでずっと自分を支えてくれた
兄への感謝の方が、リムルルの心の中では大きく勝っていた。
「にいさまは優しくって、おかしくて。コタンの人たちよりずっとわたしの事と
ねえさまの事を心配してくれて・・・わたし、頼りっぱなしだった」
リムルルは正直な気持ちをそのまま言葉にしながら、また一枚、湿った兄の服を脱がす。
この作業にもだいぶ慣れて、さっきよりもスムーズに袖を抜かせられた。
「今日だってあんなに悪口言われたのに、にいさまは怒らなかった。
それで、ちゃんと自分の気持ちをレラねえさまに伝えられたんだもん。
レラねえさまが先に手を出したちゃったのは絶対、にいさまの言葉が強くて
叶わなかったからだよ。とうさまもねえさまもそうだけど、わたし、本当に強くて
立派な人は、暴力を振るう人じゃないと思う。言葉を交わして、相手と気持ちを
通じ合わせる事の出来る人だって思うんだ。だからわたし、にいさまがお兄さんで
嬉しい・・・ううん、誇りに思っちゃうな」
リムルルは少しだけ笑っていたが、内心自分が自分じゃないような心地がしていた。
どうして今日は、いつにも増してこんなに兄が格好良く、立派に映るのだろうか。
それに、こんな大事な自分の気持ちを、伝えたい思いを、起きている兄の目の前で
言わないのも変だった。伝わらないときに限って、どうして。起きるまで待てば
良いだけなのに。そこまで分かっていても、気持ちが溢れて言葉は止まらないし、
せっかちなだけかもしれないが、今じゃなくちゃいけないのだと感じていた。
241前スレ64:04/07/11 02:14 ID:joralhf0
「わたし、全部聞いてたんだよ?にいさまの顔は見てなかったけど、あの時の言葉。
あの時の・・・守ってやりたかった、って・・・言ってくれたの、ちゃんと」

守ってやりたかった。

そうだ、とここでリムルルは理解した。この一言を海辺で聞いてからというもの、
自分は変わってしまったらしいのだ。今もその言葉を思い出して噛み締めるほどに、
心が幸せの水で一杯になって溺れそうになって、深い水の中で、苦しいぐらいに
気持ちが水圧にぐぐっと押しつぶされて、切なくなる。なのにその切なさが、
この上ない安心と愛しさをリムルルにくれるのだ。
あの時、海辺で兄にそう言われた瞬間も今と一緒だった。動くことも出来ず、
胸が高鳴って、大きな手を掴んでいるのが精一杯になって、いつものように
抱きつくことはおろか、顔も見ることが出来なかった。幸せで人が死ぬのなら
こんな時なのかもしれない、と柄でもない事まで頭に浮かんだ。
とにかく、他の誰のどんな言葉よりも胸に響く、特別な贈り物だったのだ。
「だからっ、ね?ホントに嬉しくて・・・あの時は無理だったけど、わたしも
言いたくて。だから、今、ちゃんと言うよ」
ランニングシャツとズボンを脱がす作業を中断したまま、リムルルは
兄の横ですっとかしこまった正座をした。
守ってやりたかった。
もう一度胸の中で繰り返す。その言葉に、兄の言葉に嘘は無い。そう信じて、
リムルルは兄の手を取った。今は冷たく凍えたままの、大きな手を。
「にいさまが守ってくれるなら、わたしは・・・」
リムルルの瞳の中で、兄の顔が静かに揺れる。死の危険を冒してまで、自分を守って
くれようとした兄。見つめたままの決意は固く、揺るがなかった。
言葉にして、今こそ気持ちに応えなくては。
言った。はっきりと聞こえる声で。
「わたしはにいさまに守ってほしい。ずっと、ずっと」
ありったけの大好きと、心を締め付ける切なさと、リムルルの本当の気持ちが
部屋の空気を満たして、すぐに壁へと消えた。
「・・・・・・」
しばしの沈黙があって、リムルルは兄の手をそっと戻した。
242前スレ64:04/07/11 02:15 ID:joralhf0
「はあああ〜・・・」
途端、さっきまでの興奮と切なさが嘘のように消えて、リムルルはへたんと正座を崩し、
いわゆる女の子座りになった。ため息が出た。まるで大きな儀式の手伝いが終わった
後のようだった。なのに、充実感がちっとも無い。逆立ちをしてもそんなものは
出てきそうになかった。
「何してるのかなぁ、わ・た・し!んもー!」
自分の髪を、リムルルは両手でうがぁーっと掻きむしった。
分かっていたはずだが、兄は、うんともすんとも言わなかった。
そうなることは知っていたが、部屋には沈黙だけが残った。
当然ながら、リムルルの想いなんぞは誰も受け止めてはくれなかった。
「そんな言葉に意味なんてないよ・・・わたしのばか」
あんなに切羽詰った状況でも、しっかりと自分の気持ちを口にした兄と比べて、
自分のしている事といったら意気地なしもいいところだと思った。
かっこ悪いやら悔しいやらで、頭を抱えたままリムルルはごろごろと部屋を転がった。
「立派なお兄さんの妹がこんなじゃダメだよね・・・ごめんなさい。
にいさまが起きたらわたし・・・もっかい言うから。今度こそ、ちゃんと」
次こそは想いを受け止めてもらいたくて、リムルルは逆さまになった兄の寝顔に
そんな約束を取り付けた。
ただ、冷静さを取り戻した頭で考えるに、本当にそんな事が自分に出来るのだろうか?
と一瞬だけリムルルは疑問に思った。眠った相手にさえ、あそこまでの決意が
必要だったのに。今度こそ、間違いなく兄に自分をさらけ出す事になるのに。
だがそれよりも、今は兄のランニングシャツを脱がせる事に尽力すべきだった。
疑問はそれ以上追求される事無く、ぐしょぐしょのランニングシャツと一緒に
洗い物のカゴの中へと放り込まれて、しばらく思い出されることは無かった。
243前スレ64:04/07/11 02:17 ID:joralhf0
「さて・・・次は、下だね」
リムルルはベルトを丁寧に外し、少しどぎまぎしながらジッパーを下げた。
ところでこのジーンズというのは、特に兄のジーンズは厚手の布で出来ているから、
それだけでも大変に重い。しかも綿で出来ているものだから、水をありったけ
吸い込んだら放さないし、酷く脚にまとわりついて引っ張っても抜けづらい。
意外な強敵が最後に待ち構えていて、何とか兄をパンツ一丁の状態に
ひん剥いた頃には、リムルルはすっかり疲れてしまっていた。だが、
「ふー、はー・・・にいさま、すぐにあったかくするからね、待ってて」
荒げた息を整わせるのも煩わしい。リムルルは再び兄の顔に声をかけ、
柔らかなタオルを取ると、今度は海水で湿った身体を拭い始める。
まるで大きな赤ん坊の身体を拭いているようだった。
「よし・・・これでいいよね」
頭のてっぺんからつま先まで全身を拭き終わる頃、やっとヒーターが効き始めた。
あとは布団を敷いて適当に寝巻きを着せればよいのだが、その前に一つだけ
するべきことがあった。リムルルの目線が、その一点に集中する。
「おぱんつ・・・」
見慣れたチェック柄のトランクス。そこだけがまだびしょ濡れのままだった。
これを取っ払わない事には、布団に寝かせる事は出来ない。おねしょのように、
布団にお尻のマークができてしまうのは明白だが、
「けど、これ脱いだら・・・にいさますっぽんぽんだ」
ごく当たり前のことを、リムルルはふと口走った。顔がどかんと熱くなる。
「ちっ、違う!・・・えーと、ひじょーじたいだよ!脱がなきゃ寝られないし!」
恥ずかしがっている自分が、馬鹿みたいだった。
『に・・・にいさまの裸なんて、いつも見てるでしょ!お風呂でだって、
朝の洗面所でだって!時々おぱんつ一丁でお部屋ウロウロしてるし!
そっ、それにお・・・お、ぉ・・・にいさまのおち、おちんちんも・・・ときどき・・・
その、ちらっとだけど。タオル越しとか・・・その、お着替えの時・・・とか。
おぱんついっちょで座ってると、隙間から・・・あの・・・たまたま・・・が・・・』
244前スレ64:04/07/11 02:18 ID:joralhf0
部屋の温度が、リムルルの真っ赤な顔のおかげで一度は上がっただろう。
思い出せば思い出すほど、リムルルは溶けるように兄の横で小さくなった。
最近になってやたら兄の「それ」が気になって、何かといえばそこに目を
やってしまう自分を恥じている気持ちが半分。残りは、逆らえない好奇心だ。
「む・・・むむむ・・・」
いつまでも兄をこんな状態にしておくわけにはいかない。さっきより
顔色が悪くなっているような気がしなくもない・・・が、そう見えるように、
自分で勝手に思い込んでいるだけの気もしなくもない・・・ぐるぐるぐる。
「べーっつに、なーんにも!恥ずかしくなんかないもん!!」
思考も眼もぐるぐるさせ、耳から蒸気が出そうな勢いで、リムルルはついに迷いを
頭から叩き出した。ただ、それは誰がどう見ても「恥ずかしくないよ!」と自らに
言い聞かせているようにしか見えなかっただろう。
「すーはーすーはー・・・よっ、よぉ〜し・・・」
満足するまで深呼吸して、正座のまま、リムルルはがしりとパンツのゴムに両手をかけた。
どきどきどき。
異常なぐらい胸が高鳴り、頭の上から湯気が出そうになっているのが自分でも分かる。
深呼吸はこれんぽっちも役に立っていなかった。
「う・・・ぅ〜」
またもや停止したリムルルの頭の中で、緊急会議が始まる。
修羅『リムルル!どうしたの!にいさまが苦しんでるんだから!』
羅刹『起きたらどうすんの!そしたらきっと恥ずかしがるよ!ほら急ぐ!!』
2つの意見のうち後の方がひらめくや否や、会議は即座に閉会した。
両手にちょっとだけ力を入れて、下げる。
すると、トランクスはリムルルの予想をはるかに上回る勢いで、意外なほどすんなり
膝まで落ちてしまった。
「・・・ぃ!」
覚悟ままならぬままに、目に飛び込んできたそれ。生まれて初めてじっくりと
見ることになる異性の部分に、興奮しきりのリムルルはぐわーんと頭が痺れ、
鼻血が出そうだった。うぅ、と鼻をつまみながら唸って天井を仰ぎ、
一旦落ち着いてから、もう一度視線を落とす。
245前スレ64:04/07/11 02:18 ID:joralhf0
「ほぇー・・・」
半開きの口から、感心とも驚きとも取れる声を出しながら、リムルルは
とろんとした瞳を輝かせた。
これが、男の人の。
自然と顔が近づいていく。
「おちんちんて・・・あ、こうやってくっついてるんだ・・・うわっ、うわぁ・・・」
股の間からぶら下がっているというのは知っていたが、じっくり観察して
みるとあらためてよく分かる。根元には、
「もじゃもじゃしてる・・・」
自分も姉も足元に及ばないほどの陰毛が茂り、絡み合っていた。
ここまでくれば、流石に動揺は無い。吹っ切れた勢いでリムルルはトランクスを
すぱっと全部脱がし、ついに真っ裸になった兄を前に、あらためて新しいタオルを握った。
「拭かなきゃ・・・ね。にいさまのここ、ちゃんときれいに拭いてあげますからね」
保護者気取りのセリフを口走りながら、まず遠慮がちにおへその下から周辺を拭いた。
しかしこれは無意識のうちにやっている悪あがきと変わらず、大して拭くべき
面積が無いのも相まって、すぐにリムルルの手は兄の一物へと到達してしまった。
「・・・ごくり」
緊張と好奇心に、喉が鳴った。リムルルはゆっくり左手を伸ばし、まるで何か危険な罠を
解除するような手つきで、いわゆる「おちんちん」の部分の先っぽをそっとつまんだ。
「わ、ぷにょぷにょだ・・・へぇ〜」
冷え切り縮みきったそれは、見た目通りの頼りない手ごたえだった。脂肪とも筋肉とも
つかないおかしな感触に緊張がほぐれ、リムルルの顔に悪戯っぽい笑みが浮かぶ。
とりあえずつまんだまま、もう片方の手でタオルを被せ、握るようにして拭いてみる。
「こんななんだ、おちんちんって・・・ふふ、柔らかくって、なんだか面白いな。
それに変な形だなぁ・・・」
いつもは大人っぽくしている兄の寝顔を見ながら、こんなちっちゃなものを
お風呂ではあんなに熱心に隠しているかと思うと、リムルルは余計おかしくなった。
手の中で大事そうに握ったそれが、本当の機能を発揮している場面に出くわした事の無い、
無垢な少女ならではの感想だった。
「おっとと・・・起きたら大変だもんね」
一物全体をくまなく拭き終わる頃には、手にはいつしか力がこもってしまっていた。
リムルルは慌てて兄のそれを手離し、タオルを取り払った。
246前スレ64:04/07/11 02:19 ID:joralhf0
「これでよー・・・し・・・?!」
次は、おちんちんの下にぶら下がっている袋を拭かなきゃな、と思っていた
リムルルは眼を疑った。つまんでいた左手も離した。頭を振って、もう一度
よくよく見た。が。
「にいさまの・・・おっきくなってる?」
ほんの一回りだったが、どう見ても大きくなっている。先っぽが膨らんで、
全体が長くなっている。タオルを被せていたから手応えも大きさもごまかされて、
ちっとも気づかなかったのだ。
「・・・?」
獲物を狙う猫のように、息で陰毛が揺れてしまいそうな距離でじーっくり見ると、
ぴくっ、ぴくと、兄のそれはかすかに律動していた。
まさかと思って顔を見ても、兄の顔には何の変化も無い。無意識を保っている。
「なんでだろ?」
もう一度、指でちょんちょんと先端をつつく。するとまたぴくりと動いて、
むくっと少しだけ膨れた。
「わっ、わぁ〜・・・変なのぉ」
原因不明の男性器の変化に、思春期の少女は興味津々だった。
男の人は、誰でもこうなのか。いじくると大きくなってしまうのは、もしかして
自分の兄だけに限った、いや、この時代の男の人だけに限った事なのかもしれない。
あまりに乏しいリムルルの性の知識では、男の生理現象さえ謎が謎を呼んでしまう。
「ぴくぴく・・・してる」
変わらず小さな動きを続ける兄の一物をひょいともう一度指でつまんで、
今度は裏がどうなっているのかを観察しながら、リムルルは男性器に関して
知っている事を、沸騰しっぱなしの頭の中でとにかく列挙した。
ひとつ、おしっこをするときに使う。これは男も女も変わらない。
ひとつ、むやみに見せたら恥ずかしいし変だ。これも当たり前だし、第一そんな事を
すればコタンから追放されてしまうだろう。
ひとつ、大人と子供で大きさと形が違う。身体が大きくなれば、おちんちんもきっと
そうに違いない。顔も変わるのだから、形も変わるのかもしれない。
247前スレ64:04/07/11 02:20 ID:joralhf0
そして何より、男を男たらしめる大事な部分であり、一番の急所である事。
これがあるから、男なのだ。しかしそれがどうして必要で、何のために付いて
いるのかを、やっぱりリムルルはよく知らなかったし、男との接点に乏しい
これまでの生活の中で、あまり気にした事も無かった。
「そういえば・・・」
あともう一つ、男性器の話題で忘れられないことがリムルルにはある。
今でもひやっとする思い出。男に襲われたときの護身術として最高の方法だと、
かつてナコルルの父から直々に「金的」を教わったときの事だ。
自分ではかなり手加減したつもりで放った蹴りを食らった、あの時の父の
痛がりようといったら。
「そっと拭かなきゃ・・・」
リムルルは、陰茎を拭いたときとは比べ物にならないぐらい優しい手つきで、
玉が入っているという袋に下から手を差し伸べ、お手玉のようにして感触を調べた。
「あ・・・ホントだ。2つ入ってるんだぁ」
ぶよぶよとした皮と何かに守られるようにして、話の通り2つの玉が――これまた
何の目的で入っているのかをリムルルは知らない――が入っているのを確かめ、
リムルルは「そっと、そっと」と心の中で念じながら、丁寧にタオルを沿わせた。
しわしわの袋をいじるたび、その上で兄のものがぷるぷる揺れておかしかった。
「・・・」
そのままお尻を軽く持ち上げ、その下を拭く。これが最後の仕上げだ。
だがこれが終わって、明日になって兄が起きればおちんちんともお別れである。
あの兄が見せてくれるわけが無いし、そんな破廉恥なお願いをしていいはずが無い。
ここまでいじくっておいて、リムルルは最後の最後で真面目だった。
「うーん」
何かいい方法はないものか。そんな事を考えている間に、海水の感触はお尻から
すぐに消え失せてしまった。もう、兄をこんな格好にさせておく理由は一つも無い。
つんつんともう一度兄のものを触ったり、軽く握ったりした。最初に見たときと
比べて、やけに迫力が出たと思う。いじると大きくなるらしい。
「あっ!それって・・・」
嫌な思い出が、目の前に置かれたコタツと一緒に蘇った。味わったことの無い
快感をただただむさぼる事に負けて、コタツにお股を押し付けていたら、
見るのも恐ろしい変化が自分のあそこに起きた、あの日のことを。
248前スレ64:04/07/11 02:22 ID:joralhf0
「やだ・・・」
自分の手で、兄にも同様なことをしてしまったのだろうか。いじると大きく
なるのも一緒で、ということは、しばらく触らなければ元に戻るのだろうか。
それなら兄もやっぱり、気持ち良いのだろうか。
「だめだめ!そんなの!!」
同じ失敗をまた繰り返すのがリムルルは怖くなって、ばっと顔を上げた。
「きゃ!」
兄の顔が真っ青になっている。今度は気のせいではない。いや、やっぱり気のせい
かもしれない。もう、右も左も上も下も分からない。
「にいさま!た・・・大変!!」
あれ程兄の身を気遣いながら、興味に打ち勝てなかった自分のおろかさに
リムルルは気が動転しそうだった。兄の胸元に手を触れると、冷たくなって
しまった肌の向こうで、か弱く心臓が鳴っている。どれだけの間、自分は
おちんちんと睨めっこをしていたのだろうか?命からがら帰ってきた兄を
裸にひん剥いてそのまま放っておくのと同じではないか?
「ごめんなさい・・・ふえぇ・・・ごめんなさい!」
リムルルは慌てて布団を敷き、兄を寝巻きに着替えさせると、どさどさと
ありったけの毛布と布団を被せた。これでやることは全部やったはずだが、
「うぅ、ごめんなさい、にいさまぁ・・・」
まだ処置をしてから一分も経っていない。そんなに簡単に回復するはずも
無いというのに、リムルルは青白い兄の顔を覗いては途方にくれた。
気持ちばかりが焦って、一秒が一時間にも、一日にも感じられる。
「うー、あー・・・どうしよぉ〜」
手術室の前で事が終わるのを待つ家族のように、落ち着かないリムルルは
部屋を行ったり来たりした。何往復かしたところで、ポンと手を打つ。
「そだ!」
とにもかくにも、温めればいいのだ。混乱しきった頭の上にぴこんと電球が
ひらめいて、リムルルは迷う事無しに服を全部脱いだ。そして、するりと
兄の眠る布団の中に忍び込み、兄の服をごそごそとはだけさせ、覆いかぶさる
ようにしてぴたりと身体を寄せた。
249前スレ64:04/07/11 02:23 ID:joralhf0
「ひゃ!冷たっ!」
コンル程ではもちろん無いものの、冷たい兄の身体がリムルルの柔らかい肌を
ぴりりと刺激した。一瞬身体が逃げる。あの暗くて冷たい海の眺めが見えた。
「だめ・・・にいさまのためだもん!わたしを守ってくれた・・・にいさまの!!」
今こそ、しっかりと恩を返すべき時だ。言葉がダメでも行動でなら伝えられる。
勇気が湧いたリムルルはもう一度、兄の上半身にゆっくりと身体を密着させていった。
可愛らしいおへそ、少しだけ浮き出たあばら、今も息づく心臓を収めるには、
余りにも頼りない胸・・・
「ふぁ・・・あ・・・」
ひやひやとした冷たさを感じる部分が増えていくに連れて、熱の交換が行われるのが
リムルルにはよく分かった。薄い肌を通して、自分の温もりが兄へと移って行き、
混ざり合う。やがて同じだけの体温を共有する頃、リムルルの肌は総毛立ち、
乳首が尖った。それは、決して寒さだけのせいではなかったように思えた。
「にぃさまとわたし・・・一緒になったみたい・・・」
いつまでも守ってほしい人の中に入り込んでいく。埋もれてゆく。
リムルルは細い身体を湧き上がる喜びに震わせながら、顔と手を兄の胸に寄せた。
とくん・・・とくん・・・
「にいさまの心臓の音・・・するね。とく、とく・・・って」
小さな耳を打つ、穏やかに刻まれるそのリズムこそが、世界を統べる時計のようだった。
少なくともリムルルはその深く力強い鼓動に支配され、目をつむり、兄が生きている
事の実感を得て、帰ってきてから初めて心から幸せそうな笑みを浮かべた。
「刺繍が終わったからって、少し調子に乗っちゃったかも・・・疲れたなぁ・・・ふぁ・・・あ」
ここ何日か睡眠不足が続いていて、リムルルは大きなあくびを一つした。
身体の中の空気が、すべて入れ替わったような気がした。
「あっ、あったかくなってきたね。わかる?ふぁ・・・」
小さなあくびをもう一つ。それにつれて、リムルルの身体から発せられた熱で、
少しずつだが布団の中には眠るにふさわしいだけの温もりが生まれ始めていた。
折り重なるようになった二人の身体の境目が曖昧になって、さらに溶け合ってゆく。
250前スレ64:04/07/11 02:23 ID:joralhf0
「あぁ・・・にいさま・・・にいさま・・・」
自分の身体の下で眠る兄への耐え難い想いにかられ、リムルルは兄の胸元に
添えていた手を、太い腕へと伸ばした。手首を掴み、今度は逆に兄の手を、
自分の左胸へ――新たな薪を得たように、高らかに燃え上がる心臓の上へと導く。
「今度は、にいさまの番だよ・・・。ほら、わたしの胸の音・・・感じる?」
乳房と呼ぶにはあまりにささやかな膨らみが、兄の無骨な手ですっぽり覆われた。
リムルルの顔に紅が浮かび、唇が少しだけわなないた。
「わたしの心臓がどきどき動いてるから、温かくなってるんだよ・・・?
わたしの元気を、にいさまに分けてあげてるんだよ・・・?だから、早く起きて・・・ね」
海辺でやっていたように、大きな手をリムルルはしっかりと握りしめた。
布団の中は幸せなぐらいに温かくなって、兄の顔色も良くなってきたようだ。
体中を包む優しい感触とぬくもりが、あらためてリムルルを眠りの世界へと誘う。
「よかった・・・あとはゆっくり、寝よう・・・ね、にいさま」
上に乗っかったままでは流石に重いだろうから、兄の腕を枕にして寄り添った。
大きな抱き枕のように兄の身体に横から抱きつくという、いつになく甘えん坊な
寝姿に、リムルルは嬉しくてふふっと静かに笑った。
「これなら、まだまだ・・・ずっと・・・あったかいでしょ?」
兄の世話が終わってしまい、緊張の糸がぷつりと切れた。その糸で上から
やっとのことで吊り下げられていたまぶたが、ひとりでに下がってゆく。
「あ・・・服・・・着てないや・・・。おふろも・・・。ちょっと・・・寝てから・・・んん・・・」
幾つか自分の事でやり終えなかった事をむにゃむにゃ考えたまま、リムルルは
すとんと落ちてしまった。
消し忘れの白い蛍光灯だけが、微かに弾む二人の寝息を聞いていた。
251名無しさん@そうだ選挙に行こう:04/07/11 08:09 ID:/c9r9RHS
神キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!

リムかわいい! マジかわいい! ヤバイぐらいかわいい!
なんかこう、初々しい恋でいい……!
252名無しさん@そうだ選挙に行こう:04/07/11 08:47 ID:qMYSleRF
キタ─wwヘ√レvv〜(゚∀゚)─wwヘ√レvv〜─ !!
253名無しさん@そうだ選挙に行こう:04/07/11 18:14 ID:1Ym7hmuO
キタ━━━( ´∀`) ‘∀‘)・ω・),,゚Д゚),,゚Д゚彡゚∀゚)・∀・) ̄ー ̄)´_ゝ`)‐_)゚∋゚)´Д`)゚ー゚)´⊇`)´曲`)゚ω゚)‘ω‘)`∀´>`ー´)゚д゚)━━━!!!!
254名無しさん@そうだ選挙に行こう:04/07/11 19:09 ID:ZT8phtLx
ちんこ・・・ちんこちんこちんこーーーーーーーーーーーーーー
255名無しさん@ピンキー:04/07/11 21:13 ID:HLSB8x8x
まんこ・・・まんこまんこまんこーーーーーーーーーーーーーー
256名無しさん@ピンキー:04/07/13 07:54 ID:JwYZNqt9
おまいら落ち着け
 
 
 
まあ俺もニヤニヤしながら見ていたがw
257名無しさん@ピンキー:04/07/13 09:04 ID:4wiR1aTS
ここで、にいさまが夢精して必死にごまかす新展開を是非!
258前スレ64:04/07/14 08:45 ID:vFxYMEov
いつも読んでくれてありがとう。

ちょっと投稿休みます。復帰は一ヵ月後を目指しています。
259名無しさん@ピンキー:04/07/15 05:03 ID:3ohIkUaS
>>258
いってらっしゃい、ごゆっくりー。

しかしその一ヶ月間が持たなくなりそうな予感もひしひしと。
260名無しさん@ピンキー:04/07/16 19:37 ID:VTlxD/UG
1ヶ月間このスレを守り続けようぜ・・・。
261名無しさん@ピンキー:04/07/17 00:45 ID:okJ4l+2F
寅→閑←リム
とかいうネタを妄想してしまった、残念ながら文章にする力はないが。
262名無しさん@ピンキー:04/07/17 02:13 ID:zHxHFKyO
1ヶ月も何で萌えればいいんだ
263名無しさん@ピンキー:04/07/17 02:41 ID:ZXrhg2K8
外道タソ
264名無しさん@ピンキー:04/07/19 17:50 ID:XgeXQCtb
誰か・・書いてくれ。
265名無しさん@ピンキー:04/07/20 00:54 ID:G/HBahLy
外道タソを?




外道が家にやってきた 第一話

 町を歩いてるとどこからともなく肉の腐ったような臭いが漂ってきた。
 鼻をつまみながら堪えていると、いきなりなにやら赤黒い、でかいかたまりが俺の目の前に落ちてきた。
 それは地面に落ちると悪臭を放つ汁を地面に撒き散らしながら転がり、止まった。
 避けるまもなく、買ったばかりのズボンが汁まみれになってしまった。
 辟易していると、低くしわがれたような声が響いた。
「……腹減っだ」
 赤黒いかたまりがしゃべった。
 よく見ると、それは見たことも無い醜悪な生き物だった。
「ごども、ぐいでぇ」
 またしゃべった。
 こうしていても仕方ない。
 俺はその生き物を肩に担ぐと、鼻の曲がるような匂いを我慢しつつ、自分のアパートの部屋へと運びこんだ。

                              つづかない

どうだ?萌えるか?
266元204:04/07/20 01:31 ID:DfhH4+Ua
「ここ…何処だろう…?」
辺りを見渡してみる。何も無い。
白い筋の通った綺麗な空も、足元で生い茂る緑も、何も無い。
確かに自分はそこに居て、眠りについていた筈だった。でも今はどうだろう?
暑いも寒いも無い、ただそこにいるだけで孤独と恐怖に襲われるそこは、
今まで自分がいた場所とは全くに違っていた。
「なに…?ここ…気持ち悪い…。」
おそるおそる前に進んでみるが、やはり何も無い。
この景色を敢えて言葉で表現するならば、闇という一文字が
一番近いものだろう。声を出したりしてみるが、それに対する反応は
やはり無く、こらえきれずに出口を捜す為に全力疾走で前へ進む。
が、ちょっと走った所で正面にあった何かに思い切りぶつかり、
反動で仰向けに倒れてしまった。
「あいたっ!」
咄嗟の事に声を上げると、それに呼応する様にぶつかった何かから
、声が帰ってきた
「いたたた…。……? リムルル…!?」
聞き覚えのある声にはっとして顔を上げると、一見すると
少女と見間違いかねない赤い髪の少年が一人、驚いた表情で
こちらを見つめていた。
「…し、閑丸…!?」
リムルルは腰から上を起こし、驚き、喜びの入り混じった表情で少年の名前を呼んだ。
すると、少しばかり安堵の表情を浮かべた閑丸が、ほっとした様子で
喋り始めた。
「よかったぁ…、ここ、何処だか分からないし、リムルルもコンルもいない
 しで、どうしようかと…」
聞く所によると、閑丸もリムルルと同じ様な状態だったので、
辺りを探っていて、そこで猛進して来たリムルルにぶつかったのだそうだ。
267元204:04/07/20 01:32 ID:DfhH4+Ua
そこまで話して、リムルルがまだ地に腰を下ろして居る事に気付き、
手を差し伸べる閑丸。
「はい、大丈夫?」
「うん、平気だよっ!」
少年の優しさに笑顔で答える少女。
そしてその手と手を結ぼうとした時、予想だにしない変化が起こった。
今まで柔らかかった急に少年の顔が硬くなり、少女の出した手を素通りし、
どさりと地面に伏したのである。
「…ぇ……?」
突然の事でまだ何があったのか理解出来ず、手を出したままの格好で
細い声を上げ、固まっていた。しかしその少年の背中に刺さっている
銀色の刃に気付き、か細い声は悲鳴に変わった。
「閑丸…? 閑丸…!?」
閑丸の名を何度も呼びかけると、幸いまだ意識があるらしく、
咽びながらリムルルの名を呼び返す。
「う…ぁ……、げほっ!リム…ル…ル…。」
リムルルは閑丸の只ならぬ変化に、軽く錯乱状態に陥っていた。
ただ涙を走らせながら、安否を気遣う言葉をかける。
「閑丸!?ねぇ、大丈夫!?しっかり…、しっかりしてよぉ!」
しかし、少年からは、望んだ答えは帰って来なかった。
それどころか、少女が予想しなかった答えをつきつけてきた。
「リムルル…、がはっ…!なん…で、ぼくを……?」
「なんで…?どういう事…?わたしが、閑丸に何を…―」
そこまで言った時、はっとある物が目に入った。目に入ってしまった。
無常にも少年の背中に突き立てられる銀色。それはさっきも抽象的には見た。
しかし、今気付いたのは、その銀色が『誰』の物であるのかだ。
268元204:04/07/20 01:33 ID:DfhH4+Ua
「あ………あぁ……!」
怖じているのか、認めたくないのか、力無い声を絞り出しながら
リムルルはその正体を口にした。
「ハハ……クル…!」
少年の背中に突き立てられて居た物。それは、世に一つしかない
少女の宝で、命を預けるもの。紛れも無く世に一つしかない、少女の
刀。それが正体なのならば、閑丸がさっき言った言葉は。
「…ち、違う…!違うよぉっ!わたしじゃ…、わたしじゃ無いよぉ!」
全てを理解できた頃にはもう手遅れだった。少年は誰の声も届かない程に
弱っていた。そして、その最後の力を振り絞ってリムルルの膝に、少女が
握り締める筈だった手を置いた。本人しかその意が分からぬその手は、
少年がこと切れると共に、冷たい地面に音も無くしなだれ落ちた。
後には嗚咽を上げる少女の声以外、何も音を上げる物は無かった。
「いやぁ…、ち…が…、わたし…、わたしじゃ…。
 お…きて…、おきてよぉ…!しずまる…! しずまるぅぅぅっ!!」



「……っ!?」
リムルルは夢から覚め、それと同時に、勢いよく跳ね起きた。普通なら夜を通して
乾いている筈の瞳には、溢れんばかりに涙がたまり、頬にはそれのつたった感触が
残っている。風に撫でられ、気付いた所でぐしぐしとそれらを袖で拭うと、
不安を表す顔色で周りを見回してみる。が、当然ながら、寝る前に見たのと全く同じ
景色が、薄暗く広がっている。
「………ぅ…。」
まだ気分が悪かった。閑丸には隠していたが、ここ最近、郷を出てからと言うもの
リムルルは悪夢に襲われることが度々あった。カムイコタンにいた頃も見ない訳
では無かったが、今ほど生々しくはなかった。 せいぜい崖から落っこちかける
程度の物だった。なのでリムルルには余計に最近の悪夢は堪えるのである。
中でも今のは最悪。今まで見た物で群を抜いて堪えた。
269元204:04/07/20 01:36 ID:DfhH4+Ua
「酷いよ、あんなの…」
なるべくは思い浮かべない様にしようと思ってはいるが、あれ程衝撃の強いもの
となると、記憶から消し去るなど不可能に近かった。そしてそれを思い出し、
曇った顔になる自分を思い浮かべて、ため息を一つ。
「ふぅ……。」
ごろん、と仰向けに寝転ぶと、どうやら良い時間なのか空が暁がかっている。
ふと隣に目をやると、閑丸が横になって寝息を立てている。いくら閑丸が
早起きだとは言え、流石にまだ早過ぎる様だ。
「あ…そうだ!」
何かを閃き、リムルルは閑丸がこちらを向いて寝ている事を確認し、
寝転がっている閑丸へ、起こさない様に近付いた。
そして、小さな両手で閑丸の右手をぎゅっと握り締めた。
「あたたかい…」
すごく暖かくて、気持ちよくて、自分と同じくらいしか大きくないけれど、
でもたくましい閑丸の手。
思わず夢中なってしまっていたが、閑丸が突然、両の目をぱちりと開いたので、
心臓が危うく飛び出そうになった。リムルルはあっという間に赤面し、急いで
惜しみながら手を離し、閑丸に顔が見えない方に正座で向き直って、
胸元で指をぐるぐるしながら、さっきまでの事をうやむやにした。
「あ、あ、あああの、しず、閑丸っ!これっ、これはね?あのその、な、なんでも、何でもないの、えへへっ!」
きょとんとリムルルを見る閑丸と、あさっての方向を向きながら、
明らかにどぎまぎしているリムルル。顔も湯気が立ちそうな程に真っ赤である。
何が何なのか分からず、閑丸は暫くリムルルの反応を待ってみたが、
何故かリムルルは急に大人しくなった。
はてなと思い、反対側に回ってひょいとリムルルの顔をのぞきこむと、
先程の動揺は何処へやら、リムルルは穏やかに寝入っている、正座のままで。
くすりと閑丸は微笑むと、そのままそっと横倒しにしてあげると、
自分もぎゅっとリムルルの手を握り締め、そのまま再び浅い眠りにつく。
しかし、閑丸の後に起きてくるリムルルが、うやむやにしたつもりの事が、しっかり
ばれていたことと、自分の手が閑丸によって暖められていた事を気付く事は、
この先閑丸が話すまでなかった
270元204:04/07/20 01:41 ID:DfhH4+Ua
短くて申し訳有りませんが、本日はここまでで。
お粗末なのですが、64様もしばしお休みの様で
こういう時こそ役に立たにゃぁと思い立ちまして。
なので、暫くは短めの文章をちょくちょく投下させて頂きます。
では短めな後書きですが、この編で〜
271名無しさん@ピンキー:04/07/20 19:01 ID:ruQYgluQ
神が参られた!(;゚∀゚)=3ハァハァ
272名無しさん@ピンキー:04/07/20 23:09 ID:Mm5xfbrR
>俺はその生き物を肩に担ぐと
ワロタ。ザンクロさん並の大男ですかおまいはw

>元204氏
復帰&投下乙。しかし謎の夢か。
ガキの頃見て怖かったのは出口の無い迷路をぐるぐるする夢かね。
大抵風邪ひいたときに見るんだけど。
273265さんとは別人です:04/07/21 04:58 ID:ChvY+fMS
 外道が家にやってきた 第二話

 アパートの戸口をくぐろうとすると、肩の上の生き物の体がつっかえた。
 やむなく肩から下ろし、そいつの上半身を戸口に入れ、力をこめて腕を引っ張った。
 ちゅるんと音を立てて全身が入り込む。
 こいつの体がねばねばしてる液で濡れていてよかったかもしれない。
 俺はベッドまでずるずるとこいつを引っ張って行き、ベッドへ寝かせた。体半分はみだしていたが。
 ねばねばの液が床へこびりついた。後で掃除しておこう。
 さて、どうしたものか。
 めずらしい生き物だ。言葉も喋れるらしいから売れば高値がつくかもしれない。
 飼いならして見世物にするのも悪くない。
 俺が顎に手を当てて考え込んでいると、肩に生温かい息遣いを感じた。
 反射的に裏拳を繰り出す。
「ぎゃん!」
 手の甲が変な生き物の顔面にめり込み、そいつは悲鳴を上げた。
 どうやら俺につかみかかろうとしたらしい。
「はーらーへったー!」
 そいつは顔をさすりながら半泣きでわめいた。
 なかなか元気がいい。
274265さんとは別人です:04/07/21 04:59 ID:ChvY+fMS

 しかし、まさかこいつ、俺を食おうとしたんじゃあるまいな。
「ごーどーもーぐーいーでーぇー」
「子供?」
 俺はそいつの顔を覗き込んだ。
「お前、人間の子供食うの?」
「ごどもー! んまーんまー」
 食うらしい。
 長い舌をべろんべろんと振り回し、よだれを垂らしていた。
 仕方が無い。
 俺は押入れから小学一年生の女の子を一人取り出すと、裸に剥いてそいつに与えてみた。
「いだだぎまーず! んまー! んまー!」
 たちまち平らげて骨までバリバリ食べてしまう。
「おがわりー! おがわりー!」
「よしよし。たくさんあるからたっぷり食べろよ」
 たらふく食べると眠くなったのか、そいつはぷっと吐き出した頭蓋骨を枕にして寝転がった。
「おやずみなざーい」
 しかしものすごい食べっぷりだった。
 明日買出しに行かないといけないな。

             つづかない
275名無しさん@ピンキー:04/07/21 13:06 ID:FStW2Yei
外道タンは骨を枕にして寝るのか、新発見だな
276名無しさん@ピンキー:04/07/21 15:01 ID:XQp2yXdp
>俺は押入れから小学一年生の女の子を一人取り出すと


ちょっと待てい
277名無しさん@ピンキー:04/07/21 17:53 ID:FStW2Yei
外道タンが高値で売れても、
それまでの養育費をカバーできるか心配
278名無しさん@ピンキー:04/07/21 23:22 ID:srl01IBM
次の日起きたら、外道タンが女の子になってたりしたrうわなにをs
279265:04/07/22 00:14 ID:q9QgZ4kS
>273
俺が書くより激しく面白いです。
つづき書いてください。
280名無しさん@ピンキー:04/07/22 01:15 ID:0LlDLOdU
買出しって人身売買するのか?
281名無しさん@ピンキー:04/07/22 01:37 ID:48cy4IMk
ミニ外道タンが居たら萌える・・・・かなぁ?
282名無しさん@ピンキー:04/07/22 22:21 ID:hiRTOWSf
某D店で一昔前のサムスピ同人が安売りされてたので数本漁ってみたよ(中身は買うまで見れない)
以下カップリング

ナコチャム(チャム♂) 2
ガルナコ 3
ナコリム 2
リム幻十郎 1
ナコ閑(1コマだけ) 1
ムラナコアースクエイク幻庵(1コマだけ) 1
ナコ紫ナコ 2
ナコ覇王幻十郎 1
覇王女体化・幻十郎 1
ガル女体化・幻十郎 1
チャム覇王 1
ナコチャム 1
ナコ色 1
リム輪姦 1
紫ナコ羅刹丸 1
リム 羅刹丸 1
紫ナコチャム(紫ナコ♂) 1
ナコ覇王 1

シャルロット・・・・・・orz
283名無しさん@ピンキー:04/07/23 00:05 ID:P3tgOOfU
リム幻って珍しいな、ちょっと興味ある
場所教えてほすぃ
284名無しさん@ピンキー:04/07/24 00:37 ID:JXh/rL82
俺が持ってる同人は
覇ナコ
覇シャル
閑紫ナコ
閑リム
こんくらいしかないや
レイープ物は苦手だから全部ワカーン物だけど
285名無しさん@ピンキー:04/07/25 19:53 ID:pzAMDzF8
>>284
俺なんか1つも持ってねぇよ・・・。
リムが好きなんだが・・・。
286名無しさん@ピンキー:04/07/26 09:41 ID:pePvRMkk
こんな神スレを今までしらなかったなんて・・・
287名無しさん@ピンキー:04/07/27 01:15 ID:g4slBypO
>>286
前スレ見ると、もっと幸せ。
288名無しさん@ピンキー:04/07/27 01:15 ID:LhARz5oN
レラさんもにいさまに惚れるのかな・・・?
289名無しさん@ピンキー:04/07/27 01:17 ID:LhARz5oN
>287
まとめページでたっぷりと萌え死んできたよw
シャツの臭いでハァハァするシーンが凄かった…
くそう、にいさまが羨ましいぜ!
290名無しさん@ピンキー:04/07/30 18:26 ID:xvWExowi
PS2版が発売して家でもアイヌたちをプレイすることができるようになって幸せー。
291名無しさん@ピンキー:04/07/31 01:57 ID:e1StaK+r
二週間後には64様の新作が!
204さんはまだかな…
292元204@携帯〜:04/07/31 02:59 ID:Apr9ob7k
どーも。元204です。本来ならば本日書き込み予定でした。がしかし、規制で書き込めません…遺憾です。もし楽しみにして頂いてた方。誠に申し訳ないです。もうちとお待ち下さい…orzナニモコンナトキニ…
293名無しさん@ピンキー:04/07/31 16:55 ID:l0Cj7LHV
>>292
待っておりまちた。
是非また後でおねがいしまつ。
294勇太:04/07/31 22:02 ID:aRv7/FlL
俺もリムルルを嗅ぎたいぜ
295元204:04/07/31 22:45 ID:7l7SVi43
翌朝。二人は近くに少し大きな町が有った事に気付き、
そこへ向かう途中の道を歩いていた。
白い筋の流れる青い晴空。輝くほどの緑の森。
白と青。そして緑の見事な調和はいつ見ても
綺麗で、心が洗われる様な気分にさせてくれる。
尤も、そんな気分にさせてくれるのは、それが目に入ればの話なのだが。
「…リムルル?」
「………ふぇ?」
閑丸が何の気無しに呼びかけてみると、隣から気の抜けた返事が返って来た。
発したのは他の誰でもなく、リムルルだ。
彼女は何故か今朝から様子がおかしかった。
少なくとも、閑丸には様子がおかしいと思えた。
そう思う理由は二つあり、一つは歩いている途中でうつむいたり、
少しにやけたり、色々な表情の変化を短い間でやってのけて
いる事。表情がころころ変わる分にはそこまで珍しい事でも
なかったが、その中に悲しげな表情を浮かべる姿は、
いつも笑顔を絶やさない少女には、あまり似合う姿ではない。
閑丸もいつもじっとリムルルの表情を見ている訳ではないので
こればかりでは何とも言えないが、これだけではない。
二つ目。朝からずっと、リムルルを呼びかけても気の抜けた返事しか
しない事である。呼びかけた所で先程の様な「ふぇ?」とか「へ?」
と上の空な返事しかしなかったし、答える時も「え〜…」や「う〜ん…」
みたいな曖昧な返事以外の言葉が返って来たのを聞かなかった。
これには閑丸も困った。何を言っても素通りなのだ。
一応意味は通じているらしいものの、こんな一方的な会話を
続けるばかりでは埒が明かない。
かといって正面からぶち当たっても同じ結果が待っているだけだ。
それに、もともとそういった事は得意ではないのだ。
296元204:04/07/31 22:45 ID:7l7SVi43
そしてあれやこれやと考えている内に、妙な雰囲気で町に到着した。
町は大きさはそれなり、そしてそれに見合う賑やかさを備えていた。
そこら中に垂れるのれん。そこら中に出ている屋台と、それに集まる人。
それに二人は正直に驚いていた。リムルルは郷の事以外はあまり
知らなかったし、閑丸は何事にもあまりなので、これだけの人の多さにも、
所々で目にする見た事もない物にも興味を奪われっぱなしだった。
その中でリムルルは、すっかり元の調子を取り戻していた。
「ねぇ〜っ、閑丸〜!こっち、こっち〜!」
今も新たに見る珍しい物に興味を示し、閑丸にも見せてあげようと
彼の名を呼んで手招きをしている。
結局あの妙な様子は何だったんだろうと思いながらも、それに答えて
向かう閑丸。その顔は少し嬉しそうにも見える。
つまる所、二人は楽しんでいるのだ。
いくら刀を振ろうとも。命を危機にさらす目に遭おうとも。
二人は間違いなく幼い少女と少年なのである。
暫く町の中を散策した二人は、町の少し外れの何もない所で
一休みしていた。
「面白いねぇ〜、変わった物がいっぱいあって〜。」
「うん、そうだね。」
興奮冷めやらぬ様子で話しかけるリムルルに対して、
少しトーン低めで答える閑丸。
勿論、今度はリムルルが問いかける番である。
「どうしたの?少し…元気ないよ?」
「…うん、ごめん。慣れてないから少し疲れちゃって…。」
少し人込みに酔ったらしく、閑丸は浮かない顔をしていた。
しかし、それより、と閑丸が言葉を続ける。
297元204:04/07/31 22:46 ID:7l7SVi43
「リムルルは大丈夫なの?」
「え…わたし?」
「ほら、今朝から様子が変だったから…。」
「あ……。」
リムルルはこの言葉を聞いて、ひどく申し訳なく思った。
閑丸は自分の事をずっと心配してくれていたに違いない。
しかし、自分ときたら、いくら考え事とはいえ上の空な態度ばかりとって
しまって、閑丸を傷つけてしまったのかも知れない。
そう考えると何かとてもやるせない思いがこみ上げてきて、
少女の顔から笑顔が消える。
「あ…あの…ゴメン、閑丸…。わたし…昨日ね、とても嫌な夢を見て…
 それだけじゃないんだけど…朝からずっとぼーっとしてて…」
少女の心からの弁解を少年はうん、うんと頷いて聞く。
「それで…閑丸が呼んでもいいかげんな返事ばっかりで…。
 ごめんなさい…、閑丸…。」
そこまで言ってリムルルは下を向いてしまった。
閑丸はこんなつもりではなかったのに、と後悔しながら、
何とか少女を慰める言葉を探す。
「ううん、僕はリムルルが大丈夫なら…」
こう言ってみるが、相変わらずにリムルルは下を向いている。
震える肩が今にも泣き出してしまいそうな様を思わせ、痛々しい。
何もしてあげられないのかと少年が思ったその時。頭の中に
リムルルの陽光の様な明るい笑顔が浮かんだ。
そうだ。僕はこの笑顔が好きなんだ。
閑丸は直感的に思った。元々、自分では旨く笑えず、
それが時に錘となって自分にのしかかって来ていた。
しかし、それがリムルルと出会った事で、少しずつ変わってきていた。
今では、まだ不器用ながらも以前よりいい笑みを浮かべられる様になったと
自分でも思う。この傾向はリムルルのお陰での事なのだ。だから―
298元204:04/07/31 22:46 ID:7l7SVi43
「笑って?リムルル。」
「…え…?」
きょとんとするリムルルを正面に、閑丸は続ける。
「僕、リムルルは笑顔の時が一番好きだから。
 だから笑って欲しいんだ。」
といい、笑顔を作って見せる。お世辞にも満面とはいえないその笑顔は
しかし、旨く笑えない少年が少女の為に作ってみせた頑張りの証だった。
「…し…閑丸……! …うん、有難う…!」
ほんのりと顔を紅潮させて、リムルルは満面の笑みを浮かべる。
感謝と、喜びの気持ちをいっぱいに表情に表す。
「よかった。元通りになってくれて…。」
暁の光を思わせるその眩しい笑み。
安堵の言葉と共にそれを見てほっとすると、閑丸は疑問をもう一つ挙げた。
「…所で、悩み事って…夢だけじゃないんだよね?」
うん、とリムルルは頷き、もう一つの悩みを閑丸に打ち明ける。
「うん。あのね…、この近くに来てからなんだけど、
 たまに姉様みたいな気を感じるの…。」
「姉様…って、ナコルル…さん、だよね?その人が近くに?」
「あ、ううん。姉様によく似てるだけなの。
 でも…同郷の人には間違いない…と思うの…。」
思わぬ手掛かりに出会い、喜んでいても良い筈のリムルルだが、
生憎とそうには見えない表情をしている。
「でも…郷の人で外にいるとすれば、姉様だけの
 筈だし…それに―」
と、そこまで言い終えた所で、二人の会話は中断を余儀なくされた。
何か物を壊した様な『がちゃぁん!』という音が二人の耳に
飛び込んで来た。
「何だろ…!?」
「行ってみようか、リムルル…!」
「うんっ!」
二人は一目散に音のする方向に向かっていった。
二人が二人、憑き物が落ちた様な顔をしていた。
299元204:04/07/31 22:55 ID:7l7SVi43
…と、言う訳でして。今回の投稿です。
相も変わらず筆が遅い!…のですが、今回の問題は
そこではなさげで…。
もう、お分かりの通り、出来もせん萌え文書こうとするから
何やら萌えどころかむず痒い文章が出来てしまいますたOTL
海より深く謝罪。山より高く反省。
んで本編ですが、やっと第二幕が動き出しました。
アノ人も出演の気配がちらほら出ています。
この先も楽しみにして頂ければ幸いです。
でもって、相変わらず筆の拙い当人の文章に
つき合って頂いてる皆様に個別レスの一つもしたいのですが…。
時間の都合故に今回も無し。の方向になります。申し訳ない。
では、次回の投稿まで。今回はこれで失礼します。
300名無しさん@ピンキー:04/08/01 01:48 ID:vEB16cWu
姉様じゃない同郷の人って、あの人しかいないじゃないか!
キターってことで。
301名無しさん@ピンキー:04/08/01 04:16 ID:BYqQo33a
ナコルルのパパのことですね(ちがいます)
302名無しさん@ピンキー:04/08/01 06:54 ID:H34h95YQ
あの人って、レくぁwせdrfちゅじこlp;@
303名無しさん@ピンキー:04/08/05 11:34 ID:WMjGKqve
書き込み無いな・・
304元204:04/08/05 19:19 ID:ZGOhBhWB
そうですね…。頼りにならなくてスマソ(´・ω・`)
今週中に次を仕上げてしまいます。
305303:04/08/06 17:58 ID:heDBz7+t
>>304
スマン、べつにお前が悪いわけじゃないんだ・・。
いつも元204のSSには楽しませてもらってるし別に急がないでもいい。
SS作りがんばってくれ!
306名無しさん@ピンキー:04/08/08 23:23 ID:/OzVhK+1
まぁ、カプ厨発言なので軽ーくスルーして頂けると有難いのだが、この中に「反アス×色(修羅)」萌えなヤシが居たら挙手願う。



蒼紅に出てきた命の両親がアスラと色と知ったとき、異常なまでにハァハァしたw

>>284
覇シャルと閑リムは簡単にシチュが思い浮かぶんだが(特に後者)、覇ナコと閑紫ナコは思いつかない・・・!!
特に閑紫ナコは逆レイープでならありえると思うんだが、ワカーンだと・・・詳細、出来ればキボン。
307名無しさん@ピンキー:04/08/09 20:49 ID:aThxZhjE



色大好きです。
308前スレ64:04/08/09 23:08 ID:p+nfU4WB
・・・・・・


あぁ・・・あったけぇなぁ・・・。すごく気持ちいい・・・
俺、寝てるんだよな。
最高だなぁ、こんなに気持ちよく眠ってるのなんて、いつ振りだろ。やたらぽかぽかしちゃって、
いい匂いするし。特に左半身。なんていうのかな、この、「ぷにょ」とか「ぴたっ」っつーの?
肌に吸い付いてるんだ。あったかくて、しっとりとした物が。布団じゃないよな・・・だけど、
おっ、これ・・・何だ?左手に・・・
「う・・・んぁ?」
あー、何か手のひらに当たってるんだ。ぷくっと。そこだけ手触り違うなぁ。
「ふぁ・・・ん!」
この手ごたえ、本能に訴えかけるものがある。弾力があって、すべすべで。さわさわ・・・
「あっ!にいさま!」
「んぉ・・・?」
元気の良い声が、温かい感触がする方の耳元で弾けて、俺のまぶたを内側から叩く。
「にいさまぁ!起きたんだね?」
ぼんやりと霞む視界が晴れて、いつもの部屋の中に一輪、笑顔を咲かせたリムルルが横にいた。
「リム・・・ルルか・・・?」
「うん、うん!」
名前を呼んだぐらいで、リムルルは大きく首を振った。何かがいつもと違う。リムルルに
起こされる日が、最近少なかったからだろうか?そうではない。昨日の夜、リムルルが眠りに
落ちる姿を見た覚えが無いのだ。その前に玄関の鍵は閉めたか、ヒーターは止めたか、風呂場は、
窓は・・・。そもそも、
「あー、俺・・・何で寝てるんだっけ?」
「覚えてないんだ・・・昨日のこと」
リムルルが心配そうな顔をして言った。まだ意識がはっきりしない。寝覚めが悪いのはいつもの
事だが、いつ寝たのかも、それ以前に遊びに行ったきり、いつ帰ってきたのかさえ覚えていない。
どこかで酒でも浴びたのか、それとも転んだりでもしたのだろうか?考えれば考えるほどに、
抜け落ちた自分の人生に何があったのか気になって仕方が無くなって、俺は頭の中をひっくり
返したがやはり、その抜け落ちた空白を埋めるはずの1ピースは、存在さえしてないようだった。
309前スレ64:04/08/09 23:08 ID:p+nfU4WB
「・・・」
「にいさま・・・」
「・・・ん?」
いつまでも呆けている俺を見つめていたリムルルが、眉間にしわを寄せた。
「心配・・・したんだからね?」
「え、何を?」
「にいさま・・・うぅ・・・良かったよぉ!!」
言うなり、リムルルは目を潤ませながら、掛け布団からはみ出た白い肩を震わせた。
小さな両手が、紛れも無いリムルルの手が、俺の手を布団の中でしっかりと握ってくれている。
まるで俺の記憶がこれ以上どこかに飛んでいかないようにしてくれているようでも、ぼんやり
した俺を沼から引きずり出してくれているようでもあった。
どちらかと言えば後者だったのだろう。魔法にかかったように俺は頭がすっきりして、何だか
よく分からないけれど心配されているのは嬉しいとか、リムルルは時々急に大人っぽい表情に
変わるとか、露出した肩ってセクシーだとか、リムルルの手を握る前まで一体俺は布団の中で
何を触っていたのかとか、なんやかんや一気に噴出して、
「いやっ、リムルル・・・ちょ・・・待て」
「なに」
俺はお化けの名所を覗くような気持ちで、布団の中で俺とリムルルの身体の間に出来た僅かな
暗い隙間に目をやった。シーツの白にほの暗く照らされているのはパジャマではなく、真っ裸の
リムルルの肌だった。耳やら頬やらが、驚きと恥ずかしさで熱くなる。
「お前、肩・・・ふっ、服は?」
「だからっ!にいさまが海に落ちちゃって!それで冷た〜くなっちゃって!」
「お、おう」
顔の赤いのがばれやしないかと心配する俺をよそに、リムルルの目はいたって真剣だ。
状況が状況だというのに昨日の話が突然始まって、何が何だか分からないまま俺は返事をした。
「寒くて寒くて、このままじゃ死んじゃう!って思ったの!」
「そだな、海に落ちたら死ぬな」
310前スレ64:04/08/09 23:09 ID:p+nfU4WB
「だから・・・ね?わたし、一生懸命にいさまのことあっためたんだよ?」
「え?」
「こうやって・・・」
眠っていた俺。海に落ちて死にかけた俺。その上、裸で涙目のリムルル。全ての事態が頭の中で
横滑りしたままだったが、リムルルは布団の中でもぞもぞと動いて、俺の上によじ登ってきた。
下を向いても形の変わらないリムルルの平たい胸が、なぜか同様にはだけていた俺の胸元に
近づいてくる。
「おーっ、ちょ、ばかっ!リムルルやめろ!」
「こうして・・・ね?」
ぴたり・・・。耳元で静かに囁くリムルルの、ピンク色をした胸の先が俺の胸板を突き、そのまま
僅かな抵抗を残して潰れた。それは、布団の中でまどろみながら楽しんだあの感触と一緒だった。
「うぁ・・・!」
「ね、あったかいでしょ?」
「・・・もうやめろ!よせって」
俺は焦って身をよじったが、なぜか四肢に殆ど力が入らない。リムルルを身体の上から転げ
落とす事も、押し返す事さえも出来ない。告白するならば、確かにリムルルの乳首の感触は
どきりとするものがあった。しかしそれで腑抜けになるかといえば、絶対にノーだ。なのに、
もがけばもがくほどに頭がのぼせて、どんどん身体が言う事を聞かなくなってゆく。自分の身体が
誰かに乗っ取られるような心地がして、そいつが俺に向かってこう言っているかのようだった。
――このままでいてしまえ。
「あ、にいさま・・・昨日より心臓、どきどきしてるよ・・・?」
リムルルは俺の胸に寄り添って、緩い視線を泳がせながら聞き耳を立てている。
「ばっ、聞くなよそんなの!」
「あっ、また・・・どき、どき、どき・・・ふふ」
あまりに図星で、俺はもう抵抗する気力も無かった。胸の音が分かりすぎて頭が痛い。鼻血が
今にも押し出されそうになる。身体の真ん中からがぁーっと熱くなって、一度は回復したはずの
思考がまたもオーバーヒートを起こす。
311前スレ64:04/08/09 23:10 ID:p+nfU4WB
「はぁ、はぁ・・・頼むから、やめろ・・・な」
「息まで荒くなってきたよ・・・って、にいさま?どうしたの?」
「いや、何か・・・ダメ」
俺の顔にもきっと目に見える変調があったのだろう。まん丸いリムルルの目に見つめられながら、
俺はたまらずうんうんと喘いだ。部屋の空気が、自分の吐いた息でどんどん湿っぽく、重く
なっていくようだ。
「にいさま、ちょっといい?」
「あぁ・・・」
リムルルが俺の額に手を当てて、自分のおでこの温度と比べてくれた。
「やだ、にいさますごい熱!!」
途端に神妙な顔つきが驚きに変わって、仰天の声を上げる。やっぱりか、と思う。
「風邪かな・・・風邪だぁな」
「やっぱり海に落ちたから?!」
「それがホントなら・・・」
「う、うん」
「原因はそれでしょー・・・ぐは」
目を開けているのもおっくうになって、俺は身体の上にやたら温かいリムルルを乗っけたまま
唸った。さっきまでは気持ち良かった気がしたのに、このままでは釜茹でになってしまいそうだ。
「にいさま!どど、どーしよ!?」
「と・・・とりあえず・・・降りろ。ふぃ〜、風邪感染るし、熱いわ」
「あっ、ご、ごめんね」
「あー・・・」
リムルルは俺の上からごそごそと降りて、どうやら服を着ているところらしい。いつもなら
ちょっと目の保養をと思うところだが、身も心も萎えきった今、そんな気力が湧くはずも無かった。
「にいさま・・・・・・起きてる?」
「うん・・・」
頭の上からリムルルの声が聞こえた。目を開くと、フリースを着てさかさまになった心配そうな
顔が俺を見つめている。枕元に座っているのだ。前髪がつららのように俺の方を向いている。
やっぱり伸びてきていると思う。
「どうしよぉ〜・・・昨日わたしがもたもたしてたから・・・」
また額に手を当てて熱を測ってくれるが、言いながらオタオタしている。
312前スレ64:04/08/09 23:11 ID:p+nfU4WB
「ま、まあ・・・死ななかっただけ、良くやった」
「死なないのなんて当たり前だもん!にいさま絶対、死なせないもん!!」
正直なところを言ったつもりが、逆にリムルルの抗議を買ってしまった。俺を思って言って
くれているのだ、内容は嬉しかったが、元気有り余った声がお寺の鐘のようにぐわんぐわんと
頭の中で何重にも響いてしまう。目の前では一人のはずのリムルルが、視界の外では俺を取り
囲むように何人も座っているに違いなかった。
「ぐぇ・・・わ、わかった!言葉は有難いんだが、大声・・・出すなよな」
「ごめんなさい、でも、だって」
「と、とりあえず・・・はぁはぁ・・・コンル呼んでくれぇ」
「うん、ちょっと待っててね」
リムルルのぱたぱたという軽い足音が台所に消え、向こうで冷蔵庫の開く音がかすかにして、
すぐにきぃんという澄み切った音が頭上で鳴った。それだけで頭の中に青く涼やかな情景が
浮かぶ。脳が冷える。
「あ・・・うぁ」
コンルは、額の上や火照った首筋をなぞったり、ゆるやかな冷気を放って俺の身体に無理が
無いよう冷やしてくれた。
「ふうぅ・・・気持ちいぃ」
「良かった・・・。コンルね、昨日もにいさまの事、海から拾い上げてくれたんだよ?」
「それじゃ俺、助けてもらってばっか・・・か。ありがとな」
額の上に居座るコンルを、俺は指で撫でた。手ごたえが小さかった。何かと思ってよくよく
見れば、いつもの半分ぐらいの大きさになってしまっている。
「だから、こんな小さくなっちゃったんだな・・・わりぃ・・・コンル」
「これでも、昨日の夜より大きくなったんだよ?」
「あぁ、そうなのか・・・すまん。ありがとう、もうだいぶ冷えたよ」
俺のために、これ以上力を使ってもらうわけにもいかない。そう思って指で上に向かって
押して帰らせようとしても、コンルはどいてくれなかった。
私の役目は、あなたとリムルルを守る事。
落ち着いた、だけど芯の通ったコンルの声が、どこからか聞こえたような気がした。
313前スレ64:04/08/09 23:11 ID:p+nfU4WB
「ありがとう・・・」
思い出す。いつだったろうか。独りきりだった頃、風邪を引いてぼろぼろになった事があった。
コンビニやら薬局までへろへろと自転車をこぎ、風邪薬と食料を買って、何も無い天井を
見つめたままの三日間だった。苦しくて、寂しかった。二日目の夜にはついに眠れなくなって、
それでも気持ち悪くて、独りで死ぬのってこんな感じなのかな、とか思いながらカッコ悪い
べそをかいた。
しかし今はどうだ。コンルがいて、リムルルがいる。看病してくれる家族たちが俺の元に駆け
寄って、心配しすぎなぐらいに心配してくれている。それだけで元気が身体に戻ってくるようだ。
家族は、温かい。
「リムルル・・・?」
「なあに?にいさま」
何となく名前を呼んだだけで返ってくる可愛い返事。上から聞こえるその声は、まるで空から
降り注ぐ天使の声を思わせた。
「・・・手を、握っててくれ」
「うん、いいよ!おてて出して」
布団の中から外に差し伸べられた俺の無骨な手が、上と下から、二枚の小さな手の平ですくう
ようにして包まれる。リムルルの手は同じ人間とは思えないぐらい、すべすべで、優しくて、
小さかった。そして、何より心強かった。
家族は、やっぱり温かい。
「にいさま・・・お祈りするね?にいさまが早く元気になるように、って」
俺はうんと返事をしたか、それとも頷いただけだったか、ともかく枕元に座ったリムルルが
にこりと笑い、手をさするリズムに合わせた、ゆっくりとしたアイヌの歌が始まった。
相変わらず、リムルルは歌が上手いと思う。鼻からふぅーっと息を吐いて俺は目を閉じ、
その耳当たり優しく、可愛い歌声に聞き惚れた。
「〜〜〜」
リムルルは、歌が好きだ。歌番組を見ていて気に入った曲は簡単に覚えてしまって、二日間は
鼻歌が止まらない事もある。しかも、その鼻歌がまた上手い。正直なところ歌手よりも上手くて、
メロディがリムルルの歌声に乗って、息を吹き返しているようにも聞こえた。将来は歌手が
いいかもしれない。
314前スレ64:04/08/09 23:12 ID:p+nfU4WB
「〜〜〜〜」
気づけばここは武道館。
昭和のアイドルをほうふつとさせる、少しレトロなデザインのパステルカラーが眩しい衣装に
身を包んだリムルルが、ステージでファンを前に元気に歌い踊っている。リズムに合わせて
蛍光グリーンのビームがスモークを切り裂いて、リムルルがキメのポーズをとる。ステージ
最前列の巨大クラッカーがどうんと腹に響く音を立てて、金色の紙吹雪を撒き散らす。割れん
ばかりの大歓声。ペンライトとうちわとペットボトルが暗闇を飛び交う。ヒートアップした
ファンがフェンスをぎゅうぎゅうと押す。ステージ警護のアルバイトをしていた俺は力尽き、
ついに押しつぶされて、
「〜〜〜〜〜〜」
押しつぶされて重くて熱いはずのファンの身体は、軽くて温かな布団に変わった。頭の悪い
空想が終わり、代わりに静かな眠りがまた近づいて来ている。
本格的に眠ってしまう前に、リムルルにお礼を言おう。
そう思ってぼんやり目を開くと、リムルルが微笑みながら、宙に向かって言葉を乗せた歌を、
小さな口で紡いでいるのが見えた。少し単調で、繰り返しの多い独特のメロディがリムルルの
口を離れては、歌声に彩られ・・・

光を放って輝いていた。

もうその時、本当は俺は眠ってしまっていて、夢を見ていただけだったのかも知れない。
気がつけば、部屋の中は本当に光に染まっていた。夕暮れとも朝焼けともつかない、なのに
目を閉じていれば気づかなかったように、眩しさと刺激の無い、全てを包み溶かす不思議な光。
リムルルの顔が、身体が光に溢れ、神秘の光に照らされて透き通るように輝く髪とリボンが、
そよそよと風になびいている。
「・・・・・・!」
少しだけ首を動かして部屋を見回せば、狭い部屋の四隅が曖昧になって、消えていた。
家具も扉も、何も無い。あるのはどこまでも続く、金色の草原だけだった。
その真ん中で、俺は眠っていた。リムルルに寄り添われて。
315前スレ64:04/08/09 23:13 ID:p+nfU4WB
リムルル・・・
声も、息も出ていなかった。俺の唇だけがその名を形作ったのだったと思う。
それでもリムルルは気づいて、歌いながら俺の方を向いてにっこり笑ってくれた。さすられて
いる手の方から光と温かさが伝わってきて、身体が軽くなる。心の中にあった不安と焦りが
染みこんできた光に照らされて、涙に形を変え瞳を濡らす。
「ありがとう・・・」
うまく声に出せない。感謝の気持ちが強すぎて。
「ありが・・・とう」
やっぱり、うまく言えない。目の前の光景が、あまりに神々しくて。
「・・・ありがとう」
リムルルは、家族で。妹で。不思議で。大事で。小さくて。可愛くて。
俺の――
「・・・・・・・・・!」
今度は確かに声に出せたはずだった。リムルルに感謝が届いた事を祈りつつ、俺は再び目を閉じる。
その拍子に熱い物が、目尻からつうっとこぼれたのが感じられたがような気がしたが、
恥ずかしくも何ともなかった。それが俺の、正直な気持ちだったからだ。
316前スレ64:04/08/09 23:19 ID:p+nfU4WB
復帰しました。
ただ、以前より少しペースとか、一度の投稿量が落ちるかもしれない。
でもまだまだ頑張る。ちゃんと書く。

文字数を少し変えて、40字付近で折り返してみました。
読みづらかったら次回から戻すので言ってください。
317元204:04/08/10 01:31 ID:7xASSZa7
今晩は。実は今回分の投下、完成してます。え?ならなぜ投下しない、と?
またしても規制…殺生な…。もうちとお待ちください。

>>305様 私には勿体ない位のお言葉。有り難く賜らせて頂きます。
私も精一杯精進します故、どうかこれからも皆様と共に暖かく面倒見てやってくださいませ。


>>64様 お帰りなさいませ。待ち侘び申しておりました。今回もじっくり味わわせて頂きました。
これでこそスレ保守(結果的にあまり出来てはいませんでしたが…)
させて頂いた甲斐があったというもの。頑張って下さい。心底から応援してます。

では住民の皆様。また近いうちに書き込ませて頂きます。
318名無しさん@ピンキー:04/08/11 02:40 ID:ok9Gu1cU
64の人、GJですっ
うう・・・
まさかこんなにコンルに萌えるとは思ってもみなかったよ。
コンルだけでも降って来ないかな・・・
霊感は強い方だし。

雪か芋の人〜、ここ見てたら、
カプコンが中平さんのストーリーを公式にガンガン取り入れていったように、
これを元にしたストーリー作る気ありません?(勝手に売り込み
319sage:04/08/12 09:28 ID:vHVEVvOu
音のした場所に駆けつけると、そこには大きな人だかりと、
少し前まで形を成していたであろう陶器の破片が散乱していた。
奥に陶器の入った荷車があるのを見ると、どうやらその中の荷が
倒れてこうなったと考えられる。
すぐさまリムルルが野次馬の一人である中年の男を呼び止めて、
何故こうなったかを聞いてみる。
「…あの。おじさん、何があったの?」
中年の男がふり返り、二人を見て警戒を緩めて答えた。
「あぁ、嬢ちゃん達見なかったのかい?いや、俺も詳しくは
 知らねぇんだけどな、何でも…ホラ、そこの荷車の近く
 に子供と大人がいるだろ?」
と、中年の男が指差した先には確かに少年と男性の姿があった。
子供の方はリムルル達と同じくらいで、男性の方は
中年の男より少し若いくらい。何やら少年の方は怯えた顔で
うずくまっており、男の方はそれに向かって怒鳴り散らしている。
リムルル達が来る途中に聞いた怒号はこれだったのかと納得していると、
中年の男が話を続け始めた。
「荷車ぶつけちまったらしいのよ、あの男。ま、当然荷物は
 ひっくり返るわな。坊やの方はちょいとぶつけただけで済んだ
 らしいが、痛ぇわなぁ…。」
と、顔をしかめながら離す中年の男に、閑丸は先程の
発言と、今の状況の矛盾を疑問に思い、それを聞いた。
「え?じゃあ、何であの子は怒鳴られてるんですか?
 ぶつかられたんなら謝るのはあっちの人じゃ…?」
ごく当たり前の指摘。しかし、それを聞いた瞬間中年の男は
「それだ!」と手を打ちながら思い出した様に付け足した。
「そうそう、そこなんだよ!まぁ、あの坊やが全然悪くねぇ
 って言ったら嘘になるがなぁ、ともかくあの男が逆上
 しちまってあのザマよ…。」
320sage:04/08/12 09:29 ID:vHVEVvOu
「じゃあ、何で誰も助けないの!?」
理不尽な仕打ちに対する怒りで、興奮気味に話すリムルルに、
中年の男は少し渋い顔をし、声を落としながら答えた。
「みんなそうはしてやりてぇんだが、あいつはここら一帯を
 縄張りにしてるごろつきでなぁ。腕っ節には自身あり。
 あいつの下にも結構手下がいるらしい。そういう訳で
 役人でも手出しが……って、おい、嬢ちゃん!?」
「だからって…!そんなのって……!!」
中年の男が話している途中で駆け出していたリムルルは、
物凄い速さで人込みを掻き分け、騒ぎの真ん中へと
突っ走っていった。
唖然として暫くそれを見ていた閑丸も、はっと我に返る。
「おじさんっ、ごめんなさい、荷物お願いします!取りに来ますから!」
そして、中年の男に荷物を預け、後を追った。後から追いかける
男の声と、輪を外れて閑丸とリムルルをじっと見ていた視線に
気付かないままに。


騒ぎの中心では、相変わらず男が少年に向かって怒鳴り散らしていた。
「…だから何度も言ってんだろ!?どうしてくれるんだってよぉ!」
少年は男性が大きな声で怒鳴るたびに、その小さな体をますます小さく
縮こまらせ、震えて絞る様な声を出していた。
「…ぁ…、ごめん……なさい……。」
怯えて、ただ謝る事しかできない少年の態度が、ますます男の感情を
逆撫でさせる。
「聞き飽きたっつってんだろ!?…弁償しろよ…!
 全部まとめてなぁ…!一人でできないなら親になり
 何なり出させるぞ、コラぁ!」
321sage:04/08/12 09:29 ID:vHVEVvOu
そう言って、その足でうずくまっている少年に一蹴りあびせる。
たまらずに声を上げて転げる少年の姿を見て、周りから呻き声
がどよめく。
「どうした、痛ぇのか?痛ぇんだろ?
 なら早く誰か呼んでみろってんだぁぁ!」
と、もう一度足を踏み上げた刹那。何か硬いものが男の額にぶつかり、
勢いのよい音と共にに後ろに倒れた。
「ぐぁぁっ!」
男にぶつかった物は握りこぶし大の氷の塊であった。勿論、
リムルルがコンルに作って貰った物を男に向かってぶん投げたのだ。
男が身をおこすと、そこには眉根を吊り上げたリムルルが、
少年をかばう様にして立っていた。
「…つっ…。氷だと…?手前の仕業か…チビ…!」
男の怒り様も気にせず、リムルルは息を大きく吸い込んで、
自分の怒りを吐き出すかの様に大声で答える。
「そうだよ!恥ずかしくないの!?この子怪我させて、
 謝りもしないで!」
見ると助けられた少年は足を捻っており、その部分が青アザに
なっていた。先程からうずくまっていたのは、その怪我の所為だった
様だ。
「さ、行こっ!立てるよね?」
リムルルが肩を貸すと、少年は「うん」と短く答え、それにつかまった。
そしてその場を去ろうとするが、勿論ごろつきがそれを許すはずが無い。
「おい、コラぁ!何勝手な事してやがる、チビ!!」
怒り狂って、男は腰に差していた刀から鞘を抜き放ち、二人に切りかかった。
咄嗟に腰の短刀、ハハクルで受け止めようとして構えた所でまた別の刀が
割り込んで、男の刀を受け止めた。
大人が持つにも大きな刀。リムルルも何度かは目にしたことがある。
322元204:04/08/12 09:30 ID:vHVEVvOu
大祓禍神閑丸。割り込んだ刀の先には、それを両手で構える
赤毛の少年の姿があった。
「閑丸!」
そう呼ぶと、男の方を睨み据えたまま閑丸はこくりと頷き
「僕だって、格好悪いと思います。」
とはき捨てる様に言う。何度も子供に邪魔された事で怒りが頂点に
達したごろつきは、ついに最後の手段に出る。
「手前ら…俺を舐めるのもいい加減にしやがれ…!!
 おぃ野郎共!構いやしねぇ、たたんじまえ!」
男の叫びとともに、図体だけ大きそうな男がぎらぎらと光る刀を
抜いて、三人を追いかけていた。
「どうする、閑丸!?」
リムルルは閑丸に問うが、それは疑問ではなく確認の意であった。
閑丸もリムルルの言葉の意を理解していた。
「だってこれが一番いい方法でしょ?」
と即答し、少年のほうに駆け寄り、二人一緒にその少年を抱えた。
「ね…ねぇ、どうするの…!?」
状況の理解できない少年が慌てて質問を繰り出と、二人は
同時に「逃げる!」と答え、脱兎の如く一目散にその場を後にした。
後には唖然とする野次馬と、相変わらず憤慨するごろつきの親玉と
慌てて三人を追うごろつき共の姿。
「あ〜あ…行っちまったなぁ…。これ…どうするよ…。」
とぼやくのは先程リムルル達が話を聞いた中年の男性。
リムルルが少年を助けに行き、慌ててそれを追って閑丸
も向かったが、その時に荷物を預かっていたのである。
「取りに来る…つってたから、忘れちゃいねぇだろ。
 しかし、あそこまで威勢の良い子供も珍しいもんだ。」
と、稀に見ない光景を思い出し、一人でうすら笑いを浮かべていると
不意に後ろから声が飛んできた。
「ねぇ…そこのあなた。」
323元204:04/08/12 09:30 ID:vHVEVvOu
気配のなかった事に驚いて後ろを振り向くと、一人の少女が静かに腕を組んで
立っていた。少女とは言ってもリムルルよりはもう少し上で落ち着いた雰囲気を
持っており、髪は肩ほど、紫色の衣装で纏めた格好で、意志の強そうな瞳で
こちらを見ていた。そしてその少女がもう一度口を開いた。
「その荷物、さっきの子達のよね?」
急な事で呆然としていた中年の男は、荷物の事を聞かれてはっと我を取り戻した。
「そ、そうだぜ姉ちゃん。あの赤毛の嬢ちゃんから預かったやつだ。」
赤毛の嬢ちゃん、とはどうやら閑丸の事を言っているらしい。
男の答えを聞いた少女は、くすりと口の端を緩ませながら言った。
「…その荷物、私が届けるわ。預けて貰えない?」
その質問に、すこし怪訝そうな顔をしながら中年の男が答える。
「…まぁ届けてくれる分にはありがてぇが、姉ちゃん、
 あの二人の知り合いかい?」
少女はその質問に、躊躇無く答える。
「ええ。片方はよく知ってるわ。私の妹だもの。」
中年の男はなるほど、と頷き、荷物を預け様にもう
一つ質問をくりだした。
「あんた達、名前聞いても構わねぇかい?
 いや、あんた達みたいに骨のある奴は久しぶりでなぁ。」
少女は一瞬悩んだが、小さく頷いて質問に答える。
「いいわ。あの栗毛の子はリムルル、私の妹よ。
 赤い髪の子は…閑丸君…だったかしら。」
荷物を受け取り終え、くるりと背を向けて顔だけを
中年の男に向けて、最後に自分の名前を答える。
「私の名前は…レラ、レラよ。」
男が名前を聞き終え、「そうか。」と答え反対を向いて何やら
ぶつぶつと呟き始めた。
「あの姉ちゃんがレラで、栗毛の嬢ちゃんがリムルルで…
 あぁ、ややこしい名前だなぁ!んで、最後に赤毛の嬢ちゃんが
 閑丸…君…?って、あの子男なのかい!?姉ちゃ………ん…?」
中年の男が振り向いた先には、先程までいたはずの少女は、とっくに
姿を消しており、後には悠々と風が舞っていた。
324元204:04/08/12 09:36 ID:vHVEVvOu
まずは…寝惚けてdでもなくageちまいました…スマソOTL
今回分、終了です。
おじさんの長台詞が多かった様な…。
皆様お察しの通り、レラ姉様もちらっと出て来ました。
もうじき、エロにも到達します故、楽しみにして頂ければ。
325名無しさん@ピンキー:04/08/12 12:33 ID:y8VdWlJR
閑丸、女だと思われてたのかw
閑丸がイケメンに宿に連れ込まれる展開希望
326名無しさん@ピンキー:04/08/13 12:03 ID:ujml1UM9
連れ込んだ男が新しい世界への扉をひらいてしまう展開希望
327名無しさん@ピンキー:04/08/14 14:04 ID:1gu2vdXy
これは中年の親父が今後も活躍しそうな(ry

しかしお盆だからか鯖移転の影響か
投下が続いてるのに人通り少ないねぇ。
328名無しさん@ピンキー:04/08/14 23:02 ID:/e9/GS98

 リムルル   レラ      ミナ                  ナコルル
                            ┃:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
   ∧ ∧   ∧∧     ∧ ∧   ┃:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
   (・∀・)  ∩∀・)    (・∀・)∩  ┃::: :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
   / ⊃⊃ ヽ  ⊃ノ   /⊃ /  ....┃::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
 〜(  (    ヽ  )つ 〜( ヽノ  ......┃::: :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::(   )⌒ヽ;::::::::::
   (/(/'      (/     し^ J  ......┃::: :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|/.|/uと  )〜:::
""""""""""""""""""""""""""""""""."""""""""""""""""""""""""""""""

329名無しさん@ピンキー:04/08/15 18:12 ID:WiCxfbPx
>284
>閑紫ナコ
多分あのサークルの本だろう。
この組み合わせ自体ほとんど見ないからな…。

俺も持ってる…。
違うサークルの物だったらスマソ。
330284:04/08/16 01:33 ID:ZEKnSZm2
うん、多分ビンゴだと思う。
つかあれは和漢もの・・か?
しばらく見てないからどんなだか忘れてしまった
331前スレ64:04/08/16 22:41 ID:xZHTFnob
ある日私は 全く違う世界に飛んできた
そこで 優しいお兄様に出会った
毎日一緒に楽しく歌って暮らしているけれど
高い空が太陽だけのものではないように
時には悩みも辛い事も降りかかる

だからお兄様 今は眠って下さい
雨の日は疲れた羽を休めて下さい
明日はきっと晴れて 
すぐにもまぶしい陽光が私達を空に導く
幸せな日々が 二人の歌が天まで届く

「おしまい」
自分と兄を鳥に見立てた歌を歌い終わって、リムルルはゆっくり目を開く。即興にしては
かなり上手くいった方だと思うが、
「にいさま、もう寝ちゃった」
さっきまで苦しそうに息を荒げていたのが嘘のように、兄の寝顔は静かだ。眠りを誘う
祈りの歌がもう届いたのだろうか。自分にそれ程の腕前があるとは思えなかったが、少し
は落ち着いてくれたのかもしれない。そう結論して、リムルルはそっと兄の寝顔に触れた。
伸び始めたヒゲの感触が、ちくちくと面白くて、男らしい。
「あれ・・・」
しかしその手触りが別なものに変わって、リムルルは首を傾げた。目元のあたりから頬に
かけて、少しだけ濡れた感触がある。もう殆ど乾いているが、うっすらと残った筋。ひと
かけらの苦しみも無いはずの顔に似つかわしくないそれを見つけ、リムルルは戸惑った。
何で、涙なんて。
そういえば、歌っている最中に兄は何かを言っていたような気がする。
今の今までやっていた事の記憶をリムルルは引っ張り出そうとするが、どういうわけか
頭の中に浮かぶのは、カムイコタンの森の向こう、誰も知らないあの美しい草原の思い出
ばかりだ。
332前スレ64:04/08/16 22:44 ID:xZHTFnob
日が沈む頃になると、頭上をどこまでも貫く空と、地面を覆う草の色が同じになって、
あたり一面、どこまでも金色に染まる秘密の場所。小さい頃、リムルルはそこで姉に
多くの歌を教わり、日が沈むと同時に訪れる美しい風景を目に焼き付け、真っ暗になる
直前に慌てて帰っては、家に着いて二人でちょっとだけ怒られて、そして久しぶりに
兄と一緒にその秘密の草原に出かけて、気持ちを込めた曲を歌って聴かせ、兄はただ
一言、ありがとうと――
「なーんて、ね」
まるで本当のことのように鮮明で、やけにすらすらと描かれたイメージに、リムルルは
自分の想像力も捨てたものではないなと、ひとり感心した。
けど、本当にあそこに行けたのなら、あの風景を二人で楽しめるのなら。
「にいさま、あのね、ホントに綺麗な場所があるの。いつか一緒に行きたいね」
乱れ一つ無く正確な寝息を立て続ける兄に、声を落として話しかけながら、兄の顔を
汚していた涙の跡を拭きとる。
「あっ、だけどねー・・・あんまり凄くてきれいで、にいさま泣いちゃうかもよ?『綺麗すぎ
るーっ!こんなの見たこと無いーっ!』って!ふふっ。ホント、すごいんだから。ホントに・・・
秘密の場所なんだから。にいさまにしか、教えないんだから・・・」
姉と自分以外はたぶん誰も知らない、家族にも教えたくない特別な場所。それでも、兄だけ
には教えたい。一緒に行けば、また一つ、二人の絆を深められると思うから。
日が暮れるまではお互いが、お互いのためだけにあるはずだから。
「にいさま、大好き」
いつか教わった大好きのしるしを、リムルルはそっと兄の頬に口付けて残した。いい夢を
見られるようにと、涙の跡を封じるように左右に一つずつ。別に舐めたわけでもないのに、
口の中で少しだけ塩辛い味が広がった気がした。
「さて・・・」
コンルを冷凍庫にしまいながら、リムルルはこの後の事を考える。
動けない兄のために、するべき事とは。
「炊事、洗濯、お風呂のおそうじ・・・」
指折り数えながら、とりあえずリムルルの頭に浮かんだのは家事全般だった。
333前スレ64:04/08/16 22:45 ID:xZHTFnob
「洗濯と、お風呂は簡単なんだけどなぁ」
残った一つ。炊事は、リムルルにとって最大の難関だった。兄と一緒に練習すると言った
矢先からこれで、どうしてもっと早くから練習しておかなかったのかと、ひとり今頃に
なって後悔したが、時すでに遅い。
「う〜〜ん」
しかも、洗濯物や風呂場は放っておいても死にはしないが、食事だけはどんな事があっても
しないわけにはいかない。命を繋ぐ、大事な仕事である。
「生きるのに一番大事なことが、一番苦手だったなんて・・・はぁ」
当たり前に送り続けてきた生活のど真ん中に開いていた落とし穴にまんまとはまった
気分がして、リムルルは盛大にため息を吐いた。まだ料理を始めるわけではなかったが、
重い腰を上げてとりあえず台所に足を踏み入れる。流し台の横の壁にあるフックには、
二人分のエプロンが出番はまだかともの言いたげにぶら下がり、どこからともなく入り
込んだ柔らかい風に揺れながらこっちに向かって手ぐすねを引いている。
「ちょーっと、待ってね・・・」
言いながら、少し期待してコンロに置かれた鍋の中を覗き込むも、残り物のかけらも
無い。美味しいものは美味しいうちにと、毎日残さず食べる癖がこんな所でアダに
なるとは思ってもみなかった。
「むむむ・・・むぅ」
どうしよう。リムルルの頬に、冷や汗が垂れる。
―くくく・・・
鍋が、フライパンが、炊飯器があざ笑っている。声まで聞こえてきた。
―お前にご飯が炊けるかな?
―お前に玉子焼きが焼けるかな?
―まずーいご飯じゃ、兄貴が起きたと思ったらまたぶっ倒れるぞぉ?
「う・・・うぅ・・・で、できるよ!簡単だもん!!」
―そうか、そうか。それじゃあ、お前ひとりで買物に行けるのか?
―数字は読めても、材料の分量から何から何まで・・・自分で考えるんだぞ?
「いざとなったら、『ち○んらーめん』があるもん!大丈夫だもんね!!」
―ほぉ〜、それでいいのか?料理って言えるのかなぁ・・・そいつは。
―兄貴、絶対期待してるぞ?
―そんな手抜きじゃ嫌われちまうかもな。
334前スレ64:04/08/16 22:46 ID:xZHTFnob
「うるさぁい!もう!黙って!!」
リムルルは大声を張り上げて、腰に手を当て、ばしっと鍋を指差した。
「バカにしないで!ちゃーんと絶対に、美味しい料理つくるんだから!!」
誰も居ない台所にリムルルの声がこだまして消えて、
「はっ」
冷凍庫から心配そうにコンルが一部始終を見ていたのに気づいて、何も無い方向に向かって
大見得を切る自分の姿に、リムルルは思わず赤面した。
「えっ、あのね、これはそのー・・・なんだ」
その、なんだ。からまった舌が、なぜか勝手に困ったときの兄の口癖を口走る。
「ちょ、ちょっとお鍋のカムイとお喋りなーんて、あははぁ、あ・・・」
じとっとこっちを睨んでいるコンルに、リムルルは取り付く島も無かった。どんなツッコミ
を受けるのかとどきどきしながらリムルルは縮まって身構えていたが、コンルは何も言わない。
なのに、
「リムルル、何してるの」
突然の背後からの声。
リムルルは目を剥き、びゃんっと肩を跳ねさせて数センチ飛び上がった。驚きに絞られた
肺から、ひんっと声が漏れた。
あぁ、コンルが見ていたのはわたしじゃなかったんだ。
子供っぽくてカッコ悪い独り言、聞かれちゃった。
けどお鍋が悪口言うんだもん、仕方ないよ。
そういえば聞こえたのは、にいさまの声じゃない。

じゃあ誰。

空中でそこまで思考が転々と巡って、とんと床に着地したリムルルはすかさず振り返り、
右足を半歩後ろに下げ、両腕で顔をかばった。反射とも言うべき速度で展開された、
嫌と言うほど叩き込まれたとっさの防御の構え。
だが次の瞬間には、掴まれるか、殴られるか。何をされるかわからない。
335前スレ64:04/08/16 22:47 ID:xZHTFnob
――間に合えっ!
念じながら舌を噛まぬよう歯を食いしばり、僅かでも敵の様子を伺おうと、リムルルは
少しだけ開いた両腕の隙間から、声の方向を垣間見た。
意外にも人影は腕を下げている。構えていない。こちらの動きに驚いたのだろうか、
その場に立ち尽くすばかりだ。ぎょろりと目を動かす。
武器、腰の後ろに刀。右手左手、下がったまま。距離、床を一蹴り。抜刀する前に、
わたしが動ける。
リムルルは身をかがめる。上げていた腕を下げ、右の拳を握る。そして、下げた後足で
床を蹴った。少女の本能のうち、戦士として育った側面が導き出した分析の結果はこうだ。
隙だらけな人影の鼻頭に、固めた拳で先手を打て。
「とりゃあ」
ここでやっと、反射に思考が追いついた。飛び上がる前に耳から聞こえた音が、脳を
通して意味をなす。女の声だった。どうしてか、わたしの名前を知っていた。
「あああ」
かがんだ事でいつもより低くなったリムルルの目の前の風景が人影を中心としてぐぐっと
すぼまり、一気に加速しながら後方に流れてゆく。
「ぁぁぁ」
人影は黒い服を着ていた。日中では意味をなさない、闇に溶けるあの色だ。
「っ!」
今は敵を殴り飛ばすだけとなった右の拳骨が、リムルルの掛け声を斜め後ろからごうと
切り裂いて、
「!!!」
拳は止まった。人影の鼻先寸前で。
「はぁっ・・・はぁっ・・・はぁっ!」
こっちの世界で自分の名を知る人間は殆どいない。闇色の服。女性。
リムルルの服の中に、人影の情報が冷や汗となってどばあっと溢れた。動作の開始と
終了がほとんど同時に来て、意味も無く呼吸が乱れる。戦慄が安堵に書き換えられる
一方、人影が敵でも味方でも無いという現状が邪魔をして、固めた右手を解く事を許さない。
ぴちぴちに張り詰めた空気の中で、リムルルは構えたまま息を整え、またしてもどこかに
落としてきた思考をたぐり寄せようと必死だった。だが相手は、背中の冷や汗が乾くのも
待ってくれなかった。
336前スレ64:04/08/16 22:48 ID:xZHTFnob
「リムルル」
自分の目の前に突き出された拳を両手の平で覆い隠しながら、レラは仕方なさそうに笑った。
「殴っても良かったのに」
張り詰めた空気は経験と先読みの壁に阻まれ、レラには届いていなかった。
笑っている。読まれていたのか、寸止めすることが。甘く見られていたという事なの
だろうか。そう思うと、リムルルは悔しくて仕方なくなった。全く持って、一発ぐらい
殴ってやればよかったのだ。勝手に土足で上がりこんで、しかも忘れもしない昨日の
出来事。報いを受けるのなんて当然だ。きれいな顔のまま帰れると思ったら大間違いだ。
何もしていない兄が苦しい思いをしたのだから。
しかしそこまで姉の愚行を責め、もはや凶暴な自分の首に巻かれた鎖を絶ち切るのみと
いうところで、リムルルは拳をだらりと下げてしまった。レラが意外そうな顔をする。
「殴らないよ」
一言ぽつりと言って、リムルルは厳しさをたたえたままの目を横にそらした。
考えるに、やはり自分の行動は姉に筒抜けだったのだろう。後ろにいるのがレラだと
分かった瞬間から、リムルルは確かに急ブレーキを踏んだのだ。なぜなら、暴力に暴力
でお返しをするなど、立派なアイヌのすることではない。姉を殴りつけるなんて、最初
からある訳がなかったのだ。もしそんな事をすればそれこそ昨日の夜、姉のした事を
自分で繰り返すようなものだ――
「何で殴らないの?」
結論を急ぐレラの声。こちらの神経を逆撫でしているつもりなのだろうか。
「だって!」
挑発に乗ってつい言いかけた。殴るなんておかしい、と。そんな考えは間違ってる、と。

そうじゃない。
そんなのは、本当の理由じゃない。

リムルルは飲み込んだ言葉を口の中でもみ消して、ゆっくりとまぶたを閉じた。違うのだ。
昨日の事、教えの事。そんな小さな事が自分の拳を止めたんじゃない。
つまらない激情と建前に支配されかけていた心がすうっと落ち着きを取り戻した。もはや、
怒りにも月並みな教えにも心は縛られていない。
337前スレ64:04/08/16 22:48 ID:xZHTFnob
そんなまっさらで自由な心で、リムルルは思い出す。自分が何のためにこの時代にやって
来たのかを。それは姿を消した姉を追い、見つけ出し、そして一緒に平和に暮らすためだ。
では、その姉の心が作り出した反面であるレラは自分にとって何者なのだろう。
思えば、まだろくに話もしていないのだ。初対面でもチチウシを奪ってすぐに姿を消して
しまったし、昨日の晩も気がつけばどろん、リムルルは兄と共に防波堤に取り残されて
いた。そんな情報不足のレラであったが、言葉の厳しさといったらない。あそこまで
辛らつで好戦的な人も珍しい。流石に自分を戦うために生まれた存在だと言うだけの事は
あると思う。言葉と同様、物腰も目つきも、悪人を睨むだけで改心させてしまえそうな
迫力で満ちているし、実際、もの凄く腕っ節が良いらしい。この部屋のような高所から
飛び降りてもすぐに動ける足腰の丈夫さ。兄が空高く吹き飛ぶ程の蹴り。一発で自分を
動けなくした背中への一撃。そして、突然現れたのかと思うぐらいに気配を消し去る事が
出来る身のこなし。一級の戦士としての必然をすべて満たしていると思う。ナコルルよりも、
もしかすると父よりも強いかもしれない。
そんなレラだ。強気で、何となくけんか腰の言葉にリムルルは完膚なきまでに打ち負か
されてしまったし、兄もまた、風邪を引く羽目になってしまった。
会うたびに驚かされ、苦しめられ、悩まされ。そして今日もこうしてまた。嫌われる要素
を総なめにしながら、これでレラに良い印象を抱けと言うほうが無理な話のはずである。
でも、リムルルは違った。
ただ、愛しかった。
レラの振る舞いに腹が立った事も、この人は一体何者なのかと疑念を抱いた事も確かだ。
だけど、どちらも表面的な一時の感情に過ぎない。そんなつまらない心の惑いなど到底
及ばない、自分では逆らう事も操る事も出来ない心の奥底でリムルルは、レラに初めて
出会ったあの晩から、確かな絆を感じ取っていた。それは、レラがチチウシを使える事
よりも、ナコルルと同じモレウをレラが服に施している事よりも、そしてレラが自らを
リムルルの姉だと告白する事よりもずっとずっと強く、リムルルにレラが自分の家族だと
心から信じさせるものだった。
338前スレ64:04/08/16 22:50 ID:xZHTFnob
その絆は、見えない所からリムルルにこう囁きかける。
この人は、あなたの姉なのだ。
すぅっと、リムルルは深呼吸をした。今も感じる、絆。
深く、確かに。
「うん・・・やっぱり、そうだよね」
「何?」
怪訝そうな顔をするレラを前に、リムルルははぁ〜っと大きく息を吐いて、言った。
「レラねえさまの言うとおりだ。やっぱりレラねえさまは、わたしのねえさまなんだね。
小さな頃から、ずっと一緒だったんだね」
「どういう事よ、ずっと一緒って・・・突然何を言い出すの」
「ねえさま・・・ごめんね。殴るなんて出来ない。理由を言えって言うなら・・・だって
家族だから。それだけ、それだけなんだよ?」
リムルルはレラに歩み寄った。そしてそのまま、レラの身体をぎゅっと抱きしめた。
リムルルの耳に、姉が息を呑む音が届く。
「ごめんね、今までみんな気づかなくって・・・」
ナコルルよりも少し柔らかい感触のするレラの身体に震えが走った。
「リムルル・・・どうして、どうしてこんな事・・・を。私が昨日の夜にした事、まさか忘れた
んじゃないでしょうね?」
「忘れないよ・・・レラねえさまは、にいさまの事蹴っ飛ばして海に落とした」
「そ、そうよ!あんな事をした私を・・・何もしていない、無抵抗のお兄さんを・・・それなら
どうして?何で!覚えているなら・・・私が憎くて仕方ないはずでしょ!離れなさいっ!」
レラは上ずる声で叫び、リムルルの腕を引き剥がした。冷徹なはずの目が迷子のような
不安と強い驚きに揺れている。あれ程冷静なアイヌの戦士はそこにはいなかった。
「さあ殴って!私のことを!!もう二度と来るなって、そのくらい言えるでしょ?!」
「レラ、ねえさま・・・」
「ちっ、違う!もう私はあなたの姉なんかじゃない!!敵よ、だって、だって・・・だって
そうじゃない!」
レラは何かに追われるようにリムルルに近づき、肩を掴み、がくがくと揺さぶって言った。
「私はね、私は・・・あなたとお兄さんの絆を打ち砕こうとしたの!最低の極悪人なのよ!
あなたも戦士なら、一度でもチチウシを受け継いだ身なら・・・ちゃんと役目を果たしなさい!」
339前スレ64:04/08/16 22:55 ID:xZHTFnob
それでもリムルルは目を背け、身を揺らされるがままで抵抗しない。レラは、気が狂った
ようなもの凄い剣幕で今度はリムルルの右手を掴み、指を握って拳を作らせようとした。
「こうよ、こう!さっきは出来ていたのに・・・何をしているの、バカ!バカ!そこまで
呆けてしまったの?敵は・・・打つのよ!打つの・・・もう二度と、立ち上がれないように・・・。
身体だけじゃなく、心を・・・折る、まで・・・!」
興奮のあまりか、レラの言葉の後半は苦しそうな涙声に飲まれて聞こえなかった。レラは
膝を折り身を屈めて、夢中になって自分の頬にリムルルの右手を導き、こすり付ける。
「ほら・・・何をぼうっとしてるのよぉ!ぐすっ、なぐ、殴りなさい・・・ほら、ほらぁ!もう、
二度と会いたくないって、嫌いだって!お前なんて、姉なんかじゃないって・・・うっ、うう」
嗚咽が混じり、もう力が込められていないレラの手をリムルルはやさしくほどいた。
「レラねえさまは、絶対にねえさまだよ。今ごろ嘘ついてもダメ。わかっちゃうんだよ」
「なんで・・・なんで、私は・・・もう」
「聞いて。レラねえさまはね、ナコルルねえさまと父様と、それからお爺ちゃんとお婆
ちゃん、わたし。みんなと同じにおいがするんだよ。ずっと一緒の人にしかわからない
においがするの。だから・・・嘘ついても、ごまかしてもダメ。そばにいたの、ずっと。
一緒のおうちで・・・暮らしてたんだよね」
「うぅ・・・うううう〜!」
レラは涙と鼻水だらけの顔で押し殺した鳴き声を漏らしながら、リムルルに飛びついた。
「うあぁぁ〜!リムルル、リムルル・・・!許して、許してぇ!」
自分の胸の上で突っ伏し嘆くレラを、リムルルはしっかりと抱きとめる。
香る。胸の中から微かな、何よりも愛しいレラの匂い。これまでの人生を過ごしてきた
土地。そしてその時間の殆どを共に生き抜いてきた、家族の匂い。
それこそが絆だった。
340前スレ64:04/08/16 22:56 ID:xZHTFnob
リムルルは、自分よりも大きな姉を小さな身体と心一杯に感じながら、レラに囁く。
「レラねえさまも分かるよね?わたしのにおい」
レラはリムルルの服をさらに強く握りしめた。顔と口元が服に密着しすぎて、熱く湿った
レラの吐息が布を超えてリムルルの肌まで届いた。
「えっ、えぇ・・・!ぐすっ、わかるわ、懐かしい・・・カムイコタンの家の、リムルルの・・・!
何年ぶりかしらね。何度、ナコルルの中であの家の事を思い出したか。帰りたいと、皆に
会いたいと思ったか!」
初めて出会った夜から、リムルルは気づいていた。レラはその名の通り、カムイコタンの
風の香りがするのだ。草木といのちに溢れ、様々なカムイが野山を駆ける、あの懐かしい
土地の香り。もう戻りたくないと思っていたはずなのに、何ともいえない郷愁をリムルルの
胸に呼び起こし、コタンの皆の顔をよぎらせる香りだった。
そしてその風の――レラの――香りは、リムルルの家の匂いさえもこの時代にまで届けた。
人の生活と時間が染み込んだあの古い家の柱、床、布団、囲炉裏・・・あらゆる全ての匂いを。
その家で共に暮らす者だけが持つ自分と同じ匂いを、レラは確かに持っていたのだ。
そう、レラもナコルルと同様、幼い頃から寝起きを共にしてきた姉だったのである。
帽子を床に落としてしまうぐらいに髪を振り乱したレラは、リムルルの懐でむせび泣き
ながら言う。
「もう、もうこの時代にはあの家も無い。カムイコタンの誰も生きていやしない・・・
だから、大自然を守っても・・・うぅ、どんなに戦っても、それで仮に生き延びたとしても、
『私達』に帰る場所なんて無いと思ってた!あぁ、なのに、リムルル!愛するリムル・・・
うっ、うぅ〜っ!!」
自分の名前を何度も何度も呼びながらこちらを見上げてきたレラの顔が、ふいにナコルル
の顔とだぶって見えて、リムルルは胸を刺された。
優しい姉と、厳しい姉。慈しむ姉と、退ける姉。相反する二人の顔、全然違うはずの顔。
でも、レラの顔には浮かんでいる。ナコルルと同じものが。
リムルルが何とかしてナコルルから取り除こうとした、最もナコルルに近しい自分だけ
が気づき得るものが。二人が心に抱えたまま、誰にも癒す事の出来なかったものが。


孤独。
341前スレ64:04/08/16 22:57 ID:xZHTFnob
家族だというのに、姉であるというのにレラは肉体を持つ事無く、ナコルルの中でただ
ひっそりとその身を潜めていた。コタンの誰にも、自分を初めとした家族にも、そして
自らを生み出したナコルルにさえはっきり存在を悟られぬよう、ずっと同じ屋根の下で
ひっそりと戦いの日に備えて刃を磨き続ける毎日を送っていたのだ。
誰に愛されるわけでもなく、励まされるわけでもなく。ただ生まれついた定めを、大自然
と平和を汚す悪しきものと戦い、そして葬る事だけを果たすために。
悲しすぎる、辛すぎる定め。
もしかしたらその定めは、大自然と人々の全てを護る事を自らに課し続けて、誰も傷つけ
たくないという思いが強まった余り、いつしか周りに見えない隔たりを作っていたナコルル
よりも、ずっとずっと重く苦しい物だったのかもしれない。
そんなレラを、孤独を生きる運命を背負わされた姉をそこから引きずり離して、二度と
独りぼっちにしないのはわたしの方だ。リムルルは、すがり付き自分の名を呼び続ける
レラに、優しい笑顔で言った。
「大丈夫、もう大丈夫だよ。寂しかったんだよね、ずっと独りだったんだもんね」
レラは、拭っても拭っても追いつかない輝く涙をそれでも懸命に袖で押さえながら、
リムルルの懐で泣きじゃくった。
「うぁっ、うぅ、うん、寂しかった・・・だけどそんな気持ちに負けて・・・うぅ、私は・・・
お兄さんを・・・。今日だって、お別れを言うつもりで来たの。あなたの中にいる私を、
殺してほしくて・・・!こんな恥さらしの姉なんて、いたら迷惑でしょ?嫌われてしまえば、
もう会おうなんて夢にも思わないでしょ?」
もしもついさっき、万が一にもリムルルがレラを殴っていたとしたら。レラは家族の
温もりを何一つ知らぬままに、孤独の呪縛を断ち切れないままに自分の前から姿を消そう
としていたのか。そんな事があっていいはずが無い。リムルルは首をぶんぶんと横に振る。
「そんな!わたしだって悪かったの。レラねえさまの気持ちも知らないで、にいさまと
ばっかり仲良くしちゃったんだもん。けどね、もうこれからはずっと一緒だよ。今度こそ
ちゃんと、一緒に暮らすんだもん!だからレラねえさま、お別れなんて悲しいこと言わ
ないで!もうどこにも行かないで!」
342前スレ64:04/08/16 22:57 ID:xZHTFnob
「本当に・・・本当に、許してくれるの?」
「うん・・・当たり前だよ。レラねえさま、大好き」
これ以上の言葉は、何も必要なさそうだった。リムルルはただ、新しくて懐かしい家族と
こうして仲直りが出来て、これからの生活を一緒に送れることが嬉しくて、ずっと抱き
しめあった。レラが顔全体をもう一度袖でぐいぐいと拭って、真っ赤な目で心底嬉しそうに
微笑む。
「優しい子に、育ったわね・・・。さすがはナコルルに育てられただけあるわ」
「えへへ・・・」
「でもね、料理が出来ないなんてそれじゃ一人前とは言えないわね」
「うぐ」
ぴん、と人差し指でおでこを弾かれて露骨に歪んだリムルルの顔を見て、レラはもう
一度目を細めた。熱い涙が、もうひとしずく。レラはカムイに感謝し、祈る。
――こんなに心から笑えた事、今までの人生に無かった・・・ありがとう。
「ふふ、あなたの教育はナコルルとお父様に任せ切りだったからね」
長い瞬き程度の短い祈りを終えて、レラがすっくと立ち上がった。そして何を思ったか、
上着のすそをばたばたと派手に揺らした。その勢いに乗って、何かが、ごろごろと音を
立てて床に落ちる。それは大根やら芋やら、幾つもの野菜だった。湿った泥までついて、
今さっき掘ったばかりのようだ。
「えーっ?!」
リムルルは目をひん剥いて仰天した。当たり前だ。何で急に野菜を取り出して・・・いや
そうではなく、普通に身体の線が出ていた服の中にレラは、何で、どうやってそんな物を
入れていたのか。青いタヌキの形をした変なのが出てくるテレビの漫画じゃあるまいし、
これは一体、何事なの。
「えぇ・・・何で、ちょ、あれ?野菜でしょ、服が・・・よじげん・・・どこでも・・・え??」
ちんぷんかんぷんになったリムルルに、レラはとどめとばかりもう一度すそを揺らす。
びちゃ。
まるまると太った鮭が、ずるんと背中から転げ出た。
343前スレ64:04/08/16 22:58 ID:xZHTFnob
「・・・・・・」
リムルルは立ち上がることさえ忘れ、野菜と鮭を見つめてあんぐりした。
そんなリムルルをよそに、レラはぱんぱんと軽快に手を打つ。
「さぁ、みっちりお料理教えてあげる。鍋のカムイとお兄さんが仰天するぐらいのを、ね」
「ちょっと、ねぇ、どこにしまってたの?これ鮭でしょ?ねえさまってば、ねえ!」
「あら、いい包丁ね。ちゃんと手入れされてるし」
「ねーったらー!!」
騒がしいやり取りの一部始終を見ていたエプロンが、自分の出番を喜ぶように揺れている。
344名無しさん@ピンキー:04/08/17 02:31 ID:qFTTEDA3
ウハ!レラ萌え!
GJ!!
345名無しさん@ピンキー:04/08/17 06:00 ID:YGSUETru
また泣かされた……と思ったら、最後に
爆笑キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!

どこにしまってたんですか、レラ姐さん……?
346名無しさん@ピンキー:04/08/17 15:45 ID:BQjBUPHc
64氏GJ!(*´Д`*)ハァハァ
347名無しさん@ピンキー:04/08/17 19:36 ID:1JPbo2mM
GJ!!
レラ姉さまが幸せそうに笑える姿が見られるなんて‥
  (´▽`) 
348名無しさん@ピンキー:04/08/17 21:00 ID:4XAkJdja
>>345
実はスタイルが良いと思ってたのが実は…

レラ姉さん、上げ底疑惑w
349名無しさん@ピンキー:04/08/17 21:07 ID:Etm4wyrg
良い場面だったんだけど…
レラがお兄さんって呼ぶのにちょっとだけ違和感。

「よじげん…どこでも…」に笑ったw
350名無しさん@ピンキー:04/08/18 13:45 ID:wjGx2Dq7
204!204!
閑丸サイコー!
351前スレ64:04/08/20 00:14 ID:4NIdK23L
ご報告
続きを書いていたら、前回の投稿で章を区切るのがよさそうなのに気づく。
なので唐突だが前回をもって、

リムルル第三章 「蘇る風」 おしまい

少し語る・・・。
レラが一番最初に登場した「あのひと〜」はプレイしてないし、紫とか赤とか
そこら辺もイマイチよく分からなかったので、ゼロの設定とゲーム意外に
レラという人がどんななのか知る媒体が無かった。
だもんで、実は多重人格なだけなのかしらとか色々難儀して、今のナコとは
別な肉体と精神を持った、四次元レラが登場するに至った。
ていうか「あのひと〜」のレラってどんななんですか?参考に誰か教えて下さい。

レスもする。
>349氏
>レラがお兄さんって呼ぶのにちょっとだけ違和感。
すまない、完全にこちらのミス。「あなたのお兄さん」とかそこらに脳内訂正希望。
指摘ありがとう。

つうかマジ、毎回レス一杯ありがとう。
叩かれてからはレスも語りもやめたけど、ホントに感謝してる。何度も読んでる。
正直なところ、今の俺がいるのは黒子氏、それからあなた方温かくてノリの良い
ここの住人、いい刺激を与えてくれる204氏はじめGJな職人方のお陰だと思ってる。
だからちょっと、バカジャネーノと言われても、今回だけは本気で礼を言わせて欲しい。
みんなありがとう。
これからも面白いの書いて、文も上手くなって恩返しするつもり。


来週か再来週から四章。全然まだ終わんない。全然。
352名無しさん@ピンキー:04/08/20 02:11 ID:5dVx/kju
>>64氏がんがれ!!
353名無しさん@ピンキー:04/08/20 02:33 ID:z3IvSYcq
あまりの傑作さに64たん×レラさんを書きたくなったぞ。
354名無しさん@ピンキー:04/08/20 11:35 ID:j1GvFw3+
叩きなんてあったのか…
355名無しさん@ピンキー:04/08/21 18:10 ID:Vi8SIq4o
鏡だぁ!
356名無しさん@ピンキー:04/08/22 02:13 ID:PVK2fOSE
服の中からいろんな物が出てくるシーンで日々野晴矢を思い出した俺がいる。
357名無しさん@ピンキー:04/08/22 03:42 ID:7m+0bnUy
>>351
叩かれようとなんだろうと、ここまで続けるのは美徳だ。
いつもお疲れさん。頑張ってくれぃ。
358名無しさん@ピンキー:04/08/22 15:08 ID:L60hN+1/
次からの予想

リム「じゃあ、お風呂入ろうかな。
兄さま、いつもみたいに一緒にはいろ。」

ぴしっ

俺に向かって、レラが凍てつくような殺気を放っている…

次回、「兄さま、死す!?」


ジャンプの担当が勝手に書く適当な煽り文のような感じで。
359名無しさん@ピンキー:04/08/22 20:49 ID:PJ2qG+bt
リム「じゃあ、お風呂入ろうかな。
姉さま、今日は一緒にはいろ。」

ぴしっ

レラが凍りつく…

次回、「姉さま、死す!?」


どっちかつーとこっちきぼん
360名無しさん@ピンキー:04/08/22 22:16 ID:UCyMpTEw
夜中、勝手に百合な二人。



次回、「兄さまはバター犬!?」
361名無しさん@ピンキー:04/08/25 01:55 ID:7B38Wfiv
ときめくぜ
362名無しさん@ピンキー:04/08/25 19:01 ID:Lo7Ho4gq
保全
363名無しさん@ピンキー:04/08/26 03:17 ID:HowDggLJ
二作品の続きはまだかな〜
364名無しさん@ピンキー:04/08/27 16:32 ID:tzxDjcu1
保守上げ
365名無しさん@ピンキー:04/08/28 00:13 ID:paI/WSqt
ゼロの公式サイトで小説が公開されてら。
ttp://www.samurai-zero.jp/yomimono.htm
かなり真面目だなぁ。腰をすえて読みたい感じ。
366前スレ64:04/08/29 16:41 ID:ArJ/S5vJ
「にいさま、にいさま」
「んう、ん・・・」
身体を揺すられて、俺は何時間ぶりかに眠りから目を覚ました。リムルルが朝と同じ
ように、にこにこと笑って俺の枕元に座っている。
ただ、少しだけ様子が変わっていた。リボンの代わりに頭にタオルを被って、髪の毛を
丸く全部しまって後ろで縛っているのである。
滅多に、というよりもそんな格好のリムルルを俺は見たことが無かったので、寝起きと
風邪で錯乱した頭で尋ねる。
「どしたぁ、引越しか?蕎麦でも打つのか?海賊ごっこか?早まるな、頼むから風邪
治ったらに・・・」
「な、何言ってんの?にいさま。それよりね、ご飯作ったんだよ。食べるでしょ?」
空耳か。今度の風邪は本格的にヤバいらしい。
「な、なんて?何て言ったよ」
「だから!ごーはーん」
「リ、リムルルがご飯を?自分で作ったの?」
「うんっ」
「そ、そか・・・」
この上ないぐらいはきはきしたリムルルの「うんっ」に、心の中の不安が逆に加速して
俺はついくりくりとした瞳から目をそらしてしまった。
時計は、きっかり11時30分を指している。風邪であっても朝食を抜いたら腹がかなり
減っているところをみると、意外と早く治るのかもしれないとあいまいな予想が立つ。
しかしそれも食事次第であって、脂っこいものや極端な味付けの食事は禁物だ。逆に
体調不良を長引かせてしまったり、弱った胃腸に追い撃ちを食らわす結果になりかねない。
・・・さて、リムルルの料理とはどんなものか。
まず栄養満点、しかも病人にも食べやすい味付けで、やわらかく消化吸収が良い。
そんなわけがあるか。
「い、いや・・・あのな、あんまり腹へってなくて。食欲無いんだ」
隕石のようなおにぎりしか作れないリムルルの料理だ。下手すれば命が危ない。
防衛本能が、とっさに模範的な言い訳を自動的に生成し口から放送した。
367前スレ64:04/08/29 16:41 ID:ArJ/S5vJ
「だから、あーその、もう少し寝てていいか?」
「えー、うっそだー!さっきにいさま、ぐーってお腹鳴ってたもん。台所まで聞こえた」
リムルルは面白おかしそうに俺の腹をぺんぺんと布団の上から叩いた。
何たる不覚か。防衛本能は働いても、無意識に行われる胃の収縮までコントロール出来る
奴などいるわけが無い。しんと静まったテストの最中に腹が鳴るとめちゃくちゃ恥ずか
しいが、今はそんな危機とはレベルが違う。寝汗ではない何かが首筋を伝った。
「な、何を作ったんだい?お、おにぎり?」
ぐらぐらしっぱなしの覚悟で尋ねる俺に、まさかぁとリムルルは手を顔の前でおおっぴら
な仕草で横に振った。
「あのね、オハウっていう料理だよ。あとサヨ」
「おはう・・・?」
「うん、お魚とお野菜煮たお汁」
「お汁・・・くんくん、ん??」
言われて、奇妙なことに気づく。鼻をくすぐる良い匂いが台所から漂ってくるではないか。
俺は思わずがばっと上半身を起こした。あんまり突然だったので、頭に巻いたタオルを
取っていたリムルルの大きな目が点になる。
「この匂い!これ、そのオハウの匂いか?」
「そ、そうだね、サヨはご飯をびちゃーってしたやつだから匂いあんまりしないよ」
「お粥か?!・・・それに煮物まで、いや・・・でも、ごくり」
ストレートな魚と野菜のだしの香りからして、オハウというのはシンプルで身体に良さ
そうな料理だというのが分かる。証拠に生唾が出るし、胃が食い物だ、さっさと食い物
よこせとにわかに騒ぎ出す。
しかもだ。それに病人食の王道、お粥までついてくるのだというではないか。
「お・・・おぉ・・・」
今、栄養満点で病人に食べやすい味付けで、やわらかく消化吸収の良い食事が俺の口に。
「何だ・・・リムルル料理できるんじゃないか。騙したなぁ〜」
何で隠す必要があったのかは知らないが、リムルルが実は家事をどれもそつなくこなせる
という事が妙に嬉しくなって、俺は意地悪っぽく頬を指でつついた。
すると、髪を整えていたリムルルが急にもじもじして言った。
「あの、あのねごめんね、わたしも手伝ったんだけど、作ったのはわたしじゃないの」
「えっ、どういう事?」
368前スレ64:04/08/29 16:42 ID:ArJ/S5vJ
「その・・・レラ・・・ねえさまが来てるんだ」
少し申し訳なさそうに伏せていたリムルルの目の動きを追うと、窓にたどり着く。
「えっ、あれ?!」
視界の外だった事は認めるにしても、この狭い部屋で俺の布団から高々2メートル向こう
にいる人間が、ここまでその気配を悟られないようにする事が出来るのだろうか。
そこに居たのは、黒い装束を着込み腕組みをして、コンルが作った方ではない割れて
いないガラスにもたれ掛かるレラだった。
「お早う」
「あ・・・どうも」
驚きをよそに不思議な迫力のある声でレラに唐突に挨拶をされ、俺は少し恐縮した。
「風邪ですってね、調子はどう」
「えっと、熱っぽい・・・あと鼻が出ます」
「そう」
医者と患者のような会話をしながらレラはつかつかとこちらにやって来て、しゃがんで
俺の額に手を当てた。黒味がかかったきれいな目と一瞬だけ目が合って、離れる。
「た・・・確か昨日会いましたよね?」
「えぇ」
「それで、あぁそうだ。いやー何か俺、海に落ちたらしいじゃないですか、ちょっと、
その時の衝撃かな、何かほとんど記憶無くて・・・。会ったかな?って事だけしか覚え
てないんですよ、すんません。・・・・・・それで俺、何かしました?」
「・・・・・・」
何か話をしなくてはと思うついでに昨日の話題を探ろうとしたが、レラの素っ気無さは
筋金入りらしい。自分の額と俺の額の温度を比べるばかりである。
でも少し前、リムルルが怪我していた頃に初めてあった時は、もっと俺の事をだらしない
だの不甲斐ないだのとずいぶんこき下ろしてくれた。なのに今日は悪口も言わないし
見下したりもしてこない。それどころか俺を気遣ってくれている。随分と様子が違う。
「ね、にいさまはホントに何も覚えてないの。だから大丈夫だよ」
見かねたのか、相槌を打ったのはレラではなくリムルルの方だった。
「大丈夫って、何が?あっまさか俺、何か失礼なこと言ったんじゃ・・・」
「ななっ、何でもない!さっ、ご飯食べよ!」
369前スレ64:04/08/29 16:45 ID:ArJ/S5vJ
「待ってリムルル」
俺が聞き返すと、リムルルは明らかに無理な笑みを作って立ち上がろうとした。
だがそれをレラがおもむろに止めると、リムルルは今度は困惑した様子で俺とレラの
顔を交互に見た。
それだけの事が、ただならぬ雰囲気を部屋に漂わせる。一体、何が始まるというのか。
楽しい食事を前に立ちはだかるレラが、検温を終えて話し始めた。
「なるほど?自分がした事言った事、何にも覚えてないってわけね。それじゃあなた・・・
えっと、あなたじゃなくて・・・?あら、そういえば名前は何だったかしら」
尋ねられて、俺はまだレラに(というより読者にも誰にも)名前を教えていなかった
のを思い出した。
「コウタと言います」
俺ははっきりぱっきりと答えた。なのにレラはふぅん、と大して興味なさそうにしている。
自分で聞いておいてそれは無いんじゃないのと心の中で俺は抗議したが、今はそれよりも
大事な話の最中だ。レラが改めて俺に聞く。
「それじゃコウタ。あなた、自分が何で海に落ちたかも知らないのよね?」
「そういえば・・・知らないです」
はてと首を傾げる俺とは対照的に、リムルルがいきなりその場で足踏みをして慌てだした。
「いっ、いいよその話題は!ご飯にしようってば。ねぇ、ねぇったら!」
「何か隠さなきゃいけないようなことでもあんの?」
「えっ、あのその・・・」
慌てたかと思えば、今度は俺のたった一言でリムルルはうやむやに言葉を濁らせてしまった。
あからさまに動揺しまくるリムルルを見て、レラがふふっと小さく笑う。この人にもこんな
顔ができるとは少し意外だ。やはりこの前とはがらりと雰囲気が変わっている。
「まあ、確かにシクルゥは普通の狼より大きくてずっと強いけれど・・・だからって、顔を
舐められたぐらいで気絶して海に転げ落ちるっていうのはどうかと思うわ」
しかしもっと意外だったのは、レラが言う余りに現実離れした昨夜の出来事だった。
「お、狼?狼に顔舐められて気絶したんですか?俺が?」
「そうよ、私の相棒だっていうのに。ねぇリムルル、シクルゥは恐くないわよね?」
370前スレ64:04/08/29 16:46 ID:ArJ/S5vJ
ころころ表情を切り替えるのに疲れたのか、それともレラの話に何か穴でもあったの
だろうか、リムルルはぽかーんと俺とレラのやりとりを見ていただけだった。そんな
状態で急に自分へ話題が移ってきても対応できそうにない。
「え?え?」
案の定、我に返ったリムルルはどうしたらいいのかわからないらしく、何よ何よと訴え
かける目でレラの事を見た。
「ちょっとリムルル、コウタにしてみたらあんまり格好良い話じゃないから隠しておき
たかったのも分かるけどね、ここまで来たらもう仕方ないでしょ。しらばっくれるのも
いい加減にしたら?」
レラはリムルルの方を向いているので、こちらからでは黒くボリュームのある後ろ髪が
見えるだけで、どんな顔をしてリムルルを諭していたのかまでは分からない。
しかし、レラの顔を見つめているリムルルからは困惑の色が消え去って、ふんふんと頷き、
最後にはにんまりとした。
「んもうレラねえさまってば。にいさまには秘密にしようと思ってたのに、いきなり
ばらしちゃったら止めようがないよぉ!」
「ふふ、隠しても仕方ないでしょ?それにこうして本人も知りたがっているんだから、ね?」
「でも、にいさまカッコ悪かったしなぁ。覚えてないならそのままの方が良かったのに」
「そういうものかしらね?」
「ちょっとちょっと!」
勝手に話が進んで、しかもリムルルまで見ていたとなって立場の無くなりそうになった
俺は二人の会話を遮った。大きい声を出すと、寝っぱなしだった腰にどーんと重い痛みが
のしかかる。が、名誉がかかった状態でそんな事を言ってはいられない。
「そんな、狼って・・・犬と同じか少し小さいぐらいじゃないっけ?だったら平気ですよ、
俺。どうも信じられないな、気絶したなんてそんな話」
「けど、本当なのよ?ねぇリムルル」
「う、うんそうだよ」
しどろもどろなリムルルも怪しいが、それ以上にどうにもこうにも俺には合点の行かない
話だった。というのも、
「あのっすね、だって俺、犬は平気なんですよ?昔、実家で飼ってたんですから」
「あら、それじゃ会ってみる?」
371前スレ64:04/08/29 16:47 ID:ArJ/S5vJ
自信満々で嘘を見抜いたはずが、逆に向こうも切り札を返してきた。レラが不敵に笑う。
ここにきて、俺は初めて少し怖気づいた。何で、レラはちっとも動揺しないのだろう。
普通に考えて、犬を飼っている人間が愛犬に一度も顔を舐められた事がないなんてある
はずが無い。しかもシクルゥがいくら普通の狼より大きいといったって、レトリーバー
やらピレニーズやらを越える大きさに成長することなんて事があるのだろうか。まさか、だ。
レラもそれをわかっているはずだ。きっとたいした大きさではないに違いない。
なのに、あの笑み。
・・・本当にそんなにでかいのだろうか?だがここで退いては男がすたるというものである。
風邪のことも忘れ、布団を蹴ってあぐらをかいた俺は自分の膝をぱしぱしと叩いて弱気の
虫をたたき出すと、レラに負けじとにやりとしてみせた。
「え、ええいいですとも!呼んでくださいよそのシクルゥってのを」
「もう後ろにいるわよ」
「えっうわっぷっ」
振り向いて、存在を確かめる間もなかった。
顔のど真ん中を上から下に、ざらざらべちょべちょの生暖かい感触が蹂躙する。二回、
三回、四回とべとべとが顔を余すことなく舐めつくし、巨大な毛むくじゃらの塊が、
その前両足で俺の胸倉にスタンプを押すように思い切り押し倒してきた。
「ぐぁ」
重くて苦しいその上に、目を開くことも難しいぐらいに休むこと無く続くべろべろ攻撃。
それだけでも激しい攻撃力だった。息は詰まるし、ぬるぬるの精神ダメージも計り知れない。
しかしその攻撃の合い間に、唾液でまつ毛をべとつかせながらも俺は見た。
俺の上にいる、四ツ足の化け物。それは明らかに化け物だったのである。
灰色に銀をちりばめたふわふわの毛、立派すぎるたてがみ。俺の手の甲はあろうかという
ぐらいの巨大な前足。その前足を石柱のごとく支える、コーヒー缶では済まない太さの脚。
そして俺を苦しめ続ける舌を収めた口の上に、一つでいいはずの月が二つ、金色に輝いて
いた。その月は真ん丸く、俺の上にまたがる野獣は二倍となった金の月光に野性を異常な
までにたぎらされ、人間を襲うなどという暴挙に・・・いや待て、月が出るにはまだ早い。
ということは、あの月は。
372前スレ64:04/08/29 16:48 ID:ArJ/S5vJ
はるか向こうで金色に浮かんで見える二つの月がこいつの左右の目だとしたら、一体
こいつはどんなにでかい化け物なのだ。俺を押さえつけて放さないのは化け物の指で、
べろべろとやっているのは触手か器官か何かだ。
そんな巨大な生き物が俺を食ったところで、なんの足しになる。
――あぁ、なるほど。これは夢だ。
風邪で俺はうなされてるんだろう。考えてもみろ、リムルルが料理を作れるはずが無い。
はい。あそこからが夢でした。何でこんなことに気づかないんだ。いくら風邪だからって
むしが良すぎたんだ。その反動の夢がこれ。我ながら情け無い。
さぁわかった、よし寝よう。もういいだろう。
現実を脳が拒否して、俺はそれに従うままに意識を失いかけて、
「シクルゥ、やめ」
どっかで聞き覚えのある声、いや、レラの声に野獣の動きがぷっつり止まり、地面に
転がった障害物ををまたぐ感じで、金目の野獣が俺の上からのっそりどいた。やっと
息ができて、俺はげほげほとむせ返ってしまう。
「にいさま、お顔べったべた!ちょっと!レラねえさまもシクルゥもやりすぎだよっ!」
息苦しくしていると、リムルルが騒ぎながら俺を抱き起こして顔を拭いてくれた。その
様子を上から見下ろしているレラが言う。
「ま、不意打ちは悪かったけどね。シクルゥはだいぶあなたの事を気に入ってるみたいよ」
やられた、と思った。部屋の隅で行儀良くお座りしているシクルゥは、当たり前だが天
まで貫く大きさでは無かった。でも、でかい。ライオン並である。いや、ホワイトタイガー
と言った方が正解だろうか。しかも毛足が長いせいでその風格は五割増し、百獣の王を
はるかに凌ぐ凄みを漂わせている。あれに急にマウントを取られたら、誰だって怪物だと
思うだろう。
気絶しても仕方ないはずだが、悔しい。
「く、くそ・・・うう」
「悔しがれる元気があるなら風邪もすぐ治るわ。さあリムルル、コウタ。ご飯にしましょ」
風邪で身体がだるい上に呼吸もばらばらで、悪態をつくのが精一杯の俺にそうとだけ
言い残し、レラは台所へと向かった。
「あぁ、カッコわる・・・」
373前スレ64:04/08/29 16:48 ID:ArJ/S5vJ
何となく勝ち誇った様子のレラの後姿に、俺は頭を抱えた。その拍子にべたっとした
シクルゥの唾液が手に粘りついて、みじめな敗北感をさらに加速させる。この分なら
昨日の夜の話も本当だろう。
二度の完敗。
がっくりと布団の上でうなだれる俺の肩を、リムルルがぽんぽんと叩き、怪物程では
ないにしてもやっぱり強烈に大きいシクルゥが俺の目の前を悠然と横切って、レラの
後を追った。
そのレラが、汁物をお椀に分けながら何気なく言う。
「――あぁそうそう。コウタ?あなたの看病を兼ねて私、しばらくここで厄介になるわ」
「え゛」
「よろしくね」
――何でそういう大事な事を、この人はいともさらりと言ってのけるのかね。
汚い声を出して唖然とする俺に、リムルルが上目遣いで言う。
「ねぇ、いいでしょ?にいさま。もっと賑やかで楽しくなるよ、ぜったい!」
「あー、えーと、あのー・・・」
リムルルの「お願い熱視線」によろめきながらも、俺は一瞬返事に困った。
というのも、昨日の事は覚えていなくてもレラと初めて会った晩の事、そしてその時
レラが言った言葉を俺は良く覚えていたからだ。
リムルルを迎えに来るわ、と。
だが、厄介になるという事はそれもキャンセルされて、俺はこれからもリムルルと一緒に
暮らせるという事なのだろうか。なんら変わらない・・・・・・どころかいつもより少しウキウキ
したリムルルの様子からしても、どう転んでも離れ離れということは無さそうだ。
「あー、あぁ。い、良いけどさ別に・・・。けど、けどその前にひとつだけ――」
「やったぁー!レラねえさま聞いた?にいさまがいいよーだって!」
「えぇ。さぁ、これ持ってそっちに運んで」
「うんうん!!」
ひとつだけ教えてくれ、リムルルはこれからもここにいるのか?
聞こうとしたが、どうやら大丈夫らしい。
それにしても、厄介以前に俺はレラの正体をまだちゃんと知らないのだ。
リムルルはさっきから、当たり前にレラの事をこう呼んでいる。

レラねえさま?
374前スレ64:04/08/29 16:49 ID:ArJ/S5vJ
・・・・・・

食事はそれはもう、至福の時そのものであった。
温かなスープが胃から直接吸収されて身体に活力を送り込むイメージ、というのが一番
正確だろう。味付けも神業レベルのバランスで、部屋に漂っていた香り以上にその味にも
食欲を刺激されて、風邪だというのをリムルルに疑われるぐらい、食が進んで進んで仕方
なかった。
何より印象深かったのは、汁の実に混じっていた鮭の美味しさである。何処で獲ってきた
のかとレラに聞けば「キムンカムイが云々」でよく分からなかったが、とにかく最高だった。
「いや、ホント美味しかったです。ごちそうさまでした」
コウタツの正面でお茶をすするレラに、俺は両手をコウタつについてお礼を言った。
「お口にあって良かったわ」
「お口にあうどころか、にわかに元気が出てきましたよ」
「無理はしないでね」
「これならもうずっと居てくれても構わないですよ。歓迎します」
「あら、ずいぶん現金だこと」
話していると、右手に座っているリムルルが俺に向かってみかんをころころ転がしてきた。
「ねえ、お野菜の皮、私が剥いたんだよ?」
「うん、美味かった」
「それからね、剥いてから切ったのもわたし!」
「うんうん、美味かった」
「やった!これからもわたし頑張るよ!」
これで何度目だったか、リムルルはさっきから嬉しそうにアピールを繰り返している。
レラの手できれいに切られた野菜に混じって前衛的な芋が入っていたり、中には殆ど溶け
ているぐらい切り刻まれたものもあったが、それでもリムルル本人はかなり自信を深めて
しまったようだ。食べる事よりも作る事のほうが楽しみで、夜が待ちきれないとまで言い
出す始末である。こういう突拍子の無い事を言い出すのはさすがリムルルといった感じだ。
ただ、それよりも今気になるのは、昔飲み屋で手に入れた「親父の小言」がびっしり書か
れた俺愛用の湯飲みで、淹れたてのお茶を静かに飲むレラの方である。
375前スレ64:04/08/29 16:50 ID:ArJ/S5vJ
俺はまだアピールをしようとしたリムルルを少し適当な相槌であしらうと、食事中に聞いた
ばかりの話をあらためて話題に上げた。
「いや〜、びっくりしましたよ。レラさんがリムルルのお姉さん、しかも心から生まれた
存在だなんて」
びっくりで済むあたり、俺もだいぶ慣れてしまったんだと思う。
日常から氷は浮いているし、腕を斬られてぴんぴんしている奴を目の当たりにしている
のだから無理も無いのか。
どうやらこの話自体は昨日海で出会った時に詳しく話をしたらしいのだが、俺はやっぱり
何も覚えていなかったので、さっきレラの話を聞いてやっと俺の中で色んな事のつじつま
が合った。
リムルルとレラの関係は何か深いものがあるんだろうと薄々感づいてはいたが、迎えに
来るというのも姉妹なら分かる話だし、やたらリムルルと仲が良いのも頷ける。
「世の中、不思議な事が一杯ですねぇ」
俺の話を聞いていたレラがお茶をすすり終わって、湯飲みをコウタつに置きながら言う。
「まあ、私が生まれたのは必然といえば必然なのよ。私が戦わないことにはあの子は、
ナコルルは何の抵抗もできないまま死ぬから」
「・・・・・・」
話題の気楽さと半比例して、レラの返事はものすごく重くフォローしづらい。何も言えず
黙りこくってしまった俺の隣で、リムルルもさっきまであれほど楽しそうにしていたのに、
手に持って剥きかけたみかんに目を落としてしょんぼりとしている。
重い空気に気づいたのか、レラが薄く笑った。
「二人とも、そんなに深刻な顔をしないでちょうだい。死なせるわけがないでしょう?
誰が好き好んで死ぬものですか」
「そ、そうですよね!レラさん強そうだし、こうやって妹にも会えて、なぁリムルル」
明るい話題の糸口に、チャンスとばかりに俺も飛びつく。
「う、うん・・・」
でも、一度不安になってしまったものをそうすぐに拭えという方が無理で、リムルルは
親指に刺さった丸のままのみかんをぴこぴこと動かしながら、どこか遠い目で窓の外を
眺めていた。
376前スレ64:04/08/29 16:50 ID:ArJ/S5vJ
――あっちゃあ〜。やっちゃったか・・・
こんな昼間から俺が気の利かない話題を振ってしまったせいで、リムルルはさびしんぼ
モードに突入してしまった。この後寝るまで一体どうやって間を取り繕ったらいいのか。
自分を呪おうとしたところで、レラが助け舟を出してくれた。
「リムルル、そんな顔しないで。前にも言ったでしょ、会いたいならいつでも会えるのよ」
「ホント?ホントなの?レラねえさま」
リムルルが手からみかんを落とし、すがりつく顔でレラに目をやった。視線を受けてレラも
ふむと軽く頷く。
「嘘はつかないわ・・・あ、もう一杯頂けるかしら。美味しいわね、これ」
言われて、俺は急須に入っていたお茶を全部レラの湯飲みに淹れた。緑茶が大変気に
入ったのだそうだ。
「・・・・・・」
リムルルは何も言わずに、白い湯飲みを傾けて四杯目のお茶を味わうレラを見ている。
シクルゥが鼻先に転がってきたみかんを、前足でちょいちょいとやっている。
かこーんと、獅子おどしが欲しくなるぐらいの和みの空間。
しかしナコルルの事となれば、リムルルには和みなど単なる足踏み、時間の無駄。それ
こそどうでも良い事だ。
思ったとおりリムルルは、レラがお茶を飲み終わるのを待たずに身を乗り出して、不満
だらけの顔でぐいと詰め寄った。そして、
「すぐにでも行けるんなら、だったら・・・・・・今すぐ連れてって欲しいよっ!」
静寂を突き破る叫びを上げた。
ずずぅ。
レラがお茶をすする音が返事の代わり。
口を思い切り尖らせたリムルルの方から、かちーんという音が響く。
「ちょっと、まじめな話してるのに!聞いてよレラねえさま!」
すたーん!
リムルルが抗議の声を上げるや否や、斜め45度まで傾いていたレラの湯のみが勢い
良くコウタツに置かれた。
その湯飲みの肌に燦然と輝くは、親父の「人には腹を立てるな」のお言葉。
377前スレ64:04/08/29 16:51 ID:ArJ/S5vJ
レラが口を拭いながら言う。
「リムルル、せっかちが過ぎるわよ。お茶はゆっくり飲むもの・・・そうでしょコウタ」
「はぁ、まあ・・・」
「別にお茶なんて後でもいいでしょ!わたしがこっちに来た理由知ってるくせに・・・」
「分かっているわ。だけどあなた、今すぐ行くにしてもコウタは、自分のお兄さんは
どうする気なのかしら?」
「そ、それは・・・」
逆に問いただされたリムルルが、困り顔で俺の方を見る。その顔をしたいのはむしろ、
今置き去りにされたらやばいこっちの方だ。
俺たち二人、特にリムルルの様子を伺っていたレラが、ふぅと小さく一息ついた。
「そういう事よ。私が驚かせたせいでコウタは風邪を引いてしまったのだから、私が
ちゃんと最後まで看病するのが筋。コウタが回復したらすぐにでも連れて行ってあげる。
けど・・・そうね」
言いかけて、レラが急に妖しく笑って俺に視線を投げかけた。
何かをたくらんでいそうなきつめの瞳の向こうに、女性の妖艶さを匂わせて。
「何ならリムルル、シクルゥに跨って一人で行ってきたら?心配は無いわよ。あなたの
大事なお兄さんは、ちゃんと私が・・・」
ホステス顔負けの色っぽさを発揮するレラの手が伸びて、コウタつを挟んだ正面で湯飲みを
握ったまま術にはまった様に動けない俺の手を取ろうとしたところで、リムルルが手を
ぐーにして立ち上がった。後ろで横たわるシクルゥの耳がぴこんと動く。
「だっ、だめ!にいさまはわたしが看病するんだから!!」
「あらどうして?リムルルったらナコルルに会いに来たんでしょう?それなら、するべき
事の順番が狂ってはいないかしら?コウタはただの風邪なんだからだいじょう・・・」
「ダメ、だめったらダメ!にいさまもしっかりして!」
握った手をぶんぶん振り回してレラの言葉を遮りながら、リムルルが横から衝突事故の
勢いで俺に抱きついてきた。
看病の話をしているのに、抱きついた相手が病人だというのを忘れてやしないだろうか。
俺は倒れこみそうになるのを畳に手を突いて辛うじて止めた。身体がいつもの数倍重い。
378前スレ64:04/08/29 16:52 ID:ArJ/S5vJ
「にいさまは・・・わたしじゃなきゃダメなんだもん!」
頬を膨らませたリムルルが、大事な病人というよりは大事なおもちゃは渡さないという
雰囲気で俺の肩にしっかりと手を回してきた。
「だってだって、レラねえさまお風呂の沸かし方だってわかんないもん!にいさまの
お着替えがどこにあるかだって分からないでしょ?」
ふふんだ、とリムルルが鼻を鳴らして勝ち誇る。が、やっぱりレラは動じていない。
「そんなの、コウタにそのつど聞けば良いだけの話でしょう?大して難しくないわよ」
動じぬどころか、レラは逆に冷静な大人の意見で妹を見事論破した。
リムルルの手がぎゅっと俺の肩を掴む。痛い。焦っているのが丸わかりだ。レラもそれに
気づいたらしくニヤニヤしながらこっちを見ている。結局おちょくっているだけなのだろう。
しかし、沸点に達したリムルルは遊ばれているともつゆ知らず、俺の耳元でわめく。
「ぶーっ!それだけじゃないよ!にいさまはコンルで熱をさますんだからわたしが居ない
とダメだし、ご飯を食べさせるのもわたしだし、昨日の夜に下着換えたのもわたしだし・・・あ」
「えっ、ちょ・・・下着だと?」
「な、何でも無いよぉ!」
今更言葉を覆されても遅い。言われて、俺はどぎまぎしながらパジャマのズボンのゴムを
引っ張った。
・・・・・・本当だ。確かに新しくなっている。トイレの時には呆けていて気づかなかった。
「何で・・・」
どうしてリムルルが俺の下着を。
整理しよう。俺は昨日海に落ちて、ということは水浸しで、服はもちろん身体もずぶ濡れ
だった。そこで俺はリムルルに身ぐるみを剥がされて、下着も剥がされて、しかるのちに
アレを見られて、ソレを拭かれて、トランクスを履かされたという事なのだろうか。
ビンゴ、そういう事だ。
「はあああ・・・仕方ないか。気絶してたんじゃなぁ・・・」
ぐったりする俺を前にリムルルは顔を真っ赤にしながら、俺が言った事にうんうんと
やたら強く頷いて同調してみせた。
「そ、そうだよ安心して!下着換えただけだから!おちんちんなんて見て無いからっ!」
「ちん・・・て、何を言ってんだ?」
「あ、うっ・・・や、やだぁ!うあぁ〜んレラねえさまぁ〜っ!」
379前スレ64:04/08/29 16:52 ID:ArJ/S5vJ
大ボケをやらかしたリムルルは、さっきまで口論していたはずのレラの肩の後ろへ即座に
逃げ込んだ。
あらあらとレラがわざとらしく驚いてみせる。嬉しそうだ。よしよしとリムルルを膝の
上に乗せて、頭を撫でたりしている。甘やかされたリムルルは、すっかり猫みたいに
なってしまった。耳と尻尾が生えて見える。
「レラねえさま、にいさまが怒るのぉ・・・看病しただけなのに〜」
「まあ、この子も年頃だからね。色々興味があるのは仕方ない事よ。許してあげて」
「そうだよ、としごろなんだもん・・・としごろって何?」
リムルルが連発するボケに怒る気力も削がれ、俺はばったりと倒れて天井を眺めた。
「ったく。あーあ・・・また熱が出てきちゃったみたいだよ」
「あら大変。汗が出たんじゃない?リムルル、もう一度下着を換えてあげたら?」
「勘弁して下さい・・・」
「も、もう!レラねえさま、やっぱり意地悪だぁ!」
「冗談冗談。さ、食器を下げるわよ・・・あ、その前にもう一服いいかしら?リムルルも座って」
「むぅ〜」
散々リムルルで遊んで、へそを曲げかけたところで軌道を修正して元通りにしてしまう。
しかも一瞬、俺までもてあそばれてしまった。レラ・・・・・・恐ろしい人が家に来たものだ。
湯飲みの小言が言っている。

人には馬鹿にされていろ。



「リムルル」第四章 はじまり
380名無しさん@ピンキー:04/08/29 18:56 ID:bUSynPh2




…コウタつ?
381前スレ64:04/08/29 19:16 ID:ArJ/S5vJ
数字や記号じゃマズいだろうとつけた名前だったけど、
やっぱり公募するべきだったか。
382名無しさん@ピンキー:04/08/29 20:04 ID:LLwmv4c4
>64様
多分突っ込まれてるのは名前そのものじゃないですw
今回も面白いですね〜。
読ませていただいてありがとうございます。
383名無しさん@ピンキー:04/08/30 17:24 ID:XxRC3bTG
GJ!!
384名無しさん@ピンキー:04/08/30 21:07 ID:IXmUcpAJ
GJ
385名無しさん@ピンキー:04/08/30 23:24 ID:6WmhIjnH
gj
386名無しさん@ピンキー:04/08/31 00:33 ID:s0yEK8Bp
兄さまとレラのラブストーリーもあるのかなぁ…(期待
387名無しさん@ピンキー:04/08/31 21:47 ID:CwFT5rUZ
レラ様に蹂躙されるにいさま萌え
388名無しさん@ピンキー:04/09/01 21:17 ID:Mc1/YS3q
コウタにいさまとリムとレラたんに囲まれるコウタつ萌え
389名無しさん@ピンキー:04/09/02 00:48 ID:f7XutVVn
コウタって聞くと小唄氏ね祭りが真っ先に浮かんでくる。
390名無しさん@ピンキー:04/09/03 19:47 ID:xhFfBWx7
コウタなのかコウタツなのかはっきりしてw
391勇太:04/09/04 06:39 ID:UbCvK4NG
俺によく似た名前なのでハァハァしている。
392前スレ64:04/09/04 23:49 ID:QS5cmmgv
――そんなこと言われてもなぁ。言われっぱなしは悔しいっての。
いつもは有難く感じている親父の小言に逆にケチをつけつつ、俺は茶葉をつぎ足して
三人分の茶をまたまた淹れる。何か手つきが自分でも良くなってる気がする。
「あー、そうだリムルル。これまでの話はレラさんにしたの?」
べぇとレラに舌を出して、さっきまで自分のいた場所に戻ったリムルルに俺は尋ねた。
「これまでの、って?」
「ここに来て色々あったじゃん。戦ったりさ」
「ううん、まだ。あ、にいさまありがと」
手渡された湯飲みを、両手を温めるように握ったリムルルが首を横に振った。
「そういえば怪我してたわね、リムルル。あんなに動き回って随分早く治ったみたい
だけど、本当にもうすっかりいいの?」
頬杖をついて自分の湯飲みが緑茶で満たされていくのを見ていたレラが、コタツの布団に
隠れたリムルルの太股を気づかった。
「うん、ホントにもう平気。見る?」
お尻を浮かせて、リムルルは座ったままご自慢のジーンズを降ろした。レラもそれを良く
見ようとリムルルの方に身を乗り出して、顔を太股の間近に近づけじっくり観察している。
いきなり見せる方も見せる方だが、俺という男が居る前でリムルルが服を脱ぐことに
何の注意もしないところ、さすがはリムルルの姉という気がした。
「本当ね。きれいに塞がっているわ。けど・・・・・・ひどい。痛々しい・・・可哀想に」
完全に治癒したとわかって喜ぶのもつかの間、レラは悲しそうな顔をした。
リムルルの健康そうな太股には、血はもう滲まずとも無残な置き土産・・・羅刹丸の恨みが
込められた一撃の跡が、今も消えずに残されているのだ。
若い身体にみなぎる治癒力をもってしてもこれから先消えるかどうか分からない、死線を
乗り越えた証。
女性の柔肌には似つかわしくない、辛勝を制した勝者の印。
「何てこと・・・何てことを・・・!」
嘆きは怒りへといつしか姿を変えていた。
レラは震える手でその傷痕に触れ、覆い隠すようにゆっくり何度も撫でる。
すると、その手がかざされる度に傷が薄れ、いつしかそこには何も無かったように――
393前スレ64:04/09/04 23:50 ID:QS5cmmgv
不思議な存在のレラならとそんな奇跡を俺は祈ったが、聞き届けられることは無かった。
傷口は依然としてリムルルの脚の上であざ笑っている。あの日のあの時の事を。
リムルルが目の前で吹き飛ばされ、頭を脚で小突かれ、蹴り飛ばされたあの時。
そして、コンルが来てくれなければまず確実に二人とも死んでいたあの時。
「く・・・っ」
熱っぽい頭に今でも鮮明に思い出される、拳を叩きつけたい悔しさ。
「守れなくてごめんなさい」と置手紙をして、この場を去りたいぐらいの不甲斐なさ。
奥歯を鳴らす純粋すぎる死の恐怖。
「俺には・・・俺には何もしてやれなかったんです、あの時・・・すんません」
戦いたい、守りたい。そう思う気持ちが刃に変わるのだとしたら絶対負けないのに。
思って、俺はがくりとうなだれた。自分の手元の湯飲みに、くだらない役立たずの男の
顔が映る。
「ちょ、ちょっとー!大丈夫、平気だってば!ちゃんと動けるからそんなに心配しないで」
「動ける動けない、そういう問題じゃないのよ」
自分のせいで元気が無くなった俺とレラを思っての事だったのだろう。リムルルは怪我の
事を笑い飛ばそうとしたが、それをレラはかなり怖い顔で睨みつけて止めさせた。語調
こそ荒げていないものの、その目にははっきりとした怒りが見て取れる。
下げたままのジーンズを上げることも忘れて、リムルルはしゅんとしてしまった。
「一体、どこの誰。私の・・・私のリムルルにこんな真似をしたのは!」
がたん。
レラがさらにリムルルに詰め寄った拍子に、湯飲みが肘を食らって揺らいだ。
俺は慌てて手を伸ばし、危うくリムルルの方に倒れそうになったのをギリギリで押さえる。
「あっ、ごめんなさい・・・。ちょっと取り乱してしまったわ」
「わたしだって・・・わたしだって悔しいよ!」
羅刹丸が残したのは、肌の外傷だけではないのは明白だ。リムルルもまた、俺と同じ
ようにあの場面を思い出してしまったに違いない。
いや、俺の記憶などは実際に戦った戦士の記憶とは比べるのも無理な話なのだろう。
「あいつ・・・あんなに強いなんて!悪い奴なのにーっ!!」
湯飲みをひったくると、リムルルはその嫌な記憶全部胃に流してしまえとばかりに、
ごくごくお茶を飲み始めた。
394前スレ64:04/09/04 23:52 ID:QS5cmmgv
「リムルル・・・ごめんね驚かせて。だけど許せなかったの。さあ、教えて。一体誰が?」
「っぷは!・・・羅刹丸って奴だよっ!」
一気に飲み干して、リムルルはレラより乱暴な仕草で口をぬぐいながら言った。
「らせつ・・・まる」
レラは男の名に何か思うところがあるのか、顎に手を当てて何か考えている。
「あのね、腕をコンルに壊されても、自分で自分の胸を切りつけて血がすっごい出ても
死なないの」
「・・・・・・」
「それに・・・わたしの攻撃全部当たったのに、ちっとも効かなくて!!」
「なるほど、それは人間じゃないわね。魔界の者だわ」
「魔界?」
随分とまたお話めいたものの名前が出てきたなあ、と俺が聞き返すと、レラはこちらを
見るでもなく淡々と話始めた。
「そう、魔界。この世界とは別な場所、空間にある、悪しき心を持った化物の住む世界よ。
この世界の均衡を保っていた大自然の秩序が乱されて、それを救うためにナコルルが今の
ような状態になったのも、元はといえば全て魔界から吹き込んだ悪しき力が原因よ」
「そ、そんな事があったんですか・・・。リムルルは江戸時代から来たって言ってたからその
頃の話なんでしょ?初耳だなぁ。闇の歴史、ってヤツですか?」
「まあ、そう言って構わないわね。この国を統べていた・・・」
「江戸幕府ですね」
「そう。彼らも決してこの魔界の侵攻を表沙汰にしようとはしなかった。国が崩れるのが
不安だったんでしょうね。当時魔界の者に襲われたり、魔力にあてられて死んだ人々が
大勢いたけれど、それも全て大飢きんやら内紛、それから異教徒や異国人の仕業として
片づけてしまった。だから、魔界との闘いはほんの一部の人間が知っている事。あなたも、
それからこの時代の人間が誰も知らないのは当然よ」
どんなお話やおとぎ話にも元があるとは言うけれど、まさかそんな事があったとは。
淡々と語られてしまったが、これで俺は歴史に隠された事実を知った事になる。
胸がときめく反面、誰かにいきなり後ろから刺されたりはしないかと不安になる。
395前スレ64:04/09/04 23:53 ID:QS5cmmgv
「でも、」
俺と同じく静かにレラの話を聞いていたリムルルが、疑問に首を傾けた。
「魔界って、こっちからそこに繋がってる門が閉じられちゃったから、もう絶対おばけ
も悪い奴も出てこないし、二度と悪さは出来ないんだっておじいちゃんが言ってたよ?」
「そう、そのはずなんだけど。羅刹丸は誰かに魔界から呼ばれた、そう考えるのが妥当ね」
そう結論づけつつも、レラはかなり難しい顔をしながら湯飲みを口につけたり離したりを
繰り返して何か落ち着かない様子だ。
「誰かがあいつを呼んだ・・・って」
思い当たる節がありすぎて、俺とリムルルは顔を見合わせた。
「そしたら空からの声だよやっぱり。なぁリムルル」
「そうだよね、お空から気持ち悪い声した!あいつだね絶対!!わたしもそうじゃないかと
思ってたんだよ?」
「空?何、まだ他に誰かいるの?」
レラが俺たちの言葉に強く反応を示し、新たな敵の存在にさらに目を鋭くする。息巻く
リムルルの代わりに、今度は俺が説明することにした。
「そうなんですよ、あのっすね、何か・・・空と周りが急に暗くなって、いきなりその
雲の上から不気味な声がするんですよ。そしたら雷が落ちてきてぎにゃ」
なるべく分かりやすく伝えようと俺がゆっくり話していると、いつの間にやら後ろに回り
こんでいたリムルルが、俺の頭の上に顎をのっけて背中に寄りかかってきた。
リスみたいな可愛さと素早さだが、風邪の身には少々荷が重い。
「にいさまは寝てていいよ!風邪で頭の回転まで遅くなってるみたいだし・・・」
そう思うならどいてくれてもいいのだが、リムルルがそばにいると気分が和らいで身体に
元気が戻ってくるような気がするのも事実だ。リムルルの方としてもどく気は無いらしい。
「それでねレラねえさま、雷と一緒に刀が落ちてきて、泥が集まって、こーんな!こんな
でっかいお化けができちゃって、その刀でわたし達に襲いかかって来たの!そいつはノロマ
だったから、わたしがひとりでやっつけたんだよ、ねー、にいさま」
リムルルが背中に張り付いたままオーバーアクション気味の身振り手振りをするので、
俺の身体もその度にやじろべえみたいに左右に傾いた。風景も揺らぐ。レラも揺らぐ。
396前スレ64:04/09/04 23:55 ID:QS5cmmgv
「ちょっとリムルル、もう少しお兄さんを大事になさい。病気なのよ。で、そうなの?」
左から見ても右から見ても精悍なその顔立ちがリムルルに注意をしているが、やっぱり
リムルルの話の真偽の方がずっと大事なようで、気を遣う言葉を言うだけ言いましたよ、
な感じだ。
でも、その投げやりな物言いにめげてはいけない。
「はぁ、間違ってはないです。羅刹丸と闘ったときもやっぱりそいつはいたんですよ。
気味悪いんですよね・・・何でも知ってる素振りだし。コンルの事も、ナコルルさんの
事も、それにリムルルを狙っているみたいだし」
「うそぉ!?わたしの事?なんで?」
びっくりした声をあげたリムルルの顔が今度は俺の肩に降りてきて、ヒゲが伸びた俺の
顔にすべすべの肌が密着する。
レラがこっちを見てほんの少しむっとしたが、すぐに仕方なさそうにふっと笑った。
自分の姉が一瞬だけ見せたリムルルへの気持ちが詰まった素直な表情の変化に、当の
本人は気づいてない。つくづく罪作りな妹だ。ずいぶん愛されているんだなと思う。
「何でって・・・忘れちゃったのか?」
「うん」
「え、あぁそうか。リムルル、あの時の記憶が無いんだよな・・・力の話だよ」
「あれってホントの話なの?」
「もちろん。それ見てあいつ、俺達に攻撃すんの止めたんだから。リムルルが素晴らしい
だの、面白いだの、無限の可能性の力だのってさ」
「ちから」あたりが俺の口から出たところで、レラの眉がぴくりと動いた。
「リムルルの・・・ちから?」
「えーっと、何て言ってたか・・・」
思い出そうとする俺を前に、珍しくレラは一瞬言葉をためらった。
「その・・・そいつが言っていたのは、アイヌの戦士の巫力についてかしら?」
「あーっ、それですそれ!すごかったですよ、見たのはリムルルに会ったばかりの頃
だったかな、すごい眩しくてきれいな光がリムルルから射して、その光がばらばらに
なった木々を元通りにしたり、俺の怪我がいつの間にか治ってたり」
なかなか出ないくしゃみがやっと出たように爽やかな気持ちだった俺は朗々と喋った。
397前スレ64:04/09/04 23:56 ID:QS5cmmgv
「さっきも言ったけどわたしは覚えてないんだ。だけどホントみたいだよ?」
リムルルがまだ半信半疑な顔で付け加える。
「うん本当だぞ。それから――」
「えっ、まだあるの?わたし・・・」
「おう、あのな・・・・・・?あれっ、何だっけ?」
怪訝そうなリムルルの声と顔にはばまれた隙に、俺が話そうとした事柄はひょいと身軽に
頭のどこかへ逃げてしまった。
「えーっと・・・」
最近もその金色の光を見たような気がしたのだが、今度はくしゃみよりもしぶとく出て
来ようとしない。歯の奥に何か挟まった感じで、楊枝でも無い限り思い出せそうに無い。
「うーんとなぁ・・・」
もしかしたら実は単なるデジャヴで、ガキの頃見た夕焼けか何かの遠い記憶がそう思わせ
ているだけなのかもしれない。それに今日はよく寝ている。夢の記憶が混同されてると
いう可能性だってあるのだ。
「うん、何も無かったな。そん時だけだった。ごめん」
俺は頭の後ろを掻いて、呆れ顔のリムルルに謝った。
「でしょー?もう、そんなに気を失う事なんてないってばぁ」
「そうだな、昨日の俺だけで十分てか、ははは」
レラはここまでの一連のやりとりを、どんな小さな情報も聞き逃すまいと前かがみに
なったまま聞いていた。
「そう・・・なるほど。で、そいつはナコルルの事は何て?」
「えーと・・・ちょっとそこまでは・・・」
「わかったわ、十分よ。リムルル他には?」
レラの真剣な目線がリムルルに移る。
「えと、土のおばけの話をして、羅刹丸の話をして、それで空から聞こえた声の話・・・して。
うん、変なヤツの話は全部だと思うな。あ、お化けが持ってた刀と羅刹丸の刀は一緒だった
けど、コンルが粉々に壊しちゃったからそれは大丈夫だと思う」
398前スレ64:04/09/04 23:57 ID:QS5cmmgv
「なるほど・・・なるほど。わかったわ」
レラは俺たちに幾つか確認の意味を込めた質問をすると、目を閉じて二回、大げさな
ぐらい大きく頷いてすっくと腰を上げて靴を履いた。
シクルゥも相棒の動きを感じ取って伸びをすると、四つの足でその巨体を支えるように
立ち上がる。
「え、ちょっとどうしたんですか?」
きょとんとしている間にもレラはマフラーを巻き、チチウシを腰に下げ、どこかで手に
入れたという部屋に立てかけてあったライフルを背負うと、明らかに出かけるための
用意を慣れた様子で手早く終えてしまった。
「あの、レラさん?」
しつこく聞くと、レラは振り向いて口元を隠したマフラーをぐいと下げた。
「急用があるの。行ってくるわ。なるべく早く戻るつもりだけど」
言い終わるとすぐにマフラーを戻し、窓の方へと身をひるがえした。くすんだ色の長い
マフラーが、レラの一挙一動に合わせてつむじ風のようにはらりと円を描いて後を追う。
「急用、って言っても・・・マジ急だなぁ」
「そんなぁ!だめ、だめだよ!」
もちろんリムルルが黙っていない。俺のもとからすぐさま離れて、窓へ向かおうとする
レラの手をぎゅっと握った。
「なんで・・・レラねえさまどうして?会ったと思ったらまたどこか行っちゃうの?今日は
お泊り・・・じゃない、ここでずっと暮らすって、さっき言ったばっかりなのに!」
寂しさと困惑を足して2で割った顔のリムルルを見て、何かの使命に張り詰めていた
レラの目が少しだけ細められた。隠れている口元もきっと笑っているんだろう。
「ちゃんと戻ってくるわよ。少し調べ物をするだけだから。あなたはコウタの面倒を
ちゃんとみてあげて。一人前ならそれぞれの仕事を忘れないようにしなくちゃいけないわ」
もっともな使命を与えられ、リムルルは口をつぐむ。
「そ、そうだけど・・・危ないことしないでね?戻ってきてね?」
「当たり前でしょ。別に誰かと闘うなんて一言も言ってないじゃないの」
「だけど、だけど・・・」
399前スレ64:04/09/04 23:58 ID:QS5cmmgv
下を向いて食い下がるリムルルを、レラは羽で包むようにそっと抱きしめた。
「優しい子ね・・・言ったでしょ、もうずっと一緒なんだからすぐ戻るわ。約束する」
リムルルも、レラの腰にぎゅっと腕を回した。顔が見えないぐらい懐に埋まっている。
「うん、待ってるね。約束だよ」
「いい子だわ・・・・・・泣かないで待てる?」
「な、泣いてなんて・・・ないもん!」
リムルルの事ならどれもこれもお見通しらしい。姉だけにレラの方が一枚上手だ。
でも、リムルルの心配もわかる。怖い思いをした話を教えた途端に出来た急用。どう考え
ても、明らかに俺達を襲った奴らに探りを入れるつもりなのだ。
「じゃあ行くわね。コウタ、リムルルに何でも言いつけて自分はしっかり休むのよ」
そんな過酷で危険な仕事を背負いながらも、レラは俺に対する心配を忘れない。
平常心を保っているどころか、その冷静さが心強ささえ感じさせる。
「あ、どうも・・・お気をつけて、ホントに」
――もしかしたら、何の心配もいらないのかもな・・・強そうだし。シクルゥ一緒だし。
そう思いつつ、俺も心からの願いを込めてレラにそう言った。
レラが、うん大丈夫よ、と目で返事をした。
「シクルゥ、行こう」
リムルルの頭を二度三度撫でて、もう一度抱きしめて、レラは窓を開け放つ。
マフラーが緩くはためき、部屋に吹く冬の風の動きを目に見えるものにする。
冬の街の風景に溶け込むようにして窓に映っていたレラの顔は、立ち上がったときに比べ
いくらか余裕が生まれているように見えた。リムルルに呼び止められる前はどこか、不安
を無理に使命で押し込めていたように感じたのだ。
「・・・・・・行ってきます」
かみ締めるようにレラはそうとだけ言い残すと、突然部屋のどこからか窓の方へと吹いた
風を背中に受け、シクルゥと共に翔ぶようしてに窓から飛び降りた。
空中でレラはシクルゥの背中に飛び乗り、少し重力に逆らいながら窓枠の下へと見切れた。
「!!」
背中を見ていたリムルルが弾かれるように窓に駆け寄り、叫ぶ。
「ねえさまー!早く、早くねーっ!?」
リムルルはそのまましばらく窓辺に立って、時折袖で顔を拭いながら、暮れの近づいた
街を眺めていた。
部屋に残された風は冬にしては温かく、どこか懐かしい良い香りがする。
400前スレ64:04/09/04 23:59 ID:QS5cmmgv
――行ってきます・・・か。
風を切り疾走するシクルゥの背に身を屈めてまたがりながら、レラは自分がさっき言った
言葉を何度も心の中で思い返した。
行ってきます。
当たり前なようで、レラには特別なあいさつだった。
なぜならそれは帰る場所があって、迎えてくれる家族がいて初めて言えるもの。
一人では、意味をなさない台詞だからだ。
リムルルとの生活らしい生活を始めて、まだ数時間。なのに心の中はもう、山ほどの
思い出で一杯になっている。
泣いている自分を抱きしめてくれた。危なっかしい包丁さばきは何としても直してやら
ないと。自分の料理を美味しい美味しいと一心不乱に食べてくれる。コタツとは便利な
ものだ。お茶は美味しい。コウタはやっぱり普通の男だ。
そしてリムルルは、愛すべき妹は相変わらず可愛いかった。笑顔の回数から、自分の名前
を呼んだ回数、それこそ目じりに寄ったしわの数まで思い出せそうである。
半日も過ぎないうちにこれだけの幸せを手に入れて、これからの生活は一体どうなって
しまうのか。思い出に次ぐ思い出に埋め尽くされて、頭が破裂したりはしないだろうか。
そんな馬鹿げた心配事が浮かぶぐらい、リムルルは・・・家族は楽しくて、温かで、ずっと
一緒にいたい存在としてレラの心の深くに根付いている。

だからこそレラは野山を駆ける。その家族の下を離れて。

帰る場所を、帰りを待つ人々を護るために。
戦士としてしか生きる道のなかった自分に、家族を教えてくれたリムルルのために。
そして、リムルルに「自分では決して成し得ない幸せ」を掴ませるために。
たとえ何が待っていようと負けない。約束は必ず果たす。
「リムルル、すぐ帰るから。ただいまって言えるように・・・ね」
冷たい冬の空気に溶かされた街の景色はまるで川のように流れ、レラの声もまた同様に
背後へと流され、シクルゥが起こした風の渦の向こうへと吸い込まれていった。
空は今日も冬晴れ。
一瞬だけ仰ぎ見た青い空に、リムルルの笑顔が浮かぶ。
401前スレ64:04/09/05 00:06 ID:ytXnPsVo
モロに前回の続きなので早めに投下。

>コウタツ疑惑
いやはや大失態。名前を一括置換したらああなってしまったようだ。以後気をつけます。
開き直って「コウタツ」をHNにしてやろうかと企むも、思いとどまって現在に至る。次回に続く。
402名無しさん@ピンキー:04/09/05 01:07 ID:uTBDMVWp
レラ…死なないでくれよ…
そしてみんなに忘れられているナコルルw
403名無しさん@ピンキー:04/09/08 18:58 ID:HakdSsva
続きが見たい・・・。
404名無しさん@ピンキー :04/09/11 02:16:20 ID:GW0srUmg
下がってきたんであげ
職人さん、乙です!
405名無しさん@ピンキー:04/09/13 17:59:42 ID:NdqeiMvy
遅くなったけど職人乙!
406名無しさん@ピンキー:04/09/16 01:19:17 ID:/yLqY+sD
前スレ64氏、元204氏ほか職人さんありがとう。
ゆっくりとお待ちしております。
407名無しさん@ピンキー:04/09/18 00:38:08 ID:frMGyYdI
今週末、つまり明日か明後日には新作かな…?
わくわく
408前スレ64:04/09/19 00:14:31 ID:UDFPREQu
ごめんな、ちょっと期待にそえなさそうだ。次までもうしばらくかかりそう。
待っててくれるのはすごく嬉しいよ、ありがとう。しっかり頑張ります。
409名無しさん@ピンキー:04/09/20 00:05:06 ID:btt61xLU
最近、ミヅキに萌ゑてきた
410名無しさん@ピンキー:04/09/23 01:21:13 ID:n0urgJ53
もうすぐ秋。
ミヅキ・・・もとい水着のリムルルも見収めです
411名無しさん@ピンキー:04/09/26 22:48:55 ID:OnnmrVD2
ほす
412名無しさん@ピンキー:04/09/29 16:36:15 ID:zx03WHCP
afe
413名無しさん@ピンキー:04/09/30 12:44:35 ID:Nk3LTyGO
ほす
414名無しさん@ピンキー:04/09/30 22:26:25 ID:r0aZk8GG
神様達の降臨まだかなぁ
415前スレ64:04/10/02 01:21:50 ID:2IIE3wDT
そこは、陽の光の届かない真っ暗な場所だった。
終わりの無い、天井も出口も見えない底無しの暗闇の世界には右も左もなく、ただぼうっ
と足元で繋がれたように動かない薄気味悪いじめじめした紫色の霧が揺らいで見えるだけ
で、明確な光源と呼べるものは何一つとしてない。どこを切っても闇、闇、闇。
それでも霧だけが見えるということは、その霧が弱い光を放つ、この世界における唯一の
灯火という事なのかもしれない。だが、希望を繋ぐはずの光をもたらす霧さえも、鼻が
ひん曲がるどころかもげそうなぐらいの腐臭に満ちていて、じめじめとした肌触りは
まるでナメクジを肌の上で飼っているような気持ちの悪さだった。
闇と腐臭。劣悪極まりない、常人なら一瞬で気を失うであろう環境。そんなこの世の
物とは思えない悪夢の世界の奥底に、岩の壁にはめ込まれた巨大な鋼鉄の門があった。
その門は幾重にも大小の鎖でがんじがらめに結ばれ、一見ではそれが門であるという事を
感じさせず、開く、閉じるという機能は完全に失われている。
きっと人間がどんなに束になろうと、機械を使おうと、爆弾を落とそうと開くことは無い。
ある種の絶望を思わせる程にまで頑なに閉ざされた、異様な雰囲気を漂わせる鉄の塊。
それもそのはず、霧の紫に下から照らされ、辛うじてその異様な姿を浮かび上がらせて
いるその門は、かつて現世より多くの狂人魔人が開く事を目論み、失敗に終わった「魔界」
という名の計り知れない絶望の詰まった箱を閉ざしている門なのだから。
ここはその門の前に広がる暗闇の世界。現世と魔界を繋ぐ唯一の扉の、現世の側。

その名を、「魔界門前」。

だが、一度開かれれば世界を破滅に追いやる事に疑いは無いその門も、この現代において
はカムイと同様、明確にその存在を掴んでいる「人間」は幸運にして誰一人としておらず、
おとぎ話や作り話にかつて人々を恐怖に陥れた脅威の片鱗を見せるだけだった。
だが、全ての「人間」の記憶から魔界の門が消え失せたとしても、それは確かに存在し
続けている。魔界も、魔界の門も。
そして魔界の門を知る「者」も、同様に。
416前スレ64:04/10/02 01:22:31 ID:2IIE3wDT
「ぶぁァ〜〜〜・・・・・・」
たなびく霧の中に腰を下ろし、魔界の門の左右にどこまでも広がる、世界を隔てた終わり
の無い壁に物に背を持たれながら、男は溜めに溜めただらしない声を上げている。何も
動くものの無い、いるはずも無い魔界門前の空間における唯一の例外であるその男こそ、
魔界を知る「者」だった。
「うァ・・・・・・あ〜あっ・・・かッ、ごえッ・・・ぺッ!」
声を出した拍子に喉にまとわりついた痰つばを詰まらせながら吐き、紐で結わいただけの
洗ったことも無い伸びっぱなしの髪を、本当にどうでもよさそうにぼりぼりと掻く。
どこまでもやる気の感じられない一連の動作。
「ふあ・・・・・・あ〜あ・・・・・・」
だがそれはまだまだ序の口だ。男は馬鹿でかく口を開いて豪快なあくびを放ったかと
思うと、今度は薄汚れた胴着の襟元に手を突っ込み、霧と同じ色をしたやけに血色の
悪い、しかし分厚い筋肉で覆われた胸元をばりばりとかきむしった。
「ちっ、あ゛〜ァ・・・クソがぁ」
向ける相手のいない無意識の悪態が涙のにじむ目を半分開かせ、見るものの無い暗闇を
瞳がどんよりと泳いだ。彼の眼球は、熟して腐り果てた林檎のように赤黒く、とても人間
のものとは思えない。
その目が、四方と同様にへばりついた黒い頭上(だと思うのだ、首が上を向きつつある)
へと届くと、男はばったりとそのまま身体を横倒しにし、背伸びをしながら突如として
怒号一発、
「あ゛ーったくよォ!羅刹丸様はヒマだヒマ!ヒマだぞぉぉぉ――ィ!」
ぞおーイ  うおーィ   ぉーィ・・・・・・
反響音の中、怒号二発、
「とーっとと!あのガキあのザコあの氷!!全部まとめて殺させやがれ―――ッ!!」
やがれーッ  がれーッ   ッ・・・・・・
二つのこだまも覚めぬ中、怒号三発、
「はぁぁぁ、あ〜ァ!」
・・・はとうとう聞かれず、羅刹丸と自らを呼ぶ男は身を捻り左肘を床に突くと、尻を
ぼりぼり掻きながら、ここ数日のやるせなさを込めに込めたため息を吐いた。
417前スレ64:04/10/02 01:23:44 ID:2IIE3wDT
あのリムルルとの闘いの日・・・やるせなさの原因となってしまった、右腕と愛器を失う
などという失態を演じたとある理由で魔界に生まれついた不死身の男。彼こそが羅刹丸だ。
あの日から、人間の数え方で大体一週間、現世では七回太陽が昇って沈んだらしい。
らしいというのは、羅刹丸を呼び出したあの天からの声・・・今現在、気に入らないこと
だが羅刹丸の「主」である「あの男」の弁から推測できることだからだった。
その男曰く、「丁度一週間後だ。お前の失った右腕、元に戻るであろう日はな」。
それで今日、というより最後に起きていた時から眠りに入って、その眠りから目覚めた
のが今さっき。何だか右肩がむずがゆくなって起きてみると、すっぱりと切れて無く
なっていた右腕が元に戻っていたのだ。
「・・・・・・あー、ったくよォ」
方眉を上げて渋い声を出しながら、羅刹丸は疑うような目で辛うじて見える右手をぐっぱ
ぐっぱと動かし、肩をぐりぐりと回してみる。だんだんと床を叩いたりもする。
「ん〜〜〜・・・ッ」
何度やっても同じだ。そろそろ認めざるを得ない、完璧な右腕の復活だった。動きも、
感覚も、見た目さえも全てがあの日と変わらない。何も無かったように。
なのにいきなり、羅刹丸はその大事にして当然のはずの手で拳を作ると、
「だああああッ!畜生がぁ〜ッ!」
振りかぶった勢いで床にドカンとその拳骨を打ち込んだ。
ほこりと砂、それから床に敷き詰められた敷石の一枚が飛び散り、紫の霧を突き破って
ばらばらに四散して見えなくなった。
「ムカつく!本ッッッ当にムカつくぜぇェ!」
その一撃に飽き足らず、羅刹丸は赤く光る目を炎の色に変えて、なおも拳を石に打ちつけ
てはばらばらに砕いていく。
――畜生、畜生がァ!!
念じながら、一発一発に真っ黒な心を煮えたぎらせる恨みを込めていた。
ガキもそう。ザコもそう。氷もそう。屠痢兜〜とりかぶと〜を失った事もそう。
全てが、頭の中にある全部が憎い。
俺を邪魔する全てが憎い。殺し損ねた奴らは全部憎い。生きてる奴はみんな憎い。
だが、今は。
羅刹丸の拳をひとしお激しく突き動かしているのは、「あの男」への憎しみだった。
418前スレ64:04/10/02 01:24:31 ID:2IIE3wDT
「ガァァァァ!!!」
魔界に巣食う怪物であっても尻尾を巻いて逃げるであろう雄叫びを張り上げて、羅刹丸は
立ち上がり、今度はさっきまで背を預けていた壁に向けがむしゃらな拳を打ち込み始めた。
天井の見えないこの世界で、やはり際限無しに高くどこまでも長く終わりの見えない、
魔界を封じた壁を形作っている黒い岩に次々と拳大の穴が開く。
「殺す!殺すぞこらァ、おらアァ!おらアアァ!!」
「あの男」が、憎かった。
この失われた腕を脅威の短時間で取り戻させた、力あるあの男が。
現世にあって現世から最も遠い、一筋の光さえ射さぬこの魔界の門の門前で眠っていた
羅刹丸を、再び闘いの世に駆り出したあの男が。
自分と比べても圧倒的な力を持つ、魔の者とも人間とも知れない、得体の知れぬあの男が!


かれこれ何日、いや何ヶ月前だったか、その男が開口一番言ったことを羅刹丸は恨みで
縛り付け、一字一句違わず覚えている。
曰く、「羅刹丸・・・哀れなり。その身を生み出しし現世の半面を、殺すべき人間を失い、自ら
の存在の意味をも見失いて、ただ悪戯にその不死身の肉体を横たえ、開かぬ魔界に思いを
寄せるとは。哀れ、哀れよの」
背中から数百年ぶりに話しかけられた羅刹丸は腕に頭をもたれて眠っていたが、赤い目を
開き声の主と鼻面を合わせたのは、目で追えないぐらい素早く立ち上がりその男の首根っこ
に屠痢兜を突きつけた後だった。
魔界の門以外から出てきた奴は、全部殺す、すぐ殺す。
長い眠りの中でも忘れる事の無い、強い恨みと殺りくへの執着で頭に焼きつけてあった
暗示が、即座に働いたのである。
久しぶりに立ち上がった羅刹丸は首をごきんごきんと鳴らし、血酒と肴の塊を睨みつけた。
「誰が哀れだ?おいコラ、調子こいてんじゃねぇぞボケ。そんなに殺されてえのかァ?」
すぐさま殺して宴、でもかまわなかったのだが、あんまり珍しい数百年ぶりの来訪者の
顔を一応見ておこうと、因縁をつけながら濁った色の瞳でその「人間」を眺めた。もち
ろん、首に突きつけた屠痢兜はそのままに。
419前スレ64:04/10/02 01:25:25 ID:2IIE3wDT
――ふぅン・・・何だコイツ?
背の高い男だ。だが、足元から肩までを、引き摺りそうなねずみ色の外套ですっぽり覆い
隠している。一見貧乏臭い格好だが、その外套は色こそ悪いものの薄汚れた物などでは
なく、よく見れば金の縁取りがいたる所に施され、物乞いが纏っているようなそれとは
全然違った。肩口から足元に向かっては何かが降り注いでいるような模様が大きく、これ
もまた金で描かれていた。
例えるなら、一雨来る前の遠くの空、山の上にかかった雨雲から稲妻が落ちているような。
――妙な格好してやがらァ。
思いながら、屠痢兜を首にあてがわれ断頭を待つだけの顔に目を移す。その途端、
羅刹丸の歪んだ表情が一段と不愉快そうにくしゃっと真ん中に寄った。
なぜなら男の顔は、羅刹丸にとっては直感的に気に入らない部類、いわゆる美男だった
のである。色白の肌に細く落ちた顎。高い鼻に唇は薄くほのかに桃色で、閉じられた目に
生えたまつ毛もけばけばしい。長く腰まで伸ばした銀髪もうざったいし、耳やら額は透き
通ったガラスや宝石の装飾品でこってり飾り付けられている。
一見地味そうで、やたら小奇麗で贅沢な格好、しかも美男。
「ちッ・・・胸焼けするぜ、テメーはよォ。何しに来たか知らねが気にいらねェな」
羅刹丸は露骨なしかめっ面を悪意しか感じられない笑みで満たし、
「まァ・・・その真っ白な格好が、今度ァ真っ赤に染まるのは見物だがなァ・・・っと!」
右手に軽く力を込めてぴっ、と男の首に沿わせてあった刀を握る手首を返した。
・・・その時だったと。
男が金色に輝く目を見開いたのは、首を獲ったはずのその時だったと記憶している。
そして刀が首を跳ね飛ばす代わりに、目から火花とか、そういう度合では済まない強烈な
衝撃が寝起きの身体を突き抜けたのもその時だった、と。
「ギャアアアアァ!?」
訳も分からぬままに羅刹丸の身体は跳ね飛ばされるように宙に投げ出され、魔界の門の
壁に叩きつけられていた。
みしみしと身体の中で骨がきしみ、肺に残っていた空気が全部押し出される。
「ごほォ!」
血反吐を闇の中に散らしながら、羅刹丸はそのまま床に落ちてべしゃんと潰れた。
420前スレ64:04/10/02 01:26:13 ID:2IIE3wDT
「う・・・ぐ・・・」
幸か不幸か、口の中を満たすあまり気分のいいものではない自分の血の味のおかげで、
失いかけた意識を繋ぎ止めていることができた。
――転ばされちまった・・・らしいな。
自らのおかれた状況を理解し、何があっても決して放すことは無い得物、屠痢兜を
床に突き立てすぐさま起き上がろうとする。だが、身体が言うことを聞かない。ふら
ついて倒れこみそうになるのを押さえ、膝を突くのがやっとだ。
「うぉ!畜生め・・・」
前のめった身体を、刀の柄を杖のようにして支えて正面を向くと、暗がりの中に男の姿が
見えた。やはりというべきか、手応えが無かっただけあって男はその場から動いてもいな
ければ、首を失ってもいない。だがひとつ違うのは、こちらに向けて開かれた男の目が、
未だに金の光を放ち続けている事だった。
その男が、顔どおりの落ち着きある澄み切った声で、しかし顔に似合わぬ年寄り染みた
口調で言う。
「成る程。見た目以上に素早く、殺す事に迷いも無く、我が一撃を食ろうてなお悪態づき、
しかも早々に動けるとは。羅刹丸。不死身なのは本当のようだの」
紫の霧に隠れた向こうで、白い顔がにやりと笑って自分の名を呼んだのが見えた。
金の眼光が、自分の額辺りにまで届いて気分が悪い。ただでさえ光とは無縁の生活を長
く送ってきたというのに。
しかしそれにしても、人間は目なんて光ったか?とさすがの羅刹丸も疑問に思った。
「てめ・・・」
「うむ、それ以上言う必要は無い。その通り、我は汚れた人間などではない。そして
お前の事は名前から出生まで全て知っておるのだ。のお、覇王丸の・・・」

覇王丸。

それは殺し損ねた男の名。ついに手を掛け損なった男の名。
俺の許しも無しに時に呑まれ、積み重なった歴史の向こうに消えた剣豪の名。
羅刹丸は、頭に石つぶてを喰らわされたかのようにぐらぁっと仰けぞった。
強烈な頭痛がする。ちかちかと目の奥が眩しく光る。吐き気もする。身体が痙攣する。
421前スレ64:04/10/02 01:26:45 ID:2IIE3wDT
「ああっ、う、うぅぅゥ!うぐ・・・ぐっ、ぐっ・・・」
悔しく許せなく、だからといって不死の身では冥界にまで追いかけることも出来ず、どう
足掻いても果たせなかった本望。片時も忘れる事は無かった。それでも何とか心の深い
ところに打ち付けて、暴れだしそうになるのを繋ぎとめていたのに。我慢を知らない男の、
唯一の我慢だったのに。
羅刹丸の心からそれは、その思いは長い沈黙を破り、弾けて噴出してしまったのである。

俺は、おれは・・・覇王丸よ、

俺はお前を殺すためだけに、生まれてきたのになァ。

「うがあああああああああ!!!!」
男の正体に関する疑問は晴れなかったが、代わりに跡形無く消し飛んだ。
禁句の中の禁句に、羅刹丸の中で久しく冷めていた全身の血液が一気に煮えたぎる。
闇に溶けた魔物の姿を唯一示していた眼光が、振り乱した髪の向こうで絶対の憎悪と
絶対の恨みを溶かした溶岩の如き輝きを放った。
「うぎぎぎぎぎ!!今度こそ殺したらァ、お待ちかねのこいつでなァ!」
おびただしい数の人間から生き血を吸って黒く変色し、もう光る事を忘れた自慢の妖刀
屠痢兜が、血管の浮き出た腕に乱暴に床から引っこ抜かれる。
べったりとしたツヤの無い黒、こびりつき、幾重にも重なった血の汚れを帯びた刀身。
まさしく羅刹丸の辿ってきた人生そのものを示すそれが、殺りくの再開を告げる主の
号令に狂喜した。
粗雑な構えで振り上げられると同時に、屠痢兜の錆び付いたなまくらのようだった
真っ黒の刀身が、みるみうちに羅刹丸の瞳と同じ、主と自分が今求めて止まない鮮血の
色を浮き立たせたのである。
血色の刃。これこそが人斬りの妖刀、屠痢兜の真の姿であった。
「微塵も残さねえぞぉ・・・・・・旋風ウゥ烈斬ッ!」
その様は、さながら斬りつけられた虚空から血が噴き出しているかのようだった。
赤い残像を引きながら野太い腕に振り回される屠痢兜の剣圧に生み出された竜巻が、
羅刹丸の叫びにも似た轟音と共に霧を吹き飛ばし、石の床を砕きながら男へと猛烈な
勢いで向かって行く。
422前スレ64:04/10/02 01:27:39 ID:2IIE3wDT
だが、ついに目覚めてしまった魔人が全ての憎しみを込めるのに、たったの一発ごときで
足りるはずもない。
「旋風ゥ!旋風うッ!!せんぷうぅぅぅぅッ!!!」
今しがた叩きつけられた痛みなどとうに忘れ、名の通り羅刹と化した魔界の男は、凶暴な
得物で虚空を二度、三度と切り裂き、轟々と荒ぶる竜巻をさらに金目の男へと放った。
その竜巻に続き、羅刹丸も男へと向かって走り出す。
「何のつもりか、羅刹丸」
一歩も動かずに突進を見つめ唇の端を吊り上げた男に向かって、羅刹丸は吼えた。
「これ見ても、余裕こいてられんのかァァァ!?」
空気どころか地響きさえ起こす程の叫び声に金目の男が無表情に戻り、舞い上がる風に
袖を遊ばせながら顔を覆い隠す。
「ほぉ・・・竜巻が?」
何と、迫る竜巻が羅刹丸の咆哮を合図に合体し、その勢いと巨大さを増していくのである。
血とも唾ともつかないものをにやけ切った口元から垂らしながら、羅刹丸は再び絶叫した。
「アッハハハハハァ!終わりだアァァァァ!!」
その声に、徐々に集まりつつあった四つの竜巻はついに一つとなり、通り道にあった霧と
敷石を全て吸い込み、砕いた、巨大な回転凶器へと姿を変えた。
「飛んだ挨拶もあったものよの・・・。用事の一つもまだ伝えておらぬというに」
びす、びすっと跳ね飛ばされてきた砂利と石のつぶてに衣服をところどころ破かれながら、
金目の男は最悪の危機を前にどことなく楽しげに言った。
「何をごちゃごちゃ!」
竜巻のすぐ後ろを追いかける羅刹丸が牙を剥く。
自分の身の丈とは比べ物にならない大きさの竜巻が、男の視界を覆いつくす距離に至る。
ふと、そこで初めて男が身構えた。
何か武器を取るでも、さっき羅刹丸を吹き飛ばした技を使うでもなく。ただ、身を包む
布の間から右手の甲を突き出して、誘うように。
地面がさらに大きく揺れる。足元の敷石が割れる。粉々に砕け飛ぶ。
423前スレ64:04/10/02 01:28:14 ID:2IIE3wDT
「・・・つくづく期待に応えてくれる男よの」
渦巻の中を飛び上がる石ころまでも見える距離になって、男はぽつり言った。
言い終わる頃には、足が風の片鱗に掬い取られ――
「吹き飛べェ!!」
「吹き飛ぼうぞ」
片や不敵な、片や凶暴なそれぞれの笑みを交し合い、ついに大竜巻が金目の男を呑む。
空をかき乱し切り刻む渦巻の中に吸い込まれた砂利同然の男が、きりもみながら地面
から引き剥がされた。
鳥よりも高く、速く。あっという間に男は、白い煙のようにぐるぐると際限無い闇の
空へと吸い込まれていく。
「何でぇ口だけか!口だけかァ!?ガアッハッハハハハハ!」
所詮は現世から迷い込んだ馬鹿。俺の力に叶うわけも無いのに因縁なんて一億年早い。
竜巻を見上げ、愉快な眺めに羅刹丸は高笑いを上げながら、黒い心をとくとくと満たして
ゆく虐待の快感に最高のかたちで絶頂を飾ろうとしていた。最凶の技で。
「まだ死ぬなよおおおッ!」

天 覇 ァ ! 

叫びと赤い残像を携えながら突進していた黒い影が、竜巻のすれすれで直角に向きを変え、
見上げる方向、黒い空へと跳び上がる。
狙いは、いつ竜巻の勢いに身体を四散させてもおかしくない、白い紙屑ぐらいに見える男。
竜巻を呼んだ影は、さも当然のごとく竜巻よりも疾く空へと駆け上がる。狙う男の姿が
あっという間に近づき、刀を振れば届く距離になった。
だが影は手を下すこと無くそのまま再び離れた。跳ぶ勢いのあまりの強さに、追い越して
しまったのである。
理不尽なまでの怒りと、偶然も必然も無い不条理すぎる憎悪を両の目に赤く輝かせながら、
影・・・羅刹丸はついに勢いを失い空中で止まった。
そして、逆さまに落ちる。万物を縛る重力に導かれて。
その、落ちる先。羅刹丸はただ一点を見つめ、狙いを定めた。
424前スレ64:04/10/02 01:29:00 ID:2IIE3wDT
すれ違いざまに斬らなかったのも、こうして落ちるのも、全ては計算づくである。
男が運ばれてくる竜巻の回転に、羅刹丸が落ちる勢いを重ねた、叩きつけるに等しい斬撃。
下を見れば、衣服をボロにまで引き裂かれた男がぐるぐると渦の風に揉まれ近づいてくる。
白い服を着ているせいで目立つ。的だ。
――外しようが、無ェ。
肉を断つその瞬間まで、あと少し。
すれ違い様の男の顔は目を閉じていたから、思い出してもそんなに面白いものではない
のでやめておいた。これが目を剥いて絶望に泣き叫んでいるとか、あまりの高さに小便を
漏らしているとかなら気分もかなり盛り上がるというものだったのだが。
代わりに、来るべきその瞬間に羅刹丸は思いをはせていた。
そう上手く真っ二つにできるとは限らない。空中でたった一発の斬撃にも耐えられずに
ばらばらになってしまったり、屠痢兜が上手く通っても竜巻に切り刻まれて目の玉を
捜すのに手間取ったりもする・・・が、それもこれも全て楽しい。ぶち殺せればいいのだから。
男が近づいてくる。腕と足にボロを絡ませ、人形のように脱力したまま。
急降下する羅刹丸の赤い瞳に映るその様は、死の円舞にも見えた。
来た。
羅刹丸は両手から血が噴き出すぐらいにきつく得物を握りしめ、身を捻ってぐるりと
縦に回転する。
光の絶えた世界に、屠痢兜という名の赤い満月が輝いた。
一回転が終わる。掲げた得物を振りぬくに完璧な間合いが、そこには用意されている。
絶叫。
「喰らえやァァァァァ!!!断空ゥ烈ざ」
がしり。
闇の中に一本、白く伸びてきた腕に、羅刹丸は思い切り顔面を掴まれ言葉を潰された。
それでも技の通り空を断ち、金目の男をも断ち、下まで振り抜かれるはずだった屠痢兜が、
もう片方の手でぱしりと受け止められた。
あれほど荒ぶっていた自慢の竜巻が、瞬時に掻き消えた。
信じられない事だが、全ては、同時に起きた事である。
425前スレ64:04/10/02 01:29:34 ID:2IIE3wDT
空中で動きを封じられたまま、羅刹丸は理解できなかった。
あんだけ怒って、あんだけ憎くて、あんだけ殺したいと思ったのは久しぶりだったのに、
こいつもどれもこれも、全部夢だったのかい。それともこの空白は――
間違った考えが前進する前に、竜巻によって巻き上げられた石が遥か下に落ちて、ガラン
ガランと音を立てたのが聞こえた。今この瞬間が紛れも無い現実で、時が止まっていない
事を強く示す証拠だった。
困惑は、確信へと変わる。
――こいつは、結構、やべェ奴かもな。
握りしめる得物を離す事も、その手を振り払って下に飛び降りる事もできたはずだが、
羅刹丸は白く、節さえ無い女のような指に顔を受け止められたまま、そんな事を思う
のがぎりぎりだった。
押しつぶされていたのだ。
指の間から見える向こうで、神妙な面持ちでこちらをじっと見つめている男の無言に。
その無言がもたらす、重い重い静寂と威厳に。
そして、温かいとかそういう人間が喜びそうなのとは無縁な、でも魔族の男でもそう
好き好んで味わいたいとは思わない、冷え切った金の瞳に。
言葉を失った自分の顔が金色の瞳の中で眩しそうにしているのに羅刹丸が気づく頃、
その瞳のずっと奥で、ちりっと一筋の小さな稲妻がほとばしった。その瞬間、
ズドン。
大きな衝撃音が耳だけでなく、全身で聞こえた。
「が・・・・・・ッ」
目の前が明るくなり、暗くなって、何も見えなくなる。
どごぉんと心臓が爆発して、羅刹丸は肋骨と背骨が折れるぐらい胸を突き出しのけ反った。
びりびりと、さっき叩きつけられた時とは比べ物にならないぐらいの衝撃が超高速で四肢
と頭を突き抜ける。指一本、爪の先から髪の毛一本まで。肌は一瞬にして焼け焦げ、浮き
出た血管が破れて血という血が全身から吹き出し、ありとあらゆる筋肉がぶち切れて、
裂けた肉から覗く骨が、関節というものが必要無いまでにぼろぼろに砕かれたのが分かる。
426前スレ64:04/10/02 01:30:22 ID:2IIE3wDT
「かっ、がっ、がっ、がぁっ・・・・・・っ・・・・・・がぁっ」
まだ身体の中から逃げない電撃に身体をびくびくとばたつかせ、羅刹丸は内臓のどこから
出血したのかも分からない大量の血をとにかく吐き続けた。
一瞬の、中も外もない身体全部の、完璧すぎる破壊。
腕一本無くなるとか首が飛ぶとか、そういう次元の話ではなかった。
――痛ェ。叫べもしねぇ。でもこれじゃ、かなり長いコト立てねェぞ・・・クソが
やっぱりしぶとく生きている自分の思考全部を傾けて、羅刹丸は産まれて初めて自分の
肉体に備わっていた「不死身」を、さらには己自信を憎んだ。
羅刹丸の頭を握り締めたまま、その格好に引けを取らないぐらいぼろぼろの姿となった
男がゆっくりと薄い唇を開く。
「滅びきった肉体、屍の如し。しかれども羅刹丸、死ぬ事は許されぬ・・・それが定め。
勿体無いとは思わぬか。これから先の一千年、お前は地べたに身を預け、砂を被り
背に苔むさせ、復讐だけを糧に目覚めの日を待つのだぞ。その間に・・・お前が新たな
糧とする恨みの根源たる我も、姿を消しておるかも知れぬ・・・ふむ、やはり哀れよの」
テメーでここまでやっておいてふざけた事を、と羅刹丸は心の中でべっと唾を吐く。
「いやすまぬ、全くその通りよの。少々悪戯が過ぎた」
既に鼓動は止まっていたが、どきりとした。完全に男は心の中を見透かしていたのだ。
「だが羅刹丸よ、我が壊したからにはその身体、治してやる事も叶うのだぞ。元通りに、
そうよの・・・その怪我であれば一ヶ月」
日が昇って沈めば現世では「一日が終わる」というらしい、といった次元の知識しか
持たない魔界生まれの羅刹丸だったが、男の言い草からして千年はクソ長く、一ヶ月は
ちょろっとしたものなんだろうという事ぐらいは見当がつく。
「うむ、そういう事よ。羅刹丸・・・もう分かるな。ここまで負けに負け、再び意味の無い
眠りを送らざるを得ぬはずのお前に、我は復活の機会を与えておるのだ。なぜなら羅刹丸、
我にはお前が必要なのだ。どうだ?我の話、最後まで聞いてみる気にはならんか」
聞くも聞かないも、指一本動かせない死体同然の俺に喋りかけるテメーは、はた目から
見りゃさぞ滑稽だろうよ。気持ちだけは元気な羅刹丸は、どれ話してみろや、どうせ
ヒマだしなと最後に付け加えた。
427前スレ64:04/10/02 01:31:27 ID:2IIE3wDT
「はははは!愉快なヤツよのぉ!人間に比べたらお前のような魔界の者の方が、よっぽど
小気味の良い輩よ。どれ・・・我がここに来た理由、話し始めるとしよう」
喋りながらもゆっくり降下していた男の足が笑い声と共に石の床に着地ところで、羅刹丸
が心の中で口を挟んだ。
待て。テメーは何モンだ。名前も聞いてねーぞ。
「おぉ、忘れておったわ。我の名は・・・」


「なっにっが『シカンナカムイ』だ、クソ野郎があぁー!」
猛り狂った羅刹丸は、拳だけでなく蹴りまで入れ、とにかく手近の壁を瓦礫に変えていた。
叫んでいるのは、「あの男」の名である。
「調子にのんじゃねェ!調子に!調子にのんな畜生ッ!おらっ、らっ、らあ!」
思い出しただけで髪が逆立つ、最高の屈辱だった。ある意味、覇王丸を殺し損ねた事
よりも腹立たしい。
だが男の言う事に間違いは無く、言われたとおり付き従う事によって得られる利益は
大きかった。自分がまた眠りについている間に再び時が流れ世界が一変し、せっかく
見つけた殺したい奴が覇王丸のように逝く前に、壊れ切った身体を取り戻せる。しかも、
生まれてきた理由さえ霞むぐらいに殺したい奴が、ずるずると芋づる式に見つかったのだ。
三人と一匹も。
「へ・・・へへ・・・ヒヒ」
自分が築いた瓦礫のど真ん中でまだ片手を壁に打ち込んだまま、少々暴れすぎて肩で息を
する羅刹丸の顔に、身の毛もよだつ残酷な笑みが浮かぶ。
「殺す・・・今度こそなァ」
全部が全部をこの拳で今度こそめった打ちにして、爪で切り裂いて、骨を砕き、耳を
つんざく心地よい叫びに酔いしれながら、真っ赤な血酒と臓物のつまみに仕立て上げて
やりたい。
当然すぐには殺さない。まずは腕一本から。いや、足の指からっていうのも悪くない。
恨みをぱーっと晴らす最高の宴にするのに、どんな手間だって惜しむわけが無いのだ。
分厚い石の板を砕く人並み外れた腕力で放たれた拳が、壁からゆっくりと引き抜かれる。
頑丈な拳には、かすり傷にどす黒い血が浮かぶだけであった。長い舌をべろりと出し、
羅刹丸はずるりと音を立てながらその血を舐めた。
428前スレ64:04/10/02 01:32:18 ID:2IIE3wDT
「カムイだかなんだか知らねぇが、話の分かるヤツもいるもんだなァ・・・現世で殺しに
殺し捲れる上に、俺様の一番の願い事まで叶える方法を知ってるんだからよォ」
手の甲の上を重たく這い回る舌が傷に触れるたびに走る微かな痛みと、塩と鉄の味に、
気分をいくらか落ち着かせながら羅刹丸は独り言を呟く。
言ったとおり、意外にもあらゆる殺しは彼にとって優先事項の二番目だった。
その上を行く願いこそがシカンナカムイと羅刹丸を繋ぐ接点であり、二人の企みそのもの
であり、羅刹丸が覇王丸を逃した後、地獄門前に居座る事を決意した理由だった。
「へへ・・・なんだ、考えてたらよくわかんねぇけど気分がよくなってきちまった・・・ヘッ。
あらよっと!あーあ!」
壮年の親父っぽい掛け声と一緒に、羅刹丸は瓦礫の上にどすんと仰向けに寝そべった。
もうすぐやって来るはずのシカンナカムイの到着まで、再び眠りながら待つ事にしたのだ。
「もうすぐだァ、もうすぐだぜ・・・大願成就とか言うんだよなァ、こういうのをよォ・・・」
濁った瞳で魔界の門を愛しそうに見上げながら、羅刹丸は言った。
「待ってろよ魔界・・・へっ、へへ・・・ヒアハハハハハハ!!!」
両手の平で床をばしばしと何度も何度も叩く魔界の男の、狂った笑い声が闇にこだまする。
魔界の門が、震えている。
再び舌を出して傷を舐める頃には、羅刹丸の右手の傷はとうに癒えていた。
429名無しさん@ピンキー:04/10/02 11:43:17 ID:3HFF0Wai
久々の投稿、乙!!
430名無しさん@ピンキー:04/10/02 16:13:33 ID:O3pC7o5F
もちろん羅刹タソの相手は兄さまですよね?
431名無しさん@ピンキー:04/10/03 08:24:35 ID:88d1wtE5
羅刹VSコウタ
むー、ホームアローンみたいな、罠を駆使したゲリラ戦ならば勝ち目がある…か?
432名無しさん@ピンキー:04/10/03 22:59:31 ID:4wiA2bHi
想像したらハゲワラ
羅刹ストレスで死にそうw
433名無しさん@ピンキー:04/10/03 23:27:42 ID:83dCSSHF
・頭に火を付けられて焦り、便器の水で消そうとしたら実は灯油で引火・爆発し、
 おかげで黒焦げになるわ頭禿げるわの羅刹丸
・故意に撒いてある潤滑油で足を滑らせペンキ棚に突っ込んだ挙句、倒れたペンキ棚から
 数々のペンキ缶をモロに喰らってペンキまみれになる羅刹丸
・いきり立って二階へ上がろうとした時に鉄パイプのブランコを顔面に喰らって吹っ飛び、
 落とし穴に落ちて大の字に倒れる羅刹丸
(更にその後、縄を切られて落ちてきた鉄パイプの駄目押しを喰らう羅刹丸)
434名無しさん@ピンキー:04/10/04 02:37:07 ID:AyHyMd0u
タランチュラが羅刹丸の腹の上を這う

「いまブッ殺してやるけぇのお」


         ざく


                〜完〜
435名無しさん@ピンキー:04/10/07 00:09:26 ID:h5hLrw3J
そして、どさくさにまぎれて剣をなくした羅刹丸に襲い掛かるレラ…

「あなたに生きる価値なんてないわ。 」

うわー悲惨
436前スレ64:04/10/07 23:54:31 ID:f5Er0Git
リムルルは事あるごとに窓辺にいて、レラを待っていたんだと思う。
俺の看病をしてくれるのはもちろんだったし、コンルと何か話をしたり、裁縫道具やら
ハハクルの手入れなどをしていた素振りもあったようだが、俺が布団の中で浅い眠りから
覚めれば、いつもリムルルは窓辺にもたれかかって窓の外を眺めていた。
冬の透明で静かな陽の光を受けたその横顔は寂しそうだった。
だが俺が起きたのに気づくと、リムルルはすぐぱあっと笑みをこぼして色々と世話をして
くれた。でもあの顔を見てしまった後では逆に気を遣わせてしまって悪かったなと思う。
どこまで健気なんだ、と心配にさえなる。
リムルルは確か、過去にも今日と同じように戦いに出た姉の帰りを待っていたのだった。
何日もただいたずらに思いを募らせ、無事を祈りながら待ち続ける日々だったのだろう。
コンルが見せてくれた、幼少の頃のふたり。強い絆で小さな頃から結ばれていたふたり。
その姉が帰らないはずが無い、絆の糸をたぐり寄せて、必ず戻ってくる。そう願っていた
に違いない。
だが――
「・・・・・・」
そして、こうして窓の外が赤い夕陽の世界に沈む頃に俺が目が覚ましても、リムルルは
相変わらず窓の近くにいた。
たださすがに待ち疲れたらしく、今は窓の下にへたり込んでうつらうつらしている。
その寝顔にオレンジ色の光を反射させているのは、リムルルのすぐ側でゆっくりと回る
コンルだった。
コンルの返す光で部屋の中はさながら万華鏡のようになっていて、明るさと暗さを交互に
織り交ぜながら、ゆらゆらゆったりと回る温かな光と影の空間は何とも幻想的で、再び
眠気が出るぐらいにリラックスできる。
もしかしたら、コンルはいつまでも頑張っているリムルルをその不思議な輝きで落ち着か
せていたのかもしれない。
「コンル」
布擦れの音でリムルルが起きないよう、もったりと布団の中から起き上がりながら、俺は
小さな声でコンルを呼んだ。
437前スレ64:04/10/07 23:55:27 ID:f5Er0Git
きぃぃんと冴えた音を立てながらやってくるコンル。スローな空間に冷たい音。眠気を
すうっと消し去るような際立ったアクセントが心地良い。
「コンル、リムルルと居てくれたのか。ありがとうな。俺ももう少しで治りそうだよ。
これも熱を冷ましてくれたコンルのお陰だね。世話になってばっかだ・・・本当にありがとな」
指を差し出すと、コンルがちょっとだけ触れてひょいと離れた。軽いキスのような仕草だ。
何だか嬉しそうにコンルが揺れる。部屋の光もゆらゆら傾く。壁にもたれるリムルルの
顔も、明るくなったり・・・そして暗くなったりする。
影が降りたその寝顔を見ていると、切なさに胸が苦しくなって仕方がない。
「リムルル・・・何か、可哀想だな。待ってばかりでさ」
・・・・・・ばいばーい。 明日ねー。
静まりかえった部屋に、窓の外から子供のはしゃぐ声が届く。もうじき暗くなる時間だ。
・・・・・・ちょっと待てよぉー。 早く早くー。 あははは!
笑い声も、冗談まじりの怒った声も、どれも平等に夕陽の向こうに帰っていく。
「待ってる人が目の前に居てさ、追いかけて抱きつくだけで一緒になれるならいいのにな」
寝起きの頭で少し感傷気味になっていた俺は、思ったことをそのまま呟いてしまった。
途端に、目の前をコンルが踊りながら横切る。キラキラした光と共に程よい冷気が俺の
顔を撫でて、消えた。
「・・・あぁごめん、変な事言って」
コンルの言いたい事の見当がついて俺は謝った。
「俺は待たせるような事、なるべくしないようにしないとな」
そう話を一旦区切って立ち上がり、俺はリムルルの横に座り込む。
今でこそ静かに眠っているだけになった横顔を見ていると、待たせるどころかいつでも
一緒にいてやらないといけない、という危機感さえ覚える。
リムルルは普段は甘えん坊だけど、一度待ってろと言いつけられればいつまでも待って
しまう方なんじゃないかと俺は恐れていたが、それが今日ついに明らかになってしまった。
いつか突然、待ちすぎて急に壊れやしないだろうかと不安で仕方ない。
だからこそ、一緒の時間を多く作るのがこれからも必要なんだろう。
438前スレ64:04/10/07 23:55:59 ID:f5Er0Git
――でも・・・。
偉そうな事を思いながら、俺はリムルルから逃げるように目を伏せた。しかしそれでも、
逃れられない現実は心の中からどいてはくれない。

"一緒の時間"を作っているのは俺ではない。

リムルルが正体の分からない怪物を倒してくれたから、俺はリムルルの横にいられる。
コンルが羅刹丸から俺を助けてくれたから、俺はリムルルの横にいられる。
レラがリムルルを傷つけた輩を追いかけてくれるから、俺はリムルルの横にいられる。
リムルルとの時間の全ては、周りから与えられているだけだ。
その与えられた隔壁の中で俺がリムルルにしてやれる事と言えば、ただ慰め、闇雲に
励ますことだけ。結局、俺はリムルルを守ることなんか何一つ出来てやしない。どんな
にリムルルが慕ってくれようと、ただ一時も離れずそばにいる俺こそを必要としてくれて
いたとしても、それは俺じゃなくても出来た事だ。
俺はその先に行かなくちゃいけない。俺だから、俺にしか出来ない事を、リムルルと
ずっと一緒にいるために必要な事をしなくちゃならない。
こっくりこっくりと頭を揺らすリムルルを、俺はそっと膝の上に寝かせた。
温かく、しっかりとリムルルの頭の重さが感じられる。柔らかい髪は、夕陽の色に似た
いい香りがする。小さな手から伸びた細い指が、ひくんと何かを掴むように動いた。
どれもこれも、何にも変えがたい一瞬の連続だ。安直な言い方だけど、宝物だ。
それを俺は、大事にしまって守ることばかり考えていた。別れが来る事を拒みながら、
気持ちのどこかでそれが来る事を甘受して、びくびくしながら備えていた。情けない話だ。
けどこれからは違う。守りに入るのは、やめにする。
二人の時間を一生、よろよろのジジイとババアになって死ぬまで楽しんでいくんだ。
別れる事なんて御免こうむる、だ。物騒だけど、邪魔立てすれば斬る、だ。
俺は兄である以前に、男だ。自信を持って言える。
「リムルル、ずっと一緒にいられるように守っていくからな。兄として・・・いや――」
439前スレ64:04/10/07 23:56:32 ID:f5Er0Git
ガララ。
「ただいま」
「にゃ・・・あっ、レラねえさまあああああっ!!」
ガラス戸の開く音と共に、レラの声。
その声とぴったり同時にリムルルが跳ね起きて、すとんと部屋に降り立ったレラに
激しく抱きついた。
「心配したよぉ!ああぁ〜ん!!」
マフラーを外しかけていたレラが、面食らった顔をして倒れかける。
「ちょ・・・!半日も経ってないのにこの子は本当に大げさね。すぐ帰るって言ったでしょう」
「でもっ、でもおっ!!ナコルルねえさまも昔そう言って・・・」
リムルルに泣きつかれ、レラの表情が優しく柔らかいものに変わっていった。
「ありがとうリムルル・・・。ただいま」
「お帰り・・・お帰りなさいぃ!」
本当に急に出かけて本当に速攻で帰ってきたレラと、リムルルがしっかり抱き合った。
コンルも嬉しそうに回って、さっきより薄暗くなった部屋の中を再び光で彩っている。
「お・・・お帰りなさいレラさん」
大事な誓いを立てている途中だったのに・・・とも思ったが、いつまでも座って取り残されて
いるのもアホらしかったので、俺も続いた。
「ただいま、コウタ。リムルルはちゃんと看病してくれた?」
「えぇ、そりゃもう」
「う〜ん・・・うん、そうね。顔色も良くなったみたいだし。リムルルご苦労様」
レラは俺の顔を覗き込んで満足そうに笑い、リムルルの頭を撫でくり回した。
「疲れた?怪我してない?お腹空いてるよね?」
レラが動きづらそうなぐらいに、リムルルは両腕でがっちりレラを捕まえて質問ぜめに
している。さすがの姉をもたじたじにするぐらいに。
「だ、大丈夫よ。さ、今度は夕飯の支度をしなくちゃ。教えてあげるから頑張りましょ」
「うん!あっ、その前にわたしお風呂の掃除してくる!ちょっと休んでて!にいさま、
レラねえさまにお茶淹れてあげて!!」
440前スレ64:04/10/07 23:57:13 ID:f5Er0Git
新しい電池を背中に入れられたおもちゃのように、リムルルは元気に笑いながら一気に
喋りまくると、レラを無理矢理コタツに座らせ風呂場へ駆けていった。コンルも慌てて
後に続く。
二人が行ってしまうのを見届けていたレラが小さく笑い、微かに言った。
「・・・・・・私も心配してたわ。元気みたいで安心してる」
「えぇ、まぁ何も無かったんで安心してください。で、お茶飲みます?」
「ありがとう」
レラはマントのような黒い外套と靴を脱いで自分の横に置き、物騒な装備も次いで解くと、
今度こそ脚を崩してコタツに当たった。台所からポットを運んできた俺は、蛍光灯を点け
レラの座る横に腰を下ろし、お茶の準備をする。
「お疲れ様でした」
「そんなに疲れてもいないわ」
レラはため息混じりに右手を肩に当て、首を気だるそうにゆっくりと幾度か回した。
「あ、そういえば狼・・・シクルゥはどうしたんですか?」
レラが窓の方をちょいと指差す。
「ちょっと外にいるわ。すぐに戻ってくるわよ」
つられて外を眺めれば、遠い空は紫色になってそろそろ夜の出番だ。
「あの、それで急用はどうでしたか」
見た感じでは顔にも何処にも傷一つ無い。本当に戦ったりという事は起きなかったようだ。
「まあ、私が何をしにいったかは大体見当ついてるわよね」
「えぇ、リムルルを襲った相手についてですか?」
「そういう事。ありがとう・・・・・・ふぅ」
手渡された湯飲みで一服するレラ。やはり、用事は思ったとおりだった。
「で、何かわかったんですか?」
レラはもう一口お茶で喉を潤し、少しの間があって、言った。
「・・・・・・いいえ、さすがにこの短い時間では何も。近場をぐるぐるしただけだから。
もう少し範囲を広げないとダメみたいだわ」
「絶対にどこかに潜んでいるんですよ、奴ら」
「えぇ。それに話を聞いていたら神出鬼没らしいじゃない。近くにいないからって、
そう易々と安心できないわ」
441前スレ64:04/10/07 23:57:46 ID:f5Er0Git
もっともな指摘にふと心配になって、俺はもう一度窓の外を見やってしまった。薄い
ガラス一枚を隔てた向こうには、寒空にひたされた何の変哲も無い、当たり前の夕暮れ
だけが広がっている。
本当に、当たり前の日常。そこに潜む神出鬼没。
「準備は・・・怠れないですね」
熱いお湯で少し渋めに淹れたお茶をすすると、さっき心に決めた決意がふつりと蘇った。
昼は情けなく見えた緑の水面に映る顔も、今はちょいと一味違う。と思う。
後は、レラに切り出すタイミングだけだった。なぜリムルルではなく、そしてレラに何を
切り出すかといえば、
――俺も戦いたいんです。風邪が治ったら・・・お願いです、剣術を教えてくださいっ!
リムルルによれば、ナコルルはリムルルより強いのだという。その心の中から生まれ
出た生粋の戦士としての魂が強くないはずが無い。
だからこんな事を頼めるのは、レラ。この人を置いて他にいないのだ。
もしかしたら嫌がるかもしれない。いきなり剣豪に剣術を教わるなんて本当なら恐れ多い
もいいところだし、素人に剣を握らせるなんて、と断られる事も考えた。
でも、もう決めたんだ。
動き出さないといけないんだ。いつリムルルとの時間が止まるか分からないのだから。
何としても俺は強くなりたい。
「ずず・・・」
口の中を満たしている、この苦いお茶を飲み込んだら。
ごくりと喉の奥が開いたその時、そっぽを向いていたレラがぼそりと言った。
「で、兄でなく男としての決意の程は?」
「ぶ――――――――ッ」
ヒールレスラー顔負けの勢いと、顔を突き出した完璧なフォーム。
・・・俺は毒霧よろしく、お茶を殆ど噴き出した。
「やだ、汚いわねぇ」
自分のせいでこうなっているのに、レラはリングの外、第三者の構えである。
442前スレ64:04/10/07 23:58:17 ID:f5Er0Git
「んぐっ・・・けほっ、げほっ、うぇっ・・・はあはあ・・・な、な・・・聞いてたんですか?」
鼻までお茶が届いてむせ返りながらふきんでコタツを拭う俺を見て、レラがにやりとした。
「悪趣味だなんて言わないで、偶然なの。風に乗って聞こえてきて・・・ね」
「か、風って・・・」
突風とともに現れたり、聞こえるはずの無い壁を隔てた声を風に聞いたりと、レラと風は、
何だかいつも密接に関わりあっているようだ。
と、冷静に分析している場合ではない。俺は飲み損ねた湯飲みの底にちょっぴりだけ
残ったお茶をずずと吸い込み、恥ずかしい気持ちを何とか立て直した。
「聞かれちゃ仕方ないです。そうです。俺は・・・リムルルとずっと一緒にいたいんです」
レラはふぅん、と聞いている。ただ、顔からは笑顔が消えていた。
「だからその、お願いです!もうこれ以上、リムルルとコンルだけが戦っているのを
指咥えて見てるのは・・・・・・いや、足手まといは嫌なんです!俺に剣術教えてください!」
お願いします!と俺は深々と頭を下げた。
「・・・・・・あなたには無理じゃない?」
間があったものの、それは即答の範囲内だった。
やっぱりとは思ったが実際言われると、しかも迷い無い感じだったりすると結構ショック
だった。顔を上げると、レラはいつかのような少し見下す感じでこっちを見ていた。
「リムルルが肉体的にも精神的にも、どれだけの修行を積んであそこまで強くなったか、
分かってるの?」
そんな事は知るよしも無い。
「いや・・・」
してもしなくても一緒のあいまいな返事は、レラの矢継ぎ早な言葉にすぐ消された。
「それはそれは辛い修行を、あの子は幼少の頃からナコルルやお父様と繰り返してきたの。
あなたがいくら素人だからって見たなら分かってるでしょ、あの子の強さと身のこなし」
静かながらに針のように鋭いレラの一言一言が、俺の心の中に残るリムルルの戦いぶりを
ちくりちくりと思い出させる。
「それを見て、実際に守られていながら・・・よくもまあ剣を教えろなんて言えるわね。別に
決意は決意で悪い事じゃないの。あなたとあの子の絆は深い物だって私も感じる。だけど
分かって。あなたは戦う必要の無い人間・・・」
443前スレ64:04/10/07 23:58:58 ID:f5Er0Git
「それじゃダメなんですっ!」
もうこの先の話の流れが見えて、俺はレラの冷たい表情と真っ向から対決し、話が「そう
ならないよう」に切り返した。
「コンルも前に言ってくれたんです。リムルルにとって俺は、そばにいるだけで何よりの
存在だって。だから俺は戦わなくてもいい、私が俺とリムルルを守り続けるって。確かに
そうかもしれない。リムルルだって、俺がちっとも戦えない事は知ってる」
レラは微動だにしない。ぶつかり合う視線にもわざと感情を込めていないようだ。全てを
見透かすような深く黒い瞳に、言葉が全部吸い込まれていく。
でも、俺は続けた。風邪でのぼせていただけかもしれないが、言い切るだけの勇気までは
瞳に呑まれてはいなかった。
「だけど、これからも・・・リムルルにはまだ何も伝えてないけど、俺はレラさんが聞いた
とおりです。男として・・・あいつがいいって言うなら、リムルルと一生過ごしたいんです。
それなのに俺だけが守られてるなんて、そんなの支えあえて無い、一緒にいるって言え
ないんじゃないかって思うんです、俺」
言いながら、俺は自分の中に確かにずっと存在していた気持ちを確かめていた。
絶対に言い出せなかった。だって、あいつは妹だから。今もそう思っているに違いない。
それで言い出せずにいて、なぜかそんな大事な話を、事もあろうに出会ったばかりの肉親
に打ち明けている。おかしな話だ。聞かれたという成り行きがあったとは言え、おかしい。
でも。
俺は、リムルルが好きだ。誰よりも。
あの晩、コンルの中からリムルルが現れたのを見た一瞬で、俺は人生が変わると、どこか
で感じずにはいられなかった。それはコンルのあまりに派手な登場によるところもあった
だろう。だけど、変化に対する直感を働かせた最大の理由は、絶対にリムルルだ。
・・・今思えば、一目惚れだったのかもしれない。
そしてその直感は現実になった。色々な事が、昔では考えられない事が次々と起こり、
命を賭けて人生を送ることが日常になりつつある。いつ死ぬかも分からないような日常を、
一体誰が望むだろう。
でも、リムルルはそこにしかいない。その、ギリギリの世界にしか。
だから俺は選んだ。リムルルと生き抜くために。一緒に幸せになるために。
444前スレ64:04/10/08 00:00:54 ID:Glz0PJUp
「俺は確かに弱いし、何の役にも立たないかもしれない・・・。だけどリムルルとずっと一緒
にいるために出来る事は、全部ちゃんと努力していきたいんです!だからお願いします!」
全部言った。洗いざらい。そして俺は、頭をもう一度深く下げた。
酷く重く、背中がひりひりしてはちきれそうな沈黙がすぐに俺を襲う。
レラは俺の言葉を聞いて、何を考えているのだろうか。正直、自分でも青くてしょっぱい
事を言ったと思う。一緒にいたいとか、何も出来ないのに戦いたいとか。
どうしてもう少し、気の利いた事を言わなかったのかと・・・。
カララ。
言葉を待っていたはずの俺の耳が、全然違う音を聞き取った。窓がゆっくり開く音だ。
予想していなかった音に顔を上げると、いつの間にか立ち上がっていたレラが窓を全て
開き終えて、その横でこちらを向いたところだった。
部屋に生まれた空気の流れに黒髪を穏やかに揺らしながら、レラが言う。
「あなたの腕で刀を振るったところで、外敵からリムルルを守ることは・・・きっと無理よ」
穏やかさとは裏腹に、冷たく窓から流れる風にも似た言葉が、決意に燃えていた俺の心の
ともし火をふっと消した。
光も言葉も全部吸い込んで何も返さないようなレラの瞳を見つめたまま、俺は放心している。
こうなる事は予想していたはずなのに、それでも気持ちは伝わるんじゃないかと期待して
いた。けど、甘かった。無念の感情に、のぼせ気味の頭が暗くなる。
「で、でも・・・でも」
「でも今、あなたのその腕以外に、リムルルを抱き寄せられる人はいない・・・。あなたが
居なくなったら、リムルルは・・・きっと二度と立ち直れないでしょうね。だからコウタ、
あなたには生き続けてもらわないといけないの」
レラが突然言う事に詰まった俺の言葉を引き継いだ。さっきとは180度違う意味の言葉で。
「は・・・?」
「わかっているわね、自分の命の重さ。男として誓いを立てるからには、あなたの命は
あの子の命でもある、そういう事になるのよ」
「そ、それじゃ・・・!」
消えたはずの決意に再び火をともしてくれたのは、他でもないレラだった。冷たかった
表情に、昼間の明るさが戻っている。
445前スレ64:04/10/08 00:01:33 ID:Glz0PJUp
「シクルゥ、入って」
レラがふいに窓の外に目をやると、シクルゥが下からふわりと部屋に飛び込んできた。
どうやらこのために窓を開けたのだったらしい。風格漂う銀髪の猛獣の口には、薄汚れた
白い布に包まれた、細長い何かが咥えられている。
「コウタ、受け取って。それが、私があなたにしてあげられる事」
レラに背中を撫でられたシクルゥは、俺の目の前にその包みをそっと置いた。
「これを・・・俺に?」
レラがゆっくりと首を縦に振ったので、俺はうっすらと砂を被ったそれを手に取って
慎重に布を取り払った。
「・・・!」
ぱらぱらと砂が畳に落ちる音と共に、幾重かに折りたたまれた布の中から現れたのは、
二つの品だった。
一つは、30センチに満たない木の筒を芸術に変えた木彫の鞘(さや)。そしてその端
からは、その中に収まっているものを抜くための握り手が飛び出していた。
紛れも無く、アイヌのマキリだった。
壊れ物を触る手つきで、しかし落とさぬよう確実に鞘を持ち、握り手を逆手に掴むと、
俺は腰の辺りでゆっくりとマキリを抜いた。小さな手ごたえが終わると、月が昇るかの
ように優雅に、白々と輝く刃がその姿を見せる。
美しく冷たい、持ち主が望むものを切断するための道具。
「それはカムイコタンで作られたマキリよ。何かあった時のために、昔隠しておいたの。
綺麗でしょう、切れ味は良いはず・・・ふふ、まあ、それがその手の震えの原因なんで
しょうけどね」
レラが俺の前に座って、そっと手を添えてくれた。俺の手はいつしか勝手に震えていた
のである。そしてそのまま、刃を鞘に収めるのを助けてくれた。
もう刀は抜かれていないのに、胸が高鳴っている。頭がさっきから冷えたりのぼせたりを
繰り返して、冷や汗とも興奮ともつかない変な汗を全身に感じた。マキリと手の平の間
にも汗が感じられる。木製のグリップにも染みていることだろう。
446前スレ64:04/10/08 00:02:25 ID:Glz0PJUp
「それが刀を握るという事なのよ。コウタ。あなたはこれで、誰かを守ることを・・・裏を
返せば誰かを傷つけ得る存在になったの。望んだとおり、牙を得たのよ」
レラは特別な事を話している様子ではなかったが、かなり身に堪えると同時に、嬉しく
もあった。自分がやっぱりまともな世界にはいないんだという事を強く感じる。
「重いんですね、すごく。感じます・・・抜いただけで冷たくて、熱くて・・・」
「そうね。だけど、マキリは人に牙を与えるためだけに在るわけじゃないのよ」
「・・・?」
レラの何気ない言葉の意味を分かりかねていると、布に包まれたもう一つの品を渡された。
「さぁ、マキリを置いて。次はこれよ」
「これは鞘ですよね?マキリの。でも、あれ、ん?」
裏と表、まさかと思って中まで覗いたが、決定的なものがこの鞘には欠けていた。木彫だ。
ただ削り出されて形を整え、表面を磨かれただけの質素なものだったのである。
「シンプルだけど、こういうのもありといえばありか・・・」
うんうん、と磨かれた木肌の感触を確かめていると、レラが手を横に振った。
「駄目よ。マキリの鞘の模様には、ウェンカムイを退ける魔よけの効果がある。このまま
ではこの鞘は使えないわよ」
「それじゃあ・・・あ」
俺はようやくひらめいて、レラの言った言葉の意味を理解した。
「もしかして、これに俺が木彫を施すんですか?マキリで」
レラが少しだけ白い歯を見せて、笑った。
「そういうことよ。刃物の扱いを覚えるにはちょうど良いわ。それじゃもう一度、マキリ
を抜いて御覧なさいな」
「はいっ」
すっかりレラの弟子気分の俺は、鞘を布の上においてマキリを再び手に取った。手指に
緊張が走る。木彫のごつごつした触り心地が、これの中にあるものが特別なものなのだと
今一度心に予感させる。
だが緊張とは裏腹に、再び俺の手で抜かれたマキリはさっきのように輝くこともなければ、
温度を感じさせもしなかった。冷たくも熱くもない、蛍光灯の光を受けて白く光るだけの、
単なる一振りの短刀だったのである。
447前スレ64:04/10/08 00:03:27 ID:Glz0PJUp
「あれ?何で・・・さっきはあんなに」
「特別なものに見えたんでしょう?それはあなたの気持ち次第ということよ。さっきまで
あなたは、そのマキリであの子と、自分の命を守ろうと必死だった。決意の全てをぶつけて
いたわ。でも今は少し違うわね。そのマキリに、木を削る道具としての意味を見出している」
全くもってその通りで、俺はうんうんとレラの話に聞き入った。あれ程恐ろしいものに
見えたマキリが、今は隣人のように思えるのである。
「忘れないで。マキリは心を映す鏡。初めて握った今でさえ、そこまで表情を変えるの。
だからあなたがマキリに正しく接して一緒に努力すれば、気持ちを引き出してどんな期待
にも必ず応えてくれるわ」
レラに、優しさと深い信念に満ちた言葉を伝えられて、俺は背筋を伸ばした。
「は、はい!分かりました!」
「いい返事ね」
そして、互いに少しだけ笑い合った。
「さて・・・話を最初に戻すわね。それを使って私があなたにしてあげられる事、さっきの
剣術の話だけど」
マキリを色んな角度から眺めていると、レラが一番肝心な事を口にしながら立ち上がった。
「教えるのは剣術というより護身よ。繰り返すけど、あなたは戦わなくてもいい。それ
でも戦いに近い場所・・・リムルルのそばにいて、そこで共に生き抜く事を選ぼうとして
いる。だから、まずはあなた自身が一人でも身を守れるようになるのが一番重要なのよ」
「は、はぁ・・・護身ですか」
戦う方法じゃないのかと思っていると、レラは背を向けて窓を閉め、外を眺めながら話を
続ける。
「えぇ。相手を攻撃するという事は、それだけ無防備になるという事だから。それに素人
が攻撃の手段を覚えると、自分の力量も計れず、闇雲にどうしても攻めに転じようとする。
恐怖、焦り、おごり、名誉・・・そういうものに蝕まれてね。一気に死ぬ確率が高まるわ。
あなたがどんなに気をつけてもこれは絶対よ。実戦なら、確実にそうなる」
言い切るレラの背中から立ち上る迫力は、リムルルの姉から戦士のそれに戻っていた。
流石に歴戦の戦士の言う事は違う。まるで俺が羅刹丸に食ってかかったときの様子を
見ていたかのようだ。あの時も闇雲に突っ走って、竜巻にやられたのを思い出す。きっと
レラも、そういう素人同然を相手にした事があるに違いない。
448前スレ64:04/10/08 00:04:26 ID:Glz0PJUp
「だから、渡したのもマキリなのよ。あまり大きくなくて、軽いし取り回しも良い。振り
も構えも小さくて済む。それから攻撃しようにも長さが無いから、必然的に防戦に専念
する事になるしね。あと、刀剣の類はもちろん初めてでしょ?だったらその扱いから
学んで欲しいと思ってね。小刀は手入れが楽だから」
理論と経験に裏打ちされた言葉の数々に、俺はただただ納得するばかりだった。
「それじゃ早速明日から始めるわよ。日の出から剣術の特訓、日中は剣術の特訓、夕方に
剣術の特訓をして、休み時間と夜は細工と木彫りの練習よ。夕食をたくさん食べて、
早く調子を整える事。以上」
「・・・聞き間違えですかね、太陽の昇っているうちはずっと剣術な気がしたんですが」
「まあっ、やる気のあること。頼もしいわ。これは教え甲斐がありそうね」
「レラさんが言ったんです!」
ひょうひょうとしたレラにベタな突っ込みを展開しながら、俺はマキリを何となく鞘に
戻そうとした。しかし、
「あれ・・・入らないな。あっいけね、鞘を間違えてたのか」
俺が必死に収めようとしていたのは、これから細工を施すほうの鞘だったのである。
「レラさん、この鞘って大きさ違うんですか?」
不思議に思った俺は、あらためてコタツに身を寄せたレラに聞いた。
「え、なあに?コウタ」
「いや、この鞘・・・大きさ違うんだなって。マキリが入らないんですよね。これじゃあ、
彫っても使えないなあと思って」
レラは、お茶請けに出しておいた落花生をぱくりと口に入れたところだった。空いていた
もう片方の手でマキリの鞘を持ち、眺め、口を動かしながら言う。
「そうよ。これ、あなたのには小さいわ。ハハクルの鞘と同じ大きさになっているのよ」
「え?ハハクルって・・・」
「わたしのメノコマキリ、どうかした?」
「うわー!」
「わー?!なになに?」
何の前触れもなくリムルルが後ろに現れて、俺は正座のまま1センチ飛び上がった。
449前スレ64:04/10/08 00:05:31 ID:Glz0PJUp
「にいさまどうしたの?どうしたの!」
おろおろするリムルルのくりっとした瞳に、あからさまな不安が浮かんでいる。
「あっ、いや・・・何もない、何でもない。掃除おわったのかーなんだー」
「うん、ぴかぴかだけど・・・あっ」
その時既に、リムルルの瞳には不安の代わりに俺の目の前にある品だけが浮かんでいた。
「マキリだー!どうしたのそれ?見せて見せて!」
もう見つかった時点でアウトではあった。持ち前のすばしっこさでリムルルは俺が懐に
しまうよりも速く、はしっとマキリを手に取っていた。
「いいなぁ・・・これ。新品だよぉ。レラねえさまが持ってきたの?」
振り向いたレラの手元からは、例の鞘が姿を消していた。
どこかに隠したらしい。マジック顔負けの早業だ。
「そう。リムルルがお世話になってるし、私も厄介になるでしょ?だからコウタにあげる
ことにしたのよ。せめてものお礼にね」
レラは涼しい顔をして落花生を摘みながら、かなりもっともらしく聞こえる・・・というより
半分は本当なんじゃないかというような小さな嘘をついた。
「そっかぁー。よかったね、にいさま」
「あ、ああ。気ぃ遣わせて悪い事しちゃったなー、なんてあははははー」
「そんな事無いわよ。コウタ、これからも私たちをよろしくね」
「よろしくー!」
不自然さが抜けない俺に対して、レラはいたって自然体だ。
かしこまったお辞儀を見せると、リムルルも楽しそうに隣でそれに倣う。
「こちらこそだよ・・・風邪は早く治しますんで。どうかそれまでよろしく」
「うん!にいさまのために、ご飯作るの頑張るからね!さ、レラねえさま始めよっ!」
「えぇ、そうしましょう」
まぶしい笑顔で顔をいっぱいにしたリムルルは俺のひざの上にマキリを返し、レラの手を
引いてコタツから起こした。
「さーっ、がんばろー!おー!!」
こっちに背を向けたリムルルが、コンルと一緒に「えいえいおー」とやっている隙に、レラが
すかさず俺に耳打ちをした。
450前スレ64:04/10/08 00:06:42 ID:Glz0PJUp
「・・・リムルルの姉として、そしてあなたの友人としてやってあげられるのはここまでよ。
模様の彫り方は教えてあげるけど、さっきの鞘は・・・まあ、どこの土地にも、どの時代にも
『そういう風習』はあるものなのよ。カムイコタンにもね・・・」
そして胸元からするりと鞘を引っ張り出し、俺のひざの上、マキリの横に置くと、袖を
捲って行ってしまった。
「さぁ、準備はいい?」
「うんっ!はいっレラねえさま、えぷろんだよ!」
台所から包丁の音や水の音、それからリムルルの元気な声が聞こえてくる。
人肌で温められたマキリの鞘の温度と、耳の奥に残るレラの吐息と言葉を感じながら、
シクルゥと一緒に取り残された俺は色々な事を思う。
――確かついこの前までは、全然俺のことを認めていなかったのに・・・何でここまで?
レラは俺に護身術を授ける約束をして、しかも「そういう風習」のための品、リムルルに
渡すための贈り物の事まで教えてくれた。こんなに頼りない俺を、リムルルに近づけよう
としてくれているとしか思えない。
正直嬉しい。とても幸せだった。リムルルとの未来という目標に向け一歩前進できたし、
こうしてマキリを手にしているだけで、やる気がどんどん湧いてくる。それにレラが
さっき言ったように少しでも俺の事を受け入れてくれて、だからこれをくれたのだと
したら、それも喜ばしい事に違いない。
でも、俺の心にあるのは手放しの喜びではなかった。
さっき何となしに目に入った、耳打ちが終わった時のレラの表情が気になるのだ。
何かを恐れ、焦り、泣き出しそうになるのを押し込めた、楽しさとは縁遠い感情でぱんぱん
に張り詰めた笑顔。
矛盾を恐れず言い表すなら、笑顔の形をした泣き顔・・・のように見えた。
いかに俺が幸せになったところで、同じ家の中に悲しみに暮れている人がいるのは嫌だ。
451前スレ64:04/10/08 00:08:19 ID:Glz0PJUp
「あのさ、シクルゥ・・・。レラさん、本当は何かあった?」
寝そべっていたシクルゥは、そっぽを向いたまま俺の問いかけにぴこんと耳をこちらに
一瞬向けたが、それだけだった。
レラとは自由に気持ちを通わせているから俺の言葉も理解しているのだろう。しかし
コンルのように分かりやすい意思表示をしてくれないので、そこでコミュニケーション
が途絶えてしまう。
俺が犬と話が出来るのかといったら違うから、当たり前といえば当たり前なのだが。
――気のせいだといいんだけど・・・
コタツで横になり、おかきを口に一つ放り込んで、俺は自分の勘違いを密かに願う。
台所にいるレラは、リムルルと楽しそうに鍋を覗き込んでいる。
気のせいじゃないかしら、背中があの口調でそう言っているように見えた。
452前スレ64:04/10/08 00:21:02 ID:Glz0PJUp
前回久しぶりの投下が羅刹丸オンリーだったり、今回も言うなれば「ストーリーパート」
だったりで、萌えもエロ無い上にリムルルの出番が。出番が。みんなスマン。
掃除も終わって、次の投下では久々にリムルルご入浴の予定。相手は・・・まぁ。

しかし、文章が盛り上がりにかけてはいないかと不安です。
比ゆ表現と心理描写が過ぎて、くどい文章になってはいないかと心配です。
キャラクターの状態描写が希薄だったり、逆に分かり辛くはないか気がかりです。
語いの少なさ、言い回しのレパートリーは本当に精進あるのみで頑張ってはいるが・・・。
「こーしろよ」なご指摘あったらお願いします。もっと楽しんで頂きたいので。
453名無しさん@ピンキー:04/10/08 10:34:21 ID:jEj/Pi76
長編になればそれなりのつなぎのパートが必要になるのは当然です。
GJと言わせていただきます。
次回も楽しみにしてます。
454名無しさん@ピンキー:04/10/08 10:50:54 ID:aIEvkKYE
胸元から取り出して胸元から取り出して胸元から…
ぷしゅううううう
455名無しさん@ピンキー:04/10/09 03:07:59 ID:D+Tmzx+U
やっべ パイズリもどき やっべ
456名無しさん@ピンキー:04/10/09 08:20:22 ID:+/1GULt1
64氏いつもながらGJです!!
魔界ってことで、羅刹丸に次いで第二第三の刺客として、
炎邪と水邪の登場を、ちょっとだけ期待してしまう私であります・・・。
まあ、私自身の勝手な戯言なんで、あまり気にしなくて結構ですので・・・。
次回も楽しみにしてますよ!!
457名無しさん@ピンキー:04/10/10 20:56:56 ID:oHo7bEZx
面白いです。
458名無しさん@ピンキー:04/10/11 01:01:08 ID:XnyzhD5A
204氏はまだ居られるかなぁ…お待ちしております。
459名無しさん@ピンキー:04/10/13 13:12:52 ID:QfcT6Rrr
64様の最近の神展開で、レラ萌えになりそうです
460名無しさん@ピンキー:04/10/16 01:35:11 ID:Q+aEua3G
リム萌
461名無しさん@ピンキー:04/10/16 17:54:16 ID:7I2NDZwx
コウタきゅんの為に
スパイダーアンデッドを封印して来たのですが→□
これでパチモン侍なんて恐くないですよ
462名無しさん@ピンキー:04/10/16 19:03:50 ID:38S82dYu
にいさまどいて!そいつ殺せない
463名無しさん@ピンキー:04/10/17 22:58:41 ID:IPcRr/bJ

Σ( ̄□ ̄;)そんなリムルルは嫌だ;
464名無しさん@ピンキー:04/10/19 08:01:07 ID:UNn5860n
ナコルルとイチャついてるとちょっと嫉妬して(どっちにも)
「私も私も〜」と膝の上に乗って来るリムルル。

これならどうよ。
465前スレ64:04/10/22 01:40:21 ID:C+iUC75d
「これは要するにですね、遠くの映像をこの箱の中に入っている機械で映してるんです」
「ふ、ふーん?えっ、でもちょっと待って?うーん・・・・・・」
「いや、そんなに深く考えなくても・・・写真とか絵が動いてる、それだけなんですよ?」
「にいさま、レラねえさま、お風呂沸いたよっ?」
夕食後レラがコウタとテレビを見ながら、目をちかちか頭をぐるぐるさせていると、風呂の
様子を見に行ったリムルルが元気良く戻ってきた。
「お風呂・・・」
レラは初めて見るテレビにすっかりしかめっ面になった顔を直しながら、そういえば、
肉体を得てから温かいお湯にゆっくり浸かった覚えがないのをふと思い出す。
温泉も見つけられなかったし、世の中の動きと自然、それからカムイについて調べる毎日
は忙しく、一息入れる暇もなかった。
こうやって肉体があり、女性であり誇り高き戦士である以上は、飾らないまでも清潔に、
女らしく美しくあることが必要だとレラは常々考えている。そうでなくても疲れ切った
肉体をほぐすのに風呂は最適だろう。
「レラさん、どうぞ入ってください」
難しい考えから一転、ほくほくとした湯気を思い浮かべていると、コウタがにこにこ顔で
先を譲ってきた。
「何言っているの。家の主を差し置いて、そんな事はできないわ」
「主ってそんなエライもんじゃ無いですよ。それに俺、まだ風邪で熱っぽくて。明日に
でも体調が良くなったら入りますから、どーぞどーぞ」
コウタは随分と腰の低い男なんだな、とレラは思う。
そこがどうしてもだらしなく、頼りなく感じられてしまう一因でもある気がするが、時代が
変われば人も変わるものだろう。コウタのあまりに素直すぎるにこやかな顔を見る限りでは、
それは優しさの裏返しでもあると感じる。
――男は強く、心優しく。半分は合格・・・リムルルが惹かれるのも分からないでもないわね。
それに、「れでーふぁーすと」という言葉をどこかで聞いた覚えもある。確かこういう
状況で、男が女に気を遣う異国の風習を指す言葉だ。
466前スレ64:04/10/22 01:41:06 ID:C+iUC75d
「わかった。お言葉に甘えるわ」
レラはコタツから身を引き、小さな笑顔で答えた。
「是非そうしてください」
コウタもまた、それに笑顔を見せる。
「それじゃ、簡単に使い方を教えてくれるかしら?蛇口・・・だったわね。あれぐらいは
分かるのだけど」
料理の時や日中に部屋を少し動き回って色々覚えたが、やはり現代の機械を自分ひとりで
使うのはレラにはちょっと気が引けた。
コンロの火を扱うのでも慣れが必要だったし、テレビもリモコンというものの仕組みも
概念も、未だに良くわからない。
「あー、それなら一緒に入ればいいんじゃないですか?リムルルと」
「リムルルと?」
予想していなかった台詞に聞き返すと、コウタが返事をするより早く、側にいたリムルルが
レラの袖をくいくいと引いた。
「一緒に入ろっ?わたし、ちゃんと全部覚えてるから。ねっ」
「え・・・い、いいの?」
「いいって、どうして?」
「だって、その・・・」
――そんなの突飛過ぎるわ。物事には順番が・・・
などとコウタに勘違いされそうな事を言えるわけも無く、レラは言葉を捜す振りで照れ
隠しをした。
料理する事。ご飯を食べる事。お喋りする事。今日は何をするにも、リムルルと一緒の
一日だった。レラにとってそれは夢のような事件の連続であり、昔からの夢が叶った瞬間
の連続でもある。家族と、その中でもひときわ可愛い妹と、楽しくて愉快な時間を過ごす事。
それこそが夢だったのだから。
その夢の中でも、欲深ながらもし機会があるのなら是非やってみたいとレラが思っていた
のは、リムルルと一緒に昼寝をする事だ。目の前でお互いの寝息が感じられるぐらいに
近寄って寝てみるのも良いし、膝枕をしてあげて、いつまでもリムルルの頭を撫で続ける
のも捨て難い。
どちらにせよ、それはそれは幸せな時間を過ごせるものだろうと確信できる。
467前スレ64:04/10/22 01:41:42 ID:C+iUC75d
しかし今、自分の鼻先にぶら下がっているのはそんな可愛い夢で終わるようなものとは
違う。何せ、お互いの体を全てさらけ出して、洗いあって、さっき見た限りでは決して
広くなかった浴槽に入ってあらやだリムルルったらどこ触ってるのちょっと止めなさい
止めないとお姉ちゃん怒るわよほらほらえいえい相変わらず可愛いんだからもう・・・
「にいさま、ねえさまが止まっちゃったぁ」
リムルルが俺を呼んでいる。止まったってどういう事なんだろうと思いつつも、俺は
テレビでやっていた知能テスト系の番組に悪戦苦闘中で、声には目もくれなかった。
「タオルでも準備しといたらー?くそっ、解けね・・・」
「あ、そか。じゃあレラねえさま、考え事終わったらこっち来てね」
背中越しでしかも考え無しの返事だったがリムルルはそれでも納得したらしく、タオルや
着替えを洗面所に持って行ったようだった。
その後何度かレラはリムルルに呼ばれていたようだったが、一向に問題が解けずイラついて
いた俺は、いつ二人が風呂に入ったかは覚えていない。
ちなみに問題が解けなかったのは、風邪で頭の調子が悪かったから・・・そういう事にしておく。

・・・・・・

悩み、考え、妄想する事3分、レラは結論に達した。
――この機を逃すわけには行かないわ。
テレビの前でうーんと唸っているコウタを無視して洗面所の戸を恐る恐る開くと、リムルル
が抱えていた空のカゴを床に降ろしているところだった。
「あ、考え事終わったの?」
「えぇ、大丈夫。リムルル・・・・・・よろしくね」
「よろしくって?何かするの?」
また馬鹿な事を言ってしまった。
「いえ、何でもないわ」
慌てて言葉を取り消す。一瞬きょとんとしたリムルルだったがすぐに気を取り直したようで、
さっそく服に手をかけた。
「それじゃ入ろ!えーっとね、服はこのカゴに脱いでね。明日洗うから」
「えぇ、分かったわ」
468前スレ64:04/10/22 01:42:39 ID:C+iUC75d
お世辞にも広いとはいえない洗面所で、リムルルはこちらに背を向けていそいそと、見慣れ
ない素材で出来た桃色の「洋服」を脱ぎ始めた。その下には肌触りの良さそうな、腰までの
肌着。それを脱ぐと、さらに胸の辺りだけを包みこんだ変わった形の肌着を着ていた。
「リムルル、それは・・・何かしら?」
レラが尋ねると、リムルルは自慢顔で胸を張り、それを見せびらかしてきた。
「これっ?これね、ぶらじゃーって言うんだよ」
「ぶら・・・じゃ?」
「にいさまは、『すぽぶら』って呼べって言ってた。ぶらじゃーは形がちょっと違うの」
「すぽ、ぶら・・・。まあ名前は良いわ。それ、何の意味があるの?ずいぶん密着している
ようだけど苦しくない?」
さらに追求すると、リムルルは何だか恥ずかしそうに頬を指でぽりぽりと掻いた。
「あのねっ、にいさまがね、これしてるとおっぱいが・・・その、大きくなるって言うから・・・」
「へぇ、おまじないみたいなものかしらね」
うーんどうかな、と曖昧な返事をしながら、リムルルはそのすぽぶらとやらを頭から脱いだ。
血色のいい肌に映える、真珠のようにきれいな桜色の突起が露になる。
触れれば弾けてしまいそうな2つの乳首の愛らしさに、レラはつい、ほうっと小さなため息
をついた。
ただ肝心の、というより論点となっていた胸の大きさはというと・・・。
リムルルが、レラとは明らかに違う理由でため息を吐く。
「やっぱりすぐには大きくならないよね・・・」
洗面台の鏡に自分を映し、リムルルは横を向いて胸を張ってみたり、両手でぎゅーっと
左右から胸を寄せたりして、ぺったんこの部分を何とか強調させようとしているが、どう
にも肉が薄くてどちらも失敗に終わっている。
「膨らんできているんだから、じきにどんどん大きくなるわよ」
レラは悩める妹を慰めつつ、自分も脱衣を始めた。
「だけどなぁ・・・ねえさまがわたしぐらいのとき、もう少し大きかったと思うんだ」
リムルルの若い悩み。本人としては大問題なのだろうが、ただただ可愛いらしいばかりだ。
469前スレ64:04/10/22 01:43:22 ID:C+iUC75d
「まあまあ、お風呂で聞くから。早く入るわよ」
軽い約束をして、レラは胸を包むさらしを巻き取りにかかる。
「おっぱいは大きいほう・・・が・・・」
「うーん、そうねぇ。ふぅっ」
胸の締め付けから解放されて呼吸が一気に軽くなる。レラは素っ気無い言葉を返しながら
深呼吸をした。闘いに備えてのさらしは普段は若干苦しいものの、これが無いとやはり動き
づらいし、取り去ったときの開放感が内心気に入っていたので、着用するのに抵抗は無い。
――ふぅ・・・今日も一日が終わるわ。
息だけでなく精神まで開放されて、レラはそんな事を心の中でつぶやきながら下穿きに
手をかけた。が、そこで一筋の視線が自分に注がれているのに気づく。
レラは一旦手を止めて、口を開けたままこちらを見つめている視線の主、リムルルに話し
かけた。
「リムルル、どうかした?」
そういえば、さっきまで悩みの打ち明け話をしていたような気がしたのだが。
「・・・・・・」
「リムルル、脱がないの?」
「! は、はい?」
二度名前を呼ばれて、リムルルは目の前に急に人影が現れたときのようにびくっとした。
「どうしたの?何か・・・変?」
レラは少し不安になった。というのもここ何日か身体を清めていなかったから、知らぬ
うちにどこか汚れていたのかもしれない。そう思って自分の身体をくまなく見回すが、
特に異常は無いようだった。
それでもリムルルは相変わらず皿のような目でこっちを見ている。その揺るがない熱い
視線は、ただ自分の身体の一点、一箇所だけを見つめているようだった。
だが簡単にたどってみればすぐにたどり着くそこは、何の変哲も無い普段どおりだ。
――・・・・・・胸を見てるの?
「胸・・・おかしいところ無いけど。リムルル?」
「え、うん!何でもない、何でもないよ!早く入ろ!こんな所に裸でいたら風邪ひいちゃう」
470前スレ64:04/10/22 01:44:11 ID:C+iUC75d
レラが胸という言葉を何気なく口にした途端、リムルルは酷くあわてた様子でこちらに
背を向けた。
どうやら下穿きを脱ごうとしているらしいが、手元がおぼつかない。顔も赤い。
――胸、むね・・・ははーん。なるほどね
リムルルの気持ちがレラには手に取るように読める。背伸びしたがりのリムルルらしいわ、
とも思う。思うと同時に、リムルルの無駄の無いすらりとした背中を見ていると、悪戯な
気持ちがふつふつと浮かび上がってくる。
胸があれぐらいだから、あっちもきっと。
――ちょっとからかっちゃおうかしら。
やっとベルトがとれたらしく、レラの企みも知らないリムルルは下穿きを降ろそうとして
いるところだった。だがレラをちらっとうかがって互いに目があった途端、リムルルは
お尻をレラに向かって突き出した姿勢のまま、ジーンズを下げる手を止めてしまう。
「レラねえさまってば、見ないでよぉ」
あまりにも読み通り思惑通りに事が進んで、レラはリムルルの困り果てた顔を見ながら
笑いをかみ殺し、大げさに驚いてみせる。
「あらぁ、ごめんねリムルル。私も脱ぐからね、ほら」
言うなり、レラはリムルルがしっかりとこちらを見ているところを見計らって、すとんと
下穿きを落とした。
「・・・・・・」
リムルルの目が、見事な点になった。レラの、大人のそこを凝視したまま。
――あぁ・・・やっぱり可愛すぎる。
レラは心の中で身震いし、リムルルのお尻をぽんと叩いた。もう少しからかえそうだ。
「ほらリムルルも早く脱ぎなさい、待ってるんだから。私がお風呂のが使い方わからない
のは知っているんでしょう?この格好じゃ寒いわ」
「う・・・・・・う〜っ、もう!脱いだなら先にお風呂場行っててよぉ!すぐ行くから!」
せかすと、リムルルはぎゅうと両手でレラを風呂場の戸のほうに押しやってきた。
「はいはい、分かったから押さないで。すぐ来てよね?リムルル」
「はぁ〜いはい・・・」
リムルルのしぶしぶ声を背中に浴びながら、レラはガラス戸を閉じひとりくすくすと笑った。
471前スレ64:04/10/22 01:45:02 ID:C+iUC75d
「まったく!ぷんぷん」
擦りガラスの向こうにいるレラが笑っているような気がして、リムルルは頬を膨らませた。
だけど、怒れば怒るほど空しい気持ちになる。怒る原因も、むなしさもどれもこれも、この
複雑な気持ちをしまい込んでいるちっちゃくて頼りない胸と、レラの大きな胸が悪いのだ。
「ちぇ〜っ」
リムルルは悔しそうに唇を尖らせながらもう一度鏡の前に立った。そしてさっききれいに
磨いたばかりの鏡に映る、浮かない顔の下でなかなか芽を出してくれない自分の胸をじーっ
と眺めてみる。
でもやっぱり、どう見ても大きくなっていない。
髪はいつでもこんなに伸びるのに、どうして胸は簡単に大きくならないのか。栄養が行って
ないんじゃないのか。本当は大きくする方法みたいなのがあって、それを自分は教えられて
いないままみんなに忘れられているんじゃないか。
考え過ぎなぐらい考えるたび、自分の顔が情けなく悲しそうになっていく。
自分でも見ているのが辛い顔。自分でも見ているのが悲しい身体。
「・・・はぁ。レラねえさまが待ってる」
どうにもなりそうに無い現実を見つめ続けてさらにむなしくなったリムルルは、ジーンズと
一緒にショーツを下ろした。しかし。
「うぅ」
見たくもないし、見ないようにと努力したつもりだったのだが、それでも股のあたりがイヤ
でも視界に入ってしまう。
ここも、やっぱり子供の頃と大して変わらない。レラの、きれいに毛の生えそろったあそこ
が頭に焼き付いて離れない。
「はぁ・・・」
もうひとつ、肩を落としての大きなため息。
仕方の無いことなのだ。自分を除いた家族は、みんな大人なのだから。そう言い聞かせる。
でも、こんな目を凝らしてやっと見えるぐらいの、産毛と大して変わらないような申し訳
程度の陰毛を見られるのはすごく恥ずかしい。むしろこれなら生えてないほうがましだ。
兄はあんまり見てこない(と思う)からあまり意識しなかったが、やっぱり自分の身体は
女の人らしさに欠ける。
472前スレ64:04/10/22 01:45:38 ID:C+iUC75d
それなのに、一緒に風呂に入る相手は魅力爆発の身体を持ったレラなのだ。ああもまじ
まじと視線を受けては耐えられない。お風呂の中で溶けてしまいそうだ。
どうしたものかとリムルルは少し考え、ひらめく。
「そうだ!にいさまの真似しちゃえばいいんだよ」
裸が見えなければ、レラも見てこようとはしないだろう。それならタオルで前を隠して
しまえばよいのだ。それで、なるべく姉に背を向ける。これなら恥ずかしくないだろう。
リムルルはいそいそとタオルを取り出して、たらんと腹掛けのようにたらしてみる。
すると胸から股まで、皮肉にも細い身体のお陰で前面がほとんど覆い隠された。
――これでいいはずだよ?
開いた片手にレラの分のタオルを握り締め、よーっしと変な気合混じりでガラス戸を
ガラガラ音を立てて開いた。
「へへ、お待たせ」
「んもう、すっかり冷えちゃったわ・・・あら?リムルル、何を隠してるの? 」
仕方なさそうにこちらを振り向いて笑ったレラが突然真顔になって聞いてくる。
リムルルはふん、と顔をそらして言ってやった。
「だーって。ねえさまがあんまり見てくるんだもん。やだもん、恥ずかしいもん!」
「それじゃ動きづらいでしょうに。わかったわ、ごめんねリムルル。もう見ないから・・・ね」
「え、あ・・・あれ・・・本当に?」
何を言われても取らないつもりでいたのに、やけに素直に謝られてリムルルは肩透かしを
食らった気持ちで聞き返した。すると、レラはやけにしんみりした表情で頷いた。
「本当よ。ごめんねリムルル。そうね嫌よね、そんなに見ていたつもりはなかったんだけど」
それ程キツく怒った覚えは無いのに、レラはずいぶんと消沈してしまっている。
もしかしたら気にしすぎだったのかな、とリムルルは思い直した。あんまりレラの身体が
きれいだったせいで、一方的に引け目を感じていただけなのかもしれない。
リムルルの右手から身体を隠していたタオルが無意識のうちにするりと落ちて、風呂の
緩いオレンジ色の電灯が、本人が抱くコンプレックスとは裏腹な、ほっそりとした美しい
少女の身体を照らし出す。
473前スレ64:04/10/22 01:47:24 ID:C+iUC75d
「そ、そんなにしょんぼりしないでよぉ。ほら、もう隠さないよ」
「ありがとう・・・わかったわ。さあ、身体洗ってあげる。手ぬぐいはこれね?」
下を向いてしまう位にしなびていたというのに、リムルルが裸体を晒した途端、レラは
にわかに元気を取り戻してリムルルのタオルを拾い上げながら笑った。
――もしかしてわたし・・・だ、騙された?
この展開も全部姉の手の上の話だったのかもしれないなと、リムルルは口元を引きつらせた。
だがもう、蒸し返しても意味の無いことだ。それにさっきほどじろじろとこちらを見ている
様子もない。気を取り直して、リムルルも姉の元気に負けじと白い歯を見せつけた。
「それじゃ、わたしが先にレラねえさまのこと洗ってあげるよ!その方が使い方覚えられて
いいよね?」
「それはそうね。じゃ、よろしくお願いするわ」
うん、とレラが納得したのを見て、リムルルは浴槽のふたを開いた。
溜まりに溜まっていた湯気がぼわんと広がって、冷たい風呂場の空気を白くしっとりと
柔らかなものに変えてゆく。
リムルルの横でそれを見ていたレラが、あらぁと小さく嬉しそうな声を出した。
「素敵ねぇ」
「でしょ?とっても気持ちいいんだよ?はいレラねえさま、これに座って」
リムルルがプラスチックの椅子を差し出すと、レラは意に反して床に直接あぐらをかき、
どかっとその場に座ってしまった。
「こっちの方が落ち着くわ。だめかしら?」
「べ、別にいいよ?」
後でまねしてみようと心に留めて、浴槽に桶を入れてかき混ぜてみる。完璧な湯加減だ。
「それじゃ、お湯かけるよ〜」
桶になみなみと張られたお湯を揺らして、一思いにざばぁ。
レラの背中に向けて、いつも兄にやっているのと同じようにリムルルは湯を打った。
「あっ、うぅぅ〜、気持ち良いわ・・・お湯なんて久しぶりだから」
レラの喉の奥から絞り出された声を聞きながら、二杯目を用意する。
「じゃ、もう一回ね。それっ」
「ふぅ・・・あぁ・・・」
474前スレ64:04/10/22 01:48:08 ID:C+iUC75d
ため息と一緒にさらさらと湯が流れ落ちる、姉の背中。
兄とは全く違うのはもちろん、ナコルルよりも少し丸みを帯びたシルエットを、湯が包み
込むように落ちてゆくたび、レラは心の底から気持ちよさそうな吐息を漏らす。
あれだけの筋力を持つ戦士の身体はなりを潜め、今目の前にあるのは、今まで見たどんな
女性よりも強く「女」を感じさせるレラの豊かな肉体だった。
だが素晴らしいのは肉体だけに止まらない。水しぶきを受けて濡れた後れ毛を整える仕草や、
肩にかかった湯を手で撫で、導き、全身に行き渡らせようとする仕草。
きっとリムルルが真似をしたところで何でもないただの「動作」でしかないそれらさえ、
レラの魔力にかかれば女性らしさをこれでもかと引き立たせる魅惑のスパイスになる。
「きれい・・・ううん。うつくしい、だね」
レラには聞こえない声で、リムルルは同じ女であるにもかかわらず、姉の艶姿に見惚れ
ながらふとつぶやいた。
この身体を。憧れにも近い、理想の女性をこれから自分は洗うのだ。そう思うとすごく
嬉しいと同時に、緊張と不思議な高揚感で胸が高鳴る。
「あぁ・・・いいお湯だわ。ありがとうリムルル」
「う、ううん。良かった。じゃあ石けんで洗ってあげるね」
ふいにお礼を言われ、ついにこの時が来たぞとただでさえ高鳴っていた胸が一段と喜びと
緊張に弾んだ。
「これで洗うの?」
レラは肌から水を滴らせながら、リムルルの手に掴まれた、その手の平二つ分ぐらいの
スポンジを、物珍しそうに眺めている。
「そうだよ。これにね、この石けんをいーっぱい付けるの。それでこう、もしゃもしゃ・・・」
「すごい泡、それにいい香りね。リムルルからしたのは、これの匂いだったのね」
液状のボディソープをこれでもかと染込ませたスポンジから揉むほどにぶくぶくと生まれる
真っ白な泡に、レラは子供のように見とれ、広がる石鹸の香りを楽しんでいる。
自分もそうだったようにレラも石鹸が気に入ったようで、小さな姉との共通点を見つけて
リムルルは嬉しくなった。
475前スレ64:04/10/22 01:48:59 ID:C+iUC75d
「これで、身体をごしごしってするんだ。それじゃ、また背中からやるよ?」
「うん、お願い」
ごしゅ、ごしゅ。
細かな泡が潰れては生まれを繰り返す音を発しながら、レラの背中を白く飾ってゆく。
兄より小さい分磨きやすくてらくちんだ。しかし大きさはもとより、男の人と女の人と
では肌の感触まで全然違うのだな、とリムルルはしみじみ実感した。兄が背中を洗って
くれる時によく「リムルルは肌すべすべで気持ちいいなぁ」と言っているのを思い出す。
「どう?」
洗いながら具合を聞くと、レラは丸めた背中を伸ばし、また元に戻した。
「うん。これは素敵な・・・肌触りね。ふぅ、いい気持ち・・・!」
だいぶ声がとろけている。ずいぶんとお気に召したようだ。やっぱり趣味というか好みが
自分と合っているなぁと、リムルルはこんな事にまで姉妹の絆を感じてはしゃいだ。
「でしょ?これ、わたしも大好きなんだ!よし、背中おしまい!お尻も洗うね?」
姉の背中のキャンバスをすっかり真っ白に塗りつぶしたリムルルは、腰のくびれとは
対照的な、肉付きの良いふっくらとしたお尻の前にしゃがみ込んだ。
「ちょ、おしりって?」
「大丈夫だよ。ごしごし〜」
レラの慌てぶりも、はしゃぐ心には届かない。
リムルルはそのまま鼻歌混じりでお尻にスポンジを傾けた。
「あ・・・ちょ!んんっ!」
途端、レラは身をよじり、閉じられた口から苦しそうな声を上げた。
姉の突拍子も無い変化にやっと気づいて、、リムルルは力加減を間違えたのかとびくっと
して手を止める。
「だ、大丈夫?痛かった?おでき?」
心配して背中の後ろからレラの顔を覗き込むと、レラは少しだけ赤くなった横顔で笑い、
はぁっと息をついて首を横に振った。
「大丈夫。おできなんかじゃないわ・・・ふふ、くすぐったかっただけよ」
それを聞いて、なんだぁとリムルルも笑う。
「びっくりしちゃったよ。ちょっとだから我慢して、ね?」
「うん・・・・・・」
476前スレ64:04/10/22 01:49:47 ID:C+iUC75d
もうくすぐったくないよう、リムルルは少し強めにこしこしと、レラの尻を左から右へと
擦り上げる。
「今度は平気でしょ?」
「んっ、ん・・・!」
たっぷりとした肉感の向こうに、強靭な筋肉。そのお陰でレラの尻はふくよかながら弛み
を微塵も見せず、桃のようにきゅっと引き締まっている。
曲面を磨くリムルルの手の動きに合わせ、レラは背中を磨いていたときよりもさらに悦の
混じった小さなうめきを発しながら、時折肩をひくん、ひくんと動かした。特に割れ目の
辺りをなぞったときなどは、かなり反応が顕著なように見える。
ちゃんとくすぐったく無いように洗っているつもりなのに、それでもこの反応だ。レラ
ねえさまは随分と敏感なんだなぁと、リムルルはまだ泡でたっぷりのスポンジにボディ
ソープを余計に染み込ませながら思った。
「ねぇ、リムルル?」
ボディソープのポンプをかしかしと押しているリムルルを、レラが顔だけ振り向いて呼ぶ。
「なあに?」
「後ろは・・・もういいんじゃないかしら」
やけに緩んだ声でレラが言う。声だけでなく、湯気の白に紛れた黒い瞳から放たれている
視線も緩く、甘く、切ない。
その瞳の輝きにリムルルは何だか胸が熱く焼かれる心地がして、一瞬言葉を失いかけた。
「そ、そう。後ろはね、今終わったとこなんだよ?それでねっ、それで、次は、次は――」
前も洗うよ。
どうも気恥ずかしくて言い出せずにいると、レラがあぐらを崩してこちらを向いた。
「こっちも洗ってくれる・・・わよね?」
白い湯気を桃色に変える、上気した肌。まん丸い胸。くびれた腰。引き締まったおなか。
そして、崩れた脚の間で湯を滴らせ輝いている、黒い茂み。
憧れの本物の女体が、リムルルの心を、そして言葉をも奪い去った。
スポンジが、つるりと手から滑り落ちる。ぱふんと床に跳ねて、泡を撒き散らす。
鷲づかみにされたままに高鳴る心の真ん中で、リムルルは姉の裸体を見つめながら思う。
いつかはこうありたい。レラのように美しく、女らしく、格好よく。
でも、今すぐは無理だ。すぐには大きくなれない。
――それなら、ずっと見ていたいな・・・・・・
477前スレ64:04/10/22 01:50:46 ID:C+iUC75d
「見ているだけでいいの?リムルル」
誘惑の溶け込んだ澄ました笑みに、心を見透かした、何かを試すような言葉。
すでに熱く焼き抜かれたリムルルの心がどくんとさらに高鳴って、ぱちんと弾けた。
落ちたスポンジを差し出され、リムルルは静かにそれを受け取る。
そしてそのスポンジをもう一度良く泡立て、泡かスポンジかどっちを持っているか分から
ないぐらいにして、
「じゃ、じゃあ・・・洗うよっ?洗う・・・ょ」
一応伝えるだけ伝え、リムルルはそっとスポンジを乳房に寄せた。
ぷにょ。
「うぁ・・・」
お尻とは全然別物の柔らかさが、スポンジの僅かな圧力にさえ形を変え、受け止める。
乳首を中心にして円を描くようにスポンジを滑らすと、たっぷりの泡がどんどんレラの
胸の上に敷き詰められていく。
――大きくて、柔らかくて・・・まんまるだ。
自分の胸は、ぷくっとでっぱった乳輪と乳首が、ちょっとだけ膨らんだ胸の上で突き出て
いるだけ、言ってしまえばお鍋のふたのようだ。
それに比べてどうだろう。魅力だらけのレラの胸は丸いお椀を被せたように立派に膨らんで
いるし、しゃんと突き出た乳首も格好いい。
「いいなぁ・・・」
リムルルは羨ましくて、レラの乳首の先に泡まみれの指を突き出して軽くちょんと押した。
「あっ・・・!」
上ずる声を出してレラがあごを引く。同時に、触れられた乳首がじわっと少しだけ形を
変えたように見えた。
気のせいで片づけてしまえるぐらい僅かな、しかし確かな姉の挙動の変化。
それをリムルルが見逃すはずが無い。憧れの身体、姉の身体に起こる全てを。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
不思議そうな顔で姉の顔を見つめる妹と、恥じらいに唇を噛み、瞳を横にそらした姉。
二人の間に、小さな沈黙。
478前スレ64:04/10/22 01:51:32 ID:C+iUC75d
「・・・・・・」
「あの・・・さ」
湯気に囲まれた静寂を先に破ったのはリムルルだった。
「あのさ、レラねえさまもここ、あの、おっぱいの先・・・触ると、ヘンな感じするの?」
恥ずかしくて兄には聞けない、だけど常々疑問に思っていた事だった。
「なっ・・・そんな・・・」
「するの?しないの?」
あまりに直線的過ぎる質問に一瞬面食らったような顔をしたレラだったが、やがて頬を
赤らめ、観念したように笑いながら頷いた。
「・・・ふふ。えぇ、するわ」
それを聞いて、リムルルはここぞともう一つ聞いてみる。
「・・・それで、さきっぽ硬くなったりする?」
二つ目の質問を受けたレラの表情からは羞恥の色は薄れ、妖しさが戻りつつあった。
小さく突き出した桃色の舌先で上唇をちゅるりと湿らし、少し声を落として言う。
「試してみる?」
「・・・い、いいの?」
返事の代わりにリムルルの顔を挑発的な目で見ながら、レラは少しだけ胸を突き出した。
発されたサインに、リムルルはスポンジを放り出して両手の泡を指先に集め、自分が時々
兄にされて何となく気持ち良い方法を思い出しながら、優しく少し遠慮がちに、レラの
左右の乳輪をくるくると両の人差し指で撫でくった。
「ふぁ・・・ん・・・そぅ・・・リムルルぅ、あっ」
円を描く指の動きに合わせて途切れ途切れにレラが喘ぎ、すぐに乳首がむくりとその存在を
示すように立ち上がる。
目前に陣取り、真剣な顔でじいっと観察していたリムルルが、指を動かしながら小さな
歓声を上げた。
「うわぁ、すごい、むくむくって・・・。良かった。わたしだけじゃないんだぁ」
「んっ・・・わたしだけ、ってそうよね。ナコルルは何も教えてくれないわよ・・・ね。んっ・・・
あの娘に・・・んんっ、限って・・・!」
479前スレ64:04/10/22 01:52:26 ID:C+iUC75d
小指の先ぐらいになった乳首をしげしげと眺めながら指を動かし続けるリムルルに、レラは
半ば呆れ顔で言いながら、手をそっとリムルルの胸へと伸ばし、ぷくりと膨らんだその先に
触れた。
「んきゃ?」
ただそれだけ、急に触られただけだというのに、ぴりっと胸から電気が走る。
リムルルはおかしな悲鳴を上げ、レラの乳首から指を離してしまった。
「ね、ねえさま、まだわたしの番じゃない・・・よぉ」
「いいのよ。私に・・・お姉ちゃんに任せて」
わざと自分の呼び方を「お姉ちゃん」に切り替えてレラはじりじりとリムルルに迫る。
何だかこっちの方が、ずっとリムルルに近しいような気分がするのだ。
そんな思惑をよそにリムルルは、シゥルゥのように四つんばいになった姉に見つめられ、
にじり寄られ、尻餅をついた。
そして迫られるがままに、湯船の壁に背中を預けてしまった。
「リムルル・・・教えてあげる」
逃げ場を絶たれ、甘く輝くレラの瞳に映されたリムルルは不安に駆られた。
「お、教える・・・って、何を?」
「ナコルルが教えてくれなかったこと。女にとって大事な・・・・・・とってもいいことよ」
480名無しさん@ピンキー:04/10/22 01:58:56 ID:4r5SkL6Q
支援?
481名無しさん@ピンキー:04/10/22 06:35:39 ID:YRbNfYHz
ゲフ、ゴフゴフッ、グォホッ!!
き、気分は右京……!(臨死体験)
素晴らしい、モニタの前で悶えたぜ……神よありがとぉーう!
次回を読んだら幸せ過ぎて死ぬかも、でも生き返ってこよう!また続きを読むために!
482名無しさん@ピンキー:04/10/22 07:33:30 ID:3bPBSjc0
新しい時代を作るのは老人ではない。

言わずもがな、64氏である。
483錯乱中:04/10/22 13:19:34 ID:Rm6QjP9g
相手が弱っている!チャンスだ!
64!スクリューパイルドライバー!
484名無しさん@ピンキー:04/10/22 18:51:49 ID:3bPBSjc0
パイルダーオン!
485名無しさん@ピンキー:04/10/22 19:23:25 ID:2An5rR8d
64氏(;´Д`)ハァハァ
486名無しさん@ピンキー:04/10/22 21:56:06 ID:Rm6QjP9g
漏れ「ばーちゃん何かいるー」
婆「神」
487sage:04/10/22 22:31:26 ID:lTj5HcuJ
あなた以外の神がどこにいようか?
488名無しさん@ピンキー:04/10/22 22:34:11 ID:Rm6QjP9g
婆「ageんな」
489名無しさん@ピンキー:04/10/22 23:05:20 ID:3bPBSjc0
行け!アクシズ!忌まわしき過去とともに!
490名無しさん@ピンキー:04/10/22 23:17:48 ID:MyR+tRd7
あんまり露骨なのは外伝扱いでお願い・・・
とかいうのは俺の独りよがり・・・かな?
ゴメンナサイ
491名無しさん@ピンキー:04/10/23 02:16:27 ID:QDIVca1S
ここはエロパロ板です
492名無しさん@ピンキー:04/10/23 07:09:49 ID:z5BBqRrW
フフ、残念だがここはエロパロ、しかし。

シャイな>>490に乾杯。
493名無しさん@ピンキー:04/10/24 09:37:02 ID:RZKWLMVf
日干し。
494名無しさん@ピンキー:04/10/25 22:45:17 ID:nQ5iYGwI
まだだ、まだ終わらんよ。
495名無しさん@ピンキー:04/10/26 02:11:07 ID:4+6c7x5Y
おお、
ありがとうありがとう。
さっき旅行から帰ってきたら素晴らしいものがうpされていたよ。
64氏、ありがとう。
496名無しさん@ピンキー:04/10/26 07:37:04 ID:1Nto3uAe
64様、レラさんのおっぱいは任せましたよ。
497名無しさん@ピンキー:04/10/27 11:32:14 ID:qnZdgC7S
というかですね。お風呂前に妄想するレラねえさま激萌え!
あんたギャグキャラに転向した方がいいよってくらい崩れたねえさま万歳。
ビバねえさま。
498前スレ64:04/10/30 01:49:59 ID:tug7nsgJ
「リムルル・・・教えてあげる」
逃げ場を絶たれ、甘く輝くレラの瞳に映されたリムルルは不安に駆られた。
「お、教える・・・って、何を?」
「ナコルルが教えてくれなかったこと。女にとって大事な・・・・・・とってもいいことよ」
妖しく笑って、レラはリムルルの胸に触れていた指を離し、自分の口元に近づけそのまま
ぱくりと含んだ。
「んっ、んちゅ、んん・・・ちゅぱ」
そして粘着質の音を立て大事そうに、愛しそうに自分の指をしゃぶり始めた。
「・・・・・・!?」
突然始まった姉の意味不明の行為に、リムルルは唖然とした。
指をしゃぶるなんて、ご飯が指についた時と怪我をしたときぐらいで、あとは赤ちゃんの
する事だ。なのに、なのに――
――やだ、何で?すごく・・・いやらしいよ・・・どきどきするよぉ
込み上げる鼓動と疑問で目を白黒させていると、レラはゆっくりと、唾液まみれになった
指を口の中から抜き出した。
「リムルル・・・」
「ねえさま?ゆ、ゆび・・・」
つぅっと、透明な唾液が指と口の間を伝い、たわみ、すぐにぷつりと切れ落ちて――
「ひゃ、あ!」
落ちたと同時に、リムルルは胸の先にぬるりとした感触を覚えて身を固くした。
見れば、さっきまでレラの口の中に入っていた指が、自分の乳首をこねくり回している
ではないか。
「こうして、弄るのよ」
「ふぁ、やだよ・・・んっ、やめて・・・あっ、うっ・・・な、なにこれぇ」
リムルルはレラの手を掴んで止めようとしたが、乳輪の上を踊るように優しく撫ぜるような、
桃色の先端をさらに意識させるその巧みな指の動きに翻弄され、掴むだけで終わってしまう。
その様子を見たレラがもう片方の手でリムルルの顎を引き、自分の顔の前へと誘い目と目を
通わせた。リムルルのくりんとした大きな眼は、既にとろんと半開きになっている。
499前スレ64:04/10/30 01:50:28 ID:tug7nsgJ
「どう・・・石鹸よりぬるぬるでしょう・・・何か感じない?」
「ふぁ、あ・・・んんっ、ぬるぬるするぅ・・・変、へんだよぉ」
「変?どう変なの」
さらに一押しとばかりに、レラはリムルルの乳首の先をぴんと軽く弾いた。
「あぁっ!あのね・・・ぬるっとして・・・だけど、その後にぴりぴりぃって・・・あっ、あ・・・」
「そうよね、見てごらん?こんなに硬くして。もうピンピンよ・・・ほら、ほらどうなの?」
そう指摘されてリムルルは、自分の乳首が姉と同じく高々と隆起しているのに気づく。
「あぁ、うぁ・・・?うぅ、こんなに先っぽ・・・とがって・・・レラねえさまみたい・・・だよぉ」
「そうね、ほら、こうしたら・・・もっと大きくなるかしら?」
今度はリムルルが見ている前で乳首を摘まみ、くりくりと優しく捻り上げてゆく。
「あぁっ、あっ・・・あ!」
それを痛みと捉える二歩手前ぐらいの少し強い刺激が胸に走って、リムルルは目をつむり、
声を大きくした。咲き始めた二人を隠すように、風呂の湯気がリムルルの息に揺れる。
「どんどん・・・ぴりぴりが・・・うっ、さきっぽが・・・ぷくって・・・うぅ」
「どうリムルル?こんどは・・・こう」
「あぁっ、あっあっ、だ・・・だめぇ!おっぱいが・・・どんどん、どんどん〜っ」
次々と、しかも様々な方向から送り込まれる刺激にリムルルは夢中になって、初めて自分の
秘部に触れたあの日と同じように、それが何なのかを次第に悟り始めていた。
「さきっぽが、おっぱいの、さ・・・き・・・が」
「どうしたの?聞かせて?」
「あ・・・あ・・・・・・!」
一時の間を置いて、リムルルは悪びれる様子も無く正直に告げた。
「おっぱい、これ・・・きもち、いいの・・・きもちいいのぉ!」
「うん、そういう事。よく言えたわね・・・ご褒美よ」
――きっと初めてなのにやっぱり感じやすいのね。似ちゃったのかしら、ねぇナコルル?
レラは、今も眠り続けるもう一人の自分に問いかけながら満足げに髪をかき上げ、おもむろ
にリムルルの右の胸・・・まだ何もされていないのに、すぐ横で行われていたことを見せつけ
られて物欲しげにそそり立った乳首を口に含み、ちうっと音を立てて吸った。
500前スレ64:04/10/30 01:51:00 ID:tug7nsgJ
「ひゃあ!あんっ!レラ、レラねえさまぁ!何っ、そ、そんな!」
途端、リムルルがレラの頭を両手で押さえつけて泣きそうな声を上げた。
しかしレラの耳には愛らしい小鳥のさえずりにしか聞こえない。
「んっ、んっ、んちゅ・・・ふふっ、こっちがさびしそうだったからね。はむ・・・」
「すっ・・・ちゃ!すったら・・・だめ、だめぇ、だっ・・・あふっ・・・め、うあ、あぁ・・・」
「そう・・・強すぎた?それならこんなごほうびは?」
だめと言われて律儀にレラは口を離したが、何かを予告してすぐにもう一度吸い付いた。
「ふあぁぁん!やぁ、やはぁっ・・・あぁ・・・?」
髪を掴んで抵抗しかけたリムルルの両手から、みるみる力が抜けてゆく。
レラは今度は吸い付くだけではなく、口の中で舌を使ってリムルルの乳首を舌で転がし
始めたのだ。
「う、ふぁ・・・や、やぁ・・・っつ!ひぐ・・・」
「んんっ、ん・・・るろ、ちゅ、ちゅ・・・」
レラの口の中に消えたリムルルの乳首は、柔らかくて熱いぬめりに囲まれていた。
右かと思えば左、根元かと思えば先。さっきよりも優しくて先の読めない舌の動きに、
無防備で若い神経は身体の主に素直に快感を送り続け、その度にリムルルはぴくぴくと
白い肩を震わせた。
「ふぁ!あ・・・いぃ・・・の・・・さ、先っぽが・・・まだ!もっとぉ、ああぁ、あ!」
隠れて見えない自分の乳首がまだ大きくなっているような錯覚を覚えるぐらいの快感。
もちろんレラはもう片方の乳首を指で弄り続けるのを忘れない。両の胸からの攻めに
なす術もなく喘ぎ続けるリムルルの額には、いつしか汗が滲み始めた。
「んふ・・・すっかり気持ちよくなったみたいね」
「はぁ・・・は、さきっぽ・・・きもち、い・・・、んっ、ぬるぬる・・・じんじんするのぉ!」
レラの言葉どおりだった。
攻められて、気持ちよくさせられ続けて、乳首全体をぬるぬるにされて。
初体験の愛撫を受け続けるリムルルの口からは喘ぎと悦び、そして「もっと、もっと」と
無垢さ故に際限を知らない少女の快楽を求める声だけが発されていた。
501前スレ64:04/10/30 01:51:33 ID:tug7nsgJ
「あっ、きもちぃ、きもち・・・いぃ・・・・・・それ、だめぇ!あっ・・・・・・はぁ〜、はああ」
ただ乳首をしゃぶり指で転がしているだけとは到底思えない、巧妙に計算されつくしたと
しか考えられない緩急を持った快感の波に、リムルルは足の指先さえひくひくと動かし
息を荒げながら、嬉しそうに自分の胸を弄り続けているレラをぼんやりと眺めていた。
複雑にいやらしく動く舌は今もリムルルの乳首に絡まっては解けを繰り返し、黒い瞳は
その舌の技や指の動きに合わせるようにして、リムルルの感じている様を常にしっかり
と観察していた。
顔の下では、泡にまみれた素晴らしい手触りだったあの憧れの胸が、床のほうを向いて
レラの動きに合わせふるふると揺れている。そして泡に隠れきっていないその先端は、
リムルルの手によって硬くそそり立ったままのレラの乳首は、何かを健気に待ち続けていた。
そうだ、と、リムルルはすっかり忘れていた事を思い出した。
――自分ばかりじゃ、ずるいよ。
「レラねえさま・・・ダメ」
リムルルは背中を預けていた湯船に浮かんでいた桶に片手を伸ばすと、レラの胸にばしゃり
とお湯をぶっかけた。
「わぷっ!?」
背の低いリムルルの胸元に顔を寄せていたレラは、突然胸から飛び散った水を顔面に食ら
って身を反らしてしまった。
被った水で泡が流れ落ち、つやつやとした魅惑の乳房が再び姿を表したのを見て、リムルル
はレラの隙に乗じてふらふらとその胸めがけて倒れこむ。
「ねえさまぁ・・・」
一瞬で体勢が逆転した。背中を入り口のガラス戸に預けたレラの乳房にリムルルはいつも
兄の顔にしているように頬をすり寄せ、石鹸の香りと柔乳の弾力を楽しみながら、胸にちゅ、
ちゅと小さな口付けを降らせた。
唐突な攻守の流れの変化と、リムルルのむずむずするぐらい初々しい愛撫に、レラは文字
通り泡を喰った。
「あっ、リムルル・・・ちょ、ちょっと!」
戸惑いながらも、レラはリムルルが自分の左右の胸を「大好き」で埋め尽くすのをただ
どきどきしながら眺めている。
502前スレ64:04/10/30 01:52:05 ID:tug7nsgJ
――私・・・期待してる!リムルルがどうしてくれるのか!色々教えるはずだったのに・・・!
そしてついに、柔らかな胸に短い口付けを繰り返していたリムルルの唇が、痛いぐらいに
張り詰めたレラの頂に優しく触れた。
「あ、うぁ!リムルルぅ・・・!」
遠慮がちな、ほんのちょっとの接触にもレラは過剰なまでにびくんと肩を弾ませ、床に
爪を立てた。リムルルがうっとりと微笑む。
「やっぱり、一緒なんだ・・・レラねえさまもおっぱい触って気持ちいいから、ここ・・・
こんなになったんだよね?さっきからずっと、かちかちのままで・・・ごめんね」
「は、いやっ・・・あっ!ああ・・・ああぁ」
鳥が餌をゆっくりとついばむ様に、乳首に触ったり離れたりを繰り返すリムルルの唇。
そこからか漏れた熱い息もまた唇の感触と共に敏感な突起をくすぐり、返事をする事
さえも許さないぐらいにレラの気持ちを昂ぶらせ、極限にまで焦らしてゆく。
――あぁ、リムルルが、リムルルが!私の胸を・・・おっぱいを弄って、口付けて、息を
吹きかけて・・・!
「あぁっ・・・はぁっ・・・はぁっ!」
「もっと、きもちくなって・・・レラねえさま・・・」
ちゅる。
リムルルの唇の間にレラの乳首が静かに沈み、その奥で舌の生温かいぬめりが先端と触れた
瞬間だった。
「んっ、あう、ッ・・・・・・く!!!」
レラはびくっ、びくっ、と大きく肩を揺らし、足の先まで突っ張って、声にならない絶叫を
上げた。軽く達してしまったのである。
「ろうしたのぉ?」
リムルルは乳首を口に半分含んだまま、顎をのけ反らせて身体を強ばらせたレラの顔を
見やる。
喋ったときにまたも先端をリムルルの舌に突かれて、レラはもう一度肩を跳ねさせた。
息を荒げて苦しそうに、まだ身体の中に残っているらしい何かの刺激に眉をひくひくと
寄せながら、真っ赤な顔に引きつった笑みを浮かべる。
503前スレ64:04/10/30 01:52:34 ID:tug7nsgJ
「ぁ、ふ、ふふ・・・リムルルが、はぁ、はぁ・・・気持ちよすぎてねっ・・・お姉ちゃん、
ちょっとだけ・・・爆発しちゃったの。はぁ、ふぅ〜」
「ばふはふ?」
――うあ・・・咥えたまましゃべるなんて!反則よぉ・・・・・・あ、あぁ、気持ち・・・いぃ!
「んんっ、そ、そうっ・・・気持ちいいが一杯になるとね、頭がぼうっとして、そこにばちばち
って、つばぜり合いの・・・わかる?その、火花が飛んだみたいになるのよ。気持ちよすぎて
何も考えられなくなって・・・今みたいに・・・震えちゃうの。止まらないの・・・よ・・・ッ!うぅ!」
リムルルに果てさせられた。
未熟な妹に。あんな少しだけしか触れられてないのに。
思い返すだけで、レラは耐え難い羞恥と狂いそうなぐらいに幸せな現実に呑まれ、余韻など
といった生やさしい物では無い、小さく打ち寄せ続ける波に身体をいつまでもくねらせた。
「あう、うぅっ、ぅっ・・・んん!ふぁ、はあ!あっ・・・ッ!・・・うぅ!」
リムルルには、途切れ途切れに呻き自分の身体の下で小さく跳ねるレラはいやらしく、
とても美しく見えた。でも、これではまだまだ足らないのだと感じる。
孤独だった姉に対する慰めと言ったら偉そうだが、とにかく今は自分の手で、誰よりも
気持ち良くなって欲しかった。
「レラねえさま・・・もっとしてあげるね。だからもっときもちくなって・・・あむっ」
姉がしていたように、じっくりと蕩ける視線をお互い絡ませながら、リムルルは赤子の
ように再びレラの乳にしゃぶりついた。
「リムルルっ・・・ひゃ、あっ!あっ!ああっ!」
「んくっ、んっ・・・んっ・・・んっ・・・ぷぁ。ちゅる、れろ・・・るろ・・・んふっ。んっ、んっ・・・」
乳輪まですっぽり覆い隠すぐらいにまで、胸に唇をぎゅうっと吸い付けて敏感な部分
全体を口の中で刺激しては、今度は口を離して猫のようにちろちろと小さな舌で乳首を
転がす。そしてまた、頃合を見てたっぷりと含む。
そしてこれまた姉の手を真似た動きで、口にしていない方の乳首を留守にすることも無い。
レラの胸を揉みしだき、乳首を指で摘み、転がし、擦ったりもしてみた。
「あっ、そ、そうよ・・・うっ、吸ってもっとぉ・・・上手ぅ、はあ、あっ、し、舌も・・・!
舌も使っ・・・あ・・・あぁっ、そこっ、そこぉ!いい、リムっ・・・リムルル・・・!」
504前スレ64:04/10/30 01:53:05 ID:tug7nsgJ
たどたどしいながらも時に緩く、時に激しいリムルルの心の篭った絶妙の愛撫にレラは
涙さえ浮かべ、ただ身を委ねていた。
胸を強く吸われては背筋を駆け上がるダイレクトな刺激に声を荒げ腰を浮かせ、舌で乳首
を弾かれては、胸からほとばしる電気に息を詰まらせる。
そして、小さな両手で乳房を優しくこねながら一心不乱に胸をしゃぶるリムルルを見ている
うちに、レラは心の奥深くにある母性を強く突き動かされるようになっていた。
自分もそうだが、リムルルには母親がいなかった。母の愛に飢えているのはどっちも一緒
だろう。それなら。
――リムルル、好きなだけ吸っていいの。今だけは・・・私がお母さんだと思って。
興奮に耳まで赤くしながら、レラはリムルルの髪をゆっくりと手ぐしですいた。
柔らかく茶色がかった、癖のある髪。赤ちゃんみたいに、可愛い髪。
「リムルル・・・もっと、もっと吸って!お姉ちゃんのおっぱい・・・気持ちよくして!」
「んんっ、ちゅ・・・うん、ねえはまぁ・・・れろっ、もっろ・・・したげうね、じゅるるっ」
「あぁ、うあっ、あっ・・・あっ!リムルルっ!そんな、そんなにっ、したら・・・ぁ」
リムルルもまた、自分の送り込む快感に身悶え続けるレラに頭を撫でられるたび、何だか
背が縮まっていくような感覚がしていた。
小さくなって、懐にすっぽりと包まれて、優しく頭をよしよしされながら、眠たげにちう
ちうと音を立ててお乳を吸っている赤ちゃんの気分。
母親の事なんて全然知らないけれど、こんな風に温かくて良い匂いがするんだろう。
お乳が出るはずも無いレラの乳首が、ちょっとだけ甘く感じられた。
「ちゅっ・・・ちゅっ。んはぁ、はぁ・・・レラねえさまぁ」
リムルルは口を離して顔を上げた。
「ふあぁぁ・・・!はぁ、はぁ・・・リムルル・・・・・・ぅ」
熱い輝きを確実に増しつつあるレラの瞳とリムルルの瞳が結ばれる。
「大好き・・・レラねえさま」
「リムルル・・・」
505前スレ64:04/10/30 01:53:37 ID:tug7nsgJ
目指す頂まであと少しというところだったレラは、お預けを食らったようなものだった。
そのために一瞬面食らったが、リムルルの唾液に濡れた口から出た言葉を聞いて、快感に
まみれるばかりとなっていた心をきゅんとさせた。
――やっぱり、可愛すぎるっ。
「ふふ・・・リムルル、ありがとう」
「うん。・・・はもっ・・・んちゅ、んちゅ・・・じゅううっ」
「うあっ、はっ、リム・・・ルルぅ?!」
小さなインターバルに用意されていた妹の可愛さに緊張を緩めたところを、その妹に
タイミングよく、しかもしたたかに乳首を攻められて、レラは再び高い所へと一気に
押しやられた。
「んくっ、ちゅうっ、くちゅちゅっ・・・」
「ああぁ!そんなっダメっ!急に・・・あっ!くるっ、来ちゃう・・・からっ!あぁん!」
背中を貫く閃光の眩しさと快感に、意思とは関係なく顔が歪み、脚の指先まで緊張が
走り、汗が次から次へと噴き出す。
もはや、じわじわと性感を味わうような段階ではない。
レラは口から垂れかけているよだれさえ気にせず、叫ぶ。
「くあっ、あっ・・・あぁぁ!リムルルぅ、そっ、そう・・・うんっ!来るうッ!」
「んっ・・・・・・ちゅっ、ふぅん、ちゅっ、れろ・・・ちゅぱ・・・じるっ」
「あぁ!あっ!あ、くっ、来るのっ、おねえちゃん来ちゃう!来る、うっ・・・ッ」
「ちゅうっ、ちゅるっ、るろっ・・・ねえはま・・・ちゅううっ!」
リムルルに思い切り吸い付かれ、理性も意識も吸い取られ、世界が白く濃い湯気に消えた。
「リムル・・・もうっ、おねっ、もうっ、もっ・・・あ・・・ッ、くッ、く・・・る・・・・・・ッ!!」
がく、がく、がくがくっ。
レラは身体を「く」の字に曲げ、胸元にあるリムルルの頭を掴み、自分のおでこを擦り
つけるようにしながら、大きな痙攣を間を置きながら繰り返した。
「・・・っ、うっ・・・ひッ・・・・・・ッ・・・!」
白く、深く、どこまでも眩しい絶頂。
今度こそ余韻など一生やって来そうにないぐらいに、体中余すところなく快感に満ち溢れ
ている。
506前スレ64:04/10/30 01:54:09 ID:tug7nsgJ
いつまでも続く絶頂にひくひくと身体を揺らしているレラの下で、リムルルもまた、姉が
再び「爆発」したのを感じ取った。
――ねえさま、また・・・気持ちよくなりすぎちゃったみたい。ふふ・・・やった
おかしな達成感にふふっと笑ったリムルルは、頭を支えているレラの手をそっと払うと、
焦点が合わないままの姉の顔に、ちゅっ、と濡れたキスをした。
「きもちかった?」
口から煙を吐くような、天井に向かって斜めを向いたままのレラは何も答えなかったが、
はぁ、はぁと苦しそうに震える合間に少しだけ頬を緩ませた。そして、たらりと下がって
いた腕をリムルルに伸ばし、細い身体を引き寄せる。
「ふぅ、ふぅ、ふぅ・・・」
裸のまま抱きしめあうレラの呼吸が、耳からだけでなく寄り添った身体の全て、いたる所
から感じられる。
レラの背中に泡の手触りを覚えて、リムルルはそういえばお風呂に入るために風呂場へ
来たんだという事を思い出したが、今はどうでもいいし、こうして抱き合っているだけで
十分に温かだった。
「ねえさま・・・熱いよ」
「ふぅ、ふぅ・・・リムルルも・・・熱いわね」
「ねえさま、気持ち良さそうだったよ。今もだけど、すごく・・・あの、いろっぽいよ」
「リムルルったら・・・」
胸に埋もれるリムルルのおでこに、レラも唇を寄せた。
息も落ち着いて、やっと余韻らしい余韻がやってくる。もやもやとした掴みどころの無い
快感が肢体を余すところ無く包み込んで、あらためて行為の激しさを物語っている。
冷える事を忘れた身体のまま、湯気を眺めていたレラは脈絡無しに思う。
――リムルルと、してしまった。
それは、我に返ったと言っても良かったのかもしれない。
風呂に入る前に、少し淫らな妄想をした事は覚えている。変に意気込んで風呂の扉を開いた
のも記憶している。かといってそれは妄想であり、一時の気の迷いだったのだとも思い出さ
れる。いや、確かにそうだったのだ。本当に妹を手篭めにしようとなど、絶対に思っては
いなかったのだ。
それが、こんな事になるなんて。
507前スレ64:04/10/30 01:54:42 ID:tug7nsgJ
事故にも近いような、乳首に走ったほんの小さな快感に端を発し、何も知らないのをいい
事に教えてあげるなどと言いくるめて、快感に打ち震える妹の姿を楽しんでしまった。
そしてあろうことか、自分が逆に果てさせられてしまった。
同性、しかも肉親との密なる破廉恥な行為。
カムイに今すぐ罰せられてもおかしくはない、悪戯では済まされない罪深き行為。
果たしてこれで良かったのだろうか。
ただただ、妹の愛らしさと抑えられない欲望に屈して。
誰の目にも妹を愛していると分かる、いつか結ばれるべきあの男を差し置いて。
そして、その妹の気持ちも考えぬままに。
「・・・・・・」
馬鹿馬鹿しい自問自答に、未練たらしく快感を引きずる頭が軽いめまいを起こす。
良かったはずがない。今すぐにでも立ち上がって、身体に着いた泡を洗い落として、妹を
湯船に残してここを去るべきなのだ。罪は罪だが、まだこれで終わるのなら、胸で戯れた
だけなら――
ぼろぼろの体裁じみた言い訳に逃れようとしたその時。
ごぽっ・・・ぬちゅっ・・・
「はっ・・・あ・・・?んんっ!」
川辺で一人遊びをしながら過ごしたあの晩と同じように、鋭く過剰なまでに研ぎ澄まされた
レラの神経が、体の奥から熱い何か吐き出される瞬間を捉えた。
予想もしなかった下半身の蠢きに、レラは両太股をお互いにぐぐっと押し付け合い、目が
潰れるぐらいにきつくまぶたを閉じる。そうして、気を抜けば風呂場に響き渡ることになる
であろう驚きと強烈な快なる叫びを無理やりに押しとどめた。
「〜〜〜〜・・・・・・っ、ふ・・・ぅ」
まぶたをそっと開くと、レラの動きにまた何か始めるのかと勘違いしたリムルルが、瞬き
をしながら大きな瞳でこちらを見ている。
「ねえさま?」
レラは嫌な汗を全身に感じつつも無理に笑い、抱きしめる腕で細い身体を引き寄せた。
「ん・・・ふふ、何でもないの・・・リムルル、もう少し、このままでいて?」
508前スレ64:04/10/30 01:55:14 ID:tug7nsgJ
お願いされてリムルルはうっとりとした顔に戻り、自分だけのものだと言わんばかりに
レラの胸に再び鼻をすり寄せて言う。
「うん、いいよ。レラねえさま、やあらかくて気持ちいい・・・いいにおい・・・好き」
好き。
リムルルの言葉が耳を通して、空っぽになった身体の中でいつまでも共鳴する。
ねえさまが、好き。
ねえさまが、好き。
リムルルが、私のことを。こんなにも。
じゅぷ・・・じゅ。
「ふ、ふぁ・・・あ・・・ぁ・・・!」
幸せな言葉に酔っていたレラに漬け込もうとするかのような、穏やかな時間を楽しもう
とする理性にことごとく反発する欲望の不意打ち。
「・・・!・・・・・・っは、う・・・ぅ、ぅぅ」
意識さえ吹き飛びそうになりながらも、レラは残された理性全てを傾けてリムルルに悟られ
ないように気を遣いながら、湯気漂う天井に向けひっそりと熱い息を吐き、またも股の奥
から出口へと流れようとした愛液の感触に耐えた。
―――あぁ・・・うずく!何故?こんな・・・だめ、もう止めないと・・・いけ・・・な・・・ぃ
心の中で誰にも聞こえない悲鳴をあげ、欲望の連鎖からもがき抜け出そうとしながらも、
レラはそこから一歩も動く事はできない。ただ、押し殺すだけ。
「くっ・・・ぅ・・・うぅ」
強い意志で戦う戦士の成れの果てがこれ。誇りも結局はただのおごりでしか無かったのか。
言う事を聞かない自分の身体の不甲斐なさに、レラは悔し涙をにじませた。
未だ甘く火照り続ける残り火のような乳房のずっと下、黒い茂みの奥でそこはもう無視
出来ないぐらいにまでうずき続けている。
風呂に入って、裸になったリムルルの一挙一動を見るだけだったその時から始まって、
胸でお互いを愛し合っていた最中にも、じんわりと意識が僅かにそこへ傾く程度の蠢きを
レラはずっと感じ取っていた。
だが、妹との淫らな戯れが間違いだと、間違いだと知りつつも快楽を一度極めてしまった
情けない自分を振り払おうとしたところで、その蠢きは突然、身体の主に牙をむいたのだ。
509前スレ64:04/10/30 01:55:44 ID:tug7nsgJ
現世に蘇った身体にまた一つ消せない罪を刻み、その背徳に心痛めるほどに、そこは妹の
肉体をさらに欲し、淫らさにまみれた液をあざ笑うように湧かし続けている。
どっ、どっ、どっ。
レラの心臓が、肉欲に激しく押しつぶされる。
一度は行為を終え休んでいた心臓に火が添えられて、再び燃え上がり、レラを急かす。
地響きさえ起こしそうに高鳴る音がリムルルにも届いたのか、耳をレラの胸の間に寄せ
ながら、何だろうという顔をして聞き耳を立てている。
その横顔。快感の汗に濡れた髪を細いうなじにはり付かせる、美しい妹の横顔。
それを見て思う。
リムルルは、つぼみだ。
無垢であどけない表情に少しだけ女を覗かせ、その胸のように今も膨らみつつあるつぼみ。
それはそれは瑞々しく、香り高い。
今やっと、朝露に濡れた白く汚れの無い花弁の一枚が開こうかという頃にあって、もう既に
美しく咲き誇ることがあらかじめ約束されているように誇り高く、気品に満ちみちている。
リムルルという名の、希望と未来の証たるつぼみ。咲かせねばならないつぼみ。
しかし、レラは恐れていた。

リムルルが本当の幸せに花開く日を、この目で見ることは叶わないのかもしれない、と。

自分がまだナコルルの中で眠っていた頃、リムルル達はこの世で何者かと戦ったのだと
いった。
巨大な泥人形、致命傷にも倒れぬ異常な生命力を持つ羅刹丸という男。そしてそれらを
いかづちとともに何処からか呼び起こし、リムルルの命と巫力を狙う、長い平和の時に
埋もれたはずのナコルルの存在さえをも知っているという、謎の天の声。
レラはその話を二人から聞いたとき、面に出す事はしなかったが、寒気がするほどに戦慄
していた。
何故なら、それ程に大きな力を持ち、それを非道な事に使うような輩だというのに、レラは
二人に教えられるまで、全くその存在に気づかなかったからである。
510前スレ64:04/10/30 01:56:21 ID:tug7nsgJ
レラとナコルルには(おそらくリムルルにも)邪気を感じ取る強い能力が生まれつき備わ
っていた。そしてその能力は今も衰えてはいない。現に、この世で大自然に危害を加える
人間達は容易に見つけ出し、然るべき罰を与えてきた。
リムルルと抱き合っている今も精神を一度集中させたなら、良からぬ事を企む人間の一人
や二人を捉える事など朝飯前だろう。
そんな、悪を嗅ぎつける事において完璧と言っていい絶対的な感覚を持ちながら、レラは
今日半日に及ぶ探索にもかかわらず、「この国の中」に、ついにその邪な影を見つける
ことが出来なかったのである。近所を探したなどとコウタには完全に嘘をついていたが、
この島全体をシクルゥと共に駆け巡ったが、だめだった。
「何もなかったんですか」とコウタに聞かれたあの時、本当の事を言うべきか、隠し通す
べきか、どれだけ言葉に迷ったか。
――・・・一体、何者なの?!
レラは、心の中で悲痛な叫びを上げた。
人間の・・・自分の妹の命を奪おうとし、この時代にあってはもう誰も知るはずの無い、
世界中の大自然を癒すちからを持つ、ナコルルの巫力に目をつける輩とは、一体。
邪気、いや、邪気では済まない特大のおぞましい野望を胸に抱いているはずだというのに。
海を隔て世界の裏側にいようと地の底に潜んでいようと気づいて当然の存在だというのに。
それでも、見つけることも感じる事もかなわなかったその輩。
――おぞましい!
レラは早鐘を打ちまくる胸をどうにかして止めようとするかのように、ただリムルルを
抱きしめた。
だが、感覚が鈍ったわけでは無いのにどうしても相手の姿が捕らえられないレラは、自分の
感覚には絶対の自信を持っていただけに、身を寄せたまま震えを抑えられない。
――何故・・・感じないの?一体誰・・・どうして!どうして分からない?!
ウェンカムイでも無く、闇に心を売った人間でも無く、魔界の者でも無く、悪意を持たぬ
まま人を殺そうとし、巫力にただならぬ執着を見せる者がこの世にいる。
それの意味するところは、殺める事、滅ぼす事、絶大な力を握る事を、息をするのと同じ
に考えている者が、妹とナコルルに近づいているという事なのだ。
言うなれば、それは無邪気な破壊者。
511前スレ64:04/10/30 01:56:56 ID:tug7nsgJ
今だってその輩はこの建物の外で自分の様子を伺っているのかもしれない。音も立てずに
忍び込み、向こうの部屋でコウタを殺し、風呂場に近づき、壁を突き破り、レラは何も
出来ないまま巨大な手に掴まれ、一握りで全身の骨をばらばらに砕かれ、爪の先で首を
飛ばされ、紙を破るたやすさで身体を八つ裂きにされてしまうのかもしれない。
リムルルの目の前で。
熱い血の雨で、妹の白く美しい汚れない肌を真っ赤に染めながら。
――いや、いや!死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない・・・・・・・・・
全身のいたるところから返り血を滴らせ、目を見開いたまま放心するリムルルを、レラは
一瞬想像してしまった。
――あぁぁぁぁぁ!そんな・・・そんな・・・!絶対にイヤ・・・駄目!死にたくない!
戦士の心が生まれて初めて味わう恐怖に狂い、死を拒んで逃げ回る。
だが、レラの心に食らいつく恐怖・・・それは常人が抱く死に対する恐怖ではなかった。
死ぬこと自体に対する恐れなど、純粋な戦士の魂たるレラの心の中には、端から存在して
いない。
戦い、命を奪い合い、自分が敵に及ばなければ、戦士の人生はそこで終わる。それだけ。
だから尊敬する父も死んだ。
ナコルルもその身全てを大自然に捧げながら、力尽きて死のうとしている。
自分もまた、得体の知れない敵との戦いに敗れ、同様に死んでいくのかもしれない。
無感動で乾いた言い方だが、戦士とは、戦士の命と人生とはそういうものだ。
そう思っている。今でも。
でも、死にたくない。
死ぬのが恐くて、死にたくないのではなく。
あまたの死線を当たり前に潜り抜けてきて、今更になって生に執着する戦士。
冷静でなければいけない戦士の心が、泣き叫ぶ。
リムルルと離れたくない。
リムルルのそばにずっと居たい・・・
幸せに暮らすリムルルを見守りたい・・・!

いつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでも
512前スレ64:04/10/30 01:57:26 ID:tug7nsgJ
・・・・・・自分の愛するものを護れなくなる事への恐れ。
やっと手に入れた家族が、どこかへと消えてしまう事への恐れ。
死ぬのが恐いのは、リムルルがこの手から失われてしまうから。それだけだった。
「リムルル・・・」
どれだけの間こうして抱き合ったままでいたのだろう。
レラはリムルルの背中に回していた右手を戻し、その小さな胸に指を這わせてゆく。
「んっ、くぅん・・・レラねえさま」
リムルルは子犬のような声で鳴いた。しばらく弄られていなかったのに、乳首は硬く
なったままだった。まるで冷めやらぬ身体全てを傾け、レラの「教え」を受け止めよう
とするように。
快感という名の幸せを期待しながら、リムルルは再び頬を染め上げてゆく。
閉じたままの未熟なつぼみを両手の中に包み込み、レラは心から祈る。

――今宵、まだ咲かないその美しい花びら・・・一枚だけちぎって、私に分けて欲しい。

その曇りない純白を心に忍ばせて私は戦う。相手が何であろうと。どんなに強大だろうと。
骨を砕かれても屈するまい。首を飛ばされても刃を振るい続けよう。この身を引きちぎ
られたとしても、指一本でも残ったのなら絶対に刺し違えてやる。
チチウシと一緒に花びらを・・・リムルルとのかけがえの無い時間と思い出を握りしめたなら、
ただ一晩でもリムルルと幸せを共有する事が出来たのなら、もう何も怖くないし、誰にも
負ける事は無い。
刹那的だと笑われても、自己満足だと蔑まされても構わない。そうなのだから。
刹那の快感。リムルルと幸せを分かち合えたという自己満足。
しかしその花びらは、リムルルにひとときでも誰よりも近づいたという確固たる証拠。
リムルルが、自分の手で女に生まれた幸せのかたちのひとつを知った証拠になるのだ。
私は戦士だ。悲しいけれど、本当の女の幸せなどきっと永遠に掴めぬままに終わる。
だけどリムルルはそれではいけない。そんな定めを背負うのは自分だけでいい。
リムルルには、女の幸せを掴む義務がある。全てが終わる前に。
命に代えても護り切ってみせる。指一本触れさせはしない。

・・・・・・だから、お願い。今夜だけは。
513名無しさん@ピンキー:04/10/30 12:49:54 ID:o3j9UiOS
レラさぁん!レラさぁん!

>>64氏、独立国作りませんか?あなたは新しい時代に必要な御方だ
514名無しさん@ピンキー:04/10/30 16:32:42 ID:Dk27KFSD
ガフアッ!ゴハァ!……ゼエゼエ。
いい、いいよ。切な過ぎる。胸が痛む。でも目が離せん。あんた私を殺す気か。

本望だ。
515名無しさん@ピンキー:04/10/30 22:15:35 ID:Bhc8HIAI
64氏のためなら死ねる
516名無しさん@ピンキー:04/10/30 23:46:19 ID:iDRAo2zv
つーか、俺は既に死んでいる。
うぉぉ!
517名無しさん@ピンキー:04/10/31 01:44:02 ID:pb/ibTZY
これで兄さまが「おーい、いつまで入ってるんだー?」
なんて邪魔しにきたら・・・


オレァアニキヲムッコロス
518名無しさん@ピンキー:04/10/31 21:42:20 ID:0y6KtZjW
兄さまがやられそうになったら
自分が出て行って新しい兄さまになる
519名無しさん@ピンキー:04/11/01 00:37:16 ID:q1PChx9N
>>518
お前それはヒトとしてなんか違う。
520名無しさん@ピンキー:04/11/01 03:37:16 ID:5fqO/6j/
ブタ切りスマソ
204様待ち…。はあ。ちょっと暴走しそうです…。
521名無しさん@ピンキー:04/11/02 11:52:24 ID:VGvVlHqV
204氏、8月以来降臨してないのか。漏れも楽しみにしてるんだけどなー。
せめて顔だけでも出して(´・ω・`)ホスィ… あなたの帰りをまってまつ。
522名無しさん@ピンキー:04/11/03 21:50:03 ID:EYVCaJsc
もそもそ
        ,、ッ.ィ,  
      ,:'゙    '; 
    (( ミ,;:.   ,ッ )))
       ゙"'''''"゙
   もふっ
       ハ,_,ハ
      ,:' ´∀` ';
      ミ,;:.   ,ッ  ノノ
       ゙"'''''"゙
   ポィン 
       ハ,_,ハ  ポィン
      ,: ´∀` ';
      ミ,;:.   ,ッ
       ゙"'''''"゙ 
      ヽ  ili / 
     -      -

           スタッ
       ハ,_,ハ,
      n' ´∀`,n,
      ミ,;:.   ,ッ
       `'u゛-u'
523名無しさん@ピンキー:04/11/07 04:07:41 ID:QCx7aE/c
保守
524前スレ64:04/11/08 00:00:35 ID:6+LsSTz5
じっとりと汗ばむリムルルの肌を滑るレラの指が小さな胸を離れて、うっすらと浮き出た
細いあばらの上を渡る。ひとつ・・・ふたつ。数えながら。
首を傾けたリムルルの身体を伝い落ちるレラの指はそのまま腹に達し、形の良いへその
周りでくるりと円を描いて、止まった。
「リムルルのおへそ、可愛いわ・・・」
リムルルも真似をして、レラのお腹の中心でくるんと指を滑らせる。
「レラねえさまの、わたしのと似てる・・・そっくり。かわいいよ、ねえさまのも」
「ふふ・・・ありがとう。ねぇ、リムルル?」
嬉しそうに笑うリムルルを前に、レラの狙いが少しずつ下へと移っていく。
「なあに?レラねえさま」
「リムルルはまだ・・・ここの毛、生えていないのね」
少し意地悪っぽい言葉に、リムルルは羞恥と小さな憤りに顔を赤くして抗議する。
「にゃっ・・・そ、そんな事・・・ないよぉ。生えてるよ?ちょっと、ちょっとだけど・・・」
とは言え、最後の方はかなり自信無さそうな尻すぼみだった。
「どれ、どこ?見えないわ」
さらに追い詰めると、レラの片方の太腿をまたぐ形で身を寄せ合っていたリムルルが、
恥丘の辺りをおどおどと指差した。
「こ、ここ・・・ほら」
「ん〜?」
レラは目を凝らす。するとリムルルの指の下に、本当にうっすらと、まだ陰毛と呼ぶには
耐えないような栗色の産毛がしっとりと湯に濡れて絡まり、肌にくっついているのが見えた。
「あ、やっと見えた・・・」
「やっ、恥ずかしぃよぉ!そんなに見たら・・・やだぁ」
「ふふ・・・本当にちょっぴりね。どれどれ・・・」
へその周りを撫でていた手を、レラは機に乗じてすすっと下へと滑らせていく。
しかしリムルルが身をよじり、レラの手が恥ずかしい部分に届く直前で、上から手を被せて
侵食をそっと制した。
「ちょ・・・ねえさま!ダメだよっ・・・触っちゃ」
「リムルル?」
「ね・・・やめてよぉ・・・恥ずかしぃよ」
525前スレ64:04/11/08 00:01:21 ID:6+LsSTz5
見れば、本物の羞恥と困惑にリムルルは今まで以上に頬を赤くしている。
だが、このぐらいの抵抗もやはりレラの思惑のうちだった。
「恥ずかしいって、どうして?ちょっと確かめるだけなのよ・・・リムルルがちゃんと大人に
なっているかをね」
「大人・・・・・・」
手を制していたリムルルの指が、レラの狙いどおりの言葉に反応してぴくっと動いた。
「そう。リムルルも大きくなって、胸が膨らんだり、こんな所に毛が生えたり・・・身体が
大人に変わってきてるでしょ?だから色々教えてあげるのよ?」
「・・・・・・」
「それとも・・・やっぱり教わるのはナコルルがいい?お姉ちゃんじゃ駄目?」
最後の問いかけにリムルルは下を向いたまま弱く、だがしっかりと首を横に振った。
「う、ううん!わたし、レラねえさまが好きだよ?それに・・・」
「それに?」
口ごもるリムルルの指が、さりげなくレラの手を離れていった。
「ナコルルねえさまは・・・あのね、おっぱいの事とか・・・こ、ここの、事とか・・・」
「触っていいのよ、お姉ちゃんのここ・・・。ほら、リムルル」
まだ言いたいことを言えない様子のまま、震えながら宙に惑っていた少女の指先。
その求めている物を悟ったレラは静かな声で導く。
「でも・・・」
「いいから、触ってごらん?リムルルもいつかはこうなるんだから。ほら」
一瞬の困惑は、多感な少女が常々抱いていた好奇心と、憧れが詰まった指先を止めるには
至らなかった。瞳を再び興奮の色に変えつつあるリムルルの細い指が、レラの柔らかな
黒い茂みを撫でる。
「はぁ・・・はぁ・・・」
如何に自分が興奮しているのか知らないリムルルは、肩まで紅潮させ息を荒げたまま、
姉の陰毛を遠慮がちに指に絡ませては解いてを繰り返した。
――あぁ・・・そんなに真剣な目をして。何だか、女の子に初めて触れる男の子みたい。
そんな事を考えて、レラはそういえばと思い出した。まさしく昨日、初めて男に触れた
少女がいる事に。
526前スレ64:04/11/08 00:02:14 ID:6+LsSTz5
「どう?コウタの、お兄さんのと比べて」
唐突な質問にリムルルは急にあたふたとしだした。少女は紛れも無いリムルルの事だった。
「! あっ、あの、あれは別に・・・仕方なくて」
「お兄さんのも、生えていたんでしょ?」
「そ、それはそうだよ!にいさまも大人だもん・・・だもん」
リムルルは隠れる場所の無い風呂場でみるみるしぼんでしまった。
ちょっとこれ以上深入りするのは二人にも悪い気がして、レラは話題を戻すことにした。
「ふふ、まあそうね。それで・・・ナコルルがここの事をどうしたの?」
レラの陰部にばかり目が行っていて、しかも思い出すだけで気が遠くなる昨日の出来事を
突っ込まれて伏し目がちだったリムルルが、少し切実な顔に戻った。
「あ、あのね・・・ナコルルねえさまに、『ねえさまみたいになりたいなー』とか、『おっぱい
どうしたら大きくなるのー』とか・・・それから・・・他にも色々聞いたけど・・・恥ずかしがって
あんまり・・・教えてくれないんだ」
――ナコルル、あなた本当にだらしがないんだから。
「なるほどねぇ。あの娘らしいと言えばらしいけど・・・色々知りたいわよねぇ。可哀想な
リムルルだこと」
「ねえさまは悪くないんだよ?わたしも聞かれたりしたら、すごく恥ずかしいもん。だけど
心配になっちゃって。わたし・・・友達とかと比べてもおっぱい小さいし、ここも殆ど子供の
ときと変わらないままだしさ。それに・・・・・・」
ここまでリムルルが思いつめていたとも知らず、レラは本当に気の毒になった。
全くもって、ナコルルは一体何をしていたというのだろう。リムルルの幸せを願う気持ち
は同じだと思っていたから、なおさらナコルルがじれったく、冷たく感じられる。
「で・・・それに?それにどうしたの?」
頭を撫でながら次の言葉を待ったが、リムルルはなぜか再び下を向いて黙ってしまった。
「? どうしたの、リムルル」
「・・・いの」
「うん?なあに?」
「ここがね、おかしいの・・・!」
二度聞き返してやっとの、蚊の鳴くような小さな声だった。
リムルルは股を指差し、そう言ったのだった。
527前スレ64:04/11/08 00:03:13 ID:6+LsSTz5
「前もね、一度だけあったの・・・ここが熱くなって、びちゃっとして・・・」
なぜかその目からは、快楽によるものとは思えない涙が今にもこぼれそうになっている。
「リムルル」
「お、怒らないで!ごめんなさい・・・悪い子なんだよね、わたし。ここは大事にしろって
言われてるのに、何だか気持ちよくて、だからカムイが怒ったんだよね?怖くて・・・!」
「ち、違うのよ?」
「だけどこんな事にいさまには聞けないもん・・・そしたらもっと怒られちゃうし、きっと、
きっと・・・変なやつだって、嫌われ・・・」
リムルルは言い終わる前に俯いてしまって、ごしごしと目元を拭った。
「だから、違うのよリムルル・・・」
まさか本当に何も知らないでいたなんてと、レラは哀れみに近い感情を抱きながらリムルル
の耳元に唇を近づけ、そっと囁いた。
「泣かないで・・・・・・。お姉ちゃんのここ、もう少し下・・・触ってごらん?」
「えっ、でも・・・そこは」
「ほら、さっきは触れたじゃない。もう少し、ね?そしたら分かるわよ」
「・・・・・・?」
リムルルは言っている事が分かりかねるといった感じのまま、うつむいた視線の先にある
レラの恥丘を指で通り、少しだけ開かれた陰唇に人差し指を向け、そっと触れた。
「あっ!?」
途端、声を漏らしたリムルルは困惑しきってうるんだ瞳をレラに投げかけた。
レラはそれに、少し頬を赤くして頷く。
「ふふ・・・これで分かった?リムルルは病気になったんでも、カムイの怒りに触れたわけ
でもないの。そこはね・・・女なら誰でもそうなるのよ。気持ち良くなったりすると、ね。
リムルル、ちょっと降りて?」
自分の太股の上に馬乗りになっていたリムルルにそう命じると、レラは自由になった両脚を
抱えるようにして開き、大胆にも妹の目の前に秘部をさらけ出した。
脚を広げるほどに開かれていく肉の裂け目からは、抱きしめ合っていた時に身体の奥で
感じていた蜜があふれ出ていて、つやつやと潤わせている。
528前スレ64:04/11/08 00:04:00 ID:6+LsSTz5
「ほら・・・こんなにとろけて、中からおつゆが出てきてるでしょ?びらびらもこんなに
なっちゃって。リムルルがたくさんおっぱいを舐めて、たくさん気持ち良くしてくれた
からよ?」
「はぁ・・・はぁ・・・す、すごい・・・」
昨日は兄のものを。
そして今日は姉のものを。
自分のものとは明らかに違う、見たこともない大人の性器の変貌を四つんばいになって
食い入るように見つめるリムルルは、瞳に熱い興奮の光を輝かせている。
その瞳からは、歳の割に幼すぎる未熟な心を苦しめていた性への不安は消え去っている
ように見えた。
「どう?安心した?」
「はぁっ、はぁ・・・」
リムルルは問いかけに頷くでも無く、焼けるような視線を姉の真ん中に向け続けている。
「ふふ、興奮しちゃって。ねぇ、今度はリムルルも・・・ここ、見せて?」
「あっ、や・・・」
抵抗するような声を出しながらも、リムルルは心躍る未知に理性を奪われていた。
今度は逆に手足を突いて猫のように近づいてくるレラに両の膝を折られ、初めのように
浴槽の壁に背を預ける。
そして胸に近づけるように前から膝を押され、小さな女の子が抱えられておしっこをする
時に似た、滑らかでふっくらとした土手とお尻の穴まで全部晒してしまう、破廉恥な三角
座りの体勢を取らされてしまった。
「うぅ・・・はずかしぃ」
うめきにも似た声は、股ぐらの扉を開く音に聞こえる。
レラはリムルルの両脚を押さえたままそこに首を突き出し、まじまじと観察しだした。
「ふふっ、本当だわ。ぷっくりして、まだつるつるで・・・・・・。それにぴったりくっついた
ままで。可愛いわ・・・リムルルの」
「うぅ、だから言ったのにぃ・・・!レラねえさまのバカぁ!」
子供だと言われているのと同じ指摘をされて、リムルルが弱々しくバカバカと言いながら
真っ赤な顔を両手で覆った。
529前スレ64:04/11/08 00:04:33 ID:6+LsSTz5
「ごめんね・・・。でも、もっと開いたらどうかしらね?お姉ちゃんのあそこみたいに、中の
いやらしいお肉が見えるかもしれないわ」
「・・・やぁ」
掴んだ膝をもっと開こうとすると、リムルルの両脚がぐっと抵抗を見せる。
顔こそ覆われて見えないものの、声色からして激しい羞恥を感じているのは確かだ。
だがこんな初々しい反応さえ楽しみの一つとして心を震わせながら、レラはリムルルの
身体と心を優しく甘い言葉でほぐしていく。
「ほら・・・力を抜いて?大丈夫、大丈夫だから」
「いや・・・だ・・・んん〜」
「ゆっくり・・・そう。平気よ。お姉ちゃんが一緒だもの。あっ、ほら、脚が開いてきた・・・」
「んんんっ・・・うぅ」
レラの言葉が、リムルルをしっかりと守っている鍵穴に差し込まれていく。
そして反発していた脚の筋肉が、いつしかひとりでに開く方へと向かっていく。
「ああぁ・・・や・・・」
レラはもう、自分の手に力を込めてはいなかった。リムルルは自分で脚を開いていた。
「もう少し・・・そう、リムルルの大事なところ、おねえちゃんに見せて・・・」
リムルルはこの時、湯気に包まれた姉の声が全身から聞こえるような心地を覚えていた。
柔らかでどきどきするような感触の言葉が肌から心に染み渡って、脚が勝手に動いてしまう。
自分の身体が操られているようだ。
「ふ・・・う・・・」
「そう、そうよ。ふふ、見えてきた・・・。ねぇ、顔も見せて欲しいな?」
脚を開くだけでも、湯気に身を巻いてここから消えたいぐらい恥ずかしいのに、レラは
さらに顔まで見せろという。
――やだ、やだよぉ・・・嫌だけど・・・でも、なんか、嫌じゃない・・・?あぁ、変だよぉ!
「ほら、手をどけて?膝に置いてみて?」
レラの声がするたびに、首の辺りに重く切なげな感触が走る。
――あぁ・・・・・・レラねえさまのお願い・・・聞いたげなきゃ・・・。それにわたしは・・・
リムルルは、切なげに寄せられた眉と頑なに閉じられた目を包んでいた両手を、言われるが
ままに膝の上へとやった。
530前スレ64:04/11/08 00:05:14 ID:6+LsSTz5
「いい子・・・」
あらわになった顔に届くレラの声は、心にずっと直接に触れて、抱きしめてくれる。
たった一言で自分の存在全部を褒められたような気持ちの良さに、リムルルは潤んだ目を
開いた。自分と同じように頬を赤く染めた、姉の嬉しそうな顔と身体が見える。
「ふふ・・・恥ずかしい?」
「恥ずか、し・・・ぃよ。でも」
「でも?」
吸い込まれるようなレラの瞳を見つめ、リムルルは愛する姉に全てをさらけ出す決意をした。
「わたし、我慢する・・・」
膝についた自分の手によって、両脚がこれ以上開かないという所までぐっと開かれる。
「だからちゃんと診て?レラねえさま。わたし・・・ちゃんと普通の女の人になれるの?」
左右へと押し開かれる下半身の動きに合わせるようにして、そこも・・・艶やかに湯と汗に
濡れていた二枚の柔らかそうな盛り上がりも、若い身体の主が姉に身を委ねる事を決意
した事を受けてぱくりとその口を開き、小さな花びらを湯気の中に咲かせた。
姉の秘部をねっとりとした感触に変えていたのと同じ蜜が一筋、紅と桜を混ぜた色に咲いた
花弁から、お尻の穴へと伝っていく感触に身を震わせながら。
「ほっ、ほらみて、レラねえさま見てぇ・・・ね、やっぱり・・・びちゃびちゃが、あぁ・・・・・・
たっ、垂れてきてるよぉ」
「えぇ・・・リムルル」
レラは四つんばいの姿勢のまま尻を上へと突き出し、ぷるんと垂れ下がったふくよかな
胸が床に付きそうなぐらいに頭を屈め、妹の言葉に相槌を打つ。
自分の恥ずかしい部分を、一段と近い場所から凝視する姉の格好を受けて、リムルルは
身悶えしながら声を震わせる。
「あああ・・・これ・・・ぬるぬる・・・普通なんだよね?ねえさまのと、一緒、だよねぇ?」
「そう、一緒。リムルルもおっぱい気持ちよかったって言ったものね。その証拠よ?」
「うん・・・だから、ヘンじゃないよね?わたし、普通の女の子だよね?」
「ふふ、普通かどうかは・・・どうかしら?」
レラは意地悪な溜めを言葉に作り、リムルルのお尻の穴と、淫らに濡れた裂け目の間に通って
いた蜜を指ですくい取った。
531前スレ64:04/11/08 00:06:08 ID:6+LsSTz5
「ひゃ、ああっ!」
上ずった悲鳴と同時に、リムルルの小さなお尻の穴がきゅっとすぼまる。
「ほら、リムルル見てごらん?今触った指・・・ね?」
下から挑発的な視線を送りつつ、レラは蜜に濡れた二本の指を不安げな妹の目前に差し
出した。そして粘りを持った蜜がつうっと糸を引く、ゆっくりとした残酷な速度を保って、
その指を開いていく。
「あ・・・あぁ・・・だめ」
少し、また少し。レラの指の間に垂れ下がった、自分から湧き出たいやらしい蜜が伸びて
いく眺めから、リムルルはどうしても目を離すことが出来ない。
「ほら、こんなにたっぷり濡れて、熱くて、それにねっとりしてる・・・お姉ちゃんびっくり
したわ。思っていた以上なんだもの」
「うぅ・・・そんなぁ・・・やぁ」
「はぁ・・・リムルルはひょっとしたら、普通よりいやらしい子なのかもしれないわね?」
「ああ、嘘ぉ、嘘だよぉ・・・」
わざとらしいため息と落胆の素振りに、リムルルの表情がみるみるこわばっていく。
「ふふ、半分嘘で、半分ホントかしら。でも心配しないで」
屈めていた姿勢を直し、レラはリムルルの前に座った。
そしてリムルルの前髪をかき上げ、こつんとおでこを合わせてささやく。
「いい?気持ちいいだけじゃ、このおつゆは出てこないの。お互いが好きで好きで、一緒に
気持ちよくなりたい・・・そう思わないと出てこないのよ?」
「そうなの・・・?」
心配げなリムルルの顔を見て、合わせていたおでこに今度は軽く唇を降らせてやる。
「ちゅ・・・そうよ。だって裸でこんなに近づきあって、恥ずかしい部分を見せ合って、
それでも嫌じゃない。興奮して、気持ちよくなっちゃう。好き同士じゃないと出来ないわ?」
「そ、そだね」
「それにリムルルさっき言ってくれたもんね、お姉ちゃん気持ち良くなってって」
「うん。だってわたし、きもちいの好きだし・・・レラねえさまも好きだと思うから」
「ちょ、ちょっと・・・!え、えぇ・・・まあそれはそうなんだけどね?」
男の前で言ったらどうなるか分かったものではない台詞を、平然と言うリムルルに少し
焦りつつも、レラは笑顔を見せる。
532前スレ64:04/11/08 00:06:47 ID:6+LsSTz5
「嬉しいわ、こんなにびちゃびちゃなんだもの。お姉ちゃんの事・・・本当に好き?」
「うん・・・わたしね、レラねえさまの事が・・・・・・大好き」
「あぁ・・・ありがとう」
何度でも聞きたい言葉に反応して湧き返る泉から、レラは蜜が無限に溢れる感触を覚えた。
――もう限界よ・・・あぁ、我慢できない!
「ありがとう、お姉ちゃんを好きでいてくれて・・・だからもっと楽しも?」
「・・・あうっ!」
レラはにこにことしながらも、広がったままだったリムルルの割れ目の奥にほんの僅かに、
かなり浅く爪先を挿れた。それだけでも分かるぐらい、小さく可憐な花びらは未熟な少女の
ものとは思えない程の潤いに満たされている。
「ふふ・・・すごいわよリムルルのここ。どんどんぬるぬるになって来るわ。濡れるのは誰でも
一緒だけど、こんななんてね・・・・・・。リムルルはやっぱり少しいやらしい子なのよ?」
「そッ・・・そんな、あっ!」
あまりな結論にリムルルが反論しようとする。だが、レラはそれを許さなかった。
蜜に濡れた指先を使って、皮に包まれた、それでもその下からぷくりと意思表示をしている
最も敏感な部分を、上から軽く撫でたのである。
「ひ・・・ぃッ?!」
突然にして、痺れるようにそこから広がった逆らい様の無い快感に、リムルルが目を剥いて
顎を上げた。
反応のあまりの大きさに、逆に驚いたのはレラの方である。
「えっ?リムルルあなた、さっきここはいじった事ある、って・・・」
優しかった目が意外そうに丸くなっていたが、すぐに「ははーん」と意地悪なものに
様変わりした。
「もしかして・・・ここに触るのは初めてなの?」
「んっ、そうだよぉ、そんなトコし、知らないよォ・・・何で、こんな」
「初めてね、そうね?」
言い終わる前に、レラの手が再びそこをつんと押した。
巻き起こる、細い肉体にまた一歩と迫る衝撃的なまでの感覚。
「あッ・・・だっ、だめ、あ・・・!」
533前スレ64:04/11/08 00:07:46 ID:6+LsSTz5
「やっぱり、初めてなのね。なのにこんなに感じちゃうんだ・・・もう一回、ほら」
口では否定するような事を言い、強い刺激に苦しげな顔をしても、リムルルの顔にはこみ
上げる快感がありありと見て取れた。
「ここは一番敏感な・・・一番気持ちいい部分なのよ。覚えておいて?ほら、ほら」
「なっ、やめ・・・うあ・・・ッ!」
ほんの少し、それこそさっきよりも弱くちょん、ちょんと触れているだけでも、リムルルは
膝を抱えたままの姿勢でびくっ、びくと歯を食いしばってしまう。
「ほら、ほら、ほら、ほら」
「ッ、うぅ、いひ、ひぅッ」
「ね、こうして気持ちよくなると・・・どんどん中からまた濡れてきてる。いやらしいわ」
「あぁぁ〜・・・・・・うっ、ふうっ、やっ、ちっ違う、あぁ〜!やめ、やめてぇ!」
切なげに歪んだ唇から弱々しい抵抗の声を上げつつも、リムルルは熱い吐息をレラの指の
動きに合わせて漏らし、隠し切れない快感がその甘さを徐々に増していくのを感じていた。
「す・・・ごい・・・あっ、ここだめぇ・・・うっ、ね、ねえさまぁっ、はぁあ!あっ!あ!」
「そうなんだ・・・リムルルはここ触られてそんなにいいんだ?」
「うんっ・・・あぁっ、そっ、そこ・・・きもちいっ!」
指の動きに飽き足らず、思考が下半身に奪われたリムルルは腰さえ動かして、痺れるような
快感をどこまでも掘り下げていった。
「あらあら・・・・・・自分でそこ突き出しちゃうの?」
「ああ、ああ・・・・・・いい・・・きもちいの〜〜っ!」
まだ始めたばかりだというのに、既に快感の檻にはめられた妹の淫らな表情と、貪欲に
膨れ上がった敏感なそこで視線を往復させ、レラは指で攻めながら、抱いていた疑問を
そっと投げかける。
「ねぇ、リムルルはここに触ったことないんでしょ?だったらさっき言ってた、初めて
ここが気持ち良くなって、びちゃびちゃになったのって・・・いつだったの?」
「うん、あのねっ、こ、この・・・前ね・・・こたつのね、脚が・・・ああ、おまたに、当たって」
「ふふ、可愛いわね。それで?ここが気持ちよくなっちゃったんだ・・・リムルルは」
「うんっ、ぐいぐいって、やると・・・熱くて、ちかちかしてね、にいさまがすぐそこで
寝てるのに・・・・・・あぁぁぁ・・・・起きたら、大変だったの・・・に・・・にいさまぁ」
534前スレ64:04/11/08 00:08:44 ID:6+LsSTz5
思いもよらない話の展開に、レラはついにやりとしてしまう。
「え、コウタに隠れて見つかりそうだったのに?なのに止まらなかったんだ・・・ふぅん・・・」
少し指の動きを小刻みなものに変えつつ、恥ずかしい言葉でリムルルをさらに攻める。
「そうっ、そうだよ・・・あっ、ああ・・・にいさま・・・が・・・見てたら・・・・・・あっ、ふあぁん!!」
痛いところを突かれ、恥ずかしい告白に加え兄の顔まで思い出しながらも、リムルルは
何故だか一段と強く腰をレラの指に突きつけずにはいられなかった。
「くあああ・・・」
お尻と股の奥、自分の深いところで強い快感が生まれ、身体を預けた浴槽と背中の間に
汗を感じるぐらいにほてった背筋を痺れさせながら上っていく。
そしてだらしなく開いた口から漏れる喘ぎに混ざって、別人のような甘い叫びとなって
出ていった。
「あーっ、あっ・・・ふあー」
つん、つんと単調に繰り出される姉の指の動きに合わせて、小さな的を突き出しながら、
リムルルは涙までにじませて一段と良い声で鳴き始めた。
「なんで?ふぁ、急に・・・急にだよぉ、あっ、ここ、さっきより、ねっ、ねえさまぁ!」
「・・・・・・ふふ」
呆れるぐらいにじれったいものだと、定まらない視線に涙まで浮かべて自分の愛撫を心底
楽しんでいるリムルルを見ながらレラは思った。
快感を一層強めている原因のはずの初恋は、ここまでリムルルを乱れさせる程に気持ちの
中でその存在を大きくしながら、まだ正体を本人に明かしてはいないのだから。
子供扱いされるのは嫌いなくせに、リムルルはナコルルとの時間や巫女としての命を大事に
し過ぎて、肝心なことには本当に疎いらしい。だったらさっさと成就させてあげたい半面、
その気持ちに気付くのはリムルルに任せてあげたいし、欲張りな話だが今はコウタより
自分の事を思って欲しいと、レラは心の中で少しだけ歯噛みしていた。
「今は分からないかもね。でもリムルル・・・あなた、幸せになれるわよ、きっと」
――そんなに感じちゃうぐらい、コウタの事が好きなんだから。
嫉妬混じりの種明かしは心の中で呟くに留め、レラはすっと立ち上がった。
「さて・・・ひとりで楽しみすぎちゃずるいわよ。おねえちゃんも、もう待てないわ・・・・・・」
535名無しさん@ピンキー:04/11/08 01:31:01 ID:ix26t/I7
64様…そこでおあずけですか…orz
536名無しさん@ピンキー:04/11/08 18:07:50 ID:bLgm/gMH
これで兄さまが邪魔しにきたら・・・


オレァ64ヲムッコロス
537前スレ64:04/11/08 18:35:04 ID:wipq17WT
桃色の舌で唇を湿らし、くびれた腰をくねらせ、艶めかしい仕草をリムルルに見せ付け
ながら、レラはリムルルの温かな蜜を浴びて濡れた指を、自分の茂みの奥へ分け入らせ
ていく。
「あ・・・ぁ・・・」
「はあぁ・・・レラねぇさま・・・・・・」
へたり込んでいたリムルルの目線の高さにある太腿にまで、レラのだらしなく開いた淫らな
花びらから蜜が伝い落ちるのがくっきりと見える。一筋、いや、ふた筋と。膝まで届きそうだ。
「ん・・・は・・・・・・ふぅ・・・」
レラが痺れるような感覚に低い喘ぎを発しながら陰部をまさぐるたびに、手指が今度は
自分の甘く淫らな液でつやつやとした潤いを塗り返していく。
――あぁ・・・リムルルのと私のおつゆが混ざって・・・私の中に、中に・・・!
「ふあぁぁ〜ん、あっ、あっ、ふああぁぁ〜・・・!」
独りきりだった身体に、リムルルが染みていく。そして、じっとこちらを見つめている。
何倍にも膨れ上がった快感の叫びが風呂の壁に反響して、ぐっとリムルルの胸を打った。
「ねぇさま・・・さっきよりびちょびちょになってるよ・・・きもちぃの?」
「そう、リムルルがあんまり気持ちよさそうだからね、見てるだけでうつっちゃった・・・。
だからここからは・・・お願い、一緒にしてくれる?」
「うん、どうすればいいの?」
拒む、恥ずかしい、という言葉はもうどこにもない。
リムルルもまた当然のように快感を共有すべく、悦にまみれた笑みで誘いを受ける。
「じゃあ、そうねぇ・・・」
レラがリムルルの横に改めて座り込み、両脚を大きく開いて手招きした。
「私の脚の間に座って、背中でよりかかって?」
「うん・・・」
言われたとおり、リムルルはレラの脚の間に座り込み、そーっと背中を近づけ始める。
その時だった。
「ほらっ、つかまえたっ!」
「わっ、きゃ!」
ゆっくりともたれかかるつもりが、レラに後ろからいたずらな声と一緒に羽交い絞めにされ、
リムルルはいきなり身体の自由を奪われて、苦手としている脇の下をこちょこちょと指で
くすぐられた。
538前スレ64:04/11/08 18:35:35 ID:wipq17WT
「やだっ、きゃー!あはははっ、だめ!いやーだ!あははは!」
「ふふ、じたばたしないの!本当に敏感ねぇ・・・・・・」
だがリムルルが暴れ終わらないうちに、くすぐりの洗礼はすぐに終わる。
レラの指が蜘蛛のように動きつつ脇を離れ、もぞもぞと小さな胸へと移っていくのだ。
「あはははは!ははあ・・・ぁ、あ・・・んん・・・ふあぁ」
「まったく、もう声が変わってきてるわよ?敏感なんだから・・・ここが特にね」
「あぁぁぁ・・・・・・!」
レラの蜜に濡れた手が、リムルルの胸全体を下からぎゅ、ぎゅとマッサージするように
押し上げ、添えられている細い指が、そそり立った乳首を優しく絞る。
「ぅぅん・・・・・・レラねぇさまぁ・・・」
くすぐったさから地続きに訪れた、二つの胸のひりひりするような快感に身体から力が
抜けて、レラの肉体の上にリムルルはふわりと背中を預けた。
つん、ぷにょ・・・。
「あぁ・・・・・・背中にレラねえさまのおっぱいとさきっぽが当たってるよお・・・ふあぁん」
――こ、これ・・・いつもわたしやってるよ・・・・・・すごい、こんなだったなんて!
自分が風呂に入ると、間違いなく兄にやっている背中への抱きつきをリムルルは初めて
味わい、底知れない密着感と、柔らかで包み込むようなたまらないいやらしさに喘いだ。
「ふあ、やわらかくて・・・気持ちいいよぉ。レラねえさまのおっぱい、きもちぃよお・・・
わたしも、わたしもレラねえさまみたいになりたいよぉ・・・・・・」
「リムルルもちゃんと大きくなるわ、絶対にね。あっ、だめ、背中動かすと・・・あんっ」
柔らかな肉感を背中で楽しもうと身体を動かすと、今度はレラが擦れた乳首の快感を訴える。
「だって、ふわふわしてて・・・・・・すごいんだよぉ?それにねえさまもきもちぃんでしょ?」
「それはそうだけど、あっ、う、リムルル・・・あはぁ・・・も、もう、ダメだったら・・・」
「ふあぁぁん!レラねえさまぁ・・・いい、きもちぃ・・・きゃ、あふっ!」
お返しに乳首をすりすりと擦られて、リムルルもレラの鳴き声に同調した。
こうして姉にもたれかかっているだけでも、喘ぎが抑えられないぐらいに気持ちの良い、
とても刺激的な体位にうっとりしかけたリムルルだったが、この姿勢をお互いに取り合って
いる本当の理由を忘れたわけではない。
そして背中を突く姉の乳首が、どうしてそんなになっていたのかも。
539前スレ64:04/11/08 18:36:18 ID:wipq17WT
「・・・ねぇさま、優しくするね?」
リムルルはそっと、未だに背中から伸ばした手で自分の胸をじっくりと撫で回している
レラの股の間へと手を伸ばしながらささやいた。
「あ・・・リムルルぅ」
「おまた・・・触るよ?だから、どうしたらいいのか、ちゃんと教えてね?」
「ん・・・えぇ」
レラの許しを皮切りに、リムルルの指が、おずおずと下へ移っていく。
一緒に触り合ったおへその穴の感触、つるんとした張りのある肌に包まれたお腹の感触、
濡れそぼった、ふんわりと柔らかい陰毛の感触。
そして、その下。
茂みのすぐ下で待っていたあの敏感な出っぱりに、人差し指がつんと触れた。
「あは・・・・・・ぁ」
いやらしい蜜に滑り突き出た触り心地と、耳元を通る熱い息。
振り向けば、レラはうっとりとした笑顔を天井に向け、濡れた声を漏らしていた。
「こう、これで・・・いいの?」
リムルルは遠慮がちに触れた指で、自分のものよりずっとはっきりした姉の真珠を左右に
くりくりと擦った。
「あう、うぅ・・・上手ぅ・・・あっ・・・」
「ふぁ・・・よ、よかったぁ・・・あぁ」
レラもリムルルの愛撫に流されるままではなく、妹のしこり切った乳首をきゅっきゅっと
指でつまみ、胸全体から脇、そしてまだうっすらとした肉付きの小さなお尻にいたるまでを
汗やら何やらで濡れた両手で撫で尽くし、まだ少し緊張の残るリムルルを全身を使って
ほぐしていた。
「ねぇさまぁ・・・おてて・・・ふふ、くすぐったくて、でも、あぁ」
腰とお腹を撫でていた両手を乳首に這わせ、指の腹で振動させる。
「そ、それ・・・だめぇ・・・」
リムルルが快感に身をよじれば、レラの真珠を刺激する手の蠢きもまた違うものになる。
「んっ、リムルルも・・・その調子、あ、あ・・・すごく気持ちいいわ」
「よ、よかったぁ・・・わたしも、おっぱい、はぁ、きもちい・・・はぁ、はぁ・・・」
それぞれの味わった快感がさらにお互いの快感を生み、二人の甘い声が風呂の中で重なる。
540前スレ64:04/11/08 18:37:00 ID:wipq17WT
「リムルルのお耳、まっかっか・・・・・・ふぅっ」
「ふあああ!耳、レラねえさまっ、だめだよ、いき、息がぁ・・・ひゃあぁぁ・・・・・・」
「かぷ・・・」
「わ、あ、ああぁ・・・!」
レラが後ろから軽くリムルルの耳に息を吹きかけて、さらに耳たぶを甘噛みしてやる。
「あ・・・あ・・・!」
リムルルは嫌がるでもなく、与えられるがままに震えながら、全身でレラの愛撫を味わって
いるようだった。
――ふふ、こんな所でも感じてるわ。これならもういいみたいね・・・。
「かぷ、かぷ・・・」
「ふあぁ・・・いや、あぁ、みみだめ・・・みゃ・・・あぁ」
ひと噛みごとに耳たぶに残されていく歯形の感触に頭を熱くしていたリムルルは実際、
お尻を着いた床の冷たささえ、何だか心地よく感じ始めていた。
そこに、レラの誘惑。
「リムルル・・・もっと良くしてあげる」
「はぁ、はぁ、もっ・・・と?」
「しらばっくれちゃって・・・・・・待ってたんでしょ?」
レラの両手で覆われていたリムルルの胸が、期待にとくんとくんと揺れ始めた。
「あぁ・・・」
「ほら、心臓がどきどきしてきてる・・・わかっちゃうのよ?」
「へへ、ばれちゃった・・・レラねえさまは何でも知ってるんだもんね・・・えへへ」
「いいのよ。よく、我慢したわね・・・」
左手を胸に残したままレラの右手がするすると下へと降りて、リムルルの輪をかけてとろけ
切った秘部に到達する。
「ねぇ、さま・・・ああん!」
「まだ何もしてないでしょ?なのにそんな声出して。それにこんなに濡らして・・・・・・」
「だ、だって・・・だって」
リムルルのもじもじとした可愛い声を聞きながら、レラは指先にまとわり付いた妹の愛蜜
の感触を確かめるように指を動かした。
541前スレ64:04/11/08 18:37:30 ID:wipq17WT
「あぁ、リムルルのおつゆとっても熱いわ。やけどしちゃいそうよ・・・。身体じゅう触った
けど、そんなに気持ちよかった?」
レラは耳元で囁きながら指全部をリムルルの花びらの上に被せて覆い尽くし、くにくにと
大きくこね回した。
「んっ、んっ・・・あぁ〜〜」
「すごい・・・ぐちゃぐちゃね。ほら、聞こえちゃうわ」
ぐちゅ、ねちゃ・・・・・・くちゃくちゃっ。
指を大きく動かすと、途端にねっとりとした蜜のいやらしい音が立つ。
それを聞いたリムルルは首を左右に振り乱した。
「やぁぁ!やめてよぉ・・・」
「あぁ・・・リムルル。いい香りだわ」
さらさらと揺れる髪からは、鼻をくすぐるシャンプーとリムルルの花のような甘い香り。
胸一杯に吸い込むと、リムルルが全身に満たされるようだ。香りを楽しみながら、レラは
リムルルというつぼみが確実にほころんでいくのを感じた。
「ふふ、リムルルも真似してごらん・・・私のここ、同じようにして?」
「ん、うん・・・こう?」
リムルルの小さくて細い指がレラの局部に全部当てられ、めくれ上がった襞と密着する。
レラは期待にごくりと唾を飲んだ。
「そう・・・それで、こうして・・・・・・こね回して?ゆっくり」
「ふあぁ・・・うぁ、ふあぁ!こ、こう?」
レラが示す模範の動きにも、リムルルは相変わらず白い背中をぴくぴくと動かした。
「そう・・・あぁ、いい子・・・気持ちいいわよ」
少し遅れて、リムルルの手もレラの桃色の襞と真珠の上でねちねちとした回転運動を始め、
レラの口からも喘ぎがこぼれる。
「ねえさまもっ、こんなにびちゃびちゃ・・・ああん・・・どお?これでいい?」
「その調子よ・・・リムルルはとっても上手・・・気持ちいいわっ、あぁ!」
「よかった、あっ、いいよぉ・・・はぁ、はぁ・・・レラねえさまのおてて、いぃのぉ」
「リムルルっ、あっ、うふぅ・・・素敵よ、お姉ちゃんも、感じ、ちゃうぅ!」
ねちっこい水音と、とろとろに煮詰められた喘ぎ。そして、お互いの肉の感触。
レラの鋭敏になった全身は、五感で感じられるあらゆる刺激を快感に変えていた。
542前スレ64:04/11/08 18:39:59 ID:wipq17WT
「ねぇっ、さまぁ・・・あああっ、あっ」
「リムルルっ、今度は・・・指でお豆を擦って!こう・・・・・・ほら」
「ひゃあぁん!だ、だめぇ・・・こ、これっ!じんじんするの、するのぉ!」
「そうでしょ、あっ、あぁ!そう、すごぃ・・・お姉ちゃんも、しびれて・・・あン!」
リムルルの上ずった声が耳に心地よく、自分で教えたとはいえ激しさを増していく指の
動きと合わさり、独りでは絶対に感じ得ない幸福感に満ち溢れた快感が止まらない。
レラは脳まで貫く過激なまでの心地よさに、リムルルの背中に自分の乳首を一段と強く
擦りつけ、「二人」で乱れられるところまで乱れようと叫ぶ。
「リムルル、あんっ、いい・・・!もっと、もっと自由に触って・・・あぁぁ、お姉ちゃんの
いやらしい、いけないここ・・・ぐちょぐちょにしてぇ!」
「ふあぁ・・・あぁ、あぁ・・・はぁはぁ、うん、わかった・・・」
被虐的とも取れる姉の言いつけを守るべく、リムルルもまた、身体の真ん中でどんどん
膨らみ続ける快感の塊と背中を突く姉の硬い乳首の感触に悶えながら、レラのそこを
擦ったりかき回したり、手の動きに変化をつけていった。
「あーっ、そう、あぁ!ふあっ、あふっ、あン、あっ、あっ!いぃよリムルルぅ!」
打ち寄せる快感の波に理性を削がれ、徐々に視界にちかちかと光るものを感じるように
なったレラも、リムルルの芽を指先でくいくいと下から擦り上げる。
「ひゃあぁん!あっ、あっ、それだめぇ、ひい・・・ぃ!ひゃぁああ・・・あ・・・!」
包皮の下で息づく敏感すぎるリムルルのそこは、いつの間にか少しだけ顔を出すまでに
膨張していた。姉と同様に美しく淫らに輝く小粒の真珠に、時折濡れた指先で直に触れ
られては、リムルルはさらに水かさを増していく快感に溺れ、悲鳴を上げてしまう。
「あーっ、あーっ!ねえさまだめぇ、きもちぃ・・・すご、い・・・ふあっ、ふああっ!」
リムルルは淫らなダンスを踊るようにレラの脚の間で左右に身をよじり、背中に押し付けた
柔らかな胸をぐにぐにと刺激した。
543前スレ64:04/11/08 18:40:28 ID:wipq17WT
「あっ、そんなに・・・ッ!激し・・・あっあっ、うぅ、ふぅ、ふぅうん!」
レラは律儀なぐらい鋭どく反応し、喘ぎ声を一段と高くしていく。幸せな瞬間が迫って
いるのだ。リムルルが叫ぶ。
「あんっ、レラねえさまぁ、もう爆発しちゃう?!きもちぃの爆発しちゃうのぉ?!」
「だめ、ああっ!そうよ来るの、また、また来ちゃうの!おねえちゃん・・・来ちゃうの!」
「爆発、して!レラねえさま、もっともっと・・・こするから、さわるからぁ・・・だから
きもちくなって・・・!」
そう言うリムルル自身も何だか、身体が内側から浮き上がるような感覚を覚え始めていた。
反射的に腰が引けてしまうような刺激もいつしかカドが取れていて、とろけるような快楽
ばかりが股ぐらから生まれている。それが身体を軽くしているような心地とでもいうの
だろうか。
しかし、目も眩むような初体験に投げ落とされ、もがくリムルルには、その感覚が何を
示しているのか、正確に認識する余裕は無かった。ただただ、気持ち良かった。
「レラねえさま、レラねえさま・・・こうだよね?あぁっ、こうでいいんだよね?」
「だめよ私だけなんて・・・リムルルも、もっとほら、ほら・・・いっしょに、一緒にっ・・・!」
「やだっ、ひゃ、あ、それ、そこだめだよっ!うわっ、あっ、きもちぃの!いっぱいぃ!」
二人がお互いの淫らな真珠に擦りつける指の動きは、激しさの一途を辿っていく。
「ああっ、ふぁ、レラねえはまぁ・・・ふあぁ、ひぃん、いっ、きもちぃ、いぃ、いぃよお・・・」
リムルルは、敏感な肉の豆を覆う皮の上から小刻みに震える姉の指に攻められつつ、少し
飛び出た部分を蜜にまみれた爪先で時折撫でられる度に、緩みきった口元から喘ぎを漏らし
汗を輝かせた。
そして軽くなってきた自分の身体の奥で光を放ち出した、異常なまでの快感の塊をぐんぐん
膨らませていった。
「リムっ・・・・・・ルルぅ!そうよっ、そう、それ、そこぉ!ああああっ!あぁ!来るぅっ!」
対してレラも、愛するリムルルの腰が自分の愛撫に合わせ、時折浮き上がるような動きを
しているのを後ろから眺めながら、その妹の細い指先が遠慮無しに局部へと送り込む繊細な
愛撫に、身を焼き尽くす絶頂の瞬間を前にして何とか踏みとどまっていた。
544前スレ64:04/11/08 18:41:28 ID:wipq17WT
「リムルル・・・リムルルぅ・・・」
「あぁぁ・・・あーっ、あっ・・・ねぇはま、ねえさまぁ・・・あぁ、あぁっ」
――リムルル・・・もう少し、もう少しよ・・・!
閉じる事さえ出来なくなった口から「漏れ出している」という表現がぴったりの可愛い喘ぎ。
上気した背中を伝う汗。
ひくつくお尻の筋肉。
くらくら揺れる小さな頭。
首筋から漂う甘い香り。
より一層深く、レラの手業に酔いしれていくリムルルはまさしく、自分の手の中に包まれて、
一枚、また一枚と純白の花びらを広げていた。
――あぁ・・・・・・咲いて・・・リムルル。

花びらを・・・・・・お姉ちゃんにちょうだい。

「あぁーっ、あっ!ねぇさまっ!きもちぃよ、きもちぃのがいっぱいで、わたしっ!なんか、
なんかふわって、あぁ、きもちくて、ふわって、ふわ・・・って、へ、変・・・っ・・・」
「あっ、リムルル、そう、もっともっと、どんどん・・・感じて!気持ちよく・・・あぁ・・・
リムルル、好き、好きよぉ・・・一緒に、一緒に・・・」
「ふぁって、あっ、あっ、ふぁってするぅ・・・くぅぅ・・・レラねえさまぁ〜・・・」
もう何を言っているのかは分からないが、レラの優しい声だけが頭の中で響いている。
白い湯気なのか、それとも雲の上なのか、不思議な世界が目の前に広がっていく。
――なんだろう、きもちいい・・・すごく・・・ここ・・・・・・きもちいいよぉ・・・
裸の全身を包み込んだ、とろけるような安心と心地のよさにリムルルは夢でも見ている
気分だった。
そんな夢見心地のまま、リムルルはレラに抱き寄せられた姿勢で大きく脚を開き、初めて
触れた真珠と花びらをとろとろの蜜で彩って、真っ白な世界へと昇っていく。
「リムルルぅ、リムルルぅ!あっ、あっ、あっ!来るっ!来るよ、おねえちゃんも来るぅ!」
力無く緩んでいく声と、預けられた細い身体の震え。
自分とは反応こそ正反対だが、リムルルがしっかりと初の絶頂を極めつつあるのを見届け、
レラも快感に歯止めを効かせることを止め、一気にリムルルの後を追う。
545前スレ64:04/11/08 18:42:09 ID:wipq17WT
――あぁぁぁ!幸せ・・・・・・!もう、どうなっても構わないッ!!
リムルル全てから与えられる激しい快感と悦びに、レラは心の中でさえ雌の鳴き声を上げた。
「ふぁ、ねぇさま・・・ふああ、あ、ひゃ・・・わたしぃ・・・ふぁって・・・する、のぉ」
「リムルル、リム・・・あっ、ぅ、く、くぅ・・・う・・・・・・くぅッ!く・・・るッ!」
「あっ・・・らめぇ・・・・・・あっ・・・・・・あ、あ、あ」
幸せな表情で腰を揺らすリムルルの中、膨らみ切った快感の塊が、甘く白い世界に眩しい
光を放った。そしてついに快感の塊は音も無く弾け、リムルルはまばゆい光の中、空に
向かってふわりと飛翔する。
「ふあぁ、あ・・・ふぁ・・・・・・・・・あっ、あ〜〜〜〜・・・」
ぴくっ、ぴくっ、ひくん・・・・・・・・・ひくん。ひくん。
殻を破った塊から、絶え間ない快感の高波が押し寄せる。
リムルルは天井に向かって恍惚の笑みを浮かべながら、レラの胸の上で身体を小さく
何度もひくつかせた。
「リムっ、あっ、あっ、あっ、くっ・・・き・・・・・・ああぁぁぁぁ――――・・・・・・!」
がく・・・・・・がくがくっ!
風に乗って飛んでいく花びらを追いかけるようにして、レラもまた、計り知れない絶頂の
高波に飲まれ、リムルルに抱きつきながら大きくその身を幾度も跳ねさせた。

二人は同時に、湯気の中に白い花を咲き誇らせたのだった。


・・・・・・


・・・


「リムルル・・・・・・」
長い長い、幸せの時間だった。
二つに重なった弾む息だけが聞こえていた風呂場に、ようやく絶頂から解かれたレラの、
緩んだ呼び声がひとつ響いた。
546名無しさん@ピンキー:04/11/08 18:42:45 ID:iJTFGlNt
神降臨保守
547前スレ64:04/11/08 18:42:57 ID:wipq17WT
「リムルル・・・?」
「はぁ・・・ぁ・・・・・・はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」
「え?リムルル?」
「ッ、うぅ・・・・・・はぁ、あ・・・・・・っ」
しかしリムルルは呼びかけに応じなかった。ぐったりと全体重をレラに預けたまま、息を
整えるのに精一杯といった様子で、しかもまだ時折肩を小さく痙攣させている。
「リムルル?ちょっと?」
「はぁ・・・・・・あっ・・・・・・あっ・・・・・・はぁぁ・・・・・・」
何度呼んでも一緒だ。脱力しきって傾いた首の上の表情は恍惚としたままで、虚ろな眼
はおそらく何も見えてはいないだろう。リムルルはまだ、絶頂の世界に迷い込んだまま
らしい。
「や、やりすぎちゃったかしらね」
少し反省しつつ、レラはわななき続ける細い肢体をぎゅっと抱きしめ、冷えないように
リムルルを守りながら回復を待つことにした。
「・・・・・・」
言葉をかける相手を失って、レラは黙って天井を見やった。
興奮が冷めつつある身体からはほてりが湯気の中に逃げていって、水滴と汗に濡れた肩の
辺りから肌寒くなってくる。もたれ掛かる背の後ろには、ほかほかのお湯が用意されて
いるのだから、とりあえず手ですくって肩の辺りにでも打って置けばよいはずだった。
少なくとも、普段のレラだったらそうしたに違いない。
だが、そんな現実染みた解決法など今は必要なかった。
「リムルル・・・・・・」
今宵確かに摘み取った、熱く燃え続ける一枚の白い花びらが持つ名前。
胸の中で小さく震えながら息をしている、その細い身体の温かさと存在。
「戦士」の身体が冷えれば冷えるほどに。大きく、温かく。真ん中から。
リムルルの命が、愛する者の命が、傷つき恐れをなした「戦士」の心を癒してくれる。

夢見心地。

願わくば、いつまでも。いつまでも。
548前スレ64:04/11/08 18:50:39 ID:wipq17WT
うーむ、ちょっと20レスオーバーを一気にうpするのはアレかと思ったのですが、
>535氏のおっしゃる様に確かにこれじゃあんまりだし、>536氏にムッコロされるのも
イヤなのでw、続きも全部うpしますた。
以上、長すぎたお風呂も今回で最後。しつこいエロ描写好きが高じてこんな長丁場に
なってしまいました。もっと短くまとめる努力が自分には必要なようです。

何だか色々な感想ありがとうございました。励みになります。正直、感動モンです。
復帰は来月を目標にしています。再びエロから遠ざかりますが、頑張らせて下さい。
あとは他の職人方の降臨を待つばかり・・・。賑わいを取り戻したいところですね。
549名無しさん@ピンキー:04/11/08 22:08:10 ID:Vy8XsoS9
(*´Д`)ハァハァ/lァ/lァ/ヽァ/ヽァ
神様最高でしたありがとう
550名無しさん@ピンキー:04/11/09 18:43:48 ID:BlYrsd1l
日常パートも好きだから問題ナッシン
551名無しさん@ピンキー:04/11/09 18:56:27 ID:BlYrsd1l
しかし、これだけ騒いで何故に兄さまは気づかないのかw
552名無しさん@ピンキー:04/11/09 21:13:05 ID:oUS7W7PC
にいさまは・・・…・・・

 1:寝ていた
 2:出かけていた
 3:盗み聞きしていた
 4:その他(   )
553名無しさん@ピンキー:04/11/09 21:14:40 ID:ts29aIRr
4:その他(自家発電中)
554名無しさん@ピンキー:04/11/10 01:28:36 ID:8zeYV5g6
言うと思ったw
555名無しさん@ピンキー:04/11/10 21:41:13 ID:88xZqAWN
64様のほのぼのネタが好きだから、
ちょっと辛かった。
興奮したけど
556名無しさん@ピンキー:04/11/11 23:34:37 ID:TXlo4/6D
史上まれに見る神
557名無しさん@ピンキー:04/11/15 01:02:08 ID:qUIFnDwM
ほしゅ
558名無しさん@ピンキー:04/11/18 19:29:23 ID:AVhCCIIE
保守
559名無しさん@ピンキー:04/11/19 00:42:18 ID:GKEjIlnk
保守・2
560名無しさん@ピンキー:04/11/19 23:35:57 ID:kzH4miiN
過去ログを見直したら、リムスレが立ったのが03/11/14。
そっから数えればサムスピ@エロパロも早一周年か。
561名無しさん@ピンキー:04/11/20 01:21:43 ID:5fo130W7
そうか、じゃあここで改めて神々に御礼を申し上げます、

いつもありがとうございますm(_ _)m
204氏、お帰りをいつまでもお待ち申し上げております
562名無しさん@ピンキー:04/11/23 20:29:50 ID:gG71Io7U
保守
563名無しさん@ピンキー:04/11/24 16:35:50 ID:X55txSUo
昔保管庫でリム×ナコを読んだ
でも今は無い
誰かどこ行ったか知らないだろうか…

それともアレは俺の見た白昼夢…?
564名無しさん@ピンキー:04/11/24 23:09:22 ID:A2vtqYHu
>563
オリジナル部屋の「純愛SS」の中に収録されてるものではないだろうか。
565名無しさん@ピンキー:04/11/24 23:23:15 ID:X55txSUo
>564
サンクス!


それにしてもなんであんなとこに…
566名無しさん@ピンキー:04/11/27 16:12:29 ID:MPMZY+Zt
hoshu
567名無しさん@ピンキー:04/11/29 00:11:55 ID:UKxxafpa
前スレ64様。いつも小説を拝見させていただいてます。本当にGJ以上の描写に感動しています。
えっと勝手を承知で64様のストーリーを見てちょっとオリジナルの伏線を作ってみました。
前々からコンルを主体とした物語を作りたいと計画していたので、
64様のストーリーを見て「コンルがリムルルと出会うまで」の経路を作ってみようと決意しました。
もしも64様が、「ネタを取るな」って思いでしたらすぐに言ってもらえれば止めますので。

名無しさん達には申し訳ないのですが主役はリムルルではないので見たくない人はスルーで。
後、描写がかなり下手なのでご了承下さい。
568新人567:04/11/29 00:13:37 ID:UKxxafpa
彼女を牢屋から逃がした。しかし私の力は限界に達していた。

賭けるしかない。こちらの世界で姿を保つことが困難になる前に・・・

ある人が彼女を守ってくれると信じた。きっと守ってくれる・・・



「コンル?君の名前はコンルって言うのかい?」

「はい。正確には(コンル)と言う名前を付けてもらったというべきでしょうか」

「誰に?」

「勿論、私の主であり友達であるリムルルと言う女性です。」
569新人567:04/11/29 00:14:29 ID:UKxxafpa
「よし、じゃあ俺がそのリムルルって子の居場所まで連れてってやるよ」

「はい!宜しくお願いします。」

「俺もどんな娘か知りたいしね。きっと強い娘なんだろうね・・・」

「いえいえ、これから成長していく人ですよ・・・」



「コンルゥ!まだだ!まだ終わってない!」

「決着をつけましょう。私自身の問題、そして私の戦いを「過去」は勿論、「現代」にまで巻き込む事は許されません」


サムライスピリッツ外伝 もうひとつの物語
570新人567:04/11/29 00:15:06 ID:UKxxafpa
「何てひでえ雪だ。天候は最悪。全く持って最低な日だよ」
最高に悪天候の今日、とにかくバイクを走らせて自分の家のアパートに帰る事だけを考えていた。
時間は夕方。まもなく今日が終わろうとしていた。
大学レポートも提出完了、後はアパートに帰るだけ・・・のはずだった。
「俺は夢でも見ているのか?」
自分の自宅前に一人の女性が倒れていた。背は少し高く、白く透き通るような肌を、
白い下地に水色の刺繍を施した、豪華な晴着で包んでいる。
背の高さを強調する流れるような体のラインには、女性らしさを 演出する豊満な胸がたわわに実り、その胸元には、数珠状の ネックレスがきらりと輝いている。
見た目は優しそうなお嬢さんといった雰囲気を漂わせている。
「って、彼女の特徴を語ってどうするんだよ俺」
とにかく女性に声を掛けてみる。しかし返事がない。このままじゃ凍死してしまう。
「はあ、しょうがないなあ。何だかドラマ見たいな展開だよ。」
仕方なくバイクから降りて女性をおぶってアパートに運ぶ。部屋を綺麗にしておいて良かったよ。汚かったらヤバかったかもしれない。
彼女をベッドに寝かせて、何かをするわけでもなくぼーっとする。することがないからだ。
その時電話が鳴った。着信相手を見る。
「・・・姉貴かよ」
571新人567:04/11/29 00:15:54 ID:UKxxafpa
特に何もする事もなかったので電話に出る。電話から第一声の声が聞こえてきた。
「よっ!彼女いない歴20年。おめでとう〜〜」
「・・・姉貴。それしかないんなら切りますよ」
色姉さん。俺よりも一つ年上で現在、他県で就職中である。暇があれば電話をかけてくる人である。
「で、冗談はさておいて先週はあんたの家に泊めてもらって悪かったね。
一人で生活するのも楽じゃないのにわざわざ私の分まで準備してくれて・・・」
実は先週、俺の県で仕事の研修があったらしく、色姉さんは2、3日俺の家を寝泊まりにしていたのだ。
「それは別に構わないけど、姉貴、お願いだからあなたが持ってきた着替えを俺の家に残さないでくれよ〜」
実は姉貴、俺の家に来た時に着替えの準備をしたのはいいが何と持って帰るのを忘れていってしまったのだ。
しかしこの県でお気に入りの新しい洋服をちゃっかり買っていってるし。その洋服はちゃんと持ち帰っているのだ。
普通、逆じゃないのか?
「まあいいじゃん。時間があった時に取りに行くからさ。それに何かの役にたつかもしれないじゃん」
572新人567:04/11/29 00:17:28 ID:UKxxafpa
「何の役に立つんですか!」
そういうと姉貴は自信満々に答える。
「例えば女性限定の店に入る時に女装して入ったり、学園祭の出し物で女装に変装してみんなを笑わせたり」
「女装限定かよ!」
マジでやめてくれ。
「おっと、車の運転をしながら電話をしてると罰金を取られるらしいからそろそろ切るわ」
「危ないからやめましょうね。姉貴」
「じゃあ今度からメールだけにしておくか」
「メールはもっとダメです!」
573新人567:04/11/29 00:18:15 ID:UKxxafpa
冷蔵庫を開けてみる。まあ今日の分はあるだろうな。彼女の分も考えてギリギリだな。
彼女はまだ眠ったままだ。このまま目を覚まさなかったらどうしよう。
そう考えながらもキッチンに行き簡単な料理を作り始める。
何故か出来上がったのはご飯と味噌汁と玉子焼き。
「何か夕食なのに無難な料理だよな」
そう思いながら、部屋に戻って彼女が起きるのを待つ。飯は彼女と一緒に食べてもいいかもしれないな。
「俺も暇な人間なんだな・・・」
「う、う〜ん・・・」
「?」
不意にかすかな声が聞こえた。もしかして・・・と思い俺はベッドに視線を向ける。
すると彼女がびっくりしたように起き上がった。状況がしっかりと飲み込めていないらしく俺の顔を見て驚いている。
「こ、ここは?もしかして夢の世界ですか?」
「おいおい、寝ぼけているのかい?ここは夢でも何でもないぞ」
第一声が夢の世界って随分と面白い事を言う女性だ。すると彼女が驚いて俺に尋ねる。
「あなたには私の本来の姿が見えるのですか?」
「本来?姿も何もその姿が君の姿じゃないのか?」
「そうですか・・・この姿は本来、人間の夢の中でしかなれないはずなのに。どうしてこの現実世界で・・・」
574新人567:04/11/29 00:20:14 ID:UKxxafpa
この人は何を言っているんだ?す、すごい独り言を言ってるし、大丈夫なんだろうか・・・
「恐らく彼女を牢屋から助け出した時、封印した力が戻ってしまった。限界まで氷の力を使い過ぎたから・・・」
「だ〜〜ちょっと落ち着いて!」
俺はしびれを切らした。これ以上彼女の独り言に付き合っていたら気が変になるかもしれない。
「まあ、混乱している気持ちも分からない事はないけど、まずは・・・」
「まずは?」
彼女も首をかしげて尋ねてくる。その時きゅ〜〜と俺の腹の虫がなった。思わず赤面してしまう自分。
「まずは、飯を食べてからにしないか?君の分も作ってあるからさ」
「えっ?」
そういって簡単な手料理を彼女に差し出す。俺の作った料理をまじまじと眺めながら申し訳なさそうに彼女が答える。
「お気持ちは嬉しいのですが・・・」
「遠慮なんてしなくていいよ。たいした料理でもないから・・・」
本当に簡単な料理だった。お世辞のいい様がないくらいシンプルな料理だ。
「私、普段は氷を食べるんです。あなたが作ってくれた物も食べられない事もないのですが・・・」
575新人567:04/11/29 00:21:14 ID:UKxxafpa
「な、なんだって?」
氷を主食にしてるとはっきり彼女は言った。こんな変わった女性始めて見たぞ。
「氷以外のものを食べると体の調子がおかしくなるです。でも氷と一緒に食べると大丈夫なんですよ」
何か食べる時は最低、氷がないとダメなのか?うむむ、ますます変わった女性だ。
「ゴメンなさい。ワガママを言ってしまって」
「・・・」
「?」
ふと無言になった俺を見て彼女は首をかしげる。
やっぱり怒っているのかと思い込んだのだろうか。彼女の表情が少し暗くなる。
「よし!ちょっとここで待っててくれないか。今から氷を買いにいってくるよ」
「えっ?」
それに驚いた彼女が俺の顔を見る。
「待ってな。すぐに戻ってくるから」
「あっ・・・」
止めようとする彼女をよそに俺は自宅を出た。まあコンビニは近くにあるからそう時間も掛からないだろう。
俺は走ってコンビニに向かった。雪は既に止んでいた。田舎に住んでいるとはいえコンビニが近くにあって良かったと思う俺。
学生にはホンマに助かるよ。スーパーまでとはいかなくても必要最低限のものは揃っているし。
学生生活も色々と楽しいし、レポートも終わったし、明日はゆっくりと休めそうだ。
そういえば彼女は何処に住んでいるんだろう。後で聞いてみるか。
などと言ってうちにコンビニに到着した。さて、氷を探してみるとするか。
576新人567:04/11/29 00:21:47 ID:UKxxafpa
「はぁ・・・」
私はため息をついていた。ここは夢の世界ではない。では、何故自分はこの姿をしているのだろうか。
この姿は絶対に現実の世界ではなってはいけない。やはりあの時、リムルルを牢屋から助けた時に封印が解けてしまったんだ。
力も限界に達していた。もしこの姿がずっと続いてしまったら・・・
掌の上に力を込めて見た。氷の力を出す事が出来た。しかしそれは危険な力。
「この力は二度と使いたくなかった。しかし、もうどうする事も出来ない・・・」
窓の外をゆっくりと眺めていた。辺りには雪が積もっている。カムイコタンもちょうど雪が降っている季節だった事を思い出す。
「この姿がずっと続いてしまったら大変な事に。リムルルと再会するまでに何とかしないと・・・」
とにかく自分が置かれている立場が分からない。間違いないのは、ここは私のいる「過去」ではなく「未来」の世界。
彼が帰ってきたら聞いてみよう。
「まさかこの「現代」にまでアイツが復活しなければいいのですが・・・」
577新人567:04/11/29 00:22:30 ID:UKxxafpa
「まいどありがとうございました〜」
氷の袋を二つ分買って来た俺はすぐに帰路へと向かう。ちゃんと大人しく待っているだろうか。
帰路の途中で不気味な男が座っていた。血に染まったような刀。床屋にもいってなさそうなボサボサ頭。
暗闇で人気も全く無い道端。
いかにも悪党そうな顔つきの男がこっちを見ていた。刀を持ってるなんて何か危ない奴だな。
関わらないようにした方がよさそうだ。そう思って俺はその場を後にしようとした。
「オイ、何無視してやがるんだ。ヘッヘッヘ。そんなに俺が怖いってか?」
向こうから勝手に声を掛けてきた。何処かのチンピラだろうか?刀を持ってるからヤクザだろうか?
「この時代に来てみりゃ、どいつもコイツも俺にびびって殺しがいのないクズばかり。貴様が始めてだぜ。俺を見てびびらなかったのは」
「・・・」
男の話を無視して俺はその場を後にした。変人野郎の話にはついていけねえ。
その時だった。頬に痛みが走った。後ろを見ると俺の首に刀を突きつけ、さっきの男がこっちを睨んでいた。
578新人567:04/11/29 00:23:11 ID:UKxxafpa
頬からは血が流れていた。一瞬背筋が凍りついた。下手に刺激したら殺される。
「何無視してやがるんだ。しまいにゃ一瞬で殺すぞ。ヘッヘッヘ怖がれよ」
「分かった。アンタの言うとおりにするから、命だけは助けてくれ」
武器を持った奴に何をされるか分からない。慎重に言葉を考え命乞いをする。
「じゃあ、俺様の質問に答えろや。てめぇ、覇王丸って奴を見なかったか?俺みたいな格好をしてやがるんだがな、くっくっく」
覇王丸?何処の時代の人間の事を言ってるんだ?勿論知ってるはずが無い
「いや、見なかった」
「そうかい、じゃあ死ねや」
ちょっと待て。いきなりそういうオチかよ。冗談じゃない。殺されてしまうじゃないか。
焦った俺は咄嗟に、刀を振り上げてようとする男の金的を蹴り上げた。
当然刀を振り上げようとしていた為、下半身はがら空きであった。鈍い一撃が走る。
まともに受けた男が悲鳴をあげる。まさに断末魔のような悲鳴だった。
「う、うぎゃあああああああっ!!!!」
579新人567:04/11/29 00:23:45 ID:UKxxafpa
「先手必勝!」
言うが早いか俺は一目散に逃げ出した。捕まったらマジで殺される。暗闇の中俺は一気にダッシュする。
念には念を入れてさっき買って来た氷の袋(一袋だけ)をアイツの足元にばらまいてから・・・
「ま、待ちやがれ。ぶっ殺してやる!めちゃめちゃに切り刻んでやる」
怒りに燃えた男が追いかけようとした。その時足元の氷に足を滑らせる。
「ぎゃあああっ!!!」
くるりと一回転して転ぶ男。転んだ拍子に刀が宙に舞い上がる。
「許せねえ。てめえ本気で殺してやる」
ようやく立ち上がって再び俺を追いかけようとする。次の瞬間刀が男の頭に当たる。
「おうっ!」
幸い刃の部分ではなく峰打ちの部分だったので致命傷には至らなかった。
しかし頭に当たった一撃でバランスを崩し再び足元の氷の足を滑らせる。
「ち、ちくしょう。ちくしょう。てめぇ!!!俺は、俺は諦めんぞぉぉぉ!!!!」
俺の後ろから何やら捨て台詞見たいなのが聞こえてきたがどうでも良かった。
とにかく逃げる事だけを考え俺はその場を後にした。
580新人567:04/11/29 00:24:38 ID:UKxxafpa
結構必死で走ってきた。さすがにここまで来ればもう大丈夫だろう。
ほっと胸を撫で下ろし、歩くのをやめて徒歩で歩き出す。
アパートまで後少し。彼女を待たせる訳にはいかないな。



アパート近くに着いた。そして俺は入り口前で彼女を見つける。
「おかえりなさい。わざわざ催促をさせて申し訳ありません」
「もしかしてずっとここで待ってたの?」
「はい。あなたが出て行ってしばらくしてからずっと帰ってくるまで待ってました」
そういうとにこっと笑顔で俺の顔を見る。かわいいなあ〜〜〜
「・・・じゃなくて!!」
俺は咄嗟に彼女に尋ねた。
「ずっとここで待っていたって、こんな寒い夜になんて無茶な事を・・・」
「そうですか?私はこれくらいの寒さは何てことありませんよ?」
嘘偽りの無い言葉で彼女は答える。冗談じゃない。今日は天気予報で気温は三度しかないって言ってたのに。
よく考えてみたら、さっきの男、全然寒そうな顔をしていなかったな。あれは異常だな。もう、人間じゃねえよ。
581新人567:04/11/29 00:25:09 ID:UKxxafpa
「とにかく、今日の天気を見れば分かると思うけど、凄く寒い日なんだよ。こんな天気で寒くないって言ってたら人間じゃないよ」
すると彼女の口から信じられない言葉が返ってきた。俺はその言葉を聞いて耳を疑った。
「あなたには信じられないかもしれませんが私は人間ではないのです」
「ヘッ?」
何を言い出すんだ?自分は人間じゃないって。ぼ、ボケているのか?
「私は、あなたに分かりやすくいえば「精霊」と呼ばれる存在なのです。氷の・・・
そしてもう一つ信じられないかもしれませんが私は「過去」の時代からやってきたのです。
あなたの時代よりも数百年前の時代から・・・」


ふとした事で自宅前に倒れていた謎の女性。
後に彼女の存在が俺の中で大きくなっていく事をこの時の俺は知るよしも無かった。
だが、奇想天外な彼女の告白よりも先に訴えたい事があった。
「はーーっくしょん!!!」
「!!!!!!」
突然の大声に彼女もビックリしていた。無理もない。彼女の前でくしゃみをしてしまったのだから。
こんな寒い外で立ち話をしてたら風邪をひいてしまう。
とにかく話の続きは家で聞きたかった。ゆっくりと・・・
「うふふ・・・誰かがあなたの噂をしているのですね」



頼むから真顔でそんな天然を言わないでほしい。そう思いながらため息をつく俺がいた。
582名無しさん@ピンキー:04/11/29 00:50:43 ID:WMXOkZAr
>もしも64様が、「ネタを取るな」って思いでしたらすぐに言ってもらえれば止めますので。

また荒れるような素を・・・
あのな・・・そんな事言えるわけないだろう
583名無しさん@ピンキー:04/11/29 01:11:52 ID:JVQOmAng
大丈夫、面白い。
続きを待ってます。
584前スレ64:04/11/29 14:51:59 ID:zQV5sDSh
>567氏
( ;゚Д゚)オォ……奇跡だ!

何というか、もう「感謝してます」としか言い様が無いです。
まさかコンルを動かして頂けるとは。しかも並行した時間の中で!
嬉しい。567氏、本当にありがとう。すごーく良い刺激になります。
今後こっちでもコンルの出番はありますが、そんなの気にせず
ガッツンガッツンやって下さい、期待してます!
585名無しさん@ピンキー:04/12/02 17:21:40 ID:+IYMcYYQ
保守
586前スレ64:04/12/02 22:50:07 ID:/YEB/Oyt
小さな物音に気がついて、俺は暗闇の中に目を覚ました。
部屋が暗い。まだ夜明けの遠い時間らしい。がさがさとした物音は夜に静まり返った外
からではなく、俺が眠っていたコタツの横、リムルルとレラさんが仲良く揃って眠る布団の
方からだった。
昨日俺は結局、テレビを見ていたらすぐに睡魔に襲われ、リムルル達が風呂から戻るのを
待たずにコタツにはまったままぶっ倒れて眠ってしまった。夜中に起きると、枕代わりに
座布団を頭の後ろに挟まれ、コタツから出ていた肩には余ったタオルケットを被せられて
いた。食器やら何やらは、全部きれいに片付いていた。
そのまま二人が縦にした「二」の字になってちゃんと布団の中で眠っている事を確認し、
戸締りを確認して再び床に着いた。だから、これが二度目の目覚めと言う事になる。
コタツに身体を突っ込んだまま、ころんと音の方へ頭を転がしてみると、二人が眠って
いた布団の足元に立った人影が、下半身だけ白く強調されて浮かび上がっているのが見えた。
上半身が動いているのも見えるには見えるのだが、得に腰から下だけが白い残像を俺の
目に残しながら動いている。
――ん〜〜?幽霊?まぁ最近は色々あるからね・・・・・・カムイとか魔界とかね。幽霊とかも
スタンダードだね。むしろノーマル。いやデフォルト。
寝ぼけた頭ですっかり非日常を受け入れながら、俺は闇に慣れつつある目で、部屋に立つ
白い人影に目を凝らした。
途端、俺はばちーんと脳のスイッチをONに叩き込まれ、一気に完全な目覚めを迎えた。
――ややっ、やややあ?!
白い白いと思っていたのは幽霊どころか、背中をこちらに向けた女性の――昨日から同居を
始めたばかりのレラのお尻と脚だったのだ。目をぎょろんと動かして布団の頭の方を見れば、
布団の中で眠っているのはリムルルだけだった。
――やべやべやべ!つーかレラさん何してるんだ?着替え?ストリッ・・・・・・馬鹿か俺は!
ストリップなんぞ本物は見たことも無いし、阿呆としか言いようの無い発想だったが、
俺の「男の頭」に、直感的にそう思わせるだけの艶かしさがレラにはあったと断言できる。
587前スレ64:04/12/02 22:51:34 ID:/YEB/Oyt
――すげぇ・・・・・・何つーか美しい!
とにかく肌が美しい。明かりの無い部屋だからこそ特にそう見えるのだといえばそうだった
かもしれないが、部屋に存在する、ありとあらゆる光をそこに集めていると感じさせる程の
きめ細かい肌だった。
そして丸く切り抜かれた張りのある足腰と、初めてリムルルと会った時と同様、下着を
何も着けていない突き出たお尻のシルエットは、まるで女神のようだ。
――目を避けろ。蹴られます。あの足に。下手すれば斬られます撃たれます。あああ、
無理だ。これを見逃すなんて――というよりもこれを見つつ死ねるなら本望・・・・・・ッ!
男を魅了して止まない絶対的な女性の肢体の美しさに、俺は理性の天秤を完璧に煩悩側へと
傾かせ、息をする事さえも忘れて釘付けになっていた。
のぞきも同然だったが、どうしても目を離す事は出来ない。背中を向けているのだから、
こちらを振り向いた瞬間に目を閉じればバレようが無いし、俺は起きてから悟られるような
音を一つも立てていないから、起きたとも思われているはずが無いという事もあった。
俺は気持ちを都合よく騙し、観察を続けていた。
二本の長い脚が交互に動く。布団の横をしずしずと歩いている。その向かう先に置かれて
いた黒いズボンを手に取ろうとレラがその場にしゃがむ事でお尻がこちらに突き出され、
流麗なラインがさらに強調される。明かりがついていたとしたら、下手すればあんな部分
やらまでも見えそうな状態である。
そしてレラはズボンを両手で拾い上げ、ぱたぱたと二回ほど手で払い、右足を上げて、
「コウタ、起きてた?」
抑揚を抑えた声を発した。
もう俺は堪忍するしかなかった。隠したところでもっと酷い事になるだろう。
「・・・・・・はい起きてました」
「見ていた?こっちの方」
ズボンを穿きながら、さっきとなんら変わらない小さな声でレラが問う。
「すんません。ごめんなさい。物音したんで、つい・・・・・・」
俺はコタツの中に沈みこみながら、さしあたって腕一本と肋骨二本程度を覚悟した。
そうこうしているうちにもズボンが雪のように白かった肢体を多い尽くし、闇色の服が
レラの後ろ姿を忍者のごとく闇に溶かす。
そしてレラは女も男も関係ない、リムルルを越える最強の戦士へと変身した。
588前スレ64:04/12/02 22:52:25 ID:/YEB/Oyt
次の瞬間には俺の上に馬乗りか、コタツから引きずり出されて関節技か、それとも。
だが、覚悟に反してレラは背中を向けたままそこから動かなかった。
その代わり半分だけ顔をこちらに向け、見えない唇を動かして言った。
「コウタ、私の身体は・・・・・・」
「は?」
「私の身体は、どんなだった?」
「は、はぁ?」
蹴るでもなく、のしかかるでもなく、代わりに飛んできたのは意図不明の質問。
「何を言って・・・・・・?レラさん、どんなって、どういう事ですか?」
転がったままコタツの中で身構えていた俺はよいしょと起き上がり、意図不明な質問を
逆に聞き返した。
レラは手近のハンガーに吊るしていたマントのような外套を掴み、肩に引っかけながら
こちらを振り向いて、神妙そうな顔つきから一転、切れ長の目を細めて薄く笑う。
「何でもないわ、気にしないで。それより寝起きいいのね、あなた」
「いやそれは、無理もないというか、だって」
「しっ。あの子が起きちゃう」
レラは真剣な面持ちでぴたりと人差し指を俺の口に当てて、大きくなりかけた声を封じた。
リムルルを見ながらうんうんと大げさに頷くと、レラは俺の口から指を離し、表情を再び
和ませる。
「ごめんなさい・・・・・・。本当に、何でもないの。変な事をして悪かったわ。忘れて」
そうとだけ言うと、レラは台所に向かって身を翻した。
「さあ、約束どおり修行を始めるわよ。水をもらうわ。待ってるから、早く着替えて頂戴」
「はい、わかりました」
「コウタ、風邪は?」
「おかげ様で」
「そう」
短いやりとりを遮るように、たぱたぱとステンレスの洗い場を叩く水道の音だけが聞こえ、
鈍い銀色をした細い水の筋に向けてレラがガラスのコップを傾ける。
589前スレ64:04/12/02 22:53:11 ID:/YEB/Oyt
――どういう事だったんだろか。
スウェットとジャージを着込みながら、俺はさっきの出来事を思い返した。
言い方は最悪でしかもオヤジだが、俺が知る限りの最大級の賛辞をレラに送るなら、まさに
あれは「いいケツ・いい脚」だった。
文句なしだった。プレイボーイの表紙だって飾れる。あの脚線美を手に入れるために、世の
女性がどれだけ苦労し、そして挫折していることか。
なのにレラが謝った時に見せたのは、何かを半ば諦めたような感じの物悲しい笑みだった。
加えて言えば、「変な事をして」とは。わざと下半身を見せたとでもいうのだろうか。
「どんなだった」って、俺に何を言わせたかったのか。
素直に褒めようとしたら止めてと言うし、本当にワケが分からない。寝起きのせいではなく
理解に苦しむ。これぞいわゆる女心なのだろうか。
ぼん、と薄い洗い場の上にコップが置かれる音がして、俺は大きな疑問を解決させぬまま
音の鳴る方へ振り向いた。
「着替え、終わったの?」
「はいっ」
ジャージのジッパーをえりまで一気に上げて、俺はぺんぺんと頬を叩いた。
「それじゃ行くわよ。マキリは・・・・・・今朝はいいわ」
言い残して、レラは靴だけを持って暗い廊下へと消えた。
朝日を待つ狭く暗い部屋に残されたのは、俺とシクルゥとリムルルだ。
――リムルル・・・・・・。
玄関に行ってしまったレラさんには悪いなと思いつつ、俺はどうしてもリムルルの寝顔を
もっとよく見ないではいられず枕元にしゃがんだ。
「すぅ・・・・・・すぅ・・・・・・」
横を向いて可愛い寝息を立てているリムルルは起きる気配さえ無い。黒いまつ毛に飾られた
まぶたは二枚貝の様にぴったり閉じて、楽しい夢を映し続ける瞳を守っているようだ。
「どうしよっかなぁ」
迷っているような台詞だが、この寝顔の前に「起こす」という選択肢が浮かぶはずは無い。
とすると、リムルルは置いてけぼりだ。
590前スレ64:04/12/02 22:54:55 ID:/YEB/Oyt
かと言って、連れて行くのはどうかと思う。眠りを妨げるのがかわいそうなのはもちろん
だし、修行をいきなり見られてどうするのか。リムルルの事だ、きっと「そんな事しなくて
いいよ!」とわめくに違いない。
それに、安直ながら俺にも「男の意地」とかいう物はある。弱い俺をあまり見られたくない。
いつかはバレるにしたって、ちょっとでもレラさんに鍛えられてからの方がいい。その方が、
俺が剣を習うという事に対するリムルルの抵抗も少しは減るかも知れない。
つくづく、優しい子だと思う。
だけど、リムルルのその優しさに頼りっぱなしじゃいけない。
その優しさが、いつリムルルを滅ぼしてしまうかも分からないのだから。
俺はそんなリムルルとずっと暮らす権利を得るために、戦う事を選んだのだから。
――コンルもシクルゥもいるし留守は安心だ。俺はまずこの寝顔を守るよ。だから・・・・・・
「行ってくるよ、リムルル」
柔らかいほっぺにそっと軽いキスを残し、俺は扉の開く音がした玄関に急いだ。


・・・・・・


――おべんじょ・・・・・・行かなきゃ。
カーテンを透かす朝日が昇る直前の早朝。まだ薄暗い部屋の中でリムルルはふと尿意を
覚え、深い眠りから這い出し、貼りついた上下のまぶたをぼんやり半分だけ上げた。
カムイコタンには程遠いが、それでも冬の朝は寒い。この温かな布団を引きずったまま
トイレに行けたらどんなにいいか。それとも、トイレに布団があるのも良いかも知れない。
にいさまにはきっと怒られるけど。
リムルルは、まだ外からの光が殆ど射さないために墨を流したように暗い、見るからに
寒そうな部屋の天井をまだ開き切らない目で見つめながら、そんな馬鹿な事を本気で考え
ていた。
――でもそんなにたくさん布団無いしなぁ。これ引きずっていったら、にいさま寒くて
寝られな・・・・・・あれ?
まだ続いていた妄想の中で、布団を剥ぎ取られてがたがた震えている兄の事を気遣った
ところで、リムルルは昨日、いつ眠ったのか覚えていない事に気がついた。
591前スレ64:04/12/02 22:55:53 ID:/YEB/Oyt
「むにゃ・・・・・・」
――ご飯食べて、レラねえさまと一緒にお風呂に入って、お風呂に入って・・・・・・入って?
長湯でもして、のぼせて目でも回したのだろうか。そこから先がどうも良く思い出せない。
「んんっ・・・・・・」
だが、まだ殆ど眠ったままの頭に浮かんだささいな疑問は、体の奥から再び響いてきた
「おしっこ警報」にかき消されてしまう。
リムルルは渋々ながらもこれ以上我慢はできず、もぞりと布団の横から転がり出た。
途端、しーんと音も無く、冷たい雪のように降り積もった冬の部屋の空気が、薄いパジャマ
から一気に夢心地の暖かさを奪っていく。
「〜〜〜ッ!さむっ、さむぅ!」
さぶいぼがぞぞーっと立ったのが分かって、布団の上にかけられていた兄愛用のどてらを
引ったくり、肩にのせた。
正確には、のせようとして落とした。
「・・・・・・にいさま?」
二人で超満員の布団の中に、兄の姿が無い。
「にいさま?」
とっさに振り返ったが、コタツの中にもいない。
「レラねえさま?」
見回したが、今度は姉まで姿を消している。シクルゥだけが、部屋の隅に敷かれたタオル
の上で身を丸めて眠っている。
「・・・・・・」
言葉を失ったリムルルを中心に、薄暗い部屋の壁がどんどん広がっていく。
だだっ広くなった部屋に漂うさっきよりも冷たい意地悪な空気が、寝起きの神経を鋭く
貫き、知りたくもない事を教えてくれる。
――お前は今、独りだ。
「ど・・・・・・こ?にいさま!レラねえさま!!どこぉ?!」
決して寒さのせいではなく、頭から背中にかけてが冷水をぶっかけられたように冷たく
なって、リムルルはあたふたと部屋を出た。
592前スレ64:04/12/02 22:56:49 ID:/YEB/Oyt
「にいさまっ!ねえさま?」
トイレかもしれない・・・・・・いない。洗面所、まさかふたりでお風呂・・・・・・いない。台所の隅、
洗濯機の中、下駄箱の陰、押入れ・・・・・・いるわけがない。
いない、いない、いない。
「・・・・・・?!・・・・・・!?」
3分ぐらい、ありとあらゆる場所を探した。
そして全部の場所を探して、もうこれ以上家の中にどこも探すところが無くなった。
玄関に続く真夜中色を残したままの短い廊下で、リムルルはしつこくきょろきょろと首を
動かした。天井まで見た。
「いない・・・・・・どうして?」
静かに眠っていて、トイレに起きてみたら、二人はどこかに姿を消している。
――変だな、おかしいな・・・・・・どうして、どうして、わたし・・・・・・だけなの?
裸足の指先がひりひりして、肩も霜が降りたみたいに冷たくなってきた。
どんどん体温を失ってゆく身体に反して胸の辺りがぎゅうと苦しくなって、目の辺りだけ
が熱くなってくる。
ただでさえおしっこを我慢してるのに、これ以上何を我慢しなくてはいけないのか。
「まさか・・・・・・変なヤツに・・・・・・」
まともな思考も働かない起き抜けの頭にショックが降り注ぐ。
リムルルの思考があらゆる可能性をすっとばし、いきなり物騒な結論を導き出した。
「やだ・・・・・・やだぁ・・・・・・うああ」
絶対になりたくない独りぼっちと、昨日の夜の記憶が無いという二つの重圧がさらにその
上にのしかかって、「小さなリムルル」はとうとう堪えきれなくなりそうに無くなった。
その時、リムルルは気づいた。
涙に沈みかけた玄関に、兄の靴が無い事に。
「!!」
涙をちぎり、慌てて部屋に戻った。シクルゥが足音に驚いてがばっと首を上げる。
「あっ、やっぱり!」
部屋にかかっているはずの兄の外用ジャージが、ハンガーから取り外されている。
同様に姉の靴も、外套も無い事も確認した。
593前スレ64:04/12/02 22:57:37 ID:/YEB/Oyt
「二人でどこかお外に出かけたんだ。でも・・・・・・危ない事じゃないみたい」
そう判断したのは、チチウシと鉄砲がちゃんと壁際に残されていたからだった。戦士の
姉が戦いに挑むのに、武器を忘れるはずが無い。
目の前に残された証拠から推理するだけの落ち着きと思考力を取り戻したリムルルは、
シクルゥの横にしゃがみ込み、切羽詰った雰囲気で聞いた。
「ねぇシクルゥ、レラねえさまとにいさま、どこに行ったか知ってる?何かあったの?」
どんな小さな物音、どんな小さな変化も見逃さない狼のシクルゥなら、絶対に知っている
はずだと踏んだのである。
「・・・・・・」
だがシクルゥは落ち着き払った瞳でこちらをじっと見つめ、頑なな態度を崩そうとしない。
「や、やっぱり知ってるんだ!お願い!シクルゥ教えて!!」
「・・・・・・」
沈黙の中、騒ぎを聞きつけたコンルがやって来た。リムルルは振り向かない。
「お願い・・・・・・にいさまとレラねえさまから、わたし離れたくない!だから・・・・・・だから!」
振り切ったはずの涙が、二人の身を案じるほど、勝手にこぼれてしまう。
銀色のシクルゥがふわふわと形を変え、雫に閉じ込められ、頬を伝ってぽろりと落ちた。
――また・・・・・・泣いてる。私。
すぐに涙を流すのは心が弱い証拠だと、涙を拭いながらリムルルは思う。兄も、二人の姉も、
ちっとも泣かないのだから。強い家族の中で、リムルルはその弱さを感じずにはいられない。
だがそんな「泣き虫」のリムルルだが、痛くても苦しくても泣く事は殆ど無かった。
苦しい修行もへっちゃらだった。負けん気と頑張りと憧れで乗り切れるのだから。
気絶するぐらい痛いと有名な刺青を大人になって身体に施す事になっても、きっとへっちゃら
に決まっている。
そこまで自負するリムルルが泣くのは、家族や友達の身が案じられる時だった。
ただ、みんなとの繋がりが失われるのが恐くて、辛くて、涙になってしまう。
止める事が出来ない不安が目から溢れてしまう。
しかし弱い自分をせめる一方で、それは仕方ない、自然な事なんじゃないかとも思う。
家族や友達がいなくなって泣かない人などいないし、そんな人にはなりたくない。
――そんな強さだったら・・・・・・いらない!
594前スレ64:04/12/02 22:58:27 ID:/YEB/Oyt
思いつめた赤い顔と赤い眼でシクルゥとにらめっこする事、しばし。
はたりと尻尾を揺らしてシクルゥが立ち上がり、すたすたと玄関の方へと向かっていく。
「シクルゥ・・・・・・教えてくれるの?」
もう一度袖で顔を拭い、リムルルも続いて立ち上がった。
――準備を・・・・・・早く。
顔だけこっちを向いたシクルゥの瞳がそう言って、暗い廊下の向こうに消えた。
「あ、ありがとうシクルゥ!コンル、にいさまとレラねえさまを探しに行くよ!」
コンルは既に状況を把握していたらしい。リムルルの身体の周りを合点承知とばかりに
くるりと一回転して、その足元、地面すれすれを通った。そして床に落ちていた青い鉢巻を
しゅるんと身に絡ませて素早く浮き上がり、勢いに乗せてふわっと鉢巻を宙に放つ。
「ありがとっ!」
がしりとそれをキャッチして、リムルルは頭の横でぐるぐると両腕を動かす。
すると、あっという間に大きな蝶のようなリボンが頭の左右にふわりと咲き誇った。
「ん〜、急げ急げ〜!あーもー着替えてる時間無いよ!これでいいや!」
だぶつくパジャマの上に大きなどてらを羽織り、リムルルは玄関の扉の前で待つシクルゥ
の後を追う。
「おまた・・・せ・・・うゃッ!」
だが、玄関で靴を履く直前でリムルルは素っ頓狂な悲鳴を上げ、急ブレーキをかけた。
泣いて赤かった顔がさーっと青くなって、お腹のあたりを押さえたかと思うとまたまた
赤くなる。
顔色を忙しく変えながらその場でぴょんと飛び上がると、リムルルは部屋の方へとばたばた
折り返した。
「おしっこっ!忘れてたっすすすすぐだからっ!すぐううう〜〜ッ!」

バターン!


ふあぁぁ〜〜・・・

扉一枚向こうから響く気の抜け切った声に、シクルゥとコンルががっくりとうなだれる。
595前スレ64:04/12/02 22:59:29 ID:/YEB/Oyt
白い朝もやが明るいオレンジ色の太陽に貫かれ、徐々に姿を消してゆく時間。
まだ六時を回るか回らないかのこの時間帯、バスが通る表通りから離れた住宅街の路地を
行く人は殆どおらず、いたとしても朝早いお疲れサラリーマンと、散歩途中の健康なお年
寄りぐらいである。
長い通勤時間を今から憂鬱に思うおじさんは缶コーヒーを飲みながら寒さに背を丸め、
新しい朝が来た希望の朝だと、光り輝く余生をバリバリ生きるおじいさんは胸を張って
ウォーキングに勤しんでいた。
静かな朝に照らされるそれぞれの思い。
眩しい朝日を背中に受け、何の変哲も無い一日が今日も始まる・・・・・・はずだった。
しかし、その日に限っては違った。静寂が、穏やかな朝が微妙に打ち破られていた。
なぜなら。

たたっ たたっ たたっ たたっ・・・
ぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺち・・・

人気の無い道路の上を、パジャマにどてらという出で立ちの少女がサンダルの音を響かせ、
白い息を弾ませながら大きな犬と共に散歩、いや、全速力で走り抜けているのだから。
「はっ、はっ、おはよーございますっ!」
「え、あ、お・・・おはよう」
正面から突進してきた赤ら顔の少女にすれ違い様にあいさつをされ、おじさんは驚いた。
「はっ、はっ、はっ、おはよーございますっ!」
「元気じゃねーお嬢ちゃん。運動会の練習かのう?」
異様な足音に振り返った途端、元気な子供と犬に追い抜かされ、おじいさんは目を細めた。
爆走少女は走り抜けるのみならず、行く人来る人に向けて、元気な笑顔と朝のあいさつ
まで振りまいていたのである。
温まるにはまだまだ時間のかかるこの時期の空気の気温を何度か上げ、冬に咲く透明な
花の香りを残し、少女はそのまま走り去った。
勢い良く走り抜けた、犬連れ太陽少女。残された、二人の男。
「さむっ・・・でもがんばろ」
おじさんは彼女の健康的な笑顔と弾む息に、思わず背筋を伸ばしてコーヒーを飲み干した。
「運動会か?それならわしな、あの、町内会のさーくるでな、ほーくだんすを・・・・・・おりょ?」
おじいさんは、ちょっとボケていた。でも、やっぱり元気だった。
596名無しさん@ピンキー:04/12/03 00:59:29 ID:jyVrbJ4l
相も変わらずグッジョブ!!
597名無しさん@ピンキー:04/12/03 01:35:42 ID:iJMUdryG
面白すぎて、無料で読んでいるのが悪い気がしてきた…
えーとえーと、単行本の発売はいつですか?
598名無しさん@ピンキー:04/12/04 22:07:40 ID:L6lXUTyX
サムスピの存在してない世界なのかね?w
599名無しさん@ピンキー:04/12/05 00:55:44 ID:2XFvyh4G
本にまとめて出しても普通に売れるよなこれ
600名無しさん@ピンキー:04/12/05 00:59:36 ID:ncrJnxLR
確かに。
601名無しさん@ピンキー:04/12/06 21:48:52 ID:VPJAUzSF
同人誌化キボウ
602名無しさん@ピンキー:04/12/06 21:54:30 ID:54gWqL1Y
絵描きさんが要るよな。挿絵用の

っつーかこのスレに投下されたSS全部掲載とか。
うわ、超読みたい。
603名無しさん@ピンキー:04/12/07 01:28:52 ID:T7qd1Ihq
それよりもゲーム化希望

って同人誌よりさらに絵描きさんが要るな
604名無しさん@ピンキー:04/12/09 09:53:48 ID:01BbMJwg
あなたもコウタになれる!
というわけですね。
なりてぇぇぇぇぇ!
605名無しさん@ピンキー:04/12/09 20:32:50 ID:nc92qf97
hosyu
606前スレ64:04/12/09 22:28:54 ID:sFmFwwqU
小気味良いリズムを崩さず先導するシクルゥに併走するリムルルは、白い息を吐きながら、
寒さ半分、それ以外の理由半分で頬をりんごのように赤く染めていた。
――なんだろ・・・・・・みんなわたしの事知ってるのかな?なんでジロジロ見てるんだろ?
かなり遠くからでも、道端の人達がこっちを見つめて目を丸くしているのが分かる。
その視線に敵意は感じられなかったし、自分を狙っている変なヤツの感触も無い。なのに、
距離が近づいても相変わらず自分の顔を見ているので、もしかしたら兄の知り合いかも
知れないなどと思って、リムルルはすれ違う全ての人に笑顔であいさつをしていた。
――あいさつは元気な方が気持ちいいし、そうしなさいってねえさまも言ってたし!
そんな風に考えているリムルルの頭は、焦りのせいもあっただろうが、自分の風貌と挙動の
突飛さが見つめられる原因になっているというところまでは、ついにたどり着けずじまい
だった。
「シクルゥ、こっち?あっだめ、止まって!」
砂利の敷き詰められた駐車場を突っ切り、信号の無い十字路を横切る前に、リムルルは
シクルゥに待ったをかけた。
「右、左、右!よしっ、行こ!」
十字路で足踏みしながら、兄に言われた「右見て左見て右見て」をちゃんとやると、リム
ルルは左右にずらっと一軒家の並ぶ、かなり見通しの良いまっすぐな道路へと入った。
すると、向こうから寒そうに背を曲げたおじさんがまた一人歩いてきて、白い霧でまだ
足が霞む距離だというのに、やっぱりこっちをじーっと見ているのに気づく。
徐々に近づいて顔が確認できるぐらいになっても、頭の中は疑問符だらけだ。
――まただ、うーん、ダメ!やっぱり思い出せない・・・誰だっけ・・・ま、いいや!
「はっ、はっ、おはよーございますっ!」
「え、あ、お・・・・・・はよう」
結局思い出せないままだったが、リムルルはすれ違い様に7度目のおはようを決めた。
おじさんは少し驚いて恐縮した様子だったが、ちゃんと返事をしてくれた。
やっぱりあいさつして良かったなぁと思っていると、今度はかなり前方で背中をこちらに
向けて早足で歩いていた人が、ぐるりと振り向いた。その顔を見て、リムルルは驚く。
――あれ?おじいさんだったんだ!元気だなぁ。でも知らないよ・・・ま、いいよね?
607前スレ64:04/12/09 22:29:34 ID:sFmFwwqU
「はっ、はっ、はっ、おはよーございますっ!」
「元気じゃねーお嬢ちゃん。運動会の・・・・・・」
知らない人だったが、追い抜かし際にリムルルは8発目の笑顔を決めた。
おじいさんはあいさつをした途端、しわくちゃな顔をもっと皺にして、とても嬉しそうに
笑った。その後何か言っていたような気がしなくも無かったが、聞いている暇は無い。
リムルルが走る理由は、朝っぱらからあいさつを振りまくためではないのだから。
「シクルゥ、ねっ、どこまで行くの?」
まだ息は切れていなかったが、先を行くシクルゥがなかなか止まらないので尋ねる。
「・・・・・・」
シクルゥは何も答えずまっすぐな道をただ、たたったたっと走るだけだ。あまりシクルゥ
のような狼と話をした事は無いが、結構無口なのか、それともわざと口をつぐんでいるのか。
どちらにしろその背中だけが兄と姉の行方を知る限り、今は追い続けるほかに無い。
整然と並ぶ一戸建てに挟まれた、だだっ広いまっすぐな道。遠くが白く霞むぐらいに長い、
灰色の道。
しかしこの道にも、町外れへと続くこの道にも終わりがあって、そこにある物はリムルルも
良く知っていた。川沿いの自然公園だ。
この時代に来たばかりで空気に馴染めずに調子を崩した時、兄はここに連れて行ってくれた。
静かな木々に囲まれていて、草の匂いがして気持ちが良い。この時代におけるお気に入りの
場所のひとつだ。
「はっ、はっ・・・・・・ねぇ、この先、まっすぐ?」
シクルゥが何も言わないまま、急に走る速度を上げた。
それを見て、行き先は公園なのだとリムルルは確信する。
「そうなんだね、そうなんでしょっ?!」
・・・・・・はっ・・・・・・はっ・・・・・・はっ!
鼓動が早まる。
全速力で走っているからじゃない。家から10分走ったところで、リムルルの心臓は一言も
文句を言わない。ただ、消えた兄と姉が公園にいる。その事実を感じた心臓が、どくん
どくんとリムルルを急かしつけている。
・・・はっ・・・はっ・・・はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・!!
道の終わりが、兄と姉の居場所が、まるで足元で巻き取られているかのように近づいてくる。
608前スレ64:04/12/09 22:30:07 ID:sFmFwwqU
霧の薄れた道の終わりを見たリムルルは思う。
何をしているのか知らないが、自分一人を部屋に残してしなくてはならない事とは一体。
家族の中で自分だけを置き去りにするなんて酷すぎる。
それだけじゃない。まだ一日しか生活を共にしていないのに、誰よりも兄に近しいわたしを
差し置いて、レラねえさまが大好きな兄を独り占めするなんて許せない。絶対許せな・・・・・・
――あれ?
家を出て来た時は、最初に浮かんだ理由だけで突っ走ってきたつもりだったが、何だか
別の理由の方が今は大事な気がしたところで道が終わりに近づいた。
「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・もう少し!」
長かった灰色の道は、公園を囲むリムルルの腰よりも背の低い植え込みにぶつかって、
そこでぷっつりと途切れている。
その先に小さな歩道を挟んでだだっ広い芝生の公園があり、奥には雑木林が広がっている。
二人はきっと、この公園の中のどこかにいるに違いない。
「よぉし!」
大した高さでもない垣根を飛び越えることなど、リムルルの身軽さなら朝飯前だ。
目測で距離を取る。速度も勢いも、このまま行けば間違い無い。
しかし、かなりの勢いに乗ったリムルルはここで再び急ブレーキを余儀なくされる。
いざひとっ跳びという所で、目の前のシクルゥが垣根の前でスピードを落としたのだ。
「えっ、ちょっ・・・・・・うわっととととぉ!!」
がさがさ!ぱきぽきぺき。
跳ぶものだとばかり思っていた身体が、そのまま常緑種の垣根に頭から突っ込む。世にも
珍しい、パジャマを着た女の子の小さなお尻が生えた垣根の出来上がりだ。
「ぷぁ!いたた・・・・・・シクルゥ〜〜、ひどい!」
リムルルは葉っぱだらけになった上半身をすぽっと引き抜くと、シクルゥに文句を垂れた。
「急に止まるなんて!もう少し・・・・・・って、聞いてるの?」
シクルゥは聞いていなかった。代わりに、垣根の根元の間から公園の中を見ていた。
目線をたどったリムルルの口から、それ以上シクルゥを責める言葉が出る事は無かった。
609前スレ64:04/12/09 22:31:01 ID:sFmFwwqU
芝生の向こうで動く、二つの人影。
一つは、リムルルさえ釘付けにする、熟練した動きを見せるシカンナカムイ流。
そしてもう一つは、その美しく無駄の無い動きに翻弄され続けるへたっぴ。
どう見ても、剣を交える姉と兄だった。


・・・・・・・・・・・・


ぼこん。
「・・・・・・っく!」
右手に響くような衝撃が走って、俺は握っていた棒切れを取り落とした。
「ほらまた、これで何度目?真正面から受けるから耐えられないって言ってるでしょ!」
日本刀と同じぐらいの長さの棒を芝生に突き立てて、呆れた調子で首を横に振りながら
レラががみがみと言う。
――げ、元気だなぁ。尊敬に値するよホント。
レラの修行は、家を出てからかなり長い川沿いのマラソン、基礎的な筋力トレーニングと
柔軟から始まって、簡単な戦術と構えの講義を経て、それからはずっとこうした実戦形式の
練習が続いている。
しかし修行といっても一方的に教えるのではなく、レラも俺にゲキを飛ばしながら同じだけ
走り、同じだけ腕を鍛え、柔軟体操では同じ事をしているとは思えないぐらい、深く美しい
開脚前屈を易々と決め、そして俺より大きな棒切れを振り回して今も大声を上げている。
なのに、息も絶え絶え、腕を上げるのも精一杯な俺とは対照的に、レラは額に汗を浮かべる
ぐらいで全く疲れを知らない。
「力は、受け流す!こう来たら、こう!それが駄目なら小さく、ギリギリ一歩退く!」
演技にも恐ろしいぐらいに衰えが見られない。定まった構え、決められた体さばきの流れ
一つ一つをきびきびと示し、飽きることなく分かるまで教えてくれる。
目の前で動いているのは、戦いに対するプライドと揺るぎ無い信念の権化だった。
「ふはぁーっ、はーっ・・・・・・はい!」
ほとばしる覇気とやる気に後押しされ、ぼろぼろの俺はマキリ大の棒切れを拾い、構え直す。
610前スレ64:04/12/09 22:31:51 ID:sFmFwwqU
「いくわよ・・・ふっ!」
武器を拾う事、それはそのまま再開の合図だ。レラの容赦も間髪も無い垂直な一撃が、
拾うために屈んだ姿勢を直す事もままならない俺の頭の上から降り注ぐ。
――うわ、あっぶね!
それを俺は、またとっさに防いでしまうのだ。頭の上に掲げた棒切れで、正面から直に。
がつっ。
「ぐぁ・・・・・・」
これまでの一撃一撃に蓄積された右腕のしびれの上に、またも鮮烈な稲妻がほとばしる。
左手を添えていなかったらまた棒を落として、頭にこぶの一つも作っていたに違いない。
・・・・・・既に一つ出来ているのだが。
「甘いわよ。いつ攻撃が来るなんて誰が教えるというのっ!」
一発防いだぐらいでレラの追撃は収まらない。何とか防いだレラの棒が、まだ掲げたままの
俺の得物の上をすっと横滑りした。
レラの顔が、俺の目を挑戦的に見つめていた瞳が、黒い髪に吸い込まれるようにして消える。
いや、消えたのではない。長く垂れたマフラーが身体に巻きつくぐらいの勢いで、レラが
その場でこちらに背を向けぐるんとコマのように一回転したのだ。
その一連の動作の意味するところをやっと理解した頃には、予想通りにレラの回転を伴った
素早く水平になぎ払う一撃が、俺の右横っ腹をびしりと打っていた。
「ぐぁ・・・っ・・・つうゥ〜〜〜〜!!」
万歳したままの俺はぽろりと得物を落とし、まだしびれの残る右手でわき腹を押さえて
うずくまった。
あてがわれた手のしびれの下で、思い切り叩かれたわき腹の肌を刺すような痛み、その
また下で、内臓を震わす重い重い痛み。
さすがのレラもやりすぎたと思ったのか、俺の背中をさすってくれる。
「ちょっと・・・・・・今のは『刀舞術』の動きだから、実戦では使わないかなり派手で分かり
やすい部類なのよ?まあその分、威力も見た目通り・・・何とか間に合うかと思ったけど、
駄目だったわね。痛かった?痛いわよねぇ・・・そりゃあ」
「〜〜〜〜!」
だが言っている事は、いたわっているのかいたぶっているのかさっぱり分からない。
611前スレ64:04/12/09 22:32:43 ID:sFmFwwqU
「さ、もうすぐ夜も完全に明ける頃。そろそろ帰りましょう。あの子も起きる頃だろうしね」
言いながら俺の落とした棒を拾い、レラは薄雲を透かす朝日を眩しそうに仰いだ。
――リムルルが、待っている。
腹のど真ん中に居座るずっしりとした痛みに汗を垂らしながらも、あの笑顔が頭をよぎる。
「まあ、構えは一丁前に取れるようになったわね。でも実戦の練習は、お世辞にも・・・・・・」
――こんなに弱くてどうする。俺は一体何度レラの攻撃を避けられた?別れは今すぐにでも
訪れるかもしれないというのに、羅刹丸が相手じゃあまた一撃でねじ伏せられてしまうに
違いない。勝とうとかそういう事じゃなく・・・・・・今度こそ命が無い。
「・・・・・・こそこ頑張ったんじゃないかしら。でもいきなりやりすぎて身体壊されたら・・・・・・」
―――俺の事を待っていてくれる人がいる。俺も必ず生きてそこに戻るために・・・・・・今を逃す
訳にはいかないんだ!
「・・・・・・なのよ。さ、立って。行きましょう?」
レラの話は全然聞こえていなかったが、最後だけは聞き取った。
公園を去ろうとした背中を、俺はしゃがみ込んだまま呼び止める。
「はぁ、はぁ。レラさんっ!もっ、もう一回だけ!」
レラが、きらりと光る汗を袖で拭いながら振り返った。
「コウタ・・・・・・初めてにしてはそこそこ頑張ったって言ったじゃない。合格よ?」
「駄目です・・・・・・まだ、まだ出来ます!このままじゃリムルルを泣かせるだけだ!」
「気持ちは分かるし、頑張り屋は嫌いじゃないわ。だけどまだ一日は始まったばかりで
しょう?一度休んでからの方が能率も上がるし、それに私もお腹が空いたしね。帰って
朝食の準備。先に行くわよ」
苦笑していたが、レラは俺の注文は一切受け付けない。背中を向けてすたすたと我が家の
方へと歩いて行ってしまう。
「あ、ちょ・・・・・・あららっ?」
無情に遠ざかる背中を追いかけようとした俺は、かくんと膝から折れてすっ転んだ。もう
ひと頑張りしようとすると気持ちとは裏腹に、終わりの合図に身体が素直に反応してしま
ったのである。膝どころか太腿のあたりまでけらけら笑い、腕までもが震え出す。筋肉が
全く言う事を聞かなくて立とうにも立てず、追い打ちとばかりに身体の痛みもぶり返して、
何だかこれから先の練習をこなす自信がどんどん地面に流れ出ていくようだ。
612前スレ64:04/12/09 22:33:24 ID:sFmFwwqU
「ま・・・・・・待って。レラさんてば」
「ゆっくり来ればいいのよー。朝食までしばらくかかるからー」
俺の位置からでは、もう手の上に載るぐらい小さくなったレラが、背中を向けたままひら
ひらと手を振り、そのまま豆粒になって、ついに垣根の向こうに消えてしまった。
「はぁ、は・・・・・・だー、くそ」
立つ事を諦めて、俺は仕方なく芝生の上に大の字で寝転んだ。言われたとおり、筋力の
回復を待つためだ。極限まで脚をいじめると、ただ立っているだけでもどれだけ筋肉が
常にフル稼働状態にあるかが分かる。それに加えて、体力が軒並み落ちている事も思い
知らされた。マラソンは人並みに出来たはずだったのだ。
雑草混じりの芝が生えた地面に爪を立て、思ったより薄雲の多い、しかし明るくなり始めた
空を視界の全部に収めながら俺は思う。
何もかもが初日から空回りしてやしないか、と。
全てを賭けた、たった一つの強い想いだけで昨日の晩、俺はこの道をこじ開けた。
しかし現実はあまりに厳しい。気持ちだけで乗り切れない物はゴマンとあるという事を、
文字通り身をもっていきなり教えられてしまった。
だからといって別にそれで自分に絶望したとか、目的を見失うとか、ヤケクソになるとか
そんな事は無い。レラの言う事ももっともだと思うし、今の俺が先走っているだけという
事も渋々ながら認めている。
それにリムルルへの気持ちは変わらない。ずっと一緒にいるための努力。怠るわけが無い。
要するに、俺はちゃんとやっているはずなのだ。
それだけ分かっていても空回りだと感じるのは、やっぱり焦っているからだろうか。
まだどこかで、リムルルと分かれる事を恐れているのだろうか。
――あぁ、またネガティブな・・・・・・。
どんよりした気持ちに支配されると、身体の調子までおかしくなってくる。
腕の辺りに引いたはずの痛みが浮き出て、袖を捲ってみたら見事な青あざができていた。
さらにへこむ。
「いたた・・・・・・何だよ、くそッ」
脚の筋肉もまだ回復しない。乱れた息が落ち着いてせっかく気持ちに余裕が出来ても、
今寝転がったままに見ている雲と同じように、どんよりと迫る後ろ向きな感情で心が埋め
尽くされそうになる。だが、
613前スレ64:04/12/09 22:34:18 ID:sFmFwwqU
「そうはいかねえぞっと。よいしょーっと、あたた、あだだ」
ジジ臭いもったりした仕草で、痛むながらもとりあえずは動く上半身を俺は起こした。
そして今度こそ若者らしく胸を張り、曇天に支配されかけた心の中に強い風を起こそうと
試みる。暗くて何の進展も運んでこない雲を蹴散らして、どこかに飛ばしてしまう風だ。
――恐いのは仕方が無いだろ?努力して未来をいい方に向けようとしてる限り、それが
失敗するのが恐いのはずっと着いて回るだろ?それなら・・・・・・それでいいじゃないか。
立ち込める雲が、ざわりと揺らめく。
――失敗が恐くない人間なんて、不安の無い人間なんていないんだから。きっとそう
やって恐がっていられる間は、ちゃんとやっているって事なんだろ。
「うん、よし。俺なんかいい事言ってるじゃん。やればできるやん」
結果的に、心の風はネガティブな気持ちを追いやるというよりも、それを半ば甘受する
ような方に、俺の心の中心に吸い込むようにして吹いた。まるで掃除機だったが、心は
すっかり暗雲を飲み込んで、穏やかさを取り戻した冬晴れになっていた。
「この調子で、今日もおてんとさんバッチリ出てこないかな〜」
開いた右手を、だいぶ明るくなった東の空に突き出してみる。家々の屋根の上、薄雲に
遮られた少し眩しい日輪を掴むように。
「もう少しなんだけどな。時間が経ったら晴れるか。レラさんの服も干したい・・・・・・あれ?」
洗濯物日和まであと一押しの空模様を眺めていると、視界にギリギリ収まっていた下の方、
さっきレラが帰っていった垣根のあたりに動く影があるのに俺は気づいた。
掲げていた右手をその人影に向けて下ろし、中指と人差し指の間に姿を収めてみる。
「・・・・・・!」
強い驚きをそのまま形にしたような白い息に視界を一瞬霞ませて、俺は立ち上がった。
見慣れたパジャマに見慣れたどてら、そしてこれまた見慣れたブルーのリボン。
「リムルル、どうして」
「にぃさまー!」
疑問をかき消す大声とともに、何か尋常でないオーラをまといながらリムルルがこっちに
向かって全力で走ってくる。
614前スレ64:04/12/09 22:35:02 ID:sFmFwwqU
俺も歩くなりすれば良かったのだが、こっちから動く必要が無いぐらいのスピードだった。
立ち上がって、あんぐりとしたまま垣根の方を見ていて、人影が「あーリムルルだー」と
気づいた時には、リムルルの身体は俺の懐に思いっきり収まっていたのだから。
「にいさまのバカーーーー!」
「ぐげぇっ」
タックルと何も違わない勢いで、リムルルの全体重が俺の胸にスピアの如く突き刺ささる。
「バカ!ばかぁ!!ばかっ!!にいさまのばか!」
「おいっ、ちょっと!何だってそんな怖い顔してんだよ?」
「にいさまが悪いんだ!わたしの事残して、こんな所でねえさまと修行なんて!ずるい!
ひどい!どうしてわたしだけ仲間外れなの?」
冗談には見えない怒りをありありと顔に浮かべ、やけに感情的な声で不満の全てをぶち
まけながら、リムルルは俺の胸をぼこすかと小さなこぶしで叩いた。
寝起きの直後に、どうやってかここを知ってすっ飛んで来たに違いない。顔も真っ赤なら
目も真っ赤だ。
「ごめんて。ごめん。仲間外れじゃないよ。別にそういうつもりじゃなかったんだ」
なだめるのは逆効果になりそうだったので、とにかく謝り、弁明から始める。
「リムルル良く寝てたし、何だか起こすのかわいそうでさ。一言かけたら絶対着いて来る
って言うだろうからと思ってな」
「起こされたぐらい、全然かわいそうじゃない!いつだって一緒って言ったのに!」
「おいおい」
大げさだなあと言いかけて、止まる。俺はあと一歩でクソバカに成り下がるところだった。
昨日の夕方、あれだけ心に思った事を、もうすっかり忘れてしまっていたというのか。
リムルルを縛り苦しめている悲しみと孤独を笑うような事をしようとでもいうのか。
「絶対・・・・・・離れたくないって、言ったよぉ。約束したよぉ・・・・・・」
きつい目でこっちを睨むリムルルの目は充血し切って、ふわふわと涙に包まれ揺れている。
「ごめんリムルル・・・・・・本当に。ひとりにしてごめん!」
言葉では足りるはずは無い。少しでも反省を伝えるために、俺はリムルルの後ろ頭を撫でた。
跳ねた寝癖が残ったままなのが分かる。いくら人のまばらな早朝とは言え、年頃の女の子が
髪も梳かさずに町中を抜けてきたのだ。
615前スレ64:04/12/09 22:36:05 ID:sFmFwwqU
どれだけ焦っていただろう。どれだけ寂しい思いをしただろう――
――俺は・・・・・・。
「ばか!にいさま!わたし、すごく心配した!」
「ごめん!本当に許してくれ。本当に・・・・・・すまない事した」
いつしか声もなくすすり泣いていたリムルルは、まだ拳を俺の胸にどんどんと打ちつけて
いる。泣かせるつもりは毛ほども無かったのに、どうして俺はいつもこうなのだろうか。
「何してたの?!シゥルゥに聞いてここまで急いできたらさ、レラねえさまと二人でさ、
剣術の練習なんかしてさ!こんな朝からふたりで、わたしひとりだけ寝かしたまんまで!」
「落ち着けって、だからさ」
「剣術なんてしなくていいのに!どうしてもって言うなら、わたしがちゃんと教えて
あげられるのに!なのに何で、昨日来たばかりのレラねえさまに習うの?わたしなら、
あんなににいさまのことボコボコ叩いたりしない!わたしの方が、ちゃんとにいさまの
事分かってる!にいさまとずっと一緒にいる!にいさまの事・・・・・・」
リムルルは垂れてきた鼻水をずびーっとすすり上げた。
「にいさまの事・・・・・・ぐすっ、誰よりも・・・・・・知ってるんだ。レラねえさまなんか、ぜん
ぜん、ぜーんぜんダメなんだ・・・・・・えうっ」
ぐすっ、うぅ・・・・・・
リムルルが相変わらずの剣幕で苦しそうに息をつかえさせながら涙を拭う。
ざざっ、ざぁぁぁ・・・・・・
その呻きにあわせてリボンが揺れ、俺たちを中心にして芝生が円状に波立ち、木々がざわ
めきだした。
ざざざざあぁっ。
「な、何だ?」
この公園に、二人で始めてきたときの事を思い出させる光景だった。リムルルの不思議な
力を受けた自然が、息を吹き返すあの光景に似ていた。あの時は確か、跳ね回って走り
抜けるリムルルの元気をあらゆる自然が受け取っている様子だったが、今度は全く違う。
リムルルから噴出する激情に耐え切れず、煽られているだけのようなのだ。
ざざざざざあぁぁぁぁぁ!
一段と激しい波が枯れ草を吹き飛ばし、木の枝をしならせ、俺の肌をびりびりと刺激する。
616前スレ64:04/12/09 22:36:42 ID:sFmFwwqU
――や、やばい!なんかとにかくリムルルやばい!!
俺はリムルルの気持ちを少しでも落ち着かせようと、当たりさわり無くそれでいてちゃんと
自分の真意を伝えるための言葉を俺は選ぼうとした。だが、ただでさえ並ならぬリムルルの
迫力にビビらされ、その上都合のいい台詞がぽんと飛び出す程俺は口達者ではない。
「り、リムルル・・・・・・おい、ほんとに、ごめん」
苦労して口から捻出した言葉は、たったこれんぽっちだった。
――き、気がきかねェー!
そうこうしている内にもリムルルから噴出する「波」は勢いを強め、髪がゆらあっと立ち
上がらせ、瞳から零れ落ちる涙を重力に逆らわせ空中を漂わせるまでになっていた。遠くに
密集している雑木林にまでも波が届き、がさがさとその腕を振るい、しぶとく残っていた
枯葉はことごとく振り落とされていた。
「あわわわ・・・・・・」
優しいリムルルが、抑え切れない感情を爆発させようとしている。しかも、辺り一面を
更地にしてしまうんじゃないかという威力を持って。
あいにく俺の手元にはペンチも無いし、起爆解除コードも知らない。
俺はもう、どうにもならない状態になった時限爆弾を抱えたまま立ち尽くすしか無かった。
「わたしが・・・・・・わたしが・・・・・・うぅ」
「お、おい?」
だがリムルルは爆発しなかった。代わりに、うろたえる俺を前に小さく、さっきまでの
迫力とは程遠いか細い声で言った。
「わたしの方が・・・・・・うぅ・・・・・・にいさまといっしょに、いたいんだ・・・・・・」
俺の目線ぐらいにまで漂っていた涙がぼとぼとと地面に落ち、風が止み、木々も草も、
ぴたりと動きを止めた。
朝の静寂を越えた静寂が訪れる。静か過ぎる空気。
世界がリムルルを中心に集束して、凍りついた。そんな感じだった。
「え・・・・・・」
617前スレ64:04/12/09 22:37:20 ID:sFmFwwqU
しかし、幕切れは唐突に訪れた。
「すうっ」
リムルルが大きく息を吸って、

「絶 対 そ ば に 、 い っ と う 近 く に い る ん だ あ ぁ ! 」

どかーん。

「うわあああああん!!」
「おあああああ?!」
太陽さえ霞ませるまばゆい光がリムルルから溢れ出し、大木さえ倒しそうな強烈な波動が
押し寄せて、至近距離にいた俺はぐらぐらと揺れる地面に仰向けに叩きつけられた。目から
飛び出した星が、火花を散らしながら飛んでいく。
「ああああああん!にいさまのばかぁ――――――!」
強烈な叫びは雲を割り渦巻かせ、公園とこの町の上にぽっかりと青天井を開かせた。なのに
いきなり大粒の雨が青空から降り注いで、冷たいと思ったらアラレになり、ヒョウになる。
「たっ!たた!痛てイタ!」
「もう、もう嫌いだ―――!にいさまなんか知らない!バカ―――――!!」
喉が千切れるぐらいの叫びと強烈な光を全身から放ちながら、リムルルがその中に霞んで
いく。自分で打ち出した閃光弾の中に紛れ込むように、小さな背中がオレンジと白に溶け、
家とは全く逆の方へ、海へと通じる川沿いの道に消えていった。
そしてしっかりと頭を打った俺の意識も、光の向こうに飲まれていった。
618前スレ64:04/12/09 23:05:47 ID:sFmFwwqU
>598氏
「ゲームとしてのサムスピ」がコウタが住むの世界にあるのか、って事ですよね。
うーんどうなんですかね。そんな事考えた事も無かったですw
まあリムルルがいるわけだから、過去に彼らが「実在の人物」として存在していたという
事にはなってます。レラが劇中で「その事実は歴史に葬られた」とは言ってますけどね。
そういえばこのSS、当初はもう一人か二人、サムスピのキャラが「現代人」として登場し、
キーパーソン級の役割を演じてもらう企画もあったんですが、没りました。

・・・・・・ああ、もしもゲームにするとしたらこういう「分岐」も出来るんですね。
失礼!冗談が過ぎましたw 今はこのお話を完走させるだけで精一杯です。
619名無しさん@ピンキー:04/12/09 23:08:23 ID:jnWFcaJO
前スレ64様GJ!
元気っ娘&我がままリムルル大炸裂ですね。
次回は甘えたさんを希望させていただきます(ぉ
620598:04/12/09 23:37:33 ID:gfQEFBCG
>>618
わざわざレスしてくれるとはおもってなかったです
単なる、ギャグとしてとっといてくれればいいですよw
621名無しさん@ピンキー:04/12/10 00:46:44 ID:E8D/rTBD
やきもちリムルル可愛すぎ!
恋愛感情を自覚しつつあるリムルルとコウタの今後が気になる!


ところで、容量が473kbです。
64氏の連載なら、今回や前回分くらいの容量なら受け入れ可能ですが、
前々回分くらいだとオーバーしますのでご注意を。
622名無しさん@ピンキー:04/12/10 19:02:42 ID:ZxVjMyUU
>621
まとめサイトの人かな?
いつもお疲れ様。

>64様
やきもちリムルル大爆発ですかw
サムスペでもそれくらい強力な技が欲し(ry
623名無しさん@ピンキー:04/12/11 09:29:04 ID:iD/CWAj0
ゲーム化 マ━━━━(゚∀゚)━━━━ダ?
624名無しさん@ピンキー:04/12/14 10:55:25 ID:m+ZCJRk6
しばらく見ないうちのこんなに沢山…凄いです!
ちょっと上にスクロールさせていったときに見えた
「おしっこ警報」という文字に超反応した我が愚息…_ト ̄|○
625名無しさん@ピンキー:04/12/16 01:14:56 ID:FUJMHwmr
貴様、放尿フェチか
626名無しさん@ピンキー:04/12/16 01:50:29 ID:gAjUB+tZ
はい。リムルルの放尿とかおもらしとか想像しただけで
ごはんが5杯はいけてしまいそうな。
627名無しさん@ピンキー:04/12/16 17:55:01 ID:FUJMHwmr
奇遇だな。俺m
628前スレ64:04/12/16 22:46:04 ID:0azz/D/Y
海に続くこの川は、あまりきれいじゃない。
水は本当は透明で、いつもはお空の青を映してて、空が曇れば灰色になって、手の中に
すくえば自分の肌の色になる。にいさまの家の蛇口から出る水も、ぴかぴかだ。
なのに、この川は濁ってる。この前見た時より少しだけ濁りが薄れているように見える
けど、茶色くて、魚の影も見えない。ごみまで流れている。その上、信じられない事に
ところどころ泡まで立ってる。
混沌としてて、ぐちゃぐちゃで、全然綺麗じゃない。きっと本当の姿じゃない。
まるで、今の自分の心みたいに。
「はぁ・・・・・・」
リムルルは、手入れ一つ加えられていない伸び放題の枯れススキが生い茂る斜面の下を
流れる川を眺めながら、海の方に向かって川沿いに伸びる細いサイクリングロードを一人
歩いていた。
自然公園を出てすぐの、川の土手の上を走るこの道ならちゃんと覚えている。このまま
行けば、そのままあの広い海に出るのだ。単調な、完璧な一本道だ。兄と一緒にねえさまを
捜しに行った道だ。すごく速い自転車の後ろに乗って、背中にしがみ付いて、兄の息遣いを
聞きながら、胸の音を聞きながら・・・・・・。
「はあぁ」
思い出しても、ため息以外に出るものが無い。さすがにもう涙は枯れている。一滴だって
こぼれはしない。

兄が好きで、嫌い。

筋違いな感情を心に抱える事はあっても、こんなにはっきりした矛盾は初めてだった。
こんなに好きだ。なのに、逃げてきてしまった。兄の腕の中から。
悔しくて。憎たらしくて。許せなくて。
そんなの全部、嘘だと思いたい。本当は好きで好きで、どうしようもないはずなのに。
だけど踵は返せない。足はとぼとぼと、海の方へと向かっている。兄がすぐにでも追い
着いてくれそうな、もたもたした歩調で。
629前スレ64:04/12/16 22:48:40 ID:0azz/D/Y
それでも、もし追い着かれてもきっと、走って逃げちゃうよ。
でも声はかけて欲しいな。
でも振り向かないよ。
でも抱きしめて欲しいな。
でも振りほどいちゃうよ。
でも好きでいて欲しいな。
でも・・・・・・
「もうわかんない!変に・・・・・・なっちゃった」
矛盾が矛盾を呼んで、それがさらに相反する答えを勝手に導き出し続ける。頭の中で繰り
広げられるいたちごっこに耐えかねたリムルルは、ついに道端に腰を下ろしてしまった。
尻餅をついたコンクリートの冷たさが薄い布地のパジャマからすぐに直接広がって、リム
ルルは余っていたどてらのすそを、慌ててお尻の下に巻き込んで挟んだ。
何となく、心までも冷たい感じがする。身体はどこもつながっているのだから、心から
地面へと熱が逃げてしまったのかもしれない。
「また、独りになっちゃった」
――独りになるのがイヤで、二人を追いかけてきたつもりだったのにな・・・・・・
気づけば行動にさえ矛盾が生じていた。リムルルは自分が歩いてきた道を振り返った。
自然公園の周りに生い茂る木々がまだ見える。思ったよりもそんなに遠くにまでは来て
いなかったようだ。ここからなら歩いて戻ってもきっと、時計の針が半分も回らない内に
公園へ戻れるだろう。
そのまま兄と家に帰れば、美味しくて温かなレラねえさまの朝ごはんが待っている。
レラねえさまの美味しいオハウ。
こんな肩の震えも、指のかじかみも、すぐに消し去ってくれるはず――
「変だな、寒いよぉ・・・・・・カムイコタンより寒いよ・・・・・・そんなのおかしいよ・・・・・・」
「お嬢ちゃん、どうかしたかね。顔が真っ青だぞ」
リムルルが指先にはあはあと白い息を吹きかけながら、時折吹きすさぶ寒風にちぢ
こまって震えていると、ふいに頭の上から深みと歳月を重ねた男の声が聞こえた。
見上げれば、声の主は胸にポケットのついた、所々に泥汚れがある緑色の典型的な農家の
ジャンパーを着込み、柿色の襟巻きを巻いた、立派な白い顎ひげをゆったりと胸の辺りに
まで蓄えた、白髪の老人だった。
630前スレ64:04/12/16 22:50:20 ID:0azz/D/Y
「おじいちゃん・・・・・・誰?」
町中を走ってきた時のように元気なあいさつをする事も忘れ、リムルルは顎ひげと同様に
肩まで長く伸ばした白髪を風に揺らしている老人を見て、思った事をそのまま口にした。
「ふむ」
老人がひげを手指で撫でながら細いサイクリング道路を挟んだ川の逆方向を見やり、その
遠くを指差した。
「わしはすぐあそこの、見えるかね?田んぼの真ん中に家があるだろう。あれに住んどる
者だがな?」
そこには実りの季節を終えた、枯れ草色の田畑が広がっていた。街から少し外れたこの
川岸は、昔ながらの農家が農業を営んでいる。川の対岸も小さな田んぼが点在しているし、
兄が修行していた自然公園の敷地も、元は農家の土地だったそうだ。そして老人が指差す
先、田畑の真ん中に通じるあぜ道の遠くには、立派な平屋が建っていた。
「家内が朝げの準備をする間、ちょっと釣りにと思って来たんだが・・・・・・お嬢ちゃん、
大丈夫かね?」
見た事無い形の家だな、あそこに家なんてあったかなと思い出しながら、リムルルはこくん
と首を小さく縦に振り、気を遣ってくれた老人に感謝の笑顔を作ろうとした。
「うん・・・・・・大丈夫、だよ。ありがとうございます。ごめんね」
「や、しかしそうには見えんがなあ。唇も青い。それに随分な格好じゃあないか。どれどれ」
老人は目を細めながらリムルルを観察していたが、おもむろにしゃがむと肩にかけていた
釣具とちょっとした鞄を下ろし、その中から小さな水筒を取り出して、茶色の中身を、
水筒と一緒に取り出した白磁の小さな茶杯に注いだ。ほわほわと立ち昇る白い湯気と
香ばしい香りがリムルルの鼻をくすぐる。
「さあ、飲みなさい。ふっ、変なものは入ってはおらぬよ。ただの茶、烏龍茶だ」
「・・・・・・いいの?」
遠慮して聞き返すと、老人が優しげに微笑みながら杯をずいと近づけた。リムルルは
なみなみとお茶の注がれたそれを今度こそ素直に受け取り、口元に運ぶ。
631前スレ64:04/12/16 22:51:07 ID:0azz/D/Y
「ふぅ、ふぅ・・・・・・ごくっ」
甘い香りが鼻から抜けて、お茶の渋みが口を満たし、熱い塊が渇いたのどを通ってからっぽ
の胃に届く。杯を握る指が血色を取り戻していく。
全身が温かい。温かい。
お茶を一滴たりと残さぬよう、リムルルは杯を斜めにしてすすり上げた。
再び熱を取り戻した心と身体から勝手に流れ出た、涙と鼻水と一緒に。


・・・・・・・・・・・・


「成る程?兄上と喧嘩――いや、喧嘩とは少し違うな。難しいところだ。それで縮まって
いたという訳か」
「うん・・・・・・。わたし、どうしたらいいんだろう」
ぼうぼうと生い茂る枯れ草を掻き分けて川べりにまで降りてきたリムルルと老人は、老人が
なぜか用意周到に2つ持参していた折りたたみの椅子に座り、濁った川に垂らした釣り糸を
眺めながらそんな会話をしていた。
老人に何かあったのかと問われ、自分自身では解決できない悩みに暮れるしかなかった
リムルルは、悩みの全てを老人に話した。今朝の兄の事、姉の事――そして自分の気持ち
の事を。
昔からリムルルにとって、お年寄りたちはとても頼りになる存在だった。
カムイコタンでもお年寄りの話はちゃんと聞くのは当たり前だし、ここぞという時に頼り
になるのもやはりお年寄りだ。コタンを率いる彼らは、何度自分達を助けてくれただろう。
・・・・・・ただ、闘いに出向いたまま戻らない「姉」という存在を見殺しにするという、リム
ルルがコタンを離れた直接の原因を作ったのも彼らではあったのだが――しかしそれは、
今は関係の無い、全く別の話だ。
そういった具合に、お年寄りに対する真面目な尊敬が根底にあるリムルルは、初対面で
図々しいながらも老人に悩みの相談をする事にしたのである。
632前スレ64:04/12/16 22:52:57 ID:0azz/D/Y
もちろん、尊敬だけが理由ではない。老人はどこか、あらゆる事を知っていそうな雰囲気
を漂わせていた。長く伸ばした白髪とひげは、長い年月を生きた証そのものだ。それにも
かかわらず年齢を感じさせないしっかりとした姿勢は頼もしく、目じりに刻み込まれた
しわの内側で光る、優しさと厳しさを内包した目はとても凛々しかった。首に巻いた柿色の
襟巻きも、なかなかにおしゃれで知的な装いだと思う。
案の定、老人は釣りの準備をしながら、うんうんとリムルルの話を熱心に聞いてくれた。
「その兄上は、剣の修行をしていたのか。お嬢ちゃん一人を家に置いて、か」
「うん。昨日の夜は何も聞かされなかったし、まるでわたしから隠れてるみたい。でも
分からないの・・・・・・レラねえさまと会ったのは昨日がほとんど初めて。なのににいさまは、
わたしじゃなくて会ったばかりのレラねえさまに頼んだんだよ?わたしよりレラねえさまの
方が強いのは知ってる。だけど何で、わたしを選んでくれなかったのかなぁ?」
手の平にのせた杯に目を落としながら、リムルルはあらためて落胆のため息をついた。
「その兄上が剣を習う理由を、お嬢ちゃんは知っているのかね?」
竿をゆるやかに上げ下げしていた老人に聞かれ、リムルルは自信なさそうに肩を落とした。
「ううん、知らない。にいさまは戦う必要なんて無いんだよ?戦わなきゃいけないのは、
わたしやレラねえさまなんだ。にいさまは・・・・・・戦わなくていいんだ。そのはずなんだ」
「この平和な時代にあって、戦い・・・・・・か。ふっ、お嬢ちゃんは随分と勇ましいのだな」
老人はゆったりとした口調を保ちつつずっと横顔でやりとりをしていたが、はたと真顔に
戻ってリムルルの顔を見つめると、威厳ある低い声でこう言った。
「して。お嬢ちゃんは・・・・・・何のために剣を振るい、何のために『力』を振り絞るのだね?」
「ねえさまを探すためです」
竿から目を逸らしていいものかと思ったが、先ほどまでの和やかなものとは明らかに違う
何かを纏った老人の真摯な態度に応えるべく、リムルルははっきり、正直に言った。
「ほう。剣を振るうはもう一人の姉探しのためと申すか」
老人は一層リムルルの話に聞き入る様子である。
633前スレ64:04/12/16 22:53:44 ID:0azz/D/Y
「そうだよ。ねえさまはきっと悪い奴らに狙われてるんだ。ううん、そいつらってば、
わたしの命も取ろうとしてる。とっても悪い奴ら・・・・・・きっと良く無い事を考えてるんだ
と思うの。このままじゃみんな、平和に暮らせなくなっちゃうかも知れない。わたしも
いちおう戦士だから・・・・・・それだけじゃないけど」
「では、姉上を助け出し、自らの身を守り、そして悪を討つために・・・・・・そういう事だな」
簡潔に話をまとめた老人の表情に負けじと、リムルルも口を結んで確認するように頷く。
老人はそれを見てどこか安心したように頑固そうな顔を少しだけほころばせ、温かみの
ある雰囲気に戻った。
「そうかそうか。うむ。その言葉に偽り無く・・・・・・純粋で綺麗な魂の色をしておるな、
お嬢ちゃんは」
「たましい?見えるの?」
突飛な事を告げられ、リムルルが自分の胸の辺りをさする。
「あぁ、驚かせてしまったかな。そうだ。人間の魂が如何なる物なのか、わしには見える」
「すごい!どんななの?ねぇ、わたしのはどんなふう?」
身を乗り出し、リムルルが鑑定をせがんだ。
「ふっ、元気の良い事だな。どれ・・・・・・」
老人は竿を足元に下ろして体ごとリムルルの方に向き直り、改めて腰を据えると、リムルル
の小さな手が置かれた胸元に、鋭い眼差しを向けた。
「ふむ、魂がどんな物なのかを端的に言い表すのであれば・・・・・・青白く輝く火の玉の形と
いうのが一番的を射ているであろうな。そういう物が、そう、丁度今お嬢ちゃんがさすって
いる辺りに浮かんで見える。今も燃えているのだ、煌々とな。強い信念が輝いておる。
そして・・・・・・悩みに煽られ、色を変えながら揺れておる」
リムルルは不思議な老人の話に黙って聞き入った。
「魂は持ち主の心、その全てを物語るのだ。未熟で惑いを隠し切れぬお嬢ちゃんの心は、
弱い風にも、強い風にも同じように火の粉を散らし揺れておる。自分を取り巻くあらゆる
出来事や想いの一つ一つに心を強く働かせている証拠だ。人間の事、世の中の事、勿論
わしの事やお嬢ちゃん自身の事・・・・・・何より姉上や兄上の事にな」
634前スレ64:04/12/16 22:55:54 ID:0azz/D/Y
リムルルには見えない青い光を目の中に照らしながら、老人はなおも続ける。
「それ程に炎を揺らされながら、お嬢ちゃんの魂は風に消える気配が全く無い。こう話して
いる間にも、魂は幾度も強い風を受けていた。だが、それでもなお強く、決して負ける事
無く輝いている。悲しみや苦しみに勝る鋼の如き信念・・・・・・その歳で大したものだ」
「鋼なんて大げさだよおじいちゃん、そんな事ないんだよ。わたしはただ普通に生きてる
だけだから」
見に覚えの無いことに対する賛辞は居心地が悪い。リムルルは無性にむずがゆくなって
ぽりぽりと頭をかいた。
「みんな一緒に楽しく暮らせるようになればいいなって、思ってるだけだもん」
「だからこそ兄上の事となれば、ことさらに心惑わせ、魂を揺らす・・・・・・今もまた」
枯れ草の上に置いてあった水筒を拾い上げ、烏龍茶を二つの茶杯に注ぎながら、老人が
リムルルの言葉を継いだ。
「さあ飲みなさい。ゆっくりと」
「ありがとう・・・・・・ございます」
しょぼくれたリムルルは片手に余る小さな杯を受け取り、再び竿を構えながら茶を楽しむ
老人の真似をしてちびちびとお茶を口に含んだ。味や香りをというよりも、どちらかと
言えば温かさをかみ締めながら。
「おいしいね」
「そうかね?」
「うん。おいしいです」
「それは良かった」
淀んだ川の流れを眺めながら、そんなやりとりがあったと思う。
一向に魚のかかる様子の無い竿の糸が水面に消えた先を、リムルルと老人はしばらく黙って
見ていた。釣りをしているという意識は、リムルルには殆ど無かった。ただじっと見つめて
いるだけだった。背中にしている道路から自転車が通う音もしなければ、一歩先を流れる
川の音も大して聞こえない。
「人と共に生きるとは・・・・・・どういう事なのだろうな」
そんな冬の静寂を――しばし止まっていた時をゆっくり押し進めたのは老人の方だった。
635前スレ64:04/12/16 22:57:36 ID:0azz/D/Y
「わしはかつて・・・・・・自分の心の弱さ故に、大事な人々を自らの手で失ってしまった。
お嬢ちゃんのような信念は無かった。紙の如く脆かった心は憎悪渦巻く川に沈み溶かされ、
悪しき潮流の支配する淀んだ海へと流されてしまったのだ」
老人は竿よりもずっと遠くに漂う、時空を越えた思いに細めた目を凝らした。
「だがな?そんなわしを救ってくれたのは他ならぬ弟子達であった。邪な心の化身となった
わしを、その身を挺して止めてくれた。人の道から外れかけていたわしに・・・・・・得難き
償いの機を与えてくれたのだ」
「立派な弟子の人たちだったんだね」
「左様。人間は一人では脆く弱いもの。如何に川の流れの中にあって微動だにせぬ岩の
塊でさえ、絶えず岩肌を通り抜ける水に穿たれ、いつしか崩れ去る日が来るように・・・・・・
修練と経験を積み、鍛え抜かれた心体であったとしても、一つのきっかけで簡単に傷つき
・・・・・・ついには波にさらわれてしまうのだ」
リムルルは空になった杯を手のひらの上でもてあそびながら老人が重たげに話す事に耳を
傾けていたが、言わんとしている事を悟り、それに先回りした。
「おじいちゃん、それじゃあ・・・・・・わたしの心も崩れちゃうの?」
茶杯の中に残っていた烏龍茶をあおり、老人は「いや」とリムルルの言葉を否定した。
「年寄りの思い過ごしなら良い。お嬢ちゃんの魂は人一倍強いと見えるからな。だがしかし、
頑強な魂をもたじろがせる風・・・・・・お嬢ちゃんには荷が重かろう。何かの拍子に魂が消え
失せてはしまわぬかと、わしは・・・・・・不安でならない」
「だいじょうぶ!悩みなんてぜんぜん平気だもん!」と、いつものリムルルなら強がった
かも知れない。だがリムルルはひたすら押し黙っていた。そうする事しか出来なかった。
焦りとも困惑とも違う複雑な感情のやり場が見つからず、やけに心は空虚なのに、何も
ないその真ん中からずどんと爆発しそうになる。
こうして口を閉じていなければ、それこそ魂が口から抜け出てしまいそうだ。
636前スレ64:04/12/16 22:59:23 ID:0azz/D/Y
「しかしな、わしに弟子達がおったようにお嬢ちゃんもまた・・・・・・独りではなかろう?
兄上と姉上がおる」
出会った時と同じぐらいに顔色を悪くしたリムルルの肩に、老人はしわだらけの手を置いて、
自信に満ちた声で言った。
「兄上と姉上を心から案じておるお嬢ちゃんなら分かるはずだ。家族、いや、人と共に
暮らす本当の意味を」
「本当の・・・・・・意味・・・・・・?」
聞き返すと、老人はまたも自信たっぷりに髭に隠れた口元をにこりとさせた。
「そうだ。繰り返すが、お嬢ちゃんには共に暮らす家族がいる。兄上や姉上がな。お嬢
ちゃんが思う以上に、彼らもきっとお嬢ちゃんの事を思ってくれるに違いなかろう。そんな
彼らの事で何をそんなに悩み、恐れる必要があろう?家族とともに暮らすその意味、今一度
心の奥底で紐解いてみるが良い」
「暮らす・・・・・・意味・・・・・・にいさま・・・・・・ねえさま・・・・・・」
637名無しさん@ピンキー:04/12/16 23:26:17 ID:nUTm0Bvu
支援?
638名無しさん@ピンキー:04/12/17 00:25:24 ID:+iuELp0J
続きまだー?
どきどき
639名無しさん@ピンキー:04/12/17 01:34:47 ID:YpAuH5eR
そろそろ容量ヤバイかも
640名無しさん@ピンキー:04/12/17 02:05:40 ID:r8adp9k0
残り10kbちょいですな。
一週間放置したら勝手に落ちるとこまで来てる
で、一応テンプレ

(サムスピ総合エロ萌えSS 第三章)

ここはサムライスピリッツシリーズの
萌えSSやエロSSを書き込むスレッドです。

*前スレ*
サムスピ総合エロ萌えSS
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1085133526/
*過去スレ*
【わたし】リムルル萌えエロSS【頑張るよ!!】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1068761442/l50

*保管庫*
2chエロパロ板SS保管庫
http://sslibrary.arings2.com/
641名無しさん@ピンキー:04/12/17 16:34:26 ID:9tN9hMiu
雲飛っぽいなこの爺さん
642名無しさん@ピンキー:04/12/17 19:23:45 ID:rJGSsz2w
…というか雲飛だろ。
喋りは大分違うけど、流石にあの感じで会話するのは無理があるからしょうがないとして、見た目の説明と事情はそのものズバリだし。
643名無しさん@ピンキー:04/12/18 03:14:47 ID:QNXEyO4J
賢者カコイイ
644名無しさん@ピンキー:04/12/21 00:19:32 ID:R769Cp2m
次スレ需要あるのかな
645名無しさん@ピンキー:04/12/21 01:41:13 ID:d39mcr0D
あるでしょ、そりゃ
646名無しさん@ピンキー:04/12/23 01:00:22 ID:7tMNO/L4
(゚д゚;≡;゚д゚)アレ……

何だかやけに静かだなあ?師走だけに?
まあ点呼取りつつ雑談などして埋め立てませんか? ノシ1
647名無しさん@ピンキー:04/12/23 02:23:37 ID:7t9ZueW5
ノシ2
648名無しさん@ピンキー:04/12/23 02:41:05 ID:5Ee9BWvE
次スレ立ったん?
ノシ3
649名無しさん@ピンキー:04/12/23 02:52:41 ID:jdv2UXc5
まだだな 650に任せる ノシ4
650名無しさん@ピンキー:04/12/25 01:46:55 ID:CnDqA6z3
ノシ5
651名無しさん@ピンキー:04/12/25 01:53:43 ID:4WtiKcZu
ノシ6
652名無しさん@ピンキー:04/12/25 22:43:49 ID:CnDqA6z3
653名無しさん@ピンキー:04/12/26 10:39:48 ID:aYlGh4rR
>>34-38
・・・おまいら、クリスマスになにやってんだよ?
654名無しさん@ピンキー:04/12/29 15:28:00 ID:51ReTIrB
い・い・こ・と(w
655名無しさん@ピンキー:05/01/05 07:11:09 ID:0LXGQp21
ho
656名無しさん@ピンキー:05/01/06 14:30:08 ID:HXl8SX1g
syu
657名無しさん@ピンキー:05/01/06 23:16:06 ID:pYt2S4e3
こっちの保守に何の意味があるというのかw
658名無しさん@ピンキー:05/01/07 00:50:24 ID:MshoqAwU
ここってリムルルネタ以外は基本的にヌルー?
659名無しさん@ピンキー:05/01/07 01:25:24 ID:oFdvkfsU
ナコタンでもレラタンでも閑丸タンでも
かわいければいいよ
660名無しさん@ピンキー:05/01/07 02:40:16 ID:MshoqAwU
つまりはシャルやミヅキや夢路はヌルーか。
661名無しさん@ピンキー:05/01/07 05:27:18 ID:URiOOZAU
色とミナもヌルーか。
662名無しさん@ピンキー:05/01/07 23:16:26 ID:du+MEXro
渇ッ!スレタイに燦然と輝く「総合」の二文字が見えんのか、この×××が!

・・・冗談はさて置いて、そういうわけです。
総合なんだから何でもアリでしょう。
今までが偶然リムだの外道だのに偏っていただけで、
シャル辺りなんて前から需要高いし。
>MshoqAwUさんが職人さんなら、是非次スレに
新たな風を吹き込んで欲しいなあ。
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1103982084/l50
663658:05/01/09 16:32:27 ID:jexUqAPf
>>662
ってか、まだスレが700行ってないのに次スレ立ってるのね?凄いな……
リョカーイ、シャルロッ党&ミヅキ派なので何か書いてみます。ご期待に添えるかどうかはわかりませんが。

ってか、リムと外道ってまたエライ極端やな!!

>>661
 ごめん、素で忘れてた
664名無しさん@ピンキー:05/01/09 17:15:20 ID:JagSXpWa
容量がもう493Kだし
665勇太:05/01/11 11:11:57 ID:yej/zcCl
戦うぜ
666名無しさん@ピンキー:05/01/12 06:53:54 ID:PKbwMLzB
>>663
ガンガレ
667名無しさん@ピンキー:05/01/17 01:53:06 ID:KbUxvEig
保守
668名無しさん@ピンキー:05/01/18 18:49:04 ID:e8KIC5yH
埋め
669名無しさん@ピンキー:05/01/18 21:43:00 ID:hX4wgjDA
埋めるのか?

あー続編まだ出ないのかなーと。
せめて発表だけでもされねーかなーと。
そーじゃないと本スレも「保守」だらけになっちまわーな。
なんか面白いネタ無いすか?>670
670名無しさん@ピンキー:05/01/22 17:15:26 ID:+WKUXRVK
ネタねえ・・・

あー続編まだ出ないのかなーと。
せめて発表だけでもされねーかなーと。
そーじゃないと本スレも「保守」だらけになっちまわーな。
なんか面白いネタ無いすか?>>671-


671(s・。・s):05/01/22 19:51:24 ID:mHXMKh9u
ナコルルとリムルルを親子丼ならぬ姉妹丼で頂く話をキボンヌ
672名無しさん@ピンキー:05/01/23 12:02:44 ID:G0350LeE
ネタねぇ・・・
俺としては覇王丸×シャルっつーのが捨てがたい
おしずは何か影薄いつーかなんつーか
673名無しさん@ピンキー:05/01/25 15:01:06 ID:yuGGFZwP
「ほーら…閑丸のチンチンが、マ○コにハマりそうだよ〜ホラ…あと数センチ…」
「やめて!…あァ!」
「ああ〜!ハマっちゃった。子供同士でセックスしちゃった。あ〜あ」
「いや…いやァ!」
「わたしのマ○コに閑丸のが…グイグイ突き上げて…やっぱり童貞だね」
「リムルル…正気に戻って!…僕たちまだ子供なんだよ!しちゃいけない事なんだよ!」
「…もう後戻りできないよ。ほ〜ら生セックスだよ。中出しさせてあげるね」
「り…リムルル…駄目だよ、赤ちゃんできちゃうよ!」
「できちゃうからいいんだよ…ほら『マ○コいい、リムルルのマ○コいい!』って言ってみてよ。ホラァ」
「うあっあっあっ…駄目…締め付けないで!…あっあっ…もしできちゃったらどうするの…あァ!!」
「相変わらず心配性だね。ふふ…(グチュッグチュッ)…この肌の馴染み具合ときたら…(グッグッ)わたし達って、相性抜群だよね?…くぅ〜!」
「ああーっ!ああーっ!…あは…リムルルの中に出たり入ったり…いけない事だよ!凄くいけない事なんだよぉ!」

674名無しさん@ピンキー:05/01/25 15:02:56 ID:yuGGFZwP
「いいかげん諦めようよ…(ドスッドスッ)…ああ…(ジュッジュッジュッ)ほら、無理しないでイッちゃえ」
「駄目っ駄目っ駄目っ!!…あァは!…精液出ちゃうよ…抜いて!抜いてぇ!!」
「あー(ビュビュ)あー(ビュ!)あーもう手遅れ。(ドクドクドクッ)出ちゃった。今も出てる最中。(ゴプゴプッ!)あ〜あ」
「いやぁ!馬鹿、馬鹿ぁ!!うあ…ほんとに抜かないなんてなんて…バカァ!」
「ふー。あーまだ出るわ(ドプッ…ドプッ)閑丸のチンポってこんなに良いんだ…こりゃ手放せないね〜」
「グスッグスッ…どうしよう…どうしよう…」
「あーやば。閑丸の泣き顔見てまた濡れてきちゃった。チンポ立ててチンポ!まだまだするんだから」
「あ!…や…ぁ(ニュルン)あん!…またしちゃうのぉ…グスッ…ナコルルさんにバレたらどうしよう…」
「心配ないよ。仲が良い分には何にも言わないって」
「避妊なしでするのは凄くいけないことなんだからね!…それが分かってるなら…その…いいけど…」
「なんだかんだ言って閑丸もその気なんじゃない?…それじゃこれから毎日、繋がりまくりだね。色々試してみるよ!」
「……い、いけないことなんだから、あんまりHなのは駄目だよ」
「なにそれ?ほらぁ。…(グチュ!グチュ!)これがすんだら、次はお風呂だね。ソープごっこするよ!」
「(ああ…ナコルルさんごめんなさい…でも…ああん…気持ちよくってたまんないよぉ…)」

675名無しさん@ピンキー:05/01/26 00:07:20 ID:tg0wGMmb
  ∧_∧
 ( ,,´ω`) =3
 ( つ旦0
 と__)__)
676名無しさん@ピンキー:05/01/29 15:37:46 ID:RsMx8Xnz
まだ500kいってなかったのか…
677名無しさん@ピンキー:05/01/31 14:48:01 ID:ZtqK7XSx
埋めるべ
678名無しさん@ピンキー:05/01/31 15:31:46 ID:sV+DJJmD
    ∧_∧  ./ ̄ ̄ ̄ ̄
 (´∀` ,,)<  ヌルポ(・∀・)チンコ
 (     ) .\____
 │ │ │
 (_(__)

      ∧_∧ハゥッ
   ∧_(Д`; )
  ( ・∀・)   つ
  (っ  ≡つて ヽ ガッ(・∀・)チンポー!
  して_)_ノw (_)
679名無しさん@ピンキー:05/01/31 17:44:39 ID:V4yhpL3V
埋め・・・ウメ・・・ウメハラ。
ウメハラはゼロSPやんないのかなー。

ウメ弧月で投げモーション見てから余裕でした。
ウメノンノで起き攻め割り込み余裕でした。
ウメペコルだけで時間切れ余裕でした。
680名無しさん@ピンキー:05/02/02 00:28:40 ID:qMpXI8XF
決まりだ━━━━━━━━ッ!
681名無しさん@ピンキー:05/02/02 19:11:51 ID:3ggyFssd
700までには落ちるかな。
682名無しさん@ピンキー:05/02/03 21:28:38 ID:Efwl6fsL
ちょっと通りますよ。           ⊂⊃
                                     ⊂⊃
          (〔o〕)  \。/  /Hヽ   人
         ( 0H0) ( <::∨::)( 0M0) ( 0w0)    ウェイ♪
         ( O┬O ( O┬O ( O┬O ( O┬O    ウェイ♪
     ≡ ◎-ヽJ┴◎-ヽJ┴◎ヽJ┴◎-ヽJ┴◎   ______...,、___
⌒::;;⌒⌒⌒;;::⌒⌒.:: :⌒;;⌒::.;;.⌒⌒/   /| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/   /::. :; ;⌒⌒:.:⌒:;⌒;;⌒⌒⌒
:::    ;;:    :,;: ;;..  : :;   ,::.;  /   /| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/   /.., ,; .:   ,,。,    ::;;,
    :::  :;..  .,;;   ;    : :::., /   /| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/   /,,;    :::  :;
683名無しさん@ピンキー:05/02/09 09:48:20 ID:RbpHvmak
孕め
684名無しさん@ピンキー:05/02/09 15:32:54 ID:EcQ89kQS
そして産め
685名無しさん@ピンキー:05/02/10 01:29:07 ID:UlEKwTG/
そろそろ終了かな?
次スレ
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1103982084/l50
686名無しさん@ピンキー:05/02/10 23:37:22 ID:Cy+VBMM+
687名無しさん@ピンキー:05/02/13 01:34:10 ID:2r1ySdgn
次スレ
                                         
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1103982084/
                                         
688名無しさん@ピンキー:05/02/13 03:15:04 ID:PFTJfV1E
終了〜
689名無しさん@ピンキー:05/02/13 11:31:16 ID:m4hKlAIn
これで最後の梅か?
690名無しさん@ピンキー:05/02/15 21:00:17 ID:P/7/7wVN
まだ
691名無しさん@ピンキー:05/02/16 01:53:34 ID:5wIqXR+i
まだ落ちないのか!
692名無しさん@ピンキー:05/02/16 17:28:22 ID:Oe6mpoE7
いい加減堕ちてくれ
693名無しさん@ピンキー:05/02/16 19:17:24 ID:PUk4gijz
この化け物め!
落ちろ!
落ちろーッ!
694名無しさん@ピンキー:05/02/17 16:56:18 ID:gLiviGbV
しぶとすぎるって
一回あげるか?
後1kだが……
695名無しさん@ピンキー:05/02/18 13:32:28 ID:cQRj5oxM
別にいいよ
696名無しさん@ピンキー:05/02/18 15:59:03 ID:kjjaMhBV
今日も埋め
697名無しさん@ピンキー:05/02/19 16:49:33 ID:GOjriKn2
今度こそ埋まれ
698名無しさん@ピンキー:05/02/21 17:50:31 ID:xfxuv82i
マジでいい加減埋まれって
699名無しさん@ピンキー
ちょっとだけ協力してみる