エロくない作品はこのスレに 1+

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365名無しさん@ピンキー:03/12/24 07:56 ID:yOzbJl7E
そんなに急がなくてもいいです。480KBあたりでの次スレ移行が理想的です。
36648:03/12/24 23:45 ID:zN8bfQb8
了解です。
ところで、個人的に>>93-114の出来が納得いかないんで、そのうち書き直してもいいですか?
367名無しさん@ピンキー:03/12/26 15:07 ID:I4WZGUPU
>366
書き直し終わったら是非投下お願いします。楽しみにしてます。
ところで48氏と「不気味なモノに寄生されて〜」スレの48氏は同一人物ですか? 違ってたらスマン。
368名無しさん@ピンキー:03/12/26 17:42 ID:Ux2QqVYP
>>364
スレタイは”3”でも良いような。
36948:03/12/26 19:03 ID:x8R5ycuy
>>367
はい、そうです。偶然にも同じ番号が取れたので、こりゃええわいと使ってます。
あっちは暴走しかけてますけどね…たった今、10レス分使って核爆弾の爆発描写をやると言う暴挙をやりかけたところです。
どうにか抑えましたけど。
私は軍板の書評スレなんかで「小説中で軍事を語るのは三流」などと良く書くんですが、なんで自分で書くとこんなに語ってしまうんで
しょうか。我ながら不思議なところです。
ちなみに「北の〜」はもともとレッド・ストーム三部作の最終作として書いたものですが、別スレ(DAT落ち済み)に投下した前二作に
原作との乖離があったので、「北の〜」が終わったら書き直して投稿しようと思ってます。見捨てないでくださいね。
(ついでながら、その2つはこれほど長くありません)
370名無しさん@ピンキー:03/12/28 22:51 ID:7w1PGU0y
351-361の続き……の前に、今更ですが補足説明。
当SSはサモンナイトスレに投下したアティビジュSSの続きだったりします。
そっちの内容は「両親殺されてトラウマ持ちなアティ、シャルトスに唆されつつビジュを犯す」というので、
こいつを念頭に入れて頂ければ投下中の話が分かりやすくなると思います。
本当は一番最初に注意書きするべきでしたな。すまん。
371サモンナイト3(4−1/9):03/12/28 22:52 ID:7w1PGU0y
心に浮かぶひとに会いなさい、とメイメイは言った。
剣に込めるべき確かな想いを得るために。
アティはうーんと考え込む。
(アズリアにはまだ会いにくいし……アルディラやスカーレルさんにでも相談してみようかな……)
「あ。その前に」

ビジュの指先に痛みが生まれる。慌てて引くと草で切ってしまったらしく白い線がはしっていた。
幸い血も出ていなかったのでそのまま草むらをかき分け続ける。
「……」
なんでこんな事してるのか、馬鹿々々しくなってきた。
朝からずっと地面に張りついて服泥だらけだし、疲れた。
一旦立ち上がり腰を伸ばす。
その拍子に目に入った空は憎らしいまでの快晴。
天気は人間なんかに構いやしない、という当たり前のことを再認識させる空模様。
人が気候を動かすのを見たのは一度きり。二振りの魔剣により引き起こされた嵐。
魔剣の所有者両名のうち、一人は今も島のどこかでキルスレスと共に暗躍しているのだろう。
だがもう片方は。
「……アイツがイスラにやられさえしなけりゃ……つか俺が心配する必要なんてないだろうよ全く……」
「何ぶつくさ言ってるんですか」
背後からの声に思わず飛びのき腰へと手を遣り、
すかった感触で武器、ついでにサモナイト石も取り上げられたのを思い出した。
元凶のアティは驚いた顔している。
気配を読み取れなかったことに歯噛みする。自覚はないが注意力がかなり落ちているらしい。
「何の用だ」
「あ、その、アリーゼ見つかりました」
それで納得した。アティを蝕んでいた自棄の空気が随分軽くなっている。
372サモンナイト3(4−2/9):03/12/28 22:55 ID:7w1PGU0y
「本調子取り戻せたみてェだな」
「あの子に説教されちゃいましたから」
ほんのり優しさを含んだ苦笑が言葉と一緒に滑り出る。
「私は、焦ってたんだと思います。イスラを前に、みんなを守れるのか不安になって。
 自分を曲げることも時には必要だって言い聞かせて……結局、あの有様でしたけど」
特に返答を期待したわけではない。だが意外にも、応えがあった。
「要するに、だ。テメエは仲間を信用してねェってわけだな」
「……え?」
「テメエだけが無理すりゃ勝てるなんて考えて、他の連中ほったらかしだしな」
アティが言葉に詰まる。その頬に戸惑いと僅かだが怒りの朱が差す。
「信用してます。ただ、大切な人達に傷ついて欲しくないだけです」
平静を装っての答えも、眉がしかめられていては効果半減だ。
「痛い所突かれた、って顔だな」
「嫌な人ですね、貴方」
それはそれは嫌そうな声色に何故だか愉快になった。
まだ、そんな表情もできるのだと。
「……確かに言われてみればそうですけど。
 駄目だなあ。自分の我侭のせいで人に迷惑かけちゃうなんて」
聞こえるか聞こえないかの呟きに違和感を覚えた。
「我侭っつーのは、誰が」
「え、私、ですけど。
 貴方にも言いましたけど、私が誰かを守るのは単にそうしたいから、というだけなんです。
 それで勝手に動いて自滅して。もう見捨てられても仕方がない位ですよ」
自虐とも取れる内容の割にはアティはいつも通りだ。
まるで当たり前のことでも話すかのように。
それが、妙に。
「連中がテメエを見捨てるなんざ在り得ねェがな」
「皆さん優しいですから」
373サモンナイト3(4−3/9):03/12/28 22:57 ID:7w1PGU0y
「違うだろ」
癇にさわる。
「連中がテメエを助けるのはテメエだからだろうが」
「私だから、ですか?」
狼狽の色が濃く滲み出る。
……この女は本当にそのことを分かっていなかったらしい。
ビジュは思わずこめかみを押さえた。馬鹿だ馬鹿だとは思っていたが、
「ここまでとはなあ……」
「つまり行為に対してのお返し、ってことかな……でも本当に自分勝手な気持ちからだから……」
横でぶつぶつ言うアティの頭を一瞬はたきたくなるが、どうにか踏みとどまった。
その代わりに、
「テメエと一緒だろうよ。我侭ってやつだ。
 それとも自分はよくて他人のは許せねェ、ってか? 都合のいいこった」
「なっ、そんなんじゃないです!」
強すぎるまでの否定に、アティ自身が驚いたようだった。
「ただ、私を守る必要なんて……シャルトスもある…あったし……」
「それはそっちの都合だろ。んなの関係ねェから我侭っつーんだろうが」
アティが黙って俯いてしまう。うろうろする視線からすると、反論の言葉を探しているらしい。
追打ちをかけるようにビジュはわざとらしく溜息をついて、
「それで上手くいってたんだろうが。で、余計なこと考えた途端にイスラにやられちまった、と。
 間違いがどこだったのか部外者の俺にも分かることが、何で分からねェんだか」
落ち着きのなかった目が、内の思考に沈むようにして静まる。
ビジュはといえば、普段なら絶対言わないであろうことをほざいたむず痒さに今頃襲われていた。
374サモンナイト3(4−4/9):03/12/28 22:59 ID:7w1PGU0y
「―――我侭でも良いのかな」
少々居心地の悪い沈黙の末にアティは顔を上げ、
「それで良いんでしょうね、きっと。
 はは……まさか貴方に諭される日が来るとは思いませんでした」
全くだ。言った当人でさえ予測していなかった。
苦い顔して手を追い払う形に振る。
「用が済んだならとっとと行っちまえ」
「あの」
「まだ何かあるのか」
「……ありがとう」
本日二度目の不意打ち。
「じゃあメイメイさんの店にアリーゼ待たせてるのでもう行きますねではまたっ」
不自然な早口でまくしたてきびすを返すのを呆然と見送った。
「勘弁してくれ……」
これ以上は不本意だ。ほったらかしにして、居ないもののように扱ってくれた方がまだましに思える。
他人との関わりは苦痛を伴うのだから。
苛立たしげに引いた爪先が石らしきものを蹴転がす。視線を落とし、
「あった」
呟きには少しばかりの安堵と、ごく微かな―――本人すら気づかない感情が含まれている。


仄暗い部屋の中、鉦音に合わせ炎が踊る。
「見つけたようだな」
「はい。それで、どうすればいいんですか」
ウィゼルは金床をはさんでの正面を指さす。アティがそこに立つと、
「剣に呼びかけろ。お前の想いが強ければ、その分だけ剣は強くなる」
「……弱かったら?」
375サモンナイト3(4−5/9):03/12/28 23:00 ID:7w1PGU0y
「形を創る前に崩れるだけだ」
単純で分かり易いことこの上ない。
アティはひどく生真面目な表情で目を閉じる。
(私はとても―――自分すら思い通りにならないくらい弱いけれど、それでもみんなを守りたい)
昏い感情を持つ自分がそう願うのは、間違っているかもしれない。
それでも、これが自分の嘘偽りない想い。
だから、
「もう一度、力を借ります」
剣を打つ音が、ひときわ高く響いた。


ビジュは土で汚れた手を、正確には手の中に収まるものをポケットへと突っ込み、仕上げに裾で土を払い落とす。
「とりあえずこれで借りは返せるか」
どこか気の抜けた独白に応える者はいない。
怪我が治った今、ビジュとアティを繋ぐのは助けた側と助けられた側という、
一種の負い目にも似た感情だけだ。おそらくは。
だからそれさえ解消してしまえば、金輪際アティと少なくとも精神的には関わらずに済む。
ビジュにとって正に望むところ、のはず。そのはずだ。
「うわああああっ!」
涙混じりの悲鳴にばらけていた意識が集束する。
木々の間を縫うようにして、追いつ追われつする影がふたつ。
必死で逃げているのは、アティの生徒の一人で確かパナシェという名の亜人の少年。
追いかけるのはここいらでよく見かけるはぐれ召喚獣だった。
あのはぐれ自体は弱く群れで襲ってこない限り素手でもどうということのない相手だが、
弱さ故に己れより大きな獲物を襲うことは稀だし、あんな風に一匹で行動するのは珍しい。
おそらく無色の影響なのだろう。
「あっち行けよ! ボク食べたっておいしくないのにー!」
はぐれが耳障りな鳴き声を上げる。
376サモンナイト3(4−6/9):03/12/28 23:01 ID:7w1PGU0y
とりあえずパナシェはうるさ過ぎるし、第一こっちに走ってくる。無視しようにもできない。
タイミングを見計らいはぐれの進行方向に立ちふさがる。
驚き動きを止めた腹に蹴りを叩き込む。はぐれの丸っこい体が明後日の方にかっとび大慌てで逃げ去っていった。
「今日は何だってこんなに会うんだ」
視線を向けると、パナシェは怯えてあとずさる。人質にとられた事もある身としては仕方ないだろう。
立ち去ろうとして―――出来なかった。
見ると袖を震える手がぎゅっと掴んでいた。
「せ…先生、先生とお姉ちゃんがどこにいるか知らない?!」
「……何があった」
見上げる目がうろうろと迷い、やがて、
「みんなが、無色のヒトと決着をつける、って……先生には内緒にしろって……でも」
大きな瞳からぼろぼろと涙が零れる。
「聞いちゃったんだ……『勝てないかもしれない』って……『でもやらなきゃいけない』って……!」
思わず聞き返す。
信じられなかった。シャルトスの力を以ってしてもやっと互角だったのに、勝てないと分かって戦いに赴く、だと?
「馬鹿の集まりか連中は!」
「ねえ先生は?! 早くしないとみんなが……!」
ここでぐだぐだ考えていても始まらない。
「行くぞ」
「え、知ってるの……わわちょっと待って!」
子どもと大人の足では違いすぎる。ビジュは舌打ちしてパナシェの所まで一旦戻り、
「うひゃあっ」
パナシェを小脇に抱え走り出す。見た目の割に重いが、一度抱えた手前放り出すわけにもいかない。
「ちっ……なんで俺がこんなこと……!」
遠慮会釈なく揺さぶられながら、それはこっちが聞きたいよ、とパナシェはこっそり心の中で呟いた。
377サモンナイト3(4−7/9):03/12/28 23:03 ID:7w1PGU0y

メイメイの店でアリーゼはお茶を御馳走になっていた。
行儀のいい彼女にしては珍しく、手にしたカップを落ち着きなくいじくっている。
その視線は閉じたままのドアへ、その向こうのアティとウィゼルへと向けられたままだ。
と。がたんっと音を立てて立ち上がった。
ドアが開く。
「先生っ」
「お待たせ、アリーゼ」
アティはそっと笑みを浮かべ、手にした剣を見せる。
水晶のごとく透きとおる刀身は優美な曲線を描き、一見とても脆い、武器というより美術品のよう。
「抜いて見せろ」
「はい」
かざした剣に光が満ちる。
シャルトスの全てを圧倒するような強い光とは異なる、もっと穏やかで包み込むような、青い輝き。
「……きれい」
それは、アティの新しい力。
「やーめでたいっ。めでたいついでに、このメイメイさんが名付け親になってあげよう」
「名前って、この剣のですか?」
「そう。うん、『ウィスタリアス』ってのはどうかな。古い言葉で『果てしなき蒼』って意味なんだけど」
「果てしなき蒼……ウィスタリアス」
アティの呟きに応え剣が淡く強く光を放つ。
「うわあ格好良いです。先生の新しい剣にぴったりの名前だと思いますよ」
「ちょっと照れるけどね」
はにかむアティを囲んでほのぼのした空気が形成されたところで。
378サモンナイト3(4−8/9):03/12/28 23:04 ID:7w1PGU0y

物凄い音がして店の戸が蹴り開けられた。
肩で息しつつ転がり込んできたのは、
「お前は、イスラと共に居た……」
「ウィゼル?! なな何でここに」
半ば固まりかけるビジュだが、パナシェがじたばたしだしたのに我に返った。
つい腕を離すとべたんっと床に落っこちる。
「パナシェくん大丈夫?!」
「う、うん。それより大変だよ! みんなが無色のヒトと決着つけるって遺跡に行っちゃったんだ!」
「なっ…そんな無茶な?!」
「心配かけないようにって内緒にしてたのが裏目に出たわね」
眉をしかめたメイメイの呟きにアティが目に見えて焦りだす。
様子を見ていたビジュは何事か言いかけ、結局口をつぐんでしまう。
そこに、
「ちょっとちょっと、お兄さん」
メイメイが手招きし、投具を一揃い差し出した。
「要るでしょ、ああ代金は後払いでいいから〜。後、これはオマケ」
「……これってサモナイト石? メイメイさんがなんで持ってるんですか?」
後ろから覗き込むアリーゼの疑問に得意げに笑って、
「こう見えてもメイメイさん、凄腕の占い師だから、お客さんの必要なものが分かるのよ」
いまひとつ納得がいかないが、今はそれどころではない。
黙って受け取るビジュに、アティがおずおずと尋ねる。
「ついて来てくれるんですか」
「こんなモン渡されちまった手前、無視するわけにもいかねェだろ。ついでに」
投具を腰へとたばさんだ。確かな重さと冷たい金属の感触が為すべきことを教える。即ち、
「借りを返すぜ、先生」
「―――はい、お願いします!」
いまいち状況の変化についていけてないアリーゼを急かし、アティ達は仲間の元へと駆け出した。
379サモンナイト3(4−9/9):03/12/28 23:05 ID:7w1PGU0y

しばらくして、ウィゼルが店の戸を押し開ける。
「ありゃ、もう行くんだ」
「今からなら丁度良い時分だろう―――彼女らは間に合うかな」
「もちろん」
不信などカケラも見当たらない口調で答えるのを、ウィゼルは一瞥しただけで立ち去る。
その背があっという間に木々の中へ溶け込むのを見送り、
「頑張りなさいよ、若人」
普段からは想像もつかないひそやかな威厳を湛えて、メイメイはそっと呟いた。
次いで満面の笑みを浮かべパナシェへと向き直る。
「心配しなくても大丈夫だ〜って。さ、お茶淹れるから、座って休みなさい」
「……うん。先生もお姉ちゃんもいるし、大丈夫だよね」
言い聞かせるような言葉にうんうんと相槌を打つ。

そう。きっと大丈夫。
何故なら彼女が帰ってきたのだから。
380名無しさん@ピンキー:03/12/28 23:09 ID:7w1PGU0y
SSやはり次スレ持ち越しになってしまいそうです。
折り返し地点は過ぎたんでもう少しお付き合い頂ければ恐悦至極。
381名無しさん@ピンキー:03/12/28 23:14 ID:ydc0Om5V
>>380
乙でつ。年内には新スレ移行ですかな。
それにしても、このスレは俺屍さん、48さん、サモンナイトさんと職人豊富なスレに育ちましたなあ。
「1」が立ったときなんて即死するかと思ったのに。
382名無しさん@ピンキー:03/12/28 23:16 ID:Ev7o6rIm
>>380
グッジョブです。あなたの書かれる話の雰囲気、とても好きですよ!
383名無しさん@ピンキー:03/12/29 00:49 ID:uqhxLnsj
>>381
まあ一回死んでるんだけどなw
38448:03/12/29 15:11 ID:8DME8hRG
>>383
それは言わんといてくださいよ。
385名無しさん@ピンキー:03/12/31 01:04 ID:SeBsrOPH
>>380
いーねー、ますますビジュに惚れちまうよw GJ!
386名無しさん@ピンキー:04/01/03 15:13 ID:9mqsAB7+
ほしゅ
387名無しさん@ピンキー:04/01/03 17:23 ID:t5Y888Yg
正月早々お邪魔します。
今回ちっとエロシーンありです。ご注意を。
388サモンナイト3(5−1/10):04/01/03 17:28 ID:t5Y888Yg
面白いものが見れた。そうウィゼルは満足げに目を眇める。
シャルトスの所有者に力を貸した際、口で言う程興味があったわけではない。
せいぜい余興になれば好しと思っていたのだが、結果は予想以上だった。
絶望的な劣勢を彼女ひとりで―――実際には一人の力ではないが
形勢逆転の立役者はまず間違いなく彼女だ―――ひっくり返した。
オルドレイクがイスラとの一件で傷を負い万全の状態とは言い難かったとはいえ、
見事退けてのけたのだ。
「脆弱さ故の強さ。確かに見せてもらった」
撤退の屈辱に身を震わすオルドレイク達とは裏腹に、ウィゼルの口元は僅かに綻んでいた。
今回の仕事では魔剣の構造を知ることが出来た上、新しい可能性まで掴めた。
これでまた、より強い剣が打てる。
剣匠とも稀代の鍛冶師とも呼ばれる男は、狂気にも似た愉悦にひとり身を委ねる。
389サモンナイト3(5−2/10):04/01/03 18:43 ID:t5Y888Yg

構えを解き剣を下ろす。緊張が和らぐと同時にウィスタリアスの重みが消え、アティの姿も元に戻った。
「―――センセ、わざと見逃したでしょ」
「あ、分かっちゃいました? やっぱり私は守る為の戦いしかしたくないから」
「らしいよね。うん、いいと思うよそれで」
会話を聞くともなしに聞きつつビジュは投具の血脂を上着で拭う。
『……』
視線が、痛い。
気がかりそうにちらちら見るだけのものから、かなりあからさまな疑惑を含んだものまで様々だが、
共通するのは「何故、奴がここに?」という一点。
特にアズリアとギャレオは半端でなく殆ど睨みつけている。
同じラトリクスに居ながらも、今まで顔を合わせることはなかった。
二人にとってビジュはかつての部下で隊の裏切者。しかしイスラに切り捨てられた。
どう接すればいいのか判断がつきかねて極力避けていたのが突然目の前に現れたのだ。
動揺するな、という方が無理だ。
空気が限界まで張り詰め、
「あれ」
次いでとさっと軽い音。
ビジュが音源へと振り返る前に、アズリアが横を駆け抜ける。
慌てる仲間に囲まれて、地べたに座り込むアティへと。
「アティ大丈夫か?! 傷はどこだ!」
「いえそうじゃなくて…………貧血」
しばしの沈黙。
「要するにだ。ろくに食事も睡眠も摂ってなかったのに大立ち回りやらかした疲れがいきなり出てきたと」
「あはは」
「笑い事じゃないだろう! 全く貴様という奴は……」
ぶつくさ言いながらもアティに肩を貸し立ち上がらせる。
390サモンナイト3(5−3/10):04/01/03 18:44 ID:t5Y888Yg
「貴様は学生の頃からそうだ。自分をないがしろにしすぎる」
「はあ」
「大人なんだから手の抜きどころ位覚えろ」
「アズリアに言われるとものすごーく不本意に感じますねえ」
「……どういう意味だ、それは」
半眼になるアズリアと、笑って誤魔化そうとするアティ。
戦闘の余韻も彼方に吹き飛ばされて、彼女らの遣り取りを愉快そうに見る面々。

ただ一人を取り残し。


結局アティはラトリクスへと強制送還された。
本人がいくら平気だと言っても、他全員から「すぐ無理するから信用できない」と言い切られては
逆らう術はない。まあ大きな負傷もないし、今夜は大事をとるだけで、
明日から普通に動いても良いとは看護人形<フラーゼン>たるクノンの弁。
「―――とにかく今日は休みなさい、か」
無表情のはずのその顔に有無を言わせぬ迫力が見てとれたのは、
アティに多少ながら自覚とやましさがあったからかもしれない。
シャワー浴びてさっぱりした頭をタオルで拭いながら苦笑する。
布地から落ちる赤い髪は洗料の残り香をほのかに漂わせている。
いつものマントとワンピースは洗濯し、新品、とまではいかなくとも着け心地は良好。
糊が効いて、
血の臭いは一切しない。
「……やだなあ」
首を振り余計な思考を追い払う。
せっかく立ち直れたのにまた鬱になってはアリーゼ達に申し訳ない。
気分転換に夜風にでも当たろうとテラスへ向かい。手前の廊下で足が止まる。
391サモンナイト3(5−4/10):04/01/03 18:46 ID:t5Y888Yg
テラスには先客がいた。
廊下からの常時灯に浮かぶ白い影に挨拶すべきか否かで迷う。
結局、ゆっくり三数える間の逡巡の後、
「こんばんは」
アティはビジュへと声をかけた。

日が暮れてから急に雲が出てきて、今はすっかり覆い尽くされてしまっていた。
本来眠りを必要としない機界住人達も他の集落に合わせて夜は休むため、
昼の喧騒が信じられないほどに暗く静か。
ビジュから人ひとり分の距離を空けて掴んだ手すりは、夜気に晒され冷えきっている。
「よお」
短いながらも返答があった。
そのまま話すこともなく夜に沈む風景を見る。
静寂が疼痛に変わる直前、
「―――こいつは返しとくぜ」
「え……っとと」
無造作に放り投げられたそれを慌てて受け止める。
掌に収まるのは青いサモナイト石。
(返す……って私じゃなくてメイメイさんにでは?)
問おうとして、刻印に気づく。サプレスの天使、ピコリットとの誓約を表す印だ。
メイメイはこんなのも渡していただろうか―――そう考えて、
「……っ」
思い当たる。
ビジュは視線を逸らしている。
予想は正しいらしい。
「これで貸し借りなしだ」
「……ええ、そうですね」
392サモンナイト3(5−5/10):04/01/03 18:47 ID:t5Y888Yg
あの夜のことは話題にしようとはしなかった。
言い合わせたわけではないが、どちらにとっても良い思い出とはなり得ないので避けてきたのだ。
今も蒸し返す気はないらしく、別の話を振る。
「で、後はイスラの野郎から剣ぶんどるだけか」
「それから遺跡封印して、それで全部終わりです。間違いなく一番きつい戦いになるでしょうね」
まあやるしかないですね、と続けてアティは微笑んだ。
そしてそのままの笑みで、
「貴方は無理に戦わなくてもいいですから」
ビジュのどこかが違和感を訴えた。話の内容はいつものアティらしいというのに。
「俺は自分のためにしか戦う気はねェよ」
「そうでしたね。じゃあ自分の身は自分で守ってください」
言われなくてもそうするつもりだった。
逆にアティが『当たり前』を口にしたのに落ち着かなくなる。
「剣は確かに修復できました。けれど私独りでは多分何もできなかった。
 誰かの力を借りないと大切なものひとつ守れないくらい弱いと、私自身が知っているんです」
これ以上言わせるなと警鐘が鳴る。深みにはまりたくなければ止めろと。
「こんな弱い人間頼るとろくなこと―――?!」
行動に思考がついていかない。
気づけば洗いざらしの赤毛がすぐ目の前にあった。
洗髪料が柑橘系というのは判ったが種類までは―――ってそれはどうでもいい。
問題なのは何故アティがこんな近くに、しかも自分の腕の中にいるかということだ。
解答。ビジュが抱き寄せたから。
「…………」
だらだら冷や汗が流れる。悲鳴を上げるか突き飛ばされるか、もっと痛い目見るか。
いや、このまま沈黙を続けるよりは幾らかましか。
アティが不意に手を肩から後ろへ遣る。
触れたのは、ビジュの腕。布地に覆われたそこにはシャルトスに貫かれた痕。
393サモンナイト3(5−6/10):04/01/03 18:48 ID:t5Y888Yg
「……怪我やっぱり残してしまいましたね……ごめんなさい」
「……貸し借りなしだっつってんだろ」
しばしの迷いの末アティはぽつりと唇を開く。
「守られる、っていうのは大事に思われてるってことだし、大切な人達を守りたいって心から思う。けど」
囁きは小さく途切れ途切れだったがやけに響いた。
「時々、そういうのが重くてたまらなくなるんです。
 ……こんなこと思っちゃいけないのに。本当に、皆が好きなのに……」
泣くだろうか、と考えたがアティは泣かなかった。少なくとも涙を流そうとはしなかった。
何故アティが剣砕かれた程度で殻に閉じこもってしまったのか、唐突に理解する。
壊れてしまった方が楽だからだ。
例えば、かつての自分のように。
他者の存在に振り回されるのも、与えられる感情に怯えるのも、そんな自分を厭い絶望するのも、
壊れてしまえば。
―――全く。知らなければ、彼女は自分とは違うのだと思い込んでいれば
手を届かそうなどとしなかったのに。
もう手遅れだが。
「俺はテメエを守るのもテメエに守られるのも御免だ。だから―――もういい」
冷淡ともとれる言葉が、裏腹の強い抱擁がアティを、崩す。
ぎくしゃくと伸ばした腕は白い軍服を拘束し、
ひとつになれとばかりに寄り添った。

これは恋慕ではない。
憐憫―――しかも相手に己が影を見る、歪んだ自己投影の末の感情。
けれど。単なる傷の舐めあいでしかなくとも。
どうしようもなく寂しいのは事実だし、目の前にどうやら似たような気持ちを抱えた奴がいて、
互いに求め合っているのならそれだけで充分。
戒めを解く。
どちらも何も言わない。視線すら合わせようとしない。
この均衡を必死で保とうとでもいうように。
394サモンナイト3(5−7/10):04/01/03 18:49 ID:t5Y888Yg

部屋の明かりを消す。カーテン引いたままの窓からも光は差し込まないが、
要所に据え付けた発光パネルのおかげで物の輪郭程度なら判別できる。
衣服は全部脱いでベッドに潜り込む。
ごく自然にビジュがアティの上になる。くだらないことだがちょっとばかり矜持が満たされた。
片手を支えに緊張気味の身体へと圧し掛かる。
アティの喉から殺しきれなかった悲鳴が洩れる。
秘所は人差し指一本すら拒んでいた。
挿入前に慣らしとく位は、と考えていたのだがそれすらはじかれた。
「だ…大丈夫、ですから」
どうせ嘘つくならもっと巧くつけ、と言いたくなる声調に呆れるが、とりあえず。
「テメエが平気でもこっちはそうじゃねェんだ」
「……はい?」
「今から何ヤルと思ってんだ」
「なに、って……」
暗がりで見えないが上がる熱からアティが頬を紅潮させたのが分かる。
「言っておくが、きついと痛てえんだよ」
「え、あ、そうなんですか」
本当に無理矢理跨ってきた女と同一人物かとツッコミたくなる。
「……シャルトスのせいか?」
「……唆されたのは事実ですけど……あんなことしたの、やっぱり私ですから」
どうにか強張りをほぐそうと深呼吸していたアティが小さく答える。
責任転嫁のできないところや、他人だしにしなければ苦痛の緩和すらしないところが
らしいと言えばらしい。妙にむかつくが。
感情をぶつけるように豊かな乳房を掴む。いきなりな行為に一瞬仰け反った。
片手なのが残念だがそれでも柔らかい肌と中心のしこりは充分楽しめる。
アティの呼吸が浅く継がれる。がちがちだった身体がようやっと動ける程度にほぐれる。
395サモンナイト3(5−8/10):04/01/03 18:50 ID:t5Y888Yg
ふと、受けるだけだった身体が寄せられ、
押し当てられたぬくもりに今度はビジュが固まる。
火傷痕を這う艶めかしい感触。
「……舐めても消えねェぞ」
無造作に言い放ったはずの言葉は情けなく掠れていた。
蹂躙が、止まる。触れたのは丁度頚動脈の辺り。背筋を駆け上がる悪寒とも快楽ともつかぬ冷気。
人間の歯ごときで喰い千切れるわけでもないと分かっているのに、
血流を柔らかく押さえられる、それだけで脈拍は不必要なまでに速まる。
受け入れる側の女に命を握られる―――奇妙な昂揚。
こくり、唇がたまった唾液を呑み込み動く。
首筋に蠢く他者の体温。洩れた微かな吐息。
「知ってます」
濡れた肌を撫でる応えは情欲を多分に含む熱との乖離も甚だしく、苦しさすら滲ませるというのに。
しなやかな指先が頬に触れ、刺青を、その下に隠した傷をなぞる。
「これはこれで治りきってるから、私じゃどうしようもないですよね」
アティだけではない。他の誰にも、ビジュ本人にすら刻み込まれた痕を消すことなど不可能。
せいぜい見ないふりして忘れてしまうのが精一杯。
そう分かってはいるのだが、獣めいた治癒のまねごとが理性を削り落とす。
「……ひうっ」
そこは先程よりは開いていた。
指を足してかき回す。粘性の水音と湿った感触。
先端をあてがう。
緊張に強張る細腕が背をきつく抱いた。
396サモンナイト3(5−9/10):04/01/03 18:52 ID:t5Y888Yg

認めるのも癪だが、アティの甘さや信念に嫉妬に近しい感情を抱いていたのは事実。
それは自分には決して持ち得ないものだから。

ゆっくりと進める。
限界を引き延ばすかのように。
終わりをできうるだけ遠くへと追いやるかのように。
華奢な腰が痛みに耐えかねゆらめく。いっそひと思いに終わらせてと懇願する。

どちらを望んでいたのだろう。
胸が悪くなる程お人好しで愚かな彼女を、ずたずたに踏みにじって己れと同じ処まで堕とすことか。
それともとうに失った想いを彼女ごと手に入れたかったのか―――『アティ』が欲しかったのか。
答えは見えない。

以前一度は受け入れたはずのそこが軋む幻聴を聞く。
快楽は未だ遠く、浅く継ぐ息には甘さもなく。それでも行為を止めるなど考え及ばず。
―――この交わりで何かが生まれるとは到底思えないのだけれど。

月のない夜に。己れすら見失う闇のなか。
表層を失い初めてほどかれる想いに絡めとられてしまい。

腕の中の相手を愛していると錯覚してしまいそうだ。
397サモンナイト3(5−10/10):04/01/03 18:53 ID:t5Y888Yg

後始末終えても、どちらもベッドから降りようとはしなかった。
だからといって再び抱き合うわけでもなく、
夜が明けるまでに自分の部屋に戻らないと心配されるだろうな、とか
この状況見られたら言い訳効かないだろうな、などと色々考えながら
近すぎる他人の体温に居心地の悪さを覚えつつうつらうつらしていた。
そうして幾度めかのまどろみから覚めたアティにふいに、
「テメエ、この戦いが終わったらどうする」
んー、と悩む仕草につれて赤い髪がうねり汗と香料の混じった匂いが微かに香る。
「とりあえずシャルトス……じゃなかった、ウィスタリアスで結界解けば島の外には出られます。
 そしたらまずアリーゼの御家族に連絡取らなきゃ。心配してるでしょうから」
ビジュは、とは聞かなかった。
情報漏洩は重大な規程違反だ。特にこの場合は被害が大き過ぎる。
そこらのちんぴらに手入れ情報流した、なんてのとは比較にならない。
軍法裁判にかかれば、良くて軍属剥奪の上服役、悪ければ処刑。
そして九分九厘、悪い方に傾くだろうと自覚する。
―――結局、死ぬのを遅くしただけなのだろうか。
苦い思いは霞がかる思考の内鈍化する。

まあ構わない。明日が始まるにはまだ時間がある。
答えのでない気だるさに今は溺れていたかった。
398名無しさん@ピンキー:04/01/03 18:57 ID:t5Y888Yg
書き込みはねられて冷汗かいた…
480越えましたが、自分スレ立てましょうか?
39948:04/01/04 21:59 ID:zocdsqSu
>>398
お願いします。
で、いいですよね?>各位
400名無しさん@ピンキー:04/01/04 22:10 ID:vRYVth9K
>>399
次に投下する直前ということで。

こういう元ネタがないスレだと雑談で保守するのも難しいしね。
401俺の屍を越えてゆけ:04/01/05 20:55 ID:jnccHxzZ
容量を一番に喰ってしまった自分が立てなければ
ならないのに、立てたこともなくよくわからないので
よろしくお願いします。

それから349さん、ありがとうございます。
402俺の屍を越えてゆけ:04/01/05 21:13 ID:jnccHxzZ
『182』

 神の時計にすれば、人の流れは瞬きの如きもの。その営みに神は介入し、災厄をこしらえた。
常夜見・お風の神通力をもってしても見えてこない辿り着くべき場所。長き旅とは紅子の
お風への呼び掛け。
「どうやら、初弾は成功したみたいだね。紅子?おい、どうしたんだい」
 好戦的で、最上位の男の荒神をも超えうる能力を持ちながら、初弾に参加できなかったことを
悔いることなく、分をわきまえていた。

「なんでもありません」
 紅子の閉じている瞼がぴくっと動いた。吉焼天・摩利の構えた槍先も顫え、明らかに
黄川人への怯え。疽の如きに振舞う黄川人に無力である自分にも摩利は苛立つ。常夜見・お風が
みなを前にして、黄川人との戦いは前哨戦でしかないとも言い切っていた。本来なら、戦を前にして、
そんな物言いをしないお風が、肚を割ったことでさえ異例のことだった。

「ひとの気のみだれを心配なさらなくて結構よ」
 竜穂の閉じていた瞼が開いて紫苑の虹彩と縦の瞳孔がひらく。卑弥呼を挟んで隣の夢子の
薄い唇がほころんでいた。
「あいよっ」
 緑光体の七つ龍は、守りの祈りを捧げていた手弱女たちを呑み込んで引き擦っていったものの、
波状攻撃を仕掛ける気配はなかった。それでも気流はいまだ渦巻いていて、熱風が女神たちの
顔を舐め前髪を煽り額を嬲り、艶々としたおんな髪を痛めつけてたなびかせる。

「しかし、封印が掛かってきているというのに……あの坊は……とんでもなくやっかいだねぇ」
 いつもは楽天的ですかしたような趣の、おぼろ・夢子の貌が曇ってゆく。しかし、それは夕子が
イツ花の素質の可能性を信じた弁証でもあることをも確認する。
「さあ、行きましよう!」
 芽宮・卑弥呼(カヤミヤノヒミコ)の凛とした鯨波(とき)の声が上げる。卑弥呼は両の手を摩利の
肩に掛けると、額の宝珠が茜に発光して四人の躰を包みはじめ、卑弥呼のおさげ髪がほとかれて
舞い上がった。
403俺の屍を越えてゆけ:04/01/05 21:28 ID:jnccHxzZ
『183』

 神々といえども、祖は人なり。初めて対峙した才能の壁に迷いが生じる。好戦的な摩利
でさえも。
「締め括りの大役ぞ!こころして行け!」
 卑弥呼の励ましの手を感じ、摩利は握りをぎゅっと締める。そして、大きな卑弥呼の瞳が
寝殿の中央で苦悶する黄川人を捕らえた。
 火の摩利が先陣を切り、脇に水の竜穂と風の夢子、しんがりを土の紅子が固め、中心を
卑弥呼に据え、瞬時に力を解放して、夕子と昼子の最後の盾となるべく、お風の娘子軍は
光弾となって突入していった。

「うっ、うあぁああッ!」
 黄川人は宙に浮かびながら双眸をいっぱいに見開き、口もくわあっと開ききっていた。
淡黄色の透明な体液があふれ出し頤を濡らしてしたたり落ちて、寝殿の畳を焦がして
シュウシュウと焼き焦がし、腐臭を立てていた。イツ花は弟の変貌ぶりにその場に崩れるが、
這いつくばるようにして、顔を起こして黄川人を見ようとした。 
 鬼の荒い息遣いにも似た音にイツ花は顫える。内と外からの神々の捨て身の攻めに
苦悶する声にも、計り知れない怒気が込められている。思わずイツ花の瞳が潤んだ。

『イツ……花。イツ花……さま』
 おなじ想いを大江山の暮れ六つの襲撃に等しく抱きながら、茜に染まる草原で母と弟を
非力な小女たちが何の迷いもなしに主を守り、討伐隊の振り下ろされる太刀に立ち向かって
盾となって逝ったのを見たはずなのに……。
『みんなは、わたしを恨んでいますよね。黄川人と袂を分かったことを……』
『どうして、そう思われるのですか、イツ花さま?』
 何時、イツ花が黄川人に、そう……羅刹女に変わっていても不思議ではなかった。
『わたしたちは、イツ花さまの躰のなかで安らいでおります。怨霊にならずに済みましたから』
「くそおおっ、夕子!夕子!ゆうこおぉおおおぉぉぉ――っ!」
 黄川人は両手で焔のように揺れる髪を掻き毟りながら、乱れ弱る神威を整えようとした。
404名無しさん@ピンキー:04/01/06 13:53 ID:9F78fGLc
405名無しさん@ピンキー:04/01/06 16:28 ID:k/Xly/Kr
この漫画のタイトル分かる人は居ませんか?

http://aniload.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/img-box/img20040106144857.jpg

406名無しさん@ピンキー:04/01/08 23:52 ID:PMIJZH/t
次スレ

エロくない作品はこのスレに2
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1073364639/l50
407名無しさん@ピンキー:04/01/08 23:53 ID:PMIJZH/t
バタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタ
===================================================-
    | ̄\         ||
    |(*)| _____凸____    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    \         |\  ∧_∧\  < 皆殺し♪
      \       | \( ´∀`)\   \______
         \    \___\ _ ) \
  _______/      \  ̄ ̄ ̄\_____
 // ̄\ ̄ ̄ ̄\ ̄\      \__  \  ̄\ ̄\\
  ̄ \((器)) \((器))  \マーダー  |     |\((器))  ̄
                  \__ |_____|
ダダダダダダダダダダダダダダ           ダダダダダダダダダダダダダダッ
       \ \   \  \           \  \ \\
       \ \\   \\\           \\  \\\
         \\ \   \ \\          \\ \ \\
          \\ \\  \\ \          \ \ \\ \
           \ \\    \\\\         \\\ \\\
             \\\ ∩_∩\\\\         \\\ \\\
             \\ギャ( ´∀` ) \\\            \\\\ \
               \ (      )\\ \\           \\\\\\
              、\\ | | |   (-_-) コレデラクニナレル…    ∧ ∧ / ̄ ̄
                 \(__) )  (∩∩)\\\\ 〜′ ̄ ̄( ゚Д゚)< ギャ
                  \\\\\\  \\\\  UU ̄ ̄ U U  \__
408名無しさん@ピンキー:04/01/08 23:53 ID:PMIJZH/t
                .
             "・∴*.   ______             /\
             ソ::::::ソ    |温泉見つけた|         /__.\
            (:::人:(    |モナ!      |         /  | | |   \
           //从从ヽヽ  ( ) ̄ ̄ ̄ ̄ ̄      /   | 人 |    \
                                   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~
         """ """"""""""O""""""""""""""""""""""
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  """"""   ノ⌒ヽ~~~~~~~。~~,'⌒ヽ~~~~/      ヽ___""""""""
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409名無しさん@ピンキー:04/01/08 23:53 ID:PMIJZH/t
      | ̄|三| ̄ ̄ ̄|\
     TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTヽ
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄|ヽ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|\iヽ
      | ̄|| ̄|  |  | |  | ̄|| ̄|  | ̄|| ̄|  .|  \iヽ
      |_||_|  |  | |  |_||_|  |_||_|  .|   \i
    _____|  | |_________.|     |
    _____|  |.|_________|      |          _,,-'~''^'-^゙-、
      | ̄|| ̄|  |  | |  | ̄|| ̄|  | ̄|| ̄|  .|     |____   ノ:::::::::::::::::::::::::::゙-_
      |_||_|  |  | |  |_||_|  |_||_|  .|     |     ..|\ i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::i
    _____|  | |_________.|     |LlLl LlL |  i:::::::::::::::::::;;;;;;::::__,,-''~i、
    _____|  |.|_________|      |======= | ゞ:::::::::::::::::::::::|.レ/:::::::i
      | ̄|| ̄|  |  | |  | ̄|| ̄|  | ̄|| ̄|  .|     |LlLl LlL | ヾ_:::::::::::_,,-''ソ/::::::::::;/
      |_||_|  |  | |  |_||_|  |_||_|  .|     |======= |  |゙-、_::: i;;;;//::::::::,-'~
              |  | |               |     |LlLl LlL |  |   ゙ヽy /_,,-''~
             | ̄| ̄|        | ̄| ̄|   |     |======= |  |    |i:|
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |  |      ∧|  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
             |  |  |     ∧´.|  | [
         .ゾロゾロ |  | ∧__.∩(´∀|  |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
             |  |  |∧∧`人_   |  |
             |  |∩(´∀`)つ| . | |  |
 ______|_∧_∧_⊃..(__(_|_|__________________
        ‐=≡ ( ´∀`∩  ∧_∧ -=≡. ∧_∧
      ‐=≡ ⊂    ノ  ( ´∀`∩ -= ( ´∀`∩
         ‐= 人  Y  ⊂    ノ -= ⊂    ノ
      ‐=≡ し (_) ‐= 人  Y  -= 人  Y
               -= し (_)  -= し (_)
410名無しさん@ピンキー:04/01/08 23:57 ID:PMIJZH/t

              、ヽ  l l
               \ヽ | l
       _ ,, ,, _    , ‐ヽl,l_/ " ヽ - ,,
       l    , 、_'>_, --/ ./l l"'' - ,,_   `  、
       l  /   /   /l | l    \'' ‐-v'" ̄ ̄"'' ‐ ,,
       l/   /  / //l.l | .゙,     .ヽ  ヽ,       "ヽ,
      ., '〃  /  / /j,W|.l  .'.  ゙    ヽ  、ヽ、     /   
      /// / /  / .,゙l l  .l l  ゙,   ゙,   ヽ .ヽヽ  , <
     ./// / /  .,゙ j l i  l.lヽ  ゙, ゙,  ,  , ゙,  ゙, ゙',/   \
    ,'./,' .,゙ / .,  ,'L_ l l l   l.l ヽ  l l_,. t  .゙  ',  ゙, .゙,  _,. ‐゛
    |,' i  , ,' .l  l l / "l'‐   l.l  ‐、''「 l  l  ゙, i   i゙',.i',"
     l.l l  .l  l .|'___   l|  ___i__i ゙,  .i, .l  i .l、゙l "' .,
     .,゙,l l.゙,  ll  l l   |_|.   ゛    |_|.i .i  l゙, i  l ト、ヽ、  r`
     .l,'.l.l .l .l l l`l     、        .゙,l゙, .i, l, l i ヽ  \ l
     /.〈'!./' .l l .l .l゛   ┌‐-       l .l l ,゙ ,',゙|l  \  `   
    '‐' `i i゙、!/.', ! |.l.ヽ.  ヽ ノ      .イ.l l.!/.i/./,゙ ヽ  ヽ    
       i i i  ゙,l ll  ll゙',, ,     .,  " l .l .il r l/レ   ゙,   ヽ
      /__l‐_l    .ll  ゛゙ヽ" ‐, "    l./ll レ       ',  /
              ,ヽ, ‐",二j      .゙、 ̄,ヘ.,_      ,/
          ,.-‐ ''゙l, | ヽ l,_ ´   ____, ‐`"  ヽ>,
         /l  ./ .゙l, i  | `  ´ ,. ‐   _,.. ‐ '"  .゙,
        / .i  /  .゙l, |   ,. ‐",. - _'"_,.  -‐ .'" ̄ヽ
       /   i /    ゙',.l ,._‐,.ニ"‐ ''"    .i ,   , -、,
411名無しさん@ピンキー:04/01/08 23:58 ID:PMIJZH/t
                             _,,、-'''''''''''-'゛~ ~ `''丶、 
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                       / ノ //) / / ///イ |`ヾヽヾヽ:::!:::::`.
                       ,/ / .'〃 /.:::イ // i イ| .:| | :|ヾ从ノ:::i::::.:. '、
                      ,´ //〃 / .:/{ // |‖|:::! }:| }::!| ::i |:::::.. i
                   /  ´ ‐ //‐,/{:/ .{ i {  |‖|ノ |ノ i::!| ノ| !:::::.. |
                 /  / __,/´, ';!-Y'"~ヽ|' ヽ| l' 7~'''','‐メ、i/|:::::. |
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         , '      /       | ||::! ::|:'、                   ,':::| |::::: |
       /        .'         | |:| :::|::::ヽ.    '‐- - ''    /:::::| |::::: |
     /         /          | 从 :::i:::::::::`'::.、   ` '''´   ,、':::::::::::::| |:::::: |
     ,'          ,'         ノ ノ!| ::::i::::::::::::::::::`!'‐、,_ ,,、; ' |::::::::::::::::| |:::::: |
   /          /        , 、i-‐┤::::i,、- ‐'"~´,|   ´ ''' |k^'ー‐- | |::::::::. |
412名無しさん@ピンキー:04/01/08 23:58 ID:PMIJZH/t
                   ヽ
          ┌- 、   ⌒ヾ_}}.._
          t   `>へヘ∧へ,〜ヽ、_ ...、_
           t // ,' 〃,'| i  ヽ'´\     7
           //,.' ,  l {| {|; l. i ; l i ヽ  =、/
          〃/ .〃/_,.-┼|l |l┼|+、! il ; .ヽ /
          !l l| l | l´!|_l⊥.|! !⊥!,N|`}|.l i. l }く
             |ハ{. | | |!V!f:;;| ! ! |::;;ヽレ | | | レ ヽ
        _,.. -!‐|ヘ| Nt.´tニ!    .!ニソ’|. ! ! ! !―┘
       /ヘ.//ハ、N、lハ. = r`┐ = ノノ ,' |,ハヽ、
         // __,... - \ `ー’  /∠イ,.┴-L_\
        /へ! くヽ _. -‐- 、` ー_'..´-/´ ̄'  \ヽヘ|
           /l. l.ヽ,. -‐-ミ∨_,..  | r‐'  ̄`ヽ ヽ \
         / ヽヽ{ ,. -‐.貝- _/´二 ̄\ ヽ `  \
        /    ` ゝー'彡^ V⌒j ´  `ヽ ヽ. }  ̄/
        ム _  / / ̄ / ,'  /   ヽ } }  /
        `丶、 レヘ|'  /ヘ,.'   ,' \ l } ノ /'´‐- .._
         < `ーt-ゝ、 /  tヽ  〉//~ヽ   _`丶、
           `丶.|ミ f´ , '  ゝ、 //_.l-┤ ̄    . '´
             |  ,' j  ヽ  \ニ~-r‐' ̄ _ ... ‐ ' ´
             ト、 { , 、 ヽ\  ヽ彡!j_<´
   __       ,. - "!ヽ/ j  lヽ ヽ `ー'’ノノ 》、\
   ヽヽ ̄_`二ニ' ー-レ’./! .j..入_,.)- '/,.' 〃 〉. \
    l. l__,, .. -―_ ニ~Z..ノ .{ ノ! ー-- ' ノ .ノ / !   ヽ
  /,.く.    ,. '´   |l   `´ | \ _/ /  ,'  ト、  |
413名無しさん@ピンキー:04/01/08 23:59 ID:PMIJZH/t
 ,.'   \\ /    ノ !   ノ| ヽ ソ '´ __,,..、  | }  |
〃_,. -―`∠.._    f-、ヽ / } V/ /,.-‐┐|  |ヽ、 |
 ̄   /_  `丶  ム-ー〜ー-! レ'/ '´    t t  | l.ヽ !
    `丶、ヽ`丶, ∨ _,. -‐- 、!〃´      〉'、 | i \
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           j      /.        ヽ      ',
        l     /          ヽ       l.
          |.      ,'              ヽ    l.
          !     .j                ヽ    |
        l    ,'             ヽ.   |
      ≪L_ ,.'.>                  〉、 ,..ト 、
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      ,' ,' ̄``!.〈                〉 |ー|. 〈
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     ヽ ニ二二.ノ                 L._ `⌒´ _,.〉
                           ヽ. 二二ニ ノ
414名無しさん@ピンキー
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